衆議院

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第2号 令和2年11月17日(火曜日)

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令和二年十一月十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 石原 宏高君

   理事 勝俣 孝明君 理事 菅家 一郎君

   理事 土屋 品子君 理事 福山  守君

   理事 牧原 秀樹君 理事 生方 幸夫君

   理事 源馬謙太郎君 理事 江田 康幸君

      秋本 真利君    畦元 将吾君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      神谷  昇君    小島 敏文君

      高木  啓君    武部  新君

      武村 展英君    出畑  実君

      百武 公親君    古田 圭一君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      関 健一郎君    長尾 秀樹君

      堀越 啓仁君    横光 克彦君

      斉藤 鉄夫君    田村 貴昭君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    小泉進次郎君

   環境副大臣        笹川 博義君

   環境副大臣        堀内 詔子君

   経済産業大臣政務官    宗清 皇一君

   国土交通大臣政務官    朝日健太郎君

   環境大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    神谷  昇君

   環境大臣政務官      宮崎  勝君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   荒木 真一君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     五味 裕一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          田原 克志君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            山本 昌宏君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  鳥居 敏男君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   環境委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     高木  啓君

  細野 豪志君     武部  新君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     百武 公親君

  武部  新君     細野 豪志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

石原委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官荒木真一君、消防庁審議官五味裕一君、経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小野洋太君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君、環境省大臣官房環境保健部長田原克志君、環境省地球環境局長小野洋君、環境省水・大気環境局長山本昌宏君、環境省自然環境局長鳥居敏男君、環境省環境再生・資源循環局次長松澤裕君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。

 きょうは、この新しい体制になっての一人目の質問の機会をいただきまして、石原委員長を始め理事の皆様、委員の皆様にも感謝を申し上げる次第でございます。

 私も、今度、自民党の環境部会長というのになりまして、前が経産副大臣でありましたので、その前は環境政務官をやっておりましたけれども、経産から環境の部会長になるというのはそれなりの意味があるんだろうなと思っていたところ、菅総理が二〇五〇年のカーボンニュートラルということを打ち出されました。

 二〇一三年の比で二六%の削減、これがいわゆるパリ協定での目標でございまして、このとき私は党で地球温暖化対策の事務局長としてこの取りまとめに、当時の梶原局長なんかがもう相当打合せを行って決めましたけれども、あの二六も、三〇を主張する環境省と二〇を主張する経産省で相当な綱引きがあって、最後、二五から一歩、環境省側が一応環境に鑑みるということで二六に決まった、こういう経緯がございました。

 その後、私は、パリ協定のときにも、環境に関心のある議員で現地にも行きまして、場の雰囲気も感じましたけれども、それも最後の最後までなかなか決まらないというような状況で、大変な苦労の末、あの目標が決まりました。

 それでも大変な状況でございます。

 きょう、資料一でお配りしていますように、二〇一八年度の確報値の、いわゆる温室効果ガスの排出量、総量で十二億四千万トンですけれども、これは、二〇一三年が今の目標の基準でございますので、ちょっと高くなっているところをとっているんですよね。これは、東日本大震災の後、原発が全てとまっていて火力発電が非常に主力に、ほとんど主力だった、こういう状況のもと、二〇一三年というのは比較的排出量が多かったのでここを目標にとった、こういうことでございます。

 これを見ると、この高いところから現在に至るまで少しずつ減っているわけですけれども、二〇三〇年の時点での二六%削減というような曲線ではないことは明らかです。

 カーボンニュートラルになりますと、二〇五〇のときにはこれが事実上なくなるぐらいまで落ちないといけない。もちろん、森林吸収源とか吸収する部分がありますし、省エネ等も鑑みていくんでしょうけれども、しかし、吸収源といっても、京都議定書とかだと千三百万トンがマックスとか、その程度なので、この億トンであらわされるようなことには余り大きく影響しないと私は見ています。

 そう考えますと、この二〇五〇カーボンニュートラルは、目標としてはすばらしいし、タイミングとしてもすばらしいし、これはぜひ国を挙げてこのことを生かしていかなけりゃいけないと思いますけれども、相当に大変な道のりであります。

 二〇五〇年、三十年後といいますと、私は七十九歳、大臣は六十九歳ですから、私の場合はちょっと微妙かもしれませんが、大臣はまだまだ現職である可能性も非常に高いですし、そう考えると、これは将来の、言っちゃった目標じゃなくて、必ず実現しなきゃいけない、そのとき責任が問われる目標だと私は思います。

 そう考えますと、この二〇五〇年のカーボンニュートラル、相当真剣に取り組む前提として、今申し上げたように、二〇三〇年度のこの目標、これも見直さないと、二〇三〇年度は二〇一三年度比の二六で、二〇五〇年にはカーボンニュートラル、これは無理ですから、これを見直さなければいけない、こう思っております。

 このスケジュールあるいは見通しについて、まず大臣にお伺いします。

小泉国務大臣 今、牧原先生から御質問のあった中期目標、これについては、実は、ことしの三月に国連に提出をしたNDC、この中で既に二六%にとどまらない削減努力ということに書いてありまして、二六%が上限ではないことはもう明らかです。

 そして、新たな二〇五〇年カーボンニュートラルという長期目標を踏まえて、環境省としては、地球温暖化対策計画、この議論を進めて、その内容を来年十一月に予定されているCOP26までに追加情報という形で国連に通報することを目指していきたい、そんなスケジュールで考えています。

牧原委員 ぜひこれは、私たちも、党側でもしっかり受けて、やりたいと思います。

 そして、その中で、資料、これは二、三、四、一体でございますけれども、これはどの部門の排出が大きいかということで、配分前というのはいわゆる生産側、配分後は消費側というふうに見ていただければと思いますが、その生産側でいうと、やはりこのエネルギーの転換部門と言われる部分、つまり発電とか、それから石油精製に係るところとか、こういう部門が圧倒的に大きいことが見てとれます。

 すなわち、このエネルギー分野の大幅な見直しなくしてカーボンニュートラルの実現は不可能だということは、誰の目にも明らかです。このカーボンニュートラルは、もう既にエネルギーミックスの見直しは経済産業省においても議論が始まっているところでありますけれども、大きな方向性というのはやはり政治が決めていかなければいけない、こう思います。

 この意味で、今日本の発電で一番大きい火力発電、LNG、石油、それから石炭、ここをどうするのかというのが我が国の大きな岐路になると思います。同時に、もし、今のところ温室効果ガスが非常に排出される火力発電を見直すとなれば、それを何が代替するのかということを我々決めていかなければいけません。単に廃止だというわけにはいかないんです。この辺についての、何で補っていくかということについて、この辺も大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 私も牧原先生と同じ問題意識で、CO2排出が多く、日本イコール石炭というふうに汚名を着せられて、そのことによって伝わらない世界に対する日本の貢献、そして技術、こういったものを何とか変えたい、そんな思いで、私は、安倍内閣のときの環境大臣としては、石炭政策の見直しに力を入れてきて、輸出の公的信用の付与、これについて見直すことを関係省庁の合意に基づいてできたことはよかったと思います。

 そして、経産省においては、二〇三〇年までに非効率な石炭火力はフェードアウトさせていく、そういった方針が発表されて、今議論が進んでいると思います。

 そして、なぜこの化石燃料から再生可能エネルギーなどのCO2排出のない電源へとシフトする必要があるかと考えているかといえば、化石燃料、石炭、天然ガス、そして石油、これに我々日本は毎年海外に対して約十七兆円を払っているわけです。一年間で十七兆ですから、これを少しでも国内、地域で循環できるような環境に戻していきたい、そんな思いがあります。

 そんなことで、さまざま議論していますが、最近では、例えば、国内の発電事業者の中には、自発的に二〇五〇年ゼロエミッションへの挑戦を表明して、水素やアンモニアを燃料として発電時にCO2の排出が実質ない火力発電、いわゆるゼロエミッション火力の実現に向けて取り組む事業者も出てきています。

 環境省としては、再生可能エネルギーの主力電源化を進めるとともに、CO2の排出が実質ない、火力だけれども排出がないという、この新しいゼロエミッション火力、そしてCCUSなどの革新的技術の開発、実証にも取り組んでいきたいと考えております。

牧原委員 今おっしゃった水素、アンモニア、これは非常に有力なことでございます。私も、環境政務官だった、もう随分前に、七年前ぐらいかな、見に行って、これ、相当可能性あるんじゃないかと思いましたが、現実なかなか進みが見られない状況でもございますので、ただ、これが有力分野であることは間違いありません。きょう、アンモニアも安く生成できるという新聞記事も出ていましたので、こういうことをやはり生かしていくことは大事です。

 ただ、これに加えて、やはり経済と環境の両立というのは当然重要です。環境に勝って経済に負けるということではやはりいけないと思うんですね。菅総理もこのことは非常に強調されていることでございます。そのためには、企業は、今の研究開発や大きな投資ができるように、ちゃんと政府が見通しをつくって、そしてはしごを外さないということが私は極めて大事になると思うんです。

 その意味で、今カーボンニュートラル実現のために鍵を握るような技術、今大臣がおっしゃっていただいた以外に例えばどういうものがあるのか、今のお考えをお聞かせ願いたいと思います、大臣。

小泉国務大臣 今申し上げたところ以外でということがありました。

 最近、行政事業レビューでは、環境省のやっている浮体式洋上風力、この話も、長崎県五島でやっていますが、こういったことも我々はイノベーションの一つとして後押しをしていきたいと考えていますし、先月、福岡県の大牟田市でバイオマス発電所のCO2を回収する施設が稼働しました。ここでは、国内初の商用規模のCO2回収技術実証が行われて、カーボンニュートラルな燃料であるバイオマス由来のCO2を回収する世界初の、ネガティブエミッションというか、マイナスにできる、こういったプロジェクトとなる見込みです。これは大気中のCO2を回収、除去する技術であって、このような革新的な取組を一層加速させていきたいと思います。

 また、我々、今回総理から指示を受けているのは、経産省はエネルギー、そして我々環境省はライフスタイルの変革、そして地域の暮らしのあり方を変えていくこと、そしてまた国際発信、こういったことに指示が出ています。

 そういったことから考えれば、脱炭素型のライフスタイルへと転換を促すゼロ・エネルギー・ハウス、ゼロ・エネルギー・ビル、そして電気自動車などの普及を図って、ライフスタイルの変換を、転換を後押しをしていく。そしてまた、ビッグデータを収集して、AIで解析をして個人の行動変容をより脱炭素な形で、更にストレスのない、そんな社会をつくっていくライフスタイルのイノベーションも、関係省庁の英知も集めながらやっていきたいと思います。

 余り政治の世界で光が当たらないのは、実はファッションの世界もそうでして、大量の水、そして大量の資源、これが、生産されている服の半分が一度も着られずにそのまま廃棄に回る。フードロスって話題になっていますけれども、実はファッションロスという言葉もありまして、こういったことも、環境省は、関係の事業者、民間の皆さんとも意見交換をしながら、ライフスタイルの転換を我々として後押しをしていきたいと考えております。

牧原委員 今おっしゃった、我々国民一人一人が相当意識を持ってやっていく、私も鍵だと思います。そういう意味で、クールチョイスとか、環境省ではいろんなことを、スローガンを立てて運動をやっています。私のときに、ファン・ツー・シェア、今なくなっちゃったスローガンを、わざわざお願いをしてつくってもらって、マークまでやって、私は国連事務総長とか大臣にみんなつけてもらったんですけれども、今なくなりました。

 こういうふうに、スローガン、つくっては変えていくというのはやはりだめだと思うんですね。もちろんこういうスローガンも大事ですけれども、私は、全国地球温暖化防止推進センター、これ、今、地球温暖化対策推進に関する法律によって、一般社団法人の地球温暖化防止全国ネットが指定をされておりますけれども、こうした地域での地道な活動というのはすごく重要だ、こう思っております。

 こうした活動に少し最近支援が滞っているような感じも受けますので、ぜひ支援に力を入れていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 これまで、地球温暖化対策推進法に基づいて、全国五十九カ所ある地域地球温暖化防止活動推進センター、牧原先生が言う地域センター、これが自治体とも連携しながら、区域内の地球温暖化対策についての普及啓発や、民間団体が行う取組に対する相談対応などを着実に進めてきました。また、全国地球温暖化防止活動推進センターが、地域センター間の連絡調整や研修、指導などによって、各地域の草の根の取組を盛り上げて後押しをしてきたところです。

 今では、二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロを目指すゼロカーボンシティーが百七十を超えて、人口規模では八千万人を超えました。自治体は国民のライフスタイル転換の現場でありますから、地域センターなどが自治体を始めとする地域のさまざまな主体と連携しながら、国民の脱炭素型のライフスタイルに向けた意識醸成と行動変容を促すことが重要であります。ゼロカーボンシティーの実現に向けても、引き続き、そうしたセンターなどの取組、推進をしていきたいと思います。

牧原委員 ぜひよろしくお願いします。

 こうした皆様、今すごい自分たちに光が当たったとやる気にあふれていますので、しっかりとこの活動を応援をしていただきたいと思います。

 同時に、私は教育が大事だと思っております。

 ESDという取組、私が政務官のときに世界の大会も愛知と岡山であったんですけれども、この議員連盟をその後つくって、亡き北川先生も環境政策に非常に造詣が深かった、北川先生もここはすごく力を入れられて、私が事務局長になって活動をさせていただいております。

 こうしたESDについては、もっともっと環境省とか文科省だけじゃなくて横の省庁間の連携が必要ですし、また自治体との協力、また官民との連携、こうした横のつながりが非常に大切だと思います。ここについての御見解を、これは宮崎政務官、よろしくお願いします。

宮崎大臣政務官 お答えいたします。

 牧原先生には、持続可能な開発のための教育推進議員連盟事務局長として、平素からESD推進に御尽力いただいていることに感謝を申し上げます。

 御指摘のとおり、持続可能な社会の実現を目指して行う学習教育活動であるESDを多様な主体が協働して推進していくことは大切な課題であると認識しております。

 そのため、環境省及び文部科学省は、ESD推進ネットワークを共同で運営しております。全国ESD活動支援センター及び全国八カ所の地方センターをハブとして、自治体、学校、企業などの地域ESD活動推進拠点は現在、全国で百二十五カ所まで広がりを見せているところでございます。

 課題解決に向け主体的な行動を促すESDを推進することは、二〇五〇年カーボンニュートラル及びSDGsの実現に不可欠であります。関係省庁はもとよりESDに取り組む全てのステークホルダーとの連携を今後より一層深めてまいりたいと考えております。

牧原委員 ぜひお願いをします。

 ちょっと話をかえます。動物愛護法でございます。

 昨年、もう二度と経験したくないぐらい大変な思いをして改正をしました。その前、私が政務官のときに殺処分ゼロということを目標に掲げてプランを発表し、現在、相当殺処分数は減って、その後議員連盟をつくって、生方先生もずっと御一緒にこの法改正PTでやってまいりました。ことしはそれに基づいて動物の飼養管理基準を定めるということで、これは政令でございますので、環境省の方で決めていただいて素案が出ているところでもございます。

 この管理基準、関係者の方の間では、非常に大事だ、動物を守ってほしい、こういう思いもありますけれども、この点について、大臣の思いをおっしゃっていただきたいと思います。

小泉国務大臣 飼養管理基準の案については、議員立法による動物愛護管理法の改正に尽力された牧原先生が事務局長を務められている、そして生方先生も御尽力をいただいています超党派の動物愛護議連、そちらの議連から具体的な基準案の御提案をいただいたことを踏まえて、立法者である国会の意思を十分に尊重して、動物の健康や安全を守るための基準はどうあるべきかという動物愛護の精神にのっとったものとなるように検討を進めてきました。

 これまでの定性的な基準による指導では不適正事業者に言い逃れをされる面があったため、事業者に改善を促し、改善の意思がなければ登録を取り消すといった自治体職員による厳格な指導監督を可能とするため、自治体職員がチェックしやすい統一的な考え方による明確な基準案としました。

 新たな基準の検討に当たっては、多くの方々と意見交換を重ねてきましたが、今回の検討がきっかけとなって、今後のたゆまぬ動物愛護の政策の前進を多くの関係者とともに築き上げていく新たなスタートとなることを願っています。

 きょう十一月十七日までパブリックコメントを実施しており、今後、このパブコメの結果を踏まえて、再度年内に中央環境審議会動物愛護部会で御審議をいただいて、答申を得た上で、基準の省令を定める予定としています。

 新たな基準の運用とともに、関係者が連携協力して、保護犬、保護猫、そして繁殖を引退した犬猫がさまざまなところに譲渡され、終生にわたって幸せに生きられる社会をつくっていきたいと思います。

 私の地元の横須賀には、飼い犬と一緒に入居ができる高齢者施設、こういったものも、大変珍しいことではありますが、私はより多く広がっていくこと、すばらしいことではないかなと思っています。

 引き続き、動物愛護の精神にのっとって、基準案を後退させることのないようにしっかり進めていきたいと思います。先生方の御尽力にも心から感謝申し上げたいと思います。

牧原委員 ありがとうございます。

 最後の質問でございます。

 ぜひこれは、動物愛護の方はお願い申し上げます。

 私は、国立公園のレンジャー議員連盟というものの、これも政務官後、議員連盟を立ち上げて、そして、レンジャーの皆さんの数をふやすということで、今倍増がわずか数年で実現をしました。今、千人に向かってまたふやしていこうということを考えているところでございます。

 一方、アメリカの国立公園、私も結構、十個以上行ったことがあるんですけれども、こういうところでは国立公園自体が国有化されていて、入場するときに二十ドルとか払って、そのお金がベースとなって管理がされております。したがって、レンジャーの方の数ももう全然日本とは比較にならないぐらいいております。

 私は、こういう自然で生きていく皆さん、若い皆さんの思いというのをやはり活用できたらいいな、こう思っております。例えば、一部の特定地域は国有化をして入場料を取るというようなシステムをとるような形、こんなこともとれないかと思いますが、この点について、笹川副大臣、いかがでしょうか。

笹川副大臣 御質問ありがとうございました。

 今、牧原委員の方からお話があったとおり、委員におかれましては、レンジャー推進議連を通じまして、この四年間でレンジャー、二百名に倍増することができました。改めて御尽力に感謝申し上げます。今後につきましては、現在のそれぞれのアクティブ・レンジャーを含めて六百三十名のところを約千名を目標にして、現地の管理体制の構築を目指したいというふうに考えております。

 現在、国立公園につきましては、約六割が林野庁が所有する国有林となっており、これまでさまざまな事業で連携をしてきましたが、先般発表しました農林水産省との間の連携強化に関する合意に基づいて、今後は国立公園と国有林の連携を更に推進してまいりたいと思っております。今委員から御指摘ありました入山料、これにつきましては、妙高、富士山等の先行事例を参考にさせていただきまして、それぞれの関係地元の自治体とともに協議、展開をしてまいりたいというふうに考えております。

 改めて、こうした取組に加えて、現在、国立公園の自然を最大限に生かして国内外の誘客を進める国立公園満喫プロジェクト、全三十四国立公園に展開するとともに、自然の保護と利活用ですね、両立を促進するために法改正を含めた検討も進めておりますので、今後とも引き続いて委員の御指導を賜れればと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員 終わります。ありがとうございました。

石原委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 立憲民主党の横光克彦でございます。

 まずは、小泉大臣、二度目の環境大臣の御就任、おめでとうございます。安倍政権から引き続いて環境大臣になるということは、やはり小泉大臣に対する期待のあらわれだと思いますので、どうかこの期待にしっかりと応えていただきたく、まず冒頭、お願いを申し上げます。

 先ほどからお話ございますが、本当に、この菅総理の、二〇五〇年までにカーボンニュートラルの実現に取り組むということが所信で明らかになったわけですが、私も大いに歓迎をいたしたいと思います。

 小泉大臣は、初回の環境大臣の就任以来、意欲的に脱炭素社会の実現に向けて発信をしてきましたし、政府目標の引上げも訴えてこられました。

 そこで、菅総理の言う脱炭素社会、カーボンニュートラルへの実現に向けて、どのような道筋をつけて具体的に取り組んでいくのかを御質問していきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 先ほど言いましたように、この宣言は、私はすごい宣言をしてくれたなと思っております。ようやく世界の流れに追いついたと言ってもいいでしょう。パリ協定で示されました国際公約が大きく前進することを期待しております。

 しかし、言うはやすし行うはかたしという言葉がございますが、今回の宣言は、言うはやすしどころか、言うことさえ大変難しかった宣言であるにもかかわらず、そういった発表をしました。そういった意味では、私は、非常に、よくぞ宣言したなという思いで評価をしたいと思うんですが、宣言した以上、たとえ困難が多くても実行していかなければなりません。動かなければ口先だけだと言われかねません。

 環境省の最も大きな仕事は、気候変動に対する取組、そしてまた脱炭素社会への取組だと考えております。しかし、大臣、現在の石炭火力発電など、化石燃料エネルギー問題の解決なくして気候変動対策も脱炭素社会も前に進むことはできないと私は思うんです。

 今回の所信でも、大臣は、もはや、温暖化への対応は経済成長への制約ではなく、積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要だとおっしゃいました。これはまさにそのとおりだと思うんですね。

 しかし、総理の宣言に対して、CO2を多く排出する各業界団体からは戸惑いや懸念の声が出ております。例えば、自家発電として非効率な石炭火力を利用している鉄鋼や化学産業などでは、高効率石炭火力への切りかえは容易ではなく、石炭火力の廃止に慎重論が根強いと言われております。

 こういった状況につきまして、大臣はどのように思われますか。

小泉国務大臣 横光先生にはいつもエールを送っていただいて、ありがとうございます。

 今回、カーボンニュートラルは、横光先生がおっしゃったとおりさまざまな反応があると思いますが、CO2排出がもともと多い、そして化石燃料に依存度が高い、そういった産業も入っている経団連も含めて、総理の宣言を英断だと高く評価をしているコメントを発出をしています。

 そして、我々環境省は、経団連と合意書を交わしまして、定期的な意見交換、そして個別の企業が取り組んでいる脱炭素のチャレンジ・ゼロと言われるような取組の後押し、そして経済同友会など他団体とも対話をしていくことを今進めています。

 おっしゃるとおり、私も、例えば地域でガソリンスタンドを経営している方とかともお話をします。じゃ、世界で今ガソリン車の販売禁止など、こういった地域が続々と出てくる中で、カーボンニュートラルとそういった地域の暮らしをどのようにバランスをとって暮らしを豊かにしていくのか、こういったことも含めて我々考えなければいけないのは、誰一人取り残さない形でカーボンニュートラルの実現の道を歩んでいくということだと思います。そういった対話を今まで以上にしっかりとやっていくこと、これが重要だと考えています。

 ちなみに、総理が今回、言うのも大変だった宣言をされたというふうに横光先生おっしゃいましたが、私もそのとおりだと思いますが、もしも言っていなかったら、そのときの国家の損失の方が私ははかり知れないほど大きかったと考えています。

横光委員 まさにそのとおりだと思います。ですから、今回の宣言はいかに大きな意味があるかということです。とりわけ経産省そして環境省、この役割はこれから大変大きなものになってくると思うんですね。

 そういった中で、今いろいろ説明ございましたが、イギリスやフランスやドイツなどでは、もう石炭火力を全廃する方針を打ち出しておるんです。これを、これから我々の国はこの問題を論議するわけですが、一歩も二歩も先に進んでいるんですね。日本もこの方針に私は歩調を合わせるべきだと思っておるんですが。

 梶山経産大臣は非効率の石炭火力発電の休廃止の検討を行っておりますが、これを行ったとしても従来の一割程度の削減にすぎませんし、また、高効率の火力発電であってもLNGの二倍のCO2を排出するわけでございます。

 削減に向けて、先ほど大牟田のお話もされましたが、技術開発は絶対に必要ですよ。しかし、本当に今の取組で二〇五〇年のCO2削減目標を達成できるのかということ。昨年のCOP25の開催時にグテーレス国連事務総長は、石炭火力発電に依存する国に対して、石炭中毒という言葉を使って厳しく批判をしました。大臣も深く記憶していることと思いますが、その批判は今なお高まっているのですが、どう石炭火力への依存を減らしていくのか。

 経済界との協力を今進めている、これは何よりも大事でございますが、そういったことも含めて、今が私はこの二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けての正念場だと思うんです、この宣言が出た以上。チャンスだと思うんですが、これからどのようにして石炭火力の依存を減らしていくおつもりなのか、お考えをお聞かせください。

小泉国務大臣 まず、経産省も含めて今、非効率な石炭をやめていこうと。私は、海外に輸出するときの公的な信用、これを厳格化をする、こういったところに力を入れていましたが、これは政府の中で合意をして進めていること、これは間違いなく今までにとってプラスなことだと思います。

 そして、最近、私はスウェーデンの大使ともお会いをして対談をさせていただいたんですが、そのときに大使から言われたことが、京都議定書以来、ついに日本が戻ってきたね、ジャパン・イズ・バックだと。そういうふうな、まさに環境先進国としての復権、これにつながるような評価が出始めてきた、これは間違いなく変化だと思います。

 そして、石炭についても、我々政府としても取組を、依存度を下げるべく進めていると同時に、先日、東芝が石炭を撤退する、そして再生可能エネルギーにシフトする。まさにこういった象徴的な動きが民間の世界からも出てきて、そして、先日、諮問会議がありましたが、私も出席をして、経団連の中西会長もオンラインで出席をされました。そのときに、いかに分散型のエネルギーシステムを構築していくか、こういったことが重要であるというような提言が経済界からも出てきたこと、間違いなく、分散型の方向に行けば再生可能エネルギーへのシフト、こういったものが進んでいくわけですから、こういった取組、我々としても後押しをしていきたいと考えております。

横光委員 お話を聞けば、経産省との協力関係が非常に強く出始めているということで、これは大事なことですのでね。

 しかし、一番大事なことは、これから、世界に向けて発信した以上、その姿をどう見せるかということだ、それが、二〇五〇年に向けて二〇二〇年、二〇三〇年、二〇四〇年と十年ごとのスパンでやはりこの計画の姿を見せる必要がある。そういった意味で、これから二〇三〇年のエネルギー基本計画の改定、これが最も重要になってくるんじゃないかと思うんですよ。

 その二〇三〇年のエネルギー計画は、やはりどうしてもこれはエネ庁が主導でやっておりますけれども、環境省あるいは外務省、農水省も、エネルギーに関係する省庁もオブザーバーで参加しております。この十年後の二〇三〇年に向けたエネルギーミックスの改定が何より私は重要だと思っております。

 前回の改正では、先ほどお話ございましたように、石炭火力だけでも二六%、火力全体では五六%、つまり、日本の電力の六割近くは化石燃料を燃やす火力発電に依存しているんです。それに引きかえ、再生可能エネルギーは二二から二四%。これでは到底二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現は不可能ですよ。ですから、今回の改定は非常に重要だと私は思っているんです。

 確かに、決定権は環境省にはありませんけれども、大きな今度は責任を負わされるわけですから、大きな発言をして、この見直しにはぜひ環境省の望む形での改定、数値を出していただきたい、そんな気がしております。

 これは、菅総理の宣言した後、初めての改定ですから、これまでの改定とは全く違うと思うんですよ。第六次の改定では、電源構成は私は抜本的に見直さなければならないと思っております。つまり、三〇年再エネ電力目標を、再エネの場合は現在二二から二四ですか、これを倍ぐらいに数値を出さなければ、この実現は本当に難しい。だから、現在の倍の四〇%超まで引き上げることができるかどうか、これが一つのキーだと思います。

 そして、全ての石炭火力発電を大幅に引き下げなければ、二〇五〇年の脱炭素社会の目標達成は不可能だと思いますし、原発の構成比率も二二%、これも見直しが避けられないと思います。

 そういった意味で、今回のエネルギー基本計画の改定について、決定権はないにしても、責任省庁として物すごく発言権はあるわけですから、大臣の、私が今申し上げたような、再エネの四〇%とか、火力発電をずっと下げるとか、そういった数値が出ることに対しては同じ思いだと思いますので、そのあたりの御意見をお聞かせください。

小泉国務大臣 先日、十月三十日に開催された政府の地球温暖化対策推進本部で、総理からは、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画、パリ協定に基づく長期戦略、この見直しを加速をして、全閣僚一丸となって取り組むような指示を受けました。

 ですので、今先生から御指摘があったように、確かに、エネルギー基本計画、それは主管は経産省です。しかし、この経産省と連携をして、環境省としても気候変動対策の観点から必要な主張をしっかりと行っていきたいと思います。

 先生から再エネ比率の話がありましたが、環境省としても例えば知事会とも話をしていますが、全国知事会は四〇%、そういった目標を掲げるべきだという提言を我々に提出をされました。そして、経済同友会は四〇%超という形で提言を出されました。

 いずれにしても、この二二から二四となっているものは、二四%が上限というわけではありませんので、我々環境省としても、主管となっている経産省がより比率を上げていきやすい環境をどうやってつくれるか、そういった中でしっかりとコミュニケーションをとっていきたいと思います。

横光委員 菅総理は、長年続けてきた石炭火力に対する政策を抜本的に転換するという演説をしております。これは関係者にとりましても大きな後押しになる発言だと思います。

 今度のエネルギー基本計画を見直すということは、これまでのような体制で果たしていいのか、行政の打破ということも総理はおっしゃっておりますし、これまでのような仕組みで果たしてこの大事な第六次エネルギー基本計画を策定していいのかというのを非常に心配しているんです。ですから、環境省の役割をもっともっと、オブザーバーではなくて、まさに行政の打破ということを総理もおっしゃっているんですから、もう少し環境省が参加できるようなエネルギー基本計画でなければ、私はやはりまたエネ庁中心のエネルギー計画になるんじゃないかと心配しておるんですよ。

 ですから、こういうエネルギー基本計画の策定過程にこそ先ほど言われた発想の転換が必要だと私は思うんです。このことは経産省もエネ庁も十分にわかっていることと思うんです。ここのところが一緒になって頑張って立派なエネルギー基本計画を出さないと、これは世界に向けて打って出る計画ですから、本気かどうかというのが試されるのがこの二〇三〇年のエネルギー計画の目標だと思うんです。それがこれから夏に向けて論議されるわけですが、どうか、大臣としては、このようなところでエネ庁や経産省を動かすことはできないのか、そういった努力をしてほしいと思うんですが、いかがですか。

小泉国務大臣 それぞれ省庁、役割というものはそれぞれあると思います。

 経産省は、エネルギー、そして脱炭素に向けて、供給サイドとのかかわりが強いと思います。しかし、我々環境省は、地域や国民サイド、需要サイドをどうやって機運を高めていくか、その観点から私は、自治体のカーボンニュートラル宣言、この高まりを生みたいと思っていました。私は、今回、総理のカーボンニュートラル宣言は八千万人規模になったゼロカーボンシティーの高まりがなければここまで勇気を持ってこの宣言ができなかったんじゃないか、その高まりを生んできた自負は環境省として一丸となってこの需要の高まりをやってきた職員も含めて持っていると思います。

 そして、まさにその需要サイドといえば、最終的にはどんなエネルギーを購入するか、契約をするか、これはマーケットがコストという形で大分決定づけるところも多いと思います。ですので、我々としては、再エネイコール高い、こういった認識を改めて、そんなことはない、この実例を我々自身も示したいと思っているので、二〇三〇年までに環境省は再生可能エネルギー一〇〇%導入をすると決定をして、ことしの四月からは新宿御苑を含め八つの施設で既に再エネ一〇〇%にしているのも、海外では再エネの方が石炭よりも安いという国が出ているにもかかわらず、日本の中の認識はいまだにそういった現状が十分に知られていない現状もありますので、我々は率先してそういう後押し、また自治体や企業の後押しもしていきたいと考えております。

横光委員 今回の菅総理の宣言は、私は国家的な宣言だと思うんですよね。ですから、この問題は、先ほど言われましたように、全省庁に関係すると言ってもいいぐらいの問題で、そういった形で、いろいろな意見を取り入れて、私はこのエネルギー基本計画の見直しに取り組んでほしいということ。

 この問題は、各省庁の利害を考えてやるのではなくて、目標が出たわけですから、二〇五〇年にカーボンニュートラルという目標が出たわけですから、その目標に向けて各省庁がどのように協力して取り組んでいくかという姿勢がなければ、私は本当にこのエネルギー基本計画がまた外国から評価されないような結果になってしまうんじゃないかという気がしておりますので、どうかそういった意味で、縦割りの行政の弊害ということもありますし、そういうのを打破するという総理の意向もありますので、ここは、環境省が相当大きな責任を負う課題を今度背負わされたわけですから、それだけの強い発言権を、発言を、エネルギー基本計画の場でお示ししていただきたいと思っております。

 次に行きますが、昨年十二月、欧州では欧州グリーンディールが宣言されました。エネルギーの脱炭素化を始め意欲的な政策を推し進めております。その宣言を主導したフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、欧州グリーンディールはEUの新しい成長戦略です、雇用を創出しながら排出量の削減を促進するという具体的なプログラムを提起しました。

 EUは、各国が共通する目標に向かっております。この欧州グリーンディールは産業構造の大転換なんですよ。我が国においても欧州グリーンディールは非常に参考になるわけでございますので、一歩先を進んでいるいい事例だと思いますので、ぜひとも小泉大臣の発信力で、意欲的な、欧州グリーンディールじゃなくて小泉グリーンディールを発してみてはどうかと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。

小泉国務大臣 まず、先ほど、知事会と同友会の再エネの導入比率の提言の話をしましたが、さっき私が言った四〇%超と四〇パー、これが逆だったそうで、知事会が四〇%超というのを出していて、同友会は四〇%というのを出しているということです。それだけ訂正させていただきます。

 今御質問をいただいたグリーンディール、これを日本版、小泉版をつくれという話でありますが、私、菅総理が今回カーボンニュートラルを宣言されたことで、菅政権がグリーンリカバリー政権になったと思っているんです。つまり、ヨーロッパは今グリーンリカバリーという言葉が席巻をしていますが、鍵は何かというと、デジタルとグリーンなんです。

 ですので、菅総理の所信表明演説を読めば、見ればわかるとおり、一番目にコロナ対策、二番目にデジタル、三つ目にグリーンなんです。ですので、なかなか日本ではそういう見方をされないわけですが、既に日本は、いわゆるグリーンリカバリー、この方向性で、今大きな方針として走ったんですよね。なので、我々環境省としては、こういった脱炭素が政権の中心課題に位置づけられたことを心強く思っていますし、環境省としてそういったものを求めていた立場としては責任を感じていますから、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 その上で、環境省は、コロナの危機と気候危機を両立をするという観点から、脱炭素社会、サーキュラーエコノミー、分散型社会への三つの移行によって経済社会を再設計する、リデザイン、これを進めていくべきだということを打ち出しています。

 このことは、国際社会に対しても、九月の三日に行われたオンラインプラットフォームという国際会議でも広く認識をされたところでありまして、特に海外の皆さんからは、リデザインというその発想、まさにコロナの後の経済社会は、もとに戻るのではなくて新たな形に設計をしなければ持続可能ではない、こういったことの認識が広がっていますので、これからも、まさに日本の発信をするグリーンリカバリーというのはリデザインということなんだ、そういったことも含めてしっかりと国際的な発信もしていきたいと考えています。

横光委員 確かに欧州グリーンディールのメーンは、今回のコロナ禍の中で環境に物すごいシフトしたグリーンディールになっていると思いますので、ぜひ、我々も方針を大きく変えたわけですので、環境大臣も参考にしていただければと思っております。

 菅総理の宣言を実現していくためには、先ほど言いました石炭火力の問題、そして、いま一つはやはり再エネ、省エネの問題だと思うんです。

 省エネの説明もございました。こういった技術革新は次から次へとこれからあらわれてくると思います。それと同時に再エネ、これも本当に、先ほどから大臣がおっしゃっていましたように、ゼロカーボンシティー、この広がり、これはすごいと思う。やはり、ゼロカーボンシティーがあそこまで、一年ちょっとで自治体が参加して広がっていることが今回の菅総理の発言に私はつながったということもあるんじゃないかと思っております。

 この中で、日本発の脱炭素化やSDGsに向けて第五次環境基本計画や地域循環共生圏構想を打ち出しておりますね。そして、各自治体と協力してきております。非常に重要な再エネの広がりの私は施策だと思いますし、この計画や事業は環境省が考えるような形で進んでいるのかどうか、ちょっとお聞かせください。

小泉国務大臣 ゼロカーボンシティーの宣言を宣言で終わらせず、しっかりと自治体のカーボンニュートラルを実現するために、我々、概算要求の中でも再生可能エネルギーの導入拡大を、自治体の導入拡大を後押しするようなパッケージを組んであります。予算計上をしております。

 あわせて、今月から地球温暖化対策推進法の見直しに向けた検討会を行っていますので、この温対法の見直し、これが地域や企業の脱炭素化の取組をより一層加速させるものになるように、まずは検討会での活発な議論に期待をしていきたいと思います。

横光委員 このゼロカーボンシティーの普及拡大というのは、先ほどもお話ございましたが、ESG地域金融がこれから非常に大きな効力を発揮するんじゃないかと思っておりますし、ESGそのものは欧米でも進んでいますし、日本でも大きく進み始めております。それを今度、地域金融が率先してこれに取り組んでいただけると、相当このゼロカーボンシティーも全国国土に、全国じゅうに広がっていくんじゃないかという気がしております。

 私の地元である大分を含む九州地方は、自然エネルギーの宝庫なんですよ。太陽光、風力、地熱、バイオなど、多元な純国産のエネルギーを生み出しております。北九州を始め各地で町づくりが進められているわけでございます。

 人、物、金の東京一極集中から地方へとシフトしていくことが大事なことであると考えておりますし、そのためには、これからやはり地方へシフトしていくためには、地方の財源とか地方の権限とか、こういったものを自治体に移管することで地域循環共生圏が広がる可能性が高いと思いますし、そして、そのことがゼロカーボンシティーにつながるわけでございますので、大臣もその重要性は重々おわかりのことだと思いますが、ぜひこのゼロカーボンシティーの国土全体に広がっていくような指導を環境省が率先してやっていただければと思います。

 そういった意味で、先ほどちょっと申し上げましたが、ESG地域金融についてはどうお考えでしょうか。

小泉国務大臣 横光先生にESG、取り上げていただきましたように、今世界的にも日本的にも、このESGの市場規模は急激に伸びています。世界では、大体三千兆円を超える市場。日本は、二〇一六年からの三年間で約六倍、約三百三十六兆円に拡大をしています。

 環境省としては、ESG金融ハイレベル・パネル、このもとに二つのタスクフォースをことしの三月に立ち上げて、検討を進めています。

 一つは、ポジティブインパクトファイナンスタスクフォースといいますが、これは、大手金融機関、機関投資家における実践が進むような評価ガイドを作成をしていく、今年度中に。

 ただ、先生の御関心の、地域の中でESGをどうやって広げるか。これはもう一つのタスクフォースであります。これがESG地域金融タスクフォースです。ここで地域金融のさまざまなプレーヤーと一体となって議論を進めて、今年度中にESG地域金融の普及、展開に向けた共通ビジョンを新たに策定をする予定です。また、先進的な地域金融機関と連携して、地域課題の解決や地域資源を活用したビジネス構築などを促進することで、大企業だけではなくて地域の中小企業におけるESGの取組が加速するように後押しをしていきたいと思います。

横光委員 ぜひその積極的な取組をお願いしたいと思います。

 金融ですので、どうしても金融庁、財務省の働きかけも大事かと思っております。

 もう時間が終わり近くなりましたので、私はちょっと、質問じゃなくて意見を申し上げたいんです。

 菅総理による脱炭素社会の実現が出たことに乗じて、脱炭素化を旗印に、原子力発電の依存度を下げるどころか、継続の根拠にしようとする動きが出ております。大変私は懸念しておりますし、再稼働のみならず、原発の新増設を求める声さえもあるんです。

 しかし、皆さん、あの福島の原発事故から来年で十年になります。あの悲惨な事故を忘れてはなりません。今なお、ふるさとを追われ、帰還できない方々が三万人もいるんです。事故の収束も見えておりません。改めて、あの未曽有の事故を二度と起こしてはならないという教訓のもとで、私たちは原発ゼロを目指しているんです。

 大臣のお父様も、先日も講演で、やはり、再稼働することはそれだけ核のごみがふえるだけだというようなことをおっしゃっておりましたし、原発ゼロは目指さなきゃならないと強くまた訴えております。

 それで、私たちは、自然エネルギー立国を目指すと枝野代表も表明しております。既に原発ゼロ基本法も出しております。

 その中で、大臣が所信で、万が一の事故、原発の備えに終わりや完璧はないと申しておりますが、私は各大臣にいつも申し上げているんですが、そんなことはない、必ず終わりはあるんだと。そこに原子力発電所そのものがなければ、そこにある危機がなければ、原発事故の備えは要らないんです。ですから、終わりはあるんです。このことを強く申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

石原委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。立憲民主党の衆議院の近藤昭一でございます。

 きょうは、質問の時間、機会をいただきましたことにまず感謝を申し上げたいと思います。

 私の方からも、小泉大臣の引き続きの御就任ということでお祝いを申し上げたいと思います。

 それでありますが、まさしく大きな期待を担っている、また、私は大きな責任を担っていると思うんですね。そういう中で、きょうは、大臣が御担当になると思う原子力災害についてお伺いしたいと思います。

 それで、まず確認なんですけれども、原子力災害特別措置法、原災法、原災法と言われますが、この所管は小泉進次郎内閣府特命大臣でよろしいでしょうかということであります。

小泉国務大臣 近藤先生から御質問のありました原子力災害対策特別措置法につきましては、内閣総理大臣及び原子力規制委員会がその主務大臣というふうにされています。

 その上で、内閣総理大臣を支える原子力防災担当の特命担当大臣として私が任命を受けております。

 このような立場から、私としても、万が一の事故が起きた場合に対応できるよう、同法に基づいて全力で取組を進めているところであります。

近藤(昭)委員 特命担当大臣として、万が一の事故のときに対応するということであります。

 それで、ただ、大臣御自身が所信表明の中でおっしゃっておられるわけでありますが、「万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はないことから、より実効性を高めるべく、引き続き、」云々ということがある。つまり、完璧はないという言葉をおっしゃっているわけであります。私もまさしくそのとおりだと思うんです。

 そして、残念ながら、東電福島第一原発事故が起きました。そして来年十年ということになるんですが、今同僚の横光議員からの指摘がありましたように、今なお三万人以上の人が戻れないでいる、多くの人が戻れないでいる。そして、それだけではない、これからいろいろと御質問、お話をさせていただきますが、多くの方がまだ、まさしく解決をしていない、終わっていないわけであります。

 そういうことで、私は、その災害特別措置法に関連して、まだまだ終わっていない、あるいは、今どういうふうに政府が対応しておられるのかということをお聞きをしたいと思うんです。

 特に、先般、女川原発が、審理が済み、そして地元の同意、再稼働がいつかというように言われている。私は、万が一のときに完璧がない、そういう中で再稼働をすることはいかがなものかというふうに思っているんです。

 そういう観点から、この原災法に関連して、一定の基準をクリアをすると原発が再稼働する、こういう今仕組みになっているんですけれども、万が一そうした中で再稼働した原発で事故が生じた場合、誰が、現場という意味ですが、誰がその事故対応を行うことになるのか。

 国は、警察あるいは消防に事故対応を命じる、万が一の事故が起きた場合です、そういう法的な根拠はあるのかということであります。

 警察には警察庁長官に指揮権がある。消防も消防庁長官に緊急消防援助隊への指示権があるわけであります。しかし、御承知のとおり、消防隊員の身分は地方公務員であるわけであります。消防庁長官は、消防隊員の活動を強制させることはできないと思うわけであります。

 ということで、今申し上げた、万が一のときにどのようにその事故対応を行っていくのか、このことをお伺いしたいと思います。

神谷大臣政務官 近藤先生の御質問にお答えいたします。

 万が一原子力災害が起きた場合には、原子力災害の発生した事業所における施設の復旧等のオンサイト対応は、原子力災害対策特別措置法に基づきまして、事業者が責任を持って対応することとされております。このため、平時からの防災体制の整備に加え、厳しい事故状況も想定した事業者防災訓練などを通じて事業者における不断の改善に全力で取り組んでいるところでございます。

 しかし、当該事業者だけでは十分な措置を講ずることができない場合には、原子力災害対策本部が実動組織を含む関係省庁との調整を行いまして、十分な安全確保を行った上で、それぞれの実動組織が対応可能であると認めた活動の範囲内におきまして、各関係省庁がそれぞれの実動組織によるオンサイト対応に係る調整等の対応を行うこととなっております。

 この際、必要に応じて、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣は、原子力災害対策特別措置法に基づきまして、これらの活動に関する指示を各省庁等に対して行うこととなっております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 体制としては、今政務官おっしゃっていただいたような、それぞれのつかさ、防災計画等々が立てられていますから、対策本部ができて、その指示のもとに動いていくんだと思うんです。

 ただ、東日本大震災、東電、福島の第一原発の現場でも大変に混乱したというか、大変厳しい状況になったわけであります。そういう中で、今オンサイトのことをおっしゃいました。オンサイトは、基本的に、発電事業者、原子力事業者がやるわけであります。ただ、今、緊急事態という状況の中で、さまざまなところが現場に出る。そして、福島第一原発のときもそうであった。

 ただ、そのときに、想定されている、今、範囲内でというお言葉も言われましたけれども、まさしく範囲内で、想定されていることと想定されていないことがあるんだと思います。

 そういう意味では、消防庁、消防隊が現場で放水作業等々をすること、いわゆる、もともと消防は、原発災害が起きたときに救援作業、搬出作業、患者さんの、けがをした人等の搬送作業を担うわけですが、そうではなくて、放水作業とかで、放水して冷却作業とか、こうしたことは、消防庁、あるいは、きょうは防衛省も見えていないかもしれません、自衛隊とか、そうしたことはオンサイトでの作業として想定されているんでしょうか。

五味政府参考人 原子力災害特別措置法はもとより、消防組織法等に基づきまして、消防機関は、当該地域の原子力災害について応急対策を実施することとなります。

 原子力災害にかかわらず、消防機関が行う活動に対しましては、消防庁長官は指揮監督権を有さず、各市町村の長の指揮のもとで活動することになります。

 委員御指摘のように、消防による対応という点で申しますと、都道府県内の消防力では対処が困難な大規模な災害につきましては、都道府県を越えた消防の広域応援を行うための仕組みとしまして、緊急消防援助隊がございます。

 この緊急消防援助隊の派遣につきましては、被災地の都道府県知事から消防庁長官への応援要請等に基づきまして、消防庁長官が、被災地外の都道府県知事等に対しまして、この部隊の出動につきまして求めや指示を行うことができるとされているところでございます。(近藤(昭)委員「ちょっと簡潔に質問に答えていただければ、想定されているのかという」と呼ぶ)はい。先ほど政務官の御答弁にありましたとおりでございまして、可能な範囲内で協力をしていくということだと思っております。

近藤(昭)委員 いや、ですから、その可能な範囲がどこか、その中に放水が含まれているのかと聞いているわけです。

 東日本大震災のときには、そのことで大変に混乱をするわけです。そして、現場では大変な苦悩が起きるわけであります。そして、今もそれは引きずっているわけであります、引きずっていると私は思います。だから、聞いているんです。それは、想定されているのか。想定されているかしないかによって、現場でまた同じ、大変なことが起きるわけです。

五味政府参考人 消防組織法第一条におきまして、「消防の任務」といたしまして、災害を防除し、及びこれらの災害による被害を軽減することを掲げております。この災害の中には、自然災害ばかりではございませんで……(近藤(昭)委員「委員長、済みません。質問に答えていただけるように」と呼ぶ)はい。テロ災害、原子力災害等も含まれておりますので、広くはこの消防の任務の中に原子力災害への対応というのが位置づけられているというふうに考えております。

近藤(昭)委員 委員長、済みません。

 ですから、それは今、とにかく放水作業等々が想定されているのかどうか、そのことをお聞きしているんです。

石原委員長 済みません、近藤委員。今の放水作業は、福島第一のときに、私の父が頼んで東京消防庁が行って、原子炉に、原子炉の気温を下げるために放水作業をしたんですけれども、そういう意味での放水作業なのか、火災が起こっていることに対しての放水作業なのか、ちょっと確認した後に。

近藤(昭)委員 まさしくそのとおりなので、そのことで、あれは特例的に、まさしく都知事が判断をされて、菅総理の要請に基づいてやったわけですね。だけれども、そういう意味では、直接指令はできないけれども、今政務官からも説明があったような形で動くようにはなっているんです。

 ただ、まさしくおっしゃられたように、オンサイトは原子力事業者なんです。そして、そうした原子力事業者がやらなければいけない責任がある。しかし、そうした、いわゆる原子炉に対する冷却とか放水作業、まさしくそうしたことを想定しているのかどうかということであります。

石原委員長 その点についての放水が可能なのかどうか、五味審議官、答えてください。

五味政府参考人 オンサイトにおける対応につきましては、一義的には事業者ということでございます。

 あと、国の防災計画に基づきまして、地域ごとに防災計画の原子力対策編をつくっておりますので、そういった計画に基づきまして、各地域において議論し、対応がなされるものというふうに考えております。

近藤(昭)委員 想定されていないのか、いるのか。なぜ、想定されていないと、私は想定されていないんだと思いますよ、そのことをはっきりおっしゃらないのか。どうですか、もう一度。余り時間がないので、よろしくお願いします。

五味政府参考人 オンサイトにおける活動につきましては、一義的に事業者であるというふうに認識をしております。

近藤(昭)委員 事業者である、つまり想定をしていないということだと思います。それはあくまで事業者だということ。

 だから、そうすると、今度、小泉大臣、万が一のことが起きたら、また同じことが起きるんです、それは原子力事業者だと言っているわけでありますから。そして、そこで起きるのは、ある種の混乱と苦悩だと思うんです。

 時間がないのでちょっと続けますけれども、今御説明もあったように、直接国からは指令ができないわけです。そして、消防隊は地方公務員でありますから。

 私も、ここに当時の消防庁長官だった久保さんの本、「我、かく闘えり」というのがあるんですが、この中で言っていることがあるんですね。

 東電福島第一原発事故では、使用済み核燃料プールへの放水作業は、東京消防庁を始めとする大阪市、横浜市、川崎市といった大都市の消防本部に属する総員二百六十名の消防隊員の献身的な活動によってなし遂げられたわけであります。この皆さんは地方公務員です。その隊員たちのその後の健康状態はどうであるか。当時、消防庁長官はそういうことを大変に危惧されたわけであります。

 だから、私が申し上げている、今も続いているんです、その隊員たちのその後の健康状態はどうであるか、重い症状を発症したり、亡くなったりされている方はいらっしゃらないですかということをお聞きします。

 また、当時は、余りこれは事故調の報告書に出てきていないんですけれども、現場で、まさしく地方自治ですから、双葉郡の消防隊の人が、大変な活動をされました、支援、消防活動、がいらっしゃるわけです。

 このことは余り記録に残っていなくて、ちょっと私も最近、前からそういう報告が出ているんですけれども、「双葉郡消防士たちの三・一一」、吉田千亜さんという本がありますけれども、現場の、これは大変なことが書かれています。

 何が大変かというと、いわゆる現場、放水作業とか救援作業に行けと。でも、子供が小さい隊員なんかは、やはり心の中では大変な不安を感じるわけです。あるいは、言葉に出して、とても自分は行けないと言って、待機の場所から出ていって、自分はそんな現場には行けないと。そして、戻ってこられず、そのまま退職扱いになった方がいらっしゃるわけであります。そして、現場に最終的に行った人は、行く前に遺書を書いている方もいらっしゃる。あるいは、メールを準備して、いつでもそれを発信する、まさしく現場へ行って大変な状況になったときにそれを発信するべく準備をしていた方がいらっしゃるわけですね。そういう大変な状況になるわけであります。

 それで、今質問したいのは、その現場に入った皆さんの健康状態、そして、双葉の消防隊員の皆さんの健康状態を把握していらっしゃるのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。

五味政府参考人 東京電力福島第一原発事故では、緊急消防援助隊として二百六十名の消防職員の献身的な活動をいただいたところでございます。

 消防庁といたしましては、当該職員の安心や長期的な影響の確認に資するために、事故直後の平成二十四年度から、医療、消防関係者から成る福島原発事故において活動した消防職員の長期的な健康管理審査連絡会を設置いたしますとともに、追加定期検査、定期検査に追加して血液検査、白内障検査及びメンタル検査の機会を提供するなど、健康管理の支援を行っております。

 また、双葉地方の消防本部の消防職員につきましては、地元本部において、日常の消防活動の中で徹底した放射線管理を現在も継続して行われておられます。

 また、各職員の放射線量についても管理、評価がされておりまして、消防庁におきましても、必要な資機材について全額国庫措置をしておりますし、定期的な会議で必要な情報を共有しているところです。

 こうした取組を通じまして、これまでのところ、福島第一原発対応による重い症状の発症等の報告は受けておりません。

 引き続き、各消防本部と連携しまして、原発事故対応に携わった職員の健康管理に的確に取り組んでまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 双葉のことは把握されておられますか。双葉の消防団のことは把握されているか。

五味政府参考人 双葉地方広域消防組合で原発対応に携わった方、また今も比較的困難な状況の中で活動されておられますので、その方々については、双葉消防の方で健康管理を毎日やっておりまして、それを、消防庁と双葉消防との定期的な情報連絡会議がありますので、そこで共有をしております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 質問時間が終わりますのであれですが、今申し上げたように、大変な状況であった、そして現場、オンサイトは想定をされていない、原子力事業者だと。そうすると、今度、万が一のことが起こったら同じようなことが起こると私は心配をしています。

 ですから、あと、双葉消防隊員、自治体の皆さん、消防は自治体でありますけれども、当時、久保長官も、こうした皆さん、アメリカなんかでは、そういう現場に行くときは公務員、国家公務員を兼務することになるんです、そのときだけ、そして国家公務員として、万が一のことがあったらそうした補償が出てくるんです、そうしたことを日本でも検討する必要があるのではないかと言われております。

 そういうことで、私は、本当に万が一のときが残念ながらあったわけですし、あるわけであります。そういう意味で、原子力防災担当大臣であられる小泉進次郎大臣には、よくそのことを考えていただきたい。私は、原発の再稼働というのはすべきではない、こう思っています。ぜひ、この本も読んでいただいて、いただいていますか。

 ありがとうございました。

石原委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 きょうは初めて環境委員会で質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、質問に入る前に大臣に伺いたいんですが、今回、私、質問通告の問取りのレクチャーをオンラインでさせていただきました。環境省の方も国交省の方もそれは受けていただきまして、環境省の控室の方のいろいろ仕切りをしていただいて、非常にスムーズにレクチャーできたなというふうに思っております。

 大臣とそれから笹川副大臣とは国会改革でもいろいろと御指導いただいてきましたし、まさにこういうコロナの時代でオンラインが当たり前になってきた、そういう状況も踏まえて、全てオンラインでやるべきとは思いませんし、やはりお会いした方がいいときもあると思うんですけれども、できるときがあったら、わざわざ今までみたいに、たくさんの職員の方がいろいろ資料を持って、セキュリティーチェックもわざわざ通って、会館に来て、実際に会って、オンラインでできるような話をするということを、働き方改革の意味も含めて、どんどん進めていっていただきたいなというふうに思います。

 全体としてオンラインでやるべきとまで言わなくてもいいんですが、ぜひ、小泉大臣がいらっしゃる環境省ではできるときはどんどんオンラインでやっていく、そういうような方針を出していただきたいと思いますが、そのことについてお考えをお聞かせください。

小泉国務大臣 まず、源馬先生には今回オンラインでの問取りということで対応いただいて、私は職員を代表して感謝申し上げたいと思います。

 やはり、源馬先生と、私も大臣になる前に国会改革に取り組んでいましたけれども、二日前通告ということもなかなか現実には守られないケースが多いと思います。そういった中で、きのうも深夜まで職員の方は残って、そしてほぼ徹夜の職員も多くいると思います。私自身も、みずから変わらなければいけないと思いますので、今、質問の前夜は役所には残らずに、きのうも、夜に家でウエブで役所の職員ときょうの質疑に備える、そういったやりとりをしています。

 そして、民間の方からは、コロナ禍でデジタル化が最も進んだのは環境省である、こういった評価もいただいていますので、環境省だけでは十分に働き方改革が実現をしないところ、まさに国会の皆さんに御協力いただかなければいけないところがありますので、これからもこういった場を通じて、御理解、そしてまたそういった取組が先生方とも一緒になって実現をしていければと思います。よろしくお願いします。

源馬委員 ありがとうございます。ぜひリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 リニア中央新幹線についてきょうは主に伺っていきたいと思います。

 これも広く報道もされていますが、私がおります静岡県とJR東海の間で、いろんなすれ違いもあったり、いろんなことが起こっておりまして、なかなかスムーズにリニア中央新幹線について進んでいないということがございます。

 もう一回整理してみると、主には、大井川水系の水の問題と、それから工事によって周辺の地域に与える環境問題、この二つが大きく静岡県としては懸念があって、そこを解消してほしいということがJR東海との間で行われているというふうに思います。

 例えば、トンネルを掘るときの湧水が県外に出てしまうのではないかという問題、それから、大井川の中下流域で地下水に影響が出るのではないか、これは水の問題ですね。そして、地下水位が低下したり沢がれが起こったりすると、そこに希少生物がいる生態系への影響が大きいのではないか。それから、掘削土の処理に伴う生態系や環境への影響、これも心配されています。また、湧水量や地下水量の変化というのを正しく今捉えられているのか、こういうような論点もあると思います。

 今、大井川の水というのは、今でさえ十分な水量があるとは言えず、例えば、二〇一八年の十二月から二〇一九年の五月の半年の間で節水要請が百四十七日間出される、こういうような状況です。その水系の恩恵にあずかっているのが十市町の六十二万人、そして事業所も四百三十の事業所が大井川水系を使っている、こういう状況です。そして、環境でいえば、氷河期由来と言われる希少生物も南アルプスにはすんでいるというふうに言われておりますし、二〇一四年には、そういったことも評価をされてユネスコのエコパークにも認定をされました。

 こういうような状況で、リニア中央新幹線の工事を大井川水系のところで行うということがどのような影響を与えると環境省としてお考えなのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 本事業は、その事業規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じる環境影響を、最大限、回避、低減するとしても、なお、水環境や生態系などに対し相当な環境負荷が生じる可能性があると認識をしています。

 このような認識のもと、本事業の認可権者である国土交通大臣には、事業者が十全な環境対策を講じることにより、環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう、本事業者に対して適切な指導を行うことを求める、こういった環境大臣意見を平成二十六年六月に発出しているところであります。

源馬委員 今御紹介ありました環境大臣意見がありました。

 きょう資料でお配りしておりますが、全ては読みませんが、今大臣もおっしゃっていただいたとおり、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めなかったりとか、不可逆的な影響を与える可能性が高い、又は、我が国の環境行政の使命でもあるとか、相当な強い大臣意見を、当時、石原環境大臣だと思いますが、出していただいております。

 この間、二〇一四年ですから六年ぐらいたちまして、いろいろな状況も変わりました。また、新たに出てきた資料なんかもあったと思います。そういったことを受けて、何かこの当時の環境大臣意見から変わられたことはあるんでしょうか。そのことについて伺いたいと思います。

小泉国務大臣 これらの認識については今も変わりはありません。

源馬委員 ありがとうございます。

 御紹介いただいたとおり、非常に強い懸念を持っているということで、最終的には国交省だということは当然承知をしておりますが、やはり、これからもしっかりと経緯を見ていって、この環境大臣意見に沿って行われるようにぜひ尽力をしていただきたいというふうに思います。

 それから次に、環境大臣意見が出されたもとになった環境影響評価書の中身について伺っていきたいと思います。

 ことしの七月に、JR東海がトンネル周辺では地下水位が三百メートル以上低下するおそれがあるという予測を示したという報道がありました。この地下水位の低下というのは、先ほど出した、環境大臣意見を出した環境影響評価書にはなかったことであって、新たにできたことだと思いますが、こうしたことは、三百メートル低下するというのは非常に大きな影響だと思いますけれども、当時はなかったこうしたJR東海の見込み、これを受けて今環境大臣としてどのように認識をされているのか、伺いたいと思います。

小泉国務大臣 環境影響評価法に基づいて、事業者であるJR東海において作成された環境影響評価書では、本事業による地下水の水位への影響の可能性について示されていますが、同法に基づく環境大臣意見では、地下水位や水環境に関する予測の不確実性は高いことから、より精度の高い予測を行って、その結果に基づいて、地下水位及び河川流量への影響を最小化できるよう環境保全措置を講じることなどを指摘をしています。

 本事業が地下水に及ぼす影響などについては、国交省が設置したリニア中央新幹線静岡工区有識者会議において、現在、科学的、工学的な見地から検証が行われており、地下水位が三百メートル低下するとの資料もこの会議において示されたと承知をしています。

 リニア中央新幹線静岡工区有識者会議における今後の科学的、工学的な議論の結果や、環境影響評価法に基づく環境大臣意見も踏まえて、国交省から事業者に対し適切な指導が行われるものと認識をしています。

源馬委員 国交省から適切な指導が行われるということだと思いますが、同時に、地下水位が三百メートル以上低下すると言われている地域には国立公園の特別保護地区と重なっている地域があるということも明らかになったというふうに思います。

 これは、特別保護地区というのは環境大臣の許可が必要な行為がありまして、その中には、自然公園法第二十条第三項第五号で、河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせることには環境大臣の許可が必要になっているというふうに定められておりますが、地下水位が三百メートル低下するということは水量に大きく増減を及ぼさせることだと思いますが、これをやるには環境大臣の許可が必要なんじゃないかと思いますが、そのことについての御認識をお願いいたします。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 自然公園法の目的は、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにございます。

 この目的を達成するため、同法に基づきまして、国立公園の風致景観に影響を与える工作物の新築や木竹の伐採等の各種行為が規制されることとなっております。

 リニア工事につきましては、仮に計画どおりであれば、工事を予定している南アルプス国立公園の特別地域において、トンネル掘削に係る工作物の新築等の申請が必要というふうに考えてございます。

 一方で、現在、事業者において関係自治体と具体的な工事計画等の調整を進めているところと承知しておりまして、現時点で具体的に必要な手続や許可の可否について判断できる段階ではないというふうに考えてございます。

源馬委員 今木竹を損傷することとか植栽することという例を挙げられましたが、私が今指摘をしたとおり、第二十条第三項第五号で、河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせることも許可が必要になっているというふうに私は認識をしているんですが、それはどうですか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 地下水の増減そのものについては許可を要する行為の対象とはなってございませんが、今回の工事が風致景観にどのような影響を及ぼすかということについては、まだ工事の具体的な内容が明らかになってございませんので、それを受けまして判断していくことになろうかと思います。

源馬委員 では、工事の概要が明らかになっていって、地下水位が三百メートル下がり、それが当然、河川の、大井川水系の水量に増減を及ぼすことになると私は思うんですが、それが明らかになった場合は、そこは環境大臣の許可が別途必要になるという理解でよろしいでしょうか。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 いずれにいたしましても、今の計画ルートでございますと、特別地域の地下を通過することになってございますので、これは工作物の設置の許可申請が必要になってございます。その際に、地下水位の影響が、地上の景観、水位、水量等に影響を及ぼすのかどうかということも含めて検討して審査をしていくことになると思います。

 ただ、詳しい中身については、現在、工事の詳細が決まってございませんので、お答え申し上げることが難しいということでございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 済みません、たびたび確認させていただきますが、じゃ、そのときの工事の詳細が明らかになり、河川の水位、水量への影響なんかが明らかになった場合は、環境省として許可しないという可能性もあるということでよろしいでしょうか。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 地上の風致景観、植生等について明確な影響があるということがわかれば、何らかの対策をお願いすることになろうかと思います。

源馬委員 ありがとうございます。

 続いて、建設残土について伺っていきたいと思います。

 当然、トンネルを掘ると残土が出てきまして、その処分は、一部はリニア事業内での盛土なんかについて活用する、あるいは周辺自治体で公共事業で活用されるということが見込まれているそうですが、多くは残土処分場にとどめ置くことになるというふうに聞いております。そうすると、そこで土砂崩れが起きたりとか、環境基準以上の重金属等を含む要対策土の流出について、地元自治体から懸念も上がっております。

 岐阜県の御嵩町が、ことし五月にJR側の遮水シートで残土を覆うという提案を拒否したということもありますが、この残土の処理というか、保管と管理について、環境省としてどういった今方針を持っているのか伺いたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の発生土、残土の保管につきましては、平成二十六年国土交通大臣に発出いたしました環境大臣意見におきまして、まずは発生の抑制や現場の利用を徹底した上で、一点目としては、まずは、発生土の置場での発生土の管理について、例えば濁水の発生の防止、御指摘いただいたように例えば土砂の流出防止、さらには、その他の周辺環境に及ぼすさまざまな影響がないように、発生土置場ごとに管理計画を作成した上で、適切に管理することとされております。

 二点目といたしましては、発生土の管理計画の策定に当たりましては、内容について関係地方公共団体と協議して、また、住民への説明や意見の聴取等の関与の機会を確保するということになっているところでございます。

 その上で、事業者は、評価書におきまして、発生土に関する現場利用や公共事業等での再利用を図った上で、発生土置場等を新たに計画する場合には、関係者との調整を適宜行った後に、環境保全措置の内容を詳細なものにするため、事後調査を実施することとしているところでございます。

 こうした方針に基づき、事業者により、適切な措置がなされているものというふうに考えているところでございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 環境問題と水問題が非常にクローズアップをされていて、余りこの残土についてまだ議論が進んでいないような印象を持ちますので、ぜひ、残土から与えられる環境への影響ということも十分留意をしていただいて、生態系ですとか南アルプスの環境を守るように、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 確認なんですが、全国新幹線鉄道整備法第十三条では、地方公共団体は、新幹線鉄道に関し、その建設に要する土地の取得のあっせんその他の必要な措置を講ずるよう努めるというふうに定められておりますが、残土について、特に地方自治体の責任や何か義務を負うものはないということでいいのか、伺いたいと思います。

江口政府参考人 お答えいたします。

 一般に、トンネル工事で発生する建設発生土につきましては、一義的には事業主体の責任で管理、保管されることとなります。

 一方、具体的な建設発生土の置場を決めるに当たりましては、地元の土地利用などとも関連することから、通常は、事業主体が地元自治体と協議の上、適切な発生土置場のあっせんを受けておりまして、その中には、管理、保管を当該自治体に移管する事例もございます。

 また、先ほど委員からも御指摘ありました、当該自治体で行われる公共事業などに用いられることもあります。

 なお、今御指摘のございましたリニア中央新幹線を含む新幹線鉄道の事業では、事業の根拠法となっております全国新幹線鉄道整備法の第十三条第四項の規定におきまして、地方自治体は、新幹線鉄道に関し、その建設に要する土地の取得あっせんその他必要な措置を講ずるよう努めるものとすると定められております。

 ただいま御説明したような地元自治体による建設発生土の置場のあっせんや発生土の利用等につきましては、この規定に基づいて行われているものと承知しております。

源馬委員 ありがとうございます。

 それでは、国交省にもちょっと伺っていきたいと思います。

 JR東海が、これまで言っていた湧水の全量回復、大井川の工事によって出てしまう湧水の全量回復について当初は言っていたんですが、二〇一九年八月に、一定期間湧水を戻せないという発言があった、そういう報道がございました。これも資料で新聞報道をつけさせていただいているというふうに思います。

 この関係資料、県の方にJR東海側が大量に持ってきて、それでその中身を精査したんだけれども、その資料自体が全面公開されていなかった、こういった問題もあるというふうに承知をしております。

 そもそもこれは、私は静岡県出身ですので静岡県の立場に立つわけではありませんが、そもそも県とJR東海の間ではいろんなすれ違いがあり、それで、国交省が専門部会を開く際に、国交省と県で五項目について合意をした。会議の全面公開ですとか、県が掲げている全ての項目についての議論、それから、国交省がJR東海への指導をするような立場でいてもらいたい、委員の中立公正、座長の中立性、こういったことで合意をしたというふうに聞いておりますが、こうした合意に基づいて、やはり関係資料を公表するべきではないかというふうに思います。

 JR東海側によると、その関係資料を公開すると地元民に不安を与えるというような意見が言われたそうですが、秘匿する方がかえって不安を与えると思うんです。いろんな公文書の問題でもこの国会でもいろいろありましたが、やはり公開してそれを見ていただくということがこれは基本になると思うんですが、JR東海と県の間に入っている国交省として、こうした資料の全面公開についてどのようにお考えか、朝日政務官に伺いたいと思います。

朝日大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の資料については、平成三十年十月に、静岡県の求めに対してJR東海から貸し出された資料であると承知をしております。

 その後、当該資料については静岡県が設置した専門部会においても示されて議論されたと聞いていますが、資料を公開するか否かといった資料の取扱いについては、静岡県及びJR東海の間で協議されるべきものだと考えています。

 国土交通省としましては、リニア中央新幹線の早期実現と、その建設工事に伴う水資源と自然環境への影響の回避、軽減を同時に進めるため、本年四月に有識者会議を立ち上げ、これまで計六回開催し、科学的、工学的に議論を重ねてきたところであります。

 このうち、先月二十七日に開催された第六回の会議では、委員からの質問に回答するため、JR東海は、有識者会議における説明資料の中に当該資料の一部を掲載して、これを説明し、有識者会議の資料として公表したところでもあります。

 このように、有識者会議においては、科学的、工学的な議論を進めるに当たって必要な資料については、今後もJR東海からの説明を求め、公表していくこととなります。

 いずれにしましても、リニア中央新幹線につきましては、JR東海と静岡県との間でしっかりと協議をしていただくことが重要と考えており、国土交通省といたしましては、有識者会議での議論等を通じて、引き続き、必要な調整や協力等を行ってまいります。

源馬委員 ありがとうございます。

 もう一点伺いたいと思います。

 この専門家会議についてなんですが、ぜひ私は情報公開はできるだけした方がいいという立場に立っていただいた方が県民も安心をするのではないかというふうに思います。

 それから、運営の問題なんですが、これ、会議は開かれた、公開で行った後、その後に非公開のまた会議を開いて、座長がどういうコメントを出すかということを非公開で決めて、まさに議論を誘導するように座長コメントだけ最後出して記者会見もしない、こういうような運営方法についても不満が出ております。この点について、いかがでしょうか。

朝日大臣政務官 お答えいたします。

 国土交通省が設けた有識者会議では、現在、特に大きな水資源に関する二つの論点であるトンネル湧水の全量の大井川表流水への戻し方及びトンネルによる大井川中下流域への地下水への影響について科学的、工学的な議論が行われているところです。

 この有識者会議の透明性を確保するために、会議の報道関係者の傍聴、会議後の記者ブリーフィング、議事録の速やかな公表を行ってまいりました。

 しかしながら、会議の性質上極めて専門性が高いことから、報道関係者や大井川流域の皆様へ、より平易な言葉で正確に会議の概要をお伝えするため、八月二十五日開催の第五回有識者会議より、会議の議論の内容について座長コメントを取りまとめ、公表しているところです。

 この座長コメントについては、会議後に各委員にお集まりいただき、各委員の当日の御発言について、まさに自由闊達に御意見をいただきながら取りまとめたものであります。また、その内容については各委員から同意が得られており、事務局が恣意的に作成したものではありません。

 さらに、取りまとめられた座長コメントについては、作成し次第速やかに記者ブリーフィングの会場等で配付して説明の上、記者からの質疑を受けるとともに、会議資料とあわせてホームページにも掲載するなど、会議の透明性の確保に努めているところです。

 このように、国土交通省としては、有識者会議の透明性の確保に努めており、リニア中央新幹線の早期実現と、その建設工事に伴う水資源と自然環境への影響の回避、軽減を同時に進めるため、引き続き、有識者会議における科学的な議論をしっかりと進めてまいります。

源馬委員 非公式な会議で自由闊達な意見が出されて最後に座長コメントをまとめるということでしたけれども、一部報道によりますと、その非公式会議では座長コメントとは違う意見も出されているのに、それも公表しないというのは、これは全面公開ではないと思うんですね。それも含めて公表するのが全面公開の専門家会議のあるべき姿だと思いますので、そういったことももう一度検討していただきたいというふうに思います。

 最後にもう一回大臣にお伺いしたいんですが、コロナがありまして、我々の生活スタイルも変わって、働き方も変わってきました。そんなに急いで今から移動するニーズというのも減ったんじゃないかということもよく言われております。

 一方で、リニアの技術ということとか、それは非常に私も大事だと思いますので、どちらかをとるということではありませんが、どっちが大事かということは環境大臣としてもお考えいただきたいというふうに思います。

 ユネスコのエコパーク認定でまさに人類の宝となった南アルプスを守るということの大切さ、これは、複雑な地形もあって、一回壊れてしまったら、これはもうもとには、私が言うまでもありませんが、戻りません。

 一方で、リニアについては、技術はもちろん追求していくべきですし、迂回ルートだってあり得ると思うんです、これは。もちろん大変ですが、技術的には、でも、どうしても環境に重大な影響を与えるなら、ルートを変えるとかという方法もあると思います。

 今上陛下も命の水についての御著書の中でおっしゃっておりまして、まさに水の大切さというのを陛下もおっしゃっております。

 そうしたことも踏まえて、もちろん、所管は国交省かもしれませんが、環境省としてこの南アルプスの自然を守っていく、環境を守っていくという決意をぜひお聞かせをいただきたいと思います。

小泉国務大臣 このリニアについては、先生御指摘のとおり、国交省の今有識者会議をやっていますし、我々環境省からは職員がオブザーバーとして参加をしていますので、しっかりとこの検討について見守りたいと思います。

 ただ、一般論として申し上げれば、このコロナによって我々人間社会が突きつけられたことというのは、やはり生態系からの重大なメッセージがこのコロナだと思います。自然環境の破壊、そして生態系の攪乱、こういったことが起きて、そして、本来であれば野生生物などの領域に人間活動がどんどん入っていって、そして我々が未知のウイルスと直面をするようになった。仮にこのコロナウイルスが収束をしたとしても、今後もまた新たな未知のウイルスとの人間社会の衝突というのは避けられないと思います。

 いかにその持続可能な、そしてウイルスに対してもより強靱な社会をつくっていくのか、ここをしっかりと考えること、これ抜きに今後の社会は語れない、まさにそのとおりだと思います。

源馬委員 ありがとうございました。終わります。

石原委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 二〇五〇年カーボンニュートラルとこの国のエネルギー政策について質問します。

 菅首相が二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするということを表明しました。二〇五〇年ゼロというのは、私も当委員会で再三再四求めてきたところであります。既に百二十カ国が掲げているもので、日本の政府の表明は余りにも遅いと言わなければなりません。

 大臣にお伺いします。

 ようやく国際標準の目標を掲げたのであるのであれば、これを絵に描いた餅にしないためにも、実効性ある対策が必要であると思います。小泉大臣の決意を伺います。

小泉国務大臣 私も、この政府目標を引き上げるべきだというふうに訴えてまいりました。それが実現をされた以上、それを宣言に終わらせず、実現を必ずしなければいけないし、必ず私はできるというふうに思っております。

 もう世界は脱炭素の方向で、あとは技術、そして市場、この脱炭素技術、脱炭素市場を奪い合うというか、これをどこがとるのか、大競争時代が始まったと思います。そういった次元に突入をしたことを捉えて、脱炭素社会の実現が日本にとっての繁栄、そして豊かな暮らしにつながっていくように、我々としては政府一丸となって取り組んでいきたいと思っております。

田村(貴)委員 菅首相は二〇五〇年のゼロを表明しました。しかし、それに至るプロセスについては語っておられません。重要なのは二〇三〇年の削減目標の大幅な引上げであります。

 IPCC、国連の気候変動に関する政府間パネルの特別報告書、これでは二〇三〇年までに四五%の削減が必要だとしています。五〇年ゼロ宣言した以上、当然、二〇三〇年までには四〇%から五〇%の削減に向かわないと、そういう目標を掲げないと達成することはできません。

 大臣にお伺いします。

 二六%にとどまらないというのは当然のことであります。この中間目標、早く目標値を設定することが何よりも重要だと思いますけれども、大臣、どう考えておられますか。

小泉国務大臣 先ほど牧原先生の答弁にもお答えしましたが、二六%削減にとどまらないさらなる削減努力を追求することは、既に国連の方にことしの三月に提出済みであります。

 そして、総理の二〇五〇年カーボンニュートラルの宣言を踏まえまして、地球温暖化対策計画の議論を進めて、その内容を来年十一月のCOP26までに国連に通報することを目指していきたいと思います。

田村(貴)委員 大臣、二〇三〇年ですから、これはやはり四〇%から五〇%ぐらいの削減目標を持たないと本当に削減できませんよね。この数字は非常に重要だというふうに思いますので、早く目標値を掲げるということを要求しておきたいと思います。

 世界に大きくおくれた日本の温暖化対策でありますけれども、IPCC特別報告書では二〇三〇年の排出削減目標を大きく引き上げる必要性を強調しています。EUは、二〇三〇年で四〇%減の目標を少なくとも五五%、しかもこれは日本と違って一九九〇年比ですから、大きい目標であります。ここに合わせる、目標とする、世界に追いつく、こういう気概と、そして精緻な目標、対策が必要であると思います。

 石炭火力発電所について伺います。

 国連のグテーレス事務総長から石炭中毒と非難される日本の石炭火力発電への依存、この依存からの脱却は急務であります。菅首相は抜本的に転換しますと言われましたけれども、既存施設の計画的な停止、中止を求める我が党議員の質問に対して、再生可能エネルギーの将来像を含めたエネルギー政策を集中的に論議し、結論を出していくというふうに言われ、はっきり答えていません。

 そこで、資料をごらんいただきたいと思います。お配りした資料です。

 OECD諸国は、二〇三〇年度までに石炭火力全廃を掲げています。この表にありますように、既にフランスは二〇二二年、イギリスは二〇二四年に全廃の方針を打ち出しています。もう間もなくです。既にもう達成した国もあります。私も、この表を改めて見て、いや、これは本当にここに追いつかないと、世界はここにやはり目標年次を持って真剣に取り組んでいる、そして、温室効果ガス、これをニュートラルにするという目標を持っているわけです。

 この表をごらんになって、宗清政務官、それから小泉大臣、いかが捉えたでしょうか。日本政府は七月に、高効率の石炭火力は温存、推進の方針を示しています。

 宗清政務官にお伺いします。

 これでは五〇年の実質ゼロというのは不可能ではないでしょうか。既存施設の計画的な停止、中止にかじを切る、切りかえる、そうでないとだめだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

宗清大臣政務官 お答えさせていただきます。

 エネルギーをめぐる状況というのは各国によって千差万別でございますし、資源が乏しく周囲を海で囲まれた我が国において、スリーEプラスSを満たす単一的な完璧なエネルギー源がない状況において、多様なエネルギー源をバランスよく活用していくことが重要であると考えております。

 石炭火力は、安定供給という面と経済性、すぐれておりますけれども、他方で、御指摘のように、CO2の排出量が多いという環境面の課題があるのも事実でございますし、脱炭素社会という世界的な潮流の中で、これは安定供給と経済性を確保しながら脱炭素社会を実現していくためには、CO2の排出量の約二割を占める石炭火力からのCO2の削減に取り組む必要があると考えております。

 このために、国内の石炭火力については、非効率の石炭火力をフェードアウトしていくと同時に、高効率化、次世代化、こういったことの推進をしていくと同時に、電源の新陳代謝を図りつつ、温室効果ガスの削減に、着実に進めていきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 二〇五〇年ニュートラルという方向が打ち出されて、従来のような答弁を繰り返しておったんじゃ矛盾になりますよね。

 高効率の石炭火力であったとしても、LNG火力の二・三倍のCO2を排出するんですよ。だから、幾ら高効率といっても、これは絶対矛盾に陥ってしまうんですよ。だから、世界はこうやって頑張ろうとしているわけです。

 大臣、ベルギーがもう実現しているこの表をごらんになって、日本も本当に急がなくちゃいけないなと思われませんか。

小泉国務大臣 ベルギーと日本は違うと思います。そして、ベルギーだけじゃなくてドイツまで先生リストアップしていただいて、これはわかりやすいと思いますが、ただ、この国々、まずアジアはないですよね。そして、ヨーロッパだけですよね。そのヨーロッパの中で、例えばイギリスは、我々三〇%ぐらい石炭火力などの依存はありますけれども、一割ぐらいしかありません。そういった国もありますし、例えばフランス、二〇二二年立法化とありますが、原発に相当依存をしている。こういったそれぞれの国の事情もある中で、我々なかなか石炭は動かないなと思われていたわけです。

 それが、海外への輸出に公的支援をつけることは厳格化に動き、そして国内、二〇三〇年まで、非効率なものはフェードアウトをする。このことで、ようやく日本が前に一歩動き出したということがあって、更に総理からのカーボンニュートラルの宣言があって、まさに国内の意見も大分変わってきたと思いますし、国際社会の日本の見方も、日本がついに動いたと、そういった受けとめが広がっています。

 今後、石炭についても、まさにきょうの答弁でも言わせていただいたように、火力発電だけれども排出がないという、CO2排出がないという今までになかった技術も出てきて、実際に民間の事業者で、このゼロエミッション火力というものをこれから実現をする、そんな取組も出てきました。

 まさに、こういった取組を実現をして、最終的なゴールは、いかにCO2を実質ゼロにできるか、ここですから、そこに向けて我々としてもやっていくべき。まずは再生可能エネルギーの主力の電源化、そして排出をしてしまうものはいかに排出をしないようにしていくのか、これはしっかり後押しをしていきたいと思います。

田村(貴)委員 従来の方針では絶対矛盾に陥ります。ですから、各国が掲げた目標、こうしたものもやはり参考に、そして目指すものとして取り組む必要があると思います。

 石炭火力とそれから原発を温存していく、その枠組みにあるのがベースロード電源の考え方だというふうに思います。このベースロード電源というのは五六%となっています。原子力と石炭火力の総発電量に占める比率を固定化したまま、つまり、石炭火力と原発をベースロード電源だ、安定的だという理由のもとに、ここをベースロードとしてしまったら、再生可能エネルギーを中心とするエネルギー供給構造の障害になるのではないかというふうに思います。

 菅首相の、再エネを最大限ふやしていくにも、このベースロード電源という考え方を考え直していく必要があると思いますけれども、経済産業省、政務官、いかがですか。

小野(洋太)政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の第五次エネルギー基本計画におきましては、ベースロード電源とは、発電の際の運転コストが低廉で、安定に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働するという特性を持つ電源の総称でありまして、地熱、流れ込み一般水力、石炭、原子力がこれに該当するものでございます。

 電力を供給する上では、スリーEプラスS、セキュリティー、コスト、環境、このバランスをとることが重要だというふうに考えておりまして、今申し上げたベースロード電源、それからLNG火力などのミドル・ピーク電源、それに加えまして再生可能エネルギーをうまく組み合わせることが重要と認識しておりまして、現在におきましてこのベースロードの電源の位置づけは変わっておりません。

 他方、次期エネルギー基本計画の議論は始まっておりまして、エネルギー政策全体についてさまざまな御意見を伺いながら、結論ありきではなく議論を深めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 結論ありきではなく大いに見直していただきたいというふうに思います。

 政府が決めたエネルギー基本計画では、二〇三〇年の総発電量に占める電源構成の再エネの比率は二二%から二四%にとどまっています。一方、経済同友会などからは二〇三〇年に四割以上にすることを求めています。もう市場が、企業が、そして社会がこういう方向に向いているわけです。エネルギー基本計画、これは抜本的に改めるべきであります。

 続いて、原発について伺います。

 菅首相がエネルギー政策で原子力政策を進めるなどと原発を位置づけていることは、これはもう大問題であります。そして、梶山経済産業大臣は、今後十年間は再稼働に全精力を注ぐ、こういう報道もされているところであります。

 十月に始まったエネルギー基本計画見直しの会議の議論の中では、原発新増設を求める意見まで出てきている。これほど逆行する議論はないと思います。地球環境のために脱炭素をと言いながら、あの福島の私たちが経験した危険な原発に頼ることなどあってはならないというふうに思います。

 資料の二番、三番をごらんいただきたいと思います。これは、双方ともに資源エネルギー庁からの資料を持ってきたんですけれども、最初に、たくさん書いてあるやつ、これは二〇三〇年モデルプラント試算としているんですね。二〇三〇年の各電力の値段が書いてあるんですけれども、上の表で見ると、風力陸上で十三・六円から二十一・五円、風力洋上では三十・三円から三十四・七円、右側に行きまして、太陽光メガ発電で十二・七円から十五・六円、こういうふうに見ているわけです。本当にこんなふうな数字になるのか。

 次のページをおめくりいただきたいと思います。今現在、世界の再エネコスト、動向はどうなのかということで、太陽光発電は今現在十二・九円になっている、十二・九円。二〇三〇年もこのまま推移するみたいな書き方になっている。それから、風力発電は現在で十九円。二〇三〇年はそれよりも高いと。見通しが全然違うんじゃないですか。

 世界も日本もこうやって、再エネのコストは技術革新、普及によってどんどん下がってきた。これは事実ですよね。二〇三〇年が、この再エネのコストというのは、エネ庁から出されている資料ですから、このように下がっていくということは明らかではありませんか。いかがですか。

小野(洋太)政府参考人 お答え申し上げます。

 再エネにつきましては、国民負担を抑制しつつ、最大限の導入を進め、主力電源化していくことが政府の基本方針でございます。主力電源化に向けまして、コスト低減の取組を強化しつつ、長期安定的な事業を確保し、系統制約、それから調整力の確保の取組を一つ一つ進めているところでございます。

 他方、資源の乏しい日本にとりまして、安定的かつ安価な電気の供給、気候変動問題への対応等を踏まえれば、安全確保を大前提とした上ではございますけれども、原子力の利用は欠かせないというふうに考えているところでございます。

 そのため、まず二〇三〇年のエネルギーミックスの実現に向けまして、再エネの最大限の導入を進め、主力電源化に取り組むとともに、原子力につきましては安全最優先で再稼働を進めていくことが必要というふうに考えております。

 その上で、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現という新たな観点も踏まえ、再エネはもちろん、原子力など、あらゆる選択肢を活用することが重要という認識のもと、今後のエネルギー政策のあり方について検討を深めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 全然かみ合っていない。質問を聞いていましたか。

 二枚のエネ庁からの資料があって、現在、これだけ再エネの価格が下がってきている、そういうデータを出しているでしょう、一応。二〇三〇年の予測は今よりも上がっているような数字になっている、これはおかしいじゃないですかと言っているんですよ。

 まあ、いいです。こういう矛盾があるから、ちゃんと、出すべき資料というのは正確なものにしていただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、脱石炭それから脱原発、この方向に、日本も、そして世界も動いていくことは間違いありません。そこにおくれをとってはなりません。今からでも、エネルギー基本計画、抜本的に改めることを求めて、次の質問に入ります。

 水俣病の調査について伺います。

 特措法に基づく健康調査を環境省は十一年も放置してきました。水俣病指定地域以外からの水俣病患者さんも多数確認されてきたところです。さらに、患者団体は不知火海沿岸の健康調査を求め、この中では、潜在的な患者さんもまた多く存在していることも明らかであります。

 小泉大臣は、九月十一日の会見で、メチル水銀の健康調査を客観的に明らかにする手法の開発に取り組んできた、これまでの研究で客観的診断法の開発につながる可能性が見出された、具体的には、脳磁計等の活用により、水俣病に見られる特徴的な感覚障害や脳の萎縮の客観的な評価などが可能になってきたので、これまでの研究開発の成果について、一、二年程度をめどに整理を行いたいというふうに述べられました。

 そこで、伺いますけれども、脳磁計による診断法の開発とは、誰を対象にして、どのような研究を行い、どのような成果が得られたんですか。説明してください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、水俣病特措法に基づきまして、脳磁計やMRIを用いてメチル水銀の健康影響を客観的に明らかにする手法の開発に取り組んでまいりました。

 これまで、脳磁計につきましては、水俣病の認定患者三十二名、それから、その対照、コントロールといたしまして健常者百五十九名を、MRIにつきましては、認定患者十四名、健常者七十四名を対象といたしまして検査そして解析が行われたところでありまして、研究成果がまとめられております。

 その結果、脳磁計等の活用によりまして水俣病に見られる特徴的な感覚障害や脳の萎縮につきまして客観的な評価などが可能となってきておりまして、客観的な診断法の開発につながる可能性が見出されてきたと考えております。

田村(貴)委員 この後、医療統計の専門家に評価してもらうというような話を聞いていますけれども、こうしたいわゆる調査手法が客観的診断法となっていくんですか。

田原政府参考人 客観的な診断法につながる成果といたしましては、例えば、脳磁計におきましては、腕の正中神経を刺激したときに、大脳の第一次体性感覚野での感覚神経の応答を見ております。水俣病患者では、刺激に対する応答性や波形の安定性の低下が見られたという結果が得られております。

 また、MRIでは、これまでの研究によりまして、水俣病患者におきましては、大脳の後頭葉や小脳等の萎縮や神経線維の異常等が見られることが明らかになっておりまして、客観的な診断法につながっていくものではないかというふうに期待しております。

田村(貴)委員 いやいや、それは危ないですよ。それは実態を見ないものですよ。この手法の開発に当たって、何で認定患者だけを対象にしたんですか。これは、仮に精度を上げるためだとしても、高濃度暴露の被験者を選んでいる。高濃度の暴露の被験者を選んだとするならば、これは五十二年判断条件を補強するためと言われても仕方がないですよ。そういう検査結果は、これは認められません。新たに被害者切捨てになる手法だと言わなければなりません。

 ちなみにお伺いしますけれども、このMEGの研究に対して、これまでの研究費、かけられた予算というのは幾らなんですか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 この客観的な診断手法の開発に関しましては、これまで、これは平成二十一年度から実施をしておりますけれども、令和元年度までの総額は約十一億円でございます。

田村(貴)委員 令和元年度までの予算は十一億円。令和二年度は。

田原政府参考人 令和二年度の予算でございますけれども、七千九百万円の研究費を計上しております。

田村(貴)委員 数字を聞いて驚きました。約十年の年月をかけて十二億円の税金を注いで、しかも、MEGは三十二名しか調査をしていない。そのうち、検査結果として有効だったのは十九名、六割弱だということですよ。

 特措法三十七条、どう書いてありますか。指定地域、その周辺の地域に居住していた人を調査すると。この分母から見たら、こうした結果で、本当にこれが客観的な診断方法となっていく、本気で考えておられるんですか。

 私は、水俣病の検診に当たってきたお医者さんから聞きました。大臣も聞いてください。このMEGを使った測定というのは、先ほど答弁があったように、正中神経に繰り返して微弱な刺激を与えると。微弱な電流による磁場を測定するために、わずかな音や振動で測定結果が乱れるというんですよ。

 だから、この検査というのは非常にデリケートで、この機械も日本全国に二十台しかないと。限られた場所で、しかも、与えられた条件がしっかりしていないと正確な分析ができないんです。外界と遮断された個室が必要だといいます。機械自体も、液体ヘリウムで低温状態を保たなければならないなど、これは本当に大変ですよ、本当の検査をやっていくんだったら。繰り返し計測するために一時間程度の計測時間がかかると。

 特措法で書かれている指定地域、その周辺の地域に居住していた人、これをこんな検査手法でできるんですか。できないじゃないですか、やり方自体が。しかも、実績もこんな状況で。

 特措法というのは、五十二年判断の条件のために、公健法に基づく水俣病患者として認定されなかった方を被害者として救済してきた法律であります。それにもかかわらず、まだ五十二年判断基準に基づく認定患者だけを対象にしたのはおかしいのではありませんか。

 私が今言いましたように、このMEGの検査というのは本当に難しい。誤差も出てくる。そして、たくさんの沿岸住民の方をこうした手法でもって検査することはできません。しかも、結果が、六割しか正確なデータが出ていないじゃないですか。十年かけてこれだけの巨費を投じてこういう結果だったら、それはやはり見直すべきじゃないですか。いかがですか。

田原政府参考人 さまざま今御指摘をいただきましたけれども、我々といたしましては、この脳磁計やMRIを使いました研究を進めてまいりまして、客観的な診断方法の開発にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 客観的手法の確立というのであれば、これまで長年にわたって水俣病の患者さんを民間の医療機関や民間のお医者さんがたくさん、もうほとんどボランティアで検診をし、そして受診をし、水俣病患者さんの認定につながってまいりました。そうした臨床研究に当たってきた民間の医師たちの研究を真摯に受け入れるべき状況はないんですか。

田原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、民間のお医者さんがさまざまな調査を行っていることは承知をしておりますけれども、それらの知見は現在係属中の裁判におきまして原告らから証拠として提出されているとも承知しておりまして、コメントは差し控えたいと思います。

 環境省といたしましては、脳磁計やMRIを用いてメチル水銀の健康影響を客観的に明らかにする手法の開発に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 裁判に訴えざるを得なくて、多くの患者さんが立ち上がって、そして訴えて、裁判に勝利しました。感覚障害のみで判断できるという判決があって、そして救われました。しかし、政府は、今に至っても五十二年判断条件に拘泥している。これでは、水俣病患者さん、潜在的な患者さん、救われませんよ。

 だから、とにかく調査をやろうということになったんじゃないんですか。その調査も、あと一、二年しなければ開発のやり方、検査のやり方も確定しないと。その検査は、私が今言ったように、全然実態に合わないものだ、お金の無駄遣いです。だから、これまでの民間のお医者さんたちが頑張ってきた手法も取り入れてやるべきじゃないか、そっちの方がよっぽど合理的じゃないですか。一体いつまでこの状態を続けるつもりですか。一、二年たって、やはりこれは実用化できなかったといったら、どういうふうに水俣の方に説明するんですか、環境省は。

 大臣にお伺いします。

 大臣、水俣病の慰霊式典、これがことしはないということです。去年、私もお伺いして、患者会の皆さん方から大臣は直接、健康調査を行ってほしい、実態を早く把握してほしい、強い、本当に強い要望を受けられたというふうに思います。

 私は、大臣が会見で述べられた新しい検査方法、MEGとそれからMRI、この問題については、今私が述べたように、さまざまなやはり弱点もあり問題もあり、実用的じゃないというふうに思っています。患者さん方、そして今もなお苦しんでいる潜在患者さんが全て救われるように、救済されるように、まずは一刻も早い調査だと、この願い、いま一度、大臣、どう考えておられるか述べてください。

小泉国務大臣 田村先生、今述べられたように、私、昨年の十月に開催されました水俣病の犠牲者慰霊式に出席をするために水俣を訪問した際に、関係団体の皆さんと意見交換を行いました。その中で、メチル水銀が人の健康に与える影響の調査に関して強い要望がありまして、そして事務方と何度も議論を重ねてきました。

 環境省では、水俣病特措法の規定に基づいて、メチル水銀の健康影響を客観的に明らかにする手法の開発に取り組んできたところでありますので、今後、医学統計の専門家など、学識経験者からの御意見を伺って、これまでの研究開発の成果について、一、二年程度をめどに整理を行いたいというふうに発表したわけであります。

 水俣病特措法が施行されてから十年が経過して、その間に関係する方々の高齢化も進んでいると認識をしています。引き続き、こうした取組を中心にして、メチル水銀の健康影響を客観的に明らかにする手法の確立を目指した取組など、できることを一つ一つ積み重ねてまいりたいと考えています。

田村(貴)委員 それが遅々として進んでいないんですよね。メチル水銀汚染が日本ほど広範、長期にわたってきて続いたところはありません。

 日本以外でもメチル水銀による汚染はありました。イラクやカナダ、発展途上国の金の採掘現場などにおいて世界じゅうで起きています。いずれも実態調査がされ、被害の実態が明らかにされる努力がされてきました。

 しかし、日本では、これだけ長期間たっても汚染の事実が明らかになっていないし、なお、しっかりとした調査も行われていません。五十二年判断基準にこだわるのではなくて、客観的診断手法の開発というのは、被害実態を把握したくない国の言いわけとしか聞こえようがありません。水俣病被害に責任を持つ国として、しっかりとした健康調査を直ちに、そして広範囲で行うことを強く要求して、きょうの質疑を終わります。

 終わります。

石原委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、小泉環境大臣の所信に対して、主に気候変動と脱炭素社会の構築に関して、私の方から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いをさせていただくわけでございますが、先月二十六日、菅総理が今国会の所信表明演説で、二〇五〇年までの温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、また、二〇五〇年カーボンニュートラルとして脱炭素社会の実現を目指すことを宣言をされました。

 我々公明党では、これまで、年頭の本会議での山口代表や斉藤前幹事長の代表質問、また三月のこの環境委員会での私の質問、そして自公連立政権合意、九月の令和三年度予算概算要求に向けた公明党重点施策要望などで、二〇五〇年を視野に温室効果ガスの実質排出ゼロを目指すことを一貫して主張をしてまいりました。それが我が国全体の方針として総理から宣言されたことはまことに画期的であり、総理の御決断を高く評価をいたします。

 小泉大臣におかれましても、各方面に強力な働きかけを行い、宣言に貢献されたと承知しておりますが、改めて、二〇五〇年までの温室効果ガス排出実質ゼロを宣言したことに対する大臣の認識と意義をお尋ねいたします。

小泉国務大臣 江田先生におかれましても、また公明党の先生方につきましては、二〇五〇年のカーボンニュートラル、これを一貫して訴えてこられました。こういった与党側からの力強い後押しもこの宣言につながったものと思いますし、私自身も、かねてから政府目標の引上げを訴えてきた立場として、大変うれしく思うとともに、責任の重さを今感じているところでもあります。

 私がこれまで働きかけを行ってきたのは、総理から先日、国際発信という指示が環境大臣にはおりたように、我々環境省がCOPの場には日本の代表として臨むわけです。そういった中で国際社会における日本の立場、こういったことについて考えてきた結果でもあります。

 二〇五〇年排出ゼロ、これも、また大きな方針転換をした石炭火力、これについても、いかに国際社会の議論の土俵に乗るか、まずそのスタート地点に立たなければいけない、こんな思いで主張を訴えてきました。

 そして、先日対談をしたスウェーデンの大使からも、京都議定書以来ついに日本が帰ってきたな、ジャパン・イズ・バックだ、そういう言葉があったように、京都議定書から二十年以上既に経過をしていますが、今回の宣言によって再び最前線に戻ってきたと思います。

 ただ、今回のこの脱炭素という大競争時代は、物すごくスピードが速く進むと思います。この中で、いかに脱炭素の技術、脱炭素の市場、これをとれるかどうか、日本のこれからの行動がまさに問われていると思いますので、環境省はそこを認識してしっかりと取り組んでいきたいと思います。

江田(康)委員 大臣、まさにおっしゃられたとおりでありまして、二〇五〇年までの温室効果ガス排出実質ゼロ宣言は非常に画期的です。国際的にも、グテーレス国連事務総長を始め各方面から称賛の声も上がっております。

 しかし、これは脱炭素社会の実現に向けての第一歩であって、これからが新たなスタート。今大臣もおっしゃられましたように、大競争時代、スピード、そういう中で、いかにこの二〇五〇年カーボンニュートラルを全世界で実現していくか、これは大変なチャレンジであります。

 今後、この二〇五〇年実質ゼロをどのように実現していくか、ここが重要であり、正念場であり、本日はその点を質問で掘り下げていきたいと思っております。

 十月三十日に開催された政府の地球温暖化対策本部では、二〇五〇年までの温室効果ガス排出実質ゼロ宣言を受けて、菅総理から、地球温暖化対策計画、そしてエネルギー基本計画、パリ協定に基づく長期戦略の見直しの議論を加速するよう指示があったと承知しておりますが、まず、現在見直し作業が進められている地球温暖化対策計画、そして昨年六月に閣議決定した長期戦略にどのように反映をしていくのか、また、二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%削減にとどまらないさらなる削減努力として中期目標の引上げをどのように検討していくのか、お尋ねをいたします。

宮崎大臣政務官 お答えさせていただきます。

 江田委員御指摘のとおり、十月三十日に開催されました地球温暖化対策推進本部におきまして、二〇五〇年排出実質ゼロの実現に向けて、菅総理から、成長戦略会議や国と地方で検討する新たな場などで議論を重ね、地球温暖化対策計画や長期戦略の見直しを加速するよう指示があったところでございます。

 成長戦略会議におきましてグリーン成長等について議論を行うなど、それぞれの会議体で検討が進められているところであり、こうした議論を地球温暖化対策計画の見直し作業を行っている経産省との合同会議などでしっかりと共有し、来年十一月のCOP26に向けて更に議論を加速してまいります。

 中期目標につきましては、既に本年三月のNDCで、二〇三〇年度二六%削減にとどまらないさらなる削減努力を追求することを国連に報告済みであり、二〇五〇年排出実質ゼロという新たな長期目標を踏まえて、引き続き議論を行ってまいります。

 ありがとうございます。

江田(康)委員 宮崎政務官、ありがとうございました。

 次に、経済産業省にお聞きをいたしたいと思います。

 我が国の温室効果ガスの約八五%はエネルギー起源CO2となっておりまして、この温室効果ガスの排出削減を進める上でエネルギー対策をどうしていくかが重要であります。三月に提出されたNDCにおいても、削減目標の検討はエネルギーミックスの改定と整合的に行うとされておりますから、現在政府において同様に見直し作業が進められているエネルギー基本計画及びエネルギーミックスの改定にこの二〇五〇年実質排出ゼロをどのように反映していくのか、お尋ねさせていただきます。

小野(洋太)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、温室効果ガス排出の約八五%を占めるエネルギー分野の取組が特に重要だというふうに認識しております。

 先月から、経済産業大臣の諮問機関であります総合資源エネルギー調査会の場で、エネルギーミックスの取扱いを含め、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論が開始されたところでございます。

 その中で、菅総理が、所信表明演説、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを宣言されたことを踏まえまして、エネルギー分野において求められる取組などについて議論を進めていきたいというふうに考えております。

江田(康)委員 このように、経産省にもお聞きをしていくんですけれども、十月の三十日の地球温暖化対策本部で菅総理から、梶山大臣には、成長戦略策定の中心となってエネルギー、産業分野の変革という大きな課題を背負うよう、また小泉大臣には、新たな地域の創造や国民のライフスタイルの転換など、経済社会の変革や国際的な発信に取り組むよう指示があったということでございました。

 実質排出ゼロという非常に困難な目標を達成していくためには、気候変動行政を所管する環境省とエネルギーを所管する経済産業省が緊密に連携して取り組んでいくことが不可欠であります。脱炭素社会、この実現に向けて、その一つの目標に向かって、両省が縦割りを排して連携して取組を進めることを期待したいと思います。

 次の質問でございますが、続けて経済産業省にお聞きします。

 世界と日本の持続的な発展のためには、現下のコロナ危機と長期的な気候危機への対策を同時に進めて、それを経済成長のエンジンとして景気浮揚と雇用拡大につなげていくことが不可欠となっております。世界は既にこのようなグリーン復興にかじを切っておりまして、明確かつ長期的な方針を打ち出して、官民で大規模なグリーン投資を進めつつあるわけです。

 欧州等の諸外国がコロナ禍からの復興に合わせて産学官挙げて複数年で数十兆円規模の脱炭素化の対策をとる中で、我が国の二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、リスクが高いイノベーションへの挑戦が不可欠なことを踏まえて、産業界からの投資を前提として、海外と遜色のない十年単位の長期的な基金を創設して強力に政府として進めていく、こういうことを提案したいと思いますけれども、いかがでしょうか。

矢作政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの旗を掲げる動きが世界の中で相次いでおりまして、先進国を中心に企業も生き残りをかけて脱炭素技術のイノベーションに大規模投資を行うなど、世界はいわば脱炭素技術をめぐる大競争時代に突入している状況でございます。

 言うまでもなく、二〇五〇年のカーボンニュートラルというのは簡単なことではございませんけれども、日本におきましても、カーボンニュートラルへの挑戦を新たな成長戦略として位置づけ、産官学が総力を挙げて取り組む必要があると考えてございます。

 この国際的な競争に打ちかつためには、企業が安心して高い目標に向かって大胆な投資を行うことができるような環境が必要でございます。例えば、御指摘ございましたけれども、欧州は、グリーンリカバリーとして、脱炭素社会の実現に向けた取組、大胆な支援策として大規模な基金も活用しておるところでございます。

 今御指摘いただきました基金の件につきましても、高い目標に向かって大胆な投資を行い、果敢に挑戦していく企業に対して、国も長期間にわたって支援することを検討していきたいと考えてございます。

江田(康)委員 ぜひ検討して、実現していきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。産業界から大胆な投資が行われるように長期的な基金を創設していただきたいと思います。

 引き続き経産省にお伺いをします。

 この二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、革新的環境イノベーション戦略の具体化、社会実装、ここが非常に重要でありまして、その中でも不可欠な重要分野として、第一に、非効率石炭火力のフェードアウトと高効率石炭火力の設備導入、また第二に、洋上風力発電の導入拡大、また、薄型、超軽量、長寿命の太陽光発電の開発や革新型蓄電池の開発、さらに、系統、送電網の整備拡充などの再エネの主力電源化の推進、第三に、CO2を吸収するコンクリートやバイオジェット燃料などCCUS/カーボンリサイクルの開発促進、そして第四に、再エネ由来の水素を活用した次世代自動車やゼロカーボンスチール、水素発電等の水素社会実現の加速化、こういうような具体的な実行計画をこの年末までにまとめて、そして国主導で強力にこれを推進していくべきと提案をしたいと思いますが、いかがでしょうか。簡潔にお願いします。

矢作政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルへの挑戦は、日本の成長戦略そのものと考えてございます。あらゆるリソースを最大限投入して、経済界とともに経済と環境の好循環を生み出していきたいと思っております。

 そして、その実現に向けましては、エネルギー分野の取組が重要でございます。また、産業界、鉄鋼や化学などの分野も革新的なイノベーションを推進していく必要があると考えてございます。

 これまでも、政府といたしましては、革新的環境イノベーション戦略を策定いたしまして、カーボンニュートラルに向けて技術面の課題について検討を深めているところでございますけれども、こうした検討を踏まえまして、二〇五〇年に向けた道筋、これにつきましては、経済産業省において年末を目途に示していきたいと考えてございます。

 具体的には、議員から御指摘ございました水素、蓄電池、洋上風力、カーボンリサイクルなどの分野につきまして、具体的な目標年限やターゲット、規制や標準化などの制度整備、あるいは社会実装を進めるための支援策などを盛り込んだ実行計画を年末を目途に取りまとめたいと考えてございます。

江田(康)委員 具体化、実効化していくことが大事でございまして、ぜひともこの年末までに実行計画を明確にして強力に進めていただきたい、そう思います。

 小泉大臣にお伺いします。

 一方で、経済社会を変革して二〇五〇年実質排出ゼロを実現するためには、国や企業だけでなくて、各地域における取組が非常に大事なわけでございます。また、地球温暖化によって全国各地でさまざまな影響が出ている中で、温暖化対策を通じて持続可能で強靱な地域をつくる、そういうことも必要であります。

 菅総理は、所信で、脱炭素社会の実現に向けて、国と地方で検討を行う新たな場を創設するなど、総力を挙げて取り組むと発信されましたけれども、活力ある持続可能で強靱な地域づくりにどう取り組み、総理が表明した国と地方で検討を行う新たな場はどのように役割を果たしていくのか、大臣、お尋ねいたします。

小泉国務大臣 まず、国と地方で検討を行う新たな場、この意義の前に、忘れてはならないのは、日本が政府として二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言をする前に、地方自治体は既に八千万の人口規模でその方向に動き出していたということですね。

 私が大臣になったのは去年の九月ですけれども、そのときはたった四自治体でした。それが、今は八千万を超えて百七十自治体に上ったわけです。ですので、私は自治体の皆さんに心からまず感謝を申し上げたいと思いますし、この新たな場においては、そういった意欲的な取組をしている自治体の皆さんの今までの努力が報われるような、そんな後押しを考えたいと思いますし、まだまだ我々が聞き切れていないような先進的な取組、アイデア、こういったものについても御意見を伺って、結果として、より豊かで、そして災害にも強い、自立分散型の地域社会をつくっていきたいと思います。

 今、我々環境省が持っているデータでは自治体の中でエネルギー収支は九割赤字です。これを食いとめて、分散型の地域の自己完結型のエネルギーシステム、グリッドができれば、これは地域の中でお金が回っていくことになります。そして、EVももっと普及をしていけば、動く蓄電池として、EV、蓄電池、再エネ、マイクログリッド、これで地域の自己完結型の、分散型の社会ができますので、我々としては、そういった後押しも含めて、こういった新たな場を活用しながら、関係省庁とも連絡をして、地域において、暮らしの面においてこの脱炭素型の地域社会を構築していきたい、そう考えています。

江田(康)委員 大変重要な御指摘でございます。地域における脱炭素化を進める。ゼロカーボンシティーなんか、まさに大臣が引っ張ってこられたその具体的な形ではあろうかと思いますけれども、地域の再エネ化等を含めて強力に進めていっていただきたい、そのように念願をいたします。

 最後に宮崎政務官に、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、一方で、国民のライフスタイルを転換すること、さらに、国民一人一人の意識を大きく変えていくことが重要でありまして、そこがまた環境省の役割だと思っております。

 そうした観点から、政府はこれまでも、クールチョイス、クールビズとか、普及啓発の取組を進めてきたと承知はしておりますけれども、今後は、これまでの前例にとらわれない、より具体的な実効性のある取組が求められると思いますが、国民のライフスタイル転換のためにどのような取組を行っていくのか、最後にお伺いをいたします。

宮崎大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、二〇五〇年実質排出ゼロの実現に向けては、国民一人一人のライフスタイルを脱炭素型へと転換を図る必要があります。

 家庭が消費する製品の製造、流通などにおいて生じる温室効果ガス排出量を示すカーボンフットプリントで見ますと、我が国の温室効果ガスの排出量の約六割は、住居や食事、移動など国民のライフスタイルが反映される家庭での消費に起因しているという分析があり、ライフスタイルの影響は大きいと考えられます。

 このようなことを踏まえまして、脱炭素型のライフスタイルへと転換を促す断熱リフォーム、ZEH、ZEBや、動く蓄電池としての電気自動車等の普及を図りつつ、AI、IoTにより、個人の行動変容を促す取組などを進めることが重要でございます。

 いずれにせよ、気候変動問題についての危機意識の醸成や具体的な行動変容を実効的に促していけるよう、関係省庁の英知を結集しながら、脱炭素型のライフスタイルへの転換を進めてまいります。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、環境省には、地域またライフスタイルと、大胆に取り組んでいただきたいと思います。

 よろしくお願いを申し上げまして、終わります。

石原委員長 次に、堀越啓仁君。

堀越委員 立憲民主党・社民・無所属、自然系国会議員の堀越啓仁でございます。

 きょうもよろしくお願いいたします。

 私、自然系国会議員を名乗らせていただいて、一貫して環境委員会で働かせていただいているわけでございますけれども、今回から、今国会から一つ肩書を加えさせていただきたいというふうに思っています。それは、環境活動家と自分を名乗りたいというふうに思っています。

 先ほど大臣の方からも、日々のライフスタイル、先ほど委員の方からもありましたが、日々の消費動向、ライフスタイル、こういったものの変革が確実に必要なんだということ、私も本当にそのとおりだと思っています。

 私も、ペットボトルではなくマイボトルを持ち歩き、そしてマイバック、これはもう当たり前になってきているというふうには思いますが、やはりファッションのところになかなか政治のところが向かないというふうにお話ありましたけれども、今、やはりファストファッションという、これは消費者特にもかかわることだと思うんですが、日々生産されているものが裏にどんな物語があるのか、その物語をちゃんと考えて、地球環境に優しい製品を選ぶということも、これはエシカル消費といいますが、そういったことも非常に重要になってくるんだろうというふうに思います。

 私もそういった意味では実践をしておりますので、自然系国会議員、そして環境活動家と今国会から名乗りを上げさせていただきたいと思いますので、小泉大臣も、ぜひ環境活動家として取り組んでいただければありがたいと思います。

 そして、石原委員長を含め政務三役の皆さん、御就任、改めておめでとうございます。特に笹川副大臣におかれましては、私、地球環境を思う副大臣が、郷土、同じ群馬県から誕生したということは、本当にお喜びを申し上げたいと思います。そして、これまで以上に厳しく指導していただければというふうに思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 小泉環境大臣、環境の分野について他省庁を牽引しているというところについては、注目を受けているというところであります。先ほど来質問にも上がっていますように、カーボンニュートラル、これはもう世界が注目しておりますので、ぜひ力強く牽引をしていただきたいということをまず述べさせていただきながら質問に入らせていただきますが、私のライフワークとしてこれまでずっと取り組んでおりましたアニマルウエルフェアについての質問になります。

 動物愛護法が改正されました。それにつきまして、省令改正が今行われようとしているところではあります。中でも、いろいろな数値規制等々が挙げられているわけですが、私の中で一番関心が高いところは、やはり動物虐待、遺棄に関する罰則の強化の部分が適切に、愛玩動物だけではなく、畜産動物、展示動物、実験動物、そういったところまで拡張できるかどうか、こういったところが私が非常に関心を持っているところであります。

 どの犯罪も同じなんですけれども、この動物虐待も、人の目につくようなところで行われているわけではありません。愛玩動物だけではなく、これは畜産動物に関しても同じことが言えるわけで、当然ですが、動物たちは被害を受けても声を上げることができないということであれば、やはり我々がそれを適切に是正していく必要があるというふうに思いますが、この畜産業においては、虐待から逃げられない状況が、当然ですけれども、多々あるわけでございまして、これがずっと行われていくと、畜産業そのもののいわゆる健全さというものを損なう可能性が極めて高いと私は思っています。

 例えば、今フランスでどういった議論が行われているかというと、伝統的な食材であるフォアグラですね。これは脂肪肝という病気に、あえて鴨やアヒルを強制給餌、これはガバージュというんですが、強制的に出荷の二週間ぐらい前からトウモロコシの粉末を大量に無理やり飲ませ、食べさせ、そして脂肪肝、病気である肝臓をつくり出す、それが伝統的ないわゆる食材でフォアグラというものなんですが、やはりこの強制給餌というあり方に対して非常に国民世論が、この動物たちにとってこれは本当にいいことなのかということについて声が高まっていって、今現在、フランスの中ではこのガバージュ、強制給餌のあり方ということについての是非が問われてきている。

 それについて法改正するべきじゃないか、そういったことまで含めて議論が高まっているということでありますので、これを健全化していくということは、やはり日本の畜産業を守っていく、こういったことにもつながるというふうに思っています。

 そこで、経済動物として使われている畜産業において、動物への乱暴な取扱いというものも動物愛護管理、そして経済的な観点からもなくなっていくべきと私は思っておりますが、このあたりについての小泉大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

小泉国務大臣 動物活動家じゃなくて、自然活動家ですか。(堀越委員「環境活動家です」と呼ぶ)環境活動家の堀越先生から御質問をいただきました。引き続きよろしくお願いします。

 先生御指摘のとおり、動物虐待は、人が社会の中でかかわるあらゆる動物の取扱いにおいて、法的にも道義的にもあってはならないことであり、産業動物においてもなくしていかなければならないことだと考えています。

 私たちが食べることを通じてその命を利用している動物についても、動物愛護管理法に基づいて、その種類や習性に応じた飼育環境を確保するとともに、殺処分をしなければならない場合にも、できる限り苦痛を与えない方法によるなど適切な取扱いが必要であります。

 環境省としては、先月、農水省との連携文書に合意をして連携を強化していて、動物愛護の観点からも更に協力を深めていきたいと思います。また、現在、議員立法による法改正を踏まえて飼養管理基準の検討を行っていますが、その取組と同様に、動物愛護の精神にのっとって産業動物についても適正な取扱いが浸透していくように、しっかりと取組を進めてまいりたいと思います。

 また、先生がフォアグラの話に触れましたが、私もフォアグラは今食べないようにしています。そして最近、ある方からの紹介で、世界で一位に輝いたビーガンのレストランに行ったんですね。驚きましたね。本当に、言われなかったら気づかない、焼き鳥だと思って食べたらそうじゃなく、サラダの中に入っているチーズと思って食べたらチーズじゃない。

 こういったことも、完璧にはできませんが、やはり、より持続可能な社会、脱炭素化を目指すに当たって、自分の身の回りを変えていく、マイバック、エコバック、そしてマイボトル、こういったことのみならず、やはり食のサプライチェーン、この全体に何が起きているのか、そしてまた、ファッションの生産過程でどれだけの資源を浪費をしているのか、こういったことを考えていくと、一つ一つできることから私も取り組んでいきたいなと考えているところです。

堀越委員 ありがとうございます。

 小泉大臣からもまさにビーガン、きょうこの環境委員会の同じ時間枠でヴィーガン議連の総会があって私もそちらへ行きたいところだったんですけれども、残念ながら参加はできないんですが、ぜひ御興味を持っていただけるとありがたいと思います。かなり進化しています。

 ただ、これからやはり多文化共生社会と言われている状況の中でビーガンの選択肢というのが日本においてはまだまだ実は少なくて困っていらっしゃる。これは、インバウンドにもかかわってくることなので、やはり環境省としても大きく推進していっていただきたいというふうに思っていますので、あわせてお願いいたします。

 先ほど、動物虐待、これは畜産動物あるいは死に至らしめる屠畜、そういったところにも適用になるんだというお話をいただきました。

 今、動物福祉を考える超党派の議員連盟というのがありまして、そこで、各、フランスですとかドイツ、これまでだとドイツとフランス、そしてこれからはアメリカの、動物をめぐる法体系についての勉強をさせていただいているところですが、日本と諸外国では法体系全体が異なりますので全てを参考にすることというのは非常に難しいんですが、例えばフランスであれば、動物のいわゆる保護あるいは愛護については農業法典というものの中に盛り込まれていて、そして畜産動物もその中に当然ですけれども含まれている。そしてドイツに関しては、愛玩動物という規定ではなくて脊椎動物、つまり脊椎がある動物は全てその対象になるんだというふうに規定されているんですね。

 これは法体系が全部違いますので、全てを参考にというわけにはいきませんが、しかしながら、畜産動物あるいは展示動物、実験動物、そういったところについての動物福祉を全面的にやっていくんだという姿勢は少なくともやはり見えるかなというところだと思います。日本の動愛法においても、やはりそこを推進していかなければいけないというふうに思いますが、ちょっと曖昧になっている部分というのが非常にあるかなというふうに思っています。

 その点について質問させていただきたいんですが、動愛法における「みだりに」と定義されているものについてなんですけれども、動物愛護管理法の第四十四条一項と二項の罰則規定には「みだりに」と書かれていて、この定義が問われているところなんですが、畜産などの業の中での意図がちょっとわかりづらいかなと。

 昨年の動物愛護法改正の附帯決議の十二において、畜産農業に係る動物に関して、本法及び本法の規定により定められた産業動物の飼養及び管理に関する基準を周知し、遵守を徹底するよう必要な措置を講ずることというふうに書かれていますが、これは裏を返せば、産業動物、畜産動物にも法律にのっとった飼養をするべしと訴えているが、やはり周知がまだまだ徹底されていないという実態があるからだというふうに思っています。業務に不要な暴力などが「みだりに」というのに当たるというのは、これは想像に明るいわけですが、あやふやに感じる行為というのも残されてしまうかなというふうに思っています。

 そこで、単刀直入に伺いたいんですが、この「みだりに」というところは、どんな行為なのか、そのあたりの解釈をお答えいただきたいと思います。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 法第四十四条ではみだりな殺傷やみだりな暴行等を禁止してございますけれども、条文中のこの「みだりに」とは、他の法令における一般的な解釈と同様に、おおむね正当な理由なくという意味で用いられるものと解釈してございます。

 その上で、正当な理由がない殺傷や暴行等とは、一般的に、不必要に強度の苦痛を与えるなどの残酷な取扱いをすることを言い、その具体的判断は、行為の目的、手段、態様等と、その行為による動物の苦痛の程度等を総合して、社会通念としての一般人の健全な常識により判断すべきものと解してございます。

 総合的な判断やその時々の社会通念によるため、特に正当な理由がない殺傷に該当する行為をここで一律にお示しすることは難しいですけれども、例えば、目的については、そもそもその行為に合理的な必要性があるかどうか、手段、態様については、社会的に容認されているとは言えない残酷な行為か、苦痛軽減の努力をしていると言えるか、あるいは不必要に長い苦痛などの動物の受ける苦痛の程度といった点などを総合的に勘案し、社会通念に照らして妥当でない場合には、みだりな殺傷や虐待に当たる可能性があると考えてございます。

 その上で、さらに具体的な判断の考え方等につきましては、今後関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 確かに、具体的に規定することは非常に難しいことかとは思いますが、例えば、一方で、飼養に関して合理的だというふうに、飼養者がそう判断していたとしても、一般通念的にはそうではないということも当然あると思うので、私は、そういう意味では、しっかりとガイドラインに沿った形でするべしという、遵守ですね、そのあたりはまだまだ必要なんだろうというふうに思っています。

 畜産関係、屠畜関係においても、こういった社会通念的に不適切なのではないかというふうに判断せざるを得ないような、そういった飼養の現場あるいは屠畜の現場というのが実際にはあると言わざるを得ません。実際、私もこの目で確認させていただいたこともありますし、やはり動物福祉のことについてたくさん取り組んでいらっしゃる国民の皆さんからも声をいただいて、資料として動画ですとか写真ですとか、トラウマになるんじゃないかと思うぐらい本当にひどい現場を目の当たりにすると、現在起こっているというふうに言わざるを得ませんね。

 これも環境委員会の中でも話をさせていただきましたし、農林水産委員会の方でも質問させていただいたりもしましたが、例えば食鳥処理場、鶏ですね、この屠畜のときに、生きたままシャックルという形の装置にぶら下げて、そしてネックカット、首を切られて、それで血を抜いて、放血をしてからゆでて処理するというような流れがあるわけですが、生きたままつり下げられるわけですから、当然ばたばたして、ネックカットの際にうまく頸動脈を切れずに、生きたままゆでられてしまう。そういった状況で、結局、そうなると赤く皮膚が変色しますから、出荷できないわけですね。そうすると、完全にそれは食ロスになるわけで、こういった状況というのは、当然ですけれども、まだ起こっている状況です。

 そして、豚に対しても、屠畜場ではなく牧場の中で殺処分をするということもあるわけですね。その際に、私が目撃させていただいたのは、いわゆるクレーンのようなところにひもをくくりつけて、豚の首にロープをかけて、そのまま、生きたままつり上げる、そして窒息死させる。私も動画を見させてもらいましたけれども、本当に長時間苦しむんですね。

 恐らく、私も、豚の生態的にどういう構造があるのか、人間と違うのかというのは、専門家ではないのでわかりませんが、人間もそういう形で、これは絞首刑と違いますから、首をつり上げられると当然ですけれども苦しいわけで、さらに豚の場合には首も太いですし、頸動脈を圧迫して死に至るまでの時間というのは相当な時間がかかるんだろうというふうに思いますので、こういった現場はやはり改善をしていかないといけないし、世界はそういったいわゆる改善の方向にかなり動いています。

 特に、ことしの六月に施行された動愛法の改正法にも、「国際的動向に十分配慮するよう努めなければならない。」と明記されている。と同時に、畜産動物に関しては、国際基準になるOIEの動物福祉規約において、動物種ごとに何が適切で何が不適切であるか、懸念されているリスクは何かなど、それぞれ書かれているんですね。

 そこで、先ほど答弁いただいた「みだりに」に当たることが前提になりますけれども、先ほど私が挙げさせていただいた例えば事例で、首つりなどの時間をかけて窒息させる行為であるとか、着実な殺処分が行われないまま熱湯処理や産業廃棄に出すなどの処理を行う行為であるとか、安楽死の責任を回避して餓死や衰弱死等を招く行為、今後これらの行為をなくしていく方向であると考えていいのかどうか、環境省の見解を伺いたいと思います。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の例えば衰弱死を例に挙げさせていただければ、その中には、治療のかいなく死亡に至るといったような場合もございますため、個々の行為が虐待に当たるかを一律に判断することは困難であるというふうに思いますが、御指摘のような行為を法が許容していると考えることは、一般論としては想定しにくいというふうに思います。

 例えば、動物の殺処分方法に関する指針では、動物を殺さなければならない場合は、できる限り苦痛を与えない方法を用いて意識の喪失状態にし、心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法等によるとしてございます。

 今後、虐待の判断に必要な考え方をより明確化するための検討を進めていきたいと考えておりますが、法第四十四条の刑事罰に該当するか否かを問わず、動物の殺処分に当たっては動物の殺処分方法に関する指針にのっとった取扱いがなされることが重要であると考えておりまして、実際に産業動物の取扱いについて指針に照らして不適切な事例がありましたら、関係省庁と連携して対応してまいりたいと思っております。

堀越委員 ぜひ、農水との連携は強化されているというふうに思いますので、そういったところでもぜひ議論を進めていただきたいと思います。やはり、産業動物というふうに言うと、各省庁にまたがっているわけですね。厚生労働省、農林水産省、そして環境省、この三省が一体となって取り組んでいくということが重要になってきますので、ぜひお願いしたいと思います。

 先ほどもお話しさせていただきましたけれども、全ての農家さんがそうではもちろんありません。しかし、そうした事例が一たび世に出てしまったりすると、これは産業全体に打撃を与えることにもなりかねないということだと思いますので、諸外国では更に進んでいるというところもありますから、そういった例も参考にしながら、これは働いておられる方々の労務負担の軽減にもつながることですので、ぜひ具体的な指針を示していただきたいというふうに思っています。

 そして、実は、産業動物のあり方というのは人間の健康にも直結しているというところであります。

 今、新たな感染症が発生しました。新型コロナウイルス感染症、これによって日本経済も大変なことになっておりますが、この新たな感染症が出現してくる背景というのを私は環境省がしっかりと考えなければいけないんだろうというふうに思っています。

 国内だけではなく、世界では、いわゆる人獣共通感染症ですね、人とそして動物、これが共通してかかる感染症というものがどれぐらいふえているのかというと、この過去数十年間に倍増しているわけですね。この七割が、いわゆる新興感染症というんですけれども、新たな感染症のうちの七割が動物由来の感染症であるというふうに言われています。そして、この新興感染症というのは、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットホーム、IPBESによると、毎年五つ以上出現しているんですね。すごい数だと思います。哺乳類や鳥類が保有するウイルスで確認されていないウイルスは百七十万種類、そのうち、人間が感染する可能性があるウイルスは最大で八十五万種あると言われている。これはやはり人と動物、環境の健康を一つとして考えるワンヘルスの概念が重要であるというふうに思っています。

 そこで、国際的な動向を踏まえた上、環境省の来年度予算事業、野生鳥獣由来の人獣共通感染症対策基盤事業について伺いたいと思います。

 この事業は、新たにウイズコロナ、ポストコロナ社会の基盤となる健康と環境を守る取組として、事業費、来年度で約二億五千万要求しているということでありまして、今ペット業界も大きくさま変わりをしていて、海外の希少な野生動物がどんどんどんどん日本に入ってきている。野生動物の取引も、韓国や武漢も中国も禁止している、そういう状況もあって、日本国内においても野生動物の取引というのはやはり厳しく取り締まっていく必要があるというふうに思いますが、このワンヘルスという考え方のもと、この事業を行っていくということなのかどうか、そういったところについて伺いたいと思います。

鳥居政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省が要求してございます御指摘の事業は、国内の野生鳥獣由来の人獣共通感染症の実態把握等を目的としており、海外から輸入されるペットは、たとえ野生由来であっても含まれてはございません。

 ただ一方で、海外から輸入される動物の実態については、貿易統計等におきまして、動物の分類群などの区分ごとにその輸入総数等が把握されてございます。また、人に感染する感染症を日本に持ち込むおそれのある動物については、感染症法に基づく輸入届出制度により、輸入実態の把握がなされているものと承知してございます。

 委員御指摘のワンヘルスとこの事業の関係でございますけれども、本事業は、国内における野生鳥獣由来の人獣共通感染症の実態把握を通じて、人獣共通感染症の人への罹患リスクを低減することを目的とするものであります。環境省で来年度要求しているところであり、ワンヘルスの考え方も踏まえ、関係者とよく議論してまいりたいと思います。

堀越委員 この取組は本当に重要だと思います。ぜひ大臣、これは力強く、予算要求が通るようにお願いしたいというふうに思います。毎年これは増加傾向であり、さらに五つの新たなウイルスが新興感染症として、人獣共通感染症として確認されている、そういう状況下ですので、人の命を守るためにも、この野生動物の取引であるとか管理、そういったものをしていかなければいけないんだというふうに思います。

 感染症法は、これは所管が厚生労働省になるわけですよね。そこで管理をされている、把握をしているというふうにお話がありましたが、環境省と厚生労働省がここもやはり連携を強化しなければいけないんだろうというふうに思っていまして、例えば環境感染症課のような組織をつくって連携を強化していくことが、気候変動、気候危機の時代を迎えて、これまでのウイルスのあり方とまた大きく変わる、新たなウイルスの出現頻度が高まってくる可能性も極めて高いと私は思っているんですね。例えば、温室効果ガス排出量がとめられず、最悪のシナリオになっていく場合には、永久凍土が解け出して、そこから新たなウイルスが噴出するのではないかということも言われていたり、あるいは森林伐採等々によって、エボラ出血熱がまさにそうですが、人里におりてきて、そこからコウモリから人間に感染した、そういう感染経路もありますから、そういった意味においては、国民の命、暮らしを守るためにも、やはり全力でこちらは連携をして取り組んでいただきたいというふうに思います。予算のことについても、ぜひ通していただけるようお願いしたいと思います。

 そして、次に外来種についてお伺いしたいと思いますが、まずミシシッピアカミミガメ、皆さん御存じでしょうか。ミドリガメと言われて、私も子供のころ、祭りの縁日に行くと亀釣りというのがよくありました。最近はもう見ないかなと思いますが、当時かなり当たり前のように縁日なんかで亀ちゃんがいっぱい売られていて、あのアカミミガメが大きくなると結構な大きさになるものですから、飼えずに野生に放してしまうという方々が多くなっていて、そしてそれを今ちょっとどうしようかということで、防除、駆除の対象になっているわけですね。

 一九五〇年代後半からアメリカから多数輸入されてきたんですが、近年の輸入量というのは、当時百万体だったのに対して五万体前後というふうに言われていますが、まだこれはアカミミガメの幼体を輸入しているという実態があるんですね。これは生態系に大きく影響を与えます。水草の食害であるとか、それだけではない、レンコンですとか、そうした水生栽培をされている第一次産業にも影響を与えているものでもあるので、これは駆除の対象としていても、輸入の対象規制がなっていないと、もう蛇口を閉めないと意味がないんじゃないかというところでありますので、たしか二〇一五年に環境省は、アカミミガメ対策推進プロジェクト、さっきインターネットでちょっと調べたらそうやって出てきたんですけれども、たしかそうやって五年前に打ち出している。二〇二〇年度段階をめどにして、これを輸入禁止していくんだというような方針を示された、その当時行われたというふうに私は先ほど認識したんですが、この辺について、この輸入禁止の措置、具体的にいつから講じるのか、また販売禁止を行う考えはどうなのかということについて、お伺いしたいと思います。

笹川副大臣 堀越委員には先ほど特段のエールを送っていただきまして、ありがとうございました。動物愛護につきましても、広い知見と、また、御活動いただいていることにも敬意を表したいというふうに思います。

 委員から御指摘いただいたとおり、このアカミミガメにつきましては、緊急対策外来種に選定をし、いわゆる普及啓発、防除マニュアル作成、地方公共団体にも御協力をお願いしたところでございますので、ほぼほぼ縁日ではもう見かけることはないのではないかなというふうに思っております。

 また、委員指摘がございました、供給を断つということになりますと、輸入、販売の規制も重要な課題ということは我々環境省としても深く認識をしているところでございます。

 外来生物法によって、特定外来生物への指定によって輸入、販売の規制を行うということは可能でありますが、仮にそうなってきますと飼養等にも同時に規制をされることにもなりますので、現在、推定でありますよ、推定で百十万世帯にアカミミガメが飼育をされているという状況もございますので、そのことも踏まえた上で、外来生物法施行状況検討会というものがございます、この検討会において外来生物法の施行状況の評価を進めており、その中で、こうした課題を踏まえた上で今後の適切な対応につきましても速やかに検討をしてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

堀越委員 二〇一五年にアカミミガメ対策推進プロジェクトが環境省の方から出されて、それからアカミミガメ防除マニュアル、これですよね、私もこれを見させていただいておりますけれども、防除、非常に必要だとは思います。しかしながら、やはり蛇口を閉めないことにはふえ続ける。確かに、亀も長生きですから、大事に飼っておられる方々もやはりいらっしゃるので、そういった飼養等に関する規制等々も、百十万世帯という、推定ではあるということでしたけれども、行うとなると大変な労力にはなるんだというふうに思いますが、実は私、防除の方法自体が、わなを仕掛けて成体を捕まえて、その後、駆除するわけですが、この駆除の方法自体が非常に私は心苦しいものがありまして、これが適切に運営されていくのと加えて、同時に蛇口を閉めていくことの是正をお願いしたいというところなんですね。

 次に質問させていただきたいのがまさにそこで、どういう殺処分の方法をするかというと、まず、ミドリガメをわなで捕まえた後、それを麻の袋とか土のう袋みたいなものに入れて、縛って、ガムテープでぐるぐる巻きにして、そこに個体名を書いて、そしてマイナス二十度の冷凍庫に入れてそれで殺すという形をとっているんです。

 OIEには、ああ、アメリカの獣医師会でもこれは推奨しない、いわゆるじわじわじわじわ殺していく方法というのは推奨しないということも言われておりますし、本来であれば麻酔薬、こういったものを使った方が私はいいんだと思うんですが、そのあたりについていかがでしょうか。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の麻酔薬の使用でございますけれども、これは、入手や取扱い、管理に専門的な資格や知識が必要になるということから、地域の多様な主体により実施される防除においては、麻酔薬の使用は難しいというふうに考えてございます。

 こうした状況に加え、外温性動物である両生類や爬虫類については、冷却、冷凍による方法の妥当性を支持する知見も得られていることや、作業者の安全、心理的な負担等も踏まえ、防除の手引においては冷凍による殺処分を現実的な手法として紹介してございます。

 その上で、御指摘のOIEが作成しました産業における爬虫類の殺処分についての福祉綱領も含め、最新の知見を参考にし、捕獲個体にできる限り苦痛を与えないことに加え、生態系の保全や関係者の理解を得ることなども留意しながら、引き続き、よりよい方法を検討してまいりたいと考えております。

堀越委員 質問を終わります。ありがとうございました。

石原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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