衆議院

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第2号 令和4年3月8日(火曜日)

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令和四年三月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 関  芳弘君

   理事 勝俣 孝明君 理事 菅家 一郎君

   理事 小泉進次郎君 理事 笹川 博義君

   理事 源馬謙太郎君 理事 田嶋  要君

   理事 漆間 譲司君 理事 角田 秀穂君

      青山 周平君    畦元 将吾君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      石川 昭政君    石原 正敬君

      小倉 將信君    小島 敏文君

      塩崎 彰久君    武村 展英君

      辻  清人君    土田  慎君

      中西 健治君    根本 幸典君

      穂坂  泰君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    中島 克仁君

      馬場 雄基君   松木けんこう君

      遠藤 良太君    奥下 剛光君

      中川 康洋君  斎藤アレックス君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   環境副大臣        務台 俊介君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   環境大臣政務官      中川 康洋君

   環境大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     高科  淳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   荒木 真一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    森  重樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木正士郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 森光 敬子君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     塩崎 彰久君

  宮澤 博行君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     根本 幸典君

  塩崎 彰久君     土田  慎君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     辻  清人君

  根本 幸典君     小島 敏文君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     宮澤 博行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

関委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長高科淳君、内閣府政策統括官荒木真一君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、林野庁林政部長森重樹君、経済産業省大臣官房首席エネルギー・地域政策統括調整官小澤典明君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、国土交通省道路局次長佐々木正士郎君、環境省大臣官房審議官白石隆夫君、環境省大臣官房審議官森光敬子君、環境省地球環境局長小野洋君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の笹川博義であります。

 質疑に入る前に、ロシアによるウクライナ侵略、この暴挙に対して強く非難するとともに、ロシアは一刻も早くウクライナから撤兵し、そして多くの人たちが亡くなりました、改めて心からお悔やみ申し上げます。

 それでは、大臣等に対する質疑に入らせていただきたいと思います。

 まずは、大臣におかれましては、持続可能な社会の構築のためには脱炭素、循環経済、分散・自然共生という多角的な切り口で経済社会全体を変革しなければならない、できるかできないかではなく、やらなければ日本が危ない、様々なこういう危機意識、そして強い決意での変革に取り組むということで、所信をお述べになりました。

 まずは、脱炭素についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 冒頭申し上げたとおり、ロシアによるウクライナの侵略というこの暴挙、この影響は、日本も含めて、また再生エネルギーとしての先進国でもあるドイツも含めた欧州に大きな影響が出ておるわけでありまして、こういった国々も含めて、それぞれの国のエネルギー政策に大きな影響が直撃いたします。

 日本のエネルギーとしても、再生エネルギーの普及は大変重要なものであって、主力電源化も含めてこれからも進めていかなきゃならない。しかし、今の再エネと言われるものは果たして国民の信頼が全幅なものなのかというところについてはやはり疑問点もあります。再エネの信頼を更に増していくためにも、常に技術革新というものを進めていかなければなりません。

 例えば、太陽光。今回、国交省からも閣法として盛土の改正法案も出ております。そういった意味において、ペロブスカイトという、非常にこれは先進的な技術であって、今までのような非常に重い、また場所も取る、限定的なものだというものとも違いまして、非常に実用化に向けての期待が高まっておりまして、こういった先進技術に対して環境省としてしっかりと後押しをしていく、このことが私は非常に大切なことだというふうに思うんですね。これからの技術政策の展開というのは、もっと積極的にやらなきゃいけない。平らにやればいいってものでもありませんし、スピード感を持ってやらなきゃいけないし。

 そういった意味において、今回大臣にお伺いしたいのは、ウクライナの侵略、そしてまた技術革新を進めていく、その辺のところの御所見をお伺いさせていただきたいと思います。

山口国務大臣 笹川議員のおっしゃるとおりの、ウクライナに対するロシアの侵略、第二次大戦が終わって、国連によって二条四項で武力行使の禁止、それは本当に我々は根づいたものだと思い込んで、そういう意味で、一九七〇年初頭からの、宇宙船地球号、地球はみんなのものだというところでやってきたのが、ここに来てえらいことだなと。

 気候変動については、やはりみんなで協力しないと二酸化炭素も減らないということで、まずはロシアに対して早いところ平和を取り戻すように努力を促すし、やはりこのことは、環境にも大きく危機感を持っています。というのは、彼らが核のことまで言及している。これは、地球の環境を汚す最も一番よくないこと、絶対にあってはいけないことなので、その辺は強く我々としても呼びかけなければいけない、あるいは、そこは自制をどうしても促さなければいけないと思います。

 今、脱炭素について、技術革新ということを触れていただきました。脱炭素がそういう意味では我々の経済競争力についても両立できるように、そのことについてやはりイノベーションが絶対的に必要であり、我々はそういう意味ではいろいろと、鉄鋼業界、自動車業界含め、あるいは石油業界含めそれぞれのところで頑張っていただいているわけですけれども、国としてイノベーションをサポートしていく、そのことによって脱炭素を実現できるように持っていく、そういうことが必要だというふうに思います。

 特にウクライナとの関係で思うのは、エネルギーについては、自国で生産可能なこと、要するに、再生可能エネルギーというのは太陽、水、地熱、風力、そういう意味ではそこにあるものを我々が利用できるように、そういう重要な国産エネルギー源というところで、さらに、技術革新を含めて、我々がそれを活用できるように進めていかなければいけないなというふうに思います。

笹川委員 今大臣の御指摘のとおりだというふうに思います。

 最後の方の、再エネの国産エネルギーという位置づけですよね。この国産エネルギーの位置づけということになったときに、果たして今の太陽光はどうなのかということになれば、かなりの部分は中国含めての資材の購入ということでありますので、資材の購入ということになったときに、それ相応の金額が海外に流出しているということになるわけですね。海外に流出しているこの資金、このことについてもやはり我々はもう少し真剣に捉えなきゃならない。何で原油を買って国内の資金を流出させるんですかという指摘があった。再エネでも同じようなことをやっていたのでは全く意味がない。

 そしてもう一つ、エネルギーで大事なことは安定でありますから、安定というのはコストと供給です。このことが安定しなかったら、生活している人にとっても、産業にとっても、決して信頼という二文字をかち得るものではないというふうに思います。安定のコストと供給、これに向けての技術革新というのがやはり大切でありますので、是非そこのところをしっかりと、柱の一つとして、真ん中の柱として念頭に置いていただいて、環境省には取組をしていただきたいというふうにお願いさせていただきたいと思います。

 そしてまた、続いてでありますが、省エネ。私の小さい頃から、電気をつけっ放しにするなと、よく母親から注意を受けました。身近な生活の中で、我々は省エネというものに自然と取り組んできました。もう一度、やはりこの省エネというものについて我々自身が見詰め直して取り組んでいかなければならない。

 特に、今回のウクライナの侵略の中で、岸田総理自身も記者会見の中で、国民の皆さんに対して省エネの協力をお願いしますということをおっしゃられたわけであります。今はまさにエネルギーの危機なんだという指摘がなされている昨今でありますので、やはり従前にも増してこの省エネというものにも取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

 特に、環境省として、ネット・ゼロ・エネルギー、いわゆるZEHなどの基準について引上げをして、省エネ政策を政策的に誘導していかなきゃいけない、そういう時期に来たのではないかというふうに思っておりますので、省エネ政策の展開についての大臣の御所見を是非お聞かせください。

山口国務大臣 省エネについていろいろと今まで我々も努力してきたわけですけれども、家計関連の省エネというのが非常に重要な比重を占めていると思います。

 そういう意味では、国としていろいろと進める施策として、例えば、この間の補正予算でもって断熱リフォームについていろいろとお願いさせていただいたり、あるいは、ZEH基準についても、住宅の省エネ性能については、二〇三〇年度以降に新築される住宅についてZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指すということとして、我々は実現に取り組んでいるところです。

 さらに、環境省としては、このZEHに加えて、更に高いレベルの省エネ性能等を持つZEHプラスの普及支援にも取り組んでおり、関係省庁と連携しながら強力に推進していく所存です。

 先ほど、笹川議員の方から中国の話も出ました。私自身も、太陽光のみならず風力発電についても、あの羽根の部分は本当は日本で造りたいところですね。ほとんど、それがコストの面で中国に依存しているという現状については非常に危機感を持っています。

 そういう意味では、国内のメーカーがもう一度それを頑張れるように後押ししていきたいし、陸上それから海上、両方あると思いますけれども、陸上の方が少し小型らしいんですね。ですから、それぞれの先生方の地元でも、まず陸上から、そしてまた場合によっては洋上までいくというところを、環境省あるいは経済産業省がそれぞれ連携しながらやはりここは頑張っていきたいなと。おっしゃるとおりの危機感を私も共有しているところです。

 また、安定ということに関しては、蓄電池について、これも中国あるいは韓国がいろいろと頑張っている、自動車産業についてもその辺でどうも進出が甚だしい。我々はイノベーションでもってその蓄電池についても相当後押しして、中国、韓国と切磋琢磨しながら、あるいは我々はその意味ではもう少し頑張らなければいけないなというふうに思っています。

笹川委員 大臣と意識を共有できたことはよかったなというふうに思っていますが、先ほど風力についても話がございました。残念ながら、日本の場合には風力の発電というものの市場形成について後手を踏んだことは間違いありません。このことは、この期において、ああだね、こうだねと言うつもりはございませんが。

 しかし、まだ間に合います。だからこそ行政として、環境省として産業を引っ張っていく、それぐらいの気概を持って、特に洋上風力については、もちろん私自身も環境省にいたときに足を運ばせていただきましたけれども、長崎の五島における浮体式の風力、これは当初、漁民の皆さん方にも御批判があったというふうにお聞きしていますが、しかし、時が経過するとともに、魚礁としての価値も発揮し得るんだということで地域の人に理解が深まり、じゃ更にまた増やしてほしいという要望も生まれたわけでありますから。

 そういったことをよく全国の皆さん方に、これからの風力の適地であろうと言われる人たちのところに更にまたPRをしながら、環境省としても、経産省を含めて、関係省庁と連携してなお一層市場が広がるようにすればまた必ず国産という道を切り開くことができるわけですから、それは我々がやるしかないというふうに思いますので。我々って、失礼しました、私はもう副大臣を終わっていますから。環境省の人がやらなきゃいけないということでありますから、是非、大臣の決意とともに政策を展開していただきたいと思います。

 それでは、脱炭素社会の構築に向けての要の一つは地域、地方自治体との連携であります。これはやはり非常に大切な観点でありますので、山口大臣も北海道等々に足を運ばれたということでありますし、政務三役全員で全国行脚して理解を深めていく、このことは大変私は評価をされていいのではないかというふうに思っておりますので、山口大臣の指導力にも敬意を表したいというふうに思います。

 特に、直近では二月二十五日に務台副大臣が我が群馬県に足を運んでいただきまして、山本知事とも意見交換をしていただいたということであります。

 務台副大臣は、前職で群馬県庁にも、群馬県の発展のために御尽力いただいた経歴もございますので、そういった意味では非常に私は話が弾んだのかなというふうに思いますし、当日はどうも中井事務次官もフォーラムの講師を務めていただいたということでありますので、非常に群馬県にとっても脱炭素の社会へ向けての理解が深まったのではないかなというふうに思います。

 改めて務台副大臣にお伺いしたいのは、そのときの群馬県への訪問についての手応え等がございましたら、是非御所見をお聞かせください。

務台副大臣 御質問ありがとうございます。

 笹川先生の地元群馬県に二月の二十五日に伺わせていただきました。環境フォーラムというのがありまして、前橋商工会議所が中心となってセミナーをやるということで、その折も兼ねて伺いました。

 知事にお話を伺いましたが、ちょうど群馬県が新しい条例を作って、何と、新しい建物の新設、増設に当たって再生エネルギーの設備をすることを義務づけるという条例を作りたいというふうにおっしゃっていました。ただ、なかなか産業界の抵抗というか、大変だという気持ちがある中に、環境省から肩を押すような形で来てくれたことはありがたいというふうにお言葉をいただきまして、やはり、各自治体、やっているところはやっているんだなというふうに改めて思いました。

 私が申し上げたのは、この問題というのは決して産業界にとって大変なことということではなくて、むしろ、例えば、化石燃料にこれまで毎年二十兆円も、外国にお金を出していた、そのお金が地域で回ることにもつながるので、ひいては地域経済はよくなる、そういうふうに前向きに捉えるべきじゃないかというような話もさせていただいて、知事とも意気投合したということでございます。

 私、その前にも長野県にも伺いまして、各自治体の首長さんとも話をしたんですが、いろいろな取組が行われているということは我々も勉強になりました。そういう意味で、国民運動にしていかなきゃいけない、そういう時期になっているというふうに思います。

 昨年、二〇五〇カーボンニュートラルという国家目標をつくり上げたので、これをいかに展開していくか、実施の段階に移っているというふうに思います。そういう意味で、山口大臣のイニシアチブで始まった政務三役の全国行脚、これによって脱炭素の問題を国民運動化していくということをやっていきたい、そんなふうに思っております。

笹川委員 ありがとうございました。これから脱炭素先行地域の選定もございますので、政務三役の皆さん方の知見が深まることは大変大切なことだというふうに思います。

 ただ、全国行脚のときに、ちょっとお願いがあるんですけれども、実は、地域気候変動適応計画、これについて、ここで別に幾つ計画ができていますかという質問はしませんから、そのことを是非もう一度振り返っていただいて、物はついでということがございますので、脱炭素と地域気候変動適応計画の策定推進も是非合わせ技でやっていただきたいということをお願いしたいというふうに思います。

 それでは、循環経済についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本年四月、プラスチック資源循環法が施行、いわゆるプラスチックという素材に着目した法案ということでございました。環境保護とも連動する資源循環の社会構築に向けた歩みが始まったわけであります。

 それからもう一つ、我が国は二〇一九年六月、G20大阪サミットにおいて大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを提唱しました。提唱国として、国内的な取組はもちろんでありますが、やはり国際的な枠組みづくりにも積極的に、我が国は主導的な役割を果たしていく必要があろうかというふうに思います。

 本年二月二十八日から三月二日の日程において、ケニアのナイロビにおいて国連環境総会、UNEAが開催され、プラスチック汚染などに関する決議がなされたということでございます。

 改めて、総会の決議に対しての大臣の御所見、御認識をお聞かせいただければと思います。

山口国務大臣 先般、ケニアのナイロビでもってUNEAの5・2という環境総会が行われて、その際、我々としては日本案というものを、プラスチック汚染対策ということを特に海洋プラスチック汚染対策ということで出させていただいていました。ほかにもペルー・ルワンダ案とか幾つかあったわけですけれども。

 日本の考え方というのは、できるだけいろいろな国が参加しやすいように、要するに消費国、排出国も含めてできるだけ参加しやすいようにということで出させてもらいました。結果的にいろいろな案も全て統合した格好で、参加国ができるだけ多く確保できるような形でもって結果が出たのは非常によかったなと思います。

 これでもっていわゆるINC、政府間の交渉委員会というものの設置が決まったので、これからそこでもって具体的な議論がなされることにもなりました。これからどういうふうなものができるかというのはこれからの議論次第ですけれども、そういうことも含めて非常に大きな成果があったと思います。

 先ほど、プラスチックの循環について、やはりこれは国民の意識というものが非常に大事だと思うんです。いろいろなコスト・ベネフィットという議論もありますけれども、やはりレジ袋のことも含めて国民の意識というものがその中で非常に今大きな形となって私は出てきていると思いますので、プラスチックごみ、スプーンとかフォークとか、こういうことについて四月からいろいろと工夫をしていただくわけですけれども、そういうことを含めて日本が国際的な場でもって議論をリードしてきたということをやはり国内でも頑張らせていただきたいな、そしてまた、これからの国際的な交渉の場でやっていきたいなと思います。

 先ほど、全国行脚ということをお触れいただきました。ここでは幾つかの大事なことを我々は併せて議論しているわけです。例えば、脱炭素の先行地域の話もそうですけれども、もう一つ、カーボンプライシングの話、それについても国民の理解を促進させていきたい、そういう気持ちで、それからまた、福島についても、除去土壌について最終的に二〇四五年までに県外での最終処分を行わなきゃいけない、そういうことについての理解も醸成させていただきたくて、政策対話の中では触れさせていただいています。

笹川委員 なお一層、世界、国際的な立場の中で日本がしっかりと大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの提唱国として主導的役割を果たしていただけるように、是非また山口大臣にしっかり頑張っていただきたいとエールを送らせていただきたいと思います。

 特に、この総会で決まったことでありますが、第一回の政府間交流委員会を開くに当たって、様々なステークホルダー、関係者に対して、情報と活動の交換を行うためのフォーラムを開催するということであります。

 私は是非、第一回の委員会を開催できるかどうか分かりませんが、少なくともいろいろな関係者を集めてフォーラムを開くということになったら、是非また日本で開催していただきたい。できれば私は群馬県で開催してもらいたいけれども、本来だったら大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを提唱した地区でやるということに大きな意義があるんじゃないかというふうに私は思うんですよね。是非フォーラムの開催に向けて日本がしっかりと取り組むべきじゃないのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

山口国務大臣 場を設定するというのは、リーダーシップを取る意味で非常に大事だと思います。コロナの問題も一刻も早く解決に向けて、そしてまた、日本がリーダーシップを取る意味で、我々もこれからいろいろと相談させていただきたいと思います。

笹川委員 是非よろしくお願いいたします。

 それでは、ちょっと時間の方もあれなので、これは要望にさせていただきます。

 一点は、ASEANとプラスチックごみの対策であります。

 やはり、私自身の考えからすると、プラスチックのごみ対策というのはイコール海洋プラスチックごみの対策でもあります。東シナ海、それから太平洋と言われる地域に責任があるそれぞれの国が主体的に取り組むことが必要だというふうに思いますので、そういった意味では、発展著しいこのASEANにおいてのプラスチックのごみ対策というのは、今非常に各国共に悩ましい問題なのと同時に、是非取り組まなきゃならないんですね。この取組をしなければ、我々自身が一生懸命頑張ったとしても、海洋のプラスチックごみというのは減らないんですよ。そして、もう一つの主要排出国の中国、このことともやはり連携をしなきゃならない。

 そういった意味では、我々は、もう一つ新しい枠組みとして、2プラスASEAN、日本と中国とASEANで連携しながら新しい枠組みを是非つくっていただいて、それぞれのASEAN各国におけるプラスチックのごみの処理、これは是非日本が積極的に関与していただきたい。

 それからもう一つ、SAF、これは持続可能な航空燃料の国産化であります。このことについても、先日関係者の方からお聞きしたところ、是非、廃棄物について、燃料の国産化についても必要なんだと。効率よく、日本の廃棄物をどう処理したらいいのか、このことを是非システムとして考えていただいて、いわゆる清掃センターの再編を進めていく、循環交付金の扱い方についても是非これからもしっかり考えていかなきゃいけない、そういう時期に来たのではないかなというふうに思いますので、そのことを強く要望させていただきたいと思います。

 それでは、自然共生でありますが、特に動物愛護管理について、大岡副大臣、非常に思いを込めて、主な取組の三つの中の一つに挙げていただきました。

 動物愛護管理法の改正案については、全会一致、各党各会派に大変お世話になりました。昨年六月に省令改正、そして今年六月にマイクロプラスチックの制度がスタートいたします。一番身近な動物、ペットと言われるものを大切にする、愛すること、このことはやはり自然を愛することにつながるわけでありますので、小さいお子さんから全ての人にとって大事な観点だというふうに思います。そういった意味では、この制度のスタートに当たりまして是非、この動物愛護をなお一層進めていかなきゃなりませんので、是非副大臣の御所見をお聞かせください。

大岡副大臣 笹川委員にお答えいたします。

 先ほど御指摘のとおり、本年六月には、犬と猫へのマイクロチップの装着と登録の義務化がスタートいたします。

 ただ、登録について、特に、笹川議員も地方政治にはお詳しいので御存じだと思いますけれども、狂犬病の予防法に基づく犬の登録とみなすという規定につきましては、各自治体が統一した対応をしていただくため、まだまだ課題が残っている。簡単に言うと、登録料が自治体の動物愛護財源になっておりますので、これをしっかりと確保していく取組をしなければならないと思っております。

 したがって、環境省、厚生労働省、それから各自治体、総務省が連携して制度の円滑な運営についても取り組んでまいりたいと思いますので、引き続き笹川委員のお力添えも賜りたいと思います。

 あわせまして、犬や猫を含めてペットの飼い主は、動物が命尽きるまで責任を持って適正に飼育していただく必要がございます。このことは、命を尊重する考え方や態度を育み、自然環境への悪影響を防ぐことにもつながりますので、国民の皆様にこの考え方を浸透させて、人と動物の共生、関係づくり、共生社会づくりに向けて全力を尽くしてまいりたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

笹川委員 済みません、マイクロチップ制度ね、言い間違えました。訂正いたします。

 私自身は、正直申し上げて、最初の一歩だと思っているんですよ。今のペットの販売システムというのはやはり人間の欲得に基づいたものだというふうに、私は強い危機感を持っていますので、更に環境省としてはこの取組を強めていただきたいというふうに思います。

 それでは、最後になりますが、原子力防災についてであります。

 先ほど、冒頭で申し上げたとおり、ロシアによるウクライナ侵略は暴挙でありますが、さらには、原子力発電所、関連施設に対して攻撃を加えた。これはまさに全世界、人類に対する敵対行為であって、戦争犯罪に等しいものだというふうに、私は強い認識を持っております。

 しかし、エネルギー危機と言われる中で、再エネも含めて、日本の場合には、資源の乏しい中でエネルギーをどう確保するかというのは国民の生活それから物づくり、産業を支える上で欠かすことのできない最優先の、最重要の課題でありますので、そういった意味で、これから原子力発電所についても議論を深めていかなければならないわけであります。そこで大事なのがやはり原子力防災なんですよね、この観点なんですよ。

 だから、今まで以上に危機感を持って、是非、防災事業を進めていかなきゃならないし、地元の理解を深めていかなきゃならない。その御決意のほどを大臣にお聞かせいただきたいと思います。

山口国務大臣 原子力発電所の事故というのは絶対にあってはいけないというところで、二〇一一年からのいろいろなことを振り返って、我々はその意味で防災対策について万全を期しているというところがまずあります。

 他方、完全なもの、あるいはここで終わりだということはないわけですから、そういう意味では、いろいろな情勢にかかわらず、我々は、そこに原子力発電所がある限り、防災対策についても完璧を目指して、これからも万全を期していきたいと思います。

 先月、二月に、女川の原子力発電所を念頭に我々も防災訓練をやりました。その中でも、更に改善点はないかどうか、詳細にわたって、微に入り細に入り、いろいろと積み重ねているところです。

 これからも、絶対にあってはならない原子力発電所の事故、そのことについても万全を期す。絶対に大丈夫だというところをみんなに分かっていただけるように、我々もこれから全力でもって対応していきたいと思います。

笹川委員 大臣の御決意、ありがとうございました。

 しっかりと防災事業に取り組んでいただくことを要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、私からも、質問に入ります前に、ウクライナに対するロシアの侵略、戦争を一日も早くやめること、最大限強い言葉で抗議をしたいと思います。テレビを見て、本当に悲しいです。お母さんや子供たち、本当に多くの方が命を落としておられます。二十一世紀にこんなことが起きるなんてという言葉は本当に刺さります。是非、みんなで声を上げていきましょう。

 亡くなられた方に御冥福をお祈り申し上げ、全ての被害に遭われている方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 内憂外患、国内のオミクロン、世界のオミクロンもまだこういう状況でございますので、与野党を超えて力を合わせていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 大臣の所信を聞かせていただきました。これは、大臣、自分で書いているんですか。

山口国務大臣 私の言葉が相当入っています。

田嶋委員 伝わってきましたよ。だから、私もポジティブなやじも飛ばさせていただきましたけれどもね。最初のページだけを見ても、環境省はという主語が三つもございまして、相当気合が入って、結構なことでございます。大臣の座右の銘も調べさせていただきまして、道なきところに道を開き、不可能を可能にする。是非そういう気持ちで頑張っていただきたいというふうにお願いをいたします。

 それで、ちょっと各論から今日は入らせていただきますが、これは本当に頭の痛い話で、せんだって予算委員会でも取り上げさせていただいて、質問の後、自民党の先生方からも激励をいただきましたけれども、とんでもないメガソーラー。どうも、環境省も、どこもかしこも腰が引けているような感じがしてならないし、現場に丸投げをしているんじゃないかという感じがいまだにいたします。

 そこで、大臣所信の中で、地域に貢献する再エネとおっしゃいました。わざわざ地域に貢献する再エネというからには、地域に貢献していない再エネもあるはずです。どういうものがそういうものになりますかね。どういうお考えですか。

山口国務大臣 今、予算の方でも、地域脱炭素に関する再エネ推進交付金、二百億円。気持ちとして、脱炭素と地域の町おこしとの両立を図る、そういう再エネを想定しています。

 そういう意味では、いろいろと地元でもって、いや、この場所でメガソーラーはつらいなというような事例も聞き及びます。私自身も身の回りで、いや、この山を削られてはちょっとつらいなと。じゃ、それをどういうふうに対応できるのか。そういう意味では、今の法律の枠組みの中でいろいろとみんなが工夫しているわけですけれども、やはり地域との合意形成を丁寧にやっていただくというところが一つの大きなポイントだと思います。

 先般、埼玉県のあるプロジェクトについて私自身は抜本的な計画の見直しという意見を出させていただいたわけですけれども、そこにおいても地域との合意形成が不十分に見えたものですから、それからまた、盛土についても、不必要なものも非常に計画の中であったものですから、させていただきました。そういうものもあるというふうに承知しています。

田嶋委員 もう誰が考えても当たり前のことで、地域に反発を呼ぶようなメガソーラーは造らせるべきではない、そういうことは自明だと思います。

 ドイツでは、例えば、こういう地域の紛争はほとんど起きていないという報告も聞いているんですね。これは世界中共通ではないかもしれない、日本にいろいろやはり問題があるからこういうことになってしまっているのではないか、私はそういう思いが強くあります。

 そこで、お尋ねしますけれども、全国でトラブルとなっている太陽光発電、現在の環境影響評価法の対象になっているケースというのは、どのぐらいの割合がありますか。報道ベースでも結構です。

中川大臣政務官 お答えいたします。

 太陽光発電所について環境影響評価法の対象事業への追加を検討した際のデータになりますが、太陽光発電に係る問題事例を平成二十八年一月から平成三十年七月にかけて調査いたしましたところ、六十九件の事例があり、うち敷地面積が判明したものは五十二件でございました。このうち、環境影響評価法の第一種事業に相当する面積百ヘクタール以上のものは十三件であり、割合としては約二五%でございます。

 以上でございます。

田嶋委員 お配りした資料の一を御覧いただきたいと思います。右側の円グラフでございますが、今おっしゃったとおり、アセスに太陽光を入れましたとおっしゃるんですけれども、二五%しか対応できていないんですよね。だから、七五%に関しては、いまだにトラブルが続くんですよ。二五%に関してだって、もう先に動き出しちゃっている。私の地元の鴨川の方でも、物すごくでかいのがあるんですよ、四万どころじゃないですよ、もっとでかい。それだって止められないんです、遅いから、アクションが。だけれども、残りの七五%はいまだに、マニュアルができたとはいっても強制力が働いていない、そういう状況では本当に駄目だと思います。

 それから、今そういう、マスコミベースの、報道がありましたけれども、是非、提案ですけれども、一度、政府で、全国紙かなんかで打った方がいいと思いますよ。それぞれの自治体が苦しんでいて、だって、条例を作ったって間に合わないケースがたくさんあるんですよ、静岡県の伊東市だってそうだったしね。

 だから、一度、国が本気になって、全国のこういうケースはやめさせるんだということを訴えていただきたいと私は思いますよ。それぞれの自治体の予算を節約する意味でも、全国ベースのそうした訴えかけを、新聞でも何でも結構ですけれども、是非考えていただきたいというふうに思います。大臣、いかがですか。

山口国務大臣 是非、田嶋議員のおっしゃられる提案、実行させていただきたいと思います。

 これまでも、環境省では、自治体や業界団体に対してアンケートをしたことはあります。情報収集や意見交換を緊密に行って、地域の再エネの実情の把握に取り組んだことはあるわけですけれども、今おっしゃっていただいたような形で、今のタイミングでやるということも非常に大事だと思います。

 先般の私自身の、アセスメントについて、計画の抜本的見直し、これもかなりのメッセージになったと私は思いますけれども、この際、またアンケートも考えさせていただいて、やはりそういう意味では、これからのメガソーラーのプロジェクトというのはやりたい放題ではないぞというところを発信させていただきたいと思います。

田嶋委員 是非お願いします。前向きに今いただいたので、すぐ実行していただきたいと思います。

 これは、マスコミベースでしか情報が政府に入らないのはよくないですよ。恐らく、目の前にとんでもない工事が突然始まったという住民の皆さん、戸惑っちゃって、どこに言ったらいいかよく分からないけれども、まあ、自治体には電話するんでしょうね。しかし、自治体で分かっていても、これが全国ベースでしっかり把握、同じ、リアルタイムで把握できるように、是非、環境省はもっと、現場で困っている方々に寄り添っているんだという姿勢をそういう施策で打ち出していただきたいと思います。

 しかし、それは同時に再エネを悪者にしないという意味でも大事なんですよ、主力電源にしていくんだから。だから、そのことをしっかり強調していただきたいというふうに思っております。答弁は結構でございますけれども。

 もう一点は、先ほど笹川先生の御指摘もありましたけれども、これから風力発電が増えますから、だから、メガソーラーはピークを打っているかもしれないけれども、風力発電もトラブルが増えますよ。もう既に来ていますからね、たくさん。だから、そういうことを考えても、今からでも遅くない、メガソーラーのトラブルケースだけではなくて、風力発電も同じように含めた、そうした住民への訴えかけを是非やっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問でございますけれども、アセスの話をいろいろしておりまして、強制力をもっと持った環境アセス。前回、予算委員会で福島先生もやられておりましたけれども。マニュアルというものには強制力がない。そういうのは無理なんですか。つまり、完全にやめさせる強制力を規模の大小にかかわらず持っているアセスという法律はできないのかどうか。

 話を役所から聞いていると、大規模なものを前提とした環境アセス法がスタートしているから、やはり一定の規模以上にしなきゃいけないみたいな、柔軟でない発想をされているような印象なんですけれども。そもそも、アセスだけでは無理なのかなという感じもしているんですが、そこはどう考えていますか。

山口国務大臣 いろいろな事例があるということの把握については、今年の四月には、各地方環境事務所において地域脱炭素創生室を設置する予定です。そういう意味では、トラブル事例についても積極的に情報収集を図っていく。先ほどおっしゃっていただいた風力発電についてもいろいろなケースが出てくると思いますから、そこは充実させていきたいと思います。

 そしてまた、環境影響評価法に限界があるんじゃないかという今の御指摘ですけれども、そういう意味では、環境影響評価法は、アセスメント結果を事業の許可等の審査に反映させて環境配慮の実効性を確保するものだ。太陽光発電事業については、電気事業法の特例に基づいて、経産大臣が審査を行って、アセスメント結果の変更命令、あるいはアセスメント結果に従っていない工事計画については変更、廃止命令を出すことができる仕組みではあります。

 他方、今おっしゃっていただいたように、面積百ヘクタール以上を第一種、あるいは七十五ヘクタールを第二種事業ということで、これは、他の事業との公平性の観点を踏まえて、法によって、土地区画整理事業などとの比較でもってそういうふうにしたわけです。

 そういう意味では、それより更に小さいものについては地方自治体が条例でもって対象とされている。だけれども、これもやはり限界があるわけですね。また、法や条例の対象とならない小規模な事業についても、環境省的にはもちろんガイドラインをつくっているわけですけれども、こうした点はあろうかと思います。

 ただ、これからどういうふうにバランスを図っていくか。適正な環境配慮、地域の合意形成の確保、あるいは再エネ導入の必要性、そういうこととのバランスを図るということがあると思います。経産大臣ともいろいろとまた連携を取りながら、制度的対応の必要性については検討を深めていきたいと思います。

田嶋委員 予算委員会でもう既に検討ということをおっしゃっているので、そろそろ結論を出してください。

 ほかの事業とのバランスとおっしゃったって、違う事業なんですよ、これは。同じようにしなきゃいけないと考えるところが私はよく分からないんですよ。福島先生も強調されていたけれどもね。メガソーラーはメガソーラーなんだから、工場を建てて、そこで人が働いてという話とは全然違うわけですよね。対応が違うんだから、それを同じ基準でやろうとする方が私は無理なような気がするんですよね。

 非常にアセスに関しては限界を感じますが、いつまでも検討せずに、しっかりと全国の国民が安心する法制度、新しい法制度、今ある法制度に加えたからこういう窮屈なことになっているので、新しいメガソーラー用の、陸上風力用の法律の立法を考えてください。それをお願いしたいと思います。

 ただ、私はアセスだけでは足りないかなというふうに思っておりまして、次の質問でございますけれども、せんだっての温対法で促進区域というのをつくりましたね。これはつくるときから私はちょっと違和感があったんですが、促進区域ということは、促進区域じゃないところでも造れちゃうということでいいですか。

大岡副大臣 田嶋委員にお答えします。

 促進地域ということは、促進地域ではない地域におきましても、その他の法令の要件を満たせば造れるということでございます。

田嶋委員 結局、私は、環境省が促進区域をつくったことは悪いことではもちろんないと思いますが、しかし、冒頭に申し上げました、地域に貢献する再エネではないものを排除する力はその促進区域にはないということを、今副大臣はお認めになられたわけであります。

 先ほど引用いたしましたドイツの事例なども、トラブルがほとんどないという一考察でありますが、大学の研究者がそうしたことを研究されているという報告も、私も文書を読んだわけでございますけれども、その背景には、ドイツは基本、全国土が勝手にいろいろ造作物を造っちゃいけないというのが前提なんです。まず全面的にネガティブゾーンなんですね、その中に認めたところはオーケーというポジティブゾーンをつくっていく、そういう手順を踏んでいるということで。

 ゾーニングという考え方自体、元々日本にはなくて、私も、このエネルギーの分野を研究する中で、七、八年前ぐらいですかね、五年ぐらい前ですかね、ドイツ方式のゾーニングというのが将来日本も必要じゃないかなと思っていました。だから、法案の中に入ったのはよかったんですが、非常に中途半端な印象を私は持っておるんですね。

 そして、京都大学だったかの論考を読みまして、やはりドイツはそういうことだったんだということを改めて、ドイツだけが正しいわけじゃもちろんありませんが、今これだけ日本の国民が苦しんでいるものに対して、ネガティブゾーン、ポジティブではなくてネガティブゾーンということでアプローチしていく、そういう制度設計は考えられなかったんでしょうか。

大岡副大臣 田嶋委員御指摘のとおり、現在の考え方では、そのような考え方にはなっておりません。残念ながら、そこが現在の温対法の限界でございまして、今後ネガティブゾーンを、まず全域をネガティブゾーン化してポジティブゾーンを指定していくという考え方は、当然考え方としてはあり得ることでございますので、今後、この国会の議論も含めて御議論いただければありがたいと思います。

田嶋委員 温対法の改正をなさったときにポジティブゾーンという言葉が出てきましたけれども、ネガティブゾーンという考え方は議論に、俎上にのったんですか。

大岡副大臣 残念ながら、私は当時は副大臣の職ではございませんでしたので正確な答弁ができないんですが、少なくとも現行の温対法ではそのようなたてつけになっておりません。

田嶋委員 比較考量してネガティブゾーンという手法をやめようという議論が行われたのかという質問なんですけれども。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 制度設計、国会審議の前に、有識者会議における議論も行っております。ここでも、先生の御指摘がございましたゾーニングについての議論というのはございましたけれども、ただ、現状の温対法ということを前提にして考えますと、土地利用を規制するというアプローチではなくて、再エネを促進するというアプローチ、制度上そちらの方が適当であろうということで、必ずしもネガティブゾーニングを進めるべきという議論にはなりませんでした。

 また、国会の審議におきましても、禁止区域を設定すべきという御指摘も確かにいただいております。ただ、この温対法の制度の趣旨というのを、促進するという趣旨を御説明した上で、いかに市町村の促進区域の設定に当たり環境保全を適切に図っていくかという観点から議論が行われております。

 ネガティブの方につきましては、そういうことで、温対法では難しいという御説明を申し上げましたけれども、例えば、森林法などの法律あるいは条例による土地利用規制、さらには、こうした関連法令をFITの認定基準とするなどの事業規律強化というアプローチも別途取られておりますので、そういうものとの合わせ技で、地域に貢献する再エネを促進し、そうでないものは抑制するということだと思います。

田嶋委員 合わせ技をして、全部が帯に短したすきに長しなんですよ。だから、今みたいな状況が延々続いている。もう長年やっていますよ、本当に。本当に申し訳ないという気持ちがあります。

 今、温対法の趣旨からしてネガティブゾーンはそぐわないとは、どういうことなんですかね。推進する法律だからブレーキをかける内容は入れないという意味でしょう、多分ね。だから、最初に確認したんですよ。わざわざ大臣が、御自分がペンを入れた所信で地域に貢献する再エネと言っているじゃないですか。再エネというのは全部が地域に貢献するわけじゃないんですよ。地域に貢献する再エネを広げるという、おっしゃるとおり、恐らくその含意は、まずいのもあるということでしょう、みんな自然の中に造っていくことが多いんですから。

 だから、その部分に関して、悪いものは悪いと止まるようにすることが、まさに温対法の推進する趣旨じゃないですか。そこはもっと色分けをきっちりしてほしいと私は思いますよ。理論上ゾーニングができない根拠が、憲法違反になるとか、そういうこともあるのかは分かりませんけれども、ドイツはやれているんだから、トラブルがほとんどないと言っているんだから。日本は何でこれだけトラブルが続いているのに止まらないんですか。

 もう一度ゾーニングに関して、今回も法案改正があるような話も聞いていますけれども、いかがですか、大臣、今の話を聞いて。役所の、温対法の趣旨からしてネガティブは検討せずポジティブでいきましたとなんか説得されませんよ、私は。どうですか。

山口国務大臣 今、田嶋議員の議論から私も学ばせていただいているわけですけれども、ドイツでは、全体をまずコントロールして、その中でオーケーのところを選んでいく。日本でも最近、土地に関しては外国資本がいろいろ入ってきて、水を求めて入ってくるとか、あるいは、基地の近くの土地を購入して、そのことに対して安全保障的にもいろいろと考えるべきことがあるんじゃないかとか、我々もそういう意味では、土地をある意味で自由に買っていい、あるいは自由に使っていいという議論から卒業しようとしているんじゃないかとは思います。

 他方、いわゆる所有権制度みたいな話も関わってくることでしょうから、そういう意味では私はある程度今の議論の流れが正しいと思いますけれども、今局長の方から御答弁申し上げたような形、温対法の趣旨というのは、むしろ温対法を超える部分が関わっているからということで私は受け止めさせてもらいましたけれども。

 やはり、今、田嶋議員のおっしゃっているようなドイツのやり方、相当、全部に網をかけている。要するに、禁止区域を今度は定めるとなると、何でここが禁止区域だという説明、何で境界がここに入るんだという話もいろいろとあるんだと思います。

 そういう意味では、所有権に関わる話とはいいながらも、今の御趣旨というのは私もよく理解するところですから、少し検討させてください。

田嶋委員 おっしゃるとおり、長年の日本の、国土をどう利用していくかという、そうした大きな中の一つとしてこの問題が今顕在化しているんだろうというふうに思うんですが、私は余り賢くなかったんじゃないかなというふうに、勝手な判断ですけれども、土地利用というか都市計画というか、ちょっと彼我の差を感じるものです。是非しっかりと、トラブルが起きない法制度を考えていただきたい。

 平地面積当たりのメガソーラーは世界一だとかいう、最近そういう喧伝をよく聞きますけれども、やれるところはまだ幾らでもあるんですよ。グーグルアースのマップを見てくださいよ、ほとんどソーラーなんて張られていないんだから。屋根の上なんて誰にも迷惑がかからないですよ、基本的に。

 それから、この間、JRが電車の線路の横にやったら原発一基分以上をつくれるとかという新聞記事がありましたけれども、高速道路はどうなっているんですかとかね。やれるところはたくさんありますよ、さっきのペロブスカイトとかが出てきたら。デンマークなんかは縦の壁にソーラーを張っているんですから。やれることはたくさんあるんですよ。そういうことをやらずして、山の木を切ってだって、子供でもとこの間どなたかが、大臣、おっしゃっていましたよね。小学生でも分かる、自然を破壊しながら何が自然ソーラーだ、ふざけるなと。当たり前の話ですよ。

 そういうことをやめるようにしましょう。そこをしっかりやらないと最大限の拡大はできないと、私は改めてお願いしたいというふうに思います。

 それでは、ちょっと飛ばしまして、先に後半の、カーボンニュートラル、環境省の役割をお尋ねしたいと思うんですけれども、一・五度以内に何とかという話がよくありますね。それから、政府は去年の話で、二〇五〇年カーボンニュートラル。大臣、この二つはどういう関係にあるというふうに認識されていますか。

山口国務大臣 当初は二度までということになっていたのが、一・五度に取り組む、今回グラスゴーでもって一・五度というものが合意されたわけですよね。それがどういうふうに実現できるか。途中経過はいろいろあろうと思います。

 結論的に、二〇五〇年カーボンニュートラルということであれば、それが両立する。一・五度目標というのは二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す中で実現できるというふうな関係だと思います。

田嶋委員 どっちがより大事な目標なんですか。

山口国務大臣 一・五度に抑えないと、いろいろと、もう逆戻りできない、不可逆的な悪影響になるというようなことで、そっちが先でしょう。

田嶋委員 IPCCがこの間、第二部会がですか、今、更に厳しい状況に置かれていると、より強い表現で発表がなされました。それに対する大臣の談話というのがあるんです。こういうふうに言っているんですね、山口大臣。気候上昇を一・五度Cに抑える、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラルの達成が極めて重要であると。つまり、一・五度に抑えることと二〇五〇年カーボンニュートラルは同義だというように読めるんですけれども、そういう認識をされていますか。

山口国務大臣 途中経過は、二〇三〇年までに四六%削減、あるいは五〇%の高みを目指す、その延長上に二〇五〇年カーボンニュートラル、このことによって一・五度以内に抑えられる、そういう仕組みだと思います。

田嶋委員 資料の三をおつけしましたけれども、大臣、あえて大臣に恐縮ですが、二〇五〇年にカーボンニュートラルを実現するだけでは、この赤色の部分がたくさん出ちゃうということですよね。だから、二〇五〇年のカーボンニュートラルはあくまで必要条件であって、一・五度に抑えるためにはもっと激しく頑張らなきゃいけない。まさに、大臣の所信にペンをいっぱい入れたとおり、不退転の決意でやってもらわなかったら、カーボンニュートラル二〇五〇じゃ全然足りないんですよ。こういう現実をまず私たちは認識しなければいけない。

 大臣のこの談話は、結構世の中で、あの人、分かっていないんじゃないかという評判もあるんですよ。是非間違えないようにしてください、同義じゃありませんから。二〇五〇年カーボンニュートラルが必要条件であって、この十年、本当に大事ですよ。例えば、国土交通省から建築の省エネ法が出るか出ないか分からない状況になっている。私は、環境省の役割というのは、嫌われ者になって、あらゆるところに口を出して、この危機感を共有して引っ張っていただきたいというふうに思うんですが、環境省の役割って何ですか。

山口国務大臣 今の環境省というのは、昔の環境庁と比べて非常に大きな役割を担ってきたと思います。水俣病から出発した環境庁、今、地球温暖化まで全てカバーする。地球温暖化に関する国際会議は、むしろ、外務省ではなくて環境省の方でマネージしているというところまで来ました。

 この一・五度目標、その道筋としていろいろあっても、先ほど田嶋議員がお示しになられた図というのは少し、ある意味で極端なことかもしれません。きれいに、二〇三〇年までの四六%、あるいは五〇%、そしてまた、それを二〇五〇年のカーボンニュートラルというところに行けば、それは一・五度になるということで。他方、我々は、ほかの国の中で、五〇%あるいは五五%という国も出ている中で、イノベーションを進めることによって更に目標をできればもっともっとアンビシャス、野心的なものにしたいということは思っています。

 去年の十月に決めたばかりの地球温暖化の計画の話ですから、すぐにその数字をいじくるということは私はなかなか難しいと思いますけれども、一・五度が実現できるように更に努力を重ねたいと思います。

田嶋委員 是非お願いします。

 割と、夢を追っかけるようなイノベーションの話は盛り上がりやすいんですよね。悪いことじゃないですよ、夢は大事ですよね。だから、アンモニア混焼をして石炭火力をまたよみがえらせようとか、いいんですけれども、結構、全く駄目だというレポートがヨーロッパから来たりしていますね。今日は時間がありませんのでね。

 そういうのもそういうので、どこかで判断しなきゃいけないけれども、前の小泉大臣もよくおっしゃっていた、これからの十年というか八年というか、勝負でしょう。目の前でできることをちゃんとやり切っているかどうかということを、環境省がしっかり責任を持って、ほかの役所のけつをたたく、ほかの役所を激励することも含めて、是非やってほしいんですよ。言葉はちゃんと書いていますから、ちゃんと言葉に責任を持ってくださいよ。大臣は不可能を可能にする男なんですから。お願いします。

 そこで、一つの具体例を今日は挙げたいと思います。

 国交省が来ていますけれども、閣議決定されたエネルギー基本計画では、業務・家庭部門におけるLED、私、予算委員会でも言いました。どこだって入るような状況になっているLEDですよ、アンモニア混焼とは訳が違うんですよ。今既にそこにある普通の商品、LED照明について、二〇二〇年、フローで一〇〇パー、二〇三〇年、ストックで一〇〇パー、こういう記述がエネ基にはあるんですね。

 他方で、令和三年十月二十二日に閣議決定された地球温暖化対策計画には、LEDの、直轄国道に関して二〇三〇年度で三十万基。全体の基数は六十一万基ですよ。ちょっと細かい話ですが、具体例でやらせていただきます。すなわち、ストックベースでの達成率は五〇%というふうに読めるわけでございますが。

 何を言いたいかということですけれども、政府の取組に関して、自治体や民間の取組に比べてなぜこんなに目標数値が低いのかということを、国交省、御答弁ください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すことは政府全体で取り組むべき重要な政策であると認識しており、道路分野においても、道路照明のLED化等による道路インフラの省電力の推進等により、積極的に貢献していく必要があると考えております。

 既設照明のLED化は、光を発する光源部に接続する灯具等も全て交換するなどの対応が必要であり、光源部の交換のみの場合に比べ、コストがかかるところでございます。このため、既設照明のLED化につきましては、限られた予算の中で、灯具等の更新のタイミングで計画的に進めており、これまでの実績も勘案して、二〇三〇年度で、約五〇%の普及率に当たる約三十万灯を目標としております。

 国土交通省といたしましては、道路の低炭素化に向けて、コスト縮減を図りながら、引き続き、着実に道路照明のLED化を推進してまいります。

田嶋委員 大臣、今の御答弁は、国交省が自分たちのことだけを考えているあかしですよね。周りと比較せずに、自分たちは一生懸命やっている、最善を尽くしている、そんなことを言っているわけですけれども。

 国が掲げている、今申し上げたとおり、国は、二〇三〇年、ストックベースで一〇〇%と。これは別に政府の中だけの話じゃないんですよ。ストックベースで一〇〇%と言っているのに、国交省の肝腎の国道のライトに関しては、二〇三〇年、ストックベースで五割ですよ。目標の半分。

 平成二十八年五月に、政府実行計画というのは環境省が中心になって取りまとめて、政府自ら率先してと。これは世耕大臣が当時私が質問したときも言っていました。民間よりも先行して政府が率先するのは当たり前の話です。LED照明を導入する、そのため、政府全体のストックでの導入割合を、二〇二〇年度ですよ、五〇%以上とすると。二〇二〇年度でストックで五割、三〇年は一〇〇%、国交省だけが三〇年に半分と。こういうことが許されるわけがないと私は思うんですが、大臣、こういう認識はございましたか。おかしいじゃないですか、これは。

山口国務大臣 政府実行計画とそれから地球温暖化対策計画の中でのいろいろな数字があると思います。

 我々環境省としては、地球温暖化対策計画に基づく対策を毎年進捗管理していく中で、このLEDの道路照明についても、一層積極的に取組が進むように、国交省と連携して検討してまいりたいと思います。

田嶋委員 そういうほわっとした答弁じゃなくてですね。

 大臣、この資料の四を御覧ください。これが国交省が対外的に発表している数字なんですけれども、二〇三〇年で国道のLED照明は三十万基と書いてあるんですよ、この表の真ん中辺の下の方ですけれども。分母である全体は、日本中の国道の基数は六十一万基なんですよ。

 だから、私が申し上げたいのは、環境省が旗を振るんでしょう、この問題は。二〇五〇年カーボンニュートラル、一・五度C以内、環境省がどこの役所よりも先頭に立って。だったら、ほかの役所が自分の役所のことしか考えずにこういう変な目標を掲げてお茶を濁そうとしていたら、それはおかしいんじゃないの、この目標はおかしいんじゃないの、政府はもっと前向きに、民間よりも更に前向きにやるという計画があるんだからということを言わなきゃいけないんじゃないんですか。働きかけをしなきゃいけないんじゃないですか。

 対外的にこういうバランスを欠いた、矛盾した数字が表に出る前に、環境省が介入して国土省とちゃんと話し合って、目標数値を改めさせなきゃいけないんじゃないですかという質問なんですよ。どうぞ。

山口国務大臣 田嶋議員の後押しもいただいて、更に緊密に連携したいと思います。

田嶋委員 頑張ってくださいよ、本当に。

 定点観測を、LEDに関して三回目なんですよ、私。元々は、私の地元の千葉市で、一気に半年間で八割、千葉市の道路を全部LEDにしたんです。そのときに、リース方式をかませて、初期コストはゼロでやれたんですよ。毎年二億円以上、千葉市の財政を改善したんですよ。みんな喜んでいる。それを全国でやったらどうですかと提案したのが、もう今から七、八年前ですよね。国土交通省のそのときの国道のLED化率は一六%だったんですよ。今は三割ですから、何をやっているんですかという感じが本当にしますよ。

 やれない理由を挙げないでください。だって、民間含めてストックで百パーと言っているんでしょう。何で自分のところだけができないのという話ですね。

 だから、今日この問題を取り上げたのは、大臣、これから大変な八年間があるけれども、一番目の前で商品化されているLEDだってこのざまなんですよ。しかも、足下の政府がこのざまなんですよ。頑張っているいい自治体の例を全国に広げることを環境省が音頭を取ってやってほしいんです、そうしたら一気に広がるから。例えば、鳥取県の断熱のことを予算委員会でやりました。いい事例を水平展開する、横展開するということも私は環境省の大事な役目だと思います。

 是非、そうしたことを旗を振っていただいて、ほかの役所にできないことを山口大臣には期待したいと思いますが、最後に決意の御答弁をお願いします。

山口国務大臣 田嶋議員から、国民の意識の転換ということも含めて御指摘をいただいたと私は思っています。

 ヨーロッパ等と比べて、確かに我々はもう少し切迫感を持たなきゃいけないなということも感じる次第です。役所、民間、それから国民一人一人のそれぞれの意識転換を図る中で、是非、今激励いただいたことを踏まえて、しっかり頑張っていきたいと思います。

田嶋委員 地域と生活ですよね、キーワードは。あと国際と書いてありますけれども、地域と生活なんですから、大企業を相手にするだけじゃなくて、ちっちゃいけれども数の多いところというのは数字を上げるのが難しい、当たり前の話ですよ。ロングテールですよ、そこをやってほしいんです、しっかり、環境省には。足下の国交省、政府がこんなことをやっていたら駄目ですから。

 次回、また定点観測するところまでにしっかり改善していただいていることを御期待申し上げまして、質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございます。

関委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。今日はよろしくお願いいたします。

 私からも、まず冒頭、ウクライナで起きている大変痛ましい戦争について、心からお悔やみを申し上げますとともに、一日も早い解決に向けて与野党を超えて取り組んでいきたいと思います。

 先週末、我々立憲民主党は全国一斉で、ウクライナにおけるロシアによる侵略について、ウクライナを支援する募金活動を全国で行いましたが、私も地元でやりましたけれども、想像を超えるほどの金額が集まりました。これは、全国の仲間の議員に聞いても、本当にすごい、とんでもない額が集まったので、それだけ本当に日本人がこの時代、今このときに戦争が起きているということに強い憤りと深い悲しみを持っているということだと思いますので、政府を挙げて、そして我々国会でも与野党を超えてしっかり取り組んでいきたいと思います。

 それからもう一点、質問に先立って、今日は国際女性デーですね。

 ジェンダーギャップ指数が百五十六か国中百二十位という我が国、女性議員比率は百九十か国中百六十八位で、G7でびりです。環境委員会も一人も女性議員がいらっしゃらない。今日は加藤政務官にはおいでいただきましたけれども、たくさんいる議員の中でたったお一人ですよ、女性議員が。やはり、政府だけじゃありませんが、もうちょっとジェンダーギャップは環境問題とともに考えていかなくてはいけないことではないかなと思います。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 先ほど田嶋委員から質疑があって、最後の質疑、国民の意識をどう上げていくかという大臣からの御答弁もありましたが、まずこのことについて伺っていきたいと思います。

 二〇五〇年のカーボンニュートラル達成を始め、環境問題は本当に様々、喫緊の課題になっていて、環境省が大臣を始め真剣に取り組もうとしているということはよく分かります。我々もこれはしっかり取り組んでいかなくてはいけない課題だという強い重い認識をしているんですが、やはりここで大事なのは国民の意識をいかに上げていくかということだと思います。

 カーボンニュートラルも含めて、国際公約を守っていく、そういう側面ももちろん大事なんですが、プラスして地球環境を守っていくということですね、それも大事なんですが、この流れに我が国が主体的に取り組んでいくということが、これから日本の経済力や産業力にも本当に大きな意味を持つと思います。だからこそ、国民の意識を高めて我が国全体で環境問題に真剣に取り組んでいくということが、ひいては日本の産業力や経済力を維持して、国際協力を高めていくことにもつながっていくというふうに思います。

 様々な調査がありまして、例えば、二〇一五年、ちょっと前ですが、国連気候変動枠組み条約事務局を始め欧州の団体が共催で実施した、世界市民会議による七十六の国と地域の約一万人を対象にした意識調査というのがありまして、あなたにとって気候変動対策はどのようなものかという設問に対して、二〇一五年です、もう七年前ですが、世界の七十六の国と地域のおよそ六六%は、気候変動への対策を高めていくことが自分の生活の質を高めることにつながるというふうに回答しています。ドイツや、驚くべきことに中国でも六五%の人がそのように回答しているということです。

 一方で、日本は、自分の生活の質を高めるというふうに回答したのは僅か一七%、一方で、六〇%の回答した日本人が、生活の質をむしろ脅かすというふうに回答している。

 やはり、このギャップを埋めていかない限り、幾ら政府が真剣にやっても、なかなか環境問題は前に進まないのではないかと思います。つまり、日本ではまだまだ、環境を守っていくということは、自分の生活に負荷をかけてでも何かいいことをしようというような意識にとどまっているものだと思います。

 こうしたことを始めとして、まず最初に大臣に、このような調査結果も踏まえて、現在の日本国民の環境問題や気候変動問題に対する意識の実態についてどのようにお考えなのかをまず伺いたいと思います。

山口国務大臣 いろいろな調査がある中で、脱炭素については、国連開発計画、UNDPが、令和二年に危機意識に関する調査ということで、我が国では気候変動に対する危機意識は国際的にも高い水準にあるものの、緊急に行動すべきとの意識が欧州の国々と比較して必ずしも高くないという結果が出ているそうです。

 また、令和三年には、民間の調査では、脱炭素について知っているかということについて、言葉だけを知っている人を含めて約八割が知っていると答えている。

 一方で、日々の暮らしで脱炭素を非常に意識して行動している人は三・三%、ある程度意識している人を含めても約三割にとどまっているという現状だと思います。

 我々は、環境問題を我が事として意識できるかどうか。要するに、誰かがやるだろう、誰もしないんですね。それは、戦争を止めるときでも、第二次大戦前、誰かが止めるだろう、結局誰も止めなかった。それが今もいろいろな意味で起こっていると思うんです。

 環境問題についても、例えばプラスチックの話。私は、レジ袋についていろいろな意見がある中で、例えば、あれが細かくなって、マイクロプラスチックあるいはナノプラスチックになって、それが水の中で回収できないところまで細かくなって、魚がそれを食べて、我々が魚を食べたらそれが脳にまで来る。どうなるのかと。考えただけでも非常に不安になるところがあります。そういう意味では、我々の意識を変えていかないと、この話というのは全て。だから、レジ袋の話も意識を変えるという意味では私は非常に役に立っているんだというふうに思っています。

 その意味では、外国を見た場合に、グレタさんのような存在、我が事として、自分の行動として動いている。COP26のグラスゴーでも何人かの高校生の若い方々がおられて、私も直接お話しさせていただいたわけですけれども、彼らは我が事として意識している。そういう意味では、そういう人もいるわけですから、我々はその意識が共有できるように国民みんなに訴えかけていかなきゃいけないし、そのことが我が事として返ってくるんだ、そういうところを是非共有しなければいけないなというふうに思っています。

源馬委員 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。やはり、意識を高めていかなくてはいけないということなんだと思いますね。それをどうやってやっていくのかというところだと思うんですよ。

 今、レジ袋のお話もありました。レジ袋有料化、いろいろな声がありますが、私もこれは一つよかったことだと思います。

 ただ、それは、どちらかというと、環境のためにプラスチックのレジ袋を使うのをやめようと考えている人よりも、三円とか五円とかを払うのはばかばかしいからやめていこう、そういうことだと思うんですね。でも、それでもいいんだと思うんですよ、取っかかりは。

 特に日本人は、これは別の調査なんですが、例えば、日常生活において節電とか省エネに努めているという人は結構多いんですよね。これは、地球に負荷をかけないためにそうした省エネをしているんじゃなくて、やはり自分の懐が痛まないように、なるべく経済的な損をしないようにしていると思うんですが、一方で、例えば環境に配慮した製品を買うようにするとかという割合はまだまだ低い。

 繰り返しになりますが、取っかかりは私は経済的な損得でいいと思うんですね。これをどうやってもっと広げていくか。まだまだ私は足りないと思います。特にカーボンニュートラル二〇五〇年に向けてやっていくには、もっとこの意識を高めていかないと。

 カーボンプライシングの話もありました。こういうことも恐れずにやっていって、環境に配慮した生活にシフトしていかないと我々自身が損をしてしまう、そういうところも含めて、やはりもっと国民の意識を高めていかなくてはいけないというふうに思います。

 そこで、繰り返しになるかもしれませんが、どのようにその意識を高めていくつもりなのか。例えばグリーンライフ・ポイント制度とかをやるというふうに伺っていますが、具体的にどうやってやるのかも含めて、今後の取組を伺いたいと思います。

山口国務大臣 今触れていただいた、令和三年度補正予算でお願いさせていただいたグリーンライフ・ポイント事業、環境配慮製品あるいはサービスの選択等といった消費者の環境配慮行動に対して、企業や自治体等がポイントを発行する取組を支援し、拡大していくものです。額的にも百億円余りという、非常にまとまった額でお願いさせていただいたわけです。

 それに先立ってゼロカーボンアクション30というものも取りまとめて、そういう意識というものを訴えているところです。

 私も、今、業界ごとにも、カーボンプライシングのことも念頭に置いて、鉄鋼業界あるいは石油業界、電力業界、これからまたいろいろな業界に話をするんですけれども、一つ、心の中であるのは、あるいは時々現実に言及もしているんですけれども、ダーウィンの進化論なんですね。何で大きくて強い恐竜が滅んで、小さい哺乳類が生き延びたのか。やはり、大きいものが残るんじゃなくて、強いものが残るんじゃなくて、自分を変えられるものだけが生き残っていく、それがダーウィンの進化論の真髄だと思います。

 その意味で、鉄鋼業界やいろいろな業界が今努力しておられる、そのことに対して自分を変える努力をしておられるのであれば、やはり国としてもそれをサポートしていきたいし、そういう意識を国民全般にも共有してもらって、そしてそのことが、日本が生き延びるどころか、これから更に繁栄していくという道筋につながればなという思いで今関わっているところです。

源馬委員 参考人で結構なんですが、グリーンライフ・ポイント制度とかライフスタイル転換促進事業、このことについての、具体的にどんな中身をやる予定なのか、分かる範囲で教えていただきたいと思います。

 例えば、いろいろなポイントを付加して得になるような制度というのも、これも一つのインセンティブが働くものだと思うんですが、例えばマイナポイントとかでもまだスマホを持っている人の五一%しかやっていないんですね。割と結構なポイントがつくと思うんですけれども、それでも五一%しか浸透していない。

 一方で、レジ袋は、たった少しの金額ですけれども、もったいないと言って、ほとんどの人が今までのようにレジ袋を使うようなことはしなくなっていると思うので、非常にどうやってインセンティブを働かせるかは難しいとは思うんですが、まず具体的な取組内容を伺いたいと思います。先ほどのグリーンライフ・ポイントとライフスタイル転換促進事業についてお願いいたします。

 なければ結構です。いかに国民の意識を高めていくかというところを引き続き、まあ、企業とかは割と取り組みやすいと思うんですよ。ただ、国民一人一人の意識をどう高めていくか、これが本当に大切なことになると思いますので、是非引き続きの御検討をお願いしたいと思います。

 それから、炭素生産性についても伺っていきたいと思います。

 同じ量のCO2排出の中でどれだけのGDPを生み出せるかという炭素生産性ですが、かつては我が国は世界二位の炭素生産性を誇っておりましたが、二〇一四年、これも少し前の調査ですが、二十位まで落ちている。この三十年間に日本が付加価値を加えることができなかったのか、温室効果ガスの排出削減がうまくいかなかったのか、あるいはその両方なのかということがこの背景にあると思うんですね。

 他国に炭素生産性で後れを取っている現状についての大臣の認識と、これからどういうふうに高めていくお考えなのかを伺いたいと思います。

山口国務大臣 分母が炭素投入量で分子がGDPということであれば、今、二〇一四年の数字をお示しいただきました。そういう意味では、二〇一一年の東日本大震災というものが関係しているかもしれません。その前、我々の炭素生産性というものは世界最高水準だったものが、電力部門からの排出増加ということ等によって主要国と比べて低い水準となりつつあるようです。

 炭素生産性を上げていくために、まず分母の炭素投入量をどうやって減らすか。そういう意味では、自然エネルギー、再生可能エネルギーというものを増やしていく。もちろん、議論的には、原発の話の議論も可能性としては言われるかもしれません。他方、上の方についてはイノベーションということだと思うんですね、GDPをどういうふうにと。

 そういう意味では、一月十八日に岸田総理の下で、萩生田経産大臣と私とで経済社会のグランドデザインの道筋の全体像を示していくようにということも言われました。そういうことでもって温室効果ガスの排出削減と経済成長を同時達成する、そういうこれからのグランドデザインをどうしても明らかにしていく必要があると思っています。

源馬委員 ありがとうございます。

 次に移りたいと思います。太陽光発電について伺っていきたいと思います。

 先ほども田嶋委員から御指摘があったとおり、メガソーラーとかがいろいろな問題をはらんでいる面もありますけれども、太陽光発電の在り方について伺っていきたいと思います。

 二〇三〇年の電源構成における再エネの比率、これを事前に教えていただきましたけれども、その中でも特に太陽光の占める割合というのが大きく見積もられていると思います。二〇二〇年現在では七・九%である太陽光発電のシェアが二〇三〇年では一四から一六%になる、こういうふうに見込まれていると思います。ほかの例えば風力や水力、地熱、バイオマスなんかの見込みを足し合わせて再エネの電源構成比というものを積み上げているというお話でございました。

 二〇三〇年はそのような見積りなんですが、果たして二〇五〇年のカーボンニュートラル達成のときにはどういう見込みを見立てているのか。事前のレクでは、そういうものは今はないというお話でしたけれども。やはり他国のようにもう少し、二〇五〇年はそんなに遠い未来ではないので、やはり、そこまでも道筋をもう少し考えていくべきではないかというふうに思います。

 特に、太陽光発電について二〇五〇年にどうなっていくというふうに国としては考えているのか、これは経産省だと思いますが、電源構成比の見積りを教えていただきたいと思います。リードタイムが短くて設置場所が意外と柔軟だ、先ほど取り上げられた問題もありますが、一方で、平地が減少しているとか、地域の理解が大切になるという難しい面もあるという中で、二〇三〇年では今より倍増していくと。二〇五〇年にはどのような見込みを見立てているのか、はっきりした数字じゃなくてもいいですが、どんな方向性を見立てているのか、教えていただきたいと思います。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルに向けまして、SプラススリーE、すなわち、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスを取りながら安定的で安価なエネルギー供給を確保することが重要でございます。一方で、SプラススリーEの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在しないこと、あるいは今後の技術革新の不確実性などを踏まえまして、現時点では、委員の御指摘がございましたけれども、二〇五〇年のあるべき電源構成はお示ししていないという状況でございます。

 こうした中で、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けまして、太陽光や風力などの再生可能エネルギー、原子力、水素、CCUSなど、あらゆる可能性、選択肢を追求してまいります。特に、太陽光などの再生可能エネルギーにつきましては、最大限の導入に取り組むことが政府の基本方針でございます。この方針に基づきまして取組を進めてまいります。

源馬委員 はっきりした数字は別に私はここの場で示していただかなくてもいいと思うんですが、どういうふうになっていくかという、ある程度の青写真は示していただきたいなと思います。

 事前に伺ったところによると、二〇三〇年になぜこれだけ太陽光の割合が多いかというと、リードタイムが短くて設置場所が柔軟だから。なるべく早い段階では太陽光を促進していって、その後には洋上風力だ、ちょっと大がかりな、時間がかかるものに切り替わっていくだろうみたいなお話が少しありましたが、そういうことでよろしいですか。ちょっとした、数字じゃなくても結構なので、方向性を示していただきたいと思います。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、コストが相対的に安くて設置にかかる期間が短い太陽光はやはり有望分野の一つだというふうに考えます。また、欧州で導入が拡大してございますし、コストも十分に低減している洋上風力、これにつきましても導入の可能性が非常に高いというふうに考えてございます。

 こうした太陽光や洋上風力あるいは地熱といったものはグリーン成長戦略の中でも重要分野として位置づけられてございますので、こういったものが相当有望であろうというふうには考えてございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 そうなってきたときに、太陽光の使用が減ってきた場合に、使い古した設備とか施設がそのまま残ってしまうということも懸念されることだと思います。特にメガソーラーなんかは、先ほども取り上げられていましたけれども、あれがあのまま残ったりしたらすごく大きな問題になると思うんですね。設置場所というのは、柔軟で自由が利くとはいえ、やはりいろいろ考えていかなくてはいけないことだと思います。

 報道でもあったとおり、国交省は、今日は政務官に来ていただきましたが、新幹線の線路ののり面とかを活用するということを検討しているのか検討を始めたのかということだと思いますが、これはある意味景観を壊すわけでもなく、人工物の上に造るわけなので、非常に私は理にかなっているのではないかなというふうに思います。

 まず、その点について国交省が現状でどういうふうに検討されていて、今後の実現の可能性とか、あるいは課題なんかがあれば教えていただきたいと思います。

加藤大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 カーボンニュートラルにつきましては、ただいま政府全体として二〇五〇年の実現を目標としている中、鉄道分野におきましても取組を加速化させていくことは大変重要な課題だというふうに認識しております。

 去る三月四日に国交省の方でも、今委員の御指摘のとおり、有識者や鉄道事業者等から成る検討会の方を立ち上げました。名前は、鉄道分野におけるカーボンニュートラル加速化検討会と称しております。鉄道用地を活用した太陽光発電の拡大も含めまして、幅広い取組についてこちらの検討会で検討していくこととしております。

 今後、この検討会における議論を踏まえて、関係省庁とも連携をし、鉄道分野での取組が進むよう、国交省としても検討を進めてまいります。

源馬委員 ありがとうございます。

 これは大岡副大臣にも是非伺いたいんですが、私、大岡副大臣とは静岡県議会の当選同期でありまして、たしかその県議時代だったと思うんですけれども、ちらっと立ち話でそういう話をしたことを覚えているんですよね、新幹線ののり面に太陽光パネルを造ったらどうなんだろうというお話をしていたのを。何となく記憶に残っているんです。特に、静岡県というのは日照時間も長いわけで、東海道新幹線のところはすごく可能性があると思うんですが。こういったことを含めて、環境省としてどうなのか、あえて大岡副大臣に伺いたいと思います。

大岡副大臣 同期の源馬議員にお答えをいたします。

 先ほど来御指摘いただきましたとおり、国土交通省の検討会にも環境省はオブザーバー参加をすることとしております。

 あわせまして、源馬議員御指摘のとおり、特に静岡県地域は新幹線が東西に通っている、つまり、のり面は全て南側を向いている、遮音壁もあるということで、恐らくポテンシャルは高いものと思います。

 そのほか、鉄道業界に対しても、鉄道事業者は非常に可能性が高いと考えておりまして、例えば、九州であれば南側で大量に再生可能エネルギーが発生するので、例えば鉄道事業者が南側から電力を買っていただくとか、あるいは、鉄道敷は、両側が空いていたり、あるいは元々複線を予定していたけれども単線しか張られていなかったりすると片線分空いていますので、こちらで再生可能エネルギーを送電していただいたりとか、いろいろな可能性があると思いますので、引き続き、様々な知恵出しをして一つ一つ形にしてまいりたいと考えております。

源馬委員 是非、国交省に任せっ放しじゃなくて、環境省も力を入れて実現に向けて頑張っていただきたいと思います。

 それから、プラスチック資源循環政策について続いて伺っていきたいと思います。間もなく施行予定のプラスチック資源循環政策ですね。多くのCO2を排出するプラスチックをより減らしていくことというのが求められております。

 本当に間もなくですが、四月以降、施行されてからプラスチック資源をめぐる政策というのはどのように変わっていくのか、伺っていきたいと思います。

山口国務大臣 今年の四月一日に施行されるプラスチック資源循環法は、製品の設計段階から廃棄物の処理に至るまでのライフサイクル全般で、あらゆる主体によるプラスチックの資源循環の取組を促進していくものです。

 具体的に、設計・製造段階では、環境配慮設計に関する指針を策定し、指針に即した製品を国が認定する、販売・提供段階では、使い捨てプラスチック十二品目を提供する小売・サービス事業者等にリデュースの取組を求める、排出・回収・リサイクル段階で、家庭や事業所から排出されるプラスチック資源として回収、リサイクルしていく、そういうこととしています。

 十二品目について、いろいろ工夫をされるということなんですけれども、今日ちょっとニュースで、有料化はしないとコンビニエンスストアが言っているということで、ただ、例えば、バイオ由来の代替素材を三割混入させるとか、あるいは、スプーンとかフォークの柄の部分をごそっと削ってプラスチックの使用量を少なくするとか、いろいろな工夫はしていただくようなので、プラスチック資源循環法が施行されるということで、意識の転換、あるいは具体的な工夫が促されるということだと思います。

源馬委員 今お話のあった使い捨てプラの十二品目について、今コンビニのお話を教えていただきましたけれども、どのぐらい実際にそれぞれ削減されていくというふうに見込んでいるのか。繰り返しになりますが、レジ袋は割と意識が変わったと思うんですよね。新たな十二品目についてはどんな変化が起こりそうなのか、今のところの見込みで結構なので教えていただきたいと思います。

山口国務大臣 ワンウェープラスチックというふうに呼ぶとすれば、その削減は、世界全体としてプラスチックごみ問題に取り組む上で欠かせない対策だと思います。

 プラスチック資源循環法では、先ほどの十二製品を対象として、代替素材への転換などの使用の合理化の取組を提供事業者に求めることとしています。

 その取組は様々なんですけれども、ただ、削減量がどれぐらいになるかということを一概にお答えすることは必ずしも容易ではないなというふうに思います。

 国内の廃プラスチック排出量約八百万トンに対して占める割合で見ると約十万トンということで、必ずしも大きいとは言えないわけですけれども、ワンウェープラスチックが過剰に使用されることがないよう法律を施行していくことが大事だと思っています。

源馬委員 我々は、昨年の五月にプラスチック廃棄物削減推進法案というのを出しました。残念ながら成立できませんでしたけれども、四月から施行される法律に比べて、プラスチックの使用自体をもっと厳しく減らしていこうと。循環だけじゃなくて、そもそも製品を作るところを減らしていこうということがやはり大事だと思うんですよね。このことについてはまた今後も取り上げさせていただきますが、やはりその部分の中身がちょっと今回の法律では足りないのではないかというふうに思います。

 もう一つ足りないのは、熱回収ですね。この法律では、プラスチックを焼却して、それで得られた熱エネルギーを利用する熱回収を再資源化と定義していて、これも度々議論になっていますが、リサイクルしているように誤解されかねないと思うんですよ。本来は利用そのもの、製造そのものを削減していかなくてはいけないのに、この熱回収を残してしまっているということが非常に大きな、残念な点だと思います。

 このことについての、もう成立している法案ですが、改めて大臣の認識を伺いたいと思います。熱回収もゼロにしていくべきじゃないか、本来は。熱回収について伺いたいと思います。

山口国務大臣 熱回収というものが、確かに、循環型社会形成推進基本法では、三R、すなわちリデュース、リユース、リサイクルの順番に取組を行って、なお難しい場合には熱回収ということになった。順番としては、どうしても三Rが難しいときにということになっていて。

 プラスチック資源循環法においても同じように、まずリデュース、リユース、リサイクル、リサイクルが難しいものについては熱回収。そういう意味では、リサイクルについても実施して、それだけでは難しい場合に、可能な限り効率性の高い熱回収によるエネルギー利用を図るということを求めているんですけれども。

 私も、熱回収というところが一応入っているけれども、できるだけそういうところでないように、その前の段階で三Rについて、プラスチックについてはそういうふうにしていかなきゃいかぬなというふうには思います。ただ、法律の中では確かに、熱回収というものが、どうしても難しい場合にはそういうことで決められているというたてつけです。

源馬委員 是非、ここも引き続き議論をしていきたいと思います。

 最後になりますが、分別回収するときも自治体にかなり費用的な負担もかかると思うんですけれども、このことについてどのように国が支援を行っていくのか。一部報道では、地方交付税によって手当てするというような報道もありましたけれども、地方に与える負担というのをどのように国の支援でサポートしていけるのか、その辺りを教えていただきたいと思います。

関委員長 山口大臣、申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

山口国務大臣 はい。

 プラスチック資源循環法では、市町村がプラスチック資源の分別収集、リサイクルに取り組む努力をするという義務を有しています。

 そういう意味では、そういうことを前提としながら、来年度から、プラスチック資源の分別収集の実施を循環型社会形成推進交付金による支援を受けるための要件として市町村の取組を後押しするほか、来年度から、市町村が実施するプラスチック使用製品廃棄物の分別収集及び再商品化に要する経費について特別交付税措置を講ずることとしています。

源馬委員 ありがとうございました。

 終わります。

関委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 皆様、こんにちは。立憲民主党、福島県出身の馬場雄基です。

 前回、衆議院の予算委員会の分科会にても環境省の皆様に御質問させていただきまして、本日が二回目の御質問ということになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、私は、責任ある未来を築くために今何をしなくてはならないのかということ、そこに全集中して質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 二〇五〇年、ここは、今から生まれてくる子供たちは二十八歳になる年です。私が今二十九歳ですので、ちょうど同じ頃の年になるというふうに思われます。そのときに、私ぐらいの年になったときに、この国に生まれてよかった、そしてこの社会に生まれてよかったと本当に思える社会を築くには何が今必要なのかということがまさに問われている、そして、それは環境省というまさにこの一つの省庁が大きく役割を果たすべきときだというふうに思っています。

 ここまでの、今まで、笹川議員そして田嶋議員、源馬議員、全ての皆様の議員の言葉にもあったと思います。環境省が今大きく変わるとき、まさにその願いを込めて、私も集中してこの時間に臨ませていただきたいと思っています。

 まず冒頭、ロシアによるウクライナ侵略について、私からも環境という切り口から大臣の御所感を伺いたいと思います。

 皆様も同じだと思いますが、私も当然、ロシアにもウクライナにも友人がいます。心配で仕方がありません。しかし、侵略行為そのものは断じて許されるものではありません。一九七二年、ベトナム戦争中のことでもありますけれども、当時のスウェーデン・パルメ首相は、戦争こそが最大の環境破壊という認識も示されていました。

 今はいかがでしょうか。パイプラインを破壊されて黒々と昇る黒煙、あるいは、原子力発電所施設の中で火災が起こる。貴い命が次々と奪われていく中で、つらい気持ちになりますけれども、それと同時に、SDGs、この世界観とかけ離れた方向に向かっているのではないかと危惧しています。今、ロシアを止めることができるとするならば、様々なチャネルから、ロシアが自ら起こしている矛盾について我々が指摘していくことではないかというふうに思うわけです。

 山口大臣、自然保護という観点において、現在のウクライナの現状について、是非御所感をお願いいたします。

山口国務大臣 馬場議員の言われるとおり、戦争に対してはいろいろな言葉が残っているわけですけれども、アメリカの憲法起草者の一人が、よい戦争というものはなかった、悪い平和もなかったと。ここが一つのポイントですね。

 先ほどおっしゃられた対話のチャネル、外交官で処理できなければあとは軍人の仕事になってしまう、今、軍人の仕事になっているようにも見えますけれども、しかし、外交官のチャネルあるいは外交のチャネル、それがやはり必要ですね。

 日本も、戦争の終結に向けていろいろと工夫したのが太平洋戦争の歴史から残っているわけですけれども、やはり、あれがきちっと機能していれば原爆を落とされることもなかったかも、いろいろな、ればたらの話はあります。でも、今おっしゃられたように、戦争というものがとにかく絶対悪だ、これは人類に対する悪だという観点は我々政治家一人一人が発信していって、ロシアの人はみんながみんなプーチンさんのようじゃないと思います、いろいろな意味で違う国だと思いますけれども、ロシアに対して、あるいはプーチンさんに対してはそういう発信をすることが非常に大事なんだろうと思います。

 そして、自然環境にも甚大な影響を及ぼす。私も今、画像でしか見ていません、現地に行っているわけではないんですけれども、相当な破壊が行われているということは一目瞭然です。

 そういう意味では、環境汚染、しかも核の話まで、原発に、これからどういうふうになるかということも含めて非常に心配ですね、胸が痛みます。それから、核のボタンをどうのこうのという議論までしているというのは、核抑止戦力を、態勢を非常に上げているというのは、これは人類にとってある意味では見過ごすことができないような話ですから、環境汚染の最たるものということも含めて、これは絶対に許してはいけないことだというふうに思います。

馬場(雄)委員 山口大臣、ありがとうございます。

 今まさに大臣の御答弁の中にありましたけれども、本当に今は対話と外交の時代であるというふうに思っています。憎しみや軍事の世界では決してないというふうに思っています。

 また一方、原子力災害というもの、あってはならないですけれども、もし万が一、世界のどこかでそういったことが起きてしまうとするならば、私たち日本にある教訓というものは生かしていくべきものであるというふうにも思っています。

 だからこそ、起きてほしくはないですけれども、そこに対する備えというもの、環境省さんの所管でもありますけれども、原子力規制庁、そういったところからもしっかりと準備を重ねていく、平時のいわゆる備えというものも大切になると思いますので、ウクライナに対する心からの祈りを私もささげますけれども、その準備を我々はしっかりと整えていきたいというふうに思っています。

 それでは、中間貯蔵施設について伺わせていただきます。実は、先日、予算委員会分科会の中でもこの点について取り上げさせていただきました。

 繰り返しになりますけれども、私は、学生時代、十八歳のときに東日本大震災を経験しています。

 実は、三月四日に復興特別委員会が開かれた際、黙祷がございました。そのときに思ったことですけれども、三・一一のときから、そして今まで本当に多くの方々が我々のような当時全く力のなかった人間たちを支えてくださったということを改めて思いましたし、感謝の気持ちでもいっぱいです。だからこそ、これからの未来に対して責任ある今とは何なのか、しっかりと、国際的知見に基づいて、事実を丁寧に丁寧に積み重ねて私は進めていきたいというふうに心から思っています。

 以前伺ったことでもございます。環境省さんに改めて伺います。風評被害を起こさないためにも、中間貯蔵施設に集めた土壌に対して今、その事実ですよね、国際的知見が得られている状況であるのか、政府による検証というものがあるのかないのか。あのときは定かな答えをいただけていなかったというふうに認識しています。もう一度お示しをお願いいたします。

室石政府参考人 お答えいたします。

 中間貯蔵施設に、まさに今、土壌が集められております。そういった土壌に関して、今後、再生利用を進めていきたいというふうに考えております。もちろん、県外最終処分を見据えたものでございますけれども。それの安全性につきましては、国内におきまして、最終処分量を低減するために、二〇一六年に策定した技術開発戦略及び工程表に沿って、減容化に関する技術開発や再生利用の実証事業などを進めておるところでございます。

 そのために、国内の放射線安全等の学識者から成る検討会において専門的な知見を得ながら取り組んでいるほか、対話フォーラムの開催を始めとして、理解醸成に取り組んでおるところでございます。

 また、そういったことを進めておりますけれども、委員御指摘の国際的な理解や評価を得ていくことが大変重要であるということは認識しておるところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 もちろん、対話のフォーラムについては、私も昨年行われていたことを承知しておりますけれども、国際的知見を得られた検証というものはないという理解で当たっていますか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもはIAEAなどと一緒になって専門家会合等で議論をしておるところでございますが、そもそも三・一一の事故というもの自体が、チェルノブイリという類似例はございますけれども、放出された核種等、全然別のものでございますので、そういう意味では日本独自の事故であったというふうにも思えますので、その再生利用に使うべき土壌の安全性の評価ということについては、これまで国際的な定見というのはなかったというふうに思っております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 前回伺わせていただいたときには、IAEAの経過報告というか、そういうふうな議論もありますというふうに言われていたと思います。

 実際、IAEAの統合報告書、今恐らく作成途中だというふうにも思うんですけれども、これまでどのような議論がそこであり、再生利用について、そこで議論になっていたのか、いないのか、その点について改めて確認をさせてください。環境省さん、お願いします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 IAEAの方で統合報告書を作成中であるということは、御指摘のとおりでございます。

 これまで、国際原子力機関、IAEAとは計四回、専門家会合を連携して開催させていただいておりまして、除去土壌の再生利用を含めて、環境省が取り組んできた環境再生事業などについて幅広く議論をしております。第三回の会合では、南相馬の東部仮置場で実施した再生利用の実証事業について、IAEAの専門家によって視察もしていただきました。

 報告書につきましては現在、最終的な統合報告書のドラフトが作成中だというふうに認識しておりますけれども、それについては現在、IAEAの内部で調整中というふうに認識しておりまして、その中身については、詳細については承知しておりません。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 再生利用について様々な議論が行われていることは、私もそれは信じていたい部分ではあるんですけれども、例えば、その部分について、賛成等の議論が多いのか、あるいは、より検討すべきことが多いのか、そういうふうな議論の過程というものはどのようなものであるのか、今現時点でお答えできるものはございますか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、国際会議などにおきまして議論をしてきております。例えば、イギリス、フランスなどと二〇二一年、昨年に会議を持っております。

 これは、イギリスは第十回の日英原子力対話、それからフランスの方は原子力エネルギーに関する日仏委員会第十回会合でございまして、こうした場で環境省から除去土壌の再生利用の考え方や実証事業などについて紹介をいたしておりますが、相手国の方からは特段御指摘はなかったというふうに聞いております。

 それから、IAEAの方とは、第三回の専門家会合におきまして、先ほども申し上げましたが、南相馬の実証事業について視察をいただいた上で、IAEAの方からは、この実証事業によって市民の理解が深まり、よりよい意思疎通が図れるものと確信されるという御指摘をいただいたものと受け止めております。

 それから、もう一点、利害関係者との効果的な連携が必要ではないかという指摘もいただきました。

 この二点目の指摘につきましては、現在行っている飯舘村の長泥地区再生利用実証事業におきまして、地域住民も含めた会議体を設置し、定期的な進捗報告を行うとともに、事業についての御意見をいただくといった形で生かさせていただいております。

 また、長泥地区の実証事業の現状については、対話フォーラムで紹介するなどで全国的な発信も行っているところでございます。

 今後とも、IAEAを始めとする国際会議からの御指摘も踏まえながら、再生利用等の取組を進めてまいる所存です。

馬場(雄)委員 度々ありがとうございます。

 今ちょうど、資料を今日はお持ちをさせていただかなかったんですけれども、IAEAの報告書の中に、再生利用は推奨するというふうに書かれていた文言が、たしか、環境省さんが用意されている資料の中で、パワーポイントの資料だったと思うんですけれども、あったと思います。しかし、それには前文があったはずなんです。安全な基準を定めてというようなものがあったと認識をしています。

 つまり、今、日英あるいは日仏、様々な国際的な議論がされていることは今の御答弁からも推測できることではあるんですけれども、具体的なそういった基準というものは現在存在はしていないという理解で当たっていますか。これは国際的知見に基づいたものの質問になります。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 再生利用に関します具体的な基準については、現在検討途上でございまして、作成はまだしておりません。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。検討途上、つまり、まだないということの御答弁だったというふうに思います。

 ここからは、言葉尻を取った話合いをしたくないんですけれども、是非慎重に議論を進めていただきたいという願いを込めたお話をさせてください。

 参考の資料の一枚目ですね、山口大臣がお話ししてくださっている、三月六日、これは地元新聞のものになります。「除染廃棄物の県外最終処分地選定」というところのものでございますけれども、その中に実際、三月六日の記事でありますけれども、いかに安全かということを地道に発信していくという山口環境大臣のお言葉が実際書かれています。

 この記事がそもそもまず正確かどうかということの観点もあるわけですけれども、世界的に例を見ない、これはもう今までの議論の中でもあったと思います、世界的に全く例を見ない、かつ繊細な、そして今だけではなく未来に関わってくる、本当に大きな難しい課題だというふうに思っています。今、根拠というものがない中で、安全というふうに言うにはいささか早過ぎるのではないかというふうにも思いますし、無駄な分断は生みたくないというのが正直な感想です。国際的知見が整理されていないならば、安全と言い切る環境は整っていません。

 原子力発電所の事故はなぜ起きたのか、もう一度私たちは考えなくてはならないのではないでしょうか。安全神話の上に成り立っていたというふうに私は理解しています。その教訓を生かさなくてはならないです。不用意に安全という言葉は使うべきではないですし、目標達成に向けて今進んでいく中において、この言葉は恐らく分断を生み出しかねない言葉になってしまうというふうに思います。私自身は、事は前に進まなくてはいけないと思っていますが、無駄な分断だけは生み出したくありません。

 本課題の責任者である山口環境大臣、この状況でもなお、今ある状況だけで、再生利用は日本国民にあるいは世界に向かって安全であると言い切りますか、御質問。お願いします。

山口国務大臣 飯舘村の長泥地区、私も行かせていただいて。一般の食品の基準というのは百ベクレル。二十ベクレル以下は測定が難しいと言われています。他方、あそこでの野菜あるいは作物は〇・一ベクレル、最高でも〇・二五。したがって、百ベクレルからはずっと低いどころか、これは安全です。まだ帰還困難区域ですから、これは売れません。でも、徐々に外していきます。

 そういう意味で、まだ売れませんけれども、それは帰還困難区域の中でやっているから売れないだけのことであって、数値的には、全世界に向かって安全であるというふうに言い切れます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 国際的な知見に基づいたものがない中で、自分たちのデータだけでやってしまうというのは私はいささか乱暴ではないかと思います。

 国内の議論があるのはもちろん承知の上、私も何度となく様々な技術者の方々とお話をしてきました。しかし、我々あるいは日本政府そのものがこれは安全である安全であると言ったとしても、風評被害というものはそういうものではなくて、世界的にどう我々が評価されているかというのが極めて大事な話になるのではないでしょうか。だからこそ、国際的知見に基づいた確かな情報、これはセカンドオピニオンも必要だと思います、様々なことを通して、そこから見えてくるデータをしっかり積み上げていくことが私は大切だというふうに思っています。

 その点において、国際的理解、知見に基づくその評価、検証を今後行う必要性が私はあると思いますが、山口環境大臣、方針を、是非御答弁をお願いします。

山口国務大臣 国際的知見、その点では、馬場議員と私はそんなに違わないどころか共有するものです。

 日本の専門家の人たちは世界のトップレベルです。そういう意味では、他方、第三者的な意見もきちっと踏まえたいということで、IAEAとの専門家会合を既に四回続けているわけですね。そこでの議論というものは報告書で出てくるわけですけれども。

 私が先ほど申し上げた〇・一ベクレル、〇・二五です、最高のものでも。二・五と言ったかもしれません、〇・二五です。一般の食品の基準というのが百ベクレル以下。そういう意味では、これはもう、事実の話ですから、何も作り上げたもの、あるいは仮説のものではありません。

 失礼、私が先ほど〇・一から〇・二五と申し上げたのは、〇・二五ではなくて二・五ということです。ここは数字の正確さで。この〇・一から二・五というのは事実ですから、そういう意味では、それは誰が見ても最高で二・五です。その意味で、国際的知見ということで、IAEAあるいはいろいろな専門家ともいろいろ協議を重ねながら、それを共有して、そして、このことに対する安全性の評価というものを確立していきたいというふうに思います。

 一つ一つの着実なステップなんですけれども、やはり風評被害というのは我々がデータを示すことによってしか解決できませんから、そういう意味では、〇・一、それから一番高いやつで二・五、この辺がデータとして一番客観的なものであろうと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 言うならば、数字自体は、私も元々銀行員ですから、数字自体は絶対的なものだというふうに思っていますし、それは認めていきたいと思うんですけれども、管理された空間の中で取ってきているデータですので、逆に、そこに異常があれば、やはりそれはおかしい状況でもあるというふうに思います。

 前回質問させていただいたときも、管理責任について私も問わせていただきました。

 資料の二枚目、新聞記事の裏のものにもなりますけれども、極めて管理責任というものは、しっかりと把握し、適切にデータを取っていかなくてはならない、これは山口大臣と私も全く同じだというふうに思っています。これは、朝日新聞デジタルの三月三日の記事になります。汚染された土や廃棄物の一部が法令で定める中間貯蔵施設に搬入できなくなっていると記されています。その理由そのものは、除染後の現場保管が長引いて、そして土地に住宅が新築されるというような事例があるということになっています。

 やはり、管理というものは繊細な問題だからこそ、しっかりとやっていかなくてはならない課題です。この事実が本当にあるものなのか否か、まず環境省さんに伺わせてください。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県による公表値によれば、市町村が行った除染により生じた除去土壌につきまして、二〇二一年十二月末現在で一千七か所の現場保管が残っておるということでございます。これは、困難かどうかというのを区別せずにカウントしたものだと承知しております。このうち、一部の保管場所において保管中の除去土壌等の搬出が困難となっているという事案があることは事実だというふうに承知しております。

馬場(雄)委員 この問題がもし事実であるとするならば、なぜこういうふうな問題が起きるのか。管理というものは極めて大切です。今進んでいらっしゃるその再生利用というもの、これも結局、最終的には管理の問題になります。今あるだけではなくて、未来に対してどうしっかりと管理体制を整えていくのか、そういったものも極めて重要に感じる問題であるというふうに私は認識しています。

 今現時点で、震災から十一年目の節目を迎える今このときに、既に仮置場でこういうことが問題になっていることはゆゆしき事態ではないかというふうに思います。

 山口環境大臣、この問題について、その教訓、あるいは今後の方針について、是非御答弁をお願いします。

山口国務大臣 飯舘村の長泥地区の話とこの話とはかなりちょっと性質が違うので、分けて考えたいと思います。

 飯舘村の長泥地区での作業というのは、再生利用の土をまず、それからその上に覆土してということで、かなりそういう意味では厳重の上にも厳重にやっています。私自身も、それを見て、安全に行われているなというところを感じた次第です。

 先ほどからの、福島の除染事業により生じた除去土壌等が保管場所から搬出困難となっている事案、例えばうちが建ってしまったとかということもあるんでしょう。これについての責任者は誰かという話ですけれども、現場保管されている除去土壌等については、土地所有者の意向等により速やかに搬出できない場合も多いと聞いています。このため、環境省では、福島県あるいは関係市町村に対して、搬出が困難となっている事案の状況を適切に把握するようお願いするとともに、土地所有者に連絡が取れない場合の法的な対応方法の助言など、早期解消に向けて必要な協力を行っているところです。

 また、除去土壌等の搬出が可能となった場合には、環境省が、速やかに中間貯蔵施設へ輸送できるよう、関係市町村と連携して対応することとしています。

 今後とも、福島県あるいは市町村と定期的に最新の情報を共有しながら、除去土壌等の処理に向けて適切に対応していきたいと思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 そうすると、今回のこの問題は、管理に関して県と環境省との連絡系統の曖昧さがあったという認識で、私の理解は合っていますか。もう一度お願いします。

山口国務大臣 責任者は県と関係市町村です。環境省は、それに対して、お願いをしたり、あるいは助言をしたりする立場です。

馬場(雄)委員 だとするならば、県とそして基礎自治体に関してしっかりと、この問題が起きないように、再度徹底を依頼したいというふうに思います。

 今回のこの問題に関して、極めてまた分断を生みかねない問題だというふうに思います。これから、まさに再生土壌というものは、管理との戦いになってまいります。一人一人が安心して感じられる空間をつくれるか否か、基礎自治体、広域自治体、国、全てがしっかりと連携を取った上で、一つの方向性に導いていかなくてはならないというふうに思っています。だからこそ、もう一度その点について考えさせていただきたいというふうに思います。

 よく政府の言葉の中で出てきますけれども、福島の復興なくして東北の復興なし、そして東北の復興なくして日本の再生なしというようなお言葉がございます。この状態において、私はこれが達成し得ないんじゃないかというふうに思うんです。福島の復興というものそのものに、私はやはり、風評被害というものもございますので、国際的知見に基づいた丁寧な議論は必要だというふうに思います。

 そしてまた、管理責任というものもしっかり問われてくる。これは、お願いしているからというものではなくて、基礎自治体、広域自治体、国が連携しながら進めていく、一致した力というものを私は示す必要性があるというふうに思います。

 山口環境大臣、御一緒に考え、そしてそれを実践していきたいと私自身も思っています。未来に対しての責任を果たすために、私は皆様とともに一緒に動いていきたいというふうに思っております。

 続きまして、少しちょっと時間が参ってきましたけれども、カーボンニュートラル、脱炭素について伺いたいというふうに思います。

 そもそも、私たちの世代は、小学校の教科書のときから温暖化というものが問題になって、そして大きく取り上げていた問題でもございました。環境問題、そのことについて、温暖化対策の認識そのものは、日本国内中で認識され大きく広がっていたというふうに思います。しかし一方、各国は経済成長の中で抜本的に取組が進んでこなかった。その背景にどのようなことが考えられると今分析されているのか。山口環境大臣、御見解をお願いします。

山口国務大臣 環境問題、特に地球環境問題については、これはいわゆる資本主義が対応できなかった部分ではないかと思います。

 みんなが資本主義になれば幸せになると思い込んでいた。ところが、格差はできるし、それから、自分さえもうかればいい、自分さえよければいい、もうかりさえすればいい、今さえよければいい、こういうことになってくると、地球環境問題というのも出てきたのかもしれません。

 資本主義とそれから専制主義、どっちがいいのか、今そういう話も出てきているかもしれません。しかし、今、ロシアの動きを見ていると、専制主義でみんなが幸せになるというのも、ちょっとそれも説得力がなくなってきたなと。他方、民主主義の方でも、本当に我々が幸せになれるようにするには、やはり我々政治家が頑張らなきゃいけないわけですよね。

 そういう意味では、地球環境問題というのは、ある意味でこれまで資本主義が対応できていなかった部分、そこをもって岸田総理は新しい資本主義ということを言っているわけですね。

 我々は、その中で、環境省の役割的には、例えば、地域脱炭素の先行地域を決めていくとか、あるいは国民のライフスタイルの変革を推進するとか、そういう意味で炭素中立型の経済社会実現に向けた後押しということになるわけですけれども、もう一つ我々ができるのは、気候変動対策を所管する立場から、毎年の温室効果ガス排出量、吸収量の算定を通じた進捗の把握ということをやっているわけですね、要するに、インベントリーを作成する役割、その中でいろいろとチェックもしていくということになろうかと思います。

 なぜ遅れたかということに対しては、やはり、資本主義がそこの対応を必ずしもできていなかったという把握を、我々がやっと気づき始めて、その中でどういうふうに対応していこうかというのが今の段階ではないかと思います。全力で取り組みます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。本当に、今大臣のお言葉があったように、そのように私も全力で取り組んでいきたいというふうに思っています。

 資料にもあるんですけれども、今日はこの話はちょっと時間の関係上できなくなってしまうと思いますが、十八歳の意識調査についても書かれています。二〇五〇年カーボンニュートラルの実現可能性に対して、十八歳に対して聞いているものですけれども、分からない、不可能の割合が極めて高くなっています。これも、本人たちは言うならば四十歳ぐらいになる年の頃ですから、まさに社会の主役を担っている方たちが、なかなか今ここに対して理解が追いついていないというのが現状です。それについては、言うならば、皆さんに見ていただければあるんですけれども、具体性がないとか、あるいは政府への信頼が乏しいとか、そういうふうなものが問題になっています。

 国家戦略が今まさに求められています。我々議員は、今までの一人一人からも言われていましたけれども、環境省さんがリードし、そして他省庁を巻き込んで、何が何でもこれを達成するんだという国家戦略が今本当に必要なんだというふうに認識をしています。

 私も、この間、部会で質問した際、返ってきたお答えにちょっとびっくりしたことがあったんですけれども、今は企業も含めて環境を考えなければ利益を生み出せない、そういう時代に変化していますよというようなお言葉を実はいただきました。

 私は元々銀行員ですけれども、それは認識が甘過ぎると思います。企業は市場に対して価値を提供する側です。つまり、マーケット、市場がその価値を定めているわけです。だからこそ、需要側と供給側をしっかりと見極めて、それぞれの国家戦略というものを具体的に考えていかなくてはならないと思っています。

 脱炭素社会を実現するためのマーケットとは何か。そして、そのマーケットを成長させるためにどんな戦略が必要なのか。これは恐らく、需要喚起策とかあるいはカーボンプライシングとか、そういうふうな話にもつながってくると思います。そして同時に、供給サイドの目的として、どんな技術が今この国に必要なのか、これから先、ここだけの技術は絶対に負けてはならないという日本の確たる技術とは何なのか、ここをしっかりと定めて、それを開発するために、市場を動かしていく、会社を動かしていく、企業を動かしていく政府の役割があるのではないかというふうに思います。

 だからこそ、コロナ禍で苦しむ中、ガソリン価格が向上し、電気代も向上し、様々なところで苦しみの疲弊の声が上がっています。それでもなおやるという、そこには国家戦略があるから意義があるんだというふうに私は思っています。

 私たちは、不退転の決意で進めていくことが脱炭素に向けた一つの方向性だというふうに思っています。皆様と一緒に時代に合った考え方を私も考えて、実践をしていく一人でありたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 お時間をいただきまして、ありがとうございました。

関委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 維新の会の漆間と申します。

 私からは、大臣所信の大きなそれぞれの柱が二〇二五年大阪・関西万博にどう関わっていくのかについて、昨年十二月二十四日に発表されました万博のアクションプランを参考にお聞きしたいと思います。

 まず、万博開催に向けた脱炭素の取組についてお伺いします。

 昨年末発表されました二〇二五年大阪・関西万博アクションプランでは、万博を単なる展示の集合体とせず、未来社会の実験場とすることが掲げられ、その具現化に向けた各省庁の取組、検討状況がアクションプランで発表されております。環境省もアクションプランでは脱炭素の取組を掲げておりますが、どう万博に脱炭素という側面から関わっていくのか、お伺いいたします。

山口国務大臣 万博については、私も、一九七〇年に、まだ中学校の三年生、高校一年生だったですけれども、そこで夢をかき立てられましてね。

 今回、万博の話ということで、当時、二階幹事長が相当頑張りました。外務省を全部総動員して、大使館を総動員して決めてきました。まさに、私的に見て、万博の議連の会長の二階幹事長が外務省を総動員して頑張ったというところだと思います。

 そして、今おっしゃっていただいた脱炭素、これは日本の国家戦略あるいはグランドデザインということにも関わりますから、東京、大阪にかかわらず日本全体として、この万博をみんなの夢をかき立てられるものにしていただきたいなというふうに思います。

漆間委員 大臣、ありがとうございます。是非、積極的な取組をよろしくお願いいたします。

 続きまして、万博開催に向けた循環経済の取組についてお伺いいたします。

 大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを二〇一九年G20で提唱した国といたしまして、同じ大阪で開かれる万博については、是非とも万博開催の全体を通じてプラスチックごみゼロの実現に向けて取り組んでほしいと思いますが、いかがでしょうか。また、万博開催に向けた消費者の行動促進に対する施策について併せてお伺いいたします。

務台副大臣 三年前、二〇一九年のG20大阪サミットで、二〇五〇年までに海洋プラスチックごみゼロを目指すという大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが共有されました。

 二〇二五年、これから三年後、その大阪で万博が開催される。その意味では、大阪・関西万博こそがプラごみゼロをアピールする場として最もふさわしいというふうに考えております。

 プラスチックごみ対策は消費者一人一人の行動変容を促すことが決め手であるというふうに思っておりまして、万博のように大勢の方が参加されるイベントは絶好のチャンスだというふうに認識しております。

 具体的な取組については現在博覧会協会で検討されていますが、環境省としても、万博において使用、廃棄されるプラスチックが極力削減、リサイクルされるように、全面的にコミットしてまいりたいと考えております。

漆間委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 もう一つ、循環経済の取組についてですけれども、万博会場やパビリオン建設の国内産木材利用についてお伺いいたします。

 万博会場やパビリオン建設に国内産木材を利用することは、低炭素社会の構築に貢献するだけでなく、その見た目や感触は人に癒やしや心地よさを与えるなど、いのち輝く未来社会のデザインのテーマにも沿うと思いますが、国内産木材の利用について、まずは内閣府にお伺いいたします。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪・関西万博の会場建設やパビリオンにつきましては、二〇二五年日本国際博覧会協会が現在設計の作業を進めているところでございまして、使用する部材につきましても設計業務の中で検討が進められていくこととなります。

 委員御指摘のように、国産木材の利用につきましてはとても重要なことだと考えておりまして、それにつきましても、博覧会協会におきまして、価格ですとか調達可能な部材の量など、様々な角度から検討が進められていくものと認識してございます。

漆間委員 アクションプランの方にちょっと掲げられておりましたが、農林水産省の方からも国内産木材の利用についてコメントをお願いいたします。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二五年に開催されます大阪・関西万博におきましては、先ほど委員から御指摘がございましたように、いのち輝く未来社会のデザインのテーマの下、ポストコロナ時代に求められる社会像を世界とともに提示していくこととされてございます。

 こうした中で、木材の利用は、森林の循環利用を通じて二〇五〇年カーボンニュートラルへの貢献や地域経済の活性化にもつながるものでございますので、万博の機会を捉えて、国内外において木材利用の拡大に向けた機運を高めていくことが重要と考えてございます。

 このため、農林水産省といたしましては、二〇二五年大阪・関西万博アクションプランにおきまして、公共建築物の木造化、木質化等によりまして木材利用の拡大を促進していくこととしてございます。

漆間委員 それでは、この分野につきまして環境省の方からも何かありましたら、コメントをよろしくお願いいたします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほど来ございますが、脱炭素社会実現の観点から木材の利用が非常に重要であるということは疑いないところでありまして、環境省としてもそのように考えております。

 まず、現状でございますが、環境省といたしましては、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスあるいはネット・ゼロ・エネルギー・ビルディングの支援事業をやっておりますけれども、その支援に当たりまして、CLT、直交集成板でございますけれども、などの新たな木質素材を使用するものについては優遇措置を実施して促進を図っているところでございます。

 また、大阪・関西万博でございますけれども、先ほど来御答弁がございますように、内閣官房、林野庁、国土交通省等の関係省庁とともに、日本館におきましてCLTを活用することを通じてCLTの魅力のPRをしていく、さらに、CLTの再利用の推進、これについても取り組んでまいりたいと思っております。

漆間委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、大臣が所信で言われました脱炭素や循環経済がどう関わっていくかということについてはこれまでお伺いしたんですけれども、ほかにも、大臣所信で言われておりました大きな柱、分散・自然共生や東日本大震災からの復興など、アクションプランには掲げられていないんですけれども、今後、分散・自然共生や東日本大震災からの復興なども万博と関わっていくことはあるんでしょうか。お伺いいたします。

山口国務大臣 生物多様性について、我々は、昨年のG7サミットで合意した二〇三〇年までの陸と海の三〇%以上の保全に向け、国立公園等の魅力向上、あるいは保護地域以外における生物多様性の保全に資する民間取組等を促すための仕組みの整備等に取り組んでおります。

 あと、東日本大震災について、私は、万博云々にかかわらずですけれども理解醸成に努めて、除去土壌等の県外最終処分に向けた再生利用の理解醸成等の取組、あるいは未来志向の環境施策等を進めております。

 COP26のグラスゴーにおいても、その点においては海外からの非常に強い関心を得た次第です。

 関係機関とも連携しつつ活用を検討してまいります。

 他方、脱炭素に関して、中川政務官、少し補足していただければと思いますので、お願いします。

中川大臣政務官 それでは、大臣から補足をということでございましたので、補足をさせていただきます。

 漆間委員から大変に重要な御指摘をいただいたと思っております。

 現在、環境省といたしましては、地域の脱炭素化に向けまして、二〇三〇年までにカーボンニュートラルの達成を目指す脱炭素先行地域、これを少なくとも百か所創設すること、さらには、脱炭素の基盤となる重点対策加速化事業、これを進めているところでございます。

 これらの国内での取組を、明日でございますが、第二回目を開催いたします脱炭素都市フォーラム等で積極的に海外に発信しているところでございます。

 また、これら地域で活用される技術も含めまして、二〇二〇年に設立されました環境インフラ海外展開プラットホーム、こういったものをつくっておりまして、これを通じて我が国の環境技術の発信と相手国での導入支援を行っているところでございます。

 その一環といたしまして先週の三月の二日、三日、四日に開催されました日本・フィリピン環境ウィークにおきましては、私自身も出席をさせていただきまして、例えばセミナーでありますとか展示でありますとかビジネスマッチング、こういったものを、オンライン上ではございますが、実施したところでございます。

 これらの国内外の取組を踏まえまして、御指摘をいただきました万博の活用につきましては、必要に応じて検討してまいりたいと思っておりますし、関係各所とこれから具体的な検討を進めてまいりたい、このように考えておりますので、漆間委員の引き続きの御指導をまたどうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

漆間委員 脱炭素のところ、もっと積極的な取組をということで、今詳細にお答えいただきまして、本当にありがとうございます。是非、未来社会の実験場ということで掲げておりますので、そうなるように、よろしくお願いいたします。

 私からの質問は以上です。ありがとうございました。

関委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。大臣と同じ兵庫県で活動させていただいております。

 まず初めに、ウクライナにおけるロシア侵攻について哀悼の意を表します。

 我が党としましては、国連UNHCR協会を通じまして、身を切る改革の一部として人道支援をさせていただいております。

 早速質問をさせていただきたいと思います。まず、生物多様性についてお伺いさせていただきます。

 山口大臣の所信において、生物多様性、COP15における次期枠組みの合意に向けて交渉に貢献するとともに国内対策を実施するということでした。二〇三〇年までに陸と海の三〇%以上を生物多様性の保全エリアとするため、日本では二〇二二年度から民間の管理地などを保全エリアに認定する仕組みを実施していくと承知しております。

 私は以前、民間企業の経営者として事業の海外展開を図ってきました。これはなかなか民間企業としてはメリットがなければ踏み出しにくい分野だと思いますけれども、民間企業としてはどのようなメリットがあるか、環境省の方から御答弁をお願いします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘は、法規制に基づく保護地域とはまた別に民間等が生物多様性や保全に貢献する形で管理する土地を、OECM、英語で言うとアザー・エフェクティブ・エリア・ベースド・コンサベーション・メジャーズというんですけれども、OECMとして環境省が認定する仕組み、これについての御指摘というふうに理解しております。

 環境省では、委員も先ほど言及されました、二〇三〇年までに陸と海のそれぞれ三〇%、これを保護、保全する、この中には実は保護地域も含まれるんですけれども、国際的な目標、これはサーティー・バイ・サーティーと申しますが、この達成に向けて、現在、具体的なOECM認定の仕組み、その構築を進めているところでございます。この仕組みは新年度から試行を開始いたしまして、令和五年度から正式に認定を行う予定としております。ただし、委員御指摘のように、この認定を実効あるものとして進めていくためには申請する企業にとってメリットが必要である、このように考えております。

 現段階でも、企業にとってのメリット、企業側のメリットとしましては、例えば、認定を受けた土地がOECMとして国際的なデータベースに登録されることにより世界目標に直接貢献することができる、そして企業のブランド価値の向上につながるといったことが考えられます。また、そうした取組を今後つくられる国際的な情報開示の枠組みに沿って開示する、こういったことでESG投資を受けやすくなる、こういったことも資金調達面で有利になるものと考えております。

 一方で、OECM認定を受けた企業に対して国内的にも更なる支援策というものが必要と考えておりまして、今後、認定の試行を進める中で具体的な企業等のニーズも踏まえながら検討を進めてまいりたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 保全エリアは、国立公園等の区域拡張だけではなく、中山間地域においても認定されるとなっております。

 私の活動している兵庫県中部や北部には中山間地域があります。山口大臣の御地元、宍粟市なども中山間地域があると思いますけれども、中山間地域を抱える地方にとって、保全エリアに認定されることでどのようなメリットがありますか。大臣、御答弁をお願いします。

山口国務大臣 里地里山など、中山間地域の持続的に保全管理された土地は、生物多様性保全の観点のみならず、防災など様々な観点から社会課題の解決に寄与しており、極めて重要だと思います。

 そのような土地をOECMとして認定することで、健全な生態系が有する社会的な意義が正しく認識され、土地の保全管理に対して都市住民や企業等の協力を受けやすくなる効果が期待されると思います。

 また、OECM認定によって地域のブランド価値が向上し、保全管理活動を行う地域とそうした活動を支援したい企業のマッチング、あるいは中山間地域と都市との交流が促進され、地域の活性化にも貢献するものと考えます。

 来年度から開始するOECM認定の試行を通じて、自治体あるいは事業者など様々な御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。是非、官民一体で、企業を巻き込んで、地元、地域に還元していきたいというふうに思っています。

 次に、海洋プラスチックごみについてお尋ねしたいと思います。

 二〇一九年G20大阪サミットでは、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの合意ができました。二〇五〇年までには海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減するという目標を八十七の国、地域と共有しているということです。

 つい先日、国連環境総会で日本の意見が取り入れられ、条約の制度設計を担う政府間交渉委員会の設置を盛り込んだ決議案が採択されました。こうした対策は多くの国の参加が必要であるように思います。

 私が活動している豊岡市、香美町、新温泉町は日本海に面しており、プラスチックごみが漂着しています。令和二年には四百トン近くにも達しています。住民や民間団体のボランティアが回収しています。自治体で受入れを行っていて、以前、中国が推計で世界の年間漂流の二八%を占めていたということで、中国を含め韓国、北朝鮮、ロシアといった、日本の近隣諸国を国際的な枠組みの中に取り込んでいかなければこの問題は解決しないと思います。

 法的効力のある枠組みに多くの国の参加を促すために、どのような取組を行っていきますでしょうか。大臣、御答弁をお願いします。

山口国務大臣 先般のナイロビにおけるUNEA5・2で、INC、政府間交渉委員会の設立ということについて、それを盛り込んだ決議が採択されました。

 そういう意味では、枠組みが整ったわけですから、INCでもってこれから議論が行われるわけで、どういう議論が行われるかというのはまたこれから我々が頑張っていかなきゃいけないところだと思いますけれども、できるだけ多くの国が巻き込まれるように、特に多くのプラスチックごみを出す国が巻き込まれるように、また、そういうことが実際に実効性を持って抑制できるように、そういう趣旨の議論になるように努めてまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 続きまして、東日本大震災からの復興について質問させていただきたいと思います。

 帰還困難区域に関し、住民の方の意向を踏まえつつ除染を進めている、二〇二〇年代をかけて希望者が帰還できるようにする方針ということを伺っています。住民の方の帰還に向けて、今後どのようなスケジュールで予定をしておりますでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 帰還困難区域についてでございますけれども、まず、特定復興再生拠点区域、こちらにつきましては、大熊町、双葉町、葛尾村で今年の春以降の解除、それから、富岡町、浪江町、飯舘村については来年春以降の避難指示解除を目指しております。

 特定復興再生拠点区域外についてでございますけれども、今御指摘がございましたように、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民の方々が帰還できるように避難指示解除の取組を進めるという政府方針を昨年夏に決定しております。

 今後は、国及び地元自治体が、拠点区域外の住民の方々の帰還に関する御意向、多分、個別の事情もございますので、これらについて個別に丁寧に把握をした上で、帰還に必要な箇所を除染して避難指示解除を行うこととしております。

 二〇二四年度には除染を開始できるように、来年度から帰還意向を確認する予定としておりまして、丁寧さとスピード感、両立しながら進めていくこととしております。

 具体的なスケジュール等については、先ほどお話ししました住民の皆様の帰還の御意向を踏まえて、地元自治体と引き続き検討を深めてまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。是非、地元の方は非常に不安だと思います。残り八年しかありませんので、しっかりと、この辺りは安全性も確認しながら進めていただきたいと思います。

 この中で、除染で生じた土壌について、先ほども馬場議員からありましたけれども、安全性に関して不安が大きいと思います。福島県の飯舘村で実証実験をされているということで、安全性を確認しているということで、安全性について地元の方にはどのように理解を、そして安全性の担保をどのようにされているのか、この辺り、御答弁をお願いします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 除去土壌につきましては、中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分というのが大変大事でございますけれども、このためには、減容化や再生利用というのを行うのが非常に重要でございます。

 環境省では、有識者から成る検討会での議論を踏まえまして、二〇一六年六月に、再生利用の安全な実施に係る、再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方を示しまして、この中で、原則八千ベクレル以下として、この除去土壌については作業者や一般公衆への追加被曝線量が年間一ミリシーベルト以下となることを、被曝経路などを設定した安全評価により確認しております。

 この基本的考え方に基づきまして、委員の御指摘がございましたような、飯舘村の長泥地区の実証事業、あるいは南相馬の東部仮置場でこれまで実証事業を続けておりまして、それによって、施工時の作業者への追加被曝であるとか、周辺環境、浸透水への影響などのモニタリング、そういったことを通じて安全性を確認しております。

 また、野菜の栽培実験を飯舘村でやっておりますけれども、放射性セシウム濃度は〇・一から二・五ベクレル・パー・キログラムということで、一般食品の基準値である百ベクレル以下を大きく下回る測定結果でございます。

 現在、より規模の大きな農地盛土の造成中でもございますので、引き続き、施工中や施工完了後のデータを蓄積して安全性の確認を進め、そしてそのデータを、まず、長泥地区においては、住民の方も交えました検討会というのを設けておりまして、そういう中で御説明をしながら進めさせていただいている、御理解を得ながら進めさせていただいているということでございますし、また、こうした結果については環境省のホームページで公開するとともに、私どもは理解醸成事業というのを最近始めておりますけれども、そういったものを全国で展開しながらそうしたデータについても御説明しておるところでございます。

遠藤(良)委員 除去土壌については、総理官邸であったりとかの鉢植えで土を使われているということを聞いています。いろいろなところで今後、安全性という意味では、利活用しながら安全性の発信をしていかないといけないと思います。こういう土を各議員の事務所で使ったりとか、そういった利用をされていったらいいのかなというふうに思ったりしています。

 大阪市では、東日本大震災で発生した廃棄物を受け入れてきています。二〇一三年に、焼却した灰の埋立処分を終了しています。昨年度まで、放射性セシウム濃度などを測定し、安全性の確認をしてきましたが、問題はありませんでした。

 二〇四五年までに除去土壌等の県外処分の実現を図るとのことですが、それに向けて今後どのように取組を進めていかれるでしょうか。大臣、御答弁をお願いします。

山口国務大臣 三十年以内に福島県外に最終処分をするという方針、これは、国としての約束であるとともに、法律に規定された国の責務であります。

 減容、再生利用により最終処分量を低減することが重要ですけれども、二〇二四年度戦略目標として、必要な建物のスペックあるいは量、要するに最終処分量がどれだけになるのか、その辺を選択肢としていろいろと示していきたいと思います。

 そして、二〇二五年以降に県外での最終処分の受入れについて具体的な交渉、お話を始めさせていただければと思っている次第です。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 この問題については、安全性が確認されたとしても、不安感があれば解決を図っていくというのが本当に難しいと思います。問題解決のためにはどうしていけばいいのかということを、本当に全体で考えていかないといけないです。

 除去土壌を用いた取組については、積極的に我々としても協力をしていきながら、自治体や企業について公表して表彰するなど、場合によっては交付金や補助金といったインセンティブを付与する、そういった取組を進めることで徐々に理解が高まっていくように思います。今後もこの取組を進めていただければと思います。

 以上、質問を終わります。ありがとうございました。

関委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下です。

 時間も迫ってきておりますので、早速質疑に入らせていただきます。

 東京電力福島第一原発事故から今週で十一年目を迎えます。今現在も国内外からの風評被害が根強く残っており、地域や農作物等の安全性につき、多言語で国内外に繰り返し発信をしていく必要があると考えます。

 ALPS処理水の放出についても海域モニタリングを開始準備されているとのことですが、こちらも国内外により丁寧な発信が求められます。政府や県などとも連携していく中で、いろいろな省庁が関係してくる話ではありますが、環境省としてどのような役割を果たすことができるとお考えでしょうか。お願いいたします。

穂坂大臣政務官 お答えさせていただきます。

 昨年四月に決定されたALPS処理水の処分に関する基本方針に基づき、環境省は海域環境モニタリングを担当させていただきます。現在、関係省庁や福島県等の関係機関と連携して準備を進めているところであり、これまで、専門家による会議を四回開催してモニタリングの測点や頻度等を検討させていただきました。

 今後、関係省庁や福島県等の関係機関が構成員であり、環境大臣が議長を務めるモニタリング調整会議において総合モニタリング計画を改定し、来年度から放出前の海域モニタリングを実施する予定であります。

 総合モニタリング計画に基づくモニタリング結果は、分かりやすく国内外に発信し、風評影響を抑制していくことが重要だと考えております。今後、関係省庁と連携し、モニタリング結果の丁寧で分かりやすい情報発信に努めてまいりたいと思っております。

奥下委員 ありがとうございます。

 当時、東日本の瓦れきを受け入れたとき、私は橋下徹の秘書をしておりまして、そのときに住民説明会を度重なりやらせていただきました。こういったお話ですので、どれだけ説明しても反対される方はやはり反対されるなというのが感想であるんですけれども。

 ALPS処理水のときも大阪府の吉村知事はきちんと検討していきたいというふうに言っておりますので、また大阪府でこういった説明会がなされるときに、政府の方からもちょっと人を出していただいて、一緒に説明を重ねていただけたらなと思っております。

 そして、先ほど申し上げたように、今週で福島は十一年目を迎えます。そのタイミングで、私のアーティストの友人がこの十年間復興支援を努めてまいりました、その彼から十一年目を迎えるに当たってメッセージが来たので、なかなかない機会ですので読ませていただきたいんですけれども。

 復興支援という活動は、とても曖昧なものかもしれません。営利目的だけのように思われてしまうことや、いつまでも被災地として表現してしまうことの弊害など、難しさがあります。

 ただ、一つ言えることは、三月十一日には必ず多くの関心が東北に集まり、たくさんのメディアが現在の状況を伝えます。そのときに、どんな情報が地域にとって、被災体験者にとっていいものなのかを考えます。

 一年に一度、三月十一日にたくさんの情報発信がされる。これはきっと十年先でも変わらないことだと思いますが、取り上げられる時間や内容は減っていくかと思います。

 それは自然なことのように思いますが、一方で、SDGsは、二〇三〇年に向かってますます取り上げられていきます。誰一人取り残されない世界へというメインテーマを掲げたSDGsが取って代わって増えていくことが与える影響はどうだろうかと考えます。

 福島始め、津波被害地域を訪問してきている中でよく聞く言葉です。

 三一一が近くなると、あのときの津波映像とかがたくさん流れ、つらさを思い出すことになる。

 毎年、三一一になると、福島原発をテレビがたくさん取り上げる。それをきっかけに、事故を知らない世代までが「福島って危ない?」と思われる。

 メディアが取り上げてくれることから生まれる弊害があります。とても難しい問題ですが、原発のことは日本や世界の問題であることへ認識を変える必要があると思います。津波被害地域も、いまだに復興したとは言い難い光景が各所に残ります。

 津波被害に対してどうするのか。原発を安全に収束させるためにはどうするのか。これらはもっと多くの議論が必要で、たくさんの人が実際の現場を見た方がいいと思っています。

 今年は追悼式典を行わない地域も増えてきました。

 私たちは、三一一のときだけにぎやかにすることが目的ではありません。毎月十一日の活動を軸に、いかに年間を通してつながりを紡いでいるかが、一年の節目である三月十一日に表れると思っています。

 そして、三一一に様々な方々が集える場所と時間をつくることが大切です。かつてボランティア活動をされていた方々が再会を喜び合える場所。SDGsを福島でと考える企業や、気になっていたけれども福島に一度も来たことがない人が来れる場所。

 十年目の節目を終えての十一年目は風化という風を感じてきました。それでも新たに始めたシンポジウムやツアーなど、もっともっとできることを行い、悲しみから学び、同じ過ちを犯さないようにすること、災害前よりもすてきな町にしていくこと、新しい循環型の暮らしを始めること、たくさんのきずなから芽が出ること、福島の子供たちが環境リーダーとして世界へ羽ばたくこと、いろいろな目標がありますが、きっと日本から世界へ発信するSDGsの中心には福島があるべきではないかと。そして、三月十一日こそ、福島から世界へ発信するべきではないかと思っています。

 こういうようなメッセージが来ました。

 本当に、先ほどうちの漆間議員からも質問がありましたけれども、関西万博、是非環境をテーマに世界に発信していっていただきたいんですけれども、それと同時に福島も、万博に来ていただいた諸外国の方々に日本はここまで復興したんだと思ってもらえるようなまちづくりをしていっていただきたいと思いますので、こちらに今日いらっしゃる関係各所の方々には是非よろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 総理からカーボンプライシングの方向性を見出すよう指示があったとのことですが、勝負の十年に向けたカーボンニュートラルに向けて、いろいろな省庁が関係してくる話ですが、所信にもありましたように、経済社会を変革するイノベーションが不可欠であると強いメッセージをいただきましたが、環境省としてどのようなグランドデザインをお持ちでしょうか。お示しください。

山口国務大臣 COP26においても一・五度努力目標への決意を含んだ成果文書が合意されて、我が国としても、二〇五〇年カーボンニュートラル、あるいは二〇三〇年度の削減目標の実現に向けた決意を新たにした次第です。

 これらの目標の実現に向けては、あらゆる分野であらゆる施策を総動員することが重要であり、既に脱炭素先行地域の創出などを支援する地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を令和四年度の予算案に盛り込ませていただいたところです。二百億円の話ですね。加えて、同じく二百億円ですけれども、民間企業等による意欲的な脱炭素事業への新たな出資制度の創設を盛り込んだ地球温暖化対策推進法の改正案を今国会に提出させていただいております。脱炭素ドミノを引き起こし、ライフスタイルを転換し、社会経済の変革につなげてまいりたいと思います。

 これは国民、自治体、企業など各ステークホルダーの理解なくしてできないことですから、丁寧に施策を進めていくことが不可欠であると思います。その意味で、私、二人の副大臣の方、あるいは政務官の方々が自ら、それぞれの地域の様々な関係者の方と意見交換を行う全国行脚を開始しているところです。加えて、産業界との意見交換も行っています。

 そしてまた、一月十八日に岸田総理が始められた、萩生田経産大臣とともに私の方でグランドデザインをとにかく描いていこうということで、イノベーションあるいはカーボンプライシングの在り方も含めた経済社会変革の道筋の全体像を示していこうということで、今、関係省庁ともよく連絡して検討を進めています。

奥下委員 ありがとうございます。今おっしゃっていただいたように、いろいろな関係省庁が関わってくる話でありますけれども、イノベーションを起こしていくにはやはり規制緩和が必要となってくると思います。

 その中で、やはり、私、前職が秘書で、自民党で秘書を長年務めておりましたので、自民党さんだからこそ言えない、言いにくいことを、ぶつかってくる団体もあると思います、そこは我々日本維新の会が先頭で切り込んでいきたいと思っていますので、後ろを見たらいないというようなことがないようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、補助金をいっぱいつけていただけているということですけれども、最近、一緒にしてはいけないのかもしれないですけれども、このコロナ禍、補助金を取ることだけが目的の企業もたくさん出てきております。ぬるま湯というか、そういった環境がイノベーションを起こしにくいという現状もありますので、どうぞ、その辺りもしっかりチェックしていただけたらと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 二〇三〇年度までに全国で百か所以上の脱炭素先行地域を実現し、脱炭素ドミノを起こしていくという強いメッセージをいただきましたが、実現に向けた交付金、財投、補正を組まれており、既に多くの自治体から手が挙がっているとのことですが、行政にありがちな、決定して交付して終わるのではなく、その後の検証、また天下り先ができない等、きちんと精査していく必要があるかと思いますが、環境省としてどこまで携わっていかれるのか。御教示願います。

白石政府参考人 お答えいたします。

 カーボンニュートラルの達成を目指す脱炭素先行地域につきましては、今、選定を行っておりますけれども、選定自治体が毎年度、取組の進捗状況を環境省に報告いただきまして、計画の最終年度末には取組の結果報告をするとともに、環境省としても、外部有識者による評価委員会におきまして必要に応じてヒアリングを行うなど評価、分析を行いまして、計画の最終年度に取組の最終評価を行うなど、しっかりとした進捗管理を行ってまいります。

 こうした脱炭素地域づくりの取組を財政的に支援いたします地域脱炭素移行・再エネ推進交付金等の予算につきましても、補助金等適正化法に基づきまして適正に執行してまいります。

 また、今国会に提出しております温対法改正法案の御審議、こちらを今後お願いしたいというふうに考えてございますけれども、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現、それから二〇三〇年の温室効果ガスの排出削減目標の達成に向けまして、財政投融資を活用しまして脱炭素化に資する事業に対する投融資業務を行う新機構を設立したいというふうに考えてございます。この機構の設立は、決して天下りを想定するものではございません。省庁のOB、OGを新機構の役員に就任させるということは現時点で想定してございません。

 なお、新機構の人事につきましては、適材適所で適切に配置してまいりたいというふうに考えてございます。

 環境省といたしましても、今国会に提出している法案、それから政府の官民ファンドに関するガイドライン等に基づきまして、毎年度、新機構の実績評価と翌年度の予算の認可を行うなど、機構を適切に支援、監督していくことを想定してございます。

 以上です。

奥下委員 ありがとうございます。

 済みません、先日、経済安保のときに、経産省の天下りみたいになっているんじゃないかという記事を読んだものですから、環境省さんとお話しして高い志で取り組んでいただいているのは分かっているんですけれども、そういうニュースが目に入った以上、ちょっと聞かざるを得なかったので、お許しください。

 では、次に移らせていただきます。

 二国間クレジット制度をこれから活用されていくとのことですが、国際的に炭素クレジットの取引を行う際、特にクレジットを移転する国は、自国の排出量の経路や削減目標の達成状況を把握していくことが重要になってくると思います。懸念としては、炭素クレジットを売り過ぎて自国の目標達成に支障が出るのではないかと考えます。今後は炭素クレジットの国際的な取引ルールの厳格化が求められてくると思いますが、環境省としての見解をお聞かせください。

山口国務大臣 COP26で、御指摘のクレジットの国際的な取引ルールについて合意されました。我が国はルール作りの交渉において、これら取組の信頼性が担保されるように、クレジットを移転する国、ホスト国と、クレジットを獲得した国の間で排出量が二重に計上されることを防止するための対応、いわゆる相当調整についての提案を行い、これが合意に貢献したと思います。

 具体的には、ホスト国の政府が自ら承認する、その承認に基づいて相当調整を適用するクレジットについて、パリ協定に基づくクレジットを追加した国の削減目標等にカウントが可能だということで、二重計上を防止するものです。

 日本が例えば、どこか途上国でもって温室効果ガスを削減した、そのクレジットを日本に持ってくる場合には、例えば百という単位の削減を行った場合には、日本にクレジット百を削減したと。全世界で百しか削減していないわけですから、途上国においてはクレジットはゼロになる。こういうことで、二重計上を防止するという仕組みを提案させてもらった次第なんです。

 我が国もこれらルールの実施に必要な体制を整えて、パリ協定六条に沿って二国間クレジット制度を実施していくということで、先般、二月の十七日と昨日、三月七日でもってオンラインで、市場メカニズムについての知見、途上国を含めていろいろな国でこれだけの専門的知識を持っている人がそんなにたくさんいるわけではありません、ですから、先行事例をいろいろ紹介しながら、あるいは我々も伝えられることは伝えさせていただいて、市場メカニズムがより活発に機能するようにという努力を今しているところです。

奥下委員 ありがとうございます。

 まさに、二国間クレジット、海外に進出していく日本の企業がこれをきっかけにどんどん増えていくことを願いまして、まだちょっと質問があったんですけれども、時間が来ましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

関委員長 この際、暫時休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十五分開議

関委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 早速質問に入らせていただきます。

 一九七二年、ローマ・クラブが発表した「成長の限界」に描かれた未来、当時の経済の高度成長の追求、生産や消費の増大を目指し続けることは、天然資源の限界、そして環境の限界と食料不足の限界に突き当たることで破局を迎えるとの警鐘は世界的な反響を呼び、かなりの数の企業経営者、労働指導者ばかりでなく、経済人や政治家までがこの報告の推論に対して反駁したと、当時のペッチェイ・ローマ・クラブ会長は述べました。

 「成長の限界」は、今から見れば、単純なモデルを用いたシミュレーションに基づく推論であり、また、遠い将来の話であって、破局を迎える前に科学技術の進歩がうまく解決するだろうといった楽観論が背景にありました。

 それから半世紀がたちました。今、先日のIPCC第二作業部会報告書では、人為起源の気候変動は、自然と人間に対して広範囲にわたる悪影響と、それに関連した損失と被害を自然の気候変動の範囲を超えて引き起こしていると。事態はより深刻な方向へ進んでおり、直ちに温暖化を食い止める取組が、全世界が共に立ち向かわねばならない最大かつ共通の課題であることを示しております。

 我が国の温暖化対策を考える上で画期的な転換点と言えるのが、二〇二〇年十月の菅前首相の所信表明であったと思います。

 我が国は二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことをここに宣言します、積極的に温暖化対策を行うことが産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要ですというふうに指摘をしております。

 全ての政策決定の前提に、まず二〇五〇年カーボンニュートラル達成という明確な目標を置いた。そして、個々の政策の積み上げを重視してきた従来の環境対策の在り方から、全ての政策は脱炭素社会構築のために設計されなければならないという方向への大きな転換を宣言したものと考えております。大切なことは、今後の政策立案や政策の遂行が二〇五〇年カーボンニュートラル達成を担保するものとなっているかどうか、ここをしっかり監視していくことであり、環境省の率先した取組が求められると考えております。

 こうした流れの中で、昨年十月から十一月にかけてイギリスのグラスゴーで、国連気候変動枠組み条約の第二十六回締約国会議、COP26が開催をされました。

 各国の意見の違いで協議が難航し、会期が一日延長される中で、世界の平均気温の上昇を一・五度に抑える努力を追求することを決意すると明記した成果文書が合意されました。二〇一五年に採択されたパリ協定では二度未満に抑えることが主力の目標であっただけに、今回、一・五度が新たな共通目標となった点は大きな前進と言えます。また、長年の宿題であったパリ協定第六条、市場メカニズムのルールづくりの大枠が合意され、温暖化ガスの排出削減を市場を通じて加速させる道筋がつけられるなど、意義のある会合であったと思います。

 まず、COP26に出席された山口大臣に、同会合の意義についてどのように受け止めているのか、感想を含めてお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 昨年のCOP26で、御指摘のように、一・五度目標に向けて、緩和策あるいは適応策の更なる強化、これを締約国に求めることが合意されました。パリ協定六条の市場メカニズムに関するルールも合意に至って、パリ・ルールブックが完成したわけですけれども、このような合意がまとまったという意味で、歴史的な成果があったCOPではなかったかと考えます。

 他方、ここに至るまでには相当な蓄積があったわけで、前任の小泉大臣を始め、前任のそれぞれの大臣の方々の蓄積、それから、私は特に、環境省におけるいわゆる知見、経験、あるいは人脈、その蓄積が非常に大きかったと思います。

 そういう意味では、今、世界各地で異常気象が発生して、世界はまさに気候危機とも呼ばれるべき状況に直面している中で、これらの成果はパリ協定を着実に実施していく上で極めて重要な進展であったというふうに考えています。

 岸田総理もCOP26の冒頭の首脳級会合に参加されて、百億ドルの追加支援のコミットメント等を表明されたことも合意形成に非常に大きなインパクトを残したと感じた次第です。

 パリ協定六条の市場メカニズムの実施指針に関する交渉では、日本としては、先駆的な取組である二国間クレジット制度、ジョイント・クレジッティング・メカニズムの経験を基に、日本が長い間積極的に参加し、議論をリードできた、そういう蓄積の源だったと思います。

 これまで蓄積された知見に基づいて我々は日本案を提案し、私からも、米、中、EU、ブラジルといった閣僚との二国間協議では、大体、この六条に関する日本提案、ジャパン・プロポーザルというふうにみんなは呼んでいましたけれども、これに関してどうですかということで根回しをさせてもらい、それが非常に、みんなのある意味で受け止めにつながったのかなという気も一瞬しています。それが、全体の合意につなげようという大きな、交渉全体の合意への機運の高まりにもつながったかもしれません。

 そういう意味で、日本の貢献なくして今回のCOPの合意はなかったとさえ言えるのではないかと考えています。環境省を始め、前任のそれぞれの大臣の方々、そういう日本政府の交渉の蓄積が実を結んだのではないかと思います。

角田委員 ありがとうございます。

 地球規模の課題である温暖化対策は、何よりも世界が協力して、足並みをそろえて解決を目指さなければ克服できません。その一方で、国内での目標達成も一筋縄ではいかないという状況の中で、欧米などの先進国、さらには途上国との協調を図る努力もこれからは求められるかと思います。

 世界の中で今後日本が果たしていく役割について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

山口国務大臣 いろいろな枠組みづくりがあると思います。COP26での六条の話、それもそうですけれども、一・五度に抑える二〇五〇年カーボンニュートラルの達成、こういうことの合意があるんですけれども、それを実際に実現していく、その足並みが乱れないように、そういう意味では、どの一国が欠けてもこの問題はできないと思います。

 今、我々は、ウクライナの情勢を受けて、非常にちょっと話しにくい状況も一瞬ありますけれども、私自身は、環境問題に国境はなしだと。そういう意味では、二酸化炭素を減らすのに、どこからどこまでの二酸化炭素を減らすというわけにはいきませんから、みんなの気持ちが一つになって初めて成り立つ。そういう意味で、対話のチャネルを開けながらしっかりやっていきたいなと思います。

 特に、先ほど申し上げたJCMも活用しながら我々が脱炭素イノベーションを途上国に展開していくということも一つだと思いますし、もう一つは、二月の十七日、あるいは昨日、三月の七日に、パリ協定六条の実施拡大に向けた理解促進と能力向上を加速化することを目的として、国際会議をオンラインでやったところです。

 そういういろいろな努力を積み重ねる中で、環境問題に関してずっとネットワークをつなげていく、そのことによって脱炭素ドミノを国内のみならず国外でも起こしていく、そういうことが日本の役割として非常に大事ではないかなと思います。

角田委員 そうした中で、国内で脱炭素ドミノを起こしていこうということで、環境省では全国の脱炭素化を進めるべく、山口大臣を先頭に、副大臣、大臣政務官とともに地域脱炭素に向けた全国行脚を精力的に行っておられますが、地域を訪問する中でどのような意見交換が行われたのか。その中ではカーボンプライシングについても意見が交わされたということですけれども、このカーボンプライシングについてはどのような課題が見えてきたのか。また、今後についてのお考えも併せてお伺いしたいと思います。

中川大臣政務官 地域脱炭素に向けた全国行脚についての御質問をいただきました。

 全国行脚につきましては、今、山口大臣を中心に精力的に行っているところでございますが、脱炭素の潮流、また地域脱炭素の必要性、さらにはカーボンプライシングの政策手法も含めた説明を行い、意見交換を進めているところでございます。

 具体的な意見、どんな内容かということでございますが、その意見交換の中では、各自治体から、地域脱炭素の実現に向け強い意識をお持ちいただき、意欲的な自治体が多いこと、これを改めて実感しております。しかし、一方で、地域によって様々な課題を抱えていることを改めて把握する機会でもございます。

 具体的に御紹介をいたしますと、地域脱炭素に必要な財政支援の充実、さらには専門人材の不足への支援、また、地域によりましては、製鉄や石油等産業分野での脱炭素の課題に関する御意見など、様々なお話をいただいているところでございます。

 引き続き、この全国行脚を続けてまいりたいと思っております。

 また、議員御指摘のカーボンプライシングにつきましては、自主的なクレジット取引、さらには炭素税及び排出量取引制度がございます。いずれも排出削減のために重要な内容であり、それぞれの特徴を踏まえた検討を行っているところでございます。

 全国行脚におきましても、地域脱炭素の実現に向けた地域のニーズの把握、さらには理解醸成と併せて、御指摘いただいたカーボンプライシングの仕組みや、脱炭素に向けた行動変容の促進、さらには財源確保といった、カーボンプライシングの意義についても我々は説明を行っているところでございます。

 また、全国行脚に加えまして、今年二月からは、我々環境省といたしましては、大臣を先頭に、産業界と政務三役との意見交換、これも開始したところでございます。引き続き、幅広い関係者と真摯に対話を重ねながら、カーボンプライシングについての方向性、これを丁寧に検討を進めてまいりたいと思っておりますので、引き続きの御支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

角田委員 全国的に様々な階層の意識醸成のためのこうした対話、意見交換の取組、大事だと思うんですけれども、そうした中で、こうした脱炭素への意識の醸成を図る上で私自身が是非とも考えていただきたいと思っているのが、次の世代を担う若い世代、若者との対話についても積極的に考えていただきたいということであります。私も若いつもりでいるんですが、もっともっと若い世代との対話ということで考えていただければというふうに思っています。

 公明党も、これまでも若い人の声を、なかなか政治に届かないというところをこちらから積極的に受け止めていこうということで、そうした若い方々とのミーティング等を積極的にやっておりまして、私もそういった中で幾つか会場に参加させていただいて、様々意見がありますけれども、思うのは、全て、やはりみんな未来に対して希望を持っているんですね。その思いというものを受け止めること自体が政治家に必要なことだろうということを私自身痛感しております。

 脱炭素社会構築についても、手遅れになる前にあらゆる行動を起こさなければならないという今、若い人たちとも謙虚な姿勢で語り合って思いを受け止めていくことも、環境省が率先して取り組んでいただきたいと思います。

 また、内閣府が昨年発表した気候変動に関する世論調査の結果では、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする脱炭素社会について、十八歳から二十九歳の五三・五%が知らなかったと回答し、若い世代に十分浸透していないことも示されております。自分自身の問題として考えてもらう機会を増やしていくという意味からも積極的な取組を考えていただきたいと願いますけれども、このことについて見解を伺わせていただければと思います。

山口国務大臣 カーボンニュートラルの実現に向けては、若者を含めた幅広い世代の思いを受け止めることが欠かせないと思います。地球温暖化対策計画にも、将来を担う若者の声をすくい上げていくため、行政が若者世代の意見を受け止める場を設け、脱炭素を踏まえた社会経済の在り方等を始め、政策への反映及び若者世代の当事者意識の向上と取組促進の好循環につなげていくとあります。

 その意味で、我々の具体的なアクションとしては、中央環境審議会に新たに設置した炭素中立型経済社会変革小委員会、ここで有識者として若者世代にも参画いただいている次第です、二十代の方ですけれども。

 そういう傍ら、私自身もCOP26の場で若者と直接対話をさせていただいて、高校生だから、あれっと思ったんですね。あれっ、今学校あるんだっけと。グレタさんと同じ発想ですよね、もういても立ってもいられない。そういう意味で、あの場では石炭火力発電について非常に厳しい意見を聞いたわけですけれども、私からは今の現状について、あるいは今の状況についてお話しさせていただいて、東京でもまた話をさせてくださいということを申し上げた次第です。

 若者が、やはりこれは今自分がしなければいけないんだという気持ち、それは目いっぱい受け止めさせていただくと同時に、未来は変えられるんだ、決して諦めずに、我々政治の中でそういう気持ちを受け止めて、それを形にしていく、あるいは変えるべきところを変えていく、そういう中で、若者の人たち、彼らが実際に住む世界、我々がいい時代を引き継げるように、これからも意見をしっかり聞き、また参加していただきたいなと思っています。

角田委員 山口大臣、是非率先して考えていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 脱炭素社会構築、一人一人の行動を変えていくということが非常に大事なことだと思うんですけれども、例えば、自動車を電気自動車であるとか燃料電池車に変えるんだといっても、やはり、毎年新車を買う人って、いるかもしれませんが、そんなにいないと思いますので、一斉にというわけにはいかないと思いますし、ネットでゼロエネルギーの家だといっても、毎年家を新築する人って、いるかもしれませんが、そんなにいないと思いますので、一斉にというわけにはいかないと思います。

 そうした中で、一人一人の行動を脱炭素の方向に向かせる取組、その一つとして、今年度補正予算で創設されたグリーンライフ・ポイント、この推進事業について質問をしたいと思います。

 温暖化ガス排出量の約六割は家計関連であることから、脱炭素型のライフスタイルへの転換を進める上で、このグリーンライフ・ポイント事業も効果的に推進されることが期待をされております。令和三年度の補正予算の成立を受けて、現在、事業実施に向けて準備段階とのことですが、今後のスケジュールなど、事業の進め方について伺います。

 あわせて、グリーンライフ・ポイント事業が対象とする製品、サービスについて。

 家計調査などによれば、消費支出のうち最も大きいのは食費であり、そのほか、光熱水費、交通通信費、教養娯楽費などが主な項目となっております。この事業では環境に配慮した製品、サービスを選択した場合にポイントが発行されるということですが、例えば食費でいえば食品ロス削減に貢献する事業などが考えられると思いますけれども、具体的に対象となる製品、サービスはどのようなものを想定しているのか、お伺いしたいと思います。

中川大臣政務官 お答え申し上げます。

 グリーンライフ・ポイント事業の今後のスケジュール等について御質問をいただきました。

 委員も御指摘のとおり、我が国の温室効果ガスの排出量は、その約六割が衣食住を中心とした家計由来ということになっております。ゆえに、脱炭素型のライフスタイルへの転換により、需要サイドから脱炭素社会への変革を誘導していくこと、これが非常に重要でございます。

 このため、今委員から御指摘いただきました令和三年度補正予算に基づくグリーンライフ・ポイント事業は、環境配慮製品さらにはサービスの選択といった消費者の環境配慮行動に対し、新たなポイントを発行しようとする企業や自治体等に対して、その準備経費の支援を行うものでございます。

 現在、公募開始に向けて、各種申請の様式やガイドラインの作成等、準備を進めているところでございます。いつからかということでございますが、年度内に公募を開始をいたしまして、その後、支援対象となる企業、自治体を決定していく予定でございます。

 具体的な内容でございますが、例えば、地産地消の作物の購入でございますとか、販売期限間際の食品の購入、今委員から御指摘がありました食品ロスの削減につながるものでございます、さらにはワンウェープラスチックスプーンの辞退といった、消費者の環境配慮行動に対し企業等がポイントを発行する、そういった取組を今回大幅に拡大してまいりたいというふうに思っております。

 これにより、消費者の皆さんが日常生活の中で環境配慮に取り組むインセンティブ、これを実感できるような環境を醸成しつつ、消費者の行動変容、さらにはライフスタイルの転換を促進してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

角田委員 グリーンライフ・ポイントについて、もう一点お伺いしたいと思います。

 この事業によって補助を受けた事業者は、三年間環境配慮ポイントを発行し続けることを求めるとしておりますけれども、個々の取組が脱炭素化に着実につながっているのかどうか、事業の効果についてはどのように検証、評価しようとしているのか、この点をお伺いしたいと思います。

中川大臣政務官 ありがとうございます。検証とか評価というのは大変に重要な内容かと思っております。

 グリーンライフ・ポイント事業の効果につきましては、補助対象の企業、自治体から、これから決まっていくわけでございますが、消費者のどのような環境配慮行動に対しどれだけのポイントを発行したのか、それによりどのような環境保全効果があったのか、こういったデータを提出していただくことになっております。それも向こう三年間はおやりいただく、そういった状況でございます。

 そうしたデータを基に、環境省といたしまして、個別の事業者、自治体等やグリーンライフ・ポイント事業全体につきまして、CO2や廃棄物の削減量等、環境保全効果の評価さらには検証を的確に実施してまいりたいと思っておりますので、これをしっかりと、大事な視点として取り組んでまいります。

 以上でございます。

角田委員 このグリーンライフ・ポイント事業については、いろいろな事業がこれから考えられるかと思うんですけれども、例えば、地域に限定したというものだけでなくて、やはり全国的な活動につながるようなことも意識して、より効果的な事業になるよう努めていただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。

 家庭の脱炭素化を進めていくには、幅広い製品やサービスを対象に、CO2削減に資する消費行動を後押しする取組が積極的に進められなければならないと考えます。例えば、製品の製造から物流、廃棄というライフサイクルの中でどれだけCO2が排出されたのかを表示するカーボンフットプリントなど、見える化を進める取組についても、日本でも一部で試みられておりますけれども、消費者が比較して判断できるという段階にはまだ遠い状態だと思います。

 所信にもありましたが、できるかできないかではなく、やらなければ日本が危ないとの覚悟で取り組む。こうした一人一人の行動を後押しする取組も、その覚悟で環境省が率先して推進していただきたいと考えますけれども、この点について見解を伺いたいと思います。

小野政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、先ほどのグリーンライフ・ポイントで、事業の中では地域の取組があるんですが、全国規模の取組もございまして、両面から進めていきたいと思います。

 御質問がございましたカーボンフットプリントでございますけれども、一人一人の行動変容を促す、ライフサイクルを変革するという上で、製品の製造から流通、廃棄に至るまで、ライフサイクルを通じたカーボンフットプリントの表示を進め、見える化を進めるということは極めて重要である、効果的であると考えております。

 環境省といたしましては、令和四年度から、例えば日用品や衣類を対象として、企業が製品のライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量を算定して、いわばカーボンフットプリントを算定し表示するモデル事業を新たに実施する予定でございます。

 この事業を通じまして、この算定に必要なデータそれから算定方法についても検討を行いまして、できるだけ簡便に迅速に算定できるようにガイドブックも策定するなどして、様々な企業、主体がカーボンフットプリントに取り組める環境を整備してまいりたいと考えております。

 また、先ほどのグリーンライフ・ポイントもそうでございますし、デジタル技術などもフル活用いたしまして、ライフサイクルあるいはライフスタイルに係る見える化を進めてまいりたいと考えております。

角田委員 ここで、学校教育現場での取組について質問したいと思います。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すことが地球温暖化対策法の改正で明記されたことを踏まえ、教科横断的な学校教育全体としての環境教育の実践や、教育活動の質の向上などが目指されるようになっております。

 環境教育は、単に知識の伝達だけではなく、一人一人が行動に移していくことが何よりも大切であるという点から考えて、まず、教える側である教師自身の学ぶ機会の確保と資質の向上に力を入れる必要があると考えますが、この点についてどのような取組を行っていくのか。

 あわせて、環境教育は、学校も含めて地域社会全体として推進を図ることも重要と考えます。地域との連携についてはどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 地球規模の環境問題の解決のため、持続可能な社会のつくり手となることが期待される子供たちが、環境問題について理解を深め、環境を守るための行動を取れるようにするため、環境教育を充実させることが重要だと考えております。

 昨年度から順次全面実施をされております新しい学習指導要領、またその解説の中で、自然環境や資源の有限性等の中で持続可能な社会をつくる力というものを教科横断的な視点で育成するということで、考え方をお示しして、また、各教科の内容においても環境教育に関する指導内容の充実を図っているところでございます。

 先生御指摘のように、こうした環境教育の鍵を握るというのは何といっても教師でございます。このため、文部科学省では、環境省と連携して、学校や地域において環境教育を実施するためのリーダーとなる教師等を養成するための研修を実施しております。また、希望に応じて全国の教育委員会等に専門の研修講師を派遣するという取組も行っておりまして、こうした取組を引き続き進めてまいりたいと考えております。

 あわせまして、実際の教育活動が行われる際には、子供たちが身近な地域の環境を活用し、外部の人材などを活用しながら、より体験的な活動を通じてその活動を充実していくということも重要でございます。

 文部科学省では、私どもで策定しております環境教育指導資料の中に、学校と地域が連携して外部人材の活用も図りながら地域の身近な環境から学びを進めるといった、具体的な実践事例も盛り込みながら、その周知を図っているところでございます。

 引き続き、新しい学習指導要領の着実な実施を進める中で環境教育の充実に努めてまいりたいと考えております。

角田委員 一つ、学校環境整備についてお伺いしたいと思います。

 最近の温暖化によりまして、公立の小中学校の九三%にエアコンが設置をされましたが、それによって快適な環境が実現できたんですけれども、一方で、消費電力による二酸化炭素の排出増加という、脱炭素とは逆方向の問題も出てきております。

 この点に関して、私の同僚議員である中川宏昌議員が、地元長野の小学校で内窓設置の省エネ効果を調べる実験をしております。

 それによりますと、夏場は内窓設置教室では三八%減の電力削減、冬場は二七%の削減効果があったということです。ライフサイクルコストの試算では、十三年でコストは回収でき、設置二十年で約八百万円の導入効果があることが分かっております。

 こうした取組を全国の学校施設で行うことにより、教育現場から地球温暖化に向けた取組を地域に発信することも大変重要なことではないかと考えます。これについては、文科省だけでなく、環境省としても積極的に後押しを考えていただきたいと思いますが、見解を伺いたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラル実現、さらに環境教育という観点からも、学校施設を始めとする建築物分野全体の脱炭素化が非常に重要だと考えております。学校施設の脱炭素化でございますが、文部科学省におかれまして例えばエコスクール・プラス事業などを主導的に行っていただいているところでございますが、環境省でもこれまで、公立学校などの学校施設を含めまして、建築物の新築、改修によるZEB化、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング化を支援してきております。この一環として、内窓等の断熱性能に優れた窓の導入支援も実施いたしております。

 また、この事業では、文部科学省取りまとめのエコスクール・プラス事業で認定された学校施設について、採択時に加点措置を実施するなど、文部科学省と連携をさせていただいているところでございます。さらに、ウェブサイトを設けて、学校を含めた建築物のZEB化の効果を事例を示して紹介したり、地域脱炭素の取組に関する各省の支援施策集を取りまとめて、ここでも、文部科学省の取組など、学校施設に対する支援策を広く周知したりしてまいりたいと考えております。

 これらを通じまして、環境省といたしましても、文部科学省等の関係省庁と連携して学校施設の脱炭素化に取り組んでまいりたいと考えております。

角田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

関委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 四時間コースの最終バッターとなりました。政府側の皆様も委員の皆様も大変お疲れさまでございますけれども、最後までどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日、質問に当たっては、立憲民主党の皆様、日本維新の会の皆様に質問時間を譲っていただきまして、本当にありがとうございます。しっかりと質問させていただきたいと思います。

 私も、まずウクライナの状況に触れてから質問を始めさせていただきたいと思います。

 ロシアの一方的な武力侵攻、侵略でウクライナの方々が多く亡くなってしまっています。本当にこれまでの戦後の歴史からは考えられないような、特に冷戦後の歴史、その状況下では考えられないようなことが起きてしまっていて、私としても、この日本でも、戦後が終わって一つの新しい時代の転換が訪れたという認識の下で、様々な安全保障戦略を考えていかなければならないと改めて認識しております。

 環境省の皆様におかれましても、ミリタリー関係の安全保障というものでは関係は薄いと思いますけれども、特にエネルギー戦略、エネルギー安全保障の部分では、再生可能エネルギーの普及もあって、大変関わりが深くなっていると思います。私からは、再生可能エネルギーの部分に関して、本日、特に太陽光発電の観点に関して御質問させていただきたいと思います。

 午前中も、田嶋先生から太陽光発電所の立地に関する大変重要な質疑があったと思っております。私の質問も田嶋先生の御質問と大分かぶるところがあるんですけれども、それだけ私の地元でも日本全国でも重要な問題になっているという御認識の下で是非お答えをいただきたいというふうに考えております。

 まず、太陽光発電の位置づけをお聞きしたいと思います。日本では、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けた取組として、再生可能エネルギーの導入促進、特に太陽光発電に関しても具体的な数値目標を設けて、この程度まで太陽光発電を導入していくということが打ち上げられていると思いますけれども、このことについて、太陽光発電を今後、何年までに何%に増やす、どれだけ発電容量を増やす、そういったところの具体的な目標をまずお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 まず、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けては、電力部門の脱炭素化を着実に実行していくことが何より重要かと考えております。再生可能エネルギーでございますけれども、まず二〇五〇年ということでいえば、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略を策定しておりまして、この中で、SプラススリーEを大前提に二〇五〇年における主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組むとされております。

 お尋ねの太陽光発電の導入目標ということでございますけれども、二〇五〇年については具体的な数字がございませんが、二〇三〇年度の電源構成におきましては、エネルギー基本計画において再生可能エネルギー全体で三六から三八%程度と見込んでおりまして、この中で太陽光が一四から一六%という数字が見込まれております。また、発電の導入量、容量ということでございますが、この一四から一六%に相当するものとしては、百三・五から百十七・六ギガワットという数字が同じくエネルギー基本計画の中で見込まれております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいた発電容量の二〇三〇年での目標なんですけれども、これは現状と比べて、よく報道では倍増といった言い方をされますけれども、そういった、おおよそ今より倍にさせるという数字感でよろしかったでしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 現状、例えば二〇一九年ということでございますが、太陽光が六・七%ということですので、これを一四から一六にするということでいえば、おおよそ倍増以上ということかと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 太陽光発電を導入していく、今より倍増させていくというところなんですけれども、特に、今全国で問題になっている、この委員会でも繰り返し、昨年も議論になっているところだと思うんですけれども、立地の部分で全国で大きな不安があると。私の地元でも、反対運動が起こっているところは一か所ではありません。様々なところで懸念が、全国でもあると思いますけれども。

 この倍増させる太陽光発電所をどういったところに、休耕地であったりとか、公共施設であったりとか、住宅であったりとか、どういったところに設置をして倍増まで積み上げていく目算なのか、お伺いできますでしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 特にこの場所でこのぐらいということではございませんけれども、午前中にございました温対法の促進区域でございますとか、あるいは屋根、特に設置の初期費用をゼロで行うPPAという事業がございますけれども、そういった屋根置きの事業、さらに、ソーラーシェアリングという、農地と太陽光発電をシェアして発電を行うとか、そういったことを積み上げて、エネルギー基本計画において先ほど申し上げた数字が積み上がっております。

斎藤(ア)委員 今のお答えだと、倍増させるけれども、どういったところでどれぐらいの容量を確保していこうという積み上げは行っていないという御回答でよろしかったでしょうか。

小野政府参考人 はい、具体的に、この場所で例えば何ギガワットということが、必ずしも場所と一対一では結びついておりませんけれども、先ほど申し上げましたような、温対法の促進区域でございますとか、FITでございますとか、屋根置きでございますとか、そういった施策ごとに積み上げてこの数字になっているというふうに理解しております。

斎藤(ア)委員 そうですね、私はそれはちょっと問題だと思いまして、どういったところでこれだけ造らないといけないというところまで、やはり数字をつくっていただかなければならないと。

 というのは、そもそも、先ほどからありますけれども、木を切り倒して山を切り開いてまでソーラーパネルを造る必要があるのかと。二〇三〇年までに倍増させるために本当にこんなところに造る必要があるのかというところを議論するためにも、どういったところに何ワット造っていく、何ギガワット造っていくのかというのは、どうかこれはしっかりと積み上げて考えていただきたいと思います。それぞれの場所で、頑張って一六%、倍増させるという。

 恐らく内部ではもうちょっと数字を話されていると思いますし、そこの部分はしっかりと公表していただいて、日本国全体でこれぐらい再生可能エネルギーを導入していかないといけないんだと。だから、こういったところに造っていこうというのは国内全体で共有して、目標に向かって取組を進めていく必要があると思いますので、どういったところに造っていくんだというところも含めて、是非ともしっかりと明示していただきたいと思います。

 いろいろな考えや試算があると思いますけれども、休耕地であったりとか公共施設の天井あるいは中央分離帯とか、そういったところをしっかりと積み上げていって、それでこの目標が達成できるのであれば、わざわざ山を切り開く必要はなくなると思いますので、しっかりとそういったところの数字を示していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣 去年の気候サミットのときに四六、あるいは場合によっては五〇という高みを目指すということを試算し、また、去年の十月の閣議でもってそれを決定したというところがある、その際には相当綿密に、あるいは絞り出すように数字を積み立てていったんだと思います。その中で、今御指摘いただいたような山を削ってまでというところが今非常に、国民的な感情としてもそういうところになっていると思います。そういうことを踏まえて、私も先般アセスメントの意見を出させていただいたんですけれども。

 ではこれからどういうふうに、全体の再生可能エネルギーだったら三六、三八、あるいは太陽光だと一四、一六、どういうふうにそれを持っていくかというところについては、具体的な中で、屋根に載っけたらどうなるのかとか、あるいは、今日も議論がありましたね、私も大分学ばせていただきました、高速道路ののり面、あるいは鉄道、道路の脇のスペース、そういうところも含めてこれから更に検討していって、現実の実現可能性について説得力を持つ作業が必要だなというふうに思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。是非ともそういった検討を進めていただいて、どういったところに造っていくのか、どういったところに造っていくことがふさわしいのかをしっかりと定めていただいて。

 その上で、先ほどからもポジティブゾーニングではなくてネガティブゾーニングが必要ではないかというお話がありましたけれども、そういった積立てをした上で、こういったところ以外には造らないでおこうという決め方をする方が私はいいのではないかなというふうに思っております。

 こちらもちょっと、質問の通告どおり大臣にお伺いをしたいんですけれども、本当にいろいろ全国でトラブルになっていて、ここに造らないでほしいという御意見もありますし、例えば私の地元のところでは、今切り開いて工事をしているところが土砂災害警戒地域に囲まれていたり、あるいは崩落危険の地帯に接して挟まれているようなところに建設が始まっているけれども、その中には該当していないので地方自治体が差し止めるということができないと。

 法令どおりにやっているかといえば確かにやっているんだけれども、地元民の人からしてみれば、木を切ってしまって保水能力を失って、傾斜地は傾斜地でございますから土砂災害も近年激しくなっている中で、そういったところに本当に開発を許してしまっていいのかと。治水が大切で、いろいろなところでダムが必要ではないかというお話がありますけれども、せっせとダムを造る一方で山を切り開いて、更なる土砂災害の危険性を人間の手でつくり出してしまっているような状況だと思います。

 こういったことを止める、危険な開発を止めるようなネガティブゾーニングというか、そういった取組が必要かどうかという、その認識については、大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣 先般の、環境影響評価法に基づいて抜本的な見直しを強く求める意見を出させていただいたときにも、環境に適正に配慮すること、そしてまた地域における合意形成を丁寧に進めていただくことが不可欠だということで述べさせていただきました。それを受けて経産大臣としても同様の意見を述べていただいたという経緯があります。

 他方、環境省においては、環境影響評価法あるいは改正地球温暖化対策法によって、適正に環境に配慮し、地域における円滑な合意形成を図られた再エネが導入されるように取り組んでいるところ。また、例えば、経済産業省において、固定価格買取り制度あるいは電気事業法に基づき再エネ事業者が遵守すべき事業規律の強化のための取組も進められていると承知しており、関係省庁とも連絡していきたいと思います。

 今日、田嶋議員の方からも問題提起をいただきました。その意味では、適正な環境配慮、あるいは地域の合意形成の確保、そしてまた再エネ導入の促進、この辺のバランス、どういうふうに制度的に対応できるか、あるいはすべきかということで、関係省庁と必要な対応を議論していきたいと思っています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今大臣からもおっしゃっていただいたように、この議論は本日も午前中にされていて、本年四月に施行される改正地球温暖化対策推進法、この法律によって促進地域が設定されて、地域との合意形成を重視していくといったことがうたわれているんですけれども、先ほども大岡副大臣からの答弁であったように、これは促進地域に該当しないところでの開発を止めるような法律でもないですし、もちろん既に開発が始まっているものを止めるようなものでもないので、この法律をもって、地域でいろいろなトラブルを生み出している、あるいは危険だと言われているような開発を止める効果がないということは、本日、政府も認められたところだというふうに思います。

 そもそも、改正地球温暖化対策推進法に関してもそうですけれども、再生可能エネルギーの導入を促進しよう促進しようという方向で全体の法律が作られているせいで、もちろんそれはとても重要なことなんですけれども、その一方で地域に迷惑がられて、結果として再生可能エネルギーの導入にマイナスになるような事態を招いているかもしれないということを是非とも改めて御認識いただきたいというふうに考えております。

 改めての質問になりますけれども、更にここの取組というのを踏み込んで、ネガティブゾーニングといいますか、こういったところでは造らないでおこうということをもっと明確に打ち出したりするということの検討はまだ全くされていないでしょうか。これから、私は、早急に進めていかないと次々と災害の種になるような案件がどんどん完成していってしまうと思いますので、早急に検討が必要だと思うんですけれども、こういったネガティブゾーニングの検討はされているのか、されていないのか。それに加えて、されていないのであれば、今後する可能性があるのか、する必要があると認識しているのか。そういったところを少しお話をいただければと思います。

大岡副大臣 斎藤議員にお答えいたします。

 私も、斎藤議員と同じように、太陽光発電に関するトラブル、その立地のあるべき形というものを政治がしっかりと議論しなければならないと思っておりまして、今日この委員会におきましても午前中、田嶋委員からも御議論いただきました。こうした議論が最も大事だと思っておりまして、先生方の議論によって政策を見直すべきところは見直してまいりたいと考えております。

 斎藤議員の御質問に対してお答えをいたしますと、確かに、今の改正温対法ではネガティブゾーニングをするためのルールはございません。現在の改正温対法の中にはございません。

 ただし、改正温対法では、国で規制すべき地域を決め、県で規制すべき地域を決め、そして市町村に落として、ここで促進区域がどうあるべきなのかというのを議論していただくことになっております。当然、この議論の中では、住民合意というのはどうすればいいのか、あるいは住民合意や今後立地を進めていく上で注意すべきことはどういうことを注意しないといけないのかというのを、これを市町村ごとに丁寧に議論していただくように私どもからお願いしております。

 ここで議論されたこと、つまり住民合意をどうするかとか地域では何を大切に思っているのかということは、促進区域のみに当てはまることではなくて、促進区域ではない地域にも当てはまります。市町村で議論していただいていることですので。したがいまして、これは事実上の、地域にとって何を大事にしているかということは、これを守れない者は立地をしにくくなるわけでございますので、一定の規制効果、一定の牽制効果は働くものと考えております。

 したがいまして、まずはこの促進地域の議論を私たちもしっかりと各市町村にお願いして、しっかりと住民の思いに沿った形での議論を進めていただくことがまずは肝腎だと思っておりますので、お力添えをいただきたいと思います。(発言する者あり)

斎藤(ア)委員 私もそう思います。すごくきれいなことをおっしゃっていただいたんですけれども。

 地方自治体と住民の方は、既に一致団結して問題を解決しようとされているところがほとんどだと思います。私の大津市のところでも、様々な意見書を出したりだとか、市から県に要望を出したりだとか、また、私が要望を受けて、国を動かしてほしいというお話をいただいたり、市からもしています。条例を作っていろいろ対策を進めていくところもあるんですけれども、法律を超える条例は作れないわけで、法律を作って、規制が必要な部分はしっかりとしていかなければならないと思います。

 特定の案件の話を繰り返して恐縮ですけれども、我々の地元の国分の案件というのは年末に在阪のMBSという局のニュース番組で特集がされて、ホームページでも見られますので見ていただきたいんですけれども、説明会の場での業者の方と住民の方とのコミュニケーションの映像があるんです。業者の方は、法律に違反しているわけじゃないからいいじゃないかとおっしゃっていて、住民の方が法律を守っていたら何をしてもいいのかと言ったら、それが法律でしょうと返ってくる。

 言ってしまえば、ビジネスですから、利益を得るために法律の範囲内でできるだけやっていくというのは、それは一概に間違ったこととは言えないけれども、殊に安全性に関するものであれば、こういった例とか危険な例が生み出されないためにしっかりと我々が法律を作って、ルールを作ってそういった事例がなくなるように取り組んでいく必要があるというふうに思っているので、ネガティブゾーニングをする必要があるんじゃないかということを御提案というか、お話をさせていただいているわけでございます。

 そういった意味でいうと、促進地域を設定するというのは、少し極端な見方かもしれませんけれども、開発をしやすいようにすると。開発地域を設定すれば様々な手順が省けるので開発がしやすくなるという部分が主で、その部分以外の周りの地域での危険な開発を防ぐという効果が、それこそ性善説に基づいたものしかないような形で、とても今の課題とか問題に対する解答策として少しも前進しているように思えないので、このお話は予算委員会の分科会のところでもさせていただきましたけれども、今年四月に施行される改正地球温暖化対策推進法によって、こういった問題が解決されないし、次々とこういった事例が生み出される危険性があるというふうに、私も危機感を持っております。

 今、大臣また政務三役の皆様で地方行脚をしていただいていると思うんですけれども、是非ともこういった、問題になっている、トラブルになっている再生可能エネルギーの立地のところにも行っていただき、具体的にどういったルールづくり、規制づくりが必要なのかというところは、是非ともそういった観点でも見ていただきたいというふうに思います。

 そういったことを通じて地域の方も安心して再生可能エネルギーと共生できるような環境をつくらないと、ずっといい開発が進まないということになって、日本のカーボンニュートラルも遠のいてしまうと思いますので、是非ともそういった観点でお願いしたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣 国会での審議というのは非常に重いものですし、国権の最高機関で議論されていること、私も今日は目いっぱい受け止めていきたいと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 冒頭の繰り返しになりますけれども、自国でエネルギーを確保していくということがこれからの時代はますます重要になると思います。だからこそ、再生可能エネルギーでどれだけ賄えるのかということはしっかりと積み上げていっていただきたいと思いますし、そのためには地域住民であったり立地が行われる場所の方々の御理解が必要だと思いますので、積極的なネガティブゾーニングの考え方を実現していただいて、安心して国内で再生可能エネルギーが普及されるように取組をしていただきたいと思います。

 残りの時間で、今年の法案審議の中身に少し触れさせていただきたいというふうに思います。今年の地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案についてですけれども。

 今回、法律案の中身は、重立ったものは、環境省所管のところで新たな投資ファンドをつくって、再生可能エネルギー関連のビジネスの振興というか、民間資金を引きつけるための旗振り役としてファンドに機能していただこう、そういった施策だと思うんですけれども、第二次安倍政権以降、政府が様々なファンドをつくって民業圧迫のようなことを行っているのではないかということを、少し懸念を私としてはしております。

 政府がファンドをつくる意味というものをどう大臣は考えていらっしゃるのか。なぜ今回、温暖化対策としてファンドを環境省所管で設けることになったのか。その意義について少しお伺いできればと思います。

山口国務大臣 令和三年度の補正予算でもいろいろと環境あるいは地球温暖化対策関係で予算をお願いさせていただき、また、令和四年度でも、二百億円の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、そして今御指摘の財政投融資による二百億円の話、いろいろな意味で地合いを整えつつあるとは思うんですけれども、その中でこの話というのが、前例に乏しく投融資の判断が難しいという面もあろうと思います。また、認知度が低く関係者の理解が得られにくいなどの理由から、脱炭素化に貢献するものの、しかし、資金調達が難しい事業への民間資金の呼び込みというものが課題になっていると思います。

 この意味では私も、今から人事について話が具体的になるわけですけれども、私は、申し訳ないけれども銀行関係者の方々というのはむしろ御遠慮いただいて、もうちょっと自由な発想で考えていただきたいなという希望を持っています。そしてまた、プロジェクトを発掘し、それをまた実際に実現する、そういう意味では、これまでになかったようなことも踏まえて考えていただき、あるいは実行していただける、そういう人材を求めていきたいなというふうに思っています。

 民間投資ということを誘発していくことによって、でき得れば、脱炭素ドミノの延長線上にいわゆるESGマネーという大きな流れが世界の中にはある、三千八百兆とかいろいろな数字がありますけれども、その幾ばくかでも引き込んで、日本の税金だけではなくてそういうお金も、魅力を感じてもらえるような、そういう流れにしていきたいなというふうに思っています。

斎藤(ア)委員 大臣、ありがとうございます。

 ファンドをつくるということになった経緯について可能であれば事務方の方にお答えいただきたいんですけれども、実際に、民間の再生可能エネルギー関係の業界の方あるいは金融機関から、政府系のこういったファンドをつくってほしいという要望であったりとかアイデアというものが出てきたということはあったんでしょうか。

白石政府参考人 お答えいたします。

 本改正法案の検討に当たりまして、民間の方から、こういうファンドをつくってほしいとか、そういうような特段の要望があったわけではございませんけれども、現状、今回の法案の前身となります事業に関しましては、グリーンファイナンス推進機構という機構におきましてエネルギー特別会計から同様の事業に出資してございます。今回、二〇三〇年の四六%削減目標あるいは二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて一層の拡充を図るという必要性があるというふうに判断をいたしましたものですから、改組いたして、御提案をしているということでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 ファンドを運営するわけですから、また、税金も投入するわけですから、当然、お金の呼び水になると同時に、しっかりと、マイナスではなくてプラスの運用をされていこうと思っていただいていると思うんですけれども。

 先ほど大臣から金融機関関係の方は御遠慮いただこうと思っているというお話がありました。どういった方にこういったファンドで活躍してもらおうと思っているのかということをお聞きしたいんですけれども、ちゃんと、ほかのファンドに比べて遜色のない給料がお支払いされるファンドなのかと。給料が安い高いはいろいろな御意見があると思いますけれども、ちゃんとした人材が入らないと運用もできないし、結局政府系ファンドで大きな損を出しているところもありますので、そういったところも踏まえて、どうやっていい人材を集めようとしているのか、そういったところも少しお伺いできますでしょうか。

山口国務大臣 先ほど私自身が申し上げたのは、いわゆる典型的な、銀行的な仕事、要するに、堅い担保を取って、そうでなければどうのこうのというのじゃないようにという話なんです。したがって、金融機関の経験者の方も含めて、いろいろと人材を発掘していきたいなと思っています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。是非とも、やるからにはしっかりとした、利益を出すことは第一ではないとしても、利益を出すつもりでやらないといい投資はできないと思いますので、しっかりとした人材を集めていただくこともお願いさせていただきたいと思います。

 今日は大臣所信に対する質疑ということで、今後は法案に対する質疑が始まっていくと思いますけれども、しっかりとこういった部分についても御質問させていただきたいと思いますし、本当に日本のエネルギー戦略に関わる大切な委員会だと思っておりますので、私も日本のため、日本の環境だけではなくて日本の安全保障のためという思いで質疑に取り組んでいきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 本日はありがとうございました。

関委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十四分散会


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