衆議院

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第3号 令和4年3月25日(金曜日)

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令和四年三月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 関  芳弘君

   理事 勝俣 孝明君 理事 菅家 一郎君

   理事 小泉進次郎君 理事 笹川 博義君

   理事 源馬謙太郎君 理事 田嶋  要君

   理事 漆間 譲司君 理事 角田 秀穂君

      畦元 将吾君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      石原 正敬君    小倉 將信君

      武村 展英君    辻  清人君

      中西 健治君    穂坂  泰君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      篠原  孝君    中島 克仁君

      馬場 雄基君   松木けんこう君

      遠藤 良太君    奥下 剛光君

      中川 康洋君  斎藤アレックス君

    …………………………………

   環境大臣         山口  壯君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   環境副大臣        務台 俊介君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   環境大臣政務官      中川 康洋君

   環境大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 新田 慎二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀内  斉君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           坂巻 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       高橋 謙司君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官)      上田 康治君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      金子 修一君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

同月十一日

 環境安全基本法(仮称)の制定に関する請願(大河原まさこ君紹介)(第四八二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第四八三号)

 同(篠原孝君紹介)(第四八四号)

 石綿による健康被害の救済に関する法律の抜本的改正等に関する請願(近藤昭一君紹介)(第四八五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

関委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官新田慎二君、厚生労働省大臣官房審議官川又竹男君、厚生労働省大臣官房審議官堀内斉君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房審議官田中哲也君、経済産業省産業技術環境局長奈須野太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、国土交通省大臣官房審議官坂巻健太君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君、国土交通省水管理・国土保全局次長高橋謙司君、環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官上田康治君、環境省地球環境局長小野洋君、環境省水・大気環境局長松澤裕君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監金子修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自民党の菅家一郎でございます。よろしくお願いいたします。

 前段で、この度の地震で亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、多くの被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思いますし、一日も早い復興に私どもは取り組んでまいりたいと思います。

 そして、ウクライナ戦争、本当に、多くの犠牲者の方々に哀悼の意を表しますとともに、一日も早い終息を願ってやみません。

 それでは、まず、動物愛護についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 動物愛護管理の基本方針では、犬猫の殺処分数、これについて、二〇三〇年度で二〇一八年度比半減となる約二万頭まで減らすという目標を掲げて取り組んでいると承知しているところであります。

 殺処分をなくしていくためには、まず、飼い主責任等に関する普及啓発の徹底による意識向上を図って、飼い主等からの引取り数自体を減らすことは当然もちろんでありますが、その上で、引き取った犬猫の返還、適切な譲渡の取組を促進していく必要があると思っております。

 殺処分によって命を奪われてしまっている犬猫には、感染症を患っていることもなく、譲渡できるのに、里親が見つからずに、譲渡先が確保できず、殺処分によって命を奪われてしまっている犬猫も多いということは大変残念なことだ、このように思っております。

 犬猫について殺処分をゼロにする、こういった高い目標を掲げて、とりわけ譲渡できる犬猫について殺処分をなくしていく社会の実現に向けてしっかりと取り組むべきだ、このように考えておりますが、大臣から今後の具体的方針を伺いたいと思います。

山口国務大臣 環境省では、動物愛護管理基本指針を定めております。この中で、治癒の見込みがない病気や攻撃性を有するなど、犬猫を譲渡することが適切でない場合を除いては、飼い主への返還や新たな飼い主への適正な譲渡を積極的に進めることとしています。

 犬猫の殺処分数については、同指針において殺処分率の減少を図ることと位置づけられた平成十八年度以降、都道府県等の積極的な取組によって、平成二十年度、二〇〇八年から、三十年度、二〇一八年の十年間で、約七分の一の三万八千頭まで減少してはいます。さらに、現在の同指針においては、令和十二年度、二〇三〇年には、平成三十年度、二〇一八年比のおおむね半分となる約二万頭を目指すことを目標に掲げています。

 犬猫の殺処分を減らすためには、自治体に引き取られる犬猫を減らすことが重要です。そのためには、まず、飼い主の責任として、終生飼養と望まない繁殖を防ぐための不妊去勢措置等の徹底を是非お願いしたいと思います。また、新たに犬猫を迎える方に対しては、自治体等に保護された犬猫を譲り受けることが一般的になるような普及啓発を進めること等により、殺処分ゼロを目指してまいりたいと思います。

菅家委員 殺処分ゼロを目指すという御答弁をいただきましたので、どうか、各都道府県、市町村の方にも是非大臣の思いをしっかり伝えて、目指していただきたいと思います。

 さて、昨今のコロナ下で犬猫を飼い始める人が増えている一方で、飼育放棄された犬猫が生じることもまた懸念されているところであります。私の地元でも、殺処分される犬猫たちに心を痛めて、保健所に出向いて、直接保健所から猫を中心に譲り受けて、保護活動をされている方がおられます。

 動物愛護の拠点である動物愛護センターは、私の地元福島県を例にすると、県の中央のセンターと会津支所、相双支所を含めて三か所しかありません。それぞれのセンターの管轄するエリアが広過ぎたり、また、きめ細かな対応にも支障が出る状況もあるのかな、このように思っております。これは、福島だけでなく、全国でも、動物愛護センターが限られた政令市等にしかないという状況は同様だと思います。

 そこで、動物愛護センターのサテライト施設を増やすなど、地域地域の実情に応じてきめ細かな対応につなげる動物愛護センターのサービスの充実強化を図っていき、里親探しの取組を一層進める必要があると考えますが、御見解を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、動物愛護管理センターは、飼い主が犬猫の引取りを求めてきた場合、相応の事由があるときには引取りを行っております。それで、譲渡による新たな飼い主探しの拠点ともなっております。そういう意味で、非常に重要な施設というふうに我々も考えております。

 また、環境省では、このため、ハード面での支援として、動物愛護管理センターの設置ですとか更新、そういったものの施設整備に対する補助を行ってきております。さらに、ソフト面での取組も実施してきております。具体的には、動物愛護週間等で、譲渡を広く周知するプログラムを開催したり、譲渡を促進するためのパンフレットを作成したりする等の積極的な普及啓発を行ってきております。

 環境省としましても、犬や猫を飼うときに、譲渡を受けてそして飼うという選択が当たり前になるような、こういったものを、現場で対応している自治体とも連携をしながら引き続きこうした取組を進めてまいりたい、このように考えております。

菅家委員 動物愛護センターの担当の方々の意識も大事ですね。ですから、積極的に里親に出していくことが大臣の殺処分ゼロにつながりますから、是非そういった方針を伝えて対応していただきたいと御期待申し上げたいと思います。

 次に、環境省によりますと、令和二年度に全国の保健所で殺処分された犬猫の数は二万三千七百六十四匹で、殺処分数の内訳は、犬が四千五十九匹、猫が一万九千七百五匹となっておりまして、犬猫の返還と譲渡の取組や関係団体などの御尽力によってここ十年で約十分の一まで削減されてきたと承知しておりますが、ゼロを目指すという大臣の思いを踏まえれば、更なる取組の強化によって犬猫の取引数や殺処分数の減少を図っていく必要がある、このように思います。

 ここまで殺処分が減少してきた背景には、動物愛護センターなどと連携して、収容された犬猫を引き取って、その受皿となってきた保護団体の方々の活動が果たしてきた役割は大きい、このように考えます。

 しかしながら、コロナ下で譲渡会の開催が困難となっており、こうした犬猫の保護団体の経営は厳しくなっている状況にあると承知しております。先ほどの私の地元で保護活動をされている方々の団体も、例えば餌代とかワクチンの予防接種費用、冷暖房費など、運営費を賄って活動を続けていくにも限界があるという声も聞いています。これは、全国で犬猫を殺処分から救おうと同じ活動をされている保護団体の方々も同じ状況か、このように思います。

 そこで、犬猫がしっかりと一生を幸せに全うできる社会づくりに向けて、保護犬猫の受皿となり殺処分減少に大きな役割を果たしている民間の保護団体等の活動への十分な支援を行っていく必要があると考えますが、御見解を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 犬猫の譲渡に関しましては、委員御指摘のとおり、本当に多くの民間団体やまた個人の方々も、ボランティア活動に献身的に関わっていただいて、大きな役割を果たしていただいている、これは環境省としても大変感謝をしたいというふうに考えております。

 活動資金という観点では、御指摘のとおり、不足している部分もあろうかと思います。この意味で、自治体が、犬猫の不妊去勢手術に助成金を出したり、ふるさと納税を活用したりしている例があると承知しております。また、民間でも、クラウドファンディングですとか、遺言による財産贈与、遺贈など、様々な手法を活用する団体も、工夫をされているということも承知しております。

 こうした取組を環境省としても積極的に紹介させていただくとともに、環境省自身としても、令和四年度より、団体のこうした資金の確保の手法の検討も含めて、譲渡を円滑に進められるようなモデル事業を実施して、これを展開していく、こういった取組を進めていくこととしておりまして、こういったことで各活動を支援していきたいというふうに考えております。

菅家委員 現状はそういうようなことなんですが、やはり、里親に出してこそ初めて殺処分数が減少するわけですから、支援センターとそういう保護団体等で連携を組んで、しっかりと里親につないでいくという、この活動のまさに末端でやっているそういう団体に対しての支援というのも、是非、大臣、継続して御検討いただきたいと思います。

 また、センターから保護された犬猫の譲渡を受けて新たに里親となるための条件についてなんですが、私の地元の方からお聞きしたところによると、譲渡を受けて新たに飼い主となるには、独り暮らしや一定の年齢に達していないこと、東京だと二十歳から六十までなんですね、私はもう飼えないんですよ、こういった状況なんですね。このような条件を満たしている必要があるんです、最初から駄目なんですね。条件が厳しいため、より譲渡を受けやすい基準に緩和してほしいという現場の声がある、このように承知もしております。

 譲渡を受けて新たな飼い主となるための条件は自治体の実情に応じて設定されておりまして、譲渡を受けた後の適正な飼育のために設けられている基準であると思いますが、一方では、動物保護管理法とか、法律があって、国民には罰則規定があるわけですよ、殺処分したら、刑罰の。だけれども、保護してこれを殺処分するということはやはり避けて、大臣がおっしゃったように、ゼロを目指すということであれば、条件が厳しいからということで里親に渡さないと殺処分になってしまうじゃないですか。

 ある程度里親で受けますよという人に渡せば、この人が年齢が上でも、何年間かはその犬猫が殺処分から免れることになるんじゃないですか。やはり、一日でも、二日でも、一週間でも、一年でも、十年でも。こういった形で、やはり、犬猫の殺処分をなくしていくことを目指して、このような条件の緩和をして、受けられる人がいたなら受けてやるようなより柔軟な対応をすべきだ、このように思いますが、大臣の御所見を賜りたいと思います。

山口国務大臣 犬猫の譲渡を受けた方、いわゆる里親については、譲り受けられた後に、単身者であれば用事で犬猫の世話ができない際に代わりの世話を頼める人がいないとか、あるいは、高齢者であれば動物の世話をすることが体力的に難しくなったといった様々な事情が生じることがあるやに、それはもちろんあると思います。

 そのため、それぞれの自治体や保護団体において、そうした様々な現場での経験なども踏まえて、譲渡する際の一定の条件を課しているという形でやっていると認識しています。

 一方では、今御指摘いただいたように、譲渡先を広く確保することは殺処分を更に減少させるために重要であります。先ほど局長からもお答えさせていただいた譲渡促進のモデル事業の中で、譲渡する際の要件の在り方なども含めて、その方策を検討していきたいと思います。

 これらを踏まえて、現場で対応する自治体あるいは保護団体の御意見もよく伺って、相談を重ねて、犬猫の譲渡が広がる社会を目指してまいりたいと思います。

菅家委員 是非、最初に、大臣の決意といいますか、殺処分ゼロを目指していくんだと、高く評価しますから、その実現のために、私が提案した課題解決に是非ひとつ御尽力を賜りますようお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、石原正敬君。

石原(正)委員 おはようございます。自由民主党の石原正敬でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、理事、皆さん、関係各位に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 まずは、東北の地震なんですけれども、本当に、突如ああいった形で起きまして、お亡くなりになった皆さん方の御冥福と、被災された皆さん方にお見舞い申し上げるとともに、本当に一日も早い復旧復興を再度望むものでございます。

 そしてまた、ウクライナ人民共和国へのロシアへの侵略により、これまたお亡くなりになった皆さん方あるいは困難な状況に身を置かれている皆さん方に御冥福とお見舞いを申し上げるところでございます。

 やはり、日本も国際社会と連携してしっかりとした経済制裁あるいは人道支援ということを行っていく、そういったことが我々に課せられた責務だというふうにして思っているところであります。

 さて、今回は、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法、いわゆる産廃特措法について質問をいたします。

 この質問をするに当たりまして、大臣の所信表明を再度読み返したところでありますが、脱炭素、循環経済、あるいは分散・自然共生などを軸としまして、気候変動や生物多様性などに注力した、そういった所信表明、時宜を得た所信だなと感じたところでございますけれども、そういう中におきまして、今更産業廃棄物の質問かというのは、いささか時代遅れの感を与えるかもしれません。

 私自身が古臭い人間ですのでこのような質問になったのかもしれませんけれども、一方で、この問題といいますのは、都市部というよりも地方部の課題なんだと。ですので、地方創生とまでいきませんけれども、地方の課題をここで取り上げているんだというふうな形でお受け止めいただけると幸いでございます。

 さて、産廃特措法は、平成十五年六月に十年間の時限立法で施行されましたが、十年目に期限延長の改正がなされ、約十九年が経過したところでございます。この法律は、法に定められた処理基準に反して不適切に処分されたいわゆる大規模な不法投棄事案を処理するためのもので、当時社会問題化した不法投棄廃棄物の適切な処理を目的として有していたと考えられます。

 先ほど触れましたように、十年の延長を経て、約十九年間が経過したわけですが、当時の時代背景を踏まえて、環境省としては、本法律が果たした役割や成果をどのように認識されているのか、あるいは目的をどの程度まで達成したと考えているのか、お聞かせください。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 不法投棄については、生活環境保全上の支障が生ずるほか、適正な処理あるいはリサイクルに疑念を抱かせるようなことになり、循環型社会の形成を阻害する要因だと思っております。

 平成九年当時、全国で不法投棄が蔓延するというような、そういう状況がございました。そのために、平成九年に廃棄物処理法の改正を行いまして、不法投棄について罰則の厳罰化とか様々な規制強化を行ったわけでございますが、既に蔓延していた不法投棄、たくさんあったわけでございます。

 そのため、その支障の除去等を時限法による財政支援等により速やかに行うために、先生御指摘のように、平成十五年に産廃特措法が制定されたわけでございます。

 産廃特措法によりまして、特定支障除去事業というふうに呼んでおりますけれども、十五自治体十九事案が大臣承認されまして、そのうち、現在実施中は八自治体十事案となっております。これまで国庫補助として約三百三億円、それから産業廃棄物適正処理推進基金からの補助として約三百一億円を執行いたしまして、加えて、元利償還交付税措置等によって地方財政支援も行ってきたところでございます。

 本法の施行によって、特定支障の除去が円滑に進められてきたというふうに認識しております。

石原(正)委員 これは、都道府県などは、本法律によって、基本計画を定めまして、特定産業廃棄物に起因する支障を除去し、相当程度の成果を上げてきたというふうにして、御答弁にもありましたけれども、私もそのように考えております。

 本法律に基づく支障除去等事業は、香川県の豊島事案、ここは事業費約五百六十三億円で全量撤去しています。また、青森・岩手県境不法投棄事案につきましては、約七百三十二億円をかけて全量撤去している。これらを含めて全国で十五自治体十七事案が実施されていますが、これらの香川県豊島と青森・岩手県境事案は全量撤去したものの、ほかは、予算や撤去場所の確保などの問題によりまして、不法投棄された場所に残置という形で事業を実施しました。

 安全、安心な住環境の確保という観点に立てば、地域住民は当然ながら全量撤去を望んだと思います。しかし、様々な問題、最大の理由は財政的課題だと思いますけれども、その場に残置という結果になったと考えております。すなわち、住民感情からすれば、ベストな解決方法は全量撤去にもかかわらず、そこに至らず、残念ながら、ベターといいますか、そのまま放置しておく、ワーストというものを回避する形での残置処理となったとも言えます。

 そこで、質問ですけれども、産廃特措法に基づく支障除去等事業に関して、今後の課題をどのように認識しているかをお尋ねします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律に基づく財政支援につきましては、都道府県等が定めた実施計画に基づいて、環境大臣による同意を経たものについて、支援対象になっております。

 都道府県が実施計画を定めるに当たりましては、効率や事業期間、費用面も踏まえて、学識経験者等の第三者を交えた検討を行って、安全面での、生活環境保全上の支障が生じないようなしっかりした実施計画を策定しているというふうに考えております。

 また、国においても、都道府県から提出された実施計画について、第三者を交えた審査を行い同意しているということでございまして、工法の選択も適正に行われたと認識しております。

 一方で、各地域において、今後の事業の在り方について、安心面からモニタリングを継続してほしいなど、様々な要望もあるものというふうに承知をしております。

石原(正)委員 先ほども申し上げましたが、全国で十七事案のうち全量撤去が二事案、残り十五事案は残置となりました。残置であっても、福井県の事案では事業費が約百十一億円、三重県の事案では事業費が約九十・八億円など、莫大な事業費がかかっており、残置事業であっても合計約七百億円に及びます。

 仮に残置十五事案を全量撤去していたとしますと、これは場所にもよりますので、あくまでも仮でありますけれども、残置よりも撤去の方がたくさん費用がかかるわけでありますので、例えば十倍とした場合に約七千億かかったんじゃないかなと、こういうような理論上の数値、仮ですけれども、考えますと、要するに、残置よりも当然全量撤去の方が金がかかるわけでありますので、それを含めて残置にした、そういうことになりますと、やはり、残置にしたところに対するケア、そしてまた全量撤去してもモニタリングが必要だということもありますので、そういった今後の課題に対してしっかりとケアしていく必要があるんじゃないかというふうにして考えています。

 そういう意味からいきますと、産廃特措法の再延長ということも選択肢の一つにあると考えますが、環境省の認識はどのようなものでしょうか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、一度延長しておるわけでございます。それは平成二十四年度末までの時限法であったということでございますけれども、そのときの理由としては、当初の計画見込み以上の量の産廃が確認されたなど、都道府県が法の期限内に事業を完了させるということが困難だったという理由から、当時延長されたというふうに認識しております。

 現在、特定支障除去等事業を行っている各都道府県等において、法の期限である令和四年度末までに実施計画に定めた目標が達成される見込みかどうかというのを環境省から聞いておりますけれども、これまでのところは達成する見込みという報告を受けておるものですから、前回延長時のような要因が認められないということもございますので、現時点では再び延長を要する状況ではないと考えております。

石原(正)委員 現在、計画どおり進んで、令和四年度末にはほぼ全ての計画が実施できるという状況にあるということは答弁いただいたとおりでございますが、それ以後、各自治体が、水質汚濁とか大気汚染、残置した廃棄物から様々な、水あるいは空気、ガス等々が発生するということで、地域住民の皆さん方の安全、安心な生活を確保するという意味から、モニタリングをしていく必要がある。

 そして、今、各自治体からいろいろと試算というものが出ているわけなんですけれども、全国の自治体、残置した、あるいは全量撤去したところによりましても、一年間に約六億円は少なくともかかる。十年間モニタリングしていくと、単純な掛け算ですけれども、約六十億円ぐらいかかると言われていまして、この財政負担というのが非常に大きな課題なんだということでございます。

 当然、国の関与というのは特措法が切れたらこれで終わりなんだよという考え方もあるかも分かりませんけれども、先ほど申し上げましたように、元々、廃棄物というのは、当該自治体で発生したというよりも、全国各地から産業廃棄物がそこに集積されていったという観点から申し上げますと、今現在ある自治体も当然負担はするということもあるんですけれども、一方で、全国民が負担をしていく、そういう質のものではないかというふうにして思っていますし、仮に、最初に申し上げましたように、都市部と地方部という関係から申し上げますと、地方部の大きな課題になっているというふうにしても見て取ることもできます。

 でありますので、関係自治体とすると、財政的な支援を是非お願いしたいというところもありますし、これで、特措法が切れたからといって、もう国は関係ありませんよというような、国の関与が全くなくなるということも大変地域住民としては危惧しているところでもございます。

 そういう観点から申し上げまして、今後、残置あるいは全量撤去した事案について、モニタリングなどについて、政府の費用負担を含めた国の関与の在り方についてどのように考えられているか、御認識をお伺いします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 本法は、先ほど申し上げましたように、令和四年度末に失効するということになっております。まずは、この失効に向けて、残り一年、目標達成に向けて全力で事業を進めていくということかと思っております。

 令和五年度以降も国による支援を要望されている自治体があるということはこちらとしても承知しております。要望なりをしっかり踏まえながら、法の施行状況等を勘案して、財政支援によらない方法も含め、支援について検討してまいりたいというふうに思います。

石原(正)委員 地方も一般財源でかなり厳しい状況になっていまして、一般財源を使うとしますと、国の補助とか、あるいは、起債はなかなかこの案件については難しいかも分かりませんけれども、やはり、地方債の何らかの形で、臨対債とかでも出るということがあると財政当局とのやり取りもスムーズにいくというふうにして思います。是非、これから、特措法が切れる、一年ちょっとありますけれども、それまでには、いろいろ国と関係自治体としっかり協議をいただいた上で、地域住民が安心して今後も暮らしていけるような、そういった体制づくりを是非お願いいたしたいと思います。

 カーボンニュートラルとか生物多様性はすごく大事なことなんですけれども、やはり、これまでにある課題ということもしっかり捉えながら、環境省としては今後も国民のために是非とも汗をかいていただきたいというふうにして思いますので、よろしくお願い申し上げながら、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 環境委員会での質問は大変久しぶりでございますが、今日、エネ庁、また国交省さんにもお忙しい中御出席いただいております。後ほど質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 限られた時間でございますので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、私からは核燃料輸送時の警備体制についてお伺いをしようと思うんですが、一昨日、ウクライナのゼレンスキー大統領が国会演説をされ、ロシアが原子力発電所を攻撃対象にしていることを目の当たりにして、世界は、これが全世界に対するテロである、大きなテロであると強く非難をされました。

 ロシア軍がウクライナ侵攻に際し同国内の原子力発電所を攻撃したことにより、世界中で原子力発電所への武力攻撃への懸念が高まっております。原子力規制委員会の更田委員長によると、武力攻撃に対してすぐに取れる対策は事実上ないということでもございます。また、岸田総理は、今月十四日の参議院予算委員会において、福井県警が原子力発電所に配置している警備部隊の全国展開について検討する旨の答弁をされておりますので、山口大臣も含めて、関係省庁におかれましては、早急に武力攻撃への対策検討を実施していただくよう、改めてお願いをしたいと思います。

 この原子力発電所と同時にテロ行為や武力攻撃の対象となるおそれがあるのが核燃料の輸送であります。我が国は、オーストラリアやカナダなどからウランを輸入しております。その輸送船や陸上輸送用の車両がテロ行為や武力攻撃に遭う可能性は十分にあります。核燃料輸送時の警備は、主に、公海上では船籍国の警備会社、領海内は海上保安庁等が、陸上は警察や警備会社が担っておりますが、このような場所によって別々の主体が警備を担っていると、警備の交代のタイミングを狙って、また、複数の人間が関わることでテロ行為や武力攻撃が行われる可能性があります。また、その際には責任の所在も曖昧になります。

 まず確認なんですが、現在、核燃料の輸送に際してテロ行為や武力攻撃を想定した警備体制がしかれているのか伺うとともに、また、核燃料を輸送する際の警備は、公海上、領海内、陸上と、それぞれ誰がどのような体制で担っているのか、確認をさせていただきたいと思います。

金子政府参考人 お尋ねの核燃料の輸送に関する規制につきまして、海上、陸上などの運搬方法あるいは手段などに応じて原子炉等規制法、船舶安全法、航空法に基づいて規制が行われておりまして、段階的に、容器の施錠や封印、それから、荷主あるいは運搬者の間での確実な引継ぎ、寄港地などで防護区域を設定して引継ぎ時に攻撃を受けないようにするような措置など、警備の実施などを含めて義務づけられておりまして、原子力規制委員会あるいは国土交通省の確認を受けた措置をまずは事業者が講ずるという形になってございます。

 その上で、事業者は、陸上輸送に関しては都道府県公安委員会に、海上輸送に関しましては管区海上保安本部に届出を義務づけられておりますので、届出を受けました各機関がその時々のテロの情勢などに応じて適切な体制を取っていただいているというふうに承知しております。

中島委員 今お答えいただいたように、輸送に関して、陸上は規制委員会、そして海上は海上保安庁。輸送方法に関しては、所外は国交省になるんですかね、所内は規制委員会。輸送経路、日時に関しては、都道府県の公安委員会、海上は海上保安庁、調整は全て規制委員会ということでありますが、それぞれの法律にのっとってということでございますが、更田委員長は、原発に関して十分にテロとか武力攻撃には対処が事実上できていないという。輸送に関しても、体制は取っているけれども十分にはできていないというのが現状なんだと私は考えておりますが。

 今も話をされたように、我が国の輸送に関して、原子力発電所では個人の信頼性確認制度が導入されていて、原子力施設における内部脅威対策の一つとして、個人に関する情報、テロリズム、暴力団に関する事項の自己申告、面接等が行われていると承知しています。そして、同様の制度が令和二年四月から、原子力発電所だけではなくて、核燃料の輸送を行う事業所や輸送者、警備業者にも導入されていると承知をしていますが、核燃料輸送の警備に当たる者の信頼性確認制度、この運用状況についても確認をさせてください。

坂巻政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、IAEA、先ほど委員がおっしゃったように、国際原子力機関のガイドラインに基づいて、令和二年四月から、核燃料輸送において個人の信頼性確認、これを実施しております。

 具体的に、国土交通省としては、陸上輸送、海上輸送について対象としております。陸上輸送については原子力事業者など、また、海上の輸送については荷送り人あるいは船長が、特定の警備に当たる者に対し、犯罪又は懲戒の経歴等について記載された申告書その他関係書類に基づく書面の審査及び面接、こういったものを通じて信頼性を確認しているところでございます。

 実績といたしましては、これまで、陸上輸送で六件、海上輸送においても六件、確認を行ったということでございます。

 国土交通省としては、引き続き、核物質防護の措置について万全を期してまいりたいと思います。

 以上です。

中島委員 この信頼性確認制度ですけれども、自己申告制度ですよね。一定の信頼性は確保できるとは思うものの、自己申告制であったり、事業所が確認するということで、テロリスト等を確実に排除できる保証まではなかなかいかないのかなと、私の印象ですけれども、思います。

 また、核燃料輸送時に警備を行う者については、海上保安官や警察官のほかに民間の警備会社の社員も含まれるということで、民間の警備会社の社員については核燃料物質危険物運搬警備業務検定の資格を所持している者も輸送に関わるということだというふうに思います。

 先ほど言ったように、輸送計画、日時、そして海上、陸上と様々なつなぎ目ができてしまう、こういった縦割りになっている核燃料輸送時の警備体制について、縦割りを排することで警備に従事する主体が一つになること。

 これは責任の所在の明確化にもつながると思いますし、縦割りを排して一つの主体が警備することで、核物質に関する機微な情報に触れる者の限定、つなぎ目ができたり、様々な体制、それは餅は餅屋というかもしれませんが、そのことによって多くの人が機微な情報に触れるということで、やはり改めて、一つの主体が一元的に取り組む必要があるんじゃないか、原発もそうですが、核燃料輸送についても一元的に取り組む必要があるんじゃないかと改めて私は思います。

 過去二回、平成二十六年、二十八年に環境委員会で質問させていただいて、当時の石原大臣は、核燃料の輸送も含めた核セキュリティーの問題、一元的に取り組んでいかなければならないと答弁をされております。

 改めて原子力防災担当大臣である山口大臣にお尋ねいたしますが、核燃料輸送時の警備に当たって、縦割りを排して、テロ行為だけでなく武力攻撃に対抗できる力を持った主体が一元的に担うべきであると私は考えますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 核燃料の輸送に関して安全を確保するというところは、そのとおりだと思います。

 ずっと図柄を見てみますと、縦割りのようではあっても、一貫しているところもあると思います。実際に、輸送物が技術上の基準に適合することの確認は原子力規制委員会、これはそのとおりでしょう、この専門的な知識がなければできません。輸送方法については、陸、海は国土交通省、これもそのとおりでしょう。輸送経路については、陸においては警察、海においては海上保安庁、要するに海上保安庁は海の警察ですから、これも一貫しています。それから、空については、警察あるいは海上保安庁の及ぶところではありませんから、そういう意味ではここにおいては国土交通省ということになっているんだと思います。

 では、たまさか、縦割りを排してという議論、仮にそれをしたとして、誰がするんだと。これは専門的な知識が全部必要ですから、結局は専門的なところを大事にしていくということが起こってくるんだと思います。その意味では、原子炉等規制法等に基づく運搬の規制の範疇ではないため、対応する措置について特段の規定はない、武力攻撃についてはそういうことでしょう。

 それから、防護対象の核燃料物質の輸送については、実効性の高い規制が行えるよう、関係省庁がそれぞれの知見に基づき役割を分担して行っている、これもそのとおりだと思います。

 この縦割りが、専門的な知見に基づき役割を分担しているかということだと思いますけれども、それがいわゆる縦割り的な対応にならないということは役所のある意味で工夫ですから、だから、そういう意味では私は、引き続き、関係省庁が緊密に連携して対応できるように、私としても核セキュリティー全般に関する調整機能を担う原子力規制委員会の取組をサポートしていく、そういう格好で安全を確保していきたいと思います。

中島委員 先ほど餅は餅屋と言いましたが、原子力規制委員会が計画また全体を把握しながら、都道府県、ただ、まあ、先ほどの信頼性確認制度もそうなんですけれども、十分に信頼性が、制度が確保できるか、そして、つなぎ目ができることで機微な情報が外に漏れないか。

 そういった意味で、大臣はそういうふうに、一体化、一元化とも言えるけれども、縦割りはどこを排することかということはなかなか難しいかもしれませんが、現在ウクライナで起こっていること、原子力発電所もそうですけれども、核燃料輸送に関しても十分なセキュリティーの確保を、できる限り情報も漏えいしないように、そういった意味で、一元的な取組、何をもってということはあるかもしれませんが、是非、制度を高めていただきたいと改めてお願いしたいと思います。

 次に、私の地元山梨県から静岡県に注ぐ日本三大急流の一つであります富士川の環境汚染問題と、地球温暖化対策にも重要な再生可能エネルギーである水力発電と河川環境保全について質問をさせていただきたいと思います。

 富士川水系に水利権を持つアルミ加工大手の日本軽金属が出資しているニッケイ工業という会社がございますが、山梨県早川町の富士川水系である雨畑川において、洗石、いわゆる石を洗った後に発生する汚泥に高分子の凝集剤を混ぜて、産廃として処理せず不法投棄していました。八年にわたってであります。

 不法投棄された汚泥、使用された凝集剤にアクリルアミドという物質が含まれていて、生態系への影響が懸念をされている問題でございますが、この件に関して、昨年二月、私は予算委員会の分科会で、そして四月には、今日も出席されております同僚の源馬議員が環境委員会で取り上げました。

 昨年四月の源馬議員の環境委員会での質疑で、当時の、御出席されておりますが、小泉環境大臣は、この件に関して、要望や御相談があった場合に関係する自治体や国交省と連携して環境省として適切に対応したいと答弁をされました。

 これも経緯の確認でございますが、この件に関して、静岡県富士市などから国に対して意見書が提出されていると私は承知しております。現場となっている地域からも国に対して様々な要望や要請があると承知しておりますが、環境省として、その後、当時の小泉環境大臣がおっしゃられた、どのように適切に対応されたのか、御説明いただきたいと思います。

松澤政府参考人 先生に御質問いただきました富士川の件でございますけれども、これまで環境省では、静岡県それから富士市などから御要望、御相談をいただいておりまして、それを踏まえて、昨年の七月から静岡県、山梨県、国土交通省といった関係機関が富士川で実施しておられます調査に対して、有害物質の分析方法あるいは測定結果の評価、こういったことについて技術的な助言を行ってまいっております。環境省の方で専門家に相談をして、その専門家の評価をお伝えしたり、あるいは文献を御提供したり、様々な形で技術的な支援をさせていただいております。

 また、雨畑川における汚泥の不法投棄につきましても、環境省としても山梨県の当該事業者への指導内容などについて確認をしているところでございます。

 今後も、静岡県や山梨県などの取組を注視するとともに、関係自治体から相談を受けた際には、必要な助言など、必要な支援をさせていただきたいと思っております。

中島委員 今の御説明、技術的な、これは高度な専門性も必要になる部分だと思うんですが、静岡新聞の報道とか東京海洋大学の調査によると、富士川中下流域の広範囲に堆積している粘着性の汚泥の成分が、山梨県で不法投棄していた業者の高分子凝集剤入りポリマー汚泥の成分と一致したと昨年の五月に報道されました。資料の一枚目でございますが、「流水、泥から劇物検出」ということが報道されております。

 今も御説明がありましたが、山梨県と静岡県も共同で調査を行って、昨年九月には、富士川の流域の汚泥から劇物であるアクリルアミドポリマーを検出したと発表されました。その後、国土交通省も含めて調査が行われておりますが、この記事にもあるように「静岡・山梨両県発表 生物影響ない数値」と言われておりますが、専門家からは、調査地点が少ないなど、また現在の手法による調査には限界があると指摘もされております。また、アクリルアミドポリマーの流出状況や安全性の確認については、先ほども言ったように、技術的なアドバイスをされておるということですが、かなりの専門性が必要であるとも専門家も指摘をしています。

 富士川は延長百二十八キロメートルの一級河川であることから、自治体任せでは限界がある、環境省及び国交省が国としてしっかり責任を持って調査を行う必要があると考えますが、大臣のお考え、見解をお尋ねしたいと思います。

山口国務大臣 地域の河川の汚染に関する問題については、まずは地域の環境の監視や保全を担当する自治体が、必要に応じて国土交通省などの河川管理者と連携して、必要な調査等を行うべきものと認識しています。

 環境省は、自治体による地域の環境保全が円滑に行われるよう、日頃より水質汚染等の事案について情報提供や相談を受けており、必要に応じて専門家の意見を聞きつつ技術的な助言を行っています。

 御指摘の富士川の事案についても、環境省として、自治体並びに国交省からの相談に丁寧に対応しているところです。

中島委員 専門家からは、今の手法では限界がある、十分に調査にならないと指摘をされておるわけですから、不法投棄されたものが、河川でありますから、流出した場合、広範囲に有害物質が拡散し、因果関係の追及や原状回復の実施も困難になる、これは容易に想定されます。こうした事案については、速やかに対応を行うとともに、継続して、一方では、かなり悪質だと思いますよ、不法投棄を八年続けた、この事業者への責任追及及び原状回復の履行を求めるべきだと私は考えます。

 特に、今回、山梨県は刑事告訴も見送ったようですけれども、河川への影響を認めるのも遅れ、明らかに悪質で不可逆性の高い不法投棄を行ったと思われる事業所に対して積極的にその責任を追及すべきだという意見も地元であります。この意見に対して、環境省の見解を伺いたいのと、今回の山梨県の対応のように、都道府県が刑事告訴も含めた積極的な責任追及を行わない場合、環境省から、これは環境問題ですから、より強い指導を行うべきだと考えますが、大臣の見解をお伺いします。

山口国務大臣 本事案については、廃棄物処理法に基づく不法投棄の指導監督権限を有する山梨県から、行為者のニッケイ工業株式会社に対して汚泥の撤去等を行政指導し、また、汚泥が取り除かれたことを確認したというふうに聞いています。

 現在、山梨県、静岡県及び国土交通省が連携して、富士川水系における底質及び水質について、投棄された凝集剤の原因物質等の分析、調査を行っています。

 当該調査で新たな事実が判明した場合は、山梨県が廃棄物処理法に基づく所要の措置を検討することとなります。

 環境省としては、調査や山梨県の対応についてしっかり見ていき、廃棄物処理法に基づく対応について、必要に応じて山梨県に助言を行っていきます。

中島委員 先ほども言ったように、河川への有害物質の流出に当たっては、因果関係の特定や安全性の確認に時間を要する、こういった場合、いたずらに環境や健康被害の発生に手をこまねく可能性があります。

 地元の方から私も昨日メールをいただいたんですが、一企業がみんなの財産である富士川の水を使い放題、これはこの後の水利権とも関連するんですが、こういった、人が川を流れる水、そこにすむ生き物をつくれるのなら私は何も言いませんが、当たり前にある自然にもっと目を向けるべきで、人の都合で太古からある自然を決して侵してはいけない、こういうメールもいただいております。

 河川等への有害物質の流出に当たって、国が都道府県任せにしないで、国交省と連携して、支障が起きている事態を除去するべく、強くリーダーシップを取っていただくよう改めて求めますが、改めて、大臣、是非お願いしたいと思います。

山口国務大臣 河川等に有害物質が流出した場合には、地元自治体が必要な調査等を行うことになりますけれども、その際、地元自治体に対して必要な技術的助言を行うことが我々としては非常に重要であるという考えです。

 御指摘の富士川の事案に対しても、これまで、有害物質の毒性あるいは分析方法等について、専門家の意見を踏まえた技術的な助言等を行っているところです。

 今後も、環境省として専門的な知見を生かしながら、河川等への有害物質の流出に際して、自治体への必要な助言等を行ってまいります。

 山梨県あるいは静岡あるいは国土交通省、かなりきちっと連携して、今この事案に対して取り組んでいるというふうに認識しています。

中島委員 繰り返し申し上げませんが、一度破壊された自然、元に戻る、いや、元に戻らないかもしれない、大臣も所信の中でおっしゃっておりましたが、環境省の不変の原点である水俣病を始めとする公害健康被害対策、人への被害が出てからでは遅い、こういったことを多くの専門家が指摘しておりますので、水俣病の教訓を踏まえて、環境省が是非先頭に立って、地元の皆さんは大変不安がっています、是非先頭に立って、地方任せにしないように、技術的アドバイス等々しているとは言いますが、十分に専門家の意見にも耳を傾けて、対応を是非お願いしたいと思います。

 次に、関連して、水利権と再生エネルギー、河川の維持流量の確保と河川環境保全について質問を続けたいと思いますが、今もお話ししました富士川水系において、日本軽金属が水利権と六つの発電所を所有し、そのうち最古の波木井発電所においては、本来アルミ精錬に使用するはずの電力を、国の固定買取り制度、FITを利用して売電し、ガイドラインに定められた地元住民や自治体への説明も十分にされない状況が引き続いていると私は承知しております。これは明らかにFITのガイドライン違反だと考えます。

 これは、今年二月十七日ですけれども、国民民主党の田中議員が質問されていて、ガイドライン違反だという指摘に対して、事業所にも事情を聞き、また、関係自治体の状況について確認すると答弁をされておりますが、確認された内容を教えてください。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘がございました波木井発電所についてでございます。

 二月十七日の第八分科会の後に、私どもの方で改めて事業者に、地元とのコミュニケーションの状況について、経産省から事業者及び自治体に確認をいたしました。

 事業者からは、設備を立地する身延町及び早川町へ事前説明を行っているということを改めて確認しております。また、今申し上げた二つの自治体に対しても確認を行ったところ、自治体の方からは、企業による自治体への説明については承知をしているということ、それからもう一つは、現時点で地元において、地域住民の方からトラブル等の報告は受けていない、把握はしていないというふうな回答を伺っております。

 私どもとしては、現時点においては事業策定ガイドラインに反しているという事実が確認できていないというのが現状でございますが、仮に地域住民と適切なコミュニケーションが図られていないということが確認された場合には、地域と共生した事業が実施されるよう、事業者に対して適切に対応してまいります。

中島委員 私、地元の、昨日も、今お名前が出ました早川町の町長とも話をいたしました。とても地元とコンセンサスが取れている状況では、これは一年前も私が指摘をさせていただいています、確認した内容が本当に今のとおりなのか、私は大変疑念があります。

 そもそも、これも一点確認したいんですが、日本軽金属の水利権ですね、本来なら二年前に更新されるはずのものが、今も更新をされておりません。これはなぜなのか、ちょっと確認させてください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 波木井発電所の水利使用許可の更新につきましては、河川法第三十六条に基づく山梨県知事への意見聴取など、必要な法定手続に加えまして、現在、国、山梨県、流域自治体、申請者である日本軽金属との間で、波木井発電所での取水を減らし河川の水を増量できないかについて合意形成を図っているところでございまして、その協議に時間を要している状況でございます。

 この協議の場は、国土交通大臣からの意見聴取に対する山梨県知事の回答におきまして、波木井発電所の取水を減らし可能な限り富士川の水を増やしてほしい旨記載があったことから、国と山梨県が仲介役となり流域自治体、申請者に呼びかけることで実現したものでございます。

 現在も地元関係者間で合意形成に向けた調整が継続して行われていることから、国といたしましても、この場での合意形成を尊重した上で水利使用許可の更新を行いたいと考えており、結論を注視しているところでございます。

中島委員 いや、合意形成できていないんですよ。二年前に更新されないまま、いまだに合意形成できていないんです。

 それで、一年前に山梨県知事が三町に対して意見書を求めて、そのうちの早川町と南部町から、一言で言うと、水返せ、こういう回答をしているわけです。これは明らかに二年間お目こぼししている状況で、このまま、地元の住民の感情、この次にちょっと現状をお話ししますが、時間がないので、今そういう状況だということを是非しっかり認識してください。

 その上で、この日本軽金属は、山梨県早川町、先ほども出てきましたが、自家発電施設として雨畑ダムを所有しています。この雨畑ダムは堆砂が進んでいて、実にダムの約九割が土砂で埋まってしまっています。そして、満水位以上に土砂があふれ返っている。

 資料の二枚目、写真をお見せいたしますが、左側が五年前、方角が逆なんですけれども、右側が現在です。現在の状況、土砂があふれ返っているわけです。この雨畑ダム周辺では、大雨のたびに町道が冠水し、民家が床上浸水したり、甚大な被害が発生しています。特に、令和元年の台風十九号のとき、このときも非常に水害というか豪雨災害ということで、こういう状況が続いておるということで。

 資料の三枚目なんですが、先ほどの水利権に関して、昨日の報道によると、日本軽金属が、今のは雨畑ダムですが、先ほどのFITガイドライン違反ではないかという内容について、取水量報告に疑義があるという報道がされました。有識者からは、内容を読むと時間がかかってしまいますが、大臣、後で読んでいただきたいと思うんですが、改ざんの可能性があると。こういう状況であります。

 早急に国が日本軽金属に調査を命じる、若しくは国がまず過去に提出された記録の精査をする、この必要が、早急にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 水力発電施設に係る再点検を平成十九年当時に行っております。

 これは、当時、最大取水量以上の取水があった場合におきまして、取水量があたかも最大取水量であるように観測、記録されるような機器を設置していた、そういう事案がほかであったということで、全国的にこれについての再点検を行ったところでございます。

 当時の報告では、日本軽金属からはそうした事案については該当がないというような報告を受けているところでございます。

中島委員 調査してください。今日の朝の新聞では、報道では一九八七年から九一年に対しても不自然記載とあります。どれだけ記載があるのか。さっきのFITのガイドライン違反も含めて、水利権を本当にこの日本軽金属が更新してしまう可能性は否定できないわけですから。

 全国各地と言いますが、この件に関して国として早急に調査してください。やっていただけますね。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 河川法二十三条による水利権、当然のことながら、流水の使用秩序の維持をしっかり図って運用されるということが大変重要だというふうに考えております。

 まず、一義的には、取水者である日本軽金属の方で適正に取水がされるべきものというふうに考えておりますけれども、議員の御指摘も踏まえまして、当時の点検の状況などについても確認いたしながら、どうした対応ができるか検討してまいりたいというふうに考えております。

中島委員 調査するということでよろしいですね。いつまでに調査していただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、平成十九年当時の再点検の状況、そうしたことも改めて確認をした上で、議員の御指摘も踏まえて、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。

中島委員 調査は、もう報道されております、地元の方々は大変憤りを感じておりますので、是非、調査結果は理事会に報告をしていただけますように、委員長にはお計らいいただきたいと思います。いかがですか。

関委員長 後刻、理事会で協議をいたしたいと思います。

中島委員 残された質問は、後日質問させていただきます。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 立憲民主党の松木けんこうでございます。どうぞよろしくお願いします。

 まず冒頭に、三月十六日に大きな地震があったということで、被災された方、亡くなられた方に御冥福をお祈り申し上げたいし、お見舞いも申し上げたい。そして、ウクライナの方でも大変なことが起きていますので、これより大きくならないようにお祈りを申し上げたいというふうに思っております。

 ところで、委員長、ちょっと聞きたいんですけれども。

 この委員会というのは三十人の委員会でしょう。自民党さんは何人だか知っていますか。十七人なんだよね、委員長を入れて。委員会というのは開催する要件がある、知っていますか、過半数以上いるというのが要件なんですよ。

 選挙で、我々野党というのは情けないものだから負けるわけですよ。ということは、やはり自民党の皆さんがしっかり出席をして頑張っていただかなきゃいけない。まずこれが第一義じゃないですか。それがちょっと、残念ながら余り、今は大分増えましたけれどもね、野党がいなくなったら成り立たなくなるんですよ。これはやはりちょっと考えなきゃいけないと思うんだけれども。質問じゃないんだけれども、委員長、気持ちは何かありますか。

関委員長 委員長への質問は、済みませんが、お控え願います。

松木委員 分かりました。

 大臣も同じ気持ちですわね、大切な委員会なんだから。何といってもこれから、すごく、SDGsだとか、こういうことを考えたときに、日本がいろいろな政策をつくるときも環境というのは本当に切っても切れないことになる、だから自民党は多分、山口さんみたいな優秀な人を大臣にした、私はこう思っている。そして、その前は小泉君が大臣をやった。これもまた優秀な、これから将来、総理大臣になるか……(発言する者あり)いや、別に褒め殺しているわけじゃないって。まあ、そんな人も来てもらっているわけだから。

 是非、それぞれ忙しいのは分かるんだけれども、政治家になって衆議院議員になったんだから、やはり委員会の方にはみんなが出席して、積極的にみんなで話合いをするという場にしていった方が私はいいと思うので。委員長に質問じゃなくて、是非みんなでそれを努力するように、理事の皆さんもおられますし、そういうふうにしていただいたら本当にありがたいんじゃないかなというふうに思っているわけでございます。

 関さんも、立派な委員長なんだから、是非、こわもてで、出てこいってね、きちっとやっていただいたらありがたいというふうに思っているわけでございます。

 環境省というのは昔は環境庁だったんですけれども、高度経済成長という時代が日本にあって、そこで全国各地に随分と公害というものが発生して、これをどのように対応するかが喫緊の課題だったんですね。国民の健康被害が産業公害による症状であるというのが分かったわけでして、公害は社会問題化しました。

 昭和四十六年に環境省の前身である環境庁が設立をされたわけですけれども、このような公害を撲滅することを強く求められたのが環境省というのができた大きな理由の一つだったというふうに私は理解していますけれども、しかし、最近では、地球温暖化が随分と深刻化する中で、環境政策は環境だけでなくて産業政策あるいは成長政策とも大きな関わりを持つようになっているわけであります。

 言い換えれば、環境政策は、今や国家の方向性、価値観を見定める最重要の指標でもあるというふうにも言えますし、最近では、SDGsの投資に象徴されますように、金融政策の面でも重要なテーマとなってきているわけでございます。随分変わったなというふうに思っているわけですけれども。

 このように重要性がますます高まっている環境政策ですけれども、環境省の皆さん、政府の皆さんに私からも是非、大したことはないんですけれども、御提案したいこともありましてね。環境政策というのは産業政策や金融政策と密接にこれから関係してくるということなんですけれども。

 例えば、社会的課題を解決しながらリターンを目指すSDGs投資の在り方の議論の中心は金融庁、そして産業政策は当然経産省と、広い意味での環境政策が実は幾つもの省庁に枝分かれをしているという実態が私はあると思うんですね。

 ここで、皆さん、環境政策立案の司令塔というのがやはり必要だろうというふうに思いますし、それが環境省であっていただきたいなというふうに思っております。各省庁にまたがる関連施策を統一して立案して実行する機能を持つべきであるというふうに私は考えているんですね。政府として、環境政策の重要性に思いを新たにして、是非ともそういった方向で政策立案の在り方について御議論をいただければというふうに私は思っております。

 令和二年の一月に我が国において初めて新型コロナウイルスに感染した患者が見つかって以来、ちょうど二年たったわけですけれども、新型コロナウイルス感染はなかなか収束の兆しを見せません。まさに政府の最重要政策課題になっているのですけれども、コロナ禍に関する各種政策や予算ではないかと思いますが、それを主導しているのは経産省ですよね、結構そういうところがあると思うんですね。

 環境省も、ゼロカーボンアクション30などを中心的にやっているんですから、大臣を先頭に環境省はもっともっとタフネゴシエーターになっていただいて、他省庁に負けないぐらい、むしろこわもて、山口さんは大分こわもての顔もできますので、頭から引っ張るのか、あるいはお尻をたたくのかということはありますけれども、ともかく政府の先頭に立って、環境立国を目指して進んでいこうという気迫を持って頑張ってほしいというふうに思っているわけでございます。

 違うことで時間を食っちゃいましたので、もうお話しするのをやめましょう。

 私は野党の議員ですけれども、いずれにしても、少しでもいい環境を後世に伝えるということはやはり大切だと思うんですね。それが未来につながる幸せの土台づくりだというふうに私は思っております。是非、環境省や環境重視の政策というのは我々野党の方も応援したいというふうに考えていると思うんですね。私もそう考えています。そこで、大臣のこれからの御決意、そういうことをちょっと聞かせていただければというふうに思います。

山口国務大臣 環境庁時代、私も、役所に入って最初の担当がOECDの環境委員会、当時は通産省と環境庁の間の死闘が演じられていた時代でもありました。そのことを記憶にとどめながら今回環境省に来させていただいて、物すごく環境省の蓄積というのは大きくなっていますね。それからいわゆる経産省となった、環境省となった、この間の、今の密接なコラボ、協力関係、物すごくこれまた緊密にできているというふうに実感しています。

 特に、COP26、去年の秋、グラスゴーに行かせていただいた際、環境省が本当に中心となって、ほとんどの役所が文科省あるいは財務省も含めて総動員体制で臨んだわけですけれども、環境省が国際会議を完全にマネージしている、外務省が協力し、経産省もきちっと意見を言っていただいて、その中で一つの日本としての対応が決まっていくという形を取らせていただきました。

 そういう意味で、COP26の大きな成果もあったと思うし、それは今日御出席の小泉前大臣のそういう蓄積もあってのことですけれども、そういうことを可能にできる環境省ということで、これから更にそれを進めていかなければいけないと思います。帰ってきて岸田総理に報告しまして、本当によくまとまったなということで。

 今回、今日閣議で署名させていただいたんですけれども、地球環境局の参事官を置かせていただいたり、あるいは地方環境事務所に地域脱炭素の担当の創生室をつくらせていただいたり、増員が百三十七名いただいた。これは、国内における体制強化とともに、国外においてJCMを始めとする脱炭素の動きを加速化させていくという決意の表れとして取っていただければと思います。

 国内において、今年度の予算で認めていただいた二百億円、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、これとともに、財政投融資でもって民間の意欲的な脱炭素事業の出資金を、新たに制度を設けるということで二百億円、これらを併せて脱炭素ドミノを全国で起こさなければいけないなというふうに感じています。

 その意味で、全国行脚ということで、私と務台副大臣、あるいは大岡副大臣、そしてまた中川政務官、それから穂坂政務官で、御協力いただいて手分けして一都一道二府四十三県をきちっと回っていこうと。それで地域脱炭素の動きをある意味で促進するというとともに、もう一つ隠れた課題として、カーボンプライシングについてもいろいろと意見交換をさせていただいています。

 それは、これからの脱炭素の動きについてはイノベーションがどうしても必要ですから、今の地球温暖化対策税二千二百億円、それにプラスして炭素税的なことがあり得るか、排出量取引あるいはJCM、それらを併せてこのイノベーションにどういうふうに取り組んでいくかという観点から、そういうカーボンプライシングについての意見交換もさせていただいています。

 そしてまた、国外においてはJCMの今のパートナーが先日の岸田総理のインド訪問で十八か国になっていますけれども、それを更に増やして、アジアにおいても脱炭素の動きを加速化させていく、アジア・ゼロエミッション共同体みたいなものも浮かんでくるような、そういう動きを環境省としてかけていきたいなと。その際には、いろいろ外務省を始め各省庁に協力していただいて、進めていかせていただきたいと思っています。

松木委員 いろいろとありがとうございました。是非頑張っていただきたいなというふうに思っているんですけれども。

 ところで、山口大臣、ずっと日本中を行脚しているというお話を聞いているんですけれども、私はすごくいいことだと思うんですよ。環境のことですから、いろいろなところに行って、いろいろな技術を見るのもいいし、公害の状況がこれじゃ駄目だと思うのもいいだろうし、委員会の部屋だけでぐずぐずぐずぐずやっているんじゃなくて、是非、外にどんどん行っていただきたいなというふうに思っているんですけれども。

 どうですか、大分回ったんでしょうかね。まず、どのぐらい回ったのか、ちょっと教えてください。

山口国務大臣 この間の週末の時点で十五道府県、だから、四十七分の十五で大体三分の一ですかね。しばらくオミクロンで止まっていたんですけれども、また加速化してやっていきます。

 一都一道二府四十三県と私は言いましたけれども、本当はもっともっと行きたいところです。でも、まずは全国、一都一道二府四十三県を回っていこうというふうに思っています。

松木委員 十五県、北海道も行ってきたんですか。ありがとうございます。

 その十五県を回って、おっ、こんないいことがあったなとか、いや、こんなところはちょっと何とかせないかぬのとか、いろいろとあったと思うんですけれども、どうですか、ちょっと。具体的に何かがあったら、是非ここでお披露目していただいたらいいと思いますよ。どうぞ。

山口国務大臣 北海道では、特に、阿寒摩周国立公園へ伺わせていただきました。雪の中、一月だったんですけれども。

 その中で、廃屋となったホテルを、今コロナで大分経営状態も苦しくなったということも関係していると思うんですけれども、そこを、せっかく世界から呼び込めるだけの地域ですから、廃屋というのはつらいよなということで、環境省の限られた予算ですけれども、廃屋撤去をどういうふうにやっていくか。それはまた、地元の方々の協力も物すごくいただいているんですね。近くに温泉が湧き出るような格好の小川がありました。その小川をはだしで歩けるように、地元の方々が底洗いをきれいにして、それを観光資源にまで持っていく、それに対して環境省も協力していくという形のこともありました。

 特に全国行脚でいろいろ言われているのは、地方自治体の人材は環境専門の方が必ずしもそろっているわけではないし、そういう意味では、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金ということを申し込むときにもいろいろ専門知識が必要ですから、そういう専門的な知識をサポートしてほしいということで、環境省本省のみならず地方環境事務所からもお手伝いさせていただきますよということで今進めています。

 それから、いろいろな、地域によっては例えば製鉄もあれば化学もあれば、結局、町の財源というか、税金の出どころが、CO2をたくさん出す工場がある、これをどういうふうにするか、それは解決しようと思ったら強烈なイノベーションのお金も必要だ、そういう財政的なことも是非ちょっといろいろ考えてくださいという話もありました。

 その意味で、いろいろとお話を伺っているんですけれども、みんなそれぞれ脱炭素に対しては非常に前向きで、これを受け止めてみんなでやっていこうという気持ちを持っていただいていることは非常に心強く感じています。

松木委員 ありがとうございました。

 行くときは、例えば、ある程度、今の阿寒の話だったら、そういうものを何とかしようとかというふうに思って初めから行くわけですか。要するに、誰か、そういうのに詳しい人間も連れていったりなんかもしているんですか。

山口国務大臣 北海道は、いろいろ、大自然の恵みの大きなところです。ワシもいれば、そういうことをどういうふうに保護していくか、専門家の方にも出会わせていただいて意見も伺い、今取り組んでいるところです。

 風力発電がある中で、ワシがどんとぶつかって、けがをして飛べなくなる、じゃ、風力発電をどういうふうなところに限るのかとか、そんな意見もあります。あるいは、列車でどんと例えばイノシシをひいてしまっている、イノシシがそこにいれば、今度は、ワシがそのイノシシをついばむときに、鉛中毒にでもなっていればワシがまたそれに続いて中毒になってしまう、何とか防げないかということで、いろいろな具体的な意見もある。そのときは専門家の局長にも一緒に行ってもらって、いろいろと対応ができるような体制でもって行かせてもらっています。

松木委員 いいですね、なかなか。是非、専門家の人も一緒についていって、どんどんどんどんやっていただけたらいいんじゃないかなというふうに思います。

 それと、経産省のマターになるのかもしれないけれども、これから日本というのは、まあ、オイルショックがあったじゃないですか。あのときに、私もまだ若かったんだけれども、トイレットペーパーがないだのへったくれだのと大変な世の中になって、日本ももう駄目かななんという時期もあったわけですよ。でも、大したものですよ、日本は。省エネ技術だとか、そういうのをどんどんどんどん発展させて今のこの日本があるわけですよね。

 いろいろな技術というのは、民間の技術もあると思うんですけれども、私が聞いた技術ですよ、本当かどうかはまだ分からないけれども、例えば、百ワットで百五十ワットをつくる電気があるとか、あるいは永久機関みたいな話だとかがあるんですよ。まだ、大臣の耳に入っているかどうか、経産省の耳に入っているかどうかは分からないけれども、そういうことも。

 変な話だけれども、原発の事故があったときもなかなか、放射能をすぐ除去できる技術があるなんという話が随分あったけれども、そんなのがあったら宇宙戦艦ヤマトが成り立たないじゃないかという話になるんだけれども、やはりなかなかそうじゃなかったというのもありますのでね。行って無駄足になることもあるかもしれないけれども、是非、外に出ていくというのが私は本当に大切だというふうに思いますので、これからも山口大臣には頑張っていただきたいなというふうに思っております。

 もう一つ聞きたいのは、ケニアで開催された、国連環境計画ですか、国連環境総会、UNEAというんですかね、これで海洋プラスチック汚染が大きなテーマとして取り上げられたというふうに私は聞いているんですけれども、さて、世界的な取組に向けて我が国は強い交渉力を発揮できたんだという話も少し聞いていますけれども、そこら辺の話をちょっと詳しく聞かせていただけたらありがたいです。

山口国務大臣 プラスチックごみというものに対するみんなの意識というのは、今非常に高めていただいているんだと思います。レジ袋の有料化についてもいろいろな意見はあったようにも思いますけれども、他方、やはり意識的には非常に、どんどんそれが契機となって、何でこれをするんだろうと。

 要するに、プラスチックがごみとなってマイクロプラスチックに、あるいは場合によってはナノプラスチックまでいくと、魚がそれを食べて、人間が魚を食べると、人間の中に入ってきて、場合によっては脳まで来る、ちょっと怖いじゃないかということで、プラスチックごみに対してどういうふうに世界全体で対応するかということが課題で、そのために国際的な枠組みをつくらなきゃいけないなと。これは小泉前大臣の大きなイニシアチブで始まった動きです。

 その中で、プラスチックを大量に消費する国、あるいは排出する国をできるだけ多く巻き込まないと意味がないわけですから、いわゆる案を日本がつくって、いろいろ、アジアの国にはたくさん出す国があるわけですけれども、そういう国も入ってこれるようにという工夫をさせていただきました。

 そして、この決議案を提出した際に、ほかの国の提出案をうまくまとめて、多くの国がインボルブできるようにという形で、いわゆる政府間交渉委員会、INCというものが設立されることになって、海洋プラスチック汚染を始めとするプラスチック汚染のない、よりよい未来に向けた大きな一歩になったと考えています。

 この決議に基づいて、二〇二四年末までに合意できるように、法的拘束力のある文書の作成に向けたINC交渉が始まります。この秋から第一回ということで、国内外で積極的にプラスチック汚染対策に取り組むことができるように持っていきたいと思っています。

松木委員 是非、早く合意できるように頑張っていただきたいというふうに思います。

 なかなか、何だかんだ言ったって、人間の知恵というのはあるんですよ。昔、何だったかな、名前を忘れちゃったな、大気中の、オゾンホールの話。あれなんかも、将来はよっぽど駄目になって、特に白人なんかは肌が白いとその影響も受けるとかいろいろな話があって、大変だぞということになって、それに対してのいろいろな対策を世界で練って、今はオゾンホールがすごく小さくなってきているんですよね。やはり、やればできるんですよね。是非、これからも今の件は頑張っていただきたいというふうに思っております。

 地球温暖化対策推進法の改正案というのが今度審議されますよね。その中で、ちょこっと先に聞いておきたいことが、まあ、いっぱいあるんですけれども。

 森林保全、木材をエネルギーに利用するということも全部含まれていると思うんですけれども、これってすごく大切だなというふうに思うんですね。そして、これは本当に、後継者不足だとか、そんなことまであって本当に幅広い話なんですけれども、これからは民間の知恵を活用しながらもうかる林業を実現していくという話がどうやら出ています。どういったアイデアが今の時点で出ているのか、ちょっとお聞かせいただけたらありがたいと。

上田政府参考人 お答えいたします。

 今国会に法案を提出しております温対法改正法案に関する出資制度、どのような事業が想定されているのかというようなお問合せかと思います。

 現在想定しているものは、これまで支援をしておりました民間事業者のエネルギー起源CO2の排出の抑制、そうしたものに限ることなく、例えば廃棄物の焼却施設から出るCO2を削減するものでありますとか、また、林業分野の資源をバイオマスとして活用するものとか、幅広く脱炭素事業に支援ができる出資制度、こうしたものを考えておるところでございます。

松木委員 局長さん、もう一つ。もしこんなこともあったらいいなと思うのは、今まで、海外から入ってきたものが安くてどうしても使われなかったということがあるじゃない、日本の木材がね。補助金を少し大きく、うまくつけていくなんということをちょっと考えられないかなと思うんですけれども。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 林業のことについてお尋ねだということで、議員御指摘のとおり、もうかる林業をつくっていくことが非常に重要だと思っています。

 我が国の人工林、その多くが利用期を迎えています。これを伐って使って植える循環を確立すること、そして林業を元気にして、そのことが二〇五〇年のカーボンニュートラルにもつながっていく、そういうことで林野庁は進めさせていただいています。

 具体的には、間伐、路網整備、機械化、そういうことを進めることに加えまして、最近、いろいろな新しいイノベーションが出ています。エリートツリーという成長の速い品種であるとかICT、そういったことを活用して伐採から再造林、保育まで収支をプラスにする新しい林業をやっていくんだ、そういうことを基本計画の中に位置づけさせていただいたところでございます。

 さらに、需要をつくっていくということも重要でございまして、例えば、JAS材であるとかCLT、耐火部材、そういうものを進めまして、非住宅・中高層で木を使っていただく、バイオマス利用に加えて、セルロースとかリグニンといったものを使った新素材、そういうものを開発する、そういうことも進めているところでございます。

 いずれにしても、こういうことを進める上で必要な予算を計上しているところでございますので、こういう予算を活用して、いわゆるもうかる林業、きっちり循環できる林業をつくっていきたいと考えているところでございます。

松木委員 そこで、ちょっと気をつけた方がいいことが一つあって。

 今、花粉症というのが随分出てきているでしょう。私は全然、自然児なのか、全くないんですけれどもね。花粉症で悩んでいる人も多いと思うんだけれども、戦後というか、杉をがんがん植えて、それが原因なんだよね。だから、そういうことが二度とないように、そこら辺の研究も力を入れながらやった方がいいかもしれないね。どうぞ。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 杉の花粉症、国民の四割が罹患しているというようなことで、大きな課題だというふうに思っています。

 林野庁におきましては、花粉が出ない、花粉の量が少ないといった、無花粉杉、少花粉杉、そういう品種を開発しています。そういうものを使った杉の植え替えを進めるとか、そのための苗木の生産拡大をするとか、さらに、花粉の飛散抑制技術、そういうものも今研究をしていまして、そういうことを進める、そういったいろいろな取組を進めて、関係省庁も連携して花粉症の対策を進めているところでございます。

松木委員 是非頑張ってくださいね、そちらの方は。

 それでは、時間も余りなくなってきたんですけれども、二百億円という話がありますわね。これは、例えば、今の時点で、大体こんなことに使っていこうかなんて、こういうことにつけていこうかなんて、そんなのは、大臣、あるんですかね。

上田政府参考人 事実関係のみをお答えさせていただきます。

 この二百億円の予算計上、また今国会のその法律案を事務方で検討する際には、昨年、様々な事業者から、どのようなニーズがあるか、聞き取り調査をして積み上げたところでございます。それについては、例えば、エネルギー起源CO2の削減といったものに限らず、先ほど言ったバイオマスの話でありますとか、森林吸収の話とか、そうしたものも幅広く対象にしていきたいと考えております。

山口国務大臣 今、七十九件の申込みをいただいて、いろいろなものがあるんですけれども、例えば、廃棄物を燃やして電力をつくっていく、その収入を例えば町の高齢者の方あるいは若い人の定期券に使っていくということで、町おこしと地域脱炭素を両立するようにというようなものも挙がっているやに思います。

 七十九件、まずは二、三十件選びます、そしてまた秋にも申込みをいただいて、二〇二五年までに大体百件ぐらいこういうものを選んでいきたいなということで、今、地方の自治体の方々にお願いしているところです。

松木委員 いいですね、なかなか。是非、取組をどんどん進めてもらいたいというふうに思いますけれども。

 環境省としては二百億円でしょう。経産省の方はグリーン何だかというので二兆円だったっけ、二兆円あるんだよね、すごく差があるんだけれども。環境省にももうちょっとよこせやという話が何となく成り立つのではなかろうか、そういうふうにも思うんだけれども、そこら辺はどうでしょう、大臣。

山口国務大臣 二百億というのは、地域脱炭素・再エネ推進交付金。それから、二百億で財政投融資。プラス、令和三年度の補正予算で、ZEB、要するにネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング、それからZEH、そういうことも含めて大体一千億円ぐらいあるんです。グリーンイノベーションファンドが二兆円。

 ただ、もう少し大きく見ますと、日本でイノベーションでどれぐらい使っているんだろうという試算が五兆円ぐらい。中国は二十八兆円ぐらい使っているというんですよ。だから、二兆円というのも若干かわいいぐらいの話ですよね。大学ファンドで今年は十兆円といいますけれども、まだ実現していないといっても、それも合わせても中国に全く及んでいないなと。

 だから、日本的にどういうふうにイノベーションでもって脱炭素を進めていくかという点では、経産省とも合わせて相当大きな財源を確保していかなきゃいかぬなと。税金のみならず、いろいろな意味で国債についても考えていかなきゃいかぬのかもしれないなということ、プラス、そういう脱炭素ドミノを起こすことによって、世界に動いていると言われるESGマネーは四千兆円と言われているんですね、だから、日本でそういう脱炭素の動きが出てきた、そこに投資をしてやっていこうということになれば、少し日本の活用可能な資金というものも次元が上がっていくと思います。

 その意味で、脱炭素の動きを一生懸命かけることが、そういうイノベーションについての資金も確保できることになるというふうに思って頑張っていきます。

松木委員 ありがとうございました。そして世の中もきれいになる、こういうことなんですから、是非、これからの、国家予算を決めるときでも何でもそうなんですけれども、環境をどうしていくかというのは本当に大きなことになっていくということだというふうに思います。だから、自民党さんは、いい大臣も選んだし、前の大臣もすごいし、いい男だしということだと思いますのでね。

 環境委員会というのは、しっかりみんなで、けんかするんじゃなくてみんなでいい知恵を出すような、そういう委員会になるように、これからもみんなで努力して頑張っていければいいなというふうに思っております。

 以上です。ありがとうございました。

関委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 篠原でございます。今国会で初めて質問に立たせていただきます。

 ですから、まだ就任のお祝いの言葉は言っていないんですよ。大臣、お二人の副大臣、政務官、ついでに委員長も、御就任おめでとうございます。

 それでは、質問させていただきたいと思います。

 私も大臣に、立派な大臣が二代続けているなと思って、よいしょしようと思ったんですが、一人でやめておきます。しかし、大臣だけじゃなくて委員も、立派な委員がいっぱいそろっているので、ちゃんと聞いていただきたいと思います。

 今日は、一般質疑ということで、リニア新幹線の、問題がいっぱいあるんですが、環境問題に絞って質問させていただきたいと思います。例によって資料を皆さんにお配りしてありますので、読んでいただきたいと思います。

 山口大臣がさっき、環境省の蓄積は大したものだと言っていられました。私も本当にそう思いました。

 リニア新幹線を、二〇一四年、クリミア半島がごたごたしていたときですけれども、国土交通省は許可しているわけですね、工事をしていいと。そのときに環境相が意見を出しているんですね、それが資料の一ページ目。全十二ページです、これを読み直しました。完璧な意見書ですね。ほれぼれしました。

 ところが、次のページを見ていただきたいんですけれども、環境相の意見に対する国土交通大臣意見は、上に書いてあります、三ページです。十二ページに対して三ページ。本当は三十ページなくてはいけないと思うんですけれどもね。

 それを受けた右側の、JR東海の環境影響評価のあらましだから、もうちょっと長いのがどこかの文書にあるのかもしれませんけれども、僕らはアクセスできません。これは、たった十一ページ、写真だらけで箇条書です。こっちは本当は三百ページなくてはいけないと思いますけれどもね。環境をちゃんと大事にしていないで工事に入っているんですよ。

 今度は、リニア新幹線が非常に大事な国家プロジェクトになっていると。後ろの方にありますけれども、信濃毎日新聞が今連載しています。務台副大臣も読んでおられると思いますけれども、三回目というか、物すごい長期連載です。問題が多いんですね。

 国会の審議の議事録とかを見ましたけれども、余り議論されていないんですよね。理由は途中で分かったんですが、全部が民間だということで、国は余り関与していなかったんですね。ところが、三兆円の国のお金をつぎ込むということで、国が相当関与し始めたんだろうと思います。

 環境問題は大事なんです。一四年十月十七日に工事実施を認可しているんですけれども、今問題がいっぱいあるよな、私の地元。選挙区ではないんですけれども、長野県ということでは地元です。南アルプスのトンネルの掘削部分について、慎重に審査したと言われているんですけれども、国交省は環境面についてどのような観点からどのような審査をしたんでしょうか。ろくすっぽ審査しないで、三ページ、ちょろちょろっと書いただけで、真面目にやっていないような気がするんです。

 余りいじめる気はないんですけれども、前の人たちが手を抜いてやっていたんじゃないかと思うんですけれども、この点についてお答えいただきたいと思います。

加藤大臣政務官 御質問にお答え申し上げます。

 リニア中央新幹線につきましては、環境影響評価の手続におきまして、環境影響評価法に基づき、平成二十六年七月、国土交通大臣意見を述べました。

 その中では、JR東海に対して、環境大臣意見に示された措置を講じ、環境保全への適切な配慮を求めるとともに、国土交通省として、河川水の利用への影響の回避、災害の発生防止及び河川環境への影響の低減、建設発生土の有効利用などの措置を講じるよう求めました。

 これを受けまして、平成二十六年十月の工事実施計画の認可の際には、これらの環境保全に関する措置が講じられているかも審査をいたしました。

 具体的には、南アルプストンネルの掘削に伴う水環境への影響に関して、トンネル工事費に薬液注入や防水シート等が計上されているか、また、生態系に関して、調査やモニタリング等に要する費用が計上されているか等につきまして、これまでに行われたトンネル工事等を参考にしながら審査したところでございます。

 さらに、工事実施計画認可の際には、国土交通大臣からJR東海の社長に対し、環境保全に努めるよう指示をしております。

 なお、南アルプストンネル掘削による生物多様性への影響につきましては、昨年十二月に取りまとめられた国土交通省の有識者会議の中間報告の中で、今後有識者会議の場においても議論することを予定しているとされたところでございまして、具体的な進め方につきましては、今後、静岡県と調整の上、検討する予定としております。

 国土交通省といたしましても、リニア中央新幹線の建設に当たっては、JR東海において国土交通大臣意見等への対応が適切に行われるよう、引き続きJR東海を指導監督してまいります。

篠原(孝)委員 文書上ではやっているんですけれども、今政務官がお答えになったのは、二ページのところに書いてあるのを、これはエキスだけを選び出しているんですけれども、書いてあります。しかし、その後、本当にフォローしてやってきているんでしょうかね。

 例えば、大井川の問題。川勝平太知事は結構エコロジスト知事なんですね。だから、本音は相当頭にきていると思うんです。結構きわどい質疑もあちこちでされていますけれどもね。この点については、ど正論を吐いておられたと思いますよ。何をやっているの、水がこんなふうに出ていくと六十二万人だか九市町村に大影響を与えると。

 そうしたら、JR東海は何を言っているかというと、国土交通省もそれを認めているんでしょうけれども、いやいや、水が足りなくなったら動力で、ポンプでアップして上に戻して、そこから流せばいいんだよと。そんなものにどれだけ電力を必要とするんですか。そもそも、超電導というのはよく知りませんけれども、在来の新幹線と比べて四倍から五倍の電力を必要とする。その上に、水が流れているからいいんだ、金を出して、電気でもって上に持っていって流せばいいんだと。それが環境面に配慮していることなんでしょうかね。

 僕は、あれですよ、一回目のときは言っていて、今ちょっと政務官がお答えになりましたけれども、太田大臣がいろいろ注文をつけています、三つやりました。ところが、柘植社長は三つのうちの環境を、大臣は二番目だったのに、記者会見では社長は一番最初に環境を言っているんですね。だから、字面というか、表面上はやっていますけれども、実際は余りやってきていないんだと思うんですがね。

 大井川の水の問題について国交省が何か国として手を打ってきているんですかね、それを教えてください、その後。認可のときはいろいろやったというのは知っていますけれどもね。

関委員長 国土交通省江口大臣官房技術審議官。(篠原(孝)委員「聞いていません。全部、政務三役としかやりませんから」と呼ぶ)

 まず、江口審議官、どうぞ。(篠原(孝)委員「いや、駄目です、僕はそう言っていない。来てもいいけれども答弁する必要はないと言ったのに」と呼ぶ)

江口政府参考人 申し訳ございません、静岡県の……(発言する者あり)

関委員長 では、審議官の次に政務官も言っていただきますから。

江口政府参考人 はい、分かりました。

 静岡県の問題につきましては……(篠原(孝)委員「答えなくていいです、必要ありません。帰ってください。やめさせてください」と呼ぶ)静岡県とJR東海の間で議論がかみ合わない……(篠原(孝)委員「駄目です、いいです」と呼ぶ)

関委員長 では、政務官、答弁をお願いいたします。

加藤大臣政務官 お答えをいたします。

 計画、評価、認可の際に環境保全に努めるように指示をした内容としましては、地域の理解と協力、また環境の保全の措置、さらに安全かつ確実な施工をしっかりとするように求めて指示をしてございます。それを受けまして、リニア中央新幹線静岡工区につきましては、大井川の水資源の問題をめぐり、静岡県とJR東海との議論が進まない状況が続いておりました。こうした状況を打開するため、国土交通省において、令和二年四月に有識者会議を立ち上げ、大井川の水資源への影響について科学的、工学的な観点から議論がなされ、昨年十二月十九日に中間報告が取りまとめられました。

 この中間報告におきましては、工事期間中、約十か月において想定されるトンネル湧水量が県外流出した場合においても、それ以上の量の静岡県内の山体内に貯留されている量も含めた地下水がトンネル湧水として導水路トンネル等を通じて大井川に戻されるため、中下流の河川流域は維持できる解析、分析となりまして、中下流域の地下水量への影響は河川流量の季節変動や年ごとの変動による影響に比べて極めて小さいと推測されるとの専門的な判断が行われました。

 また、解析結果には不確実性が伴うことも指摘されまして、JR東海は、リスクを認識した上で、リスク対策を適切に実施し、モニタリングの結果を地域と共有するべきとされました。

 さらに、JR東海は、二〇一八年十月に原則としてトンネル湧水の全量を大井川へ流すことを表明したことを踏まえ、その具体的方策などを関係者と協議すべきとされました。

 その中間報告を受けて、昨年十二月二十一日、斉藤国土交通大臣がJR東海社長に対し、大井川の水利用をめぐる歴史的な経緯や地域の方々のこれまでの取組を踏まえ、地域の不安や懸念が払拭されるよう真摯な対応を継続することを求めました。

 国土交通省としましては、引き続き、JR東海に対して、中間報告も踏まえ、静岡県や地域住民の方々と向き合い、地域の御理解と協力が得られるよう、引き続きしっかりと指導してまいります。

篠原(孝)委員 その後ちょっとはやっているというのは分かりましたけれども、今、二ページの、国土交通大臣、たった三ページのところに書いてあるんですが、河川水の利用への影響回避というところ、各論のところを見てください。分かっているんですよ、水資源に影響を及ぼす可能性のある大井川を始めとする沿線の各河川はと。長野県の小さな河川もみんな影響を受けるんですよ。分かっているのに、余り手を打たないできたんです。しかし、水問題は大事なんです。

 大岡副大臣にお伺いしたいんですけれども、大岡副大臣は、琵琶湖の水問題、琵琶湖が汚れている、大阪の水がめだと、ずっと水問題、ダム問題に携わってこられたと思います。私は、これは一つの県とか一つの府とかに関わっているだけじゃなくて全体に関わることですし、国が乗り出さなくちゃいけないと。

 国土交通省は無理だと思うんです、造る方ばかりに頭がいっていて、どうでもいいみたいな感じに、はっきり言ってなっちゃっているんです。僕はこれは環境省の出番と。さっき大臣が、あちこちに出向いておられると。パワフルな副大臣が二人ついているんです。副大臣もこういった水問題について見識がおありになられると思いますし、環境省が調整に乗り出して、こうやれと意見を、具体的に、最初のときに言うだけじゃなくて、言ってもいいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

大岡副大臣 篠原先生にお答えいたします。

 まず、冒頭に篠原先生からお褒めをいただきましたが、リニア中央新幹線の建設に当たる環境影響評価手続におきまして、環境省としましては、本事業の工事及び供用時に生じる影響を最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めないとしておりまして、二〇一四年に国土交通大臣に発出しました環境大臣の意見として、必要最小限の改変、そして追加的な調査、予測及び評価の実施、それから事後調査の実施を含む水環境の環境保全について十全の取組を行うことが本事業の前提と。前提とまで述べております。また、精度の高い予測を行いまして、地下水位及び河川流量への影響を最小化できるよう適切な工法及び環境保全措置を講じることを求めるなど、水量の問題についても強い意識を持って意見を発出しております。

 現在、国土交通省さんの方で科学的、工学的な議論を進めながら、県及び大井川の流域の市町村等とコミュニケーションを十分に取るようにとJR東海にちゃんと指導はしてくださっていると私たちも認識しておりますので、委員から厳しい御指摘をいただきましたけれども、ちゃんと国土交通省さんはやっておられると思います。

 現在、環境省も委員の推薦に加えて職員がオブザーバーとしても参加をしておりますので、引き続きこの問題につきましてしっかりと協力をしてまいりたいと思いますし、また、国土交通省から求められれば必要な協力をしてまいりたいと考えております。

篠原(孝)委員 先ほどの同僚議員の松木さんの質問のリレー質問ですけれども、先ほど二兆円と二百億というのがありました。六兆円で自己資金でやるといったところに、三兆円の国の税金が投入されると。そうしたら、環境省の十二ページのは大したものでして、クマタカとかオオタカのいる場所が分かっていると。何とかペアと書いてあるんですね。フィギュアスケートのペアじゃなくて、つがいだというんですね。これを絶対に守らなくちゃいけないと、それについて二ページ、三ページ書いているんですよ。

 一体そのお金をどうするのかと言われるわけですけれども、僕は、こういうのにこそ、三兆円を環境の保護、環境保全の方に使うべきだと思うんです。そういう意見を環境省の方からも言ってほしいと思うんですが、いかがでしょうか。

大岡副大臣 先生御指摘のとおりでございまして、もう少し追加して申し上げますと、環境大臣の意見として、本事業の実施に伴う環境影響は枚挙にいとまがないということも申し上げておりますので、これをしっかりとやっていただきたいと思います。

 あわせて、先ほど先生がおっしゃった生態系の議論。現在、水問題について大分議論が行われ、地元の反発もあり、それに対して国土交通省さんがちゃんと頑張って指導していただいているところです。ただ、まだ、この後、生態系の問題も残っています。生態系の有識者会議がまだ立ち上がっていないと私も認識をしておりますので、先生御指摘のとおり、こちらも非常に大事な問題でございます。南アルプスは国立公園でございますので。

 したがいまして、今後、国土交通省さんから御要望があれば、これはしっかりと対応してまいりたいと考えております。一義的には国土交通省さんが担当されておりますので、正しくJR東海には指導してくださっていると思っております。

篠原(孝)委員 次に、務台副大臣にお伺いしたいと思います。

 務台副大臣は、議員立法等に非常に熱心に取り組んでおられる。その一つに、山の日の制定というのがありますね。それで苦労されて白髪も増えてしまったんじゃないかと思いますけれども。成功したんですけれどもね。

 副大臣が愛してやまない山、僕も同じですけれども、南アルプスの北岳とか、でかい山がある、そのところ、一番上とトンネルとが千四百メートルも離れているのに、そんなところに二十四キロ、五キロのトンネルを造ってですね。さっき大岡副大臣からありましたけれども、エコパークですよ、国立公園ですよ、そんなところにあんな大きなトンネルを掘ってね。そして、後で触れますけれども、残土の処理なんかは、残土じゃなくて発生土という美しい言葉で言っていますけれども、残土ですよ、一般国民には。それの処理方法も決まっていないと。これはやはり大問題だと思うんですね、僕は。

 そして、駅がたった一つできるだけ。いや、できないよりはいいんですけれどもね。だけれども、何とか村とかいうのは地名で、そこは下にトンネルが通って、今は工事でもってダンプカーが走っているだけ。環境は壊すわ、余りメリットがないわ。

 これはやはり考え直さなくちゃいけないと思うんですね。少なくとも私は、計画が始まっちゃったからしようがないですけれども、環境面については当初予定されていた以上に気を遣ってやっていかなきゃいけないと思うんです。その点についてどのようにお考えでしょうか。

務台副大臣 リニア新幹線については、ちょうどこの頃、二〇一一年の五月に中央新幹線の小委員会で、いわゆる南アルプスルートを採択するんだという答申が出されました。私はあのとき落選中で。当時は諏訪ルート、伊那谷ルートを長野県としては推していた、これが直行ルートに変えられちゃったものですから、私は本当に、落選中の立場では、本当に残念で残念で、何度も何度も松本駅前で、おかしいおかしいと街頭演説をしたことが思い出されます。

 当時は二〇一一年、民主党政権の下での、篠原先生が政府にお入りになったときの採択なので、その後こういう形で南アルプスルートでの事業が進んできたということなので、まあ、返す返すも、もし今回のような議論が政府の中でしっかり行われていれば、ひょっとしたらルートの選定について別段の配慮があったんじゃないかななんというふうに、感慨深く今の篠原先生の御質問を承っておりました。

 その上で、ユネスコのエコパークに関してですが、これは自然と人間社会の共生に重点が置かれているということで、豊かな生態系が残されている南アルプスにおいても、地域の関係市町村が優れた自然環境の保全そして持続可能な利活用に共同で取り組むとされております。

 こういう観点から、平成二十六年六月の中央リニア新幹線に係る環境影響評価の環境大臣意見においても、この事業の実施がエコパークの資質を損なうことがないように、関係自治体と十分調整し、その意向を尊重することと述べられております。

 この環境大臣意見を踏まえて、生態系への影響について、事業主体であるJR東海において適切な環境保全措置が講じられるべきものと考えておりますが、先ほど大岡副大臣からお話があったように、環境省としてもしっかりこれをウォッチしていく、そんなことで答弁とさせていただきます。

篠原(孝)委員 エコパークの大事な理念として、手つかずの自然が残っているということ、そして国内外に対して持続的な自然を維持するという、そのモデルとなるようにと言っているんだが、余りモデルにならないようなことをしているんじゃないかどうか、心配ですけれどもね。

 要するに、一番大事な資料、後からお配りした、でかいA3の表をちょっと御覧いただきたいんです。小さいのでいったんですが、見ていただきたいんです、建設発生土といってね。紙にはそうなっていますが、残土ですよ。

 ちょっと見ていただきたいんですが、この一覧表、東京から愛知まで、みんなが関わり合っている。トンネルが大半で、トンネル、トンネルと、こんなところを見ていって、外国人観光客がこんなのに乗るかなと思うんです。富士山を見てとか言っているのに、暗いところ、トンネルばかりを見ていっているの。東京から名古屋まで四十分で行って、何ぼのものかと思いますけれどもね。まあ、いいや、そっちは国土交通委員会でやりますから。

 これを見ていただくと分かるんです、距離がどのくらいかとか、各県の。長野県だけは工区をちゃんと、まあ、ほかのところも決まっているんでしょうけれどもね。例えば、下に中央アルプストンネルというのがあったり、南アルプストンネルとかと当時はみんなついていて、同じトンネルなんです。続いているんですけれども、ちょっとずつ名前を変えていたりするんです。

 それで、残土がどのぐらい出るかというと、発生土量です。よく出てくるんですけれどもね、五千六百八十万立方メートルというのは東京ドームの四十六杯分とか言っていますよ。長野県の九百七十四万立方メートルは八個分だと。長野県人には、諏訪湖を全部埋め立てられる量だというのを一番聞くんです。それだけ膨大な残土が出るんです。

 既活用量、残土が出て、どこかへ持っていっちゃったりしているのがBです。活用先を見てください、具体的な地名がありますね。今後発生する残土、そっちの方がずっと多いわけです。まだ三百六十四万立方メートルしか処理していない、これからが八割ぐらいになります。

 主な活用方法、これが計画だそうです。見てください、抽象的なことしか書いていないんです。これが計画と言えるんですかね。リニア中央新幹線他工区の造成に活用、公共事業の造成に活用と、同じようなことばかり書いてあるんです。静岡県は、民間の用地にと書いてある。それだけで、どこの場所でどうかというのを全然書いていない。私は、実質的にはほとんど何も決まっていないんじゃないかと思うんですよね。

 大臣にお伺いしますけれども、これを何で問題にしているのかというと、原発。原発はアメリカは全く新設していないんですよ。理由は、高レベル放射性廃棄物の処理計画をきちんと提出できなかったら新設できないんです。ユッカマウンテンという、ロッキー山脈のところの横に穴を掘ってやろうとした。いいと言いかけていたんですけれども、ネバダ州の人たちがみんな反対して、そのまま駄目になったんだ。だから新設できないんです。

 ですから、私は、先に提案の方を言っていますけれども、残土の処理計画をちゃんと作らなかったら工事させないというふうにすべきだと思います。

 どこに行くか分からなくて、適当に、強引に。長野県の信濃毎日新聞の連載の、ごく一部の紙があるので見てください。さっき小泉筆頭理事が一生懸命、松木さんの質問の間に読んでおられましたね。見てください、必死になっているんだよ、みんな戦々恐々です。しかし、みんな純朴な真面目な人たちだから、国策民営って書いてありますよね、原発と似ているんですよ、しようがないなと思って泣き寝入りですよ。どこか分からないところの土砂を持ってこられて、いつの間にか平らになっている、そうしたら、あんたらはここの、平らになったんだからいいんだろう、ここで百姓をやれという。そういう態度ですよ。そんな態度ではもう、けしからぬと思うんですがね、全く地名が入っていないというのは。

 国土交通省、これにちゃんと地名を入れて作らせる気はありますか。指導してきましたか、そういうふうに。指導してこないんじゃないかと思いますが、やってください。どうですか、政務官。

加藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 平成二十六年八月にJR東海が作成した環境影響評価書によりますると、リニア中央新幹線品川―名古屋間の工事では約五千六百八十万立方メートルの建設発生土が生じることが見込まれています。

 これらの建設発生土につきましては、環境影響評価法に基づきまして平成二十六年七月十八日に述べた国土交通大臣意見におきまして、JR東海に対して、関連する事業等と調整して建設発生土の適切な利用先を選定できるよう十分に検討し、可能な限り早期に多量の建設発生土の利用先を確保することなどを述べております。

 建設発生土の取扱いにつきましては、一般に、工事着手後に事業主体が地方自治体からのあっせんを受けて受入れ候補地を選定し、建設発生土が実際に発生する時期や土質、運搬距離等を考慮した上で、事業主体により決定されています。

 リニア中央新幹線でも同様に、JR東海においては、工事実施計画認可後に、地方自治体から建設発生土の受入れ候補地に関する情報提供やあっせんを受けながら、地権者や関係機関と協議、検討を進めてきているものと承知しております。

 なお、JR東海によれば、令和三年九月末時点で約五千六百八十万立方メートルの建設発生土のうち約七割の活用先を確保しているとともに、残りの建設発生土の受入れについて、現在、複数の候補先と協議をしているところと聞いてございます。また、静岡につきましては具体的に候補地が決まっております。

 国交省におきましては、JR東海において地元自治体との協議等が適正に行われるよう、引き続き指導をしてまいります。

篠原(孝)委員 加藤政務官の今のお答え、皆さん、信用できますかね。

 この表を見てください。主な活用先、左側の方の、処理したところはみんな地名が書いてあるんです。地名が入っているんです、具体的に、ここに行ったから。それは覆しようがないです。じゃ、七割が決まっているんだったら、何で右側は書けないんですか。分からないと言うんですよ、国土交通省は。それで、七割が決まっているなんてよく言えますね。僕は決まっていないと思いますよ。ですから、こういう問題だらけなんですよ。まだ行け行けどんどん、進め進めが続いているんですよ。

 東日本大震災があった、僕は価値観がちょっと変わってもいいかなと思ったが、余り変わらない。今度は新型コロナウイルスでこれだけになって、テレワークだとかそういう、ちょっと価値観が変わりかけている、そういうときに何をするのかというものなんですよ。

 それで、今度は大臣ですけれども、ゆっくり話を聞いていただきたいと思います。

 六ページを見ていただきたい、資料の六ページ、五人の元総理、不思議なんですよね、余り練られた文章でもないから「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ、」とかいうのが入ってしまったんだろうと思います。

 その証拠に、下の元総理たちの順番が何だか訳が分からないんですね。一番声のでかい順番かなと。お父さんもおられますけれどもね。大体が悟りを開いたような人たちだらけかなと思ったら、真ん中の人に、生臭い、ヒトラーが何とかと言っている人もいるわけです。

 だけれども、真面目なんだと思います。EUタクソノミーというのは皆さん御存じかと思いますけれども、EUは、フォン・デア・ライエンさんがグリーンレボリューションといってやり出した、二〇五〇年までにはCO2の排出をゼロにするというんだね。それで、原発と天然ガスはグリーンの対象になっていなかったんだけれども、やっていられないと、原発と天然ガスは一定の条件の下に認める、投資をどんどんしていいんだというふうにしようというので、フランスが中心になって提案したというんです。

 それに対して積極果敢に山口大臣は、善意からだと思いますが、福島の人たちが甲状腺がんになっているというところへ、こういうのをみんなが言われるといけないからといって注文をつけている。僕は価値観はちょっと違うんですけれども、こういうことをやられていいと思いますよ。

 考え方が違うというのに、一番後ろのページを見ていただきたい。私が書いた本なんですけれども、「原発廃止で世代責任を果たす」という二〇一二年に出した本ですけれども、その中にも、百十ページに書いてあるんです、線を引っ張ったところに。

 やはり、子供たちの甲状腺がんって物すごく多いんですよ。務台さんがよく知っておられる方ですけれども、菅谷松本市長という、ベラルーシに数年間行って子供の甲状腺がんの手術を片っ端からやって、非常に感謝されている方がおられるんです。それだけ多いんですよ、日本も同じようになっている人たちがいるはずなんですね。その人たちもちゃんと面倒を見なくちゃいけないと私は思うんですけれども、そこは論争になるのでやめておきます。

 次に、七ページ。七ページには新聞記事です。

 僕は感心したんですが、小さな新聞記事で、七ページの下、山口大臣の身の回りの省エネをというもの。日付を見てください、三月四日ですよ。それから二週間後に、三週間後ですか、電力需給逼迫警報が出されるんです。山口大臣は、その前に省エネしてくださいという発言をされている。大臣の発言の重みというのがあるわけですね、報道されているわけですよ。

 それで、大臣にお願いです。そこを言うことをどんどんしていただきたいと思うんです。そういうことを、発言ですね、環境を大事にというようなことをどんどん発言されていいんだろうと思います。事業をやったりする役所じゃないですから、環境は大事だというようなことでね。

 だから、一番端的に言いますと、僕は、リニア新幹線は何年かのうちには相当お荷物になっているんじゃないかと思うんです。まず、環境上、めちゃめちゃです、残土の処理がなっていないということで。

 さっきの具体的な提案ですけれども、残土の処理計画を、きちんと地名入りで、どこに何万立方メートル持っていくという計画書を立てなかったら工事をやってはいけないという条件をつけさせていいと思います。地元の人たちは大したメリットも受けないのに戦々恐々としているわけですよ、また土を持ってこられて、そこへ置いていかれると。こんな状態を私は許しちゃいけないと思うんですよ。

 もっと極端なことを言えば、私は、立ち止まる勇気、嫌われる勇気でもってやめたらいいんじゃないかとまで言ってもいいと思うんですけれどもね、そこまでは言いませんけれども。

 最低限、環境に配慮して工事を進めろということを声を大にして言っていただいてもいいような気がするんですけれども。していただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣 リニア中央新幹線については、確かに、二〇一四年、環境大臣として国土交通大臣に、事業者が十全な環境対策を講じることにより環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう、本事業者に対して適切な指導を行うことなどを環境大臣意見として求めました。

 国土交通省においては、確かに、有識者会議を設置して事業者に具体的な助言、指導を行っている状況と承知していますけれども、今、篠原先生の意見もいろいろ聞いて、環境省としては、この事業が環境の保全に適切な配慮がなされた形で、地元の自治体などとも丁寧なコミュニケーションを重ねた上で進められるよう、有識者会議の今後の議論あるいは事業者の対応について強く求めたいと思います。

 時系列的に少し言えば、これは二〇一四年ですね、それで、先般、埼玉県のメガソーラーについて私も環境アセスでもって計画の抜本的な見直しということを求め、また、萩生田経産大臣もそれに呼応して同様の意見を出していただいた。前だったら、こういうことはなかなか出なかったかもしれません。やはり、環境に対して配慮する、そのことに対する受け止めというものが違ってきているんだと思います。

 二〇一四年時点でこういう格好でのアセスメントに対して行われているんですけれども、我々は今の段階で、今の篠原先生の意見も目いっぱい受け止めさせてもらいながら、事業者の対応について、あるいは有識者会議の今後の議論についても地元の丁寧なコミュニケーションを重ねた上で進められるようにということを強く求めていく、そういう対応をしていきたいと思います。

関委員長 篠原君、質問は簡潔に願います。

篠原(孝)委員 はい。

 さっき、工事が始まってから地元から申出を受けて残土処理を始めると。それは遅いんですが。駄目ですね、ちゃんと直すようにしていただきたいと思います。

 それからもう一つ、激励というか期待ですけれども、国内問題で申し上げますけれども、環境問題は、地球環境問題と、上に地球がつきます。そういう点では英語ぺらぺらの山口環境大臣はぴったしなので、そちらの方面でも大活躍されることをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 維新の会の漆間と申します。

 まずは、電動車の普及拡大についてお伺いいたしたいと思います。

 先日の大臣所信質疑では、昨年末に発表された二〇二五大阪・関西万博アクションプランに関連した質問をさせていただきました。

 そのときには取り上げませんでしたが、電動車の活用拡大についても、万博アクションプランに環境省より取組が掲げられているところでございます。

 政府としても、グリーン成長戦略では、二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%を目指すこととしております。

 私の地元大阪でも、二〇三〇年度までに全ての乗用車の新車販売に占める電動車の割合を九〇%とする目標を掲げております。

 現在、電動車やその充電設備への補助金がたくさん用意されていることも承知しておりますが、スピード感を持って、国民や事業者が安心して自発的に電動車を購入できる環境を是非整備していただきたいと思います。

 目標達成に向けて、政府における今後の取組方針と、山口環境大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

山口国務大臣 環境省では、二〇三五年の乗用車新車販売における電動車一〇〇%の政府目標の達成に向けて、ゼロカーボン・ドライブと銘打って、再生可能エネルギー電力の利用と組み合わせた電気自動車等の導入支援も行っています。

 また、先般成立した令和三年度補正予算においては、地域住民の利用を促すためのEV等のカーシェア導入事業を計上して、一台当たりの補助額を最大百万円に引き上げたところです。

 また、令和四年度予算においても、EVトラックや燃料電池バス等の商用車の電動化を支援する事業も盛り込んでいるところです。

 こうした支援を重点的に実施して、地方を含めた日本のライフスタイルに電動自動車を根づかせるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 もう少し言うと、今、カーボンプライシングということも念頭に置きながら、各業界と話をしています。鉄鋼業界、ガス業界、電力業界、いろいろなところと話して、自動車業界とはこれからです。

 やはり、世界の流れの中で、世界に冠たる自動車王国日本というところを保っていってほしいわけですね。そのためには、どうしてもイノベーションのお金も必要です。それは官民一体ということですから、もしも内部にとどまっているお金があればそれも頑張って出してほしいし、官も出していく。相当な額ですよね。

 正直、内燃機関では日本は間違いなく世界一だと思います。ハイブリッドにおいても、他の追随を許さないと思います。ヨーロッパはそれを見越して、この電動車。電動車というのはある意味でモーターにタイヤをつければ終わりですから、内燃機関でガソリンを燃やして進めるという方がずっと複雑ですよね。

 そういう意味では、電動自動車ということで、我々が、正直、少し今乗り遅れているかもしれません。でも、世界に冠たる自動車大国日本というところをきちっともう一回保てるように、やはりここは電動自動車に対してインフラを整え、あるいは場合によっては我々が大きなサポートをしてというところも全体で考えていきたいと思います。

 それは、一月十八日から始まったクリーンエネルギー戦略に関する有識者会議、こういうところでも、萩生田経産大臣と協力して、グランドデザインを出すようにと。そういう中で、こういうこともやはり取り上げなきゃいかぬなというふうに思っています。

漆間委員 大臣、ありがとうございます。是非、製造の方の取組も大切ですけれども、消費者の方の環境を整えることで、安心して消費者の方が電動車も購入できるんだというところも、拡充させることが製造者の方のイノベーションの革新にもつながっていくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、プラスチック資源循環法関係についてお伺いいたします。その中でも、まずは海洋プラスチックごみ対策についてお伺いいたします。

 先日の大臣所信質疑におきましては、務台副大臣から、二〇二五年関西万博開催全体を通じたプラスチックごみゼロについて、積極的な御答弁をいただいたところです。

 今回は、来月から施行されますプラスチック資源循環法に関連して、海洋プラスチックごみ対策についてお伺いしたいと思います。

 この当該法の政府説明パンフレットによりますと、海洋プラスチックごみは、プラスチックごみの不適正な処理で陸上から流出と書かれております。

 まずは、プラスチック資源循環法では、どのようにして陸上プラスチックごみの不適正な処理を防いで海洋プラスチックごみ対策とするのか、具体的な説明をお願いしたいと思います。

 あわせて、二〇五〇年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロとすることを目指す大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に向けた環境省の取組をお伺いいたしたいと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 来月から施行されますプラスチック資源循環法の下で国が定める基本方針は、海洋環境の保全を図る国の方針との調和が保たれたものでなければならないというふうになっておりまして、実際に、その基本方針におきましては、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを実現するために必要不可欠な循環経済への移行を戦略的に進めるというふうに定めておるところでございます。

 具体的にという御質問でございますが、本法律で定めるプラスチック廃棄物の排出抑制や分別、回収、リサイクルの円滑化、環境に配慮された代替素材への転換を促進するための措置を通じまして、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた取組を着実に進めていく所存です。

漆間委員 よろしくお願いいたします。

 次に、特定プラスチック使用製品の使用合理化についてお伺いいたしたいと思います。

 プラスチック資源循環法に基づいて、来月から、コンビニや飲食店などで提供されている使い捨てのプラスチック製スプーンなど十二品目について、小売店等に対して有料化等の使用の合理化が義務づけられることとなっております。

 対象となる十二品目は、特定プラスチック使用製品として政令で対象となる品目と業種が定められており、この対象にはクリーニング店で提供されるハンガーや衣料用のカバーも含まれております。

 ところが、どのような業種でどのような品目が対象となるのか、この周知が不十分であるように感じております。クリーニング店の方からも、有料化といった報道は聞いているが、どこからも連絡がなく、四月以降に何をしなければならないのか分からないとの御意見もいただいているところです。事業者が混乱し、対応がまちまちになると、国民もまた混乱すると思います。また、事業者向けの説明においても、使用の合理化といった一般になじみのない用語が頻繁に使用されており、事業者の理解を困難にしているようにも思います。

 現在、事業者向けの説明会を開催していることは承知しておりますが、数多くの関係する事業者がいる中で、国からの説明が十分に行われ、また、これが理解されているとは言い難い状況であります。もう来月には施行となりますが、国民や事業者に分かりやすい言葉で十分に説明を行っていく必要があると考えますが、事業者への説明の現状と今後の取組方針についてお伺いいたします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 プラスチックの資源循環法の円滑な施行のためには、事業者を含めた普及啓発が極めて重要でございます。これまで、プラスチック資源循環の周知、広報のための特設サイトを開設するとともに、政府広報や説明会等、あらゆるツールを活用して情報発信に努めてまいりました。

 具体的に御指摘のありましたクリーニング業界でございますが、業界団体がポスターの作成に積極的に取り組むなど、事業者や消費者の方への情報発信にも御協力いただいているところでございます。

 プラスチック資源循環法の円滑な施行に向けましては、プラスチック資源循環の取組に協力が得られるよう、事業の所管の主務省庁であるとか関係団体と協力しながら、更なる事業者への普及啓発に努めてまいりたいというふうに思います。

漆間委員 事業者や消費者、国民への周知徹底を是非よろしくお願いいたします。

 続いて、プラスチックの分別回収についてお伺いいたします。

 プラスチック資源循環法の施行により、市町村はプラスチック使用製品廃棄物の分別収集と再商品化に努めることが求められることとなっております。

 環境省では、市町村のプラスチック使用製品廃棄物の分別収集について、平成二十九年に大阪市など六市において実証実験を行ったと聞いております。その結果、資源回収量が増加するとともに、実証実験を行った地域住民の七四%が容器包装のみを分別する場合より分別しやすいと回答し、八〇%の住民がこの分別方法を採用すべきと回答しているとのことです。大阪市が行ったアンケート調査においても、おおむね七割の市民から分別方法が分かりやすくなったとの御意見をいただいているとのことであります。

 他方で、否定的な意見としては、ごみの量が多くなり保管場所に困った、製品プラスチックかどうかの判断に困ったといった声も寄せられております。こうした声は大阪市だけでなく、全国的な課題であると考えております。

 そこで、国民に分かりやすく、さらに実効性のある分別回収の方法やその周知について、環境省としてどのように取り組んでいくつもりなのか、お伺いいたします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、平成二十九年度の実証事業において、評価が高かった部分もございますけれども、一方で、やはり、期間を限定して実証事業を実施したということもあって、新たな分別ルールが十分に浸透するまでに至らなかったという可能性もあると思っております。

 私どもとしましては、市区町村の分別基準の策定に御活用いただけますように、分別収集の手引を策定、公表したところでございます。

 また、御指摘のように、平成二十九年度にモデル事業をやっておりますが、プラスチック資源循環法への対応を目的として新たなモデル事業を今年度から実施しておりまして、ここで得られた課題等を整理、分析して、分別ルールの住民への効果的な周知方法も含めた知見を横展開していき、市区町村の取組を後押ししていきたいというふうに考えております。

漆間委員 昨年、環境省が行ったアンケート調査によりますと、来月から分別回収を始める自治体の数はかなり少数となっております。プラスチックごみの分別回収には、回収車や収集員などの作業負担や、それに伴う費用負担、また分別やリサイクルの費用負担など、多額の費用を要するため、これを全国的に進めていくためには、国から自治体への財政支援が欠かせません。

 国から自治体に積極的に財政支援を行うべきだと考えますが、環境省の見解をお伺いいたします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 来年度から、市区町村が実施するプラスチック資源の分別収集、リサイクルに関する経費につきまして、特別交付税措置を講ずるという予定になっております。

 また、このほかの支援措置といたしまして、分別収集に必要となるマテリアルリサイクル施設等の整備事業に対して、循環型社会形成推進交付金による支援を実施しておるところでございます。来年度からは、特にプラスチック資源の分別収集、リサイクルの実施を交付金による支援を受けるための要件として、市区町村の取組を更に後押ししていきたいというふうに考えております。

 今後とも、様々な技術的、財政的支援を通じて、市区町村によるプラスチック資源の分別収集、リサイクルを後押ししていきたいと思います。

漆間委員 技術的、財政的支援ということもありますけれども、できるだけ、この施策も含めて適時適切に情報提供を地方自治体に行っていただきまして、地方自治体が行う施策の実効性をしっかりと担保していただきたいと思います。

 私からの質問は以上となります。ありがとうございました。

関委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 本日は、使用済み紙おむつについてまず質問させていただきたいと思います。

 環境省では、二〇二〇年三月に、使用済み紙おむつについてのガイドラインを出しておられます。使用済み紙おむつの多くはそのまま焼却されているというのが現状だと。まず、環境省に、使用済み紙おむつのリサイクルについてはどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済みの紙おむつは、今後、高齢化の進展もありますので、一般廃棄物に占める比率の増加が見込まれます。自治体の関心も高く、我が国全体で対応していかなければいけない重要な課題と認識しております。

 令和二年三月には、使用済み紙おむつの再生利用等に関するガイドラインを公表しました。熱回収を含む再生利用等を検討するための技術や、回収、運搬の方法、CO2の削減効果などを取りまとめておりまして、説明会や普及啓発チラシなどによって周知を行っております。

 また、再生利用等を検討する自治体に対しては自治体ごとの課題についてコンサルティングを行うとともに、リサイクルを行う事業者に対しては設備導入の補助や実証事業も行っております。

 引き続き、使用済み紙おむつの再生利用等促進に向けた支援を実施するとともに、再生利用等が紙おむつ処理の課題を解決する選択肢の一つとなりますように、好事例の横展開に努めてまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 保育園では、保護者が使用済み紙おむつを持ち帰るところが多いようです。ある団体の調査によると、保護者が使用済み紙おむつを持ち帰っているという自治体は、東京二十三区では一つもなかったのに対し、関西では、京都が八八%、大阪が六五%などと、おむつを持ち帰る自治体の方が多い状況でした。

 毎回保護者が使用済み紙おむつを自宅に持ち帰ってごみとして出さないといけないとすると、かなり負担があるかなというふうに思います。私は以前介護関連の企業を経営していましたけれども、介護の事業所では、使用済み紙おむつを事業所で廃棄していました。

 厚生労働省にお尋ねしたいんですけれども、通所介護や小規模多機能型居宅介護支援事業所では、紙おむつの対応についてはどのようにされておるでしょうか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員から御質問のございました通所介護事業所や小規模多機能型居宅介護事業所におきましては、使用済み紙おむつも含めまして、事業活動に伴って出るごみ、いわゆる事業系ごみとしての処理責任ということで、事業者にあると認識してございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 紙おむつの分別収集を進めるために、財政的に余裕のない自治体でもリサイクルに取り組むことができるように支援した方がいいかなというふうに思うんですけれども、その辺り、環境大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣 一般的に、使用済みの紙おむつというのは可燃ごみと一体で排出されており、御指摘のように、リサイクルを進めていく上では分別収集をする必要があると思います。

 環境省が令和二年三月に策定した使用済み紙おむつ再生利用等に関するガイドラインにおいては、自治体における分別収集の検討事項の整理や好事例を掲載しているところです。

 現在、こうした情報を基に、再生利用等を検討している自治体に対して地域の実情を踏まえた分別収集のコンサルティングも行っています。引き続き、紙おむつの再生利用等に向けた自治体の取組の支援に努めてまいる所存です。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 冒頭お話ししましたけれども、保育園から収集した方がリサイクルをしやすいというふうに思うんですけれども、この点について、厚生労働省としては対応いただくことができるんでしょうか。

川又政府参考人 保育所で使用した使用済みの紙おむつをどのように処理するかということにつきましては、国として具体的な取扱いを定めているわけではございませんが、地域の実情に応じて各施設で決めているというのが現状となっております。

 使用済み紙おむつのリサイクルを進めるためには、個々の保育所での分別のみならず、各自治体等における分別収集を含めたリサイクルの方法と併せて検討する必要があると考えております。

 そのような対応、取組を行う際に、保育所が可能な範囲で分別排出の協力を行うことは十分考えられるというふうに思います。現に、企業あるいは大学等と連携して独自の実証実験に参加している保育所もあると承知しておりますので、厚労省として今後どのような協力ができるか、環境省とも連携して検討してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。是非積極的に、地方自治体とも連携して支援していただきたいと思います。

 次に、アルコールチェックの質問に移りたいと思います。

 事業所において、安全運転管理者が、運転前後の運転者に対し、本年四月からは目視で、本年十月からはアルコール検知器を用いて酒気帯びの有無を確認することになっていますが、こうした規制が導入される趣旨についてまずお伺いしたいと思います。

新田政府参考人 お答えいたします。

 道路交通法では、一定台数以上の自動車を使用する者に、使用の本拠ごとに、安全運転管理者の選任を義務づけております。

 安全運転管理者の業務として、運転前の運転者について、飲酒その他の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無の確認が義務づけられているところでございます。

 一方、昨年六月に千葉県八街市で発生した小学生五名が死傷する交通事故は業務中の飲酒運転によるものであったことから、昨年八月の通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策におきまして、飲酒運転の根絶のために安全運転管理者が行う安全運転管理業務の内容の充実を図るとされました。

 これを踏まえまして、警察庁におきまして、道路交通法施行規則を改正し、運転前及び運転終了後の運転者について、目視等により酒気帯びの有無の確認等を行うことを安全運転管理者の業務として新たに定め、四月一日から施行することとしたものでございます。

 また、本年十月一日からは、目視等に加えて、アルコール検知器による酒気帯びの有無の確認を行わなければならないとする改正規則の施行を予定しております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 御答弁がありましたように、十月からはアルコール検知器を使ったチェックが必要だということですけれども、アルコール検知器の製品自体はプラスチック製品がほとんど、多いと。個別で運転者に渡していくとかなりの数のアルコール検知器が普及することになるんですけれども、本来プラスチック製品を減らしていく方向だと思うんですけれども、環境省としては、この辺り、どのようにお考えでしょうか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 本年四月に施行されるプラスチック資源循環法では、御指摘のアルコールチェッカーも含めたプラスチック産業廃棄物について、排出事業者に対して、可能な限り、排出抑制、適切に分別して排出する、リサイクルできるものはリサイクルを実施するということを求めております。

 また、適切な分別排出やリサイクルのためには、部品ごとに容易に分解、分別できる製品であることも重要であり、本法律に基づき国が定めた製造者向けのプラスチック使用製品の設計指針において、廃棄・リサイクル段階を配慮した設計について検討することなどを定めております。

 プラスチック資源循環法の施行によりまして、アルコールチェッカーを含めたプラスチック産業廃棄物全般について、排出事業者の分別、リサイクルを後押ししていくということにしております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 この規制自体に関していろいろな業界から意見が出ているんですけれども、介護業界からは、訪問介護の場合、スタッフが夜中に直行してお客様の御自宅に訪問して、そのまま自宅から帰る、直帰するというケースが多いですけれども、安全運転管理者を深夜に勤務させることは労務管理上本当に厳しいかなというふうに思うんですが、こうした訪問介護の現状について、厚生労働省としてはどのようにお考えでしょうか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 訪問介護員、サービスの提供に当たりまして、自宅から利用者の自宅に直行直帰するケースが多いというふうに我々も認識してございます。

 こうした訪問介護員の働き方につきまして、過去の調査研究事業におきましては、直行直帰、自分の都合のよい時間に働ける柔軟さ、そうした形の働き方を魅力に感じている訪問介護員の方の御意見も多いところでございました。訪問介護員が希望する多様な働き方の一つとして認識してございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 ある団体、介護の団体ですけれども、百五十六法人にアンケートを取っています。四十一法人、七千百八十四事業所から回答があったと。

 四月からの直行直帰を含む全ヘルパーへの目視や携帯等での確認で負担が増えると回答した法人は、九〇%を超えていました。

 また、十月からの直行直帰の全ヘルパーにアルコール検知器を携帯させることが経済的に負担であると回答した法人も、同じく九〇%を超えています。

 回答のあった法人全てで、アルコール検知器やそれに伴う保存システムなどの導入に関する補助金や助成金を検討してほしいという声も聞いています。団体からは、訪問介護、訪問看護、訪問入浴についてはアルコールチェックの義務の免除などの要望もありました。

 そこで、三つお尋ねしたいんですけれども、一つ目は、確認方法はカメラや電話による確認は認められるのか。二つ目が、安全運転管理者が常に確認をする必要があるのか。三番目に、アルコール検知器、性能の高いものは一万円以上するというふうに聞いているんですけれども、事業所の負担が非常に大きいので、この辺りの性能の要件、こういったものはあるのか。この三つ、お尋ねしたいと思います。

新田政府参考人 お答えいたします。

 運転者の酒気帯びの有無の確認方法は対面が原則でありますが、対面での確認が困難な場合にはこれに準ずる適宜の方法で実施すればよく、例えば、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、カメラ、モニター等によって運転者の顔色、応答の声の調子などとともにアルコール検知器による測定結果を確認する方法、あるいは、電話によって運転者の応答の声の調子などを確認するとともに検知器による測定結果を報告させる方法などの、対面による確認と同視できるような方法によることも可能でございます。

 また、安全運転管理者の不在時など、安全運転管理者自身による酒気帯びの有無の確認が困難である場合には、安全運転管理者がその業務を補助する者に行わせることは可能であり、業務委託であっても差し支えございません。

 ただし、その場合でありましても、安全運転管理者に代わって業務を行う者におきまして、必要な場合には速やかに安全運転管理者等の指示を仰ぐことができることとするなど、安全運転を確保するために必要な対応が確実に取られることが必要であると考えております。

 それから、酒気帯びの有無の確認に使用するアルコール検知器につきましては、呼気中のアルコールを検知し、アルコールの有無を警告音、警告灯、数値などにより示す機能を有するものである必要がございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 検知器の購入や保存システムは事業者にとって負担が大きいと思います。これは支援を行うべきだと思うんですけれども、警察庁としては、この辺り、いかがですか。

新田政府参考人 お答えいたします。

 アルコール検知器や酒気帯びの有無の確認結果を記録、保存する機器の購入費用につきましては、今回追加する業務は飲酒運転による交通事故の更なる防止を図るために必要なものと考えておりまして、補助金等の措置は考えておりませんが、業務の重要性につきまして周知を図り、事業者に御理解をいただけるよう努めてまいります。

遠藤(良)委員 例えば介護事業所に関して支援をしていただく、こういった辺りは、厚生労働省、どうでしょうか。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 飲酒運転の根絶のためアルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無の確認を全事業者に義務づけるという今回の改正の中で、厚生労働省としましては、介護事業者に対してアルコール検知器の購入費を補助することは考えておりませんが、先ほど警察庁の答弁にもありましたように、今回の改正の趣旨などを丁寧に御説明していきたいと思ってございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、国としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。支援に関してもしっかりと議論をしていただきたいと思います。

 これで私からの質問は終わります。ありがとうございました。

関委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下です。よろしくお願いいたします。

 早速、時間もないので、質疑に移らせていただきます。

 以前の質疑で、二国間クレジットの国際的な取引ルールの厳格化についてお尋ねしました。大臣からは、二重計上の防止をする仕組みの御提案や、パリ協定六条に沿って二国間ルールの実施に向けて体制を整えていくという御答弁をいただきましたが、今後国内において二国間クレジットが活用されていく際に、これだけ削減しましたと主張する企業に対し真偽を検証する仕組みも重要となってくるかと考えますが、この辺りの取組について対応されているのか、御教示ください。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 クレジットの活用に当たりまして、その信頼性を確保するというのは非常に重要な点でございます。

 二国間クレジット制度、JCMのクレジットの活用に当たりましては、国や企業等によるクレジットの活用目的それから移転状況を把握し、二重使用などがないように、国が設置するJCMの登録簿システムにおいて管理する仕組みというのを既に整備いたしておりまして、これによって委員の御懸念がないようにしてまいりたいと思います。

 また、クレジットそのものでございますけれども、クレジットそのものにつきましても、まず、パリ協定でのルールを反映して二国間政府で策定したルールに基づいて行う、さらに、削減量についても、過大に削減量が算定されるということでなくて安全側で見積もるように、そういう方法論で算定する、さらに三点目としては、その方法論に沿った事業者の削減活動の実施について第三者機関による検証を行うというようなことで、そういう点についても政府が確認した上で、これらのプロセスを経たもののみをJCMのクレジットとして発行しているというところでございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 先週、資源循環エキスポに僕も行ってきまして、全部は見られていないんですけれども、そうした中で、Jクレジットを利用して、いろいろな企業さんが営業されていました。中には、説明を聞いていたら、本当に大丈夫なのかとか、エビデンスがない中でやっているような企業もありましたので、是非厳格化を進めていっていただきたいと思いますし、国レベルでは、ロシアなんかは二〇三〇年の目標値が低くて、もう既に経済の衰退で目標値をクリアしている、それを今売ろうとしているというような話も聞きましたので、是非、大臣には海外を含めてルールの厳格化に努めていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、ゼロカーボンシティーについてお尋ねします。

 ゼロカーボンシティーを目指す各地方自治体は、どのような手続を経てゼロカーボンシティーとなるのでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロを目指す地方自治体をゼロカーボンシティーとして、その状況を取りまとめ、ウェブサイトで公表しております。

 具体的には、地方自治体の首長自らが二〇五〇年にCO2排出実質ゼロを目指す旨を宣言することを議会等で公表した地方自治体から御連絡をいただき、集計、公表しているところでございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 宣言をしたら一応ゼロカーボンシティーになれるということなんですけれども、その結果というか、現在五百九十八の自治体が表明されているとのことなんですが、幾つかの自治体は、聞いてみたら、エコ活動を推奨しているだけとか、それでゼロカーボンシティーを名のっているところもありますし、残念ながら、交付金目的で、取りあえず手を挙げておこうという自治体も見受けられます。各自治体に聞き取りをして回られているということですが、初めからハードルを上げるというようなお考えはないんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 ゼロカーボンシティーの表明を行った地方自治体における取組状況は様々であります。既に野心的な計画策定や取組を進めている地方自治体もあれば、具体的な取組はこれからという地方自治体も存在すると承知しております。

 環境省としては、ハードルを上げるということではなく、まずゼロカーボンシティーの表明を行っていただくことが、これから地域の脱炭素化に取り組んでいただくための一つのきっかけとして重要であると考えているところでございます。

 環境省としては、ゼロカーボンシティーの表明を行い、これから地域の脱炭素に取り組もうとする意欲のある地方自治体に対して、計画策定や設備導入での支援をしっかり行っていきたいと考えております。

奥下委員 環境省さんがどうこうじゃなくて、本当に各地方自治体の意識の問題だと思うんです。いろいろレクを受けていると、環境省の皆さんは本当に高い志で取り組まれているなというのは分かるんですけれども、残念ながらこういった、取りあえず手を挙げておけとか、そういった自治体も残念ながらいるので、大臣始め総理も取り組まれていることですので、もうちょっと各地方自治体にこういった意識づけを、もっともっと、回られているということなので、一緒にしていっていただけたらなと思います。

 そうした中、取り組まれている地方自治体が直面している課題として、まず、地方自治体側の言い分としては、国の方針、具体策が不透明であるということを理由に挙げたり、また、高コスト施策による財政圧迫リスクも課題として挙げておられますが、環境省さんの御見解を教えてください。

山口国務大臣 ゼロカーボンシティーの取組を推進していく地域の脱炭素化に向けた国の方針としては、全国行脚でもってやっているのもその趣旨なんですけれども、地域脱炭素と町おこしを両立していただきたいというところで、二百億円の再エネ推進交付金、あるいは財政投融資に組み込む二百億円、そういうことも説明させていただいたりしています。そしてまた、カーボンプライシングの考え方についてもいろいろな意見をお聞かせいただいているところです。

 脱炭素先行地域を百か所以上、二〇二五年までに創出したい、そういうことで是非申し込んでくださいと。そのときに、いろいろと書類を書くことの大変さとかそういうことももちろんおっしゃられるわけなので、それは本省としてもお手伝いしましょう、あるいは地方環境事務所としてもお手伝いしましょうというところでコミュニケーションを取っています。

 先ほど申し上げたように、今日の閣議でもって、私も署名させてもらった百三十七名の増員体制、それは、地方環境事務所に新しい室を設けたり、あるいは増員したり、また本省の方でもそういう体制を整えたりということで、国の方針、これを地方自治体の方々にもきっちり共有していただけるように更に努めていかなければいけないと思います。

 あと、保険の話もあると思います。自治体の財政圧迫リスクについては、リスク回避策として、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金などの財政支援の執行に当たって、一定規模以上の太陽光発電設備の場合、災害等による発電事業途中での修繕や撤去及び処分に備えて、火災保険や地震保険等に加入することなどの対策も促していく方針です。

奥下委員 ありがとうございます。

 では、次に、プラスチックのリサイクルマークの表記についてお尋ねします。

 ペットボトルのキャップですが、リサイクルマークのあるものとないものがあります。ケミカルリサイクルを推進するに当たり、表記の必要性を感じるのですが、表記義務の推進であったりとか、若しくは努力義務を進めていただけるお考えはないでしょうか。現場ではキャップだけで回収しているので、その商品の成分が分からないとケミカルリサイクルに制約が多くて、そういった問題が出てきているとのことです。

 また、素材に応じて一から七のマークが制定されていますが、日本で義務づけられているのは一だけです。カーボンニュートラルを目指すのであるならば、この際、七まできちんと制定してみてはどうかと思うんですが、経産省のお考えをお聞かせください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 国は、資源有効利用促進法の識別表示制度に基づきまして、商品の容器包装の製造事業者や販売事業者等に対しまして容器包装へのリサイクルマークの表示を義務づけております。

 同制度におきましては、原則として、容器包装のうち、容易に分離できる一つ一つに対してリサイクルマークを表示することを求めております。加えまして、プラスチック製の容器包装につきましては、使用されているプラスチックの材質の種類を併せて表示することを推奨しているところでございます。

 ただし、例外としまして、ペットボトル本体とキャップのようにほぼ同時に廃棄されることの多い容器包装につきましては、リサイクルマークをペットボトルのラベル等に一括表示するということも認めております。

 委員御指摘のキャップへのリサイクルマークの表示につきましては、製造事業者等のコスト増につながる点や、高度な技術が必要となるケミカルリサイクルを実施できるリサイクル事業者が限られているということに鑑みまして、現時点では一括表示を行うということに一定の合理性があるというふうに考えております。

 経済産業省としましては、引き続き、ケミカルリサイクルの技術開発支援などを通じまして、高度なリサイクルが可能になるように後押しをするとともに、製造事業者等の声を丁寧に聞きながら、有効な識別表示について検討してまいりたいと思います。

奥下委員 ありがとうございます。

 それこそ先ほど申し上げた資源循環エキスポに行ったときにそういうお声をいただいたんですけれども、回収する側としては、キャップだけの場合もたくさんあるので、例えばキャップの色で識別するとか、表記するのが難しいならば、ちょっと考えたら、工夫すればできることなのかなというふうに思いますので、どうぞこういったことも考えていただけたらなと思います。

 これにて私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

関委員長 次に、内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山口環境大臣。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山口国務大臣 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国は、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現を昨年の法改正で法律上明記するとともに、昨年四月には、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減の実現を目指し、五〇%の高みに向けた挑戦を続けることを表明しました。

 これらの目標を達成し、炭素中立社会へと移行するためには、三千八百兆円とも言われる世界のESG資金を呼び込み、経済社会を抜本的に変革することが求められています。

 この変革に向けて、脱炭素技術の更なるイノベーションを推進するとともに、再生可能エネルギーなどの地域資源を地域と共生しながら徹底活用するグリーン社会を実現すべく、二〇五〇年カーボンニュートラルを前倒しで達成する脱炭素先行地域を二〇三〇年までに全国で百か所以上創出することを目指しています。地方公共団体や事業者を国が強力に支援することによって、地域の脱炭素化による町おこしを促し、これが新しい時代の成長を生み出すエンジンとなります。その実現に向け、二〇三〇年までが人類の正念場、勝負のときとの決意の下、大臣、副大臣、大臣政務官の全員で率先して、各地域との対話を重ねています。

 本法律案は、このような背景を踏まえ、脱炭素市場に民間資金を大胆に呼び込むための出資制度を創設するとともに、地方公共団体に対する財政上の措置を充実強化するため、これらの資金支援の法的基盤を整備し、炭素中立社会への本格的な移行を促進するものです。

 次に、本法律案の内容の概要を二点御説明申し上げます。

 第一に、民間資金を呼び込む出資制度を創設します。現在、世界の脱炭素市場はまさに拡大しているところですが、例えば、前例に乏しく投融資の判断が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくい等の理由から資金調達が難しい脱炭素化に資する事業への民間資金の呼び込みが必要となっています。そこで、株式会社脱炭素化支援機構を設立し、脱炭素化に資する事業に対する資金供給その他の支援を強化することにより、民間投資の一層の誘発を図ります。

 第二に、地域の脱炭素化に取り組む地方公共団体に、国が財政上の措置その他の措置を講ずるよう努める旨を規定し、国の支援姿勢を明らかにします。具体的には、脱炭素先行地域づくり等に取り組む地方公共団体に対して包括的かつ継続的な支援を行う地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の創設など、脱炭素型の地域づくりに予算を重点配分したいと考えています。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

関委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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