衆議院

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第4号 令和4年3月29日(火曜日)

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令和四年三月二十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 関  芳弘君

   理事 勝俣 孝明君 理事 菅家 一郎君

   理事 小泉進次郎君 理事 笹川 博義君

   理事 源馬謙太郎君 理事 田嶋  要君

   理事 漆間 譲司君 理事 角田 秀穂君

      畦元 将吾君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      石原 正敬君    武村 展英君

      辻  清人君    中川 郁子君

      中西 健治君    穂坂  泰君

      宮澤 博行君    八木 哲也君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      中島 克仁君    馬場 雄基君

      松木けんこう君    遠藤 良太君

      奥下 剛光君    中川 康洋君

      斎藤アレックス君

    …………………………………

   環境大臣         山口  壯君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   環境副大臣        務台 俊介君

   環境大臣政務官      中川 康洋君

   環境大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官)      上田 康治君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     中川 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     小倉 將信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

関委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文化庁審議官中原裕彦君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官上田康治君、環境省地球環境局長小野洋君、環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中西健治君。

中西委員 おはようございます。自由民主党の中西健治です。

 衆議院の環境委員会で、私、初めての質問ということになります。これまで、私、参議院の方に十月までおりましたけれども、元々投資銀行出身ということもありまして、経済ですとか金融ですとか財政ですとか、そうした委員会に所属することも多かったわけでありますけれども、今回、衆議院に移りまして、環境と経済の両立というよりも、環境こそが経済を引っ張っていくんだ、そういう認識の下に、志望して環境委員会のメンバーにさせていただきました。

 今日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 大変重要な温対法の質疑ということでありますので、短い時間ですので早速質問させていただきます。

 今回の法改正は、大きな柱は、地域の脱炭素取組の支援ということのほかに、株式会社脱炭素化支援機構という新たな官民ファンドを創設するということになっております。

 この新たな官民ファンドですけれども、なぜ創設するのかということについて、二つの観点でお伺いしたいと思うんです。

 一つは、これまでも、環境省所管の官民ファンド、グリーンファイナンス推進機構を運営主体とした地域脱炭素投資促進ファンドというものがありました。これを機能強化するのではなくて、新たなファンドをなぜつくるのかということ。あともう一つは、昨年二月に、政投銀、日本政策投資銀行のグリーン投資促進ファンドというもの、これも財政投融資を活用しながら立ち上がっております。目的も類似しているということではないかと思うんですが、なぜ今回新たなファンドを立ち上げるのか。そして、既存、特に政投銀のファンドとのすみ分けをどのように図っていくのか。それについて、まず大臣にお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 現行のグリーンファイナンス推進機構による出資制度というのは、エネルギー対策特別会計の補助金を財源としており、対象がエネルギー起源のCO2の削減以外のもの、例えば森林吸収源対策等は対象にすることができません。また、エネルギー起源のCO2の削減についても、排出削減に直結する再エネ設備などの導入に限られており、その他の設備の導入に対しては資金供給をすることはできません。

 これに対して、財政投融資は、政策的必要性が高くリターンが期待できるものの、リスクが高く民間だけでは十分に資金が供給されない事業に対して幅広く資金を供給し得るものであり、カーボンニュートラルの実現に向けて各国が様々な形で大規模に脱炭素投資の支援政策を実施している、そういう背景を踏まえて、幅広い脱炭素事業を全国に広げる呼び水となる資金を供給することが必要であると判断したため、財政投融資を財源に活用した脱炭素化支援機構の設立を目指すものです。

 また、脱炭素事業の支援に当たっては、日本政策投資銀行については大規模事業への投融資のノウハウやネットワークを得意としていること、他方、これまでのグリーンファイナンス推進機構は地域の中小規模の再生可能エネルギー開発に関する知見や経験を有している、こういう違いを生かして、相互の案件形成、管理への参画や情報交換などの連携を行ってきたところです。

 今般の脱炭素化支援機構は、こういう背景の下に、さらに、グリーンファイナンス支援機構が対象にし得なかった分野も含めて、地域脱炭素を実現し、全国で脱炭素ドミノを起こしていく、そういう意図です。脱炭素化支援機構による資金供給が有力な政策ツールとなり、実効あるプロジェクトの形成に役立つものとなるよう、制度設計をしていきたいと思います。

中西委員 大企業を得意としているか、若しくは地域、中小を今まで得意としているか、そうしたことに違いがあるんだという御説明だったと思いますが、今後、今までカバーできていないところをカバーしていくというのに当たって、政投銀と案件の争いなんかをしていると一番もったいない話になりますから、そこら辺はきっちりすみ分けを図っていっていただきたいというふうに思います。

 現行のファンドは役割を終えていくわけですけれども、この現行のファンド、案件ベースでは今までエグジットしたものは一件も実現損は出していないということでありますけれども、毎年の経費などは全て賄い切れていないので、累積の損失ということが十四億円ということになっております。

 官民ファンドについては、そもそも、民間が取りにくいリスクを取るということで、難しい案件が多いということは十分承知しておりますけれども、厳しい言い方になりますけれども、マイナスはマイナス、赤字は赤字ということであります。一方、私、これまで国際金融で長いこと経験してきましたけれども、やはり、官が入るということによって、大きなアドバンテージ、これは長期性の資金を供給することができるということなのではないかというふうに思います。

 今回、新たな官民ファンドの支援案件を決めていくに当たって、リターンとリスク、どのようにバランスを取っていくのか、投資方針について大臣にお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 グリーンファイナンス推進機構、確かに、今、現時点では十四億の赤字になっているわけですけれども、現実には、非常に最初の、初期投資の方が大きい、また、それが回収に移って、人件費とかを全部含んでプラスになるまでには若干時間がかかる、そういうことで、令和十一年をめどにプラスになるということが見えているんですけれども、今、現時点では、中西議員がおっしゃるとおりです。そういう意味では、今回、世界をずっと見てみた場合に、物すごく大きな支援を各国がやっている。産業に対しても、自動車産業に、あるいはいろいろな産業にやっている。こういうことを踏まえた上で、日本としてもどう対応するかということがあろうかと思います。

 その意味で、脱炭素化支援機構の役割というのは、脱炭素化に資するという政策的意義はあるものの、リスクが高く、民間だけでは十分に資金が供給されない分野に民間資金の呼び水としてリスクマネーを供給する、そういうことがまず第一義。

 それから、プロジェクトの形成に当たっては、旧来の伝統的な銀行の投融資業務のように担保設定等にとらわれることなく、少々大胆に、かつ戦略的な視点を重視したいと思います。

 同時に、この役割を果たすために、投資実務等の専門家から成る脱炭素化委員会において適切に審査して支援決定するとともに、事業開始後も進捗管理を着実に行い、必要に応じて事業の企画、実行について助言や情報提供等の支援を行うこととしたいと思います。

中西委員 大臣のお言葉の中に少々大胆にということがありましたけれども、一つ一つの案件で採算性というのを余りに重視すると、なかなか、少々大胆にということはいけないんだろうというふうに思います。いろいろな分野にこれから投資をしていくということになると思いますので、長期性ということと、あと、ポートフォリオで考えていくということを、是非、支援基準に書き込むのかどうか分かりませんけれども、投資方針の中で考えていっていただきたいというふうに思います。

 そして、今大臣のお話の中にも少し出てきましたけれども、今後の運用の人材というか、タレントというか、これをどうしていくのか。

 これまでの機構から大分人が移っていくということなんじゃないかというふうに思うんですけれども、いろいろな分野に、新たな分野にも投資をしていく、支援をしていくということになりますと、やはり、目利きの存在というのが極めて重要になってくるのかなというふうに思います。投資の経験、ですから、金融が分かっているですとか、融資をやったことがあるとか、あと、こうした事業に関してよく分かっている人が必要になってくるということになるのではないかと思います。

 専門知識を有する人材、どのように活用していくのか、採用していくのか、そのようなことについてお伺いしたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 役職員については、脱炭素分野の事業や投資、投資案件にモニタリングの経験のある金融分野、経営企画や組織管理等に関する知見、経験のある方を新たに幅広く採用できるよう、準備を進めてまいりたいと考えております。また、必要に応じて、政府からも適切な人材を出向させたいと考えております。

 新機構では、これまでグリーンファイナンス推進機構が蓄積してきた再生可能エネルギー開発に関する経験と知見も活用しながら、案件組成や投資判断などを積極的に行ってまいりたいと考えております。

中西委員 私、大宗が元々の職員の方々なのかなというふうに思いましたけれども、幅広く採用していくということであれば、金融や環境事業について詳しい人、知見を持っている人も是非多く採用していっていただきたいと思います。何といっても目利きが重要だというふうに思っております。

 新機構の意思決定プロセスについてお伺いしたいんですが、新機構には、取締役会とは別に、一部の取締役から成る脱炭素化委員会が設けられて、支援の決定が行われるということになっております。

 取締役会とは別にこのような委員会を設けることは、屋上屋を重ねることにならないのかという懸念もございます。取締役会がすぐ決めてしまえばいいんじゃないかというふうにも思いますし、また、案件が失敗したとかいうようなときに誰が責任を取るのか、委員会なのか、それとも取締役会なのか、そうしたこともあるかと思います。そうした点について、他の官民ファンドのことも併せながらお答えいただきたいと思います。

大岡副大臣 中西先生にお答えいたします。

 今回の機構におきましては、先生御指摘のとおり、専門的見地から迅速かつ中立に投資判断を行うためにも、社外取締役を含めた脱炭素化委員会において最終決定するということにしております。それは、先生、前の問いで御質問されたように、やはり脱炭素化には専門的な知見が一定程度必要で、現行の取締役がそれを全て備えているとは限らないものですから、専門的な視点の方を入れて決定しようということでございます。

 これは、官民ファンドの運営に係るガイドラインや財政制度等審議会の答申においても、投資決定の専門性、独立性、中立性を確保する観点から、投資決定委員会が中立的な立場から行うということが推奨されているという背景ももちろんありますが、あわせて、今回私たちのファンドで取ろうとするリスクを正しく評価するために必要なものというふうに考えております。

 また、脱炭素化委員会の委員は取締役会の決議により定めるということになっていますし、脱炭素化委員会の決定は機構の取締役会から委任を受けたものとして扱うということになっておりますので、機構の取締役会における重複決議は必要としない、つまり脱炭素化委員会で決めたことをもう一回重複では決議しないというふうにしておりますので、脱炭素化委員会から決議の内容を機構の取締役会に報告するというたてつけにさせていただいております。したがいまして、専ら個別の支援決定に関わる責任は、基本的に、脱炭素化委員会の委員となっている取締役が負うということにさせていただきたいと考えております。

中西委員 最後に、大臣に質問させていただきたいと思います。

 今回、温対法を改正して、ファンドの方で二百億、また、地域の脱炭素支援で二百億ということで始まるわけですけれども、規模感というのが少し小粒なのかなという気もいたします。大きな変化を起こしていきたい、それも、あらゆる部門にわたって大きな変化を起こしていきたいということですので、これはスタートだということだと思いますけれども、将来に向けて、事業のビジョンについて大臣にお伺いできればと思います。

山口国務大臣 新機構に対する国からの出資額は、令和四年度は最大二百億円ということですけれども、改正法案では、新機構は二〇五〇年度のカーボンニュートラルの実現まで切れ目なく脱炭素投資を支援していくこととなっています。令和五年度以降の国からの具体的な出資額については、新機構の活動の状況や市場動向を見極めつつ、事業者の資金支援のニーズに応じて検討していきたいと思います。

 また、地方自治体に対する財政支援についても、令和四年度の予算で地域脱炭素移行・再エネ推進交付金ということで二百億円の予算を認めていただいたところであり、これについても着実によいプロジェクト形成に努めて、次年度以降につなげさせていただきたいと思います。

 こういう施策を大胆かつ着実に進めることによって、脱炭素ドミノを起こす、そしてまた、ESGマネー、巨大なESGマネーですけれども、そこを呼び込めるように努力していきたいと思います。

 先ほど、脱炭素化支援機構の職員についてありました。今まで実務レベルで頑張ってきていただいて、一生懸命やってきていただいた方々、希望に応じて、それは引き続きお願いしたいと思います。そして、上のレベルの方で少しきちっと変わっていく、こういうことをやっていきたいと思います。

中西委員 是非、支援機構が触媒になって脱炭素ドミノを起こせるように期待していますので、これからも応援していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 皆様、こんにちは。立憲民主党、福島県出身の、私、馬場雄基でございます。

 まず、三月十六日、私の出身の福島でありますけれども、大きな地震に遭いました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 現場を回りまして、非常に心を痛めています。三月十一日以降、度重なる災害です。地震、大雪、あるいは台風、そしてコロナ、様々なところから大きく大きくダメージを受けております。

 しかし、今、県民そして住民の方々のお話を伺うと、例えば、ウクライナが今本当に大変だからとか、あるいは、国内中が本当に大変だから、自分はちょっとでも我慢できるから我慢しようというような、そういうお声が本当に聞こえてきます。だからこそ、本当に今、町中をにじみ出てくるようなそのため息に、あるいは声なき声というものに私たちはしっかりと向き合っていかなくてはならないというふうに思っています。私も、その一人の実践者として今後も活動していきたいというふうに思っております。

 今回、先ほど中西先生からもありましたけれども、私も、この法案、とても大切な法案だというふうに思っております。より効果のあるものにしていきたいという願いで、本日、御質問をさせていただきたいと思います。

 脱炭素社会を目指すということは、皆が声をそろえて大事だと言っていることでもあります。つまり、この理念を共有し合った今この段階で必要なのは、目指すべき方向性により確かに、より早く近づいていくことができるには何が必要なのか。将来への責任を果たすために、この法案改正を何としても実のあるものにしていきたいというふうに思っております。

 本改正の特徴は二つです。一つは、脱炭素事業を支援する官民ファンドの創設、そしてもう一つは、脱炭素に取り組む自治体を国が財政支援する努力義務の規定でございます。

 特に、最初の一つ目は、先ほど中西先生もおっしゃっていましたが、決して初めての試みというわけではなく、既に一般社団法人グリーンファイナンス推進機構というものがありまして、それを解体して株式会社脱炭素化支援機構を設立するという中身です。つまり、この前身となるグリーンファイナンス推進機構が適切に経営が成り立っていたのかというところが極めて大事だというふうに思っています。そこで得られた知見というものをフルに生かし、脱炭素化支援機構に発展させ、そして脱炭素社会を実現するという流れをどうしても実現していきたいというふうに思います。

 そこで、環境省さんに伺います。これまでのグリーンファイナンス推進事業、それを総括してどのような評価をなされているのか、端的にお聞かせください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 グリーンファイナンス推進機構が実施している地域脱炭素投資促進ファンド事業については、平成二十五年度から実施しており、今年度で九年目となりますが、これまでに三十七件、百八十四億円の出資決定を行っております。これにより誘発された民間からの投融資は千八百七十六億円、約十倍の呼び水効果となっています。

 また、CO2の削減に関しては、平成二十五年度から令和二年度までの合計として、約七十五万トンを削減しておるところでございます。

 以上のとおり、本事業は一定の成果を上げているものと認識しておりますが、依然として、前例に乏しく投融資の判断が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくいなどの声も聞かれるところでございます。二〇五〇年カーボンニュートラルの実現や二〇三〇年度目標の達成に向けては、こうした事業規模にとどまらず、更なる民間投資の促進方策が必要になっているものと認識しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 お手元に資料を配付させていただいております。

 年によって採択の件数が、全体では三十七件ということもございましたが、最近になればなるほど実は件数自体は少なくなってきています。もちろん、金額のこともありますので、件数そのもので全てを判断してはいけないと思っていますけれども、これが、狙ってそうしていたものなのか、結果的にそうなったかでは、まるで話が変わることでもあります。中身としては、大企業もありますし、中小企業そして市民会社というものも、業態は様々でございます。

 一方、申込みの件数、応募の件数、そういったものは現在外部公表されているものではございません。採択業態における分析、そして申込件数、どれくらいの応募あるいは関心があった等を現在どのように分析されているか、お聞かせください。

上田政府参考人 申込みの件数、相談件数ということでございますけれども、実際の案件に至るまで様々な形で相談を受けております。電話での相談、また実際に訪問されての相談ということで、相談件数自体は、程度の差もあるので、件数として集計をしているものではございません。

 ただ、例えば今この瞬間にということであれば、これまで出資してきた三十七件というものがありますけれども、それの倍ぐらいの相談はこの時点で受けておる、そういった規模感で日々業務を推進しているところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 中西先生も金融出身ということで、私も金融出身ですけれども、件数というのは様々データが必要であるというふうに思っています。

 ある意味、九年間で七十四件、仮にですよ、三十七件の倍ぐらいというお言葉があったので七十四件とすると、余りに少ないのではないかなというふうにも思います。電話の件数であったり訪問の件数、そういったものはつぶさにしっかりと調べていく中で、把握していく中で、どういうふうな、まさに営業戦略ですね、そういったものを取っていくのか、これは極めて大事な観点だというふうに思っています。目標を達成するためにも、営業の戦略というものは絶対的に必要不可欠であることだと思います。

 次に、出資比率についても伺っていきたいと思います。

 件数ベースでいうと、部会で資料をいただきましたが、風力、バイオマス、太陽光、中小水力、この比率でいくと、大体ですが、三対三対二対一ぐらいの割合ですね。しかし、出資額、金額ベースでいくと、先ほどと同じように、風力、バイオマス、太陽光、中小水力でいくと、大体ですが、六対一対一対一。

 つまり、件数としても出資額としても風力をメインにしているというふうに判断していいのかなというふうに思うわけですが、これも、狙っていたとおりなのか、結果そうなったのか、ここは極めて大事な観点ではないかなというふうに思います。是非教えてください。

上田政府参考人 グリーンファイナンス推進機構においては、先ほどお尋ねがありましたが、風力発電を重点的に狙って案件組成をしているというものではございません。推進機構は、脱炭素社会の実現に寄与するとの政策目的を果たしつつ、ファンドとしての収益性も確保するとの運用の基本方針を踏まえ、案件の積み上げ方針を設定しているところでございます。

 具体的には、全国的な普及の観点から技術類型及び地理的な偏りが生じないよう留意することや、ポートフォリオ全体のリスクを低減するための再エネ電源種別の分散化などの観点から、案件の積み上げを設定しているところでございます。

 現在までのところ、出資の規模に関しては御指摘のように風力発電の比重が大きくなっておりますが、これは風力発電の一件当たりの事業規模が大きいことによるものでございます。件数については、風力以外にも、先生から御説明がありましたが、太陽光、バイオマス、中小水力を含めて、多様な再生可能エネルギーに対して資金供給をしていきたいと思っております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 もう少し踏み込んで伺いたいと思います。狙ってこの比率になっていったという理解でよろしいですか。出資金額、そして件数ベース、それぞれの比率、是非教えてください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 比率をあらかじめ設定、狙っていたというものではなくて、あくまでも偏りが生じないように多様な事業に出資をしていく、関与していくという観点で積み上げた結果として、その事業の、それぞれの電源種別によって事業規模が違うこともあって、こうした若干の額の大小が生じたものということで、結果としてそうなったということと理解しております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 やはり、具体的な目標というものはあらかじめ設定する必要があるのかなというふうに思います。

 もちろん、私も様々お話をさせていただいて、いわゆる行政としてある意味狙った形のものはなかなかつくりにくいということも、重々そういうふうな事情があることも分かります。しかし、このファンドを通して何をしたいのか、何をどこまで具体的に目指すのか、そういったものがないと事業評価もなかなかしにくいというのが現状なのではないかというふうに思います。

 三点目です。出資の選定基準についてお伺いしたいと思います。

 資料によりますけれども、ごめんなさい、ホームページ上の資料ですが、出資された例えば石狩の陸上風力発電事業で扱っている風車、これは、製造はサムスン、韓国のサムスン製だったと思います。そして、福井県の小水力発電事業ではイタリアの機械を使っております。

 海外製が悪いというふうに言うつもりはないんですけれども、風車の技術、小水力の国産の技術開発は、別途経済産業省等も今必死に取り組んでいる真っ最中であるというふうに思います。コロナ禍、そして自然災害などで多くの方々が苦しんでいる中で、お預かりしている税金でこれらの事業は成り立っていくものです。

 日本が例えば既にこの技術を手放して、もうない、これを諦めるという段階ならば私も理解できるんですが、国産技術を用いないことに関してやや違和感を覚えてしまうのは、恐らく私だけではないというふうに思います。この点はどのように分析なされていますか。

山口国務大臣 今どういうふうに再生可能エネルギーを整えるかということをずっと考えれば、例えば、日本の国土で平たいところというのは少ないですから、そういうことで山の斜面もということがあったんでしょう。他方、そういうことに対して土砂崩れがあるんじゃないかとか、あるいは、私も最近アセスメントを出させていただいたりして。そうすると、新しい技術で、例えばフィルム状の太陽光パネル、これだと壁にも貼れるとか、いろいろな工夫はなされつつあります。

 他方、今、陸上風力というところが少しあって、洋上風力もやっていますけれども、風力に関してはどうしてもコストがかかる。中国製のものが羽根の部分では非常にコスト的に強いということで、日本も最初は製造していた会社があったわけですけれども、手を引きました。ここは非常に残念ですよね。何とか、まずは陸上風力、その後、洋上風力までいくように、私としては後押ししていきたいと思います。

 そのことについてはリスクも伴いますから、今、大きな風車に関しては外から持ってくるということになっているようですけれども、素材あるいはいろいろな部品では日本のものが使われている、でも、全体としてそれが中国製のものになったりしている。ここはやはり、これから洋上風力も非常に大事ということであれば、日本製のものにできるようにそこは後押ししていきたいなと。そこは経済産業省ともよく連携してやっていきたいなと思います。

 日本の場合、浅瀬が少ないですから、そういう意味では着床式ができなければ浮体式の洋上風力ということで、今、その技術の開発を建設会社とも一緒にやっているところです。こういうものをまずは試験的に九州の方でやっていますけれども、今度は秋田の方でもしますけれども、そういうことを踏まえて、日本の技術開発についても後押しをしなきゃいかぬなと。日本製のものになるように持っていきたいなと思っています。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。実は、新機構に関して、この点をどうお考えになりますかと後ほど御質問させていただければと思っていましたが、今御答弁いただいたとおり、力強いお言葉をいただいたというふうに思います。

 しかし、今、現段階で、海外製に頼らなくてはならないこの現状。そして、大臣もおっしゃってくださったように、前はこの技術は日本が極めて強かった、しかし、今、その技術がなかなか厳しい状況にある。だからこそ、この官民ファンドがあるんだと私は思うんです。だからこそ、その部分をある意味私も一体となって、そこは後押しできるように全力を尽くしていきたいというふうに思っております。

 四点目、情報公開のことですけれども、資料の一枚目のところにあると思うんですが、事業規模のところが非公表というふうになっているケースもここ最近の年度数で散見されております。その理由について伺わせてください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 出資案件については、案件の概要、事業スキーム、本件出資の意義等をホームページで公表することとしておりますが、参画予定の事業者や金融機関等の間で一部の条件が調整中であるなどの理由により、現時点で公表に至っていない案件も存在しております。

 これらの案件については、非公表となっている理由が解消され次第、事業者の同意が得られた範囲で公表を行う予定としております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 調整中の時間が極めて長過ぎるのかなというふうにも思います。また、非公表ではなく、その場合は未公表ということだというふうにも思いますけれども、後ほどそれは、非公表は開示されるという理解でよろしいですか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 実際にも、案件として公表されていなかったものが、それ以後、関係者内で調整され、リストアップされたというものもありまして、関係者間で調整が整えば公表したいと考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。公表いただくというお言葉をいただいたと思います。

 であれば、非公表というよりかは未公表と考えて、そのところに例えば米印をつくって、ちゃんと調整ができ次第公表させていただきます、あるいは、いつまでにそれを公表しますと。いつ頃をめどに公表しますということは、私は必要な情報じゃないかなというふうに思いますので、指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 最後に、出資先の事業者の経営状況についてです。二枚目の資料、太陽光発電の事業者になってしまいますけれども、新聞記事がございましたので載せさせていただきました。本当に事業が難しい業態だというふうにも思います。特に、この記事にあるとおり、補助がなくなったとき、あるいはその先、より厳しい未来があるというふうにも指摘されております。

 今のグリーンファイナンス推進機構が出資した先の事業経営は今良好な状態であるのか、三十七件のケースですね。様々あると思いますので、フォロー体制にはどういったものが今行政で求められているのか、どういうふうに今分析されているのか、お聞かせください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 現行のグリーンファイナンス推進機構においては、出資先の事業に対して、専任の部署におきまして事業の進捗状況に応じてきめ細かくモニタリングを実施することにより、対象事業の円滑な運営を維持し、適切なエグジットにつなげていくこととしております。

 具体的には、事業者から定期に報告書を徴求し、事業の進捗状況、財務状況等を確認し、必要に応じてヒアリングや改善策の協議等を実施しているところでございます。

 出資した再生可能エネルギー等の事業が安定稼働のフェーズに移行するなど、現機構の関与の必要性が低くなったと判断される場合などに適正な価格で出資持分を売却してエグジットすることを基本としており、それまでの間、きめ細かくモニタリングを行うこととしております。

山口国務大臣 太陽光パネルとかいろいろなことについて、環境省の所管ということでは必ずしもないんですけれども、いろいろな省の所管の中で少しいいかげんな例があることも私も仄聞しています。これはやはり補助金に対する、税金から出ているんですから、そういうことであってはいけません。環境省の案件ではないです。しかし、例えば、馬場議員の福島の中でも太陽光パネルの工場に関して簡単に倒産してしまっている。こういうことは絶対に許しちゃいけないんです。

 そういう意味では、今御指摘の点ですけれども、環境省の案件に関しては今総括官の申し上げたとおりですけれども、全体に関してこういう、再生可能エネルギーの我々の出資、このことを食い物にしないように、我々は厳しい目でもってそこはきちっと見ていきたいと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。本当にそのとおりだというふうに私も思っています。

 これから多くの、約二百億円の出資金額も出てきますので、様々な方々が、逆に言うと巻き込んでいく状況にもなります。なので、その巻き込んだ方々が、より先の未来に、よりいい社会を築くためにチームとなっていけるような空間設計、そして、それをどういうふうな体制であれば行政がフォローアップできるのか、それを民間であればどう臨んでいるのか。この点は、今回のグリーンファイナンス推進機構の例をしっかりと吟味して、三十七件のケースがあるわけですから、それをしっかりと分析して全ての知見をぶつけていく、そういう姿勢が今は必要ではないかというふうに思っております。

 株式会社脱炭素化支援機構について、今度は大臣にお伺いさせていただきたいと思います。逆に言うと、一部もう既に述べていただいているところもありますので、そこは除いて御質問させていただければと思います。

 まず、営業戦略そのものについて伺いたいと思います。グリーンファイナンス推進機構の教訓を生かして、申込件数ですね、申込数をどの程度と期待していらっしゃるでしょうか。そして、それを達成していくためにどのような行政の体制を整えていくというふうにお考えでしょうか。是非お聞かせください。

山口国務大臣 脱炭素化支援機構が設立目的を達成するには、新たな機構の認知度を高め、資金支援ニーズを的確に捉えて投資につなげる案件形成がもちろん極めて重要です。

 案件形成のルートとしては、現在のグリーンファイナンス推進機構が持つネットワークの活用はもちろんですけれども、現在行っている脱炭素先行地域の選定プロセスからも案件形成があり得ると思います。加えて、DBJ、すなわち日本政策投資銀行との連携、今回新たに設置する地方環境事務所の地域脱炭素推進室を通じた、国の関係機関や地域の金融機関との連携などによる周知活動を強化したいと考えているところです。

 もちろん、私自らも、企業あるいは自治体とのトップレベルのコミュニケーションの中で、地域脱炭素を実現するための強力な政策ツールを御用意していることを御紹介させていただいて、脱炭素化支援機構からの資金供給の活用を促していきたいと思います。

 ちなみに、先ほど私は、洋上風力の中で浮体式ということを九州の方では今やろうとしていると。秋田の方は着床式でした。そこは訂正させてもらいます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。恐らく九州は、五島列島とかの浮体式のことを言われたんじゃないかなというふうに思っております。ありがとうございます。

 グリーンファイナンス推進機構と脱炭素化支援機構でどう変化したのか、これは本当に資料が大事だと思いますので、環境省さん全体でしっかりとその部分は分析をして、しっかり結果を出す、PDCAサイクルを回していただきたいというふうに切に願っています。

 二つ目、出資比率についてでございます。

 様々な比率、どういうふうな観点も大事だというふうには思うんですけれども、大きく今回変わるのは、発電事業だけではなくて、例えば省エネ技術の開発とか、そういったものにもこの出資が使われていくというふうになります。なので、例えば、そういうふうな発電事業、そして省エネ事業、あるいはその他、それぐらいでどういうふうな比率を今現在考えていらっしゃるのか。あるいは、再エネの比率も件数とか金額で全然違うとは思いますけれども、例えば件数ではどういうふうな基準で考えていらっしゃるのか。この点について、山口環境大臣、是非お伺いさせてください。

山口国務大臣 脱炭素化支援機構による案件の決定、これは、脱炭素事業や投資をめぐる市場動向を見極めつつ、機構自らが適切に判断できるようにしたいと考えています。そのため、具体的な件数、一件当たりの出資金額や投資分野の比率等についても柔軟かつ戦略的に対応したいと思います。あらかじめ目標を設定するということではなく、柔軟かつ戦略的に対応したいと思います。

 もっとも、支援決定に当たっては、実施事業者が大企業であるか否かや事業の規模の大小により優先順位をつけること、あるいは特定の分野にフォーカスするということは想定していません。

 むしろ、資金調達に課題が多い中小企業も含めて、また、脱炭素に向けた地域の幅広い分野に対して積極的に支援することが新機構の重要な役割であろうと思います。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。柔軟かつ戦略的にというお言葉をいただきました。

 柔軟というのは分かるんですが、戦略が今あるのかが正直、今のレク、様々な部会で伺う限り、まだ見えていない状況だと私は認識しています。あればいいんです、外に出せない情報ですけれども中でしっかり考えていますというならば分かるんです。ただ、中で考えていることも私にはまだ見えていないんですね。多分この違和感というのは私だけじゃないんじゃないかなというふうに思うんですけれども。

 グリーンファイナンス推進機構でお話しさせていただいた先ほどの課題の点なんですけれども、結果的にこういう件数になってしまったという状況は私は避けなきゃいけないと思うんです。狙ってこうしたんだ、狙ってこうやったんだ、これを獲得したくてこういう努力を積み重ねて、結果、いつまでにこうなった、このプロセスがすごく大事だと思うんですね。これがもしグリーンファイナンス推進機構で仮にでも少しでも起きていたとするなら、これは猛省すべき点だと私は思います。

 だからこそ、脱炭素化支援機構において、この目標の設定というものは、戦略的というお言葉は分かるんです、そして、こういう場ではこういうことしか言えないのかもしれないんですけれども、中でしっかりとそういうふうな議論を詰めて詰めて詰め込んでいただきたいなというふうに願っております。

 次の、国産技術開発について、先ほど山口大臣からもう御答弁いただいていた部分ではあるんですけれども、国産技術を促進していくための何か選定基準みたいなもの、あるいは出資をするときの選定基準ですね、そういったものを今回設けていくお考えはあるでしょうか。お聞かせください。

山口国務大臣 もちろん、国産であればその方がいいということは大前提としてあります。そういう意味で、我々のやっていることのベクトルが国産の方に向かっていく、ここは当然です。

 それから、先ほどの戦略的に選ぶということに対しても、今、例えば、少し、具体的にしてしまうというのは硬直的になりかねないかなという気もするものですから、太陽光も、もちろん新しいパネルの在り方、あるいは、先ほど洋上風力について、国産のものも含めて開発に資するような、そういうものあるいは浮体式の話もしました。そういう中で、我々が予想しない、どちらかというと中小企業の方が新たなものを提案されるかもしれません、その場合には、あらかじめ我々が想定したものでなくても、そういうものに対しても取り入れていけるような余地は残していきたいと思います。

 他方で、先ほど私も申し上げました、やはり、これを狙っていろいろな人がいるわけですから、そこはきちっと我々は厳しく対応して、そういうものが変な形で来ないように、我々は、これが健全な形で、なおかつ大胆な形で進むように持っていきたいと思っています。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 銀行もいろいろなポートフォリオを組んでいますけれども、金融機関は全部そういうわけでして、いわゆるチャレンジングな分野と、そしてある程度手堅い分野と、様々なこういうものを統合して一つの組織を成り立たせていくという、それがポートフォリオだと思いますので、今回そのポートフォリオをどういうふうに環境省さんが設定していくのか、すごく大事な観点だと思いますので、これは引き続き見守らせてください。実践者として私も一緒に携わっていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 ちょっと質問を飛ばさせていただきまして、二の(五)ですかね、出資企業へのフォロー体制についてですけれども。

 今回の脱炭素化支援機構に関しては、株式会社の形式を取られています。なので、単純に言えば、嫌ですけれども、倒産するリスクはあるわけですよね。あらかじめ申し上げたとおり、この分野は非常にチャレンジング、チャレンジングな分野です。日本のために、そして地球環境のためにと集った仲間たちが、母体の経営次第で全てが頓挫してしまうというようなケースも、これは否定できないというふうに思います。関係者にそれは混乱を招きますし、あるいは暮らしを脅かしてしまうような可能性、おそれというものもあると思います。

 だからこそ、そこまで含めてセーフティーネットをどういうふうにこの新機構で確立していくのか。極めて大事な論点かなというふうに思うんですが、この点についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

山口国務大臣 国の産業投資を用いて資金供給を行うものですから、支援対象事業は収益性があるということが大前提です。投資案件が軒並み毀損して機構の運営が立ち行かなくなるような、もちろん、そういうことにならないように万全を期していきます。

 具体的には、投資実務等の専門的知見を有する役職員が投資案件の審査、決定、モニタリングを行い、全体として、多様な案件をバランスよく投資し、ポートフォリオ管理を徹底していきます。

 環境省として、体制整備あるいは機構の財務状況も含め、適切に監督していきたいと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 先ほど中西先生もおっしゃっていました、誰が業務の責任を取るのか、この委員会なのか、それは誰なのかというところの点。すごく私も共感しています、すごく大事な観点だと思います。

 本当にこれはチャレンジングな分野です。軒並み難しくなるということも、これは場合としてあり得ると思うんです。でも、だからこそ、目指したいからこそ公金を使って。本当に今厳しいんですよ、ガソリンも今高騰していますし、本当に電気代も高騰してみんなが苦しんでいる中、でも、その公金を使ってやっている事業をしっかりと把握した上で、目指すべき先のチャレンジングな分野をどう達成していくのか。真剣に、真剣勝負でここは臨まなければいけないというふうに思っています。

 事業として成功することは、本当に簡単なことではありません。だからこそ、出資先に関しての丁寧なフォロー体制、これを築くことは絶対的に大事だというふうに思います。その体制を整えていただきたいということを願っております。

 そろそろお時間が来てしまいました、済みません。ちょっと質問が残ってしまいましたけれども、申し訳ございません。

 最後に、これだけお伝えさせてください。

 国際機関の世界経済フォーラムの調べによりますと、ミレニアル世代、これに私も入るんですけれどもね、八〇年から九五年に生まれた世代は大体半数以上が環境問題に興味を持っています。そして、その以降、Z世代と言われる世代がいます。九六年から一五年に生まれてくる世代ですね。この方々は約九〇%以上が環境問題に興味を持っている、強い懸念を持っているということでございます。

 世代の責任というものが今私たちに課せられているということを最後に申し上げて、脱炭素化支援機構はその責任の使命を全うする組織にしたいということを再度申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。よろしくお願いいたします。

 元気のいい馬場委員の質疑に触発されちゃいますよね。いいですよね。

 ちょっと続けて一問だけ、大臣に御意見を。質問通告はないですけれども。

 私も、馬場さんがおっしゃったとおり、太陽光のときに、最初は日本のメーカーが頑張っていて、いろいろ現地を見に行ったけれども、気がついたら全部外国製ということで、特に中国製ですよね。そういう中で、風力は相当日本は遅れてしまっているので、逆に言えば、これからしっかり準備して、太陽光の二の舞にならないという思いで、せめて国内の風力は全部日本のメーカーでやれるようにと。陸上も洋上も、着床も浮体式も。

 デンマークのベスタスという会社も見に行きました。三菱重工さんとジョイベンで洋上風力は頑張っていた。非常に期待したんですけれども、蓋を開けるとこれもまた、だんだんだんだん日本のメーカーの存在感がなくなってきてね。経産省の資料によると、ほぼないですよ、すごく小さい。

 これからファンドで、恐らく製造業には出資はできないのかなと思うんですけれども、環境大臣、本当にこの状況を我が事として考えていかないと、何でもかんでも結果的に蓋を開けると日本の存在感が落ちていくという。半導体はもちろんですけれども、ちょっとここは深刻な状況だというふうに思いますし、負け癖がついているという感じがするんですね。

 そこを何とか、所管を外れるかもしれませんが、経産大臣と連携して頑張っていただきたいと思うので、その点、一点、コメントをいただきたいと思います。

山口国務大臣 今、半導体の話も田嶋議員からいただきました。ここを思い返せば、アメリカとの協調というのは非常に大事だし、そこは大変な半導体交渉だったと思いますけれども、蓋を開けてみたら、今、惨たんたる状況を我々は迎えている。アメリカあるいは欧米の環境に対して、日本が、何だか知らないけれども、気がついたら抜かされている。

 例えば、自動車のこともそうですね。内燃機関でトヨタが世界一の技術を持っている、ハイブリッドを迂回して電動自動車にしていく。非常に国家戦略的な要素、私自身も感じるものですから、そういうことを先取りしながら今回はやっていきたいなと。

 今、馬場議員のいろいろな質問をみんなで共有させていただいたときに、私、脱炭素を制するものは次の時代を制する、それをはっきり思います。その意味で、洋上風力についても日本が次の時代を制するというぐらいのつもりで、もう一度頑張ってやっていけるように、萩生田経産大臣ともしっかりやっていきたいと思っています。

田嶋委員 これは所管の問題じゃないですね、日本の非常に強い危機感を持って考えていかなきゃいけない問題だと思います。

 半導体は、熊本と茨城に台湾のTSMCの拠点をつくったようでございますが、これも一つの試金石でありますけれどもね。なぜこんなに負けが続くのか、失敗の本質とは何なのだということを、やはり今、全会派が考えなきゃいけないし、政府が本当に考えなきゃいけないというふうに思っております。

 とりわけ、資源に乏しい国日本でありますから、資源なしでやっていけるチャンスがこのエネルギー分野でこれだけ広がっているのに、そこでまた負けたら、何をやっているんだという話に本当になりますよ。強い危機感を持ちます。是非、大臣にもお取組をお願いしたいと思います。

 それで、ちょっと順番を変えまして、前回のフォローアップ、確認を簡単に済ませていきたいと思いますが、言いっ放しで終わることが多い委員会の議論でありますので、委員会で約束したことはきちんと、ずっと追っかけ続けさせていただきたいと思います。

 大臣からは、問題の大きいメガソーラーに関しまして、地域住民の理解を得られないようなソーラーや風力、これから風力の問題は増えてきますよ、前回と今回の間にもう既に問合せが来ていますから、私のところにも。やらせないという強いメッセージを出してほしいと、国として新聞掲載など、インターネットも含めてですけれども、そういうことに関して提案させていただきました。是非実行させていただきたいと思いますという非常にありがたい御答弁ですけれども、大臣、いつ実行するのか、その点についてしっかりと御答弁いただきたいと思います。

山口国務大臣 今年一月に、埼玉県の小川町のメガソーラー事業について、発電事業としての必要性が確認できない外部からの残土搬入による大規模な盛土が計画され、地域では安全性への懸念等が生じていたため、環境影響評価法に基づき、計画の抜本的な見直しを強く求める意見を述べさせてもらったところです。

 この際、私自身は記者会見において、今後とも地域共生型ではない再エネについては厳しい態度で臨むとのメッセージを強く発信しました。その結果、小川町の環境大臣意見をきっかけに、その後の報道においては、環境省のスタンスとして、地域との丁寧な合意形成を図りながら適正な環境配慮を確保していくという環境影響評価の趣旨に反するような事業については今後とも厳しい態度で臨むものである点、全国紙やテレビなど各種メディアで明確な形で取り上げられ、私の思いもしっかり伝わっていると考えています。

 また、先般、情報収集の観点からお答えした地域脱炭素創生室の設置に関する環境省の一部改正政令、これを閣議決定した。地方環境事務所においても、今回、支援体制強化のために地域脱炭素創生室を設置します。新しい組織体制の下、地域との双方向のコミュニケーションを拡充して、これまで以上に情報収集を行い、我々からの発信も行っていきます。

 さらに、今年一月から、もちろん全国行脚。加えて、いろいろな会見の場や、あるいは環境省のSNS、ウェブサイトにおける発信を通じて情報発信を行っていきたいと思います。

 新聞については、ちょっと調べましたら、一回一面にふっと出すと、ある新聞は四千万、ある新聞は五千万。若干ちょっと、それがあると、もうちょっと別の方にという気もするものですから、新聞の広告については若干ちょっとつらいものがあるなというふうに思っています。

田嶋委員 別に新聞にこだわっているわけじゃないですよ。新聞などというふうに申し上げたので、SNSも使って。

 余り棒読みされない方がいいですね、大臣。大事な、深刻な問題ですから。

 だから、私が申し上げたいのは、大臣自身が、自治体がいろいろ悩みを抱えておられる、困っておられる地域住民がたくさんいらっしゃるから、大臣が強いメッセージを発していただきたいと。埼玉の個別の事案に関してそういう記者発表、記者会見をされたのは結構だったというふうに思いますけれども、是非、踏み込んで情報収集をし、そして発信をしていただきたいということを改めてお願いしたいと思いますので、新聞広告はないにしても、是非お願いいたします。よろしくお願いいたします。

 それから、これも前回申し上げたとおりですけれども、今も御答弁でございました。今年の四月から各地方環境事務所において地域脱炭素創生室を設置する予定ですということで、トラブル事案に関しても、恐らく来月からはより積極的に情報収集が行われるということだというふうに思います。情報収集の強化は本当に今必至だというふうに思います。

 そして、全国の個別事案に関する地域住民の様々な声をより見える化して、そしてそれらの情報を金融機関と共有する、そういうスキームを私は提案したいと思います、検討するべきだというふうに思います。

 私の地元の、前回も申し上げた鴨川の事案なども、やはり金融機関が一番最初に手を引き始めるというような動きがあるようでありまして、金融機関というのはそういうところに非常に反応が速いといいますか、是非、環境大臣にも、金融庁とも連携しながら金融機関に対して、地域で問題が発生している案件に関してはしっかりと共有していただく、そんな提案をしたいと思いますが、大臣、いかがですか。

山口国務大臣 地域で再生可能エネルギー事業を含む脱炭素化事業を推進するに当たっては、地域金融機関の役割が大きいというのはそのとおりだと思います。

 先日、三月十四日に環境省が主催した第五回ESG金融ハイレベル・パネルにおいても、地域金融機関を含む金融各業界のトップの参加を得て、公開の場で、地域脱炭素化に向けた投資の実践について活発な議論をいただいたところです。翌日の会見においても、議論の内容については私から紹介させていただきました。

 また、この四月一日から、各事務所に環境保全企画官を配置するとともに、新たに地域脱炭素創生室を設置するということで、地域金融機関との連携も深めていきたいと思います。

 地域裨益型、地域共生型の再生可能エネルギー事業を推進する観点から、金融庁を含む関係省庁とよく連携して、地域金融機関との間での積極的な情報交換を行わなければいけないと思っています。

田嶋委員 行わなければいけないということで、是非やっていただきたいというふうに思います。

 石炭火力に関する国際的な流れをつくった一つがこのESG投資ということだと思うんですね、石炭火力からエグジットしていくという。同じことを問題の多いメガソーラーなどに関しても是非行っていただきたいと思いますが、是非行動をお願いします。もう一言だけ。

山口国務大臣 金融界の果たす役割というのは非常に大きいものですから、世の中の仕組みのみならず、その方向性をつくっていくという意味で、是非協力して、我々の意向を酌み取っていただいて、是非コラボを深めていきたいと思います。

田嶋委員 これから風力発電に関する地域の問題が増える感じがいたします、メガソーラーだけではなくてですね。是非よろしくお願いいたします。

 もう一点、同じく金融関係でもございますけれども、前回、直轄国道に関しまして、LED化の話をさせていただきました。

 エネルギー基本計画では、政府の目標として、二〇三〇年にストックベースで一〇〇%というふうに書いてございますけれども、地球温暖化の対策計画で示される国土交通省の目標値はその半分にすぎないという大きな数値のそごが、乖離があるということを前回指摘させていただきました。前回、さらっと大臣は、国交省と緊密に連携というようなことを答弁されておりましたけれども。

 私は、これは本当に、政府間で矛盾が起きているわけでございますし、閣議決定された内容に即した行動をしっかりと国土交通省にもお願いしたいと思いますが、前回、私の方からは、そごを解消できる有力な手段としてリース方式ということも、ちゃんと、環境省の資料、配付資料がございますけれども、ちょっと改めて御確認ください。三番から四番の資料ですね。一番最後のページの四番でございますが、環境省としてはこういったことをちゃんと分かっていらっしゃるようで、リース方式ということの採用ということを十分検討に値するというふうに考えております。

 是非、このリース方式の採用という、前回事例として挙げました千葉市が、もう七、八年前に全ての道路のライトをLEDに切り替えた、リース方式で初期投資はゼロという形で実現できたということ、それは日本中でできるはずでございますので、改めて、この目標の数値のそごを解消するためにリース方式を導入した検討を実行していただきたいというふうに思っておりますが、大臣、いかがですか。

山口国務大臣 国交省との意見交換、実は、今日の午後に話すことになっています。田嶋先生との意見交換の前にセットできていれば一番格好よかったんですけれども、今日やります。

 ちなみに、国交省の方は、三月十六日の福島県沖の地震対応ということで大分追われていたようなので、私からも早く早くというふうに言っていたんですけれども、今日ということで、今おっしゃっていただいたことも含めて意見交換をしていきたいと思います。

田嶋委員 余り、リースみたいな新しい、まあ、新しくもないですけれども、そういう手法に関して政府は理解を十分いただいているのか、積極的な採用がないのかなという感じがいたします。

 昨日の環境省からの説明だと、そうでもない、採用している事例も説明をいただきましたので、是非ともそうした新しい仕組みをしっかり取り入れていただいて、足下からしっかり始めるということで、LED化を政府も旗を振って推進していただきたいというふうに思います。

 それでは、法案に関しまして質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今あるものを終わりにして新しいものをつくるということのようでございますけれども、呼び水というところがどちらに関しても共通なような気がいたします。

 前例に乏しくて事業性の評価が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくいといった脱炭素事業への民間資金の呼び込みというのが新しい機構のミッションであるというふうに理解いたしますが、このミッションに関してはグリーンファイナンスとの違いがどういうふうにあるのかないのか、その点、御答弁をお願いします。

山口国務大臣 現行のグリーンファイナンス推進機構と新たに設置する脱炭素化支援機構は、いずれも、脱炭素化に資する事業に対して率先して資金を供給することによって民間投資の一層の誘発を図ることを目指しており、その点では御指摘のようにミッションを共有しています。

 グリーンファイナンス推進機構による出資制度は、エネルギー特会の補助金を財源としているという意味で、対象がエネルギー起源のCO2の削減に限られます。一方、新機構は、財政投融資を活用するために、幅広い脱炭素事業を対象に資金供給ができるという違いがあります。

 また、新機構は株式会社ですから、民間から出資を受けた上で、株主によるガバナンスが利いた組織となるという点では異なる点があります。

田嶋委員 要は、今申し上げた呼び水としての役割というか、その部分は共通していて、今まで以上に規模的にも、間口も広い投資が可能になる、そういうような理解をいたしました。

 配付資料を御覧いただきたいというふうに思います。配付資料の一でございますが、政府のいろいろな官民ファンド、現在十四あるというのの一覧でございますが、その中で、一番右側の誘発倍率ということに関してお尋ねしたいと思います。

 この誘発倍率が、現在のグリーンファイナンス推進機構は二十二・六一倍。これはどういう意味なのか、そして、この数字は大きければ大きいほど評価していいのかどうかを、大臣の御認識をお尋ねしたいと思います。

山口国務大臣 私の認識としては、まずは、各国において大規模な国による支援が行われているという中で、日本が決してそこは遠慮してはいかぬなというところがまずあります。他方、税金も使った仕組みをつくるのであれば、やはりそれが効果的なものであるという点は大事だろうと思います。

 その意味では、倍率が、要するに呼び水効果が大きいという点は、私はあるべき姿だと思います。

田嶋委員 私がちょっと懸念いたしますのは、なぜこのグリーンファイナンス推進機構の倍率だけ突出して高いのかということなんですけれども、私は、余り高過ぎるのもいかがなものかというふうに感じるんですね。

 本来だったら、冒頭申し上げました、前例に乏しく事業性評価が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくい、そうしたところだからこそ、この官民ファンドの出番があるということだと思うんですね。この高い誘発倍率というのは、むしろ、ほっておいても民間がみんなやりたがっていた案件だったからこういう数字になっている可能性というのはありませんか、大臣。

山口国務大臣 世の中の、太陽光パネルを始めとして、みんなが関心を非常に強く持ったという点はあろうかと思います。

 他方、並んでいるものをずっと見ると、個別の名前を指摘するのはよくないですけれども、非常に調子の悪いやつも入っていますよね。だから、そういう意味では、それと一緒になるようなことがないようにという点では頑張ってきたんじゃないかなという気はしています。

田嶋委員 加えて、今回、既存のグリーンファンドと違って、民間からの出資が入るということになりますね。民間からの出資が入っているファンドも入っていないファンドも、この十四の中には交ざっているようでありますが。

 民間からの出資が入るということは、より事業性というものに関して強い要求が株主から高まってくるというふうに考えるんですね。そうすると、公的な役割、官民ファンドとしてのユニークなファンドの役割というものがややもするとおざなりになってしまう、そういう懸念が出てくるのではないかというふうに考えています。

 大臣におきましては、この点に関して、これまで以上に、民間の資本が入るからこそ注意が必要だろうというふうに私は思いますが、大臣、いかがですか。

山口国務大臣 民間という意味では、今までの銀行を範とするような伝統的な金融業務においては、担保が必要だとか、いろいろな意味で保守的なところがあったと思います。

 そういう意味では、官民ファンドというものが、本来は少しチャレンジしてもいい、あるいはもう少しリスクを取ってもいいというものが趣旨でしょうから、そういうところを今回はよく、戦略的に発揮してもらいたいと思います。

 他方、毀損が生じないようにというところで、そういう業務に精通した人も交えながら運営を行っていかなければいけないな、そういう意味ではリスクを取る、だけれども毀損は生じない、このバランスを、むしろ大胆に戦略的にというところに重点を置きながらもやっていきたいなと思います。

田嶋委員 是非、ユニークな役割を、純粋民間では果たせないユニークな役割を果たしていただきたいと思います。

 具体的な分野で質問させていただきますが、グリーンファイナンスはこれまで、ソーラー発電に何件、総額幾らの投資を行ったか、全体の投資件数に占める割合、全体の投資額に占める割合をお答えください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 グリーンファイナンス推進機構がこれまでに資金供給した太陽光発電事業は、案件数は七件、投資総額十三億円弱でございます。

 機構全体の投資案件数は三十七件、投資額が百八十四億円であるため、太陽光発電が占める割合は、件数ベースで一九%、金額ベースで七%でございます。

田嶋委員 ソーラー発電は、この間いろいろと言われておりますけれども、ソーラー発電への投資というのは、前例に乏しく事業性が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくい、そういう基準といいますかファンドのミッションからして、どのように合致して投資が行われたということでしょうか。

山口国務大臣 グリーンファイナンス推進機構が実施してきた太陽光発電事業の案件も、資金供給の判断をした時点においては、設備機器の内容や実施場所などの面で前例が乏しく、事業性の評価が比較的難しい案件であったというふうに思います。

田嶋委員 五年か四年前にFITの適用されるソーラー発電は投資を行わないことになったという話もお伺いしました。ソーラーに関してですね。どうしてですか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度行政事業レビュー、秋の年次公開検証において、地域脱炭素投資促進ファンド事業について、本事業を国が実施する根拠、基金方式の必要性を含め、低炭素化を推進する政策の中での意義、位置づけを再整理するとともに、事業内容及び管理運営体制を抜本的に見直すべきであるとの指摘があったところでございます。

 これを受けまして、環境省において事業見直しの検討を行い、事業の目的を、FITの導入後なお民間の資金だけで十分に進んでいない再エネ事業、風力、中小水力、バイオマス、地熱、温泉熱、等について普及を更に促進することとして整理しまして、これに伴い、FITを活用する太陽光発電事業については、民間投資が進み、堅調な伸びを見せているものとして、新規の出資を行わないとしたものでございます。

田嶋委員 FITを使わないものに関してはどうですか。

上田政府参考人 相談、申請があれば、対象にして検討していきたいと考えております。

田嶋委員 そこで、配付資料の二の方を御覧いただきたいと思います。

 先ほど大臣は、前回も今回も、平地が少ない日本ということを御指摘されましたですね。おっしゃるとおり、国土面積の七割は森だと言われる日本でございますけれども、よその国と比較したらそうかもしれませんが、しかし、ソーラーをやれるところはたくさんあるということ、そういう中で、非常に地域を心配させるような案件を何とか止めていきたいということと同時に、もっと推進すべきところはもっと推進しなきゃいけない、そういうめり張りが大変重要だと思います。

 今、政府参考人のお話で、FITに関わるものは全部やめたということなんですが、私は、その判断はちょっとおかしいのではないかというふうに考えております。

 配付資料の二を御覧いただきたいんですが、農水省からの資料でございます。営農型発電というのが真ん中にありますけれども、いわゆるソーラーシェアというやつですね。赤線を引いてある七百四十一ヘクタールというのが、最新のストックベースの、毎年の積み上げのストックベースの数字でございますが、すぐ隣の、農地全体を転用する営農を廃止した発電、これはちょっと線を引いてあるところが間違っていますけれども、七万二千じゃなくて、転用面積の一万一千九百を御覧いただきたいと思います。左側ですね。

 言ってみれば、荒廃農地とか、農業にはもうとても無理だねというところでソーラーを敷き詰める、そういうメガソーラーのようなケースに比べて、下で農業を行うやり方というのは非常にユニークで役割もあるわけでありますが、全体の中に占める割合というのは極めてまだまだ少ないわけであります。

 大臣、メガソーラー全体の規模感は、農地を使ってやっているものの大体十倍ぐらいというふうに言われているんですね、日本全体で。だから、言ってみれば、山肌を切り開くような、そういう余り好ましくないものがかなり大きな面積を占めてしまって、平地で行うソーラーというのはまだまだ伸び代が大きい。この間申し上げたとおり、道路とか線路の脇とか、そういう部分も幾らでもあるし、屋根の上なども、まだまだこれから、家庭のみならず、ビルなどの屋根の上もやっていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。

 投資したソーラーの中で、ソーラーシェアが今までに案件として行われたことがあるのかをお尋ねしたいと思います。

山口国務大臣 現行グリーンファイナンス機構による地域脱炭素促進ファンド事業においては、営農型太陽光発電事業、いわゆるソーラーシェアリングに関する事業に出資した実績はありません。

 これまでのところ、現行グリーンファイナンス推進機構に対してソーラーシェアに関する事業への資金供給の出資申請がなかったというものと承知しています。

田嶋委員 私は、そこが、せっかく存在しているファンドの戦略的役割といいますか、純粋民間ではない中で、冒頭申し上げた、前例に乏しく事業性評価が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくい、その典型がこのソーラーシェアだというふうに思っているんですね。

 私もずっとこの間取り組んできましたけれども、例えば私の千葉県とか、静岡県、山梨県などではかなり認知度も広がっている。他方で、北海道、九州、そうした地域ではほぼゼロ、全く、関心がまだまだ低い。特に、農業委員会の受け止めが県ごとに全然違うというふうに言うわけですよ。要するに、千葉県は大分慣れてきて、そうしたことに関して理解がある、農業関係者も随分理解が進んでいるという説明を聞いております。

 まさにこういうところこそ、案件が何も入ってこなかったからやりませんでしたというのは、先ほどの馬場さんも御指摘していたように、成り行きでやっているだけという感じに見えるんですね。そうじゃなくて、ここがしっかりと強化をしていくということで、目標設定もして、そこに戦略的に事業組成をしていくという、私はそうした姿勢がこのソーラーシェアに関しても絶対にこれからは必要だと思いますし、FITだからもうやらないということにしてはいけないと私は思っているんです。

 是非、FITはもうやめますという四年前のルールをこのソーラーシェアに関してはしっかりと適用外にしていただいて、事業案件をつくっていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

山口国務大臣 例えば、営農組合の人が、経営が結構大変なわけですけれども、その中で、自分たちのところにこういうソーラーシェアを設けて成り立つかどうか。ビジネスモデルとして、教えるというのはおかしいけれども、広めていく、そういうことも必要なんだろうと思います。

 先ほどのFITに関してのものは廃止したという点について、ちょっと私は、まだ必ずしもそこはつまびらかじゃないので、なるほどなと思う反面、もう少しチェックさせてください。

田嶋委員 FITは一切やめましたというさっきの話なんですけれども、ソーラーシェアに関してやることはできますよね、別にそのルールは法律で決まっているわけじゃないから。どうですか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 新しい機構で事業をどのような形で実施するかにつきましては、その時々の状況を踏まえて、最適なものを関係省庁と相談しながら決めていきたいと考えております。

田嶋委員 農地転用の期間も増えまして、まだ今でも短いという声もたくさんあるんですけれども、三年から十年になりました。農水省も、随分力が入ってきたんです、やっと重い腰を上げていただきました。

 是非、この点、FITだから全部やらないという話にはならなくて、ソーラーシェアはこれから、いろいろ問題も多いソーラーに関して、急激に拡大させる切り札だと私たちは考えております。是非、ソーラーシェアに光を当てていただいて、しっかりと皆さんのファンドでも応援していただけるように、最後に、大臣にもう一度、ソーラーシェアは特別だよということを御理解いただいて、農水省としっかり、国交省と今日の午後にやるそうですけれども、国交省も農水省も、もう一回話をしていただいて、ソーラーシェアに関しては格段の御支援をいただきたいと思います。お願いします。

山口国務大臣 ソーラーシェアということも、今回、私も認識を新たにしたところです。

 そういう意味では、まだまだ広まっていないと思いますけれども、非常に有意義なものだと思いますし、太陽光全体にしても、先ほど、屋根あるいはビルの上という話もありました。それから、プラス、蓄電の話がまたあるんだと思うんですね。先日、雪が降って太陽光がなかなか稼働しなかったということで、我々は、電力逼迫の話もありましたけれども、あれも蓄電の仕組みがもっともっと整っていれば何ということはなかったようなふうにも思います。

 そういう意味では、太陽光についても新たな技術の面が出てきていると思います。先ほど申し上げたフィルムの活用も含めて、これから脱炭素化支援機構において、太陽光パネルについても、いろいろな新しい部分にも目を配りつつ進めていかなければいかぬなと思います。特にソーラーシェアについても、意識を高めて持っていきたいと思います。

関委員長 田嶋君、簡潔にお願いします。

田嶋委員 全国で最初に始まったのは千葉県の匝瑳市というところで、そこが第一号なんですけれども、小泉理事のお父さんと一緒に、私は開所式にも行きました。

 土地の所有者と、下で一次産業をやる事業者と、上のソーラーをやる事業者が、いろいろな組合せがあって、話がいろいろ複雑かもしれない、そういった部分があるのでなかなか理解が進みにくいということがあります。是非、ファンドには頑張っていただきたいと思います。

 以上です。終わります。ありがとうございました。

関委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 本日は、地球温暖化対策推進法の改正案、カーボンオフセット、木材の活用についての質問をさせていただきたいと思います。

 改正案では、新たに設置する株式会社脱炭素化支援機構に金融機関や企業等から出資を募り、脱炭素化の事業に対し出資を行うことになっていますけれども、金融機関や企業等にとっては出資を行うことでどのようなメリットがあるか、これをお尋ねしたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 新機構の活動により脱炭素投資の呼び水効果を最大化させるためにはオール・ジャパンで取り組むことが重要であり、脱炭素に意欲的で、本政策の趣旨に御賛同いただける民間企業等の皆様に御出資いただけることを期待しております。

 その上で、御出資いただく民間企業等の皆様にとっては、脱炭素市場の拡大を目指す機構への出資を通じて、企業価値、ESG投資に関する投資家の評価でございますが、その向上につながるでありますとか、株主として機構からの事業報告を通じて脱炭素分野の事業動向や資金ニーズの傾向などの情報が得られるなどのメリットがあると承知しております。

 新機構に対する民間からの出資は、設立時において数十億円程度を目指して呼びかけをしてまいりたいと思っております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 二〇二一年十月に閣議決定された地球温暖化対策計画では、脱炭素化の推進として、二〇二〇年から二五年までの五年で百か所以上の脱炭素先行地域を創出して重点対策を全国津々浦々に実施していくとされています。

 改正案にあるように、国は、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を自治体に交付して支援する予定です。既に、二〇二一年十二月時点で、二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロ表明自治体は五百十四自治体になっています。私の活動している兵庫県の三田市や豊岡市も含まれておりますけれども、今後、この財政支援の中心となる百か所以上の脱炭素先行地域を、どのような要件で、どういった地域を対象に選出されるのか、お尋ねしたいと思います。

山口国務大臣 脱炭素先行地域は、脱炭素への意欲と実現可能性の高い地域において、二〇五〇年を待つことなく、二〇三〇年に前倒しでカーボンニュートラル達成を目指す全国のモデルとなる地域です。

 その選定に当たっては、既に公表している選定要件、例えば、脱炭素先行地域にふさわしい再エネ導入量あるいは地域の課題解決への貢献等の観点から、学識経験者で構成する評価委員会において評価を行い、環境省において選定していきます。

 現在、七十九の申込みがあって、今選定を行っているところです。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 二〇三〇年に前倒しでどんどん進めていっていただきたいと思いますけれども、今、兵庫県の中部、北部では、山間部も多く、森林も非常に多い中ですけれども、二酸化炭素などの温室効果ガスを木自体が吸収している。

 二〇五〇年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするというカーボンニュートラルを実現しようとすれば、日本の国土の七割、約二千五百五万ヘクタールの森林を生かしていくべきだと思うんですけれども、温室効果ガスの吸収を高めていくためには、農水省としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

小坂政府参考人 お答えさせていただきます。

 森林による温室効果ガスの吸収量確保に向けては、利用期を迎えた人工林について、伐って使って植える、こういった循環を確立することによって、森林が吸収した炭素を長期間貯蔵することになる木材利用を拡大していくこと、さらには、成長が旺盛な、つまり吸収能力の高い若い森林を増やしていくこと、こういったことが重要だと考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、昨年六月に閣議決定した森林・林業基本計画に基づき、間伐の適切な実施に加え、エリートツリー等成長に優れた苗木を活用した再造林等を推進するとともに、中高層建築物等の木造化に資するCLTや木質耐火部材等の開発、普及により、建築物等への木材利用の一層の促進等を図ることとしています。

 また、森林由来のJクレジットの活用を通じ森林整備を一層推進することは、森林による温室効果ガスの吸収量の確保を図る上で重要な取組であるとも考えており、制度の周知や運用の改善に努めているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 Jクレジットのお話がありました。

 環境省、経済産業省、農水省でJクレジットの制度をつくっています。企業や森林所有者、自治体が参加して、温室効果ガスの排出削減、吸収をクレジットとして国が認証するということで、カーボンオフセット等、利用できるメリットがあると思います。

 一方で、制度に参加するためには、非常に細かな手続が必要になっています。現在の登録件数、認証件数を増やしていくために、どのような取組を行っていく予定でしょうか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 Jクレジットでございますけれども、昨年閣議決定いたしました地球温暖化対策計画では、Jクレジットの認証量を現状から約二倍に増やすことを目標にしております。

 認証量の増加に向けては、まず、クレジットを創出する方法、いわゆる方法論を見直したり、あるいは新規に策定する、それから、個人や中小企業などで、単独では小さなプロジェクトを一つにまとめて、プロジェクトの規模を大きくして促進するといった取組をしてきております。

 具体的には、森林由来のクレジットに関しましてはドローンを活用したモニタリング簡素化を認める改訂、あるいはバイオ炭の農地施用に係る方法論の新規策定、さらに、太陽光発電設備機器等を導入する複数の削減活動を自治体、メーカーなどが取りまとめるといったことを促進するというような取組を行っております。

 引き続き、Jクレジットの活性化に向けて、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 現状、先ほどもお話ししましたように、細かい手続、申請がある中で、プロジェクト計画書やモニタリング報告書の作成等は本当になかなか大変な作業である、手続が煩雑であれば外部の環境コンサルタントに支援を依頼しないといけない、でないと参加しにくいということを聞いています。

 申請に関してJクレジットの事務局から支援が行われているようなんですけれども、支援概要等、支援による効果についてお尋ねしたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 まず、Jクレジットは国が運営する制度でございまして、CO2削減、吸収で信頼性の高い、質の高いクレジットとして認識されておりますので、一定の手続の厳密性というのは必要かと思います。

 ただ、手続について、余りにも煩雑で活用しにくいということがあるといけませんので、例えば、プロジェクト計画書作成を代行する支援でございますとか、第三者機関による審査に係る費用への支援といったことを実施いたしております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 手続の簡素化も必要だと思っています。究極的には、森林の所有者は高齢者が多いと思いますけれども、その中で、高齢者の方でも、タブレットであったりとかスマートフォンであったりとか、そういったことを活用して申請できるようにすることがよいと思うんですけれども、その辺り、いかがでしょうか。

中川大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、Jクレジットの活性化に向けては、利便性を確保し、多様な主体に参加できる制度であることが重要でございます。先ほど、高齢者や地権者というお話をいただきました。

 この点、令和三年十月に閣議決定いたしました地球温暖化対策計画においても、利便性確保のためにデジタル化を推進していくこととしており、来月から、今週末でございますが、Jクレジットの申請から発行に至るまでの手続をオンラインで実施できるようにいたしました。

 引き続き、Jクレジット制度が多様な主体にとって使いやすい制度になるよう、様々な御意見を賜りながら改善に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。今週からされているということで、Jクレジット、明確に御答弁いただきました。

 国産木材の活用についてお尋ねしたいと思います。

 先週、環境委員会で、我が党の漆間議員から、大阪・関西万博における国産木材の活用についての質問をしました。木材の利用拡大を促進していくとの御答弁をいただいております。

 会場に設けられる建物や設備などは万博が終わった後に会場から撤去されることになっていますけれども、博覧会協会は再利用に向けて企業や自治体から要望を募るということになっています。

 木材の再利用に関しては、木質バイオマスのエネルギー利用のための支援策は林野庁で行われているようなんですけれども、建築木材の再利用については、特段、支援する政策は見当たりません。そこで、木材の再利用について広く支援対象にする方向性が考えられると思うんですけれども、その辺り、いかがでしょうか。

務台副大臣 建築物に使われるはり、桁、柱材といった木材のリユースを促進することは、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り低減するという意味で、循環型社会形成の実現に向けて極めて重要であるということに加え、炭素の長期的な貯蔵につながるものと認識しております。建築リサイクル法の基本方針においても、建設工事に使用された木材を含む建設資材の再使用を行うべきことを規定しております。

 この点、私の地元の長野県でも古民家再生に向けた事業に取り組んでいる事業者がありますが、このほかに、古民家を解体して得られる古材一本一本に思いやエピソードがあるという信念の下、大切に品質管理を行い、店舗や住宅、家具作りに再使用することで新たな価値を生み出そうと取り組んでいる企業があり、それがビジネスとしても評価され成長しているという点もあります。

 昨年度、環境省においても、古民家解体時に発生するいわゆる古材について、一般社団法人全国古民家再生協会などの協力を得て、古民家古材の取扱いのある事業者を対象に、古材リユース市場の実態把握のアンケート調査を実施しました。調査結果によると、事業者の古材に関する知識や技能を強化することや、環境面での魅力等、古材の価値を適切に訴求していくことが課題として明らかになりました。

 環境省として、こうした動きをバックアップしていく一環として、この度、国土交通省、それから先ほど申し上げた全国古民家再生協会と連携して古材リユースの促進に向けた啓発パンフレットを作成し、近々ホームページにもアップすることとしております。これを見ると、古材使用の意味がよく分かるものとなっております。今後とも、脱炭素・循環型社会の実現という環境面からの意義を強調しつつ、多くの方々に古材を使うという選択肢を知っていただくための普及啓発に取り組んでまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 古民家再生、古材の再生とか、そういったことで今活用されているということなんですけれども、国産の木材の活用では、万博だけではなくて、古代の宮殿の再建、こういったものも考えられるのじゃないかなというふうに思います。

 奈良県の平城京のあったところの歴史公園では、第一次大極殿や朱雀門の再建が進んでいます。大阪でも、難波宮の跡地が大阪城の南側にありまして、国指定の史跡になっています。こうした古代の都の再建を進めていけば観光資源にもなると思いますけれども、難波宮の再建については、文化庁、どのようにお考えでしょうか。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 史跡難波宮跡は、七世紀中頃に大化の改新の詔が出されるなど、歴史上の重要な舞台となった場所でございまして、ここの整備は、人々の歴史への関心を高め、ひいては多くの人々が訪れる観光資源にもなり得ると期待できます。

 難波宮跡の整備に関しましては、令和三年十二月に大阪府と大阪市が整備基本計画を策定しております。この計画では、まず、二〇二五年の大阪・関西万博までに解説案内やインフォメーション機能の充実等を行い、その後の長期計画として遺跡全域の復元の可能性を探るというふうにされております。

 国産木材の再利用は資源の有効利用の観点から重要なことと考えますが、復元に関しましては、今後、大阪府や大阪市において更なる調査研究を行うこととされておりまして、その進展を踏まえて具体的な検討が行われるものと考えております。

 文化庁としましては、地元自治体からの求めに応じ、技術的助言等を行ってまいりたいと存じております。

関委員長 遠藤君、手短にお願いします。

遠藤(良)委員 はい。

 ありがとうございました。私の支援者で、この難波宮の再建というのを親子でずっと思いを描いている方がいらっしゃって、国産の木材の活用という観点から、こういった再建についても是非御検討いただきたいというふうに思います。

 私からの質問は以上になります。ありがとうございました。

関委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下です。よろしくお願いいたします。

 時間も押しておりますので、早速質疑に入りたいと思います。先週に引き続き関する質疑をしていきたいんですけれども。

 地方自治体が脱炭素化を進めていくに当たり、財政面、情報面、人材面等と様々な課題を抱えていますが、自治体によっては、気象条件や地理的条件、また、再生エネルギー等を展開していくために脱炭素化事業を通じて地域の産業も育成していかなければならないと思います。こうした観点から、地域の脱炭素における地域の役割をより強固なものとしていく必要があると考えますが、特に、人材の確保と育成には時間を要するものだと思います。

 これは自治体だけの問題ではなく、先ほどからお話が出ています官民ファンドにも直面してくる問題だと思いますが、人材確保に向けどのように考えていらっしゃるのか、どういった取組をされている対応策があるのか、併せて御教示願います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 地域脱炭素ロードマップ及び地球温暖化対策計画において、地域の取組に対して、国は、情報・技術、資金と併せて人材についても積極的に支援することとしております。

 地域の脱炭素化を進めるに当たっては、地域に貢献する事業を進めることが重要であり、必要に応じて外部の専門人材の力もかりながら、地域の人材が主体的に事業計画を検討し、運営することが必要であると考えます。

 こうした人材を確保、育成するため、環境省としては、今年度、約七百名を対象に、再生可能エネルギー導入の事業計画の検討など、実践的なセミナーや視察を通じて、地域で脱炭素事業の中核を担う人材の育成を行っているところでございます。また、内閣府等が進める企業の専門人材を地域に派遣する事業に連携して取り組んでいるところでございます。

 このほか、地域脱炭素の計画作りや関係主体の合意形成などを支援する事業も行っており、こうした事業を進める中で、自治体の職員が地域脱炭素の取組に係る知識や経験を獲得することにつながるものと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。

 セミナー等々を行っていくということですけれども、先ほど馬場議員からもお話がありましたけれども、馬場議員の世代であるとか、いわゆるZ世代とか、本当に環境に興味を持たれています。エコ活動イコールおしゃれであるとか、そういう活動をしないのが格好悪いとか、そういった価値観を彼らは持っていらっしゃるので、この新しい価値観を我々も共有しながら、学校教育にもこういったことを落とし込んで、SDGsの資格化、先週も質疑させていただきましたけれども、カーボンニュートラルを目指す企業、自治体にはこういった資格を有する方を何人以上置くとか、そういったことも含めて人材育成に取り組んでいっていただけたらと思います。

 次に、脱炭素化委員会の在り方についてお尋ねします。

 第三十六条の十八の一項に、委員会は取締役である委員三人以上七人以内で組織する、二項に、委員会には代表取締役及び社外取締役がそれぞれ一名以上含まれなければならないとされていますが、三十六条の十九の三項には、委員会の議事は出席した委員の過半数をもって決する、可否同数のときは委員長が決するとされています。

 社外取締役が一人いても、最低限の一人いたとしたら、少数意見を述べるだけに終わってしまう可能性が出てきます。

 会社法の三百三十一条六項、四百条の三項には、監査委員会や指名委員会等では業務執行からの独立性を確保するために委員の過半数を社外取締役とすることとされていますが、このことに鑑みて、委員会の構成が独立性の確保に十分なものとなっているのかどうか、大臣の見解をお聞かせください。

山口国務大臣 脱炭素化委員会には社外取締役を少なくとも一名以上含まれることとしたのは、各案件の支援決定の際、まずは脱炭素化支援機構の職員が対象案件の採否について審査を行うこととなりますけれども、最終的な支援決定の判断については、そのプロセスから独立して客観的、中立的に判断することができるようにするためです。

 脱炭素化支援機構においても、他の官民ファンドと同様に、社外取締役も脱炭素化委員会の委員とすることによって独立性、中立性を確保していきます。

 脱炭素化委員会の具体的な人選や人数等については、委員を選定する際の環境大臣認可プロセスの中で、独立性、中立性が確保された構成となるよう、人数を含めて、適材適所の観点から適切に対応していきます。

奥下委員 ありがとうございます。

 御答弁いただきましたけれども、前項の三十六条の十七では会社法を引っ張ってきて、ここで定めたりしている中で、次項に行ったら、会社法は関係ないとは言いませんけれども、非常に、一名以上という、巧みな表現というか、委員会にとって都合のいい表現になっているなという感が否めません。

 レクとかを受けていても、先週も申し上げさせていただきましたけれども、高い意識を持ってやられているのに、いざ中身を見てみたら、やる気がないとは言わないですけれども、本当に、志が反映されたような中身になっていないなと感じてしまったので、是非、創業者理念じゃないですけれども、制度化まで落とし込むようなところまでいっていただけたらなというふうに思います。

 次に、株式会社脱炭素化支援機構の運営には当然透明性が求められてくると思います。

 機構の株主及び債権者は、会社法の規定に基づき機構の取締役会の議事録の閲覧、謄写を請求できるほか、機構の業務における重要な意思決定を行う脱炭素化委員会の議事録についても本法律案の規定に基づき閲覧、謄写を請求できることとされています。しかし、これらの請求をすることができるのは機構の株主及び債権者に限られ、株主の権利を行使するために必要があるとき又は債権者として委員等の責任を追及するために必要があるときのみであり、手続的にも裁判所の許可が必要とされています。

 運営に関する情報を国民に公開するなど、より高い透明性が必要となってくると考えますが、大臣の御見解をお示しください。

山口国務大臣 脱炭素化支援機構は公的資金を活用するわけですから、その意味で、透明性の確保は重要です。

 この点について、官民ファンドの運営に係るガイドラインでは、投資決定時における適切な開示に加え、投資実行後においても、当該投資について適切な評価、情報の開示を継続的に行い、国民に対しての説明責任を果たしているかという点が検証項目とされています。本機構も同ガイドラインに基づいて適切に情報を開示する予定です。

 本機構の事業報告書や計算書類等、さらには環境大臣による業務実績の評価結果について、ホームページ等を通じて国民にも分かりやすく情報提供することで、機構の運営に関する透明性を確保していきます。

奥下委員 ありがとうございます。高い透明性ということで、最大株主が政府というふうに定められていますので、ほかの省庁の話とかになってくると思いますけれども、議事録を残していないとかそういった問題も過去にあったわけですから、きちんと高い透明性が求められるように努めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、現在十四の官民ファンドがあり、うち七つのファンドが累積損失を抱えています。海外需要開拓支援機構、いわゆるクールジャパンでは二百三十一億、農林漁業成長産業化支援機構、いわゆるA―FIVEで百十五億、地域脱炭素投資促進ファンド事業においても十四億の累積損失が出ています。

 官民ファンドの収益性の問題は度々取り沙汰されているところですが、要因として、投資対象の事業の成長性や、高コスト体質の組織運営、投資資金回収の見通しの甘さが挙げられると思いますが、本法律案に基づき新たに設立される脱炭素化支援機構の収益性の確保の見通しを御教示ください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 既存の官民ファンドで様々な課題が指摘されている点は承知しておりまして、脱炭素化支援機構の設立に際しては、既存ファンドが抱える問題点を踏まえた制度設計を行いたいと考えております。

 具体的には、分野や形態を限定せず幅広く支援対象とすること、投資実務等に専門的知見を有する者で構成される脱炭素化委員会が、目利き力を生かして事業の収益性、成長性を精査し、支援案件を決定すること、収益の最大化を図るエグジット戦略を描くこと、報酬、給与水準については経費の肥大化を抑制しつつ優秀な人材を獲得できるバランスの取れた設定をすることといった点を踏まえながら機構の運営を行い、投資活動の収益性を確保してまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。カーボンニュートラルを目指していくに当たって、やはりいろいろチャレンジしていく必要があります。チャレンジなくして成長はないと思っておりますが、誰も初めから失敗しようと思ってこんなファンドをやってはいない、これも十分承知しておりますので、先ほどから申し上げているように、公平性、透明性を大前提に、失敗を恐れず、どんどんチャレンジしていっていただけたらなというふうに思います。よろしくお願いします。

 最後に、温室効果ガス排出制限の強化、コスト増に伴い、逆に生産活動拠点を海外に移す企業が出てくる可能性があると思うのですが、環境省の御見解をお聞かせください。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、気候変動対策として、御承知のとおり、二〇三〇年度目標の達成、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、あらゆる施策を総動員していくという状況でございます。

 この実現に向けましては、温室効果ガスの排出規制の強化により生産活動拠点を海外に移す可能性についても留意が必要であると考えているところでございます。いわゆる炭素リーケージ問題と言われている問題かと思います。

 これにつきましては、我が国におきましては、化石資源の使用に対して二酸化炭素の排出量に応じた課税を行うといった地球温暖化対策税が現在導入されているところでございますけれども、これを例に取りますと、産業の国際競争力の維持などの観点から、特に配慮すべき点について、業種、業態によりましては、免税、還付などの優遇措置を設けるといった対応も併せて講じているところでございます。

 他方で、我が国の温室効果ガスの排出削減の対策の推進、いわゆるチャレンジによりまして、我が国の産業の脱炭素技術の向上が図られまして、それらの技術をアジアなどへ展開することなどを通じまして国際的な脱炭素マーケットを獲得していくといったように、産業の国際競争力が強化され、ひいては地球規模の脱炭素につながっていくというようなことを牽引するものというふうに考えてございます。

奥下委員 本当に、経産省さんとの連携が今後必要になってきて、海外に向けていろいろチャレンジしていかないといけなくなると思いますので、どうぞ、我々も頑張って支援していきたいと思いますので、共に頑張っていけたらと思います。よろしくお願いします。

 これで私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 早速、温対法改正案に対する質疑を行ってまいりたいと思います。

 持続可能な開発ソリューション・ネットワークとドイツ・ベルテルスマン財団が発表している持続可能な開発報告書の二〇二一年版によると、世界のSDGs達成度ランキングで日本の順位は全体で十八位となっているものの、その中でも達成に大きな課題が残っているとされているものが、一つにはジェンダーの平等、そしてもう一つが気候変動対策だとされております。

 今回の温対法改正は、大きな課題を克服して二〇五〇年カーボンニュートラル達成のために脱炭素推進の資金を呼び込むことを一つの眼目としているわけですけれども、ESG投資については、世界的に急速に拡大をしている一方で、日本では、欧米と比べてまだ歴史が浅いということもあって、近年、投資残高は増加しているものの、世界的に見るとまだまだ小規模にとどまっている現状であります。

 こうした中で、新たに設立しようとする脱炭素化支援機構は、収益性が確立していない脱炭素事業への投資を行うことで脱炭素社会の実現に寄与するとしておりますけれども、まず、新たな機構設立の目的について、改めてですけれども、確認したいと思います。

 環境省ではこれまでもグリーンファイナンス推進機構において同様の脱炭素化プロジェクトに対する出資を行っておりますが、ここに新たな出資制度を創設する目的について確認させていただきたいと思います。

山口国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルあるいは二〇三〇年度目標の達成には巨額な脱炭素投資が必要だという背景がまずあります。それから、もちろん、今各国が大規模に様々な支援を国ベースでやっているということも念頭にあります。

 その中で、昨今、ESG市場も拡大しているわけですけれども、脱炭素事業の中には、前例に乏しく投融資の判断が難しい、あるいは認知度が低く関係者の理解が得られにくいなどの理由から資金調達が難しいものも多いという認識があります。

 このため、株式会社脱炭素化支援機構を設立し、財政投融資を活用して、脱炭素化に資する事業に対して率先して資金を供給することによって、民間投資の一層の誘発を図りたいと思います。

 現在、グリーンファイナンス推進機構に対して、国のエネルギー対策特別会計を財源に、地域の再エネ事業等に出資する取組を進めているところですけれども、こうした経験やノウハウを生かしつつ、財政投融資を活用することによって、エネルギー起源CO2の削減以外の取組等も含めて、より幅広く資金供給していくことが可能になるものと考えています。

 財政投融資を活用した出資制度の創設によって、幅広い脱炭素事業を全国に広げる呼び水となる資金を供給して、そのことによって脱炭素投資を加速化させていきたいと思っています。

角田委員 新機構の目的については、対象を拡大する、さらには、予算の規模も拡大して民間資金の呼び水にしていこうということですけれども、国際再生可能エネルギー機関などの試算では、二〇五〇年カーボンニュートラル実現には日本国内で年間約八兆円規模の追加投資が必要とされております。

 これに対して、財投を活用した出資規模は、初年度となる二〇二二年度は二百億円と、これまでのファンド事業よりも大きな規模になったとはいえ、民間の投資を加速させるためには、脱炭素社会形成への貢献や収益性の見通しなどについて、先導役としての目利きの力が特に求められると考えます。この点については旧機構で培った経験、ノウハウを生かしつつ体制の充実を図るということですが、投資規模の拡大に伴う優秀な人材確保の取組など、新機構の出資や事業者に対するアドバイスなどを担うスタッフの体制についてはどのように整備していくのか、具体的に伺いたいと思います。

大岡副大臣 角田先生にお答えいたします。

 御指摘のとおり、投資規模の拡大や事業者へのアドバイスなど、グリーンファイナンス機構の機能を強化、拡充しなければなりません。そのためには、脱炭素分野の事業や投資、経営企画や組織管理等の知見、経験のある金融機関、投資事業、事業会社等の経験者、つまり、銀行ですとか、あるいはノンバンク、リース会社ですとか、あるいは商社とかのイメージなんですけれども、採用できるように準備を進めてまいりたいと思います。

 また、グリーンファイナンス推進機構が蓄積したノウハウも十分に生かしていきたいと考えております。

 具体的な人数等はまだ決めておりませんけれども、分野や規模の拡大を踏まえますと、役職員を四十数名程度に拡大する必要があると考えております。

 優秀な人材を確保しつつ、適材適所の配置を行うことによりまして、効果的な業務遂行を可能とする体制整備に努めてまいりたいと考えております。

角田委員 旧機構の投資実績では、百八十四億円の出資に対して約十倍の一千八百七十六億円の民間資金が誘発をされたということですが、今後、脱炭素社会形成に資する投資を更に加速させていくためには、民間が投資しやすい環境づくりなど、各種の施策を組み合わせて推進していく必要があると考えます。

 特に、全国的に地域の課題を解決しながら脱炭素化を進めていく、その上で、地域の金融機関の役割というものも大きくなってくると思われますが、地域金融機関への支援を含めた現在講じている施策と今後の取組について、見解をお伺いしたいと思います。

和田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、地域の脱炭素をメリットがある形で進めていく上で、自治体と並んで地域金融機関に対する期待は非常に大きいという状況でございます。

 これを受けまして、環境省では、ビジネスベースで地域金融機関が地域の核の一つとして機能できるよう、各種支援策を用意しているところでございます。

 具体的に申し上げますと、地域金融機関が地域創生と環境への取組を両立させるための案件形成や体制構築に環境省とともに取り組む事業への支援、また、中小企業が融資を受けて脱炭素投資を行う場合に金利負担を軽減する、いわゆる利子補給になりますけれども、そのような事業も行っているところでございます。

 今後は、金融機関の職員のリテラシーの向上など、取引先企業を更に具体的に支援できる体制づくりなども含めまして支援してまいりたいと考えております。

角田委員 これから全国各地で地域の課題を解決しながら脱炭素化を進めていくためには、地域地域に、適切な指導助言を行える人材、こうしたものも必要になってくるかと思います。脱炭素化社会構築というのはある意味時間との戦いであって、そのためには、資金はもとより、やはり、それぞれの地域で活躍していただける専門的知識を備えた人材の育成というものも必要になってくると思います。ただ、それぞれの地方でそうした人材を育成するというのもなかなか難しい面があります。

 そうした中で、こうした官民ファンドがそうした役割を担う、それも一つの大きな仕事ではなかろうかと思います。地域銀行等からの人材を受け入れて、そこで培ったノウハウをまた地域に帰って生かしていくといった人の育成というものも、新たな機構の中で念頭に置きながら進めていただければと思います。これは要望とさせていただきます。

 今回の法改正では、都道府県、市町村が温室効果ガスの排出量の削減等のための総合的かつ計画的な施策を策定、実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講じる努力義務の規定を新設して、これに基づいて、令和四年度から、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、これを新たに創設して、カーボンニュートラルを前倒しして実施しようという脱炭素先行地域づくりを進めるとされております。先行自治体の地域の脱炭素化を加速させることで全国で脱炭素ドミノを起こそうということですけれども、まず、地方公共団体の脱炭素への取組の現状について伺いたいと思います。

 温対法に基づいて地方公共団体が策定する実行計画について、国の地球温暖化対策計画の改定に合わせて、これから地方公共団体においても従来にも増した対策の推進を目指して実行計画の改定が行われることになると思いますが、これまでの計画の温暖化ガス削減の目標に対する進捗状況については把握されているのか、また、いまだに実行計画を策定していないという自治体はどれだけあるのか、お伺いしたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 地球温暖化対策推進法において、都道府県及び市町村は、毎年一回、地方公共団体実行計画に基づく措置及び施策の実施の状況を公表しなければならないとされており、この規定に基づき、各地方公共団体において適切に計画の進捗管理がなされていると認識しております。

 環境省においても地方公共団体における取組状況を調査しており、当該調査結果によりますと、地方公共団体の区域内の温暖化対策の計画を定める地方公共団体実行計画区域施策編、これにつきましては、策定義務のある都道府県、政令市、中核市、施行時特例市における策定率は一〇〇%でございますが、それ以外の地方自治体における策定率は二六・五%となっております。

 また、計画の進捗については、策定義務のある地方自治体のうち、四六%の団体が、目標達成に向けて順調に進捗していると回答をしておるところでございます。

角田委員 地方公共団体に対してはまずしっかりと計画を作ってもらう、それが全ての土台になるかと思いますけれども、計画を策定していない自治体では、人材がいない、専門的知識が不足している、予算がないといった課題が挙げられております。

 人材を育成するにしても、特に小規模の自治体では人事管理の面から難しいといった事情もあります。計画作りからの支援が必要と思います。また、計画を作っても、PDCAサイクルを回すこともやはり難しいと考えられますので、今後、実行計画の策定から目標達成に向けた進捗管理まで、国としても支援をしっかりと充実していく必要があると思いますけれども、この点について見解をお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 特に小規模な地方自治体においては、人材、予算の確保、あるいは専門的な知見の獲得など、大変だと思います。その意味で、計画策定の段階から具体的な取組の実施まで、幅広く支援していかなければならないと思っています。

 これまでも環境省本省あるいは地方環境事務所においてこういうことを支援してきたわけですけれども、これから、特に四月一日から、各地方環境事務所において、地域脱炭素の創生室、これを設置して、地方自治体の取組の支援を強化していきます。

 また、令和四年度予算においても、地方自治体における地域脱炭素の計画作り、あるいは関係主体の合意形成、再エネ、省エネ設備等の導入といった取組を支援するほか、自治体の計画策定を支援する情報ツールの整備を実施していく予定です。

角田委員 地域の課題解決に資する脱炭素化の推進のため、地方自治体、さらには金融機関、中核企業等の参画した体制の構築とともに、地方の環境事務所、整備局、経済産業局など、支分部局が縦割りを排して水平連携して機動的に支援を行っていくとしておりますけれども、この際、窓口となる環境事務所が果たす役割はますます大きくなると思いますが、現状、十分な体制が整っているのかどうか、支援について既に先行している取組等があれば、どのような連携が行われているのか、お伺いしたいと思います。

中川大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、地域脱炭素ロードマップ及び地球温暖化対策計画におきまして、地域脱炭素に関し、地域の実施体制に近い立場にある国の地方支分部局が水平連携をいたしまして、各地域の強み、さらには課題、またニーズを丁寧に吸い上げて機動的に支援を実施することとしております。

 既に、北海道から九州までの全国八ブロックにおきまして、地域の実施体制に近い地方支分部局が、地方環境事務所を中心に連携し、機動的に支援していく枠組みを構築しているところでございます。

 例えばでございますが、北海道においては、地方支分部局レベルで、ゼロカーボン北海道タスクフォース、こういった組織を設置いたしまして、定期的に会議を開催しながら、ワンストップ窓口の設置や、個別プロジェクトのワーキンググループを設置すること等により、北海道の脱炭素化を強力に支援しているところでございます。

 また、地方環境事務所の体制につきまして、先ほど大臣からも答弁がありましたが、四月一日から、各事務所に統括環境保全企画官を配置するとともに、地域脱炭素創生室を設置いたします。自治体や民間からの出向者を含め約七十人の職員を順次配置していくことにより、地域の脱炭素化に向けた支援体制を強化し、地域の脱炭素化の支援、これを一層強化してまいりたいと思います。

 以上でございます。

角田委員 関係機関が有機的に連携して地域課題の解決を図るために、この面でも環境省の積極的な取組をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。本日も質問させていただきます。

 本日ですけれども、今議題に上っております法案質疑に集中して、特に、ファンドを新たに設立するという点について質問させていただきたいと思います。

 第二次安倍政権以降、様々な官民ファンドを、私は官製ファンド、国営ファンドと言う方が実態に即しているのではないかと思いますけれども、国のお金を、国費を投入してファンドをつくって民間事業に投資していくという、こういった取組が当然のように様々な省庁の管轄で行われているんですけれども、その手法に関しては、ファンドを使って経済政策を行ったり政策実現を行おうとすることには、少し私は違和感がずっとありました。

 こういったファンドに対する批判はだんだん増えていると思います。民間の人材を吸い上げてしまっているのではないかと。また、官製ファンドというものは、政策実現も目的としているので収益目標が低くて、そのくせ資金は潤沢にあるので、民間の金融機関であったりファンドにとって競争相手として非常にアンフェアなのではないかと。

 そういったことで、様々な課題、問題が指摘をされている中で、ここで改めて、環境省がファンドをもう一つつくるというお話には、ちゃんと疑問に答えていただかなければならないと思っております。そういった観点で何点か質問していきたいんですけれども。

 まず、現在あります一般社団法人グリーンファイナンス推進機構の投資の中身であったりとか、実績がどうなっているのかということをまず確認させていただきたいと思うんですけれども、これまで投資を行ってきた件数が、さっき、三十何件というお話がありました。その中には投資するということを約束したものも含まれていると思いますので、実績ではないと思うんですけれども。

 改めて、具体的にちょっと数字を教えてほしいんですけれども、これまで投資を回収した、投資が終わった、持分を売却した、そういった案件の件数と、平均で構いませんので、幾ら、何%の収益がその売却によって上がったのか、教えていただけますか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 現行グリーンファイナンス推進機構については、令和三年十月時点で三十七件を出資決定しており、このうち九件をエグジットしております。エグジットした九件については、いずれも、回収額、それは配当と売却収入を足したものでございますが、これが出資額を上回っており、投資倍率としては平均一・二五倍となっているところでございます。

斎藤(ア)委員 二五%収益が上がったということでございますけれども、それでも、現状、累損が出ている状況なんですけれども。

 今回、この後質問しますけれども、脱炭素化支援機構に政策手段を変えるということで、このグリーンファイナンス推進機構では新たな出資をしないということなんですけれども、新たな出資をしなくなるのに、最終的に累損が解消されるという見込みをお持ちなんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 現行のグリーンファイナンス推進機構で出資した案件につきましては、今回の法改正施行後もグリーンファイナンス推進機構の法人の枠の中で回収をしていきたいと考えておりまして、その益を、最終的には、これまでの収益計算の中に加えて、最終的な黒字化、これを目指していきたいと考えております。

斎藤(ア)委員 回収は、もちろん、していただくのは分かるんですけれども、令和十一年度まで投資をする目的で当初これは設立されていたのに、投資を新たにこの後はしなくなるんですけれども、累損が新たな投資活動を行わないのにちゃんと解消されるんですかということをお聞きしております。

上田政府参考人 お答えいたします。

 これまで出資決定をしたもの、この事業の回収をこれから順次やっていくこととしておりますが、その中で黒字化できるものと見込んでおるところでございます。

斎藤(ア)委員 そもそもちょっと、後の質問に関連するんですけれども、このグリーンファイナンス推進機構では、今、現状のエグジットでは一・二五倍の投資収益を上げているということなんですけれども、どれぐらいの投資収益を上げるという目標を立てられていたんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 収益率といったものの目標というのは設けておりませんで、実際に、ちゃんとしっかりと、最終的に収益を回収できるという、そこのところを見極めをして事業の決定をしているものというふうに承知しております。

斎藤(ア)委員 投資の目標がないファンドというものは変な話だと思うんですけれども、出資した額が戻ってくればそれでよしというお考えなんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 現行のグリーンファイナンス推進機構の目的というものは、今回の新しく設置する機構と同じでございますが、民間の資金の呼び水という形で、なかなか民間資金が投資しにくいものをしっかりとリスク評価して実施する、新しい分野を開拓するということを第一の使命としておりますので、収益率とかそういったところを目標に、数字を定めて、それに合わせるように事業を決定していくというふうな考え方を取っているところでございます。

斎藤(ア)委員 それが私は問題だと思っていて。収益を上げなくていいファンドが市場に参入していると、収益を上げるための競争を行っている民間金融機関やファンドに対して競争を阻害する要因になってしまいますし、そういったファンドが民間企業から人材を吸収してしまうということも、私は大きな問題となると思っていますが。

 あくまで呼び水効果と言われるものがあるからそれを是認しているというのが、今の、これは環境省さんだけではないですけれども、いろいろな官民ファンドをつくっている省庁の考え方だと思うんですけれども、この呼び水効果というものはどうやって計算をされているんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 二〇二一年十月時点における出資決定額は百八十四億円となっており、同一案件に対して民間金融機関等からの投融資額は千八百七十六億円となっております。

 現機構からの出資額百八十四億円に対して、誘発された民間資金が千八百七十六億円であるため、呼び水効果としては約十倍と説明しているところでございます。

斎藤(ア)委員 つまりは、今まで投資に参加した案件の総出資額のうち幾らファンドが出資したのかを単純に割り引いて、例えば十億円の案件で一億円をこのファンドが投資していたら十倍の呼び水効果があるというふうにうたっているということになると思うんですけれども。

 先ほどの田嶋委員からの質問にもありましたけれども、そもそも、何倍が適正かというのは一概には言えないと思うんですけれども、この十倍という数字、これは投資見込額なので実績ではないと思うんですけれども、投資が完了している案件だけで見た場合の呼び水効果というのは、今、幾ら、何倍かというのは分かりますか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 エグジットをしたということであれば、先ほどの一・二五倍ということになりますが、それではないということ。(斎藤(ア)委員「エグジットした案件じゃなくて、投資をした案件です」と呼ぶ)投資をした案件。(斎藤(ア)委員「約束ではなくて、既に投資を完了している案件」と呼ぶ)ちょっと、済みません。

斎藤(ア)委員 投資を回収した案件ではなくて、もちろん回収した案件も含めていただいていいんですけれども、約束をして、まだ出資を行っていない案件もあると思うんですけれども、出資をこれから見込んでいるという案件、そういったものを除いて、もう出資をしているという案件に限って、呼び水効果が何倍だったというのか、分かりますか。

上田政府参考人 お答えします。

 済みません、今手元にある数字で、すぐに数字が出てこず、後日、計算をして、お届けしたいと思います。

斎藤(ア)委員 先ほど、田嶋委員の資料とかを見てみますと、ちょっと前の数字ですけれども、二十倍を超えるような呼び水効果があるというふうに、他ファンドとの比較で出ているんですけれども、ございますか、データ。

 いいです、大丈夫です。なので、それだけを見ると呼び水効果がすごく大きい。ファンドが行った投資で、民間部門の投資が誘発をされて非常に効果が上がっているというふうに。先ほど大臣は、肯定的に呼び水効果の数字が高いことを捉えていらっしゃったんですけれども。

 これはいろいろな人の考え方がありますけれども、私が受け止めるのは、これは本当に、例えば、このグリーンファイナンス推進機構の出資がなければ案件は組成できなかったんだろうかと。それだけ少ない出資額しかなくて、それが鍵になってこの案件が成約できたとはとても思えないんですね。

 呼び水効果と呼ばれると、例えば、このグリーンファイナンス推進機構のチームが困難な案件を組成して、様々な民間金融機関、民間企業を集めて何とかこの案件を成功させたと呼ばれたら、それは自信を持って呼び水効果と呼んでいただいていいんですけれども、例えば、地域で案件が組成が進んでいて、地銀さんが、もうちょっと負担を減らしたいからどこかないかなということで、政府に補助金のような感覚で申請して出資をしてもらうということであれば、なくてもよかったと思いますし。

 今、日本の財政状態が厳しい中で、借金をしてこの国の経営を回している中で、その借金を原資にした予算でわざわざファンドをつくって、投資収益目標がない、こういった事業を行うということが本当に意味があるのかというところは、このファンドに限らないですけれども、しっかりともう一度見直していかなければならない、そういう段階になっていると思います。第二次安倍政権以降、十年たつわけですから、そこのところは、やみくもにファンドをつくっていくのではなくて、もう一度見直していかなければならないと思いますので、この点はしっかりと今後も見させていただきたいと思います。

 ちょっと話がそれるんですけれども、これまでグリーンファイナンス推進機構が出資した案件で、この委員会でも様々話題になっていますけれども、地域でトラブルになったりとか、太陽光パネルが飛ばされたりだとか、反対運動が起こっているとか、そういった出資案件になってしまっているものというのはないということで大丈夫でしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 現行グリーンファイナンス推進機構がこれまで出資決定した案件について、開発に対する反対活動が起こったり、設備の飛散や損傷などで近隣トラブルになったりしたものについての報告は機構から受けておらず、また、環境省としても、そうした報道や情報も承知していないところでございます。

斎藤(ア)委員 それは少し安心したんですけれども。

 環境省が、政府がお金を入れている案件で地域トラブルになってしまうというのは、もちろん、トラブルが起きるときというのはどういった理由で起きるか分からないので、ゼロであるということは難しいと思うんですけれども、地域に不安を与えるような開発にくみすることがないように、今後も気をつけていただきたいと思います。

 その上で、次に、これから設立される脱炭素化支援機構の目的、役割について確認をしていきたいんですけれども、先ほどグリーンファイナンス推進機構に関しては収益目標はないとおっしゃっていましたが、この脱炭素化支援機構の収益目標はございますでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 脱炭素化支援機構による案件の決定については、脱炭素事業や投資をめぐる市場動向を見極めつつ、機構自らが適切に判断できるようにしたいと考えており、そのため、具体的な投資件数について、あらかじめ環境省から目標を設定することは控えたいと考えております。

 収益の目標については、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会において、ガイドラインに基づき、機構の累積損益をKPIとして設定し、その進捗、達成状況を同会議幹事会に報告することになっており、具体的な数値については、今後、経営陣が固まり次第、機構が策定するポートフォリオ等を勘案の上、協議の上、決定していきたいと考えております。

斎藤(ア)委員 目標がない中で、先ほどのグリーンファイナンス推進機構は目標が結局ないまま終わることになると思うんですけれども、この脱炭素化支援機構に関しては、どういった目標でされるのか、何件投資されるのか、分からないまま法案を通してください、そういったことなんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 私の説明に少し足らないところがあったかもしれませんが、環境省として何%の収益とかという目標を定めていくことはありませんが、グリーンファイナンス推進機構自らがKPIとして累積損益等の目標を定めており、その実施について自ら評価するとともに、環境省もその内容について報告を受け、検討しているところでございます。同じような形で、新しい支援機構についても自らつくっていただき、環境省としてそれをしっかりと監督していくということになろうかと思っています。

斎藤(ア)委員 ということは、目標はこの機構さんが設立された後に経営陣の下でつくられるということですけれども、民間ファンド並みの目標を設定されるという認識でいいんですかね。民間ファンドよりは低いということですか。そこら辺も、何も方針が決まっていないんですかね。

上田政府参考人 お答えいたします。

 実際には、新たな経営陣の下、そのときの市場の動向、また、投資をめぐる様々な事業者さんのニーズ、そうしたものを踏まえて考えていくことになるかと思いますが、目的が、収益を上げることが第一ではなくて、あくまで呼び水を招き入れようということで、民間ではなかなか手が出ない分野、難しいところに積極的に投資をして、結果として多くの民間資金が入るようにと。この下で、最終的に、先ほどのKPIという形で、累積損益、そうしたものをポートフォリオの中で機構の方に考えていただきたいと考えております。

斎藤(ア)委員 今のお話を聞いていると、収益だけが目標ではないと。呼び水効果であったり、大前提としては脱炭素化に向けた政策推進を行っていくため、そういった理由づけができるので、いわば収益度外視で、お金を回収できればいいやみたいな案件がまた出てこないかというのが非常に不安でございます。

 これは、国民のお金が無駄になるということももちろんあるんですけれども、先ほどから繰り返し申しているように、民間の投資のエコシステムであったりファンドの成長を、こういった国の資金が、緩い投資基準で、危機感なく投資活動を行うような機構というものがもしできてしまったら、民間の投資エコシステムの発達というのを阻害してしまうのではないかと。

 先ほどから申し上げていますけれども、有望な人材であったりとかを民間から吸い上げてしまうということも阻害の在り方としては考えられると思うんですけれども、本当にこのファンドをつくることが日本の脱炭素化に向けた投資のサイクルであったりとか市場をつくっていくことにプラスになるのかということは、もう一度考えていただきたいと思います。

 大臣は、各国が競って出資を行っている中で、日本でもしっかりと投資を行っていくことが必要だというふうにおっしゃっています。それはもちろんそのとおりなんですけれども、その手法によっては、民間で主導していくべき案件組成であったりとか、民間が担っていくべき、置き換わっていくべきところを、ずっと国のお金が入ってきてしまって発展を阻害するということになりかねないと思うんですけれども。

 改めて大臣に、本日繰り返しの質問になってしまいますけれども、このファンドを活用したスキーム、本当に有効だと環境省でも考えられているのか、改めて御認識を伺いたいというふうに思います。

山口国務大臣 ソブリン・ウェルス・ファンドという言葉があります。国家ファンドですね。日本ではこれがありませんでした、非常に遅れていた。私は、もっともっと早く、もっともっと大規模にやらなければいかぬなというふうに思っていましたけれども、やっとこういう小粒のものが出てきました。そういう意味では足りません。

 そして、今、これを、我々自由民主主義陣営と権威主義体制との戦いという文脈になってきて、中国等が国家ファンドとしてがんがんやっている、中国の国内において彼らはそういう意味では民間には任せていないわけですね。

 民間で、もうかりさえよければいい、自分さえよければいい、今さえよければいい、これが資本主義がみんなを幸福にしない一つの大きな欠点で、そのことがこの気候変動対策においても如実に表れてしまった。そういう意味では、この辺を補っていくというのがこの官民ファンドの大きな役割だと思っています。だから、その意味では、もちろん毀損は生じさせないようにする反面、国家ファンドとしての、国家ファンドというか官民ファンドですけれども、ソブリン・ウェルス・ファンド的な役割もこの官民ファンドでは持たせていかなければいけないなと。

 それから、人材については、残念ながら給与は結構限られているんですね。ですから、少しいい給与を出せばもう少し人材も選択肢があるかもしれないけれども、限られた給与だけれども、この目的の崇高性に鑑みて是非お願いしますというところで、我々は今探しているところです。

斎藤(ア)委員 大臣、ありがとうございます。

 今、指摘を改めてさせていただきたいんですけれども、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構であったりとか、脱炭素化支援機構であったりとか、あるいは政府が第二次安倍政権下以降様々つくってきた経済成長戦略の一環としてのファンドは、ソブリン・ウェルス・ファンドではないですよね。オイルマネーが潤沢にあって、資金がたまっているからそれを運用しようだとか、年金のお金がたくさんたまっているからそれを運用しようだとかということではなくて、厳しい財政状況下で赤字国債を発行しながら予算を毎年組んだ、そんな中から予算として拠出してファンドをつくっているわけですから、余力のあるお金で投資をするファンドの形とは全く異なると思うんですけれども。

 今の御説明と脱炭素化支援機構の話の関連をちょっと教えていただけますでしょうか。お願いします。

山口国務大臣 貴重な国民からお預けいただいている税金を活用してつくるものという意味では、日本の国富をいかに活用していくか。今、その国富をつくる道筋というのが、大分我々ももがいているところですね。イノベーションについても、なかなかお金が回っていなかった、安ければよかろうということで中国に大分行った。ところが、いろいろな意味でサプライチェーンを見直していって、どういうふうに国富をつくっていくかというところで、今、大分もがいているところです。

 その意味では、脱炭素を、ピンチをチャンスにという言葉もありますけれども、これを実行していく中で、どういうふうに我々が産業競争力を高めて、なおかつカーボンニュートラルを実現していくか。その中で、かなり、自分さえよければいい、もうかりさえすればいい、今さえよければいいという感覚よりももう少し高い段階での判断基準というものが必要だろうというところで、官民ファンドの皆さんとは、環境省ともよく意思疎通をしていただきたいと思っています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 もちろん、もうかりさえよければいいという資本主義の形になってはいけないと思いますので、様々な取組があってもちろんいいと思うんですけれども、あくまで、民間企業の投資の流れであったりとか、民間部門が発達していく、担っていかなければ脱炭素化というのは永続していかないと思いますので、それを阻害しない形というのを追求していくことが重要だと思います。

 グリーンファイナンス推進機構が、当初、令和十一年までの投資ということで設立をされていたのに、それをおいておいて、また新しいのをつくって、政府が参入する期間を延ばしていくということですから、どういった投資を行うのか、どういった目標を掲げるのかということはしっかりと説明していただかなければならないと思いますので、そういった部分も含めて、やはり審議の際に教えていただかないと判断が難しいというふうに思っております。

 ちょっと関連して、更に質問させていただきたいんですけれども、脱炭素化支援機構が行う投資というものはどういった形式を取られるのかというのを、まあ、直接出資をする場合も、優先株と言われるようなメザニンで入れるとか、普通株を買うとか、あるいは資金を貸す、普通の融資というものもあると思うんですけれども、どういった出資の形態を取られる想定なのかということを教えていただけますでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 新しい機構が行う資金供給の形態というお尋ねだったかと思いますが、今お話がありましたような、出資でありますとか、また、ミドルリスク・ミドルリターンの金融手法としての貸付けといったものであるとか、債務保証、こういったものを法律上明記しているところでございます。

斎藤(ア)委員 普通株であったりとか、優先株というものの、出資を含めてやられるということなんですけれども。

 普通、ファンドといってもいろいろ種類があって、お金を市場で運用するヘッジファンドであったりとか、プライベート・エクイティー・ファンドと呼ばれる経営に参画をしていくファンド、企業再生ファンドのように経営に参画して企業再生を図っていくとか、いろいろなファンドがあるんですけれども、この脱炭素化支援機構の出資というものは、経営への参画というものは行われるんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 脱炭素化支援機構は、脱炭素投資の呼び水となる資金供給を行うことを旨としているが、資金供給のみならず、投資事業者に対して、専門的知見を生かした助言、外部専門家への紹介等も行うことで、脱炭素に係る知見の共有や脱炭素化の推進に寄与したい、こういうふうに考えております。

斎藤(ア)委員 その部分は是非やっていただきたいと思います。資金需要があるのでファンドをつくるというのは、今の日本の金融環境では余り私は理屈が通らないと思っていて。これだけ十年間金融緩和を続けてきて、各金融機関でも出資先に、投資先に困っている、貸付先に困っている中で、資金需要があるからファンドをつくるというのでは、ほとんど意味がないと思っていて。

 呼び水効果をうたうのであればあるほど、しっかりと経営に参画をして、知見を提供したりだとか、そういった部分をやっていかなければ、わざわざ国がファンドをつくったりする意味がほぼなくなってしまうと思いますので、そういった部分をしっかりと行っていただくことがせめてもの存在理由になるのかなというふうに思っておりますので、その部分に関してはしっかりと行っていただきたいというふうに考えております。

 本日、いろいろ御質問させていただく中でも、やはりファンドが、官製ファンド、官民ファンドと政府が呼んでいるものの問題点というものが、そのままこの脱炭素化支援機構にも表れてしまうのではないかなというふうにちょっと危惧をしております。これまでの質問でもありましたとおり、累損を抱えているファンドも二、三個ではありませんし、また、実際に累損が重なって、更に投資をしていくことが難しくなって、投資を止めてしまった、解散が決まっている農林水産省関係のファンドもありますので。

 そういった事態にならないためにも、目標設定であったりだとか、あと、どういった役割を担っていくのか。そして、繰り返し繰り返し述べていますけれども、民間のファンドであったり民間の投資環境の育成に阻害要因とならないような、そういった注意というものを、細心の注意を払ってこの機構の経営というものを行っていただきたいと思いますけれども、大臣、改めてその部分に関して御答弁をいただけますでしょうか。

山口国務大臣 今回の脱炭素化支援機構を設立させていただくに当たっては、最初の段階から、今までどおりのものじゃ駄目だ、それから、伝統的な金融業でも駄目だ、担保設定をしてどうのこうのというやり方ではなくて、もっともっと思い切ってやっていけるように、そういうことをやってくださいと。他方、民間のやり方、そういう格好でいけば非常に保守的になりかねないので、官民ファンドということだけれども、他方、天下り先としての性格も持っちゃ駄目だと。

 そういうことで、環境省からの関わりはあるにせよ、その道の専門家であると同時に、これまでのやり方にとらわれて、いわゆるパフォーマンス的に必ずしも満足できないようなことにならないように、しっかりと人材も整え、仕組みも整えしていきましょうというところで、今準備を進めさせていただいているところです。

斎藤(ア)委員 今回は民間の方からも出資をしていただくということですので、投資目標がないということでは、明確な収益を上げるという目標もなければ、民間出資者の方が投資する意味がなくなってしまいますし、そういった、出資者にとってしっかりと受け入れられるような中身になるということも重要だというふうに思っています。

 また、最後に要望ですけれども、今回の質問に当たって環境省にいろいろ情報提供をお願いしたんですけれども、個別案件の収益などは教えられないということで回答をいただけなかったんですが、普通のファンドじゃないです、税金が投入されています、国民が知る権利がありますので、どういった案件に投資をして、それがどうだったかというのは、概念的なものだけではなくて、具体的な数字を示していただくことが納税者に対する責任だと思いますので。

 その部分、最後にお願いをさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

関委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る四月一日金曜日午前九時、参考人として三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社経営企画部副部長、プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科非常勤講師吉高まり君、同志社大学政策学部教授吉田徹君、WWFジャパン専門ディレクター(環境・エネルギー)小西雅子君及び所沢市長藤本正人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る四月一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十三分散会


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