衆議院

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第6号 令和4年4月5日(火曜日)

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令和四年四月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 関  芳弘君

   理事 勝俣 孝明君 理事 菅家 一郎君

   理事 小泉進次郎君 理事 笹川 博義君

   理事 源馬謙太郎君 理事 田嶋  要君

   理事 漆間 譲司君 理事 角田 秀穂君

      畦元 将吾君    井出 庸生君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      石川 昭政君    石原 正敬君

      上田 英俊君    小倉 將信君

      武村 展英君    辻  清人君

      土田  慎君    中西 健治君

      穂坂  泰君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    近藤 昭一君

      篠原  孝君    中島 克仁君

      馬場 雄基君   松木けんこう君

      遠藤 良太君    奥下 剛光君

      中川 康洋君  斎藤アレックス君

    …………………………………

   環境大臣         山口  壯君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   環境大臣政務官      中川 康洋君

   環境大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官)      上田 康治君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     上田 英俊君

  井上 貴博君     井出 庸生君

  辻  清人君     土田  慎君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     井上 貴博君

  上田 英俊君     畦元 将吾君

  土田  慎君     辻  清人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

関委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、田嶋要君外一名から、立憲民主党・無所属及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田嶋要君。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田嶋委員 おはようございます。

 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 初めに、修正案の趣旨について御説明申し上げます。

 私たちは、将来世代に対して、また、地球にいる全ての生き物に対して、気候変動問題に最重要課題として取り組んでいると胸を張って言えるでしょうか。日本は、最先端の技術があり、豊富な人材もありながら、乾いた雑巾論を振りかざして気候変動対策が後手に回り、今となっては技術も追いつかれてしまい、再生可能エネルギー分野などでの競争力も失われてしまいました。

 気候変動、いや、気候危機に対して国民一人一人が納得し、自覚を持って取り組むことができるよう、政府は、理念を示し、率先して省エネルギーや再生可能エネルギーの導入など自ら施策を行うとともに、国民的議論を行い、その結論に従って施策を速やかに行うべきです。ところが、昨年の改正案と同様、今回の政府案にもこのような観点が非常に乏しく、これまでの施策の延長でしかありません。これでは二〇五〇年カーボンニュートラルの実現は極めて難しいと言わざるを得ません。このままでは将来世代に豊かな未来を残すことはできません。今豊かな地球に生きる私たちが全力を尽くすため、修正案を取りまとめました。

 以下、修正案の概要を御説明いたします。

 第一に、地域脱炭素化促進事業について、地域脱炭素化促進事業が地域における経済活動への還元等に配慮しつつ行われること、地域の脱炭素化のための取組にエネルギーの使用の合理化が含まれること等を明記することとしております。

 第二に、基本理念として、予防的な取組方法による早期の対応、環境教育等を通じた知識の普及、地域住民等の多様な主体の参加と協力、情報の適切な公開、将来の国民の負担の軽減及び国際的協調等について規定することとしております。

 第三に、国及び地方公共団体の責務として、国民及び住民の意見を施策に反映させるため、広く意見を求めるための制度の整備等に努めることとしております。また、事業者は、講じた温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置に関する情報を公開するように努めることとしております。

 第四に、地球温暖化対策計画の国会への報告についての規定を追加することとしております。

 第五に、地球温暖化対策推進本部に、国民からくじで選定された委員二百人により組織する地球温暖化対策討議会を置くこととしております。討議会は、本部長の諮問に応じ、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現のための施策の在り方等について調査審議し、本部長に対して建議を行うこととし、本部は、討議会が述べた意見を尊重しなければならないこととしております。また、討議会に、専門的な知見を補うため、専門補助員を置くことができることとしております。

 第六に、国及び地方公共団体の施策として、地球温暖化対策に関する環境教育の推進に必要な施策を講ずるように努める旨の規定並びにエネルギーの使用の合理化又は再生可能エネルギーの利用を目的とした国及び地方公共団体の施設の改修を計画的に実施する旨の規定を追加することとしております。

 第七に、地方公共団体実行計画の記載事項として、地域脱炭素化促進事業の促進区域に加え、地域の環境の保全等のため地域脱炭素化促進事業の対象としない区域を追加することとしております。

 第八に、地方公共団体実行計画等への住民の意見の反映等についての規定を追加することとしております。

 第九に、政府は、地球温暖化に伴う気候変動に起因する影響が危機的な水準にあることに鑑み、気候変動に関する法制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 第十に、政府は、地域脱炭素化促進施設の設置に関する区域の設定及びその効果の在り方について検討を加え、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 委員各位の御賛同を賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。

関委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

関委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省産業技術環境局長奈須野太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、国土交通省大臣官房審議官塩見英之君、環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官上田康治君、環境省地球環境局長小野洋君、環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は、温対法改正法案について質問させていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、我が国のエネルギー政策の方向性について少し整理をしていきたいというふうに思っております。

 今回の温対法の改正を議論するに当たって、大前提となる我が国を取り巻く地球温暖化対策の外部環境の変化について少し確認しておきたいというふうに思っております。

 世界各国がワンプラネットとして、まさに産業革命前から気温上昇を一・五度以内に抑えるという、いわゆる一・五度目標を今回のCOP26において明確な目標として示したことは、私は大変意義のあることだというふうに思っております。

 我が国においても、昨年、菅前総理において、二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言いたしました。そして、二〇三〇年までに二〇一三年度の排出量と比較して四六%削減するという、これも明確な数値目標を掲げているわけでございます。

 その上で、我が国において、今、地球温暖化対策にしっかりと取り組んでいるわけでありますけれども、その中で、まさに避けて通ることのできないということがエネルギー政策であります。

 エネルギー政策を見ていきますと、第六次エネルギー基本計画においても、これは、十一年前、福島第一原子力発電所の事故がありました。この原子力については、いかなる事情よりも安全性を最優先した上でということで、電源構成の目標を二〇から二二%という目標にしております。

 御承知のとおり、近年、国際的な脱炭素化の流れの中で、火力発電の比率を引き下げていかなければならない、特に石炭火力においては、非常にこれは、肩身の狭い、厳しい目で国際的にも見られているわけでございます。現在、ロシアのウクライナの侵略の問題もあります。こうした中で、原油価格は高騰し、経済を直撃しています。そして、エネルギーの自給率の問題が表面化してきました。

 まさにこのような状況の中で、再生可能エネルギーの普及にかじを切って、アクセルを踏んで、そして主力電源化を図っていくという、まさに、言ってみれば、再エネは頼みの綱でもあるわけでございます。第六次エネルギー基本計画における二〇三〇年の目標として、再エネの電源構成が三六から三八%。当初、二二から二四%でございましたので、まさに一気に一五%引き上げられました。

 そこで、環境省として、我が国の今後のエネルギー政策における方向性、その中で再エネの位置づけをどのように考えていくのか、これは大臣にお尋ねをしたいと思います。

山口国務大臣 外部環境の変化ということも、今、勝俣議員から言及がありました。

 特に、ウクライナへのロシアの侵略というものを考えた場合には、今日の新聞でも、脱ロシアということが議論になってくるということが非常に際立って書かれていました。今、日本のエネルギーの中で、石油についてはロシアに四%、天然ガスは九%、そしてまた石炭は一一%という依存度がある。気持ち的には、ここはどういうふうにするか。

 脱ロシアであれば、じゃ、そうしたら、化石燃料に依存することなくやっていこうと思ったら、やはりここは環境省としては、再生可能エネルギー、それが自立の観点からも国民の皆様の安心感を得られるのではないのかなと。また、国産のエネルギーということも非常に大事だと思います。

 そういう意味では、環境省としては、その最大限の導入に向けて、地域における自立分散型の再エネの導入加速化、あるいはそれを更に可能にするためのイノベーションの推進に全力を挙げていきたいと思います。

 それで、一月十八日から始まっている例のクリーンエネルギー戦略に関する検討懇談会というところでもって、経済社会のイノベーションを実現するためのグランドデザイン、道筋の全体像、これを具体的にお示しできるように、関係省庁ともよく連絡して検討を進めていくところです。

勝俣委員 大臣、ありがとうございます。大臣からも再エネの加速化という言及がございました。

 次に、再エネの市場を少し見ていきたいと思うんですが、二〇三〇年までに、先ほど申しましたように、三六から三八%の達成目標であります。細かく電源構成別の目標を見ていきますと、風力五%、地熱一%、水力一一%、バイオマス五%ですね。そして太陽光発電が一四から一六%になっているんですね、非常に大きい。

 現在の再エネの中のそれぞれの事業別の達成進捗度合いを見ていきますと、二〇一五年度の、前回の第五次エネルギー基本計画のときには先ほど申しましたように二二から二四%の目標でありましたので、まさに一五%、目標が引き上げられました。その中で、先ほど申しましたように、太陽光発電事業は、昨年の二〇二一年の三月時点で導入水準が六千二百万キロワット、二〇三〇年度の目標が約一億一千万キロワットでございますので、まさに目標に対しては進捗度合いが今五六%となっているんですね、五六%。

 ですから、逆に言うと、逆算すると、二〇三〇年度までに、あと八年間でまさに、今とほぼ同じスピードでこの太陽光発電事業を進めていかなければ目標に到達できないわけですね、単純に考えると。

 そのことを考えたときに、エネルギー基本計画の再エネの目標達成のために太陽光発電事業に非常に依存し続けている状況であるようにも見えるんですが、第六次エネルギー基本計画における太陽光発電事業の目標達成実現見込みと、そこに懸念はないのかどうか、これを経産省に見解をお尋ねしたいと思います。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 再エネについては、二〇三〇年度に三六から三八%という野心的な目標を掲げまして、これを国民負担の抑制と地域の共生を図りながら最大限導入していくというのが基本方針であります。特に、設置にかかる時間が短い太陽光、これは導入拡大というのが非常に重要だと考えております。

 一方で、今委員からも御指摘がございましたが、太陽光発電の急激な導入拡大を続けてまいりますと、例えば、景観への影響ですとか、それから自然災害、あるいは将来的に設備が不法投棄されるのではないかといった懸念、こうした懸念が地域からも出ているということでございまして、発電事業者と地元とのあつれきが生じている例も多々出ております。

 このため、再エネ特措法の中で、発電事業者に対しては、所在する自治体が定めた安全性の確保や地域とのコミュニケーションに係る条例、こうしたものの関係法令の遵守を求めておりまして、違反があった案件については指導、改善命令を経た上で認定を取り消すという取組を進めています。

 具体的には、導入についてでございますが、今後導入を続けていくには、やはり今申し上げた地域との共生というのをしっかり確保しながら、例えば、公共施設ですとか空港ですとか鉄道といった地域で理解を得やすい場所で太陽光を導入していく、それから、住宅ですとか建築物等の屋根への太陽光の導入を促進、こういったものも効果的だというふうに考えています。環境省、国土交通省、農林水産省、関係省庁がたくさんございますが、こうした関係省庁と一体となって、こうした太陽光の導入を進めてまいりたいというふうに考えております。

勝俣委員 茂木部長、ありがとうございました。

 目標達成をするために様々な懸念が出ているわけでありますけれども、課題を一つ一つ見ていきたいと思います。

 再生可能エネルギー市場において、やはり、最も割合が、そしてまた量も大きいのが太陽光発電事業であります。これは、FIT制度が始まった当初から、先ほど茂木部長からもありました、リードタイムが非常に短いなど、ほかの事業と比較して取り組みやすかったという点があります。

 私、環境政務官のときに、太陽光発電の環境アセスメント法の省令改正をさせていただきました。

 私、毎回、中環審の環境アセス小委員会にも出席させていただきました。まさに二〇二〇年の四月まで、太陽光発電事業が環境アセスの対象になるまで、それは対象ですらなかったんですね。ですから、例えば風力だとか地熱だとか、様々な事業というのはアセスの対象であったんですけれども、この太陽光発電だけは二〇二〇年の四月までアセスの対象ですらなかった。だからやりやすかったんですね。リードタイムが短かったというのは、裏側にはそういう事情があるんですね。

 そしてまた、バブル期のリゾート法の影響というのもあると思います。ゴルフ場やスキー場の建設計画が頓挫して、まとまった二束三文の土地がやはり手に入りやすかった、そしてそれをすぐにFIT申請すれば認定してもらえた。

 ですから、太陽光発電事業の参入障壁が非常に低かったため、急速に普及してきたよい面もあるんですけれども、逆に、経験や技術力や調整力のない悪質な業者が参入してきて、そして太陽光の再生可能エネルギー市場を荒らしてしまった、こういう悪い面が今散見されてしまう。こうした悪質な業者がはびこってしまうと、まさに再エネ市場全体のイメージが今悪くなってしまっているんです。

 特に、大規模なまとまった土地があるというのは、私みたいな地方、例えば静岡県の伊豆半島なんかでも、全国で今メガソーラーの問題が起きています。茂木部長は今、理解の得やすい場所等々の話をしました。しかしながら、実際に今、例えば伊豆半島で、ソーラーと聞いただけで嫌悪感を皆さんが示すんですよ。農業も盛んですから、先ほど来からあるように、ソーラーシェアリングといった、環境に配慮したようなソーラーについても今、よいイメージじゃなくなってしまっている。

 私、何が言いたいかというと、健全な再生可能エネルギー市場ができないと、これから再エネの目標に向かってアクセルを踏むにしても、国民の皆さんの理解が得られないということなんですね。ですから、今年の一月にまさに環境大臣が、先般から出ているように、埼玉県の小川町のメガソーラー発電事業に対してアセス法になって初めて抜本的な事業の見直しを強く求めていただきました。それを受けて、経産大臣が抜本的な事業の見直しを求める勧告を出しました。これは私は評価できることだというふうに思います。

 この埼玉の事業は、実は、私の地元であります熱海市で昨年七月に土石流災害が起こりました、本当に多くの貴い命が失われました。このとき崩れた盛土が約五・四万立方メートルと言われているんですね。その盛土の量の更に十倍から十三倍を搬入して盛土にする予定だったとも言われているんですよ。そう考えると、本当にこういう事業は止めていただきたいというふうに思います。

 そこで、現在の温対法によって促進区域を指定して、さらに今回の改正で今後太陽光発電事業の促進を目指すとなると、私は、前提として、健全な再生可能エネルギー市場にしていかなければ国民の皆さんの本当の理解が得られないと思いますけれども、こうした現在問題になっているメガソーラー事業に環境省としてどのように対応していくのか、お尋ねしたいと思います。

大岡副大臣 勝俣先生にお答えいたします。

 先ほど先生からもお話しいただきましたとおり、太陽光発電の最大限の導入のためには、地域における合意形成、そして環境への適正な配慮、これは大前提でございまして、先生御指摘があったとおり、住民から嫌われる、あるいは悪評、悪質事例が後を絶たずに社会全体での悪評が高まってしまうと太陽光発電を導入できなくなるという強い危機感を持って対応していきたいと考えております。

 そうした中で、先生お話しいただきましたとおり、令和元年に、大規模な太陽光発電をアセス法の対象にした、そのときに勝俣当時環境大臣政務官に大変御活躍いただいたということで、私からもこれは本当に感謝を申し上げたいと思います。

 先ほど先生からも、埼玉県の事例をお話しいただきました。山口環境大臣からは、非常に強い見直しの意見を出させていただいたところでございます。

 また、法の対象にならないものに関しましては条例で拾っていますし、条例の対象にもならない更に小規模なものにつきましては、環境省としては、太陽光発電の環境配慮ガイドラインというものを作成しまして、事業者、自治体、住民にしっかりと周知をしまして、コミュニケーションを促してまいりたいと考えております。

 また、四月一日に施行された改正温対法で、先生からもお話がありましたとおり、促進区域を設定することになっています。その場合には、地域共生型ではない再エネを抑止するための取組に対する考え方をしっかりとこれからも周知してまいりたいと考えております。

 具体的には、先ほど御指摘の促進区域の設定に当たりましては、例えば、環境保全を優先すべきものとして促進区域とすべきではないと考えるエリア、あるいは、望ましい事業の規模、形態及び環境保全の在り方などを示すことも考えられますので、こうしたことをしっかりと啓発してまいりたいと考えております。

 また、このような地域においての再エネ事業に対する考え方が示されている場合には、環境省としても、今後、法アセス手続においてこの考え方が反映されるよう所要の措置を講じていくこと、またアセス条例においても同様の取組が期待されることについて周知を行ったところでございます。

 先生御指摘のとおり、こうした特にメガソーラーに関しましては、地域、住民、そして環境への配慮、これが大前提と考えておりますので、これからもしっかりと対応してまいりたいと考えております。

勝俣委員 ありがとうございます。しっかりと対応していただきたいというふうに思います。

 本当に、先般の委員会でも、多くの委員の先生方が質疑の中で全国のメガソーラー発電の問題を挙げていました。なぜこれだけ問題になっているのに事業が止められないのか。まさに私の地元でも、地方議会で全会一致で反対、みんなが反対しているんだけれども事業が止められていない、こういった案件が全国で散見されています。

 今、アセスのお話が出ましたけれども、アセスの対象になってから、二〇二〇年の四月からは、電気事業法の関係で事業計画に廃止命令を出せたり、いろいろなことができるようになりましたけれども、それ以前の事業というのが非常に問題になっているわけでございます。

 このときには、やはり、最終的にFIT制度に頼るしかなかったんですね。FIT制度というのはまさに再エネを推進する法律であります。今まで、FIT認定を取り消した事例というのは一事例しかないんですよね。ですから、FITの認定を受けるまでにクリアしていく法律というのもちょっと考えていかなければならないというふうに思うんですね。

 例えば、森林法の林地開発許可にしても、宅地造成法にしても、全ての法規制が今、開発事業を行うための法律になっているんですね。林地開発許可に至っては、都道府県知事は申請が、まさに、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全の四つの要件を満たしていると認めるときには許可しなければならないとされているんですね。開発行為を行う者の権利の方に今重きを置かれているような気がします。林発においては、今、林野庁が太陽光発電に係る林地開発許可基準に関する検討会などを開いていただいて議論が進んでいるようでございますけれども。

 まさに、私は、本当の意味で再生可能エネルギーの普及を目指して、我が国の、中山間地の多いこの日本の国土に適した、自然と地域を調和した再エネを拡大して、そして健全な再生可能エネルギー市場を形成していくためには、適していない事業はやめた方がいいんじゃないのと開発事業の開始前に唯一言えるこのアセス法を所管する環境省が、しっかりと悪質業者を排除する何らかの規制をしっかりとつくっていくべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

大岡副大臣 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、事前に排除というか一定の判断を下せるというのがこのアセスメント法、環境影響評価法の特徴でございまして、これをしっかりと運用してまいりたいと思います。

 先生御指摘のとおり、先ほどお話がありましたとおり、電気事業法等で変更、廃止命令をできるとはいっても、実際にはなかなか運用が難しい、事例も少ないということでございますので、実効性に関しては、これからどう高めていくのか、私たちもしっかりと研究していきたいと思います。

 また、様々な法律、もちろん規制的な法律もたくさんあるんですけれども、多くの法律は、手続を踏めば順次手続が進んでいくような法体系になっておりますので、残念ながら、例えば宅地造成法、森林法等でちゃんと手続を踏んでいけば進んでしまいますので、そこをどうやっていくか。さらには、FIT法で違反事例については取り消せるということになっていますけれども、実際の運用はまだまだ少ない。つまり、違反事例というのは明確な違反事例以外は実際には排除されないということになっておりますので、ここも大きな課題だと思っております。

 重ねて申し上げますが、勝俣先生がおっしゃるとおり、この再エネの導入促進は、地域との合意形成、そして環境への配慮、これが大前提だと思っておりますので、これから、制度的な対応の必要性も含めて、しっかりと関係省庁と対応を協議してまいりたいと考えております。

勝俣委員 ありがとうございます。

 続いて、健全な再エネ市場を形成していくためには、法規制だけではなく様々な施策を考えていかなければならないと思います。

 例えば、冒頭申し上げましたけれども、世界のエネルギー政策において脱炭素化の流れは確固たるものになっております。その潮流をつくり出したのは、私、世界各国の金融機関の石炭火力発電のダイベストメントだというふうに思うんですね。我が国も、三メガバンクが石炭火力に対するダイベストメントを表明しております。大きな事業の投資に対して、お金がなければ事業ができないわけですね。そう考えると、逆に、自然や地域と共生が取れていないメガソーラー発電事業や企業に対して投資をしないという、こういったダイベストメントは私は有効だというふうに思います。

 今回の温対法改正法案についても、もちろん健全な事業については民間投資の呼び水となる投融資をしっかりと積極的に行っていくことになっておりますけれども、まさに、悪質な業者に対しては断固としてお金を出さないんだという、こういったダイベストメントの視点をしっかりと発信していくことがやはり今後の金融機関の投融資に影響を与えるのではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

大岡副大臣 お答えいたします。

 今回、法案の中で定めさせていただきたいと考えております脱炭素化支援機構につきましては、支援決定に当たっては、事業者の環境配慮それから地域共生を確認することとしまして、その旨を環境大臣が定める支援基準にしっかりと明記したいと考えております。

 また、制度上、機構による支援決定の際には一件一件環境省も確認できることとしておりまして、環境省としてもそのことをしっかりと確認してまいりたいと考えております。

 また、事業を開始した後も、機構は、対象事業者からの実施報告等を通じて環境配慮や地域共生がちゃんとできているのかどうか確認して、そして必要に応じて助言を行うこととしております。

 こうしたプロセスを通じまして、先生御指摘のとおり、脱炭素化支援機構におきましては、事業実施における着実な環境配慮それから地域共生を確保すること、それから民間の金融機関にもしっかりと経験やノウハウの提供を行うようにしてまいりたいと考えております。

勝俣委員 ありがとうございます。

 もう一点、再エネの技術開発についての質問でございます。

 先ほど問題になっております太陽光発電事業でございますけれども、太陽光パネルの技術開発が日本は本当に遅れてしまっています。一九九九年から二〇〇六年までは我が国のシャープが生産量も世界トップであったと言われていますけれども、現在は中国企業に席巻されているわけでございます。

 現在の我が国の抱えるメガソーラー発電事業の問題において、やはり、我が国のこの国土を考えたときに、先ほど来からありますように、中山間地の多い土地に山林を切り開いてたくさんのソーラーパネルを置くのは少し無理がある、これは誰もが想像できるわけです。実際に、平地面積当たりの太陽光の発電導入量は我が国は世界断トツトップですね、二位のドイツと比較して二倍以上。これ以上現在のエネルギー変換技術効率の状況で増やしていくのは非常に厳しいのではないかというふうに思います。

 であるならば、我が国の地形に適した太陽光パネルを技術革新によって造ることは、こうした課題解決に私はつながってくるのではないかと思うんですね。まさに私たちの掲げる環境と経済の好循環であります。

 ですから、例えば、太陽光パネル百枚で年間発電量が三万キロワットアワーだとすると、技術革新で交換効率を十倍にできたとします、そうすると、単純に、同じ年間発電量を生み出すのに、逆に言うと十分の一のパネルの数で済むということになるわけですね。ですから、パネルの設置面積も非常に少なくて済むわけです。

 ですから、昨今では、ガリウムヒ素太陽光電池のようなモジュール交換効率の非常に高い技術や、先般も委員会でありましたけれども、ペロブスカイト太陽電池のように、薄くぺらぺらした、どこにでも貼れるような、こういった技術開発も行われております。こうした太陽光パネルの発電技術革新を徹底的に進めて、我が国の国土に適した利用ができるようにしていくことが問題解決の一助になると私は考えますし、まさにエネルギー基本計画の目標達成のためにも必要であるというふうに考えております。

 そこで、今回の温対法改正に当たって、単なる再エネの発電事業だけでなくて、このように、まさに前例に乏しく、認知度が低く、リスクは高いけれども技術革新が期待できる事業に投資をしていくことが大変重要なことであるというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

山口国務大臣 脱炭素化支援機構は、主として、技術は実用化しており、また、収益性はあるけれども民間のみでは資金調達が困難な事業の事業化や規模拡大に対する資金供給を行うことを想定しています。

 先ほどおっしゃられたペロブスカイト太陽電池、私も拝見しました。東京大学の教授等が頑張っていただいています。あれを見ると、山を削らなくても、建物に貼ったり、いろいろな意味で、我々の、国土が限られている、そういうハンディを克服できるのではないかと思います。そういうものについて、実装化し、ビジネスとして稼働、生産が開始する段階、事業を拡大していく段階で積極的に資金供給をしていきたいと思います。

勝俣委員 ありがとうございます。

 このように、ESG投資がしっかりと拡大していかなければならない中で、我が国は間接金融の文化でありますので、地域金融機関の役割というのが非常に私は大切であるというふうに思います。いわゆる日本の金融機関におけるESG融資であります。地域の脱炭素モデルを全国に伝播して、そして脱炭素ドミノをつくっていくためには、こうした再エネの、まさに先ほど大臣がおっしゃられたような革新的な技術を発掘して、地域と結びつけて事業化していくのはまさに地域金融機関の役割であり、それを本機構が呼び水として先頭に立っていかなければ私は意味がないというふうに思っております。

 先日の参考人意見聴取においても吉高さんが指摘しておりましたけれども、グリーンファイナンスにおける課題として、実績の少ない技術はハイリスク案件と認識され、回収リスクを重要視する金融機関としては融資に一層慎重になる、この点で本機構の大きな役割があるんじゃないかというふうに述べておりました。まさにそのとおりだと思います。

 環境省におけるESG地域金融の取組についてお伺いいたします。

大岡副大臣 お答えします。

 勝俣先生御指摘のとおり、地域金融機関と私たち国あるいは今回お願いをしております脱炭素化機構がしっかりと連携していくことが最も大事だと考えております。

 特に、環境省では、地域金融機関が地域の脱炭素ビジネスの核の一つとして機能するよう、地方創生と環境への取組を両立するような案件形成に取り組んでおります。

 具体的に申し上げますと、地域金融機関主導で第三者所有型、PPAの太陽光発電をやっていただいております事例、あるいは、地域金融機関主導で洋上風力発電において地元企業に参入してもらえる可能性をしっかりと探している事例等がございます。

 先生御指摘のとおり、地域金融機関と私ども国あるいは脱炭素化機構がお互いの強みをしっかり持ち寄って具体的なビジネスにつなげていくことが最も大事と考えておりまして、これから、環境省としましても、地域の脱炭素化を新たな地域の成長の機会とするべく、地域金融機関と一体となって取り組んでいきたいと考えております。

勝俣委員 時間ですので、最後の質問をさせていただきますけれども、このESG金融が急速に普及していく中でやはり懸念されるのがグリーンウォッシュの懸念であります。

 例えば、事業そのものが環境に優しい、地球環境に配慮した、まさに温暖化対策に資する事業だったとしても、使用している製品が、製品を造る過程で多大な環境汚染をしていたり、温室効果ガスを大量発生していたりする場合もあります。また、最近は、世界中で多用されている太陽光発電用の多結晶シリコン、これが新疆ウイグル自治区で強制労働によって造られている可能性もあるんじゃないかということが指摘をされています。

 このような、グリーンウォッシュを取り締まるために、フランスにおいては二〇二一年の四月にグリーンウォッシュに直接的な制裁措置を課す法規制を導入しております。EUがEUタクソノミーを導入するなど、この法規制に対して非常に整備が進んでいるんですけれども、今回の温対法改正においてもこのグリーンウォッシュに対して最大限の注視をしていくべきだと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

大岡副大臣 お答えします。

 私自身も、勝俣先生と同じように、このグリーンウォッシュ問題、しっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。

 今回お願いしております脱炭素化支援機構は、当然のことですけれども、支援決定においては法令遵守、地域共生等を確認することとしております。

 また、当然、グリーンウォッシュ案件を支援することはないように、しっかりと注意をしていきたいと考えております。

 ただ、では何がグリーンウォッシュかという明確な定義については、まだ私どもも定まった定義は持っておりません。当然これから事案を積み上げることによって議論していきたいと思っておりますし、また、先生方のこうした委員会での議論、あるいは諸外国での議論、しっかりと参考にしながら、今後も経験やノウハウをしっかりと蓄積して適切に対応してまいりたいと考えております。

勝俣委員 時間ですので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、松木けんこう君。

松木委員 前回質問したときも、いろいろと僕は言ったんだけれども、もうちょっと真面目に委員会を開いた方がいいんじゃないのかという話をしたと思うんだよね。自民党は選挙で大勝利を収めたんですよ。それはなぜかというと、皆さんが立派だからですよ。我々は残念ながら立派じゃなかった、だから国民が選んだ、これはしようがないこと。自分たちがもっと頑張らなきゃいけない。今はインターネットで全部やっているでしょう、これ。そのときにやはり与党はちょっと欠席が多いよ、悪いけれども。

 前も同じことを言ったけれども、立派な委員長、そして大臣、それで副大臣も政務官も立派な人をつけているわけでしょう。これは、政府・自民党、あるいは政府が、環境行政というのは大切だというあかしだと俺は思っているのよ。ところが議員さん方が出ないんじゃさ、ちょっとね。

 もし野党の連中が、僕らが引き揚げたら委員会が成り立たないよ、そうでしょう。そうしたら、どうするの。今、一般質疑じゃないでしょう、法案でしょう、法案。どうするの。これ、本当に僕は残念だと思うんだよな。前の大臣だって、これからね、将来、まあ、余り言ったら、褒め殺しだと言われるとまた困るから、これ以上は言わないけれども。

 是非、大臣、どこに言ったらいいのか私も分からないけれども、大臣も、どう思いますか、これ。別に仲間の悪口を言う必要はないけれども、ちょっと問題が大きいんじゃないかなと僕は思うんだよね。ちょっと一言、気持ちを。

山口国務大臣 環境の政策というのは、これから、国家戦略の中で大事な大黒柱の一本ですから。また、今日、そういう意味で、地球温暖化対策推進法の改正という非常に大事な法案を御審議いただいているという中で、是非、いろいろとみんなに議論を共有していただくべく、たくさんの方に今日は参加していただければありがたいなと思います。

松木委員 自民党の理事の皆さんにも、そこら辺は是非お願いしたいというふうに思います。

 多分、この委員会、昔は、環境庁の時代は、こんなことを言っちゃいけないけれども、そんなに大きな予算もないし、どっちかといえば公害の問題、それが中心でしたよね。それが元で環境庁というのはできました。しかし、それももちろん大切ですよ、これからもあるんだけれども、環境省になったというのは、これから本当に地球温暖化の問題を含めたことというのは大切なことなんですよ。

 それで、そこで選ばれた大臣、副大臣、政務官も、委員長も、自民党の理事の皆さんも、そして自民党の委員の皆さんも、私は優秀な方がそろってもらったと思っていますので、我々野党もそういうことで必死になってやりますので、是非これからもっともっといい議論をできるように、まずは、子供の頃に習ったと思うけれども、学校はやはり出席しなきゃいかぬですからね、そこから。ちょっとふざけた話になっちゃうけれども。

 それでなくても、これだけたくさんの立派な役所の人たちが朝から来てやっているわけですからね。是非これは、お互いに気をつけて、これからやっていければいいのではないかと。私は、一方的に皆さんを責めるつもりはありません。我々も気をつけて頑張りたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 それでは、このまま質問をさせていただきます。

 地球温暖化は、我が国のみならず全世界、そして地球上の動植物にとって最大の環境問題、そして最も優先すべき政策課題の一つということであります。御承知のとおり、産業革命以降、化石燃料の使用も増え、その結果、大気中の二酸化炭素の濃度も増加しております。

 IPCC第五次評価報告書二〇一四年では、このままでは二一〇〇年の平均気温は、温室効果ガスの排出量が最も多い最悪のシナリオの場合には最大で四・八度上昇すると発表しました。そして、昨年公表された第六次報告書の最新の科学的知見では、最悪のシナリオの場合には最大で五・七度も上昇するとされております。

 これは極めて大変な事態だというふうに言わざるを得ません。想像していただきたいと思います。海水の、もちろん、海面上昇も大体一メートルぐらい、ここですることになる。あるいは、南極の氷も解けるでしょうし。そして、永久凍土が解けると、いろいろなものが出てくるんですね。

 例えば、今、コロナウイルスということになっていますけれども、聞くところによるとモリウイルスというのがあるんですね。このモリウイルスというのが、古代のウイルスらしいんですね。これが外に出ていくとまた大変なことになるぜ、こういう話も実はあるというふうに思います。かなりいろいろな問題が起きるわけですね。

 温暖化は、人の健康にも直接的、間接的にも影響を及ぼします。例えば、熱波や洪水、そんなこともありますしね。あるいは、間接的な影響としては、マラリアとかデング熱などの動物が媒介する感染症の発生範囲が広がることも懸念されます。そして、気候の変化に加えて、病害虫が増加することによって農業生産は大幅に減少し、世界的に深刻な食糧難を招くことも懸念されているわけでございます。

 そこで、この問題に取り組むに当たって、基本的な価値、立ち位置について考えたいと思うんです。

 私は、この議論を進める中で大事にしたい視点というのが、それは、最大のものは、環境や自然というものの偉大さや計り知れない大きさに人類として敬意を払う、これが僕は大切だというふうに思っております。

 話がちょっと脱線するんですけれども、昔、アニメに、竹宮恵子さんという方が描いた漫画で「地球(テラ)へ…」というのがあるんですね。そういう作品があったんですけれども、これが、環境問題の先送り、人口減少、少子高齢化、コンピューターによる管理社会、人工AIに過剰な感情移入をする若者たちの姿が描かれている漫画なんですね。技術の進歩への無軌道な礼賛が招く混乱した世界が現実になることへの警鐘を鳴らした作品なんですね。

 そして、今、環境省ではたしか手塚治虫さんのことを使っていますよね、いい意味でね。これはすごく私はいいと思うんですけれども、「ガラスの地球を救え」という作品が持つメッセージを基にした、地球温暖化の意識を啓発するためのプロジェクトを環境省では展開しているわけでございます。

 手塚さんの未来予想というのは、これは本当に、すごいことが結構当たっているという方なんですけれども。この手塚先生も、また、技術偏重の時代における危機を指摘する多くの作品を残しているわけですね。多くの子供たちにこういったメッセージ性のある作品を通じて環境について語る政府の姿勢は、私はすばらしいと思っているんですね。引き続き、こういうことにはしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っているわけでございます。

 ちょっと今、話しましたけれども、どうですか、大臣。感想があったら。

山口国務大臣 松木先生とはいろいろと深い話も今までしてきたんですけれども、確かに資本主義が限界に来ている、その中で、格差の問題と同時に気候変動の問題も起きてきた。今まで、いろいろな主義があったと思うんですよね。自由主義、民主主義。それが、例えば資本主義に対峙するものとして共産主義。それが今回、ロシアとウクライナという関係で、共産主義というものにも物すごく大きな限界を感じている中で、環境のこと、多分、宇宙のことも、今、松木議員はいろいろと念頭に置かれたんだと思います。

 その意味では、例えば、AIと人間を比べた場合に何が違うのか。多分、魂の話なんですね。魂がAIの中にはあるかどうか。多分、ないんでしょう。人間には、そこが一番大きな違いなんですよね。それが、例えば環境を大事にして、そしてまた人間はどこから来たのか、その意味で、宇宙の中の何十億光年、何百億光年という中で地球がどこまで続いて、その地球をどういうふうに大事にできるのか、こういう観点に立ったとき、初めて、魂レベルのところまで人類が一つになれるかどうか、そのことが主義を超えていく、そういう世界をつくれるのかどうか、その辺まで実は人類は問われているのかもしれません。

 そういう意味で、今起こっていること、それを今総合的に松木議員は言われたんだと思いますけれども、環境省としてはそういう意味で環境というところに焦点を当てた仕事をさせていただいているわけですけれども、我々がどういうふうに幸せになっていけるかというところを、再生可能エネルギーとかいうことに焦点を当てて、そのことが、二度ではない、一・五度。二度だと、南太平洋の島々の人たちはデス・センテンスだと言っているわけですからね、死刑宣告に等しいと。だから、地球上の人みんなをとにかく幸せにするための方策をやっていこうというところが、我々に求められているところだと思います。

 そういう意味では、カーボンプライシングとかいうことも含めていろいろな技術的なことも我々はやっているわけですけれども、それは、大きなところで、どういうふうにみんなを幸せにできるかというところでいろいろ議論をしていかなければいかぬなというふうに思っています。

松木委員 ありがとうございました。是非、頑張っていただきたいし、我々も頑張りたいと思います。

 その中で、先ほど、うちの立憲民主党の方から修正案というのが出たんですけれども、ここでこういう一文があるんですね。「地球にいる全ての生き物に対して、気候変動問題に最重要課題として取り組んでいると胸を張って言えるでしょうか。日本は、最先端の技術があり、豊富な人材もありながら、乾いた雑巾論を振りかざして気候変動対策が後手に回り、今となっては技術も追いつかれてしまい、再生可能エネルギー分野などでの競争力も失われてしまいました。」という一文があるんです。ちょっと厳しいとは思いますけれども、そういう部分も私もやはりあると思うので。

 そういう意味では、環境の行政というのは本当に大切なことで、昔と違うんですよ。是非、皆さんも政治家になっていいポストに就いたんだから、がっちり頑張ってもらいたいなというふうに思っております。

 では、質問もさせていただきます。

 今回の法律の中で、政府は地球温暖化対策の推進に非常に力を入れておられます。私はそう信じていますからね。信じていますからね、本当に。このことは、まさに百年後の世界まで豊かな地球の環境をしっかり継続していくために極めて重要なことと私は考えております。

 今回の地球温暖化対策推進法案では、新たに民間資金と政府の財投資金を併せて投資を行うための仕組みを設けようとしているわけですけれども、このような制度を設けることとした直接の理由、つまり、民間からの投資規模を大きくするためには民間だけではなくて財投と併せた投資ができる仕組みをつくってほしいという要請というのがあったのかどうか。新たに制度を設けるに至った経緯というのを教えていただきたいと思います。

山口国務大臣 今、いろいろな施策を考える中で、一・五度ということと地球温暖化対策、我々はその辺を一緒に考えているわけです。一緒というのは同時に考えているわけですけれども、経済界ともよく話をさせてもらっています。

 例えば、業種をそれぞれ挙げた方がかえって具体的だから言うんですけれども、鉄鋼業においてはどういうふうに、コークスを燃やしたらCO2だけれども、H2で燃やしたらH2O、そのために、今までの高炉を変えるためには、何千億ではなくて、何兆円のレベルで変えなきゃいけない。そういう中で、例えば、今の地球温暖化対策税だと二千二百億、だけれども、それだけでは足りないから、行動変容を促すと同時に、イノベーションの資金としての意味ということで炭素税。しかし、炭素税でも足りないと思いますよ。

 でも、その中で、例えば、業界にとっては、そういうイノベーションを進めるためには炭素税というのは何とか勘弁してくれという意見もあるでしょう。他方、本気でカーボンニュートラルをやろうという意味では共通しているんです。その中での炭素税の受け止め方、我々はグランドデザインを示してくれとも言われています。だから、ただ単に炭素税と言われると、それは負担でしかない、しかし、大きな官民一体となったこれからの資金の手当ての仕方、その中で捉えさせてくれという意見も多々あります。

 そういう中で、この仕組み、いろいろあるわけですけれども、今回の地球温暖化対策推進法の改正の中で二つ大きなことをお願いしているわけですね。一つは、地方公共団体に継続的にあるいは複合的にいろいろなことが応援できるようにということで、二百億円の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、それと同時に、今回の脱炭素化支援機構をつくるための二百億の話。

 こういう中で、例えば今までのグリーンファイナンス推進機構であれば、国のエネルギー対策特別会計を財源にしていますから、そういう地域の再エネ事業等に出資する取組については、森林吸収源対策など、エネルギー起源CO2の削減以外の取組というのが必ずしもできなかった、そういうことも含めて、より幅広く資金供給していくことが可能になるというところで、今回はお願いしているところです。

 環境省として多様な業種、規模を含む民間企業から話を伺ったわけで、その中で、一定の収益性はあるものの、民間だけでは十分に資金供給が賄えない事業に関して、国からの資金供給に対する多くの具体的ニーズがあるというふうに捉えています。

松木委員 国がやはりちょっと後押ししないとなかなか進まないところがある、それを何とかしたいというのも大きな一つだったということでよろしいんですか。もしよかったら。

山口国務大臣 いわゆる資本主義の欠陥みたいなもので、もうかりさえすればいい、自分さえよければいい、今さえよければいい、そういうことからこういう気候変動の問題あるいは格差の問題も出てきたんだと思います。

 その意味では、国の後押しというもの、これは実は各国ともやっていますけれども、日本としてもどういうふうにこれから、産業のいわゆる競争力と同時に、カーボンニュートラルをどういうふうに達成していくかという観点、同時に踏まえて国として後押しをしなければいかぬなという、その一つのツールです。

松木委員 ということですね。それは本当に大切なことだと思いますので、是非頑張ってやっていっていただきたいというふうに思います。

 政府は、二〇二〇年十月に、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を挙げました。この目標を達成するためには、エネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取組を大幅に加速することが必要です。このため、政府は、グリーンイノベーション基金を設けて、温暖化対策に有効な、新たな研究開発を二兆円規模で支援する大規模な取組をスタートしております。

 この法改正で行われる新しい制度は二百億円ということですけれども、想定する規模も異なると思いますけれども、グリーンイノベーション基金とどういったすみ分けをしているのか。規模の対象以外に想定する対象事業にどういった違いがあるのか、あったら教えていただきたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 総額二兆円のグリーンイノベーション基金は、実用化に至っていない技術の研究開発、実証を支援する委託・補助事業であると承知しております。

 他方、脱炭素化支援機構は、主として、既に技術は実用化しており収益性はあるが、民間のみでは資金調達が困難な事業の事業化や規模拡大に対する投融資を行うことを想定しているものであります。

 以上のとおり、基本的に、研究開発・実証段階のような収益化に至っていないものは委託費や補助金で支援するのが適当であることから、二兆円基金で支援することが適当である一方、実用化段階に至り収益性のある案件は財政投融資を活用して本機構が支援することが適当であると考えております。

松木委員 違いは、二兆円の方は、まだ実用化していないけれども、これから何とかやるぞということですよね。そして、二百億円の方は、何とか採算に乗せようぜということなんでしょうか。大体そんな感じですよね。やはり、二兆円というのは、これも大切なんですね、是非頑張っていただきたいと思いますけれども。

 それで、温室効果ガスというのがあるわけですけれども、排出を減らすとか止めるだけでは元に戻らないということなんでしょうか。もう一歩進めて、大気中にある温室効果ガスを減らす温室効果ガスイーターみたいな、そういう技術の開発や普及というものが期待されているのではないかなというふうに思います。

 日本でこういうこともやっているというのも少し聞いているんですけれども、そういった技術も出てきているというのも見受けられているわけですけれども、そこは、分野の研究開発、普及にこそ大きな投資をして、世界の環境技術を牽引する日本になってほしいというふうに思っているわけです。

 そこで、温室効果ガスを減らす技術の現状、それらへの投資についての考え方なり方向性なりをお聞かせいただきたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを達成する上には、最終的には、CO2の排出が避けられない分野からの排出を相殺するということで、大気中からCO2を回収して固定化する、ネガティブエミッション技術というんですけれども、このネガティブエミッション技術の活用が不可欠でございます。

 そのため、例えば、大気中のCO2を直接回収するDAC、ダイレクト・エア・キャプチャーという技術がございます。このダイレクト・エア・キャプチャーについては、〇・〇四%という低濃度のCO2を回収するということで、非常に大きなエネルギーが必要になります。そして、エネルギー効率の向上それからコストの低減といったことがダイレクト・エア・キャプチャーを実用化する上では大きな課題となっております。

 そこで、政府として、ムーンショット型研究開発事業というのがございまして、こちらで高効率な大気中のCO2の直接回収技術の開発を進めています。

 また、ダイレクト・エア・キャプチャー以外にも、土壌に玄武岩などを散布して、それにCO2を固定化するという岩石の風化といった技術や、ブルーカーボンというふうに呼んでいるんですけれども、海草などにCO2を食べさせて固定化する、自然プロセスを利用して、自然プロセスを加速させる技術、こういった技術の提案もございます。

 私どもとしては、先ほどお話のあったグリーンイノベーション基金とは別に、ムーンショット型研究開発事業という中で、例えば、令和三年度補正では四十億円を計上いたしましてネガティブエミッション技術の研究開発を始めているというところでございまして、カーボンニュートラルの実現に向けて、ネガティブエミッション技術についてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

松木委員 大変大切なことだと思いますので、頑張ってもらいたいんですけれども、これは結構、世界的に見て日本はどうなんですか、かなり進んでいる方か。

奈須野政府参考人 ダイレクト・エア・キャプチャーというのは、いわゆるCO2の分離回収をする技術の低濃度版ですね、〇・〇四%の低濃度の回収技術でございます。基となっているのは、工場や油田から出てくるCO2を回収して、EORというんですけれども、油田に戻していくプラントの技術が基になっています。

 CCSあるいはEORの技術につきましては日本が世界の市場の大多数を占めておりまして、濃度の高い分野では非常に優位性があるというふうに考えております。

 ただ、今回やろうとしているダイレクト・エア・キャプチャーはもっと濃度が低いものでございますので、これはまだ世界のどの企業も採算ベースには乗せていないということで、こういったものについては研究開発競争がこれから行われるというふうに考えております。

松木委員 日本というのは技術力がある国ですからね。こういうところにまた、日本が世界から、簡単に言うと、もうけられる、そういうことにもなると思いますので、徹底的にそこら辺は頑張ってやっていっていただきたいというふうに思います。

 そして、二百億円の方に戻りますけれども、今どんなものがリアルに、こういうことに使いたい、ああいうことに使いたいというのはあると思うんですけれども、二百億円の予算規模を十分満たし得るニーズが存在しているのかどうか。これをやりたいという、幾つかのものがかなり出てきているんだということでお間違いないんでしょうかね。

上田政府参考人 お答えいたします。

 二百億円につきましては、脱炭素に意欲的な多数の企業等から、現時点において、幅広く資金ニーズを聴取した結果を踏まえたものであり、事業初年度として、令和四年度として適切な額を計上したものと認識しております。

松木委員 分かりました。これが通ったら、是非、活用して、いいものにしていっていただきたいというふうに思います。

 そのほか、ちょっと時間がないので、これでやめますけれども、環境教育のこととか、そういうこともちょっと聞きたかったんですけれども、今の若い世代の人たちは環境にはすごく気持ちも熱心ですから、そういうこともうんとうんとまたこれから伸ばしていくような、そういう教育もしていただいて。

 そして、世界がこれからもハッピーであるように、日本がその牽引役だというようなことになっていく、なることを祈って頑張っていきたい。これは与党も野党もありませんからね。何といっても一番大切なことだと思っていますので、お互いに頑張りたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

関委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 温対法改正案の質疑でございます。先週の火曜日には委員会で質疑、金曜日には参考人から貴重な御意見をいただきました。私からは、これまでの質疑、またそれぞれの立場での参考人の御意見を踏まえて、何点か確認の質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭は、先ほど立憲民主党また国民民主党共同での修正案が示されました。この修正案の内容について質問させていただきたいと思いますが、修正案に示されている国、地方公共団体の公共施設における省エネ、再エネの対策の重要性についてお伺いをしたいと思います。

 先週金曜日の参考人質疑において、WWFジャパンの小西参考人から、二〇三〇年に向けては、まず、今の既存の技術でできること、省エネを推進して可能な限り再エネを導入していくということが基本になってくるのではないかとの御意見がございました。省エネ、再エネを進めていくことが重要であるということはまさにそのとおりであると私も思います。私は、特に建物の省エネ化が大変重要ではないかと思います。

 提出者にまずお伺いをいたしますが、修正案では、国及び地方公共団体の施策として公共施設の省エネルギー・再生可能エネルギー利用改修を計画的に実施することを新たに盛り込んでおりますが、どのような狙いでこうした公共施設の省エネ・再エネ利用改修について規定を設けたのか、その趣旨をお尋ねさせていただきたいと思います。

田嶋委員 御質問ありがとうございます。

 今御指摘いただいたとおり、まず、短期と中長期をきっちりと分けて考えなきゃいけないし、いろいろな夢を語る前に目の前でできることは徹底的にやり切るということが、勝負の十年という限り、一番大事だとも思います。

 その中でも特に、まず隗より始めよというとおり、民間に対してとか地方自治体に対していろいろと義務化をするというのはハードルが高いわけでありますが、しかし自分たちのことはまずやれるだろう、誰が考えてもそう思うわけですね。そういう意味で、政府の関係施設に関して今御指摘のありました断熱のようなことも含めて徹底的にやろうということが、私たちの修正のポイントでございます。

 政府が全くやっていないわけではありませんが、せんだって、私の質問の中でも国道のLEDすら全然できていないということが確認できまして、ああいうことをやっているうちは民間や地方自治体に対して全く示しがつかないというふうに思います。

 それともう一つは、公共が先行して取り組むことでマーケットをつくるという大きなポイントがありまして、それによって価格低減効果をつくり出せるということ。どこでも同じですが、量産効果をつくり出せる。企業からすれば、政府がそれほど本気で全国一遍にやってくれるんだったら値段が下がってくるのは明らかでありますし、工場での生産過程が本気で投資に取り組むことができるということであろうかと思っております。

 したがいまして、政府が公共施設の省エネや再エネの両方をやることは、まずは今、最初にやらなきゃいけないことだということで、修正案として十九条の三の中に入れさせていただきました。地方自治体に対して義務化は法律上は困難ということなので、努力義務ということでさせていただいたところでございます。

 ちなみに、昨年、解散で廃案となりましたけれども、立憲民主党としては、国等によるその設置する施設の省エネルギー・再エネルギー源利用改修の実施等に関する法律案というのを既に衆議院に三度提出させていただいておりまして、この法案によって、国等によるその設置する施設の省エネ・再エネ利用改修の実施等に関して、実施目標及び実施目標を達成するための方針、改修計画の作成その他必要な事項を定めるということで、既存の施設であっても、新たにこれから新設をする場合であっても一定程度の省エネ、再エネを義務化していく、そうした内容で提出をさせていただいたところでございまして、やはり、今申し上げたとおり、とにかく政府が本気になってやるという姿勢を示すためにもやっていただきたいと思います。

 残念ながら今それは廃案となってしまっておりますので、改めての法案の再提出も考えておるところでございますが、是非、修正案ということで、重要性を皆様に御理解いただきたいと思います。

 以上です。

中島委員 政府が本気を示す、最初にやらなければならないという提出者の強い意思が表れた内容だということで、私は受け止めさせていただきました。

 修正案の規定は、建物のゼロエミッション化、ひいてはその先の我が国の脱炭素化を進めていくために大変意義のあるものとして、改めて御期待したいというふうに思います。

 改めて今の提出者の答弁を踏まえて政府にお伺いいたしますが、国は公共施設の省エネ、再エネ利用をより迅速に進めていく必要があると、今の答弁からも私も思います。公共施設の省エネ、再エネ対策の意義、重要性をどのように捉まえているのか、お伺いをしたいと思います。

小野政府参考人 お答えいたします。

 委員から御指摘がございましたように、やはり、まず隗より始めよということで、公共機関が率先して排出削減対策を進めていくというのは非常に重要であるというふうに考えてございます。

 現在の地球温暖化対策推進法におきましては、政府、地方公共団体がそれぞれ、公共施設での省エネルギーであったり再生可能エネルギーの導入等の取組を計画的に進めるという仕組みを設けてございます。

 まず、政府におきましては、昨年十月に政府実行計画を改定いたしまして、太陽光発電の最大限導入、さらには新築建築物のZEB化などを進めるという計画を作っております。

 また、地方公共団体におきましても、地方公共団体実行計画を策定いたしまして、政府実行計画に準じた取組を進めるということとしております。環境省としても、率先的な取組をお願いする通知を四月一日付で発出したほか、その取組を後押しするために、マニュアルによる情報提供であったり、公共施設への高効率設備や再エネ設備等の導入支援等を行ってございます。

中島委員 るる取り組まれているとはいえ、先ほど提出者からもお話があったように、本気を示すという意味をもっと受け止めていただきたい。

 山梨県は、私の地元ですけれども、内陸で、そして甲府盆地などは非常に寒暖差が激しいです。夏は日本一、二を争う四十度近く、冬はマイナスになる。夏、冬で寒暖差も激しい。また、冬は一日の中でも寒暖差が激しいという地域。

 私の地元の、建設をやっている方は断熱を使った住宅ですね。私も何度かお伺いするんですが、何かこう、省エネというと、ちょっとつらいという思いがある国民の皆さんも多いかと思うんですが、非常に快適なわけであります。そのことによって本来なら夏と冬で四十度の気温差があるところを二十度に狭める、そういったこと。決して省エネはつらくないんだ、むしろ快適なんだということ。

 公共施設を国が本気を持ってという意味からいくと、例えば公営住宅とか公民館とか、そういった施設に断熱を使うなどですね。一般の住宅は、一生のうちに一度家を建てる、多くて二回でしょうか。公共住宅、公共施設の改修のときには率先して地方自治体が取り組めるように、国としてその本気度を是非示していただきたいと改めて申し上げたいと思います。政治がということでございます。

 まず、大臣、通告していないんですが、日頃、日常で大臣が省エネを心がけていること、そして今の、本気で示す意気込みについて。通告していないんですが、是非御答弁いただければと思います。

山口国務大臣 私も、もちろん部屋の電気とかをいろいろと消しまくって。うちは時々、長女とか次女が来るものですから、電気がついているよということで叱られたりして、そういうことはやっています。家庭由来のものも含めてまで省エネということで、これからやっていくということが、今回のIPCCの報告でも非常に大事だということがありますので、いろいろとみんなで、ちりも積もれば山となる、そういうことで頑張らなきゃいかぬなと思っています。

中島委員 是非、政治また政治家が率先してということをやっていただきたいし、私も、より心がけたいと思います。

 修正案の中では、質問いたしませんが、先ほど松木委員も述べられておった環境教育に関しても、これも非常に重要で、先ほど娘さんからという話がありましたが、今、お子さんが環境教育を受けることが、ドイツなんかはそうでありますけれども、やはり、お子さんが当たり前のようにそういう習慣がついていること、これは大人にとって非常に影響が強いというか。そういう意味で、これからの子供たちに対する環境教育の重要性ということもこの修正案には含まれておりますので、政府には是非しっかり受け止めていただきたいと思います。

 修正案につきましてはこれで質問を終わらせていただきますので、御退席いただいて結構でございます。

 次に、閣法の内容について確認、質問させていただきたいと思います。

 地域脱炭素の実現に向けた地方自治体への長期的な財政措置の在り方についてお尋ねをさせていただきます。

 ゼロカーボンシティーを目指す全国の自治体は約七百に迫る勢いで、私の地元の山梨県については、全国で初めて、県内の全ての市町村がこの宣言をしております。こうした意欲のある地方自治体に対し、人材、情報、資金の面から積極的に支援して地域脱炭素を実現するため、政府は昨年六月に地域脱炭素ロードマップを策定し、二〇三〇年までに脱炭素先行地域を少なくとも百か所つくり出し、二〇五〇年を待たずに脱炭素を達成するモデルをつくり、全国に脱炭素のモデルとなる取組を普及することを目指すとされております。

 参考人質疑では、所沢市の藤本市長から、この脱炭素先行地域の選定に当たり地域の実情、特色を踏まえた評価を行うことを求める発言がございました。また、脱炭素ドミノを起こすためには先行地域以外の地域を脱炭素化する仕掛けが必要である、引き続き国、市町村が一体となって進めていくような施策の検討が必要であるとも述べられておりました。

 山口大臣は、提案理由説明の中で、国が地方公共団体や事業者を強力に支援することにより地域の脱炭素化による町おこしを促し、これが新しい時代の成長のエンジンとなる、その実現に向け、二〇三〇年までが人類の正念場、勝負のときとの決意の下、各地域と対話を重ねているとも述べられておりました。

 まさにこれからの十年が勝負の年であると私も考えますが、それとともに、二〇三〇年以降を見据え、約千七百ある自治体の全てにおいて脱炭素を実現していくためにも、今後、継続的な財政支援などが必要になるのではないかと思います。地域の特性に応じた長期的な財政支援の在り方について、山口大臣の見解を伺いたいと思います。

山口国務大臣 環境省として、二〇三〇年度の四六%削減、あるいは二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、地域の脱炭素化がまず必要不可欠だという認識です。

 今回の二百億円の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、法文上、十九条の三ということで、国は必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努める、まずは二〇三〇年に向けてこういう話を進めるわけですけれども、その中で、複数年度にわたって、複合的に、そしてまた計画的かつ柔軟に実施することを可能にできるようにというのがその趣旨です。

 そして、今回の改正法案では地方公共団体に対する財政上の措置に関する規定を追加したというところで、長期的にしっかりと取り組んでいくことが大事だと思っています。

 その意味で、今回、令和四年度の予算ということでまずお願いし、またそういう仕組みをこの法律の改正ということでお願いしているわけですけれども、それが継続的になるように、きちっとした実施体制を組んで、また、みんなで納得いただけるように、来年度以降にもつながるように、そういうことが大事だと思っています。

中島委員 参考人質疑で、先ほども言ったように、藤本所沢市長は、地方自治体が積極的に取り組むため、長期的な財政措置を示してもらう重要性、また具体的な仕掛けが必要だと話されてもおりました。是非、明確な長期的財政措置の具体的な姿を示していただければ地方自治体もより取り組みやすくなると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続いて、脱炭素化支援機構について伺いたいと思います。

 機構が発行する株式について伺いますが、改正案の第三十六条の四により、政府は機構が発行する株式の総数の二分の一以上を保有することが義務づけられておりますが、政府以外の株式保有について、例えば外資ファンドが保有することも可能と伺っております。

 この外資についてですが、現に、外国資本によるメガソーラー発電事業による地域トラブル報道が幾つもあります。もちろん外資だけが悪いわけではありませんが、機構の設立、そしてその後に向けては、優良な株主を是非確保していただきたいと改めて思います。

 機構が脱炭素社会の実現に向けた公的な役割を担っていくことに鑑みて、政府以外の、例えば外資などの株主の構成の在り方について環境省としてどのように考えているか、確認をさせてください。

山口国務大臣 脱炭素化支援機構に対する民間からの出資というのは、設立時において数十億円程度を目安として、今、声をかけさせていただいています。

 オール・ジャパンで取り組むという意味で、多くの意欲的な民間の事業者に出資いただけるように期待しているわけですけれども、先ほど中島議員の方から外資ということもありました。私的には、地球温暖化の防止と我が国の経済社会の発展の総合的な推進を図る、そういう意味では、出資者は基本的に国内企業とするというふうにしたいなというふうに思っています。

 今般の法律案では、機構の株主は株式譲渡に当たって機構の取締役会の承認を要するということで、そういう中で、気がついたら外資が変なことをやっているなという御心配、そういうことが当たらないように、我々は、きちっとした格好で、国内の企業を基本的に想定し、それが我が国の経済社会の発展の総合的な推進を図るということにつながるようにしたいなと思っています。

中島委員 今大臣から、出資は基本的には国内企業ということを念頭にと。基本的な考えということなので、私も安心をいたしました。

 別に外国資本が悪いというわけではないんですけれども、今後、我が国の、この後ちょっと質問で触れますけれども、技術力といったものもより生かしていくためにも、比率について、是非その前提を踏まえて対応していただきたいと思います。

 次に、支援対象事業の選定について、これも確認をさせていただきたいと思いますが、現在のグリーンファイナンス推進機構の出資案件では、事業で扱う機械類の技術に関しては海外企業に依存している状況があります。

 山口大臣は、三月二十九日の委員会質疑の際に我が党の馬場議員の質問に対して、陸上風力や洋上風力などの技術に関して日本製のものが採用されるよう後押ししていきたいとも答弁をしていただいて、先ほどのもちょっと関連いたしますが、この機構の原資に産業投資という形で公的な資金が入ることを考えると、やはり、対象事業で活用される技術については国産であること、その割合が高まっていくことが望ましいと改めて思います。

 可能な限り国産技術の活用が促進されていくよう戦略的に取り組んでいくことの重要性について、大臣のお考えをお聞かせ願えればと思います。

山口国務大臣 風力、羽根については昔は日本のメーカーも頑張っていただいていた時期があったみたいですけれども、今は全部、中国の方が安いということで、メーカーとして造っているところはないというふうに承知しています。非常に残念ですよね。外国の企業と組んでしようかという、そういうことの動きも少しはあるようですけれども、やはり国内のメーカーが国産の羽根を造れるというところまで是非いっていただきたいなと。陸上風力から始まって、小型らしいですね、陸上の方が。洋上の方が少し、仕組みも、浮体式ということになれば余計に大がかりということではあるんでしょうけれども。

 環境省的には、目下、経済産業省とよく連携をしながら、国産のエネルギーだというところをやはり重視したいなというふうに思っています。

中島委員 国産を重視という御答弁をいただきました。

 私は医者なんですけれども、今、新型コロナウイルスパンデミック、国産ワクチン、治療薬ですね、そもそも感染防護品も薬剤原料もほぼほぼ海外依存。私は厚労委員会ですが、国産のワクチン、治療薬を登場させるためには、もう二年以上たっているにもかかわらず、まだ登場できていない。これは、国民の皆様の国産ワクチン、治療薬に関する安心感もさることながら、経済安全保障にも資する話であって。

 そういう意味から、分野は違うんですが、この環境、発電、エネルギーの分野、この風力に関しても、やはり国産の技術を。我が国が、先ほど分野は違うと言いましたが、基礎研究から大変能力高い技術があるにもかかわらず、それが発揮できないというようなことにならないように、大臣にも是非その気概を持って取り組んでいただければと思います。

 次に、機構の支援対象事業における環境への配慮等についてお尋ねをいたします。

 機構による支援対象案件として想定されている再生可能エネルギー事業や森林保全事業等については、環境に配慮するとともに、地域と共生したものでなくてはならないと考えます。特に再生可能エネルギー施設については、建設地の生態系への影響や景観への影響等があるため、支援案件の選定に当たっては、より一層環境への配慮が必要とされます。

 適正な手続を経ずに設置された施設等が生態系の破壊など環境被害をもたらしている事例や、台風や土砂災害などの災害時に設備が破損したり飛散したりした事例も発生しております。地域でのトラブルも増加しており、地方自治体の中には、条例により設置規制に踏み切ったところが現時点で百三十か所以上もあるということでございます。

 改正案では民間資金も呼び込みながら幅広く取組を支援していくということがうたわれておりますが、収益性を重視する余り、地域への配慮という視点がおろそかにされ、事業者によるトラブルが多発することがないようにすることが必要であると考えられます。

 また、政策目的の実現という観点からも、適切に事業を遂行する者に対して支援が行われるようにするために、支援基準が地域トラブルの回避にも配慮したものとなることが求められていると思います。

 事業実施に当たって、具体的にどのように環境に配慮し、どのように地域と共生を図っていくお考えか、確認をさせてください。

山口国務大臣 再生可能エネルギー事業の開発に当たって、環境配慮あるいは地域コミュニティーとの共生というのが極めて重要だということは再三ここで確認されたと思います。そのため、支援決定に当たっては、脱炭素化支援機構は事業者の環境配慮や地域共生を確認する、その旨を環境大臣が定める支援基準に明記したいというふうに思います。

 制度上、機構による支援決定の際には環境省も確認できるということとしております。

 さらに、資金供給した事業が開始された後も、機構は、対象事業者からの実施報告等を通じて、環境配慮がなされているか、あるいは地域共生がきちっとなされているかという観点も含めて、事業が問題なく実施されていることを確認し、必要に応じて助言等を行うということとしたいと思います。

 また、先ほど来、中島議員から国産の話もいただいて、これはかなり大きな話だと思うんです、本当は。

 例えば、国立大学法人化ということを昔、二〇〇三年にやって、二〇〇四年からあっていますけれども、要するに、もうかるものしかできないわけですね、法人化されると。ノーベル賞を取ろうと思ったら三十年、五十年かけてやっている、そういうことが必ずしもできにくくなって。例えば、それ以降、近年において、当時まだ国立大学は、論文数という観点だけからですけれども、結構世界の上位を占めていたんですね。今はほとんど中国の大学ですよ。

 だから、そういう意味では、日本がこれから再生可能エネルギーについても技術を大事にして国産にしていくというところに当たっては、そういう仕組みのことも含めて相当な、我々が戦略をもう一度整理するというところが必要かもしれないというふうに思います。

中島委員 私、今大臣がおっしゃるとおりだというふうに思います。戦略的にと一言で言うと簡単なんですが、なかなかそれが、先ほど言った、分野は違っても様々なところに影響が出ているということで、是非そのような観点を大事にしていただきたいと改めて申し上げたいと思います。

 時間が限られておりまして、確認質問なので、二問飛ばさせていただいて、気候変動適応計画ですね。

 これは言うまでもなく、地球温暖化、温室効果ガス削減に向けた取組、緩和と適応は車の両輪であると。参考人質疑の中でも、WWFジャパンの小西参考人も改めて、この適応の重要性について言及をされておりました。車の両輪である適応について、気候変動適応計画、平成三十年に法定化されました。私は以前、環境委員会で適応計画の法定化を急ぐべきだということを再三指摘をさせていただいて、今、法定化されておるわけです。

 大変基本的なことで恐縮なんですけれども、この適応について十分に国民の皆さんに理解を得られているか。適応計画策定の状況も踏まえて、気候変動対策としての適応計画の策定、実施の重要性について、大臣の御認識を確認させてください。

山口国務大臣 全国における地域気候変動適応計画の策定数については、現在百十五の自治体が計画を策定済みで、この約一年間で倍増したということです。

 国として適切に、自治体の実態、課題に応じて適切に支援していくということが我々は重要だと思っています。

 そのために、地方公共団体の職員の人がそういうことをしやすくなるように、地方環境事務所が、七ブロックあるわけですけれども、気候変動適応広域協議会という枠組みをつくってやっています。都道府県市や国の地方行政機関等による広域連携を促進しているところです。

 これから、更に国立環境研究所あるいは都道府県と連携しつつ、必要な支援を継続していきたいと思います。

中島委員 都道府県の適応計画は進んでいますが、一方で市町村の計画策定が、増えてはいるものの、やはり技術的な専門性も高いということで、各市町村から、昨年の内閣府においても、ちょっと勘弁してくれということも御意見として各自治体からは出ているということでございます。

 本当に改めてで恐縮なんですが、緩和はもちろん大事ですが、実際に起き得ることに対する適応は、地域の特性もございますし、やはり重要なんだという観点から、先ほど松木委員からも感染症のこともございましたけれども、農林水産分野も含めてこういった適応が非常に重要なんだ、まさに車の両輪なんだということも大臣として国民の皆様に分かりやすく御説明していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。よろしくお願いいたします。

 先日、参考人の質疑がありまして、私も本当に、それぞれの参考人の方のお話、大変参考になりました。特に、今も中島委員御指摘の、WWFの小西参考人のお話が非常に私は印象的でありました。

 そのときに小西参考人からもお話がありましたが、我が国の環境政策の特徴として、長期的な戦略と短期的な戦略が混同しがちだという指摘がありました。二〇三〇年までには徹底して省エネを推進して可能な限り再エネを導入するということに集中して取り組むべきだ、なのに、どうしても日本の場合は革新的技術に頼りがちで、そこに目が行きがちなのではないか、これももちろん大事なんだけれども、それはやはり二〇五〇年に向けたものであって、二〇三〇年、まずは省エネ、再エネを重点的に行っていく必要がある、こういう御指摘がありました。この委員会でも度々そういうようなお話も出ていると思います。

 まずは、この御指摘について、基本的な大臣の受け止めを伺いたいと思います。

山口国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けて、短期的な早く大きく削減するということと、中長期的にイノベーションを進めながらという話、これを同時並行的に行っていくということだと思っています。

 二〇三〇年に向けては既存の技術を最大限活用する、その中で、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、現時点では社会実装されていない脱炭素技術について、それを開発あるいは普及させていく、こういう同時並行的な話だと思っています。

源馬委員 それはもちろん同時並行的で、両方やらなきゃいけないんですけれども、そうはいっても、もっとやはり、二〇三〇年に向けた短期的な方の取組を、もうちょっと力を入れないと。確かに同時並行なんですが、それでもそうは見えていないというのが参考人の御指摘にもあったと思うんですね。先ほどの田嶋委員の答弁の中にもそのようなお言葉もあったと思います。

 特に、支援的措置、今回のこの法改正で、自治体なんかにも支援するし、企業にも支援をすると。支援的措置はあるんだけれども、難しいとはいえ、規制的措置が余り踏み込めていないのではないかということも指摘をされています。是非、この指摘、大切なことだと思うので受け止めていただいて、より短期的な取組にも集中するといいますか、同時並行はもちろんなんですが、力を入れていくということを是非行っていただきたいなと思います。

 さらに、今回の脱炭素化支援機構を成功させるための政府の取組について伺っていきたいんですが、これも参考人の方から強調されておりました。オール・ジャパンで取り組んでいくことが当然重要で、これは環境省だけではなくて、経産省や国交省など、関係省庁が協力して取り組むべきだと思います。これはもう、皆さん、政府もそう答弁されるし、我々もみんながそう思っているんだけれども、現実がなかなかうまくいっていないのではないかという御指摘もございます。

 特に、気候変動対策は、環境の問題であり、かつエネルギーの問題でもあるわけなので、これは本当に言い尽くされていますが、やはり同時に考える体制というのが必要だと思うんですね。新しい脱炭素化支援機構の取組が成功するためには、各省庁でもっと協力連携していくべきだと思うんですよ。

 さんざんこれまでの答弁でもあったように、連携を密にしていきますとかではなくて、そこにとどまらずに、将来的には環境やエネルギーを総合的につかさどる司令塔のようなものがやはり必要なんじゃないかと思いますが、縦割りと言われている日本の現状で難しいところがありつつも、横で連携をうまくしていきますでは、これまでうまくいったためしがないと思いますので、長期的な視点で結構ですが、大臣のお考え、気候危機対策に向けてですね。連携にとどまらず、総合的な司令部が必要だと思いますが、このことについての大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、小泉(進)委員長代理着席〕

山口国務大臣 四十年前、私、外務省に入省して一番最初の仕事が環境委員会という、OECDの環境委員会担当。当時、通産省と呼ばれていた今の経済産業省、そして環境省は環境庁でした。本当に死闘を演じていましたよね。連携なんて言葉は絶対出なかったですから。

 私は、今回、環境省に来させていただいて、物すごく様変わりしているどころか、完全に世界が違っているんですね。コラボという言葉以上に、経済産業省と環境省が一体となってというのに近いぐらい今やっています。連携という言葉は私はそういう意味では肯定的に取っていて、現実にやっているし、そのことにおいて間違いないだろうという意識を持っています。

 この間の一月十八日のクリーンエネルギー戦略の検討懇談会、この場で、岸田総理がある意味で指示するという格好で、萩生田経済産業大臣と協力してグランドデザインを描いていくという使命を私はいただきました。

 エネルギーそのものについては、経済産業省が確かに担当していますよね。ただ、我々は、そのことについてもいろいろな形でもってかませていただいています。それから、我々のそもそものインストラクションというのは、地域の脱炭素移行、国民それぞれのライフスタイルの変容、あるいはカーボンプライシングの方向性、そういうところを具体的に指示はもらっているわけですけれども、今回、このグランドデザインということを示せるかどうかというのは、示していきますけれども、それは非常に大事だと思っています。

 我々が今急がなきゃいけないのは、私はさっき同時並行的にということで短期と中長期と言いましたけれども、ここからこういうふうにすれば後は間違いなく、二〇三〇年の四六と五〇、そして二〇五〇のカーボンニュートラル、これができるなということをどうやってできるだけ早く示せるかというところだと思うんです。

 いろいろな道具立てを今立てているわけですよね。二百億の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、あるいは脱炭素化支援機構、さらには、いろいろなその道具立ての中でZEBとかZEHとかという話もあるでしょう、それからカーボンプライシングという方向性もこれから出していきます、そういうことで、ここまでやったらできるなというところまで、まだそれが示せていないわけですよね、省エネのこともその中に入ってきます。

 だから、グランドデザイン全体として、経済産業省ときちっと心合わせをして、知恵も合わせて、これで二〇三〇年にクリアできそうです、これで二〇五〇年もニュートラルに持っていけますというところだと思うんです。

 そういう意味で、経済界の方々とも今非常に緊密に連絡を取って、かなり赤裸々に話をさせていただいていますけれども、一言言えるのは、本気ですよね、経済界の方々も。カーボンニュートラルは所与の前提として受けざるを得ない、そして、場合によっては物すごい出費も覚悟の上だと。だから、今度、我々から、国としてどこまでサポートできるだろうかというところを探るべく、今いろいろと話をさせてもらっているところです。

 だけれども、おっしゃるように、短期、中長期を併せて、ここをこうやってこうやってこうやるから、これでどうだ、できるだろうという軌道に、後は走るだけだというところまでできるだけ早く持っていきたいと思っています。

    〔小泉(進)委員長代理退席、委員長着席〕

源馬委員 ありがとうございます。大臣の心強い、そして熱い御答弁をいただいたと思います。是非よろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、脱炭素化支援機構の在り方について、少し、ちょっと細かな点を伺っていきたいと思います。

 まず、民間の出資が当然入るわけで、民間の出資が入るというところが官民ファンドの肝であると思いますけれども、オール・ジャパンで進めていくために、民間の出資金は、金融機関だけではなくて事業会社も含めて、また、その事業会社も、裾野が広い、幅広い業界から集めていくことが重要になるというふうに思います。そうした幅広い民間企業から出資を得て、株主となった民間企業には、単に資金を出すで終わりではなくて、環境という大切な課題について、ほかの企業をリードしていくような、そういう存在になっていただくことも大事だと思います。

 その上で、出資した民間企業が支援機構としっかりコミュニケーションを取りながら、あるいは、株主間でも交流があったり協力を取ったりしながら、こうしたカーボンニュートラルへの投資をまさにその人たちが機構と一体になって牽引するような、そういう先駆者になっていただきたいというふうに思いますけれども、民間企業の支援機構への関わり方について今現在どのように考えているのか、御答弁をお願いしたいと思います。

中川大臣政務官 委員からは、機構の民間企業との関わり方について御質問をいただきました。御答弁申し上げます。

 脱炭素投資の拡大に向けては、資金供給のみならず、資金需要の拡大に取り組むこと、これも重要であり、資金需要の拡大のためには多様な手法が考えられます。

 脱炭素化支援機構におきましては、機構に対して御出資をいただく民間の株主の皆様に対して、今提案をいただきました、例えば、機構からの事業報告などを通して、脱炭素分野の事業動向や資金ニーズの傾向など、こういった情報提供などをすることにより、脱炭素投資の機運の一層の醸成、これを図っていきたいと考えておりますし、株主間の連携、そういった意見交換、こういったことも考えてまいりたいと思います。

 また、支援の対象となる事業者の方々に対しては、出資等の資金供給を行うだけではなくて、専門的見地からの助言、こういったものも行いまして、事業を一層支援していきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、機構が、今委員も御指摘がありましたオール・ジャパンの官民連携で脱炭素社会の実現に取り組む懸け橋としての存在になれるよう頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

源馬委員 ありがとうございます。

 次の質問を飛ばさせていただきまして、先にその次の質問をさせていただきたいと思います。

 環境とか、それからカーボンニュートラルですね、大事なことというのは大分知れてはきていると思います。ただ、同時に、国民が本当に自分事として捉えられているかというと、まだそこまではいっていないと思います。自治体がどんどん今も取り組んでいて、ゼロカーボン宣言とかが増えてきて、やろうとしているところは増えてきているし、若い世代も、我々より上の世代とかと比べると、ちょっと意識って、確かに変わってきているのではないかなと思うんですよね。

 ただ、この前も、参考人でおいでいただいた首長さんも、所沢の市長さんもいらっしゃいました。もっと地方が取り組んでいくために、首長選挙のときにカーボンニュートラルとか気候危機とかと言えば票が増えるような風潮になれば、もっと取り組んでいくと思うんですよ。それは、我々のような議員の選挙でもそうだと思うんですけれども、まだそこまで自分事じゃないから環境問題って票にならない、そういうイメージだと思うんですよね。

 なので、アイデアマンの大岡副大臣に聞きたいんですが、選挙で環境問題を取り上げたら有利になる、こういう風潮をつくっていくのがいいと思うんですが、そういうのはできませんか、副大臣。

大岡副大臣 源馬議員にお答えをいたします。

 確かに、環境は票にならないとこれまで言われてきました。私自身も、反省しながら振り返ると、余り選挙のときに環境の政策というのを強く打ち出してこなかったなと思っています。ただ、いろいろな方々の御努力のおかげで、先生の御地元の浜松市も鈴木市長が先頭に立って脱炭素への取組を進めていただいております、こうしたことのおかげで少し地合いが変わってきたと思います。

 したがいまして、特に来年は統一地方選挙がございますので、こうしたことを通じて政治家そして地域の方々が対話する機会を増やし、そして、脱炭素って何なのか、自然環境を守るって何なのか、こうした環境政策も今後積極的に争点にしていただきたいと思っています。

 少し具体的に申し上げると、実際に地域に脱炭素化を進めると、実際にはここの地域ビジネスが活性化して、その脱炭素化の取組によって得たものを地域還元できる事例というのも出てきていますし、あるいは、非常時には分散型エネルギーというのが非常に強いということが分かっていますので、防災は非常に関心が高いですから、こちらの接続をしっかり訴えていくということも有効じゃないかと思います。

 さらには、いい会社というのはやはり脱炭素の取組をちゃんとやっている自治体に企業立地をしようと思いますから、当然、今後の企業立地をしていく上では、あるいはそういったいい会社をそれぞれの自治体に引っ張ってきて、お互い高め合いながら価値を高めていく、こういった道筋を見出せれば、これまで言われていたような票にならないなどということはないんじゃないかなと思いますので、これからも、選挙というわけにはなかなかこの立場で答えにくいんですけれども、こうした自治体の取組をしっかりと後押しして、自治体の価値が高まるように、地域の住民の満足度が高まるようにしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。

源馬委員 ありがとうございます。

 やはり、環境問題とかカーボンニュートラルに意識をしっかり持った首長が誕生すると、本当に、日本全国各地、国からの支援がなくてもどんどん進めていくと思うんですよ、あの所沢のように。浜松も、御指摘のように、市長がすごく先頭に立って、物すごく力を入れています。でも、選挙のときは、選挙のときにそんなに言わなくても取り組むんですが、言えるようになったらもっと変わっていくと思いますので、是非またこれは、党派を超えて、そして政府も議員も関係なく、みんなで力を入れて改革できたらなというふうに思います。

 それから、大臣にもう一つお伺いしたいんですが、参考人質疑等でも指摘がありました。地球温暖化対策推進法という、地球温暖化という言葉自体がかなり昔の言葉であって、この法律自体も相当前に成立をしている、やはりそろそろ全体を、さっきも言いましたが、環境もエネルギーも気候も、全体を取りまとめるような基本法というものが必要ではないかというふうに思いますが、大臣の御認識を聞かせていただきたいと思います。

山口国務大臣 先ほど、司令塔の話もいただいたり、その中で環境省と経済産業省がきっちり意思疎通できているということを申し上げたんですけれども、今度は仕組みの面でどうかというような観点だと思うんです。

 緩和面からは、地球温暖化対策推進法、緩和するというのは要するに一・五度以内に抑えていく、そのためにCO2を減らしていく、そういう意味では趣旨としてはぴたっときていると思うんです。それから、適応面からは、気候変動適応法ということで、国による計画の策定、あるいは評価の実施、そして地方公共団体による計画の策定、こういうことがずっと決められているわけですね。

 今、源馬さんの方からは、緩和面の地球温暖化対策推進法と適応面からの気候変動適応法、これを一本でまとめたらどうかということ。趣旨はそのとおりだと思うんです。私は、二つの法律でもってきれいに今のところはいっているものですから、そういう意味で、あとは、国民のみんなにどういうふうにその認識を共有していただけるかと。

 先ほど選挙の話も出てきましたけれども、ドイツあたりは緑の党とかいうことで、相当勢いを持って出てきているような気もします。よく若い方に話す機会が最近あるんですけれども、未来は変えられるというところを彼らと共有して、政治に関わるということは未来を変えていくんだというところをどういうふうに我々は共有できるか、このままいったら二度以上になるという危機感をどうやって共有して。だけれども、それは変えられるんだ、誰が変えるんですかと。これが選挙の意味だろうと思います。

 そういう意味では、その辺の、我々が、この共有をどういうふうにしていって、若い世代と一緒にできるかというところだと思います。

源馬委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 それでは、修正案について提出者に伺っていきたいと思います。

 今回の提出された修正案には基本理念の追加がありました。政府案と最も違うところはどういったところなのか、特にどんな理念に基づいた修正案なのかを提出者にお伺いしたいと思います。

田嶋委員 ありがとうございます。

 理念の違いということでございますけれども、政府案というのは、改正の柱が官民ファンドの組成ということでございます。資金の呼び込みが重要だと。もちろん改正内容に関しては同意ができるところでありますけれども、いろいろな意味で十分書き込まれている法律にはなっていないということだと思います。

 今おっしゃっていただいた基本法の話もございましたけれども、私、先ほど、松木先生の御質問の中で環境庁から環境省の話がございましたでしょう。今のこの温対法というのは、そもそも、できたときは環境庁なんですよね。パリ協定ではなくて、随分昔になりました京都議定書、九七年、その直後にこの温対法ができて、以来、今回が八回の改正だということでありますので、随分、何というか、マンネリ化しちゃっているような感じもするんですね。

 だから、私たちの違いというのは、やはり本気度、それから危機感、そして国民挙げての運動にしていかなければ間に合わないんだ、そういう強い思いだということを、是非、大臣以下も、そして各委員、与党の先生方にもお酌み取りをいただきたい。是非お願いをしたいという思いでございます。

 基本理念でございますが、これも一つ、今の法律に入っているんですけれども、私たちはそれを大幅に書き込もうということでございまして。予防原則、先ほどの問題多きメガソーラーの話もございました、予防原則の明記。それから、特に国民民主党さんからも御提言いただきました環境教育ですね。やはり、国民を巻き込む前提として、もっと教育現場で環境の話がなされるべきだということです。それから、当たり前ですけれども、主体としての国民や地域住民の参加と情報公開。そして、一番迷惑するのは将来世代だということで、将来世代に過大な負担をかけてはいけないという考え。そしてもう一つは国際的な協調ということですね、日本が恥ずかしくない結果を出していかなきゃいけない。

 こういった基本理念が、そもそも全然強化したというのが私たちの修正案でございまして、基本法すらない状況でございますので、せめて、出てきた閣法に対してこういう修正を提案させていただいております。

 二つ目は、地球温暖化対策の討議会というものですね。趣旨説明でも先ほど申し上げましたが、各国、具体的にはイギリスやフランス、そして日本の国内でも札幌とか川崎で既に始まっております。無作為抽出というところがみそでございますが、無作為抽出をして選ばれた市民から成る気候市民会議というものをやろうじゃないかということです。

 間接民主主義の当事者である私たちは、何だそれというようなふうに思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、完璧な民主主義はない、特に未来世代まで大変影響があるこの問題に関しては、率先して間接民主主義に加えて直接民主主義的な側面を導入するという試行錯誤が各国で行われておりまして、是非、これを私たちは修正案として提案させていただきました。

 もちろん、知識という点がございますので、いわゆる専門家チームのサポートということも提案をさせていただいております。従来から普通に政府が行う審議会とは全くこれは切り口が違ってくるのではないかというふうに考えております。

 三つ目ですが、やはりこれと関係して、国民や住民参加の充実ということを行っていかなければならないということで、国や地方公共団体に対して、国民、住民の意見聴取の措置を講ずるように責務規定を設けて、環境教育の推進の施策を講ずる努力義務を課すとともに、地方公共団体実行計画への住民の意見の反映ということなどを規定として設けさせていただいております。

 それから、四つ目の違いでございますが、今日も与党の先生からも強く問題意識を共有していただきました、問題多きメガソーラーの関係でございます。私どもも取り上げさせていただきましたが、保全区域ということを是非明示的に設けるべきではないかと。今の気候変動対策、大きな課題ですけれども、生物多様性の保全や景観の保全ということで、守るべき価値とぶつかる場合が当然あるわけですね。そういう意味では、脱炭素化促進事業を行うべき区域だけではなくて、それを避けるべき区域ということを地方公共団体の実行計画の記載事項として追加させていただきました。

 五つ目ですけれども、検討事項ということで、修正では一番最後の方に出てくるんですが、今委員からも御指摘がございましたが、もはや地球温暖化というような生易しいものではないんだということをみんな私たちは理解しているわけでございますので、そうした法律面も含めて、そして、本来であれば、先日の参考人もおっしゃっておられました、基本法がやはり必要なんだと。環境庁の時代に作った法律でお茶を濁しているような現在の状況では本気度が全く国民に伝わらないということを私たちは危惧して、そうしたことを検討事項として入れさせていただきました。

 また、ゾーニングに関しても、それでもまだ絶対に止めるというところまでは手が届いていないものですから、この点に関しての更なる検討も検討事項として入れさせていただいたところでございます。

 以上、五点ほどが主な違いということでございますが、どれもひとしく重要でございますので、よろしくお願いいたします。

源馬委員 今の五点、重要な政府案との違いというのを御紹介いただきましたが、その中の一つ、促進区域の設定だけではなくて、反対に、保護区域を定めることができるという内容になっています。これも今少しお話があったんですが、これまでもいろいろ議論が出てきたように、環境を守っていくということと再エネ開発を同時にやっていかなくてはいけない中で、特に、保護区域を今回政府案では定めていないということが、それでも政府は大丈夫だという御答弁がこれまでありましたけれども、やはり定めるべきだと。

 一番のこの懸念点、保護区域を定めない政府案に対する懸念する点というのはどういうところなのか、提出者にお伺いしたいと思います。

田嶋委員 程度の差かもしれませんけれども、やれることは全部やらなきゃいけないと思います。そういう意味で、絶対禁止区域というのをドイツのようにゾーニングしてやるのが理想かもしれませんが、今どうしても法律の立てつけ上それが無理であったとしても、何というか、言外に言っているだけでは十分じゃなくて、やはり保全区域、保護区域というものがきちんと定義されて、こういうところでは全く望んでいないということを行政が意思表示するということは僕は本当に大事だというふうに思います。

 そういう意味では、今の政府あるいは法律の中身という意味では何とも不十分だというふうに思ってございますので、促進区域ということだけでは駄目でございます。

 気候変動対策というのは大きな課題ですが、先ほど申し上げたとおり、対立する価値というのがどうしてもあるわけでありまして、また、地域住民との合意形成を経ない形で再エネ施設が設置されることで、景観の悪化、騒音等の環境トラブル、言うまでもなく地すべり等の災害が発生します。

 実際に、今の政府の促進区域の設定に関しても、これは環境省の省令の方で、自然環境保全法の自然環境保全地域等は促進区域にできない等、一定の基準があるのは事実なんです。しかし、それは、何というんですかね、国民に対する強さという意味では弱いですね。そうじゃなくて、都道府県においても、こういう基準をつくることは承知しておりますけれども、それをより明確に打ち出すために、単に促進区域としないということだけではやはり不十分であり、市町村として具体的に守るべき地域を示すことが重要と考えたところでございます。

 以上です。

源馬委員 ありがとうございます。

 さらに、もう一つの重要な点、討議体ということで、くじ引民主主義のお話がありました。

 これも、実際に行っているところもあるわけで、当然意義もありますが、この修正案を作成していく中でもちろん御検討されたことだと思うんですけれども、日本で実際にこのくじ引民主主義的なものを実施するに当たっての、御検討された懸念点みたいなのがあったのか、課題みたいなのがあったのかを、くじ引民主政治についてお伺いをしたいと思います。

田嶋委員 一部、先ほどの答弁とも重なるかもしれませんが、ほかでもない気候民主主義、若い人たちからも大変関心が高まってきているのは事実でございまして、それをもっともっと国民運動化していかないと二〇三〇年、二〇五〇年の目標が達し得ない、その危機感は十分ではない、その危機感を広げる、そして運動を拡大していくための一つの手段として私たちの間接民主主義に付加する形でくじ引民主主義の挑戦が、いろいろなところで、政府レベル、自治体レベルで始まっているということだろうというふうに思います。

 先日、吉田参考人が御説明されておりました。こういうのを気候民主主義ということで、まさに一人一人が我が事として考えていくということだと思います。住民に積極的に関与してもらう政策ということでございまして、日本はいつもながらの審議会が議論の場として活用されますが、審議会はステークホルダー中心の構成となっている、声の大きい団体とかですね。そういうことではなくて、つまり利害調整的な場ではなくて、一般国民の普通の感覚ということをとりわけ気候危機の問題に関して取り入れていこうではないかということでございます。

 先ほど申し上げたとおり、欧州でもフランスやイギリスなどで既に始まっているところでございます。待ったなしの対策が求められる気候危機問題ですが、国民一人一人が意思決定に関わり、当事者意識を養うことが重要ということで今回提案させていただきました。

 このような制度が日本でも定着して、市民による討議、熟議の民主主義ということで、政策が国民とともに共有されながら進むということが結果的にはこの厳しいターゲットに対して達成していける唯一の道ではないかというふうに確信をいたしておりますので、与党の委員の先生方にも、野党の先生方にも、こうした新しい挑戦を立法化していくということの重要性を是非御理解いただきたいと思います。

 以上です。

源馬委員 ありがとうございました。

 これで終わります。

関委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 維新の会の漆間と申します。

 三月二十九日の質疑とかぶる部分もあるかと思いますが、改めて、四月一日の参考人の御意見を踏まえて幾つかお伺いしたいと思います。

 参考人の御意見を踏まえますと、新機構においては二〇三〇年までに温室効果ガスの半減を視野に入れた事業が選ばれることが重要だということを言っておりましたし、そうだと考えられますが、新機構における支援基準の策定や基準内容についてどのように考えているか、また、具体的にどのような事業が想定されるのか、改めてお伺いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 脱炭素化支援機構は、収益性や温室効果ガスの削減を前提に、主に、実用化、実装可能な状態にある技術を用いた事業であって、収益性はあるが民間のみでは資金調達が困難な事業の事業化や規模拡大を幅広く支援することを想定しております。

 機構の支援対象について定める支援基準については、脱炭素社会の実現に寄与するものであること、我が国の経済社会の発展に貢献するものであること、収益性があること、環境配慮や地域共生などがなされていることなどを記載することを想定しております。

 また、機構の支援対象の具体的な事業としては、例えば、地域と共生した再生可能エネルギーの導入、食品バイオマスの肥料、燃料等への循環利用、森林の保全と木材、エネルギーとしての利用などの事業が想定されるものと考えております。

漆間委員 目標達成、これをしっかりと念頭に踏まえて事業選定をお願いいたします。

 続きまして、これは源馬委員の質問と物すごくかぶるんですけれども、四月一日の参考人の意見では、二〇三〇年半減に向けて政府は社会変革や既存技術の普及拡大を中心にすべきで、二〇三〇年までに必要な対策と長期的に必要となる革新技術を混同しないようにという御意見がございました。

 この御意見を踏まえて、事業の選定に当たり、どのような体制づくりまた戦略を考えているのか、細かな点を御答弁願います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 脱炭素化支援機構では、分野、規模共に拡大し、新たな分野にもチャレンジしていくことが必要となってまいります。

 このため、グリーンファイナンス推進機構においてこれまで出資等を行ってきた知見、経験の豊富な役職員の多くに引き続き御活躍いただくとともに、脱炭素分野の事業や投資、モニタリング等の経験や、金融分野、経営企画や組織管理等に関する知識のある方を幅広く採用できるよう準備を進めてまいりたいと考えております。

漆間委員 先ほどの御答弁ですと、参考人の意見をしっかり踏まえてという点が余りなかったと思うんですけれども、こういった点もしっかり考えていくということでよろしいんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 今国会の審議で指摘された様々な事項、参考人の出された意見、様々な社会、経済の要因を踏まえて総合的に判断していくものと考えております。

漆間委員 これも三月二十九日の質疑でもあったんですけれども、参考人の御意見を踏まえると、脱炭素化委員会の人選なんですけれども、これは、産業界寄りの研究者のみならず、特にグローバルな知見を持つ研究者などから多様な人材を複数登用することが必要とございましたが、改めて脱炭素化委員会の人材登用の在り方についてお伺いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 脱炭素化支援機構においては、機構内部で十分な審査、検討等を経た案件であっても、投資の支援決定等の最終判断は、社外取締役も含めた一部の取締役から成る脱炭素化委員会において専門的見地から迅速かつ中立的に行うこととしております。

 脱炭素化支援機構の取締役のうち、どの取締役が委員として参加するかは取締役会の決議により定めることとしておりますが、脱炭素事業や金融等の知見が豊富な取締役が委員として参加することになるものと想定しております。また、他の官民ファンドと同様、脱炭素化委員会には社外取締役が少なくとも一名以上は含まれることとしております。

 脱炭素化委員会の具体的な人選や人数等については、御指摘も踏まえつつ、また、独立性、中立性が確保された構成となるよう、機構の取締役会議により委員を選定する際の環境大臣認可プロセスの中で適材適所の観点から適切に対応してまいりたい、このように考えております。

漆間委員 山口大臣は、三月二十九日の斎藤アレックス委員の質疑の答弁の中で、公的資金を拠出してファンドをつくるという視点から産業競争力を高めカーボンニュートラルの実現をしていく中で、自分さえよければいい、もうかりさえすればいい、今さえよければいいという感覚よりもう少し高い段階での判断基準が必要であり、官民ファンドと環境省とがよく意思疎通を図ることの重要性を述べられておりました。この大臣の決意、すばらしい決意なんですけれども。

 毎回、こういう官民ファンドの議論では、大臣がこうやってすばらしい決意を述べられて、これでもう大丈夫だみたいな感じで進んでいくんですけれども、実際、これがうまくいかず、官民ファンドの機構ではいろいろな問題が起こっており、後で見ると、税金の無駄遣いだっただとか、そういったことがよく起こっておりますけれども、こういった大臣がおっしゃったすばらしい決意がどう機構にしっかり落とし込めていけるのか、国と機構がしっかりと意思疎通を図るための具体的な方法についてお伺いいたしたいと思います。

山口国務大臣 我々が産業競争力を高めて、なおかつカーボンニュートラルを実現していく、そういう高い判断基準が必要なんだろうと思います。脱炭素化支援機構には、その意味で、担保を設定して融資するという伝統的な金融手法のように保守的になるのではなく、思い切ってやれるように人材も仕組みも整えたいと思っています。

 その設立準備においては、限られた給与の中でこの機構の崇高な目的を理解して手腕を発揮してもらえる人材を役職員として採用すべく、今探しております。脱炭素化支援機構に対してはこのような考えをしっかりとお伝えして、綿密にコミュニケーションを取って、環境省と機構の二人三脚で脱炭素投資の促進に取り組む仕組みをつくっていきたいと思っています。

漆間委員 大臣からまたすばらしい御答弁もいただいたところなんですけれども、環境省としてはこれを捉えてどうしっかりやっていくのか、改めてお伺いいたします。

上田政府参考人 お答えいたします。

 これから脱炭素化支援機構の体制整備また様々な業務を進めるに当たりましては、機構との綿密なコミュニケーションを取って、二人三脚でと大臣のお言葉がありました、これを体現できるよう事務方としてもしっかり頑張っていきたい、このように考えております。

漆間委員 特に、後からいろいろなことが起こっても検証ができるように、文書主義などを徹底していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私からの質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 本日は、温対法改正案とその関連について質問させていただきます。

 現在の地域脱炭素投資促進ファンドでは、令和三年十月時点で百八十四億円の出資を行っていると。地域ごとで見てみると、東北、九州・沖縄が地域ごとで大きくなってきて、一方で近畿や四国には投資実績はございません。地域ごとに違いがある、この理由、お尋ねしたいと思います。

上田政府参考人 お答えします。

 特定の地域の案件に重点を置くという考え方で案件の積み上げを行っているものではなく、地域がどこかによらず、中立的な視点で案件の組成、審査を行ってきたところでございます。

 八年間の実績として、近畿と四国には出資実績はございませんが、近畿や四国も相談案件や途中まで進んだ案件はあるところでございます。

 新たな機構においては、各省の地方支部局等との連携、地方公共団体や地域金融機関との情報交換など、必要に応じて地域を巻き込みつつ、きめ細やかな案件組成や運営を行うことをしてまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。是非、近畿地方なども積極的に取り込んでいただきたいというふうに思うんですけれども。

 百八十四億円出資されて一千八百七十六億円の、呼び水効果は十倍ということで前回の委員会でも議論がありましたけれども、新たに今回できる脱炭素化支援機構については二百億円の出資をすると。この中で、実際、十倍も効果が、呼び水効果を見込んでいるのであれば財政投融資は必要ないとも考えられると思うんですが、この辺り、いかがでしょうか。

山口国務大臣 呼び水効果は、他の官民ファンド等の実績も参考にしながら、二〇二二年度、令和四年度は二百億円の資金供給に対してその四倍の八百億円の民間投資を呼び込んで、事業規模一千億円程度の脱炭素投資の実現に貢献するということを想定しています。

 いろいろな形で各国が大規模に脱炭素投資の支援政策を実施している、こういう背景を踏まえると、公的資金による支援の役割というのはやはり大きいものだというふうに認識しています。全国で脱炭素ドミノを起こしていきたいし、そのためには脱炭素化支援機構の設立はどうしても必要だというふうに考えています。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。しっかりと精査をして、民間の投資ももちろん必要だと思いますので、これが本当に重要だと思います。

 次に、竹のバイオマス発電についての質問をしていきたいと思います。

 今、各地で放置竹林問題があって、竹をバイオマス発電に活用することも考えられると思うんですけれども、実際、竹というのはカリウムや塩素が多くて、バイオマス発電には適しないということを言われています。技術開発によって現在はバイオマス発電は可能ということを聞いているんですけれども。

 最近、務台副大臣が山口県の総合化学メーカーを訪問されたと承知しております。その企業は、放置される竹林の竹からJ2サッカーチームの応援グッズを作ったりとか、あとは、バイオマス発電の活用も目指しているというようなことを聞いています。

 他方で、NEDOのプロジェクトから約十三億円の助成を受けて、ある企業が熊本県で竹を活用したバイオマス発電の実証実験を行っていました。しかし、生産開始が遅れ、昨年債務超過に陥っています。建材製造以外、既にほかの企業に事業譲渡を行っておられます。

 竹のバイオマス発電の可能性と課題についてお尋ねをしたいと思います。

大岡副大臣 遠藤良太先生にお答えいたします。

 竹のバイオマス発電でございますけれども、確かに有効だとは思いますけれども、課題がやはりたくさんあるんですね。

 先ほど先生がおっしゃったみたいに、灰の塊ができやすいとか、塩素分が多いので配管が腐りやすいとか、あるいはダイオキシンが再合成されやすいとか、あとは、竹は、真ん中が空っぽですので空間が多くて、さらに、人手が入らないとなかなか伐採してこれないのでコストがかさみやすいなどの課題の解決がどうしても必要でございまして、現時点ではなかなか実用化ができないと。ちょっと、いい答えにならなくて申し訳ないんですけれども。

 先ほどちょっと務台先生のお話もお披露目いただきましたけれども、例えば脱プラの代替材として使っていただくなどは考えられますけれども、現時点ではちょっとバイオマス発電の可能性については低いと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。先ほどおっしゃられたみたいに、脱プラという意味では代替ということでこういったものを活用される可能性はあると思いますけれども、コストがかかるという課題があると思います。

 一方で、熊本のNEDOについては助成でしたけれども、今回のは株式会社でやられるということで、脱炭素機構については政策性を求めていくのか、収益性を求めていくのか、どちらを重視していくのか、これをお尋ねしたいと思います。

山口国務大臣 対象事業については、機構の目的規定にあるとおり、脱炭素社会の実現に寄与するという政策性がまず大前提です。その中で、株式会社である以上、収益性が当然であるということで、財源が産業投資であることから政策性と収益性の両立が求められている、そういう事業に限って資金供給をしていくことになります。

 収益性の判断に当たっては、投資実務等に専門的知見を有する者で構成される脱炭素化委員会、そこが事業の政策性そして収益性を精査して支援案件を決定するということで、政策性と収益性の両立が極めて重要で、政策性を満たす事業であるということだけれども、収益性がないがしろになることがないように、そういうふうにしていきたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 放置竹林は私の活動している兵庫県三田市でも問題になっていまして、私自身は三田青年会議所というところに所属をしておりまして、この一か月、現地で竹を伐採したりとかモニュメントを作ったりということをさせていただいたんですけれども、今現在、三田市の市役所前には四月十七日まで竹を使ったモニュメントをライトアップして、竹を皆さんに周知してもらうようにしているんです。また、三田市の大学生が地域団体をつくったり、その中で、体の老廃物を排出するということで竹炭パウダーを商品化していたり、こういったことをしているんですけれども。

 農林水産省としては、こういった地域の取組、優れた事案があれば横展開していく方向性も考えられると思うんですけれども、その辺り、いかがでしょうか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 竹は、昔から身近な資材として生活に利用されてきましたけれども、近年、代替素材の普及であるとか輸入品の増加により、竹の利用等が減少し、管理不足の竹林が見られ、景観の悪化や、例えば植栽した木の生育を阻害する、そういった悪影響が懸念されるところでございます。

 このため、農林水産省としましては、森林整備事業により、間伐等と併せて行う竹の伐採に対する支援を行っているほか、森林・山村多面的機能発揮対策により、地域住民等が里山林を保全するために行う侵入竹の伐採、除去や、チップ化による処理、そういったことへの支援を進めているところでございます。

 また、御議論がありましたように、竹の利用拡大、これを図るということは非常に重要だと思っておりまして、例えば、近年、家畜飼料や土壌改良資材として利用される、例えば国産メンマとして竹を加工して製造、販売を行う、そういった取組も出てきており、こうした新たな利用拡大に向けた施設整備を支援していく考えでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。土壌改良であったりとか、そういったことに活用されているということなんですけれども。

 先ほども脱プラという観点から、今、プラスチックの代わりに紙が使われていたりとか、そういったことがあると思うんですけれども、是非、竹の活用もプラスチックの削減に役立つと思いますし、今後、その方向性でしっかりとこういったものの活用もされていただきたいなというふうに思います。

 これで私からの質問を終わります。ありがとうございました。

関委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。

 時間も押しておりますので、早速質疑に入らせていただきます。

 以前、ゼロカーボンシティーについてお尋ねをしました。大阪市はゼロカーボンシティーの宣言をしておりますが、御存じのとおり、二〇二五年関西万博の開催地であり、万博後はスマートシティーとして先日選定されております。

 そのゼロカーボンシティーとスマートシティー、ちょっと中身がかぶってくる部分があると思うんですが、先日、うちの漆間議員からも万博についてお尋ねさせていただいたところ、環境省さんが先頭で旗振りをしてあそこを、最終、どういう絵になるか分かりませんけれども、やられるというお答えもあったと思うんですけれども、ここをちょっと、かぶっている部分を整理していくというお考えはありませんでしょうか。御見解をお聞かせください。

山口国務大臣 ゼロカーボンシティーというのは、二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロを目指す地方自治体、そういうことでも公表されている。そういうことに対して意欲のある地方自治体に対して、地域の脱炭素化ということで、計画策定あるいは地域脱炭素移行・再エネ交付金を始めとした設備導入支援、これは環境省としての取組ですね。

 御指摘のICT等を活用するスマートシティーの推進が、ゼロカーボンシティーを含む脱炭素地域づくりと目的が重なる部分もある一方、異なる部分もあるということで、環境省としては、内閣府を始めとしたスマートシティー関係省庁としっかり連携して、この取組を支援するという格好になると思います。

奥下委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げたように、万博でどんな環境で造られていくか分かりませんけれども、せっかく造ったものを潰すというのもまたもったいない話なので、そこはまた、吉村知事とかとも相談しながら、無駄のないようなスマートシティーづくりをしていきたいなと思っております。

 次に、脱炭素化支援機構による支援基準についてお尋ねしますが、事業実施に当たって、環境配慮はもちろんだと思うんですが、地域との共生も当然求められてきます。再生エネルギー施設では、特に建設物の生態系への影響であったり景観等、選定するに当たりより一層の環境への配慮が求められてきますが、実際には、適正な手続を踏まず設置された施設等が生態系を脅かしたり、自然災害などで破損して飛散したという事例も多くあります。

 機構が出資を決定するに当たり、対象事業が円滑に実行されていくためにも、法令遵守を含め、事業規律が確保されること、また、地域共生が図られることが必要であると考えますが、収益性を重視する余り、地域への配慮が欠け、事業者によるトラブルが多発する可能性も考えられます。

 先生方も御経験があると思いますけれども、もめにもめて先生方のところに相談に来るというパターンがよくあることだと思うんですけれども、政策実現という観点から、適切に事業を遂行する事業者に対して支援が行われるようにするためにも、支援基準が地域トラブルの回避にも考慮したものであるべきだと考えるのですが、環境省さんの御見解をお聞かせください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 再生可能エネルギー事業の実施に当たっての環境配慮や地域コミュニティーとの共生は極めて重要であると認識しております。このため、脱炭素化支援機構は、支援決定に当たって、事業者の環境配慮や地域共生を確認することとし、その旨を環境大臣が定める支援基準に明記することとしたいと考えております。

 また、法律上、機構による支援決定の際に環境省も確認できることとしており、その際に環境省としても機構が適切に対応していくことを確認してまいりたいと思います。

 さらに、資金供給した事業が開始した後も、機構は、対象事業者からの実施報告等を通じて、環境配慮や地域共生の観点も含めて、事業が問題なく実施されていることを確認し、必要に応じて助言等を行うこととしたい、このように考えております。

奥下委員 ありがとうございます。是非、厳格にしていただけたらなと思います。

 次の質疑に移らせていただきます。

 先日の参考人のお話も聞いた中で、また、先ほどから先生方もおっしゃられているWWFの小西さんのお話が特に僕も印象に残っているんですが、今国会で建築物省エネ法案の提出が見送られる公算が高いという記事を見たんですが、カーボンニュートラルを目指すに当たり、本当に水を差された感があるのですが、対立しそうな法案ならともかく、むしろ協力して一緒に一日でも早く成立させることができそうなものであると考えるのですが。

 まずは、国交省さんにお尋ねしたいんですけれども、現状、どういった状況になっているのか、お聞かせください。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅・建築物分野は、我が国のエネルギー消費量の三割を占めております。したがいまして、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けまして、住宅・建築物分野の省エネ対策を強化するということは大変重要な課題であると思ってございます。

 御指摘の建築物省エネ法の改正案の今国会への提出につきましては検討中という扱いになっておりまして、提出をしないとか、見送ったということではございません。

 昨年十月にエネルギー基本計画等が閣議決定をされています。その中で、建築物省エネ法を改正しまして、住宅等の省エネ基準への適合を義務化するということが政府の方針として定まっております。この方針に即した対応をしっかり進めてまいります。(発言する者あり)

奥下委員 今まさに先生が言っていただいたように、何を検討しているんですかね。もうそろそろ結論を出していく時期だと思うんですけれども。

 今のお答えを受けて、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。よろしくお願いします。

山口国務大臣 所掌がもちろん国土交通省ということではあるんですけれども、住宅・建築物の脱炭素化が非常に重要だというところの認識はまずあるわけですね。

 建築物省エネ法における規制措置を強化するということが、地球温暖化対策計画においても定められている。

 そういうことで、国土交通省において的確に対応いただけるものと認識しているんだけれども、更にいろいろと会話を進めていきたいと思います。

奥下委員 田嶋先生に言っていただいたように、期間を決めて、いつまでに結論を出すんだということで、本当に一日でも早い成立をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、最後の質疑になります。

 第六十八条で、本法律案の罰則について、国外犯の罰則を規定しておりますが、対象となっているのが機構の職員の贈収賄のみとなっています。機構の職員には退職後も含めて秘密保持義務が課せられ、義務違反は第六十九条により処罰されますが、同条は国外犯処罰の対象から外れています。これでいくと、機構の職員さんが諸外国に秘密を漏らした場合、本法律案による処罰の対象とならないように読み取れるんですが、この規定では不十分だと思うのですが、環境省さんの御見解をお聞かせください。

上田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のような、企業が持つ機密情報の不正な持ち出しにつきましては、不正競争防止法において規制されており、営業秘密侵害罪は、国内だけでなく、国外で行われた行為にも適用されることとなっております。

 脱炭素化支援機構の役職員に対しても、営業秘密の不正な持ち出しがあった場合は、不正競争防止法が適用されることとなります。

 脱炭素化支援機構においても、関係法令の遵守を含めて、適切な運営を促してまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。それを聞いて安心しました。

 これで私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 以上で原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

関委員長 この際、田嶋要君外一名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。山口環境大臣。

山口国務大臣 政府といたしましては、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、反対であります。

    ―――――――――――――

関委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、田嶋要君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

関委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

関委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、菅家一郎君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。源馬謙太郎君。

源馬委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 地方公共団体による温室効果ガスの排出の量の削減等のための施策を策定及び実施するための費用への財政措置に当たっては、地方公共団体ごとの地理的条件や気象条件等の特性に応じたきめ細かな支援を行うように努めること。また、地方環境事務所の体制を充実させるとともに、専門的な人材が不足している地方公共団体への支援を強化すること。

 二 株式会社脱炭素化支援機構が我が国における脱炭素社会の実現に向けた公的な役割を担っていることに鑑み、外国資本の株式保有の比率が高いものとならないよう、政府は責任をもって監督すること。

 三 株式会社脱炭素化支援機構の役員等の選任に当たっては、適材適所を徹底し、公務員の新たな天下りの手段との疑念を持たれないよう、その運用に万全を期すとともに、株式会社脱炭素化支援機構が投資対象に関する専門的知見を備えたものとなるよう、投資に関する豊富な経験や知見等を有する人材を確保すること、また、人材の育成に当たって必要な措置を講じること。

 四 事業年度ごとの業務実績評価の公表に加えて、株式会社脱炭素化支援機構に対し、出融資決定時における適切な情報開示や、実行後における当該出融資の適切な評価、情報開示を継続的に行うことを求めることを通して国民に対する説明責任を果たすように努めること。

 五 株式会社脱炭素化支援機構による資金供給が、民間資金の呼び水の役割を果たしつつ民業補完に徹するものとなるよう、脱炭素化に資する事業に係る資金の需要、資金供給の状況等の把握を的確に行うように努めるとともに、一部の官民ファンドが多額の累積損失を生じさせていることに鑑み、株式会社脱炭素化支援機構による出融資においては、全体として長期収益性を確保し、脱炭素化に有益な出資案件を見出していく規律ある運営がされるよう、政府は責任をもって監督すること。

 六 株式会社脱炭素化支援機構の支援対象事業の選定が国産技術の活用促進等も視野に入れて戦略的に行われるように努めるとともに、営農型太陽光発電など再生可能エネルギーの導入拡大の切り札となる事業の形成が戦略的に進むよう、地域の理解を促進するための助言などソフト面の支援の充実強化に努めること。

 七 支援対象事業の選定において、収益性や政策性のみならず、地域の環境への配慮という視点も重視し、支援対象事業が原因のトラブルを発生させることがないよう、株式会社脱炭素化支援機構に対し、地域との共生を確保することを求めること。また、全国の再生可能エネルギー事業等の地域における導入に当たっての課題を十分に把握すること。さらに、地域の金融機関と積極的に情報交換を図ること。

 八 株式会社日本政策投資銀行のグリーン投資促進ファンド等が既に脱炭素分野への既存の資金供給を行っていることに鑑み、株式会社脱炭素化支援機構との相乗効果を発揮する連携が実現するように努めること。

 九 附則第四条に定める施行後十年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の施行状況について検討を行うとともに、検討の結果を踏まえ、適宜適切に見直しの措置を講ずること。

 十 地球温暖化対策に関する環境教育の推進に必要な施策を講ずるよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

関委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

関委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山口環境大臣。

山口国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

関委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

関委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十四分散会


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