衆議院

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第9号 令和4年5月13日(金曜日)

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令和四年五月十三日(金曜日)

    午後一時二十分開議

 出席委員

   委員長 関  芳弘君

   理事 勝俣 孝明君 理事 菅家 一郎君

   理事 小泉進次郎君 理事 笹川 博義君

   理事 源馬謙太郎君 理事 田嶋  要君

   理事 漆間 譲司君 理事 角田 秀穂君

      畦元 将吾君    井野 俊郎君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      石原 正敬君    武村 展英君

      辻  清人君    中西 健治君

      穂坂  泰君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    渡辺 博道君

      近藤 昭一君    篠原  孝君

      中島 克仁君    馬場 雄基君

      松木けんこう君    遠藤 良太君

      奥下 剛光君    中川 康洋君

      斎藤アレックス君

    …………………………………

   環境大臣         山口  壯君

   文部科学副大臣      田中 英之君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   環境大臣政務官      中川 康洋君

   環境大臣政務官      穂坂  泰君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 住友 一仁君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           加藤  進君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官)      上田 康治君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小野  洋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            松澤  裕君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君

   環境委員会専門員     飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     渡辺 博道君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 博道君     小倉 將信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件

 石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

関委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官住友一仁君、厚生労働省大臣官房審議官川又竹男君、厚生労働省大臣官房審議官榎本健太郎君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省産業技術環境局長奈須野太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、国土交通省総合政策局次長加藤進君、環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官上田康治君、環境省地球環境局長小野洋君、環境省水・大気環境局長松澤裕君、環境省自然環境局長奥田直久君、環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君、原子力規制庁原子力規制部長市村知也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

関委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川昭政君。

石川(昭)委員 自由民主党の石川昭政です。

 今日は、環境政策全般につきまして山口大臣に質問させていただきます。

 今自民党で経産部会長をしております関係で、経済産業省それから環境省の連携についていろいろと心を砕いてきたわけですけれども、今年に入りまして経済産業省がGXリーグという構想を発表しました。山口大臣もお聞きかと思います。

 その内容といいますのは、日本から世界に対しましてマーケットをつくる提案をしていこうじゃないかとか、あるいはルールメイキングをしていこう、こういうことがその趣旨の一つ、二つに含まれているわけです。行く行くはこれは自主的なカーボンクレジット市場の方に進んでいくんだと思います。これについて、経済産業省がこういう形で打ち出しを行いました。これは、経済産業省のみならず、やはり環境省としても連携をしていただいて、うまくこれをスタートさせて大きく育てていっていただきたいな、私はこういうふうに考えております。

 これについて、経済産業省、そして環境省山口大臣の御見解をそれぞれ伺えればと思っております。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 パリ協定では人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡の達成を目指しており、これを踏まえれば、将来的には炭素吸収・除去価値のクレジット取引がグローバルに行われるということが想定されます。

 また、炭素中立に向けては、その取組が進む国、その取組が進んでいる事業者と、そうでない国、事業者との間で産業競争力、国際競争力の格差を是正する仕組みが必要になります。こういった仕組みとしていうと、排出量取引や炭素国境調整措置が想定されます。

 こうした長期的な視点、世界観に基づきまして、将来の排出量を調整する仕組みに向けた準備という観点も踏まえまして、経済産業省では、野心的な削減目標を掲げる企業が自主的に排出量の取引を行うGXリーグを二〇二三年度に本格稼働させるため、具体化に向けた検討を進めております。これまでに四百四十社の賛同をいただき、これは日本の排出量の四割をカバーするというものになっています。

 また、独自の吸収源に乏しい我が国としては、世界中のカーボンクレジットにアクセスできるようにすることが将来の国民生活を維持するためいずれ必要になります。そのため、カーボンクレジット市場の創設に向けた実証も開始したいというふうに考えています。

 炭素中立社会を実現するには、CO2の排出削減、吸収に係るコストを内部化していくカーボンプライシングを経済社会活動に取り入れることは不可避と考えております。

 今回の自主的かつ市場ベースでのカーボンプライシングであるGXリーグにおける取組の検討、それから、この進捗を踏まえた排出量取引や炭素税についての専門的、技術的な議論については、御指摘のとおり、この問題について知見を有する環境省ともよく連携しながら進めてまいりたいと考えております。

山口国務大臣 環境省と経済産業省とは、いっとき、私なんかが役所に入った頃は一九七九年ですけれども、そのときは当時の環境庁と通産省は本当に大変だったですね、板挟みになっていて。だけれども、今はもうある意味で一心同体。本当にコラボができていると思います。この間のCOP26でも今の奈須野局長ともいろいろときちっと緊密に連絡を取りながらやって、それを受けてどういうふうに市場メカニズムに生かしていくか、それが今のGXも一つだと思います。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けては、脱炭素投資への支援策などと併せて、成長に資するカーボンプライシングの制度検討を進めることも重要と考えています。

 GXリーグにおいて掲げられている自主的な排出量取引の実施についても、カーボンプライシングの一環として、カーボンニュートラルの実現に向けた施策の一つであると考えます。

 カーボンプライシングには自主的なクレジット取引、炭素税、排出量取引などがあるわけで、こうした政策を総動員してCO2削減が着実に進むよう、環境省においても経済産業省と連携して取り組んでまいりたいと思います。

石川(昭)委員 ここにうたわれているのはルールメイキング。それから、世界に市場を創造して提案していくと大きくうたっております。

 そういう意味では、日本の国内、狭い市場の中でお互いに対立していてもしようがないと思います。対立しているという意味じゃなくてですね。やはりここは協力をして世界に打って出ていくんだということを、是非強く指導力を発揮していただきたい。それから、四百四十社が参加を公表したということでありますが、中小企業も国内には三百五十七万社ぐらいありますので、是非そういったところにも広げていっていただきたい。これは要望でございます。

 次に、再生可能エネルギーの問題についてお聞きしたいと思います。

 私の地元でも太陽光発電所がたくさん立地をしております。その立地自治体から聞く悩みというのは、委員それぞれ聞いていると思いますが、それに際しましていろいろな市の財政で様々な負担をしているわけですね、道路を拡張してみたり、あるいは河川の汚濁に対して対策を打ったりと。しかしながら、太陽光発電所を誘致して、それのメリット、例えば雇用が増えたとか仕事が増えた、こういう声は余り聞かないわけですね。そうしますと、地元自治体からすれば持ち出しの方が多いんじゃないか。固定資産税で入る収入よりも持ち出しが多い、こういう状況になっているわけです。

 私が思いますに、FIT制度のようなものでしっかり地元自治体にも還元できるような仕組みをビルトインすべきではないかなというふうに考えております。これは、昨年の十二月十三日の予算委員会で私は萩生田大臣にも同じ要望というか問題意識を質問したことがございますが、これについて経済産業省でどういう検討が進められているのか。また、それに対しまして山口大臣の御見解があればお願いいたします。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、再生可能エネルギーは、地域にきちんと御理解をいただいて、地域と共生する形で普及をしていかないと、やはりこれは持続的に数字も伸びていかないということだというふうに思っております。そういう意味では、適地が限られている我が国で再エネを導入していくためには、やはり地域に裨益する再エネというのが非常に重要な視点だというふうに思います。

 再エネ事業に対する地域のニーズ、それは地域によって様々でございますが、その地域が置かれている状況ですとか、あるいは再エネ設備の立地場所、規模などに応じましてそれぞれ状況は異なります。したがって、そうした実情に応じた形で地域への貢献の取組というのをまず事業者がしっかり考えるということが重要だというふうに考えています。

 実際、委員が御指摘されました地域への貢献という意味で申しますと、例えば、売電収入の一部を地域に還元するという取組をしている事業者もおります。それから、除草や除雪作業における地元業者への発注というような形で、こうした発注をしている事業者もおりますし、あるいは、事業者がお金を出して地域の子供たちに対して環境学習ですとかエネルギー学習ですとかいった場を提供しているというような形で、教育に貢献しているようなケースもあります。それから、地域の災害時のレジリエンスというのに資するように、非常用の電源施設を装備しましてこれを提供する、こうした形で多様な地域貢献への取組が今なされているというところであります。

 このように、地域の置かれている状況や、再エネ設備の立地場所、規模などに応じまして自立的にあるいは自発的に地域貢献への取組が進んでいるところですけれども、私どもとしてはこうした取組を、やはり、地域理解、地域共生というのを進めていく意味でも、しっかり事業者の後押しをしていきたいと思います。

 一方で、全国一律に同様な形で何らかの地域貢献を求めるというのは、多様な再エネの実態がございますので、慎重に検討する必要があるかというふうに考えているところであります。

山口国務大臣 太陽光エネルギーを始め再生エネルギーの最大限導入がカーボンニュートラル実現に向けて不可欠、この辺はみんな了解があると思うんです。他方、太陽光パネル、むやみやたらにどこでもやっていいということではありません。私自身もこの間環境アセスメントを出させていただいたように、地域との丁寧な合意形成に努めていただくように、あるいは環境配慮をきちっとやっていただくようにというところがあると思います。

 また、蓋を開ければよその国の会社が全部やっていて、利益がそっちに行くというのは私は正直言って違和感が強いです。そういう意味で、地域にメリットを感じていただけるようにということで、地域の町おこしと脱炭素が両立するようにというのが今の我々の考え方です。この間、七十九の申込みをいただいた脱炭素先行地域、二十六を選ばせていただいたんですけれども、それはやはり、地域の町おこしと脱炭素化が両立する、そういう観点をプロジェクトの選定に際しては非常に重視させていただきました。

 経済産業省を含む関係省庁とも連携しながら、地域と共生し地域に貢献する再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組んでいきたいと思います。

石川(昭)委員 是非、両省で地元に還元される再生可能エネルギーの拡大に向けて頑張っていただきたいと思います。

 次の質問ですが、二〇二三年にG7サミットが日本で開催される予定です。なお、今年はドイツで開催されるということでございます。ウクライナ侵略を受けましてエネルギーの脱ロシアがこれから進展する、その一方でグリーン化というのも同時に進めなければならない、こういう中で世界秩序が大きく転換していく可能性が高いわけです。来年のG7サミットに向けまして、日本が議長国となりますけれども、山口環境大臣としてどういう政策を日本から世界に打ち出していくのかということをお聞きしたいと思います。

山口国務大臣 私、ロシアのウクライナ侵略が起こるまでは、特に、環境問題に国境なし、みんなの気持ちをつなぐというのが環境問題だというふうに言ってきました。現実には、COP26、去年の秋、一・五度を目指して頑張るという心合わせ、これは微動だにしていません。現実に、ウクライナの情勢があるからこそ、太陽、風、水、地熱、場合によっては水素、自前の国産エネルギーのシステムを確立していく、そういうことで我々の再生可能エネルギーのことを一生懸命やる、加速していく、このことは変わりないと思います。

 G7に向けて結局どういうふうに、環境を突破口にして、新しい、みんなが手をつないで頑張ろうという気持ちをつくるかというのが一つのポイントだと思うんです。戦後、国際連合でもって平和をつくろうと言っていたのが、今、ああいうロシアの状況ですから。だから、でも国際連合をどうやって生かすかということも含めて、やはり環境問題に携わっている国際連合のいろいろな部局があります。だから、G7に向けてはいろいろな意味で日本にとってこれから新しい世界秩序をつくっていく、その中の一つの大きなイシューが環境問題だというところを念頭に置きたいと思います。

 気候変動の問題のみならず、生物多様性あるいは循環経済、いろいろなことは全て一国だけではできません。全部の国が一つになってやっと目的は達成する、それが環境問題ですから。このウクライナ情勢という乱気流の中でもCOP26での合意は微動だにしていないということも含めて、我が国が議長国を務める来年のG7で更にいろいろなことが加速できるように、しっかりイニシアチブを発揮していかなければいけないと思っています。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 なお、前回は、マイクロプラスチックの問題であるとかSATOYAMAイニシアティブとか、いろいろなものを日本から発信して、世界に打ち出した政策がございます。山口大臣、外務省御出身ということで外交に非常にたけておりますので、是非リーダーシップを取っていただきますようにお願い申し上げて、私の質問時間を終わりたいと思います。ありがとうございました。

関委員長 次に、井野俊郎君。

井野委員 自由民主党の井野俊郎でございます。

 本日は、地元の課題を取り上げながら、私の地元に限らず地方に関わってくる問題だと思いますので、少しその点をお話ししながら質疑していきたいと思っております。

 私の地元は群馬二区というところでございまして、伊勢崎市、桐生市、みどり市、玉村町というところが主な選挙区ではあるんですけれども、私の地元伊勢崎市は外国人がすごく多い地域でございます。二十万都市ではあるんですけれども、一万人ぐらい外国人が居住している。有名なのはお隣の、笹川先生の選挙区で、大泉町が日系ブラジル人が多くて、外国人の率も二〇%ぐらいいるということですけれども、県内で、数でいえば、私の地元伊勢崎市が一番多く住んでいるというような状況です。

 外国人が一緒に住んでいくというと、やはり文化面やら意識等も違ってくるものですから、そういった意味で、日本人との共生というのは難しいところもやはり出てきます。これは事実です。そういう中で、一つの問題が、ごみ、廃棄物の問題は大きく出てくるところではあります。日本人というのは、それなりにごみ出しのルールとかをきちんと決めて、分別もルールもしっかり決めて出しますけれども、なかなか外国人の方はルールを守ってくれないだとか、そういうことがあったりします。

 今回私が取り上げたいのは、産業廃棄物の問題なんですね。といいますのも、最近特に私の地元で増えてきたのが、変な空き地と言ったら怒られちゃいますけれども、空き地とかにいきなりヤードをばっと建ててですね。外国人がそういう土地を購入してヤードを建てて、そこに、私どもから見るとといいましょうか、近所の人からすると、簡単に言うとごみですよね、いろいろなものを持ち込んで、そこで、怪しいと言ったら怒られますけれども、何かをやっている、処理している、廃材をですね。解体しているんだか、何をしているのか分からないんですけれども、処理している。

 まず、ルールがきちんと守られないということなんですね。きちんとした処理工程を、設備を整えて、きちんと処理工程があった上で処理してくれれば、近隣の迷惑、臭気、はたまたいろいろな違法な薬物というのが流れ出てきたりとか、そういうことはないんでしょうけれども、残念ながら、それが守られていない現実があります。

 今日は、私の地元の新聞を配付資料として配付させていただきました。

 工場排水でカドミウム基準三倍超というような記事も出ていたりとかします。これぐらい、きちんと処理されない会社が多々、最近は見えてきているわけなんですね。もちろん、私の地元の伊勢崎市も行政指導という形で指導はしています。

 しかしながら、次の二枚目の新聞記事、二か月後の十月十五日の新聞記事、これは同じ工場です、指導を受けた会社です。爆発と、あり得ないことをやるわけですよね。近隣住民からしたら、とてもじゃないけれども、こんなところで平穏な生活が保てないような状況なんです。行政指導をしてもこういう状況なんですよね。

 こういう状況下で、本当に行政指導がきちんと功を奏しているのか。正直、私の地元のこの地域の人たちからもいろいろな要望を受けて、行政指導をきちんとしてくれと言ってもこういう状況なんですよ。こういう状況の中で、的確な行政指導だったり自治体への働きかけ、こういう業者への違法な行為の差止め、こういったことをどうやったらいいのか。多分、自治体もよく分かっていないんだろうと思いますけれども、まず、環境省はこの問題をどう捉えていますか。

室石政府参考人 お答えいたします。

 廃棄物処理法に違反する行為が行われている事実が判明した場合は、行政指導を繰り返すにとどまらず、実効性のある対応として、法的な強制力のある措置命令等の行政処分を実施するとともに、警察への告発や情報共有を行うべきと考えております。

 こういった実効性のある対応を都道府県や政令市がちゅうちょすることなく迅速かつ的確に実施できるように、環境省の方では、通知でございますけれども、行政処分の指針というのを出しておりまして、違反行為が疑われる場合は速やかに事実認定を行って行政処分を実施し、違反者がこれに従わない場合には積極的に告発を行うなど捜査機関と連携することをはっきりと示しております。

 また、現場においては、都道府県や政令市の産廃担当部局に警察からの出向者やOBが配置されるなど、違反行為に厳正に対処するために警察などとの連携を図っているところでございます。

井野委員 今回、たまたま私の地元の記事を取り上げさせていただきましたけれども、三枚目の東洋経済オンラインでも記載していますが、これは全国にあるんですよ、地方、はっきり言って。これを放置していったら本当に大変なことになりますよ。

 よく、こういうのって、別に差別するわけじゃないけれども、外国人とかがやっていて、そうすると、やれ、市が言ったりとか、地元の人が言っても、要は、僕、日本語分かりませんとか、いつものお決まりの文句で逃げようとするんですよ。はたまた、会社の社長がいないとかね。問題が本当に根深いんですよ。だから、正直言って、こういうことでやっているから、変な話、いろいろなところに、全国にこういうものがどんどん出てくるわけなんです。

 そういった意味では、通達も大事だからどんどんやってもらいたい、だけれども、それだけじゃ足りないというところはしっかり環境省としても後押しをしてもらいたいんです。その点は是非しっかりと取り組んでもらいたい。一言、もう一回お願いします。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、通知だけではなかなか足りないということでございますので、いろいろ、直接、そういうことを申し上げられる機会を設けて、しっかりとそういった考え方をお伝えしたいと思います。

 ちなみに、東洋経済に載っておりました小川町の例につきましては、県の方の指導で有害使用済機器を撤去して、現在ではそういう取扱いはなくなっているというふうに聞いておりますが、再度しっかりと指導していきたいと思います。

井野委員 是非、そういった意味で進めてもらいたいのが、先ほど環境省の答弁にもありましたとおり、自治体とかだけでは私は結構限界があるのかなというふうに思っています。正直言って、うちの地元の市も手探りなんですよね、どう対処していいか分からない。言っても、先ほど言ったように、外国人だからといって逃げられる。なので、自治体だけでは、市の職員だとかが行くだけではやはり限界があるのかなと思っています。

 なので、先ほど環境省の答弁があったとおり、警察とか、そういうところとの協力といいましょうか、連携して、プレッシャーをかけるじゃないですけれども、違法行為はもう二度と認めないぞというようなやり方は、私は警察が一番と。やはりインパクトがありますよね、警察が現場に来るというのは。誰が見たっていい気持ちはしませんよ、警察は、何もしていなくてもね。

 そういう意味で、警察がしっかりと市とか現場の皆様と連携する必要があると思うんですけれども、この点は警察の方はどういう取組を考えているのか、教えてください。

住友政府参考人 御答弁申し上げます。

 警察といたしましては、今御指摘があったような廃棄物などに関する各種の環境事犯について、廃棄物処理法のほか関係法令を活用して、法と証拠に基づいた厳正な取締り、これを行っているところでございます。

 また、都道府県警察においては、今まさにお話がございましたけれども、関係知事部局への警察官の出向のほか、今お話があったような、市町村等の関係機関との違法行為に係る情報の共有といったものに加えて、さらに、こういったところが立入りを行う際に例えば威圧的な要求ですとか暴力の行使などが予想される場合においては、行政職員に同行するなどして適切に連携を行っているというふうに承知しております。

 警察庁としても、こうした取組というのは重要だというふうに考えておりますので、今後とも、自治体や関係機関等と連携して適切に対応するよう、引き続き都道府県警察をしっかり指導してまいりたいと考えておるところでございます。

井野委員 是非、一回で終わりにしないでくださいね、本当に。私が質疑したからちょっとやって終わりとかではなくてね。これは継続的な問題ですから。落書きもそうですけれども、しっかりしっかり、全部全部潰していくこと、それによって適切な環境と市民の生活が守られるわけです。

 ましてや、ヤードなんていうと、よく、盗まれた車両が運び込まれてそこから輸出されるとか、そんな話も聞きます。どのヤードかは知り得ませんけれども、私には。そういう話を聞きますと、やはり犯罪の温床になっているという疑いは濃厚ではないかと言えなくもないので、是非、違法な業者、全ての業者が違法ではないですけれども、違法なことが疑われるような、地域住民とのトラブルがあるような業者に関しては、徹底的に警察としても連携して動いていただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、済みません、一点だけ、別の観点で私の考えをお話しして答弁を求めて、終わりにしたいと思っていますけれども。

 おかげさまで、リサイクルというのは、私、大分進んできたのかなと。国民の理解も進んできましたし、かなり皆様も、まあ、いい例がペットボトルでありますけれども。例えば、ラベルもすぐ剥がせるようになったり、ペットボトルの容器も全部透明に統一化されるという意味では、本当に、リサイクルの認識、また民間の理解、協力が進んできているのかなと思っています。

 その中で、昔からよくリサイクルされているもので、何でこれはこうなのかなというのが瓶なんです。

 瓶は、簡単に言うと、透明もあったり、色つきのもあって。大きさが違うというのは、それは当たり前でいいんですけれども、透明があったり、色つきがあったり。はたまたラベルは、べったりとシールで貼られて取りにくい。さらに、蓋もまた様々ですね。金属の蓋を使っているところもあれば、もちろんワインでいえばコルクを使っていたり、お酒だったらまた別の、いろいろな、蓋も種類豊富で。

 何が言いたいかというと、リサイクルするときに困るんですよ、簡単に言うと。本当に洗っただけでいいのかなと思うんですけれどもね。

 例えば、ラベルだって、ペットボトルで簡単に剥がせるようにしているんだから、そうしても私はいいと思いますし、色だって、統一できるものだったら統一した方がリサイクルが進むのかもしれない。まあ、それはよく分からないけれども。そういった意味で、蓋も、何かしらの統一規格が私はあってもいいのかなと、この素材にしてくれと。そうすれば、ペットボトルのように、蓋だけ集めてそれをリサイクルしていくというのは簡単なのかなというふうに思うんだけれども。

 瓶のリサイクルというか、容器の規格統一化、こういったことは環境省としてリサイクルを進めていく上で考えていませんか。

室石政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、ガラス瓶自体は昔からリサイクルがされておる分野でございますけれども、そもそも、製造の段階からリサイクルしやすい製品を設計することが非常に重要だと思っております。業界団体の方で3Rのためのガラス容器自主設計ガイドラインというのを策定しておりまして、アルミ箔のラベルを使用しないとか、あるいは、様々な色合い、先ほど御指摘のあったような、混色のカレットを九〇%以上使用するとかそういった、ガイドラインでいろいろなことを定めているというふうに伺っております。

 現在、ガラス瓶リサイクル促進協議会によれば二〇二〇年の時点で六九%のリサイクル率だそうですが、業界の方では更にそれを高めたいということを思っておるということでございますので、環境省としても、リユースやリサイクルの取組が更に促進されるように、情報発信などに努めながら取組を後押ししてまいりたいというふうに思っております。

井野委員 是非、ペットボトルでできたんだから、瓶でできないということは私はないと思うので、この点は、国民的理解を得るために政治家の発信、大臣の発信が必要だというんだったら、それはそれで我々も協力できることは協力させていただきますので、是非、こういった取組、民間での理解と協力を得られるように頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。

関委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。まずは、鹿児島県馬毛島のマゲシカの保護についてということであります。

 鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練、通称FCLPというのがありますが、この訓練の移転と自衛隊基地整備計画をめぐって、防衛省は、環境影響評価、アセスメント準備書案の概要で、ニホンジカの亜種であり島固有のマゲシカが約七百から千頭いると推定、事業区域外に生息地をつくる保全策を示したわけであります。区域内での生息確保を求めた西之表市の意見は実は反映されていません。専門家は、生態を考慮していない、基地建設で個体数が減るのは確実だと見直しを求めていると報道されているわけであります。

 四月十日に、仲間、有志の議員とともに現地馬毛島に、港のところまででありますけれども上陸し、そして、船からではありますが、実際に生息するマゲシカを遠くからではありますが見てきた、こういうことであります。

 ニホンジカの中でも体の小さいマゲシカは、母子と雄のすみ分け、セグリゲーションと言われますが、このセグリゲーションによって個体をつないでいる、こういうふうに専門家が指摘をしているところであります。しかし、このまま事業計画が進められれば、セグリゲーションが崩れ、マゲシカは生息できなくなるのではないか、こういう指摘があり、そうすると生物多様性は守れないのではないか、こう考えるわけであります。これに対していかにお考えでしょうか。

山口国務大臣 近藤議員御指摘の馬毛島基地建設事業については、現在、事業者である防衛省熊本防衛支局において法に基づく環境影響評価手続が実施されているところと認識しています。先日、四月二十日に環境影響評価準備書が公告されたものと承知しています。

 馬毛島のニホンジカは、環境省レッドリストの附属資料において絶滅のおそれのある地域個体群に選定されています。絶滅危惧種ではないものの、孤立した地域個体群として絶滅のおそれが高いものと評価されたものであり、一般的に、その生息環境に関して配慮が必要なものです。

 環境省としては、今後、環境影響評価書の段階で、法に基づく環境影響評価手続において、馬毛島のニホンジカを含め、環境の保全について必要な配慮が確保されているかどうかしっかりと審査し、環境大臣意見を適切に述べてまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 私が現地に参りましたのは、現地住民の方から幾つかの懸念があるわけです。

 防衛省からの説明が不足をしているということがまず第一点、前提としてあるわけですが、それともう一つは、今大臣も言及いただきましたマゲシカの問題であります。貴重なマゲシカの生息地域がしっかりと守られるのか、こういう環境面からの危惧であります。そしてもう一つは、ここに米軍の訓練基地が造られることによって、残念ながら沖縄で頻繁に起こっていることでありますが、米側が、まあ、そもそも基地建設には地元の皆さんの多くが反対しているわけでありますが、もし造られることになっても約束が守られるのか、こういう危惧をしているわけであります。

 そういう意味で、地方自治、住民自治、地元の皆さんの声を無視あるいは軽視して進められていくということに私は大きな懸念と、私自身は反対をしております。そういう意味で、環境省として、その環境省としての役割をしっかりと果たしていただきたい、そうお願いをしたいと思います。

 さて、次には、温暖化対策、地方公共団体のカーボンニュートラル宣言と実行計画についてであります。これも環境委員会でもよく議論されているところではありますけれども。

 カーボンニュートラル宣言をする自治体が増えております。実行計画作成で大手排出事業者の排出や削減計画について触れないケースが実は多数あるわけであります。

 環境省の策定マニュアルでは、大手事業者の対策については、具体的な対策、施策については事業者の取組に委ね、地方公共団体としてはまずはその他の中小企業、住民をターゲットとした対策に特に注力するとして、残念ながら、マニュアルの書き方だけを見ると、考慮しなくてもいい、こういう記載だと思われるわけであります。自治体の施策の中にこそ大口排出事業者の削減に向けた取組や地方のエネルギーシフトや産業構造転換を促すことが必要であり、環境省はこのマニュアルを見直すべきではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のマニュアルは、昨年度に環境省が開催した地方公共団体実行計画策定・実施マニュアルに関する検討会において、有識者の議論を踏まえ、国の技術的助言として本年三月に改定したものでございます。

 このマニュアルでは、初めに、地方公共団体が策定する実行計画においては区域の事業者の取組の促進に関することを位置づけることが必要であり、区域の事業者と連携して施策を進めることが重要である旨、まず記載しております。

 その上で、御指摘の点については、その後の記述の中で、大規模排出源となる事業所を地方公共団体の区域を越えて複数有するような事業者が全体として取組を進めるような場合、特に小規模な地方公共団体がその区域の事業所のみを対象として事業者の取組を促進することは容易ではない場合も考えられ、その場合には、具体的な対策、施策については事業者にひとまず委ね、まずはその他の中小企業や住民をターゲットとした施策に注力することもあり得ることを記載しておりますが、その際にも当該事業者の区域における排出状況や取組状況等をフォローアップすることを推奨する趣旨についても併せて記載しているところでございます。

 環境省としては、今般改定したマニュアルの考え方に沿って、先進的な実行計画の事例も参考にしてもらいながら、地方公共団体の実情に応じた計画策定や対策、施策が進むよう、しっかりと地方公共団体を支援してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 地方自治体からすると、自治体をまたぐ、あるいは経営自体が自治体をまたいでいるというようなこともあるとは思うんですけれども、地元にある企業、まして大口の排出事業者であるわけですから、そうすると、自治体が環境省のマニュアルの中でも取り組む部分と、そうしたときに環境省自体として、そうした大口、自治体がまたがっているとか、まさしくある種の配慮といいましょうかね、ある種の条件の下でそういう取組になっているかもしれませんが、そうしたときに環境省として、国としてどういうふうに関わるということになるわけでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御説明させていただいた中で、特に小規模な地方公共団体の場合には、職員が十分おらず、どういうようなところから取り組んだらいいか分からない場合に、先進的にそうした事業者の対策に取り組んでいる事例がございますので、そうしたものをしっかり環境省の方からも共有して、ノウハウなどの共有を図りながら少しずつ進めていく、そこが分からないということで全体の作業が止まらないように、全体を進めながら少しずつ進んでいきたいと考えております。

近藤(昭)委員 そうすると、そうした先進的な取組をしている自治体の事例を環境省が共有して、提供してといいましょうか、そういうことになるわけでありましょうか。先進的な取組をしているというところは大分多いんですか。そしてまた、大分うまく進行しているんですか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 先進的な制度としては、例えば計画書制度といったものがございまして、都道府県、政令市、中核市等で、例えば都道府県であれば、二十五の団体が計画書制度という形で事業者の取組を計画に基づいて進めておられるところで、そうした事例についてもマニュアルの中で取り上げております。そうしたものを丁寧に地方自治体に全般的に説明していきたいと考えております。

近藤(昭)委員 しっかりと取り組んでいただかなければ、大口のというところが重要だと思っています。

 さて、次の質問に参りたいと思います。福島原発災害被災者の生活回復に関する要望についてということであります。

 東電福島第一原発での事故、ここから避難をされている方の問題は、私も環境委員会で何回か質問させていただいているところであります。その都度言及をさせていただいているところでありますが、福島県内外への避難者数というのは、今年、二〇二二年二月の時点で三万三千三百六十五人ということであります。

 避難をしていらっしゃる方、関係者の方からは、数そのもの自体は大きいわけであります、今もって、十一年たっても戻れない方が三万人以上いらっしゃるということであります。ただ、一方で、更に御指摘があるのは、復興住宅に入った方々は除外をされている、つまり、生まれ育ってずっと暮らしてきたところに戻ったわけではない。本当は生まれ育ったところに戻りたい、暮らしたい、しかし戻れない、しかし、復興住宅等々に入られた方はその数から除かれているわけでありまして、実際は更に多くの方が生まれ育ったところには戻れないでいるというところでありますし、御承知のとおり家族が分断をされている。高齢者の方はと言うと失礼でありますが、高齢者の方では、傾向的には高齢者の方は戻りたいという方が多い。しかし、若い方あるいは子供たちは避難先で新たな生活を構築していて、家族の中で分断が起こっている、こういうようなことがあります。

 そういう意味で、そういう観点からも私はこれまでも原発の再稼働には反対をしてきたわけです。いざというときの影響が余りにも大きい。今なお、この福島の場合でも三万人以上の方が避難をしている、帰れないでいるということであります。

 さて、そういう中で、二〇二一年末に規制緩和された大熊町の特別復興再生拠点区域に隣接する帰還困難区域内で元々は生活をしていて、東電福島第一原発事故以降、県内のいわき市等に避難している方たちが、今年二月十六日付で、内閣府原子力災害対策本部の岸田本部長宛て、総理宛てということでありますが、福島原発災害被災者の生活回復に関する要望を提出されております。

 要望の一番目の内容は、憲法第二十二条が定める居住の自由を奪われている避難者の利益にかなうよう、放射能汚染線量が減衰していることが確認され放射線被曝保護の必要がなくなっている地域については、特定復興再生拠点区域の外であっても早期に避難指示を解除する、こういうことがあります。

 例えば、ある方の家の二〇二一年十二月十三日の放射線量は、家の中が毎時約一マイクロシーベルト、畑が毎時約三・五マイクロシーベルト。もし一日のうち八時間を畑、十六時間を家の中で過ごすとして計算すると年間十六ミリシーベルトで、避難解除基準の二十ミリシーベルトを大きく数値の上で下回っているわけであります。

 また、その方の家には井戸と昔ながらのトイレがあります。太陽光発電パネルと蓄電池も設置し、オフグリッド生活ができるわけであります。井戸水は、本年一月の検査でも放射性セシウムは検出されなかったということであります。

 さらに、その方と一緒に暮らすお母様は九十三歳で、避難先のいわき市では家の中を歩くのがやっとなのに、大熊町の自宅に帰ると、家の周りはどこでも歩くことができる。こうした、心の問題と関わってくると思います、住み慣れた環境が身体に与える効果に驚かされるわけでありますが、九十三歳のお母様は毎日、大熊町の家に帰りたい、こうおっしゃっているそうであります。

 一律に規制するのではなく、このような個別の事情を勘案して、自立して生活できる方などは避難指示を解除すべきだと思いますが、いかがでありましょうかということが一点。

 また、この要望の第二点目では、前記の解除措置が取られるまでの間、一時帰宅に際して煩雑な入域手続をしなくても、いつでも行きたいときにスクリーニング場での手続等なしに帰宅できるように自由化する、帰還困難区域内の自宅を封ずるバリケードの開閉を避難住民が自らできるようにし、また公益立入り許可証と同等のものを発給することと書いてあるわけであります。

 この要望に対して、今後も、被曝管理及び放射性物質の汚染拡散防止を図りつつ、一時立入りの手続については、手続であります、可能な限り住民の皆さんの意向に配慮した形で実施してまいりたい、こういう回答が出ているようであります。

 それで、ここが重要なんでありますけれども、一つ、要望として、立入り可能時間についての規制を緩和する、特に終わりの時間をあと三十分延長する。立入り時間は今、九時から十六時となっているわけでありますが、中継基地での手続があるので実質は九時三十分から十五時三十分しか帰還困難区域に入れないということなんですね。そして、一時帰宅の年間回数、曜日、祝祭日の制限をなしにする、こういうことが要望としてあります。また、もう一つ、バスの立入り日にはマイカーは入れないとしている制限をなくしてほしい。つまり、バスを利用しての一時帰宅者がいらっしゃるわけでありますが、こうした方々はマイカーの立入りの規制が必要なほどに多くはない、こういう報告であります。

 前向きに対応したいということに対して、追加の要望を四月二十八日付で提出したと聞いております。これらについて何とか御対応できないかということであります。長くなりました。

須藤政府参考人 二点御質問がございましたので、二点についてお答えを申し上げます。

 まず、特定復興再生拠点区域外については、早く自宅に帰りたいという住民の方々の切実な思いに応えるべく、まずは、帰還意向のある住民の方々が二〇二〇年代をかけて全員帰還できるように、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除の取組を進める方針を昨年夏に決定しております。

 現在、各自治体の議会や住民説明会の場において方針の説明を重ねているところでございます。まずは、帰還に関する御意向を個別、丁寧、かつスピード感を持って把握し、その後、除染や避難指示解除の取組をしっかりと前に進めてまいりたいと考えております。

 二点目の一時立入りについてでございます。

 様々な御要望が地元からありまして、可能な限り住民の皆様の御意向に配慮した形で実施をしていきたいと考えております。一方で、立ち入る方々の被曝管理あるいは放射性物質の拡散防止のために一定の手続や制限がどうしても必要になることをまず御理解いただければ幸いでございます。

 その上で、御指摘があった何点かについてでありますけれども、まず、バス立入り日にマイカーは入れないとしていた制限は今年度から撤廃をいたしました。それからまた、一時立入りの年間の回数でございますけれども、原則三十回以内としておりますけれども、これも、住民の方々の個別事情を踏まえまして、制限回数以上の実施を柔軟に認めているところでございます。

 一方で、立入り可能な時間帯や曜日についても可能な限り住民の皆様の御意向に配慮しているところでございますけれども、中継基地のスタッフは早朝から一時立入り終了後の片づけまで勤務いただいている現状にございます。場所柄、どうしても通勤時間が長い方が多いという現状もございます。これ以上の立入り時間帯の拡大等を行うことは現場スタッフに大きな負担となることから、御要望いただいた三十分延ばすという運用はなかなか難しいというのが実態でございます。

 今後も改善を重ねながら、住民の皆様の御意向に沿って一時立入りを進めてまいりたいと思っております。

近藤(昭)委員 現場に様々な御苦労があるわけでありますし、簡単には解決できない課題も多いんだと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、あれから十一年たっているということであります。そして、心の問題というか、心情とすごく関わっているところがあると思うんですね。

 私が読んだ資料でありますけれども、あの東日本大震災で避難をされている方は福島の方だけではありません、ほかの方もされているわけであります。しかしながら、いわゆる放射能の問題で避難せざるを得なくなった皆さんとそうでない皆さんは、やはり心の中にある種の将来に対する、つまり、こうした放射能汚染地域にはいつ戻れるんだろうか、こういう不安が更にあるわけで、見通しが立たないということがあるわけです。そうすると、心理的なある種のプレッシャーはやはり福島から放射能の問題で避難された方の方が高い、こういう調査を見たことがあります。

 そういう意味では、もちろん現場の皆さんの御苦労はよく分かります、そこに対するきちっとした、働く方に対する考慮といいましょうか、こういった考えも必要だと思います。ただ、今申し上げたように、帰りたくても帰れない、まして、こういうことを言うと失礼ですが、高齢者の方がいらっしゃるわけであります。そうすると、例えば三十分延長するのは難しいかもしれないけれども、例えば日にちを限って、特定の日、あるいは日にちを制限する中で対応するとか、そういうことは考えられないでしょうか。

須藤政府参考人 運用については、まさにいろいろ改善をしていきたいと考えております。日数を増やすとか、そういうようなことも繰り返してきております。

 いただいた御要望の中では、時間を延ばすというのが正直、なかなか難しいところもございます。まさに、実際、私ども、その要望を頂戴しておりますので、いろいろな形で地元の方々とコミュニケーションを重ねまして、どういう改善ができるかというところを考えていきたいというように思っております。

近藤(昭)委員 是非それは、現場で御苦労していただいて、前向きに取り組んでいただいておると思いますので、より改善をいただきたいと思いますし、現場を必ずしも承知しているわけではありませんけれども、先ほど申し上げた、限られた時間帯がある、ただ中継基地の手続もある、こうしたところの改善等々、いろいろと改善していただけるところがあるのではないか、こういうふうに、希望的な推測かもしれませんが思っております。そういう意味では、是非、日々改善をしていただいて、繰り返しますけれども、十一年もたって帰れない方がたくさんいらっしゃるわけであります、しっかりと対応いただきたいと思います。

 さて、避難者の医療費支援の打切りについて質問したいと思います。

 今、ある方のことを紹介しましたが、上記の方、今申し上げた方とは別でありますが、避難者への医療費支援の打切りが決まったことで不安が広がっていると聞いております。例えば、入退院を繰り返していて歩けないような方で、支援者が生活保護を勧めても、事故の避難によって離れ離れになっている家族に会いに行くために車を手放すわけにはいかないからということで、医療費支援打切り後の生活保護の申請をためらっている方もいらっしゃると聞きます。

 医療費支援を一律に打ち切るのではなく、どうしても必要な方には個別事情に応じて続ける余地を残せないものかと考えます。いかがでありましょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、原発事故により設定されました避難指示区域等に東日本大震災の発災当時居住されておられました方を対象として、今先生御指摘の医療・介護保険等の保険料、窓口負担の減免措置を実施しているところでございます。

 この措置につきましては、復興の基本方針におきまして、被保険者間の公平性等の観点から、避難指示解除の状況も踏まえ、適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら適切な見直しを行うこととされましたことから、これまで、復興庁と連携して慎重に見直し案を検討し、被災者の方々の実態を把握しておられる関係自治体の御意見をお聞きしながら丁寧に調整してまいったところでございます。

 そこでいただきました御意見を適切に反映いたしまして、具体的には、一つは、十分な経過措置を確保する観点から避難指示解除から十年程度で特例措置を終了すること、そして、避難指示解除の時期にきめ細かく配慮し、見直し対象地域を四グループに分けて施行時期をずらすこと、具体的には、令和四年度は周知期間として従前どおりの減免措置を継続いたしますが、令和五年度から順次施行するということでございます。それから、急激な負担増とならないように激変緩和措置を講じる観点から複数年かけて段階的に見直すことなどの見直し内容を四月に決定したところでございます。

 今回の見直し内容につきましては、現地において関係自治体との意見交換を重ねながら、被災者の生活実態を把握しておられる関係市町村の御意見を丁寧に反映して作成させていただいたものでございます。被保険者間の公平性の観点から見直しを進めることが必要と考えておりまして、是非とも御理解を賜れればありがたいと考えてございます。

 ただ、一方で、今先生御指摘ございましたように、被災地において、生活困窮者の方々など、医療費の支払いが困難な方というのはやはりおられるかと思います。そういった方々に対しましては、国民健康保険制度等におきまして、医療費が高額になった場合の高額療養費制度、それから、各自治体の判断によりますが、一部負担金の減免や徴収猶予制度などが設けられているところでございます。

 この措置が終了した後に、そういった生活困窮しておられる方々が医療費を支払うことが困難とならないように、先ほど申し上げましたような高額療養費制度あるいは一部負担金の減免制度などについてあらかじめ情報提供を行わせていただいて、個々の実情に応じた十分きめ細かな相談などが行われますように関係者に対して周知してまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ちょっと時間が限られておりますのであれですが、要望だけお伝えしますけれども、本当に、個別の事情というのは全然違うと思うんです。やはり年齢によっても違いますし、まあ年齢と関わってくることであります、若い方であるとか、子供さんとか。これはいろいろな要素がある中でありますから、是非、何年たったからということではなく、実際に沿って対応していただきたい、そう思うわけであります。

 さて、最後の質問になります。原発再稼働と六十年運転延長について質問したいと思います。

 化石エネルギーの逼迫が見込まれる中、原発活用の声が高まっていると思います。

 しかし、高レベル放射性廃棄物の行き場も決まっておらず、日本にはフィンランドのような、オンカロですよね、厚い花崗岩の地層がないと言われています。再稼働をすればまた廃棄物が増える。再稼働しても対応できる処分場がない以上は再稼働を急ぐべきではない、私はすべきではないと思っていますけれども、いろいろな声があります。

 帰還困難区域の除染費用や処理水海洋放出の風評被害対策など、東電の出すべき費用を国が肩代わりし、原発が利益が出てくる、こういう仕組みが堅持されていると思います。もし再稼働をするのであれば、除染費用を含め、全て電力事業者に、責任者負担ということでありますよね、排出した責任者が負うべきだと定めた上で進めていかないと、私は、原子力発電は費用が安い、こういうことが続いていってしまうと思います。そして、その中でのリスクは国民が支払う、つまり除染費用とか様々な対策費が国民の負担になっているということであります、そういう構図のままでいくのはおかしいと思っています。

 昨年六月ですが、関西電力の美浜原発三号機が運転開始から四十年を超える原発として初めて再稼働しております。四十年ルールは、東京電力福島第一原発事故後の原子炉等規制法改正で導入をされました。一回だけ最長二十年延ばせるが、政府内では六十年を超えても運転できるようにすべきとの意見もあると報道されています。六十年運転延長について、延長を認める要件は何か、お伺いをしたいと思います。

 原子力規制委員会設置法を作ったときに、私も与党の担当として関わったわけであります。その第一条のところに、原子力利用における事故の発生を常に想定しと。つまり、原子力事故の発生、万が一があるんだということを常に想定すべしと。そして、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立つ、こういう文章があるんです。

 これはどういうことかというと、当時議論されたことは、四十年規制にいろいろと意見があったんです。しかしながら、万が一のことがあるということを想定しなくちゃいけない、そして対策をきちっとしなくちゃいけない。逆に言うと、そうした対策をすれば、膨大な費用というか、かなりの費用がかかって、そういうことを考えれば四十年以上の延長はしない、それが合理的な判断だ、まあ、もちろん個々の炉によっても違うと思いますが、それが合理的な判断になるだろうと。こういうことも、当時、審議の中では与野党で交わされたわけであります。

 ということでありまして、今申し上げました六十年の運転延長について、延長を認める要件は何なのか、お聞きしたいと思います。

市村政府参考人 お答え申し上げます。

 原子炉等規制法が定める運転期間の在り方については、立法時の国会審議において、今まさに先生から御紹介があったような、技術的見地のみならず幅広い観点から御議論が重ねられた上で法制化をされたものというふうに認識してございます。

 どのくらいの期間を認めるかということについては、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかなりませんので、そのことについて原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないというふうには考えてございます。

 したがって、御質問でありました六十年を超える運転についてということでございますけれども、これについては、規制基準について規制委員会としては具体的に検討しておりませんので、お答えをすることは困難でございます。

 ただ、御案内のとおり、現行の規定について申し上げれば、四十年を超える運転の部分については、いわゆる新規制基準に適合していることは当然の前提として、その上で更に劣化状況を詳細に把握するための特別点検をしていただいて、その点検結果を踏まえた、延長しようとする期間における設備の健全性評価の結果、さらには長期施設管理方針といったものを提出していただいて審査して認可する、こういう仕組みになってございます。

近藤(昭)委員 時間が参りましたので、また引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、馬場雄基君。

馬場(雄)委員 こんにちは。立憲民主党、福島県出身の、私、馬場雄基でございます。

 質問に入る前に、観光船沈没事故につきまして、お亡くなりになられました皆様方に本当に哀悼の誠をささげるとともに、政府一丸となって、原因の究明、そして、この件にとどまらず、安全対策、安全基準の徹底に全力を注いでいただきたいということを改めて心からお願い申し上げます。

 さて、先日、五月九日、チョウザメが琵琶湖で捕獲されたということを滋賀県立琵琶湖博物館が発表なされました。まさに私たちが特定外来生物の改正法案について審議し、可決した中で、このような問題が起きました。

 もちろんチョウザメは特定外来生物ではございません。しかし、博物館の担当者さんは、飼育されていたものではないかと思う、責任を持って飼い続けてほしいと呼びかけております。まさに、あの改正案の中でうたっていたその物事が実際にそうでなかったということが今回明らかになったわけです。

 本来、法律というものは社会を変えていくために存在しますし、国民の皆様方にメッセージをしっかりと伝えていくものでなくてはならないと私は考えます。環境省さんには、山口大臣を筆頭に更なる情報発信に努めていただきたいと心から願います。

 飼育できず放流された可能性の高い本ケースにつきまして、山口大臣の危機感そしてお考えを国民の皆様にどうぞよろしくお伝えください。

山口国務大臣 チョウザメは確かに外来生物法に基づく特定外来生物には指定されておらず、また、今回琵琶湖で発見されたものがどういう由来であるかというのは明確には判明していないと承知しています。

 その上で、飼育できなくなった動物を野外に放出することは、地域の生態系等に悪影響を及ぼすおそれがある行為です。また、動物を飼う際は、動物愛護管理法の七条にもあるとおり、終生飼養に努めることが基本です。

 先日、五月の十一日ですけれども、外来生物法の改正法が成立したところで、今回の改正は極めて身近な外来生物であるアメリカザリガニあるいはアカミミガメ等に対する規制も含まれており、国民の関心も高いわけです。このため、この改正は国民への外来生物問題についての普及啓発の好機と我々は考えています。

 法改正の内容だけでなく、外来生物がもたらす影響あるいは外来生物の適切な取扱いなどについて、我々のウェブサイトあるいはSNS等、多様なメディアで発信していくつもりです。また、教育機関あるいは動物園等と連携するなどして様々な場所や機会を通じた普及啓発も行い、外来生物問題についての国民の知識と理解の増進を一層図ってまいります。

 他方、なかなか難しいですよね、勝手に捨てちゃいけない、取りあえずは持っているやつは一生頼みますよと。アカミミガメというのは大体三十年から、あるいはそれ以上長生きするわけですから、本当に自分たちで終生飼養できるかどうかも含めて。明石市ではプールがあって、アカミミガメをその中に持っていっていると。だから、殺処分が忍びないなという場合にはそういうこともやっているらしいです。だけれども、そういうことも含めてもっといろいろと発信していかないと、なかなかこの問題というのは共有がまだされていないと思いますので、そこは更にやらなきゃいかぬと思っています。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。引き続き、環境省さん、皆さん一丸となって、このケース、しっかりと対応をお願い申し上げます。

 さて、また先日、いつも委員会を引っ張ってくださっている小泉前環境大臣の記事を実は見ました。若者団体の皆様方から提言書をいただいて、アメリカあるいはヨーロッパではいわゆる気候変動対策にもっと取り組めというようなことの突き上げが多くある、まだ日本はそれが弱いんじゃないかというような記事でございました。

 まさに今、待ったなしの状況であるのが気候変動の問題です。気候危機というような言葉に環境省さんも直されていると思います。本日、真っ正面から気候危機対策について考えていきたいというふうに思います。

 まず、気候危機対策における環境省さん自身の役割につきまして、山口大臣、簡潔に御説明をお願いします。

山口国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルあるいは二〇三〇年度の目標の実現に向けて、政府一丸となってあらゆる政策を総動員する、これがまず基本です。

 環境省は、気候変動対策全体を取りまとめる立場から、目標実現に向けて強力にリーダーシップを発揮し、毎年の温室効果ガスの排出量、吸収量の進捗を把握している、こういうたてつけですね。

 また、地球温暖化対策計画のフォローアップを通じて各施策の進捗状況を把握しています。

 今後も、関係省庁と連携しながら、脱炭素社会のグランドデザインを描き、その実現に努力していく。

 実際に、エネルギー問題、中でも、例えば、いろいろなもの、太陽、風、水、地熱、これを増やすだけではなくて、じゃ、石炭をどうしていくのか。石炭なくして、今、日本の電力の安定供給というのは残念ながらありません。それは資源が乏しい、あるいは、ヨーロッパだって、フランスとかドイツとかが実際に電力のグリッドがありますから、足らないときは融通する。日本は、ほかの国とそういうこともありません。

 だから、実際にどういうふうに万が一のときに電力の安定供給をするかという点では、やはりいろいろなエネルギーが必要だということはまずあろうと思います。それから、そういう意味では、経産省の所管しているもの、あるいは環境省的に再生可能エネルギーをどういうふうに進めるか。それから、これからはグランドデザインという言葉が非常にまた浸透しつつあると思うんですけれども、じゃ、どういうふうにカーボンニュートラルを進めるかというときに、一つにはイノベーションに対するお金。

 そんな中で、これからはカーボンプライシングという話も出てきます。ですから、カーボンプライシングの中でも、炭素税あるいはJCMのようなクレジット取引、それは環境省の立場です。いろいろな意味で、いろいろなところが入り組んでいるんですけれども、最終的に二〇五〇年にカーボンニュートラルをどうやって実現するか、そのグランドデザインは経産省を始めいろいろな省庁と共有しながらやっているところです。

 特に、一月十八日に始まったクリーンエネルギー戦略の有識者懇談会、そこでは経産省の萩生田大臣あるいは環境省の私に対して岸田大臣の方から、私には地域脱炭素、ライフスタイルの変容、それからカーボンプライシングの方向づけ、そういうことの指示を受けました。これから、大分もう中間の案がまとまっているんですけれども、合体して、どういうふうにグランドデザインが描けるか、カーボンプライシングの位置づけも含めて今作業しているところです。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。責任を持ってカーボンプライシング等の議論も含めて行うという力強いお言葉だったと思います。

 お配りさせていただきました資料につきまして御説明させていただければと思います。

 裏面に行きたいですけれども、部門別CO2排出量の推移というものの資料をお配りさせていただきました。ここは、いわゆる産業部門、運輸部門、あるいはエネルギー転換部門、家庭部門、様々あるわけですけれども、この下がっている推移、ここ近年に関してはなかなか、コロナ禍による影響もありましたので、一義的に喜ぶわけにもいかないのかなというふうに思うわけですが、今回私が注目させていただきたいのは運輸の部門についてでございます。

 理由は二つございまして、各省庁一丸となって技術が著しく今発展をしている運輸部門であるにもかかわらず、その削減幅がいまだ十分ではないという点、そしてもう一つ、二〇三〇年目標を見据えた際に更なる大幅な削減を必ずしなくてはならないという点で、技術だけではなくて社会的な変容、行動変容というものを起こしていかなくてはならないと考えているからでございます。

 本日、国交省さんにも来ていただいております。脱炭素社会の実現に向けて、運輸部門の削減、大幅な削減をしていかなければならないうち、どのような分野で対策が必要だと今現在考えておられますか。お願いします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 運輸部門におけるCO2排出量は我が国全体のCO2排出量の約二割を占めており、その削減は喫緊の課題です。また、二〇五〇年カーボンニュートラルあるいは二〇三〇年度の温室効果ガス四六%削減に向け昨年十月に閣議決定された地球温暖化対策計画、この計画では、運輸部門における二〇三〇年度までのCO2排出の削減目標が、二〇一三年度比で従来の二八%削減から三五%削減まで引き上げられたところであります。この目標の達成にはあらゆる取組を総動員する必要があると考えております。

 このため、運輸部門のCO2排出量の約八八%を占める自動車、この自動車のみならず、航空あるいは海運、鉄道といった各モード、あるいは物流、公共交通において、CO2排出量削減に向け、より一層の対策の充実強化が不可欠であるというふうに考えています。

馬場(雄)委員 国交省さん、本日はありがとうございます。まさに技術の向上はすごく進んできている、その点はまさにこのまま延長線上で頑張っていかなくてはならないと思っている一方で、今まさに挙げてくださっていた公共交通の点はしっかり見直していかなくてはならないと考えております。

 なぜか。一方、今、公共交通の現状を見てみると、かなり厳しい状況です。二〇〇七年から二〇一六年の十年間で廃止された例えばバス路線だけでも一万四千キロ、日本縦断が約三千キロと考えても、その五倍分ぐらいの長さのバス路線が廃止されている現状です。そして、ここ最近その流れはより顕著になっていて、民間事業者の約七割、そして公の事業であれば約九割が赤字とも言われています。

 いわゆる気候変動対策、気候危機対策においての柱であるはずの公共交通の部門においてここまで今厳しい状況であるということでございますけれども、公共交通部門はやはり大切であるということを改めて一言いただけないでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、公共交通の役割ですけれども、これは、地域の皆様、住民の皆様方の足の確保、あるいは、広く捉えると、我が国の国民生活あるいは経済活動を支える重要な役割を担っているものと認識しております。

 また、脱炭素社会の実現に向けても公共交通の役割というものは重要だというふうに考えております。具体的には、運輸部門における脱炭素化を進めるに当たっては、自動車などの輸送機関の単体対策だけではなくて、CO2排出原単位、すなわち単位輸送量当たりの二酸化炭素の平均的な排出量の値の小さい輸送手段へ転換していくことが重要だというふうに考えております。

 例えば旅客輸送について申し上げますと、各輸送機関のCO2排出原単位を見てみますと、二〇一九年度のデータでは、自家用乗用車が百三十グラムCO2・パー・人キロメートル、グラムCO2・パー・人キロメートルというものが排出原単位のことを表していますけれども、百三十であるのに対して、バスが五十七、鉄道は十七となっていまして、自家用乗用車に比べ、鉄道、バスは非常に小さな値となっております。

 こういったことも見ましても、CO2排出原単位の小さい輸送手段である公共交通、この利用を促進することが極めて重要だというふうに考えております。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。まさに重要であるというお言葉をいただきました。しかし、今現状厳しい状況というところが、やはり大きく矛盾しているのが今の日本社会だというふうに思います。

 世界では、二十年前、日本と同じように公共交通が本当に瀕死の状態であったところは数多く存在していますが、もはや、今現在では公共交通が既に当たり前になっている社会は多くございます。

 市場メカニズムだけでは解決しづらい環境コストというものがある、それが今、山口大臣もおっしゃっていたカーボンプライシングのお話にもなると思いますけれども、各国は環境負荷の大きい自動車に対して、しっかりとそれを税という形、コストを乗っけて、そして公共交通へモーダルシフトを起こしていく、そういうことを一連の流れとしてやってきた。例えば、ドイツの鉱油税みたいなものが挙げられるというふうに思います。

 なぜ、日本は公共交通機関の発展を目指すとずっと言い続けてきたにもかかわらず、海外のような取組を加速することができなかったのか。そして、脱炭素化社会の実現に向けて公共交通部門として取り組まなくてはならないことを現在どのように考えていらっしゃるのか。国交省さん、簡潔にお願いいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、公共交通はコロナの影響もあって大変今厳しい状況に置かれているものと認識しております。

 そういった中、先ほど申し上げた公共交通の役割をしっかり果たしていくためにも、国といたしましても、例えば公共交通の維持あるいは改善に向けての様々な支援策なども活用して公共交通をしっかりと支えていく、こういう考えでございます。

 また、脱炭素に向けての公共交通の役割でございますけれども、先ほど申し上げたCO2排出原単位の小さい輸送手段である公共交通の利用促進をするということはもちろんのこと、その利用促進をするに当たっては、移動しやすい環境整備を図るという観点から、公共交通がやはり便利である、利便性を向上させるということが必要だというふうに考えてございます。

 このため、私ども国土交通省といたしましても、この利便性を高めるための取組といたしまして、例えば、複数の公共交通ですとかあるいはそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて、さらに検索ですとか予約あるいは決済等を一括で提供するMaaSと呼ばれる取組をしっかり社会に実装させていこう、こういった取組ですとか、あるいは利用しやすい環境整備ということでバリアフリー化の促進など、公共交通の利便性を向上させる取組を進めているところであり、こうした対策をしっかりと講じていきたいというふうに考えているところでございます。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。まさに、MaaSのお話も大分前からスタートしてきているというふうに思います。求められるのは成果であるというふうに思います。

 本当に待ったなしの世界です。今の決断が未来をつくるということを前も申し上げましたけれども、まさに今の決断、そしてそれは政治の決断であるというふうに思います。各国ができてきて今日本ができていなかったこと、これをやはり検証して、どういうことで成果として返していくのか、これは極めて大事だというふうに思っています。

 環境大臣として、山口大臣の、これまでの議論を通して、公共交通における御所感に関して、あるいは決意に関して、お一言、是非お願いいたします。

山口国務大臣 脱炭素社会における公共交通の在り方ということでいえば、昨年十月に閣議決定した地球温暖化対策計画において、この運輸部門の取組として公共交通機関の利用促進というものを位置づけています。

 環境省としても、公共交通の脱炭素化のため、国土交通省と連携して、鉄道等における省エネ・省CO2化に必要な設備等に対する補助のほか、次世代型路面電車システム、LRT等の導入についての支援を行っています。

 そういう意味では、引き続き、国土交通省はもちろんのこと、全ての省庁と連携して取り組んでいくわけですけれども、全体からいったらこういうことだと思うんですよ。まずは自動車があるわけですよね。この自動車が、日本がどういう状況にあるのか。自動車大国日本はどこへ行ったんだ、中国が今勝っているじゃないか。電動車は中国は何百万台もあって、日本は何台あるんだ。この辺もありますよ。

 そこには、インフラとして、充電のシステム、いろいろなものが足りないわけですよね。じゃ、我々政府がこれからどういうふうに、例えば電気自動車の流れというものが変わらないのであれば、そこはそのものを受け入れてどういうふうに、例えば蓄電池のシステム、どういうふうにこれを例えば政府がサポートしながら民間の方もできるのか。この辺があると思います。

 要するに、CO2を減らすということで何を目指そうとしているのか。それは一つで、行き着くところはみんなの幸せですよ。だから、みんなの幸せが、例えば電気自動車ということで、CO2を減らすと同時に運輸手段を確保する。私のところはすごく田舎ですから、公共交通がないんですよ。要するに、車がなかったら生活できない。じゃ、その意味では、例えば自動運転システムの車、これが電気自動車でできるかどうかとか、相当なイノベーションが必要だと思うんですよね。

 公共交通というところの大事さというものを今言った上での話なんですけれども、イノベーションの中で、例えば中国がどれだけ使っているか、二十八兆円。日本は五兆円ですよ。大学ファンドができても十兆円、グリーンファンドがあっても二兆円、足りないじゃないですか。

 地球温暖化対策税で二千二百億円だけ、これから我々がカーボンプライシングの中で炭素税を入れたとしても足りないですよ。じゃ、例えばイノベーション国債でもつくるか。鉄鋼業に何兆円、自動車業界に何兆円、全部入れて、炭素税を引き受けてくれる代わりにイノベーション国債でもってイノベーションをやって、自動車業界とかいろいろなところを、電気の関係を進めていく。そういう話がここに隠されているんだと思うんです。

 例えば、LRTもそうですけれども、バスとそれから鉄道と合わさったようなものもできていますよね、赤字路線を廃止するというんじゃなくて、むしろそういうものでやっていこうとか。金がかかりますよね。今、民営化、民営化ということで結局鉄道も民営化したけれども、赤字だったら廃止するというんだったら生活が成り立たなくなるわけですよね。それを考えれば、やはり、公共交通を整える中でイノベーションも必要だし、政府の出すお金というものも必要だし、じゃ、それをどういうふうに賄うか、この辺が隠された大きな論点だと思っています。

馬場(雄)委員 力強いお言葉をありがとうございます。

 二点申し上げたいのが、一点目は、公共交通に関してはやはり自動車の外部性というのを非常に考えなければいけないというふうに思っています。環境コストというものをどこまで考えるか、それがすごく大事であるということ。是非、国交省そして環境省が連携して、これは成果を見せていただきたいというふうに思っています。

 もう一点、環境大臣がおっしゃってくださったイノベーションに関してですけれども、イノベーションに関しては、やはり、日本が生き残るために何の技術を取らなければいけないのか。技術においても、総花的にやるのではなくて、世界でも有数の、世界にまさに、冠たるという言葉は余り使いたくはないですけれども、世界で何の技術を取るか、キーデバイスをどこで取るかというのが非常に重要だと思います。しかし、今この日本の政府の中の政策の一覧を見ていく中で、そこが全く見えていないところが問題だと思いますので、是非その点は皆様方と一緒に議論させていただきたいというふうに思います。

 最後に、第二百八回国会、私も五回目になりますけれども、中間貯蔵施設に関する土壌について最後に伺いたいと思います。繰り返しますけれども、再利用ではなくて、土壌そのものについてでございます。

 土壌については、国内の研究はもちろんのこと、国際的な複数の知見を求めて、国際的な理解を得ながら、風評被害を生まないための環境整備を丁寧に今からつくり上げていかなくてはなりません。

 先日、四月二十八日、震災復興特別委員会において穂坂政務官と議論させていただきました。国際的な理解が必要であるという議論をさせていただいた最後ですね、残念ながら、一つ一つ、国内の機関もあるのでというようなお言葉の御答弁でございました。

 改めて申しますが、国内の機関は当たり前なんです。でも、それだけでは世界の理解は得られないのではないんでしょうか。本件に対する言葉に関する修正、あるいは国内の機関だけで風評被害は起きないという自信があるのか、大臣の考えをお願いいたします。

山口国務大臣 御指摘の穂坂政務官の発言は、国際的な理解、評価も得ていくことが重要だ、そのために国内トップレベルの専門家の知見に加え、国際機関との連携協力も行っていくという趣旨での答弁と認識しています。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。まさに国際的な理解が必要であるという御答弁でございました。

 しかし、三月八日、私の質問させていただきました土、土壌に関する安全性の国際的評価は、今のところはないというのが環境省さんのお言葉でした。矛盾しておられませんか。中間貯蔵施設に集められた土に関心を持っているのは、何も国内だけではありません、隣国で暮らす人々、あるいは全世界中、福島に思いを持ってくださる方々。全ての方に理解いただける環境を私たちは国の責任としてつくらなくてはならないのではないでしょうか。そのために、様々な角度からの検証、すなわち国際的な理解、知見が必要なのではないかと私は思うわけです。

 山口大臣、そもそも、伺いますけれども、中間貯蔵施設に土壌を集めた理由につきまして教えてください。

山口国務大臣 発災当初、福島県において除染により発生する除去土壌等については、分からないわけですね、どれだけ出てくるか。量が膨大だということが見込まれ、かつ最終処分の方法についても明らかにすることが困難であったと。

 このため、一定期間安全に集中的に管理、保管すべく、中間貯蔵施設を設けることとした次第です。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。まさに、県民の皆様方の安心に寄り添ってくださった当時の政府の判断であったというふうに私は思います。

 でも、だからこそ、この土と私は真剣に向き合っていきたいんです。安心を届けたいならば、あるいはこの土をもう一度皆様の元へ再利用して戻したいと考えるならば、徹底的にこの土と向き合わなくてはならないんじゃないんですか。

 今のやり方では、集めたものの大多数をそのまま再利用して戻すということであるならば、これだけの土を集めなかったことでもよかったんじゃないんですか。各地、その現場で調べて八千ベクレル以下と分かれば、そのままにしてよかったんじゃないんですか。集めた土がどのようなものなのか、一般的な土と同じなのか、違うのか、再利用することは妥当なのか、再利用することにおいてはこういうところに懸念点があるとか、そういった一つ一つの理解というものを、国内一人一人の感じ方も、あるいは国際的に、いろいろな各国、見え方も異なるわけです。私たちは、その皆様方の不安に思う気持ちととことん寄り添わなくてはならないんじゃないんでしょうか。

 将来的に風評被害が起きないという自信が今の環境省さんにあるのか、私は甚だ疑問なんです。その可能性を、あるいは危機感を認識しているならば、そしてそれを防ぐ方法が、まだ可能性があるとするならば、私は何が何でも全力でそれを支援していきたいんです。これが今の私は国の責任だと思っています。

 改めて、再度ですけれども、山口大臣に、防ぐ方法として一つ御提案をさせていただきます。中間貯蔵施設に集めた土壌に関して今後自信を持って対応していくに当たって、国際的な機関、IAEAは当たり前、各国複数の専門家による土壌に関する検証が必要なのではないかと御提案させていただきます。お答えをお願いします。

山口国務大臣 除去土壌の再生利用を始めとした環境再生事業等の推進に当たっては、その必要性、安全性に対する国民の理解醸成を図ることが不可欠です。そのためには、国際的な理解、評価を得ていくことも重要と認識しています。

 これまでも、国際原子力機関、IAEAと連携して専門家会合を計四回開催し、環境省が取り組んできた環境再生事業等について幅広く議論がなされ、現在、統合報告書の公表に向けてIAEAにおける作業が進行しているところです。その前提として、国内トップレベルの専門家のいろいろな作業もあります。

 したがって、今後とも引き続き、国内トップレベルの専門家やIAEAなど国際機関の意見も踏まえつつ、更に検討を進めていきます。

馬場(雄)委員 ずっと話がかみ合わない、五回目の質問でもございました。

 私も、福島の未来を背負っている覚悟でここに立っています。今ここで土壌に関する検証を、国際的な知見を入れて、だって、何年たっているんですか、二〇一一年からずっとたっているわけで。それで、これからもそういうふうなことをやっていく、国内だけでやっていく、国際的なことをやっていく、IAEAだけですよね、それの中で、やはり私は足りないというふうに思うんです。

 まだ私は方法があると思う。それは、土に関してとことん向き合うということだと思うんです。再利用のことではないです。再利用に関しては、安全な場所で安全に管理されて、安全な検証をしてあれば、安全に出てくるんです。そうじゃなくて、土そのものに対して、各国の、全ての国の、国内ももちろん、その人たちとの信頼関係をしっかりと得ていくために、その土と向き合うことが私は必要だというふうに思うんです。

 福島のため、そして原子力災害からの復興のために国際的な機関での検証を行うという前向きな御答弁、いただけないでしょうか。

山口国務大臣 私は、五回ぐらい、国際機関としっかり検証していくということを言っているつもりです。国内のトップレベルの専門家ももう少し信用していただいたらいかがでしょうか。その上で、国際的な人たちとの、専門家との協議もやる。何も私は、そこに落ち度はありません。

馬場(雄)委員 もう十年以上たっていながら国内のものしか持っていないというのがおかしいのではないかと私はお伝えさせていただいているわけです。

 原子力災害の事故というものは、私たちの政府の責任としてやはり解決していかなくてはなりません。そのときに各国の理解が絶対に必要です。日本をよく思わない国々に対しても向き合っていかなくてはならないということです。

 だからこそ、私は最後に申し上げさせていただきたい。リスクを少しでも抑えることができる方法があるならば、迷わず環境省さんは力を注いで行っていただきたい。それが私の最後の心からのお願いとさせていただきまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。今日もよろしくお願いいたします。

 今日は、いわゆるAKB商法について伺っていきたいと思います。

 最初に申し上げますが、特定のアーティストとか特定のレーベルなんかについて批判をするわけでもなく、いわゆる言われているAKB商法というものについて伺っていきたいと思います。

 皆様も御存じだと思いますが、CDを一枚買うと握手券がついてきて、そのアーティストと何回も握手したいから大量にCDを買って、そして握手して、それ目的で買ってCDが山積みになって廃棄されてしまうとか、あるいは置場に困る、こういうようなことも報道をされています。このいわゆる握手券とか、あとは総選挙といって、CDに付録でついてくる投票券で自分の推しのアーティストに選挙で投票するために大量に買うということがあったりとか、あとは、違うバージョンのジャケットがあって、両方のジャケットが欲しいから、CDを、中身は一緒なんだけれども複数枚買うとか、いろいろな種類があるんですが、それを今日はちょっと便宜上まとめてAKB商法というふうに申し上げたいと思います。

 まず、これは最初は質問しようと思ったんですが、ちょっと時間がないので私から申し上げますが、日本の音楽産業の特徴として、今世界ではストリーミングが主流になっていて、事前にレクを受けたところ、世界ではパッケージで売られているCDとかそういうものは全体の二〇%以下になっております。これが世界のトレンドです。

 世界二位の音楽市場と言われている日本だけがこの状況が全く違って、二〇一八年、一九年、二〇年を見ても、まだまだ半分以上がパッケージで売られているのが今の日本の音楽産業の現状です。それは、やはり、一つには、聞いていないのに買っている、いわゆるAKB商法なるものによるものではないかというふうに問題意識を持っているわけですが、まず初めに、膨大に使われているCD、一枚当たりどのぐらいのプラスチックが使われていて、廃棄されるとしたらどのぐらいのCO2が排出されるものなのか、お伺いをしたいと思います。

大岡副大臣 源馬議員にお答えいたします。

 業界団体の資料によりますと、CDは、現在、約一億枚、年間に生産されておりまして、CD一枚当たり、ケースも含めると、環境省の資料によりますと七十グラムということになります。

 したがいまして、この一億枚が全て捨てられているとすると、年間に捨てられている量が七千トンでございまして、廃棄すると、一トンのプラスチックを燃やすと二・八トンのCO2が出ます、造るときにも、プラスチックを一トン造るのに一・八トンぐらいのCO2が出るということでございますので、単純計算しますと、捨てただけで、七千トンを捨てると約二万トンのCO2が出る、製造時点でも一万トンから一万五千トンのCO2が年間に排出されております。したがいまして、三万トンから三万五千トンのCO2が排出されているものと思います。

源馬委員 ありがとうございます。やはり、かなりの量だと思います。

 もちろん、ペットボトルなんかに比べて売れている総量というのは違うかもしれませんが、それでも、今、CD一枚当たり七十グラムぐらいとおっしゃいましたね、ペットボトルだと、二リットルのペットボトルでも四十グラムになるんですよね。その二リットルのペットボトルの二倍ぐらいの一枚のCDで、しかも、それが、聞いていないCDが大量に出回って購入されている、こういう状況だと思います。

 仮に、ではもうそろそろ処分しなきゃなというふうになった場合はどのように処分されるのか、そして、この前のプラスチック資源循環促進法の施行でこれが今後どのように変わっていくのか、自治体の負担の観点からどういうふうになっているか、お伺いをしたいと思います。

大岡副大臣 これまで、CDを含むプラスチック製品につきましては、多くの自治体において可燃ごみとして処理されておりますので、燃やされております。ペットボトルは、その点、リサイクルに回っている分が多いと思います。今年四月一日に施行されたプラスチック資源循環法によりまして、市区町村に包装容器に加えてプラスチック製品に関しても分別、リサイクルの努力義務を課したところでございます。

 既にCDをプラスチック資源として分別回収している自治体も増えてきておりまして、今後、容器包装に該当しないプラスチック製品のリサイクルに係る経費、これは当然市町村の負担となりますので、国としてモデル事業の実施や特別交付税という措置を取ってしっかりと支援してまいりたいと考えております。

源馬委員 実際に、私の地元の浜松市も、今度、地元の静岡新聞社さんが主催してCDを回収するなんというイベントもやったりするわけで、こういったことも、自治体の負担も増えてくると思います。

 そもそも、繰り返しますが、ペットボトルだったら、飲むために買って、それでごみが出る。ただ、CDも、一枚大好きなアーティストのを買って、それが、聞いて、保管しておいたりとか、最後、要らなくなって破棄するケースもあるかもしれないけれども、それなら分かりますが、聞きもしないというか、ちょっとそういう言い方はあれかも分かりませんが、聞かないのに購入する、これが世の中に氾濫してしまっているという状況は非常に問題なのではないかというふうに思います。

 脱炭素、プラスチックの使用を減らしていこうという視点での問題が一つと、それから、こういう売り方が常態化して売上げに影響すると、例えばオリコンのヒットチャートなんかにも影響がかなり出ますよね。いわゆるこうしたAKB商法と言われる販売方法が、ちなみに、私、全て否定するわけじゃなくて、私はファンの方にもお話を聞いてきました。ファンの方の中には、応援の気持ちがあって何枚も買いたいんだという方もいらっしゃいます。私が伺った方は、それではもったいないので、例えばラジオ局に上げたりとか、これを使ってくださいというふうにしている方もいらっしゃいます。ただ、やはり無駄になる場合もある。

 これを、今日は文科副大臣にもおいでいただきましたので、いわゆるこういう販売方法などがオリコンチャートなどの売上げを集計したランキングに影響を与えたりして、文化としての音楽産業というものの成長を阻んでいる側面があるんじゃないかと思いますが、このことについての御見解を伺いたいと思います。

田中副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 ランキングの価値をゆがめてしまっているのではないかということも含めてでありますけれども、御指摘いただきました販売の方法の在り方、すなわち音楽CDと付随する特定のパッケージで販売する方法についてでありますけれども、様々な議論があることについては承知をいたしております。民間の活動に属するものであり、政府としてコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

源馬委員 日本のコンテンツ産業を元気にしていって世界で戦えるものにしていくという側面からも、日本だけがこういう売り方をしていて、実際に好まれている音楽と必ずしも一致しない売上げランキングが出回っていて、それによる経済的利益も入っている。売り方についてなかなか政府が言うのは難しいかもしれませんが、日本のコンテンツを強くしていくという側面でちょっと逆方向に行っているのではないかというふうに思うんですが、その点について、いかがですか。

田中副大臣 民間で行われているランキングの指標また評価の方法については、それぞれ様々な特色があって、利用者の判断に応じて、先ほども申されておりましたけれども、活用されていくものと考えております。音楽に関するランキングの中には、音楽CDの販売数以外の要素も入っていると思いますし、そういったものも提供されているものだと思っています。

 また、このようなランキングの在り方については、民間で行われる創意工夫に基づくものであると思っておりますので、政府としては、先ほど申し上げたとおり、差し控えさせていただきたいと思います。

源馬委員 ストリーミングで買われたコンテンツとCDで買われたコンテンツでは、例えばJASRACに入る収入なんかも変わってくると思うんですよね。

 そういうことも含めて、今日、本当は、文化庁長官にお越しをいただきたいとお願いしました。なぜ文化庁長官はお越しにならないんですか。

田中副大臣 文化庁関係の国会審議においては、理事会等の協議によりまして、基本的には、大臣や副大臣、大臣政務官が責任を持って質疑に当たっており、細かな目的、技術的な事項については文化庁次長が御説明しているところであります。

源馬委員 いや、理事会の協議じゃないですよね。私が文科省にお願いをしましたら、昨日の夜、しかも私じゃなくて私の秘書宛てにペラ一枚で、ファクスで、文化庁長官は答弁させませんというのが紙で来ました。これはやはり国会軽視じゃないですか。

 過去の質問主意書にもあります。長官が質疑しないなんということは取決めはない、政府は決めていない、国会で運営するものというふうに言っていますし、平成二十五年から三十年の五年間だけでも、かなりの数の庁の長官がいらっしゃっています。国税庁長官、林野庁長官、水産庁長官、資源エネルギー庁長官、特許庁長官、中小企業庁長官、そのほかの長官もいらっしゃっています。

 国会で駄目だと言われるなら分かりますが、文科省が駄目だと私に言ってきましたが、これはどういうことなんでしょうか、副大臣。

田中副大臣 御質問の通告を受けて、今も副大臣としてここに来させていただいておりますけれども、その責任の中で答弁をさせていただいていると思っていますので、その点でお願いしたいと思います。

源馬委員 答弁者は、政府というか、省庁が決めるんですか。文科省の場合、文科省で決めるんですか。

田中副大臣 そこは恐らく、質疑者の先生ともいろいろと相談があるんでしょうけれども、今回、副大臣としてこの答弁を承りました。

源馬委員 相談は一切ありませんでした。最初、連絡があって、私、では過去に長官が答弁したことがないのかどうかも調べて教えてくださいという話で話しましたけれども、一方的に、紙一枚で、ファクスで秘書宛てに送られてきただけで、長官は出席できませんと。

 こういうやり方は文科省はするんですか、今後も。

田中副大臣 少し言葉が足らなかったのかも分かりませんが、本日、長官は公務出張ということで、日程の変更が困難であるということでありましたので、副大臣として来させていただきました。

源馬委員 国会運営としておかしいんじゃないかと思います。

 委員長、理事会で協議していただいてもよろしいですか。

関委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

源馬委員 しかも、これまで聞いたことがないと思うんですよね、文科省が出席させませんと紙で通告してくるというのは。是非気をつけていただきたいと思います。どなたが判断したのか本当に分からない。お願いします。

 AKB商法に戻りますが、こういう販売方法を本当はJASRACにも関係をしていて音楽業界にも通じていた文化庁長官にお伺いしたかったわけですが、副大臣は、お答えにならないと。

 売り方ということから離れたとしても、このように、実際には聞かれていない同じCDが何枚も何枚も買われ、そこに二リットルのペットボトル二本分以上のプラスチックが使われている、それが出回って、無駄に出ているという。我々は、議員立法で、昨年、プラスチックの製造自体も少なくしようという趣旨の法案を出しましたが、この理念からしても大分離れているこの現状、いわゆるAKB商法が日本のみでこんなにはやってしまっている。これについて、脱炭素を進める立場の大臣の御見解を伺いたいと思います。

山口国務大臣 いわゆるAKB商法と呼ばれる方法で多数のCDが廃棄、CDとプラスチックケースと二つあるかもしれません。一瞬私が思ったのは、プラスチックケースを紙のケースにしてやったらどうなのかなと思ったけれども、それでもCDが残るわけですね。

 同じような画像がテレビで、中国の人が牛乳瓶を、懸賞みたいなのがついていて、大量に溝に牛乳を流して、飲まないのに。それはなぜかというと、同じような話ですよ。だから、ちょっと、そういう映像を見たら違和感はありますわね。

 だから、そういう意味では、私は今、脱炭素を推進する立場として考えれば、それはやはりいろいろな、プラスチックとかCDとか、無用なものがそうやって出てくる、廃棄されるということであれば、つらいものがあるな、調子悪いなというふうには思います。

 楽曲の提供方法ということはいろいろあるんでしょう。それは、今、文科省田中副大臣が答えられたとおり、いろいろな、民間のやり方もいろいろあるだろうから、それは私はちょっと言う立場にはないんだけれども、楽曲の提供方法としては、CDの販売のほかに最近はダウンロードやストリーミングというおっしゃったような電子的な方法もあるんだから、そういうことは資源の消費抑制につながるんだろうかなというふうには思います。

 プラスチックについて我々が、とにかく、余りよくないな、不必要な使い方をするのはよくないなという意識をもうちょっと持っていかないかぬのだと思うんです。過剰な使用を抑制し、また、必要不可欠な使用については再生プラスチックやバイオマスプラスチック等に適切に切り替え、徹底したリサイクルを実施する、こういう感覚をとにかく共有していくという意味では、今おっしゃったようなAKB商法は若干ちょっとつらいものがあるなというふうに思います。

源馬委員 ありがとうございます。

 これは、アーティストを応援したいという気持ちがあるファンを買いたいという気持ちにさせる商法なので、そこでプラスチックは控えておこうとはなかなかなりにくいと思うんですね、スプーンとかレジ袋と違って。でも、使うものなのに規制する、スプーンとかレジ袋とか今後ありますよね、いろいろ。なのに使わないプラスチックをこのままほっておくというのは、私は、大臣、言葉は優しかったですが、もっと環境省として、余りこれはよくないというメッセージをどんどん出していっていただきたいと、最後に改めてお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

関委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 三月八日の本委員会の大臣所信質疑では、大阪・関西万博に向けた生物多様性の保全についても大臣より御答弁いただいたところであります。

 その上で、先日、万博会場における生態系保全について自然保護団体が要請をしたとの報道がございましたが、環境省としてはどのように把握、認識しているか、また、環境省としてできることがあるのか、お伺いいたします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 二〇二五年日本国際博覧会、大阪・関西万博の会場における生物多様性の保全について、日本自然保護協会、WWFジャパン、日本野鳥の会の連名での要望書、これは環境省にも届いているところでございまして、その内容については承知をしているところでございます。

 現在、万博会場予定地として大阪湾に造成中の人工的な埋立地の中に、シギ・チドリ類ですとかコアジサシ、こういった野鳥が飛来してきているということで、今後の整備と野鳥保護の在り方というものが議論になっているものと認識しているところでございます。

 今週には、私どもの方にも情報が届いておりまして、大阪市と自然保護団体等の意見交換もなされたというふうに聞いております。万博会場予定地における生態系の保全については、一義的には、やはり、地元の自治体、大阪市さんを中心に適切に判断されるものというふうに考えております。

 地域において生態系保全の取組が行われる場合に、環境省としましても、技術的な助言等の協力、これは可能というふうに考えておりますので、こうした動きを注視してまいりたい、このように考えております。

漆間委員 報道や大阪港湾局の資料によりますと、代替地の整備の検討を進めるとありますけれども、これによって生態系の保全をしっかりと継続することができるのか、環境省の見解をお伺いいたします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 万博会場予定地に飛来している野鳥の代替的な生息地の検討、これに関しましては、具体的にどういった中身かということは詳細を承知しておりませんので、ちょっとコメントを、ここでいい悪いについてお答えすることは難しいんですけれども、一般論としましては、現在ある野鳥の生息地を保全することが難しい、そういう場合に、その周辺で代替の生息環境を創出して、そして地域の生態系の保全を図っていく、こういったことは、そこを利用する野鳥の生息環境の確保という観点では望ましいものというふうに考えております。

 人工的に野鳥の生息地等を整備した事例としましては、例えば東京の葛西海浜公園ですとか博多湾の東部、名島海岸、こういったところでの事例がございます。大阪湾においても地域特性に応じた代替環境の整備を行おうとするのであれば、多分参考になる点があるのではないかというふうに考えております。

 今後、万博の開催に関連して野鳥の生息環境の保全等に取り組まれるということであれば、環境省としても、今申し上げたような取組事例の紹介や若しくは技術的な助言、こういったもので必要な支援は行ってまいりたい、このように考えております。

漆間委員 ありがとうございます。環境省としてできることがございましたら、できることについては、是非、大阪市、大阪府に御協力、また、お知恵をおかししていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、地元自治体における施設更新に伴う解体における事案について一点質問させていただきます。

 施設解体に伴う石綿を含んだ仕上げ塗装除去に加え、モルタルへの石綿含有例が増えていることから、飛散防止措置に関わる基準の設定が環境省、政府においてなされ昨年四月より適用されているところでありますが、基準に沿った施設解体をしますと自治体にとって大きな負担になると聞いておりますが、環境省、政府の認識はいかがでしょうか。また、これに伴う財源に対する政府の支援措置についての認識も併せてお伺いいたします。

松澤政府参考人 お答えいたします。

 石綿につきましては、本委員会におきましても、石綿による健康被害の救済に関する法律の改正が御審議されるというふうに伺っております。

 こういったことも踏まえまして、過去に建築物、工作物に使用されました石綿の飛散を防いでいくこと、今後、建築物、工作物が解体されるときに飛散するおそれがありますので、それによる新たな健康被害を未然防止する、こういう必要があるというふうに環境省として考えているところでございます。

 先生御指摘の石綿含有仕上げ塗り材、こういったものにつきましては、令和二年に大気汚染防止法を改正いたしまして、大気汚染防止法の規制対象の石綿含有建材に追加を行っております。

 この法律改正を行うそれまでの間も、環境省におきまして、マニュアルですとか通知に基づいて、行政指導により大防法に準じた対応をお願いしてきていたというところでございます。

 元々、飛散性という意味ではそれほど大きくないので、解体時に注意をする、こういうことで、石綿障害予防規則ですとかそういうものでは対象になっておりましたけれども、大気汚染防止法では行政指導をしていたということでございます。しかしながら、飛散防止措置を講じていない事例もあるということですので、法律改正をいたしまして、きちんと法律に基づく規制対象として、今般、規制を始めたということでございます。

 この実施に当たりましては、適切な飛散防止措置が実施されるように、同時に、解体などの工事に関わる事業者、それから発注される自治体、こういったところの様々な負担を軽減するために、令和三年の三月に、建築物の解体に係る石綿暴露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアルというのを取りまとめております。

 このマニュアルでは、石綿含有仕上げ塗り材、こういったものについては湿潤化した上で除去するなど、通常の解体工事業者さんが対応可能な工事方法、こういったものも含めまして、事前の調査方法、それから各種工法及びその手順、きめ細かく技術情報をお示しいたしました。

 引き続き、法制度やマニュアルなどの技術情報を周知して、石綿の飛散防止対策の徹底と同時に現場の負担軽減を図ってまいりたいと思います。

 先生御指摘の自治体については、私ども、直接的な財政支援というのはございませんけれども、民間の中小企業者の皆さんにつきましては、費用面では、日本政策金融公庫による貸付制度、こういったものがございますので、中小企業の皆さんに対してはこういった支援もさせていただいているところでございます。

漆間委員 基準を守りながら大きな負担とならない方策だったりマニュアルがあるということでしたので、是非、その周知もよろしくお願いいたします。

 また、財政支援ですね。今後、高度成長時の施設更新に伴う解体も自治体では増えてまいりますので、是非、自治体への支援の御検討もよろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほど馬場委員の質問の中でありましたけれども、気候変動危機に対しましては、気候変動緩和策、いわゆるカーボンニュートラルを含めた緩和策と併せて適応策をやっていかなければならないという前提において、気候変動適応策については、四月一日、本委員会の参考人質疑で、小西参考人より、まだまだ気候変動適応策にはお金が集まっていないという御意見をいただいたところです。

 そこで、気候変動適応策の投資資金の集まりの現状についての環境省の認識をまずお伺いしたいと思います。あわせて、ここに集まっていないとするのであれば、どうして気候変動適応策にお金が集まっていないのか、その理由と、集めていくためには環境省として今後どうしていくのか、全部併せてお伺いさせていただきます。よろしくお願いいたします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 まず、気候変動適応策に必要な投資が集まっていないというのはそのとおりであるというふうに認識しております。

 気候変動のリスクについては、IPCCの第六次評価報告書であったり、あるいは日本国内については環境省が取りまとめております気候変動影響評価報告書で示されております。しかしながら、いわゆる投資先として気候変動の適応というのがあるという認識については、まだ十分その認識が浸透していないのではないかというふうに考えております。

 環境省といたしましては、まず、こういったリスク、様々な影響、あるいはリスクの情報というのをしっかり発信いたしまして、気候変動適応策への投資の必要性についての理解を促進していきたいと思っております。さらに、気候変動適応に民間資金を呼び込むという上では、やはり、投資判断の基盤となるようなリスク情報であったり、あるいは明確な評価指標も提示していくということも必要であると考えております。

 この点、環境省におきましては、国立環境研究所と連携いたしまして気候変動適応情報プラットフォームを設けまして、これを通じた気候変動のリスク情報の提供を行っております。また、金融機関向けの適応ファイナンスのガイダンスを策定いたしますとか、企業や自治体が適応プロジェクト等を資金使途としてグリーンボンドを発行する際の支援というのも行っております。

 今後も引き続いて、このような企業や自治体に対する支援に加えまして、将来の気候変動影響予測に関する調査研究の推進、気候変動のリスク情報の充実、評価手法の検討などを行いまして、適応への投資の拡大に向けた環境整備を進めてまいります。

漆間委員 ここにお金が集まっていないというのはある意味チャンスでもあると思っておりますので、是非、世界の投資資金がここに集まってくるように、ルールメイキングも含めて、主導権を取れるように、環境省としても取組をよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

関委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 冒頭、議員パスについて一点お伺いしたいと思います。

 元職の議員の方が悪用したということで、詐欺の容疑で逮捕されたと。議員パスの運用についてはいろいろ、そもそも必要ではないんじゃないかとか、運用について様々な問題があると思うんです。我が党の副代表の吉村知事が発信をしているんですけれども、プラスチック製のパスを電子化すればいいんじゃないかということを提言していますけれども、その点、この辺り、大臣にお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 問題はその人の意識ですから、これは別に、電子化するとかなんとかの話では私はないと思っています。そういう意味で、御指摘の国会議員の鉄道乗車証の扱いについては、様々な観点から国会でお決めになるものというふうに認識しています。

遠藤(良)委員 是非、環境省としても、こういう問題が起こっているので、その辺りを関わっていただきたいと思います。

 三月二十五日、環境委員会で使用済み紙おむつのリサイクルの質問をさせていただきましたけれども、環境省からは、自治体の関心も高く、我が国全体で対応していかなければいけない重要な課題と認識しているということ、再生利用等が紙おむつ処理の課題を解決する選択肢の一つとなりますように、好事例の横展開に努めてまいりたいということをおっしゃっていただきました。この好事例について、どのようなものがあるか、お尋ねしたいと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の紙おむつリサイクルにつきましては、現時点では取組事例が残念ながら少ないのでございますが、そのためにもリサイクルを検討する自治体等への情報提供は大変重要だと思っております。

 具体的な好事例ですが、例えば九州の大木町など自治体の事例では、使用済み紙おむつ専用の回収ボックスを設置しまして、その回収ボックスへ常時排出可能にするということで住民の利便性や快適性を考慮した形で分別を促進しているというふうに伺っております。

 こうした事例をガイドラインや普及啓発のパンフレットにまとめて自治体に対して周知しておりまして、引き続き好事例の収集を行いつつ、紙おむつのリサイクルを検討している自治体に対して情報提供を継続してまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 山口大臣から、再生利用等を検討している自治体に対して地域の実情を踏まえた分別収集のコンサルティングも行っているということでしたけれども、紙おむつの分別収集を行おうとしている自治体の相談はどの程度あるのか、お尋ねしたいと思います。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 紙おむつリサイクルを前向きに検討している自治体を対象としたコンサルティングを実施しておりますが、令和二年度には五件、令和三年度には十件、実績がございます。

 また、コンサルティングを行った内容を報告書として取りまとめて環境省ホームページに掲載し、自治体から問合せがあった際に情報提供をしておるところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 厚労省として今後どのような協力ができるか、環境省とも連携して検討してまいりたいということをおっしゃっていただきましたけれども、環境省との連携はその後進んでいるのか、また、積極的に取り組んでいく保育所に対して支援を行う方向性についてはどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

川又政府参考人 前回の先生からの御指摘も踏まえまして、環境省からは、使用済み紙おむつの再生利用等に関するガイドライン等に関連して、自治体における具体的取組例や企業と連携した実証実験に関する情報なども共有をいただいているところであります。

 厚労省としては、引き続き、保育所における使用済み紙おむつのリサイクルに関する好事例を収集し自治体に展開するということにつきまして、環境省と連携してまいりたいというふうに考えております。

 保育所への支援等については、好事例等の状況もまた見て検討していくことになろうかと思います。

遠藤(良)委員 山口環境大臣に、使用済み紙おむつのリサイクルについて、厚労省との連携について、これも併せてお尋ねしたいと思います。御意見をお願いいたします。

山口国務大臣 使用済み紙おむつのリサイクル促進のためには、紙おむつを分別して排出を行うなど、保育所等の事業者による協力が必要不可欠だと思います。

 このため、紙おむつリサイクルの導入を検討する自治体において環境部局と保育所等の所管部局との連携を深めていただくことが重要です。

 環境省においては、使用済み紙おむつに関する優良事例の収集の中で、保育所等の事業者における分別保管やおむつ以外の異物混入防止等のリサイクルに関連する取組を整理し、こういうことで、結局、環境省のみならず、保育所等を所管する厚生労働省とも共有していくということが必要なので、そういう意味では、我々は、更にそういう共有をさせていただくこと、また自治体内で更なる連携が進むように促してまいりたいと思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。このテーマについては地元の議員の方としっかり連携しながら議論しているんですけれども、是非、国としても横断的にこういう取組を積極的にやっていただきたいと思います。

 次に、先日、読売新聞の記事で、都心のカラスが二十年で三分の一以下になったという記事を見ました。これはごみが減少したことが関係しているようで、一九九〇年代から飲食店を含む事業系ごみの有料化の影響などで徐々にごみの量が減り、二〇〇一年度は約三百五十二万トンだったものが、二〇二〇年度には二百五十五万トンになり、百万トンほど減少していると。カラスもごみの量と連動するように減少しているということで、東京都が対策を始めた二〇〇一年度の約三万六千四百羽と比べ、二〇〇五年度は一万七千九百羽と、ほぼ半減している。二〇二〇年度は約一万一千羽と、約七割減になったということです。

 この辺りについて、環境省としてはごみの減少とカラスの減少についてどのように認識をされているのか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、我が国でも、ごみの総排出量というのは、令和二年度の四千百六十七万トンから、入手可能なデータの範囲で、ピークになっている平成十二年度と比較すると令和二年度には約二四%減少しているということで、東京都でも令和二年度実績で四百二十四万トンとなっているんですけれども、ピーク時と比べると約二〇%減少ということでございます。

 環境省としましては、こうしたごみの排出量の減少と都心部におけるカラスの生息数の減少との間の明確な因果関係というものは残念ながら承知しておりません。ただ、一方で、東京都では、夜間や早朝のごみ収集ですとか、カラスに荒らされにくいようなごみの集積方法ですとか、またカラスの被害対策等に平成十三年以降に積極的に努めてきたというふうに聞いております。これが功を奏して恐らくカラスの生息数が減少しているのではないかというふうに考えております。

 都市部のカラス対策については、一つには、ごみの適正な収集、集積、これが重要であるというふうに考えておりますし、引き続き廃棄物の適正な処理と野生鳥獣の適切な保護管理の推進に努めてまいりたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 これは多分好事例だと思います。関係性をしっかり調べていただいて、分析をして環境省としても発信していただくということは非常にいいことだと思います。

 東京都の人口が二〇〇〇年だと一千二百万人ほどだったと。二〇二〇年度では一千四百万ほどということで、人口が増えているんですけれども、一方でごみが減少しているということなんですけれども、この点に関して、環境省としてはどのように要因を捉えられていますでしょうか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 ごみの排出量については、御指摘のように年々減少しているという状況がございまして、この分析でございますけれども、各種リサイクル法によって、ごみの排出抑制、それから分別、リサイクルといった取組が進んだことが非常に大きい要因と思っておりますし、また、自治体によってはごみ処理を有料化する、あるいは啓発活動を非常に盛んにするといった取組も行われておりまして、そういったことにより減少が続いておるというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 ごみの最終処分量は年々減少しているということで、一方で、リサイクル率はここ数年二〇%程度で推移している。プラスチックのリサイクルがこの四月から始まりましたけれども、リサイクル率に変化は今後出てくるのか。また、リサイクルの対象は拡大傾向にあると思うんですけれども、今後、リサイクルの対象についてはどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

室石政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまで、容器包装リサイクル法に基づきまして、家庭から排出されるプラスチック製容器包装を市区町村が分別収集しておりました。四月に施行されたプラスチック資源循環法によりまして、容器包装のみならず、それ以外のプラスチック製品についても分別収集、リサイクルの努力義務を課したところでございます。

 さらに、家庭のみならず、事業所から排出されるプラスチックごみについても、同法において、製造事業者等による自主回収や、排出事業者によるリサイクルを進めるための措置を設けております。

 こうした措置によりまして、これまでリサイクルされずに焼却等により処理されてきたプラスチックごみが資源として収集、リサイクルされることでリサイクル率の向上が見込まれるというふうに考えております。リサイクル率の変化を含めまして、同法の施行状況について、各関係主体の取組状況を把握し、可能な限り定量的に今後は検証してまいりたいというふうに考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 取組が非常に、実績が積まれていっていると思います。対外的にしっかりと発信していくということは本当に大事だと思いますので、それを要望しまして、私からの質問を終わります。

関委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下です。本日もよろしくお願いいたします。

 では、早速質疑に移らせていただきます。

 まずは、先日、トキの本州定着を狙って放鳥候補地の自治体の公募を環境省さんが始められたという記事を目にしました。先ほど漆間委員からも質疑がありましたように、大阪府は今いろいろな野鳥が集まってくる環境が整ってきていまして、私の地元吹田市は七〇年の大阪万博があった土地でもございまして、その跡地の一つが野鳥の森ということで、いろいろな野鳥が集まってきています。是非、吹田市の方で検討できないかという思いもありまして、この選定の条件等を教えていただけたらと思います。お願いします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 トキの野生復帰につきましては、二〇〇八年に佐渡で初めて放鳥を行った後、地元の方々の長い間の協力をいただきまして、野生下での生息数が四百八十羽まで増加をしておるところでございます。

 このため、次の段階として本州等におけるトキの定着を目指した今委員御指摘の新しい取組を始めるということになりまして、この候補地についての選定条件、お尋ねの件でございますけれども、四つほどございます。地方公共団体が取組主体となること、それから二つ目が、取組範囲の面積がおおむね一万五千ヘクタール以上であること、三つ目に、環境整備等を行う体制がきちっと整備できる見込みであること、そして四番目に、過去にトキの生息実績があること。これらの要件を総合的に有識者を含めた委員会の中で審査をしていただいた上で、おおむね三地域程度を選定する予定としております。

 選定につきましては、八月をめどに選定する予定としておりまして、こうした地域においてトキとの共生を目指した環境整備を行っていただいて、里地里山の保全、再生が進んで、地域の活性化にもつながることを期待しているところでございます。

奥下委員 ありがとうございます。二五年の万博のテーマがいのち輝く未来のデザインということで、トキという新しい命を開催地である大阪で受け入れられるよう、吉村知事の方とも相談しながら取り組んでいきたいなと思いますので、またいろいろ御指導いただけたらと思います。よろしくお願いします。

 次に、民間企業七十四社でCO2データの共通ルール化をしていくという記事を見たのですが、環境省としてどこまでコミットされているのでしょうか。されているのであるならば、可能な範囲でいいので、御教示をお願いします。

小野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の報道でございますけれども、一般社団法人電子情報技術産業協会が昨年十月に設立したグリーン×デジタルコンソーシアムのワーキンググループで、サプライチェーン全体のCO2データを見える化するデータ連携基盤の構築等に向けた議論、活動を行っているというふうに承知しております。

 このワーキンググループには環境省も経済産業省や内閣官房とともにオブザーバーとして参加をしておりまして、環境省の施策について情報提供などを行ってございます。

 このワーキンググループでも議論されておりますように、サプライチェーン全体で脱炭素化を進めていくというためには、製品の製造から流通、廃棄に至るまで、ライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量の算定、表示を進めていくというのが重要でございます。

 この点、環境省といたしましては、今年度から、例えば日用品であるとか衣類を対象として、企業が製品のライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量を算定し表示するモデル事業を新たに実施することといたします。その上で、算定に必要なデータや算定方法について検討を行い、ガイドブックを策定するなどを予定しておりまして、こういった検討結果についてはこのワーキンググループを始め関係団体とよく情報交換を行って、民間の動きとも連携を図りながら、企業がサプライチェーン全体の脱炭素化に取り組めるよう、環境整備を行ってまいりたいと考えております。

奥下委員 ありがとうございます。これまでさんざん質問させていただきましたけれども、民間企業では排気ガスの改ざん問題等いろいろありますので、是非、排出量の見える化、これは非常に大事なことだと思いますので、環境省さんとしても御尽力いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、政府は国内初のCO2地下貯蓄に支援の検討をされているということなんですが、どのような支援を検討されているのでしょうか。いろいろな権利が関わってくる話だと思います。土地の権利等、法改正を含めての検討なのでしょうか。可能な範囲で御教示願います。

小野政府参考人 では、まず環境省の方からお答えさせていただきます。

 環境省といたしましては、CO2の分離回収から輸送、貯留までのCCSのサプライチェーンの一貫した技術を確立するために実証事業を実施しております。

 具体的には、福岡県大牟田市のバイオマス火力発電所においてCO2分離回収設備の実証に取り組んでおりますほか、輸送、貯留実証実施に向けた検討についても行っております。また、経済産業省と連携して、日本周辺水域の海底下地層におけるCO2の貯留適地の調査も進めております。

 これらの実証事業から得られる知見あるいはノウハウは、CCS事業のコスト低減、課題抽出に資するものと考えております。これらの成果を活用しながら、CCSの長期ロードマップ策定及び事業環境の整備に向けて、引き続き経済産業省と連携して取り組んでまいります。

奥下委員 ありがとうございます。いろいろ問題は出てくると思いますが、壁の高い官庁もあると思いますので、是非ここは大臣の下、政治主導で規制突破をしていただきますようお願いいたします。

 次に、グリーンアンモニアについてお尋ねします。

 ロシアとウクライナをめぐる情勢で、クリーンエネルギーについて改めて考える重要な機会となりましたが、以前、経産委員会でアンモニアについて否定的な質疑をされている議員の方がいらっしゃったんですけれども、その答弁を聞いていたら、本当に大丈夫なのかなというふうに受け取ってしまったんですけれども、グリーンアンモニアについての可能性や今言われているような課題に対してどのように取り組まれているのか、御教示願います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラル時代のエネルギー安定供給のためには、アンモニアの大量供給、大量利用が不可欠であり、その社会実装は世界全体の実効的な温暖化対策の観点からも有効であるというふうに考えてございます。

 日本の場合は自然エネルギーを活用する条件も諸外国とは異なっておりますので、できるだけクリーンなアンモニアの利用を進めていきたいというふうに考えてございますが、当面再エネ由来のアンモニアだけで国内のエネルギー需要を満たすことは困難だと考えておりまして、化石燃料由来のアンモニアと比較してそれはコスト高にもなってしまいます。

 そういうことを踏まえまして、まずは、ブルーアンモニアと言われていますけれども、化石燃料由来なんですが、製造過程で出てくるCO2をCCUSで処理する、出ないように極力するというアンモニアの製造、利用に向けた取組を今進めておりまして、既に海外で日本企業が事業性調査にも着手してございます。

 さらには、グリーンアンモニアの早期の実用化に向けて、今グリーンイノベーション基金でも製造技術の開発を進めるところでございまして、多面的な政策支援によって、できる限りクリーンな、CO2を可能な限り抑制したアンモニアの利用拡大を進めていく方針でございます。

奥下委員 ありがとうございます。

 時間になりましたので質疑を終わらせていただきますが、一言だけ。昨日、誰もおっしゃらないので言っておきます、ザリガニを有志のメンバーで食べてきました。源馬先生がツイッターに書かれたように、なるほどというのが僕も同じ答えでして、食べれなくはないというのが感想でございますので、SNS等で、昔、バケツにいっぱい捕って、近所のおばちゃんにゆでてもらって食べていたという御年配の方々もいらっしゃるみたいでして、是非大臣も機会があれば食べていただけたらと思いますので、よろしくお願いします。

 以上で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、大きく二つに分けて質問させていただきたいと思います。

 まず、観光地などでのごみの投棄問題に関して、対策、取組などについて環境省さんに伺いたいというふうに思います。

 近年のアウトドアブームによって、滋賀県でも琵琶湖湖岸や琵琶湖周辺の河川でキャンプ、バーベキューをする人が大変増えています。コロナ禍でこの二年間、二〇二〇年、二〇二一年とちょっと落ち着いていたものもあるんですけれども、二〇一九年頃の状況に今年もし戻るということであれば、更に大きな問題になるというふうに危惧をしております。

 例えば、こちらは二〇一九年の記事ですけれども、大津市の私の選挙区のところの南小松に近江舞子という大変きれいな湖水浴場があるんですけれども、そこではごみが大量に投棄されて自治会の方が自治会費から処理費用を捻出しているといった報道もあります。その後、大学などと協力をして、バーベキューをするお客さんから一組当たり、一人当たりか、二百円を徴収するといった、そういった方式を取ったりして処理費用を確保しているということなんですけれども、こういったふうに、バーベキューをするとかキャンプをするというところであれば、お金を回収するという方法もあると思うんですが。

 例えば、これも私の選挙区の高島市の安曇川町の南船木というところでは、これはバーベキュー場とかキャンプ場とかではなくて、純粋に景色がいいからということで、観光客が来て、景色を見て、帰るときにごみを捨てていって、それを実際に今、地域の方が清掃してお金もかかっているというようなお話を今年も聞いていますので、そういった意味でも、こういった問題に対する対処とか取組というものを支援したりとかしていく、あるいは、もちろん観光客の方に対してごみを投棄しないという呼びかけを更に強めていくことも重要だと思うんですけれども。

 こういった問題に対する現在の環境省の認識、また取組、お伺いできればというふうに思います。

室石政府参考人 お答えを申し上げます。

 ポイ捨てや不法投棄というのは犯罪でございます。こういったものを撲滅するという方針は今後もしっかりと堅持していきたいというふうに思います。

 こうしたポイ捨てや不法投棄については、廃棄物処理法において不法投棄を行った者に対する罰則を設けていることに加えて、多くの地方公共団体でいわゆるポイ捨て条例を制定しております。滋賀県の彦根市では、条例により、ポイ捨てに対する二万円以下の罰金を設けているところでございます。こうした条例に基づく監視、取締りなどの徹底が現場での対策としては有効であるというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 こういった問題、大津市でもまた滋賀県でも十分に認識をされていると思いますので、こういった取組を更に進めていく上で、これは是非とも御検討いただきたいんですけれども、お金がかかる部分もございます。現地の方からは大津市であったり滋賀県に要望も出されているようですけれども、補助金であったりとかそういった支援の枠組みといったものも今後の展開に応じては御検討いただくということを一言お願いさせていただきたいと思います。

 それでは、次のトピックに移らせていただきたいと思います。

 私も本日知ったんですけれども、五月十三日、本日は愛犬の日ということらしくて、今年の六月一日から改正動物愛護管理法に基づいて犬や猫に対するマイクロチップの装着が義務化をされることになります。また、昨年の六月一日からは、飼養施設、ブリーダーさんであったりとかペットショップにおける飼育の基準といったものが強化をされて、より広いところであったりとか、より頭数を制限してといった、そういったルールもできています。

 昨年は新規事業者に対する施行が始まって、今年の六月一日からのマイクロチップのところと同時に、既存事業者向けの施行期日が六月一日に迫っているということですけれども、飼養施設の基準であったりとか従業員の員数に関する事項など、一部のペットショップさんやブリーダーさんで、善良な経営者の方からは、そういったルールを守らない方が出てくるんじゃないかという懸念であったりとか、立入検査があるときだけ人を入れたりとか、あるいは、飼育しているペットの数を減らしてごまかそうとするという人が出るんじゃないかという懸念が既に出されているんですけれども。

 こういった点に関して、今どういったふうに検査を行っているのかであったりとか、立入調査を何割ぐらい実施しているのかということについて教えていただければと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、飼養管理基準省令というのは、昨年六月以降、新規の登録の業者、そして今年からは既存の取扱業者にも適用されることになっております。

 立入検査の実施状況、お尋ねの件でございますけれども、令和二年度のデータでございますけれども、地方自治体に登録、届出されている動物取扱業者、これは四万九千八百六十七事業所がございます。これに対して、地方自治体が実施した立入検査は一万九千三百三十四件となっているところでございます。

 環境省では、これまでも、動物取扱業者に対する規制が厳格に運用されるよう、相談窓口等を設置する等によって地方自治体に助言してきたところでございます。今後とも、六月一日から飼養管理基準が適用される既存の動物取扱業者に対しても立入検査の徹底ですとか、基準の厳格な運用について地方自治体に働きかけてまいりたい、このように考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 従来から、日本のこういった動物に対する扱いというものが先進国に比べて大変遅れているのではないかということが動物愛護団体の方からもよく言われています。この改正のきっかけになるような事件というか、大変劣悪な環境下でブリーダーさんが飼育をして、それでお金を稼いでいるといったところもたくさん報道されて、多くの日本国民の皆様が心を痛めているところだと思いますので、しっかりと取締りを行っていただく体制をつくっていただきたいというふうに思います。

 これは、先ほどごみ投棄のところでも、明確に犯罪だということで、そういったふうに、いけないことは明確に犯罪だということを国会でも言っていただくことは大事だと思うんですけれども、少しお伺いしたいのは、例えば、適正に飼育していなかった場合にはどういった対処をするのか、あるいは、更に悪質で、立入調査時に飼育数を減らしたりとか、そういったことを装った場合にはどういった対処とか罰を与えるのかということについて少しお伺いをしたいというふうに思います。

山口国務大臣 動物取扱業者による不適切な飼養管理等を適正化することを目的として、犬猫に関する飼養管理基準が具体化され、令和三年六月から施行された、そういうことですね。

 動物取扱業者には、この飼養管理基準を熟知し、動物の命を預かっているという自覚と責任を持って、基準を徹底して守っていただくことを強く求めたいと思います。

 今後とも、地方自治体によって、飼養保管頭数の確認等も含めた立入検査が徹底され、また基準が厳格に運用される必要があると考えています。基準を遵守しない場合など、行政処分に相当する事案に対してはちゅうちょなく対応していただくように地方自治体に促していきたいと思っています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 私は犬であったり猫を飼っているわけではないんですが、滋賀県は大変ペットを飼っている方が多くて、私の秘書にも愛犬家が二人ぐらいいて大変かわいがっている、そういった中でも日本の状態は問題だということをよく伺いますので、まずは、この改正動物愛護管理法に基づいた規制の強化であったりが徹底してしっかりと行われるように、今大臣からもおっしゃっていただいたように監督、検査をしていただきたいというふうに考えております。

 これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

関委員長 次に、石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来理事会等において協議してまいりましたが、本日、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ましたので、委員長から、本起草案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 石綿による健康被害の救済に関する法律は、平成十八年三月二十七日に施行され、その後、平成二十年に、石綿による健康被害の迅速な救済を図るため、議員立法により、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、医療費等の支給期間の拡大等の措置を講ずる改正をいたしました。次いで、平成二十三年には、議員立法により、特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金の請求期限の延長等の改正をいたしましたが、前回の改正から十年が経過し、昨今、更なる延長等を求める声が多く聞かれるところであります。

 このような石綿による健康被害の救済を求める切実な声に対し、我々立法府としては、これまでの改正の経緯も踏まえて、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対する救済の充実を図る必要があるものと判断し、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、本法施行日から二十年を経過する日の前日までに死亡した労働者等の遺族であって、労働者災害補償保険法上の遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅したものに対し、特別遺族給付金を支給するものとしております。

 第二に、特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金の請求期限を延長するものとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

    ―――――――――――――

 石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

関委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。渡辺博道君。

渡辺(博)委員 ただいま委員長から趣旨説明がございました石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党、公明党を代表して発言いたします。

 石綿による健康被害は、石綿への暴露から発症までの潜伏期間が三十から四十年と非常に長期にわたる一方で、発症した場合には多くの方が一、二年で亡くなられるような重篤なものであることから、石綿健康被害者の救済は極めて重要だと考えております。

 こうした認識の下、自由民主党、公明党は石綿健康被害者の救済に全力で取り組んでまいりました。また、私自身も昨年、建設アスベスト対策プロジェクトチームの座長として、議員立法による建設アスベスト給付金制度の創設に尽力し、被害者の救済に取り組んできたところでございます。

 今般、石綿健康被害救済法の特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金に係る請求期限の延長について、患者とその家族の皆様の要望を踏まえ、与党において検討を行い、また各党各会派の協力を得て、委員長提案として起草されることになりました。

 政府におかれましては、今回の改正を踏まえ、引き続き石綿健康被害者の救済にしっかりと取り組み、制度の対象となる方々が適切に支給を受けられるように周知徹底をお願いいたしたいと思います。

 また、改正法の施行後五年以内に見直しを行うこととなります。与党として、今回の改正法の施行状況等について、政府の取組をフォローし、引き続き被害者の迅速な救済に取り組んでまいりたいと考えております。

 今回の改正に御尽力いただいた関係者の皆様に感謝を申し上げるとともに、委員各位に御賛同を心よりお願い申し上げまして、発言を終了させていただきます。ありがとうございました。

関委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 時間が限られておりますので、少し早口になりますけれども。

 ただいま委員長から趣旨説明がありました石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、立憲民主党・無所属を代表して発言させていただきます。

 二〇〇五年六月、大手機械メーカーの株式会社クボタが石綿健康被害の状況を公表いたしました。工場の従業員等の被害者が多数いることに加え、工場周辺の一般住民にまで被害が及んでいたことから、衝撃的に社会に受け止められ、後にこれはクボタ・ショックと呼ばれる社会問題として顕在化しました。

 その際、工場周辺の一般住民の方々などの被害者への救済策は、当時の被害者への支援制度からは抜け落ちていたことから、被害者を隙間なく救済する新たな法的措置を講ずるため、石綿健康被害救済法が二〇〇六年に成立いたしました。法の施行から十六年が経過し、この間、議員立法により二〇〇八年と二〇一一年に改正が行われ、石綿による健康被害の救済は進展いたしました。しかしながら、まだ残された課題があります。

 そこで、今後の取組の課題について申し上げたいと思います。

 まず、給付内容についてです。石綿による健康被害を受けた患者団体からは、現行制度の給付内容は労災給付との格差があり、健康で文化的な生活を確保するため、療養手当の倍増又は個別の状況に応じた新たな給付を設けることなどにより、給付水準の引上げを求める声があります。また、消費税や物価変動に対応するため、給付額の見直しのための検討の場を毎年設ける必要も指摘されているところであります。こうした声を真摯に受け止め、石綿による健康被害者が適切に療養等を行えるよう検討を行っていただきたいと考えます。

 次に、対象疾病についてですが、労災では対象となっている良性石綿胸水が対象となっていないため、労災並みの対象疾病の拡大をお願いしたいと思っています。また、石綿による肺がんについては認定者数が十年以上伸び悩んでおり、その原因として、石綿肺等で採用されている暴露歴が用いられていないことが指摘されています。このため、石綿による健康被害に苦しむ方々が適切に認定を受けられるよう認定基準を見直していただきたいと思います。

 最後に、この度の改正により三度目の期間延長を行おうとしておりますが、三月の請求期限の到来により遺憾ながら隙間が生じている現状を踏まえ、政府におかれましては、本改正により請求期限が更に延長された旨の十分な周知をお願いしたいと思います。また、改正後の本法律の施行状況を踏まえ、適時適切に必要な対応をしていただかなければならないと思います。

 また、本法案の所管外ではありますが、全てのアスベスト被害者の救済という点で一言申し上げたいと思います。

 昨年、最高裁判決を受けていわゆる建設アスベスト給付金法が成立し、裁判によらずに被害者に給付金が支給されることとなりました。しかしながら、石綿建材メーカーが基金への拠出に応じていないため、新たな訴訟が提訴されると報道されています。国による規制が遅れたことで被害が甚大化した経緯を踏まえれば、全ての被害者が救済されるために、政府全体において更なる取組が必要であることを指摘させていただきたいと思います。

 本法案の成立に向けて御努力いただいた関係の皆さんに感謝を申し上げ、この法案を速やかに可決、成立していただくことをお願い申し上げて、私の発言とさせていただきます。ありがとうございました。

関委員長 以上で発言は終了いたしました。

 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。山口環境大臣。

山口国務大臣 本法案の提出に際して、議員各位の御努力と御熱意に対して深く敬意を表するものでございます。

 政府といたしましては、石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案について、異議はございません。

関委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

関委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

関委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時一分散会


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