第5号 令和6年3月29日(金曜日)
令和六年三月二十九日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 務台 俊介君
理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君
理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君
理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君
理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君
井上 信治君 井上 貴博君
石原 正敬君 稲田 朋美君
金子 容三君 菅家 一郎君
国定 勇人君 熊田 裕通君
笹川 博義君 宮澤 博行君
柳本 顕君 鷲尾英一郎君
大河原まさこ君 近藤 昭一君
篠原 孝君 松木けんこう君
屋良 朝博君 杉本 和巳君
空本 誠喜君 林 佑美君
角田 秀穂君 中川 康洋君
…………………………………
環境大臣 伊藤信太郎君
経済産業副大臣 岩田 和親君
環境副大臣 八木 哲也君
環境大臣政務官 朝日健太郎君
環境大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 阪本 克彦君
政府参考人
(財務省主計局次長) 吉野維一郎君
政府参考人
(農林水産省大臣官房参事官) 大島 英彦君
政府参考人
(農林水産省農村振興局農村政策部長) 佐藤 一絵君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 長崎屋圭太君
政府参考人
(水産庁増殖推進部長) 坂 康之君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 菊池 雅彦君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局砂防部長) 草野 愼一君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 秦 康之君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 土居健太郎君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 白石 隆夫君
政府参考人
(環境省総合環境政策統括官) 鑓水 洋君
政府参考人
(防衛省大臣官房施設監) 扇谷 治君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 山野 徹君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
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委員の異動
三月二十九日
辞任 補欠選任
中川 康洋君 角田 秀穂君
同日
辞任 補欠選任
角田 秀穂君 中川 康洋君
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
政府参考人出頭要求に関する件
地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案(内閣提出第四三号)
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○務台委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官阪本克彦君、財務省主計局次長吉野維一郎君、農林水産省大臣官房参事官大島英彦君、農林水産省農村振興局農村政策部長佐藤一絵君、林野庁森林整備部長長崎屋圭太君、水産庁増殖推進部長坂康之君、経済産業省大臣官房審議官小林出君、経済産業省大臣官房審議官浦田秀行君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、国土交通省大臣官房技術審議官菊池雅彦君、国土交通省水管理・国土保全局砂防部長草野愼一君、環境省地球環境局長秦康之君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、環境省自然環境局長白石隆夫君、環境省総合環境政策統括官鑓水洋君、防衛省大臣官房施設監扇谷治君、防衛省地方協力局次長山野徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。近藤昭一君。
○近藤(昭)委員 おはようございます。立憲民主党の近藤昭一でございます。
法案について早速質問に入らせていただきたいと思います。
本年三月五日の閣議後の記者会見で伊藤大臣は、認定を受けた増進活動の実施場所をOECM国際データベースに登録する、こういうふうに答えられました。
さて、その際、どの程度の増進活動ならばOECM登録できると判断されておられるのか、これは具体的な基準を明示して公開すべきだと考えているわけでありますが、いかがでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案で認定する活動には、既に生物多様性が豊かな場所で生物多様性を維持する活動と、それから、現状では生物多様性が劣化等している場所で生物多様性を回復及び創出する活動の二つのパターンがございます。
このうち、生物多様性を維持する活動の場合は、保護地域との重複を除きまして、その場所をOECMとして国際データベースに登録する予定でございます。
他方で、生物多様性を回復及び創出する活動の場合には、認定申請段階では生物多様性の豊かな状態ではないため、認定後における回復、創出活動の継続の結果、生物多様性の状態が豊かになった時点でOECMとして登録することを想定しております。
現在運用している自然共生サイトでは、保護地域との重複を除いてOECMとして国際データベースに登録する仕組みとしておりますが、自然共生サイトの認定基準は、IUCNのOECM基準を踏まえて有識者会議での議論を経て策定し、公開をしております。
そのため、本法案におけます増進活動実施計画の認定基準についても、現行の自然共生サイトの認定基準を踏まえながら、今後具体的に作成し、公開していく所存でございます。
○近藤(昭)委員 少しこの点についてはこだわりたいといいましょうか、非常に気にかけているわけであります。委員会等々で審議をして認定基準を議論し、そして公開をしていく。維持されているもの、そうではなくて、回復そして創出していくものなんかがある。そして、この間も環境省も御努力いただいて、自然共生サイトというような仕組みもつくりながら取り組んでいただいているわけだと思います。
ただ、今回のいわゆるサーティー・バイ・サーティー目標は、昆明・モントリオール生物多様性枠組に掲げる二〇五〇年グローバルゴールの達成のための過程の一つだと思うんです。
振り返りますと、これは、二〇一〇年にCOP10が愛知・名古屋でありました。前もお話をしたかもしれませんが、当時、民主党政権で、私も環境副大臣としてこの会議に携わらせていただいたわけであります。そこで、愛知目標、愛知ターゲットというものが掲げられたわけであります。しかし、残念ながら、それが達成されなかった。そういう中で、先ほど申し上げました、新たに昆明・モントリオール生物多様性枠組の中に目標が掲げられた部分も非常に大きいと思うんです。
さらに、このCOP10の前にはCOP6がありました。オランダのハーグであります。そこでも目標が掲げられたわけでありますが、ここでも達成されなかった。つまり、COP6で掲げられたものをCOP10で改めて目標として掲げた。そして、今度はCOP28の新たな目標として掲げられているわけです。ですから、私は、やはり失敗は許されないというか、本当にきちっと取り組んでいかなくてはいけないと。
そういう中で、この自然共生サイトの中から、これから基準も公表していくけれども、OECMに登録するのではないかと思うんです。ただ、自然共生サイトのフォローアップは五年ごとであります。そういう中では、長期的なモニタリングに関する規定はないと思います。
自然共生サイトや増進活動をOECMで登録するのであれば、やはり二〇五〇年まで活動を継続する担保が必要だと思います。COP6もCOP10もそうでありました、二〇三〇年、二〇五〇年というのが大きな目標でありますが、今申し上げたように、二〇五〇年までの活動を継続する担保が必要だと思いますが、いかがでありましょうか。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、生物多様性の確保のためには、認定された計画に基づいて、活動主体が長期的、継続的に生物多様性の増進活動を実施することが重要だというふうに考えております。
そのため、本法案では、活動の実施状況について国に報告を求めることができる規定を設けております。万が一、計画に基づく活動が実施されておらず、改善の見込みがないと判断される場合や、計画に沿った活動の実施が困難と判断される場合には認定を取り消す旨も規定してございます。そして、この認定の取消しを行った場合には、その活動場所を国際的なOECMの登録から除外する予定でございます。
長期的に活動を継続するに当たっては、様々な支援も必要、また重要というふうに考えておりまして、現在、環境省では、専門家等による助言、伴走支援、持続可能なモニタリング手法の開発、普及、活動の継続性や活動の効果を見える化する仕組み等の検討を進めてございます。
認定された活動が二〇三〇年を超えて可能な限り長期的に継続され、かつ、活動が継続されていないものが認定を受けたまま放置されることで制度全体に対する信頼性が損なわれることがないように適切な制度運用を行ってまいりたい、そのように考えております。
○近藤(昭)委員 ありがとうございます。
専門家のサポートというか、関わりの中で、今大臣もおっしゃったような、その取組がふさわしいものではないという場合にはそれを解除するということで、ある種の厳しさということなのかもしれません。
ただ、一方で、先ほど申し上げましたように、これまでも何回も目標を達成できずに、この間、ずっと来ているわけであります。そういう意味では、うまくいっていない、だからこれを外すということではなくて、やはり最初の段階で、OECMに認定をするという基準を明確に設けて、それをきちっとクリアをしたもの、あるいは、そうしたことがきちっとクリアされていくように、環境省としてバックアップといいましょうか、しっかりしていかなくちゃいけない。やってみた、駄目だった、だから外すではなくて、きちっとした認定基準を設けて、まさしくOECMに登録されるということは非常に重要なことなんだ、ある種の期待が持てるんだ、こういうことをしっかりしていくべきだと思うんですね。
私は、自然共生サイトの認定基準に関して申し上げますと、生物多様性の保全価値に関する数値基準が設けていないのではないかと思うんです。そういうことでいうと、自然共生サイトごとの保全価値の高低について客観的な判断ができないというのが今の状況ではないかと思います。
各自然共生サイトが、二〇五〇年を目指すOECMとして適切かどうかを、早い段階できちっと、駄目だったから外すではなくて、適切かどうかを判断をしなくちゃいけないと思うんです。そして、そういうものに、きちっとクリアできるようにしっかりと後押しをしていかなくちゃいけないと思うんです。そういう意味では、それぞれの個別の登録地をきちっと再評価する必要があると思うんですね。
そういう意味では、自然共生サイトや増進活動をOECM登録する場合には、非常に透明性のある形で審査をすべきだと考えます。基準値を設けて、そして透明性を持って、なるほどといいましょうか、周知の下でそうしたことを進めていくことを思いますが、いかがでありましょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんが、現行の自然共生サイトの認定基準は、IUCNのOECM基準を踏まえて有識者会議で議論して作成してございます。
数値基準がない、あるいはサイトの保全価値の高低が判断できないではないかという御質問でございますけれども、生物多様性は、地域や生態系のタイプ等によってかなり違いがありまして、我々も検討の中でいろいろ議論はしておりますが、一律な数値指標で比較することはなかなか困難であるというふうに考えておりまして、審査に当たって、論文や文献資料、調査結果等の客観的なデータを用いまして、生物多様性の価値の基準に合致するかを個別に判断をしているというところでございます。
本法案につきましては、生物多様性を維持する活動として認定した活動場所をOECM登録することを想定してございますが、透明性というお話もございました、計画認定の審査におきまして、自然共生サイトの基準を基に新たに策定する基準や専門家の意見を踏まえまして、活動場所が生物多様性の価値を有するかというのを透明な形で適切に判断をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○近藤(昭)委員 ありがとうございます。
では、確認しますけれども、そうすると、そういうなかなか難しい面もあるからこそ、一律的というか、基準を設けてというよりも、きちっと審査をするということで、いわゆる自然共生サイトや増進活動からOECM登録する際には、別途慎重にきちっと審査をする、こういう仕組みでいくということでよろしいでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
認定に当たりましては、透明な形で、まず、この法律に基づきます計画の認定に当たりましては、先ほど申し上げましたような有識者の意見等を交えて適切に判断をしてまいりますし、OECM登録に際しましても、IUCNが示しましたOECMの基準に照らしてきちっと判断をした上で登録をする。
もちろん、相当重なっておりますので、そこら辺は、審査のプロセスで、認定の際の事実を考慮しながらOECMの登録を行っていくということだと思います。
○近藤(昭)委員 ちょっと端的にお答えいただければと思うんです。
もう一度確認しますが、別途きちっと審査をする、こういうことでよろしいですか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
この法律に基づきます認定、それとOECM登録に基づく審査というものは別途の行為だというふうに考えてございます。
○近藤(昭)委員 繰り返しますけれども、これまでも何遍も、失敗しているという言い方はよくないかもしれませんけれども、目標クリアということでいうと、クリアできていないんですよね、COP6、COP10と。
是非そういう意味で、環境省、この新たな法律、新法を作り、取り組んでいくということでございますから、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。
さて、絶滅危惧種の国際取引を規制するワシントン条約は、一九九〇年以来、象牙の国際取引を禁止をしていますが、止まらない密猟に対する抜本的対策として、二〇一六年、密猟又は違法取引、輸出と輸入でありますが、に寄与している国内象牙市場の閉鎖を求める改正決議が採択されております。
これを受けて、日本政府は、二〇一七年に種の保存法を改正し、象牙取引管理の強化を図ったわけであります。
改正法の可決に当たっては、衆議院及び参議院で、アフリカゾウの密猟を防ぐため、象牙の国内市場の閉鎖が世界的な潮流となる中、国内市場を存続させている我が国においては、違法取引が疑われることのないよう、象牙の管理の更なる強化に積極的に取り組むこととの附帯決議がつけられました。
この附帯決議の意図は、当時は、象牙の国内市場の閉鎖が世界的な潮流となりつつある過渡期にあるので、当面は、国内市場の存続を認めつつ管理強化に積極的に取り組みながら、国際情勢を見極めた上で次のステップを考えていくということだったと思います。
ところが、その後、米国に加え、中国、英国、シンガポール等、多くの国で国内市場の閉鎖が進みました。二〇二二年一月には、EUが域内市場を閉鎖をしたということであります。日本を除く世界の主要な象牙市場は全て閉鎖されたと言ってよい状況になったと思っています。また、そういう中では、G7諸国で閉鎖していないのは日本のみなんですね。
この国際情勢を踏まえれば、次の種の保存法改正に当たっては、次のステップ、すなわち国内象牙市場の閉鎖を実現すべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。
時間がありませんので、併せて。
二〇一七年改正種の保存法の施行後五年後の検討を行うべく、施行状況評価会議の第一回会合が二〇二四年三月二十一日に開催されました。そこでは、二〇一七年改正の施行状況を評価し、次回法改正に向け、論点の抽出と整理が行われる。
環境省としては、条約決議にのっとった国内市場閉鎖、すなわち狭い例外を除く国内取引、を目指すべく、象牙の国内取引規制を次回の法改正の重要論点とする考えかどうか、このことを併せてお伺いしたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
象牙の市場の閉鎖をすべきでないかという話と次回の話と、二つ御質問を受けました。
我が国では、象牙につきまして、ワシントン条約の履行のため、外国為替及び外国貿易法により輸出入を規制するとともに、種の保存法に基づき国内取引を原則禁止として、例外取引も厳格に管理をしてございます。
野生生物の持続可能な利用の観点から、厳格な管理の下であれば取引が認められるべきという考え方を持つ国も、我が国以外にも存在をいたします。
その我が国の考え方につきましては、二〇二二年の十一月に開催されましたワシントン条約第十九回締約国会議及び昨年十一月のワシントン条約第七十七回常設委員会におきまして、丁寧に説明してございます。引き続き、経済産業省とともに、種の保存法に基づく厳格な国内の流通管理の下で、監視取引や登録事業者への普及啓発に取り組んでまいります。
それから、次回の改正の論点とすべきでないかという話でございます。
象牙の国内取引を原則禁止と我が国ではしておりまして、狭く例外的な取引についても厳格に管理をしてございます。特に、前回の改正におきまして、象牙取扱事業者の登録制及び更新制を導入するとともに、全形を保持した象牙の登録審査の厳格化を図ってございます。
種の保存法につきましては、前回の法改正から五年が経過しておりまして、法の施行状況評価を今年度より開始してございます。象牙の国内市場を含めまして流通実態の最新の状況を把握するとともに、前回改正事項を含む各規定の有効性を評価いたしまして、課題を抽出し、必要な対応を検討することとしております。
種の保存法に基づき流通が規制される種の種類は千以上に上りますので、論点が非常に幅広いということもございます。
環境省としては、科学的な知見を基に、種の保存に特に支障を及ぼし得る市場などを中心に、適切な流通管理に向けた方策を検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○近藤(昭)委員 いろいろとお話をいただきましたけれども、そういうことの中で、残念ながら、日本が市場を閉めていないということがやはり大きなポイントで、日本が、ある種の抜け道のようなところに使われている。だから、今回お伺いしておりまして、今も、何か検討していくということで、そうすると、大臣にこれはお答えいただきたいんですが、私は、やはり日本の国内象牙市場の閉鎖を実現すべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。
○伊藤国務大臣 委員からも重要な御指摘をいただいて、また多方面からもいろいろな御意見がありますので、しっかり受け止めて、日本として適切な対応ができるように努力させていただきたいと思います。
○近藤(昭)委員 ありがとうございました。
質疑時間が終わりましたけれども、大臣の返答では、まだ検討というようなことであって、閉鎖するというお言葉がいただけなかったのは残念でありますけれども、よろしくお願いします。
以上です。
○務台委員長 次に、篠原孝君。
○篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の篠原孝でございます。今国会、三回目の五十分間の質問をさせていただきます。
法案の質疑なんですけれども、誠に済みませんけれども、余りこういうことは指摘していないんですよね。後半は、大事な水俣病の関係の判決がありましたので、その件について、ちょっと時間が過ぎると気が抜けちゃうので、半分はそちらの方に時間を割かせていただきます。
まず、この法案、悪いことじゃないです、どんどん進めていただきたい。いつも言っていますけれども、我々は応援団なんです。だから、もっとびしばしやってほしいという願いが常にあるんです。
生物多様性地域戦略とかいうのを各市町村に作れというのは、いつも、我が日本国の霞が関のお役人はどうしてこのワンパターンなのか。国が基本方針を作って、県が中間で計画を作って、はい、市町村と。市町村は大変ですよ。各省庁のそういう理想に燃えた立派な何とか計画を作れ作れというので。一生懸命作るんだけれども、何のメリットがろくすっぽないわけです。霞が関には精鋭がいっぱいそろっていますよ。だけれども、人口二千人の村とか、そういうところの村役場に何人人がいるか。
資料をちょっと見ていただければ分かるんですけれども、見てください、どれだけ作ったかというのを。環境省からいただいた資料をそのままやっていますけれども、百六十七、生物多様性地域戦略策定済みの自治体。我が長野県は、分かりますね、長野市、松本市。佐久市が三番目にでかいわけじゃないですけれども、気の利いた市町村の職員がいるからでしょうね。ほかのところは作れやしないんですよ。結局、通達を出しておいても、通達を出してやってくださいよと言ったって、こういうことなんですよね。
余り、みっともないから資料をよこしませんでしたけれども、ほかにどんなのがあるのと言ったら、地球温暖化推進法の中の何とか計画もあるわけですよ。そっちは千五百六十八市町村が作っている、実行計画は五百六十だと。
これをずっとやっているとかわいそうなのでやめますけれども、計画を作って何かといったって、それに、お金がかかったりなんかする、そういうのがないんですよね。ただ、いいことをしていますよ、認定してあげますよと。それだけじゃ僕は世論が動かないと思っているんですけれどもね。だから、それをちょっと考えてもらっていいんじゃないかと思う。
そして、世の中が変わってきているんです。環境とか景観とかきれいな空気とか、みんなただで手に入るもの、昔、イザヤ・ベンダサン、山本七平さんが、水と空気と安全は日本人はただで入ると思っていると。違うわけですよね。自然環境が厳しいいろいろな国々、極地方や砂漠地方の、サヘル地方の人たちもいる。そういうところは、自然は守らなければならない、それには非常な努力が必要だ、お金もかかる。日本なんか、ほっておいたって草が生えてくるわけです、その辺で。コンクリートの下から生えてきて、大根がちゃんとでかくなっている。根性大根とかいって新聞に書かれたこともありますよ。それだけ自然環境が恵まれているんです。
だけれども、だんだんだんだんおかしくなっていって、自然が壊されている。だから、これを何とかして維持しなくちゃ、あるいは、もっときちんとした自然に戻さなくちゃというのがあるんです。だから、発想を変えて、こういったことにはお金を出しますよといって、どんどん環境省のそういう直接的な支払いを私は増やしていってもいいと思うんです。
この少ない原因をどのように考えておられるのか、これを改善するにはどうしたらいいのかというのを、ちゃんと考えておられると思いますけれども、お聞かせいただきたいんです。
○八木副大臣 お答えしたいと思います。
委員御指摘のとおりでございまして、市区町村における地域戦略の策定は全体の九・五%にとどまっておりまして、十分な策定状況にないと認識しております。
過年度に地域戦略を未策定の自治体に対しまして実施したアンケート調査では、自然に関する知識のある職員がいないことや、体制や予算がないことが未策定の理由となっておりますので、そういうことを考慮しながら進めていきたい、こういうふうに思っています。よろしくお願いします。
○篠原(孝)委員 副大臣の地元の愛知県では、いっぱい名前が書いてあります、市が、資料を見たら。これは、市が云々かといったら、そうじゃなくて、そこの企業のもその市にあったら書いてあるので、必ずしも何々市が作っているんじゃないというのがあるんですね。見たら、前の近藤さんの質問の延長線上ですけれども、百八十四が指定されている自然共生サイト、これをばっと見ましたけれども、企業ばっかしで、何とかの森とか、湿原もありましたけれども、圧倒的に企業が多いんです。
皆さん、ちょっと発想を転換していただきたいんですが、企業が何でやっているかというと、何とかの森とか、住友林業なんかは、当然林業にお世話になっているから、森をきちんと維持していますよというのをやっています。企業フィランソロピーですね、企業哲学としてこういういいことをやっている。だけれども、保護と利用というのは常に環境行政では問題になると思います。何かいじくればいじくるほど、環境はおかしくなる。しかし、その接点にあるのは農業であり林業なんじゃないかと思います。
自然共生サイトも、森はあって湿原はあるけれども、ずっと見たけれども、農地は全然ないんですよね、棚田、きれいな景観。皆さん、感性が鈍くなって駄目になった人は別として、あの景色を見たらほっとするんじゃないですか。心が和むんじゃないですか。どれだけのエネルギーが必要か。あんなところ、機械化もできませんよ。スマート農業なんて適当なことを言っていますが、あんなのは機材を造って売りつける企業がもうかるだけで、農家はあんなものをやったってどれだけペイするか。まして棚田なんか、どうやってそんなスマート農業なんてできるんですか。
それはまさに、農業をやりながら、棚田を耕作しながら、環境を守り、自然を守って、まさに自然と共生のサイトになっている。それを農業予算でやると、最近聞かれなくなりましたけれども、農業は過保護だと。とんでもないんです。ヨーロッパはもう完全にそうなっているんです。
大臣は、いろいろ外国に行っておられてお分かりだと思いますけれども、フランスも行かれたと。フランスのアルプスの山麓のところに、過疎でずたずたになって、もうめちゃくちゃになった牧草地とか農地があるでしょうか。ないんです。何ででしょうか。そこに住んで生活していることに対して敬意を払って、そしてお金をたんまり出しているんです。あんなところ、採算が合うわけがないんです。ヨーロッパの人、EUの、全部じゃないですけれども、ほとんどの国はそういうことで直接支払いをやっていて、それを都市住民が認めているわけです。一年に一回行くか行かないか、五年に一回しか行かない、だけれども、この景観を維持してくれているのはここに住んで生活している人だからというので、そこの人たちの所得の八〇%から九〇%が国の直接支払いなんです。そういう感覚ができているんです。
これを見ると、森とかそんなものばっかしなんです。森をほったらかしにしておいて、森がきれいだと。だけれども、農業をやりながら、林業をやりながら、森だといったって間伐をきちんとしてやっている、そういうところが私は必要なんじゃないかと思う。
そうはいったって無理だと思いますけれども、発想を転換して、環境について国民はだんだん賢くなってきて、SDGsの時代ですよ、そう簡単には守れないんだ、ほっておいたら壊れていくんだ、これを何とかしなくちゃというふうになりつつある。そこに環境省が出ていって、それにインセンティブを与えるべきだと思うんです。これからじっくり検討してください。
だから、簡単に言えば、環境支払い、自然共生支払いを環境省の目玉予算として要求していけばいいんですよ。この前はさんざんけちをつけましたけれども、ガソリンの価格の補填に六兆四千億も使っている。大臣に前に言いましたけれども、地球環境のことを考えて会議に行っているさなかにこっちでトリガー条項の凍結解除とか、そんなものに六兆四千億も使うんだったら、環境の保全に、将来の世代に残してやる、こっちの方に使ったって全然罰は当たらないんです。そういうことを考えてください。全面的に支援いたします。
次に、これはささいなことですけれども、ずっと言ってきているんですが、環境問題は一般国民の理解を得なければ進みません。どうしても、名称や何かのところ、センスがないなと思うんですよね。
このネイチャーポジティブ、まだこれは自然復興という括弧書きで日本語がついているからいいんですけれども、デコ活というのも、どこかの新聞に書かれていたんですね、七〇%が何のことかさっぱり分からないと。見えを張って英語を使うんじゃないと言いたい、英語を知っているというのをひけらかしたいのかもしれませんけれども、日本語があるんだから、もっと日本語を使ってくださいね。普通に使われているのだったらいいですけれども、使われていない。日本語をいろいろ見ると、片仮名語が氾濫していて、明治の人たちはみんな考えて日本語をつくったわけですよね。中国は漢字だけだから、つくっている。だから、中国がそうやっているんなら、中国のまねをしなくたっていいんですけれども、あるのを使ったらいい。サーキュラーエコノミーなんというのは、それは循環経済と言えるのがあるわけです。何でわざわざサーキュラー経済と言うか。
大臣も外国で勉強されて多分同じ感じになったかと思いますが、英語だとか何かを見ていると、もう嫌になっちゃうんです、ああいう文字は。ぱっと見れないんです。そこでさんざんくたびれ果てて、たまに日本語の本を読んだときに、何て日本語は便利かと。分かりますね。漢字を見ていけば、ばっと分かる。速読できるんです。それをわざわざ片仮名にしちゃって、何だかさっぱり訳が分からなくなる。
だから、そういうのを考えたら、何で日本語を大事にしないのか。例えば、突然名前をタカシ・シノハラじゃなくて、シノハラ・タカシとするんだと。それならそれでいいですよ。そこまで日本の仕組みにこだわるんだったら、何でわざわざ日本語があるのに英語を使うのか。どこか基準が狂っているんです。
環境行政は、そもそも国民の理解を得なかったら進んでいかないんです。だから、カーボンゼロというのも、ゼロは知っているでしょう、カーボンというのは一般国民が分かりますかね。デカーボナイゼーションなんというのも、デコ活のデだそうですけれども、エコロジーぐらいは分かっても、分からない。どうしてこういうことを、だから、やめてください。そして、片っ方で、やったらまた悪いですけれども、これは絶対やりますからね。鳥獣にこだわって絶対に野生動物としない、矛盾しているんですよ。
私は一貫しているんですけれども、分かりやすい日本語に、分かりやすい言葉でやりましょうと。もし、片仮名でもみんなに分かりやすいんだったら僕はいいと思います。あっちは例えばAP何とかとかやらなくちゃいけないんですが、日本人は賢いから、長い英語を略して使いますよね。これはなかなかいいアイデアだ、分かりやすいわけですよ。例はいっぱいありますよね、長く言わないで。
そういうのだったらいいんですけれども、どうも何かちょっと分かりにくい言葉を使っているんですよ。これは改めていただきたいと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。
○八木副大臣 御指摘の点、ごもっともな点もあろうかと思いますけれども、サーティー・バイ・サーティーやネイチャーポジティブという表現は、いずれも生物多様性に関する世界目標などに関する用語でありまして、国際的な議論との整合性を図るという狙いがあるわけであります。
また、サーティー・バイ・サーティーについては、民間企業や金融機関を中心に七百社以上の関係団体に参加していただいている生物多様性のためのサーティー・バイ・サーティー・アライアンスを中心に、二〇三〇年までに陸と海の三〇%を守ることを示した目標といたしまして定着しつつあると認識しております。
ネイチャーポジティブにつきましては、昨年三月に改定しました生物多様性国家戦略におきまして、自然を再び興すと書いて自然再興と表現するなど、日本語で分かりやすく伝える努力を行っているところであります。
今後も、国際的な合意事項等を日本語で分かりやすく伝えることに努めてまいりたい、こういうふうに思いますし、今御指摘のように、やはりこの環境問題は国民が中心になってやらなければいけない同心円的な活動であるということを大臣もおっしゃっておりますので、まず国民が理解できる努力を我々はしていかなければいけないというふうに思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
○篠原(孝)委員 サーティー・バイ・サーティーですけれども、僕なんかそんなに勉強していなかったから、バイと英語で出てきたら、何々によりという動詞しか頭に浮かばないですよ。伊藤さんなんか、ちゃんと勉強されたから分かると思う。バイが何々までにというのは、そこまでバイに意味がある、分かると言っている人は相当受験勉強をした人じゃないかと思います。二〇三〇年までに三〇%で、分かる人がどれだけいるんですかね。
国際会議ではどんどん使ってくださいよ、英語で。英語でどんどん議論してくださいよ。我が日本国民にサーティー・バイ・サーティーなんと言うのをやめてください、そんな。二〇三〇年までに三〇%、地域を指定して自然を守っていくんだ、何でそう言わないのかと。僕は、そういうセンスを疑うんですね。
だから、糾弾しているんじゃないんですよ、要するに、そうやった方がいいですよと言っているわけですよ。長野の田舎にいて、サーティー・バイ・サーティーなんといって、何か三十が三十を買うのかといって間違われたりしますよ。絶対、三〇年までに三〇%なんて、すぐ分かる人はほとんどいないと思います。
次に、自然保護官とかがいて、環境行政は大事になっていって、だから、どんどん増やしていっていいんですが、資料を見てください、ちょっと。環境省と林野庁の地方支分部局。
私は、農林水産省に三十年いました。農林水産省の組織の中で、いろいろな、食糧事務所、統計情報事務所、営林署、つくばの研究機関、駄目だと思います。僕は、優れた組織は二つあって、これは絶対維持しなくちゃと思っていたのが研究機関です。どうしてかというと、研究者は一生懸命研究している。それはすぐ役に立つ研究じゃないですけれども、一生懸命やっている。
独立行政法人にして、自分で特許でもうけてやっていけという議論があったんです。ダイオードの関係で、企業で研究者が訴訟を起こしたりしていますね。
それで、財務省の突っ張った主査や主計官と議論したときにこう言ったんです。実際、そうなんですよね。つくばの研究者は、自分の研究したものでお金をもうけて自分によこせなんというのを考えたこともないと言うんです、自分の研究がどこでどのように使われようと、なるべく早くみんなに使ってほしいだけだ、一生好きな研究をさせていただいていて、こんな幸せなことはないので、お金をよこして、それでなんて、そんなことは考えたことがないと言ったら、財務省は、だから、企業感覚がないから、お金がないから農林水産省は国のお世話にばかりなっているんだとぬかしたので、相当優しい私がでっかい声で怒りましたけれども。
次に、林野です。山を守っている。
皆さん、田舎で生まれ育った人たちはお分かりいただいていると思いますけれども、だんだん少なくなっちゃって分からないかもしれませんけれども、東京へなんか、大阪とか名古屋、都会へなんか誰が行くかと。行きたい気持ちもあるんだけれども、ここに生まれて育ったんだから、ここで生きていかなくちゃいけない。おやじもおふくろもいるし、じいちゃん、ばあちゃんもいる、俺がいなくなったらどうなるんだと。しかし、農業、林業だけでは食っていけない。
じゃ、どういう道を選ぶんですか。就職先を探す。民間企業はろくなのがないですよ、山の中へ行けば。海岸端だったらまだ多少あったかもしれない、工業地帯にね。ないから、国の地方支分部局に就職するんです。物すごく立派な人たちが農林水産省の地方支分部局の職員になっている。
同じ地方支分部局の職員でも、最初はいいんですけれども、食糧事務所というのがありました、食糧事務所で働いていた人たちにはちょっと悪いんですが、これは権力行政で、米をどこかからどこかへ持っていくと、一等米だ二等米だと検査するようになったら、だんだん役人的になってくるんです。ところが、林野庁の職員の皆さんは、あちこち山を回って、ここの木は切って、ここはこうしなくちゃというので、山を守るというので、そういう意識でずっとやってきているんです。それを要らないと。がんがんがんがん削られて、六万騎とか四万騎とかいっていたのに減らされて、この右側、これだけになっているんですよ。それで、環境の仕事が増えているからということで、環境の地方事務所をつくる。
ここからですけれども、また提案ですが、私の質問なんかはほとんど提案なんです。新しくやって新しく採用しているというのもいいんですけれども、まだ残っているので、林野庁でずっと働いてきた人を自然公園の管理人にするとか、もうやっているはずだと思うんですけれども、そういうことをやっていただきたいと思います。
もっと言えば、各省庁、霞が関はヘッドクオーターはみんな違うんですが、市町村に行くと一緒なんです。片っ方の役所は、例で出しますと、二〇一九年に大洪水が起きたんです。新幹線がぷかぷか浮いたのを皆さん覚えていますか、世界中にぶざまな姿をさらしたのは僕の選挙区のところですね。だからというので、遊水地。六十年に一回の大水害なんです。三か所造って、七十ヘクタール、五十ヘクタール、三十ヘクタールのところを、七メートル穴を掘って、そこにいざというときに水をためる。千曲川河川事務所、国土交通省河川局はそれしか考えていないんです。
分かりますか。七十ヘクタール、六十年に一回の水害のために、そのままほっておくというのはどうかしていると思います。当然、僕じゃなくて、地元でも、そんなのはもったいない、七十ヘクタール、それは、水害のときは水を入れていいけれども、農業に使わせてくれと。なかなかうんと言わないんです。こういうふうになるわけです。だけれども、中野市になればそうしてもらいたいわけです。一緒なんです。分かりますか。片方は水害防止だけ、片方は農業振興だけ。地元は気づく。だけれども、国土交通省の方はなかなかうんと言ってくれない。私が質問して、一年か二年ぎゃあぎゃあ言って、ぎゃあぎゃあは言っていない、優しく説得して、そして通達が出て、また、それは僕が譲ったんですよね。皆さんすぐお分かりになると思いますが、遊水地は川の外なんです。だから、いいと。ところが、なぜ千曲川河川事務所、河川局が恐れるかというと、川の中の河川敷を農業に利用させてくれと言われてきたらバンザイなんです。ほったらかしになっている。これは、皆さん、何でいうかというと、あそこは自然共生サイトにもなっているんですよ、水と土の接点で。環境がいいんです。水があるし、緑があるし、あれはまさに環境省と国土交通省の接点のところなんです。
つまり、地方支分部局に行ったら一緒にやった方がいいんです、絶対に。森をどうこうと、いっぱい森を指定していますけれども、それは環境省だけでやる必要はないんです。林野庁の知識をかりてやればいいんです。
今まで余りやってきていなかったかもしれませんが、今までも配転、何だかんだ農林水産省は人が多いから、あるときに仕事を失う。だから、ほかの省庁に行ったりしているんです。国鉄の職員が違う各省のところに配転されていったりしているのがある。この場合は是非そうしてやっていったらスムーズにいって、総務省の行管、定員部局に要求するときも、是非そちらの知恵を欲しいのでこっちにと言ったらすんなり通って、もっと速やかに統合が行われていくんじゃないかと思います。
それで、ちょっと場所が違ったりしていますけれども、現場は同じなんです、現場は同じですから。ちょっと工夫すれば幾らでもできると思います。考え方が一緒なのは、九州の、知りませんけれども、調べてありませんけれども、国土交通省の整備局だとか経産局というのは多分福岡にあるんじゃないですか。だけれども、農林水産省も環境省も、それは真ん中にというので、地方ということで熊本に置いてありますよね。そういうので、発想は同じだと思うんです。これをやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○八木副大臣 お答えいたします。
環境省の地方環境事務所は、地球温暖化対策や廃棄物対策、生物多様性保全等の幅広い環境行政分野を密接に関連づけながら、地域に軸足を置いて施策を展開しているところでありまして、一方、林野庁の森林管理局は、国有林野の管理経営、民有林の造林及び森林の経営の指導、森林治水事業の実施等に関することを所掌していると認識しております。
このように、各地方支部局は、それぞれの目的に応じて設置されているところ。委員御指摘のとおりでございまして、事務の一部は密接に関係する部分があるため、それぞれの地域において、地方環境事務所と森林管理局での連絡会議や、現場レベルでの希少種保護、鹿対策、国立公園の巡視など各レベルにおいて密に連携しているほか、人事交流も行っているところであります。
本法案につきましても、森林や河川等の生態系が形成される場を所管する関係省庁で一体的に進めていく必要があることから、環境省、農林水産省、国土交通省の三省で共管し、しっかりと連携して取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
○篠原(孝)委員 そういう点では、三省共管というのは理にかなっているんですね。こういうことを柔軟に進めてください。それはなぜかというと、環境省はアンブレラで、一つ上で全体を考える役所ですから、そういうふうにやっていっていただきたいと思います。
これは大臣にお伺いしたいんですが、橋本行革で省庁再編があって、厚生労働省などはでか過ぎて訳が分からなくなっているというのがありますし、内閣機能の強化といったら、強化されたのかどうか知らない、だから、罰が当たって岸田一強とかになっているので。これは余計なことですけれども。
内閣に何とか室、何とか室ができて、どこで何をやっているのか分からないわけです。問題だと思いますよ。なるべく担当省庁があるところは担当省庁のところにやって、そしてそこが中心になって一緒にやればいいのに、何でもちょっと各省に関わりがあると、内閣に何とか室を設けてやったりする。そういうのがあるので、そういうのを改めていただきたいと思います。
環境省は一つ上の段階にあるんですけれども、私が今言った橋本行革のときに、覚えている人はいると思いますけれども、橋本龍太郎首相は山男で、環境庁に相当肩入れしていたんですね。統合というのを言っていたので、行管と郵政省とどことか、そういうのじゃなくて、農林水産省と環境省の統合というのも考えられていたんです、サイズも同じになるし。
特に環境分野、林野庁と環境省が非常に密接な関係があるので一緒にした方がいいんじゃないかと言ったら、駄目だと。農林水産省みたいに全然違ったところと、環境省は汚れない、いい役所なんだから。本当にそうなんです。だから、一番小さい省として独立しちゃったんですよね。
今、虚心坦懐に考えたら、農林水産省と環境省は一緒になってやっていった方が、連合軍を組んだ方がいいような気がするんですけれども、そういうような考えはまだ残っていますか。あるいは、残っていなくても、これから考えられるでしょうか。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
省庁を知り尽くしている、とりわけ農林水産省を知り尽くしている篠原議員の御指摘、本当に傾聴に値すると思います。
委員御指摘の省庁再編の議論の元となった平成九年の行政改革、この会議の中では、森林行政と自然環境行政の一元化といった議論もなされたと承知しております。ただ、残念ながら、当該会議の最終報告では、一緒にする、そういう結論にはならなかったものと承知しております。
私見を申し上げますと、確かに、今、厚生労働省の話が出ましたけれども、農林水産省と環境省、共通の項もありますけれども、共通外の項も結構多いんですね。ですから、そういう観点では、なかなか、名前はどっちにするか分かりませんけれども、一つにするというのは、共通以外の部分が結構多いものですから、難しいんじゃないかと私見的には思っております。
環境省としては、本省や地方環境事務所、現場の自然保護官事務所等の各レベルで、林野庁と常に意見交換を密に行い、連携しながらそれぞれの事務を効率的に行って、横串を刺して、今後とも連携を深めて生物多様性の保全に努めてまいりたい、そのように考えております。
○篠原(孝)委員 それじゃ、次ですけれども、自然共生サイトもそうなんですが、何か、企業を入れ込もう、入れ込もうというのはいいことだと思いますけれども、悪いことじゃないんですが、余りこれは調子に乗ってやるとよくないと思います、企業はやはり利益を上げなくちゃいけないので。
環境でこういうのをやっていますよというのは、企業イメージがよくなって、そこの会社のいろいろなものが売れるようになる、あるいは、採用するときに、そういう汚れない新人が入ってくるというのはあるかもしれませんが、やはりちょっと違うところがあると思うんですね。見たら、支援証明書というか、お金がかからないものでやるとなると、僕は、さっきの、棚田を守ってやっている人、景観を考えてきれいに刈取りをしている人のところにお金を払うべきだと思いますけれども、企業に支援証明書、あんたはいいことをやっているとかになると、だんだん図に乗ってきて、この山はみんな私たち、私たちというか我々が、我が社が管理した方がいいんだというふうになってくる。
今、林野の土地なんかは全く売れないから、そういうことは言っていませんけれども、日本の財界は本当にみっともないと思います。農地の所有を許せ、許せと。兵庫県の養父市で、規制改革推進会議、国家戦略特区。国家戦略特区はろくなことをしていないですよ。特に、モリカケが典型的ですけれどもね。意図的にあんなところばかり優遇している、そういうのでやっている。
そうすると、山も自分たちに所有させて、今所有できるんです、農地は駄目ですけれども。今、二束三文だから余り触手を伸ばしませんけれども、ほっておいたら、そこら辺の山はみんな企業に買い占められて、自由に乱開発されて、めちゃくちゃになってしまうような気がするんです。余り、企業に証明書というのは、私はやらない方がいいと思うんですよね、そこがよく分からないんですが。
これをちょっと考えていただきたいんですが、どうしてかというと、同じようになっちゃっている。問いを分けて書いてありますけれども、副大臣、一緒に答えていただきたいと思う。
企業を余り甘やかしてはいけない、いいことはいいんだけれども、余り深入りさせると、農地に対して、外国なんかは、農業を企業がやったって、もうからないからやっていないんですけれども、やるにしても、借りてやっているんですよ。借りてできるんですよ。貸しちゃいけないなんてないんですよ。それを何で所有させろ、させろというかというと、農地は転売利益のことしか考えていないわけです。そういういかがわしい行動にすぐ出るので、だから、どこの国も厳しい規制で、企業に農地なんか持たせないんですよね、余り。それをみんな買い占められちゃう。何か知りませんけれども、六百四十兆円も内部留保がある、それはもったいないから、土地でも買って何かのときにもうけよう、そういうふうになるわけですね。林野もそういうふうになってしまうので、このところをちょっと考えていただきたいんですけれども、どうでしょうか。
○八木副大臣 お答えいたします。
我が国の自然の衰退の要因といたしまして、開発など人間活動によるもののほか、耕作放棄地の拡大、野生鳥獣による被害など、自然に対する働きかけの縮小によるものがあると認識しております。
この課題への対応のために、規制等での国による保全のみでなく、企業、NGOなどを含め、より多くの者が里地里山の管理に様々な形で参画して、生物多様性の増進に資する活動が継続的に行われることが不可欠であると考えております。
御指摘の支援証明書につきましては、令和七年度以降の本格運用を目指して取組を進めているものであります。生物多様性増進活動に対して、人的、金銭的、技術的な支援がなされた場合に発行し、それを支援者がTNFD開示等に活用すること等を通じて、活動内容の透明化、継続的な取組へのモチベーション強化を図るものでありまして、支援証明書の取組自体をきっかけとして、経済的事由から保全が放棄される事態は生じないというふうに考えております。
以上でございます。
○篠原(孝)委員 それから、最後に、ちょっととっぴな質問になります、これは大臣にお答えいただきたいんですけれども。
私、大臣の前の大臣には、一生懸命やってくださいとやったんですが、何かというと、神宮外苑の開発ですよ。船田元さんが音頭を取って、船田さんが会長で、あれを何とか止めさせなくちゃというので、自民党では務台委員長もそのメンバーに参加していただいたんです。委員長は立派なことをいっぱいされているんですよ。
あれなんかも、生物多様性というのは神宮外苑も内苑も併せて、あれこそ自然共生サイトになっているし、今度の戦略を作成させるというのも、この中に取り込んでいっていいような気がするんです。だから、みんな受け身なんですよね。受け身じゃなくて、環境省が、ここは守らなくちゃいけないんだ、自然共生サイトにすべきだ、ちゃんとやれ、守れというようなことを言って、やっていってもいいような気がするんですけれども、どうでしょうか。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
神宮外苑地区における町づくりに関しては、東京都が都市計画法に基づき地区計画を変更して進めているものと承知しております。したがいまして、法的には、環境省として見解を申し上げる立場にはございません。
都の環境影響評価条例に基づき提出された都知事意見においても、環境保全の観点から指摘がなされていると承知しており、事業者において知事意見に基づく対応が適切になされるものと認識しております。
よりよい環境保全の観点から一般論として申し上げると、様々な条件や課題がある中で、環境へ最大限の配慮をした事業の実施を期待してございます。
○篠原(孝)委員 地方分権、地方分権とみんなやって、それで、みんな、都の権限だ、あるいは、都に言うと区だとか言って、僕は、これは駄目だと思います。信用しないわけじゃないんですけれども、地元の市町村になったら、お金になって、何か景気よく買って、みんな走っちゃいますよ。だから、日本国全般のことを考えて、これは大事だから維持するんだと。
例えば、神宮外苑にしても、文部科学省の名勝指定をして、名勝指定をしたら乱開発できなくなるから、今から名勝指定しようなんて、それは遅過ぎるんですよね。名勝は歴史的な文化財とかそんなのだからあるんですけれども、そうじゃなくて、今や、自然環境として大事だというのを国民は認めると思いますよ。国がしゃしゃり出て、これを指定して、これは守っていけ、変なふうに使っちゃいけないぞと。世界中で、何とか公園の緑をぶった切って、そしてビル三つ、百八十五、百九十五、八十五だそうですけれども、こんなところに建てるなんて、そんな計画を作る、ないですよ、パリでも。ブーローニュの森、バンセンヌの森でも、ハイドパークでもセントラルパークでも。日本はそういう愚かなことをしちゃうんです、都に任せておけば、市町村に任せておけば。それは国が、権限がないじゃなくて、僕は、大臣の見解として文句をつけたっていいと思っている。それを期待しております。
次に、水俣病についてです。
これは、今までの積極的な支援質問じゃなくて、糾弾質問になりますけれども、前は、国が負けたから、慌てて言い訳コメントを出していましたが、環境省が。今度は、勝ったから知らんぷり。やはり、これは真逆の判決なんです。これを見てください、判決比較というのを。これは、私だけで作ったのではなくて、環境省にもお手伝いいただいたんですが、よく分からないのがあって、右左で全然違うんです。ちょっとかぶさって、熊本地裁が認めたのは、対象区域外も水俣病が発症することがあるんだといった点以外、真逆なんです。
これは、そもそも国がちゃんとしなくて、ふにゃふにゃしているからで、結論の方を先に言っちゃいますと、本当に、第三回目の政治決着を図るべきだと思います。
対象地域の二十五人は罹患を認めている。二十一人は地域限定していないです。当たり前です、そんなこと。海はつながっているんですし、魚は泳いでいきますし、その区域内の魚しか汚染されていないなんてあり得ないんですよね。ちょっと考えたら分かるのに、小学生だって分かりますよ。
だから、そんなごちゃごちゃ言わずに、政府方針を変えていくべきだと思います。これを見ていると、僕もそんなに精査したわけじゃないですが、司法が判断して、国が政治決着して、いいところにだんだん来ているんだと思います。この辺り、地域限定と除斥期間の、一、二、三、みんな含めてですけれども、見直すべきだと思います。
特に除斥期間なんて、私、今、風邪を引いています。だから、緑のマスクをしてきています、風邪をうつさないように。コロナじゃありませんから、やっているんですけれども、風邪の菌が入ったって治りますよ。だけれども、一旦体の中に汚染物質がたまって、そしておかしくなったら、それはずっと除去することはできないんですよ。
それで、お分かりいただいているように、若いときだったら、同じことをやったって、朝日政務官は全然びくともしないで、何にも発症しないと思いますよ、健康そのもので元気だから。誠に済みませんけれども、私と同じ年の八木さんはがたが来ているので、気がつかなくて、何年もたってから発症するんです、遅発性発症で。それを、いや、十年以内に発症するはずだと。人は様々で、丈夫な人は発症なんてしないですよ。大分たってから、体が駄目になりかけたときに発症したりする。
そんな、民法の不法行為の二十年の除斥期間なんというのを、病気のこんなところに絶対当てはめるべきじゃないと思います。これは、ちょっと小学生じゃ分からないかもしれませんけれども、中学生だったら分かるんじゃないかと思います。
みんな見解をさっさと改めていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
○伊藤国務大臣 多岐にわたる質問でございますので、ポイントを幾つか申し上げたいと思います。
まず、判決が言い渡された際に、今回はコメントを発しなかったという御発言でございますけれども、三月二十六日の閣議後会見において、私からコメントを発しております。
その中身は、結論として原告の請求が棄却されたが、国際的な科学的知見に基づかない理由等により原告を水俣病と認めていること等、判決の中には国の主張が認められていない部分もあるということを発言して、さらに、判決の内容ついては精査してまいりたいという発言をしております。
それから、その後のいろいろな法の解釈等についての御質問なり御意見がありましたけれども、行政の立場としては、あくまで既存の法律に基づいて適切に運営するしかないわけでございまして、特に水俣特措法、これは超党派の議員によって作られた議員立法でございます。そして、議員立法の中身について行政の立場からコメントするということは差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、これは議員立法でございますので、議員立法の中身がおかしいということであれば逆に国会で御議論いただいて、新しい特措法を作るということが一つの解決法だと思います。
それから、民法の解釈について、これは司法の判断でございますので、司法の判断について行政の立場からコメントする、これも差し控えたいと思います。
以上でございます。
○篠原(孝)委員 なかなか難しいと思いますけれども、要するに優しい心を持っているかどうかだと思いますよ。
私は、何回も行っているんですけれども、不知火湾とか八代湾、水俣のところには。つい最近、阿賀野川に行きました。ああいうところで何でこういう事件が起こるのか、行ってみてびっくりしました。川が、物すごい水量が多いんですよね。それで、だっと日本海に流れるわけですけれども、その川のすぐ横にいて、だから川魚をしょっちゅう食べたんです。それだったら食べるだろうなと。もう五十メートルも離れていないんです。土手のすぐのところに家があって、川でいっぱい魚がある。それで、上流に昭和電工があったわけです。
話を聞いて、見てきましたけれども、今度四月十八日に判決が下るわけですけれども、涙が出てきますよ。さんざん、もう発症したのは分かっているんです。だけれども、診察に行って水俣病だと言われると、自分の子供も孫も遺伝しているんじゃないのか、あのうちの娘とは結婚できないとか、そういうのがあったりするわけです。だから、恐ろしくて診察にも行けないんです。我慢していた。そして、訴えた途端周りから物すごい文句を言われて、あの地域が、みんな同じような食生活をしていますから、水俣病にかかっている集落だ、それが分かってしまう。
だから、この九千六百人が対象外になったなんていうけれども、それっぽっちじゃなくて、阿賀野川のところに行ったら、そんなものじゃない、十倍以上確実に患者がいるというんです。だけれども、訴えもできない、周りの目が。金欲しさに今頃になって文句を垂れているとか、そういう陰口もたたかれるわけです。意を決して、これじゃあんまりだというので裁判を起こしている。それに対しても救いの手を差し伸べられないなんというのは私はどうかしていると思いますよ、これは本当に、前も申し上げましたけれども。
これから新潟で、東京で、それで熊本もあれは十四陣まであって、一陣と二陣だけなんですから。だから、疑わしきは罰せずというのは刑法の世界にありますけれども、疑わしきは補償するで、いや、これは水俣病じゃないなんて、そんなのは一〇〇%原因が特定できないですよ、いろいろな病気は、すぐ分かるもの以外は。分からないはずですよ。しかし、その地で生活して、さんざん魚を食べて育って、そして手足がしびれてきたり、そして字が書けなくなったりするわけですが、そういう人たちを何でほったらかしにしておくのか、僕は信じられないんですよね。
時間が少なくなりまして、言っておきますと、外国に行っていると分かるんですが、広島、長崎は結構知られているんですよね。多分福島も、スリーマイル、チェルノブイリ、福島と知られるようになるだろうと思います。
だけれども、意外に皆さんが知っているのは水俣なんです。ジョニー・デップ、彼を主人公にして映画もできています。それだけ世界が関心を持っているんです。地球環境の時代です。恥ずかしいことだと思います、まだ水俣病が六十八年たっても補償も済んでいないというのは。それは貧乏国だったら分かりますけれども、まあ、金がそんなにあるとは言いませんけれども、世界第四位のとか、ああいう主張は余り好きじゃないんですけれども、すぐ決着すべきだと思います。
もう持ってきませんでしたけれども、この手のもので政治決着した横紙の表を前のときに持ってきましたけれども、今回は持ってきませんでしたけれども、政治決着の経緯というのを分かりやすく書いておきました。
見てください。第一次政治決着しているんですよ。このときの為政者は立派だと思いますよ、総理大臣、環境大臣。
第二次政治決着もあって、これは議員立法でやった、今大臣がお答えになったとおりですけれども、それでも千七百人以上が四地裁で訴訟をやっていますけれども、十倍はいると。千七百人ぽっちじゃない、本当は困っている人。だけれども、言い出せないで我慢して、そのまま亡くなっていく。この訴訟団、私と同じ年で、平均年齢七十四歳で、もう何百人も亡くなっている。本当に、露骨なことを言えば、死ぬのを待っているのかと。
これは救いの手を差し出すべきだと思います。特に新潟なんかはいかがわしいのがぷんぷんしていて、最初、昭和電工は、農薬が原因だとかいって一生懸命言い逃れしようとしていたんです。信じられないですよ。海の方から逆流してきて、その魚を食べたからだとか、めちゃくちゃ言っているんですよ。そういうのは厳しく断罪しなくちゃいけないと思います。
そして、断罪はともかく、過失だし、しようがないからといっても、困っている人たちはお金じゃないんですね。名誉ですよ。自分は、先天的におかしいんじゃなくて、水俣病でこういうふうになってしまったんだと。勘違いされているわけです。そういうもののあかしにもなるんですよ。水俣病なのでと。水俣病がだんだん子々孫々変なふうに、ちょっと、遺伝するのかどうかというのを僕もよく知りませんけれども、そういうものを恐れられています、そんなのは時間がたたないと分からないんですけれどもね。
だから、今早く絶対に救うべきだと私は思います。そうじゃないと、日本の姿勢が問われると思います。是非そういう政治決断を大臣にしていただきたいと思っておりまして、この点についてお答えいただいて、質問を終わらせていただきます。
○伊藤国務大臣 今なお訴訟を行う方がいらっしゃる事実は重く受け止めております。そしてまた、原告の方々また皆様が様々な病状に苦しまれていることについては胸の痛む思いでございます。
水俣病については、公健法に基づいて三千人が認定を受け、また、今御指摘ありましたけれども、二十一年には水俣病被害特措法、これは超党派の議員立法で、地域における紛争を終結させ、水俣病問題の最終解決を図ることを目指したものであり、これによって、政治救済により、合わせて五万人以上が救済対象となりました。
現時点では、環境省としては、こうした水俣病の問題の歴史また経緯、これを十分に踏まえつつ、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療、福祉の充実や地域再生、融和、振興などにしっかり取り組んでいくことが重要だというふうに考えております。
○篠原(孝)委員 ありがとうございました。
○務台委員長 次に、松木けんこう君。
○松木委員 どうも御苦労さまでございます。
しばらく違うところの委員長をやっていたものですから、一年三か月ぐらい質問できなくて、久しぶりの質問で、ちょっと緊張しています。
大臣、今、篠原さんの話なんですけれども、この水俣病のことは、よくよく考えてみたら、環境庁というのができたのが、たしかこれは水俣病のことでできたんですよね。そういう意味で、それが環境省になった。今、もっともっと大切になったから省になっていったわけですけれども、私も、北海道の人間なものですから、余りぴんとこなくて、水俣病はもう全部終わっているんだと実は思っていたんですよ。そうしたら、全然違うんですよね。
これは、今、篠原さんもいろいろとお話ししたと思いますけれども、是非大臣、頑張っていただいて、いろいろと今までの経緯もありますけれども、また大臣がやる気になっていただいて、俺が救済していこうという気持ちになっていただいたら私は一番いいと思いますので、是非頑張ってください。
もしよかったら、何かお答えしますか。どうぞ。
○伊藤国務大臣 今、篠原委員にお答えしたとおりでございますけれども、私も本当に胸の痛む思いでございますので、大臣として職責の限りにおいて全力を挙げたいと思いますし、いつか大臣じゃなくなることも近い将来あると思いますけれども、一政治家としても努力させていただきたいと思います。
○松木委員 是非、やはり心を優しく持ってということも篠原さんは言っていましたので、そんなことで頑張っていただきたいと思います。
それでは、今回の質問なんですけれども、SDGsという言葉がありますよね。私がちょうど、希望の党というのができたときに野党が大混乱しまして、私が悪いので落選したんですけれどもね。それで、途中で私の選挙区で補欠選挙になって、当選させていただいて、その頃、その前というのは余りSDGsがどうのこうのという話を聞いたことがなかったんですけれども、随分話題になっていたものですから、初めて委員会で質問の機会をもらったときに、小泉大臣だったと思うんですけれども、SDGsというのはすごい大切なものなのか、世界とのいろいろな約束なのかというお話をちょっと聞いたことがあるんです。
大臣は、このSDGsというのは、今回の生物の多様性の問題なんというのはその中の一つなのかなと私は思っているんですけれども、大いに関係しているのではないかというふうに思っていますけれども、どうでしょうか、そこら辺は。
○伊藤国務大臣 生物多様性は、SDGsを達成する、SDGsそのものの非常に重要な要素だと考えております。
○松木委員 十七の目標というのがあるんですけれども、特に今回の生物多様性というのは、十四、十五、十三あたりだと思うんですけれども、これは土台のところなんですよね、非常に大切なところであるというふうに私は思っていますので、是非、そこら辺をどういうふうにやっていくのか、もうちょっと詳しく言ってくれたらいいですね。
○伊藤国務大臣 お答えします。
委員が今御指摘なさったとおり、SDGsの目標十三、気候変動、目標十四、海洋資源、十五、陸上資源については、まさに生物多様性を含めた自然資本に関する目標となってございます。まさに、土台の、輪っかの基盤的な部分でございます。
スウェーデンのヨハン・ロックストローム博士によって提唱されているSDGsウェディングケーキモデル、多分委員はよく御存じだと思いますけれども、この十七の目標を構造モデルとして表したものでございます。自然資本に基づいて社会資本が成立し、社会資本に基づいて経済や人的資本が成立するとの考え方が示されてございます。
このように、自然資本は、我々の社会、経済の基盤でございます、人類存続の基盤でございます。生物多様性の損失を止め、反転させる、こういうネイチャーポジティブ、自然再興と言うべきでしょうか、の実現は人類全体の持続可能性の確保にとって不可欠なものでございます。
環境省としては、本法案による生物多様性増進の推進を始め、気候変動や循環経済の取組と併せて、人類の存続の基盤である自然資本の安定的な確保に向け、全力で取り組んでまいりたい、そのように考えてございます。
○松木委員 非常に大切なものですよね。経済とかそういうものももちろん大切なんですけれども、人類が生きていけるかどうかなんという話になると、それどころではない話だというふうに思っております。
その中で、ちょっと順番が違うんですけれども、環境省というのは、それを担う一番の役所ということになるのでありましょうかね、どうですか。環境省が一番ですよね、それを担っていくんですよね。
○伊藤国務大臣 環境大臣である私が言うのもおこがましいんですけれども、一番の役所だというふうに自認しております。
○松木委員 私もそうだと思っているんですけれども、そこで、環境省の予算とか人員のことをちょっと聞きたいなと思うんですけれども、地球環境を守る大きな命題がある中で、予算は足りているのかなとか、あるいは、例えば、生物多様性保全推進事業という予算があるみたいですけれども、これは一億円ぐらいしかないような話も聞いているんですけれども、そこら辺はどういうふうにお考えでしょうかね。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
まず、環境省全体の人員とか予算につきましては、令和六年度で定員が三千三百八十五人ございます。それから、全体の予算につきましては、令和六年度の当初予算で三千二百七億円、令和五年度の補正予算で三千七百四十七億円を計上してございます。
議員御指摘の生物多様性保全推進事業につきましては、地域における生物多様性の保全、再生に資する先進的、効果的な取組について支援を行うものでございますが、令和六年度の当初予算におきましては約一億円を計上してございます。
また、これ以外の生物多様性に関する事業を一体的に推進するため、この事業を含めまして、ほかに、保護地域ということで国立公園関係の経費、あるいは生物多様性の見える化システムでありますとか、そういったものを含めまして、ネイチャーポジティブ関係予算としては三十四億円という計上になってございます。
一億円が少ないじゃないかという御指摘でございますけれども、生物多様性保全推進事業を含む関連事業につきましては、法律の施行に向けて見直し等を行いまして、ニーズに応じて関連予算の確保に努めてまいります。
○松木委員 まあまあ頑張っているということですね。
さっき篠原さんも言っていたんですけれども、何か、ガソリン代で六兆円も使うんならこっちに使ったらどうだというようなことも言っていたと思うんですけれども、総理大臣が、教育関係の方の予算をつけるときに、異次元の何だかんだと言っていたでしょう。あれはいい言葉ですよね、そういうふうになっているかどうかは別にして。だから、環境省も是非もう異次元のことをこれからどんどんやっていっていただいて、まあ、財務省の人が余りいい顔をしないかもしれないんですけれどもね。人間が生きていく基礎の話ですから、これはすごいやはり大切だと思うので、是非頑張っていただきたいなと思うんです。
その中で、例えば、イギリスでは昔からナショナルトラスト活動が盛んなんですね。ピーターラビットの作者のビアトリクス・ポターというんですかね、湖水地方の美しい土地を買って、英国ナショナルトラストに寄附をしているそうなんですね。
そして、ここで私の友達も一人ちょっと紹介したいんですけれども、北海道で百七十五ヘクタールぐらい、トラスト運動でやっている者がいまして、特に何かどこかから金をもらっていることはないんだよねということで、一生懸命活動している者がおります。
ちょっと聞いてみたんですよ、いろいろなことを。タガメとかはいるのかという話を聞いたんですけれども、タガメもいるし、ミズカマキリもいるし、いろいろなものがいるぜと。そういう沼みたいなところ、こういうところもちゃんと持っている、こう言うんですよね。それで、子供に対して年に何回かそういうところを見学会とか、そういうことも何かやっていると言うんですよね。
考えてみたら、私も、子供の頃、北海道大学というのは今でももちろんあるんだけれども、あそこにも随分沼はあったんですよ。そこでドジョウすくいとかをよくやったものなんですけれども、全部埋立てになっちゃって、もうなくなっちゃっていますけれどもね。北大のことはいいんですけれども。
私の友達なんかは、企業イメージとかということもあるんだけれども、趣味もあるのかなという感じもするんですけれども、ただ、実は、彼はそういう気持ちを非常に持っているんだけれども、じゃ、次の代になったときにそれが続くのかどうかというのがちょっと不安なんですよね。
例えば、何かいろいろなものが相続でばらばらになっちゃうというのはよくありますよね。そういうことをなくすには、考えられるのは、やはり民有地を国が買い上げる、環境省が買い上げて、適切に保全していくことができれば大変有用な手段になるというふうに考えるんです。
一方で、地権、結構もめるんですよね、相続というのは、大体。仲がよくてもけんかになったりもしますからね。そういうことがあると時間もかかるし、それで国がそこに入っていっても破談になることもあると思うんですね。
そういった流動的な施策に関わる予算を執行するということになると、なかなか難しいんだというふうに思いますよ、国で買い上げるのもね。期間的なことだとか、いろいろなことがあるんでしょう。
ただ、うちの国というのは予算執行のルール、こういうものもありますよね。財政法とか会計法などあると思いますけれども、こういうことにとらわれないということにはならないかもしれないけれども、しかし、ここら辺、うまく、人間がちゃんとここで生きていけるかどうかという話なので、非常に大切なので、ちょっとフレキシブルに予算が執行できるような工夫をこれから検討していくようなこともあってもいいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、どうでしょうか、財務省の人。
○白石政府参考人 土地の買上げに関するということで、土地の買上げでありますとか、議員御指摘のナショナルトラストという関係について、まず御説明をさせていただきたいと思っております。
御指摘のとおり、土地の売買、相続によるその土地の分割でありますとか、所有者の変更によりまして、増進活動の継続が困難になる場合があるというふうに認識してございます。
まず、環境省におきまして、保護地域ということで、国立公園等におきまして自然環境保全上特に重要な民有地を買い上げるという制度を設けてございます。
それから、NGOとか財団法人等が寄附金等により優れた自然環境を有する土地を取得しまして、その保存、活用を図る活動、議員御指摘のいわゆるナショナルトラスト運動を促進するために、実践に向けたポイント等を取りまとめた手引を発行し、情報提供を行っております。
この手引の中では、地方税ではございますが、幾つかの自治体におきまして、条例でこのナショナルトラストについて税制優遇を図っているというような事例も御紹介してございます。
本法案におきまして、いろいろな取組、土地に関しては、地面に基づいた活動を促進するということで各種の規定を設けてございます。
一つは、土地の取得の促進等に関する情報提供や助言等を行うという規定を設けてございます。それから認定を受けた連携増進活動実施計画の区域を対象といたしまして、生物多様性維持協定の規定を設けまして、その土地における長期安定的な活動と生物多様性の増進を担保するということを確保してございます。
いわゆる自治体と土地所有者と活動者、これが一定期間の長期間にわたりましてその活動を行うために協定を結ぶというものでございまして、土地所有者に関しましては、その地位を承継する、相続でありますとか譲渡によりまして承継するということになりますので、安定的な増進活動の維持にはつながるんだろうと思っております。
いずれにいたしましても、生物多様性の保全上重要な地域を維持していくために、国、地方公共団体、民間が連携しながら増進活動を継続していくことが大事でありまして、関連する施策を総合的に推進してまいります。
それから財政制度に関しては、財政法ということでございますので、なかなか、ちょっと難しい。実際に、買上げに関して言いますと、その年に必要となる予算を計上し、それで交渉しているということでございまして、その範囲内で執行しているというのが実態ではございます。
○松木委員 そこなんだよね。なかなか、すぐまとまらないでしょう。そうすると、結局駄目だなという話になるので、その予算の執行をちょっとフレキシブルにやっていってもらう、別に罰は当たらないだろうというふうに思っているんだけれども。
財務省の人もいるよね。せっかく来たんだから、是非。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
国の予算の執行上、制約は当然のことながらございますけれども、その範囲の中で、今何が問題で、その中で何が工夫ができるのかを環境省とよく議論させていただきたいというふうに思います。
○松木委員 まあ、そこまで言っていただければいいんだけれども、人間が存続できるかどうかという中の一つの話だから、若干、ちょっとフレキシブルにやるように是非頑張っていただきたいなというふうに思います。
それと、とにかく、ちょっと私、面白いものを調べてきたんだけれども、ユーチューブってあるじゃないですか。各役所は全部持っているので、それで、どこの役所が一番見られているのかなと思ったり、環境省なんか結構いいんじゃないかと思ってちょっと見てみたんですけれども、意外とそうでもなくて、環境省が、登録者というのは二万四千四百人、もうちょっとあってもよかったかなというふうに思うんですけれども。
ちなみに、違うところを言ってみますと、経済産業省が四万六千ちょっと、農林水産省が、結構力を入れているんですかね、十七万三千人いる、文科省が十一万一千人。財務省が三千四百五十人、金融庁が二万二千六百人、これは一緒かなと思うんですけれども、見方によるのかもしれないんですけれども、意外と、やはり難しいから余り見ないのかなという感じはありますけれどもね。国交省が一万二千八百人、外務省が十二万三千人、そして、法務省が四万一千五百人、総務省が一万九千人、厚生労働省が十六万八千人。そして、一番多いのは防衛省、これが四十万人ぐらいいる。大したものですね、やはり。
まあ、それはいいんですけれども、生物多様性というのは、ユーチューブでもいろいろと見て、ああ、こういうのもそうなんだ、ああいうのもそうなんだというのはあったんですけれども、このPRの予算はどう、環境省さんは。結構取って、これからいろいろやっていった方がいいかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
生物多様性に関しましては、あらゆる主体の御理解が必要でございまして、そういう意味で、これからますます広報を努めてまいりたいというふうに考えてございます。
まず、いろいろ広報するという前提として、いろいろな生物多様性の情報を分かりやすく見える化するということが大事だろうと思っています。いろいろな各所で、どういう生物多様性の意味があるんですかということを分かりやすく見えるような、そういうシステムをつくって広く広めていく、我々としてはそういうことをやっていきたいと思っています。
一般的な生物多様性の意義でありますとかそういうことは、セクター別、例えば、企業だったら企業別に、それから一般の方であれば一般の方に向けたメッセージというものを、発信を工夫してまいりたいというふうに考えてございます。
○松木委員 是非頑張っていただきたいと思うんですよね。
ネットやスマホで生き物の情報を確認できるような技術があるというふうに聞いているんですけれども、同じように、全国各地で生物多様性が豊かな場所がどんなところにあって、そこでどんな人たちが活動しているか分かるようにするべきではないかなというふうにも思っていまして、それが多くの国民の生物多様性に関する関心を高めるきっかけになるのではないでしょうかねと思うんですけれども、どうですか、そこら辺、もう一度。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
今委員がお触れになられた、最近はスマートフォンで写真を撮るだけで動植物の名前を判定できるようなアプリもあるというふうに聞いてございます、我々も実際ちょっと試して使ってみたこともございますが。こういう最新のIT技術を使うということは、まさに生物多様性に関心を持つ国民の裾野を広げるということにつながりますので、有用だろうと思います。先ほど申し上げました見える化、生物多様性の状況を見える化するシステムということも取り組んでまいりたいと思っています。
それから、生き物に親しむ機会が少なかった人であっても活動場所のモニタリングを簡便に行う、いわば、いろいろな一般の方を生物多様性のモニタリングの調査員にしてしまうということなんでございますが、チョウ類でありますとかカブトムシ、こういった身近な昆虫を指標とするモニタリング手法を作成し、今後普及させていきたいというふうに考えてございます。
こうした技術とか取組をきっかけとして、国民に生物多様性を身近に感じてもらいながら、理解の醸成につなげてまいりたいと思っております。
○松木委員 是非、いろいろなことをやっていただきたいなというふうに思います。
一つ、ちょっと面白い話をしたいんですけれども、二〇一三年の二月十二日に、衆議院の予算委員会で、石原慎太郎さんっているじゃないですか、どっちかといえばちょっとこわもてで、尖閣をどうのこうのとかという印象がすごく強い方なんですけれども、この人がなかなか面白いことを言っていまして、要するには、地球の温暖化、今回のことにもつながると思うんですけれども、こういうことをやはり、愛する子孫に対してのささやかな責任の履行だというふうに思うので、経済も大切だけれども子孫の生命の担保のためにも頑張っていくというのが、この日本がやってもいいんじゃないのか、こういうようなことを言われているんですね。
その中で、明日世界が滅びるとしても、今日あなたはリンゴの木を植えますという色紙を見たという話があって、これは開高健さんが書いた色紙だったんですけれども、ポーランドの詩人のゲオルグという方、マルチン・ルターという人に影響を受けた人らしいんですけれども、要するに、小さいことからやっていこうということだと思うんですけれども、そういうようなこともありますので、本当に、この生物多様性というのはそのぐらい大切なことだというふうに思いますので、日本だけでやってもしようがないかもしれぬけれども、日本はやらなきゃやはり駄目ですよ。
過去にオゾン層の破壊というのがあったじゃないですか、オゾン層の破壊。もうみんな外に出られなくなって、みんな皮膚がんになるぜ、こんなことを言われた時期があったんですけれども、今、このオゾンホールがだんだん消えかかっているんですよね、だんだん消えかかっているらしいんですよ。それは何でかというと、世界でみんなで、要するに破壊するものを使うのをやめたから、だんだんだんだんなくなってきている。
ですから、やはりみんなでやれば何とかなるというのもありますので、小さいことから、小さい一つ一つからやっていくという意味では、今回のことというのは非常に私は大切だと思いますので、本当に力を入れて大臣に頑張っていただきたいというふうに思います。
質疑時間が五分となってまいりましたので、それでは、もう一つだけ、熊の話をちょっとしたいんです。
私のところに、一年数か月前にOSO18というのが出て、四年間ぐらい取っ捕まらなくて、六十六頭ぐらい牛を殺したんですよ、食べたりなんかしたんでしょうけれども。それが去年、とうとう捕まりました。
そういう話をしたら、熊森会という人たちから電話をいただきまして、それで、いろいろな話を聞いてくれと言われたので、お話を聞かせていただきました。なかなか激しいところもある方々なんですけれども、でも、すごくそのとおりだなと思えることもありまして、熊にも生きる権利はあるじゃないかとか、いろいろなことをおっしゃられていました。
こういう方々の意見というのも、例えば、大臣なんかが聞くことは結構あるのかな。ありますか、そういうのは。もしよかったら。
○伊藤国務大臣 熊の問題は、委員会、国会でも大変取り上げて、大きな関心を呼んでおります。いろいろな意見を聞いております。
○松木委員 ありがとうございます。
大臣じゃなくてもいいんですけれども、こういう人たちが何か環境省で話をしたいとかということがあったら、相手にするということも大切だと思いますので、いろいろな多様な意見がありますので、是非そういうふうにしていただきたいと思います。
その中で、今、指定管理鳥獣にしようかという話がだんだん出てきていて、指定管理鳥獣にしちゃうと、おい、みんな殺されちゃうんじゃないかというふうに、やはりこういう人たちは思うんですよ。私は、いや、そういうつもりじゃないと思うよということは一応は言っておきましたけれども、ここら辺、簡単に言うと、こういう人たちというのは、やはり、熊はなるべく殺すな、そして山を守れ、そしてすみ分けをしましょうよということを言いたいんだと思うんですけれども、この指定管理鳥獣というのはどういう感じになってくるのか、ちょっと御説明いただけたらありがたい。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
指定管理鳥獣は、鳥獣保護管理法に基づきまして、全国的に生息数が著しく増加し、又はその生息地の範囲が拡大している鳥獣でありまして、生活環境、農林水産業又は生態系に深刻な影響を及ぼすために、集中的かつ広域的に管理を図る必要があるものとして環境大臣が指定するものでございまして、現在、ニホンジカ及びイノシシを指定してございます。
熊につきましても、昨年秋の大量出没を踏まえて、大臣の御指示を受けて検討会を回しまして、二月八日、専門家から、対策方針というものをまとめていただいております。
人と熊類の空間的なすみ分けを図るということが大前提、殺すということが目的ではなくて、すみ分けを図るということによりまして、熊類の地域個体群を維持しながら、人の生活圏への出没を抑制し、熊類の被害の軽減を目指すというために指定管理鳥獣にするということでございます。
指定管理鳥獣にすることによりまして、熊類の生態の調査あるいはモニタリング、人の生活圏への出没防止のための環境管理や必要な捕獲、人材育成等、都道府県の状況に応じた効果的な対策を講ずるということが一層可能になるというふうに考えてございます。
○松木委員 とはいえ、ちょっと殺される熊が多くなるんじゃないかとやはり心配しているわけですよね。ですから、例えば、軽井沢というところでは、ピッキオというNPOがやっているんですけれども、ベアドッグというのを育成して、それで、二〇一一年ぐらいからかな、軽井沢ではほとんど事件は起きていないはずなんですよ。それは、ちゃんと犬のおしっこか何かをまいて、それで殺させないようにする、北海道でもそれをやっているんですけれども、そういうのは何かやはり育てるのにすごい時間がかかるらしいんですよね。それと、多分お金もかかるんだと思うんですよね。
ですから、そこら辺にもうちょっと、そういう関係者でも呼んで、予算なんかをちょっとつけて、安定的にそういうことを増やしていったらいいんじゃないかなと思いますし、熊が本当に増えたのかどうかというのは、やはり熊森会の人たちなんかは、それは怪しいんだよということをどうしても言うわけですよ。
去年は大分殺しましたね、たしかね、出てきたからね。それを考えて、北海道でも、北海道はこっちより、ツキノワグマよりもっと怖いヒグマがいるんですけれども、一九六六年ぐらいから春熊駆除というのをやったんですよ。それを一九九〇年までやって、それをやり過ぎたのかどうか、とにかく、このままいったら絶滅するんじゃないかという話になって、それで、それをやめたんですよ。そこからまた増えてきたということなんですけれども、本当の実態というのは何か分からないなという感じを私は受けているんです。
いずれにしても、殺し過ぎないでやってもらいたいし、殺すということをまず考えるんじゃなくて、本当にすみ分けするにはどうしたらいいのか、うまくすみ分けていたら、それはそれで、山に熊がいてもそれは構わないわけだから、是非そこら辺、もう一回、ちょっとどうでしょう。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、昨年秋の熊の大量出没を踏まえて、現時点で、捕獲された熊ですが、一月末時点で過去に例のない九千二百頭を超える熊を捕獲してございます。過去最高となっております。
被害を減らすために、とにかく、捕獲に偏らない総合的対策を講ずるということが必要だというふうに考えてございます。空間的なすみ分けを図る方向性を有識者もお示しいただいております。
我々の捕獲以外の対策といたしまして、熊類の個体数の適切なモニタリング、それから人の生活圏への出没を防止するための放任果樹等の誘引物の管理の徹底、農地への侵入を防止するための電気柵の設置、専門的な知見を有する人材育成、こういったものを地域の実情に応じながら都道府県等によって実施していただく必要がありまして、こういった施策を推進するためにも、指定管理鳥獣にも指定し、かつ、関係省庁や都道府県とも連携しながら被害防止対策を推進して、国民の安心、安全の確保に関する支援を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○松木委員 ありがとうございます。
ちょっと、これだけ最後に。生きとし生けるものというのは全てつながっているという気持ちというか考えがありまして、これがまた生物多様性ということだというふうに思いますので、要するには、最後は人間が助かる、こういうことなので、是非、それはもう全部駄目だとかそういうことは言いません、なるべく殺さない方向で考えていただけたらありがたいということをお願いして、終わります。
○務台委員長 次に、屋良朝博君。
○屋良委員 よろしくお願いいたします。屋良でございます。
まず初めに、本法案の条文についてちょっと一つだけ確認させていただきたくて申し上げますけれども、この三条に、豊かな生命の多様性を確保することが人類の存続の基盤であるというふうに書かれております。二〇〇八年に成立した生物多様性基本法では、生物の多様性は人類の存続の基盤となっている、生物多様性イコール人類の存続の基盤になっているというふうな書きぶりなんですけれども、この間に、確保することがという行動が入ったということなので、これは、自然保護にずっと取り組んできた団体さんはちょっと気になっているような感じもあるんですね。そこはどういうふうに理解していいのかということですね。
それは、基本法と同じ、生物多様性が人類の存続基盤であるというふうな解釈ですよというふうに受け止めて間違いないのかどうか、そこのところだけ一つ教えてください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案の第三条におきまして、豊かな生物の多様性を確保することが人類の存続の基盤であると規定しているということと、議員御指摘の生物多様性基本法の前文におきまして、生物の多様性は人類の存続の基盤となっていると規定していることについては、その趣旨に変わりはないということでございます。
○屋良委員 ありがとうございます。
よかった、別の答えが来たらどうしようかなと思っていました。法案というのは文言が非常に重要なので、気になさる方々はやはり気になるんでしょうね。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
まずは、世界自然遺産と本法とのドッキングが、リンクとかが取れないのかということを、ちょっとその問題意識で質問させていただきたいんです。
沖縄県の北部のやんばるの森というところがあります。これは世界遺産に登録されている地域なんですけれども、そこにノグチゲラ、キツツキが生息しているんですけれども、そのキツツキが森から出て、名護市の市街地で営巣して、親子がいて、巣立ちをしたというニュースが地元紙にほんわかニュースとして報道されたんですよ。ただ、もしかしたら、これは生息域が狭まっちゃって、出ざるを得なかったのかというふうなことなど、いろいろ考えられるわけなんですね。なぜ個体がふだん生息している地域から出てしまったのかとかということは、まだ謎解きがされていないんですけれども。
世界遺産を所管する環境省として、生物多様性の現状が変化しているな、あるいは、少しでもその兆候が見られるなといったときの対応を、やはり登録に一生懸命汗を流した省として、そこのところのモニタリングも含めて、維持管理をやっていただきたいんですけれども、大臣の意気込みをお聞かせください。
○伊藤国務大臣 意気込みということですが、意気込みはございます。
また、今委員御指摘の奄美、沖縄については、地域の方々の熱意と関係者の努力に支えられ、令和三年七月に世界自然遺産の登録に至りました。その際、観光管理の徹底、希少種の交通事故対策等の四項目について、今後の更なる取組が要請されたところでございます。
このため、専門家等で構成されるタスクフォースを設置し、遺産地域内で法的拘束力を持った立入り規制が行われたりするなど、今後の対応方針を取りまとめ、ユネスコ世界遺産センターに報告しております。
引き続き、関係者と連携してこうした遺産地域の保全管理を徹底するとともに、本法案により民間等の活動を力強く後押しすることで、遺産の周辺地域を含めた地域の自然環境保全が促進され、サーティー・バイ・サーティーの達成に貢献できるように努めてまいりたい、そのように考えてございます。
○屋良委員 大臣、確認させていただきたいんですけれども、法的規制が取れるような取組を、立入りに関してですね、これからそういう取組を環境省としてやっていくというふうに理解してよろしいでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
議員が御指摘の立入りというような話でありますと、例えば、何かオーバーツーリズムでありますとか、そういうような事象が発生し、自然環境の保全に支障を来すというような場合には、立入り規制も一つの規制の手法だろうと思っております。
ただ、その手法も、自然公園法上による措置のほか、エコツーリズム法による措置、様々なものがございます。あるいは、場所によりましては自治体の条例による制度を促すとか、様々なこともございますが、その場所場所において必要な対策というものは、当然、必要に応じて取られるべきだというふうに考えております。
○屋良委員 次の質問で用意していたことだったんですけれども、自治体が入域者を制限するということはやはり厳しい面もあって、それは、観光資源として使いたい人たちもいる中で入域規制をということになると、やはり何らかの国としての基準、あるいは国としての法的な根拠を与えてあげるということが必要になってくるんじゃないかなと私は思っておりまして、そこのところの取組をやってもらいたい、法的な根拠を示すべきじゃないかというふうなことを次の質問で考えていたんですけれども、今のお答えの繰り返しになるはずなので、じゃ、答えてくれますか、よろしくお願いします。
○白石政府参考人 申し訳ございません、先走ってしまいました。もう一回お答えします。きちんと御説明します。
入域規制に関しまして、世界自然遺産地域など利用者が集中する地域におきましては、オーバーツーリズム対策を始めとする観光管理が課題となっている地域もございます。地域の実情に応じた対策が必要であるというふうに考えてございます。
議員の御指摘の沖縄の西表島におきましては、竹富町におきまして、利用者が集中すること等によりまして自然環境への悪影響や観光資源の利用環境の質の低下が生じている場所を対象に、エコツーリズム推進法に基づく利用者の入場制限やガイド同伴の義務づけ等の実施に向けた調整が進められているというところと承知してございます。
また、同じ世界自然遺産ということで、他の例で申し上げますと、北海道の知床五湖におきましては、利用者の安全対策や周辺の植生の保護の観点から、観光管理が必要な地区を自然公園法に基づく利用調整地区に指定いたしまして、当該地区への立入りを認定制にしているほか、立入り人数の上限設定や事前の注意事項のレクチャーなどを実施しております。
環境省といたしましては、まさに入域規制の法的根拠ということで、エコツーリズム推進法あるいは自然公園法に基づく利用調整、こういった制度を活用しながら、自治体と連携いたしまして、適正な利用の推進により世界自然遺産の保全に万全を尽くしてまいります。
○屋良委員 続きまして、西表のことについて伺いたい、これからなんですけれども、実は。
西表島は、二十万年前に大陸から離れていって島となって、長い自然の時の流れの中で進化して、固有種とか亜種とかを生み出して、その中で、イリオモテヤマネコが、絶滅危惧種なんですけれども、僅か百頭しかいない。二〇一八年、ロードキルが九件あったということですね。沖縄で、交通事故で人が死んでも新聞に載らないけれども、イリオモテヤマネコが交通事故で死んじゃうと大きなニュースになっちゃうというぐらいの、やはりみんなで大事にしよう、守っていこうというふうなことなんです。
その入域規制は、先ほど知床とかの例を挙げていただいたし、富士山も来年度からそういった取組をなさっていくというふうなことがあるわけでございますけれども、例えば、西表は小さな島なんですよ、そこに外国からの豪華客船がばんと来た。もうやめてくれ、入島しないでくれと言っても、これは、なかなか、法的に規制する根拠がないと入島を認めざるを得ないということになると、人が歩いただけで表土が削られて、海が汚染されてというふうな感じで、小さな島だけに非常に微妙なバランスで保っている生物多様性だと思うんですね。
そこで、重ねてなんですけれども、やはり入域制限をするときには、船会社との調整とか観光業界との調整とか、これは地方自治体にずっと任せていていいのでしょうか。世界自然遺産なんですよね。そこのところはやはり国がイニシアチブを取ってもらって、人数の制限とか法的規制が必要じゃないか。そのときには、是非とも環境省に、強いお立場で、自然遺産の生態系を守っていくよ、そのような態度というか、意思を示していただきたいなと思いまして、質問を準備したんです。
ここで強調したいのが、オーバーツーリズムの未然防止策として、環境省が出している、インターネットを見てみたんですけれども、やはり地域自身があるべき姿を描いて、地域の実情に応じた具体策を講じることが有効であり、国としてこうした取組に対し総合的な支援を行うと書いてあります。
やはり地域が主体だということになっているんですけれども、トータル的に法的な根拠を地域に与えるなり、そういったリーダーシップをやはり環境省が取っていただいた方が、地域任せにして、観光業界との調整もあり船会社との調整もありとか、そういった非常に機微な部分が含まれていると思うんですね、そこは全国統一の何か法的なものがあれば私はスムーズにいくんじゃないかなというふうに思って、この質問を用意したわけです。
取りあえず、地域が主体になって取り組んでいくことだというようなお答えだったと受け止めますけれども、大臣、せっかくみんなでOECMを広げていこうという話なので、世界遺産がせっかくあるわけだから、その周りも含めて生物多様性を増進していくんだというふうな機運を高めるためにも、まずは、世界遺産、自然が、生物多様性が非常に弱っているような地域、そういったところはやはり人数制限だということを打ち出していただきたいというふうに思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 委員のいろいろな御指摘もあります。また、地域には地域の考え方や実情もあると思います。
ですから、地方自治体と環境省とよく連携して、適切な措置が取られるようにしてまいりたいと思います。
○屋良委員 ありがとうございます。
最初の質問で私がちょっとポイントとして強調させていただいている自然遺産とOECM、そこの連携について、環境省さん、何か見解があれば教えてください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案におきます認定の対象地といたしましては、世界遺産地域も含めた保護地域を排除しているものではございませんので、その場所で特定の環境保全に係る活動というものを行うということが土地の所有者等の同意を得て行われる場合には登録をされる。ただ、OECMはやはり保護地域以外でございますので、国際的なOECMのデータベースへの登録に関しましては、保護地域を除いた地域を登録をするということでございます。
私どもといたしましては、保護地域の周辺部にも生態系、生物多様性上、豊かな場所というのはたくさんあるということでございますので、その周辺部におきまして、本法案におきます増進活動みたいなものが活性化し、OECMというものの対象になっていくということを強く期待をしているというところでございます。
○屋良委員 ありがとうございます。
先ほど来、先輩方の質疑の中でも、予算がもっとあれば環境省は頑張っていけるのにというような、気持ちはみんな一緒なんですよね、本当に。人員ももっと増やしてしっかりとやってくれよというふうなことなんだけれども、だから、地域任せでやっているじゃないかということで指摘させていただくのもちょっとやぼかなと思って、みんなもどかしい感じを持っているというのが実際のところだと思うんです。是非、いろいろな今持っているアセッツと言ったら怒られそうなので、資産を生かして、それで広げていくような、機運を盛り上げていくような、そんな取組をやっていただきたいなということを希望しております。
次の質問に移らせていただきます。
環境アセスについてなんですけれども、環境アセスというのは、当然、自然を守っていくための、公共工事とかいろいろな工事との兼ね合い、自然との兼ね合いをつけるためのアセスだと思うんです。例えば、今、アセスがネイチャーネガティブじゃないかというようなことの指摘もあったりするわけで、アセスをやって自然環境とか生物多様性が増進される、そんな効果をやはり目指すべきじゃないのかというような指摘が今日いろいろなところから聞こえてくるわけです。
私は、会社勤めのときに一年間会社を休職させていただいて、ハワイに留学させていただいた経験があって、そのときに、実は、アメリカの陸軍がハワイで演習場を造りたいということで地域のアセスを始めたんですけれども、私はびっくりしたのは、ハワイだけじゃないんですね、陸軍がアセスをやったのは。アラスカでもやって、それからアメリカ本国でもやって、三か所同時にやって、その結果を見て環境負荷が一番少ないところを選ぶ、そんなルールがあるということを聞いたんですよ。これはすばらしいなというふうに思いました。
でも、陸軍だから、やはりハワイはアジア太平洋地域に近いので地理的に優位なんだというような主張をしましたけれども、これは全然通用しない。地球儀で見ると、アラスカがアジアに近いんだというふうなことの議論が当たり前に通っちゃう。だから、まずは自然保護ありきであって、そういう軍が持っている論理とかというものも平たく見てあげて、環境負荷が一番少ないところ、そこを選んでいくんだ、そんな精神が貫徹されている。
だから、防衛とか国防とか安全保障とかということも大事であることは分かっているんですけれども、環境を守るということは人類の未来が懸かっているんだというようなことは、一つ私たちは大事な認識として共有した上で、やはり環境省さんにリーダーシップを取っていただきたいというようなことを、何度も繰り返して申し訳ないんですけれども。
このアセスに関する質問は、今言った軍隊のこともちょっと絡むんですけれども、今、沖縄の名護市の辺野古で進められている埋立工事を念頭にした質問でございます。
この工事は、最初は、五年でできるよ、三千五百億円でできるし、埋立ても、埋立部分の周りを枠で囲って、土砂を投入していけば五年でできるからというふうなことの触れ込みだったんですね。それで埋立許可を沖縄県から取った。しかし、工事を着工した後にボーリングをしてみると、これは軟弱地盤があって大変だと。工期も、当初の五年で終わると言っていたのが都合十八年かかって、予算も、三倍の九千三百億円が必要だと言われていて、そして、砂ぐい、何と七万二千本を海に打ち込むというふうな計画にがらりと変わっちゃったんですね。
アセスはやるのか。工事としては、外形的にはもう別物じゃないかというのが一般的な受け止めなんですけれども、これはアセスはやらないでいいということだったんですよ。再アセスの必要はないということなんですけれども、本当にそれでいいのか。やはりちゃんとアセスはやって、自然環境を守った上で、公共工事も含めて何でもやっていかないといけないんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。お答えください。
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
環境影響評価法におきましては、最終的な環境影響評価書の公告を行った後に、事業位置や規模など、政令で定める事項につきまして一定基準以上の変更を行った場合には、環境影響評価手続を再度実施するよう求めているところでございます。
御指摘の埋立工事につきましては、面積の変更について、一定規模以上の変更がなされた場合の手続が求められているところでございますけれども、御指摘のようなことについては、それを政令で変更要件に合致することにはなってございませんので、現時点で項目とか基準の改正が必要という認識はしてございませんけれども、引き続き、環境影響制度の適切な運用に努めてまいりたいと思います。
○屋良委員 それはアメリカ軍基地がどうのこうのということでもなく、これほど大きな工事の内容の変更があったときには、やはりその地域に与える環境負荷というのは大きくなるでしょう。砂ぐい、三百四十万立米投入すると言っているんですね、その海砂も大変なものですよ。海砂を取るというのは、やはり海洋汚染に直結するんですね。そんなこともあるので、やはり環境負荷が大きくなるという認識を持って環境行政はなされるべきだと思っております。
安全保障だ何とかと言われると、どうもこれはちょっとアンタッチャブルだなみたいな感じがあったとしたら、これは環境行政としてはちょっと弱腰かなというような気がしておるのは、アメリカの例を何度も引き出して恐縮なんですけれども、例えば、アメリカでは、自然保護地域でオスプレイを飛ばすときに、そこの希少種であるコウモリとかフクロウとかが生息していると、夕方以降は飛ばすなとか、活動時間は、飛行を制限すらされるというふうなこともやるんですね。やはりそのぐらい徹底してやらないと、生物の多様性とか、それから地球温暖化も含めてそうですよ、私たちが抱えているリスク、未来のリスク、それにどのぐらいの姿勢で臨んでいくのかということをやはり示す必要が私はあると思っているんですね。
ちょっと質問を変えますけれども、今テーマにしている地域で縄文サンゴというのが生息しております。大臣、聞いたことはありますか。
○伊藤国務大臣 聞いたことがございます。
○屋良委員 驚きでございます。
これは余り一般的には知られていないことなんですけれども、実は、その地域にアオサンゴの大群生がある。長さ五十メートル、幅三十メートル、高さ十二メートル。サンゴ礁というのは、きれいな、いろいろな種類のサンゴが一つの岩についてカラフルな感じがするけれども、これはアオサンゴ一つで横五十メートルもあるというんですね。これがそれまでの大きさになるには何年かかったか、もう数千年でしょうと言われているので、縄文杉と同じように、縄文サンゴと言われているということなんです。
そこが、アメリカを中心にした世界的な自然保護団体で、ミッションブルーという団体があるんですけれども、そこが指定しているホープスポットに選ばれた。日本では、唯一この海域だけなんですよ。
これは何で選ばれたかというと、エリア的にはそう大きくない地域に何と五千三百三十四種もの生物が確認されている、ジュゴンを含めて絶滅危惧種が二百六十二種いるということらしいんですね。これは、数字が五千幾らといってぴんとこないかもしれませんけれども、例えば、ハワイにある海洋保護区の大きさというのが、日本の国土面積の約四倍に当たる保護区域なんですけれども、そこで七千種と言われているので、あの地域だけで五千三百種というのは物すごく生物多様性の宝庫なんですね。
やはりこれは私たち人類の宝だ、ホープスポットである、希望の海である。子供とか次の世代に残していくべきなものを今がんがんがんがん破壊しているんですよ。これはちょっと見るに堪えないなというふうな気がしているんです。
だから、一方では自然を保護しましょう、企業も自治体もNGOもみんなで頑張ってOECMをつくっていきましょうと言っているこっち側でがんがんそれをやっているというのが、どうも日本の自然環境というのはどうなのか、世界から見たらおかしくないか。何か地理的優位性とかといって、軍事的な論理でこれが進められているかもしれませんけれども、しかし、アメリカではそんなことは余り関係ないということが非常に矛盾点として指摘されても仕方がないかなと思うんです。
このホープスポットが破壊されているという現状、大臣の御認識があれば、御見解をいただきたいんですけれども、よろしくお願いします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
一般論で申し上げますと、公共工事に限らず、事業者がそれぞれの地域の自然的、社会的状況に応じて適切に環境配慮を行うことが重要であるというふうに認識しております。
具体的には、個々の状況によりますけれども、土地の所有者の意向や関係法令の規定を前提としつつ、その土地に関する関係者の利益が両立されるように関係者がよくコミュニケーションを図って取り組むことが必要であると考えております。
それで、今、絶滅危惧種の話、そっちもお答えしたいと思いますけれども、委員が御指摘なさった絶滅危惧種の保護については、環境省では、国内の野生生物について絶滅のおそれを評価したレッドリストを作っておりまして、その公表を通じて、行政機関のみならず広く国民の皆様に対して絶滅危惧種の保全や環境配慮を呼びかけております。また、種の保存法や環境影響評価法等の様々な制度を活用して、その保全を図っているところでございます。
本法案、ネイチャーポジティブの機運を高めるとともに、引き続き、各種制度を適切に運用しながら、多様な主体による保全や環境配慮を促進し、絶滅危惧種を含めた自然環境の保全を推進してまいりたいと考えております。
○屋良委員 大臣、ありがとうございます。
自然を守るというのは、やはり機運が盛り上がらないとなかなか広がらないというのがあると思うんですね。サーティー・バイ・サーティーをもっと、フィフティー・バイ・サーティー、どんどんどんどん広げていくような、機運を広げないといけないけれども、いかんせん、先ほど松木委員が、土地は買ってもいいんじゃないかと。だけれども、環境省の予算ではそんなことはできませんよということで蹴られてしまうと、大変私たちはそれでいいのかということを考えてしまうんですね。未来の人たちに対する責務を私たちは負っているということがあるので、お金もない、人もいない中で、じゃ、どういったことでそれを広げていくのかというのは、これは知恵の出しどころだと思っているんですね。そのためにはインセンティブが重要になってくるのではないかというような気がしております。
例えば、認定証を国が出すことがインセンティブになるのか、その企業価値が高まるのがインセンティブとして広がるのかというと、日本の多くが中小企業ですよ、そこで広げることが果たして、限界があるのかなという気がするんです。やはりインセンティブをもっと、例えば、税制措置をどうにかしてあげるとか法人税をどうにかしてあげるとか、国土交通省も一緒になっているんだから、公共工事を取るときの点数を加点してあげるとか、そんないろいろなことが考えられるのかなと素人ながらに思っているんですけれども。
そこをちょっと取組を、やる気でもいいんですけれども、伺えれば。もう時間なのでこれを最後にしますけれども、よろしくお願いします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案によりまして、地方公共団体や民間等による生物多様性増進の活動を、国がネイチャーポジティブという国際的な考え方とも整合した形で認定することで、活動の価値、意義を客観性を持って対外的に発信できるようになると思っています。また、本法案に基づき認定された場合は、法律上の特例、ワンストップ化の特例を活用することも可能になるというのがまずございます。
地方行政、地方自治体の視点からいいますと、市町村が取りまとめて作成する連携増進活動実施計画の区域、こちらにつきましては、生物多様性維持協定というものを図ることによりまして、長期安定的に活動が担保されるようになるということでございます。
例えば、自治体への支援等のインセンティブにつきましては、先ほどから御指摘がございました生物多様性保全推進事業に基づく交付金を活用いただくことが可能となるように検討を進めていく予定としておりますし、一部の自治体におきましては、既に企業版ふるさと納税を活用して生物多様性の保全に資する事業者の取組を支援しているという例もあって、こうした事例と本法案による制度をうまく組み合わせたインセンティブの手法についても検討してまいりたい。
さらに、今後でございますけれども、本法案の成立した暁には、インセンティブとして考えられる税制措置のようなものも検討をし、調整をしてまいりたいというふうに考えてございます。
各種制度、予算支援というような話もございました。なかなか、十倍、百倍にしたいという気持ちもあるわけですが、限界もございますけれども、各種制度、各種の知恵を総動員してインセンティブシステムをつくっていきたいというふうに考えてございます。
○屋良委員 終わります。ありがとうございました。
○務台委員長 次に、馬場雄基君。
○馬場(雄)委員 皆さん、お疲れさまでございます。馬場雄基です。
本日、会派を最後に代表しまして、午前中の最後の質疑に臨ませていただければというふうに思います。
本日は、大変恐縮ではございますが、岩田経産副大臣そして経産省の皆様方にもお越しいただいております。誠にありがとうございます。
新法です。地域における生物多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案ということでございますが、とてもいいことなんだというふうに思います。とてもいいのですが曖昧であったり、とてもいいのですがちょっと分かりづらかったり、いいんだけれどもつかみどころがなかなかないというところが、先ほど来の私たち委員からの声なのではないかなというふうに感じております。
新法ということになりまして、新しく法律を作るということは、簡単に言えば、現行法の方向性だけでは指し示すことのできない新たな世界を形作っていくということが私は目的だというふうに思っております。
生物多様性、まさに、環境を大切にしたい、これは皆が同じく心を一つにできるポイントだというふうに思いますが、その一方で、今回のこの新法がそのために今までとはどういうふうに異なり、どんな役割を具体的に果たし、どんな社会的インパクト、実効力を持つことになるのかがなかなか読みづらいというところではないのかなというふうに思います。
そこで、私としては、まず、今回の新法をこれまでの既存の法律と重ね合わせた上で、体系を整理させていただければというふうに思います。
資料を御覧いただければと思いますが、まだお手元に届いていない方はちょっとお待ちください。今回、法体系の体系を整理させていただきたいとレクで申し上げさせていただいたときに、下半分、緑色であるところ、これが環境省さんからいただいた体系の整理ということでございます。
私、こちらをちょっと伺ったときに、体系の整理というか、分類を指し示したものではないかなというふうに思っていまして、私が体系としてちょっと意識したかったのは、恐縮ながら、上半分で書かせていただいたものになります。
つまり、環境基本法が一番大本にあって、そのところに生物多様性基本法があって、その中のある意味個別法として、今回の法律、新法が検討されているんだというふうに思います。
ある意味、どこを基軸にこの法律が具体的に下りてきているのかということを整理するということがまずもって大切かなというふうに思うんですけれども、この整理の仕方、当たっているかどうか、間違いがないかどうか、まず環境省さんに伺いたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
議員が御指摘の体系図に沿って簡単に御説明いたしますが、まず、環境法令全体の基本法といたしましては環境基本法がある、これは平成五年にできております。それから、生物多様性分野の基本法ということで、平成二十年に生物多様性基本法ができておりまして、これらを上位法としながら、各分野の個別法が制定されている、この法律もその個別法の一つであるということでございます。
配付されている資料の下に分類が三つございますが、「場の保全」を目的とする自然公園法でありますとか自然環境保全法、それから、「動植物の保護・管理」を目的とする種の保存法等がございます。それから、この法律も含めてでございますが、「活動促進」を目的とするものという類型がありまして、本法案は、まさに企業等の活動を主務大臣が認定することで生物多様性を増進する活動を促進することを目的とするものでありまして、主に、里地里山、都市の緑地など、身近な自然環境の保全を図るという活動の促進に属する類型の法律であるということでございます。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
まさに、この法律の体系をさせていただいた後に裏面に移らせていただければと思うんですけれども、裏面は、そこで各法律が出している、ある意味求めている計画あるいは戦略の体系にさせていただいております。
こっちの方がむしろ大事だと思うんですけれども、いわゆる戦略等々、言うことは、国が指し示すことはできると思うんですが、各種計画を作っていくのは各市町村であったり企業であったりするわけでして、いわゆる主体者の人たちが何に基づいて、どんなポイントでこの計画を作ればいいのかということをまず理解しなければ、かなりごちゃごちゃになってしまうのではないかなというふうに思うわけですけれども、今回、法案の体系図は示していただいたとおりだと思うんですけれども、計画及び戦略に対する体系の整理、この点の資料は環境省さんにございますでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
委員御配付のその体系というのは、まさに、法律の中に計画を書いたという意味では、配付されている資料は一つの整理だろうというふうに考えてございます。我々が作成したものではないと思いますけれども、一つの考え方の整理なのかなと思っております。
○馬場(雄)委員 是非ともこちらの資料を作っていただければ、すごくありがたいというふうに思います。
企業は、余りその全てを、全部把握してやってきているわけではないと思いますし、事業一つ一つのアクションを起こすためにやっているものですけれども、今回求められている計画がどこに位置づき、どういうポイントになっているのかということをまずもって理解しなければ、かなり曖昧になり、あるいは、違う計画なのに、同じ言葉でほとんど一緒になってしまう、うり二つになってしまうということは、これは起きてしまうのではないかなというふうに思います。
大臣、ここの、よかったら資料を作っていただけたらなというふうに思うんですけれども、指示をお願いできませんでしょうか。
○白石政府参考人 御配付されているような資料について、ちょっと考えてみたいというふうに思っております。
いろいろ、基本法でありますとかもございますし、計画につきましても様々ございます。簡単に、間違いがないように理解いただけるよう、広報については工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。何としても、そこは私も必要だなと思っておりました。
また、一つ気になっているのが、上位概念である生物多様性基本法には、各種法律の中身を見てみると、○○への責務ということでほとんどが作られていると思います。一方、今回の新法には、例えば国民とか事業者に関しては○○への努力ということで、一つトーンダウンしてしまっているのではないかなというふうに思うんですけれども、やはり、理念法があって、個別法に移ってくる中でどんどんどんどん具体的になっていかなければ意味がないというふうに思う中で、ここがトーンダウンしてしまっていると、本当は具体的にならなきゃいけないところが曖昧になってしまったりするのではないかというところは、ここは警鐘を鳴らさせていただければというふうに思います。
次に移りたいと思います。
その戦略の一つである生物多様性地域戦略についてでございますが、既に篠原委員からも、お手元に資料を配付していただきましたので、ここは割愛させていただきたいんですけれども、計画の策定の状況、余り芳しいものではないということと思います。
この到達率、今の現状について、環境省さんの理解を、どういうふうに考えているか、お聞かせください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの質疑でも八木副大臣の方から御説明があったと思いますが、現時点で、令和六年三月時点で二百十四自治体におきまして生物多様性地域戦略が策定されてございます。全体の数%にとどまっておりまして、十分な策定状況にないというふうに考えてございます。
理由といたしまして、過年度に地域戦略を未策定の自治体に対して実施したアンケートでは、自然に関する知識のある職員がいないとか、体制や予算がないということが未策定の理由として掲げられているというところでございます。
○馬場(雄)委員 委員の皆様方にも、先ほどの計画の部分の資料に戻っていただきたいんですけれども、生物多様性地域戦略、今芳しくないというところをお答えいただきましたが、今回の法律以前に、その上位概念である生物多様性基本法の中に位置づけられているものでございまして、ここの戦略がそもそも芳しくないのにもかかわらず、新たに個別法を作っていくというところがどうしてもひっかかってしまいます。
なので、是非ここは、伊藤大臣にもお伺いさせていただきたいところではあるんですが、生物多様性地域戦略があって、この計画、今回の新法に移っていかなければ、順序がやはり逆転してしまうんじゃないかなというふうに思いまして、新しいものを作る前に、この部分、明確に、いつまでに行うのか、いつまでに作っていただくということをまず大臣が、メッセージをいただければ幸いなんですが、よろしくお願いいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
生物多様性地域戦略は、地域における生物多様性の保全に関する総合的ビジョンでございます。地域ごとの取組の方向性や、各主体の役割、目指すべき地域の姿を明確に位置づけるという、これによって、地域の自然を土台とした持続的かつ魅力的な地域づくりが推進されるというふうに考えております。
環境省としては、令和五年五月に、生物多様性地域戦略策定の手引き、改定版でございますが、を公開するとともに、令和五年度には約十自治体を対象として、地域戦略の策定に向けた伴走支援を実施したところでございます。策定のメリットやプロセスを他の自治体が参考にできるように、現在取りまとめているところでございます。
多くの自治体で生物多様性地域戦略の策定が進むように、その意義をしっかり周知していくとともに、自治体への助言等の支援を引き続き行ってまいりたいと思います。
現時点で年限等をちょっとお示しできないのは申し訳ございません。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
ここも是非警鐘を鳴らさせていただきたいんですが、やはり、先にやるべきことと、そして今回取り組むことというのはきっちり分けて進めていかなくては、現場にいる人たちは何がどうなっているんだということになりかねないので、そこは是非ともリーダーシップを発揮していただければ、実際に取り組む方々が安心して取り組めるのではないかなというふうに感じております。
続きまして、自然環境保全調査について伺いたいと思います。
これも自然環境保全法に基づくものだというふうに思いますし、環境省さんの先ほどの体系図を見てみれば、これがいわゆる「枠組」というふうにいくのか、「場の保全」というところにいくのか、二つに書かれているんですけれども、恐らくこれも上位概念にあるものではないかなというふうに思うんですが、このまさに自然環境保全調査というのが実は前に調査したときから結構年月がたってしまって、次に調査するまでに二十年以上かかってしまっている地域もあるのではないかなというふうに思っています。
その点について、同じ地域が改めて対象になるというのにどのくらいスパンがかかるのか、今、私が地元で回っていても、二、三年でどんどんどんどん環境の変化は起きてしまっていますし、荒れ地になってしまったら、二、三年で大きく様変わりしてしまうというところもたくさん多くございますので、その点についてどういうふうに感じられているのか、計画をお聞かせください。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
自然環境保全調査でございますが、自然環境保全法、まあ「枠組」に係る法律でございますが、そちらに基づきまして、全国的な観点から我が国の自然環境及び生物多様性の現状とその変化を的確に把握するため、過去五十年間にわたって継続をして調査しております。
日本全国を対象範囲といたしまして、動物の分布調査、植生調査、藻場、サンゴ礁等の調査を実施しており、その結果は、分布図やデータとして整備をし、ウェブサイトで広く提供をしてございます。
この成果は、保護地域の設定、それから生物多様性国家戦略の実施状況の評価などに加えまして、環境影響評価、あるいは再生可能エネルギー施設の立地検討等の各種施策の基盤情報として広く利用されてございます。
ただいま委員御指摘のとおり、非常に時間がかかっているということ、調査実施期間の短縮というのが課題だということは認識してございます。そのため、令和五年度から十年間の基礎調査の基本方針を示しました自然環境保全マスタープランでは、調査の効率化を図るということとしておりまして、例えば植生調査につきましては、衛星画像等も使用することにより、速報図を五年程度で作成するということも目指して取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
課題を認識してくださっているのはありがたいと思うんですけれども、実態が伴わなくては仕方がないというふうにも思います。
国が全体でやるにはやはりパワー不足ということであるならば、しっかりと予算と権限を地方自治体に渡してやっていくという方法も一つ検討していく余地はあるのではないのかなというふうに私は感じております。
この体系をまず踏まえた上で、ようやく新法に入らせていただければというふうに思うんですけれども、他の法律との違い、明確に挙げるとすれば、主体者ではないかなというふうに感じております。会社、企業が主体となる、この点がこの新法に対する大きなポイントだと私は理解しております。
主体が企業であるならば、既に環境に対して非常に取り組んでいる企業もたくさん多くございます。ですが、そこを目的に、主体に考えているというよりかは、この新法で一番大事なのは、今まで取り組んでこなかった企業もそういったところに参加していく、それを促していく、うねりを起こしていくということにこの新法の価値を付していかなければいけないんじゃないかなというふうに私は思います。
そこで、クエスチョンだったのが、企業をやはり法律体系でつかさどっている経済産業省、この方々にやはり理解と、そして促進をしていくためのうねりを起こしていくための力を一緒に高めていくことの努力をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、今回、経済産業省がこの中に、枠組みに入ってこなかったのは非常に残念に思っております。
この点について、まず環境大臣にこの経緯について伺いたいのと、そして、岩田経産副大臣にお伺いしたいのは、是非ともここに力を入れていくという力強いメッセージを是非ともお願いしたいというふうに思っております。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
本法案は、ネイチャーポジティブの実現と、陸と海の三〇%以上で生物多様性を保全するサーティー・バイ・サーティーの目標の達成に向け、企業のみならず、NGOや学校法人などを含めた多様な主体による生物多様性増進の活動を促進することを目的としております。
この生物多様性増進のための活動は、それぞれの場に存在している生態系の状況、既存の関係政策との調和を図りながら進めていく必要があり、実施主体よりも、場における活動に主眼を置く取組でございます。
このため、森林、農地、あるいは都市、河川、沿岸域といった場に関連する諸制度を所管する農林水産省及び国土交通省とともに本法案を所管し、各省が所管する法律の特例等も設けながら、全国各地で生物多様性を増進する活動が実効的かつ円滑に行われるように取り組んでいくということでございます。
なお、本法案の基本方針については、経済産業省を始め関係省庁にも協議をして策定することとしておりまして、ネイチャーポジティブの実現に向けて政府一丸となって取り組んでまいります。
○岩田副大臣 お答えをいたします。
経済産業省は本法案を所管をしていないところでございますが、環境省によれば、ネイチャーポジティブ経済への移行によって生まれてくるビジネス機会の四分の三以上が、カーボンニュートラルや循環経済と強く関連をしているということでもございます。そういうことですので、GXやサーキュラーエコノミー推進に必要な施策を実現、実行していくことを通じて貢献をしていきたいと考えております。
また、ネイチャーポジティブの実現に向けては、そうした取組を行う民間企業が評価をされていくように、経済、社会が変容していくことも重要であります。既に一部の企業が森林や水資源の保護の取組を先行して実施をしているところですが、こうした動きを前向きに評価をして促進していくなど、関係省庁とも連携をして取り組んでまいります。
○馬場(雄)委員 伊藤大臣、そして岩田副大臣、ありがとうございました。
まさにそのお言葉を期待申し上げたいというふうに思いますし、ただ、一方で、私が思うのは、場における活動であるならば、やはりそれは事務手続の話になってしまうと思うんです。その場にいながら、そしてアクションを起こしていくのはやはり主体が存在するわけで、この主体者が前向きになれるか否かが新法に一番大事な部分じゃないのかなと私は思っています。
その点、やはり、企業が今まで参加してこなかったけれども参加したくなる、それを促していくような制度設計であってほしいですし、今、世界では、TNFDですかね、環境の部分を評価していくものが金融等で評価され始めておりますけれども、本来は、これは金融で始まる以前に行政主導でもっと早くやっていった方が、この国の形として私は正しかったんじゃないのかなというふうに思っています。
どうか、環境省そして経産省、学校ということであれば文科省も主体者の一つになってくると思いますので、法体系として場の整備に関わる事務的な手続も当然連携は必要だと思うんですが、主体者たる人たちの連携の枠組みというものを是非ともつくっていただきたいということは強く申し上げさせていただければと思います。
時間の関係上、恐らく最後になると思いますが、ネイチャーポジティブ宣言についてお伺いさせていただければと思います。
これもまた別に存在しているということでございますけれども、やはり計画とか戦略とか宣言とかということがどこにどう位置づけられてくるのかということをしっかり理解しなくては、その主体者たる人たちが書くときにほとんど同じ言葉で回っていくような状況になりかねないなということは、これは本当に、繰り返しますが、警鐘を鳴らします。
その意味において、今回のネイチャーポジティブ宣言、これもいろいろなサイトで見ることができますけれども、やや残念に思うのが、それぞれの統一したフォーマットになっていません。企業名が書いてあったり、あるいは会社の社長の名前が書いてあったりするところもあれば、首長の名前も書いてあるところもありますけれども、そこが逆に書いていないところもあったりするというところで、その方向性自体、私は評価したい、応援したいというふうに思うんですけれども、せっかくならば規格を統一して、みんなで盛り上げていくぞという機運を高められるものにしなくては、宣言しただけで終わってしまうのではないかなというふうに思うんですけれども、この点について環境省さんにお伺いしたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
ネイチャーポジティブ宣言につきまして、その発出と登録の呼びかけを、経団連の会長をヘッドとする産学官民のネットワークである二〇三〇生物多様性枠組実現日本会議、J―GBFと呼んでいますが、この会議体によりまして、ネイチャーポジティブ実現への機運醸成を目的として呼びかけを行っております。
この宣言の呼びかけでございますが、昨年の十月から開始をしておりまして、発出、登録いただいた宣言について順次ポータルサイトに掲載をしているところでございます。昨日までに三十団体が宣言の登録、公表をしており、その内訳は、自治体が八、企業が十二社、民間団体が十団体となっております。
宣言に当たりましては指定の様式による登録を求めており、内容に最低限の目安は設けておりますが、対外的に公表する際のネーミング、形式、宣言主体を誰にするかは自由としておりまして、これは機運醸成を目的とするものでございますので、できるだけ多くの主体が参画しやすいという観点で、そのような仕組みを取っているというところでございます。
○馬場(雄)委員 本当に、ネイチャーポジティブ宣言やあらゆる地域計画、その戦略というものが、本当は、えるぼしマークとかくるみんマークとか、そのぐらいの立ち位置になって、あらゆる行政からの依頼をしたときの加点要素になっていくくらいのその中身にしていただければというふうに私は願っていますし、私たちの力でこの国にうねりを起こしていければというふうに願っております。
質問を終わります。ありがとうございました。
○務台委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十二分休憩
――――◇―――――
午後一時四十五分開議
○務台委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の空本でございます。
今日は八十分の時間をいただきました。誠にありがとうございます。
それでは、法案の審議に入っていくところなんですが、この法案を読ませていただいて思ったことは、まず、仏作って魂入れずというような感が否めないんですね。やはり何か形は作っているけれども、その中に本当に国民にとって大切な施策というか、事業者にとって、また地域の方々にとって大切な事業、こういったものを支援していくというのがなかなか見えない。魂が入るように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず、海域における生物多様性の保全また再生について質問させていただきたいと思います。
以前も、自民党の皆様、またほかの委員の皆様からも、陸域に対しての重心が置かれているんじゃないかなという御発言もございました。我が国で守るべきものは、陸もありますけれども、やはり大切な海がございます。海域においても、生物多様性の観点から重点を置いていくべきであろうと思います。
サンゴ礁のある沖縄、奄美、小笠原、そして東シナ海や有明海、日本海、太平洋、オホーツク海、やはり海が日本を豊かにしてくださっているというふうに感じておりますので、この保全は、環境省として、全体的に網羅していらっしゃると思うんですが、どの海域をこれから注力していくか、大臣からお答えください。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
海域の生物多様性の保全、再生については、現在、環境省では、昆明・モントリオール生物多様性枠組を踏まえ、海域のサーティー・バイ・サーティー目標の達成に向けて、量と質の向上に資する取組を沿岸域と沖合域でそれぞれ進めてございます。
このうち、沿岸域については、国立公園内の海域公園地区を倍増して、保護地域の管理の質の向上を図るとともに、本法案によって、民間事業者等による藻場や干潟の保全、再生等の里海づくりの取組を促進してまいります。
また、沖合域については、令和二年に指定した沖合自然環境保全地域の適切な保全に努めていくほか、関係省庁と連携し、今後、保護地域以外で生物多様性の保全に資する海域について具体的な考え方等の検討を加速してまいりたいと思います。
○空本委員 まだまだどの海域をということではないと思うんですが、その点、これから瀬戸内海についての生物多様性も審議したいと思うんですが、やはり有明海、瀬戸内海、大阪湾、伊勢湾、また駿河湾から東京湾にかけて、まさに工業地帯のある、工業地域に隣接する海域をこれからどうするのかなというところは、環境再生、またそこをきれいにもう一度取り戻す、環境が劣化したものも取り戻すという回復、創出、こういった観点からも本当に大切じゃないかなと。
もう一点は、南海トラフ地震がこの三十年で七〇%ないし八〇%やってくると言われておりますが、これが本当ならば、やはりその被害も想定しながら、その前後の対策、予防保全的な対策と事後保全的な対策、起きることが確かならば、その対策を含めてこの海域の行政を進めていただきたいと思っています。
まず、そこで、瀬戸内海とか太平洋でも南海トラフの地域もありますし、実は、東京湾なんかも、大田区の大森なんかでは、大森ふるさと浜辺公園を造って再生させる、ノリ場をもう一回造るとか、そういうことをやられていらっしゃいますが、やはりこういう地域も併せて対象にしていただきたいと思うんですが、そういうことは考えられていないでしょうか、再生を含めて。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
工業地帯に隣接している海域における環境保全につきましては、水質汚濁防止法に基づく水質規制や、藻場、干潟等の保全等を目的とした里海づくりの推進に取り組んでおります。
また、本法律案につきましては、企業、NPO、市町村等による生物多様性の増進活動を促進するものでございまして、特定の海域ではなく、藻場や干潟等の保全、再生など、民間等の活動が想定される、いわゆる沿岸域が主な対象範囲と考えております。
例えば、大阪の阪南市では、企業財団、自治体、漁業者、児童等が連携し、藻場の保全活動を実施しております。また、兵庫県の相生市では、自治体、市民団体等が共同で砂浜や干潟等の保全活動を実施しております。こうした取組を、今年度、本法案の提出に先行して運用している自然共生サイトに認定したところでございます。
今後、本法案の運用に際して、このような事例がたくさん生まれますよう、我々としても働きかけを強めてまいります。
○空本委員 そういう沿岸域を含めてこれを再生するというのは、逆に、日本の海を豊かにすることであります。
これから話す内容は瀬戸内海の保全また再生なんですけれども、やはり瀬戸内海も、今、海が痩せています。そして、実は、それはし尿処理をきれいにし過ぎたためであるというふうに言われております。そういった意味で、若干は海を豊かにするための施策、こういったものもまたしていかなければならない。
午前中の篠原議員のコメントにあったと思うんですが、中山間直接支払いがありますけれども、環境支払いという考え方を持って環境省がやはりしっかり予算を取って、環境再生、環境を復活させるような事業に対しての支援をしっかり行うべきだというふうに考えておりまして、また後ほど御意見をいただけたらと思いますが。
その前に、瀬戸内海では、やはり海洋プラスチックの問題がすごく大きくございます。今、広島県を中心として対策を取られていらっしゃいますし、また、ごみを拾っていくだけではなくて、海からごみを引き揚げる、そういった活動もされています。
その中で、実は、引き揚げていると、いろいろ回収していると、漁網、要は、漁師さんたちが、水産業の方々が使った漁網とかまた漁具、こういった大型のものも結構ある。実際、水産関係の方に聞いたら、引き揚げるんだけれども、それをまた持って帰るわけにいかぬ、もう一回捨てると。そうしないとなかなか大変なんだということもあって、やはり瀬戸内海自身はごみが相当まだ沈んでいるということもあります。
そういうような大型ごみ、こういったものもきれいにしていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに考えるんですが、そういった対策はこの法案で対象になるのか。例えば、水産業者さんが事業を進めるんだったら、どのように進めたらいいのか、環境省からまずお願いいたします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は、民間等による生物多様性増進の活動を促進することを目的としておりますので、海岸における海洋ごみの回収だけでなく、その海岸における外来生物の防除や草刈りを行い、海岸植物の生育地を維持するといった活動を行っている場合などに関しては、本法案による認定の対象になるというふうに考えてございます。
例示でございますけれども、例えば、三重県の四日市市におきましては、市や地域のNPOが、海岸清掃や外来種であるコマツヨイグサ等の防除を行いまして、浜辺の波打ち際で黄色い花を咲かせる希少種であるハマニガナの生育環境の維持をする活動を実施している、これは対象に想定しております。
それから、本法案の関係では必ずしもございませんけれども、海ごみという関連でいいますと、環境省におきましては、海岸を管理する自治体が行う海洋ごみの回収、処理に対する財政支援でございますとか、あるいは、瀬戸内海における関係府県と環境省による連携のための瀬戸内海海ごみ対策ネットワークの立ち上げなどを通じまして、関係自治体への支援などを進めてきたところでございます。
本法律案と関連施策の連携を図りながら、総合的に対策を推進してまいります。
○空本委員 環境省としてしっかり全体を把握しながらやられていらっしゃるということは今聞いてよく分かったんですが、そこで予算措置を考えたときには、水産業者さんをやはりある程度面倒を見てあげないと大変なこともあるかと思いますので、そういった意味で水産庁さんと、水産庁さんの方へまた後ほど質問させていただきますが。
そういったごみの問題というのは、環境だけではなく、生物多様性だけではなくて漁業、水産業の観点からも大切でありますので、こういう法案の中でうまくすみ分けをしながら、財政支援とか、そして、それによって海をよりきれいにする、特に瀬戸内海をきれいにしていただきたい。有明海は私はよく知らないんですが、有明海とか、東京湾もヘドロが多いですが、東京湾の海底もきれいにする、そういった取組も大変重要じゃないかなと思うんです。
そこで、配付資料、まず一番を見ていただきたいと思うんですが、こちらは、地元広島におきまして、広島大学の水産系の先生、山本名誉教授が今取り組んでいらっしゃる事業なんですが、広島県はもちろんカキの名産地でありますけれども、余ったカキ殻を使って水質改善を行ったり、また浜辺を再生させたりする。ヘドロがたまっている、泥がたまっている、そういったものを土に一緒に埋め込んでといいますか、その中で浜辺を再生させるという事業でございます。
まさにこれは一つの、浜辺の再生ということで対象になるのかなというふうに考えるんですが、やはりこれも民間の方といいますか、NPO的な形でやられていらっしゃいます。浜辺を再生する、実は、私が思っているのは、瀬戸内海は浜辺がだんだん少なくなっているところなんですね。埋立てを相当してきました。そういう意味では、埋立てのまた再生というか、そういったものも必要なのではないかなと思うんです。
企業ではない地域の方々、またNPOとか、そういった方々が浜辺を再生するような、こういうカキを使った、地元の何らかの産業を育成するようなことも考えていらっしゃるので、そういったときの事業の進め方というのはどういうふうに進めたらいいのか。逆に、指定していただいて、それで自治体と連携を図って取り組んでいけばいいのか。その辺も含めて、まずは環境省から御説明をお願いいたします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
委員の方から、カキ殻による海、浜辺の再生についての御紹介をいただきました。個別具体の案件の認定の可否は、申請があった時点でその詳細を確認させていただきますので、今、大丈夫かどうかということはちょっと申し上げようがないわけでございますが、いずれにしても、こういう取組がどのような効果を持つのか、環境省としても関心を持って注視してまいりたいと思っております。
また、本法案で認定されたプロジェクトに関しましては、いろいろ法律上の特例が活用となるほか、生物多様性に知見がある有識者等とのマッチングでありますとか、生物多様性保全推進事業による支援も検討しておりますので、仮に認定されたということであれば、そのような支援策を講じてまいりたいというふうに考えてございます。
○空本委員 前向きなお答えをありがとうございます。
そこで、重ねてなんですが、先ほど篠原議員もおっしゃったとおり、環境支払いの考え方で財政措置をしてあげないと、やはりこれは駄目なんだろうなと。今後、そういう財政環境支払い制度、中山間地域においては農業者に対しての中山間の直接支払い制度がございますけれども、こういった海、若しくは農業者じゃない方々がやるような環境再生において、やはり直接支払い制度的なもので海を守ってもらう、こういったものも大変大事じゃないかなと思っております。
また、実は、先ほど最初に申し上げましたけれども、今、瀬戸内海、また瀬戸内海だけではなくて伊勢湾とかも含めてなんですが、養殖関係の出来が悪い。養殖ノリ、養殖のカキ、さらには、今回は東北地方においてアワビとかホタテの稚貝が死んじゃったり、それは海水温が高温になったためということも聞いておりますけれども、今現在、瀬戸内海や伊勢湾、また有明海、こういったところでは、ノリの色落ち、黒くならないとか、カキの身が太らないとか、実は、漁場と生物多様性は一体となった地域だと思っていますし、産業自身が生物多様性の保全につながるものであるように感じております。
環境省として、大臣として、生物多様性の観点からこういう地域、漁業も含めて守っていくということをどうお考えか、お願いいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国の沿岸域では、養殖業を始めとして、自然の恵みに基づくなりわいが多く営まれているわけでございます。これらの地域の重要な産業であると同時に、地場産品などを通じて、地域の特色を形作る役割も果たしていると認識しております。
私も、地元の漁協からいろいろな要望、要請を受けておりますけれども、近年、地球温暖化による海水温度の上昇、海流の変化、また、一部の海域では河川を通じた栄養塩の供給が減少している、そういういろいろな要因によって海の豊かさが損なわれている。そして、今まで捕れていたものが捕れなくなったり、また、養殖業に甚大な被害が生じているということで、私も日々それを痛感しております。
このため、沿岸域における藻場の保全や河川の流域の取組を通じて海の豊かさを取り戻して、なりわいとしての水産業等についても持続可能なものにしていく取組が、今御指摘があった瀬戸内海地域を始め全国各地で行われております、東北でも行われております。
自然生態系と調和しつつ、人が手を加えることによって生物多様性の保全と高い生物生産性が図られている地域は里海と呼ばれておりまして、環境省では、地域における里海づくりを推進するため、令和四年度から令和の里海づくりモデル事業を実施してございます。
また、漁場において民間事業者等が生物多様性を維持、回復、創出する活動を行っている場合は、本法案による認定の対象になり得ます。
今後も、関係省庁と協力しつつ、本法案も活用しながら、生物多様性の増進と持続可能な水産業の振興の両立に取り組んでまいりたいと思います。
○空本委員 ありがとうございます。
大臣から前向きなお答えをいただきました。やはり水産業者の方も何かある程度支援ができるような形、これが大切かなと思っています。
水産庁の方にお聞きしたいんですが、栄養塩不足、予算委員会の一般質疑でも私はさせていただいたんですが、いろいろやっていらっしゃると聞くんですが、なかなか前進しない。施肥とか、栄養塩不足、特に瀬戸内海とか伊勢湾、こういったところをどのようにお考えか、水産庁からお願いします。
○坂政府参考人 お答え申し上げます。
瀬戸内海におきましては、窒素、リンといった栄養塩類の不足や水温上昇等の環境の変化によりましてノリの色落ちが起きていることなどが指摘されております。
水産庁におきましては、栄養塩類の適切な管理や供給のため、効果的な栄養塩類の供給手法の開発や、栄養塩類と水産資源の関係の解明などに取り組み、その成果を関係機関や漁業関係者に提供しているところでございます。
また、あわせまして、現在、水産多面的機能発揮対策事業によりまして、海底耕うんや藻場の保全などの取組に加えまして、第三者機関の意見を踏まえて都道府県知事がその効果を認めた場合には、海域への施肥についても支援を行っているところでございます。
○空本委員 是非とも、もっともっと海域の栄養塩が不足しないように対策を講じていただきますように、また、県、市町村に対しての支援もよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、資料二を見ていただきたいんですが、防衛省が今回実は購入を考えていらっしゃる製鉄所跡地の土壌の問題、やはりそういう土壌は様々な金属が埋まっていたりしますので、劣化したその環境を回復しながら、それをまた生物多様性の観点から保全していく、そういう取組ができないのかなということで、資料二、これは日本製鉄の呉地区の製鉄所跡地でございます。
莫大な土地なんですけれども、これを、私自身も以前から、防衛ファクトリー構想とかエネルギーパーク構想とか、いろいろなことを提案しながら、防衛省さんにも来ていただき、また経済産業省さんにも来ていただいて、一緒に、膝詰めではないですが、相談をさせていただいていたというものでございまして、今回、防衛省の方が一括購入を考えるということをおっしゃって、昨日は、広島県、呉市、さらには日本製鉄、そして防衛省で四者の会議を始めたということをお聞きしております。
その中で、実は、私は今、中山間地域の東広島市に住んでいるんですが、元々この呉という町の出身でございます。呉の町、その下にある倉橋島という島がございまして、その島で生まれ育ち、そして高校時代は、その島から、音戸大橋という橋がありまして、それを渡って、一時間かけて、潜水艦とか自衛隊の護衛艦とか、またIHIさんがあって、そこには戦艦大和を造った大きなドックがございます、それを見ながら、横目にしながら、毎日毎日通学していたところでございます。そこに行く手前に本当に大きな製鉄所がある、昔は日新製鋼という名前でございましたが、これは日本製鉄さんが今まとめられたということになっていますが、本当に早く国の施策によってこの地域に産業をつくっていただきたいというふうに考えています。
まず、ここに埋まっているもの、若しくはここに土壌汚染をしているもの、経済産業省としてどのようなものがあるか、御認識、御把握、いかがでしょうか。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
企業活動等に伴う土壌汚染の問題につきましては、土壌汚染対策法などの関係法令に基づきまして、事業者において適切に対応しているものというふうに承知をしております。
このため、具体的にどのような汚染物質があるのか、また、過去の汚染除去の実例はどのようなものがあるのか、経済産業省としては必ずしも承知をしてございません。
○空本委員 実際のところ、環境省さんとしてはどう御認識がありますでしょうか。
○土居政府参考人 お答えいたします。
製鉄所の跡地で検出されやすい汚染物質につきまして、環境省として網羅的に把握しているわけではございませんけれども、例えば、北九州市の製鉄所跡地の一部におきましては、過去の調査におきまして、鉛、ヒ素、フッ素、セレン、シアン化合物、ベンゼンが基準値を超過したという事例がございます。
○空本委員 実は、地域の方々は、ここは昔は日本海軍の海軍工廠だった、工場地帯だったということもあって何が埋まっているか分からない、若しくは、土壌も、約六十年ぐらい製鉄をしてきて汚い土壌である、だから心配だということもございまして、一般の方々は買いづらいという土地で、やはり何らかの土地利用、土地活用を考えていかなきゃいけないかと思っているんです。
私自身も化学はそんなに得意ではありませんが、ISO14001の審査員も以前やったり、またコンサルもやらせていただいたりしていまして、全体的に化学物質については網羅して見ておりますが、事業者の方からしっかり、今回どういうものが、製鉄所を今きれいにしているのであるならば、そこで出てくるものは本当に基準値以下なのか、そういったものについては、環境省さんの方も、また製鉄所を所管する経産省の方としてもしっかりと確認をいただきたいと思っております。
そして、これを更地化する。防衛省さんの方は一括購入ということが今報道で報じられましたところでございます。NHKさんの報道でも、一括購入というふうに報じておられました。
そこで、実は、北九州八幡地区とかの製鉄所跡地がどのぐらいの時間がかかったかなというと、やはり更地化するには約十年かかっています。十年かかっていて、呉市の地域を考えるときに、本当に地域が活性化するかな、今、人の流出がすごいんですね、ここは。
広島県は、皆さん御存じか知りませんが、実は、全国で人口流出ワーストワンです。こういう製鉄所跡地の問題とかがあって、一気にこの数年で人口が流出しているということがありまして、自動車産業もありますし、重工業、造船もあります、そういった産業地域なんですが、人口の流出が激しくて、意外な地域となってきています、県となってきています。
そういった意味で、私たちは、広島に住む人間としてはやはりここの活性化をしていただきたいということなんですが、経産省として、どのくらいの期間がかかるか、まず、把握されていますかね。どうですかね。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
今後の解体撤去につきましては、広島県や呉市、日本製鉄等が参加する合同対策本部において、日本製鉄の方から説明がされている資料がございます。
この資料によりますと、呉地区の全休止から解体の終了までの期間について、現時点の想定では十年規模の時間を要する見込みと示されているというふうに承知をしております。
○空本委員 的確な御回答を本当にありがとうございます。
それでは、まず資料の三番を見ていただきたいんですが、資料の三番は地図があります。グーグルマップを基に作らせていただいています。
どういう地域かなというのを見ていただいて、これからも製鉄所は閉鎖になるところも出てくるかもしれません。そういった意味で、ここの地域だけではなくて、全国の工業地域がこれからどういうふうにきれいにできるかということでございます。
見ていただいて、呉市役所が上の方にありまして、その下に潜水艦とか護衛艦の写真をちょっと入れておりますが、その下に巨大な工業地帯があって、それが製鉄所であります。製鉄所の下に行きますと、これは音戸大橋というきれいな橋、第一音戸大橋、また第二音戸大橋というのがありまして、すごく風光明媚で、音戸の瀬戸公園というのがございます。そういった地域なんですけれども、この地域の製鉄所、左上のちょっとした写真でございますが、それを拡大したものが、実は次の資料四でございます。
これは、防衛省さんとか経済産業省さんの方に私自身が提示したものをもう少し作り直したものなんですが。今回、防衛省さんが一括購入する、すごくいいなと思ったんですが、そのときに、防衛の複合拠点、少し市民の皆さんは軍事に行くんじゃないかという心配があって、そうじゃないよ、やはり産業もどんどん入れていくんだということで、私は、逆にすごくいいのではないかなと思っています。
そういった中で、防衛、海上自衛隊の強化とか、また、例えば病院船基地、病院船基地じゃなくても医療基地、こういったものを充実させる、災害等においてはここから出航できるような形にするとか、また、私が最近防衛省さんとか経済産業省さんに言っているのはインテリジェンス機能、やはり防衛に関してはもっともっとインテリジェンス機能を力強くしていかなければならない。
プラス、ここにはIHIもあって、元々バブコック日立さんだったんですが、三菱重工と合併して、三菱重工になっています。そういった産業地域がございます。そういうまさにエンジンを造ったりボイラーを造ったり、いろいろなことをやってきた企業も残っている。ならば、その企業に防衛産業の、今回、防衛三文書、新しいものが発表されましたけれども、それを踏まえながら、軍事拡大ではなくて防衛力の強化となるための産業を育成する、それは市民の皆様にとってもすごくありがたいことではないか。
そして、そこで人口を増やすといいますか、維持する、増やすこと、これが本当に大事であって、そのときには、土壌の洗浄といいますか、土壌を浄化すること、これがまず第一というふうに考えているんですけれども、十年かかるというのはやはりちょっと遅いんですよね。
昨日は、県と市と防衛省とそして事業者の日本製鉄さんが四者会議をキックオフされた。今日、何らかの発表があるというふうにお聞きしておりますけれども、実際に十年かかるのかというのと、十年かかるんだったらば、一括購入は十年後になるんですか。それだったら、この地域はこの十年間で崩壊すると思っているんですね。ならば、段階的に購入していってもいいんじゃないかなと思ったりしているんですが、防衛省はいかがお考えでしょうか。
○山野政府参考人 お答え申し上げます。
防衛力の抜本的強化のためには、装備品の維持整備、製造、訓練、補給等を一体的に機能させ、部隊運用の持続性を高める必要がございます。このため、多機能な複合防衛拠点を呉地区に整備することでその実現を図っていきたいと考えているところでございます。
こうした観点から、防衛省では、現在、日本製鉄との間で、同社の瀬戸内製鉄所呉地区跡地の早期の一括購入に向けた交渉を進めているところでございますけれども、引渡しの進め方を含む売買の条件についても今後協議を進めていきたいと考えているところでございます。
○空本委員 ありがとうございます。すごく前向きな答えだと思うんですよね。
きれいになったところ、土壌汚染がないよと確認されたところは環境再生をどんどんしていって、そしてその地域を活用する、すごく大事かな、それが地域の活性化にもつながると思っています。
プラス、お願いしたいのは、資料の四の全体写真でございます、ここに、右側の下に、ウォーターフロントパークと私は書かせていただいているんですけれども、宿泊施設。実は、警固屋地区という地域を守るために山をちょっと造ったんですね、事業者の方が。そして、その地域にちょっとした、元々は埋立てをされたところなんですが、この地域をウォーターフロントパークに変えたらどうかなと。
釣りもできたり、また海鳥、カモメが来たり、音戸大橋が近いのですごく風光明媚です、そういったところで宿泊施設を自治体若しくは自治体の関係のところでつくったりして、産業もあるけれども、生物多様性の観点からこの地域を再生するというのはいかがでしょうか。環境省、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 委員御提案のウォーターフロントパークの整備を含めて、呉市における製鉄所の跡地の活用方法については、現在、まだ関係者において検討がなされていると承知しておりますので、環境省として、その是非について今の段階ではお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○空本委員 ありがとうございます。
成熟しましたら、この内容が固まったらどんどんお願いしたいと思いますし、また、環境省としてもバックアップをいただきたいと思うんです。
あと、防衛省さんがちょうどいらっしゃるので、資料の三、もう一回地図を見ていただきたいんです。
やはりここで一番気になるのはアクセスなんですね。ちょっと書かなかったんですが、実は、右上に、高規格化道路の阿賀インターチェンジ、広本町、新広とありますけれども、そこに阿賀インターチェンジというのがあります。上側は、山陽道につながる東広島呉道路、高規格化道路でございます。それを下りると、今度は、左側に下りて、海を渡る橋が架かっています。そして、今は工業地帯になっていないんですが、産業地域、誘致しようとする地域がございまして、そこから、警固屋と書いている、音戸大橋側のところに真っすぐ線を引いてつなげちゃえば、高規格道路をもう少し延伸させれば、この製鉄所跡地に本当にすぐに入れるんですね。渋滞がないんですね。そういったことも考えていただきながら、この地域の環境を守りながらも、地域のアクセスも考えながら、そして渋滞緩和をする、これも一つの環境再生、環境維持だと思います。
これは、多分、五キロぐらいしかないんですよね。五キロぐらいですから、高規格化道路を延伸するというのはそんなに、大したことがないことはないんですが、やりやすいと思いますので、そういったことを踏まえて、住宅地も時々ありますので、それを音戸大橋のバイパスにつないでしまう、そしてそのバイパスからすぐに製鉄所跡地にどんと入っていく、すごく便利になります。そういったことも考えながら進めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
続きまして、次に農水関係の話、中山間地域の話。先ほど、これも篠原議員からありましたが、田んぼも自然環境であって、生物多様性の観点から保全すべきであろう、再生すべきであろうと。
私が今住んでいる東広島市には、その北部にはオオサンショウウオが生息しています。それは、田んぼもあって、川が流れていて、そしてそこにオオサンショウウオがいます。けれども、高齢化が激しくて、田んぼの維持ができなくなっている、休耕田がどんどん増えています、そして耕作放棄地ばかりになってきています。本当にオオサンショウウオ、これは維持できるのかなというか、守っていけるのかなというところがすごく心配であります。
実は、もう一個見ていただきたいのが資料五でございます。ちょっと見づらいんですが、資料五の右側、二枚、上下にございます。これは草刈りを私がしているところなんですけれども、いつも草刈りをやっています。というのは、政党の広報板を置くときに地域の方々に田んぼを、耕作放棄地、許可をいただくんですよ、そのときに草刈りを一生懸命しますので。まず、くいを打たせていただきまして、そこに広報掲示板を置かせていただいて、ポスターを掲示させていただく。
左側は、もっともっと荒れた土地なんですよ。それは、電動といいますか灯油とか、これは電動なんですが、本当の草刈り機を持って草刈りをさせていただいて、そこに掲示板を設置させていただくというのをずっとやっています。ありがたいことに、耕作放棄地は増えているんですよ、だからやりやすいんですよ。でも、その反対で、中山間地域がどんどんどんどん駄目になっている。
そういった意味で、草刈りは大変なんですね、中山間地域の場合は直接支払い制度で補填していただいて、作業をしたら、幾分かのお駄賃といいますか、お金をもらえて、みんなが賛同している。ここについては、やはり実際にこういう作業、さっき言った環境支払い制度じゃないですが、こういったものについても、今度は農家の方々がいらっしゃらない、高齢化で。地域には住んでいるけれども、農家はやっていない、そうすると、そこには組み込めないんですね。ならば、環境支払い制度としてやっていく。
これは、今回の法案は作ったけれども、また来年、再来年の審議になろうかと思いますけれども、ここに直接支払い制度を財務省にしっかり要求していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
里地里山の管理につきまして、生物多様性の保全の観点からも、地域全体で支える仕組みづくりが重要だというふうに考えております。
御指摘の中山間地域、里地里山の保全、活用に関して先進的、効果的な活動につきましては、生物多様性保全推進交付金により、必要な経費の一部を実施主体に対して交付している事例もございます。
ただ、環境課題と社会経済的課題を統合的に解決しようとする活動を対象とするものでありますので、草刈りだけというのはなかなか難しいかなと思っておりまして、自然体験でありますとか雇用創出等を組み合わせた先進的、効果的な活動への支援を想定しているというところでございます。
それから、中山間地域の直接支払いについては、農林水産省が実施されているわけでございますが、環境省といたしましても、こういった活動と連携をしながら、統合的に解決しようとする活動に対して支援を行っていきたいというふうに考えてございます。(発言する者あり)
○務台委員長 御静粛に。
○空本委員 篠原議員からもバックアップ体制をいただいたと思いますが、エネルギー政策では、私は、原子力とか火力とかは、CO2削減のものはあれなんですが、篠原先生とはちょっとその辺はベクトルが百八十度違うんですけれども、この面では一緒なので、一緒に頑張っていきたいと思います。
農水省さん、やはり環境省さんと一緒に今回の法案も取り組んでいらっしゃいますので、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
農林水産省におきましても生物多様性戦略を策定しておりまして、この中で、農山漁村の豊かな生物多様性を守り、環境と調和した農林水産業の実現を促進するということを打ち出しているところでございます。
その中で、中山間地域につきましては、やはり農業をしっかりと継続していただく、そのことによって農地を保全していただくということが非常に重要でございまして、委員から先ほど御紹介いただきました中山間地域等直接支払制度におきまして、農業生産に取り組む農業者に対して、中山間地域の農業の生産性の条件不利を補正するという制度を実施して、支援をしているところでございます。
この制度は、五年間を一つの対策期間とする制度でございまして、現在、令和七年度から次期の対策に切り替わる予定となっております。
この際、農業者の高齢化も進んで、地域における共同活動が非常に難しくなってきているというところを我々も懸念をしておりまして、農業者だけではなくて、地域の住民の皆さんなど非農業者の方々など、多様な方々にこの共同活動に参加をしていただく、そういったことを後押ししていただくような方向の検討をしてまいりたいと考えているところでございます。
農林水産省としても、環境省など関係省庁と連携しつつ、しっかり生物多様性の保全に努めてまいります。
○空本委員 よろしくお願いします。
そして、本当は、戸別所得補償制度とかをやって、若い方が田んぼをやっていただける、これが一番いいんだと思うんですけれども、高齢者がどんどん増えているので、環境支払い制度という考え方で。実は、会計検査院が入ったときに文句を言われないようにしてほしいんですね。そこはしっかりすみ分けをしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
そして、次の問題は、これまで環境委員会で取り上げさせていただきましたPFASの問題でございます。
これは、実は、伊藤大臣にまずお礼を申し上げたいと思うんですが、いろいろ報道を聞いておりますと、今回、屋良議員等、ほかの議員の先生方も取り上げていただきまして、そして維新も頑張って取り上げてきた、その中で、環境省は、健康影響評価について北大などに委託する、また高濃度検出に対する除去指針をこの夏までに取りまとめる、そして、昨日の報道では、農水省さんが国内の流通食品に含まれるPFASを実態調査する、そういったことが報道されております。そして、岡山県の吉備町においてPFASが検出されたんですが、そこにおいても、健康影響対策委員会が設置されて、環境省さんとの連携の下、報告書がまとめられて、自治体関係者の方も、すごくこれが参考になると。
今、すごく環境行政が前に進んでいるんじゃないかと私は感じています。それは伊藤大臣のおかげだと私は感じていまして、もっともっとこの問題については大臣が率先してやっていただきたいと思っております、後ほど御意見をいただきたいんですけれども。
まず、その前に、実は、私がこの間取り上げた米軍の川上弾薬庫は東広島市にございます、これも中山間地域でございます。先ほどのサンショウウオがいるところから直線で約二十キロ南に下がったところなんですけれども、まさにここも中山間地域。里山である、田んぼがある中山間地域の土壌回復、こういったものはやはりしっかり行っていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。
まずは、土壌については対策法がございますけれども、環境省として、汚染された里山に対する浄化、回復事業、こういったものもこういう法律で対象にしてもいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
本法案は、民間等による自主的な生物多様性増進の活動を促進することを目的として認定するものでございます。
御指摘の事例は、生物多様性の回復という観点からだと思いますが、やはり生物多様性を向上するという取組が必要でございます。化学物質による汚染の対策のみでは、なかなか生物多様性の増進に寄与すると判断するのは難しいのかなと。したがいまして、何らかやはり生物多様性の増進に資する、プラスの活動が必要ではないかというふうに考えてございます。
いずれにいたしましても、個別の事案でございますので、そういう計画が出ましたら、またいろいろ判断をしてまいりたいと思います。
○空本委員 環境省さんの答えは私は正しいと思っています、そこは。私自身も、そこに何かプラスオンされた上で、地域を活性化するようなことがあればもっといいのかなと思うんですが。
実際、これは防衛省さんの方にお聞きしたいんですが、私が地域の方々にも聞いていると、ここは、元々、一九四二年には、その頃には日本海軍の弾薬庫だった、そしてベトナム戦争以降に運用を再開して、さらには、二〇〇〇年頃から小銃弾などの加熱処理をやって、ドンドンと音が出て、炎も、山陽自動車道が近くにありますけれども、そこまで見えたということも聞いたりしています。それは地域の方から聞いた話でございます。
そういった地域、音もすごくあって、防音工事もやっていただいた、そういった中で、やはりそういう事実も含めて、米軍側の方にどう聞いているのか、どういうふうな回答をいただいているのか、もう一度お願いいたします。
○山野政府参考人 お答え申し上げます。
東広島市及び広島県からの御要請について米側に照会したところ、米側からは、川上弾薬庫を含め広島県に所在する在日米陸軍基地の施設では、これまで泡消火薬剤をいかなる消火活動及び訓練においても使用したことがない、基地内外においてPFOS等の漏出を確認したことがない、泡消火薬剤については二〇二〇年に約二千二百ガロン処分した、泡消火薬剤は一切保有していないとの説明があったところでございます。
関係自治体からは、川上弾薬庫内の泡消火薬剤の保有実績や期間についても改めて確認をするよう要請があったことから、引き続き米側に照会を行っているところでございますけれども、ただいまの委員からの御指摘も踏まえ、不用となった弾薬の処理方法等につきましても、今後、米側に照会をしたいと考えているところでございます。
防衛省といたしましては、地元住民の皆様がPFOS等の検出に対して不安を抱いておられることを重く受け止めておりまして、引き続き、関係自治体及び米側と緊密に連携するとともに、米側から情報が得られた場合には、速やかに関係自治体の皆様にお知らせをしたいと考えているところでございます。
○空本委員 丁寧な御説明をありがとうございます。
実際、こういうことはなかなか米軍側も言いづらいのかもしれませんが、事実だけはしっかりと確かめていただきたいと思いますし、もしそういう消火剤を使ったことがあったとして、これからどういうふうに環境を、土壌を回復するか、それを一緒に考えていけばいいので、プラス思考で全てを前向きに考えていって、そして、地域の皆様に健康影響がなければいいんですよね、そして農作物等がちゃんと植えられたらいい、沢水がきれいだったら植えてもいいじゃないか、それは後から聞くんですが。
土壌回復に関する法律、こういうものはあるのかどうかというのと、土壌汚染対策法に有機フッ素化合物を今後取り込んでいくべきじゃないかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。環境省でも結構です。
○土居政府参考人 お答えいたします。
土壌中のPFASの挙動に関しましては、科学的知見がいまだ十分得られていないということから、PFASに対します総合戦略検討専門家会議におきまして、自治体と連携をして地域の実情に応じて知見の収集を進めていくことが望ましいという御指摘をいただいております。
また、土壌中のPFASにつきましては、統一的な測定方法が確立されていなかったということがございましたので、昨年七月に、土壌中のPFASに関します暫定測定法を環境省の方で作りまして、関係自治体に周知したところでございます。
これらを踏まえまして、自治体と連携を密にしまして、土壌中のPFASの挙動等に関します科学的知見の集積を進めまして、対策を取っていきたいというふうに考えております。
○空本委員 しっかりお願いします。
そして、先ほど申し上げましたけれども、田んぼの地域でもありますので、田植をしていいかどうか、ここだけはすごくみんな気になるところなんですね。
なかなか確かなことは言えないと思うんですが、実際、農用地土壌汚染法があったり、その適用にはなっていないと思いますけれども、PFASに関してどのように考えていったらいいか。これはまだまだこれからの検討課題ではあることは間違いありませんが、当面は、沢水を使っていれば、そこを、飲用の基準値以下ならばそれは大丈夫じゃないか、だから田んぼをやっていいよとか、そういった暫定的な考え方というのもあっていいんじゃないかなと思うんですが、農水省、いかがでしょうか。
○大島政府参考人 お答えいたします。
PFASの人への健康影響評価につきましては、食品安全委員会が食品健康影響評価の案をパブリックコメントに付し、その成果を取りまとめておられるというところと承知をしております。
一方で、農産物中のPFASの含有実態や農業用水や土壌からどの程度移行するかなどの知見はまだ不足しているというところでございます。
御提案がありましたような田植の抑制指導も含めまして、農産物において管理措置がそもそも必要なのか、また、必要だとして、どのような管理措置が適切かを考える上では、現時点では、まだその根拠となる知見の集積が必ずしも十分ではないということでございます。
このため、農水省といたしましては、食品安全委員会が取りまとめる評価の内容も踏まえまして、農業用水や農地土壌から農産物にどの程度移行するかなどの研究を更に進め、その結果を基に、必要に応じて関係府省と連携をして対応していきたいと存じます。
ただ、高濃度の数値が検出されている自治体におきまして、様々な御不安があろうということはごもっともかと思います。限られた知見ではございますけれども、もし自治体からいろいろと御相談いただけましたら、私どもの可能な範囲で技術的な助言もしてまいりたいと思いますし、独自に測りたい、そのような御要望がある場合は、私どもの消費・安全対策交付金等による支援の検討についても考えてまいりたいというふうに思っております。
○空本委員 ありがとうございます。
農水省さんも今いろいろ対策を取られていらっしゃるということをどんどんどんどん報道でも聞いておりますので、是非とも自治体と連携をしながら、よろしくお願いいたします。
また、こういうことを踏まえて環境行政がどんどん進んでいる、それは大臣と審議の中で、質疑をさせていただいた中でどんどん前に進んできたのだなと思うんですけれども、まだまだ攻めの行政にしていかなきゃいけないということも併せて、また、こういう土壌対策汚染防止法についても、一歩前に行った法律にしなきゃいけないんじゃないかということを踏まえて、大臣、環境行政について御見解をお願いいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
このPFASはたくさん種類があるんですけれども、そのうち、特に今問題になっておりますPFOS、PFOAについては、河川水や地下水において暫定目標値を超える濃度で検出された地域の皆様から大変大きな不安の声が上がっております。これを環境省としても真摯に受け止める必要があるというふうに考えております。
こうした地域では、健康への影響を防止するため、その飲用による暴露の防止を徹底することが何よりも重要だと思います。これまでも自治体に寄り添いながら、連携して、技術的助言等を提供してきました。
度々、科学的知見が十分じゃないという言葉が出ておりますけれども、科学的知見をなるたけ環境省としても主体的に獲得して、また、いろいろなところで科学的知見を蓄積している部分もありますので、そこも連携して、確かな科学的知見に基づく対策を進めるためにも、集積を更に進めて、危機感を持って、国民の皆様の安全、安心の更なる獲得のために取組をスピード感を持って進めてまいりたい、そのような覚悟でございます。
○空本委員 是非攻めの環境行政をお願いいたします。
また、聞きたいことが、法案の中身で、九条、十条、十一、十二条、あと税制優遇をお聞きしたいんです。これは最後に回しておきたいと思います。
その前に、あと残り三十分を切っておりますので、太陽光発電と風力発電、それと生物多様性保全の関係、こういったものをちょっと議論していきたいと思っております。
最後の資料でございます。写真がございます、資料六。これは、中山間地域において、のり面を削ってというか、山林を削って、そして、そこに張りつくようにソーラーパネルが設置されたものでございます。これは、東広島市、私の地域でございます。その地域で、実は、この間、東広島市のウォーキングの会があって、高齢者の方が多いんですが、一緒に歩いていて、ここにこんなにあったかなと。奥の奥で私もちょっと気づかなかったんですが、最近、あったかなと思って見たら、造られていまして、何だ、これはと異様な感じを受けたんですね。
実は、この間、三月十五日の環境委員会で杉本和巳同僚議員が、風力発電とか太陽光発電、そういったものに対して、環境影響があるんじゃないか、マイナス面があるんじゃないかなという質疑をされたんですが、これを見て、これは環境破壊じゃないのかな、まさに環境破壊だよねと思っています。
こういう無造作な設置、無造作ではない、これは国の基準また自治体の基準をクリアしながら設置したことは間違いないんですが、見る限りにおいては環境破壊じゃないかな、環境省としてこれは何を規制しているのかな、大臣、どうお考えでしょうか。
○伊藤国務大臣 太陽光発電だけではなくて、再生エネルギー、また化石燃料、原子力がありますけれども、どのようなエネルギーを創出する過程においても、必ず何らかの環境負荷があります。我々は、その環境負荷をなるたけゼロに近づけて、必要なエネルギーを安定供給するというその知恵が求められていると思います。
今御指摘のように、太陽光発電は、やはり再生エネルギーを三倍にするということも一つの方向性にCOP28で決まっておりますので、急速に日本でも導入が拡大しておりまして、その結果、委員御指摘のように、景観や環境への影響等に対する地域の懸念、国民の皆様の懸念は高まっているというふうに私は思います。
こうした懸念に応えるために、今、関係四省による有識者検討会を開催いたしまして、地域と共生した再エネの導入に向けた課題の解消について提言を取りまとめ、これに沿った対応を進めているところでございます。
環境省としては、環境影響評価制度などにより、適正な環境配慮が確保されるように取り組んでおります。環境保全の観点から著しく合理性を欠く場合などは、環境影響評価の環境大臣意見において、事業計画の抜本的な見直し、事業計画実施の再検討を求めたこともあります。それによって変更されたりしたケースもあります。
環境保全や地域とのコミュニケーションが適切に図られた地域共生型再エネの導入を促進していくために、引き続き、関係省庁とも連携しつつ、政府一丸となって取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○空本委員 それでは、環境省だけではなくて、国交省さん、経産省さん、農水省さんの方に順次お聞きしていきたいと思うんですが、やはりこのちょうど写真のところというのは、西日本豪雨災害のときに、流れなかったんですが、隣の町は流れたんですね。すごく被害の大きかったところでございます。そういった地域は、真砂土、まさに土砂災害が起きやすい土壌であります。
そういったところで山林造成を行うというのは、やはりある程度規制を強化すべきではないかなと思っているんですが、国土交通省さん、切土、盛土を含め、熱海の土砂災害もございましたけれども、西日本の豪雨災害等も踏まえてどのように規制しているのか、今後、規制を強化されるのかどうかを併せて、まず、国土交通省としての御見解をお願いします。
○草野政府参考人 お答え申し上げます。
土砂災害防止法は、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するために、土砂災害が発生するおそれのある土地の区域を明らかにし、警戒避難体制を整備することなどを目的としております。このため、避難に時間を要するなど、防災上の配慮を要する者が利用する施設などの開発行為に対して一定の制限を行っております。
委員がお尋ねのソーラーパネルの設置に対して土砂災害防止法による規制はありませんが、例えば、ソーラーパネルの設置の際に一定規模以上の盛土等を新たに行う場合には、盛土規制法に基づく規制区域において規制を受けることとなり、この区域については、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等を含めて指定するよう、技術的助言として通知されていると承知しております。
○空本委員 一定の面積、一定の斜度、こういったものだったらば指定するのかもしれませんが、意外に小規模のものも結構多くて、逆に、そこが流れる危険性が高いのかなと思っています。
これは、これからまた経済産業省さんにお聞きしたいんですけれども、経済産業省としてどのような規制をされているのか。私も技術基準とかその解釈とかを読ませていただいて、実際に地盤のところを含めてどういうふうに規制されているのか、まず、経産省にお願いいたします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の熱海の土砂災害であるとか西日本豪雨災害等の事案、こうしたものも踏まえまして、令和三年には、電気事業法に基づく技術基準といたしまして、太陽光発電に特化した発電用太陽電池設備に関する技術基準というものを新たに定めまして、小規模なものも含めた太陽光発電設備に求める安全性能を明確化しております。その中で、第五条におきましては、支持物を設置する場合には、設置による土砂流出や地盤の崩壊を防止することを求めております。
また、令和三年でございますけれども、事業者による適切な環境影響評価の実施を確保するという観点から、いわゆるアセス逃れの抑制にも資するという観点から、環境影響評価法上どこまでを対象とするのか、同一と扱うべき発電所の考え方を環境省と連名で示したところでございます。
さらに、令和四年四月から、先ほど環境大臣から御答弁がございました検討会に経産省としても参加させていただいておりまして、これを踏まえて、事業規律の強化という観点から、森林法などの許可の取得を再エネ特措法上の申請要件とする省令改正を昨年十月に施行いたしております。
また、関係法令違反の疑いのある事業者に対して、FIT、FIP交付金の一時停止措置を盛り込んだ再エネ特措法改正を前通常国会で行っていただいておりまして、来週、四月一日から施行する予定となっております。
○空本委員 今までのところは理解いたしますが、まだまだ実質的にどうなのかというところがあります。
次は農水省さんの方にお聞きしたいんですけれども、同じように、山林造成をされてやるとき、森林法にかかるわけですね。森林法の場合、林野庁さんの方がそれを管轄していらっしゃると思うんですが、小規模の地域だったら、やはりその辺は結構規制から外れてしまうんじゃないかなと思うんですが、それも含めて、今、林野庁としての規制はどうなっているか、まずお聞かせください。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
農林水産省では、水源の涵養や災害の防止など、公益的機能発揮のために特に重要な森林につきましては、保安林に指定して、原則、太陽光発電設備の設置ができないなど、開発行為を厳しく制限しております。
また、保安林以外の民有林についても、一定規模を超える開発については、林地開発許可制度によりまして、都道府県知事が災害の防止や水の確保、環境の保全などの要件について審査し、許可することとしております。
具体的には、開発行為によって水の確保に著しい支障を及ぼさないように貯水池や導水路を設置することですとか、周辺地域の環境を著しく悪化させないように一定割合以上の森林を残すとともに、森林を適正に維持管理することなどを許可基準としております。
御指摘の、中でも太陽光発電設備につきましては、令和元年の十二月に雨水の流出係数を見直しまして、ほぼ地下に浸透しないことを考慮した数値にしまして、太陽光発電設備の特殊性を踏まえた基準を整備しております。
また、令和五年の四月からは、太陽光発電設備に係る林地開発許可の規模の要件を一ヘクタール超から〇・五ヘクタール超へ引き下げるとともに、より強い雨に対応できるように基準を強化する等の見直しを行いました。
なお、太陽光発電設備に限らず、林地開発許可によりましてほかの用途の土地になった場合は、原則、森林法から外れるわけですけれども、太陽光発電の発電事業者が事業完了後の土地を森林に戻す意向がある場合には、土地所有者との契約の中に森林への回復を盛り込むように指導しているということでございます。
こうした見直した林地開発許可制度を厳格に運用することによりまして、森林における開発行為が適正に実施されるよう取り組んでまいります。
○空本委員 ありがとうございます。
全体像は見えてきたんですけれども、実際、私は、林野庁さんからいただいた太陽光発電に係る林地開発許可基準の在り方に関する検討会の報告書、これを斜め読みですが、ざっと見させていただき、また、資料としては、斜度とか土壌とか、そういったことも含めて考えているということをお聞きしたんですが、ちょうど災害が発生する事案のグラフがあって、傾斜が三十度以上は確かにたくさん出ている、二十度から二十九度のところは少し少ない、そして十から十九度のところは若干しか出ていないんですけれども、斜面の傾斜とかを考えて、もう少し基準を厳しくする必要があるんじゃないかなと。
せいぜいでも二十度を超えてはいけないとか、やはりそこら辺まで踏み込んだ形での、専門家の皆さんが集まって、審議会的なもので、検討会でやられていますけれども、実際の災害が起きたときに、本当に起きているわけですから、やはりそこを起きないというレベルまで下げるべきではないかなというふうに考えているんですけれども、林野庁さん、どうですかね。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の平均傾斜度のことでございますけれども、今回新たに整備した基準におきましては、太陽光発電設備を設置する自然斜面の平均傾斜度が三十度以上の場合は、土砂の流出又は崩壊その他の災害防止の観点から、擁壁又は排水施設等の防災施設を確実に設置するというふうにしたほか、三十度未満の場合でも、災害の可能性が高い場合などには防災施設を設置することとしております。
また、傾斜が緩やかでも、太陽光発電設備の設置により植生が失われ、洗掘が起きるなどの影響があることから、平均傾斜度いかんにかかわらず、柵工による地表の表面流の分散ですとか、伏せ工による地表面の保護をすることにしております。
いずれにしましても、この基準は見直したばかりでございますので、基準の遵守状況をしっかり確認して、今後検討してまいりたいと考えております。
○空本委員 ありがとうございます。
ちょっと踏み込んだ質問だったんですが、その中で、やはりこれからのものはしっかり造っていただける、若しくは基準を厳しくするというんですが、これまでに建てたもの、今、実際に、配付資料の六のように、もう設置されたものはどうなるのかなと。
ここを本当に気をつけなきゃいけなくて、逆に、ここを、この法案は、再生という意味、環境再生なんですよね、復活なんですよね、回復なんですよね、これをやらせなきゃいけない。こういう法律が、もう少し、締めつけと言ってはいけないですが、規制強化、今まであったものに対しても、ある程度、災害が起きやすい、起きる可能性があるというものに対しては環境省の方がしっかり意見を言うべきではないかなと思うんですが、大臣、いかがですかね。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
今いろいろ御議論いただいているように、この太陽光を始めとする再エネ導入に伴って、防災面、安全面、そしてまた景観や環境への影響、これに対する懸念は大変高まっております。
先ほども一回答弁しましたけれども、令和四年四月に、関係四省による有識者検討会を設置して、課題の解決に向けた検討を進めてきたところでございます。
これを踏まえて、経済産業省において、再エネ特措法、いわゆるFIT法の申請時に土地開発関係の許認可取得を求めるとともに、環境省としても、環境配慮や安全性確保等の観点から関係法令の指定区域等の地理情報を幅広に収集し、環境アセスメントデータベースとして一元的に掲載、公開するなどしております。
今委員御指摘の既に設置したもののことについても、引き続き、関係省庁と連携しながら、地域と共生する再エネの導入を促進してまいりたい、そのように思います。
○空本委員 ありがとうございます。
丁寧な御回答だと思うんですけれども、やはり再エネを進めるべきところは進めていただく、例えば住宅に設置するとか、私自身は再エネはある程度限界だなと思っているんですけれども、進めるべきところは進めて、そしてグリーン水素を作ったり、そういったもので環境影響を低減するというのは賛成なんですが、やはり災害だけは起こさないようにしていただきたい。それは、国交省さん、経産省さん、農水省さん、そして環境省、各省庁が横串でしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続いて、風力発電。これも様々な騒音とかシャドーフリッカーとか景観破壊とかがあって、また、ドイツなんかでは訴訟もあったりしておりますが、やはりもっともっとこれも環境省としての規制強化、こういったものが必要じゃないかなと思うんですが、まず、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 再生エネルギーである風力発電事業、この環境影響については、森林開発に伴う生態系への影響、バードストライクによる鳥類への影響、景観や騒音等の影響等が懸念されてございます。また、実際の環境影響として、種の保存法に基づく国内希少種であるオジロワシ等のバードストライクが発生したことも確認されております。
このため、環境省としては、事業者が環境への適正な配慮がなされた事業を実施するように、環境影響評価法に基づき、事業者に対し、事業の環境影響について適切に調査、予測、評価を行うこと、また、それらの影響を回避、低減する措置を取ることを求めております。
実際に、北海道で計画されている事業について、環境大臣意見において、重要な鳥類や渡り鳥への影響の観点から、事業規模の大幅な縮小を含む計画の抜本的な見直しを求めた事例もございまして、その後、当該の、環境大臣の意見に沿った対応がなされていると思います。
また、今議員が御指摘のあったドイツにおける個別の訴訟等については私は詳細は知っておりませんけれども、風車から発生する騒音については、生活環境への影響を未然に防止するための指針を平成二十九年に環境省で取りまとめておりまして、事業者や自治体において御活用いただいているところでございます。
引き続き、環境配慮が確保された再生エネルギー導入が図られるよう、環境影響評価制度や指針の運用等にしっかり取り組んでまいりたい、そのように思います。
○空本委員 ありがとうございます。
それで、これから解体が始まってくるといいますか、大体二十年の寿命というふうに言われていまして、一時期はばっとあったので、大体今何千基あるんですかね、三千基、四千基あるのかな、どうでしょう、そこら辺も含めて本当は聞きたいんですけれども。
まず、ローター、プロペラの交換、あとリプレースも解体もどんどん必要じゃないかなと思ってくるんですが、この辺は、やはり実はお金がかかったりするんですね。聞いたところによりますと、例えば、二億円で六十メーターの高さで一千五百キロワットのものを造ったよ、それを解体するのもまた二億円かかると。ためておかなきゃいけないけれども、なかなかという事業者さんもいるかもしれません。そういった意味で、こういう解体をどう進めていくのか。
また、こういう老朽化した風力発電の大量廃棄の時代がやってくると思いますけれども、あわせて、リプレース、もし万が一事業者が倒産しちゃった場合、どうリスクを回避していくのかな、この辺ですね。また、基数もどのぐらいあるか、後から聞こうかなと思ったんですが、一緒に併せて。
今、古いものをどういうふうにリプレースするのか、若しくは撤去するのか、どのぐらいかかるのか、また、法律上どのように決められているのか、併せてお答えを、経済産業省、資源エネルギー庁、お願いいたします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
まず、風力発電の大量撤去の時期でございますけれども、これにつきましては、FITの支援期間が二十年でございます。撤去やリプレースは、こうした時期以降に行われると考えられております。
そういうふうに考えますと、今まで小規模な風力発電等、年間、大体二千基以上行われてきた経緯がございますので、二〇三〇年代後半がピークとなって、それ以降は、それまでに蓄積されてきたものが順次、場合によっては撤去やリプレースが行われるということになろうかと考えてございます。
それから、二点目、解体撤去の高額費用の件でございますけれども、この費用につきましては、これまで調達価格等算定委員会におきまして、IEAにおける考え方も踏まえて御議論を行っていただきまして、再エネ特措法に基づく調達価格等の算定においては、建設費の五%としてあらかじめ考慮させていただいております。このお金が事業者に蓄積することによって、解体撤去を円滑に行っていただくといったような運用となっております。
それから、事業者倒産等による放置リスクにつきましては、事業終了後、事業者自身の責任で発電設備の解体、廃棄を行うということが原則でございます。このため、FIT、FIP制度では、発電設備の廃棄計画が適切であることをFIT、FIPの認定基準として求めておりまして、ガイドラインでのしかるべき規定を設けております。
事業者が倒産した場合との御下問でございますけれども、一般的には、ほかの事業者に譲渡され、事業が継続される。その上で、譲渡もされず放置された設備の廃棄の在り方につきましては、これは委員も御指摘いただいておりましたけれども、我々としても、再エネ設備の廃棄・リサイクルのあり方検討会、環境省さんと一緒の検討会を立ち上げておりまして、現在検討を急いでいるところでございます。
それから、放置されている風力発電の基数でございますが、懸念のある再エネについては、自治体や住民の方々から経産省に情報提供を行っていただけるフォームを整備しております。現時点で、これが放置風車だということでの情報提供は受けておりません。
他方で、この四月から新たな予算措置も講じまして、受け身ではなくて、地方公共団体との更なる連携であるとか、効率的、効果的な現地調査といったようなものにも踏み込もうと考えてございますので、そうした取組も含めてしっかりと対応していきたいと考えてございます。
○空本委員 是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。
また、私自身、陸上風力を撤去した後、また自然を再生させなきゃいけない、まずこういう法案で何らか支援ができたらいいのかなと思ったりしておりますが、それは提案でございます。
そして、実際、陸上よりも洋上風力の方がこれから主流になるのかなと思っていまして、そのときに、漁業関係者とか漁業問題とか、その利害関係者、ステークホルダーとの関係、水産庁さんとして、今回新たに再エネ海域利用法の改正法が出てきますので、EEZまで洋上風力はできるよということなんですが、それについてどのようにお考えか、水産庁からお願いいたします。
○坂政府参考人 お答え申し上げます。
現在、領海内におきましては、主に地元の沿岸漁業を営む漁業者の方を対象として、再エネ海域利用法に基づきまして、漁業に支障を及ぼさないことが見込まれることが確保されるよう、主務省庁や関係地方公共団体が洋上風力発電施設の設置に係る調整を行っているものと認識しております。
また、EEZまでこれを拡大した場合におきましては、これらの漁業者の方に加えて、比較的広域かつ大規模な漁業である沖合漁業を営む漁業者の方との調整が重要となってまいります。今国会に提出されている改正法案に基づきまして、漁業に支障を及ぼすおそれがないことの確保が必要であると認識しております。
いずれにいたしましても、農林水産省といたしましては、主務省庁などによる漁業者との調整が円滑に進みますよう、調整を担う協議会に参加するなど、洋上風力発電と漁業との調和が図られるよう、引き続き政府の一員として役割を果たしていく考えでございます。
○空本委員 もう時間もありませんので、最後に、この再エネ海域利用法改正案についてEEZまで延びていく、そして洋上風力がこれからどんどん拡大される方向だと思いますが、そのときに、生物多様性の観点からどのような規制が要るのかな、ちゃんとやらなきゃいけないのかなというところもあって、どのように環境省としてこれから取り組むのか、どのようにお考えなのか、最後にまとめてお願いいたします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
洋上風力発電は、再エネ主力電源化に向けた切り札と考えられております。我が国では、二〇四〇年までに三千万から四千五百万キロワットの案件形成を目標としておりまして、カーボンニュートラル達成に向けた拡大のために、沿岸だけでなく、広大なEEZにおいても案件形成に取り組んでいくことが必要となっております。
沿岸における洋上風力発電の環境影響につきましては、バードストライクによる鳥類への影響、海生生物や藻場への影響等のほか、景観や騒音等の影響が懸念されております。EEZにおきましては、景観や騒音等の影響は一般的に小さくなるものの、鳥類への影響等は懸念をされております。
今後の洋上風力の案件形成に当たりまして、これらの環境影響を回避、軽減し、適切な環境配慮を行う観点から、再エネ海域利用改正法案におきましては、海域の指定の際に、環境大臣が調査等を行うこととしております。
環境省としては、環境保全を図りながら、洋上風力発電設備の導入が円滑に進むよう、しっかり取り組んでいくということでございます。
○空本委員 ありがとうございます。
環境省として、しっかりこれも見張っていただきたいと思います。
プラス、再エネの導入の場合、一点だけ言いますと、宮城県が条例で二割の売上げを税金で取る、そうすると、再エネをしなくなったんです。そういうこともあります。
プラス、今度、洋上風力については、海底ケーブルを切られちゃったり、若しくは、何か安全保障上の問題も出てくる可能性もあります。そういったことも踏まえて、全体的にEEZでの洋上風力を考えていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○務台委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○務台委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○務台委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○務台委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、堀内詔子君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。馬場雄基君。
○馬場(雄)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。
地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 生物多様性の増進のための活動の質の維持及び向上につながるよう、本法に基づく地方公共団体や民間の活動に対する財政上及び税制上の支援措置、支援証明書制度の構築など、必要な支援の充実に努めること。
二 地域の主体的な取組を推進するためには、市町村の役割が重要であることに鑑み、市町村において、本法に基づく取組について体制強化や人材育成が図られるよう必要な支援を行うこと。
三 サーティー・バイ・サーティー目標の達成に向けて、陸域・海域ともに、生物多様性の情報と評価を更新し、その重要地域を明らかにし、保護地域やOECMを優先して拡充し、生態系ネットワークの形成に努めること。
四 ネイチャーポジティブの実現に向けた社会変革には、農業・食料、国土形成、地方創生、エネルギー・経済、教育・研究分野等との連携が重要であることから、関係省庁による有機的な連携を強化して推進会議を設置すること。
五 企業や市町村等が相互に状況を確認することにより、活動全体の質が向上するよう、認定された活動計画や活動の進捗状況などの公表に努めること。
六 サーティー・バイ・サーティー目標の達成に向けて、我が国の海域における海洋保護区やOECMの設定が遅れており、一方で、水産資源が減少する漁業の持続可能性や洋上風力などのエネルギー開発の海洋空間利用との調整を図る必要があることから、環境省が主導して関係省庁で連携し、海域の保全の方針を策定すること。
七 生物多様性の回復に向けては、各地域の自然的・社会的条件に応じたきめ細かな取組が不可欠であることから、地方環境事務所などにおいて必要な体制を確保しつつ、生物多様性基本法に基づく生物多様性地域戦略の策定や改定の促進のため、地域の実情に応じて、情報提供等を始めとした積極的な支援を行うこと。
八 企業等による地域における生物多様性の増進のための活動が広く促進されるよう、計画策定に当たっての留意事項や認定基準の考え方を分かりやすく示すとともに、企業、団体、個人、地方公共団体の多様な主体に対して、認定制度の認知や理解の浸透・向上を図ること。
九 国際的な情報開示の枠組の進展を踏まえて、我が国の企業に対して、特にサプライチェーン全体を通じた環境負荷の低減に関する情報開示や目標設定への支援を行うこと。
十 生物多様性に対する国民の理解を深めるため、最新の科学的知見や本法に基づく活動状況等について、分かりやすい情報提供等を積極的に行うとともに、生物多様性に関する環境教育を推進すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○務台委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○務台委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤環境大臣。
○伊藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ努力してまいる所存でございます。
―――――――――――――
○務台委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○務台委員長 次に、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。
経済産業委員会において審査中の内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び内閣提出、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案について、経済産業委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、連合審査会の開会日時等につきましては、経済産業委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。
次回は、来る四月五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十二分散会