第7号 令和6年4月9日(火曜日)
令和六年四月九日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 務台 俊介君
理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君
理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君
理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君
理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君
井上 信治君 井上 貴博君
石原 正敬君 稲田 朋美君
金子 容三君 菅家 一郎君
国定 勇人君 熊田 裕通君
笹川 博義君 宮澤 博行君
柳本 顕君 鷲尾英一郎君
大河原まさこ君 近藤 昭一君
松木けんこう君 屋良 朝博君
杉本 和巳君 空本 誠喜君
林 佑美君 中川 康洋君
…………………………………
環境大臣 伊藤信太郎君
環境副大臣 滝沢 求君
環境大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
参考人
(株式会社グーン代表取締役)
(公益社団法人神奈川県産業資源循環協会会長)
(公益財団法人全国産業資源循環連合会理事) 藤枝 慎治君
参考人
(大阪産業大学デザイン工学部准教授) 花嶋 温子君
参考人
(株式会社北浜化学取締役製造本部長) 村上 慎一君
参考人
(公益財団法人地球環境戦略研究機関主任研究員) 粟生木千佳君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案(内閣提出第六〇号)
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○務台委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○務台委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原正敬君。
○石原(正)委員 おはようございます。自由民主党の石原正敬でございます。
本日は、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案、略して再資源化事業等高度化法というらしいんですけれども、この法案の質疑ということで、務台委員長を始め理事各位におかれましては、質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。
では、早速ですが、質問に入ります。
我が国は、戦後の混乱期における公衆衛生の向上に始まりまして、高度経済成長下での公害問題等、生活環境の保全に取り組み、廃棄物処理やそれに伴う循環型社会の構築等の課題に向き合い続けてきました。現在では、地球規模での環境問題、すなわち脱炭素が喫緊の課題となっております。
このような中、今回政府から提出された再資源化事業等高度化法は、脱炭素と資源循環を一体的に進めることを念頭に、製造業などのいわゆる動脈産業と廃棄物処理業などのいわゆる静脈産業の双方に関わる法案となっており、これまでの廃棄物処理法の枠組みから更に発展した形の立法となっている印象を私は持っております。
そこで、早速質問ですけれども、本法案の狙い及び目的や、廃棄物処理及び清掃に関する法律、廃棄物処理法との役割の違いについて御説明ください。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
廃棄物につきましては、これまで、廃棄物処理法に基づく各種の規制措置等により廃棄物の排出抑制、適正な収集、運搬、処分等の処理を行ってきたところでございますが、現在、適正処理の観点のみならず、御指摘いただいておりますとおり、資源循環を進めることが強く求められているところであります。
この資源循環でありますが、脱炭素化はもとより、経済安全保障など様々な社会的課題の解決に貢献するものでございまして、物づくり大国である我が国の強みを生かし、国家戦略として進めていく必要があると捉えております。
また、再生材の質と量を確保することは、国際的にも製品、サービスの競争力に直結し、世界市場で日本の存在感を高めるためにも、日本企業が先手を打って対応を進めることで供給体制を確保することが必要であると考えております。
このような状況を踏まえまして、まさに今委員から御指摘いただきましたとおり、本法律案は、再資源化事業等の高度化の取組を支援することによりまして、資源循環産業全体で再資源化を促進しつつ、温室効果ガスの排出削減効果の高い資源循環の促進を図ることとしており、これによりまして、環境の保全と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としております。
一方で、廃棄物処理法でございますけれども、廃棄物の排出の抑制、廃棄物の適正処理等により、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的としているところでございまして、他方で、温室効果ガスの排出削減であったり再資源化の高度化の観点は含まれていないところでございます。この点で、本法律案は、廃棄物処理法とは異なる役割を持つというふうに捉えているところでございます。
○石原(正)委員 ありがとうございます。
よくその役割の違いを認識しながら私もこの法案の質疑に臨んでいきたいと思っていますし、引き続き、各党各会派の議論を進めていただければと思っております。
本法案の前提の一つといたしまして、循環型社会形成推進基本計画というものがあります。この計画の第五次計画の策定に向けまして、見直しが、現在、中央環境審議会でなされているとのことです。本見直しに先立って、昨年十月に取りまとめられた新たな循環型社会形成推進基本計画の策定のための具体的指針では、循環経済への移行の考え方が強く打ち出されていると感じております。
そこで、質問でありますが、第五次計画の策定に向けた中央環境審議会での議論の推移と、今回の計画で循環経済への移行をなぜ位置づけることとしたのか、お答えください。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
循環経済への移行は、持続可能な形で資源を効率的、循環的に有効利用することで、廃棄物の発生を抑制し、資源や製品の付加価値を生み出すものであり、循環型社会の形成に向けたドライビングフォースというふうに言えるものと感じております。
また、循環経済への移行は、気候変動、生物多様性の保全、環境汚染の防止等の社会的課題を解決し、産業競争力の強化、地方創生、経済安全保障にも資するものでございまして、関係者が一丸となって国家戦略として取り組むべき重要な政策課題であるというふうに認識をしております。世界でも、欧州を始めといたしまして、循環経済への移行に向けた取組が進められているところでもございます。
こうしたことを踏まえまして、本年夏頃に策定予定の第五次循環型社会形成推進基本計画では、循環経済への移行を国家戦略として明確に位置づける方向で議論を現在進めているところでございます。
○石原(正)委員 まさしく時宜を得たといいますが、EU等が国際的にこの循環経済への移行というのを強く打ち出して数年たつわけでありまして、そこを国家戦略として挑戦していこうということだと思います。是非この法案をそういう意味からもしっかりと進めていただくことと、本年六月あたりと聞いておりますけれども、第五次計画の策定についても、この法案との連携といいますか、そこをしっかりとやっていただければなと思っております。
もう一つ、循環経済への移行は、長年指摘されてきた静脈産業の動脈産業への組入れを意味していると思っています。そしてまた、国家戦略としても極めて重要であります。しかし、理念や方針を策定していくからといって、たやすく実現できるわけではない。すなわち、現実に即した実効的な取組を進めていくことが不可欠だと思っています。そのためには、例えば、再生材の素材ごとの特性や排出実態に応じた具体的な取組が必要になろうかと。
そこで、循環経済への移行に当たりまして、特に重点的に取組を進めようと考えている具体的な素材やその取組の方向性、数値目標について、環境省のお考えをお尋ねします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
本年夏頃に策定予定の第五次循環型社会形成推進基本計画におきましては、令和四年九月に策定いたしました循環経済工程表をロードマップとして位置づける方向で議論を進めております。
この循環経済工程表では、徹底的な資源循環を考慮すべき素材としてプラスチックや金属を始めとした素材を挙げ、重点分野として取り扱うこととしております。
プラスチックにつきましては、二〇三〇年までに再生利用の倍増を目指し、プラスチック資源循環法等に基づき、廃プラスチックの発生抑制や再使用、分別回収の推進を最大限進めることとしております。
また、ベースメタルやレアメタル等の金属につきましては、製品の長期的利用や国内外における金属回収の徹底等の取組により、天然資源採取の最小化や環境負荷の低減などライフサイクル全体での最適化を目指し、金属のリサイクル原料の処理量を二〇三〇年度までに倍増させることを目指す、このようにしております。
こうした方向性や数値目標を循環型社会形成推進基本計画にも位置づけることで、循環経済への移行に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えております。
○石原(正)委員 ありがとうございます。
よく目標を掲げるときに議論になるのが、高い目標を立ててそれに向かっていこうという話と、もう一個は、野球でいいますと、取れるか取れないか分からないところにノックを打って、そして、取れるかな、でも取れないというようなところを目標に掲げる方が現実に即しているということ、目標の立て方というのは二通りあるのかなと思います。
やはり具体的に実現可能な、でも、もう少し頑張っていかないと実現できないよなというぐらいの数値目標を立てていくことが私は重要だと思いますし、民間事業者の皆さん方も、それならやれるぞという雰囲気をつくっていくことだと思っています、民間事業者だけでなく、政府、そしてまた地方公共団体を含めて。そういった意味では、高過ぎないと言うとちょっと語弊がありますけれども、そういう具体的な数値目標を掲げていただく方が私はありがたいので、その辺りもしっかりと検討いただきたいなというふうにして思います。
私は、本法案の特徴といいますか、肝になるところは、先ほども申し上げましたけれども、動脈産業と静脈産業の緊密な連携、すなわち、循環経済への移行を目指しているところにあると。加えて、経済安全保障や地方創生への貢献も期待されております。
そこでなんですけれども、改めて廃棄物の最終処分場について考える機会にもなるのではないかと思います。
本年一月の令和六年能登半島地震や三月の台湾東部地震など、大規模な災害が頻繁に発生している中、我が国の生活環境の保全や災害からの復旧の観点から考えましても、災害廃棄物を受け入れる最終処分場の重要性はますます高まっていると思われます。このことは、日常生活における廃棄物を可能な限り縮減することとも関係していることは言うまでもありません。
そこで、質問でありますけれども、現時点における我が国の最終処分場の残余容量と残余年数をお答え願います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
一般廃棄物の最終処分場の残余容量は、令和四年度末時点で約九千六百六十六万トンであり、残余容量を最終処分量で割った残余年数は、全国平均で約二十三・四年となっております。
また、産業廃棄物の最終処分場の残余容量でございますけれども、令和四年四月一日時点で約一億七千百九万トンとなっており、残余年数は、全国平均で約十九・七年となっております。
○石原(正)委員 現時点におきます最終処分場については一定程度確保されていると承知いたしましたけれども、先ほど触れましたように、大規模災害が発生した場合などでは処分量の許容量が急激に減ってしまう、こういうことも想定しなければならないと思います。
また、最終処分場の整備といいますのは、土地の確保や立地条件など、相当な時間がかかりますから、可能な限り最終処分場への負荷を軽減していくことが重要であります。
そこで、質問でありますけれども、本法案で取り組もうとしている施策による最終処分場の負荷軽減について御答弁ください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
本法律案では、先進的で高度な再資源化の取組を促進するため、廃棄物処分業者の資源循環の高度化に関する判断基準を定めるなど、業界全体での底上げを図ることとしております。また、資源循環の高度化を行う事業を対象に、環境大臣による認定制度を創設することとしており、こうした取組を進めることにより、資源循環が進み、最終処分される廃棄物の量の減少につながると考えており、そうした意味で、最終処分量の削減に貢献できると考えております。
具体的に申し上げますと、例えば、認定制度の対象となり得る事業として、今後、大量廃棄が見込まれる太陽光パネルを例に取りますと、全体の重量の約六割をガラスが占めており、ガラスのリサイクルが可能な高度な技術等を用いて再資源化を行うことで、太陽光パネルが直接最終処分される場合に比べ、最終処分量を九〇%以上削減できる可能性がございます。
こうした分離回収に困難が伴う廃棄物について高度な技術を用いて再資源化を行うなどの先進的な取組を行う廃棄物処分業者をより多く育てることで、最終処分量の削減に貢献してまいりたいと考えております。
○石原(正)委員 ありがとうございます。
災害時の廃棄物の処理というのは、結構、被災者にとってもそうですし、関係自治体にとっても大きな課題だろうと。現時点でも、能登半島の地震でそこが極めて重要なポイントになっていると推察しておるところであるんです。
でありますので、逆に、平時はやはり最終処分場の残余量をしっかりと確保するために国民の皆様方にお願いをする、なるべく減らせるようにしましょうよと。厳しい規制がそこにはあるかも分かりませんけれども、あるいは、経済界にとっても大変不具合なといいますか、そういう規則とかルールを当てはめることになるかも分かりませんが、ただ、一方で、災害が起こったときにはそういったことを少し緩和しながら、被災地に寄り添うような支援のために平時からしっかりと規制をしていくというところが、私はバランスだと思っています。
総理も、被災地に寄り添う支援をする、こういうことをおっしゃっているわけでありますので、これは通告にはありませんので質問はいたしませんが、やはりそういう平時ではないというようなところでいかに行政、政府が貢献できるかということも、平時からそれに備えるということが非常に大事だと思っておりますので、この最終処分場の問題と本法案の関係というのもしっかりとバランスを取りながら進めていただきたいというふうにして思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、経済安全保障の話に移るんですけれども、提案説明によりますと、我が国の温室効果ガスの排出量の削減に加え、経済安全保障や地方創生などへの貢献が期待されると認識しています。
その経済安全保障との関連において、特に、資源確保は重要だと考えます。特に、アジアなどの新興国を中心に今後も急激な人口増加や経済発展が見込まれ、さらに、世界経済のグローバル化が進展し、各国の相互依存が強まる一方で、一部の地域において戦争やテロなどの地域の平和と安定を損ねる深刻な事態が発生し、国際的な緊張が高まっています。こうした複雑な国際情勢の中で、資源獲得という観点での政府の取組は重要であります。
そこで、質問でありますが、本法案の活用による経済安全保障への貢献と、加えて、本法案以外の取組も含めまして、今後、重点的に推進したい施策についてお答えください。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
資源循環は、脱炭素化はもとより、経済安全保障など様々な社会的課題の解決に貢献するものでございまして、物づくり大国である我が国の強みを生かし、国家戦略として進めていく必要があるということは、さきに答弁を申し上げたとおりでございます。
また、まさに今委員が御指摘いただいておりますとおり、新興国の経済成長に伴います資源枯渇への懸念、供給源が特定国に集中している資源もあるなど、特に自給率の低い金属資源の確保は、経済安全保障上、大変重要な課題であるというふうに捉えているところでございます。
そこで、本法律案では、例えば、従来は再資源化が困難であった太陽光パネルやリチウム蓄電池といった分離回収が困難な廃棄物について高度な技術を用いて再資源化を可能とする事業などを対象に、環境大臣が認定を行うことで、廃棄物処理法に基づく自治体の許可を不要とし、手続の迅速化を進めていくこととしております。これによりまして、先進的な設備の導入を促し、資源の安定供給の確保につなげ、経済安全保障に貢献できるものというふうに考えております。
また、本法律案のほか、国際的な資源循環に関する取組も進めているところでございます。
例えばでありますが、ASEAN等の途上国に対しまして、廃棄物の回収、リサイクルに関する日本の優れた制度、技術、経験をベースといたしまして、電気電子機器廃棄物等に関する制度の構築であったり、官民の人材育成、日本の民間企業との連携促進などを行う事業を進めているところでございます。
このような取組によりまして、途上国等におきます適正な電気電子機器廃棄物の回収、解体、リサイクルを促進し、その後、日本において高度な再資源化を行う、まさに国際資源循環体制を構築していきたいというふうに考えております。
本法律案を始めといたしまして、資源循環の促進に向けた取組を通じ、経済安全保障にも貢献をしてまいりたいと考えております。
○石原(正)委員 ありがとうございます。
リチウムの話がちょっと出たので、少し話は脱線するかも分かりませんけれども、私の地元に万古焼という陶器、焼き物の産地がございまして、これは土鍋の国産シェアの七割以上を占めるというところで、耐熱の焼き物というのは、ペタライトという鉱物を入れると火にかざしても割れない陶器になるんですが、このペタライトがリチウムの原料になるということで国際価格が非常に高騰し、あるいは中国の一帯一路などでアフリカの資源が日本に入らない、ペタライトというものが入らないという現象が起こっています。大変生産地も困っているわけなんですが。
先ほどのように、リチウムが再資源化できるとしますと、鉱物そのもの自体、鉱山そのもの自体の供給量を制御することができるようになりますので、まさしく自動車、EVだけではなくて他の産業にも大きな影響を及ぼすということでありますから、これは副次的な効果が狙える、そういうこともありますので、是非なお一層、そういうほかの目的にも狙いを定めながら、この法案の趣旨を実現していくということも日本経済には貢献できるんだろうと思っています。
もう一点、私は菰野町長をやっていた時代から少し浪人の期間があるんですが、そのときに、名古屋大学のアジア教育研究機構というところで研究員をやっていたんですが、アジア各国からドクターを目指して日本に来ている人たちの中で一番関心が高かったのが環境問題でした、次に教育の問題でした。
まさしく先ほど政務官がおっしゃった、環境に対してアジアに国際貢献がどのようにできていくかというのは、日本だけが独りよがりではなくて、アジアの皆さん方が大変期待しているところでありますし、発展途上と言うとちょっと言葉は古いかも分かりませんが、経済発展をこれからしていく上で、循環型社会を実現するということについては、日本の技術とか知見というのは非常に役に立つと期待されているところでありますので、先ほど御答弁がありましたように、そこらあたりもしっかりと視野に入れながら、アジア全域にわたって日本の国際貢献をしていっていただきたいなというふうにして思いますので、よろしくお願いいたします。
先ほど少し再資源化の重点項目を聞いたときに太陽光パネルの話が出てきまして、今からしようかなと思っていたんですけれども、ほぼしていただきましたので、これでいいのかどうか分かりませんが、もし答弁漏れなんかがあれば、これから太陽光発電について、排出量の見込みとか本法案に期待すること、効果について、先ほどの答弁より何かあればお答え願いたいと思いますが、何かありますか。
○国定大臣政務官 まず、今後の見込みの具体的な姿でありますけれども、使用済太陽光パネルの排出量でありますが、二〇二二年度段階では約二千三百トン程度でございましたけれども、二〇三〇年代後半には年間五十万から八十万トンの排出量のピークを迎えるというふうな環境省の調査結果が出ているところでございまして、そういう意味でも、今回の法案によりまして、この太陽光パネルを構成するガラスや金属等の分離回収、素材ごとのリサイクルが進むことができれば、今ほど申し上げたピークを迎えていく時期を捉えて大きく寄与することができるのではないかというふうに捉えているところでございます。
○石原(正)委員 済みません、私が先走り過ぎたようでございまして。
今、聞き間違いでなければ、二〇二二年が二千三百トン、それが二〇三〇年代後半には五十万トンという、まさしく桁違いの増え方をするということでございまして、先ほど政府参考人からも御答弁がありましたように、まさしくガラスの量をどうしていくか、それを再資源化していくことが非常に重要なポイントになるということもお伺いしましたし、レアメタル等もその中に含まれているわけですので、大量に発生する太陽光パネルについて取組をしっかりと支えて、支援していただければというふうにして思います。
次に行きます。
先ほど太陽光パネルの話が出たんですが、循環経済への移行ということですけれども、このために、廃棄物処分業者の判断の基準ということを事項を定める、こうなっていますが、この件について、具体的にどのような内容になるのか、御答弁願います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
判断の基準となるべき事項におきましては、製造事業者の需要に応じた質と量の再生材の供給のための体制の整備、再資源化の生産性を向上させるための技術の向上、再資源化の工程を脱炭素化するための設備の改良等の再資源化の高度化に向けた対応をすることが望ましい事項に加え、再資源化すべき量の割合の目標の設定、こういった事項を定める予定としております。
○石原(正)委員 判断の基準、これは極めて廃棄物処分業者にとっては重要なポイントになりますし、ここでやはり政府の姿勢を示す大きなポイントとなりますので、周知徹底も図りながら、民間の事業者とともに有効かつ効果的な取組が実現できる、そういうような基準を定めるようにお願いいたしたいと思います。
さらに、本法案では、産業廃棄物処分業者の中で、ある一定の要件を満たすものについては特定産業廃棄物処分業者として定義するとなっております。この定義というのが処分業者にとっても重要なポイントとなりますので、具体的に今どういう議論が進んでいるのか、御答弁願います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
本法律案に基づきまして、再資源化の実施の状況の報告及び公表を求めたり、再資源化の実施の状況が著しく不十分な場合に限って国が勧告、命令等を行える対象となる特定産業廃棄物処分業者に該当する要件でございますけれども、産業廃棄物の中間処理業者を対象に、年度ごとの産業廃棄物の処分量により設定することを考えております。
例えばでございますが、産業廃棄物の処分量全体の四分の三をカバーするよう、単年度の処分量が原則として一万トンを超えること等の要件とすることを今検討しているところでございます。
○石原(正)委員 ありがとうございます。
まず、大規模なといいますか、大きな企業に対して規制を加えながら、そこからまた波及的効果を得ていく、そういうような段階を踏むんだろうと思っていますので、最初の一万トンというラインをしっかりと周知徹底をしていただければなというふうにして思っています。
ちょっと時間もありませんので、もう一つは、先ほどおっしゃった特定産業廃棄物処分業者から提供される再資源化の実施状況というのは、まさしく動脈産業である製造業にとって、自分たちが再生材をどういうふうにして入手するかというので極めて重要な情報源となる。さらに、逆に言いますと、製造業が、自分たちが排出している廃棄物がどのように処理されていくのかということで、両方にとって非常に重要な情報源になるんです。
これは、やはり情報共有をするために分かりやすく公表していく、分かりやすく利活用できる、こういう環境を整えないといけないと思っておりますので、現時点で、動脈産業と静脈産業をつなぐための情報、再資源化の実施状況について、どのように情報を集約しながら公表していくか、御答弁願います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
本法律案に基づきまして、特定産業廃棄物処分業者に再資源化の概況を国へ報告することを義務づけ、その内容を国が公表することとさせていただいております。
公表の方法につきましてでございますけれども、マッチングを円滑に進めるため、再資源化の実施状況等の情報に容易にアクセスが可能となるよう、ホームページ等を用いて広く公表を行いたいと考えております。
公表の際には、例えばでございますけれども、ホームページの閲覧者が廃棄物処理施設の場所や廃棄物の種類、再資源化の量などの項目に応じて必要な情報を絞り込むことができるようにすることなど、マッチングに当たり実効的なものとなるよう、御指摘も踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
○石原(正)委員 時間も来ましたので終わりますが、予算措置についてもよろしくお願いします。
以上です。
○務台委員長 次に、鰐淵洋子君。
○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。
本日は、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案につきまして質問させていただきます。どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
サーキュラーエコノミーの実現は、資源の効率的な利用にとどまらず、化石燃料由来のプラスチックの循環など、カーボンニュートラルの実現に向けても大変に重要な取組でございます。
また、中小企業の多い廃棄物処理業が地域で資源循環の輪を広げ、力をつけることは、地域経済の活性化にも資するものでございます。
そして、欧州を中心にサーキュラーエコノミーに向けた取組が加速化しておりまして、我が国におきましても、後れを取ることなく、再生材の質と量の確保を通じて産業競争力や経済安全保障を強化していくことがますます重要になってくると思います。
そこで、伊藤大臣にお伺いいたします。
サーキュラーエコノミーの実現は、カーボンニュートラルの実現に向けて大変に重要な取組でございまして、取組の加速化が求められております。今回の新法提出に至った背景と法案のポイントについて、大臣にお伺いいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
資源循環は、脱炭素化はもとより、経済安全保障など様々な社会的課題の解決に貢献するものでございます。物づくり大国である我が国の強みを生かして、国家戦略として進めていく必要があるというふうに考えております。
また、再生材の質と量を確保することは、国際的にも製品、サービスの競争力に直結することから、世界市場で日本の存在感を高めるためにも、日本企業が先手を打って対応を進めることで供給体制を確保することが必要であると思います。
このような状況を考えますと、本法律案においては、再資源化事業等の高度化の取組を支援することによって、資源循環産業全体で再資源化を促進しつつ、温室効果ガスの排出削減効果の高い資源循環を促進することを目的としております。
具体的措置としては、先進的で高度な再資源化の取組を対象に、環境大臣による認定制度を創設いたします。
これにより、例えば、従来、再資源化が困難であった太陽光パネルまたリチウムイオン電池のリサイクル、こういう取組を全国的に波及させる、こういうことを通じて、先進的な資源循環の取組を行う廃棄物処理業者を増加させるとともに、脱炭素と資源循環の両立を図ってまいりたい、そのように考えてございます。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今大臣の方からポイント等を御答弁いただきまして、ありがとうございました。
是非、新法でございますので、関係者を始め消費者である国民の皆様にもやはり広く周知をしていただいて、御理解をしていただいて、一丸となって資源循環に取り組んでいけるようにということで、そちらの方のお取組も併せてお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それでは、本法案につきまして具体的に質問させていただきたいと思います。
今大臣の方から本法案のポイントについて御答弁いただきましたが、その中に、認定制度を創設するとございました。まず、この認定制度の在り方について質問させていただきたいと思います。
認定制度の創設につきましては、資源循環の高度化など様々な取組を行う事業者の底上げにつながると期待しておりますが、一方で、認定基準が厳しければ、中小の事業者にとってハードルが高くなると懸念されます。中小の事業者であっても、先進的な取組を行っている事業者もいらっしゃいますので、しっかりと拾い上げていただきまして、認定していただくことが日本の循環産業の全体の底上げにもつながると考えております。
そこで、本法案によります認定制度について、どのような基準、類型での認定を想定しているのか、あわせまして、認定を受けることによって具体的にどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
本法律案におきましては、再資源化事業等の高度化を具体化する取組として、三つの類型に該当する事業等を環境大臣が認定することとしております。
一つ目の類型は、製造事業者の需要に応じた品質の再生材を、必要とする量だけ確実に提供を進める事業であり、収集した廃棄物の大部分を再生材として製造事業者に供給できることを認定の要件とさせていただきたいと考えております。
二つ目は、部品や再生材として活用でき得るものが多く含まれるものの、その分離回収に困難が伴う廃棄物について、高度な技術を用いて再資源化を可能とする事業であり、その廃棄物のリサイクル率が特に高いこと、これを認定の要件としております。
三つ目の類型でございますけれども、廃棄物処理施設に再資源化の工程を脱炭素化するための高効率な設備等を導入する取組であり、温室効果ガスの排出削減効果が特に高いこと、これを認定の要件としております。
こうした具体的な認定の基準、要件等につきましては、御指摘も踏まえて、関係事業者の皆様方の御意見にもよく耳を傾けながら検討を進めてまいりたいと考えております。
また、認定の効果につきましては、これらの取組を対象に環境大臣が認定を行うことで、廃棄物処理法に基づく自治体の許可が不要となり、手続を迅速化することができる、このように考えているところでございます。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
是非とも中小の廃棄物事業者への配慮もお願いしたいと思います。また、認定のメリットも今伺いました。ありがとうございました。
本法案に基づきまして認定を受けた事業者が設備投資をしっかりと行っていくことも必要であると考えております。中小事業者も含めまして、認定を受けた事業者が資源循環の高度化に資する導入を進めるために、補助金や税制優遇などのインセンティブを拡充するべきと考えておりますが、御見解をお伺いしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
財政上の支援策でございますけれども、エネルギー対策特別会計を活用した高効率なリサイクル設備の導入に対する補助や実証事業を行うとともに、GXに向けた資源循環に資する設備投資への支援として、政府全体で、令和六年度から三年間で三百億円の予算を見込むなど、必要な支援を実施することとしております。
本法律案では、国は、再資源化事業等の高度化に関する施策を実施するために必要な財政上の措置等を講ずるよう努めなければならない旨の規定も置かせていただいているところであり、これを踏まえ、引き続き必要な財政上の支援策を講じてまいりたい、このように考えております。
また、設備投資を促進する税制上の措置を含め、先進的な取組に対するインセンティブについても、今後、よく検討してまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
認定を受けてメリットがある、その上でしっかりと設備投資を進める上で、今申し上げたような補助金、税制優遇ということで、この法案が成立してからの検討になるかと思いますが、しっかりと具体的に、前に進むように、御検討の方をよろしくお願い申し上げたいと思います。
今回の法案につきましては、先ほどもお話がございました特に処分量の多い産業廃棄物処分業者につきまして、再資源化の実施状況の報告、公表を求めております。これは、再資源化の高度化に向けまして、全体を底上げするために必要なことであると考えておりますが、再資源化の実施状況の報告、公表が事業者にとって負担になるのではないかとの懸念の声もございます。この点につきまして御見解をお伺いしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘いただきました御懸念も踏まえ、しっかり対応させていただきたいと考えております。
具体的には、この法案に基づき廃棄物処分業者に再資源化の実施状況として報告させる事項につきましては、現行の廃棄物処理法に基づき帳簿に記載する事項を活用して算出が可能なものとすることで、廃棄物処分業者への追加的な負担が大きくならないように具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今御答弁いただきましたけれども、追加的な負担が大きくならないようにということで、この点も重ねてお願い申し上げたいと思います。
再資源化の実施状況が整理されまして公表されるということは、製造側が必要とする質と量の再生材が供給される体制、基盤が整うということになりますので、期待しております。
その上で、環境省に伺いたいと思いますが、再資源化の実施状況についてホームページ等に掲載すると聞いております。製造業者と廃棄物リサイクル業者とのマッチングを実効性のあるものにすることが大変に重要でございますので、公表する情報だったり公表の方法について工夫する必要があると考えております。この点について御見解をお伺いしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
この公表につきましては、御指摘いただきましたように、マッチングを進めるために有効に活用できるものにしていきたいと考えております。
このため、公表の際には、例えばでございますけれども、閲覧者が廃棄物処理施設の場所や廃棄物の種類、再資源化の量などの項目に応じて必要な情報を絞り込むことができるようにすることなど、マッチングに当たり、実際に使用される方が使いやすく、必要な情報が入手しやすいような形で実効的なものとなるよう、御指摘も踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今の御答弁にも、実際に使いやすいものということで言っていただきました。やはり製造業者と廃棄物リサイクル業者、是非それぞれからも御意見を伺っていただきまして、どういった情報を求めているのか、そういったことも具体的に聞いた上で進めていただくことが重要かと思っております。予算も含めて様々課題はあるかと思いますけれども、是非とも、これによってマッチングが進む、実効性のあるものになることが大事かと思いますので、具体的な工夫をしっかりと進めていただきたいということで重ねて申し上げたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
先ほど本法案による認定制度につきまして伺いましたけれども、その中で、三類型の一つといたしまして、再資源化に向けて高度な技術を用いて分離回収を行う事業者に対する認定を御紹介いただきました。今後、二〇三〇年代後半に見込まれます太陽光パネルの排出量増加を見据えて、先ほども石原委員の方からも御指摘がございましたが、高度なリサイクルが可能な事業者を育てることが急務であると認識をしております。
そのほか、高齢化の進展に伴いまして、使用済紙おむつにつきましては、今後、排出量の増加が見込まれております。使用済紙おむつにつきましては、一般廃棄物排出量の五%を占めておりまして、二〇三〇年には七%程度まで増加する見込みと推測されております。この数字から見ましても、使用済紙おむつの再生利用等は、資源循環の促進の観点からも大変に重要であると考えております。この課題につきましては、これまでも参議院の環境委員会で我が党の竹谷とし子議員が、また、先日も衆議院の環境委員会で柳本議員が取り上げております。
また、環境省におきましては、二〇二〇年に使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドラインを策定しておりまして、そのほか、課題等を掌握するために、地方自治体へのアンケートやヒアリング、意見交換を実施していただいていると承知をしております。このように様々取組を進めていただいておりますが、なかなか進んでいないのが現状かと思います。
使用済紙おむつの再生利用等の推進の流れがこのようにあるわけですが、今回、この新制度が使用済紙おむつの再生利用等にどのように貢献できるのか、お伺いをしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘いただきましたとおり、使用済紙おむつのリサイクルは大変重要な課題であり、今後、排出量がますます増えることが予想されますので、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。
そうした中で、この法律案との関係でございますけれども、使用済紙おむつについては、それをリサイクルしようとした場合に、プラスチックや紙、高分子吸収材の素材に応じて衛生的に分離する高度な再資源化の取組が必要であります。こうした取組は既に行われ始めておりますので、こうした先進的な取組につきまして、本法律案に基づく環境大臣による認定により手続を迅速化することで、こうした高度な再資源化設備の導入をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。
こうした今法案に基づく制度的な対応に加えまして、事業者への設備導入支援、紙おむつのリサイクルに伴うコストやCO2の削減効果といった自治体が検討、判断する上で必要な情報の提供などにより、引き続き、使用済紙おむつの再生利用等の促進に向けた取組をしっかりと前に進めてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
この使用済紙おむつの対応につきましては、市町村の立場からすると、コストの面を含めて大変に負担が大きいということで、これからますます大きな課題になるかと思います。是非とも環境省としても力強い後押しをしていただきたいということでお願い申し上げたいと思います。
それでは、ここからは、本法案に関連いたしまして、ペットボトルキャップ、ペットボトルの蓋のリサイクルについて質問させていただきたいと思っております。
公明党の環境部会といたしまして、二月八日の日に、埼玉県春日部市のペットボトルキャップのリサイクル工場、進栄化成株式会社の視察をさせていただきました。ここでは、関東一円から、大体月に二百五十トン、約一億個のペットボトルキャップが集まり、二〇二三年には、一年間で三千三百トン、約十四億個のキャップを回収し、選別、粉砕、洗浄を行った上でペレット化して、プラスチック原料として出荷をされておりました。ペットボトルキャップをリサイクルしてできた製品は、スーパーの買物籠やヘルメット、冷蔵庫の部品等がございました。
これまで我が党におきましては、ペットボトルの適切な回収、リサイクルを推進するために、投入口を下向きにするなどした新機能のペットボトルのリサイクルボックスの設置等に取り組んでまいりました。今回は、ペットボトルキャップ、ペットボトルの蓋について注目をさせていただいております。
皆様も御存じのとおり、ペットボトルの回収率は九割を超えまして、ボトル・トゥー・ボトルも三割近くまで水平リサイクルが進んでおりますが、ペットボトルキャップにつきましては、正確な回収状況も分かっておりません。ペットボトルキャップは、ポリエチレンとポリプロピレン、この二種類の樹脂が使われておりまして、それぞれ一〇〇%同素材ですので、リサイクルには適しているんですけれども、分別回収が、リサイクルが進んでいないということで、大変にもったいないと思いました。
そもそもペットボトルのキャップのリサイクルは、御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、ペットボトルはリサイクルされるのにペットボトルのキャップは捨てられている、もったいない、神奈川県の女子高生がそういう思いで始めた、そういった話を伺っております。素材としては優れているのに分別回収が進んでいない、リサイクルが進んでいない、この女子高生のとおり、本当にもったいないのではないかと思っております。
そこで、環境省にお伺いいたしますが、ペットボトルキャップの回収、リサイクルの推進は、資源循環促進の観点からも極めて重要であると考えますが、ペットボトルキャップのリサイクルの現状と認識についてお伺いしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ペットボトルのキャップにつきましては、キャップのみを分けて回収している自治体は少ない状況でございまして、多くの自治体では、キャップとボトル本体とを分別するよう市民に求めているものの、キャップは他の容器包装プラスチックと併せて回収され、物流で使われるパレットなどにリサイクルされている、こうした事例が多いものと認識しております。
一方で、ペットボトルのキャップにつきましては、ただいま御紹介いただきましたとおり、単一の素材で構成されておりますので、質の高いリサイクルに回せる可能性があります。このため、東京都足立区や兵庫県神戸市など一部の自治体では、公共施設等での拠点回収によりキャップのみを回収し、自動車部品や家電製品などにリサイクルする取組も行われております。
また、先ほど御紹介にありましたとおり、民間の事業者においても、キャップのみを回収する取組を実施している例があり、キャップに特化したリサイクルを行っている事業者によれば、先ほど御紹介にもありましたが、昨年は約十四億個をリサイクルした、このような報告を私どもは受けております。
ペットボトルのキャップのリサイクルは、大変市民に身近な取組でございます。さらに、質の高いリサイクルに貢献するものでありますので、こうした取組を環境省としても後押ししてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
本法案に関連して具体的に伺っていきたいと思いますが、この視察を行った工場では、ペットボトルキャップに赤外線を当てまして、その反射した光を解析して、ポリエチレンとポリプロピレンの二種類の樹脂を選別しておりました。こうした赤外線を利用して選別し、リサイクルを進めるような取組も本法案の認定対象となるのか、お伺いしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の、ペットボトルのキャップを赤外線の利用により二つの素材に分ける技術は、製造側の需要に応じて求められる品質の再生材を供給しやすくする技術であり、この技術を用いた取組については、本法律案に基づく認定制度の対象になり得る、このように考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
こういった技術を使いながら、ペットボトルキャップの分別回収、リサイクルが更に進んでいくことを期待したいと思っております。
先ほども御答弁いただいた中で、私も御紹介しましたが、ペットボトルキャップの分別回収、リサイクルがまだまだ進んでいないというふうに認識をしております。その要因といたしましては、現状、回収拠点が学校や一部のスーパーなどにとどまっておりまして、市民目線では、回収拠点が少ない、また分からないという声もございます。これが課題の一つと認識をしております。また、そのほか、リサイクルのビジネス構造が未整備であること、これも大きな要因であるかと考えております。
今後、このペットボトルキャップの回収、リサイクルを促進させるためには、市区町村と企業とが連携した回収を進めるなど、先進的な取組を支援することが重要であり、そのために、実証事業を行い、ペットボトルキャップの回収、リサイクルの促進に取り組むべきと考えますが、御見解、お取組をお伺いしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、ペットボトルのキャップの回収量を増やすためには、市区町村と企業が連携して回収拠点を増やすことが有効であり、市民の利便性も高まるものと認識しております。
例えば、東京都足立区では、区長のリーダーシップの下、全ての小中学校など二百五十か所以上の拠点で回収を行っており、区と連携の下で、事業者がペットボトルのキャップを引き取り、リサイクルを実施しております。
また、環境省では、令和三年度から、プラスチック資源循環に関する先進的なモデル形成を支援するために、自治体と企業が連携したプラスチック使用製品廃棄物の回収、リサイクルの取組を支援しております。御指摘を踏まえ、ペットボトルキャップにつきましても本事業の対象に含めて公募することとし、優良な事業の提案があれば採択したい、このように考えております。
こうした取組を通じまして、ペットボトルキャップのリサイクルを後押ししてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
関心を持たれている事業者また自治体の方も多いかと思いますので、是非とも公募する際には広く丁寧に周知もしていただきたいと思っております。
また、なかなか進まない要因の一つとして、もう一つ、やはり先ほども御紹介いただきましたが、単一素材で構成されているんですけれども、その上で質の高いリサイクルに回せる可能性があるわけですが、そのこと自体、まだまだ国民の皆様を含めて御存じない方も多いかと思います。普通にプラスチックとして処分をするという方が多いかと思いますので、そういった消費者への情報提供も含めて、このリサイクルが進むようにということで併せて取組をお願いしたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
今回、この視察を通しましてもう一つ課題としまして感じましたことが、飲料メーカーとリサイクル業界の連携、いわゆる動静脈連携の必要性、重要性を実感いたしました。
ペットボトルキャップのリサイクルは、先ほども申し上げましたが、ポリエチレンとポリプロピレンの二種類の選別をいたしまして、さらに、キャップの色を白とそのほかの色に選別すると伺いました。飲料メーカーからしますと、ペットボトルキャップは商品の宣伝にもなりますので、色をつけたり柄を入れたいと思います。しかし、リサイクル業者からしますと、よりよい再生材にするためには、文字や柄が入っていない白いものが一番いいと伺いました。
ペットボトルキャップのリサイクルにおける課題からも分かるように、サーキュラーエコノミーの実現には動静脈連携が大変に重要であると思っております。今回の法案につきましても動静脈連携が重要なポイントとなっていると思いますが、この実現につきましてどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
循環経済の実現のためには、御指摘いただきましたとおり、製造事業者と廃棄物処分業者との連携が不可欠であり、より一層連携を進めていくことが大変重要であると考えております。これは、ペットボトル、ペットボトルのキャップに限らず、ありとあらゆる製品について言えることだと考えております。
こうした考えの下、本法律案により、製造事業者と廃棄物処分業者が連携して実施する再資源化事業を認定し、その後押しをすることで、廃棄物処分業者から製造事業者に対し必要な質と量の再生材を供給する体制を整備する、このような取組を進めてまいりたいと考えております。
また、製造事業者と連携した取組といたしまして、環境省では、経済産業省及び経団連とともに立ち上げ、関係事業者が幅広く参画する循環経済パートナーシップを創設しており、先進事例の収集と国内外への情報発信を行っております。
また、サーキュラーエコノミーに野心的、先駆的に取り組む国、自治体、企業、団体等を構成員とするサーキュラーパートナーズの取組を、経済産業省と連携協力して後押ししているところでございます。
こうした様々な場を活用し、また本法律案に基づく取組も組み合わせながら、製造事業者側への働きかけを行い、廃棄物処分業者と製造事業者等との連携をつなげ、しっかりと資源循環の輪が進むように取組を進めてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
重要性が分かっていても、実現するにはなかなか難しい課題かと思います。しっかりと関係省庁、関係者と連携を取っていただいて、この法案をきっかけに大きく進むことを期待し、お願い申し上げたいと思います。
最後に、伊藤大臣にお伺いしたいと思います。
この資源循環の促進、また、今申し上げました動静脈連携、これが大変に重要でございまして、更に進めていかなければならない。また、今回の法案の施行に当たりましても、ますます環境省の役割も大事になってくるかと思います。是非環境省を先頭に、動脈部分に関わる経済産業省、また廃棄物行政の実施主体である自治体、それぞれに役割も果たしていただいて、その上で、環境省がどのように連携を図りながらサーキュラーエコノミーの実現を促進させていくのか、これが大変重要になってくるかと思います。
また、使用済みの物品を適切、効率的に回収するためには、消費者、国民の皆様の役割も大変に大きくなってまいります。
そこで、先ほど申し上げました本法案の施行に当たりまして、環境省としてどのように取り組んでいくのか、あわせまして、消費者、国民の皆様の意識改革、行動変容につながる、こういった取組にどのような決意で取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思います。
環境問題あるいは環境課題を解決するには、やはり全ての関係者が同心円である、そういう意識を持って行動すること、またそういうシステムを構築することが重要だと思います。
サーキュラーエコノミーへの移行に当たっては、政府、産業界、地方自治体、学術機関等が連携し、優良事例の情報共有や環境、経済、社会に与える効果に関する情報発信等を通じて消費者や企業の行動変容を促して、これを地域、国、地球規模へと同心円で広げることが重要だと考えております。
環境省では、経済産業省及び経団連とともに立ち上げ、官民連携の枠組みである循環経済パートナーシップや、経済産業省と協力して進めている、産官学の連携の枠組みであるサーキュラーパートナーズを通じて、これらに参画する多くの関係者とともに取組を進め、関係者間の連携を強化しているところでございます。
また、御指摘がありました消費者の意識変革や行動変容の促進のため、環境省では、脱炭素につながる新しい質的に高い暮らしをつくる国民運動であるデコ活を展開しているほか、使用済製品等の拠点回収や使用済衣類の回収に係るモデル事業など、分別や回収に対する幅広い国民の参画が得られるような取組も進めてございます。
例えば、昨年十一月には、Jリーグの公式戦に合わせて、リチウム蓄電池を原因とした廃棄物処理施設等での火災防止のためのイベントを開催したり、また、モバイルバッテリーの回収やスタジアムビジョンでの呼びかけ等を実施したところでございます。このように、使用済製品の適切かつ効率的な回収が進むように、消費者に向けた取組についても進めてまいりたいと考えております。
加えて、本年夏頃に策定予定の第五次循環型社会形成推進基本計画にも、各主体の連携や、消費者の行動変容に向けた取組について盛り込む予定でございます。引き続き、関係省庁と連携しながら、サーキュラーエコノミーへの移行を加速化させてまいりたい、そのように考えてございます。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○務台委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○務台委員長 速記を起こしてください。
―――――――――――――
○務台委員長 ただいま、本案審査のため、参考人として、株式会社グーン代表取締役、公益社団法人神奈川県産業資源循環協会会長、公益財団法人全国産業資源循環連合会理事藤枝慎治君、大阪産業大学デザイン工学部准教授花嶋温子君、株式会社北浜化学取締役製造本部長村上慎一君及び公益財団法人地球環境戦略研究機関主任研究員粟生木千佳君、以上四名の方々に御出席いただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、藤枝参考人、花嶋参考人、村上参考人、粟生木参考人の順に、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず藤枝参考人にお願いいたします。
○藤枝参考人 まずは、環境委員会の皆様に対しまして、また出席の皆様におかれましては、このような貴重な機会を設けさせていただきまして、ありがとうございます。地域の産業資源循環業の代表といたしまして、再資源化事業等の高度化に関する法律案について、今後の課題であったりだとか期待であったりとか、こういったところの発言を忌憚なくやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、お手元に配付してございますパワーポイントの資料を御参照ください。
まずは、「新法提案に至る経緯」でございます。
背景におきましては、産業資源循環業界を取り巻く大きな環境の変化が起こっております。マイナス面から言いますと、大変厳しい経営環境の中で、エネルギーの価格の高騰であったり、円安基調であったり、また物価の上昇であったり、そういった厳しい経営環境の下、産業資源循環が、産業が大きく変わろうとしております。
また、一方では、高まる環境問題への関心ということで、御案内のとおり、カーボンニュートラル、また脱炭素化、サーキュラーエコノミーの社会の構築、また、欧州を中心とした再生材のニーズの高まりが社会的ニーズとして強まってきているのも事実でございます。
そういった中で、我々産業資源循環業界は、我々が連合会組織を持っておりますので、全国産業資源循環連合会の政治連盟の方から要望事項を出させていただいております。ここに記載してございます十項目。
新たな振興を目的とする法律案の成立に関して、また、ちょっと名称は変わりましたけれども、外国人技能実習生の関係で、就労育成制度活用などの国内外を含む人材の確保であったり、脱炭素型資源循環システムの構築、また地方自治体との公民連携、国による各種支援策の実施、脱炭素化製品の普及支援、あと税制改正、また災害廃棄物処理費用にかかる資金調達への債務保証等、また資源循環のデータの利活用の推進、そして、十番目に、社会的地位向上に向けた産業資源循環業の確立ということで、我々、その他サービス業から、産業資源循環業を一つの必須産業として職業区分を確立していただきたい、こういった我々の産業を振興する法律を産業資源循環業の振興に係る個別新法の制定によって後押しを願いたい、こういった要望をさせていただいているところでございます。
次に、「新法制定による業界としての期待」でございます。
業界としての期待のポイントが四つございます。一つ目が動静脈連携。これにつきましては、我々は廃棄物処理法の下で事業をやらせていただいておるんですけれども、最近、廃棄物処理法の根幹であります排出事業者責任というところにおいては、動脈側の皆さんとの連携が今まではなかなか順調にいっていないところもあり、我々の業界としても情報が大分足りないところもたくさんありましたが、この新法をきっかけとして動静脈連携が推進することを期待しております。
二番目の公民連携でございます。公のサービスとして廃棄物処理というのがもちろんございますけれども、我々民間のノウハウであったりだとか、これまでの経験を十分に活用して、公民連携をしながら、いろいろな形でのリサイクリングを進めていく連携が取れればなというふうに思っております。これが二つ目でございます。
三つ目が資源循環の高度化ということで、ますます資源循環に関わる技術の高度化が必要になってまいりました。単なる廃棄物の処理だけではなくて、資源の作り手となるためには高度な技術が必要になってくる、これが三つ目でございます。
四つ目がビッグデータの活用でございます。我々は廃棄物の処理を行うときに、必ず、マニフェストという積荷伝票を使っております。これについては、紙のものと電子のものとありますけれども、今後、電子マニフェストをどんどん活用して、どこにどのような資源が眠っているかということも、我々が連携しながら、また、そこにはビジネスマッチングのような形もできるような形をしていきながら、ビッグデータの活用ができればなと思います。もちろん、CO2の排出量の計算等もここに含まれてくるものでございます。そうしたことを、資源循環産業の振興に資する内容の盛り込みを今回の新法の制定に期待しているところでございます。
最後のページでございますけれども、「新法により期待される変化と次のステージへの期待」ということでございます。
期待される変化につきましては、再資源化の推進、再資源化事業の活発化と廃棄物の削減、リサイクル率の向上、これは期待される第一番目でございます。
二つ目が環境保護の強化ということで、環境負荷が軽減されます。地球温暖化であったり、資源の枯渇問題への対策、また海外に流出している資源を何とか国内で確保していく、こういうことも重要になろうかというふうに思います。
三番目が産業の振興でございます。新たな産業や雇用機会創出といった経済効果が期待できるものというふうに考えておりますので、こういう変化をもたらしてもらえると思います。
また、持続可能な社会の実現ということで、社会全体としての地球環境への貢献というのも期待できるものと考えております。
そういったものをベースとして、次のステージ、我々資源循環産業がどのような形で成長していくか。
一つ目が、何といっても、その他サービス業からの脱却でございます。電気、ガス、水道のように、今や社会インフラとして必ず必要なのが資源循環でございますので、是非、社会インフラとしての役割に基づく認知をお願いしたいというふうに思っています。
二つ目が就労育成制度の活用でございます。アジア新興国の環境課題解決の土壌づくり、必ず、新興国からの応援レターのイの一番に来るのが廃棄物問題でございます。そこを解決するために、我々のノウハウを活用していただきたい。また、そこで得た現地の若者が起業をして、我々の産業に、またマーケットに参入していく、こういうことが非常に大事かなというふうに思っております。
三番目が人材の確保です。社会インフラとして必要なビジネスとして認知をされ、また様々な活躍ができれば、必ずや魅力的な業種へと転換していけるものだというふうに確信しておりますので、是非、人材の確保についても、次のステージ、臨んでいきたいなと思っています。
また、今回の新法におきましては、分かりやすいモデルケースの創出と、それに必要なスキームの構築が必要なんだろうなというふうに思っています。先進的事例への支援による全国への波及というのが大変重要になってくると思います。新しい法律というと理解がなかなか難しいものでございますけれども、どういった活用で我々の産業が振興できるのかというのを考えていきたいなと思っております。
また、資源循環産業の底上げができると、次世代の産業廃棄物処理産業の振興に資する内容をこの新法の中に盛り込んでいただければ、なおさら我々の産業資源循環業が大きな成長を迎えられるものだというふうに思っております。
私の方からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○務台委員長 ありがとうございました。
次に、花嶋参考人にお願いいたします。
○花嶋参考人 大阪産業大学の花嶋温子と申します。
今までは、自治体の廃棄物処理計画ですとか、市民の環境力を上げることによってごみ問題を根本的に解決していこうというようなことについて、研究してまいりました。ですから、私が接してきたのは、地方自治体の御担当の方々とか活躍する市民の方々、その間をつなぐNPOですとかちいちゃな企業の方々、そういう方々と関わってまいりました。
今回のお話も、私の立ち位置は、そういう方々の方に多分偏っていると思います。さらに、大都市東京ではなく、大阪を始めとする西日本の小さな都市、小さな自治体との関わりが大きかったので、そのような立場からの意見を申し上げたいと思っております。
今回の法律は、日本のリサイクルを一段ジャンプさせて向上させるためには必要なことだと思っています。また、その際に温室効果ガスの削減を目指しているということも、今の日本にとって重要なことだと感じています。
全体として、この法案の目指す方向が日本の進むべき道であるということは私も思っております。しかし、実際にその方向に進む中で、市民ですとか行政の担当者、そして小さな事業者、それぞれの立場からすると、少し課題があるのではないかと思います。当事者ではありませんが、当事者の立場を想像しながら意見を述べていきます。
市民の立場から二つ、地元の小さな自治体の担当者の立場から二つ、そして小さな事業者の立場から二つ、六つ意見を申し述べます。
まず第一点に、市民の立場からの一つ目の課題です。
リサイクルするからいいんじゃないかという使い捨てを肯定するような風潮が生まれてしまうのではないかという懸念です。
もちろん、ほかの法律によって担保されているとはいえ、今回の法律は、リサイクルの高度化に焦点を当てた法律です。この法案の施行により、リサイクル量もリサイクル率も上がっていくと思います。そして、市民の皆さんに対して、リサイクルの重要性をPRすることも行われるのではないかと思います。そのときに、リサイクルするのは大切なんだけれども、その前に資源は有限なので大切に節約して使わなきゃいけないということを必ず伝えていただきたいのです。
3Rの優先順位、言うまでもありませんが、リデュース、リユース、リサイクルで、一番にリデュースをしていかなければいけない。リサイクルの重要性を強調することによって、どうしても、やはりリサイクルすることがいいことだ、リサイクルすればいいんだというふうに伝わってしまう危険性があります。
高度再資源化を実施する企業というのは、時代の最先端を行く企業として、もてはやされるのではないかと思っております。是非、リサイクルの重要性とともに、資源の有限性や、リサイクルするから消費してもいいのではないということを常にPRに加えていただきたいなと思います。
市民の立場からの二点目です。
再資源化施設周辺の住民の要望が、施設側に十分に伝わるのかどうかという懸念です。
国の認定による高度化した再資源化施設は、多分、東京の都心ではなく、どこか地方に建設される、あるいは、地方にある施設に今よりたくさんの資源物が運び込まれるということになるのではないでしょうか。
そのときに、国の認定した高度な技術を持つ施設に対して、周辺の住民の要望がちゃんと伝わるのでしょうか。施設から発する微量物質からのにおいの問題だったり、搬入車両からの排ガスの話や騒音の話、通学時間帯を避けてほしいというような環境に関する課題、あるいは地域の人材を雇ってほしいとか、事業内容に関する説明会や見学会を実施してほしいというような要望が出てくるかもしれません。周辺住民の御意見を再資源化施設にきちんとつなげるチャンネルを、是非制度的につくっていただきたいなと思っております。
次に、地方の行政の立場から考えると、また二つほど懸念があります。
一つは、高度再資源化事業あるいは高度分離・回収事業の監視は誰がやるのか、人材が足りるのかということです。
今回の法案による高度再資源化事業や高度分離・回収事業に認定されると、これまでそれぞれの地方自治体の所管であった業の許可や施設の許可が不要になります。しかしながら、廃棄物処理業者とみなすという規定があるので、事業開始後に廃棄物処理法の基準に適合しているかは、所管の自治体が行うことになるのではないでしょうか。
審査も行っていない施設の監視役を急にやることになった自治体が、元々職員の数が少ない小さな規模の自治体であったらどうなるのでしょうか。また、今までに施設の設置許可を取り扱ったことのない自治体が、いきなり監視役をすることになって、できるのでしょうか。実際に、これまで一度も施設の設置許可の案件を取り扱ったことのない中核市もあります。また、行政の職員は四年ほどで人事異動があり、基礎自治体の場合は、必ずしも廃棄物に関する知識が豊富だとは限りません。
国に認定された高度な再資源化施設であっても、施設の運転に疑問が生じた場合に、廃棄物処理法に基づく立入検査をするのは地元の所管自治体となるのではないでしょうか。
小さな自治体の場合には、その点について国によるサポートも必要でしょうし、大きな自治体であっても、認定時の情報が十分に伝わっていなければ対応できないと思いますので、認定に関する十分な情報提供をお願いしたいと思います。
最後にもう一つ、地方の行政担当者の立場に立って、課題を、懸念を申し上げます。
これまでの廃棄物処理法の収集、運搬、処分、維持管理などの基準を活用して蓄積された知見を大切にすることが、実は今後の安全につながるのではないかということです。
高度再資源化事業や高度分離・回収事業などの国による認定というのは、イメージとして、大きな企業や団体がしっかりとした組織と計画に基づいて進める事業で、そのような場合には国が迅速に認定を進めるというように理解しています。
健全な事業者が最新技術を持って取り組むのだから、うまくいくんじゃないかと思ってしまいがちです。しかし、昨今の廃棄物処理関連の事件を見ていると、悪意はないんだけれども、不適正処理や、有害物が混入したりとか、火災が発生したりとかいうことが発生しています。いずれも、廃棄物処理法の処理や設備の基準を十分に守っていれば防げたように思えるものです。これまでに蓄積されてきた廃棄物処理法の業の許可や、施設の許可に係る基準をしっかり大切にした上での認定というのをお願いしたいと思っています。
最後に、地方の小さな事業者と働く人の視点から二つ。
一つ目は、強い企業がより強くなって、弱い企業は置いてきぼりという状況にならないようにしていただきたい。トップランナーを育てることは重要ですけれども、それだけでなく、地域密着型の中間層の事業者を強くすることを意識していただきたいです。多分、それが資料にあった紙おむつのリサイクルなどの、地域での官民連携というイメージなんだと思います。
申請書を書くのが得意な大企業だけではなくて、地域での実績を基に、むしろその企業のやってきたことを吸い上げるようなイメージで、これからの循環をつくっていただきたい。今までやってきた、小さな企業や地域としてつくり上げてきた仕組みを力づけていただくと、ほかの地域にも展開することができるのではないかと思っています。
最後も、地方の事業者と働く人の立場からなんですけれども、働く場所をつくっていただくことをお願いしたいです。
都会のごみを地方に持っていって、都会の大きな企業が利益を上げて帰っていくというような構造にならないように、むしろ、再資源化のための施設が地元の資産になり、長く根づいて、地元雇用や地元にお金が回るような仕組み、まさに、今まで環境省が言ってきた地域循環共生圏の核となるような仕組みを目指していただきたいと思っています。
経済指標とかあるいは循環資源の量とか温室効果ガスの排出量に加えて、地域雇用の拡大というのも大きな指標になるのではないでしょうか。働くところがないと、地域の人口はもう既にどんどん減り始めています。
最後に、資源循環を高度化し活性化するというのは、喫緊の課題であると同時に根源的な課題でもあります。一部の関係者だけが実施するというのではなく、全国民が有限性や温室効果ガスの排出削減に配慮しながら、シンプルで質の高い暮らしができるように、資源循環に関する市民啓発についても十分にお願いしたいと思っております。
以上です。(拍手)
○務台委員長 ありがとうございました。
次に、村上参考人にお願いいたします。
○村上参考人 株式会社北浜化学の取締役製造本部長、村上と申します。
今日は、貴重な時間をいただいて、発言また皆さんの意見を聞けることを楽しみで、ここへ参らせていただきました。
先ほど、藤枝参考人、花嶋参考人から、今回の新法に関する重要性ですとか概略の要望等は細かく発言していただきまして、私は、そこの座席ですごく感心しながら聞かせていただきました。
弊社は、参考に持ってきました資料からちょっと抜粋しますけれども、通常、プラスチックを主体としましたケミカルリサイクルということを、地元なりいろいろなところで啓蒙活動をしながら、プラスチックを廃棄物というものから資源というものに変えながら、また、先ほどお二人が言っていただいたように、ごくごく地域の身近なところから国民なりが資源循環ということに関しては興味を持って、また、毎日のようにテレビ、報道では、SDGsですとかCO2削減、環境破壊とか資源循環という言葉は多く聞いていますけれども、実際、それを活動、行動、実行に移せる人がどのぐらいいるかというのは非常に疑問なところです。ですから、今回の新法に伴って国からそれを発してもらうのと同時に、本当に自分たち国民が真剣にそれを問題意識として捉えて一緒になって動けるようになれればと思っています。
先ほど言ったように、北浜化学とすると、ちっちゃな事業活動として、地元大阪では、ペットボトルのキャップ等々を皆さんに集めていただいて、それを実際に実機をもって熱分解をしながら、その燃料を船の燃料として使用していただいて、府民の方に乗船いただいた。先ほど控室でちょこっとお話をしましたら、花嶋参考人もそのイベントに参加していただいて、その船に乗船をしていただいたそうです。ちなみに、そのときに燃料を入れたのが私でした。
本当に、身の回りにある廃棄物が資源になるということは、何となく情報等々では聞いていて分かっているはずなんですが、じゃ、実際にそれをどうするんだとか、これがどういうふうになって何に使えるんだということは本来余り理解されていないような気がします。
あと、法律の整備と併せてなんですけれども、今、北浜化学では、移設をしながら使える熱分解装置というものを研究もしていますし、製造もしているところなんですけれども、今年元旦に富山で起きてしまったあの大きな震災で大変な思いをされている方たちに何といっても必要なものとすると、水と電気だと思うんですけれども、あそこへもし、KASHINと呼んでいますけれども、熱分解装置を持っていって、廃棄物となってしまったプラスチック類をその現場で熱分解をして、それでできた燃料を発電機で電気に変えれば、電気ストーブが使えるとか照明が使えるとか、そこで実際に、リサイクルというんじゃないんでしょうけれども、エネルギーとしての体験ができるし、そのまま震災復興の助力もできるんではないかと思って、いろいろな企業さんが今見えますけれども、同じようなことを考えられている企業さんが今はある意味多いと感じています。
七百五十キロ未満にすると牽引の許可が要らないので、そういうちっちゃいものができますかと問いかけられた企業さんもいます。なぜですかと聞いたら、ああいった震災等々のときには、許可がなくても、もしちっちゃなものだったら、現地へそのまま行ってすぐさまエネルギーとして使うことができると考えていますね。
それはある意味、国の補助金を使わせていただいてという考えを述べられていましたけれども、環境問題、廃棄物から今資源というものに名前が変わりましたから、資源化をして、イコール、リサイクルになると思うんですけれども、その開発は、国の大きな機関だけではなくて弊社みたいな地方の中小企業も、日夜いろいろなものをテスト依頼をされながら、それに対応して、こんなものがこういう割合でこういう利用価値のあるものにできるというのを、日々検討、テストしている次第です。
それを国の方で何かの支援等々いただければ、更に身近に、日本は長いですけれども、北から南まで有効利用できるような装置ができるのではないかと思って、日々テストしているところです。
その中で、先ほどお二人の参考人がすごい全体像は語っていただきましたので、弊社が今抱えている、先ほどケミカルリサイクルというものを主としていろいろ研究しているという話をしましたけれども、実は何年か前から少し気になることがあって、熱分解設備の構造なり方法というのは、平成十七年の一月十二日に環境大臣が詳細を公表はしてくれたんです。
環境省告示第一号ということで、熱分解装置というのはこういうものですというのは公表してくれたんですけれども、その解釈が国と都道府県の所管と違うことが多々ありまして、都道府県の担当課へ行って、実は熱分解をしたいんですという申出をすると、この機械装置が何物だか分かりませんという回答が返ってきて、リサイクル設備の設置ができないということが実際にあります。
設備の構造とか方法というのは、環境省が出している文言の中でも本当にさらっとした上だけになっていまして、もうちょっと突っ込んだところになると答えが返ってこないというのが現状です。
私も実際、環境省の方に電話をして聞いたら、それは地元の都道府県の担当と協議をしてくださいと。地元の担当課へ行ったら、それは、県の中に環境事務所が四つに分かれているので、そちらへ行って事前協議から始めてくださいということで、結局答えが出なくて、私単独では駄目だと思ったので、県の産業技術センターの方も一緒に行ったんですけれども、答えは同じです。
そこら辺の細かな法整備というか、ちっちゃな流末のところなんですけれども、それを国が音頭を取っていただいて、こういう方法に関してはこうだということをもうちょっと詳細に決めていただけると非常に助かるということがあります。
その中の一つとして、環境省さんが、二年前ですか、八月末に、都市鉱山のリサイクル率を倍に上げるということで、工程を作られて進むという記事を見たことがありましたけれども、実は、皆さんがお持ちのスマホですとかパソコン等々は中に希土類がいっぱい使われていまして、これを熱分解して分離ができれば、精製をして、日本は資源もエネルギーもない消費国ですから、それを、日本国内にあるものを再利用できれば、そんないいことはないんですけれども、実は、あるところでも装置はやって、動いて、東京二〇二〇のメダルにも使われたという事例があるんですけれども、それも今現在は、例えば、都道府県なり国にお願いをして、こういう装置をといっても、その装置は何になるか分かりませんというようになりますし、環境省等々が出している熱分解設備の構造、熱分解方法にも、ちょっとこれはどうなるんでしょうかというところが詳しくは回答されませんので、廃棄物処理とは思っていないんですね。
先ほど言ったように、循環資源として、輸入をして使っている希土類等々が、実は、見てみたら自分たちの身の回りにもいっぱいありますので、それを資源として循環させるには、熱分解は非常に面白い方法だと思っています。
例えば、タイヤなども、この方法からいくと、熱分解するとカーボンと呼ぶものが五三、四%生成されます。オイルは、これはA重油になるんですけれども、三二、三%です。そうなると、国で決められた方法とか構造からいくと、これは一体何になるんでしょうかというのが非常に問題で、例えば、先ほど言った、震災のところへ行って、タイヤ等もあれば、熱分解してしまえばA重油の二号ができてしまいますので、古いディーゼル発電機等々の燃料としても使えるということが実際にあります。
それなので、今回の新法に合わせて、大きな日本のリサイクル方法等々の発展を踏まえながら、ちっちゃなリサイクルの一つ、ケミカルリサイクルなんですけれども、それは弊社とすれば、もうちょっと細かく精査していただいて、細かなところにも対応していただけるような体制をつくっていただけると非常にありがたいと思っていますので、是非よろしくお願いします。
ありがとうございました。(拍手)
○務台委員長 ありがとうございました。
次に、粟生木参考人にお願いいたします。
○粟生木参考人 公益財団法人地球環境戦略研究機関の粟生木と申します。
本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
私自身は、当機関におきまして、国際的な政策動向というものを中心に研究を進めているわけですけれども、私の担当、特に循環経済、循環型社会、資源効率の向上といったところをテーマに、国連ですとか、EU、欧州各国の動向を追っております。本日は、そういった研究の成果から、本法案との関連性について意見を申し述べさせていただきたいというふうに思います。
それでは、お配りいたしました資料の一枚目、「経済・暮らしと資源使用・環境影響の切り離し」というスライドがある方のページを見ていただきたいというふうに思います。
こちらには書いてございませんけれども、世界の資源消費、一九七〇年以降、現在までにおよそ三倍以上になっているというふうに言われておりまして、現状のペースでこのまま資源採掘、資源消費が続くと、二〇六〇年頃までにはさらに三倍ということになるというふうに試算されております。
先進国と最貧国の資源消費のレベルを比較いたしますと、おおよそ十倍の差があるということになります。したがいまして、このままいきますと、現状の資源消費というものが非持続可能であるというところに、国際社会としても大きな課題感を持っているという状況にございます。
一枚目の下のシート、「資源消費と気候変動・生物多様性」というタイトルを使いましたスライドを見ていただきたいというふうに思います。
このスライドですけれども、国連環境計画で、こういった資源効率性ですとか循環経済を専門とする科学者が集まった国際資源パネルという専門家パネルがございます。これによる試算によりますと、こういった天然資源の採掘とか、製品を製造していく工程ですけれども、これが気候変動の影響の約六割、生物多様性喪失と水への負の影響の約九割、大気汚染健康影響の約四割を占めるというふうにされております。
したがいまして、こういった環境影響ということを削減していくに当たっても、生産と消費のパターンの変革が必要になってくる。つまり、脱大量生産、脱大量販売というところ、脱却していく必要があるというふうに考えます。そのアプローチの一つが、循環型社会であり、循環経済というふうに言えるかというふうに考えております。
裏にめくっていただきまして、これまで私が政策研究を進めてきた中で、サーキュラーエコノミー、循環経済を実施していくに当たってどういう取組が必要かというものをまとめてみた図がこの図になります。
おおよそ四つポイントがあると思っておりまして、一つは長寿命。これは、維持やメンテナンス、修理、修復、耐久性を延ばすということで得られると考えております。
二点目が循環。これは、再製造、リマニュファクチャリング、部品の再使用、リユース、製品そのものをリユースするという再使用、そしてリサイクルがあるというふうに考えます。
三点目といたしましては、資源の代替。再生資源、リサイクルを通じて得られた再生資源を積極的に製造側で活用していくということと、枯渇性の資源、金属とか化石燃料といった枯渇性資源から、持続可能な範囲で管理していれば、枯渇性ではない生物資源等を使うという形の代替があるというふうに考えます。
最後に省資源です。軽量化、製品の軽量化というところはもちろんですけれども、例えばカーシェアなどのシェアリング、若しくは製品のサービス化、サブスクリプションで一定期間その製品を利用して、また使用が終わったら元に戻すという形のものですけれども、こういった形があるというふうに考えております。
それに当たっては、例えばその実現を支援するための実現者、イネーブラーと英語では言っておりますけれども、そういったものが必要であったり、どこにどういった循環資源がある、若しくは、どこにどのようなリユースのオポチュニティー、機会があるかといったところの情報が重要になってくるというふうに思われます。
加えて、製品のデザインですとかビジネスのデザイン、そして社会システムのデザインの変革が必要になってまいります。
本法案は、私の理解では、社会システムのデザインを変革するための最初の一歩というふうな位置づけで考えております。ここを、社会システムのデザインを変革することによって、リサイクル、そして再生資源の活用といったことをより推進していくという形になろうかというふうに考えております。
下のスライドに行っていただきまして、欧州ですけれども、欧州では、サーキュラーエコノミー行動計画といいまして、様々ないろいろな施策を打ちに出ているわけですけれども、この中で、こういったサーキュラーエコノミー実施のポイントというところを網羅しているように考えております。
一点目、右側の三つの四角の一点目の持続可能な製品というところで、エコデザイン規則といったところで、リサイクル材の活用ですとか、修理をしやすいデザインに変えていくといったところがございます。
二点目、廃棄物の削減、リサイクルにおきましても、野心的なリサイクル目標を掲げて、様々な施策を打ちながら、リサイクルのこういった野心的な目標を達成するため、必要な取組をしているということになります。
その他、例えば、ファイナンス関連で、そういった取組を行う企業に、より投資をしやすくなるというような環境づくりですとか、国際合意も関連して議論を進めるといったところ、そして、指標、循環物質利用率といいまして、その製品の生産にどのくらいリサイクル材等を活用しているか、そういった指標を掲げた取組など、様々進めているわけです。
その中で、左下の四角に書いてありますけれども、電化製品ですとか、バッテリー、車両、容器包装、プラスチックといった優先分野を掲げ、様々な施策案ということを成り立たせているという状況です。
したがいまして、こういった中で、グローバルにビジネスをされていらっしゃる企業に対しても一定の影響があるわけですけれども、その中で、今回の法案というところで、資源循環を高度化し、更に促進していくというところで、そういったビジネスの支援というふうになると思っていますし、それを支える資源循環産業の育成というところにも非常に効果的であるというふうに思います。
こういったところで、個社で非常に資源循環をしていくというところには一定の限界があるかなというふうに考えております。その中で、連携というものを進めていくことが必要ではありますけれども、既にいろいろな参考人から御発言がありましたけれども、そういった中で様々な課題があり、そういった課題を打破していくための新たな社会システムの在り方というものを検討する必要があろうかと思います。
その中で、この法案というところは、再資源化事業の高度化を計画をするということで、連携の素地が整ったというふうに理解しております。
国内では、やはり、元から言われておりましたけれども、資源の確保でありますと同時に、最終処分場の延命というところに成功はしてきておりますけれども、限界があるということは分かっております。同時に、一億人の人口があるという、世界で比較すると比較的多めの国でありますので、循環資源を得られるポテンシャルも高いというふうに考えております。
その中で、こういった再資源化事業の高度化を進めることによって、グローバルなビジネスを進める企業の国際競争力の支援ですとか、そういった観点が必要になるというふうに思います。加えて、カーボンニュートラルは不可欠な要素ですので、これと脱炭素を両立していくということが不可欠であります。
そういった中で、こういった再資源化事業等の高度化を進めるとともに、脱炭素の確保ということが確実に得られるように、今後、法案の内容を見たところ、政令でいろいろ詰めていく場合もありますので、報告ですとか指標ですとか、そういった観点を強化しながらこの法案というものが進めば、循環経済、循環型社会の実現により資するものというふうに考えております。
私からは以上です。(拍手)
○務台委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○務台委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原正敬君。
○石原(正)委員 四人の参考人の皆さん方には、今日はお忙しい中、この場にお越しいただきまして、それぞれの立場から貴重な御意見をいただきましたこと、まずもって御礼申し上げます。本当にありがとうございます。
四人の方にそれぞれの立場からお答えをいただきたいと思いまして、忌憚のない御意見を賜ればと思いますので、よろしくお願いします。
まず、藤枝参考人さんに、いただいた資料の中で、いろいろ、全て聞きたいところはあるんですが、まず一点目にお聞きしたいのが、三枚目になりますかね、資源循環の産業競争力強化というので、自治体とか排出事業者とかが輪になっているところの真ん中の二つなんですけれども、環境負荷低減効果の見える化というのと、もう一つ、ビッグデータ活用によるマッチング、この二つがありまして、先ほども少し陳述の中でも、このビッグデータのことを、全てマニフェストがある、電子化されている、されていない紙のベースのものもある、こういうような言い方をされたんですけれども、特に、ビッグデータの活用というものの今の課題と、これからこういうふうな可能性があるんじゃないかというようなことが具体的にあれば、ちょっと教えていただきたいということが一点ございます。
今、ちょっと各委員の方にそれぞれ振っていきますので、その間、少し考えておいていただければと思います。
次に、花嶋委員におかれましては、それぞれ自治体とか団体の皆さん方とかあるいは地域の事業者の皆さん方、二点ずつまとめていただきまして、極めてコンパクトに分かりやすい御意見をいただきました。私も小さな町の町長をやっていましたのでよく理解できるというか、本当に頭にそれぞれの担当者の顔とか中小の事業者の皆さん方の顔がよく浮かぶような、そういった陳述でございました。
その中におきまして、資源循環、リサイクルをしていればよいというのではなくて、やはり資源を使わないようにしていくというようなことが一番重要なんだということをおっしゃったと思います。
PRをしてくださいねということでありますので、この法案の中においてどういうところをPRしていけば、具体的にこういうところに力点を置いてPRしていけば、国民の皆さん方あるいは地域の皆さん方が、こういう取組もしっかりやっているんだなというような理解が進むのではないかというようなことがもし具体的にございましたら、教えていただきたいなということでございます。
次に、村上参考人にお伺いするんですけれども、先ほどの熱分解装置の許可を得る際の、環境省は大枠の仕様といいますか、こういうものだというのは示しているにもかかわらず、都道府県とか市町村、特に都道府県だと思うんですけれども、実際に許可を得ようとすると、はて、何ですかというようなことをおっしゃったと思うんですけれども、全国でも何かいろいろとそういう問題が起こっているようでございまして、村上参考人だけでなくて、やはりこれは全国の問題で捉えないといけないんじゃないかというような意識があろうかと思います。
ですので、もう少し、実際に例えば期間がこれぐらい延びたとか、協議している中でも何が一番困ったとか、そういうようなところがもし実体験に基づいてあれば、教えていただければありがたいなと思いますので、よろしくお願いします。
そして、粟生木参考人さんにおかれましては、特にEUのサーキュラーエコノミーの行動計画について造詣が深いということで、中央環境審議会の委員もなさっていたのではないかと記憶しておるんですが、まさしくこの法案のど真ん中の政策を実際に研究をされてきている方だという認識の下でお伺いするんですが、四枚スライドの一番最後になるんですけれども、循環経済への移行ということで、経済への移行ということが強調されている中におきまして、私は、最後のファイナンスという部分が、やはり少し世界の潮流に比べますと、日本の経済界に対するアピールが足らない部分があるのではないか、あるいは、仕組みとしてこういうところをもう少し強調した方がいいんじゃないかというようなことがあるのではないかなと感じているところでございます。
ですので、このファイナンスの部分について粟生木参考人さんが何か思うところがあれば、批判ではなくて、もう少しここをアクセルを踏んでいくと、よりよい日本の循環経済への移行ができるのではないかという視点をお教えいただけるとありがたいのと、もう一つ、最初の一歩とこの法案のことをおっしゃったんですけれども、やはりこの先、五年先ぐらいにもう少しこういう課題が出てくるであろうということがもし分かっていれば、お教えいただければというふうにして思います。
以上、それぞれの参考人の皆様、よろしくお願いします。
○藤枝参考人 御質問ありがとうございます。
ビッグデータ活用のマッチングについてお答えをさせていただきます。
冒頭お話ししたとおり、我々は、廃棄物を委託処理をするときに、必ず積荷伝票、マニフェストを扱います。そういった中には、当社の場合でも約六千社ぐらいのお客様と御契約をいただいておりますけれども、どこの会社様から、どこの場所で、どのような素材が、どれぐらいの量が出るというのは、全て僕らはデータとして持っているわけなんですね。
我々の重要な仕事として、要らないというものを持っていらっしゃる企業さんと、その素材が必要だと思っていらっしゃる企業さんとがいらっしゃいます、その間を取り持って、お見合いをさせるのが僕らの仕事でもあるわけでございます。
そういった面では、我々が大きく持っているデータを、いろいろな仕組みをこれからつくらなきゃいけないんでしょうけれども、システム構築をしながら、そういったお見合いをできるような場を、プラットフォームみたいなものをつくっていけるというのもあるでしょうし、これが、当社だけじゃなくて、全国には数万という許可業者がいるわけですから、そういった中では大変なデータが蓄積されていると思います。また、それと同時に、それを処理処分する工程の中ではどれぐらいのCO2が発生しているんだとか、そういうことも含めたデータが集まります。
そういったものも大きく集めながら、ただ、いろいろな新しいシステムをつくるのにも時間がかかりますから、できれば、今あるような電子マニフェストの、これは普及促進も必要になってきますけれども、電子マニフェストのデータを活用する、場合によっては記載事項を少しプラスしていきながらそういうデータに活用できるようなことになれば、資源のお見合いというのは非常なビジネスマッチングにもなりますから、もちろん、今までは必要な資源が海外に流出しているものを、国内とか地域とか地産地消型とか、こういうことにも迎えることができますので、是非こういった仕組みをつくっていければいいのではないかなというふうに思っております。
以上でございます。
○花嶋参考人 ありがとうございます。
容器包装リサイクル法ができたときに、あれはあれで非常に意味のある法律ではありましたが、容器包装リサイクル法ができて、リサイクルするからいいんじゃないかということで、あれ以来、小さなペットボトルがどんどん世の中に出て、そして、ペットボトルの使用量はどんどん増えてしまいました。
ですから、今回も、リサイクルするからいい、あるいは、リサイクル量がこれだけ増えたとか、リサイクル率がこれだけ上がったということではなくて、もう一段外側の、外から投入する原料がどれだけ減ったとか、あるいは、システム全体で排出する温室効果ガスが減ったとかいうようなことを競っていただかないと、何となく雰囲気で環境に優しいとかいうようなことをPRされると、どうしても、ペットボトルを飲んだ方が環境に優しいんだなみたいなイメージで理解されてしまうのではないか。
それがまた善意だからこそ、そういうふうに活動してくださる方の善意を無駄にしてしまうのはもったいないと思うので、やはり資源は有限であって、それをどうやって使わずに次の世代へ渡していくかということをまず第一の前提としてPRをしていただきたい。PR自体は、多分、とても企業の方々はお上手だと思うので、そういうお上手な方がこういうことをみんなに伝えていただけたらなと思っております。
以上です。
○村上参考人 ありがとうございます。
先ほどの御質問の回答なんですけれども、実際に、私は群馬県なんですけれども、熱分解装置、昔は油化装置といいましたけれども、プラスチック等々からは、生成される炭化水素油がかなりの重量比で取れます。これは廃棄物処理という観点では考えていませんで、資源循環、要するに、固形のプラスチック等々、廃棄物だったものからエネルギーに変えて、化石燃料を使わずに、自分たちの身の回りから出た、捨てられてしまったものから新たなエネルギーを作ろうということでいろいろ考えています。
群馬県のある環境事務所での話ですけれども、先ほど言ったように、熱分解は無酸素状態で外部加熱をしますので、プラスチック類は、溶けてから更に温度を加えますと、成分が炭素と水素なものですから、炭化水素ガスとして外へ出るんですね。それを冷却してあげると、お風呂の結露と同じですけれども、油化、液体になりますので、それで油が取れるんですけれども、どうしても熱分解で炭化水素ガスになりますから、液化しない炭化水素ガスもいます。分析をすると、ブタン、メタン、プロパン等々が主原料です。
それは、脱臭の問題からとか、あとは、大阪でも、今、それをガスバーナーで燃やしてエネルギーとしても使うことができますけれども、燃やすと焼却炉だという表現をされまして、それは違うでしょうと。これはケミカルリサイクルの観点でエネルギーを作っていて、やはり熱分解をして発生した炭化水素ガスですから臭いはします、それをエネルギーとして使ったりとか、脱臭の目的で燃やすと焼却炉だと言われると、機械装置がそこで止まります。そこら辺は、先ほども言ったように、環境省さんにも聞きましたけれども、県の担当課に聞いても答えが出ませんので、だったら、どうしたらいいんでしょうかと。こうなると、資源循環はそこで止まりますので、何度も言いますように、資源もエネルギーもない日本ですから、是非有効なものはもうちょっと迅速に進めていただければと思います。
あと、先ほど重量比がありましたけれども、国が言っているのは本当に少ないんですよ。熱分解設備の構造、方法ぐらいで、これを見ると、熱分解室内への空気の流入を防ぐこと、そんなことは当たり前で、そんなことをやったら焼却炉になっちゃいますので、あとは廃棄物が外へ出ないこととか、そんなことも分かり切っていることなんです。
そうじゃなくて、もうちょっと資源を循環するために、これは多分五年度なんですけれども、資源自律経済システム開発促進事業というのが国の制度でありまして、排出されてしまった廃棄物等々から金属やプラスチック等の各種素材を有効利用しなさいという補助金をつけられた例があるんですね。それを見ると、まさしくレアメタル等々が取れるので、そういうことは国の補助金を出してもやりなさいねと言っていますから、そうなると、私が思うには、一番いい方法はケミカル、熱分解だと思うんですね。
そのときに、また同じ話になってしまいますけれども、こういったものを資源循環をしたいために置きたいんですけれども、どうでしょうかと言ったら、何の機械だか分かりませんと。そのまま止まっちゃいますと、これだけ皆さんがすごく強力に、いろいろな意見を出し合いながら検討していただいていますので、スムーズにいけるようにもうちょっと突っ込んで、何か位置を決めていただけるようにと思いますので、よろしくお願いします。
○粟生木参考人 御質問ありがとうございます。
ファイナンスの観点、経済界へのアピールということでございますけれども、国際条約上、現在、気候変動と生物多様性という大きな環境関連の条約があるわけですけれども、スライドでお示ししましたように、こういった生産と消費のパターンを変えていくということが脱炭素、生物多様性の保護。
生物多様性の保護の場合ですと、多分、土地利用をこれ以上行わない、資源採掘を行わないというところにつながってくるわけですけれども、こういった資源循環の高度化、そしてまた再生資源の活用といったところを通じて脱炭素、生物多様性に資するということが一つのアピールポイントになろうかと思いますし、それが、そういった環境問題に意識の高いファイナンスといったところの引きつける要因になろうかなというふうに考えております。
他方で、そういったところを適正に評価するといったところは非常に難しいことであります。今回、藤枝参考人からもビッグデータという御発言がありましたけれども、そういった情報というところをそれぞれの主体が適正に評価できるという体制を整えていく、それは中小企業も含めてですけれども、そういった体制を整えていくということは非常に重要かなというふうに思います。
二点目の御質問として、最初の一歩という発言をさせていただいたというところで、今後に向けてというところですが、CEの実施のポイントというところで、製品のデザインやビジネスのデザイン、そして社会システムのデザイン、全体を変えていく必要があるというふうに申し上げさせていただきました。
実際、特に製造メーカーの方で様々な取組というところが進んできているわけですけれども、そういった製造側の変化といったところに合わせた最適な資源循環の在り方というものが今後見えてくるかなというふうに思っております。そういったすり合わせの場を適切に設定していくということと、その状況にあってコストが最も低い、特に、製造側の皆さんはコストが課題だというふうにおっしゃいますので、コストが最も低くて最適化されたシステムということを定期的に見直していくということが肝要かと思っております。
以上です。
○石原(正)委員 時間も来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○務台委員長 次に、馬場雄基君。
○馬場(雄)委員 皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まずは、衆議院の環境委員会に、藤枝参考人、そして花嶋参考人、村上参考人、粟生木参考人、お越しいただきまして、そして御教示を賜り、本当にありがとうございます。
時間が十五分しかありませんので、お一人お一人ずつお伺いしたいところではあるんですが、時間の許す限りというところで御勘弁いただければというふうに思います。
私からは、まずは、少なくとも三点伺いたいなということがありまして、まず一つ目は、サーキュラーエコノミーという言葉についてお伺いしたいと思います。
今回、参考人の皆様の御教示の中には、藤枝参考人から、資料の中でサーキュラーエコノミーという言葉がありまして、そして、粟生木参考人からは、口頭でサーキュラーエコノミー、EUの説明の中であったと思うんですが、果たしてこの言葉が国民理解につながっているのかというところには、大きな違和感を覚えている一人であります。
ここは花嶋参考人に是非ともお伺いしたいんですけれども、ごみゼロプロジェクトですか、天神祭のプロジェクト等々を見させていただきましたけれども、あのときには、たしかごみゼロという言葉で言われていたんじゃないかなというふうに思います。私も、以前、環境委員会で、もったいないゼロ宣言の方がいいんじゃないかとか、そういう言葉の方が国民理解が増進されていくんじゃないかということを申し上げていたことがあるんですが、まさに実践者のお一人として、どういう言葉で伝えていくことが国民理解の増進につながっていくとお考えになるのか、そこを是非お伺いしたいなというふうに思いました。
○花嶋参考人 ありがとうございます。
私は、大阪で百三十万人の人出があると言われている天神祭のごみゼロ大作戦というのをやっております。ただ、やりながら、私もごみはゼロにはならないとは思いながらも、目指すべきはごみゼロということで、分かりやすくごみゼロと言っております。
環境に関するいろいろな単語というのはどんどんどんどん新しいものが出てきて、そして、サーキュラーエコノミーとかいうと、サーキュラーエコノミーというのが格好いいみたいな形になってしまいますが、御質問にありましたように、何ですか、それはと。次々新しい言葉を学ばなければいけないわけではないと思います。なるべく、みんなで共有できる分かりやすい言葉で伝えていく。
そういう意味では、循環型社会とか循環経済とか、私自身は経済よりも循環型社会の方が好きですけれども、誰が聞いても分かるような言葉でみんなに伝えていって、もったいないの国の私たちですから、そういう言葉でちゃんと伝えれば、みんなに伝わるのではないかなと思っておりますので、私も、あえてサーキュラーエコノミーと言わなくてもいいのではないかなと思っております。
ありがとうございました。
○馬場(雄)委員 花嶋参考人、ありがとうございます。
まさに今のお言葉を国会に刻んでいただいて、私もうれしいなというふうに思うんですけれども、やはり日本語の方が分かるよなというふうにも思いますし、そこを分かりやすく伝えていくことこそが、本来は行政がやっていかなくてはならないことではないかということを質疑に生かしていただければというふうに思います。
二つ目の点でございます。
自治体への影響というところに、どうしても私もフォーカスしなければいけないなというふうに思います。こちらも花嶋参考人のお言葉から引用させていただきたいと思うんですが、まさに今回の法案は、御指摘いただいたとおり、業務の許可等がいわゆる国が行うことになり、ところが、一方で、監督責任は所管行政、いわゆる自治体が担っていくという少しちょっとずれた形になっていくことへの懸念点をおっしゃってくださったというふうに思います。
自治体の審議会も、まさに審議会の委員の御経験もあるということでございまして、イメージとして、どういう点に混乱が生まれてくるというふうにお感じになられるか。今回の御指摘の中では、より情報提供をしっかりとしていただきたいという、その旨を私たちも受け止めておりますけれども、そのほかに、もっとこういう点を気をつけてほしいなとか、もっとこういう点があった方が例えば自治体の審議会でも話しやすくなるなとか、そういった点があれば、是非加えて教えていただければと思います。
○花嶋参考人 ありがとうございます。
本当に今あちこちの自治体も人員を削減されていて、いっぱいいっぱいのところで仕事をしている状況の中で、いきなり新しい業務が降ってくるのは大変だろうなと思います。
さらに、今回、例えば、大量に廃棄物を処理する事業者に関しては、ある一定以上であれば、国がいきなり命令ですとか罰金とかを言ってくるというように言われています。今までですと、ずっと廃棄物の処理事業者は地元の所管のところから、廃棄物処理法にのっとっていれば、それで問題なく過ぎてきたわけですし、ちゃんと経営もやっていれば、よくできましたと優良事業者として褒めてもらっていたのが、いきなりリサイクル率が足りないからどうにかしろとかいうふうに言われても困るのではないか。
困ったらどうするかというと、今までのなじみの所管の行政、自治体に、どうしたらいいでしょうねとか、何がいけないんですかとか、いろいろなことを頼りに行くのではないか。しかし、それをやっているのは国だったりすると、そこで、それはよく分かりません、うちがやっているわけじゃありません、うちは通常の廃棄物処理法の規制をやっているだけですからよく分かりませんとかいうことになると、窓口大混乱じゃないですけれども、すごく大変なことになると思います。
それでもこの法律自体には意味があると思いますから、その辺のところを、行政の、実際の所管の自治体と国との間の連絡を密にしていただいて、また、様々な認定を行う場合には、いきなり認定しましたという結果ではなくて、始まったところからずっと情報提供をいただけると、担当の自治体もうまくスムーズに仕事ができるのではないかと思います。
以上です。
○馬場(雄)委員 改めて、ありがとうございます。
まさに重要な御指摘をいただいていると思いまして、認定プロセスから含めて国と自治体が密に連携を取っていくことの必要性を教えていただいたというふうに思います。そこをしっかりと私たちも受け止めて動いていきたいというふうに思います。
三つ目の点ですけれども、ここは少しちょっと話が変わっていきまして、よかったら、藤枝参考人とそして村上参考人にお伺いしたいんですが、リサイクル材の市場化についてお伺いしたいんですね。
いわゆるリサイクルするところまでは、いろいろな支援とか枠組みとかで何とか来られるんですが、リサイクルした材の市場化、ここがないと、正直、経済というのは回っていかないというふうに思っています。
今まさにお働きになられている分野で、そこに対する懸念であったり課題感を持っていらっしゃったら、それを教えていただきたいですし、これから高度化ということで、そういうふうな高度化が今までできていなかった、いわゆるリサイクル材ですよね、それが今後また出現するときに、なかなか市場に乗っていかないんじゃないかという懸念もあるのではないかなというふうに思いまして、そこに対してどういうふうな制度設計をしていくことが望ましいか、現場のまさに皆様方のお声というのを是非ともお伺いしたいなというふうに思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○藤枝参考人 馬場先生、ありがとうございます。
確かにおっしゃるとおりでございまして、リサイクルは、使ってもらって初めて成り立つループでございます。先ほどおっしゃられたとおり、我々が一生懸命技術力を上げてリサイクリングをしても、それが社会のニーズに合わなければ何にもならないわけですよね。
先ほど私がこの法律に期待する一つのポイントとして一番最初に挙げた動静脈連携、まさにここにあると僕は思っております。必要とされる方々に対して、我々産業側では高品質で安定的な供給ができるものを一生懸命作っていく、また、動脈の方々はそういった製品を使いこなす努力をしていただく、これが非常に大事だというふうに思います。物づくり立国の日本でございますから、非常に品質に対しては厳しいのはよくよく分かっておるんですけれども、何とかそういった廃棄物由来の資源を使いこなす努力も同時にやっていただきたいなというふうに思っております。
また、廃棄物由来だということだけで、品質が劣っているだとか、要は社会に必要ではないとか、そういうものではなくて、やはりバージンを使うのも大事なんですけれども、是非、我々の作った再商品を積極的に使えるスキームをこういった法律の下でつくっていただければありがたいなと思います。
以上です。
○村上参考人 ありがとうございます。
リサイクルですけれども、弊社は、実は、マテリアル、ケミカル、サーマル、全部やっているんですね。世間で望まれるものですけれども、当初、廃棄物だったもの、例えば農業用の資材が、洗浄、破砕をして、比重分離をして、脱水、乾燥してペレットにすれば、また農業資材に戻って、同じところで、資源循環ですね、使われます。
ただ、片や、水を、排水処理をして、大きなモーター容量の、莫大な電気を使ってそれをまたマテリアルリサイクルをして、果たしてそれは環境に優しいんでしょうかという疑問もあります。
ただ、農業資材としてよみがえることは確かなので、それはよしとして使うんですけれども、何度も繰り返しているとやはり成分が異質なものになりますので、ずっとマテリアルはできませんから、そうなると、次に待ち構えているのがケミカルリサイクルだと思います。
先ほど申し上げたように、炭素、水素でできているものですから、それは熱分解をしてしまって炭化水素ガスにしたものを炭化水素油にすれば、燃料として電気に変えたり、あとは、最近、はやっているのは、蓄電池もいっぱい出てきましたから、発電した電気を蓄電池にためて有線のないところへ持っていって、先ほど言ったように、被災地にバッテリーを持っていけばそこで使えるわけですから、そういった利用方法があります。
その原点になるのが、マテリアルリサイクルでは、成分を全部分けないといけないということがあるんですね。これを分けるのが大変で、先ほどの容リプラがありましたけれども、自分たちの家庭から出たごみを全部プラスチック種類ごとに分けるのはできません。
それなので、できたものはマテリアルですけれども、混じっちゃったものは、熱分解をすれば、ケミカルリサイクルとして、新たなエネルギー、資源として使えます。もっと混じっちゃった場合、例えば、塩ビとか、有毒なものを、塩化水素を出すものとか、PETは、熱分解をされてもテレフタル酸というものが出て、油になりませんので、そういうものが混じっちゃったものはどうするんですかとなったら、何度も申し上げますけれども、日本はやはりエネルギーのない国ですから、それはサーマルリサイクルということでエネルギーとして使ってあげれば、化石燃料等を使わずにそのままエネルギーとしての役目を果たせるのかなと思います。
ですから、元々廃棄物だったもの、高品質なものという観点から、弊社は、元々資源をそのまま循環してエネルギー等々を作るという観点で活動していますので、元々は自分たちの家庭から捨てた、例えばケチャップが入っていたボトルかもしれません、でも、そういういろいろ混ぜた中では、ケミカルリサイクルをすると、単純には灯油なり重油なりというエネルギーに変えることができますので、廃棄物ということは余り使いたくはないんですけれども、資源循環をする母材をリサイクルの方法によって有効利用されていくことがいいことだと私は考えています。
以上です。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
時間が参りましたので、参考人の皆様方に厚く感謝を申し上げ、質疑を終わりたいと思います。
本当にありがとうございました。
○務台委員長 次に、奥下剛光君。
○奥下委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の奥下です。
本日は、四人の先生方、ありがとうございました。
限られた時間ですので、早速質疑に入っていきたいと思うんですが、この法案をやっていくに当たって、我々側の立場として、僕は五つの観点をずっと見ていかないといけないかなというふうに思っております。
一つが法規制の整備、これは当然ですけれども、二つ目に産業の活性化、三番目に技術革新の促進、四番目に地域社会への貢献、連携、五番目に国際的な規制との調和、これが必要じゃないかなというふうに思っておるんです。
まず、先ほど、村上参考人からもお話がありましたけれども、法規制の整備、これは、環境省であったり、各自治体での見解が違うということも当然、私も秘書が長かったので、そういった陳情を数多く受けてきて、正直、いらいらするようなことが多かったんですけれども、例えば廃棄物処理やリサイクルに関する基準や手続とか、違反に対する罰則なども考えていかないといけないと思うんですけれども、もっと現場サイドで、手続においてとか、こういったことをしていただければもっと簡潔に進むんだろうなというようなことがあれば教えていただきたいんですけれども、お願いいたします。
○村上参考人 ありがとうございます。
先ほど申し上げたのがほとんどなんですけれども、法律遵守で廃棄物をリサイクルする施設、装置を造るものですから、やはり簡単な手続ではいかないというのは重々分かっているんですけれども、そうなりますと、所管の都道府県の環境何ちゃら課とかにお伺いを立てて、これはどういうふうに手続を踏んで、どういった許認可を取って、どういったことをすればいいんですかといったときに、先ほど申し上げたように、これはちょっと分からないんですと。じゃ、国に聞いてみましょうと。国にお聞きをしても、それは、許認可を出すのは所管の都道府県の担当課なので、そちらと協議をしてくださいということになると、残念なことに堂々巡りです。
先ほど申し上げたように、弊社北浜化学とすれば、熱分解というものを主体としてリサイクル、資源を循環するようにという活動をしているんですけれども、廃棄物処理じゃなくて、エネルギーを作るという観点から、皆さんがお考えを変えていただけると、災害で発生しちゃった廃棄物がエネルギーに変わってすぐに有効利用できるとかになりますと、ちょっとやはり考えが変わっていただけるのかなと思うんです。そこら辺をもうちょっと突っ込んで議論していただいて、それは機械の構造でもいいですし、使用方法でもいいですし、いろいろな観点から議論をしていただいて、それを例えば弊社なりに、こういうことはできるんですか、これはこうなって使えるものになるんですかとか、例えば、オイルは分析をされて、こういうものなんですかというようなことを尋ねていただければ、弊社も公的機関に炭化水素油の分析を依頼して、こういうものができるんですとかということは常々やっていますので、そこら辺を国、都道府県で意見が変わって、それもすごい時間もかかりながら答えが出ないということだけは何とか避けていただけるようにというのが希望です。
よろしくお願いします。
○奥下委員 ありがとうございます。
僕も、先ほど申し上げたように、常々判断基準の違いというのは痛感しておりまして、今回、この法案を通すに当たって、環境省の責任の下、ある一定の基準というのはきちんと設けていくべきだなというふうに思っております。
先ほどの鰐淵議員の質疑でもあったんですけれども、ペットボトルのキャップのリサイクル、回収は、水都大阪コンソーシアムで船を走らせたときに僕も見に行きました。ちょっと時間に遅れてお見送りになって乗れなかったんですけれども、本当に、こういったこと一つ含めて、地方自治体、大阪府の判断は当時あれでしたけれども、統一の見解をつくっていけるように我々も頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、産業の活性化という点において、産業界にどのようなビジネスチャンスをもたらすのか、その可能性についての規定や支援策、こういったものも現場サイドの声を中心につくり上げていくべきだと思っております。
藤枝参考人にお尋ねしたいんですけれども、もっと現場サイドでこういった支援策があればいいのになということがあれば御教示願えますか。
○藤枝参考人 ありがとうございます。
先ほど来お話ありました法整備の件もそうでございますけれども、リサイクルを推進するために阻害になっているものは、どうしてもやはり規制法でございますから、それは致し方ないというふうに思っていますし、それを乗り越えていかなきゃいけないというふうには思っております。
支援策につきましては、我々の現場サイドの企業というのは、やはりどうしても中小企業、あとは小規模事業者が多うございますので、例えばいろいろなリサイクルのマーケティングを調査するにしても、あとはそういう技術開発をするにしても、スタートアップからやはりお金がかかるということになると、そういったところから御支援いただく。事業を掘り起こすための支援策であったりだとか、あとは設備、どうしても設備投資産業でございますから、設置するときに、今のいろいろな補助メニューであると、ある程度もう話が進んでいて、例えば許可でいいますと、設置許可が終わっていないと補助メニューに乗りませんよとか、そういうふうな、ちょっとタイミングの問題として非常に難しいものであります。
昨今はいろいろな設備を発注するにも時間がかかりますので、できれば計画の段階からある程度の条件をつけていただいて御支援いただけるようなスキームがあれば、非常にありがたいなと思います。
更に言えば、でき上がっても、次に向かうためのつなぎの資金というのも、やはり、中小企業、小規模事業者は必要になってきますから、そういったところでは、脱炭素推進機構のような新しい会社も環境省主導でつくっていただきましたので、そういうところを活用しながら前に進んでいければなというふうに思っております。
以上でございます。
○奥下委員 ありがとうございます。まさに、最近、銀行なんか、そういった判断をする人間もいないですし、そういったことで、やはり中小企業の支援策というのは大切だと思っておりますので、こちらも頑張ってきちんと固めていきたいなというふうに思っております。
次に、技術革新の促進というのも大事です。皆さん、日々、日進月歩のあれだと思いますので、これは本当にトライ・アンド・エラーを繰り返していくしかないなというふうに思っております。
四つ目の観点として、地域社会への貢献、連携、これは先ほど花嶋参考人からもお話がありましたけれども、地域経済や雇用の創出、環境への配慮等、もうちょっとこういった観点があったらいいのになということがあれば、御意見をお聞かせいただけますか。
○花嶋参考人 もう少しこういったことが、そうですね、地域で小さな循環を、一生懸命、市民と事業者と行政が一緒になってつくっているところがあるんですけれども、それをもう少し応援するというのと、それから、それがもう少し規模が大きくなれるように、自治体同士の連携とか、それから、長期計画を作るような、話し合うような場があればいいのではないかなと。
今、それぞれの自治体がそれぞれの自治体の中でしか話を、計画を作らないですし、それから、長い計画というのは、一応、廃棄物処理法で十年、五年で見直しというような長さはあるんですけれども、もうちょっと長い計画を周辺の幾つかの自治体で話をする場みたいなものがあると、そこにまた事業者も乗ってきやすいのかなと思うので、そのような場をつくっていただければなと思っています。
そういう小さな循環が少し中くらいの循環になり、そして、それがいろいろなところにできれば、もしかしたら、あの方式ならうちでもできるかもなというような機運が上がってくるかもしれないので、全員が同じ方向に向かって、かつ、日本全国が大きな循環を目指すというよりは、小さな循環の輪がたくさんできることが望ましいのではないかなと私は思っております。
ありがとうございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
まさに、環境省を含めてですけれども、そういった人材を育成していくということがすごく大切だなというふうに思っております。ありがとうございます。
次に、国際的な規制との調和、やはりここが、今後進めていくに当たって、日本もきちんとしていかないといけないかなと思っております。
資源循環は国際的なテーマであり、他国の規制とも調和する必要が当然あり、法律案が国際的な規制や基準に準拠しているか、国際協力を促進する要素が含まれているかということが重要だと思います。
粟生木参考人にお尋ねしますが、こういったルール作りというのはEUがたけているというふうに思っております。そういった研究をされている観点から、もう少しこういった観点がこの法案にあったらなとかというのがあれば、お教えいただけますか。
○粟生木参考人 御質問ありがとうございます。
国際ルール作り、調和に向けての今後の望ましい姿というところでございますけれども、欧州の方ですけれども、様々な規制をつくるに当たって、欧州規格、標準化を活用するという傾向がございます。そういった中で、欧州がまずつくろうとしている規格ですとか政策というところをきちっと情報を収集して集めていくというところと、加えて、産業界で、特に日本の産業界が日本の事情に合わせたそういった基準というものを恐らくお持ちかなと思いますし、持っていなければ、そういった点というところを産業界で議論していただくということが必要になってこようかと思います。
本法案では、そういった中で、産業界の皆さんがより共通した議論をできるような場をつくっていくということを考えるということも一つ重要かなというふうに思います。
以上です。
○奥下委員 ありがとうございます。
先ほど御説明もありましたけれども、動静脈連携というのが大切だという、まさにそのとおりだと思うんです。
脱炭素化と資源循環を進めるために、静脈産業はどういった情報を発信していくことが大切だとお考えでしょうか。これは村上参考人にお願いいたします。
○村上参考人 動脈産業が廃棄物をある意味生み出して、静脈産業はそれを資源循環できるような工夫をしながら、社会が回っているんですけれども、先ほどビッグデータという話がありましたけれども、例えば、近隣にこういった方法でこういったリサイクルができるものが廃棄物として出ちゃったら、そこで連携ができればいいと思いますよ。ですから、今は産業だとか工業によってどうも分かれちゃっているんですけれども、実は隣を見たら、これは同じ機械でリサイクルできるとかというのがありますので、それはもうちょっと、今デジタル化でいろいろな情報が簡単に取れる時代になっていますので、積極的に活用していただければと思います。
弊社などは、一生懸命いろいろなところへ出前で出ていって、機械をアピールしているような状態ですから、それも是非、こんなものがこういうものに変えられるんだよという、エネルギーなり資源になるんですよということを国の方も積極的にアピールしていただけると、もっともっと住民が気軽にリサイクルとか資源循環ということに溶け込めると思うんですよね。
私は今日、原稿を作った中で、サーキュラーエコノミーの三つの原則というのがありましたけれども、それを見たけれども、何を言っているのか分からないんですよ。誰かが作った文言の三原則なんですけれども、それを今一般の国民が見ても、これは何を言っているのかというのは理解できないと思うんですよね。もっと自分たちの身の回りで、そのまますんなり素直に入れるようなリサイクルの構造を国が先頭を取ってつくっていただければ助かると思いますので、よろしくお願いいたします。
○奥下委員 まさに突き詰めていくと、これも本当に、何十年前からそうですけれども、そこで御飯を食べている人たちが、既得権益になっているところですよね、が進んでいくと、やはり横やりが入ったりとか、これは僕も痛感したことがありますので、最後は経産省の見解がこうだからとか、最後は財務省で税金がどうだからとか、特に油のことになってくるとそういったことが出てくるもので、各省庁もパスを回しちゃっているような感じですね。きちんと本当に、今回、環境省がこれを通すに当たって、環境省の責任の下に旗振りできちんとやっていただけるよう、我々もちょっと突き詰めていきたいと思います。
本当に、技術は日進月歩ですけれども、極論、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の二か三か忘れましたけれども、ごみを詰めて空を飛んでいくみたいな、ああいうことだと思っておりますので、本当にああいう夢のあることを進めていっていただけますよう、我々も頑張りますので、現場サイドでもよろしくお願いします。
時間なので終わります。ありがとうございました。
○務台委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
今日、新法の審議ということで、参考人の先生方には、お時間、本当にお忙しい中、お越しいただきまして、心より御礼を申し上げます。私がしんがりでございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
私、まず、じゃ、粟生木参考人にお伺いをしたいと思うんですが、粟生木参考人は、地球環境戦略研究機関、通称IGESの主任研究員をされておりまして、先ほどのお話にもあったとおり、主に、EUにおける循環経済の経済戦略とか、EUにおけるプラスチック戦略について研究をされておるということで、文献等を読ませていただきました。やはり、我が国よりも本当に先進的に様々な取組、またさらには、いろいろな計画とか、また規制等もしているんじゃないかと思います。
そこで、先生には先ほど、EUにおけるサーキュラーエコノミーの取組の特徴について御紹介をいただいたわけでございますが、その中で、特に日本が学ぶべき内容、こういったものがあるということがありましたら、そこのところをお教えをいただきたいというふうに思います。
○粟生木参考人 御質問ありがとうございます。
EUの方から学ぶべきところというところでございますけれども、まず、EUの行動計画全体として、製品のライフサイクル全体を網羅する施策を実施しております。すなわち、廃棄物として使用された後の段階のみならず、例えば、資源を調達するところでありますとか、製品を設計するところ、そして消費をするところ、それぞれに様々な施策を打っているというところがあります。この中で、様々な政策で、サーキュラーエコノミー、EUの場合ですけれども、循環の観点を様々な政策に織り込んで、全体として社会を動かすというような方向性に従って進んでいるというふうに思います。
そういった点で、今回の法案は、比較的、廃棄物として出てきた後をいかに高度化して、よりまた製造側に戻すかといったところに焦点が集まっておりますけれども、これを起点として、その他の政策といったところにも循環の観点を調和していくといったところが重要かなというふうに考えております。
以上です。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
それぞれの製品のライフサイクル全体を見ているというところと、それから、それがいろいろなところに織り込まれているという部分のところを学ばせていただきました。
さらに、粟生木参考人にお伺いをしたいんですが、我が国も、今回の新法の制定をきっかけに、循環経済、サーキュラーエコノミー、今日、どっちで言っていいのかなというのを少し迷いながらしゃべっていますけれども、この取組が私もより加速していくものというふうに非常に期待をしております。
そこで、先生にお伺いしたいんですが、このサーキュラーエコノミーへの取組とか、再資源化の取組の高度化、ここに我が国の可能性というものがどれぐらいあるのか、さらには、潜在性も含めて、ポテンシャルがどれぐらいあるのかというのを、我々、実はまだまだ分かっていないところがございまして、やはり、EUとの比較等を含めて、そういったところを先生からお聞かせいただきたいなと思うのと、また、その取組において先生が考える我が国の課題、こういったところにまだ障壁とか課題があるんだというところも含めて、こんなところをお聞かせいただきたいと思います。続けてで済みません。
○粟生木参考人 御質問ありがとうございます。
日本においての機会、可能性といったところでございますけれども、最初の御説明のときに申し上げた点においては、まず、一億の人口がいるといったところかと思います。加えて、日本の産業構造の特徴として、サプライチェーン全体を網羅しているといったところがあります。その一億の人口がもたらす循環資源の量というポテンシャルといったところを活用していくということが、まずもって必要かなというふうに思います。
他方で、サプライチェーンにおいて確保でき得る量というところを活用していくに当たって、質を上げていく必要がございます。その辺に当たっては、まだ様々に、製品においての複雑性でありますとか、これまでに議論されていた循環資源を運ぶといったところ、また循環資源を循環するといったところでの法的な制約があったわけでございますけれども、そういったところをクリアしていく必要があろうかと思います。
特に、質の面においては、製造側と資源循環側の対話というものが欠かせないというところで、特に資源循環側の体力というものを積極的に支援していくといったところであるとか、資源循環側から例えば製造側に、こういった製品製造であるとかビジネスの在り方があるのであれば、より高度な資源循環を達成できるといったような、対話の場というものは依然として少ないというふうに考えております。そういったところで、その対話を増やしていくといったところが非常に重要になるというふうに思っております。
以上です。
○中川(康)委員 ありがとうございます。
今、対話を増やしていくことの必要性ということで、今日はまさしく事業者の方々もお越しいただいていて、動脈産業と静脈産業は、今回はマッチングというお話もいただきましたけれども、そういったところが我が国の課題としてあるのかなというところを認識いたしました。
さらには、質を上げていくという意味においては、製造側がより簡素化を図っていく、それによってやはり循環をより促していく、こういったところのお話もいただいたのかなと思います。
さらには、これも一つの今日のポイントかなと思いますけれども、要は、法的な制約がまだまだ多いというお話なんかもいただいて、ここは我々として、今回も新法ということになるわけですが、やはり制約をどんどんどんどん、何でもかんでも下げるというわけではないですけれども、必要なところは取り払っていくという必要性、これによって循環経済をしっかりと回していく。ここには、やはり事業者も、また行政も、また住民もしっかりと参画していけるような、こういった取組が必要じゃないか、こんなところのお話をいただいたというふうに認識をしております。
少し具体的なところをお聞かせ願いたいと思うんですが、私、実は水平リサイクルのペットボトルのボトル・トゥー・ボトルに非常に期待をしておりまして、今回の再資源化の促進とか高度化という意味においては、CO2の排出量を削減させて高度な再生、効率化を進めるというこの水平リサイクルは、どんどんどんどんやはり我が国においてもやっていく必要があるなと思っていまして、その中で、ペットボトルのボトル・トゥー・ボトルに飲料メーカーが非常に力を入れておるんですが、これは我が国の一つの強みかなと思っていますし、さらには、これはやはり行政も、そういったところに、ペットボトルを、集めたものを出していくというのも、一つの住民に対しての説明責任としてもいいのかなというふうに思っておるんです。
それで、これも粟生木参考人にお伺いしたいと思うんですが、我が国の高度再資源化の強みである水平リサイクルですね。例えば紙おむつの再生利用なんかもその方向性に行くんじゃないかなというふうに思うんですが、それ以外にどんなものがこれから対象となり得ていくのか、その可能性について、先生の御専門ではないかもしれませんが、お聞かせ願えればなというふうに思って、質問させていただきます。
○粟生木参考人 御質問ありがとうございます。
水平リサイクルの可能性といったところでございますけれども、ありとあらゆる製品にまずあるのかなというふうに思います。
加えて、特に今回、最近、国際社会で問題になっているプラスチックでございますけれども、プラスチックについては、現在、国際社会の中で国際約束をつくる、いわゆるプラスチック条約ですけれども、そういった観点が進んでおります。
その中で、そういった水平リサイクルを推進するという議論もあるというところでは、プラスチックというところがポイントかと思いますし、実際、プラスチックというのはありとあらゆる製品に使われておりますので、そういった中で、製品製造側のより積極的に水平リサイクルをしたいという、その需要を喚起していく策というところも今後必要になってくるというふうに思っております。
加えて、やはり金属、特にレアメタル、レアアースといったものについては積極的に、比較的、金属の場合、水平リサイクルしやすいかなというふうには思いますけれども、そういったところをきちっと集めて、量と質を確保するといったところを引き続き支援していくということが必要かなというふうに思っております。
以上です。
○中川(康)委員 ありがとうございました。非常に分かりやすく御説明いただきました。
この水平リサイクルをいろいろな製品においてこれから進めていく中で、今、ペットボトルとか紙おむつとかという話がありましたが、ここは藤枝参考人にお伺いしたいんですけれども、やはり、そういったものを一次的に集めておるいわゆる基礎自治体、こことの連携というのも非常に大事になってくるんではないかなというふうに思うんですが、こういった水平リサイクルを進める意味において、広域的な分別収集も含めた基礎自治体との連携、こういったところをどのように考えるのか、お教えいただけますでしょうか。
○藤枝参考人 御質問ありがとうございます。
もう御案内のとおり、廃棄物には、一般廃棄物と産業廃棄物がもちろんございます。自治体が大きく関わっておるのが一般廃棄物でございますけれども、今、私、横浜の事業所でございますけれども、横浜市においては、一般廃棄物の業界と産業廃棄物の業界との垣根を越えて、いろいろな地域資源循環を進めるためのプラットホームづくりというのをやっていただきました。これは、僕らからの要望もありまして、やらせていただきました。
そういうことをやることによって、車座でいろいろ対話ができる場ができますので、そこのところには、排出事業者さんである、例えば市民の代表であったりだとか、物をつくられているメーカーさんであったりだとか、そういう人たちも交えて資源循環の在り方を議論するという場が今年できましたので、それがすごく大きく期待されるところであります。
以上でございます。
○中川(康)委員 ありがとうございます。やはり、事業者の皆さんも本当に大事な流れの中で、基礎自治体がどういった意識を持っていただくかということも大事かと思って、お伺いさせていただきました。
四つ目、またこれは粟生木参考人にお伺いしたいんですが、今回の新法では、再資源化事業の高度化の促進を目的に、国が一括してその認定を行うという制度、これを創設されております。その類型として、事業形態の高度化とか、分離回収技術の高度化とか、再資源化工程の高度化、この三類型が示されておるんですが、私は、まずはこれの類型のスタートでいいかというふうには思っているんですけれども、今後、更にこういった類型を高度化していく中で、増やしていくという、類型の増加という意味において、先生、やはりEUの事例に非常に御造詣が深いものですから、その他のありようとか類型などが、我が国においてこういった類型なんかも考えられるんじゃないか、将来的な部分ですけれども、この辺のところの御教示があれば、お教えいただきたいと思います。
○粟生木参考人 御質問ありがとうございます。新たな類型の可能性ということだったと理解しております。
こういった高度化に当たっては、サーキュラーエコノミー、循環経済の実施のポイントというところで幾つか項目を挙げさせていただきました。
今回の法案というところは、循環と代替のリサイクルというところと、再生資源の活用といった、一部をカバーしたというところになっております。そういった観点で、ほかの観点、例えば部品のリユースですとか再製造、若しくは修理、修復、維持、メンテナンスといったところをカバーしていただくということが一つ重要かなというふうに思いますし、質と量の確保というところで、一定程度越境して集めていかなきゃいけないというところがあるんですけれども、そういった中で、どのように低炭素な形で物流を構築させるかといったところも必要な観点かというふうに考えております。
以上です。
○中川(康)委員 ありがとうございます。これから新法を作って一から進めるというときに先の話というのも変な話なんですが、やはり、将来性を見ながら、そこにも可能性があるんだと。物流の効率化なんというのはちょっと私の意識の中で全くなかったものですから、なるほどなと思いました。
最後に、藤枝参考人にお伺いしたいと思うんですが、今回の法案では、産業廃棄物処分業者、特に、法案を見ますと、一定以上の年間処分を行う特定産業廃棄物処分事業者には、再資源化の取組が著しく不十分な場合は勧告、命令を行うことができるというふうに書かれておるんです。しかし、我が国の産廃事業者の多くは、地域の中小企業だったりとか小規模事業者であることが多いんじゃないかなというふうに思うんですね。
そこで、参考人にお伺いするんですけれども、今後、地域の中小企業でだったりとか小規模事業者に対して、循環経済の推進とか再資源化の推進について、やはり、これまで以上に意識づけとか行動変容を促していくことが重要かと思うんですが、現場をよく知っておられる参考人として、意識づけまた行動変容の具体的な手法、こういったものとかお考えをお聞かせ願いたいというふうに思います。
○藤枝参考人 ありがとうございます。まさに待っていましたという質問でございます。ありがとうございます。
やはり、我々の業界は、いいことはやっているけれどもなかなか皆さんに知っていただけないというところがもちろんベースにはあります。今、我々のお客様がどういう変化があるかというと、先ほどから何度も出ていますサーキュラーエコノミーに対して、企業としての責任と役割を果たすということで、我々はそのサプライチェーンの中のスコープ3というところにおるんですけれども、1、2のように自助努力では何とかなるけれども、サプライチェーンにお願いしないとできないということがこれから重要になってまいりますので、我々のお客様は、その企業としての方向性に対して、協力できる企業としかお取引ができない。
一九九六年と記憶していますけれども、ISOの14001番が出たときに、IS014001番の認証取得をしていないと取引ができないという風が強く吹きました。一生懸命、僕らもそれに対して挑んでいきました。今まさに、そういうふうな風が吹き始めているなというのが現状でございます。
確かに、中小企業、小規模事業者が多い我々の産業ではございますけれども、お客様のニーズに応えて利益を出すのが我々の企業の責任であるとすれば、そのニーズに応えていかなきゃいけないということになりますので、ここはやはり意識をしっかり持って、各個社別に努力は必要ではございますけれども、もちろん業界団体もございますから、そういったところでの啓蒙啓発、また教育をしっかりやって、全体的な底上げができるような仕組みが必要になってくるんだろうなというふうに思います。
そうしないと、やはり社会に必要なインフラですよねと言われるような団体にはなれないというふうに思っておりますので、そこはしっかりやるべきだというふうに思っております。
ありがとうございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
待っていましたという質問に対しての御答弁をいただきましたので、これで質問を終わりたいと思います。大変にありがとうございました。
○務台委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
次回は、来る十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十分散会