第10号 令和6年4月26日(金曜日)
令和六年四月二十六日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 務台 俊介君
理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君
理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君
理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君
理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君
井上 信治君 井上 貴博君
石原 正敬君 稲田 朋美君
上杉謙太郎君 金子 容三君
菅家 一郎君 国定 勇人君
熊田 裕通君 笹川 博義君
柳本 顕君 鷲尾英一郎君
大河原まさこ君 近藤 昭一君
篠原 孝君 松木けんこう君
屋良 朝博君 杉本 和巳君
空本 誠喜君 林 佑美君
中川 康洋君
…………………………………
環境大臣 伊藤信太郎君
環境副大臣 八木 哲也君
環境大臣政務官 朝日健太郎君
環境大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 長崎屋圭太君
政府参考人
(環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官) 植田 明浩君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 秦 康之君
参考人
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社フェロー(サステナビリティ)) 吉高 まり君
参考人
(#選挙で聞きたい気候危機実行委員) 阪田 留菜君
参考人
(株式会社新見ソーラーカンパニー代表取締役) 佐久本秀行君
参考人
(早稲田大学法学学術院教授) 大塚 直君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
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委員の異動
四月二十五日
委員宮澤博行君が退職された。
同月二十六日
辞任 補欠選任
菅家 一郎君 上杉謙太郎君
同日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 菅家 一郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
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○務台委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として林野庁森林整備部長長崎屋圭太君、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官植田明浩君、環境省地球環境局長秦康之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○務台委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。金子容三君。
○金子(容)委員 おはようございます。自由民主党、長崎四区の金子容三でございます。
今日は、環境委員として初めて質疑に立たせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減を目指し、さらに五〇%の高みに向けて挑戦を続けております。この度の改正法案は、その達成に向けて、国内、国際の両面で、地球温暖化対策を更に加速するための措置を講ずるものであります。
国際の観点では、途上国等への脱炭素技術、サービス等の普及や対策実施によるパートナー国の排出削減に加え、我が国企業の海外進出や我が国の削減目標達成にも貢献する二国間クレジット制度、いわゆるJCMの実施体制の強化について明記されております。
また、国内の観点では、令和三年の法改正で導入した地域脱炭素化促進事業制度について、これまで市町村のみが定めることとしていた再エネ促進区域等を、都道府県及び市町村が共同して定めることができるようにし、更なる制度の活用を促していくとのことですが、具体的にどのように進めていくのか、そしてこの度の法改正の意義について、伊藤環境大臣にお伺いいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減を目指し、さらに五〇%の高みに向けて挑戦を続けているわけでございます。本改正法案は、その達成に向けて、国内、国際の両分野で、地球温暖化対策を更に加速するための措置を講ずるものでございます。
具体的には、JCMの実施体制の強化、地域共生型再エネ導入促進に向けた地域脱炭素化促進事業制度の拡充を行うものでございます。
まず、JCMについてでございますが、JCMクレジットの発行、口座簿の管理等に関する主務大臣の手続を規定するとともに、主務大臣が指定する機関がこれらの業務の一部を担うこととなります。これによって、JCMの運営業務を安定的に行いつつ、政府は、パートナー国の拡大や新規事業の形成に注力し、世界の脱炭素化により一層貢献していくことが可能になると考えております。
また、令和三年の法改正で導入した地域脱炭素化促進事業制度について、これまでは市町村のみが定めることとしていた再エネ促進区域等を、都道府県及び市町村が共同して定めることができるようにし、更なる制度の活用を促してまいりたい、そのように考えてございます。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
では、まず二国間クレジット制度、JCMについてお伺いをしていきたいと思います。
現在、政府においては、二〇二五年をめどにJCMのパートナー国を三十か国程度に拡大することを目指しており、今回の改正を踏まえた新たな実施体制の下で関係国との協議に注力し、更なる加速化を図るとのことですが、我が国とのJCM構築を希望する国に対して、具体的な案件の調整状況、当該国の温室効果ガス削減目標や政策のパリ協定目標との整合の程度、当該国のJCMの制度内容の理解の度合いや実施能力等を踏まえ、着実に進めていく必要があります。
二国間クレジット制度のパートナー国の選定はどのように行い、また、今後の拡大に向けてどのような協議を進めていくのか、政府の見解をお伺いいたします。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
パートナー国の選定に際しましては、今先生からも御指摘のあったとおり、その候補となる国におきまして、JCMプロジェクトを実施する要望があるかどうか、企業において具体的なプロジェクトの候補があるかどうか、そして当該国の目標や政策がパリ協定の目標との整合がどのぐらいあるか、当該国のJCMに対する理解度や実施能力がどの程度あるか、こういった点を考慮しまして、政府間の協議を行っておるところでございます。
現在、政府におきましては、二〇二五年をめどにJCMのパートナー国を三十か国程度に拡大することを目指しておりまして、今回の改正を踏まえた新たな実施体制の下で、関係国との協議を加速してまいる所存でございます。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
そのパートナー国の拡大に関してお尋ねをいたします。
パートナー国の拡大に関しましては、各国の温室効果ガス削減目標や実現に向けた政策が重要です。また、パリ協定目標との整合の程度等も踏まえ、個別に調整を進め、今後の脱炭素技術、インフラ等の普及を通じた排出削減や吸収の余地、また、日本企業が進出しているなど、具体的な案件形成の確実性も考慮することが非常に重要というふうなことを伺いました。
今、二〇一三年から始まっておりますこのJCM制度は、二〇二三年時点におきまして約二千三百万トンCO2の排出・吸収量というふうなところが実現されているというふうに伺っております。
今後、二〇三〇年の一億トンCO2の目標を確実に達成するためには、その排出量のマーケットが大きく、JCMプロジェクトによる削減効果が定量的にも十分に見込まれる国を対象とすべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
○秦政府参考人 今委員から御紹介のあったとおり、パートナーシップの拡大に際しましては、今後の脱炭素技術、インフラ等の普及を通じた排出削減や吸収の余地が相当程度存在すること、あるいは日本企業の進出の度合いですとか、それから相手国の削減目標や政策の水準、そして、先ほども申し上げましたが、JCMへの理解度や実施能力、こういったことを勘案しつつ、具体的な案件形成の確実性を様々な観点から考慮して実施することが重要だと考えてございます。
実際、インドですとかあるいはブラジルといったような、日本企業からの要望も大きく、また削減ポテンシャルの大きい国もJCM構築に向けた調整が必要でありますので、こういったところを中心に調整を進めているところでございます。
引き続き、各国の削減目標や一・五度目標との整合の度合い等も含めまして、個別に調整を進めてまいりたいと考えております。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
更にちょっと質問をしたいと思いますけれども、パートナー国やプロジェクトの組成件数を増やしていくという量の拡大というものも重要だというふうに思いますけれども、一方で、一件当たりの排出量削減の拡大というふうな質の面での強化も重視すべきだというふうに考えます。
また、これからは民間資金を活用したプロジェクト組成が重要視されるというふうなことですけれども、その民間に対するインセンティブプラン等、検討されていることがあれば、教えていただければと思います。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど委員から御紹介もあったとおり、現在、約二千三百万トン程度のCO2の削減を見込んでおるところでございますけれども、引き続き具体のプロジェクトを形成していく、特に、先ほど申し上げたインドみたいな大国、こういったところで大型の案件というのを形成していくということが、やはり量を稼ぐ上でも重要だというふうに考えてございます。
日本企業からの要望も非常に大きなものがございますので、インドを始めとする大国との調整を、インドもそうなんですけれども、引き続きしっかり進めていくとともに、我が国の優れた技術を海外に知っていただけるよう、例えば、昨年のCOP28におきましても、ジャパン・パビリオンを設けまして、日本の様々な脱炭素化技術につきまして世界に紹介をしてまいったところでございます。
幸いなことに、ジャパン・パビリオンは大変な好評でございまして、多くの途上国の国々の方々に御覧いただいたところでございます。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
済みません、最後の、民間企業に対しての取組をもっと活性化させていくためのインセンティブプラン、例えば、今回JCMで日本が獲得したクレジットをその企業に対しても付与するとか、そういった何かインセンティブプランというふうなものがありましたら、是非教えていただければと思います。
○秦政府参考人 今回の改正案で取り扱っておりますJCMは、政府間で実施する国際協力事業ではございますけれども、企業の取組としては、脱炭素市場の創出を通じた我が国の海外展開に貢献するものという側面もございます。
この改正案におきましては、パリ協定に基づく目標の確実な達成に向けて、政府に代わり、JCMのクレジット発行、管理等を行うことができる指定法人制度を創設しまして、これらの実施体制を強化する措置を講じようとしておるものでございます。
こうした中で、政府におきましても、パートナー国の増加や、新規パートナー国を始めとする各国のプロジェクト形成に一層注力するとともに、JCMの関連市場を拡大させていく、そのために、民間資金を中心とするJCMプロジェクト組成のガイダンス、こういったものを作っておりますが、この活用を促すことなどを通じまして、企業による更なる取組を促進してまいる所存でございます。
○金子(容)委員 ありがとうございました。
一億トンCO2の達成は非常に難しいものであるというふうにも考えますので、戦略性を持って、この国に対してはこれだけの削減、そしてクレジットを獲得していくというふうな、国ごと、それからプロジェクトごとの数値目標をそれぞれ立てて、その達成に向けた各々の具体的な施策というものを講じていくことが非常に重要であるというふうに考えますので、是非ともそのような形で進めていっていただければなというふうに思っております。
次に、今回のJCMの運用に関してお尋ねをいたします。
JCMは、現在、法律によらない形で事業が行われております。この間、パートナー国は二十九か国に増加をし、現在も協議中の国があるというふうにも先ほどお伺いいたしました。
これまで進めてきた事業を、今回、法律で主務大臣の手続を規定する必要があるのか、そのことによりどのような成果が期待できるのか、政府の見解をお伺いいたします。
○秦政府参考人 今委員から御紹介いただきましたように、現時点で既に二十九か国までパートナー国が増加をしております。更にプロジェクトの数も増やしていきたいと考えてございます。
こうした中、各パートナー国との間で、JCMクレジットの発行に係る手続を同時並行的に実施していかなきゃいけない、こういう必要があることから、手続の実施の円滑化や効率化を図っていかなきゃいけない。こうした観点から、JCMの運営業務を長期的かつ安定的に実施する体制を確保していく必要があると考えてございます。
このため、現状、政府が自ら行っております各種手続や、あるいはこれらに係る調整の事務につきまして、政府の委任を受けた外部機関に、意思決定部分は政府がやるんですけれども、事務の大半を一元的に実施させることが合理的であると考えてございます。
ついては、こうした手続につきまして、主務大臣が行う事務として関係規定を整備するとともに、これらの事務を指定法人に委任することができる、そういう旨の規定を整備させていただきたいということでございます。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
その指定法人に関してお尋ねをいたします。
指定法人として指定する法人の候補及び体制については今後どのようにしていくというふうに考えているのか、政府の見解をお尋ねいたします。
○秦政府参考人 現在、JCMの実施に当たりましては、高い専門性を持つ機関が委託契約によりまして業務を実施しております。こうした機関が必要な人員等を確保することで、指定法人の候補になり得ると考えてございます。
具体的には、もしこの改正案を成立させていただけましたら、その後に改正法に基づき定める基準等を踏まえまして、JCM運営業務を適正かつ確実に行うことができる一般社団法人又は一般財団法人を、申請に基づき、全国で一つ指定をいたしまして、JCMの適切な実施体制を構築してまいりたいと考えてございます。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
業務を委託する指定法人についてもう少し現状をお伺いしたいと思うんですけれども、現状は、どういった法人何者に対しまして、具体的にどのような業務委託を行っているのかというところをちょっと教えていただければと思います。
○秦政府参考人 現状、私どもは、五つの法人に対しまして委託契約をそれぞれの専門性に応じて締結をしておるところでございます。こうした委託は競争入札によって行うということが基本になっておるものですから、我々としてもいろいろな事務が生じてしまうというものがございます。
こうしたことも含めて、一つの法人に長期的かつ安定的に業務を行わせていただければ、我々としては、パートナー国の拡大ですとかあるいは案件の形成、こういったものになるたけ注力できるということで、こうした現在の委託の実態から更に一歩進んだ安定的な体制をつくらせていただきたい、こういうことでございます。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
業務を集約化して効率的に進めていくというふうな話なんですけれども、今おっしゃっていただいたとおり、これまでのJCMの各種手続、意思決定に関わるもの以外の各種手続について、その業務の一部を、専門性に応じて複数の、五者というふうな話がありましたけれども、事業者に委託していたということだと思いますけれども、一者の指定法人にその業務を集約することで専門性が逆に失われないのかというふうなこともちょっと懸念されると思います。
また、新たに指定する指定法人からも、その業務の一部をまた別の事業者に再委託するというふうな形で業務の一部をまた委託するのか、そういったちょっと業務遂行上のスキームについて教えていただければと思います。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
まず、専門性が求められる業務でございますので、やはり人員の確保、体制の整備といったところが大変重要になってまいります。したがいまして、仮にこの法律が成立を見て実施の段階に進んだということであれば、やはりそういった専門性の高い人材の確保と体制の構築をしっかりと進めていく必要があるというふうに考えてございます。
そうした体制をしっかり構築しつつ、また、業務につきましては、再委託ということも考えられます。一方で、この法律案におきましては、再委託をするに当たってもしっかり国の認可を取っていく必要があるという仕組みとなってございますので、こういったところで、再委託につきましてもしっかり監督をする体制をしっかり取ってまいりたいと考えてございます。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
今おっしゃっていただいたとおり、業務が分散していたものを一つに集約する、一つの会社に任せるというふうなことで、専門性が失われないように十分な人員を確保していただくということに加えまして、また、その指定法人が別の業者に再委託するというふうなことになりますと、その指定法人が取り扱う機密情報の取扱いとか、非常に管理体制も重要視されると思いますので、そこら辺もしっかりとやっていただければなというふうに思います。
続きまして、今回、指定法人制度の導入を踏まえた、今後のJCMの推進に向けた政府そして大臣の決意をお聞かせいただければと思います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
我が国は、これまで二十九か国とパートナー国の覚書を結びました。一番最後のウクライナは私自身が交わしましたけれども。それで、約二百五十件のプロジェクトを通じて、二〇三〇年度までに累積で約二千万トンを超えるCO2の削減を見込んでいるところでございます。
今回の法改正によって、JCMの運営に必要な事務を指定法人が一元的に実施するということによって、長期的かつ安定的な実施体制を確保することを目指しております。また、政府は、パートナー国の増加に向けた協議、大型案件の発掘やプロジェクトの形成に一層注力して、脱炭素市場の創出や拡大を通じて日本企業の海外進出も後押ししてまいりたいと思います。
加えて、今後は、公的資金に加えて、民間資金を中心とするJCMプロジェクトの更なる拡大を目指してございます。二〇三〇年度までに官民連携で累積一億トン程度の排出削減、吸収量を確保し、世界全体の脱炭素化に貢献してまいりたい、そのように考えてございます。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
JCMの推進に加えまして、今年開催されます次回COP、COP29における主要な論点、また、我が国がどのような形でイニシアティブを取って進めていくのか、大臣に見解をお伺いできればと思います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
昨年十二月に開催されたCOP28、私は参加させていただきましたけれども、ここでは、パリ協定の世界全体の進捗を確認するグローバルストックテイクが実施されました。一・五度目標の達成に向けて実施すべき具体的行動が示されたところでございます。この成果を受け、今年十一月に予定されているCOP29では、気候変動対策の強化や加速化に向けた議論が行われることが想定されております。
このため、我が国としては、全ての国、とりわけ主要な経済大国が、次期NDCにおいて、最新の科学的知見に基づいて、パリ協定の一・五度目標と整合的な温室効果ガスの総量削減目標を設定するように働きかけを行ってまいりたいと思います。
また、気候変動対策は、各国の排出削減対策の進捗を確認し、透明性を確保しながら進めていくことが重要でございます。このため、各国が取組の進捗をまとめた報告書を確実に提出するように、これも働きかけていきたいと思います。
加えて、炭素市場は、排出削減対策に民間資金を呼び込むことにも資するものでございまして、各国の削減目標や対策実施の強化にもつながります。今年のCOP29においては、JCM等を規定するパリ協定の六条が完全運用化されるように、国際的議論を積極的に推進し、日本として貢献をしてまいりたい、そのように考えております。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
是非日本がグローバルにおきましてイニシアティブを取ってカーボンニュートラルに向けた活躍をしていけるように、また、COP、パリ協定の六条の市場メカニズムの話もあると思いますけれども、ここもまだまだ十分改善の余地があるというふうに思いますので、その点につきましても、是非とも大臣の方からいろいろと提言をしていただければなというふうに思っております。
続きまして、地域脱炭素化促進事業制度についてお尋ねをいたします。
地方公共団体実行計画制度を拡充し、市町村が再エネ促進区域や再エネ事業に求める環境保全、地域貢献の取組を自らの計画に位置づけ、適合する事業計画を認定することにより地域共生型再エネを推進する仕組みである地域脱炭素化促進事業制度が創設され、令和四年四月から施行されております。
この地域脱炭素化促進事業制度の施行後の進捗状況についてどのように評価しているのか、また、その上で、更に制度を進展させるためにはどのような課題があるのか、大臣の見解をお伺いいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘の地域脱炭素化促進事業制度は、地域共生型再エネ導入促進のために、市町村が再エネ促進区域や再エネ事業に求める環境保全、地域貢献の取組を定めて、適合する事業計画を認定する仕組みでございます。
市町村が促進区域を設定するに当たり、その前提となる適正な環境配慮に係る情報収集や地域との合意形成等に一定程度時間を要します。これまで二十六の市町村が促進区域を設定し、一件の事業計画認定が行われるなど、制度の活用は広がっております。ただ、一方で、今後、制度の活用を一層促進するためには、やはり市町村における人材、財源の不足や、複数市町村にまたがる再エネ事業への対応などが課題でございます。
こうした課題に対応するため、環境省では、市町村への技術的支援や財政支援を行っております。今回の改正法案では、促進区域の設定等における都道府県の関与を制度的に後押ししてまいりたい、そのように考えております。
○金子(容)委員 ありがとうございます。
最後に、もっと再エネ促進区域の設定や事業計画の認定の着実な増加のために、制度改正に加えて、今大臣がおっしゃっていただきました更なる財政的な支援等も必要であるというふうに考えております。
あわせまして、地域共生型再エネを進めていくためには、地域外の再エネ事業者だけではなく、地域の環境や社会的な状況をよく知る地方自治体などの地域の主体が自ら再エネ導入に取り組むことが重要であると考えます。そのためには国による後押しが必要であると考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
○植田政府参考人 お答えいたします。
環境省では、促進区域設定等に取り組む自治体への財政支援に加えて、新たに事業者への財政支援や固定資産税の軽減措置を設けたところであります。
また、自治体が主導する再エネ導入を脱炭素先行地域や重点対策加速化事業への交付金などを通じて重点的に支援しているところでもあります。
環境省としては、引き続き、促進区域設定に関する技術的、財政的支援や地域脱炭素推進交付金等を通じ、脱炭素事業に意欲的に取り組む地方自治体を継続的かつ包括的に後押ししてまいりたいと考えております。
○金子(容)委員 ありがとうございました。
これで質疑を終わらせていただきます。
○務台委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。
今日は、法案質疑ということで質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。伊藤環境大臣には大変にお世話になりますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
今日は、温対法の一部を改正する法律案ということでありますが、最初に、具体的な中身に入る前に、総論的に何点かお伺いをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最初に二点、これは大臣にお伺いをしたいと思います。
一つ目には、二〇二二年度の温室効果ガスの国内排出量についてお伺いをいたします。
環境省は、今月の十二日、二〇二二年度の温室効果ガスの国内排出量が過去最少となったということを発表し、その結果を国連に提出をいたしております。具体的には、二〇二二年度の温室効果ガスの国内排出量はCO2換算で十一億三千五百万トンとなり、前年度より二・五%減少。コロナ禍からの経済回復の影響で、前年度は八年ぶりに増加をしておるんですが、再び低下傾向に転じ、実は、この算定を始めた一九九〇年度以降で今回は過去最低を記録をいたしております。これは、本当に皆さんの努力があっての結果だというふうに私も評価をいたしております。
排出量の詳細を少し見させていただきますと、工場などの産業部門、さらには店舗などの業務その他部門、また家庭部門で共に減少をいたしております。各部門で排出量が減少したことについて、環境省は、節電や省エネ努力などによりエネルギー消費量が減ったことが主な原因というふうに言われております。まさしく国民の皆さんが我が事と捉えてこういった取組をした結果かと思います。
一方、実は、自動車などの運輸部門では約七百二十万トン増加。これは、コロナ禍からの経済回復によって輸送量が増えたことなどが影響をしておるというふうに言われております。
また、全体の排出量から森林等によるCO2の吸収量を差し引いた実質の排出量は十億八千五百万トンであるとともに、吸収量そのものは約五千二十万トンで、前年度に比べて六・四%減少をいたしております。この減少については、人工林の高齢化に伴う成長の鈍化が要因というふうに見ております。
さらには、二〇二二年度からは、これはいい話でありますが、世界で初めて、沿岸部の海草や藻類などの海洋生態系に吸収、貯留された炭素であるいわゆるブルーカーボンが温室効果ガスの吸収量に算定され、排出量削減に貢献する形となっております。
そこで、伊藤大臣にお伺いをしますが、大臣は、今回の二〇二二年度の温室効果ガスの国内排出量の結果をどのように捉えておるのか、その特徴も含め、お答えをいただきたいと思います。また、二〇三〇年度の一三年度比四六%削減及び二〇五〇年カーボンニュートラルの目標達成に向けた見通しや、さらには今後更に注力しなければならない分野など、その課題についても併せてお答えをいただきます。
以上三点、お願いいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員から、まさに大臣答弁を上回るような細かい御指摘また分析もいただいたところでございます。大変感謝申し上げます。
我が国の温室効果ガスの排出削減の実績は、委員から御指摘いただいておりますけれども、二〇二二年度に二〇一七年度比で約二三%減となって、二〇五〇年のネットゼロに向けた順調な減少傾向、いわゆるオントラックを継続してございます。
委員から御指摘いただきましたが、過去最低値を記録し、オントラックで継続できている要因としては、やはり何といっても国民の皆様の一人一人の努力、意識改革があったと思います。その結果、節電、省エネの努力というものが蓄積した。そして、そういうことが、産業界も含めて、あるいは地域社会も含め、国全体に同心円状に広がった結果、とりわけ家庭部門、業務部門、産業部門など、それぞれの分野においてエネルギーの消費量の減少につながったためというふうに考えております。
一方で、我が国の二〇三〇年度目標や二〇五〇年ネットゼロの実現は決して容易なものではございません。予断も許さないと思います。引き続き、地球温暖化対策計画やGX推進戦略等に基づく対策、施策を政府一丸となって、総力で総合的に推進していく、このことによって二〇五〇年のネットゼロを実現してまいりたいと思います。
環境省においては、特に需要面、地域面ということに注力しておりますので、地域共生型の再エネの導入を始め、地域の脱炭素の推進、それから国民一人一人の皆様の意識、そしてそれに基づく行動という意味においてはデコ活を通じた国民のライフスタイルの転換、こういうことに更に力を入れてまいりたい、そのように考えております。
○中川(康)委員 大臣、大変にありがとうございました。
答弁以上のことを質問で言ってしまいまして、大変に申し訳ありません。私は、二年前に環境省の政務官だったものですから、非常にここに意識を持っておりまして、喜びを持って答弁をしてしまいました。
まさしく環境省は地域脱炭素を担うところだというふうに思いまして、そういった意味においては、大臣が常日頃おっしゃられておる同心円という考え方から、国民お一人お一人の意識改革、さらには行動変容、そして我が事と捉えるというところに、本当に大臣の同心円という考え方がつながってきているというふうにも思っております。
そういいながら、大臣は、決して容易ではないというお話をされました。やはり我が国が気を緩めることなく進めていくことが大事かというふうに思っていますので、また引き続き大臣を先頭にお取り組みいただきますように、よろしくお願いしたいと思います。
もう一点、法案に入る前にお伺いをいたします。
パリ協定六条実施パートナーシップによる取組についてお伺いをいたします。
伊藤環境大臣も参加をされました、昨年十一月から十二月においてUAEで開催をされましたCOP28では、世界全体でパリ協定の目標に取り組むための日本政府の投資促進支援パッケージの公表やロス・アンド・ダメージに対応するための基金の創設など、今後の気候変動対策に向けての重要な事項が決定をされるのとともに、一昨年十一月にエジプトにおいて開催されたCOP27においても、我が国及び参加国は数多くの成果を得ることができたと認識をいたしております。
中でも、今後のJCMの取組に大きな影響を及ぼすパリ協定六条実施パートナーシップの立ち上げは、日本が一貫してその議論をリードしてきた、まさしく環境省の職員が一貫してその議論をリードしてきた、このように私は伺っておりますし、見ております。
ちなみに、このパリ協定六条実施パートナーシップは、パリ協定六条の実施に必要なクレジットの承認を始め、国連への報告などの体制整備や能力構築を国際的な連携の下で支援するための取組であり、今後、我が国におけるJCMの推進にとっても大変大きな影響を私は与えるというふうに考えております。
そこで、大臣に伺いますが、一昨年のCOP27で立ち上がり、昨年のG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合でそのセンターが設立をされましたこのパリ協定六条実施パートナーシップの取組は、現在、世界各国、これは参加国が増えていると聞いていますが、国際機関においてどのような進捗を見ているのか、またあわせて、この取組により、世界全体では将来的にどれくらいの温室効果ガスの削減効果、さらには炭素市場の規模が期待できるのか、また、このパートナーシップの実施の中で我が国が、日本が果たしている役割、こういった点について、大臣から御答弁を願いたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど余りにすばらしい御質問だったので、つい私が言い間違えたんですけれども、二〇二二年度に二〇一三年度比と申し上げるべきところを二〇一七年と申し上げたため、訂正させていただきます。
今回も私の答弁内容以上の御質問だったので恐縮しておりますけれども、委員御指摘のパリ協定六条実施パートナーシップには、これまで七十六か国、百四十四機関が参加して、委員が御指摘になりましたけれども、クレジットの創出に必要な手法の策定、クレジットの活用状況に関する国連への報告等の課題に関して、優良事例の共有が行われてきたと承知しております。
私自身も、COP28に出席して、大体両方で四十以上の二国間会談、閣僚級の会合で発言したわけでありますけれども、事あるごとに、パリ六条のフリーオペレーショナルというか、パリ六条がやはりもう少し全体で活用されることが必要だということを強く主張してきたところでございます。
温室効果ガスの削減効果及び炭素市場の規模について、正確という意味での予測は非常に困難でありますが、一方で、パリ協定の六条に沿った既存のプロジェクトは主に我が国とスイスで進んでございまして、これらによって二〇三〇年度までに累積で約三千万トンのCO2、二酸化炭素の削減が見込まれております。また、パリ協定が適切に実施されれば、世界全体で二〇三〇年までに年間最大四十億トンから百二十億トンの二酸化炭素の追加的削減が期待されているところでございます。また、炭素市場でございますけれども、炭素市場は、二〇三〇年時点で約五十兆円の規模が見込まれているという専門家の試算がございます。
我が国としては、今後も国際機関等と連携して、JCMの知見や昨年COP28で公表した六条実施支援パッケージ、これらも通じて、それぞれの国、各国のニーズに応じた支援というものを進めつつ、民間資金の動員にもつながる質の高い炭素市場を構築して、世界全体の排出削減に先導的に貢献してまいりたい、そのように考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
市場メカニズムのこのパートナーシップ、これは本当に難しい問題だったと思うんですが、まさしく我が国、環境省の職員が一貫して先導して、そしてその難しい議論をまとめ上げたということを私は伺っております。ここは本当に高く評価をしたいと思っております。といいますのは、市場メカニズムがやはりしっかりとしないとクレジットがうまく機能しない、こういったこともありますし、ダブルカウントなんという問題も出てくるかと思うんですね。
今、期待値、予測値、相当大きな数字を大臣の方からもいただきました。大臣もCOP28で本当に多くの国とバイ会談をされて、積極的にこの辺のお話でありますとか、さらには大臣が本当にお考えになっている同心円による環境政策をお広げいただいたということも報告を聞いております。この大臣の思いの下で、こういったこともしっかりと取組を推進して、まさしく大臣が今最後におっしゃっていただいた、日本が先導する政策としてお進めいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
そうしましたら、具体的なところに入らせていただきます。
次に、JCMの更なる推進における新たなパートナー国との取組について、ここは先ほど自民党の金子委員も触れられましたが、少し重なるところもありますが、私も強く認識をいたしておりますので、御質問させていただきます。
JCM制度は、世界各国における途上国等への優れた脱炭素技術、製品、システム、インフラ等の普及や対策を通じ、その実現をいたしました温室効果ガスの排出削減及び吸収への我が国の貢献を定量的に評価するのとともに、我が国が二〇三〇年度及び二〇五〇年に向けて示した排出量削減の目標の達成に活用するものであるというふうに伺っております。
この制度は、二〇一三年にモンゴルとの間で初めて署名したことを皮切りに、これまで二十九か国と構築し、支援事業としても既に二百四十件以上のプロジェクトが動いております。中でも、二〇二二年八月のセネガル及びチュニジアとの署名以降は、何と二年弱という短期間で既に十二か国との署名を行っており、近年、加速度的にそのパートナー国を増やしております。
我が国は、これまでもこのJCMの取組については主にアジア諸国との締結を進めてきましたが、私は、今回の法改正も含め、今後のJCMのこれまで以上に積極的な展開を考えていくならば、今後の新たなパートナー国の一つとして、現在、人口も世界一となり、国としての活力や国力もありながら、環境対策としてはいまだ課題を残すインドを対象にすることは大変に重要だと考えております。
先ほども答弁をいただいたところでありますが、インドとの交渉につきまして、具体的な取組さらには交渉の状況、こういったところをもう少し詳しく御答弁をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のインドにつきましては、世界第三位の温室効果ガス排出量でございます。このため、排出削減の余地も非常に大きい、また、日本の産業界からもJCMに対する関心が非常に高いというふうに認識をいたしてございます。
このため、私どもとしてもインドとは精力的な調整を進めてまいったところでございますけれども、直近の状況で申し上げますと、インドとは、首脳間でJCMの構築に向けました議論の継続というのも確認しておりまして、昨年、二〇二三年の三月には、JCMの構築に向けた意向確認文書に署名をしたところでございます。引き続き、パートナーシップ覚書の締結に向けまして調整を進めておるところでございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
そのためにも、今回の法案というのは、交渉とかそういったものは環境省がしっかりやる、その手続についてはいわゆる指定した法人に任すというところ、これは大事かなというふうに思っています。
昨年七月にも私もインドに行かせていただきまして、本当に若い人が多くて活力があるんですね。ですから、ここの市場というのは本当に大きいなというふうに思いました。
しかし、今も排出量が世界第三位だという話がありましたけれども、環境対策についてはやはりまだまだこれからの課題だなというのを認識をいたしました。いわゆる水の問題、大気の問題、さらには再エネ等、エネルギーの問題、ここは本当にこれから取り組む、また日本の知見を生かす場所だと思いますので、これは具体的に進めていただきながら、一日も早く締結をできるよう期待をさせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
もう一点、林野庁にお伺いをしたいと思いますが、JCMにおけるREDDプラス事業の拡充についてお伺いをいたします。
REDDプラスとは、熱帯林の減少と劣化対策により気候変動を抑制するための国際的メカニズムでありまして、途上国が森林減少や劣化の抑制により温室効果ガスの排出量を減少させた場合や、森林保全により炭素蓄積量を維持、増加させた場合に、先進国が途上国への経済的支援等を実施をするものであるというふうに伺っています。
現在、環境省並びに経済産業省、また林野庁が行っておるJCM資金支援事業の一覧の中にも、このREDDプラス、森林保全は、カンボジアやラオスなど、その実績はありますが、残念ながら、その実施数は、プロジェクト全体のおよそ二百四十件に対しては、実はまだたった二件しかございません。
しかし、本来、熱帯林を始め森林は、天然のCO2吸収源でありますし、いわゆる酸素を放出するものでもあります。また、森林破壊の防止というのは、大幅にCO2を削減できる可能性を有しているだけではなくて、ほかの技術的、また多くの気候変動対策よりも安価にCO2削減ができ、加えて、人々の生活を守ることにもつながるというところもございます。
そこで、JCM支援事業におけるREDDプラス、森林保全の取組については、主に熱帯林を有する国を中心に、これまで以上に新規案件の発掘やパートナー国の拡大を図るのとともに、その資金の提供についても、例えば、アジア開発銀行、ADBや国際連合工業開発機関、UNIDOへの基金や補助金の拠出による支援と同様に、森林保全や森林回復の取組に実績や知見のある国際機関を活用することでその取組を広げる手法を検討するべきではないか、このように私は考えるわけでございますが、林野庁の見解を伺います。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
JCM―REDDプラスにつきまして、農林水産省では、これまで活動の成果をクレジット化するためのパートナー国とのルール整備に取り組んできたところでございまして、現在、カンボジア及びラオスにおきまして、我が国民間事業者によるプロジェクトがそれぞれ一件ずつ進行しているところでございます。
また、JCM―REDDプラスの案件形成にも資するよう、途上国において森林保全活動を行う我が国民間事業者の知見を活用した取組の実証活動、こういったものの支援にも取り組んでいるところでございます。
御指摘のとおり、森林分野のJCMにつきまして、国際機関を活用した取組は現在はございませんけれども、森林分野のJCMの取組が今後拡大していくように、今後ともその環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
JCMは、まさしく環境省とそれから経済産業省と林野庁も行っておるわけなんですが、主管庁は環境省なんですね。そういった意味では、ADBとかUNIDOへの基金や補助金の拠出というのは、予算の枠としては環境省からお出しになっているというふうにも思います。
加えて、しかし、このREDDプラスというのは森林保全ですので、特にアジア諸国とか東南アジア、ここに熱帯林というのは本当に多くあるわけですけれども、これをどう共に保全をしていくのか。これは民間の事業者なんかが先導しながらやっているところもあるかと思うんですけれども、ここにやはりしっかりと着目をして、今回、この法案の中身も含めると、新規案件の発掘とかパートナー国の拡大をいわゆる国としてどうやっていくのか、これは環境省がというよりは、やはり国としてどうやっていくのかというところが大事になってくるかと思うんですね。
そういった意味においては、実は、二百四十件の中で、たったと言ったら変ですけれども、まだ二件しかないわけですので、私はここの的をしっかりと増やしていくことは大事であると思います。正直申し上げると、今、ルール整備等をやっておるということで、多分、林野庁がJCMに関してお持ちになっておる予算というのは余り大きくないというふうに思うんです。そういった意味においては、環境省等とも協調しながらどのような形を取っていくのか、そして、全て直接やるのではなくて、いわゆるそういった知見のあるところにお任せをしながら、そこがしっかりと積極的に、有機的に行っていただく、そういったことは私は大事な取組じゃないかというふうに思っています。
今後の仕組みの構築等も含めて、是非ともそういった形が、今回、JCMは、二年前、政務官をしておったときから私は非常に期待をしておる分野でございますので、その中でばっと見ていると、ちょっとこの分野だけは的が大きいのに遅れているなというニュアンスがあったものですから、この点、指摘をさせていただきました。
大臣におかれましても、この点、答弁は求めませんが、農水省と本当に協調しながら、また経産省も入りながら、この分野も伸ばしていくことは大事じゃないかという認識、環境省の方から、さらには三省連携を図る中でお進めいただきたいということ、これも御要望いたしますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、消費者の行動変容やライフスタイルの転換を後押しするための施策について、二点ほどお伺いをしたいというふうに思います。
一点目、カーボンフットプリントモデル事業の今後の方向性についてお伺いをいたします。
今回の改正案では、JCMの実施体制の強化や地域脱炭素化促進事業制度の拡充、ちょっとここの部分は今日聞かなかったんですが、済みません、その拡充に加え、日常生活における排出削減をまさしく促進するための、原材料の調達から廃棄までのライフスタイル全体の排出量が少ない製品等の選択の促進や、さらには、排出削減に資するライフスタイルの転換の促進を図るための規定も整備するというふうにこの法案には書かれております。
そこで、次の質問といたしまして、消費者の行動変容やライフスタイルの転換を後押しするための施策の推進について、具体的には、カーボンフットプリントモデル事業の今後の方向性についてお伺いをいたします。
環境省では、令和五年三月に、経産省と連携して、このカーボンフットプリントの算定方法等に関するガイドラインを策定するのとともに、算定等に取り組む企業を支援するモデル事業を実施をいたしております。
具体的には、企業によるカーボンフットプリントの算定、削減、表示等の取組を支援することで、カーボンフットプリントに関する知見の集積や排出削減とビジネス成長を両立させるロールモデル創出事業を実施をし、令和四年度モデル事業では四社を選定し、対象製品に係る算定等に支援を実施するのとともに、令和五年度モデル事業では五社を選定をいたしております。
そこで、お伺いをしますが、私は、このカーボンフットプリントの普及は、消費者による脱炭素型の製品、サービスの選択を促進することで、社会全体の温室効果ガスの排出削減に貢献するものと考えますが、環境省は、カーボンフットプリントモデル事業の今後の方向性についてどのように検討をいたしておるのか、ここの部分をお伺いをいたします。
○秦政府参考人 今委員から御指摘がございましたように、昨年度のカーボンフットプリントモデル事業は五件の採択をしておりますけれども、ジャンルがそれぞれ異なっているというところでございます。
カーボンフットプリントが消費者の具体的な製品選択あるいはサービスの選択につながっていくためには、やはり同じ商品群の中で比較可能となるということが重要でございますので、こうした観点から、個別企業を対象としたモデル事業に加えまして、今年度は、業界単位での、つまり同じジャンルでのカーボンフットプリントの算定や表示に向けた共通ルールの策定、こういったところも念頭に支援を実施していくということを考えてございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
この取組というのはまだ規模は小さいんだと思うんですが、モデル事業の選定も四社とか五社なので。しかし、カーボンフットプリントの表示がされているものを続けていく中で、最終的には、国民の皆さんが、消費者の皆さんが能動的にそういったものを選択をしていく、まさしく環境政策とか脱炭素政策等に対して国民の皆さんが、消費者の皆さんが能動的に選択をしていく流れをつくることというのはすごく大事だと思うんです。
そういった意味においては、この事業というのはまだまだ規模は小さいんですけれども、私は、これを本当に広げていくと国民の行動変容につながっていくんじゃないか、そんな期待を持っておるものですから、今回質問をさせていただきました。
次に、そのカーボンフットプリント、加えてデコ活、ここの国民への周知とか広報の推進について最後にお伺いをいたします。
環境省を始め国は、温室効果ガスの排出削減を促進するために、今まさしくやり取りをしましたカーボンフットプリント事業の促進とか、また、環境省が昨年七月に愛称を決定をいたしましたデコ活の国民運動を展開をしております。
私は、今回テーマとなっておる地球温暖化対策や脱炭素の推進については、企業や自治体、さらには地域や団体など、多様な主体が参画することが重要というふうに考えていますが、中でも、国民一人一人の脱炭素などに対する行動変容や意識改革、何度も言っていますけれども。さらには、国民が我が事と捉え、行動につなげていくことは、最も中心的かつ重要な取組だというふうに常日頃から考えております。
しかし、私自身の主観も入りますが、これらデコ活などの取組は、まだまだ国民に周知をされ、それぞれの国民の皆さんの、消費者の皆さんの行動につながっているとは、残念ながら、思えるところがございません。
そこで、改めて伺いますが、環境省は、これらカーボンフットプリントやデコ活など、消費者の行動変容やライフスタイルの転換を後押しするための活動をどのように広く国民や消費者に周知、広報をしているのか、さらには今後更にされようとしているのか、ここのところを最後に確認をしたいと思います。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
カーボンフットプリントの普及や、国民一人一人のライフスタイル転換を強力に後押しする国民運動、デコ活は、消費者による脱炭素型製品の積極的な選択を促進する重要な取組だと考えてございます。
デコ活につきましては、例えば、住宅の断熱化、窓断熱とかですね、こういった断熱化や省エネ家電の導入など、CO2の排出削減に無理なくつながる脱炭素型の製品やサービスを積極的に選択していただくことが重要だと考えております。あわせて、脱炭素の効果だけでなく、それぞれの家計の負担が減ったりですとか、あるいは余暇の時間が生まれるといった健康面や生活面でのメリット、これも消費者の皆様にお伝えしておるところでございます。
環境省を始めとする政府が働きかけるだけではなくて、やはり官民が連携をして様々なツールや知恵を最大限活用しながら、消費者の皆様の行動変容やライフスタイル転換につなげることが有効と考えております。このため、デコ活におきましては、約千三百の企業、自治体、団体等が参画する官民連携協議会を組織しておりまして、脱炭素に資する製品やサービスを国民や消費者の皆様に提案をしておるところでございます。
先ほど来御指摘いただいております企業によりますカーボンフットプリントの算定や表示とデコ活、これらを融合させまして、ある意味、車の両輪として、国民の皆様に積極的な脱炭素製品やサービスの選択を通じた行動変容が進むように、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○中川(康)委員 非常に期待を申し上げます。
様々な取組、運動というのは、最初は大変だと思うんですけれども、ある段階にいくと劇的に広がる、さらには能動的に広がるというタイミングがあると思うんですね。
例えば、クールビズでも、皆さん、本当に五月を越えると誰もネクタイをしない。さらには、レジ袋も、今、もらう人は少なくなっていると思うんですね。ですから、そのタイミングまでどう継続的に続けていくかということはすごく大事だと思いますので、その取組に期待をします。
我が国において、デコといったらデコトラではなくてデコ活だ、こういう時代が来ることを望みまして、また願いまして、質問を終わります。
大変にありがとうございました。
○務台委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○務台委員長 速記を起こしてください。
―――――――――――――
○務台委員長 ただいま、本案審査のため、参考人として、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社フェロー(サステナビリティ)吉高まり君、#選挙で聞きたい気候危機実行委員阪田留菜君、株式会社新見ソーラーカンパニー代表取締役佐久本秀行君及び早稲田大学法学学術院教授大塚直君、以上四名の方々に御出席いただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、吉高参考人、阪田参考人、佐久本参考人、大塚参考人の順に、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、まず吉高参考人にお願いいたします。
○吉高参考人 おはようございます。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの吉高でございます。
私は、サステーナビリティーの担当役員として、グリーンビジネス、サステーナブルファイナンスなどのアドバイス業務をするとともに、東京大学と慶応義塾大学の方でグリーンビジネスを教えております。
私自身、九七年に採択されました京都議定書にある京都メカニズムのカーボンクレジット組成が我が国にとって必要だと思いまして、現在兼務をいたしております三菱UFJモルガン・スタンレー証券の方で、当時の副社長に提言しまして、二〇〇〇年からカーボンクレジットの業務を開始しました。
そして、二〇〇五年に京都議定書が発効される前に、国連で、タイのもみ殻発電の排出権の算定方法を登録いたしまして、その後、再エネ、省エネを中心に様々な方法論を登録しました。
さらに、二〇〇八年から第一約束期間が始まりましてから、中国、アジア、それからアフリカ、ウクライナなど様々な国で、カーボンクレジットの組成に百件以上関わってまいりました。
さらに、本日改正対象になっております二国間クレジット制度、このJCMの前身でございますBOCM、二国間のオフセットクレジット制度の提言を政府にいたしまして、その制度づくりにも携わりました。その後、このJCMに関しましては具体的に案件組成にも関わっておりまして、本日は、その経験に基づきまして、JCMに対する今後の期待についてお話し申し上げたいと思います。
お手元に資料を御用意しておりますので、御参照いただければと思います。
まず、一枚目を御覧いただきたいと思います。
私のチームで組成を手がけましたJCMの案件です。これは、ベトナムの南部の方で、配電網において省エネの変圧器を設置する事業でございました。
これは、これまでベトナムの送電網で使われました変圧器、シリコン素材のもので非常に送電ロスが多かった。そこを、日本企業の圧倒的シェアのございましたアモルファスという素材、化学素材でございますけれども、この変圧器に変換することにより、送電の効率化を図り、電力の安定供給を実現するものでございます。もちろん、送電ロスが少なくなりますから、CO2の排出量も削減になる。
途上国では、安価な従来型の変圧器が、結局のところ、電力公社の入札の基準になってしまいます。そうしますと、長期的にはロスが低減されるといたしましても、初期投資がかかるこういった新技術はなかなか使われません。そこで、カーボンクレジットという、その価格のギャップを将来キャッシュフローとみなして、初期投資を支援することによって、その技術を普及させることができるということになります。
このJCMを起点に、一万台以上のアモルファスが今ベトナムに設置されています。それをきっかけに、ベトナム政府が省エネ政策として採用して、全土にわたって普及されております。
私どもが携わった案件は、最初の方は非常に苦労しました。ベトナム政府がこういった新しい案件を理解できないわけです。そこで、政府の方で長年交渉していただきまして、やっと技術が導入されたわけです。当時、国連でも、まだ京都議定書の第二約束期間中でございまして、どうなるか分からない、こういった状況でございましたので、やはり、カーボンクレジットにただお金を出して買うだけではなく、日本の技術を、貢献することを目指しました。今では、これがラオスまで発展されているということで、私自身大変うれしく思っております。
次のページを御覧ください。
パリ協定六条二項の下で、二国間協力を通じたカーボンクレジット制度が既に始まりつつあります。日本以外には、スイス、韓国がカーボンクレジットを獲得して、排出削減目標を達成させようとしている。御覧のとおり、圧倒的に、日本は提携国も多く、プロジェクトも多い。支援形態も多少の差はありますけれども、政府が資金を出しているのは変わりません。
我が国は、京都メカニズムのカーボンクレジット制度の際には、資金を出して目標達成に寄与しましたけれども、やはり、単なる資金を出すだけではなくて、日本の技術を活用すべく、JCMの前身でありますBOCMを検討し始めたのが、実は第一約束期間だったと思います。そのかいがありまして、これだけの先駆者となりまして、この利益というのは計り知れないものがあると私は思っております。
話を少し京都メカニズムの方に戻したいと思うんですけれども、京都メカニズムの運用ルールの交渉は九八年に始まりまして、二〇〇一年に決まりました。二〇〇二年に、日本政府は京都議定書を締結しています。
したがいまして、実は、途上国でのカーボンクレジットの組成は、国連で決める前から、世界銀行が炭素基金というのを設定いたしまして、そこに欧州などが資金を出して、既にルール作りを始めていたんですね。そこでは、もちろん日本の商社ですとか事業者も入っていたわけなんですが、世界的には、全く何もないところからこのカーボンクレジット市場をつくるということでは、多くの国が競争して、関心を持っておりました。その中でも、オランダ政府の動きが大変早うございました。
次のスライドを御覧いただきたいと思うんですけれども、オランダ政府が、国外から京都メカニズムのカーボンクレジットを民間から買い上げる制度を立ち上げまして、政府内に専門機関を発足させました。実は、私、二〇〇一年に、ここにインタビューに行っております。
政府が途上国と交渉し、民間事業が組成する炭素クレジットの公募をかけて入札する仕組みだったんですけれども、この機関の役割というのは、もちろん入札手続もあるんですけれども、その後、獲得するクレジットに関して、手続ですとか途上国との事業者とのやり取り、こういったものを専門性を持って継続的に実施することによって、政府の契約不履行のリスクを下げることができたと言われております。
右下には、各先進国の京都クレジットの参加度合いを見て取れると思うんですけれども、この組織のかいがありまして、オランダは、英国、スイスに次いで非常に大きなプレーヤーになっていることが分かるかと思います。
たとえルールが確定しても、とにかく途上国をパートナーとしてカーボンクレジットをつくるというのは、本当に多くの課題が生まれます。そこには継続的な、そして知見と経験が、蓄積が必要です。京都クレジットのときは、実は多くは国連がやっていたんです。
次のスライドを見ていただきたいんですけれども、これは、京都メカニズムの手続とJCMの手続の担い手を比べたものです。御覧のとおり、京都メカニズムのときは、途上国に対して、運用ルールの策定から、その後、事業登録、発行までを国連がしてくれました。各国の政府は、それを承認するだけでよかったんですね。
しかしながら、JCMはそういうわけにいきません。政府が提携国各国それぞれと、運用ルールの策定からクレジット発行まで、そして、その後の償却までを全てやらなくてはなりません。
実際のところ、JCMのこの議論、制度づくりが始まった頃、じゃ、この先、国が増えていったら一体どうなるんだということは議論はしておりました。パリ協定でこれをちゃんとカウントできるようになった今こそ、きちっと対応しなければいけないと私は思っております。
次のスライドを見ていただきたいんですけれども、現在、国のGX推進戦略におきましては、GXリーグでは、カーボンクレジットの取引を行う場所としていろいろなことを行っているわけなんですが、昨年秋には、東京証券取引所の方でカーボンクレジットの市場が開設されていまして、実証が行われております。
東証の実証は、国内のJクレジットのみです。二百社ほど今参加しておりまして、一万トンほどのクレジットが取引されていると言われております。この市場では、JCMも対象の検討が予定はされております。パリ協定に国際的に認められているこのJCMのクレジットの期待は民間事業者からも高く、需要は高まると思っておりますが、残念ながら、まだ供給量の不足が懸念されております。
次のページを御覧ください。
これは、世界で流通する炭素クレジットの概要でございます。左上にあるのが主なクレジットの種類なんですけれども、この中でGXリーグの対象になっているのがJCMとJクレジット、これは、国連や国のお墨つきがあるから、どうしても削減ができない事業者で相殺をしたいという場合には、またその資金を支援する金融機関にとっては、このお墨つきがクレジットの予見性を担保するために重要でございまして、今後、大変需要が高まるということは必至だと思います。
左下にあるように、クレジットの対象の事業が今幅が広がっております。私がやっていた頃とはもうダンチで幅が広がっております。吸収源や貯留といった、また、先ほど申し上げたアモルファスのような新しい技術を途上国に普及するためのクレジット、これは質の高いクレジットの組成がまだまだ困難な状況でございまして、政府の支援が大変重要だというふうに思っております。
さりとて、右側のグラフにございますとおり、国際的にはボランタリーのクレジットが圧倒的に多くて、政府のお墨つきが少ないんですね。いずれにしましても、日本企業が排出削減のオフセットをするには、当面、Jクレジットが中心となります。
そこで、ちょっと次のスライドを見ていただきたいんです。
JCMは、まず日本の政府の排出削減目標に活用しますが、企業の方では、自社の排出削減目標を設定して、投資家や金融機関に対して情報開示を今していかなければならないんですけれども、金融機関や投資家が今指標としているのが、ここに書いてありますCDPとかSBTなどの国際的イニシアチブです。この国際的イニシアチブが認めているクレジットというのが、公的機関が認めるクレジットでございます。したがいまして、ただ、今のところ、これは国内の排出量に限ります。一番右側なんですけれども、このCORSIAというのは、国際航空会社に対して今カーボンオフセットを求めるスキームができておりますが、残念ながら、このようなクレジットは使えません。現在、日本政府がJCMのクレジットをこのスキームに使えるために交渉されていますけれども、こういったことも省が担っていく必要がある。つまり、JCMの活用を広げていく必要があるわけです。
こういったことでは、最後にちょっと申し上げたいんですけれども、最後のページでございますけれども、これまで御説明した課題などを踏まえまして、今後のJCMについて期待を申し上げたいと思います。
まずは、私、もう十年以上COPの会場に行っております。いかに日本がこの六条で世界的に主導的役割に立っているかというのをよく知っています。六条の日本と言われます、この国際的なリードタイムのある先駆者利益を有効に活用して、国際的市場メカニズムの発展に本当に貢献してほしいと心から思っております。
ただし、そのためには、もちろん、日本の優れた技術によって途上国のCO2排出削減に寄与し、それを、戦略的に世界に貢献するための政策を省がもっと担うべきだ。そして、煩雑な手続、私も炭素クレジットに関わっていまして、もう本当に大変な手続があるんですね、この手続をやはり専門機関と連携して行うことにより、パートナー国との関係を継続的に維持強化していくということが省に担われていることだと思います。そして、より効果的に、より効率的にJCM制度を運用していっていただきたいというふうに思っております。
そして、先ほど申し上げましたけれども、課題となっております、これからもどんどん国数が増えてまいります、そういった中では、体制を強化していただかないことには、本当に質の高いカーボンクレジットビジネスというのは活性化できないと思っております。そのために、今いろいろと話題になっておりますGXリーグと緊密に連携いたしまして、流動性を向上させまして資金の流れをつくり、JCMクレジットの供給量を促すことを期待しております。
以上でございます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○務台委員長 ありがとうございました。
次に、阪田参考人にお願いいたします。
○阪田参考人 #選挙で聞きたい気候危機実行委員の阪田留菜と申します。
本日は、大変貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。
私は、慶応義塾大学総合政策学部に通う大学四年生です。大学では、宮垣元教授の下、社会課題に対するNPOなどソーシャルセクターの役割について勉強をしています。
本日は、大学生として、活動している身として、皆さんにお話しできればいいと思っています。
初めに、私が気候危機の解決のために活動を始めた経緯をお話しします。
関心を持ったのは、高校二年生、十七歳のときでした。当時通っていた学校のグラウンドが台風の影響で水没したということがありました。所属していたサッカー部の練習はできなくなり、副団長だった体育祭は中止になりました。昨日までずっとやっていたこと、楽しみにしていたことができなくなりました。災害が起こると、好きなこと、やりたいことのチャンスが奪われます。そして、気候危機によって災害リスクが増えることを知って、危機感に変わりました。
その後、気候変動対策を求めて声を上げている世界中の若者たちがいるということを知りました。フライデーズ・フォー・フューチャーという若者のムーブメントです。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ氏が始めた学校ストライキがきっかけで世界中に広がっています。日本、東京でも活動があり、イベントに参加しました。そこで、同い年のアクティビストが気候危機に対し高い危機感を持ち、自分の意見を堂々と言っている姿を見て、高校生でも社会にインパクトを与えられるんだと知りました。私もこうなりたいと思い、活動を始めました。
そこから、全国の仲間とたくさんの活動をしました。気候変動への危機感の共有をするために、新宿や渋谷で気候マーチをしたり、温室効果ガス削減目標の引上げを求めて学校ストライキをしたりしました。
そして、大学一年の秋、初めて投票できる国政選挙を迎えます。やっと選挙で投票できる、国の政策に影響が与えられると思いました。一方で、政治、選挙の争点は気候危機にはなく、何かこれまでと違った活動ができないかと思いました。そんな中、フライデーズ・フォー・フューチャーなど、活動で知り合った人たちが有志で#選挙で聞きたい気候危機を立ち上げたことを知りました。そして、参加しました。
#選挙で聞きたい気候危機は、被選挙権、選挙権を持たない世代がレポーターとなり、地元の候補者に、気候変動対策どう思っていますか、気候変動を危機だと認識していますかとインタビューし、発信をする活動です。今まで全国約百五十名のレポーターが候補者にインタビューをしたり、気候危機を伝える手紙を渡したりしてきました。もちろん、中学生や高校生も参加しています。
私も、今まで国会議員、自治体の議員、約十五人にインタビューをしました。活動を経て、気候変動対策に具体性、専門性のある人や、政治活動の中で気候危機を軸にしている人を増やしていく必要があることを学びました。また、周りの人や社会に対して、気候変動の危機感の共有、対策の重要性と緊急性をもっと伝える必要があると感じています。私たちの活動で大切にしていることは、対話を通して、参政権がない人や気候危機によって弱い立場にいる人を尊重し、自分の地域から変化を起こし、誰しもが参加できるアクションを提示することです。気候危機を政治の争点にすることを目標にしています。
また、約五年間、私は社会の仕組みを変えることができるのかという視点を持って活動してきました。小さな変化は望んではいません。私は、今の社会は、もっといろいろな人の声を聞いて、どんどん行動することが必要だと考えています。
世界気象機関によると、昨年一年間の世界の平均気温は、産業革命の前と比べて一・四度余り上昇し、観測史上最も高くなりました。パリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて一・五度に抑えるよう努力することを目標に掲げています。世界中で、熱波、山火事、豪雨、被害を挙げたら切りがありません。北極、南極では確実に氷が小さくなっていることが分かっています。日本でも、昨年の夏、熱中症で搬送された人は約九万人を超えました。半数は六十五歳以上の高齢者でした。今年も心配ですよね。気候危機の解決のために忘れてはならないのは、スピード感を持って行動を起こすことです。行動とは、温室効果ガスの排出量を減らすことです。
今回の改正案に関して言及させていただきます。
まず、再生可能エネルギー促進区域についてです。今回の改正により、再生可能エネルギーの導入が前向きなものとなり、より進むことを私たちも期待しています。日本には市町村が千七百十八ありますが、現在、再生可能エネルギー促進区域の登録は、二十六地域の登録です。今の延長の政策だけではなく、抜本的な改革をした取組をすることが再生可能エネルギーを主力電源にする方法だと考えています。
また、抜本的な取組の中に、化石燃料エネルギーの段階的廃止が求められると考えられます。より野心的に再生可能エネルギーの導入を望むのであれば、今年も再び議論が始まるエネルギー基本計画にも、環境委員会として横断的な対話が必要だと考えています。再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限伝えられるのも、この温対法改正に向き合う環境委員そして省庁の皆様だと考えております。
また、今後、自治体をまたいで再生可能エネルギーを導入していくに当たって、利害関係者が増え、複雑化していくことにより、取りこぼされてしまう意見が増えるのではと思っています。これまでの制度として取り組まれている住民や関係自治体への意見聴取や協議会での会議等の合意形成プロセスをおろそかにすることなく、当初のハンドブックには協議会構成メンバーの例が挙げられていましたが、協議会メンバー選定や合意形成のプロセスを明確化することが求められます。
次に、カーボンフットプリントです。
私は、日頃から気候危機に対して活動しているので、日常の中で出る温室効果ガスの排出量は気になりますし、見ています。ただ、環境問題や気候危機に関心のない友達や活動していない周りの人を想像すると、カーボンフットプリントが行動変容につながるイメージが湧きません。個人の取組だけでは不十分で、社会の仕組みを変える取組が必要なんだと考えています。気軽に温室効果ガスの排出量が少ないものを選択することができる、気候危機の解決のための仕事に就ける、勉強ができる、そうすれば、まだ関心がない人も取り組めるのではないでしょうか。個人で解決するものではなく、人と人がつながってコミュニティーをつくること、集団にアプローチすることが必要です。仕組み、ルールを作りましょう。
今回、参考人として呼んでいただいた理由の一つとして、若者であるという部分が大きいと思っています。こういう活動をしていると、やっぱり若い人は気候変動とかに関心が高いんだねと言われることがあります。しかし、内閣府で行われたアンケートでは、日本の十八歳から二十九歳の地球環境問題への関心、関心があると答えた人は七〇%です。一方、七十歳以上は九〇%を超えます。地球環境問題、気候危機の問題において、若者は直接被害を受けます。既に災害が起き、命が失われ、生物多様性が失われています。これからどんどん進んでいくでしょう。
政策に若者の声を反映させてください。政策に決定権を持っているのは皆さんしかいません。気候危機に対して活動や勉強をしている人もいれば、全くしていない人もいます。活動している人の中にも、住んでいる場所や性別や年齢など、様々なバックボーンを持っている人がおり、考え方も様々です。その人にしか言えない言葉があります。関心を持てないのにも理由があります。限られた人ではなく、フラットな場で政策をつくりましょう。
特に、昨年施行されたこども基本法十一条には「国及び地方公共団体は、こども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、当該こども施策の対象となるこども又はこどもを養育する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」とあります。子供、若者はまさに気候危機の当事者です。
今回、本当にこのような貴重な機会をいただき、感謝申し上げます。活動の中で、東京に住んでいるから声を上げられる、こういうバックボーンだから声を上げられるという特権があると思っています。活動している若者は多くおり、私が今まで活動の中で出会ってきた若者たちは、未来に対する大きな不安を抱えつつ、解決のために前に進んでいます。どうか、若者も含め、若者以外の人たち、多くの人の声を政策に反映させて、行動に移しましょう。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○務台委員長 ありがとうございました。
次に、佐久本参考人にお願いいたします。
○佐久本参考人 皆さん、おはようございます。新見ソーラーカンパニーの佐久本と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
では、お配りさせていただきました資料に沿ってお話をさせていただきます。
まず、私は、新見ソーラーカンパニーを起業する前は、放射線技師として病院で勤務していました。放射線技師になる過程で、ソーラーパネルがどうやって発電するかという原理を偶然にも学ぶことができました。そこから、病院で勤務しながら独学で太陽光発電を勉強し、二〇〇九年、株式会社新見ソーラーカンパニーを創業いたしました。その理由として、太陽光発電というものは世界で一番公平で安全で安心な、すばらしい発電方法だということに心を引かれ、今も活動を行っております。弊社の理念として、美しい地球を次世代へバトンタッチすること、これを念頭に活動を行っております。
それでは、表紙にありますように、子供たちの夢を応援するドリームチャレンジャーという事業も毎年やっております。子はやはり宝です。その子供たちのために、美しい地球を次世代へというふうに考えております。
二枚目に行きまして、ソーラーパネルの大量廃棄問題、こちらはもう既に新聞、テレビ等で取り上げていただいております。二〇一二年度からFIT制度をスタートに、太陽光発電の設置が一気に加速しました。当時は、私も太陽光パネルというものは半永久的に使えるものと思っておりましたし、問題視もしておりませんでしたが、そのときに、お客様から古いパネルを弊社のパネルに交換してほしいと言われ、交換したパネルを見たときに、後ろにコーキングというものを施しているんですけれども、そのコーキングとバックシートがぼろぼろになっておりました。そこで初めて、あっ、ソーラーパネルには、太陽光発電パネルには寿命があるんだというふうに気づきました。
コーキング、EVAと呼ばれる接着剤、先ほどお話ししました裏面を保護するバックシート、これらは全て有機物でできています。有機物であるがゆえに劣化が進み、太陽光パネルの寿命に大きく影響しております。裏を返しますと、無機物であるガラス、太陽電池セル、アルミ枠、インターコネクターというものは半永久的に使えるというふうに考えております。
現在、国内には、約八十ギガワットのソーラーパネルがもう既に設置されております。枚数にすると、およそ三億枚前後になると計算しております。政府は、二〇五〇年に向けて、三百五十ギガワットのソーラーパネルの導入を目標にしておりますが、今設置している八十ギガワットのソーラーパネルは、二〇五〇年にはほとんど廃棄されてしまいます。そうしますと、八十ギガワットプラス三百五十ギガワット、四百三十ギガワットのパネルをこれから二〇五〇年までに設置していくという目標を掲げております。
皆さん、万里の長城を御存じですよね。万里の長城の総重量は五千三百万トンとネットに書かれておりました。この四百三十ギガワットのパネルだけの重量は約三千万トンに上ります。この三千万トンのパネルを埋立廃棄ということは非現実的であり、私自身、もったいないと思っております。そのために、早急なソーラーパネルの資源循環の仕組みを整えていく必要があると考えております。
次のページ、ソーラーパネルは分解が難しい。
ソーラーパネル自体の構造は非常にシンプルです。ガラス、太陽電池セル、銅線がEVAと呼ばれる接着剤で強固に固着されて、バックシートも強固に固着されております。
この部品同士、無機物同士をきれいに分解することが、これまで非常に困難でした。しかし、この佐久本式という装置を研究開発するに当たっても非常に頭を悩ませておりましたが、あるとき、天から、有機物なんだから溶かしてしまえよという声が聞こえてきて、そこからこの熱分解装置というものを研究、実験、研究、実験して、二〇一九年にプロトタイプが完成し、ソーラーパネルをガラス、太陽電池セル、インターコネクターというものに分離することができました。それが、お手元に配付させていただいているマテリアルのサンプルになります。
この装置できれいに抽出したガラスを利用して、ガラス工芸品作家さんにグラスとして世界で初めて作っていただきました。今後は、ソーラーパネルのガラスにもう一回戻すということを考えております。
これまで、使用済みパネル、ソーラーパネルというものは、大きくごみというふうに、産業廃棄物というふうに捉えられておりましたが、我々にとっては、このソーラーパネル自身も、使えなくなったとしても、大切な資源として分解し、有価物として販売することができています。
脱炭素を目指すに当たって、再生可能エネルギーの導入だけでは再生可能な仕組みは完成しないと考えております。ソーラーパネルの資源循環を含めた脱炭素政策が地球温暖化対策の推進に役立つと考えております。
我々は、この二酸化炭素を出さない熱分解装置があるがゆえに、パネルメーカーとして、使用済みになったときに資源としてソーラーパネルを引き取るという仕組みを考えました。そして、昨年の六月から、この引取り保証がついたソーラーパネルをサステナパネルと呼び、使えなくなったときには回収する仕組みをつくりました。
さらに、この熱分解装置を利用して、国産のソーラーパネルを造ることを目標にしております。使用済みソーラーパネルから新たなソーラーパネルを造る。資料にございますように、エネルギーコストやCO2の削減も効果が、大きく貢献できると考えております。
例えば、二十年前の百ワットのソーラーパネルを、アルミ、ガラス、太陽電池セル、インターコネクターを抽出して、今の技術でもう一回リボーン、再生、新生させますと、百ワットのパネルから百五十ワット、二百ワットのパネルを造ることも可能であるというふうに考えております。我々はこれをリボーンと呼んでいます。水平リサイクルではなく、元々の性能より高い性能のパネルへ造ることをリボーンというふうに呼んでおります。リサイクルとリボーンは、その概念が違うというふうに考えております。
我々は、パネルからパネルをリボーンさせるパネル・トゥー・パネルを実現するために、リボーンパークの実現を目指しております。今や、使用済みソーラーパネルは、ごみではなく、資源になります。資源循環して再資源化が可能です。
我々は、既に資源循環の事業化に取り組んでいます。使用済みソーラーパネルを熱分解し、抽出したガラスは、工芸作家さんへマテリアルとして販売しております。くしくも、あしたから、岡山県倉敷市の美観地区にて、このガラス工芸品、リボーングラスが販売されることになっております。
アルミ枠、銅線に関しては、現在、資源循環が行われて、市場も形成されております。太陽電池セルに関しては、我々は、太陽電池セルからもう一度太陽電池セルに向けて研究を行っております。現時点では、太陽電池セルにある銀を目的に売却が可能となっております。
実は、つい先日、二つの脱炭素先行地域の担当者と、そこを目指している自治体の担当者の方とお話しさせていただいたんですけれども、今、PPAにて太陽光発電設備を設置する際に、市民や議会から、これは、最後はどうするの、埋め立てるのという声が多くて、設置まで、導入までなかなかスピードが進まないというお話がありまして、何とかこの佐久本式の熱分解装置を導入できないかと検討をしているそうなんですけれども、この装置単体だけでその市町村、地域の脱炭素にはなかなか結びつかない、脱炭素というものは日本全体を考えたときに必要ではあるけれども、その制度ゆえに、補助金や助成金がなかなか使いづらいというお話がありました。これは、恐らく他の自治体でも同様のことだと考えております。
これを打開するためには、やはりソーラーパネルメーカーが責任と義務を果たし、回収して資源循環化させるルール作りを行っていただくと、担当者もすぐに設置ができる、導入が進むのではないかというふうな御意見を頂戴しております。
最後になりますが、弊社は僅か六人の小さな小さな会社です。たまたまではありますけれども、社会問題を解決できる技術を開発することができました。しかし、その道は決して楽なものではありません。研究開発、特許取得など、莫大な資金が必要なことは御理解いただけると思います。
日本は古来より、四方を海に囲まれ、資源の乏しい国でした。文化として、最後まで使い切る、繰り返し使えるということが、日本の美しい文化の一つだと考えています。世界中で課題となっているソーラーパネルの廃棄問題、環境イノベーションを起こして、世界中のこの課題に対して解決できるというふうに信じております、世界をリードする、イニシアチブの取れる分野だというふうに考えております。
日本の技術力、その多くは我々のような零細企業が支えるというふうに思っています。しかしながら、いろいろな資金的な、技術的な継続できない理由で、泣く泣く撤退、日の目を浴びない技術もたくさんあると思います。物づくり日本の再生、世界をリードしていくイノベーションを日本から輩出するためには、政府の多大なる支援が必要だというふうに考えております。皆、必死で歯を食いしばって邁進しています。
私は日本が大好きです。日本の物づくり大国として環境面で世界を牽引できることを夢見ています。日本政府が強力なリーダーシップを発揮し、産官学民が一枚岩となることで、脱炭素の実現や、美しい地球を次世代へバトンタッチすることが可能だと考えております。
ここにお集まりの先生方を始めとする日本政府の強力なリーダーシップを期待して、私の魂の叫びを終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○務台委員長 ありがとうございました。
次に、大塚参考人にお願いいたします。
○大塚参考人 早稲田大学の大塚でございます。
環境法を四十年間にわたって専攻して、研究してまいりました。環境政策学会の理事長なども務めさせていただいております。
本日は、地球温暖化対策の推進に関する法律の改正案と地域共生型再エネの導入促進ということでお話しさせていただきたいと思います。
今回提案されているこの改正案のポイントは、先ほど来御議論があります二国間クレジット制度の着実な実施の確保を図るための体制強化、それから、二つ目に、地域共生型再エネの導入促進に向けた地域脱炭素化促進事業制度の拡充、三つ目に、日常生活における排出削減に向けた政府、事業者、国民による更なる取組の促進などの三点でございます。
本日、私は、この二つ目の点についてお話をしていきたいと思います。
地域共生型再エネの導入促進に向けた地域脱炭素化促進事業制度の拡充でございます。この点につきましては、気候変動対策の推進が進められているとともに、他方で再エネ導入に関するトラブルがあるという問題状況が、まず指摘しておかなければいけない点でございます。
二〇五〇年のカーボンニュートラル及び二〇三〇年度に、温室効果ガスを二〇一三年度比で四六%削減するということを目指すことが政府から表明され、二〇五〇年のカーボンニュートラルにつきましては、この温対法の基本理念として挿入されています。第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の電源構成は、再エネについては三六%から三八%、更に高みを目指すという目標とされています。自治体においても、グリーントランスフォーメーションの推進が期待されているところでございます。
もっとも、このような気候変動対策の推進とは別に、再エネの導入拡大に伴い、地域によっては様々な環境トラブルが生じております。その背景としては、再エネ特措法の制定のときに認定要件を簡素化していたこと、再エネ導入が地方公共団体が関与しない形で行われたことにあると考えています。
また、再エネ導入による地域へのメリットが見えにくいという指摘もなされておりまして、これらの課題は、地方公共団体による再エネに対する抑制的な条例の策定の増加にも影響しております。
そして、このような状況におきまして、令和三年に温対法が改正され、地方公共団体実行計画制度が拡充され、地域脱炭素化促進事業制度が創設されまして、令和四年の四月から施行されているところでございます。
また、令和四年には、再エネの事業規律強化に関して関係省庁が検討会を立ち上げておりまして、私も含めた有識者、自治体、業界団体などが委員となりまして、提言案を取りまとめています。この提言に基づきまして、昨年の再エネ特措法の改正などが行われています。
もっとも、温対法の地方公共団体実行計画制度との関連では、今年の三月の末時点で、市町村の促進区域の設定は僅か二十六件でございまして、事業計画認定は一件のみでございます。令和三年の温対法改正でせっかく設けられた制度が十分に活用されているとは言えないという状況でございます。
こうした中、この制度にはどういう課題があるかということが問題となりまして、この点につきまして、環境省で検討会が開催され、私が座長を務めさせていただきました、昨年八月にその取りまとめが公表されております。
次に、二の、温対法の地域脱炭素化促進事業制度の現状のところに移っていきたいと思います。
令和三年の温対法の改正により、促進区域を含めた、地域脱炭素化促進事業の促進に関する事項を定めることが、市町村の努力義務となりました。これは、市町村が、地域の再エネ資源、それから再エネに関するステークホルダーをよく知っているということからすると、望ましいことでございます。もっとも、先ほど申しましたように、市町村の促進区域の設定はこれまでのところ二十六件にすぎません。
一方、宮城県、熊本県などでは、促進区域へ事業を誘導したり、ゾーニングマップの作成、合意形成を進めるなどの動きが見られております。図の一を御参照ください。
地域脱炭素化促進事業ではございませんが、再エネ事業の実施に伴う地域の経済、社会の持続的な発展に資する取組といたしましては、石狩市とか宮津市などの例がございます。図の二と図の三を御参照いただければと思います。
先ほども申しましたように、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて地域における再エネの導入の必要性は高まっておりますが、他方で、特に初期の無秩序な再エネの導入に伴う環境トラブルなどに対処し、更なる再エネの導入のために地域における合意形成を進めるためには、再エネの地域共生型の在り方が極めて重要になってまいります。
地域共生型の再エネは、各地の地方公共団体の諸問題を、その導入によって、新しい産業、雇用の創出、地域内の経済循環を通じて解決していこうとするものでございます。地域共生型の再エネは、再エネ導入という環境政策によって地方創生を果たしていこうとするものでございまして、第五次環境基本計画の地域循環共生圏という考え方と大いに関連しているものでございます。
しかし、このような発想を実現するためには、様々な施策が必要となります。
第一は、市町村を中心とするゾーニングによる再エネ導入の適地の発見でございます。この点は令和三年の温対法改正に伴う促進区域制度に反映されています。地域共生型の再エネの導入は支援し、迷惑施設と捉えられる再エネについては厳しく対応するという区分が極めて重要でございまして、図の四を御参照いただけるとありがたいと思います。これは、環境省の方からのペーパーで、資料として審議会で使ったものでございます。
この点に関しましては、本来は、広域ゾーニングが必要でございますけれども、それに向かって段階的に取組を進める前提で、まずは合意形成のしやすい、特定の地区、街区の地域共生型の再エネの導入を後押しするために、例えば、スマートコミュニティーとか工業団地などで促進区域として設定していくということも考えられます。
第二に、再エネは地域にとっての資源でございまして、再エネの導入は災害時における非常用電源の活用など、地域にとって様々なメリットがございます。しかし、それが、地域の経済循環の発展とか地方創生に資するということを明らかにしていくことが必要でございまして、この点がまだ必ずしも十分に行われてこなかったということが問題であると思っています。この点に関しまして、環境省が進める脱炭素先行地域、あと地域脱炭素化促進事業制度は、地域主導の再エネ導入を促進する枠組みとして極めて意義があると考えております。
第三は、地域脱炭素化促進事業制度実現のための人材の育成を始めとする様々な支援の必要でございます。
今申しました第二点、第三点を実現するために、地域脱炭素化促進事業制度、それから促進区域の設定に関しましては、市町村の負担軽減策、市町村へのインセンティブの強化、市町村にとってのメリットの確認、国、都道府県、市町村、事業者などの役割分担、連携強化、事業者へのインセンティブ強化、系統整備との連携、他の関連する制度との連携などが必要になってくると考えられまして、これは検討会の方で取りまとめたものと関連しております。
次に、温対法の改正案と地域共生型再エネの導入促進のところに移っていきたいと思います。
法律案における改正点は、次の二点でございます。
第一は、現状では市町村のみが定めている促進区域等について、都道府県と市町村が連携して広域の促進区域設定を可能にするために、地方公共団体実行計画において、都道府県と市町村が共同して地域脱炭素化促進事業に関する事項を定められるということにする点でございます。これは、新しい二十一条の六項が関連しています。
これは、市町村では促進区域を設定しようとしても、人材とか財源が足りないということが多いですし、再エネが複数の市町村にまたがる場合には設定が困難になるということがございますので、このような改正は是非必要であると考えています。
また、都道府県におかれましても、自らの地方公共団体実行計画において再エネの利用促進に関する目標を設定して取組を進めるということが必要でございまして、そのためには、積極的に市町村の促進区域設定を後押しすることが必要であると考えられます。
また、地域脱炭素化促進事業に関する事項を都道府県及び市町村が共同策定した場合におきまして、複数の市町村の区域にわたる地域脱炭素化促進事業計画の認定などを都道府県が行うこととするという、新しい二十二条の五というのが重要でございます。隣接する市町村との境界における事業計画が申請されることも多いわけでございます。
例えば尾根などで、風力とかも含めて発電所を、事業計画を申請するときに、隣接市町村との境界における事業計画という申請がございますが、事業者が一つの事業であるということから、認定事業等の一本化が必要とされるということで、このような提案がなされているということでございます。
第二に、現行の温対法は、地域脱炭素化促進事業計画の実施の円滑化を図るために、認定地域脱炭素化促進事業につきましては、関係許認可等の手続のワンストップ化を行っています。このワンストップ化の特例につきましては、今回、対象となる法令に、宅地造成及び特定盛土等規制法を追加するということが提案されています、新しい二十二条の二、二十二の十がこれに関係しています。
これは、関係許認可等の行政手続の一本化、窓口の一本化によって、事業者の行政手続の効率化を図るものでございます、いわゆる規制緩和ではないということも指摘しておきたいと思います。
このうち、第一点につきましては、先ほど私が座長を務めさせていただいている検討会の取りまとめの三つ目のものを踏まえたものと言えると思います。
ほかにも、政府におかれましては、以下の措置を取ることが予定されています。
一つは、地域脱炭素化促進事業への経済的インセンティブを強化するということでございます。具体的には、認定地域脱炭素化促進事業に係る太陽光発電設備につきまして固定資産税を軽減するということが予定されています。また、再エネのフィージビリティースタディーに関して財政支援をするということも予定されています。この点は、検討会の取りまとめの二つ目のものに対応するものでございます。
第二に、金融面からの地域脱炭素化支援を行うということも予定されています。具体的には、地方公共団体実行計画に基づく地域脱炭素化の取組につきまして、脱炭素化支援機構、さらに地域金融機関などを通じて、資金供給面から支援するということでございます。地域金融機関は、この脱炭素化を推進するために非常に重要な役割を果たしていただくものでございます。また、脱炭素アドバイザーの資格制度によって認定された民間資格などを活用した人材育成を行うということも予定されています。こちらも検討会の取りまとめに対応するものでございます。
以上、自治体のグリーントランスフォーメーションにつきまして、地域脱炭素化促進事業制度、それから再エネを中心としてお話をしてまいりました。再エネに関しましては、我が国全体として再認識すべき点を二つ申し上げておきたいと思います。
第一は、二〇五〇年カーボンニュートラルを達成するためには、再エネのシェアを大幅に高めることが必須であるということでございます。
第二は、再エネは地域に便益をもたらすものでありまして、もたらさない状況があるとすれば、それは改善しなければならないということでございます。再エネは、地域にメリットを与える点で、いわゆる迷惑施設でないものとすべきでありまして、そのように捉えられない方向に改善していかなければなりません。地域脱炭素化促進事業を最大限活用したゾーニングの徹底などによって、どの地域に再エネを導入し得るかを見極めていくということが極めて重要であると考えております。
私のお話はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○務台委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○務台委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀内詔子君。
○堀内委員 自由民主党の堀内詔子です。
本日は、地球温暖化対策推進法改正案の審議のために参考人の皆様方にお越しいただきまして、ありがとうございます。また、皆様方におかれましては、大変充実した資料をそれぞれの参考人の皆様方が御用意いただいたことにも、改めて厚く御礼申し上げます。
振り返ること約五十年以上前になりますけれども、一九七二年、いわゆるローマ・クラブの報告書が出まして、成長の限界といった概念が私どもの中に投げ込まれた、そういった衝撃がございました。もう私たちの地球は限界を迎え、そして、私たちが使いたいようないろいろな物の使用法では地球のこの環境は保てないんじゃないか、そういった話がございました。
それから、一九九七年、いわゆる京都会議、COP3が行われ、そして京都議定書が定められたところでございます。実は、私の義理の父に当たります堀内光雄も、当時、COP3に通産大臣として参加させていただきまして、当時の環境庁長官とともに出席させていただいた次第でございます。あの頃と比べまして、地球環境、環境問題に取り組む皆様方の気持ち、熱意、そして覚悟、そういったものは格段の差があるのではないかというふうに思っているところでございます。
今日は、そういった様々な過程を経て、今こうして地球を守ろうとしていろいろな活動、そして、すばらしいお仕事をしてくださっている皆様方に質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、吉高先生にお伺いいたします。
吉高先生は、いわゆる気候変動分野を中心として、京都議定書のCDMに実務的に携わってくださった、そういった御実績があられます。その吉高先生にまず質問させていただきたいと思います。
まず、先ほど来質問に出ていますように、JCMのパートナー国は今二十九か国となって、三十か国をうかがっているところでございますが、これを更に拡大していく必要があるというふうに思っております。
実は、私自身、昨年ブラジルのブラジリアでブラジルの外相にお会いして、JCMにブラジルはまだしっかりとパートナー国になってくださっていないので、何とかお願いできますかなんという話もさせていただいたところではございますが、なかなか御当地は難しいような状況もあられるようでございます。
けれども、先ほどの質疑の中でも出てきましたように、例えば、インドなどの大型の案件をしっかりとまとめていくことによって、いわゆる数値的に飛躍的に伸びるわけでございまして、様々な効果が。そういったことが必要であるというふうに思っております。
例えば、インドとかブラジルとか、そういった大国との案件をまとめていく上での非常な困難というか御苦労、そしてまた困難なことが今ある事象についてお教え願えればと思っております。
○吉高参考人 御質問をどうもありがとうございます。
大変私も関心のあるところでございます。実際、CDMのときに最もカーボンクレジットを生んだのは中国でございます。その次にインド、ブラジルでございました。したがいまして、本当にカーボンクレジットの供給量を増やそうと思ったら、やはりインドそれからブラジルのような大国とこういったものを進めてまいりませんと供給量は増えないと思っています。
一方で、あちらも大国でございますので、今度は京都議定書のときとは違いまして、彼らも排出削減の目標がございます。その中で、お互いにウィン・ウィンになるような形で交渉がきちっとできないと、多分、京都議定書のときとは違いまして、こういった制度になかなか合意をしていただけないのではないかというのは、私自身も毎年COPに行って感じております。
来年のCOPがブラジルでございますし、今後、やはりこの大国といかにJCMをしていくかというのが日本政府にとって私は重要だと思っております。
以上でございます。
○堀内委員 ありがとうございます。
続きまして、吉高先生にもう一問質問をさせていただきたいんですけれども、大国とのJCM、そういったことは本当に大きな規模で進めていかなくてはならないというふうに思っておりますが、一方、先生は、いわゆる温室効果ガスの排出削減には、日本でも大企業が関わっていく、その方が数値的にも大きいし、大企業が率先してやるべきだというお考えがある。
一方で、日本の中で中小企業が占める割合が九九・七%といったところで、もちろん、大企業が率先して対策を行えばいいじゃないかという考え方もある一方で、エネルギーコストの上昇は企業規模の大小にかかわらず影響を与えてくるので、コスト削減は中小企業にとっても重要な課題となっている、そして、脱炭素に向けた様々な取組を行うことで、生産効率を上げたり、経営改善を図ったり、社会的責任を果たしていくといったメリットが中小企業においても期待されるわけで、中小企業もそれを担っていかなくてはならない、そういったお考えをお持ちだというふうに存じております。
それについて先生はどのようなお考えをお持ちか、また中小企業に対してはどのような形のアプローチをしていく必要があると先生はお考えでしょうか。
○吉高参考人 御質問をどうもありがとうございます。
私自身、環境省が進めております脱炭素先行地域の評価委員もさせていただきまして、全国の地域を回っております。また一方で、地域の金融機関に対しまして、GX推進の様々なアドバイスなどもさせていただいております。
その中で、今、堀内先生がおっしゃったように、中小企業が問題だと。やはり中小企業の方々は目の前の課題が多くて、遠い先と思われがちの気候変動、阪田委員には申し訳ないですけれども、やはりそういった感覚の違いというのがございます。
そういうときに、実際のところ、今、地方に参りますと、やはりエネルギーコストが上がっておりまして、実際に脱炭素先行地域のところでは、それが入ったおかげで実はコスト削減に寄与したという中小企業さん、何社か私もお会いいたしました。
ですので、実は、この脱炭素というのは脱炭素を目的にするのではなくて、今おっしゃったような企業の経営を改善するためには、今後、明らかにエネルギーコストは上がってまいります、今のような地政学リスクの中では。そういった面では、そういったことをきちっと理解していただくことと、あともう一つのキーは地域の金融機関でございます。
地域の金融機関は、最近、カーボンクレジットのサービスなんかもしているというようなこともございまして、やはりいかにCO2の削減というもの、エネルギーのコストの削減というものが金融的な資産として価値のあるものかということをきちっと評価できる体制というのが、実は今、地域金融機関の中でできてまいりました。
こういったもので中小企業の方とともに、これは、よく企業の方は金融機関を少し敵対視されるようなところもあるんですけれども、エンゲージメントと申しますけれども、一緒になって解決策をつくることによって、中小企業の方もこういったGXに携わり、新たなビジネスチャンスもつくれることがあるのではないかというふうに期待しております。
以上でございます。
○堀内委員 吉高参考人、ありがとうございました。
次は大塚参考人にお伺いしたいんですけれども、よろしいでしょうか。
大塚参考人は、地域脱炭素を推進するための地方公共団体実行計画制度等に関する検討会の座長もお務めであるというところでございますが、是非その先生の御知見を伺いたいというふうに思っております。
実は、私自身、自由民主党の中で環境・温暖化対策調査会というところがございまして、今、後ろに座っていらっしゃる井上委員が会長をお務めになっておりますが、私はそこで幹事長を務めさせていただいております。その環境・温暖化対策調査会で政策提言をまとめさせていただき、それを四月二十三日には岸田総理に、そして四月二十五日には伊藤環境大臣に提言としてお届けをしたところでございます。
この政策提言というのは、いわゆる資源循環社会が必要である、日本の循環経済を国家戦略にしていこうといったことがポイントでございます。
その中でも、例えば、資源環境にも資する豊かな地域や暮らしの実現の中で、地域の再生可能資源の徹底活用による地方創生といった部分で提言もさせていただいております。地方公共団体、企業、市民、大学などの地域の積極的な取組を引き出し、循環資源の特性を踏まえて最適な規模で地域ごとに資源循環のネットワーク形成を主導していくことができる中核的な人材を育成するとともに、地域の特性を生かしたモデル地域を創出してその横展開を図ることで、地域の自律的な資源循環の実現や地域経済の活性化などを後押ししていくことが大事だというふうに言っております。
私は、やはり地域で中核的な人材がしっかりとした地域とともにそういった資源循環といったことをしていくことが必要だと思っておりますが、大塚参考人はどのような御見解をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。
○大塚参考人 どうもありがとうございます。
御指摘のように、地域脱炭素化促進事業を実施していくために、今おっしゃっていただいたような、地域循環共生圏のようなことを実施していくために、人材の育成というのは極めて重要であるというふうに考えているところでございます。
脱炭素との関係では、先ほどちょっと申し上げさせていただいたような脱炭素アドバイザー資格制度というのがございますので、これで認定された民間資格等を活用した人材育成を行っていくということが当面考えられるところでございます。
様々な資金供給面からの支援も含めて、新しい人材をこの地域脱炭素化に関して育成していくということが極めて重要であるというふうに考えているところでございます。
ありがとうございます。
○堀内委員 ありがとうございます。
そして、もう一点、やはり同じ提言の中で、太陽光パネルについても触れさせていただいているところでございます。
使用済太陽光パネルのリユース、リサイクルの促進のために、義務的リサイクル制度の活用を含め引渡し、引取りを確保するための新たな枠組みの構築に向けて、法制度の検討を進めることが必要ではないかというふうに思っておりますが、大塚参考人の御意見を聞かせていただきたいと思います。そしてまた、その後に佐久本参考人も御意見を述べていただけたらと思っております。
○大塚参考人 ありがとうございます。
太陽光パネルのリサイクルに関しましては、実は、環境省と経済産業省、資源エネルギー庁の方で合同の検討会を開催しておりまして、私もその委員をしておりまして、中間的な取りまとめは少し前にしたと思いますけれども、御指摘のような義務的なリサイクル制度が必要だというふうに私も考えているところでございます。
太陽光パネルの様々な特質、性質、さらに、外国からのパネルが多いということも含めて、様々な観点でリサイクル制度を考えていく必要があると思っております。
リサイクルに関しましては、御案内のように、元々は容器包装リサイクルから始まって、様々なリサイクルの個別の制度がございます。また、循環型社会の形成推進基本法も二〇〇〇年にできておりますし、今般もまた新しい法制が立法化されようとしているかと思いますけれども、そのようなものも踏まえつつ、さらに、今までの個別的な制度との関係も踏まえつつ、新しい制度をつくっていくということが私自身は必要であるというふうに考えていますが、まだ検討の途中であるということも申し添えさせていただきます。
ありがとうございます。
○佐久本参考人 御質問ありがとうございます。
資源循環という言葉は、先ほどもお話をさせてもらったように、日本古来の文化だと思っております。ソーラーパネルに関しましては、様々なリサイクル方法があるんですけれども、現実として、ガラスとそれ以下、セル、EVAシートと呼んでいるんですけれども、そこを分けるだけで、あとは、現実的には埋立て、最終処分場に行っているというようなお話も、リサイクル装置を導入している企業さんから御相談もあります。
ですので、ガラスと金属を完全に分別できるというところは一つの大きな関門といいますか、ハードルになると思います。その技術とか制度をうまく現実ベースに落とし込む。リサイクルしているといっても、埋めているとか、そういったことではなくて、きちんと水平リサイクル、若しくは我々が提唱しているリボーンという形に持っていくためには、やはりパネルメーカーさんの義務化とか、そういったものが必要になると考えております。
ありがとうございます。
○堀内委員 ありがとうございました。
阪田参考人、済みません、最後は時間がなくてできませんでしたが、日本のグレタさんを目指して頑張ってください。
ありがとうございました。
○務台委員長 次に、屋良朝博君。
○屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。
本当に示唆に富んだお話を伺いまして、いろいろと考えるところがありました。国際的な視点で見られていらっしゃる吉高さんだし、未来からの提言をいただきます阪田さんだし、ビジネスにどうつなげていくかということが本当に僕はキーじゃないかなと思っているところで一生懸命頑張っている佐久本さんだし、制度をつくっていただいている大塚先生、本当に今日は何かキャストがそろった感じでお話を伺っておりました。ありがとうございます。
まずは、実は同郷であることが分かったんですけれども、ハイサイ、佐久本さん、よろしくお願いします。
先ほど、水平リサイクルじゃないんだ、リボーンだというふうなお話をされていたし、万里の長城に例えたところはすごいなというふうな気がしたんですけれども、やはりもうけがあって、企業があって、成り立ってということなんですけれども、これは見通しはどうでしょうかね。今、例えば制度的に、国の制度でこういうところをもうちょっとてこ入れした方がいいんじゃないのという何か足りない部分があれば、是非とも今この場で言っておいてください。
よろしくお願いします。
○佐久本参考人 屋良議員、ニフェーデービル。ありがとうございます。
やはり続ける、再生可能、循環していくためには、企業が大きな責任を果たすためには、収入といいますか、お金が循環していかないと、いつまでもボランティアとか研究だけでは定着しないと考えております。
その中で、今、脱炭素先行地域の例を挙げさせていただきますと、国内メーカーのパネルというものが条件に挙がっているというふうにお伺いしました。これを、先ほどお話をさせてもらったように、メーカーが資源循環をするんだということを条件に、補助金であったり助成金であったりというものを提供していただくことによって、国内での競争力が必ず上がります。
今、いろいろな企業さんから話を聞いても、日本国内でソーラーパネルは造れないと。なぜかといいますと、技術はあるんですけれども、コスト的に合わないよねというところから始まっております。
ですので、まず最初の後押しですね、転がるまでのやはり経済的な支援というものが、ソーラーパネルの資源循環に取り組む企業にとってかなりいい方向に進むとは思っております。
ありがとうございます。
○屋良委員 そういった課題の解決についても、何か天から声が聞こえてくるといいですね。
それと、ペロブスカイトとか新しい技術もどんどんどんどん出てくるので、水平リサイクルじゃなくてリボーンだというお話なんですけれども、そことの競争なんかが出てくると、なかなかビジネスチャンスにつなげていくというのが、これまたハードルが高くなるのかなというような、素人ですが、そう考えたりしているんですね。是非とも本当に頑張っていただきたいなと思います。よろしくお願いします。
阪田参考人、よろしくお願いします。
何年か前に、私はスウェーデンの駐日大使とちょっとお話をさせていただくことができまして、こう言われたんですよ。日本の若者はなぜ政治を語らないのかというふうに聞かれたんですね。私はこの理由が即答できなくて、ちょっと困っていたんですよ。阪田さんに会っていたら、すぐ答えることができたんですけれども。
私は、その大使に、スウェーデンはどうですかと聞いたんですね。スウェーデンの若者はナイーブ過ぎて、世界を語るんだよと。ナイーブというのは、多分、世間知らずというふうな意味だったと思いますけれども、世界を語るんだよというふうなことを言っておられたんですよ。よくよく考えたら、そうか、グレタがいたな、グレタが頑張っているなという国情なんですね。
そういうふうに聞かれたら、阪田さんはどういうふうに大使に返しますか。ということを踏まえながら、温暖化防止と若者の役割についてお伺いします。
○阪田参考人 質問ありがとうございます。
日本の若者が政治に関心がないと言われる理由に関して、私は二十二歳なんですけれども、一つ理由として挙げるとすれば、理由にはならないかもしれないんですけれども、政策の中に若者が入っていないことが一つあると考えています。政策決定プロセスにもっと若い人が参画すれば、当事者意識を持つことができると思っています。なので、大使の方にはそういうふうにお答えするかなと思っています。
もう一つ、済みません、つけ足しで。政治であったり社会側に若い人の意見を取り入れる体制というのがついていないと思っています。
今回も、参考人として、当初は高校生のメンバーである角谷に話してもらいたいというふうに思っていたのですが、出席することは認めていただけませんでした。そのことに対して私自身もショックを受けましたし、角谷本人も、もし登壇ができなかった理由が年齢であるならば、当事者の声は聞かないと言われているように感じ、心から悲しく思いますと言っていました。社会側にも、若い人の意見を聞いて、聞くだけではなく、政策に反映させることが必要だと思っています。
気候危機の問題に限りますと、若者は当事者であるだけでなく、利害というものが少ないですので、皆さんが抱えているような壁を乗り越えられると思っています。
また、こういう活動をして、いろいろな活動仲間ができるんですが、そういう人たちと話していても、政策の中に入りたいよね、自分たちで政策を話し合ってみたいよねという人はたくさんいます。ですので、これからどんどん審議会のメンバーであったり、政策決定プロセスに若者が参画できるように変えていきたいなというふうに思っています。
以上です。ありがとうございます。
○屋良委員 ちょっと耳の痛いお話でございましたけれども、ありがとうございます。
本当に政治の仕組みを変えていきたいというふうな熱意は十分伝わりましたので、それをしっかり受け止めて、私たちも少しでもよくなるような政治環境をつくっていきたいなというふうに皆さん思ったと思います。よろしくお願いします。
吉高さん、ちょっと教えてもらいたいんですね。
パリ協定六条とかの取組の現状というのは、私はよく知らないというか、現場を知らないものですから、海外での状況とかを知らないものですから、それを市場メカニズムにしてやっていく上で、やはり先ほども吉高参考人がおっしゃっていたように、いろいろな国々で目標があるので、そこはウィン・ウィンにしていかないといけないというふうなお話なんですけれども、そこに何らかのそごがこれまでにあったりしたのかどうか、それをどうやってクリアしたのかということが一つ。
もう一つは、理念的なものなんですけれども、これを市場化してクレジットでやり取りをするというビジネスライクの在り方。
地球環境というのは、二酸化炭素を減らして温暖化を防止しましょうというのは世界的な目標で、取りあえず解がないんですね。正解がないような中で、私たちは、一生懸命、日々の、今日も暑いなとか、何だ、これは、二十五、六度になっちゃって、本当にこの地球は大丈夫かなというような話の中で生きているんですけれども、外国とやり取りをしていて、利害が対立するとか、そういった状況があるケースがあったのか、それを、どのような解決策をこれまで講じることができたのかというのを、もし御経験があれば教えてください。大丈夫ですか、分かりますか。
市場メカニズムにするということの是非ということですかね。そうすると、ビジネスライクになるので、利害が絡んで、ウィン・ウィンじゃない状況ももしかしたら出てくるかもしれないなと思ったので、そこを教えてください。
○吉高参考人 御質問をどうもありがとうございます。
途上国でこういった市場メカニズムをする際に、何かこれまで過去にそごがあったのかということなんですけれども、基本的に、京都議定書のときには、まず、途上国の持続可能な発展に資するカーボンクレジット事業をしなくてはいけないということで、大変厳格なルールがございました、国連におきまして。ですので、これは、市場メカニズムといいましても、金融市場とかとは違いまして、あくまでも政策に基づいた市場でございます。
そして、第三者認証というのがございまして、非常に質の高いものをつくっていくというルールがございます。決してカーボンクレジットを第一義的に使うのではなく、あくまでも補完的に、まずは自分たちで削減をする、どうしてもできないところに関しては、質の高い、途上国に貢献するようなクレジットにしなければならないというのは綿々と国連の中で言われてきていることですので、私が経験した中ですごくそごのあったということは余りなかったんですけれども。
ただし、例えば、京都議定書の際は、中国でたくさんの大規模の水力発電のところでカーボンクレジットができたり、それから、パームのプランテーションに関するクレジットなんかは、実は日本企業が結構関わったんですけれども、欧州なんかは、やはりパームプランテーションに対しては人権の問題もあって、日本ではなかなか意識がなかったので、そういうこともあったわけなんですけれども、それに関しても非常に厳格なルールが世界的にも出てきましたので、ラーニング・バイ・ドゥーイングと申しますか、人間はやはり前に進んでいるのかなというふうには思っております。
あと、ビジネスライクとおっしゃいまして、私がこれを始めた頃、金融機関がこういったものをやることに関して、マネーゲームじゃないかとか、紙の、空気の商人みたいなことを言われたこともございますけれども、これは、経済学的に最適化でCO2を削減するための重要な経済的措置だと思っておりますので、私自身は、適正に運用されれば十分CO2の削減に寄与するとは思っております。
以上でございます。
○屋良委員 その点を確認できたのでよかったです。
実は、私もちょっとフィリピンに留学していた経験がありまして、いろいろな自然破壊があって、日本の企業がそこからもうけを持ってくるということに対する東南アジア、発展途上国におけるイメージというのが気になっていたものですから、そこをあえて、ちょっと意地悪だったかもしれませんけれども、聞かせていただきました。ありがとうございます。
大塚先生、システムなんですけれども、制度的なものなんですけれども、先ほど来お話を聞いていますと、やはり人材かなというふうな気がするんですね。いろいろな先進的な取組をやっている自治体とかは、この役場のこの課の誰がやっているんだろうなと、何か頭にその人の顔が浮かぶような気がするんですよ。
だから、その人の情熱だとかその人のパッションだとかに今地方自治体がどうも頼り過ぎているんじゃないのかなというふうな気がしますけれども、やはり人的アセッツばかりに依拠している制度というのはいつか持続可能じゃなくなるんじゃないかなというふうな気がしますね。
先ほど先生は、経済的なインセンティブが必要だとおっしゃいました。佐久本さんも、地元で利益を上げながら、水平じゃなくてリボーンだというふうな、先を進もう、走ろうとしているというふうな中で、今やっている制度で足らざるところ、ここのところにもうちょっと力を入れないと日本の環境行政、温暖化行政は立ち行かなくなるよというふうなところがあったら、ひとつ、多分、これは時間的に私の最後の質問となるので、ばしっとお答えいただきたく、お願いします。
○務台委員長 大塚参考人、答弁は簡潔にお願いいたします。
○大塚参考人 御質問ありがとうございます。
先ほども御指摘させていただきましたように、確かに人材が非常に重要なんですけれども、個人の情熱に頼っているだけでは持続可能ではないということがございますので、様々な地域に対するメリットがあるということを示していかなければいけないというふうに痛切に感じているところでございます。
本日、私がお話をさせていただいたように、地域に対してメリットのある、地域に裨益するような再エネというものを増やしていくということが大事でございまして、そのために様々な支援をしていくということが重要になってくると思います。固定資産税の太陽光発電に関しての軽減というのは一つの方法でございますし、それから、地域脱炭素化の実行計画に伴って様々なメリットを与えるという金融面からの支援ということが重要になってくると思っております。
より一般的には、先ほどもちょっと申しました地域循環共生圏という、再エネは一つの大きな基軸になるわけですけれども、地域の資源としての再エネを導入して、そこから様々なエネルギーを得て、それで経済とか雇用を回していく、そのために脱炭素化のための先行地域で様々な支援をしているわけですけれども、こういう取組が重要になってくるというふうに思っているところでございます。
これは、環境政策を実施することによって、それを通じて地方の創生につなげるということでございまして、まさに地方公共団体の、地方消失とかまで言われているような問題に対して重要な役割とか方針を示すことになるというふうに考えているところでございます。
どうもありがとうございました。
○屋良委員 イッペーニフェーデービタン。ありがとうございました。
○務台委員長 次に、杉本和巳君。
○杉本委員 日本維新の会と、参考人の方は御存じないかもしれないですが、前原さんを始めとする教育を無償化する会という方々とともに統一会派を維新が組んでいます、その統一会派を代表して質問させていただきます。
まずは、四人の参考人、私は先生とお呼びしたいですけれども、敬意と感謝を申し上げたく存じます。
それで、この地球温暖化対策、CO2削減というのは、マクロの話とミクロの話が両方あると思いますし、理想と現実というのがやはりあると思っています。まず、お四方に全部意見を伺いたいので、皆さん、答えの準備をしていただきたいんですけれども、専門でなくても、一市民として、一日本国民としてお答えをいただければと思っています。
それで、私、電源開発という会社に出向していたことがあって、そこは石炭火力というのをやっていまして、しかも、それはかなり技術力があって、高効率な石炭火力をしているということで、CO2削減ができるような石炭火力発電所を造っているわけでありますが、理想は、石炭なんかに関与しない発電が必要なんですけれども、現実は、日本の技術力をやはり生かして、大いなる目標に向かって少しでもそれを使っていくべきではないかというふうに私は思っています。
例えば先ほどインドの話がありましたけれども、インドともJCMなんかを進める上では、日本の技術をやはり大いにインドにも使っていただくことによってプラスになると思うので、それぞれのお立場で、石炭火力、それは括弧つきで、高効率であり、高削減の伴った、日本の技術を伴った石炭火力発電について、理想と現実の中の現実のステップとして必要ではないかと私は思いますけれども、皆さんの立場からはどうお思いになられるか、教えていただければと思います。
順次、御説明があった順にお願いできればと思います。
○吉高参考人 御質問ありがとうございます。
私が京都議定書のCDMをやっていた頃は、実は高効率の火力発電ですとか、そういったものに関するCDMの話もございました。結局、クレジット化しなかったのは、将来に向けて実際に地球温暖化の問題が喫緊の課題にあって、先ほども申し上げた途上国の発展を考えても、石炭火力を進めるということは、気候変動問題に対してはやはり是ではないという考え方だったと思います。
高効率の火力発電なんですけれども、私もインドも参りましたし、中国でも超超臨界、もう入っております。日本のとても高い技術は、高いわけですね。その価格を下げられることができるならば、私は是非活用していただきたいと思いますが、もうインドも中国も十分技術は持っております。
今、石炭の価格が上がっております。御存じのとおり、金融機関がもう採掘にはお金を出さなくなりまして、パイも減ってきているわけですね。その中で、今から日本が、高い技術とおっしゃっていただきましたけれども、本当にそれで世界のマーケットを取るような技術として将来性があるのかというのを現実的に考えますと、私は、それは解ではないかなと。
その一方で、更に技術開発はしておりますので、やはりそちらに注力していくべきだと私は思っております。
以上でございます。
○阪田参考人 質問ありがとうございます。
石炭火力を始め化石燃料由来のエネルギーに関しては、なるべく早くなくした方がいいと思っています。理由としましては、気候危機の現状を考えると時間がないというところで、行動に移す必要があると思っています。
先日、民主主義ユースフェスティバルというところで、#選挙で聞きたい気候危機が出展をして、多くの若い人たちに意見を聞いたんですが、その場で、可能であれば石炭火力はない方がいいというふうな意見が多かったです。
また、一つ懸念しているのが、脱炭素社会に移行していく中で、取りこぼされる人が増えてしまうのではないかということです。公正な移行という考え方がありますが、現在、石炭火力を始め、化石燃料、また環境負荷の高い分野で働いている人たちがいると思います。そういった人たちが取り残されないように、失業することのないような政策を立てることが必要だと考えています。
以上です。ありがとうございます。
○佐久本参考人 杉本先生、御質問ありがとうございます。
私は、基本的にソーラーパネルオタクなので、太陽光発電が一番だと思ってずっとやっております。
しかし、昨年度ですか、IRENAが発表した、世界の新規の発電設備のうち八六%が太陽光だというふうな報告を受けております。これは、太陽光発電所を造る際のコストがやはり下がっていったからという相乗効果があると考えております。
ですので、石炭のところは私はちょっとよく分からないんですけれども、そこが太陽光発電よりも技術的にもよくてコストも安いということになれば広がっていくと思うんですけれども、現状は、やはり太陽光発電は、この十年、二十年で本当に、五十分の一とかそういうふうな価格に下がっていますので、先進国だけでなくて世界中で導入される原因としては、やはりコストが安くて安全、安心というところがあると思います。
○大塚参考人 どうも御質問ありがとうございます。
石炭火力に関しては、G7等も含めて、あと気候変動の枠組み条約のCOPにおいても、できるだけ早くやめていくということが打ち出されているところでございまして、日本政府もその大きな方針には従っていくということになっていると思います。
国内においてまさに石炭火力に関してどうするかは、できるだけ早く対応していく、特に、高効率のものだけにしていくということは既に打ち出していると思いますけれども、輸出に関しては更に国際世論等の関係では大きな問題もございますし、先ほど吉高さんがおっしゃったように、技術的に、残念ながら、日本の超臨界の技術が安いコストで売られていくということには必ずしもなっていないんじゃないかという議論もございますので、輸出に関しては特に厳しい目が向けられるというふうな状況にあると思います。
石炭火力に関しては、火力発電所は一度できると三十年、四十年は使われることになりますので、それも含めて考えても、二〇五〇年カーボンニュートラルを考える上ではなかなか難しいということは申し上げざるを得ないかなと思っております。
以上でございます。
○杉本委員 ありがとうございます。それぞれのお立場で、大変参考になりました。
次に、今度はマクロじゃなくてミクロのベースで考えていただきたいんですが、また四方に質問させていただきますけれども、私の嗜好もそうなんですけれども、いわゆる代替肉ですね、大豆による肉を大豆ミートと称してモスバーガーさんなんかは出したりしていますけれども、国会議員の方々でもそういう嗜好の方は余りいらっしゃらなくて、それが是と非といろいろあるかもしれないし、会長をされていたような方も、実は、俺、今回こういう肉を食べるのは初めてだよと言われた方が会長だったという、どなたとは申し上げませんけれども。
そんなことがある中で、やはり、牛肉であるとかあるいは豚肉とか、そういったものの畜産に関わるところの飼料、これを作るようなことによる温暖化効果ガス、CO2が出てしまうというような現実的なものがあって、あるいは、健康面からも、私は、大豆ミートというものが、ある意味で減量とかで、体を痩せるという意味の減量ですけれども、効果があると思っているんです。
ミクロベースで、ダイバーシティーとして、男性でも女性でも結構ですし、そうでないというか、中間の方々もいらっしゃると思いますけれども、そういったお立場を超えて、いわゆるCO2削減における植物由来の食生活とか、そういったものについてはミクロベースでそれぞれどんなお考えをお持ちか、教えていただければと思います。
○吉高参考人 御質問ありがとうございます。
実際に、やはり今、畜産に関するCO2の排出削減に関しては、私は、実は農水省の審議委員もやっておりまして、北海道の畜産、十勝なんかへ行きますと、実際にもう言われ出しているそうなんですね。ですので、これは日本の畜産業にとっても、それから食品加工業にとっても非常に重要な視点かと思っております、御質問ありがとうございます。
ブラジルなんかへ行きますと、畜産のために熱帯雨林が伐採され、昔はプランテーションとかいいましたけれども、今は畜産業に使われているということ、決して、げっぷですとか、それからふん尿とか、そこからできるメタンだけではなくて、そういった様々なことで畜産が環境に影響を、負荷を与えているというのも国際的な認識でございます。そういった面では、日本ではまだまだこれからということ。
ただし、日本の食品加工業、例えば味の素さんとか、実際にアミノ酸を使ってそういったCO2を削減をするようなことを既に開発されています。ですので、代替ミートといいますと、何かビーガンですとかベジタリアンのような特殊な方々がやるというような考え方ではなくて、例えば、今インバウンドで、いろいろな日本のホテルに行きますと、まるっきりメニューにないんですよ。アジアでもそういったメニューはマークがついていますよね。
やはりこういうことが日本国内で浸透されないことには、CO2の削減だけではなくて、日本の農水産業の重要なリスクになるのではないかというふうには考えております。
以上でございます。
○阪田参考人 質問ありがとうございます。
大豆ミート、代替肉に関しては、私も食べたことは何度もあるんですが、恐らく四年前ぐらいに初めて食べて、そこから比べると、だんだんおいしくなったなということを感じています。これからどんどん町の中でそういった選択肢が増えていくといいなと感じています。
ライフスタイルの転換というところに関しまして、どのぐらい全体で減らせばいいのかというところの指標が気になります。
数日前、環境省より、二〇二〇年度の温室効果ガス排出・吸収量が発表されました。その結果によると、過去最低値を記録し、オントラック、つまり二〇五〇年ネットゼロに向けた順調な減少傾向を継続したとのことでした。
しかし、今後も順調に減少するかということに関しては、信頼性がありません。現在の気候変動対策の速度では達成し得るものなのか、科学的シナリオに基づいた長期的なゴールが必要だと考えています。このゴールを示すことで、市民のライフスタイルの転換のみに依拠しない脱炭素社会のロードマップへの理解を促す一歩となると考えています。
以上です。ありがとうございました。
○佐久本参考人 御質問ありがとうございます。
私も初めて大豆ミートを食べたのはモスバーガーでした。そのとき、本当に衝撃を受けました。これは分からないなと。
大豆というものを、私は農業の会社もしておりまして、昨年大豆を作りました。これからこの大豆ミートというところにも取り組みたいなとは思っているんですけれども、おっしゃるように、動物性じゃないので健康にいい、しかも安い、あとは調理の方法だけかなとは思っております。それをソーラーシェアリングとともにやることによって、CO2の削減であったり畜産からシフトしていくことはいいのかなとは思っております。
○大塚参考人 御質問ありがとうございます。
御指摘のように、代替肉を普及させていくということは非常に重要なことの一つであると思っています。
二〇五〇年カーボンニュートラルに向けてあらゆることをやっていかなければいけないということがございますので、その一つになると思っておりまして、今回の改正案にある日常生活用の用品についてのライフサイクルの転換について、二十四条とか五十九条というのはまさにそれにも関係する点であるというふうに考えているところでございます。
先ほど阪田さんがお話しになったように、現在、温暖化対策の結果としてCO2は日本は削減を進めてきてはいまして、オントラックの状況にあるわけですけれども、これから二〇三五年とか二〇四〇年に向けての温対計画をまた立てなくちゃいけないような状況が来るわけですが、それに向けて更に対応しておく必要がありまして、このままオントラックにいくように頑張る必要があるんですけれども、なかなか産業との関係で難しい問題はもちろんあるわけですので、まさにそういう日常生活を含めたCO2の削減というのは極めて重要であるというふうに考えています。
ありがとうございました。
○杉本委員 終わりますけれども、四方、参考人の先生方、本当にありがとうございました。更なる御活躍を期待申し上げます。
ありがとうございました。
○務台委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
私、しんがりでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
今日は、四名の参考人の皆様、本当にこれまでのお取組の貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
そうしましたら、まず初めに、大塚参考人と吉高参考人にお伺いをしたいと思うんですが、環境省の脱炭素施策における主要事業と言ってもいい、私はそう捉えておるんですけれども、脱炭素先行地域の取組に対する評価、これをちょっとお伺いしたいと思います。
この先行地域ですが、これは、脱炭素に向かう地域特性などに応じた先行的な取組の道筋をつけて、そのために、二〇二五年までに少なくとも百か所の脱炭素先行地域の選定を目指すと。この取組は、雇用の創出など地域課題を解決し、住民の暮らしの質の向上を実現するのと同時に、脱炭素に向かう取組の方向性を示すという、ここが私はポイントだと思っています。
ちなみに、二〇二二年四月の第一回選定以来、これまでに全国三十六道府県、九十五市町村が関係する七十四の提案、これが選定をされております。
そこで、両参考人に伺いますが、これまで選定された脱炭素先行地域はおおむね五か年の事業期間ということになっておりますけれども、これら先行地域に選定された取組の、選定されたその後の進捗状況とか、さらには、そこで見えた課題なんかというもの、こういったところを両参考人からお聞かせを願えればと思います。
○大塚参考人 御質問ありがとうございます。
脱炭素先行地域につきましては、今も御指摘のように、百か所選定することになっておりまして、既に二回にわたって選考がなされ、進捗が進んでいるところでございます。進捗はおおむね順調だというふうに考えておりますけれども、それぞれの地域において、様々課題が新しく出てきているところもあると思います。
ちょっと私は、先行地域の方の選定のところには必ずしも関わっておりませんので、必ずしもつまびらかではございませんが、次の選考との関係とか、新しい二〇三〇年以降の検討も含めて、更に検討は進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。恐れ入ります。
○吉高参考人 御質問どうもありがとうございます。
脱炭素先行地域の評価委員といたしまして、現在、選定されました地域も、現地に参りまして、フォローをしている状況でございます。
第一回目からもう四回、今度五回目の募集がかかりますけれども、地域によっては様々な差がございます。やはり今一番の問題点は、資材の調達におきまして、今の地政学リスク上、例えばこの前、秋田のところは、バイオマス発電のボイラー、タービンですね、ヨーロッパの方から輸入してくる際に、スエズ運河を通れないということで、ただ、出発してしまったからもう待っている状態でいるということ。
それから、能登半島の地震のことがございまして、やはり高圧電線などの調達が非常にできないという状況でございまして、元々、脱炭素計画は、おっしゃったとおり、五年ということで各自治体は立てておりましたけれども、待っている状態ということでは、やはり少しこの辺を、財務省との関係もあるとは思いますけれども、是非御検討いただきたいなというふうには思っております。
また一方、非常に最初は課題があったという地域も、私、担当していまして、すごく不安だったんですけれども、まあ我々が行きますと、急に皆さんの気持ちが変わって、すごく住民の方々と一緒になってやっているということで、いい方向に進んでいる地域も大変ございます。
今後、ドミノ倒しが起こる地域とそうでない地域の差が出てくるということも懸念しておりますので、是非、大塚委員がおっしゃったように、二〇三〇年以降もこういったことを続けていただくことを心より希望しております。
以上でございます。
○中川(康)委員 大変にありがとうございました。
私も大臣政務官をやっているときにこの事業がスタートしまして、当時委員長は副大臣ということで、我々、全国行脚をしまして、この大切さを訴えたわけです。それによって多くのところから手が挙がったわけですが、おおむね順調なんですけれども、やはりそれぞれの課題があるというのは私も認識をします。
しかし、やはり、そこを是非乗り越えていただいて、いいものをつくっていただきたい。大事なのは、今、両参考人がおっしゃいましたけれども、これが百か所で終わるんじゃなくて、ドミノ倒し、横展開、ここがいわゆるポイントだと私は思っていますので、そういった意味においては、両先生からも様々な御支援をいただき、また、我々も国に携わる立場として、そういった予算とか計画、ここの部分もしっかりと捉えていきたいなというふうに思います。
そうしたら、次に、いま一度、大塚参考人に、今度は専門の分野をお伺いさせていただきたいと思うんですが、まさしく、この温対法改正案では、地域共生型再エネの更なる導入促進に向けた取組として、これまで市町村のみが再エネ促進区域について認定できるということを、今回、新たに都道府県及び市町村が共同して定めることができるとし、この場合、複数市町村にわたる事業計画の認定を都道府県が行うことができる、こういった内容になっています。
令和四年四月の再エネ促進区域の施行以降、その設定は十六市町にとどまっていることや、事業計画の認定がいまだ一件であること、こういった状況から見ても、今回の改正は私は必要であるというふうに考えています。
そこで、大塚参考人に伺いますが、確かに、太陽光とか風力など再エネ設置というのは、そのふさわしい場所を見ると、行政区をまたいでいるという問題はやはり結構あったりするんですね。ですから、今回の改正により、新たなる再エネ促進区域並びに事業計画の認定、これは加速度的に増えていくんだろうというふうに思うんですが、先生、座長のお立場として、どういった形でこれが今後増えていくのか、ちょっと単独では厳しかったというところの課題から、その辺のところの見通し、さらには、もう今お答えもいただいたんですが、それを増やすためにはこういったところが重要なんだというところを改めてお聞かせ願いたいと思います。
○大塚参考人 御質問ありがとうございます。
御指摘のように、市町村の境界のところで事業計画が申請されることも結構多いものですから、今回の改正がもししていただけることになりますと、都道府県が認定する、あるいは都道府県が促進区域の設定に関与することができるようになりますので、非常に大きな進展があると思っています。
市町村におかれましては、どうしてもやはり小さい市町村も多いものですから、人材とか財政の面で対応が非常に難しいということがあると思いますので、都道府県が関与することによって、これはかなり増えていくのではないかと思っています。
ただ、そうはいっても、その二十六というのが、一遍に一桁も二桁も増えるような感じになるかどうかは、予断を許さないところはもちろんあるわけでございまして、環境省を始めとして、国からの様々な支援が必要になってくると考えているところでございます。
先ほどもちょっと申し上げたような、人材の育成が非常に重要であるということもございますし、金融面からの支援が必要であるということ、それから、経済的インセンティブを与えるという、固定資産税の軽減とかの措置を取るということも同時に行っていく中で、市町村がやる気になっていただく、あるいは都道府県がやる気になっていただいて対応が進んでいくということが必要であるということを特に申し上げておきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今回の改正によって前に進むということが、すごく私も期待をいたしておりますし、そうはいったものの、再エネでいろいろな課題も出てきていますから、いいものはいいというところ、駄目なものは駄目というところもはっきりさせていくこと、これも大事だと思います。
さらには、再エネに対する住民の意識転換、意識改革、これをしていただくことも大事かなと思っています。国としてやるべきこと、さらには地方としてやるべきこと、さらには地域金融機関の大切さ、こういったお話も出ましたけれども、そういったところの支え、こういったところから、また先生方の御意見、こういった問題が全国でしっかりと進んでいく、こういったところをしっかりと私も注視していきたいと思いますので、今日は非常に示唆に富んだお話をいただいたなと思っております。
そうしましたら、JCMについて吉高参考人にお伺いをしたいと思います。
今日、私、前段の法案質疑でも質問させていただいたんですが、私、JCMには大変に期待をしておる一人でございまして、ここ二年弱ぐらいで十二か国というふうに、加速度的に増えてきているんですね。この前、二月には、伊藤環境大臣がウクライナとの締結も行ったということがありました。
今日の法案審議の中でも、またお話の中でも、やはり大きなポテンシャルのあるところでは、インドとかブラジルという大国、そして排出量が多いという、ここに対しての評価をまずどうお考えになるかということと、さらには、日本の持っている知見とか技術、いいものはありますので、今後、新たなパートナー国として期待できる国、さらには今後可能性の高い分野、こういった辺りも、先生のちょっと御認識を伺いたいと思います。
○吉高参考人 ありがとうございます。
本当に、ここ急速に提携国が増えてきているというのは、やはりパリ協定の中できちっと認められているということ、途上国の方がこれを期待しているということの表れかと思っております。
そして、インド、ブラジルでございますけれども、やはり双方の大国は事情が違います。やはりブラジルの方は、アマゾンのそういった資源とか、産油国でもございますので、そういった面では、いかにそこに寄与できるか、日本としてできるかというのが非常に重要かなとは思っています。
一方で、インドは、先ほど申し上げたように、エネルギー事情に関しましてはこれからの状態でございまして、インドの今後爆発的に増える人口に対して、いかにエネルギーのインフラを、例えば送配電網のことですとか、そういったところを含めての対応というのをパッケージで提案しないと、実際、CDMのときでも、ほとんど先進国の話を聞かないで、自分たちでクレジットをつくって売るというのが大国の方でありましたので、是非そういうところは御留意いただければなというふうに思っております。
日本の技術におきましては、以前に比べるとなかなか難しいと思いますけれども、今回、COPでは、例えばインバーターエアコンですとか日本の省エネ設備というのは、まだまだこれから、技術が高いと思っております。ドバイでも非常にこれは評価されました。やはり、もちろんサプライヤー側の発電設備も重要ですけれども、ディマンドサイドをいかに下げるか、これは世界的にまだまだポテンシャルが高いと思っておりますので、是非そういったところのJCMも進めていただければと思っております。
以上でございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
日本のやはりサブコンが持っている技術なんかは高いと思いますので、今、いいお話をいただいたなと思います。
最後に、阪田参考人にお伺いをします。
気候変動問題については、今、多くの若者や青年が本当に関心を寄せて、気候変動危機に対して非常に積極的にその取組を行っております。まさしく阪田参考人も、そのお一人だというふうに思っています。
また、先日三月二十四日に、国立競技場に約七万人の若者が集まった未来アクションフェス、これでは、気候危機の打開や核兵器なき世界の実現に向けた共同声明、これが若者の中で採択されたとも伺っています。
今、若者や子供たちが、過去や現代の生活様式であったり、仕事や産業から排出されたCO2の影響を受ける、まさしく世代間不平等ですけれども、そういったことで、将来に向け影響を受ける若者たちこそ、気候変動やエネルギー政策に関する政策決定の場に参画し、その意見を反映させるべきだ、こういった声があります。参考人からも、そのお話を伺いました。
私は公明党所属ですが、党青年委員会では、日頃より、若者や青年から直接意見を聞く場を設けており、この前、二月七日にも、日本若者協議会の室橋代表理事から、気候変動対策を議論する国の意思決定過程に若者の登用を求める、こういった要望を受けたところであります。
そこで、改めて阪田参考人に伺いますが、参考人は、若者並びに青年世代が国の気候変動対策やエネルギー政策を議論する国の政策決定の場に参画する意義とか必要性、もう既に述べていただいているんですが、改めて最後にそのところをお訴えいただきたいと思います。
○阪田参考人 質問ありがとうございます。
意義としましては、まず気候危機の当事者であるという部分が大きいと思っています。あとは、私が活動していて感じているのは、やはりパワーがある、発言が断定できている、ですで終わるみたいなところが明確であるというところが、政策を前に進める決定打となると感じています。
世代間不平等というお話がありましたが、気候正義、クライメートジャスティスという考え方があります。資料の三ページの下の方にも書かせていただいたんですけれども、そういった視点を持って政策を進めることが、気候危機における被害側だけではなく、加害をしてしまっている人たちにもそういった考え方が必要なんだと感じています。
以上です。ありがとうございます。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
その若者のパワーに負けないように、私たちも頑張ってまいりたいと思いますし、今日は本当に、四名の参考人の方々に大変ないい御意見をいただきました。共に頑張ってまいりましょう。ありがとうございました。
以上で終わります。
○務台委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
次回は、来る五月十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
正午散会