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第12号 令和6年5月24日(金曜日)

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令和六年五月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 務台 俊介君

   理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君

   理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君

   理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君

   理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君

      井上 信治君    井上 貴博君

      石原 正敬君    稲田 朋美君

      金子 容三君    国定 勇人君

      笹川 博義君    杉田 水脈君

      中川 貴元君    森 由起子君

      山本 左近君    鷲尾英一郎君

      阿部 知子君   大河原まさこ君

      近藤 昭一君   松木けんこう君

      屋良 朝博君    杉本 和巳君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      角田 秀穂君

    …………………………………

   環境大臣         伊藤信太郎君

   環境副大臣        八木 哲也君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   環境大臣政務官      国定 勇人君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

            補欠選任

             森 由起子君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     杉田 水脈君

  熊田 裕通君     中川 貴元君

  柳本  顕君     山本 左近君

  篠原  孝君     阿部 知子君

  中川 康洋君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     菅家 一郎君

  中川 貴元君     熊田 裕通君

  山本 左近君     柳本  顕君

  阿部 知子君     篠原  孝君

  角田 秀穂君     中川 康洋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)


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     ――――◇―――――

務台委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る十日に終局いたしております。

 この際、本案に対し、近藤昭一君から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤昭一君。

    ―――――――――――――

 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。

 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 まず、ただ、一言申し上げなくてはなりません。

 五月一日の環境省主催の水俣病懇談会の場で、水俣病で苦しんでこられ、全面解決を求めておられる方々のお訴えの声を、余りにも短い時間配分とし、またマイクを切ってしまったこと、強く遺憾に思います。

 環境省は、その設置の背景に公害問題を原点に持ち、経済発展に伴って生じた痛みに寄り添い、全国の現場で自然保護の活動を展開する市民と協力をして日本の豊かな自然環境を未来に引き継ぐ努力をしてきたと信じていただけに、今回のような市民と向き合う場を、単に声を聞くだけの場、聞き流すだけの場として捉えていたこと、また是正するチャンスも権限も持っておられる環境大臣が問題意識すら持たず放置したこと、今もなお納得できないところであります。

 このように市民の声を軽視する姿勢では、水俣病問題の全面解決はおろか、気候変動の激化によって将来世代が負う負担を想像して実効性ある政策を進めることはできないのではないか、こう思わざるを得ません。

 近年、気候変動は激化をし、地球温暖化の進行、豪雨や台風の大型化などの異常気象が世界各地で頻繁に発生しています。世界気象機関によると二〇二三年は世界の平均気温が産業革命前から約一・四五度上昇し、観測史上最も暑い年でありました。世界の平均気温上昇は、パリ協定の一・五度目標の目前にまで迫っています。気候変動対策を十分に講じないことは今生きている人々の生命身体を危険にさらすだけではなく、将来世代が厳しい環境下で生きていくことを強いることになります。私たちは、既に地球沸騰化時代に突入しており、一日も早い具体的で実効性ある気候変動緩和策の実施が求められています。

 一方で、地球温暖化対策推進法は、近年、数次の改正が行われてきたものの、一部の施策の強化にとどまり、気候変動対策の緊急性に対応できていない、こう思わざるを得ません。

 パリ協定に基づく一・五度目標の実現に向けて、国家を挙げた力強い施策の推進が必要であります。しかしながら、今回の主たる改正内容である二国間クレジットは、政府の目標である累積一億トンCO2を達成したとしても、日本の温室効果ガス排出量が年間十一億トンを超えていることも明らかなように、二〇三〇年度の日本のNDCへの貢献としては僅かにすぎず、IPCCが示した二〇一九年比で二〇三〇年に四六%、二〇三五年に六〇%の削減の必要性からは余りにもかけ離れた不十分な施策となっています。

 カーボンニュートラルの実現に向け社会を変革するために、単に若者と会うだけ、聞くだけではなく、国民的議論を行うことにより国民理解を醸成するとともに、抜本的な施策の見直しにより真に実効性ある対策を取ることが、国際社会の一員としての責任であり、将来世代への責任なのではないでしょうか。

 このため、社会の根本的な変革の必要性や深刻な気候変動の現状に整合する法律案のタイトル変更、そして国民的議論の機会の創出が必要との考えの下、修正案を取りまとめました。

 以下、概要を御説明をいたします。

 第一に、題名を改め、地球温暖化対策が気候変動に対処するためである旨を明らかにすることとしております。

 第二に、目的規定について、気候変動が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、気候変動のうち主要なものである地球温暖化を防止するため気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることが人類共通の課題である旨を明記することとしております。

 また、基本理念として、予防的な取組方法による早期の対応、環境教育等を通じた知識の普及、地域住民等の多様な主体の参加と協力、情報の適切な公開、将来の国民の負担の軽減及び国際的協調等について規定するとしております。

 さらに、国及び地方公共団体の責務として、国民及び住民の意見を施策に反映させるため、広く意見を求めるための制度の整備等に努めることとしております。

 第三に、地球温暖化対策計画の国会への報告についての規定を追加するとともに、地球温暖化対策推進本部に、国民からくじで選定された委員二百人により組織する地球温暖化対策討議会を置くこととします。

 この討議会は、本部長の諮問に応じ、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現のため施策の在り方等について調査審議し、本部長に対して建議を行うこととし、本部は、討議会が述べた意見を尊重しなければならないこととしております。

 第四に、国及び地方公共団体の施策として、地球温暖化対策に関する環境教育の推進に必要な施策を講ずるように努める旨の規定、そしてエネルギーの使用の合理化又は再生可能エネルギーの利用を目的とする国及び地方公共団体の施設の改修を計画的に実施する旨の規定を追加するとともに、地方公共団体実行計画の記載事項として、地域脱炭素化促進事業の促進区域に加え、地域の環境の保全等のため地域脱炭素化促進事業の対象としない区域を追加することとしております。

 そのほか、政府は、地球温暖化その他の気候変動の影響が危機的な水準にあることに鑑み、気候変動に関する法制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとすること等としております。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 委員各位の御賛同を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

務台委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、近藤昭一君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。伊藤環境大臣。

伊藤国務大臣 政府といたしましては、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、反対であります。

    ―――――――――――――

務台委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、近藤昭一君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

務台委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

務台委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

務台委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、堀内詔子君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。馬場雄基君。

馬場(雄)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。

    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 地域共生型再生可能エネルギーの導入を促進するため、再生可能エネルギーを導入する促進区域を都道府県と市町村が共同で設定することが可能となる本法の趣旨を踏まえ、地域脱炭素化促進事業制度の活用が進むよう地方公共団体に促すこと。

 二 地域脱炭素化促進事業の推進に当たり、市町村への財政的・人的な支援及び事業者への優遇措置等を更に強化する方策を検討すること。

 三 「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律」の成立を踏まえ、促進区域の設定を行う場合には、民間等による生物の多様性の増進のための活動と再生可能エネルギーの導入との整合を図るとともに、法律の施行状況を踏まえ、地域の環境の保全のため地域脱炭素化促進事業の対象としない区域設定に係る制度の導入を検討すること。

 四 再生可能エネルギーの導入推進に当たっては、国民生活を圧迫することがないよう配慮するとともに、環境破壊、景観破壊、乱開発を引き起こさぬよう配慮すること。また、太陽光発電設備等の施設の廃止後を見据えた法整備及び災害対策の強化に係る検討を行うこと。

 五 国際協力排出削減量関係事務を担う指定実施機関の事務の実施については、外交上の情報や企業の技術情報が漏洩することのないよう留意するとともに、効率的で正確に行われるよう適切な監督を行うこと。

 六 二国間クレジット制度における特に新しい技術を活用したプロジェクトの組成・実施に当たっては、石炭火力発電の廃止に向けた海外の動向に留意し、パートナー国の脱炭素社会の実現に資するものとなるよう努めること。

 七 パリ協定に沿って先進国が排出削減の先頭に立ち、世界全体の排出削減に貢献するという考えの下、二国間クレジットの国が決定する貢献のための利用に当たっては、パートナー国の承認を受けること。

 八 温室効果ガスの排出量の少ない製品・サービスの普及に当たっては、各国でグリーンウォッシュ規制が進んでいる現状を踏まえ基準の統一に向けた検討を行った上で、事業者による算定・表示が進むよう支援をするとともに、国民の意識の醸成に努めること。

 九 地球温暖化対策に関する国民の意識改革・行動変容に繋がるよう、幼児期から発達段階に応じたきめ細かな環境教育の機会を設け、地球環境への関心と理解を持ち続けることを促すための環境教育の一層の推進を図ること。

 十 地球温暖化対策の実施の推進に関する重要事項について調査審議する際には、従来の意見募集などの方法だけでなく、国民理解を充実化させ、行動変革を実現するため、国民の広範な意見を十分に施策に反映できる仕組みを検討すること。また、上述の調査審議のために政府に常設されている審議会等において、将来世代を担う若者の声を反映させる機会を設けること。

 十一 地球温暖化に伴う気候変動の激化に起因する深刻な影響が頻発する現状に鑑み、気候変動に対する根本的・総合的な対策について省庁横断的に法制度の在り方を検討し、その結果に基づき、法整備その他の所要の措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

務台委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

務台委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤環境大臣。

伊藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

務台委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

務台委員長 次回は、来る六月四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時十四分散会


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