第13号 令和6年6月4日(火曜日)
令和六年六月四日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 務台 俊介君
理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君
理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君
理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君
理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君
井上 信治君 井上 貴博君
石原 正敬君 稲田 朋美君
金子 容三君 菅家 一郎君
国定 勇人君 熊田 裕通君
笹川 博義君 森 由起子君
柳本 顕君 山田 賢司君
山本 左近君 鷲尾英一郎君
大河原まさこ君 近藤 昭一君
篠原 孝君 松木けんこう君
屋良 朝博君 遠藤 良太君
杉本 和巳君 空本 誠喜君
平林 晃君
…………………………………
環境大臣 伊藤信太郎君
環境大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 水野 敦君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電波部長) 荻原 直彦君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 浅野 敦行君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 山田 英也君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(海上保安庁総務部長) 高杉 典弘君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君
政府参考人
(環境省大臣官房環境保健部長) 神ノ田昌博君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 秦 康之君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 土居健太郎君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 白石 隆夫君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
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委員の異動
六月四日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 山田 賢司君
石原 正敬君 山本 左近君
林 佑美君 遠藤 良太君
中川 康洋君 平林 晃君
同日
辞任 補欠選任
山田 賢司君 井上 貴博君
山本 左近君 石原 正敬君
遠藤 良太君 林 佑美君
平林 晃君 中川 康洋君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
環境の基本施策に関する件(水俣病問題等)
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○務台委員長 これより会議を開きます。
環境の基本施策に関する件、特に水俣病問題等について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官水野敦君、総務省総合通信基盤局電波部長荻原直彦君、外務省大臣官房参事官門脇仁一君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、農林水産省大臣官房統計部長山田英也君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、海上保安庁総務部長高杉典弘君、環境省大臣官房審議官前田光哉君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長秦康之君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、環境省自然環境局長白石隆夫君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。
○稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美です。
まず、大臣にお伺いをいたします。
水俣病は、環境庁設立のきっかけとなった公害病です。その意味から、水俣病が公式確認された昭和三十一年五月一日にちなんで行われる水俣病犠牲者慰霊式、そして水俣病関係団体との意見交換会は、環境省にとっても最重要の行事だと思います。
そんな中で、今回の出来事は、環境省が水俣病関係団体の方々の声を聞く姿勢が問われている非常に遺憾な出来事だったと思います。これは、環境省の存在理由、水俣行政の在り方の本質にも関わる事態だと思います。
大臣は、幾度となく本委員会で謝罪と反省を表明され、さらに現地にも訪問され、今後の水俣病対策に取り組む御自身の姿勢を示されております。環境省に新たなタスクフォースをつくり、担当審議官も置かれました。
今、裁判も係属中でありますが、今までの対策を俯瞰しますと、最高裁判決が出て救済範囲を拡大するといった司法の判断の後追いになってはいないでしょうか。弱い立場の人が、最後のとりでとして救済を求めるのが司法の場でございます。行政は、司法よりも更に血の通った行政、これが求められていると思います。
大臣は、委員会において、水俣病の問題の全面解決に向けて全力を挙げたい、現行法制で足りない部分は政治家として今後努力したいとおっしゃっておられます。大臣は、水俣病の全面的解決には何が必要で、政治家としてどのような努力をされようとしておられるのか、お伺いをいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
水俣病が公式確認されてから六十八年を経て、いまだに被害を訴える方がいらっしゃるという事実は、政治家として重く受け止めております。
一方で、これまで様々な場面で申し上げてきましたが、水俣病問題については、公害健康被害補償法に基づいて、これまでに約三千人の方が認定を受け、補償を受けられております。また、平成七年の政治解決により、公害健康被害補償法の判断基準を満たさないけれども四肢末端の感覚障害を有する方について、一時金や療養費等を支給する救済策を、約一万二千四百人を対象に講じてまいりました。
さらに、平成二十一年には、超党派の議員立法により、公害健康被害補償法に基づく判断基準を満たさないものの救済を必要とする方々を水俣病被害者として受け止め、その救済を図り、水俣病問題の最終解決を図ることを規定する水俣病特別措置法が制定され、更に対象を広げ、一時金や療養費等を支給する救済策を約三万八千人を対象に講じてきたところでございます。
このように、国としては、公害健康被害補償法による認定及び二度の政治救済といった政策を実施してきたところでございますが、こうした歴史と経緯を踏まえつつ、関係の皆様にできる限り寄り添って対応できるよう、現状を分析しつつ、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組をしっかり進め、水俣病対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○稲田委員 今、大臣が指摘された平成二十一年の特措法の前文では、公害健康被害の補償等に関する法律に基づく判断基準を満たさないものの救済を必要とする方々を水俣病被害者として受け止め、その救済を図ることを目的とする、これにより、地域における紛争を終結させ、水俣病の最終解決を図り、環境を守り、安心して暮らしていける社会を実現すべく、この法律を制定する、このようにあります。
この特措法も、平成十六年の最高裁の判決を受けて、その反省の下で作られたものでありますが、先ほど申しましたように、司法の判断が出て、それで後追いというのはやはり法の趣旨にも反しているのではないかと思います。
私は、大臣があえて政治家としてとおっしゃっていることを評価します。と同時に、大臣としてリーダーシップを発揮する、全面解決、被害者の声をしっかり聞いて、本当に血の通った解決を導いていただきたいと思います。
次に、前田水俣担当審議官にお伺いします。
審議官に就任され、二十九名のタスクフォースもできました。タスクフォースは緊急の課題解決のための部隊のはずですが、何を緊急課題とされているのでしょう。
○前田政府参考人 お答えいたします。
五月一日の水俣病関係団体との懇談会におきまして、発言途中でマイクの音量を切るという不適切な運営が行われたところでございます。このため、大臣自身が水俣に出向き、謝罪をするとともに、御意見、御要望を伺ったところでございます。こうした中で、改めて懇談の場をつくってほしいという御要望をいただき、そうした場を設けることといたしました。
お尋ねの水俣病タスクフォースについてでございますが、省内横断的に強化した体制の下、五月一日の懇談及び八日の面会で伺った御意見、御要望について、誠実かつ真摯に検討しつつ、改めての懇談の場を開催し、損なわれた関係団体の皆様や現地との関係性の修復に取り組むことを目的としてございます。
こうした体制によりまして、職員の頻繁な現地出張を行いつつ、懇談内容の充実に取り組むこととしております。
以上でございます。
○稲田委員 私は、単にタスクフォースがよりよい充実した懇談をするためというものであってはならない、このように思います。
今回のことは、懇談の在り方の問題ではなく、先ほども申しましたように、水俣病対策行政の姿勢そのものが、懇談のマイク切りという形に表れたのではないかというふうに批判をされているわけでございます。
タスクフォースがやるべきことは、懇談を持つことだけではなく、今までの姿勢を改めて何が求められているのか、省内で議論をして、全面解決への道筋をつけることだと思います。
大臣にお伺いします。
タスクフォースの役割が懇談の充実というのは、余りにも今回の事柄を矮小化しているのではないかと思います。水俣病に苦しむ方々の全面的な解決を目指すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
五月一日の水俣病関係団体との懇談会において、発言途中でマイクの音量を切るという不適切な運営が行われたことは大変遺憾であり、関係団体や現地との信頼関係を損なう事態と重く受け止めてございます。
このため、タスクフォースにより、水俣病関係団体との改めての懇談の場について御意見、御要望を踏まえ開催し、損なわれた関係団体や現地との信頼関係の修復に取り組むこととしたところでございます。
水俣病問題については、先ほども御答弁申し上げたとおり、公害健康被害補償法に基づいて約三千人が認定を受けて補償を受けられるとともに、平成七年の政治解決や、水俣病問題の最終解決を図ることを規定し、更に救済対象を広げた水俣病特別措置法により、合計で約五万人を救済してございます。
こうした歴史と経緯を踏まえつつ、関係の皆様にできる限り寄り添って対応できるよう、現状を分析しつつ、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組をしっかり進め、水俣病対策に全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。
○稲田委員 国定政務官にお伺いいたします。
新潟水俣病公式認定から五十九年目の五月三十一日に、新潟市で開催された式典と関係団体との懇談に出席されましたが、どのような意見、要望をお聞きになり、また、全面的解決に向けてどのようなことが必要だとお感じになったか、お伺いします。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
今ほど委員御指摘いただきましたとおり、大臣の指示を受け、五月三十一日の新潟水俣病の式典には私が出席をさせていただき、環境省を代表して後世へのメッセージを読ませていただきますとともに、新潟水俣病の関係団体の方々との懇談を行ったところでございます。
この懇談に際しましては、関係団体の方の司会の下で、最後まで、時間の区切りを設けることなく約二時間半、じっくりと御意見を伺い、双方向の意見交換を行ったところでございます。
被害者の方からは、過去から現在に至るまで手足のしびれなどの症状に苦しんでいること、あるいは、地域住民からの様々な差別や偏見があったことといった大変胸の痛むお話を伺ったところでございます。また、とりわけ関係団体の方からは、原告の高齢化を踏まえて早期救済を求める声も頂戴したところでございます。
私自身といたしましては、こうした対話の積み重ねが関係の礎となることを期待しつつ、真摯に、虚心坦懐に出席者の皆様方の御意見をしっかりと受け止めるという姿勢で臨んだところでございまして、その結果につきましては、懇談終了後、速やかに大臣にも報告をさせていただいたところでございます。
なお、水俣病の全面的解決への御指摘につきましては、先ほど来大臣の方から答弁を申し上げているところでございます。
○稲田委員 御地元の国定政務官が行かれて、時間の制限なく、しっかりとお話を聞かれたということでございますので、それを被害者の全面解決に是非つなげていただきたいと思います。
さて、水俣病と同じ公害による被害である石綿、アスベストの救済についてもお伺いします。
アスベスト被害は、潜伏期間が数十年にも及び、かつ、労災適用のある被害者とそうでない被害者がおられます。環境省の所管は一般住民の被害救済で、石綿救済法により被害救済を行っています。水俣病だけでなく、アスベスト被害についても被害者の声を聞くことはとても重要です。
隙間のない救済にするために、環境省だけでなく、省庁横断の石綿健康被害救済推進協議会のようなものが必要ではないかと指摘する声もございます。どのような対応が必要か、お伺いをいたします。
○伊藤国務大臣 平成十七年に、アスベスト問題に関する関係閣僚による会合において、アスベスト問題に係る総合対策が取りまとめられました。
この総合対策に基づき、環境省としては、平成十八年に石綿健康被害救済制度を創設し、石綿による健康被害者の隙間のない救済に取り組んできたところでございます。制度創設後も、健康被害者の声を伺いながら、医療費等の支給対象期間の拡大や指定疾病の追加など、制度の拡充を図ってまいりました。
また、厚生労働省が所管する労災保険制度とも相互に連携して取り組んできたところでございます。
引き続き、石綿による健康被害者に寄り添いながら、隙間のない救済に努めてまいりたいと存じます。
○稲田委員 水俣病もアスベスト被害も、高度成長時代の我が国の社会のひずみが被害となって、公害となって生まれたものであります。私たちは、自分事としてこの問題を捉えて、やはり、司法の後追いではない解決、血の通った解決を是非大臣にもお願いをしたいと思います。
次に、大臣に、海洋漂着ごみについてお伺いをいたします。
私が会長を務めます尖閣諸島の調査・開発を進める会は、今年の四月の二十六日、二十七日、石垣市の尖閣諸島周辺の環境調査の一環として、尖閣諸島海域に視察に行きました。調査船からドローンを飛ばして魚釣島の海岸沿いの状況を見ましたけれども、漂流ごみがびっしり海岸に漂着している様子が見て取れました。
プラスチックによる海洋汚染について、我が国は、二〇一九年、G20大阪サミットにおいて大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを提唱し、さらに、昨年のG7サミットでは、より野心的なコミットメントとして、二〇四〇年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにするという目標を掲げました。
現在、日本は、プラスチックごみ汚染を規制する条約策定において積極的な役割を果たそうとしています。今年の四月のOECDグローバル議員会議に参加した際に、私は、日本代表としてこの問題を取り上げましたが、OECD環境局長からは、アジア地域と連携をしたいとの回答を得ました。
世界的にも関心の高いこの問題について、尖閣諸島の漂流・漂着ごみを解決することは我が国の責務とも言えます。
石垣市長は、魚釣島に上陸して漂流ごみを対処したいと言っておられますが、魚釣島は国有であり、環境省としても責任を持って尖閣の漂流・漂着ごみを解決すべきと思いますが、大臣の見解をお伺いします。
○伊藤国務大臣 海岸に漂着したごみは、良好な景観や海洋環境に悪影響を及ぼすことから、海岸法に基づく海岸管理者が、海岸漂着物処理推進法に基づき、その処理のために必要な措置を講じることとされております。しかし、尖閣諸島では、その海岸管理者は定められてございません。
魚釣島における漂着ごみの回収を含め、尖閣諸島への上陸については、尖閣諸島及び周辺海域の安定的な維持管理という目的のため、原則として、政府関係者を除き何人も上陸を認めないという政府方針等を踏まえた上での対応が必要でございます。
漂着ごみへの対応を含め、尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するための具体的な方策については、様々な選択肢があると考えられますが、実際にどのような方策を取るかについては、総合的に判断していくべきというふうに考えてございます。
○稲田委員 尖閣海域の周辺には資源もある、さらには、水質の調査や生物多様性の観点からも環境調査が必要だと思います。
今、漂流ごみに関しては、海岸管理者が定められていないというふうに大臣はおっしゃったわけですけれども、魚釣島は国有地でもありますので、所有者としての義務というか責務があるというふうに考えます。
また、政府関係者を除き上陸できないということは、反対解釈すれば、政府関係者は上陸をできるということですから、私は、国が決断をすれば、この漂流ごみの対処、そして環境調査が可能であると思いますので、是非、積極的に、前向きに考えていただきたいと存じます。
さらに、廃棄物で燃料を作るRPF、これは脱炭素社会をつくるためにも将来性のある分野です。その材料として海洋漂流プラスチックを利用することができないものか、大臣にお伺いをいたします。
○伊藤国務大臣 委員御指摘のように、RPFは、マテリアルリサイクルが困難な古紙や廃プラスチック類を主原料とした固形燃料であり、化石燃料の代替を通じて脱炭素化に貢献する重要な技術であるというふうに考えております。
漂流・漂着ごみに含まれる廃プラスチック類についても、適切な前処理を行うことによって、RPFの原料として利用可能なものだというふうに認識しております。
環境省では、RPF製造設備等の設置に対し、これまでも財政支援を実施してきたところでございます。引き続き、RPF製造業者の皆様ともよく連携し、マテリアルリサイクルが困難な廃プラスチック類等の燃料としての活用を促進してまいりたい、そのように考えてございます。
○稲田委員 大臣、積極的な答弁、ありがとうございます。前処理の技術も前進させる、そういった研究開発等にも支援をいただきたいと存じます。
海上保安庁にお伺いします。
尖閣周辺の領海の状況についてですが、接続水域に常態的に中国の海警船が漂泊し、月に何度か領海にも侵入、さらには日本の漁船を追跡するように領海侵入するようになったというのは、令和三年の中国海警法の施行とも関係がある、もちろん国有化とも関係がありますけれども、海警法の施行とも関係があると思います。
私たちが尖閣海域領海に入った際、中国の海警船が二隻追尾をしてきましたけれども、日本の海上保安庁の船が中国海警船に質的にも量的にも凌駕をして、尖閣領海をしっかりと管理しているなということを心強く私もこの目にしたところであります。私は、日本の国会議員、閣僚であるならば、この状況をしっかり見るべきだと思います。
現在においては質的にも量的にも凌駕をしているんですけれども、さて、将来を考えたとき、現在の海保の体制で尖閣を守り抜くことができるのか、課題はないのかについてお伺いいたします。
○高杉政府参考人 お答えいたします。
尖閣諸島周辺の接続水域におきましては、ほぼ毎日、中国海警局に所属する船舶による活動が確認され、領海侵入も相次いでいるところでございます。
これに対しまして、海上保安庁では、常に尖閣諸島周辺海域に巡視船を配備して領海警備に当たっておりまして、中国海警局に所属する船舶への対応につきましては、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど、万全の領海警備体制を確保しているところでございます。
このような中、尖閣諸島周辺海域を始めとして、我が国周辺海域をめぐる情勢が一層厳しさを増していることから、新たな国家安全保障戦略等の策定に合わせ、令和四年十二月に海上保安能力強化に関する方針が決定されました。
同方針に基づきまして、海上保安庁では、大型巡視船等の大幅な増強整備などのハード面での取組に加え、無操縦者航空機等の新技術の活用や、自衛隊を始めとする国内外の関係機関との連携協力の強化、サイバー対策の強化、人的基盤の強化などのソフト面の取組を推進することによりまして、海上保安能力を強化してまいっているところでございます。
特に、少子化や社会の価値観の変化が進む中、人材確保、育成につきましては組織的な重要課題であると考えておりまして、海上保安官の募集活動の推進、教育訓練施設の拡充、職場環境の改善などを進めてまいりたいと考えております。
引き続き、海上保安庁では、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、海上保安能力を一層強化し、領海警備に万全を期してまいります。
○稲田委員 ありがとうございます。力強い御答弁でございましたが、やはり現地に行きますと、非常に緊迫をしている状況でもあります。また、中国の海警船から、ここは古来から中国の領土で、出ていけと言われるわけでありますので、この状況を放置しておくということは、私は断じてやってはならないことだと思います。
内閣府沖縄担当に伺います。
尖閣の魚釣島に上陸しての調査は一九七九年以降行われていません。私たちの議連の目的は、政府が尖閣諸島の調査、開発を推進させるための議員立法を成立させることでもあります。なぜ一九七九年以降調査が中断されたのか、その調査を再開するにはどのような条件が必要か、お伺いします。
○水野政府参考人 お答えいたします。
尖閣諸島の利用開発可能性調査について御質問をいただきました。
この調査は、一九七九年、昭和五十四年に沖縄開発庁におきまして、尖閣諸島の開発利用の可能性を調査するという目的から、まず現地調査等により、自然的、地理的条件等の基礎的データの収集、整理、分析を行うとともに、同諸島の利用開発の一環として、灯台、ヘリポート、避難港、無人気象観測施設等の建設又は設置の可能性についての検討を行ったものでございます。
調査の結果、尖閣諸島の気象、海象条件が極めて劣悪であるということで、このため、灯台、ヘリポート及び無人気象観測施設については、建設は不可能ではないが施工、維持管理が容易ではないとされたほか、避難港については、遠浅の水域がなく、波も非常に高いため、建設は不可能に近いとされたものでございます。
当時の国会でもお答えしているわけでございますが、これら調査結果に基づきまして、所期の調査目的をほぼ達成できたものとして、昭和五十四年度限りで同調査は終了したものと承知してございます。
以上でございます。
○稲田委員 もう四十五年前の話ですよ。その終わった後も、まだ調査をやるべきだとか施設を造るべきだということが国会でも議論されています。四十五年前に調査の必要がなくなったという答弁は、ちょっと私は無責任ではないかと思います。
その調査報告書でも、尖閣諸島に無人気象観測施設を建設することは十分可能である、また、もちろんヘリポートを造るとかそういった施設の工事は極めて困難が予想されるけれども不可能ではないということでありますので、調査する必要がないからもう調査しないんだというのは、余りにもおかしな答弁だというふうに思います。
我が国の領土、領海、領空を守り抜くということは、政治家としての最大の責務です。尖閣は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、領土問題は存在しないというのが我が国政府の見解です。
しかしながら、現実的には、常態的に中国海警船が接続海域に漂泊し、領海内にも侵入し、あたかも当然のように法執行の形式を取って、それを正当化する法律を作っているというこの状況を放置しておくと、現状変更は更に進んでいくと思います。
今、事なかれ主義で、放置することで尖閣を守ることはできません。領土、領海を守る意思と能力を有する強い国、そして、公害で苦しむ人々には、自分たちが大切にされていると思うことのできる優しい国、強くて優しい国を目指すべきだと思います。
ありがとうございます。
○務台委員長 次に、松木けんこう君。
○松木委員 松木けんこうでございます。
まず、先ほど稲田先生が水俣問題で非常にいい質問をしたんじゃないかなというふうに思いました。是非、いろいろとありますけれども、今の現行法では無理なのかなというところもないわけじゃない、ということは、議員立法でやろうか、こういうことも出てくるんだと思うんですよね。そのときは、与野党でよく話合いをして、稲田さんが言った言葉も非常に重いなというふうに思いますので、一緒にやっていけたらいいなというふうに思います。これはちょっと私見でございます。
それでは、今日は水俣病のことを中心なんですけれども、六月七日の日に野党の方は水俣病のことを中心でお話をさせていただこうというふうに思っております。そして、私も、まず水俣病のことを聞きます。それから熊の話、そして知床半島の話、この三つをちょっと今日は聞かせていただこうというふうに思っております。
大臣、非常にいろいろなことがあって、スイッチを切っただの何だの、いろいろなことがありましたよね。しかし、すぐに大臣はその後謝罪に行かれた。私は非常にこれはよかったというふうに思っています。スイッチを切ったのはよくなかったけれども、しかし、その後大臣がすぐに謝りに行かれたというのは、私は多としたいというふうに思います。
そして、タスクフォースというのを省内につくったということでございますけれども、大臣のお話を聞いていますと、当初、新しい救済法を考えるようなお話も多分されていたような気がします。お役人さんの方から、このタスクフォースの話で、どうも、水俣被害者の救済は今の段階では含まれていないというような発言があったようでございますけれども、ここら辺は現実には一体どういうことなのか、ちょっとだけ教えていただきたいと思います。
○前田政府参考人 お答えいたします。
水俣病タスクフォースにつきましては、省内横断的に強化した体制の下、五月一日の懇談及び八日の面会で伺った御意見、御要望について誠実かつ真摯に検討しつつ、改めての懇談の場を開催し、損なわれた関係団体の皆様や現地との関係性の修復に取り組むことを目的としておりまして、こうした体制により、職員の頻繁な現地出張を行いつつ、懇談内容の充実に取り組むものでございます。
答弁は以上です。
○松木委員 分かりました。
ということは、まず、水俣被害の方の救済の話をここの中でしていこうということではないということでよろしいんですか。
○前田政府参考人 お答えいたします。
改めての懇談の場を開催して、損なわれた関係団体の皆様や現地との関係性の修復に取り組むということをまず目的としているところでございます。
以上です。
○松木委員 そうすると、救済が直接ではないと。しかし、そうはいえ、話合いをしていこうということでございますので、それが救済につながるということに十分なっていくわけでございます。是非、そこら辺はしっかりやっていただきたいなというふうに思っております。
水俣病というのは昭和三十一年に見つかっているんですよね。私は昭和三十四年生まれなんですよ。だから、私より年を取っているというか、長い歴史になってしまった。そして、初めは、チッソというのはなかなかこれを認めなかったんですよね、自分たちが原因だということはなかなか認めなかった。しかし、だんだんだんだんそういうのが分かってきて、昭和四十三年に排水を停止しているんですよね。この間、十二年間あるんですね。この間、垂れ流しにしているんですよ。そして、平成二年、ここでやっとヘドロを含めたものが取り払われることになって、二十二年間かかっているということなので、随分時間がかかるものなんだなということをつくづく思うわけでございます。
しかし、そうはいえ、チッソの人たちも、自分たちは悪くないというふうにどうも初めは思っていたみたいで、そこで、細川一さんというお医者さんに、自分たちは悪くないということを証明するためにいろいろな研究をさせたんですね。そうしたら、結局、実は自分たちが悪いということが分かっちゃったんですね、この細川医師が。それで、それをなかなかやはり公表することができなかった、そういう歴史もあるみたいですね。非常に残念なことでございますけれどもね。そういう歴史もある。だからといって、もうこいつらが悪い、悪いと僕は言いたくないけれども、そういう歴史はあるんですね。
そういうことを考えたら、やはりこれは全面的に助けていく方向が必要だなということをつくづく思うんです。
あと、水俣病というものを初めて公式に謝罪した市長さん、吉井さんという方がいましたね。この方が、五月三十日か三十一日か、数日前にお亡くなりになりました。九十二歳だったそうでございます。
この方はこう言っているんですよ。対立した場合、強い方が頭を下げなくては解決しない、行政が市民あるいは患者、そういう立場にすり寄っていく、そのことによって物事は解決する、そういうふうにも言われています。
そして、先ほどお話をした細川一さんというお医者さん、この方は一次訴訟のときに原告団の証人で出ているんですね。そして、チッソが実は途中から、自分たちが原因だということをある程度分かっていたということを証言していくわけですよ。それで、元々これがなかったら、ひょっとしたら、その一次訴訟も原告の方が負けていたんじゃないかというぐらいの話も実はあったんですね。こういう方なんです。
こういう方が最後にこう言っています。まず、この方は証言してから三か月後に肺がんでお亡くなりになっているんですけれども、最後に、人命は生産より優先するということを企業全体に要望したい、こういうことを言って、最後の言葉ということになっているようでございます。
何とかやはり、大臣、これは解決をここでつける。いろいろな解決というか、政治的なこともいろいろとやってきたのは事実です。でも、なかなか全面的にはならなかったじゃないですか。もうちょっと健康調査をした方がいいとか、いろいろな話があったと思うんですね。しかし、なかなかそうならなかった。それで、結局、今に至っている。しかし、いよいよこれは最後ですよ。ここでやはり政治決着をつけなきゃいけないし、是非大臣にも頑張っていただきたいというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 御指摘ありがとうございます。
先ほどの前田審議官のお答えに続いての話になりますけれども、まず、再懇談においては、そういう水俣病の関係者のお話をやはりじっくりお伺いして、そして私の方からお答えできる範囲で最大限お答えし、そしてまた充実した意見交換ができるようにしてまいりたいと思っております。
それから、今いろいろ歴史的経緯の御説明もいただいて本当にすばらしいと思いますが、同時に、この水俣病問題については、公害健康被害補償法に基づいて三千人が認定を受けて補償を受けられるとともに、これまで平成七年と平成二十一年の二度にわたる政治救済によって合わせて五万人以上が救済されてございます。
委員の御指摘も含めて、こうした長い歴史と経緯を十分に踏まえて、関係の皆様にできる限り寄り添って対応できるように、現状もしっかり分析しつつ、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組をしっかり進めて、水俣病対策に全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。
○松木委員 ありがとうございました。
現行法でやるのはなかなか難しいんじゃないかという意見もありますので、そこはフレキシブルにみんなで、やはり議員立法だとかいろいろなこともあるでしょう、そういうことも考えて、みんなでそれこそ考えていったらいいんじゃないかなというふうに思います。
しかし、大臣、私は思うんですけれども、大臣が思わず涙したあの顔というのは忘れませんよ。あれは真剣な涙だったと思うし、七十数歳の涙というのはあんなに美しいものかというぐらいに私は思いましたよ、本当に。是非、その気持ちを忘れないで頑張っていただきたいというふうに思います。
それでは、次に、ちょっと熊の話なんですけれども、まず、ニホンオオカミというのがいましたよね。ニホンオオカミは絶滅しちゃったんですよね。それによって、イノシシ、鹿なんかが増え過ぎて、農業被害というのが結構あるんですね。特にイノシシなんというのはかなり被害が多いというふうに聞いておりますけれども、熊というのは、たくさんの子供は余りつくらないので、余り殺し過ぎると絶滅のおそれがありますね。
ただ、いろいろと事故が起きていますので、やはり里に出てきちゃった熊をある程度処分するのは、これはもうしようがないかなというふうに私は思っているんですけれども、一番大切なのは、多分、やはり熊と人が会わないようにする、これが一番大切なんだというふうに思うんですね。
そこで、NPO法人のピッキオというのが軽井沢にあるんですけれども、ここの人たちがベアドッグというのを育てて、このベアドッグのおしっこをまいて、それで里に入ってこないようにするということがかなり成功しているというお話を聞いております。そして、このことを北海道で一生懸命研究している、そしてベアドッグを育てている、そういう方も実はいるんですね。これは非常に私はいいというふうに思うんですね。
管理鳥獣にするという話があります。管理鳥獣にすると、やはり撃ち殺すということが増えるんだと思うんです、何だかんだ言って。でも、大臣は、管理鳥獣になっても、むやみやたらに殺さないように私はしますよということを前のときに言っていただいているので、そこら辺はさすが気持ちの優しい大臣だなというふうに私は思っているんです。
しかし、そうはいえ、今度はハンターも減っているんですよ、どんどんどんどん減っているんですね。中には、日当八千五百円でどうのこうのと大げんかになっているところもあります。それはそうですよ、日当八千五百円で命懸けですからね。熊というのは、ばんと当たったからといってすぐ死ぬとは限らない。筋肉はよろい、そして厚い毛。ですから、これはなかなか大変なんですよ。
そうすると、なかなか日当が安い中でやっていくというのも無理があるというふうに思いますので、やはり会わないようにするというのが僕は大切だと思うんです。それには、ベアドッグということを全国に広めていってもいいんじゃないか。
これからはAIの時代で、人間の仕事がなくなるんじゃないかなんという話もあるでしょう。その中で、ベアドッグを例えば育てていくということをやはり全国的にやっていけば、これはAIじゃ育てられませんから、人間の一生の仕事にも十分なると思いますので、こんなことをちょっと考えてみたらどうかなというふうに思っております。
環境省はなかなか予算がない。ですから、本当は、ここで財務省を呼んで、その金を出せ、こう言いたいところなんだけれども、そこまではいかないので、是非、環境大臣、頑張っていただきたいと思いますけれども、お答えをお願いします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のベアドッグの件でございますが、まさに、熊と人間のあつれきを避ける、すみ分けを図るという観点から、熊類が人間の生息域に出没することを抑制するために、ベアドッグの活用を含めて、追い払いの取組が重要だというふうに認識してございます。環境省が作成いたしましたクマ類の出没対応マニュアルにおきましても、重要な対応方法の一つとして追い払いを掲げまして、先ほど御指摘ございましたピッキオによります軽井沢町におけるベアドッグの取組なども御紹介をしております。
一方で、ベアドッグの導入には、犬だけではございませんで、犬を管理するハンドラーの養成、それから犬の訓練など、長期的な取組が必要となりますので、地域の実情に応じて対策を進めることが重要になってくると考えております。
環境省では、熊類の指定管理鳥獣への指定を踏まえて、指定管理鳥獣捕獲等事業交付金の事業内容について検討を行っておりまして、ベアドッグによる取組を含めて、都道府県の状況に応じた効果的な対策に必要な支援の検討を進めてまいります。
○松木委員 お答えいただきました。
ベアドッグというのは僕はいいと思いますよ、本当に。ただ、お金がかかりますよね、時間もね。是非、環境大臣、財務省からがっつり予算を取って、頑張っていただけたらありがたいというふうに思っております。
それでは、知床半島の話に入っていきますけれども、知床半島は、一九七〇年代に、森林伐採問題から知床百平方メートル運動が始まり、主要部分は世界自然遺産、国立公園、森林生態系保護地域に指定されている。環境大臣として、知床の自然環境の価値をどのように捉えているでしょうか。
また、環境省が二〇二三年十月に策定している知床国立公園管理計画書では、先端部で自然環境の保全は特に厳正に行う、また、太陽光発電については大規模なものは認めないとあります。今回の話が実は急速に進んだ、基地局整備の問題。この公園管理計画書の方針と大分矛盾するのではないかというふうに思いますし、それとも、誰かが何かごり押しで、どんどんどんどんやれというふうに激しく言ってきたのかというようなことを言う人もいますけれども、そこら辺はどうでしょうか。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
知床は、北半球の中で海氷ができる海洋のうち最も低緯度に位置する地域でございまして、海と陸をつなぐ豊かな生態系、そして多くの希少種が生息する生物多様性の価値が評価され、平成十七年に世界自然遺産に登録されました。
知床を始めとする世界自然遺産は、世界で唯一の顕著で普遍的な価値を有する重要な地域でございまして、将来にわたってその価値を継承していくことが重要だと考えております。
委員御指摘の知床国立公園管理計画に関しては、まず、太陽光発電については大規模なものは認めないとの規定については、電気の売却を目的とした太陽光発電所を対象としてございます。今回整備されるものは携帯電話基地局の電源を確保するための附帯的な施設でございまして、機能を維持するために必要最小限の規模であることから、管理計画の方針とは矛盾していないというふうに考えてございます。
また、先端部地区の自然環境の保全は特に厳正に行うという規定については、現在、知床岬を国立公園の特別保護地区に指定し、厳正に保全しているところでございます。特別保護地区における工作物の新築行為については、個別の案件ごとに審査がされ、公益上必要と認める場合で、なおかつ、景観上の支障を軽減する措置が取られている場合に限定して許可がなされる性質のものでございます。
今回の携帯電話基地局の整備については、漁業者その他の知床半島先端部の利用者等に対する安全確保を目的としておりまして、その公益性を認めた上で、自然環境への影響を軽減することで、やむを得ず許可を行う判断をしたところでございます。
○松木委員 分かりました。漁民の皆さんの安全を確保というのは大切なことだというふうに私も思います。
それでは、ちょっと細かいことに入っていきたいと思いますけれども、まず、この基地局を建てるのに予算は幾らなのか、補助金は国から幾らあるのか、あるいは、もう着工しているのか、するのならいつからするのか、ここら辺を教えてください。
○荻原政府参考人 お答え申し上げます。
まず、本事業の施工事業者が、現在、本年五月から文吉湾に工事に必要な資機材の搬入を開始したところであるというふうに聞いてございます。
一方、工事の開始に先立ちまして、環境省におきまして、オジロワシの営巣状況について現地調査を行われまして、六月上旬に開催されます知床世界自然遺産地域科学委員会に報告し、世界遺産への影響等について意見を聞く予定であると承知してございます。このため、現状といたしましては、この調査結果の委員会への報告を待っている状況というふうに認識してございます。
それから、事業費についてのお尋ねがございました。
知床岬灯台エリアの携帯電話基地局の整備に当たりましては、総務省の補助事業であります携帯電話等エリア整備事業を活用して整備を行うこととしております。現時点では、交付決定を行った事業の総事業費は約二億円、補助金額は約一・三億円となってございます。このほかに、環境省の補助事業がございますので、そちらと合わせた金額が総事業費ということになります。(松木委員「総事業費は幾ら」と呼ぶ)総事業費は、環境省の方に確認いたしましたところ、合計いたしまして、総事業費は約九億円、補助金額が約四・四億円となってございます。
○松木委員 分かりました。結構なお金ですね。
それで、漁業をされている方のやはり安心、安全というのは私は大きいと思うんですね。何か見に来たとか、そういう人たちは、それは原生のそういうものを楽しんだりするわけだから、安心、安全より景観のことを多分優先すると思うんですけれども、やはり漁業者の方々は命が懸かっているわけですから、それは分かります。
それであれば、漁業者の方々というのは、テレビなんかで見ていると、カズワンの事故の後でこういう話が出てきたような感じがするんですけれども、そんなことはないんですよ、本当は。事前に要望があったというふうにも聞いておりますけれども、この漁業者の皆さんというのは、大体どのぐらいの数の方が関係してくるんでしょうか。
○山田政府参考人 お答え申し上げます。
羅臼町の漁業就業者の数ということで、漁業センサス結果によって見させていただきました。直近調査が二〇一八年となってございますけれども、この結果ですと、一千三十二人となってございます。この調査は五年に一遍の調査でございますが、十年遡った二〇〇八年の調査以降の推移を見ますと、大体一千人台で推移しているということでございます。
○松木委員 分かりました。
千三十二人ということなんですけれども、まず、カズワンの事故で携帯電話のことも出ていたんですけれども、観光船は、携帯電話じゃなくて、衛星電話の方が義務づけられたんですかね、何かそんな形だったと思います。
この漁業者の数は千人ぐらい、だんだんだんだん今、減少傾向ですよね、大体、どこでもね。(山田政府参考人「大体横ばいでございます」と呼ぶ)今のところ横ばい、絶対減るんだよ、これから。
○務台委員長 ちょっと、手を挙げて言ってください。
○松木委員 ごめんなさい。委員長、私が悪いんです。ごめんなさいね。
いずれにしても、減少傾向になると思いますけれども、九億のお金をかけて造る。
そして、例えば、パネルというのはやはり火事になる可能性もありますね。そうすると、ちょっと怖いなというふうにも思います。大規模でないと大臣は言ったんだけれども、広さというのは、結構、太陽光パネル二百六十四枚、これをちょっと分かりやすくやってみたんですけれども、あと、ケーブルも二キロぐらい敷くんですよね。そうすると、全部で一万平方メートルぐらいの広さになるというふうに聞いているんですけれども、坪に直すと三千二十五坪、畳に直すと六千三十七枚、結構な広さがあるでしょう。
三千二十五坪ということは、東京都内なんて、今、二十坪ぐらいの家はいっぱいありますからね。そうすると、百軒ぐらい建つのかなというぐらいの広さというふうに考えちゃうんですけれども、これが大規模でないというふうに言えるのかなというのは、ちょっと私は、何も影響がないということにはなかなかならないような気がしますので、かなり慎重にやはり進めていただきたい、できればちょっと立ち止まっていただきたいというふうに思っているわけでございます。
そして、斜里の町長さんも、これだけパネルを敷くのはどうかなということで、ちょっと立ち止まって、今、ほかのところで基地局をまだ整備しているんですよね、二か所ぐらい。そこが、基地局がうまくいったら、ある程度、先端の方に造らなくても、かなりカバーできるんじゃないかという話もありますね。
ですから、まず完成してからもう一度考えるということで、取りあえず今回は工事を一回ストップする、こういうことをお考えになったらいかがかなというふうに思っていますけれども、環境大臣、どうですか。
○伊藤国務大臣 斜里町のホームページに、知床岬における携帯基地局の整備について、町長のお考えが掲載されたと聞いております。知床は、斜里町、羅臼町の二つの町で構成されておりまして、斜里町長の真意を御確認させていただくとともに、羅臼町の御意向を確認することも重要だと考えております。
なお、六月七日に開催される知床世界自然遺産地域科学委員会では、工事箇所付近において、希少種であるオジロワシの繁殖の有無などを報告することを予定しております。現在、それまで着工を見合わせてもらっております。
環境省としては、科学委員会から得られる助言を踏まえ、引き続き、事業者に対し、希少種等への配慮の徹底を求めてまいりたいと思います。
○松木委員 六月七日に話合いがあるというふうに聞いていますので、是非、一度ちょっと立ち止まってお考えになる方が私はいいんじゃないかなというふうに思いますし、あと、羅臼町の皆さんに、例えば衛星電話、九億円のお金をかけるより、衛星電話を貸与するとか、そういう形である程度対応することもできるんじゃないかと思う、この知床というのはかなり特殊なところでございますので。
そして、皆さん、大臣、二キロというのは銅線か何かで結ぶのかな、多分。そうすると、この頃、銅線泥棒がすごい多いですから、なかなか知床まで泥棒に行くのも難しいかもしれないけれども、かなりの量があれば、銅線泥棒というのはすごいね、何百万、下手すると千万単位になるときもあるらしいので、誰もいつもそこにいるわけじゃないから、非常にそういう心配もあるんじゃないかなというふうに思いますので、一度立ち止まって是非考えていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、知床の価値、こういったものを保全するという御質問だと思いますけれども、六月七日に科学委員会を開催いたします。まずはこちらできちっと御説明をするとともに、大臣からお話がありましたように、斜里町の御意向、それから羅臼町の御意向、こういったものもきちっと確認をした上で、事業者にきちっと適切な対応を求めてまいりたいということでございます。
○松木委員 もう時間ですね。ありがとうございました。
余り知床はいじらないでいく方向で是非考えてください。よろしくお願いします。
○務台委員長 次に、近藤昭一君。
○近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。
今日もまた質問の機会をいただきましたことを感謝を申し上げたいと思います。
前回の委員会でも質問させていただきました水俣病に関連する問題でありますが、昨日、私も新潟市の方に参りました。新潟水俣病の患者、被害者の関係の団体の皆さんからお話を聞かせていただいたということであります。
前の委員会でも大臣ともやり取りをさせていただいて、政府としては、この問題は二回目の政治解決ということで対応した、そして、その際には申請の期間も区切って、その申請の期間がもう既に締め切られていて、一つこれは終わったということになっているというのが政府の立場だと思います。
ただ、一方で、残念ながら、裁判も続いていて、この裁判の中で患者と認定をされるという方もいらっしゃって、私は、やはりまだ解決に至っていない、終わっていない、こういう認識であります。そして、そういう中でやはり意見交換というものがある。
大臣の御答弁は、今の法律の運用という中でというお答えもされていますが、今、私どもの党としましても、こうした今ある課題、そして解決に向けて何ができるかということでいろいろと検討させていただいておりまして、考え方をまとめ、また法案をまとめたいと思っております。そういうことで、今、検討中といいましょうか、作業中でありまして、この問題については、改めて伊藤大臣にもお話をしたいと思っております。
今日は、環境問題は様々課題があるところでありますので、水俣の問題ではなく、違った問題で質問をさせていただきますが、よろしくお願いをしたいと思います。
まずは、バイオマス発電に関してということであります。
これも、これまでの委員会で私も取り上げさせていただいているところであります。バイオマスの発電ということで、経済産業省と関わってくることも多いわけでありますが、是非この過程で起きている環境問題をしっかり環境省としても、環境大臣としても受け止めて、立法府として受け止めていかなければならないと思っているんです、政府として、行政として、また立法府として。
それで、燃料生産地での法令違反についてであります。
昨年、米国のペレット生産事業者、エンビバ社の違法行為が多数報告されました。実は、つい先日、カナダの最大のペレット生産事業者、ドラックス社について、二年間で大気汚染等に関する百八十九件の違法行為が確認されたとの報告があったわけであります。日本のペレット輸入先で、実はカナダは第二位ということであります、日常的に違反行為が発生している、こう思わざるを得ないわけであります。
そこで、まずは、ドラックス社の違反について経産省が認識していたかどうか、このことを確認をしたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の報道内容につきまして、経産省としても認識しているところでございます。
林野庁の合法性ガイドラインに基づく認証制度等も踏まえ、生産、加工、流通過程の持続可能性の確認について検証するため、御指摘の件について、まずは、輸入木質バイオマスの生産、加工、流通過程において違反行為がなかったか、林野庁とも連携しながら、事実関係の確認を引き続き行うこととしたいと考えております。
○近藤(昭)委員 私は、当然のことといいましょうか、確認をしていただかなくてはいけないわけでありますけれども、これは、どういうような方法で確認をされているということでありましょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
現在、当該法人の日本支社に対して我々の方から連絡を取りまして、事実解明を行っているところでございます。
○近藤(昭)委員 事実解明を日本支社にやっているということですが、これはどれぐらいの期間をめどにやっておられるのか、相手に対して期限を区切って問合せをしておられるとは思うんですが、その辺はいかがでありましょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
可及的速やかにということで取り組んでおりますが、本件につきまして必要な論点がございまして、事業者に今確認を行っている、必要に応じて追加の確認も行わなければならない、場合によっては、海外の認証団体等への確認も行う必要があるというふうに考えておりまして、できる限り速やかに、他方で中身が遺漏がないように、適切に行っていきたいというふうに考えております。
○近藤(昭)委員 なかなか可及速やかにというのは微妙な言葉でありますが、ただ、御努力をいただいているということで、よく捉えれば、今も御答弁がありましたように、漏れがないようにきちっと幅広くということと理解をして、しっかりと御対応いただきたいと思います。
ただ、これは、大事なことはその後のことだと思っています。違反が認められた期間、違反があった、そしてその期間に輸入されたペレット、それについてはFIT、FIPの対象から外すべきではないか、こう考えますが、いかがでありましょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
本事案については事実関係の確認を待つということでございますが、一般論として申し上げれば、仮にFIT、FIP制度において求められております燃料の安定調達に関する確認ができない事案につきましては、必要に応じて指導、改善命令、場合によってはFIT、FIPの認定の取消しも含めて、適切に対応していく方針でございます。
○近藤(昭)委員 認定の取消しということであります。それは当然だと思うんですね、逆に言うと。
そうすると、私が確認したいのは、違反が認められた期間、もちろん、違反であったら、その認定を取り消すということでありますが、その期間についていわゆる賦課金を支払うべきではない、こういうことだと私は思うんですね。そこはいかがでありましょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のような課題もあって、さきの、去年の通常国会で再エネ特措法を改正いただいておりまして、案件の要件を照らせば、おっしゃるとおり、FIT、FIPの交付金を、遡って、違反が生じた段階から交付を行わないという制度が導入されております。
○近藤(昭)委員 ただ、期間の問題で、それがはっきりするのに、可及速やかでありますが、そうすると、その前に支払われてしまうことはない、つまり、調査中だからまだ支払わない、あるいは、もしかしたら支払ってしまった場合は、それを取り戻すというか差し戻すというか、戻す、こういう理解でよろしいですか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
新たに制度化された措置によりまして、今までの制度ですと、認定を取消しをする、そうするとFIT、FIPの交付金が出なくなる、ただし、デュープロセスを経る必要がありますので、認定取消しまでにはかなりの期間がかかっていた。そこをまず速やかに対応できるようにということで、交付金の留保を行うことができるという制度がまず入っておりまして、この留保をすれば、その時点から、認定取消しにかかわらず、お金は流れていかない制度になっています。それが第一点です。
その上で、仮に事実関係等、行った上で違反行為があったということが確認された場合は、その違反タイミングに遡って、交付金を出さない形にすることができるという制度となっております。
○近藤(昭)委員 交付金、賦課金は税金で賄われているわけでありますから、そこはやはり納税者の皆さんが納得というか、理解できる、なるほどというふうに対応していただきたいというふうに思います。
さて、カナダの原生林由来のペレットについて、先月、五月末にカナダの森林生態学者スザンヌ・シマードさんが来日をされました。カナダから日本に輸出されている木質ペレットのほとんどが原生林に由来しているという話をされたわけであります。
ペレットの主な生産地であるブリティッシュコロンビア州では、森林の炭素蓄積の少なくとも半分以上が土壌に含まれているということだそうであります。皆伐を行うと、地上と地下の炭素蓄積が急速に減少し、その後、植林しても、地上部の炭素蓄積が回復するのに百年以上、地下の炭素は回復がほぼ見込めないとのことでありました。
そもそも、FITでは、原生林のような炭素蓄積が多く、生物多様性の高い森林を燃料として利用することは想定されていなかったのではないかと思うわけであります。
原生林や天然林を原料とするペレットはFIT対象から外すべきと考えますが、いかがでありましょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十月に、EUで、再エネ改正指令、EU―RED3が正式に発効いたしました。その中では、バイオマス発電につきましては、御指摘のとおり、例えば原生林の保護、こうした持続可能性基準を強化してはどうかという内容になっております。これにつきまして、EU加盟国は、来年の五月、二〇二五年五月までに指令に準ずる国内法を整備するというスケジュールになっておりまして、現在、具体化が図られているところと承知いたしております。
こうした形で、バイオマスに求められる持続可能性基準の強化は、諸外国等で新たな制度整備が進んでいくことが見込まれております。
昨年十二月の審議会におきまして、こうした諸外国等での新たな制度整備や運用状況なども整理しながら、輸入木質バイオマスに今後求めるべき持続可能性の基準や確認方法等につきまして、専門的、技術的に検討することとされております。
関係省庁とも連携し、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
○近藤(昭)委員 そうすると、そういう中で、伐採をしたときの土壌からの排出について、計算に含まれていく、こういうことになるということでありましょうか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
ライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量基準の問題につきましては、二〇二三年度から制度を開始しているところでございます。
この中で、森林伐採時の土壌からのCO2排出というものは、欧州のルールなども参考に、森林から農地への転換といった、現状では、直接的な土地利用変化を計上するという制度となっております。
御指摘のように、原生林であるとか天然林を伐採して事後的に植林した場合の炭素ストックの減少、こうしたものにつきましては、その減少量の捕捉方法等に課題がありまして、国際的にも議論の途上であるとは承知いたしております。
こうした点も含めまして、諸外国等での新たな制度整備や運用状況なども整理しながら、専門的、技術的に検討する審議会等の場を通じまして、関係省庁とも連携し、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
○近藤(昭)委員 科学というのは本当に大切であり、いわゆる感情論というか、曖昧なものではなく、やはり事実、科学根拠の下で議論していくことは非常に重要だと思うんです。
ただ、一方で、それでも曖昧なところは残ると思いますし、現地で研究する皆さんからもお話が出ていて、しっかりと検討し、私はやはり土壌から出ていく部分というのはかなり多いだろうと推察をしておりまして、しっかりと対応してもらいたいと思います。そういう中で日本は頑張ってもらいたいと思っています。
では、次の質問に行かせていただきたいと思います。
シマアオジとボン条約についてであります。
シマアオジという小さい鳥がいます。国内では北海道で繁殖をして、中国を経由して東南アジアで越冬している種であります。しかし、世界的に大変に減少しているということであります。この種は、二〇一七年に種の保存法に基づく国内希少野生動物種に指定されましたが、指定後も繁殖つがい数が減少し続けているというところであります。
政府では、国内唯一の繁殖地であるサロベツ湿原で保全の取組をされているようでありますが、今年度は中止となったと聞いています。今後、シマアオジの保全としてどのような取組を考えておられるのか、聞かせていただきたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のシマアオジでございますが、国内では北海道のサロベツ原野におきまして少数の繁殖が確認されております渡り鳥でございます。種の保存法に基づく国内希少野生動物種に指定し、捕獲等を規制してございます。
環境省では、平成三十年度から本種のサロベツ原野での繁殖状況調査や生息環境の改善のためのササ刈り等の事業を実施してまいりましたが、本種の繁殖や推定つがい数が減少傾向にあるというところでございます。
他方で、この地域で繁殖する他の湿原性の小型鳥類に大きな減少が見られない、かつまた本種は渡り鳥であることを踏まえても、減少要因が国外に起因する可能性も考えられることから、減少傾向の改善に向けては国際的な状況も踏まえることが重要と考え、国内での事業は昨年度で一旦中止し、モニタリングを継続することといたしました。
国際的な取組といたしましては、環境省では、二国間渡り鳥等保護協定などに基づきまして、本種を含めた陸生鳥類の生息状況等について情報交換を進め、その保全策について必要な検討を行っていく所存でございます。
環境省では、今後とも本種を含む陸生鳥類のモニタリングを継続するとともに、国際的な枠組みを通じた関係諸国との情報交換を通じ、本種を含む陸生鳥類の保全のため、必要な対応を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○近藤(昭)委員 ありがとうございます。
シマアオジのことについて、渡り鳥であって国際的な協力が必要だ、広域にわたってまさしく移動して、繁殖地そして越冬地等々があるというようなことであります。そういう中で、今御答弁もありましたように、二国間条約等々で日本は対応しているとお聞かせをいただいたというところであります。
ただ、こうした渡り鳥等々、そういう野生生物、鳥等の減少に対して国際的な取組があり、ボン条約というのがあります。今年開催されたボン条約のCOP14では、シマアオジの保護、回復のための行動計画が決定され、国際連携による活動の指針が示されたということであります。国際的な連携でやっていこう、そのための条約、そしてCOP14でそうした話合いも行われたというところであります。
ただ、残念ながら、我が国はボン条約に加盟していないということであります。そして、今お答え等々がありました、日本としても取り組んでいる、二国間条約等々で。そしてまた、我が国の生物多様性国家戦略二〇二三―二〇三〇では、必要な場合には、本条約又は関連する協定、覚書への対応も検討するとあるわけであります。
これは、今、どのような検討状況になっているのか。まさしく今お答えは、サロベツ湿原での調査は今年はやっていない、なぜならばというと、もっと幅広に、渡り鳥として移動しているので国際的な取組が必要だということであったわけですね。そして、戦略にも、そうした取組が必要だと書いてあるわけであります。検討状況を教えていただきたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のボン条約につきまして、ボン条約は、移動性野生動植物種の保全に関する条約でございますが、このボン条約につきましては、条約で捕獲が禁止される動物につきまして我が国とは意見を異にする部分があるため、批准しておりません。また、我が国が既に締結している条約による義務と本条約により新たに負うことになる義務との関係について、慎重な対応が必要と考えております。
ボン条約の規制対象種は随時更新されておりまして、直近は、二〇二四年二月に、バルカンオオヤマネコ、ネズミイルカ、マゼランチドリ等が新たに追加しております。
こうした随時の更新があるため、この動きを注視しながら、ボン条約を締結した場合の影響等につきまして関係省庁と慎重な検討が必要だというふうに考えております。
○近藤(昭)委員 ありがとうございます。
理由があるからボン条約には参加をしていないということでありますけれども、これまでも委員会等々で質疑をされているところでありますが、我が国と立場がどこが違うのかということを改めて教えていただきたいということと、ちょっと時間が限られてまいりましたので、関連して、次の質問をさせていただきたいと思います。
立場が、考え方が違うところ等々があって条約には参加していない、でも、遡ると、しかしながら、二国間条約等々で取り組まなくちゃいけないという認識を持っているということであります。そういう中で、我が国として、フライウェイ・パートナーシップに渡り性の陸鳥のワーキンググループを提案して、我が国ではフライウェイ・パートナーシップを積極的に取り組んできたという答弁が国会の中でもあるわけですね。
それで、お聞きするわけでありますが、こうしたパートナーシップに渡り性の陸鳥のワーキンググループを提案して、シマアオジのような陸生の鳥の保全のための国際的な活動に貢献するという方策もあるかと思うんですが、どうでしょうか。
ボン条約はどこが違って参加できないのか、しかし、そうしたパートナーシップの中で取り組んでいくのはどうだろうかということであります。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
二つ質問をいただきました。
一つは、ボン条約と我が国の意見を異にする点でございます。
ボン条約の附属書1に掲載されております哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類各種につきまして採補が禁止されておりますけれども、そのうち、ウミガメ類、海鳥類、それから鯨類につきまして、それぞれ漁業でありますとか混獲の問題だとか商業捕鯨との関係等がありまして意見を異にするというふうに、従前、政府としては御答弁を申し上げてございます。
それから、二番目の質問でございますが、フライウェイ・パートナーシップの件でございます。
東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップは、渡り性の水鳥とその生息地の保全を目的としておりまして、パートナーシップ会合に参加する専門家の間では、この枠組みの下で陸生鳥類の保全も扱うべきという議論もございますが、正式な議題として取り扱うまでには至っていない。
しかし、陸生鳥類の保全がこの枠組みの直接の対象であるか否かにかかわらず、こうした枠組みの下で集まった関係者の議論が陸生鳥類の保全にとっても有益になることから、引き続きフライウェイ・パートナーシップ会合の機会を捉えまして、各国の専門家と陸鳥の保全に関する意見交換を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○近藤(昭)委員 ありがとうございます。
日本はそういう立場だから参加していない、しかし取り組んでいく、そして、フライウェイ・パートナーシップの中での様々な課題というか、条件等もあるわけであります。難しい側面もあるんだと思います。ただ、一方で本当に現実が迫っておりますので、最後に、是非大臣にお答えをいただきたいんです。
このシマアオジは非常に広域にわたって移動するわけでありますけれども、こうした途中の国々、東アジア、東南アジアの国々があって、日本も、残念ながらというか、参加していないわけですが、広く見ても、シマアオジが移動するところ、東アジア、東南アジアでボン条約に加盟している国は限られている。
そこで、やはり今申し上げたフライウェイ・パートナーシップ、そういう中でも、さらに、フライウェイ・パートナーシップへの働きかけにも難しさ、困難さがある。関係する諸国とシマアオジなどの陸生鳥類の保全に関する多国間協定を、二国間ではなくて多国間協定を日本が提案したらどうかと私は思うんです。特に、日中関係は、しばしばぎくしゃくすることが多いわけでありますが、日本におけるトキの再生でも、日中で協力をして行ったわけであります。そうした協力をすることによって相互の理解も進んでいくし、大変に面積としても大きいところでありますから、中国は。
ですから、そうした国々に働きかける、多国間協定を日本が是非先導して提案するのはどうかと思うんですが、いかがでありましょうか。
○務台委員長 伊藤環境大臣、答弁は簡潔に願います。
○伊藤国務大臣 はい。
委員御指摘の東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ自体は、渡り性の水鳥とその生息地を保全する取組でございまして、この枠組みには、我が国のほか、東アジア、東南アジア諸国の政府機関及び関係団体も多く参加してございます。会合の機会を通じて、シマアオジ等の陸生鳥類の保全に関する情報交換も行っていきたいと考えております。
また、鳥類を含む様々な生物を保全する観点から、昆明・モントリオール生物多様性枠組の下で各国が取り組んでおりますサーティー・バイ・サーティーは、陸生鳥類の保全にも貢献するものでございます。フライウェイ・パートナーシップの目的に含まれる、広範囲に移動する生物の生息地の保全、いわゆる生態系の連結性の確保についても、サーティー・バイ・サーティーが目指す目標に含まれてございます。
生物多様性の世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組を達成するためにも、条約の枠組みを通じて、陸生鳥類の保全についても必要な働きかけを行ってまいりたいと考えてございます。
○近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。
○務台委員長 次に、鰐淵洋子君。
○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。
それでは、質問を早速始めさせていただきたいと思いますが、まず冒頭、水俣病に関する一連の問題につきまして、大臣に質問させていただきたいと思います。
私たち公明党は、環境の党であると自負をしておりますが、水俣病を始めとする公害病につきましても全力で取り組んできた課題でございまして、ここで少し御紹介をさせていただきたいと思います。
日本の四大公害病の一つ、イタイイタイ病が公害病第一号と認定されたのは一九六八年五月でございますが、この認定には、我が党の先輩議員の取組によりまして大きく前に進んだ経緯がございます。
当時の我が党の参議院議員が渡良瀬川の現地調査を行いまして、足尾銅山と農民の九十年戦争と言われました渡良瀬川の鉱毒問題を、一九六六年十月、国会で追及したことが一般紙で報じられました。その記事を読みました当時の岡山大学の小林純教授が公明党本部にお電話をくださいました。小林先生からは、鉱毒問題なら、もっと悲惨なものが富山県にある、そのようにお知らせをしてくださいました。
そこで、その当時、矢追参議院議員が小林教授に会いまして、そのほか、この地域の奇病の原因は神通川流域の鉱業所が放流してきた排水に含まれる鉱毒である、そのように主張されていたお医者さんもいらっしゃいまして、そういった方々と会いました。また、患者の悲痛な声も伺ってまいりました。そういった中で、矢追参議院議員は、これは歴然とした公害だ、こんなことが許されていいわけがない、こういった思いに駆られまして、この問題に取り組んでいくこととなります。
その後、この矢追参議院議員は、一九六七年五月、国会で初めてイタイイタイ病の実態を取り上げることになりました。当初、政府からは、鉱業所からの排水が原因とは認めず、原因が分からないとの一点張りだったそうであります。もちろん、企業側も認めませんでした。しかし、我が党は、一歩も引くことなく、党内にイタイイタイ病対策特別委員会を設置いたしまして、徹底して現地調査を重ね、衆参両院で、委員会で毎回のようにイタイイタイ病を取り上げました。その結果、国が調査等に動きまして、ようやく一九六八年五月八日、当時厚生省がついにイタイイタイ病を公害病と認定いたしまして、公害病認定第一号となります。これが、その後、水俣病などの公害病認定にもつながっていくことになります。
この公害病認定までの戦いでございますが、一本の電話、小林教授から電話をいただきましたが、この一本の電話、一人の声を誠実に受け止めたことから始まりまして、そこから苦しんでいる患者らの救済に道が開かれたということでございます。
今回の水俣病の一連の問題につきましては、患者団体の方が必死に訴えていらっしゃるときに途中でマイクを切ってしまったということで、当事者の声を真摯に、誠実に受け止めることができなかった環境省の姿勢が本当に残念でなりません。環境省が、水俣病を始めとする国民の命と健康に関わる問題に対して、厳しい言い方かもしれませんが、軽視しているのではないかと言わざるを得ません。このような問題が起こってしまった本質的な原因は何か、まずはそこをしっかりと総括をしていただきたいと思っております。
そこで、改めて伊藤大臣にお伺いいたしますが、今回の一連の問題につきまして、どのように大臣は総括をしているのか、お伺いをしたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
五月一日の水俣病関係団体との懇談において、時間を超過した一部の方について、発言の途中でマイクの音量を切るという運営をしていたことは大変遺憾であり、発言をされていた方に対して大変申し訳ない思いでございます。
このような運営になった原因としては、発言される方に敬意を持ちつつ、その発言に真摯に耳を傾けるという姿勢が不足し、スケジュールの進行を優先させたということにあると考えてございます。
その後、環境省の責任者として、私自身が五月八日に水俣に出向き、七つの団体の十名以上の方々とお会いして謝罪するとともに、参加者お一人お一人の方から御意見、御要望を伺ったところでございます。
五月一日の懇談及び八日の面会で伺った御意見、御要望について誠実かつ真摯に検討した上で、今後開催予定の改めての懇談の場において、十分な時間を確保し、丁寧な意見交換ができるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今、大臣の方から具体的なことも含めて御答弁いただきました。
今回の問題は、運営上だけの問題ではなくて、また後ほども触れさせていただきますが、こういった環境省が人の、国民の命と健康に関わる問題に対して日頃からどういう姿勢で取り組んでいるのかということが一つの形として出てしまった、問題として表れてしまった、これが本質ではないかと思っております。
そういった意味で、改めて大臣にお伺いをしたいと思いますが、伊藤大臣は、今国会の冒頭の大臣所信で次のようにおっしゃっておられます。環境省の不変の原点である人の命と健康を守る取組ということで、公害健康被害対策にも真摯に取り組む、このように発言をされております。ですから、改めて、このお言葉どおりに環境省は大臣を中心にしっかりと真摯に、誠実に取り組んでいただきたいと思っておりますので、この点を強く要請しておきたいと思います。
その上で、今大臣からも御答弁いただきましたが、五月八日には、謝罪ということで熊本に行かれまして、そして、改めて関係者の皆様から声を伺っております。環境省には水俣病タスクフォースも設置をされまして、今後の具体的な取組についても検討していただいていると承知をしておりますが、今回の問題の総括をしっかりした上で、今後、具体的にこの問題にどのように取り組んでいくかということも改めて伺いたいと思います。
その上で、大臣には、この問題に限らず、これから環境行政に改めて大臣としてどのように取り組んでいくのか、その強い御決意もお伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、関係者の声をお聞きすることは極めて重要だと考えております。御意見、御要望について誠実かつ真摯に検討した上で、今後開催予定の改めての懇談の場においては、十分な時間を確保し、丁寧な意見交換を行うことができるように取り組んでまいりたいと思います。
水俣病問題については、公害健康被害補償法に基づいて三千人が認定を受けて補償を受けられるとともに、これまで平成七年と平成二十一年の二度にわたる政治救済により、合わせて五万人以上が救済されてございます。
こうした歴史、経緯を十分に踏まえつつ、関係者の皆様にできるだけ寄り添って対応できるよう、現状を分析しつつ、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組をしっかり進め、水俣病対策に全力を尽くしてまいりたいと思います。
そして、委員御指摘のように、今国会の私の所信表明において申し述べたとおり、人の命と環境を守ることが環境省の使命だと考えております。
環境省の職員にも、この使命を肝に銘じて、公害健康被害対策を始めとする全ての業務に真摯に取り組んでもらいたいと考えております。
このためには、職員一人一人の意識の徹底が必要でございます。人の命と環境を守るという使命の下で、自らの業務において、どのように判断し、行動すべきか、職員同士で議論し合いながら、日々よく考え、仕事に生かしてもらいたいと考えております。また、そのような方針で指導を進めてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今、大臣の方から総括と今後の具体的な取組ということで伺いました。
先ほども申し上げたんですが、今回の問題は、一部の職員の問題ではなくて、また運営上の問題ではなくて、しっかりと環境省を挙げて、これからどういう姿勢で環境行政に取り組んでいくのかということは、是非環境省を挙げて省改革にしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
私自身の話で恐縮なんですが、これまで文科行政に携わることが多かったわけですが、その間、詳細は申し上げませんが、大臣も御存じだと思いますが、文科省も様々不祥事、問題がございました。その際、どうしてこのような問題が起きたのか、なぜ防げなかったのか、その当時の政務三役また文科省の幹部が職員の皆さんと意見交換をいたしまして、省改革を進めるために何をしなければいけないのか、そういった議論、意見交換をされております。
その上で、こういった文科省にしていこうということで具体的な取組も含めてスタートさせていただいていらっしゃるんですけれども、そういった中で、ただ、引き続き文科省はまだ問題、不祥事が続きましたので、一方で、職員の中には、これだけ頑張ってきたのに何でまたこういう問題が起こるんだろうかという本当に悔しい、残念な思いをしている職員もいらっしゃいました。また、他方で、余りにも忙しくて、本来自分が何のために文科省に入省したのか、何のために職員になったのか、その本来の目的を失ってしまっている方もいらっしゃいまして、本当に職員の皆さんが、多岐にわたりまして、悩むというか、いろいろな思いを抱えながら仕事をされていることが分かりました。
そこで、私は、文部科学大臣政務官をさせていただきましたときに、若手の職員の皆さんを中心に意見交換をさせていただきまして、それぞれ抱えている課題だったり悩んでいることだったり、また、文科行政をこういうふうにやっていきたいとか、子供たちの教育をこういうふうにやっていきたい、そういった意見交換を重ねさせていただきました。
そういった中で、手前みそではあるんですけれども、少しずつ風通しのいい省庁に、文科省になってきたのかな、少しずつではありますけれども、文科省をこういうふうに変えていきたいという前向きな雰囲気に変わってきたかなと思っております。
そういったことから、大臣の方にも先ほど御答弁の中にも少し触れていただきましたが、これから環境省、職員を挙げて省改革に取り組むに当たりまして、是非、政務三役また環境省の職員の皆様は意見交換だったりこういった議論を重ねていただきまして、今回の問題もそうですけれども、これからどうやって環境省を変えていくのか、省改革を進めていくのか、そういった議論の場を設けていただきまして、今回を一つの問題で終わらせるのではなくて、これを一つの機会といたしまして環境省の本来の原点に戻って変えていく、そういった流れを是非つくっていただきたいと思っておりますが、改めてこの点について御意見を伺いたいと思います。
○伊藤国務大臣 まず、御党が公害問題に対して真摯に向き合って、いろいろな解決の道筋を今日まで築かれたことについて敬意と感謝を申し上げたいと思います。そしてまた、委員が文部科学省の政務官時代に、風通しのいい文部科学省をつくるべくいろいろな努力をなさってきたこと、そのことにも大変敬意を表したいと思います。
実は、私も、就任以来、環境省を風通しのいい省庁にしようということで幾つかの試みもやってきたところで、今回のことを考えますと、それは不十分だったと思いますけれども。やはり役所というのは、役所の中にいろいろな所掌があって、どうしてもその所掌というか、自分の範囲で物を考えるという傾向が、行政ですから、ございます。
ただ、私は、環境省が本来持っている全体的な目的、つまり、人の命と環境を守る、そのことを実現するために自分の今の所掌のことをしているということが大事だということで、若手も含めて皆さんとの意見交換の場をそれなりにつくってきたつもりでございますけれども、今回の事案を考えますと、まだまだ不十分だったという反省もございます。
委員の御指摘も踏まえて、さらに、風通しがよく、そして環境省本来の目的をしっかりそれぞれの所掌においても果たせるような組織に、私の力も大したことはないかもしれませんけれども、指導してまいりたい、そのように考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございます。
大臣、その上でもう一つ具体的にちょっと提案をさせていただきたいと思っておりますが、大臣から繰り返しいただいております人の命と環境を守る、これが環境省の不変の原点ということでございます。是非、環境省、職員の皆様におかれましても、この原点の下、しっかりと頑張っていただきたいと思っております。
そのためにも、水俣病を始めとする公害病などの歴史、また患者を始めとする関係者の思い、これまでの戦い等を知っていただくこと、そして、それを我が事と受け止めていくことが重要ではないかと思っております。
環境省におきましては、入省した際に研修を行っていると伺っておりますが、この研修が形骸化していないか、是非見直しをしていただきまして、充実を図っていただきたいと思っております。そして、その後も定期的に研修等を行っていただきまして、この原点に立ち返ることが重要であると思っております。
この点につきまして、御見解、また今後のお取組をお伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 御指摘ありがとうございます。
まず、環境省の歴史をひもときますと、我が国では、昭和三十年代頃から、水俣病を始めとする激甚な公害というものが全国的な問題になって、それを一元的に対処する行政主体の設置が必要となりました。このため、昭和四十六年、一九七一年に、各省の公害対策行政を一元化し、それを一手に担う組織として、環境省の前身である環境庁が設置されたところでございます。これが、水俣病等の公害問題が環境省の原点とされるゆえんでございます。
とりわけ水俣病に関しては、その歴史を継承するために、環境省では、これまで新採用職員を対象とした研修において、水俣病を始めとする公害問題について取り扱ってまいりました。加えて、毎年、職員に対して水俣病に関する研修を実施してございます。講座のほか、実際に現地を訪問し、関係者との意見交換も行っております。御指摘もあります、今後とも、こういった研修内容の充実強化を図ってまいりたいと思います。
今回の一件は、公害被害者の皆様の御意見をしっかり聞くという意識が十分でなかったことの表れだというふうに考えてございます。改めて職員一人一人が水俣の歴史、公害の歴史をしっかり学び、踏まえつつ、関係の皆様にできるだけ寄り添って対応ができるように、省を挙げて取り組んでいけるように、私も、指導を含め、全力を挙げてまいりたいと思います。
○鰐淵委員 大臣、ありがとうございました。
今、具体的な様々なお取組、御決意も伺いました。是非、伊藤大臣の下、省改革ということで全軍を挙げて取り組んでいただきたいということで、改めて要望させていただきたいと思います。大変にありがとうございました。
それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。
GIGAスクール構想の下で整備されました端末の処理につきまして質問させていただきたいと思います。今日は、文科省から浅野審議官にお越しいただいております。ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。
このGIGAスクール構想は、皆様御存じのとおり、児童生徒に一人一台の端末を配備いたしまして、個別最適な学び、協働的な学びを実現するために着実に実施をされております。その中で、端末の利活用の格差是正や通信環境の整備、強化等、まだまだ取り組むべき課題もございますので、この点は、しっかりと引き続き私も取組を後押しをしていきたいと思っております。
そして、今後、GIGAスクール構想が次のステージに移っていくわけでございますが、その中に端末の更新がございます。そこで同時に取り組んでいくことになりますのが、これまで活用してきた端末の処理になります。この端末の処理につきましては、早いところでは本年度から始まりまして、今後、約九百万台の端末の処理が発生することになります。この大量の端末処理をどのように進めていくのか、これは、文科省にとっても、また環境省にとっても大変に大きな課題になってまいります。
この課題に取り組むに当たっての具体的な懸念事項といたしましては、大量の端末が適正に処理されず、不法投棄や不正な海外輸出等にならないかということ、また、そのほか、適切に、確実にデータが消去されなければ、個人情報漏えいが発生することなどが考えられます。子供たちの端末の活用はそれぞれ違いますので、例えば、先生や家族が知らないうちに写真を保存していたり、様々な使い方をしている可能性がございますので、確実にデータを消去しなければ、子供たちの個人情報の流出につながってしまいます。
そこで、まず、文科省にお伺いいたしますが、本年度から、買換えと同時に、大量の端末を適切に処理していかなければなりません。この課題に対する認識と具体的な取組について、まず、文科省にお伺いしたいと思います。
○浅野政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、GIGAスクール構想の下で整備された学習用端末の処分に当たっては、確実にデータを消去し、法令に基づいて適切に処分することが重要と認識しております。
このため、文部科学省におきましては、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを公表し、データ消去を含む機器の廃棄等の方法を示しているほか、環境省及び経済産業省との連名で昨年十月に事務連絡を発出し、リユースの具体例や適切な処分の具体的な手法を示すとともに、関係機関の相談窓口等を周知したところでございます。
また、端末の更新を行う際には、この事務連絡を踏まえたリユース、リサイクル処分について具体的な内容を記載した計画を策定し、公表することを義務づけており、適切な処分を促しているところでございます。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今、文科省の方から御答弁いただきましたが、GIGAスクール構想は文科省の施策ではございますが、大量の端末処理につきましては、環境省が文科省や地方行政、また認定事業者の方と連携を取りまして、しっかりと推進をしていかなければならない課題でもあると思っております。
そこで、環境省の認識と取組についてお伺いをしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
GIGAスクール構想の下で小中学校等に導入されました大量の端末にはレアメタル等の有用金属が含まれており、また、児童生徒の個人情報を取り扱うことから、有用金属の回収や個人情報の漏えい防止等の観点から適正な処理方法を選択する必要があると考えております。
また、教育現場における使用済端末のリサイクルを通じて、児童生徒への環境教育にもつなげていくことが重要であると考えております。
こうした考えの下、環境省におきましては、小中学校等に対し、小型家電リサイクル法に基づく認定を受けたリサイクル業者に使用済端末の処理を委託することなどを求めており、小型家電リサイクル制度やそのメリットを整理したリーフレットにより、こうした取組の周知を図っているところでございます。
こうした取組等により、教育現場における使用済端末のリサイクルを通じ、児童生徒への環境教育を契機とした小型家電リサイクル制度の普及促進にもつなげてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今、文科省、環境省からそれぞれ御認識と取組を伺いました。
先ほどの浅野審議官の方からも、昨年十月に事務連絡を発出されたということでございまして、そこには、具体的な現行端末の再使用また再資源化の手法が示されている、また、これを基に、各自治体がGIGAスクール構想の下で整備された端末を適切に処理をしていくということでございます。
そういったことで、各自治体の取組、着実に取り組んでいくこと、また実効性を高めていくことが今後重要になってくるかと思いますが、ただ、GIGAスクール構想は国策でございますので、国がしっかりと後押しをしていく必要があると考えております。
例えば、適切な処理、データ消去を進める重要性等を、教育委員会や先生方、関係者に丁寧に周知をすること、これもまだまだ進んでいないと思います。これまでも環境省の方でも通知を出されて、パンフレット、リーフレットを作っていただいたということで、これから各現場で連携をしていただくことになると思いますが、これはまだ始まったばかりでございますので、ここをもっとしっかりとやっていく必要もあるかと思っております。
このように、この課題につきましては、そのほか、必要な財源の確保等、具体的な国への要望が今後上がってくることも予想されておりまして、現場はまだ、先ほど申し上げました利活用の格差是正だったり通信環境の整備、こういったことに取り組んでおりますので、処分については、これから注目をして、これから取り組んでいくことがほとんどだと思いますので、是非、そういった意味では、今から重要性も含めて周知というところをしっかりとしていただきたいと思います。
その上で、これから首長さんだったり各自治体の廃棄物行政主管部局、御協力をいただきます小型家電リサイクル法に基づく認定事業者、また、そのほか、教育委員会等の関係者の皆様、そういった方々からしっかりと声を伺っていただきまして、国が後押しをしながら着実にこの課題の推進に取り組んでいただきたいと思っております。
今申し上げたことも含めまして、今後の取組につきまして、文科省と環境省からそれぞれ御見解をお伺いしたいと思います。
○浅野政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、使用済端末の処分に当たりましては、個人情報の漏えい等の対策も含めた適切な対応が行われることが極めて重要と認識しております。
文部科学省といたしましては、今回の端末更新の補助金に当たって、補助要件として、リユース、リサイクル処分に関する計画を策定するようにしております。今後、各教育委員会において、リユース、リサイクル処分に関する計画が確実に策定されるようにするとともに、必要に応じて廃棄物行政担当部局との連携を促すなど、関係省庁とも協力しながら、適切に処分が行われるよう、取り組んでまいりたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
各地方自治体においてGIGAスクール構想の下で導入した端末の適正な処理方法を検討、選択するに当たりましては、教育委員会と廃棄物部局を始めとする地方自治体内の連携が必要不可欠であり、こうした連携を環境省としても後押ししてまいりたいと考えております。
具体的には、環境省では、小型家電リサイクル制度に関する地方自治体向けの相談窓口を設置するとともに、小型家電リサイクル制度のリーフレットを小型家電リサイクル法の認定を受けたリサイクル業者等にも共有し、関係機関と連携しながら、地方自治体への周知等を進めていくこととしております。
また、全国の小中学校の校長会等の場でリーフレットを配付するなどにより、文部科学省と連携しながら、小型家電リサイクル制度の教育現場への周知を進めてまいりたいと考えております。
さらに、環境省本省と地方環境事務所で連携しながら、地方自治体における端末の処理の実態や処理方針の検討状況の把握を進め、処理の検討、実施に関する技術的な支援をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
本格的な大量の端末処理に向けて今大変に重要な時期だと思いますので、お話もございました連携を取りながら、しっかりと対応していただきたいと思います。
文科省に要望だけ申し上げておきたいと思いますが、この一人一台端末ですけれども、リース契約が三、四割と聞いておりまして、この端末の処理が、適切に処分されるかどうかということも注視しなければならない課題かと思っておりますので、是非この点は御検討のほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。
最後に、エコチル調査について、時間の関係で一つになりますけれども、質問させていただきたいと思います。
エコチル調査は、御存じの方も多いかもしれませんが、これまで余り多くなかったアレルギー、発達障害、シックハウス症候群など、増加傾向にある子供の病気と環境要因との関係性を解明し、原因となる化学物質の規制や適正なリスク管理につなげ、安心で安全な子育て環境をつくることが目的で実施をされておりまして、具体的には、胎児期から小児期にかけて長期的な疫学調査を行っております。
私たち公明党といたしましても、先ほども申し上げました安心して子育てができる、そういった環境を整備するためにも、こういった調査をしっかりやるべきだということで取り組んでまいりました。
この調査も十年以上経過をしておりまして、エコチル調査の成果を今後どのように活用していくのかということが大変に重要になってくるかと思います。様々課題はあるかと思いますが、是非、これまで十年以上続いてきましたエコチル調査につきまして、具体的にどのようにこの成果を生かしていくのか、今後の展望をお伺いをしたいと思います。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
まず、これまでの成果についてお答えいたします。
エコチル調査の研究成果としては、今年三月末までに四百四十五編の学術論文が発表されているほか、食品安全委員会による鉛のリスク評価や、食物アレルギーの診療の手引き、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン、妊婦の体重増加曲線の策定等にもこのエコチル調査のデータが活用されております。
エコチル調査は、世界にも例を見ない、大変評価をされている調査でございまして、十三歳以降も今回エコチル調査を継続していくことになっておりますけれども、化学物質等の環境要因が思春期以降に発症する疾病等に与える影響も確認することが可能となりますので、こういった分野でしっかりと研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
今後とも、エコチル調査を通じて得られる成果を、日本独自の科学的知見として国内外に積極的に発信をし、子供たちが健やかに成長できる環境や、安心して子育てができる環境の実現につなげてまいりたいと存じます。
○鰐淵委員 時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。
○務台委員長 次回は、来る七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時二分散会