第2号 令和6年12月19日(木曜日)
令和六年十二月十九日(木曜日)午後三時開議
出席委員
委員長 近藤 昭一君
理事 石原 宏高君 理事 武村 展英君
理事 平口 洋君 理事 阿部 知子君
理事 松木けんこう君 理事 森田 俊和君
理事 空本 誠喜君 理事 仙田 晃宏君
五十嵐 清君 鬼木 誠君
勝目 康君 神田 潤一君
古賀 篤君 小寺 裕雄君
坂本竜太郎君 佐々木 紀君
塩崎 彰久君 島尻安伊子君
島田 智明君 土田 慎君
中西 健治君 中野 英幸君
平沼正二郎君 深澤 陽一君
宮内 秀樹君 吉田 真次君
大河原まさこ君 川原田英世君
齋藤 裕喜君 佐藤 公治君
篠原 孝君 馬場 雄基君
うるま譲司君 沼崎 満子君
福重 隆浩君 山口 良治君
北野 裕子君 竹上 裕子君
中村はやと君
…………………………………
環境大臣 浅尾慶一郎君
環境副大臣 小林 史明君
環境副大臣 中田 宏君
財務大臣政務官 東 国幹君
環境大臣政務官 五十嵐 清君
環境大臣政務官 勝目 康君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 中 裕伸君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電波部長) 荻原 直彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) 金光謙一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官) 湯本 啓市君
政府参考人
(経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官) 川合 現君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 松原 英憲君
政府参考人
(環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官) 大森 恵子君
政府参考人
(環境省大臣官房環境保健部長) 前田 光哉君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 土居健太郎君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 松本 啓朗君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 植田 明浩君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局長) 白石 隆夫君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
政府参考人
(環境省総合環境政策統括官) 秦 康之君
政府参考人
(原子力規制庁次長) 金子 修一君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房緊急事態対策監) 古金谷敏之君
政府参考人
(原子力規制庁原子力規制部長) 大島 俊之君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
―――――――――――――
委員の異動
十二月十九日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 吉田 真次君
深澤 陽一君 平沼正二郎君
宮内 秀樹君 小寺 裕雄君
山際大志郎君 土田 慎君
福重 隆浩君 山口 良治君
同日
辞任 補欠選任
小寺 裕雄君 宮内 秀樹君
土田 慎君 島尻安伊子君
平沼正二郎君 塩崎 彰久君
吉田 真次君 鬼木 誠君
山口 良治君 福重 隆浩君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 佐々木 紀君
塩崎 彰久君 深澤 陽一君
島尻安伊子君 中野 英幸君
同日
辞任 補欠選任
中野 英幸君 中西 健治君
同日
辞任 補欠選任
中西 健治君 神田 潤一君
同日
辞任 補欠選任
神田 潤一君 山際大志郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
環境の基本施策に関する件
――――◇―――――
○近藤委員長 これより会議を開きます。
環境の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府食品安全委員会事務局長中裕伸さん、警察庁長官官房審議官大濱健志さん、総務省総合通信基盤局電波部長荻原直彦さん、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官金光謙一郎さん、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官湯本啓市さん、経済産業省大臣官房福島復興推進政策統括調整官川合現さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長伊藤禎則さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝さん、国土交通省大臣官房審議官松原英憲さん、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官大森恵子さん、環境省大臣官房環境保健部長前田光哉さん、環境省地球環境局長土居健太郎さん、環境省水・大気環境局長松本啓朗さん、環境省自然環境局長植田明浩さん、環境省環境再生・資源循環局長白石隆夫さん、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎さん、環境省総合環境政策統括官秦康之さん、原子力規制庁次長金子修一さん、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監古金谷敏之さん、原子力規制庁原子力規制部長大島俊之さん、防衛省地方協力局次長森田治男さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○近藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平口洋さん。
○平口委員 自由民主党の平口洋でございます。よろしくお願いをいたします。
まず最初に、気候変動対策についてお伺いをいたします。
二〇一五年十二月、約九年前ですけれども、フランスのパリで開催された国連気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議、すなわちCOP21において、二〇二〇年以降の国際的な枠組みであるパリ協定が採択されました。パリ協定では、世界共通の長期目標として二度Cの設定がされるとともに、一・五度Cに抑えるものを追求することが盛り込まれたわけでございます。
パリ協定の中期目標を受けて、IPCC、国連気候変動に関する政府間パネルは、将来の平均的な温度上昇が一・五度Cを大きく超えないように、そのために、二〇五〇年前後には、世界のCO2の排出量正味ゼロということになっております。これをカーボンニュートラルといいますけれども、これらの状況を受けて、二〇二〇年の菅内閣総理大臣は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を行ったところでございます。
このような状況を受けて、今年の十一月十一日からアゼルバイジャン共和国で開催されましたCOP29ではどのような議論が行われたのか、どういう結論を得たのか、お伺いをいたします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
先月、アゼルバイジャンのバクーにおいて、気候変動枠組み条約のCOP29が開催され、私は二週目の閣僚級会合に出席をいたしました。COP29では、気候資金、緩和対策、適応対策など、幅広い議論が行われました。
私自身は、ステートメントにおいて、二〇五〇年ネットゼロに向け着実に温室効果ガスの排出削減をしている我が国の実績をアピールし、米国、中国を含む二十を超える国の閣僚級やグテーレス国連事務総長とも直接話をし、複数回の閣僚級の交渉や議長との交渉にも参加するなど、COP29での議題の合意に力を尽くしてまいりました。
最終的には、気候資金について、二〇三五年までに少なくとも年間三千億ドルの途上国支援目標が決定されるとともに、全てのアクターに対して、年間一・三兆ドル以上に拡大するために共に行動することが決定されました。その上で、中国や産油国など、能力のある国からの任意の資金提供を奨励することについても合意されました。
加えて、国際的に協力して温室効果ガスの排出削減などを実施するパリ協定第六条の詳細ルールが決定され、完全運用化されました。
○平口委員 順調にいっているということで、このまま進めていただければというふうに思います。
COP28においては、産業革命からの気温上昇を一・五度Cに抑えるという目標のためには、二〇三五年までに二〇一九年比六〇%の温室効果ガスの削減が必要であることが確認されており、これを日本が基準年としている二〇一三年度比に換算すると、六六%の削減となるわけであります。
これに関しまして、政府において検討中の二〇三五年度までに六〇%減、二〇一三年比でございますけれども、そして二〇四〇年度七三%減とする案について、どういう点を考慮してこの数値を割り出したのか、それについてお答えをいただきたいと思います。
○土居政府参考人 お答えいたします。
気候変動問題は、世界全体で取り組むべき喫緊の課題であると認識し、我が国におきましては、世界全体での一・五度目標の実現に向けまして、これまでも着実に排出量を削減してきたところでございます。
次期NDCにつきましては、現在、中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合におきまして議論をいただいている最中でございます。二〇五〇年のネットゼロ実現に向けました我が国の明確な経路を示し、排出削減と経済成長の同時実現に向けた予見可能性を高めるという観点から、委員御指摘の値を直線的な経路を軸に検討を深めるべく、現在、審議会でも議論している最中でございまして、本日も第七回目の会合を開催し、地球温暖化対策計画の素案につきまして、引き続き議論をいただいているところでございます。
観点といたしましては、排出削減と経済成長の同時実現で、二〇五〇年ネットゼロを目指すというところが一番の肝だと考えております。
○平口委員 日本においても、順調にそういう計算をし、また目標について達成するように努力するということを進めていただきたい、このように思います。
次に、原子力発電所のALPS処理水の海洋放出についてお伺いをいたします。
昨年八月、政府の関係閣僚会議の決定に基づいて東京電力により海洋放出の開始された福島第一原発の海域内では、海水や魚介類等に含まれるトリチウムを中心に、関係省庁、東京電力等がモニタリングを実施しております。公表されましたモニタリングデータによれば、海水中のトリチウム濃度は運用上の上限値を下回っており、科学的観点からも問題は生じていないというふうに思われるわけでございます。
一方で、十二月上旬には、海洋放出後三回目となるIAEAによる安全性レビューが実施されたところでございます。IAEAと日本政府との間で意見交換がなされたと思いますが、その意見交換においてIAEAからどのような点が指摘されたか、お伺いをしたいと思います。
○松本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、今月、十二月九日から十二日にかけまして、IAEA職員及び原子力安全等に係る各国の専門家から成りますIAEAタスクフォースが来日しました。昨年八月のALPS処理水放出開始後から三回目となります、海洋放出に関する安全性及び規制面のレビューが行われたところであります。
本レビューの意見交換の場では、日本側から、まず今年度の海洋放出や海域モニタリングの実績について情報提供及び説明を行いました。IAEAにより国際安全基準に基づく評価が行われ、海洋放出が計画どおり、かつ安全に行われていることを確認いただいたところであります。
また、十二月十一日には、東京電力福島第一原子力発電所を訪問されまして、海洋放出に関する希釈設備等の現地確認を行っていただきました。
IAEAは、今般のレビューの結果に関してプレスリリースを行いまして、ALPS処理水の海洋放出は引き続き国際基準に準拠して行われていたということを公表いただいたところでございます。
以上であります。
○平口委員 IAEAのような中立的な機関に、科学的な見地から問題がない、こういう答えをもらうのは大変大切なことだと思いますので、今後とも努力を続けていただければというふうに思います。
そこで、他方、中国政府は、海洋放出以降、日本産の水産物の輸入を全面的に禁止しておりましたが、本年九月に、日中両政府は、IAEAの枠組みの下で独立したサンプリング等のモニタリング活動を実施した後、その結果を踏まえて、科学的根拠に基づいて、基準に合致した日本産水産物の輸入を回復させるということで合意したというふうに言われているわけでございます。
この中国の輸入規制緩和につきまして、今後の中国の対応というものの見通しについてお伺いをしたい、このように思います。
○松本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本年九月二十日でございますが、ALPS処理水の海洋放出に関しまして、日本と中国の間で一定の共通認識を共有し、対外発表が行われました。
具体的には、IAEAの枠組みの下でのモニタリングを拡充するということや、基準に合致した日本産水産物の輸入を着実に回復するという内容になってございます。
これを踏まえて、本年十月には、IAEAによる海洋モニタリングの機会を捉えまして、このモニタリングの拡充の一環としまして、IAEAの枠組みの下で、韓国、中国、スイスといった参加国の分析機関による採水が実施されました。
また、十一月の日中首脳会談におきましても、両首脳は今回の発表を両国で実施していくことを確認しまして、石破総理からは、中国による日本産水産物の輸入回復を早期に実現するよう求めたところでございます。
我が国としては、輸入規制の即時撤廃を求めておりまして、本年九月の両国の対外発表を中国の輸入規制の撤廃につなげていきたい、そう考えてございます。
○平口委員 粘り強くそのような活動を続けていただきたいと思います。
中国を含む国際社会に対しまして、風評被害を防ぎ、科学的根拠に基づいた正しい理解が進むようにしなければいけないと思いますが、どのような取組を考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○浅尾国務大臣 ALPS処理水について、御指摘のとおり、風評を防ぎ、科学的な根拠に基づく対応がなされるよう、政府全体で様々な対話や国際会議での説明あるいは国際社会に対する情報発信を行うことは、大変重要だというふうに考えております。
政府としては、ALPS処理水海洋放出の安全性については、様々な媒体を活用し、国内外への情報発信を継続するとともに、悪意ある偽情報が国内外で拡散することがないよう、迅速に必要な対応を講じてきております。
引き続き、モニタリング結果やIAEAレビューにおける評価を含む科学的根拠に基づく情報を国際社会に対して迅速かつ透明性を持って提供していくとともに、中国を含む国際社会の一層の理解を醸成していくことに努めてまいります。
環境省としても、引き続き、客観性、透明性、信頼性の高い海域モニタリング及び情報発信を継続していくことを通じて、風評被害対策にも貢献してまいります。
○平口委員 いろいろ難しい面はあろうかと思いますけれども、そのような努力を引き続きやっていただきたい、このように思います。
次に、瀬戸内法についてお尋ねをいたします。
瀬戸内法の改正から三年を経過いたしましたけれども、栄養塩類、窒素とかリンでございますが、その不足によるカキの漁獲高、これは例えばでございますけれども、大きく減少するということが見られているところでございます。栄養塩類の問題については、栄養塩類管理制度という制度を設けておられまして、海域や湾、瀬ごとに、季節ごとにきめ細かな管理が可能となったところでございます。栄養塩類の管理はどのようにしておられるのか、その進捗をお聞きしたいと思います。
○松本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、栄養塩類管理制度につきましては、令和三年の瀬戸内海環境保全特別措置法の改正により創設されました。その後、同法に基づきまして、令和四年に兵庫県が、そして令和六年に香川県が、それぞれ栄養塩類管理計画を策定いたしまして、例えば下水処理場など、事業場からの栄養塩類の供給を実施しているところでございます。
例えば、兵庫県では、モニタリングによる水質の変化、さらに漁獲量の変化などにつきまして、関係者間で共有する場を設けて、栄養塩類の供給による効果測定を行いますとともに、今後の取組について議論がなされております。
対策を始めてまだ二、三年ということもございまして、両県から目に見える効果が発現しているという報告はまだ受けていませんけれども、両県とも、有識者の意見を踏まえつつ、長期的視点で取り組んでいくことが重要との認識の下、取組を継続していただいております。
環境省におきましては、このような関係府県における栄養塩類の供給に係る取組を支援するために、各府県に御活用いただけるよう、水質予測システムの構築を進めております。来年度から運用を開始する予定であります。引き続き、栄養塩類管理制度を通じた生物生産性への貢献を始め、きれいで豊かな海の実現に向けて取り組んでまいりたい、このように考えております。
○平口委員 最後に、プラスチックごみの問題について大臣にお答えいただきたいと思います。
プラスチックごみによる海洋汚染などの生態系への影響が深刻化し、プラスチック製品の使用抑制、回収、リサイクル、そういうものが不可欠となっているところでございます。プラスチック製品は多くが石油由来でありまして、脱炭素の実現のためにも、これを進めるということが重要であります。そしてまた、プラスチックごみは世界全体の課題でもございまして、環境汚染を防ぐために、国際条約作りに向けた政府間交渉委員会が開催されてきたところでございます。
この度、条約案への合意が見送られることになりましたが、我が国としての取組方針はどのようなものか、これについて大臣からお答えいただきたいと思います。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
プラスチック汚染に関する条約については、本年末までの条文合意を目指し、今月一日まで韓国で第五回政府間交渉委員会、INC5が開催されましたが、委員御指摘のとおり、合意に至らなかったのは大変残念であります。
プラスチックの生産制限などは引き続き各国の意見に隔たりが残る一方、議長が新たな条文案を示すなど、一定の進展もありました。時期や場所は未定ですけれども、再開会合の開催が決定されており、今後も交渉の進展に貢献してまいりたいと考えております。
G20大阪やG7広島等で国際的機運を高めてきた我が国として、引き続き、主要なプラスチック大量消費国、排出国が参加する実効的、進歩的な条約を目指し、早期の交渉妥結に向け、積極的に議論をリードしてまいりたいと思っております。
○平口委員 プラスチックごみの問題は、世界各国それぞれに問題を持っているところでありまして、合意に達するのが難しいとは思いますけれども、努力をしていただきたいと思います。
以上でもって私の質問を終わります。ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部(知)委員 立憲民主党・無所属の会の阿部知子です。
まず冒頭、浅尾環境大臣は、御就任おめでとうございます。私とは、選挙区を隣にしていたこともありまして、長く御一緒していたような気持ちがいたします。また、私は、今回初めて環境委員会に所属いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
冒頭、一点目は、先ほどの平口委員の御質問にもありましたCOP29並びに来年二月と言われております国別の二酸化炭素の排出量の目標値についてお尋ねをいたします。なるべく平口委員と重ならないような質疑の仕方をしていきたいと思います。
お手元に図で示させていただきましたが、既に、COP28ですね、これはドバイで二〇二三年の十二月に行われたものでありますが、このときの日本の発表を見ますと、このとき、日本は第六次エネルギー基本計画、今般、七次に向かっております、また、IPCC国際パネルの方は第六次の発表でございますが、この図でより分かりやすいように、実は、第六次のエネルギー基本計画におきましても、IPCCの要請よりは実は二酸化炭素排出量削減の掘りが甘いということでございます。
さて、そういう状況の中で、今般、一・五度Cの上昇以内に抑えるということにあって、日本がどんな目標を持つかということが問われておりまして、下の図は、先ほど平口委員がおっしゃった、もし二〇三五年で一三年度比で六〇%ということであれば、二〇三五年の一九年度比の六〇%よりは二酸化炭素排出量が多くなってしまいます。二〇三五年が一三年度比でいった場合に、六六までいかないと同レベルにはならないという指摘でございます。
さて、浅尾大臣にあっては、こういう状況の中、どのような日本の取組をお考えか。先ほど、経済成長と排出削減を両眼視していかなければいけない、複合視していかなければいけないという御指摘もありましたが、実は、イギリスなどでもそうですが、二酸化炭素削減は決して産業の成長の妨げにはならないんだという考え方が多くある中であります。それゆえに、日本もまた積極的な削減に向かうべきと私は思いますが、まずこういうお示しした過去の、この一年のいろいろな動き、並びに今後の二月に向けた大臣としての行程表、どのような形で発表されていくかについてもお願いいたします。
○浅尾国務大臣 阿部委員にお答えいたします。
気候変動問題は、まさに世界全体で取り組むべき喫緊の課題であります。我が国は、世界全体での一・五度目標の実現に向け、これまでも着実に排出量を削減してきております。
次期NDCについては、中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合において御議論をいただいているところでありまして、二〇五〇年のネットゼロ実現に向けた我が国の明確な経路を示し、排出削減と経済成長、今御指摘がありました、の同時実現に向けた予見可能性を高める観点から、直線的な経路を軸に検討を深めるべく、本日、第七回合同会合を開催し、次期NDCを含む地球温暖化対策計画の素案について御議論をしていただく予定であります。
政府としては、脱炭素とエネルギーの安定供給、経済成長の同時実現を目指すとの考えの下、世界全体での一・五度目標の実現に向け、科学的知見やこれまでの削減実績等を踏まえつつ、年内に案を取りまとめ、我が国がネットゼロへの道筋をお示ししたいと考えております。その後、パブリックコメントを行った上で、来年二月のNDC提出をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○阿部(知)委員 繰り返しますが、二〇一三年度比で二〇三五年に六〇%では、IPCCの要請には応えていない。ただ、一・五度C以内に抑えるために、直線的な二〇五〇年ネットゼロには向かっているという御趣旨は分かりました。しかし、より深掘りして早く進めることが、今の地球環境にとってよりよいということも指摘をさせていただきます。
その上で、大臣にはもう一つお願いがありますが、こういう次世代、若い世代により多く影響をいたします、そして多くの国民の声を聞いて、この二酸化炭素の国別の削減目標を作っていくべきと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 御指摘のとおり、若い世代も含めて多くの国民の声をしっかりと聞いて決めていかなければいけないことだというふうに思います。
したがいまして、政策の検討においては、専門分野、年齢層、性別等のバランスに留意しつつ、若い世代にも参画いただき、また、若い世代を含む様々な主体からのヒアリング結果も踏まえながら検討を進めているところであります。
加えて、このCOP29の期間中に、私自身も若者世代との意見交換会の場を設けさせていただきました。
そうした中で、こうした若い人たちの声も丁寧に伺いながら取組を進めてまいります。
○阿部(知)委員 同時に行われました生物多様性に関する国際条約、COP16でしたが、ここでもグリーンゾーンというのが設けられて、若者たちの積極的な参加の場もありました。また、担当省庁にお伺いしましたところ、昨年でしょうか、日本の横浜でもこうした若者の参加の場をつくっていただいたということであります。
よく、市民の声を聞け、国民の声を聞け、若者の声を聞けと言うと、パブコメをやっていますと言いますが、パブコメは、ある意味一方方向、政府の出したコメントについての意見になりますので、是非、公開の場で、討議の場で、より多く意見を受け入れて、出していただきたいと思います。
三点目です、この件に関して。実は、先ほどCOP28、ドバイにおける二〇二三年十二月にあったことを御紹介いたしましたが、私も今日質問するに当たっていろいろ調べておりましたら、このときに、ウクライナから、戦争の温暖効果ガスの算定に関するイニシアチブというところが、戦争状態においていかに二酸化炭素排出が多いかという発表をしておられました。
ちなみに、二〇二二年の二月の二十四日から二〇二三年の九月の一日、一年半の戦争の中で、一億五千万トンの二酸化炭素が出ていると。さっき私が申しました、二〇三五年度の目標をどうするかというときに、六〇%と六六%で、掘るとどのくらい違うかというと、三億トンなのです。すなわち、戦争のこの期間でいかに大量の二酸化炭素を排出しているか。
環境問題は、今やこうした世界の戦争状況と不可分になってきていると思いますが、大臣として、どのような御感想と御尽力をいただけますでしょう。
○浅尾国務大臣 御指摘のとおり、戦争は、人々の生活や経済活動のみならず、環境にも重大な影響を及ぼし得るものと考えております。
今御指摘いただきましたロシアによるウクライナ侵攻によって、破壊された建物の瓦れきが大量に発生し、また、水、大気、土壌の汚染や自然環境への悪影響も懸念されております。
人類共通の地球環境問題に対処し、かけがえのない地球を守り、将来世代に引き継いでいくためにも、世界平和の構築は不可欠であると認識しており、私もそのような認識を持って自らの職責を果たしてまいりたい、このように考えております。
○阿部(知)委員 今、ウクライナの例を挙げさせていただきましたが、ガザでは更にひどい破壊が行われていて、復旧復興にも、ウクライナを二十年とすれば、ガザは五十年と言われるような状況であります。現在は総理になられました石破衆議院議員ともガザの停戦や人道支援を共にやってまいりましたので、是非、浅尾環境大臣にあっても御尽力をいただきたいと思います。
引き続いて、今日はPFASの問題に入らせていただきます。
この環境委員会のお時間をおかりして、私も何回かPFASは質問をさせていただきましたが、今日は、まず冒頭、内閣府の食品安全委員会が作られた基準の妥当性についてお伺いをいたします。
内閣府食品安全委員会PFASワーキンググループは、昨年二月から九回開催されて、本年六月に、各々、例えばPFOSとPFOAの二物質で、それぞれ体重当たり二十ナノグラムという指標値を出されました。ところが、これは、欧州食品安全機関、EFSAと申しますが、の基準と比べると大変に甘い。
どのくらい甘いかというと、もし摂取許容量を各々、PFOS、PFOA、二十ナノグラム・パー・キログラム・パー・日といたしますと、欧州のものと比べ、あるいは米国の科学アカデミーのガイダンスと比べましても、両方で〇・六幾つという値でないと、これが同等の基準にはいかない。欧州のものに比較すると六十四倍になっている。欧州のものは〇・六三ナノグラムということで、日本は各々二十ナノグラムですから、これを比較すると、何と六十四倍になっているということであります。
いかに何でも基準が緩いのではないかということを私は食品安全委員会に繰り返し御指摘をいたしましたが、この点に関しまして食品安全委員会の御所見を伺いたいと思います。
○中政府参考人 お答え申し上げます。
有機フッ素化合物、いわゆるPFASにつきましては、内閣府食品安全委員会において、昨年二月より食品健康影響評価を実施し、本年六月にリスク評価報告書が取りまとめられました。その中では、議員御指摘の耐容一日摂取量について議論がなされ、諸外国において低いものから高いものまである中、それらの国々が用いた科学的知見も含めて、約三千報の文献を収集いたしました。その上で、専門家の方々に一つ一つ丁寧に御精査いただきました。それらの科学的根拠が何を意味するのか、どれだけの重みがあるのかなどを総合的に判断し、この耐容一日摂取量が設定されたところでございます。
ただし、当該報告書においては、ただ単に耐容一日摂取量を設定したのみならず、これを踏まえて、何よりもまず必要な対応、検討対象としては基準値の策定等があると思われますが、これを速やかに取ること、また、PFASに暴露され得る媒体における濃度の分布に関するデータの収集を早急に進め、その結果を基に、高い濃度が検出された媒体に対する対応を進めることなどの重要性を強調し、リスク管理機関に通知したところでございます。
こういった報告書の内容を踏まえ、今後は、環境省等のリスク管理機関において、リスク管理措置の検討が速やかに行われることが重要だと考えております。
以上でございます。
○阿部(知)委員 御答弁が抽象的でしたから分かりにくいと思うのですけれども、今回の食品安全委員会の基準の作り方ですと、国際がん研究機関が発がん性があるとするPFOAとか発がん可能性があるというPFOSについて、簡単に言うと、動物実験で検証をしているが、人体においてはなかなかそれを実証するものがない、それで取りあえずこの基準ということになったんだと思うんです。
私はそれが問題で、人体において実証するものがないのであれば、もうちょっと、現実に起きている、今、有機フッ素化合物汚染の現実を分析されて、何が起こり得るかを、ある意味予防原則に立って基準は決めていかないと、本当に、欧州に比しても六十四倍の基準というのは、やはりいかに何でも私は余りに遅れているし、国民が不安に思うと思います。
これから実は水質の基準も作られていきますが、もし今、内閣の安全委員会が出された基準でありますと、水質の基準も同様に高いものになってきて、そのことが及ぼす影響を大変懸念をいたします。
パブコメで言われたことは、今日お手元の資料に書いてありますが、発がん性についてと、これからの様々な、血中濃度についても検討が必要ではないかという御指摘ですが、まず、それに先立って大臣に、これは話がとても入り組んでいるので、簡単に整理をしたものをちょっとつけさせていただきましたが、資料の三枚目になります。今後検討されるであろう水質の基準と、あと、巡り巡って環境中の基準がどこに落ち着いていくのかという課題がございますので、今日は問題提起をさせていただきます。
そもそも、真ん中の薄いピンクの線で、PFOS、PFOAについて、暫定目標値というふうになりまして、五十ナノグラム、これは水の方だと思いますし、同時に環境ですが、これについて各々、水道水の基準や環境基準が今後検討されますが、二〇二〇年にこれら水と環境の基準を、水道であれば管理目標設定項目に置き、環境であれば要調査項目から要監視項目に変更、すなわち一番下から二段目に上げたのが現在で、そこから今後どうしていくか。水質の基準の方は、いわゆる規制値にもなってまいります。環境の基準の方は排水規制の規制値にもなってまいります。
それで、先ほどの食品安全委員会の値だと、そこから水道にはどのくらい大丈夫かということが出され、食物にはどうかという全体が出されますが、元の安全委員会の枠が大きいと、結局、値は高く設定されることになって、果たしてそれでよいのであろうかというのが、今日の私の問題提起の一番です。
大部にわたる資料をつけて恐縮ですが、この間取り上げられるだけでも、各地でこのPFASの汚染が起きております。この環境委員会でも視察に行っていただきました岡山の吉備、これは有機フッ素化合物を活性炭で処理して、その活性炭が放置されて山野に捨てられて、何と四百五十万ナノグラムという驚異的な値が発見されて、そのすぐ横に浄水場があって、水系が汚染されたという例が一枚目であります。今、この吉備町では血液検査が実施され始めたというところであります。
次のページは、海上自衛隊の千葉下総航空基地周辺の汚染でございますが、これは、丸で囲ってある中が基地ですが、そこから雨水排水路を通じて周辺が汚染された事案で、中で消火剤を使ったところだけじゃなくて、外に排出するところにも汚染が広がっており、この自治体では、さわやかプラザというところに飲用水用の給水栓を別に用意して、ここからくんでいただいているという事案であります。
三番目、次々恐縮ですが、これは京都の綾部というところで、水源の里と言われる大変美しいところですが、ここでも天野川という川が汚染されて、そこから犀川、由良川と広がっていく汚染ですが、では、なぜ天野川が汚染されたかというと、その近くにもう使われていない産廃場があって、そこからの汚染源であるということが、これは京都府の調査で既に明らかであります。周辺の土壌の汚染もあり、自治体では努力してその水の迂回路を造って農業をやっておられるというところです。
四番目、兵庫県明石ですが、これも同じように産廃の施設で、ここは、産廃場の出口で測りますと、PFOAで十万ナノグラム、そしてPFOSは千五百ナノグラムですけれども、この周辺、幾つかの産廃場がございまして、それに関連するところが高く出ております。また、産廃場でも処分型と管理型で汚染の程度が違います。
次、恐縮です、今度、熊本です。これは六つの産廃場から高い値が出て、ただ、今、産廃の排水基準というのはございませんので、法令違反をしたわけではないけれども、各地に汚染が広がっているということであります。
つらつら申し上げて恐縮ですが、大臣、今後この環境委員会を所管してくださいますし、PFAS規制というのは大きな時代の課題となっておりますが、今私が御紹介したような状況に対して、大臣としての、今日初めて伺いますので、御所見を伺います。
○浅尾国務大臣 PFAS対策については、地域の方々の不安の声などを真摯に受け止め、昨年七月に専門家会議で取りまとめられたPFASに関する今後の対応の方向性に基づき、科学的知見を踏まえた対応を着実に進めてまいります。
環境省では、飲み水から健康リスクを減らすこと、摂取しないことを第一に、水道法に基づく水質基準への引上げを含め、来春を目途に方向性を取りまとめてまいります。
また、汚染を広めないための対策技術に関する知見の収集を強化するとともに、汚染をつくらない、出さないために、国際条約を踏まえた製造規制や、PFOS等を含有する泡消火剤の管理の徹底なども進めてまいります。
さらに、健康影響について国民の皆様に正しく知っていただくことも重要であります。引き続き、様々な調査研究を通じてPFASのリスクを明らかにしていくとともに、分かりやすい情報発信に努めてまいります。
こうした総合的な対策を通じて、人の命をしっかりと守ってまいります。
○阿部(知)委員 端的な御答弁で、ありがとうございます。
まず今大臣が一点目におっしゃった、水質基準という形で、明確にそれを基準値として超えてはならないというふうに目標設定の項目から一段上げることは大変重要と思いますし、期待も申し上げております。それができないと、今度は、これは並行して並んでいますので、環境中への排水の規制もできない。連動しておりますので、是非その点は、今大臣が明確に御答弁いただきましたので、鋭意御尽力をいただきたいと思います。
そして、実は、私がこの問題を初めて取り上げたのは二年ほど前の厚生労働委員会で、大阪摂津市のダイキンという、これは製造工場でありました、有機フッ素化合物の。そして、そのとき環境省とかと御質疑をいたしますと、もう製造はPOPs条約で禁止されているから、そこからの汚染ということはある意味考えなくてよいというような御認識であったかと思うのですが、実は地下水にも何万というものがたまっておりまして、これも規制値がないので、排水規制の規制はどうしたらいいのかということを、そのとき、私は大阪府にも行きましたし、ダイキンの方とも会いましたし、でも、そのような、彼らも困惑をしている状況であります。
そして、のみならず、先ほど私が御紹介した綾部とか岡山の吉備は、実は、このダイキンで排出したとされるハイドロPFASというものが今回分析をされております。すなわち、ダイキンの工場で地下水に出ているのはもちろんですが、それを活性炭で取ろうとして、取ったものを今度はどこに置くか。産廃事業者に持っていけば、そこからまた広がっていっております。産廃処分場というものがなかなかトレース、トレーサビリティーに入っておらずして、そのうちにここまで拡大をしてしまっているんだと思います。
大臣には、今、水質の基準のことをおっしゃっていただきましたが、排水基準ということについても、これは私は是非お願いをしたい。と申しますのは、水俣で工場からの排水基準が遅かったことが湾全体に広げて、今あるような状況につながっておりますので、排水基準のきちんとした設定。例えば熊本の六つの工場も、いずれも法令違反はしていないのです。だけれども、高いものを出せば、それだけ周辺地域に様々な不安を呼んでおりますので、是非排水規制についての御検討もお願いしたいですが、いかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 御指摘のとおり、最終処分場の排水中に含まれるPFOS等については、その実態の把握や処理技術に関する知見を収集し、有識者の意見も伺いつつ、現時点で対応可能かつ効果的な最終処分場の対策技術をまとめた技術指針をお示しできるように取り組んでまいります。
○阿部(知)委員 早口で申しましたので、とにかく私もびっくりしたんです。何でダイキンのものが綾部まで来るんだ、あるいは岡山の吉備まで行くんだと。でも、そこまで拡大しているということを念頭に対策をしていただきたいと思います。
最後の質問ですが、汚染された土壌やあるいは水について、除染ということを実証実験等々で環境省は取り組んでおられます。農作物への影響も農水省が取り組んでおられます。やられていないのが血液に関してでして、これは、血液は、いろいろ環境省の発表とか書かれたものを見ますと、それを測ってもすぐ病態と結びつけられないから、あえて言えばやらないことになっておりますが、逆に、これだけあちこちで高い高いと言われておる現状の中で、その高いと言われるところをある意味モデルにして、実証的に、経年的に追っていただく、それから健康も一緒に追っていただく、それで初めて国民も安心できるのだと思いますが、血液検査について非常に後ろ向きなことが気になる。それから、これは医療と合わせないと意味が出てこない。
この指摘について、大臣はいかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 血液検査について御質問いただきました。
御指摘いただきましたとおり、現時点の知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人によって生じるかは明らかになっておらず、血液検査の結果のみをもって健康影響を把握することは困難であるとされております。
このため、血中濃度と健康影響の関係性を明らかにすることが重要であると考えており、国内外の知見の収集を推進するとともに、科学的に評価可能な疫学調査や研究を推進してまいりたいと考えております。
その上で、PFOS等による健康不安の声が上がっている地域においては、地方公共団体が既存統計の活用により地域の傾向の把握に取り組むとともに、既存の健康診査の定期受診を推進することが望ましいと考えております。
また、濃度が高いと言われております吉備中央町においては、既存統計を用いた円城地区と、それ以外の地域の比較では、分かっている範囲では、近年、円城地区での有病割合比が増加している傾向は観察されなかったという報告があったと承知しております。
いずれにしても、引き続き、国民の安全、安心のための取組を進めてまいります。
○阿部(知)委員 今、吉備のことをお答えでしたので。ただ、吉備での検査項目、特定健診とか、がん登録によっておりまして、必ずしも一人の方の健康状態を経年、経時的にフォローしておりません。これは水俣でも一緒ですので、ここをしっかり踏み込まないと、私は、実際のデータがない、ないで終わると思います。指摘させていただいて、終わらせていただきます。
○近藤委員長 次に、川原田英世さん。
○川原田委員 立憲民主党の川原田英世です。初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは、鳥獣被害対策について、特に熊の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
野生動物とは、まずは何よりも共生が大切だというふうに私は考えています。しかし、その上で、余りにも増加をして、市街地に出没までしてしまっているという今の状況、これはやはり対策が必要だろうというふうに思っています。何といっても、人命を守るために取り組むということが国の責務ではないかというふうに思っています。
その上で、鳥獣保護管理法第三十八条の改正が検討され、この間るる議論がされてきたということで、議論の経過も読ませていただきました。
しかし、やはり、今年十月、北海道砂川市で、自治体の要請でヒグマを駆除したにもかかわらず、不当に銃の所持の許可を取り消されたという事案に関する判決が出ました。これがやはり、これまで検討を進めてこられた法改正についても大きな影響を与えているのではないかなというふうに考えているところです。
そういった中で、それであってもやはり、なおさら早急に法改正を進めなくてはならないという状況にあると思いますけれども、まずは法改正のスケジュールについて確認をしたいと思います。
○浅尾国務大臣 御質問ありがとうございます。
私自身も、先日、秋田県を訪問し、熊の市街地での出没対応についてお話を伺ってまいりました。鳥獣被害対策の重要性について改めて認識したところであり、関係省庁と連携し、しっかりと対策に取り組んでまいります。
御指摘の鳥獣保護管理法については、現在、熊類が市街地に出没した際の緊急的な対応として、安全かつ円滑に銃猟ができるよう改正を検討しているところであります。
法案の提出時期については予断を持ってお答えすることは差し控えますが、現在、法案の提出に向けて準備を進めているところであり、できるだけ早期に国会に提出し、御審議いただけるように進めてまいります。
○川原田委員 是非早急に取組をしていただきたい。年が明けて通常国会には出していただいて、雪が解けて熊が活動し始めるというときになると、やはり非常に目撃情報も増えていますので、大変危険ですので、早急に対策ができるようにしていただきたいと思います。
その中で、やはり一番の問題となるのは、責任の所在だというふうに思っています。
先ほど砂川の問題も挙げさせていただきましたけれども、今は、本来愛好家として狩猟を行っているハンターの方が、多くの危険がある中で、ボランティアに半ば近いような形で熊の駆除に協力をしてくれているということです。実際に、多くの方が熊に襲われたという経験も聞いてきたところです。
そういった中で、ハンターの方が責任を取らなくてはならないということは、これはあってはならないことだというふうに思っていますので、法改正によって責任の所在を明らかにしていかなくてはならないというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 現在検討中の鳥獣保護管理法の改正案は、熊が市街地に出没した際に安全かつ円滑に対応できるようにするためのものとして準備を進めており、対応の最終的な責任を捕獲従事者が負うことがないようにしたいと考えております。
○川原田委員 捕獲従事者が、まさにハンターの方が責任を負うということにはならないようにしていただきたいと思うんですが、やはりそこで問題になるのは、では一体どこが責任を持つのかということで、これが重要な議論、法改正に向けての論点になってくるというふうに思っています。
これまでのいろいろな経過を見てくると、やはり、国の野生動物への対応というのはやはり基本的な法整備がちゃんとされてこなくて、その場しのぎで行われてきたということが多かったんだというふうに思います。よって、駆除を実行することができた猟友会に依存してしまっていたのではないかというふうに思うわけです。
ですが、今、市街地に出てきましたよという状況が増えてくると、これはやはりそういうわけにはならないよねということにもなってきます。そして、市街地に出てきた場合、多くの事例を見させていただきましたけれども、やはり最終的には、警察官の方が同行して、そして、熊がいました、狙っていますよというところで、後ろで警察の方が発砲の許可をして、そして撃つというようなケースが多いということです。現場の警官の方にも大変な負担がその時点でかかっているんだというふうに思っていますし、本部に確認しないといけないということで、目の前に熊がいるのに、なかなか許可が下りなくて、二時間、三時間、どうしようかということで、現場で混乱をするということも聞いていました。
そういった中での責任の在り方というのが問われる。市町村が責任を持つべきではないかという意見もあるように聞いているんですが、野生動物に市町村は関係ありませんので、どこでもまたいで行っちゃうわけですよね。となると、その市町村、線を越えましたから、今度は隣の市町村さんお願いしますなんということにはなかなかならないということで、これもまた難しいことだというふうに思います。
であれば、やはり市街地での発砲の許可を現場で出す警察の方が駆除の際は責任を負うということを考える必要があるのではないかというふうに思いますけれども、今日は警察庁の方にも来ていただいていますが、答弁をお願いしたいと思います。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
警察では、熊が出没した際、駆除に当たる自治体やその委託を受けたハンターと連携をいたしまして、住民の安全を確保するため、避難誘導や交通規制などを行うほか、個別具体の状況に応じまして、危険な事態があり、特に急を要する場合には、警察官職務執行法第四条第一項の規定に基づきまして駆除命令を発することとしております。
また、鳥獣保護管理法が改正された場合においても、必要な場面においては、当然のことでございますが、引き続き、警察官職務執行法に基づく駆除命令を発することとなります。
今後とも、ハンターが社会において担っている重要な役割を十分に踏まえつつ、関係行政機関と緊密に連携をいたしまして、熊等による人身被害を防止してまいります。
○川原田委員 今、回答いただきましたけれども、まさにそこの関係が法改正の難しい点になってくるんだというふうに思うんですね。とはいっても、現場は、もう現場はというか、熊は待ってくれませんので、早急に取り組まなくちゃならないということで、今の点は、これからもしっかりと議論を重ねていただきたいというふうに思います。
やはり、そもそも、この熊の問題、対策のためにある組織ではない猟友会が今やってくれているということです。このこと自体がやはり問題であると思います。しかしながら、そういった中でも、非常に危険な中で協力していただいている猟友会の皆さん、本当に感謝を申し上げたいというふうに思っています。
そして、今、その猟友会の皆さんからは、やはりウクライナでの、ウクライナに対するロシアの侵攻などがあって、弾が手に入らないんだとか、弾の値段がもう二倍以上になっているんだとか、そういったことも言われていますし、もちろん物価高、ガソリンの値段が上がってきているということで、あらゆる面で負担が増えていっています。こんな報酬じゃ、とてもじゃないけれども対策できないぞという声もたくさん上がっていっているわけです。
こういった負担の増加などに対する環境省の認識をお伺いしたいと思います。
○浅尾国務大臣 委員御指摘のとおり、猟銃の銃弾については、その部品の多くを海外から輸入に依存しており、価格が高騰している状況にあります。
熊対策に係る経費については、令和六年秋から、新たに環境省の指定管理鳥獣対策事業交付金による支援対象としたところであり、弾代を含めて捕獲に係る諸経費も対象となります。
先日成立した令和六年度補正予算でも、指定管理鳥獣対策事業交付金として二十五億円を措置したところであり、引き続き、本交付金等を通じて、自治体が実施する熊対策をしっかりと支援してまいりたいと考えています。
○川原田委員 その上で、やはり必要になるのは、予算の確保だということになってくるんだというふうに思っています。
そこで、財務省にお伺いしたいというふうに思います。
この熊対策、たくさんお金がかかります。石破総理大臣も、これは進めていかなくちゃならないんだというふうに答えておりましたけれども、この予算の確保について財務省の考えを伺いたいと思います。
○東大臣政務官 近年、鳥獣被害は深刻な状況にあることから、被害を防止し、人命を守るために、熊類などの指定管理鳥獣の捕獲や被害防止対策等が進められていると承知をしているところでございます。
財務省としても、これらの取組を着実に推進することが重要であると考えており、令和六年度補正予算においては、環境省の指定管理鳥獣対策事業について二十六億円を計上したところでございます。
財務省としては、引き続き、環境省を始め関係省庁としっかり議論をいたしながら、鳥獣被害の防止に向け適切に対応してまいりたいと考えております。
以上です。
○川原田委員 しっかりとした予算の確保をお願いしたいというふうに思います。
そして、予算も当然必要なんですけれども、やはり現場の声を聞いて取り組んでいっていただきたい。特に、高齢化が進んでいますハンターの中で次世代の担い手がなかなか育たないんだということで、このことにしっかりとした視点を持って取り組んでいただきたいというふうに思っています。
そして、法改正されるということで、これは急いでいただきたいんですが、だけれども、熊、鹿もすごく増えています。野生動物が、いろいろなところで環境の変化があって、変わってきているという中で、今回の法改正だけでは解決しない課題がたくさんあるんだろうというふうに思っています。
大臣の所見を、その点、伺いたいと思います。
○浅尾国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、鳥獣被害は深刻な状況にあると考えております。被害を防止し、人命を守るためには、しっかりと対策を進めることが必要であります。
環境省では、捕獲自体はもちろんのこと、捕獲事業者の育成など、様々な対策の支援をしています。
また、特に被害が増加している熊対策については、農林水産省を始め関係省庁と連携して、クマ被害対策施策パッケージとして取りまとめ、熊類の地域個体群を維持しつつ、人とのすみ分けを図ることで、熊類による被害を抑制することとしております。
こうした考えの下、市街地等への熊の出没時の対応だけでなく、ヒグマとツキノワグマを集中的かつ広域的な管理の対象となる指定管理鳥獣に指定し、この秋から交付金を通じて都道府県を支援しているところであります。
引き続き、鳥獣被害防止について、関係省庁と一丸となって取り組んでまいります。
○川原田委員 お願いします。
次に、世界遺産知床での携帯電話基地局の整備と知床岬への太陽光パネルの設置について何点か伺っていきたいというふうに思います。
この事業が報道に上がって、進められてきて、私も報道で知ったものですから、驚きました。その点で何点か確認したいのが、まず、この事業を進める前に、世界遺産ですから、世界遺産への登録や保護の機関であるユネスコ世界遺産センター、ここに事前に報告なり相談なり通知をしたのか、この点を確認したいと思います。
○浅尾国務大臣 世界条約履行のための作業指針によれば、資産の顕著な普遍的価値に影響する可能性のある大規模な復元又は新規工事については、条約締約国から世界遺産委員会に対して事前に通知することということは承知をしております。
知床世界遺産は、陸と海の生態系の連続性や生物多様性が顕著で普遍的な価値を有すると評価されておりますが、環境省では、今回の工事については、それらの価値に影響を与えるものではないとの認識の下、通知の対象としておりませんでした。
○川原田委員 当時、私も問題意識を持って聞いたときには、大規模な新規工事の場合はユネスコ世界遺産センターに通知が必要だけれども、これはそれには当たらないということでありました。
しかし、それが、大規模な新設というところがちょっとずれてきて、顕著な普遍的価値、先ほどあったように、この影響がどうなのかということに変わってきているのかなというふうに思っていまして、それはなぜそうなったのかなというふうに思っていました。
そこで、一点確認したいんですけれども、先ほどは事前の話をしましたが、今現在において、この変更の申請や新規の申請など、何らかの手続は行われているのか、確認します。
○浅尾国務大臣 先ほどお答えをさせていただいたとおりでありますけれども、環境省が世界遺産条約履行のための、ところに従いますと、通知の対象は、資産の顕著で普遍的な価値に影響する可能性のある大規模な復元又は新築工事であることから、今回の工事については、新規の工事であるものの、顕著で普遍的な価値に影響を与えるものでないとの認識の下、通知の対象としておりません。
○川原田委員 そこの、難しいですよね、なかなか、どう解釈していいのか、顕著で普遍的な価値という言葉、だと思っています。
それで、公益財団法人日本自然保護協会からユネスコ世界遺産センターに対して通知書が出されています。その回答が政府に来ているんだというふうに思います。さらに、政府からその回答に対しての回答を出しているということだというふうに聞いています。それで、日本自然保護協会に対しては、いまだにその回答が何も明らかにされていないんだということを聞いております。
本来、日本自然保護協会から出た通知書ですから、政府はそれをしっかり説明する必要があるというふうに思うんですけれども、どうなんでしょうか。説明するのかどうか、お答えいただければと思います。
○浅尾国務大臣 携帯電話基地局等の設置に関する経緯や現状、地域からの要望、科学委員会の助言の内容について、ユネスコ世界遺産センターに回答している旨については公表しております。
また、この件についてユネスコ世界遺産センターに情報提供をしたと公表している自然保護団体等については、求めに応じて個別に意見交換等の機会を設けて説明しております。
○川原田委員 説明されているということで理解しました。やはりここは、ちゃんと明らかになっていかないといけないというふうに思っているところです。
知床世界遺産、来年で二十年になりますけれども、この取組をされてきた方たち、関係する方たち、全然情報を知らなかったんですね。こういうことが進められているということを知らなかったわけです。それで、皆さん、これは駄目だろうということで声を上げ始めて、署名活動にも広がっていったわけですね。
そういった中で、やはり、そういったこれまで関わってこられた方たちにはちゃんと事前に説明するということが必要だっただろうと、当然、世界遺産ですから。そういった意味で、そこが非常に僕は不手際があったんだというふうに思っていますが、大臣の認識をお伺いします。
○浅尾国務大臣 世界自然遺産は、人類にとって重要な顕著で普遍的な価値を有し、将来にわたり保全すべき遺産として、世界遺産委員会が認めたものであります。
世界遺産地域の管理においては、地域社会が果たす役割も重要とされており、知床においては、自治体、漁業者、観光事業者、地域住民等との協力関係において管理がなされております。
知床半島における携帯基地局整備においては、これまで、知床通信基盤強化連携推進会議の場において、斜里町、羅臼町を始めとする地域の関係者に対し丁寧に説明されてきたと認識しております。
遺産地域の中で暮らし、遺産管理を共に担う地域の方々との合意形成を図りつつ、学識者の科学的知見を踏まえながら、地域の暮らしと遺産価値の保全の両立を図るべく、適切な管理に努めてまいりたいと考えております。
○川原田委員 その認識が、やはり地域との隔たりがあるんだというふうに思っています。
最後にこの件を伺いたいんですが、この件、知床岬の方は中止にするというような発表があったと思いますが、事業自体は今後どうなっていくのか、確認します。
○浅尾国務大臣 十月の知床半島通信基盤強化連携推進会議では、知床岬地区の整備は、地元の合意形成が失われており、今御指摘のように、当初計画を中止することとなりました。ニカリウス地区は、羅臼町から強い要望があることを踏まえ、整備に向けた検討を進める方針とされました。
今後、科学委員会から示された環境及び生態系の調査内容を踏まえ、事業者側で整備の内容について検討がなされるものと承知しており、事業者側の対応を見守りたいと考えております。
○川原田委員 このことは、やはり重たく受け止めていただきたいというふうに思っています。
世界自然遺産、さっき言ったように、来年二十年です。多くの人たちの努力によって自然が守られてきた。手つかずの自然、これが認められて世界自然遺産になった地域は、そんな簡単に人の手を加えちゃいけないわけですよ、普遍的価値という話もありましたけれども。その場所がそのように工事の対象になって、知らない間に進められてきたんだということに多くの方が強い怒りを感じています。
本来は環境省はそこを守らなくちゃいけない立場ですので、しっかりとその点は取り組んでいただいて、こういったことがもう二度と起きないようにしていただきたいということを言わせていただいて、私の質問を終わります。
○近藤委員長 次に、齋藤裕喜さん。
○齋藤(裕)委員 立憲民主党の齋藤裕喜です。
浅尾大臣、御就任おめでとうございます。
質問に先立ちまして、能登半島地震、奥能登豪雨により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
東日本大震災について、二〇一一年三月十一日の震災から十三年九か月が経過いたしました。ふるさとに帰還することができずに亡くなられた方々の御冥福をこの場をおかりしましてお祈りいたします。
浅尾大臣に福島に来ていただきましたが、いわき市、広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、南相馬市、相馬市、そして新地町、飯舘村、葛尾村、川内村の十三市町村のどこに訪問していただいたのか、お答えいただけますでしょうか。
○浅尾国務大臣 ありがとうございます。
福島県を就任後二回訪問させていただきました。最初に、福島県庁に伺いまして知事とお会いさせていただきました。その後、二回目は、楢葉町、富岡町、そして大熊町、双葉町、浪江町、飯舘村を訪問させていただきました。
○齋藤(裕)委員 ありがとうございます。
私があえてお尋ねいたしましたのは、東日本大震災から、この市町村も含めて、平成二十四年五月には、約十六万人のうち県外避難者が六万人、県内避難者十万人が避難いたしました。そして、今もなお、令和六年十一月一日時点でも、二万五千六百十人が県内外へ避難しています。十三年九か月たった現在でも避難を余儀なくされている状況です。
各自治体ごとの課題が刻一刻と変わる中で、そこには人々の生活がありました。子供がいて、家族がありました。未来がありました。そして、この何げない生活がどれほど大切か。未来に向かってこのことをしっかりと胸に刻んで、一秒でも早く復興できるよう、自分の責務を全うしたいと思います。そして、何よりも、言葉だけではなく、スピード感を持って、国の責任として、被災された方々の身になって取り組んでいただきたいと思います。
除染についてお尋ねいたします。
除染がこの間なかなか思うように進まない中で、除染完了したとしてもなお、いまだに様々な理由で帰還できない方々の心身共に相当な御負担をかけていること、苦しみや悲しみ、悔しさを私も日々感じているところではございますが、十三年九か月もの間帰還できずに、原子力災害以前は家族や親戚が近隣に住み、隣近所の方々とも交流がありました。原子力災害事故によって離れ離れになってしまいました。
一番の深刻な問題は、ふるさとから避難を余儀なくされ、人と人とのつながり、伝統や文化が分断されてしまったことについて、十三年九か月という長い年月を浅尾大臣はどのように受け止めておられるのか、お聞かせください。
○浅尾国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、就任してから、内堀知事、そして市町を回らせていただきまして、各町長、町村長さんと様々な意見交換をさせていただきました。その中で、いろいろな方のいろいろな思いを聞かせていただきまして、様々な思いをしっかりと受け止めながら、この復興を前に進めていかなければいけないという思いを改めて強くさせていただきました。
○齋藤(裕)委員 皆さんが早く帰れるようにしなければ、ふるさとの御自宅で最期を迎えることすらできないんです。一秒でも早く自分のふるさとに、御自宅に、国の責任において帰ることができるよう、国民の生命財産を守っていただけるよう重ねてお願いいたします。
特定帰還居住区域の除染についてお尋ねいたします。
福島復興再生特別措置法の改正により、帰還困難区域に、避難指示を解除し、居住を可能とする特定復興再生拠点区域を設定できる制度を創設しました。一方、拠点区域外においては、帰還を望む住民の避難生活が余儀なくされている状況です。地元住民からの拠点区域外にある自宅への帰還の強い要望を受け、二〇二〇年代をかけて拠点区域外に帰還意向のある住民が帰還できるよう、帰還に必要な箇所の除染を進めるという政府方針を決定されました。
上記政府方針を実施するため、福島復興再生特別措置法の改正により、帰還困難区域内の拠点区域外において、避難指示を解除し、住民の帰還、居住を可能とする特定帰還居住区域を設定できる制度を創設しましたとありますが、現在、住民の方々からは、隣の住宅や土地は除染されていない中で、自分が希望して住んでいますが、様々な理由があって戻れない方々の住宅、土地について、早く除染を行うという国の姿勢が、この間、国自体が風化してきているという不安の声が広がっています。
国が責任を持って除染をしていくということについて、二〇二〇年代に行うとありますが、被災された人たちにとっては大変遅過ぎると感じております。ましてや二〇二九年までとなれば、二〇一一年の東日本大震災から数えて十八年もの間、帰ることができない状況が続きます。さらに、山林については全く手つかずの状況。今後、どのような方針で取り組むおつもりでしょうか。このまま長い間、浜通りは置き去りにされてしまうのでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 特定帰還居住区域については、帰還の意向のある全ての住民の方々が帰還できるよう、昨年、制度が創設されたところであります。この制度においては、当該区域を含む計画を自治体が申請し、国による認定がされるものであります。
環境省としては、当該区域において、帰還意向のある住民の皆様が一日でも早く帰還できるよう、必要な除染を着実に実施してまいります。
また、除染は人の健康又は生活環境に及ぼす影響を低減することを目的としているため、山林については、宅地に隣接する箇所を対象として除染を実施しているところであります。その上で、山林を多く含む、残る帰還困難区域の扱いについては、特定居住区域の取組を進める中で、地元自治体と協議を重ねつつ、検討を進めることとされており、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除するとの方針の下、政府全体として取り組んでまいります。
○齋藤(裕)委員 次に、福島県や近隣県の放射線モニタリングと維持管理についてお尋ねいたします。
十三年九か月が経過いたしましたが、福島県や近隣県、原子力発災当時の全国各地の状況について、この間、生活圏や農林水産業の風評の被害もまだ払拭されていない状況です。住民の方々や生産者は非常に困っております。
空間線量だけではなく、住環境の放射線の継続的な維持管理、福島県、近隣県における農地のモニタリング、生活圏の地表面や農林水産物の放射線量を継続的に測ることが、透明な情報を開示する上で、そして風評被害を防ぎ、安心にもつながると思いますが、いかがでしょうか。御答弁よろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 環境省では、除染作業に先立ち、除染範囲や除染手法を検討するため、個々の除染現場において、事前に空間線量のモニタリングを実施しております。
また、除染完了後のおおむね半年から一年後にも、除染の効果が維持されていることを確認するため、事後モニタリングを実施しております。
その結果、除染の後もその効果が維持されていないと認められた場合には、現場の状況に応じ、個別に実施可能性などを考慮した上で、フォローアップ除染を実施しております。
なお、空間線量の定期的な測定、公表は、原子力規制委員会や市町村などにおいても行われているものと承知しております。
環境省としては、引き続き、関係者と連携しつつ、地元自治体の声をしっかり伺いながら、丁寧に対応してまいりたいと考えています。
○齋藤(裕)委員 続きまして、ALPS処理水について御質問をさせていただきます。
この間、ALPS処理水の放出がなされておりますが、国内、国外において、核種のデータや、水産業への与える影響等、情報発信の方法等について透明性を高めなければなりません。
日本の水産業や福島の風評被害を防ぐことにつながると思いますが、情報の透明性を高めるための方法をどのようにお考えでしょうか。また、この間、そしてこれからの漁協関係者等への説明については、どのようにお取組になるおつもりでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。
○川合政府参考人 お答え申し上げます。
ALPS処理水の処分に当たりましては、これまで、安全性の確保と風評対策を徹底するとともに、漁業者を始めとする皆様に対して、繰り返し御説明の機会をいただいてまいりました。総理大臣、内閣官房長官、経済産業大臣が直接意見交換を行うことに加えまして、二〇二一年四月の基本方針決定以降、経済産業省として、漁業者を始めとする地元の皆様等に対しまして、千八百回以上の説明をさせていただきました。
引き続き、東京電力や関係省庁とも連携しながら、ALPS処理水海洋放出の安全性について、透明性高い情報発信に取り組んでいくとともに、漁業者を始めとする皆様への丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。
○齋藤(裕)委員 ありがとうございました。
続きまして、最終処分場についてお尋ねいたします。
原発事故で拡散した放射性物質を取り除く福島県内の除染で出た土は、現在、福島県の大熊町、そして双葉町の中間貯蔵施設で保管されています。二〇四五年三月までに国が県外で最終処分すると決めていますが、現在でも処分先の選定は進んでいません。最終処分量を減らすために、放射性セシウム濃度、一キロ当たり八千ベクレル以下の土を全国の公共工事で再利用する計画も、現在の見通しは、とても、非常に厳しくなっていると思います。
二〇四五年まであと僅かだと思いますが、全国的な国民の理解を得るためにも、この間、十分に行われているとは思えません。もし仮に県外処分ともなれば、また多額の費用、年月、住民の理解が必要だと思います。福島県民、浜通り、中通り、会津地方の方々にとっては、非常につらい思いをしている状況です。被災された方々にとって、この苦しみは耐え難いものです。早急な解決を求めます。
タイムスケジュール等はどのようにお考えでしょうか。
○浅尾国務大臣 御指摘のとおり、県外最終処分の実現に向けては、最終処分量を低減することが鍵であり、減容や再生利用の取組が重要であると考えております。
環境省では、これまで、二〇一六年に定められた方針に沿って、減容に関する技術開発や再生利用の実証事業等の取組を着実に進めてまいりました。
今年度は、これまでの取組の成果や国内外の有識者による助言等を踏まえて、最終処分、再生利用の基準の策定や、最終処分場の構造、必要面積等の検討を進めることとしており、引き続きこうした取組を進めてまいります。
政府としては、こうした検討の進捗状況も踏まえ、来年度以降の取組に空白が生じることがないよう、福島県外での最終処分に向けた令和七年度以降の取組の進め方をお示ししてまいりたいと考えております。
○齋藤(裕)委員 いずれにしましても、第二期復興・創生期間が間もなく終了する中、帰還や移住、定住がなかなか進んでおりません。特に、生産年齢人口、子育て世代の増加の見通しが立っておりません。これからが本格的な正念場だと思っております。今までの過去の検証をしつつ、第三期についても今まで以上に取り組んでいただけるよう、財源の確保、そして人的支援を、何よりも現場に足を運んでいただき、福島県や浜通りの声を聞いていただき、今まで日本が経験したことのない福島の復興にどうか御協力をよろしくお願いいたします。
続きまして、NDCについてお伺いいたします。一部重複するかもしれませんが、どうかよろしくお願いいたします。
先日、気象庁が、能登の豪雨について、地球温暖化によって総雨量が一五%増加していたとの分析を公表いたしました。今まさに、日本の温室効果ガス削減目標、いわゆるNDCの検討が進みますが、能登の例に見られるよう、近年、未曽有の気象災害が頻発する日本において、この問題は国民の生命や財産に関わる問題と考え、質問させていただきます。
今年五月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合で、日本政府はG7として、IPCCの最新の見解を踏まえ、世界の温室効果ガス排出量を二〇一九年比で二〇三五年までに約六〇%削減するという取組に十分に貢献することに引き続きコミットすると合意しています。
NDCは環境省と経産省の合同会合で検討されていますが、十一月二十五日に、政府案として、二〇三五年に二〇一三年度比六〇%削減が提示されました。
まずは、日本の排出量のファクトから確認させていただきたいんですけれども、二〇一三年比六〇%の場合の日本の排出量は二〇一九年の排出量に比べて何%削減となるのか、数字をお答えいただきたいと思います。
○浅尾国務大臣 お尋ねの二〇一三年比六〇%減とした場合の日本の排出量について、二〇一九年の排出量を基準とすれば約五三%減、二〇一九年の排出・吸収量を基準とすれば五一%減となります。
いずれにしても、次期NDCについては、中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合において御議論をいただいているところであります。二〇五〇年のネットゼロ実現に向けた我が国の明確な経路を示し、排出削減と経済成長の同時実現に向けた予見可能性を高める観点から、直線的な経路を軸に検討を深めるべく、本日、第七回合同会合を開催し、次期NDCを含む地球温暖化対策計画の素案について御議論をいただいているところであります。
政府としては、脱炭素とエネルギーの安定供給、経済成長の同時実現を目指すとの考えの下、世界全体での一・五度目標の実現に向け、科学的知見やこれまでの削減実績等を踏まえつつ、年内に案を取りまとめ、我が国のネットゼロへの道筋をお示ししたいと考えております。その後、パブリックコメントを行った上で、来年二月のNDC提出を目指してまいりたいと考えております。
○齋藤(裕)委員 世界で二〇一九年比六〇%減が必要なときに、日本が五一%という低い目標を掲げるような状況では、日本は一・五度目標を諦めて、ひいては国民の生命財産を守ることに消極的であるとのそしりは免れないということをお伝えさせていただきたいと思います。
また、報道によれば、NDCを検討する合同会合が有識者の声や科学的知見を軽視したまま、非常に乱暴に進められてしまったというふうに指摘されています。
具体的には、政府案が示された十一月二十五日の会合で、委員の一人が、前月の会合の前に書面で意見を提出しようとしましたが、意見表明の機会を環境省に止められたと訴えています。
また、政府の目標案の資料が会合の終了三十分前に突如として配付され、実質二十分足らずで議論が終了しています。委員の中には、数字の議論をこんなにも大ざっぱにやっていいのだろうかと懸念を述べた方もいらっしゃいました。
さらに、動画を確認すると、唐突な政府案の提示に戸惑う委員がいる一方で、コメントを準備して会合に臨んでいた委員もいたようにも見えます。仮に、事前に提供された情報が委員によって異なるなら、極めて不適切なことであり、政府案の正当性も失われる重大な問題だと思います。
そこで、お伺いいたします。
どの省庁の誰が、いつ、どの委員に対して、どのような情報を十一月の小委員会に関して提供していたのかについて、メールなどの一次情報を含む全ての情報を可及的速やかに、遅くとも今国会中に御開示いただくように求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 今の御指摘の点につきましては、十一月二十五日の中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合開催日まで事務局である環境省と経済産業省で調整を行いながら作成したものであるため、当該資料を事前に配付した事実はないと聞いております。ということでありまして、事前に配付した事実はございません。
○齋藤(裕)委員 これらの疑念というか、それを有したまま、政府がこのまま議論を進めてしまいますと国民の信頼を得られることができないと思いますので、やはり若い世代や次の世代のためにも適切な形での議論をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、空本誠喜さん。
○空本委員 日本維新の会、空本誠喜でございます。今日はよろしくお願いいたします。
浅尾大臣に、まず、有機フッ素化合物についてお伺いしたいと思います。
環境省さんの方が動き出したのは、今年の二月、三月ぐらいから本格的に有機フッ素化合物、PFAS、PFOSの問題について活動をスタートしていただいたように、この委員会が結構熱く議論されまして、前伊藤大臣の下で、しっかり取組を行っていただけるということも確約いただいたというふうに記憶しております。
その中で、先ほど阿部知子先生からも質問がございましたので、簡単に私の方から、そろそろ環境省で、ある程度様々な基準とか又は考え方、こういったものを、環境影響について取りまとめ、そういったものも行われているのかなと。さらには、先ほど水道の基準もありましたけれども、健康影響調査の在り方、さらには、私は必要ないと思うんですが、血液検査、こういったものは不要なのかどうなのか、簡単に御説明をお願いいたします。
○浅尾国務大臣 御指摘のPFASについては、地方自治体や地域住民の方々からの不安の声を真摯に受け止め、科学的知見を踏まえた対応を着実に進めてまいります。
そして、有機フッ素化合物対策室及び水質基準衛生管理室を整備し、人員強化については体制を整備したところであります。引き続き、必要な体制を確保し、対応に当たってまいります。
また、環境中の基準やモニタリングについては、既に暫定指針値を設定しており、地域の実情に応じて、水道水源や飲用井戸周辺での水質測定など、健康リスクの低減に効果的なモニタリングを実施できるよう、地方自治体に助言を行ってまいります。
水道での検出状況については、水道事業等における調査結果を先日公表し、本年度は九月三十日時点で暫定目標値を超過した事業はなかったことが確認できました。水道水の基準については、本年六月の内閣府食品安全委員会の健康影響評価も踏まえ、専門家の意見も伺いながら、水質基準への引上げを含め、来春を目途に方向性を取りまとめてまいります。
PFOSが原因で起こり得る健康影響としてはコレステロール値の上昇等が指摘されておりますが、こうした項目については、特定健康診査の情報などの既存統計の活用により地域の傾向を把握することが可能と考えており、本年十一月に発出した地方自治体向けの手引の中でこうした考え方をお示ししております。
血液検査については、現時点の知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるか明らかとなっていないとされています。このため、血中濃度と健康影響の関係性を明らかにすることが重要であると考えており、引き続き、関係省庁とも連携しながら、国内外の知見の収集や、科学的評価可能な疫学調査や研究などを更に推進してまいりたいと考えております。
こうした対策を通じて、人の命と健康をしっかりと守っていく覚悟であります。
○空本委員 しっかりお願いしたいんですけれども、やはり各自治体さんから問合せが環境省に度々あると思います。そのレスポンスが、やはり自治体からは、遅い、若しくは丁寧さに欠けるんじゃないか、そういう話もございますので、丁寧にお願いしたいと思います。
そして、私の地元にあります米軍の川上弾薬庫でも、周辺でPFOSが検出されました。実は、この質問に当たりまして、東広島市の高垣市長また東広島市議会の奥谷議長とも少し話をしまして、この問題について、早く発生箇所を特定してくれ、調査をさせてくれ、さらにはその発生源を除去してほしい。さらに、今、東広島市が、上水道がなかった地域なので、上水道を引いてくれました。しかしながら、各家庭に対しては、やはりそこは補助できないということで、個人の負担もございます。地元住民の方々への支援とか、さらには、東広島市、ここはもう米軍弾薬庫内に絶対あるであろうと、もうほとんど特定されています。
そういった中で、防衛省さんの方にお聞きしたいんですが、そういった意味での調査、今後、発生箇所の特定とか、さらには住民への支援、そういったものをどうお考えでしょうか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
米軍の川上弾薬庫の状況につきましてでございますが、東広島市また広島県からの御要請を受けまして、米側に対し、同弾薬庫における泡消火薬剤の使用履歴等を確認していたところ、米側から、川上弾薬庫におきまして、一九九一年から二〇〇九年までの間、PFOSを含む旧式の泡消火薬剤を使用した消防車の点検及び訓練を行っていたこと、また消火活動での使用履歴はない、また事故による漏出の確認はなかったと。それから、川上弾薬庫内にあった泡消火薬剤の原液等につきましては、二〇二〇年に焼却処分済みであり、同弾薬庫では、現在、PFOSを含む泡消火薬剤を保有していないといった説明を受けまして、本年九月に、地元自治体に対して情報提供を行いました。
PFOS等は国内におきまして様々な用途に使用されてきたと承知しておりまして、防衛施設との、それから周辺で検出されているPFOS等との因果関係について、現状、確たることを申し上げるのは困難でございますけれども、その上で、防衛省としては、川上弾薬庫周辺の地元住民の皆様方が不安を抱いているということは重く受け止めておりまして、地元自治体からの要請内容については米側にも伝え、引き続き情報提供を求めるなどの対応を行っております。
また、今後の対応につきましては、議員からの御指摘も踏まえながら、地元の自治体ともよく相談しながら、関係省庁とも緊密に連携して対応してまいりたいと考えております。
○空本委員 私も地元の方々と、実は総選挙のときも、ちょうどその地域でマイクを持たせていただいたら、すぐ出てこられまして、本当に心配している、さらには、といえども、健康に影響なければ問題ないよと、私たちはそう考えているということもおっしゃってくださっています。住民の方々の理解もありますので、そういった意味で、安全な状況を早くつくっていただければよいかなと。
とにかく、この問題は、全国各地、これから散見されると思います。風評被害につながるような在り方はまずいので、風評被害につながらないような体制、環境省も、そして防衛省も、また各省庁さんも取っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、気候変動に対する問題についてお聞きしたいと思います。
二〇二四年四月、今年ですね、四月のG7気候・エネルギー・環境相会議がございました。その会合の中で、石炭火力をどう取り扱うかという問題がありまして、その中で、非効率な石炭火力はやめていこう、ただし、高効率かつ二酸化炭素の排出抑制につながるような石炭については、まだまだ維持できる、国としては推進するということであろうと、私、お聞きしております。
まず、資源エネルギー庁さんに、例えば、今、広島県で開発している大崎クールジェン、IGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電とか、また超超臨界の火力発電、こういったものについて、国としてこれからどう取り組むのか、推進していくのか、エネ庁さんの方からお答えください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
本年四月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、各国のネットゼロの道筋に沿って、二〇三〇年代前半、又は、気温上昇を一・五度に抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで、排出削減対策が講じられていない既存の石炭火力発電を段階的に廃止することに合意をしてございます。
日本政府におきましては、今週示させていただいた第七次エネルギー基本計画の原案におきまして、安定供給の確保を大前提に、非効率な石炭火力を中心に発電量を減らしていくという方針をお示ししております。
この方針の下、具体的には、まずは、二〇三〇年に向けて、引き続き、高効率なUSC、超超臨界圧等の火力発電を活用しつつ、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めてまいります。
御指摘いただきましたIGCC、石炭ガス化複合発電や、IGFC、石炭ガス化燃料電池複合発電につきましては、高い発電効率と環境性能を誇る次世代型の火力発電システムでありまして、こうした技術の研究開発等を引き続き推進してまいります。
また、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニアやCCUS等を活用した、火力の脱炭素化を引き続き推進してまいります。
○空本委員 エネ庁さんとしては、高効率、CO2削減する石炭はまだ進めていくということでございますので、環境省としてもそれに追随されるかどうか、大臣からお答えください。
○浅尾国務大臣 今年四月に開催されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、各国のネットゼロの道筋に沿って、二〇三〇年代前半、又は、気温上昇を一・五度に抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで、排出削減対策が講じられていない既存の石炭火力発電をフェーズアウトすることに合意しました。
我が国としては、一・五度目標と整合的なエネルギー基本計画に基づき、二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めるとともに、二〇五〇年に向けて、水素、アンモニアやCCUS等の活用により、脱炭素型の火力発電に置き換えていくという方針に変わりはありません。
引き続き、二〇五〇年ネットゼロに向け、政府一丸となって、電力部門の脱炭素化に取り組んでまいります。
○空本委員 ということで、非効率な石炭火力はフェードアウトしていく、フェーズアウトしていくというふうなお話で、今の新しい基本計画の方の原案も見させていただいていましても、そこにそう書かれています。
プラス、新しい基本計画の四十九ページの方にIGCCは書いているんですが、IGFCは消えているというか、逆に、まあ含まれているんだろうと思いますが、少し、ちょっとボリュームが少なくなってきたのかなという気がしております。また後ほどこれについてはお聞きしたいと思います。
そして、私の方から提示させていただいた資料がございます。
配付資料の一、二は、これは十二、三年前の予算委員会分科会での資料でございまして、リチウムイオン電池、この開発がどうなっているかというものでございます。裏表になっております。
そして、もう一つ、配付資料三で、発電方式による、二〇四〇年をエネルギー基本計画は考えているんですが、約十五年先ではなくて、やはり二十五年先ぐらいを見ておかないと、我が国のエネルギーの、本当に供給が安定的に行えるかどうか。
二〇五〇年、私なりに、電力にいろいろこれまで携わってきた人間として、何が一番できるのか。やはり火力というものについては、ちょうど真ん中に書いておりますが、USCとかA―USC、IGCC、IGFC。非効率な従来型の石炭火力は段階的に廃止するということであろうというふうな形でまとめさせていただいております。
そして、先ほどCCS、CCUSという話がございましたが、ちょっとCCSというのはなかなか厳しくて、配付資料四にちょっとまとめているんですが、時間がありませんので。これは自然原理からすると、ちょっと難しいことをたくさんやっているというふうに、実現可能性は日本においては厳しいかなと。石油を掘っているような油田の場合では、CCSとかCCUS、こういったものは利用価値があろうと思いますが、ちょっと厳しいかな。先にそういうことを触れさせていただきます。
その中で、再生可能エネルギーの限界について少し話を進めたいと思います。
再生可能エネルギー、皆取り入れていきたい、これは誰しも、二酸化炭素を少しでも排出抑制するためには必要であろうと思います。しかしながら、九州電力を始めとして、五月の連休とか、本当に天候のいいときは、出力制御といって、再生可能エネルギーの発電を抑える、そういう出力制御をもう実際やっています。
これから新しい基本計画で、再生可能エネルギーを、まあ四割、五割、その中でソーラーが三割ぐらいいくんですかね、太陽光三割ぐらいいったとして、本当にこれだけのものを入れて、ネットワークのシステムとして維持できるのかどうかといいますか、本当にこれがいいのかどうか。
そういったことを考えるときに、まず資源エネルギー庁さんの方から、再エネに対する出力制御の必要性について、ちょっとコメントをお願いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘ございました再エネの出力制御につきまして、電気は大量貯蔵することが困難でございますので、基本的に発電と消費が同時に行われる必要がございます。このため、供給が需要を上回ると見込まれるときには、需給バランスを保つため、再エネそして再エネ以外の電源も含めまして出力制御を行うこととなってございます。
二〇一二年のFIT制度の創設以降、再エネの導入が進んでございまして、二〇一四年九月には、九州エリアにおいて、需給バランス維持等の観点から、系統接続を保留する事態が発生いたしました。また、その後、二〇一五年五月には、九州の種子島におきまして、初めて需給制約による太陽光の出力制御を実施したところでございます。
こうした中、再エネの更なる導入が進んでございますので、北海道、東北、中部、中国、四国、九州、各エリアにおきましては、エリアの最小需要を上回る再エネが導入されておりまして、この結果、特に需要が小さい一方で、発電の量が多い春や秋の昼間の時間帯における再エネの出力制御が拡大してございます。
二〇一八年十月には九州、二〇二二年四月に東北、中国、四国、そして五月に北海道、二〇二三年一月には沖縄、四月に中部、北陸、六月に関西ということでございますので、東京エリア以外は全て、それぞれ初めて出力制御が実施されたということでございます。
再エネの出力制御につきましては、電力の安定供給を維持しつつ、再エネの最大限の導入を進めるために必要な措置でございますけれども、委員御指摘のとおり、再エネ導入の妨げにならないように、昨年十二月には政府として出力制御対策パッケージを取りまとめておりまして、需要、供給両面で対策を引き続きしっかりと講じてまいりたいと存じます。
○空本委員 そういった意味で、再エネを導入するに当たっては、出力制御をしなきゃいけない。それを回避するためには、系統蓄電をしなきゃいけないんですね。
系統蓄電に関しては、やはりリチウムイオン電池とか、また様々な蓄電があるんですけれども、ナトリウム硫黄とか、あとはRFとかあるんですが、これで本当に、そういう系統蓄電の材料も含めて、そういう仕組みを大量に大容量で日本の国でつくれるか、そしてそれを維持できるかという問題がございます。そういった意味も含めて、簡単ではないから、再エネというのはそう簡単に導入はできるものじゃないということだけ、まず皆さんに御理解いただきたいなと思っています。
実際、できれば、次の予算委員会、来年へ入って予算委員会でこのエネルギー基本計画についてしっかり議論したいんですが、本当ならば、どのくらい系統蓄電の容量、キロワットアワーなんですね、単位は。普通、発電所はキロワットという設備容量なんですけれども、その中で、それがどのぐらいの電気をためられるか、ギガワットアワー、こういう単位のものを、どのぐらいのものを容量として持っておかなきゃいけないか、そういった議論を、なかなか計算が難しいことは分かるんですが、次、来年ぐらいです、来年へ入って、新年度ぐらいは、予算委員会、エネルギー基本計画、相当これは審議すると思いますので、そういったところで、数字的なものというのはどのぐらいの設備容量を持たなきゃいけないか、系統蓄電、そういったことをエネ庁さんの方にはしっかり考えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
そして、時間が余りないものですから、再エネ賦課金について考えていきたいんですが、私自身、再エネ賦課金は必要ないと思っています。というのは、入れているソーラーパネル、みんな国産ではございません。中国産がほとんどであります。あと、リチウムイオンバッテリーとか、そういったバッテリーも一緒につけたりしていますね。そういったものも含めて、元々は日本がシェアナンバーワンだった。
私の配付資料の一のところに、ちょうど真ん中の下の方に、リチウムイオン電池、平成二十四年、十二、三年前ですね、ちょうど韓国に抜かれたぐらいのときです。このときに、リチウムイオン電池を国策として守っていればよかったんですよ。このときに、実は半導体を守っていればよかった。これは、ちょうど私、与党でありまして、与党でありながら守ってほしいとお願いしたんだけれども、かなわなかった。十二、三年前ぐらいに、半導体も併せて、リチウムイオン電池、こういったバッテリー、これをしっかり守るべきだった。
十数年もう遅れています。本当に取り戻せるかどうか分かりません。そういったことを含めて、エネ庁さんにはしっかり、また、経済産業省さんにはしっかり産業政策を進めていただきたいと思います。
そして、続きまして、時間的にないので、新興国との二国間でのクレジット、JCM、これについてお聞きしたいと思います。
実際、二酸化炭素を出している国というのは、日本もそれはもちろん出していますが、アメリカと中国とロシアとインド、こういう大国ですよね。原子力発電所をそういう国々も導入しようとしているんですが、やはり、この国々、まだまだ二酸化炭素をどんどん排出する、まだまだ発電所を造っていく状況で、人口爆発もございますので、インドなんかは、もっともっとこれから二酸化炭素を出すであろう。
我が国がこれから新興国と取引するJCMでありますが、これはスズメの涙じゃないかなと、世界全体から見れば。もう一方で、企業が二国間クレジットを取引している、これはもうショービジネスじゃないか、そういう見方もあります。これは先進国の欺瞞であって、やはり、これは先進国だけでのお遊びじゃないかというような見方もありますが、これについて環境省としてどうなのか、小林副大臣、御見解をお願いします。
○小林副大臣 今、空本委員から御指摘のあった二国間クレジット制度、JCMですけれども、パートナー国において、日本企業や日本政府が技術や資金の面で協力して対策を実行して、追加的に得られた温室効果ガスの排出削減量等を定量的に評価した上でクレジット化し、パートナー国と日本で分け合う仕組みでございます。
JCMの活用は、日本とパートナー国双方の削減目標の達成や、民間企業の参画による経済の活性化とともに、パートナー国側の社会経済、環境面の課題解決にも寄与するというふうに考えています。
特に、多くの途上国で、先ほどお話があったように、温室効果ガスの排出量が増加している中で、JCMの活用によって、日本の技術や資金を生かして途上国の脱炭素移行を後押しし、世界全体の排出削減に貢献することができるというふうに考えています。
JCMによる排出削減、吸収量の定量的な効果については、全世界で、二〇三〇年度までの累積で一億トンCO2程度の排出削減、吸収量の確保を目指しております。その達成に向けて、引き続きちゃんと頑張っていきたいと思っておりますが、中国、ロシアというのがありましたけれども、アジア全体で見ると、実は、中国一国分の累積のCO2の排出をしていますので、まさに日本の技術や、先ほどの火力発電とか、こういったものを途上国にしっかり導入することが日本の成長であり、世界の貢献にもなるということで、頑張っていきたいと思っております。
○空本委員 正しい取引をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
そして、新たなエネルギー基本計画なんですが、エネルギーコスト、二〇四〇年で今計算していまして、やはり火力とか原子力とか再エネ、こういったものを考えているんですが、実際、二〇五〇年、もっと先まで電源を考えていかなきゃいけない、そのときに、原子力の在り方ということも考えておく必要があるかなと思っております。
実際、海外の、米国、ロシア、中国、インド、こういった国々は、原子力、それも高速炉ももう実用化段階にある。インドでさえ、今、試験をやっています。実は、いろいろな経産省、資源エネルギー庁さんのワーキングの中で議論はされて、次世代の革新炉と言われている高速炉、実は次世代の革新炉じゃなくて、既に、過去に私たちはもう開発し終えているものもあります。
ただし、今回ワーキングで新たな取組をしようとしているのは、「もんじゅ」型、ループ型とあったんですが、タンク型という形の、ちょっと形状が変わってくる、形が変わってきますが、既にロシアのBN600、BN800とか、スーパーフェニックスとか、こういったものは全てタンク型でありまして、もう世界では当たり前というものをこれから造ろうじゃないかということを考えております。
その中で、エネルギー基本計画の中で、こういったものがすごく薄いんですよね。やはり、エネルギー基本計画の中では、コストの話は省きまして、電源構成を今後考えるときに、再エネを入れるんだったら系統の蓄電をもっと増強しなきゃいけないけれども、それ以外に原子力を入れる場合、核燃サイクルを含めて、高速増殖炉を早く造らないと間に合いません。
プラス、アメリカのこれからの原子力の開発は、十倍、二十倍じゃなくて、桁がもう一個上になるかもしれません。そうすると、ウラン燃料の取り合い。ウランの燃料の発電単価における割合は低いんですが、争奪戦になったときには、ウランは、オーストラリア、カナダとか、あとカザフスタンとか、あとロシアとかなんですが、そういったことも含めて、やはりもう少し、このエネルギー基本計画というのが、ちょっと今回見ると薄過ぎるかなと。
プラス、もう一点、エネルギー基本計画の目次とページを見比べてみて、例えば、三ページのところの(5)次世代電力ネットワークの構築の蓄電池、揚水というところを見ると、実はそういうふうなタイトルになっていなくて、まだまだこれはブラッシュアップされていくんでしょうけれども、例えば五十一ページ、五十二ページかな、こういったところなんか、ちょっとタイトルとまだまだずれがございます。これで発表されるのは、ちょっと私、いかがなものかなと。この基本計画、原案でありますけれども、ちょっと出すのが早かったんじゃないかなと思うんですね。
もっと精査をした上で原案を出していただきたかったと思うんですが、その前に、このエネルギー基本計画について、今後どういうエネルギー構成を考えているか、まずその言質を取りたいと思います。エネ庁さんからお願いいたします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
十二月十七日にお示ししたエネルギー基本計画の原案におきましては、再エネか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、脱炭素効果の高い電源を最大限に活用するとともに、増加する電力需要に備え、脱炭素電源の事業環境整備を行うこと、火力に関しましては、必要な発電容量は維持しつつ、非効率な石炭火力を中心に発電量を減らしていきながら、水素、アンモニアやCCUS等を活用し、脱炭素化や予備電源制度の整備などを推進していくこととしてございます。
こうした取組を通じて、電力の安定供給と脱炭素化の両立に向けて取り組んでまいるということで、原案をお示ししたところでございます。
○空本委員 そういう形でありますけれども、次世代革新炉としての高速炉という位置づけがございまして、それも明記されています。
その中で、ちょっとエネ庁さんの方に、これは取組をしておいてほしいんですが、これは口頭だけで申し上げます。
ナトリウム、液体ナトリウムをどうやってこれから調達するかということ。これを、例えば千七百トンぐらいが今「もんじゅ」にありまして、それは四十三億ぐらいで買ったのかな、フランスから。それも、作るのも大変です、純度も高めなきゃいけない。こういったものは、今、実は「もんじゅ」にあるんですよね。高速炉をやるんだったら、これを早く、海外にお金を出して処理してもらう、いや、使ってもらうんですよ。そうじゃなくて、我が国に、「もんじゅ」にちゃんとナトリウムはあるんですよ、液体ナトリウム。今、冷やしていますから固体になっていますけれども。
これは今、文科省さんの管轄だと思いますけれども、このナトリウム、早くエネ庁さんは買った方がいいですよ、早くそれを取っておいた方がいい。じゃないと、高速炉はできませんから。それは多分、皆さん御存じないですね。
その中で、もう一点、最後の質問をさせていただきたいと思うんですが、エネ庁さんにしても、原子力規制庁さんの幹部職員の皆さんの中で、原子力を、総合工学として、原子力だけじゃなくていいんですよ、電気をやっていたり機械をやっていたり、またいろいろなことをやって、原子力を総合的に見られる方がどの程度いらっしゃるのかということなんですが、規制庁さん、いかがでしょうか、まず。後、経産省さん、お答えください。
○金子政府参考人 まず、原子力規制庁の幹部職員についてお答えいたします。
私も含めて、全員が大学等において原子力工学を専攻したわけではもちろんございません。現在、見ますと、五十人おります課室長以上の幹部職員のうちの原子力工学を専門とした大学、大学院の課程で学んだ者は十二名おりまして、それ以外は、例えば材料工学、土木工学などの専門分野を経験して、実務経験を積んだという形になってございます。
○空本委員 では、資源エネルギー庁さん、どうでしょうか。経産省の方からお答えください。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
現在、資源エネルギー庁におきましては、指定職及び管理職は五十六名、職員としておりますが、このうち、大学、大学院で原子力工学を専攻している者はございません。
なお、機械ですとか委員御指摘のエネルギー工学、電気工学、こういった専攻をした者としては数名が在籍しております。
○空本委員 浅尾大臣、最後に。これは官邸の中でやはり強化を、それも原子力、総合工学としての原子力にしっかり取り組んだ方々の人材育成、こういったものをしっかりお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 環境省としては、原子力規制庁の人材育成の取組が効果的に行われるよう積極的にサポートしてまいりたい、このように考えております。
○空本委員 ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、仙田晃宏さん。
○仙田委員 国民民主党・無所属クラブの仙田晃宏です。
日本のど真ん中、岐阜県の各務原市が選挙区でございます。
今回、質問の機会をいただき、近藤委員長を始め、浅尾大臣を含め、ありがとうございます。
初めての質疑になりますので、至らぬ点も多々あるかもしれませんけれども、御容赦いただきながら進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
本年も、早いもので、十二月も残り僅かとなってまいります。今年を振り返りますと、令和六年は能登を襲った大地震で始まった年でもあります。十二月四日時点、消防庁発表で、災害関連死を含め四百六十三名もの方々がお亡くなりになられましたこと、改めてこの場で心より御冥福をお祈り申し上げます。
元旦に発生した地震でしたので、避難所では多くの方が、当初、寒さに苦しめられたとお聞きしております。その後、長引く避難生活の中では、夏を前に、熱中症対策のために、避難所に空調設備が取り付けられました。避難生活を長く続けられた方も、このおかけで夏の暑さを何とかしのげたものと信じております。
ただ、当然のことながら、災害はいつ発生するか分かりません。多くの避難所に、空調設備、こちらがあらかじめ備え付けられている必要があります。そして、そんな避難所の代表例として真っ先に挙げられますのが、小中学校の体育館ではないでしょうか。実際に、ほとんどの小中学校の体育館は、避難所として今回指定されております。
小中学校の体育館は、ふだんは子供たちの学び場でありますが、それと同時に、災害時には避難所としての役割も果たしているわけでございます。つまり、小中学校の体育館へのエアコンの設置は、平時には子供たちの教育環境の改善となり、そして災害時には避難所の環境改善へとつながることになります。二重の意味で非常に価値のあるエアコン設置、国民民主党は、小中学校へのエアコン設置、こちらを国を挙げて促進していくべきだと考えております。
実際のところ、小中学校の体育館へのエアコン設置には、政府としても真剣に取り組まれているものと承知しておりますし、令和十七年度までには九五%の設置目標を今掲げていらっしゃいます。しかし、現在、今、設置率は、まだ全国平均一八・九%と、目標の九五%とは大きく隔たりがございます。
このような高い目標を実現していく上で、私としては、例えば、小中学校の体育館を新しく建て替える際には、エアコンの設置も同時にすべきであるといった指針を国が示すべきではないかと考えております。
小中学校の体育館へのエアコン設置について、直接の所管は文部科学省であると認識はしておりますが、環境省からも補助金事業が出ているものと承知しておりますし、国として一丸となって取り組むべき重要な環境政策であると考えております。
そこで、環境大臣に伺います。
小中学校の体育館へのエアコン設置に対し、その必要性と今後の課題について、浅尾環境大臣の立場としてどのようにお考えか、見解を教えてください。
○浅尾国務大臣 学校の施設は、子供の学習、生活の場であることはもちろんのこと、災害時には、御指摘のとおり、避難所としての役割も果たすものであります。一方で、文部科学省の調査によれば、体育館の空調整備率は全国的に低い状況であるものと承知しており、空調設備の整備は重要であると認識しております。
環境省としては、特に、脱炭素と防災力強化の観点から、小中学校の体育館を始めとする避難施設等に対して、非常用電源としての太陽光発電設備、蓄電池やエアコン等の高効率空調設備等の導入補助を行っております。
また、小中学校の体育館を含む業務用建築物の省エネ改修やZEB化に対する支援の一環としても、エアコンなどの高効率機器に対して補助を行っているところであります。
引き続き、文部科学省を始め関係省庁と連携して、取組を進めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 浅尾大臣、ありがとうございます。
おっしゃっていただいたとおり、やはりこの問題は国を挙げて取り組むべき課題であると考えております。実際に、小中学校のエアコン設置に使える多くの補助金メニューが省庁間をまたいで存在しております。まずは、文科省として把握されているものを教えていただけますでしょうか。
○金光政府参考人 お答え申し上げます。
公立小中学校の体育館への空調整備につきましては、その政策目的に応じて、関係省庁におきまして各種の財政措置がなされてございます。主なものを申し上げますと、まず、文部科学省におきましては、現在、学校施設環境改善交付金により支援を行っております。また、その支援を更に加速する観点から、令和六年度補正予算におきまして、臨時特例交付金を創設したところでございます。
また、関係省庁におけます財政支援の主なものといたしましては、指定避難所となっている場合には、総務省の緊急防災・減災事業債がございます。また、先ほど大臣からも御紹介のございました、環境省さんにおきまして補助事業があるものと承知をいたしております。
○仙田委員 ありがとうございます。
今御回答いただきましたとおり、小中学校の体育館のエアコン設置に使用できる補助金メニューは幾つもございます。その一方で、補助金メニューが省庁間で分断されており、利用する側の自治体にとっては分かりにくいという問題もございます。
例えば、私の地元自治会の教育委員会に実際に問い合わせたところ、環境省様の、正式名称地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業、通称地域レジ事業が体育館のエアコン設置に使えることを知っている担当者は、ほとんどいらっしゃいませんでした。
地域レジ事業の本来の目的は避難所の環境改善と再エネ利用であることは理解しております。しかし、実際に体育館のエアコン設置に使えるわけで、自治体からしてみれば、利用可能な補助金は全て把握したいわけでございます。国として、令和十七年度には小中学校の体育館のエアコン設置率九五%、これを目指しているわけでございますので、この目標達成のために、分かりやすい補助金の公開の在り方は欠かせません。
文科省として、小中学校のエアコン設置に使える補助金メニューを取りまとめ、自治体に対して一元化して公開されていくというお考えはないでしょうか。
○金光政府参考人 お答え申し上げます。
まさに委員御指摘のとおり、各種の財政措置が各自治体の実情に応じて選択できるよう、情報を一元化して周知することが重要であると考えてございます。
文部科学省といたしましては、令和五年七月三十一日付で発出いたしました事務連絡におきまして、避難所となる学校体育館の空調整備に活用できる財政措置の一覧をお示ししたところでございます。
今後とも、文部科学省といたしましては、各自治体の判断に資するよう、関係省庁とも連携を図りつつ、随時関係省庁の財政措置の情報をお示しするなどして、各自治体の円滑な空調整備に必要な取組を進めてまいります。
○仙田委員 ありがとうございます。
令和十七年度までに小中学校のエアコン設置率九五%を今目指していらっしゃるわけですから、全省庁一丸となって政策に取り組んでいただきたいと思っております。
今回、資料としておつけさせていただいておりますのは、内閣府、文科省、消防庁による事務連絡として、今回、避難所機能強化に活用できる財政支援一覧というものをまとめられております。文部科学省から総務省、そして環境省、国土交通省、全て一覧でまとめていただき、これが実際にあることというのがすごい大事だと思っておりますし、これを作られた方は非常に、すごい大変な思いをして作られたと思っております。是非、作った方に労をねぎらって、大臣からもねぎらっていただきたいと思いますし、これを今後はしっかりと広報して、自治体の方に使っていただける、分かりやすいアピールを是非していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
先ほど阿部先生や空本先生からもお話がありました水でございます。
現在、PFAS含め、水問題に非常に注目が集まっております。人間の体は、年齢にもよりますが、五〇%から八〇%が水で構成されており、生命にとって最も大事な構成要素の一つとなっております。
国交省によりますと、水道水をそのまま飲み水として飲めるのは、日本を含み、世界中で僅か十二か国とのことです。日本は水道水は世界的に見て非常に安心、安全なものとなっており、日本が誇ることのできるインフラ事業、そしてインフラであると思っております。
しかし、最近、水道水の安全性に関わる問題として、先ほどから挙がっておりますPFAS、PFASという言葉が報道をにぎわしております。水の重要性を考えますと、もちろん大きな問題ではございますが、しかし、やみくもに不安をあおるのもいかがなものかなと思っております。ですので、不安を助長させないためにも、誤った知識に基づいて、何か風評被害のような事態を招くことは絶対に避けるべきだと考えております。
そのような立場から、今分かっている正しい知識、正確な情報を明らかにしていくとともに、国としてのサポート体制について伺ってまいりたいと思っております。
PFASは一万種以上あると存じておりますが、問題となっておりますのは、PFOAとPFOS、この二つの物質にほぼ限定されているかと思います。実際、国の基準は、この二つの物質に対して設けられております。
そこで、環境省に二点伺います。
まず、水道水における暫定基準値を摂取し続けた場合、どのような危険があるでしょうか。加えて、体内に入った際には蓄積され続けて、減るようなことはないのでしょうか。教えてください。
○松本政府参考人 お答えいたします。
PFOS及びPFOAの水道水質の暫定目標値は五十ナノグラム・パー・リットル以下というふうになっておりますが、これは、令和二年当時に収集した世界各国の様々な科学的知見を踏まえつつ、人が一生涯にわたって、年間三百六十五日、毎日二リットル飲み続けても健康に悪影響が生じない水準として設定したものですので、御懸念の点につきましては推して知るべきかと存じております。
また、PFOS、PFOAについて、体内に摂取された場合でございますけれども、蓄積され続けるわけではなくて、体外に排出されて徐々に減っていきます。様々な試験研究がございますけれども、PFOSでは平均五・七年、PFOAでは平均三・二年で半減していく、そうした研究報告がなされているところでございます。
以上であります。
○仙田委員 ありがとうございます。
たとえ暫定基準値レベルの水を生涯にわたって飲み続けても問題ないとされていることは、安心材料かと思います。また、追加摂取をしなければPFASは数年で体の中から半減していくというのも大きな事実だと思います。
二〇二〇年からPFASは、水質管理目標設定項目、こちらになったことによって、水道水内のPFASについて全国的な大規模調査が行われてきております。その間、十四か所で暫定基準値を上回ったものの、今現在、二〇二四年時点で基準を上回っているところはどこもないと理解しております。つまり、一時的に多少基準値を上回った水道水を摂取した場合であっても、その後、基準値以下の水道水、これを摂取している今現在の状況が今後も続けば、特段問題ないと言えるのではないでしょうか。
環境省として、PFAS関連の事業に今回補正予算が九億円計上されておられます。その事業には情報発信という言葉がしっかりと書かれておられます。環境省には、科学的に正しい情報をしっかりと国民の皆様に届くよう発信されていくことをお願い申し上げますが、見解はいかがでしょうか。
○松本政府参考人 お答え申し上げます。
PFOS、PFOAを始めとするPFASの健康影響につきましてですが、委員御指摘のとおり、科学的知見の充実、これを図りながら、国民の皆様に正しく知っていただくことが重要と考えております。
環境省では、PFASに関するウェブサイトを整備いたしておりますほか、専門家の監修の下でQアンドA集を昨年七月に作成し、また、本年八月には更新いたしました。さらに、内容を平易に解説したリーフレットも作成しておりまして、地方自治体や住民の方々の理解の一助とさせていただいております。
引き続き、PFAS総合研究、そしてまたエコチル調査など、科学的に評価可能な調査研究を進めまして科学的知見を継続的に収集するとともに、それらの知見を分かりやすく発信し、国民の皆様の不安の解消に努めてまいりたい、このように考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
皆様が安心できる情報発信を是非継続をお願いしたいというふうに思っております。
次に、PFAS関連の補助金についてお伺いさせていただきます。
補助金については、国交省の所管となり、活性炭処理施設と代替水源施設の二つが補助対象施設となっているものと理解しております。しかし、先ほど全国十四か所でPFASの基準を上回ったところがあると申し上げましたが、現在、この補助金を利用できているのは、岡山県の吉備中央町、こちらの代替水源施設のみとお聞きしております。
私の地元各務原とこの吉備中央町、この二つだけが、二〇二〇年から二〇二三年にかけて四年連続でPFASの基準を上回っております。吉備中央町は代替水源の確保によって、そして、私の地元各務原、こちらでは、既存の施設に活性炭を入れることで、何とか基準値以下を今下回っているところでございます。
ただし、この各務原の既存施設、こちらへの活性炭の投入はあくまでも応急処置であり、現在では新たな活性炭処理施設を約十七億円をかけて建設を計画されております。この施設に対し、国の補助金制度は存在するんですが使えないという、理解に苦しむ状況が今発生しております。
各務原市は、人口規模要件と資本単価要件の二つの要件を満たしていないため、補助金の申請要件を満たしていないというのが実態です。この要件自体は水道関連の補助金によくあるものということで、簡単に言えば、人口が多くて水を作るコストが低いような自治体には補助をしないということと理解しております。
しかし、今回の問題は、ほかの水道関連の補助金とは明らかに性質が異なります。施設が老朽化したから新しい施設を造りたい、そういったものではなく、PFASという問題に対し緊急的に施設が必要になったわけです。それを単純にほかの補助金と同じ要件で縛りつけるというのは、腑に落ちない状況です。PFASに対しても必死に取り組んでいる自治体、是非とも国としてサポートをしていただきたいというふうに思っております。補助金要件の見直しを強く願いますが、国交省の見解を伺います。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
水道施設の整備や更新を行うことを含めまして、水道事業の経営に要する経費については、水道料金の収入により賄うことが原則となっております。
その上で、議員御指摘ございましたけれども、地形や水源などの条件によりまして施設整備費が割高となるなど、経営条件が厳しい水道事業者などを対象に、施設整備に要する費用について財政支援を行っておるところでございます。
このため、水道事業者の経営条件を判断する指標として、御指摘いただきました資本単価等の要件を設けさせていただいているところでございます。
国土交通省といたしましては、PFOS及びPFOAに関する状況を踏まえつつ、その対策のために必要な対応について引き続き検討を行ってまいります。
○仙田委員 ありがとうございます。
PFAS対策に最も苦慮している自治体が受け取ることができない補助金制度というのは、やはり改善の必要があると思っております。水、PFAS問題を所管する環境大臣にも、国交省と連携の上、是非、要件緩和を働きかけていただけたら幸いでございます。
次に、血液検査について伺います。
環境省は、PFASに関する疫学調査を実施している中で、血液検査もされているとお聞きしております。水道におけるPFASの値が高かった地域に対し、希望者に対しては、国の疫学調査の参考にもなると思いますし、費用を補助していただけないかというふうに考えております。
現在の状況では、安全であるということは理解しておりますが、安心を求める市民の声も私には届いております。その気持ちをよく理解できます。環境省として、血液検査、こちらに補助をするということに対して御検討、御一考を願えないかと思っておりますが、見解はいかがでしょうか。
○前田政府参考人 お答えいたします。
現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるか明らかとなっておらず、血液検査の結果のみをもって健康影響を把握することは困難であるとされております。
このため、政府といたしましては、PFASの血中濃度と健康影響の関係性を明らかにすることが重要であると考えており、国内外の知見の収集を推進するとともに、科学的に評価可能な疫学調査や研究を推進してまいります。
答弁は以上です。
○仙田委員 ありがとうございます。
早期に関係性を明らかにしていただいて、情報開示に努めていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
次に、PFASの検査義務化について伺います。
本年十二月三日の参議院本会議で、石破総理は、PFASの扱い、こちらは水質管理設定項目から水質基準項目に変更するということで、検査を義務化することを検討するとおっしゃっておられます。
検査をするとなれば、当然、検査機器が必要になるわけですが、まず、この検査機器がおよそどれぐらいの値段をするのか、環境省が把握している範囲で教えてください。
○松本政府参考人 お答え申し上げます。
一般的に、水道のPFOS及びPFOAの水質検査には、液体クロマトグラフ質量分析装置という分析計測機器が必要となります。こうした検査機器を自前で購入して導入する費用としては、数千万程度と承知しております。
以上でございます。
○仙田委員 ありがとうございます。
数千万円という金額は非常に高額でございます。水道事業者は多くの場合自治体でございますが、民間の小規模事業者もいるとお聞きしますし、小規模自治体にとっても非常に負担が大きいと思います。検査を義務づけるのであれば国が補助するべきだというふうに考えますが、大臣の見解をお聞かせください。
○浅尾国務大臣 水道事業は、水質検査や検査機器も含め、原則、水道料金で運営するものと承知をしています。
一方、水道法上、水道事業者は、国土交通大臣及び環境大臣の登録を受けた登録水質検査機関に水質検査を委託することが可能となっており、その委託費用は数万円程度と承知をしております。
いずれにしても、PFOS及びPFOAの水道水における暫定目標値の取扱いについて検討を進めているところであり、水質検査の具体的な方法についても、専門家の意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。
○仙田委員 大臣、ありがとうございます。
PFASは対策可能な問題であり、また、余り不安を助長するように恐れ過ぎるものもよくないものだということは理解できましたが、その一方で、安心を得るための十分な対策にはお金がかかるというのもまた事実でございます。それが、一部の自治体にのみしわ寄せが行くようなことはあってはならないと思っております。安心、安全な水を飲み続けることができるよう、PFAS対策に苦慮している自治体への補助金要件の見直しの検討を、是非、環境大臣からも、国交省と連携の上、強くお伝えください。
岐阜県は、清流の国とも呼ばれ、山紫水明の自然に恵まれた、水がとてもきれいな県です。岐阜県で暮らしていたら、ミネラルウォーターを買わなくても水道水で十分というのも岐阜県の魅力です。日本は、森林が約七割の国土を占める自然豊かな国です。水道水が全国どこでも安心して飲める国であり続けることを目指して、私の一般質問を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、福重隆浩さん。
○福重委員 公明党の福重隆浩でございます。
時間の制約がありますので、早速質問に入らせていただきます。
先月アゼルバイジャンで開催されたCOP29で、出席された浅尾大臣は、温室効果ガスの削減の実効性を高めるためには、各国の取組状況の透明性を確保することが重要であると、日本が先進国をリードする強い決意を述べられました。一方で、気候変動対策に消極的な国に与えられる化石賞に日本は選定されてしまいました。より実効性のある取組が求められていると思います。
世界では、脱炭素化が進み、生物圏に負荷をかけない経済活動を意味するバイオエコノミーが、二〇〇九年のOECDの提唱を発端に、欧州を中心に広がりつつあります。石油や石炭などの化石燃料が枯渇する一方で、世界の人口は増加し、また、地球温暖化などの地球環境問題が深刻化する現代において、バイオマスやバイオテクノロジーを大いに活用しながら、併せて経済成長の実現を目指す取組は、今を生きる子供や若者、そしてこれから生まれてくる命に持続可能な世界を継承する重要な取組であり、我が国として是非力を入れていくべき問題でございます。
報道によりますと、二〇三〇年から四〇年にかけて、世界のバイオエコノミーは二百兆から四百兆円規模へ成長すると予測されており、二〇二〇年十一月時点では世界約六十か国がバイオエコノミーに関する国家戦略を策定しており、投資やルール形成などの取組が加速しているとのことです。
日本も、二〇三〇年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現するとの目標を掲げ、一九年に策定したバイオ戦略から更に取組を強化するために、今年六月にはバイオエコノミー戦略へと改定し、三〇年には国内外で百兆円規模の市場を創出することを目指しておられます。
我が国におけるバイオエコノミー分野の拡大へ向けた具体的な取組とともに、世界が直面する地球環境問題に立ち向かう大臣の強い御決意をお伺いいたします。
○浅尾国務大臣 バイオエコノミーに関する御質問をいただきました。
カーボンニュートラルの実現、循環経済への移行、食料やエネルギーの確保等への対応が世界共通の課題となる中で、我が国が有する豊富なバイオマス資源や優れたバイオ技術を活用したバイオエコノミー分野の取組を推進することは、大変重要であります。
このため、我が国では、本年六月にバイオエコノミー戦略を策定し、関係府省が連携してバイオエコノミー市場拡大等を目指した取組を推進することとしております。
本戦略を踏まえ、環境省としては、植物由来の素材であるセルロースナノファイバーを活用した製品の早期商用化に向けた支援などを進めているところであります。
さらに、こうした取組を国内はもとよりアジアを含めた世界に展開していくことで、地球規模の課題の解決に積極的に貢献してまいりたいと考えております。
○福重委員 大臣は国際性に優れておられますので、大臣の強いリーダーシップによって日本を前に進めていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
当たり前のように日頃から言われるようになりましたサーキュラーエコノミーですが、私は個人的に、環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんを思い出します。既にお亡くなりになっておられますが、来日時にもったいないという言葉に出会い、感銘を受け、マータイさんはこの美しい日本語と環境を守る世界共通語MOTTAINAIとして広めることを提唱されたと記憶しています。今、このもったいないが改めて注目されるべきだと思っております。
さて、政府は七月三十日、循環経済の促進に向けた閣僚会議の初会合を開催し、当時の岸田総理は、再生材を積極的に活用し、経済成長と環境への負荷の低減を同時に実現する国家戦略として位置づけると述べられ、政策パッケージを年内にまとめるように指示をされました。環境省も取りまとめに深く関わられていると思いますが、現時点でのパッケージ内容の概要、ポイントなど、公表できるものがありましたら御教示ください。よろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 循環経済への移行は、気候変動等の環境面の課題と、地方創生や産業競争力の強化、経済安全保障といった経済社会面の課題の同時解決に資する重要な政策課題であります。
こうした考えの下、七月には循環経済に関する関係閣僚会議が開催され、さらに、八月に閣議決定された第五次循環基本計画では、初めて循環経済への移行を国家戦略と位置づけ、政府を挙げて取り組んでいくこととしております。
七月の会議において総理から指示のあった政策パッケージについては、現在、関係省庁と調整中でありますが、環境省としては、太陽光パネルのリサイクルに関する制度的検討、製造業と廃棄物・リサイクル業の事業者間の連携促進、そして再生材の供給、利用拡大に向けた設備投資支援などの取組を盛り込んでいきたいと考えております。
私も関係閣僚会議の副議長として、関係省庁と連携しつつ、年内にも政策パッケージを取りまとめるべく、力を尽くしてまいりたいと考えております。
○福重委員 大臣から具体的な政策をお話しいただきまして、大変にありがとうございます。
これが国家戦略に位置づけられた、これは大変重要なことだと思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
次の質問に入ります。
三月、公明党サーキュラーエコノミー・循環型社会推進会議が、政府に対して、地方創生に貢献するサーキュラーエコノミーの推進に関する提言を行わせていただきました。
一点目には、サーキュラーエコノミーへの移行を推進するとともに、ネットゼロに貢献すると同時に、地域の経済社会の活性化を図るため、プラスチック、金属資源、生ごみ、紙おむつ等の地域の循環資源や木質バイオマス等の再生可能エネルギーの資源を活用した事業性、継続性があり、地域にも多様な利益をもたらす地方自治体が進める資源循環の取組の創出、拡大を促進するとともに、全国的な横展開を推進することで、地方創生につなげていくことを提言をいたしました。
今年の三月と九月に、党環境部会及び党サーキュラーエコノミー・循環型社会推進会議の国会議員が、私の地元群馬県の上野村を視察しました。上野村は、森林面積が九七%を占める自然豊かな地域であり、村が推進している脱炭素に向けた先進的な取組を村長自ら御説明してくださいました。
以前、切り倒された木はそのまま森林に放置されていましたが、この未利用材の有効活用に着目し、燃料として木質ペレットを製造、使用し、村内でエネルギーを地産地活する循環の仕組みに着手しました。二〇一一年には、木質ペレット製造工場を完成させ、木質ペレットを活用し、木質バイオマス発電施設を設置。その電力をキノコ栽培に使用し、工場でも多くの雇用が生まれております。二〇二二年には環境省の脱炭素先行地域に選定され、村長は、二〇三〇年度までに再生可能エネルギーで上野村の全戸の電力を賄う計画を進めています。
先日の予算委員会でも脱炭素先行地域の質問をしましたが、この上野村の取組は総面積の約七割を森林が占める日本において非常に有効な仕組みだと、地元の国会議員として私は自負をしております。
国土の六七%が森林である我が国において、森林の有効活用を強く推進していただきたいと思いますが、環境省の御見解をお伺いいたします。
○大森政府参考人 お答えいたします。
森林資源は、温室効果ガスの吸収源として貢献するとともに、エネルギー利用により化石燃料を代替することから、環境省としても森林資源の有効活用は重要であると考えております。
御指摘いただいた上野村では、脱炭素先行地域の取組の中で、木質バイオマス熱電併給設備や木質ペレットストーブ等の導入により、地域資源である森林の最大限の活用に向けて取り組んでおられます。
森林の有効活用に向けては、環境省としても、ZEH、ZEBの補助事業の中で、一定量以上のCLTを使用する場合や、都市の木造化推進法の建築物木材利用促進協定に基づいて木材を活用した場合に優先採択枠等を設けているほか、国立公園の所管施設における率先した木材の活用に取り組んでおります。さらに、林野庁とともに、森林分野のJクレジット制度の普及に努めているところでございます。
上野村を始めとする脱炭素先行地域で得られたノウハウ等の横展開や、先ほど申し上げた取組等を通じて、森林資源の有効活用を一層推進してまいりたい、このように考えております。
○福重委員 ありがとうございました。
本当に上野村は小さな村なんですけれども、若い方や東京からの移住者が本当に多く来てくださって、地域が活性化している。やはりこれは日本の成功モデルになり得る、私はそういうふうに思っております。
そういった中にあって、私の地元は海なし県の群馬県でありますけれども、皆様もよく御存じの言葉に、森は海の恋人であるというものがあります。これは、二〇一一年に発生した東日本大震災において、宮城県の気仙沼市の良質な漁港が壊滅的な被害を受けました。多くの人が、もう海で漁ができないとさえ思いました。しかし、心配をよそに、海は急速に回復したのです。海藻はジャングルのように茂り、ウニもアワビも丸々としています。こうした回復が迅速に促されたのも、森から運ばれる豊かな養分が海を支えてくれていたことにほかなりません。
森と海と人間の生活の在り方を考え続けてきた我々の活動は間違っていなかった、この活動を推進された、NPO法人森は海の恋人の代表を務められておられます畠山代表が述べておられました。
まさに四方を海に囲まれ、そして面積の七割が山林であるこの日本にとりまして、やはり森と海の関係、これを一体的に保護していく、そういったことが、やはりこれからこの日本を我々の子供や孫にしっかり残していく、受け継いでいく、そういったもののために、この分野の支援というのは私は不可欠であるというふうに思っております。是非、環境省で積極的なお取組をしていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
今年八月には第五次循環型社会形成推進基本計画も閣議決定されており、着実な実行が不可欠であります。循環経済の実現が急がれる背景には、資源をめぐる国際情勢の厳しさがあると思っております。世界的に素材や資材の価格が高騰し、入手が難しくなっており、資源の乏しい我が国にとって、循環経済の推進は非常に重要であります。
資源循環の取組は、資源の輸送や加工に伴う温室効果ガスの排出削減に寄与することから、二〇五〇年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするとの政府宣言を実現する上で、重要な取組であると考えております。
先日十三日に、我が党の地球温暖化対策本部は、次期NDC策定、地球温暖化対策計画の見直しに向けた提言書を石破総理へお渡しし、我が国が、国際的な連携による取組を一層促すとともに、自らも積極的な気候変動対策を講じ、世界の議論をリードする目標を打ち出すべきであると要望をさせていただきました。
一方で、課題となるのが、資源の再利用に向けた環境整備であります。太陽光パネルや紙おむつなどのリサイクルには高度な技術が必要とされております。プラスチックや金属など、資源の回収体制の検討と同時に、太陽光パネルや紙おむつのリサイクルの技術開発や設備投資への国からの助成など、力強い後押しが必要と考えておりますが、政府の御見解をお伺いいたします。
〔委員長退席、松木委員長代理着席〕
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘いただきましたとおり、我が国の資源循環を加速化するためには強力な後押しが必要であり、環境省といたしましては、プラスチックを始めとする資源の回収、リサイクル体制の整備に向けた実証支援や、金属、太陽光パネルや紙おむつも含めたリサイクルの技術実証や設備導入支援を実施しております。
例えば、使用済紙おむつのマテリアルリサイクルに当たりましては、プラスチック、パルプ、吸水性樹脂の分別技術について、技術実証を行うとともに、設備導入支援により、その社会実装を進めているところでございます。
また、本年五月に成立いたしました再資源化事業等高度化法の認定制度も活用し、先進的で高度な再資源化の取組を後押しすることで、資源循環の取組を促進してまいります。
さらに、二〇三〇年代後半から排出量が顕著に増加すると見込まれます太陽光パネルにつきましては、適正な廃棄、リサイクルを確実に行うための制度的な検討を進めております。
これらの財政上の支援や制度的な対応を通じまして、引き続き、資源循環の取組を力強く推進してまいりたいと考えております。
○福重委員 是非よろしくお願い申し上げます。
ちょっと時間がなくなってまいりましたので、一つ質問を飛ばさせていただきます。
ペットボトルについてお聞きしたいと思います。
ペットボトルの本体は、容器包装リサイクル法により、自治体が回収し、再資源化することが求められています。二〇二三年度は、ペットボトルの本体の九割以上が回収され、新たな製品として生まれ変わっています。
また、ペットボトル本体とともに、キャップもリサイクル可能であり、白いキャップとそれ以外の色を分別し、粉砕、洗浄などを経て、様々な製品の原材料として使用されていますが、しかし、ペットボトル本体と異なり、キャップについての回収義務が自治体にはありません。
東京都足立区では、捨てられながら、キャップも資源として生かそうと、公明党の地元区議団が議会で質問を重ね、キャップの回収ボックスを地域の各コミュニティーセンターなど区内約二百七十か所に設置し、身近な場所で回収できる、気軽にできるエコ活動だということで、多くの区民からも好評で、毎年一千万個、重量にして約二万キロが回収されるようになったと聞いております。
公明党は、循環型社会の構築の観点から、ペットボトル本体だけではなく、キャップもリサイクルできる環境づくりを国会質問で訴えてまいりました。今年四月、衆議院環境委員会で、実証実験を行って、回収、リサイクル促進に取り組むべきと主張し、環境省は、リサイクルに積極的に取り組む自治体を支援する実証事業の対象にペットボトルのキャップも初めて追加し、埼玉県三郷市のキャップリサイクルの取組が採決をされました。
この実証実験の先進的な取組の横展開、効果的な回収方法の推進、そして何よりも大切なのは、国民のお一人お一人が、キャップはごみではなく資源だという意識改革が必要であると思います。こういった小さいことから国民の皆さんに始めていただく、こういった取組が必要であるというふうに思いますけれども、環境省の御見解をお伺いいたします。
〔松木委員長代理退席、委員長着席〕
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ペットボトルのキャップは単一の素材で構成されており、こうしたペットボトルのキャップのリサイクルは、国民一人一人に身近な取組であるだけでなく、質の高いリサイクルに貢献する取組であり、こうした取組を後押ししていくということは非常に重要なことであると考えております。
こうした考えの下、プラスチックの資源循環に関する先進的なモデル形成支援事業において、今年度からペットボトルキャップのリサイクルについても事業の対象に含めて公募をいたしました。委員から御指摘いただきましたとおり、埼玉県三郷市から、公共施設等で市民の協力によりペットボトルキャップを回収し、材料リサイクルする実証事業の応募があり、現在、この事業が実施されているところでございます。
こうした実証事業を通じまして、効果的な回収方法などのノウハウや、実際にどのような製品にリサイクルできるか、見える化を図ることで、国民の皆様の意識改革にもつながるものと考えております。
こうした事業で得られる成果、知見を広く収集し、ペットボトルのキャップの分別、リサイクルの取組の水平展開をしっかり図ってまいりたいと考えております。
○福重委員 ありがとうございました。
本当に環境問題は、国民お一人お一人の意識が、私ごとという思いで取り組んでいかなければならない問題だと思います。是非推進をしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、北野裕子さん。
○北野委員 参政党の北野裕子と申します。
この度、第五十回衆議院議員選挙で、私たち参政党は、全国で百八十七万票を頂戴いたしました。参政党に一票を投じてくださった国民の代表として、今回初めて質問をさせていただきます。
私は、一九八五年、昭和六十年生まれです。子供の頃から今日に至るまで、いわゆる失われた三十年の中で成長をし、結婚をして、子育てを経験しました。経済的に豊かだった時期を実感したことのない世代としても、ここで質問をさせていただきます。
現在、日本は、物価の高騰にかかわらず、給料は増えず、消費税と社会保険料が上がり続けております。国民の生活はとても厳しい状況にあります。社会保険料と税金負担割合は、いわゆる国民負担率、現在四五・一%に達しております。さらに、家計の負担となっているのが光熱費です。特に電気代の値上がりは顕著で、二〇一〇年、東日本大震災の前と比較しますと、二〇二〇年の家庭向け電気代は約六割、産業向けは約九割も高騰をしています。企業向けの電気代が上がれば、市場の価格も上がり、それが更に家計を圧迫しております。
ここまで電気代が高くなった要因は、再エネ賦課金、燃料費の高騰、そして為替の影響などがあったと認識していますが、東日本大震災前の二〇一〇年以降、電気代上昇の主な理由について、詳しく御説明をお願いいたします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
電気料金は、様々な要因を総合的に勘案し、小売電気事業者が設定するものでございます。したがって、過去の料金からの変動要因を特定することは困難でございます。
その上で、一般論として申し上げますと、東日本大震災以前と比較いたしまして、例えば、ロシアによるウクライナ侵略等による世界的な燃料価格の高騰や為替の影響によりましてLNGや石炭等の輸入価格が高騰しており、これらが電気料金の上昇要因として寄与しているというふうに承知しております。
また、再エネ賦課金につきましては、二〇一二年度、平成二十四年度に再エネ電気の買取り費用等を賄うということを目的に新たに導入したものでございますので、東日本大震災以前には電気料金に含まれておらず、震災前と比較した場合には料金の上昇要因となっているということだと承知してございます。
○北野委員 御答弁ありがとうございます。
燃料の高騰、為替等については日本単体では決められないと思うのですが、再エネ賦課金を下げるということは私たちの話合いでできると思います。
御答弁の中にありました要因の一つである再エネ賦課金ですが、政府が発表しています内容によりますと、家庭向けに請求される電気は、世帯当たりで年間一万六千七百五十二円の増加となっています。
再エネ賦課金は毎年上昇を続けており、二〇二四年度にはこれまでで最も高い三・四九円キロワットアワーにまで達しており、どこまで上がり続けるか分からない状態です。
このような中、政府は、引き続き、脱炭素政策を推し進め、CO2排出目標を二〇三〇年度四六%削減、二〇五〇年までにカーボンニュートラルを目指すとされていますが、中期目標の二〇三〇年、長期目標の二〇五〇年、それぞれの目標を達成したときの電気代は幾らになることを想定していらっしゃるでしょうか。金額のお示しをお願いいたします。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
将来の電気料金につきましては、CCSやアンモニア、水素混焼、次世代太陽電池など、発電に係る新たな技術の開発導入の状況、燃料価格の変動、人件費や発電設備の維持管理に必要な資材等のコスト変動といった様々なコストの増減による影響等を受けることに加えまして、需要家が負担する料金の水準は事業者が決定するものであるため、予断を持ってお答えすることは困難であるというふうに考えてございます。
その上で、エネルギーの安定供給と脱炭素の両立に向けた取組をしっかりと進めながら、エネルギーコストにも十分配慮することが重要だというふうに考えておりまして、そうした観点も踏まえ、引き続きエネルギー政策を進めてまいりたいと考えております。
○北野委員 ありがとうございます。
CO2削減の目標を立てられるのであれば、電気代を下げる目標も立てられるのではないでしょうか。
そもそも、各家庭での光熱費は固定費として捉えられており、この固定費の上昇は家計に大変な負担をもたらします。一方で、給料がいつ上がるのか、また確実に実現するかも不透明な状況です。国民の生活が厳しくなってから政府が電気料金の軽減負担の支援を行っても、場当たり的で遅過ぎると言わざるを得ません。
私たち参政党は、再生可能エネルギー自体を否定しているわけではありません。国民に過度な負担を強いる、行き過ぎた再エネ推進政策に反対を訴えております。
そこで、次の質問をいたします。
二〇五〇年に日本のCO2排出がゼロになった場合、地球の気温はどれだけ下がるのでしょうか。専門家の試算によりますと、日本がCO2排出をゼロにしても、気温は僅か〇・〇〇六度しか下がらないとされています。この点について、政府の分析に基づく正確なデータをお示しください。
○土居政府参考人 お答えいたします。
気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCの第六次評価報告書におきまして、一定の期間に排出された世界全体のCO2の累積排出量と世界平均気温との間には一定の関係があるということが報告されております。
しかしながら、この報告におきます世界全体の累積排出量と平均気温との関係には大きな幅があり、また、日本が将来的に排出する二酸化炭素の累積量をどの程度と仮定するかについては予断を持つことができないなどのため、御指摘の気温の変化についてはお答えが困難だというふうに考えております。
いずれにいたしましても、IPCCの報告では、世界の気温上昇を特定の水準に抑えるためには、世界全体のCO2の累積排出量を一定の範囲内に抑える必要があるということを示唆しておりまして、そのためには、世界全体で新たな排出量を正味ゼロにする必要があるというふうに考えております。
○北野委員 御答弁ありがとうございます。
そもそも日本のCO2排出量は少ないため、気温上昇に関する予測が、誤差の範囲とも言える不確かな数字を根拠にCO2削減目標を立てていると言わざるを得ません。二〇五〇年に向けて、このような根拠が不確かな気温目標に向かって巨額な予算を割くのであれば、その予算で減税を実現し、国民の手取りを増やすことが可能だと思います。
そこで、大臣に質問をいたします。
この不確かな数値を基に政府が野心的なCO2削減目標を設定するのであれば、同時に、国民が豊かに暮らせる、野心的で安価な電気料金の目標設定をすべきです。また、過度なCO2削減計画には適切なキャップをはめるべきだと強く提案いたします。この提案について、大臣の所見をお聞かせください。
○浅尾国務大臣 エネルギーの基本計画や電気料金制度については、経済産業省が所掌していることから、委員の御提案について私からお答えすることは差し控えさせていただきます。
その上で、温室効果ガスについては、世界全体で一・五度目標の実現に向け、野心的な目標を掲げ、可能な限り削減を進めると同時に、GXを通じて、脱炭素とエネルギー安定供給、経済成長を同時実現することが極めて重要と考えております。
環境省としては、省エネ性能の高い住宅の新築や省エネ改修、自家消費型の太陽光導入への支援、地域脱炭素の推進などを通じ、国際的なエネルギー市場の影響を受けやすい化石エネルギーへの過度な依存からの脱却にも貢献しつつ、温室効果ガスの排出削減を着実に進めてまいりたいと考えております。
○北野委員 ありがとうございます。
我が国の二〇二一年でのCO2排出量は、世界全体で見ると僅か三%にすぎません。そして、二〇三〇年の予測では、CO2排出量は二・二%となっております。その差は〇・八ポイントにすぎません。この不確かな気温上昇を抑えるため、さらに、世界全体で僅か〇・八ポイントのCO2排出量を減らすために、国民に厳しい生活を強いることになります。
私たち参政党は、国民生活を犠牲にしてまで進める行き過ぎた脱炭素計画には反対でございます。重要なことは、石破総理が所信表明の質疑応答で、実効性のある地球温暖化対策のためには、我が国に比べても排出量の多い国々の取組が重要であり、その取組強化に向けて対話を進めてまいりますと答弁されているように、まず、CO2排出量の多い国が積極的に取り組むことが重要だと思います。
中国は、日本の十倍に当たるCO2を排出しており、その排出量はいまだに増えております。日本が削減する以上のCO2を新たに排出しているのが現状です。本当に地球全体のことを考えるならば、僅か三%と言われる日本のCO2を減らす努力をするよりも、世界全体で排出量の多い国々のCO2削減に取り組むことこそが、地球温暖化を止める最も効果的な近道だと考えます。
CO2排出量が多い国々に対して、外国製の太陽光パネルのように好天の昼間にしか発電できない技術ではなく、我が国が誇る、より優れた発電技術を提供することで、経済発展をお互いに実現しながら、地球全体で効果的なCO2削減を進める取組を望みます。そして、安定的なエネルギー供給を通じて、私たち国民生活が豊かになるような政策について、この環境委員会で議論できることを私は望みます。
次の世代によりよい日本を残すために、参政党はこれからも国民の声を代弁してまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
私からの質問は以上とさせていただきます。本日は、ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、竹上裕子さん。
○竹上委員 日本保守党の竹上裕子でございます。初当選で、衆議院議員としては初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は環境大臣御挨拶に対する質疑でございますが、御挨拶では、気候変動対策について、二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロ、それに向けて、次期削減目標を来年四月までに国連に提出することが求められており、その裏づけとなる地球温暖化対策計画の見直しを行っているとのことでございました。
この政府方針を実現する方策の一つとして、おととい、エネルギー基本計画の原案が提示され、二〇四〇年度におけるエネルギー需給の見通しとして、再生可能エネルギー、現在は電源構成の中の二割を占めておりますが、四割から五割程度へと倍増させ、最大電源にする、その最大電源にするとの方針が示されたところにあります。
ところが、日本保守党としては、おととい示されたエネルギー基本計画は、日本の現実的な解ではないのではないか、むしろ、過度な再生可能エネルギーへの依存は、国益と環境保護、そういう意味で反していると考えております。
具体的には、再生可能エネルギーは、電力システム全体で需給を調整していく、そのコストも加味をすると、最も値段が高い電気となる可能性があります。そして、雨の日、風の吹かない日、発電量がゼロ、そういった天候による影響を多分に受けるなど、安定供給にも課題があります。
日本初のラムサール条約湿地として登録され、多くの天然記念物が生息する釧路湿原においては、その周辺なんですが、大量のソーラーパネルの設置により環境が変容しております。自然環境や景観の悪化、そういった重大な懸念が生じております。同じように、熊本県阿蘇の草千里でも、その周辺において、ソーラーパネルの乱開発による地域住民の苦しみというか、地域住民の非常に困った状況。
このように、太陽光発電とか洋上風力発電による自然環境や景観の破壊、そして外国資本による地域住民とのトラブルというのも看過することができません。加えて、太陽光発電や電力発電、その設備や材料というものが、その大部分を特定の国に依存するなど、経済安全保障の観点からも懸念があると考えております。
そこで、再生可能エネルギー政策は抜本的に見直しが必要という立場で、七点ほど環境大臣に所見をお尋ねいたします。
まず最初に、日本保守党は、電気自動車への補助金を廃止すべきと公約に掲げております。
その理由は、まず、EVのバッテリー製造過程において、それはガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車と比べて、製造過程においては一・五から二倍のCO2が排出されております。さらには、EVが充電する電気、これは家庭でも、電気のスタンドにおいても、我が国の電源構成に占める、その七割が化石燃料である、それによって発電された電気を使って充電している。そういう問題を踏まえると、電気自動車の導入は本当にCO2排出量の削減に寄与しているのかという疑問が生まれてまいります。製造から廃棄までのライフサイクル全体のCO2排出量の観点から、各種電気自動車への補助金の再検討が必要ではないか。
アメリカやそしてドイツにおけるEV優遇政策が、今現在、厳格化、縮小の方向になっております。これについて、日本についても環境大臣の所見をお尋ねしたいと思います。
○浅尾国務大臣 日本保守党の重点政策項目において、電気自動車への補助金廃止を掲げていることは承知をいたしております。
政府としては、令和三年に閣議決定した第六次エネルギー基本計画において、運輸部門の脱炭素化に向けては、自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2排出削減、燃料そのものの脱炭素化に向けた取組等を通じてカーボンニュートラルを目指すこととしております。
また、電気自動車のバッテリー製造時にはCO2が排出されるが、現時点では自動車において完全な技術がないことから、我が国では、電気自動車、燃料電池車、そして燃料の脱炭素化など、多様な選択肢を追求することとしております。
こうした考えの下、政府全体で自動車分野のGX実現に向けた戦略を策定し、その一環として、環境省としては、電動バスやトラックへの補助を実施しているところであります。引き続き、関係省庁と連携しながら、EVの支援策も含めて、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化の取組を推進してまいりたいと考えています。
○竹上委員 どうもありがとうございます。
ライフサイクル全体についての御配慮、これからも進めていただきたいと思います。
続きまして、釧路湿原、そして阿蘇の草千里、その周辺における、法の抜け穴をついたソーラーパネルの乱開発が進んでおります。平成二十三年三月二十五日、国土交通省の通達で太陽光発電施設というものを建築基準法の適用除外にしたこと、そして、その後に政府が太陽光発電の導入を促進したということが、その乱開発、駆け込みの設置なども含めた乱開発の主な要因となっているのではないかと思われますが、環境大臣にこの見解をお伺いいたします。
○浅尾国務大臣 再生可能エネルギーについては、平成二十三年八月に再エネ特措法が制定され、その翌年からは同法に基づく固定価格買取り制度がスタートし、また、関係省庁において再生可能エネルギー発電設備の設置等に関する制度の合理化も進められたものと承知をしております。その結果、特に太陽光発電の導入拡大は大きく進んだ一方で、地域で、安全面、防災面、景観、環境等への影響などに関する様々なトラブルや懸念も顕在するようになったと認識しております。
環境省としては、こうした地域の懸念を解消し、地域と共生した再エネの導入を推進することが重要と考えております。これまでも関係省庁や自治体と連携して取り組んできたところであり、引き続き、環境省も主体的に取り組んでまいります。
○竹上委員 ありがとうございます。
地域と共生した、そういう部分について本当に重要な部分になってくるかと思いますが、太陽光発電による自然環境破壊、そして、全国の各自治体が、今度は独自に太陽光発電の規制に向けた条例の制定を進めております。これは、都道府県で八条例、市町村では二百九十八条例が既に制定されています。規制のための条例の制定となっております。ソーラーパネルの乱開発に苦しむ自治体からは、国が再エネを推進してきたのだから、規制についてもしっかりと対策を講じてほしい、これが毎日新聞の今月の十二月の二日に報道された内容であります。
住民の生活環境を無視したソーラーパネルの乱開発、これをどのようにして防ぎ、そして住環境と自然環境を守るとお考えになるか、環境大臣のお考えを伺いたいと思います。
○浅尾国務大臣 近年、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、自然環境への影響等に対する地域の懸念が高まっていると認識しております。
このため、環境省としては、環境影響評価制度の運用を通じて、地域の声を踏まえた適正な環境配慮が確保されるよう取り組んでおります。太陽光発電についても、二〇二〇年四月から環境影響評価法の対象とした上で、環境保全の観点から著しく合理性を欠く場合には、事業計画の抜本的な見直しや事業実施の再検討を求める環境大臣意見を提出するなどの対応も行っております。
また、自然環境の保全上重要な地域については、自然公園法に基づき、国立・国定公園に指定した上で、地区に応じて環境大臣又は都道府県知事の許可を受けなければ開発行為をしてはならないこととするなど、当該地域における開発等について適切に規制を行っております。
さらに、近年の再エネ導入に伴う地域の懸念等を踏まえ、関係四省による有識者検討会を設置し、課題の解消に向けた検討を進めてきたところであり、例えば経済産業省においては、再エネ特措法を改正し、周辺地域への事業内容の事前周知を固定価格買取り制度の認定要件とするなど、事業規律の強化に取り組んでいると承知をしております。
今後も、環境保全や地域とのコミュニケーションが適切に図られた地域共生型の再生可能エネルギーの導入拡大に向けて、関係省庁とも連携しつつ取り組んでまいりたいと考えています。
○竹上委員 ありがとうございます。
太陽光発電の、それを設置した事業者が事業を廃止若しくは倒産ということも起きております。その際に、太陽光パネルが放置されてしまい、また、きちんと処理されない、そういう場合のその放置された太陽光パネル、その状況をどう把握していらっしゃいますか。また、太陽光パネルの廃棄物についてどう処理していくか、環境大臣に見解をお願いしたいと思います。
○浅尾国務大臣 太陽光発電について、発電事業終了後の使用済み太陽光パネルの放置等に対する地域の懸念が高まっていると認識しております。
放置等の事案に対しては、経済産業省において、情報提供フォームの設置や現地調査の強化により不適切事案を把握するとともに、本年四月に改正再エネ特措法が施行され、関係法令に違反する事業者に対するFIT、FIP交付金の一時停止措置を導入しており、本年四月から十一月までの措置件数は三百七十件と承知しております。
また、太陽光パネルの適正な廃棄、リサイクルを確実に行うための仕組みについて、本年九月から経済産業省と合同の審議会で検討を進めてまいりました。今月十六日の審議会で取りまとめ案を審議いただき、現在、パブリックコメントを実施しているところであります。
審議会では、放置対策についても議論を行っており、取りまとめ案では、再エネ特措法や廃棄物処理法等の既存制度の活用に加え、非FIT、非FIP設備を含め、解体や再資源化に要する費用の早期確保や関係者間の情報共有のための仕組みの構築が必要であるとされております。
パブリックコメント後の取りまとめを踏まえて、政府として制度的検討を進めてまいりたいと考えております。
○竹上委員 ありがとうございました。三百七十件といっても、やはりあるということについては十分考えていただきたいと思います。
続けて、日本国内の太陽光発電の事業者による設置の際の住民説明が不十分な上に、稼働後又は転売後、そのときに事業者と連絡がつかないというトラブルも起きております。何かあったときに連絡がつかない、これは非常に困った問題です。
政府は、こうした実態、そして、特に外国資本の事業者のトラブル状況についてどこまで把握しているのか、お尋ねします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
再エネの導入に当たりましては、委員御指摘のとおり、地域との共生を図ることが大前提でございます。
経済産業省におきまして、自治体からの情報提供の受付や現地調査の強化等を通じまして、御指摘の外国資本に関するものに限らず、様々な地域の懸念の把握に努めているところでございますけれども、これまで、不十分な施設管理や景観への影響などについて相談があると承知してございます。
その上で、先ほど大臣からも御紹介がありましたとおり、本年四月に改正再エネ特別措置法を施行いたしたところでございまして、主な出資者等を含む関係者情報などについて、周辺地域の住民への説明会等で事前にしっかりと周知することをFIT、FIP認定要件としたところでございまして、仮に虚偽の説明があった場合等におきましてはFIT、FIP認定の取消しの対象とするなど、引き続き、制度を適切に運用し、厳格に対応を図ってまいりたいと存じます。
○竹上委員 ありがとうございます。
対策の強化を是非ともよろしくお願いいたします。
そして、日本保守党の公約であります経済安全保障、その観点から、エネルギー分野への外国資本の参入を禁止する法律、その法整備、こういうものも検討する必要があると思いますが、その見解を伺いたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
エネルギー政策の観点にとどまらず、委員御指摘のございましたとおり経済安全保障の観点からも、国民生活と経済活動にとって不可欠な基盤である電力の安定供給が確保されることが何より重要であると承知しております。
そのため、関係省庁と連携をいたしまして、外為法の対内直接投資管理制度、また電気事業法、そして経済安全保障推進法による重要設備に係る事前審査といった各種制度の適切な運用を行っているところでございます。
引き続き、経済安全保障の観点にもよく目配りしつつ、制度の運用を行ってまいりたいと存じます。
○竹上委員 是非ともよろしくお願いいたします。
最後に、再エネの抑制ということを私たちは訴えているわけですが……
○近藤委員長 申合せの時間が既に経過しておりますので、御協力お願いします。
○竹上委員 はい。分かりました。
では、この問題については割愛させていただきますが、浅尾大臣並びに環境省、経産省、国交省、そのほかいろいろ御協力ありがとうございました。私たちも一生懸命御協力してまいりますので、皆様も努力、奮闘、よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
○近藤委員長 次に、中村はやとさん。
○中村(は)委員 皆様、お疲れのところ、本日最後の質問に立たせていただきます。無所属の中村はやとです。
まず初めに、無所属の私にも質問の機会をいただきまして、また、時間も十五分いただきまして、委員長並びに理事の皆様に御配慮をいただきましたことを、この場をかりて厚く御礼を申し上げます。
さて、私の選挙区は茨城七区です。茨城県の最西端でございます。国会を出て、車に乗れば、地元まで一時間十五分です。今朝も地元でつじ立ちをしてから国会に参りました。まさしく東京近隣と言えるでしょう。
しかし一方で、関東平野のど真ん中に位置し、広大かつ平たんな地形であることから、主に首都圏で使うであろう電力を生み出す太陽光パネルが地元の至る所で目につきます。
そういったことから、せっかく環境委員会の委員に拝命されたものですから、本日は太陽光パネルについての質問をさせていただきます。
まず初めに、再エネ特措法、いわゆるFIT法に関連する質問から始めさせていただきます。
FIT法とは、電気事業者に対して、再生可能エネルギー、電気の固定価格での買取りを定めている法律で、二〇一二年七月一日から施行されました。固定価格買取り制度として保証されているのは二十年であります。FIT初期に高い固定価格を目当てに事業参入した会社には、既に再エネ事業から撤退しているところも多いと伺っております。一時爆発的に増えた太陽光発電所が、二〇三二年から固定価格買取り期間の終了とともに運転を終える、すると、土地があり、電力との系統接続枠が確保されているにもかかわらず、放置される発電所が急増する可能性がございます。
今後は、新規の再エネ発電所を増やすことに加え、体力、資金力のある会社に適切に事業を譲渡し、再エネ設備を長期維持、リパワリング、いわゆる設備の一部入替え、リプレースが促進される制度にしなければならないと私は考えております。二〇三二年に向けて、セカンダリー取引、つまり稼働済発電所のMアンドAは間違いなく増えてまいります。しかるべき業者への集約が促される仕組みが必要と私は考えております。
その受皿となる事業者の資格として、長期安定適格太陽光事業者なる考えが出てまいりました。この資格は、ハードルが高く、相当な大手じゃないと要件は満たせません。また、ステータスだけでは事業者のインセンティブにはならないので、これを取得することによって、ある種優遇的に設備集約することができて、固定価格買取り期間が終わっていても収益にもひもづけられるようなビジネス的な導線が必要であろうと私は考えております。
そこで、再生可能エネルギーの長期安定電源化のために、来る二〇三二年以降、卒FIT事業者が多く出てくると予想されますが、既存の太陽光発電所をどのように継続的かつ有効に活用していくつもりなのかを資源エネルギー庁にお伺いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘ありましたとおり、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、FIT、FIP制度に基づき導入された既存の再エネ電源につきまして、支援期間の終了後においても長期安定的に事業継続を担保することが大変重要となってまいります。特に、二〇一二年から二〇一六年のFIT制度開始当初の五年間で導入された事業用太陽光発電は約二十九ギガワット存在しておりますが、二〇三二年から二〇三六年には二十年間の支援期間が終了することと見込まれております。
こうした電源の長期安定的な事業継続に向けまして、関係審議会において関係事業者等のアクションプランを整理したところでございまして、これらに基づき、事業に対する適切な再投資やリパワリングを促進してまいります。
多極分散構造にある事業用太陽光の長期安定電源化に向けましては、太陽光発電を社会に定着させる役割を担うことのできる責任あるプレーヤーを育てていくことも必要と承知しております。
このため、来年春頃をめどに、地域の信頼を得られる責任ある主体であること、また長期安定的な事業の実施が見込まれること、そしてFIT、FIP制度によらない事業実施が可能であること、こういった要件を満たす事業者につきまして、長期安定適格太陽光発電者として経産省が認定いたしまして、事業集約に係る手続の円滑化を図るための施策を措置する方向で検討を進めておりまして、詳細を今後詰めてまいります。
こうした取組を着実に進めることで、再エネの長期安定電源化を図り、委員御指摘のありましたとおり、我が国のエネルギー供給の一翼を担う電源へと成長させてまいりたいと存じます。
○中村(は)委員 ありがとうございます。
まさしく、エネルギーミックスに向けて、この再エネでの発電量をキープあるいは増進しつつ、さらに、今まで、既存のこの発電所が無駄にならないような、そういった施策が必要であろうというふうに思っております。
また、そういった取組をしても、リサイクル問題も懸念されます。
様々な取組をしたとしても、FIT法終了後以降、大量の太陽光パネルの廃棄物が出ることが予想されます。環境省、資源エネルギー庁の推計では、最も多くの太陽光パネルが寿命を迎えるのは二〇三〇年代後半以降であり、ピーク時には年間五十万トンと予想されております。
最終処分場の逼迫を防ぐためにはリサイクルが重要であり、リサイクル制度が整っていないことや、技術の実用化、用途の開拓が求められることなどが問題として挙げられますが、国として、こういった課題に対してどう取り組んでいくのか、浅尾環境大臣にお伺いします。
○浅尾国務大臣 使用済太陽光パネルは、御指摘のとおり、二〇三〇年代の後半から排出量が顕著に増加すると見込まれております。脱炭素化と循環経済への移行を共に進めていくためにも、リサイクルを促進することが重要であります。
太陽光パネルの適正な廃棄、リサイクルを確実に行うため、経済産業省と合同の審議会で九月から検討を進めてまいりました。今月十六日の審議会で取りまとめ案を審議いただき、現在、パブリックコメントを実施しているところであります。
取りまとめ案では、太陽光パネルのリサイクルを義務化した上で、全国各地において適正にリサイクルができる体制を構築することや、再資源化技術の開発、実証等を支援していくこと、ガラスメーカー等の需要サイドに再生材の利用を促すことについて述べられております。
今後、取りまとめを踏まえ、政府として制度的検討を進めてまいりたいと考えております。
○中村(は)委員 ありがとうございます。もう本当に問題は目前に迫ってきておりますので、早急な対応を是非よろしくお願い申し上げます。
また、このリサイクル問題に対して、解となり得る、新たな太陽光発電の形態となるのがペロブスカイト太陽光電池と私は考えております。
お手元の資料を御覧ください。
一般的に、曲がる太陽電池として認知度が上がっているフィルム型の太陽電池です。何と厚さは一マイクロメートルと非常に薄く、さらに、軽くて柔らかいという特徴がございます。現状は長期耐久性や発電効率等にまだ課題があるものの、何と日本発祥の技術で、実用化への期待が非常に高まっております。
ペロブスカイトの実用例としては、窓やあるいは建物壁面などの建材に埋め込まれた建材一体型として普及することが期待されております。また、非常に弱い光でも電気に変換できるため、例えばテレビのリモコンなどの側面に使えば、そこで電力を賄えるといったようなことも可能になると言われております。大規模な太陽光発電所は地方の大きな土地でしか造れないのが現状でありましたが、これが普及すれば、都市型、また、系統を介さない自家消費型での再エネ活用が可能となり、非常に大きなポテンシャルが期待できます。
そして何より、従来の太陽光パネルはシリコンを原材料とするため、二〇〇〇年代初頭までは日本メーカーが世界シェアトップを占めておりましたが、残念ながら、現在、太陽電池向けシリコンサプライチェーンの七九%を占める中国に圧倒されてしまっている現状がございます。
しかし、ペロブスカイトの原材料は、日本でチリに次いで世界第二位、約三〇%のシェアを誇るヨウ素であるということ、これであれば次世代太陽電池として我が国の優位性を持ちながら大量生産が可能となるということ、それによる将来的なコストダウンが期待できるということ、そして、国土がそれほど広大ではない我が国の風土にも非常に合っていることから、国内、特に都市部での普及や、また、それによる技術革新の面でも大いに期待ができると私は考えております。
そこで、太陽光パネルにおける中国メーカーへの大敗北の教訓を生かし、ペロブスカイト太陽光電池を国策として産業として育てていく必要があると考えておりますが、今後の方針を資源エネルギー庁にお伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まさに委員から御紹介いただきましたとおり、ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟、そして建物の壁面などこれまで設置が困難であった場所にも導入が可能でございまして、また、日本が優位を持つヨウ素が原材料でございますので、特定国からの原材料供給に左右されることなく、より強靱なエネルギー供給構造の実現にもつながるものとして期待を集めてございます。
経産省では、有識者、メーカー、ファイナンスなどの関係業界団体、百六十を超える自治体、そして環境省を始めとする関係省庁などと幅広い関係者を集めた官民協議会を五月より開催してございまして、この十一月に次世代型太陽電池戦略を取りまとめたところでございます。
具体的な内容としまして、過去の太陽電池産業をめぐる教訓もしっかり踏まえまして、二〇四〇年までに約二十ギガワットの導入目標、そして二〇三〇年までの早期にギガワット級の生産体制の構築、また、環境省と連携をいたしまして公共施設における率先した導入促進といった内容を盛り込んでおりまして、今後、国内外の市場を獲得していくべく、量産技術の確立、生産体制整備、そして需要の創出を三位一体で取り組んでまいりたいと存じます。
○中村(は)委員 ありがとうございます。
改めて、ペロブスカイト太陽電池は、日本発の技術であり、国策産業として育てていく必要があると考えております。ペロブスカイト太陽電池についてどのように社会実装を進めていくのか、環境大臣としての意気込みをお伺いしたいと思います。
○浅尾国務大臣 ペロブスカイト太陽電池は、御指摘のとおり、軽量、柔軟という特徴を有しており、従来の太陽電池では設置が困難だった場所への設置が可能となることに加え、主な原料のヨウ素を含め、国内でのサプライチェーン形成が期待されます。
その社会実装は、脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の同時実現を目指すGX実現に向けて極めて重要であり、供給側、需要側双方の取組が必要と考えています。
環境省としては、今年十一月に策定された次世代型太陽電池戦略を踏まえ、経済産業省と連携しながら、需要創出に向けた取組を進めてまいります。具体的には、政府施設における導入目標の検討に向けたポテンシャル調査を行うとともに、自治体を含む需要家向けの導入支援を検討しているところであります。
こうした需要創出の取組を通じ、ペロブスカイト太陽電池の早期社会実装に向けて積極的に貢献してまいりたいと考えております。
○中村(は)委員 皆様、どうもありがとうございました。
今日初めての質問で非常に緊張したわけなんですけれども。
実は、私、メディアに多数出演している経済思想家の斎藤幸平という人間の中高の同級生で、親友でございます。彼が、著書の「人新世の「資本論」」という本がミリオンヒットしたんですけれども、その著書の中で、SDGsは大衆のアヘンであるという非常に過激な発言をして波紋を呼びました。
もちろん大変過激な物言いだなというふうにも認識したんですが、しかし一方で、SDGsあるいはカーボンニュートラル、きれいな、スローガンありきの言葉の裏では、現実に即していないという現状も多分にあるというふうに思っております。
非常に、こういった時代の中で、気候変動も現実に起きてきております。子供たちに責任のある未来を残していくために、是非、この環境委員の皆様とともに、現実的に、さらに、ビジネス的な視点も視野に入れた施策を共につくり上げていきたいということを最後に申し上げさせていただきまして、私からの質問とさせていただきます。
本日はありがとうございました。
○近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時三十二分散会