第5号 令和7年4月8日(火曜日)
令和七年四月八日(火曜日)午前九時二分開議
出席委員
委員長 近藤 昭一君
理事 石原 宏高君 理事 武村 展英君
理事 平口 洋君 理事 阿部 知子君
理事 松木けんこう君 理事 森田 俊和君
理事 空本 誠喜君 理事 仙田 晃宏君
五十嵐 清君 鬼木 誠君
勝目 康君 黄川田仁志君
国定 勇人君 古賀 篤君
小林 鷹之君 坂本竜太郎君
佐々木 紀君 島田 智明君
土田 慎君 中谷 真一君
宮内 秀樹君 大河原まさこ君
川原田英世君 齋藤 裕喜君
佐藤 公治君 篠原 孝君
馬場 雄基君 猪口 幸子君
沼崎 満子君 福重 隆浩君
北野 裕子君 竹上 裕子君
中村はやと君
…………………………………
環境大臣 浅尾慶一郎君
総務副大臣 冨樫 博之君
環境副大臣 小林 史明君
農林水産大臣政務官 山本佐知子君
環境大臣政務官 五十嵐 清君
環境大臣政務官 勝目 康君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(消防庁審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(農林水産省農村振興局農村政策部長) 神田 宜宏君
政府参考人
(林野庁林政部長) 清水浩太郎君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 長崎屋圭太君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 植田 明浩君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 伊藤 哲也君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
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委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
阿部 知子君 青柳陽一郎君
四月七日
辞任 補欠選任
青柳陽一郎君 阿部 知子君
同月八日
辞任 補欠選任
深澤 陽一君 鬼木 誠君
宮内 秀樹君 国定 勇人君
山際大志郎君 小林 鷹之君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 深澤 陽一君
国定 勇人君 中谷 真一君
小林 鷹之君 土田 慎君
同日
辞任 補欠選任
土田 慎君 黄川田仁志君
中谷 真一君 宮内 秀樹君
同日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 山際大志郎君
同日
理事阿部知子君三月二十六日委員辞任につき、その補欠として阿部知子君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)
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○近藤委員長 これより会議を開きます。
理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に阿部知子さんを指名いたします。
――――◇―――――
○近藤委員長 内閣提出、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官大濱健志さん、消防庁審議官鳥井陽一さん、農林水産省農村振興局農村政策部長神田宜宏さん、林野庁林政部長清水浩太郎さん、林野庁森林整備部長長崎屋圭太さん、環境省自然環境局長植田明浩さん、防衛省大臣官房審議官伊藤哲也さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○近藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原孝さん。
○篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の篠原でございます。
いつも僕は、環境委員会のときは緑色のネクタイをしてきているんです。これは何か鈴木宗男さんもやっているので、余り一緒にされるのはよくないんですけれども、鈴木宗男さんもいつも緑のネクタイです。私はそこまで凝っていませんけれども、今日はちょっと違うんです。見えますか。くまモンです。熊に敬意を表して、別に熊本からわざわざ取り寄せたわけじゃなくて、もらっているのでやってきました。
それで、資料は配られていますか、届いていますか。まあ、資料はなくてもいいですけれども。
この熊問題、大変だと思います。世界中に熊はいて愛されているんですけれども、日本は面積が狭いし、六割から七割が森ばっかりです。職住近接じゃないですけれども、住と熊のすんでいるところとこんなに近寄って、両方とも密度が高いという国は、多分世界中でないんだろうと思います。だから、人間と熊との共生を考える上で、一番いい見本を提供しているのが日本だと思います。日本は、ちゃんとやったら世界に見本を示すことができる。
アメリカやカナダなんかもいっぱい熊がそこら中にいるんですけれども、人里近くにいませんから、ヨセミテ公園とかイエローストーン公園とか、カナダだったら、バンフ、ジャスパー、カナディアンロッキーに四つの公園があるんですけれども、そういうところで観光客と熊が余り出くわさないようにということをやっていればいいので、人里にのこのこ出てくるというのは、僕はちょっと調べましたけれども、ポーラーベア、ホッキョクグマがエスキモー、イヌイットの人たちのところへ来たりして、これは物すごく近くに来て問題になっているんですけれども、それ以外は余りないんですね。
それで、お伺いしたいんですけれども、だけれども、あるんです。そういうときに、熊と人が接したときにどのように処理しているかというのは、世界の類例はどのようになっているんでしょうか。僕は、今度の改正、理にかなっていると思います。両方からやっているんですね。両方からというのは、動物愛護団体は熊がかわいそうだと。だけれども、熊が出てきて、びくびくして生活している人のことを考えたら、そんなことを言ってられない。
個人的なことでいいますと、長野もいっぱい熊が出るんです。だけれども、ちょっと違うのは、しょっちゅう出ているんですよ、町には行かないんです。中山間地域なんか、その辺、熊がうろうろしているんです。騒がなかったら勝手に帰っていくんです。そういうのが町の中で、散歩に来て、とうとうコンビニまで買物に行ったりするので、これは大騒ぎで、熊もパニックになるというんですよね。
世界でもいろいろ考えてやっていると思いますが、どんなふうになっているんでしょうか。そういうのを把握しておられますでしょうか。
○小林副大臣 御質問ありがとうございます。
基本的に、我々も、やはり熊対策というのは人とのすみ分けだと思っていますので、いろいろな手段を講じて追い払ったりとか、あと、生活環境をちゃんとつくって、接触しないようにする。それでも、どうしても町中に出て危険な場合は銃猟ができるようにするというのが今回の法律で、御理解をいただいているというふうに思っています。
各国、同じようなやり方をやっているところがあるのかというのを確認してみると、アメリカのアラスカ州では、グリズリーによる人身被害が生じておりまして、生命財産への危険がある場合に銃猟が認められていたり、あと、ヨーロッパだとスロベニア、クロアチアなどにおいては、市街地等に熊が出没して人の生命身体への危険がある場合には銃猟が認められているというふうに承知しています。
なので、海外でも日本と同様に、市街地等での銃猟は禁止する一方で、人の生命財産への危険がある場合には銃猟を可能としているというふうに承知しております。
○篠原(孝)委員 そういう点では、誰も分かっていることですけれども、悪い臭いは元から断たなくちゃ駄目だ。まあ、悪い臭いというのは例が悪いかもしれませんけれども、熊が出てこないようにすれば一番いいんです。これの対策は、これだけ熊が近くにいるのに、なかなか取られていないんじゃないかと私は思います。
我が党の標語に、居場所と出番、全員に居場所と出番をつくると。ところが、熊の居場所をなくならせておいて、出番を人里につくっちゃっているんですね。熊の居場所をちゃんとつくってやらなくちゃいけない。これは、林野庁とか国の問題なんですけれども、環境省が相当出張っていいんじゃないかと思います。
資料、みんな届きましたかね。届いていない。届いていますか。その裏側の資料を見ていただきたい。裏側の資料に、私がしつこくしつこく、大臣と違いまして、この分野に、この裏側の篠原の審議での提案というのを、びっくりしました、調べてみたんです、二〇〇六年にこの問題はもうやっているんです。かれこれ十九年、環境省のお役人よりも長い間担当しているんです、引き続き。ちょこちょこでして、そんなに専門的にやっていませんけれども、こうやってきているんですが、一番上のところに、今日指摘していることと同じことを言っている。私は応援団ですから、環境省の。だから、余り何のメリットも私個人的には、政治家としてはないんですけれども、ここに身を置いているんですよ。
公共事業として行う最大の公共事業官庁というのは、そういうことなんです。もちろん自然環境を回復するのもあるんですけれども、だけれども、熊のすみかをちゃんとつくってやるんだというのを環境省が先頭に立ってやったって、誰も反対しないです。こういうことをしていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 先ほども小林副大臣から御答弁させていただきましたけれども、熊対策は、まずは人と熊とのすみ分けを図るということであります。
熊の居場所ということでありましたけれども、環境省では、クマ被害対策施策パッケージというものを作りました。熊対策に関連する省庁が役割分担、連携し、対策を行うことを念頭にまとめられたものであります。その中で、熊の生息環境である森林整備に係る内容は林野庁の役割というふうに整理をしております。
環境省は、所管省庁でないため直接的な森林環境の整備は行わないものの、その森林に生息する熊の個体数や生息状況の調査、モニタリングなどを担い、政府一丸となって、熊による被害抑制や生息環境の保全、整備に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○篠原(孝)委員 そんな優しい態度じゃ駄目ですね。ちゃんと林野庁の尻をたたいているのか、尻をたたくというのは表現はよくないかもしれないけれども、ネットワークで、一緒になって、一丸となってやっていただきたいと思います。
なぜかというと、今ちらっと見たんですが、後で松木さんがパネルで説明すると思いますけれども、熊は特別な存在なんですよ。アイヌも、それからアメリカでもですね。
ちょっと横道にそれますけれども、熊は自然環境の保全にどういう役割を、生態系、ネイチャーポジティブと言っていますけれども、どういうふうに担っているかというと、アメリカ大陸は新大陸と呼ばれて、海の底だった。だから岩塩がある。そんなところ、全然植物なんていうのは育たなかったんです。
どうして緑が出てきたのか。何千万年か何億年か知りませんけれども、サケが遡上したんです。サケは、北海道ではほっちゃれといって、そこで死ぬんです。その死骸が土となったんです。コロンビア川です。シアトルというか、ポートランドのところの、ワシントン州とオレゴン州の境です。それだけじゃその辺りしか土はできないんですけれども、周り中に栄養をもたらしたのは熊なんです。サケを食べて、そのふんで。
なぜ栄養をもたらすかというと、地球の栄養分は、万有引力の法則でみんな下に行くんです。だから、海底に行く。だから、湧昇流だ、黒潮と親潮がぶつかったところが、プランクトンが発生する。同じなんです。サケが栄養分を海から陸上に持っていって、そのサケを食べた熊が、そこら中にふんでもって広げてくれた。だから、シベリアの緑もそれで維持されているんです。そういうことなんです。だから、熊は特別な存在なんですね。
自然はみんなつながっていまして、これは一週間ぐらい前に、畠山重篤さんという、「森は海の恋人」という本を書いた人が亡くなった。僕は知り合いで、つき合っているんですけれども。実は、サケが森の恋人なんです、熊も。サケと熊が維持しているんですね。だから、サケが遡上できなくなったりするところ、ダムでできなくなったりすると、これは何百年、何千年の単位ですけれども、栄養分がなくなっていくんです。それで、熊は本当に保護していかなくちゃいけないものなんだと私は思います。別の存在だということです。ところが、日本はそんなのは忘れちゃって、蹴散らせ、蹴散らせと。
そして、次ですけれども、いつのときにやったかな、こういう言葉も余り国会で言ってはいけないと、言ってはいけないって、それに代わるものがないんですけれども、三番目の二〇〇七年、今から十八年前の予算委員会、若林正俊環境大臣に、熊問題、このときもあったんです。中山間地域では犬の放し飼いをしたらいいと。これは皆さん御存じだと思います。
大臣、あちこちに行ってお分かりだと思いますけれども、鎖につながれている犬で、そういうふうにルール化している国なんて日本だけです。私はとぼけた国だと思いますよ。動物愛護団体からよく文句を言われないなと思います。狂犬病に、大変だと、あれはかまれると即死んでしまう。防ぎようがないから、物すごく気を遣って、予防接種をしてやっている。
しかし、私も犬を飼っていましたけれども、畑へ行くときに、喜んで行きますよ。どこの畑に行くか、こっちへ来ると分かるわけです。先に行って、そこら中に小便を、一日中そこにいて。それで、熊は、よく知りませんけれども、人間の、どうやって計算するかは知りませんが、二千倍の嗅覚がある。犬もそうですし、象なんかもそうです。象が一番と聞きましたけれども。象は水辺のにおいが分かって移動するんだそうです。だから、動物の間には縄張があるわけです。だから、犬の小便の臭いがあったら出てこないんです。だから、長野の山の中には、みんな犬を飼っていました。
もちろん、犬と熊が戦ったら、犬はいちころで殺されますけれども、犬の小便の臭いで、犬のところに近づいちゃいけないんだなと、分野協定があるわけじゃないんですけれども、出てこないんです。どうしてこれをやらないんだとしつこく言って、もう疲れたからやらなかったんですが、久方ぶりに、十数年ぶりに言っているんです。本当にこれをやってほしいと思うんですね。
だから、オオカミを復活させて、それはもっと凝っている人は、オオカミの小便を輸入して、それをまいている。絶対効果はあるんです。生態系を乱してオオカミを絶滅させちゃったんです。その上に犬の自由な行動をストップしている。だから、東京のところはやれと言いませんけれども、中山間地域、エリア指定があるんだから、そういうところにしか熊は出てこない、東京にいきなり熊が来るわけないんですから。
そういうところでは、本当に真剣になって、簡単なんです。環境省に言うと、もう答えは決まっているんです、法律では何も禁止していません、各県が勝手にやっているんだと。そんな無責任なことがありますか。ちゃんと、分かるけれども、中山間地域では熊の出没がひどい、だから、全部いきなりやれとは言いませんよ、どっかの地域でそれをやってみて、おお、熊が何だか知らないけれども全然来なくなった、絶対にそうなるはずです。パイロット事業でやっていただきたいと思いますけれども、どうですかね。
○浅尾国務大臣 犬の御質問をいただきました。
熊の出没を抑制するためには、ベアドッグの活用を含め、追い払いの取組は重要と認識しておりまして、環境省が作成したクマ類の出没対応マニュアルにおいては、重要な対応の一つとして追い払いを掲げて、ベアドッグの取組なども紹介しております。
ベアドッグの活用については、自治体が実施する熊の追い払いについて、令和六年八月から交付金による支援を開始したところでありまして、関係省庁とも連携し、引き続き必要な支援を進めてまいりたい。
特に、今お話がありました中山間地域について、犬の放し飼いということでありますが、犬の放し飼いは、住民に危害を及ぼすおそれがあることから、自治体の条例によって禁止されている地域もあります。
鳥獣対策に犬を活用するかどうかは、地域の実情に応じて自治体により判断されるものと考えておりまして、先ほども申し上げましたように、環境省としては、ベアドッグも含め鳥獣対策に犬を活用する場合には、住民に危険がないように、飼養者の適正な管理の下で実施する必要があると考えておるところでありまして、地域の実情に応じて、必要な支援、交付金も含めて行っていきたいというふうに考えております。
○篠原(孝)委員 私が言っているのは、ベアドッグは必要じゃないとは言いません、あれは追い払うので。つまり、モンキードッグもあるじゃないですか、猿の。猿は、近づかないのは、犬を怖がって来ないんですね。熊が来ないのは、臭いで来ないんです。ベアドッグは追い払うというのはモンキードッグと同じですけれども、絶対これを一か所か二か所で、農林水産省の行政をやるときはいつもそうするんです、パイロット事業で三か所ぐらいやってみて、うまくいったらそれを全国展開するんです。環境省にはそういう発想がなくて、一網打尽じゃないですけれども、ばあっと一緒にやろうとするんです。一つか三つぐらいのところでやってみて、うまくいったらやる、それだけでいいですから、是非やっていただきたいと思います。
それで、マニュアルとかいっぱいできているんでしょうけれども、これだけ問題になっているんだから、いろいろやっていただきたいと思います。私は、銃猟がいけないとは言っていませんけれども、それは最後の手段であって、その前にやることがいっぱいあるんじゃないかと思う。
一番最近では、岩手で熊が出てきて、お寺の木に登って、吹き矢でもって麻酔銃でと。麻酔銃というのは、やったって、ちゃんと効いているか効いていないか分からないですし。なので、私の支持者名簿にある人が、おととし、わなにかかっているので、暗くなっていて分からなかったので、イノシシか鹿だと思って近づいていったら実は熊で、まだ元気がよくて暴れて、それで殺されちゃったんです。死亡したんです。
そういう事件がありますし、そう簡単にはいかないと思いますけれども、やはり、学習放獣という言葉があります。人里に近づかないようによく教えて森に帰す、こういうことをやはり積極的にしていってもいいんじゃないかと思います。生態系を守り、自然を守り、熊も守り、人も守る。そういうことを中心になってやっていただきたいと思うんですけれども、そういうことをしてきておられるんでしょうか。
○小林副大臣 今御指摘いただいたように、熊等の出没対応については、やはり出没した場所や個体の大きさなどを踏まえて、追い払いをしっかりやるとか、箱わなや網による捕獲をするとか、様々な選択肢がありますので、これらの代替手段を検討した上で、どうしても必要だというときに、麻酔銃とかを含めた緊急銃猟の実施を決定できる仕組みというふうに今回やっておりますので、お考えは一緒かなというふうに思っています。
篠原委員いつもおっしゃっていらっしゃるように、そもそも熊が出ないようにどうやって自然環境を整えていくかということですし、すみ分けがしっかりできるようにするであったりとか、あとは、やはり地域の農業がしっかり行われているとか、地域の生態系全体がうまく回っていることが根本的な解決策だと思っていますので、これは関係省庁とも連携してしっかり取り組んでいきたいということで考えております。
○篠原(孝)委員 なかなか難しいんですけれどもね。ですけれども、力の入れ方が私は足りないと思います。日本が率先してやるべきだと思います。
もう一つの資料を、熊の写真があって、グリズリーベアとブラックベアのところ、線を引っ張ってあるところ、何でこれをわざわざ資料で提出したかというと、公園にどれだけ熊がいるかというのを、何頭いるかというのを完璧に把握しているんです。個体の管理を完全にしている。これは生物、野生動物などの管理の根本です。
私は、農林水産省で三十年いたんですけれども、そのうちの三分の一は実は水産庁の関係にいたんです。資源管理、分かりますね。漁業関係で、小林副大臣はよく御存じだと思いますが、これだけの魚がいる、すぐ捕り過ぎちゃうんです。いい網を作るから、よくないんです。性能がよ過ぎて、放っておけばみんな捕れちゃうんです。それを、捕るのをやめて、来年のためにこれだけ親の魚を残しておけというのを、資源量を把握しなくちゃいけないんです。それは熊も同じなんです。
ヨーロッパは徹底しているんです。どうしてかというと、熊なんかはフランスから絶滅したというんです。何とかの森、何とかの森を残している。そこを、もうこれ以上壊さないように、鹿が何頭、イノシシが何頭、ウサギが何頭いて、個体を完璧に管理して、それが多くなると、畑に出てくる。出てこないように必ず殺して、同じのを維持できるようにするんです。個体の管理から始まるんです。
こうやって、しつこいです、何頭と、こういうところにも出ているぐらいなんです。全体でも把握しているんです。それは難しいと思うんですけれども、公園内だからできるんですけれども、外も同じなんです。それだけのお金をつぎ込んでいるんです。
今回は提出しませんでしたけれども、もう何回もやっているんですよ。獣医学部、各地にあるんです。ついこの間も日本農業新聞に出ていました。産業動物用に獣医学科を拡充する。だけれども、産業動物で、犬猫の獣医さんは面接で、もう来てもらわなくていいと。これは差別じゃないと思います。それでいいと思います。
産業動物、大家畜ですよ。家畜ということも、ちょっとよくない言葉だから、産業動物を使い始めているんです。これはちょっと嫌だから触れませんけれども、この名称問題は。一般質疑のときにこってりやりますが。
獣医学部、現在、在学生は、ちょっと前ですね、二三年ですけれども、六千九百五十六人いて、そのうち女性が四千二十九人、六割が女性なんです。男性の方が多い獣医学科というのは三つか四つしかないんです。ほとんどの人が犬猫病院に行くんですけれども、この人たちに環境省に来ていただいて、あるいは各県に行っていただいて管理をする。個体の数をまず把握しなかったら、管理できません。
これも、裏を見てください。専門家というのが出てきますけれども、専門家、これは何回言っているかというと、二〇〇六年に言っているんですね。二〇〇六年、一回目、二〇一四年、二回目。これは、丸、バツ、丸は全然ないんですね、バツは全然やっていないと私が判定しているんですけれども。三角が、まあ、多少やっているんじゃないかと。
一四年に獣医学部、ちょっと字が間違っていますけれども、卒業生をいっぱい採用すると言った。昨日、質問取りに来られた補佐の方が、この頃に採用された立派な女性でした。聞きました。もうここで質問する必要ないですが、今二十四人いると。これは、だから三角にしてやったんです。
だけれども、もっと必要だと思います。市町村なんかでやるといったって無理ですからね。国で、次が県ですよ。それで、まずは研究所ですよ。つくってください、熊の研究所。兵庫県が森林動物研究センターというのをつくっているんですね。中国山地は条件がいいから、熊も安心してすめるんですよね。長野の山の中はそんな簡単にすめない、餌がそんなにないからですね。
ちゃんと研究をして、動物行動学、アメリカには、ワイルドライフマネジメント、野生動物管理学科というのが十の大学にあるんです。大事な、環境といったら野生動物の管理だと。
同じようなので、どうでもいいんですね、コースタルゾーン・マネジメントという、私が数十年前にアメリカに留学させてもらったときにあって、何かというと、沿岸海域管理です。ラムサール条約というのは、水と土の接点が一番環境に大事だということでやっている。そうしたら、東京水産大学に十年後ぐらいに、全く同じ、沿岸海域管理学科というのができているんです。
だから、同じようにしていただきたいんですね。動物行動学あるいは野生動物管理というのを、大学に働きかけて、そうしていただきたいし、まずは率先するべく、環境省の中に、研究所はあります、だけれども、熊専門の研究所をつくってください。そこに優秀な研究者を招いて、そこから、熊はこういう生態だよ、個体管理もきちんとしてというふうにやっていかないと、行政は進みません。一番基は数字です。これを是非やっていただきたいんですよ。大臣の就任中にこれは号令をかけてやっていただきたい。
○浅尾国務大臣 熊の研究所をつくっていただきたいという御要請をいただきました。
環境省で熊の研究所を設置する予定そのものはありませんが、熊を含む鳥獣関連政策は、国立環境研究所や森林研究・整備機構といった、国立研究開発法人や大学、民間機関の研究者等と連携し、専門的知見を得ながら進めているところであります。
環境省では、自然系技官、いわゆるレンジャー職として、森林生態学や生物学など自然環境に関する分野を学んだ学生を幅広く採用しており、この中には、今お話がありました獣医師の資格を持つ者も含まれております。
また、この四月から、熊の出没が多い地方の地方環境事務所に熊対策に従事するクマ対策専門官のポストを新設し、熊に関する情報の収集や出没時の対応訓練等に向けた体制を強化したところであります。
今後も、専門的なスキルを持つ職員の拡充に努めるとともに、各種機関の専門家とも協力し、専門的な知見を得ながら、熊の生態把握や管理を進めてまいりたいというふうに考えております。
○篠原(孝)委員 専門家、専門家というけれども、本当にちょっと特殊な分野です。世間にアピールしなくちゃいけないですから、冠が必要なんです、冠。環境はみんなやっています、研究をやっていますなんて、農業研究所と、それだけで、何をやっているか分からないんです。熊を研究所の一番先につけて、その研究をやっているんだというふうにしてやっていただきたいと思います。
これは出てこない方のですけれども、出てきたらどうするかというのも、みんな同じなんです。全然手を打たないでいるんですね、こっちも。猟友会が高齢化している、減っている、五十万人いたのに今十万人だ、若い人がいないと。そんなの、もう手に取るように分かりますよ、いないんですよ。
そして、これは初めてです、提案するのは。五年後も私がまた国会議員をやって質問したら、五年たったけれども何もやっていないと、同じことで追及しますけれども、これはさっさとやってください。
僕は、消防団の人にやってもらったらいいんじゃないかと。県庁の職員、県の職員、市町村の職員がやっています、狩猟免許も取って。個人じゃなくて、自治体がお金を出して研修、コアカリキュラムというのを環境省もやっている。そこに消防団員。なぜかというと、役職が変わりますね、役所は。だけれども、消防団員は、そこに住んで生活しているから地理感もあるし、分かっているんです。
それで、ここから大事なんですけれども、災害、火事、水害とかをいつもやっている。だけれども、その中に、これも災害ですよ、熊の。このときに、これなので助けてくれと。そうしたら、みんな集団で研修を受けて、銃を持ってやれる。ハンティングもできるようになるし、皆さん、集団で楽しんでやってくれるんじゃないかと思います。是非そういうふうに総務省に働きかけていただきたいと思いますし、太っ腹の総務省はすぐ受け入れるんじゃないかと思います。続けてお答えいただきたい。
○浅尾国務大臣 消防団の皆さんが、いろいろなときに出動していただいて地域の安全のために努力をされているということで、今の委員の御提案のことについても、よく検討し、総務省とも相談をしていきたいというふうに考えております。
○冨樫副大臣 篠原委員のお話もよく分かりますけれども、消防団は消防組織法に規定された消防機関でありまして、消防の任務である、国民の生命身体及び財産を火災から保護する、あるいは、水災、火災、地震などの災害を防除し、それからの災害による被害を軽減すること、災害などによる傷病者の搬送を適切に行うなど、このことについて従事をさせていただいております。
このため、消防団の任務としては、銃猟に従事していただくことは難しいことだというふうに考えておりまして、そうはいうものの、消防団員が地域住民の一人として法令に基づき銃猟に参加、協力していただくことは考えられるというふうに理解しております。
○篠原(孝)委員 そこそこ優しい答弁ですけれども、それじゃ駄目ですね。なまくらですね。ちゃんと組織的にやって、簡単ですよ、法律改正すればいいんですよ。環境省だってやっているわけですから、猟銃でやっていいというのを。消防法の中にちゃんと定めて、やってくださいよと言ったら、喜んでやってくれると思いますよ。こういうのはやはり政治判断です。
最後に大臣にお願いですが、これからちょこちょこやりますけれども、環境問題は幅広いんです。ですから、一般質疑を理事さんの皆さんにもいっぱい、ちゃんとやっていただきたいと思います。法律を通すための審議というのは、それはやりますよ。やりますけれども、いっぱい、山ほど転がっている。
そして、環境問題は、ほかがみんななまくらで駄目なんです。えいやとやる。今度示しますけれども、政治で解決するのがあるので。石原宏高さんのお父さんの石原都知事は、いいことをされているんです。参議院の宿舎を建てるというのを、駄目だと、緑を守っている。石原、猪瀬コンビ、ちょっと荒っぽいコンビですけれども、荒っぽいからできたんです。それから、真鍋賢二さんという環境庁長官は、藤前干潟、あれを大臣の一声でストップしたんです。それから、初代環境庁長官の大石武一さんは、尾瀬、尾瀬沼の開発をストップしているんです。
大臣、幾らでもできるんです、人のところに文句垂れて。文句垂れてじゃなくて、優しくアドバイスする。だから、大臣の任期中にこういうのを、まあ、力のある大臣ですから、一つじゃなくて二つぐらいやってほしいんですが、どれをやってほしいかというのをこの次に言いますけれども、本当に環境大臣はそういうところに目配りしてやっていただきたいと思うんです。
そういうのは幾らでも転がっているんです。是非そういうことをしていただくことをお願いいたしまして、これについても、まあ、いいんですが、これはささやかですよ、熊の研究所をつくるなんというのは大臣の鶴の一声でできるはずですから、これは絶対第一号としてやっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、川原田英世さん。
○川原田委員 立憲民主党の川原田英世です。
鳥獣保護管理法について何点か質問していきたいと思います。
資料、まだ届いていないかもしれませんけれども、雪解けが進んできて、私の地元でももう既に熊が出てきていて、被害も発生しています。携帯のスマホに地元のお知らせメールで、災害が起きた場合にメールが来るようになっているんですけれども、熊が出ましたという情報が既に出てきていて、地球温暖化の影響もあって、熊もゆっくり冬眠できないで出てくるんだなと。そうなると、例年と違って、やはり環境が変わっているので、熊の心情を考えると、おびえながら出てきているのか、おなかをすかせて出てきているのかという状況なんじゃないかなと思っています。
先ほどの篠原先生の質問を聞いていても、そういった熊との共生というのがすごく大切だなと思っていると同時に、出てきてしまう、環境の変化によって市街地に出てきてしまうというのは、やはり対処しなくちゃならないということは、それはしようがないことだというふうに思っていますが、やはり、文言の使い方について私は少し疑問を感じるところがありますし、また十分な法律として上がってきているとは到底言えないんだろうなと。ただ、今のこういった状況を考えると、対処しなくてはならないという状況なんじゃないかなというふうに私は前提として考えているところです。
特に、今回のこの改正で、地域は混乱するだろうなと思っています、地域は混乱すると思っています。よっぽど丁寧な説明を行わないといけないんだろうなというふうに思っているところです。
ですので、何点かお伺いをしたいなというふうに思っているんですが、法案の改正の内容を見ると、やはり自治体の責任というのが重くのしかかってくるというふうに思うわけです。特にその中で、いろいろと自治体が判断しなくてはならないということが重たい責任としてのしかかってくるというふうに思うわけです。
そこで、まず一つ目、日常生活圏という文言についてです。
日常生活圏というのをどこに定めるのかというのはすごく難しいと思うんですね。昨今、議論があるように、私たち、危険という言葉、これは使ってほしくないと思っているんですが、ただ、日常生活圏に一歩踏み込んだら危険になって、そうじゃなかったら危険じゃないというような議論がこの前ありました。日常生活圏というのは一体、誰が、どこで、どういうふうに決めるんですか。その決め方によってこの法律の運用というのはすごく変わってくると思うし、日常生活圏の在り方というのが問われてくると思っています。
なので、まず、日常生活圏というのはどのようにして決めていく考えなのか、このことを確認したいと思います。
○浅尾国務大臣 市町村が緊急銃猟の判断を円滑に行うためには、地域の実情を踏まえて、事前に一連の対応方針を十分に整理するとともに、訓練を通じて関係者間の連携を図り、体制を構築していくことが重要です。
環境省としては、策定する緊急銃猟ガイドラインにおいて、事前準備から捕獲後に至るまでの各段階における必要な対策、情報や留意事項を網羅的に整理する予定であり、自治体の方々にしっかり御活用いただけるよう、御意見もよく伺いながら、分かりやすく内容が充実したものとなるようにしていきたいと考えております。
その中で、御指摘の日常生活圏については、法案では、住居、広場、その他人の日常生活の用に供されている場所などとしており、人が生計を立て、また、ふだんの生活で行動する範囲を想定しております。
この具体的な定義についても、ガイドラインや法解釈の通知を通じてお示しすることを予定しており、各自治体が判断に困らないよう、分かりやすくお示しできるよう準備を進めてまいりたいと考えております。
○川原田委員 そこの基準というか、そこをしっかりと示していかないといけないというふうに思っています。
私の地元だと、農家さんが、山奥で農家をされている方があって、通学のスクールバスが来るんですね。この前伺ったときは、三日前にバスの乗る場所にまさに熊が出ましたよという話がありました。そこは日常生活圏なのかどうなのかというところ、そこをしっかりと示さなくちゃいけないというふうに思うところですけれども。
今のだと、地域によって受取方が違って、私の町はここは生活圏、ここは法の適用範囲です、でも、隣の自治体だとそこは入りませんだとかになると、これもまた自治体によって差が出ちゃうと、またそこで責任問題が発生しちゃうわけですね。隣の町はここはいいんだけれども、うちの町はそうじゃありませんとか、そういうふうにならないように、しっかりとしたガイドラインが必要だというふうに思っていますし、とはいっても、でも、自治体独自の判断というのもまた求められるというのもあります。
そこの、隙間というか、そこはどこで線を引くのかというのはすごく難しいと私は思っていて、この日常生活圏、国としてしっかりとした指針を示すと同時に、地域の声もしっかりと聞くということをやっていただきたいというふうに思っています。
もう一つ難しいのは、生活圏というところと同時に、警察官職務執行法第四条とのすみ分けだというふうに思っています。今言った、エリアとしてもここをまたいだらこの法律の適用で危険な動物だというふうに言っちゃうのかというのと同時に、じゃ、どこで警察官の職務執行法の第四条とすみ分けをしていくのかということがすごく難しいと思います。
特に、ハンターの皆さんがいつも心配しているのは、やはり手負いの熊になった場合の危険性ですよね。一度の銃弾で残念ながら仕留めることができなくて、ハンターに向かって突進してきてけがを負うなんてことは、これは命に関わる問題で、結構あります。そういったときに、じゃ、誰がそのハンターを守ってくれるのか。
そうなると、確実に警察官職務執行法第四条ということになるんだと思いますけれども、じゃ、その現場にちゃんと警察官がいるんですか、この法改正によって警察官の責務が変わっちゃうんじゃないですかという心配の声が地域から上がっているんですけれども、こういったことがないのか、警察としてどう考えているのか、お伺いします。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
警察では、市街地に熊等が出現した場合、これまでも、速やかに市町村や関係機関等と連携し、地域住民等の安全確保のための避難誘導や交通規制、警戒活動に当たっており、安全な場所への避難等が円滑に行われるよう、市町村等との合同訓練を行うなどしてきたところでございます。
鳥獣保護管理法改正後も、当然のことでございますが、これらの警察の対応に変わりはなく、引き続き、市町村を始めとした関係機関やハンターと連携協力いたしまして、熊等による人身被害を防止してまいります。
○川原田委員 分かりました。
是非そう進めていただきたいと思いますし、日常的なコミュニケーションも非常に重要だというふうに思っています。また、避難についても、今答弁いただいたとおり、警察の担う部分というのは明確にあると思いますので、日常的なコミュニケーションをしっかりと自治体とハンターの皆さんと取って進めていただきたいというふうに思っています。
次に、もう一点、地域からどうなるんだろうと不安の声が上がっているのは、責任の財政的な負担、何かがあったときには財政的な負担が生じるのではないかということです。
これについては保険の加入ということがありました。そういった民間の保険があるということだと思いますけれども、これにはやはりしっかり入っていただきたいというふうに思うんですが、その説明もちゃんと自治体にしていただきたいんですけれども、そのコスト、保険の加入料などは国が見てくれるのかな、そういった声も上がっているところです。
そこを確認したいのと、地域の自治体から上がっているのは、そのときの事務的な手続がすごく複雑で大変なんです、環境省と農水省とに分かれていて、いろいろと事務的なものは地域の負担になるんですという声が上がっているんですが、そういったことを改善していただきたいと思うんですが、その財政的な部分と事務的な部分、どう進めるのか、お伺いします。
○植田政府参考人 お答えいたします。
市町村長が緊急銃猟の実施に伴う補償を行うことになる場合には、市町村長が契約する保険の活用を想定しております。そして、当該保険の保険料は、環境省の交付金により財政支援が可能であります。
また、保険加入に係る手続を含め、市町村が円滑に対応できますよう、ガイドライン等により緊急銃猟に係る手続を明確化するほか、説明会を開催するなど必要な支援を行い、手続面でも負担の軽減に努めたいと考えております。
○川原田委員 今の答弁の内容どおり、しっかりと進めていただきたいというふうに思っているところです。やはりまずしっかりとした周知を行っていただきたいというふうに思います。
まだ聞きたいことがいっぱいあるんですけれども、絞って進めていますけれども、次に、大前提の部分をちょっと振り返ってみたいと思います。
この改正が必要になってくるよというのは、やはり北海道で起きた砂川での事件というのが大きな問題でした。今も地域でハンターの皆さんとお話をしていると、もう絶対やらないよと言われるんです。もう絶対熊の対応なんてしない、もうあんなことが起きたから絶対関わりたくないと言われるんです。そういった状況になっていますので、ハンターの皆さんに対する理解を求めていくということは本当に大事だというふうに思っています。
ですので、間違ってでもこの前みたいに、何か報道を見ると、まるでハンターが悪者かのように扱っているような報道もあったりとかしますけれども、そういったことにならないよう、絶対的なハンターの皆さんへの担保というか、そういったものが必要だと思いますが、いかが考えているのか。
また、今、現状の制度で信頼を失っているハンターの皆さん、先ほど言ったような、もう絶対関わらないぞと言っているようなハンターの皆さんへの信頼回復をどのように進めるのか、お伺いします。
○浅尾国務大臣 熊等が人の日常生活圏に出没した場合には、地域の関係者が連携して対応することが不可欠であります。
その中でも、御指摘のとおり、ハンターの皆様に安心して対応していただくことができる環境整備が重要であり、制度の検討に当たって、ハンターの方々から御意見をいただいてまいりました。
緊急銃猟は、市町村長が主としてハンターに委託して実施することとしておりますが、銃猟を行うことの決定や、そのための安全確保措置など、緊急銃猟の実施の責任は市町村長にあり、委託を受けたハンターが責任を負うものではありません。
また、委託を受けたハンターには腕章等の着用義務があり、市町村長から委託であることを明確にした上で、物損や万が一の人身事故が生じた場合には、ハンターではなく銃猟を委託した市町村が補償や賠償を行うことについて制度的に担保することとしております。
こうした制度の内容については、今後作成するガイドラインにおいても周知し、ハンターの皆様に安心して御協力いただけるようにしてまいりたいと考えております。
○川原田委員 分かりました。
今答弁いただいたように、となると、今度は自治体の責任だということになります。
自治体でもう一つ困っている点は、判断をできる人材がいない、人材の育成をどうするんだという声が上がっています。今、現状で、なのでこの法で、さあ地域で対応してくださいと言われても、本当に皆さん不安になるのは、やはりどうしていいか分からない、誰がそこを決定するんだとか、そういったことになってくるというふうに思います。
やはり、そういった点でいくと、先ほど人材育成については篠原先生からもありました、そういった知見を持った人が自治体にしっかりといるということがこれから先は非常に重要になってくるというふうに思っているんですけれども、その点はこれからどのように進める考えがあるのか、お伺いします。
○浅尾国務大臣 現実問題として、喫緊に差し迫っている熊の人の日常生活圏への出没対策については、銃猟や熊の生態に精通する猟友会等の協力を得ながら対応を進めざるを得ない状況にあり、御協力いただいているハンターの皆様には感謝を申し上げます。
その上で、鳥獣管理の専門的知見を有する自治体職員や、地域の状況に応じて自治体職員のハンターを育成していくことも必要であると考えております。
環境省としては、人材の育成について、大学等と連携し、鳥獣保護管理に関する統一的な専門カリキュラムによる若手人材の育成サポート等に取り組むとともに、御指摘の自治体の人材確保、育成に係る取組についても、交付金により支援をしてまいります。
引き続き、関係機関とも連携して、自治体職員のハンターも含め、必要な人材の育成、配置に係る支援を進めてまいりたいと考えております。
○川原田委員 分かりました。
今大臣から答弁があったように、今はまだ、対策というのは緊急的なものも含めて現状でできることをやるということで、ただ、やはりハンターの高齢化も含めて、これからまだまだ対策は、変えていかなくちゃならない、講じていかなくちゃならないんだというふうに思います。これからも、そういったことで、状況を見守りながら検討を続けていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。
○近藤委員長 次に、松木けんこうさん。
○松木委員 松木でございます。
今、最後に川原田君がいい質問をしたなと思うんですけれども、今回は取りあえず緊急的にやるんだ、こういう話なんですけれども、それじゃ、いつ頃までにこれはちゃんとしたことをやるのかというのがちょっと知りたいなというふうに思うんですけれども、大体の目安はついているんですか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
もちろん、法律が通りました後は、改正に六か月をかけます。改正というか施行に六か月以内であります。その間に、きちんとガイドラインを作って、市町村の方々にまず周知をして施行していくということに全力を挙げたいと思いますし、今年度内にできますことは既に予算も含めて計上をさせていただいておりますので、そういったことで、今年度内にできることをまずは進めていきたいと思っております。
○松木委員 それじゃ、局長、いろいろな方策はあると思うんだよね。例えばベアドッグというのもありますよね。ピッキオというNPO法人が軽井沢でかなり成功させて、篠原さんがさっき言った犬のおしっこの話なんだけれども、いわゆる人身事故が起きなくなったという話もあります。そして、北海道は白滝村というところだと思うんですけれども、そこら辺で、北大の先生がいわゆるベアドッグの研究をなされています。先ほど、ちょっとはお金がついているという話もあったんだけれども。
そういうことも含めて、根本的な対策というのはこれからも推し進めていくべきだというふうに思いますけれども、是非そういうことにまた予算をつけられるように、環境省の事務次官はたしか財務省出身のおじさんだよね。だから、その人をよく使って、お金をやはり余計取らなきゃできないですよ、お金がなきゃ何もできないんだから。局長、どうですか、頑張りますと一言言ったら。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
今年度予算でも、熊対策予算としておかげさまで増額して計上させていただいておりますけれども、更に次の年度は計上を多くして、対策を総合的に取れるように頑張ってまいりたいと思っております。
○松木委員 これからもしっかりやってください。
そして、今回の法律改正というのは、よほどのときに射殺やむなしということなんですね。出てきたらもうやっちゃえやっちゃえ、こういうふうに言うやつもいるわけですよ。中には、今回、修正案を出したいなと思って、名前だけ、危険をとにかくちょっと変えてくださいよという話を随分したんだけれども、なかなか環境省さんも堅くて、まあ気持ちも分からないじゃないんだけれども、そんな中で、個人的なことは言わないけれども、後援会長が襲われたことがあるんだから、あんなもの危険だ危険だと決めつける人間もいれば、そういう人間もいるわけですよ。
片や、やはり、岐阜の知事をやっていた、嘉田さんっているじゃないですか、あの人なんか、自分が知事のときには熊を殺さなかったはずなんですよ。ほとんど殺さなかったのか一頭も殺さなかったのかまでは僕は分からないんだけれども、だから、そういう嘉田さんの、どういう政策を取ったなんというのも、これも一度よく聞いてみたら私はいいと思いますよ。
いずれにしましても、これはもう一度確認しますけれども、どんどんどんどん射殺する、そういう気持ちで作った法律ではないということだけは言えますか。
○小林副大臣 松木委員おっしゃっていらっしゃるとおり、この緊急銃猟制度は、熊による人の生命身体への危害を防止する措置が緊急に必要であり、銃猟以外の方法では的確かつ迅速に熊の捕獲等をすることは困難である場合に限って実施するものでありますので、今おっしゃっていらっしゃったように、どんどん出てきたらすぐ撃つんだ、こういう考えではないということは明確に申し上げたいと思います。
熊が出没した際に、人身被害の防止が何よりも重要だと考えておりますが、全ての熊を銃猟しなければならないものではなく、現場の状況によって、追い払いやわなによる捕獲等を含めて、適切な手段を選択して対応すべきものだと考えております。
熊による人身被害を軽減するためには、そもそも熊の出没を抑制する対策を徹底して、出没自体を減らすことも重要でありまして、そのような総合的な対策を、先ほどの予算も含めて推進してまいりたいと考えております。
○松木委員 是非気をつけながらやってください。
そして、これは私が質問するはずじゃなかったことなんですけれども、篠原さんがさっき、熊の研究所をつくれという話をしましたでしょう。あれ、結構有効かなと思うんですけれども、大臣が、今すぐ、じゃ、つくりますと言えればいいけれども、そういうことにもならないだろうけれども、これ、本当にちょっと検討していただけたらありがたいなというふうに思いますので、それは、答えは一応いいです、そのままで。是非つくっていただきたいというふうに思います。
そして、皆さん、今、緊急銃猟という言葉を使ったじゃないですか。緊急銃猟という言葉を使っから、緊急対処鳥獣でいいんじゃないかなというふうに実は思ったんですね。これ、空本君という非常に頭のいい方が、うちの理事が考えてくれたんですけれども、後で修正案を出すんだけれども、結局否決されるという、石原筆頭理事が賛成してくれるんじゃないかなと思っていたんだけれども、なかなかそうはいかないというのは本当に残念だなというふうに思っていますけれども。
私が何でこんなことを言うのかというと、熊というのは、皆さん、北海道ではやはり、先住民族でアイヌの人たちがいますよね、アイヌの人たちから、これは神様なんですよ。そういうことで、神様は危険人物みたいな言い方はないでしょう、だから少しそういうことをやはり私は考えた方がいいと思っているんですよ。
そこで、ちょっといいものを持ってきましたので、皆さんに見せますね。(パネルを示す)分かりますか、これ。上、これはヒグマ、これが鯨なんです。皆さんも見ますか。こんな感じで。よかったら見てください。余り興味もなさそうな人もいますけれどもね。
これは何かといいますと、それぞれの神様がいるという話なんですけれども、「カムイ アリ エトゥナンカラ」、神々との出会い、こういうやつなんですけれども、これ、結城さんという方、札幌のアイヌ協会の会長さんだったかな、が描いていただいた版画なんですよ。結構高いんですよ、買うと。欲しかったらいつでも御紹介しますけれどもね。ここで、ニュージーランドのマオリ族の神様は鯨なんですね、そしてアイヌの神様は熊、これが一つの太陽の下にいて、海に囲まれて、出会ったという意味を込めて作った、こういうふうに言っているんですけれども、このぐらいアイヌの文化にとっては、熊というのは非常に大切なものなんですよね。
それが、ちょっと、言葉が過ぎるとまでは言いたくはないけれども、しかし、やはり、危険なものだ、そういう決めつけというのは非常に、例えば猟友会の人たち、北海道もそうですし、かなりいろいろなところの猟友会の人たちも、危険という言い方をするのはいかがなものかということも随分言っているんですよ、皆さん。ただの自然保護団体とか、熊は好きだから、かわいいからと言っている人たちだけじゃありません。いろいろな方が、こういう言葉の使い方というのはよくないという話をしています。
その中で、猟友会の人たちから、これを質問してくれと私に言われたんですけれども、生物多様性基本法というのがありますよね、これを理解しているならば、何で危険鳥獣という言葉をつけるのだというふうに聞いている方がいまして。
この生物多様性基本法では、これからの次世代のために国民への道徳的理念で教育されていくということが大切なことであると、そこをこの法律は挙げているのに、片方で、安易な言葉を用いて、国民に熊イコール危険というようなことにもなりかねない状況を生むことになる、このような法律を作ることは生物多様性基本法にバッティングしているのではありませんでしょうかというようなことを是非私から聞いてくれ、こう言われましたんですけれども、お答えをお願いします。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
生物多様性基本法は、御指摘のとおり、豊かな生物多様性を保全し、その恵みを将来にわたり享受できる自然と共生する社会を実現することを目的としているものであります。
熊対策につきましても、人と熊のすみ分けを図るという考えの下、捕獲だけでなく、生息環境の保全、整備や、人の生活圏への出没防止など、総合的な対策を講じることが重要と考えておりまして、令和六年四月には関係省庁とクマ被害対策施策パッケージを取りまとめたところであります。緊急銃猟は当パッケージにおける施策の一つとして位置づけられているものであります。
このため、人の日常生活圏においてやむを得ず実施される緊急銃猟が、生物多様性基本法の目的であります自然と共生する社会の実現、これと矛盾しているとは考えておらず、緊急銃猟の対象は、人身被害リスクが高い鳥獣であることからすれば、危険鳥獣という名称で適当であるというふうに考えております。
○松木委員 法律そのものは仕方のないところはもちろん分かっているんです。それが出てきたら、どうしても、猟友会の人たちも言っていました、俺たちは殺したくて殺すわけじゃねえぞということも言ってくれました。ただ、危険というレッテル貼りがよくないんじゃないのというだけのことなんですよ。
ですから、今回はこれで決まるんだろうけれども、しかし、どこかでもう一度、この言葉、緊急銃猟という言葉もあるんだから、緊急対処鳥獣でも十分に私はいけると思いますので、それをもう一度、大臣、ちょっとどこかで、猟友会の人たちもかなり言っていますからね、是非、すぐ今変えるという話にはならないのは分かりますけれども、ちょっと考えてみていただきたいんですけれども、どうでしょう。
○浅尾国務大臣 委員御指摘のとおり、熊に対して様々な捉え方があることは承知をしております。
その上で、今回の改正案では、国民の安全、安心を確保するため、人の日常生活圏における緊急銃猟制度を創設することとしております。
この緊急銃猟の対象となる鳥獣は、現に人家周辺での人身被害が多数確認され、被害を受けた際には重傷化リスクが高い鳥獣を想定していることから、本法案において危険鳥獣という名義で定義することが適当だと考えております。
なお、今回の改正案では、奥山における熊の緊急銃猟が実施されるものではありません。熊対策は、人と熊のすみ分けを図るという考えの下、奥山での生息地保全や誘引物の管理、除去など、捕獲に偏らない総合的な対策を関係省庁と連携して推進していくことで、委員御指摘のことにも対応していきたいというふうに考えております。
○松木委員 もう時間ですから、これで終わりますけれども、熊というのは、何頭も一遍に子供ができるということではないようなんですよね。意外と繁殖力はそんなに高くないですから、どうしても出てきたものを殺すというのも分かるし、それは人間が何だってファーストであることは事実だけれども、やはり九州なんかは絶滅していますわね。
だから、そういうことをやはり重々気をつけてやっていかなきゃ、生態系というのはありますから。熊がいるというのは、アイヌの人から見ると、これは神様の化身なんですよね。北海道は寒いですからね、熊の毛皮にもなりますし、そしてお肉も食べられる、それが神様なんですよ。面白いでしょう、これ、アイヌの人たちの考え方というのはなかなかすてきな考え方なんですけれども。
いずれにしても、やはり、自然を大切にしながらやっていくのが先進国である一つのあかしでもあるじゃないですか。日本がよい国である、そしてすてきな国だということのあかしになると思いますので、是非そういうことを頭にしっかり入れながら、これからも環境政策を頑張っていただきたい。局長も頑張ってください。
以上です。ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、空本誠喜さん。
○空本委員 日本維新の会の空本です。今日も、質問、よろしくお願いいたします。
まず、お手元に資料を配付させていただきます。そちらが届いたら。皆様に届いていますかね。
まず、資料の、配付資料一番でございますが、この鳥獣保護管理法に基づく指定状況。熊とかイノシシの位置づけ。危険鳥獣とは、特定鳥獣とは、指定管理鳥獣とはということで、環境省さんの方にこれを作っていただきました。そして、下の方の緊急銃猟の考え方というところで、これも環境省の方に、どの場面で危険鳥獣として銃猟していいのかというのが、模式的にポンチ絵として示されております。
熊その他の人の日常生活圏に出現した場合に人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれが大きいものとして政令で定める鳥獣であるということでございますが、この模式図等で、熊全体は危険鳥獣ではない。イノシシも、すみかによっては危険鳥獣ではない。ただし、日常生活圏に出てきて、そして、人体、人の生命とか財産とか、そういったものに危害を及ぼす場合において、危険な鳥獣、それも熊とイノシシに限定しているということでよろしいんでしょうか。まず、定義づけをお願いいたします、環境省から。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
まさに委員御指摘のとおり、本法案における緊急銃猟の対象となる鳥獣につきましては、人の日常生活圏に出現した場合に人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれが大きいものとして、人身被害リスクの高い鳥獣である熊、イノシシを想定しております。
○空本委員 質問の順番をちょっと変えさせていただきまして、この中で、昨年十月に、中山間地域、京都府の福知山市の農家の方が、多分日常生活圏である田んぼの中で、野生の鹿に襲われて、男性の方、農家の方が死亡されたという事例が発生しています。繁殖期の野生の雄の鹿というのは凶暴であるということなんですが、そういう鹿は対象鳥獣とすべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
御指摘のニホンジカでありますが、やはり一般的には熊、イノシシに比べて人身被害リスクが小さいということから、危険鳥獣とはしない想定であります。
○空本委員 熊とイノシシの場合は、やはり体も大きいし、そして、といいながら、鹿の場合も結構、出てきて危ない場面も、私も中山間地域をよく歩いていますので、出くわしたり、軽自動車で走っていると、ぶつかるとこちらもやられてしまいそうなことも結構ありますので、そういった意味で、鹿だって場合によっては危ない。
そういった意味で、やはりこの定義づけというのをもう少し丁寧に行っていただきたいんですが、どうですか。環境省の方、いかがでしょうか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
繰り返しになりますけれども、やはり、ニホンジカにつきましては、これまでの人身被害の件数でありますとか重傷化の件数から見ても、人身被害リスクが熊、イノシシに比べて小さいということは明らかであります。
それと、この法律のたてつけの観点から申し上げましても、可能な限り対象とする鳥獣はできるだけ抑制的に、必要最小限とすべきという考えから、熊、イノシシに限るという方向にしたいと考えております。
○空本委員 いろいろガイドラインを作る際には、定義づけをしっかりお願いしたいと思います。
先ほども川原田議員から質問があったんですが、どこまでの範囲を日常生活圏とするのかというところが少しぼやけているといいますか、相当ぼやけていると思うんですね。
実は、私、今、顔がちょっと真っ黒なんですけれども、篠原議員の選挙区の野沢温泉村に、この週末、スキーの指導員の資格を持っていまして、その更新のため研修会に出席してきたところなんですが、大臣の御親戚と私、もう四十年来のスキー仲間でございまして、一緒にスキーをやったんです。
そういった意味で、野沢温泉村とか、すごくいい場所で、例えばレストハウスとかスキー場に、そういうところに熊が現れて籠城しちゃったという場合、どうなんでしょうか。日常生活圏というのはどういうふうに判定するのか、御説明をお願いします。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
まずは、法案におきまして、人の日常生活圏は、御指摘のとおり、住居、広場その他の日常生活の用に供されている場所などとしております。条文に例示した住居や広場のほか、生活用道路、商業施設、農地その他の勤務地など、人が生計を立て、また、ふだんの生活で行動する範囲を想定しております。
でありますので、人の日常生活圏、先ほどの御指摘のようなスキー場も、ふだんの生活で行動する範囲、あるいは生活、住居などがあるということであれば、日常生活圏には入り得るということかと考えております。
○空本委員 そこが国立公園だったらどうですか。志賀高原とか、そういうところは国立公園の中なんですよ。国立公園の中で勝手に、本当に市町村の許可を得て撃てるということでよろしいんですか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
やはりこれは緊急銃猟制度でありますので、危険が迫っている状況でありますので、国立公園であるから駄目ということはありませんで、人の日常生活圏でこの条件が整った場合には、緊急銃猟制度の対象となるものと考えております。
○空本委員 そうならば、先ほど松木先生の方から話があったように、危険鳥獣というよりも緊急対処。緊急対処、緊急という言葉は私が提案させていただき、対処というのは維新の同僚議員のお医者様の猪口先生が提案されて、それで緊急対処鳥獣ということを提案させていただいたんです。
そうならば、本当に危害を及ぼすかもしれない、でも危険な鳥獣じゃない。国定公園の中では、若しくは国立公園の中では、熊は危険な鳥獣じゃないんですよ。ただし、危害を及ぼすおそれ、緊急に銃猟しなきゃいけないということであるならば、本当に緊急対処すべき鳥獣として定義すべきと考えるんですが、いかがですか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
緊急鳥獣の制度自体は、エリアというよりも日常生活圏、これは国立公園の中であっても外であっても、日常生活圏に熊が出没して危険が迫っているということから判断をいたしますので、それをもって、そのエリアに出てきた熊等の鳥獣を危険鳥獣と称しておりますので、特にエリアが国立公園だから危険ではないということではないと認識をしております。
○空本委員 もう一つ確認ですが、先ほど、鹿だったんですが、田んぼに出てきて、死んでいた。田んぼの近くには倉庫があったり、日常生活をして農業をされていらっしゃる。そういう田んぼのあぜとかにあるような倉庫とかに立てこもった、そういう中山間地域の場合でも、日常生活圏として捉えてもよろしいですね。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
先ほど申し上げたとおり、住居や広場のほか、生活用道路、商業施設、農地その他の勤務地など、人が生計を立て、また、ふだんの生活で行動する範囲というふうに判断をされれば、そこは日常生活圏というふうに判断をしたいと思っております。
○空本委員 理解したんですが、ガイドラインの策定においては、しっかりと明確に、市町村、やはり、先ほど、自治体の判断、責任は重くなるということがございましたので、そういった意味で、分かりやすく。
もう一点、では、今、出没状況がどうなのか、そして被害状況がどうなのか。人的被害、家畜の被害、これについて、環境省と農水省からそれぞれお答えください。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
熊とイノシシの出没状況でございますけれども、まず熊につきましては、令和五年度の出没件数は約二万四千件、そして、被害件数ですが、人身被害の発生件数は百九十八件、そして被害者数は二百十九人でありまして、いずれも過去最高となりました。
イノシシでありますけれども、出没件数は把握されておりませんけれども、令和五年度の人身被害の発生件数は四十七件、被害者数は六十五名となっております。
○神田政府参考人 お答えいたします。
熊及びイノシシによる家畜の被害につきましては、家畜の死亡等による損害を補償する家畜共済に加入している農業者の家畜に関して申し上げますと、全国の家畜共済の実施状況を取りまとめた家畜共済統計によれば、令和三年度における共済事故の発生件数のうち、熊によるものは、死亡又は廃用が十四頭、疾病傷害が十五件、イノシシによるものは、死亡、疾病傷害共にゼロ件となってございます。
○空本委員 出没件数がまず増えているというのは分かるんですが、その中で、環境省のデータを見させていただいて、最近五年間のものですが、令和三年、令和四年は、令和二年、令和五年、令和六年に比べて、出没件数は半分だったんですね。
なぜ出没件数が倍増しているのか、その要因というのをどういうふうに環境省はつかんでいますか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の令和二年度及び五年度は、秋の主要な餌でありますブナやナラなどのドングリが凶作により不足をし、熊が餌を求めて人里まで行動範囲を広げたことで、秋に熊の大量出没が発生し、人身被害が増加したものと考えております。
また、令和五年度は、特に東北地方においてドングリが大凶作となり、秋田県及び岩手県を中心に、九月以降に市街地や人家周辺、農家などに熊の出没が増加し、人身被害が発生したと考えております。
○空本委員 あわせて、北海道の出没件数と、そして、その辺はどうなっているか、簡単に分かりますか。北海道は分かりませんかね。後ほどでいいです。いいや、後ほどに。分かりますか。ヒグマの方ですね。
○植田政府参考人 恐縮です。お答えをいたします。
ヒグマの出没状況については、北海道の方で把握をされておりませんけれども、人身被害の発生件数は、令和五年度の人身被害の発生件数は六件、被害者数は九名で、二名の方が亡くなっていると承知をしております。
○空本委員 今の出没件数を確認させていただき、家畜も併せて確認させていただいたんですが、熊が出没する理由というのは、先ほど副大臣の方から、熊の出没抑制をするために施策を進めるというふうにおっしゃっていただいたんですけれども、何をすべきかというと、ドングリなんですよね。ドングリの凶作を避けるようにする、若しくは、それを豊作に持っていけるまで森の整備をするということなんですが、それは、後ほど山の整備について少し議論させていただきたいと思います。
その前に、銃を持っている、使用することに対してのトラブル事例について、二〇一八年八月の砂川の事案、これについて、猟友会の方、ハンターの方が撃ってしまって、そのときは問題なかったんだけれども、事後において訴えられてしまって、狩猟免許を失うという事例がございました。
その事例と今回の法案、この関係づけというのはいかがでしょうか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の事案、砂川事件でありますけれども、二〇一八年に北海道砂川市でハンターがヒグマに発砲したところ、鳥獣保護管理法で禁止する建物への発砲があるとして、同法に加え銃刀法違反となり、銃の所持許可取消処分をめぐり、ハンターが北海道公安委員会と係争中の事案であると承知をしております。
本法案に基づく緊急銃猟であれば、建物に向かって行う銃猟を禁止する鳥獣保護管理法の規定の適用を除外することとしております。
したがいまして、本法案の規定に従って行う銃猟につきましては、銃刀法に基づく銃の所持許可も取り消されない仕組みとなっておりますので、同様の事案は今後は起きないものと考えております。
○空本委員 しっかり理解できるところでございます。
そして次に、ハンターの方がだんだん少なくなってきているということで、防衛省さんと環境省さん、さらには農水省さんら関係省庁さんが協力し合っていろいろ今対策を打っていただいて、今、配付資料をめくっていただきまして、資料の三番目、これも京都府の福知山での対策、取組ですが、自衛隊OBによる鳥獣被害防止活動という、多様な担い手をつくろうじゃないか、農水省、環境省、防衛省が連携して、自衛隊退職者のOBの方々、隊友会の方々に呼びかけて、こういう狩猟免許を取っていただこうというような取組をされていらっしゃるということでございます。
すごくありがたい話だと思うんですが、こういった取組に対して、防衛省さん、環境省さん、これからもどういうふうに進めていくのか、併せて、もし御発言、御見解があればお願いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
有害鳥獣対策について、防衛省・自衛隊は、これまでも、地方自治体からの協力要請に基づき、任務遂行上支障のない範囲で必要な協力を行ってまいりました。
狩猟者の確保の観点からは、農林水産省や環境省と連携し、自衛隊のOB、退職者等で組織された公益社団法人隊友会に対し、狩猟の魅力や社会的役割について、自衛隊OBへの広報、普及活動、具体的には、農林水産省及び環境省から全国の都道府県の隊友会に対して鳥獣被害対策の重要性を説明し、隊友会員に向けたパンフレットを配付するなどへの協力をお願いしてきています。
引き続き、関係省庁とよく連携しつつ、広報、普及活動への協力など、必要な協力を行ってまいります。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
防衛省からの答弁がありましたとおり、環境省では、平成二十六年度から農林水産省と共同で、自衛隊退職者等で組織をされた公益社団法人隊友会の総会等で、鳥獣被害防止対策への参加や狩猟免許の取得を呼びかけているところであります。
今後とも、関係省庁と協力をして、このような取組を更に進めていきたいと考えております。
○空本委員 私も隊友会の特別会員にさせていただきまして、特にこれは陸上自衛隊のOBの方々にお願いすべき案件かな。ちょっと海上自衛隊と航空自衛隊の方々は、余りそういう装備というか、練習されてきていないので、そういうOB会の方々、各地にもおられますし、陸上自衛隊は各地にも駐屯されていますので、是非、そういうOBの方、働きかけをしっかりお願いしたいし、また、そういう皆さんは意識が高いので、本当に、お願いされれば喜んでそういうふうに受けてくださると私は感じておりますので、是非お願いしたいと思います。
そして、もし万が一自衛隊の敷地内に熊が入ってきて、そのときに自衛隊は撃てるのと。
例えば、実は、二〇二一年六月十八日、陸上自衛隊の丘珠駐屯地の正面から熊が入ってきて、そこで、門を塞ごうとした四十代の男性の隊員が負傷してしまったという事例があります。そして、私、勘違いしていまして、駐屯地内の丘珠空港の敷地で熊を猟友会の方がハンターとして銃猟された、駆除したというふうに勘違いしていたんですが、それは敷地外だった、警察の方はそういうふうにお示しいただいたんです。
今回の銃猟に、こういう場合、実際、警察の方自身がやるべき案件なのか、自衛隊の方がやるべきなのか、そういったことも含めて、まず警察庁の方から、分かる範囲で、この内容、御説明だけお願いします。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
委員お尋ねの件につきましては、令和三年六月十八日に発生した、札幌市内の陸上自衛隊の敷地を含む区域に熊が出現し、四人が負傷した事案であると承知しております。
本事案におきましては、人の生命や身体に危険を及ぼすおそれがあり、特に急を要する状況であったことから、対応に当たっていた北海道警察の警察官が、警察官職務執行法第四条第一項の規定に基づき、ハンターに対して猟銃を使用して熊を駆除するよう命じ、猟銃による熊の駆除が行われたものと承知しております。
○空本委員 ただし、実際のところは自衛隊の敷地内であった。一般の国民の皆さんから見ると、やはり、これまで訓練をされて、しっかり銃等の取扱いのできる方々が、自衛隊の敷地内に入って、自衛隊隊員の方が撃てないというのはちょっとおかしいんじゃないかと思う方々もいるかもしれない。いるかもしれない、いないかもしれませんが。
そういったところで、実際、いつでもどこでも銃が撃てるような環境といいますか、やはり、銃はちゃんと管理されていると思うので、一般には自衛隊の方々でも敷地内では簡単にそういうふうなものを撃てないと思うんですが、いかがでしょうか。まず、防衛省の方からお答えください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
自衛隊法の規定によりまして、自衛隊は任務の性質に応じた武器の使用が可能ではありますが、熊を含む鳥獣に対する武器使用を想定した規定はありません。
○空本委員 そこで、もし、訓練中に山中に入って陸上自衛隊の方々が訓練している、銃の射撃訓練とかされている、そういうところに熊とかイノシシが出現した場合、もし、ちょっと近づいてくるな、危ないなと思ったときには撃てるのでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
万一、熊に隊員が襲われたような場合に、危険を回避するために武器を使用した場合ですけれども、その場合、刑法三十七条の緊急避難に該当する場合には、罰せられない又は刑が減免されるものと承知しております。
○空本委員 警察庁の方はいかがですか、この判断は。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
委員お尋ねの場合に銃刀法違反になるか否かにつきましては、個別具体の事実関係に即して判断されるべきものでございますが、その上で、一般論として申し上げますと、銃刀法における銃砲等の発射の禁止の規定は、法令に基づき、職務のため銃砲等を所持する者がその職務を遂行するに当たって当該銃砲等を発射する場合には適用されないということとされております。
○空本委員 今回の法律と少し枠は外れてしまうかもしれないんですが、やはり、一般の方々の日常生活圏じゃないかもしれないけれども、山に入ってウォーキングされたり、そういうところではやはり訓練はされませんが、でも、近いところでやっていらっしゃる場合もあります。そういったところを考えたときには、やはり、自衛隊の方々が何か危害を受けるような事態があった場合は撃てるんだよ、そういった場合は撃てないんだよというようなところも、この法律と併せて、環境省はちゃんとまとめておいた方がいいかなと思うんですね。
分かりやすく、一般の国民の皆さんが見て、これは、普通には自衛隊隊員の方々は銃というのは安易には使えない、ただし訓練中には使える、使えるけれども、危害を及ぼす場合においてはそういうイノシシ、熊に対してはできるんだ、そういったことを明確にしておいた方が私はいいのかなというふうに感じております。
そこで、資料の方でございますが、配付資料、戻っていただいて二、これも環境省さんの方に作っていただき、警察庁さんの方ともこれは共有いただいていると思うんですけれども、鳥獣保護管理法の改正案と警察職務執行法のところで、国家賠償法も含めて、実際どういうふうな仕組みになっているかということでこの模式図も書いていただいて、人命の、本当に緊急事態として、人命若しくは身体に危険を及ぼす場合が警察官職務執行法、そうじゃないけれども緊急な場合が鳥獣保護管理法というところになっているということなんですが、これについての違いというか、それぞれ環境省、警察庁、各々、この違いについて御説明をまずお願いします。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
本法案に基づく緊急銃猟は、危険鳥獣が人の日常生活圏に侵入し膠着状態にある場合において、安全確保の措置を講じた上で、従来より、予防的かつ迅速に銃猟を行うことができるようにするものであります。
例えば、住宅地に隣接する河川敷に熊が出没した場合や建物に熊が入り込んで立てこもった場合などが想定をされております。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
警察官職務執行法第四条第一項においては、警察官は、人の生命若しくは身体に危険を及ぼすなどの危険な事態がある場合であって、特に急を要する場合においては、その場に居合わせた者等に対し、危害防止のため通常必要と認められる措置を命ずることができることとされております。
熊等が出現し、今申し上げた警察官職務執行法第四条第一項の要件に該当する場合には、警察官は、その場に居合わせたハンターに対し、猟銃等を使用して熊等を駆除するように命じることができるものと認識しております。
具体的な事例といたしましては、通報を受けた警察官が現場に到着し、現に熊等が人を襲おうとしているような場合が考えられるところでございます。
○空本委員 一応明確に答えていただいているんですが、まだ、個別にいろいろガイドラインを作る際には、具体的案件についても、事例についても入れながら示していただきたいと思うんです。
その際、先ほどもございましたけれども、事務手続の煩雑さとか保険に入らなきゃいけないとかという話もございますが、実際誰が入るかというと、市町村全部入らなきゃいけないんですか。まず、全部の市町村が保険に入らなきゃいけないんですか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
保険の部分に市町村として入るかどうか、当然任意、市町村の御判断でございますし、熊の出没、生息状況によって判断は違ってくるかと思っております。
○空本委員 実は、私、広島県で、広島県の提示しているツキノワグマの繁殖地域というか、それを見ると、イノシシがどこにもいますから、イノシシはいるとなれば全部の地域が入らなきゃいけないと思うんですけれども、そうなったら、市町村に任せるのではなくて、都道府県単位で保険に入るという制度の方がやりやすいんじゃないんですかね、どうですか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
やはり、熊の生息状況を始め、全国、県の中でも一律ではありませんので、市町村の方で一義的に御判断をいただくというのが大事だと思いますけれども、これまで御指摘もいただきましたとおり、その保険に入ることも含めて、市町村の手続、手間、煩雑にならないように、手間が増えないように、ガイドライン等できちんと決めて普及してまいりたいというふうに考えております。
○空本委員 時間もないんですが、できれば、国若しくは都道府県単位で加入して、そうじゃないと事後になってしまうので、事後で損害賠償、国家賠償責任は下に書いてありますので、人命とかに携わる場合は、それは国家賠償していただけるということを書いてあるんですが、やはり保険制度を適用するというのであるならば、市町村が入り忘れた、若しくは、うちは入らなくていいんじゃないかと思ったところが、やはり撃たなきゃいけないとなったときには、やはり少しそご、問題が出てきますので、そこについては丁寧に、ちょっと対応をお願いいたします。
続きまして、最近の森林火災、本当に、被害に遭われた皆様にはお見舞い申し上げます。そういった中で、森林火災の焼失面積拡大の要因とはどういうふうに捉えているか、消防庁、お願いします。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
林野火災における延焼拡大の要因は、一般的には乾燥や強風などの要因が相互に関係してまいりますが、これに加えまして、地形や落ち葉などの堆積状況なども関係をしてきます。このほか、樹木の葉や枝の火災である樹冠火や飛び火の発生なども延焼拡大の要因となり得ます。
○空本委員 実は、今回の熊出没の関係と、この火災の延焼拡大、森林、林野の延焼火災というのは、私は関連があると思っています。というのは、実際、広葉樹であるドングリのブナとか、そういったものがなかなかできないときには出てくる、そうじゃないときは出てこない。
やはり、森林の火災や延焼の原因というのは、実は私の方から林野庁さんの方に先に質問して、これがあるよというふうに示したんですけれども、林野庁ですごくいい資料をまとめられて、森林総合研究所の方で、風害・森林火災軽減対策というのを平成十八年三月に取りまとめていらっしゃいます。ここの中で、延焼させないといいますか、燃えにくい山をつくるというのは、広葉樹を増やすこと、松枯れなんかをさせない、針葉樹は減らすこと、若しくは、そういった意味で山の手入れをしっかりすること。
先ほど副大臣からお話があった、出没させない対策、施策というのは何かというと、山の手入れなんですよね。山の手入れ、間伐とかそういうのをしっかりやれば、燃え広がりやすさがあるよと消防庁の方が言ったんですが、でも、林野庁の方からの資料によると、やはり山火事を拡大させない、燃えにくい里山づくりというのを書いているところは、大体、手入れをしっかりやって、その中で、燃えにくい広葉樹もたくさん増やす、そういったことが一番の策。それは逆に、ドングリの凶作を招かないようにするための施策かなと思うんですが、林野庁さんはいかがですか。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
まず、我が国の山林火災のほとんどは人為的な要因で発生しておりますので、気候変動の影響によりまして、今後、極端な乾燥ですとか強風が増えるといったことが予想されることもありまして、山林火災を激甚化させないためには、まず、乾燥時期にたき火などをしないといった対策をより一層徹底することが山火事予防の第一だと考えております。
その上で、森林整備との関係で申しますと、山火事の延焼拡大を防ぐためには、森林内に燃えやすいものが少ないことが好ましいということになりますので、例えば、森林病害虫の蔓延防止の観点から行っております松くい虫の被害木ですとかナラ枯れの被害木の除去、これは燃えやすい枯れ木を減らすということにつながりますし、また、森林施業のために整備、管理する林道や作業道、こういったものは延焼を防ぐ防火帯としての役割も果たします。
そういったことを踏まえますと、森林整備を進めることは山火事の激甚化を防ぐことにもつながり得ると考えておりまして、今後、森林の立地条件に応じました多様な森林整備を進めてまいります。
○空本委員 消防庁さんの方に確認なんですが、こういった林野庁さんとの情報共有というのをこれからやっていただきたいと思うんですよ。本当に、まずは、最初は人為的なミスによって山火事を起こしてしまう、けれどもそれを拡大させないというのは、やはりこれから一緒に取り組んでいかなきゃいけない内容なのかなと思うんですが、消防庁さん、いかがでしょうか。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
先ほど林野庁からの答弁があったとおり、森林、林野火災の発生要因というのは人為的な要因が多いわけでございますけれども、これに対しまして、私どもでは、これまで啓発活動、予防徹底を進めてきたところでございまして、今回の火災におけましても様々な媒体で啓発活動を行っているところでございます。
今後とも、林野庁等々との連携を更に強化してまいりたいと考えております。
○空本委員 是非、林野庁の方としても、この報告書がありますので、これを一回一緒に共有していただきまして、風害・森林火災軽減対策、森林総合研究所発行のやつがございますので。これは本当にいい内容だったので、すごく私も勉強になりました。
うちの広島なんかも、山を走っていると、今年に限ってはすごく松枯れが激しくて、十二月ぐらいまではそんなでもなかったんですが、一月、二月ぐらいになるとすごく激しかった。そうすると、これは、万が一本当に火災でも起きたときには、山火事が延焼拡大するだろうなと。
実は、下草、枯れ葉の落ち葉なんか、昔は、うちのおふくろ、八十代のおふくろに聞いたら、子供の頃は、全部それを取って、薪代わりに燃やして風呂をたいていたんだよ、だから大きな火災にはならなかった、すぐ収まったんだよというところもございますので、そういった意味を含めて、山林の火災を起こさないこと、これは熊の出没件数を減らすことだと思うんです。
環境大臣、最後、御答弁お願いします。
○浅尾国務大臣 御指摘の山林火災が起きにくい環境整備については、先ほど林野庁や消防庁の政府参考人が答弁されたとおりであるというふうに思います。
その上で、環境省では、令和六年四月に、熊対策を関係省庁が連携して取り組むクマ被害対策施策パッケージを取りまとめ、熊の地域個体群を維持しつつ、人とのすみ分けを図ることで、被害を抑制することとしております。
この中で、熊の人の生活圏への出没防止や生育環境の保全、整備の観点からは、追い払いや放任果樹の誘引物の管理、緩衝帯の整備への支援、針葉樹と広葉樹が交じり合った森林や広葉樹林への誘導などについて取り組むこととしております。
今後も、環境省がリーダーシップを発揮し、施策パッケージの実施状況を関係省庁で連携して定期的に確認するなど、対応を進めてまいりたいと考えております。
○空本委員 是非、予算をたくさん取って頑張ってください。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、仙田晃宏さん。
○仙田委員 国民民主党・無所属クラブの仙田晃宏でございます。
本日は、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。
今回の鳥獣保護の一部改正、こちらにおいて、こんなにも人生において熊に関して考えたこと、調査したことはないぐらい、今回、熊についていろいろと考えさせていただきました。
今回、松木理事からも、熊は神の化身だというお言葉もお聞きしていますし、熊は本来は臆病でおとなしい生き物なんだ、こちらから危害を加えない限り攻撃してくることはないんだということも、いろいろお話をお聞きさせていただいた一方で、今回、この鳥獣法の一部改正に至る背景を含めて、今回はそこも踏まえて御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
近年、岐阜県を始めとする地域では、熊が人里に下りてくるリスクが増加してきております。昨年、岐阜県揖斐川町で男性が大けがを負い、また、おととしには、北海道で男子大学生が犠牲になっております。さらに、秋田県では、通学途中の女子高生を含む五人が襲われるという事故も発生してきております。このように、毎年、熊による事故が続いており、熊は人里に出ると非常に危険な存在であることが再認識されております。
そこで、まず初めに、地域住民との連携や出没時の方針についてお伺いさせていただきたいと思っております。
飛騨市の神岡町では、おととしの秋、ツキノワグマに襲われる負傷者が出たことを踏まえて、飛騨市は、また、昨年春に警察や地元猟友会とともに鳥獣による人身被害を防ぐための連絡会議を発足させ、目撃があった場合のマニュアル作成をするなど、対策を強化されております。昨年には、飛騨市は、市街地への出没を想定した訓練を岐阜県内で初めて開き、市や猟友会とともに捜索や捕獲などの一連の流れを確認したとのことです。
本法律案の効果的運用を図るためには、人の日常生活に熊やイノシシが出没した場合に備えて、出没対応マニュアルの整備と併せ、事前に関係者で連絡体制や対応方針を調整し、これらに基づく訓練を定期的に実施しておくことが不可欠となります。加えて、市町村は、捕獲者と日頃からコミュニケーションを取り、良好な関係を築くことが求められてくると思っております。また、警察とは、現場の通行制限や避難指示の対応においても協力は不可欠であり、平時より対応体制について確認する必要があります。
関係者における協力体制の実効性の確認、そして出没対応マニュアルに定められた手順の確認、訓練結果を踏まえた教訓事項の確認、現場の方との技能の習熟のためにも実地訓練の実施が求められていると思っております。緊急銃猟の現場において関係者間で適切な判断や合意が迅速に図られるよう、対象鳥獣の出没時の対応方針の調整や実地訓練の定期的な実施の支援について政府の具体的な取組方針をお伺いさせていただきたいというふうに思っております。
また、地域住民の全体にもあらかじめ出没時の対応方針を周知しておく必要があると考えておりますが、いかがでしょうか。自治体への政府の支援方針をお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○浅尾国務大臣 緊急銃猟を実施する事態が生じた際に、安全確保を含め、必要な対応を円滑かつ迅速に行うためには、事前準備をしっかりしていくことが重要であります。
環境省で作成予定であります緊急銃猟の運用方法等のガイドラインには、事前の訓練について、市町村、ハンター、警察などの関係者が実施に際して必要となる情報を盛り込むこととしております。
また、地域住民の方々の訓練への参加については、地域の実情に応じて、自治体において適切に判断されるものと考えますが、環境省としては、ガイドラインにおいて、その周知や避難指示についての具体的な方法等をお示しし、平時からの訓練等による体制構築に際して御活用いただくことを考えております。
加えて、財政面においても、地域での事前の備えがしっかりと行えるよう、訓練等の体制構築に要する経費について、交付金による支援を行ってまいります。
○仙田委員 御回答ありがとうございます。
また、今回、全国で事例が増えていくと、現場の責任者や地域住民の方々に過大な負担がかかってくると思っておりますが、そのケアや対応はどこが行うのか。銃猟した人への手当てはどこが担当するのか、手当ては厚くするべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。見解をお願いいたします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
熊等が人の日常生活圏に出没した場合の対応に当たっては、地域の関係者の方々の御協力が不可欠であります。
中でも、委託を受けた捕獲従事者の負担がないようにしていくことは特に重要と考えており、改正法案では捕獲従事者が緊急銃猟実施の責任を負わない仕組みとしております。
また、出没対応に関する捕獲従事者の日当、経費等が市町村において支払われるよう、環境省の交付金の対象として自治体への財政的支援を行う予定であります。
さらに、現場責任者となる市町村に対しては、都道府県を通じた財政支援や運用ガイドラインの策定、周知にも取り組むとともに、地域住民の方々に向けては、自治体による勉強会や普及啓発活動への支援を行うなど、地域の関係者が安全かつ円滑に対応できるよう、政府全体で丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
日常生活に熊が出没するような状況が続きますと、市町村や住民に過大な負担がかかってくると思っております。財政支援、しっかりやっていくと大臣のお言葉、非常に心強いと思っておりますし、実地訓練の実施など、政府としてガイドラインを決めてしっかりと対応していただくようお願いしたいというふうに思っております。
次に、捕獲の担い手確保についてお伺いさせていただきたいと思います。
先ほど、空本理事の質問にもありました自衛隊OBによる鳥獣被害防止活動を含めて、現在、捕獲の担い手と言っている部分の狩猟免許の所持者数は令和二年で六十歳以上の方が五八・三%と約六割を占めるなど、高齢化が深刻な状況となっておりまして、また、猟銃の所持者数は、昭和五十五年度の約五十五万七千人から令和四年には約八万六千人へと一貫して減少している状況でございます。
また、これまで、鹿やイノシシの有害鳥獣や狩猟による捕獲の担い手として、猟友会員、こちらも高齢化や会員減少が続きまして、会員数は、昭和五十三年は約四十二万人、昭和六十三年は二十四万人、令和二年は約十万四千人ということで、減少の一途をたどっている状況でございます。
そのため、これまで多くの地方自治体で行われてきました猟友会を主体とした野生鳥獣対策が成り立たない地域というのが今現れ始めてきておりまして、岐阜県もそうですが、人口が少ない地方自治体では、鳥獣対策に従事する人材の確保というところに非常に苦慮をしている状況でございます。
環境省は、令和七年度から、熊が出没した際に捕獲できるハンターや、現場で指揮に当たれる専門人材を登録して、自治体の要望に応じて派遣する熊人材データバンク、この仕組みを構築すると承知しております。質の高い人材バンクとするためにも、人材を育成していく必要があると思っておりますが、この熊出没対応人材の育成方針についてお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 銃器による熊の捕獲経験を有するハンターの数は、把握しているだけで、全国で三千人程度であります。
熊出没時の対応は、短期的には、熊の捕獲経験を有するハンターの協力を得ながら行うのが現実的と認識しておりますが、自治体がより円滑にハンターを確保することを可能とするため、環境省では、新たに御指摘の熊人材データバンクを作成し、人材のマッチングに取り組んでまいりたいと考えております。
また、緊急銃猟の担い手の育成のため、交付金を活用した、自治体による認定鳥獣捕獲等事業者や狩猟者の育成に関する研修や実習への支援、大学等と連携し、鳥獣保護管理に関する統一的な専門カリキュラムによる若手人材の育成サポート等を実施しており、引き続き関係省庁と協力し、捕獲の担い手確保の支援を進めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
やはり、銃を使う職業というか資格になりますので、是非、質の高い人材育成を実現するためには、今言われたような、適切な育成プログラムというのが不可欠だと思っております。是非、具体的な育成方針を着実に実行していただきまして、地域に根差した優れた人材を育てることが今後の熊対策において大きな役割を果たすと思っておりますので、引き続き、交付金を含めた助成金の活用をよろしくお願いいたします。
続きまして、熊の出没抑制についてお伺いさせていただきたいと思います。
令和五年度では、熊の人身被害件数が百九十八件、被害人数が二百十九人、令和六年度では、先月六日時点で、被害件数が八十二件、被害人数が八十五人、岐阜県では七件から三件と減っておりますけれども、熊の危険性並びにこれに関する懸念というのは高まっている状況かなというふうに思っております。
熊は、冒頭申しましたとおり、本来は臆病で、危害を加えない限り攻撃してこない動物として知られておりますが、なぜこういうふうに熊が人里に出てきてしまっているのか。山における食物資源が不足している場合、熊はその行動範囲を広げ、結果として人里に出てくることが多くなると考えております。特に、山の中の果物や木の実、昆虫などが減少することが熊の行動に大きな影響を与えている要因ではないかと感じております。
もし、山の食物資源の減少が熊の行動に大きな影響を与えているのであれば、山の環境を回復させるための施策が必要不可欠だと思います。例えば、森林保全の強化や植物の復元など、熊の食物源となる植物を適切に保護することが重要だと考えておりますが、大臣の見解をお聞かせください。
○浅尾国務大臣 熊が人里に出没する要因としては、里山利用の縮小や耕作放棄地の拡大、放任果樹の増加等の人間活動の低下により、元来人の生活圏周辺が熊に適した生息環境に変化しつつあること、そして、秋の主要な食物であるブナやナラなどのドングリが凶作により不足し、熊が食物を求めて人里まで行動範囲を広げたことなどが考えられます。
特に、令和五年度、岩手、秋田、宮城、山形県で八月以降に熊の出没件数が大きく増加した要因は、ドングリの凶作の影響による可能性が考えられております。
熊対策は、人と熊とのすみ分けを図ることが重要であり、令和六年四月に関係省庁で取りまとめたクマ被害対策施策パッケージに基づき、人の生活圏への出没防止のための追い払いや放任果樹等の誘引物の管理への支援、針葉樹と広葉樹が交じり合った森林や広葉樹林への誘導といった熊の生息環境の保全、整備など、捕獲に頼らない総合的な対策を進めていきたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
人と熊との共生といった部分もございますけれども、熊が人里に出てくる問題について、やはり集落の過疎化というのも一因だというふうに考えております。人が里山を離れることで集落周辺の管理が行き届かず、熊が人里に出てくる現象が起きております。これにより熊の警戒心が薄れ、結果として、町に出現し、暴れるようになっているのではないかというふうに推測をしております。
この点について、環境省としてはどのように分析されているでしょうか。お伺いをさせていただきます。
○浅尾国務大臣 一部繰り返しになるところもあるかもしれませんが、熊が人里に出没する要因としては、里山利用の縮小等によって人間活動が低下することによって、元来の人の生活圏周辺が熊に適した生活環境に変化しつつあること、ドングリが凶作により不足し、熊が食物を求めて人里まで行動範囲が広げられたことなどが考えられます。
また、森林内における林業や狩猟、里山の利用等の人間活動が縮小することによって、森林内で人に追われる機会が減少し、人への警戒心が薄れることも要因の一つと考えられると思います。
熊対策は、人と熊とのすみ分けを図ることが重要であり、関係省庁と連携して、人の生活圏への出没防止や熊の生息環境の保全、整備など、捕獲に偏らない総合的な対策を進めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
今も、やはり熊と人との共生と含めて、熊の出没抑制に向けて、状況に応じた具体的な施策強化をしていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
また、昨今、山の管理が行き届かなくなっている、山の所有者が不明というところも問題だというふうに思っておりますが、現状に対してどのような対策を講じるべきでしょうか。
林業従事者の処遇改善を行わない限り、山の荒廃も進むと考えております。林業従事者の待遇についての支援を行っているのか、教えていただけますでしょうか。
○清水政府参考人 お答えいたします。
我が国の森林は、今まさに利用期を迎えておりまして、切って、使って、植えて、育てるという森林資源の循環利用、これを図る必要がございます。
その際、委員御指摘のとおり、林業従事者の所得向上を図って林業労働力を確保していく、これが、山に人が入って山の管理もしていくということになりますので、非常に重要であると考えております。
農林水産省といたしましては、森林の集積、集約化、高性能林業機械の導入、路網の整備、ICT等を活用するスマート林業の推進を図りますとともに、業務経験に応じた人材育成による技能向上その他によりまして、林業の生産性の向上を図り、林業従事者の所得の向上につなげてまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
林業に従事する方々の所得向上を含めて、ICTを活用して是非進めていっていただきたいというふうに思っております。
今回、熊が人里に出てこないようにする中の一つの要因としても、やはり、森林の中での大規模風力発電や太陽光発電開発というところも一つ、一例としてあるのではないかというふうに思っておりますが、この大規模風力発電並びに太陽光発電の開発、今後、森林に対しての規制というのも考えるべきではないかなというふうに思っておりますけれども、こちらについての対策と今後の見込みについて伺わせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○山本大臣政務官 お答えいたします。
森林での再生可能エネルギー発電設備の設置に係る規制として、森林法においては、保安林制度と林地開発許可制度を措置しています。
保安林制度では、水源涵養や災害防止など、公益的機能発揮のために特に重要な森林については保安林に指定をして、そして、太陽光発電に係る開発行為は原則禁止をする、そして、風力発電に係る開発行為は保安林機能を代替する施設の設置を要件とするなど、大変厳しく制限しています。
また、林地開発許可制度では、保安林以外の民有林における開発行為については、都道府県知事の許可制としております。その運用については、太陽光発電について、許可を要する面積を一ヘクタール超から〇・五ヘクタール超に引き下げました。そして、許可基準の厳格化など必要な見直しを行ってきています。
また、さらに、今国会では、太陽光発電に係る不適正事案を背景に、林地開発許可制度の実効性を強化するため、森林法を改正する、そうした法案を提出したところです。つまり、不適切開発については厳しい措置を進めています。
これらも含めて、森林の適正な開発や管理に努めてまいります。
○仙田委員 ありがとうございます。
やはり、今の、自然との、環境との共存というものを考慮をしていく必要があると思っていますので、是非、引き続き、そこについての対策を進めていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、捕獲した鳥獣の有効活用についてお伺いをさせていただきます。
捕獲した鳥獣を食肉として活用するということについては、農水省所管の鳥獣被害防止特措法における平成二十四年の法改正により、捕獲鳥獣の食肉処理施設整備の充実や流通の円滑化というところの措置を国などが講じることとされております。
しかし、山から下ろして解体処理をするには労力とコストもかかります。現在の許可捕獲個体である熊類の多くは埋設や焼却処理、つまり廃棄処分をされておりまして、一般飼料での資源としての利用も推進されるべきではないかという指摘もなされております。
また、捨てられる鹿やイノシシはまだまだ多いと承知しております。
地元関市の猟友会は、令和五年に捕獲した鹿は約七百頭、うち、約百五十頭は食肉として活用されておりますが、残りは埋める若しくは焼却したということでございます。ジビエとして活用し、流通していくことも整えることができたら、狩猟者の方々の生活も豊かになり、担い手も増えるのではないかというふうに考えております。
私の地元岐阜県では、県内で捕獲したイノシシやニホンジカを地域の資源として捉え、食用として有効に活用していくために、ぎふジビエ衛生ガイドラインを平成二十五年十一月に施行しております。岐阜県では、ガイドラインに沿って解体処理され、衛生的に管理された安全で安心なイノシシやニホンジカの肉をぎふジビエとして消費者に提供する取組を進めており、ぎふジビエを使う飲食店をぎふジビエ登録店に認定する制度を開始しております。
そこで、今後の捕獲強化に伴い、捕獲した鳥獣の有効活用において、政府はどのような取組及び自治体への支援を行っていくつもりなのか、政府の見解を確認させていただきたいというふうに思っております。
ジビエとして活用し、流通を整えることができたら、猟師の生活も豊かになり、担い手が増えると思っておりますが、その支援策はあるのかどうかも含めて、政府の見解をお伺いさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○神田政府参考人 お答えいたします。
鹿やイノシシなど野生鳥獣による農作物被害が深刻な中、農林水産省では、農作物の被害防止対策を推進しておりますが、あわせて、捕獲鳥獣を地域資源として有効活用する取組も重要と考えております。
全国のジビエ利用量は、令和五年度が二千七百二十九トンと、ここ八年間で二倍以上に増加をしておりますが、捕獲される鹿、イノシシに対して一割程度しかジビエとして流通しておらず、多くの個体が埋設や焼却等により処分されていることから、より一層のジビエ利用を推進する必要があると考えております。
このためには、捕獲から流通、消費に至る取組を総合的に進めていくことが重要でございます。委員御地元の岐阜県の事例におきましても、建設業から参入されて、ジビエに適した捕獲技術を捕獲者に普及し、処理施設のほか、製品の加工所とレストランを併設して多角的な販売を行い、平成二十八年度に鳥獣対策優良活動表彰を受賞されている事例もございます。
こうした取組が各地で広がるよう、捕獲段階から、ジビエに適した処理ができる衛生管理の知識を有するジビエハンターの育成、処理加工施設の整備や商品開発など販売強化の取組への支援、観光など付加価値の高い分野と組み合わせた新たな需要喚起などの捕獲から流通、消費に至る取組を、引き続き、鳥獣被害防止総合対策交付金により支援をしてまいりたいと考えております。
○仙田委員 御回答ありがとうございます。
今おっしゃっていただいたとおり、一次産業だけではなくて二次産業、三次産業と、サービス業、飲食店含めてそちらに展開していく、そういう事例をどんどんどんどんと発信していただきまして、是非、ジビエ料理含めた内容を、多角的に、成功事例をもっとアピールするようなことをやっていっていただきたいなというふうに思っております。
今回の法律案、本法案施行後も、やはり熊は熊でございますし、イノシシはイノシシだというふうに思っております。ですので、熊出没注意マーク等ありますけれども、そういうのは維持していただきまして、従来の運用を継続していただくようお願いしまして、私の質疑を終わらせていただきたいというふうに思っております。
ありがとうございました。
〔委員長退席、松木委員長代理着席〕
○松木委員長代理 次に、北野裕子さん。
○北野委員 参政党の北野裕子です。
本日は、御質問の機会をいただきまして誠にありがとうございます。私たち人間と、自然、野生動物がうまく共存できないのかという目線で本日は御質問をさせていただきたいと思います。
本改正案は、日常生活における、熊、イノシシにおける人身被害を防ぐための緊急銃猟創設であるものと理解しております。
熊、イノシシを緊急的に捕殺していいかどうか、こういった議論に入る前に、まず前提として、この豊かな土壌、色とりどりの動植物から成る貴重な遺伝子資源の恩恵の下に私たち人間は生かされているということを強く認識する必要があります。
山々が水を育み、土地を豊かにし、その上に動植物が命を営み、自然の秩序を保っています。私たちは、その遺伝子資源を、食べ物という形だけではなく、医療品やバイオテクノロジー、エネルギーなど様々な分野で活用しており、もはやそれをなくして私たち人間の経済活動はあり得ません。つまり、遺伝子資源が枯渇してしまえば、人間の経済活動どころではなくなるということでございます。
それら多くの遺伝子資源で構成される自然生態系は、繊細なピラミッドを構成しており、少しでも人間が手を加えると崩れてしまうほど絶妙なバランスで成り立っております。その豊かな自然生態系は、何千年、何万年とかけて自然の営みによりつくられたものであり、人間が到底管理できるようなものではありません。
昨年四月十六日、環境省は、今後も熊類の分布拡大地域では個体数の更なる増加が見込まれるとし、四国の個体群を除く熊類を指定管理鳥獣に指定する改正を行いました。また、本改正案において熊を危険鳥獣と定義し、銃猟の規制を緩和しようとしております。こうした改正により、希少なアンブレラ種として森林保全の重要な役割を担っている熊が減少し、生態系のバランスが崩れるきっかけにならないか、私は心配をしております。
本改正案の理由として、近年の熊による人身被害の増加を政府は挙げておりますが、それと熊の個体数増加を安易に結びつけてはならないと考えます。なぜなら、熊が生態域を広げ、生活圏内に迷い込んでしまっているのは、山の荒廃、山の食料不足、山と人里の中間緩衝地帯に住む人が減少したことなど、個体数増加以外にも様々な要因が考えられるからです。
例えば、兵庫県豊岡市の取組では、草木の切り払い、柿の木の除去等を通じて、人身被害ゼロ達成を昨年達成しております。また、住民に対して、熊に遭遇した場合の適切な対処法を周知するなど、機会を設けておりまして、安易な捕殺によらない取組を行っております。
私が申し上げたいのは、この豊岡市のように、国が熊出没を未然に防ぐ対策を事前にやっておけば、無駄な殺生は避けられるのではないかということでございます。熊が人の生活圏内に出てきてから、危険だから捕殺する、この理論が全く理解できないわけではありません。ですが、これらは環境省として、国民に対して、生物多様性や生態系保全に向けて旗を振っていくのであれば、まず無駄な殺生をしないよう、熊に対する調査や予防策を最大限尽くしてから緊急銃猟を導入するのが筋ではないかということでございます。
そもそも熊という種がこの世に存続している以上、人身被害の可能性はなくなることはありません。ただ、人の生活圏内に出没した熊、イノシシをやむを得ず緊急的に捕殺することを可能にしようとするのであるならば、彼らの生態系調査、予防策整備に努めることが必要と考えます。
そこで、御質問をさせていただきます。
まず、日本に生息するツキノワグマ、ヒグマの生体数について、具体的な数字をお示しください。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
まず、ヒグマの個体数ですが、北海道による令和四年の推計の中央値で約一万二千頭とされております。
ツキノワグマの個体数については、個体数推計が行われていない地域もあることから、全国的な推計は困難な状況にあります。ただ、ツキノワグマが恒常的に生息している三十三都府県のうち、推計を行っている二十二府県の個体数の推計の中央値を単純に足し合わせると、約四万二千頭となっております。
○北野委員 ありがとうございます。
推定数ということですが、統計手法における誤差の範囲として、信頼区間の上限値、下限値があるならば、その数もお示しください。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
ヒグマにつきましては、九〇%信用区間で、下限値は約六千頭、上限値は約二万一千頭とされております。
ツキノワグマについては、各県により推計の手法が異なるため一律にその信用区間を示すことは困難でありますが、各県の推計の下限値を足し合わせると約二万二千頭、上限値を足し合わせると五万五千頭になります。
○北野委員 ありがとうございます。
想像以上に幅があるということで、正確な生体数の把握に苦慮されていることが改めて分かりました。
これまで都道府県に調査を委託してきましたけれども、当たり前ですが、熊が都道府県をまたがないということはあり得ません。熊の生体数把握は国が責任を持って行わなければ、生物多様性戦略や鳥獣保護法に基づく個体群の管理は成り立たないと思います。
我が国は、真剣に予算と人員をつけて、熊の生態調査や生体数把握を行うべきと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○浅尾国務大臣 熊は地域ごとに生息数や生息状況が異なり、地域に応じた精度の高い情報を収集することが重要であります。このため、熊の生息数の推計値の把握に当たっては、地域の実情に詳しい自治体に協力をいただくことが有効であると考えております。
環境省では、個体数を把握するための調査手法をガイドラインにまとめてお示しするとともに、自治体が実施する調査について、令和六年八月から交付金の支援対象に加えたところであり、技術面、財政面で自治体を支援し、全国の熊の生息数を把握してまいります。
また、こうした取組に加え、今後、詳細な熊の生息に関する情報の蓄積が進むことが見込まれるため、最新の情報収集や分析を進めるなど、環境省としても、自治体ともよく連携しながら、主体的に熊対策に取り組んでまいりたいと考えております。
〔松木委員長代理退席、委員長着席〕
○北野委員 ありがとうございます。
現状ですと、個体数を正確に把握しないまま銃猟の機会を増やすことになります。今までに絶滅したニホンオオカミ、カワウソ、トキなど、様々な動物たちもそうであったように、気づいたときには絶滅間近ということも考えられます。このような事態にならないよう、是非個体数の管理に人員と予算を充てていただきたいと考えております。
そうした生態系の管理と両輪で行わなければならないのが森林の保全でございます。
かつて日本は林業が盛んでした。しかし、一九五〇年代から六〇年代以降、海外の安い木材が輸入されるようになり、国産木材の価格が大幅に下落。切ってももうからず、間伐や山の手入れの意識低下が生じ、山の管理をする人が減少し続けております。
昔は、暮らしと山は密接に関わっておりましたが、ライフスタイルの変化により、エネルギー、食料共にほかに頼れるため、時代の流れとともに山への価値が薄れ、山は放置されるようになりました。その結果、森林が健全に育たなくなり、災害や野生動物が人里で出没するなど問題が発生し、現代の日本人がそのしっぺ返しを受けているような状況になっております。
我々参政党は、森を管理する森林官の設置の必要性を訴えます。これは、環境保全、林業、生態系の管理を総合的に行う専門家を公務員として育成し、雇用しようとするものです。日本の林業は自由に任せていていい状態ではもうありません。人間の活動の基盤である重要な分野ですので、積極的な政府の支援を求めます。そして、これにより、一次産業を守ることにもなりますので、是非御検討をいただければと思います。
今後、更に山の開発が進むにつれ、熊がますます居場所を失い、人里に下りてくる可能性が今後も否定できません。そうであれば、すみかを失われてしまった熊たちが人の生活圏内に出るたびに、私たちの都合で捕殺されてしまいます。熊の生態について分からないことが多く、何が熊に悪影響を与えているのか、時間がたっても分からないこともあると思います。もし、熊の個体数に大きな変化が生じた場合には、柔軟に見直しの機会を設けていただくことを併せてお願い申し上げます。
最後の質問になるのですが、鳥獣保護法改正の危険鳥獣の名称についてお尋ねいたします。
この危険という名称が熊やイノシシへのレッテル貼りとなり、人の生活圏に出没した個体ではなく、彼らが総じて危険な動物であるかのような印象を植え付けてしまわないか、考える必要があります。なぜなら、多くの国民がこの法律のたてつけを意識するとは到底思わないからです。
本改正案では、人の生活圏に出没した個体のみが危険鳥獣で、それ以外は危険鳥獣でないということですが、これは、条文を読み進めてようやく多くの国民の方に理解を示すものとなります。
熊が人の生活圏に出没し、危険鳥獣として猟友会のハンターが射殺したというようなテレビ報道がされることにより、国民に与える影響は大きいのではないかと考えます。こうした報道により、熊は危険であるからもっと捕殺してしまえばよいというような世論がつくられてしまわないかということを私は懸念しております。
また、動物愛護法二条一項の基本原則は、動物は命あるものであることに鑑み、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめてはならないようにするのみではなく、人と動物との共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適切に取り扱うようにしなければならないと定めています。動物愛護法の対象は人が所有する又は占有する動物ではありますが、野生動物は対象外となりますが、第二条の一項にあります動物に熊やイノシシは含まれます。危険鳥獣の用語は、動物が命あるものへの慈しみ、人と動物の共生への配慮に欠け、少なくとも動物愛護法の精神に反するものではないでしょうか。これらの理由から、危険鳥獣と名称を使うことに対して慎重になるべきではないかと考えます。
加えて、今回のような緊急銃猟の要件は外的条件で定まるものであり、あえてその対象である熊やイノシシに危険との名称をつけなくても制度創設自体は可能だと考えます。それでもなお、あえて危険の名称を使用した根拠を教えてください。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
人の日常生活圏に出没する熊は、人にとって危険な存在となり得ます。
本法案における危険鳥獣とは、人の日常生活圏に出現した危険な状況に限って銃猟を行うことができる危険銃猟の対象鳥獣を制限するために定義するものであります。法令で必要な措置に合わせて定義づけたものであり、レッテルを貼るようなものではございません。
また、動物愛護管理法の目的は、動物の命を尊重する動物の愛護と、人の生命身体等に対する侵害を防ぐ動物の管理の両方であり、人への危害を防ぐ観点から、今回の定義づけは動物愛護管理法の考え方に反するものでないと認識をしております。
危険という名称とした根拠については、緊急銃猟の対象となる鳥獣は、現に人家周辺での人身被害が多数確認され、被害を受けた際には重傷化のリスクが高い鳥獣を指定していることから、危険鳥獣という名称を用いることとした次第であります。
○北野委員 ありがとうございます。
現断面では、政府は、野生動物に対し、共生するものではなく、あくまでもすみ分けすべき存在だと明確にしております。それは、私たちに恵みを与えてくれる存在に対して、私は余りにも失礼ではないでしょうかと考えてしまうんですね。
私たちの祖先は、野生動物に対し、感謝と敬意を持っていました。仏教の教えでは、あらゆる生物は輪廻の対象と捉えているからでございます。しかし、西洋的な価値観では、神聖なものとは見られず、人間より地位の低いものであると考えられていたようです。だから、私は、このすみ分けという表現に非常に違和感も覚えますし、危険鳥獣というのも、名前としてはどうかなと思います。
ただ、この法案に関して、私たち人間の命への配慮が大切なことで、重んじることから考えますと、現代社会において緊急銃猟の法案改正、致し方ない部分もあること、理解しております。
ただ、環境委員会として、今後、子供たち、次の世代に、千年、二千年世代にどうやって次のいい日本をつないでいくかを考えることが大切だと思います。環境政策が人間中心ではなく、自然に寄り添ったものであってほしいということを強くお訴えして、私からの質問を終わりとさせていただきます。
本日はありがとうございました。
○近藤委員長 次に、竹上裕子さん。
○竹上委員 日本保守党、竹上裕子でございます。
最後の質疑時間とはなりますが、お時間をいただき、誠にありがとうございます。
では、質問です。人の日常生活圏に熊等が出没した場合、地域住民等の安全確保の下に銃猟を可能とするこの法律について、二点質問いたします。
人の日常生活圏は、山間部の通学路等も含めると非常に広い範囲になります。狩猟禁止区域、そういう地域が必ずしも住宅等のある人の生活圏ではない場所もあることと思います。また、今回の法案における人の日常生活圏といっても、山間部の場合、背後に山がある場合も多いかと思います。
そこで、質問です。
このような山間部において、熊等を元の生息域に追い払うことが優先されるのであって、今回の法案の緊急銃猟は基本的には対象外と考えてよいのか、見解を伺います。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
法案におきまして、人の日常生活圏は、御指摘のとおり、住居、広場その他の日常生活の用に供される場所などとしておりまして、御指摘のとおり、奥山は緊急銃猟の対象外となります。
ただ、山間部の地域でありましても、人が生計を立て、また、ふだんの生活で行動する範囲であれば、緊急銃猟を実施する場所となり得ると考えます。
○竹上委員 分かりました。人の生計を立てている場所、それから通学等も対象ということで受け止めたいと思います。
二つ目の質問です。
また、そのときに、危険性のある熊、イノシシ等、背後にある里山と呼ばれるような山間部で、果樹や畑があり、倉庫等以外の人家のない農道、それから通学路等周辺において、緊急に銃猟を行って完全にその行動阻止をする、そのための射殺を行う、そういう射殺をするしかない、そのようなことができるケースというのはどのような状況が想定されるのか、お尋ねいたします。
○五十嵐大臣政務官 お答え申し上げます。
人の日常生活圏に危険鳥獣が出没した際、緊急銃猟を行うには、熊による人の生命身体への危害を防止する措置が緊急に必要であり、銃猟以外の方法では的確かつ迅速に熊の捕獲等をすることが困難であること、地域住民に弾丸が到達するおそれがない等の安全が確保できていることが条件となります。
人の日常圏にあっても、今申し上げた条件に該当しない場合では、追い払い等の選択肢を検討することとなります。緊急銃猟については、今申し上げた条件を踏まえて、地域住民の安全確保措置等を実施をし、例えば、農道を利用する住民や通学路を利用する児童等の避難誘導を行い、農道や通学路の通行制限、禁止措置を実施をし、安全を十分に確保した上で行うことは想定をされております。
○竹上委員 ありがとうございます。
緊急といっても、ケースによっては追い払う、そういうことも行うことができる、そういう解釈ということですね。本当にありがとうございます。
人の命も動物の命も、本当に命として貴いものです。この法案がそのような前提の下に、きちんと的確に対応される、そういう法案であることを願ってやみません。
どうもありがとうございました。
○近藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
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○近藤委員長 この際、本案に対し、松木けんこうさん外二名から、立憲民主党・無所属、日本維新の会及び参政党の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。空本誠喜さん。
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鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○空本委員 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
熊やイノシシ等は、山林林野においても遭遇すれば人間にとって危険な鳥獣です。特に、市街地等の日常生活圏に出現し、人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれが大きい場合、緊急に対処しなければならない鳥獣であります。
しかしながら、本法律案は、「危険鳥獣」を熊その他の人の日常生活圏に出現した場合に人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれが大きいものとして政令で定める鳥獣と定義しており、日常生活圏に出現した熊やイノシシ等に限定しています。
このため、人の日常生活圏に限らず対処が必要と解釈し得る「危険鳥獣」の用語を人の日常生活圏に限定する「緊急対処鳥獣」に改めるものでございます。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○近藤委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○近藤委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、松木けんこうさん外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○近藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、平口洋さん外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、参政党及び日本保守党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。森田俊和さん。
○森田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 危険鳥獣の銃猟の安全対策に万全を期するため、市町村を始めとする関係者に対して、現場での迅速かつ適切な判断が可能となるよう、本法の内容を関係法令との関係も含めて十分周知するとともに、関係省庁で連携して安全かつ効果的な出没対応に関するガイドライン等の作成や研修の実施等の支援を図ること。また、出没時の連絡体制及び対応方針の事前調整や実地訓練の定期的な実施について必要な支援を行うこと。
二 本法の円滑な運用とともに、危険鳥獣の捕獲等に当たっての担い手への必要な経費が確保されるよう、地方公共団体に対する財政支援の充実に努めること。
三 狩猟者の減少・高齢化等による鳥獣捕獲の担い手の減少などを踏まえ、捕獲体制を強化するため専門的技術を有する認定鳥獣捕獲等事業等に従事する者の更なる技術向上及び育成について、積極的な支援を行うこと。
四 クマ対策については、捕殺だけではなく、人の生活圏への出没を未然に防止することが重要であることから、生息状況把握のための適切なモニタリングの実施を始め、クマの生息環境の整備や保全、すみ分けて共存するための対策の再検討などの出没抑制対策に関係省庁で十分連携を図りつつ取り組むこと。
五 捕殺による被害対策の効果は限定的で、クマ等による人身被害の予防や野生動物との軋轢の根本的な解決には、被害防除や誘引物除去、犬を活用した追い払いの実施、すみ分けのための環境整備等がとりわけ有効であることから、地域が効果的に取り組めるように支援策を整備し、必要な予算を確保すること。
六 くくりわな又は箱わなによる錯誤捕獲は、意図せぬクマの捕殺や野生動物に不必要な苦痛を与えることにつながるおそれが大きいことから、錯誤捕獲の発生防止対策を検討すること。
七 捕獲等を行った野生鳥獣の有効利用について、より安全な提供による消費者の安心の確保を図りつつ、その円滑な流通を促進するための環境整備等必要な措置を講ずること。
八 令和十二年度までに鉛製銃弾に起因する鳥類での鉛中毒の発生をゼロとすることを目指して本年度から鉛製銃弾の段階的な使用規制が開始されることを踏まえ、その影響についての科学的知見も踏まえつつ、非鉛製銃弾の使用の促進を図る取組を進めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。浅尾環境大臣。
○浅尾国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ、努力してまいる所存であります。
―――――――――――――
○近藤委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十三分散会