第6号 令和7年4月25日(金曜日)
令和七年四月二十五日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 近藤 昭一君
理事 石原 宏高君 理事 武村 展英君
理事 平口 洋君 理事 阿部 知子君
理事 松木けんこう君 理事 森田 俊和君
理事 空本 誠喜君 理事 仙田 晃宏君
五十嵐 清君 岩田 和親君
勝目 康君 川崎ひでと君
古賀 篤君 小森 卓郎君
坂本竜太郎君 佐々木 紀君
島田 智明君 土田 慎君
西田 昭二君 深澤 陽一君
宮内 秀樹君 山際大志郎君
東 克哉君 大河原まさこ君
川原田英世君 齋藤 裕喜君
佐藤 公治君 篠原 孝君
馬場 雄基君 猪口 幸子君
沼崎 満子君 福重 隆浩君
北野 裕子君 竹上 裕子君
中村はやと君
…………………………………
環境大臣 浅尾慶一郎君
経済産業副大臣 大串 正樹君
経済産業副大臣 古賀友一郎君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
環境大臣政務官 五十嵐 清君
環境大臣政務官 勝目 康君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長) 中 裕伸君
政府参考人
(公害等調整委員会事務局長) 小原 邦彦君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 郷 達也君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 関村 静雄君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官) 宮崎 貴哉君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田尻 貴裕君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 松原 英憲君
政府参考人
(環境省大臣官房長) 上田 康治君
政府参考人
(環境省大臣官房環境保健部長) 前田 光哉君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 土居健太郎君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 松本 啓朗君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 植田 明浩君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局長) 白石 隆夫君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
政府参考人
(環境省総合環境政策統括官) 秦 康之君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
参考人
(食品安全委員会委員長) 山本 茂貴君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
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委員の異動
四月二十五日
辞任 補欠選任
深澤 陽一君 川崎ひでと君
山際大志郎君 土田 慎君
川原田英世君 東 克哉君
同日
辞任 補欠選任
川崎ひでと君 小森 卓郎君
土田 慎君 山際大志郎君
東 克哉君 川原田英世君
同日
辞任 補欠選任
小森 卓郎君 岩田 和親君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 西田 昭二君
同日
辞任 補欠選任
西田 昭二君 深澤 陽一君
―――――――――――――
四月十六日
全ての水俣病被害者を一刻も早く救済することに関する請願(阿部知子君紹介)(第九三五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
環境の基本施策に関する件
――――◇―――――
○近藤委員長 これより会議を開きます。
環境の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として食品安全委員会委員長山本茂貴さんの出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官河合宏一さん、内閣府食品安全委員会事務局長中裕伸さん、公害等調整委員会事務局長小原邦彦さん、農林水産省大臣官房審議官郷達也さん、農林水産省大臣官房審議官関村静雄さん、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官西村秀隆さん、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官宮崎貴哉さん、経済産業省大臣官房審議官田尻貴裕さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長伊藤禎則さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝さん、国土交通省大臣官房審議官松原英憲さん、環境省大臣官房長上田康治さん、環境省大臣官房環境保健部長前田光哉さん、環境省地球環境局長土居健太郎さん、環境省水・大気環境局長松本啓朗さん、環境省自然環境局長植田明浩さん、環境省環境再生・資源循環局長白石隆夫さん、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎さん、環境省総合環境政策統括官秦康之さん、防衛省地方協力局次長森田治男さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○近藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。島田智明さん。
○島田(智)委員 おはようございます。大阪では唯一の自民党衆議院議員の島田智明でございます。
まずは理事の方々に、今回このような質問の機会をいただいたことを感謝申し上げます。ありがとうございます。
環境委員会では初めての質問になりますので、委員の皆様、よろしくお願いいたします。
私の自己紹介をちょっとだけ、簡単にさせていただきますと、昨年八月二日まで二期八年、私が生まれ育った大阪府の河内長野市というところで市長を務めてまいりました。市長を務める前は、神戸大学で経営学の教員を約十年近くしておりました。神戸大学で教員をしているときの研究テーマとして、いろいろなことを取り組んだんですけれども、一つには、経営学という学問がいかに自治体運営に生かせるか、そういうことを研究していたので、河内長野市長選のときにお声がかかったというところがあります。
ただ、私が博士課程から取り組んできた研究テーマというのは、サプライチェーンでございました。サプライチェーンなんですけれども、元々、ある企業があって、その上流と下流を併せて、一緒にいろいろな取組をしていこうというところで、無駄のない、無駄を省くということがテーマの中心でしたが、時代の流れとともに、環境にいかに配慮していくかということがテーマになってまいりました。
サプライチェーンなんですけれども、皆さんもこのサプライチェーンという言葉は分かっていると思うんですが、日本語で言うと供給連鎖でございますね。原材料から最終製品ができ上がるまで、消費者に届くまでの供給連鎖を言うわけなんですけれども、いろいろな言い方があります。少しフォーカスも違うんですが、バリューチェーンという言い方もしています。バリューチェーンというのは、サプライチェーンにおいて各いろいろなステージがあるんですけれども、そこで付加価値がついていくので、そういう意味でバリューのチェーンという言い方もしますが、今日は、細かい差はあるんですけれども、言葉を統一して、サプライチェーンという用語を使いたいと思っております。
サプライチェーンも、どんどんどんどん製品が複雑化することによって、また、グローバルな供給ネットワークということで、どんどん複雑になってきました。例えば、原材料が世界各国で作られ、部品レベルになるとそれがアジアの各国で作られ、製品になるために組み立てられるのが全部中国に集まってきて、最終的に消費者に届けるための小売店が、これが欧米諸国であったり世界各国にということで、もう物の流れというのが非常に複雑になってきて、サプライチェーン全体の最適化、あるいはサプライチェーン全体で何かを進めるというのが非常に難しくなってきている、複雑になってきているというのは事実でございます。
そういった中、環境配慮をどうサプライチェーンに導入していくかというのは大きな課題でございまして、特に、財政的に余裕のない中小企業がどこまでサプライチェーン全体の環境配慮に取り組んでいくかというのは課題でございます。
環境配慮というのもいろいろな取組がございます。一昔前は3Rという言葉が多用されまして、この3Rをいかにサプライチェーンに導入していくかということが中心でございました。つまり、リデュース、リユース、リサイクル、これをどう生かすかというところだったんですが、時代とともに、今度はカーボンニュートラル、そちらにも力を入れていかないといけないということで、サプライチェーン全体で脱炭素化をどうしていくか、どう取り組んでいくかというところが話題になってまいりました。
脱炭素化の取組なんですけれども、スコープ1、2、3という分け方をよくします。これはそれぞれ排他的なんですけれども、スコープ1というのが、自社の企業が直接排出する温暖効果ガスの排出量でございます。スコープ2というのが、これも自社が排出するものなんですけれども、直接じゃなくて、当然、何か製品を作るときには、電気を使ったり、何かそういうエネルギーを使いますので、例えばその使ったエネルギー、これも当然温室効果ガスが関係してきますので、スコープ2というのは、自社製品を作るときに間接的に使った温室効果ガス排出量のことでございます。だから、直接的な部分がスコープ1、間接的なところがスコープ2。スコープ3というのが、自社を除いたサプライチェーンの上流と下流の部分でございます。
ですので、サプライチェーン全体を見ると、スコープ1、スコープ2、スコープ3の排出量を足せば全部、サプライチェーン全体の温暖効果ガスの排出量が出てくるわけなんですけれども、やはり、計算方法とかいろいろなことが標準化されていないという課題はございます。
そういったところで、一番の課題は、スコープ1、スコープ2は、これは自社の取組ですので何とかコントロールはできるわけなんですけれども、管理はできるわけなんですけれども、スコープ3になっていきますと、上流、下流ということで、取引先とかの協力が必要になってまいります。
そういったところで一筋縄ではいかないわけなんですが、環境省として、どのようにサプライチェーン全体の脱炭素化を推進していこうとお考えでしょうか。
○土居政府参考人 お答えいたします。
二〇五〇年ネットゼロの実現に向けまして、自社だけではなく、原材料の調達から製品の廃棄までのサプライチェーン、バリューチェーン全体での脱炭素化が重要でございます。大企業だけではなく、その取引先の中小企業も含めて、脱炭素が重要な経営課題になりつつあると認識しております。
一方で、中小企業は、日本全体の温室効果ガス排出のうち二割程度を占めているものの、その多くは、排出量の算定や削減に関するノウハウやマンパワーが不足しているということでございます。サプライチェーン全体での脱炭素化のためには、大企業や業界が、同じサプライチェーンを構成する中小企業にエンゲージメント、働きかけを行い、意識醸成や算定削減の支援を行うことが効果的だと考えております。
このため、環境省では、こうした大企業や業界単位での働きかけを支援するモデル事業を実施しているところでございます。また、今年度から、サプライチェーン全体での排出削減に向けました企業間連携による省CO2設備投資への補助を充実させていただいたところでございます。
引き続き、こうした取組を通じまして、脱炭素の取組が、取引先からの評価やエネルギーコストの低減といった企業の競争力強化、人材確保にもつながるという観点を示しながら、中小企業の意識向上や具体的な取組を、サプライチェーン全体での脱炭素化、これを積極的に後押ししてまいりたいと考えております。
○島田(智)委員 御答弁ありがとうございます。
次に、カーボンフットプリント表示についてお伺いしたいと思います。
これもサプライチェーンに関することなんですけれども、少しコンセプトが違うんですが、カーボンフットプリントというのは、製品のライフサイクル、これは、物の原材料の調達から、終わりの方が今度は廃棄まで、最後は消費者に売って終わりじゃなくて、廃棄の部分まで考えるというところでございます。
そのライフサイクル全体で排出される温室効果ガス排出量のことをカーボンフットプリントというわけなんですが、まだいろいろな課題がございます。
例えば、温室効果ガス排出量の算出ルールが標準化されていない。標準化されていないのであれば、消費者がこれを見て、算出方法によって違うんだったら、なかなか比較できないという課題がございます。ほかにも、カーボンフットプリントを計算するときに、調達、どこから調達しているかだとか、物流ルートも開示していく必要がありますので、企業としてはその辺はちょっと秘密にしておきたいとか、そういうこともあったりして、企業としては二の足を踏んでいるというところもございます。
そのような中、やはりこのカーボンフットプリントの表示というのは非常に大事な取組でございまして、もう一つ、消費者側ですね。消費者側も、このカーボンフットプリント表示を見て購入意欲がないと、幾ら企業側が表示したところで、それを見て消費者が選定の基準にしないのであれば全然意味がないということで、今度は、消費者側に対しても意識改革をしていかないといけない。
やはり消費者というのは、物を買うときに、値段だったり品質だったり、そっちの方に目が行きがちなんですけれども、持続可能な社会づくりという意味では、やはりカーボンフットプリント表示、そこも購入の決め手の一つだとなっていく必要があると思うんですが、環境省としてどのような取組を考えられているでしょうか。
○土居政府参考人 製品やサービスのライフサイクル全体での温室効果ガス排出量でありますカーボンフットプリントは、消費者による脱炭素型製品等の積極的な選択を促進する上で重要な取組だと考えております。一方で、まだ表示されている製品は少なく、消費者の認知度が高まっていないという状況だと認識しております。
このため、環境省では、その算定表示に取り組む企業、業界を支援するモデル事業を実施するとともに、具体的な表示方法の指針を示しました表示ガイドを本年二月に公表しております。また、今年度から、カーボンフットプリントを算定する人材育成に関するモデル事業も実施する予定でございます。
また、御指摘ありましたように、消費者に対しましての働きかけも重要でございまして、国民運動、デコ活におきまして、二千三百以上の企業、団体、自治体が参画する協議会を組織いたしまして、カーボンフットプリントの取組も含めまして情報を提供しているところでございます。
本年一月に実施しましたインターネットによる調査によりますと、このデコ活の認知度、聞いたことがあるという方は四人に一人程度でございますが、行動変容を促すためには更に認知度を深める必要がございますので、あらゆる機会を活用しまして、国民の意識、行動変革の促進に努めてまいりたいと考えております。
○島田(智)委員 御答弁ありがとうございます。
時間もあっという間に過ぎてきたんですけれども、残り少ない時間の中、ちょっと大臣にお伺いしたいと思います。
四月十三日に大阪・関西万博が開幕しました。大阪の人間としては、盛り上がっていけばいいなというところで、テーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」で、いろいろな取組を環境省としてしていると思うんですが、是非、環境省が大阪・関西万博に関してどのような取組をしているか、お教えいただければと思います。
○浅尾国務大臣 島田委員におかれましては、様々な、サプライチェーンも含めて、場面におかれまして環境の課題に取り組んでおられますことに対して、心から敬意を表したいと思います。
さて、御質問の二〇二五年大阪・関西万博は、ポストコロナの新たな世界や未来社会の風景観を示し、環境分野を始め、我が国のイノベーションの可能性を世界に発信する場として非常に重要だと考えております。私自身、四月十二日の開会式に出席し、改めてこうした思いを強くしたところでございます。
環境省としては、大阪・関西万博において、再エネ水素を活用したメタネーションの実証、日本のEVバスの技術、ノウハウの発信等を進めており、万博の機会を捉えて、我が国の優れた環境技術や取組、さらには我が国の目指す未来像について積極的に発信してまいりたいと考えております。
二〇二五年の大阪・関西万博の成功に向けて、引き続き政府一丸となって取り組んでまいります。
○島田(智)委員 大臣、心強い御答弁ありがとうございます。
もう一つ、これは三年後の今頃なんですけれども、今度は横浜で花博が開催されております。三年後というのは本当に待ち遠しいんですけれども、こちらの方も当然のことながら環境省が関係してくると思うんですが、大臣、どのような形でこの横浜花博二〇二七に環境省として関与していくのでしょうか。
○浅尾国務大臣 御質問ありがとうございます。
二〇二七年の国際園芸博覧会は、基本的な考え方として、自然再興、気候変動への対応、循環経済への移行など、GXやグリーン社会の実現を含むSDGs達成への貢献を掲げております。
環境省としては、博覧会の機会を捉えた我が国の環境政策の発信、展開や博覧会における環境対策の推進を通じて、SDGsの達成に寄与する博覧会とすべく、積極的に貢献してまいります。
具体的には、自然共生サイトなど自然との共生、調和に関する取組を世界に発信するほか、博覧会関連事業として位置づけられております横浜市内の公共施設、民間施設への再エネ導入や、博覧会会場における3Rを推進いたします。あわせて、こうした環境省の取組について、広く国民、企業、自治体等に発信してまいります。
二〇二七年の国際園芸博覧会の開催に向け、関係省庁と連携して、政府一体となってしっかりと取り組んでまいります。
○島田(智)委員 ありがとうございます。
大阪・関西万博と横浜花博二〇二七の成功を祈願して、私の質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部(知)委員 立憲民主党・無所属の会の阿部知子です。
早速、質問に入らせていただきます。
来年は、いわゆる水俣、鹿児島や熊本の水俣病から七十年、そして新潟水俣病から今年六十年を迎えます。ちょうど一年ほど前、前の環境大臣の伊藤さんが式典に行かれて、そのときマイク切り事件というのが起きまして、被災者、被害者の皆さんも大変心を痛めているさなかであります。
大臣には、四月三十日から二日間かけて、この慰霊祭、今年水俣に行かれるそうですが、どういう思いを持って、そして、御自身の役割が何であると考えて慰霊祭に御出席されますでしょうか。浅尾環境大臣にお伺いします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
水俣病は、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた我が国の環境行政の原点であると認識をしております。
水俣病については、公害健康被害補償法の施行、二度にわたる政治解決等、多くの方々が様々な形で多大な努力をしてまいりました。しかし、現在もなお、水俣病の症状に苦しんでおられる方、認定申請や訴訟を行う方、水俣病による偏見、差別や地域の亀裂に苦しんでおられる方などがいらっしゃるという事実は重く受け止めております。
私としては、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組を進めていく所存であります。
○阿部(知)委員 今御答弁されましたが、果たして現行法の丁寧な運用で解決するんだろうかと。
よく水俣病は最終解決というふうな言葉を使われますが、正直言って、水銀を食べて、その水銀が与える影響というのは年余にわたり、それから、ここまでというものがなかなかないと思います。言えば、根本解決というふうな言葉に言い換えた方がいいのではないかと思います。
その観点から大臣に更にお伺いいたしますが、お手元の資料、これは熊本県の宇城市というところで作られたカレンダーであります。この宇城市は、ハンセン病や水俣病のことをより多く市民に知ってもらって、市民の教育とともに偏見、差別を越えていこうと思って開始されたと思うのですが、ところが、このカレンダーには、ハンセン病、水俣病などの感染症を正しく知ってもらうとありました。
水俣病は感染病ではありません。かつて感染病と言われたときもあるし、遺伝病と言われたときもあるし、その長きにわたる苦しみの中から、原因は水銀に汚染された魚を食べたことである、食中毒、食べてしまったことが及ぼす長い影響であるということ。このように、当たり前のことが私は風化している、七十年という年月の中で。
そして、今、被害者の皆さんが、例えば裁判で、あるいはその他の手段で救済を求めれば、ある人は仮病であると言われ、お金欲しさかと言われ、非常に苦しい立場に立っておられる。その思いを訴えようとして、伊藤大臣とのマイクの時間があったけれども、三分で切ってしまう。私は、本当に深刻な事態が水俣に行かれる浅尾大臣の前には待ち構えているんだと思います。
そして、そのことにしっかりと応えていただきたい。私なら環境大臣としてこれをしたいとか、せっかく大臣になっていただいた、私は同じ神奈川で、昔から浅尾さんとは実は隣同士の選挙区でありましたので、よく存じ上げています。誠実で実力もおありです。その大臣が、七十年たって風化にさらされている水俣病、例えばこういう宇城市の問題、どのように考えられて、行政に対してもどう働きかければいいのか、被害者に応えるには何をすればいいのかについて、御答弁をお願いいたします。
○浅尾国務大臣 今、風化という言葉も使われました。水俣病の経験と教訓を次世代にしっかりと伝えていく、そして、水俣病に対する差別、偏見をなくしていくことは非常に重要なことであるというふうに認識をしております。
その観点から、環境省としても、水俣病について、これまでも関連資料のデータベース化、デジタル化に係る支援を進めてきたところでありまして、令和七年度予算においても、水俣病資料館の収蔵庫の増設事業や、関係県の小中学校における水俣病学習の支援などを進めてきたところであります。
今後も、幅広く多くの方々に水俣病の経験と教訓を伝え、正しい情報発信に努めていけるよう、必要な予算を確保し、関係者の皆様にも御協力をいただきながら、関係の県市と連携して取り組んでまいります。
○阿部(知)委員 今大臣のおっしゃったことは、いずれも重要だと思います。特に、小中学生にしっかり知ってもらう。データベース化する。
と同時に、行政に携わる自治体職員についても、もう若い人たちはほとんど、自分の体験の中に御存じない方も、熊本県ですらそうであると。そうすると、例えば、水俣病として今裁判中の方が関西にもおられますし、全国におられます。やはり自治体職員について、再教育と言っては失礼ですが、いろいろ、例えば資料館を訪れてもらうとか知識をもう一度伝えるとか、そういう丁寧な取組が私はこの事件から必要とされているなと改めて思いました。
大臣、うなずいていただきましたので、そのように総務省とも調整をしていただきまして、是非とも自治体職員にも学びの機会をちゃんと与えていただいて、その中で、私は、行政に携わる人が被害を訴えてこられた方に対してきちんと対応できるようにお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。
引き続いて、今大臣の御答弁の中にもありましたが、いわゆる水俣病は、公害病としてその救済のスキームができ上がったのが昭和四十九年、一九七四年で、最初に水俣病と公式確認された患者さんは一九五六年のことですが、それから七十年と言われているのが今日でありますが、その間、先ほど申しました、伝染病じゃないか、風土病じゃないか、遺伝病じゃないか、いろいろなことが言われて、しかし、水銀を食べたことによるものだということから、公害健康被害の補償法に結びついていくわけです。
この公健法は昭和四十九年に始まって、ここに申請をされた患者さんの数は三万何がしを超えておりますが、現実に公健法で認定された方は三千人、一割もいきませんでした。棄却された方もおられますし、そして、この認定された方も、その後、症状の進行で認定時のランクの変更ということも重ねてまいりました。
大臣に二ページ目にお示ししたのは、今多く被害者の皆さんが求める、いわゆる感覚障害、末梢優位の感覚障害があるものは水俣病と認めるべきだという主張、私はこれは非常に当を得ていると思いますが、それで見ると、ここの裁判、あるいは認定を求めた方に関してだけでも、七万二千三百人がいわゆる水俣病による感覚障害が医師によって確認されている。しかし、救済ははるかに及んでいないという現実があることを、まず大臣には深く認識していただきたい。
そして、何らかの救済、これは、例えば公害で認定される、あるいは政治決着で解決がされる、あるいはこれから問題にする特措法で救済された方を含めても、いわゆる補償金をもらった方、あるいは療養手当の方、両方合わせても四万九千四百三十七人に満たない。当然、私は、裁判も起きるし、いろいろな患者さんたち、被害者の不満の思いは募ってまいると思います。
そこで、今日は大臣に提案がございます。
開けて次のページには、いわゆる公健法によって認められた患者さんのスキームについて御紹介しておりますが、先ほど申し上げましたように、令和六年六月末現在までに、自分が水俣病だから公害の健康被害補償法で救済してほしいと申請された方は三万五千九百二十一人に及び、約二万人近くが棄却をされて、認定は三千人。取り下げられた例もございます。
こういう中で、この公健法というスキームには、棄却された場合、違いますよと言われた場合に、再申請と申しまして、いや、やはり自分は水俣病だと思う、もう一回審査してほしいというスキームと、それから、棄却された行政処分に対して不服申請を申し立てる行政的救済と、加えて、水俣病と認定されているんだけれども、症状が進んでランク分けを見直してほしいという申請など、いろいろな、まあ細い細い道ですけれども、道が残されております。
その一つとして、水俣病と認定されて、最初Cランクと言われた患者さん、ABCと分ければ、水俣病の中では比較的、軽度とは申しませんが、症状が軽いとみなされた方が、この方はパーキンソン、最初診断で、それは水俣病じゃないよと言われていました。ところが、パーキンソン病のお薬を使っても反応性がすごく悪い。やはりこれは水銀が脳の中に蓄積したことによる水俣病としての影響であろうというふうに考えられて、CランクからBランクに認定が変わりました。
私がこのことを通じて思ったのは、長い年月観察すれば最初の判断と当然違ってくる、それは、病状がより顕性、明らかになる、あるいは他のものが否定される、加齢によっていろいろなものがより加わってくるなど、時間経過というものが病気には重要なんだと思うのです。
大臣、これは、私がこの委員会に所属して、公害等の調停委員会からいろいろお話を聞いて、こういう方が九十一人、認定のランクづけが変更。でも、すごく少ないんです。六百人近い方が申請していますから、本当にこれも針の穴を通すより細い道ですが、でも、その道を通ったところに一つの、時間経過を見て病状が明らかになるということがあったように思います。
私の今のような御紹介、そして、もっと私は公健法はしっかりと再申請や不服申請に応えてほしいと思いますが、大臣のお考えをお願いいたします。
○浅尾国務大臣 まず、公害等調整委員会において、既に公健法に基づき水俣病と認定された方に関して、神経学的所見の悪化等によりランク変更が認められた事例や、今御指摘がありましたパーキンソン症候群に伴う認知症の発症によりランク変更が認められた事例があることは承知をいたしております。
また、公健法に関しては、関係県市による認定に基づき、民事責任を踏まえた公害健康被害者に対する補償が認められていることを定めており、水俣病に関しては申請期限も定められておらず、再申請も含め、現在も申請が可能なものと承知をしております。
今後も、公健法の丁寧な運用にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○阿部(知)委員 今の大臣の御答弁で非常に重要なことは、期限を区切らず申請が認められると。ということは、病気は変わるということなんですね。
ところが、そして、それを充実させていただくのは私はやぶさかではないですけれども、その後に作られた特措法は、二〇〇四年の関西判決だったと思いますが、これにのっとって、公健法では救済されない、しかし水俣病を否定されない方がいるんだということを前提に、あまねく広く救済をしましょうというので特別措置を定めて、およそ二年という期限を区切ってスタートした法律であります。
しかし、これについても、二年で区切られたこと、あるいは、自分はその当該場所ではないところに暮らしていたけれども、そこからの魚を買ったなどで裁判に訴えるしか道のない方がたくさん出て、それが第二次訴訟という形で今も続いております。
その中で、公健法の方では、下した認定が処分として認められて、不服申請も再申請もある。ところが、特措法は、期限を区切ってしまって、この処分、出された判定について不服申請もできない、再申請もできない中で、新潟県の当時の泉田知事は、これは行政が下した判断であるので、不服申請は受け入れるべきだということで受け入れられて、平成の二十七年と二十八年だと思いますが、四人の方が新たに特措法の一時金の対象になりました。
私は、これは非常に泉田知事の見識だと思いますし、二年で区切ったって、そこまでに申請できなかった人もいるし、症状がその後出る人もいるし、そこで区切ってしまったことで、あたう限りの救済ではなくなってしまうというふうに考えられたんだと思います。どんな患者さんがそうやって救済されたかは、お手元の資料の四枚目、五枚目につけてございますが、いずれにしろ、この四人は、新潟では不服申請をして、異議申立てをして認められた、特措法で。ところが、熊本にも鹿児島にもこういう道はありません。
大臣に伺いたいのは、これは今の法律の運用では解決しないんです。ここに再申請の道を開くか、それとも行政の不服申請、異議申立てを受け入れて、もう一度見直すか、その二つがこの特措法には準備されておりません。期限を限って、そこで何とかと思った気持ちは分かります。でも、そこからも漏れるから、また裁判が起こるわけです。もっと門戸を広げるべきではないですか。
行政の判断について不服があれば、それを受け止めて再審査すべきではないですか、いかがでしょう。
○浅尾国務大臣 平成二十一年に超党派の議員立法で成立した水俣病被害者特措法では、救済を受けるべき人々が早期にあたう限り全て救済されることを実現するため、救済措置の開始後三年以内をめどに救済措置の対象者を確定することなどが定められたものと承知をしております。
また、環境省においては、水俣病被害者特措法は、水俣病被害者の救済の基本的な考え方や、国や関係自治体の役割を定めたものであり、救済措置の対象者の判定は、行政不服審査法上の処分には当たらず、同法に基づく異議申立ての対象に当たらないとの法令解釈を示してきたところであります。
当時、こうした法の規定等に基づきながら、申請を受け付け、一件一件審査を行った上で救済を行ったものと認識をしております。
○阿部(知)委員 私がるる申し上げたのは、それでは救済されないから、道を開けと申し上げたんです。その経過は存じております。しかし、この特措法の精神は何か。救済を受けるべき方々をあたう限り全て救済となっております。早くに救済することは大事です。でも、あたう限り全て救済というのがこの特措法の理念だと私は思います。
現実が理念にたがえている、沿わないことを大臣は深く認識した上で、水俣に行っていただきたい。そうでなければ、こんなにたくさん訴訟が起こるはずもないし、それから、この地域と定められたところ、その特措法の地域以外からも、患者さんとして認定されるべき方が裁判でも、大阪地裁でも出ているわけです。その現実に環境省が向き合わないと、幾ら特措法が議員立法だからといって、その精神を受けてやるのが行政ですから、救済されませんので、よろしく大臣には今日の私の指摘を受け止めて行っていただきたいと思います。
引き続いて、残された時間で、PFASの問題に移りたいと思います。
今日は食品安全委員会の委員長にもお越しいただいておりますが、昨年の六月二十五日に、ずっと引き続いたワーキンググループ九回の報告を受けて、食品安全委員会として、いわゆる今社会的にも広く問題になっているPFAS、PFOA、PFOSの二つについて、各々二十ナノグラム・パー・キログラム摂取のTDI、毒性を表さない量として、それが食品安全委員会によって発表をされ、そして今、これはリスク評価と申しますが、リスク管理として、ペットボトルの中の水のPFASの濃度と水質を基準値に変えて、しっかりと管理できるようにという二つの作業が進んではおります。
でも、この基準値自身がどうなのかということは後ほど大河原さんが御質問されますので、私はそこには触れず、お手元のペーパーには、そもそもこのワーキンググループが、ある意味で透明性や公平性や科学的な信頼性を欠いているのではないかという指摘が現在多く起きております。
その理由は、いわゆる食品安全委員会が不採用にした様々な論文の中身は、他の文献に内容の重複ありとか、記録がないので説明するのは難しいと表向きはされておりますが、PFASによる影響が、がんとか、体に、健康にいろいろ害をなすというようなものについての削除が多いということが指摘されて、私は、こういう審議会で元論文自身が不適切だと言われた例をこれまで経験をしておりません。
そういう中で、食品安全委員会は、先ほど、ワーキンググループでリスク評価をして、これからリスク管理に行き、さらに、リスクコミュニケーションといって、国民との対話、双方向の対話を担われるわけですが、その元データがおかしいと言われていることとか、九回の表向きのワーキング以外に二十四回、いわゆる公表されない会議を持っていた、こういうことがあるだけで、国民は不信が高まると思うんです。
さて、食品安全委員会として、どんなリスクコミュニケーションをしていかれましょうか。御答弁をお願いします。
○山本参考人 お答えいたします。
PFASのリスク評価におきましては、委員御懸念の発がん性等を含め、各分野の専門家があらゆる観点から議論し、結論を得たものと考えております。
また、文献の選定プロセスにつきましても、食品安全委員会として、長年、汚染物質のリスク評価を行う中で積み上げられ確立された合理的なプロセスであると認識しております。
さらに、PFASに係るリスクコミュニケーションにつきましては、リスク評価のプロセスや結果について国民の皆様の理解を含め、透明性を高める観点から、評価書に関するQアンドA、パブリックコメントへの回答の要点などをホームページで情報発信するなど、国民の皆様への分かりやすい情報発信に努めてまいりました。
一方で、委員の御指摘にありましたようなことを考えますと、我々の伝え方が必ずしも十分でなかった点があるのか、食品安全委員会としても真摯に受け止め、今後も、リスク評価につきまして、その方法について検討してまいりたいと考えております。
○阿部(知)委員 ホームページに掲載してあるからとか、そういうのでは、もはや国民の不信は取れません。特に、秘密会議を行われた二十四回という問題が大きく響いていて、これは議事録も私たち国民からは見ることができないわけであります。
おまけに、食品安全委員会の書かれたものを見ると、食品安全委員会としてのリスクコミュニケーションの基本が、一貫性、公正性、客観性及び透明性、この透明性がないということは今私が申し上げましたが、加えて、一方的な発信に終始しており、さらに、私がびっくりした文章があります。一方、PFOS、PFOA等のリスクを過剰に懸念して食生活を変更することには、栄養学的な過不足をもたらす等の新たな異なるリスクが生じると書いてあるんですけれども、PFOSやPFOAを過剰に摂取、懸念して食生活を変更するというのは、委員長、具体的にどういうことだと思いますか。
私は、これは意味不明、こんなことを書いて出すから、国民はもう本当に何を言っているのと思うんです。例がありますか、懸念して、PFOSやPFOAの過剰摂取になるから摂取を制限して栄養が偏る、例があったら教えていただきたい。いかがでしょう。
○山本参考人 化学物質の摂取を恐れてそういった栄養学的な問題が起こるということに関しましては、様々な例の一つとして御紹介いたしますと、例えば……(阿部(知)委員「この件に。済みません、時間がないので、この件でお願いします」と呼ぶ)この件に関しましてですか。これは、栄養学的に問題があることが起こらないように、皆さんの食事を制限しないようにしていただきたいということを申し上げているわけです。
○阿部(知)委員 本当に抽象性で、意味がないと思うんですよ。
例えば、アサリは高いんですよ。じゃ、アサリを食べるな、食べたらPFOS、PFOAが、特にPFOAが高いからかとか、こんなことを書くくらいなら、例えば吉備ではナスが高くなりました、それは食べるなとか、そういうことを書くなら分かるんです、摂取の制限は。
でも、全く抽象的で、委員長自身だってイメージがないことを、なぜこういう文章にして国民に発信しますか。幾らホームページにそういうのがあったって、イメージできませんよ。まず、委員長自身がコミュニケーションのリーダーなんですから、何を言いたいのか、国民に何を伝えたいのか、そこが決定的に欠けているから、このTDI、毒性問題についても国民が不安に思うんですね。
今日、これ以上の御答弁がないものと思いますから、恐縮ですが宿題にさせていただきますので。この問題は非常に深刻です。私は食品安全委員会の信頼を損なうと思っておりますので、委員長として強く自覚していただきたい。
そして、最後になりますが、吉備中央での最近の血液検査について触れさせていただきます。
吉備中央は、この環境委員会でも御視察に行ってくださいました。簡単に言うと、活性炭、処理されたものを森の中に放置いたしまして、そのフレコンバッグの一つには四百五十万ナノ・パー・リッター、もう私たちの見たことのないような値のPFOAが検出をされました。
私も行きました。山の中で、沢でした。そこから上に水を揚げて、浄水場に持っていって、そこからまた家庭に配水された。二〇〇八年からそのフレコンバッグはあったのではないかと言われる、十数年に及ぶ汚染であります。
住民は一昨年の暮れから血液検査を求め、町は今年になってその結果を公表されましたが、また、この結果が驚くべき高さであります。私は、この二年ほどPFAS問題をずっとやってまいりまして、いろいろな血液検査、それぞれ地域で住民が測ったりなさったものも含めて一覧にしてございますから、これを委員長も見ていただきたいですが、これまで発表された値を更に飛び越えて、高い血液検査のデータが示されております。
それを次のページのグラフにしてございますが、PFOAで最大値が七百十八・八ナノグラム・パー・リッター、米国等ですとPFAS七種類で二十ナノと決めておりますから、一つで七百、それが年余にわたった、当然、住民は不安であります。血液検査を求める、そして健康影響を検査したい、でも、これは全部自費なんです。自費というのは、町が出す、健康については自分が出す。そして、このフレコンバッグが置かれた土壌汚染についても、町に測定のガイドラインだけ渡して、全部あとは町がやれと。町のせいではありません、こんなものが飛んできたのは。そして、全部あとは町の自己責任にされる。
せめて、環境大臣、土壌について、私はリスク管理の対象だと思うんです。水から土壌に行って、食べ物、体と行くコースもあるわけです。今日、時間の関係で省略して申しますが、リスク管理は、今、ペットボトルの水と、そして水道水の基準値の設定しかありません。もう何年も前から私は、土壌をリスク管理対象にすべきだと思ってまいりました。ますます吉備の例を見てそう思います。
大臣、最後の御答弁、いかがでしょう。
○浅尾国務大臣 PFOS等については、人が摂取する主要な経路は食べ物や水とされており、それらを経由した健康リスクの低減を図ることが重要であります。
環境省としては、飲み水経由の健康リスクを低減することを第一に、水道水質基準の引上げ等を進めてまいります。
また、農作物を経由した摂取については、農地土壌から農作物へのPFOS等の移行、蓄積性について、農林水産省において研究が進められていると承知しております。
その上で、環境省としては、先ほど申し上げた調査研究や実証事業を通じて、土壌中のPFOS等の挙動等に係る科学的知見の集積に努めてまいります。
○阿部(知)委員 それを自治体の負担でやらせないでください。ちゃんと補助を出してやるべきです、血液も土壌も。
以上です。終わらせていただきます。
○近藤委員長 次に、大河原まさこさん。
○大河原委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の大河原まさこです。
委員長を始め委員各位には様々な御配慮をいただきまして、大変ありがとうございます。本日も着座にて質問をさせていただきます。
今日も有機フッ素化合物、いわゆるPFAS問題について質問いたします。
私の地元である東京多摩地域では、PFASによる地下水の汚染問題が深刻です。一昨日も、西東京市の商業ビル内の駐車場で自動車が消火栓に衝突し、PFASを含む泡消火剤が流出したとの報道がありました。東京都が周囲の地下水を調査した結果、PFASは暫定基準値以下ではありましたが、都は念のため地下水を飲むことを控えるよう伝達しています。
これまでも、PFASの管理、処理についての政府の対応については委員会でも指摘させていただきました。より迅速に、徹底するように強く求めていきたいと新たに感じたところでございます。
環境省は、来年四月から暫定指針を水道法上の水質基準に引き上げ、定期的な検査を義務化することを決定しました。基準値をPFOSとPFOAの合計が水道水で一リットル当たり五十ナノグラムとすることには、専門家も含めて、多くの市民から不安の声が出されております。
水は公共財です。その汚染については、汚染者責任を追及するとともに、公費を使って対応すべきであると考えます。自治体には負い切れない負担であることは明らかですし、技術的助言にとどまらない、積極的な財政支援を国は行ってしかるべきであると考える立場から質問いたします。
まずは、直接の飲み水である水道水について伺います。
浅尾大臣にお尋ねいたします。PFOS、PFOA含有量を水質基準にすることの意義を改めてお答えください。
○浅尾国務大臣 PFAS対策については、国民の不安の声などを真摯に受け止め、科学的知見を踏まえた対応を着実に実施してまいります。
PFOS等による健康リスクは、飲み水や食品などを経由した摂取が主な要因として考えられます。
このため、環境省では、飲み水から健康リスクを減らすこと、摂取しないことを第一に取り組んでおります。昨年六月に示された内閣府食品安全委員会の評価結果等を踏まえて、PFOS等の水質基準への引上げ等について、二月に開催した審議会においておおむね了承されました。
この方針案について、三月末までパブリックコメントを実施したところであり、本日開催の審議会においてパブリックコメントの結果を踏まえて御議論いただくこととなっております。
水質基準とすることで、全ての水道事業者等に水質検査及び基準遵守が義務づけられることとなります。国民の皆様が安全な水を使い続けられるよう、万全を尽くしてまいります。
○大河原委員 暫定基準値の五十ナノグラム・パー・リッターを水質基準とする根拠、これについてはどのようなことでしょうか。根拠をお答えください。
○松本政府参考人 お答えいたします。
PFASのリスク評価につきましては、食品等から摂取するものに関する健康影響の評価、これを独立した立場で科学的に実施する内閣府食品安全委員会において、各国、各機関が参照した知見も含めて評価がなされまして、昨年六月にPFASに関する食品健康影響評価が取りまとめられました。
この評価書におきまして、食品安全委員会により設定された耐容一日摂取量、これを踏まえまして、我が国の水道水の水質基準値等の設定で通常用いられる方法に基づいて、環境省におきまして、体重は五十キログラム、一日当たりの飲用水摂取量二リットル、摂取量全体に占める水道水からの寄与を示す割当て率を一〇%、これを用いまして五十ナノグラム・パー・リットルを算出したところであります。
これは、結果として令和二年四月に設定した、委員御指摘の暫定目標値五十ナノグラム・パー・リットルと同じ値となったものですけれども、この値を水道事業者等に遵守や検査等を義務づける水質基準に引き上げることが本年二月の審議会において了承されたというところでございます。
○大河原委員 ここまでは、既に有害とされているPFASの一部であるPFOS、PFOAについて質問してまいりました。それ以外のPFASについて伺います。
水道水におけるPFOS、PFOA以外のPFAS八種類を要検討項目に入れるわけですが、その位置づけについてはどうでしょうか。御説明ください。
○松本政府参考人 お答えいたします。
PFASは全体でいいますと一万種類以上存在するとされている中で、国際条約で廃絶等の対象とされているのはPFOS、PFOA、PFHxSの三種類のみです。また、国内で化学物質審査規制法に基づき製造、輸入等を原則禁止しているのもその三種類のみであります。
これら以外のPFASについては、必ずしも有害性が確認されているわけではないと承知しております。
また、PFOS、PFOA以外のPFASについてですが、これは、令和五年に有識者会議で取りまとめられましたPFASに関する今後の対応の方向性というものにおきましても、非常に数が多く、個別の有害性や環境中での存在状況に関する知見が不足ないし存在していないものが多いため、更なる科学的知見の充実を図りながら対応していくことが重要とされているところであります。
こうした中で、水道水におけるPFOS及びPFOA以外のPFASにつきましては、国際的な動向、また国内における検出状況を踏まえまして、八物質を要検討項目に指定することにつきまして、審議会においておおむね了承いただきました。
この要検討項目と申しますのは、毒性評価が定まらない、また、浄水中の存在量が不明等の理由から水質基準項目等への分類ができない項目としまして、これは必要な情報、知見の収集に努めていくものであるということでございます。主として環境省において今後知見等の充実を図ってまいりたい、このように考えてございます。
○大河原委員 御説明では知見の充実、収集としているわけですが、PFASは、御答弁にもありましたが、一万種類あるんです。もっと未然防止の観点から管理を進めていかなければならないと考えます。
そこで、次の質問ですが、今ほど御答弁のありました八種類のPFOS、PFOA以外のPFASを要検討項目にされたわけですが、せめてそのレベルを一段階上げて管理目標設定項目に指定すべきではないでしょうか。また、総量での目標値を設定して管理すべきと考えます。いかがでしょうか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
先ほど来申し上げましたけれども、食品安全委員会の昨年六月の取りまとめにおきまして、PFOS、PFOAにつきましては耐容一日摂取量が示されました。他方で、三つ目、PFHxSにつきましては、健康影響評価を行う十分な知見が得られていないということから、現時点では指標値の算出は困難というふうに判断されております。
こうした食品安全委員会の評価等を踏まえまして、本年二月に開催した審議会におきまして、PFHxSはもとより、合計八物質のPFASについて、目標値を伴う水質管理目標設定項目ではなく要検討項目に位置づけることがおおむね了承されたところであり、今後、先ほど申し上げたとおり、情報、知見の収集に努めてまいりたいと考えております。
委員御指摘の総量での目標値の設定につきましては、これらの物質の毒性評価が定まっていないということでございますので、現時点では検討できるという状況ではないというふうに考えてございます。
○大河原委員 PFOS、PFOA以外のPFASが要検討項目になるわけですけれども、水道法における要検討項目の管理状況についてはいかがでしょう。全国から、あらゆる場所からPFASが見つかっているんです。全国の水道事業者で要検討項目の調査結果を、検査結果を公表している事業者はどのくらいあるのでしょうか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
現在、要検討項目に位置づけられているPFHxSについてですが、令和五年度でございますが、水道の原水につきまして全国の二百十四地点の河川や地下水で、また浄水では全国の百九十九地点の浄水場や給水栓で検査が実施されております。
検査している事業者、総数はちょっと現時点で手元にございませんけれども、例えば東京都水道局、大阪市水道局、沖縄県企業局などでこうした検査が実施されているという状況でございます。
○大河原委員 検査結果を自主的に公表している事業者数を明確に把握していないということになると思いますが、環境省は水の管理を課す水道事業者数や検査結果についてもっと注意を払うべきではないでしょうか。
水道事業者のみにリスク管理が課されるべきではなく、幅広く国が管理できる方法を始めていくべきだと考えます。検査結果の公表を国が積極的に進めることで、PFOS、PFOA以外のPFASの水道中の濃度の増減モニタリングが可能になり、汚染防止の措置がより確実なものになると考えられますが、いかがでしょうか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、要検討項目に位置づけられているPFHxSにつきましては、検査を行った水道事業者等の測定結果を環境省において把握しております。そして、本年二月に開催した審議会に報告するとともに、資料も公開を、公表させていただいておるところでございます。また、検査結果につきましても、各水道事業者等におきましてホームページで公表しているところもあるというように聞いております。
今後でございますけれども、八物質のPFASを要検討項目に位置づけることで、水道事業者がこれらの検査を行っていくということが考えられますので、環境省としても、委員御指摘のとおり、その検査結果を把握してまいりたい、このように考えてございます。
○大河原委員 それでは、公共用水域におけるPFASの管理についてお伺いいたします。
公共用水域とは、水質汚濁防止法では、河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域及びこれに接続する公共溝渠、かんがい用水路その他公共の用に供される水路のことを指しています。この公共用水域においても、PFAS、PFOAを環境基準項目や排水基準項目に設定して管理すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
先ほど来お答えしていますけれども、PFOS等の健康リスクは、飲み水や食品などを経由した摂取が主な要因であるということが考えられますので、何よりも摂取しないことが重要と考えております。このため、環境省としては、まずは水道水におけるPFOS等について、水質基準への引上げ等の方向性を今春をめどに取りまとめるということとしております。
委員御指摘の河川、地下水等におけるPFOS等についてですけれども、これは、内閣府食品安全委員会が示した耐容一日摂取量を踏まえた指針値とすることについて、本年二月に開催した審議会においておおむね了承をいただいたところでございます。
この指針値ですけれども、水道水源等の重点的な環境モニタリングの目安といたしまして、水質基準と合わせた運用をすることによりまして、飲み水の摂取を通じた健康リスクを効果的に低減することができると考えておりまして、そうした扱いをすることが適当だとされております。
その上で、環境中への流出や拡散に関する知見、また、効果的、効率的な対策技術に関する知見等を収集しつつ、引き続き、指針値の取扱い等、今後の対応について検討してまいります。
○大河原委員 京都の福知山市の芦渕浄水場では、管理目標値を超えるPFOS、PFOAが二〇二三年の十月に七十五ナノグラム・パー・リッター検出されました。昨年の十一月七日の京都新聞によれば、その上流にある産業廃棄物処分場の排水が流れ込む河川水の調査で、PFOA、PFOS以外のPFASが高濃度で検出されています。
しかし、下流の芦渕浄水場で測定しているのはPFOSとPFOAだけなんですね。現在、産廃処分場には排水基準も測定義務もありません。PFOS、PFOAも自主的に測定しているところがあるというのが現状です。
また、今後は半導体工場からのPFAS汚染も問題になると思われますが、半導体工場で実際に使われているPFASは、パーフルオロブタン酸、パーフルオロブタンスルホン酸といった規制のないPFASなんです。TSMCのある熊本県では、半導体工場周辺の地下水と下水処理場の排水、河川水について、それらを含めたPFAS二百五十種類の検査を実施しました。半導体工場の操業開始に伴い、PFBA、パーフルオロブタン酸、PFBS、パーフルオロブタンスルホン酸の濃度の上昇が確認されています。
このような実態があるのを踏まえると、半導体工場や産業廃棄物処理場の排水から汚染源となり得るPFASを想定し、早期にモニタリングを実施して、汚染拡大を予防する措置を追求すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、PFASは、全体でいうと一万種類以上存在するというふうにされている中で、国際条約で廃絶等の対象とされているものはPFOS、PFOA、PFHxSの三種類のみです。また、国内で化学物質審査規制法に基づき製造、輸入等を原則禁止されているのもその三種類のみでございます。
これら以外のPFASについては、必ずしも有害性等が確認されているわけではないと承知しております。
なお、環境省としては、PFOS、PFOA等以外のPFASの有害性について、令和六年から、北海道大学等の三つの研究グループに委託して、動物実験等によるPFASに関する総合研究を実施しているところでございます。
また、水道水につきましても、先ほど来お話ししておるとおり、八物質のPFASについて、毒性評価が定まらない中でも、また浄水中の存在量が不明な中でも、水道水の存在状況の情報や知見を収集するため、先ほども申し上げた要検討項目に指定するところにつきまして、審議会においておおむね了承されたところでございます。
まずは、こうした取組を通じまして、PFOS、PFOA等以外のPFASの有害性、そしてまた検出実態に関する知見の収集、集積に努めてまいりたい、このように考えてございます。
○大河原委員 改めて、浅尾大臣にお尋ねいたします。
昨年、当委員会で阿部知子議員に、産業廃棄物処理場からの排水についてはガイドラインを作ると答弁されています。大変に重要なことだと思います。ガイドラインには既に着手され、実現に向かわれているのではないかと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
最終処分場の排水中に含まれるPFOS等については、国立環境研究所などの有識者の意見も伺いつつ、最終処分場の排水中に含まれるPFOS等の実態把握や、排水中のPFOS等の処理技術等に関する調査を進めているところであります。
こうした調査を通じ、最終処分場の排水中に含まれるPFOS等は、排水処理工程において活性炭を活用した処理を行うことで除去することが可能であるといった知見も得られております。
さらに、この四月からは、最終処分場の排水などを対象としたPFOS等の濃度低減のための対策技術に関する実証事業の公募を開始いたしました。
こうした調査や実証事業により、引き続きPFOS等の実態把握や処理技術に関する知見の収集を鋭意進め、最終処分場に関する技術的な指針をお示しできるように取り組んでまいります。
○大河原委員 ともかく、これまでの環境行政で、迅速さ、そして確実性、こうしたものに課題がありました。浅尾大臣におかれましても、このガイドラインを作るとおっしゃった答弁には私も期待をしておりましたので、トゥーレート大臣にならないようにしっかりとお取組をお願いいたします。
環境省は、PFAS除去に使った活性炭を適正に保管、処理するよう都道府県と政令市に通知を出しています。ただ、私は、一旦集積させたPFASを拡散させることには反対です。PFASを吸着させた使用済活性炭をリサイクルして再利用することは、政府の方針として禁止すべきではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
PFOS等の除去に使用された活性炭の廃棄、再生につきましては、環境中にPFOS等を流出させないように適切に取り扱うことが重要と認識してございます。
環境省におきましては、使用済活性炭に由来するPFOS等の汚染拡大防止を図るため、先月、PFOS等の除去に利用した使用済活性炭の適切な保管、適正処理及び再生に関する通知を自治体に発出したところでございます。
同通知では、例えば、使用済活性炭を長期間保管する場合には、屋内で保管する又は雨水等が当たらないようにするなど、環境中への汚染を生じさせないよう注意喚起を図っております。
また、使用済活性炭を再利用するためにPFOS等を除去しようとする場合には、その除去を行う事業者に対して、PFOS等が含まれていること等を適切に情報提供し、受入れ可能かどうかを確認するとともに、事業者において排水対策等が適切に講じられていることを確認するよう注意喚起もさせていただいているところでございます。
環境省としては、今回の通知により、事業者等においてPFOS等の汚染拡大防止が一層取り組まれるよう、自治体等に必要な助言を行ってまいりたい、このように考えてございます。
○大河原委員 本当にPFASという厄介な、環境中に放出されたら、これを除去して、なくしていくことが、回収することも今の段階では実質的には難しい物質、これを世界中でなくすという取決めの下で、国は積極的に国家戦略として取り組むと約束をしたわけですから、是非とも総力を挙げて頑張ってほしいと思います。
私の地元にあります米軍横田基地でのPFAS漏出の件について次に伺います。
四月の十六日に米軍側から、貯水池にあるPFASの汚染水の処理法が示され、池の残水、残った水には粒状活性炭フィルターを用いて浄化処理をし、浄化後の水は雨水排水路へ放流すると関係自治体に伝えたと聞いております。
横田飛行場のPFOS、PFOAを含む水の処理方法を米軍にどのように確認しているのか。処理によって、PFOS、PFOA等の濃度の低減を放流前にどのように確認し、安全を確保するのでしょうか。お答えください。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
昨年八月の横田飛行場におけるPFOS及びPFOAを含む水の漏出事案に関しまして、米側からは、貯水池の残水はPFOS及びPFOAの除去効果がある粒状活性炭フィルターを用いて浄化処理し、サンプル採取により同フィルターの効果を確認した上で、雨水排水路へ放流されるなどの説明を受けまして、今月十六日に、北関東防衛局から関係自治体に説明をさせていただいたところでございます。
米側が使用する粒状活性炭フィルターにつきましては、令和四年十月の、厚木海軍飛行場の調整池内のPFOS及びPFOAを含む水を処理したものと同じであり、当時、PFOS及びPFOAの濃度の合算値を九百十ナノグラム・パー・リットルから四・七ナノグラム・パー・リットルまで低減させ、その除去効果は九九・五%であったという説明も受けているところでございます。
防衛省としましては、浄化後のPFOS及びPFOAの濃度低減を確認するために、今後、環境補足協定に基づきまして、関係自治体とともに横田飛行場へ立ち入り、処理水のサンプルを採取することを予定しているところでございます。
処理方法等の更なる詳細につきましては米側にも確認しているところであり、その結果につきましては関係自治体の皆様に丁寧に説明してまいりたいと考えております。
○大河原委員 日本には排出基準がありませんが、PFASで汚染された水の排水基準は、アメリカではどうなっているのでしょうか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
アメリカにおいて、事業場等から、PFAS排水につきましては規制されていないと承知しております。
○大河原委員 アメリカにも排出基準はないというお答えなんですが、ちょっと、意外というか、びっくりいたしました。
PFASの水質基準が、アメリカではPFASの水質基準は日本よりも大変低く設定されているわけですから、当然、排出する際にも低い濃度で排出されていると理解できます。本来なら米軍はアメリカの水質基準を守るべきではないかと思いますが、日本政府としてそれを要求できないというならば、それは大変に残念なことであり、遺憾です。
多摩地域のPFAS汚染から命と健康を守る多摩連絡会で四月の十九日に市民集会が開催されまして、私もこれに参加いたしました。PFAS汚染が広がる東京多摩地域では、自治体ごとに市民の会がつくられ、命と健康を守る活動が進められております。それぞれの団体から、水質基準値五十ナノグラム・パー・リッターに対する疑問が寄せられております。
一年前のこの環境委員会でも、私が質疑させていただいた際、当時の伊藤大臣は、今ある法律あるいは今ある方針を総動員して、国民の安全、安心のために必要な取組を全力で進めると答弁されました。その結果、水質基準は知見不足によって暫定指針値であった五十ナノグラムのままというのは、納得のいくものではありません。本日の質疑で指摘したように、PFAS汚染の実態を把握、管理できるよう進めていただくことを強く求めます。
PFAS問題の解決には、使用規制後も土壌などに残留をすること、地下水の汚染は広がりやすく対策は喫緊の課題であること、PFAS使用の履歴調査、そして水以外についての調査、健康調査が必要です。
私たち立憲民主党は、まず、飲み水の安全確保のための法律案を準備したいと考えております。そして、私としては、有機フッ素化合物の対策を取る法律や化学物質の総量規制に関する法律を行く行く提案していきたいと考えていることをお伝えし、本日の質問を終わります。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、齋藤裕喜さん。
○齋藤(裕)委員 おはようございます。立憲民主党の齋藤裕喜です。
本日は、皆さんに是非とも検討、お考えをいただきたいということを質問項目に入れさせていただきました。
私は、福島の浜通りの選出の国会議員でありますので、今も福島第一原発の近くには住んでおりますが、そこで、四月の二十三日に、東京電力は、核燃料のデブリを、二回目の採取を完了することができました。一回目に採取したのは僅か〇・七グラム、そして、二回目の二十三日は三グラム以下という、これは成功したんですけれども、これを皆さん、少ないと見るか大いなる二歩目を進めることができたというふうに考えるか、それぞれだと思いますけれども。
試験的に取り出して分析するということは非常に重要でして、これは八百八十トンもあるわけですから、少ない量を取り出して、そこから分析をして、どうやってその八百八十トンというデブリを取り出すかということは、今後、本当に世界的な英知を結集して取り組まなければいけないというふうに私も考えているところではありますけれども。
皆さん、福島第一原子力発電所に視察に行かれた方々は分かりますけれども、大体、毎日、一日四千人から五千人ぐらい作業をしている方々がいらっしゃいます。そして、記憶に覚えている方もいらっしゃいますが、水素爆発したときには、もちろん、消防隊員であったり自衛隊員、警察署の方々、東京電力やその関係者の方々が必死になって事故の収束に取り組んだからこそ、私たちが今こうしてこの地に立っていられるという部分も忘れてはならないと思っております。
それでなんですが、取り出しをするにも、科学的ないろいろな技術、ロボットとかいろいろありますけれども、こういったものは必要なんですが、最終的にはやはり人なんです。人が関わっているからこそ、二回目も成功したと。ロボットアームとかいろいろなものはありますけれども、これから研究開発していかなくちゃいけないこともあるんですが、人が関わっていくということは非常に重要だと思っていますので。
この高線量のデブリを取り出すに当たって、やはり作業員の安全というのは本当に重要だと思うんですね。やはり本当に、内部に行って取り出してくる、そしてそれを遮蔽してまた持ち出すという、この危険な作業が伴っている作業員の安全を守らなければいけない。この作業員の安全を守るための基準、被曝の基準とかいろいろあると思うんですが、いかがなっているでしょうか。お答えください。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘ございましたとおり、東京電力福島第一原子力発電所における燃料デブリの試験的取り出しにつきまして、四月二十三日に二回目の取り出しに成功したところでございます。
この取り出し作業につきましては、装置を格納容器の中に入れて取るわけですけれども、装置先端のカメラの交換であるとか、あるいは、装置を格納容器内に押し込む際にパイプをつないで入れるわけですけれども、そういった作業につきましては人手を要します。また、作業現場につきましても、原子炉建屋の中でございますので、一時間当たり数ミリシーベルトの線量下にあるということでございます。
このため、作業に従事していただく方々の被曝線量を適切に管理しながら作業を進める必要があるということでございまして、法令上の基準を超えないように、また、東京電力におきまして、より保守的に被曝線量、計画線量として設定をして、作業員の方々の一人当たりの被曝線量を一年間当たり十二ミリシーベルト未満に収めるという形で、作業の体制あるいは作業の時間の計画を立てて実施をしているということでございます。
具体的な今回の二回目の試験的取り出し作業につきましては、一日当たり数十人の作業員の方々が、四班から五班の体制を構成いただきまして、それぞれ三十分程度の作業を交代で実施をしていただいたということでございます。その結果、作業全体における一日当たりの個人の方々の最大被曝線量は〇・九七ミリシーベルトであったという報告をいただいております。
以上でございます。
○齋藤(裕)委員 これは皆さんなかなか知ることはできないと思うんですけれども、冬場はまだいいんですけれども、マスクをして、それで皆さん、タイベックとかいろいろ放射線防護の格好をして、重装備で行くわけですね。これから暑くなりますよね。防護マスクとかゴーグルの中に汗がたまって前が見えなくなるという過酷な状況で皆さん作業しているということを是非忘れないでいただきたいと思います。
作業を引き続き安全第一に取り組まれることをお願いして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
福島の原子力発電所の事故のときに、水素爆発は結果的になってしまったんですが、放射性物質が広範囲にわたって汚染をしてしまったという状況は皆さん御承知のとおりですけれども、これが七県六十三市町村を汚染状況重点調査地域というものに指定をして、各自治体で今保管管理をしているんですね。
そして、福島でいえば、今、除去土壌としては八千ベクレル・パー・キログラムなんですけれども、福島県外にある今の除去土壌、これはどのように保管されているのかということと、放射線量は何ベクレルぐらいとか、どれだけの量があって、さらに今後はどのようにされていくお考えなのか、お答えよろしくお願いいたします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
まず、福島第一原子力発電所の事故によりまして環境中に放出された放射性物質の対処につきましては、生活環境における空間線量率の低減を図るために除染が行われまして、これによって発生した除去土壌については、福島県外の地域では除染の現場や仮置場というところで保管いただいております。
具体的には、七県五十三市町村におきまして、約三十三万立米の除去土壌を約二万九千か所で保管をいただいております。
それで、放射能の濃度でございますが、あくまでも航空機モニタリングによります調査でございますが、福島県外において保管される除去土壌の放射線セシウム濃度を推計をした結果、中央値は大体五百ベクレル・パー・キログラム以下、九五%はキログラム当たり二千ベクレル以下といった数字になってございます。
○齋藤(裕)委員 今お答えいただきましたけれども、あくまでも航空機での推計ということで、福島だと、今、八千ベクレル以下に低減していくということが非常に重要だと思ってはいるんですけれども、先ほどの答弁でまだお答えいただいていないのが、今後、今、保管管理されているものを、各自治体で今保管しているわけですよね、それをどうされていくか、お答えいただけますか。
○白石政府参考人 大変失礼いたしました。お答え申し上げます。
除去土壌の処分方法につきまして、本年三月二十八日に除去土壌の処分基準及びガイドラインというものを策定してございます。県内、県外共通の処分基準でございますし、ガイドラインについても県外のためのものでございます。
福島県外におきまして発生した除去土壌につきましては、法令上は市町村等が基準に従って処分を行うということになってございますけれども、環境省といたしましても、市町村等とよく相談をさせていただきながら、除去土壌の処分が円滑に進みますように財政的、技術的な支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○齋藤(裕)委員 今お答えいただきましたけれども、福島県内と県外があるわけですね。
皆さん、なかなか重点の地域になっていないところは分からないと思うんですけれども、これは各自治体が主体となってやらなくちゃいけないというふうにはなっていますけれども、是非とも、福島県の問題だけでもなくて、全国的にやはりこういう問題はあると思うんですね。なので、こういったものは、やはり国が、各自治体だけでさせるわけではなくて、しっかりサポートをしていくということをお願いしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
今日、浅尾大臣、来ていただいていますけれども、中間貯蔵施設における除去土壌と最終処分に向けた全国への理解醸成に向けて、お渡しした資料の中にもありますが、なかなか、この間も含めて十四年たちますけれども、理解醸成が進んでいない。
ましてや、新宿御苑とか埼玉の所沢であったりとか、そういったところの反対運動が物すごいことですし、最近のことを言えば、パブコメされていると思うんですけれども、パブコメに十二万件ぐらいですか、十二万件意見が寄せられた。中身の問題は確かにありますよ、AIとかで同じような内容をパブコメで相当数入れて、環境省の人たち、本当に大変だったと思うんですけれども。
そういった事態が今ある中で、是非お答えいただきたいんですけれども、浅尾大臣は、二月の閣議後、伊沢町長の最終処分への危機感を深く受け止めている、国としても理解醸成につなげなければ、中間貯蔵施設を受け入れていただいた町長に申し訳ないと御発言をされています。
そして、福島民報の記事にも書いてありましたが、福島県の佐藤雄平前知事も、除染で出た土や廃棄物が各市町村で、当時、仮置きの状態が続くと、福島県内とか、県外もありますけれども、そうすると、経済や教育、文化活動ができなくなる懸念があった、住民の方々が先祖伝来の土地に帰還ができなくなるかもしれない、だけれども、外部の人たちからも、受入れについては双葉郡に了解してほしい、ほかの地域から何人からもお願いされたと佐藤雄平前知事はおっしゃっているんですね、この記事の中で。当時の苦渋の決断が、佐藤雄平前知事は在任中で一番難しい決断だったと福島民報の記事でお答えされていました。
現在、どうでしょうか、皆さん、受け入れていただいた双葉町とか大熊町、その方々がいらっしゃるからこそ今の営みがあるんだと思います。あの二町が受け入れたからこそ今私たちがそういった営みができているに当たって、これまでの御苑とか埼玉所沢市の反対運動も承知していますけれども、これは確かに、住民説明会の進め方、やり方が問題があったというふうに私は思っています、個人的には。それでも、県外の認知度はまだまだ二割程度。
これからの進め方について、どのようなお取組をされるおつもりでしょうか。浅尾大臣、よろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 除去土壌等の県外最終処分、復興再生利用の実施に当たっては、必要性、安全性等に関する、今御指摘ありました、国民の皆様の御理解が大変重要だと認識をしております。
環境省としては、こうした御理解を広げるため、これまで、有識者の御意見もいただきながら、現地視察会の開催やメディアを通じた情報発信等の様々な取組を実施してきたところであり、本年三月には福島県大熊町に中間貯蔵事業情報センターも開設し、情報発信と現地視察の受入れ体制を強化しているところであります。
今後は、こうした取組を通じて、三月にお示しした最終処分、復興再生利用に係る基準等を踏まえ、科学的根拠に基づく分かりやすい説明及び情報発信により、福島だけの課題ではなく、日本全体の課題として、理解醸成にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、県外最終処分の実現に向けては、昨年十二月に設置した閣僚会議の下、今年春頃までに基本方針、今年夏頃までにロードマップを取りまとめるとしており、政府一丸となって、理解醸成を始めとした必要な取組を着実に進めてまいります。
○齋藤(裕)委員 御答弁ありがとうございました。
この理解醸成というのは非常に難しくて、必ず地域が分断されるんですね。受け入れる方の賛成、反対とか。各国会議員の先生方、是非、県議会議員とか地元の自治体の議員の方々と、一度でもいいですから議論していただきたいんですね。それだけでも、随分意見が分かれて、あの人は賛成しているからとか、あの人は反対しているからというふうに、ましてや、余りこの場で言うのは好ましくないんですけれども、選挙の、あの人はああいうふうに反対していたからとか賛成していたからとか、そういう話になってきているわけですね。なかなかセンシティブな問題で、触れたくない部分ではあるとは思うんですけれども。
でも、やらなくちゃいけないんですよ、これは本当に。やらなくちゃいけない。あと二十年で結果を出すんじゃなくて、もっと前倒ししてやらなければ、この最終処分場の問題というのはなかなか解決できないと思うんですよ。是非、国会議員の先生方や、若しくは自治体の議員の方々と一緒にそういう場を設けていただきたいですし。
前、復興特別委員会でもお話しさせていただいたんですけれども、全国の知事会とかそういったところでも理解を求めていくとか、石破総理は首相官邸で除去土壌を使っていただくとか、そういうお話もありますけれども。首相官邸で使うにしたって、この辺の地域の人たちに御理解をいただかなければいけない。じゃないと、また新宿御苑とかあの埼玉所沢のようなそういった問題に発展しかねないという部分が非常にありますので、この辺は、これからも引き続き、浅尾大臣、どうかよろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきますけれども、今日の資料にもお配りさせていただいているんですが、福島県、もちろん内部被曝、外部被曝の問題があると思うんですけれども、非常にこれもいろいろな御意見があるのは私も承知しています。
そこで、福島県民健康調査甲状腺検査について、この間もいろいろな方々の御意見をいただいて、私の事務所にもそういった御意見をいただいているところなんですが、これははっきり言ってですけれども、なかなか因果関係がまだないというような形にはなっているんですけれども、疑わしきは、やはり国としてこういったものは、原子力災害が起きたのは大変なことだったかもしれないですけれども、この十四年間という時間軸の中で、しっかりとやはりその辺は、エビデンスに基づいたものを積み重ねてこなかったというふうに思うんですよ。これはPFOSとか、そういった健康被害にも全く同じなんですよ。
こういった問題が発生しているにもかかわらず、それをなかなかこの間きちんと継続的に、海外ではちゃんとそういったものを調査する機関とかもありますから、この辺についてしっかりやっていただきたいと。その先にまたいろいろな対応とか、必要だと思っているんですけれども、健康調査とかそういった体制について、今どういう状況になっているか、お答えいただけますでしょうか。
○前田政府参考人 お答えいたします。
環境省といたしましては、福島県が実施しております県民健康調査の甲状腺検査により発見されました甲状腺がんにつきましては、福島県の県民健康調査検討委員会ですとか、UNSCEARといいます原子放射線の影響に関する国連科学委員会などの専門家会議の報告におきまして、現時点では放射線の影響とは考えにくいという評価がなされていると承知してございます。
また、福島県の県民健康調査検討委員会の甲状腺検査評価部会におきまして、事故当時乳幼児であった世代を含め、引き続き見守りが必要であると取りまとめられていると認識しており、環境省といたしましては、福島県のニーズを踏まえて、引き続き、福島県が実施する甲状腺検査に関して必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
以上です。
○齋藤(裕)委員 皆さん、当時、爆発しましたよね、そのときにヨウ素が最初に、放射性プルームとかと言われていますけれども、それはやはり、目にも見えないですし、臭いもしないし、味もしないんですよ。やはりいろいろな作物を地方ではたくさん作っていますし、それを摂取しているわけですよね。
知っていただきたいのは、内部での被曝と外部での被曝という関係性も含めてなんですけれども、先ほど因果関係がなかなか認められないというお話もありましたけれども、それはそれで一つの今現時点での答えなのかもしれないんですけれども、やはりこれは長期的な視点に立って、生活習慣とかいろいろありますよ、ですけれども、やはり、さっきの重点調査地域で、ありましたよね、せめてそういったところについてはきちんとそういった健康調査をしていくとか、尿検査であったりとか血液検査とか、いろいろできることはたくさんあると思うんですよ。
こういったことをやはり積み重ねて、日本のこの事故を、海外でまたどこか、スリーマイル、福島第一、チェルノブイリありますけれども、そういったところに日本が生かしていく、そういった視点に立っていけば、このことは非常に重要だと思いますので、是非取り組んでいただきたいんですけれども。エコチルとかあるじゃないですか、ああいったものは、今現時点でどういう状況になっているんですか。どうぞお答えください。
○前田政府参考人 お答えいたします。
エコチル調査につきましては、平成二十三年から約十万組の親子の御協力をいただき、PFOS、PFOA等を含みます化学物質の暴露等と健康影響との関連を明らかにし、リスク管理当局や事業者への情報提供を通じて、適切なリスク管理体制の構築につなげることを目的に実施をしてございます。
本調査の中におきましては、PFOS、PFOA等と健康影響との関連性について調査分析を進めた成果といたしまして、これまでに四本の研究成果が発表されていると承知をしてございます。
引き続き、PFASと健康影響の関連を明らかにするために、科学的に評価可能な疫学調査や研究なども推進してまいりたいと思います。
以上です。
○齋藤(裕)委員 是非、科学的にというところがすごく大事で、そこをやはり日本の国でも海外に向けてきちんと情報発信していけるような、そういったものを是非ともよろしくお願いします。
残りあとちょっとしかなくなってきたので、質問は若干飛ばさせていただきたいんですけれども、高レベル放射性廃棄物の一時保管の状況についてお尋ねしたいと思うんですが。
皆さん、今、最終処分場の選定について、北海道では寿都町ですね、神恵内村で終了した文献調査について、私もいろいろと資料を見させていただいたんですけれども、これは非常に、やはり福島県の問題だけではなくて、全国でこれだけ原子力発電所が立地している中で、避けては通れないといいますか、これこそ天文学的な数字が、後で御説明しますけれども、そういったことが関わってくるんですね。
原子力発電所の環境整備機構ですね、NUMOが責任を持って処分していかなければならないわけですけれども、これは今のところ、地層処分、約三百メーターぐらいに、それを最終処分場として保管管理していかなくちゃいけないというのがあったり、皆さん、先ほどのヨウ素とかセシウム134とか137の半減期は御存じですかね。ヨウ素は約八日、セシウム134は二年ですね、137は三十年の半減期があるんですよ。それ以外にも核物質はたくさんありまして、それを考慮すると天文学的な数字になるんですね。千年、さらには万年に及ぶんですね。
これは、千年前は日本ではたしか平安時代ですから、これから先の千年後の日本人の人たち、万年後の日本人の方々に、ここに最終処分をした放射性廃棄物があるんですよというのを分かるようにしていかなくちゃいけないという、これは本当に天文学的な取組を今まさにやっている最中であるということを皆さん御承知おきいただきたいんですけれども。
これは、福島だけではなくて、日本全国の方々、処分する場所は今のところ一か所というお話なんですね。一か所というお話なんですけれども、これだけ原子力発電所を動かしていくと、ガラス固化体という処分する物体が、一年当たり二十本から三十本ぐらい出るんですよ。今、一か所で四万本これを保管できるような、そういう筋書きで動いているんですけれども。
これは相当大変なことでして、これからいろいろ原子力発電所を動かしていくに当たって、最終処分場が今決まっていない中で、果たして進んでいっていいのかというところもありますよ。若しくは、電力事情があるので動かさなくちゃいけない、そういう状況も確かにあるとは承知しているんですけれども、国が原子力を進めてきたわけですから、これはやはり国としての責任は非常に重いと思っています。
ですので、皆さんも一個人としてでも一緒にお考えいただきたいんですけれども、今、青森県六ケ所村に高レベル放射性廃棄物の貯蔵をしているわけですけれども、数万年保管管理ということなんです、地層に、三百メーターに。これを適切に保管管理するというのは非常に至難の業なんですが、ですが、やらなくちゃいけない。
今も二万七千本相当あるというんですけれども、現在の一時保管状況、これからの出てくる物量含めて、お答えいただけますでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
本年四月現在、青森県六ケ所村におきまして、日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで、フランス及び英国から返還されたガラス固化体が千八百三十本、同社のガラス固化体貯蔵設備で六ケ所再処理工場のアクティブ試験で製造されたガラス固化体が三百四十六本保管されているというふうに承知をしてございます。
今後は、六ケ所再処理工場が竣工いたしますと、フランス及び英国からの返還の再開に加えまして、六ケ所再処理工場での製造により貯蔵量が増加していくというふうに考えてございます。国は青森県に対して、高レベル放射性廃棄物最終処分地にしないということを確約しておりますので、六ケ所村での貯蔵は最終処分に向けた搬出までの一時的なものでございます。その上で、最終処分の早期実現に向けて、国が前面に立って取組を進めてまいります。
○齋藤(裕)委員 これは、やはりさっきの除去土壌とかいろいろな問題と全く同じようになっているんですね。その受入先の自治体は、市町村の首長が、あと県知事が、最終的に住民の意見を聞いて判断をしなくちゃいけない。こんな重い責任を都道府県知事の方々や自治体の長にお願いしなくちゃいけないというのは、これは苦しいとも何とも言えない状況ですね。
やはり国として、広く住民の方々、皆さんの意見を見てみますと、本当に切実な問題で、訴えている内容も、各開催地がありますけれども、札幌とか神恵内村とか寿都町でやっていますけれども、これは本当に大変なことになっているんですよ。
北海道だけの問題ではなくて、これは日本全国のものを、じゃ、どこに持っていくんだという話をしているわけで、これはきちんと、全国的にそういったことも含めて、原子力政策、電力量の需給が逼迫しているということは今後確かに出てくるかもしれないんですけれども、これを将来の世代に回しちゃいけないと私は思っているんですよ。福島の事故のときに生きていた人間がその辺をしっかりと決めて、それで、千年先か万年先かの日本人の人たちにしっかりと伝えていかなくちゃいけない、この役割を今私たちは担っているんだというふうに思っています。
そろそろ終了が。
じゃ、最後に。是非、この問題というのは、私は福島にいて感じるんですけれども、皆さんやはり日常で生活していらっしゃる。でも、福島の人たちというのは非日常がやはり続いているので。この課題は是非、北海道じゃないかもしれないんですよ、これ、西日本かもしれません、沖縄かもしれません、そういったことをこれから決めなくちゃいけないということを皆さんにお伝えして、私の質疑を終了させていただきます。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、松木けんこうさん。
○松木委員 どうも御苦労さまです。
ちょっと質問する前に、結構、環境委員会というのは、これからの将来にわたってもすごく大切な委員会だと思うんだけれども、ちゃんとそろっているんだけれども、余りそろっていないんだよ。まあ今日は何も言わないけれども、特に法案とかになるとどうしても、きちっとやる方が、今日来ている人たちは本当にしっかりした人だと思うんだけれども、そこら辺、これ以上言わないけれども、皆さんの顔を見ながらしっかりやった方がいいと思いますので、そんなことをちょっと申し添えておきます。
それでは、質問させていただきます。
まず、前の大臣、伊藤大臣、おられましたね。この方は非常に真面目な方、今回の大臣ももちろん、それに輪をかけて立派な大臣だというふうに私も思っていますし、それはいいんですけれども、前の大臣、伊藤大臣、いろいろと、マイク切り事件だとかいろいろなことがあって、これも本当に悪気でやったんじゃないと私は思っているし、ただ、そのときに伊藤大臣が、何らかのことでお助けしたいなという気持ちが非常に出ていたと思うんですよね。
それから随分時間がたちました。どういうふうにしてこれから水俣病のことに対して対応していきたいという、何か新しい指針とかがあるんだったら、是非ここで言っていただきたい。
そうしていかないと、例えば、私は北海道の人間なんですけれども、水俣病のことなんてすっかり忘れていたというか、もう終わっているものだと思っていました。そうじゃなかった。あるいは、水俣病を感染症というふうに言っちゃって、間違った人たちもいた。
ということで、だんだんだんだん、やはり時間がたつとそうなっていくんだと思うので、是非ここでもう一度、何らかの考えがあるか、お答えいただきたいと思います。
○浅尾国務大臣 伊藤前大臣の発言の後、まずは、関係団体との改めての懇談の場を設け、十分な時間をしっかりと確保して、じっくりとお話をお伺いしたというふうに聞いております。
その内容も踏まえて、令和七年度予算と令和六年度の補正予算を合わせ、医療、福祉、地域づくり、情報発信等や水俣病に関する総合的な研究の推進に約十七億円を措置し、昨年度当初予算と比べると約十億円増となりました。
また、継続的に実務者レベルでの意見交換を重ね、様々な御意見や御要望をいただいております。
さらに、例年、水俣病犠牲者慰霊式に併せて実施している関係者との懇談について、参加者の声を十分にお聞きすることができるよう、二日間にわたって懇談を実施すべく日程調整をさせていただきました。
引き続き、関係自治体や関係団体の皆様との意見交換を行いながら、水俣病対策に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○松木委員 いろいろとやっているということでございますけれども、どんどんやっていっていただきたいというふうに思いますし、やはり高度経済成長のときに、いろいろと、人間の命を軽んじたわけじゃないんだけれども、そうなってしまったというのが結果としてあるわけですよね。
もう一つ、こういうのが今になっていろいろと出てきているんですけれども、大気汚染のこともちょっと聞きたいなというふうに思うんです。
二〇二二年六月から公害等調整委員会で、ぜんそく被害者百五十八名が申請人、国、トヨタ、日産などディーゼル車の製造メーカー七社が被申請人となって責任裁定が審理されてきた。これが昨年の十二月に結審し、夏には裁定が下されることになっているそうなんですね。ここで患者側は一人当たり百万円の損害賠償を請求しているんですけれども、患者側が求めているのは本当は、やはり大切なのは、賠償金、これももとより、やはり医療費救済制度の創設だというんですね。
長年苦しんできたぜんそく患者は、近年普及してきた吸入ステロイド療法を受ければかなりよくなるということがあるようなんですね。この医療費負担が結構大変で、やはり治療を受けられないということで、どんどん悪くなっている患者もいるということなんですね。また、近年は、これはなかなか難しい名前なんですけれども、ゾレア、ヌーカラなどの新薬も出てきて、症状軽減の効果が非常に見られているということなんですね。ただ、これはお金がかかるんですよ。すごいお金がかかる。一般の患者ではとても手が出ない状況にあるということなんですね。
したがって、責任裁定で国、自動車メーカーに責任ありとの裁定が出た場合には、速やかに医療費助成制度創立に足を入れていただきたいという要望が随分私のところに来ています。ということで、そういう方向に是非行っていただきたいというふうに、医療費が高いんだね、今、薬の値段が高い。だから、違うことでもちょっと問題になりましたけれども、是非これに対してちょっとお答えをしていただきたいと思います。
○前田政府参考人 お答えいたします。
自動車排ガスによる大気汚染に関する責任裁定につきましては、御指摘のとおり、昨年十二月に結審したところであり、現在、公害等調整委員会におきまして、その裁定に向けた手続が進められていると承知してございます。このため、その裁定結果を踏まえた対応につきまして、現段階で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。
環境省におきましては、大気汚染の影響による健康被害を予防するため、環境再生保全機構等と協力し、患者の方々から御要望のある呼吸リハビリテーションなどをメニューとする予防事業を推進してきております。
今後も、患者の方々の御意見や御要望を丁寧に受け止めながら、予防事業等を適切に実施することで、環境保健行政のより一層の推進に努めてまいります。
答弁は以上です。
○松木委員 是非、丁寧にやってください。
自動車の排ガス規制というのは随分規制が厳しくなって、日本の車なんかもしばらくパワーが落ちて、私は昔、ラリーとかをやっていたんだけれども、かなり厳しくなったんです。パワーが落ちて、古い車の方がいいななんという時代もあったぐらいですから。
ただ、そのときに、ディーゼルが、要するに、ディーゼルガソリンの値段も安かったとかいろいろなことがあって、直噴ディーゼルだとかいろいろなものを造ったというのが、余りいい方向に進まなかったんだね。
そこで、一生懸命それを考えたのは、今日与党の筆頭理事をやっている石原君のお父さん、一生懸命都民に寄り添ってくれて、いろいろなことを考えてくれた。ああいう気持ちがやはり大切だというふうに思いますので、是非、関係の方、しっかり、浅尾さんも頑張ってください。
東京では住んでいると結構いろいろなことをまだやってもらえるんだけれども、ちょっとそこから離れると何もないんだよね、こういう話もありますので、そこら辺、是非配慮していただきたいと思いますので、それに対しての答えは要りません。
それでは、次は、ペット関連のことをちょっとやってみますね。
二〇一九年に議員立法でいろいろなことを厳しくしたんですよ。これはしようがない。当時は、犬を埋めて殺しちゃったとか、いろいろな、とんでもないのがいっぱいいたんですよ。言っちゃ悪いけれども、そういう業者の人たちもいました。でも、それから六年たちました。随分、その業界の人たちも一生懸命頑張って、健全化を目指して頑張ってきたみたいであるようでございます。
そこで、ちょっとその前に聞きたいんですけれども、まず伴侶動物の福祉効果、犬と一緒にいると例えば健康寿命が長くなるとか、こういう話もあるんですけれども、例えば、オーストラリアの一部の地域では、高齢者が安心してペットを飼育できるサポートプログラムなんというのもあるらしいんですね、ここでは内容は言いませんけれども。
そんなことで、伴侶動物の福祉効果、これは環境省としてはどう考えますか。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
海外のデータを活用したものではありますけれども、伴侶動物である犬の世話を通じた運動習慣の維持により、人の死亡リスクが抑制されると考えられるという調査研究があることは承知をしております。
また、令和六年政府策定の環境基本計画においては、ペットの飼養は、人と生き物の重要な共生の在り方の一つであり、豊かな生活をもたらし、様々な動物がウェルビーイング、すなわち高い生活の質を支えているとされているところであります。
○松木委員 ということは、体にいいわけだよね。そして、心にもいいわけでしょう。ということは、多分、医療費も抑制できるはずだと私は思うんですけれども、いいことがたくさんあるはずなんですね。是非、これはやはり進めていきたいというふうに思うんですね。
そこで、もう一つちょっと聞きたいんですけれども、ペットの同伴避難、要するに、この頃、大きな事件があるじゃないですか。このときの同伴避難の環境の整備というのは大体、政府によって整備支援状況というか、こういうのはどのぐらいになっているのかなというのを簡潔にちょっと教えていただきたいんです。
そして、今日、ペット業界の方から、「ペットの防災」、こういうのを私はもらってきましたので、環境省の人も見たことはあると思うんだけれども、是非、参考に使ってくださいよ。これはいいと思いますよ。
ということで、お答えください。
○植田政府参考人 お答えをいたします。
災害時に、近年、ペットは家族の一員という意識が一般的になりつつありますので、同行避難を始めとする災害対策におけるペット対応は、飼い主である被災者の心のケアの観点からも重要であります。
環境省では、人とペットの災害対策ガイドラインを策定をし、平常時の備え、災害発生時の行動を体系的に整理し、普及啓発するとともに、自治体におけるペットの同行避難訓練を支援するなどの取組を進めております。
また、令和六年能登半島地震の際には、環境省職員を被災地に派遣し、避難所等でのペットの受入れに関して、石川県や獣医師会、またペット業界団体で構成されるペット災害支援協議会等と連携した支援体制の確保等を行ったところであります。
引き続き、都道府県、内閣府を始めとした関係省庁や民間団体等と連携し、ペット防災に取り組んでまいりたいと考えております。
○松木委員 ありがとうございました。
都道府県のそういうところで、ペット業界の人たちと提携を結んで何か新しく事業、こういう整備をやろうという動きも、局長、あるんでしょう。そんなのもあると聞いていますので、いやいや、いいです、立たなくていいから。
そんなことで、是非、やはり何かあったときに、ワンちゃんとか猫ちゃんもそうだろうけれども、近くにいてくれるというのは、非常に心の安寧というのは大切ですからね、是非うまく、どんどんそういうことが楽にできるようにやっていっていただきたいというふうに思います。
ところで、皆さん、この頃、犬が減ったと思いませんか、世の中を見ていて。昔はもっと犬というのはいませんでしたか。これは、実は、この十五年ぐらいで、千三百万頭ぐらいいたワンちゃんが、今六百八十万頭ぐらいまで減っていると。二〇一九年から見ても、七百五十万頭ぐらい飼われていたんだけれども、これも、二〇二四年六百八十万頭だから、八十万頭ぐらいこの五年間ぐらいでも減少しているんですね。
まあ、日本が、人口がだんだん減少してきていますからね、当然、そういうところで飼われているワンちゃんも少なくなってくるというのは、もちろんそういうのもあるでしょう。いろいろな要素はもちろんあるとは思うんですけれども、なかなか、二〇一九年に決められたことというのはちょっときついなというのが、五年前に決めたのが間違っていたということではありませんよ。その当時というのは、いろいろなことがあったので、やはりもっと厳しくしなきゃいけないという動きがあったのは事実です。
ですから、それをどうのこうのということじゃないんですけれども、今、業界団体の人にもいろいろと私も聞いたんですけれども、やはり繁殖犬というのが、それまで大体一人五十頭ぐらいやっていたらしいんですね。ところが、二〇一九年でいろいろなことを厳しくした中で、十五頭に減らしたんですね。そうすると、これはなかなか、仕事になるのもつらいというのがやはり今出てきているみたいで、ここら辺、彼らに聞いてみたんですよ、業界の人たちに。どのぐらいだったらあなた方はできるのと言ったら、まあ、できたら三十頭ぐらいにしてもらいたいなというような意見も随分ありました。
でも、いろいろな問題もあった業界ですから、簡単にするというほかに、例えば、今登録制のはずなんですけれども、それも結構昔よりはうんとうんと厳しくしたと思うんですけれども、これを免許制にして、例えば五年に一遍ぐらいちゃんと書き換える、自動車の免許みたいなものですね、このぐらい厳しくしてもいいのと聞いてみたら、是非、我々はそういう中で仕事もしていきたいんです、こういう意見も実はあるんですよね。
なかなか、やはりいろいろなことがありましたので、厳しくしたというのはしようがなかったというふうに思いますけれども、しかし、やはり、余りにもちょっと厳しくなり過ぎてしまったのかな。そのときにはちゃんとした意味ももちろんあったのは事実なんです。だけれども、ここに来て、やはりワンちゃんを、皆さん、ちょっとペットショップに行ってみてください、この頃、犬を扱っているところはめちゃくちゃ減ったんですよ。本当に減った。値段も高くなったんです。
そうすると、私は思うんですけれども、さっき言った伴侶動物の福祉効果だとか、こういうこともあるので、是非ちょっと一度、やはり見直した方がいいんじゃないかな。今すぐやれとかなんとか偉そうなことは言わないけれども、やはりちょっと一度見直して、そういう業界、団体の人たちの意見も環境省として一度聞いてみたらいかがかなというふうに思いますので、お答えを、誰でもいいですよ。どうぞ。
○植田政府参考人 お答えいたします。
現在、御指摘のとおり、動物取扱業者が遵守しなければならない基準として、犬猫の飼養施設におけるケージの規模や繁殖回数の制限のほか、従業員一人当たりが扱える犬猫の数の基準等が定量的に具体化されているところであります。
本基準は、適切な飼養管理に必要な清掃や給餌等の時間を確保する観点から、有識者の意見も聞いた上で、一頭当たりの飼養管理に要する平均的な作業時間を算出し、従業員が管理可能な頭数を規定したものでありまして、従業員一人当たりの繁殖犬の数を十五頭とする現在の基準は適切なものと考えております。
とはいえ、今後とも、委員御指摘のとおり、ブリーダーを始めとするペット業界の声も聞きながら、犬猫の飼養管理が適切に行われるよう、都道府県等への技術的助言等に取り組んでまいりたいと考えております。
○松木委員 局長、とはいえなんですよ。昔はいろいろなことがあったけれども、彼らも本当に健全で、ちゃんとやっていきたい、そういう気持ちが本当に強いです。ですから、是非聞いてやってください、話を。お願いします。私は政治資金をもらわないでちゃんと話を聞いていますから、大丈夫ですよ。余計なことを言ってごめんなさい。よろしいですか。
それでは、もう一つだけあるので。
二〇二七年に蛍光灯が作られるのが禁止になるんですね。これは事実でいいんですか、まず。
○前田政府参考人 お答えいたします。
二〇二三年に行われました水俣条約COP5におきまして、家庭やオフィス等で使われている全ての一般照明用蛍光灯の製造を二〇二七年末までに段階的に廃止する決定がなされました。これを受け、我が国におきましても、二〇二四年十二月に関係法令を改正したところでございます。
蛍光灯からLEDに交換することは、水銀管理の観点からも、脱炭素への貢献の観点からも意義あることと認識してございまして、これまでに、地方公共団体や業界団体への周知、インターネット広告、環境省・経産省X、旧ツイッター、政府広報等により、その周知を行ってございますが、引き続き、関係省庁と連携して一層の周知徹底に取り組んでまいります。
以上です。
○松木委員 まだ、でも、周知徹底が、ここのところ、時々テレビで、なくなりますよみたいな話は出てきていますけれども、ちょっと何か足りないような気がしますので、そこら辺、これからも徹底的にやっていただきたいというふうに思います。なぜかというと、またLEDが大量に急に必要になったとかということになったら、米と一緒で何でも値上がりするでしょう、どかんと。そういうふうになっちゃったら困りますので、ちゃんとしていただきたいと思いますね。
そして、これは製造禁止になるということで、使用禁止になるということではないのかな。そこら辺はどうなんですか。
○前田政府参考人 お答えいたします。
製造の廃止日以降でありましても、現に使用されている蛍光灯の継続利用や既に製造された在庫品の販売、使用は可能でございます。
計画的なLEDへの交換を促すことにより、国民生活への影響が生じないように努めてまいります。
以上です。
○松木委員 ということは、二〇二七年までは一応蛍光灯はまだ作るわけ。
○前田政府参考人 お答えいたします。
一般照明蛍光灯の製造を二〇二七年末までに段階的に廃止するということでございますので、製造自体は二〇二七年末までは大丈夫ということでございます。
○松木委員 分かりました。
ちょっとそういうことも書いてありましたね、どこかからの資料を見たんですけれども。二〇二七年までは作るけれどもそれ以降は作らない、だから多めに買っておいてくださいねとか、そんなことも何か言っているみたいだけれども、多めに買わせたら、余りCO2の削減に貢献しなくなっちゃうよ、気をつけないとね。それはやはりちょっと考えた方がいいと思う。
あと、要するに蛍光灯というのは、つくのに、こんなちっちゃな、何かぽこぽこしたのがあるでしょう。何というんだ、あれ。(発言する者あり)グローランプというのね。そのグローランプは、何か大分前からもうメーカーが余り作っていないという話を聞いていますけれども、これは本当ですか。
○土居政府参考人 大変申し訳ありませんが、状況を環境省として把握しておりませんので、また把握して御報告いたします。
○松木委員 じゃ、僕が教えてあげる。
もう大分前に、ほぼほぼ作るのをやめたらしいんだよ。ただし、補完的には少しは作るという話もあるんだけれども、そうすると、グローランプだとかああいうのは寿命が長いのでまだいいんだけれども、十年ぐらいはもつというんだけれども、でも、だんだんそれも不足していくわけでしょう。なくなっていくんだから、それで、蛍光灯を買いだめしておいて、結局、グローランプがなくなって使えなくなったということもあり得るので、そこら辺のことをもうちょっと綿密にやっていった方が私はいいんじゃないかなというふうに思います。
是非、変なことになって、何か暗くなっちゃったとか、そういうことにならないようにしていただきたいなというふうに思いますし、周知徹底して、変なことにならないように頑張っていただきたい。まだ余り知らない人が多いので、蛍光灯がなくなる、ええっという感じですから、これをしっかりやっていただきたいというふうに思います。
計画的にちゃんと、LEDが、何か日本では年間六百万本ぐらい作る能力があるというふうにちょこっと聞いたんだけれども、でも、世の中には何億本も蛍光灯というのはあるわけだから、そうすると外から輸入しなきゃならないとかという話になって、それがまた、輸入するときにえらい高い金を吹っかけられたらえらいことになるということもあるでしょうし、是非よく関係の方々ともお話をして、そしてうまく移行していってください。
以上です。ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、猪口幸子さん。
○猪口委員 日本維新の会の猪口幸子でございます。
まず初めに、リチウムイオン電池のことを御質問します。
近年、廃棄物処理施設やごみ収集車などでリチウムイオン電池に起因する火災事故が頻繁に発生しており、発火、発煙を含めると、二〇二三年度で二万一千七百五十一件に上っています。
それを受け、浅尾環境大臣が、四月十五日、市町村による分別回収や適正処理を更に徹底していく必要があり、国民の皆様には、適切な廃棄方法についてお住まいの市町村に問い合わせていただくなどして火災事故の発生の防止に御協力いただきたいと述べられました。大臣、いらっしゃらないので残念なんですけれども。
大臣が直接国民に対し注意喚起をされたことに対しては一定の評価をいたしますが、市区町村に任せるだけでなく、国として、製造メーカーと協力して具体的な安全な廃棄処理の方法を示し、さらには、全国的な、統一した廃棄、収集と処理ルートを示すべきではありませんか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
近年、廃棄物処理施設やごみ収集車などで、ただいま御指摘いただきましたとおり、リチウムイオン電池やそれを使用した製品に起因する火災事故が頻繁に発生していることは、私どもとしても喫緊の重要な課題であると認識しております。
このため、今月十五日に、各市町村においてリチウムイオン電池等の安全な回収、処理体制の構築等を行っていただくための方針と対策を盛り込んだ通知を発出させていただいたところでございます。
また、この通知と併せて、令和六年度に実施いたしましたモデル事業等の成果を取りまとめた対策集を公表し、情報提供を行っているところでございます。この中では、複数自治体の連携による広域的な回収体制の構築により、処理コストを十分に低減した事例などもお示ししているところでございます。
これらに加えまして、メーカー側の取組を推進する観点から、リチウムイオン電池など事業者による回収や再資源化が義務づけられている製品について、高い回収目標等を掲げて認定を受けた製造事業者等に対する廃棄物処理法における特例措置等を盛り込んだ、資源有効利用促進法の改正案も本国会に提出させていただいているところでございます。
今後も、自治体や経済産業省等の関係省庁、そして関係業界と協力しながら、リチウムイオン電池等による廃棄物処理施設における火災事故防止やリサイクルの推進に努めてまいりたいと考えております。
○猪口委員 具体的に、現在、膨張したり変形したものは火災の危険が非常にありますが、どこに廃棄するか、切実な問題です。変形したものは受け付けないといった自治体がありますので、発火の危険性が高い状態のものの処理は現在どのようになされているのか、お示しください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
環境省が全国の市区町村を対象として行った調査では、令和五年度には、全体の約七五%に当たる千三百十三市区町村において、リチウムイオン電池やその使用製品の回収が行われておりました。
一方で、ただいま御質問いただきました、膨張、変形したリチウムイオン電池等の回収、処理について実際どうなっているのか、これについて、まだ全国的な状況を私どもとしては把握し切れている状況ではございませんが、例えば、個別の事例といたしまして、大阪市では、市内十か所の回収拠点において、膨張、変形したリチウムイオン電池等を直接職員が受け取り、密閉容器等で保管するなどの取組が行われているもの、このように承知をしております。
リチウムイオン電池等に起因する火災事故等を防止するためには、膨張、劣化したものも含めたリチウムイオン電池等について、適切な形で回収、処理体制を構築することが重要であると考えておりまして、先日出させていただきました通知におきましても、変形、膨張したものについては、ほかのリチウム蓄電池とは別に回収、保管することが望ましい、こうした方向性も示させていただいているところでございまして、この点についてもしっかり取組が進むように、私どもとしても汗をかいてまいりたいと考えております。
○猪口委員 変形したものというのはすぐ発火しやすい状況で、密閉すれば酸素がなくなるから、それでそれ以上化学反応を起こさないのかもしれませんけれども、実際、本当に変形してしまったものはどう処理されているのかをお聞きしたいんです。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
実際に変形、膨張したものがどのように処理されているのかについては、まだ私どもとしては把握はし切れておりません。
ただ、リチウムイオン電池一般について申し上げますと、環境省が全国の市区町村を対象として行った調査の結果では、令和五年度には、全体の約八四%に当たる千四百五十七市区町村において、回収したリチウムイオン電池を民間の処理業者に処分委託がされているところでございます。
ただ、いずれにいたましても、膨張、変形したものについて、御指摘いただきましたとおり、これはこれで大変危険性が高いものと考えておりますので、この適切な処理が進むように、私どもとしても、今後取組を、しっかり前に進むようにまた考えてまいりたいと考えております。
○猪口委員 変形、膨張したものは、ちょっと一部でお聞きしたことがあるんですけれども、燃やしていると。言ってみれば、燃やしてしまえばそれで危険性はなくなるので、焼却施設等で燃やしている。そういう事実は、そういった処理の方法は取っていないんですか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
膨張、変形したものに特に着目した調査ではないんですけれども、市区町村が実際に回収されたリチウム蓄電池等をどういうふうに処理されているのか、これを調べた結果の中では、全体の四%に当たる六十五市区町村において、集めたものを自ら焼却、埋立てしている、こういうようなことも伺っております。
実態については、今後も更にしっかりとまた把握できるように努めてまいりたいと考えております。
○猪口委員 変形していないリチウムイオン電池は業者が回収するルートになっていると思いますが、その回収した後の行き先を教えていただきたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
回収したうち、民間の処理業者に処分委託されたものでございますけれども、これにつきましては、例えば、処理業者においてリチウムイオン電池を熱分解、破砕、選別し、鉄、銅、アルミ、ブラックマス等に分け、それぞれを他の事業者に売却するといったフローにより処理が行われている、このように伺っているところでございます。
関連事業者に直接ヒアリングさせていただいたところでございますけれども、このうちブラックマスについては海外に輸出される事例が大半である、このように伺っているところでございます。
○猪口委員 そうですね。最終処分というのは、結局、小さいものは輸出しているという状況でよろしいですよね。
日本では、リチウムというのはすごくレアメタルなので、それは非常に貴重なんですけれども、そのリチウムを製錬して取り出す、そういったルートに乗せるということはする予定はないんでしょうか。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
リチウムイオン電池のリサイクル工程を考えました場合、委員御指摘のとおり、レアメタルを回収する製錬工程が重要でございます。これを早期に商用化していくということが重要と考えております。
このため、経済産業省では、リチウムイオン電池の製錬技術について、グリーンイノベーション基金等において、高回収率、低コストを目指した技術、また、中間部材の処理技術の高度化、こういった技術について開発を進めているところでございます。二〇二六年には、商業での使用を視野に入れた設備が立ち上がってくる予定となってございます。
こうした取組を進めることにより、リチウムイオン電池のリサイクルに係る製錬設備の早期商用化を進めてまいりたいと考えてございます。
○猪口委員 日本ではリチウムの製錬技術というのは余りなかったという状況ですよね。EVなんかで大々的に、非常に多いリチウム量だったら商業ベースに乗るんでしょうけれども、小さいものについても海外に輸出しているという処理の方法を、できればその二六年から稼働するものに対して、大きなEVなんかで出てくる電池以外に小さいのも一緒に処分して、完全なリサイクルに回していただけたらと思います。
それから、お手元の資料で、様々なところにリチウムイオン電池は使われているということを、私も、そういえば、充電するのはみんなリチウムイオン電池なんだなと実感したんですけれども、その表示が非常に分かりにくい。ニカド電池とか、そういったものもあるんですけれども、リチウムイオン電池はブルーの表示があるという状況で、危険なマークという状況ではないので、少なくとも色とか、こういったものがハザード、危険なこともありますよということで消費者にしっかりと認知、周知していただいて、燃える可能性があるということをその表示を見ただけで分かるような、そういったことにしていただけたらと思います。是非そうしていただいて、リチウム電池による火災が絶対起きないようにしていただきたいと思います。
続きまして、プラスチックについて質問させていただきます。
環境中へのプラスチックごみの流出は年々増加しており、海洋汚染、海洋生態系、人体へのナノプラスチックの影響、焼却による温暖化への影響などが懸念されています。二〇四〇年には世界で今の二倍のプラスチックのごみが発生すると予想されています。
日本のプラスチックごみの一人当たりの排出量は、アメリカに次いで二位という非常に高い排出量となっております。日本の最新の廃プラスチックの総排出量は二〇二三年で七百六十九万トンで、包装容器等に四六・八%使用されていると公表されています。プラスチック製品の半分近くが包装容器などのワンウェープラスチックということになりますので、これについてはちょっと驚きなんですが。ちなみに、レジ袋の有料化では十万トンの減量効果があったということですが、七百六十万トンからすれば、総量からすれば僅かなものかなというふうに思います。
プラスチックの処理状況、有効利用率とその内訳がどうなっているのか、お示しいただけたらと思います。
〔委員長退席、松木委員長代理着席〕
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
一般社団法人プラスチック循環利用協会のデータでございますけれども、これによりますと、二〇二三年における日本のプラスチックごみの総排出量七百六十九万トンのうち、有効利用されている量は六百八十八万トンでございまして、有効利用率は約八九%となります。
この八九%の内訳でございますけれども、マテリアルリサイクルが約二二%、ケミカルリサイクルが約三%、そして熱回収が約六四%となってございます。
○猪口委員 リサイクル、八九%と高い比率ですけれども、熱回収、サーマルリサイクルと前は言っていましたけれども、今はサーマルリカバリーという表現になるということをお聞きしていますけれども、それが六四%と。ほとんど燃やしているという状況で、発電すれば有効にはなるんですけれども、温暖化等に関しては、これは余りリサイクルという観点からは非常に、ちょっと疑問だなと思うんです。
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が令和三年六月十一日に公布されましたが、この法律に基づき、製造事業者が環境配慮設計指針に適合した製品を申請、認定した件数は何件ですか。
○田尻政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の認定制度を適切に実施するためには、製品ごとにどの程度指針に適用しているかを判断するための具体的かつ実効的な基準、これは設計認定基準と称しておりますけれども、その制定が必要となってございます。
この制定のために、多くの有識者、業界関係者と丁寧な議論を行いまして、産業構造審議会での議論を経て、家庭用洗浄剤の容器やペットボトル等の四つの製品の設計認定基準の案を策定をいたしまして、まさに本年四月の中旬までのパブリックコメントを行ったというところでございます。
したがいまして、現時点での申請、認定の実績はまだございませんけれども、議論を重ねてきた設計認定基準を速やかに公表いたしまして、また、その申請を受理できる体制も整備をいたしまして、円滑な制度運営を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○猪口委員 ゼロ件ということですね。
ワンウェープラスチックの提供事業者が取り組むべき判断基準を策定し、主務大臣の指導助言、ワンウェープラスチックを多く提供する事業者への勧告、公表、命令を措置するとありますけれども、この法律の中で。これはどこまで実施しているのか、お教えください。
○田尻政府参考人 お答え申し上げます。
プラスチック資源循環促進法で使用の合理化を求められている製品、これは、使い捨てのスプーンであったりとかホテルのアメニティーであるとか、このようなものでございまして、特定プラスチック使用製品と称してございますけれども、こちらの提供量につきましては、プラスチック資源循環促進法の施行の前後で減少の傾向を示しているというのが、当省実施の調査結果でございます。
この理由につきましては、同法に基づき策定をされました使用合理化の判断基準というものに基づきまして、対象の事業者が前向きに使用の合理化に取り組んでいる効果が表れているというように分析をしているところでございます。
したがいまして、現時点で、指導、助言、監督等のいずれの措置も実施をしていないというところでございます。
○猪口委員 分かりました、指導監督はできているということで。
プラスチック製包装とプラスチック製品を分別回収、リサイクルしている自治体はどれだけありますか。容器包装リサイクル法ルートの活用を検討している自治体はどれほどあるか。市区町村と再商品化事業所が連携して行う商品化計画の認定はどの程度進んでいるか。まとめてお答え願えたらと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
プラスチック製容器包装と製品プラスチックの両方を分別収集している地方公共団体は、二〇二五年四月現在で百三十団体となってございます。ただ、この百三十団体、割と規模の大きい地方公共団体が多うございますので、人口比の割合でいくと相当程度、これ以上に実態は大きいものと私どもとしては考えております。
このうち、容器包装リサイクル法ルートを活用している、すなわち容器包装リサイクル法の指定法人に引渡しをしている地方公共団体は百八団体。
また、市区町村と再商品化事業者が連携して行う再商品化計画の認定件数は、二〇二五年四月現在、三十一件となってございます。
○猪口委員 時間が迫っておりますのでちょっと飛ばしますけれども、自治体数は千七百四十七団体で、リサイクルに乗せているのは百三十団体ということで、まだまだ十分の一程度という認識じゃないかと思うんです。
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に基づく事業ですが、今のお聞きした中ではゼロ件とか、自治体としてはまだ非常に少ない状況と認識できますけれども、この法律がしっかりと機能していると思われますか。これをちょっと大臣にお聞きしたいと思います。
○浅尾国務大臣 プラスチック資源循環促進法では、サプライチェーンの上流の環境に配慮した製品設計から、下流のプラスチックごみの削減や分別、リサイクルまで、ライフサイクル全般にわたり総合的な取組を求めております。施行から約三年がたち、着実に取組が進捗しており、しっかりと制度が機能しているものと考えております。
具体的には、商品設計については、プラスチック製品の製造事業者等が講ずべき措置に関する指針を定め、単一素材化や分解、分別の容易化、リサイクル容易な材料の使用などの環境配慮設計を求めております。一部の業界団体において製品共通の環境配慮設計ガイドラインが整備されており、また、企業による製品プラスチックの単一素材化が行われるなど、取組が進んできております。
また、プラスチックごみの削減については、消費者へワンウェープラスチックを提供する事業者に対し、同法に基づく判断基準に即して、その量の削減に取り組むことを求めたり、小売、飲食、宿泊業などにおいて、ストロー、カトラリー、アメニティーなどを削減する取組が進められております。
さらに、プラスチックごみの分別、リサイクルについては、同法に基づき、先ほど答弁がありましたように、現在、百三十の地方公共団体で製品プラスチックの分別収集が進んでいるが、引き続き、より多くの自治体で取組を進めていただけるよう促してまいります。
また、同法に基づくこうした取組を促進していくため、プラスチックを含めた資源循環のリサイクルのための先進的な技術、設備の実証、導入などを支援しております。
今後も、同法を始めとする制度や予算を活用し、プラスチック資源循環の取組を進めてまいります。
○猪口委員 より機能的な、素早いリサイクルに乗せていただけたらと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○松木委員長代理 次に、空本誠喜さん。
○空本委員 日本維新の会の空本です。よろしくお願いいたします。
今日は、再エネについてちょっとお聞きします。
まず、再生可能エネルギー、夏とか五月の連休などについては太陽光中心ですが、五月の連休とかすごくいい天気のときには発電し過ぎちゃって、電力会社が供給する電力が多くなり過ぎちゃって、そういった意味では、太陽光からいただく電力を抑えるという出力制御、出力を抑制するということをやっております。
配付資料ございますね、配付資料表紙の方の一番上にポンチ絵を描いております。例えば五月の連休とか本当に天気がいい日、朝から太陽が出てきますね。そして、太陽が出てくると、太陽光発電されてきます。そして、夕方、また日が陰って、太陽光発電がゼロとなる。
そういう中で、ベースロードは原子力とか水力が担っているんですが、太陽光の発電の波がありますね。陰ったり若しくは雨が降ったり、そういった中で、太陽光は揺らぎます。ぐらつきます。その中で、火力発電によって負荷追従ということをします。それでも十二時前後になると、太陽光の発電が余り過ぎちゃって、電力会社は抑制する。受けないよということを、出力抑制します。
これについて、太陽光ソーラーパネル、こういったものを導入拡大するに当たっては、やはりしていかなきゃいけないと考えますが、資源エネルギー庁さん、出力制御についてどのようにお考えか、お答えください。
〔松木委員長代理退席、委員長着席〕
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘の出力制御に関しまして、今御指摘いただきましたとおり、電気は大量に貯蔵することが困難でございまして、基本的に発電と消費が同時に行われる必要がございます。そのため、供給が需要を上回ると見込まれるときには、需給バランスを保つため、再エネを含めて出力制御を行うこととしているところでございます。
二〇一二年のFIT制度の創設以降、再エネの更なる導入が進む中、特に需要が小さい一方で、再エネ発電量が多くなる春や秋の昼間の時間帯における再エネの出力制御が拡大している状況でございます。二〇二四年度の実績につきまして、本年四月の集計時点ということでございますけれども、出力制御未実施の東京エリア以外の合計で、制御量は十五億九千八百六十万キロワットアワー、制御率は一・五%となっております。また、二〇二五年度の見通しということでございますが、一定の仮定の下での見通しとして、制御率は一・七%となると承知をしてございます。
再エネの出力制御は、電力の安定供給を維持しつつ、再エネの最大限導入を進めるために必要な措置でございますが、御指摘ありましたとおり、これにより再エネ導入の妨げになってはならないと認識してございまして、このため、出力制御対策パッケージを踏まえて、蓄電池の導入支援を含めた需要、供給面での対策を引き続き進めることによって、出力制御の最大限の抑制に取り組んでまいりたいと存じます。
○空本委員 それで、配付資料の下の方を見てください。再エネ導入拡大を大規模に行っていく場合、先ほど申し上げました蓄電池も必要になってくる。
そのときに、家庭用のソーラーであれば、例えば、五キロワットの太陽光をつけたら十キロワットアワーの蓄電池が必要である。事業用メガソーラー等については、そこに併設蓄電池をしている、そのときに、例でありますが、さつま、すずらんとかでありましたら、四百五十キロワットの太陽光パネルについては五百八十キロワットアワーの容量の蓄電池を設置するというような、数量的にこういうふうなキロワットとキロワットアワーという容量、こういったものになります。二〇三〇年、二〇五〇年、再生可能エネルギー、そして太陽光を相当入れ込むというと、二〇三〇年には百ギガワット、そして二〇五〇年には三百ギガワットを入れるとすると、かなりの発電量になります。
この蓄電池、その容量というのはどのようにお考えか、もう一度、資源エネルギー庁からお願いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
再エネの主力電源化に当たりまして、調整力を確保することは大変重要な課題だと認識してございます。
蓄電池のみならず、揚水発電あるいは脱炭素火力など、あらゆる電源によって調整力を確保することとなるため、蓄電池だけということではございませんので、現時点で将来の必要な蓄電池量を定量的、具体的な数値としてお答えすることは難しいと承知しておりますが、その上で、将来の調整力確保に向けて、蓄電池の導入促進が大変重要であるということでございまして、経産省としまして、家庭、業務産業用、再エネ併設用、そして系統用の蓄電池などの導入支援補助金、また、脱炭素電源への新規投資促進のための長期脱炭素電源オークションの対象電源とする等の措置を講じているところでございます。
また、我が国の蓄電池産業の競争力強化に向けまして、二〇三〇年までに年間百五十ギガワットアワーの蓄電池の国内製造能力を確保することを目標に掲げておりまして、蓄電池の製造サプライチェーン強靱化支援事業などの国内生産基盤確保に向けた設備投資、技術開発支援や、また、資源国との関係強化、金融支援を通じました蓄電池の製造に不可欠な上流資源の確保の取組など、総合的に進めているところでございます。
こうした様々な支援措置を通じまして、引き続き蓄電池の導入をしっかりと後押ししてまいりたいと存じます。
○空本委員 蓄電池についてはまた今後議論させていただきたいと思いますが、なかなか蓄電池導入も大変であろうと思います。
配付資料の裏面を見てください。そこに、日本がCO2排出を抑制する、そして二〇五〇年までにゼロ、ゼロエミッション、削減効果はどうなるのかというのが上に計算しています。簡単に手計算でやったものですが、二〇五〇年まで日本がゼロエミッションにしたときには、一・五度を下げるという目標でありますが、〇・〇〇六二五度しか寄与しないんですね。日本が頑張っても全然効かないんですよ。そういうことも理解いただきながら。
そして、トランプ政権は、今、掘って掘って掘りまくれとトランプさんはおっしゃいました。そういったことで、脱脱炭素に走っている。言ったことは実現する方です。
このパネルなんですが、何かといいますと、去年の十二月、代表選挙がありました。そのときにパネル討論会がありまして、私が、経済はどうなるか、為替はどうなるかということで、実は、百二十円から百三十円に一ドルがなるんじゃないかなというのを示したものでございます。トランプさんはやると言ったらやるんですよ。ハドソン・ベイ・キャピタルの報告書、トランプさんはこれをバイブルとしてやっています。百三十九円台に入りました。やるときはやると思います。
となると、トランプ政権がこれから脱脱炭素に行くに当たって我が国はどう進めるべきか、環境大臣からお答えください。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
気候変動は人類共通の待ったなしの課題であり、主要排出国を含む全ての国の取組が重要であることに変わりはありません。
脱炭素の取組に関しては、年限つきのカーボンニュートラル目標を掲げる国は百四十か国以上に及び、地方政府、経済界、NGOなど様々なステークホルダーにも広く浸透しているなど、現在の世界的な潮流になっていると考えております。
我が国としては、脱炭素と経済成長の同時実現を目指し、今年二月に閣議決定した地球温暖化対策計画やGX二〇四〇ビジョン等に基づき、揺らぐことなく気候変動対策に取り組むこととともに、我が国の経験や技術等を通じて、世界の脱炭素化にも貢献してまいります。
さらに、引き続き、様々な機会を捉えて、米国と協力していく方法を探求することに加えて、今年のCOP30への対応なども見据え、欧州やアジア諸国との連携もより一層深めてまいりたいと考えております。
○空本委員 ありがとうございました。
時間が参りましたので、五月九日の経済産業委員会でGX法案について、この関係についてもっと掘り下げて質問させていただく予定でございます。どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、仙田晃宏さん。
○仙田委員 国民民主党・無所属クラブ、岐阜県三区の仙田晃宏でございます。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
今週水曜日、四月二十三日からぎふグリーンフェスティバル二〇二五が始まりました。こちらにつきまして、所管省庁は国定政務官がいらっしゃる国土交通省でございますけれども、環境省が掲げております自然と共生した暮らし、こちらが今回のメインテーマでございますので、浅尾大臣、五十嵐政務官、勝目政務官始め、公務御多忙かと存じますが、是非花や緑、水を感じに足を運んでいただければなというふうに思っております。フェスティバルは六月十五日まで開催しておりますので、フェスティバルへお越しの際は御連絡いただけましたら仙田が御案内させていただきますので、御一報いただけたらと思いますので、是非よろしくお願いします。
それでは、質問に移らせていただきます。
一つ目は、先ほど大河原委員も御質問されておりましたPFAS関連でございます。
現在、商業施設やマンションなどの駐車場で、発がん性が指摘されるPFASを含む泡消火剤、消火器の交換が進んでおりません。未交換の泡消火剤が衝突などで破損し、河川への流出事故も発生しております。こうした事態は場所を問わず全国どこでも起こり得るものであり、PFAS汚染対応は極めて近々の課題であると思っております。
前回の委員会での一般質疑でも取り上げさせていただきましたが、このPFASに関連する補助金制度について、改めてお伺いをさせていただきたいと思っております。
私の地元である岐阜県各務原市において、現行の補助金制度における人口規模要件及び資本単価要件、こちらを満たしていないため、実際に補助対象とならないという事例が発生しております。PFAS問題はいつでも起こり得る状況です。こうした地域事情を踏まえ、要件の見直しや要件そのものの緩和について御検討いただく余地はないのでしょうか。改めて見解をお聞かせください、よろしくお願いいたします。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
この委員会を含めまして、度々の御指摘でございます。同じような答弁になってしまいますことをお許しいただければというふうに思います。
まず、前提といたしまして、水道施設の整備を行うことを含めまして、水道事業の経営に要する経費につきましては、これはまず、水道料金収入により賄うことが原則であるということでございます。
その上で、今ほど御指摘をいただいておりますが、地形や水源等の条件によりまして施設整備費が割高となるなど、経営条件が厳しい水道事業者等、具体的には、御指摘いただいております、経営条件を判断する指標である資本単価に関する要件あるいは給水人口に関する要件を満たす水道事業者等を対象といたしまして、PFAS対策として行う施設整備への財政支援を行っているところでございますが、各務原市につきましては、今のところこの要件の範疇外ということでございます。
現在、環境省の方におきまして、水道水中のPFOSあるいはPFOAの水道水質基準への引上げ等につきまして、今春をめどに方向性を取りまとめ、水道法に基づく省令を改正し、令和八年四月一日に施行する予定というふうに伺っているところでございます。
国土交通省といたしまして、まず、環境省さんにおきますPFASに関する状況も踏まえつつ、引き続き必要な対応の検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○仙田委員 答弁ありがとうございます。
今春をめどに一度環境省の方で整理するというところでございますので、そこについては改めてしっかりと見ていきたいというふうに思っております。
ただ、今、答弁の中で出ましたように、やはり水道料金で賄っていくというのが原則というのがございます。
今回の各務原市の浄水処理施設の建設費、総額約十七億円というふうな多額なお金が今見込まれている状況でございます。そうしますと、この十七億円をどうやって賄っていくかというところは、最終的に水道料金に料金を上乗せして市民から徴収する、その負担は最終的には市民に直接跳ね返ってくる可能性もあると思っております。
日本では、蛇口をひねれば安全でおいしい水が当たり前のように飲める、それこそが私たちが日本で誇るべきよさであると思っております。にもかかわらず、PFAS汚染の影響を受けた地域の住民に過大な負担を強いる、このような状況が生まれることは決してあってはならないと考えております。
この点について、国としてどう受け止め、対応を検討されていくつもりなのか、御見解をお願いいたします。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
まず、個別の水道事業者の水道料金につきましては、これはなかなかお答えをすることは難しいと思っております。
その上で、あえて一般論として申し上げますが、水道事業は独立採算が原則でございまして、将来にわたって安定的かつ持続的に運営され、その健全な経営が確保されることが重要であるというふうに考えております。
このため、水道料金につきましては、それぞれの事業主体におきまして、能率的な経営の下における適正な原価に照らし、健全な経営を確保できるよう設定すべきものというふうに認識をしております。
一方で、今ほど来御指摘いただいておりますように、PFAS関連につきまして、環境省さんの方で今お取組が進んでいるということもございます。
国土交通省といたしまして、先ほど答弁申し上げましたとおり、この状況も踏まえつつ、引き続き必要な対応の検討を進めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
そうしますと、今の御答弁ですと、結局、今回の各務原市が十七億円かけて造る浄水処理施設、この料金というのは実際誰が負担するのかというところが不明確なのかなというふうに考えております。
今回、これを造るに当たっては、限られた予算の中で、ほかの事業の案件をやめてこの費用を捻出するか、若しくは財源手当てをする、水道料金に上乗せするといった二択かなというふうに考えております。財源手当ての一案として、市民の水道料金に上乗せされ、徴収されるという可能性も考えられるというふうに思っております。
国土交通省として、自治体がそう判断する、水道料金に上乗せする含めて、それはもう自治体の裁量というところで、あとは市、市民の判断に委ねる、そういった考え、理解で合っているかどうかだけ御確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○国定大臣政務官 今ほど御指摘いただきました水道事業につきましては、水道事業者においての経営判断というふうに捉えているところでございまして、私ども国土交通省の立場といたしまして、個々の水道事業者の水道料金等につきましてお答えをする立場ではございません。
○仙田委員 ありがとうございます。
あとは、水道料金は水道事業者に、個々に委ねられるというところでございますが、やはり国としてやっていくべき責任もあるかなというふうに思っていますので、ここについては引き続き、継続検討をお願いできればなというふうに思っております。
続きまして、活性炭の廃棄に関する課題についてお伺いさせていただきたいというふうに思っております。
環境省は、先月、PFASの除去に使用された活性炭、こちらについて、適切な保管及び処理を行うよう都道府県及び政令指定都市に通知を出されております。この通知では、使用済活性炭の再生含め、適正処理の必要性が明記されております。
しかしながら、活性炭には購入にも多額の費用がかかり、使用後の廃棄、再生にも相応のコストが発生してまいります。こうした対応に伴う財政的な負担は、PFAS汚染の影響を受けた地域にとっては非常に重くのしかかるものです。
国として、こうした地域の負担軽減に向けた財政的支援を今後どのように検討されているのか、方針をお聞かせください。よろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 PFAS対策については、国民の不安の声などを真摯に受け止めて、科学的知見を踏まえた対応を着実に進めてまいります。
環境省では、PFOS等を含有する廃棄物の適正な取扱い、分解処理を確保するため、技術的留意事項を令和四年九月に公表をいたしました。PFOS等を含有する使用済活性炭を廃棄物として処理する場合は、この技術的留意事項を参考に適切に分解処理するよう本年三月二十六日に自治体に通知したところであります。
その上で、廃棄物処理法では、事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないこととされております。このため、産業廃棄物の処理に関しては、排出事業者の費用負担への支援を行っておらず、PFOS等を含有する廃棄物の処理についても排出事業者への財政支援を行うことは考えておりません。
環境省としては、PFOS等を含有する使用済活性炭の適正な処理が確保されるよう、技術的留意事項を引き続き周知していくとともに、排出事業者の費用負担の軽減に資するよう、PFOS等を含有する廃棄物の処理技術については、有識者の助言を受けつつ、今後、知見の収集に努めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
今後は、やはりPFOS、PFASの技術というところが進歩していくところがあると思いますけれども、やはり地域の実情を踏まえた十分な支援というのも講じていただけるよう、前向きな検討をお願いして、次の質問に移らせていただきたいと思っております。
次に、浄化槽についてお伺いさせていただきます。
まずは放流水質についてお伺いします。
現在、全国の浄化槽については、例えば、清掃率は六四%にとどまるなど、適正な維持管理が十分に行われていないとの指摘がございます。本来、浄化槽は水質の保全を目的とする重要な施設、その目的が現状でどの程度達成されているのでしょうか。
また、放流水質の悪化については、法定検査機関が検査結果を通じて把握していると考えられます。例えば、BODが二十ミリ・リットルを超過するような不適切な事例はどの程度確認されているのでしょうか。こうした検査結果は浄化槽管理者に通知されていると思いますが、都道府県等の行政は、それらをどのように把握し、どのような改善指導を行っているのでしょうか。実際の事例があればお示しいただきたいというふうに思っております。
以上、それぞれの御回答をよろしくお願いいたします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
浄化槽法第十一条に基づく検査の結果、放流水質がBOD基準を超過していることが確認された事例は、令和五年度に全国で検査を実施した浄化槽約三百五十万基のうち、約三万八千件が報告されているところでございます。
この検査結果につきましては、浄化槽法に基づき指定検査機関から都道府県等に報告されることとなっており、また、指定検査機関から浄化槽管理者にも検査結果を通知するよう、都道府県を通じて指導を行っているところでございます。
浄化槽の適正な維持管理を確保するため、都道府県等は、指定検査機関からの検査結果報告などを踏まえ、生活環境の保全及び公衆衛生上必要があると認めるときは、浄化槽管理者、保守点検業者等に対し、浄化槽法に基づく指導等を行う仕組みとなってございます。
具体的には、例えば、保守点検が未実施であればその実施を指導したり、また、浄化槽の機器が破損している場合はそれを修繕するよう指導が行われているものと承知をしております。
放流水質の基準超過に由来する指導等が実際に何件行われたかについては把握しておりませんが、浄化槽法第十二条第一項に基づく指導等の総件数、これについては把握をしてございまして、令和五年度においては約七万三千件となっているところでございます。
○仙田委員 御回答ありがとうございます。
今の件数含めて、やはり放流水質の悪化というものが確認されるということがあると思っております。こちらについて、点検業者や清掃業者がその状況を踏まえて作業内容の変更をするということがあるんでしょうか。そしてまた、その実態というのを環境省は把握しているのでしょうか。お伺いさせてください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
浄化槽の放流水質の悪化が確認された場合、保守点検や清掃が不十分なことが原因となっている場合もあるものと考えております。
この法定検査の結果につきましては、指定検査機関から浄化槽管理者に通知するよう、都道府県を通じて指導を行っております。また、放流水質を含めた法定検査の結果が、浄化槽管理者を通じて保守点検、清掃業者に伝わり、これらの業者によって、検査結果の内容を踏まえて作業内容を変更することを含め、保守点検、清掃が的確に実施されることが重要であると考えております。
個別の浄化槽に関する法定検査の結果については、浄化槽法に基づいて、都道府県等に報告される仕組みとなってございます。都道府県等は、検査結果やその他の維持管理情報なども踏まえて、浄化槽管理者や保守点検、清掃業者に対して必要な指導等ができる、こうした仕組みになってございます。
都道府県等が的確な指導等を行うためには、法定検査を含む維持管理の情報が浄化槽台帳に集約されていることが重要でございまして、個別の浄化槽に関する保守点検や清掃の情報を環境省として把握をしているわけではございませんが、ここは都道府県の方でしっかり把握をしていただいて取組が進むことが重要であると考えており、環境省としては、浄化槽台帳の整備等を支援することにより、浄化槽の適切な保守点検、清掃が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
今、都道府県がしっかりと管理していて、浄化槽台帳をしっかり整備していくというお話がありましたけれども、それによっても、まだやはり六四%という状況でございますので、是非ここは、環境省さん含めて、抜本的なというか更なるバックアップを期待したいなというふうに思っております。
そして、やはり水質改善を実現していくためには、点検、清掃そして法定点検、こちらが相互に情報を共有して、連携して取り組むことが不可欠だと考えております。
浄化槽法の中で、浄化槽台帳整備、先ほど出てきた言葉、浄化槽台帳整備、こちらが義務づけられているはずですが、そのデータ整備はできているのでしょうか。また、現行法令において、こうした情報共有や連携体制について制度的に担保されているのでしょうか。大臣の見解をお伺いさせていただきます。
○浅尾国務大臣 浄化槽法と同法施行規則に基づき、都道府県等には、保守点検、清掃、法定検査といった浄化槽の維持管理に関する情報等を記載した浄化槽台帳の整備が義務づけられております。水質改善を実現するためには、浄化槽台帳がしっかりと整備され、それに基づき、都道府県等が浄化槽管理者に適切な指導等を行うことが重要であります。
浄化槽台帳の整備には、都道府県等、保守点検業者、清掃業者、指定検査機関等の関係者間の情報共有と連携体制の構築が重要であります。都道府県等が、浄化槽法に基づく協議会の仕組みを活用し、浄化槽台帳に記載する情報の管理手法の在り方を議論することなどにより、こうした関係者間の情報共有や連携が進むものと考えております。
環境省では、浄化槽台帳の情報について関係者が情報共有している自治体の事例などを含めた、浄化槽台帳の整備、活用に関するデジタル化事例集を昨年度に作成し、自治体への周知に取り組んでいるところであります。こうした取組を通じて、引き続き、関係者間の情報共有と連携を促進してまいりたいと考えております。
○仙田委員 大臣、御答弁ありがとうございます。
やはり台帳のデータ整備については、今大臣おっしゃられたデジタル化というキーワードもございますし、やはりマニュアルをしっかりと都道府県の方に周知徹底していくというところが必要だと思っております。引き続き、環境省については、丁寧な指導と確実な整備の推進をお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきたいと思っております。
続きまして、一般廃棄物処理実施計画の策定状況についてお伺いさせていただきます。
現在、一区域に一業者、こちらがある市町村数と、一区域に複数業者の市町村数の数を教えてください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年度時点の浄化槽清掃業の許可状況に関する調査結果では、当該市町村内の全ての区域で一区域に許可業者が一者となるよう区域割りをしている市町村又は当該市町村全体で一者しか許可業者がいないためその区域全体で一業者となっている市町村の数は六百二十二となってございます。それ以外の市町村数は千七十と承知をしております。
○仙田委員 ありがとうございます。
その一般廃棄物処理実施計画には発生量や処理方法なども記載すると聞いておりますが、その中に浄化槽の清掃件数は入っているでしょうか、御回答お願いいたします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
廃棄物処理法上、一般廃棄物処理計画には、一般廃棄物の発生量及び処理量の見込み、そして一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項等の事項を定めるものとされております。その一方で、廃棄物処理法上、浄化槽の清掃件数は定めるものとは規定はされていないところでございます。
○仙田委員 ありがとうございます。
定めることとなっていないということでありますので、是非定めていくことを含めて追加検討をお願いしたいというふうに思っております。
こちらで毎年度策定することになっております一般廃棄物処理実施計画の策定状況について調査を行ったところ、千七百四十一市町村中、千五百三十三市町村が策定済みであったということでございます。この処理計画には何と何を記載するということになっているのでしょうか。この処理計画の策定された千五百三十三市町村処理計画の中で、区域割りがあるところ、ないところはどれだけありますか。パーセントではなく件数で把握されておりますでしょうか。御回答お願いいたします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
廃棄物処理法上、一般廃棄物処理計画には、一般廃棄物の発生量及び処理量の見込み、そして一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項等の事項を定めるものとされております。
そして、一般廃棄物処理実施計画を策定している千五百三十三市町村のうち、当該市町村内の全ての区域で一区域に許可業者が一者となるよう区域割りをしている市町村又は当該市町村全体で一者しか許可業者がいないためその区域全体で一事業者となっている市町村の数は五百四十三でございます。それ以外の市町村の数は九百九十となっているところでございます。
○仙田委員 ありがとうございます。
そうしますと、今後の、件数と区域割りというところもないとなると、この計画自体に不備があるのではないかというふうに考えることもできるんですけれども、そこについて、環境省としてはどういう見解なのか、お尋ねさせていただきたいと思います。
○浅尾国務大臣 廃棄物処理法上、一般廃棄物処理計画には、浄化槽の清掃件数やいわゆる区域割りについて記載することは求められておりません。
したがって、一般廃棄物処理計画にこれらを記載しなくても、廃棄物処理法上の、その処理計画には不備がないと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
そうしますと、やはり自治体は民間業者に許可を出して実施するということが多いと思っておりますけれども、環境省は許可の区域のありなし、ここをどのように判断されているのか教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
廃棄物処理法に基づく許可を出すに当たって、区域割りを行うかどうかは、許可権者である市町村が自治事務として判断するものと考えてございます。
このため、環境省として、個別の自治体が区域割りをするかどうかについて判断するということではなくて、あくまでも市区町村において自治事務として御判断いただければと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。市区町村でしっかりと判断していくというところで、そこについては市区町村に任せていくということで、御答弁ありがとうございます。
今回、台帳のデータ整備や現地調査には相応の時間を要するとも伺っておりますが、現時点ではまだ取組が本格的に始まった段階にすぎず、むしろこれから本番であるという認識でございます。
昨年開催された環境省の検討会においても、台帳のデータ整備を基盤とし、特定既存浄化槽や老朽化した浄化槽を把握し、適切に指導していくという方向性が示されたと承知しております。また、その検討会では、今後五年をかけてサイクルを確立していくという数値目標も示されたと聞いておりますが、単に調査を繰り返すだけではなく、市町村にも実効性のある取組を促すことが政府の責任ではないでしょうか。
例えば一定の期間内、例えば三年以内に整備が進まない場合には補助金の見直しも含めた厳しい対応、いわば荒療治も必要ではないかと考えますが、大臣の考えをお聞かせください。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
浄化槽台帳に記載される浄化槽の維持管理情報の収集がこれまで十分に進んでこなかった原因としては、情報収集や台帳の更新を行うための手順が共有されてこなかったことや、情報収集のデジタル化の遅れなど、様々なものがございます。
環境省では、有識者検討会において、浄化槽台帳の整備を含む浄化槽の維持管理向上に向けた対応策について議論を行い、昨年十一月に報告書を取りまとめました。
この報告書を踏まえ、現在、浄化槽台帳の整備とそれに基づく浄化槽管理者への指導助言の手順等を示した自治体マニュアルや、浄化槽台帳の整備、活用に関するデジタル化事例集を作成し、自治体への周知に取り組んでおります。
取組の進捗を踏まえて追加の対策が必要かどうかを検討することは重要であり、年限を区切るのではなく、常に施策のPDCAのサイクルを意識しながら、浄化槽台帳の整備充実に向けて、取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 御答弁ありがとうございます。
済みません、時間になりましたので、最後の質問だけさせてください。
今回の浄化槽の機能というのは、上下水道合わせて公共サービスというふうに理解しておりますが、浄化槽における位置づけを環境省はどのように考えているか、見解をお願いいたします。
○近藤委員長 簡潔に御答弁お願いします。
○浅尾国務大臣 浄化槽の中には、地方公共団体が所有、維持管理する公共浄化槽も存在いたしますが、多くは個人が所有、維持管理をする私有財産であり、その点については、いわゆる公共サービスに該当するものではありません。
一方で、浄化槽は下水道と同様、汚水処理という重要な社会インフラとしての機能を有しており、行政も役割を果たしながら、その維持管理を徹底していくことが重要と考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
時間が参りましたので、また浄化槽については今後意見交換を含めて質疑させていただきたいと思っております。
本日はお時間いただきまして、ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、福重隆浩さん。
○福重委員 公明党の福重隆浩でございます。
時間の制約もありますので、早速質問に入らせていただきます。
官公需事業の公的単価等の見直しについてお伺いをいたします。
私たちの衛生的な、快適で当たり前の生活を支えてくださっているエッセンシャルワーカーの一つが、ごみ収集を担ってくださっている一般廃棄物処理事業者の皆様でございます。
しかし、物価高とエネルギー価格の高騰が容赦なく押し寄せ、事業者からは、自治体からの委託料が上がらない等の切実な声が届いております。賃上げが社会全体の喫緊の課題となる今、当然、国や自治体が発注する官公需においても適正な価格転嫁を実現する環境整備が急務であります。
この問題に対し、我が党の竹谷代表代行も参議院環境委員会で繰り返し訴え、当時の環境大臣に強く要望してまいりました。その結果、昨年九月、環境省、総務省から、事業者が春闘妥結額などを根拠に希望価格を提示した場合、自治体が満額を受け入れない際には、その理由を明確に説明するよう促す通知が発出されました。
また、四月十日、石破総理は、経済財政諮問会議において、公的制度に係る単価等について、デフレ時代のまま据え置かれているものがないか、省庁横断的に点検すべきとの発言をされました。
そこでお伺いをいたしますが、環境省が発注している官公需事業について、公的制度に係る単価等の点検を含め、単なる点検にとどまらず、実態に即した価格設定へと見直す具体的な取組についてお伺いをいたします。
また、昨年の九月に通知が発出されてから、各自治体において委託料交渉などにどのような変化が見られているのでしょうか。その効果と課題について、併せて御答弁をお願い申し上げます。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
環境省では、発注する公共調達における人件費単価や工事資材単価等について、市場価格調査を毎年実施し、賃上げや調達価格の上昇を加味した価格の改定を行っております。
例えば、請負契約における今年度の人件費単価は、最も増加率が高いもので対前年度比六・〇%、最も低いもので二・二%増加させております。また、工事資材単価は、例えば福島地方環境事務所の事業における軽油については、対前年度比で八・四%増加させております。
今後も、賃上げや調達価格の上昇を踏まえて、単価等の見直しを行ってまいります。
また、環境省では、自治体に対し、一般廃棄物処理業務における労務費等の適切な転嫁のための重要事項と、それを踏まえ必要な措置の実施に努めていただきたい旨を、令和六年九月三十日付で通知をいたしました。
この通知によって自治体における価格転嫁の取組が進みつつありますけれども、一方で、取組が進んでいない自治体もあるという業界団体の意見もあると承知をいたしております。
今年度、準備ができ次第速やかに、自治体に対して、事業者からの価格交渉の申出があったか、交渉の結果がどのようだったか等、この通知を受けた対応状況等についてフォローアップの調査を行うこととしております。
この調査結果を踏まえ、引き続き関係省庁としっかりと連携しながら、様々な機会を通じ価格転嫁の重要性について周知を行う等、対策を促してまいりたいと考えております。
○福重委員 大臣、御答弁ありがとうございました。
本当に今、物価高に苦しんでおられる、それに負けない賃上げをするということが我々の今大事な仕事だと思うんですね。今、フォローアップをしっかりやっていくという大臣の御声明でございますので、しっかりとそこを踏まえて取り組んでいただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪・関西万博が開幕をいたしました。万博では、未来社会の実験場というコンセプトに、最先端技術を盛り込んだパビリオンや関連施設が出展されております。
その中で、脱炭素社会の取組として、大阪ガスなどによるカーボンリサイクルの技術が注目をされております。この技術は、二酸化炭素と水素を化学反応させ、都市ガスと同じ成分であるe―メタンを生成するというものであります。化石燃料に別れを告げ、カーボンニュートラルな未来を開く、まさにゲームチェンジャーとなる可能性を秘めた技術であると思っております。
ガス業界では、二〇五〇年までに都市ガスの九割をこのe―メタンに置き換えるという未来像を描いており、そのインパクトは計り知れません。この革新的な技術から生まれるe―メタンは、万博会場の厨房で実際に燃料として使用されていると伺っております。
このe―メタン生成は、再エネ水素を使ったメタネーション実証として、万博という絶好の舞台でその可能性を検証していると理解しています。この革新的な技術が、日本のエネルギー自給率の向上や脱炭素社会の実現にどのような貢献を果たすと期待されておりますでしょうか。環境省の御見解をお伺いいたします。
○土居政府参考人 御指摘のいわゆるe―メタン、すなわち、再エネ由来等の非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタンにつきましては、既存のインフラ等が利用できるため、ガスの円滑な脱炭素に寄与するというものだと認識しております。
環境省では、御指摘のとおり、大阪・関西万博におきまして、会場内で発生する生ごみ由来のバイオガス、大気中の二酸化炭素、そして再エネ由来水素からメタンを合成し、迎賓館などで利用する実証を支援してございます。国内外へ日本の技術力や脱炭素に向けた本気度を示す格好の機会だと考えております。
引き続き、関係省庁と連携しながら、日本のエネルギー自給率向上と脱炭素社会の実現に資するよう、いわゆるe―メタンの実用化と普及に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○福重委員 ありがとうございました。
万博という世界が注目しているところで本当に日本の本気度を示す、これは大事な取組だと思いますので、是非頑張っていただきたいと思いますので、応援をします。よろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
政府は、二〇五〇年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標を達成するため、行政庁舎等で使用する電力の調達で環境に配慮した事業者を重視する入札方式の導入を検討していると報道で承知をしております。環境省などが協議を進め、環境配慮契約法基本方針の改定を目指しており、この方針は、温室効果ガスの排出量削減を加速させる上で重要な政策的意義を有すると私自身考えております。
一方で、現行の入札方式においては、電力生産時のCO2排出量の上限値の設定により、一定の環境性能を有する事業者の参入は確保されるものの、より積極的な排出量削減に取り組む事業者の選定を阻害する可能性が指摘されております。環境大臣の諮問機関である中央環境審議会からも、環境配慮型事業者が十分に選定されていないとの指摘がございました。
環境省には、技術的な専門性と政策的なイニシアチブを最大限発揮し、環境省が二〇二七年度からの導入を目指す総合評価方式に向けて、実効性の高い制度設計と導入をリードすることを強く期待しております。
そこで、お伺いをいたしますが、総合評価方式の導入に当たり、価格評価と非価格評価のバランスをどのように設定し、環境性能の高い事業者が適切に評価される仕組みをどのように構築する方針でしょうか。また、全国に存在する各省庁の出先機関における電力調達において、調達先は各省庁の判断に委ねられるとのことでありますが、環境省は、これらの出先機関に対して温室効果ガス排出量削減目標達成への貢献を促すため、各省庁と具体的にどのように連携し、推進策を考えておられるのか、御答弁をお願いいたします。
○秦政府参考人 お答えいたします。
国等の電力調達につきましては、環境配慮契約法に基づきまして、いわゆる裾切り方式、これを導入いたしまして、二酸化炭素排出係数や再エネの導入状況等を考慮することを求めるなど、排出係数の低い電力契約を推進しておるところでございます。
現在、国等の電力調達におけます二酸化炭素排出係数の低減、再エネ電力比率の増加をより一層促す観点から、総合評価落札方式の導入につきまして、昨年度より有識者会議において議論に着手したところでございます。
御指摘の観点も踏まえた上で、国等の電力調達において、より環境に配慮した事業者が適切に評価される仕組み、これを検討してまいります。
さらに、出先機関も含めまして、電力調達につきまして適切な環境配慮契約がなされますよう、環境省といたしましても、優良事例やあるいは先行事例を把握し、関係省庁との定期的な連絡会議の場を設けるなど、こういった場を活用しながら周知や普及に努めてまいる所存でございます。
○福重委員 ありがとうございました。
やはり、環境省がリードしてこの問題を前へ前へと進めていただくことが大事だと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
先ほど齋藤議員からも質問がありましたけれども、公明党が強力に推進し、二〇一一年から開始された子どもの健康と環境に関する全国調査、通称エコチル調査は、約十万組の親子を対象としており、現在でも九二%という驚異的な継続参加率を誇る、世界に類を見ない大規模な疫学調査を行っております。この調査の目的は、環境要因などに着目し、子供の健康にどのような影響を与えるのかを明らかにするための研究を行い、適切なリスク管理体制の構築などの対策につなげることにあります。
エコチル調査は、国立環境研究所がコアセンターとして中心となり、大学や医療機関に設置されたユニットセンターと連携しております。二〇二三年九月の報道では、国立環境研究所の松本純一研究調整主幹は、個人情報に配慮した上で、広く研究者がデータを利用できる仕組みを検討していると述べられ、エコチル調査データの活用に向け環境整備を検討しているとのことでございます。
二〇二四年十二月末時点ではありますが、子供の健康と環境に関する論文は約五百五編発表されており、エコチル調査のデータが基になり、妊婦さんの化学物質等の暴露の環境要因や生活習慣と、子供の体格や気管支ぜんそく、アレルギー疾患等の健康影響との関連の有無が明らかになってきております。
先週十七日、我が党のアレルギー疾患対策プロジェクトチームが会合を開催し、日本アレルギー学会の海老沢理事長からも貴重な御意見を頂戴いたしました。
国立環境研究所がデータの利用の仕組みを検討している今こそ、エコチル調査が蓄積した膨大な有用的なデータをアレルギー対策を始めとする多様な研究機関へ積極的に共有し、その研究成果を具体的な疾患対策へつなげていくべきだと考えておりますが、環境省の御見解をお伺いいたします。
○前田政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、エコチル調査の目的は、化学物質等の環境要因が健康に与える影響を明らかにし、リスク管理当局や事業者への情報提供を通じて、適切なリスク管理体制の構築につなげることでございます。そのため、調査で得られた成果を社会に還元すること、また、調査で得られたデータをより多くの研究者に活用していただくことは重要と認識してございます。
エコチル調査の研究成果につきましては、環境省から関係省庁等に情報提供を行いますとともに、国立環境研究所エコチル調査コアセンターでは、データ共有規程といいました規程類の整備ですとかデータ共有システムの開発等を行い、現在、個人を特定できる情報を含まない形で外部研究者へのデータ共有を進めているところでございます。
このような取組により、様々な分野の研究が加速化されることを期待しており、今後もエコチル調査を通じて得られる成果を日本独自の科学的知見として国内外に積極的に発信し、子供たちが健やかに成長できる環境や、安心して子育てができる環境の実現につなげてまいりたいと考えております。
答弁は以上です。
○福重委員 どうもありがとうございました。
先ほども言いましたけれども、十万組の親子が九二%継続している、これによって病気だとかアレルギーだかの因果関係が分かりつつある、こういったことをやはり日本が世界に発信していく、これも日本の大事な世界貢献につながっていくというふうに思います。
そういった意味では、このビッグデータを活用していただいて、今もお話がございました、子供たちの健康維持のために是非頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、北野裕子さん。
○北野委員 今回も御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。参政党の北野裕子でございます。
前回に引き続き、動物に関連した質問をさせていただきたいと思います。
前回、熊の問題について質問いたしまして、野生動物と人間の関わり方について考える機会が多くなっているのではないかと思います。
近年、国際的にも動物福祉、いわゆるアニマルウェルフェアの増進が審議され、その導入、推進が日本にも求められています。
まず、日本は既に、動物愛護のための法律として、昭和四十八年に議員立法で制定された動物愛護管理法があります。これは、動物の愛護や管理について定め、人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的としております。そして、環境省の動物愛護管理指針には、我が国の風土や社会の実情、日本人の動物観の特質や海外との違いを踏まえ、人間と動物の関係について丁寧な議論を積み重ねることが重要であると書かれています。
ここで、お尋ねいたします。大臣は、日本人の動物観というのはどのようなものとしてお考えでしょうか。人間と動物の共生する社会を実現する前提として必要な情報ですので、お聞かせいただければと思います。
○浅尾国務大臣 御指摘の指針では、人と動物の共生する社会の実現に向けて議論を積み重ねる際に、我が国の風土や社会の実情、日本人の動物観の特質や海外との違いを踏まえることの重要性に言及をしております。
日本人の動物観については、指針において、アニマルウェルフェアに対する考え方も含め、いつの時代であっても多様であり続けるものであり、また、多様であってしかるべきものであるとしております。
また、指針策定の際の審議会においては、あくまでも一つ一つの考え方であり、これらをもって日本人の動物観とするものではないが、歴史的な観点などを踏まえた幾つかの動物観が参考資料として示されているものと承知をしております。
いずれにしても、動物愛護管理行政の推進に際しては、多様な考えに耳を傾け、丁寧な議論を積み重ねながら進めていくことが必要と考えております。
○北野委員 ありがとうございます。
動物愛護指針策定の過程であります審議会の中に大変興味深いものがありましたので、そちらを御紹介させていただきたいと思います。
日本人の動物観の参考となる記述でございます。環境省の動物愛護管理室長の東海林さんという方の御発言でございます。平成十七年の八月四日に開催されました中央環境審議会動物愛護部会の議事録からの引用でございます。
日本の場合には、動物と人間は輪廻転生といいますか、生物的には平等で、連続的な存在と捉えがちであるとし、対して欧米の方は別の生命体で、ある意味、人間が管理するべきであるというような考えが強いというように言われておりますと書かれておりました。
また、平成十八年五月二十九日の中央環境審議会、動物愛護の部でございます。そこの動物愛護基本指針の骨子案の参考資料には、欧米との動物観の違いとして、日本との比較をまとめた表がございました。その表を口頭で簡単に御説明させていただきます。
まず、日本の人と動物との関係についてです。人間と生命的には平等、輪廻転生によって人間と動物とは相互転換する生命的に連続的な存在と書かれております。また、欧米ですね、欧米の人と動物との関係においては、人間とは別の生命体であり、人間の従属物、人間のために存在し、人間が管理すべき存在であると書いてあります。
日本の愛護に関する方針を定めるための審議会です。こうした価値観の違いを整理しようとしたことは極めて合理的であると考えます。その後、この参考資料が削除されてしまったようなのですが、この審議会で議論されていたような日本人の動物観について、政府見解でなくても結構です、大臣の所感をお伺いできますでしょうか。
○浅尾国務大臣 日本人の動物観については、この指針において、アニマルウェルフェアに対する考え方も含め、いつの時代であっても、先ほども申し上げましたが、多様であり続けるものであり、また、多様であってしかるべきものだというふうにしております。
指針策定の際の審議会においては、あくまでも一つ一つの考え方ということで、これらをもって日本人の動物観とするものではないが、歴史的な観点なども踏まえた幾つかの動物観が参考資料として示されたものと承知しておりまして、まさに、日本人の動物観は多様であるというところにポイントがあるんだというふうに思っております。
○北野委員 ありがとうございます。
参政党は、このアニマルウェルフェアといった海外の考え方を導入する場合も、先ほど大臣がおっしゃいましたように、日本独自の考え方、多様ですね、そのまま我が国に当てはまるのかどうか、日本的な価値観はどのようなものなのかを常に考える必要があるという立場を取っております。
神道では、やおよろず、あらゆるものが信仰の対象であり、仏教では全ての命に魂が宿るとされております。また、食事の際には、いただきます、ごちそうさまでしたと唱え、命あるものへの感謝と敬意を日々の習慣から脈々と私たちのDNAに刻み込んできました。
このように、動物や自然に対する敬意は日本文化として元々ありました。ですから、今こそ、国民に対して、日本人の考え方になじんだ我が国なりのアニマルウェルフェアというものを、環境省として国民に示していただいた方が納得しやすいのではないかと思います。
新しい価値観をつくり出すというのではなく、あらゆるものを慈しむ心というのは日本人が気質として持っております。それにより、生産者、消費者の意識を向上させ、動物に関連する様々な産業に付加価値を生み出し、国際競争力の強化、経済成長につながっていくのではないかと考えます。
そのため、御確認のためにお伺いいたします。
動物愛護法の第二条には、動物が命あるものであることに鑑み、適正な取扱いを定め、第七条には、命あるものである動物の健康及び安全を保持することが書かれております。これらの条文に言う命あるものである動物は、牛、豚、鳥などの産業動物も含まれているのでしょうか。
○浅尾国務大臣 動物愛護管理法第二条及び第七条に規定する命あるものである動物には、産業等の利用に供するため飼養又は保管している牛、豚、鶏などの産業動物も含まれます。
○北野委員 ありがとうございます。産業動物が当てはまることは分かりました。
では、これから食の安全という観点でお話をさせていただきます。
私たち参政党は、食と健康を重点政策に挙げております。これは、西洋的な対症療法に頼るのではなく、ふだんから体にいいものを取るように心がけ、病気を予防しようという医食同源の考え、東洋医学の思想によるものです。
人間が健康でいるためには、運動、食事、そしてストレスのない生活が重要であると同時に、この鳥や豚ですね、家畜にとっても、ストレスのかかりにくい環境を与えることは、健やかな成長、免疫の向上によい影響を及ぼし、より安心、安全な畜産物を得るために必要なものだと考えます。現に、日本産の鳥肉から検出されるサルモネラ菌は、ケージフリーが進んでいる諸外国と比べましても多いという報告が見られます。
鳥肉について言いますと、日本ではまだまだ、平飼いなどケージフリーの導入が進んでいないものと認識しております。養鶏場のケージフリーの割合は、民間団体の調べによりますと、日本は一・一三%、スイスは一〇〇%、そしてEUでは六〇%となっております。
ケージフリーにより鳥に自由を与えることで、ストレスから解放され、免疫が向上し、必要以上に抗菌剤やワクチンを使用しなくても済むのではないかと考えます。ケージフリーの飼い方とケージ飼いのメリット、デメリット、併せてお答えいただきたいです。
そしてもう一つ、あわせまして、産業界においてのアニマルウェルフェアに配慮した取組を妨げるものがあるのでしたら、それも併せて教えていただければと思います。
○関村政府参考人 お答えいたします。
鶏の飼養方法には、大きく分けて、ケージ方式とケージフリー方式があります。
ケージ方式には、強い鶏が弱い鶏をつつくなどの闘争行動が減少することによる死亡率の低下、鶏が家畜排せつ物に触れにくく、清潔に保たれる等のメリットがございます。一方、ケージフリー方式には、鶏が床面又は地面を自由に運動できる、運動量の増加による骨が強健になる等のメリットがございます。
このように、各飼養方式におきましてアニマルウェルフェア上のメリットがあることから、農林水産省としましては、特定の飼養方式に限定することなく、多様な飼養方式を認めているところでございます。
なお、飼養方式と免疫力の関係につきまして明確的に示す科学的根拠については承知しておらないところでございます。
アニマルウェルフェアにつきましては、農林水産省としましても、局長通知等を発出しまして推進しているところでございます。
○北野委員 ありがとうございます。
畜産業におけるアニマルウェルフェアの配慮にはコストがかかることや、ケージフリー化のメリット、デメリットそれぞれあるということが分かりました。ありがとうございます。
ケージフリーの鳥の健康との因果関係についてはまだ研究段階ということですが、日の光を浴びて、本能に従い自由に動き回って育った鳥とそうでない鳥は健康的に差異が生まれるということは、消費者の感覚として当然持っているものであると思います。
また、諸外国ではケージフリーが進んでいる理由としては、動物福祉の観点だけではなく、食品安全の向上やそれに伴うブランド化も含まれていると考えます。日本の畜産物のイメージ向上、将来的な輸出強化のためにも、よいとされる取組があれば、それを、海外からの知見を積極的に取り入れていくべきだと考えます。
持続可能な経営という視点でコストも大事なんですけれども、本来、我が国の動物観に立ち返り、人間との調和、共生を目指し、日本式アニマルウェルフェアを確立することができれば、日本の新たな付加価値が生まれ、日本の一次産業の振興、そして日本ブランドとして世界に発信できるのではないかと考えます。
この日本ブランドの発信、イメージアップをしていきたいんですけれども、今、とりわけ国産の鳥、薬剤耐性菌の保有率が高いなどというお話を聞きました。
そこで、産業動物に関する薬剤使用についてお尋ねをいたします。
薬剤を使用することで効かない細菌が現れるということですね、薬剤耐性菌です。この薬剤耐性菌の発生というのは、拡大して人にうつると、私たち人間の生命に関わります。我が国としては、人への影響を与えないようにどのような取組を行っているのか、お聞かせください。
○郷政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、抗菌薬を不適切に使用した場合、薬剤耐性菌の発生リスクが高まり、人や動物の細菌性感染症の治療が困難になることが懸念されます。このため、我が国は、二〇一六年に薬剤耐性アクションプランを策定し、関係省庁で連携して薬剤耐性対策を進めてきたところでございます。
農林水産省では、家畜の分野につきまして、食品健康影響評価の結果を踏まえて、治療の際の抗菌薬の選択順位を明確化するとともに、飼養衛生管理の徹底や、有効なワクチンの実用化の促進などによる抗菌薬の使用量の低減、さらに、畜産関係者等に対する抗菌薬の適切な使用の普及啓発などを進めているところでございます。
引き続き、これらの対策を着実に進め、関係者と連携しながら、畜産分野における薬剤耐性対策を推進してまいりたいと考えております。
○北野委員 ありがとうございます。
薬剤耐性菌について、蔓延防止のために様々な取組がされていることが分かりました。こうした取組は、環境の、畜産農家さんが生産する畜産物に対して一定の安全性を示す取組だと言えますので、是非もっと積極的にやっていただければと思います。
一方で、そもそも、耐性菌の代わりに、お薬も使わずに畜産物の免疫力を引き出して克服しようと努力されている畜産農家さんもいらっしゃいますので、そういった方に是非積極的に予算をつけていただくなど、支援をしていただければと思います。
もうそろそろ時間がないので、質問はまだあったんですけれども、ちょっと削らせていただいて、最後、私の思いだけお伝えさせていただきたいと思います。
このケージフリー、どんどんこれから進んでいって、日本にもどんどん求められると思うんですけれども、私たち日本人というのは、元々、動物に対する思いというのはありました。聞きなじみのない言葉なんですけれども、新しい価値観のように感じますが、私たち日本人は本当に、命あるものを大切にいただいて、動物と共存していく、日本固有の文化と伝統、価値観が私たちにちゃんと根づいているんですね。
なので、日本らしい言葉で表現して、日本式アニマルウェルフェアとか、日本の言葉で表現した、こういった動物と共存していく、そして畜産物を守っていくような取組を今後もしていただければと思います。
以上で、私からの質問とさせていただきます。
本日は、ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、竹上裕子さん。
○竹上委員 日本保守党の竹上裕子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
三月十四日の環境委員会に引き続き、再エネ賦課金を即時廃止するという立場でお尋ねいたします。
前回は、二〇二四年度までの再エネ賦課金の累積総額が約二十三兆円になるということを指摘させていただきました。その後、二〇二五年の再エネ賦課金が約三兆円であるということを経済産業省から発表され、合計で約二十六兆円という国民負担となっていることが判明しております。
これだけでも相当な金額でございますが、加えて、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、FIT、FIP制度ですが、二十年間にわたり、さらに、発電した電気を当初の価格で買い取るという長い制度です。すなわち、このままこの制度を継続していけば、今後二十年先の国民の負担、つまり、隠れ借金がどんどん積み上がっていく、アリ地獄のような構造になっております。
そこで、仮に、来年度以降、日本保守党の公約どおりに再エネ賦課金を廃止した場合、正確には来年度の新規受付を停止してみる、停止するということなんですが、今後の再エネ賦課金の金額がどうなるか試算してみました。
それが、このプリントに当たります。これですね。これが、まずグラフです。停止した場合のグラフです。そして、これが試算表の数値となっております。
便宜上、買取り期間を全て二十年とし、過去の実績を基に計算したところ、二十年後の二〇四五年度までにおおむね三十五兆円という新たな国民負担が加わることが分かりました。そして、二〇一二年の制度開始から累積すると、三十年間の見積りにはなりますが、約六十兆円もの国民負担が生じることになります。国民一人当たり約五十万円の負担額という驚きの試算結果を得たところでございます。
そこで、質問です。
仮に日本保守党の公約どおりに再エネ賦課金を廃止した場合、つまり新規受付を停止した場合の今後二十年間の再エネ賦課金、この国民負担額、合計約三十五兆円という試算はおおむね妥当な金額とお考えになるでしょうか、お願いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘いただきました再生可能エネルギーにつきましては、二〇一一年通常国会におきまして成立した再生可能エネルギー特別措置法に基づき、電気の買取り等を通じ再生可能エネルギーの普及拡大を図ることとしておりまして、そのために必要な費用は、同法において、再エネ賦課金としてそのメリットを受ける電気の利用者の皆様に御負担いただくことになっているところでございますが、お尋ねの再エネ賦課金の額につきましては、再エネ特措法の規定に基づきまして、再エネ電気の買取り費用から再エネ電気を卸電力市場に売電した場合に得られる収入を除いた額を基礎に定めることとされております。
特に、この売電収入につきましては、毎年毎年、電力の市場価格により大きく変動し得るため、今後の水準を正確に見通すことは大変困難でございまして、お示しいただいた試算が妥当かについて具体的にお答えすることは難しいと承知しておりますが、その上で、引き続き、国民負担の抑制をしっかり図るため、買取り価格の更なる引下げ、そして入札制の活用などの取組を着実に進めてまいりたいと存じます。
○竹上委員 私たちは、これを最低限程度の見積りということで、三十五兆円という試算をいたしました。
では、これまで、政府や審議会で、再エネ賦課金の中長期的な国民負担額というのを計算していないということなのでしょうか。経済産業省も試算して、二〇二五年度、三兆円としております。ですので、こういう試算をし、国民へ公表してしかるべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げたとおり、再エネ賦課金の額につきまして、これまであるいは今年度、経産大臣から認定する水準は確定するわけでございますけれども、今後の水準を正確に見通すことは困難でございまして、その具体的な額を審議会等でお示しすることは難しいところでございますが、その上で、再生可能エネルギー特別措置法におきまして、買取り価格等の水準について、再エネ最大限導入と国民負担抑制のバランスを図る観点も踏まえ、国会同意人事による委員で構成されます審議会である調達価格等算定委員会への意見聴取が法定、必須となっておりまして、再エネ賦課金の単価についても、その買取り価格等の水準も踏まえ、再エネ特措法に基づき、年度の開始前に経済産業大臣が法定の算定方法にのっとり設定することとなっているところでございます。
いずれにしましても、政府として、買取り価格の更なる引下げ、入札制の導入などの取組を進めることで、再エネ賦課金が国民に過度な負担とならないようしっかり取り組んでまいりたいと存じます。
○竹上委員 五年見通し、三年見通しでも構いません。二十年払いという長い期間がありますので、正確に、ある程度、二十年契約というのを踏まえて試算をしていただきたい、国民の負担というのをしっかりと考えていただきたい、そのように思います。
今後、二十年間の再エネ賦課金の新たな、停止した場合ですが、三十五兆円、これは日本の隠れ借金とも言えるものなんですが、この三十五兆円を政府としてどう受け止めるか、最後のお答えをお願いしたいと思います。
○古賀副大臣 再エネ賦課金でございますけれども、これはカーボンニュートラルの実現ということに向けまして行っているというわけでございまして、国民負担を抑制しながら再エネの最大限の導入を図ることが政府の基本方針というわけであります。
政府といたしましては、再エネ特措法に基づきまして、再エネ電気の買取り等を通じてその普及拡大を図っておりまして、必要な費用は、同法に基づいて、再エネ賦課金として、そのメリットを受ける電気の利用者の皆様方に広く御負担をいただいているというわけでございますが、他方、政府としては、国民負担の抑制を図っていくことが重要ということも認識しておりまして、FIT、FIP制度における買取り価格の引下げや入札制の活用等によりましてコストの低減に取り組んでまいりたいと思います。
さらに、FIT、FIP認定後の迅速な事業実施を促すために、一定期限までに運転開始に向けた進捗が見られない未稼働案件のFIT、FIP認定を失効させる制度を導入いたしまして、これまで約八万件の認定が失効となって、機械的に算定いたしますと、約四兆円の国民負担の抑制につながっているものと承知しております。
また、エネルギー源に乏しく化石燃料の輸入に頼る我が国におきましては、原油や天然ガスなどの輸入に単年で約二十六兆円を充てている、こんな状況でございまして、再エネの導入拡大はこれを縮減していく、このことについても寄与している、こういうふうに認識しております。
こうした国民負担の抑制の取組と併せまして、日本発の次代の国産再エネ技術であるペロブスカイト太陽電池について、量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出に三位一体で取り組んで、国内サプライチェーンを戦略的に構築してまいりたい、このように思います。
以上です。
○竹上委員 ありがとうございます。
節電に取り組む国民と中小事業者のためにも、日本保守党としては再エネ賦課金の廃止を続けて求めてまいりたいと思います。
どうも御答弁ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、中村はやとさん。
○中村(は)委員 お疲れさまです。本日最後の質問者となりました、無所属の中村はやとです。
今日、SNSで環境委員会で最後に質問させていただくという旨の告知をさせていただいたところ、それはいいんだけれども、四月なのにセミが鳴いているぞ、暑過ぎるということで、環境委員会で何とかしてくれという、大分大きなものを背負わされたなというふうに思ったんですが、しかし、これも笑い話でもなくなってきたなというふうに思いました。
この地球温暖化という問題は、改めて、前回の環境委員会でも米国のパリ協定脱退についての御質問をさせていただいたんですけれども、これは我が国だけでやっていてもしようがないじゃないか、世界で取り組まないんだから、だから二の次なんだということで、どうしても各国、腰が重くなりがちです。
そういった中で、やはり重要なのは、テックを絡めて全世界的に技術革新を求めてこの環境問題に取り組んでいくということだというふうに私は考えているんですが、今日の質問は、このテックが、逆に言いますと、問題を引き起こすケースもあるということを御紹介させていただきながら、質問に入らせていただきたいと思います。
配付資料一に基づきまして、データセンターの電力問題についてです。
データセンターとは、インターネット用のサーバーやデータ通信、固定、携帯、IP電話などの装置を設置、運用することに特化した建物の総称を指します。特に、インターネット接続に特化したものをインターネットデータセンターという場合があります。
デジタル変革が進む現代において、データセンターは企業活動と私たちの生活に欠かせない存在となっております。効率的なデータ管理、強固なセキュリティー、迅速なアクセスの重要性が増している中で、データセンターは、単なるデータ保管の場所を超え、価値を生み出す新たな基盤へと進化しております。
移り変わりの激しいビジネス環境においては、柔軟性が求められます。クラウド移行によってシステムを柔軟に導入、変更することができることから、現在、多くの企業がクラウドを活用しておりますが、データセンターは、そのクラウドのサービスを提供するための重要なインフラストラクチャーであり、今後も必要不可欠な存在として、進化し続けることが予想されております。
そういったことから、現在、国内でもデータセンターがどんどん建設されております。特に、使われなくなった工場や製鉄所の跡地をデータセンターに有効活用する動きが相次いでいます。三菱商事とJFEホールディングスは高炉跡地で、ソフトバンクやKDDIは液晶工場の跡地で、それぞれ稼働を目指し計画を進めております。
調査会社の富士キメラ総研によれば、国内データセンターサービス市場の規模は二九年に五兆四千三十六億円と、二四年見込み比で三四%増える、そしてデータセンター新設のピークは二六年が予想されているといいます。まさしくデータセンターは昨今のAI技術の発展の象徴とも言えると思います。
しかし、一方で、AIの発展が進む上で、データセンターの電力消費量に対する懸念が増しております。
パリに本部を置く国際エネルギー機関、IEAは、二〇二四年一月の報告書で、データセンターやAI、暗号通貨マイニングによる電力需要が二〇二六までに急増すると述べました。IEAによると、世界のデータセンターの総エネルギー消費量は、二〇二二年はおよそ四百六十テラワットアワーでしたが、二〇二六年にはその二倍となる千テラワットアワーに達する可能性があるといいます。これは日本の電力消費量とほぼ同等です。同報告書では、需要の急増を抑えるには規制の改定と効率化などの技術改善が不可欠であると述べております。
IEAによると、世界の八千を超えるデータセンターのうち、約三三%が米国、一六%が欧州、一〇%が中国にあるといいます。米国の電力消費量は、二〇二二年は米国の電力需要の約四%に当たる約二百テラワットアワーでしたが、二〇二六年には同六%に相当する約二百六十テラワットアワーに増加すると予想されております。5Gネットワークとクラウドベースのサービスの需要が増えることで、電力需要が増加すると考えられております。
そこで、このデータセンターと電力は気候変動の上でも重要な問題と認識しておりますが、環境省としては現在どのような認識を持たれているのか、環境大臣にお伺いいたします。
○浅尾国務大臣 世界では、DXの進展等に伴い電力需要の増加が見込まれておりまして、我が国でも、電力広域的運営推進機関が本年一月に公表した今後十年間の電力需要の想定によりますと、国内の電力需要は、データセンターや半導体工場の新増設等により、今後十年で約六%増加する見通しとなっております。
このように、電力需要の増加が見込まれる中、二〇五〇年ネットゼロを実現するためには、徹底した省エネに取り組むとともに、再エネの最大限の導入等による電力の脱炭素化を進めることが重要となってまいります。
環境省としては、関係省庁と連携し、データセンターの脱炭素化に向けた支援を進めるなど、省エネの徹底や再エネの最大限の導入等に取り組んでまいりたいと考えております。
○中村(は)委員 ありがとうございます。
繰り返しになりますが、コンピューターやスマートフォンなどの電子製品の効率が確実に向上している一方で、最近のAIモデルの進歩によってデータセンターサービスの爆発的な増加が進み、電力需要が高まるという、いわゆるリバウンド効果という状況にあると言えます。
IEAによると、一般的なデータセンターの電力需要は、コンピューティングが全体の四〇%を占めるといいます。さらに、安定した処理効率に向けたサーバーラックの冷却に四〇%を消費します。残りの二〇%は周辺IT機器による消費です。
米国では、二〇二〇年のエネルギー法により、連邦政府がデータセンターのエネルギー使用を調査し、その効率化を推進することが義務づけられております。エネルギー省は、半導体の国内生産を支援し、冷却要件を削減する、より効率的なチップの開発に資金を提供しております。世界最大のデータセンターが集中するバージニア州の州政府は、持続可能性の向上と炭素排出量の削減を義務づけております。
こういった既に活発に対策に乗り出している米国の状況を踏まえて、我が国ではどのような対策を講じているのかを教えてください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
我が国におきまして、現在、データセンターのエネルギー効率向上に向けまして、ポスト5G基金等を通じ光電融合技術等の研究開発に取り組んでおりまして、さらに、データセンターの冷却効率の改善に向けた研究開発にも取り組む予定としてございます。
先般閣議決定いたしました第七次エネルギー基本計画におきましても、データセンターのエネルギー効率の改善に向けまして、技術開発の促進に加え、諸外国の取組も踏まえつつ、事業者が満たすべき効率を設定した上でその取組を可視化するなど、支援策と一体で制度面での対応を行うとしているところでございます。
現在、制度の具体化に向けて、関係の審議会においてまさに議論を進めているところでございまして、米国等での取組なども参照し、データセンターの国内立地、投資拡大を進めつつ、データセンターに新しい省エネ技術が着実に実装されるよう、しっかり取り組んでまいりたいと存じます。
○中村(は)委員 電力設備の半導体の熱効率を改善すれば、データセンターの総テラワット予算の約一〇%を節約できる、あるいは、データセンターには、エネルギー需要を削減するために、DC、つまり直流配電システムが必要であるなどと、ダイヤモンド材料の半導体を手がけるカリフォルニア州のスタートアップ、ダイヤモンド・クアンタの創業者であるアダム・カーン氏は述べております。こういった技術革新的なアプローチも、我が国でも積極的に行っていくことが不可欠だろうと思います。
データと電力の問題はここまでといたしまして、次に、データセンターそのものの問題についてお伺いいたします。
日本国内では、冒頭に述べた工場跡地を活用するケースのほかに、データセンターが都市部に立地するケースが増加しております。データセンターがクラウドやAIを支えるためには、信頼性の高い通信ネットワークや電力網との接続が不可欠であり、これらが集積する都市部はその要件を満たしやすいからであります。さらに、都市部に近いことで、利用者に対して、低い通信遅延、いわゆるレーテンシーでサービスを提供できるという利点もございます。
こうした技術的、地理的な合理性に加え、現在は、クラウド需要の高まりを受けて、データセンターは安定した長期収益が見込める投資対象としても注目されております。特に、不動産開発の観点からは、タワーマンションや大型商業施設に比べてリスクが低く、堅実な開発用案件とみなされる側面もあるようです。
つまり、何が言いたいのかといいますと、ITインフラが住宅地の隣に立つ時代が来たということであります。そして、それにより、データセンターと住民問題に発展するケースも見られるようになってきました。
配付資料二で御紹介させていただいておりますが、例えば、昨今では、東京都日野市で進められている不動産会社による大規模データセンター建設計画が地域住民の反発を招いていると複数のメディアが報じています。
建築が計画されているデータセンターは、三棟中二棟が、高さ七十二、幅九十一、奥行き百五十メートルという大規模なものです。日野自動車の工場跡地に、エリアを囲い込むように設置されております。二〇二五年現在、市内で最も高い建築物は高層マンションで高さ四十メートル台であり、七十メートルを超える建造物の建築は同市として初めての事例になります。それもあって、日照や景観が損なわれるといった声が住民から上がっている模様です。一方で、地域経済の活性化につながる可能性もあるとして、中立的な立場を取る声もあると聞いております。
そこで、伺います。政府としては、今現在把握している中で、このデータセンターあるいは建設予定地の周辺の住民からは、どのような声が聞こえているのか。また、その上で、今後、どのように住民の皆様の理解を得ていくのかをお尋ね申し上げます。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
データセンターは、今後の日本の産業競争力の向上と、人口減少などの社会課題の解決に必要不可欠なAI活用を始めとするDXの推進のため、国内に効率的に整備をしていく必要があると考えてございます。
他方で、委員御指摘のとおり、データセンターの建設に当たっては、一部の地域住民から、景観や日照、排熱や騒音等を心配される声があるとも承知をしてございます。
データセンターの整備に当たっては、地域との共生は大前提であり、まずは、設置を進める企業において、立地地域での丁寧な説明の機会を設けるなど、適切な対応を進めていただくことが重要と考えてございます。
政府としては、本年二月に閣議決定したGX二〇四〇ビジョンにおいて、ワット・ビット連携により、電力と通信基盤の整備を整合的、計画的に進め、データセンターを効率的、効果的に整備するとともに、データセンターそのものの省エネ化などにも、諸外国の取組事例も踏まえつつ取り組んでいきたいと考えてございます。
先月、三月には、通信、電力、データセンターに関する産業界と政府の関係者が一堂に会するワット・ビット連携官民懇談会を立ち上げました。この中においても、地域との共生も踏まえたデータセンター設置の在り方を整理してまいりたいと考えてございます。
○中村(は)委員 ありがとうございます。
余談ではあるんですけれども、皆様、チャットAIとかチャットGPTに、ついつい、教えてくれたら、ありがとうございますとか、おはようございますとか、結構言っちゃうと思うんです。私もそれを言っちゃうタイプの人間なんですけれども、実は、そのような礼儀正しい接し方によって、何と数十億円規模の電力消費が生まれている可能性を、オープンAIのサム・アルトマンCEOが発言したと記事で見ました。
まさしくそういった時代が到来しているんだなということで、今のデータセンターの問題というのはこれから必ず日本各地で起きてくる問題だと思いますので、是非、環境省としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。
もう時間がないので、最後の質問、少し急ぎ足で行きたいと思います。
先ほど維新の猪口委員からも御質問あったと思うんですけれども、リチウム電池の廃棄問題についてです。
環境省では十五日、家庭から出される不要になった全てのリチウムイオン電池を市区町村が回収するよう求める新たな方針をまとめ、都道府県を通じて全国の市区町村に通知したと報道で知りました。
こういった様々な取組というものは、私はすばらしいことだなと思っている一方で、今回の環境省の通知について専門家は、発火や火災が多発している現状を考えれば、環境省の通知は妥当で必要なことだと思う、消費者にもうまく伝わって、発火や火災が減ることが期待されると一定の評価をする一方で、元々、リチウムイオン電池は、メーカーが責任を持って自主回収やリサイクルをする仕組みがあったが、それが不十分なために自治体に負担が行ってしまう形になった、ただ、自治体の中には、人が足りない、お金が足りない、スペースもない、情報もないと、ないない尽くしで困っているところも多く、そうした中で火災を起こしてしまうところもある、保管や処理、リサイクルにはどうしても費用がかかるので、国やメーカーは情報や費用面で積極的に協力して支援してほしいと思うというお話をしていたのを私もメディアで知りました。
そこで、こういった声に対して政府では今後どのように対応をしていくのか、教えてください。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
近年、産業廃棄物処理施設やごみ収集車などで、リチウムイオン電池やそれを使用した製品に起因する火災事故が頻繁に発生していることは、重要な課題であると受け止めております。
このため、今月十五日に、各市町村においてリチウムイオン電池等の安全な回収、処理体制の構築等を行っていただくための方針と対策を盛り込んだ通知を発出いたしました。
また、通知に併せて、令和六年度に実施したモデル事業等の成果を取りまとめた対策集を公表し、情報提供を行っております。この中で、複数自治体の連携による広域的な回収体制の構築により、処理コストを十分に低減した事例などをお示ししております。
これらに加え、メーカー側の取組を進める観点から、リチウムイオン電池など、事業者による回収や再資源化が義務づけられている製品について、高い回収目標等を掲げて認定を受けた製造事業者等に対する廃棄物処理法における特例措置等を盛り込んだ、資源の有効な利用の促進に関する法律の改正案を本国会に提出しているところであります。
今後も引き続き、自治体や関係省庁、関係業界と協力しながら、リチウムイオン電池等による廃棄物処理施設における火災事故防止やリサイクル推進に向けて全力で取り組んでまいります。
○中村(は)委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
○近藤委員長 次回は、来る五月九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時十五分散会