第7号 令和7年5月9日(金曜日)
令和七年五月九日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 近藤 昭一君
理事 石原 宏高君 理事 武村 展英君
理事 平口 洋君 理事 阿部 知子君
理事 松木けんこう君 理事 森田 俊和君
理事 空本 誠喜君 理事 仙田 晃宏君
五十嵐 清君 勝目 康君
古賀 篤君 坂本竜太郎君
佐々木 紀君 島田 智明君
深澤 陽一君 宮内 秀樹君
山際大志郎君 大河原まさこ君
川原田英世君 齋藤 裕喜君
佐藤 公治君 篠原 孝君
馬場 雄基君 猪口 幸子君
沼崎 満子君 福重 隆浩君
北野 裕子君 竹上 裕子君
…………………………………
環境大臣 浅尾慶一郎君
環境副大臣 小林 史明君
環境大臣政務官 五十嵐 清君
環境大臣政務官 勝目 康君
政府参考人
(環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官) 大森 恵子君
政府参考人
(環境省総合環境政策統括官) 秦 康之君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
―――――――――――――
五月八日
環境影響評価法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
環境影響評価法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
――――◇―――――
○近藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、環境影響評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。浅尾環境大臣。
―――――――――――――
環境影響評価法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○浅尾国務大臣 ただいま議題となりました環境影響評価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
環境影響評価法については、施行から四半世紀以上が経過し、環境影響評価の適用実績が着実に積み重ねられてきているところでありますが、今般、前回の改正法の施行から十年が経過したことから、同法の附則に定める施行状況の検討を行ったところ、次のような二つの課題が明らかになったところであります。
一点目は、今後、既存の工作物の建て替えを行う環境影響評価の対象事業の割合が増加していくことが予想されているところ、現行法には、事業の位置や規模が大きく変わらない建て替えに対する規定がなく、新規事業と同様に、事業位置の検討や周辺環境の調査を事業者に課しているところであります。
二点目は、過去の環境影響評価により得られた情報は、後続事業者による効果的な環境影響評価の実施等に資するものであるところ、現行法では環境影響評価に係る書類の公表がおおむね一か月に限られており、これらの情報を十分に活用できていないことであります。
本法律案は、このような背景を踏まえ、工作物の建て替えに関する環境影響評価手続の見直しを図るとともに、環境影響評価手続において作成された書類に含まれる環境情報の活用を進めるものであります。
次に、本法律案の内容の概要について、主に二点御説明申し上げます。
第一に、工作物の建て替えに関する事業、具体的には、既存の工作物を除却又はその使用を廃止し、同種の工作物を同一又は近接した区域に新設する事業については、配慮書の記載事項のうち事業実施想定区域の選定に係る調査、予測及び評価に関するものに代えて、既存の工作物による環境影響に関する調査結果を踏まえ、環境の保全のための配慮の内容を明らかにするものとします。これにより、適正な環境配慮を維持しつつ、事業の特性を踏まえた効果的、効率的な環境影響評価手続を実施することが可能となります。
第二に、環境影響評価手続において作成される書類について、現行法の規定による公表の期間後においても、これらの書類を作成した事業者等の同意を得た上で、環境大臣が公開できるものとします。これにより、後続事業者による効果的な環境影響評価の実施や、事業の透明性の向上による地域の理解醸成に貢献します。
以上が、本法案の提案の理由及びその内容の概要です。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○近藤委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官大森恵子さん、環境省総合環境政策統括官秦康之さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○近藤委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本竜太郎さん。
○坂本(竜)委員 皆様、おはようございます。
初めてこの環境委員会で質疑に立たせていただきますこと、こうした機会をいただきましたことを心から感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございます。
また、委員長を始め各委員の先生方には、度々この委員会で触れていただいておりますし、浅尾大臣始め環境省の皆様、歴代の皆様、全ての皆様に、私の地元であります福島の復興に大変なお力をいただいております。福島第一原発が立地いたしておりますその選挙区からこの場にお送りいただいている者として、この場をおかりいたしまして、心からの御礼を申し上げさせていただきます。ありがとうございます。
今回はアセス法の改正に対する質疑でございますので、福島でのこれまでの経緯も踏まえながら、るるお尋ねをさせていただく次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
まず、昨日の本会議での御説明そして質疑、そしてただいまの御説明にもございましたけれども、改めまして、委員会質疑ということで、前回の法改正以降の点検を踏まえた上での、今回改正に至った理由につきまして、浅尾大臣の改正に対する意気込みも含めてお尋ねをさせていただく次第でございます。よろしくお願いします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
二〇一一年に成立した環境影響評価法の一部を改正する法律案では、同改正法の施行から十年が経過した段階において、制度の施行状況について検討を行うこととされておりました。
このことから、前回改正の点検も含め、環境影響評価制度の在り方等について中央環境審議会に諮問したところ、環境影響評価法の改正によって対応すべき事項として、建て替え事業を対象とした環境影響評価手続の適正化、環境影響評価図書の継続的な公開について答申をいただきました。
以上のような経緯を踏まえて検討を行い、今般、環境影響評価法の一部を改正する法律案を提出させていただいた次第であります。
環境保全の観点から、より実効性のある環境影響評価制度とするために必要な改正であると考えており、法案の審議においては、御理解を賜れるよう、しっかりと説明を尽くしてまいりたいと考えております。
○坂本(竜)委員 ありがとうございます。
答申も踏まえて、今回、更に進化したものという御提案をいただいておるところでございます。
配慮書手続の適正化という表現がございました。これはすなわち、スムーズに手続が運ぶような合理化であったり簡素化の側面もあろうかと思いますけれども、この効果も期待はされるところでございますが、同時に、しっかりと環境配慮が充実したものにならなければ、意味のない改正となってしまいます。
そこで、これも改めてにはなりますけれども、配慮書手続適正化の効果について、並びに、新規事業と同様に環境配慮がしっかりと担保されるのかどうか、この点についてお伺いさせていただきます。
○秦政府参考人 お答えいたします。
法の施行から四半世紀を経過いたしまして、近年、環境影響評価手続の対象となる工作物につきまして、建て替えの時期を迎える事業が生じてまいっております。現行法では、事業の位置や規模が大きく変わらない建て替え事業に対する規定がございません。このことから、環境配慮の方はしっかり維持しつつ、手続の適正化を図るものでございます。
建て替え事業である場合には、事業実施想定区域の選定のための周囲の概況などの調査を不要とする一方で、既存事業によって既に生じている環境影響、これを把握の上、これを踏まえた環境配慮に係る検討を事業計画の立案段階で求めるものとなります。
仮に、建て替え事業の実施によって重大な環境影響が生じるおそれがある場合や、事業者による環境配慮の内容が不十分と判断されるような場合には、環境大臣意見におきましてその旨を指摘することとなるなど、新設事業と同様に環境配慮が担保されると考えてございます。
このように、建て替え事業につきまして、その特性を踏まえて、効果的かつ効率的な環境影響評価を実現することができると考えてございます。
○坂本(竜)委員 是非しっかりと、それまでの新たな事象も含めて、これを付加して環境配慮が担保されるようにお願いしたいと思いますが、やはり、それを踏まえた上でも、大事なことは、いかに地域の理解をいただくことに資するものか。先ほど大臣の御説明でも、地域理解に貢献するというお言葉がございました。
福島県では、震災を経て、ちょうど前回の改正が一一年で、その直後に震災があって、その後、目まぐるしくいわゆる再エネの導入が図られました。福島県内で消費される消費電力の全てを再生可能エネルギーで賄う、この目標が前倒しで達成されまして、もう一昨年度の段階で達成されておるということでございます。
これは、逆を言えば、短期間で非常に立地が集中した。そうしますと、当初予定していなかったような状況が起きている。いわゆる、昨日もございましたけれども、累積的な影響評価についてもしっかりと努めていかなければならないと思うところでございます。
このことが地域理解を得るためにつながるということかと思うわけでございますけれども、この地域理解を得るための課題と解決方策につきまして、改めてお伺いをさせていただく次第でございます。
○秦政府参考人 お答えいたします。
事業者が環境影響評価手続の過程で作成する環境影響評価書に含まれる情報は、御指摘のように、地域理解の醸成を図る観点や、あるいは複数の事業によって生じる累積的な環境影響、これをより適切に評価する観点から有用と考えております。ただ、現行法では、環境影響評価図書の公表期間がアセス期間中のおおむね一か月程度に限られているという現状がございます。
このため、本法律案によりまして、事業者による環境影響評価図書の公表期間終了後も環境大臣が継続的に図書を公開することを可能とする、こういった仕組みを設けることとさせていただきます。
これによりまして、先ほど申し上げたような透明性の向上による事業に対する地域理解の醸成、累積的な環境影響に対するより実効的な評価への活用、これらを促進してまいりたいと考えております。
○坂本(竜)委員 ありがとうございます。
是非、この透明性を確保して実効性あるものにしていただきたい。今回の、今までの一か月強ぐらいの紙ベースでの縦覧しか、限られたものが、同意を得た上でという条件付でありますけれども、しっかりとウェブ上でも長期にわたって公開され得るものになるという改正は大変画期的なことであろうと思っております。
これをもって地域理解に資することが期待されるわけでございますけれども、それでもなかなか地域の皆さん、この急激に進展した再エネ等の立地について、いろいろ御不安を抱いていらっしゃる方々や地域もある。これは気候変動の進展もありますけれども、今までなかったような、例えば何か豪雨災害というか土砂災害があったんじゃないかという印象を持たれる方もいるわけですね、林立いたしますと。今度のアセス制度の中でも、事業規模によっては、地方自治体が定める条例で更に厳しくといいますか、詳しくこのアセス制度を担保していただいている地域もございます。
私は、今回の画期的な評価の公開というシステムを新しく取り入れられるとすれば、ここに地方が持っているそうした各種データ、きめの細かいもの、これを連動させることによって、もっともっと事業者さんに対しても、これから立地される方にも、もちろん地域の方にも、幅広くこの理解や意義ある事業展開につながるものであると思うわけでございます。
そうあっていただきたいと思うわけで、これからいろいろと御検討なされることと思いますが、そこで、この事業推進に資する環境影響評価の合理化と手続の迅速化についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○秦政府参考人 お答えいたします。
今委員から御指摘のあったように、国と地方公共団体との間における情報交流、これを推進することは大変重要だというふうに考えてございます。
今後、この法律案の施行に向けまして、環境影響評価図書の公開の具体的方法を定めていく必要はございますけれども、既に条例で一部の自治体におかれましては環境影響評価手続を課しており、また情報公開を進めているというようなところもございます。こういった地方自治体の御意見等も伺いながら、より効果的な公開の在り方あるいはデータの共有の方法、方策等につきまして、今後しっかり検討を深めてまいりたいと考えてございます。
○坂本(竜)委員 是非、その辺の検討を進めていただきたいと思うところでございます。
そうした取組を通じまして、適切な立地につながってくるものがあると思います。これは目指しているところだと思いますけれども、しっかりと、再エネ始め必要な事業を、導入を最大限図っていくという目的も環境行政の中でも果たしていくということからいたしますと、この環境影響評価を通じた再エネ等のより適切な立地に資するための取組についても私はあっていただきたいなと思いますので、お考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○小林副大臣 環境影響評価法では、事業者が実施した環境影響評価の結果等について、環境大臣が環境の保全の見地から意見を述べることができるというふうにしています。
事業者による環境影響評価の結果等を踏まえて、事業を実施する立地によって著しい環境影響が生ずるおそれがあると認められるような場合には、工作物の配置の見直しや実施区域の縮小などを求める環境大臣意見を述べることによって、当該事業における適切な環境配慮を確保していくこととしています。
環境省としては、引き続き、環境影響評価法の対象事業について厳格な審査に努めるとともに、環境保全の見地から環境大臣意見を述べることにより、再エネ事業を始めとする対象事業に係る環境配慮の確保に努めてまいりたいと思います。
坂本委員、これまでの質疑でも、市議、県議時代の経験も踏まえて、福島に寄り添った思いだと思っています。我々も同感だと思っていまして、再エネの導入も重要ですが、やはり地域の自然環境を保全していくことも重要ですし、何より地域の住民の皆さんが安心して暮らせる、そういう地域をつくることは重要だと思っておりますので、その思いに寄り添って、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
○坂本(竜)委員 ありがとうございます。
思いも酌み取っていただきまして、熱い思いで御答弁をいただきました。
是非、こういったことを通じて、そうしたものが確立されますようお願い申し上げさせていただきますが、いろいろと積み上げてきてもまだ払拭できない側面があるとすれば、これはやはり、この事業展開が長期間にわたるという部分であります。今年度取り組んで、来年度花開いて、再来年ぐらいに収束していくという話ではないので、だからこそ、今回の改正の必要性にもつながっていることと思います。
何が懸念されるかと申しますと、例えば、当初立地したときの事業主体から、リプレースの時期を迎えたときに、果たして同じ事業主なのか。二転三転、事業主が変わっていて、中には外国資本であろうと思われる、ちょっと表現は難しいですが、正体不明の事業主になってしまっているんじゃないか。
さらには、当初、しっかりとこの法の趣旨にのっとってアセスが行われた、そのアセスを行った事業者さん自体も、例えば委託を受けて行ったアセス業者さん自体も変わっていたりして、この評価自体の信憑性とか、そもそもの事業に対する信頼というものも、中にはないわけでございます、その後の対応を受けて、地域の方で。
こうした不安にしっかりお応えいただくのを、是非、この法律だったり制度をフル活用していただいて、環境省さんのリーダーシップでこれを導いていただきたいなと思うわけでございます。
例えば風力であれソーラーであれ、山肌に立地するときには、林業行政で林地開発の許可は出します。そもそも、発電設備や設備認定はエネ庁さんでなさいます。その上で、環境配慮について環境省さんが、これだけきめ細かく丁寧に積み上げて、しかも継続的に、配慮書の段階から最後の報告書に至るまで、先ほども御答弁いただきましたが、様々なシーンで大臣の意見も賜れることになって、関与の余地が度々ある。
すなわち、国民の皆さんからすると、国の責任で、国の力でこういったものを適切なものにしていただきたいんだ、不安の払拭、払っていただきたいんだ、同時に、必要な事業を、この国にとって、地域に必要なものは積極的に進めていただきたいんだという思いの中では、環境省さんに是非お力を更に発揮していただきたいという国民の皆さんも多いものと承知をいたしております。
そこで、環境影響評価に基づいて実施される事業における、一貫性を持った環境配慮の在り方について、どのように取り組んでいくお考えか、お尋ねをさせていただきます。
○五十嵐大臣政務官 お答え申し上げます。
環境影響評価法の対象事業は、いずれも国等による免許等を受けて実施する必要があり、同法では、免許等の実施権者は環境影響評価の結果を踏まえた上で当該免許等の審査をしなければならないこととされております。このため、環境影響評価手続を経て免許等がなされた事業については、免許等の実施権者によって必要な監督、指導がなされることとなります。
御指摘のような環境影響評価手続後に事業者が変更されたような場合についても、一貫した環境配慮がなされることが重要と認識しており、環境省としても、環境影響評価法に基づき、事後調査や環境保全対策の結果を取りまとめた報告書の送付があった場合には、必要に応じ環境大臣意見を述べるとともに、免許等の実施権者からの相談等に応じ、必要な情報や助言を提供してまいりたいと存じます。
○坂本(竜)委員 是非、関係各機関ともしっかり連携を図っていただいて、ある意味、主導権を持って、主体的に環境行政でこれを担保していただきたいと心からお願いをいたす次第でございます。
最後でございます。
東日本大震災を経験させていただいて、そして冒頭も申し上げましたように、いろいろとお計らいをいただいてきた立場の者としてお伺いさせていただきますが、あの震災のときも、公共土木施設の復旧なんかのために間髪入れず復旧復興事業を展開していただくに当たって、その際、やはり本来であればこのアセスの手続が必要になりますが、この緊急事態を鑑みて、あの当時も特措法を制定していただいて大分便宜を図っていただいた、特例を設けていただいて今日に至っておるところでございます。
こうした弾力的な運用は大変ありがたい限りでございますが、これだけ時間を経て、いろいろと振り返りができる部分もあろうかと思いますし、これから南海トラフや首都直下型あるいは想定し得ないような大規模災害に立ち向かうためには、こうした場合の在り方についても、今の段階から今回の改正を機にしっかりと備えていただければありがたいと思う次第でございます。
そこで、大規模災害発生時における迅速な復旧復興と、同時に環境配慮の確保、この両立についてどのようにお考えであるか、最後にお伺いをさせていただきます。
○五十嵐大臣政務官 東日本大震災の発災時には、災害復旧事業等に該当する発電設備設置事業等については環境影響評価手続の適用を除外をし、政府による指導や技術的助言に基づく自主的な環境影響評価を実施するとともに、東日本大震災復興特別区域法に基づく復興整備計画に位置づけられた鉄道施設復旧事業等については環境影響評価手続を合理化する特例制度を整備をいたしました。
中央環境審議会の答申におきましては、こうした東日本大震災の際の対応を参考としつつ、今後、大規模災害が発生した場合に備え、迅速な復旧復興と環境配慮の確保を両立させるための方策について、考え方の整理を進めておくことが望ましいとされており、こうした方向性に沿って、環境省としてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○坂本(竜)委員 ありがとうございます。
是非、積極的にいろいろ検討を進めていただいて、この両立を図っていただいて、一人でも多くの国民の皆さんの安心、安全、そして環境の確保、これに努めていただきたいと思いますし、何と申しましても、今回の画期的な法改正を機に、アセス法のフル活用、アセス制度全体を、最大限にその効力を発揮していただいて、この国に必要な、新しい時代を迎える好機にしていただければ大変ありがたいと思います。
心から、この成立、成就して、それがかないますことをお祈り申し上げて、福島に対しましても引き続きお力を賜りますことをお願い申し上げて、質疑を終了させていただきます。
御清聴、誠にありがとうございました。
○近藤委員長 次に、沼崎満子さん。
○沼崎委員 おはようございます。公明党の沼崎満子です。
本日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。
環境影響評価法は、開発事業が環境に与える影響を事前に評価し、適切な対策を講じることを目的として、一九九七年に制定されて、四半世紀以上が経過しました。この間、地球温暖化対策、カーボンニュートラルに向けて、特に再生可能エネルギー事業の拡大や、また、これまで建てられてきた既存施設の建て替えが進む中で、現行法の手続が事業の迅速な推進と環境保護のバランスを取る上で課題となっています。今回の改正によって、再生可能エネルギーの導入促進と環境保護の両立を目指すことを私自身も大きく期待しています。
まず初めに、法に基づく環境影響評価法の運用状況についてお伺いします。具体的には、最近のアセスメントの実施件数やその内訳、また、地域住民や関係者からの意見についてどのように聞いているか、お聞かせください。お願いいたします。
○秦政府参考人 お答えいたします。
環境影響評価法に基づく環境影響評価手続におきまして、環境大臣は、事業者が作成する配慮書及び準備書又は評価書に対しまして、環境保全の見地から意見を述べてございます。その件数ですが、令和六年度に関しましては、計五十一件の環境大臣意見を述べております。このうち風力発電事業が三十五件となっておりまして、全体の七割を占めておるところでございます。
近年、環境影響評価手続の大半を占めております風力発電事業に関しましては、騒音や景観への影響、バードストライクに関する懸念等につきまして、地域住民や関係者から御意見が示されることが多くなってございます。環境大臣意見におきましても、こういった環境影響を回避、低減するとともに、予測の不確実性が高い事項については事後調査を行うこと等を求めておるところでございます。
○沼崎委員 やはり再生可能エネルギー事業拡大ということで、本当にほとんどがこの風力発電で実施が行われているということがよく分かりました。
環境影響評価法は、事業が環境に与える影響を事前に評価して、適切な対策を講じることを目的としていますけれども、再生可能エネルギー施設の設置においては、特に環境影響評価法が果たすべき役割は、具体的にはどのように考えているのか、お考えをお聞かせください。
○秦政府参考人 お答えいたします。
再エネ施設の設置に関しましても、一定規模以上の発電設備につきまして法の対象といたしておりまして、環境影響評価手続を課すことで、事業による環境影響を回避、低減するなど、地域共生型の再エネの導入を促進する上で重要な役割を果たしていると認識をしております。
本法では、事業者が行います環境影響評価に対しまして、関係する地方公共団体や一般公衆等が環境保全の見地から意見を述べる機会を確保しております。また、事業者に対しましても、方法書、準備書の内容につきましてそれぞれ説明会を開催する、これを義務づけております。こういったことを通じまして、地域住民等とのコミュニケーションが図られる仕組みを設けておるところでございます。
こうした手続を通じまして、地域共生型の再エネの導入を促進する上で、役割を果たしてまいりたいと考えてございます。
○沼崎委員 ありがとうございます。
特に自然環境をしっかり維持していくというところと、両立と、特に地域住民の方の御理解というのが本当に私自身も非常に重要だと思っておりますので、その点もしっかり生かしていただきたいというふうに思っております。
自然環境との両立を図るために、環境影響評価法は、今、一方ではどのように活用しているのか、そういった取組をお示しいただきたいということと、評価結果をどのようにその後の事業計画に反映されるのか、そちらに関しても御意見をお聞かせください。また、環境影響評価のプロセスにおいては、特に先ほどお聞かせいただいた地域住民の意見をどのように取り入れて反映していくのか、もし具体的な事例がありましたらお示しいただきたいと思います。お願いいたします。
○小林副大臣 この法律は、事業者自らが環境影響評価を実施しまして、環境保全の観点から、よりよい事業計画を作り上げていくための手続を定めたもので、事業者は同手続を通じて、個別の事業ごとに最適な環境保全措置を検討することになります。
この法律の対象事業は、いずれも国等による免許等を受けて実施するものとなっておりまして、環境影響評価法において、免許権者等は、免許等の審査に当たっては、評価書の記載事項等に基づき、環境保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかについて審査しなければならないこととしています。このように、環境影響評価法では、環境影響評価の結果を事業内容の決定に反映するための措置を担保することで、自然環境の観点を含め、事業に係る環境保全についての適正な配慮を確保しております。
また、お尋ねの地域の意見の反映についてですが、同法では、事業者が作成した環境影響評価図書に対して、関係する地方公共団体や一般公衆等が環境保全の見地から意見を述べる機会を確保しておりますが、その際には、事業者は当該書類の要約書も併せて作成することとしております。さらに、事業者に対して、方法書及び準備書の内容について説明会の開催を義務づけております。
加えて、関係する地方公共団体や一般公衆等から意見の提出があった場合は、事業者はその後の手続で作成する準備書又は評価書において、それらの意見の概要及び意見についての事業の見解を記載することとされておりまして、これらの手続を経て、事業者による環境配慮の検討がなされることとなっております。
例えば、風力発電事業に係る環境影響評価手続では、関係者からの景観への影響や騒音、バードストライクについての懸念に関する意見を踏まえて、そのような影響を回避、低減するために、風車の基数や配置の見直し等の措置が検討されたケースがあります。
○沼崎委員 ありがとうございます。
しっかり地域住民の意見を取り入れて反映されるということが分かりましたので、その点では安心いたしました。
今回の改正については手続が合理化されるというふうに思いますが、合理化に伴って環境保護が後回しにされることがないように、どういった措置を講じる予定があるか、そういったことをお示しいただきたいのと、特に、後から造られる工作物における環境配慮において、生物多様性や自然環境への影響を適切に評価するための方針に関してお聞かせいただきたいと思います。
○秦政府参考人 お答えいたします。
とりわけ風力発電事業につきましては、鳥類や景観への影響など、様々な累積的な影響等が懸念されるわけでございますので、こういったことにつきまして、環境項目の整理を行った上で、その評価に係る技術的な考え方等につきまして検討を行いまして、ガイドラインといったような形で整備を進めてまいりたいと考えております。
とりわけ風力発電事業におきましては、鳥類等への累積的な影響が懸念されるような事例がございます。やはり風況のいいところに各社集まってくるような、このような可能性がございますので、こういった事業につきましては、これまでも事業者間で情報共有をすることで、累積的影響につきまして適切に調査、予測、評価を行い、その結果を踏まえて設備の配置等を検討するということを環境大臣意見において求めてきたところでございますけれども、この法案に盛り込みました環境影響評価書の継続公開、これを進めていくことによりまして、累積的影響の評価により活用しやすくなるのではないかというふうに考えております。
こうした法案の内容も踏まえながら、今後の対応をしっかり考えてまいりたいと考えてございます。
○沼崎委員 ガイドラインという言葉がありましたので、具体的に、このガイドラインの内容に関しては、どういった項目を考えているかということに関してもお聞かせいただければと思います。
○秦政府参考人 今の答弁でも申し上げたわけでございますけれども、やはり鳥類への累積的な影響、バードストライク、それに伴いまして立地場所を一部変更していくような意見を出していくようなことが考えられますので、こういったことを念頭に置きながらガイドラインの内容を考えていくということ。
あと、もう一つ、よく地域で課題になりますのは景観でございます。これは、やはり、いろいろなところにビューポイントみたいなのがあって、そういったところから眺望したときに、いや、ちょっとこの場所じゃなくてもうちょっとずらしてほしいとか、こういったことがよく地域では指摘をされるわけでございます。
こういったことも念頭に置きながら、ガイドラインの方を整理してまいりたいと考えてございます。
○沼崎委員 ありがとうございます。
次に、アセス図書の公開に関して御質問をさせていただきます。
アセス図書の公開は、透明性を高め、特に地域の住民、関係者が事業の影響を理解するためには非常に重要だというふうに思います。公開には事業者の同意を得る必要があります。環境影響評価法の改正によって、アセス図書の公開が長期にわたることになりますけれども、事業者に対して、これらの図書の公開の同意を得るためにどのような工夫、あるいは推進していくためにどういったことをやっていくかということに関してお聞かせください。
○秦政府参考人 お答えいたします。
環境影響評価図書に含まれる情報は、後続事業者によるより効果的なアセスの実施や、透明性の向上による事業に対する関係者の理解醸成につながるなど、非常に公益性の高い情報であるものと考えてございます。今後、具体的な公開のルール整備を検討してまいりますけれども、その上で、事業者に対しまして、今述べたような制度の趣旨、これを丁寧に説明しながら同意を促してまいりたいと考えてございます。
○沼崎委員 せっかく公開が延長、長期に、またウェブ上でというようなこともございますけれども、同意が得られないと内容に制限がされてしまうようなことにもつながりかねないと思いますので、是非、丁寧な、理解を得るような、そういった対策というのを取っていただきたいというふうに思います。
また少し趣旨が変わりますけれども、ゾーニングに関する御質問をさせていただきます。
温対法に基づくゾーニングの活用と再生エネルギー促進区域の設定は、脱炭素社会の実現に向けて重要な施策です。政府は、これらの制度をどのように利用して、地域ごとの特性に応じた再生可能エネルギーの導入を促進していくのか、具体的な方針や施策があればお聞かせください。また、ゾーニングの設定に当たっては地域住民の意見をどのように反映させるのか、さらに、再生可能エネルギー促進区域の設定が地域経済や雇用に与える影響について、どのように評価し、支援策を講じていくのか、今後の方針についてお聞かせください。
○大森政府参考人 お答えいたします。
再エネの最大限導入に向けましては、地域の自然的、社会的条件に応じて、環境に適正に配慮され、かつ地域の合意形成が図られることが重要でございます。このため、環境省では、地球温暖化対策推進法に基づいて、地方公共団体が再エネ促進区域の設定等を行う促進区域制度の活用を促すべく、これまで地方公共団体等への財政的、技術的支援を行ってまいりました。
促進区域の設定を行う地方公共団体においては、地域の関係者等により構成される協議会等で合意形成を図ることとなっております。
また、域内への安価な再エネの供給や収益を活用した地域課題解決の取組など、事業者が再エネ施設の整備と併せて実施すべき地域の経済及び社会の持続的発展に資する取組についても定めることとされておりまして、それを踏まえた事業が地域脱炭素化促進事業としての認定を受けられることとなっております。
なお、地方公共団体からの認定を受けた事業につきましては、環境影響評価法に基づく配慮書の作成や意見聴取等に係る手続の省略等の優遇措置が適用されることとなっております。
環境省では、本制度の今後の更なる活用推進のために、本年二月に閣議決定されました地球温暖化対策計画におきまして、促進区域制度の活用に関するインセンティブ強化等の対応を検討するとされていることも踏まえ、今後も必要な検討を進めてまいります。
○沼崎委員 ありがとうございます。是非、地域の活性化にもつながる、そういった施策となることを期待します。
次の質問をさせていただきます。
環境影響評価においては、度々御質問もあったかと思いますけれども、累積影響の考慮、さらに、事業後の調査は持続可能な開発を実現するためには不可欠な要素というふうに思います。事業後の調査を通じて得られた知見を、今後の累積影響への対応を考える上でどのように生かしていくのかについてお聞かせください。
○秦政府参考人 累積的影響につきましては、近接した区域で実施される複数の事業の影響が累積していくことによって環境影響が生じることというふうに認識をしております。
これについて、先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、やはり、鳥類ですとかあるいは景観、とりわけ風力発電事業について、影響など、累積的な影響が懸念される環境項目というのはございます。こういったものを整理を行った上で、先ほどもも申し上げましたけれども、技術的な考え方について検討を行い、ガイドライン等に取りまとめてこれをお示ししつつ、今後のアセスに役立ててまいりたいと考えてございます。
○沼崎委員 アセス図書の公開も引き続きになるということもありますので、是非そういった事業後の調査に関しても活用をお願いしたいと思います。
次の質問をさせていただきます。
既存の工作物についてですけれども、今回のアセス法の改正で、アセス法が成立する前に造られた工作物の建て替えに対してはこの改正はどのように適用されるのかということをお聞かせください。具体的には、これらの既存の工作物に対して建て替えの配慮書が追加で求められるのか、また、その場合は、どのような基準、手続が適用されるのかについて御説明いただきたいと思います。お願いいたします。
○秦政府参考人 お答えいたします。
今回の改正では、既存工作物を除却又は廃止するとともに、既存工作物と同一又は近接する区域に同種の工作物を新設する、こういった事業を建て替え事業というふうに定義をいたしております。この要件を満たすものについては、過去の環境影響評価の実施の有無にかかわらず、対象とする予定でございます。
これは、この要件を満たす事業であれば、既存事業が現に及ぼしている環境影響、これについては事業者側でもある程度把握をしておるでしょうし、こういった情報を活用することで、より効果的、効率的な環境配慮をすることが可能であるという考え方によるものでございます。環境省といたしましては、こういった環境配慮の内容がしっかり配慮書に記載されているかどうか、こういったことを審査していくことになろうかと思っております。
この際、例えば風力発電事業におきまして、既存事業によります鳥類への影響を把握するための調査が仮に不十分だったとしたような場合には、その後の手続において、しっかりそういう調査を行いなさいといったような環境大臣意見を述べるなど、環境保全の観点からしっかりと対応することになると考えてございます。
○沼崎委員 ありがとうございます。
建て替えに関しましても、十分な配慮が行われるようにお願いしたいと思います。
再生エネルギーの推進は、持続可能な社会の実現に向けては不可欠な取組でありますし、積極的に進めるべきと思います。しかし、その導入に際しては、環境への影響や地域住民の理解というのは不可欠であると思いますし、これからますますしっかりこれを推進していかなくてはならないものだと思いますので、その上で、この環境影響評価法は非常に重要な法案だというふうに考えます。適切な活用によって、円滑な再エネ設備の導入が進み、カーボンニュートラルの目標達成に向けた取組が進むことを期待して、お時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました。
―――――――――――――
○近藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る十三日火曜日午前九時、参考人として一般社団法人日本環境アセスメント協会会長島田克也さん、早稲田大学法学学術院教授大塚直さん、東京科学大学環境・社会理工学院教授村山武彦さん及び公益財団法人日本野鳥の会自然保護室主任研究員浦達也さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前九時四十六分散会