第9号 令和7年5月16日(金曜日)
令和七年五月十六日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 近藤 昭一君
理事 石原 宏高君 理事 武村 展英君
理事 平口 洋君 理事 阿部 知子君
理事 松木けんこう君 理事 森田 俊和君
理事 空本 誠喜君 理事 仙田 晃宏君
今枝宗一郎君 勝目 康君
木原 稔君 小池 正昭君
古賀 篤君 坂本竜太郎君
佐々木 紀君 島田 智明君
鈴木 貴子君 深澤 陽一君
宮内 秀樹君 向山 淳君
山田 賢司君 大河原まさこ君
川原田英世君 齋藤 裕喜君
佐藤 公治君 篠原 孝君
馬場 雄基君 屋良 朝博君
猪口 幸子君 沼崎 満子君
福重 隆浩君 北野 裕子君
竹上 裕子君 中村はやと君
…………………………………
環境大臣 浅尾慶一郎君
環境副大臣 小林 史明君
環境大臣政務官 勝目 康君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文部科学戦略官) 中原 裕彦君
政府参考人
(環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官) 大森 恵子君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 土居健太郎君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 植田 明浩君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
政府参考人
(環境省総合環境政策統括官) 秦 康之君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 奥田 健君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
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委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
五十嵐 清君 木原 稔君
山際大志郎君 向山 淳君
川原田英世君 屋良 朝博君
同日
辞任 補欠選任
木原 稔君 鈴木 貴子君
向山 淳君 小池 正昭君
屋良 朝博君 川原田英世君
同日
辞任 補欠選任
小池 正昭君 山田 賢司君
鈴木 貴子君 今枝宗一郎君
同日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 五十嵐 清君
山田 賢司君 山際大志郎君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
環境影響評価法の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
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○近藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、環境影響評価法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房文部科学戦略官中原裕彦さん、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官大森恵子さん、環境省地球環境局長土居健太郎さん、環境省自然環境局長植田明浩さん、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎さん、環境省総合環境政策統括官秦康之さん、防衛省大臣官房審議官奥田健さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○近藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森田俊和さん。
○森田委員 立憲民主党の森田でございます。
環境影響評価法について質問させていただきます。大臣、副大臣、よろしくお願いいたします。
まず、今年に入ってありました埼玉県の八潮市の下水道管に関する道路陥没事故に関してお伺いしていきたいと思っております。
こちら、いわゆる幹線の下水道管ということで、大きさが四・七五メートルという大変大きな管が埋めてあるということでございまして、昭和五十八年の整備らしいですけれども、今回も大変残念なことにお亡くなりになった方が出てしまったということで、当初レスキューに入った方が二十分以上かかってしまうかもしれないというような最初の判断から、時が流れに流れて数か月救出にかかるというような、大変痛ましい、残念な事故になりました。
こちらに関してなんですけれども、まず確認ですが、下水道管についてアセスが適用されるかという確認をしたいと思います。
○秦政府参考人 お答えいたします。
下水道法に基づく公共下水道の設置に係る事業につきましては、環境影響評価法の対象事業には該当してございません。下水道の新設、入替えに関しても、同法に基づく環境影響評価手続は要しないということになってございます。
○森田委員 大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今回、大きな管の中に被害者の方が入ってしまって、救出ができなかった一つの要因というのが、硫化水素が発生をしたということがございました。
環境の影響評価ということを考えますと、例えば、今回もいろいろと救出のことをやっているときに、周りの方が非常に強い悪臭を感じたようなこともありました。これはもちろん、適切に事業が行われて、何も事故がなければ、硫化水素がたとえ発生していても臭いが漏れてくるとかということはないはずのことでございますけれども、ただ、やはり何か事が起こったときには、今回みたいに周辺の住民の方に非常に大きな影響もあったということです。
硫化水素ですから、人体への影響そのものもありますし、それから悪臭のようなこともあるということで、環境の影響評価という意味では、この下水道管も相当するのではないかな。これは、今回のことにかかわらず、やはり今後の展開も含めて検討していくべきではないかなと。
アセス対象になっているものとしては、河川の中に放水路が含まれているというようなこともございます。ですから、流域の幹線で雨の水も非常に多量のものが流れているということで、放水路に近い機能も持っているという扱いもできるかなと思っておりますが、いずれにしても、ちょっと今後に向けての展開についてどのようにお考えか、大臣、お聞かせいただきたいと思います。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
まず、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故について、亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、御家族や関係者の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
我が国の環境影響評価制度は、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について、法律により手続を義務づけることとしておりますけれども、現時点において、御指摘の下水道の新設や入替えの事業については、他の対象事業との比較を含め、こうした定義に該当すると判断できる状況にないことから、環境影響評価法の対象とすることは考えておりません。
その上で、先般の八潮市の道路陥没事故と同様の事故を未然に防ぐため、大規模な下水道管理の点検手法の見直しなど必要な対策について、国土交通省において検討が進められていると承知をしております。
八潮市の道路陥没事故について、環境省では、下水の河川への緊急放流や現地での工事に際し関係自治体に必要な助言等を行っており、今後とも、環境保全の観点から必要な対応が生じた場合には、技術的な助言を含め、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
○森田委員 その時期時期によっていろいろな環境上の課題というのも変わってくるということがありますので、是非、絶え間ない改善をお願いしたいなと思っております。
次に移りますが、アセス図書の継続的な公開についてお尋ねしたいと思います。
まず、このアセス図書ですけれども、地域の周辺環境も含めたいろいろな知見が含まれている非常に公益性の高い文書だというふうに思っておりまして、これを継続的に公開をしていただくということは、事業が始まってからも、周辺の住民の方も含めて、あるいは関連する事業者の方も含めて非常に大きな参考になる大事な図書であり、逆に、それがためになかなか、非常に高いお金をかけてそのアセスの図書を用意しなくちゃいけないという面もありますので、著作権上の問題ということもあるかなと思いますが、このアセス図書を継続的な公開をするということについて、まず、著作権法上の障害というか、何かバリアの大きさみたいなものを教えていただければと思いますが、お願いいたします。
○中原政府参考人 お答え申し上げます。
他人の著作物を利用する場合においては、原則として、著作権者の許諾を得れば利用することが可能でございます。
こうした考え方に基づきまして、環境省において、今国会に提出されておられます環境影響評価法の一部を改正する法律案におけるアセス図書の公開との関係について整理をされているものというふうに承知をしております。
○森田委員 今のお話のように、公開の承諾を得れば公開はできるというような話ですけれども、先ほども申し上げたように、非常にこの図書そのものに公益性が高いということもありまして、継続的に公開をするということは大きな公益に資することではないかなというふうに思っておりますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○浅尾国務大臣 御指摘のとおり、環境影響評価図書に含まれる情報は、後続事業者によるより効果的なアセスの実施、累積的な影響の評価への活用、透明性の向上による事業に対する関係者の理解醸成につながるなど公益性の高い情報であると考えております。
本改正法案において、環境影響評価図書を継続公開する期間は政令で定めることとしておりますが、環境影響評価への活用の観点からは、ある程度長期的に公開されることが重要であると考えております。
今後、環境影響評価図書に含まれる環境情報が有用性を持つと考えられる期間等も念頭に、関係者の皆様の意見も伺いながら、継続的に公開する適切な期間を定めてまいりたいと考えております。
○森田委員 先ほど申し上げたように、非常に高い技術的な能力も含めて、このアセス図書を作るためにはいろいろなノウハウが必要だと思います。よりよいアセス図書を作っていくためには、先ほど申し上げたように、高いお金をかけてやるのでなかなか難しい点もあると思いますけれども、やはり、いろいろなアセス図書が公開をされていて、こういうところはこういうふうに書くとよりいいよねとか、いろいろないい形にアセス図書を仕上げていくためにも公開していただく方がいいと思いますし、また、これはアセスの業者さんにとってはちょっとあれかもしれませんが、そういう知見が共有されると、アセス図書の発注の金額というのも結構下げていけるのではないかな。
今回、数を見せていただいていると、アセスの件数なんかは、やはり発電関係、風力発電とかそういうものが多いので、余り過剰に高い金額でアセス図書を作らなくちゃいけないとなると、事業のやはり損益分岐点なんかも大分変わってくるだろうなと思いますので、なるべく安価に、しかもいいアセス図書ができるような形でということも考えて、是非公開のことをこれからも考えていただければなというふうに思っております。
次に移りますが、今回のアセスに含まれている、対象となるいろいろな施設設備ですけれども、これは大きさによって、例えば同じ道路でも、大規模の道路だとアセスの対象、小さければ対象外とかですね。
例えば、私の住まいの地域では、なかなか風力発電があるということはないんですけれども、太陽光発電は結構やはり頻繁に建設をされております。太陽光発電も、大規模のものはアセスの対象ですけれども、小規模のものになってくるとアセスの対象にはならないけれども、やはり関係する自治体にとっては大きな課題になっているということもあります。
例えば、私の住まいのある熊谷市なんかは、条例を作って一定の建設できる地域の縛りをかけていって、かつ、その住民の方への情報共有をする場面を持つとか、あるいは適切な設置、運営をお願いする、こういうこともあったりするんですけれども。
やはり、うちの近所の方なんかから、いざ隣の畑にソーラーが建つんだよなんという話になったときに、いろいろな心配があるということをおっしゃっていました。例えば、小さい話でいうと、風通しが何か悪くなるんじゃないかとか、あるいは、熊谷市というのは幸か不幸か一番暑い町なんですけれども、そうすると、夏の太陽が反射した熱が周りの気温とかに何か影響があるんじゃないか、まあ、周りといっても、例えばうちに何か変な影響が出てくるんじゃないかとかですね。
こういうミクロのことも含めてなんですけれども、一つの自治体で、例えば今言った太陽光発電一つ取ってもそうですけれども、技術的なことですとか、そういういろいろな、ほかの地域ではこうなっていますよとか、いろいろな実例だとか、これを詳細にわたって把握できるというようなマンパワーだとか余裕もなかなかないということもあって、是非自治体との連携というものをうまくやってもらいたいなというふうに思うんですけれども、こちらは小林副大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
○小林副大臣 委員御指摘のとおり、環境影響評価法の対象とならない小規模な事業については、地域的な特性を踏まえて、自治体の判断で条例による手続が課せられておりますが、こういったことを一体的に、ちゃんと地方公共団体と情報交流や技術的な支援を行うというのは重要だと認識をしております。
ですので、環境省では、自治体の環境影響評価に携わる担当職員の方や審査関係者との意見交換会なんかを定期的に実施していますし、各自治体においては、効果的かつ効率的な審査がなされるように、環境影響評価に関わる技術的なガイドライン等の作成や周知、研修会の開催等も取組を進めてきております。
引き続き、自治体との情報交流や技術的支援を通じて、適切な環境影響評価制度の運用がなされるように取り組んでいきたいと思います。
○森田委員 よろしくお願いいたします。
次に移りますけれども、私、埼玉で県議会にいたことがあるんですけれども、そのときに圏央道の大きな道路が建設をされて、完成した直後に視察をさせていただいたことがありまして、ちょうどその埼玉県の区間に、オオタカが巣を作る、そういう地域が含まれていたということで、当時、できる前だったのであれですけれども、非常に大きなフェンスみたいなものを道路の上に架けて、ある一定の区間にわたって、例えば、間違って飛んで中に入っちゃって衝突したりなんだりとかというリスクがないようにということだと思うんですが、そのようなことがありました。
今回の法案については、建て替えのときにどうするかというお話なんですけれども、建設をしてから、オオタカという鳥が、絶滅危惧の2類というものから準絶滅危惧ということに、格下げという言い方がいいのかどうか、要するに、絶滅のリスクがより低くなった状態になったということで、希少野生動植物から外れたということがありました。
もちろん、今でも大事な鳥であることには間違いないんですけれども、何かそういった環境の改善が見られたようなときに、アセスの内容というものがやはり変わってくる、あるいは、それによる施設だとか設備の内容が変わってくるということもあり得るということでよろしいんでしょうか、大臣。
○浅尾国務大臣 まず、御指摘の圏央道の建設事業では、オオタカの生息地の保護等のための環境保全措置が検討、実施され、当該措置が有効であった可能性が高いと評価されているものと承知をしております。
本改正法案の対象となる建て替え事業の実施に当たっては、既存事業における環境影響評価を踏まえた環境配慮の方針を配慮書に記載することとしています。このため、既存事業において既に十分な環境保全措置が講じられており、環境影響の回避、低減が図られている項目については、当該措置の結果を踏まえ、建て替え事業における環境配慮の方針を記載することとなります。
このような場合には、その後の方法書手続において、適切に環境影響評価の項目を絞り込む等により、より効率的に環境影響評価を実施することが可能になると考えております。
○森田委員 動植物を守るということもすごく大事なことですし、それから、例えば公益性の高い事業ですと、やはりそれなりの予算を適切に執行していくという観点も必要だと思いますので、是非、そのバランスが取れるような形でのアセスというものをやっていければなというふうに思っております。
オオタカの話が出たので、ちょっと関連で、埼玉県に羽生市というところがありまして、ここに、食虫植物、水草なんですけれども、ムジナモというのが生息しておりまして、これが、元々は、もう絶滅したのかなというところで、保護する会の方たちが自宅で増やして放していくというようなことをずっと継続してされていたんですけれども、今回、野生絶滅というリストから、今度は絶滅危惧の1類というところで、いわゆる野生に復帰したと。野生で絶滅したと思われていたのが野生に復帰したという状態まで、保存会の皆様のお力もあって、そういう状態が達成できたということで、埼玉県内では初めてのケースでしたし、全国でも非常に珍しいケースだというふうに伺っております。
いろいろ話を聞いていると、例えば、特定の虫が発生して、急にムジナモがやられちゃったりとか、あるいは、利根川のすぐ近くの地域なんですけれども、伏流水が出てくるんですけれども、その水質によっては、どうもプラスに働く水質もあればマイナスに働く水質もあるらしいとか、いろいろと保護活動をされている中で、知見をいろいろと専門の方に教えてもらったりしながらやってきたんですけれども、なかなか、やはりこういった専門的な知見というものも簡単には手に入らない、珍しい動植物の場合には特にそうだと思うんですけれども、なかなか知見が手に入らない。
あとは、やはり、これはどこの団体、保護活動でも共通することだと思いますけれども、どんどん世代が上がっていって、なかなか後継者が育たないということもあります。
これは、特にムジナモの関係の会長さんにお話を聞いたら、ムジナモが、例えば今回みたいに、野生に復帰したよといってかなり大きく新聞記事なんかにも取り上げられるといったときには、例えば観察会の、観察会は花が咲く時期、七月、八月の夏の暑い時期なんですけれども、そういったときに親子連れで観察会に来ていただいて、見学に来ていただいた中で保存会の会員にもなってもらえるとか、こういった、やはり光が当たることによって、うまく世代とか新しい方をまた呼び込める、こういうこともあるかなと思うんです。
やはり生物多様性の保全ということを考えると、こういった技術的な知見があったりだとか、あるいはいろいろな方にPRする機会があって会員さんが増えるとか、こういうことは非常に大事なことかなと思うんですけれども、この辺りについて、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○浅尾国務大臣 食虫植物の一種である御指摘のムジナモは、本年三月に環境省が公表した第五次レッドリストにおいて、絶滅危惧種の中で最も絶滅の危険性が高い絶滅危惧1A類と評価されており、このような種の保全は極めて重要であります。
埼玉県内では、ムジナモについて、数十年にわたって地元の保全団体、大学、関係行政機関が連携し、生育環境の改善等に取り組まれた結果、野生復帰につながったものと承知をしておりまして、関係者の皆様に心から敬意を表したいと思います。
ムジナモを含む絶滅危惧種の保全を始め、我が国の生物多様性の保全のためには、国、自治体、地域の保全団体等、多くの関係者が協力、連携しつつ、各地域において主体的に取組が進むことが重要であります。
このため、環境省では、民間等の取組により生物多様性の保全が図られている区域を自然共生サイトとして認定する仕組み等を通じて、各地の生物多様性の保全に関する民間活動を促進しております。
また、自然環境保全に関する顕著な功績について表彰する機会を設けており、例えば、今年度の野生生物保護功労者表彰においては、鹿児島県の龍郷小学校における奄美諸島を中心とした自然環境保全に関する啓発活動等を環境大臣賞として表彰するなど、取組を後押ししております。
加えて、保全対象とする種の生態等の知見の蓄積も重要であります。環境省では、レッドデータブックを公表し、絶滅危惧種に関する分布や減少要因など、基礎的な情報を取りまとめるとともに、サンショウウオ類などの一部の種については、保全の手引を作成、公表しております。
引き続き、多様な主体と連携して生物多様性の保全に取り組んでまいります。
○森田委員 是非国として、そうやって一生懸命地域で頑張っている皆様を応援していただきたいと思います。
時間が参りましたので、以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、馬場雄基さん。
○馬場(雄)委員 皆さん、お疲れさまでございます。馬場雄基です。
まず冒頭、浅尾大臣に御報告させていただきたいと思っております。先日行われました参考人質疑におきまして、ほぼ全ての参考人の方々から、既に事業が決まった状態で行われる環境アセスメントには運用に限界があるという趣旨の御報告がありました。私たちは、この意見を重く受け止めて、この法案に臨んでいかなければならないと思っております。
そこで、前提をまず伺いたいと思うのが、浅尾大臣にとって環境アセスメントの意義、これについて大臣の思いを乗せてお答えください。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
環境影響評価法に基づく環境影響評価制度は、事業者自らが、事業の実施前に環境への影響を調査、予測、評価し、その結果を公表して、国、自治体、国民の皆様の意見を聞き、それらの意見を踏まえ、環境保全の観点から、よりよい事業計画を作り上げていくための手続を定めたものであります。
この一連の手続の中では、環境大臣が環境保全の見地から意見を述べる機会を確保するとともに、免許等の実施権者が環境影響評価の結果を免許等の審査に反映させることを求めており、事業が環境の保全に十分配慮して行われることを担保しております。
こうした制度の仕組みを通じて、事業の実施に際して地域とのコミュニケーションを図りつつ、適正な環境配慮がなされてきており、我が国における環境保全を進めていく中で非常に意義のある制度だと考えております。
○馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。
まさに全く同じことを思っておりまして、大臣が御指摘された科学的見地、まさにこれが極めて重要、科学的な根拠に基づいて環境の評価をしっかりできているのか。もう一つ、地域のコミュニ制、私は民主制と呼びたいと思いますが、地域にいるその住民の方々とともに未来をつくっていくための事業にしていかなくてはならないということ。この二つが極めて重要だというふうに思っております。
つまり、環境アセスメントのプロセスがしっかり機能しているかどうかというのは、我が国の民主制が担保されているか否かを表す鏡になると思っています。つまり、これは次の世代に向けていくメッセージそのものであり、今回の質問に関しては、未来への責任をしっかりとこの国が取れるのかという点に立ってさせていただきたいと思っています。
皆様とまず確認させていただきたいと思うのは、環境アセスメントの対象となる事業は、ほぼ全て大きな大事業になっていきます。環境影響評価は、まさに大臣もおっしゃってくださいましたが、造るときの観点だけではないと思います。資源循環、つまり、造る、使う、そして捨てる、この部分の資源循環がしかと行われていくかを見定めることに私は意義があると思っています。
用いられている大量の資材であったり、あるいは構造物がリサイクルできない場合、全てが廃棄、最終処分場に向かうことになります。
そこで、環境省さんにまず伺いますが、最終処分場の残余容量、十分に確保されている現状があるかどうか、確認させてください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
環境省が毎年行っております産業廃棄物行政組織等調査によりますと、令和五年四月一日現在、管理型の産業廃棄物最終処分場の残余容量は約一億一千四百万立方メートル、管理型それから遮断型、安定型を含めたトータルですと約一億八千百万立方メートルとなっております。
また、最終処分場の残余年数でございますけれども、安定型、管理型、遮断型の三類型合計の産業廃棄物の最終処分場の残余年数は約二十年となっておりまして、過去十年の推移では漸増傾向にあるところでございます。
○馬場(雄)委員 おっしゃってくださったこの二十年という数字、これを長いと見るか短いと見るか、これは人によって違うと思いますが、先ほどおっしゃってくださったように、最終処分場も幾つか種類がある中で、恐らく、三つそれぞれの数字というもので残余年数を測るというのは、現状なかなか難しいと伺っています。そうですよね。
トータル、合わせて二十一年、ただ、では管理型だと何年なのかと言われると、恐らくもっと短いんじゃないかな、場合もあり得るというふうに思ったときに、私は、この国会で考えていかなければいけないのは、未来にしっかりと責任ある議論をしていかなければならないということ、そして、私たちの一つ一つの決断が全て未来をつくっていくということだと思っています。
私たちが今直面している課題は、最終処分場に送る廃棄物の総量をいかに減らし、いかに持続可能にしていくかということだと思っています。そこに含めて、アセスメントの意義は極めて高いと思います。
今回の法改正の柱となってもある洋上風力ですけれども、洋上風力のリサイクル、特にブレードの部分に関するリサイクルは、現在、明確にそのリサイクルの技術が確立されているのかどうか、また、その市場が確立されているのかどうか、端的にお答えください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
洋上風力発電設備を始めとする風力発電設備のリサイクルにつきましては、基礎を除いた風車本体の主な素材の重量比約九割を占める鉄や銅等の金属のリサイクルルートは既に確立しておると認識しております。
一方、主に風車のブレードに使われる繊維強化プラスチックにつきましては、軽くて丈夫な上、加工しやすいものの、強度が高く、繊維を分離することが困難である、こうしたことなどのために素材の特性上リサイクルが難しい、このように認識しております。
こうしたことを踏まえまして、環境省では、令和四年度から、風車のブレードに用いられている繊維強化プラスチックを粉末化し、合成樹脂建材へリサイクルする技術の実証を支援してきております。
昨年七月には、この技術実証事業に参加した事業者がプラスチック資源循環促進法に基づく再資源化事業計画の認定を取得したところでございまして、今後、ブレードのリサイクル事業が開始される見込みとなっております。
今後とも、風力発電設備の排出の増加を見据えて、こうした取組を通じ、リサイクル技術の開発を促進してまいりたい、このような段階にあると考えております。
○馬場(雄)委員 大臣、ここだと思っています。リサイクル技術が今見え始めているという段階であり、実装は極めて困難な状況を極めています。含めて、それが市場循環するかと言われると、かなり課題が高い分野だと思います。これをもって、私、洋上風力を進めるべきではないと言うつもりは全くありません。しかし、それを進めるならば進めるなりの、そのときの責任というものが問われていかなければならない。だからこそ、アセスメントは極めて重要だと思います。
大事なのは、技術の確立、市場の循環、これをどうつくり上げていくかということだと思いますし、皆さん、太陽光パネルを思い返していただきたいんですが、今、課題が喫緊に迫ってきた中で、環境省さんは今回ちょっと法案が間に合うかどうか、あるかもしれませんが、いよいよ法整備に環境省さんも動き始めたということだと思います。洋上風力もまた、同じようなことが今後数年先の未来にあり得るんじゃないでしょうか。だとすれば、今この段階で、どれだけのことをリサイクルで語れるかどうかが極めて大事ですし、そこに対して我々は注目しなければいけないと思います。
数年前の、資料をお配りさせていただきましたが、二〇二三年、二年前の資料になりますが、環境新聞でもこのように記事が載っております。だからこそ、ここで私はしっかり考えていきたいのが、裏面の資料を見ていただきたいんですけれども、これは環境影響評価法の規定による主務大臣が定めるべき指針、まさに大臣が示すべき指針に関する基本的事項の中で、環境への負荷という項目があります。廃棄物等と含まれているところがあります。ここだと思うんです。ここだと思うんですよ。
リサイクルの方法や技術が確立されていない、確立されていないとは言いません、確立されつつある、しかし、まだしっかりと実装できていないというこの状況であるならば、開発支援を行いましょうとか、あるいは、その企業がどういうふうにそのリサイクルを考えているのかということを是非明記していただきたいと思っているんです。
これを私、結構見たんですよ。森田理事も見られたと言われましたが、私も見たんです。リサイクルの評価と言われるところは、正直、書かれていないところがほとんどです。一部書かれているんですよ。一部書かれている企業もあるんですが、その表現を見ると、ほとんど定型文です。だとするならば、そこに余り魂は込められていない、未来へのメッセージにはなっていないと思うんです。
大臣、是非ここを、事業の一人一人の、一つ一つの企業が、オリジナルな思いで書き込んでいただけるように工夫していただけないでしょうか。
○浅尾国務大臣 環境影響評価法では、御指摘の廃棄物を含む個々の環境項目について、事業者により実行可能な範囲内で環境影響を回避、低減するための環境保全措置を検討することを求めております。
これにより、事業によって発生する廃棄物に関しては、廃棄物の排出抑制やリサイクルを始めとする環境保全措置に係る検討が、環境影響評価手続の過程において事業者によって実施されることが確保されることとなります。
なお、廃棄物のリサイクルについては、サーキュラーエコノミーの観点から重要な課題と認識しておりまして、今後とも引き続き関係省庁と連携して、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えています。
○馬場(雄)委員 大臣、一歩踏み込んでいただきたいなと思って伺いましたけれども、是非、省内に戻られましたら、十個でいいので、実際書かれているところを見ていただきたいと思います。ほとんど定型文です。だからこそ、しっかりとここに未来へのメッセージを、責任ある対応をしていくために、実際、環境省も太陽光パネルで同じことをやっているわけですから、今になって洋上風力で同じことを繰り返してはならないと思います。今現時点でやれること、我々が今やっていることが未来につながるということを意識して、是非ともマネジメントしていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
先ほど、環境アセスメントの機能は民主制にも通ずる、地域とのコミュニケーションともおっしゃってくださいましたけれども、これまでの事例を鑑みると、残念ながら、神宮外苑の再開発も含めてですけれども、地域の住民とともに歩むどころか、むしろ分断を助長してしまっているというような状況もあったことは、私たちは教訓にすべきだと思います。
調査不十分という言葉で片づけてはならないと思うんですが、この調査不十分というふうに指摘した場合、環境省さんが動く場合もあれば動かない場合もあられるわけでございます。この調査不十分という言葉を誰が何を基に決定していくのか、ここが明らかにならなければいけないと思います。現状ですけれども、総合的に判断して、必要に応じてという言葉が並ぶわけですけれども、具体的に誰が決定されているのか。これは環境省さんに伺いたいと思います。
○秦政府参考人 お答えをさせていただきます。
環境影響評価に関する審査におきましては、環境影響評価に関する指針を定めた基本的事項ですとか、あるいは、対象事業の種類ごとに影響を受けるおそれがあるとされる環境要素、こういったものを定めました主務省令に基づき調査が実施されているかを確認するとともに、これはかなり大部のものになるんですけれども、大気環境や水環境ですとか、あるいは生態系、あるいは景観、こういった環境要素ごとに、調査方法ですとかあるいは調査期間、こういったものについて示した技術ガイドというものを発行いたしてございます。こういった様々な書類を参考といたしまして、事業者による調査が十分に行われているかどうか、これを確認しておるわけでございます。
こうした審査に当たりまして、環境影響評価法に基づく環境大臣意見の透明性や、あるいは技術的水準の確保、これを図っていくために、法の施行規則におきまして、環境大臣の意見の形成に当たりましては学識経験者の意見を聞くことができる、このような規定もございます。そうした規則に基づきまして、透明性及び技術的水準の確保を図る観点から、私どもが学識経験者に意見聴取をいたしまして、そういった意見も踏まえつつ判断をしてきているということでございます。
○馬場(雄)委員 ありがとうございます。
事業者がきちんと行われているかどうかを判断します、そして聴取することができるんですと。しかし、そのできるかどうかを判断するのも担当者になられるというふうに思うんですよね。
そうすると、例えばですけれども、担当者の裁量というのはすごく大きいなと思いまして、Aさんが担当者のときは、これは事業者はちゃんとやっていないなというふうに判断する場合もあれば、同じような事例でもBさんに担当者が移った場合、担当者の方も任期があるわけですから替わるわけですけれども、これはちゃんと、きちんとやっているなというふうに感じる場合もあられると思うんです。
ここはやはり、国の未来に向けたしっかりとメッセージを残す、そういう法規定であるということを鑑みれば、どの程度の部分をしっかり調査不十分というふうに定義していくのかは、私は、総合的にとか必要に応じてという言葉以上に踏み込んで環境省さんは示すべきじゃないかなというふうに思うわけなんですけれども、この一定の柱というものを大臣だったらどういうふうに見られますか。厳しいですかね。
そうしたら、是非ともこれは一緒に考えさせていただきたいんです。環境省さんにお願いをさせていただきたいのを含めて、我々としてもしっかり考えていきたいんです。じゃないと、調査不十分といったときの住民側の意見や、あるいはそれは科学者かもしれないですけれども、自分たちの意見が反映されるときもあれば反映されないときもある、これがずっと続いてしまうと、結局分断が起きてしまうんじゃないか。
分断を起こすための法規制では絶対ないわけですから、さっき大臣がおっしゃってくださった、地域とのコミュニケーションを図っていくということであるならば、しっかりとそこを密に取っていくために、ある意味で透明性を確保し、行政の柱をしっかり示しましょうということを是非とも重ねてお願い申し上げたいと思いますので、他人任せにしませんので、是非ともよろしくお願い申し上げます。
最後に、アセス図書について伺いたいと思います。
これはとにかく見づらいんですよね。先ほども申し上げたんですけれども、非常に見づらくて、私も実際に見ていったんですけれども、これは是非、気になったのが事後調査に関する点なんです。例えばですけれども、事後調査の項目を見てみると、書いてあるところもあるんですが、年に一回調査を行いますというふうに、悪い言葉で言うと雑に書かれている状況なんです。雑に書かれている状況の中で、それを一回調査して、何を実際に調査したんでしょう、その結果どうなんでしょうというのを見ようとしても、全然出てこないんですね。
これを環境省さんに伺うと、馬場さん、実はそれ違うんですと言われまして、発電所の領域は別な法律で作られていますから、アセス図書の公開範囲に入っていないんですと言われるんです。
でも、アセス図書で見ようとすると、行いますと書いてあるんですよ。なのに、それを見ようとしても見れないという状況になってしまうんです。おかしいかなと思って。
だとするなら、行うと書いたのなら、ちゃんとそこはひもづいて公開していただきたいと思っていますし、これはきっと、省庁をまたいで環境省さんがリードして、しっかりと、私、枠組みをつくることができると思うんですよね。アセス図書で見た人がおかしいと思わないように、事後調査の結果を確認できるよう、環境省さんに求めたいと思います。
大臣、お願いできませんでしょうか。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
現行制度上、御指摘の発電所事業については事業着手後に実施する事後調査や環境保全措置の結果を取りまとめた報告書が環境大臣に送付されない仕組みとなっておりますが、今般の法改正によって、環境大臣が環境影響評価図書を入手し、継続的に公開できるようにすることで、事業着手後の環境影響等についても確実に把握することが可能となっていると考えております。
○馬場(雄)委員 今のお答えだと変わらないんですよね。自分の省の中で完結できるところはやりますと言うんですが、環境省は、環境というものは、経済産業省や国交省やあるいは文科省や、全てのところに関わっていくものなわけですから、是非とも、アセス図書が、公開の主権が環境省にあるならば、環境省が主体となってそこは枠組みをつくっていただきたいと、大臣、重ねて、重ねて、重ねてお願い申し上げたいと思います。
環境アセスメントは、まさに未来をつくるためのものです。ここが民主主義を成り立たせるか否かの分岐点であるということを最後に確認をさせていただきまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、屋良朝博さん。
○屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。
委員長、大臣、そして理事、委員の皆様、今日は質問の時間をいただきまして本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
我が党の川原田議員が代表質問で指摘しました、沖縄県名護市辺野古の埋立事業と環境アセスの在り方について質疑させていただきたいと思います。
御案内のとおり、現場では軟弱地盤が見つかって、設計変更が行われました。軟弱地盤の改良工事が行われることを想定した場合、環境影響評価の影響要因とみなすべきではなかったのかという観点で質疑をさせていただきたいと考えております。
お配りしました、お手元にありますでしょうかね、資料一、これは地元紙のコピーでございまして、実は防衛省は、自ら行った音波探査調査で、埋立地域に広範に厚い軟弱地盤が存在していたことを二〇〇七年に承知していたという報道がありました。
これ、事実でしょうか。まず、事実関係を教えてください。
○奥田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の報道は、沖縄防衛局が二〇〇七年に地層調査業務の受注者から提出を受けた土質調査の報告書に係るものであると承知しております。
この報告書においては、軟弱な沖積層との記載がありますが、これは一般に、沖積層が他の地層と比較して軟らかい場合があることを表現しているものであり、地盤改良工事が必要となる地層であることを意味するものではありません。
普天間飛行場代替施設建設事業に係る地盤改良については、二〇一四年から二〇一八年に実施した施工段階における追加のボーリング調査等を踏まえた検討の結果、一般的で施工実績が豊富な工法により地盤改良工事を行うことによって、護岸や埋立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能であるということが確認されたものと承知しております。
○屋良委員 再確認ですけれども、軟弱地盤を知ったという時点は、この〇七年でよろしかったでしょうか。
○奥田政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますが、防衛省としては、二〇一四年から二〇一八年に実施した施工段階における追加のボーリング調査等を踏まえた検討の結果、一般的で施工実績が豊富な工法により地盤改良工事を行うことによって、護岸や埋立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能であることが確認されたものと承知しております。
○屋良委員 それでは、資料の二番なんですけれども、これは防衛省が出した報告書。業者と、コンサル業者でしょうかね、一緒に連名で出したものなんですけれども、これには、広範に軟弱な地盤が分布しています、なので、ボーリング調査を行った上で設計、施工の基礎資料にすべきでしょうというふうなことが報告書に書かれているわけですね。
ということは、二〇一四年から二〇一八年までにボーリング調査をやったので、そこで初めて軟弱地盤が出てきたので改良工事が必要だというふうな流れに、なぜここ、ばっと時間が飛んじゃうのかなというのがとても、ずっと以前から疑問でして、それとアセスとの関係なんですけれども、この資料二の地層調査を行った、そして結論が出た二〇〇七年、その年にアセスの方法書が出されております。
ということは、アセスを、方法書を作っている段階では、軟弱地盤があるな、それで、調査報告では、ここをボーリング調査した方がいいよ、設計で参考にした上で埋立承認を得る、その基礎資料にしなさいというふうに書かれているのではないかというふうに私は理解しているんですけれども。
だから、ここで、アセスをやる段になって、やる時期と重なっているときに、ボーリング調査もやらない、何もやらない、それで、二〇一四年になって初めてボーリング調査をやったところ、軟弱地盤が見つかりましたのでということで、大規模な工事になっちゃったわけですね、これは。御案内のとおりなんですけれども、工期が、当初五年でできますといったのが十二年になっちゃいました、事業費は三千五百億円から九千三百億円に膨れてしまいました。この事業、これは元々の事業計画とほぼ別物じゃないの、でも、すごく、小さく産んで大きく育てた公共工事の典型例じゃないのかなというふうな気がします。
そこで、アセスがどのように機能したのかということが私のちょっと疑問点でございまして、環境アセスというのは、事業に伴う影響要因を整理した上で調査、予測、評価を行うことが基本であるというふうに理解しているんですけれども、その前提に立てば、軟弱地盤の存在を承知していれば、それは当然、影響要因として、その影響を予測するアセスを実施すべきではなかったのかということを、疑問にあるんですけれども、環境省さん、見解を教えてください。
○秦政府参考人 お答えをさせていただきます。
仮にアセス法が適用されていたらどうなっていたのかというお尋ねというふうに理解をしておりますけれども、仮定の話についてお答えすることは困難ではありますが、一般論として申し上げさせていただきますと、環境影響評価制度は、事業者自らが環境の保全の見地からよりよい事業計画を自らつくり上げていくための手続を定めたものというふうに理解しております。
このため、調査、予測、評価を行う項目や手法、これらにつきましても、環境影響評価法の規定による主務大臣が定めるべき指針等に関する基本的事項、これに基づく主務省令、これの定めるところによりまして、事業者においてまずは適切に判断されるべきものと考えてございます。
○屋良委員 法律をそのまま解釈すれば、事業者がやることということで決まりになっているので、当然そのようなお答えになるということなんですけれども。
仮に、仮の話で大変申し訳ないんですけれども、改正アセス法が一二年で審議され一三年からの施行になったと記憶していますけれども、ボーリング調査だけでも、二〇一四年から二〇一八年なので四年間かかっているわけですね。方法書が出されたのが二〇〇七年なので、仮に軟弱地盤の存在があって、これを環境要因だと防衛省が認識していれば新しいアセス法が適用されたかもしれないということなんですけれども、仮に改正アセス法が適用されていれば、軟弱地盤の改良工事というのはどのような評価になるんですか。これは軽微な変更というふうに認識されるんでしょうか。環境省さん、見解をお願いします。
○秦政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の地盤改良工事につきましては、既に着手されております普天間飛行場代替施設建設事業において行われているというふうに承知をいたしております。
環境影響評価法は、事業の実施前に、事業者自らが調査、予測、評価を行う、これによって、よりよい環境に関する事業計画をつくり上げていくという手続を定めているものでございますから、既に着手をしている事業については環境影響評価を改めてやり直すという規定にはなっていないというふうに理解をいたしております。
その上で、普天間飛行場代替施設建設事業の実施に際しての環境配慮、これにつきましては、事業者でございます防衛省沖縄防衛局さんにおきまして、環境影響評価及び公有水面埋立法の手続を踏まえまして、適切に行われていくべきものと考えてございます。
○屋良委員 やはり事業者が主体であるので、事業者がアセスの項目に入れるかどうかというのを自ら決めますという話なんですけれども。果たしてそれで、軟弱地盤の改良工事というのは、工事自体を別物にしちゃったというふうな評価が一般的にはなされているはずなんですね、工期も、それから事業費も含めて。
事業者が、分かっていたんだけれどもアセスに含めなかったという事実があるわけなんですね。それをどう評価するかということ。今の環境アセス法においてはちょっと止めようがない、事業を始めちゃったよということなので、止めようがありませんというか、疑義を挟む機会がないんですよというふうな、そんなつくりに、たてつけになっているのではないかというようなことが、今回の辺野古のことで、アセスの手続法との関係を見ると、そんなことが指摘されると思うんですけれども。
ちょっと留意していただきたいのは、改良工事によって砂ぐいをがんがん七万本打ち込むんですよ。資料三でお示ししているんですけれども、砂ぐいの数が七万六千六百九十九本、砂の量が六百五十万立米、改良面積が六十五ヘクタールで、砂の量は東京ドームの約五・二五個分に当たるわけです。
これだけの砂を沖縄近海から採取して、その海域にがんがんがんがん埋め込むという作業がこれから行われるということで、海砂を取るということは海岸線を変化させる、生態系にも影響を及ぼす、なので、海砂の採取を制限している都道府県あるいは自治体というのはあるわけですよ。これは慎重に行われなければいけないはずであるのにもかかわらず、そういったことが想定されたにもかかわらず、できないつくりになっているということが、環境アセスを本当に日本はちゃんとやっているかどうかということを私たちはちゃんと考えないといけない、深刻に受け止めないといけないというような気がしておりまして。
なので、今、戦略的アセスという概念が出てきていて、全体の生態系とかをまず確認した上で土地利用を決めていきましょう、そういうふうなことがなされていれば、希少種が豊富に生息する海の、あそこは宝箱ですよ、ジュゴンも生息していたわけですから、希少種もたくさんいたわけですから、そんなことも踏まえると、まずはそこに手をつけちゃ駄目でしょうという議論にならないといけないと思うんですけれども。
戦略的アセス、重要な、私たち考えていかなければいけないものだ、概念だと思いますけれども、大臣、今の議論を踏まえた上で、大臣の御所見をお願いします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
環境影響評価法における事業とは、特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更並びに工作物の新設及び増改築を指すものであります。
また、環境影響評価の実施に当たっては、一般に、環境影響を受けるおそれがあると想定される地域を対象範囲として設定するとともに、工事及び施設の存在といった環境要因ごとに調査、予測及び評価することが求められます。
御指摘の辺野古埋立事業においても、事業者による手続を通して、適切に環境影響評価の対象の範囲が設定されたものと認識しております。
なお、一般論として、事業の実施に当たっては、環境負荷の低減に向けて取り組むことが望ましいと言えますが、調達資材のライフサイクル全般での環境負荷の把握は技術的なハードルも高く、事業者などの負担となるという課題もあると考えられることから、現状では、資材の調達も含めた環境影響評価の実施を義務づけることは必ずしも適当ではないと考えております。
○屋良委員 資材は環境影響評価の対象になりにくいという今御答弁だったんですけれども、しかし、それも踏まえた上でも、あれだけ大きな環境に負荷を与える事業なので、そこはトータル的にやはり検討していかないといけない。
海砂ですよ。やはり、今いろいろ批判がある海砂を採取する、環境負荷もたくさんありますよというふうなことが認識されているものなので、軟弱地盤がここで入ってきたということの重大性をもう一度私たちは認識しないといけないと思うんですけれども、今の現状のたてつけにおいては環境省さんも大臣のお答えも多分決まってきているというふうな気がしますので、これ以上聞きませんけれども。
私の時間も終わりましたが、それをひとつみんなで考えて、本当に日本の環境をどうやって守っていくのかということをやはり考える一つのいい教訓にしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。
本日の時間もありがとうございます。
私は、冒頭、まず、今回の改正法案といたしましては、立憲民主党としておおむね賛成の意を表させていただきます。
その大きな理由というか背景は、今回の、特に温暖化の中で再エネの促進ということ、その中で風力発電等々の建て替えの時期も迫っていて、計画配慮環境評価書というものを位置づけて義務づけたこと、そして環境影響評価図書の公開も進めるということで、環境影響評価にとって一歩前向きと思っておりますので、賛意を表します。
その上で、しかし、そもそも、今回の環境影響法の改正には、私は三つの大きな課題があると思います。その各々について浅尾大臣に御答弁をお願いしたいですが、私は、浅尾大臣は大変真面目な方で、昔からそう思っておりますので、是非、御答弁は、環境省が用意された文面を素直にお読みになるだけではなくて、これは決して、申し訳ありません、嫌みとかではないんです、環境という新しい分野、さっきの海砂もそうです、そんなに取っていいのかというような課題が出てきたときに、なかなか御答弁として準備されたものでは言い尽くせないこともあろうかと思いますので、そこは大臣本来の誠実さが出るような御答弁をお願いしたいと思います。
三点と申しましたが、まずその一点目ですけれども、実は、いわゆる戦略的環境アセス、これは例えば、今回の計画段階での環境配慮書も、それも一歩近づくものでありますが、戦略的環境アセスについては、二〇一一年の改正においても附帯決議に出ているということではありますが、実は今大変必要になっていると思います。辺野古の問題でもそうであります。
私が取り上げたいのは神宮外苑の問題で、この問題も私もこの三年余りずっと取り上げてきておりますけれども、私は大変不幸な出来事であると思っております。
私ども日本の首都東京でこのようなことが白昼堂々行われるということは、はっきり言って悲しむべきことであって、大臣のお手元の資料、三枚目をまず御覧いただきたいですが、これは、神宮外苑において、文化遺産であるところのスダジイという大きな木、これが一夜にして、いわゆる樹魂祭、木の魂を鎮めるための催物もされずに伐採されていったということの写真であります。古い木を伐採したんだというような言い逃れ、申し訳ありませんが、もありますが、ここに並んでいる木を見て、もちろん大半は、このきめ細やかな木目を見ても分かりますように、命途中で絶たれた木々だと私は思います。
元々こうした事態に対して、イコモス、国際記念物遺跡会議、この日本イコモス並びに国際イコモスが発したヘリテージアラートというのがあって、これは、伐採の前に環境配慮をもう一回見直すべきである、簡単に申しますとそういうことを申し述べた国際的な文章であります。
そもそも、この神宮外苑の三千本、第一期の伐採については、二〇二三年六月に国際影響評価学会、IAIAの日本支部がこの環境評価の在り方を問題にし、同年九月にはイコモスがこのヘリテージアラートを発出、そしてさらに、二〇二四年の三月には日本弁護士連合会の会長声明、続いて五月には国連人権委員会のビジネスと人権作業部会からも人権に影響を及ぼす可能性があると指摘されている。国内外で懸念が示された案件であります。
環境評価上、どんな懸念があるかを二ページに示してございますが、これはイコモスという先ほどの国際的な環境への影響、特に記念物等々の影響を考えるところの文面によれば、生態系並びに建国記念文庫の森という森、ここは伐採されておりますが、並びに移植をした場合に本当につくか、有名なイチョウ並木はどうか、緑のネットワークとしてどうかなどの観点で、環境影響評価に対して意見を出しておりましたが、これが一顧だにされず、伐採が行われていた。何度も申しますが、大変悲しむべきことだと思います。
国内外にこれだけの反響を呼んだ神宮外苑の、三メートル以上の樹木の伐採は、六百十九本でしょうか、既に行われて、これからもまた、新たな、二期に入れば行われますが、こうした事態に浅尾環境大臣は、もちろんこれは東京都の問題というのは承知しておりますが、東京都というのは日本の顔で、国際的にもいろいろ目立つところであります。このような状況について、素直な言葉で結構ですから、浅尾大臣の御所見を伺いたいと思います。
○浅尾国務大臣 御指摘の神宮外苑再開発事業については、御指摘のとおり、東京都の条例に基づいて環境影響評価手続が実施されておりますが、環境影響評価学会日本支部より、科学的な視点から環境影響評価の結果に対する勧告がありました。また、ユネスコ諮問機関であるイコモス国内委員会より、樹木の伐採等による文化的資産の損失等を警告するヘリテージアラートがございました。また、ビジネスと人権に関する国連作業部会より、不十分な協議による人権への影響を懸念する旨の報告書等が発出されたものと承知をしております。
こうした状況の中で、条例に基づく環境影響評価手続の実施後には、樹木の保全を求める都からの要請を受け、事業者側において、事業計画の一部が見直されて、計画の変更届出を都の環境影響評価審議会に報告の上で樹木の移植伐採工事が着手されたものと承知をしております。
当該事業については、関係者から様々な意見が寄せられてきた経緯があると認識しておりますが、環境保全の立場から一般論として申し上げると、神宮外苑の歴史等を踏まえて、環境に最大限の配慮をした事業の実施に努めてほしいと考えております。
○阿部(知)委員 実は、今大臣の御答弁もありましたように、終わってしまったことではないんです。これからも影響を与えますことですので、大臣にあっては、是非、今おっしゃったような環境全体への影響も含めてお考えをいただければと思います。
そして、東京都の環境影響評価に基づいて条例でやるんですけれども、実はこれは、明治神宮ですね、民間になりますので、いわゆる計画段階の環境配慮書の規定は義務づけられておりません。今回、風力で義務づけるようなものはないわけです、東京都の条例。すなわち、計画段階で配慮がされれば、あるいは環境アセスがされれば、私は結果は違っていたと思うのです。
そのことに関係して、二点、関係することでお尋ねをいたします。
資料の四枚目は、「千年の杜」と書いた、これは、東京都というのは元々大名屋敷とかが多くある江戸時代からのところでありまして、それが多く公園という形である意味保存されて、「千年の杜・東京」というものをつくっているんだと思います。
ここにいろいろ、皇居や、あるいは様々な、新宿御苑、神宮外苑等々のロケーション、代々木公園も含めて位置を書いてございますが、こうやって俯瞰してみると、この神宮外苑のところの緑がいかに重要な、全体の東京都の緑の配置の中にあるかということが分かりやすいので私はこれを使わせていただきましたが、実は、明治天皇がお亡くなりになって、その記念的な建物をどこに造るか、大正二年に国会で建議がございまして、これをどこにするかを検討するという建議がございまして、四か所が候補に挙がって、ここの、今ある神宮外苑のところになったわけであります。
それを考えますと、国が関与していないということでもなく、また、全体の緑をどう保全しながら、今言うところの神宮内苑、外苑を一体的に見ていくかという課題があり、それゆえに、私は戦略アセスが必要だったんだろうと思います。今のアセスの一番の問題は、事業についてそれを始めるぞというときからの評価でありまして、全体を見ないと、木を見て森を見ずとよく申しますが、そのような形になっているのがこの問題であると思います。
大臣は、戦略的アセスということについてはどのようなお考えをお持ちか、特に、今私がお示ししたようなものではどうお考えかを教えてください。
○浅尾国務大臣 お答えする前に、先ほど私の発言の中で環境影響評価学会と申し上げましたが、済みません、失礼いたしました。これは正確には国際影響評価学会ということでありまして、こちらの方を訂正させていただきたいと思います。
それで、答弁の方に入らせていただきますが、明治神宮は、国民や競技者がスポーツに親しむ拠点であるとともに、都市住民にとって身近な自然との触れ合いの場であり、百年の歴史がある場所と認識をしております。こうしたことも踏まえて、様々な方から、かねてから私にもいろいろな話が、聞かせていただいているところであります。
当該事業は、神宮外苑がこうした歴史的経緯のある場所であることも踏まえて、例えば事業実施区域の周辺における人と自然との触れ合いの場への影響を回避、低減する観点から、事業者が地域とのコミュニケーションを図りながら東京都の条例に基づく環境影響評価手続を進めてきたとともに、東京都においても、適切な環境保全措置が講じられるよう、必要な都知事意見を発出してきたものと承知をしております。
我が国の環境影響評価制度は、法律と条例で対象を分け、国と自治体の適切な役割分担の下で環境配慮を確保する仕組みであり、環境大臣として、都の環境影響評価手続の在り方について見解を示すことは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、当該事業は、神宮外苑の歴史的経緯や周辺地域の特性も踏まえ、調査、予測地域を設定の上、環境保全の観点から事業実施に向けた検討が進められてきたものと認識をしております。
○阿部(知)委員 二点申し上げたいと思うのですが、事業者がどんな見直しをしたかというと、切る木の数を、多分、七百四十二本から六百十九本に減らしただけ、その分移植をするといいますが、移植された先のナンジャモンジャという木ですが、これも花が一輪しかつかなかったとか、非常に評価に私は問題があると思います。ただ、今日、時間の関係でそこは申し述べませんし、環境影響評価としては多くの異議、異論が上がっているというところであります。
先ほどお示しした「千年の杜」というところで、ここに、ここを考える場合の四つの課題が掲げられております。首都直下型地震の広域避難拠点になることや、世界遺産となる東京の文化遺産であることや、生物多様性の宝庫であることや、ヒートアイランド現象の緩和をどう考えるかなどの観点を見た上で、そして、広域と今大臣がおっしゃいましたが、それこそその観点が重要なんだと思います。
次のページ、見開いていただきますと、私たちの見慣れたイチョウ並木の、今度神宮外苑球場が予定されるところに一番近いところのイチョウ並木は、温暖化現象によって、一部水がかれているような状況が既に始まっております。そこにすぐ隣接して神宮外苑球場が来るというので、これを少し木とは離す側には見直されておりますが、それで果たして十分なのかということであります。
広く環境を考える点では、大臣御存じのように、神宮は内苑と外苑が裏参道でつながるという構造を取っていて、この神宮の内苑、いわゆる明治神宮内苑の方の水がれ状態が著しい状況にあるということであります。
このことは、これまでの神宮外苑問題ではほとんど論じられておらないと思いますが、地域環境を一体的に考えるとすれば、温暖化の中、地下水の動向、そして何がこれだけのいわば環境の悪化を招いているのか。ここにお示ししましたのは、水不足でナラ枯れして木が倒れている、有名な清正井というところの背後の森もナラ枯れで壊滅していますし、内苑の中の北池は、水が枯渇して、池の底には亀裂が走っている。すなわち、もう内苑自身の水の涵養が今危機的である。
ということは、外苑問題を考えるときに、このエリア一帯の水系をどう考えて、どんな事業をすべきか、あるいはすべきでないかを考えていかないと、私はこの明治神宮という一体的な遺産を失うことになると思うわけです。
大臣には、今日、少ない写真でお示ししましたが、このような状態にあることを是非認識していただいて、そして、何度も申しますが、東京都がやるんですけれども、東京は日本の首都であるということで、近々、是非お尋ねをいただきたいが、神宮内苑、外苑、いかがでしょう。
○浅尾国務大臣 済みません、先ほど明治神宮と申し上げたところは、神宮外苑ということで訂正をさせていただきたいと思います。
そして、環境影響評価の実施に当たっては、一般に、環境影響を受けるおそれがあると想定される地域を対象範囲に設定することが求められ、神宮外苑の再開発事業についても、都の条例に基づく手続を通して、環境影響評価の対象範囲の設定がなされたものと認識をしております。
また、神宮外苑再開発事業の実施によるイチョウへの影響や、移植樹木への生育状況等についても、今後も継続して都の条例に基づく事後調査が実施され、適切な環境保全措置が講じられていくものと認識をしております。
なお、気候変動を踏まえた環境影響評価の考え方については、中央環境審議会から技術的な検討をしていくことの必要性を指摘されており、環境省としても、今後、必要な知見の収集等に取り組んでまいりたいと考えております。
○阿部(知)委員 時代の課題は、温暖化と同時に、生物多様性をどう保存していくか。この計画は、緑の面積が増えるからいいと簡単に言うと言っているんですけれども、屋上に緑をやっても、生物多様性の保存にはならないわけであります。
あと、さっき言った移植した樹木が、本当に情けない格好になっております。果たしてつくのかどうか。水の関係もあると思います。水がれというのは今の世界の課題だと思いますので、是非、東京都が本当に悲しむべき場所にならないように、国としてもしっかりと意見交換もしていただきたいです。
引き続いて、この問題でもう一つ大きい問題は、市民も多く反対の声を上げ、イコモスも反対したのに、事業者は聞かず、意見も取り入れず進めた。何でこんなことが起こるのかというと、これは実は、二〇一〇年に日弁連が前回の環境アセスの改正のときに提案をしておりますが、早い段階からの市民への情報提供、意見を取り入れる、あるいは、問題があれば司法へのアクセス、すなわち裁判で止めるとかいう、この三つの、情報を得ること、そして、意見をしっかりと共有すること、場合によっては裁判という三つは、日弁連の提案したことで、今回、それはどのような形でも取り入れられていない。
もっと世界的に見れば、オーフス条約というのが、そうした市民の環境権とか意見表明権とか参加権を担保するものであります。日本は、世界から人権問題だと言われたときに、簡単に言うと、事業者の意見も聞かないで人権問題だとか言うなという返信をしておりますが、そうではなくて、市民も住民もステークホルダーなんだから聞きなさいというのがオーフス条約であります。
是非、環境大臣として、答弁を作ったのは外務省だと思うんです、人権と環境で、国際的な問題ですから、こうしたオーフス条約についても外務省としっかりと意見交換していただきたいが、いかがでしょう。
○浅尾国務大臣 まず、オーフス条約における三つの柱である、環境情報へのアクセス権の保障、環境に関する決定への参加権の保障、環境に関する司法への参加権の保障は、環境政策を国民の立場に立ったものにしていくという点から、重要な示唆が含まれていると認識をしております。
その趣旨については、これまでも個別の法制度等において一部具体化されており、例えば、環境影響評価法においては、事業者に対し、説明会の実施や、国民から広く意見を聴取する機会の確保を義務づけております。
今後も、環境情報の積極的な提供を進めるとともに、広く国民の御意見を聞きながら政策の立案を進めてまいりたいというふうに考えております。
○阿部(知)委員 簡単に申しませば、異議申立てがあれば聞けということであります。それはステークホルダーだからであります。
最後に一問御紹介したいですが、今、半導体関係の工場が、日本でも新たな産業として各地で取り組まれております。私も、せんだって、ラピダス、これは北海道ですね、それから、熊本ではTSMCなどの状況を拝見をさせていただきまして、いかに水を多く使うかということで、例えば、熊本のTSMCでは、熊本県全体の工場の地下水のうちの約一三%、三百十万トン、年間、一つの工場で使うということであります。
同じように、ラピダスにおいても、年間の使用量は、ラピダスは百ヘクタールありますから、はるかにこれを上回り、苫小牧から取水をするということでありますが、私は個別の工場の設置が環境影響評価に上がっていないことは承知した上で、しかし、こうした大規模なものが、先ほどの地下水の涵養も含めて行われるときに、事業としても、今十三事業ですが、入れていく必要がある。
そして、これは内閣府の作った、こうした工場がどんなインフラ整備を必要とするかというと、最後の一枚に載せてございますが、工業用水や下水道や道路にわたるいろいろな改造が必要となるということであります。今回改正には入っておりませんが、こうした工場、事業ごとの追加ということも是非臨機応変にやっていただきたいが、いかがでしょう。
○浅尾国務大臣 恐らく、二問まとめて聞いていただいているというような形だと思いますので。
まず、我が国の環境影響評価制度は、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業については法律により手続を義務づけ、比較的規模が小さい事業については地域的な特性を踏まえ、自治体の判断に応じて条例により手続を義務づけることにより、国と自治体が一体となって事業における環境配慮が確保される仕組みとなっております。
御指摘のTSMCのケースについては、現時点においては、他の対象事業との比較を含め、法律の対象となる定義に該当すると判断できる状況にないことから、環境影響評価の対象とは考えておりません。
そして、後段の方ですね。本年三月の中央環境審議会の答申においても、将来的にその実施が求められる大規模な新規事業については、環境影響評価法の対象とすべきか否かを迅速に検討できるよう、あらかじめ事業の動向を注視し、科学的知見の収集を図っていくことが必要であると考えております。
よりよい環境影響評価制度の実現に向けては、必ずしも制度の見直しによる期限の到来を待つ必要はないと考えており、情報や知見の収集を図りながら、必要に応じて不断に検討を行ってまいりたいと考えております。
○阿部(知)委員 是非よろしくお願いいたします。
終わらせていただきます。
○近藤委員長 次に、猪口幸子さん。
○猪口委員 日本維新の会の猪口幸子です。
本日は、環境影響評価法の一部を改正する法律案について質問いたします。
まず、風力発電等の設備の大型化、大規模化があり、建て替えであっても自然環境を改変する可能性もあり、一定の基準を設けた上で環境配慮書を求める必要があるのではないでしょうか。質問いたします。
○秦政府参考人 お答えいたします。
本改正案につきましては、建て替えの要件に該当するもの、具体的には、既存工作物を除却又は廃止するとともに、既存工作物と同一又は近接する区域に同種の工作物を新設する事業、これにつきまして、配慮書の記載事項を適正化するということとしておりますけれども、ここで言う同一又は近接する区域、あるいは同種の工作物といった具体的な範囲につきましては、政令等におきまして具体的な数値的基準を定めることとしておりまして、今後、技術的な検討を進めてまいりたいと考えてございます。
また、建て替えの場合におきまして、設備の大型化による環境影響の拡大が想定されるような場合もあると考えます。事業者におきましては、これを可能な限り回避、低減するための環境配慮、この内容をしっかりと配慮書に記載していただく、このことが必要であると考えております。
仮に、こうした事業者による環境配慮の内容が不十分であるとした場合には、立地あるいは配置の見直しも含めた環境大臣意見を述べさせていただくことになる、こういうことを想定いたしてございます。
○猪口委員 近接、同一の場所でも、やはり大きさに制限がなければ、倍になっていても非常に問題となりますので、その点、よろしくお願いいたします。
続きまして、二〇二一年、風力発電で、第一種事業を一万キロワットから五万キロワット以上に、第二種事業を七千五百キロワットから三万七千五百キロワットに上げていますが、変更の理由は何でしょうか。風力発電に係る厳しい意見として、騒音やバードストライクなどの問題事象は、一万から三万七千五百キロワット、これは二種事業以下の規模ですけれども、それに集中していますが、これについての認識はいかがでしょうか。
○秦政府参考人 お答えをさせていただきます。
環境省が、二〇二〇年、令和二年度に経済産業省と共同で行った検討会の報告書におきましては、環境影響評価法の対象となる第一種事業の風力発電事業の規模につきまして、最新の知見に基づき、他の法対象事業との公平性、こうした観点から検討した結果、五万キロワット以上とすることが適切であるとされたところでございます。
この結論を踏まえまして、風力発電の環境影響評価手続に係る規制改革実施計画の閣議決定も経た上で、二〇二一年、令和三年に環境影響評価法施行令の改正を行いまして、風力発電事業に係る規模要件の見直しを実施したところでございます。
一方で、委員御指摘のように、現行の第二種事業の規模要件を下回るような事業におきましても、風車の立地場所や配置によりましては、バードストライクによる鳥類への影響等が懸念されることがあるということで、規模要件の引下げ以前における環境影響評価に係る審査においても、このような場合には厳しい環境大臣意見を述べてきたところでもございます。
○猪口委員 二種以下でもやはり環境に影響するというところ、これをどうやって取っていくかということを、できれば環境省の方で継続して考えていただきたいと思います。
続きまして、第二種事業は、手続を実施するか否かを個別に判断する、スクリーニングすることとされており、事業規模の下限が第一種事業の七五%とされていますが、これは、周辺環境への影響が大きい場合、規模要件をもっと引き下げるべきではないかと思いますが、特に風力発電では必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○秦政府参考人 失礼しました。先ほどの答弁の中で、規模要件の引下げと言ってしまったんですが、正しくは引上げでございます。大変失礼いたしました。
お答え申し上げます。
近年、風力発電の導入拡大に伴いまして、自然環境への影響等に対する地域の懸念が高まっているものと認識をいたしております。
風力発電の実施に当たっては、一般に、鳥類や景観への影響が懸念されておりまして、これらの環境影響の程度は、事業の規模の大小のみならず、風力を設置する場所、この環境によりまして大きく左右される、それが風力発電の一つの特色とも言えるかと思います。
このため、本年三月にお示しいただきました中央環境審議会の答申におきましても、小規模であっても、立地により環境影響の程度が大きくなることが懸念される事業の環境配慮を確保するために、例えば、環境影響評価の要否を個別に判定する、今議員からも御指摘のあった第二種事業の規模要件、これを引き下げる必要性についても指摘をされたところでございます。
今後、こうした中央環境審議会の答申も踏まえまして、現行の法対象規模、これを下回る事業に係る環境配慮を確保するための措置についても検討を行ってまいりたいと考えてございます。
○猪口委員 是非、下回るものも十分拾って、環境への影響というのをしっかりと監視していただきたいと思います。
続きまして、二〇一九年の政令で、太陽光発電は、第一種事業について、百ヘクタール以上を四万キロワット以上、第二種事業は、七十五から百ヘクタールを三万キロワットとした基準となりましたが、土地面積としてはどの程度かが不明となるため、環境への配慮に欠ける場合等も考えられるのではないでしょうか。
太陽光発電については、環境配慮というのは、電源の出力ではなくて面積、特に環境は、やはりどれだけの面積を削ったかということ、どれだけ樹木を伐採したか、そういうことが環境へ非常に影響しますので、出力ではなくて、ここでどうして太陽光を面積から出力にしたのか、それは非常に疑問だと思いますが、いかがでしょうか。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
太陽光発電事業の規模要件につきましては、発電所の許認可等を行う電気事業法におきまして、対象施設の届出の要否を総出力によりまして区分している、こういったこととの整合性を図る観点から、面積ではなく出力を要件といたしております。
その上で、太陽光発電に伴う環境影響につきましては、土地の面積の改変に依拠するところが非常に大きいということから、環境影響評価法における土地区画整理事業などの他の事業、面整備事業ですね、土地の改変の面整備事業の規模要件の考え方を踏まえまして、面積で百ヘクタール相当の事業、この事業における平均的な交流出力である四万キロワット、太陽光発電の場合で言えばですね、その百ヘクタールに相当するのが四万キロワットということで、こうした考え方によって、四万キロワットというのを設定させていただいたところでございます。
○猪口委員 通告にはなかったんですけれども、百ヘクタールというこの基準というのは、一体どこから来ているんでしょうか。お答え願えれば。
○秦政府参考人 この百ヘクタールという第一種事業の規模要件に関しましては、土地の面積と、それから動植物の種の数に相関関係が認められる、また、面積の大きい保護区の方が動物の生存確率が高い、百ヘクタールのレベル、つまり一キロメートル四方ということでございますけれども、そういったところにやはり閾値が認められる、境界線が認められるといったことの理由によりまして、土地改変面積が百ヘクタール以上というのを第一種事業の対象としてきたという経緯がございます。
○猪口委員 それでは、この百ヘクタールというのは、やはり太陽光に関しては、動植物に影響するのであれば、しっかりこの百ヘクタールということを念頭に入れて、問題意識を持って規制する方向も考えていただけたらと思います。
続きまして、風力発電施設の設置について、先ほどちょっと出ましたけれども、設置についてゾーニングが有効であるとされていますが、自治体におけるゾーニングの取組推進が期待されるところですが、促進地域が設定されたのは五十一市町村にとどまり、事業設定に至ったのは一例となっていることに対し、国の取組はどのようになっているでしょうか。
○小林副大臣 陸上風力発電を始めとする再エネの最大限導入に向けては、環境に適正に配慮され、地域の合意形成が図られることが重要だと考えています。このため、地球温暖化対策推進法に基づいて、地方公共団体が地域の協議会等で合意形成を図り、再エネ促進区域の設定等を行う促進区域制度の活用を促しております。
環境省では、これまで、促進区域設定等に向けた地方公共団体への財政的、技術的支援のほか、具体的な事業の形成に向けた事業者への財政支援も行っております。
さらに、今御指摘いただいたところに関わるところでは、本年四月に施行された改正地球温暖化対策推進法において、都道府県と市町村が共同して促進区域を設定できることとされました。これによって、この少ない一因として、結構自治体だけでやるのは大変だ、こういう話がありましたので、都道府県と一緒にできるように、こういうことにしましたので、連携をより一層促して、積極的に活用するよう推進していきたいと思います。
引き続き、自治体や事業者のニーズや課題を踏まえつつ、予算や税制など、あらゆる手段を通じて、促進区域の設定と事業計画の認定を促進し、風力発電を含めて地域共生型の再エネを増やしてまいりたいと思います。
○猪口委員 再エネという考え方だけでなくて、地球温暖化対策という言葉を使うと非常に住民の理解も得られると思いますので、是非この点、推進していただきたいと思います。
次は、これまでのアセス図書の公開というのは、一九九九年から、縦覧期間が終了した後も、一般社団法人日本環境アセスメント協会の一室を閲覧場所として公開する仕組みを設けていましたけれども、二〇一一年の三月にこの閲覧の仕組みは中止となった。それで、環境省の図書館での閲覧に限定された。
これは本当は質問したかったところですけれども、どうして中止になったのかなというところが疑問点ではあるんですけれども、その後は、インターネットと環境省の図書館の利用によって公開はしていて、閲覧することができるという状況でしたけれども、これは事業者の同意を得て公開ということですけれども、実際に事業者の同意を得て公開した割合というのはどの程度であったか、お示しいただきたいと思います。
そして、今回、公開すべきと考えた理由は何か。二〇一一年の三月、これがすごくひっかかるところではあるんですけれども、公開すべきと考えた理由をお聞かせいただきたいと思います。
○秦政府参考人 お答えいたします。
環境省におきましては、二〇一八年度、平成三十年度より、事業者による縦覧又は公表期間が終了した後についても、事業者の協力を得て、運用上の話でございますが、環境影響評価図書の継続公開に取り組んできたところでございます。
令和七年、二〇二五年二月までに環境影響評価手続が実施された事業件数八百九十七件のうち、図書を継続公開しているのは約一割強の九十四件となってございます。
後段の話でございますが、環境影響評価図書に含まれる情報は、後続の事業者による効率的なアセスの実施ですとか、あるいは累積的な影響への活用、透明性の向上による事業に対する関係者の理解醸成、こういった観点から、大変公益性の高い情報だというふうに理解をしております。こうした観点から、継続的に公開することが環境保全の観点から重要であるということから、今回、このような措置を提案させていただいているところでございます。
〔委員長退席、松木委員長代理着席〕
○猪口委員 通告していないですけれども、二〇一一年の三月、公開を一時中止した理由というのはお聞かせ願えないですか。
○秦政府参考人 申し訳ございません。ちょっと承知いたしておりません。
○猪口委員 この日付が非常に気になるところで、また次の機会にお教え願いたいと思います。
今回の法改正により、アセス図書は、事業者の同意の上、公開可能となりましたが、継続公開を義務づけたらいかがでしょうか。
これは結局、事業者が同意した上で環境大臣がそれを入手して公開するという形で、事業者が同意しなければ公開できないという状況だと思うんですけれども、義務化するということはないんでしょうか、環境大臣。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
環境影響評価図書は事業者が作成し保有するものであるため、環境大臣がこれを公開するに当たっては、事業者の同意が必要であります。
環境影響評価図書に含まれる情報は、後続事業者によるよりよい効果的なアセスの実施につながるなど公益性の高い情報であることから、そのような制度趣旨を丁寧に説明することで、より多くの事業者の方々に継続公開に御協力いただけるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○猪口委員 義務化には至らないという形だと思うんですけれども、今後もこの義務化に向けて検討していただきたいと思います。
そしてまた、環境大臣の権限によって国交省や経産省からのアセスを入手して公開するということが可能と今回なりましたから、是非その点、環境大臣に広くお願いしたいと思います。省庁をまたいでのことが可能になったということは非常にすばらしいことですので、是非、その次の段階を進めていただけたらと思います。
続きまして、アセス図書に提出されるべき資料やデータの質や量に関し環境への影響のある基準を設けて、記載内容が適切であるか、第三者機関によって評価すべきではないかと思うんですけれども、環境大臣、いかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 環境影響評価図書で記載すべき事項及び環境影響評価を行う際の留意事項等については、事業者が環境影響評価の項目や調査、予測及び評価の手法等を適切に選定し、環境保全措置について検討できるよう、環境影響評価法及び下位法令において定められております。
また、当該図書の審査については、環境影響をできる限り回避、低減しているかといった観点から環境大臣等が行い、データが不十分な場合や記載内容に問題がある場合には、環境保全の見地から意見を述べることとなります。
審査に当たっては、必要に応じて、各分野の専門家に対してヒアリングを実施するとともに、環境大臣意見を述べる際には、当該意見を公表することにより透明性を確保しております。
加えて、事業者が作成した環境影響評価図書に対し、関係する地方公共団体や一般公衆等が環境保全の見地から意見を述べる機会についても確保しているところであり、こうした制度を引き続き適切に運用してまいりたいと考えております。
〔松木委員長代理退席、委員長着席〕
○猪口委員 データというのはすごく大事で、国が費用を払わなくても事業者が自ら負担してデータを集めているということ、これを基準化することで非常に科学的なデータになるという状況で、本当に貴重ですよね。
環境省の予算は非常に限られていると思いますが、その予算をカバーする意味でも、基準ということで、事後調査報告書を、アセス図書のデータの有効利用を行い、環境保全などの技術開発、研究などに役立てるべきではないかと考えますが、浅尾環境大臣、いかがでしょうか。
○浅尾国務大臣 環境影響評価図書に含まれる情報に関しては、希少な動植物種の生息、生育地のような機微な情報も含まれていること、事業によって調査手法や調査時期等が異なり、データの粒度や精度等が異なっていること、事業者自らが取得した情報も含まれており、事業者が保有する知的財産権の侵害や、データ提供による不利益が生じる可能性があること等に留意する必要はありますが、環境影響評価手続で得られた環境データを適切な形でより利便性の高い形式で活用できるようにしていくことは、環境保全の観点から重要であると認識をしております。
したがいまして、環境省では、事業者が作成した環境影響評価図書に含まれる環境保全措置や地域の生物種等の情報を環境アセスメント事例全国マップとして整備、公表するなど、事業者を始め、広く一般に情報提供を行ってきたところであり、引き続き、こうした方策を通じて、環境影響評価図書を積極的に活用してまいります。
○猪口委員 ありがとうございます。
その方向性で是非進めていただきたいと思うんですけれども、科学的なデータというのは、いろいろな事業者がいて時期も違う、ただし、永久的にメルクマールというか指標、そういうものを審議会等でよく、専門家によって、何が一番大事か、長年にわたって、何十年もにわたってのデータというのを後で振り返ると非常に有効な場合が多いんです。それが、事業者によってばらばらなファクター、それを出しているのでは全く役に立たない、統計も取れない状況になります。
ですから、是非、データ活用のためには、指標を作っていただく、個々に非常にバリエーションがあると思うんですけれども、これは千載一遇のチャンスで、データが本当に欲しいところだと思いますので、御検討をお願いします。
最後の質問となりますが、包括的な地域空間計画、海洋空間計画やそれに伴う戦略的環境アセスメントは、我が国では導入されていません。事業アセスメントのみでの対応では、当該地域全体のあるべき利用の検討がなされないと思われます。
戦略的環境影響評価制度の導入を検討すべきではないでしょうか、環境大臣。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
戦略的環境影響評価については、早期段階の効果的な環境配慮の確保や地域における適切なコミュニケーションの推進等を図る観点から、地球温暖化対策推進法に基づき、市町村が協議会等における合意形成を図りながら、地域と共生し、環境配慮が確保された再エネの導入を図る促進区域の設定等を行う制度の導入や、洋上風力発電設備の整備に係る区域の指定に先立ち、環境大臣が海洋環境調査を実施することにより、計画段階での環境配慮を可能とする仕組みを盛り込んだ再エネ海域利用法の改正案の今国会の提出などの取組を進めております。
本法律案の検討に際して、中央環境審議会からいただいた答申でも、これらの取組は戦略的環境影響評価の趣旨に資するものであるとされており、引き続き、こうした取組に加え、更なる知見の収集に努めてまいりたいと考えております。
○猪口委員 世界に誇れる環境保全、引き続きやっていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、仙田晃宏さん。
○仙田委員 おはようございます。国民民主党・無所属クラブの仙田晃宏です。
本日は、法案質疑に関するお時間をいただきまして、ありがとうございます。
また、浅尾大臣におかれましては、本会議にて御答弁いただきまして、誠にありがとうございます。本会議ではやっと出番と声が上がるほどお待たせしてしまいまして、大変申し訳ございませんでした。本日は間髪入れずに浅尾大臣にお伺いさせていただきたいと思いますので、御答弁よろしくお願いいたします。
一つ目は、法改正の見直し期間について伺いたいと思っております。
今回の法改正は、一九九七年に法律が施行されたんですけれども、その後、平成二十三年、二〇一一年に一回改正され、そして今年、二〇二五年に法改正をする予定と、約十四年周期で法改正がされております。風力、地熱等、新しい再生可能エネルギーの技術が普及していく中で、十年スパンで法改正の期間をやっておりますけれども、果たして十年が妥当なのかどうかというところを、見解をお伺いさせていただきたいなと。
また、今回の審議のための参考人質疑をさせていただいておりますが、その中で、委員会に出席された方々からは、アセス図書の公開で、事業者が一部のデータなどを公開しない場合や虚偽記載があった場合の対処方法など、専門家から指摘されている課題がある、こういった課題が大きくなる可能性があるという指摘がございました。このような課題を未然に防ぐために、制度の見直し、こちらを五年ワンサイクルで考えて、定期的に改正を行っていく仕組みも必要ではないかという御意見がございました。
つきましては、期間について、五年ごとの改正と短縮することについて、浅尾環境大臣の御見解をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 改正法案の規定に基づく施行状況についての検討は、改正事項の効果検証をした上で実施する必要性がありますけれども、一般に、環境影響評価手続には五、六年を要し、また、その後の工事期間や工作物の供用開始までの期間などを含めれば、更に期間を要することとなります。
そのため、五年では検討に必要な期間を確保することは難しく、検討の時期は施行後十年とすることが現実的だと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
制度全体を見まして、整合性を保っていくためには一定の見直し周期が必要であるというお考え、よく理解できました。
引き続き、やはり現場の声、参考人質疑の方を含めて、制度運用上の課題など丁寧に耳を傾けていただきながら、適切な時期の制度改正がなされていくことを期待して、次の質問に入らせていただきたいというふうに思っております。
次に、環境アセスメントの四半世紀の評価についてお伺いさせていただきたいというふうに思っております。
この環境アセスメント制度、こちらについては、開発計画を決定する前に、環境影響を事前に調査、予測し、代替案を検討し、その選択過程の情報を公表し、公衆の意見表明の機会を与え、これらの結果を踏まえて最終的な意思決定に反映させるプロセスということを承知しております。この環境影響の大きな事業について、こうしたプロセスを経ることにより、環境保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていくための、環境政策上の重要な政策ツールだというふうに捉えております。
我が国におきましては、法制度導入の必要性が環境面から指摘されながらも、環境事業に遅れが生ずることの懸念もあり、一九八〇年代においては閣議決定により実施されるにとどまっておりました。一九九七年にようやく環境影響評価法が制定されまして、一九九九年から全面的に施行され、それから四半世紀がたっている状況でございます。
このように、環境アセスメント法につきましては、環境施策上の重要な政策手段であるが、時にアワスメントとやゆされ、事業者が環境に及ぼす影響は軽微であると記載するお手盛りの評価文書を作成して、制度の実効性に疑問符が付されるような風潮もあったと聞き及びます。
この四半世紀の環境アセスメント制度の運用について、十分な効果を発揮してきたかどうかというところについて、浅尾大臣の見解をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 環境影響評価法については、御指摘のとおり、一九九九年の施行以来、二〇二四年度末時点で、計八百七十九件の環境影響評価手続を実施し、審査の実績や知見を着実に積み重ねるとともに、制度の運用を通じて得られた課題に対し、二〇一一年の法改正による配慮書、報告書制度の創設や、二〇一九年の政令改正による太陽光発電事業のアセス対象事業への追加等、必要な制度見直しを講じてまいりました。
また、環境影響評価手続の実効性という観点では、環境影響評価の具体的な指針となる基本的事項の見直しや技術ガイドの作成を実施してきたほか、事業者が実施した環境影響評価の内容に不十分な点がある場合には、必要に応じ、追加的な環境調査の実施や事業計画の見直しなどを環境大臣意見によって求めるなど、個別の事業について、環境保全上の適正な配慮がなされることを確保する上で十分な効果を発揮してきたものと考えております。
このように、事業における適正な環境配慮を確保する観点から環境影響評価制度の果たす役割は非常に大きいと考えており、引き続き、本制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 御答弁ありがとうございます。
適切な運用をしていくとともに、環境影響の回避、低減が図られるよう、引き続きお願いしてまいりたいというふうに思っております。
次に、事業者に応じた政府の対応についてお伺いさせていただきます。
自然環境への配慮に係る対応は、開発事業者によって大きな差があるのが現状でございます。環境保護団体の調査では、稼働中の風力発電、アセスメント手続中の風力発電のいずれにおいても、バランスよく環境への配慮を行っている企業、例えば、全てのチェック項目で平均以上、自然環境への配慮がされておられますHSE株式会社さんのような会社がある一方で、顕著に自然環境への配慮に欠いている企業の存在も指摘されております。
こうした実態を踏まえ、環境に配慮を欠く企業に対しては厳しく対応する必要があると考えております。例えばその企業には厳罰に対処するなどペナルティーを科すべきだというふうに考えておりますが、環境省の見解をお伺いいたします。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
環境影響評価法におきましては、事業者が行う環境影響評価に対し、環境大臣が環境保全の見地から意見を述べる機会、これを確保いたしております。事業者による調査や環境保全措置等が不十分であると判断される場合については、環境大臣から追加的な調査の実施や事業計画の見直し、こういったものも含めた意見を述べておるところでございます。
そして、次が大事なのでございますけれども、事業に係る免許等の実施権者が、環境大臣意見を勘案して意見を述べることになっております。主務大臣は環境大臣の意見を勘案しなければいけない、こういうたてつけになっておりまして、強いリンケージがございます。こうした意見を踏まえた最終的な環境影響評価の結果を免許等の審査に反映させることとなってございます。こうした仕組みにより、環境に係る適正な配慮、これを確保しているという仕組みとなってございます。
さらには、環境大臣意見におきましては、必要に応じ、バードストライク等の予測の不確実性が大きい事項については事後調査を実施することや、あるいは、稼働後に重大な環境影響が認められた場合に追加的な環境保全措置を講ずること等を求めております。こうした取組を通じまして、事業者が適切な環境保全措置を講ずるよう促してまいる所存でございます。
○仙田委員 ありがとうございます。
しっかりと今、環境大臣を含めて、事業者に対して確認、調査していくという、追加調査、見直しの、是正を図っていくというのがありますけれども、明らかにその是正に対して講じない部分の方がいらっしゃる場合があれば、例えば入札参加資格を停止するといった厳しい措置も必要だと思っていますので、ここについては引き続き御検討をお願いしたいというふうに思っております。
次に、アセスにおけるコミュニケーションの推進についてお伺いいたします。
アメリカでは、現在、環境影響評価書は、資料等を除いては百五十ページを超えないこと、非常に複雑な事業であっても三百ページは超えてはいけないという規定がございます。イギリスほか欧州諸国では、ノンテクニカルサマリーと呼ばれる、一般人にも分かりやすい概要版の作成が義務づけられております。
評価書のページ制限や一般の人にも分かりやすい概要版の作成等の方法も検討し、一般の人にも分かりやすいアセス、国民が参加しやすいアセス制度への検討が重要だと考えておりますが、政府の見解をお伺いいたします。
○秦政府参考人 お答え申し上げます。
環境影響評価法においては、事業者に対して環境影響評価図書を求めておるわけでございますが、委員御指摘になったように、非常に大部なものとなります。したがいまして、これを分かりやすく要約した書類、これの作成、公表を法の中で義務づけておるところでございます。
また、事業者に対しまして、方法書や準備書の内容について説明会の開催を義務づけております。こうした格好で、一般の方も含めて、地元の人のみならず、参加を可能とする仕組みも設けております。
こういった仕組みがより実効的となるように、今後も制度の運用に努めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
説明会を含めて、住民の方に幅広く理解していただくためにも、分かりやすい内容の資料が必要だというふうに思っております。ですので、国民の方が理解して主体的に関与できる制度をつくっていくためにも、開かれた環境アセスメント制度の構築に向けて、丁寧な検討と積極的な取組をお願い申し上げておきたいというふうに思っております。
次に、環境影響評価手続の再実施の在り方について伺います。
例えば、長崎県佐世保市宇久島の話でございますけれども、十一年動きがなかった風力発電の建設計画、こちらの住民説明会が、今年、突然開催され、その際、六月に評価書を提出して、本格的に工事に着工する予定という説明があったそうです。
このように、長期間未着工のまま事業廃止もしていないケースもあるとされ、地域が置き去りになっている現状がございます。また着工までに長期間がたってしまい、アセスを実施した人がいなくなるなどの問題も発生しております。手続終了後に長期間未着工のままになっている事業の把握状況を確認するとともに、アセスメント手続の再実施の必要性があるのではないかというふうに考えております。
環境アセスメント期間に期限をしっかり設けまして、長期に止まっている事業については手続のやり直しや失効制度を設けるべきではないかというふうに考えておりますけれども、浅尾大臣の見解をお伺いいたします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
本年三月の中央環境審議会の答申においては、長期的に環境影響評価手続が進められていないものや、手続が終了したにもかかわらず工事の着工に至っていないものについては、地域の不信感につながっている場合があるとの指摘等があり、こうした指摘への対応についても、考え方の整理を進めていくことが望ましいとされているところであります。
本答申を踏まえ、今後、環境省としても、更なる実態把握に努めるとともに、必要な検討を実施してまいりたいと考えています。
○仙田委員 御答弁ありがとうございます。
今回の法改正には間に合わないとしても、やはり長期間止まっていたものをもう一回再開するといったところについては、期間ですとか失効制度というのは設けるべきだというふうに思っております。ですので、こちらをしっかりと実態を把握いただきまして、今後、ここを含めて事業を判断することをお願い申し上げておきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、事業開始後に判明した環境影響への対応について伺います。
事業による環境影響について、例えば風力発電を造った場合に、実際に渡り鳥がどのように通過するかなど、事前に完全に予測することは難しいはずです。事前の予測が完全ではない以上、事業を開始してみたら予測と異なる環境影響があったということもあり得ると考えております。
このように、風力発電の運転開始後など、事業開始後に分かった環境影響について、アセス制度としてどのように対応していくのかは、制度にとって重要な課題であるというふうに考えておりますが、環境省として、そして浅尾大臣として、この課題への認識及び対応はどのようにお考えか、教えていただきたいと思います。
○浅尾国務大臣 環境影響評価において、御指摘のとおり、予測の不確実性が大きい項目についても、事業者としての適切な環境配慮を確保することが非常に重要であると認識をしております。
御指摘の風力発電事業を始め、環境省では、これまでの審査で得られた知見等を踏まえて、事前に予測が難しい項目についても厳格な審査に努めており、例えば、環境大臣意見では、バードストライク等の予測の不確実性が大きい項目については、事後調査を実施することや、実際に重大な環境影響が認められた場合には、追加的な環境保全措置を講ずること等を求めております。
引き続き、こうした対応を通じ、事業者における適切な環境配慮を確保してまいりたいと考えております。
○仙田委員 御答弁ありがとうございます。
今後とも、柔軟かつ適切に対応していただければなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
次に、持続可能な社会の実現に向けた環境アセスメントの手続の役割について伺います。
近年、再生可能エネルギーの導入をめぐりまして、環境への適切な配慮不足や地域への説明不足により、地域住民とのトラブルが発生し、迷惑施設のような扱いを受けている事案もございます。そのため、適切な環境配慮を行い、地域の合意形成を図ることが事業を進めていく上で大前提でございます。
これらの背景を踏まえ、再生可能エネルギーの導入と自然環境の保全との両立を図る中で、よりよい事業内容をつくるために環境省が担う役割はどのように考えていらっしゃるか、大臣の見解をお伺いいたします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
二〇五〇年のネットゼロの実現に向けて、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組むに当たっては、再エネの急速な導入拡大に伴う環境影響や地域の懸念の高まりに適切に対応することが必要であり、環境に適正に配慮され、円滑な地域の合意形成が図られることが重要であります。
このため、環境省としては、自然環境の保全上重要な地域について、自然公園法を始めとした個別法に基づき、保護地域における各種行為の規制等の必要な規制を実施しております。
また、環境影響評価法では、地域とのコミュニケーションを図りつつ、事業者自らが環境保全の観点からよりよい事業計画を作り上げていくための手続を定めており、必要に応じて環境保全の見地から環境大臣意見を述べること等を通じて、事業について適正に環境配慮がなされることを確保しております。
このほか、地域脱炭素交付金等を通じた支援を行う中で、地域、暮らしに密着した地方公共団体が主導する地域共生、地域裨益型の再エネを推進しております。
今後とも、関係省庁と連携し、環境に適切に配慮され、地域と共生した再エネの最大限の導入に取り組んでまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
最後の質問になりますけれども、アセス報告書の公開について伺います。
現状、報告書というものは未公開になっておりまして、内容の評価が難しいという声が上がっております。今後、この報告書を含めて公開していく仕組みづくりの検討を今されておられますでしょうか。また、アセス図書に求められる基準や提出すべき資料、データの質や量について定められた基準がないというところは今課題だと思っておりますが、これらの基準を作っていこうという議論があるか、また、実施するならどんなメンバーかを教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
環境影響評価図書で記載すべき事項及び環境影響評価を行う際の留意事項等については、事業者が環境影響評価の項目や調査、予測及び評価の手法等を適切に選定し、環境保全措置について検討できるよう、環境影響評価法及び下位法令において定めております。
事業者が実施した調査の内容等に不十分な点がある場合には、追加調査の実施等を求める環境大臣意見を述べることにより、適正な環境配慮に係る検討がなされることを確保していくこととなります。
また、報告書の公開については、本法案において、報告書などの事業者が作成する環境影響評価図書を環境大臣が公開することができることとしております。
今後、環境影響評価図書の公開が進むように努めるとともに、具体的な公開の方法については、既存の情報システムも活用し、閲覧者にとって利便性の高い方法で公開ができるように進めてまいりたいと考えております。
○仙田委員 御答弁ありがとうございます。
国民民主党は、国民生活に現実的に向き合う改革中道政党でございます。本法案の改正により、政府が作成した、再生可能エネルギーを含めまして、第七次エネルギー基本計画が着実に遂行されることを期待しまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○近藤委員長 次に、北野裕子さん。
○北野委員 参政党の北野裕子でございます。
本日は、質問の御機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
日本のエネルギー主権を守り、地域と自然を守る再エネ制度の在り方について、本日、御質問させていただきたいと思います。
今回の法改正は、環境影響評価書の手続最適化についてのものだとは承知しております。アセスメントを最適化されるということは、公共事業の促進につながり、積極財政、国土強靱化の面においては必要だと感じております。
しかし、今回の改正内容には風力発電のリプレースが多いように見受けられます。エネルギー安全保障の面で考えますと、エネルギーのベストバランスが大事ですが、そもそも、風力発電が日本の風土に合っているのかについて疑問があります。
建て替えをするに当たり、長期的な影響が事業実施前と比較できなければ、建て替えていいのか、正しい判断ができないと考えます。参考人からも同様の回答を複数得ております。現行の事後調査制度は、報告書提出を原則一回とするのみで、継続的な環境影響モニタリングを想定しておらず、事後調査や評価が義務化されていません。
そこで、二点お尋ねいたします。
まず一点目、今後は、風車設置後に実際に起こる環境影響や環境保全措置の有効性までを含めた事後調査制度の法制化を急速に整備するべきだと考えますが、いかがでしょうか。そして、二点目、事後調査の結果を将来環境アセスメントに反映し、改善可能な制度設計に転換するべきであると思いますが、この二点について、大臣の御見解をお伺いいたします。
そして、大変恐縮なのですが、時間の関係上、端的にお答えいただけますと幸いでございます。
○浅尾国務大臣 環境影響評価制度では、対象事業に係る工事が完了した段階で、当該工事の実施に当たって講じた環境保全措置の効果等を記載した報告書を作成するとともに、必要に応じて、工作物の稼働中についても、事後調査や環境保全措置の結果等を公表することを求めております。
加えて、発電所事業については、準備書に対して述べる環境大臣意見において、必要に応じ、継続的に事後調査を実施することや、発電所の稼働による重大な環境影響が認められた場合には稼働制限等を含めた追加的な環境保全措置を講ずること等を求めております。
こうした制度の運用を通じて、発電所の稼働によって生じる環境影響についても、適切に回避、低減されるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○北野委員 ありがとうございます。
その事業が長期的に見て影響があったかどうかについては、事業実施前と比較しなければ分からない部分が大変多くあると思います。自然環境、生物多様性の損失をできる限り防ぐために早急に法制化しなければいけないと思いますので、前向きな御検討をいただければと思います。
次の質問に移らせていただきます。
現在、離島や山地が風力発電事業の投資対象になっております。事業主体の実態の見えないまま進む再エネ計画が全国的に拡大しております。風力発電や太陽光発電において、外国事業者が土地買収をして推進している事業計画が広がっております。例えば、登記上は国内企業であっても、実際の出資者は誰かは開示されておらず、自治体や住民が全容を把握できないまま計画が進んでいる例も散見されております。
エネルギー事業は国家の基幹インフラであり、誰が主体的に支配しているかを可視化しなければ、エネルギー安全保障の土台が揺らいでしまいます。
現行のアセス図書には、事業者情報は、法人の名称、代表者の氏名、主たる事業者の所在地しか記載されておりません。アセス図書の中に詳しい事業者情報がなければ、事業者が信頼できるものなのかどうか、環境保全措置が継続的に実施されるかどうかを住民や自治体は判断することができません。
そこで、環境評価手続において、三点御提案させていただきたいと思います。
まず、事業者の法人格、役員構成、経営体制、そして株式三%以上保有者の一覧の提出を法的に義務化すること。そして二つ目、事業譲渡、変更時の再審査、届出を義務化すること。そして二つ目、一定基準未満のガバナンス、資本の信頼性を持たない事業体の参入を制限すること。以上三点が環境評価手続においても必要だと考えます。
これまでの事業者の主体性に任せる運用は、もう既に限界が来ているのではないでしょうか。この私の御提案の三点を踏まえて、大臣にお伺いいたします。
エネルギー安全保障はもちろん、環境保全の観点から、事業者を管轄する官庁だけではなく、環境省として責任を明確にするためにも、詳細な事業者情報を把握する必要性の有無について、こちらも大変恐縮ですが、端的にお答えいただけますと幸いでございます。
○浅尾国務大臣 環境影響評価法は、お尋ねのエネルギー安全保障を目的としたものでは必ずしもございませんが、土地の形状変更や工作物の設置等の行為について、環境の保全に係る適切な配慮がなされることを確保するための手続を定めたものでございます。
発電所事業については、電気事業法上、環境影響評価書に記載されているところにより事業を実施し、環境の保全についての適正な配慮をして当該事業に係る発電用電気工作物を維持し、及び運用しなければならない義務を事業者に対し課しているところであります。
このように、土地の形状変更や工作物の設置等の行為が環境保全の観点から適切に実施されることが法律上担保されていることから、御指摘のような、詳細な事業者情報を環境影響評価手続の過程で把握することなく事業に係る適正な環境配慮を確保することができると考えており、環境省としては、引き続き、こうした環境影響評価制度の着実な運用に努めてまいりたいと考えております。
○北野委員 ありがとうございます。
事業者が法律にのっとって運用したとしても、実際の現場との乖離があってはならないと考えております。実際に事業を実施してどうだったのか、事後的に近隣住民に意見を聞いていくことが必要だと考えております。事業者の権利も大切なんですけれども、環境から恵みを受ける国民の福祉も大切だと私は考えております。そのために、我々、国民の知る権利、国民主権の重要性を踏まえた法制度を検討していただきたいということを強く要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
現在、一部報道によりますと、長崎県佐世保市宇久島で、島の面積の約四分の一を占める世界最大級のメガソーラーと風力発電の二つの再エネ事業計画が進められております。風力発電は、宇久島と隣の寺島に合計二十六基を設置するものということです。
その中でも出力の最も大きいもののサイズを調べましたところ、高さが八十五メートルありまして、旋回直径が百十七メートルあるんですね。百十七メートルといいますとどれくらいか、ちょっと皆さん御想像がつかないと思いますので、私、調べました。関西圏でいいますと奈良の大仏、有名でございます、高さ十五メートルで、これが約八個分の高さです。関東圏でいいますと、茨城県の牛久大仏が百二十メートルなんですよ。そうすると、この百十七メートルの旋回直径は、牛久大仏が回っているんですよ。これは大変怖いことじゃないですかね。秋田県でも死亡事故があったんですよ、ブレードが落ちて。こういった恐ろしいことがある中において今回の事業を進められることを大変に疑問に思っております。
この事業なんですけれども、平成二十六年環境影響評価書の準備段階におきまして、経産大臣の勧告を受けて止まっておりましたが、令和七年三月に突然、風力発電事業の説明会が開催されました。この事業は住民団体から反対の要望書が提出されており、住民からの理解は得られているとは言い難い状況です。
また、三重県の松阪市では、国定公園やそれに隣接した森林地帯に六十基の大型風車が計画されましたが、令和四年に市議会で住民の反対意見の請願書が採択されておりまして、事業者と住民との間であつれきが生じております。
この二つに共通するものは、住民の理解や意見が反映されないまま事業が進められてしまっているということでございます。
私たち参政党は、再生可能エネルギーそのものに反対しているわけではありません。エネルギー自給という観点で見ますと、エネルギーを輸入に頼り過ぎることというのは大変リスクであり、日本の環境に負荷を与えない再生可能エネルギーであれば日本の電力を賄うために必要だと考えています。
ですが、今回の計画、環境に過度な負担が生じておりますし、国民の声が実質的に反映されておりません。事業者の資本関係も正確に把握できないような状態で、何か重大な問題が起こったとしても責任の所在もはっきりしていないと感じております。これでは参加しても無意味だと国民は感じてしまいます。
一方、アメリカの国家環境政策法では、評価書は約四十五日間のパブリックレビューに付され、行政機関は全ての意見に対して対応方針を文書で記録し、最終判断に反映します。これこそが住民参加のあるべき形ではないでしょうか。環境配慮の実効性確保の点からも、私は日本にこそこの制度が必要だと感じております。
そこで、大臣に二点お伺いいたします。
事業立地を進める早期の段階から住民参加を行うため、日本でもアメリカ並みの実質的パブリックレビュー制度の法制化に向けて、環境評価制度を根幹から強化すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。また、住民への対応が不誠実で、環境アセス手続にも違反している場合、事業の許認可の影響とは別に、厳しい罰則等も設ける必要があると思いますが、いかがでしょうか。大臣の見解をお聞かせください。
○浅尾国務大臣 お答えいたします。
事業計画の段階から地域住民等が参加し意見することができる機会を確保することは、環境保全の観点から重要であります。
事業計画の立案段階を対象とした配慮書手続においては、事業者は、配慮書について、関係する行政機関及び一般の方々の意見を求めるように努めなければならないこととしております。
近年、手続件数の多い陸上風力発電事業を例に申し上げれば、二〇二四年三月時点において、九九・七%の事業が配慮書手続において意見聴取手続を実施しております。
また、御指摘の住民意見への対応については、環境影響評価法では、環境影響評価図書に対し、関係行政機関や一般の方々から意見の提出があった場合には、事業者は、後続の手続において作成する環境影響評価図書に、当該意見の概要及び意見についての事業者の見解を記載することとされております。
環境大臣は、これらの意見や事業者の見解も確認しつつ、事業者による環境影響の調査が不十分である場合等には追加調査や地域住民への丁寧な説明を求める意見を述べるなど、現行制度の適切な運用に努めることにより、適正な環境配慮を確保していくこととなっております。
○北野委員 ありがとうございます。もうお時間が来てしまいましたので。
再エネは、目的ではなく手段でございます。再エネの名の下に国土が壊されてしまって、地域が分断されています。是非、日本の豊かな、重要で大切な環境と、日本の自立のエネルギーを環境省としても守っていければと思います。
本日はありがとうございました。
○近藤委員長 次に、竹上裕子さん。
○竹上委員 日本保守党、竹上裕子でございます。
参考人質疑に引き続き、お時間をいただき、ありがとうございます。幾つか重なるところはございますが、重要な内容でもありますので、お聞かせいただきたいと思います。
まず、再エネ施設の導入が各地で紛争、そして迷惑施設化という状況が指摘されております。
そこで、まず、環境省としてこのような実態をどのように把握しているか、お伺いしたいと思います。お願いいたします。
○土居政府参考人 お答えいたします。
例えば、北海道の釧路湿原周辺や熊本県の阿蘇地域におきまして、大規模な太陽光発電の開発に伴いまして、景観や環境への影響などに関する地域の懸念が顕在化している事例があるというふうに承知しております。
また、再エネ施設の設置に関しまして、地方公共団体の中には、条例により規制的措置を導入している事例もあると承知しております。
環境省といたしましては、こうした地域の懸念も踏まえ、引き続き、関係省庁や地方公共団体と連携をし、地域と共生した再エネの最大限の導入に取り組んでまいりたいと考えております。
○竹上委員 ありがとうございます。
ということは、今回の改正によると、地域住民の方からの大きな反対、反対が大きい施設であっても、同種の工作物を同一地域に建設する場合、配慮書に既存事業の環境への影響の調査結果を踏まえた環境配慮の内容を記載することで、事業実施区域の調査を不要とすることとしています。
この既存事業の調査結果を事業者自らが評価して、建て替えの際の配慮書に記載することになると思いますが、事業者任せにせず、適正な環境配慮を確保する観点から、第三者によるチェックが必要ではないかと思います。環境省の見解を伺います。
また、政府は、事業者自らによる環境配慮の内容が適切でない場合は環境大臣が意見を出すとのことですが、環境大臣がその意見を出すに当たっては、先ほどもお答えはいただいているんですけれども、各分野の専門家から意見を聞いてというようなことではあるんですが、環境省として、どのような資料、それから調査に基づき意見を出すことをお考えでしょうか。特に、地域の住民の方からの反対はどのように考慮されるのか、お教えいただきたいと思います。
○秦政府参考人 お答えいたします。
今回の法改正により、建て替え事業の実施に当たりまして、事業者が配慮書に記載することとなる環境配慮の方針に対しましては、国がその内容を審査をし、環境保全の見地から意見を述べてまいります。
その際には、環境省の地方環境事務所、その下に更に自然保護官事務所とかあったりするんですけれども、こういった職員あるいは地方公共団体からの情報提供、こういったものの結果も踏まえまして、配慮書の内容を審査していくことになるかと思います。
また、事業者が配慮書を作成した際には、関係する地方公共団体や一般公衆、これは地域住民も含みますけれども、に対しまして、環境保全の見地から意見聴取に努めなければならないということになってございます。意見が提出された場合には、以降の手続において、当該意見に対する事業者としての見解、これを示す必要がございます。
こうした配慮書手続における地方公共団体や一般からの意見の聴取の結果も踏まえまして、その後、環境影響評価の結果を取りまとめた準備書、評価書が作成されることになってまいります。これらを適切に審査の上、環境大臣が必要な意見を述べることにより、制度全体を通じまして、地域の意見を踏まえた環境配慮の確保が可能になっていくと考えてございます。
○竹上委員 評価書の重要性、それから配慮書の重要性がよく分かりました。それに基づいて意見を出すということになるわけですね。
続きまして、現在、釧路や阿蘇などに見られるように、住宅地からは離れているように見えても、国立公園等の境界や隣接する山間部にソーラーパネルが乱立しております。こうしたソーラーパネルの乱立については、私は、現在のアセス法が出力規模で対象事業を絞り込んでいることが原因の一つではないかと考えております。対象要件を出力規模で絞り込むことは、要件としては分かりやすいというメリットがある一方で、その基準以下に事業を設定してアセスをしなくても済むという、アセス逃れを引き起こすことにもつながりかねません。
先日の参考人質疑において、私の方から参考人の大塚教授、村山教授に対し、景観要件などもアセス対象として絞り込みの基準として設ける必要性についてお伺いしましたところ、景観を要件として一律の形で決めることは難しいのではないかという御意見もありました。ゾーニングの際に、景観を保護するため、パネルの見える角度を考慮した事例があるということも伺いました。
そこで、環境省は、太陽光発電や風力発電の対象要件を出力規模で決定することについてどのように考えていらっしゃるのか、もし法の対象事業の要件として定めた出力規模を下回る事業についても法の適用が可能となるような仕組みにする場合、どのような要件が考えられるのか、お伺いしたいと思います。
○秦政府参考人 お答えいたします。
我が国の環境影響評価制度におきましては、規模の大きいものについては法律で、それを下回るようなものについては地方公共団体の判断に応じて条例により手続が義務づけられるということによりまして、国と自治体が一体となって環境配慮を確保する、こういった仕組みとなってございます。
一方で、それを下回るような事業につきましては、これは、環境影響評価制度のみならず、様々な制度があると考えています。例えば、太陽光発電や風力発電の実施に当たりましては、例えば、森林法ですとか農地法ですとか、あるいは都市計画法ですとか様々な個別法、あるいは地域の実情に応じて策定されるような条例、こういったものに基づきまして、地域の実情に応じた必要な立地規制等も行われる、あるいは行われていくということかと考えております。
こうした様々な取組を通じまして、再エネ導入に当たっての環境配慮とそれから地域理解の増進に努めてまいりたいと考えてございます。
○竹上委員 残念ながら時間となってしまいましたので、自治体の条例頼みではない、国の積極的な取組をお願いしていきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○近藤委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
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○近藤委員長 この際、本案に対し、齋藤裕喜さんから、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。齋藤裕喜さん。
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環境影響評価法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○齋藤(裕)委員 ただいま議題となりました環境影響評価法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
環境影響評価法については、平成二十三年の前回改正時に、「改正法の実施例を検証した上で、東日本大震災の被害状況もかんがみ、環境基本法の見直しも含め、より上位の施策の策定又は変更の立案の段階における戦略的環境影響評価の制度化に向けた検討を行うこと。」として、いわゆる戦略的環境影響評価の制度化に向けた附帯決議が付されておりました。
その後、平成二十三年度から、より上位の計画や政策の策定段階における環境影響評価制度について整理、検討が行われ、平成二十七年一月の時点では、同様の制度が導入されている他国の運用実態や平成二十五年四月に導入された配慮書手続の施行状況等について調査が進められており、これらを踏まえ、我が国における制度化に向けた検討を引き続き進めていく予定であるとされておりました。
しかしながら、それから十年が経過しましたが、今回の政府提出法案に戦略的環境影響評価に関する措置は設けられておりません。国内では、法アセスの対象ではありませんが、神宮外苑開発をめぐり、住民協議や情報公開の不十分さなどが注目を集めました。また、北海道の事業では、絶滅危惧種の猛禽類を含むバードストライクがアセスの評価以上に多く報告されるなど、現行の環境アセスメント制度が十分に機能していない事例が見受けられます。特に、風力発電事業は再生可能エネルギーの中でも今後拡大が期待される事業であるため、環境に配慮できず、住民の理解が得られないようでは、気候変動対策の停滞につながりかねません。
加えて、政府提出法案では、改正後の規定に関する検討の時期について、この法律の施行後十年を経過した場合とされておりますが、これでは、環境政策を含めた内外の社会情勢の変化を踏まえて、不断に環境影響評価制度全般の見直しを行い、適宜適切に制度の改善を図ることは困難です。
以上のような状況を踏まえ、本修正案を提出する次第であります。
次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。
第一に、戦略的環境影響評価に関する措置といたしまして、政府は、この法律の公布後速やかに、環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業であってその計画の立案の段階から実施までの段階にあるものに関し、その事業が環境に及ぼす影響をできる限り早期に把握することが重要であることを踏まえ、その影響の調査、予測又は評価の在り方について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとするとの規定を附則に盛り込むこととしております。
第二に、改正後の規定に関する検討の時期について、この法律の施行後十年を経過した場合から、五年を経過した場合に短縮することとしております。
以上が、本修正案の趣旨及びその内容であります。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○近藤委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○近藤委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、環境影響評価法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、齋藤裕喜さん提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○近藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、平口洋さん外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党、参政党及び日本保守党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。川原田英世さん。
○川原田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。
環境影響評価法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 本法成立後、建替えの要件を政令で定めるに当たっては、環境負荷の低減と環境影響評価手続の合理化がともに実現できる基準を定めるとともに、当該政令の適用に当たっては、ガイドラインを作成するなど、建替事業実施後の新設工作物に関して、確実に環境負荷の低減が確保されるよう事業者への周知に努めること。また、適正な環境配慮を行っている事業者に向けては、建替事業の際の環境影響評価項目の絞り込み等更なる手続の合理化を図ること。
二 環境影響評価手続において事業者等が作成する図書について、国が保有するデータベースへの統合も視野に入れ、国民や他の事業者等が有用な情報を十分に利活用できる方策を検討すること。また、今後の事業による環境影響の低減に資するため、国において、当該図書についての分析を進めること。
三 風力発電及び太陽光発電は、環境影響の程度が規模ではなく立地に依拠する場合があることを踏まえ、小規模な風力発電及び太陽光発電についても適正な環境配慮が確保される施策を早期に検討し、所要の措置を講ずること。また、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく促進区域制度を活用するとともに、環境を保全する地域を設定するなど、環境への影響が小さいとされる適地へ事業を誘導していくため、ゾーニングの実施に係る課題を抽出し、地方自治体の取組を支援すること。
四 環境影響評価制度をはじめとする対話プロセスを通じて、早期の段階より地域住民等からの不安や懸念の声に真摯に応えるとともに、多様な意見の尊重に努めるよう事業者等への周知を十分に行うこと。
五 特定の地域に複数の事業が集中することによる累積的な影響評価について、標準的な手法が定まっていない現状に鑑み、統一的な基準となるガイドライン策定のための調査を開始し、早急に策定すること。
六 現行法の環境保全措置の実施状況の報告にとどまらず、事業開始後に顕在化した環境影響が確認された場合には、事業計画や環境保全措置の見直し・変更を促す仕組みを早急に検討すること。
七 諸外国等で実施されている、個別事業の計画・実施の枠組みを与えることになる上位の計画や政策の検討段階における戦略的環境影響評価の導入に向け、具体的な検討を早急に開始すること。
八 事業内容に変更等があった場合に事業者による環境配慮手続を再実施すること等を確実に担保するための方策や、法対象規模を下回る事業に係る効果的かつ効率的な環境配慮の確保等について速やかに措置する必要性に鑑み、本法附則第四条に基づく検討時期を待つことなく不断に見直しを行い、必要な措置を講ずること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○近藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○近藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。浅尾環境大臣。
○浅尾国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ努力してまいる所存でございます。
―――――――――――――
○近藤委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十分散会