第12号 令和8年5月29日(金曜日)
令和八年五月二十九日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 宮路 拓馬君
理事 五十嵐 清君 理事 石原 正敬君
理事 大岡 敏孝君 理事 勝俣 孝明君
理事 西野 太亮君 理事 輿水 恵一君
理事 池下 卓君 理事 向山 好一君
石坂 太君 井原 隆君
衛藤 博昭君 長田紘一郎君
門 寛子君 小寺 裕雄君
今 洋佑君 世古万美子君
俵田 祐児君 土屋 品子君
とかしきなおみ君 中川こういち君
長野 春信君 丸田康一郎君
森下 千里君 金子 恵美君
西園 勝秀君 柏倉 祐司君
鍋島 勢理君 伊藤 恵介君
緒方林太郎君 渡辺真太朗君
…………………………………
環境大臣 石原 宏高君
環境副大臣 青山 繁晴君
環境副大臣 辻 清人君
環境大臣政務官 森下 千里君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 西崎 寿美君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 古田 裕志君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 堀上 勝君
環境委員会専門員 鈴木 努君
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委員の異動
五月二十九日
辞任 補欠選任
丸尾なつ子君 石坂 太君
島村かおる君 伊藤 恵介君
同日
辞任 補欠選任
石坂 太君 門 寛子君
伊藤 恵介君 島村かおる君
同日
辞任 補欠選任
門 寛子君 丸尾なつ子君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
南極地域の環境の保護に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)(参議院送付)
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○宮路委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、南極地域の環境の保護に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官西崎寿美君外二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○宮路委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。今洋佑君。
○今委員 皆様、おはようございます。自由民主党の今洋佑でございます。
本日、初めての国会質問をさせていただきます。委員長、それから理事の皆様、委員の皆様、このような機会をいただきましたこと、まずは心よりお礼を申し上げます。
では、時間も限られていますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、総論について大臣にお伺いしたいと思います。
大臣とは実は会館の部屋が隣ということで、初日に御挨拶に行きましたら、頑張ってねと言って爽やかに励ましをいただいて、もうすっかり大臣のファンになっている私なんですけれども、このような機会、光栄でございます。
今回のこの法改正については、南極条約議定書の附属書6の締結に向けて必要な法改正ということなんですけれども、この議定書の附属書自体は以前からあったという中で、なぜこのタイミングにおいて批准それから法整備を進めるに至ったのか、その背景、意義について、大臣からお話を頂戴したいと思います。
○石原国務大臣 おはようございます。
今委員の御質問にお答え申し上げます。
近年、南極地域における観光活動が活発化しており、これに伴い環境上の緊急事態が発生するリスクが高まっております。こうした中で、環境上の緊急事態が起こった場合の責任を定める附属書6の発効は、南極地域の環境保護のために重要性が増しているというふうに考えております。
また、各国においても附属書6の締結が進んでおり、発効に向けた機運が高まっているところであります。
我が国も附属書6を早期に締結することで、発効に近づけるべく、今回、法案の提出に至ったものであります。
附属書6の早期発効を実現し、環境上の緊急事態への我が国や関係国の対応に万全を期し、南極地域の環境保全に貢献することが、本法案の提出の理由であります。
○今委員 ありがとうございます。
では、法律案の具体的な内容について政府参考人の方にお伺いをさせていただきます。
まず、新たに、南極大陸への上陸を伴わない観光船、それから科学的調査船、この二つが南極での活動としての対象に追加されたということなんですけれども、なぜこの二つに絞ったのか、あるいは、なぜこの二つを選んだのかということについて教えてください。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
南極地域における観光活動の活発化を受けまして、附属書6では、南極地域に入る全ての観光船を適用対象とすることが明記されております。このため、附属書6の義務を負わせることを前提として、南極地域活動を行う観光船は全て法に基づく環境大臣の事前確認の対象とすることといたしました。
また、科学的調査船につきましても、事故の発生リスクという点では、南極大陸への上陸を伴うものも伴わないものも同様であるということから、今回、事前確認の対象とすることとしたものでございます。
○今委員 ありがとうございます。
この二つの活動が入った上で、実際に、環境上の緊急事態から生じる責任ということで、緊急事態が発生した場合には、まず主宰者、実際の運航者とかが対応する、これができなかった場合に日本の環境大臣、そして、またその先には他の締約国、それが難しければということで、段階においてスキームができていると理解していますが、南極はすごく日本からも離れていて、また過酷な環境でございます。このような仕組み、他国のをいろいろ参考にしながらつくられたと思うんですが、実際に機能するのかどうか、この辺りについてお見立てを教えてください。
○堀上政府参考人 まず、本法案のスキームでございますけれども、環境上の緊急事態が発生した場合に、南極地域活動を取りまとめる主宰者に対して、迅速かつ効果的な対応措置を取ることを義務づけているというところでございます。
原則として、環境上の緊急事態を生じさせた主宰者自身に対応措置を取らせるということが重要であると考えておりますけれども、その上で、主宰者が対応措置を取らない場合には、附属書6の内容を踏まえて、主宰者の締約国としての環境大臣及びほかの締約国が主宰者に代わって対応措置を取るということを想定した制度になっています。
対応措置につきましては、附属書6において、「合理的な措置であって、当該環境上の緊急事態の影響を回避し、最小にし、又は封じ込めるもの」とされておりまして、また、浄化も含むということになっています。
その具体的な対応措置としましては、例えば、沿岸域で発生した船舶の油流出事故により環境上の緊急事態が生じた場合であれば、オイルフェンスを張ることによって油の拡散の防止、燃料タンクからの油の抜取り、排出された油の回収や処理、それから海岸の清掃ということが考えられます。
環境大臣が対応措置を取る場合には、必要に応じて、民間のサルベージ会社と契約を行って、専門の設備と備品を備えた船舶と作業員が南極地域に出向いて、油の回収作業等を実施することも想定されています。
また、環境上の緊急事態が発生した場合、その内容を南極条約事務局に速やかに通報することとしておりまして、通報の結果によって、ほかの締約国が対応措置を取る、そういうことを希望した場合に、我が国としてもこれを受け入れる場合には、当該締約国による対応措置が円滑に取られるように、関係省庁と連携して調整に努めていきたいと考えてございます。
○今委員 ありがとうございます。
この法律を作るということで、しっかりと御対応いただければと思っております。
では、これに関連しまして、二つほどまた質問をしたいと思います。
まずは、南極の生態系の保全についてです。
この法律案、元々の目的のところにも環境を保全してということが書いてありまして、非常に重要な論点だと思っております。
報道等で私が見たところでは、先般、広島で、五月十一日から南極条約協議国会議が開催されたということで、こちらに辻副大臣が御出席されたということで、大変お疲れさまでございました。
その中で、様々な論点があったと思うんですけれども、生態系という意味では、コウテイペンギンの保護、この論点が出てきたということで、ほぼ全ての国が、コウテイペンギンを守るために特別保護種に指定するという御意向があったようですけれども、ごく一部の国、報道では中国とかロシアという名前が出ていますけれども、全会一致でなければできないというところで、どうしても進めるのが難しい状況だったということを見ました。
やはり、南極の生態系保全のためには、国際協調を進めつつ、しっかりと日本もリーダーシップを取っていくということが肝要かなと考えますけれども、その辺り、辻副大臣のお考えを是非お聞かせください。
○辻副大臣 お答えします。
過日、三十二年ぶりに我が国で、広島で開催されたATCMの条約会議に私も環境省を代表して出席させていただきましたが、御指摘のとおり、コウテイペンギン、今絶滅が危惧をされている状況でございまして、優先して保護する重要性について議論されました。
我が国を含む多くの国がコウテイペンギンを特別保護種に指定することを支持しましたが、委員が御指摘された国々が特別保護種への指定に反対しました。
今回、特別保護種の指定の合意に至らなかったことは大変残念でありますが、我が国としては、引き続き、特別保護種の指定に向けた合意形成の議論を積極的に主導しまして、南極地域における生態系の保護に関する取組に貢献してまいりたいと考えております。
○今委員 力強いお言葉、ありがとうございます。
日本は南極条約のオリジナルメンバーだとも承知しておりまして、しっかりと、政府、それから政治も一丸となってやっていくべき課題だと私も認識しております。
続きまして、今日、文科省の古田審議官にお越しいただいているんですけれども、文部科学省にお伺いしたいと思っております。
今回、科学的調査船が対象に入りましたけれども、南極での調査研究活動というのは、もちろん南極自体の調査研究は大事なんですけれども、それにとどまらず、地球規模の気候変動の解明、それは、例えば日本の暮らしにも反映してくる。私の地元、福井県ですけれども、豪雪の被害が年々ひどくなっておりますし、農林水産業でも、例えばお米の取り分が悪くなったりとか海面の温度上昇とか、問題がございます。
こういう中で、南極の調査研究を進めていくということが、地域の課題についてもメリットがあるということもあるのかなと思いますけれども、改めて、南極調査研究の意義について御説明いただければありがたいと思います。
○古田政府参考人 お答えいたします。
我が国の南極地域観測事業は、長期的かつ継続的な観測データの蓄積により、地球規模の環境変動の解明や将来予測に不可欠な基盤の提供につながっていることから、我が国としてこれに取り組むことは重要な意義を有するものと認識しております。
具体的に、南極地域観測で得られる知見は、委員の御指摘のとおり、極域の変化が全球の大気、海洋循環を通じて我が国の気候に影響を及ぼす仕組みの解明や、将来の気候変動予測の精度向上につながるものでありまして、農業、漁業への影響や海面上昇による社会インフラへの影響など、国民生活に直結する課題への対応に資するものであります。
文部科学省としましても、引き続き各国と共同しながら、南極地域観測事業の推進に着実に取り組んでまいりたいと考えております。
○今委員 ありがとうございます。
私も南極議連に入らせていただいておりまして、その中で、先般、総会は行けなかったんですけれども、極地研の先生方が私の部屋に来てくださって教えていただいた中でも、やはり、南極で分からないことはまだまだあるんだけれども、それを解明していくことによって、すごく人類の将来を左右するようなことも分かるし、やはり、日本が昭和基地を中心にやってきたその積み重ねというのが、すごく先端的なところもあって、これはしっかり続けていかなきゃいけないということを聞きまして、私もそのとおりだなということを強く思いました。
こういう法整備あるいは条約の整備を通じて、日本を始めとして各国がそれを進められる環境を整えるということも一つ重要かなということを強く思った次第でありまして、今日の、今の文科省からのお話もすごく力強く思いました。私も、一議員としてしっかりと後押ししていきたいと思っております。
時間がそろそろあれなので最後なんですけれども、このように、今回、法改正自体は、汚染の手当てをどうするかとかそういう話のポイントですけれども、全体として、南極条約を基盤としました活動全体というのがますます重要になってくるということを思っております。その中で、日本が担うべき役割も大きくなってくると思います。
改めて大臣にお伺いするのもちょっと恐縮かもしれないんですけれども、御決意といいましょうか、環境省として進めていく上でのお気持ちを、是非最後にお聞かせいただきたいと思います。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
今回の改正により、南極地域の環境に重大かつ有害な影響を与える環境上の緊急事態の発生を未然に防止するとともに、また、万が一環境上の緊急事態が発生した場合でも対応措置を迅速に取らせることができるようになります。
先日開催された第四十八回南極条約協議国会議においても、辻副大臣を始め環境省から、附属書6の締結に向け国内手続を進めていることを各国とともに共有して、未締結国に対して早期締結を呼びかけたところであります。
南極地域は、人類の活動による破壊や汚染の影響を僅かにしか受けていない、地球上に残された最大の原生地域であります。
今回の法改正案や未締結国への継続的な働きかけを通じて、こうしたかけがえのない南極地域の環境保全にしっかりと環境省として貢献してまいりたいというふうに思います。
○今委員 お言葉をいただきまして、ありがとうございます。
私も、地元とかを回っていても、南極という問題が出ることはなかなか、言葉としてもないですし、多分、こういう議論を見ていただいても、すごく遠い世界の話という有権者の方が多いかなと思うんですが、実際にはすごく、人類あるいは地域の暮らし、全てに関わってくるということを私自身もしっかりとお伝えしながら、この取組が前に進むようにやっていきたいということをお誓い申し上げて、ちょっと時間が余っておりますが、今日は質問を終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。
○宮路委員長 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 おはようございます。中道改革連合の輿水恵一でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、心より感謝を申し上げます。
本日は、南極地域の環境の保護に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。
南極地域は、人類共通の財産ともいうべき貴重な自然環境を有しております。これまで、南極条約体制の下で、南極の平和的利用、また科学的調査、また調査の自由、さらに国際協力、そして環境保護が進められてきたことは、国際社会における大きな実績であると考えます。
一方で、近年、南極の観光や船舶による活動が増加して、上陸を伴わない観光船や調査船による南極海域での活動も広がっていると伺っております。万が一、船舶の座礁や油流出事故などが発生すれば、南極の生態系に重大かつ長期的な影響を及ぼしかねません。
今回の法改正は、環境保護に関する南極条約議定書の附属書6、すなわち環境上の緊急事態から生ずる責任に関する附属書の締結に向け、国内法上の担保措置をしっかり整えるものであると承知しております。具体的には、南極地域活動により環境上の緊急事態が発生した場合に、活動の主宰者に対して通報や応急措置、また対応措置を義務づけるとともに、必要な費用負担の仕組みを整えるものと理解しております。当然、南極という極めて厳しい環境下では、事故が起きてから対応するのではなく、事故の予防や対策など事前の確認は大前提であると思います。
そこで、石原環境大臣に伺います。
今回の法改正を通じて、我が国は南極条約体制の下でどのような責任を果たそうとしているのか、今後、南極環境保護について我が国としてどのように取り組んでいくのか、大臣の基本認識をお聞かせください。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
南極条約体制の下、一九九一年に環境保護に関する南極条約議定書が採択をされました。我が国では、一九九七年に南極環境保護法を制定し、この議定書及び附属書1から5を実施する責任を果たしてきたところであります。
他方、南極において環境上の緊急事態が起こった場合の責任を定める附属書6については、現時点では我が国は未締結の状況にあります。
このため、本改正法案により国内担保措置を整備することで、附属書6を締結し、実施する責任を果たすことができることになります。
具体的には、本改正法案では、緊急事態の防止措置と緊急時計画の作成、南極地域活動により環境上の緊急事態が生じた場合には、その活動の主宰者に対応措置の実施を義務づける等の措置を講じます。
これにより、南極地域の環境に重大かつ有害な影響を与える環境上の緊急事態の発生を未然に防止するとともに、万が一環境上の緊急事態が発生した場合でも対応措置が迅速に取らせることができることとなります。
今月広島で開催された南極条約協議国会議において、辻副大臣から未締結国に対して、附属書6の早期締結の呼びかけをいたしました。また、附属書6の早期発効の必要性についても、他の協議国と認識を共有してきたところであります。
今後も、引き続き、法に基づく南極地域での活動の事前確認制度の丁寧な運用、また協議国会議での環境保全に関する議論への積極的な参加、附属書6の未締結国への早期締結の呼びかけ等を通じて、国際的にも評価が高い南極地域の原生的な自然環境の保護に一層貢献をしてまいります。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
これから更に南極の方に貢献をお願いしたいと思います。
次に、南極地域における環境保全の具体的な仕組みについて伺います。
南極条約の環境保護議定書及びその附属書では、南極地域の特別な価値を守るため、地域の保護、管理、また環境影響評価、さらに動植物の保護、また廃棄物管理、また海洋汚染防止など、幅広い規律が設けられているところでございます。
この附属書5では、環境上、科学上、また歴史上、また原生地域として顕著な価値を有する地域などを南極特別保護地区として指定し、立入りや活動に厳格な制限を設けていると伺っております。また、附属書1では、南極で行われる活動について事前に環境影響評価を行うことが求められております。
そこで、伺います。
南極の特別な保護が必要な地域とは、具体的にどのような地域であり、どのように保護がなされるのか、また、南極地域における活動の環境影響評価について、どのような基準や手順に基づいて評価されているのか、具体的にお聞かせください。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、環境保護議定書附属書5では、環境上、科学上、歴史上、芸術上の、又は原生地域としての顕著な価値を有する地区として指定される地区を南極特別保護地区としておりまして、これまでに八十四の特別保護地区の指定について南極条約協議国会議で採択されてまいりました。
南極特別保護地区が指定されている場所には、例えば、ペンギンや海鳥の大規模な繁殖地、それから湖沼、湿地又はコケ類などを含む淡水生態系、そういったものがございます。
また、南極特別保護地区への立入りにつきましては、南極環境保護法に基づき、地区ごとに定める要件に該当する場合に限り可能とされておりまして、厳格な保護を図っているところでございます。
さらに、南極特別保護地区以外で行われる活動につきましても、行おうとする南極地域活動の内容や場所について環境大臣が事前に確認をし、確認を受けた南極地域活動以外は行ってはならないということとしています。その際、例えば、南極地域の生物相を保護するため、生きている生物を南極地域に持ち込まないものであること、哺乳類や鳥類の捕獲は科学的調査のために行われるものに限るものであることなど、それらを確認の要件としておりまして、環境に対する著しい影響が生じないように保護を図っているところでございます。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
次に、南極の動物や植物の保護について伺いたいと思います。
南極地域には、ペンギン、アザラシなど、厳しい自然環境に適応した生物が生息をしております。また、南極の陸上では、今御紹介いただきましたが、植物の種類は限られているものの、コケ類や藻類などが生育しており、極めて繊細な生態系を形成しているところでございます。
近年、気候変動による氷床の減少、また海水温の上昇、餌となるオキアミの分布変化、また、先ほど来ございました、観光や船舶活動の増加などが南極生態系に影響を与えていると指摘をされているところでございます。
そこで、伺います。
この南極地域には、どのような動植物が生育しており、特に保護が必要とされる種にはどのようなものがあるのか、また、それらの種が直面している主な脅威は、気候変動、観光、船舶活動、外来種、感染症など、どのような要因によるものなのか、当局の認識をお聞かせください。
○堀上政府参考人 南極地域の海域や沿岸域には、コウテイペンギン、アデリーペンギンなどのペンギン類、それからウェッデルアザラシ、ロスアザラシなどのアザラシ類などが生息しています。
また、委員も御指摘いただきましたけれども、植物も生育しておりまして、氷に覆われていないような僅かに岩が露出しているような、そういったところで、雪解け水でできた湖の中、あるいはその周りにコケ類などの植物が生育しています。
国際自然保護連合、IUCNが選定するレッドリスト、絶滅のおそれのある生物のリストでございますけれども、ここにおきまして、南極でミナミゾウアザラシ、ナンキョクオットセイ及びコウテイペンギンが絶滅危惧種として位置づけられております。
これらのうち、コウテイペンギンにつきましては、特に繁殖期と羽が生え替わる時期に、海氷の上に、そこで生息しているということで、気候変動の影響によって海氷が減少しますと、生息環境が脅かされる、個体数が減少する、そういうことが懸念されている、そういうことがIUCNの方の指摘でもされているところでありまして、そのほかに、委員御指摘のように、いろいろな要因で危惧されているところがございます。
○輿水委員 分かりました。ありがとうございます。
そして、今年は一九五六年十一月八日に第一次南極地域観測隊が東京を出発して七十年、そういったときを迎えると伺っておりますが、我が国は、このとき以来、一九五七年一月に昭和基地を開設して、長年にわたり南極地域観測を継続をしてまいりました。南極は地球環境の変化を最も鋭敏に映し出す場所の一つであり、長期にわたる様々な観測は、気候変動、生態系、また宇宙科学など、幅広い分野において大変に有意義なものであると思います。
そこで、伺います。
我が国の南極地域観測事業はこれまで国際的にどのような貢献を果たしてきたのか、具体的な成果も含めてお聞かせください。
○古田政府参考人 お答えいたします。
我が国の南極地域観測事業は、委員の御指摘のとおり、オゾンホール発見への貢献や、南極氷床のアイスコア解析による過去の気候変動のメカニズム解明、隕石の採取による惑星物質の形成過程の解明、バイオロギング研究、これは小型記録計を動物に装着して行動データを得る調査研究ですが、こういった動物生態の行動調査など様々な成果を上げております。
また、長年にわたり、地道に継続している高層気象観測や電離層観測などは国際的な観測ネットワークの中で重要な役割を果たしておりまして、天気予報、宇宙天気予報、全球測位衛星システム、GNSSなどに不可欠な基礎データの取得、公開などを通じて広く貢献をしております。
文部科学省としては、引き続き、各国と共同しながら南極地域観測事業の推進に着実に取り組んでまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
まさにオゾンホールの発見で、そのオゾン対策、また紫外線に対するそういった取組が大変大きく進んだ、そういった貢献は大きいものだと思いますし、今御紹介いただきました電離層のそういったデータによって、GPSで誤差が起きたり、いろいろなことが起きることを事前に様々な形でつながっていくことによって、私たちの生活の安全や安心も守られる大変重要な取組であると私も思っております。これからもしっかりと続けていただけると思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、この南極地域観測事業の今後の展望についても伺いたいと思います。
この南極観測を安定的に継続するためには、昭和基地の施設の整備、さらに観測機器の維持、更新、人材の育成、国際連携、そして運送体制の確保等は不可欠であります。とりわけ、南極観測船「しらせ」は昭和基地への人員物資輸送を支える極めて重要な基盤であります。今後、「しらせ」の老朽化や後継船を含めた輸送体制の在り方について、政府全体として早期に検討を進める必要があると考えます。
そこで、伺います。
南極地域観測事業を将来にわたり安定的に継続していくため、観測の計画とか昭和基地の整備、また人材育成、国際連携、そして「しらせ」の後継船を含む輸送体制の確保について、どのような方針で取り組んでいくのか、考えをお聞かせください。
○古田政府参考人 お答えいたします。
我が国の南極地域観測事業は、南極研究に関わる世界の動向を把握、調整しております南極研究科学委員会、SCARの提言等を踏まえ、南極地域観測六か年計画を策定し、確立した観測手法により国際的、社会的要請の高いデータを継続的に取得、公開する基本観測と、南極地域の特徴を生かした独創的、先駆的な研究を行う研究観測を両輪として推進しております。
昭和基地の整備につきましては、老朽化施設の撤去、更新を着実に進めつつ、基地主要部の再整備、新発電棟、宿舎の建設等を通じた機能強化を図るとともに、再生可能エネルギーの導入や廃棄物処理の推進などにより、環境負荷低減にも取り組んでおります。
また、人材育成につきましては、観測隊への大学院生の参加機会の確保や、若手研究者の育成に加え、教員の南極派遣プログラムや、南極教室の実施などを通じて初等中等教育とも連携をし、多様な人材の裾野拡大と継続的な人材育成を図ることとしております。
このような活動を通じて得られました観測データや調査分析結果などは、気候変動に関する政府間パネル、IPCC報告書のエビデンス等としても活用されておりまして、地球規模の気候変動の解明や将来予測に貢献しております。
また、現在運航中の「しらせ」の退役に伴う次期輸送体制につきましては、文部科学省に設置されております南極地域観測統合推進本部の下に委員会を設けまして、文部科学省及び防衛省により「しらせ」の後継船の所有及び運用主体を海洋研究開発機構、JAMSTECにするなどの案を本年四月に提案をしたところでございます。昭和基地への隊員及び物資の輸送は昭和四十年から防衛省が担ってきましたが、海上自衛隊のリソースや氷海航行技術の進展などの状況を踏まえた上で関係省庁とも調整をし今回の提案を行ったところでございまして、今後、同本部において今後の輸送体制の詳細について検討を進めていくことになります。
運用主体が替わっても氷上輸送等に必要な海上自衛隊の派遣等の協力をいただく予定でありまして、技術や知見の継承などをしっかり行い、安全第一で継続できるよう、引き続き関係省庁とも連携し、検討を進めてまいりたいと思います。
○輿水委員 どうもありがとうございます。これからもしっかりと観測事業を進めていただければと思います。
最後に大臣に伺います。
本日の質疑を通して、南極地域では、極めて脆弱な自然環境を守るために厳格な環境保護のルールの下で観測活動や科学研究が行われていること、そして、その積み重ねが気候変動、生態系、地質学、また宇宙科学など様々な分野で国際的に重要な成果につながっていることが確認をできました。
南極は地球環境の変化を映し出す鏡であり、同時に国際協調の象徴でもございます。我が国といたしましては、南極条約体制の下で環境保護と科学的調査の両立を図りながら、国際社会における日本のプレゼンスを高め、観測研究の分野で更なるリーダーシップを発揮していくべきだと考えております。
そこで、我が国の南極地域観測事業を安定的に継続、推進し、南極の環境保護と科学研究の両立を図るため環境省として今後どのように貢献していくのかについて大臣のお考えをお聞かせください。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
南極地域は、厳しい自然環境のため長い間人類が立ち入ることがなかった、そのために人類の活動による破壊や汚染の影響をほとんど受けていない、地球上に残された最大の原生地域であります。
このため、南極地域は、地球環境の状況を正確に反映する、委員が言われたように鏡であるとも言われています。地球環境のモニタリング及び科学的な研究調査の場としてかけがえのない価値を有しています。
環境省としては、南極環境保護法に基づき、南極地域での活動に関する事前確認制度の丁寧な運用に引き続き取り組んでまいります。
また、今回の改正案を通じて附属書6を締結し、協議国会議などの機会を捉え、各国にも締結を促してまいります。
加えて、協議国会議において、観光活動の包括的な管理など、環境保全に関する議論に積極的に参加をしてまいります。
こうした取組により、南極地域の原生的な自然環境を保護することで、そのことによって科学的調査研究との両立を図ってまいりたいというふうに考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。環境省がしっかりと、南極の方、また観測の推進に寄与していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○宮路委員長 次に、池下卓君。
○池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いしたいと思います。
それでは、南極地域の環境の保護に関する法律、いわゆる南極法について質問をさせていただきたいと思うんですが、南極条約の議定書の附属書6に基づいて今回の改正が行われるということを存じておるわけなんですけれども、南極地域での活動により環境上の緊急事態が発生した場合、その主宰者による対応措置の義務づけが今回定められております。
つまり、南極で万が一油の流出などがあった場合には、汚染事故を起こした当事者が責任を持ってお金を出して片づけてくださいということに簡単に言うとなるかと思うんですけれども、今回の改正により、これまで確認手続が不要であった観光船であったりとか科学調査船も規制対象になるということであります。
今回の改正について、先ほど大臣からも御答弁があったんですけれども、答弁で、近年の観光船の増加のためということでもありました。しかしながら、二〇〇五年に採択された附属書6につきましては、今回の改正まで約二十年、非常に長い期間を要しているわけであります。なぜこれほど長期間がかかる必要があったのか、その理由と経過をお伺いしたいと思います。また、加えて、今回の改正、そして狙いで、今回何が変わるのかということにつきまして、大臣の方にお伺いをいたします。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
本法案は、環境保護に関する南極条約議定書附属書6の締結に向けて、南極地域活動により環境上の緊急事態を生じさせた主宰者に対する対応措置の実施の義務づけ等の措置を講ずるものであります。
現行の南極環境保護法に基づく確認制度は、事前の環境影響評価が中心であり、環境上の緊急事態に対応する制度ではありませんでした。今回の改正により、南極地域の環境に重大かつ有害な影響を与える環境上の緊急事態の発生を未然に防止をし、また、万が一環境上の緊急事態が発生した場合でも対応措置を迅速に取らせることができることとなります。これにより、国際的にも評価が高い南極地域の原生的な自然環境を適切に保護することが期待されるところであります。
また、国内担保措置の整備に二十年を要した理由については、附属書6が二〇〇五年に採択されて以降、他の協議国の締結状況や発効の見通し等を踏まえながら、附属書6を円滑に実施するための国内法の整備の検討を行ってきたところであります。
近年、南極地域における観光活動が活発化しており、これに伴い、環境上の緊急事態が発生するリスクも高まっており、また、各国の附属書6の締結が進んでまいりました。発効に向けた機運が高まっている、こうしたことを踏まえて、国内担保措置の検討を加速し、法案の提出に至ったものであります。
○池下委員 各国と足並みをそろえたというところもあるのかなと思いますが、やはり、南極といいますと、世界に非常に影響を与えるというものでもありますので、しっかりと取組を進めていただきたいという具合に思います。
次に、環境上の緊急事態の定義と通報義務についてお伺いをしたいと思います。
事故発生当時、主宰者には事故の通報と応急措置というものが義務づけられることになりますけれども、その判断といいますのは、やはり現場に委ねられる、即座にやはり判断しなければいけないということになりますので、現場判断というのが非常に大きいものかなと思います。ですので、やはり、事故が発生した場合に主宰者が迅速な判断ができるような定義であったりとか判断基準、そしてガイドライン、こういうものが必要であるのではないかなと私は認識しておりまして、そこで、三つほどお伺いをしたいと思います。
主宰者が通報すべき環境に悪影響を及ぼすおそれのある事件、大臣が公示する環境上の緊急事態の定義及び境界線、これは何なのか。
また、現場の主宰者が迷わないように、どのような具体的なガイドラインを作成しようと考えられているのか。具体的には、やはり、油の量がこれくらい流れたよとか、事故の様態とか、いろいろあるかと思いますけれども、そういうことについて、どのようにガイドラインの作成状況を考えられているのか、お伺いをしたいと思います。
加えて、人命保護等のやむを得ない状況、事由がある場合には対応措置費用の支払い義務を負わないということでもありますけれども、どのような基準で定められているのか。
以上三点、お伺いしたいと思います。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
本法案におきまして、南極地域活動により南極地域の環境に少しでも悪影響を及ぼすおそれのある事件が発生した場合には通報を義務づけているということでありまして、これに対して、環境上の緊急事態につきましては、南極の環境に対して重大かつ有害な影響を及ぼし、又は及ぼす急迫した、差し迫ったおそれがある、そういうものとされております。
これにつきましては、どのような過去の事故事例が南極の環境に重大かつ有害な影響を与えるものなのかということについて、一九九九年の第二十三回協議国会議で検討された経緯がございます。この結果によりますと、大規模な油等の流出に加えて、野生生物の生息に重大な影響を及ぼすようなものが南極の環境に対し重大かつ有害な影響を与える、そういう認識が協議国間で共有されていると承知しておりまして、これが委員御指摘の境界線というところだと考えております。
こういったことを分かりやすく示すことは大変重要でございますので、環境省といたしましては、法案の成立後に迅速に改正法の施行準備を進めるところと考えておりまして、他の締約国からも情報を得ながら、ガイドラインの作成を着実に進めることとしております。
また、附属書6において主宰者が対応措置費用の支払い責任を負わないこととされている、いわゆる免責事由につきまして、これは例えば、環境上の緊急事態が人命又は人の安全を確保するために必要な行為、テロリズムによるもの、そういったことで生じた場合、そういったことを主宰者が証明した場合について、それが該当するというふうに理解しています。
○池下委員 ありがとうございます。
ガイドライン、やはり主宰者は航行を安全にやっていかれる立場にある方だと思いますので、しっかりと周知であったりとか、できるだけ分かりやすいガイドラインというのを作っていただければという具合に要望をさせていただきたいと思います。
次に、事故を起こした場合についてお伺いをしていきたいと思います。
主宰者が対応措置を取らなかった場合、これをお伺いしたいんですが、この費用の支払い責任については、我が国や他の条約締結国等が対応措置を行って、最終的には主宰者に対して徴収又は請求、こういうのをされるということになるかと思います。本来取られるべきであった対応措置費用につきまして、環境大臣はどのような基準で算定、判断を行われるのか、お伺いをしたいと思います。
また、あわせて、船で行かれるときに保険を掛けられるかと思うんですけれども、主宰者に求められる保険であったり金銭保証、自分でお金を持っていられるのかどうか分からないんですけれども、金銭保証について、国内で十分な対応は可能なのか。例えば二千トン以下の船舶でも、責任限度額は大体約二億円弱ということになるかと思います。中小規模の旅行業者などで加入できる保険商品などがあるのかどうか、そういうこともお伺いしたいと思います。
三つ目。また、確認申請されるときに資金保証にもし虚偽の記載があった場合、そしてもし事故が起こった場合、これはまたえらいことになるかと思いますので、そういう場合、実行できるような担保があるのかどうか、見解をお伺いいたします。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
取られるべきであった対応措置の費用の算定に関しましては、附属書6に明確な規定がない状況でございまして、現時点で判断の基準が明らかになっているということにないわけでございますけれども、法案の成立後に、海難事故等に関する知見を有する専門家からも意見を聞きながら、具体的な算定方法に関するマニュアルを策定するということで考えてございます。
その上で、実際の算定に当たりましては、発生した環境上の緊急事態の態様に応じて、その都度検討することになると考えておりまして、そういうふうに進めていきたいということでございます。
対応措置費用の支払い責任を担保するための資金の調達手段でございますが、これは、計画の申請のときに、責任限度額までの対応措置費用の支払いに利用できる保険に加入していることを証明する書類、既にそういった保険があるということは我々も確認をしているところでございます、それを証明していただく。あるいは、直近の決算書における貸借対照表において短期で現金化できる資産が責任限度額以上存在すること、それを対応措置費用の支払いに充てることを確約する書類、それを併せて見るということにしております。そういった、主宰者に提出させることで、必要な額の資金の調達が可能であるか確認することを想定しています。
虚偽の記載につきましては、申請時に、資金の調達手段についてそういった記載がなされることがないように、環境省として十分指導を行うということで、証拠書類の厳格な確認を行っていきたいと考えております。
○池下委員 今、この対応措置費用、どれくらいかかるのか、マニュアルがない、まだ判断基準がないということでありましたので、これはできれば早急に措置していただきまして、検討を進めていただきたいと思います。世界的には観光船とか南極に増えているかと思いますけれども、事前に聞くには、まだまだ日本から行かれるという数というのは少ないとは聞いているものの、やはりこの南極の環境を守るためにも非常に大事な話だと思っております。是非よろしくお願いしたいと思います。
それでは、最後にお伺いしたいと思うんですけれども、今回、五月に南極条約協議国会議、これが行われたと承知をしております。そして、今回の改正も行われるということになりますけれども、やはりこれは南極の環境を守っていくためのステップ・バイ・ステップの第一歩であると考えているところでございます。
そこで、この第四十八回南極条約協議国会議が開催された成果をお伺いしたいと思います。また、日本の国際的な役割と課題について、今回の改正ではカバーされない継続的な環境損害、例えば緊急ではない慢性的な汚染などに対する責任制度について、今後国際会議でどのような議論を日本として主導していくのか、二点お伺いをしたいと思います。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
五月十一日から二十一日まで、広島市で、第四十八回南極条約協議国会議が開催されました。
開会式には、国光外務副大臣及び辻環境副大臣が出席しました。辻環境副大臣から、附属書6を担保するための国内法の改正案について、今国会で御審議いただいている状況も説明をさせていただきました。
また、附属書6の早期締結を呼びかけ、その早期発効の必要性についても、他の協議国に説明をして認識を共有できたというふうに考えております。
今回の協議国会議の日本開催をきっかけに、国内外において多くの報道がなされました。南極地域の環境保護の重要性についても、国民の皆様にも広く御理解いただける機会となったというふうに捉えているところであります。
委員御指摘の環境損害に関する責任制度を構築するための議論については、附属書6が未発効である現段階では、具体的な議論は行われていないというふうに承知をしております。
環境省としては、まずは、附属書6の早期締結について、引き続き各国に呼びかけを行ってまいりたいと思います。
その上で、今後、より包括的な議論が行われる場合には、南極条約の原署名国及び協議国として、積極的に参加してまいりたいというふうに考えております。
○池下委員 御答弁ありがとうございます。
南極の環境、今日も他の委員からも非常に貴重な動植物があるということ、また気温上昇によって氷が解けて水面が上がっていく、様々な理由等もありますけれども、やはり、日本のみならず、世界に影響を与えていく。島国であるということもありまして、非常に影響があるんじゃないかなと危惧をしているところでございます。
ですので、やはり、我が国日本としましても、国際的にリーダーシップを持って取り組んでいただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○宮路委員長 次に、向山好一君。
○向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。よろしくお願いいたします。
国会で南極のことを議題として議論するという機会も余りないので、せっかくの機会ですから南極観測について質問させていただきたいというふうに思います。
我が国は六十年以上、積極的に南極観測、調査活動をし続けてきました。ですから、投じた予算というのも相当額に上っているんじゃないかと思います。
そこで、我が国にとって、この南極観測によって得られた成果、それがどういうものがあるのかということと、特に、やはり鉱物調査、それがどんな知見が蓄積されているのか、この辺りをまずはお伺いしたいというふうに思います。
〔委員長退席、五十嵐委員長代理着席〕
○古田政府参考人 お答えします。
我が国の南極地域観測事業は、南極条約体制の下、科学的調査として、オゾンホール発見に貢献しました高層気象観測や、重力測定等の測地観測など、長期的かつ継続的な観測調査を実施してきております。
地質、岩石分野におきましては、主として東南極エリアにあります昭和基地を中心として、半径約七百キロメートルの露岩域において、地質や岩石等の調査を行ってきたところでございます。
その成果としましては、採取をした岩石資料や、得られました地盤や地質の情報を基にした地質図の編さんを行うとともに、南極大陸の成り立ちや、四十六億年の地球の不可逆的な変化、変動を明らかにしてまいりました。
○向山(好)委員 今、オゾン層、オゾンホールの発見とか、地球環境に南極観測が、我が国の調査が非常に貢献したということは誇らしいことで、本当にすばらしいことだとは思います。
一方、資源調査という面では、マドリッド議定書がございますので、いろいろな制約があって、今の御答弁では、いろいろな蓄積はあるにしても、なかなか、ちょっと漠然としているというふうに感想として受けました。
一方、やはり、近年、南極での、特に中国とロシアの資源調査というのが非常に目覚ましい。基地を建設する、あるいは滑走路を整備する、物理探査などを急激に強化しております。
現時点では、科学的研究を目的としているというふうに説明はされておりますけれども、二〇四八年以降の南極条約体制見直しの可能性を見据えて、長期的な戦略行動ではないかというような国際指摘もございます。
したがって、我が国も、南極を将来的な地政学、資源、国際秩序形成の重要地域と位置づけて、学術研究の精度を高め、地質データや情報を戦略的に収集する時期に来ているのではないかというふうに思います。
政府は、中国、ロシアの動向についてどのように把握されておられるのかということもお伺いしたいと思います。
○西崎政府参考人 お答え申し上げます。
環境保護に関する南極条約議定書第七条は、鉱物資源に関するいかなる活動も、科学的調査を除き禁止する旨規定しております。
また、同議定書第二十五条は、鉱物資源に関する活動の禁止について、新たな法制度が効力を生じない限り継続する旨規定しております。
二〇四八年以降に南極で鉱物資源に関する活動が可能となるかのような報道があると承知しておりますが、実際には、同条では、同議定書の効力発生の日から五十年が経過した後に、いずれかの南極条約協議国が要請する場合には、同議定書の運用について検討するための会議を開催する旨規定されているのみであり、改正を予断する内容にはなっておりません。
また、二〇一六年及び二〇二三年の南極条約協議国会議では、南極地域における鉱物資源に関する活動の禁止についての継続的なコミットメントを確認し、同議定書第七条の規定を継続して実施する確固たる意思を表明する内容の決議が採択されております。中国及びロシアも同議定書の締約国であり、鉱物資源に関する活動を行うことは禁止されております。
政府としては、引き続き、高い関心を持って両国を含む各国の活動を注視しつつ、南極条約及び同議定書の関連規定の完全な遵守及び各国の活動に関する透明性の向上のため、関係国と連携しつつ必要な取組を継続していく所存です。
○向山(好)委員 今、二〇四八年以降の話というのはなかなか厳しいというようなお話がありました。だけれども、現在起こっている世界の情勢というのは、想定していないことも実際起こっているんですよね。二十二年後の世界情勢がどうなるかということは、今、想定なんかできっこないんですね。
ですから、私が申し上げたいのは、例えば、今、ロシアのは、アレクサンダー・カルピンスキーという調査船があって、ウェッデル海というところで大量の石油が埋蔵されている、五千百十億バレルという、まあ報道ベースの話ですけれども、ということも公表されております。
あるいは、中国はもっとえぐいですよ。秦嶺基地というところがありまして、そこでは通信傍受をやっているんじゃないかというふうな話もあったり、あるいは、滑走路を整備していますよね。それで、第六番目の基地を、今、マリー・バード・ランドというところの領有権を狙って、新しい基地を造っているというような臆測もあるぐらいです。
青山副大臣が一番得意な分野だというふうに思いますけれども、東シナ海で我々は苦い経験をしているんですよ。それは、東シナ海にあるガス田というのを中国から完璧に情報収集されて、結局、そこで今開発されています。外務省、ずっと抗議されておられますけれども、現状、全然変わっていないわけですよね。やはり、そういったことは南極でも起こりかねないんじゃないか。そのときにやはり我が国として必要なのは、情報ベースをしっかりと整えておかないと、交渉もできない、あるいは、南極の平和と安全を守る上での抑止力にもなってこないわけでございます。しっかりとそういうことをやっていかなきゃいけないと思います。
青山副大臣、得意分野じゃないかというふうに思いますけれども、そういう思い、副大臣の思いというのがあれば是非ともお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○青山副大臣 皆さんお分かりのとおり、通告なしの御質問でありますが、短くお答えしたいと思います。
まず、委員御指摘の東シナ海の状況ですけれども、おっしゃったとおり、チャイナの、中国の動きが活発になった後も、我が国は極めて抑制的に動きました。ただし、委員のおっしゃったことに異論を唱えるわけではありませんけれども、当初中国が狙っていたほどのアクティビティー、活動はできていないと考えております。
例えば、亡くなりましたけれども、中川昭一当時の経産大臣などと民間専門家だった私なども連携をしまして、初めてあの海域に調査船を出したりしたことが一定の抑止力にはなっております。
それで、実際にあの海域、私は何度か、民間専門家の時代に、当時の自衛隊の協力も実は得まして、調べました。それで、ガス田のガスを海中パイプラインを通じて中国本土に送りまして、そこで、青島などで実用化もしているという実は事実があります。
そういうノウハウをため込んでいますから、今おっしゃった、南極の、いわば手がついていない、油だけではありません、御存じだと思いますけれども、ガスであったりあるいは希少鉱物も含めて十分に賦存が予想されていますので、もう一度申しますが、東シナ海での活動というのは中国の思ったとおりにいっていないけれども、南極については、日本もあるいは各国も、ロシアは別にして、抑制的でありますから、そこの隙につけ入ろうとしている動きは明らかに感じられるところです。
したがって、政府の一員として申せば、今回の南極に関する法改正も含めて、この辺りから再び、いわば、抑制的、同時に、学術研究に特化した日本の南極に対する姿勢というのを、人類共通の財産に資源がなって、しかもその資源をもし活用するときに決して南極の環境が破壊されないようにするということに積極的な取組をする。
今回の広島の会議での、三十数年ぶりに国内で開催されましたので、辻副大臣の参加も含めて、非常に意義があったと考えております。
ありがとうございます。
○向山(好)委員 通告なしで青山副大臣、失礼いたしましたけれども、本当にすばらしいお話をいただきまして、私も共通認識を持たさせていただきました。
副大臣が今御答弁されたように、南極の環境を守る上でも、やはり安全で安定したものでなければいけません。そのためには、やはりこの情報レベルというのも大きく差があったらそこでひずみが生まれて、新たな危機に発展していくわけですから、お互いに、学術研究というレベルの中でも、冷たい国際社会の中での現実的な対応というのをやはりやっていかないと、本当の意味での平和あるいは南極の環境保護につながらないので、そういう発言をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
それでは、本題に移りますけれども、今回の保護法の改正案というのは、観光船が結構増えて、そのときの海難事故等の防止と、そして起こったときの対応方法をいろいろと規制を強化していくということになっています。
そこでお伺いしたいのは、現在、南極の観光というものの主宰者が、主宰者へのいろいろと責任が大きくなるんですけれども、IAATOのデータでも結構ですけれども、国別の出港数でトップがアメリカやというふうに言われておりますけれども、その比率がどのぐらいなのか、そして、この観光そのものというのは、どこをベース港として出港しているのか、その辺りをお聞きしたいと思います。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
南極地域の観光旅行を主宰する旅行会社等で構成される、委員御指摘の国際南極旅行業協会の報告によりますと、二〇二四年度に観光で南極地域を航行した船舶数は五百八十三とされておりまして、このうち、アメリカの主宰者による船舶数は三百十二で最も多く、全体の五三・五%を占めているということでございます。
また、観光で南極地域を航行する船舶は、主にアルゼンチンのウシュアイア港から南極に向けて出港しているというふうに承知をしています。
○向山(好)委員 このように、今、附属書6とか、あるいはこの保護法の改正の主役というんですか、主体というのが、この主宰者なんですね。その主宰者の半分以上がアメリカ合衆国。そして、南極へ向かう船の物資を入れたり、人員確保したり、あるいは手続をしていく、そういったものというのがアルゼンチンのウシュアイア港ということでございます。
しかし、この附属書の未締結国というのが、日本が今締結に向けて動いておりますので、残り実質八か国という中にアメリカとそしてアルゼンチン、入っているんですね、中国も含めてですけれども。そうなると、やはりこの主役が、あるいは附属書6の本当に大切な部分を担わなきゃいけない二国が未締結のままということは、非常に大きな課題が残っているというふうに思うんですね。外交をやはりしっかりやって、まずはその二国というのにこっちを向いてもらわないと、この改正というのも絵に描いた餅になっちゃうので、是非とも環境大臣に、その辺りの問題認識と外交努力についての決意というのをお聞かせいただきたいと思います。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
附属書6は、二〇〇五年の採択の時点で協議国であった二十八か国全てが締結したときに効力を生ずることとされております。この二十八か国のうち未締結の国は、今委員が言われたように我が国を含めて九か国、そして、条約も外務委員会で審議をされていますので、法律も成立をすれば八か国になるわけでありますけれども。
先日、広島で開催された第四十八回南極条約協議国会議では、辻副大臣から、附属書6の締結に向け、国内手続を進めていることも各国と共有をしたところであります。未締結国に対しても、早期の呼びかけを行ったところであります。
また、事務的にも、協議国会議において交渉や関連イベントの場における働きかけも実施をしてまいりました。加えて、今委員が言われた、一番観光船を出しているアメリカ、そしてその船が出発するアルゼンチンを含む未締結国の担当官と環境省の職員が個別に意見交換を行う場を設けるなど、あらゆる機会を捉えて、附属書6の早期発効に向けた働きかけを行っているところであります。
附属書6の発効見通しについては予断を持ってはお答えできませんが、こうした働きかけを引き続きしっかりと実施をして、各国の締結が進むことを期待しております。
環境省としては、関係省庁と連携し、引き続き関係国との対話を重ねつつ、附属書6の早期発効に向けた外交的働きかけを粘り強く行ってまいりたいというふうに考えております。
○向山(好)委員 この改正案の施行期日というのがこの附属書6の発効日の一か月後ということになっておりますので、国内で一生懸命準備とか整備をしても、発効しないと意味がないので、大臣、COP30とか国際会議の外交経験が豊富なので、是非とも外交手腕を発揮していただきたいというふうに思います。
もう一つ、この準備のことで、一つ私も整理しなきゃいけないことがあるんじゃないかと思っていることがございます。それは、要するに、南極での海難事故ということを今議論していますけれども、国内には海洋汚染防止法というのが既にありまして、日本船籍の事故についての対応のいろいろな細かい規定というのが既に存在しております。
ですから、この海洋汚染防止法と南極保護法との関係性、これはエリアで分けたすみ分けなのか、あるいは上積みの規制なのか、その辺りも整理しなきゃいけないと思いますし、もう一つ、賠償の責任額の上限額、これがこの附属書6の規定では、一九九六年当時の海事債権責任条約での責任限度額ということを規定しているんですけれども、その責任条約の中で、二〇一二年にもう既に改定して一・五倍になっているんですよ。その違いがございますけれども、その辺りの整合性というのはどう取られるおつもりなのかをお伺いしたいと思います。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
南極地域の海域におきまして、海洋汚染防止法では、日本籍の船から一定の量の油、有害液体物質の排出があったときに、船長や船舶所有者に対して措置を求めるということになっております。
これに対して、今回の南極環境保護法の改正案では、船籍は問わず、南極地域活動を取りまとめる我が国の主宰者が環境上の緊急事態を生じさせた場合に対応措置を取ることを義務づけておりますので、南極地域において事故が発生したときには、この二つが同時に適用されるということも考えられます。
また、委員御指摘の海事債権責任制限条約の責任限度額との関係でありますけれども、これは、この条約については、海難事故で生じた損害に関係する海事債権について負う責任を一定額まで制限するということを定めておりまして、これについて、附属書6では、採択当時に有効であったこちらの海事債権責任制限条約の一九九六年議定書に定められた限度額と同額が規定されている。
これが、二〇一二年に改正されて一・五一倍に引き上げられておりまして、現在では、そこに乖離がありますので、そこは、こちらの附属書の発効後に、現行の一九九六年議定書に合わせて改正するという議論が行われるというふうに承知をしております。
〔五十嵐委員長代理退席、委員長着席〕
○向山(好)委員 もう時間なので質問は終わりますけれども、ちょっと大臣に最後通告していたことも時間がないので割愛させていただくことをおわびを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○宮路委員長 次に、伊藤恵介君。
○伊藤(恵)委員 おはようございます。岐阜県からやってまいりました参政党の伊藤恵介です。
先週に引き続きまして、今週もお時間いただきまして、どうもありがとうございます。本日もよろしくお願いします。
それでは、早速質問に入らさせていただきます。
今回の改正案は、南極地域での活動における環境上の緊急事態に対して、環境大臣の確認を受けた者である主宰者による事故後の費用負担などの対応措置を強化するものであります。
参政党としても、南極地域の脆弱な自然環境を保護する観点から、今回の改正は必要であると考えます。南極はどこの国にも属さない人類共通の財産であり、その環境を守ることは極めて重要です。
その一方で、南極の観光船舶数や観光者数が増加している現状があります。国際南極旅行協会、IAATOによれば、二〇一一年から一二年の航行数二百三十四件に対して、二〇二四年から二〇二五年には五百六十二件と、この間、約二・四倍に増加しています。また、二〇二四年から二五年に南極大陸に上陸した旅行者数は約八万人、クルーズのみの旅行者は約三・七万人となっており、十一万人を超える多くの旅行者が南極地域を訪れています。
このような現状を考えると、環境リスクを高める観光活動への規制を強化する必要性が高まっているのではないでしょうか。
また、後ほど確認いたしますが、国籍や船籍をまたぐ複雑なケースにおいて、事故発生後の責任の所在が誰にあるのか、明確にすることが重要です。
そこで、次の点について政府の見解を伺います。
まず初めに、第四十八回南極条約協議国会議において、観光規制の議論に進展があったのかどうかについて伺います。
四月十六日の参議院の環境委員会において、参政党の梅村みずほ議員が、南極への観光船舶数や観光者数の規制の強化について環境大臣に質問されました。
その際、観光活動を規制する包括的な枠組みの構築について会議の場で継続的に議論がされていることと、その議論に日本も参加している旨、大臣から答弁がなされました。
その後の五月十一日から二十一日に第四十八回南極条約協議国会議が日本で開催されましたが、この観光活動を規制する包括的な枠組みについてどのような議論がなされたのでしょうか。また、観光活動への規制導入に向けたスケジュール等の議論はなされたのでしょうか。会議での議論の動向について政府参考人に伺います。
○堀上政府参考人 お答えいたします。
南極条約協議国会議では、観光活動の包括的な規制、管理の枠組みについて、観光客がアクセスできるシーズン、場所の限定、それから観光活動への料金の徴収、環境影響のモニタリング、恒久的工作物の規制等に関する議論が行われました。
これらの議論を受けて、科学的根拠に基づく規制、管理や関係機関の協力の重要性とともに、既存の環境影響評価制度や観光に関するガイドラインの活用を含め、対策を強化する方向性が確認をされたところでございます。
観光活動への規制導入に向けたスケジュールの議論についてはございませんでしたけれども、次回の会合に向けて会議終了後も議論を継続する、包括的な枠組みを具体化していく、そのことで一致したというふうに承知しております。
○伊藤(恵)委員 ありがとうございます。
観光活動に対する規制について、観光の場所や時期を規制したり、観光者から料金を取ったりといった議論が出ていると。ありがとうございます。
では、次の質問に移ります。
国内法で観光活動に厳格な基準を設ける必要について伺います。
南極条約は科学的調査の自由を掲げていますが、人類の知の前進という公益性を有する科学的調査と、ビジネスである観光は、その性質や目的が異なります。南極地域活動に対する事前確認の際、個別事案については環境アセスメントでチェックされているものの、同じ場所に何度も行くことへの累積的な影響は評価されていないと伺いました。南極への旅行者が増え続ける昨今、商業活動である観光については、南極の脆弱な自然環境を守るためにも、総量規制といったより厳格な規制も設定するべきではないかと考えます。
南極での観光活動については、IAATOのガイドラインによってルールが設けられています。しかし、IAATOはあくまで業界の自主規制団体であり、そのガイドラインには法的拘束力がありません。そのため、日本の国内法で観光活動に特化した法的拘束力のある厳格な基準を設けることは南極の環境保護の観点から意義があるのではないかと考えますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。
南極地域における観光は、南極地域の価値を理解する環境学習の機会であります。その一方で、近年、南極地域に多くの観光客が訪れるようになり、環境への悪影響も懸念をされているところであります。
このため、南極条約協議国会議では、南極訪問者のためのガイドラインを決議をしているところであります。このガイドラインでは、上陸するサイトでは、一度に一隻の船舶しか利用できない、また、一度に乗客が上陸することができる最大の人数は百名、原則、ガイド一人につき乗客二十人の割合を維持するなど、環境に対する悪影響を回避するための留意すべき事項が示されております。
その上で、協議国会議では、南極における観光活動を包括的に規制、管理する枠組みの構築に関して継続して、先ほど政府委員の方からも説明がありましたけれども、議論も行われているところであります。
このように、観光への対応については国際的な議論が進められているところであり、我が国として独自の基準を設けることは現時点では考えておりません。
環境省としては、こうした議論の中において、科学的根拠に基づき、具体的な活動の形態や場所、時期等に応じ、ルールの設計が検討されるべきであるというふうに考えております。
引き続き、観光の枠組みに関する議論に積極的に参加し、南極環境の保護に貢献してまいります。
○伊藤(恵)委員 ありがとうございます。総量規制について、国際会議の場で議論されていないということは承知いたしました。それから、環境保護のために包括的な議論が行われているということも併せて承知いたしました。
逆に、南極への旅行者が多い国などにおいては、観光活動に対して総量規制がなされれば一定程度効果があるはずですので、むしろ、日本政府に議論を主導していただければと思います。また、南極の自然環境への累積的な影響の評価が行われるように、こちらも強く求めたいと思います。
三問目は、国籍や船籍をまたぐケースにおいて、事故発生後の環境上の緊急事態から生ずる責任の所在を確認する趣旨の質問でしたけれども、時間の関係で省略させていただきたいと思います。
南極地域における環境の保護については、南極条約の下、環境保護に関する南極条約議定書が採択されました。その後、議定書の附属書1から5までは発効したものの、附属書6については、日本も含めた未締結国の存在により、いまだ発効には至っておりません。全ての南極条約国が附属書6を締結しなければ発効できず、その間、必要な措置も取られないわけですから、できる限り早く附属書6が発効されるように、未締結国への働きかけと日本政府のリーダーシップを期待して、質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○宮路委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 最後、よろしくお願いいたします。
南極条約についてお伺いしたいと思います。
南極条約について、よく主権を凍結という言葉が使われるんですけれども、南極条約第四条には、凍結なんて一言も書いていないんですね。主権を主張してはならないなんという言葉は一言も出てきません。凍結とは何を意味しているんでしょうか。外務省。
○西崎政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、南極条約第四条は、各国が従来行ってきた領土権主張を放棄することを規定するものではございませんが、領土権について新たな請求又は既存の請求を拡大する主張を行うことを禁止するなど、領土権に関する紛争の防止に資するものとなっております。
実際に、同条約の発効以降、領土権についての新たな請求等は行われていないと承知しております。
○緒方委員 いや、新たに主張しちゃいけないということなんだけれども、今の主権を主張することは別にいいわけですよね。いかなる意味において凍結なんですかと聞いています。もう一回。
○西崎政府参考人 お答え申し上げます。
第四条は、既に南極地域に対して領土権を主張している締約国の権利、この条約について何ら変更されるものではない旨を規定しているものであり、一般に法的現状の凍結と言われているのはこの意味においてであります。
仮に領土権を主張する国が改めてそのような立場を対外的に主張することがあっても、我が国を含め、そのような主張を認めない国との関係では何ら効力を持たないことになっております。
○緒方委員 昭和基地のある場所というのは、実はノルウェーが南極条約発効前から主権を主張しているんですね、ドロンイングモードランドというところなんですが。事前レクで、日本はこのノルウェーが主張している主権を認めるのかというふうに聞いたら、いや、それはないですということでありました。確かに、南極条約で他国の主権主張を否認する権利は認められているんですね。
日本は、太平洋戦争が終わった後のサンフランシスコ平和条約で、南極に対する主権の権利を全て放棄をいたしております。日本はいつから南極で主権を主張する他国の主権を否定する立場だったのかということについてお伺いしたいと思います。そもそも日本が主張できなくなったからほかの国も駄目よと言っているのか、それとも、元々、原理原則として駄目だということだったのか、いずれでしょうか。外務省。
○西崎政府参考人 委員御指摘のとおり、昭和基地が位置する場所はノルウェーが領土権を主張している地域の中にあり、我が国は一貫して、南極大陸は各国による領土分割の対象とされるべきではないとの立場であり、こうした認識の下、他国による領土権主張については認めておりません。
また、日本は敗戦後、サンフランシスコ平和条約に基づき南極に対する利益を放棄したが、そのような厳しい時期に各国による領土権主張に反対する立場を表明してきたかという御質問につきましては、日本はどのような形でそのような立場を表明したかをこの場でお答えすることはできません。
いずれにせよ、各国が対外的な領土権主張を活発に行ったのは、日本がサンフランシスコ平和条約を締結する以前の時期であり、主に一九四〇年代にかけてのことと承知しております。
○緒方委員 そうなんですね。つまり、日本は、白瀬矗中尉が南極を探検して、それ以来、日本としての権利を確保していこうとしたんですけれども、サンフランシスコ平和条約でそれを全て放棄するということを求められたということで、いつの頃からか分からないという話でありましたが、そのまま承りたいと思います。
それでは、「しらせ」のステータスについてお伺いしたいと思います。
この条約の主権免除のところに、軍艦、軍の支援船又は国が所有し若しくは運航する他の船舶で政府の非商業的役務にのみ使用しているものというものについて主権免除があるんだというか、主権免除のような規定が整備されているわけですが、この中で、「しらせ」はどれに当たるんでしょうか。
○西崎政府参考人 お答え申し上げます。
「しらせ」により実施される我が国の南極観測事業については、我が国は従来、南極条約第五条5に基づく事前通告の対象としており、本附属書の適用対象と考えております。
○緒方委員 いや、違う。類型があって、軍艦か、軍の支援船か、国が所有し若しくは運航する他の船舶で政府の非商業的役務にのみ使用しているものと三つあるわけですよね。どれですかというふうに聞いているんです。
○西崎政府参考人 お答え申し上げます。
附属書6第六条5に、締約国が軍艦その他の公船を使用することによって生じた事故についての対応措置の費用を支払う義務を行うことになる場合について、そのことが国際法上、軍艦などが一般に享受する主権免除、すなわち各国の裁判権から免除される権利を放棄することを意味しないことをここでは意味しておりますが、「しらせ」は国際法上軍艦に相当しますので、第五条の中の軍艦等の規定に書かれております。
○緒方委員 ありがとうございます。
軍艦なんですね。ちょっと私、実は政府公船だと思っていたんですけれども、違いました。
軍艦ですから、結構厳格な主権免除が通常あるわけですよね。ただ、附属書4という、今回の附属書ではなくて、附属書4、海洋汚染防止のところでは結構かっちりと主権免除が書いてあるんです。けれども、今回のこの附属書においては「しらせ」は対象なんですよね。附属書の対象となるというふうに書いてあります。
附属書4は海洋汚染の防止で、こっちはかなりかちっとした主権免除がある。こっちの附属書6においては環境上の緊急事態ということなんだけれども、こっちは責任がかかるというふうに書いてあるんですね。けれども、この二つというのは私は重なると思うんですよ。
海洋汚染と環境上の緊急事態というのは、どちらが優先すると思いますか。外務省。
○西崎政府参考人 お答え申し上げます。
附属書4の第十一条は、同附属書が占める一連の海洋汚染防止に係る義務が軍艦に対して適用されない旨を定めており、附属書4の義務は「しらせ」を含む軍艦には適用されないことになっております。
ただし、南極観測事業に従事する船舶については、附属書1が定める事前の環境影響評価の対象となっており、我が国の場合、海洋における活動を含めて環境相による事前の確認を受けることになると承知しております。
いずれにせよ、「しらせ」は海洋汚染の防止に関し、附属書4が規定する一連の義務に対応した形で活動に従事していると承知しております。
○緒方委員 ちょっとよく分からなかったところが実はあるんですけれども、最後、もう一問。
先ほど向山議員の方からも話があったんですけれども、ちょっと明確な答弁がなかったので、もう一回お伺いします。
南極における科学的研究なんですけれども、科学的研究の名目であれば資源探査はやっていいというふうに日本は考えておりますでしょうか。外務省。
○西崎政府参考人 お答え申し上げます。
南極条約は、第一条において、締約国が南極地域を平和的目的のみに利用する旨を規定しております。
したがって、締約国の南極地域における研究についても、明らかに軍事的利用を目的とするようなものを行うことは認めていないと考えられております。
委員御指摘のように、平和的利用を目的としつつ、潜在的に軍事的利用も可能となるような成果が得られる研究を行うことが認められるかについては、条約上明文の規定はございませんが、先ほど申し上げたように、条約第一条の規定に照らしつつ、個別具体的な状況も踏まえて慎重に検討する必要があると考えております。
○緒方委員 審議官、答弁書を読み間違えているんですよ。私、この後にデュアルユースの研究は許されるんですかという質問をしようとして、それに対する答弁だったんです。審議官、答弁書を読み間違えたんです。
もう一度聞きます。
科学的研究の名目であれば、資源開発じゃないです、資源開発は禁じられているんですね、ただ、資源探査、これをすることは認められるというふうに日本は考えておりますでしょうか。審議官。
○西崎政府参考人 お答え申します。
環境保護に関する南極条約議定書第七条では、鉱物資源に関するいかなる活動も、科学的調査を除くほか、禁止する旨規定されております。
同条において例外的に認められる鉱物資源に関する科学的調査は、ほかの主な締約国による調査活動等に鑑みれば、科学的な目的を持って行われる調査活動であって、かつ調査結果が公表されるものであると解されます。
したがって、ある活動が鉱物資源に関する科学的調査として認められるためには、単なる名目にとどまらず、その活動が鉱物資源の開発を視野に入れることなく、実質的に科学的目的を持って行われ、かつ調査結果が公表される必要があると考えられます。
○緒方委員 ちょうど終わりました。
終わります。
○宮路委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○宮路委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、南極地域の環境の保護に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○宮路委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○宮路委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、西野太亮君外六名から、自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、参政党並びに緒方林太郎君及び渡辺真太朗君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鍋島勢理君。
○鍋島委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
南極地域の環境の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 我が国が本年議長国を務めた第四十八回南極条約協議国会議の議論の結果も踏まえ、環境保護に関する南極条約議定書の附属書6の早期発効に向けて、各国に働きかけるなど主導的役割を果たすこと。加えて、南極地域の平和的利用、科学的調査の自由及び国際協力の促進等を基本原則に掲げる南極条約をはじめとする国際的枠組みの下で、南極地域の環境保全の実効性確保が図られるよう、積極的な取組を進めること。
二 南極地域における観光の活発化により、環境上の緊急事態が発生する蓋然性が高まっていることに鑑み、南極地域の環境保全について、旅行業者及び観光客に対する周知啓発の更なる充実に努めること。また、南極地域の環境保全を図るため、観光への規制の在り方について検討すること。
三 本法の円滑な運用を図るため、環境上の緊急事態について、南極条約協議国会議等において提供される過去の事故の事例を含め、引き続き知見を収集しつつ、南極地域という特殊な環境で起き得る事態とその対応措置について十分に検討し、本法の実効性担保に必要なガイドラインを計画的に作成すること。また、作成したガイドラインについては、各締約国の国内実行の参考となるよう情報共有を行うとともに、南極地域の自然環境及び観光客の増加等社会環境の変化を踏まえた見直しを定期的に行うこと。
四 南極大陸への上陸を伴わない南極地域の海域のみで行われる観光活動及び科学的調査活動についても新たに事前確認の対象となることに鑑み、新たな適用対象者への手続の周知を行うとともに、学術活動の迅速性を阻害することのないよう必要な配慮を行うこと。
五 本法の実効性を確保するため、南極地域への環境省職員の派遣を引き続き実施し、南極地域における観測活動に伴う廃棄物等の適切な処理の確認等に万全を期すること。また、南極地域の環境保全に継続して取り組む専門的な人材の育成・確保等、体制の整備を行うこと。
六 我が国の南極地域観測事業が気候変動、プラスチック汚染等による地球環境への影響の調査に重要な役割を果たしていることを踏まえ、継続的な事業実施のための体制の充実及び南極観測船「しらせ」の後継船も含む予算の確保に努めること。
七 南極地域における観測活動に伴って生じる環境負荷を低減させるため、活動に必要なエネルギー供給源の改善や最適化を進めるとともに、エネルギー消費の少ない設備や機器への計画的な更新を行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○宮路委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○宮路委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石原環境大臣。
○石原国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、関係省庁とも連携を図りつつ、努力してまいる所存でございます。
―――――――――――――
○宮路委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○宮路委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時三十六分散会

