衆議院

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第6号 平成30年2月6日(火曜日)

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平成三十年二月六日(火曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 福井  照君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    石破  茂君

      岩田 和親君    岩屋  毅君

      江藤  拓君    衛藤征士郎君

      鬼木  誠君    金田 勝年君

      工藤 彰三君    古賀  篤君

      佐藤ゆかり君    坂本 哲志君

      鈴木 馨祐君    鈴木 隼人君

      竹本 直一君    武井 俊輔君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    平井 卓也君

      平沢 勝栄君    福山  守君

      星野 剛士君    堀内 詔子君

      村上誠一郎君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    渡辺 博道君

      阿部 知子君    青柳陽一郎君

      尾辻かな子君    岡本あき子君

      落合 貴之君    菅  直人君

      櫻井  周君    宮川  伸君

      山内 康一君    井出 庸生君

      伊藤 俊輔君    稲富 修二君

      今井 雅人君    小熊 慎司君

      大西 健介君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    原口 一博君

      広田  一君    笠井  亮君

      藤野 保史君    井上 英孝君

      遠藤  敬君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (男女共同参画担当)

   (マイナンバー制度担当) 野田 聖子君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (拉致問題担当)     加藤 勝信君

   農林水産大臣       齋藤  健君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    中川 雅治君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       吉野 正芳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       小此木八郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (海洋政策担当)     江崎 鐵磨君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     松山 政司君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)     梶山 弘志君

   国務大臣         鈴木 俊一君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   会計検査院事務総局第一局長            鈴土  靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 和夫君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            福田 紀夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   田和  宏君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    遠藤 俊英君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            渡辺 克也君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   吉田 朋之君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            金杉 憲治君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    岡本 薫明君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (国税庁次長)      藤井 健志君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石川 正樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    鈴木 良之君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            小早川智明君

   参考人

   (株式会社商工組合中央金庫代表取締役社長)    安達 健祐君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (株式会社日本貿易保険代表取締役社長)      板東 一彦君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月六日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     堀内 詔子君

  今村 雅弘君     鈴木 隼人君

  岩屋  毅君     鈴木 馨祐君

  星野 剛士君     坂本 哲志君

  山本 有二君     福山  守君

  山内 康一君     宮川  伸君

  井出 庸生君     奥野総一郎君

  稲富 修二君     今井 雅人君

  後藤 祐一君     伊藤 俊輔君

  篠原  孝君     広田  一君

  藤野 保史君     笠井  亮君

  遠藤  敬君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     星野 剛士君

  鈴木 馨祐君     鬼木  誠君

  鈴木 隼人君     武井 俊輔君

  福山  守君     山本 有二君

  堀内 詔子君     あべ 俊子君

  宮川  伸君     菅  直人君

  伊藤 俊輔君     後藤 祐一君

  今井 雅人君     稲富 修二君

  奥野総一郎君     井出 庸生君

  広田  一君     篠原  孝君

  笠井  亮君     藤野 保史君

  井上 英孝君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     岩屋  毅君

  武井 俊輔君     岩田 和親君

  菅  直人君     尾辻かな子君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     工藤 彰三君

  尾辻かな子君     櫻井  周君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     今村 雅弘君

  櫻井  周君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長小早川智明君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田和夫君、人事院事務総局人材局長福田紀夫君、内閣府政策統括官田和宏君、内閣府政策統括官海堀安喜君、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一君、金融庁監督局長遠藤俊英君、総務省大臣官房総括審議官吉田眞人君、総務省自治行政局長山崎重孝君、総務省自治行政局公務員部長佐々木浩君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、総務省自治財政局長黒田武一郎君、総務省情報流通行政局長山田真貴子君、総務省総合通信基盤局長渡辺克也君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長吉田朋之君、外務省アジア大洋州局長金杉憲治君、外務省北米局長鈴木量博君、財務省主計局長岡本薫明君、財務省理財局長太田充君、国税庁次長藤井健志君、厚生労働省社会・援護局長定塚由美子君、経済産業省貿易経済協力局長石川正樹君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君、国土交通省道路局長石川雄一君、国土交通省住宅局長伊藤明子君、国土交通省鉄道局長藤井直樹君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛装備庁長官鈴木良之君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長鈴土靖君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今回、三十八分間の質問の場を与えていただきました。菅原一秀与党筆頭理事を始め、与野党の理事及び関係者の皆様方に、心より感謝を申し上げたいと思います。

 熊本地震から一年九カ月がたちました。きょうは、この間の政府の対応、そして残された課題、この質問に全てを当てたいと思っておりましたけれども、昨日、佐賀県神埼市におきまして、自衛隊の対戦車ヘリAH64D、通称アパッチが集落内に墜落をいたしました。その件につきまして、総理、防衛大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 まず、被害を受けられた地域住民の皆様方に、謹んでお見舞いを申し上げます。また、亡くなられました自衛隊員一名の方には、心より御冥福をお祈りをいたします。捜索中のもう一人につきましては、一刻も早い発見をお祈りいたしたいと思っております。

 沖縄で米軍のヘリの事故が相次いだときに、私たちは、自衛隊のヘリならば大丈夫、我が国の自衛隊は大丈夫という確信と信頼を持っておりました。しかし、今回のような墜落事故が起き、しかも集落内に墜落し、建物三棟が火災に遭い、住民一人が軽傷を負われるという事態に至ったことにつきましては、大変なショックを受けた次第でございます。

 今回のような事案は、我が国の防衛を担う自衛隊に対する、これまでの国民の信頼を失いかねません。二度とこのような事故を起こさないよう、徹底的な原因究明と再発防止を全力で行っていただきたいと思いますが、総理の御見解をまずお伺いを申し上げたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨日、佐賀県において発生した自衛隊ヘリコプターの墜落事故について、国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が住民の方々の安全を脅かし、多大な被害を生じさせたことはまことに遺憾であります。自衛隊の最高指揮官として、心よりおわびを申し上げ、また、お見舞いを申し上げます。

 第一報を受け、私からは、早急な被害状況の確認及び迅速な人命救助、救出、周辺住民の安全確保の徹底、国民への迅速な情報提供の三点について指示を行いました。さらに、防衛大臣から報告を受け、自衛隊の保有する全てのヘリコプターの徹底的な整備、点検を確実に実施するとともに、事故を起こしたヘリコプターの同型機について飛行停止を指示したところであります。また、昨夜、大野防衛大臣政務官を現地に派遣し、現場での対応に当たらせています。

 安全の確保は最優先の課題であり、政府として、徹底した原因究明と再発防止に全力を挙げてまいります。

 詳細については、防衛大臣から答弁させます。

坂本委員 防衛大臣につきまして、今回のヘリコプターの事故に対しまして、詳細なる御説明をお願いいたしたいと思います。

小野寺国務大臣 昨日、佐賀県におきまして発生しました自衛隊ヘリコプターの墜落事故につきましては、国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が住民の方々の安全を脅かし、多大な被害を生じさせたことは極めて遺憾であります。私からも心よりおわびを申し上げます。また、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。

 事案の概要につきまして、昨日十六時四十三分ごろ、陸上自衛隊目達原駐屯地所属の第三対戦車ヘリコプター隊AH64Dが、定期整備を行った後の試験飛行中に、同駐屯地の南西約六キロメートルに墜落いたしました。なお、今回は、五十時間ごとの定期検査に加え、メーンローターヘッドの交換を行ったところであります。メーンローターヘッドは、メーンローター四枚をつなぎ回転する部分ということであります。

 この墜落により、付近の建物三棟に火災が発生したほか、住民の方一名が負傷されたとのことであります。また、事故機に搭乗していた隊員二名のうち、副操縦士の一等陸曹の死亡が確認され、もう一名、機長であります二等陸佐は、けさから捜索を再開しております。

 墜落に至る詳しい状況や原因については現在確認中ですが、昨夜、大野政務官を現地に派遣し、神埼市や佐賀県等への情報提供を始め、現地における対応の指揮をとらせているところであります。

 また、総理からの御指示を受け、事故機と同型機の飛行を停止するとともに、陸海空自衛隊のヘリコプター全機種の点検を開始したところであります。

 防衛省としては、徹底した原因究明と再発防止に全力を挙げるとともに、負傷されたお子様や火災に遭われた皆様の補償についても、今後の原因究明の結果も踏まえ、しっかり対応してまいります。

坂本委員 私の集落の目と鼻の先にも、西部方面航空隊の高遊原分屯地というのがございます。そこでヘリの訓練が行われておりますが、私たちは高航会という組織をつくって、その応援部隊をつくっております。しかし、一旦こういう事故が起きますと、集落内の方々に対しては大きな不安を与えるものであります。今後、不安解消のために、万全の対策をぜひ、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、熊本地震からの復旧復興の質問に入らせていただきます。

 熊本地震によります県が試算いたしました被害総額は、三兆七千八百五十億円でございます。内訳は、住宅が二兆円、商工関係が八千二百億円、さらには公共土木が二千七百億円、農林水産関係が千五百億円というふうになっております。

 これに対しまして、政府は手厚い支援をしていただきました。まず、直後の七千八百億円の補正予算、そして、政策的にも、グループ補助金あるいはプレミアム旅行券、そして、復興基金として、特別交付税措置の五百十億円を措置していただきました。

 地元の熊本日日新聞の世論調査によりますと、去年の選挙直後の十月の世論調査でありますけれども、六三・七%が、復興が順調に進んでいるというような回答を、住民の皆さんが寄せておられました。選挙区ごとに一区から四区までそれぞれ行われておりましたけれども、一番その世論調査の復興状況が進んでいる、高かったのが熊本三区の六七・五%、私の選挙区でございます。配慮に感謝をいたしたいと思います。

 そして今、被災地が一番望んでおりますのは、やはり地域にとって自由度の高い交付金制度が欲しいということであります。復興基金というのは、五百十億円、これは本当にありがたいものでありますけれども、復旧から復興へ、そして地域の再生へと場面が移り変わってまいります。将来、計画の進捗に合わせた第二復興基金、あるいは被災地方創生基金とでもいうべきものが必要であるというふうに思っております。

 地域づくりに関することでありますので、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 熊本地震の発生から間もなく二年がたとうとしております。政府としては、できることは全て行うとの姿勢で、平成二十八年度の三次にわたる補正予算や平成二十九年度予算等における国庫補助事業の創設、拡充等を通じて、インフラの復旧や生活、なりわいの再建など、全力で復旧復興に取り組んでいるところであります。

 その中で、平成二十八年度の第二次補正予算では、被災自治体が地域の実情に応じて実施する、住民生活の安定、住宅再建支援、産業や教育、文化の振興等のさまざまな事業について、単年度予算に縛られずに弾力的に対処できるよう、特別交付税を五百十億円増額し、熊本県の復興基金の創設を支援したところであります。

 熊本県では、この基金により、仮設住宅の入居者に対して、自宅再建に要する資金の利子や転居費用等の助成を行う、住まいの再建支援事業等が行われているものと承知をしております。

 こうした大規模災害からの復旧復興は、それぞれの被害の状況や進捗に応じて行っていくものと考えておりまして、今後とも被災地の声をよくお聞きをし、そして被災者に、被災者一人一人、皆さんニーズが違うんだろうと思いますが、被災者の皆さんに寄り添いながら、適時適切な措置を講じてまいりたいと考えております。

坂本委員 最も被害が大きかったのは、阿蘇に入りますインフラでございます。

 阿蘇で五十万立米の土砂崩落がありました。そのことによりまして、国道五十七号、JR豊肥線、そして五十七号から宮崎の方に分岐をいたします阿蘇大橋、そしてその阿蘇大橋を補完いたします長陽大橋、全てが崩落をいたしました。また、俵山という山がございますけれども、そこを貫く俵山トンネルも崩落し、通行不能になりました。まさに阿蘇は孤立状態になりました。

 しかし、国の方は、権限代行によりまして、国直轄で村道や県道、あるいは県管理の復旧に当たっていただきました。

 県道の俵山トンネルは、八カ月後の十二月二十四日には仮復旧をいたしました。十二月二十四日にその開通式が行われたわけでありますけれども、地元の方々は、何よりものクリスマスプレゼントだということで大変喜んでおられました。

 そして、村道につきましては、一年四カ月後、二十九年八月二十七日に開通式が行われました。これは、九月に入りますと、始業式、二学期が始まりますので、二学期までには何とか間に合わせたいという関係者の献身的な努力がありました。テープカットには地元小中学生が参加をし、そして、テープカット後、生徒児童を乗せたスクールバスが先頭を切って走っていました。子供たちの満面の笑顔が、今、忘れられません。

 阿蘇大橋につきましても、一千メートルの長大橋になりますけれども、三十二年度にはこれが完成するというような予定でございます。

 復興事務所も開設をしてもらいました。国の研究機関の専門家たちが現地に来て、そして事務所をつくる、そして復旧復興を実践する。これほど地元にとって心強いことはありません。

 そして、石井大臣、七回も現地に足を踏み入れていただきました。やはりこういう大震災のときは、オール・ジャパンで国の技術の粋を集めて、そして取り組むということの大切さを、改めて感じたところでございます。

 これほど効果がございます権限代行制度であります。対象事業の範囲をもう少し広げる、あるいは充実させる、こういった拡充が図れないものであろうかというふうに思います。

 それから、国の研究員を集めました国の復興事務所の開設もありがたい限りでございますけれども、開設までに一年を要しました。さらなる早期開設ができないものかどうか、国交大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 それから、雪の被害でございますけれども、これは今大変な雪の被害でありますが、九州も一緒でございます。特に、震災で通れる道路が限られております。一本だけというところが数多くあります。しかし、九州でございますので、除雪機あるいは凍結防止剤、融雪剤、こういったものが足りません。ぜひ、こういったものに対する冬への備え、これをぜひお願いいたしたいと思いますけれども、国土交通大臣、御答弁をよろしくお願いいたします。

石井国務大臣 委員から三点御質問をいただきましたので、順次お答えをさせていただきます。

 まず、道路の災害復旧のため、国の権限代行の対象を拡充すべきではないかという点でありますが、熊本地震や平成二十九年七月の九州北部豪雨など、近年、自然災害が頻発、激甚化する中、被災した道路を迅速に復旧することは、被災地の復旧復興に欠かせないものであります。

 しかし、被災した地方公共団体が行います道路の災害復旧工事の多くは、技術面等の観点から時間を要しておりまして、迅速に行うのは厳しい状況であります。

 現在、大規模な災害復旧を都道府県や市町村にかわって国が行う代行制度がございまして、具体的には、都道府県が管理する国道につきまして災害復旧工事を代行する制度、熊本で申し上げれば国道三百二十五号阿蘇大橋のかけかえの事例がございます。

 また、都道府県道、市町村道について、大規模災害復興法によって非常災害として政令指定がされた場合、災害復旧工事を代行する制度がございます。熊本の場合、南阿蘇村の村道栃の木立野線長陽大橋の事例がございます。

 このように、代行が可能な対象としては、大規模な工事や災害に限定されている状況でございます。

 このため、今般国会に提出をいたしました道路法等の一部を改正する法律案におきましては、物流上重要なネットワークである重要物流道路等を対象といたしまして、災害の規模によらず、地方公共団体からの要請を受けて、道路の災害復旧を国が代行する制度の創設を盛り込んでおります。

 今後とも、国土交通省の現場力を最大限活用するとともに、代行制度の一層の機動的、迅速な活用を図ることを通じまして、被災した地方公共団体の災害復旧活動を支援してまいりたいと存じます。

 二点目に、国の復興事務所の開設を、更に早期に開設すべきではないかという御指摘であります。

 地方整備局の事務所につきましては、予算、定員措置を伴いますので、国土交通省におきましては、通常、四月に設置をしてございます。熊本復興事務所につきましても、平成二十八年四月の発災後に要求手続を経まして、翌年の四月に設置をしたところであります。

 しかしながら、事務所を設置するまでの間でありましても、復旧復興に取り組むため、必要に応じて、厳しい定員状況の中で人員を集約することによりまして、体制の確保に努めております。

 熊本地震に際しましても、復興事務所の開設に先立ち、平成二十八年の七月に九州地方整備局に約百三十名から成ります熊本地震災害対策推進室を設置をいたしまして、復旧復興に取り組んできたところであります。

 また、昨年の十月には、頻発する自然災害に一層迅速に対応するため、年度途中でも機動的に被災地に出張所を設置することができるよう措置をいたしました。

 今後とも、被災地の実情に応じまして迅速に復旧復興の取組ができる体制の整備を図ってまいりたいと存じます。

 三点目に、直轄国道の除雪について御要請がございました。

 ふだん雪の少ない九州地方でも、阿蘇地域等の山間部においては大雪に見舞われることがございます。道路の除雪を適切に行うことは、地域の方々の通行の確保や、観光を始め地域の経済活動を確保する上で大変重要であると認識をしております。

 九州地方整備局におきましては、昨今の局地的な降雪に対しまして迅速に除雪作業が行えるよう、民間企業が保有する除雪機械に加えまして、国道事務所が保有する除雪機械を活用して、除雪の対応をしているところであります。

 九州地方整備局全体では、みずから所有する専用の除雪車や凍結防止剤の散布車を、昨年度は実は一台しかございませんでしたが、今年度は九台に大幅に増強するなど、迅速な対応ができるよう体制を強化したところであります。

 国土交通省といたしましては、整備した除雪機械の運転状況を踏まえまして、更に配備する除雪機械などの資機材の充実を図り、適切な道路の除雪に努めてまいりたいと存じます。

坂本委員 権限代行につきましては、これはオール・ジャパンでございますし、技術を駆使する、そしてスピード性がある、地元業者の育成にもつながる、住民の安心感にもつながるということでありますので、ぜひ今後、積極的に活用、適用していただきたいと思います。

 さきの九州北部豪雨の朝倉市の被害につきましても、河川につきまして直轄代行していただきました。大変なスピード性を持って今復旧が行われているところでございますので、ぜひ今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、各自治体のマンパワーの不足についてでございます。

 震災によります復旧復興に関しまして、自治体のマンパワーの不足は深刻であります。特に、農業土木あるいは建築技術など、技術系の職員の不足が深刻化しております。

 熊本地震におきましては、当初はうまくいきました。これは、九州知事会の方でカウンターパート方式、いわゆる対口支援と言われるものを準備をしておりました。益城町は福岡県、西原村は佐賀県、あるいは阿蘇市は長崎県と宮崎県というぐあいに、九州でそれぞれ役割分担を決めていたわけでありますけれども、それで不足すれば今度は全国知事会に要望するという二段構えで臨んだところであります。

 しかし、この過程で浮き彫りになったところがあります。

 応援の派遣を要請する、それが被災市町村の自治体なのか、あるいは都道府県なのか、この辺の仕切りが曖昧でございます。また、費用の負担をどうするのか、この辺も曖昧なままでございます。

 また、応援を出す側につきましても、それぞれの県に応援を依頼するわけでありますけれども、それぞれの県が市町村に対して応援要請をするときに、それに対してのやはり根拠となる法整備が行われていない。市町村からは、何で俺たちが行かなきゃならないんだ、何で俺たちの市町村が選ばれたんだというようなことで、少し停滞するところも見受けられました。

 それから、全国知事会に要請する際に、総務省と、それから全国知事会とそれに準ずる全国組織、さらには市町村、このさまざまな組織を一つのルールでつなぐという整備が行われておりません。この辺の法的な整備が必要であるというふうに思います。

 また、マネジメントの問題でございますけれども、被災市町村は、とにかく職員自身が被災をしてなかなか役場にも行けないという状況でございました。そういうことで、やはり被災を体験し、専門的な知見のある方をしっかりと全国的に確保していく、そういったシステムが必要ではないだろうかというふうに思っております。

 対口支援の際の法的整備、あるいは、総務省、知事会を始めとする全国組織と市町村の間のルールを定める法整備、そして、技術者を始め災害経験のある全国的な専門職員の確保をどういうシステムでやっていくのか、このことにつきまして、総務大臣、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 大規模災害に際して、災害応急対策を進める被災市区町村への迅速かつ相当規模の応援職員の派遣が必要不可欠になります。

 熊本地震では、被災市町村ごとに担当する都道府県を定める対口支援方式が採用され、今、るる委員から御説明いただきましたが、効果的な支援を行うことができました。

 そこで、現在、総務省では、熊本地震の成果と課題を踏まえて、大規模災害発生時に全国の地方公共団体の人的資源を最大限に活用して被災市区町村を支援するための全国一元的な応援職員の派遣の仕組みとして、被災市区町村応援職員確保システムの構築を検討しています。

 このシステムでは、都道府県及び指定都市が、一対一で担当する被災市区町村に責任を持って応援職員を派遣する対口支援方式で支援を実施する、それでも応援職員が不足する場合には、全国の地方公共団体が派遣する、応援側の都道府県は、原則として、区域内の市区町村と一体的に支援を行うということとしています。

 また、このシステムでは、被災市区町村の災害マネジメントを支援するため、災害対応の知見を有する地方公共団体の職員をあらかじめ災害マネジメント総括支援員として総務省に登録し、応援職員の一員として派遣することとしています。

 地方三団体及び指定都市市長会などの実務者による検討会での議論を経て、現在、実施に向けた要綱の策定段階に入っており、年度内に要綱を取りまとめて、全国の地方公共団体に対して本システムへの理解と協力を求めてまいりたいと考えています。

 法的なものもあわせてお答え申し上げたいと思うんですが、今申し上げた被災市区町村応援職員確保システムは、熊本地震における対応をベースとしたものであります。熊本地震でも可能であったように、地方公共団体間の相互の協力により、現行法で運用可能な仕組みとなっています。

 一方、システムのより円滑な運用のために、全国組織の役割を明確化する観点から、現在検討中の要綱において、地方公共団体間の連絡調整を補完的に担う総務省や全国知事会などの位置づけをしっかり明確にしていきたいと考えています。

 以上です。

坂本委員 自然災害は、いつ何どき、どうやって起きるかわかりませんので、早急な要綱、あるいは、もし法整備ができるならば法整備で、万全の体制をお願いいたしたいと思っております。

 続きまして、災害公営住宅の件につきましてお尋ねをいたします。

 熊本では、今なお四万人を超える方々が、仮設住宅、そしてみなし仮設に入所をされておられます。そして、その中で、仮設における高齢者の割合が三割以上であります。こういった方々への自宅再建というのは、年齢面からも非常に難しいものがあります。としますと、やはり災害公営住宅の建設ということになってまいります。

 特に高齢社会仕様のまちづくりが必要であるため、災害公営住宅も、総務省やあるいは国交省が進めている小さな拠点づくりに資するような、中心街の利便性のよい地域への建設というのが望まれているところであります。

 建築には、激甚の場合に四分の三の助成措置というのがありますけれども、しかし、この災害公営住宅の用地確保につきましては、公営住宅建設事業債という起債のみでございます。なかなか自治体にとりまして大きな負担になっております。国、県の考え方では、家賃収入がある、だから家賃収入で初期の投資は回収できるというような考え方でありますけれども、なかなか現実的には、これでは回収というのは難しいものがあります。

 市町村が予定している、今、熊本での災害公営住宅は千七百三十六戸でございます。うち、着工したのはわずか五十七戸のみ、三%でございます。用地確保難や入札の不調、不落、こういったものが原因でございます。

 公有地以外の二市七町の用地取得費は三十億円に上っております。建築と同時に、用地取得に対しましても財政支援ができないものかどうか、国土交通大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 それから、発生当初から被災者の住まい再建を見据えた対応策が必要であるというふうに考えます。応急救助から自立再建までの総合的な支援制度というものを創設すべきであるというふうに思います。

 早期の住まい再建ができますと、それはひいては国や県や市町村の財政負担の軽減にもつながっていくわけでありますので、被災直後の状況から、そして仮設住宅、さらには自宅の再建まで、一貫した制度というものをぜひつくっていただきたい。このことについて防災担当大臣にお伺いをいたしたいと思います。

石井国務大臣 公営住宅の整備に当たりましては、通常は、整備費の二分の一の国庫補助と、管理開始後の家賃収入及び家賃低廉化に係る国庫補助で、整備や管理に必要な費用を賄う仕組みとなっております。

 用地取得費は補助対象とはなっておりませんが、用地を取得した場合には、家賃低廉化に係る国の補助期間を、用地取得がない場合の十年間から二十年間に延長いたしまして、地方負担の軽減を図っております。

 熊本地震は激甚災害に指定されていることから、災害公営住宅につきましても、甚大な被害があった熊本県内の十一の市町村におきまして、整備の補助率を二分の一から四分の三へ、家賃低廉化事業の補助率も、二分の一から、当初五年間は四分の三、その後も三分の二へと引き上げられておりまして、地方負担の軽減が図られております。

 熊本地震の災害公営住宅の整備につきましては、先般成立をいたしました平成二十九年度補正予算におきましても予算措置を講じたところでありまして、今後とも、被災自治体による地域の実情に応じた住まいの復興に向けた取組をしっかりと支援してまいりたいと存じます。

小此木国務大臣 防災担当大臣でございますが、委員がおっしゃいましたように、熊本地震から二年がたつ中で、いまだ四万人を超える方々が仮設住宅での生活を余儀なくされておりまして、一日も早い住まいの再建が重要であると認識しております。

 政府といたしましては、住宅再建に向け、損壊家屋等の公費解体、被災者生活再建支援金の支給、災害公営住宅の整備等を支援しております。

 また、先ほどお話がありましたように、復興基金を活用することにより、熊本県で、仮設住宅入居者に対する自宅再建に要する資金の利子や転居費用等を助成する事業を実施するなど、政府と被災自治体が一体となって、全力で住まいの再建の後押しをしております。

 その上で、総合的な相談窓口について、熊本地震においては、国は、法テラスによる無料法律相談援助等を実施しているところであります。また、熊本県や熊本市においても、弁護士や司法書士と連携した相談窓口を開設する等により、多様な要望に対応しているものと承知しております。

 熊本県による仮設住宅入居者を対象とした調査によると、再建方法を決めていない世帯は、平成二十九年六月時点で約四千世帯あったものが、本年、三十年一月十二日時点では百四十二世帯と大幅に減少した結果となっており、相談窓口の開設による効果もあったのではないかと考えております。

 今後とも、被災者の住まいが円滑かつ迅速に確保できるよう、被災者に寄り添いながら、被災自治体と一体となって取り組んでまいりたいと思います。

坂本委員 震災から一年九カ月を経過いたしまして、インフラの整備というのは順調に進んでおります。あと、都市部におきましては、区画整理あるいは街路事業、こういったものにつきましても、住民の皆さん方の御協力を得て、順調に進んでいるところであります。

 一番やはり難しいのは、被災者の方々の住まいの再建であります。仮設住宅に入居する、そしてみなし仮設に入居する、これは、防災担当大臣の御尽力で、期限二年間のやつを三年間に延長をしていただきました。しかし、今のままの状況ですと、三年たってもなかなか仮設から出れない、こういう状況にあります。

 発災当初の応急措置から、そして仮設住宅、さらには自宅再建へ、この一貫した制度というのはやはりこれから必要であるだろうというふうに思います。

 震災にいたしましても、火災にいたしましても、そして風水害にいたしましても、この問題は必ず出てくるところでありますので、震災ごとに、あるいは自然災害ごとに一つ一つの制度が充実をしているところでありますので、ぜひこの一貫した仕組みというものを、何としてでも、いずれ創設をしていただきたいと思うものでございます。

 今回の震災を経て、いろんな変化が私たちのところにもございました。

 せんだって、熊本に崇城大学という理工系の大学があるわけですけれども、その学長さんが言っておられました。

 学長さんはいつも学食で昼食をとられるわけでありますけれども、これまでは、学生たちが、取り巻くようにして誰も寄りつかなかった、ところが、震災後は、一緒に、テーブルのところに来て、ボランティアに行ってきたけれどもこうだった、あるいは、あそこの地域はこういうふうだった、自分たちが今までいかに親に甘えて、そして大学にやっていただいたか、こういったものを改めて感じたというようなことを喜々として話すというようなことを聞きました。

 その大学だけではなくて、ほかの学長さんに聞きましたけれども、同じような学生たちの心境の変化があっておりました。

 災害を通してやはり人をつくっていく、災害を通じて地域をつくっていく、そして、我々、国民としての結束力を更に固めていく、このことはこれから私たちがやらなければいけないことであるというふうに思っておりますので、今回の熊本震災を機に、さらなる制度の充実をお願い申し上げたいと思います。

 少し時間が余りましたけれども、党として時間をいただいておりますので、次の石崎議員が、降雪、雪の被害に対してかなり多くの質問をされるということでもございますので、石崎議員に質問を譲りまして、熊本震災関係の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて坂本君の質疑は終了いたしました。

 次に、石崎徹君。

石崎委員 雪国新潟が選挙区の衆議院議員の石崎徹でございます。

 おととしから衆議院予算委員を務めさせていただきましたが、初めて質問をさせていただく機会をいただきましたこと、菅原筆頭理事始め与野党の先生方に心から御礼を申し上げたいと思います。

 昨年、国会質問におけます質問時間配分につきまして、一回生から三回生までを代表いたしまして見直しの提言をさせていただきました。こうして議事録が残り、インターネット上でも審議状況が残るオープンな委員会質問の重要性は、与野党の若手議員にとっても本当に重要な機会だというふうに思っております。

 本日は、大雪の問題、そして拉致問題、そして子供、若者、将来世代の利益確保などにつきまして、若手議員なりに日ごろから感じております課題等につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 ただ、冒頭に、昨日、佐賀県におきまして陸上自衛隊のヘリが墜落したことに関しまして、先ほど坂本委員からも、総理そして防衛大臣に質問がございました。私からも、大きな被害を受けられました住民の方に対しまして謹んでお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられました自衛隊員一名におかれましては、心より御冥福をお祈り申し上げます。また、捜索中のもう一名の隊員につきましては、一刻も早く発見されることを心からお祈りを申し上げたいと思います。

 そして、大野政務官が今現地に派遣されているということでございます。

 今後、このような事故を二度と起こさないように、そして、なぜこのような危険な事故が起きてしまったのか、徹底的な原因究明と再発防止策の確定を全力で行うとともに、地元の皆様方に対しましても丁寧な説明をするよう、防衛省に強く要望させていただきたいと思います。

 今、日本海側は、大変な大雪が本日も降っております。先月、一月も大変な大雪の被害に見舞われたわけでございます。

 今、我が政権といたしまして、国土強靱化基本計画というものを策定いたしまして、いろいろな政策を進めているわけでございます。四十五のプログラム、そして十五の重点化すべきプログラム等を全省的に束ねてつくっているということでございますけれども、雪が降る日本海側のみならず、九州でも大雪の被害に見舞われているわけでございますので、こうした基本計画、今後見直しがなされるというふうに伺っておりますけれども、ぜひこの雪害につきましてももう少し明示的に記載をしていただきたい、これは強く要望させていただきたいと思います。

 新潟県、新潟市から、先般、一月の大雪の被害につきまして実際に伺ってまいりました。

 新潟市につきましては、当初予算、除雪の予算でありますけれども、十九億円の予算を用意しておりましたけれども、それでは到底間に合わず、補正予算で二十八億円等追加して計約五十億円の予算で対応しておりましたけれども、もう既に除雪費用が五十八億円と、赤字の状況でございます。

 新潟県のみならず、全国的にもきょうも大雪の被害に見舞われているわけでございまして、こうした除排雪の経費につきまして、普通交付税、特別交付税によりしっかりと今後も措置をしていくべきだと考えますけれども、総務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕

野田国務大臣 お答えいたします。

 本年度は、今お話があったように、全国的に降雪量が多い状況にあると承知しています。

 地方団体の除排雪経費については、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税措置額を超える場合は、三月分の特別交付税により措置しているところです。

 総務省として、地方団体の除排雪経費の実態を丁寧に把握して、しっかり対応してまいります。

石崎委員 ありがとうございます。三月にしっかり対応していただければというふうに思います。

 また、新潟県の方からは、今般進めております働き方改革におきまして、時間外労働の見直しが検討されております。ただ、大雪の場合は、道路除雪の長時間化というものは非常に必要不可欠でございます。こうした除雪業務従事者の労働時間につきましては、災害対応に準じた扱いにしてほしいという要望がございました。

 事前の厚労省への確認におきまして、このあたりは、除雪業務をする方につきましては除外をするということで確認をできましたので、引き続き、こうした地域の実態に応じた働き方改革を進めていただければというふうに思います。

 続きまして、国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

 今回、この大雪の際に改めて確認をされましたのは、新幹線の雪に対しての強さでございます。

 去年も、そしてことしも、多少のおくれはございましたけれども、運休がなかったのが新幹線でございます。新潟県におきましては、普通電車につきましては長時間立ち往生という大きな問題が発生いたしましたけれども、やはりフル規格の新幹線は雪に強いということが改めて確認ができました。

 安倍総理も、インフラ輸出ということで、新幹線、こちらを海外に全力でトップ外交で売り込んでいただいておりますけれども、これから、雪の多い日本海側におきまして、やはり雪に強いこの新幹線について、青森から新潟そして北陸を結ぶ羽越新幹線、そしてこれを北陸新幹線と結びます日本海縦貫新幹線、これをフル規格新幹線で整備していくということは、雪に強い国土強靱化を進めていく上でも非常に重要なことであるというふうに思いますけれども、このあたり、国交大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 新幹線につきましては、積雪量の多い地域を走行する場合には、雪の中でも安全かつ安定的に高速運行できるよう、温水スプリンクラーや融雪パネルによる融雪等の措置を講じております。したがって、新幹線は在来線に比べて雪に強いインフラと認識をしております。

 新幹線の整備につきましては、国において、現在、昭和四十八年に整備計画が決定をされましたいわゆる整備新幹線のうち、北海道新幹線、北陸新幹線及び九州新幹線西九州ルートの三区間の整備を、政府・与党申合せに基づき、順次進めております。したがいまして、新幹線につきましては、これらの整備計画路線の確実な整備にめどを立てることがまずは最優先の課題と考えております。

 一方で、整備新幹線の整備の進捗状況等を踏まえまして、各地域から、羽越新幹線を含む基本計画路線等の鉄道整備に関するさまざまな御要望をいただいております。

 このため、平成二十九年度より、国土交通省におきまして、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査に取り組んでおります。平成三十年度の予算案にも所要の調査費が引き続き盛り込まれているところでありまして、国土交通省といたしましては、この調査にしっかりと取り組み、我が国における今後の基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。

石崎委員 ありがとうございます。ぜひ、こうした雪に強い新幹線につきまして、日本海側の思いを酌んでいただきまして整備を進めていただければと思います。

 続きまして、今回の大雪で、センター試験の時間繰下げの影響を受けた受験生が全国で数多くいらっしゃいました。新潟のみならず愛媛も含めて、全国九大学、四千六百十四人の受験生が、大雪の影響で時間が、繰下げの影響を受けたわけでございます。

 毎年この時期になりますと、特に雪国の新潟におきましては、何もこんな時期に毎年やらなくてもいいんじゃないかというような声を、受験生、これは浪人生も含めてでございます、また親御さんからも多くの声をいただくわけでございます。

 また、きょう、資料の二枚目に配らせていただきましたけれども、インフルエンザ等の感染症の発生率もこの一月というものが非常に高いということが統計的に出てきているわけでございます。また、今回も、インフルエンザ、ノロウイルスを始め、感染症を理由にした追試験者が全国で約四百八十人にも及んだというふうに伺っております。

 また、正月等も家族も大変ぴりぴりした状況で迎えるということで、これは消費にも影響があるんじゃないかという声も伺っているわけでございます。

 きょうは、資料の一枚目に、諸外国の大学入試試験を調べてまいりまして、受験時期あるいは回数、これを見ていただきますと、日本だけが一月にやっているということでもございます。

 アメリカは複数回実施ということで実施しているわけでございますが、このたび、こうしたセンター試験もそうでございますが、平成三十二年度から、新たな大学入学共通テスト、これは記述込みということで実施されるわけでございますけれども、入試時期を諸外国のように暖かい時期にすべきであると、雪国の受験生のみならず、全国の雪によって影響を受けるこれからの受験生等の思いも含めて考えるわけでございますけれども、このあたり、文科大臣の所感を伺いたいというふうに思います。

林国務大臣 寒い日が続きまして、雪も多い時期に、入学者選抜に臨む受験生の体調管理は大変な御苦労だろうというふうに察するところでございます。

 今お話のありました二〇二〇年度からの大学入学共通テストの実施時期の検討をしたときに、実は文部科学省から、記述式の採点期間の確保や、今先生からお話のありました雪などの影響を考慮しまして、十二月に実施する案も示したところでございますが、高校関係者の方から、やはりそうなりますと、受験までに学習内容が終了しないということや、学校行事や部活動など多様な教育活動に支障があるということで、懸念が示されたということで、一月に実施をするということになったという経緯がございます。

 一方、受験生の挑戦の機会をふやすために、今、複数回のお話がありましたが、大学入学共通テストを年複数回実施することは重要であると考えておりまして、文科省としては、引き続き、高校教育の影響を考慮しながら、運営に係る負担や技術の進展も見据えながら、二〇二四年度以降の共通テストにおける複数回実施の実現可能性について検討を進めてまいりたいと思っております。

石崎委員 ありがとうございます。今、複数回実施につきまして検討を進めていくという前向きな御答弁をいただきました。このあたり、与野党の関心のある先生方とも勉強会をつくって後押しをしていきたいというふうに思います。

 大雪の状況の中、安倍総理の唱えます一億総活躍は、今いろいろと申し上げました雪国の、日本海側の国民ですとか、あるいはこうした全国の受験生を含めた一億総活躍であるというふうに考えております。

 一説によりますと、総理の家庭教師は平沢勝栄先生だったというふうに伺っておりますけれども、総理自身の御経験を含めて、雪国を含む全国の受験生への支援策、とりわけセンター試験、新共通テストのこうした複数回実施などを含めて、総理の御所見を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 基本的には大臣が答弁したとおりでありますが、まず、大雪など災害対策については、関係省庁で連携の上、総合的に取り組んでまいりたいと思います。

 また、高等教育については、入試改革を始め、大学改革、アクセスの機会均等、教育研究の質の向上を一体的に推進し、その充実を図ることとしております。

 大臣から既に答弁をさせておりますが、教育再生実行会議におきましても、諸外国の例を見てみますと、いわば高校から大学に行くときに、一回の試験だけで全てが決まるというのは、ほかの先進国にはほぼ例が、韓国はもしかしたら日本と同じ仕組みをつくったのかもしれませんが、それ以外はないわけであります。

 ですから、非常に、一発試験で物すごく負荷が高い。大雪に遭ったり、あるいは体調がそのとき悪かったら、もう自分の人生、相当決まってしまうということにもなるわけでありますから、そこは諸外国の状況等も十分に勘案しつつ、日本は、そういう意味では、少しこの仕組みにおいては検討する必要があるだろう、こう思っているところでございます。

 こうした人づくり革命を断行しまして、誰もが夢に向かって頑張ることができることが当たり前となる社会をつくっていきたい、こう思っております。

 全国の受験生の皆さんには、体調管理に十分留意していただきまして、みずからの夢を実現をしていただきたい、このように思っております。まさに若者こそ日本の未来であろう、このように思っております。

石崎委員 総理、ありがとうございます。総理からも前向きな御答弁をいただいたというふうに伺いました。

 今、総理から言及がございました韓国につきましては、韓国も一発勝負なんですけれども、実施時期は十一月ということでございまして、やはり暖かい時期にやっているということでございます。先ほど申し上げましたように、このあたり、勉強会等をつくりまして、後押しをさせていただければというふうに思います。

 続きまして、拉致問題についてでございます。

 このあたり、予算委員会でもなかなか言及がございませんでしたが、今週末、平昌オリンピックが開幕をいたします。総理も開幕式に御出席されるということでございますけれども、南北融和という報道をよく目に最近いたします。国際情勢も大変流動的ではございますけれども、この中で拉致問題が埋もれては、絶対にあってはならないと思います。

 私の選挙区で横田めぐみさんが拉致をされました。先週末で、横田めぐみさんのお母様早紀江さんは八十二歳の誕生日を迎えられたとのことでございます。一刻も早く拉致被害者の皆様方を奪還する必要がございます。

 十二月に、拉致問題特別委員会におきまして、横田早紀江さん始め、参考人質疑をさせていただきました。皆様方、異口同音におっしゃっておられましたのが、トップ外交の重要性でございます。

 このあたり、本当に北朝鮮ともう目と鼻の先の平昌で開幕されますオリンピックに出席されます安倍総理に、改めてこの拉致問題の解決に向けての意気込みを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨年の総選挙の際に、石崎議員の地元にお邪魔し、演説をした後、ある男性と女性の方が来られまして、ここ、めぐみさんが通っていた学校区なんですよね、早く帰してあげてください、こう言われました。

 議員が言われたとおり、早紀江さんも滋さんもお年を召された、有本さんもそうですが、皆さんお年を召されて、もう時間がない、自分たちが元気なうちにという気持ちが大変強い。当然だ、こう思っております。

 今まさに、北朝鮮の核問題、そしてミサイル問題、世界が厳しい制裁を科し、その履行に万全を各国が期しているところでございますが、拉致問題を決して埋もれさせてはならない、こう思っております。そのためにも、私も六百回近く首脳会談を行ってまいりましたが、基本的に全ての指導者に拉致問題に対する理解と支持を訴えているところでございます。

 そういう中で、昨年の国連総会において、世界が最も注目する首脳の演説は米国大統領の演説でありますが、そこで、めぐみさんについてトランプ大統領は触れたのであります。そして、訪日の際にも、早紀江さん始め拉致被害者の御家族、また曽我ひとみさんとも会い、まさに膝を交えて話をしながら、真剣なまなざしで話を聞いてくれました。そして、安倍さん、あなたと一緒にこの問題を解決をしていこうというメッセージを世界に発信をしていただいた。大変心強い思いでございましたが、私たちとしては、何とか結果を出していきたい、こう思っているところでございます。

 二〇〇二年、五人の被害者の方々が日本の土を踏むことができたわけでございます。私もその場におりましたが、横田さん御夫妻、滋さんが家族会の会長をしておられまして、皆さんの姿を写真に撮っておられたわけでございますが、残念ながら、そこにめぐみさんの姿がない。しかし、会長として使命を果たすために一生懸命写真を撮っておられた滋さんの目には涙がたまっていたわけでありまして、私たちは、滋さん御夫妻始め全ての拉致被害者の皆さんが、お子さんたちを、親族を抱き締める日がやってくるまで私たちの使命は終わらないという気持ちで、この問題に全力で当たっていきたい。

 今まさに、国際社会が北朝鮮に対して最も高いレベルの圧力をかけています。北朝鮮の側から政策を変えるから話し合いたいと言ってくる状況をつくり出したい、こう思っておりますが、この政策を変えるからの中には当然、拉致被害者の全員帰国も入っているわけでありまして、今後ともしっかりと訴えていきたい。我々も、あらゆる機会を捉えてこの問題を訴え、何とか結果を出していきたい、こう考えております。

石崎委員 ありがとうございます。これは与野党の全国会議員に課せられた使命であるというふうに思っております。ともに解決に向けまして歩んでまいりたいと思います。

 続きまして、資料三でお配りさせていただきました幼児虐待につきましてお伺いをしたいと思います。

 最近、ほぼ毎日、毎週のように、幼児虐待によって亡くなられる方のニュースをよく目にいたします。何とも言えない気持ちになりますし、今この資料にございますとおり、平成十五年から平成二十八年まで、厚労省で把握しております児童虐待で亡くなった子供の数、これは心中を除くケースで六百七十八人という物すごい多くの方が虐待によって亡くなられているわけでございます。

 一方で、この資料の下にございますとおり、平成以降で刑罰に処された方の資料、これもなかなか、法務省さんも把握をしていないところも一部あったんですけれども調べていただきまして、重い刑が科せられたのが四件ございました。死刑は一件だけだということでございます。

 去年来、児童虐待防止につきまして、法改正等いろいろと制度は改善をしてきているというふうに伺っておりますけれども、私自身は、このあたり、保護法益をもっと明確にいたしまして、児童虐待防止罪、これはやはり重い刑罰を科すべきであると思います。そうしなければこの問題はなくならないというふうに思っておりまして、この声なき声、子供たちが今でも虐待をされているというような状況の中で、このあたり、児童虐待の防止につきまして、厳罰化含めて、加藤厚労大臣に所感を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 私も子供を持つ身の中で、本当に、そうした子供さんが大変な虐待の中で亡くなっていく、その子供さんの思い、しかも親からの虐待だと、どういう思いなのかなといつも常に、悲しい、また深い思いを持つところであります。

 そういう中で、今、既存の刑罰、こうした事例が示される中で、更に厳罰化するという御提案もありました。これについては、これまでもいろいろな議論があると思いますし、慎重な対応、慎重な検討が必要なんだろうと思いますが、しかし、子供の命を守るために児童虐待の防止に取り組んでいく、これはもう我々が最優先で取り組まなきゃいけない課題の一つだと思っております。

 これまで、さまざまな取組に加えて、先般、児童福祉法の改正を行いました。そして、児童虐待、これは、発生を予防していくということ、そしてできるだけ早期に発見をしていく、そして、仮にそういった状況にあった子供さんでも、早く救い出し、そして自立の道を見つけ出していく支援をしていく、こういう一連の対策を進めていくことが必要だと思っております。

 例えば、子育て世代包括支援センターという、妊娠期から子育て期にわたって切れ目のない支援をしていく、こうしたセンターを全国に展開をしていく。あるいは、市町村や児童相談所がやはり中核になります、そこの専門家や体制の強化に努めていく。こういったさまざまな施策に取り組んで、そして、やはり現場である市町村、また関係機関、そしてそれを支える都道府県、そして私ども国、ここがしっかりと連携をして、社会全体の中で、児童虐待が起こらない、こういう体制をしっかりつくっていきたいと思います。

    〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕

石崎委員 死亡事例にとどまらず、児童虐待につきましては、去年度だけでも十二万件を超えているところでございます。このあたり、厳罰化による抑止の力も私は重要だというふうに思っておりますので、このあたりも引き続きまた勉強させていただきながら、政府を後押しをさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、財政的な幼児虐待のテーマにつきましてお伺いをしたいと思います。

 まさに今国難と言われます少子高齢化に対処するため、消費税収の使途変更を行いました。その点で、ことし新しく財政健全化目標を設定し直すということになりまして、今のこの財政的な危機的な状況は今に始まったことではございませんけれども、財政的に幼児虐待を行っているに等しいというようなことが言われているところでございます。

 他の先進国を見ますと、例えば欧州諸国におきましては、予算均衡原則や財政健全化目標、複数年度予算など、こういったものを憲法や法律に書いて制度的に担保していると伺っております。

 ドイツの憲法である連邦基本法におきましては予算の収支均衡原則が書かれておりまして、予算原則法に基づきまして、財政収支対GDP比マイナス〇・五%以下とする目標が定められているところでございます。もちろん、憲法や法律で書かれても実行が伴わなければ意味がございませんけれども、ドイツは予算の収支均衡を実現しているところでございます。

 ことしの夏までにしっかりとした財政健全化計画を策定し、今度こそは確実に財政再建への取組を進め、財政的な幼児虐待を解消する必要があるというふうに思いますが、改めまして総理の御決意を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 安倍内閣では、経済再生なくして財政健全化なしとのこの基本方針のもと、これまで、アベノミクスを進めることで財政健全化に大きな道筋をつけてまいりました。

 国、地方を合わせた税収は二十四兆円増加をし、そして、新規国債発行額は六年連続で計約十一兆円減少をしました。二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標も達成をしているところでありまして、今般、人づくり革命を力強く進めていくため、消費税率を、引上げ分の使い道を見直すこととしました。これによって、子育て、介護等、現役世代が抱える大きな不安を解消し、また財政の持続可能性に対する不安も解消していく考えであります。

 もちろん、このために、消費税、今まで五分の四、借金を返していくことによって社会保障を安定化させることに使っていたんですけれども、これを半々にしていく。

 半々にしていくということは財政健全化のスピードが落ちるではないかという批判もあるかもしれませんが、しかし、より多くの方々が大学に進学できるようになる社会というのは、もしかしたらチャンスを失って才能を開花できなかった人たちがその才能を開花していく、それは、社会への貢献、もちろん経済への貢献、財政への貢献に私はつながっていく。つまり、これは投資であるというふうに考えていただいてもいいんだろう、こう思っているところでございます。

 例えば、企業が設備投資をするというのは、さらなる利益を生むために設備投資をする。人と同じように比べるわけにはいきませんが、そういう投資をすることであるということでありまして、今からそういう投資をしていく。そして、みんなが自己実現ができる、みんなが自分の人生を歩み、機会をみずからの力でつかみ取ることができる社会をつくっていくことが、より活力ある日本の社会につながっていくという判断をさせていただいた。そういう大きな判断をするからこそ、選挙で国民の民意を問うたということでもあります。

 これによって、子育て、介護等、現役世代が抱える大きな不安を解消し、また財政の持続可能性に対する不安も解消していくということになります。

 この結果、プライマリーバランスの黒字化の達成時期に影響が出ることから、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化は困難となります。ただし、日本への国際的な信認を確保し、社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすため、財政健全化の旗は決しておろさず、プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持をしてまいります。

 さきの総選挙におきましても、消費税をそのまま引き上げるという公約を示した、そして、全額ではなくて半分はしっかりと借金も返していくという公約を掲げたのは我が党だけであろう、こう記憶をしておりますが、この目標の達成に向けまして、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、この夏までに、プライマリーバランス黒字化の達成時期と、裏づけとなる具体的かつ実効性のある計画をお示ししてまいりたいと思います。不退転の決意で改革を進めてまいりたい。

 なお、財政健全化に向けた取組の実効性の確保については、法制化という手段そのものよりも、二〇一五年度のプライマリーバランス赤字半減目標を達成したように、政府として責任を持って取り組んでいくことこそが重要であると考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 きょうは時間の関係で少子化対策等は伺うことはできませんでしたけれども、今総理おっしゃったように、少子化対策も喫緊の課題であるというふうに思いますので、そちらもしっかりと前に進めていただければと思います。

 続きまして、地方財政につきましても、こちらも財政的な幼児虐待状況であるというふうに思います。

 きょう資料でお配りさせていただきましたが、安倍政権になりまして、賃金、これは公務員も含めた一億総活躍であるというふうに伺っておりますけれども、国家公務員、地方公務員ともに賃金は上げてきているところでございます、資料四でございますけれども。

 こうした中で、夕張市の事例のように、地方自治体が破綻する可能性も、ほかにも出てきているわけでございます。そういった意味で、地方公務員を取り巻く環境や見方も、地域住民の目が厳しくなってきているというふうに思います。

 これまで幾度か、議員立法におきまして、こうした、頑張る地方公務員ももちろんいらっしゃるわけでございますけれども、政治的な行為を、これは住民の税金をいただきながら政治行為を行っていることに対しまして、議員立法でこれを制限しようとする動きも今まであったわけでございますが、残念ながら衆議院の解散等で廃案になってきたわけでございます。

 そういった意味で、これから、こうした地方公務員の政治的行為を国家公務員と同様に制限をするような禁止措置、これは、私は、こうした財政的な幼児虐待を解消する意義においても非常に重要なことであるというふうに思いますけれども、野田総務大臣の所感を伺いたいと思います。

野田国務大臣 地方公務員の政治的行為の制限について、地方公務員法の制定当時、国会におけるさまざまな議論があり、それを経て現行の内容になったものと承知しています。まずは、現行制度の中で、地方公共団体の責任において、懲戒処分を含め適正な対応をしていただきたいと考えています。

 国家公務員と同様の規制を設けるべきとの御指摘については、これまでも種々の会派で議員立法の法案が提出され、さまざまな議論がなされてきたところです。こうした経緯を踏まえれば、各党各会派で十分御議論いただくことが重要であると考えます。

石崎委員 ぜひ、このあたり、議員立法等の対応を、これからも私も後押しをしてまいりたいと思います。

 もう時間も限られているんですが、仮想通貨に対しまして、いろいろと、被害者の会が誕生したり、先週末も金融庁が家宅捜査等を行って対応はしていらっしゃるというふうに思いますけれども、私は、この仮想通貨の管理におきましては、分別管理、これをしっかりやることが、これからの、余り過度な規制もかけずに、かといって投資家の保護も図らなければならない、そのバランスをとる必要があるというふうに思っております。

 その点で、信託銀行などの信頼ある第三者が適切に管理をすることによりまして、まさに取引意欲のある利用者の保護、仮想通貨取引所のリスク回避、そして管理会社の利益というものにつながるという、三方よしの政策というものを考えるのもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、このあたり、最後に金融担当大臣の御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 この分別管理がどれだけできるかというので、自分の管理する仮想通貨と信託銀行が管理するあれとどうやって区分するんですかというところが、今からの一番難しいところなんですけれども。

 東京三菱UFJだと思いましたけれども、この信託銀行が特許を申請していると思うんですね。この特許申請がおりますと、これでできるという形が保障されるということになるんですが、これは技術的な話なので、ちょっと、今のところイエスともノーとも申し上げる段階にはありません。

 ただ、そういったようなことをすると、このコインなるものが、信託の対象になり得る信用ができるものだという物件になる、通貨とは言いませんよ、物件になるという可能性があるというのは非常に大きなところだと思いますので。

 これは、ブロックチェーンというのが一番のみそなんですけれども、ここのところがどれだけのものになっていくかというので、これを全て、じゃ、今度信託ができるんだったら全部それにしようということになると、これはいわゆるイノベーションというか、そういったような分野を狭めていくことになりますので、そのバランスが難しいという石崎先生の御指摘はまさにそのとおりで、まだちょっと今の段階で右とも左とも申し上げる段階にはございません。

河村委員長 石崎君、質疑時間が来ております。

石崎委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。またチャンスをいただければと思います。

 本当にありがとうございました。

河村委員長 これにて石崎君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日も、三十分の質問の機会をいただきました。与野党の理事の皆様に御礼を申し上げます。

 まず、最初の質問、幼児教育の無償化について質問をさせていただきます。

 これまでも、この予算委員会でさまざまな質疑を聞いておりまして、一部の野党の皆様の質疑の中では、私自身、少し首をかしげるようなところもございましたので、申し上げたいと思います。

 といいますのは、この幼児教育の無償化は、昨年の総選挙で突如として総理が言い出したというような指摘がありました。でも、これは実は経緯がありまして、二〇〇六年、恐らくどの党よりも早かったと思いますが、公明党が重点政策として幼児教育無償化というものを初めて打ち出させていただきました。

 その後、政権がかわり、また我々自公政権が、政権を取り戻し、この政権の合意、自公政権の政権合意として、二〇一二年の十二月に、幼児教育の無償化、財源を確保しながら進めるというふうに政権合意でちゃんと明記しているわけです。

 これに沿って議論を進めて、昨年の二〇一七年の総選挙の際には、ほぼ全ての党が幼児教育無償化を掲げて戦いました。

 そういう意味では、ここにいらっしゃる大方の議員の先生方は、幼児教育の無償化、この方向性は一致しているはずだというふうに思います。当然、突然言い出したものでもありません。そういう意味で、与野党を超えて協力して進めていくべきものだということをまず申し上げたいと思います。

 私の地元の守口市、ここは、前回の予算委員会でも質問させていただきましたが、日本で初めて、この規模で、ゼロ歳から五歳まで全て無償化、幼稚園も保育園も、また認定こども園も、所得制限なしに無償化というものをやらせていただきました。昨年の四月からです。

 その中で、まず、この無償化に対する市民の声というものを少し紹介させていただきますと、保育料を払ったつもりで貯金している、これを将来、子供が大学に行くときなどに役立てたい、あるいは、浮いた保育料で子供がしたいとずっと言っていた習い事をさせてあげられる、こういう声、あるいは、無償化で子供が集まってくる、町が活気づいた、こういうような喜びの声をいただいております。

 一方で、無償化することによる課題というのもあります。国が今後無償化を進めていく中で、先行して進めているこの守口市を例にして、モデルにして、この課題について少し議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず一つは、申請が急増しました、こども園とか保育所に対する申請。その理由の一つは、周辺の市町村から若い世代が移り住んできた、これも一つなんです。でも、やってみると、これだけじゃなかったんです。もしこれだけだったら、国は全国で無償化しますので、これは関係ありません。

 ところが、起こったことは、一号の子供たちが二号に振りかわっていったんです。つまり、昼間だけ、幼稚園だけ、幼稚園で教育だけを受けていた子供たち、一号の子供たちが減ったんです。普通、移り住んできたら、二十代のお母さんがふえましたので、一号も二号もふえるはずなんですよ。ところが、昼間の教育をする子供たちは減って、全部保育が必要だというふうに流れていった、二号がふえた、こういう現象が起こりました。つまり、無償化をすることで保育のニーズは増大します。これが守口市の経験です。

 ちょっと資料を見ていただきたいのは、資料一。就学前教育、一番左側ですが、この公的支出、対GDP比でも、あるいは児童一人当たりでも、日本はOECD諸国の中で今、最下位です。初等中等教育、高等教育も少ないですけれども、特に就学前教育の投資というのは低いという状況にあります。

 無償化は、親御さんの負担を政府が肩がわりするという話です。つまり、子供から見れば、一人当たりの投入量は変わらないんです。もしその状況の中でニーズが高まると何が起こるかというと、投入量が変わらない中でニーズがふえる、そうすると、一人当たりの子供の教育の質が落ちていくことになるんです。これが大きな問題です。

 そこで、総理にまず質問させていただきたいのは、幼児教育の無償化をするに当たって、しっかりと質の維持改善、あるいは就学前の教育をもっと充実させていくんだ、これを同時並行で行っていくことが子供にとって重要だと思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 大阪府守口市では、本年度から、ゼロ歳から五歳児の保育所や幼稚園の費用を無償化するなど、先進的な取組をされていると承知をしております。

 安倍内閣では、これまで幼児教育の無償化を段階的に進めてきましたが、今般これを一気に進め、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育園、認定こども園の費用を無償化するとともに、ゼロ歳から二歳児についても、住民税非課税世帯を対象として無償化を進めることとしました。

 待機児童との関係については、ゼロ歳から五歳児の無償化を行った守口市とは異なっておりまして、今般の無償化は基本的に三歳から五歳を対象としておりまして、既にその九割以上が認可施設を利用できていることから、無償化をしても待機児童への影響は極めて少ないと判断したものであります。

 しかし、今、一年まさに先行して実施をしておられる守口市においては、今述べたのが我々の分析なんですが、幼稚園に通う子供たちの数が減って保育の方にぐっと移っていったという話を伺いまして、そういうこともやはり参考にしていく必要は十分にあるだろうと私は思っております。

 また、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものでありまして、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは大変重要だと思います。幼児教育が将来の所得の向上や生活保護受給率の低下等に著しい効果をもたらすことを示す世界レベルの著名な研究結果もあります。さらに、調査によれば、二十代や三十代の若い世代が理想の子供数を持たない理由は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが最大の理由でもあろうと思います。

 こうしたことから、委員御指摘の幼児教育の質向上とあわせ、所得制限を設けることなく三歳から五歳までの無償化を進めることとしたところでありまして、こうした取組によって就学前教育の充実を図り、我が国の未来を切り開く人材の育成にしっかりと取り組んでいきたい、こう思いますが、いずれにせよ、今おっしゃったように、質が低下することのないようしっかりと見ていきたい、こう考えております。

伊佐委員 総理が、厚労省の見解だと思いますが、そんなに大きな影響はないかもしれないということですが、私がさっき申し上げた守口の例は三歳以上、一号から二号ですから三歳以上の話なんです。決してゼロ歳から二歳の話ではありませんので、そこをしっかりと踏まえていただければと思います。

 また、総理の方から質の改善をしっかりと行っていくということもおっしゃっていただきましたので、その観点から少し具体的に質問をします。

 まず、保育士不足についてです。

 野党の皆さん、無償化より全入化だ、無償化より待機児童解消だ、保育士の処遇改善だ、こういうことをおっしゃっていただいております。私は、両方大事だというふうに思います。子供の、子育て支援の車の両輪として進めていくべきものだというふうに思っております。

 現に、これまで自公政権においては両輪として進めてまいりました。資料二、テレビじゃありませんので、あえてパネルにはしておりませんが、例えば保育士の処遇改善、この薄い緑と濃い緑、濃い緑の部分、これが自公政権になってからですが、処遇改善も、今まで下がり続けてきたものを自公政権で反転攻勢して一気に拡大をさせていただいております。そしてまた、保育士の数もどんどんふやさせていただいているという状況です。それでも保育士が足らないというのは、それ以上のスピードで今受皿整備をしているんだ、保育の場所を自公政権がつくってきたからだと私は思っております。

 待機児童解消の約束を自公政権は守らなかったじゃないかという指摘もありますが、その次の資料を見ていただいてもわかるとおり、資料三です、これも、待機児童解消受皿づくりは、当初、二〇一三年に始まった待機児童解消加速化プラン、このときの目標は四十万人だったんです。でも、これを前倒して、しかも六十万人近くまでふやした。すると、受皿をつくることで、女性の就業率がふえた、M字カーブも解消に向かいつつあるというような状況になって、更に更にまた受皿が追加的に必要になってきた。そこで、今、子育て安心プランとして、三十二万人更に追加でやろう、こういう状況であります。

 つまり、想定していた以上に我々頑張ってきたのでこの緊急事態は依然続いている、だから、大事なことは、今、では、更に追加でこの人材不足に対して何ができるかということだと思います。何が足らないのか。

 そこで、一つ提案させていただきたいのは、潜在保育士の掘り起こしです。

 以前保育士として働いていました、あるいは、保育士の資格は持っているんだけれども今働いていません、こういう方々は全国で今、八十六万人いらっしゃいます。こういう方々が復帰しやすい環境をつくるというのが私は大事だと思っておりまして、特にこの資格の問題、保育教諭の資格、今、五年間の時限で特例措置をやっていただいておりますが、これの見直しも含めて、少し、まず少子化担当大臣、伺いたいと思います。

松山国務大臣 伊佐委員にお答えいたします。

 委員御指摘のとおりに、幼保連携型認定こども園で勤務をする保育教諭の件でございますが、幼稚園教諭免許と保育士の両方の資格を持つことが必要だとされていますが、平成二十七年度から五年間に限り、特例で、どちらかの免許、資格を持っておけばいいということに今しております。

 現在、この特例が設けられる五年間の間に、加えて、保育教諭の育成が進むように、一定の勤務経験があればもう片方の免許、資格を大学あるいは専門学校で取得ができる、単位数を軽減するということにもいたしております。また、いずれかの免許、資格を取得する際の受講料、代替職員の雇い上げ費の一部を自治体にも補助しております。

 さらに、公定価格においても代替職員に係る経費を措置しているところでございますが、今後、この保育教諭の免許、資格の保有状況、また関係者の御意見も参考にしながら、特例措置のあり方について、潜在保育士の方でこの幼保連携型認定こども園で保育教諭として勤務を希望する方への対応も含めて、支障のないような対応を、文科省とそして厚労省と連携して検討してまいりたいと思います。

伊佐委員 大臣から、この見直しについて検討するという言葉をいただきました。

 さっき申し上げたように緊急事態は依然続いておりますので、当初は五年で解決すると思っていたものが続いておりますので、この見直しについてしっかりと、継続の方向も含めて議論していただきたいというふうに思っております。

 もう一点、文科大臣に伺います。幼稚園教諭の人材確保という点です。

 新制度に移行して三年になります。移行していないところが今半分以上あります。その中で、移行していない、つまり私立幼稚園、移行していない私立幼稚園も大きな待機児童の受皿に今なっています。

 今までの処遇改善、そもそも処遇改善、自公政権でずっとやってきましたが、例えば賃金一〇%アップであるとか、あるいは経験を積んだ職員には更に上乗せで四万円やりましょうということをやってきました。でも、こういう措置は、全て新制度に移行したところへの措置なんです。

 申し上げたように、半分以上はまだ新制度に移行していません。つまり、そうした移行していない、あるいは移行しないというふうに決断をした私立幼稚園の方々、こういう職員、教諭に対する支援、ここも忘れちゃいけないというふうに思います。

 この私立幼稚園の教員への支援について積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 私立幼稚園の教諭等について優秀な人材確保をすることは、質の高い幼児教育を実現するために非常に重要なことだと考えております。

 今委員からお話のあったように、子ども・子育て支援新制度に移行している私立幼稚園については、これまで保育所等と同様の処遇改善を実施してきておりますが、今お話のあった新制度に移行していない幼稚園についても、平成二十九年度から、私学助成の枠組みにおいて人材確保のための新たな仕組みを創設いたしまして、平成三十年度予算案においても、引き続きこれに必要な予算を確保したところでございます。

 さらに、これに加えて、平成三十年度からは新たに給与等の処遇改善に係る所要の地方財政措置が講じられたところでありまして、文科省としては、今後とも、これらの取組を通じまして、私立幼稚園教諭等の処遇改善が図れるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

伊佐委員 文科大臣の方から、特に今、裏負担の話をしていただいたと思います。今まではなかった、三十年度から、地方で私立幼稚園の教員に対して支援をするときには国がしっかり裏負担も見ていきますという新しい制度をつくることになったという、前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 次に、障害児保育と病児保育について伺いたいと思います。

 資料四を見ていただければと思いますが、障害児保育に関する支援について、職員の加配についてです。

 見ていただくと、左、平成十四年度までは補助金でした。これが平成十五年度で一般財源化される。つまり、地方交付税として大きな財布の中に入っていったわけです。対象が、身体、知的、精神の障害を持っていらっしゃる方、あるいは重度、中度のみが対象になっておりました。

 これを平成十九年度から、現行制度になるわけですが、対象が広がりました。つまり、これまでの身体、知的、精神の障害に加えて発達障害も対象としよう、そしてまた軽度まで対象にしよう、物件費まで見ようということになりました。

 では、これはどれぐらい支援が入っているかなんですが、聞いたところによりますと、人口十万人では大体四千万円程度というふうに言われております。つまり、一人当たり人件費が三百万か四百万ぐらいとしますと、単純に割ると十人ぐらい。人口十万人の都市で障害児の支援の加配が十数人しか雇えないというような状況で、現場は今、二対一でやっているんです。障害児の皆さんが二で、保育士は一でやっています。これで今、十数人しかないんです。

 これは、発達障害の皆さんも今ふえていますので、もっと支援を、しっかりと国が支援すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか、総務大臣。

野田国務大臣 障害児保育については、本年度、厚生労働省において、子ども・子育て支援新制度のもとで実態を調査しました。そうしたところ、受入れ障害児数が十年前に比べて二倍となっていること等が明らかになりました。

 そこで、地方交付税では、障害児保育に要する経費としてこれまでは約四百億円を算定していましたけれども、こうした実態を踏まえて、平成三十年度からは約八百億円に拡充することとしています。

 また、地方交付税の算定においては、市町村ごとの受入れ障害児数に差があることから、算定額の拡充に伴い、各市町村の障害児保育に係る財政需要を的確に反映するため、各市町村の実際の受入れ障害児数に応じて算定するということとしています。これにより、市町村が安心して障害児保育に取り組めるようになると考えています。

伊佐委員 障害児保育に対する予算、四百億から倍増するというお答えをいただきました。とにかく、地方によってまた状況も違いますので、しっかりと地方地方に合わせた、それぞれの地域に合わせた丁寧な対応もお願いしたいと思います。

 もう一方、大事なのは病児保育です。

 病児保育は、少子化社会対策大綱、平成二十七年、二〇一五年ですが、閣議決定をしていただいております。その目標は、二〇一九年度に病児保育の受皿百五十万人をつくりますと。現状は、利用者はいまだ六十一万人です。半分以下という状況です。

 この課題の一つは、病児保育ですので、病気になったときに利用します。そうすると、利用がいつふえて、いつ減るかがわからないという状況です。

 例えば、今の季節、インフルエンザ、こういうような感染症がはやったときには当然ニーズが高まります。季節の変動がある。そうすると、安定的に運営していくのが難しい。実際に、病児保育をされているところの事業者の皆さん、過半数が赤字経営です。

 しかも、この補助金の単位、単価はどうなっているかというと、一事業所当たり年間二千人が上限なんです。

 実際は、今、ずっと保育の受皿は拡大していっていますので、そうすると、病児保育のニーズも高まっているんです、拡大しているんです。現場ではこの二千人の上限を上回って受け入れている状況です。でも、この上限がある以上、補助金としては、上限以上受け入れても補助金は出ないんです。持ち出しでやっています。

 こういう状況があって、来年度予算はこの病児保育というものをしっかりと充実していただきたい、改善していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 子供さんを持っている親御さんにとって、子供さんが急に病気になったりして、そうなるとなかなか保育所でも預かってもらえない。そうすると、働くことをちょっと、休みをとらなきゃいけないとか、いろんな意味で問題があるわけでありまして、そういった意味でも、この病児保育に対する大変なニーズがございます。

 他方で、今委員御指摘のように、この病児保育、事業として考えると、やはり感染症が出るとふえるし、それが終わるとどんと減る、あるいは治ると予約しているものが急にキャンセルになるとか、事業の安定性、経営の安定性という面を見ると非常に難しさがあるということも、こうした受皿の拡大に対して順調に伸びてこない、そういう理由だったんだろうと思っております。

 昨年六月に策定した子育て安心プランにおいても、「事業の安定的な運営の観点から補助の仕組みを見直す。」こうしたところでありますので、それを受けて、平成三十年度予算で二つ対策をしております。

 一つは、基本的に補助単価が二本立てになっているんですけれども、一本は大体使っているんですけれども、二本目を使っているところが非常に少なかったということで、もうこれを合体して一本で対応していくということで、補助単価が結果としていわば倍増するような形になっております。

 それからもう一つは、今、二千人という上限のお話がございました。二千人を超えて利用されている例もございますので、二千人以上の場合には利用児童者数に応じて加算をしていく、こういう仕組みを今検討させていただいている、こういうところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 六十代の保育士の方にお話を伺うと、当時は、学校を出るとほぼ全員が保育士になっていたというふうに伺います。今、現状は、学校を出られて保育士になる方は大体半分ぐらいというふうに伺っております。

 つまり、幼児教育というものが、幼児教育に携わるということがどれほど重要で価値あることかという点、こういう認識を社会全体で共有することも大事なんじゃないかと思っております。もちろん、処遇改善して来てもらうというのも大事だと思いますが、この幼児教育の意義というものを皆で共有していくことが大事じゃないかと思います。

 先ほど総理の方からも言及がありました資料五、世界的に著名な研究ですが、ナッシュの研究と言われておりますが、これは、幼児教育が極めて大事だというエビデンスです。言語とか数学とか数字とか、こういうところの脳機能というのは、大体、ゼロ歳から三歳、あるいはゼロ歳から五歳でほぼ、大きな影響を受ける、とりわけ、エモーショナルコントロールと言われています感情のコントロール、こういうところは二歳までが脳機能に大きな影響を与えるというふうに言われております。幼児教育が大事だという認識が広まれば、今の現状、世界と比べて就学前の教育の投資が少ないという現状も変わるんじゃないかというふうに思っております。

 総理に改めて伺います。幼児教育の重要性について、総理の見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 安倍政権において、誰もが生きがいを持って、一人一人が能力を存分に生かせる一億総活躍社会をつくり上げていく上で、人づくり革命はその中核をなすものであります。

 中でも、幼児教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは極めて重要です。まさに、人づくり革命の鍵となる部分と言ってもいいんだろうと思います。

 このため、委員御指摘のように、その幼児教育を担う人材の確保は重要であると考えておりまして、これまで保育士や幼稚園教諭の処遇改善に取り組んでまいりました。

 今般の人づくり革命による幼児教育の無償化により、希望する全ての子供が質の高い幼児教育を受けられるようになることも踏まえて、引き続き幼児教育の振興を図ってまいりたいと思います。

伊佐委員 無償化を進めるに当たって、無償化といったときに、いやあ、預けるのがただになった、それやったら預けようか、こういうんじゃなくて、今、日本では初中教育というものはしっかりと国が保障している、こういうように、幼児教育も同様に人格形成にとって大事なんだから公費でやるんだ、こういうような見方で無償化を目指していくということが大事じゃないかというふうに思っております。

 時間が迫ってまいりましたので、次の放射線治療の話を伺いたいと思います。

 この予算委員会で立たせていただいた前回も、私、がん対策の話をさせていただきました。総理はこのがん教育についても非常に今回旗を振っていただいて、昨年の四月から中学校の学習指導要領に書き込んでいただいて、いよいよ全国の中学校でがん教育が始まるということになりました。心より御礼申し上げたいと思います。

 安倍総理がこれまでもこのがん対策をリードしていただいた、一石を投じていただいた例を少しお話をさせていただきますと、資料六、十年以上前の国会答弁になりますが、これは、当時、公明党の井上義久政調会長だったと思いますが、の質問に対して答えた答弁になっております。非常に放射線治療について前向きな答弁を、これは抜粋ですので、本当は結構長いことおっしゃっていただいたんです。当時官房長官でいらっしゃいましたが、その中で、当然、放射線治療というのは体に対する負担が少ない、あるいは、外来通院で、働きながら治療する、今まさしく自公政権が目指しているものですが、こういうものにとって非常に役に立つと。

 ところが、総理の、当時官房長官時代の質疑、こう答弁していただいたところの背景には資料七の状況がございまして、ほかの諸外国と比べて、がんになったときの治療法が、アメリカは七割近くが放射線治療、ドイツは六割、でも日本は四分の一ぐらい、これはやはりもう少し放射線治療をしっかりと後押しすべきじゃないかというような判断で、総理は、当時の安倍官房長官はおっしゃっていただきました。

 いま一度、放射線治療の重要性について、総理の認識を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 国民の二人に一人がかかると言われているがんは、国民の関心が高く、早期発見、早期治療とともに、療養中の生活の質の向上が重要であると考えています。

 御指摘のように、平成十八年、御党の井上義久議員から、放射線治療の効果について御質問をいただきました。その際にお答えをしたとおり、放射線治療は、前立腺がんなどにおいて、手術以上に根治を期待できる有効な治療法、こう考えております。

 当時、御党の太田さんとともに東大病院の放射線科を訪問させていただきまして、いかにこの放射線治療が今申し上げましたような治療効果があるかということを御説明いただいたところでございまして、私の母も乳がんでありましたが、この放射線治療を活用させていただいたところでございます。

 そのため、平成十九年から始まったがん対策推進基本計画のもとで、放射線治療をがん治療の選択肢の一つとして選べるよう、がん診療連携拠点病院の数を二百八十六から四百カ所に増強しました。そして、その全てに放射線治療機器を設置するなどの体制整備を進めてまいりました。

 また、御党からの御提案を踏まえながら、昨年十月に第三期のがん対策推進基本計画を策定しました。その中で、放射線治療について、根治のための治療法としてのみならず、痛み等の症状緩和にも効果がある療法としても普及を図るため、がん診療に携わる医師等に向けて普及啓発を進めることとしています。

 政府として放射線治療を受けている患者数は現在把握はしておりませんが、ここ数年、放射線治療は月間四十万回前後行われているという状態で推移をしています。放射線治療を含め、個々のがん患者の状態に応じて適切な治療方法が選択できる体制づくりを進めていきたいと思います。

伊佐委員 もうすぐ時間になりますので、最後、厚労大臣に一言だけ伺います。

 ところが、次の表を見ていただくと、総理のおかげで翌年から放射線治療が第一に掲げられてふえてきたんですが、今、急に減り始めているんです。第一期の前の状況に戻りました。これはセカンドオピニオンの重要性という観点もあると思います。最後に一言いただければと思います。

加藤国務大臣 引き続き放射線治療提供体制の整備を進めるとともに、そうした選択肢が、適切にそうした治療が受けられる、こういう状況をつくっていく必要があると思います。

 あわせて、やはり納得のいく治療を受けるということも大変大事でありますから、そういった意味で、セカンドオピニオンの機会や相談支援を通じてみずからの病態や治療内容について十分理解することが重要でありますので、厚生労働省としても、そうしたがん治療連携拠点病院を始めとする医療機関において、セカンドオピニオンを受けられる体制の整備、あるいは相談体制としてのがん相談支援センターの設置、充実、こういったことにしっかり取り組んで、がんになった場合においても、いわば、安心してというのは変ですが、納得して適切な治療が受けられる、こういう体制をしっかりつくっていきたいと思います。

伊佐委員 放射線治療の数について厚労省と少しちょっと前提の認識が違っていたところもありますので、しっかりと現場を見ていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて伊佐君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅直人君。

菅(直)委員 まず、この予算委員会の席で久しぶりに質問の機会を与えていただきました関係の皆さんに心からお礼を申し上げます。

 また、安倍総理とは、二〇〇七年でしょうか、安倍第一次政権のときに国会の場で議論して以来十一年ぶりのこういう場での議論になるかと思います。ぜひ、真正面から、質問をはぐらかさないでしっかりと御答弁をいただきたいと思います。

 冒頭、与党からもお話がありましたけれども、昨日の自衛隊機のヘリ墜落について、その後の新しい情報が入っていればお聞かせいただきたいし、それについて触れたいと思います。

 自衛隊員が亡くなられたということで、大変、お悔やみを申し上げたいと思います。また、子供さんがけがをされたということ、さらには、民間の家が焼けたということについてもお見舞いを申し上げたいと思います。

 沖縄では米軍のヘリの墜落あるいは不時着が重なっていたわけですが、自衛隊においても同じようなことが起きたということで、こういうことの再発はもちろん許されないわけでありまして、そういったことについても総理の方から所見をお伺いいたしたいと思います。

小野寺国務大臣 昨日、佐賀県で発生いたしました自衛隊ヘリコプターの墜落事故につきましては、国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が住民の方々の安全を脅かし、多大な被害を生じさせたことは極めて遺憾に思います。改めておわびを申し上げたいと思っております。

 事案の概要につきましては、昨日来の報道もございますが、昨日十六時四十三分ごろ、陸上自衛隊の目達原駐屯地所属の第三戦車ヘリコプター隊AH64Dが、定期整備を行った後の飛行試験中に、同駐屯地の南西約六キロメートルに墜落をいたしました。今回は、五十時間ごとの定期検査を行ったことに加え、メーンローターヘッドの交換を行ったということがこの整備の内容でございます。

 この墜落により、付近の建物三棟に火災が発生したほか、住民の方が一名負傷されたとのことであります。事故機に搭乗していた隊員二名のうち、昨日、副操縦士の一等陸曹の死亡が確認をされました。また、本日〇八〇六分でありますが、警察、消防が不明者一名を発見いたしました。この身元については、まだ確認はされておりません。なお、昨日から不明になっている一名、機長は、二等陸佐ということになります。

 墜落に係る詳しい原因などについては現在確認中でございますが、改めて、神埼市や佐賀県の皆様、そして何より、今回、事故が発生いたしまして大変御心配をおかけしております地元の住民の皆様におわびを申し上げたいと思っております。

 防衛省としましては、総理からの御指示を受け、事故機と同型機の飛行の停止をするとともに、自衛隊の陸海空全てのヘリコプターの全機種の点検を開始しております。防衛省としては、徹底した原因究明と再発防止に全力を挙げる次第でございます。

 また、負傷されたお子様や火災に遭われた皆様への補償についても、今後、原因究明の結果も踏まえ、しっかり適切に対応してまいりたいと思います。

菅(直)委員 ぜひ、原因の究明、さらには再発の防止、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、安倍総理とは十一年ぶりと申し上げましたが、この十一年間の間にいろいろな出来事が内外でありました。私にとっては、やはりその間の出来事の中で、東日本大震災、そしてそれに伴って発生した福島原発事故、この問題が、私の総理在任中でもありましたので最も強く印象に残っているばかりでなく、今日にもつながる大きな課題だと考えて取り組んでまいりました。

 そこで、安倍総理に少しお話をお聞かせいただきたいと思います。

 安倍総理は、さきの本会議でも、我が党の枝野代表の質問に対して、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えません、こう答弁されております。

 他方、安倍総理は、みずからの政治の師として必ず小泉元総理の名を挙げられます。

 小泉元総理は、福島原発事故の後に、核廃棄物施設であるフィンランドのオンカロを訪問されて、そして原発ゼロの必要性を痛感した、その後、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟、略称を原自連と名乗っておられますけれども、この結成に顧問として参加をされております。今、お手元の私の資料の中にもありますけれども、一月十日には、この原自連から原発ゼロ・自然エネルギー基本法案の骨子が提示され、立憲民主党ともお話合いをさせていただきました。

 そこで、こうした小泉元総理の主張に対して、これに対しても安倍総理は、枝野代表に対すると同じように、原発ゼロ政策は責任ある政策とは言えない、このように批判をされるんでしょうか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 私の立場は既に枝野議員にお答えをしたとおりでありまして、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えない、このように考えております。

菅(直)委員 ということは、小泉総理もお示しした資料で原発ゼロ法案を提案したいと骨子を提案されているわけですが、趣旨は同じでありますから、小泉総理に対しても同じだという認識をするということでよろしいですね。

 そこで、もう少し具体的に話を進めてまいりたいと思います。

 安倍総理が原発ゼロはいわゆる責任あるエネルギー政策だと言えないというその理由を、端的に、国民の皆さんにわかりやすくお示しください。

世耕国務大臣 やはり、国民に対して安価でかつ安定的に電力を提供していかなければいけないわけであります。

 直近のコスト検証では、民主党政権のもとで開催された、前回、二〇一一年のコスト検証の基本的な考え方を踏襲して、資本費、運転維持費に加えて、賠償や除染、中間貯蔵の事故リスク対応費用、そして追加安全対策費用、核燃料サイクル費用、立地対策や研究開発などの政策費用など全て含んだ試算を行った結果、原子力の発電コストはキロワットアワー当たり十・一円以上という結果をいただいているわけであります。

 その後、福島の事故対応費用の増加などがありましたが、それを含めたとしても、原子力は引き続き低廉な電源というふうに考えております。

 我が国は、今、原発が停止して以降、最近でも、年間で電気代は、震災前に比べて、一般家庭で一万円、中小企業では六百万円のインパクトが出ているわけであります。そして、原発が停止して以降、CO2の排出量は電力セクターで約七千九百万トン増加をしています。エネルギー自給率は、震災前は二〇%程度あったわけですが、今八%でありまして、これはG7の中でもずば抜けて低いという状況になっているわけであります。

 このように、国民の暮らしや産業界への影響、そして、非常に今重要な世界的テーマになっている地球環境問題への対応といったことを踏まえれば、原発ゼロというのは責任あるエネルギー政策とは言えないと考えております。

菅(直)委員 今、主に三点を挙げられました。

 一つは、原発のコストが安価だと。私は、原発のコストと電気代というのはイコールではないと思いますが、原発のコストがキロワット当たり十・一円以上という、以上がこれだけつくんですが、と言われました。また、CO2の排出においても原発が貢献していると言われました。三番目には、自給率についても原発が貢献されていると言われました。

 それぞれについて申し上げていきたいと思います。

 まず、資料の二をぜひごらんいただきたいと思います。この資料の二には、同じく原自連にも参加をされている、昨年まで湖西市という市の市長を三期やられた三上さんという方が、原発のコストです、電気料金じゃありません、これについて、カウントされているものとカウントされていないものも含めて試算をされております。

 そして、これを見ていただきますとわかりますように、直接の原発発電のコストA、これが八・五三円。Bまで含めて、そしてCの迷惑料、危険手当等を入れて、このところで十・二五円。しかし、それに加えて、まさに小泉元総理が視察をされたオンカロ、私も行ってまいりました、地下四百メートルのところに約十万年管理をする形で埋めると言われております、こういう費用を換算する。さらには、六ケ所のバックエンドの費用を換算する。このあたりでもう既にキロワット当たり九十四円ぐらいになるだろう。更に言えば、事故炉の廃炉のコスト、さらに、もしこれを賠償保険料という形で取るとしたらどうなるか。キロワット当たり百十六円とか二百一円、こういう試算が出ております。

 ですから、今、世耕大臣が言われたのは、一部の費用だけをつまみ食いして、そしてそれ以上はどのぐらいになるかわからないから、今の答弁でも十・一円以上と言われたわけですね。

 私は、コストが安いということは言えないと思いますが、これはぜひ、総理の本会議における答弁ですから、総理の口からこのことについて直接お答えをいただきたい。総理、手を挙げておられますから。

安倍内閣総理大臣 詳細については経産大臣から答弁させたい、こう思いますが、多くの原発が停止している中で、現在、震災前に比べて一般家庭では平均で約一〇%電気代が上昇し、国民の皆様に経済的に大きな御負担をいただいているという現実があります。他方で、昨年、高浜原発が再稼働した関西電力では、八月から一般家庭で約三%の料金値下げを行うことができました。

 資源に乏しい我が国にとって、こうした電気料金のコストに加えて、これはもう既に世耕大臣からも答弁させていただいておりますが、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えないと考えております。

 その上で、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する、これが安倍内閣の一貫した方針でございます。

菅(直)委員 今の安倍総理の答弁も先ほどの世耕さんの答弁と同じで、電気料金が上がったから、原発をやらないから上がったんだというふうな形ですりかえておられます。

 しかし、電気料金の要素と原発のコストは、必ずしも、電気料金が全ての原発コストをカバーしているのであれば、例えば今二十二兆円とされている福島の処理費も全てそれで賄えるのか。賄えないことがわかっているから、今新しい仕組みをつくっているわけであります。

 ですから、ぜひ安倍総理におかれても、料金が上がったから、それは原発を使わないせいだ、こういうまさに正しくない、正確でない、もっと率直に言えば間違った説明をされても、それは誰も納得をいたしません、コストなんですから。

 そういった意味で、コストとしては、その次の資料もごらんいただければ、これはアメリカの一つの研究所が出した資料ですけれども、最近の国際的な傾向の一般ですが、太陽光の発電のコストは、当初は例えば設備費でもキロワット二百万ぐらいあったのが、今やキロワット当たりの設備費が五十万、三十万と下がってきて、現在は、アメリカのこのデータでは、原子力の発電コストよりも下に来ている。さらには、風力も下に来ている。これが世界の状況であります。

 こういう世界の状況を無視して、原発はコストが安いんだ、これは間違っているんじゃないですか、総理。

世耕国務大臣 まず、コストについてですが、原発のコストについては我々はしっかりと計算をさせていただいています。

 これは、民主党政権のときに基本的に了解をされた基本的な計算方式にのっとって、それに、その後いろいろな変化が起こったコストをしっかりと乗せて、資本費、運転維持費、さらに、追加的安全対策費、核燃料サイクル費用もしっかり入れております。そして、研究開発などの政策経費も入れています。また、事故対応の費用も全部入れております。それを見た上で、十・一円。

 それで、以上と申し上げたのは、その後、福島の事故対応が、もともと十一兆と見ていたのが二十一兆になっているわけですから、そういったものの対応も含めなければいけないという気持ちで、以上にしています。そのふえた部分も我々はしっかりと計算をしておりますけれども、大体、ふえたとしても、十兆ふえたとしても〇・一円程度しかふえないというふうに見ています。

 原発は、どうしても何兆円という数が出てくるので、私だってのけぞるような数字が出てきますけれども、一方で、原発はやはり一基当たりの発電量が非常に大きくて、そしてそれが四十年から六十年動くということで、やはり分母も大きくなるということは頭に置いていただかなければいけないと思います。

 また、再生可能エネルギー、日本のコストが高いのは事実であります。

 これは、FIT価格を一番最初、四十二円というところからスタートをしてしまった。これは、ヨーロッパがもう五年前の、その時点でも五年前の値段だったわけですけれども、スタートしてしまったということもあります。

 今、アメリカが安いとおっしゃいましたが、やはりアメリカは国土が非常に広くて、気象条件などいろいろ、風も非常に強く吹く広い場所があるとかいろいろ違っていまして、例えば、日本は太陽光は稼働率は年間一四%になりますけれども、アメリカでは二五%稼働をしています。あるいは、陸上風力は、日本で大体二〇パーから二三パーぐらいの稼働率ですけれども、アメリカでは四一パー稼働しているわけであります。

 日本が高いのは事実であり、これを安くする努力は今我々もいろいろやっておりますけれども、単純にアメリカと比較をして日本が悪いということはなかなか言えないのではないかというふうに思っています。

菅(直)委員 同じ答弁ですので同じ指摘にとどめますけれども、つまり、先ほど来、民主党政権時代のやり方を踏襲したと。一つのモデルをつくってやるやり方であったと思いますが、しかし、その後、世耕大臣自身が認められたように、事故の処理費というのは当初考えたよりも倍以上かかっております。あるいは、関連費用として、「もんじゅ」も廃炉が決まりました。あるいは、再処理工場もうまくいっていません。そういったいろいろな課題をこの三上さんの資料は加えて計算したところでは、どう考えてもキロワット当たり九十四円以上にはなっていると。

 ですから、これに対してきちんとした反論を私は経産省からも聞いたことがありませんので、まさにこういうインチキな、自分に都合のいいところだけを計算して、原発がないと高い、高いと言うのは間違いだということを申し上げておきたいと思います。

 二点目に行きますが、何か原発がなくなるとCO2の排出が大きくなるように言われておりますけれども、もともと、CO2の関係について言えば、再エネと原発で、今の安倍内閣でつくられたエネルギー基本計画では、合わせて四四%、こうすればCO2の排出量をたしか二〇三〇年までに二六%削減できる、こういうふうに言われていると思いますが、それでは、原発を入れないで再エネだけで四四%を発電すれば、同じようにCO2の削減はできるわけであります。

 ちょっと資料が先になりますけれども、資料の五番目に、各国の再生可能エネルギーの比率等を表にしたものを示しておきました。例えばドイツでいえば、二〇二五年までに再生可能エネルギーは四〇から四五、二〇三五年には五五から六〇。ですから、今の政府の再生可能と原発を合わせた四四よりも、ドイツは、二〇二五年にはそれははるかにクリアいたします。他の国を見ても、ほぼそういう水準になっております。

 つまりは、今の世耕大臣の説明は、CO2を減すためには原発がなければできないような言い方をしますが、それは逆ですね。原発がなくても再生可能エネルギーの量が四四%を超えれば、政府の試算からいってもCO2の目標に対する削減は十分可能になる、こうじゃありませんか。

世耕国務大臣 今、我々のエネルギー基本計画では、再エネについては二二から二四%を目標としています。逆に、原発については二二から二〇%。

 ですから、合わせて四四%をゼロエミッションの電源で何とかしたいと思っているわけですが、今、菅先生がおっしゃるように、大量に再エネを導入すればいいじゃないかとおっしゃるわけですが、それをやろうと思ったときに、やはり先ほど申し上げたように、ヨーロッパに比べてどうしてもコストが高いんです、これは。材料費も含め、また国土の状況もありますから、工事費も含めて非常に高い。これをどうやってコストを下げていくかということをしっかり考えなければいけません。

 また、再生可能エネルギーだけではできないんですね、これは。やはり変動の多い、非常に気まぐれな電源でありますから、その分必ずバックアップ、変動に対応する調整用の電源が必要なわけであります。これが蓄電池でできればいいんですが、残念ながら、蓄電池は今、非常にまだコストが高い。これのコストを下げていく努力もやりますけれども、現状では今高いわけであります。そうすると、結局、化石燃料に頼って火力発電でカバーをしなければいけないということになって、CO2がその分排出をされるという問題も出てくるわけであります。

 こういった課題をやはり多面的に解決をしていくということが非常に重要だと思いまして、我々は、こういった課題解決を諦めているわけではなくて、最大限取り組んでいるわけであります。

 再エネのコストだけで申し上げて、今、菅先生がおっしゃるように、二〇三〇年度に再エネ比率四割の実現を本当にしたとした場合、水力を除いた再エネの比率は現在の四倍にしなければなりません。単純に試算すると、国民負担の水準も現在の想定の二倍近くになるのではないかと考えております。

菅(直)委員 全く論理破綻をした論理ですね。

 つまり、私が申し上げたのは、他の多くの先進国で四〇%を超える再エネを二〇三〇年までには十分実現できるとして、もう既に実現しているところさえあるわけです。そういう事例を見ないで、日本だけが、これができない、あれができないということをあれこれ言われていますが、これは私は、事実とは全く反している。

 例えば、一つの私自身が見てきた例を言いますと、数年前にスペインに行ってまいりました。スペインは、送電網が発電会社と全て分離されて一社で運営されております。スペインじゅうの風力の傾向、あるいは太陽がどの程度照るかという傾向を気象予測をして、それによって足らない部分を火力で埋めていくという考え方でやっております。その結果、ここでも出ておりますように、例えばスペインでは、二〇二〇年、ですから、もうあと二年で再エネを四〇パーまで引き上げる。

 つまり、こういうことをやるべき役所である経産省ができない、できないと言っているから、できないんです。そのことをしっかりと申し上げておきます。いかがですか。

世耕国務大臣 私も、電力政策をやる上で、いろいろ世界の状況は比較をしています。やはりヨーロッパと日本は違うんですね。

 どうしても、陸続きで、ドイツなんかは、確かに風力をたくさん入れていますけれども、一方で、九カ国ぐらい、周りの国からたくさん電力を買っています。フランスからも電力を物すごく買っていて、そのフランスの電力の根源は原発なわけであります。そういった個別の国の事情もあります。

 イギリスも、基本的には再生可能エネルギーをふやす方向ではありますが、後で議論になるかもしれませんが、一方で、原発の新設という判断もしているわけでありまして、これは国によって、日本は、ほかの国とつなぐとなったら、じゃ、韓国、中国、ロシアから電力供給を受けるんですかという議論も、これはしっかりとやってもらわなきゃいけないということになるわけであります。

菅(直)委員 この議論も、私たち、いろいろな勉強会でよくやるんですけれども、ドイツはフランスから電力を買っているということをよく言われます。しかし、私が知る限り、一昨年はドイツはトータルでは輸出超であります。ですから、フランスに対しても、時期的に買うときもあれば、逆に時期的には売るときもあるので、こういうことを、一年間のトータルを見たときに輸出超になっているというような事実も含めてしっかりと言わないと。

 つまりは、できていません。(発言する者あり)何か閣僚がやじを飛ばしていますけれども、茂木さんですか。

河村委員長 御静粛に。

菅(直)委員 つまり、そういうことの技術は十分にあるし、本来は日本は非常にそういう技術が強かったんですけれども、それを、どんどん今、欧米に比べて、やらないことによっておくれているということを指摘しておきたいと思います。

 次の問題に少し移りますが、きょうは東電の新しい社長においでをいただいております。

 福島原発事故について、当時、事故が発生したときに、五十四基の原発が日本には存在しておりました。そして、その全ては自民党政権時代に建設された原発でありました。

 二〇〇六年の共産党の吉井議員の質問に対して、当時の安倍総理は、日本で全電源喪失事態が発生するとは考えられない、原発が爆発したりメルトダウンする深刻事故は想定していない、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全確保に全力を期している。二〇〇六年です。福島原発事故が起きる五年前です。しかし、実際にこれが起きたわけです。

 こういった意味で、私は、自民党政権時代の原発に対する考え方が不十分ではなかったのか、広い意味では、この原発事故の発生を抑えられなかった責任は当然ながら自民党政権にも大きくあるのではないかと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 それはまさにそのとおりでありまして、政府及び原子力事業者がいわゆる安全神話に陥り、あのような悲惨な事態を招いたことは、片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえつつ、二度と事故を起こさない決意で今後とも政策を進めていきたい、こう考えているところでございます。

菅(直)委員 素直に、そのとおりとお答えいただいたので。

 特にこれは、二〇〇六年というのは決して古い話ではありません。事故が起きた五年前の段階で、安倍総理自身が総理大臣の時代にやはり非常に事故に対して甘い見方をしていたことをそのとおりということでお認めになられましたので、この点については了解をしておきたいと思います。

 そこで、これは東電の社長にもお聞きしたいんですが、私は、東電でなぜあんな低いところに緊急用の発電機があったのかといろいろ調べてみましたら、もともとあの地形は、高さ三十五メートルの高台だったんですね。それを、わざわざ海の側のある幅だけ、高さ、つまり海水面から十メートルのところまで土を切っているんです。これは現場に行かれればわかります。免震重要棟は高さ三十五メートルのところにありますが、原発は高さ十メートルのところにあります。そして、その一番更に海側に緊急用のディーゼル発電機を配置したわけです。この結果、いわゆる津波がそのディーゼル発電機を越えてしまったので、全電源が喪失した。

 いろいろな原因がありますが、私は、福島原発事故の一つの大きな原因は、こうした立地の段階で既に低いところにディーゼル発電機を置いたことにも一つの原因があると思いますが、東電の社長においでいただいていますが、いかがお考えですか。

小早川参考人 東京電力ホールディングスの小早川でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 まず、御質問の御回答の前に、福島第一原子力発電所の事故から間もなく七年を経過するところでございますが、今なお福島県の皆様、広く社会の皆様に多大なる御負担と御迷惑をおかけしておりますことを改めておわび申し上げます。

 ただいまの御質問につきましてですが、巨大な津波を想定することが困難であったという理由で福島原子力事故の原因を天災として片づけてはならず、人知を尽くした事前の備えによって防ぐべき事故を防げなかったものと考えております。

 その意味で、事故の反省と教訓を踏まえた安全対策を今後しっかりと進めてまいりたいと考えております。

菅(直)委員 今の社長の答弁の中に、やはり津波の高さを想定しなかった、逆に言えば、わざわざ低くしたということは、私は、少なくとも設計上に問題があり、またそれを認めた当時の行政にも責任がある、このことを半ば認められたことだと思っております。

 そこで、もう一点、東電の社長にお尋ねをしたいと思います。

 この三・一一の福島原発事故以降、東電は事故に関する情報を迅速、正確に発信してこなかったという印象を、私は大変強く思っております。そこで、せっかく小早川さんが新社長になられたわけでありますから、ぜひこれからは、少なくとも、これまでにわからなかったことでも、わかったことは積極的に公開するという姿勢で臨んでほしいと思いますが、例えば、具体的に一つだけ申し上げます。

 当時、政府事故調で多くの人がヒアリングを受けました。そして、吉田所長の調書は、安倍政権でそれは公開をされました。また、当時の関係した政治家、私も含めて、その調書は本人の了解のもとに公開をされております。しかし、私が承知する限り、当時の勝俣東電会長や清水社長の調書は公開されていない。

 本人の了解がないから公開されていないと承知しておりますが、まずその事実関係と、もしそうであるとすれば、東電の責任で、幾らOBではあるといえども東電のもとの責任者でありますから、これらの調書を公開するようにきちっと働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。

小早川参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。

 社員を含めた聞き取り調査につきましては、事故原因の究明をするための材料としての位置づけであることに加えまして、プライバシーや個人情報保護の観点からも、聞き取りの内容をそのまま公表することはないという前提で行っております。

菅(直)委員 今の答弁で一般国民が納得すると思いますか。

 つまりは、吉田調書は安倍政権のもとで公開された、そして、吉田さんの上役であった会長や社長の調書は、これはプライバシーに関することもあるから公開しない。

 それは、プライバシーに関することもあるかもしれません。しかし、それにも増して、あれだけの大きな事故を起こした責任者が当時どういうふうに物事を考え、物事を判断したかということを知ることは、これは公的な、大変メリットのあることであります。

 もう一度お答えください。東電として、考え方を変えるつもりはありませんか。

小早川参考人 ただいまの御質問に御回答申し上げます。

 当社といたしましては、福島原子力事故調査報告書、これは二〇一二年六月二十日に公表しております。また、福島原子力事故の総括および原子力安全改革プラン、これは二〇一三年三月二十九日の報告書でございますが、その取りまとめを通じて、事故の検証と総括を実施し、事故発生に至るプロセスが解明され、既に報告書を取りまとめております。

 今後も、後世に残すためにアーカイブの作成や合同検証委員会への協力等を継続していく所存でございます。

菅(直)委員 別の報告書が公開されているということを幾ら言われても、政府事故調の報告書は現実に、そういうもとの幹部の報告が公開されていない。これで東電が責任を果たしたとは、私は、国民誰もが思わない、このことを指摘しておきます。

 そこで、最近、こういった問題の中で、東電と新潟県がともに参加をしているいわゆる事故検証委員会で、たしか昨年の十二月二十六日でしたでしょうか、福島原発事故の発生の直後にメルトダウンを使わないようにという指示をしたのは清水社長であったということを東電が参加している検証委員会で発表されております。

 しかし、それまでは東電は、みずから雇った弁護士から成るいわゆる第三者委員会なるものを使っていろいろ調査した結果、メルトダウンという言葉を使わないように指示したのは官邸の関係者だと推測されると発表をしておりました。

 なぜ、こんな間違った発表をし、それを放置してきたのか、その理由をお聞かせください。

小早川参考人 ただいまの御質問に御回答申し上げます。

 当社は、第三者委員会での調査結果は記載されているとおりでございますが、官邸からの指示が推認されるというものではございません。第三者委員会の報告書によりますれば、「清水社長が官邸側から、対外的に「炉心溶融」を認めることについては、慎重な対応をするようにとの要請を受けたと理解していたものと推認される。」と記載されております。これは、清水社長の理解を推認したものでございます。

 今般の合同検証委員会の現段階の調査結果におきましては、第三者検証委員会の結果を否定するものではなく、むしろ、官邸からの具体的な指示を確認できなかった点において、第三者委員会も合同検証委員会も同じと考えております。

 他方、当社は、当時の清水社長が炉心溶融という言葉を使うなと指示したこと自体が問題と考えております。

 引き続き、どのような事態に直面しても二度とこのようなことを起こさないように、再発防止を徹底してまいります。

菅(直)委員 今の社長の答弁も、清水社長がそういうふうに考えていたようだと推認すると。

 しかし、現実には、調査委員会なるものは官邸関係者に対して聞き取り調査をしたということは、私は一切聞いておりません。私のところにも聞き取り調査の要請はありませんでした。つまりは、自分たちが雇った弁護士三人で勝手に東電の中でいろいろ聞き取り調査をして、どうも清水社長はこう考えてやったようだと、それを発表しているんですからね。しかし、今回は、そうではなかったということを発表して、それをいわば取り消しているわけであります。

 それともう一点、同じような問題について、東電からまずお話を聞きたいと思います。

 二〇一一年の三月十二日午後七時四分ころから一号機に海水注入を開始したけれども、それは一時中断したんだ、こういうふうに当初説明をされておりました。しかし、東電は、海水注入が行われたその時点から二カ月半後の二〇一一年五月二十六日、実は一号機への海水注入は中断していなかった、このように発表されております。

 これはぜひ皆さんにも資料を見ていただきたいと思いますが、七の一と七の二の二つの新聞記事。これは、二〇一一年の五月の二十一日、首相の意向で海水注入を中断。そして、二十七日、ちょうど一週間後に、海水注入の中断はなかった。

 このように、最終的には東電自身が海水注入の中断はなかったということを認めたわけですけれども、なぜこのような間違った情報を東電は流したのか、お聞かせください。

小早川参考人 少し時系列で御説明申し上げます。

 当時、五月十六日に、原子力安全・保安院からの報告徴収の指示に基づき、当社から、三月十二日十九時〇四分に海水注入を開始、十九時二十五分に停止、二十時二十分に再開したことを一旦公表させていただきました。

 その後、五月二十四日、二十五日に、当時の吉田所長からの話で、三月十二日当時、発電所長、当時の吉田所長の判断で実際には海水注入は継続していたことがわかり、そのことを五月二十六日に公表しております。

 私どもといたしましても、吉田から話を聞くまでは、海水注入がとまっていなかったことは知りませんでした。そのため、吉田から話を聞いて整理し、公表したものでございます。

 結果として、海水注入の中断はありませんでした。

菅(直)委員 結論は、海水注入の中断はなかったと、今最後に言われました。

 それは、吉田所長から話を聞くまではと。これが半日とか一日ならまだわかりますよ。実際に海水注入があったのは三月の十二日です。そして、今の話があるように、吉田所長から話を聞いてわかったのは五月の二十四、二十五と。何と二カ月半、同じ東電の中の調査でそれがわからないというのは、この会社はどうなっているんですか。こんな重要なことがわからないって、私は信じられないんですね。

 幾らそれは、吉田所長がちょっと黙っていろよとかと言ったという話があるということを吉田調書でも知っておりますけれども、しかし、同じ会社で、海水注入を実際に作業としてやった人は、少なくとも、相当の人たちがやっているわけですよ。それを一切、本店関係者、そういう関係者が知らなかった。とてもではないけれども、そのままの体質であれば、とても東電にはこういう対応をするだけの能力がないと私は言わざるを得ません。

 そこで、安倍総理にもお尋ねをしたいことがあります。

 東電が、海水注入は中断していたということを、五月十六日ですか、保安院からの調査に対して言って、そして、実は中断していなかったんだということが五月の二十四、二十五にわかったということでありますが、安倍総理は、五月二十日のみずからのメルマガで、二〇一一年三月十二日、福島原発第一号機への海水注入をとめたのは当時の菅総理だとこれで発信して、私に対して、国民に謝罪して直ちに辞任するようにと要求されました。これは資料の八の一に出ております。

 まず、総理にお尋ねします。このメルマガは、総理自身が発信されたものですね。

安倍内閣総理大臣 そうでありますが、本件については、私の総理就任前のメルマガに関することであり、菅議員から提訴された私的な民事訴訟に関する話であるため、内閣総理大臣として国会の場でお答えするべきものではないと思います。

 また、既に最高裁で判決が出た、確定したものであり、地裁、高裁、最高裁、私が勝訴しているところでございますが、三年半にわたる法廷における議論をまたゼロからこの委員会で蒸し返すことは無意味ではないか、このように思います。

菅(直)委員 今私が聞いたのは、事実関係を聞いたんです。

 東電がみずから、海水注入は中断していなかったということを現社長も認められたわけですよ。しかし、安倍総理は、中断していた、それは菅当時の総理の責任だと。

 自分が書いたことは認められました。書いたことを認められたから、じゃ、なぜこんな間違った情報を書いたんですかとお聞きをしているんです。まず、そのことをちゃんと答えてください。

安倍内閣総理大臣 これは、もう訴訟をされて、既に判決が出ていることでございます。個人的に、いわば私が総理になる前の判断、書いたことについて菅氏から訴えられたわけでございまして、地裁においても、高裁においても、最高裁においても、私が勝訴をしたものであります。

 なお、判決の判断、では、なぜ私が勝訴をしたかという判決の判断でございますが、これは判決文から抜粋をいたします。

 三月十二日の時点において、一号機の原子炉を冷却することが最も重要な要請であり、淡水が枯渇した場合には速やかに海水を注入する必要があったことから、政府から海水注入の指示を受けた東京電力がその作業を進めていたところ、海水注入の判断について控訴人、つまりこれは菅当時の総理、控訴人の菅総理の了解を得ようとして開催された本件会議の席上において、控訴人、つまり菅総理が、その場面では本来問題にする必要のなかった再臨界の可能性を強い口調で問題にしたことから、会議の参加者が控訴人は、つまり菅総理は海水注入を了解していないと受けとめ、そのため、東京電力も開始した海水注入について中断する旨の誤った判断をしたというものであり、控訴人、つまり菅総理が本件会議において内閣総理大臣としてのある判断を示し、その判断が東京電力による海水注入中断という誤った決断につながったという意味において、菅総理の間違った判断があったと評価されるのはやむを得ない。

 したがって、菅総理の間違った判断があったとする意見、論評の前提となる事実については、その主要な部分について、つまり私がメルマガに載せたものでありますが、その主要な部分について事実と認められるというべきであるというのが、これが最終的な最高裁の判断でございます。

 いずれにせよ、三年半、ずっとこれは、私も、総理ではありましたが相当の時間を裁判の手続にとられたわけでございますが、既にこれは結果が出たことでありますから。今、私は総理大臣として、総理大臣としての行為に対して答弁をする責任を負っているところでございますが、この問題をまたゼロから蒸し返してここで議論することは非常に非生産的というか無意味ではないか、このように考えております。

菅(直)委員 事実関係と評価とは違うんです。

 簡単に言いますと、確かに最高裁で私の名誉毀損のことについては却下をされました。しかし、安倍総理は、それよりも先立って、私が一審で要求したメルマガの削除は、たしか二審の途中に、みずからそれを削除されております。つまり、私の要求の半分は認められているわけです。

 いいですか。問題は、先ほど東電の話もありましたように、正確に物事が、特に三月の十二日というのは大変厳しい状況の中でした。あるいは、総理は自分の総理のときだけ忙しい、忙しいと言われますが、五月の二十一日、二十七日の、偶然ですが、ここではドービル・サミットに私も出かけて、何でこんな議論が、私がとめた、とめたと言うのかなと。

 そうしたら、この読売新聞が出る前の日に安倍総理のメルマガでそれが流れ、そして、この読売新聞は安倍総理のコメントまでちゃんと入れているんですよ。それは、全て海水注入がとまった、中断した、それが事故に対して悪い影響を与えた、だから責任をとれと。それは安倍総理の発言として出ているんですよ、メルマガでも。ですから、その事実関係を聞いているんです。

 ですから、安倍総理は、事実関係については認めながら、責任を認めたくないものだから、そのことを曖昧にしている。

 もう一回だけ聞きます。安倍総理は、当時、海水注入が中断されたと書かれておりますが、それは間違っていたんですね。事実関係として、事実としてですよ。

安倍内閣総理大臣 まず、バックナンバーを削除したことについて、菅議員の理解を示されたのでありますが、それは違うんです。

 菅議員から提訴された本件民事訴訟では、三年半にわたり、地裁、高裁、最高裁、これはこちらも相当費用がかかるわけでありますが、弁護士と相談しながらの書面作成など訴訟対応に相当の時間を割くことに、総理大臣として職務があるわけでありますが、この訴訟に対して、対応、相当時間を割かざるを得なかったのは事実でありまして、内閣総理大臣としての職務にも支障が出る懸念があったわけでありました。

 この事案を踏まえまして、総理の職務に専念できるよう、紛争の未然防止の観点から、御指摘の、これは菅総理の記事だけではなくて、菅総理が訴訟されましたから、同じように訴訟する人が出てきても、たとえ完全無罪、無罪というか私は勝訴をしたんですが、一々勝訴をするとしても、ほかの人から何か、そういう人が出てくるかもしれないというこのリスクを、菅さんの例があったわけですから、事実。地裁、高裁、最高裁で勝とうとも、この間、私も相当それに忙殺されるわけでありますから、ほかにもこういう件が出ることを防ぐために、全てのバックナンバーを、これは総理として、過去のこの発言については削除をさせていただいたところでありました。

 しかし、削除した後も訴訟は継続しており、私はもちろん逃げも隠れもしていないわけでありますが、その上で、事実関係については、最終的に、責任をとれということで私に対して訴訟を起こした、元総理が現職の総理大臣を訴えるという事態になったんですが、最終的に、最高裁で確定した判決において、私がメルマガで書いた内容の主要な部分は真実であると認められるとされており、私の主張が認められたものと考えております。

 既に最高裁で出た判断でございますから、いわば私は、総理大臣として行ったことについて、あるいは行おうとしていることについて、例えば予算とか条約等々についてここでお答えする、答弁をする義務はございますが、その前の話について、私的な訴訟について、しかも司法の判断が出ていることについてこれ以上議論すること、また一から議論することは、私は意味がないのではないか、このように申し上げたいと思います。

菅(直)委員 与党からいろいろとやじが飛んでいますが、ちょっと静かにさせてくださいね。いいですか。

 あと、次にも言いますけれども、結局、最高裁の判決、私ももちろん読んでおります。しかし、最高裁の判決は、中断したということを認めてはおりません。

 そして、現実に中断をすることができるのは東電しかないんですから。その東電自身が中断していないと言うんですから、事実でないことだけは、これは客観的に明らかなんです。

 それを安倍総理は、何かあたかも事実であるかのように最高裁の判決を引用されますが、事実としては、いろいろな経緯があったにしても、中断されていないことは確かなんです。

 そこで、一歩だけ前に進めます。

 最後の私の資料をごらんください。これは八の二ですね。

 安倍総理は、実は、時系列的に言いますと、先ほどの東電の答弁も含めて言いますと、五月の二十四、二十五の吉田氏からの調査によって、実際には中断されていなかったということがわかって、そして報道が二十七日にこうして出るわけですが、この間もメルマガを発信し続けておられます。

 そして、二〇一一年の五月二十四日のメルマガには、「いよいよ不信任案提出の時は迫りました。」、つまりは、私が中断をさせたので、その責任をとってやめろと。そして、それに対して、不信任案を提出するときが迫った。

 この時点は、東電が中断はしていなかったということを発表するほんの三日ほど前ですね。つまり、その後になって、東電が三日後の先ほど申し上げたような時点で実は中断していなかったということを言われた時点で、素直に考えれば、どうも情報が間違っていたようで申しわけなかったと、このメルマガを取り下げて関係者に謝罪するのが普通の社会人のやるべきことだと思いますが、結果としてどうなったか。

 この五月二十四日の一週間後の六月の二日には、現実に自民党は当時の私の政権に対して不信任案を出されているんです。つまりは、海水注入をとめたというフェークニュースによって政権を倒そうとした、これが安倍総理の真意じゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 先ほど読んだ最高裁の判決で多くの方はもう既に御理解をいただいているんだろうと思いますが、この判決の言うところは、つまり、海水を注入するというのが正しい判断であったが、いわば菅総理の間違った判断があったと評価されるのはやむを得ない。つまり、海水を注入するのを中断しろと菅総理が判断したと言うことはやむを得ないという経緯があったということであります。

 したがって、菅総理の間違った判断があったとする意見、評論の前提となる事実については、その主要な部分について真実と認められるべきという最高裁の判断が出ているんですから、これ以上これは、そこで菅総理が敗訴されたからといって、本来予算とか条約とかそういうものを審議すべきここで、かつて私が総理になる前にメルマガで書いたことについて、何かそういう当時のことをもう一度蒸し返すというのは、これは私はいかがなものかと言わざるを得ないわけでありまして、最高裁の判断に従うということが正しい道ではないか、こう思っております。

菅(直)委員 この件については最後にしますが、最高裁が言っているのはこういう言い方なんです。

 つまりは、当時、そういうふうにいろいろな人が、報道もあったりして、安倍総理が、当時は野党の一議員であったから、そういうほかのいろいろな意見から間違ってそういうことを言ったのは、間違いではあるけれども名誉毀損とまでは言えないと。

 つまり、その間違いが起きた理由の中に、私がそういった発言をしたとか云々は確かに書いてあります、判決の中に。つまり、間違っていたことに対して罪を認めるほどのことではないというのが、その中の問題として私の当時の言動についてありまして、何度も申し上げますけれども、事実は一つなんですよ。私が言っているのは事実のことを聞いているので、安倍総理に、最高裁の判決の部分を捉えてまた誤ったイメージを操作するというのは、それはしないようにということを申し上げておきます。

 いずれにいたしましても、今のやりとりを含めてこれは国民の皆さんにちゃんと聞いておいていただきたいんですが、当時、三月の十二日というのは、まさに事故が発生した直後です。私は、ヘリコプターで現地に飛びました。吉田所長とも話をしました。そして、なぜベントがおくれているのかということもちゃんと聞きました。そういう中で、淡水がなくなれば海水注入をするのは当然のことであります。海水注入をためらうとすれば、それは、東電が原発が廃炉になることを恐れてためらうことはあっても、私がためらう理由は全くありません。そういった意味で……(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

菅(直)委員 静粛にしてください。

 ですから、もう淡水が始まっているんですから、なくなれば海水注入をするなんというのは、これはもう当たり前のことなんです。それを、私があたかもとめたかのように言って、最後は不信任案にまでつなげていった、このことは歴史的な事実でありますので、そのことだけはきちんと国民の皆さんの前で申し上げておきたいと思います。

 そこで、残された時間で、もう一つの問題をお聞かせいただきたいと思います。

 きょうは河野大臣もおいでだと思いますが、昨日、我が党の逢坂さんの質問にもありましたけれども、今回の「核態勢の見直し」、いわゆるNPRという、このことについて、トランプ大統領のこの案について、河野外相は、高く評価するというようなことを言われております。

 私、ちょっと古い話ですが、一九六二年、キューバ危機のころ、まだ中学生か高校生でしたけれども、当時は米ソの間での核戦争が非常に心配されておりました。キューバ危機の後に、米ソが一つの考え方に落ちついてきた。それは、相互確証破壊。つまりは、一方が先制攻撃をかけても、他方がその後で反撃しても、反撃された方は耐えられないほどの被害を受けるから、先制攻撃をしても双方ともだめになる。ある意味では、恐怖の均衡とも言われました。

 私は、今回のこのNPRは、先制攻撃というものを認める、あるいは認める方向に進む、そして、そのことはこのMAD、相互確証破壊の考え方と矛盾してきて、核戦争の可能性が拡大するのではないかと大変懸念をしておりますが、それについての見解をお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 前回、二〇一〇年のNPRでも、米国は先制不使用をうたっておりません。今回のNPRで米国の方針が転換したとは考えておりません。

菅(直)委員 先制不使用を明言していないというのは、私も外務省の事務方から説明を聞きました。

 しかし、一般的には、この七十年間、広島、長崎を最後にして、核の使用がされなかった。かつて朝鮮戦争では、中国の義勇兵が来たときに、マッカーサー司令官が核兵器を使うべきだと上申して大統領から罷免をされたという歴史的な事実もあります。この長い長い間、核が使われなかったのは、いろいろな立場にある双方とも、先制使用をすることに対して、やはり相互確証破壊的な考え方がベースにあって、先制使用だけはみずからすべきでないというのが国際的にも定着していたのではないかと思います。

 ですから、今の御答弁は、そういう文章はないということで、そういう認識が広く広がっていたものを崩すのではないか。例えば、一昨日なり昨日の各種の新聞にも、先制使用に道を開くといったようなことが、それは正確であるかないかは別として、少なくともそれらのマスコミはそういうふうに理解をして書いているわけです。

 もう一度聞きます。少なくとも、書いてあったか書いてないかではなくて、先制使用の可能性を拡大する、そういう危険性があるのではないかと私は考えますが、できればこれは総理から答弁をいただければと思います。

河野国務大臣 特に方針が変わったとは認識しておりません。

菅(直)委員 方針が変わったとは認識していないということと、今申し上げたように、これは必ずしも大統領や総理の認識だけではなくて、国民がどう認識するかということにもかかわります。総理にもお答えをお願いします。

河野国務大臣 米国の核兵器でございますので、米国政府の認識が変わっていないということでございます。

安倍内閣総理大臣 河野大臣から答弁したとおりであり、それが政府の認識であります。

菅(直)委員 私は本当に河野大臣とはいろいろと意見が違うところも同じところもありますけれども、少なくとも、核の先制使用というものに道を開くような、私には、トランプ大統領のこの新しい方針はそういう方向に一歩足を踏み出しているという感じがいたしてなりません。ですから、それに対してもろ手を挙げて賛成されるのは、私は大変疑問だということを申し上げておきます。

 最後に、幾つかの論点でわざわざおいでをいただいておりますので、一つだけ原子力規制委員長にお尋ねをいたしたいと思います。

 よく安倍総理が、現在の新規制基準は世界で最も厳しいレベルにあるという言い方をされますが、例えば、私が理解しているのでは、フランスのアレバ社は、格納容器を二重にして、飛行機が突入しても大丈夫なようにするとか、あるいは、コアキャッチャーという装置を備えて、メルトダウンが起きてもいわゆる自動的に冷却できるようにするとかという装置を備えたものを、例えば現在フィンランドでも建設しているというふうに聞いております。

 つまり、安倍総理の発言は、新しい原発なのか、これまでの原発なのか、必ずしもはっきりしませんけれども、何か聞いていると、今、日本にある原発は全て最高の新規制基準を満たしているんだ、あるいは、一番安全なんだ、それ以外のものは再稼働させないんだ、こういうふうに少なくとも一般の国民には伝わっているわけですけれども、しかし、今申し上げたような格納容器やあるいはコアキャッチャーなどが入っていないということで、最も安全という言い方は私は言い過ぎではないかと思いますが、規制委員長、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会は、これまでに明らかになった福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、IAEAや諸外国の規制基準も確認しながら、世界で最も厳しい水準の基準となるよう、新規制基準策定に取り組んだところでございます。

 また、規制基準というものは、国際的に見ましても、満足すべき性能水準を要求し、それを実現する具体的な技術の内容は指定しないのが一般的であります。欧米の規制基準においても、満足すべき性能水準を要求しており、全ての既設の原子炉に対して御指摘のあった技術の導入を義務づけるような基準にはなっておりません。

菅(直)委員 じゃ、それに関連してもう一つだけ聞きますが、例えば今私は二つの例を挙げましたが、そういう設備というのは私はより安全性が高いというふうに理解しますが、そういう理解は間違っていますか。

更田政府特別補佐人 お答えします。

 先生の御指摘の例えば二重格納容器であるとかコアキャッチャーというのは、規制が要求する性能の水準を満たすために、いわゆる容認可能な実施方法というような呼び方をしますけれども、性能水準を満たすための手段としてとられた一つの技術であって、特定の技術そのものが他の技術と比較してより高い安全性能、安全水準を与えているというふうに認識をしているものではありません。

菅(直)委員 ですからお聞きしたんです。

 具体的にその二つの技術というのは、要求している、していないということではなくて、より安全性が高いというふうに一般的に認識されると思います。新規制基準が要求している、していないではなくて、この技術が、例えば飛行機が突っ込んでも大丈夫というのは非常に安全性が高くなっていると思いますが、より安全性が高いのではないですかという判断を聞いているんです。

更田政府特別補佐人 一つの例について具体的にお答えをしますけれども、先生がお挙げになった、航空機が突入した際の、これによって原子炉を事故から守るための手段というのは、二重格納容器だけではありません。現在の新規制基準に基づく我が国国内の原子炉施設に対しても、意図的な航空機の落下に備えるような対策の要求を新規制基準の中でしております。

菅(直)委員 繰り返しになりますが、つまりは、一つの基準ではある、しかし、ほかのやり方もあると。

 ですから私は、ほかのやり方が、例えば今言ったように格納容器を二重にしたのと同じだけの規制基準がどういう形で表現されているのか、あるいはコアキャッチャーがどういう形でされているのか、私は残念ながら知りませんけれども、少なくともそういう形がとられていない。それにもかかわらず、安倍総理が、何か日本の原発は世界で一番安全なんだというようなニュアンスでこのことを言われるので、ちょっとそれは違うんじゃないですかということを申し上げたところです。

 ところで、少し話を戻したいと思います。

 当初、再生可能エネルギーのことについて申し上げましたけれども、最近非常に議論になっているのは空き容量の問題です。

 つまりは、再生可能エネルギー、例えば風力発電とか、あるいはバイオマス発電、太陽光発電を計画している多くの事業者が、例えば、電力会社、東北電力なりに、送電網につないでくれと言うと、空き容量がないので、自前で送電網を建設しなければ電力を買い入れない、こういう形で拒否される例がたくさん出ております。

 しかし、実際には、原発など東北では稼働しておらず、送電線は相当量あいている、空き容量は実は存在するんだという専門家の指摘もたくさん出ております。

 これに対して、そうした空き容量がないということを理由にして抑制するのは、ある意味、電力会社なのか、あるいはそれを容認する経産省なのかわかりませんが、つまりは、再エネの拡大を邪魔しているのではないかと思いますが、いかがですか。

世耕国務大臣 今の現行のルールでは、系統への接続というのは、電源の種類を問わず、別に原発を優先しているわけではありません、種類を問わず、接続契約の受け付け順に送電容量を確保するということになっています。

 仮に、今実際に流れている電気が少ないからということで、少し順番を変えて新たな電源の接続を認めるという運用にしますと、もともと送電容量を確保していた電源がいよいよつなげるようになりましたという時点で、また新たな電源の運用に制約が生じることになるわけであります。これを根本的に解決するには系統の増強工事ということになるわけですが、これは費用も時間もかかってまいります。

 そういった中で、一定の条件のもとで系統への電源の接続を認める仕組み、これをコネクト・アンド・マネージといいますけれども、この検討も重要だと思っておりまして、今その検討に早速着手をしておりまして、四月からこの運用の見直しを抜本的に行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、私は通信の世界出身なものですから、過去、ある系統への接続というのは、通信の世界も、二十年、三十年かけて洗練されたルールをつくってきたという歴史があります。新たに系統に接続しようとする発電事業者の御意見も聞きながら、今のルールが透明で、かつ公平で適切なものかの確認もしっかり行いながら、必要であればルールの見直しを行って、ルールを明確にしていくということも進めてまいりたいというふうに考えております。

菅(直)委員 少し前向きな話をお聞かせいただきました。

 これは、私の資料の六に、日本版コネクト・アンド・マネージ、この資料はたしか経産省からいただいたんですが、もうちょっと具体的にお聞かせをいただきたいと思います。

 つまり、空き容量の算定に、従来は全電源がフル稼働していた状態で運用していたのが、今度は実態に近い想定にする。緊急の枠も、半分程度を確保していたものを、事故時に瞬時遮断する装置の設置により枠を開放する。三番目に、出力制御前提の接続で、通常は想定しなかったものを、混雑時の出力制御を前提とした新規接続を許容する。

 これをやると相当量の空き容量が生み出せると思いますが、どの程度の容量が、あるいはどの程度の再エネの参加が可能になるか、その大体の見通しをお聞かせください。

世耕国務大臣 今見直しの検討を進めているところでありまして、どれぐらいの容量が確保できるかというのは、ちょっと今お答えすることはできません。

菅(直)委員 先ほどスペインの例も挙げましたけれども、スペインの場合は、発送電が完全に分離していて、それによって、発電会社との利害は考えないで、送電会社としてあらゆる発電会社の発電をいかに効率よく利用するかということになっておりますが、私は、これを進めていくには、やはり発送電の分離ということが、もっと急いで、しかも徹底的に進める必要があると。

 現在の状況というのは、みずからが発電をする九電力に送電網が任されているために、つまりは自分たちの既得権益を守るためにこういった状況がなかなか改善されないのではないか、そう考えます。

 発送電分離、一応二〇二〇年ということが言われておりますが、こうしたこともきちんと改善される改革になるかどうか、お聞かせください。

世耕国務大臣 まさに発送電分離というのは、いかなる発電事業者も公平かつ透明に送電事業者が扱うようにという趣旨で行われるものだというふうに考えております。

 ただ一方で、電力を安定的に安く供給するという考え方も、これは外すことはできないというふうに考えております。

菅(直)委員 それでは、少し順番を変えた関係で前後しますけれども、私が冒頭申し上げましたように、原発ゼロこそが必要な政策であると考えたその根拠をまず申し上げて、安倍総理から見解をお聞きしたいと思います。

 資料でいいますと、資料の四をごらんいただければと思います。

 つまり、あの福島原発事故の渦中にあった中で、最悪の場合、どの範囲まで住民が避難しなければならなくなるか、このことについて、当時の原子力委員長であった近藤駿介委員長にシミュレーションをお願いいたしました。そして、その場合に、近藤駿介委員長の方から一つの案が出てまいりました。これは、福島第一原子力発電所の不測事態シナリオ、最悪の場合のシナリオと呼ばれたものであります。

 つまり、このシナリオでいうと、最悪の場合には、百七十キロ圏が強制的な移転を必要とする、二百五十キロ圏は希望をする人は移転することを認める地域になる。そしてこの期間は、少なくとも数十年間の期間、この範囲から避難をしなければならない。

 この二百五十キロ圏を見ていただくと、東京もほとんど含まれます。つまり、この二百五十キロ圏に住む国民は、日本人は五千万人。つまりは全人口の約四〇%なんですね。

 私も、福島原発事故が発生するまでは、日本は科学技術が大変進んだ国なのでチェルノブイリのような事故は起きないだろうと、私自身も安全神話にある意味浸っておりました。しかし、現実には福島原発事故が起きて、それはチェルノブイリをはるかに超える厳しい事故でありました。

 そして、近藤当時の原子力委員長が示されたように、二百五十キロ圏から三十年、五十年という長期間、五千万人の人が避難をする、そういう可能性があったということを示されまして、これだけ大きな被害を受ける出来事といえば、私は、大きな戦争で負けたときに匹敵する、場合によってはそれ以上の被害ではないか、このように感じました。

 そこで、原発が必要かどうかというよりは、原発がなくて済むのなら原発をなくするべきだというのがまず私のスタートでありました。

 そして、現実には、現在まで七年間、原発が発電している発電量は日本全体の二%程度にとどまっております。つまり、簡単に言えば、原発に頼らなくてもこの七年間はやってこれたし、今、再エネもどんどんふえていますから、原発にこのまま頼らないでも十分電力量は不足をしない。

 ですから、これだけの大きなリスクがあることを知った中で、多分、小泉元総理も細川元総理も、やっぱり原発はやめようと。私もそう考えております。

 しかし、安倍総理はなかなかそれに対して同意されませんが、安倍総理、この表を見て、二百五十キロ圏から全ての人が避難するという最悪のシナリオを見て、それでも、こういう可能性があっても原発は続けるべきだ、そうお思いなのかどうか、見解を聞かせてください。

安倍内閣総理大臣 東京電力福島原発事故について、政府及び原子力事業者がいわゆる安全神話に陥り、あのような悲惨な事態を招いたことを片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえつつ、二度と事故を起こさないということは当然のことであります。

 また、原発については、いかなる事情よりも安全性が最優先であります。高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めることとしております。

菅(直)委員 結局、真正面から答えられないわけです。

 つまり、私が申し上げているのはリスクの大きさなんです。もちろん、飛行機に乗っても墜落リスクはあります。自動車でもあります。しかし、五千万人の人が数十年間、例えば東京でいえば、東京に幾ら山手線があったって誰も乗らなくなる。私は、そのことを想定したときに、本当に背筋が寒くなるような思いがしました。そういうリスクがあることがわかったわけです。

 しかし、そういうリスクがあることがわかって、何とか、だからそのリスクを回避するためには原発をゼロにしていこうというのが多くの人たちです。つまり、戦争、核戦争があれば、これに匹敵する大きな被害が出るでしょう。だからこそ、核戦争だけは何とかやらせまい、それが政治家の役目だと私は思います。しかし、安倍総理の答弁は、そういうリスクの大きさをきちんと理解しているのかどうか。安全性を最優先して継続していく、つまりはリスクの大きさを実質的には理解していないのではないか。

 特に、原発は、使えば必ず放射性廃棄物が出ます。それは、オンカロの例を見ても、例えば十万年の管理が必要とさえ言われています。つまり、多くの問題は、この問題は、私たちの世代ではない子供や孫たち、さらにその子供や孫たちの世代にまで残る問題、リスクも含めて残る問題です。

 もう一度お聞きします。私は、安倍総理の答弁を聞いていると、自分の世代だけ、当面の政権維持だけできればよくて、子供や孫の世代のことを考えていないのではないか、そういう感じがいたしますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 そんなことはございません。

菅(直)委員 そういうふうに多くの人が感じているということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

河村委員長 これにて菅君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、政府系金融機関、商工中金の不祥事についてまず取り上げさせていただきます。

 本日は、社長の安達元経産事務次官にもいらしていただきました。ありがとうございました。

 詳細は、資料、裏表七ページ分お配りをさせていただいておりますが、商工中金の危機対応融資は、税金で利子を補填するということでやってきました。借り主が安い金利で融資を受けることができるということでございます。この危機対応融資が対象でない企業にも故意に行われていることが一部発覚をしまして、全部危機対応融資を調べたところ、全百店舗のうち、ほとんど全部の九十七店舗で不正が行われていた。八百十三名が処分された。これは、全部の働いている行員が、いろいろな職の方を入れても三千八百人の組織ですので、そのうち八百十三名が処分をされたということでございます。

 まず、金融担当大臣に伺いますが、商工中金の規模というのは、地銀と比べたら、もうトップレベルなわけでございます。このような大きな国内の金融機関が、ほぼ全部の支店で同じような不正を行って、しかも八百名以上処分される。こんな大規模な不祥事、これは、民間では、大臣の知る限り、あったんでしょうか。

麻生国務大臣 御存じのとおりに、現状で危機対応業務というのを行っている民間金融機関というのはありませんので、今回の商工中金の事例との単純比較というのは難しいんですが、いずれにしても、長期間にわたって多数の職員が不正行為を行って、監査部などの本部の複数部署が不正行為の隠蔽に関与したという事実は、これは重大かつ異例な事態だと思っております。

落合委員 重大で異例だということでございます。

 経産大臣に伺いますが、商工中金、もともと完全民営化する法案が成立していました。その後、すぐ直後に、麻生内閣のときにリーマン・ショックが起きてしまった、これは危機対応しなきゃいけないということで、期限付で完全民営化が延期されました。その後、期限が来るころに、ちょうど東日本大震災が菅内閣のときに来た、これでまた期限付で震災対応ということで完全民営化は延期をされました。

 ここまではわかるんですが、なぜか三年前に、今度は期限なしで完全民営化延期ということになりました。

 これは、何度も私は国会で、モラルハザードが起きてしまう、危機でないところに危機をつくり出して、そういう状況が生まれてしまうという警鐘を鳴らしてきたんですが、この三年間、各大臣、大丈夫だ、しかも、監視もしっかりしている、監督もしっかりしている、法律の中にもしっかり指導するようになっているとずっと答弁をしてきました。しかし、私が指摘したようなことが実際、もっと想定以上に起こったわけです。

 これは、歴代の、大臣がトップですので、責任、世耕大臣含め歴代の大臣の責任というのはどう思いますか。

世耕国務大臣 念のため申し上げますが、民営化するという方向性は変わっていないわけであります。そしてまた、商工中金がリーマン・ショックや東日本大震災のときの危機対応業務において役割を果たした、それによって助かった中小企業も多かったということは、これは厳然とした事実としてあるわけであります。

 そういう中で、今、民営化の議論については、危機対応業務をかわりにやってくれる指定金融機関にどこか地銀などが手を挙げるのかどうか、それを見きわめるまでは民営化をしないということになっているわけでありまして、民営化の方向性自体は変わっておりません。

 ただ、いずれにしても、今回、こういうような危機対応業務を使った不正事案が起こりました。こういった事案を防げなかったことについては、経産省は主務官庁として責任があるというふうに思っております。

 組織としてのけじめをつけるために、私自身、俸給の二カ月分を自主返納いたしました。事務次官、中小企業庁長官に対して厳重注意処分を実施するとともに、俸給の一〇%二カ月分をそれぞれ自主返納したところであります。

落合委員 今までの大臣については、責任はどうなったんでしょうか。

世耕国務大臣 ですので、民営化について、危機対応業務を担う金融機関が出てくるまでは民営化を行わないという判断、これ自体に間違いがあったわけではありません。

 ただ、やはり監督が十分じゃなかったところがあったわけであります。これは、現職の大臣である私が明確にけじめをつけて、自主返納という形でけじめをつけさせていただいたと認識しております。

落合委員 今までの大臣にも監督責任はあって、それをしっかり果たしていなかったということは言えますね。

世耕国務大臣 こういった事案は、やはり現職の大臣がしっかりとけじめをつけるということが重要なんだろうというふうに思います。

 過去の大臣がどういう判断をされ、そのときどういう体制をとっておられたかというのは、残念ながら私はよくわかりません。民主党政権時代も含めて、どうなっていたかというのはわかりませんが、やはりこういうときは現職の大臣がけじめをつけるというのが、行政機関としての一つの責任のとり方ではないかというふうに思っています。

落合委員 少なくとも、三年前、無期限で、民営化の期限を定めないと決めたとき、これは震災からも時間がたっていたわけです。それから、危機対応融資をやっている金融機関というのは商工中金だけではない。いろいろ工夫のしようはあったわけでございます。にもかかわらず、そういった工夫を行わないで、商工中金自体がこのままの組織であるべきだ、モラルハザードも起こらないと、胸を張って歴代の経産大臣が、この三年間、国会の場でも言い続けてきた。私は予算委員会でも、前にも取り上げています。

 そういうふうに堂々と言い続けてきた。これは国会に対してもやはり不誠実であった、これはもっとしっかりとトップが指示をするべきだった、そのように思います。

 これまで、この事案がわかる前までも、通常の金融庁の検査は行われてきたわけでございます。これは、所管も、財務省、金融庁にも、共同所管ということでありますし、それから、金融庁が検査をこれまでもしてきている。それなのに、今まで民間の金融機関でなかったような大規模な不正が後から発覚した。

 これは金融庁の検査も大丈夫なんでしょうか。

麻生国務大臣 財務省が監督を行うというか、商工中金というのは基本的には経済産業省と財務省で、これは平成二十年度の商工中金の株式会社化、株式会社になってから預金保険制度の対象ともなったことから、金融庁も、預金者保護、信用秩序の維持の観点から、我々も監督の一部を担っておるのは御存じのとおりです。

 したがって、民間金融機関のやり方と同様に、財務の健全性とか、また、いわゆるリスク管理体制などについての検証を実施しておりますが、残念ながら、今回の検査において判明した危機対応業務の不正行為の根本原因が商工中金のガバナンスの欠如にあったことは、これは非常に重く受けとめているところです。

 したがって、金融庁の検査では、いわゆる金融機関の規模、それから特性等々を考えて、重要な問題点に焦点を当てて検証を実施しておるんですが、今回の検査については、こうした観点からの検証を行って不正行為の根本原因を特定できた、今度の検査でそう考えておりますので、今後、さらなる検証手法というものの向上というものを図っていく必要があろうと考えております。

落合委員 検査の中で根本原因が突きとめられたというのは危機対応融資の点においてだけで、ほかにもまだ不正も見つかっています。これは全件検査していません。危機対応融資だけでも、ほとんどの支店で不正が行われていた。そして、ほかの不正も出ている。これは、金融庁の責任というのも大変重いものがあると思います。

 それで、九年間で十二兆以上、危機対応融資を商工中金は行ってきました。不正の件数は一部なわけですけれども、利子補給で毎年毎年予算がついてきた。多額の税金が投入されてきたわけでございます。そして、このような、全店に及ぶような不正が発覚をした。これはもう、解体的出直しではなくて、経産大臣、解体した方がいいんじゃないですか。

世耕国務大臣 こういった不正事案があったということはまことに遺憾ではありますけれども、やはり商工中金は、中小企業に対する資金補給という面で重要な役割も果たしているわけであります。また、なかなか地銀が率先して対応してくれないような業務というのもあるわけでありますから、そういう意味では、商工中金の存在というのは必要だろうというふうに思っております。

 直すべきところは解体的にしっかり直しながら、中小企業から本当に必要とされる金融機関としてしっかり再生していくことこそ重要だと考えています。

落合委員 今大臣がおっしゃった機能は、解体しても、一部機能を残せばできる話だと思いますよ。

 長年、もう十年以上にわたって、第一次安倍内閣が完全民営化を決めてからもう十年以上たっているわけです。解体というか、完全民営化さえもできてこなかった。そこに進んでいけなかった。これはやはり、歴代の事務次官が商工中金の社長をしてきた、そして、監督する中小企業庁は、要は、事務次官が社長なわけですから、自分の部下が、監督する中小企業庁のトップにつくわけです。こういう構造がずっと続いてきた。これが問題の大きな一つになったんじゃないでしょうか。

 この人事についてはいかがですか、大臣。

世耕国務大臣 今回の事案の根本原因の一つとして、やはり商工中金における不適切な運用を防止するための内部統制及びガバナンスが欠如していたことが挙げられるというのは、これは全く御指摘のとおりだと思います。

 しかし一方で、今回の全件調査や主務調査においてわかってきたのは、代表取締役の出身がどこであるかにかかわらず、すなわち、民間出身の方が代表取締役であった時期もあるんですけれども、その時期も含めて不正行為は継続して発生をしておりまして、また、経営上の重要決定事項が、社長を入れずに、副社長以下のプロパーによる関係役員会なるもので決定をされて、取締役会が形式的な報告や儀礼的な追認の場となっていて、そしてまた、社外役員などによる牽制機能が発揮されなかった、こういったところが問題になったということが明らかになったというふうに認識をしているところであります。

落合委員 歴代の社長が元事務次官だったということは今回の事件に影響を及ぼしていないということは、今度、三月ですか、民間から新しい社長を呼びますが、その次の社長はまた元事務次官がつくということもあり得るということですね。

世耕国務大臣 今回は、民間から、金融業務に精通し、かつ、改革のマインドを持った関根さんという方に社長に御就任いただくことになりました。まず、この方に全力で仕事をしていただくということに尽きる。その人の改革を経産省としても側面支援をしていきたいというふうに思っています。

 その次の人事のことなんというのは、まだ全く考えていません。

落合委員 では、次の次の社長は元事務次官がつくということは否定はしないということでよろしいですね。

世耕国務大臣 今、次の社長が決まったばかりなんです。次の次の社長のことは全く考えていません。

落合委員 そうやって、完全民営化も何年後というふうに年限を区切って先送りしてきた。今回は四年後に組織のあり方を抜本的に決めるということです。これはまた十年前から同じことがずっと続けられてきているわけです。

 本日は、お忙しい中、安達社長にお越しいただきました。

 伺いますが、先ほど私が申し上げた、監督する側の経産省、中小企業庁と商工中金の方になれ合い、遠慮、そういった、人事面が主にですけれども、実際にあったというふうには感じましたか。

安達参考人 国費が投入されている危機対応業務において、長年にわたり、全国規模で不正行為を発生してしまい、深く反省しております。改めて、国民の皆様、関係各位に心よりおわび申し上げます。

 ただいま大臣が御答弁なさいましたように、今回の不正事案について、二十二万件、全件調査を行う中で徹底的な原因究明を行いましたが、その結果、不正は、社長の出身にかかわらず、民間の場合にも長期間にわたって継続的に発生してございました。

 それと、商工中金と経済産業省の関係でございますけれども、法律に基づき監督を受ける立場、予算の配分を受ける立場であったことは事実でございます。ただし、これは独立行政法人やその他の政府関係機関でも同様であり、そのこと自体が不正の原因、要因ではないと認識してございます。

 今回の不正の根本原因としては、危機対応業務における内部統制の未整備と過度の業績プレッシャーがあったこと、危機対応業務を競争上優位性のあるツールとして認識し、過度に推進したこと、不正行為を惹起した本部や経営陣の姿勢やコンプライアンス意識の低下があったこと、取締役会の機能発揮が不十分であるなどガバナンスの体制が欠如していたことが考えられております。

 今後は、今回のような不正を二度と起こさないように徹底することはもとより、政府の商工中金の在り方検討会の提言を受け、組織のガバナンスの強化やコンプライアンスの徹底に取り組み、新たなビジネスモデルの確立に向けて全力注力する所存でございます。

落合委員 今の社長の答弁が問題を物語っていると思いますよ。ほとんど大臣の答弁と一緒なわけですよ。監督する側と監督される側が答えが一緒という、これがやはり問題なんじゃないでしょうか。

 民間の社長のときも同じような不正が行われていたといっても、これは、一時期だけが民間で、基本的には歴代の経産事務次官が社長になっているわけでございます。だから、今回、民間に社長をかえて目線を少しそらさせたとしても、また事務次官が戻ってくる、これを繰り返してきたのが商工中金であり、こういう組織を残していていいのか。だから、第一次安倍政権は、しっかりと対応していくという決断をして、法案までつくったわけだと思います。

 これは社長に伺いますけれども、不正の内容ですとか中間取りまとめを見ますと、これは実際に民業圧迫をしていたというようなことが、はっきりとは書いていませんが、そういったことが書かれているわけですが、民業圧迫をしていたということですね。

安達参考人 本来の危機対応業務は、民間金融機関が実施できないことを実施するということで、民業補完でございますが、今回の不正事案につきましては、要件を改ざんして当てはめていたということでございまして、そこはまさに、金融機関と競争上優位性のあるツールとして認識して、組織の収益とか営業基盤の維持、拡充に利用していたということだと認識してございます。

落合委員 これも、完全民営化を延期した法案を出したときに、民業圧迫も心配ないということはたびたび答弁をして、中小企業庁も説明をしてきたわけです。

 これはやはり、歴代のいわば天下り先のようになっていた。組織を残さなきゃいけなかった。だから、危機対応をずっとしていないと、危機対応業務があるから商工中金は残さなきゃいけないんですというふうに言えなかった。だから、危機対応融資の残高を減らさないこと、これが目的化してこういった事例が起こった、こういう流れでよろしいですね。

安達参考人 お答えを申し上げます。

 今回の事案につきまして、第三者委員会による原因分析、その後の継続調査の結果や主務省検査の結果を踏まえて特定した根本原因の一つに、公的金融である危機対応業務は、本来、利益追求の手段ではなく、公益性と営利性を両立する内部統制を十分整備する必要があったにもかかわらず、それを整備することなく、危機対応業務を主要な業務と位置づけ、予算を営業店の業績評価に組み込んで、過度の業績プレッシャーをかけたことにあると認識してございます。

 今回の不正は当金庫の信頼を失墜させるものであると猛省しており、今後は、内部統制をしっかり整備し、ガバナンスの徹底強化を行うことによって、商工中金が真に中小企業に貢献する存在に立ち戻れるよう、全力で取り組んでまいります。

落合委員 今までのことを考えると、立ち直るのは相当難しいと思います。

 ちょっと時間が来てしまったので、経産大臣には改めて伺いますので、総理に伺えればと思います。

 第一次安倍内閣が、しっかりと政府系金融改革をやるというふうにやってきた。商工中金もその中に入ってきた。にもかかわらず、今、民業圧迫も行っていた、税金もある意味いいかげんに使っていた、それが組織全体で行われていた。第一次安倍内閣では、官僚機構ですとか天下りの問題、政府系金融機関の問題、しっかりやっていたと私は思うんですけれども、この姿勢というのは、最近は、特に第二次安倍内閣では変わっちゃったんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 小さくて効率的な政府を実現し、財政の健全化を図るとともに、行政に対する信頼の確保を図ることは重要な課題の一つでありまして、官から民へという政策金融改革の方向性に、これは全く変わりはありません。

 商工中金については、将来の完全民営化の方針を堅持しておりまして、商工中金の在り方検討会における提言を踏まえて、主務大臣の監督のもと、今回の出来事もしっかりと反省をしながら、商工中金の着実な改革が進められるものと考えております。

落合委員 私は、これは例の一つとして取り上げさせていただきましたが、やはり、こういったことに対する姿勢は、安倍内閣はだんだん弱まってきているんじゃないかなというふうに考えています。こういう象徴的な事例が今出てきたんですから、総理の決断でしっかり対応する、それをぜひお願いしたいと思います。

 またこれは取り上げさせていただきます。

 本日は、日銀総裁にもお越しいただいております。日銀の金融政策について取り上げさせていただきます。

 金融政策、これは、アベノミクスにおいてはかなり重視されております。経済学の教科書にも、金融政策と財政政策が二本柱のマクロ経済政策なわけでございますが、重視している安倍内閣は、政府と日銀でアコードを結んで、それをもとに金融政策が行われてきたわけでございます。

 今、黒田総裁、約五年、日銀総裁として任務を行ってまいりましたが、安倍総理は、黒田総裁のこの約五年間、どのように評価をされていますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 政権交代後、二%という目標を掲げまして、その二%に向けて黒田総裁がしっかりとした手段を表明したことが、市場の空気を変えていく力になったと思っています。

 また、大胆な金融緩和を含む三本の矢の政策があったからこそ、もはやデフレではないという状況をつくり出すことができました。

 名目GDPは過去最高水準でありますし、企業収益も過去最高、そしてまた雇用もよくなっている。賃金についても、賃上げの流れは四年連続で続いているなど、経済の好循環が着実に回り始めておりまして、金融政策の具体的な方法、手法については日本銀行に委ねられるべきであると考えておりますが、私は、黒田総裁の手腕を信頼しているところでございます。

落合委員 もう一点だけ、この黒田総裁の政策は、今後もこういった政策は続けていってほしいというふうにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 基本的に、政府と日本銀行でアコードを結んでいるわけでございまして、二%の物価安定目標に向けて着実に進んでいっていただきたい。

 ただ、もちろん、この二%の目標というのは大切なんですが、やはりしっかりと、結果として雇用をよくしていく、そして賃金が上がっていくという状況をつくっていくことが大切だろうと思いますので、この政策を進めていっていただきたい、こう考えております。

落合委員 はっきりとはおっしゃりませんでしたが。

 私の時間配分がちょっと下手で、あと十分しかないので、総裁にどんどん伺わせてもらいます。

 まず、日銀総裁に伺いますが、きょうもそうですけれども、直近のことなので通告はしていないので、できる範囲で御所見を伺えればと思いますが、きのう、きょう、株価が大きく下落しているわけでございます。これをどのように分析されていますでしょうか。

黒田参考人 日々の株価の動きについて具体的にコメントすることは差し控えたいというふうに思っておりますが、その上で、株価というものは、御承知のように、短期的にはいろいろな要素で動きます。このところの我が国の株価の下落については、市場では、米国などの株価の下落に引きずられた動きであるというふうに見られているようでございます。

 もっとも、我が国を含めまして、米国も欧州も、実体経済は非常に良好でありまして、それを背景にして、企業収益も業種の広がりを伴いつつ改善しておりますので、また、先行きも増益基調というふうに言われております。こういう意味では、株価のベースになる企業収益の動向という点、あるいは経済のファンダメンタルズという点では、内外ともにしっかりしているというふうには思っております。

 ただ、金融資本市場のことですので、十分注視してまいりたいと思っております。

落合委員 あともう一点は、日銀が量的緩和をどんどん続けてきたわけですが、先月、一月の供給量、これが、その前の月の十二月と比べて減少に転じております。これは、よく見てみると、黒田総裁が日銀総裁になってから初めて供給量が減少したわけでございます。

 総裁は、当初、マネタリーベースを二年で二倍にするということでじゃんじゃんやってきて、去年、量よりかは質に転換をしていきますということで方針を変更しているわけでございますが、このマネーの供給が、一月、初めてこの五年近くで減少したというのは、質への転換、量よりかは金利への転換の結果なのか、若しくは、金融緩和自体の出口を模索し始めているそのシグナルをちょっとだけ出しているのか、若しくは、金融緩和自体がこれ以上続けるとデメリットが大きいので少し絞っていかないといけない、手詰まりになってきているというのか、どういう理由なんでしょうか。

黒田参考人 マネタリーベースが、一月の末が前月末に比べて若干減ったというのは事実でございます。ただ、この背後には、主として、例えば政府預金が変化したといったような季節性のものでして、御指摘のような幾つかのポイントは全くございません。

 したがいまして、一昨年の九月に導入いたしました長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとで、経済、物価、金融情勢を踏まえて、適切なイールドカーブが形成されるように金融政策を運営していくという方針に全く変わりはございませんし、また、二%の物価安定目標との関連でも、まだ道半ばでございますので、今後とも強力な金融緩和をしっかり粘り強く続けてまいりたいというふうに思っております。

落合委員 今のその季節性というところもちょっと改めて伺えればと思うんですけれども、きょうは一点、今まで行ってきた黒田総裁の金融政策のデメリットの部分についてひとつ、デメリットになるかもしれない部分について伺えればと思います。

 黒田総裁は、物価目標二%達成のためにいろいろな手段を使ってきました。今までやったことがないこともやってきました。国債だけでなくてETFも買ってきたわけでございます。要は、日銀が上場企業の、民間企業の株式を保有し始めたわけでございます。

 昨年九月末の時点のETFの保有額は十六兆だと思いますが、時価で二十兆ぐらいだと思いますが、ETFの市場規模で割り算すると、全体の七割ぐらい持っている状況なわけでございます。

 これに加えて、安倍内閣のもう一つの政策として、年金の運用の仕方も、株式の保有割合をふやしています。

 日銀の金融政策にプラスして、GPIFでも上場企業の株を持ち始めている。実際どれぐらい持っているのかというのは、有価証券報告書とか、季節的なずれもあって非常に計算しにくいんですけれども、四分の一くらいの上場企業の筆頭株主になっているというような調査もあるわけでございます。

 四分の一の日本の上場企業の筆頭株主に政府や日銀がなっている。しかも、今のところは議決権を行使する予定もない。これは、だんだん資本主義がおかしくなってくるんじゃないでしょうか。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行は、量的・質的金融緩和を始める前からETFを購入しておりましたけれども、このETFの現在の買入れにつきましては、長短金利操作つき量的・質的金融緩和の一環として、株式市場におけるリスクプレミアムに働きかけることを通じて、経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくという観点から行っているものでございます。

 こうしたETFの買入れにつきましては、御指摘のような、市場機能やあるいはコーポレートガバナンスに対する影響を御指摘する声があることも承知しております。

 もっとも、市場機能への影響という点では、ETFを通じた日銀の株式保有額は株式市場の時価総額の三%程度にとどまっておりますほか、買入れに当たりましても、TOPIXに連動するETFのウエートを高めるなど、個別銘柄の株価に偏った影響ができるだけ生じないように工夫をしております。

 また、コーポレートガバナンスの面でも、ETFを構成する株式については、いわゆるスチュワードシップ・コードの受入れを表明した投資信託委託会社により適切に議決権が行使される扱いとなっております。

 こうした点を踏まえますと、ETFの買入れについて、現状、大きな問題が生じているとは考えておりません。

 しかしながら、御指摘のいろいろな懸念が表明されていることも事実でございますので、そういう点については、十分、先ほど申し上げたような対応をとって、しっかりとした効果が出るようにやってまいりたいというふうに思っております。

落合委員 時価総額で見ると三%、マクロで見るとそうですが、一つ一つの企業を個別に見れば、影響ある、かなり割合が多いという企業はもう出てきてしまっているわけです。

 しかも、国債というのは、今のところ無期限の国債というのはありませんけれども、ETFは期限がない。十年物とか二十年物とかがないわけで、区切りがない。出口を考えたら、国債よりもETFの方が出口は大変なわけでございます。出口戦略もしっかりと考えていかなければならないと思います。

 それから、財政政策に対する影響なんですけれども、マイナス金利で、国債の利払い費どころか、国債を発行すると額面がプラスになって応札されている。国債を発行すればするほど収入がふえて、プラスしてふえていっちゃうわけで、ことしの財務省の予算の立て方でも、もうそれを織り込んでプラスの収入が計上されているんです。

 これは世界にはまれに見ることであると思うんですが、それについてはどうお考えですか。

黒田参考人 現在の長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとで長期金利が安定的に推移しているということで、政府の利払い負担の減少につながる面があることは事実でございます。

 なお、短期、中期あるいは長期、我が国の長期金利はゼロ%程度ということで今はプラスでございますけれども、御指摘のような短中期のところはマイナスになっているわけですが、こうした事象は実は欧州でも広く見られるわけでございまして、世界で日本だけということではございません。

 ただ、そうしたことで利払い費の負担が減少しているということは事実だと思いますが、こうした金融緩和というもの自体は、日本銀行として、物価の安定というみずからの使命を果たすというために行っている必要な政策であるというふうに考えておりますので、二%の物価安定の目標の実現までにはなお距離があるということを踏まえますと、引き続き現在の強力な金融緩和を粘り強く進めていくということが、日本経済にとって必要ではないかというふうに考えております。

落合委員 時間が来ましたが、きょう、森友もやろうと思ったんですが、佐川長官、喚問、いらしていただけませんでした。引き続き佐川長官の喚問も求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて落合君の質疑は終了いたしました。

 次に、津村啓介君。

津村委員 津村啓介でございます。

 まず冒頭、昨日、佐賀県での自衛隊ヘリ墜落事故で亡くなられた自衛隊員の方、けがをされたお子さん、そして被害に遭われた関係者の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、質問に入ります。

 本日も、昨日に引き続きまして、皇室をめぐる諸問題、そして日本銀行の金融政策の見直しについて伺わせていただきます。

 まず、総理、女性宮家の議論ですけれども、総理はこの議論になると必ず同じ答弁をされるんですね。きょうもそうだと思うので、まず私から読み上げさせていただきます。

 方策についてはいろいろな考え方、意見がありますが、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要であると考えています。

 私も、そう思います。しかし、十分な分析、検討と慎重な手続というものをしなきゃいけないわけで、これを何らかの器で進めなければいけない。そして、時間も必要です。

 総理、どういう器で、いつ、この十分な分析、検討、慎重な手続をするんですか。

菅国務大臣 まず、女性皇族の婚姻等によって皇族が減少する問題、委員は、かつて内閣委員会でも、何回か私、質問を受けております。

 そういう中で、内閣官房に皇室典範改正準備室というのを設けました。これまで、ここの中で、さまざまな議論の経緯を十分に検証する、過去のことですよね、そういう中で、最近の動向も踏まえ、政府内で検討しているところです。

 そして、この問題というのは、昨日も御指摘ありましたように、皇族方の御年齢からして先延ばしすることはできない重要な課題であるという政府の認識のもとに行っています。

 ただ、きのうも総理が御答弁されましたけれども、いろいろな考え方、意見がある、このことも事実です。国民の皆さんのコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続、このことが必要だというふうに思っています。

 現在、皇室典範改正準備室は、内閣官房、内閣総務官を室長として、合計十七人で構成されています。この人員は官職兼務でありますけれども、ここはこの体制で今取り組んでおるところであります。

津村委員 十七人の改正準備室で議論をされているということはわかりました。以前、内閣委員会での御質問をした後、そういうことをしていただいたということも承知しております。

 では、その議論というのはいつまで続けるんですか。どういう時間軸で議論しているんでしょうか。

菅国務大臣 これは委員御承知のとおり、この議論をしていることは、今までしてきたわけですけれども、その中で、陛下の御退位という問題が出てきております。

 具体的には、先般の御退位に関する国会決議の中で、女性宮家の創設等については、皇室典範特例法の施行後における本格的な検討に備えて、これまでの議論の経緯の十分な検証と、最近のさまざまな動向を踏まえ、検討を、政府内で静かに進めているところであります。

津村委員 さっき長官は、今議論しているとおっしゃったんですよ。法施行後に本格的な検討というのと矛盾しています。

 法施行後というのは来年の四月三十日のことを言っていまして、そのときには、きのう指摘しましたように、もう眞子様は御結婚されていて、佳子様や三笠宮家の女性皇族の皆さんというのは、それよりお血筋が遠い、あるいはお妹君でいらっしゃるということを考えると、きのう申し上げたように、愛子様しか、眞子様より近い方は残っていらっしゃらないということになるわけです。

 そういう状況を招いていいのかというのが質問の趣旨です。法施行後では遅いんじゃないですか。今議論するべきじゃありませんか。

菅国務大臣 まず、天皇の御退位に関する皇室典範特例法改正案に対する附帯決議、きのうも総理が御答弁申し上げましたけれども、その中で、「女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告する」、これが国会の決議であります。

 この決議は決議として、先ほども申し上げましたように、内閣官房、総務官のもとでそうした検討をしているということは事実でありますけれども、施行後という国会の決議の中で、そこは対応をしっかりしていきたいと思います。

津村委員 次の問いは非常に重要なので、総理にお答えいただきたいと思います。難しい質問ではございません。

 きのう、このパネル、資料を皆さんにお配りして、総理にもお答えいただいたわけですけれども、このまま手をこまねいていて、あと二十八年、三十年たったときに、七十五歳以下の皇族の方というのは、仮に四十歳までに女性皇族の方が御結婚されるという一つの仮定は置かせていただきますけれども、悠仁様だけになってしまいます。悠仁様が仮に天皇になられたら、皇族はほかにゼロということになります。その事実は、総理、御認識されていますか。

安倍内閣総理大臣 であるからこそ、ただいま官房長官がお答えをさせていただいたとおりでございまして、まずは、我々としては、先ほど官房長官からお話をさせていただいたように、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位が国民の祝福の中つつがなく行われる、いわば皇室典範特例法が施行された後、附帯決議に従って対応していきたい、こう考えているところでございます。

津村委員 ですから、施行後では遅いと言っているんですが、それでは総理、もう一つ別の聞き方をさせていただきます。

 皇族がゼロになる、あるいは皇統が途絶えてしまうリスクを避けるためには、幾つかしか方策はないというふうに思います。どういう選択肢がございますか。

安倍内閣総理大臣 選択肢の中においては、皇族方の御年齢からしても先延ばしはすることができない重要な課題であると思うわけでありますが、先ほど、政府の、私の述べてきた見解を既に御紹介いただきましたが、そのための方策についてはいろいろな考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るために、十分な分析、検討と慎重な手続が必要であると考えております。

津村委員 女性宮家の創設、それから旧皇族の皇籍復帰、側室制度を設けるということ、そのほかに何か選択肢はありますか。

安倍内閣総理大臣 今、私は具体的なものを述べているのではないのでございますが、今申し上げましたように、さまざまな御意見がございますので、今、その中で、既に我々で何か案を絞って具体的に申し述べる状況にはまだないのでございますが、まさにいろいろな考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るために、十分な分析、検討と慎重な手続が必要、こう考えております。

 いずれにせよ、政府としては、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重し、対応してまいりたいと考えております。

津村委員 側室制度云々につきましては現実的にはあり得ないと私は思うんですけれども、旧宮家の皇籍復帰について、これまで政府での一定の議論の蓄積がございます。小泉内閣の有識者会議等がその代表格ですが、大きく三つの非現実的だとされる根拠がございます。

 一つは、旧皇族といいますと、七十一年前に皇籍を離脱されていますけれども、あたかも七十一年前にはこんな感じで現在の今上陛下、皇后陛下と非常に近い親戚であったかのように受け取られている方も、国民の皆さん、大勢いらっしゃるんですが、全くそうではありませんで、もともと旧宮家というのは伏見宮家の系統ですけれども、室町時代に既にお血筋が分かれているわけで、今の今上陛下とは、男系で数えますと、男系が重要なわけですから、三十五親等から三十七親等離れていらっしゃる方々であります。

 そして、五十一人の方々が離脱をされたわけですけれども、その方々は当然、七十一年たっていますので、多くの方がお亡くなりになっておられますし、今その親族で未成年あるいは十代、二十代の方というのは、賀陽宮家の系統でお二人、そして東久邇宮家の系統でお二人しかいらっしゃらない状況です。

 そして、そのどちらも、お父上の方が、皇籍復帰ということは考えられない、恐れ多いことだというふうにお述べになっているという、これは私が直接取材したわけではありませんので、それは申し添えたいと思いますけれども、報道がございます。

 総理も、昨年の予算委員会で細野さんの質問にお答えになって、こうおっしゃっています。果たしてその対象者がどこも希望というか、全てから拒否されるということもあり得ると。

 総理御自身が、野党時代には、この旧皇族の復帰ということをおっしゃっていたんですけれども、昨年は、ちょっと状況が違うということに少し言及をされているわけですね。

 さらに、時間もございませんので、私からもう一つ二つ御紹介いたしますと、総理は伝統の重みを盛んにおっしゃるんですけれども、古来、皇族を離れた方が復帰をして天皇につかれたというのは、平安時代に二例あるそうです。

 しかし、その二例は極めて短期間ですし、同一の人物が、もともと皇族で、一回離れて、またなるということですけれども、今のケースは旧宮家の子孫の方々ですから、生まれながらにもう皇族じゃないんですね。そういう方が後から血筋をたどって皇族になるというケースは、過去に例がないことなんです。総理が大事にされている伝統にないことなんです。

 そして、民間の方々ですので個別のことは申し上げませんが、旧宮家の血を引かれている未婚の皇族の方々の中には、大麻取締法違反とか、いろいろな、やはりそれは出来事があるわけです。

 現実に、七十年以上たって、多くの旧皇族の方々の御意思としても認められないし、また多くの国民の皆さんが到底、民間に生まれ育った方にいきなり天皇家ですと言われても、多くの方は戸惑われると思うんですよね。

 総理は、この旧宮家の皇籍復帰というかねての御持論について、今どうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 これは、今、私は総理大臣としての立場でお答えをさせていただきますので、これらの問題については、繰り返しになりますが、十分な分析、検討と慎重な手続が必要と考えており、政府として、これらの方々について、ちなみに皇籍復帰について意向を確認したことはございませんが、繰り返しになりますが、さまざまな意見を踏まえて検討していかなければならない、こう考えております。

津村委員 このテーマは、昨日も強調しましたけれども、この一年、眞子様ということを考えればあと半年、そして愛子様を、女性宮家、考えるとしても、愛子様は今十六歳でいらっしゃいます。眞子様と十歳しか離れていないんですね。もう本当にこの五年、十年で動かしていかないと、日本の天皇家が絶えるかもしれないという、本当に深刻なことなんです。

 実際に、ある御夫婦から男の子が生まれる可能性は七〇%程度、そして、二代、三代とその可能性を掛け合わせていくと、五割を切っていくんですよ。これは小泉内閣の有識者会議の報告でも触れられていることです。

 そんな五〇%とか、七〇%でもだめですよ、一〇〇%というのはいろいろなことがあるかもしれませんが、九〇%、九五%という、安心してこれからも皇族が続く状況をつくっていくのが現在の為政者である。そしてそれを決められるのは総理しかいないんですから、その器を進めていかれるのは。

 これからも繰り返し繰り返し、私はこのことを求めていきたいと思います。後世の日本人に、あのとき何をやっていたんだ、その時代の政治家はというふうに言われてしまいますから、このことは何度も取り上げさせていただきます。

 それでは、アベノミクスの話でございますが、黒田総裁、先ほど落合さんもETFのことを掘り下げておられました。非常に今大事なタイミングで、きょう株価も、きのうから千円、千五百円と下落をしているわけで、これも、日本の実体経済が、大丈夫だというお話をされていましたけれども、これは世界全体で動いている話ですから、日本だけが安全地帯じゃないということが示されているわけですよ。

 そんな中、黒田総裁は、十一月のチューリヒの講演のときに、きのうも触れたリバーサルレートの話が注目されていますけれども、もう一つ、こういうことをおっしゃっています。政策対応力の低下ということで、この資料ですね、こちらです。総裁、この資料ですけれども、これは日銀がつくったグラフです。私がつくったグラフではありません。

 総裁がチューリヒで皆さんに配られた表なんですけれども、何を言っているかというと、二〇〇八年のリーマン・ショックのときです。リーマン・ショックというのは、日本で最初に起きたわけじゃなくて欧米で起きているわけですけれども、二〇〇八年のグローバル金融危機は、伝統的な金融緩和手段をほぼ使い切っていた日本経済に対し、大きな打撃となりました。当時の日本において、短期政策金利の引下げ余地はわずか〇・五%でした。

 この一番下の青いやつが日本ですけれども、それに対して、欧米は四%から五%を一気にこの一年間で、リーマン・ショック直後に金利を引き下げたわけです。麻生内閣が大変苦労されたときですけれども。

 このときに、日本銀行の政策対応力は限られていました。金融機関や金融システムの健全性が維持されていたにもかかわらず、日本経済の落ち込みが危機の震源地である欧米を大きく上回ったのは、政策対応力の乏しさも一因だったと考えられます。

 つまり、実質GDPの落ち込みは、実は欧米よりも日本の方が大きかったわけです。それは、それだけ金利を下げる余地が少なかったから。

 今、その状況が生まれているんじゃありませんか。今回、株が大きく下がっていますけれども、これから二〇一九年、二〇二〇年と世界の景気後退局面が予想される中で、今、金融政策ののり代をつくっておかないと、黒田総裁、これは御自身が言っていることですので、多分御自分の言葉でお答えいただけると思いますが、総裁、今、手を打っておかなきゃいけないと思うんですよ。

 短期金利を引き上げろなんてことは言いません。二%の目標についても、大きな目標としては重要だと思いますが、例えば、長期金利の目標を一〇ベーシスポイント引き上げていくとか、ETFの買入れを少し減額するとかして、また将来ふやしていったり金利を下げたりする余地を今つくっておくというのはいかがですか。

黒田参考人 御案内のとおり、各国の金融政策はそれぞれの国の経済金融状況に合わせて行われているわけでございまして、欧米の場合は、我が国も同様ですけれども、順調な成長が続いて、完全雇用状況に近づいているという点では同じなんですが、物価の面では、欧米は既に一%台半ばから後半になっているわけですが、我が国の場合はまだ一%にも達していないという状況でございます。そうしたもとで、将来ののり代をつくるために時期尚早に金融政策を転換するということは適切でないのではないかと思います。

 やはり、あくまでも日本経済の現状、先行きを見越して適切な金融政策を打っていく、そのためには、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという目標に向かって、現在の経済、物価、金融情勢を踏まえて最も適切なイールドカーブをつくるということでございまして、現時点で例えば十年物国債の操作目標を若干であれ引き上げるといったようなことは適切でないのではないかというふうに思います。

 したがいまして、現時点では、今の強力な金融緩和を粘り強く続けて、できるだけ早期に二%を達成するということが、長期的な日本経済の持続的な成長にとっても最も重要ではないかというふうに思っております。

津村委員 間もなく時間が参りますので、私の質問をもう終わりますけれども、最後にもう一度総理に申し上げたいと思いますし、与野党の同僚議員の皆様にも改めて申し上げたいと思います。

 何度も申し上げますように、皇族の減少の問題、そして皇位の安定的継承の問題は、これは後で、失敗したからやり直すということはできない政策なんです。今やらなければいけない政策なんですよ。日本の歴史に禍根を残さないためにも、今しっかりと議論をして、そして前に進めなければいけないテーマです。総理の責任は大変重大ですし、憲法のまさに一条、憲法は天皇制の条項から始まっているわけです。

 総理、ぜひこのテーマ、ことししっかりと取り組んでください。

河村委員長 これにて津村君の質疑は終了いたしました。

 次に、今井雅人君。

今井委員 希望の党の今井雅人でございます。

 今もちょっとお話がありましたけれども、きょうは日経平均が一時期千六百円、七%下落するという急激な下落をしておりますが、これは通告していないんですけれども、茂木大臣、この要因について御認識があれば、よろしくお願いします。

茂木国務大臣 委員御案内のとおり、株価そしてまた為替等の変動につきましてはコメントは控えさせていただいておりますが、先ほど日銀総裁の方からも答弁があったと思いますが、今、日本経済、GDPも過去最高という形でありますし、雇用・所得環境も改善をし、そして消費も持ち直すという中で、しっかりしていると考えております。同時に、米国さらには欧州経済についても同様の見方がされており、先行きにつきましても堅調だ、このような見方だと考えております。

今井委員 ちょっとお答えいただけなかったんですが、先週の金曜日にアメリカの雇用統計がありまして、非常に強い数字が出ました。賃金の上昇が年率二・九ということで、これは九年ぶりの数字です。このことによって急激に期待インフレ率が高まりまして、十年債の利回りが二・八八五まで上がりました。この金利が急上昇したことを受けてアメリカの株価が急落し、その影響を受けて日本の株価が今急落をしている、こういう流れだと思うんです。

 ここで、私は二つの話をしたいと思うんですが、まず一つは、実は、アメリカの株価は、ニューヨーク・ダウを見れば、二〇一三年の初めからずっと史上最高値を更新して上がり続けています。ちょうど安倍政権が政権をとられた時期とほぼ一緒です。その時期にずっとアメリカの株価は史上高値を更新更新という、世界じゅうが非常に好景気だったという状況の中でアベノミクスというのもあったわけであります。

 日本の株価の上昇というのは、今回、アメリカの株価にこれだけ影響を受けるということは、結局、もちろんアベノミクスの影響もあると思いますが、そのベースには、やはり世界じゅうの株価が非常に堅調であった、特にアメリカの株価が非常に堅調であったがために日本株も堅調であったということは、ここはやはりしっかりと冷静に分析をしなきゃいけない。日本の要因だけじゃないということです。

 このことは、別にこれは責めているのではなくて、分析するに当たってはこのことをしっかり捉えておかなきゃいけないということをまず一つ指摘申し上げたいと思います。

 二点目なんですけれども、これは、今、日銀のいろいろ話がありましたが、今後の日本にはとても大きな教訓なんですね。

 というのは、私はずっと、これからまたこの間のプライマリーバランスの話をもう一度お伺いしようと思いますが、なぜこれをやっているかというと、今回、長期金利が上昇して株価が急落しました。それも、どういう状況かというと、一昨年からアメリカは出口戦略に入りまして、金利を上げるのと一緒にテーパリングをやっています。それで、更に期待インフレ率が高まったことで長期金利が上がり、国債の値段が下がり、そして株価が暴落するということが起きているんですね。

 黒田総裁はいつもよくおっしゃっておられますけれども、日銀が金融緩和をするに当たって、最後の出口のときにはしっかり財政再建をして健全な状況にしておいていただかないと後が大変だということを時々おっしゃいます。私はそのことを一番心配しているんですね。

 いずれ日本も出口戦略がやってきます。ECBもことしから始まりました。そのときに日本の財政状態が悪いと、一気に長期金利が上昇して、そして株価も急落する、そういう局面がやってくる可能性があるというのは今回の大きな示唆なんですね。ですから、私は、財政のことについてしっかりと再建をしておかなきゃいけないということをずっと申し上げているわけであります。

 その観点で、先週ちょっと途中になってしまいましたので、お話をしていきたいと思うんですけれども、きのうの玉木代表とのやりとりの中で、茂木大臣が、玉木代表が先の財政計画がないのに予算を組むのは無責任じゃないかということを指摘させていただきましたら、いやいや、二〇一八年までは、三年間の経済・財政再生計画、これにのっとってやってきているベースで予算を組んでいるから問題ないというような話をされたんです。

 資料の一枚をめくっていただきますと、「「骨太二〇一五」の「経済・財政再生計画」における歳出改革のポイント」、こうあります。

 確かに、さまざまな取組をしておられ、税収も上がりました。そして、社会保障費の伸びも抑制するということもやってきておられます。ですから、そのことは私は素直に評価したいと思います。また、安倍総理も、二〇一五年の目標、つまり二〇一〇年度比のPBのGDP比を半減する、三・二%ですね、このことは達成したとおっしゃっています。このことも私は評価したいと思います。

 その上で、ここに書いてあるペーパー、「歳出改革の目安」とありますが、PBの赤字対GDP比、二〇一八年度、マイナス一%程度ということが書いてあります。

 きょう、内閣府の方にちょっといらっしゃっていただいておりますか。内閣府の試算では、二〇一八年度のSNAベースのPBのGDP比は何%と予想されていますか。

田和政府参考人 お答えいたします。

 一月に出しました中長期試算、一番新しいものでございますけれども、二〇一八年度の基礎的財政収支、国、地方合わせてですけれども、対GDP比でマイナス二・九%となっております。

今井委員 そうなんです。政府の試算でもマイナス二・九%ということで、この目安に全く達成していないんですね。

 総理、いつも財政再建が大事だとおっしゃっています。いろいろな税収も伸びたことをおっしゃっていますが、しかし、目安には全く届かなかったという事実は御認識いただけますか。

安倍内閣総理大臣 それはもう今までも御説明をしているところでございますが、いわば消費税の引上げを見送ったところでございまして、その結果、今言った数値になっているわけで、骨太の方針二〇一五の策定後、消費税率の引上げを二〇一九年十月に延期することとしたこと等により、一月二十三日に公表された内閣府の中長期試算では、二〇一八年度のプライマリーバランスの赤字は十六・四兆円程度、対GDP比二・九%となったわけであります。

 今後、このような点も含めて、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、この夏までに、プライマリーバランス黒字化の達成時期と、裏づけとなる具体的かつ実効性のある計画をお示しをしてまいりたいと考えております。

今井委員 総理は中身を御理解していないことがよくわかりましたけれども、消費税の影響じゃありませんよ、これは、後ろの方が渡すのを間違えたんでしょうけれども。そうしたら、それだけでこれだけ広がりますか。

 じゃ、申し上げますけれども、それを仮に実施していたら、この一%はできていたんですか。じゃ、その引上げの分でどれだけこれに寄与するんでしょうか。

茂木国務大臣 総理が基本的におっしゃられたことなんですけれども、若干説明をさせていただきますと、二〇一八年度の目安につきましては、二〇一五年六月に策定をされました経済・財政再生計画において、集中改革期間、これが二〇一六年から一八年になるわけでありますが、ここにおける改革努力のメルクマールとして、御指摘いただきましたように、二〇一八年度のPB赤字の対GDP比マイナス一%程度を目安とすると。

 ただし、先ほども総理が御答弁申し上げましたように、これは二〇一六年六月に判断をした消費税率再引上げ延期より前に設定したものであります。そして、この経済・財政再生計画では、二〇二〇年度のPB黒字化を目指して、二〇一八年度に進捗状況について中間評価、これはこの四月ぐらいに行う予定でありますが、これを行い、必要な場合は、デフレ脱却、経済再生を堅持する中で、歳出、歳入の追加措置等を検討し、さらなる収支改善を図るということにしておりました。

 その後、この消費税率の再引上げ延期の影響、これが大体、対GDPでマイナス〇・七%になりますが、これに加えまして、二〇一五年以降、世界経済の成長率の低下などもあって、日本経済の回復がこれまでの想定よりも緩やかになっていることから税収が当初想定したほど伸びていないこと、そして、今年度補正予算等の影響によりまして、二〇一八年度のPB赤字の対GDP比は、先ほど御答弁を申し上げましたように、マイナス二・九%となっております。

 こうした点も含めて、これまでの歳出改革の努力を経済財政諮問会議において十分精査、評価をいたしまして、本年夏の骨太方針におきまして、PB黒字化の達成時期がいつになるのか、そしてまたその裏づけとなる具体的な計画をお示ししたい、そのように考えております。

今井委員 この間も議論しましたけれども、私は、ちゃんとした計画であれば一年ごとの工程表をきちっとつくってください、歳出削減のめどとか、それもないと実現ができませんねということをずっと申し上げていて、二〇一八年に一度評価しようということだったんですね。

 ぜひお願いしたいことは、できたかできないかということを言っているのではなくて、私は、これは計画自体が甘かったと思うんです。もともとできないような計画を立てていて、総理大臣はおっしゃいますが、消費税を先に引き上げたとしてもこのマイナス一%というのは達成できないんです、計算すればわかりますけれども。ですから、そもそも達成不可能な数字だったわけですよ。この骨太の、経済・財政再生計画をやったとしても、この数字は達成できない数字だったんですね。

 ですから、今度、何月でしたっけ。秋でしたっけ。夏ですか。(茂木国務大臣「夏」と呼ぶ)はい。それまでに計画を立てられるときは、きちっと毎年ごとの計画、そして、ちゃんとその目標年度にPBが黒字になるというような現実的な計画を立てていただきたいんですよ。

 そうじゃないと、以前のような、あんな絵に描いた餅のような数字をつくっても、結局、数字が全然達成できないまま言いわけをしなきゃいけない、これが延々と続いてしまいますから、それをぜひやっていただきたいということをお願いしているんですが、いかがですか。

茂木国務大臣 一月に中長期の試算、これも、足元の経済状況であったりとかさまざまな要素を考えながら、現実的なものに修正をさせていただきました。

 そして、今、委員がおっしゃるように、夏の骨太方針におきましては、達成可能な目標、さらには、それを達成するための具体的な計画をお示ししたいと思っております。同時に、PB黒字を達成するということでありますから、どういった形でそれが進んでいくのか、それについて確認する手段についても検討したいと思っております。

今井委員 ぜひよろしくお願いします。

 それともう一点、同じところですけれども、もう一枚めくっていただきますと、平成三十年の予算のポイントというのがありますが、この一番下のところに、一般会計プライマリーバランス改善、十・四兆円の赤字になっていますということが書いてあります。これは実はSNAベースじゃなくて発生主義ベースの数字ですので、ずれているんですが、この二〇一八年のSNAベースのPBに当たる部分というのは、先ほどおっしゃったように、十六・四兆円なんですね。十・四兆円とは六兆円ぐらいの開きがあります。

 この開きは実は何かといいますと、そのうちの半分の三兆円は補正予算です。補正予算等で後にずっと執行が伸びているものが影響しているんです。

 ですから、財政再建を考えるときというのは、やはり当初予算と補正予算をあわせて考えないとできないということなんですよ。ここに見事にあらわれているんです。政府は十兆円だと言っていますが、補正予算を入れると十三兆円なんですよ。ですから、当初予算と補正予算は一体で財政再建で見ていく必要があるということを私は思っておりますが、大臣、この点についてはいかがですか。財務大臣ですかね。財務大臣、済みません。通告しておりませんが、考え方だけ。

麻生国務大臣 通告はなかったんですけれども、基本的には私どもとしても当初予算でやりたいというように思っていて、なかなか、今回のように震災とか洪水とかいろいろありますのでふえてくる。これはなるべくそういった差がないように、私どもとしても基本的にそう思っております。

今井委員 もう一点だけ指摘しておきますが、三兆円は補正予算によってふえていますけれども、残りの三兆円が大きなものなんですが、外為特会です。

 外為特会は、当初予算の方には収入として入りますから赤字を削減する効果がありますけれども、全体のものだと、特会も同じなので、同じ箱の中で出して入れているだけですから、これはゼロです。ですから、当初予算は赤字が少なく見えるんですけれども、全体予算を見るとゼロなんです。

 こういう数字のマジックも実はあるわけですけれども、政府が目標としているのは、この当初予算ではなくて全体のPBですから、こういうところも、いわゆる見せかけ上少なくなったりしないように数字をしっかりやっていただきたいと思うんですが、担当大臣、ここの部分も。よろしいですか。では結構です。

 これは指摘だけにとどめておきたいと思いますが、ぜひ皆さんにも知っていただきたかったんですけれども、それぞれの数字の中身を見ていくと、こういう問題がいろいろ生じているんですね。ですから、議論をするときは、やはりそれぞれの中身はちゃんと吟味した上で数字を議論していく必要があるということを申し上げた上で、ことし夏に出てくるでしょうから、またその上で議論をさせていただきたいというふうに思います。

 それと、先日から、茂木大臣、済みません、ちょっと事実確認だけきょうさせていただきたいと思うんですけれども、私どもの大西議員が以前質問させていただいたときに、議院手帳とか線香をお配りになったことが報道されていますが、何をどれぐらい配ったか、改めてお答えいただきたいと思いますというところで、私は行っておりませんというお答えをされておられるんです。

 昨日、小熊委員が質問をしたときには、私としてはそのような認識を持っておりませんということはおっしゃったんですけれども、速記録を見ているので、小熊委員が発言されているときに、行っていないなんて言ってないよということも何か発言されているようなんですが、ちょっと、ここの事実関係、御本人がこういうことをされたという事実はあるかないかということだけお聞きします。

茂木国務大臣 そのような事実はございません。

 私が、言葉足らずかもしれないんですが、申し上げたのは、仮に、その手帳を受け取った方なりが、私が挨拶に行ったことがある、違う時期に手帳を受け取られた、それを、仮に、混乱されたりとかそういうことがあるかもしれませんがと言ったわけでありまして、私が渡したという事実はございません。

今井委員 今のは、手帳と線香と、両方ともということでよろしいですか。済みません、一応。

茂木国務大臣 さようでございます。

今井委員 それと、もう一点御確認ですけれども、きのう御答弁をちょっといただけなかったので事前にお渡ししておりますけれども、週刊新潮が報道したリストというのがありましたね。きのう小熊委員が手に入れて、私も今それが手元にあるんですけれども、中身は個人情報も入っておりますから、ここで中身を言及するのは避けたいと思いますけれども、ごらんになっていただいて、こういう類いのリストは茂木事務所の中で存在していたかどうか、このことだけ確認させていただきたいと思います。

茂木国務大臣 これまで答弁をさせていただいたとおり、政党支部の活動として行っておりまして、内容につきましては、政治資金規正法に定められた形でもう既に報告をいたしております。

 その上で、きのうもお答えいたしましたが、昨年の十月の衆議院選前まで先生も所属されていた当時の民進党では、党の幹部の方が資金管理団体からの支出の問題を指摘されまして、その支出を政党支部の活動へと訂正をされ、このような活動が政党支部の活動であれば適正、適法であるというのが党の統一見解であったと思っております。

 また、余りこういうことは申し上げたくありませんが、御党の幹部の方も、現在、同様に説明をされていると承知をいたしております。

 活動内容につきましても、皆さんと同じように適法な活動を行っておりまして、政治資金規正法にのっとりまして適正に報告をいたしております。

今井委員 いろいろな議員のところにそういう問題が生じているのは私も認識しておりますから、それは法改正も含めてしっかりやはり対応しなきゃいけないという認識はあるんですけれども、今お答えいただいていないので、このリストに関して、これは茂木事務所がつくったものか、いや、見たこともない、これは事実じゃない、そのことだけちょっと確認させていただいていいですか。

茂木国務大臣 お話があったものは、私は実際見たこともございません。どういうものか承知をしておりませんのでお答えは差し控えたい、そのように思っておりますが、先生のこと、私は、政策能力も含め、よく存じ上げているつもりでありますが、本件につきまして、私が申し上げるのは僣越かと思いますが、事実に基づいて質問された方がいいと思います。

今井委員 事実に基づいて。事実かどうかわからないので、事実を確認したいということで……(茂木国務大臣「正当な活動をしています」と呼ぶ)いや、事前にお渡ししていると思うので、それが見たことのないものであればそれで結構ですから、そのことだけちょっとお答えいただきたいと思います。

 今、見たことがないということで、見たことがないという御答弁で、もう一回確認します。それだけで結構です。もう次に行きますので。(茂木国務大臣「答えました」と呼ぶ)ですから、見たことがないということでよろしいですか。もう一度確認させてください。

河村委員長 大臣、もう一度、今確認してください。(今井委員「ですから、もう一度」と呼ぶ)大臣、今のをもう一度、確認だけしてください。

茂木国務大臣 見たことはございません。

今井委員 はい、わかりました。(発言する者あり)発言については、また委員会でやっていただけると思いますけれども。

 今、でも、茂木議員がおっしゃったとおり、私も、百九十九条を含めて、やはり法律に問題があるというのも認識しています。ですから、このことはみんなでやはり直していかなきゃいけないというか、検討しなきゃいけないとは思いますので、きょうは事実確認だけさせていただきましたので、これで終わらせていただきたいと思います。

 次に、総理、憲法について少しちょっとお話を伺いたいと思うんですけれども、私は、憲法を改正すべきだとか、憲法を変えるべきではないとか、そういう話合いをするというのは非常に不毛だと思っておりまして、中身を議論しながら、変えるべきところがあればしっかり変えればいいし、中身をチェックした上、変える必要がないのであれば変えなければいい、そういう立場なんですけれども、その上で、総理にちょっと、いつもお伺いしていて、一度聞いてみたいなということがあったんです。

 よく、憲法改正は自民党の結党以来、一九五五年ですね、結党以来の党是であるというふうにおっしゃっておられます。当時は憲法を施行してから八年ぐらいですかね、だと思うんですけれども、憲法改正が党是というのは、これは憲法を変えるということが目的になっているんじゃないかというふうに私には聞こえるんですけれども、なぜ自民党は、結党以来、憲法を変えなきゃいけない、それが党是であるというふうにおっしゃってこられたのか、まずそれをちょっとお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この質問に答弁する前に、先ほど私、一八年について、二・九%で、マイナス一%とは、残念ながら達成できなかったということについて、私の答弁は全く違っているというふうにおっしゃったんですが、あれは、実際、消費税を引き上げなかったという、消費税引上げを延期した等というふうに申し上げておりまして、消費税を引き上げなかったことについては、五兆円ですから、一%は、それはそれが原因でありますが、〇・九については、その等の中に入っているということでございます。

 そこで、立党以来ということでございますが、それは、実際に、かつて六十数年前に自由党と日本民主党が保守合同したのでございますが、当時のその精神自体が全く同じものであるということは申し上げるつもりはございませんが、では、なぜ、非常に仲が悪かった保守の両党が合同したかといえば、二つ目的があったんです。

 一つは、占領時代に決められた体制である憲法を、占領軍によって決められた憲法を、やはり自分たちの手でつくっていこうということでありまして、当時は、はなから、最初から、ゼロからつくっていくという大きな目標を達成するためには三分の二を形成する、そのためには保守同士がいがみ合っていてはいけないというのが一つ。

 もう一つは、安定的な経済政策のもとに経済を成長させて国民を豊かにしていこうということが立党のときの考え方であります。

 そして、現在でありますが、それがまさに党是として最初に存在したのでございますが、確かに、どこを変えればいいのかということも非常に重要な論点でありまして、今、我が党としては、もちろんゼロからつくり直すということで、平成二十四年に、谷垣執行部において、我々、憲法改正草案を出したわけであります。これは前文以下、全部書いているわけであります。

 今、私が総裁になりまして、総裁として申し上げたのは、四項目について申し上げたわけでありまして、四項目というか、九条について私の考え方の一端を披露して一石を投じたわけでございますが、昨年の総選挙においては、我が党としては四項目に絞って問いかけたということでございます。

今井委員 今の御発言によると、現行憲法というのは自主的にできた憲法ではないので、自主的に全面的にゼロからつくらなきゃいけない、そういう意味ですか。

安倍内閣総理大臣 結党当時、結党に集まった人々の考え方はおおむねそうであった。つまり、それは占領下を経験している人々でございまして、まさにそのときをリアルタイムで経験している。

 しかし、かなり、今の我が党の場合は、既に現行憲法が定着した後の党でございますから、いわばそのときの精神と全く同じということではもちろんないのでございまして、いわば定着した中においてその憲法を時代に合わせたものに変えていこう、また、未来に向かっては、国の形、理想を語るものであり、そういう考え方から憲法をもう一度見詰め直していこうということにおいて、それぞれが持ち寄った考え方において平成二十四年に草案が一つできたということでございます。

今井委員 わかりました。

 冒頭申し上げたとおり、それぞれの党が憲法の内容を議論して、変えるべきところがあるのかどうなのかというのをそれぞれが集約して国会でしっかり議論すればいいと思いますけれども、変えるありき、あるいは変えてはいけないありきでやはり議論はしないようにということが大原則だと思いますので、その点は、我が党はそういう観点でこれから中身について議論させていただきたいというふうに思っております。

 その上で、きのうも玉木代表が触れました九条の三項の問題ですけれども、総理はよく、こういう言い方をされます。七割でしたっけ、七割の憲法学者が違憲と言っており、教科書等にもそういう記述があって、こういう疑念を払拭しなきゃいけないということをよくおっしゃっておられるんです。

 そこで、ちょっと一つお伺いしたいんですが、考え方というのはやはり整合性がきちっととれていなきゃいけないと思うのでお伺いしたいんですけれども、恐らく同じようなメンバーだと思うんですが、一昨年の安保法案に対して、やはりこれは違憲ではないかという憲法学者の人たちの多くの意見がありました。

 新聞社がアンケートをとりましたら、これは憲法判例百選の執筆者ということで、専門家ですね、この方が、安保法案は違憲ですか、合憲ですかということのアンケートに対して、違憲が百四人ですね。それから、違憲の疑いがあるが十五人。合憲が二人です。

 でも、総理は、そういう学者さんの意見はあるものの、政府の考えとしては合憲ということをおっしゃっておられました。

 自衛隊の三項の議論を聞いていても、同じように聞こえるんですね。多くの専門家は違憲ではあるが、内閣としては合憲という整理をしているということをおっしゃっておられるので、私はロジックとしては同じなんじゃないかなと思うんです。

 であれば、それを理由に九条の三項を入れるということは、当然、安保法案の方も疑念を払拭するために何らかの措置をしなければ整合性がとれないというふうに私は思うんですが、これは私の意見ですけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まず、平和安全法制についても、もちろん私はというか、政府としては当然合憲である、四十七年の見解にのっとって、基本論理にのっとって解釈を変えた、こういうことでございます。

 それと同時に、憲法学者の意見は意見として、政府としては、自衛隊は合憲であるということの立場は一貫しているということはきのうも答弁をさせていただいているところでございまして、憲法を改正しようが改正しまいが、自衛隊は合憲であるという考え方は一貫しているわけでございます。

 そこで、さはさりながら、憲法学者のいわば約二割しか自衛隊が合憲と言い切る人たちがいない。ですから、そもそも平和安全法制に対する憲法学者の支持が少ないのは当然でありまして、根っこの、自衛隊の存在自体の、自衛権自体を認めていない人たちの方が圧倒的に多い中において、集団的自衛権の一部容認については更にそれが絞られたということだろうと思います。

 そこで、しかし、自衛隊の根幹、存在そのものをいわば否定している人たちが、いわばそれを明確に合憲と言い切る人たちが二割しかいないということは、多くがやはり違憲であるという中にあって、さまざまな活動をしている自衛隊の皆さんがいます。きょうも福井県において、大雪のために千台近くが立ち往生している中で自衛隊の出動がなされたわけでございますが、こういう災害出動についても、大変危険が伴う活動であります。

 それに対しましては、防衛大臣も私もそういう中で出動するように指示を出すわけでございますが、しかし、それを、同時に、教科書にそういう記述もある中において、この指示をしなければいけない。

 あるいは、大きな、国会の中でそれなりの勢力を占める政党、共産党ですが、共産党も違憲という立場に立っているわけであります。将来、もしかしたら、どこかの党と一緒に政権をとることも考えているでしょう。しかし、そのときにまだ、そうすると、いきなり、これは違憲ということになる政党が権力の一角を占めるということも起こり得るわけでございます。

 そこで、あなたたちは違憲だけれども、命をかけてこの任務に当たってくれということは、これはあり得ないような話でありまして、まさに命を賭して任務を遂行している者の正当性を明文化し明確化することは、我が国の安全の根幹にかかわることであり、憲法改正の十分な理由になるものであろう、こう考えているところでございます。

今井委員 私も自衛隊の存在は非常に重要だというふうに思っておりますが、私が申し上げたかったのは、論理的整合性がとれますかという話です。

 ですから、今、例えば自衛隊が違憲だと言っている人は、憲法に書き込めばこれは合憲ということになるんでしょう。そういう措置をしたら合憲になるということと同じように、同じような方が、今度は安保法案はいまだに違憲とおっしゃっているわけです。でも、そのことは何も対応しようとしないで自衛隊の方だけ措置をするというのは、これはやはり論理的整合性がとれないんじゃないでしょうか。

 ですから、やはり、三項を入れるときにそういう説明をされない方が私はいいと思うんですよ。そうであれば、じゃ、安保法案は違憲というのはどういうふうに整理されるんですかと当然なりますよ。そうじゃないですか。ロジックが同じじゃないですか。

 重要な責務とかその前に、違憲の疑いが、七割の憲法学者が違憲と言っている、それから、教科書にもそう書いてあるので明記をしたい、そうおっしゃいましたよね、明確に。その理屈で言えば、安保法案だって同じような方々が違憲とおっしゃっているわけですから、そこをそのまま放置しておくのは、それは整合性がとれないということを申し上げているんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まず、平和安全法制の際のいわば解釈、四十七年見解の解釈の変更、基本論理は同じなんですが、その当てはめの問題であります。

 当てはめの問題についての議論があることと、いわば基本論理そのものについて違憲であると言っているわけですよ。いわば、自衛隊が違憲というのは、そもそも自衛隊を持たないという考え方、合憲性。ですから、四十七年見解そのものの根本原理自体を否定していると言ってもいいんだろうと思います。

 つまり、自衛隊法そのものも、これは違憲立法であるという立場に立っているわけでありますから、それは憲法違反ということですからね。我々は、自衛権の中の集団的自衛権というもの、それの一部容認について当てはめを変えたわけでございます。それと根本とを混同されることこそ、それは議論としてはいささか強引ではないか、こう思うところでございます。

 いずれにせよ、今井先生の提案は私は歓迎したいと実は思っているんです。つまり、三項の書き方問題ですよね。それは、一つの考え方としては十分に成り立つと思いますよ、今井先生の考え方で。そこは、つまり、これは玉木委員もきのうおっしゃっていたんですが、自衛権自体をそこに書き込んでいく、しかも、自衛権の書き方について、我々が解釈を変更したところについても書き込んでいくという考え方はあるんだろう、それは思います。ですから、だからこそ議論をしていただければいいんだろう。

 書き方自体には、私はもう、基本的に私は総理大臣として答弁しておりますから、総裁としての立場で余り踏み込まないということにしておるんですが、今井委員がせっかく具体的な御提案に近いものを述べられたので、ついそれに乗る形で具体的にお答えをさせていただきましたが、後は、私とではなくて、ぜひ自民党の方々と議論を、憲法審査会で議論していただけば、こう思っております。

今井委員 後は憲法審査会で議論したいと思いますが、私が申し上げたいのは、例えば高村副総裁が、公明党や国民の理解が得やすいから、とりあえずここからだみたいなこともおっしゃっていました。そういう議論ではなくて、ちゃんと論理性のある議論をしっかりしたいということなんですよ。通りそうだからとか、そういう議論はやはりしちゃいけない。

 やはり、ちゃんとした論理的な根拠に基づいてどうするべきかということを、憲法は最高法規ですから、そういう議論をやはりしっかりしていかなければいけないということで、そういう観点でぜひこれからやっていただきたいということでこの点を議論させていただきましたので、今後また憲法審査会でも議論させていただきたいというふうに思います。

 それと、きょう、余り時間がないので、一つまたお願いしておきたいんですが、きょう、佐川元理財局長、国税庁長官をお呼びしたんですけれども、委員長、きょうはお呼びいただけなかったでしょうか。

河村委員長 協議調わずで、参っておりません。

今井委員 きょうは内容については詳しく申し上げませんが、お渡ししている資料のところをもう一度ちょっと見ていただきたいんですね。

 私が何度も当時の佐川さんとやりとりをして、佐川当時局長が答弁されたことをもう一度見ていただきたいんです。そういう価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方から幾らで買いたいといった希望があったこともございません、こういう答弁を何度もいただきまして、それは事前にそういう協議がなかったんだなと思ったわけです。

 ところが、その後いろいろなテープとか出てきて、これは財務省もお認めになりました。それは、金額であって価格とは違うんだという、よくわからない答弁もいただきました。

 これはやはり、事の真実を知るには、答弁をされた方に聞かないとどうもわからないというのが本当に印象なんですよ。

 そして、下もそうなんですけれども、我々は、不動産鑑定士が評価した更地の価格から国土交通省が適切に見積もった撤去費用を差し引いて、まさに時価で売却したところでございますということがありましたが、会計検査院の皆さんは、撤去費用は適正に見積もったとは言えないと。不当だとまでは資料がないので断定はできていませんけれども、適切に見積もったとは、ここは断定できないと。疑義があるわけです。これも、資料を破棄してしまったせいなんですけれどもね。そのことも問題なんですよ。

 だから、そのことの責任もありますし、このときこういう答弁をされていることと、その後、会計検査院がこういう指摘をされているわけですから、その整合性を御本人に伺いたいんです。

 ですから、委員長、各党各委員が要求していると思いますが、ぜひ佐川国税庁長官の証人喚問をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

河村委員長 引き続き理事会で協議をいたします。

今井委員 あと時間が三、四分ございますので、河野大臣、済みません、お伺いしたいと思います。

 河野大臣、就任前にこういう発言をされています。真剣に我が国のODAを半額以下に減額し、その内容も大幅に変更する必要がある、ODAをふやす前に、今、ODAの無駄、あるいはほとんど意味のないもの、そういうものをまずきちんと整理する、そこから始めなければならないとおっしゃっています。

 ことしのODAの予算は昨年とほぼ同じで、若干ふえていますね。大臣、このODAの予算を組むときに、こういう今のODAの無駄、あるいはほとんど意味のないもの、そういうものをまずきちんと整理する、これをなさいましたか。

河野国務大臣 ことしのODA予算は、まず、国際機関への任意の拠出金を一割カットいたしました。正確には一一・四%だったと思います。

 それから、無償資金、無償協力を二十六億カットいたしました。しかし、義務的な分担金が増額になった。

 それからもう一つは、ことしは外務省の足腰予算をふやそうということで、財務省にお願いをして足腰予算をふやしました。その結果、在外公館の一般経費がその分ふえております。

 在外公館の一般経費の四四%は、これはDACのルールだったと思いますが、ODAにプロラタで編入されますので、それを合わせてODA総額で一億円増というふうに見かけはなっておりますが、任意の拠出金と無償資金協力を中心に、ことしは少し削減させていただいております。

今井委員 まだ整理する余地のものはいろいろあるという認識でよろしいですか。もともと半額にはできるんじゃないかとおっしゃっていた。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

河野国務大臣 効果がないもの、あるいは透明性が確保されていないものというのはまだあるのではないかということで、そこはしっかり見直しをしてまいりたいというふうに思っております。

 自民党の行政改革推進本部長あるいは行革担当大臣のときにODAについても大分そうした議論をさせていただきましたので、かなりの部分、削れている、あるいは不透明なものが透明になっているというふうに認識をしておりますが、これは税金から出すものでございますので、不断の見直しをする必要があるというふうに思っております。

今井委員 この件については今後チェックをしていきたいと思いますけれども、ODAに関しては、よく、選挙区に帰ると、皆さんが、あれだけ海外にお金を出していて、もう少し自分の生活に回してくれよ、そういう声は多いんですよ。

 ODA、実は、平成十五年から平成二十八年の十四年間で債務免除した金額、つまり返ってこなかった金額、ODA債権で一兆一千二百八十九億円あります。そして、JBICとかNEXIなどのいわゆる政府保証を含めた非ODA債権、これは一兆千五百五十八億円あります。合わせて二兆二千八百四十八億円のお金が日本に返ってきていないんです。債務免除しちゃいました。二兆三千億円というのは物すごい金額ですよ。これだけあれば、国内のどれだけの方が救われるか。

 もちろんこれをゼロにすることは難しいと思いますが、全体の四、五%あるんですね。ぜひここのところを、こういう債務免除ができる限り起きないようにしっかりチェックをしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 そろそろ時間が来ましたので、あともう一点だけ、今後のことについて御指摘だけして。

 大臣、今度、外務委員会でも結構ですので、日米原子力協定。日米原子力協定がこのままだと自動延長ということなんですが、日米原子力協定は、核燃料サイクル、これが前提になってこの協定が結ばれているというふうに私は理解しています。

 二〇一七年四月の経済倶楽部の講演会、これはまだ一年もたっていません。この場で河野大臣は、今の日本のエネルギー政策の最大の間違いは、絶対できない核燃料サイクルをやるとまだ頑張っていることです、核燃料サイクルはきょうやめても何の問題もありませんと。

 この考え方に立つと、日米原子力協定は見直しをせざるを得ないということがあると思いますので、済みません、ちょっともう時間が来てしまいましたので別の機会にお伺いをしたいと思いますけれども、この点についてもまた議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

橘委員長代理 これにて今井君の質疑は終了いたしました。

 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 希望の党の奥野総一郎でございます。四十五分いただいておりますので、よろしくお願いをいたします。

 最初に、地方創生、資料一をごらんください。これは政府のつくった資料でありますが、東京圏への転入超過ということでグラフが描かれております。

 東京圏への超過数は、二〇一七年、先日、数字が出まして、前年比で千九百十一人増。およそ十二万人弱の数字となって、二十二年連続で東京圏への転入超過となっています。

 ちなみに、三大都市圏、名古屋、大阪は、いずれも五年連続の転出超過ということでありまして、東京一極集中がより鮮明になったということであります。

 地方創生が、法案が出て言葉として始まったのは二〇一三年、一四年のころでありますが、二〇一三年当時は、転出がおよそ一万人、このグラフで見ると大体一万人、そして転入が十一、二万人で、差引き十万人弱の入超でありました。これを、地方創生法に基づく総合戦略で、二〇二〇年にはゼロにしよう、こういう目標が立てられたわけであります。

 ところが、これを見てもわかりますように、最新の数字、二〇一七年では、二〇一三年に比べて転出が少し減り、そして転入がおよそ十三万人ということで更にふえています。差引き十二万人超ということで、入超が減るどころか二万人もふえている。グラフを見るとわかりますが、二〇一三年から一貫してふえています。まあ二〇一六年は少し減っていますけれども、また二〇一七年においてふえている、こういう数字であります。

 地方創生担当大臣に伺いたいんですが、この政府の目標、大事な目標だと思いますが、二〇二〇年に転出と転入を均衡させて東京一極集中をとめる、これは目標達成できるんでしょうか。

梶山国務大臣 東京圏への人口移動は、二〇一二年以降、委員御指摘のとおり、四年連続で転入超過が増加をし、二〇一六年には若干減少したところですが、しかし、一七年には再び若干の増加に転じて十一万九千七百七十九人の転入超過となっております。

 総合戦略の中で、今年度、中間年ということで総点検を行いました。この点は達成できていない大きな項目ということですけれども、KPIの数値、二〇二〇年に転出入を均衡させるという大きな目標がございますけれども、この目標は変えずに、しっかりと一層の取組を強化していくということで、外部の委員会も含めて、そういう目標を持って今取り組ませていただいております。

奥野(総)委員 目標を変えないということなんですが、少しずつ減っていて、その減り方を頑張ってふやしていくというのならわかるんですが、減るどころか、転入はどんどんふえているわけですよね。入超はどんどんふえているわけですよ。

 これは一体どういう分析をして、具体的に、じゃ、目標を変えないというなら、二〇二〇年といえばあと三年ですよね、三年の間にどうやって均衡させるのか。具体的に、今までの政策ではワークしていないわけですから、新しい政策を何か考えておられるんでしょうか。

梶山国務大臣 委員の配付資料にもありますように、転入超過数の大半を男女ともに十五歳から十九歳そして二十から二十四歳が占めていることを考えますと、若い世代の大学等への進学や就職が東京圏への移動の一つの大きなきっかけになっていると分析をしております。

 今後は、昨年末に閣議決定しましたまち・ひと・しごと創生総合戦略、二〇一七年の改訂版に基づいて、東京一極集中の是正に向けて、地方への新しい人の流れをつくるための施策の拡充に取り組んでまいりたいと思います。

 これは息の長い取組なんですね。二〇六〇年に一億人を切らないようにしていく、さらにまた、世代のバランスをとれるように出生率を上げていく、そして子育て世代をふやしていく、そういった中での一つの取組と思っております。

 具体的には、交付金の創設により、日本全国や世界じゅうから学生が集まるような、きらりと光る地方大学づくりを進めるなど、若者の就学、就業の促進。東京に出なくてもその地域の大学に行きたくなるような、また、この地域で就職したくなるような地域づくりのためのまず第一歩ということでこういう制度をつくるとともに、企業の地方拠点強化税制の拡充等による地方における仕事づくり。都市圏がありますけれども、東京だけ入超なんですね。ですから、大阪、近畿圏や中京圏、ここもやはり拠点強化税制の対象にするということも含めて、こういう制度もとらせていただきました。

 また、地方への大きな人の流れをつくる基本的なところで、若者を中心としたUIJターンの対策の強化、地方生活の魅力の発信の強化、また、子供さんの時代から農山漁村に親しめるような体験の充実、これは息の長い取組ですけれども、そういうことも含めて、しっかり、地方が元気にならなければ日本が元気にならないという考えのもとに、各地方がみずからの魅力や価値を発信し、さまざまな世代の人々が生き生きと暮らせるような地方の姿を実現していくために、引き続き、地方創生版の三本の矢、情報、そして財政、人材の側面から推していきたいと思っております。

奥野(総)委員 随分御説明いただきましたけれども、総理にまず伺いたいんですが、今のところうまくいっていないということはお認めになられますかというのが一つ。

 それから、その上で、今、拠点強化税制の話もありましたけれども、これも数年前に入っていますね、既存の枠組みです。それから交付金も、一千億の地方創生交付金というのがあって、さらに、今回、きらりと光る地方大学づくり、交付金と総理自身も施政方針演説で言っておられますけれども、新しい制度ということで新しい交付金を入れられて、これで本当に目標達成、二〇二〇年にできるとお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今まで、地方から東京の大学に入ってきてそのまま就職をするという大きな流れを変えていかなければならないわけでございまして、そこで、我々もさまざまな地方創生のための政策を進めているわけでありますが、我々としても、大きくこの人の流れを変えたい、こう思っております。ただいま梶山大臣のもと施策を進めているところでございます。

 まずは、地方における有効求人倍率は大変上がってまいりましたし、地方における時給も上がり始めておりますので、今まで、高校や大学を卒業して、本当は地元で仕事をしたいけれども、なかなか場所がないんだよねとかつて言われていた状況は改善しつつありますので、ここで更に今までの施策をしっかりと進めていきたい。もちろん、なかなか大変な目標であるという認識はございますが、何とかこの目標に向けて努力を重ねていきたい、こう思っております。

奥野(総)委員 私は、地方創生の目的自体、一極集中を是正するという、これは大賛成なんですよ。だから、できるだけきちんと達成してほしいんですが、今総理もお認めになったように、なかなか難しい状況である。確かに地方の有効求人倍率は上がっていますが、これを見てもわかるように、若者は地方に就職しないで東京に出てくるわけですね。それは恐らく、フルタイムの職がなかったり、それから賃金の問題があったり、さまざまな理由で東京に出てくると思うんですね。

 ですから、今までのやり方をもう一度見直さなきゃいけない、今までの地方創生のやり方は私は見直さなきゃいけないと思うんです。

 きらりと光る大学交付金といいますが、結局、やはり交付金なんですよね。今までの延長線上に私はあるように思います。やはり、地方のことは地方に任せていく、分権を進めて地方に考えさせていく、これが私は大事じゃないかと思うんですよ。

 まち・ひと・しごとの創生法、地方創生法でしたっけ、これは、基本計画、総合戦略を国が立てて、目標を国が定めて、それに地方を従わせる、そこにお金をつけてやらせる。こういうやり方は、やはり限界がもう来ているんじゃないですか。なるべく地方に考えさせる。分権をして、地方に自分で考えさせて、国は財源をきちんと保障していく。

 例えば、民主党のときに一括交付金というのをやりましたよ。ひもつきじゃなくて、一括交付金を創設した。これをまた復活させるとか、あるいは、地方交付税、これからますます財政が厳しくなって減らされるのかもしれませんが、これをきちんと保障していく。

 任せて、そして財源を保障する、地方分権の考え方が大事だと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 考え方として、地方分権の考え方が大切だ、私もそのとおりだと思います。

 安倍内閣の地方創生は、国が地方を誘導するのではなくて、地方の意欲と創意工夫を応援するものであります。いわば地方の自主性、自立性を高め、みずからの発想と創意工夫により個性と魅力あふれる地方をつくっていくことが重要と考えているわけでございます。

 例えば、地方分権改革については、長年地方からの要望が非常に強かった農地転用許可権限の移譲や地方版ハローワークの創設を実現するなど、地方分権改革を力強く着実に進めているところであります。

 委員が言われたように、国がメニューを決めて、あるいはロードマップみたいなものを決めて地方に押しつけるのではなくて、まさに、地方の創意工夫を国がさまざまな手段をもって応援をしていく、人材が必要であれば人材を派遣していく、あるいは、財政的な支援も含めてしっかりと支援していきたい、これが我々の基本的な考え方であります。

 一括交付金につきましては、交付対象が従来の省庁ごとの事業に限定されていたこと、事業を所管する省庁ごとに交付を申請しなければならず、手続が煩雑だったことなどの問題点が指摘されていたことから、平成二十五年度に廃止をされています。

 こうした廃止の経緯も踏まえ、今回の交付金は、各省縦割りではなくて、地方公共団体が自主性、自立性を発揮できるような自由度の高い仕組みとしたところでございます。

奥野(総)委員 ただ、総理、地方創生交付金で何が起きているかというと、私の地元でもそうなんですが、WiFiつきの民泊施設をつくったりとか、地方の物産のアンテナショップをつくったりと、大体どこも似たり寄ったりのことになりがちなんですよね。やはりそこが、総合戦略あるいは目標があって、政府の望む方向にといって、どうしても行きがちなんですよ。思い切ってそういったやり方をやめて、地方分権を導入していく。

 私の持論は、やはり憲法にきちんとそういうことも書き込んでいく。道州制を入れ、そして国の機関も、民主党のときにやろうとしましたけれども、地方に、道州に移していく。そして、財源はなるべく地方税、足りないところは一般財源で、交付税で渡していく。そして、自主性に任せて、地方の繁栄を地方に考えてもらう。

 こういう憲法改正、実は私は党の憲法調査会の事務局長をやっていまして、きょう、この後、調査会を開いて、憲法第八章について、改正案の条文がここにありますけれども、改正案の条文を党の方でオーソライズしていこう、こう考えているわけです。

 総理として、先ほど四つの論点、党の方で四つの論点とおっしゃいましたけれども、地方自治のところは、第八章のところは、地方自治の本旨に基づいて、法律で定めるとしか書いていないわけですよね。そこをもっときちんと分権を書き込んでいく。あるいは、我が党の案のように、地方の財政自主権、それから補完性の原理、分権について書き込んでいくというような憲法改正について、総理、議論をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 昨年の総選挙に際して、我々は四項目を掲げさせていただいたところでございますが、他方、二十四年の我が党の草案については、地方分権についても、現行憲法に、確かにおっしゃるとおりに、非常に書きぶりは少ないわけでございまして、それについて我が党もしっかりと書き込んでいるわけでございまして、ぜひ、まさに奥野議員の御見識を示していただいて、大いに議論をしていただきたい、このように思っております。

奥野(総)委員 先ほど今井委員が言いましたけれども、ためにありき、改正するためじゃなくて、やはり立法事実があるところを、きちんと必要のあるところをやはり議論を私はすべきだと思います。

 地方それから憲法の議論、ひとまずここまでにします。

 次に、ちょっと順序が変わるかと思いますが、放送の話をしたいと思います。

 総理は、未来投資会議に先日お出になって、その模様もネットにアップされていますが、そこで、放送事業の大胆な見直しが必要、こう述べられております。また、新年早々、いわゆる新経連、新経済連盟に出席されて、ネットテレビについて、放送法の規制がかからない、見ている人には地上波と全く同じだ、日本の法体系が追いついていない、大きな改革をしなければならない、これは新聞からとった情報ですけれども、こう発言されているやに承知しています。

 この点、全く私も同感でありまして、じゃ、ネットテレビと地上波とどう違うのか。テレビにつないで見てしまえば、視聴者の方としてはわからないわけですよ。それほど融合が進んでいるわけですし、例えばフランスなどでは、地上波それからネット、両方放送していて、視聴者はそこを余り意識しないで見ている。だんだんそういう時代になってきていて、この発言についてはよくわかるんですが、じゃ、具体的に、放送事業の大胆な見直しが必要というのはどういうふうに考えておられるのか、伺いたいんです。

安倍内閣総理大臣 今御紹介をいただきましたが、私は以前、AbemaTVに出演いたしましたが、こうしたネットテレビは、視聴者の目線に立てば、今委員が御指摘になったように、地上波と全く変わらないわけであります。このように、技術革新によって通信と放送の垣根がなくなる中、国民共有財産である電波を有効活用するため、放送事業のあり方の大胆な見直しが必要だと考えています。

 放送については、昨年の規制改革推進会議の答申や新しい経済政策パッケージにおいて、放送事業の未来像を見据えて、放送用に割り当てられている周波数の有効活用などにつき検討を行うこととしておりまして、具体的には、今後、技術革新の波に乗りおくれないよう、規制改革推進会議及び総務省において速やかに検討を進め、ことしの夏までに結論を出すこととしております。

 ただ、何か一部に私の発言が誤解されているところがあるんですが、インターネットについて新たな規制を導入することは全く考えていないということは、この場を使わさせていただきまして、はっきりと申し上げておきたいと思います。

奥野(総)委員 そのAbemaTVなんですけれども、私もちょっと見てみたんですが、十月八日放送となっていまして、十月八日というのは、我々が戦った選挙が十月十日が公示日でありまして、その二日前に、総理が二時間四十分、三時間番組ということになっていますが、三時間ずっと出て、トーク番組でお話をされているわけですね。いろいろな、我が党の話とかも含めてざっくばらんにお話をいただいていて、私も見ていておもしろかったんです。

 ただ、問題があって、それは選挙の前である、しかも、総理が単独で出て、ずっと三時間もしゃべっている。これは確かにネットの特性で、地上波だとそういう時間はなかなかとれないし、できないんです。

 しかし、地上波には規制がかかっていまして、きょうお配りしている資料の中にあるかと思いますが、まず、資料三ですか、放送法の四条というのがありまして、その中で、四条一項二号、政治的公平であることとか、それから、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにするということがあって、地上波では政治的公平性が問われるわけですよね。

 では、その政治的公平性の中身は何ですかというと、資料四です。

 これは、二年前に私がこの予算委員会に出たときのをちょっと捜し出してまた持ってきたんですが、二年前のときに、政府の統一見解というのを出されています。それをちょっとばらして書いてあるんですが、一番左の端は、これはもとからある安倍政権以前の政府の統一見解でありまして、政治的な公平性というのは一つのテレビ局の番組全体で見るんです、こういうことになっていまして、だから、一つの番組の中に総理がずっと出ていても、全体として見れば、ほかの番組でほかの党を扱っていれば公平性が保てる、こういう解釈だったんですね。余り厳しく公平性を問わない、政治的公平性については問わないという話だったんです。

 それが安倍内閣になって、真ん中のところ、下に米印がついていますが、最初、参議院の総務委員会の高市大臣答弁、これが二年前の二月十二日の政府統一見解に取り込まれているわけですが、今までは、テレビ局全体、二十四時間あるいは一定のスパンの中で政治的にバランスがとれていればいいという話だったんですが、安倍内閣になって、一つの番組の場合でもと、こういうのがついたわけですね。

 例えば、選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊さらに特定の候補者や候補予定者のみ相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合とか、いろいろ書いてあるわけですよ。

 ちょっとこれは通告していないんですが、この前、総務大臣には、総務委員会の方で野田大臣には確認をしたんですが、この統一見解というのは今も生きているわけですね。

野田国務大臣 今御指摘がありました政府統一見解、これについては、放送法第四条が規定する政治的公平に関して従来の解釈を変更するものではなくて、補充的に説明し、より明確にしたものであり、見直す考えはありません。

奥野(総)委員 何が言いたいかというと、総理の出演されたのはネットテレビだから、これは対象にならないんですが、仮に地上波だとした場合に、選挙の前ということで、選挙期間中又はそれに近接する期間、十月八日というのはまさに近接する期間であって、候補者というか、総理自身も候補者でしょうが、党首でもあられるわけですから、お一方だけが、三時間というのはなかなか地上波ではとれないですね、相当長時間にわたって出演して、持論を述べられている。これが地上波だったら一に該当するのではないか。

 あるいは、これは二ですけれども、国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げずに、殊さらに、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返し流している。一致する部分もあるかもしれませんが、総理の見解をずっと述べられて、しかも、これは繰り返しというか、ずっと今も見られるわけですから、選挙期間中もずっとアップされていたはずなので、繰り返し見られた。

 ぱっと見ると、地上波だったらアウトだというふうに考えられますが、答えにくいかもしれませんが、野田大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 今、奥野委員がおっしゃっているAbemaTVというのは、ネット放送ということで、そもそも放送法の規制の外にありますから、今のような御指摘には当たらないと思っていますし、放送法そのものも、番組準則違反を理由としてそもそも無線局の運用停止命令を行った例というのはなくて、放送法というのは、もう御承知のように、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みということであり、先ほど申し上げたように、解釈も変わりませんし、そういうことであるということを、御存じでおられるけれども、あえて申し上げたいと思います。

奥野(総)委員 なかなか答えられないと思いますが、地上波だとなかなかこういうことは恐らくできないんですね。総理のおっしゃったのはそういうことかなと。放送と通信の融合といったときに、では、どっちにそろえるんですかという話になってくるわけですね。

 今の放送法のような規制をネットにも持ち込むのか、先ほど、規制は持ち込まない、こうおっしゃっておりましたから、となると、逆に放送の方の、これは総理自身がこういった統一見解、作成にかかわられておられるわけですけれども、こうした放送の規制を、垣根を低くするのかそろえる、どちらかだと思うんですが、総理はどうお考えですか。

安倍内閣総理大臣 まさにその問題点でありまして、いわば通信であれば、ネットであれば全く問題なんかないわけであります、放送法の枠外でありますから。

 しかし、放送法上であれば、それはさまざまな規制がかかってくるというのが今の法体系でありますが、最初に申し上げましたように、見ている人にとってはもう差がない時代になっていった中において、これはこのままでいいのだろうかということを申し上げたわけでありますが、ネットというのはまさに自由な世界でありますから、その自由な世界に規制を持ち込むという考え方は私は全くないわけでありまして、であるならば、では放送法をどうするかという問題意識は持っておりますが、更にその先については、まだ考えているわけではございません。

奥野(総)委員 今のトーンだと、融合となると恐らくコンテンツ規制。見ている側からすると番組ですよね。ネットであろうと電波であろうと番組ですから、それぞれ電波特有の規制があったり有線特有の規制があったりするんでしょうが、番組規制にだんだん行くんだと思うんですよ。規制というか、どういう規律をかけるかということについて。

 今の確認ですが、総理としては、こういった政治的公平性のような規制は番組については要らない、ネットであろうと電波であろうと要らない、そういうお考えなんですか。

安倍内閣総理大臣 いろいろな考え方の方がおられるのは事実でありまして、今や、ではなぜ放送法があるかといえば、かつては、いわば電波事業においては特別に割り当てられた放送局があって、特別に割り当てられた放送局、公共の電波を使うから特別な、この放送法によってさまざまな規制がかけられていたわけでございますが、今まさにそれが、ネット放送において事実上、放送事業に近いことも行うことができるようになった中において、果たしてそれはどうなんだろうという意見ももう既に大分あるんだろう、こう思います。

 ですから、私は、現状どういう課題があるか、どういうことを考えている人たちがいるかということは御紹介をさせていただいたところでございますが、それ以上のことについては、今、政府としては、まさに先ほど申し上げた形でさまざまな検討をしていくということについて申し上げたところでございます。

 私の考え方を開陳するというよりも、そこでしっかりと検討していただきたい、こう思っているところでございます。

奥野(総)委員 いろいろな意見があると思うんです。放送法四条というのは、そもそも倫理規範であって強制規範じゃない、こういう話だったんですが、今はこれで停波もできる。強い権限を付与されているわけですよ。

 では、こうしたものを残しておくのか、特に、政治的公平性のような曖昧なところに残しておくのかという議論もあると思うのですが、私は、少なくとも最低限の基準はあった方がいいというふうに思います。

 総理はそこは、もう一度聞きますが、規制はあった方がいいか、なかった方がいいか。

安倍内閣総理大臣 これはさまざまな考え方があります。今、私の考え方はどうだということを述べることはできないのでありますが、例えば米国においては、いわば公平性のフェアネスドクトリンをやめましたよね。もうそれぞれ自由に主張してくださいということになったんだろうと。ただ、その中で選択肢がたくさんあれば、その中から視聴者が選択をすればいいんだろうということだったんだろう、こう思うわけでございますし、果たして本当にその中立性を保つことができるのかと言う人もいますね。それはいろいろな意見があります。

 そうはいっても、今先生が言われたように、しっかりとある程度の制限は加えるべきだと言う人がいるわけでありまして、そういったことを含めまして議論をしてもらいたい、こう思っているところでございまして、ネットにおいては、まさに自由な世界であることがネットの特性でありますから、そこに更に規制をかけるという考え方は、これから規制をかけるという考え方は全くないということは繰り返し申し上げておきたいと思います。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

奥野(総)委員 繰り返しになりますけれども、そうなると、もう一回、くどいようですが、見ている側としては一緒だと最初におっしゃったわけですよね、一緒だと。では、ネットと電波を違える理由というのは何なんですか。今の話です。総理は、ネットについては規制はしない方がいいとおっしゃっている。でも、見ている側からすると、ネットか電波かわからない状況になってきているわけですよ。そうするときに、いわゆるテレビ局のテレビとネットテレビと規制を違える理由というのは何なんですか。

安倍内閣総理大臣 奥野議員は専門家でおられますが、私はこの分野は専門ではございませんし、果たしてどういう違いがあるかということをつまびらかに十分に把握をしているわけではございませんので。ですから、だからこそ、これは先ほど申し上げた、我々に対して、この議論を、政府内においてつくりました会議において、未来投資会議においてしっかりと議論をしてもらいたい、こう思っております。済みません、規制改革推進会議だ、規制改革推進会議でしっかりと議論してもらいたい、こう思っております。

奥野(総)委員 そうすると、検討結果によっては、例えばさっき言ったフェアネスドクトリン、政治的公平性、これは一九八〇年代にはアメリカにあった規定で、もう削除されてしまっていますが、そういう方向の、検討結果によっては方向性もあり得るという理解をされているということですか。

安倍内閣総理大臣 今、私が予断を与えることを言うのは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、専門的な見地から規制改革推進会議においてしっかりと議論してもらいたい、こう思っております。

奥野(総)委員 それからもう一つ、オークションの話をしたいと思うんですが、新規参入、放送に新規参入が必要だという観点からオークションを認めるべきだ、こういう議論があります。

 菅官房長官は会見で割と前向きにお答えしているようですが、オークションについて、新規参入、放送業界に新規参入が必要か、そして、そうした観点からオークションが必要かということについて、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私自身は、殊さら積極的に申し上げたのではありません。記者会見の際にそういう質問があったものですから、考え方を申し上げたということであります。

 昨年公表された規制改革推進会議の第二次答申において、電波オークションについては、メリット、デメリット、また、導入した各国におけるさまざまな課題も踏まえ、引き続き検討を継続する、このように規制改革会議で報告を受けています。政府としては、電波というのは国民の共有の財産です、この電波が有効利用される、このことが極めて大事だというふうに思っています。

 奥野委員も、もともとこの分野の専門家であります。例えば携帯電話、海外と比較して日本の使用料は物すごく高いじゃないですか。もう完全にこれはライフラインですから、ここは、大胆に引下げを行うことができるような、有効活用ができるような体制にすべきだというふうに思っています。今、格安携帯が普及して、二割ぐらい安くなったんですかね。しかし、まだまだ、それでも海外と比較をして高いということもこれは事実じゃないでしょうか。そういう中で、電波の効率的な利用、こうしたことももう一度見直しをする時期じゃないかなというふうに思っております。

 いずれにしろ、この規制改革会議、そうした審議を見ながら、政府としてはしっかり対応していきたいというふうに思います。

奥野(総)委員 もともとオークションというのは、民主党政権時代に電波オークション法案というのをつくって、廃案になってしまったんですね。その後、我々も国会に議員立法で出して何回かチャレンジしたんですが、なかなか、政府・与党が反対して、デメリットの方が多い、メリット、デメリットを検討した結果、デメリットの方が多いということで、取り上げていただかなかったということがあります。

 ここへ来て政府の側でも検討を始めたということなんですが、政府として、これはなぜ積極的に変わったのか。今、これは検討するとすら前は言っていなかったんですが、検討を始めたということでありますけれども、なぜこれは変わったんでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 今お話ありましたように、規制改革推進会議の第二次答申において、電波オークションについて、「メリット・デメリット、導入した各国における様々な課題も踏まえ、引き続き検討を継続する。」ということとされました。

 具体的には、電波オークションについて、電波の割当て手続の透明性とか迅速性の確保などにつながる一方、これはメリットですが、デメリットとしては、設備投資の遅延、ユーザーの利用料金の上昇のおそれがあるなど、いろいろ指摘をされたところです。

 総務省としては、海外の電波オークションの最新動向なども踏まえて、どのように国民一人一人が電波による良質で価格の安いサービスが享受できるのかなということを継続的に検討していきたいと思っています。

 ちなみに、昨年、新しい経済政策パッケージにおいては、電波の経済的価値も踏まえた総合的な評価による割当て方式の導入も決定したところです。

 いずれにしましても、官房長官と重なりますけれども、電波というのは国民共有の財産です。この技術革新等も踏まえながら、さらなる有効利用に向けて不断の改革は進めていかなくちゃならない。そうした観点からも、オークション制度も排除せずに、電波割当て制度のさらなる改革について引き続きしっかり検討していきたいということになりました。

奥野(総)委員 今、排除せずにという話がありましたけれども、弊害もいろいろ言われているわけですね。

 例えば、放送に対するオークションというのは、これはイギリスでかつて行われていたけれども、なかなかコストがかかって商業主義に走りがちで、番組の質が低下したということで、やめになっているわけですよ。

 事放送については我々の民主党政権のときも入れていなかったんですが、放送も含めた議論をされるんでしょうか。なるべく私は慎重に議論していただきたいんですが。

野田国務大臣 今御指摘の話をさせていただきますと、諸外国の事例について網羅的に調査しているわけではないんですが、欧米等の先進国のうち、放送用帯域についてオークションを行った国としてアメリカやイギリスの例があると承知しています。

 今御指摘のイギリスにおいては、民放アナログテレビ放送局の事業免許について、一九九一年と一九九五年の二回オークションを実施して以降、実施していないと聞いています。

 事例として、二〇一四年にイギリス政府がオークションを実施せず再免許を与えた理由としては、イギリスのミラー文化大臣という方が、質の高い番組提供を維持するために再免許を行う旨言及したということを承知しています。

奥野(総)委員 そうなんですよね。放送に対する特にオークションについては、諸外国も慎重になっているわけであります。

 この問題、最後、総理にまた伺いたいんですけれども、オークションについて総理はどうお考えでしょうか。

 これは下世話な話ですけれども、ある新聞に出ていたんですが、放送局に巨額の負担を課すオークションの適用をちらつかせることで報道を牽制する狙いがあるんじゃないかという下世話な話もあるんですが、断じてそんなことはないということと、それから、放送について、オークションについては今のところ導入するつもりはないということをちょっと言っていただきたいんですが。

安倍内閣総理大臣 それはあくまでも下世話な話だと思っています。

 昨年、新しい経済政策パッケージにおいて、電波の経済的価値も踏まえた総合的な評価による割当て方式の導入を決定しました。

 電波は国民共有の財産であり、技術革新等も踏まえながら、さらなる有効利用に向けて不断の改革を進めて、やはり不断の改革を進めていくことが必要でありまして、では、そういうようなネットの番組の質が高くて、地上波が高いのかといえば、それはいろいろな評価が私はあるのではないか、こう思うところでございます。

 そうした観点から、今後とも、御指摘のオークション制度も含めた電波割当て制度のさらなる改革について、引き続き検討を継続していく考えであります。

奥野(総)委員 いずれにしても、報道機関、こういった規制については慎重にお願いしたいと思います。

 それから、最後、緊急事態法制について伺いたいと思うんです。

 自民党の憲法改正に関する論点取りまとめの中で緊急事態についてというところがありまして、政府への権限集中や私権制限を含めた緊急事態条項を憲法に規定すべき、こういう意見が記載されています。

 災害所管の国土交通大臣に伺いたいんですが、こうした災害時に私権の制限は果たして必要と考えるのか。

 これは、東日本大震災、被災三十七市町村を対象としたアンケートがありまして、回答した二十四市町村のうち、災害対応で憲法が障害となったとしたのは一自治体のみということでありまして、この一自治体も、財産権のところは改正が必要だとあるのですが、財産権については、そもそも公共の福祉の制限がかかっています。ということで、ほぼ、東日本大震災被災自治体においては、必要はない、こういう回答だったわけです。

 また、現行法制でも、御承知のように、災害対策基本法の中で緊急政令が定められることになっています。

 こういったことを見ると、非常事態については必要はないんじゃないか、立法事実がないんじゃないかというふうに思いますが、国土交通大臣としていかがでしょうか。

石井国務大臣 大規模な災害が発生したような緊急時におきまして、国民の安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきかについては、大変重要で大切な課題と認識をしておりますが、私は安倍内閣の閣僚としてこの場に立っておりまして、憲法改正については、各党が憲法について議論する場である憲法審査会でよく御議論いただくことを期待しているところであります。

奥野(総)委員 総理としてはいかがですか。国全体を見ている総理として、今、緊急事態法制について、憲法上、規定がないと困るのかということについてはいかがですか。

安倍内閣総理大臣 現行法制下での緊急事態対応等も踏まえてお答えをさせていただきますが、国家の緊急事態に際しては、国民の生命財産を守るため、政府全体として総合力を発揮して対処することが重要であります。このため、政府としては、さまざまな緊急事態に対処するための制度及び体制の整備を行っており、その時々の情勢に応じ、その充実に努めているところであります。

 例えば、大規模災害が発生した際には、災害対策基本法などに基づき、避難指示等の災害応急対策や災害復旧などに取り組むこととなりますが、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、緊急災害対策本部設置の要件を緩和しました。また、東日本大震災の教訓を踏まえて、内閣総理大臣の指揮監督のもと、政府が一体となって対処するため、対処方針の作成、閣議決定の義務づけなどの法改正を行い、所要の見直しを適時に行っているところでありまして、政府としては、今後とも、緊急事態においてとるべき対応について不断の見直しを行っていくとともに、いかなる事態にあっても国民の生命財産そして幸せな暮らしを守るために万全を期してまいる所存でございます。

 改憲の必要性についてもお答えしますか。

 大規模な災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるかについては、極めて重く大切な課題だと考えています。

 特に、緊急事態に際し、衆議院議員が不在となってしまう場合があるのではないかという従来からの指摘については、現実的で重要な論点であります。

 本件は、国のあり方や役割、民主主義の根幹にかかわる事柄でありますが、いずれにせよ、憲法改正の内容においては、国会において、また国民的な御議論を期待しているところでございます。

奥野(総)委員 今の答弁を伺いますと、少なくとも、私権を制限したりするような、憲法改正草案にあるような、いわゆる緊急事態条項については必要はないと御理解されているということでよろしいんでしょうか。そして、議員任期の延長については必要性を感じている、こういうことでよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 前段の部分については、今、私の立場でそれを申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたい、こう思っているところでございます。いわば国として段階的にさまざまな改革を行ってきたということを申し上げたところでございまして、これ以上更に必要かどうかということについては、これはまさに国会において御議論をいただきたい、こう思うところでございます。

 他方、あえて、事実として、今、国会議員が不在となるということがあり得るということについては御紹介をさせていただいたところでございます。

奥野(総)委員 時間も大分たちましたけれども、最後、国会議員が不在となると言いつつも、参議院は残っているわけですよね。参議院がいなくなるということはないわけです。衆参同日選挙であっても半数の参議院が残っている。ということで、緊急集会制度というのがあります。これを活用すれば、実は議員任期の延長をしなくてもいいんじゃないかということになるんですが。

 ただ、憲法上ちょっと疑義が残るのは、最後、法制局に来ていただいていますが、お答えいただきたいんですが、解散後四十日以内に選挙をしなきゃいけないということが憲法に書かれているわけですね。ですから、これができないときにどうなのか、憲法の改正が必要なのかどうかということ。

 それからもう一つは、緊急集会は解散時のものということで規定されていますが、任期満了時の選挙で、選挙ができなくて失職したときに緊急集会ができるのか、ここに疑義が残るわけですが、これは憲法上、解釈として、対応、緊急集会が開けるのか、任期満了時でも緊急集会を開けるのか。あるいは、今言った衆議院議員、四十日以内に選挙、これは繰延べ投票というのがたしか総務省所管の公職選挙法にあるんですが、これは活用できるのかということを最後に伺いたいと思います。

横畠政府特別補佐人 二点お尋ねをいただきました。

 一つ目の総選挙の施行についてでございますけれども、憲法第五十四条第一項においては、衆議院が解散された場合、解散の日から四十日以内に総選挙を行うと規定しているところであります。災害等が発生した場合であっても、同項及び公職選挙法の規定に従って、解散の日から四十日以内の日を施行期日として、衆議院議員の総選挙の施行が公示されることになると考えられます。

 その上で、公職選挙法第五十七条第一項においては、天災その他避けることのできない事故により、投票所において、投票を行うことができないとき、又は更に投票を行う必要があるときは、選挙管理委員会の判断により、更に期日を定めて投票を行わせるというのが、御指摘もありましたけれども、繰延べ投票の制度がございます。

 一定の期間を要し、その繰延べ投票が解散の日から四十日を超えて行われたとしても、当該総選挙自体は最初に公示された施行期日に行われたものというふうに解することができると解しております。

 二点目の参議院の緊急集会についてでございますけれども、憲法第五十四条第二項は、「衆議院が解散されたときは、」と冒頭に規定しております関係で、任期満了により衆議院議員がいなくなったという場合にこの緊急集会が開けるのかという論点が確かにございます。

 この点につきましては、昭和五十一年に、必ずしも大災害という前提ではございませんけれども、内閣法制局において検討したことがございます。

 そのときは、1参議院の緊急集会の制度は、極めて特殊な場合の変則的、異例の措置であって、解散という予期しない事態の場合に限って、特に明文の規定をもって認めたものであり、それ自体としても抑制的に運用されるべきものであるため、消極的に解すべきであるという見解、2解散による選挙と任期満了による選挙の間に根本的な差異があるとは考えられず、解散の場合の条件よりも厳格に考えるべきであるが、真に国政上の緊急の必要があるときは、憲法第五十四条第二項の類推適用が許されるという見解の両論がありましたが、結論を得るに至っておりません。

 いずれにせよ、この問題につきましては、憲法上の国会の権能に関する重要な事柄でございますので、国会で御議論をいただくのが適当であると考えます。

奥野(総)委員 時間が来ましたので終わりにしますけれども、任期の延長についても、解釈によって切り抜けることができる、立法事実はない、こういう立場もとり得るということを最後に指摘して、終わりたいと思います。

 以上です。

河村委員長 これにて奥野君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

河村委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として防衛省人事教育局長武田博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民進党の原口一博でございます。無所属の会を代表して、総理並びに関係大臣に質問させていただきます。

 まず、昨日起きました陸上自衛隊目達原駐屯地所属ヘリAH64Dの墜落事故について、お亡くなりになられた方、御遺族に心からお悔やみ申し上げ、けがをされた方にお見舞い申し上げます。私の選挙区でありますが、大変大きな衝撃を受けています。

 防衛大臣にまず伺います。

 二等陸佐、捜索中と聞いておりましたが、発見されましたでしょうか。

小野寺国務大臣 まず、今回の事故につきましては、原口先生のお地元であり、御親族もお住まいと伺っております。改めて、このような事故を起こしたことをまことに申しわけなく思っております。防衛大臣としておわびを申し上げます。

 今御指摘のことでございますが、昨日、一名の隊員については死亡が確認をされました。そして、けさほど、現場におきまして、もう一名の被害者らしき御遺体を確認いたしまして、十四時過ぎに、本日朝に確認した一名の死亡を確認したということであります。身元は現在確認中であります。

原口委員 極めて残念であります。一等陸曹は二十六歳、二等陸佐は四十三歳です。

 総理、この目達原駐屯地は非常に士気が高くて、九州北部豪雨の災害のときも、ここが拠点になりました。皆さん本当に頑張ってくれました。熊本の大震災のときもそうでした。あるいは、イラクへの派遣のときも、この目達原から出ていきました。地域に開かれた自衛隊が、多くの地域の方々に慕われて、愛されて、頼りにされて、その中でこういう事故が起きたことを、本当に、もう言葉にならない思いでございます。

 きのうのきょうなので、通告にも大変あれでしたけれども、幾つか伺いたいと思います。

 このヘリが導入されたのは平成十四年から二十四年までで十三機で、当該の機体は平成十八年三月で、千七百三十三時間の飛行ということで、ちょうど点検を受けたばかりということだった。しかし、SOSもなく頭から突っ込んでいると。

 きのう、私のスタッフや地域の皆さん、ずっと支援に行きました。友人たちの消防団も出て、救助、それから消火に当たったわけであります。

 少し、基本的なことについて伺います。

 オートローテーションモードというのがあって、たとえエンジンがとまっても、この型のヘリは不時着なり、そういったことができる、そういうものだと思っていますが、どうでしょうか。

小野寺国務大臣 お話ありましたように、この機体に関しては、オートローテーションということであれば、備えているものであります。

 一般にヘリコプターには、エンジンが停止した場合でもローターを回転し続けて安全に着陸することを可能とするオートローテーションという仕組みがあり、AH64Dにもそうした仕組みがあるということであります。

 今回の事故については、まだ事故原因が特定はできておりません。いずれにしても、この機体にはオートローテーションはついておりました。

原口委員 ところが、録画された画像を、総理、拝見しますと、頭から突っ込んでいます。恐らく、目達原駐屯地を飛び立って七分ぐらいの間にこの事故が起きている。

 いろいろな人たちから、私のもとにも報告がございました。大きな破片が、ここから爆発して飛んだのではなくて、上から落ちてきたであろう破片が、三百メーター手前、四百メーター手前にもあったという証言をいただいています。事故の調査の参考にしていただければというふうに思います。

 そこで、ちょっと気になる点を何点か確認をしておきたいと思います。

 女の子は軽傷だったということですけれども、本当に軽傷ですか。大変怖がっていたという話が伝わってきていますが、心のケア、傷、これはどんなに恐ろしかったかと思います。

 この近くは幼稚園があります。小学校、中学校があります。よもやのことで、私が記憶する限りは、ヘリが住宅に墜落するというのは、我が国の歴史の中でも希有なことではないかというふうに思います。

 そのことを確認したいのと、もう一つ、この機体は放射性物質を一部使っていたんじゃなかったかと思います。エンジンの点火装置等にクリプトン、トリウム、この二つの放射性物質が使われている。地元の人たちに聞きますと、何か落ちていたらさわらないようにということを自治体から言われているけれども、本当に大丈夫なんでしょうか、怖いですというお話がございました。

 この放射性物質、大体どれぐらいですか。それから、人体への影響、放射性物質ですからね、体の中に入れれば、この間議論したような内部被曝の問題も起きますけれども、ここで殊さら危機をあおる気はないんですけれども、回収できたのかどうか。そして、重さと、それからその強さというか、ベクレルというんですか、わかったら教えてください。

小野寺国務大臣 まず、自衛隊の航空機が民家に落ちたという事案、あってはならないことですが、今回の事案の以前にあったのは、一九六九年、金沢で起きた事故であります。私も前の大臣のときに現場を確認をし、大変悲惨な事故であったことを改めて思い出しております。

 今御質問がありました今回の放射性物質の問題についてですが、ヘリの部品の一部には放射性物質が微量含まれているのが一般的であります。今回の事故機についても、微量の放射性物質、クリプトンとトリウムが使用をされております。エンジン点火用装置にクリプトンを使用し、赤外線センサー用にトリウムを使用しております。

 具体的な数値は確認中ですが、クリプトンについては百七・七キロベクレル、トリウムについては、二つの部位に使われておりまして、一つは三・七〇キロベクレル、もう一つは一・一四キロベクレルとされております。

 今回、事故機を含め、ヘリコプターの部品にはこうした微量の放射性物質を使用することは一般的であると承知をしております。このクリプトンは揮発性があり、トリウムは揮発性がなしと承知をしております。

 今回使用されている放射性物質の量は非常に微量であり、陸上自衛隊において墜落現場と部品落下現場の放射線量を測定しておりますが、現在のところ、周辺環境と比べ特異な数値ではありませんが、いずれにしても、今、部品は懸命に回収をしておりますが、万が一ヘリの部品らしきものがありましたら、すぐにまた私どもに通報していただきまして、しっかり対応させていただきたいと思っております。

原口委員 そのさわるな、拾うなというのは、自治体を通して指示をなさいましたか。

小野寺国務大臣 これは、関係自治体を通じてのお願いもしていると報告を受けておりますし、また、事故直後、昨日は大野政務官が現地に参りましたし、きょうは担当者が御近所を含めて地域を回りまして、このことについては説明をさせていただいて、もし何らか部品等のものがありましたら、すぐに連絡をしてくださいというお願いをしていると報告を受けております。

原口委員 後で総理にも伺いますが、この間もお話ししたように、米軍の中の疲弊というのはかなり進んでいます。私はこの間沖縄へ行ってきましたけれども、沖縄で、海保の皆さんも含めて、やはり緊張する時間が長くて、今までとは違う環境にいる。九州にいるこの陸上自衛隊もそういう緊張の中にあるということを申し上げておきたいと思います。

 今のところ、事務連絡室で対応していますね。ぜひ総理にお願いしたいのは、これはレベルを上げてほしい。総理が陸上自衛隊も含めた自衛隊の総指揮官でいらっしゃいます。

 機体の耐用年数というのも、これは決まっていないでしょう。このAH64Dの耐用年数は何年ですか。

小野寺国務大臣 ヘリの機種によりますが、ヘリ全般という形で、おおむね五千時間程度が目安というふうに報告を受けております。

原口委員 それは、いわゆる全体をならしたものですね。

 しかも、陸上自衛隊も含めて、パイロットの操縦教育は大変時間がかかります。三重に航空学校があって、そこで大体年に二十人程度、陸曹クラスが年に四十人程度という中で、やはり整備も含めた体制の再チェックというものを、総理、ぜひ求めたいと思います。

 佐賀県民は今、非常にショックを受けています。ぜひ総理からも、この事故について万全の体制で、また、陸上自衛隊の周りには官舎がたくさんありまして、多くの御家族がそこにお住まいであります。私たちもそうですけれども、落選したら、僕らは三日で衆議院宿舎を出なさいと。それは衆議院だからしようがないですけれども、亡くなられた御遺族も、ぜひ万全の支援をしていただきたい、このことも含めて総理に御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨日、佐賀県において発生した自衛隊ヘリコプターの墜落事故について、国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が住民の方々の安全を脅かし、多大な被害を生じさせたことはまことに遺憾であります。自衛隊の最高指揮官として、心よりおわびを申し上げ、またお見舞いを申し上げるところでございます。また、住民の皆様に大変な御心配を与えていることにつきましてもおわびを申し上げたい、こう思う次第でございます。また、今回亡くなられた自衛隊員の御冥福をお祈りしたい、こう思っております。

 今回の体制等々でございますが、我々もしっかりとした体制をとっていきたい、こう考えております。具体的な体制については、防衛大臣に任せているところでございます。

 また、このたび殉職された自衛官の御家族については、我々としてもしっかりと対応していきたい、こう考えております。

原口委員 前向きの御答弁、ありがとうございました。

 今週は外交日程がたくさんございますね。あしたはペンス副大統領。それから、平昌オリンピックにも行かれるということで、南北の融和の機運が盛り上がって、これが本当の和平につながる、核抜きの韓半島ができるということを私は歓迎をしたいと思います。

 ただ一方で、資料五をごらんください。

 統一旗に竹島が入っていたように、今回の文在寅大統領、この大統領は、国会議員のときに竹島に上陸をなさっています。韓国は、我が日本にとって大変重要な隣国であります。戦略的にも大切な国であります。ですから、我が国固有の領土について公人がどうして上陸をしたのかということで、超党派の領土議連で、私たちは質問状を出しています。これは、日本語、英語、韓国語でホームページに出して、見ることができるようになっていますが、平成二十九年二月二十二日、ちょうど一年前に出して、現在に至るまで答えが返っていません。

 私は、やはり、歴史をかがみに、しっかりと両国の友好関係を発展させていくためにも、互いの国会議員同士も、あるいは政府同士も、胸襟を開いて、そして議論をしていくことが大事だというふうに思いますので、文在寅大統領にお会いになったら、このことも、総理、お胸に刻んでいただいておけばありがたいというふうに思います。

 さてそこで、幾つか議論をしていきたいと思いますが、きのう逢坂さんが議論された核の問題についてであります。

 私も、新しいトランプ政権の核戦略を拝見しました。資料四をごらんになってください。抑止に失敗した場合でも米国の目的を達成する、こう書いてあります。

 私は、核抑止というものが本当にあるのかというのを、河野外相、あなたともずっと議論をさせていただいてきたという認識を持っています。で、ここには率直に、失敗した場合どうなるんだということが書いてあります。

 先日、私の問いに対して、強靱な日米関係のために平和安全法制が必要だったんだという御答弁をされましたけれども、その論理でいけば、じゃ、果たして、自国民が核で蒸発するリスクを冒して、他国の、例えば日本が核で攻撃されたときに本当にアメリカは核の攻撃をするのか、こういう設問が成り立つと思います。

 現に、ドイツはNATOにおいて、デュアルボタン、つまり彼らもボタンを持つという選択をしたというふうに聞いておりますが、外相、現状のNATOの認識を伺いたいと思います。

河野国務大臣 NATO各国は、それぞれ歴史的なあるいは安全保障上の背景から、米国とさまざまな抑止力を高める取組をしているというふうに思っております。

 日本の場合、米国が、万が一日本が攻撃を受けたとき、日本と共同対処することを条約上の義務としている唯一の国でございますし、我が国は非核三原則を堅持する立場でございますので、米国との核抑止をいかに高めていくか、米国としっかり協議をしてまいりたいと思います。

原口委員 私は、そこに大きなフィクションがあるような気がいたします。

 これは、総理がまだたしか自民党の幹事長のときでいらっしゃったか。私は、北朝鮮の核の話を今外相もなさいますが、なぜあの国がこんな核開発の力と資金を持っているのかが不思議であります。

 きょう、金融庁、来てくださっていると思いますが、これが北朝鮮信用組合の変遷でありまして、中には二次破綻をして、我が国民の公的資金がここに一兆四千億、そのうちの一兆一千億ですかが贈与ですから、これは返ってきませんね。

 この現状について、金融庁、参考人で結構ですから、答弁をお願いいたします。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 朝銀への公的資金の投入でございますけれども、預金保険機構、この預金保険機構は、預金保険法の趣旨、目的に沿って、日本の他の金融機関と同様に、破綻した北朝鮮系信用組合の預金者を保護するために、受皿金融機関に対して一兆一千四百四十三億円の金銭贈与を実施しました。金銭贈与につきましては、預金保険法に従い、破綻金融機関の預金者を保護するため、その債務超過を解消すべく、受皿金融機関に対して実施されるものでございます。その後、回収を図っていくという性格のものではございません。

 また、預金保険機構から委託を受けた整理回収機構、RCCが、破綻した北朝鮮系信用組合の不良債権を二千九億円で買い取っております。この買い取った不良債権につきましては、整理回収機構が預金保険機構と密接に連携して厳格な回収を進めており、平成二十九年九月末現在で二千六百二億円の回収を行っております。

原口委員 総理、お聞きになりましたか。

 今、日本の他の金融機関と同じと言いましたが、外相、朝銀は朝鮮総連とほぼ一体なんじゃないですか。他の金融機関と同じですか。

河野国務大臣 北朝鮮系信用組合においては、金融庁において厳格な検査監督を実施しており、朝鮮総連からの経営の独立性は確保されているものと承知しております。

原口委員 岸田外相の答弁と今の答弁と、後で精査させていただきます。本当にそうですかね。

 現実に、じゃ、朝鮮総連に今不良債権が幾らありますか。そして延滞遅延金が幾らありますか。五百億か、もう九百億を超えているんじゃないですか。我が国の国民の税金がロケットやあるいは核に使われているんじゃないか、これは、総理、ずっと議論をしてきましたね。もう一回チェックをしていただきたいんですよ。

 技術についても、制裁逃れ。核なき世界を目指しながら、また新たな戦術核を認めるなんという話をするんじゃなくて、実際に我が国ができることをやるべきだというふうに私は思います。

 そこで、総理とも、やはり国際連合の歴史、日本の歴史は戦争の違法化です。

 先日、総理が、憲法九条二項、これを残すとおっしゃいました。少しここで、国際的な安全保障、戦争は違法であります、その間、例外的に認められるのが、急迫不正の侵害に対してほかに方法がない、そのときに、集団的であろうが個別的であろうが自衛権が認められる、これが国連憲章五十一条。

 ここにミシン目がありますけれども、集団安全保障と自衛権との間にミシン目があります。ところが、日本は個別的自衛権と集団的自衛権の間に今まで大きな溝がありました。

 そこで、もう一回総理に伺いますが、岡崎先生は私にこうおっしゃっていました。自衛権が自然権である限り、個別的であろうが集団的であろうが、芦田修正じゃないですよ、認めるのが当たり前じゃないかと。

 こういう議論に対しては、総理はどうお答えになりますか。

安倍内閣総理大臣 私も岡崎大使の議論についてはよく承知をしておりましたが、そもそも、自衛権というのはいわば人々が自然権として持っているものである、それはいわば憲法等が認める権利以前の権利だという御議論があったものと承知をしております。

 政府としては、我々は、権利としてはいわばこの自衛権を持って、個別的、集団的自衛権を持っておりますが、行使については、集団的自衛権につきましては、新三要件のもと、行使できるというのが政府としての考え方であります。

原口委員 つまり、集団的にしろ個別的自衛権にしろ、権利としては持っているけれども、今の憲法の中で、今おっしゃった三要件という中でぎりぎり行使することができる、そういう理解ですね。

 そうすると、憲法改正において、じゃ、もともと持っている権利をフルスペック認めない、その理由は何ですか。

 私は、憲法についての基本的な考え方を、少し総理と議論しておいた方がいいなと思います。

 憲法を英語で言うとコンスティチューションですから、総理がおっしゃるように、みずからの国の形、理想を、みずからの国の言葉で、みずからの言葉で国民が描く、これはとても大事なことだと思います。

 ただ一方で、資料十二をごらんになってください。

 これは、もう何年になりますか、二十年近く枝野さんとも同じ政党でしたけれども、この三カ月だけ別れていますが、彼と議論したとき、憲法とは国民が権力を縛るものだというのが近代憲法が大前提にした立憲主義だと。憲法という国の形の中で、一人一人が自由に自分の生き方を選べるし、選ぶべきなのだという考え方だと。これがやはり立憲主義。

 これは、学校で教わった方の、樋口先生の言葉なんですが、もし、歴史問題や人権問題に取り組みながら改憲論を進めるというならば、私個人はそれでも改憲に賛成しないだろうが、それは尊重すべき改憲論だろうと。

 だから、歴史について、やはりしっかりと正しい認識、正対をする、そこから逃げない、そのことや、あるいは人権を擁護し、人権を保障する活動をしながら憲法論を進めていくというのであれば、それは一つの耳を傾ける憲法論だというふうにおっしゃっているんですが、私と枝野さん、多分、ここは一致していると思います。総理はいかがですか。

安倍内閣総理大臣 憲法の考え方についてはもう既に述べているところでございますが、憲法については、確かに、いわば権力の手を縛るものであるわけでございますが、同時に、いつも申し上げておりますように、その国の形、また理想を語るものでもある、こう考えているところでございます。

 そこで、いわば、憲法は施行以来もう七十年以上が経過をしている中において、社会も世界も大きく変わっていく中において、日本の未来を見据え、必要とあれば憲法を改正していくべきだというのは基本的な考え方でございますし、その中において、我々、四項目において、選挙において示させていただいているところでございますが、その中で、国民主権、そして基本的人権の尊重、平和主義については、これはもう既に普遍なものであるという考え方も示させていただいているところでございます。

 また、歴史につきましては、七十年談話において、政府として閣議決定したものをお示しをさせていただいているところでございます。

 また、憲法を議論する主体としては、党において、また憲法審査会において各党が議論していただきたい、こう考えているところでございます。

原口委員 憲法とは国民が権力を縛るものだ、この考え方について一致した認識をお話しいただいたというふうに思います。

 ですから、私たちは憲法九十九条で憲法の尊重擁護義務を負っていますけれども、その中で、やはり、政府においても、私たち国会においても、みずからの権力の行使については謙抑的であるべきだ、そう思うんですが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 もちろん、憲法そして法律にのっとって行政権を行使しなければならない、こう考えております。

原口委員 謙抑的、つまり、権力を振るうに対して抑制的であるべきだと思うんですね。いや、それは憲法改正の議論をするなというんじゃないんです。むしろ、私は、積極的に、先ほど申し上げたように、みずからの国の憲法、国の形をみずからの言葉で話すというのはとても大事なことだと思います。

 ことし、まさに明治維新百五十年です。広田さんが土佐、私は佐賀、総理は長州。隣は福岡ですね、だから違うけれども、長州がいれば薩長土肥になるわけですね。

 ただ、歴史を見てみると、日本の国というのは、私たちの先祖は、百五十年前に列強に攻め寄せられて、垂直的な統合国家をつくっていったんだと思うんですね。

 よく、天つ神、国つ神という話があります。天つ神というのは、日本は、何かに攻められたときに、縦の統合のトライアングルをつくって、それに対抗する、それがこの近代の百五十年だったとすると、ただ、いつもはどうかというと、江戸時代のように、全てのものに神々が宿り、やおよろずの神という言葉がありますように、国つ神、水平的な民政自治をやっているというのが本当は日本人には合うのかもわかりません。それは、どっちの時代が合うのかわからない。ことし、たまたま百五十年ということで、歴史を振り返る大きな機会かなと思います。

 そこで、今、大きな変化が起きようとしています。インターネットに匹敵するような大きな変化で、これは、私たちのような先進国というよりも、発展途上国にもその技術が入って、むしろ、これまでインフラが入っていなかった分、発展途上国が先に行くのかもわからない。

 総務大臣に聞けばいいんですかね、あるいは経産大臣に聞けばいいんでしょうか、ブロックチェーン技術ということをちょっと説明してみてください。

野田国務大臣 ネットワーク上でデータを分散管理するブロックチェーン、この技術は、システム障害が起きにくく、データの改ざんも困難なため、安全かつ効率的な取引などを実現するとして、金融分野を中心に導入が進んでいるところです。

 金融分野以外でも、公共サービスなど多様な分野での活用が期待されていますが、実際の導入に当たっては、費用対効果やセキュリティー、運用方法などの検証が必要と考えています。

 総務省は、ブロックチェーン技術の活用のあり方について情報通信審議会で検討を行っていただき、導入効果が見込まれる政府情報システムなどでの実用可能性について実証実験が必要との答申を平成二十九年七月にいただいたところです。

 この答申に基づいて、総務省で、政府調達システムなど政府の情報システムを始め、官民の各種サービスにおけるブロックチェーン技術の適用によるシステムのコスト削減効果や業務プロセスの見直しの可能性などを検証する実証を行う予定としています。

 総務省としては、こうした実証を通じて、導入効果の高い分野におけるブロックチェーン技術の実用化を推進していきたいと思っています。

原口委員 読まぬでやってほしかったですね。

 恐らく、ブロックチェーンというのは、時系列、時がデータの中に入るんですね。だから、後から時を改ざんすることができないのと同じようにですね。で、これまでの垂直型のリーダーシップというのは、そこではもう要らなくなる。それで、横型のリーダーシップ。

 だから、恐らく政党も、僕は自民党を、岩屋君、いるかな、一緒に出てから、もう大体二十五年なんですよ。あるときは新進党という形で、自民党と同じような、茂木さんもそうでしたかね。(茂木国務大臣「違うよ」と呼ぶ)入らなかった、失礼、違った。(茂木国務大臣「何から何まで一緒にしないでください」と呼ぶ)違うね。違うそうです。失礼しました。

 いわゆる同じようなピラミッドをつくろうとしたんですよ。だけれども、これからは政党は恐らく地域政党になっていく。地域でそれぞれのニーズをしっかりと踏まえてやっていく、そういう時代になるんじゃないかなというふうに思います。

 さて、残った時間で、FMSの問題点について前回の国会で議論をしました。皆さんのお手元に配付をしている二ページ、それから三ページ、きょうのこの事故にもかかわるんですけれども、防衛装備品の調達実績ということで、FMSはあるとこ払いのまさに軍事援助ですよね。

 FMSの性質について、防衛大臣、おっしゃってください。

小野寺国務大臣 FMS調達は、一般では調達できない軍事機密性の高い装備品や米国でしか製造できない最新鋭の装備品を調達できる点で、我が国の防衛力を強化するために非常に重要なものと考えております。

 他方で、FMS調達に関しては、会計検査院を含め、さまざまなところからの御指摘があるということも私ども重々承知をしております。

 透明性を高め、有効にFMS調達を今後とも活用するように努力をしていきたいと思っております。

原口委員 総理、全然透明性は高まらないんですよ。

 さきの特別国会で指摘をして、きょう、会計検査院、来られていますね。

 納品の番号が違った、それが約六百八十億近くあるという。これはアメリカ側は何て答えましたか、防衛大臣。

小野寺国務大臣 FMS調達の場合には、未納入になっているもの、あるいは未精算になっているものというのがあります。これに関しては、例えば部品の型式が古くて、米国内での調達が既に枯渇している、あるいは米国における修理に時間がかかっている、未精算については、米国の事情により、我が国に対する計算書の送付がおくれているなどがあります。

 私どもとしては、最終的にしっかり納入させ、そして精算が終わるように、これからも努力をしてまいります。

原口委員 いや、努力するのはアメリカ側じゃないですか。

 僕は不思議でたまらぬのですよ。前も、盗聴のときに、ドイツのメルケルさんが、盗聴するなってアメリカに言いましたね。日本のそのときの幹事長さんは、皆さん、盗聴に気をつけましょうと言ったんですよ。それはおかしいでしょう。

 だから、私たちは、このFMS調達、こういったことが防衛装備品の中にも混乱を生んでいるんじゃないのか。今回の事故と結びつける気はありませんけれども、本当に我が国を守るために何が必要なのかということを、ぜひ、委員長、この委員会で、安全保障、外交について、特に今回のヘリの事故について集中審議をしていただきますようにお願いを申し上げます。

河村委員長 理事会でしっかり検討いたします。

原口委員 終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 昨日夕方の佐賀県での陸上自衛隊ヘリの墜落炎上事故で亡くなられた自衛隊員にお悔やみを、そして、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 そこで、安倍総理に、端的に一点、問題提起したいと思います。

 この間、沖縄での米軍ヘリ事故とともに、自衛隊ヘリの事故が頻発をしております。米軍機は実戦を想定した過酷な訓練がやられているということが指摘をされ、今回の事故機のAH64D戦闘ヘリも使用頻度が非常に高くなっているということであります。

 墜落した民家にいて、逃げ出して、そして負傷した小学校五年生は、祖母に抱き締められて、パニック状態で泣いていたということでありますが、全ての自衛隊ヘリの整備、点検の実施、これは当然だと思うんですけれども、自衛隊ヘリの運用、そして訓練のあり方も含めて、政府として徹底調査して全て見直すということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか、総理。

安倍内閣総理大臣 防衛大臣から報告を受けまして、自衛隊の保有する全てのヘリコプターの徹底的な整備、点検を確実に実施するとともに、事故を起こしたヘリコプターの同型機について飛行停止を指示したところであります。

 これに加えまして、昨日、陸上幕僚副長をトップとした航空事故調査委員会を設置しまして、事故原因の調査を開始しています。

 安全の確保は最優先の課題であり、政府として徹底した原因究明と再発防止に全力を挙げてまいる所存でございまして、詳細については、必要であれば、防衛大臣から答弁させます。

笠井委員 現実に民家に墜落をして、そして自衛隊員が亡くなられ、住民の方々が避難する事態になっている。けがもされている。同型機だけではなくて、全ての自衛隊ヘリの飛行を停止して、そして運用、訓練のあり方も含めて全て見直すべきだ、このことは強く強調もし、問題提起しておきたいと思います。

 次に、原発問題でありますが、東京電力福島第一原発事故から間もなく七年。安倍政権は、再稼働と輸出を含む原発政策を推進しております。

 安倍総理は、二〇一七年八月三十一日、イギリスのメイ首相との日英首脳会談の共同宣言で、先進国イギリスでの新たな原発建設の協力推進を確認しております。

 そして、イギリスでは現在、日立製作所の一〇〇%子会社のホライズン・ニュークリア・パワー社を使って、ウィルファ原発建設事業の計画を進めている。このことは、総理、承知されていますね。

安倍内閣総理大臣 英国において新たな原発建設が計画されていることは認識しております。

笠井委員 二〇一六年の十二月二十二日に、世耕経産大臣とグレッグ・クラーク英国ビジネス・エネルギー・産業戦略大臣が協力覚書に署名をいたしております。その中の新規原子力発電所建設の項目には、日本企業が英国で進める原子力発電所の提案として、両者が留意する具体的プロジェクト名が明記をされていると思うんですが、何と書いてありますか。端的にお願いします。

世耕国務大臣 今御指摘のイギリスのクラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略大臣と私の間で署名した覚書に書かれている案件としては、日本企業が英国で進める原子力発電所の提案、すなわち、アングルシーのウィルファでのホライズン、カンブリアのムアサイドでのニュージェンの両プロジェクトについて、留意するというふうに書いております。

笠井委員 東電の福島原発事故を起こして、世界は高コストな原発撤退の流れです。温暖化対策でも、今どき石炭火力の輸出までして化石賞を受ける日本政府がそんな役割を口にするということも、本当に笑止千万。そもそも、原発輸出を後押しして推進するなど、あってはならないと思うんです。

 そこで、今紹介をされたプロジェクト名がある両大臣の協力の覚書には、ウィルファとムアサイドの二原発の名前が挙がっているわけですが、ムアサイドの方は、事実上、頓挫をいたしております。

 現在、日本企業が英国で進める原発プロジェクトは、ウィルファにホライズン社が、東電の柏崎刈羽六、七号機と同じ改良型沸騰水型、ABWRの原発を建設するという計画だけになっているということだと思うんですけれども、その事業費と進捗状況についてはどのように承知しているでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘のイギリスにおける原発建設計画については、現時点で具体的に何らかの決定をされたという事実はないというふうに認識しております。今後、事業者においてさまざまな検討が行われているものと聞いておりまして、政府としては、その状況を見守りたいと思います。

 なお、事業者によれば、現段階において、二基の建設を計画していて、二〇二〇年代の前半の一基目の運転開始を目指して、二〇一九年ごろに最終投資決定を行うことを目標としていると聞いております。

笠井委員 既に日立は、お手元に配付されています資料をごらんいただきますと、この資料は日立の投資家向けの説明の資料の一部でありますけれども、具体的なスケジュール、今大臣も言われたことを含めて公にし、そして、日本政府からの支援と日本政府との協議についても強調しているというものであります。

 日立は、昨年十二月十四日に、イギリスの原子力規制当局による原子炉の包括的設計審査、GDAが計画どおり完了して、大きく前進したというふうに発表をいたしております。

 そこで、この資金調達をどうするかというのが大きな問題になってくるわけですが、六年前の日英首脳会談で政府間の協力の枠組みの合意、そして原子力年次対話というのが毎年やられて、それを踏まえた今度の両大臣の協力覚書でありますけれども、これを受けて、二〇一七年、昨年十二月に、日英のエネルギー担当大臣が今後の協力に関する書簡を交わしたとされています。この書簡は、原発分野の担当閣僚が協力推進を正式に確認をして、日本側は英国政府と資金支援の大枠を二〇一七年中にも固めるというものだと報じられております。

 政府による資金支援となれば、これは国民負担にかかわる重大問題であります。そういう書簡があるのか、そして、資金面での支援を含む協力内容が取り決められているのか、日英間で。それはいかがですか。

世耕国務大臣 これは外交上のやりとりに関することでありまして、御指摘の文書については、存否も含めて、お答えは差し控えたいと思います。

 これまでも、日英政府間では、エネルギー、原子力協力について、さまざまなレベルで議論を行っております。原発建設の計画についてもその中で議論を行っておりまして、本件については、英国にとっては安定した電力供給及び低炭素電源の開発につながる、日本にとっては原子力技術、人材の維持強化の観点から重要だと認識をしています。

 いずれにしろ、このプロジェクトに関する両国政府の対応については、何らかの方針が決定されたという事実はございません。

笠井委員 存否も含めて答えを差し控えるというのは一体どういうことか。

 では、存否も含めて差し控えるということは、こういう文書はないということも言えないということですか。

世耕国務大臣 繰り返しになりますけれども、外交上のやりとりに関することでありまして、御指摘の文書については、存否も含めて、お答えは控えさせていただきます。

笠井委員 ないと否定できないということであります。何らかの約束をしている疑いが出てくる。

 三兆円とされる事業費のうち、日本側の出資千五百億円には、財務省所管の日本政策投資銀行、DBJが加わって、そして、日本側の融資一・一兆円には、政府系の国際協力銀行、JBICとメガバンクが数千億円ずつを見込んで、その全額を貿易保険の対象として返済をするということで、国が保証する方向で調整しているとまで報じられています。それを、書簡の存否も含めて何も答えられない、まだ決まっていないと。そんな話があるかということであります。

 では、当事者である日立の側はどうか。日立製作所の東原社長は、昨年十二月十八日に報道各社のインタビューに応じております。日立にとって初の原発事業への参入であるけれども、採算の見通しが厳しい、着工条件の出資者確保が難航しそうという中で、社長によれば、企業だから採算がとれないものはできない、政府の支援をいただきながら、採算性がきちんととれる形で、投資家をどんどん募れる環境づくりをやっていくことが重要というふうに述べております。

 政府は、日立と具体的に、支援を欲しいと言っているわけですが、日立と協議してきたんじゃないんですか。してきていないのかどうか。

世耕国務大臣 それは当然、所管の業界の企業といろいろな対話をするということはあると思いますけれども、何か決まったとか支援が決まったということはありません。

 この件に関しては、あくまでも、私とクラーク大臣との間の先ほど申し上げた覚書の中で、事業者によるこれまでの進捗に留意をし、引き続き、彼らの提案の進展を議論することを継続する機会を歓迎する、こう書かせていただいております。これ以上でもこれ以下でもないということでございます。

笠井委員 対話と言われましたけれども、もともと首脳間で、とにかく原発推進で、とにかく英国にやるために一緒にやろうということを話している話を、対話という程度の話で、ずっとそれからやっているなんということはあり得ないわけです。

 日立は、二〇一九年、先ほどあった投資決定、FIDまでに出資者が想定どおり集まらずオフバランス化できない場合は事業を中止する方針だと言っている。中止したら、両国首脳でやっている協力という話は、政府にとってみれば、なくなっちゃうという話であります。

 総理、あなたはメイ首相と英国での新たな原発建設の協力推進を約束された当事者でありますが、日英政府で協議を重ねて、そして対話もやって、原子力対話をやりながら、お墨つきを与えてきて、日立の具体的な要請に応えて資金面の支援も含めて一体になって推進している、そうなっているんじゃないんですか。

安倍内閣総理大臣 メイ首相とのやりとりについては、これも首脳間の外交上のやりとりでございますので、お答えを差し控えたいと思います。

 なお、日英首脳会談後の繁栄協力に関する日英共同宣言では、「英国は、英国の新たな建設計画への日本の産業界の関与を歓迎する。」と記載されているところでございます。

笠井委員 いろいろ言われますが、総理が議長を務める未来投資会議、二〇一六年十二月十九日で、民間議員を務める日立の中西会長はこう言っています。政府がリスクを民間とシェアすることが出発点としてなければ、民間のお金を有効に使えない、原子力でそういう議論を真剣にしており、日本政府からも御支援をいただいて、大変ありがたい、こういうふうに発言をいたしております。

 政府がリスクを民間とシェアすることが出発点、そして、そうやらないと民間のお金を有効に使えないので、原子力でそういう議論をやっていて、その点で日本政府からも御支援いただいている、ここまで言っているわけですね。出発点として、リスクシェアも含めて支援してもらっていると明言しているじゃないですか。

 そこで、日立と、インフラ輸出を応援する経産省の関係が問われてきます。

 人事院に伺います。

 いわゆる官民交流で二〇一六年に日立製作所から経産省に採用されている職員がいると思うんですが、出身企業の部署、つまり日立にいたときの部署と、経産省で配置されている部署、職務内容と任期はどうなっていますか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの日立製作所から経済産業省への採用についてでございますけれども、平成二十八年におきましては、官民人事交流法に基づきまして、一名の方が交流採用されておるところでございます。

 それから、お尋ねの交流採用者でございますけれども、現在、経済産業省貿易経済協力局通商金融課資金協力室の調査係長として勤務されており、任期は平成二十八年八月から二年間の予定と承知しているところでございます。

笠井委員 まさにずばりなんですね。日立から経産省に、貿易保険や海外プロジェクトの資金協力を担当している部署に出向している。

 世耕大臣、日立への資金調達支援、政府保証が問題になっているときに、経産省担当課に日立社員が一人出向して経産省職員として働いている、こういうことですね。

世耕国務大臣 これは、日立に限らず、民間企業からいろいろ来ていただくというケースはあるわけであります。

 今御指摘の人物に関しては、日立での経歴を私も調べてみましたけれども、基本的には、交通インフラ関係の部署をずっと経験をされている方であります。また、今、経産省では、彼は発展途上国における援助案件に関する業務に従事をしておりまして、原子力発電所案件には一切関与しておりません。

笠井委員 日立に限らずって、日立の話をしているんですね。

 それから、交通インフラで、日立でやっていたと言いますけれども、日立はかつて、交通インフラで、そのインフラ輸出のプロジェクトをイギリスにやっていました。そして、それがなかなかいかないときに、この国の支援のシステムを使って、救い手が出てきたといって、成功したと言っている、そうしたところであります。そういう人が今度は原発プロジェクトのところでやろうとしているという話じゃないですか。そして、同じ課で、同じ部屋の中で仕事をしているんですよ。

 出向者だけではありません。日立の経営陣にも、元経産省の事務次官で、資源エネルギー庁の長官を歴任して、メーカーと一緒に原発輸出を推進してきた望月晴文社外取締役がおられます。文字どおり、経産省が日立と一体でやっている、こういうことじゃないんですか。

世耕国務大臣 元幹部の再就職に関しては、これはもう、ルール上、我々は一切関与しておりません。

笠井委員 さんざんこの問題は問題になってきましたが、あれこれ言いますけれども、国民から見たら官民の癒着そのものです。

 世耕大臣は、日本経団連の次期会長に日立の中西会長が内定したときの記者会見でも、政府の成長戦略との密接な連携を期待したい。安倍政権の経済政策の方向性と中西さんの考えておられることというのは極めてきちんと、極めてきちんと一致をしているとまで言われております。

 中西氏は、安倍総理を囲む経済人の会合、さくら会のメンバーであります。文字どおり、二人三脚です。国民みんなそう思いますよ。

 日本貿易保険、NEXIの板東社長、お越しいただいていると思いますが、伺います。

 質の高いインフラパートナーシップに係るNEXIの機能強化の一環として、海外投資融資保険の非常カバーを一〇〇%に引き上げた、これは間違いありませんね。

板東参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、二〇一六年四月に、政府において決定された質の高いインフラパートナーシップに基づき、海外のプロジェクトへの投融資等を対象とした貿易保険につきまして、テロや内乱、戦争、送金規制等のいわゆる非常リスクに起因する損失については、その付保率を、従来九七・五%でございましたが、これを一〇〇%に引き上げました。

 これは、近年、アフリカ、中東や、一部アジア地域におきましても、海外事業を展開する我が国企業にとって、当事者の責任を超えるリスクとして大きな懸念材料となってきたということがございまして、この機に対応することにした措置でございます。

 以上です。

笠井委員 対応する措置としてつくって、一〇〇%可能になったということです。

 このもとで、原発建設計画には一〇〇%の政府保証が可能になって、これまでは、パーツ単体での原発の輸出が中心だったけれども、発電所の建設から運営、廃炉までのプロジェクト全体をカバーすることが可能になった。

 そうしますと、ウィルファの原発については、文字どおり、NEXIによる貿易保険が活用できて、しかも、手厚い、一〇〇%の政府保証を受けることが可能になった。巨額の損失が出た場合は、そのツケを国民に回すということであります。

 昨年十二月の日英両大臣間の、今後の協力に関する書簡と言われているものでは、このようなウィルファ原発建設への一〇〇%政府保証を約束したんじゃないんですか。そういう文書はあるんでしょう。

世耕国務大臣 何度も同じ答えで申しわけないんですけれども、これは外交上のやりとりに関することでありまして、文書の存否も含めて、お答えは控えさせていただきます。

笠井委員 これだけ問題になっても、存否について、ないとも言わない。こういう態度を経産大臣はとり続けるわけであります。

 板東社長に伺います。

 日本貿易保険、NEXIは、昨年十二月に日立の求めに応じて提出されたとされる資金支援の意思を示す趣意書、この中には、ウィルファの原発建設計画に関する出資と融資について保証を承諾するということが明記されているんじゃないか。報じられているようなそういう趣意書があって、そして保証を承諾することが明記されているのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

板東参考人 お答え申し上げます。

 そのような報道は一応承知しておりますけれども、本件に限らずでございますが、個別案件に関しての当社と関係企業とのやりとりにつきましては、その形式のいかんを問わず、存否も含めて、御説明を控えさせていただくことをどうぞお許しいただきたいと存じます。

 ただ、いずれにいたしましても、本件に関しては、私どもとして、具体的にどういう方針で臨むかにつきましても、まだ何にも決めていないというのが実態であるということを御理解いただければと存じます。

笠井委員 日立自身は、二〇一九年までにこの投資の決定の期限を切って、そして、それまでに集まらなかったらやめますよ、プロジェクトもやめなきゃいけなくなるよというふうに言っている。一方では、政府間では、原発の建設、イギリスでやるのを協力し合ってやりましょうねという約束をし、毎年毎年会合まで重ねてやってきているという状況があるのに、何も決まっていないとか、そして、具体的な話というのについても、一切、あるかないかも言わない。これは余りに異常ではないでしょうか。国民は絶対納得しないと思います。

 総理、原発は安いとしきりにメーカーも言ったり、そして電力会社も言います、政府も言ったりする。そう言いながら、メーカーの方は、リスクが高いからということで、政府保証、政府の支援、資金支援を求める。そして、一〇〇%の政府保証をつければ、ツケが出たら、それは全て国民に回ることになります。

 ところが、経産省やNEXIは、相手国もあるとか、あるいは、今もありましたが、当該企業のビジネス上の利害に影響するなどといって、あると言われている書簡や趣意書の存否さえ明らかにしない。あるかないか、ないとも言わない。こんなことは許されないと思います。国民に知らせずに大被害が出たらどうするのかと総理大臣に問いたい。

 英国での原発建設の推進を約束されたトップですから、総理、トップとして、書簡や趣意書の存否あるいは内容を明らかにする。そして、日本とイギリスの政府間では、あるいはNEXIと日立は、これは民間の話ですが、NEXIは国が一〇〇%ですから、そういう中身で、どんな協議があって、どんな話になっていて、そして、政府保証にかかわるどういう文書があるのか、これぐらいはしっかりと国会と国民に明らかにするというのが総理の最低限の責任ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、いかなる国においても、経済性がプロジェクトの大前提であります。経済性の全く成り立たないプロジェクトが実行されるはずはないということは、まず申し上げておきたいと思います。

 その上で、我が国は、原子力技術、人材の基盤を維持強化していくことを通じて、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応に我が国としてしっかりと責任を果たしていくとの観点から、原子力にかかわる国際協力を進めていく考えであります。

 なお、貿易保険は、法律上、収支相償の原則が定められ、損失が発生した場合でも、国民負担ではなく保険料により賄うことを原則としています。

 ただし、英国における原発建設計画については、現時点で、政策的支援を含め、具体的に何らかの決定がなされた事実はないということは申し上げておきたいと思います。

 なお、外交上のやりとりについては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 二〇一六年の七月に、イギリスの下院のウェールズ問題特別委員会も、この問題に関連して、経費節減と日程どおりの計画推進が必要だ、余りに高額になる場合、政府はプロジェクトを継続すべきではない、そういう報告書も出しております。

 イギリスの原発はドイツやスペインなどが建設することになっていたけれども、東京電力福島第一原発の事故を受けて撤退をしました。日立が乗り込んで受注はしたものの、みずから、採算がとれないからと政府に支援を要請している。それに応えて政府保証をすれば、結局税金で穴埋めすることになります。国会と国民に事実を示すべきだと強く言いたいと思うんです。

 委員長、英国での原発建設に対する政府保証にかかわる日英間及び日立、NEXI間の文書、これを当委員会に提出するように求めたいと思います。理事会で協議をお願いしたいと思います。

河村委員長 理事会で協議をさせていただきます。

笠井委員 日立の原発建設で採算がとれないからと、途上国向けが原則だった政府保証を、先進国イギリス向けにまで適用して日立のために使おうとしている。他方で、東京電力福島第一原発事故の被災者は切り捨てる。こんな筋の通らない話はありません。

 もうけの方は日立と原発利益共同体へ、そして損失は国民へ、そういう原発輸出は再稼働とともに直ちにきっぱりやめるべきだとはっきり強く言いたいと思います。

 そして、福島ではいまだに六万を超える方々が避難生活をしていて、事故も収束していない。そういう中で、そうした方々に対する、避難者の皆さんに対する賠償、そして本当に支援が大事なときに、今やろうとしているのは、イギリス、先進国に対して、そうしたプロジェクトに対する政府の資金支援まで含めてやろうという方向で、そんなことをやっている。私は、本当に、やるべき方向と仕事、そして、政府の大事なお金あるいは保険の使い方についても違っているんじゃないかと言いたいと思います。

 今、日本で、被災者の皆さんを始めとして、支援の手、あるいは本当に政治がちゃんとやってほしいと思っている方がたくさんいらっしゃる。そういう点では、今こそ政治をはっきり切りかえるべきだ。

 そして、原発問題でいえば、原発を推進し、再稼働、輸出を進めるのではなくて、即時に原発ゼロを決断して、そして、本当に、将来性といっても、展望のある再生可能エネルギーの飛躍的普及の方向に根本的にかじを切りかえるべきだということを強く申し上げて、私の質問を終わります。

河村委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 最後のバッターということで、よろしくお願いをいたします。

 質疑に入らさせていただく前に、昨日、陸上自衛隊のヘリコプターが墜落するという事故が発生をいたしまして、隊員の方に心から御冥福を申し上げますとともに、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 政府におきましても、原因究明そして再発防止、そしてまた被害者の方々へきっちりと対応していただくように、まずもって要望しておきたいというふうに思います。

 それでは、通告に沿って質疑をさせていただきますけれども、まずは、初めに、生活保護基準、生活保護の制度についてお伺いをしたいと思います。

 生活保護の基準が見直されまして、五年ぶりに生活保護法の改正ということになっています。五年前といいますと、制度施行以来なかなか改正がなかった、五年前に大きく、大規模に改正があって、そして五年後のことし、今年度、改めてまた見直したことになっておりますけれども、今回の改正において、生活保護費に係る基準額について見直しが行われ、精査されております。だから、世帯の状況によっては上がるところもありますし、下がる、支給額が上がったり下がったりしているという現状がありますけれども、この適正化の観点から、評価したいというふうに思います。

 また、今回の改正において、本当に、就労インセンティブの実効性、前回の法改正のときに取り入れられた給付金、この給付金の制度も見直されるということですし、大学等への進学準備給付金というのも創設される。そしてまた、地方が、やはり地方のそれぞれの生活保護事務をやっておられる自治体がかなり要望して喜んでいるのは、返還金の保護費との調整ですね。この天引きができるようになるというようなことも見直していただいているということで、一定の評価をしたいというふうに思います。

 ただ、今回の改正でも、そもそも、住宅地によってやはり級地が今、現状六区分、六つに区分されておりますけれども、当時、生活保護制度ができたときというのは、都市部と地方によっての物価の違いだとか、そういったものも大きくありました。ただ、今はもう都市部のコンビニであっても地方のコンビニであっても、売っているものはそんなに値段が大きく変わることというのはもうあり得ない、そういう時代になってきています。そういう中で、六つに分かれているこの級地を、ちょっと細か過ぎるんじゃないかなというふうにも思うんですね。

 ですから、今回、支給額が上がったり下がったりした根拠の説明と、そしてまた級地の見直しについて、加藤大臣、答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 御承知のように、生活保護は、年金を含めた収入や資産、働く能力など、あらゆるものを活用した上でもなお生活に困窮する者を対象に、最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットでございますし、他方で、最低限度の生活を保障する適正な水準とする、そういった意味での常に検証が必要で、今回、そういった視点から見直しをさせていただいております。

 その中で、今、級地ごとの生活保護基準の見直しについてお話がございました。

 今、六級地というお話がございましたが、その地域差については、以前から、一般低所得世帯の消費支出の地域差が縮小していく中で、消費実態と生活扶助基準の地域差の乖離が生じているんじゃないか。要するに、生活保護上、都市部が高くて、そして地方の方が生活扶助対象になっている消費額が少ないと仮定をしていたわけですが、実際の実態を見ると必ずしもそうではなく、割とフラットではないか、こういう指摘をいただき、今回、それを踏まえた形で調整を、見直しをさせていただいた結果として、上がるところ、下がるところがあった、こういうことが今回の見直しであります。

 それから、御指摘の級地制度をそもそもどう考えるのか、この点については、昭和六十二年度に現在の形になって以降、基本的な枠組みを変えずに来ているわけでありますが、今回の生活保護基準部会における議論、またその報告書においても課題が指摘をされております。

 例えば、同一の級地区分内で消費実態に実際は差が、同じところでも差があるのではないか、あるいは生活の実態が必ずしも行政区域にとどまっていないのではないか、あるいは生活水準の違いをどういう指標で評価をするのか、こういった課題が指摘をされておりますので、級地区分のあり方なども含めて、今後、見直しに向けて、まず調査研究、すなわち地域別の生活水準の違いを評価する指標のあり方とか地域の単位の捉え方とかそういったことについて、そうした調査研究をまずは進めていきたい、こう考えております。

井上(英)委員 消費指数で上がったり下がったりということで、それは地方でも当然購買が進んでいきますし、当然都市部でもそういうものも進みますし、上がったり下がったりというのを、適正化を常にやっていただくというのはお願いしたいなと思いますし、区分については、大きく分けていった方が事務的にも非常に簡素化できるのかなという思いもありますので、ぜひ御検討いただけたらというふうに思います。

 生活保護費に占める割合の中で、やはり医療扶助費と言われるものがおよそ半分、約五割を占めるんですね。生活保護法改正によって、後発薬、ジェネリックへの切りかえを原則とする方針についてというのも理解をしています。そういったことも進めているんですけれども、今、後発薬の使用割合は大体七割と言われています。当然、後発薬がなくて対応できない場合というものもありますので、やはり、全てを切りかえていってもなかなかこの医療扶助費の抑制というのにはつながりにくいのかなというふうに思います。

 それで、扶助別の支給方式というのをやはり見直して、給与や年金、給料をもらったら、やはりその給料の中で家計管理をしてお金を使っていくというのが当然ですし、年金で生活されている方は、年金というのを受け取って、その年金の受給金額から必要なものを使っていくというふうに家計管理をされているわけですから、医療扶助についても、一部自己負担を導入していくという考え方がやはり必要なんじゃないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 医療扶助の関係では、生活保護受給者の中において、医療機関を頻回に、要するに多数、回数が多く受診をしている、そういった課題が指摘をされておりまして、その抑制策として、今御指摘のように、窓口において負担を導入して、そして後で償還をするということで想定をしているわけでありますが、こうした医療費扶助における窓口負担について、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会というところで議論をいたしました。

 一方では、子供を対象外にしたりとか、過度な負担にならないようないろいろ工夫を設けてやれば実現が可能ではないかという御意見もございましたが、他方で、最低生活保障との両立が難しくなるという懸念、あるいは、必要な医療の受診まで抑制されてしまうのではないか、最初に窓口負担で負担するお金がないということになれば、そういったこと、あるいは、仕組みによっては医療機関の未収金やケースワーカーの事務負担の増加につながるということで、反対意見が大変多く出たところでございますので、私どもとしては、こうした御意見を踏まえて、課題として検討していく必要があるというふうに考えております。

 ただし、一方で、必要以上に医療機関を受診する患者さんについてはやはり受診の適正化を図っていくということは必要でありますので、頻回受診者に対する窓口負担については、頻回受診対策に向けてさらなる取組が必要であるということ、また、最低生活保障との両立の観点なども踏まえつつ、いわゆる償還払いの試行、実際のトライアル、これも含めた方策のあり方については引き続き検討させていただきたいと思っています。

井上(英)委員 窓口での一部自己負担、これはなかなか、検討していただいているんですけれども反対意見が多いということで、先ほど、その理由の中に、本当は受けなければいけない診療も受けなくなってしまうという議論だったんですね。

 年金だけで、今は年金が収入の一部と考えてくださいという広報になっていますけれども、もともとは、年金で、保険料を納めていたら楽園みたいな生活が老後にできますよということでスタートはしているはずなので、今は、財政状況も踏まえて、収入の一部と考えるようにしてくれとはなっていますけれども、実際、年金だけで高齢者の方が生活されているというのもたくさん、そういう世帯もあります。実際、その年金だけで生活されている方も、では、自分のところの家計管理をすることによって、本当は受けなければならない病院にも行けていない可能性もあるんですね。

 ですから、そこの年金という社会保障制度とこの生活保護制度のやはり若干の、若干のといいますか、多分、恐らく委員の先生方はみんな、地元に帰るとよくそういうことは言われているのではないかなというふうに思うんですね。

 やはり、一部自己負担なんかを導入することによって、薬をたくさんもらってそれを横流しするような貧困ビジネスということも一方で行われているというような話もよく聞きます。

 ですから、そこは、かかりつけの医者、かかりつけ薬局だとか薬剤師だとか、今回点数にも、診療報酬にもそういう基準は入れられていますけれども、きっちりと監視するためにも、ある程度の一部自己負担、また、それを償還制にするのか本当の自己負担にするのか、私はそこはまた考えどころだと思うんですね。立てかえるだけなら結果的には余り抑制できないんじゃないかなという気もしますので、そこはまた考えていただきたいと思います。

 先ほどもちらっと言いました、今度は支給方法です。

 生活保護費を扶助別で加算方式でやるのではなくて、先ほど言いましたように、家計管理をしてもらうためには、生活扶助、住宅扶助、医療扶助といって扶助別に分けるんではなくて、一括、我々はワンバスケットと言っているんですけれども、一つのかごの中に入れて渡す。その中で、医療に、何に使おうか、家賃にこれだけ使おうとか、生活にこれだけ使おうとか、そういう考え方が必要だと思うんですね。ですから、こういう方式に変えるという気は、改正する気はありませんか。

加藤国務大臣 今、ワンバスケット方式、一括支給ということについての御提案をいただいたのでありますが、生活保護法においては、保護は、世帯ごとの生活保護基準により測定した最低生活の需要を満たすことのできない不足分を補う程度に支給をされるということと同時に、この生活保護基準は、世帯の特性に合わせ、保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えないものでなければならない、こういうふうにされているわけであります。

 今お話のあった、生活扶助や住宅扶助、さらには医療扶助までもワンバスケットにしてしまうと、これはまず、その支給水準をどういうふうに積み上げていくのかというのもなかなか難しいと思いますけれども、また、支給水準によっては、教育など個々の需要に対応できず、必要な需要を満たせない場合、また、逆によっては、本当はそこまで需要がないんだけれども支給をされる、こういうこともあるのかもしれません。

 また、先ほどお話がありました、生活保護費負担金の約半分を医療扶助が占めているわけでありますけれども、生活保護を受けている方は医療保険の加入者よりも医療を必要とする割合も高いわけでありまして、医療の必要が高い場合には窓口負担額が家計を過度に圧迫する、場合によってはそうした本来必要な医療が受けられない、こういった懸念も、課題もあるのではないかと思います。

 ただ、御指摘の、基本には、先ほどおっしゃった、自分の収入の範囲でどう支出をしていくのか、これは自立に向けて大変必要なポイントだというふうに思います。そういった意味においては、生活保護を受けている方の自立を支援していく、こういう観点からは適切に家計管理を行うことが必要であり、それに向けてのそうした家計管理の取組を支援していく、こういったことにはしっかり取り組みたいと思っております。

井上(英)委員 またいろいろ御検討をお願いしたいと思うんですけれども、次に、先ほどから言われている最低生活保障、つまり最低生活費というのをでは幾らというふうに考えておられるのかというのを聞きたいと思うんです。

 最低生活費、これは、生活保護法の第三条において、健康で文化的な生活水準の維持にということで規定があるんですね。

 いっとき、我々会派の丸山議員なんかもこの予算委員会なんかで質疑をさせていただきました。パチンコ、遊技に行かれることとか、それからまた美術館に例えば遊びに行くこととか、個人の嗜好の中で何をもって文化的な生活水準というふうに位置づけるのかというこの議論は、やはり切りがないところはあるんですね。ただ、納税者のやはり一定の目線というか、常識、モラルというのが反映されてしかるべきなんじゃないかなというふうに我々は思っています。

 先ほど、医療負担の一部自己負担の話でも、結果的に、もらっている扶助費の中で医療を自己負担することによって最低生活費を脅かすんじゃないかという心配を有識者の方々はされていると思うんですね。ですから、この最低生活費というのに、政府といいますか、厚生労働省として見解を聞かせていただけますでしょうか。

加藤国務大臣 生活扶助の水準そのものを決めるにおいては、これまでも御説明したように、今、十分位の中の第一分位の消費水準、これを見ながら、そして今、生活保護の基準、これが均衡しているかどうかということで私どもはチェックをしている。

 この第一分位を使うに当たっては、所得が落ちていくと急に消費が減る部分、これを変曲点というんですが、そういったものとか、あるいは、固定的経費がやはり消費が少なくなると突然として高くなる、そうしたところを分析しながら今申し上げた水準というものを設定しているわけでありますが、今委員の御指摘は、それを踏まえた上で何に使うのかというお話なんだろうと思います。

 それは、もちろん生活保護を受けている方の基本的には自由というか御判断に委ねられるべきものなんだろうと思います。娯楽に使うのもよし、そして、娯楽の一つにはパチンコも含まれるんだろうとは思います。

 ただ他方で、本人の健康や自立した生活を損なうようなことは、最低生活の保障と自立の助長という生活保護の目的に照らしてこれは望ましくないんだろうということで、保護の実施機関においては必要に応じて助言指導を行っております。

 さらに、特に、福祉事務所がパチンコ店等の利用について状況把握を行い、生活保護を受けている方が過度に生活費をパチンコに投入してしまって自分の生活そのものに支障を来す、こういうことがあっては、生活保護の目的に反した保護費の支出ということにつながっている場合には、生活保護法第二十七条に基づき、支出の制約を図るよう生活指導を行っているところでございます。

 いずれにしても、最低生活の保障と自立の助長という観点からは、金銭管理の支援と同時に、例えばパチンコ依存症という言葉がありますけれども、そうした疑われる者に対する専門的な医療機関への受診勧奨等、そうした保護の実施機関において取り組むべき対応策などについてもしっかり周知を図って、そうしたことにならないようにつなげていきたいと思います。

井上(英)委員 最終、生活保護を受けておられる、本当に困っておられる方々のセーフティーネットとして生活保護を受給されている方々というのが、そういう権利もそうですし、立場もそうですけれども、脅かされることがないようにやはりしないとだめです。

 ただ一方で、やはり生活保護で、先ほども言われているように、ギャンブルに溺れてしまったり身を潰してしまうようなことにならないように、やはりこれから現金支給は、これは本当にいろんな考え方があると思うんですね。

 自由購入ということが考えられますので、現金を渡してその人の自由に購入してもらうという、権利ではないんですけれども、そういう考え方があって現金支給をしているんですけれども、やはり現物支給。今回の法改正でも、制服の買い直しだとか、そういったものを現物で買えるように法改正もなっているんですけれども、ありとあらゆることを、極力、そういうギャンブルに走ったりとか無駄なお金を使わない、世に言う不正受給にならないような対応策ということがやはり必要じゃないかなというふうに思うんですね。

 その現物支給に切りかえていくのに、大阪は結構先進的に生活保護の制度に関してはやってきました。プリペイドカードというのをつくって、なるべく現物で買ってもらえるように、現金を渡さずに、そういうこともやってきたんですけれども、なかなか加入が伸びずに、厚生労働省ではモデルケースとして評価はいただいているんですけれども、ちょっと一旦その試験的運用を取りやめて、またやるんですけれども、そういうときには、自由購入に任せるという考え方もぜひ変えるような、そういう抜本的な見直しというのが必要だと思いますので、その辺もまた、大臣、御検討いただけたらというふうに思います。

 それと、生活保護に関しては最後の質疑にさせていただきますけれども、お配りしている資料、一と二と三があるんですけれども、一、二が生活保護に関する基準額を書いている表で、三が年金を受給されている各都道府県の平均金額なんですね。当然、平均というのは、保険料を納めている方々が満期の方ばかりではありませんので、支給金額、受給金額の平均値をとらさせていただいているんですね。

 一枚目の、今は消費税が八%に上がって、一番左の「生活扶助基準生活費第1類」と書いている表があるんですけれども、この基準額の2というところで算定するんですね。

 高齢者の方に限らせていただきます。高齢者の方々が、大体、国でも五十数%、生活保護を受けておられる。大阪においては六〇%近い方々が高齢者というふうになっていますので、六十歳から六十九歳となりますと、お一人に対して三万八千九百九十円ということになります。お二人、夫婦だと、それに掛ける二をします。その下に逓減率というのが書いていますので、二人の場合は2で、〇・八八五というのを掛けて、そして下の段の第2類の基準額の2を人員の2で足して、五万百八十円を足すと、大体、六十五歳の夫婦二人で月額十一万九千二百円という金額が算出されます。七十歳になりますと、今のような計算式でいくと、十一万六十円ということになります。

 これに、生活保護の場合は、大阪は住宅扶助で四万八千円プラスされるんですね。ですから、十一万九千二百円だとか十一万六十円に対して四万八千円プラスされるんですね。

 三枚目の年金の平均の受給金額、大阪でちょっと見ていただくと、大阪が一人に対して五万三千五百九十四円という受給金額になっています。御夫婦だと、これを掛けると十万七千百八十八円ということで、扶助費と年金の受給金額だけで見ると大体同じような金額なんですけれども、そこに住宅扶助が乗ってくると、やはり生活保護の方が最終的に受給している金額というのは大きくなってくる。

 また、先ほども言いました、それにプラス今度医療扶助が入ってきますので、これが世に言う、世間の高齢者の方々は逆転現象じゃないかと言われる根幹だと思うんですね。

 そこで、そういう高齢者に対しての生活保護と、それからまた年金の社会保障ということに関して言いますと、やはり新しい生活保障制度というのをつくり直す、創設する必要が、時期として、時代として来ているんじゃないかなというふうに思います。

 新しいセーフティーネットではない、その前段階としての新しい生活保障制度についてどうお考えか、加藤大臣、お聞かせいただけますでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今、委員わかった上でだと思いますけれども、年金と生活保護の金額の比較をされていましたが、年金というのは、基本的には、貯蓄等も合わせて老後の一定の生活を支える、こういうことでありますし、保険料の納付実績に応じて払われる。他方で、生活保護は、先ほど申し上げたように、最低限度の生活を保障するセーフティーネットとしての役割でありますから、それぞれ仕組み、また給付水準の考え方、これもそれぞれ違うので、これはなかなか単純に比較することはできないんだろうなというふうに思います。

 それから、その手前のというのを何を想定されておられるか、ちょっとイメージできませんが、一つは、私ども、生活困窮者自立支援制度ということで、その手前において自立していけるための支援をしっかりやっていこうということで、今回も、今、法律の提出の準備をさせていただいて、生活保護までに至らない中でさまざまな支援をする、就労支援をする、家計支援をする、そういったことを通じて自立をしっかりと支援していきたい、こういうふうに思っております。

井上(英)委員 なかなか踏み込んだお答えはいただけないんですけれども、今言われたように、制度が根本的に違いますので。

 でも、ただ、世間で生活されている高齢者の方々は、制度が違うといって御理解をいただけるかというと、なかなか厳しいな。片や、ずっと保険料を納めて準備してきて、老後を迎えるころになったときにはバラ色の人生になるというふうに思ってずっと保険料を納めてきた方と、当然、資産、貯金も何もない方が生活保護なんかを受けられるんですけれども、資産形成することもなく、貯金することもなく、入ってくる収入、右から入ってくると左に全て使っていた、使い切ってやってこられた方と、一定のそういう生活をされてきた方で、高齢者になったときですね。

 ですから、若い方々が例えば離婚して母子家庭になって大変困っている、じゃ、そういう方を生活保護で、セーフティーネットで助けてあげましょう、それは当然緊急性が高いですし、当然助けてあげるべきだと思うんですけれども、事高齢者の世代に限って言いますと、やはりそういう新しい生活保障制度というのをぜひ考えていただくようにお願いしたいと思います。

 もう時間も来ましたので、総理に質疑をさせていただこうと思っていたんですけれども、もう時間もないので、最後に一問だけ。

 昨年行われた選挙で、消費税を一〇%に上げる、その増収分は教育無償化というふうにおっしゃっていただいて、我々は教育無償化は大賛成なんですけれども、その一〇%に本当に上げられるのか。また、その前に、まずは政治家だけでも身を切る改革をして、これから国民にたくさんの負担を求めていきますから、ぜひその辺を総理のリーダーシップで、政治家の身を切る改革というのをぜひ進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 安倍政権が発足をして、国会議員の定数については十人削減をしたところでございます。御党の立場からすればまだまだ少ないということかもしれませんが、しかし、その中で、我々はできることからということで、十人の削減を行ったところでございます。また、しっかりと、行政改革においても、無駄遣いをなくしていくということに力を入れてきたところでございます。

 他方、一〇%への引上げにつきましては、五分の四を借金返しに使っていく、社会保障の安定化のために使っていくということでありましたが、その半分は子供たちへの、未来への投資にすることにしたところでございます。

 確かに、前回の消費税三%の引上げの際には、我々が予想したよりも大きな影響が消費等に出たところでございますが、今回は、軽減税率を行っているということ、そして子供たち、若い世代に我々は投資をしていくということから、影響は大分軽減されるのではないかということであります。

 いずれにいたしましても、一〇%へ引き上げる環境をつくっていくために、現在行っている経済政策をしっかりと進めていきたい、このように考えております。

井上(英)委員 済みません。これで終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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