衆議院

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第9号 平成30年2月9日(金曜日)

会議録本文へ
平成三十年二月九日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 福井  照君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    赤澤 亮正君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    石破  茂君

      岩屋  毅君    江藤  拓君

      衛藤征士郎君    鬼木  誠君

      金田 勝年君    古賀  篤君

      佐藤ゆかり君    竹本 直一君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    平沢 勝栄君

      藤丸  敏君    星野 剛士君

      堀内 詔子君    牧島かれん君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      村上誠一郎君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    渡辺 博道君

      青柳陽一郎君    岡島 一正君

      岡本あき子君    落合 貴之君

      亀井亜紀子君    武内 則男君

      長谷川嘉一君    日吉 雄太君

      宮川  伸君    山内 康一君

      井出 庸生君    稲富 修二君

      小熊 慎司君    大西 健介君

      後藤 祐一君    斉木 武志君

      山井 和則君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    浜地 雅一君

      原口 一博君    広田  一君

      塩川 鉄也君    田村 貴昭君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      遠藤  敬君    丸山 穂高君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         野田 聖子君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣         中川 雅治君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       吉野 正芳君

   国務大臣

   (防災担当)       小此木八郎君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)            江崎 鐵磨君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    松山 政司君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)     梶山 弘志君

   外務副大臣        中根 一幸君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   会計検査院事務総局第三局長            戸田 直行君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   田和  宏君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   日下 正周君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  北村  信君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山下 史雄君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房儀典長) 杉山  明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 川村 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林  禎二君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  梨田 和也君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    岡本 薫明君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       佐野  太君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            佐伯 浩治君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           安藤よし子君

   政府参考人

   (林野庁長官)      沖  修司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         飯田 祐二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   松永  明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        小野 洋太君

   政府参考人       

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 藤田 耕三君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            中村 吉利君

   参考人

   (国立研究開発法人科学技術振興機構理事長)    浜口 道成君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     牧島かれん君

  石破  茂君     赤澤 亮正君

  今村 雅弘君     井上 貴博君

  岩屋  毅君     務台 俊介君

  江藤  拓君     神田 憲次君

  野田  毅君     鬼木  誠君

  平井 卓也君     藤丸  敏君

  山本 幸三君     堀内 詔子君

  阿部 知子君     宮川  伸君

  岡本あき子君     武内 則男君

  落合 貴之君     長谷川嘉一君

  井出 庸生君     山井 和則君

  稲富 修二君     斉木 武志君

  伊佐 進一君     浜地 雅一君

  篠原  孝君     広田  一君

  藤野 保史君     宮本  徹君

  遠藤  敬君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     石破  茂君

  井上 貴博君     今村 雅弘君

  鬼木  誠君     野田  毅君

  神田 憲次君     江藤  拓君

  藤丸  敏君     宗清 皇一君

  堀内 詔子君     山本 幸三君

  牧島かれん君     あべ 俊子君

  務台 俊介君     岩屋  毅君

  武内 則男君     岡本あき子君

  長谷川嘉一君     落合 貴之君

  宮川  伸君     岡島 一正君

  斉木 武志君     稲富 修二君

  山井 和則君     井出 庸生君

  浜地 雅一君     伊佐 進一君

  広田  一君     黒岩 宇洋君

  宮本  徹君     田村 貴昭君

  丸山 穂高君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  宗清 皇一君     平井 卓也君

  岡島 一正君     亀井亜紀子君

  黒岩 宇洋君     篠原  孝君

  田村 貴昭君     塩川 鉄也君

  串田 誠一君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  亀井亜紀子君     日吉 雄太君

  塩川 鉄也君     本村 伸子君

同日

 辞任         補欠選任

  日吉 雄太君     阿部 知子君

  本村 伸子君     藤野 保史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 三案審査の参考に資するため、来る十六日金曜日、岡山県及び静岡県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長松尾泰樹君、内閣府政策統括官田和宏君、内閣府政策統括官海堀安喜君、内閣府政策統括官日下正周君、内閣府沖縄振興局長北村信君、警察庁生活安全局長山下史雄君、消費者庁次長川口康裕君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、外務省大臣官房長下川眞樹太君、外務省大臣官房儀典長杉山明君、外務省大臣官房審議官大鷹正人君、外務省大臣官房審議官川村博司君、外務省大臣官房参事官安藤俊英君、外務省大臣官房参事官鯰博行君、外務省大臣官房参事官林禎二君、外務省国際協力局長梨田和也君、財務省主計局長岡本薫明君、財務省主税局長星野次彦君、財務省理財局長太田充君、文部科学省高等教育局長義本博司君、文部科学省科学技術・学術政策局長佐野太君、文部科学省研究開発局長佐伯浩治君、文化庁次長中岡司君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、厚生労働省社会・援護局長定塚由美子君、厚生労働省人材開発統括官安藤よし子君、林野庁長官沖修司君、経済産業省大臣官房総括審議官飯田祐二君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長松永明君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、資源エネルギー庁資源・燃料部長小野洋太君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、国土交通省大臣官房長藤田耕三君、国土交通省水管理・国土保全局長山田邦博君、国土交通省住宅局長伊藤明子君、国土交通省海事局長蒲生篤実君、国土交通省航空局長蝦名邦晴君、観光庁長官田村明比古君、気象庁長官橋田俊彦君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛装備庁装備政策部長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 これより一般的質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。盛山正仁君。

盛山委員 おはようございます。自由民主党の盛山正仁です。

 きょうは、質問の機会を頂戴しまして、まことにありがとうございます。

 伺いたいことがいろいろございますので、早速入ってまいります。

 きょう、国土交通省の方で提出したバリアフリー法改正法案の閣議決定がなされたと承知をしておりますので、まず、ユニバーサル社会の形成からお尋ねしたいと思います。

 私が運輸省の課長でありました平成十年度の運輸省のバリアフリーの予算は、たった一億円でございました。予算のシーリング制度のもとでは、思い切った予算要求ができません。そのため、平成十一年度要求に抜本的なバリアフリー予算を盛り込むことはできなかったのですが、平成十年の秋に第三次補正予算が組まれることとなりましたため、百億円の要求をすることが可能となりました。このときには、当時の自治省の財政局が御協力していただき、国、地方、鉄道事業者が三分の一ずつ負担するというルールをつくることができました。

 最終的に予算は五十億円となりましたけれども、それまでの一億円の五十倍の予算規模になりました。また、国、地方、鉄道事業者の三者が負担をするというルールが確立したこと、それからバリアフリーが急速に進むようになったわけでございます。

 それまでは、地方公共団体が要望すると、鉄道事業者からは、どうぞ地方公共団体の金で進めてくださいとなり、逆に鉄道事業者が要望すると、地方公共団体からは、どうぞ鉄道事業者のお金で進めてくださいとなっていたため、お互いに相手をにらむというような形で、進みませんでした。

 今では考えられないことですが、平成十年、スタートした当初、東京駅の新幹線のホームにエレベーターはありませんでした。つまり、全国ほとんどの駅に、当時、エレベーターはありませんでした。

 それが、三者が三分の一ずつ負担をするというルールができたこと、五十億の予算がとれたこと、そして、当時の石破運輸委員会理事を始めとする先生方の御尽力で交通バリアフリー法が制定できたこと、こういったことを受けまして、関係者がこの間努力をされた結果、現在のように駅にエレベーターやエスカレーターがあって当たり前となりました。そして、今では、少なくとも鉄道に関しては、我が国が世界で一番バリアフリー化が進んだ状況となったわけであります。

 しかしながら、まだバリアフリーは道半ばでございます。まだまだ取り組まなくてはならないことが山積しております。もう二年後には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。世界じゅうから多くの方がお見えになります。障害をお持ちの方にとっても、健常者にとっても、誰にとっても暮らしやすい、ユニバーサルな社会を形成していく必要があります。

 そこで、大臣に御就任されて以来、さまざまな施策が進んでありがたいと障害者の方から強い期待を集めておられる野田総務大臣にお尋ねをいたします。

 地域におけるバリアフリー化を進める基本構想あるいは地域公共交通網形成計画をまだつくっていない市町村が少なくありません。また、地方の財政状況も厳しいことは承知しておりますけれども、バリアフリーに対する助成の充実、バリアフリーの推進に努めていただきたいと思います。

 エレベーター、エスカレーターだけではなく、視覚障害者の方にとっては喫緊の課題となっておりますホームドア、あるいは、聴覚障害の方への字幕や手話など、取り組むべき課題はいろいろございます。

 平成二十六年に我が国は国連障害者権利条約を締結し、我が国に発効して四年になります。誰にとっても差別のない暮らしを実現することは、国だけではなく、地方公共団体にとっても責務であると考えます。

 ぜひ野田大臣に地方公共団体を御指導していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 全ての人が暮らしやすい社会を構築する上で、バリアフリーの推進というのは大変重要であります。私も日々痛感しているところです。

 その中で、総務省としては、公共、公用施設や、不特定多数の方が使用する民間施設のバリアフリー化のための地方公共団体の負担に対して、必要な地方財政措置、例えば、特別交付税措置、地域活性化事業債、公共交通特定事業計画に係る地方債の特例等を講じているところです。

 さらに、今お話がありました東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催、常にレガシーという話があるんですけれども、東京でのレガシーは、これからの超高齢社会に向けて、やはり、生きやすい、住みやすい地域をしっかり日本全国に残していかなきゃならないということが大きいのではないかと思っています。

 そこで、地方公共団体が公共施設等の適正管理を行う中で、ユニバーサルデザイン化を計画的に推進することができるように、平成三十年度から、公共施設等適正管理推進事業債の対象事業に新たにユニバーサルデザイン化事業を追加し、地方財政措置を講じることとしています。

 具体的には、今委員が御指摘になったような、段差解消、エレベーター整備など、バリアフリー法に基づく公共施設等のバリアフリー改修事業、そして、これからの近未来のために多言語案内施設の整備等、いずれにしても、ユニバーサルデザイン化のための改修事業というのを盛りだくさん、対象に加えていきます。

 あわせて、財政力が弱い団体、こちらの皆さんに対しても、ユニバーサルデザイン化事業等について、財政力に応じて交付税措置率を引き上げることにいたしました。

 加えて、少し宣伝になるんですけれども、ことし八月には、ユニバーサルデザインくじ、これは仮の名前ですけれども、として、公共施設等のバリアフリー化、多機能トイレや多言語案内表示設備の整備などに収益金を活用する全国自治宝くじを発売することといたしました。

 引き続き、地方公共団体がバリアフリーの取組をしっかり進められるよう、国土交通省を始め関係省庁と連携しながら取り組んでまいります。

盛山委員 ありがとうございました。

 ぜひ強力な御指導、連携をお願いいたします。

 次に、公共事業等関係予算について伺います。

 国土交通省の公共事業関係費について、国交省発足後のピークの当初予算額と平成二十九年度当初予算額をお答えください。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省関係の公共事業関係費につきましては、当初予算ベースで申し上げますと、国土交通省発足直後の平成十三年度がピークでございまして、当時の一般会計国費総額は約七兆二千八百三十二億円でございました。また、平成二十九年度当初予算における国土交通省関係の公共事業関係費は、同じく一般会計国費総額で約五兆一千八百七億円となっております。

盛山委員 ありがとうございました。

 国土交通大臣にお尋ねします。

 このように、国交省の公共事業関係費は大分減少しております。先ほど、バリアフリーの例で言いましたけれども、一旦減少した予算を今の予算制度の中で増額するというのは大変厳しい状況であると思います。

 社会保障等の義務的経費以外の予算が厳しく抑制されている中、これから、橋梁、トンネルなどを含む道路の施設、堤防などの河川施設、管路や処理場等の下水道施設、岸壁、防波堤などの港湾施設、海岸施設などのインフラが老朽化する中、大臣は、どのようにしてこれらのインフラの維持、更新を図り、国民の安全、安心の暮らしを実現していくお考えでしょうか。

石井国務大臣 高度経済成長期以降に整備をしたインフラが、今後一斉に老朽化をしてまいります。

 国土交通省では、平成二十六年五月に策定をいたしましたインフラ長寿命化計画に基づきまして、計画的な維持管理、更新に取り組むとともに、国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災、減災、老朽化対策等に重点化をしております。

 しかしながら、今後、更に相当な額をインフラの維持管理、更新に充てなければならないという事態も想定されることから、メンテナンスサイクルを構築するとともに、トータルコストの縮減、平準化を図りつつ、インフラの機能を適切に維持することが大変重要な課題であると考えております。

 このため、予防保全の考え方に基づく計画的な維持管理を一層促進していくとともに、産学官民が一体となりましたインフラメンテナンス国民会議を通じまして、新技術の開発、社会実装や自治体支援を進めるなど、社会全体としての取組を加速してまいります。

 国民の安全、安心の確保のためには、必要な公共事業予算の安定的、持続的な確保が重要であります。厳しい財政状況の中ではありますが、引き続き、必要な予算の確保に努めつつ、インフラ老朽化対策に全力で取り組んでまいりたいと存じます。

盛山委員 ありがとうございました。

 次に、上水道の予算の推移についてお答えいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 水道施設整備費補助金の当初予算額でございますが、平成十年度ごろにはおおむね二千億円前後で推移してございました。しかし、平成二十六年度には二百五十五億円まで減少したところでございます。

 その後、水道施設整備費補助金に加え、水道施設の耐震化や広域化などの支援を目的とした生活基盤施設耐震化等交付金を創設し、増額を図っているところでございまして、平成三十年度予算案におきましては、前年度予算額に対して二十億円増の三百七十五億円を計上しているところでございます。

盛山委員 厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

 現在の水道の予算を前提にしますと、水道の維持、更新には約百三十年かかるという推計を出しておられます。とても信じられない長さでございます。

 二十三年前に、私の実家は阪神大震災で全壊をいたしました。電気もガスも大事でございますけれども、私の母は、水が出ないこと、そしてトイレが使えないことが一番こたえたと申しておりました。

 今のこの厳しい予算の状況下におきまして、大臣は、ライフラインで一番大事な水の安定供給をこれからどのように図っていかれるおつもりでしょうか。

加藤国務大臣 水の確保、水道の確保というのは、それぞれの方々の生活を維持していくための、まさに委員おっしゃったライフラインの中で大事なものの一つだというふうに認識をしております。

 ただ、現状、お話がありました、水道施設の老朽化がかなり進んでいる一方で、更新がなかなか進んでいない、今の更新のペースでいくと百三十年以上が必要になるという試算も出されていることは承知をしております。また、人口が減少している中で、結果的に料金収入が減少が生じてきている。

 そういった意味で、水道事業が大変深刻な課題に直面をしておる中で、事業基盤の強化をしっかり図ってこれからの時代に対応していかなきゃいけない、こういうふうに考えております。

 先ほど事務局の方からも御説明いたしましたけれども、厳しい財政状況ではありますけれども、耐震化対策等の水道施設の整備に必要な予算の確保、これは引き続き努力をしていきたいと思います。

 また、将来にわたって安全な水の安定供給を維持していく、そのためにも、水道事業の基盤強化を図ることが必要でありますので、水道事業の広域連携や多様な官民連携の推進、また、水道施設の維持修繕や計画的な更新を法律上の義務として明記するなどを内容とする水道法改正法案を今国会に提出する予定でございます。

 こうした取組を通じて、国民の生活に欠かすことのできない安全な水の安定的な供給、これをしっかり確保していきたいと思っておりますし、また、議員におかれても、この水道事業あるいは施設整備に対して大変な御努力をいただいていることに改めて敬意を表させていただきたいと思います。

盛山委員 ありがとうございました。

 続きまして、財務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 健康保険、介護、年金等の社会保障関係予算は、毎年増大しております。少子高齢化が進展しているため、削りたくても削れず、増加せざるを得ない状況だと思います。もっと手厚くしてくれとの要望をいかに抑えるか、麻生財務大臣自身が御苦労なさっておられることも、我々、承知をしております。

 私たち、道路、河川、下水道、上水道の関係者が年末に主計局にお伺いして、公共事業関係等予算の必要性を御説明すると、主計局幹部の皆さんは、それぞれ事業の必要性を、いやあ、そのとおりなんですよねと理解はしてくださるんですけれども、残念ながら、お認めいただく予算は前年とほぼ同額というような状況であります。

 財政再建が待ったなしの課題であることは承知をしておりますが、インフラの維持、更新も、やはり待ったなしの課題ではないでしょうか。平成二十四年には、中央道笹子トンネルの天井板が落下し、九名の方が亡くなられました。事故が起こってからでは遅いということで、事故が起こらないよう、安全、安心の暮らしを支えるよう、不断のメンテナンスが必要でございます。

 また、維持、更新の予算だけでも不足している現状の中、新規の事業に取りかかることが大変困難となっております。これまでは、当初予算の不足を補正で補ったりしてやりくりしておりましたけれども、このままではなかなか難しいということになります。

 財務大臣として、公共事業関係等予算の増額の必要性について、どのようにお考えでありましょうか。

麻生国務大臣 これは盛山先生御指摘のとおり、高度経済成長期に日本の場合はインフラを一斉に随分整備をさせていただいたんですが、大体、こういったものの、セメント等々を使っているものの耐用年数というのは大体五十年ぐらい、元セメント屋が言うので大体そんなものだと思ってください。物によって違いますからね。メンテナンスするとしないとで全然違いますので、そういった意味では差が出ることは確かなんですけれども。

 こういったものが、例えば橋でいったら、全国で七十万橋ぐらいあると思いますけれども、六十九万何千、橋があるんですけれども、そのうち、五十年を超えておりますのがもう二割以上あると思いますので、そういったもののかけかえ等々は、先ほどのトンネルの崩落事故を含めて、生死を伴う話ですので極めて大事なところなので、この社会インフラの老朽化に対応する話と、新しく生産性を上げるためのインフラの整備、例えばミッシングリンクをつなぐ等々の話をどうやってバランスよくさせていくかというのは、これは非常に難しいところなんです。

 今、人口減少に伴いまして過疎化が進んでおるところ等々において、いわゆる施設を統合化するとかいう話も私どもはやらねばいけませんので、道路、河川管理施設の老朽化対策の重点化と、いわゆる定期的な点検等々によるメンテナンスというものをきちんとやっていくという話等というものの、いわゆるインフラを長寿命化させる、メンテナンスをしますと寿命が延びますので、そういった意味でコストの圧縮に取り組んできたところなんです。

 傍ら、今おっしゃいますように、東京の、千葉のところとか、何でしょうかね、四百十号線は、あれは名古屋、三重、岐阜のところへつながっております、あのリンクしているところとか、こういったところをつなぎますと生産性の向上が一挙に進みますので、そういったものの重点化をするとか、港と高速道路のつなぎのあれが極めてシャビー、余りよくないところというのがありますので、そういったものをやりますと、生産性が上がるということはGDPの向上につながりますので。

 そういった意味では、生産性の向上のための新たなインフラと、老朽化施設に対するメンテナンス等々のバランスをどうやってやっていくかというのが私どもとしては最も頭の痛いところ。

 公共事業も、一時期、コンクリートから人へとかいうことを言っておられた方もおられましたので。まだおられますよ、亡くなったわけじゃありませんけれども。この方がおられましたので、一見ごとんと下げておりますけれども、結果としていろいろなところで不備が出てきていることは確かですから、そういった意味では、私どもとしては、これを少しずつ少しずつこの五年間伸ばさせてきていただいたというのが現状です。

盛山委員 大臣、ありがとうございました。

 次に、茂木大臣にお伺いしたいと思います。

 現行の経済・財政再生計画を踏まえますと、社会保障関係以外の分野における当初予算の大幅な増額は困難です。先ほども言いましたけれども、十分な規模の補正があればまだ何とかなるけれども、その補正も限られている中では、なかなか安全、安心の暮らしを支えていくということが今後難しくなるのではないかと私は危惧しております。

 インフラの老朽化は、今、麻生財務大臣からもお話ございましたが、着実に進行しております。人口が減少し、高齢化が進展するという中では、社会保障関係予算、これの増額圧力というのはますます高まる。しかしながら、同時に、安全、安心の暮らしを支えるためのインフラの維持、更新というのも、やはり最低限、社会保障関係と同様に必要であると考えます。

 以前、私、役所におりますとき、ワシントンに出張いたしました。市内の道路が陥没のため通行どめになっておったり、橋が危険ということで迂回をさせられて驚いた覚えがあります。

 我が国においても、公共事業関係等に対して十分な予算措置ができなければ、この橋やトンネルは危険です、この地域の上下水道のサービスも場合によったらできませんということにもなっていく可能性があると思います。

 今や、予算全体の枠組みについて見直すべき時期に来ているのではないかと思うのですが、大臣、いかがお考えでございましょうか。

茂木国務大臣 安倍政権では、これまで、委員御指摘の経済・財政再生計画に基づきまして、複数年度にわたります歳出改革の取組を実行してまいりましたが、例えば社会保障については、決してキャップをはめるということではなくて、具体的な四十四の改革項目を定めて、歳出の適正化、制度改革を行ってきたところでありまして、その結果として、二〇一六年度から一八年度の三年間で、社会保障費の伸び、一・五兆円程度に抑制する、こういった成果も上げてきたところであります。

 確かに、盛山委員御指摘のように、今後進展するインフラの老朽化に対して、インフラの維持、更新を議論していくということは大変重要だと考えております。

 また同時に、人口減少社会の中で、地方におきましては、コンパクトシティー、これに向けた取組等々も進めていく必要があり、こういったものは、単年度というよりも、ある程度のスパンでいろいろなことを考えていかなければいけないと思っております。

 一方で、引き続き、経済再生なくして財政健全化なしという基本方針のもとで、複数年度にわたる歳出歳入の具体的な計画をつくっていくことも、我が国の財政への信認を確保していく上で重要だと考えておりまして、ことしの春には、経済・財政再生計画で定められました三年間の集中改革期間における歳出改革の取組について中間評価を行いまして、歳出の効果について、既に効果があらわれて実績が出ているもの、今後効果が見込まれるものといった検証、整理を行いたいと思っております。

 それを踏まえて、夏の骨太方針におきまして、PBの黒字化の目標年次、さらには、それを達成するための具体的な計画というものもお示しできればと思っております。

盛山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、インフラ、こういったものについても、今後、今まで以上に配慮をしていただければと考えております。

 次に、IMO、国際海事機関による船舶に対する硫黄酸化物の排出規制についてお尋ねしたいと思います。

 国土交通大臣に対してお尋ねをします。

 このSOx対策、つまり、内航船、日本の領海内、こういったところで硫黄酸化物の排出をぐっと、規制の強化をしなければならない、こういうことでございます。それに対して、内航海運業界、大変悲鳴を上げている状態であろうかと思います。

 もう二年を切る中、どのようにして、大臣、この内航船対策、お進めになるおつもりでしょうか。

石井国務大臣 船舶の燃料油中の硫黄分濃度を三・五%から〇・五%へ強化する規制が、二〇二〇年から開始ということになってございます。内航海運業、フェリー事業の皆様には、規制開始後に供給される燃料油の供給の量、品質、価格に懸念があることは承知をしております。

 今月二日に開催されました関係者による連絡調整会議におきまして、規制開始後に供給される燃料油については、さまざまな製造方法があるものの、船舶用の需要量は供給可能であるとの調査結果が報告をされております。

 また、規制開始後に供給される燃料油の品質につきましては、品質の確保及び使用可能な燃料の種類の拡大を図るため、燃料油の燃焼試験を実施することとしております。

 今後は、特定の燃料油に需要が集中することを防ぐために、燃料油の燃焼試験の実施による使用可能な燃料の種類の拡大、排煙を脱硫する装置、スクラバーの使用環境の整備、LNG燃料船の導入促進などの対策を進めまして、燃料油の需給、価格の安定化を図っていく所存であります。

 規制強化開始まで二年を切っておりますので、関係業界の皆様の御意見を伺いつつ、スピード感を持ってしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

盛山委員 ありがとうございました。

 次に、経済産業大臣にお尋ねしたいと思います。

 今、石井大臣からもお答えがございましたけれども、硫黄分の少ない油、これまでC重油を使っていたのをどのように変えていくのかということで、石油業界におかれてもいろいろ対応を現在検討中であるというふうに伺っているところでございますが、我が国の産業物資の大宗を運んでおりますのは内航海運でございます。この内航海運の船が運航できないということになれば、日本の経済全体に大きな影響が及ぶということでございますので、今、石井大臣のお話にもありましたけれども、規制適合油が十分供給されるよう、大臣から石油業界をぜひ御指導していただきたいと思います。

世耕国務大臣 今新たな燃料の規制というのが、これは海運業界にも、そして石油業界にも両方に、非常に経営上大きな影響を与えるというふうに考えています。

 そのため、昨年三月に、国交省など関係省庁や関係業界が参加をするオール・ジャパンの協議の場をつくりました。これを活用して、この規制への対応を円滑に進めて、燃料の安定供給について、特に内航海運業に支障が起こるようなことがないように万全を期してまいりたいというふうに思います。

盛山委員 ありがとうございました。

 せっかくの両省を通しての、あるいは業界を通しての枠組みができたということでございますので、ぜひ御協力を、そしていいお知恵を出していただきたいと思います。

 特に今は、内航海運業界、運送業一般にそうでございますが、荷主さんに対してなかなか物が言えない、弱い立場でもございますので、ぜひ石井国交大臣におかれましては、経済産業大臣とも御協力の上、価格の転嫁というんでしょうか、どのようにこの対策をスムーズにやっていくことができるのか、関係者の中での御調整、御指導をいただきたいと思います。

 もう一問、国交大臣にお尋ねをします。

 住宅の耐震化についてでございますけれども、私の実家、さっきも言いましたけれども、阪神・淡路大震災で倒壊しましたが、うちの近所でいいますと、木造で立派な瓦ぶきの、今で言う旧耐震の住宅の多く、こういったものが倒壊して、多数の方が死傷されました。住宅の耐震化を図ることは、国民の生命財産を守るために必要不可欠な施策であると考えております。

 しかしながら、住宅の耐震化を見ると、まだまだ、平成二十五年時点で八二%ということで、一昨年の熊本地震でも旧耐震住宅が多くの被害を受けるといったようなことでございます。住宅の耐震化が進めば、大地震の際の人的、経済的被害も軽減され、復興復旧もより円滑に進むのではないかなと思うところでございます。

 この住宅の耐震化を進めるために、何らか、促進する取組というのを抜本的に見直す必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 地震時の国民の生命財産を守るため、住宅の耐震化を促進することは大変重要な課題であります。

 住宅につきましては、平成三十二年までに耐震化率九五%を目標とするとともに、平成三十七年には耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標としております。

 このため、国土交通省では、防災・安全交付金や税制等を活用し、住宅耐震化を支援しております。平成二十五年時点の耐震化率は約八二%にとどまっておりまして、さらなる取組が必要と考えております。

 このため、平成三十年度予算案に、戸別訪問等による働きかけなど、住宅耐震化に向けて積極的な取組を行っている地方公共団体を対象にいたしまして、誰にとってもわかりやすく簡単な制度として、補強の設計から耐震改修までパッケージにより、国と地方公共団体で定額百万円を支援する新たな仕組みの導入を盛り込んでいるところであります。

 住宅の耐震化は、地震時の人的、経済的被害を軽減するだけでなく、復興復旧に係る費用の大幅な低減を可能とする施策であります。こうした観点も踏まえつつ、今後とも、地方公共団体との連携のもと、住宅耐震化に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

盛山委員 ありがとうございました。

 ぜひ、安全、安心の暮らしということで、よろしくお願いします。

 最後に、松山大臣にお伺いしたいと思います。

 現在、政府において成年後見法の整備法の検討が進められていると承知をしております。被後見人の権利が実質的に保障されるよう、政府全体で取組を進めていってほしいと希望しております。

 また、成年後見二法の成立後、成年後見制度を利用される方が二十万人を超えたことは大変喜ばしいことでありますが、しかし、認知症の方や障害をお持ちの方は全国で六百万人以上いらっしゃると推計されていることから比べると、まだまだ利用者が限られております。

 地方公共団体、関係者と連携を深め、成年後見の仕組みをもっと周知し、利用が進むよう取り組まれたいと思うんですが、いかがでしょうか。

松山国務大臣 現在、成年被後見人などであることのみで各資格、職種等から一律に排除しているこの欠格条項を、当該資格などに必要な能力を個別的、実質的に審査して判断する仕組みに見直すことというふうにしております。

 まずは、法案を確実に提出ができますように、関係各省との連携、調整を進めておりまして、今国会に提出をする予定でございます。法案が成立した暁には、各省所管の資格あるいは職種等に応じて成年被後見人等に適切に配慮されるように努めていきたいと思います。

 また、成年後見制度の利用の促進における自治体との連携につきましては、各地で自治体向け説明会などを行っておりまして、市町村計画の策定を働きかけておるところでございます。

 また、地域における制度利用が促進されるためには、地域の保健、医療、また福祉と、司法を含めた連携ネットワークをつくりながら、それぞれの関係者において周知活動を活発化していただくことが極めて重要だと思っております。

 盛山委員におかれましては、これまでも成年後見法の整備に大変御尽力をいただいておりますことを感謝申し上げ、我々も引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

盛山委員 ありがとうございました。

 中川大臣、お呼びしたんですが、時間がなくて、まことに申しわけありません。

 以上で終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて盛山君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは三十分質問の時間をいただきまして、理事の皆様、また委員の皆様方に感謝を申し上げたいと思っております。

 まず冒頭、一問だけ、小野寺防衛大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 ただ、質問に入ります前に、現在、福井県のあわら市を中心に発生をしております豪雪災害に対しまして、非常に国道八号線中心に車が滞留をしているという状況でございます。自衛隊の皆様方は約千七百名の方々が出動され、まさに手作業で自動車の啓開に当たられているということで、大変感謝の念をまず申し上げたいと思っております。

 国民の中でそういった自衛隊の災害派遣に対する感謝がある中で、やはりどうしても残念なことは、私の地元でございます九州、佐賀県の目達原駐屯地所属のヘリの墜落事案でございます。

 これに関しましては、今、報道によりますと、小野寺防衛大臣、あすにでも現地に飛んでいただくのではないかという報道でございます。

 公明党の部会の中でもさまざまな声が上がりましたが、一番は、まずは責任者でございます小野寺防衛大臣に現地に赴いていただいて、事故状況を確認いただきたい、その声が一番大きい声でございました。

 実際に地元を視察した佐賀県の県会議員からも、大臣、早く来てください、被害家族また地元住民への説明、謝罪を行ってくださいということでございますが、大臣、佐賀のこの事故現場の方に御視察する予定、決まりましたでしょうか。御答弁をお願いします。

小野寺国務大臣 福井の豪雪災害につきましては、隊員が懸命に頑張ってくれております。現在、全ての車両の通行ができるようになったということでありますが、これからも、災害がありましたら、私ども、国民の命を守るため懸命に努力してまいります。

 ただいま御指摘ありました佐賀の事案でございます。

 今月五日でありますが、佐賀県において発生した自衛隊ヘリコプターの墜落事故につきましては、国民の命と平和な暮らしを守るべき自衛隊が住民の方々の安全を脅かし、多大な被害を生じさせたことは極めて遺憾であり、心からおわびを申し上げます。また、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。

 事故発生直後、当日のうちに大野防衛大臣政務官を現地に派遣し、関係者におわび申し上げましたが、私自身、大臣として、できるだけ早く現地に伺い、関係者の方々に直接おわびを申し上げるとともに、現地の状況を直接見てきたいと考えておりました。このたび調整が整いましたので、明日及び明後日の日程で佐賀県を訪問しまして、地元の関係者に謝罪し、現地の状況も確認する予定でございます。

 地元の皆様の御意見を伺い、また、現地の状況をつぶさに確認して、徹底した原因究明と再発防止に全力を挙げて取り組んでまいります。

 なお、事故に係る最新の状況でございますが、昨日までの捜索において、放射性物質を用いた四個の部品全てを発見、回収し、また、現場の放射線量を改めて測定し、周辺と同等で問題のない数値であることを確認しております。

 フライトデータレコーダーについては、本日、機体の製造会社であります国内メーカーに引き渡され、まず損傷の程度を評価した上で、国内又は外国メーカーにおいて解析が進められることになります。

 また、事故発生直後、私の方から指示をいたしました陸海空自衛隊の全てのヘリコプターの点検については、昨日までに全機の点検が終了したという報告を受けております。

 誠心誠意これからも対応してまいります。

浜地委員 あす現地に赴かれるということで、現地も待っております。私も、あした、邪魔にならないように現地に入らせていただきます。私のもとには、実際に御自分の田畑の上に部品が一部落ちたという住民の方から、あした私もヒアリングをさせていただきます。

 大臣も現地に行かれてまた新たに見えてくる課題等あると思いますので、この問題につきましては、ぜひ現地視察後に、私も機会を見つけて、また今後の再発防止策等、質問させていただきたいというふうに思っております。ありがとうございます。

 続きまして、九州北部豪雨被害への今の対応状況についてお聞きをしたいと思っております。

 私、先ほど九州が地元と申しましたが、福岡県で公明党の県の代表をやらせていただいております。

 まずは、この九州北部大豪雨というのは、七月五日に豪雨が発生したわけでございますが、今、七カ月がたったところでございます。当初の応急の復旧につきましては、省庁の皆様方の御努力によりまして、いわゆる速やかに、比較的速やかに行われたというふうに私は認識をしております。

 きょう、一枚、ただ写真を配らせていただきましたが、これは二月七日現在の、九州北部大豪雨で起きました、朝倉市を中心とする今の写真の状況でございます。

 例えば、一は赤谷川という一番被害のひどいところであったわけでございますが、左側、これは実は、いわゆる廃棄物が積まれている写真だというふうに思われるかもしれませんが、そうではなくて、裏の山から土砂崩れしたものがまだ放置をされているという状態でございます。

 そして、二番目については、これは後でまた質問に使いたいと思うんですが、非常に倒木があったり、また、この山の裏には流木がたくさんあります。しかし、民有地であるがゆえになかなか処理が進まないのではないかという懸念が生じている写真でございます。

 三番目の朝倉の中学校は石井国土交通大臣にも御視察をいただきましたが、現在こういう状況でございます。

 四つ目の白木谷川というところにつきましては、これは国土交通省の方で災害復旧事業の認定をしていただきまして、現在、改良がこれから進められようというところでございますけれども、やはり、たくさん報道は、なかなかされなくなりました。

 我が党の井上幹事長は、災害というものは二つの風との闘いである、一つは風評被害との闘い、そしてもう一つは風化、忘れ去られてしまうことへの闘いだというふうに言われております。

 幸い、風評につきましては、観光庁、国土交通省を中心に、観光に対する被害というものは非常に可及的に回復をいたしました。話によりますと、大分県やまた福岡県では昨年程度の観光客に戻っているということでございますが、やはり風化をさせてはいけないという意味できょうは質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、国土交通大臣に御質問をしたいと思っております。

 この九州北部豪雨というのは、河川が流木によって大きく損壊をされました。これに関しては、地元からさまざまな強い要望がございました。

 まず、災害復旧事業の採択につきましては、本来であれば、流木や土砂を全て取り払って、いわゆる河川の防波堤や橋梁も含めて、全損になっているかどうかということを査定しなければならないわけでございますが、今回はみなし査定ということで、そういった土砂や流木を撤去する前にも全損のみなしの規定をしていただきまして、災害復旧事業の採択となりました。地元では大変感謝をされております。

 また、やはり単なる原形復旧ではなくて、同じような雨が降ったとしても同じような被害を起こさないためには、原形復旧ではなくて改良型の復旧をしてほしいという声が強くございました。具体的に言いますと、川幅を広げる、また川のカーブをなだらかにするという工事でございますけれども、これにつきましても、国交省としましては大変積極的に採択をいただいたところでございます。

 また、赤谷川という、先ほども少し写真の中にありました、一番被害がひどかったところ、ここにつきましては、国交省の権限代行ということで、県にかわって国が積極的に復興に関与をしていただくということで、これも大変感謝をされているところでございます。

 しかし、福岡県の管轄の河川は十三河川採択をいただきましたけれども、朝倉市という市の管轄の河川がございます。ここにつきましては、現在、小河内川というところと平川というところにつきまして、同じように改良復旧工事の採択をしてほしい、これをいち早くしてほしいという声がございますが、この二つの河川について、採択状況はどうなっているのか、石井国土交通大臣にお聞きをいたします。

石井国務大臣 甚大な被害を受けた被災地におきましては、早期復旧を図るとともに、より災害に強い地域をつくっていくことが求められるために、原形復旧のみならず、川幅を広げる等の機能を強化する改良復旧事業等の活用を図ることが極めて重要であります。

 九州北部豪雨において土砂、流木等により甚大な被害を受けた福岡県等より、再度の災害を防止する観点から、改良復旧事業の活用推進等に関する要望がございました。

 このため、国土交通省といたしましては、九州北部豪雨災害における改良復旧事業等の活用を進めるための改良復旧事業の適用拡充を行ったところでございます。今委員が御指摘、御紹介いただいたような状況でございます。

 さらに、本日付で、福岡県朝倉市が管理をいたします小河内川、平川の二河川について、事業採択の公表を行います。この採択によりまして、再度災害を防止するための改良的な復旧事業等として必要な河川は全て採択を終えました。

 国土交通省といたしましては、被災地の方々が一日も早くもとの暮らしを取り戻せるよう、被災箇所の早期復旧に取り組むとともに、災害に強い国づくりに全力で取り組んでまいりたいと存じます。

浜地委員 今、国土交通大臣より、小河内川と平川、これは改良復旧工事採択との公表を行っていただくという御答弁をいただきましたので、地元も大変安心したかというふうに思っております。

 今、改良復旧工事の積極的な採択のお話がございました。

 もう一つ地元から上がっておりますのは、特に砂防をしっかりとつくらなきゃいけないということで、今回、砂防激甚災害対策特別緊急事業というものがございます。この事業のことではなく、やはり実施期間について一つ不安があるようでございます。

 この事業の実施期間は、実施要項でおおむね三年というふうにされておりますけれども、御存じのとおり、地元からは、まだ流木がたくさんあります、山林が破壊をされている、そうなるとなかなか重機等が入る進入路が確保できないではないかと。そうなりますと、やはり三年間では到底この砂防事業の完了はできないとの懸念がございます。

 ですので、ぜひこの実施期間を柔軟に対応いただきたいという要望がございますが、国土交通省、この要望に対して御答弁をお願いいたします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員御存じのとおり、砂防激甚災害対策特別緊急事業、これは、土砂災害によりまして大きく被災をした一連の地域におきまして、緊急に再度災害を防止するための事業でございます。

 福岡県さんからは、土石流によりまして激甚な災害が発生した朝倉市や東峰村におきまして、平成三十年度からの本事業の実施について要望をいただいているところでございます。

 本事業は、緊急に実施をすることが必要な砂防堰堤等の整備をおおむね三年で実施することとしております。しかしながら、実施期間につきましては、事業規模や現地の地形条件等を踏まえまして、必要な対策を実施できるよう柔軟に対応してまいりたいと考えております。

浜地委員 ぜひ、現地の状況を見て、三年ではなく柔軟な対応をお願いしたいというふうに思っております。

 続きまして、治山対策について御質問をしたいと思っております。

 今回の九州北部豪雨というのは、やはり山林の治山対策の必要性というものを全国に再認識をさせた災害であったのではないかというふうに思っております。

 そこで、農水省では、この治山強化のための具体策として、流木災害防止緊急治山対策プロジェクトというものを立ち上げていただきまして、これは全国の約十八万地区を緊急点検をいただいております。その結果、実際に緊急的、集中的に流木対策が必要な地域として約一千二百地区を全国で指定をされているわけでございますけれども、その中にあって、朝倉市の役所からは、具体的にちょっと不安な声が一つあります。

 こういった対策プロジェクトで長期的なプロジェクトはなるんですが、この写真の二のように、民有地の中に例えば倒木があったり、またこの裏にはたくさんの流木があるのでありますけれども、民有地であるがゆえに、これは復旧事業の対象にならないのではないですかという声が、三日前に、私が調査したときに、実際に役所の職員の方から受けました。

 そこで、こういった民有地の中にあります流木やまた倒木というものは、今回、公的な復旧事業の対象になるのか、それについて農水省に確認をしたいと思っております。

沖政府参考人 お答えいたします。

 昨年七月の九州北部豪雨によりまして、山腹崩壊に伴い発生いたしました流木が森林内の渓流に堆積しているということは承知しているところでございます。

 このため、現在、福岡県朝倉市の民有林におきまして、国及び福岡県が主体となって実施いたしております災害復旧等事業の中で、渓流内に堆積いたしました流木の除去を始めるとともに、来年度以降におきましても、治山事業等におきまして、流木捕捉式治山ダムの設置等とあわせて、流木の除去を進めることとしております。

 このように、民有林でございましても、既に災害復旧等事業の対象といたしまして流木の除去を実施しているところでございます。今後も、治山施設の設置等と一体的に行うなどによりまして、流木の除去の事業実施は可能であると考えております。

 引き続き、福岡県と連携いたしまして、間伐等の森林整備と治山施設の整備を組み合わせた対策により、荒廃いたしました山地の早期復旧及び事前防災・減災の対策に取り組んでまいりたいと考えております。

浜地委員 民有地であっても復旧事業の対象になるという確認をさせていただきました。恐らく、県が主体でやる事業ですので、市の方ではそういった認識がないのかと思いますが、そういった情報について、私自身も発信をいたしますし、また、問合せがあった場合には、しっかりと農水省も発信をいただきたいというふうに思っております。

 次に、総務大臣に御質問をさせていただきます。

 これは、特別交付税についての、県や、また朝倉市や東峰村からあります質問でございますので、本当に地元の声を伝える質問でございます。

 御案内のとおり、朝倉市や被害に遭った東峰村というのは非常に財政状況が厳しい市でございます。しかし、やはり東北大震災や熊本地震と違いまして、今回はなかなか採択にならなかったような事業もたくさんございます。

 そこで、この地元の朝倉市や東峰村では、自分たちが持っております財政調整基金を取り崩して、実際に補助にならないものについては自分たちが自前でやっている状態でございます。

 例えば、この基金につきましては、朝倉市では発災前四十三億あったそうでございますが、何と、七カ月たって、取崩しが進みまして、現在は八千万円しかないという状況だそうでございます。そして、東峰村でも同じように、この基金は十三億円あったわけでございますけれども、現在は三億円まで減少をしている状況でございます。

 非常にこういった基金が枯渇する中、やはり、市の独自のさまざまな支援をやっておるわけでございまして、ぜひ、地元の要望を最大限聞いていただいて、三月に特別交付税の配分がございます。しっかりとこういった復興、災害に耐え得るように、ぜひ特別交付税の配分について最大の配慮をいただきたいというのが、福岡県、また東峰村、朝倉市の要望でございますが、野田総務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 初めに、被災された皆さんに、改めて、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 昨年七月の九州北部豪雨により、今お話がありました福岡県などで大きな被害が生じている、復旧対策等に相当な財政負担が生じているということは私も承知しております。

 災害復旧を始めとする個々の事業の地方負担に対しては、適切に地方財政措置を講じるとともに、特別交付税により、被害状況をもとに包括的な措置を講じています。三月分の特別交付税の算定においても、引き続き被害状況を適切に把握してまいります。

 今後とも、被災団体の実情を丁寧に丁寧にお伺いし、特別交付税措置を含め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生じないよう、適切にしっかり対応してまいります。

浜地委員 ありがとうございます。

 特別交付税というのは、やはり、福岡や大分だけでなく、災害が発生したことを中心に特別に配付をされるものでございますので、総額が決まっておりますから、無理は言えないのは私も承知でございます。全国でも災害が起きております。しかし、そういった、なかなか、朝倉市また東峰村というのは財政状況が非常に厳しいところでございますので、先ほど、現場の要望を丁寧にというようなお答えをいただきましたので、ぜひ、お計らい、よろしくお願いできればというふうに思っております。

 続きまして、これも福岡県また地元から要望が上がっております合併特例債の適用期間の延長についてでございます。

 熊本地震が起きたときも、同じようにこの合併特例債の適用期間の延長について要望がございましたが、なかなかかないませんでした。そこで、現在、議員立法でこれを何とか延長しようという動きがございます。議員有志の皆様方の賛同を募って、何とか我々としてもこれを成立させたいと思っております。公明党としましても、部会やまた法案審査の場におきまして、既にこの合併特例債の適用期間の延長約五年間につきまして了承しているところでございます。

 ぜひ、与野党の皆様一致して、合併特例債の延長につきましては、やはり災害等が起きた場合に、合併した市町村が事業が大変おくれる場合がございますので、皆様方の御協力も得て、この合併特例債の延長、何とか行いたいと思っているところでございます。

 実際、朝倉市でも、やはり復旧を優先させなければいけませんので、合併に伴って計画をしておりました市庁の建設ですね、統合する市庁舎の建設を、これはもう中止をするということを実際に市長は先日明言をされておりました。また、市民がこれからやはり憩いの場として楽しみにしていた総合公園整備についても、これも延期をしようということでございます。

 そして、東峰村というところはシイタケ等が特産なんですが、その特産品を加工する施設をこの村でつくろうと思っておりましたが、これも延期すると。そして、非常にやはり暗い、暗いと言ったら失礼なんですが、山の中でございますので、防犯灯を整備しようという計画もあったんですが、これについても、復興を優先するということで、これも延期せざるを得ないという状況になっております。

 先ほど、議員立法の動きがあるということで、我々国会議員の責任でこれはぜひ成立させるべきでございますが、総務省としても、所管する官庁でございます。この合併特例債の適用期間の延長について、総務大臣の御意見をお伺いしたいと思っております。

野田国務大臣 合併特例債につきましては、今委員が御指摘のように、さまざまな災害の発生により、又は建設需要の増大などで、期限内における合併特例事業の実施完了に懸念があるということで、全国の多くの合併市町村、私の地元岐阜市も含めて、発行期限のさらなる延長の要望があるところです。

 こうしたことから、現在、今お話がございましたように、与党の皆さんにおいて発行期限のさらなる延長の議論が行われているということは承知しています。合併市町村にとっても、計画していた事業を着実に実施完了することは、合併の効果をやはり住民の皆さんに実感していただく上では大変重要だと思っています。

 今後とも、各党における議論をしっかり注視してまいりたいと思います。

浜地委員 済みません、石井国土交通大臣、大変申しわけございません。質問が終わっておりますので御退席いただく旨を申し上げるのを忘れておりました。申しわけございません。(石井国務大臣「次もありますから」と呼ぶ)そうですか。申しわけございません。

 先ほど、確かに、議員立法での今の合併特例債の適用延長でございますので、自民党内でもお話がまとまっておるようでございます。我々公明党もまとまっております。野党の皆さんにも、合併特例債の延長、ぜひ今国会で議員立法を成立させたいというふうに思っています。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 最後、一問、再び野田総務大臣に御質問させていただきます。

 これは、地方自治体が発注をしますいわゆる公共事業のうち、随意契約、業者の皆さんは伝票工事と呼んでおりますけれども、この上限金額の引上げについての御質問でございます。

 実は、同じ質問を私は三年前の平成二十七年三月五日の総務委員会でもしておりますが、それから三年がたちましたので、しっかりとまた確認の意味で、また大臣もかわられましたので、ぜひ野田総務大臣に聞いていただきたいという思いで、最後の質問にさせていただきたいと思っております。

 御案内のとおり、当然、地方公共団体の公共事業は入札が原則であるわけでございますけれども、やはり、金額の小さな工事、また迅速に行わなきゃいけない工事については、例えば公民館の屋根が壊れたとか、また学校のトイレが壊れたとかというときに関しては、やはり地元の業者がすぐに、随意契約によって工事を行っているのが現状でございます。

 しかし、この工事の金額の上限につきましては、地方自治法で決まっておりまして、実際には政令で定めると書いてあるわけでございますけれども、主にこの請負工事に関しましては、都道府県工事、又はいわゆる政令指定都市、私の地元の福岡やまた北九州につきましては、二百五十万円が随意契約をできる限界になっているわけでございます。

 しかし、この二百五十万円という金額が決まったのは昭和五十七年なんです。消費税が導入される前から一円も今上がっていないという状況でございます。私は、決してこれを何千万多くしてくださいというような話をするつもりはございません。しかし、当時から比べて、消費税が導入をされます、来年の十月に消費税一〇%への導入がもう予定をされているわけでございます。二百五十万、当時は消費税分がなかったわけでございますので、実際は、一〇%になると、二百五十万円の工事金額というのは二百二十七万円で業者は見積もらなければならないというのが現状でございます。

 当時から比べても、そして最近のこの景気の状況によって、特に建築の人件費、また建築の資材の単価が上がっていることは、恐らくこれは周知の事実だろうというふうに思っております。

 ですので、ぜひ、この件については、迅速なそういった工事をするためにも、最低でも消費税分だけは、これは政令を改正いただいて引上げをしていただきたいというのが私の要望でございますが、最後、野田総務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 地方公共団体における契約は、本来一般競争入札が原則ですが、今お話がございましたように、少額のものに対しては、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項において、予定価格が政令で定める額の範囲内において当該地方公共団体の規則で定める額を超えない場合に随意契約をすることができると定められています。

 これは、予定価格の少額な契約についてまで競争入札を行うことは必ずしも合理的ではない、そして能率的な行政運営を阻害することもあるということで設けられたものですが、その政令で定める契約の金額については、国の随意契約の要件や地方公共団体の財政規模等を勘案して定められていることから、その改正については、国の随意契約の要件との均衡を図る必要があると思います。

 総務省としましては、国における随意契約の要件の見直しの動向を注視してまいりたいと考えています。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

浜地委員 ありがとうございます。

 行政の効率的な運用ということで、私が三年前に質問したときには、まだそういった声は市町村からは上がっていないということでございました。

 しかし、業者さんにお話を聞くと、もうかなり、やはりきついと。これは実は、北九州の業者さんのグループから私はお話を何度も聞いているわけでございますが、やはりなかなか、個人経営で、いわゆる親子経営でやっていらっしゃるような方、やはり、市から緊急な工事があった場合には、すぐに飛んでいって工事をしているんだ、自分たちは地元のそういったインフラを小さい工事であるけれども守っている、そういう自負を持ってやっていらっしゃるわけでございます。

 しかし、現状、消費税分がなかなか、消費税の導入前からのこれは制度でございますので、また国の動向も含めて、国交省の動向も含めてということでございますが、ぜひ政府としても御検討をいただきたい、そのように申し上げまして、最後、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

橘委員長代理 これにて浜地君の質疑は終了いたしました。

 次に、武内則男君。

武内委員 立憲民主党・市民クラブの武内則男です。

 本日は、予算委員会一般質疑の場で、質問の場をお与えをいただきました。委員長始め予算委員会関係各位の皆さんに、まずはお礼を申し上げたいというふうに思います。

 そして、速記録を担当されている方、土佐弁が出るとなかなか聞き取りにくいところがあろうかと思いますが、後の速記録のところで御対応させていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 きょう通告をしていますように、いわゆる、国会から見たときの、そして地方自治体に働く皆さん並びに国民から見て、今回の森友問題をめぐる国有地の売却問題というのは、多くの国民が、八割以上の国民が、わけがわからない、納得ができない、一体国政は、国家行政は何をやっているんだ、そういう怒りや声がたくさん聞こえてまいっています。

 そして、自治体の方からも、今回、会計検査院、私、参議院は、当然だったというふうに思いますし、すばらしかったと思うんですが、参議院の要請を受けて、会計検査院が今回調査を行いました。

 その調査結果が昨年出されて、そして今日、この問題が国会で取り上げられて一年、何も真実が明らかにされずに、そして放置をされてきた。こうした中で、きょう、私自身がこの問題に限って質問させていただきます。

 総務大臣におかれましては、何で国有地問題でというところがあろうかと思いますが、私自身が自治体に二十五年勤め、そして行政に携わり、市政の場に出て、国会に送っていただきました。行政のあるべき姿と、そして会計検査院を始め国会のあるべき姿、その姿について、ぜひ三大臣とやりとりをさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、国有地売却の値引きについて、八億二千万円の値引きの根拠となった部分について、明確に国土交通省の方から御答弁願いたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪航空局が実施いたしました地下埋設物の撤去、処分費用の見積りにつきましては、売り主の責任が一切免除されるとの特約を付すことを前提といたしまして、その実効性を担保するために、既存の調査で明らかとなっていた範囲のみならず、職員による現地確認などの追加の材料も含めまして、当時検証可能なあらゆる材料を用いて行われたものでございます。

 具体的には、国土交通省が定めます空港土木の一般的、標準的手法でございます空港土木請負工事積算基準に基づきまして、まず、対象面積につきましては、平成二十二年の地下構造物状況調査などによりましてごみが確認された部分や本件の土地の地歴などに基づきまして、本件土地の総面積の約六〇%に当たります五千百九十平方メートルといたしました。

 ごみの深さにつきましては、工事写真、工事関係者が行った試掘の報告書、職員による現地確認などを踏まえまして、くいの掘削箇所につきましては九・九メートル、そのほかの部分につきましては三・八メートルといたしました。

 ごみの混入率につきましては、平成二十二年の地下構造物状況調査の結果等に基づきまして四七%と設定した上で、これらの条件を用いまして見積りを行ったというところでございます。

武内委員 会計検査院の指摘を受けながらも、根拠についてはいまだ、これまでの答弁と何も変わっておりません。

 そこで、財務省にちょっとお伺いをします。

 そうした、国交省から、ごみの含有率を含めて撤去費用の見積りが出された。最終的にこれを契約に持っていくという判断をされたのは財務省だというふうに思うんですが、この鑑定をもとに契約の八億値引き額を決定をした、その根拠についてお聞かせをください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 本件土地の売却に関しましては、通常であれば見積り合わせというのを行うわけですが、地下埋設物の撤去費用を見積もることが困難であるという判断をして、専門的知見を有する国土交通省大阪航空局にお願いをいたしました。

 それは、平成二十八年の三月十一日に地下埋設物の発見の連絡を受けて、それ以降、現地も視察をし、あるいは先方ともいろいろな話をした上で、それも踏まえて、三月三十日に大阪航空局の方に撤去費用の積算をお願いをいたしました。そして、四月十四日に、今ほど国土交通省からお話のあった八・二億円という積算を頂戴したところでございます。

 それ以降は、それを前提といたしまして、私どもとすれば、今の地下埋設物の話を抜きにしたところの土地の鑑定評価を、今申し上げた四月十四日以降、複数の業者からの選定を経て、鑑定士の方を選んで、その方に、四月二十二日に、四月十四日の後、二十二日に鑑定を依頼をして、五月三十一日に不動産鑑定士の方から鑑定評価書をいただきました。

 それは九億五千六百万という数字でございましたので、九億五千六百万という更地の状態の不動産鑑定評価から、国土交通省大阪航空局に見積もっていただいた八・二億円というのを減算をして、最終的に一億三千四百万という会計法、予決令上の予定価格を決定をし、それを六月一日に先方、森友学園に通知をしたわけでございます。

 あとは、森友学園がその額を受け入れればそれで売買契約が成立し、受け入れなければ成立しないということですが、最終的に受入れが成って、六月二十日に売買契約が成立した、こういうことでございます。

武内委員 ちょっと復習みたいな答弁を求めたんですが、そうした、この間の、昨年の森友をめぐる用地の、国有地の売買、国土交通省がその見積りを算定をし、そして、ごみの含有量、対象となる面積、あるいはくいの深さ、そうしたものを全て勘案をしながら八億二千万を出し、そして、それをもとに財務省が、土地の評価額を含めて、最終的に評価の中で八億二千万円をそのまま値引きをする、そういう状況がこれまでの事実関係だったというふうに思います。

 しかし、国会のあり方として、参議院が、会計検査院に、このことについてきちっと検査をするように、第三者委員会に求めました。

 会計検査院にお伺いをいたします。

 この国有地売却をめぐって会計検査院が検査をした結果について、最もポイントとなる部分について、会計検査院の方から改めて、その報告を明確にこの場で述べていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、参議院からの検査の御要請を受けまして、学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関しまして、貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性等につきまして検査を実施し、その結果を御報告してございます。

 御質問は、森友学園に対する国有地の売却価格の算定のために行われた地下埋設物の撤去、処分費用の算定についてのお尋ねと理解いたしますが、報告書では、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できないものとなっていたり、本件処分費の単価の詳細な内容等を確認することができなかったりなどしており、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができず、また、仮定の仕方によっては処分量の推計値は大きく変動する状況にあることなどを踏まえますと、大阪航空局において地下埋設物撤去、処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められると記述してございます。

武内委員 まさに会計検査院が会計検査院として検査をして指摘をした、その中身について、当然の指摘だというふうに思います。

 若干ちょっと、総務大臣にもお伺いをしたいと思うんですが、今、会計検査院からこういう指摘がございました。

 私ごとで大変申しわけないんですが、四国は、非常に台風の到来県でした。昭和五十一年、台風十七号によって高知県は甚大な被害を受けます。当時、市長が市民に発した言葉は、自分の命は自分で守ってくれです。住民の命と暮らしを守る、そして財産を守るべき地方自治体の長が、まさにそれを放棄せざるを得ないような甚大な災害です。何と、激甚災害で、国庫補助率九九・八%です。その災害復旧に従事したのが、私が初めて自治体で仕事をしたときです。

 自治体で仕事をする多くの職員たちは、会計検査院というのはまさに雲の上で、自分たちが、そうした国費が入ったりあるいは補助金が入る、そして市税が投入をされる、そうした事業に対して適正にそれが執行されているのかどうかは、日常の業務の中でも十分気をつけてやっていますが、その三年後あるいは五年後に会計検査が入ります。会計検査が入ったときには、何年から何年の事業の間に行われた、この事業における、補助事業における検査を行いますということで、箇所が発表されるのは数日前です。下手したら前日に、この箇所へ行きますということもあり得ます。

 そうした中で、まさに会検が来るとなったら、自分たちの背筋はぴんとなって、会検に当たるか当たらないかで、物すごい緊張感の中で、しっかりと会計検査院の求めに対して、書類をきちっと整理できているか、そして、必要な写真、データ、そういうものがきちっと管理できているか、査定の段階から竣工の段階まで全ての書類を一式全部そろえて、そして検査を受けます。相当の緊張感を持って会計検査の検査というのは受けるんです、地方自治体。

 そうした自治体が検査を受けて現地に行くと、一センチ、一ミリの差でさえ許されません、検査のときに。それは、総延長がもし間違っていれば、補助金の返納を含めて会計検査院に指摘をされます。そうした緊張感の中で自治体は仕事し、会計検査というのは行われるんです。

 今回、会計検査院が、国土交通省の見積りに対して、参議院の要請を受けて検査をして、こういうことが発表されました。しかし、それ以降の委員会で何度聞いても、財務省も国交省も検証しない、そして全部無視をする。反省をします、重く受けとめます、今後こういうことがないように書類の整備を含めてきちっとやります、それで終わりにしてくださいと言わんばかりの、委員会における議論が続いてきています。

 こうした中で、地方自治体の職員というのは本当に、会計検査院との関係においてはしっかりと、税の使われ方、事業のあり方、そういうことに真剣に、そして緊張感を持ってやっています。なのに、国家がこういう状況で、総務省を所管する大臣として、若干外れているかもわかりませんが、自治体の皆さんの置かれている立場を考慮していただきながら、大臣の感想を少しお聞きをしたいと思います。

野田国務大臣 今委員御指摘のとおり、会計検査というのは対象が会計検査院法に定められておりまして、国庫補助金など国の支出に係る地方公共団体の会計経理も検査の対象になるわけですね。

 今、まさに現場のお声を聞かせていただきまして、大変勉強させていただき、真摯に会計検査に向き合う、緊張感を持って向き合う皆様方に、心から敬意を表するところでございます。

 地方公共団体の会計経理が検査の対象となった場合は、今のお話のとおり、検査のための資料提出、実地の検査等々に応じるほか、検査で不当と指摘を受けた事項がある場合は、補助金等を交付した省庁と協議の上で、返還等の必要な措置をとる等の対応をとっているということも承知しておりますし、今改めてお聞かせいただいたところです。

 御質問の財務省や国土交通省等々の対応に関しては、私、総務大臣の立場ではコメントは差し控えますが、一般論として申し上げれば、国であれ地方公共団体であれ、会計検査制度の趣旨に照らし、適切に対応することが求められているんだと私は考えております。

武内委員 野田大臣、ありがとうございました。

 そのとおりなんです。ですから、ほかの所管するところに対して、大臣、そこは差し控えていただいても構いません。

 財務大臣と国交大臣にお伺いをします。

 こうした会計検査院の指摘がされています。通常であれば、きちんとその指摘に対して、いや、違うんだ、我々の見積りはこういう根拠を持って正確であり、そして世の中に出してもきちっと、我々は何もおじることはない、そういう体制を組織の中でつくり上げていくべきなんですね。

 そのためには、ちゃんと、会計検査院が指摘した、ごみの対象面積であったり深さの問題であったり、あるいは、混入率が高目に算定されている、こういう指摘に対して真摯に向き合って、そして、みずからがみずからの省庁の中でしっかりと検証するべきではないですか。直接検証するのは国交省かもわかりません。しかし、最終、値引きの価格を決定したのは財務省です。

 財務大臣、いかがお考えですか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたとおりなんですが、国の行った積算について、撤去、処分費用の算定の際に慎重な調査を欠いていた、これは会計検査院の御指摘であります。また、行政文書の管理状況について、会計経理の妥当性について検証を十分に行えない状況になっていたというのが、この二点が御指摘の大きなポイントなんだと私どもは理解しております。

 したがいまして、私どもとしては、今後、撤去、処分費用に関する算定の際に必要とされます慎重な調査結果を欠いていたということでありますので、私どもはそれに対応していくのは当然のこととしておりますけれども、今後、検査報告の内容を重く受けとめて、これまでの国会での御指摘、御議論を受けて、本件処理におきまして反省すべき点につきましては十分に踏まえて、国有財産の管理処分手続について、今後、国民の疑念を抱くことがないように、手続の明確化等々の見直しというものを行ってまいりたいと考えております。

武内委員 国交大臣、いかがですか。

石井国務大臣 森友学園への国有地売却に関します今般の会計検査院の報告は、政府から独立した機関であります会計検査院が、国土交通省を始めとする関係機関に対しまして、延べ百十四人日、これを要する会計実地検査を実施して作成されたものと承知をしております。

 国土交通省といたしましても、昨年三月の検査開始以来、検査に全面的に協力するとともに、これまでも、国会における審議等の場を通じて説明を行ってきたところであります。

 今般、会計検査院の報告が国会に提出されまして、地下埋設物の撤去、処分費用の見積り等についてさまざまな指摘がなされていることから、これらの御指摘を重く受けとめなければならないと考えております。

 国土交通省といたしましては、今般の検査結果を踏まえた今後の対応といたしまして、財務省におけます国有財産の管理処分手続の見直しの方向性を踏まえた航空局の所管の国有財産の管理処分手続の見直しに向けた取組を進めるとともに、昨年末に改正されました行政文書の管理に関するガイドラインに基づく文書管理の徹底に取り組むことが重要であると考えております。

武内委員 残念でなりません。お二人の大臣の答弁は、指摘を重く受けとめて、今後、文書管理を含めて、そうした財産の問題について、適時適正に、そのことが二度と起こらないように改めてまいりますと。

 何で次へ進めるんですか。まずは検証でしょう。指摘されたことに対して、きちっと検証しろといって、何で指示できないんですか。

 私自身も土木の技術屋です。ですから、いろいろな建物や土地を扱うときにボーリング調査をやります。地質調査をやった上で、最も有効な工法を判断していきます、決定をしていきます。

 ごみの含有率にしたって、量にしたって、面積にしたって、指摘されているじゃないですか。何でもう一度調査しないんですか。

 お答えください、大臣。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 本件土地につきましては、平成二十九年四月に開校が予定されております小学校建設工事の過程で新たなごみが発見されたことに伴いまして、森友学園側から、早期に学校を整備し開校するために、ごみの撤去や建設工事を進めるために本件土地を購入したいという要望があったというところでございます。

 これを受けまして、国みずからが撤去工事を実施したりしますと予算措置や発注業務等に時間を要しまして、学校設置や運営に影響が生じた場合に損害賠償請求を受ける可能性があることなどを考慮いたしまして、本件土地を売却する方向で事務を進めることといたしまして、あわせて、地下埋設物や、撤去、処分費用の見積りにつきましても、入札等の手続を要する民間への委託をするのではなくて、早期に見積りができる大阪航空局に対して、三月三十日に近畿財務局から依頼がなされたものと承知しております。

 そういう当時の状況下では、大阪航空局は、このような状況を踏まえまして、できるだけ早期に見積りを行うようにということで、四月十四日までにその結果を近畿財務局へ報告するということでございまして、調査、見積りに要した期間は約二週間でございまして、先生御指摘のように、ボーリング調査等を行った上で見積りを行うということができる状況ではなかったということでございます。

武内委員 でしょう、そうなんですよ。局長、正直ですよ。ちゃんとできる期間的余裕はなかったんです。

 だから、そうした限られた期間の中で、限られた資料の中で見積りをするから、こういうことが起こっている、そのことを会計検査院は指摘しているんですよ。大臣、そうですよ。

 ですから、今回のこの問題は、会計検査院の指摘を受けて、しっかりともう一回検証しなければ、真実は明らかにならないじゃないですか。そのことに税金を使ったからといって、今テレビを見ている、ネット中継を見ている国民の皆さん、だめだと言いますか。言わないですよ。

 調査費に幾らかかるかは、それは私もわかりません。しかし、少なくとも、国土交通省として、そして国家行政として、会計検査院から指摘をされたことに真摯に向き合って、きちっとそのことに答えを出す、当たり前の行政を何でできないんですか。

 大臣、やるつもりはありませんか。

石井国務大臣 現在、本件土地は国に返還をされているわけでありますけれども、現在も、森友学園の管財人との間で、土地や存置されている建物の取扱いを含め、さまざまな交渉を行っているところであり、また、本件土地については、森友学園から学校の建物の建設を請け負った工事関係者が留置権を主張し、占有している状況であることから、直ちに本件土地の地下の詳細な調査を行うことは困難な状況でございます。

武内委員 じゃ、いつの段階ならできるんですか。お答えできますか。どの時期が来れば、国交省として調査が可能になるんですか。

石井国務大臣 今申し上げましたとおり、本件土地については、校舎が存置されていることから、直ちに地下の詳細な調査を行うことは困難であります。

 いずれにいたしましても、現在、管財人と、土地建物の取扱いを含め、さまざまな交渉を行っているところでありまして、土地の調査につきましても、今後の交渉による土地建物の取扱いを踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

武内委員 私、冒頭に申し上げました。多くの国民が、このことをめぐっては、おかしい、森友っておかしいぜね、一体どうなっちゅうが、国は。

 そして、会計検査院の指摘以降は、自治体の職員からは、一体これからどうなっていくんだ、そういう不安と、そして不満、懸念が示されています。その現状はずっと続いているんです。どこかでけじめをつけて、そしてしっかりと次へ進んでいき、財務省始め、国交省始め、全ての国家行政機関が、ちゃんとまともに国民の信頼を得うる行政に戻していかなければならないんです。

 三大臣にお聞きをいただきたいと思います。

 こういう、会計検査院が入り、そして指摘をされる。書類の不備がある、それを整備しなさい、そして、これは過大な設計であるからこの部分は国庫返納しなさい、そうした会計検査結果報告が自治体に示されたときは、これまでも、今も、自治体がどういう対応をしているか。

 それは、求められた資料を全て検証し、全ての検証のもとに、指摘をされたことに対して答えを返します。そして、国庫返納しなければならなくなれば、国庫返納をしていきます。その後、担当職員は懲戒処分、上司も処分。そして、最大の責任は政治家にあります。トップである市長みずからが処分をし、その処分結果を議会に報告して承認を得て、初めて次へ進めるんです。

 今のやりとりを聞いていると、誰も責任をとらない、検証もしない。何で知らぬふりをするんですか。どうして、きちっとした行政を、その省庁のトップとしてやろうとしないんですか。不思議でならない。

 こうした、本来、第三者機関である会計検査院が指摘をしたことに対して、ちゃんと答えを出すのは当たり前です。それができていない。

 この責任は、財務大臣、国交大臣、所管する大臣にあります。みずからその責任を明らかにするおつもりはありませんか。

麻生国務大臣 まず、重ねて申し上げておかねばならぬことだと思いますが、私どもは、この検査報告の内容というのは極めて強く受けとめてあるのであって、これまでの国会等で御指摘を受けたり御議論を受けて、本件処理について反省すべき点も踏まえて、国有財産の管理処分手続について見直しを行っております。

 ただ、私どもの理解というのは、今回の検査報告書において、法令違反があったとか、またあるいは不当事項として指摘されている事項はないと考えております。会計検査院にも確認をしていただいてよろしいかと思いますが。

 したがいまして、本件土地の管理処分に関係した職員の処分ということでありますけれども、これは、各種の事実関係を今後精査した上で、必要があれば適切に対応してまいるのは当然のことだと思っております。

石井国務大臣 私の責任ということでございますね。(武内委員「はい」と呼ぶ)

 今回、会計検査院の検査報告が国会に提出されまして、地下埋設物の撤去、処分費用の見積りについてさまざまな指摘がなされております。ただ、今回の会計検査院の報告書においては、法令違反あるいは不当事項として指摘されている事項はございません。

 ただ、国土交通省としては、今回の指摘を重く受けとめなければならないと考えておりまして、今後、より丁寧な事務の遂行に努めてまいりたいと思います。

 具体的には、先ほども申し上げましたとおり、財務省における国有財産の管理処分手続の見直しの方向性を踏まえた、航空局所管国有財産の管理処分手続の見直しに向けた取組を進めるとともに、見直し後の行政文書の管理に関するガイドラインに基づく文書管理の徹底に取り組んでまいりたいと思います。

 このように、より丁寧な事務の遂行に努めていくことが私の責任と考えております。

武内委員 法的になかったという御説明を両大臣ともされています。事実として、法に違反をしているという指摘は確かにされていません。

 ですが、まともに会計検査院が検査できないような状況でしょう。検査院が指摘した中に、三・五メートルの深さにごみが本当にあったかわからない、これはデータがないからですよね、資料は、しっかりとした。で、ごみの混入率が、合理性なく高目に算定されている可能性がある、これは、十分な調査に基づいて含有率が算定をされていないから疑わしいということを言っているんですよね。

 こうした指摘に対して、国交省は、いや、違うんだ、自分たちには算定の根拠として揺るぎない、こういうものがあるんだということを出さなきゃだめでしょう。これをやりなさいと言っているんです。これをやるべきではないですかということを言っているんです。

 もう一度、聞きます。

 法令違反があるとかないではありません。会計検査院によって指摘をされたこの重要なポイントの事項について、国交省として、きちっと内部で調査をして、そして現地調査もやった上で、いや、間違いありませんというものをしっかりと出すべきではないですか。それが本来、行政のあるべき姿でしょう。いかがですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました三・八メートルの深度におけるごみにつきましては、平成二十八年四月五日の現地確認時に、工事関係者より工事写真が提示され、大阪航空局の職員が、工事関係者の説明を受けながら、工事写真と実際の試掘の穴の状況を確認をしたと聞いております。

 また、後日、試掘位置図や説明が記載された報告書の形のもので、試掘の穴の中に、一メートルごとに黄色と白色で塗り分けられたメジャーが穴に差し込まれ、目盛りの様子から、深いところに廃材等のごみがあることが確認をできるということでございます。また、その説明書きの中では、試掘の深さが四メートル、ごみの深さが一メートルから三・八メートルと明記をされております。

 ごみの範囲といたしましては、こうした工事写真や提出された報告書、職員による現地確認など、当時検証可能なあらゆる材料を用いて設定をしたというところでございます。

 また、混入率につきましても、どの範囲にごみがある範囲として面積として設定をするかということにつきまして、平成二十二年の地下構造物状況調査によりまして廃材等が確認された部分、くい掘削工事の過程において、深さ九・九メートルの範囲までに廃材等が存在し得ると考えられた校舎建設部分、また、工事関係者が試掘を行いまして、職員が現地確認を行った結果として、試掘場所周辺に廃材等を多量に含む土砂が積み上げられていることを確認した部分、昭和四十年代初頭まで池や沼であった本件土地の北側や西側の部分に基づきまして、ごみがある面積を本件土地の六〇%に絞り込んで五千百九十平方メートルと設定をし、その上で、当時検証可能な材料を用いて、本件土地のごみがある面積部分とごみがない面積部分に分けた上で、ごみがあるとした面積部分におけるごみの混入率につきまして、平成二十二年地下構造物状況調査においてごみがあるとされた二十八カ所の平均値により、四七・一%と設定したということでございます。

 いずれも、当時の状況下において検証可能なあらゆる材料を用いて設定をしたということでございます。

武内委員 これまでの、会計検査院に指摘をされるまでの経過については、今局長が説明されたとおりですよ。会計検査院に指摘をされて以降、そのことにどう対応するかというのは、指摘をされた以上は、検査を受けた以上は行政として求められますよね、そのことにどう対応するかということは。

 少なくとも、こうした指摘を受けたときに、法律違反あるいは条例違反がなかったとしても、こういう指摘に対して、いや、そうではありません、我々はあの要請を受けて、近畿財務局から要請を受けて、非常に短い期間であって、できる限り、そこにある、存在をするデータをもとに算出をしたにすぎません、これが事実じゃないですか。けれども、その算定の根拠が、検査によって揺るいだわけです。この揺るいだ根拠を、最も明確な正確な根拠として示すことが、今国交省がとるべき仕事じゃないんですか。ぜひ、やる気はありませんか。やり方はいっぱいあるじゃないですか。

 ちょっと私、大臣の答弁で、余り頭がよくないものですから、理解できなかった部分があって、いつになったらできるんですかということを聞いてしまったんですが、いろいろな条件があろうかと思います。

 しかし、もともと国有地ですよね。今もう大阪航空局に戻っているんですよね、この土地は。だったら調査できるじゃないですか。ぜひ、もう一度調査をしていただきたいと思いますが。

石井国務大臣 私の答弁に関係することですから、私がお答えいたしますけれども。

 確かに土地は戻っているんですけれども、現在、森友学園から建物の工事を請け負った業者がこの土地に関して留置権を主張し、占有しているんです。校舎が存置されているということもございます。したがって、本件土地の地下の詳細な調査を直ちに行うことは困難だというふうに申し上げたところであります。

武内委員 済みません、法的なことは説明をしていただいたらいいと思うんですが、単純に、率直に聞きます。

 占有をされているということです、向こうが。そういう、占有をされていることに対して、国家機関が、こういう指摘のもとに、こういう調査をしなければならないので、その間、調査をさせていただくということを申し出ることはできないんですか。

石井国務大臣 いずれにいたしましても、現在、管財人と、土地建物の取扱いを含め、さまざまな交渉を行っているところであります。そういう交渉をやらずして、国家権力が強制的に土地を収用するようなことはできませんし、交渉を行っているところでありますから。話合いを行っているところなんです。

 そういう状況のもとですから、今後の交渉による土地建物の取扱いを踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えています。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

武内委員 局長始め役所の皆さんに、行政機関のところに、再度しっかりと要請をさせてもらいたいと思います。

 本来あるべき姿を、税の信頼、国家行政の信頼、そうしたものを国民から失わずに、堂々とみんなが仕事できるように、次へ進むためには、検証しなきゃ、事実を明らかにして、そしてきちっとした手続を踏まなきゃ、前へ進めないじゃないですか。

 そういう当たり前の行政を取り戻すために、しっかりと調査を、その時期が来れば、ぜひその時期を早くつくっていただいて、しっかりとあらゆる方策をもって、強制に入るわけじゃありません、強制しろなんて、僕、一言も言っていませんから。お願いをしてでもやるような方法を含めて、きちっと検証してもらうことを求めたいというふうに思います。

 最後に、今回の土地売却問題をめぐっては、実は二つの家族が、御夫婦が存在をします。

 一方は、詐欺罪で、証拠隠滅のおそれあり、逃亡のおそれあり、六カ月間に及ぶ勾留をされている御夫婦がいる。そして一方で、安倍総理御夫妻、御夫人の方は、私はまるで関係ありませんよ、私が真実を知りたいんです。好きなようにどこへ行くこともできるし、好きな発言をされています。この夫婦の違いって一体何ですか。これまで、一方はそうした勾留状態で、接見も禁止されています。

 この問題は、国民の前に、全ての問題がどこにあって、そして責任の所在がどこにある、全く明確にされていない。この森友問題、これまで再三、我が党を始め、多くの議員が証人喚問を求めてまいりました。

 ぜひ、委員長、国会は国権の最高機関です。国民の負託を受けて国会に上がってきた国会議員が、国有財産の処分であったり税の使い方についてチェック機能を果たすのは当たり前です。それが本来の仕事です。そのことをもって、多くの仲間が証人喚問を求めているお三方、籠池さん、そして昭恵夫人、佐川長官、税の信頼を取り戻すためにも、ぜひともこの国会に呼んでいただいて、しっかりと国会としての位置と任務を、役割を果たそうじゃありませんか。ぜひ委員長にそのことを、その御決断を強く求めたいと思います。

河村委員長 理事会において引き続き協議をさせていただきます。

武内委員 ありがとうございました。

 時間がもうあと一分ぐらいになりました。総務大臣、本当に、出席をいただいて、所管する大臣としての御答弁もいただきました。ありがとうございます。

 全く委員会の審議と関係ないんですが、私、麻生大臣の御先祖様の竹内明太郎、綱先生が私費を投じて設立をした高知県立高知工業の土木科の卒業生です。その教えがあります。工業は富国のもとなり、社会へ出る以上、人間は筋を通せ、そう教わってまいりました。

 ぜひ、これからの国会、与野党問わず、しっかりと国会議員としての位置と任務を果たしていこうじゃありませんか。

 そのことを最後に申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて武内君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡島一正君。

岡島委員 私は、立憲民主党・市民クラブを代表して、きょう、この予算委員会で質問をさせていただきます。

 きょうの質疑では、私は、今地検特捜部が捜査を進めているNEDOの二つの助成事業である省エネ技術革新そしてイノベーション実用化について、特捜部と同じようにこの事件自体を追及しようとするものではありません。

 私たち立憲民主党は、昨年の斉藤氏の逮捕以来、去年十二月にスパコン疑惑追及チームを結成してから今週の七日まで既に七回、恐らく十時間以上にわたって内閣府、経済産業省やNEDO、文科省やJST、そして七回目は財務省とヒアリングを行ってまいりました。

 私たちの視点は、国の助成や融資の事業の選定が公正に行われて、そして正しく執行されたのか、その結果において税の無駄遣いはなかったのかどうかということに着目して追及しております。私たちの着目している対象は、もちろんNEDOの助成事業で地検に起訴されている事業も含みますが、そのほかのNEDOの助成事業や文部科学省の六十億円の融資などについてまた広く取り扱うものであります。

 きょうは予算委員会の審議ですので、まず、スパコン以外の次世代のコンピューターにかかわる事業の予算なども入り口にして質問をしてまいりたいと思います。

 次世代コンピューターの中には、開発と並行して既に実用化されているものもあるスーパーコンピューター、そして、開発が急速に実用化に結びつき始めるという、端緒につき出したと言われる量子コンピューターなどが大きな柱となっていると私は思います。

 量子コンピューターは、まだこれは本格的な実用化の段階の前とも聞いています。しかし、そのポテンシャルはスーパーコンピューターをはるかに凌駕するのではないかというようなものと見られています。

 この量子コンピューターには、もちろん、大まかに分けて、ゲート方式や量子アニーリング方式というものがあると聞いておりますけれども、その一つ、量子アニーリング方式については、今からもう二十年も前に、一九九八年、東京工業大学の西森教授が、量子アニーリングを利用して、コンピューターに応用していけるという発表をしています。

 世界が注目する大きな基礎研究の一つが日本にあります。こうした国内の理論を実用化につなげて世界に打って出ることも、これはやはり国の責任だろうと考えるわけであります。政府はこうした認識を同じようにしていただけるのかどうかをぜひまず聞きたい。経産大臣そして文科大臣、それぞれの所見をお聞かせください。

世耕国務大臣 ともかく、今世界じゅうがやはりコンピューターの計算能力を高める競争をやっている、あるいはそれを省エネの世界でやっていくということを競争しているわけでありまして、そういう中で、まずスーパーコンピューター、これを実用レベル、事業化レベルでしっかりと開発を進めていくということも重要だというふうに思っています。

 一方で、量子コンピューター、これは私も通告をいただいていろいろ勉強しましたが、はっきり言ってうまく説明することはなかなかできないわけですが、今のスーパーコンピューターの一億倍ぐらいのスピードで計算ができると言われています。

 ただ、今お話があったように、ゲート方式ですとかアニーリング方式ですとか、まだ方式もいろいろな諸説がある状態であります。あるいは、解ける計算、やれる計算も、例えば最適解を組合せの中から見つける計算とか素因数分解とか、かなり目的がはっきりした計算に限られているというふうに言われているわけであります。

 ただ、これも、次世代、非常に重要な技術だと思います。まだ研究段階のレベルだというふうには思いますけれども、我々も、経産省の研究というのは基本的に実用化を視野に入れた研究ということになりますから、実用化の芽をしっかり育てていくということもやっていきたいと思っています。

林国務大臣 文部科学省では、現在、二〇二一年ごろの運用開始を目標に、世界最高水準の汎用性のあるスパコン、ポスト「京」の開発を推進しております。

 今先生からお話がありました量子コンピューターですが、この量子コンピューターを始めとする量子科学技術はソサエティー五・〇を実現するための大変重要な基盤技術だと考えておりまして、これについての世界的な研究開発競争が激化する中で、我が国の量子科学技術に関する研究開発を、先ほどお触れになっていただいたようなところも含めて、強化をするということが大変大事だというふうに思っております。

 この分野での基礎研究における強みを生かした研究開発を推進する光・量子飛躍フラッグシッププログラム、Q―LEAPと称しておりますが、これを平成三十年度より開始をしたい、こう思いまして、財務大臣と大臣折衝を去年させていただきまして、来年度予算案に二十二億円を盛り込ませていただいたところでございます。

 具体的には、量子コンピューターを含む量子の情報処理、それから量子計測・センシング、次世代レーザー、この三つの重点技術領域に対して、産学連携のもとで技術開発を行う研究拠点等を公募により選定しまして、最長で十年間の研究開発を行いたいと思っております。

 文科省としては、今後、Q―LEAPを始めとして、量子科学技術の推進を積極的に図ってまいりたいと思っております。

岡島委員 この量子コンピューターについては、スパコンとは違って、スパコンは、チップにしてもメモリーにしても、世界の技術、開発されたもの、製品、そういった汎用性のあるものをいかに使いながら、それをいかに、熱効率を含めてですね、大きな電圧をかけていけるかという話が主だろうと思いますけれども、量子に関しては、これは日本の技術が二十年も前からあって、それに関して、これはプログラミングとかソフトウエアも含めて独自で開発できるという強みがあるんだろうと私は思っているんですね。

 さすが世耕大臣は前近畿大学の理事長でございまして、近畿大学では両方の研究室を持っておられるということで、しっかりとお答えいただきました。

 そこで、麻生副総理、スーパーコンピューターにも高い関心を示されまして、大変高く評価されておりましたが、この量子コンピューターの実現化への支援はどのように御関心をお持ちで、どのように御見解を持っているかをお話しくださいませ。

麻生国務大臣 今経産大臣の方から御答弁があっておりましたけれども、岡島先生、おもしろい話なんですよ、この話は。どれくらい詳しいか知らないけれども、これはかなりおもしろい話なんだと私どもは思って、私どもと言うと表現を誤解されるといかぬですが、私はそう思っております。

 三十年度の予算では、これは世界の科学技術の潮流というのを踏まえまして、いわゆる量子科学技術の基礎研究というものにつきましては、これはいわゆるイノベーションというものにつなげて、生産性革命というのを実現する一助としてはこれは結構大きな効果があるんじゃないかと思っておりますので、そういった意味では、フラッグシッププログラムとして、今文科大臣の話がありましたが、クアンタムリープという、通称Q―LEAPと称している、訳しても、何か非連続的な解決方法とかいうような表現になるんですけれども、クアンタムリープというようなものを新たに創設することとさせていただいております。

 他方、財政事情もありますので、いろいろ、初めての予算が上がってきましたので、たしか概算で三十二億上がってきたと記憶しますけれども、その中において、四部門あったうち三部門につきまして私どもとしては評価をさせていただいて、ぜひ、これはちょっと初めてのあれで、どれだけ先に進むかわかりませんけれども、二十二億の予算をつけさせていただいたと記憶します。

 ぜひ利用していただいて、まず最初になりますけれども、どれぐらいのものが出てくるかというのが私どもとしては非常に興味のあるところでありますので、私どもとしては非常に関心があるということだけはお伝えしておきます。

岡島委員 麻生大臣が大変に関心があると言っていただけるとはちょっと思っていませんでしたが、予算がたくさんつくことになるのかなとすごく思ってしまいます。

 いずれにしましても、大臣が関心を持っておられる割には、逆に申しますと、三十二億の概算があったというふうにも報じられていましたが、今回の計上は二十二億ぐらいです。

 そのうち三事業があるわけで、そうすると、このコンピューターに関しての開発については数億円という規模になるのかとも見られるわけでありますけれども、もともとは、十年三百億円、一年間で三十二億円かな、最初の年は、という概算が二十二億に削られたわけですよね。今大臣の御関心の高さと比して、十億円削ってしまったというのは、これはどういうことなのかというふうにちょっと思うわけであります。

 一方で、世界では全く違うトレンドが起きている。

 二〇一七年八月三十一日、私、落選中でありましたのでしっかりニュースを見ておりまして、ニューズウィークやロイターの配信などを見ていましたら、海外メディアは、量子コンピューターの開発について、アメリカ国防総省は日本円で毎年二百二十億円ぐらい予算、EU連合も二〇一九年から十年間で千三百億円規模の投資をするという記事が大きく報じられていました。

 これらの記事では、文科省が要求した三十二億円の概算でも一桁少ないぐらいだ、もっとあってもいいんじゃないかぐらいの記事が書いてあったわけですね。そういったポテンシャルが非常に書かれていました。

 しかし、その割に、また大臣が大変大きな関心を示していただいた、麻生大臣が特にですね、その割にこれが減額されている。この辺について、私はやはりちょっと、どうしてなんだろうということを、財務大臣、ぜひ教えてください。

麻生国務大臣 これは初めて予算要求に出されておりますので、私どもとしては、汎用性の話は、役所としては当然のこと、考えにゃいかぬのですけれども、極めて汎用性という点に関しましては、今までの演算速度等々が一億倍なんという部分だけ見ればあれですけれども、その他の部分の汎用性からいきますと、これはなかなかちょっと、まだ範囲はかなり限られておりますので、そういったものがどうなってくるかということがよくわからない段階でいきなり何百億と言われても、それはなかなか難しいんだと私ども思っておりますので、その点は技術の進歩等々を見てからの上でないと判断いたしかねると存じます。

岡島委員 汎用性がないとなかなかつけられないというお話でありましたが、私が何回か重ねてきたヒアリングの中で、よく経産省と文科省がこういった事業に対して助成なり融資するときの違いの話が出ました。経産省は、製品として実用化できるものの見込みも一つの柱になっているという話です。しかも、研究もしますけれどもね。文科省は、どちらかというと、新しいものの開発、研究、理論の構築に向けて、基礎的なものからつくり上げていくところから助成とか融資をするんだと。

 とすると、これは文科省が出している予算ですし、汎用性、実用化ということ以前に、二十年も前に世界が注目する理論が日本にあったことを、やっと文科省が、林大臣になって、三十二億からやっているわけですね。それが減額された。これは文科大臣、どのように受けとめますか。

林国務大臣 この量子コンピューターについては、先ほど申し上げたように、Q―LEAPということで二十二億円を計上しておるところでございます。

 財務大臣からもお話がありましたように、ポスト「京」、こちらは既に、防災、減災、こういった社会的、科学的課題の解決を目的として、汎用性のある研究情報基盤として開発をしておりますが、量子コンピューターについては、まさにお話があったように、まだ多くの基礎、基盤的な要素技術研究が必要な段階であるということで、まずはQ―LEAP等においてこれらの基礎基盤研究開発に取り組んでいかなければならない、こういうふうに思っております。

 厳しい財政事情は我々も承知はしておりますけれども、二十二億円というものをこのQ―LEAPでいただきましたので、しっかりとこれを活用して、先生からお話のあったようなところも踏まえながらしっかりとこの開発を進めていければ、こういうふうに思っております。

岡島委員 量子コンピューターへの基礎的なものはと言っていますけれども、世界では、IBMはとりあえずの製品化を、御存じと思いますけれども、NTTも、日本の企業としてしっかり取り組んでいる。それが量子コンピューターと完全に言えるかどうかというのはおいておいても、量子コンピューターというベクトルの中で製品化が現実になりつつあるといった事情ですね。

 きのうのニュースも、夜中ですかね、配信されましたけれども、日本でも量子コンピューターに、暗号を解析するために取り組むんだ、そういうニュースが夜中に出ていました。そういったことで、実用化を現実のものとして迎え入れているという時代が来ていると思っているわけですね。

 このコンピューターが日本の理論から生まれていることに比べて、与えられている予算と、スパコン、アメリカが先導しているノウハウですよね、このスパコンと、特に斉藤氏のエクサスケーラー社などの文科省から六十億円の融資など、これはどうしても、今、林大臣がおっしゃった二十二億円はこの事業だけじゃないですよね、三つの事業で二十二億円ですよね。そうすると、単独で六十億円の融資などが文科省から出る。これはどう考えても、日本の理論が二十年も前からあるのにやっと数億円かもしれない、そこに六十億、ぽんといく、そういうところを見ると、政府がスパコンばかりに肩入れしているんじゃないかというふうに映るわけです。

 このペジー社への助成とかエクサスケーラー社への融資の流れを見ていけばだんだんわかってくると思いますけれども、私は、文科大臣や経産大臣と違って、コンピューターの見識が深いわけでもありませんし、専門家でもありません。ですから、何も量子コンピューターがこの国の国力だ、柱だと言う意図もないんです。ただ、斉藤氏への助成や融資がちょっと異常だと。日本国にこんな理論があって、IBMやNTTや、世界が注目している、日本の企業も注目している、それと比べたら、余りにも少ないんじゃないかというふうに思うわけです。斉藤氏への助成とか融資などの加速度がその異常さを示しています。

 これは朝日新聞の記事、一月二十四日から読みますけれども、イノベーションの推進、二〇一〇年、一一年度、最初がNEDO、一億百万円ですね。そして、一二年、一三年、省エネ技術革新、六億三千三百万、これは起訴されています。あと、イノベーション実用化、五億円ですか、一三年度。そして、省エネ技術革新、一五年から一七年度、十億三千万。技術開発推進、十八億円以上ですね。そして、文科省の産学共同実用化開発、六十億円となるわけでありますね。

 こういうのを見ると、これは明らかに、日本にもこんな技術があった、しかも、ゼロから、ソフトウエアまで自分たちで開発できる、世界が注目しているというものに数億円、やっと始めようか。一方で、スパコン、特に斉藤氏にはこれだけの偏った予算がついている。これ、肩入れ予算だってやはり映っちゃうんですよ。だって、明らかに偏っているじゃないですか。

 世界のトレンドとかけ離れた、斉藤氏への異常な肩入れ予算でないかと映ることについて、麻生大臣、どう思われますか、お尋ねします。

麻生国務大臣 これは、予算の申請をされるのを私どもは査定する立場にありますので、予算の申請に応じてやらせていただくということになろうかと存じます。

岡島委員 いや、私は感想を聞いたんです。そういったものに映る、そう見えるといったときに、予算を出される側であっても、どのようにこの映るという言葉を感じられますかと。

麻生国務大臣 量子コンピューターにつきましては、今の時点では、先ほど申し上げましたように、特定の分野に使用が限られておりますので、汎用的な計算が行われるということの実現には、これは中長期的な課題として今後考えていただかないかぬというところじゃないんですかね、一つは。

 一方、ポスト「京」の方は、二〇二〇年、二一年ごろにはもう運用開始を目標にして、世界最高の汎用性のあるスパコンを目指しているということなんですので、そういった意味では、ポスト「京」の開発も着実に推進していくべき課題なので、両方やらないかぬというところなんだと思います。

岡島委員 ぜひ、幅広く、日本の基礎技術を生かしてほしいと願うところであります。

 続いて、私は、きょうの質疑に当たっては、立憲民主党で行ってきたヒアリングというものを、我が党のある意味調査といったものをベースにして質問をさせていただきたいと思っております。

 そうした中で、斉藤氏への偏った予算が非常に目立ったというのが今回の国会に至る年末年始の印象です。その中で、この間、タスクフォースについていろいろと話題が出ました。私もこれについて関心を持っています。少し掘り下げて、これについてお伺いしたいというふうに思っているわけです。

 タスクフォース、これは二〇一六年十月三日に内閣府が設けた二〇三〇年展望と改革タスクフォースで、当時、ペジー社の社長であった斉藤氏が、保有するスパコンの能力が国力という時代が到来、これは広く知られている言葉でありますね、がプレゼンテーションされています。

 斉藤氏はほかにも、十一月二十八日のタスクフォースでは、アメリカや中国に比べると圧倒的にベンチャー投資が足りていない、一桁ではなく二桁近く足りない、投資額が少ないことも問題だとおっしゃっている。

 こうした発言は、助成金を既に受けているベンチャー企業経営者がみずから国からの資金の増額を促しているわけですねと明らかにとれるわけです。

 国の予算編成にも影響するようなタスクフォースのメンバーにこういう人が入れるということ、こんな仕組みが、今回の不正を生んだ温床じゃないかと私は映るんですよ。

 このタスクフォースは十二月十六日まで六回開かれていたと聞いています。それをまとめた報告書も提出された経済財政諮問会議がつくったのが骨太の方針、去年六月に閣議決定されているわけです。

 このように、閣議決定されるまで、この国のあり方にかかわるタスクフォースの重要性は、これはとてつもなく大きいですよね。予算編成に明らかに影響を及ぼす骨太の方針に、報告書が提出されるわけですから。

 そうしたら、そのメンバーについて、私たち立憲民主党のヒアリングで、どのように人選したのか、これを内閣府の方にお伺いしました。参事官の方が答えました。

 この人選の決定権者は誰なんだろう。その人が答えた答えはあるんですけれども、ここで、茂木大臣、経済再生担当大臣として、このタスクフォースの人選、その最終的決定権者はどなたなんですか。

茂木国務大臣 二〇三〇年展望と改革タスクフォース、これは二〇三〇年の経済社会を展望する内閣府政策統括官の研究会でありました。そこでは、AIやIoT、社会保障、働き方、地域経済や資源エネルギーといった幅広い分野の専門家に御参加いただいた研究会でありまして、学者の方々であったり、長く民間の商社でも食料問題やエネルギー問題に取り組まれた専門家も参加をされていた。

 人選につきましては、内閣府政策統括官の研究会でありますから、内閣府政策統括官において行われた、そのように承知をいたしております。

岡島委員 そのように大臣はお答えになられましたけれども、このヒアリングで、斉藤氏がスパコンの省エネを、なぜ選ばれたかということについては、政策統括官が最終的に決定した、事務方が推薦したと。

 その中で、なぜなのかというところになると、省エネを競うコンテストで、世界的な、二〇一四年から一六年にかけて、コンテスト、グリーン五〇〇ですか、二位をスタートに一位を三年連続とったという記事が、たしか日経BPと言っていましたよね、に載っていたからと答えました。そして、その説明を受けましたけれども、著書が有名だった、ベストセラーとは言いませんでしたけれども、有名な著書があった。この二つが決め手で選んだと。

 それを政策統括官が最終的に決定したということでいいわけですね、今のお話だと。違いますか。

田和政府参考人 お答えいたします。

 斉藤氏は、当時、今お話ございましたように、二〇一五年に出版された著書で、AIとかIoT等の急速な進歩に伴いまして経済社会が大きく変化していく可能性があるということを唱えていらっしゃったということのほかに、今もございましたけれども、コンピューターの性能の面で世界トップクラスの業績を上げていたこと、そのほかにも、民間からイノベーターとして表彰されていたことなど、こういったことも踏まえまして、その業績に着目をして、二〇三〇年という将来を展望して語っていただくという観点から参加を依頼したものでございます。

岡島委員 統括官、もう一度お聞きしようと思うんですけれども、その人選の最終決定権は、大臣もおっしゃったように、統括官だという中で、これを決めるときに、総理大臣である安倍総理に御相談されましたか。あるいは、総理が忙しかったら、首相秘書官の方に相談されましたか。

田和政府参考人 この研究会は、私が決定したものでございます。

岡島委員 そこがちょっと、私、何かわかりにくいんですよね。

 つまり、総理の名のもとに、国の方針や予算編成にもつながる、経済諮問会議にも報告され、骨太の方針にもこれはつながっていくタスクフォースですよ。総理の名のもとの、骨太の方針の、少なくともそこに関係を持つ重要な会議のメンバーの人選について総理にも首相秘書官にも相談しないなんて、そんなこと、本当に許されるんですか。あなたが日本の国家の、骨太の方針に影響するような人選を、あなたが官僚の一人としてそれを決める権限を本当に持っているんですか。教えてください。おかしいでしょう。

田和政府参考人 お答えいたします。

 もともとこのタスクフォースにつきましては、経済財政諮問会議で、二〇三〇年のころを展望してその課題等を報告するという話がございましたことを契機に発足をしたものでございまして、諮問会議に報告をするというふうになってございました。そういう観点から、この研究会の委員を多数の有識者の中から選びまして、その中で議論をしていただいて、報告書を取りまとめたというものでございます。

岡島委員 そうすると、そのメンバーの中に斉藤氏が選ばれていて、結果として今、斉藤氏という人は地検に起訴されている。そういう人物を選んでしまっていたことに対して、決定権者のあなたは責任を感じますか、統括官。

田和政府参考人 お答えいたします。

 今回の委員の選定に当たりましては、その方がいろいろな問題を生じている状況でございましたら、当然我々としても十分チェックをしなくてはいけないということではございますが、その段階におきましては、斉藤氏につきましては、先ほど申し上げましたように幾つかの業績がございましたので、そこに着目をしたということでございます。

 当然のことながら、政府が開催する懇談会におきまして、その有識者のメンバーが利益誘導を行うような発言はあってはならないというふうに考えてございますけれども、このタスクフォースにつきましては議事要旨も全部公開をしてございます。見ていただきますと、基本的には、大きな二〇三〇年の将来課題からバックキャストをしていただいて、そこに基づきます大きな展望とか課題、対応について御議論をしていただいているというふうに承知してございます。

岡島委員 私がここで問題にしたいのは、やはりヒアリングをベースにしてお聞きしていますけれども、ヒアリングで私は内閣府の参事官から何度も同じ答えをもらっているんです。

 このときの人選した斉藤さんが、この時点で、経産省のもとにあるNEDOから既に助成金を何度も受けている、国の助成金を受けている人がそのメンバーだったということを知っていましたかと聞いたら、我々事務方は知らなかったと答えた。そして、調べもしなかった、調べてもいなかったとはっきりと答えている。

 雑誌で有名、本で有名、評判がいい。でも、身辺調査じゃないけれども、国家の方針にもつながるような会議に出る人を選定するときに、その人が国家の事業に、直接助成金を受けている人だということを調べないでいること自体が、そもそもこのタスクフォースの人選自体がもう破綻しているんですよ。違いますか、統括官。

田和政府参考人 お答えいたします。

 このタスクフォースでございますけれども、平成十一年四月の二十七日、審議会等の整理合理化に関する基本的な計画という、審議会等に関するいろいろな定めを規定しているものでございますけれども、そこの中におきましては、懇談会等行政運営上の会合、こういったものに該当するものでございます。この規定上は、公的機関等から助成金を受ける企業関係者がメンバーになることを妨げる規定はないというふうに承知をしてございます。

 ただ、もちろん、経営する会社、本人に不正の疑いがあるような場合には、政府の研究会の委員として適格ではないということは当然でございます。

岡島委員 妨げる規定があるかないかじゃないですよ。そういった疑いがあるかどうかを調べていない、知らなかったで済まされる問題じゃないことが問題なんです。

 だから、私はやはりここで思うのは、結局、そもそも予算編成にもつながるような重要な会議のメンバーを、委員が国から補助金を受けている、それを疑いもせずにそのまま放置して委員としている。そういうところに、だから、本当に政治に、政治といっても、政商という言葉がありますよね。まさに、政治の中枢に入り込んでみずからの利益を追求する人間がそこにいた。これは政商じゃないですか。その政商の暗躍を許したんですよ。そこにそもそもの問題がある、私はそう考えているわけです。

 この一連の不正請求というのは、いわば、ここに書いてきましたよ、これはもうスパコンをだしにした政商の詐欺と言ってもおかしくないと思いますよ。私はそう思います。

 茂木大臣、担当大臣としてどう思われますか。タスクフォースのメンバー選定の公正化、改革について教えてください。

茂木国務大臣 最終的に委員がおっしゃっているのは、骨太方針、さらには問題になっております補助金等との関係だと思いますが、骨太方針二〇一七にはスパコンについての記述はございません。この研究会、個別の補助金等の決定とは関係ないものである、そのように承知をいたしております。

 いろいろな考え方というのはあると思います。例えば、ベンチャーに対して資金を提供する、こういったことが重要だと。これは、例えばアメリカだったら、もう一九八〇年代からみんな言っていることなんですね。

 一九七九年にエズラ・ボーゲルが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本を書きます。当時、アメリカ経済は非常に厳しい状態で、八〇年代から、どうやってアメリカの産業を再興させようか、ジョン・ヤング委員会というのをつくって、そこの中から、コアコンピタンス、選択と集中、そしてベンチャーキャピタル、ベンチャービジネスを育成していく、こういった形はもう三十年以上前から恐らく多くの人が考えていた見識なんだと私は思っております。

岡島委員 やはり大臣のお話を聞くと、またこれは疑問が浮かんじゃうんですよ。つまり、経済財政諮問会議というのは、骨太の方針を決める上で、これはとても大事な、それが柱になる会議ですよね。そこに報告されるそのタスクフォースというのは直接影響するものじゃない、その骨太の方針の中に出てこないと。

 だったら質問しますけれども、タスクフォースを何のためにつくったんですか。そして、このタスクフォースの結果はどこに生かされたんですか。大臣、お答えください。

田和政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣から申し上げましたように、骨太方針二〇一七自体にスパコンという言葉は入ってございません。ただ、タスクフォースの報告を見ていただければわかりますけれども、二〇三〇年に向けて人的な投資とか研究開発投資が非常に大切だというようなことは、しっかりその精神としても、また、個別の政策という形ではないですけれども、しっかり盛り込んであるというふうに感じております。

岡島委員 もう一問だけそれについて聞けば、だけれども、経済財政諮問会議に報告しているわけでしょう。それは何のためなんですか。

田和政府参考人 お答えいたします。

 このタスクフォースは、もともと二〇三〇年の、やはりこれから団塊世代が後期高齢者を迎え、その先にある課題をしっかりバックキャストしながら、今取り組むべき課題にしっかり横串を刺して構造改革を進めるということでございますので、その二〇三〇年という先にどういう姿があるのか、そういったことを踏まえながらしっかり考えていくということでございまして、個々の補助金等、どうあるかというようなことを議論するものではございませんでした。

岡島委員 私の質問には答えていない。僕は、補助金にどうあるかというのは聞いていないわけで、経済財政諮問会議にとってどういう意味があったのかと聞いているわけです。

 いいですよ、もう。だから、そういうことなんですよね。つまり、明確にはそのタスクフォースの意義を、それにつながらない、では一方で、つながらないなら何なんだと聞いたら、答えられないとなりますよ。

 このことは、これからもヒアリングなどを通じてまた聞いていきたいと思っています。

 さらに、ちょっとお聞かせ願いたいことがあるのは、交付金というか助成金が支払われてきました、経済産業省からは。それで、文科省の融資もありましたけれども、これというのは、この事件があって、これまでに交付済みのお金と未交付のお金というのがあるのかどうか、それをぜひ経産大臣から教えてください。

世耕国務大臣 このペジー社は、NEDOから平成二十二年度以降、五件、研究助成を受けているわけであります。

 そして、最初の三つの事業、この三つの事業については、もう事業が終わっておりますので、精算、いわゆる確定検査、ここで恐らくだまされている部分があるんだろうと思いますが、確定検査を経た上で合計十二・三億円を支払っております。

 また、事業を終えていない四番目と五番目の二つの事業については、まず四番目の事業は、交付決定額十・三億円でありますが、そのうち九・三億円が既に交付をされております。また、五番目の事業は、交付決定額十二・六億円でありますが、そのうち十億円がいわゆる概算払いという形で前払いがされているわけであります。これは今後、事業が終了した時点で確定検査を行うことになる。四番目と五番目は両方とも、事業が終了すれば、きっちり確定検査をして精算をすることになります。

岡島委員 経産大臣は先日の委員会で、私、それを後ろで聞いていましたら、私どもはこの起訴された件に関しては被害者である、だまされた側だとおっしゃっていましたよ。

 だから、そうすると、二つの案件で少なくとも起訴されている中で、この今起訴されている部分は捜査が進んでいるから、それはもう地検の方で動くんでしょうけれども、既に払った部分、終わったものがあります。それで、一部残っているものはあるけれども、この払ったものに対して、だまされたと経産大臣みずからがおっしゃった相手の事業に対して、資産を返還してもらう、助成金を返してもらう、そういう手だてを講じていらっしゃると僕は思っているんですが、いかがですか。

世耕国務大臣 だまされた立場として胸を張っているわけではないんです。やはり、国民の税金をだまし取られたということについては本当に遺憾に思っているわけであります。当然、だました事業者に対してだまされた金額の返還を求めるのは当然のことだというふうに思っています。

 今もう既に行っているのは、NEDOが告訴をしております。今、三番目の事業と二番目の事業が実際立件をされておりますので。これを告訴しております。

 ただ、一体どこで、幾ら、どういう形でだまされたのかというのは全容が明らかにならないとわかりませんので、これは全容が明らかになった段階で直ちに、返還請求すべき金額をしっかりと特定をして、ペジー社に対する交付決定の取消しと、そして助成金の返還請求を行ってまいりたいと思っています。

岡島委員 きょう資料を提出させていただいておると思いますけれども、NEDOが、二〇〇五年から二〇一四年までの間ですかね、研究活動に係る不正行為及びNEDO助成金の不正受給に対するNEDOが講じた処分等についてという、これは、我がチームがヒアリングの中で、衆議院の調査室の方でつくってもらったものを経産省の方に見てもらって、その上で提出しています。

 これを見ると、僕は、これは一つ一つをどうこう言うつもりはないんですけれども、二〇〇五年からでももう既に九件ですよね、不正受給になるような案件がNEDOで起きてきたということは。この九件などについて、不正に受給されてしまったもののお金は既に返還を全部終えているんでしょうか。あるいは、手続を全部終わった上で終わったのか。どうなっているのか教えください。

世耕国務大臣 今、予算関係の文書保存期間は十年ということになりますので、なかなかそれ以前はさかのぼれないというところがあるんですけれども、少なくとも、NEDOが独立行政法人となった平成十五年度以降、これで見ますと、不正事案として処分したものは三十五件あります。

 そのうち三十三件については、不正額の返還請求を行いまして、既に全額返還されています。これは総額十・二億円ということになります。

 一件については、これは、不正を行った事業者が破産手続中であったため、返還請求はしっかり行ったんですが、残念ながら、不正額の全額返還には至らなかったわけであります。

 残る一件については、まだ交付する前でありました。お金を支払う額が確定する前でありましたので、そもそも助成金が支払われていないということであります。

 ということで、独法になってから三十五件不正があって、うち三十四件返還請求を行って、一件だけ返還ができていないということであります。

岡島委員 残念ながら、一件だけ回収できていないということです。

 しかし、そうすると、今回の案件がNEDOで五件あるわけですよね。そうすると、今二件は起訴している、訴えているとか、地検も動いていますけれども、そのほかについても、これはやはり、被害を受けた側という立場をおっしゃっているわけですから、しっかりと回収できるようにきちんと適切な対応をとってほしい。そのためにも補助金等適正化法という法律が財務省の管轄であるわけですから、それをぜひお願いしたいと思っています。いかがでしょうか。

世耕国務大臣 これは、いずれにしても、捜査の結果を待って判断をしてまいりたいというふうに思っています。

岡島委員 ただ、国民感情からいうと、大臣みずからだまされた側だという、その人が受け取ったお金がほかにもあって、それについて、少なくとも額の確定、再調査というか、それをその適正化法に基づいて、再調査というのは何年さかのぼっていいんだということは確認をとりました。

 少なくとも、調査をすることは、刑事事件が進んでいることと、それにかかわっていないものについては進めることは、全然矛盾しない。それがいろいろな意味で再発防止につながると思いますが、いかがですか。

世耕国務大臣 当然、ペジー社は、立件されたのは三番目と二番目とはいえ、詐欺行為に絡んだわけでありますから、それ以外の研究助成についても、きちっと使われていたのかどうかのチェックはNEDOにさせたいと思っております。

 ただ一方で、研究成果が出ているという面もあるわけであります。特に、一番目の事業は完全に事業化をされています。医療機器の中で使われているわけであります。二番目の事業も、理研に設置をされているスパコンの中で使われる、もうまさに実用段階まで来ているわけでありますので、そういったところもよく考えなければいけないと思いますが、今御指摘のとおり、当然、詐欺を働いた会社に支給したほかの助成金についても、チェックはよくやりたいというふうに思います。

岡島委員 しつこいようですが、商品化されていても、その背景に不正があったかどうかというのは別の問題ですね、それは。だから、せっかく麻生大臣のもとの、所管の補助金等適正化法というのがあるわけだから、さかのぼって調べることはぜひやっていただきたい。それをお約束していただけませんか、大臣。

世耕国務大臣 当然、NEDOとしての調査はしっかりやらせていただきたいと思います。

岡島委員 最後になりました。

 私はやはり思うんですけれども、今回の不正請求事件というのは、要するに、僕はもう死語だと思っていたんですよね、政商。政治を利用して金もうけをする、そういう政商がこの安倍政権下にあって、政府のタスクフォースという会議にまで入り込んでみずからに利益誘導する。そういう脇の甘さが、残念ながら、麻生大臣のもとでも安倍総理のもとでも明らかにはびこっているということが象徴されたと私は思っているわけです。これはまさに、行政の無駄だし、税金の無駄ですよ。

 私たちは、従前から、行政の無駄を省かなければ消費税の増税とかおかしいだろうとずっと主張してきました。そのことを鑑みても、これはやはり解せないわけですよ、国民は。こんな無駄があって、誰が見ても、地検まで動いてくれたんですよ。そういう無駄があることに対して手を打てない。法律があって、さかのぼれますかと聞いたら、はっきり、その法律に基づいて、適正化に基づいてさかのぼって調べます、調査しますとまで断言できないような甘さが、やはり、政商の復活じゃないけれども、こういう政治の脇の甘さを露呈したと思います。

 僕は、我が党の政調会長の長妻さんじゃないけれども、これはやはり黙っちゃいられないですよ。だから、我々立憲民主党は、国民とともに、やはり皆さんの行政そしてさまざまな問題について、このスパコンの疑惑を通じて、これからも取り組んでまいりたいと思います。そして、それが終わるまで、消費税の増税なんてことはとめていきたい。

 質問を終わります。ありがとうございました。

河村委員長 これにて岡島君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 立憲民主党の山内康一です。

 質問通告の順序を変えて質問をさせていただきたいと思います。

 恐縮ですが、最初に、沖縄対策担当、江崎大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 きのうの予算委員会の議論を聞いておりまして、また、速記録を読み返しまして、やはりきのうの江崎大臣の本委員会での発言、希望の党の大西健介委員の発言に対して、揚げ足をとるのは予算委員会の役目じゃありませんとおっしゃいました。この野党議員の発言を揚げ足取りというふうに表現するのはいかがなものかと思います。

 ぜひ、この委員会、この場でこの発言を撤回し、大西議員だけではなく、ある意味、内閣の一員である大臣が国会を軽視している発言であると思います。そういった意味でも、撤回と謝罪を求めます。いかがでしょうか。

江崎国務大臣 山内議員お話ありましたように、不用意な発言であったことを、この席をもっておわびを申し上げる次第であります。

山内委員 大変率直におわびをされたわけですが、撤回も含めてよろしいんでしょうか。念のために伺います。

江崎国務大臣 撤回させていただきます。

山内委員 大変誠意ある御対応だったと思いますが、今後とも御注意をいただきたいと思います。

 しかし、この発言だけでなく、私は、今国会、あるいは特別国会から見ていて思うんですが、どうも最近の与党、国会を軽視するような、そういう方向に動いているようで、残念でなりません。

 まず、野党議員の質問時間を削減する、こういったことも与党から申し出てきて、そして、実際に野党の質問時間が少しずつ削られている状況もあります。こういった状況、大変深刻な問題だと思います。

 その意味で、自民党、与党の政治家の方でも大変立派な御見識をお持ちの方がいらっしゃいまして、ぜひ江崎大臣には参考にしていただきたいと思って、自民党の先輩議員の発言を引用させていただきたいと思います。

 実は、きょうこの委員会室にいらっしゃいますが、石破先生がある雑誌のインタビューに答えて、済みません、御本人の承諾を得ておりませんが、刊行物、一般で手に入る雑誌の御発言ですので、引用させていただきたいと思います。

 我々は、自民党の大先輩たちが、自民党は与党として、法案にしろ、予算にしろ、政府と事前に議論し調整しているのだから、野党に質問時間を多く配分するのは当然だとずっと教わってきました。

 そもそも与野党の質問時間を二対八にしたのは自民党です。二〇一〇年の参院選で民主党が惨敗してねじれ国会になった後、自民党が民主党を突き上げて野党の質問時間をふやしたのです。野党のときに質問時間をふやせと主張していたのに、与党になったら反対のことを主張するというのはおかしいのではないか。

 国会質疑は、野党の質問に的確に答えることで政府の正当性を国民に知らしめるこの上ない機会です。与党のよいしょ質問に答えても効果はありません。私は閣僚を六年ほど経験しましたが、野党の質問に答えることを大切にするとともに、やりがいを感じてきました。もっと聞いてくれ、どんどん質問してくれという気持ちでした。

 以上、引用を終わりますが、本当に、さすが石破先生だな、御見識だなと思います。

 そして、ぜひ江崎大臣に参考に、耳を傾けていただきたいのは、やはり、野党の質問に答えることを大切にし、やりがいを感じてきた、こういったところ、もっと聞いてくれ、どんどん質問してくれ、こういうお気持ちで今後の国会での答弁に臨んでいただきたいと思います。

 それでは、最初に、ちょっと順序を入れかえまして、この続きで、沖縄振興予算について質問させていただきたいと思います。

 まず、沖縄振興予算、これは平成二十六年は三千五百一億円もありました。当時、平成二十六年、仲井真知事の時代ですね。そして、今回の平成三十年度予算では三千十億円にまで減少しています。わずか五年ほどで五百億円も減っている。三千五百億円のうちの五百億円が減るというのは相当な減少だと思うんですね。

 これは本当に沖縄の県民に寄り添う態度なのか。私は、なぜこんなにも沖縄の予算が削られてしまったのか、その理由を御説明いただきたいと思います。

江崎国務大臣 お答えいたします。

 沖縄振興予算については、平成二十五年十二月の総理発言、現行計画期間中、毎年三千億円台を確保するを踏まえ、二千億円台であった現行計画以前、平成二十三年度以前よりも相当高い水準を確保して今日に至っております。

 平成三十年度の予算案については、現下の国の厳しい財政状況のもとではありますが、この基本方針に沿って所要額を積み上げ、総額三千十億円の予算を確保した次第であります。

 一括交付金については、他県にはない沖縄独自の予算として、依然として約千二百億円を確保しており、振興面での沖縄の裁量は他県に比べても確保されているものと認識いたしております。

山内委員 今、沖縄県の裁量は確保されているとおっしゃったんですけれども、その点も非常に問題が多いと考えておりまして、削られている予算のほとんどが、沖縄振興一括交付金の部分が削られております。自由度の高い一括交付金ばかりが削られて、国の直轄事業はほとんど変わっていないということが言えると思います。

 平成二十六年、沖縄振興予算が一番多かったころは、全体の予算三千五百億円で、その中で一括交付金が千七百五十九億円です。そして、平成三十年度予算の一括交付金は千百八十八億円。細かい数字が多いのでもう一度繰り返しますが、千七百五十九億円から五年間で千百八十八億円まで、およそ五百七十億円、一括交付金が削られています。全体でこの五年間で五百億、予算が減っているんですが、さらに、その内数で五百七十億円分は一括交付金、どんどんどんどん一括交付金が減っていって、自由度の低い国の直営事業などがふえている。

 こういった流れというのは、実は沖縄の地方自治、地方自治体の裁量がどんどん小さくなるというのでは、方向性としては望ましいとは思えません。この点について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

江崎国務大臣 現下の国の厳しい財政状況を踏まえ、沖縄県が作成している平成二十九年度の事業計画における事業の実施状況等を総合的に勘案されたものと承知いたしております。

 国として使途を定めている予算について、以下のとおり計上をいたしました。

 公共事業関係費、国直轄事業及び補助事業については、二十九年度予算とほぼ同水準を計上しました。OIST予算についても、大学の規模拡充、第四研究棟の建設費、教員の増員に必要な予算を二十九年度予算から増額して計上いたしました。

 引き続いて、国主導で推進している産業イノベーション創出、離島の活性化、そして子供の貧困緊急対策のための予算についても、沖縄振興を国家戦略として総合的、積極的に進める観点から、また緊急の課題を解決する観点からも、それぞれ増額して計上をいたしました。

 新規施策に係る予算として事項要求をしていた、西普天間住宅地区跡地における沖縄健康医療拠点の整備実施計画費、沖縄独自の給付型奨学金の創設を始めとする人材育成事業に必要な予算について所要額を計上いたしました。

 以上により、国として使途を定めている予算は、二十九年度予算が千七百九十二億円に達し、三十年度予算は千八百二十三億円となっております。

山内委員 細かい使途を聞いたのではなくて、一括交付金という自由度の高い予算ばかり削られて、自由度の低い予算はそのまま現状維持である。まあ、ちょっとふえているわけですね。この点をどうお考えかということを聞いたわけです。細かい内訳を知りたいわけではありません。

 そして、予算状況が厳しいのはわかりますが、予算状況が厳しいから一括交付金を削るというのは、ロジカルに考えておかしいですね。一括交付金であろうと直営事業であろうと、国民の税金、使う金額は変わらないわけですから、だったら、その内訳でより自由度の高いものを削らないで守る方が、より沖縄県の皆さんに寄り添った予算になるんじゃないかと思うんです。

 私が聞いているのは、だから、細かい、何の事業に幾らではありません。大臣として、どうして一括交付金を削って、そして国の直営事業だけはしっかり守ろうとしているのか、その点をお伺いしたいわけです。

江崎国務大臣 一括交付金については、他県にはない沖縄独自の予算として、依然として約千二百億円を確保しており、振興面での沖縄の裁量は他県に比べても確保されていると認識いたしております。

山内委員 他県に比べて自由度が高い、それはわかります。ただ、これまでよりも自由度を低める理由はどこにあるんでしょうか。

江崎国務大臣 何度も申し上げますが、現下の国の厳しい財政状況を踏まえ、沖縄県が作成している平成二十九年度の事業計画における事業の実施状況等を総合的に勘案されたものといったことであります。

山内委員 自由度の高い予算を削る理由としては、ちょっと今の説明では、恐らく多くの国民、県民の皆さん、理解できないと思いますが、同じ答えしか返ってこないので、次の質問、続けたいと思います。

 沖縄振興予算の中に、沖縄の子供の貧困緊急対策事業という事業がございます。平成三十年度予算十二億円、去年より一億円ふえているので、去年よりは子供の貧困、大切にしているという姿勢はあるかもしれません。ただ、沖縄の貧困率の高さを考えると、あるいは県民所得の低さを考えると、こういった事業を、ほかの県と横並びというのではなくて、もっと重点的にやるべきじゃないかと思います。

 そういった意味で、大臣、この沖縄の貧困問題をどのようにお考えか、そして今、沖縄県の貧困率あるいは県民年収、全国平均とどれぐらいギャップがあるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

江崎国務大臣 沖縄の子供を取り巻く環境は、一人当たりの県民所得が全国の中でも低く、母子世帯の出現率が全国一位であるなど、全国と比較して特に深刻な状況であります。

 沖縄の将来を担う子供たちの貧困は、子供の生活と成長にさまざまな影響を与えるとともに、貧困の連鎖により沖縄の社会全体に影響を与えることから、沖縄振興の立場から、国が主導して、平成二十八年度より新たに沖縄子供の貧困緊急対策事業を実施しております。

 この事業では、個々の子供の貧困に関する状況を把握し、支援を要する子供とその世帯を支援につなぐ支援員の配置、子供が安心して過ごせる居場所の運営の支援をモデルに、集中に行うことといたしております。

 事業の実施主体は市町村であり、できるだけ幅広い市町村で実施されるよう、地元市町村からの御意見も踏まえて、補助金を十分の十としております。

 平成三十年度予算案においても、不登校問題や高校生のキャリア形成支援を取り組むために、沖縄子供の貧困緊急対策事業費十二億円を計上しております。

 今後も、沖縄県や市町村のほか、経済界や教育界など、さまざまな立場の皆様と連携して、沖縄の子供の貧困対策に取り組んでまいります。

山内委員 そんな細かい事業を一つ一つ丁寧に読んでほしいわけではなくて、大臣としてどのようにお考えかということを聞きたかったわけですね。

 沖縄の貧困率、例えばどれぐらいか、全国平均とどれぐらいギャップがあるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。大臣。

河村委員長 内閣府北村局長。(山内委員「もういいです、もういいです。もう結構です」と呼ぶ)

 内閣府北村局長。(発言する者あり)数字のことですから、北村局長、お答えください。

北村政府参考人 お答えいたします。

 子供の貧困の世界では、子供の貧困率という数字でよく比べますが、沖縄の子供の貧困率は、全国の数字の倍以上の数値になっているというふうに認識しておりまして、全国の中でも最も深刻な地域であろうというふうに思います。

山内委員 こういう、細かいデータとは言いません、結構重要なデータだと思います。恐らく、日本の総理大臣であれば、日本の人口は幾らか、日本のGDPは幾らか、日本の貧困率は幾らか、それぐらい知っていないとおかしいと思います。同様に、沖縄対策大臣であれば、沖縄の県民所得はどれぐらいか、沖縄の貧困率はどれぐらいか、そんなことは秘書官がメモを入れなくても当然すらすら出てこないと、これは大臣としての資質の問題であると思います。

 むしろ、もう就任して何カ月にもなられるわけですから、それぐらいは勉強されていて当然だと思うので、大変残念に思いますが、次の質問に入りたいと思います。

 まず、沖縄の米軍基地の問題についてお尋ねをしたいと思います。

 米軍基地の問題、一義的には防衛大臣の所管ですけれども、やはり、沖縄の基地問題、あるいは基地そのものじゃなくて周辺地域の振興、こういった意味では、防衛大臣はどうしても安全保障の観点から基地問題をごらんになると思います。沖縄担当大臣というのは、やはり沖縄県民の立場から、基地の問題、周辺の地域振興の問題などについて取り組む必要があると思います。

 今、よく言われていることですけれども、沖縄は、国土面積のわずか〇・六%のところに米軍の専用施設の七割が集中している、こういった状況。大変、基地負担という意味では、沖縄が本土に比べてかなり厳しい、過重な犠牲を払っている。さきの大戦でも、大変地上戦で大きな犠牲を払ってきた。

 そういった点を考えると、沖縄の基地負担をどうやって軽減していくか、沖縄担当大臣としての、政治家としての御所見を伺いたいと思います。

江崎国務大臣 おっしゃられるように、現在、沖縄米軍専用施設、これは約七〇%が集中しております。沖縄の皆さんにとって大きな負担となっていることから、引き続き、沖縄の皆様の理解を得る努力を続けながら、沖縄の基地負担軽減に取り組むことが重要な課題と認識いたしております。

 私としては、沖縄の振興を推進する立場で、基地の跡地利用の推進など、沖縄振興に全力を挙げる所存でございます。

 沖縄の基地負担軽減は重要であると考えておりますが、関係省庁において取り組んでいる問題であります。私は、振興の担当として、その具体的な内容についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 沖縄の基地負担軽減に係る関係省庁の取組状況などについては適宜報告を受けており、必要な連携をとっているところであります。

山内委員 ちょっとわからなかったんですが、沖縄の基地振興策の具体策については、担当ではないのでコメントしない、そういうことですか。

小野寺国務大臣 沖縄の基地負担の軽減については、防衛省が所管を主にしているということであります。

山内委員 何を聞いても役所のメモを一歩も離れない答弁しか返ってこないので、大変に残念に思います。

 それでは、別の質問に移りたいと思います。

 まず、通告しておりませんでしたが、河野太郎外務大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 きのう、きょうの報道を見て、そして速記録を読んで、質問をしたいと思いましたので、ちょっと事前通告がなかったので、当該部分を丁寧に引用しながら質問をさせていただきたいと思います。

 昨日の予算委員会において、我が党の末松委員の、NPR、新しいアメリカの核戦略について質問をしたところで、河野大臣、速記録によるとこのように答えられました。

 現在、核の世界を不安定にしているのは、アメリカではなくて、小型の戦術核の開発を進め、それを利用しようとしている軍事ドクトリンを推し進めているロシアであります、ロシアは、現在、アメリカが小型の戦術核を配備しない場合に、アメリカが大きな戦略核で核の報復はできない、そう考えて、地域的な戦術核を使うおそれがある、こういった発言をされておりまして、早速ロシア外務省がかなり強いコメントを出しているというふうに報道されております。

 率直に言って、こういった発言、今回、きのうの予算委員会の委員室で私もやりとりを聞いていたんですけれども、あえてあそこでロシアをアメリカのロジックに従って批判する必要があったのか、私は率直に疑問に思いました。

 今、安倍政権は日ロ関係をよくしようと。安倍政権の外交の取組の中で、日ロ外交に関しては私は評価できる部分は多いと思っております。ロシア経済協力担当大臣、これまで聞いたこともないような大臣を設置して、ロシアとの関係をよくしていこうとしている。そのときに、あえて言う必要があったのかなということを思います。

 アメリカのロジックにいつもつき合う必要はないと思います。日本には日本の国益があり、日本には日本の利害がある。そこできのうのような発言というのは、むしろ、これまでの政権が進めてきた日ロ関係の改善に逆効果になったんじゃないかと思います。

 この点について、河野大臣の御見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 昨日、アメリカのNPRの議論の最中でございましたので、アメリカのNPRが、小型の核の開発、低出力核の開発の理由としてそう述べているところを御紹介したまででございます。

山内委員 そうすると、日本政府がこう考えると言ったわけではなくて、単に引用しただけであるということですか。

河野国務大臣 日本政府は、今回のアメリカのNPRを非常に高く評価をしております。それは、こういう北朝鮮情勢の中で、アメリカが同盟国に対するコミットメントをかなり明確に今回のNPRでもうたっているということを評価しているわけでございます。

 それに当たりまして、例えば低出力核の問題あるいはCTBTの問題、付随してこの予算委員会で議論になりましたので、アメリカのNPRの中でどううたわれているか、あるいは、CTBTについては、批准を求めないというところについては非常に残念である、そういうことを申し上げたわけでございます。

山内委員 報道によりますと、ロシア政府、外務省の報道官は、河野大臣の発言は平和条約の議論を含む両国の関係に悪影響を与えるといったようなことを発表しております。

 率直に言って、きのうは、別に言わなくてもいい発言だったのかなというふうに思います。やはり、何でもかんでもアメリカの戦略に日本がつき合う必要もないですし、日本には日本の立場があると思います。私は、文脈的に、言わなくてもいいことは言わなくてもよかったんじゃないかなという御指摘にとどめて、次の通告していた質問に移りたいと思います。

 外務大臣にお尋ねします。

 米韓合同軍事演習についてということで、産経新聞の報道でありました、安倍総理が日韓首脳会談において、文大統領に対して、オリンピック・パラリンピックが終わった後に米韓合同軍事演習を実施するように求めることがわかったと報道されております。

 これについて、我が党の逢坂委員が安倍総理に質問したところ、明確な答弁はなかったんですが、私は、こういったことはあってはならないと思っています。

 当然ないだろうと思いますが、念のため、確認のために質問させていただきたいと思います。

 仮に、仮にというか、恐らくないと思いますので、万が一事実だとすれば、日本の首相が同盟国でもない韓国の大統領に対して、アメリカと軍事演習をやりなさいよと言うことができるんでしょうか。そんなことを言う根拠はあるのでしょうか。

河野国務大臣 恐らく、首脳会談、きょうの午後でございますから、まだ行われてはいないというふうに思います。

 会談の中身を予断を持って、今、何が話されるかというのをお答えすることもできませんので、どうなるとは申し上げることはできませんが、少なくとも、日米韓の間で安保協力をしっかりと進め、この北朝鮮危機に当たろうという議論は日ごろからしているところでございます。

山内委員 首脳会談のことなので言えないというのはよくわかりますが、私は、こういった米韓軍事演習を日本がやれと要請する、こんなことはないと信じていますけれども、万が一そのようなことがあれば、韓国のナショナリズムをいたずらに刺激して対日感情を悪化させることになると思います。

 そういったことをやることはないと思いますが、もう一度見解を尋ねても同じお答えになると思いますので、意見表明にとどめたいと思います。こういった要請はするべきではないと強く主張してまいりたいと思います。

 時間が中途半端なので、済みません、では、二分しかないので、短く終わりそうな質問を一点差し込みたいと思います。

 外務大臣にお尋ねします。

 私の愛読しているある産経新聞のコラムによると、ローマ法王庁大使館、バチカンの大使館がございまして、その名称が実はカトリックの人たちにとっては余り望ましくないと。カトリック教会としては、日本語名称をローマ教皇と呼んでほしいというのがカトリック協会の公式な見解のようです。

 そういった意味で、名称を変えるというのは、大臣がその気になればそんなに難しくないと思いますし、人の名前とか国名というのはとても大事だと思います。これはもう大臣の御判断でできることだと思いますが、バチカン市国の大使館の名称変更、こういったことを相手の政府に対して相談する、協議する、そして、もし相手が望むのであれば変えていく、こういったことをお考えになる余地はありますでしょうか。

河野国務大臣 この件、御指摘がありましたので、直ちに駐日ローマ法王庁の大使並びに大使館及びバチカンに問合せをいたしましたが、いずれからも名称変更を求めていないという御返答でございましたので、特にその後のアクションはとっておりませんが、いずれの大使館からも名称変更の要請がありましたときには、外務省としてしっかり対応をする。かつて、グルジアをジョージアに変更したということもございますので、そういうことがありましたときには、しっかりとその問合せに対して対応してまいりたいと思います。

山内委員 では、ちょっと時間が終了しましたので午後に回したいと思いますが、小野寺大臣、お呼びしたのに午前中質問がなくて、大変恐縮です。

 では、午後に質疑を続けたいと思います。午前中は終了します。

河村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

河村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山内康一君。

山内委員 ちょっと事前通告をしていないんですけれども、麻生財務大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 新しい情報がありまして、本日十一時、参議院の予算委員会の理事懇談会において、財務省から、森友学園に関する、森友学園事案についての法律相談の文書というきょう付の文書、財務省理財局の名前の文書が参議院予算委員会の理事懇談会に提出をされました。

 この資料、昨年の国会審議のときも提出されておりません。会計検査院の調査のときも提出されておりません。今ごろになって出てきた。これについて、財務大臣、御見解を伺います。

麻生国務大臣 一月に開示いたしました法律相談の文書につきましては、昨年九月に行われました近畿財務局に対する開示請求への対応の中で文書の存在が判明したことから、その後、所要の手続を経て開示をしたところです。

 残りの法律相談の文書につきましても、これは国会から提出の御要請をいただいておりますことから、残りの法律相談の文書を網羅できているか、また、文書に個人情報等々不開示情報が含まれていないかといった確認作業を速やかに行わさせていただき、本日、お示しをさせていただいたところです。

 本件の文書は、森友学園との交渉に関して、法的な論点について近畿財務局内で検討を行った法律相談の文書でありまして、いわゆる森友学園との交渉記録ではありません。

山内委員 麻生大臣は、この資料の存在は前から御承知だったんでしょうか。

麻生国務大臣 きょうではありませんけれども、つい最近です。

山内委員 つい最近、数日ということでしょうかね。

 こういった資料がなかなか出てこなかった、この点、誰に責任があるとお考えでしょうか。(麻生国務大臣「ごめんなさい」と呼ぶ)

河村委員長 このおくれたことに対して、誰に責任があるかという質問です。

麻生国務大臣 資料の提出に関しましては、十二月の二十一日に十九件の法律相談の文書を検査院に提出をさせていただいておるということなんだと思いますが。

山内委員 森友学園の資料ですから、昨年の予算委員会のときも、恐らくそれから会計検査院の調査のときにも要求が出ていたと思います。それがこんなに遅くなってしまったということ、これは具体的に誰がどう責任をとられるんでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、残りの法律相談の文書につきましても、これは国会より提出の御要請をいただいておりましたので、したがって、私どもとしては、残りの法律相談の文書を確認というか、網羅できているということを全部きちんと調べ上げて、その上で、先ほど申し上げましたように、不開示情報が含まれているかいないかということの確認作業を速やかに行わさせていただいて、本日お示しをさせていただいたというところです。

山内委員 随分遅いと多分多くの国民の皆さん、メディアの人は思っていると思います、今ごろ何で出てきたんだろうなと。誰かが隠していたんじゃないのかと思うのが当然だと思うんですよね。

 そして、大臣が御承知になったのがつい最近ということでしたけれども、ここまで、つい最近まで大臣のところに報告が上がっていなかった、これ自体問題ではないでしょうか。

麻生国務大臣 この内容を読んでいただいたかどうか知りませんけれども、別にこの内容に関して、財務省が不利な情報が入っているわけでもありませんし、早目に出しても何ら不都合がない文書だというのがまず第一です。

 加えて、私どもとしては、その内容をきちんと確認をする作業をしなきゃならぬということだと思っておりましたので、私どもとしては、昨年の十二月何日と申し上げましたとおりに、十九件提出させていただいた内容を全部調べて本日御提示を申し上げたということで、別に意図しておくらせているわけではありません。

山内委員 遅いという認識もないようですし、これは財務省にとって不利じゃないということをおっしゃいましたけれども、だったら、なおさらもっと早く出てきてもおかしくなかったと思うんですね。

 何でこんなに遅くなったのか。しかも、黙っていて出てきたわけではないわけで、民間の方から訴訟を起こされたりして、結果的にこの時期になったということだと思うんですね。このこと自体、情報公開、情報開示の姿勢に問題があると思いますし、当時の責任者の方の、やはり当事者の意見を聞く必要があるかと思います。

 こういったおくれについて、もう一度お伺いします。

 今ごろ、数日前ですね、ごく最近になって麻生大臣のところにやっと報告が上がってきて、そして参議院の予算委員会の求めに応じてやっと出てきた。この問題は大変深刻な問題だと思います。どうでしょうか。

麻生国務大臣 先ほどお答え申し上げたとおりですが、私どもとしては、きちんと確認作業を行わさせていただいた上で提出をさせていただいたということです。

山内委員 やはり、恐らく大臣のところに事細かな文書がたくさん上がるとは正直思いません。その下で誰かがこういった情報が出ないようにしていたんじゃないかというふうに、恐らく誰でも予想ができると思います。その誰かが情報の提出をおくらせてきた、情報開示に極めて消極的であった。それは、恐らく当時の責任者、佐川さんだと思います。佐川国税庁長官、やはりこの場に来て、きちんと証言していただきたいと思います。

 そして、当時、局長時代、いろいろなことをあの席からやってきて証言されたんですが、今となっては、偽証だった、うそだったということが次々に明らかになっています。

 それから、資料が次々に発掘されてくる。こんなに時間がたって、時間差があって、次から次に情報が出てくる。いろいろな情報を隠していたんだと思いますし、まだ隠しているかもしれません。

 そういった意味で、単に政府参考人として出ていただくというよりは、むしろ、偽証したときには罪に問われる証人喚問で佐川さんを呼ぶべきだと思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 もう一度、この新しい資料が出てきた、そのことを踏まえて麻生大臣の答弁を求めます。

麻生国務大臣 私どもとしては、意図的に隠したわけでもありませんし、きちんと確認作業を行わせていただいた上で出したものだと思っております。それ以上のことはありません。

山内委員 その意図的かどうかも本人に聞いてみたいというのが我々の意見です。

 しかも、意図したかどうかは本人に聞いてみないとわかりませんが、こんなに隠された情報、出てこなかった情報が次から次に出てくる。それは、民間のマスコミの調査であったり、いろいろな形の調査やあるいは訴訟を通じて、ちょっとずつちょっとずつ、ぼろぼろ出てくる、次から次に出てくる。多分、まだ開示していない情報があるんじゃないかということを多くの国民の皆さんは感じていると思います。

 やはり、佐川さん本人、この場に出てきていただいて、きちんと証言をしてもらわないと困ると思います。今、確定申告の時期で、国税庁の長官が信頼されていない、このことは、本当に財務省にとっても深刻な問題だと思いますよ。

 ぜひとも佐川国税庁長官の本委員会への証人喚問を求めたいと思います。委員長にもぜひお願いしたいと思います。

河村委員長 理事会において引き続き協議をさせていただきます。

山内委員 これまで、いろいろな情報がぼろぼろぼろぼろと出てくる。そして、参議院の予算委員会、ついさっき、十一時に届いたばかりの文書ですので、きちんと中身を見たわけでもありません。ただ、分厚い文書ではありますが、そんなに表に公開するための手続が要るとも思えません。

 去年の予算委員会、二月の中下旬ぐらい、ちょうど去年の今ごろですね、森友問題が非常に国民的関心になった。それから一年たって、今ごろになって出てきた。

 この経緯についてきちんと話せる当事者というのは佐川さん以外にいないと思いますし、このことについて、財務省、まあ、麻生さんはつい最近までこの文書の存在を知らなかった、その点はやむを得ないかもしれません。しかし、こんなに遅くなったのはどういうことだと、部下の役所の人を大臣としてきちんと指導して、もし、まだほかにも隠れている、隠している情報があるのではないか、そういうことを省内でもう一度調査を徹底されるように、大臣の権限で指示、命令されたらどうかと思います。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 私どもとしては、会計検査院からの御指摘をいただいた点に関しましてはきちんと正していただきましたし、その後、国会からの要請に対してきちんと対応させていただいたということだと思っております。

山内委員 会計検査院が言ったときは出さなかったけれども、その次、国会が言ってきたら、今度は出す。要求があったときに何か小出しにしている感じは拭えないと思うんですね。どんどんどんどん小出しにしている。

 それから、そういう認識が、森友学園に関する、明らかに関係のある資料がつい最近まで大臣のところに情報が上がっていなかった、このこと、省内の問題、非常に大きいと思います。

 ぜひとも、財務省にまだ眠っている文書をきちんと大臣の責任において国民に向けて開示をするとともに、佐川国税庁長官の証人喚問を求めて、私の質疑時間は終わりましたので、質問を終わります。

 済みません。外務大臣、防衛大臣、江崎大臣、午後、質問する時間がなくなりましたことをおわびします。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、小熊慎司君。

小熊委員 希望の党の小熊慎司です。

 今ほどの立憲民主党の山内議員でもありましたけれども、新たな事実が出てきましたので、冒頭申し上げます。

 今ほどの答弁で財務大臣は、正常の過程でしっかり情報開示をしているということではありましたけれども、やはりこれは、多くの国民が注目をしている、また、国民の共有の財産の国有地の取扱いについて疑念を持たれている案件であります。

 この情報開示に至っては、もちろん隠すことは罪でありますけれども、震災前の東電のデータ改ざん、情報隠しの事件があったときに、当時の勝俣社長はそれを、反省を踏まえ、情報を隠すことは罪だが、情報を出すのをおくれることも罪としてしっかりと対応していくといった言葉を発せられたことがありました。

 この件に関しても、大臣は、手続上何の瑕疵もない、不手際はないというような答弁でありましたけれども、情報がおくれたという印象は拭えないわけでありますので、それをしっかりと責任を持って対処していただかなければならないというふうに思いますし、また、あわせて、我が党といたしましても、この件については、やはり佐川長官の国会に来ていただいての質疑をしなければこの疑念、真実が明らかにならないということを申し述べて、質問に入らさせていただきます。

 これまでも同僚議員が触れましたけれども、過日の台湾の地震の対応については、政府は速やかに専門家チームを派遣し、また日本台湾交流協会のスタッフも現地に早く到着をしているところでありますし、悪天候の中、今対応していただいていることは、率直に敬意と感謝を申し上げる次第であります。

 交流協会の職員の方ともやりとりをさせていただきましたけれども、やはり台湾特有の古い建物、構造上の問題もあるということでありますので、緊急対応で日本が寄与する部分もありますけれども、やはり同じ地震国である日本の建築関係の知見をもって今後の台湾の耐震性とかいったものについてもまた支援をしていく、そういったことが必要であろうかというふうに思いますし、また、この後、福島の問題にも触れますけれども、震災の折には台湾の方々から手厚い御支援をいただいたということで、昨日、福島県の副知事に確認しましたら、メッセージを送る用意と、また義援金に対してもしっかり対応したいということがあったことをお伝えさせていただきたいというふうに思っております。

 質問に入りますが、きょうは、まず文科大臣にお聞きします。

 本当は麻生大臣にお聞きしたいんですけれども、きょうは漫画の日ということであります。漫画の日というのは三つほど民間団体が指定していますので、その一つであるんですけれども。きょうは手塚治虫さんが亡くなった日であるということで漫画の日というふうになっていますし、また、大変好評を博した「君の名は。」の新海監督の誕生日でもある、この二月九日はそういう日であります。

 また、映画、漫画、アニメーションというのは日本の非常に大きな国際戦略上の財産、武器でもあるわけでありますし、映画に関しては、河村委員長とともに、映画を観て語る会というので、各界各層の方々と映画の振興を図っているところであります。そういった中で、台湾においても、俳優の阿部寛さんが現地におられたので、即座に一千万円ほどの寄附をするということで、台湾の方々からの大変な感謝があるということであります。彼も非常にすばらしい名優であります。

 こうした映画、アニメ、漫画といったものは、日本人が評価する以上に、日本の大きな情報発信の武器となっているというふうに思っております。

 そういう中で、政府においても国家戦略として位置づけてしっかり対応しているのは承知をしているところでありますけれども、まだまだ足りないというのが一つの印象です。

 昨年、残念ながら亡くなりまして、もう間もなく一年たちますけれども、谷口ジローさんはフランスから勲章もいただいています。その勲章を授けられたときに、日本は何でもっと評価しないんだということがありました。これはもっともっと地位向上していかなければならないというふうに思います。

 ここで提案をさせていただきたいのは、こうした文化に関して、もっと国を挙げての表彰、支援といったものが必要であるかというふうに思いますが、大臣、どのような見解をお持ちでしょうか。

林国務大臣 文部科学省におきましては、漫画やアニメーション、ゲーム等といったメディア芸術、これは広く国民に親しまれ、海外でも高く評価をされていることから、我が国が誇る日本文化としても重要と考えておりまして、メディア芸術祭や芸術選奨において顕彰を行っておるところでございます。平成二十八年度の主な受賞者には、庵野監督やまた秋本治さんという方も入っておられるわけでございます。

 そして、もう一つは、やはりこういうメディア芸術作品を保存してその活用を図るためにアーカイブが大事だ、こういうふうに思っておりまして、こういうアーカイブに関する取組への支援も実施しております。

 東京国立近代美術館にフィルムセンターというのがございますが、ここで、映画の収集、保存はもとより、映画の活用を進めて一体的にこの機能を強化することで我が国の映画の魅力を世界に向けて発信していこうということで、この四月から国立映画アーカイブに改組をするということも含めて、関係機関と連携協力しながら、作品の検証、保存、海外発信等に、より一層取り組んでまいりたいと思っております。

小熊委員 ただ、映画の保存、アーカイブ、取り組んでいるのは知っているんですが、重要文化財というのは実は映画フィルムは三つぐらいしかなくて、もっともっとやっていかなきゃいけないというふうに思います。

 そういう意味で、昨年からことしにかけていろいろあったので、私も寅さんを見て癒やされていました、寅さんの映画監督は会津の出身なんですけれども。寅さんといったもの、作品そのものもすばらしいんですが、その映っている風景とかは昭和の風景がしっかり残っていて、こういうものも逆に日本遺産みたいな形で指定をすることができないかということを、その映画監督の出身の湯川村というところの三沢村長から提案を受けました。そういった取組もぜひ検討していただきたいと思います。

 皆さん御承知のとおり、外務省では漫画を使っていろいろな啓蒙をしていて、これ、「ゴルゴ13」は財務大臣も御承知だというふうに思いますけれども、こういった切り口は非常に大事ですし、この後、風評被害でも触れますけれども、根本復興大臣のときにリスクコミュニケーションのすばらしいパンフレットをつくりました。これはもう完璧なものではあるんですけれども、やはり切り口としては、こういった漫画とかソフトな切り口というのでも風評被害にも有効活用だと思いますので、さらなる取組をお願いして、次に移らさせていただきます。

 先ほど来もお話が出ている沖縄の振興についてですが、やはり沖縄に寄り添う心というのが大事だと思います。

 江崎大臣にお聞きいたしますけれども、大臣も、聞くところによれば泡盛が大変お好きだということで、まさに身をもって沖縄に触れているということも感じさせていただきました。

 これは今週の予算委員会でも触れましたが、明治百五十年、これは沖縄にとってはまた輝かしい歴史じゃない部分もあるわけですね。まして、第二次大戦の沖縄戦のときに多くのものが失われて、振り返るといっても振り返れないものもあるわけです。記録がなくなっている。写真がなくなっている。だけれども、全国、全世界で集めれば、そうした散逸、残っている沖縄の風景、写真、物といったものも、この際、これを集めて検証することができるんじゃないかというふうに思います。

 また、きょう開会式を迎え、もう一部競技は始まっていますけれども、二年後の東京オリンピック・パラリンピックにおいても、これはオール・ジャパンでやると言っているわけですから、こうしたいろいろな契機に、まさに沖縄の姿といったものをしっかりと検証していくこと、沖縄の心を理解するということが必要だというふうに思いますが、江崎大臣はどのようにそれは感じておられますか。

江崎国務大臣 ただいま小熊議員おっしゃるとおりであります。

 沖縄は、明治以降、苦難の歴史を歩んでまいりました。例えば、明治五年の琉球藩設置から明治十二年の沖縄県設置に至るいわゆる沖縄処分、さきの大戦において、一般住民の方、何と四人に一人が死亡するという筆舌に尽くしがたい被害、その後も、本土が高度経済成長を謳歌している間、二十七年にわたる米軍による占領といった苦しい歴史を歩んでまいりました。

 こうした歴史も踏まえ、政府としては、本土復帰以降さまざまな沖縄振興策を講じてまいりましたが、これらの結果、一定の成果は上げてきたとはいえ、例えば水資源開発の結果、これまで多発していた給水制限が、沖縄本島では二十年以上にわたって年間ゼロ日が続いている今日であります。また、年間の観光客は過去最高の九百四十万人に達し、速報値でハワイを超えるといったことが挙げられています。

 内閣府では、特にこうした振興の取組について、パンフレットやホームページ等の各種媒体を通じて情報発信に努めております。

 今後とも、沖縄振興を積極的に、総合的に進めていくとともに、先ほど議員おっしゃられたように、今日までの資料とかそうしたものをでき得れば全国から集めながら、こうした資料館といったようなものもつくられれば大変幸いかなと思っております。

小熊委員 明治百五十年は、沖縄では今のところ、政府の関連事業としては一個しかないんですね。ジョン万次郎が上陸したとか、何かそんなことしかなくて、これは、大臣、もっとしっかり、戦後の苦難の道もありますけれども、本土復帰後の苦難の道もありますけれども、やはり、明治、今言われた琉球藩設置、琉球処分、そのあたりからの検証もしっかりしていくということがまさに沖縄に寄り添うことだと思いますし、国内だけじゃないんですよ。

 御承知のとおり、戦前においても沖縄の方々は世界各地に移民として行かれた方がいらっしゃいますから、まさに全世界に声をかけて、沖縄の、明治の百五十年の歴史をしっかり検証するということが必要だと思いますけれども、世界じゅうに情報発信すべきだと思いませんか。声をかけるべきだと思いませんか。

江崎国務大臣 まず初めに、先ほど沖縄処分といった表現でしたが、これは琉球処分であります。

 そして、ただいまの御意見をしっかり参考にさせていただきながら、何とか、小熊議員ともども、こうした問題に取り組んでまいりたいと思っております。

小熊委員 ぜひ具体的に実行に移していただきたいと思います。

 次に、今、人口問題を抱えているわけで、きょうは質問が多いので、文科大臣、端的にお願いしたいんです。あと地方創生担当大臣。

 大学改革で二十三区のいろいろな制限というか、やっているんですけれども、二十三区に大学が多い。日本の二割ぐらいある、大学生も二割ぐらい行っているということですが、首都圏の人口流入が問題であって、二十三区の流入だけじゃないんですね。それはわかっていると思います。でも、二十三区は大学が多いからということでこういう形になっていると思うんですが、首都圏を入れたら四割になるんですよ。二十三区でこういうことをやったとしても、その周辺部にまた二割ぐらい大学があるわけですから、何で二十三区にしちゃったのか。

 本当にこの都市集中という問題を考えて、この大学改革、これは私学会から、今パブリックコメントの最中ですから、いろいろな意見、反対の意見も出ていますけれども、二十三区ということは甘いと思っているんですね。

 まず、では地方創生担当大臣、地方からの流入って、二十三区だけじゃないですよ。二十三区に大学が集中しているけれども、首都圏を入れちゃったら四割以上ですから、ここに触れなければ、その半分にしか触れていないということですよ。どうですか。

梶山国務大臣 小熊委員おっしゃるように、実際の数値として、二〇〇〇年から二〇一五年までに、十五歳から二十九歳までの世代で五百三十二万人、約三割、地方でその世代が減少しています。これは出生数の減少とそして転出ということになりますけれども、地方創生の開始から三年たちまして、ことしは総合戦略から中間年ということでありますが、いまだにこの歯どめをかけられていない現実ということで私も認識をしております。

 今後、十八歳人口が大幅に減少していくということで、今百二十万人いますけれども、現実に、昨年の出生数は九十四万人、一昨年は九十八万人ということですから、それらも考えながら先々のあり方ということを考えていかなくちゃならないということなんですが、このまま二十三区内の定員増が進み続けると、東京の一極集中はますます加速をするということと、地方の大学の経営の問題等がございます。

 今おっしゃいましたように、東京圏と東京二十三区ということですけれども、二十三区のみで四十六万三千人の学生がおいでになります。これは一七・九%ということですが、そのほかの周縁部を見ますと、二十三区を除く東京都で見ますと一・四万人減少、埼玉では九千人減少、千葉では一万人減少、神奈川でも三千人減少ということで、県単位に見ますと、ほかのところ、周縁部も含めて減少しているということで、二十三区とさせていただいているということであります。

小熊委員 減少の率で見たということで、総体的には数が多いわけですよ。ここをいじらなければ根本に触れられないと思いますので、これは引き続き議論をしていきたいというふうに思いますよ。

 だから、それは大学側の思いはあるんですけれども、やはり大学が一つ地方にあるだけでこれは地域の活力になるというのはわかっています。加計問題とはまた別の話ですからね、これは。それもわかるんですね。でも、地域の活性化に寄与するのも事実ではありますが、一番大事なのは、学生にとってどうかというのが一番大事ではあります。

 ただ、余りにも大学が集中している国というのは、世界各国を見ても少ないです。やはり大学はいろいろな地域に点在をしている、そしてよい環境の中で学生が勉強をしているというのが本来の理想的なあり方だと思います。一義的にはそうだと思います。

 また、地方創生、人口の問題ということに関して言えば、もっと深く根本に携わらなきゃいけないというふうに思っていますので、その点を指摘して、次に移ります。

 地方創生担当大臣はもうないので、委員長の許しがあれば結構です。

河村委員長 梶山大臣、どうぞ。

小熊委員 次は、外交についてお聞きをいたします。

 まずODAについてですが、一点、外務大臣のお考えをお聞きしたいのは、大臣に就任前、ODAに対してはかなりシビアな目で見られていたというふうに思いますが、私はODAに関しては、震災の後、ODAの予算が削られたときに、もうお亡くなりになりましたけれども、当時参議院の中村博彦先生が超党派で意見書をまとめ、ODAはチャリティーではない、国家戦略であるから、日本が大変なときでもこれを減らすということではないんだということで官邸に意見書を出したときに、私も署名をさせていただきました。ODA、これは一円たりとも無駄にすることはしちゃいけないと思います。

 ただ、現実、私も地元に帰れば、日本が大変なときに海外に出すお金をそんなに多くしてどうするんだというのも、これも国民感情だと思います。チャリティーだと思われていればそうなります。でも、チャリティーではないんだ。やはり、まだまだこのODAのあり方については国民理解が進んでいないというふうに思います。

 この、ODAはチャリティーではない、しっかりとした国家戦略であり、また、日本が世界の中で役割を果たす上で重要なお金であるということをしっかりと伝えていくことが、まずは取り組んでいくことが大事な一点だというふうに思いますが、その点に関して大臣はどう思われますか。

河野国務大臣 第二次世界大戦が終わってから今日までで、恐らく昨年が、難民、避難民の数、一番戦後多くなったというような状況もございますし、テロというのも非常にふえている。

 そういう中で、テロ、難民、あるいは貧困、感染症、こういった地球規模の課題に日本だけが背を向けるということはできないわけですし、また、戦後、我が国も海外からの支援をいただいて発展を遂げてきたという歴史もございます。

 また、今委員おっしゃるように、世界の平和、安定及び繁栄につながるということが翻っては我が国に役に立つということもありますから、これは、世界の中で応分の責任を果たすと同時に、我が国も最終的に裨益をするということなんだろうというふうに思います。

 そういう中でこのODAが果たす役割というのは大きいと思いますが、他方、このODAも皆様からいただいた税金でございますから、その効果、効率性あるいは透明性といったことについて説明責任をしっかりと果たしていくというのも大切なことだというふうに思っております。しっかりと国民の皆様に理解していただけるような、また効果が最大限発揮できるようなODAに努めていきたいと思います。

小熊委員 そういう意味では、見えていないものをもっと見える化しなきゃいけないと思っています。

 例えば、ジャパン・ハウスなんかも、これは重要だとは思うんですけれども、あの予算をかけてやっていることの是非はまたおいておいて、例えば青年海外協力隊の青年、またシニアボランティアがある国の農村に行って、真面目に日本人としてその国のために働いている姿を見て、技術を移転したとかじゃなくて、その生き方、時間どおり来るとか挨拶をしっかりしているとか、それだけで日本はすばらしいと思う。まさに日本のいい情報発信になっている。でも、これはなかなか行政レビューにも載ってこない。下手な事業をやるよりも、まさに一人の青年が普通に暮らしているだけで日本に大きな利益をもたらしているという部分もあります。

 そういう意味では、まさに国民への説明責任といった点は、もっともっと見える化、今見えていないものをしっかり伝えていくこと。そして、今大臣がおっしゃっていただいた、まさに紛争解決のために、やはりその根本となっている貧困や病気といったものを、日本は戦後の中で、私は世界の中で一番寄与してきたというふうに思っています。テロにどう対応するかではなく、テロを発生させない世界をつくっていく、そういう意味では、日本はどの世界よりも国際貢献をしっかりやってきたというふうに思っています。

 そういう意味では、これからも、ことしの予算書の説明も、今まではスクラップ・アンド・ビルドでしたけれども、私は極端に倍増と言っていたんですが、今外務省は拡充という言葉まで使っていただいていますので、しっかりとした拡充、それは国民理解がなければなりませんので、その国民理解のための努力はこれからもあらゆる視点でやっていただきたいというふうに思っています。

 次に移ります。正しい姿の発信。

 正しい姿の発信というのは、真の日本の姿、正確な日本の姿を発信していくという意味で、日本が正しくてほかは悪いという意味の正しいではないと思うんですが、この言葉ぶりはちょっと気になったんですけれども。

 正しい姿の発信をしていくという中にまさに明治、戊辰百五十年の話も入っているわけですが、外務省として、百五十年をどういうふうにやるんですか。政府の考えは。

堀井(学)大臣政務官 外務省では、明治百五十年施策として、例えば、近代日本、諸外国との外交関係に関する国書、親書を含む外交史料館の所蔵史料をデジタルアーカイブや展示会で紹介する活動を予定いたしております。

 また、在外公館やジャパン・ハウス等を活用して、明治維新や日本の近代化に関連したイベントを企画するとともに、我が国には百五十年前から民主主義や法の支配等の普遍的価値の源流があったことを紹介する広報動画を配信することとしております。

 これらの取組を含め、今後も、政府の一員として明治百五十年関連の取組を盛り上げてまいる所存でございます。

小熊委員 ぜひ検討していただきたい点があって、これはアメリカに限られますけれども、月曜日の予算委員会でも御紹介させていただきましたが、初めて集団で入植した明治二年、これは会津の人たちです。来年で百五十周年になるんですけれども、明治の精神、チャレンジ精神ということを一つ政府は挙げられていますから、まさにチャレンジ精神ですよ。戊辰戦争の疲弊の中で、翌年にはもうアメリカへ行っちゃっているんですね、集団で、新天地を求め。これも検証するというのをちょっと入れておいていただきたいというふうに思います。

 次に移りますけれども、対外発信力の強化というか職員研修に予算をつけているんですが、いつも言うんですけれども、優秀な外務省の職員、外交官はいますけれども、中には、これは日本のある意味前線のトップセールスをしなきゃいけない人たちですけれども、どう見ても、車一台も売れないな、普通に車のセールスマンだったら、保険のセールスマンだったら保険の一本もとれないなというような方も散見されますので、職員研修というのも、常々ほかの委員会でも指摘していたんですが、語学力は当たり前です。コミュニケーション能力が足りていない。その研修が項目に上がってこないんですね。

 この点について、中根副大臣、どうですか。

中根副大臣 ありがとうございます。

 人と人とのコミュニケーションは、先生がおっしゃるとおり、基本中の基本でございます。我が国の対外発信力の強化のために、コミュニケーション能力を高め、我が国の政策や魅力を効果的に発信できる、そういった外交官を育成すること、まさに小熊先生がおっしゃるとおり、極めて重要なことだと考えております。

 外務省としては、外交官としての聞く力、伝える力を向上させるため、語学力はもちろんのこと、問題解決の基礎となる国際法、そして外交史の習得などを重視した総合的なコミュニケーション力を鍛える研修も実施しているところでございます。

 引き続き、小熊先生がおっしゃるとおり、コミュニケーションの武器となるさまざまな手段を身につけた総合力の高い人材を育成すべく力を入れていきたいと思います。

 よろしくお願いします。

小熊委員 ぜひ、そこはまた引き続き外務委員会でやりたいと思います。

 次に移ります。選挙権の話です。

 これは昨年のこの予算委員会でも同僚の津村委員が指摘していただきましたけれども、これは毎日新聞の調査で、その後、後追い調査をしたらちょっと違う点もあったんですけれども、北海道から沖縄まで、毎日新聞が調べたところによると、これだけの市町村が、居住実態を調べて、居住実態がない、住民票はそこにあるけれども居住実態がなければ選挙人名簿に登録しないという一覧表であります。

 配付資料の二番目、私、自分の選挙区を調べましたが、結構あって、人数にすると三千人以上ぐらい、選挙権を持たない若者が多いんですね。市町村ごとにどうやって調べているのと言ったら、調べて後追い調査するところもあれば、しないところもある。真面目にやっているところでは、自宅まで行って確認をしている。アンケートを出して返ってこない場合の対応も違うんですね。返ってこなければいないものとして登録しないところもあれば、返ってきていないところはそのままで登録しちゃうというところもある。ばらつきがあります。これは日本全国そうです。

 住民票を移すということは、総務省は正論として、住民票を移してください、移さない人が悪いんですみたいな感じで言っているんですけれども、そもそも調べていないところがほとんどですよ。野田大臣のところ、調べていないですよね。

 十八歳に選挙権が引き下がったとき、十八歳の人たちも十九歳の人もどんどん選挙に行ってくださいと選挙事務所を通じて後援者の人もやっていたと思いますが、こっちは、それをやったって、ないものという話なんですよ。

 これは、いろいろ理屈はあります。でも、私は、いないということをもってしてこの重要な権利を行使させないというのは、これは憲法にも抵触するんじゃないかというふうに思っています。この判断は、かつての最高裁、あと広島の高裁の判決の判断がこういうことをもたらしているんですけれども、でも、基本的には、選挙権を取り上げるというのはよっぽどの理由がなきゃできないんですね。

 まして、地方議員というのは地域要件というのがあるのはわかるんですが、我々国会議員は、選挙区というのもありますけれども、基本的には国の代表なんですよ。十八歳以上の国民であれば、投票できないというのはいかがなものかと思いますが、答弁をお願いいたします。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法におきましては、選挙権については、国政選挙の選挙権について、「日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。」と定められておりますが、一方で、その選挙権の行使につきます投票に関しましては、公選法の第四十三条において「選挙の当日、選挙権を有しない者は、投票をすることができない。」と規定されている、他方で、同法四十二条第一項におきまして「選挙人名簿又は在外選挙人名簿に登録されていない者は、投票をすることができない。」というふうに書いてございますので、それに基づいて事務を行っているということでございます。

 先生が指摘されました地域の実態につきましては、今、総務省としても、この前の衆議院選挙につきましてどのような対応をしたかということを細かく調査しているところでございます。

小熊委員 大臣にお伺いしますけれども、これは、だから、国民の選挙権を合理的な理由なく奪うというのはいかがなものかということに対する見解と、これは今、実態調査をやっとしてもらっています。これは、津村さんの質問の後、やるとなって、その前に僕がずっと総務省とやっていても、それは市町村の判断ですとかと言って、やっていたんですよ。国民の代表を選ぶ参政権、市町村の判断というのがもともとおかしいなと思っていたんです。

 物理的に考えても現実的に考えても、それはアンケート調査できますか。やっているところとやっていないところがあって、調査によっては、大学生の六割以上が住民票を移してなく親元を離れているんですよ。親元を離れている大学生の六割が移していないんです。ちゃんと調べたら、そのぐらいの若者が選挙権を失うんですよ。まして、調べている自治体と、例えば隣では調べていない、うちの息子はないけれども、おたくの息子は東京にいるのにあるのみたいな、こんな不条理な世界、いいんですか、存在していて、大臣。

野田国務大臣 委員は本当に、若い人たちの投票を、たくさん投票していただかなきゃならないんじゃないか、そういう熱い思いの中でのこういう御意見をいただいているわけですけれども、今現在のありようをしっかり申し上げるとするならば、まず、選挙人名簿の登録というのは、その当該市町村の区域内に住所を有することが要件となっています。現実に住所を有していない者を当該市町村の選挙人名簿に登録することはできない仕組みになっています。これが前提ですね。

 では、住所は何かというと、各人の生活の本拠というふうに言われており、引っ越しして親元を離れた方の、学生さんの住所は、一般的には、引っ越しした先の所在市町村にあるというふうに考えています。

 そしてまた、引っ越しして親元を離れる場合には、住民基本台帳法の規定がありますから、実家のある市町村へ転出届を出して、そして引っ越し後に、引っ越した先、学校のそばの下宿なりどこなりのところへ二週間以内に転入届を行うことが法律上の義務ということになっているわけです。

 部長からもいろいろ答弁がありましたけれども、その前提に立って、現行の選挙人名簿の制度については、裁判例で一応の合理性はあるということになっているわけですね。

 また、現行制度下においては、選挙人名簿に登録するに当たって、選挙人の居住実態の把握については、その手法も含めて各市町村において判断をしていただく。

 いずれにしても、問題になっているのは、その調査をやっているところとやっていないところがあるのはおかしいんじゃないか。真面目にやって、住民票が町にあって、だけれども居住実態がないということをしっかり調べた人ははじかれる、だけれども、やっていないところは、居住実態がなくてもそのまま自動的に投票用紙が行くみたいなことになるわけで、それにつきまして御指摘がありましたので、先ほども部長がお話をしたように、まずは各選挙管理委員会や文部科学省と協力をして、そして適切な、まず学生さんの住民票の異動というのが大前提にあるということなので、その引き続きの周知をしていくとともに、市町村の選挙管理委員会独自の、今問題になっている居住実態調査の状況等を今しっかり調べておりますので、その結果を踏まえて今後の対応をしっかり検討していきたいと思います。

小熊委員 住民票で十分だと思うんですね。二重投票の防止とかも住民票であれば防止できますし、その正確性を有するというのが大事なことであって、若者のことだけじゃない。国民の権利として、奪われているという話ですから、若者の政治の話じゃないです。国民の権利の話です。

 総務省も、「引っ越したら住民票を移しましょう!」と、ちゃんとインフォメーションしてチラシつくっていますけれども、そこに、選挙で投票する場所は原則として住民票のある市町村ですと。居住実態のある市町村ですと書いてないんですよ。いいじゃないですか、住民票のままで。

 現実、居住実態を調べられますか。調べられないですよ、現実論として。まして、我々だって居住実態はどうなっているのという話ですし、民間の方々だって今、移動が激しい時代ですよ。だから、二重投票の防止とかそういうことさえ防げれば、それは住民票が一番合理的だと思いますよ。

 市町村の判断というのを、この国民の重い権利を市町村の選管の判断にさせちゃいけないですよ。国の責任ですよ、これは。いろいろな理屈はありますけれども、現実として、国民の権利が一番大事だ、それを失わせることは、よっぽどの理由がなければだめなんですよ。居住実態なんて、そんな理由じゃないですよ。住民票でいいですよ。

 この点、もう一言、大臣。(野田国務大臣「まず部長から」と呼ぶ)時間がないから、じゃ、いいです。大臣が答えられないのであれば、次に行きます。

 引き続きこれはやっていくので、大事な話ですから。じゃ、その調査の結果が出た後、また議論させていただきます。

 原子力の損害賠償についてでありますけれども、過日も福島県の方から申出がありましたし、皆さん、配付資料を見ていただきたい、三枚目と四枚目。

 三枚目のやつは、震災直後、東電が言ったことです。四枚目は、昨年の特別事業計画で、しっかり対応していくと言っている割には、ちゃんとされていないということであります。

 そこで、政府にお伺いをいたしますけれども、浪江町、和解案が出たのに応じていないんですよ。これは吉野大臣のところに地元町議会からも来ていますよね。この点について、見解をお伺いします。

世耕国務大臣 浪江町の住民の方々から、原子力損害賠償紛争解決センター、ADRセンターに対して申立てが行われているわけでありますが、現在これは和解仲介手続が継続中でありまして、その継続中の案件について論評することは控えたいと思いますが、東京電力は、新々総特において、和解仲介案を尊重するとみずから表明しているわけであります。この趣旨に沿ってADRセンターから提示された和解案を尊重して真摯に対応することは、当然の責務ではないかと考えております。

小熊委員 吉野大臣、特段何かありますか、この点について。

吉野国務大臣 浪江町の町からも議会からも、ADRの和解案を早急に実行してほしい、こういう旨の要請を受けたところであります。

小熊委員 賠償に関しては吉野大臣もよく聞いていると思いますけれども、地元から相当の不満が出ています。丁寧に対応すると言っておいて、全然丁寧に対応されていない。それはケース・バイ・ケースで考えますと東電は言っているんですけれども、たとえ一件でも二件でも、これはそんな対応したらだめですよ、東電は。原因者ですから、事故の。

 ある例でいえば、あした担当者が電話しますと言って、電話しなかったんですよ。業務妨害じゃないですか、そんなのは。電話の対応も冷たい、きょう電話した人と次の日電話した人がかわっている、もう一回、一から説明、そんな状況ですよ。これは丁寧な対応をとっていない。

 だから、約束事は、一件一件ちゃんと丁寧に対応すると言って、口ばっかりで、結局実行に移されていないんですね。だから和解も進まない。件数では上がっています。だけれども、残っているものは、色濃くずっと残っているんですよ。

 その点について、再度大臣。

世耕国務大臣 件数は、今おっしゃっていただいたように、二万一千件のうち一万七千件ということで、八割以上の和解案が東京電力によって受け入れられているものというふうに認識をしています。

 ただ、今の電話の話とか、やはりそれは当然改善すべき点だというふうに思いますので、そういう意味で、東京電力に誠実な対応をしっかりと求めてまいりたいと思います。

小熊委員 いわゆる風評被害の営業損害、これは、大臣は過日の予算委員会でも、まだ厳然として残っていると言っていただいた。厳然として残っているけれども、一件一件の賠償になるとまた別の話になっちゃう。

 風評被害の方にちょっと移りますけれども、消費者担当大臣、だから、風評被害というのはリスクコミュニケーションということなんだけれども、消費者担当大臣として、この風評被害に対する消費者の意識改革、どのように取り組んでいくんですか。

江崎国務大臣 お答えします。

 消費者庁では、風評被害に対する消費者意識の実態調査を平成二十五年からこれまで定期的に十回行っているところであります。

 平成二十九年八月の直近の調査では、放射性物質を理由に福島県産の食品の購入をためらうという回答は全体の一三・二%であり、これまでの調査で最も低い数値である一方で、まだ不安に思われる方が一定数おられます。

 この結果を踏まえて、引き続き、消費者庁として、積極的にリスクコミュニケーションに取り組んでまいります。

小熊委員 ちなみに、よく政治家がやるパフォーマンスで、大丈夫ですよというので自分が食べたりしますけれども、江崎大臣、福島のものは日常どのようなものを食されて、周りに大丈夫だというのを発信されていますか。お酒ですか。

江崎国務大臣 小熊議員おっしゃるとおりで、福島の銘酒と、あと、福島の復興のフェスティバルで味がついたワラビとかそうしたものを買って、非常においしいものですから、時折取り寄せたりしております。酒は、特に福島の日本酒が好きであります。よろしいですか。

小熊委員 飲み過ぎには注意していただいて。

 このリスクコミュニケーションをどうやるかというのは、下がってはきても、厳然として残っているんですね。ここをどうするかという切り口なんですよ。先ほど言ったとおり、もう既にいろいろなパンフレットは、もうこれ以上ない、これ以上のものはなかなかつくれないと思います。ただ、まだまだ新たなアプローチが足りていないんですよ。

 福島のことを復興庁は映像誘致していますけれども、いろいろな報道ベースのものばかりです、多少映画とかバラエティーとかも来ていますが。そういう意味では、どんなリスクコミュニケーション、TOKIOが来て、福島最高と言ってもらったようなコマーシャルが一番いいと思うんですけれども、ああいった切り口が大事だと思うんですね。そこは吉野大臣はわかっていると思いますけれども、江崎大臣、消費者庁としてもそういう切り口、復興庁がなくなればどうするのといったら、消費者庁はあり続けるわけですから、とりわけ任が重いんですよ、この風評被害に対しては。

 これは具体的にどうやっていくかというのは検討していますか。今までどおりだとやはりここは残るんですよ。今までもう十分やってきました。今までの努力は、関係各位、県内の人たちも、これは国を挙げても、他県の人たちも一生懸命協力する人はしてもらった。でも、どうしても残る、最後。ここは新たなアプローチが必要です。新たなアプローチ、取組、大臣、やっていただけますね、やりますね。どうですか。

江崎国務大臣 これからも一生懸命取り組んでまいります。

 特に、消費者への食品中の放射性物質に関する情報提供や理解増進を図るため、「食品と放射能Q&A」を配布するだけではなく、全国各地で意見交換会を開催してまいります。

小熊委員 そういうのはもうずっとやってきたから、新たなアプローチをぜひ、ちょっと提案しますから、大臣、よろしくお願いします。

 最後に、第二の廃炉、東京電力福島第二原子力発電所廃炉ですが、これまで何回もやってきましたけれども、経産省、経産大臣含め、これまでの副大臣、政務三役含め、第二は、東電が来ていますから、東電の答えは、第一の廃炉のためにこれを使っていると言っているんですね。じゃ、何に使っているのと言ったら、敷地内でタンクをつくっていると。そうじゃなくて、炉心そのものを何に使っているのと聞くと、答えが今までありませんでした。経産省の方、経産の三役に聞いたらモックアップという言葉も出てきたんですけれども、モックアップでは使えません、炉型が違いますから。

 まして、昨日ぼやも出している。何もなく、これは放射線漏れがなかったからよかったようなものの、でも、こういうニュースが出てくるたびに、吉野大臣、いろいろな明るい情報発信を福島県民挙げてやっているけれども、こういう情報でもなかなか、福島県のブランドイメージを傷つけることになるわけです。ぼやで済んだからよかった、放射線漏れがなかったからよかったという話じゃないんですよ。

 だから、これを我々はなくしたい、これが県民の総意ですよね。吉野大臣は、閣内に入っていながら、経産大臣に申し伝えましたというのが答弁ですけれども、その後どうなったかも答弁してくれなかったけれども、なくしたいんですよ、これを。でも、それをなくしてほしいと言ったら、経営者の判断ですと冷たく大臣は言うし、東電に聞くと第一の廃炉に使っていると言ったけれども、これは炉心そのものを使っていますか、東電。

文挾参考人 東京電力ホールディングス副社長の文挾でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、福島第一原子力発電所の事故からもうすぐ七年というものがたちますけれども、今、皆さんに御迷惑をかけ続けているということに対しましては、改めておわびを申し上げたいというふうに思います。

 今御質問をいただきました、炉心そのものを使っているかということでございますけれども、この福島第二は、先生御存じのとおり、福島第一原子力発電所から近い距離にあります。これは十二キロという距離にございまして、港湾を有しておりまして、それとか、技術的な要員が常駐をしているということでございます。地点及び人的リソースの両面から、今後も、福島第一原子力発電所の廃炉作業のためには、後方支援として貴重な存在であるということは先生も御存じだというふうに思います。

 そういう中で、今後も、福島第一原子力発電所廃炉作業の着実なリスク低減に向けまして、今後更に福島第二をどのように活用していくのかとか、また、福島第二のどの設備が必要で、どの設備が不要かということに対しましては、現時点で明確に申し上げることは非常に難しいというふうに思ってございます。

 また、これまでも申し上げておりますとおり、福島第二の扱いにつきましては、福島第一の廃炉のための後方の支援ということだけをもって判断するということではございませんで、会社としては、国のエネルギー政策の動向とか、環境、特にCO2の問題です、それと電源の構成のあり方、それとエネルギーセキュリティー等、多岐にわたる総合判断が必要というふうに考えております。

 事業者としては、しっかり検討してまいるという所存でございます。

小熊委員 これは経営者の判断と経産大臣はずうっと歴代言い続けているんですよ。固有名詞は言わないけれども、前の前の経産大臣のときは株主のこともありますからと。福島県民より株主。株主は、大体半分以上が国なんだから。今聞いたでしょう。国の基本計画にも合わせてと言っているんですよ。じゃ、国の基本計画から外していいよと言ってやればいいじゃないですか、経営者の判断じゃなくて。そうでしょう。これは経産大臣が答えたって教科書どおりしか出てこない。

 吉野さん、これはどう思いますか、今の言葉を聞いて。国のと言いましたよ。国の責任にもしています、一部。

吉野国務大臣 事業者の判断というのが、政府の、閣内の統一見解でございます。

 今、東電のお話を伺って、国の大きなエネルギー政策等々を加味しなければいけない、そういうものを総合的に調べて判断をするという東京電力の答弁がございました。この点も含めて経産大臣等々とよく議論をしていきたい、このように思っています。

小熊委員 では、最後に経産大臣に聞きますよ。

 もう間もなく、第二の第一は四十年を迎える。これを動かすなんていうことは到底考えられないんですよ。もうやったらいいんですよ、これは福島県民の願いだし。再生可能エネルギーで、原発に依存しない社会で福島県が世界をリードしていくと訴えているのに、そこに、動かすか動かさないかわからない、決まっていない原発があるなんていうのは非常に皮肉ですよ。復興の足を引っ張っている。これは判断できないことがおかしい。

 まして、じゃ、株主、五一%持っているんですよね、株主としても。答えられるなら、経産大臣、最後に、やめるということを明言しない限り、これは福島の人の心に寄り添った形になりませんよ。

 最後に皮肉っぽく言います。我々野党も政局観ではいろいろありますけれども、福島県では、モリカケの問題の前に、安倍政権の支持率は、不支持率の方が上回っていたんですよ。それは何でか。まさに原発問題ですよ。福島に寄り添い、福島の復興なくして日本の再生なしなんて、言葉だけだから。東電と同じ、言葉だけだから。それを見抜いてそういう評価なんですよ。

 これは早く判断してくださいよ。県民の総意ですよ。政治が前面に立つと言っているのに、何が事業者の判断という言葉が出てきますか。

 経産大臣、最後に、今、吉野大臣もちゃんと議論していくと言ってくれた、それを受けて、ちゃんと政治家として、政府として判断していただけますね。

世耕国務大臣 吉野大臣からも何度も伺っています。小熊議員からも何度も御質問いただいています。知事からも、県会議長からも、市町村長からも、なくしてほしいという声は本当によく聞いています。痛いほどそこはよく理解しています。そういうお気持ちに立てば、福島第二を他の今申請中の原発と同列に扱うことはできないと私は思っています。

 ただ、これは東京電力がやはり判断をしなければいけない。地元の声を……(小熊委員「東電も、今聞いたって、国の計画があるからと」と呼ぶ)国のあれは、エネルギー政策に基づいて自分たちで判断をするということなんですね。マクロの政策に基づいて自分たちで判断しなければいけないところということを言っている。

 東京電力は、当然、原子力人材の投入をどうするかとか、これはまさに経営問題そのものでありますから、東京電力が地元の声にもしっかり向き合いながらしっかりと判断してほしいと思っています。

 吉野復興大臣が就任された際に、東京電力の去年就任した新会長がお会いになったときは、できるだけ早く判断をするということも東京電力のトップも言っているわけですから、私はその判断を待ちたいというふうに思います。

小熊委員 政治が主体的にやらなければこれは解決できない問題です。

 吉野大臣、期待していますから、しっかり政府の中でやってください、これは。今の経産大臣の答弁では、到底福島県民も納得しません。

 以上で質問を終わります。

河村委員長 これにて小熊君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 まず冒頭、麻生財務大臣にお伺いします。

 きょうの昼の理事会で、森友学園の事案についてという、こんな分厚い資料が今ごろ提出されたということです。これは、過去一年近く予算委員会で資料、資料と言っているのに、佐川当時の理財局長も資料はありませんと言って、結局またこういうふうに今ごろ出てくる。まさにこれは隠蔽じゃないですか。

 きょうは、この後、大切な、過労死や裁量労働制、働き方改革の議論をしますので、この一問にとどめさせていただきますけれども、麻生大臣、今ごろこういうものを出してくるというのは、余りにも隠蔽体質甚だしい、国民に対して不誠実じゃないですか。ぜひ一言、謝罪をお願いします。

麻生国務大臣 質問通告にはありませんでしたということをまず最初に、その上でお答えをさせていただきたいと存じます。(発言する者あり)質問通告は、あらかじめ言っておいてくれればいいじゃない。

 やじに答弁する立場には全くないんですけれども。

 先ほども御質問がありましたのでお答え申し上げたとおりでありますけれども、先般一月に開示をされました法律相談の文書につきましては、これは昨年九月に行われた近畿財務局に対する開示請求に対して、私どもは、その後、対応の中で文書の存在が判明したということから、所要の手続を経て開示をしたということであります。

 先ほど申し上げたとおりなので、繰り返しになろうと思いますので、お時間もないようですので、以上です。

山井委員 私は、説明じゃなくて謝罪をと言ったんです。こういう国民に対して不誠実な隠し事をしながら、いまだにおわびの一言もしない、本当にこれは余りにもひど過ぎると思います。

 それでは、五十分間、働き方改革について質問をさせていただきますが、安倍総理がおっしゃるこの国会の目玉の働き方改革法案、私たちが言うところの残業代ゼロ法案、きょうは、お忙しい中、菅官房長官にも目玉法案の説明をぜひしていただきたいと思って、加藤大臣とともに菅官房長官にもお越しをいただきました。

 この五十分の中で、特に、今までから大西議員、玉木議員、岡本あき子議員、長妻昭議員がこの場で質疑をされてきました裁量労働制、働き方改革の一つの目玉ですよ。でも、これは、長時間労働を是正するどころか、長時間労働になったり、過労死を生む土壌になっております。

 にもかかわらず、安倍総理は、先日のこの場での長妻議員への答弁で、あたかも裁量労働制の方が労働時間が短くなるかのような答弁をされました。これは人の命にかかわる問題です。しっかりと真実を究明したいと思います。

 多くの過労死の御家族の方々が必死で頑張って、過労死防止法が三年前に成立をいたしました。しかし、残念ながら、その後も過労死はふえ続けております。

 その最大の理由は一つ、労働時間の把握が不十分なんです。働かせ放題で、事業主や上司が労働時間の把握、健康管理をしっかりしない。店長さんが三百六十五日働き続けて過労死されたり、あるいはお医者さんが働き過ぎで過労死されたり、あるいは記者の方が過労死されたり、多くの方々が過労死をし、また御家族の方々は涙に暮れておられます。その特徴は、労働時間把握を緩くしているということなんです。

 その象徴的なことが、きょう問題にする裁量労働制。事もあろうに、そのような過労死や長時間労働の温床になっている裁量労働制を拡大するということが、今回の働き方改革の目玉となっております。

 きょうは、配付資料をお配りさせていただきましたので、順次お話をさせていただきたいと思います。二十枚ございます。

 この表紙にあります、「三十一歳NHK記者 過労に消えた笑顔」という、佐戸未和さん、三十一歳でお亡くなりになられました。きょう、御家族の方も傍聴にお越しになっておられます。多くの方々が過労で亡くなっておられますが、最近の特徴は、こういう若い、真面目なすばらしい方が過労で亡くなってしまう、そういう方がふえている。

 この記事にもありますように、残業時間は一カ月で百五十九時間。そして、二ページにもありますように、この佐戸未和さんが亡くなられた後、上司からは、記者は時間を管理されるのではなく、個人事業主のようなものだと言われたと。この未和さんは、事業場外みなし制という制度でありましたけれども、裁量労働的な働き方であり、上司からは、裁量労働だから時間は自己管理だ、個人事業主のようなものだと言われたというんですね。

 つまり、裁量労働だから組織や上司はあたかも責任を負わないと言わんばかりのことが、このような、労働時間を正確に把握する働き方ではなくて裁量労働的な働き方では起こってしまうわけです。

 三十一歳の未和さんは、本当にすばらしい、真面目な、優秀な記者さんでした。結婚を二カ月後に控えて、携帯電話を握り締めたまま亡くなってしまわれました。月の残業時間が百五十九時間、その前も月百四十六時間。そして、死亡直前の一カ月の休日は二日だけ。このような痛ましいことになった最大の問題点は、裁量的な労働、つまり労働時間の把握を正確にしない、そういう働かせ方にあるというふうに私は思います。

 残念ながら、この働き方法案の目玉が裁量労働制の拡大で、高度プロフェッショナルとともに、労働時間規制を青天井にすることになります。年収要件も年齢要件もありません。ブラック企業が、本当に裁量労働制の拡大を今か今かと待っております。残業代をほとんど払わずに深夜までの労働を強いることが合法的に可能になってしまう、恐ろしいリスクをはらんでいます。

 私は、全面的に、裁量労働制、一から十まで反対とは言いません。でも、こういう悪用されるリスクがどんどん今高まってきて、規制するところをなぜ拡大するのかということをお聞きしたいと思います。

 そこで、これは質問通告もしておりますので、お忙しい中お越しいただいた菅官房長官にまずお聞きしたいと思います。

 この働き方改革、長時間労働の是正は私たちも賛成です。しかし、高度プロフェッショナルや、多くの過労死を今生んでいる裁量労働制は、労働時間規制の緩和、長時間労働をふやすんです。ぜひ、今回の働き方関連法案から、高度プロフェッショナルと、この長時間労働、過労死の温床になっていると、過労死の家族の方々が、頼むからもうこれ以上拡大するな、拡大どころか縮小してくれと言っている裁量労働制、削除をしていただけませんか、菅官房長官。

菅国務大臣 委員御承知のとおり、制度の所管は厚生労働省であります。担当大臣である厚生労働大臣から答弁をさせていただきます。

山井委員 菅官房長官、でも、これは安倍政権の目玉となる法案であります。ぜひナンバーツーである菅官房長官からも、これはそのために質問通告までしているわけですから、ぜひ答弁をお願いいたします。

 私は、小さな法案だったらこんなこと言いませんよ。安倍総理が、この国会の目玉法案だ、政権を挙げてやるとおっしゃっているがゆえに、ナンバーツーである菅長官にお聞きをしているわけです。菅長官、お願いいたします。

菅国務大臣 しかし、担当大臣が出席をしていますし、これはまさに厚生労働省の所管でありますから、大臣から責任を持って答弁をさせていただく。

山井委員 厚労大臣には後ほどお聞きしますので、結構であります。

 本当に無念の中で、もっともっと働きたかった、生きたかった、本当に佐戸未和さんの御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 と同時に、多くの過労死をされた方々、特徴は真面目で責任感も強くて家族思いな方々、そういう方々が、真面目だからゆえに、上司からの指示を受けて、晩遅くまで、あるいは休日も出勤して働いて、亡くなっていっているんです。こういうものをなくしていかねばと思います。

 次のページ、三ページ、高橋まつりさん、電通で過労自殺。ここにもありますように、線を引いておきました。ある日は、もう朝四時だ、体が震えるよ、死ぬ、もう無理そう。あるいはほかの日は、一日の睡眠時間二時間はレベル高過ぎると。

 月の残業は百五時間となっておりましたけれども、結局、電通は、七十時間を残業、そういう指針をつくっていたがゆえに、高橋まつりさんは、十月に六十九・九時間、十一月に六十九・五時間としか記載ができなかったわけです。どれだけ労働者が弱い立場なのか。

 そして、高橋まつりさんのお母さんの手記が昨年公開されておりますが、ここにありますように、「政府の残業規制 疑問」、赤線を引きましたように、「労働時間規制の例外の拡大は絶対にあってはならない。」、これは高度プロフェッショナルと裁量労働制のことであります。

 このような、佐戸未和さんや高橋まつりさんのようなすばらしい若い女性が過労で倒れられた。普通考えたら、こういう裁量労働制的な働き方を規制強化して、厳格化しようと思いませんか。それが何ですか、規制緩和して拡大するって。過労死促進法じゃないですか。

 さらに、次のページを見てください。先日、お二人の裁量労働制の犠牲者の方と、私、直接お目にかからせていただきました。記者会見もされております。これがその資料であります。

 お一人の方は、三十代女性、裁量労働制。裁量労働制だけれども、長いと月百時間の残業、繁忙期は深夜一時ぐらいまで残業。昨年十一月二十七日の深夜に会社で倒れ、意識不明になる。裁量労働制ですよ、これが。たまたま夜中の十二時に同僚が職場に帰ってきたから発見されて、一命を取りとめた。でも、これは、その職員の方が帰ってこなかったら過労死で死んでおられましたよ。今は適応障害で退職。就業規則には、全従業員裁量労働制にと。

 これは、ごくわずかなみなし労働時間の残業代で、定額働かせ放題じゃないですか。ブラック企業じゃないですか。ブラック企業の手口に裁量労働制がなっているんじゃないんですか、これは。この女性の方と直接お目にかかりましたよ。本当に、よく生きていられたなということですよ。

 その次の男性の方ともお目にかかりました。契約社員ですよ。契約社員、三カ月更新。裁量労働制だけれども、実際の月残業時間、最大月百時間、ごく一部しか残業代がつかない。おまけに、契約社員だったときは最低賃金レベルですよ、時給が。さらに、禁止されている取引先の電話かけや取引先への訪問など、営業活動は本来行ったらだめなはずなんですよ、裁量労働制というのは。それもやっていた。この方も、残念ながら、今、体調を崩しておられます。

 こんな若者を使い倒して、体を壊させて、ぼろぼろにさせて、こんな働き方はやはりまずいと思われませんか。これを更に拡大すると言っているんですよ、営業職とかに。

 そこで、このことに関して、安倍総理は先日、何と答弁をされたか。次のページをお願いいたします。

 安倍総理の答弁を受けて、読売新聞の社説ではこう書かれています。長妻代行が裁量労働制の拡大を批判した、残業の上限を青天井にする、過労死がふえるのは目に見えているなどと訴えた。安倍首相は、裁量労働制で働く人は、一般の労働者より労働時間が短いとの調査もあると反論した。

 左のページ、日経新聞も同様。長妻代行が裁量労働制を取り上げて、労働者の過労死が更にふえると。そのとおりですよ。と訴えたら、安倍総理は、裁量労働制で働く人の労働時間は平均で一般の労働者より短いと説明したと。

 私、断っておきますが、読売新聞と日経新聞を批判する気は毛頭ありません。安倍総理がそういう答弁をしたからこれは報道しているにすぎないわけですから、読売新聞も日経新聞も、全く批判をする気はありません。問題は、そういう答弁をしたからなんですね。

 それで、その次に、じゃ、具体的にどういう答弁を安倍総理はしたのか。次のページ、二重丸をしておきました。厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べれば一般の労働者より短い。これは、きのうもこの場で岡本あき子議員が質問をされました。

 これについて、先日、玉木雄一郎議員も加藤大臣に質問して、これは本当に平均時間を比較したんですかということを加藤大臣に聞けば、七ページにありますが、平均じゃない、安倍総理が答弁したのは裁量労働制と一般労働者の方の平均労働時間の比較じゃないと加藤大臣が答弁されたから、玉木議員は、じゃ、一般と裁量労働制の労働時間の平均、これを出していただけますかと。計算できるかどうか、検討してみたいと思いますと加藤大臣は答えられて、昨日も、岡本議員、この件、質問をされました。

 改めて、安倍総理が答弁されましたけれども、一般の労働者と裁量労働制の労働者の平均労働時間、これは厚生労働省の、この安倍総理が根拠とした調査で出ているんですか。

加藤国務大臣 せっかく山井議員と時間をとって議論をさせていただくので、ちょっと一つか二つ、今、これまでお話しになった点に触れさせていただきたいと思うんですが、先ほど……(山井委員「いや、もう結構です。短く」と呼ぶ)いや、短くします。

 事業外の労働については、これは別に裁量制というのは違います。これは事業場外になっているからでありますから、そこと裁量制を一緒にすると、私、やはりきちんとした議論をできなくなると思うんですね。

 だから、一個一個がどうなっているのか。そしてもちろん、それぞれの制度の中で、きちんと運用している企業もあるし、そしてその中でしっかりとした生活をされている方もいらっしゃる一方で、今回御指摘のあるような過労死が生まれている。我々は、これに対しては断固として闘っていかなきゃいけないと思いますが、ただ、そことぐちゃぐちゃにしたら、かえって話が難しくなってくるし、逆に、裁量労働制によってめり張りのある生活ができている人たちもいらっしゃるわけでありますから、そういったところは伸ばしながら悪いものを抑えていく、これが私はありようではないかなというふうに思います。

 その上で、今御指摘の点、総理や私の答弁はもうそこに出ておりますから、あえて重複をするつもりはございません。

 その上で、私どもの、平成二十五年度に、労働時間等総合実態調査結果ということについては、事業場ごとの平均的な者、この平均的な者については、きのう岡本委員にも細かく申し上げたので、あえて重ねて申し上げませんが、それの一日の労働時間について調査をしたということでございまして、したがって、調査対象の事業所で働いている全ての方の労働時間を把握しているわけではございませんので、そういった意味では、そこについての平均値ということを私どもは算出するだけのデータは持っていないということは確認いたしました。

山井委員 ということは、この二十五年の厚生労働省の調査からは、裁量労働制の労働者の平均労働時間は一般の労働者の平均労働時間よりも短いという結果は出ていないということですね。

加藤国務大臣 今御説明いたしましたように、平均的な者と、もう一つはたしか最長の者だったと思いますが、それをそれぞれピックアップして、それを事業者ごとにまとめたということでございますから、一定の労働者の状況を調査して、今おっしゃるような、それぞれの、一般的に働いている方、裁量制で働いている方の平均値をとっているものではございません。

山井委員 ということは、この二十五年の調査では、裁量労働制の方の方が一般の労働者より平均して労働時間が短いということは言えないわけじゃないですか。言えないわけじゃないですか。

 言えないのに、なぜ、そう受け取れるような答弁を安倍総理はされたんですか。答弁、これは撤回して、修正する必要があるんじゃないんですか。NHK生放送でやって、その結果、そのまま聞いたマスコミの方々も、全国民に、裁量労働制は一般の労働者よりも労働時間が平均短いということで広がっちゃっていますよ。

 ということは、あの答弁は訂正するということでよろしいですか。

加藤国務大臣 総理も、厚生労働省の調査によれば、私どもの労働時間等総合実態調査の結果によれば、そして平均的な、総理は働く人とおっしゃったですかね、平均的な者についてはこうだということを申し上げたので、平均がとか平均値がという言い方をしているわけではございません。

山井委員 そういうのをだましというんじゃないんですか。普通の人が聞いたら、平均が裁量労働の人の方が短いと思うに決まっているじゃないですか。実際、そう報道されているじゃないですか。

 菅官房長官、安倍総理は、これも質問通告しています、裁量労働制の方が労働時間が一般の方よりも短いというふうに、もしかして安倍総理自身、誤解されているんじゃないんですか。菅長官、いかがですか。いや、菅長官、通告もしていますから。

菅国務大臣 委員も政権を担ったことがあるというふうに思います。

 きのうの質問通告を受けた際にも、質問に対する答弁というのは担当大臣である厚生大臣の方から答弁するのが適当である、これは事務方から申し上げたということであります。

 いずれにしろ、私ども、法案を出すときは、それぞれの所管大臣が責任を持って国会で答弁をして、そこで理解をいただきながら進めるわけでありますから、これについても厚生労働大臣から答えさせていただきます。

山井委員 これは非常に大きな問題ですよ。働き方改革法案の目玉となる裁量労働制で、労働時間が一般より短いのか、長いのか。正反対じゃないですか。安倍総理が、その認識を根本的に、裁量労働制で労働時間が短くなるなんて誤解していたら、これはもう大変なことですよ。

 菅官房長官、これはぜひとも、菅官房長官としては、働き方改革法案を推進するまさにナンバーツーであるわけです。菅官房長官としては、この裁量労働制というものに関して、どういう認識をされていますか。働き方推進の会議にも出席されているメンバーであると思いますので、菅長官、いかがですか。

菅国務大臣 今私申し上げましたように、私ども、それぞれ大臣は担当の所管を持っていますから、その所管の法案について、この委員会を始め、他の、自分が所管の委員会に出席をして、そこで説明をさせていただく、それが内閣としての責務じゃないでしょうか。

 ですから、この問題については、その担当大臣であります厚生労働大臣からそれは答弁させていただくというのが、これはある意味で、そこは議会の基本じゃないでしょうか。そこについては、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っています。

 その上で、私、申し上げれば、そこまで委員が申し上げますから、いわゆるこの働き方改革というのは、一億総活躍社会の実現に向けて最大のチャレンジであり、政権の最重要課題として取り組んできている、ここは事実であります。

 今回のこの働き方改革というのは、働く方の健康を確保し、そして、一人一人の事情に応じた、多様で柔軟な働き方が選択できる高度プロフェッショナル制度の創設と裁量労働制の見直しのほかに、長年にわたって議論されながら結論を得ることができなかった、まさに罰則つきの時間外労働の上限規制の導入、さらには、同一労働同一賃金に向けてのガイドラインの提示及び関係法令の整備など、働く方々にとっても極めて重要な改革であるというふうに思っております。

山井委員 だから、八本にまとめずに、過労死や長時間労働をふやす高度プロフェッショナルと裁量労働制は分けるべきだということを言っているわけですよ、ごちゃまぜにするんじゃなくて。

 かつ、これは、私が言っているのは、加藤大臣の答弁が問題だと言っているんじゃないんですよ。今、政権の最重要課題とおっしゃいましたよね。最重要課題において、安倍総理が間違った答弁をしているということなんですよ。国民に裁量労働制は労働時間が短いと言っちゃっているじゃないですか。

 委員長、これは、安倍総理出席のもと、働き方改革の集中審議をぜひやっていただいて、その場で安倍総理に、本当に裁量労働制で一般の労働者よりも労働時間が短くなるのか、安倍総理の見解をお聞きしたいと思います。委員長。

河村委員長 理事会で協議をさせていただきます。

山井委員 これは、菅官房長官、最重要課題とおっしゃったんですからね。これは最重要課題で、過労死がふえるんですよ。はっきり言います。裁量労働制を拡大したら必ず過労死はふえますよ、それは。さっきも言ったじゃないですか、この実例を。労働時間規制が緩くなるんだから。健康を確保しつつとおっしゃったけれども、裁量労働制は、労働時間管理が緩くなって、健康を壊すんですよ。そういう実績が多くあるわけです。

 そこで、加藤大臣、二十五年の厚生労働調査は平均値じゃないと。でも、厚生労働省は、裁量労働制と一般の労働者とを比べた調査をやっているのを御存じじゃないですか。

 次のページ、お願いします。十二ページ。

 独法であるJILPT、労働政策研究・研修機構がしっかりそういう調査をやっているんですよ。これを見てください。きのうも岡本あき子議員からあったけれども、明らかに裁量労働制の方が労働時間が長いじゃないですか。これは常識ですよ、常識。ここにも出ているじゃないですか。平均、企画業務型裁量労働百九十四時間、通常の労働時間百八十六時間。

 二〇一一年にJILがやったもう一つの調査でも同じ傾向ですよ。通常の勤務は平均月百八十時間、裁量労働制・みなし労働時間は百九十七時間。やはりこれは長いじゃないですか。

 こういうしっかりとした、平均時間を比較して裁量労働制が長いというデータを知っていながら、このことは言わずに、さっきのあやふやなデータを言う。加藤大臣、これはちょっと余りにもひど過ぎませんか。

加藤国務大臣 今委員の御指摘のございました総理の発言は、一般論としているわけではなく、しかも、そこに書いてありますが、というデータもございますと言っているので、それしかないとか、そういうことは一切言っておりません。

 したがって、私どもは、今委員御指摘のようなこのJILのデータもあることも承知をしておりますし、それも示させていただいているというところでもございます。

山井委員 余りにもひどいじゃないですか。総理入り、テレビ入り、全国の国民が見ている中で、こういうれっきとした、裁量労働制の時間が長くなるというデータを知っていながら、そのことじゃなくて、あやふやな根拠のないデータを言う。

 じゃ、このデータについてお聞きしますよ。

 これは配付資料を見ていただきたいんですが、この九・一七時間というやつですね、八ページ。八ページの、丸をしてありますよ、一般の労働者九・三七時間。それで、企画業務型九・一六時間。これで一般労働者は長いと言っているんですけれども、この九・三七時間の計算式というのは、九ページにあるように、インチキなんですよ。つまり、一日の法定外時間が、上にありますように一時間三十七分。これは厚生労働省の調査ですよ。それに対して、厚生労働省の回答によると、八時間の法定労働時間を足しているというんですよ。単純にこれを足したらだめじゃないですか。

 この二十五年の厚生労働実態調査は、時間外労働の時間しか調査していないじゃないですか。労働時間の調査はしていないじゃないですか。にもかかわらず、勝手に全ての事業所が法定時間八時間労働したことにみなして、八足す一・三七で九時間三十七分。実態調査じゃないじゃないですか。

 おまけに、次のページにありますように、じゃ、実際、法定労働時間じゃなくて、一日の所定労働時間、つまり各事業所での本当の基本時間ですね、七時間三十五分。つまり八時間以下じゃないですか。

 八時間以下の所定労働時間の事業所も多い中で、勝手に、この法定労働時間という単なる国の取決めの時間に一時間三十七分を足して、平均労働時間とは言えませんよね、これは。

加藤国務大臣 委員、所定労働時間と法定労働時間が違うということはもう十分承知で御質問されているんだと思います。

 法定労働時間というのは八時間というふうに……(山井委員「そんなことはわかっていますよ」と呼ぶ)ですから、当然ここで聞いているのは、法定労働時間を超えたのは何時間ですかとお聞きをした以上、じゃ、法定労働時間を足して私たちは出させていただいた。

 そして、別途の資料は、それぞれの中で、法定時間は八時間となっていますけれども、もちろん企業ごとに、より短く設定している企業もございます。これは所定労働時間というわけでありますから、それがどうなっているかというのがここでお示ししている数字でございます。

山井委員 ということは、九・三七時間というのは、調査した実労働時間の平均ではないということですね。

加藤国務大臣 ですから、お示しをさせていただいた、法定外労働時間ということで、平均的な者について各事業者から聞いて、それをもう一回足して、平均というんですか、させていただいたのは一・三七ということで、そして、それに法定労働時間として決まっている八時間を足したということでございます。

山井委員 つまり、裁量労働制では実労働時間を調査して、一般労働者は、単に時間外労働の一・三七平均と八時間を足した。調査方法が違うから、これは比べられないじゃないですか、全然。比べられないじゃないですか、全然。はっきり言って、一般労働者の実労働時間は調査していないんですよ、この二十五年の調査では。こんなめちゃくちゃなデータで、裁量労働制の方が労働時間が短いなんか言えるはずないじゃないですか。

 実際、このデータはおかしいですよ。九ページ、一日の平均労働が、法定外が一時間三十七分でしょう。次の次のページ、一日で一時間三十七分、一週間だったら七時間ぐらいかなと思ったら、一週間は平均時間外労働時間二時間四十七分。

 これは、皆さん、あれっと思われませんか。一日平均が一時間三十七分なのに、一週間だったら何でたった二時間四十七分にしかならないんですか。この調査、ちょっと変じゃないですか。変じゃないですか、この調査。

 さらに、手元に一カ月の法定労働時間の実績というのもありますよ、これは私しか持っていませんけれども。一カ月平均、時間外労働時間八時間五分。一カ月で八時間五分ですよ、時間外労働が。何で一日平均が一時間三十七分なんですか。意味がわからないじゃないですか。

 一カ月八時間五分という時間外労働、残業だったら、二十一日間で割ったら一日平均二十三分ですよ、時間外労働。あるいは、一週間が二時間四十五分ということで、五日間で割ったら一日平均時間外労働時間三十三分ですよ。掛け算じゃないですか。一日平均一時間三十七分って、このデータ、おかしくないですか。おかしくないですか。このおかしい理由は、先ほども言ったように、実際の調査をしていないからなんです。

 おまけに、ついでに言うと、この一日のやつで、九ページを見てください。一日の法定外労働時間を赤線で引きましたけれども、何と九人は、平均ですよ、九人の人は、平均一日の残業が十五時間以上と出ているんですよ。八時間に十五時間を足すと二十三時間ですよ。二十三時間以上、九人の人は平均して働いているって、家に帰れないじゃないですか、まず。そもそも、これは一時間も寝ていないんですよ。毎日。

 この調査自体、やはりちょっと問題があるんじゃないんですか。加藤大臣。

加藤国務大臣 この調査は、監督官がそれぞれの事業所に赴いて、そして平均的な者についてそれぞれ聞き取って、それを集計したということでございます。

 ただ、委員御指摘のように、ちょっと私も見ました、この十五時間超、それから週と一日の違い。それについては、今それぞれ個々のデータにもう一度当たらせて、精査させていただいております。

山井委員 今ごろ精査してどうするんですか。このデータをもとに安倍総理は答弁しているんですよ。精査したものを答弁するのが国会じゃないんですか。

 加藤大臣、一旦撤回してください。何ですか、裁量労働制で労働時間を短く言って、データを聞いたら、中身はわからない、精査している。国会って、そんないいかげんなものなんですか。人の命がかかっているんですよ、この議論に。撤回してくださいよ。安倍総理の答弁を一回撤回してください。

加藤国務大臣 いずれにしても、調査の結果としてはそういうものが出ているわけでありますから、それを総理はお述べになられました。

 ただ、今委員からも御指摘がございますので、もう一度、私どもとしては、個々のデータに当たって精査をさせていただきたいと思っております。

山井委員 これはぜひ委員長にお願いしたいんですが、この平均労働時間の安倍総理の答弁の根拠について、理事会に資料をしっかり提出してください。

 こういう、安倍総理が虚偽の答弁をしたのであれば、これは本当に先に進みませんよ、予算委員会は。ぜひ、この資料提出をお願いしたいと思います、委員長。

河村委員長 理事会で協議させていただきます。

山井委員 いや、びっくりしました。おかしいと思っていたら、やはり、安倍総理が裁量労働制が労働時間が短くなると言うデータは、厚生労働省も根拠が不明確だと言っている。そんなことで、NHK生放送で答弁するなんてことは考えられません。

 次に、この裁量労働制、更に問題があります。

 先ほども言いましたように、契約社員や最低賃金の方でも、求人で裁量労働制が募集されております。

 十三ページ、これは今野晴貴さんの調査した資料でありますが、ハローワークの求人票にかかわる給与水準で、十万円から十四万九千九百九十九円の方、三件、七%、こういうふうなことなんですけれども、結局、非常に賃金が安い人が裁量労働制になっているということであります。

 それで、大臣、このことについては質問主意書でお聞きしました。契約社員や最低賃金の方でも裁量労働制は適用可能ですかということに関しては、裁量労働制を適用することが可能ですと、この十四ページの質問主意書は戻ってきていますが、加藤大臣、改めてお聞きします。

 契約社員の方や最低賃金の労働者でも、裁量労働制を適用することは可能ですか。

加藤国務大臣 まさに、この質問主意書に書いてありますように、労働基準法第八条の三等に規定する要件を満たす場合には、こうした最低賃金、御質問の趣旨は、最低賃金額と同額の賃金額の労働者についても、現行の裁量労働制を適用することは可能であります。

山井委員 いや、でも、裁量なんてあるんですか、最低賃金で働いている人に。契約社員に裁量なんて本当にあるんですか。おかしいんじゃないですか、これは。

 おまけに、さっきも言ったように、そういう人が十二時まで働かされて倒れているんですよ。適応障害の障害を負っているんですよ。

 そうしたら、これは、先ほどの実例のように、みなし労働時間が例えば八時間だけれども、実際は十時間、十二時間、最賃の人が働いたら、最低賃金を割っちゃう危険性が計算上はあるんですけれども、そういうふうなことも違法にはならないんですか。

加藤国務大臣 今の、実際働いた時間とみなしの時間が大きく乖離をしていれば、当然それについてはこれまでも指導をしているところであります。

山井委員 ちゃんと答えてください。

 大きく乖離していなくても、ちょっと乖離していても、最賃の人が、みなし労働時間が八時間なのに実際九時間働いたら、計算上、理論上は最賃を割ることになります。それは違法ですか、合法ですか。

加藤国務大臣 みなし労働時間でもらった給与を割って、それが最賃より下がった、そういう御趣旨だと思いますけれども、その場合に、それが直ちに最賃違反になるということはないんだろうと思います。

山井委員 いや、ちょっと待ってくださいよ。

 最賃で働かせるだけでもひどいのに、それでみなし労働時間を低くして長時間働かせたら、最賃割れで働かせて、最賃法違反にならない、これって本当にひど過ぎませんか。働かせ放題じゃないですか。裁量労働制を拡大する前に規制強化すべきじゃないですか。

 それで、これを更に今後……(麻生国務大臣「何どなっているんだろうな」と呼ぶ)麻生大臣、何どなっているんですって、私も、人の命がかかっているから必死なんですよ。亡くなっている方……(麻生国務大臣「聞こえるよ」と呼ぶ)聞こえるよじゃないんですよ。国会というのは人の命を守る場でしょう。へらへら笑わないでください。真剣に議論しているんですから、こっちも。

 十五ページ。今回の裁量労働制で、課題解決型提案営業を加えるとなっていたのが、厚生労働省が表現を変えて、昨年の九月十五日には開発提案業務と変えたんですね。

 まず、加藤大臣、現時点では、労基法の裁量労働制は営業職には適用可能ですか。

加藤国務大臣 先ほど最賃のお話がありましたが、そもそも、裁量労働制の対象者は、「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者」ということで限定をされているわけでありますから、誰でも彼でもが対象になるわけではないということをまず申し上げておきたいと思います。

 それから、今、営業職への対応ということでありますけれども、いわゆる営業職といってもかなり幅が広いんですけれども、単に物販、物を売るとか、そういう……(山井委員「今ですよ、今」と呼ぶ)いや、ですから、そういうシンプルなというか、非常に限られた意味での、物を売ったりサービスを提供したりとか、そういったものはもちろん対象にはなりません。

山井委員 今は営業職は裁量労働制の対象にはならないということですが、では、この要綱の概要資料で示された、今後法改正をされたら、営業は今は違法だということですが、今後も営業職は一切だめなんですか、それとも一部は、営業職が裁量労働制が可能になるんですか。

加藤国務大臣 営業職というもの自体が正直言って定義がございませんから、ですから、どこからどこまで入るかということは……(発言する者あり)いやいや、御質問の趣旨はそういうことでありまして、私たちは、営業職だからと言っているわけではなくて、こういう業務は入るか入らないかということを議論させていただいているので、法律の議論をするんですから、定義をしっかりやって議論させていただきたいというふうに思うんです。(発言する者あり)

河村委員長 答弁中は静粛にしてください。

加藤国務大臣 その上で、いわゆる単純な営業の業務は、これは対象にならないのは明らかであります。

山井委員 これは、三百万人、営業マンがおられるんですけれども、では、どれぐらいの営業マンに拡大されるんですか、今回の法改正で。三十万人ぐらいですか、百万人ぐらいですか、お答えください。

加藤国務大臣 ですから、その営業マンがいわゆる単純な営業をされている方であれば、お一人も対象にならないということになります。

山井委員 単純とか聞いていません。営業マン三百万人のうちどれぐらいの対象に拡大するのかと聞いております。

加藤国務大臣 いや、ですから、営業マンの中にも、単純な営業をされている方から、かなり企画、そしてその営業について企画をし分析をされているということを含めてやっている方もいらっしゃるわけでありますから、それ、含めてと言われても、それがどれだけ入るかというのは、数字として申し上げるのは難しいと思います。

山井委員 そうしたら、企画、分析をやっている法人営業の人は対象には法改正で入るんですか。

加藤国務大臣 いや、ですから、今回も、もともとの定義がありますけれども、これまではその企業の主たる業務についてということでありますが、これからは法人の主たる業務について主に分析等を行って、そして、それについて開発、提案する者、これについては、今回の法律の対象はまさにそういうことであります。

山井委員 驚きました。営業が対象に入るということですけれども、そんなもの、これは大変なことになりますよ。それで、もうどんどんどんどん拡大解釈になってしまいます。

 そういう、何が対象になるかもわからない、三百万人中、何人対象がふえるのかもわからない、そんな予測ができないそういう法案を、ぜひとも、高プロと裁量労働制はこの法案から削除をしていただきたい。私は、このままいくと、裁量労働制や高プロで必ず過労死する人がふえます、体を張ってこの法案を阻止しますよ。

 国会は人の命を守る場所です。多くの過労死の方、またその御家族の方が本当に悲しんでおられます。その方々の期待に沿うのは、二度と過労死を出さない、そういう法改正をすることしかありません。これからも質疑をさせていただきます。

 ありがとうございます。

河村委員長 これにて山井君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

河村委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長石川雄一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志です。

 本日は、私、福井県選出の国会議員として、今回の北陸豪雪についての政府の対応をただしたいと思います。

 まず、今回、車内に閉じ込められて一酸化炭素中毒、また低体温症で亡くなられた方、そして雪おろしの作業中に亡くなられた方、多くの犠牲者の方が出ております。心からお悔やみを申し上げるとともに、これ以上犠牲者が出ないような対策をとっていきたい。そしてまた、住民の方が一日も早く日常生活に戻れる、そのための対応をただすという観点から、政府の対応を質問させていただきます。

 まず、私は、今回、行政側からちょっと想定外という言葉が多く聞かれたのが非常に気になっております。想定外がこの被害を拡大させた面があるのではないかと思います。

 まず、人的被害であります。

 今回、七日、おとといの夜ですけれども、国道三百六十四号線で、富山県の会社員男性十九歳が死亡しているのが見つかりました。これは、その九時間前に警察に救助の携帯電話、一報をかけていたにもかかわらず、朝かけた電話が夜になって、やっと除雪隊が到着をしたら、中で低体温症、そして一酸化炭素中毒で亡くなっている男性が発見をされたという非常に痛ましい事件でありますが、これに対しては、所轄の署長さんが、これは想定外、想定をしていなかったというふうに答えております。

 大雪で運転者が車内に閉じ込められて、一酸化炭素中毒で国道上で死亡するということを警察が想定していなかったということをコメントしているわけですけれども、そもそもそういった事態は起きないんじゃないかという想定自体に問題があったのではないかと思いますが、どうでしょうか。

    〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕

小此木国務大臣 防災担当大臣でございますけれども、今回の大雪は、二月四日ごろに日本海側を中心として大変な大雪となりました。特に福井市におきましては、昭和五十六年豪雪以来、三十七年ぶりの記録的な大雪になりました。委員がおっしゃいましたように、亡くなられた方、合計七人と聞いておりますが、改めてお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げます。

 政府といたしまして、まず、先週二日に、金曜日ですが、災害対応の警戒会議を関係省庁とともに催しました。これはまだ大雪となる前の予報の段階でありまして、早期からの情報の把握に努め、政府としての警戒態勢を強めていこうと、情報共有をしたところであります。

 また、雪が強まった二月の六日、改めて同会議を開催いたしまして、国道八号における車両の滞留事案への対応を始め、各省庁の把握をする情報をしっかり共有し、改めて各府省に対し、万全の態勢で臨んでいきましょうという話をいたしました。

 さらに、本日、同会議を改めて開きまして、あすから雨ですとかあるいは気温の上昇もございますので、雪が解ける、あるいは雪崩、こういったことについて更に警戒をするように、自治体にも情報を共有しようという話をしたところであります。

 話が長くなりましたが、想定外という言葉が使われたことは、ちょっと私、確認がとれていませんけれども、そういうことについては言いわけがましいことはしたくございません。それぞれ、できなかったことについては課題といたしまして、更に態勢を引き締めていかなきゃならないのは私の責任であると思いますので、そういったことも、改めて、委員の気持ちと同様、引き締めて万全を期してまいりたいと思います。

斉木委員 今回、想定外というのは、まさに今大臣がおっしゃった、千五百台の八号線上での三日間にわたる大きな滞留事案、これも私は想定外が招いた事態だったのではないかと思います。

 これは確認していきますと、この国道八号線というのは、該当区間が片側一車線、要するに対面で二車線の道路です。並行して片側二車線の北陸自動車道、高速道路が走っている。要するに、車線が三本あったわけですけれども、これを五日の夜、北陸自動車道を通行どめ、とめました。そうしたら、三車線分の道路が、交通量が全てこの国道八号の一車線に集中をして大渋滞が起きることは想定できたはずです。なのに、通行どめ若しくは流入規制というものをしなかった。

 国道八号線で、六日の朝八時に最初のトラックが脱輪をします。脱輪をして、片側一車線ですから追い越せません。要するに、片側一車線の道路は、一台とまってしまえば、その後に千台も二千台もつながってしまう道路なんです。こういうことを想定していれば、朝八時に最初の一台目がスタックした後、三時間、この国道は通行できた。三時間の間に千五百台、後ろに詰まっちゃったから、三日間身動きがとれなくなった。そして、自衛隊が人力で救助をするという事態に追い込まれたと思うんです。

 まず確認したいのは、福井県側の丸岡までは二車線になっていますね、国道八号が。その丸岡の部分で、最初に国道を、トラックがスタックした朝八時の時点で、通行規制する人員は配置していたんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 福井県などでは、二月一日からの記録的な大雪に伴い、五日深夜に北陸自動車道武生インターチェンジから小矢部インターチェンジ間が通行どめとなり、並行する国道八号に交通が集中したところでございます。

 一般道におきましては、通行どめによる集中除雪を実施するためには、規制予定区間の起点側と終点側及び区間内の交差点に人員を配置することが必要となります。これは、インターチェンジの閉鎖等によって規制が行われる高速道路とは異なります。

 通行どめ要員の移動を六日の午前七時ごろから順次開始いたしましたが、八時ごろに発生した、委員御指摘の大型車の脱輪、またチェーン装着をきっかけに渋滞が発生をいたしまして、移動に時間を要した結果、約三時間後の十一時から通行どめが開始できたものでございます。

 なお、その後、二十四時間態勢で自衛隊、警察、自治体と連携して作業を実施しまして、本日、九日一時に滞留車両の排除を完了いたしまして、五時に通行どめを解除したところでございます。

 以上です。

斉木委員 ということは、やはり八時の段階から通行どめ規制はしていなかったということなんです。

 そもそも、道路局長、国土交通大臣にも伺いたいんですが、片側一車線の道路で車両が一旦とまって千五百台の滞留が発生してしまえば、もう後ろからも除雪車は入れないわけですよ。なので、最初に流入制限をする、若しくは、最初の一台がとまって数十台、数百台がスタックした段階で早目に通行どめをする、そこから除雪車を入れていれば、自衛隊が手掘りでやらなきゃいけないというような事態は防げたのではないか。

 まずは、やはり最も効率のいい除雪、そして除雪車とトラックを入れるような想定をすべきではなかったかと思うんですが、大臣、どうですか。

石川政府参考人 今回のように、並行する高速道路が通行どめとなりまして、継続して激しい降雪が予想される場合は、大規模立ち往生防止のために早期の通行どめを徹底することが重要でございます。これは委員御指摘のとおりでございますけれども、高速道路も閉鎖する、一般国道も閉鎖するといった場合に、その交通をどこへ誘導したらいいか、特に大型車についてこういうことも課題となってまいりますが、今後、今回の事案を踏まえてよく検証していきたいと考えております。

斉木委員 本当に想定をより厳密にして、次回以降臨んでいただきたいと思います。

 根本的な解決策は、やはりこの道路を四車線化する、片側二車線にすることが最も今回の事態を防ぐことができた対策ではないかと私は思います。

 昭和五十一年、今から五十年以上前に、もう福井県そして石川県はこの道路を四車線化をしてほしいと。この国道八号線というのは、大臣は走られたかどうかわかりませんけれども、北陸の石川、富山そして福井をつなぐ大動脈なんです。一桁国道でございます。ここでいえば国道一号線のような位置づけです。これが通れなければ、まさに命の道なんですよ。

 今回、この千五百台の滞留が生じて、三日間、福井県内に入るのが困難になった。だから、ガソリンスタンドもガソリンがないし、手術を延期している病院も多いし、透析患者が外に出られないという状況が今続いているんです。

 こういった動脈が寸断されるということを防ぐためには、そもそも、この国道を四車線化する。具体的には、石川県の加賀インターの取付け道路からこの福井県の丸岡までが二車線になっています。これを四車線化して、いざというときに、トラックが一台とまっても追越し車線から抜けますよ、追越し車線で事故を起こしたら走行車線からよけられる、若しくは、そこに一台除雪車を通して排雪する道を確保できる、この四車線化のメリットというのは非常に大きいわけです。

 これに関しては、大臣、どうお考えですか。

石井国務大臣 国道八号の福井市から金沢市の区間につきましては順次四車線化を進めてきたところでありますが、御指摘のとおり、福井県坂井市丸岡町から石川県加賀市までの区間十四・一キロメートルについては、現在、片側一車線であります。このうち、福井県坂井市丸岡町からあわら市までの区間五・四キロメートルにつきましては、地域の渋滞解消やアクセス向上のためバイパス事業を実施しておりまして、平成三十年九月開催予定の福井国体までの一日も早い開通を目指しております。

 残る福井県あわら市から石川県加賀市までの区間八・七キロメートルにつきましては、今回の大雪における課題を踏まえまして、監視体制の強化や事前通行規制のあり方等について、早期に対策の検討を進めていきたいと思います。

 四車線化につきましては、事業中区間の進捗状況や今後の交通状況も踏まえながら、必要性を含めて検討していきたいと考えております。

斉木委員 今回明らかになったように、この国道八号が本当に命の道だということをよく認識していただいて、この四車線化をぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 残余は、除雪体制について伺いたいと思います。

 現在、今、私、地元から多くの声が寄せられているんですが、幹線道路、国道や県道は除雪車が入り始めている。でも、福井市内も、坂井市内も、あわら市内も、生活道路は全く手つかずのところがほぼ九割近いという声が届いております。

 要するに、幹線道路は車が通れるようになっていても、自宅の車庫から全く出せないんですよ。自宅から外に出られない状況が続いている。だから、透析患者の方が家にいざるを得ないし、酸素ボンベで吸入されているお年寄りは、酸素ボンベがもうなくなりそうだと思って、非常に困難な状況に陥っている。だから、まさに、血管でいえば、動脈の部分はやっと通り始めたけれども、毛細血管はどこも通っていない状況です。これでは人命にかかわる状況が続くと思うんです。

 国道の八号は通りましたよとおっしゃいました。私は、だったら、国道八号、国道の除雪が完了した分は、県道、市の管理する幹線道路、そちらの方に、国の方は大型車両が多いですから、大型車両を投入して、市、町の小型車両が生活道路の除雪に専念できるような分業体制というのを早急にとるべきだと思うんですけれども、今、この除雪体制、国が終わった分を市、町、県の方まで除雪をして回しているのかどうか。そういった市、町との分業、市、町が生活道路に専念できるような体制はとっているんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 通勤通学などの生活交通を確保するためには、生活道路である市道、町道の通行を確保する必要がございます。二月四日からの記録的な降雪によりまして、福井県内の市、町では今なお生活道路に雪がたまった状態となっておりまして、速やかな除排雪を行うことが必要です。

 このため、早急に市道、町道の除雪に対応するため、福井県が事務局となり、県内の五市二町と国土交通省が参加をして、除雪に関する調整会議を昨日八日に開催したところでございます。会議におきましては、五市二町は、国と県に対して、除雪機械、オペレーターの確保などの支援をお願いしたいとの意見が出されたと聞いております。

 国道八号線につきましては、本日五時に通行どめの解除となりまして、今後は、中部縦貫自動車道の集中除雪や、市、町への除雪支援も可能となってまいります。

 国土交通省といたしましては、除雪の調整会議の場を通じ、県と連携をして、今後とも、市、町からの支援に関する要望を丁寧にお聞きして、適切な支援を行ってまいりたいと考えております。市、町各自治体が除雪計画に基づく優先順位というものを持っておりますので、それもよくお聞きしながら適切な支援を行ってまいりたいと考えております。

斉木委員 あと、福井市内など地元からは、今、排雪トラックが足りないという声が非常に届いております。生活道路というのは両脇に家の壁が迫っていて排雪をするスペースがないので、除雪と排雪トラックはセットで入れる必要があります。かいたものを積まなければ全く前に進めない、要するに押しのけたら塀が倒れてしまうような状況なんですね。

 今、北陸新幹線の工事が福井県内は進んでおりますけれども、そこにトラックがとられているから排雪ができないんじゃないかという声が市民から非常に多く上がっております。そういった公共事業、これは命が最優先ですから、同じ公共事業でも最も緊急度の高い除雪に柔軟にその事業に使っているトラックを投入する、そういった柔軟な対応はとられているんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました、福井県が事務局となっております除雪に関する調整会議、この場におきましては、除雪の工程の一部である運搬、排雪に必要なトラックにつきまして、市、町が積み込み、運搬することになっており、市、町から国と県に対してトラック確保の支援の要請はなかったというふうに伺っております。

 ただ、いずれにしましても、先ほど委員おっしゃったトラックの転用等も含めて、今後、必要に応じて、各市、町との調整会議を通じて丁寧にニーズを聞いて対応してまいりたいと考えております。

 以上です。

斉木委員 もう一つ、福井県は、車の保有台数一世帯当たり日本一ですので、ガソリンそして軽油がなければ出歩くことができない地域です。

 今、ガソリンスタンドが、福井県の嶺北地域は半分近くがレギュラーもハイオクも軽油もほぼ底をついているような状況です。これを早急に解消しなければいけない。国家石油備蓄基地が、福井市、坂井市、福井港に三百四十万キロリットルあります。そして、民間の石油備蓄基地も併設をしている。十分あるわけです。まさに豪雪地帯のど真ん中にあるわけですから、そこから除雪をしっかりと各スタンドまで八号を含めて行えば、入れる油はあるわけですよ。そういった対応はとられていますか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました除雪に関する調整会議でございますが、これは福井県の災害対策本部の中に位置づけられているものでございまして、福井県の災害対策本部の中で、例えば委員御指摘のガソリン、燃料問題、日常必需品等の対応、そういうことも議論されているというふうに認識しております。そういう中での議論を踏まえて除雪の優先順位というものも位置づけられるというふうに理解をしております。

斉木委員 早急に進めていただきたいと思います。

 では、野田総務大臣に伺います。

 この除雪費用に関してなんですけれども、平年の六倍近い降雪があるということで、特別交付税によって三月に交付が予定されておりますけれども、福井県、そして越前市、福井市、坂井市、あわら市、ほぼ全県の市、町で過去最高の除雪費用がかかるものと想定されております。この特別交付税の福井県への割増しであるとか、その対応はどう考えていらっしゃいますか。

野田国務大臣 お答えする前に、本当に、このたびの大雪で、先ほど委員がお話しになられましたけれども、犠牲になられた方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方にお見舞い申し上げたいと思います。

 今おっしゃったとおり、福井県を始めとして、今年度は全国的に降雪量が多い状況にあると承知しています。

 実はきょう、福井県から、今お話があった除排雪に係る特別交付税措置の御要望をいただく予定になっています。私はここに、国会に出席しているので、私のかわりに小倉政務官が承ることとしています。

 いずれにしましても、地方団体の除排雪経費については、まず普通交付税の算定において標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税措置額を超える場合、三月の特別交付税によって措置をしているところです。

 総務省として、地方団体の除排雪の経費の実態を丁寧に把握して、しっかりと対応してまいります。

斉木委員 ぜひ実態に合った配分というものを行っていただきたいと思います。

 では、最後に、文科大臣に伺います。

 今回の豪雪によって、福井県からおよそ三日間にわたって陸路で県外に出られない、そして小松空港がとまったことによって空路でも出られない、そして列車もとまりました。県外に出られない状況が続いたことによって、まさに今、受験シーズンのさなかです、東京、中京圏、大阪圏に、特に私立大学の受験に向かえなかった、これを何とかしてほしいという親御さんの声が複数届いております。

 これに対して、一生を左右する重大な試験ですから、再試験の機会を与えるとか、そういったことは国として考えていますか。

林国務大臣 文部科学省では、入学志願者の進学の機会を確保する観点から、こういった災害により所定の日程による試験実施が困難となる等不測の事態に対応することや、当日に受験できなかった場合の対応等について検討するように各大学を指導しております。

 今回の大雪を受けまして、例えば今、関西というお話がありましたが、立命館大学においては、三月に福井会場を新たに設けて入試を実施するということを本日発表されるというふうに聞いております。また、関西大学では、当初の会場とは異なる会場での受験を認めることや別の日程での受験に振りかえを、また東洋大学でも別の日程での受験に振りかえる対応をとるなど、各大学でも受験生に配慮した入学者選抜の実施に努めておられるところでございます。

 引き続き、各大学による受験機会の確保の取組を促してまいりたいと思っております。

柴山委員長代理 質疑時間が終了しております。

斉木委員 わかりました。

 ありがとうございます。ぜひ国としてもサポートしていただきたいと思います。

 最後に、我々、我が党としても豪雪対策本部を立ち上げて、今、党内でもこの豪雪に対する対応策を検討しております。我が党からも随時提案をしていきますので、ぜひ提案を取り入れていただいて、一日も早く日常生活に皆さん戻っていただけるような行政を徹底していただきたいと思います。

 終わります。

柴山委員長代理 これにて斉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、広田一君。

広田委員 無所属の会の広田一でございます。

 この衆議院の予算委員会で初めての質問ということになりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 本日は、午前中の武内則男議員に続いて、高知県出身者としては二人目でございます。

 実は、当予算委員会、高知県人率が高うございまして、福井先生、あと山本先生も高知県でございまして、その我々高知を始め地方にとって、これからの成長産業そして有力な産業として更に振興していかなければならないというのが観光業でございます。

 そういった意味もあって、まずは国際観光旅客税、これに関連をして質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、二十七年ぶりと言われる新税の創設でありますけれども、この趣旨そして目的といったところについては、私自身、賛同をするところでございます。

 政府は、二〇二〇年には訪日外国人旅行者、これを四千万人にしていこう、そして、東京オリンピック・パラリンピック、この開催を踏まえたときに、より質の高い、さらにはきめの細かい観光施策を推進していくこと、これはまことに重要なことだろうというふうに思います。そういうふうな観点に立てば、むしろ、これまで観光にかける予算といったものが少な過ぎたと言っても過言ではないというふうに思うわけであります。そういう意味で賛同をするところであります。

 ただ一方で、先ほど申し上げたとおり、今回の新税の創設、二十七年ぶりであると同時に、つまり国民の皆さんには増税というものをお願いするわけでございますので、当然のことながら、国民の皆さんの一定の理解、納得、そして合意といったものが不可欠であります。

 正直申し上げて、地方自治体関係者や国民の皆さんとこの点の話をするときに、今回もう一つ新税ができました。それは森林環境税であります。この森林環境税については、これは与党、野党を問わず、十数年前から要請をし、そして、さまざまな運動、活動、全国大会、パンフレットまでつくって、新税を創設してほしい。くしくも今回、同じように千円ということになったんですけれども、しかし、残念ながら、その導入は六年後になってしまう、しばらくは譲与税でつないでいく、こういうふうなことでございます。

 そういうふうな観点に立ったときに、今回のこの国際観光旅客税というものがまだ、地方自治体の皆さん、先般、高知県の首長の皆さんともお話をしましたが、観光振興に非常に力を入れている首長の方も、まだまだこの税のあり方について十分な御理解をされていないということもかいま見たわけであります。

 そういう意味からも、森林環境税と比べても非常に唐突感があるな、こういうふうに思うわけでございますが、今回のこの新税の創設、十分な検討を経て国民の理解と納得を得ている、こういった前提で提案しているのか、まずお伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 昨年の訪日外国人旅行者数は、一九%増の二千八百六十九万人、五年連続で過去最高を更新いたしました。安倍政権発足後五年間で約三・五倍に拡大をしております。

 他方、二〇二〇年の訪日外国人旅行者数四千万人等の目標達成にはいまだ道半ばであり、また、今後の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催も踏まえれば、より高次元な観光施策を展開していくことが急務となっております。こうした観光施策を実施するには安定的な財源の確保が必要となることから、一昨年の三月の明日の日本を支える観光ビジョンや昨年六月の未来投資戦略二〇一七におきまして、観光施策に充てる財源の確保を目指すとされたところであります。

 これを踏まえまして、昨年九月に、外部の有識者や関係者も交えた観光庁の有識者検討会を立ち上げました。新税ありき、国民負担前提の検討ではなく、諸外国の事例を参考にしつつ、関係の事業者や地方自治体の御意見も幅広く伺いながら、ゼロベースであらゆる選択肢について丁寧に御議論をいただいたところでございます。この検討会での提言も踏まえつつ、今回の新税の要望に至ったものでございます。

    〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕

広田委員 そうしますと、確認ですが、大臣としては、これは実質二年前からの議論スタートということでございますけれども、十分な議論、検討、そして各地方自治体の皆さんの御理解、そして国民もこの新税、増税については十分に納得、理解している、こういうふうに認識をされているということでよろしいんですか。

石井国務大臣 検討過程におきましては、先ほど申し上げましたように、関係事業者や地方自治体の御意見も幅広く伺いながら、ゼロベースで、あらゆる選択肢について丁寧に御議論をいただいたところでございます。

 国民の皆様に対しましては、今後とも引き続き、さまざまな機会を活用して御理解を深めていただけるように努めていきたいと考えております。

広田委員 正直なところ、やはり国民の皆さんの理解とか地方自治体の取組というのは今後のことだろうというふうに思います。

 この後、使途についても質問していきたいというふうに思いますけれども、来年度はもう既に、六十億、何に使うのかは決まっておりますが、地方向けについてはやはり三十一年度以降、こういうことにならざるを得ないわけでございます。大臣の方はるる検討してきたということでありますので、そういうふうなことを、これからちょっと、若干基本的なことについて確認をさせていただきたいと思います。

 まず、課税対象等についてお伺いをいたします。

 これは、有識者会議におきましても、国際社会における内外無差別の原則を踏まえて、これは当然のことなんですけれども、負担者の納得感が得られるようにとの指摘がございます。課税対象というのは、原則、外国人のみならず、ビジネス旅客も含めて、日本人出国者、これも含まれることであります。私は、この税金の性格上、出国される方々についてはできる限り例外なく御負担をしていただく、こういうことが大事ではないかなというふうに思うわけでございます。

 こういった中で、資料等を配らせていただいておりますけれども、今回、非課税等に該当する方々というのはどういう方々がいるのか、御説明を願いたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本税の課税の対象は、基本的に、目的を問わず、航空機又は船舶で出国する者、国際観光旅客等でございますが、非課税等としておりますのは、出入国管理及び難民認定法、いわゆる入管法に基づく出国の確認を受けずに出国する者として、航空機又は船舶の乗組員や、あとは強制退去者等、それから民間以外の航空機等で出国する者として、政府専用機等により出国する者、その他、日本への入出国が目的ではないことや諸外国の制度との調和等を踏まえまして、乗り継ぎ旅客、天候その他の理由により外国間を航行中に本邦に緊急着陸等した者及び本邦から出発したが本邦に引き返した者、あと二歳未満の者でございます。

 これらのほか、本邦に派遣された外国の外交官等の一定の出国につきましては本税を課さないことといたしております。

広田委員 御説明あった中の非課税等について、年齢制限がかかっているのが二歳未満ということでございますが、これはどういった理由でこのようになったんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本税におきましては、ただいま申し上げたとおり、二歳未満の者につきまして、国際航空において二歳未満は座席の確保を要さないという実務上の取扱いや、類似の税を採用している諸外国の多くが二歳未満の者を課税の対象としていないことから、諸外国の制度との調和の観点を勘案し非課税としているところでございます。

 なお、公平で円滑な徴収の観点から、航空、船舶を問わず、また運賃の支払いの有無を問わず、二歳未満は一律非課税としているところでございます。

広田委員 確かに、多くの外国の事例を見てもそのとおりだというふうに思いますが、これは幼児だからということで、今回、除外の対象になったのでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生言われましたように、諸外国の例を見ましても、二歳未満の者につきまして非課税としている例が多いわけでございますけれども、国際航空におきまして、二歳未満の者は座席の確保を要さない、そういう幼子であるということでございます。

広田委員 観光庁の資料をいただいているんですけれども、これは、諸外国の事例だと、幼児だからということで除外をしているというふうな記述があるわけでございますけれども、そうしますと、幼児ということではなくて、二歳未満というのは座席を要しないということで線を引いている、こういう理解でよろしいんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国の事例を見てみますと、例えば、一定年齢未満の者を課税の対象としていない例といたしまして、イギリス、これは座席がない二歳未満、あとドイツ、これも同じく座席がない二歳未満、それからフランスは二歳未満、あと、それとは違うものとしては、例えばオーストラリア、中国などは十二歳未満というものがございます。韓国におきましても、航空機につきましては二歳未満というようなことになっております。(広田委員「いや、ちょっと質問に答えて。幼児だからということではないということですね」と呼ぶ)

 これは一定の、要するに、年齢に何らかの基準が要りますので、諸外国の例を見ますと、今申し上げたような年齢になっているということでございます。

広田委員 諸外国の例ということでございますけれども、それに関連しまして、今回、一律千円というふうなことでございます。これも、諸外国の事例でそのような規定になったのか。

 例えば、一円でも安く海外に行きたいというLCC利用者と金に糸目をつけないファーストクラス利用者、こういったことに対して、一律千円ということにされた理由についてお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 国際観光旅客税の負担額につきましては、先ほども申し上げました観光庁に設置された有識者検討会におきまして、諸外国の事例を参考にいたしまして、需要への影響や受益と負担のあり方等の観点から、関係事業者のヒアリングを交えて検討が進められまして、提言において、出国旅客に対し、税方式により最大千円以内の負担を求め、新たな財源を早急に確保すべきとの提言がなされたところでございます。

 また一方で、どれだけ今、観光に財源を投入しているかということでありますが、観光ビジョン関連施策については、平成二十九年度当初予算ベースで、政府全体で申し上げますと、内数として整理されているものを除いても、七百億円程度の予算が計上されております。

 今後、二〇二〇年インバウンド四千万人、二〇三〇年六千万人を目指して、先進性や費用対効果の高い観光施策を充実させ、観光基盤を拡充強化していく必要があることを踏まえると、必要な財源規模は更にふえていくと考えられます。

 これらを勘案しまして、税額を千円とするとともに、税収については、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備など、国際観光の振興に資する三つの分野に充当することとしたところでございます。

広田委員 いや、政府の中において、税額に差をつけるというふうなことについては検討したのかされなかったのか、この点についてちょっとお伺いしています。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろな関係事業者のヒアリングの中でも、一度、税を制度として導入する場合には、できるだけシンプルで、徴収についてもできるだけしやすい形にするという意味では、一律にしてほしいというような御要望もいただいたということも踏まえまして、一律にさせていただいているところでございます。

広田委員 先ほど来から議論があります諸外国の例ということで、徴収額に差をつけている国はあるんでしょうか。

田村政府参考人 国によってまちまちでございます。差をつけている国もございますが、一律の国もございます。

広田委員 今回、例えば英国なんかは、距離、座席によって十三ポンドから四百三十八ポンドというふうに、日本円に直しますと六万円ぐらい差が出ているんです。それによって、イギリスは、この観光旅客税の税収というものは非常に上がってきております。

 確かに、税金というのは公正、簡素というものを旨としていかなければならないというふうにも思いますけれども、さまざまな利用者の声というものがやはりこの一律というものに反映されているのかどうか、いま一つ理解しかねますので、どういったリサーチ等をされたのか、もう少し具体的にお伺いしたいと思います。

田村政府参考人 今般その税を導入するに当たって、近隣諸国との競争関係というのもやはり検討しなければいけない。そして、基本的に、例えば韓国、台湾、中国、香港、こういうところにつきましては、少なくとも、航空運賃に千円から二千円ぐらいの範囲内で税を一律で上乗せをして徴収をしているということもございます。

 先ほど先生、例に出されましたイギリスの場合には、当然、座席のクラスだとか距離によって額を変えておりますけれども、これはむしろ観光財源というよりは一般財源として徴収をしている性格のものであるというふうに承知をしております。

 繰り返しになりますけれども、近隣諸国との競争関係等も、そして関係事業者の、できるだけシンプルに導入してほしいという要望なども踏まえた上で、今回の案をつくらせていただいているということでございます。

広田委員 いや、ですから、聞いていますのは、そういった利用者の個々の細かなニーズといったものを、何か御答弁だと、把握をされないまま、諸外国の事例等だけを見てこの額を決めたというふうにどうしても聞こえてしまうんです。

 LCC利用者とかファーストクラス利用者とか、それは旅行会社も含めて、航空会社等々の、しっかりとしたそういう幅広い議論を踏まえての設定なのか。やはりそういうことは、時間的なものもあって、はしょって、まずは、香港とか、あと韓国を見ると、千円から千八百円ぐらいの間でございますので、その間をとったというふうな理解なのか。ちょっとその議論の経緯が、この千円になったところが非常にわかりにくいので、もうちょっとクリアになるような御説明をいただければと思います。

田村政府参考人 当然、関係事業者のヒアリングの中では、お客様に対する影響というものも意見として伺ったということであります。

 もちろん、一人一人のお客様に直接お伺いをしているということではございませんけれども、やはり直接お客様と接する機会が多い関係事業者の意見として、できるだけシンプルに、そして、全体で余り、その旅行額に対しまして大きな割合にもならない、そういう額の範囲内で導入をお願いしたい、こういう要望をいただいたということでございます。

広田委員 そういう意味では、導入ありき、取りやすいところから取っていく、そういうふうな考え方でないということでありますけれども、そういった疑念が持たれないように、しっかりと今後とも説明責任というものを果たしていただければなというふうに思います。

 そこで、次に、使途、使い道についてお伺いをしたいと思います。

 訪日外国人の方に満足していただいて、またリピーターとして日本を訪れてもらう、そのためには、やはりストレスフリーというものを実現していかなければならないというふうに思います。

 具体的には、入国審査に際しての待ち時間というストレスを解消するためのCIQの体制整備、これを進めることは極めて重要だろうと思いますし、来年度予算においても、六十億の中でも目玉の取組になっているというふうに理解をするところでございますが、この点についてどう進めていくのか、お伺いしたいと思います。

石井国務大臣 国際観光旅客税の税収につきましては、二〇二〇年訪日外国人旅行者数四千万人等の目標達成に向けまして、一つには、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、二つ目には、我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、三つ目には、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上の三つの分野に充当することといたしまして、先進性が高く費用対効果の高い取組であること等を基本とすることを、政府の基本方針として、昨年十二月に定めたところであります。

 あわせて、税収を充てる施策は、負担者の納得が得られることなどを基本的な考え方としておりまして、これらの内容を盛り込んだ国際観光振興法の改正案を今国会に提出しているところであります。

 御指摘のCIQ体制等につきましては、訪日客が急増する中で、円滑かつ厳格な出入国審査を高度な次元で確保することが課題となっておりまして、これまでも、関係省庁の連携のもと、体制の整備に取り組んできたところであります。

 こうしたことを踏まえまして、平成三十年度予算におけます平成三十一年一月七日からの徴収によります総額六十億円の歳入につきましては、最新技術を活用した顔認証ゲートや、税関検査場の電子化ゲートの整備等によるCIQ体制の整備など、特に新規性、緊急性の高い施策に充てることとしているところでございます。

広田委員 そういったお取組と同時に、これは平成三十一年度以降になろうかと思います、これ以降になると、恐らく地方自治体の方からも具体的な要望等も上がってくるんだろうというふうに思います。

 一点、宿泊施設関係者の方々からも要望が上がっているというふうに思いますが、入国後、次に大きいストレスというものを感じるのが宿泊施設でのチェックインのときでございまして、ようやくホテルに着いて、部屋でゆっくりできるなというふうに思ったら、また立ったまま長時間待たされる。長旅をしてきた方にとりましては、これは大変つらいものであります。

 そういったチェックイン時間の短縮を図り、ストレスフリー等を進めるためには、CIQの、先ほどお話があった顔認証などのデータのネットワーク化、こういったものを図るなどして有効活用を求める声が今後出てくるというふうに思っております。

 こういったことも、来年度についてはもう六十億の使い道というものはしっかりと決めているわけでございますが、今後、平年化すると四百二十億以上、これから外国人旅行者がふえれば右肩上がりでふえていくわけでございますので、そういったことや、また、鉄道等、今、和式が多いわけでございますけれども、これを洋式化する。ローカル線に行けば行くほど、そういうニーズというものは高まってくるわけでございますので。

 そのような使途については、これまでも、稲富委員の方からも、しっかりと厳格化しながら進めていくべきだというような御提案もあったというふうに思いますので、それぞれのニーズに合った適切な予算配分というものも考えていただきたいというふうに思いますが、こういった今後出てくるであろう要望についての御所見というものもお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 平成三十一年度以降の国際観光旅客税の税収を充当する具体の施策、事業につきましては、今委員から御指摘がございました各種の取組も含めまして、先ほど答弁申し上げた基本的な考え方を十分に踏まえまして、民間有識者の意見も聞きながら、中身をしっかりと精査してまいりたいと考えております。

広田委員 ぜひ中身を精査しながら、特に、ゴールデンルート以外の地方にとって有意義な、そして有効な施策というふうになるように御配慮をいただければなというふうに思います。

 それでは次に、海洋基本計画とメタンハイドレートの開発、実用化についてお伺いをしたいと思います。

 燃える氷と言われるメタンハイドレートの実用化、商業化、こういったものが実現をしますと、資源小国と言われている日本が資源大国になるとまでは言いませんけれども、少なくとも我が国として、天然ガスの調達におけるバーゲニングパワーの強化につながること、これは間違いないというふうに思います。

 さらに、メタンハイドレートは、炭素繊維であるとか燃料電池であるとか、そういったところにも応用できる非常に可能性を秘めたエネルギーでありまして、特に、我々は福島第一原発事故を経験をしているわけでありますから、エネルギー源の多様化というものはぜひ進めていかなければならないというふうに思っております。

 こういった中で、メタンハイドレートについては、将来のエネルギー資源として利用可能とするために、これまで二回の海洋産出試験というものをやっておりますけれども、平成三十年度を目途にしまして商業化の実現に向けた技術の整備、それを踏まえた、三十年代後半に民間企業が主導する商業化のためのプロジェクト、こういったものの開発を進めていくということが海洋基本計画では位置づけられているわけでございますが、最終年度を迎えるに当たり、これらのことの達成状況についてお伺いしたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国に存在するメタンハイドレートを始めとする国内資源は国際情勢の影響を受けにくい安定したエネルギー、委員御指摘のとおりでございまして、政府といたしましても、御指摘のとおり、目標を掲げて実用化、商業化に向けた調査研究を進めてきているところでございます。

 現在、政府内において海洋基本計画の策定に向けた議論を進めているところでございますけれども、引き続きこの目標を堅持して、メタンハイドレートの実用化、商業化に向けた取組を推進していきたいと考えております。

 それで、三十年度を目途とした商業化に向けた技術の整備、この点はどうなっているかという御質問でございますけれども、いわゆる減圧法により、ガスの一定期間にわたる連続生産について我々は実現した、このことをもって、一定の成果を得たというふうに認識しているところでございます。

広田委員 このメタンハイドレートを考える場合には減圧法というのがキーワードになるわけでございますけれども、僕みたいな私立文系の人間にもわかるように、この減圧法というものも説明もしていただきたいなというふうに思うんです。

 ただ、連続生産というふうなことができたということでございますけれども、一度目の試験の際には砂が出てしまった。それを、四年かけてさまざまな改善を重ねたわけでありますけれども、その四年後、昨年の試験等々についても、これが砂が出てしまった。さらには、水が出てしまって作業を中止せざるを得なかった。また、加えて、本来であれば、日にちがたてばこのメタンハイドレート、減圧法によれば生産量が増大をしていくというふうなことも見込まれていたんですけれども、なかなか机上の想定どおりにはならなかった。

 そういうふうな種々の課題等々がありますので、先ほど部長がおっしゃったように、連続生産ができたから一定の成果があったというふうなことでは、私は片づけられないんじゃないか、むしろ多くの課題等々が今出てきているんじゃないかというふうに思っております。

 その上で、その減圧法について、さらには一定の商業化に向けた技術の整備というものは、どの程度想定をされており、今回のこの二度の試験でどこまで達成できたのか、この点についてお伺いしたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、減圧法でございますけれども、メタンハイドレートというのは、地中、海底の底、これは圧力がかかって氷のような固体になっているものでございまして、この海底下のここまで井戸を掘りまして、この井戸の中の圧力を下げて、メタンハイドレートを水とメタンガスに分離してガスを吸い出す、こういう手法でございます。

 委員御指摘のとおり、平成二十五年と二十九年の二回に分けて生産試験を実施いたしました。その結果は、委員御指摘のとおりでございます。これも、生産レートがなかなか上がらないという問題もございまして、これにつきましては、外部有識者を交えまして、今、徹底的にその結果を検証中でございます。砂が流出した原因等につきましても、現場海域での原因究明調査も行う予定でございます。

 こういう検証結果の成果をしっかり踏まえた上で、商業化のためのプロジェクトの開始につなげていきたいというふうに考えておるところでございます。

広田委員 今の御答弁を聞いても、減圧法でメタンハイドレートを実用化、商業化する、非常に課題が多いなというふうに改めて思うわけですが、今日までこの減圧法の技術開発に、平成三十年度予算、これは去年掘った井戸を閉めたり処分するための費用も含まれているとお聞きしますけれども、一体、これまで幾ら予算を投入してきたんでしょうか。

小野政府参考人 メタンハイドレートにつきましては、平成十四年度から二十九年度までの十六年間で、おおむね約一千億円の予算を投じているところでございます。

広田委員 一千億円の予算を投じて、まだこの技術についての確立も道半ばであるというふうなことでございます。

 そういうふうなことを受けますと、フェーズ4に向けては、これまでのプロジェクト実施体制のあり方をやはり根本的に見直していかなければいけないのではないかなというふうに思います。

 もちろん、今回の二回の試験で得られたさまざまな減圧法の知見、そして、メタンハイドレートというものの中身というふうなところも、いろいろな知見データというものが得られたというふうに思いますので、こういったことも含めて、幅広い知見、減圧法以外のほかの技術も含めて、私は検討すべき時期に来ているんじゃないかなというふうに思いますけれども、御所見をお伺いします。

小野政府参考人 委員御指摘のとおり、実用化に向けた開発計画ということをこれからつくっていかなきゃいけないところでございますけれども、今回の海洋実証試験の検証結果というものをきちんと踏まえまして、これも御指摘のとおり、実施体制のあり方、それから、減圧法以外の生産方法をとり得るかということも幅広く含めて検討した上で、新しい開発計画というものをつくっていかなければならないというふうに考えているところでございます。

広田委員 ぜひ、その方向性で進めていただければなというふうに思います。

 あわせて、メタンハイドレートについてもう一つの課題が、一体、日本周辺にどれだけの量があるのかということがわかっておりません。相当量あるというのはわかっているんですけれども、一説には、日本の天然ガスの使用量の百年分あるというふうにも言っておりますけれども、なかなか正確な把握ができていません。

 卵が先か鶏が先かわかりませんけれども、東海沖については、これは探査、調査は終了しております。しかし、最新のBSR調査で判明しております、分厚いメタンハイドレート層があるんじゃないかと言われております和歌山―高知沖、そして宮崎―鹿児島沖、こういったところの調査というのは、実はまだでございます。

 来年度予算では三次元探査船の「資源」の改修費用も計上されているというふうにお聞きをしておりますけれども、そのことを含めて、やはり、今のこの日本周辺にメタンハイドレートがどれだけあるのか、三次元探査というものもしっかり予算をつけて計画的に進めていかなければならないのではないか、このように思いますけれども、この点についての御所見もお伺いします。

小野政府参考人 まず、御指摘の「資源」、探査船でございますけれども、平成二十九年度補正予算におきまして、三次元物理探査船の導入ということで六十億円の予算をいただいているところでございます。より深い海域、それから潮流の強い海域、漁業調整が困難で短期間での探査を求められる海域などにも対応できるようにということで、この先進的な探査船の整備をする予定でございます。

 この探査船を活用いたしまして有望な海域の特定ということを進めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、これまでの探査活動で得られたデータというものがございますので、まずこれをしっかり評価して、それから、生産技術の開発、これと一緒に進めてまいらなければいけないというふうに考えておりますので、その二つを踏まえながら、先生御指摘のように、まず海域の特定を進めた上で資源量の調査というふうに結びつけていきたいというふうに考えているところでございます。

広田委員 確かに、技術開発と並行して、これはやっていかなければなりませんし、その試験探査をする際に、有力なエリアというものを設定してやっていかなければならないということも理解をするわけでございますが、先ほど来、質問の趣旨は、それに加えまして、技術というものが確立できても、実際はそれほど商業化をして進めるような埋蔵量はないというふうなことになれば、これも問題でありますし、埋蔵量があるのに技術が伴わないということであれば、これも前に進みません。

 そういう意味では、やはり、日本全体、日本海は表層型でもありますけれども、そういったことも含めて、しっかり、この国にどれだけの実用化の可能性のあるメタンハイドレートがあるのかということについては、私は三次元探査というものは計画的に進めていくべきだというふうに思いますけれども、この点について、もう少し明確な御答弁をいただければと思います。

小野政府参考人 委員御指摘のとおり、まず、技術があっても資源がなければ仕方がないという点はそのとおりでございます。

 ただ、埋蔵量というものも、技術によりましてどれだけのものがとれるかという点もございまして、鶏と卵の関係があるようなものでございますので、この点につきましては、両者を並行して進めていくというふうに考えているところでございます。

広田委員 それでは、理解としては、今、東海沖だけに限られておりますけれども、全体的に資源探査というものを進めていくということでよろしいんでしょうか。

小野政府参考人 はい、委員御指摘のとおり、日本近海には数多くの可能性のある海域がございますので、幅広くその点を調査をした上で資源量の調査に結びつけていきたいというふうに考えております。

広田委員 この点についても計画的に進めていただくように、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

 きょうは、そのほかにも、国債の利払い費の問題であるとか、あとは、補正予算と本予算、当初予算との関連で防衛装備品についての質問もする予定でございましたけれども、時間がなくなってまいりました。

 そこで、最後に麻生財務大臣に、国債の利払い費についての基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。

 これは昨年度の、二十九年度の補正予算でもそうでございましたが、多額の利払い費の不用額といったものが発生をしまして、実は、それを財源にして補正予算を組むというふうなことが、昨今、常態化をしているところがあるわけであります。

 しかし、この国債の利払い費の不用額というのは、その性格性、また財政の健全化、こういったことを踏まえれば、私は、そういった補正予算の財源に使うというよりは国債の償還に充てるのが本来のあるべき姿、原則ではないかなというふうに思います。そして、使うにしても、例えば災害復旧に限定するとか、こういったルールを私はつくるべきだというふうに思いますけれども、この点について、最後、お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 利払い費の不用が発生している、否にかかわらず、補正予算は、いわゆる予算作成後に生じた事由に基づいて緊急に必要となった経費などについて必要最小限の追加の歳出を行うということになっておるんですが、今年度の、今年度というか昨年度になりますが、平成二十九年度の補正予算におきましても、九州の北部豪雨とか台風などの災害などの復旧とか、保育の受皿などなど、いろいろありましたけれども、人づくり革命等々、緊要性の高いものに限って計上させていただいたんですが、今おっしゃったとおり、国債の利払い費を始め、既定の予算の中で不用になったものとか、税収が増加したとか、そういった場合は、できる限り国債の返済に充てるべき、御指摘のとおりだと全くそう思います。

 実際、平成二十六年度及び二十七年度におきましても、公債発行額の減額は、二十六年においては七千五百七十億、それから二十七年度におきましても四千四百四十七億円というものを、いずれも公債の発行額を減額させていただいているところでありまして、いずれにしても、こういった歳出改革というのに取り組む中で、政府債務の削減というのには引き続き努力をしていかねばならぬ、一番大事なところだと思っております。

広田委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

河村委員長 これにて広田君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょう、私は、草津白根山の噴火災害、火山観測研究体制についてお尋ねをいたします。

 草津白根山の噴火におきまして亡くなられた方、被害に遭われた方々に、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

 最初に、気象庁長官にお尋ねをいたします。

 現地で草津白根山の研究、監視、観測活動に従事をしてきた野上東工大教授は、噴火前にあるはずの兆候がない噴火だった、火山観測の哲学が覆されたと述べております。

 政府としては今回の噴火についてどのように評価をしているのか、お尋ねをいたします。

橋田政府参考人 まず初めに、このたびの草津白根山の噴火によりまして、訓練によりお亡くなりになられた自衛官の方の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 ただいまお尋ねのありました草津白根山でございますけれども、一月の二十三日、本白根山の鏡池付近で噴火が発生いたしました。鏡池付近から一キロ以上離れた場所で噴石の飛散が確認されたほか、北東に八キロ離れました群馬県中之条町で降灰が観測されております。この噴火は、噴出物の調査の結果から、水蒸気噴火である可能性が高いと考えられております。

 先ほど委員御指摘のように、この草津白根山の噴火におきましては、近年活動が活発な白根山の湯釜付近ではなく、有史以来噴火のなかった本白根山付近で発生いたしました。また、火山性地震や地殻変動に、噴火の兆候と言えるような特段の火山活動に変化がないまま発生したというものでございます。

 火山噴火予知連絡会におきましては、当面は同程度の噴火が発生する可能性があると評価しておりまして、気象庁といたしましては、本白根山の鏡池付近からおおむね二キロの範囲で、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒するよう呼びかけているところでございます。

 気象庁及び関係機関では、新たに監視カメラを設置いたしまして本白根山の観測体制を強化するとともに、現地に職員を派遣しております。関係機関及び地元の地方公共団体、研究機関と密接に連携して、対応に万全を期してまいりたいと考えております。

 また、今回の噴火の監視、観測を踏まえまして、噴火の態様につきましてはよく検証してまいりたい、このように考えております。

 以上です。

塩川委員 噴火の兆候がないまま、そういった説明がありました。実際、熱とかガスとか温泉とかといった噴火の兆候がない、地震計が置いてあってもわからなかったんじゃないのか、こういうことが言われております。

 誰も想定していなかったもの、だからこそ、この想定外の事態を踏まえた火山の監視、観測、研究体制の強化が必要であります。

 気象庁にお尋ねしますが、草津白根山については、東京工業大学の火山観測所が草津町にあり、常時観測、研究の拠点となっております。気象庁への噴火の第一報も東工大の野上教授でありました。草津白根山の監視観測体制は、このような大学研究者の観測、研究活動なしには成り立たないのではありませんか。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 まず、気象庁でございますけれども、火山の観測監視体制は、全国五十の常時観測火山におきまして……(塩川委員「草津白根のを聞いているんだから、草津白根の話」と呼ぶ)

 草津白根におきましても同様に、地震計や傾斜計、GNSS、監視カメラ等の観測機器を設置しておりまして、二十四時間体制で監視をしているところでございます。

 また、これらに加えまして、ただいま御指摘ありましたように、大学等の研究機関が整備した観測点も活用しているところでございます。

 また、火山活動の評価を行うに当たっては、噴火予知連絡会の枠組みによりまして、東京工業大学を始めとする火山の観測、研究に携わっておられる火山の専門家からの知見の提供を得ながら評価を行っているというところでございまして、引き続き、これら火山噴火予知連絡会あるいは火山防災協議会の枠組みにより、大学等の火山の専門家とよく連携いたしまして、火山の監視、警報等の発表に万全を期してまいりたい、このように思っています。

塩川委員 今回の草津白根の場合でも、噴火の現場に真っ先に駆けつけたのは気象庁じゃないんですよ。この東工大学の野上教授が真っ先に駆けつけて、実際の避難者への対応も含めて対応されておられた、このようにお聞きをいたしました。

 ですから、今答弁にもありましたけれども、気象庁は気象庁でしっかりとした監視観測体制をやってもらいたいけれども、現実は、大学のさまざまな調査の観測点におけるデータも必要だし、火山専門家の知見の提供が求められている。これは、草津白根山に限らず、全国の火山においても同様だと思うんですが、いかがですか。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしましたように、全国につきましても五十の常時観測火山にそれぞれ気象庁として観測網を置きまして観測体制を整備してきているところでございまして、やはりそれぞれの地域の大学の専門家とよく連携をして、観測、情報の提供等を行っております。

塩川委員 気象庁だけではなく、やはり大学のこういった観測、研究というのが大きな力となっている。日本には百十一の活火山があるわけで、そのうち五十カ所が常時観測火山ともなっています。大学が提供する知恵と情報なしには日本の火山噴火の監視観測体制が回っていかないというのが現状であります。

 そこで、防災担当大臣にお尋ねいたしますけれども、火山活動の評価をする政府の、気象庁のもとに置かれている火山噴火予知連絡会の石原和弘会長がマスコミのインタビューに答えて、長期的な視野に立った観測体制や人材育成の必要性を強調しておりました。

 そこでは、火山と研究者の関係は患者と主治医に例えることができる、一人の患者を長年診察してきた医師であれば、ちょっとした変化から患者の異変に気づきやすい、火山も似ており、長年その山を見続けてきた研究者であれば、ちょっとした変化から噴火の兆候をつかみやすいと述べ、例えば有珠山噴火は、それまでの噴火の周期よりも十年ほど短かったが、地震発生の推移を分析するなどして予測につながったと指摘をしております。

 大臣にお聞きしますけれども、このように有珠山噴火の際の適切な避難対応、これはやはり有珠山の主治医がいたからではないか。この点について、どのようにお考えでしょうか。

小此木国務大臣 有珠山におきましても、御嶽山の噴火もございました。さまざまな中で、今気象庁もお答えをいたしましたけれども、今回も課題が残されたとは思います。

 そこで、今、私といたしましては、御嶽山の噴火後、中央防災会議のワーキンググループでの報告を踏まえて、気象庁が、観測機器の増設や火山の監視・警報センターの設置とともに、職員を増員するなどの監視観測体制の強化を行い、文部科学省が、大学、研究機関等と連携した火山研究、人材育成の総合プロジェクトによる研究体制の強化を行ってきたと承知しています。

 また、私ども内閣府では、関係機関同士の連携強化により、監視観測、調査研究体制の強化を図るため、火山防災対策会議を設置し、政府一体となって体制強化を進めてきたところでもあります。

 今委員がおっしゃった、専門家のそういった見立て、治療といいますか、そういったものは、今後も更に専門家の意見も聞きながら、私たちは目を向けていく、考えていく、強化に努めるということは必要であると思います。

塩川委員 有珠山の主治医のことについても、専門家の意見も聞きながらというお話にもありますように、やはり本当に避難体制をつくる上で大学の火山観測所の役割が大きかったということも、こういうところにも示されていたわけです。

 ところが、石原予知連会長は、近年は各地の火山から主治医がいなくなりつつある、御嶽山もその一つだったと述べております。

 そこで、林文科大臣にお尋ねをいたします。

 火山の観測研究体制を担う研究者が足りないということがこの間強調され、死者・行方不明者が六十三人に上りました御嶽山噴火の教訓でも指摘をされておりました。このように、火山における主治医がいなくなりつつある、こういう実態というのを大臣は承知しておられますか。

林国務大臣 今先生からお話のありました、平成二十六年の九月に発生した御嶽山の噴火を踏まえた報告書において、火山研究体制の強化に向けて実施すべき取組というのが指摘をされております。

 そこに指摘に至る経緯で、やはり必ずしも十分に中長期的な火山噴火予測に関する研究等が行われていない、現時点ではその成果が防災、減災に十分生かされていない、こういう指摘があったところでございますので、これを踏まえてしっかりとやっていかなければならないという認識を持っておるところでございます。

塩川委員 研究者自身が非常にいなくなっている、主治医がいなくなりつつあるという問題が問われているわけです。

 ですから、その辺でちょっと文科省に確認しますけれども、大学において、火山の主治医、つまり常時火山活動のモニタリング、研究をしている、そういう研究者の人は何人いるんでしょうか。その年齢構成についてですけれども、四十歳未満はそのうち何人か、それについて答えてもらえますか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 火山における観測点の維持管理に携わるとともに、火山噴火現象の解明や火山噴火予測について研究を行っている大学の研究者につきまして調査を行いましたところ、平成二十六年四月時点の人数は四十七名でございました。このうち、四十歳未満の研究者につきましては五名であったと承知しております。

塩川委員 活火山、百十一あるんですよ。常時観測というところでも五十。そんな中で、もちろん気象庁ですとか国の研究機関にも専門家の方がいらっしゃいますけれども、実際に地域の大学で主治医として活動してこられたこういった大学の研究者の方の数が、これは文科省のカウントの仕方ですけれども、四十七人しかいない。しかも、その年代構成を見ると、四十歳未満の若手の人というのはわずか五人。これ、大丈夫なのかということを率直に思わざるを得ません。

 そもそも、この調査の日付、平成二十六年四月時点のものですよね。四十七人と答えた、四十歳未満が五人という。だから、もう四年前の話なんですよ。もう四年シフトしているわけですよね。だから、もっと年齢が上がっているというのが現状だということになります。こういう人たちの顔ぶれがかわらずに高齢化を突き進んでいるというところが一番の問題だということを言わざるを得ません。

 ちょうどきょうの毎日新聞でもこの問題を取り上げておりまして、「火山専門家の“高齢化”も課題だ。」。

 文科省の地震火山専門官はということで、文科省の地震火山専門官の言葉として、五十代が多く、十年たてば第一線から引退する人が続出をする、人数が更に減り、火山監視が困難になると危機感をあらわすとあります。

 ですから、こういった教員のデータ、当然文科省は持っているわけですから、四年前の話じゃなくて今の数字を出してもらえますか。年齢構成についても、こういった、いただいているのは十歳刻みのものですけれども、教員のデータは当然文科省は持っているんだから、一人一人が何歳かということも含めて、きちっと明らかにしてもらえますか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、なかなか完全な調査、行き届いていない点がございますが、今現在持っておる数字で確認いたしますと、その後調査した結果で、平成二十八年の四月一日時点の数字でございますが、四十五名というものがございます。このうち、先ほど先生から御指摘のありました四十歳以下の研究者につきましては七名と若干ふえている状況でございます。

塩川委員 それも含めてちゃんと年代構成、それぞれの年齢で改めてきちっと出してもらえますか。それをちょっと答えてください。

佐伯政府参考人 それでは、現在ございませんので、また追って調べて、先生の方に御報告申し上げたいと思います。

塩川委員 ですから、高齢化の事態が深刻だと。若手が五人だろうが七人だろうが、もう決定的に少ないのは明らかなんですから、そういった構成がどうなっているのかというのを政府がしっかりと把握しなければ、日本の火山の観測研究体制そのものが大きく掘り崩されかねないような大問題なんだ、こういう認識を文科省が持っているのか、政府が持っているのかというのが問われているんじゃないのか。実態もつかまないままこういう事態が推移するということは、断じて許されないということを申し上げておきます。

 火山の研究者の方にお話をお聞きすると、こういう火山活動とか噴火予知に求められているのは、いつ、どこで、どれくらいの規模で、どのような噴火が起きるのか、こういったことに加えて、いつまで続くのか、こういう要素が非常に重要だと。このいつまで続くのかというのが地震と決定的に違うところなんだ、こういう話もしておられました。

 このような五つの要素を把握するために、噴火発生時に現場で観測をどういうふうにやるのか、そのデザインもできて、観測装置を設置し、火山活動をモニタリングできる人が、いわば主治医に当たるような研究者の方であります。

 現場で一体何が起きているのかをきちんと解釈をできる人、現地で研究活動することができる研究者は限られている。実際には、そういった方々が、四十七人、四十五人とかというんじゃなくて、十六人くらいじゃないのか、そういう声もあるわけです。五年、十年したら二人しか残らないなどという話も聞いた。

 文科大臣にお尋ねしますが、百十一の活火山があるのに、大学における火山の主治医が数十人でしかない、後継者の若手がおらず、高齢化が進んでいる。若手がおらず、高齢化が進んでいる、こういう事態を放置していいのか、この点についてお尋ねします。

林国務大臣 先ほど申し上げました、委員からも取り上げていただきましたこの報告書にもそう指摘がございましたので、特に、重点二十五火山というのが示されておりますが、これを中心に、大学、防災科学技術研究所等に設置された観測点のデータを活用しつつ、大学等において火山研究が進められております。

 また、その指摘も受けまして、平成二十八年度から、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト、これを開始しております。このプロジェクトにおきまして、報告書で御指摘がありました、噴火の先行現象の解明、それから噴火の可能性の評価手法の開発に資する研究を進めておるところでございます。

 今まさに御指摘のありました大学における火山研究者が中心となって、火山ガスであるとか火山噴出物の分析、研究、またレーダー衛星による火山観測技術の研究、こういったものを実施しております。

 こういった取組によって、火山の観測研究体制の強化に取り組んでまいらなければならないと思っております。(塩川委員「人材の方はどうですか、人材育成」と呼ぶ)

 申し上げましたように、これは人材育成も含んだ総合プロジェクトでございますので、これをしっかり進めて、委員から御指摘のあったように、若手の育成というのも、これは次世代でございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

塩川委員 今、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトのお話がありました。二つの事業があると。

 一つは、観測、予測、対策の一体的な火山研究の推進というお話ですけれども、これは、火山の観測、予測、災害対策技術の開発であって、メーカーと大学の研究連携、こういう点では重要だと考えますけれども、しかし、主治医である火山研究者の基礎研究資金に手当てをするというわけではない。

 また、人材育成の方についても、理学にとどまらず、工学、社会科学等の広範な知識と高度な技能を擁する火山研究者の育成、確保というもので、これはこれで重要だと思いますけれども、しかし、先ほど来から指摘をしているような火山の主治医を直接ふやすものにはなっていないと思う。

 その点は、大臣、いかがですか。

林国務大臣 もちろん、こういうことを通じて人材の裾野を広げていくということが大事であるということでございますが、その中で、委員が先ほどからおっしゃっている主治医ですね、こういう方、こういう主治医になってもらえるような方をこういうものを通じて育成、確保してまいらなければならない、こういうふうに思っておりまして、当面五年間で八十人から百六十人へ確保数をふやしていこうという目標を立てて取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

塩川委員 八十人から百六十人、五年間でふやすというんですけれども、それは、先ほど言ったように、工学とか社会科学とかの連携のそういう広がりの中ですから、いわゆる先ほど言っているような、大学関係者でいえば四十七人とか四十五人に相当するよりも対象を広げての話なんですよ。そういう意味でも、まさに主治医に当たるような人がどれだけふえるのか、見通しがあるのか。

 しかも、八十から百六十という目標を掲げたとしても、就職口はあるんですか。就職口というのはしっかりと見通すことができるんですか、大学とか研究機関とか。それはどうですか。

林国務大臣 各研究機関それから各大学、それぞれ独立行政法人であったり、また国立大学法人であったりということでございますので、それぞれ決めた計画に基づいて運営をしていただいております。

 そういう中で、なるべくできる範囲で、委員からも御指摘がありましたけれども、こういう世代における人数構成というものが過度に偏っていかないような取組というのを我々も促していければ、こういうふうに思っておるところでございます。

塩川委員 いや、できる範囲じゃ困るんですよ。そうじゃなくて、やはり本当に、四十歳未満が一桁のような状況で、もう放置できないんじゃないのか。具体的にどうふやすのかという計画こそつくるべきなんですよ。それがないというのが今の現状というのは、極めて深刻だと言わざるを得ません。

 二〇〇〇年の有珠山噴火の際にその活躍が注目をされた、北海道大学有珠火山研究所で活動されたのが岡田弘北大名誉教授であります。

 一九七七年に有珠火山観測所が設立され、この年に有珠山の噴火がありました。ハザードマップ作成のために危険区域の事前調査をしようとしたところ、ここは観光地だから、危ない火山と言わないでほしいと地域住民から拒絶されたという経緯もあった。

 しかし、その後、十勝岳や、また雲仙岳の噴火などもあり、それまで拒絶をしていた観光業の人たちが火山観測所を訪ねてくるようになりました。災害の経験を学び、災害に備えよう、そういう意識改革が進み、それが試されたのが二〇〇〇年の有珠山噴火です。

 前兆を捉え、私たち科学者と行政、マスコミ、地域住民が連携して事前避難に取り組みました、観測したデータから、どんな危険があるのかを的確に伝え、それを住民たちが理解して行動できました、だからこそ、居住地域での噴火にもかかわらず死傷者ゼロの成果が得られましたというのが、あの有珠山の噴火だったわけであります。

 極めて重要な北大の有珠火山観測所の果たしてきた役割、地域と一体となってこういうことを行ってきた、このことに我々は本当に今学ぶ必要があると思います。

 そこで、このような重要な役割を果たしてきた大学の火山観測所の人員についてお尋ねをいたします。

 最初に、この北海道大学の有珠火山観測所における常駐している常勤の方、常駐常勤の方の人数について、大学の国立大学法人化前の二〇〇三年度と今年度の数字を示してもらえますか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 北海道大学の有珠火山観測所につきましては、法人化前の平成十五年度につきましては常勤が四名でございます。平成二十九年度におけます同有珠火山観測所につきましては、常勤一名と非常勤の職員二名の合計三名の配置となっているところでございます。

塩川委員 法人化前では四名だったのが現在は一名ということですが、しかし、この一名というのは本当に常勤の方なんでしょうか。私がホームページでこの有珠火山観測所を見ましたら、三人の方のお名前があって、確かにその非常勤の方もあるんですけれども、特任准教授という方を常勤とカウントしているんでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁いたしました常勤のカウントにつきましては、北海道大学に調査した結果でございまして、そのような形での報告をいただいたところでございます。

塩川委員 いや、だから、大学任せにしないで、あなたが調べなさいよ。

 この有珠の火山観測所のスタッフの資料はありますよ、ホームページを見れば。その中に、有珠の方は三人いる。特任准教授と研究支援推進員と事務補助員です。事務補助員の方と研究支援推進員というのは非常勤の方です。特任准教授というのも有期雇用の方ですよ。この方は定年退職後で勤められている方で、もちろん実績もある、経験もある、そういう先生がおつきになっているんですけれども、有期雇用じゃないですか。そんなことも確認していないんですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 雇用形態といいますか、大学の方に対しては、その勤務している状況について、常勤か非常勤かということでお尋ねして回答をいただいたものでございます。

塩川委員 だから、何で文科省で調べないんだよ。文科省として実態をつかむかということが問われているんじゃないですか。こういうように、私がホームページをあけてみたってすぐわかる話なんですよ。何でそんなことも調べられないのか。文科省は何をやっている役所なのか、まさに問われているんじゃないでしょうか。

 ですから、もちろん、仕事をされておられる方は、経験もお持ちで実績もお持ちの方、しかし、雇用形態は有期雇用なんですよ。常勤の方じゃないんです。そういった常勤がどんどんどんどん減らされて、今、有珠火山観測所でもゼロというのが実態だということであります。

 じゃ、東大はどうですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 東京大学につきましては、三つの観測所を持っておりまして、そのうちの浅間火山観測所につきましては、平成十五年度につきましては常勤一名、平成二十九年度については配置はゼロでございます。また、伊豆大島観測所につきましては、平成十五年度及び平成二十九年度、いずれも配置はゼロでございます。さらに、霧島火山観測所につきましては、平成十五年度は常勤一名、平成二十九年度の配置はゼロになっているところでございます。

塩川委員 全部ゼロなんですよ。もちろん、無人化も進めましょうと。実際に、いろいろ観測データなどが大学などに送られるという事情はあるでしょう。しかし、主治医である以上は、現場に行って実態がリアルにつかめるかどうかというのが大きい。有珠の話だってそうだったじゃないですか。そうなっていないというところに今の深刻な事態があるということをやはり受けとめてもらわないと困る。

 文科大臣に重ねてお尋ねしますけれども、この石原火山予知連会長も、火山の近くに常時置かれた大学の観測所には、研究者や観測機器を動かす技師らを合わせても全国に三十人弱しかいない、今のままでは近い将来対応できなくなるかもしれないと述べています。こういった深刻な事態を放置するのか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、そういう実態があるということは今の数字でも示されておるわけでございますので、先ほど御答弁申し上げましたいろいろなプロジェクトを使って、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 余りにも大学の火山観測研究体制の実態が見えていないと言わざるを得ません。

 先ほどのプロジェクトも、このプロジェクトそのものについての役割はあるでしょう。しかし、主治医となるような方々をふやすような予算措置あるいは人員配置、こういうことには実際のところなっていないというのが現状であります。

 ですから、就職口はどこですかと言っても、ぜひふやしてくださいというのは言うかもしれないけれども、実際に、こことこことここでふやします、そういう話というのはどこからも出てこないじゃないですか。八十人を百六十人にふやすなんて話も、その中身そのものについても、実際の就職口というのはどこに示されているのか。どこに示されているんですか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、具体的なポストまでなかなか特定することは困難でございますが、特に大学におきましては、火山研究と人材育成を実施することで、将来の火山の監視や噴火予測への貢献が期待される研究成果を創出するとともに、火山研究者の輩出に貢献していると承知してございます。

 そういう意味では、研究者の個人の関心ですとか、どういった研究内容かということとまさに一致してといいますか、それとかみ合わせての今後の人材育成ということが求められているというふうに承知してございます。

塩川委員 コンソーシアムの受講者の進路選択の自由があるみたいな話を言うけれども、いや、いいんですよ、ちゃんと火山の研究にかかわるような就職口が示されれば選択のしようもあるじゃないか。何にもないのにこういうプロジェクトとかをやっても、現場は、実態は動かない、高齢化が進むだけ。これが、今の文科省や政府がやっていることじゃないか。これで本当に日本の火山観測体制、監視体制が大丈夫なのか、こういうことが厳しく問われるわけであります。

 防災担当大臣に伺います。

 このように、お聞きになって、率直にお答えいただきたいんですが、火山の主治医となる研究者が少ない、若手の就職口もないままでは、高齢化が進むだけで、日本の火山防災対策が成り立たなくなるんじゃないのか、深刻な危惧を覚えるわけですけれども、この点について防災担当大臣としてはどのように受けとめておられますか。

小此木国務大臣 我が国では、関係省庁、研究機関等が各機関の特徴を生かし、監視観測、調査研究等を行いながら、常々その強化を図っていかなきゃならないという意味において前に進めてきたところと存じますけれども、今委員の指摘されている主治医という専門家、これの育成というものも一つの課題であろうかと思います。

 何ができるか、そして何をしなければならないか、具体的な対策を、先ほど私申し上げました火山防災対策会議等におきましても、そういうことについてもしっかりと協議、研究をしながら進めてまいりたいと思います。

塩川委員 主治医の育成の必要性についてお話しされました。それを予算で示してくださいよ。

 予算ではっきり示すということこそ今問われているわけで、具体的に大学では、そういう予算措置、運営費交付金がどんどんどんどん削られる、そういうもとで、人件費も削らざるを得ないんですよ。研究資金をとろうなんていっても、火山での競争資金なんかはどこからもらえるのか。だから、基礎研究に対してのしっかりとした資金の手当てがない限りは、日本の火山の観測研究体制は拡充強化されていかないんですよ。

 この間、大学の法人化以降に大学の観測点整備のための国の予算がつかなくなった。そもそも、国立大学法人化、運営費交付金の削減が人件費削減につながり、民間資金の獲得が困難な基礎研究である火山観測研究体制にしわ寄せとなってあらわれています。大学で就職口がなく、ましてや民間に就職先はないんですから、火山研究を志そうとしてもどうにもできないというのが今実態で、このような仕組みを抜本的に見直すべきだ。

 文科大臣、そういう措置、ぜひとってもらえませんか。

林国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、火山研究者の人材育成というのは重要な課題である、こういうふうに認識しております。

 先ほどのプロジェクトでございますが、複数の大学がコンソーシアムを構築して、火山学を体系的に学ぶことのできる教育プログラムを提供するということで、広範な知識と高度な技能を有する火山研究者の育成を推進しておるわけでございます。

 それぞれの研究所、それからそれぞれの大学において、しっかりとこうして育成された人材を活用していただくように、我々もしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

塩川委員 全くそういう思いが伝わってこないということを言わざるを得ません。

 草津町の住民の方は、火山があるから温泉がある、このようにおっしゃっておられます。山岳地域の国立公園のほとんどというのは火山があるわけで、急峻な地形や荒涼とした風景、溶岩台地や大草原など、火山独特の景観が観光地になっています。海外の旅行者の方にとっても、日本の自然景観の人気スポットは火山のお釜と温泉であります。

 火山は、地域社会、地域経済を支える役割を果たしてまいりました。一方で、火山は災害をもたらす。住民の安全のためにも、地域の振興策としても、火山防災対策に全力を挙げるべきだ。そのためのしかるべき予算をしっかりと手当てするということを強く求めて、質問を終わります。

河村委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 麻生大臣、また各大臣、委員の皆様も朝からお疲れさまでございます。あと三十分、維新の会の質疑の時間がございますので、おつき合いいただければと思います。

 麻生大臣には通告申し上げていないんですが、少しきょうは漫画コンテンツの関係の質疑をしたくて、その折に、もしかして御興味がありましたら御答弁をお願いしたいなと思うんですけれども、最後までお聞きいただければと思います。

 まず最初に、福井等北陸での雪の質疑、先ほども地域選出の斉木委員より詳しいお話がありました。実は、同様の質疑を用意しているんですけれども、大臣に来ていただきましたので、重なるところがありますことをまずお許しいただければと思います。

 何より、お亡くなりになられた方がいらっしゃいます、心からお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われました皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、何より、昼夜を問わず、自衛隊員の方々、救急の方々、現場で苦労されている、作業されている皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

 政府としてこれはしっかりやっていただかなきゃいけないと思います。先ほど、防災担当大臣よりも、しっかりやるというお言葉をいただきましたけれども、改めまして決意をお伺いできますでしょうか。被害状況と、政府としてしっかりやっていくという言葉をいただけますでしょうか。

小此木国務大臣 先ほど斉木議員にお答えをいたしましたけれども、二月四日ごろから、日本海側を中心に大雪となりました。そして、福井市におきましては、昭和五十六年豪雪以来、三十七年ぶりの記録的な大雪となったということでございます。この大雪の影響で、これまでに全国で死者が七名、そして重傷者三十七名などの被害が生じているほか、国道八号の福井、石川県境付近において最大約千五百台の車両が滞留するなど、国民生活にも大きな影響が出たところであります。

 改めて、亡くなった方々にお悔やみを申し上げ、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げる次第であります。

 政府として、大雪となる前の先週末から、この大雪についての警戒会議をしてまいりました。今週に入りましてから、火曜日そして本日と、警戒会議を行いました。特に、あすから雨ですとか、あるいは気温も上がるということも考えられますので、雪解けあるいは雪崩、こういったことに厳重に注意してほしいという要請を省庁を通じて自治体にもさせていただいたところであります。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 総務大臣にも来ていただいていますから、私、実は党務の方で福井の担当もしておりまして、先週福井の方に伺ったところ、先ほど斉木委員もお話しされていましたけれども、福井県からは、実はことし、除雪の費用がやはり県としては厳しくて、そうした中で、十八億円ほど総務大臣宛てに特別交付税の申請をしているんだというお話を伺っていて、これはきっちり総務省にお願いしていかなきゃいけないなと思ったんです。先ほど、きょうちょうど来られたというお話もありましたけれども、重ねてになってしまいましたが、通告している関係上お伺いしたいと思います。

 この点、恐らく福井だけじゃありません、北陸の被害に遭われた県から重ねての御要望もあると思います。政府としてしっかり、除雪の費用、単独の県ではなかなか限界があると思いますので、御対応いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 本当に、このたびの福井の大雪でお亡くなりになられた方に心より御冥福を申し上げますし、いまだ御苦労されている皆様方に対してもお見舞いを申し上げるところです。

 委員がおっしゃったとおり、斉木委員にも申し上げたことと同じになりますけれども、福井県のみならず、本年度は全国的に雪が多いということで、本日、福井県からはしっかりと具体的にいろいろな御要望をいただいて、私のかわりに小倉政務官が承ることになりました。

 除雪の経費については、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税措置額を超える場合は、三月の特別交付税によって措置をいたします。

 いずれにしても、地方団体の除排雪経費の実態をしっかり丁寧に把握して取り組んでまいります。

丸山委員 御答弁ありがとうございます。

 今国会、国会改革のあり方という形で、どういう国会運営があるのがいいのかみたいな話が出てきております。非常に大事な点で、私も、若い議員として国会に来て、るる見るに、何か、民間の方々から見たらどうかなというような、例えば質疑時間の決まり方とか、きょうの実はこの福井の質疑もこれまで余りなかったので、最初にやはりきちんとお伺いしておかなきゃいけないと思って御用意してきたんですけれども、一方で、同じ日に他党の議員さんから同じ質問が出てしまいますと、そうした段階ではなかなか、重なってしまった後、大臣、じゃ、もう来ていただかないで大丈夫ですよというわけにもいきませんし、そして何より、重ねて聞かなきゃいけないということも出てきたりすると思います。

 ただ、国会審議のあり方として、前日まで予算委の状況が見えないというのは、何となくやはり民間の皆さんから見ても変かなと思いますし、麻生大臣もずっとお座りいただいていますけれども、そのあり方も、全体も含めてしっかり議論していかなきゃいけないなと、今、自分自身、質疑が重なって強く思ったところでございます。

 お答えいただいてありがとうございます。引き続き、実は十一日以降、また同じように大雪が北陸で起きるんじゃないかという話もあります。きょう御指摘のあった、重ねては言いませんけれども、県選出の斉木委員からもありましたけれども、るる問題点を指摘されていますので、同じことが起こらないように、しっかり防災担当大臣そして総務大臣、各大臣にもお願い申し上げまして、次以降の質問、防災関係はございませんので、防災担当大臣と総務大臣、お時間、お忙しいと思いますので、ここで退席いただいても構いません。ありがとうございます。

河村委員長 どうぞ。

丸山委員 そうしましたら、その次の質疑に移っていきたいというふうに考えております。

 きょうは幾つかお話をお聞きしていきたいんですけれども、まず最初は、民間での、引きこもりの方々への支援の施設の関連のトラブルの案件についてお伺いしていきたいと思います。

 何かと申しますと、最近、いわゆる引きこもり、社会での接点なく、御自宅や、御家族のいらっしゃる方、いらっしゃらなくても引きこもっていらっしゃる、そうした方々が社会問題として取り上げられて久しく時間がたっております。

 厚労省さんの調査だと、お聞きすると、最新の調査では全国で五十四万人の方が引きこもりという方でいらっしゃるということなんですけれども、一方で、この調査を聞くと、実は、十五歳から三十九歳までということで、四十歳以上の方は入っていないということですね。四十歳以上の方も実は最近すごくふえていまして、親の方も高齢になっていて、引きこもられている方も高齢になっている、非常に問題も複雑化しているという現状がございます。

 そうした中で、四十歳以上をきちんと調査をされるということなので、しっかりそれは現状把握していただきたいんですけれども、一方で、そうした引きこもりの方の支援をしようというNPOだとか民間団体、もちろん県や公共のものもあるんですけれども、今回問題にしたいのは、民間のこうした引きこもり支援施設において、ちゃんとやっているところはやっていらっしゃるんですけれども、一方でトラブルがふえているという問題でございます。各種報道でもございまして、特に去年の後半ぐらいから各マスコミがこれを取り上げ始めて、大きな反響を呼んでおります。

 どういうことかといいますと、親御さんが困って、引きこもりや家庭内暴力みたいな検索ワードをかけると、その検索で上位のサイトを大体皆さんクリックしていくんだと思うんですけれども、そこのクリックしていく民間業者に相談したら、ある引きこもりの支援の業者なんかは、非常に高額な、五百七十万円の料金を請求する。しかも、それは結局何もしてくれなかったとか、引きこもりの方を説得するならいいんですけれども、内鍵を壊して、そして連れ去って、状況によってはまるで拉致監禁のような可能性もあるような、引きこもりの方を連れ出すのに非常に違法の可能性があるような行為をしている民間団体もあるんじゃないか、そういったトラブルが起きているんだという話です。それで、消費者庁が持っていらっしゃる国民生活センターにもこうした問合せが昨今出てきているというふうに伺っております。

 まず最初、お伺いしたいんですけれども、この国民生活センターへ問合せ、こういった状況はあるんでしょうか。また、私、今後更にふえていく、非常に問題となっていくんだと思うんですけれども、政府としてどのように対応されているのか、お伺いできますか。

川口政府参考人 お答えいたします。

 全国の消費生活センター等には民間の引きこもり支援施設に関しても相談が入っておりまして、平成二十七年度以降、毎年二十件程度寄せられております。今年度は若干ふえているように見受けられまして、この辺を国民生活センターで集計しているところでございます。

 具体的な内容でございますが、委員御指摘のように、前払い金が高額であるということを踏まえまして、事業者の信用性に関する相談あるいは返金も含めまして、事業者の対応を求める相談等が寄せられているところでございます。

 また、内容を見ますと、息子に会いたいと伝えてもなかなか、会いたくないと言われて会わせてもらえないとか、工場に勤務しているようだが、寮の所在地や勤務先がわからないといったような内容も含まれているところでございます。

 このように、民間の引きこもり支援施設の利用に関しましても消費者問題と見ることができる側面がございますので、消費者庁におきましては、消費者ホットライン、一八八等を通じまして消費生活センターと御相談いただくということ等を周知してまいりたいと思います。

 その上で、寄せられた相談を分析いたしまして、厚生労働省あるいは国民生活センターとも連携しながら、必要な対応を検討してまいりたいと思っております。

丸山委員 この問題、いわゆる悪質な業者に対して、そういう被害に遭った場合に、今お話にありました一八八にかけてください、国民生活センターへのお問合せをしてくれということなんですけれども、問題は、その前にどうやってこれを防止していくのか、とめていくか、非常に大事な観点なんですが、実は役所の皆さんに聞くと、役所の所掌のはざまに落ちがちな、どこが担当するのかというのは非常に難しいところがあるのか、そういった意味で、今新しい問題だ、最近出てきた問題だというのもあると思います。

 そうした中で、はざまに落ちているなと強く感じるんですけれども、一番やはり近いとなると、福祉関連で厚生労働省さんだと思います。同様の民間の施設、公の施設じゃない民間の施設は今、日本全体でどれぐらいの施設がそもそもあって、やはりほかの業界だとガイドラインがあったり、そもそも取締法令がきちんとあるようなものもあると思うんですけれども、そうしたものはあるのかどうか。実態、厚労省さんはどのように今所管されている、見られているのか、お答えできますか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 引きこもり支援でございますが、先ほど議員も述べられましたとおり、国が補助し設置をしているひきこもり地域支援センターや、生活困窮者自立支援制度の関係機関などが国の取組としてございまして、その全部又は一部が民間事業者に委託されている場合もあります。

 このような場合は状況を把握してございますが、それ以外で引きこもり支援を行っている民間事業者の数については把握していないところでございます。

 また、引きこもり支援を行う民間事業者を一律に規制するような制度は存在しないものと承知をしております。

丸山委員 これは厚労省さんにお願いしたいんですけれども、ちょうど引きこもりの方の実態を把握するというのを始められて、そして今後、四十歳以上の方も確認されるというふうに伺っているんですけれども、一方で、同様に、ちゃんと更生されていく、きちんと社会との接点を持っていかれる方々もいらっしゃる中でこうした被害が出てきているというのが現状だと思います。

 そうした中で、きちんとその被害状況についても同様に把握していく。また、逆に言えば、民間でも頑張ってくださっている施設ももちろんあるんだと思います。だから、どういうふうな施設がどれぐらいあって、また、ガイドラインも含めて必要なのかどうか、これを検討することは非常に大事な観点だと思うんですけれども、どうでしょう、御担当の局長としてお答えいただけますでしょうか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から言及のございました調査につきましては内閣府の方で調査をしておりまして、年齢の方も内閣府の方で検討しておられると聞いております。

 その上で、引きこもり支援でございますが、私どもとしては、やはり、引きこもりでいろいろ悩んでいらっしゃる御家族を支援するために、まず、公的あるいは公から委託をしている引きこもり支援を充実させるということが重要だと思っておりまして、実際、今、引きこもりの相談窓口もあるわけでございますから、こうした窓口をきちんと周知していくということが重要であろうかなと考えております。

 実は、平成三十年度予算案においては幾つかの充実を図っておりまして、生活困窮者自立支援法の就労準備支援事業において、アウトリーチ、訪問支援などによる早期からの個別支援の重点的な実施をするとか、ひきこもり地域支援センター、こちらは都道府県、政令市に設置をされておりますが、ここによる就労準備支援業者に対するバックアップ機能の強化など、支援の充実を予算案に盛り込んでいるところでございます。

 こうした支援に取り組むとともに、こうした相談窓口についてしっかりと周知をしていきたい。

 また、トラブルの状況などにつきましては、ひきこもり地域支援センターへの状況確認も行いたいと思っておりますし、消費者庁さんとの連携ということもあろうかと思いますので、そういったことを通じて引きこもり支援を行う民間事業者に関するトラブルの情報が確認できた場合には、自治体を通じて、引きこもりの相談窓口や相談者などへの注意喚起、こうしたことを行ってまいりたいと思っております。

丸山委員 これは、観点としては二つあると思うんですね。

 そもそも、どこにまず相談していいかわからないという親御さんがいて、そうすると、先ほど申し上げたような、やはり今の時代、インターネットですので、検索されるんですよ。そうすると、上の方に上がってくるサイトで、もしかしたらそうした悪徳な業者がかかって、もうわらにもすがる思いで行かれて先ほどのような高額な請求をされてしまうとか、そうしたトラブルが起きている。だから、今おっしゃったような、しっかり公の機関だとかバックアップできるのを周知していただくということが必要なんです。

 もう一つ、こういう悪徳業者をやはり少なくしていくという部分が非常に重要なんですけれども、そうした部分の、どういう実態なのか、まず調査だと思います。同時に、最終的に必要なのはガイドラインだというふうに思うんです。

 そういう段階を踏んで見ていく、検討していく、今のお答えはそういうことでよろしいんですか。後者の方の、きちんと悪徳業者の実態も把握していく、調査して問題があればガイドラインの作成等も含めて検討していくという今のお答えなんでしょうか。それでよろしいんですか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 行政といたしましては、引きこもりのトラブルなどについては各地域の地域支援センターの状況確認などで把握ができるということを考えておりますけれども、では、引きこもりの問題に取り組む御指摘のあったような民間事業者が、一体どんな形で、どのようなところに存在しておるのか、これを調査するということはなかなか難しいのかなと思っておりまして、まずそういったトラブルの把握ということから始めさせていただきたいと考えております。

丸山委員 今、御自身で認められましたけれども、非常に調査が難しい、それでトラブルの把握からというお話がありました。

 大臣、きょうは来ていただきましてありがとうございます。現状はこういう状況なんです。まだ新しい問題だということもあって、国としても状況把握がおくれているという状況だと思います。今お話を聞いていただいて、どのようにお考えになるのか。ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

加藤国務大臣 一つは、よく、悪貨が良貨を駆逐するということがありますけれども、逆で、良貨をしっかりして悪貨を駆逐するという意味においても、今ございますひきこもり地域支援センター、これが引きこもりに特化した第一の相談窓口ですから、そこに入ってきていただき、そのネットワークにおいてはしっかりした事業者につなげていく、これがまず第一なんだろうと思っております。

 そういった意味で、じゃ、ここのひきこもり地域支援センターがそれだけ、みんなが知っているかという意味においてはまだまだ努力が足らない部分がありますので、それはしっかりと取り組んでいきたいというふうに思いますし、また、何かここ、おかしいねという事業者があれば、そこは誰がどういうふうに対応するかというのは、その事業者の形態もいろいろあると思うんですね。

 だから、一概に誰がどうとは言えませんけれども、先ほどありました消費者庁とも連携をとりながら、まずそういうところに行かないように、よく、先ほど申し上げたようなネットワークの中で対応させていただきたいというふうに思います。

丸山委員 しっかり、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 時間がありませんので、まずは第一弾として、きょうはお聞きしたこの範囲でとどめることになりますけれども、引き続き、今国会含めまして状況を追っていきたいと思いますし、ぜひとも、政府としても前のめりで、しっかり対応のほど、よろしくお願い申し上げます。

 次は、著作権法違反の関連でお話ししたいと思います。

 これも、先ほどのインターネットの話もありますけれども、いわゆる海賊版とか、そもそものオリジナルのものをコピーして、二次創作というわけじゃなくて、そのままインターネット上で閲覧できるサイトというのが、例えば漫画村みたいな形で特定のサイトで、インターネット上で今話題になっておりまして、そうしたサイトは違法なんじゃないか。そもそも、そうした特定のサイトだけじゃなくて、あらゆるサイト、リーチサイト、いわゆるそういったところにつながるようなサイトも含めて、そうしたものがあるがゆえに、日本のコンテンツ産業は危機にあるんじゃないかという議論があります。現に、業界の試算では何百億という損失が出ているんじゃないかという話があります。

 これは現状をお伺いしていきたいんですけれども、政府としてやはりまずは認識していただいて、状況確認が私は要ると思うんです。

 人によっては、これを言うことでまたそれを利用する人がふえてそこは利益を得るんじゃないかという話もありますけれども、でも、それを黙っていればどんどんどんどん広まっていきまして、使う方は使ってしまうので、それを防ぐためには、やはり違法行為があるかどうか確認していく。もしあるのなら、しっかりこれは取り締まることが非常に今後の日本のコンテンツ産業にとっても大事な観点だと思うんです。

 確認したいんですが、こういったサイトというのは、最初に、うちのサイトは違法じゃありませんみたいな書き方をするんです。サーバーが国交のない国にあるとか、作業をしているのは海外でやっているとか、ある意味、見ている人に、ああ、違法じゃないんだと思わせるような書きぶりをして、ただ、状況がわかりません。本当にそうなのかもわからないんですけれども、これは状況によっては著作権法違反に当たるんじゃないかなというのを幾つも思うんですけれども、ちょっと、まず文科省に確認したいんです。

 判例なんかを見ていますと、例えばファイルの送受信自体、大部分が日本国内で行われていれば、サーバーの所在が国内になくても我が国の法の適用を認めたような判例があったと思うんですけれども、こういうのはあるんじゃないですかね。また、例えば運営者がネット上の漫画を自分で収集してサーバーにアップロードしている場合であれば、我が国の著作権法上の適用が認められるとすれば、まさに侵害の可能性が出てくるんじゃないかと思うんですけれども、そういった判例や状況というのはあるんでしょうか、確認できますか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、我が国の裁判例の中には、国外に設置されたサーバーを用いたサービスを通じて権利侵害となるファイルの送信が行われておりました事業におきまして、当該サービスによるファイルの送受信の大部分が日本国内で行われていること等の事情を勘案して、当該サービスの提供について、我が国の著作権法の適用を認めたものがあると承知しております。

 また、御質問の行為でございますけれども、権利者、著作権者の許諾を受けておらず、権利制限規定の適用もない場合には権利侵害となり得るものと考えております。

丸山委員 これは、やはり警察の方にもきちんと状況を把握していただきたい話なんですよ。

 そういう状況を見ていただいて、違法性があるとか、若しくは、著作権なので、著作権者からの告訴があるという場合にはしっかりと警察も対応いただきたい。そういった状況が今起きているんだと思うんですけれども、そうした部分に関してきちんと対応いただきたいんですが、お言葉をいただけますか。

山下政府参考人 委員お尋ねのサイトにつきましては、個別具体的な事実関係に即して判断すべきものでありますのでお答えをすることは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、著作権法等の法令違反が疑われる事案に対しては適切に対処していく所存でございます。

丸山委員 これは私も、警察庁さん含めて役所側の動きを見ていきますので、たびたび国会でも今後取り上げる可能性もありますし、またいろいろお話を、情報のやりとりをさせていただきたいと思います。

 やはり、クールジャパンという形で日本のコンテンツを世界に売っていこうとする中で、ここの権利を守っていくというのは、非常に日本は積極的に政府としてもやらなきゃいけないと思います。

 そうした中で、今、表現の自由との関連で難しいところももちろんあるのはわかるんですけれども、しかし、これは、文科省さんや警察さんも、今回お話しさせていただきましたけれども、しっかり現状を知っていただいて、きちんと行政としてやるべきことがあるのならやっていただきたいというふうに強くお願い申し上げたいというふうに思います。

 そういった意味で、TPPの議論のときに、茂木大臣、きょうは来ていただきましてありがとうございます、これは非常に大事な議論をしたと思うんですけれども、あのTPPの議論のときに、私もちょうどこの委員会室と同じ場所でさせていただきました、関連法案の中に著作権法がございまして、実は、その著作権の非親告罪化ということで、幾つか条件を課した上で非親告罪化を、TPPが通ったならばこれが施行しますよというのが成立しております。

 その条件が、基本的には、対価を得る目的又は権利者の利益を害する目的があること、一つ目です。有償著作物等について原作のまま譲渡、公衆送信又は複製を行うものであること、二つ目です。三つ目が、著作物等の提供、提示により得ることが見込まれる権利者の利益が不当に害されることということで、これは実は、二次創作とかそういった部分の権利はやはり守りながら、一方で、今申し上げたような、原作のままホームページ上に上げているとかそういったものはきちんと取り締まっていこうよという、今、世の中の流れの中で、この著作権法の改正をTPPの改正にあわせて入れたと思うんですね、成立しているんですが。

 一方で、TPP、アメリカがくだんの状況になりまして、一回お流れになって、しかし、御努力いただいて、今回、TPP11という形になろうとしております。

 お聞きしたいのは、今回のTPP11を批准したとしても、前回審議して成立したこの著作権法を含む関連法案は、これは批准されたとしてもまだ施行されないという理解でいるんですけれども、それはそれでいいのか。そして、同時に大臣にお伺いしたいのは、多分、もう一回TPPを国会に出してこられて批准の審議をするのなら同様の案件を出さなきゃいけないと思うんですけれども、この著作権法の部分に関しては全く私は変わらないんだと思うんですけれども、同様の案件を出される予定なのかどうかを含めて、大臣、お言葉をいただけますか。

茂木国務大臣 丸山委員には、世界の成長センター、アジア太平洋地域に二十一世紀型の新しいルールをつくるこのTPPについて大変深く御理解いただいているところでありますが、TPP12の国内整備法の施行期日は委員も御案内のとおりTPP12の発効日となっておりますことから、TPP11が承認されても、TPP12が発効しない限り施行されないということになります。

 したがいまして、三月八日に予定されておりますTPP11の署名後、TPP協定の承認案とともに、TPP12整備法の施行期日をTPP11の発効日に改める内容の国内整備法の改正法案を国会に提出する予定であります。

 この中で、御指摘をいただきました著作権等の侵害罪の一部非親告罪化、三つの要件についても御説明いただきましたが、これに係る規定については、TPP11協定上凍結、修正等を行っておりませんから、内容修正をせずに国内関連法案を国会に提出する方向で関係省庁と調整をいたしております。

丸山委員 これが出てきましたらまた審議が必要だと思いますが、しっかりこれは成立させていって、何かあったときには捜査機関も非親告罪として取り締まっていく体制が必要だと思いますので、我が党としても、しっかりこの部分は見ていきたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 麻生大臣、お伺いしたいんですが、最後の最後にコメントをお願いしたいと思いますので、もうあと数分お待ちください。

 最後、ちょっとだけお伺いしておきたいのは、外国人技能実習制度について、今回、報道で、コンビニエンスストアのフランチャイズチェーンにおいて、技能実習制度の受入れをお願いしたいという要望が業界からあるんじゃないかみたいな記事が出ていて、これにびっくりしたんです。

 今回介護が加わっているんですけれども、技能実習制度自体は、やはり技術を海外に移転する、高い技術の人をつくっていって国際貢献として海外に出していくという話なんですけれども、コンビニのフランチャイズチェーンの社長さんの話だと、コンビニの搬出やら商品並べだとか、いろいろなものも高度な技術になるんだということとされているんですけれども、確かにそういう部分もあると思います。

 でも、それを言い出したら、あらゆる職業が何かしらのノウハウや技術があって、学んで、そこから上達していくのが職業だと思うんですけれども、どんどんどんどん広がっていったら、結局のところ、このもともとの趣旨である部分を逸脱してしまうと思うんですね。

 何を危惧しているかというと、六年で一・五万人以上の技能実習の方が失踪されている状況なんですよ、今。外国の方が来て、どこへ行ったかわからない状況で、まだ広げようとするのかというのは、私、非常にびっくりしたんです。

 これは経産省さんと、そして続いて厚労省さんにお伺いしたいんですけれども、フランチャイズチェーン協会、コンビニの業界からこの一月にもなされると聞いたんですけれども、なされたものがあるかどうかというのを聞きたいのと、そして厚労省さんに、コンビニの業務が果たして実習制度に当たるんですか。要件として当たるのなら私はちょっと問題だと思うんですけれども、あらゆるものに広がっていくんだと思うんですけれども、お伺いしたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 コンビニエンス各社、昨今では海外展開を積極的に進めておりまして、こうしたことを背景といたしまして、コンビニエンスストア各社及び業界団体において、海外店舗で活躍できる人材の育成ということを念頭に、今、現時点では申請を検討中であるということで、申請時期等については現段階では未定であるというふうに承知しております。

丸山委員 ごめんなさい。厚労省さん、最後。

安藤(よ)政府参考人 技能実習制度の対象職種を追加するに当たりましては、関係業界内の合意であるとか業所管省庁の同意を得た上で、同一の作業の反復のみによって習得できるものではないこと、送り出し国の実習ニーズに合致すること、技能等を評価できる技能実習生向けの試験制度が整備されていることという要件を満たす必要性がございます。

 御指摘の職種につきましても、今後、具体的な申請がありましたら、業所管省庁であります経済産業省と調整の上、技能移転を通じた国際貢献という制度の趣旨を踏まえつつ、要件に適合するか否か、学識経験者と労使から成る専門家会議におきまして検討を行うこととなると考えております。

丸山委員 時間が来ましたので終わりますが、この点、非常に大事な観点です。今後審議が必要だと思いますので、よろしくお願いします。

 麻生大臣、最後、審議、お疲れさまでございました。漫画の件も含めまして、コメントがありましたらいただいて、終わりたいと思います。

麻生国務大臣 先ほど、一番最初に引きこもりの話が出ていたので、引きこもりというと何となくマイナスのイメージばっかりで世の中に行き渡っていますけれども、引きこもりだけ集めて、社員数、何千人ですかね、今、一部上場企業よ。そういう会社が現に存在していて、そのうちは、多くの引きこもりの子供を全部預かって、そこで、その人たちのコンピューターに対する集中能力を高く買って、今、ほとんどの日本のゲームソフトはこの会社に頼んでいませんかね、バグはここで探してくれと。はい、知っていた人。誰もいない。本当に議員って意外と知らないね。こういうのは絶対勉強した方がいいですよ。そういう会社が世の中にあるんですよ。

 しかも、その会社はアメリカの会社とやって、アメリカの会社のコンピューターを全部やって、そのバグを三日間で八百探し切った。相手のやつは百人集めて八十幾つで、十対一の比率。しかも、向こうは百人、こっちは十人。それからいったら、倍率からいったらむちゃくちゃでしょうが。

 その会社にいる者は、社員は全員、世の中でいえばいわゆるオタクとか落ちこぼれとか言われる人たちだけ集めてやっている会社が現実にあります。上場していますから。ちゃんと利益も出しています。そういう会社もありますので。ぜひ、そういった会社も世の中にありますので。

 落ちこぼれというと何となくマイナスのイメージで、昔は漫画だけ読んでいたらあほみたいに言われたんですけれども、おかげさまで漫画も、あんたが総理大臣になったおかげで、漫画だけ読んでも学校でも大丈夫になったとか言われて、たまにはいいことをしたんだと思ったんですけれども。

 でも、やはり、丸山先生、なかなか世の中の時代に受け入れられないんだと思うんです。十年前、あれをやろうとしたときには、国立漫画喫茶といって、たしか民社党からぼろかす言われて潰された記憶が……(発言する者あり)民社党か、あれ。何党だ、あれ。よう変わるからわからぬ、名前が。何、あのときは何党。民進党か。民主、民進党かも忘れた。まあ、どうでもいいですけれども。鳩山先生に何か国立漫画喫茶とか言われて潰された記憶だけ残っていますけれども、今になってみたらその漫画が、コンテンツがどうたらで、わあわあわあわあ言われるような時代になりましたので、俺が言うのが少々早過ぎるんだなと思って、今の話も、少々早過ぎる話をしているんだとは思います。

 ただ、落ちこぼれとかなんとかいうと何か暗いイメージで、何か随分、マイナスイメージだけじゃないですよ、極めて有能な、すごい才能があるのが中には大勢いますので、ぜひ、そういった人たちの点もあわせて考えないといかぬところだと思いました。

丸山委員 終わります。

河村委員長 これにて丸山君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十三日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十一分散会


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