衆議院

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第12号 平成30年2月15日(木曜日)

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平成三十年二月十五日(木曜日)

    午前九時十一分開議

 出席委員

   委員長 河村 建夫君

   理事 柴山 昌彦君 理事 菅原 一秀君

   理事 田中 和徳君 理事 橘 慶一郎君

   理事 福井  照君 理事 星野 剛士君

   理事 逢坂 誠二君 理事 津村 啓介君

   理事 竹内  譲君

      あべ 俊子君    穴見 陽一君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      石崎  徹君    石破  茂君

      稲田 朋美君    今村 雅弘君

      江藤  拓君    衛藤征士郎君

      金田 勝年君    古賀  篤君

      佐藤ゆかり君    竹本 直一君

      中山 展宏君    根本  匠君

      野田  毅君    原田 義昭君

      平井 卓也君    平沢 勝栄君

      藤井比早之君    宮路 拓馬君

      村上誠一郎君    盛山 正仁君

      山口  壯君    山本 幸三君

      山本 有二君    渡辺 博道君

      阿部 知子君    青柳陽一郎君

      岡本あき子君    落合 貴之君

      海江田万里君    篠原  豪君

      道下 大樹君    山内 康一君

      井出 庸生君    稲富 修二君

      小熊 慎司君    大西 健介君

      後藤 祐一君    白石 洋一君

      関 健一郎君    緑川 貴士君

      山井 和則君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    黒岩 宇洋君

      原口 一博君    福田 昭夫君

      藤野 保史君    宮本 岳志君

      遠藤  敬君    森  夏枝君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         野田 聖子君

   法務大臣         上川 陽子君

   文部科学大臣       林  芳正君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       齋藤  健君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣         中川 雅治君

   国務大臣

   (防災担当)       小此木八郎君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    松山 政司君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   海堀 安喜君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  和田 雅樹君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官)  塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     中山 展宏君

  岩屋  毅君     井上 貴博君

  古賀  篤君     稲田 朋美君

  阿部 知子君     道下 大樹君

  落合 貴之君     篠原  豪君

  山内 康一君     海江田万里君

  井出 庸生君     白石 洋一君

  稲富 修二君     山井 和則君

  小熊 慎司君     緑川 貴士君

  後藤 祐一君     関 健一郎君

  篠原  孝君     黒岩 宇洋君

  藤野 保史君     宮本 岳志君

  遠藤  敬君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     穴見 陽一君

  稲田 朋美君     宮路 拓馬君

  中山 展宏君     石破  茂君

  海江田万里君     山内 康一君

  篠原  豪君     落合 貴之君

  道下 大樹君     阿部 知子君

  白石 洋一君     井出 庸生君

  関 健一郎君     後藤 祐一君

  緑川 貴士君     小熊 慎司君

  山井 和則君     稲富 修二君

  黒岩 宇洋君     福田 昭夫君

  宮本 岳志君     藤野 保史君

  森  夏枝君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     岩屋  毅君

  宮路 拓馬君     古賀  篤君

  福田 昭夫君     黒岩 宇洋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度一般会計予算

 平成三十年度特別会計予算

 平成三十年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

河村委員長 これより会議を開きます。

 平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算、平成三十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官海堀安喜君、法務省入国管理局長和田雅樹君、財務省理財局長太田充君、文部科学省初等中等教育局長高橋道和君、厚生労働省労働基準局長山越敬一君、農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官塩川白良君、農林水産省経営局長大澤誠君、国土交通省道路局長石川雄一君、国土交通省鉄道局長藤井直樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。稲田朋美君。

稲田委員 おはようございます。自由民主党の稲田朋美でございます。

 本日は、このように質問の機会をお与えいただいたことに感謝申し上げます。

 まずは、今回の大雪のことでございますが、福井は三十七年ぶりの豪雪、そして、北日本から西日本、さらには、ふだんは雪が少ない九州や四国でも積雪があったところでございます。

 今回の豪雪によりお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りし、そしてまた、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 私も先週末に地元に戻りまして、あわら市、坂井市、福井市、永平寺町、勝山市、大野市と歩き回り、さらには、西川知事始め各市長さん、町長さんと意見交換、要望を受けて回ったところでございます。

 それらを踏まえて、御質問いたします。

 まずは今回、八号線で、千五百台を超える三日間にわたる大立ち往生がございました。この立ち往生解消のために、自衛隊の皆様方には昼夜分かたず尽力をいただき、国交省、関係省庁、さらには自治体の皆さん方、そして地元の建設業の皆さん、さらには沿線の住民の方々が、ドライバーの方々に炊き出し、温かい食事やおにぎりを運ぶといった状況、テレビで東京で見ておりましても非常に胸が熱くなるものでございました。感謝申し上げます。

 今回の異例の立ち往生については、まず、北陸自動車道が閉鎖をされて、その並行路線である八号線に車両が流れ込んで、そして、それが立ち往生の原因の一つになったというふうに分析をされているわけですけれども、石井国交大臣にお伺いをいたします。

 今回の事態の反省点と教訓、これを今後の道路管理に生かして改善していくことが重要だと考えますが、この反省点、教訓と改善の方向性について見解をお聞かせください。

石井国務大臣 まず冒頭、私からも、今回の大雪の被害によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。

 今回の福井県などでは、二月一日からの記録的な大雪に伴いまして、五日夜に北陸自動車道が通行どめとなり、並行する国道八号に交通が集中し、最大約千五百台の車両の滞留が発生をいたしました。

 今回の原因は、並行する高速道路が通行どめとなったこと、国道八号に車両が集中する中、トラックの脱輪事故等による激しい渋滞が発生したこと、降雪が継続する中、車両間にたまった除雪を人力で行う必要があり時間がかかったこと等の複数の要因が関連して発生したのではないかと考えております。

 今回のように、並行する高速道路が通行どめとなり、継続して激しい降雪が予想される場合には、大規模な立ち往生の防止を行うために早期の通行どめを徹底し、早期の交通開放のため除排雪作業等を集中的に実施する等の対策が考えられます。

 国土交通省におきましては、今回の大雪対応の教訓も踏まえながら、予防的な通行規制の実施や効率的な除排雪手法など、大雪時の道路交通確保対策につきまして、今後、有識者の委員会を立ち上げて検討してまいりたいと存じます。

稲田委員 今大臣おっしゃっていただいたように、しっかり有識者で検証して、今後に生かしていただきたいと思います。

 さらに、この国道八号線でございますが、北陸の主要な都市を結ぶ、しかも日本海側の物流の非常に重要な幹線なんです。今回のこの八号線の立ち往生の一つの原因が、二車線の部分が残っている、その二車線の部分のところに立ち往生が開始をしたということがございます。そして、今、丸岡町からあわら市の区間についてはバイパス事業が急ピッチで進んでいるんですけれども、残る二車線の区間ですね、この二車線の区間について、四車線化の事業化に向けた調査、これを早急に進めるべきだというふうに考えますが、いかがでございましょうか。

石井国務大臣 先ほども申し上げましたが、国道八号における大規模な滞留車両の発生と通行どめが継続した原因は、記録的な降雪量になったことに加え、大型車の本線上でのチェーン装着や脱輪をきっかけに渋滞が発生をし、移動に時間を要したことが要因の一つと考えております。

 こうした立ち往生を防ぐためには、道路の拡幅に加えまして、渋滞のきっかけとなる本線上での立ち往生車両を早期に発見をし、本線外に移動させることが必要となります。そのためには、四車線化というのは非常に有効な手法の一つかと思っております。

 四車線化につきましては、今委員御紹介いただいたようにバイパス事業を実施しておりますが、その区間の進捗状況やバイパス事業区間の開通後の交通状況も踏まえながら、必要な調査を進めてまいりたいと考えております。

稲田委員 ぜひ、今おっしゃった調査の開始を早期に行っていただきたいと思います。

 また、今回、この立ち往生をきっかけとして、生活道路の除雪、排雪がなかなか進まず、ライフラインが滞りました。坂井市の三国町の石油備蓄基地からガソリン、軽油、灯油を運ぶためのタンクローリー、これがもう全く動かずにストップをして、除雪車両を動かせないという事態にもなりました。また、食料品、日用品もスーパーやコンビニに届かず、高齢者のひとり暮らしの方々が暖房用の灯油が切れたまま家に閉じ込められている、また、雪はいつやむともわからない、そんな大きな不安を抱えた日々を過ごしたわけです。

 防災担当大臣にお伺いをいたします。

 北海道や東北、甲信越など例年豪雪に見舞われる地域、また、今回の福井のように例年とは異なってゲリラ的に豪雪に見舞われる地域には、こういった事態が起こらないよう、除雪と排雪がスムーズに行われるための仕組みであったり、その備えが必要だと思いますけれども、見解をお伺いをいたします。

小此木国務大臣 まず、私からも改めて、今回の大雪、豪雪で亡くなられた方々、被害に遭われた方々に、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

 今般の豪雪でも見られますように、雪害、豪雪の被害は、交通機能や市民の生活に多大な影響を与えることと認識をしています。

 このため、政府として、防災基本計画に雪害対策を明確に位置づけ、必要な施設設備や要員の体制整備などのハード、ソフト両面の対策を進めてきたところであります。

 例年、降積雪期、降り始めから、融雪出水期、雪の解け始め、その時期に人的被害が生じてきましたことを踏まえて、人命の保護を第一とした防災体制の一層の強化を図るべく、毎年十一月及び三月には、総理が会長を務めております中央防災会議通知を発出して、関係機関に対し広く周知徹底を図っているところであります。

 今般の大雪に際しては、関係省庁災害警戒会議を開催し、政府としての警戒態勢を確保するとともに、被災自治体においても雪害対策本部を設置し、災害対策に取り組んできたところであります。

 政府としては、今般の豪雪災害も踏まえ、引き続き関係省庁などと連携し、雪害対策に万全を期してまいりたいと思っております。

稲田委員 ぜひ、今大臣おっしゃったように、備えですね、ソフト面における除雪、排雪の仕組みと、さらには融雪設備、そういったハードの面、両方で全国的に検討いただきたいと思います。

 さらには、今おっしゃいましたように、今回、ゲリラ的な豪雪ですけれども、前の週から予測はできておりまして、二月二日には災害対応の警戒会議を関係省庁と開催して、警戒態勢を強めていただいていたということでございます。

 今回、圧倒的に除雪機と、さらにはオペレーターが不足しているという問題がございました。

 そこで、国土交通大臣にお伺いいたしますけれども、幹線道路において、八号線のような幹線道路において、豪雪が予測ができて、事前に警戒態勢をとれるような場合には、全国、近隣の地方整備局から、予報の降雪量に合わせて大型の除雪車を投入して、交通を維持しながら適切な道路管理を実現していくべきではないかというふうに思いますが、御見解をお伺いいたします。

石井国務大臣 今回の大規模な立ち往生を踏まえまして、より効率的に除雪を実施していくためには、幅広く検討する必要がございまして、先ほど申し上げました有識者検討会で検討をしてまいります。

 具体的な検討項目として、例えばソフト面といたしましては、通行どめを実施するために必要な職員や除雪のための除雪機械のオペレーターを、今委員が御指摘いただいたように、広域的に応援をして配置をしておくこと、また、高速道路も含めて通行どめの方法や区間を見直すこと、リアルタイムの降雪予測に基づく除雪を実施すること等が考えられます。

 また、ハード面としては、例えば、ICTを活用した除雪機械の高度化、立ち往生箇所の監視を強化するための監視カメラの増設や、正確な路面状況の把握等の項目について検討を行うことが考えられるところでありまして、有識者委員会でしっかりと検討してまいりたいと存じます。

稲田委員 ぜひ、今の国交大臣の有識者会議において、除雪もそうなんですが、今回、排雪場所が足りないということもございました。ぜひ、十分な排雪場所の確保について、自治体任せにしないで、国が除雪、排雪のマネジメント、積極的に関与すべきだと思いますので、その点の検討もぜひよろしくお願い申し上げます。

 さらに、今回、八号線立ち往生、そして北陸自動車道はストップし、さらにはJR在来線の脆弱性ということも非常に問題となったわけであります。

 また、一月には、新潟県三条市でJR信越線の電車が積雪により動けなくなって、乗客が長時間閉じ込められるということもございました。

 こういった在来線、JRの長期間の運行停止が発生しないように、また、関係自治体との協力体制のもとで、交通の重要性の高い路線や区間は早期に運行の再開を図るべくの対応が必要だと思います。

 さらに、今回わかったことというか、確認されたのは、やはり北陸新幹線は非常に雪に強いということでございます。そこで、金沢の方々が中京、関西に行くのに、北陸新幹線で東京に出て、それから東海道新幹線に乗る、そういった非常に回り道をするということもございました。

 予測される太平洋側の地震発生に伴う混乱ということも考えますと、リダンダンシーを確保する観点からも、雪、災害に強い北陸新幹線の早期開通、敦賀そして大阪ですけれども、について、国土交通大臣の意気込みをお聞かせいただければと思います。

石井国務大臣 私、先日の連休のときに富山県に行く機会がございまして、大変な猛吹雪の中でも、北陸新幹線はほぼ定時に到着をいたしまして、改めて新幹線が雪に強い鉄道インフラであることを私自身も実感をいたしました。

 現在整備中の北陸新幹線の金沢―敦賀間におきましては、平成二十七年一月の政府・与党申合せによりまして、完成、開業時期を三年前倒しをいたしまして、平成三十四年度末の開業を目指すとされております。現在、用地については九六%取得済みであり、工事につきましても九八%着手をしております。引き続き、残る用地取得についての地元の一層の協力も得つつ、着実に工事を進めまして、金沢―敦賀間の一日も早い開業に向けて最大限の努力を続けてまいりたいと思います。

 また、敦賀―大阪間のルートにつきましては、昨年三月、与党のプロジェクトチームにおきましてルートを決定していただいたところでございます。今年度より、鉄道・運輸機構におきまして、駅とルートの公表に向けました詳細な調査が行われておりまして、平成三十年度の当初予算案におきましても、所要の予算を盛り込んでおります。この調査による駅、ルートの公表後、環境アセスメントの手続が進められていくことになります。

 これらの手続を終えた後に、更に一定の工事期間が必要となるわけでありますが、できる限り早期の全線開業に向けまして、引き続き適切に対応してまいりたいと考えています。

稲田委員 代替幹線交通としての北陸新幹線の大阪までのフル規格による早期全線開業、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 次に、財政支援に関して、野田総務大臣にお伺いをいたします。

 今回、全国各地で記録的な豪雪ということは、記録的なというか、過去最大の除雪費用がかかっているということでもあります。あわら市、坂井市、永平寺町では、積雪は例年の五から七倍、お隣の石川県の金沢市でも四倍でございます。

 大雪被害を受けた自治体では、今、除雪費用が非常に逼迫をしている。先週末に伺った自治体でも、その資金繰りということに非常に心配されていて、例えば福井市では、大雪災害対応のために五十億円を超える多額の出費が必要だということでございます。

 野田総務大臣にお伺いしますが、例年三月に交付しております特別交付金の繰上げ交付についてですけれども、被災されている自治体が財政運営に不安を抱えることなく万全な対策を講じることができるよう、やれることは何でもできるように、各自治体の具体的要望をしっかりと反映して、一日も早く交付をいただきたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 稲田委員の御地元、福井県を始め、今お話がありましたとおり、本年度は、全国的に降雪量が多い状況にあると承知しています。多くの皆様方、犠牲になられた皆様方にお悔やみを申し上げるとともに、いまだ御苦労されている皆様方に本当にお見舞いを申し上げるところです。

 私自身も、今回の大雪の被害に遭われた複数の地方団体から、連日、御要望を承っているところです。

 地方団体の除排雪の経費については、御承知のとおり、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税の措置額を超える場合には、三月分の特別交付税により措置をしているところです。

 総務省としては、地方団体の除排雪経費の実態を丁寧に把握し、しっかりと対応してまいります。きのうも直接福井県知事からお電話をいただいて、その実情を承ったところです。大雪に見舞われたそれぞれの地方団体の積雪の状況とか御要望をしっかりお聞きした上で、三月分の特別交付税の一部を繰り上げて交付することについて、しっかり検討していきます。

稲田委員 ありがとうございます。

 また、石井国交大臣にお伺いしますが、平成二十二年から二十六年の大雪に関して、除雪費補助の臨時特例措置を講じておりますが、今回、多くの地域で、これらの大雪を更に上回る豪雪となっております。

 国として、降雪状況、除雪費の執行状況等を的確に把握して、速やかに除雪費補助の臨時特例措置を講ずる方針を速やかに示していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 地方自治体が管理をいたします道路の除雪費につきましては、積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づきまして、年度当初に社会資本整備総合交付金を配分をし、支援を行っているところであります。

 また、各地域の降雪状況に応じまして、三月には、この交付金とは別に、道府県、政令市を対象に、除雪費を補助金として追加配分をしております。

 さらに、今委員が御指摘ありましたように、全国的に積雪が著しい場合には、市町村に対し、臨時の特例措置といたしまして、除雪費の補助金を追加で配分をしてきたところでございます。

 この冬は、特に福井県では昭和五十六年以来の豪雪となるなど、例年に比べて降雪量は極めて多い状況であります。引き続き、降雪の状況を踏まえつつ、速やかに臨時特例措置についても検討してまいりたいと存じます。

稲田委員 速やかに検討という答弁、ありがとうございます。ぜひ速やかにその方針を示していただき、自治体が安心をして除雪の作業、さらには対応ができるようお願いいたします。

 次に、農水大臣に来ていただいておりますが、今回、全国各地で農業用ハウスの倒壊がかなりな数に上っております。農業用ハウス等の再建、修繕、倒壊したハウス等の撤去に係る経費、農作物の被害についての復旧支援をお願いをいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤国務大臣 先週からの大雪によりまして、農林水産関係では、北海道や北陸地方などを中心に、現時点において千五百棟を超える農業用ハウス等に損壊等の被害が発生していると報告を受けており、被災された農業者の皆様には心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 特に北陸地方では、積雪の影響により、地方自治体の被害調査が進んでいないということもありまして、今後、被害調査の進展に伴い、被害の把握件数がふえていくのではないかと予想をしております。まずは被害状況を早急に把握をするということが肝要かと思います。

 御指摘の農業用ハウスなどの被害につきましては、農業共済の迅速な損害評価と早期の共済金の支払い、あるいは日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金等の長期、低利の融資で対応するということにしておりまして、特に農業融資の方につきましては、二月八日に、被災農業者に対する資金の円滑な融通について関係機関等に要請をして、そういう通知を発出したところでございます。

 お話し申し上げましたように、まずは今回の大雪の被害状況の把握に努めまして、その状況に応じて必要な支援策を総合的に検討していきたいと考えております。

稲田委員 平成二十五年度の関東地方を中心とした豪雪の際には、被災農業者向け経営体育成支援事業による補正予算の措置で、被災したハウスなどの再建、修繕に対する補助率のかさ上げや、ハウス撤去に対する全額負担の対応などがとられております。今回の大雪についても、そういった対応が必要だと思います。

 さらには、三八豪雪、あの三十八年の豪雪、五六豪雪では、激甚災害にも認定をされております。林業被害については雪解け後の調査が必要となりますので、今大臣おっしゃっていただいたように、速やかに調査、現状把握をして、国として万全の体制をとる方向で臨んでいただきたいと思います。

 環境大臣にお伺いをいたします。

 今回のゲリラ的な豪雪、これは地球全体の気候変動の中の現象としても考えられるのではないかというふうに思います。現在検討されている気候変動適応策の中に大雪も含めるべきだと思いますが、環境大臣の認識、さらには意気込みをお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 今回の大雪により、お亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

 この冬の冷え込み、豪雪の背景には、地球温暖化があるとの研究者の指摘も出ております。また、本州や北海道の内陸部では、極端な降雪の頻度が増大するという研究成果も得られております。

 環境省におきましては、気候変動による被害の防止、軽減を図る適応策を推進するため、この通常国会に気候変動適応法案を提出すべく、現在準備を進めているところでございます。この法案は、将来の豪雪も含む気候変動の影響に関する科学的知見を一層充実させ、各府省や自治体の取組を後押しすることで防災対策の強化を図るなど、各分野で効果的な適応策を推進するものでございます。

 地球温暖化が進行することで極端な気象現象が生じる可能性が高まるため、地球温暖化を防止する対策に全力で取り組むとともに、気候変動適応策の充実強化に向けてもしっかり取り組んでまいります。

稲田委員 ありがとうございます。

 地元の大野市では、結の故郷(ゆいのくに)、助け合いの精神のことを言います。今回の大雪災害でも、地元の皆さん方は、高齢者に対する買物の代行であったり灯油を運んだり、そしてまた、私も目撃しましたけれども、スタックしている車があれば、みんなで掘り起こし、車を押し、走れば、何事もなかったようにまた戻る、そういった姿は非常に感銘を受けました。さらには、岡山県総社市からは、燃料の入荷がとまって除雪車を動かすことを控えていた勝山市に軽油四千リットルが、総社市の消防職員とタンク車によって提供されたところです。

 困難なときこそ相手を思いやって、心と力を合わせ対処していく姿に、日本人の力強さと、やはりクールなものを感じました。

 安倍政権は、災害に際して迅速にそして的確に対応して、国民の信頼そして安心を培ってきました。できることは全てやるという精神のもとでお願いをいたします。

 最後に、財政再建について麻生大臣にお伺いをいたします。

 私は、やはり財政再建、こういった災害があったときに余裕を持って対応するためにも、しっかり財政再建には取り組まなければならないと思います。

 三年前に政調会長として、自民党に財政再建に関する特命委員会を立ち上げて、経済再生と財政再建の両立を図る中でいかに歳出改革を進めていくかの精力的な議論を行いました。その中で、財政赤字は次世代の資源配分の自由を制約するもので、世代間の公平、さらには持続可能性を確保する観点から、また、災害への対応もそうですけれども、抜本的な構造改革が必要であり、社会保障改革はその中核だと思います。

 この肝は、楽観的な財政増の見通しに過度に依存してはならないということであります。そして、健全化へ向けて、三年で社会保障の伸びを一・五兆円以内、歳出全体を一・六兆円以内とする目安をつくる、これは大きな議論がありましたけれども、私はやはり、目安があって初めて改革というのは進むと思います。そこが肝で、ことしはその最終年に当たります。

 安倍政権のもとで、八四半期連続プラス成長を実現し、六年連続で国債発行額を減らし続けることができるなど、経済再生、財政再建、両輪で両立をしております。

 この夏に向けて新たな財政計画を策定することになっておりますが、現在の財政計画に基づく歳出改革について、麻生大臣、どのように評価されているか、お伺いをいたします。

麻生国務大臣 お話ありましたように、三年前の自由民主党におきます財政再建に関する特命委員会におきまして、当時の稲田政調会長のもとに、財政再建の理念や歳出改革の具体策などについて精力的に御議論をいただいて、その上で報告書を取りまとめていただきました。

 その結果を踏まえて政府として策定した経済・財政再生計画のもとで、三年間の集中期間というのを設定して一般歳出の目安を設ける。今おっしゃいましたように、年間約五千三百億というのを三年間。また、各歳出分野における改革の具体的な中身の期限を織り込んだ改革改定表というのを定め、徹底した歳出改革を行った結果、おかげさまで、過去最高水準の名目GDPを背景に、国のいわゆる税収が約十七兆円増加、一般歳出の目安も三年連続で五千三百億、トータルが約一兆六千億というのをやらせていただき、また、国債発行額も六年連続で十一兆円の減額をさせていただき、プライマリーバランスの赤字は半減しますという点も、これも策定をさせていただきました。おかげさまで、経済再生と財政再建の両立化が達成できたということだと思っております。

 引き続きこうした取組を着実に進めていくというのが必要なのであって、そのためには、いわゆるプライマリーバランスの黒字化というのに向けまして、先ほど言われましたように、目安等々、きちんと改革工程というものをつくり上げて、ことしの夏までには骨太方針においてお示しをさせていただきたいと考えております。

稲田委員 しっかりと改革を進めて、次世代への責任を果たしたいと思います。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて稲田君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 委員長、まだ大臣が来ていないようなので、ちょっと時計を。

河村委員長 失礼しました。

 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 それでは、質問させていただきます。

 昨日、総理が答弁を撤回しておわびをしたわけでありますけれども、その答弁撤回、おわびに係るその元データになった調査というのは平成二十五年度労働時間等総合実態調査、これでよろしいでしょうか。厚生労働省事務方、お願いします。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の議論になりましたもととなったデータでございますけれども、これは、厚生労働省が平成二十五年度に実施した労働時間等総合実態調査結果に基づくものでございます。その中にございましたデータでございます。

逢坂委員 それで、この調査結果に基づいて総理は答弁をしたわけでありますけれども、裁量労働制で働く人の労働時間について、「平均的な方で比べれば一般労働者よりも短いというデータもある」という答弁をしているわけですが、厚生労働省にお伺いします。

 この平成二十五年度の総合実態調査結果以外に裁量労働の方が短いというデータ、ほかの調査でお持ちでしょうか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 そういったデータは持ち合わせていないところでございます。

逢坂委員 それでは、裁量労働の労働者の勤務時間が一般の労働者よりも短いというのはこの調査一つだけだということで、改めて確認をしますが、よろしいですね。

山越政府参考人 この二十五年の労働時間等総合実態調査でございますけれども、この調査におきましては、企画業務型裁量労働制の適用対象者についての平均的な者と、それから一般労働者についてのデータを……(逢坂委員「この調査だけかという改めての確認です」と呼ぶ)

 そのほかについては、JILPTの調査等があるというふうに承知をしているところでございます。

逢坂委員 私が聞いたのは、裁量型労働の方の勤務時間が短いというデータ、調査、この厚生労働省が示したもの以外にあるのかと聞いたんです。

山越政府参考人 そういったデータについては承知をしていないところでございます。

逢坂委員 それでは、今回のこの調査のいわゆる精度、この確からしさというのは非常に重要になるわけですが、この調査はどういう方法で行ったんですか。

山越政府参考人 この平成二十五年度の労働時間等総合実態調査でございますけれども、これにつきましては、労働基準監督官が事業場を訪問する方法によって行ったところでございます。

逢坂委員 それでは、この裁量労働の勤務時間が短いという今回の調査と、一般の労働者の勤務時間の調査、それは同じ条件で行っていますか。

 比較するときには、二つのものが同じ条件で調査をしなければ一般的には比較対象にはなりません。条件の違うものを並べて、どちらかが多いとか少ないとか、短いとか長いというのは、これは統計学上絶対やってはならないことだと言われております。どうですか、この点。

山越政府参考人 この調査でございますけれども、この調査では、平均的な者について、裁量労働制の適用対象労働者と一般労働者について調査をしているところでございます。

 一般労働者につきましては、調査をいたしました事業場ごとに、事業者が、調査対象月におきまして最も多くの労働者が属すると思われる時間外労働時間数の層に属する労働者として選んだ労働者でございます。

 それから、裁量労働制につきましては、調査した事業場ごとに、事業者が、法に規定する労働時間の状況として把握した時間が平均的な者として選んだ労働者ということで調査をしているところでございます。

逢坂委員 私、もともと理科系の勉強をしておりまして、実は、大学へ入ったときに最も最初に指導されるのがここなんですよ。条件の違うものを同じグラフ上にプロットすることは絶対やってはならない、そんなことをしてしまうとデータの捏造になる、それぞれのデータが正しくても表へ出す結果が捏造になってしまう、これは非常に厳しく指導されるところなんです。

 今の話を聞けば、一般労働者の勤務時間の調査と裁量型労働者の勤務時間の調査、全く条件が違うということでよろしいですね。

山越政府参考人 この労働時間等総合実態調査でございますけれども、一般の労働者の労働時間の実情、それから裁量労働制が適用される労働者の労働時間の実情について調べているものでございます。限られたデータの中で、それぞれ今申し上げましたような事項について調査をしているということでございます。

逢坂委員 質問の意味、わかりますか。裁量型労働の勤務時間の調査と一般労働者の勤務時間の調査は同一条件でやったんですかと私は聞いているんです。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 この調査でございますけれども、一般労働者につきましては、調査対象月につきまして、最も多くの労働者が属すると思われる労働時間数の層に属する労働者として労働時間を選んだものでございまして……(発言する者あり)

河村委員長 御静粛に願います。

山越政府参考人 それから、裁量労働制についても、先ほど申し上げたような対象者を選定していただいたものでございます。

 このデータでございますけれども、監督官が各事業場に参りまして調査をする、その中で監督しながら調査をするという時間的制約の中でやっているものでございます。その中で得られましたデータについてお示しをしているものでございます。

逢坂委員 今の話を聞く限りは、後で議事録をよく読ませていただきますけれども、同じ条件で調査をしていないということでよろしいですよね。

山越政府参考人 これは、労働基準監督官が事業場に赴きまして、その同じ調査の中で行っているものでございまして、ただ、この平均的な者については、先ほど申しましたような方を選んでいただいて、その人についての労働時間を把握しているということでございます。(発言する者あり)

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 山越局長。

山越政府参考人 これは、監督官は調査をするわけでございますけれども、今申しましたような同じ定義のもとで、厚生労働省としてこの対象者について調査をさせているところでございます。

逢坂委員 それじゃ、ちょっと質問の仕方を変えましょう。

 この裁量型労働の勤務時間を調べた調査と、一般労働者の勤務時間を調べた調査、時期はそれぞれいつやっていて、対象事業者は一緒ですか。対象事業所と言うべきでしょうか、それは一緒ですか。

山越政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、二十五年四月に同じ調査で行っております。事業場も同じところに行っているものでございます。

加藤国務大臣 これは、一般については、ちょっとざくっとした数字で恐縮ですが、たしか九千近くの対象者、裁量については専門と企画型、それぞれ七、八百ぐらいずつだったというふうに思いますので、ちょっと、場合によっては同じところに両方している場合もあるかもしれませんが、明らかに数字が違いますから、一般しか行っていないところ、場合によっては裁量しか見ていないところ、これがあるんだろうというふうに思います。

 それから、今委員の御指摘含めて、議院で、ここで御指摘をいただいておりますので、具体的にそれぞれ行ったところでどういう形で調査をしているのかも含めて今精査をさせていただいているということは理事会でも御報告させていただいておりますので、私どもとしても大変時間がかかって申しわけなく思っておりますが、できるだけ早期にということで、月曜日までにはそれも含めて御報告をさせていただきたいと思います。

逢坂委員 きょうわかったのは、どうも、この裁量型労働の勤務時間が一般労働者よりも短いという調査は厚生労働省が示したあの一つのデータしかないらしいということ、それから、一般の勤務者と裁量型労働の勤務者の時間の比較、それぞれ条件の違うものを並べて比較をしている、これは統計的に有意な比較とは言えないということを指摘させていただきたいと思います。

 最後に、大臣、お願いがあるんですが、私どもはこの間、このデータをもとに、今精査をせざるを得ないデータをもとにこの三年余り質疑を続けてまいりました。この間の質問はほとんどそれでは意味のない質問になってしまう可能性が今の段階で高いわけであります。我々はこの間の質疑時間を返してもらいたいと思っているんです。

 ただ、大臣にこのことをお願いしても、質疑時間の問題は国会で議論すべきことですので、これは大臣にかかわりのないことではありますけれども、大臣も与党の一員です、ぜひ大臣からも、この間の質疑時間を野党にしっかりと返すように、これは与党筆頭にも別のルートでちゃんとお願いしてください。そのことを申し上げさせていただきます。

 何かあれば。

加藤国務大臣 きのう申し上げましたように、こうした精査に時間のかかるようなデータをお示しし国会で答弁をさせていただきまして、撤回をさせていただきましたけれども、今委員御指摘のように、この間、この予算委員会含めて、それぞれの委員会における御審議、また国民の皆さん方にも大変御迷惑をおかけしているところ、これは深くおわびをしなければならないというふうに思っております。

 国会のことは国会でということなので、私どもとしては、おわびをさせていただくということだけを申し上げさせていただきたいと思います。

逢坂委員 終わります。ありがとうございます。

河村委員長 これにて逢坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、海江田万里君。

海江田委員 おはようございます。

 久しぶりの予算委員会ですが、麻生大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。そして、茂木大臣もよろしくお願い申し上げます。

 麻生大臣とは、昨年の国会で、森友問題、これを質問させていただきましたが、ことしに至ってもやはりこの問題を質問せざるを得ないということ。

 そして、まさに昨年末の質問のときには会計検査院の報告が出たばかりでございますが、年が改まりまして、先日、二月の九日でございますが、財務省の理財局から、森友学園事案についての法律相談の文書というのが、新規に二十件、既存の公開分も含めて二十五件、全体で四百八ページですか、これが出ました。これをきのう、おとといですか、読み込みましたけれども、やはりかなりこれは森友学園と近畿財務局との間のやりとりがこれから推しはかることができる文書だと思います。

 改めて麻生大臣にお尋ねをしますが、この文書の性格、私はこれまでの予算委員会の議論なども聞いておりまして、これはまさに法律相談の内部文書であるよと。本来でしたら、これはまさに交渉過程の文書を出せばいいわけでありますが、それは残念ながら廃棄されてしまった。そして、内部文書であるが、いろいろ探したら近畿財務局から出てきたので、それをお示ししたところだ、こういうことでありますね。よろしゅうございますか。確認です。

麻生国務大臣 公表させていただきました法律相談の文書というのは、これは法律的な論点に基づいて近畿財務部局内で検討を行った資料ということであります。したがって、検討を行うために必要な情報として、相手方の主張や我々の考え方というものを、相手方に示したりした考え方が含まれておりますが、具体的なやりとりを記録したいわゆる応接メモとか面会記録ではないということははっきりいたしております。

 財務局において、いわゆる相手方との面会記録等の保存期間としては一年未満といたしておりますので、法的な論点については、法曹資格者を有する法律部門、いわゆる法務部門、私どもは統括法務監察官というんですが、それに対して行った法律相談の記録の保存期間というのは五年ということにいたしておりますので、したがって、このように文書によって保存期間が異なっておりますので、求められた内容に応じて、保存されている文書というのをお示しさせていただいたということだと存じます。

海江田委員 今、この法律相談の文書は保存期間五年だというお話がありましたけれども、この五年についての根拠、これをお示しいただきたいと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 財務省あるいは近畿財務局の中で決めていた基準に基づいて、そこのルールの中に五年ということが記載されております。基本的に、決めておるのはそれぞれの担当文書責任者、それはこの場合でいくと統括法務監査官ということになるわけですが、そこで五年ということを決めておりました。

海江田委員 一番もとになりますのは、財務省の行政文書の管理規則ですよね。

 この行政文書の管理規則を読みますと、歳入及び歳出の意思決定に至る過程が記録された文書、これは、歳入歳出、国民の税金を集める、あるいは国民の税金を使わせていただくということについては、やはりその意思決定の過程が透明でなければいけないということ、これはもう言うまでもないことでありますから、そうした意思決定に至る過程が記録された文書は五年です。ですからこの文書は、法律相談の文書は五年になっているわけですよ。

 そうしますと、私どもがずっと、あるんじゃないだろうか、あるいは廃棄されたのではないだろうかと言っております、まさに面会記録も含めたこの交渉の過程の文書、これは当然あるべきだと思っておりましたけれども、それが一年だから廃棄されてしまったというのはつじつまが合わないんじゃないですか、これはどう考えても。

 これはまさに、それを補足する文書でしかない。補足する文書が五年であって、肝心の交渉過程を書いた記録が何で一年なんですか。本当は五年じゃないですか、それも。どうですか、大臣。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど委員から御指摘をいただいております法律相談の文書は、森友の事案ということではなくて、統括法務監査官において、さまざまな法律相談がございますので、国有財産の問題もありますし、それ以外でも、金融の関係の問題あるいは総務関係の問題、いろいろな問題についての法律相談の過去のお答えと自分たちが今後やっていく法律相談のきちんとした整合性、あるいは論理的なことを考えるために、五年ということで整理をしておるということでございます。

 それから、委員の御指摘をいただいた、いわゆる交渉記録等々については一年未満ということでございますが、これは、最終的には決裁文書に集約をするということをもって、そういう取扱いをしているところでございます。

 ただ、決裁文書にその集約が十分でなかったということは、会計検査院からも御指摘をいただいていますし、国会でも随分御議論を頂戴しております。御指摘をいただいております。

 そういうことも踏まえまして、これからの話で大変恐縮でございますが、国有財産分科会を開いて、異例の二回のワーキンググループも開いて、国会が始まる直前ですけれども、一月十九日に取りまとめをいただきました。

 その中で、改正された行政文書の管理に関するガイドラインに基づき、意思決定過程等の重要な打合せ記録について、文書作成、保存の徹底を図るとともに、決裁文書に編綴する資料や、契約に関して記載すべき内容を明確化し、決裁文書を充実化するということになってございます。

 それを踏まえて、年度内に新しい通達をつくっていきたいと考えております。

海江田委員 わざわざそんな議論をしなくたっていいんですよ。年度内に新たな通達をつくらなくたっていいんですよ。

 ちゃんとこれまで、先ほどお示しをしましたけれども、財務省の行政文書管理の規則があって、そこに、歳入及び歳出の意思決定に至る過程が記録された文書は五年保存しなきゃいけないということが書いてあるわけですよ。だから、これに基づけば、当然のことながら、これのもとになる文書は五年ですよ。

 まさに、歳入に関して、本当だったら十億円入るものが八億円値引きしてしまって二億円になってしまった、歳入がそれだけ欠落したわけですよ。どうしてそういうことになったのか、その過程を記録された文書は当然五年であるはずですよ。どうしてそれが一年なんですか。わざわざ議論する必要はないんですよ。

 これまでの積み重ねの中から、はっきり言って、五年に本来しておかなければいけないのを、あるいは五年になっていたものを、これを一年で廃棄してしまったということじゃないんですか。ちゃんと理屈の通る説明をしてください。

 麻生大臣、どうですか、今の話を聞いていて。

河村委員長 太田理財局長、事前の説明をしてください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 申しわけございません、先ほど申し上げましたとおりでございますが、決裁文書に集約する、それで、売買であれば、決裁文書は三十年という保存期間になっております。

 ところが、その決裁文書が、我々としてはそれを集約するということできちんとできているつもりが、そうではなかったことは、これまでも御議論いただいて、先ほど申し上げたような答弁になってございます。

 おっしゃるとおり、きちんとという意味では、三十年というのを基本にしておるというルールではございます。

麻生国務大臣 応接記録を保存していなかったのはけしからぬ、こういうお話なんだと思うんですが……(海江田委員「いや、応接記録じゃないよ、交渉記録」と呼ぶ)交渉記録、応接記録、まあ同じような、廃棄文書は一年以内のものですから、両方とも同じ扱いなので。

 交渉記録、応接記録等々ですけれども、この話ですけれども、いわゆる会計検査院からの検査報告におきましても、会計経理の妥当性を検証するために十分な資料が残されていなかったとされているところであります。

 この検査報告は、公文書管理法に照らして財務省の文書管理の適正性を判断しているものではないのであって、あくまでも会計経理の妥当性を検証する観点から指摘がなされているものということになっておりますので、その点を重く受けとめねばならないと考えておりますが、いずれにしても、私どもとしては、行政文書のガイドラインの見直しの内容も踏まえて、今後、適切な行政文書の管理の徹底を図るということをやっていかねばならぬだろうと考えております。

海江田委員 私の質問に全然お答えになっていないわけでありますが、これは、本来、先ほど三十年という話もありましたけれども、少なくとも五年である、五年以上であるということは明らかなわけですよ。だから、やはりそれを、この文書を一年にしてしまったことの間違いはまず認めなければいけない。

 それから、もし一年にしていなかったのならこれはもっと事は重大ですけれども、まさに公文書を毀棄してしまったということ、この問題について、やはり深刻な反省がなければいけないと思うわけであります。

 それで、佐川さんの問題。

 今、国税庁長官でありまして、私はもちろん佐川さんに何の恨みもあるわけではありません。優秀な官僚だと思っています。しかし、この佐川さんが国税庁長官をやっておられること。

 あの発言があったのは、国会での答弁があったのは理財局長の時代でありましたけれども、あしたからですね、十六日から確定申告が始まるのを前に、これは長妻委員が、一昨日ですか、質問しましたね。そのとき、麻生大臣は、それは現場では特段の支障が生じているわけではないと。まあ、まだ確定申告になっていませんから、あしたからですから。しかし、苦情が出るかもしれない、こういうことをおっしゃっていますね。こういう発言をされた真意は何ですか。

麻生国務大臣 私どもとしては、現場に、この種の仕事をしておられましたのでよく現場を御存じだと思いますが、納税のは三月、年によって、物によって違いますけれども、二月の十五日以後、いろいろな現場に行かれたこと、私、何回かありますので、それは、行ったらもう、わんわんいろいろお見えになりますから。それは、素直ににこにこ笑ってお払いになる方の方が少ない。

 それは、もう常にそういうものだと思っておりますので、ある程度いろいろな御不満が出てくるであろうということは、これは毎年のことなのであって、私どもとしては、それにきちんと丁寧に対応していかねばならぬというのが税務署の職員の仕事だと思いますが、今回は、こういったお話もありましたので、いろいろなことが出てくるかもしれないということはある程度私ども理解をいたしておりますが、今の段階で特にその種の話が上がっているわけではないというのが今の現状であります。

海江田委員 それから、佐川さんを国税庁長官に任命した。まあ、次官からリストが挙がってきたんだろうと思いますが、麻生大臣がそれをよしとして、そして、国会での答弁でも、国税庁の長官としては適任である、適材適所というお言葉を使われましたけれども、それは今でもそう思っておられますか。

麻生国務大臣 佐川のこれまでの経歴というものを見ました場合におきましては、私どもとしては、大阪の国税局の次長をやり、また、本省におきましても、国税局の審議官等々をやって、極めて有能な役人だったという意識が私にはあります。

 したがいまして、今、この佐川というのは、この問題に関して、いわゆる虚偽答弁をしたとかいうわけでもありませんし、私どもとしては、極めて適切な人材だと思っております。

海江田委員 その佐川さんが虚偽答弁したかどうか、可能性はありますよ。それから、公文書を毀棄した可能性もあります、これは。

 その上で、国税庁の長官に任命されて、それは適切な判断であったというお話ですが、国税庁長官というと、麻生大臣御存じかどうかわかりませんけれども、昭和の五十年代、私、野末陳平議員の秘書をやっていましたから、当時、大蔵省の方といろんな交流があったんですね。

 その中で、福田さんという方がいらっしゃったんですよ。この方は、ずっと主税畑を歩いて、福田幸弘ですか、あの方を私は大変尊敬していまして、立派な方だなと、まだ若かったですけれども。ああ、大蔵官僚というのはこういう立ち居振る舞いでなきゃいけないかなというふうに思いましてね。

 国税庁長官になりましたから、お祝いを申し上げたんですよ。そうしたら、いやいや、そんなお祝いを言われるような話じゃないんだ、国税庁長官というのは総理大臣以上にやはり責任が重いんだと。これはやはり、国民の納税ですね、国税庁長官の立場ではたしか徴税という言葉を使ったかもしれません、徴税の一番根幹にかかわる最高の責任者なんだから、それがおかしな言動をしたり、おかしな言葉を言ったり、あるいはおかしな振る舞いがあったりしたら、これは国民の納税意識を著しく毀損するものになるんだ、だから行いは正しくしなきゃいけないんだということをおっしゃっていたんですよ。

 それから、この方はその後、参議院議員、自民党の比例代表で、当選されまして、そのときも、確定申告の時期だけれども、私は確定申告で一円の間違いもあっちゃいけないといって、二重三重のチェックをやって申告した。これは、自分が国税庁長官をやったからなんですよ。

 だから、そういう意味では、はっきり申し上げまして、国税庁長官というのはほかの局長とは違う。やはりそれなりの、税に対する、税の使い道に対して、あるいは税の徴収に対して、それはやはり本当に慎重に慎重な人でなければいけないんですよ。

 そういう意味でいえば、やはり、これまで佐川さんは主に主税畑を歩いて、私もよく知っておりますけれども、優秀な官僚でした。しかし、国会に来て、多くの国民が、この答弁はおかしいんじゃないだろうかと思うような答弁をしたという一点を勘案して、そして、もし次官から上がってきても、これはだめだ、国税庁長官にだけはしちゃだめだということをどうして言わなかったんですか。

 麻生大臣、いかがですか。これでもまだ適材適所だとおっしゃいますか。国税庁長官に一番ふさわしいと言いますか。

麻生国務大臣 私どもとしては、その年次年次におきましてしかるべき人物を国税庁長官に指名するという立場にありますけれども、これまでの経歴等々見ましても、また、いろいろ、虚偽答弁等々ありますけれども、これは、国有地売却に対して、会計検査院からの話においては、少なくとも法律違反とか不当事項というものに指摘されている事実はありません。

 また、近畿財務局部内での検討を行った法律文書なのであって、これは森友学園との個別の面会記録ではないということもこれまたはっきりいたしておりますので、私どもとしては、少なくとも、こういったものに関して、私どもが見た感じでは、前理財局長として、当時理財局長だったんですけれども、そういったことに関していろいろな答弁をさせていただいたということなのであって、私どもとしては、そのことに関して、これまでの、国税庁の次長もやっていたし、大阪国税局長、ずらっとやってきた等々見ましても、国税庁長官として適切だと思って判断をさせていただいておりますので、その信念に変わりはございません。(発言する者あり)

河村委員長 委員長から申し上げます。麻生大臣、訂正を、御指摘で……。

海江田委員 麻生大臣、今、虚偽答弁というお話がありましたね。いいんですね。麻生大臣自身が虚偽答弁があるということをお認めになったわけですね、これは。記録はそう残っていますからね。

麻生国務大臣 虚偽答弁という指摘もありますがというのに訂正させていただきます。

海江田委員 それは訂正ですね。一回言ったということは残りますからね、これは。訂正ですね、発言が。

 それから、麻生大臣は、まさに財務大臣として、彼が、去年の六月ですよね、定期異動で異動する、その前に、まさに今問題になっている、最初は虚偽答弁とおっしゃった、あるいは虚偽答弁のおそれがある、疑いがある答弁をやっているわけですよ、これは。それさえなければ、確かに佐川さんの経歴というのは、これはやはり正しく評価されてしかるべきでありますよ。しかし、あの答弁があった後の判断ですよ。

 それから、これは私たちが野党だから言っているんじゃなくて、国民の七割近く、共同通信の調査では六六%ですか、この人たちが、やはり佐川さんは今のように口をつぐんでいるのではだめで、国会に招致をすべきだ、国会に来ていただいて本当のことを話すべきだということを国民が考えているんです。そう思っているんです、六六%の人が。

 だから、それとまさにあしたから始まる確定申告の時期と結びついて、そして麻生大臣だって、ひょっとしたら苦情が出るだろう、恐らく苦情が出るだろうということを言ったわけですけれども、それは苦情があっちゃいけないんですよ、その種の苦情があっては。

 どうですか。これでもまだ任命責任というものを、適材適所だったということを言い募りますか。

麻生国務大臣 先ほどから重ねて申し上げておりますけれども、佐川という者に関しましては、少なくとも本件につきましては、私どもとしては、森友学園に対する国有地の売却とかまた貸付けとかいう所管をいたしております理財局としての、当時の現職の局長として答弁をさせてきていただいておりますので、いろいろ御指摘もあろうかと思いますけれども、佐川のこれまでのこと、答弁を含めまして、私どもとしてはきちっとした答弁をさせていただいておる、そう思っております。

海江田委員 今大臣自身が言ったように、虚偽答弁の疑いのある発言をしたんですよ。そこなんですよ。そこが問題なんですよ、これは。

 そうでなければ、別に佐川さんのこれまでの評価を私は全然否定するものではないし、それから、理財局長をやって国税庁長官のルートもあることはわかっていますよ、それは十分。

 だから、それを言っているんじゃなくて、やはりこれは適材適所じゃないんですよ。人事を間違ったんですよ、その意味では。それはお認めにならないでしょうね、恐らく。だけれども、内心ではそう思っているに違いないと私は思っております。

 何かありますか。

麻生国務大臣 内心もそう思っておりません。

海江田委員 それでしたら、麻生大臣はやはり国民の気持ちがわかっておられないですね、これは。

 国民はそうじゃないんですよ。最初は、きっとあの人は、やはりこれは役所の組織の中で、本当は言いたいんだけれども言えないんだろうというような思いだったと思いますよ。だけれども、それが、やはりこの間、どんどんどんどんいろいろな事実が明らかになっていって、これはちょっと違うんじゃないだろうかと。単に言えないだけじゃなくて、やはり何か自分も、それこそ公文書の毀棄の疑いであるとか、あるいは事実と違うことを国会で言ってしまった。そういうところにやはり来ているんですよ、これは。

 麻生総理やそれから財務省が今やっていることというのは、火を紙で包むようなことなんですよ。火を紙で包めば、いっときは火が見えなくなるんですね。おお、よかった、紙に包んだと。だけれども、火は更に燃え広がるんですよ。

 これから確定申告の時期になって、やはりそういう声が出てきますよ。これは、政治不信、そして何よりも怖いのは、納税意識の毀損といいますか、納税意識が薄まってしまうというか、何か真面目に税金を払う気がしないなという気が起きてしまう、これがやはり国の一番の基本の危機だという認識をぜひ持っていただきたいと思います。

 きょうは、ほかにもいろいろなお話を麻生大臣と、あるいは茂木大臣とやりたいんですが、そちらへ移させていただきます。

 最近の円高。きょうも朝、百六円をつけていましたかね。一年何カ月ぶりですか、ついこの間が百十三円とかでしたから。

 そして、この時期というのはやはりまずいですよ、これは。きょうは日銀にもお越しをいただいていますが、輸出の企業が大体、大企業が百九円ぐらいで勘定しているんですよね。それが、やはり百六円。

 これは、何か一言、麻生大臣からあってもいいと思うんですけれども。菅官房長官は一言ありました、きのう。麻生大臣からまだ一言もありませんが、どういう感想をお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 この業界に随分お長いんだと思いますが、財務大臣等々が為替について発言をするということがこれまであったでしょうか。

 私どもとしては、こういうのは非常に、今の時代、大きな影響力を与えますので、財務大臣の発言一つで、少なくとも、いわゆるドル円換算レートが大きく動くというのは、私ども財務大臣としては、アメリカの財務大臣、日本の財務大臣ともに、この種の発言はしないという約束で両方ともこれまでやらせてきていただいておりますのは御存じのとおりで、しばらく休んでおられたと思いますが、間違いなく、今になりましてもそのルールは変わっておりませんので、御承知おきください。

海江田委員 大臣、それは少し言葉が過ぎますよ。

 今、アメリカの財務大臣も日本の財務大臣もと言いましたけれども、ついこの間、いつですか、一月二十四日、スイス・ダボスでの発言だと思いますが、アメリカのムニューシン財務長官が驚くべき発言をしましたね。弱いドルは貿易面でアメリカの利益になると言ったんですよ。そこから実は始まったんですよ、今回の株安、円高も。財務大臣、発言しているじゃない、アメリカの。

 あなた自身もこれまで、例えば、注視しなければいけないとか、為替が一方の方向に揺れる急激なことについては、やはりこれは許されるものではないとか、そういうことを言っているじゃないですか。そういうことでもいいんですよ、それは。全く発言しないんですか。一言がないんですか。そんなことないじゃないですか。どうですか。

麻生国務大臣 G20というのが最近はございまして、G7というのも昔からあります。そういったようなものの間で、財務大臣からの発言というのは、このG20、G7のラインに沿って発言するというルールになっております。

 ムニューシンのさっきのような話が出ていましたけれども、すぐその後訂正しておりますでしょう、御存じのように。だから、そういったような話があるのであって、うかつにこの種の形はしないということになっております。

 急激に何か起きたときにおいては口先介入というのをやってきておるのは事実でありますし、私どもとしては、そういったことはありますけれども、非常事態というのであればともかく、今はアメリカも日本も双方とも経済のファンダメンタルズは極めて好調、ペンスともこの間しゃべりましたけれども、双方とも、両方とも、経済の内容が極めて好調ということは両方とも理解した上で、少なくとも、私どもとしては、今の状況の中において、特別に介入せねばならぬというほど急激に円高でもなければ、円安でもありません。

 私どもとしては、今の状況としては、昨日、日本時間の十時二十分だか十時三十分にアメリカの物価指標が出ておりますが、〇・五で出たと思いますが、そういったものを見ましても、アメリカが、あれは直ちに反応はいたしておりませんし、そういったことを鑑みまして、今の段階で直ちにということを考えているわけではありません。

海江田委員 このアメリカの財務長官の発言に対しては、いろんなところからいろんな声が上がっているんですよ、これは。ヨーロッパの中央銀行の総裁も発言しましたし。

 この間、ペンス副大統領が日本に来ましたね。そのとき、麻生総理はペンス副大統領と何らかの、為替の問題、株の問題、あるいは何でもいい、経済対話ですから、経済対話の相方がペンス副大統領ですから、何かお話しされましたか。

麻生国務大臣 この種の話は安易に外には出さないことにしておるのが共通の了解なんですけれども、我々としては、アジア太平洋地域におけます平和と繁栄、また自由の礎であります日米同盟というものを不断に強化していく必要があること、その上に、日本とアメリカとの経済というものは極めて大事なので、エコノミックダイアログを更に推進していくということで、私どもとしてはその話を基本としてさせていただいております。

海江田委員 じゃ、そのエコノミックダイアログ、経済対話をやろうということを話したんですか、ペンス副大統領と。

麻生国務大臣 エコノミックダイアログにつきましては、私どもとしては、今年の四月ぐらいに、予算が終わった段階で、アメリカの、IMFの総会だかADBの総会だか忘れましたけれども、そういったところでやるときに二回目をやれるようにということで、向こうもスタッフがだんだんそろってきつつあるという話をして、やろうじゃないかという話までは来ました。

 今のところ、御存じかと思いますけれども、アメリカの副大統領府にスタッフがそろっていなかったというのは御存じのとおりなので、そういった状態、大分そろってきたというので新しいスタッフを今回連れてきていましたので、その人とも初めて話をさせていただいております。

海江田委員 じゃ、この間、ペンス副大統領が平昌に行く手前で、ペンス副大統領と経済ダイアログのことで、経済対話のことで話をして、ことしの四月ぐらいにやりましょうということになったということでいいわけですね、確認ですが。それだけ、そのとおりだということ。

麻生国務大臣 我々としては四月を希望しておりますけれども、向こうとしては、その日程につきましては再度調整をしようというので、五月とか六月とかいろいろ言っておりましたので。

 日米経済対話をやるということに関しましてはきちんと話をさせていただいておりますが、その時期は、我々は四月ぐらいかなと申し上げましたけれども、向こうは、うっと詰まって、五月か六月ぐらいかなという感じがしたので、その時期までは正確には申し上げられませんけれども、エコノミックダイアログを継続してやるということに関しましては、私どもとしてはきちんと合意ができております。

海江田委員 そのことを、先日、二月の六日ですか、ペンスさんがお見えになったときに話をしたんですかということを先ほどから聞いているんですよ。

麻生国務大臣 今、時期まで丁寧に御説明させていただいたので、それはやるという前提で時期の話をさせていただいております。

海江田委員 じゃ、そこで会ってお話をされたというふうに理解しますが。

 私が何でこんなことを聞くかというと、やはり日米間のこのまさに経済対話といいますか政策協調、これは、私は日本側に原因があるとは思っていないですよ、実はアメリカ側に原因があると思っているんですよ。

 それは、先ほども大臣からもお話がありましたけれども、スタッフがまずそろっていないということもあって。それから、やはりトランプさんはめちゃくちゃですよ、はっきり言いまして。今度の年頭教書でも、片一方で大幅な減税をやる、しかも法人に対する減税をやっておいて、そうすると、従来なら、まあこれは共和党の伝統的な小さな政府かなと思うと、片一方でインフラ投資、大変大きな政府を目指している。これは一体どういうことなんだと。

 そういう点について、やはりしっかりと議論をしなきゃいけないんですよ。日本だけで経済がどうなる時代じゃないんですから、これは。とりわけ、やはりアメリカの経済の先行きというものを見なきゃいけないし、このアメリカの経済の行方によっては日本の経済も大きなブレーキがかかる。先ほどの円高の問題だって、あるいは株安の問題だって、出発点はアメリカですから。そのアメリカの真意がどうなんだ、あるいは、アメリカがこうやろうとする、それはどうなんですかという協調をやはりしっかりしなければ私はいけないと思う。

 そういうことが甚だ不十分ではないだろうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今、昨年の十一月でしたか、トランプ大統領との間でいわゆる経済対話についての議論というものを行わさせていただいておりますが、ペンス副大統領ともいろいろな議論を積極的にさせていただいておるんですけれども、副大統領の来日の際にも意見を交換させていただいておりますので。

 そのときにも、私どもとしては、今、日米間で大きな問題といえば、それは何たってアメリカ側には日本に対して約七兆円ですかの貿易赤字があるという話が一番大きい。アメリカにとりまして、日本の、アメリカにおける貿易赤字のうちの七%、八%ぐらいだと思いますが、ドイツ、メキシコ、日本、その三つだと思います。他方、中国は五三%ぐらいの赤字だと思いますので、それは桁が違って、日本よりは四倍、五倍大きいわけですから、まずはそっちの話なんですけれども。

 これを解決するためにはどのようなことがあるかというので、我々としては、去年一年間の間にどれだけ貿易赤字を改善させたかという数字をぽいと出して、そちらの数字と合っているかと。向こうはそんな数字はできていませんから。日本としては、きちんと出した数字を、はい、これが日本の調べた数字ですといって出しても、向こうからその数字がそろって、各省全部調べて出てくるなんということはできませんから。私どもの方は、はい、これらが数字ですから、これだけ変わっていますということやら何やら話をさせていただいて、私どもとしては貿易赤字等々をやらせていただく。

 また、いわゆる景気がいい上に減税したんですからね。景気がいいから減税すれば、当然のこととして、財政収支は更に悪くなりますから。そうすると、金利が上がる。金利が上がればドルが高くなって円が、済みません、ドルが安くなって円が高くなるというのは大体通常の話ですから、そういったようなことになるはずが、今回はそれが意外と百七円とかいうところでとまっておるから、私どもとしては、少なくとも、イエレンからパウエルにかわったあの段階でもっと極端なことになるのかと思ってはいましたけれども、それはならなかったとは思っています。

 とは思っていますけれども、さあこれから、今からだんだんだんだん経済がいろいろ動き始めてきますから、減税効果というのはどういった形で出てくるのかがちょっと私にはよくわかりませんので、財政収支だけという面だけもあるでしょうけれども、法人収支というのは大分変わってきますので、そういったものがどう出てくるか、いま一つよく見えないところだとは思っています。

海江田委員 まさに今、麻生大臣がちょっと言い間違えましたけれども、金利が上がればドルが高くなるというお話、これは、常識はそうなんですよね。

 日本は相変わらずの超低金利、金融緩和ですから、本来だったら、やはり金利が高くなれば、日米金利差が開けば、円が安くなってドルが高くなる。ただ、それを言い間違えたということはお気づきになって言い直しましたけれども、それはまさに逆転現象で、二〇一四年もこのちょうど逆があったわけですけれども、そういう形で、やはり変化が起きている。この原因についてはいろいろあるんですよ。ただ、それを話していると長くなりますから。

 だから、そういう問題について、やはりしっかりとした日米の経済の政策協調について、安全保障で安倍さんが頑張って一生懸命やっているけれども、肝心のやはり経済のところが私は大変日米関係は希薄になっている、こう思うわけです。

 まだまだ議論したいところはありますけれども、これは財金委員会がありますから。

 せっかく茂木大臣にお出ましいただきましたけれども、今はデフレではない状況だ、デフレではないということを、内閣府というか、月例経済報告でもずっと言っています。デフレではないけれども、デフレ克服ではないということを言っているわけです。

 デフレではないということを言ったのは二〇一四年ですよね、これは。二〇一三年の暮れに月例報告で物価は底がたく推移しているという表現に変わって、その前、夏からずっと、デフレ状況ではなくなりつつあるからデフレではないと。物価は底がたく推移している。そして、安倍総理が、二〇一四年の二月の衆議院の予算委員会では、デフレではないという発言があったんです。

 二〇一四年の二月四日から、もう既に丸四年たっていますね。どうして脱デフレ宣言、デフレ脱却宣言が出ないんですか。

茂木国務大臣 委員御指摘のように、デフレではないという状況はつくり出せたと思っております。

 正確に申し上げますと、二〇一三年の十二月の月例経済報告におきまして物価の基調判断からデフレという表現を落としまして、それ以降、我が国はデフレではない状況が続いていると認識をいたします。

 ただし、デフレ克服と委員はおっしゃいましたが、脱却だと思いますが、脱却の判断に当たりましては、委員の御案内のとおり、足元の物価の状況に加えまして、再び後戻りしないという持続可能性を確認することが必要になってくるわけであります。

 その上で、物価の動向の背景というものを見てみますと、長期にわたります景気回復によりまして、リーマン・ショック後、大半の時期でマイナスでありましたGDPギャップ、これはプラスに転じまして、需給は間違いなく引き締まっている。そして、企業収益も、二〇一三年度以降、過去最高を更新し続けているわけであります。

 さらに、人手不足感、これは一九九二年以来四半世紀ぶりの高水準となっているなど、デフレ脱却に向けた局面変化が見られる、このように考えているところでありまして、賃金につきましても、中小企業を含めて、二%程度の高い賃上げというものが四年連続で続いておりまして、デフレ脱却に向けた改善は続いていると考えております。

 政府としては、これから三年間、御案内のとおり、生産性革命集中投資期間として、大胆な税制等々政策手段を総動員することによりまして、過去最高の企業収益をさらなる賃上げ、設備投資等につなげ、デフレからの脱却を目指してまいりたいと考えております。

海江田委員 せっかく日銀にお越しいただいて、大分お待たせをして恐縮でございますが、デフレ脱却宣言が出せない背景には、やはり物価が二%にいっていないということじゃないだろうかというような意見を言う人たちが、エコノミストですね、いるわけですが、このデフレ脱却宣言と二%の物価上昇達成の時期と、その関係というのを、日銀総裁、恐縮ですが、お答えください。

黒田参考人 委員もよく御承知のとおり、また、先ほど経済財政担当大臣から答弁がありましたように、デフレ脱却につきましては、各種の指標から政府が総合的に判断されるというふうに理解しております。

 その上で、デフレ脱却宣言が行われれば、日本経済にとっても極めて大きな前進であるというふうに思っております。

 もっとも、日本銀行としては、物価の安定というみずからの使命を果たすため、二%の物価安定の目標を実現する観点から最も適切な政策を実施しており、今後とも実施していくというふうに考えております。

海江田委員 これは、デフレではない状況から四年間ですからね、はっきり言って。デフレの定義だって、物価下落が持続して、BISだとか、二年ですよね、大体。二年続けばデフレということになって、その意味では、四年続いて、まだデフレでないということは、アベノミクスの失敗ということにほかならないんですよ、これは。

 まだまだ質問したいこともありますし、それから、日銀総裁もわざわざお越しいただいて、本当に少ない質問で申しわけありませんでしたけれども、また機会がありましたら質問させていただきます。

 時間が来ましたので。ありがとうございました。

河村委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石委員 希望の党、愛媛三区の白石洋一です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問させていただきます。

 四国新幹線についてお伺いします。

 私の地元は西条でありまして、西条は、十河信二さんが第二代市長になって、その十河信二さんというのは、その後、第四代国鉄総裁で、新幹線の父、生みの親と呼ばれているところなんです。西条には、その駅前には鉄道歴史パークというのがありまして、そこに十河信二さんの記念館があるとともに、四国鉄道文化館というのがありまして、そこにはゼロ系新幹線も展示されているんです。

 その四国に、いつ新幹線が来るんだろうか。

 新幹線が開業、開通したのは一九六四年、オリンピックの年、それからもう五十四年たっております。半世紀たって、いつかいつかと待っているんですけれども、さきには北陸新幹線が開通しました。金沢も大変なにぎわいになっている。やはり新幹線というのは、今、安倍総理も国難とされている少子高齢化、人のにぎわいを、地方創生、これに効果があるんだろうなと。であるならば、早く新幹線を四国に開通してほしい、こういう地元の願いが高まっております。

 今の状況は、四十七都道府県ある中で、新幹線が通っていない県庁所在地というのは十六ありまして、その十六を人口の多い順に並べますと、愛媛県県庁所在地、松山市が二番目になります。一番目は千葉市ということで、東京の近隣でありますから、次は松山なんだろうな、松山に、四国に新幹線が来るんだろうなという地元の期待がございます。

 実際、数字の面でも、沿線人口というのは北陸新幹線の沿線人口に比べて上回っている。四国の沿線人口というのは三百三十八万人に対して北陸は三百十万人、北海道、これは岩手からですけれども三百二十七万人、これも上回っているということで、BバイCも計算したところ、一・〇三という計算が出ています。効果は年間百六十九億円です。

 では、四国に新幹線を敷設する、その決定、決断をどのような段取りを踏んでこれから進めていくんだろうかというところを具体的に石井大臣にお伺いしたいんです。

 石井大臣、今後、見えてきた、北陸新幹線が新大阪まで通じて、その後、どの新幹線を基本計画から整備計画に格上げするということについて御答弁をお願いします。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

石井国務大臣 国土交通省におきましては、整備新幹線の整備の進捗状況等を踏まえて、各地域から、四国新幹線、四国横断新幹線を含みます基本計画路線等の鉄道整備に関するさまざまな御要望をいただいているところでありまして、平成二十九年度より、基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査に取り組んでいるところでございます。

 平成三十年度予算案にも所要の調査費が引き続き盛り込まれているところでありまして、国土交通省といたしましては、この調査にしっかりと取り組み、我が国における今後の基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。

白石委員 その調査でどのような調査をするのか、どこに重点を置くのかというところが関心のありどころでありまして、段取りとしては、基本計画から整備計画に上げる、どの路線にするか、四国以外にもまだ候補はあるわけです。その中でどれを選ぶかということについて、調査の前に基礎調査というのをしますよというのが先ほどの大臣のお話でありまして、計上されています予算案の中にも、二・八億円の基礎調査をすると。その基礎調査の中に、ぜひ四国で新幹線を敷設するということを念頭に置いた調査をしていただきたい。

 もう五十年たってまだできない、そしてさらに、いつできるのか。その順番が来るのは、新大阪まで北陸新幹線が開通してその後という最長のことを考えたら、数十年後になるわけです。それでは間に合わないんです。地方創生、にぎわいを地方に呼び込んでくる、特に四国、まだ四国には新幹線がないわけですから、新幹線の生みの親がここで育った、そこに新幹線がまだないわけですから、どうやって早く敷設するかということをぜひ検討いただきたい。

 中でも、今アイデアとして、ミニ新幹線であるとか、あるいは単線で新幹線もできないかということもアイデアとして出てきております。単線であれば、フルの新幹線の六割の工事費で済むということであります。

 そういうことであれば、もっと早く、そして、通常のルートではなくて、通常の段取りではなくて、もっと早く財源をあてがって開通する。そのことによって、三十年後にやっとできた、でも、そのときに四国がどうなっているかわからない、それよりかは、なるべく早く、とにかく開通させて、そして、今少しずつ人口が減少している、その四国を関西の経済圏の中に取り込んでくるということが大事だと思うんですけれども、国交大臣、そこについての御所見をお願いします。

石井国務大臣 平成三十年度におきましては、今年度の調査の状況を踏まえて、引き続き、今委員が御指摘いただいた、単線による新幹線整備を含む効率的な新幹線整備手法についての検討を深めていくこととしております。

 なお、個別路線についての調査を行うことは考えておりません。

白石委員 ぜひ、今二軍にいるところは、候補はもう数えるところしかないわけですから、それらを念頭に調査していただくことをお願い申し上げます。

 次の質問に移ります。

 質問通告で四番目に書かせていただいているんですけれども、加藤厚労大臣、先ほども、議院運営委員会でも話題になりました、裁量労働制の拡大法案の基礎となったデータについてでございます。

 国交大臣はもうこの後ございませんので、ありがとうございます。

 質問させていただきます。

 この裁量労働制の拡大というのは、それを推進する側としても相当慎重にやらなければ、これは危険な要素がある、人命にもかかわる部分があるということは、もう衆目の一致するところだと思います。

 その中で、総理もおっしゃっていた、裁量労働制の方の方が一般労働者よりも労働時間が短いというデータもあると言った。それをもとに裁量労働制の拡大の法案の議論をし、そして今、法案を作成している。しかし、そのデータについて非常に疑惑、疑問がありまして、そこのところを、ちょっと細かい数字になりますので、ぜひ理解していただいて、そして、早く疑惑を払拭するような説明、そして原データ、生の、そのもととなったものを出していただきたいというふうに思うんですね。

 一般労働者とそして裁量労働者、この厚労省が出したデータによると、一般労働者の方が平均労働時間が長い。平均的な者というところで比較するとそういう数字が出ているんですけれども、では、そのバックデータとなっているものは何ですか、出してくださいといったところで非常に大きな疑問が出ているんです。

 まず、ちょっと基本的な質問ですけれども、法定労働時間と、その法定労働時間働く場合の休憩時間、それぞれ何時間ずつでしょうか。お願いします。

加藤国務大臣 法定労働時間は、労働基準法、たしか三十二条で、一日八時間、週四十時間、これが決まっていたというふうに認識をしております。

 そこで、休憩時間、ちょっと済みません、今手元に正確な資料はないんですが、たしか一定時間、四時間だったか六時間か、ちょっと正確じゃありませんが、働いた場合には四十五分、それから、六時間か八時間、ちょっと忘れましたが、場合には更に十五分足して一時間という休憩をとらせるという規定がたしかあったように承知をしております。ちょっと済みません、手元に詳細がありません。

山越政府参考人 休憩時間については、今大臣御答弁されたとおりで、六時間を超える場合は四十五分、八時間を超える場合は一時間ということになっております。

白石委員 ありがとうございます。

 であれば、法定労働時間働いたら一時間の休憩があるはずだから、合計九時間のはずですね。

 厚労省から出てきたデータによると、一般労働者の平均的な者の中で、九千四百四十九事例ある中で、十五時間超という人が九人おるんですね、九事例。

 この九千四百四十九というのは、一事業者に監督署の方、監督官が行って、一般労働者の平均的な者で大体どれぐらい法定労働時間外の時間がありますかと聞いているわけですから、相当絞り込まれているわけです。絞り込まれた中で、十五時間超の方が九件もある、九人もおられる。これがおかしいんです。

 ですから、さっき言った、法定労働時間八時間プラス休憩時間一時間で、九時間に十五時間足したら二十四時間になるわけですね。これが平均的な者であるはずはないんじゃないか。

 つまり、平均労働者の法定外労働時間というのがかさ上げされているんじゃないかなという疑問があって、これは恐らく、どういう調査票、調査の仕方をしたかというと、所定労働時間があって、残業時間は何時間ですかというふうに聞いたのが原データなのに、それを法定外労働時間にしてしまっているんじゃないか。所定労働時間が数時間だったりしたら、残業時間が十五時間超あるということも、まあまあ一万件のデータの中であり得る。でも、それが法定外労働時間ということは、これはあり得ないということなんです。

 原データと、そして、どういう聞き方をして、どういう調査票でもってこのデータを集めたのか。きのう、野党六党でヒアリングしたところ、一般労働者と裁量労働者と違う質問票でこのデータを集めてきましたということなんですね。

 一体どういう質問票でこういうデータになったのか、これを早く明らかにしていただきたい。これは推進する側にとってもそうだと思うんですけれども。大臣、お願いします。

加藤国務大臣 今の御指摘を含めて、幾つかこのデータに対して御疑問等々を頂戴しておりまして、今それらも含めて精査をさせていただき、先ほど申し上げましたけれども、遅くとも月曜日までに、その精査結果と、それからデータを出すようにというお話もございましたので。

 ただ、このデータはちょっと個人的なというか個々のデータが入っていますから、そこは少し落とさなきゃなりませんが、その辺をして、それも含めて、遅くとも月曜日に提出すべく、今準備をさせていただいているところでございます。

白石委員 月曜日ということですが、月曜日の何時というのも大事です。朝一、十時とか。その深夜というんじゃ、もう今、働き方改革の時代ですから。朝一で、午前中で。(発言する者あり)

 朝一の理事会という声もあります。何時でしょう。

加藤国務大臣 その辺は、よくこちらのそれぞれ委員会の理事の方とも御相談をしながら、我々としては、今の委員の御指摘も踏まえながら、できるだけそうした方向で対応させていただきたいと思いますが、具体の話については、委員会あるいは委員の理事の方と御相談をさせていただきたいと思っております。

白石委員 これね、もうすぐに出していった方がいいですよ、大臣。

 というのは、これで与党側は法案を出そうとしているわけでしょう。そこでやはり早く疑念を払拭するというのが、それは推進側にとっても理にかなうことだと思いますし。

 もう一つは、調査票で空欄のものは、これは別にプライバシーだとか企業秘密とかにかかわるものではないですから、すぐに出せるはずです。

 この二点、お願いします。

加藤国務大臣 私ども、時間を稼ごうという思いは全くございませんので、できるだけ早期に、今の御趣旨も踏まえながら、委員会、理事、理事会の御指示を踏まえて、済みません、相談と言ったのは適切じゃなかったと思います、理事の、理事会等の御示唆をいただきながら対応させていただきたいと思います。

 それから、今の調査票ということでありますが、これは聞き取ってそれを書き写しているということなんですね。ですから、企業にこれを書いてくださいといって渡したのではなくて、その現場に監督指導の一環として行っています。そのときにとってきたデータを集計してということであります。

 そして、今私が言ったのは、それを打ち込んでいるデータ、多分コンピューターだと思いますが、に打ち込んでいるデータを私たちが今持っていて、それを今チェックをしているということなんですが、そのデータの中には、企業名も含めて、等々が入っているということなので、それを削除しながら、必要な部分の資料を提出できるように今準備をさせていただいている、こういうことでございます。

白石委員 質問票じゃなくて聞き取りですと。でも、聞き取りにもやはり統一性がなければいけないはずで、その指示書みたいなものが恐らくあると思うんです。これがなければ、もうてんでばらばらで、勝手に集めてきたことになります。やはり指示書、このように聞き取ってくださいというのが少なくともあるはずですね。それだったら、なおさら問題はないはずです。こういう形で聞き取りしましたと。

 このデータだけが、裁量労働制、一般労働者よりも下回っているというもの、唯一のもので、これ以外にはないんです。それがいいかげんなデータだったということであるならば問題ですので、ここはしっかりと、ちゃんと統一性を持って出したものだ、そういうことを示してください。

加藤国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、単なる調査、調査というか、統計の資料をとるための調査ということでやったわけではございません。

 監督指導を含め、そしてその中で調査を出している、データをとっているということでありますので、どういうことについて聞くかということは監督指導の中身そのものでございますから、それをお示しするということは大変難しいということで、実は、本件についても、過去において資料請求というんですか、公開のお話がございましたけれども、今申し上げた調査の具体な中身について開示することは今後の調査にも支障を来すということでお出しをしていない、こういう対応をとっているというふうに承知をしております。

白石委員 その説明には納得できないですよね。統一のフォーマット、こういう聞き方をしてくださいということが必ずあるはずですので、さっきぐらいの説明で開示をしないというような、そういう重みじゃないでしょう。

 裁量労働制というのは、本当に慎重に考えないといけない。それなのに、別に、ほかのヒアリングと一緒にまぜてやったことなので、統一的なものもあるかどうか精査する、そういうものじゃないと思います。

 もしそういうことであれば、もう一度調査をし直す、この法案のための調査をし直すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今御指摘、調査票そのものをというお話でございましたから、それは今申し上げた調査そのものの視点等々を開示することにもつながるので、それはできないということを過去の資料公開においてもお話をさせていただいたということであります。

 ただ、いずれにしても、前から申し上げているように、きちんと精査をしてお出しを、今データ等も含めて、それから過去の資料がどういうことだったかということも精査をさせていただいておりますので、それを含めて、今の御指摘、月曜日できるだけ早くということで、そこに提出をすべく作業をしていきたいと思っております。

白石委員 予算委員会の理事会では、与党側からフォーマットも含めて出すという回答があったということですので、それは徹底していただいて、お願いします。(発言する者あり)

橘委員長代理 質問続けてください。(発言する者あり)いやいや、それはできるだけ早く出すということに……(発言する者あり)

 白石君、質問を続けていただいて。(発言する者あり)どうぞ続けてください。質問を続けてください。(発言する者あり)

 じゃ、速記とめてください。

    〔速記中止〕

橘委員長代理 速記を起こしてください。(発言する者あり)

 じゃ、ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

橘委員長代理 速記を起こしてください。

 それでは、大臣の答弁、お願いいたします。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 今お話しになった対象となる行政文書には、調査事項、調査事業所の選定方法など、監督指導事務の実施内容に関する情報が含まれており、これらを公にすることにより、監督指導事務の手法等が明らかとなる、そういったことから、開示をすることを……(発言する者あり)済みません、行政文書開示のとき、そういうお求めがあり、そのときには、そういうことで不開示とさせていただいたところでありまして、いずれにしても、これは単なる、先ほどから申し上げているように、統計調査ということでしているわけではなくて、調査指導をまずやっていくという、そしてその一環の中でこうした情報をとっていく、そして、監督指導で入っていますから、そのときに、実際チェックしてみて、そこに支障があれば、まさに監督指導そのものにも実際入っているわけでございますから、そういったトータルのものをお示しするというのは非常に難しいということを申し上げております。

 ただ、今、委員からも含めて、あるいはこの委員会においていろいろ疑問点の御指摘をいただいておりますので、それについては、我々、精査し、そして、その疑問点に答えるべく、資料を精査して出させていただきたい、こう思っております。

白石委員 先ほどの答弁で、二つあるんです。

 国会の国政調査権というのがありますから、それによって質問の項目もこれは含まれると思うんです。開示してください。それぐらいのことはいいでしょう。それぐらいの重みがあることだと思うんです。

 それが余りにも、いわゆるついでにやっているようなことであれば、ばらつきがあるということであれば、もう一度この法案のためにやり直すというぐらいの重みがあることだと思うんです。そこの判断ができるぐらいの内容を開示していただきたい。厚労大臣、お願いします。

加藤国務大臣 同じ答弁になって恐縮なんですけれども、今申し上げた調査票については、そういうことでありますので、調査手法を明らかにするということは我々差し控えさせていただきたいと思いますが、ただ、これまで御指摘をいただいておりますから、そうした御指摘には、御疑問を提示していただいておりますので、それに答えられるべく用意をして、できるだけ早く、月曜日の早い段階で提出をさせていただくべく作業を進めていきたい、こう思っております。

白石委員 またこの件は、引き続き山井委員からも質問させていただきます。

 次の質問に移らせていただきます、ちょっと時間との兼ね合いもありますので。

 働き方改革、これは残業を規制するということに今重点を置いていますけれども、その量だけじゃなくて、質も大事だと思うんです。過酷な厳しい環境で何時間働いたのか。これはたとえ法定労働時間内におさまっていても、そういったところはちゃんと国としてもケアしていかないといけない。

 中でも、夜間勤務のシフト制、夜間勤務でシフト制で働いていらっしゃる方、これは物づくりのところです。ラインというのは二十四時間回す、一旦とめたら大変だ、だから二十四時間回す。そうすると、三交代勤務、これを夜の十時から朝の六時までやる方々もおられる。ローテーションでやる。だから、一日の動きが月間で変わってくる。家族との交流の時間も変わってくる。それを、最初はいいかもしれないけれども、年齢を追うにつれてきつくなってくる。これが深夜勤務でも、彼らが必要なんです。日本の物づくりを支えているんです。さらには、トラックのドライバーも夜間勤務が多いんです。

 ところが、その議論がこの働き方改革の中でどれだけされてきたのか。これは、彼らの勤務実態というのがまだよくわかっていないからだと思うんです。

 ですから、彼らの、シフト制で働いている、特に夜間勤務について焦点を置いた実態調査をすべきだと思うんですけれども、大臣、ここはいかがでしょうか。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、夜間で働く方、また、日中で働くのに比べてさまざまな御苦労もあるんだろうというふうに思います。

 まさに深夜の勤務については、労働時間が深夜であることに伴う労働の負荷等に鑑み、例えば、深夜労働に対する賃金の割増し率が二五%ということで設定をされていたり、あるいは、定期健康診断についても、通常年に一回のところを六カ月内ごとに一回、したがって年二回ということになるんでしょうか、そういう形での健康確保措置、こういったことも定められておりますので、私どもとしては、労働基準監督署において、事業場への立入調査など監督指導を行って、例えば深夜割増し賃金の不払いなどの違反があれば、その是正を図るべく対応させていただいているところでございます。

 今、調査をすべきというお話がありましたけれども、私どもとしては、そうした不適切な場合に関してしっかりと対応していくということが大事だというふうに思っておりますので、限られた人員でございますから、そういったことに対し、まずしっかりとやらせていただきたいと思っております。

白石委員 ぜひ実態調査をしていただきたいんです。さっき、残業調査については一万件弱の調査をされているじゃないですか。その中の項目の中に深夜勤務を入れる、これでいいんです。それぞれの労働基準監督署で、これは事業所ごとに違うと思います、何人が、どれだけの割増し賃金をもって働いているか、これを調べていただきたい。

 ちょっと時間の関係もありますので、次に行きます。

 加えて、この割増し賃金二五%というのは低いと思うんです。だから、人が集まらない。これは社会の推移によって、やはり相場というのは変わってきます。最低賃金というのはそういうものですよね。最低割増し率も同じなんです。

 国際的にも日本の最低割増し率というのは低いんじゃないかと私は推察するんです、これは漏れ聞くところですけれども。これをしっかりと調査して、例えばイギリスでは、残業の割増し率というのは五〇%、それが日曜日になったら一〇〇%ということになったりしています。

 労働時間を短くする、これはいいです。でも、夜間勤務あるいは残業についてはペナルティー、それなりの見返りをいただくという方向に日本も持っていく、これが真の働き方改革だと思うんです。

 次に、技能実習制度の就労ビザ。

 技能実習制度の方々が今地方では戦力になっているのが実態です。彼らは、三年なり五年したら帰っていく。しかし、せっかく育てた方々であります。

 安倍政権では移民制度をとらないということを総理もおっしゃっていました。それはいいでしょう。でも、技能実習制度修了者というのは単純労働者ではないんです。技能を持っているんです。そのことから考えて、技能実習修了者については就労ビザを付与するということについて、拡充するという方向で検討をいただきたいんですけれども、この点、まず法務大臣、お願いします。

上川国務大臣 委員から、技能実習制度につきましての御質問がございました。

 そもそも、この技能実習制度でございますが、開発途上国等への技能移転を通じた国際貢献という重要な意義を有する制度でありまして、その制度趣旨に沿ったものとして今後とも活用をしていくべきものでございます。その意味では、外国人労働者の受入れはこの技能実習制度とは別に議論をされるべきものであるというふうに考えております。

 では、外国人材の受入れについてということでありますが、基本的な考え方といたしましては、専門的、技術的分野の外国人につきまして、我が国の経済社会の活性化に資するとの観点から、積極的に受け入れることが重要と考えております。

 また、専門的、技術的分野とは評価されない分野の外国人の受入れにつきましては、ニーズの把握、受入れが与える経済的効果の検証のほか、日本人の雇用への影響、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安、こうした幅広い観点から、国民的コンセンサスを踏まえつつ、政府全体で検討していく必要があるというふうに考えております。

 今後の外国人材の受入れにつきまして、昨年六月、未来投資戦略二〇一七ということで閣議決定されたわけでございますが、その戦略におきましては、真に必要な分野に着目しつつ、外国人材受入れのあり方につきましては、総合的かつ具体的な検討を進める、移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成のあり方などを含めた必要な事項の調査検討を政府横断的に進めていくとされておりまして、法務省といたしましても、出入国管理を所管する立場から、この検討に積極的に参画してまいりたいというふうに考えております。

白石委員 ぜひ、時代に合わせて、技能のある外国人については積極的に、法務省、そして、これは厚労省も共管となっています、進めていただきたいなと思います。

 もうこれは最後になりますけれども、ちょっと二問だけ厚労大臣に。

 年金だけで暮らせない方がふえているんです。それはもう、声を数字のベースにしていきたい。そのために、一つ、これは質問通告の三の1ですけれども、手取りベースで年金生活者の実態把握をしていただきたい。

 年金の額面だけじゃなくて、これは地方自治体によって介護保険料、健康保険税が違います。でも、天引きしているから把握できているんです。それを実態調査して、一体、手取りベースでどれだけの人が幾らもらっている、それぞれ、単身者あるいは夫婦世帯、そして男女、こういった区別もしながら実態調査をしていただきたいんですけれども、大臣、お願いします。

河村委員長 白石君、先ほどの追加答弁をしたいという申出が出ております、大臣から。後でそれを許しますが、先に答弁を。

加藤国務大臣 今、介護保険料など天引きした後の手取りの年金額についてというお話がございました。

 一応、資料を持っているのは日本年金機構ということになりますけれども、ここでも個別の受給者は把握できるんですが、統計データとして残念ながら集計できるシステムになっていないということと、それから、日本年金機構の有しているデータでは、例えば無年金の方とか年金以外の所得がある方の実態が把握できないというようなこともございまして、なかなか、その個々のということについては難しいんだろうというふうに思います。

 ただ、例えば家計調査や全国実態調査等により、年金を含むさまざまな収入や、税、社会保険料といった非消費支出を含むさまざまな支出の実態というのはある程度把握することができるというふうに思っておりますので、こうした調査も活用して、国民の生活実態を適切に把握しながら、こうした政策を進めていきたいと思います。

河村委員長 追加答弁をしたいという大臣の申出があります。時間が来ておりますが、簡潔にやれますか、簡潔に。追加答弁はありますか。(発言する者あり)

加藤国務大臣 済みません、今のは、今の御質問に対する御質問をさせていただきました。

 済みません、前段の、その前の、今回の調査あるいは今精査をしている件に関する御質問で、ちょっと追加的に答弁をさせていただきたいと思います。

 調査票のフォーマットそのものをお出しするのはなかなか難しいということは先ほど申し上げたところではございますが、先ほどもいろいろ指摘をされた御疑問点に対して、今、精査をし、それを答えるべく準備をさせていただいておりますから、その中で、今御指摘のあった点についても最大限対応できるように努力をしていきたいと思います。

白石委員 ありがとうございました。(発言する者あり)

河村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 時間が来ておりますが、加藤厚労大臣、再答弁願います。

加藤国務大臣 これまでも御答弁させていただいておりますように、これは、監督指導の一環で入り、そしてその中で必要な情報を収集しているということでございます。フォーマット等は監督指導のありようをまさに示しているそのものということで、それはお出しするのは非常に難しいということを答弁させていただきました。

 ただ、その上で、今申し上げた点がどういうことになっていたのか等々については今精査をさせていただいておりますけれども、その精査結果をお示しするときに、今、お話、御指摘をいただいた点、そうした資料を出せということでございますから、そうした資料が出せるように最大限努力をしたいと思います。

河村委員長 これにて白石君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 私、質問時間、十五分しかありませんので、今のような与党と政府の答弁が長引いた部分は、ぜひ、私の質問時間十五分は確保していただきたいということをまず委員長にお願い申し上げます。

 それで、きょうも、過労死の御遺族の方も傍聴に来られております。今回の裁量労働制のデータの問題は、これは人の命がかかわる問題であります。これは非常に悪質だと思います。

 なぜならば、過労死の御遺族の方々が、裁量労働制で命が奪われているから拡大しないでほしいという願いをおっしゃり、また、そのことに対して多くの議員が、裁量労働制で過労死や長時間労働がふえるではないかということを言ったときに、その過労死がふえるのではないかということに反論するデータの切り札が今回のデータだったんですよ。過労死問題のデータですからね。

 おまけに、この調査結果には九時間三十七分なんて出ていませんからね。一日の調査項目も入っていませんから、ここに。後でこれはデータをつくったんじゃないですか。

 JILが、労働政策研究機構がやった、裁量労働の方が労働時間が長いという二〇一四年の実態調査、この前の二〇一一年の実態調査でも裁量労働制の方が長いと出ているんですよ。しかし、政府は、裁量労働制を拡大したいから、裁量労働制の方が労働時間が短いデータをつくれないかということで、つくらせたのではないかという疑惑すら出ております。

 実際、きょうも多くの配付資料をお配りしておりますが、多くの方が裁量労働制で亡くなられております。最低賃金の方、契約社員の方、十二時まで残業代ほとんどなしで働かされて、適応障害で会社をやめた方、被害者は続出しているんですよ。

 そういう危険な働き方じゃないですかと言っているのに対して、このデータで、いえいえ、労働時間は裁量労働制で短いんです、厚生労働省のデータですからと言っているわけですからね。

 加藤大臣、来週月曜日に出されるということですが、その時点で、この調査、九時間三十七分というこのペーパーのこのデータが正しかったのか間違っていたのか、その結論を出すということでいいですね。井出議員の質問に対しても、安倍総理は、精査が必要なデータだから撤回すると。つまり、間違っているということはまだ認めていないんですよ。虚偽かどうかは、月曜日の段階で政府としては発表するということでよろしいですね。

加藤国務大臣 まず山井委員に対しても、こうした精査が必要なデータをお示ししていろいろ御迷惑をおかけしましたことに対して、おわびをまず申し上げたいというふうに思います。

 その上において、今お話がありましたいろいろな御疑問点に対してしっかり答えるべく、今準備をさせていただいております。

 それから、今、過労死のお話もございました。過労死は、裁量労働制のみならず、さまざまなことで発生をしているわけであります。ですから、これは、我々も根絶したい、こういう思いで、今回、長時間労働の是正等に取り組んでいるところでございます。

 いずれにしても、国会に対して、また国民の皆さんに対して、今回の経緯の中で御迷惑をおかけしましたことには、おわびをさせていただきます。

山井委員 ごまかさないでください。さまざまな働き方で過労死が出ているんじゃないんですよ。過労死の御遺族も、弁護団も、一番労働時間把握が甘くて過労死や労災がふえているのが裁量労働制だと言っているじゃないですか。こういうデータも出ているじゃないですか。

 例えば、こういう「たっちゃん起きて!九時ですよ」。裁量労働制で働いていた二十四歳の編集の若者は、二時、三時まで働いて、朝四時に寝て、朝九時にお母さんが起こしに行ったら、たっちゃん、起きてよ、起きてこなくて、そのまま亡くなっていたわけですよ。

 この裁量労働制、きょうの資料にも入れましたけれども、何と役所は言ったか。裁量労働制だから、労働時間なんか把握できませんよと。何ですか、これは。恐ろしい働かせ方じゃないですか。この本にも書いてありますけれども、労災は不支給になったんですよ。

 こういう恐ろしい働き方、加藤大臣、それをブラック企業は今、最低賃金の人や契約社員の方々を我が物に使って。被害者の方とも私は会いました。このたっちゃんの御自宅にも行って、私も御仏前で手を合わさせていただきました。被害者は続出しているんですよ、今。それを拡大する。

 もし、来週月曜日時点で、このデータが虚偽であった、適切なデータじゃなかったということになれば、当然、今回の働き方改革法案の目玉である裁量労働制の拡大は法案から削除するということでよろしいですね。

加藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、さまざまな形で過労死された方に対しては本当に改めて御冥福を、そして、御関係の方にはお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、今、個別のお話に対しては、ちょっとコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 それから、先般も御説明申し上げましたように、労働政策審議会においては、さまざまな観点から御議論いただいて、要綱に対してはおおむね妥当というお答えをいただいているということでございますので、この点のみで答えを出しているわけではございません。

山井委員 何を言っているんですか。先ほど逢坂さんも言ったけれども、厚生労働省が裁量労働制で労働時間が短くなると言っているデータはこれしかないんですよ。これしかないんですよ。その裁量労働制を議論する唯一の厚労省が正式に発表したデータが捏造だったら、これは大変な問題ですよ。

 きのうの井出議員の質問に対しても、安倍総理は、このデータだけを基盤に法案をつくったのではないということをおっしゃいました。でも、裏返せば、では、このデータも基盤の一つとして法案づくりをしたということでよろしいですね、加藤大臣。

加藤国務大臣 済みません。ちょっとこのデータというのが……(山井委員「これですよ。今回の九・三七時間ですよ」と呼ぶ)ということでありますけれども、今、労働政策審議会にはどういう資料を出しているか、そこでどういう議論がなされたかは、全て開示をされております。

 その中で、私どもが今調べている範囲では、今委員御指摘の、上の方の裁量労働制についての二つの資料の提示はございますが、下の方の一日の時間についての提示は一切しておりません。

山井委員 何を寝ぼけたことを言っているんですか。国会の議事録で、塩崎大臣も何回も答弁しているじゃないですか。労政審以前の問題として、国会で厚労大臣が、平均は一般の労働者の方が長い、裁量労働の方が短いと国会で答弁しているじゃないですか。

 おまけに、長妻大臣の質問も、過労死がふえるんじゃないかと。国会って人の命を守るためにあるんじゃないんですか。そのことを心配しているのに、安倍総理はそれに反論する形で、裁量労働制の方が時間が短い。

 働き方改革ってこの国会の目玉ですよね。目玉である、安倍総理が目玉と言う法案で、安倍総理が裁量労働制の方が労働時間が短いと言った。そして、それが本当かどうかわからない。

 委員長、ぜひ、この裁量労働制の問題、なぜこんなデータになったのかということに関して集中審議をお願いしたいと思いますし、その際には、過労死の御遺族や専門家の方々も呼んで、しっかりと、これは人の命にかかわる問題ですから、審議していただきたいと思います。委員長。

河村委員長 理事会において協議をさせていただきます。

山井委員 改めて聞きますが、このデータが正しくないということがわかったら、当然、働き方改革の裁量労働制を拡大するという部分、削除するんでしょうね。聞くところによると、二月二十七日に閣議決定と聞いておりますけれども、とんでもないですよ。そのもととなるデータが間違っていたとわかって、それを出すなんということは許されませんからね。いかがですか。

加藤国務大臣 それは先ほど申し上げましたように、今回の裁量労働制を含む働き方改革については、さまざまな視点で議論をしていただいた中で、労政審において、要綱を出させていただいて、おおむね妥当ということでやらせていただいている、こういうことでございます。

山井委員 唯一最大の根拠が揺らいでいるわけじゃないですか。逢坂議員の質問でも、これを除いたら、裁量労働制の方が労働時間が長いというデータしかないと認めたじゃないですか、先ほど。安倍総理は、働き方改革は長時間労働の是正と言っているんですよ。でも、実際、裁量労働が長時間労働になるんだったら、安倍総理の言っていたことも全く逆ということになるじゃないですか。

 加藤大臣、これは安倍総理は間違った認識を持っているんじゃないんですか。安倍総理はちゃんと裁量労働制で労働時間が長くなるということをわかっていますか。加藤大臣、どうですか。

加藤国務大臣 先ほどの議論で申し上げたのは、JILがとった統計によっては、一般の働く方と裁量労働制で働く方の平均値においては裁量労働の方が長い、それはそのとおりだということを申し上げたわけであります。ただし、それぞれの企業で見れば、常にどこを見ても一般の方が長いのかというと必ずしもそうではないということも、それはJILの数字を見てもわかるわけであります。

 そうしたことも含めて、我々、さまざまな視点に立って御議論をさせていただいて、先般、要綱に対するおおむね妥当、こういう答申をいただき、それを踏まえて今、法案提出の作業をさせていただいている、こういうことであります。

山井委員 余りにもひどい答弁。先ほど津村理事もおっしゃっていましたけれども、これは単なる自主点検のための調査で、労働時間がどっちかわかるというような調査じゃそもそもないんじゃないんですか。

 加藤大臣、JILの、裁量労働制の方が労働時間が長いという調査が二つある。それしかない。しかし、政権としては、裁量労働制で、ちょっとした残業代で長時間働かせたい、定額働かせ放題にしたい、そういう意向で、裁量労働制の方が労働時間が短いというデータを何とか探せ、つくれというふうにしたんじゃないんですか。調査していないじゃないですか。

 加藤大臣、そういうふうに、根拠のない、実際は先ほど逢坂さんが言ったように同一条件でないものを比べて、九時間三十七分という長いデータを一般の労働者に対して捏造したんじゃないんですか。このデータ、捏造された可能性、あるんじゃないんですか。

加藤国務大臣 山井委員からもデータについて具体的に疑問点を御示唆をいただいておりますので、それらを踏まえて今精査をさせていただき、その精査結果などについて、できるだけ早く、月曜日の早々にという御示唆もございましたので、この点については予算委員会の理事会等々の御指示に従って対応させていただきたい、こう思っています。

山井委員 精査じゃないでしょう。三年前からこのデータをもとに裁量労働制の拡大を既に議論しているんじゃないですか。おまけに、安倍総理大臣にもNHK全国放送でその答弁をさせたんでしょう。

 精査してから国会で答弁するのが当たり前じゃないんですか。人の命がかかっているんですよ、この問題は。今ごろ精査って何ですか。人の命を何と考えているんだ。過労死がふえていると言っているんですよ。これからふえると言っているんじゃないんですよ。既に死んでいる人がいっぱいいるんですよ。

 普通、安倍総理も加藤大臣も、過労死が裁量労働制で出ていることを知っているんでしょう、このデータを見ておかしいと思いませんか。常識感覚で、裁量労働制の方が労働時間が短くなる、実感としておかしいと思いませんか。そういう実感も、労働者の苦しみや実態をわかっていない人に、働き方改革法案なんか提出する資格ないと思いますよ。

 これは、加藤大臣、これから精査するという話じゃありませんよ。もし捏造したデータで三年間やってきて、国会も、安倍総理に国会答弁をさせたということになれば、今までの労働行政史上始まって以来の大スキャンダルですよ。

 加藤大臣、もしこのデータが適切でない、そのデータを使って予算委員会でも延々と安倍総理を中心に答弁したということがわかれば、当然、これは人の命にかかわるデータの捏造ですから、しっかりと責任をとられる覚悟というのはおありですか。

加藤国務大臣 いずれにしても、委員からも含めて疑問点を指摘されておりますので、まずはそれに対してしっかりお答えをさせていただきたい、こう思います。

山井委員 私、本当に腹が立って仕方がないのは、これは人の命がかかっているんですよ。確実にこの裁量労働制を拡大したら死人が出ますよ、過労死がふえますよ。ふえますよじゃないんです、既にふえているんですよ。

 では、何人裁量労働制で過労死が出て、適応障害で会社をやめる人が何人出たら拡大をやめてくれるんですか。きょうも御遺族の方も傍聴に来られていますよ。

 加藤大臣、月曜日の時点で、ぜひとも、これが不適切でなかったら、裁量労働制の拡大は、もうこれは法案には盛り込まないと。万が一、こういう不適切なデータを認められても出すということであれば、私たちは体を張って法案をとめますよ。命がかかっているわけですから。働き方改革というのは労働者のためなんでしょう。

 先ほど否定されませんでしたが、月曜日の時点で、このデータが捏造であった、不適切であったということであれば、これはただでは済みませんよ。過労死がふえないという根拠のデータを厚生労働省が捏造し、安倍総理がそれを踏まえて答弁したということになれば、これは大問題です。

 しっかりと、委員長、この真相が究明されるまでは、当然採決はできないと思います。森友問題でも、私は国対委員長をやっていましたが、去年の二月に要求した資料がことしの二月に出てきているんですよ。一年間。とんでもない。今回のこの問題も、ちゃんと予算審議が終わるまでには真相を究明して、しっかり決着をつける、それまでは採決はしないということを、河村委員長、約束してください。

河村委員長 理事会で協議をしながら進めております。

山井委員 これからも同僚議員とともに、命を守るために、人の、労働者の命を軽んじる政治は絶対許せません。

 以上で終わります。

河村委員長 これにて山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党所属で無所属の会の福田昭夫でございます。

 前回時間がなくてできなかった厚労大臣への質問をさせていただいて、最後に麻生大臣にもお伺いしたいと思いますが、両大臣とも簡潔にお答えいただければありがたいと思っています。

 早稲田大学の橋本健二教授が「新・日本の階級社会」という本を出しました。これからの日本の最大の問題は少子高齢化と階級の固定化だと言っております。もう格差社会ではない、日本も階級社会になってしまうんだ、これを何としても乗り越える必要がある、こう言っておりますが、そこで、まず、少子高齢化、人口減少時代にどう対応しているのかであります。

 御案内のとおり、我が国は少子高齢化、人口減少時代に突入しており、人口減少はいろいろな分野に大きな影響を及ぼします。報道によりますと、人口減による専門家会議で、福田康夫元総理大臣が、国家の行く末を総合的に考える中心がいないと嘆いておりました。厚労大臣は、こうしたまさに少子高齢化、人口減少問題に対する責任が大きい方でありますけれども、この問題にどう対応しようとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。

    〔委員長退席、柴山委員長代理着席〕

加藤国務大臣 まさに、少子、特に高齢化、人口減少にどう対応していくのか、これはもう全般にかかわる大変大きな課題だと思います。

 特に社会保障の関係で申し上げますと、団塊の世代が七十五歳以上になるのが二〇二五年ということでございます。また、それ以降も、高齢者人口の伸びは、スピードは緩やかでありますけれども伸びていくということで、他方で、現役世代が減少していくということでありますので、そういった中で、本当に必要な医療や介護等をどうやって維持をしていくのかということ、そして、当然、サービスを提供すればそれに従う負担というものもございますから、そのバランスをどう図っていくのかということは大変大事であります。

 一つは、二〇二〇年代初頭から二〇二五年をまず一つの節目として、良質で効率的な医療、介護サービスを保障するためには、医療、介護の提供体制、この改革を図っていく必要があると思っています。

 それから、今、よく、データの活用ということでありますが、ヘルスの面においても、データヘルスの活用を含めた医療費の適正化を図っていく。さらには、疾病あるいは介護予防や重症化、重度化防止の取組、こうしたことをしっかり進めることによって、これから更に進む高齢化に向けての土台というものをしっかりつくっていきたいと思っております。

 また、同時に、こうした将来の人口減少あるいは高齢化というものを見据えながら、誰もが活躍できる社会というものをしっかり実現をしていく。また、そういう中にあって、今、ややもすると、高齢者に対する対応にかなり予算等も置いていますけれども、若い世代も支援していくという全世代型社会保障も進めていく。そういった形で進めたいと思います。

福田(昭)委員 時間がないので短く答えていただければと思いますが。

 私は、やはり政府を挙げて、厚生労働省だけではなく、特に非常にこうしたことに必要な省庁は、国土交通省であったり、農水省であったり、環境省であったり、あるいは文科省であったり、いろいろなところが関係しているわけでありますが、政府を挙げて、あるいは与野党を挙げて、総合的なプランを策定して、国と都道府県と市町村がそれぞれ役割分担をして取り組まなければだめだと思っております。

 今のように何の総合的なプランもなく、本当に、ことしの予算を見ていても、各省庁でそれ行けどんどんの予算はあるんですけれども、じゃ、この人口減少にどう対応していくんだという予算はほとんどないんですよ。

 あと十年もないんです。先ほどの、加藤大臣の言われるように、二〇二五年という問題がありますけれども、団塊の世代がほとんどがリタイアする、そういう時代に向かって、それこそ、戦でいえばしんがり役ですよ、今の我々の世代は。どうやってしんがりを務めていくかという大きな転換期にあるわけです。しかし、そのことに対してどういう対策をとっていくかという予算が、各省庁の予算を見るとほとんどない。これは非常に心配な話であります。

 時間の関係で次に行きますけれども、次に、我が国の経済、財政再生のためになぜ人づくり革命が必要だと政府は考えたのか。

 先日の質問でも申し上げましたけれども、政府の教育無償化など人づくり革命は、平成二十九年三月に民進党が作成した経済政策、人への投資、希望と活力の好循環を目指してを、消費税の使い道の変更も含めて、財源論も含めて、ほぼ丸ごとかすめ取ったものであると申し上げましたが、それは別に悪くないわけでありますけれども、しかし、我が国の経済、財政再生のためになぜ人づくり革命が必要だと政府も民進党の政策にすり寄ってきたのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 本来であれば茂木担当大臣から御答弁するのが適切かと思いますが、厚生労働大臣ということでございますので、私の方からお話をさせていただきたいと思います。

 先ほども少し触れましたけれども、現政権では、一億総活躍社会を実現するということで、介護離職ゼロ、あるいは希望出生率一・八を掲げ、育児や介護に対してしっかり対応していく。そしてもう一つは、働き方改革を進めていく。

 さらに、人生百年時代ということを見据えると、一回勉強したからずっとそれで済むという時代でもなくなってきた、そういった意味での人づくりをしていく。そのためには人材への投資が必要だということでございますので、私どもの関係でいえばリカレント教育というのがありますけれども、そういった支援を拡充していく。

 それから、やはり教育を受ける基盤というのは幼児期に形成されますから、そういった意味でも、幼児教育をしっかり進めていくために、待機児童の解消、あるいは幼児教育の無償化、こうしたことを通じて子供に質の高い幼児教育の機会を保障していく。

 そういったことを進めていきたいというのが、人づくり革命、あるいは新しい経済政策パッケージの趣旨でございます。

福田(昭)委員 アベノミクスがうまくいっている、うまくいっているという宣伝ばかりありますけれども、しかし、実際、アベノミクスは、五年間やっても、肝心な実質賃金は低下をし、個人消費も全く伸びていない、低下している。これが実はアベノミクスがだめな大きな理由であります。

 次に、人づくり革命と働き方予算で何がどう変わるのかであります。

 人づくり革命予算で先ほどもう既に加藤大臣からお答えいただきましたが、この点は結構ですけれども、あわせて、働き方改革予算で治療と仕事の両立支援を二十億円ほど確保いたしておりますが、これがどう使われるかであります。

 我が国では二人に一人ががんになる時代だ、こう言われておりますが、特に若い人が、働いている人たちが、職場で、がんと診断されて、治療を受けながら仕事をするということに対しては、相当、それこそパワハラに似たような扱いを受けている、そういうがんの患者の方がたくさんいる、こう伺っておりますが、そうした企業内での対応もしっかりと取り組むことの予算になっているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 今委員の御指摘は、治療と仕事の両立ということで、予算だというふうに思います。

 働き方改革の議論のときにもあったのでありますけれども、やはりがんということになりますと、そこで仕事をやめたり、それだけでも大変な、精神的に、あるいは治療という負担があるのに加えて、今、仕事が継続できない、あるいは賃金が下がる、こういったこともございますので、やはり、病気を理由に仕事をやめざるを得ない方や、治療しながら仕事を続ける方でも職場の理解が乏しい、これをどうにか克服して治療と仕事の両立を図る、これが大変大事だと思っております。

 平成三十年度予算においても二十六億円計上させていただいて、これは案の方でありますけれども、させていただいておりますが、企業においても、産業保健総合支援センターの相談対応や訪問指導ということでの企業への支援、あるいは柔軟な休暇制度や勤務制度の導入を進める企業に対する助成、また、医療機関においても、こういった医療機関と本人と企業、この連携が非常に大事でありますから、がん診療連携拠点病院等で就労支援等に携わる人材の育成、こうしたことをしっかりと進めて、治療しながら仕事がしていける、こういった環境をしっかりつくっていきたいと思います。

福田(昭)委員 それでは、加藤大臣の答弁は長いものですから、四番目と五番目の質問をあわせてお伺いします。

 大体、四番目の、団塊の世代が七十五歳以上となるいわゆる二〇二五年問題及び二〇五〇年問題については、先ほども、最初の答えであったような気がしますが。

 そこで、やはりこれから大事なのは、厚労省の予算のタイトルの中にもありますけれども、安心で質の高い医療、介護サービスの確保が重要だと私も思っておりますが、そうした中で、新しくスタートした地域医療法人制度、これをどんなふうにこれから全国に普及させようとしているのか。

 本当に、私どもの栃木県でも、二〇四〇年、いわゆる全国の市区町村、千七百十八のうち半分が消滅の危機にあると言われている時代を迎える中で、栃木県の場合は、東北新幹線、東北自動車道の周辺は何とか医療機関ももつんじゃないか、しかし、東と西はとてもとても今のままではもちそうもないというような言われ方もしているわけであります。

 そうした中で、この地域医療法人制度、これをどう使っていくか。使って、医療機関がそれぞれ自分の持ち味を生かしながら役割分担をしてやっていくということが大事だと思っていますが、このことについてどんなふうに考えているのか、お伺いをいたします。

 それからもう一つ、第五番目でありますが、五番目は、人生百年時代を見据えて、社会保障制度を全世代型社会保障制度へどう転換するかであります。

 一つだけ申し上げますけれども、人生百年時代を見据えるならば、何としても年金制度を現在の賦課方式から積立方式に抜本的に変える必要があると思います。特に、既得権者と将来世代に分けて、ある一定の時間、期間をかけて制度設計をして、若い人たちも安心して年金がちゃんともらえるんだ、そういう仕組みをやはりつくるべきだと思います。

 一昨年でしたか、年金の改正をいたしましたが、あれでは、要するに、物価スライドに賃金スライドを入れて、あれで年金制度そのものは維持できるかもしれませんが、何人かから質問が出ておりますが、その年金額でちゃんと生活できる人はどれだけいるの、こういう大きな疑問点があるわけです。

 そういった意味では、この少子高齢化、人口減少時代を踏まえて、年金制度そのものを抜本的に変える必要がある、このように思っていますが、いかがですか。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、やはりこれから、現状、そしてこれから先行きのそれぞれの地域の状況に応じて医療の提供体制というものを再構築していく必要があるということで、今、地域医療構想をそれぞれつくり上げていただいて、その実現に向けて努力をしていただいております。

 その一つの具体的な選択肢が今御指摘のありました地域医療連携推進法人ということでありまして、これは、地域における医療機関同士が協力をして、診療科の再編や医師等の共同研修等を実施する目的でつくる法人でありまして、昨年四月からスタートし、そして今、四つあります。そして、更に考えているという地域もあるというふうに承知をしておりますので、こういった制度があるということをより周知をしていくということと、また、設立に関心のある都道府県や医療法人等に対してしっかりと助言をして、これも進めていきたいと思います。

 それから、年金の御指摘がありました。

 賦課年金にするか積立方式にするか、これは議論がございますけれども、基本的に、現在は賦課が中心となっている方式を積立方式にすると、移行に相当お金がかかるのではないか。それから、積立方式にしたからといって人口構造の変化の問題を必ずしも解決するわけではないというのが、二〇一三年の社会保障制度改革国民会議の報告書にも出されているところでございます。

 ただ、いずれにしても、これから人生百年ということを考えますと、年金の支給時期の選択肢をどうするか等々を含めて、年金制度を含めて、しっかりと議論していく必要があると思います。

    〔柴山委員長代理退席、委員長着席〕

福田(昭)委員 私は、年金を支給する時期を延ばすだけではもたないというふうに思っていますが。

 では、最後に六番目ですけれども、国民負担率審議会の設置についてであります。

 社会保障と税の一体改革ということで進めてまいりましたが、私は、社会保障と税だけでなくて、税と社会保険料の一体改革をやらないとだめだというふうに思っております。

 少子高齢化、人口減少時代を迎えて、唯一の救いは、私は、個人金融資産が千八百兆円もあるということだと思っています。この大切な資産をいかに生きたお金として使ってもらって、若い人が夢と希望が持てる持続可能な日本の社会をつくっていくことが必要だと考えております。

 そのためには、やはり、財務省と厚労省が協力をして、政府内に国民負担率審議会を設置して、税と社会保険料を合わせてヨーロッパ並みの中福祉・中負担の国をつくったら、国民の皆さんへのサービス、特に年金、医療、介護、子育て、教育はこう変わりますがいかがですかと問いかけることが必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。麻生大臣と加藤厚労大臣にお伺いいたします。

加藤国務大臣 いずれにしても、特に社会保障は、今お話があった国民の安全、安心を確保するという意味においては大変大事な基盤であります。そして、これから高齢化等が進む社会に対して、しっかり必要なサービスが必要な方に提供されるようにしていくということと同時に、やはりその負担は保険料や税あるいは本人の御負担ということでありますから、そのバランスをしっかり図るべく、常にその見直しをし、効率化をしていく、これが必要だろうというふうに思っております。

 政府においても、経済諮問会議において、そういった観点、社会保障と税といって、社会保障の中には社会保険料も私は入ると思いますので、それらも含めて経済財政諮問会議等においても議論をしているところでありますし、社会保障を担当する厚生労働省としても、しっかりそういう議論を進めていきたいと思います。

麻生国務大臣 重複いたしますので、その点ははしょらせていただくとして。

 いずれにしても、少子高齢化という私どもにとっては非常に大きな問題がありますので、この状況に当たっての社会保障制度というのは、従来のものとは大分違ったものを考えないかぬ。いわゆる全世代型社会保障制度に移っていくに当たって、そのときの受益と負担のバランスをどうするかというのは、これは極めて大きな問題なのであって、ただいま経済財政諮問会議等において大きな話題の一つとなっております。

福田(昭)委員 私は、まさに、少子高齢化、人口減少時代の対応は待ったなしだと考えております。

 しかも、やはり縦割りで、まさに、税金は税金、社会保険料は社会保険料、別々に議論して、その結果を集計して財務省が、国民負担率は何%ですよ、こういう発表をしているんですね。これじゃだめだと思うんですね。

 やはり、一緒の審議をして、しっかり、国民負担率、これだけ負担してもらえばこういうサービスができますよということを国民に提示をして対応していくことが大事だということをお伝えして、質問を終わります。

河村委員長 これにて福田君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私は、昨年十一月二十八日の当委員会で、二〇一六年三月下旬に録音された、近畿財務局と大阪航空局が森友学園側と協議した内容の音声データを明らかにいたしました。そのときの太田理財局長の答弁は、さまざまな資料の提出をお願いしたなどというものでありました。また、理財局長が一部が切り取られているなどと言うので、昨日、私は、この音声データの全体を財務省にお渡しし、きょうまでに聞いてくるようにお願いをしております。

 財務省、聞いてきましたね。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨日午後に宮本委員の方から、私どもが常日ごろ御指導いただいております課長と課長補佐をお呼びいただきまして、二時間ほどのテープ、音声データを頂戴いたしました。

 もちろん、森友関係の国会対応が最優先だということではやっておりますけれども、理財局、国債の話もありますし、財政投融資の話もあります。また、きのうもきょうもいろいろございましたので、一部しか聞けませんでしたけれども、それでは委員の御指摘に沿えないと思いましたので、部下職員の協力も得て、全体像、大筋がどうなっているかというのは把握をしてこの席に臨んでございます。

宮本(岳)委員 この音声データは全体が二時間に及ぶものでありますけれども、前半の一時間半は、近畿財務局の池田靖国有財産統括官を始めとする国側の職員と、森友学園側の籠池夫妻や工事業者、設計業者、そして森友学園の代理人弁護士が話し合っているものであります。冒頭のやりとりから、三月三十日に行われた会合の録音であると思われます。

 きょうは、そのうち重要なところを改めて私の事務所で聞き取り、文字に起こしたものを資料として配付いたしました。

 この土地にはもともと三メートルの深さまでごみがあることはわかっておりました。ところが、その後、さらに深いところからごみが出てきたとされております。

 配付資料六ページの下線部一、国側の職員が、その下にあるごみというのは国が知らなかった事実なんで、そこはきっちりやる必要があるというストーリーはイメージしていると切り出すと、工事業者が、下線部二、ちょっと待ってください、そこは語弊があるので、三メートル下から出てきたかどうかはわからない、認識をそういうふうに統一した方がいいのであれば合わせる、でも、その下から出てきたかどうかは、工事した側の方から確定した情報としては伝えるのは無理と言い、下線部三、国側が、設計業者もどこから出てきたか判然としないという話で今までは聞いている、ただ、今後、資料を調整する中でどういう整理をするのがいいのか協議させていただけるなら、そういう方向で話合いをさせていただければありがたいと言うと、工事業者が、下線部四、虚偽を我々は言うつもりもないので、事実だけを伝える、ただ、その事実を伝えることが森友学園さんの土地の価格を下げることに反するなら、それらに合わせることはやぶさかでないと答えております。

 これは、理財局長が言うような、さまざまな資料の提出ではありません。土地の価格を下げることに反するような資料は出さない、価格を下げるのに役立つような資料だけ出しましょうということではありませんか、理財局長。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 その部分だけを取り出してそういうふうに御指摘をされると、申し上げざるを得ません。

 この音声データと称されるものは、先方が当方の断りもなく一方的に録音されたもので、私どもとしてはそういうことはいたしておりませんので、そういう意味で確認のしようがないものでございます。ただ、委員がここまでおっしゃっておられて御提出ですので、そのテープを前提にして我々も調べて、お答えを申し上げているというところでございます。

 委員から今回二時間ほどのテープを頂戴いたして、把握をいたしました。今委員が御指摘の部分は、昨年の委員会でも割と御指摘をいただいたところだと思っていますし、あるいは報道でも結構出ている部分だろうと思います。

 ただ、今回二時間全体を聞かせていただきましたので、そうしますと、正直に申し上げて、聞き取りにくい部分も大変多くて難しい部分はあるんですが、全体として聞いていると登場人物も大変多くて把握しにくいんですけれども、全体として聞いてみると、このままでは翌年四月に学校開設に間に合わない、損害賠償だ、国の責任だということを随分言われ、そういう中で弁護士の方が中心となって議論の整理をされているな、そういう印象を持ったところでございます。(発言する者あり)

河村委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

 宮本君。

宮本(岳)委員 この音声データは、これはまだ続いていますよ。

 下線部五、国側の職員が、言い方としては混在と、九メートルまでの範囲でと言うと、工事業者が、七ページの下線部の六ですけれども、九メートルというのはちょっとわからない、そこまでの下はと否定し、そこで弁護士が割って入って、そこは言葉遊びかもしれないが、九メートルのところまでがらが入っている可能性を否定できるかと言われたら否定できない、そういう話だとアドバイスをする。ついに工事業者も、その辺をうまくコントロールしてもらえるなら、その辺に我々は資料を提供させてもらう、コントロールに基づいて資料を提供する。国側の職員が、虚偽にならないように、混在していると、ある程度、三メートル超も一定あると、出るじゃないですかということと念を押すと、工事業者が、あると思うと言い、国側が、そんなところにポイントを絞りたいと言っておりますね。

 八ページの下線部十二では、御丁寧に弁護士が、責任問題に発展しないように頑張っていただけるという意味での信頼を持っている、半分は我々のためにやってもらえると、半分は御自身のために頑張ってくださいとまで言っているんですよ。

 近畿財務局や大阪航空局の職員にとっては責任問題に発展しかねない、大幅値引きの口裏合わせのこれは動かぬ証拠だと私は思いますけれども、ここまで明らかになって、お認めになりますね、大臣。

太田政府参考人 今ほどお読みいただいたところも含めて、全体の中でその議論をするとあれなので、端的に見解だけ申し上げさせていただきます。

 今ほど御指摘いただいた音声データについては、これまで、近畿財務局の職員にも事実関係の確認を行いました。それは、これまでの報道、あるいはきょうお示しいただいた音声データは、平成二十八年三月下旬から四月ごろに森友学園側を往訪した際のやりとりではないかと思っております。これは、平成二十八年三月十一日の森友学園からの連絡をスタートとして、三月二十四日に森友学園側より、新たな地下埋設物の撤去費用を控除した価格で本件を購入したいとの要望を出されて、それを踏まえて本件土地を売却する方向で打合せに臨んでいた。このことは……(宮本(岳)委員「委員長、だめですよ。全然答弁になっていないじゃないですか」と呼ぶ)

河村委員長 答弁しています。

太田政府参考人 これから申し上げます。(宮本(岳)委員「聞いていないじゃないか、そんなことは」と呼ぶ)いえいえ。地下埋設物の撤去費用を見積もるために関連する資料なり情報などが必要だと考えていた状況でございまして、そうした認識や手順について協議をしておりました。

 ただ、こういう認識や手順を伝える表現として、ストーリーという言葉を使っていることは適切ではなかったと本人も申しております。

 いずれにいたしましても、先方とはさまざまなやりとりが行われましたけれども、新たな地下埋設物の撤去費用を見積もるに当たり、関連する資料なり情報なりをお願いして、必要な手順等に、協議をしていたということだというふうに認識をしてございます。(宮本(岳)委員「答弁になっていないじゃないか」と呼ぶ)

河村委員長 答弁しています。答弁に対して議論してください。宮本君、今の答弁に対して議論してください。

宮本(岳)委員 全然話になりませんよ。もう続けられませんよ、これでは。

 私どもは、きょうは全ての音声データ、字に起こしたものをお渡ししている。与党だって、この話、この中身を読んで、今の答弁が全然答えになっていないことぐらいわかるでしょう。私どもはこの後、この音声データは全てメディアに明らかにしたいと考えております。こういうやりとりがあったことは事実なんですね。

 では、角度を変えて、もう一つ聞きましょう。

 この音声データの九ページの下線部十三には、学園側弁護士が、できれば希望としては、一億五千万円かかる分、航空局からもらって、それより低い金額で買いたいとはっきり言っているのが録音されております。

 まずは、二〇一六年五月十八日の音声データと言われるものには、近畿財務局の池田靖統括国有財産管理官が一億三千万円という金額を提示している声が録音されていた。これは、自民党の委員からも昨年質問がありました。

 昨年三月十五日の衆議院財務金融委員会で当時の佐川宣寿理財局長は、価格について、こちらから提示したことも、先方から幾らで買いたいといった希望があったこともないと答弁をいたしました。

 財務大臣、これは明確な虚偽答弁ではありませんか。

麻生国務大臣 虚偽答弁とは思いません。

宮本(岳)委員 明確に、一億三千万、あるいはここでは一億五千万という金額が出ているわけですね。これは全く、価格が出ている、金額が出ていることはお認めになりますね。

太田政府参考人 今ほどの委員の御指摘は、昨年の国会で当時の佐川前理財局長が答弁したことについての御質問だというふうに承っております。

 そこは、佐川当時の局長は、そういう価格ということでお話を申しました。そのそういう価格は、予定価格ということでございます。

 これは、本件においては、先方側に見積りを行うことはできないというふうに判断して、見積合わせを行わないということにいたしました。見積合わせを行わないときにはどうするかといえば、当方が不動産鑑定評価に基づきまして会計法、予決令上のいわゆる予定価格を作成した上で、その価格を相手に通知して、相手方がそれを受け入れればその価格で成立する、受け入れなければその価格で成立しないということを、予定価格ということでお話をしております。

 この場合、相手から買受け希望の価格を承る、そういう手続がございません。そういうことも含めて、前局長は、そういう価格、いわゆる価格の交渉はありませんということを申し上げているということでございます。

宮本(岳)委員 例えば、一億三千万というこの金額について、太田理財局長は、昨年、この間の答弁で、国として有益費の一億三千万円を支払っている以上、それを下回る形での売却はこの土地に関する収支がマイナスになるので考えられないという趣旨の話をしただけだ、こう答弁されました。

 しかし、昨年二月二十四日の衆議院予算委員会で当時佐川理財局長は、

 大変恐縮でございますが、先ほどの二百万円の話でございますけれども、民法上の有益費につきましては、いわば先方が払ったものを国が精算したものでございます。それと売却の地価というものは全く異なるものでございまして、その両者を、異なる内容のものを比較して、売却価格に直接有益費を加減算して議論するというようなことは適当ではないのではないか、このように考えております。

と、はっきり答弁しているんですね。

 一方では差引きマイナスでは困ると言い、もう一方では差引きするなと答弁する、これはどう考えたって答弁の食い違いじゃないですか、大臣。

太田政府参考人 昨年の委員会でもこの議論があったというふうに承知をしております。

 この議論は、一つのことを両方から見ていることに、どちらの面から見たかによって、ちょっと議論が混乱してしまったのではないかというふうに思っております。(宮本(岳)委員「何が混乱なんだ。あなた方じゃないか」と呼ぶ)いえいえ。

 申し上げます。

 国の側にとってみればということと、森友学園側にとってみればということがございます。

 森友学園側にとってみれば、一億三千二百万の有益費というのは、それは、浅いところの地下埋設物を撤去するために工事業者にやっていただいて、そのお金を払って、その後で国から精算払いをしていただいただけなので、森友学園にとってみればプラス・マイナス・ゼロの話です。そういう意味でいきますと、森友学園がこの件について最終的に買い取った価格の一億三千四百万円というのは、やはり一億三千四百万円、それでしかないということです。

 ところが、宮本委員が多分おっしゃっておられるのは、国側の実質収支ということで考えてみると、価格は一億三千四百万円なんですが、その前に有益費として一億三千二百万円をお支払いしているから、実質的には二百万円じゃないか、国側に入ってくるお金はということをおっしゃっておられると思います。

 昨年の通常国会のときに、委員はおっしゃっておられませんが、他の委員から、要すれば、森友学園に二百万円のディスカウントで売ったというような話もございました。森友学園にとってみれば、二百万で買えたのじゃなくて、一億三千四百万ということになりますので、そこのところがやや混乱して、佐川の方もそういうことを気にして答弁したということだと思っております。

宮本(岳)委員 全く答弁になっていないですよ、そんなもの。えらく森友学園の側の肩を持った答弁をするじゃないですか。

 交渉記録の廃棄問題でも、佐川前理財局長は明らかに事実と異なる答弁をいたしております。

 問題は、なぜ佐川氏が事実を隠し続けたのかということであり、これに答えることができるのは佐川氏以外にはありません。共同の世論調査でも、六六%の国民が佐川長官の招致を求めております。

 委員長、佐川宣寿国税庁長官の証人喚問を求めたいと思います。

河村委員長 理事会で協議をさせていただきます。

宮本(岳)委員 なぜ佐川氏が事実を隠し続けたのか、なぜ近畿財務局が口裏合わせまで行って国有地をただ同然で売り払ったのか、なぜ財務省の田村嘉啓国有財産審理室長が籠池夫妻の直談判に押されて近畿財務局に対応を指示したのか、この音声データの四ページにも棟上げに首相夫人が来る予定であることが語られております、その大もとには、一昨日明らかにした安倍昭恵名誉校長の関与があったということを指摘して、私の質問を終わります。

河村委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 昨年の総選挙において初当選をさせていただきました、日本維新の会の森夏枝でございます。

 本日は、予算委員会で初質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 子供の貧困対策推進に関する法律が施行され、四年が経過しました。昨年十一月の有識者会議に提出された内閣府の資料に生活保護世帯に属する子供の大学進学率のデータがあり、平成二十五年と二十八年を比較しますと、専修学校等への進学率は一三・七%から一四・一%へとふえておりますが、大学進学率は一九・二%から一九・〇%に低下をしております。両者を合計しても三三・一%と、〇・二%上がったにすぎません。

 全世帯の大学等進学率七三・二%と比較すると半分以下であり、全くと言っていいほど効果が見えません。同法による措置では貧困の連鎖が断ち切れていないのが実情でございます。

 日本財団の調査結果で、小学校四年時、十歳ごろに家庭の貧富の差による学力格差が急拡大する傾向があることが報告をされております。

 低年齢からの支援の必要性についての課題と認識について、林大臣にお伺いをいたします。

林国務大臣 子供たちの未来が貧困の連鎖により閉ざされることがあってはならず、家庭の経済状況に左右されることなく質の高い教育を受けられるということは大変大事だというふうに思っております。

 今先生がおっしゃった学力格差の調査でございますが、小中学校の教育現場においても、少人数指導など個に応じた指導に取り組まれているものと認識をしております。

 財団の調査は大阪の市ということですが、全国的にも、実は、小学校三、四年の国語から詩や評論といった抽象論が入ってくること、またローマ字も入ってまいります。算数でも、三年生で分数、それから四年生で面積ということで、そのあたりから若干難しくなってくるということもございますので、少人数指導等をやって、しっかりとついてきてもらえるということが大事だというふうに思っております。

 文科省としては、きめ細かいこうした指導を充実するために、貧困による教育格差の解消のための教員定数の加配措置、それから補習等をしていただくための外部人材の配置、こういうことに対する支援等に取り組んできております。

 また、地域全体で教育資源ということで活用していくという取組も重要でありまして、御希望される全てのお子さんを対象とした放課後の子供教室、それから、学習がおくれがちな中高生等を対象とする原則無料の学習支援である地域未来塾、こういったものを充実すること等々を通じて、地域における学習支援を含むさまざまな体験活動も推進しております。

 今後とも、こういった活動を通じて、全ての子供たちがそれぞれの夢にチャレンジできる社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

森(夏)委員 日本の未来を支える子供たちが親の収入によって学力格差が生じることのないように、また目に見える効果が出るようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 イギリスでは、ブレア政権において、子供の貧困解消を大きな政策目標の一つに掲げ、さまざまな取組を実施した結果、一九九七年に三百四十万人いた貧困状態の子供が二〇〇七年に二百九十万人となり、十年間で五十万人減少したという実績がございます。シュアスタートプログラムとして、地域の子供に関する情報を一元化し、保育、幼児教育の統合化だけでなく、児童への保健医療や親への支援を含む統合的な事業が展開されました。

 平成二十七年度においても、諸外国における子供の貧困対策に関する調査研究が内閣府において実施され、ベンチマーキングされております。日本においても、ここに学ぶ点は多いのではないでしょうか。

 スクールソーシャルワーカーの配置を充実することで、活動範囲や連携範囲を広げ、貧困状態にある子供に対して総合的な支援体制を確立すべきではないでしょうか。特に、子供だけでなく、保護者への指導、介入が必要な事例に対してはどのような取組を展開すべきとお考えでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 学校において、貧困の状態にある児童生徒に対して、心理の専門家である、大変失礼いたしました。スクールソーシャルワーカーのお尋ねでございます。

 スクールソーシャルワーカーというのは、福祉の専門家として、貧困、虐待など児童生徒を取り巻くさまざまな課題に働きかけて支援を行う役割を有しております。

 このスクールソーシャルワーカーについては、昨年、学校教育法施行規則を改正して明確な法令上の位置づけも与えたところでございまして、現在、全国に一千七百八十人配置をされております。

 このほか、学校の教職員や別途配置されるスクールカウンセラーとも十分連携しながら、先生御指摘のような対応をしっかりととってまいりたいと考えております。

森(夏)委員 貧困問題だけでなく、いじめ問題等、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーに求められる役割が大きくなっていると思いますが、その処遇や配置数は十分ではないのが実態だと思います。また、子供に何か問題が起きてから対応するのではなくて、日ごろから、子供とカウンセラーやソーシャルワーカーとの信頼関係の構築が必要だと思います。

 予算が拡充されたことに関しましては一定の評価をしてもおりますけれども、スクールソーシャルワーカーについては、スクールカウンセラーと比較するとまだまだ認知度は十分ではなく、また配置数も十分ではないと思います。

 予算案の中で、貧困・虐待対策のための重点加配、一千校がスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーをともに配置予定とありますが、重点配置をする学校を一千校とした根拠を教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 スクールカウンセラーにつきましては、現在、全国で二万四千六百六十一の学校に配置をさせていただいております。これにつきましては、ニッポン一億総活躍プランにおきまして、平成三十一年度までに原則としてスクールカウンセラーを全公立小中学校に配置する、こういった目標のもとに今順次その拡充を図っているところでございます。

 そして、その中でも、特に貧困・虐待対策についての重点配置を行う必要がある、これは、先ほど先生からも御指摘がありましたように、スクールソーシャルワーカーだけではなく、スクールカウンセラーにつきましても十分連携をとるということで、特に困難度の高い学校ということで、二十九年度、三十年度予算においても千校の配置をさせていただいているところでございます。

森(夏)委員 特に、東北の被災地の子供たちにとってスクールカウンセラーの存在が重要であるということをお聞きしております。教育無償化とあわせ、子供たちの支援をしっかりとお願いしたいと思います。

 学校現場において、教師の長時間労働が課題となっている中、多様な人材によるチーム教育が求められているのではないかと感じます。今回、予算案に新規事業として計上されているスクールサポートスタッフについては、具体的にどのような役割を担うことを期待し、配置予定はどのように考えられているのか、お聞かせください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 学校においては、チーム学校の理念を踏まえ、教員と多様な人材の連携により、教員がより児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備し、そして教員の負担軽減を図る必要があると認識をしております。

 このため、教員の事務作業を補助するスクールサポートスタッフを配置する補助事業を平成三十年度から実施することとしており、そのために必要な予算を十二億円、人数にしますと三千人分を計上させていただいております。

 具体的には、このスクールサポートスタッフは、卒業生の保護者など地域の人材の活用を想定しておりまして、その具体的な業務としては、例えば授業で使用する教材等の印刷や物品の準備、教材、資料の整理、保管、宿題などの提出物の受取、確認、こういった、直接児童生徒の指導にかかわらない補助的な業務を担当していただくことを考えております。

 なお、スクールサポートスタッフの今後の配置のあり方につきましては、平成三十年度からの新規事業でございますので、三十年度事業の活用状況も踏まえながら今後検討してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 子供の貧困問題は、早期からの介入、支援が大変必要な課題であり、地域に権限と財源を移譲すべきではないかと考えております。地域の子供たちの情報は、地域でしか把握ができません。日ごろの積み重ねが生きた情報だと思います。

 我々日本維新の会は、教育無償化の議論の中でも権限と財源をセットで地域に移譲することを提案しておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

松山国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の、地域子供の未来応援交付金というものを設けておりまして、これは、地方自治体が地域の実情に応じて子供の貧困対策を支援しております。

 具体的には、貧困状態にある子供たち、また家庭のニーズに応じた支援を適切に行うための実態の把握、あるいは、関係機関などが参画をして地域のネットワークづくりをする、その支援をするための予算、交付金を設けておるところでございます。

 この交付金については、初めて当初予算化を平成三十年度においてしましたので、地方自治体に対しては継続的に支援を丁寧に行っていきたいと思っているところでございます。

森(夏)委員 我々は、権限と財源をセットで地域に移譲することを再度提案いたします。よろしくお願いいたしたいと思います。

 この国を支える子供たちが受けたい教育を受けられる、また必要な支援が受けられるようしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

河村委員長 これにて森君の質疑は終了いたしました。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

河村委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

河村委員長 委員の皆様、お待たせを申し上げました。

 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 平成三十年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、公聴会は来る二月二十一日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十八分散会


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