衆議院

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第6号 平成31年2月13日(水曜日)

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平成三十一年二月十三日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 野田 聖子君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 田中 和徳君

   理事 堀内 詔子君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      池田 佳隆君    石崎  徹君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      衛藤征士郎君    小田原 潔君

      小野寺五典君    奥野 信亮君

      門  博文君    神山 佐市君

      河村 建夫君    笹川 博義君

      鈴木 俊一君    田野瀬太道君

      田畑 裕明君    竹本 直一君

      津島  淳君    土井  亨君

      中山 展宏君    中山 泰秀君

      野田  毅君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    松本 洋平君

      三浦  靖君    三ッ林裕巳君

      務台 俊介君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    山口  壯君

      山本 幸三君    山本 有二君

      吉野 正芳君    小川 淳也君

      大串 博志君    川内 博史君

      武内 則男君    寺田  学君

      本多 平直君    早稲田夕季君

      稲富 修二君    岡本 充功君

      奥野総一郎君    後藤 祐一君

      近藤 和也君    階   猛君

      関 健一郎君    西岡 秀子君

      太田 昌孝君    岡本 三成君

      笠井  亮君    藤野 保史君

      宮本  徹君    浦野 靖人君

      串田 誠一君    松原  仁君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (マイナンバー制度担当) 石田 真敏君

   法務大臣         山下 貴司君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   厚生労働大臣       根本  匠君

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      世耕 弘成君

   国土交通大臣       石井 啓一君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    原田 義昭君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       渡辺 博道君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       山本 順三君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (海洋政策担当)     宮腰 光寛君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     平井 卓也君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (男女共同参画担当)   片山さつき君

   国務大臣         櫻田 義孝君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    大石 吉彦君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  佐々木聖子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          飯田 祐二君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君

   参考人

   (統計委員会委員長)   西村 清彦君

   参考人

   (独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)   樋口 美雄君

   参考人

   (厚生労働省前政策統括官)            大西 康之君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十三日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     神山 佐市君

  小野寺五典君     池田 佳隆君

  奥野 信亮君     田畑 裕明君

  河村 建夫君     松本 洋平君

  笹川 博義君     津島  淳君

  古屋 圭司君     三浦  靖君

  山口  壯君     門  博文君

  吉野 正芳君     土井  亨君

  武内 則男君     寺田  学君

  奥野総一郎君     岡本 充功君

  後藤 祐一君     関 健一郎君

  階   猛君     近藤 和也君

  宮本  徹君     笠井  亮君

  浦野 靖人君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小野寺五典君

  門  博文君     務台 俊介君

  神山 佐市君     伊藤 達也君

  田畑 裕明君     中山 展宏君

  津島  淳君     笹川 博義君

  土井  亨君     三ッ林裕巳君

  松本 洋平君     河村 建夫君

  三浦  靖君     古屋 圭司君

  寺田  学君     武内 則男君

  岡本 充功君     奥野総一郎君

  近藤 和也君     稲富 修二君

  関 健一郎君     後藤 祐一君

  笠井  亮君     宮本  徹君

  串田 誠一君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     奥野 信亮君

  三ッ林裕巳君     吉野 正芳君

  務台 俊介君     山口  壯君

  稲富 修二君     階   猛君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

野田委員長 これより会議を開きます。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として厚生労働省前政策統括官大西康之さん、統計委員会委員長西村清彦さんの出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官山内智生さん、人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹さん、内閣府大臣官房審議官渡邉清さん、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗さん、警察庁警備局長大石吉彦さん、法務省民事局長小野瀬厚さん、法務省入国管理局長佐々木聖子さん、厚生労働省大臣官房長定塚由美子さん、厚生労働省大臣官房総括審議官土生栄二さん、厚生労働省職業安定局長土屋喜久さん、厚生労働省子ども家庭局長浜谷浩樹さん、厚生労働省政策統括官藤澤勝博さん、農林水産省消費・安全局長池田一樹さん、経済産業省産業技術環境局長飯田祐二さん、中小企業庁経営支援部長奈須野太さん、防衛省防衛政策局長槌道明宏さん、防衛省整備計画局長鈴木敦夫さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中山泰秀さん。

中山(泰)委員 おはようございます。大阪四区選出をいただいております自民党の中山です。

 きょうは、お時間を頂戴しましたこと、心から感謝を申し上げ、三十分という限られた時間でございますので、早速質疑の方に入らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、お手元にお配りをしております資料、二ページをごらんいただきたいと思います。

 これは、先日来話題になっております、従軍慰安婦問題は天皇の謝罪の一言で解決されると、韓国国会議長、この文喜相という韓国の国会議長がまさにこういったどうしようもない発言をしているということであります。報道が、もしこれが真実なのであれば、非常に問題であり、日本人として非常に怒りを覚えるわけであります。

 私は、常日ごろから、日本に生まれて本当によかった、日本人でよかったというふうに思っています。特に、もし韓国で政治家なんかになって、まかり間違って大統領にでもなったら、必ずその末路は死刑か逮捕か自殺かみたいな、常に裁判にかけられてしまう、そういうお隣の国を見ていて、本当に心配になります。

 それから、この間、文在寅大統領は、私たちの国は三権分立を確立していると言っていましたけれども、その三権分立の一角をなす裁判長、日本でいう最高裁長官が逮捕されるということがあった。まさに三権分立というのは韓国で成立しているのか否かというのを、本当に不思議に思う次第であります。

 この韓国の国会議長の発言に関してきょう申し上げたいのは、次の三ページ、お手元の資料三ページには、衆議院のホームページから日本国憲法をコピーしてお配りをしておりますが、第一章天皇の第四条、ここにはこう書いてございます。日本国憲法第一章天皇、第四条、天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する機能を有しないと。すなわち、文喜相氏がおっしゃった発言というのが事実だとするならば、この韓国の国会議長は、私どもの憲法では象徴とされている天皇を政治に改めて引っ張り込もうというふうに画策をしていらっしゃるのかというふうにも思うということでございます。

 私どものおやじの世代は大体昭和一桁生まれですが、天皇陛下が、昭和天皇が御発言、昭和天皇のお声を聞いたというのは玉音放送までなかったというふうに言っています。それまで天皇陛下のお声を直接聞くことはなかったと。すなわち、戦争を終わらせるために陛下は御苦労をされたということ。それが今回は、逆に、まるで昭和天皇が戦争犯罪者だと。何を根拠にそういうことを言うのかということに、本当に大きな疑義を唱えたいと思います。

 また、いわゆるゆかり発言、平成十三年十二月十八日の記者会見では、天皇陛下が、世界的なイベントであるサッカーのワールドカップが来年日本と韓国の共同開催で行われます、開催が近づくにつれ、両国の市民レベルの交流も活発化していますが、歴史的、地理的にも近い国である韓国に対し、陛下が持っておられる関心、思いなどをお聞かせくださいというので、陛下からお答えがございました。

 私自身としては、桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると続日本紀に記されていることに韓国とのゆかりを感じています。武寧王は日本との関係が深く、このとき以来、日本に五経博士が代々招聘されるようになりました。また、武寧王の子、聖明王は、日本に仏教を伝えたことで知られています。しかし、残念なことに、韓国との交流はこのような交流ばかりではありませんでした。このことを私どもは忘れてはならないと思いますという、まさに天皇陛下が韓国に対して非常に配慮された発言をされている中で、文喜相氏がこういった心ない発言を、そして日本人の心を、魂を傷つけていることに対して、ぜひ総理、どのように今回の件をお考えになられますでしょうか、お答えいただければありがたいと思います。

河野国務大臣 韓国の国内情勢について評価する立場にございませんが、今般の文喜相議長の発言は甚だしく無礼であり、また、同議長はその後も同じ趣旨の発言を繰り返しておりまして、極めて遺憾でございます。

 これまでに、韓国側にはこの件で五回ほど抗議、謝罪と撤回を申入れをしております。現時点で、謝罪や撤回に応じるとの反応があるわけではございませんが、我が国の厳しい立場を累次にわたり韓国に伝達してきており、韓国側から誠意ある対応があるものと期待をし、注視していきたいと思っております。

安倍内閣総理大臣 まず、いわゆる従軍慰安婦問題については、日韓の合意で完全かつ不可逆的に解決をした、これは日韓が国と国とでそう約束をした、了解したものであります。こうした国と国との約束、了解が、政権がかわったからといってそれが覆されるようになったら、国と国との関係というのはそもそも成り立たなくなってしまうわけであります。

 今回の発言、中山議員が指摘をされたように、多くの国民が驚き、かつ怒りを感じたんだろう、こう思うところでございます。

 今般の議長の発言は、ただいま河野外務大臣が答弁したとおりでありますが、甚だしく不適切であり、また、同議長は、その後も同趣旨の発言を繰り返していることでありまして、これはもう極めて遺憾であります。

 我が国として、韓国側に対し、外交ルートを通じて強く抗議をしており、引き続き、謝罪と撤回を求めてまいります。

中山(泰)委員 まさに、総理、外務大臣とお答えいただいたとおりだと思いますし、今現在、北朝鮮に対して世界がしっかりと歩調を合わせて、対北朝鮮外交というものを繰り広げなければならない、まさにそんなときに、お隣、北朝鮮の隣国である地続きの国、韓国が足並みを乱しているということを、本当に遺憾に思う次第であります。

 また、この文喜相さんというのは、昨年、大島理森議長の名代として、私、トルコのアンタルヤというところで開かれましたユーラシア国会議会議長会議というのに行ってまいりました。そのとき、実は、その議事を取り仕切っていたのがこの文喜相さんだったんです。韓国の国会議長、そして何とロシアの国会議長、そしてトルコの国会議長、この三人が三本の柱となって、一対になって、そして、私ども、冷戦時代でいう西側諸国は、アメリカは影も形もない。

 今、マルチ外交に対していろいろ、アメリカの内政でも、外交をどうするかという、そんな議論がある中だったと思うので、そんなことになっているんだと思いますが、しかし同時に、私は、韓国が旧ソビエト、ロシアと一緒になって歩調を合わせている姿を非常に不思議に思ったんです。

 思わず、いわゆる原稿につけ足しまして、あなた方、西側諸国の仲間で、米国とのアライアンスがある関係でいったら、ここにいるのは日本と韓国だと。しっかりと、日米安全保障もそうですけれども、北東アジア地域を含めた、やはり民主主義が何たるやということ、共産主義、社会主義は何だったんだという、あの冷戦時代の政治的イデオロギーをしっかりと、二十一世紀にも背景に持って外交をやるべきだというようなニュアンスで、実は指摘をさせていただきました。

 私の演説がちょっと、五分オーバーしたんですけれども、そのとき、ロシアの議長が三回、演説をやめろと言ってきたんですけれども、ロシア語だったからわからなかったんですね。そのまま話を続けまして、十分話をしたら、隣のインドネシアの代表が、ロシアのプレッシャーの中でよく頑張ったな、さすが日本だと言ってくれたのが非常に印象に残った次第であります。外交というのは楽しくやるというのが重要かなと思います。

 そんなことはさておきまして、もう一つ言うならば、先ほど総理がお答えになった、いわゆる従軍のついた慰安婦という話をされました。

 まさに、従軍のついた慰安婦というのは、戦後つくられた言葉だと私は思います。当時は、従軍記者、従軍看護婦という言葉はあっても、従軍のついた慰安婦というのはなかったということをはっきりと、この場でも議事録に残しておきたい、そのように思います。

 それでは、手元の資料一ページに戻っていただきたいと思うんですが、ここには、元CIAの分析官でありますレイ・クライン博士が考案した国力量を算定する方程式に、私が実はナショナルコンテンツというソフトパワーを加えた方程式をお配りをしております。

 このPpというのはパーシーブドパワー、計量認識された国力です。Cというのはクリティカルマス、これは国家にとって大切な基本要素である人口とか領土、そういったものを意味します。Eというのはエコノミックケーパビリティー、経済力。Mはミリタリーケーパビリティー、軍事力。そして、Nはナショナルコンテンツ、いわゆるソフトパワー、文化とか歴史とかスポーツとか。そして、Sというのはストラテジックパーパス、これは戦略目標です、国家としての戦略目標。Wというのはウイル・ツー・パーシュー・ナショナル・ストラテジー、いわゆる戦略目標を遂行する意思というもの。このC、E、M、N、S、Wに数値を入れていただくと、Pp、パーシーブドパワーという、いわゆる国力量を算定することができるということであります。

 これは、大きな国、アメリカ、中国、日本も経済大国として君臨をさせていただいているわけでありますが、そういったそれぞれの国、特に日本も、C、E、M、Nというところには数字が入ると思いますし、その数字が、アベノミクスのおかげで、経済力、特に強くなってきているというふうに思います。

 また、ソフトパワーもしかりでありますし、軍事力に関しても、防衛予算が五兆円を超えたといって、いろいろな厳しい指摘もありますが、よく国民の皆様方にお考えいただきたいのは、この防衛予算の約五〇%は自衛官の給与である、いわゆるサラリーであるということ。すなわち、実質、装備調達という部分に関して言えば、約二・五兆円で補っている。まさに、世界三番目の大国として、逆に、二・五兆だけで実質、防衛をつかさどっているというのは、非常に厳しい中、自衛隊の皆さん方、災害派遣も含めて頑張って、御苦労いただいているなということで、国民は大きな期待を抱いていると思います。

 そこで、お伺いしたいのは、総理、このPpを出す方程式というのは、掛け算のいわゆる右側、SとWの部分がゼロになってしまうと、C、E、M、Nに幾ら数値が入っても、Ppはゼロになってしまうということであります。すなわち、基本国力、経済力、軍事力、ソフトパワー掛ける国家としての戦略目標、ぜひ、そのSの部分を総理がいかようにお考えになられているのか、総理大臣として、この日本の国家戦略目標を明確にお答えをいただければありがたい、そのように思います。

安倍内閣総理大臣 大変スケールの大きな質問をいただいたところでございますが、日本の外交、安全保障の基軸は、これは戦略的基軸と言ってもいいと思いますが、日米同盟であります。まさに、現在の日米同盟は、平和安全法制によってお互いに守り合うことができる同盟になった。これは当たり前のことなんですが、お互いに守り合うことができる同盟は、そのきずなを強くします。私とトランプ大統領との強固な信頼関係のもと、日米同盟はかつてないほど盤石になっています。平和安全法制に基づく取組等を通じて更に強化をし、アジア太平洋の平和と繁栄をリードしていく考えです。

 インド洋から太平洋へと至る広大な海と空を全ての国に恩恵をもたらす平和と繁栄の基盤とすべく、自由で開かれたインド太平洋を築き上げていきます。こういう考え方は、日本だけが持っていても、この広大なインド太平洋を今まさに自由と繁栄の海にしていくという構想は実現しないわけでありますが、だからこそ、米国始め多くの国々の理解を広げる努力をし、実際に理解が広がっているわけでございまして、米国も、日本が提唱したこの考え方を米国の基本的な考え方に今据えているところまで来たところでございます。

 また、北東アジアを真に安定した平和と繁栄の地にするために、新しい時代の近隣外交を力強く展開し、戦後外交の総決算を進めていく考えでありまして、北朝鮮との間では、拉致、核、ミサイル問題を解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指していく。ロシアとは、領土問題を解決をし、平和条約を締結する。中国とは、首脳間の相互往来を通じ、あらゆる分野で両国民の交流を強化し、関係を新たな段階に押し上げ、日中新時代を切り開いていく考えであります。

 引き続き、積極的平和主義の旗のもと、地球儀を俯瞰する視点で、積極的な平和外交を展開をしてまいります。

 また、国力という点におきましては、その中に出てまいります人口ですね、確かに人口は減少していくわけでございますが、一億総活躍社会、男性もそして女性も、若い皆さんも高齢者も、障害がある方も難病がある方も、それぞれが、皆さんがその能力とチャンスを生かすことができる国になっていけば、当然、その国力にもプラス、またそれぞれの人生にも大きな豊かさが生まれてくるんだろうと思います。

 国力という点においては、特に女性が輝く社会をつくり出すことも重要でありまして、中山議員のおばあ様、もう今はおばあ様よりも中山議員の方が有名でございますが、中山マサさんは、女性で初めて大臣に、当時の厚生大臣になった。母子家庭の児童扶養手当を実現されたということでありますが、高度成長期という成長重視の時代にも、女性の視点から、女性に寄り添い、社会のさまざまな課題の解決を主導された。そう承知をしておりますが、今後とも、全ての方々が輝く社会をつくっていくことによって、同時に、経済成長を可能とし、その国力を上げていきたい、このように考えております。

中山(泰)委員 総理、ありがとうございます。

 まさに、私の祖母が池田内閣で厚生大臣を命ぜられたとき、あの当時は、本当に、祖母は、母子家庭に対して手を差し伸べなきゃいけないということを池田勇人総理に進言をさせていただいたというふうに記憶しております。

 といいますのも、日本の戦後復興を支えたというのは、男性の働きももちろんありましたけれども、やはり太平洋戦争で散華された、第二次世界大戦で散華された、そういった英霊の皆様方の御苦労があったればこそだと思います。そして同時に、細腕でもってたくさんの子供たちを、御主人を亡くしながらも頑張っていらっしゃった、そういったお母様に手を差し伸べる。本当の意味で日本の昭和の高度成長期のバックを支えたのは、ほかならぬ女性の、実は日本の女性の、お母さん方の力だったんじゃないかなというふうに思います。

 また、きょうは野田聖子予算委員長のもとで審議をさせていただいているわけでありますが、うちの祖母が、婦人参政権二回目、認められて、初当選をさせていただいたとき、この国会議事堂には女性用のお手洗いが一カ所もなかったわけであります。男性の議員よりも先に並んでいたら、何だ、おまえ女か、女は後だと言われて、今でも変わらない予鈴、本鈴のベル、この本鈴のベルぎりぎりにやっと用を済ますことができて、そして走りながら議席にたどり着いて、汗を拭うのが日課であったというふうに祖母が申しておりました。

 そういったことを思うと、女性のエンパワーメント、女性に対する力強い支援というのが、逆に、池田内閣と所得倍増論、安倍内閣の六百兆、GDP目指すとの目標、それから女性の活用、活力を盛り上げるという、それがサブリミナルをするように私には見えます。

 総理が二年前に掲げられた国難突破解散、国難というのは、まさに対北朝鮮問題であり、拉致、核、ミサイルの問題、そして同時にこの人口減少社会とどう闘っていくのかという大きな目標をぜひ国家戦略としてなし遂げていただきたい、そのように思います。

 次に、北方領土の問題に対しても御質問申し上げたいと思います。

 ずっとこの予算委員会でも、各与野党問わず、議員の皆様方から日ロ問題に対するいろいろな御意見、御指摘が出ている。全ての意見に耳を傾けなきゃいけないなという思いの中で、総理が二十五回、プーチン大統領と会談に及ばれました。二十五回の会談と口では軽く言いますけれども、相当いろいろなことがあったと思いますし、非常に御苦労をされたんじゃないかなというふうに思います。

 特に、結構プーチンさんは遅刻されると聞きます。山口県のときも、一番気の毒だなと思ったのは、旅館でお待ちになられている総理はまだ暖房があったかもしれませんが、沿道で旗を振っていた山口県民の皆さん、本当に楽しみにお迎えをされようと、やはり総理の地元までプーチンさんが来てくれるから、日の丸とロシアの国旗を持って待とうよという気持ちで沿道で待っていらっしゃった方が、本当にもう冷え切ったお体でプーチンさんを迎えたというのは本当に気の毒だなと思いますが、ぜひ、そういったことも含めながら、ちょっとプーチンさんに届けばいいなという思いで質問をしたいことが幾つかある。

 それは、ほかでもありません、この四ページ目の資料をごらんいただきたいと思います。これは、二〇一八年六月十日の午前五時、産経新聞が配信した記事でありますが、ロシアが光回線を整備をしているという、そんな記事が載っていました。

 これがとうとうでき上がりまして、五ページ目、これは外務省にお願いをして、公開情報をもとに作成をしていただいた資料でありますけれども、サハリン―北方領土間の光ファイバーがとうとうでき上がって、二〇一九年の一月、北方領土における光ファイバーの運用が開始されたということが、私ども把握をするわけであります。

 ところが、実は、今話題のファーウェイがこれをつくっているわけなんですね。ノキアが同時に入札に参加していたそうですが、ノキアを蹴ってファーウェイをロシアが選んでいる。なぜ選んだかというのは、いろいろなまさに考え方がロシア側にもあったんだろうとは思いますけれども、こういった光ファイバーネットワークの整備というもの、これからまさに日ロ交渉で、この北方領土、北方四島に対する交渉に及ぶ中で、こういった新たに整備した光ファイバーネットワーク網のようなものが、軍事的とかそういった部分でロシア側が何らかの利用や活用、攻撃のインフラとする可能性はないのかということ、これが私は一番の心配になっております。

 特にロシアは、次のページ、六ページ、七ページをごらんいただいたらありがたいと思いますが、これは防衛省の資料ですが、極東、北方領土におけるロシア軍の動向というのは、北方領土、千島列島における軍備の強化、それから軍事活動を活発化させる傾向にあるということ。それから、ロシア軍機に対する緊急発進回数は増加の傾向にあり、また、長距離爆撃機の日本周回飛行も毎年実施をされている。

 特に、東日本大震災の後にこの爆撃機が日本を一周したこと、それからオホーツク海を二十隻以上の艦船が航海したこと、そういったことが非常に、私、思い起こされてならないわけであります。

 そういった意味からすると、ロシアのこういった動き、光ファイバーだからといって安心ができないんじゃないかなというのが私の思いであります。

 また、八ページを見ていただきますと、これはファイア・アイの伊東寛CTOの提供資料をもとにつくらせていただきましたが、これはもともとはブルームバーグのニュースでございますけれども、二〇〇八年八月、トルコのパイプラインが謎の爆発、炎上をしております。

 このいわゆる紙面によれば、そしてまた、こういったサイバーに詳しい方から伺うと、これはロシアによるサイバー攻撃が疑われているということをお話をされておられました。これがもし事実であれば、スタックスネットに先立つサイバー攻撃かもしれないということで、当時話題になりました。

 また、次の九ページ。これは、ウクライナにおけるサイバー戦争ということで、これも同じく伊東さんから頂戴した資料でございますけれども、ウクライナにおける紛争の陰で、ハッカーたちによる見えない戦闘が行われていた。ハッカーたちは、CCTVカメラ、これは町の中にある監視カメラ、それから野外電光掲示板、これは渋谷なんかに行ってもあります、それからネットワークプリンター等を乗っ取って、それぞれの活動に利用をしたということが指摘をされています。

 そしてまた、十ページでございますが、これはイギリスのインディペンデントというメディアですけれども、ロシアは情報戦にフォーカスした新部隊を創設したという報道が二〇一七年二月の二十二日にされています。

 十一ページは、これはCNETといいまして、アメリカのサンフランシスコをベースにしているメディアですけれども、それの日本語版。平昌五輪を狙ったサイバー攻撃、ロシアが北朝鮮を装い報復かという、何とも、昔、それこそ冷戦時代にKGBとCIAがある意味繰り広げていた、そういったものを、二十一世紀、現代版の技術を駆使しながら、いわゆる、人間が、エージェントが移動することなく、逆にこういったサイバー上で、既にスパイ活動や工作活動が行われているやの指摘がされています。

 そういったことを考えますと、この北方領土の問題を含めて、今後の日ロ交渉を踏まえまして、今現在どのように、こういった状況を踏まえて、ごらんになられているかというのを教えていただきたいと思います。

河野国務大臣 御指摘をいただきました、例えばサハリンと北方領土を結ぶ光ファイバー回線のような、北方領土における、第三国の企業が経済活動を行うということは、これは我が国の立場とは相入れないものでございます。

 また、さまざまな情報戦のことにつきましては、政府として、随時、情報の収集、分析を行ってきているところでございます。

 少なくとも、北方領土におけるこうした活動につきましては、北方領土問題を、それ自体を解決することが必要となるわけでございますので、政府としては、領土問題をしっかりと解決し平和条約を締結するという基本方針のもと、ロシアと粘り強く交渉してまいりたい、今週末にも第二回の交渉を行わせていただきたいというふうに思っているところでございます。

中山(泰)委員 河野大臣におかれましては、非常に厳しい交渉だろうとは思いますけれども、思いを携えて、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 そんな中、米ロの外交を見ていますと、INF条約というものが崩壊をしつつあるという現状が見てとれます。そして、日米ロ、また中国とのパワーバランスというのがどのように変化していくのかというものを、私ども日本も、地政学上、米ロに挟まれた極東の位置に我々はおります。また、隣には朝鮮半島、三十八度線から以北をソビエトに武装解除し、以南をいわゆる米軍に武装解除されたという、いまだに地球で唯一冷戦構造が色濃く残っている場所、それが地政学から、私どものすぐそばにあるわけであります。

 こういった問題を考えると、非常に警戒をしなければいけない状況というのが続いておりますが、その点に関してお伺いをしたかったんですけれども、ちょっと時間の関係で、ここを踏まえながら、次の質問に移りたいと思います。

 実は今、まず攻撃をする、他国を技術を持った国が攻撃をするという中で考えられるのは、具体的ないわゆる軍事的な侵攻というのもありますけれども、この間のウクライナ等々でも実際行われていたのは、ハイブリッド攻撃、いわゆる電磁波による、相手のステルス機能を奪ったり、GPS機能を奪ったりという、そういったこともありました。

 それが、今、十三ページをごらんいただいたらわかりやすいと思いますが、これはサイバーディフェンス研究所の専務理事の上席分析官名和利男さんからいただいた資料ですけれども、ロシアによるクリミア・セバストポリ、ウクライナの編入におけるハイブリッド攻撃というものが、実際、住民投票結果の情報改ざんが行われた可能性までを指摘しているということがございます。そういった問題。

 それから、次、十四ページ。これは、二〇一七年後半、ロシアの電磁波的攻撃による重要インフラ機能障害ということがあって、ノボロシースクという港を、航行中の船舶の船長が、搭載しているGPS機器が間違った位置データを表示している、そういったことが起きている。まさに、このそばにはロシアの主要な軍港があったということが言われています。

 私ども、北方領土周辺も、ある意味、そういった電磁波攻撃やハイブリッド攻撃という問題を、当然防衛省も想定しながら行っていると思いますが、何といっても、これから世界的な大規模イベントが、この日本には来年の東京五輪を含めてやってまいります。

 十二ページの資料をごらんいただきたいと思うんですが、これは、実は今ネット上には、アポフィスコードという、DDoS攻撃を請け負う企業というかグループというか、組織が存在をしています。DDoS攻撃を請け負った後、自分たちが、まるで領収書を発行するように、ツイッターで、私たちがやったというのをわざわざ宣伝をするということが行われておりますが、今後想定しておくべきサイバー攻撃のパターンとして一つ考えられるのが、いわゆるオンラインゲーマー。このオンラインゲーマーの中から、もしかすると、IS等いろいろなテロリスト集団から勧誘を受けて、反応していく可能性があるというふうに思います。

 ぜひ、そういったサイバーセキュリティーに関して、櫻田大臣、どのようにごらんになられているか、御答弁をお願いします。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 近年、インターネット等を通じたさまざまなサービスが日常的に使われてきており、人々にさまざまな恩恵がもたらされる一方、サイバー攻撃により情報漏えいや金銭被害、サービス障害が生じるなど、脅威が深刻化している状況であります。

 我が国のサイバーセキュリティー対策は、サイバーセキュリティ基本法に基づき、基本的な計画であるサイバーセキュリティ戦略を定めて対策を進めることとしており、昨年七月に新戦略を決定したところであります。

 また、新戦略に基づき、本年一月に決定した意識・行動強化プログラムでは、若年層を重点的な対象として、無自覚なままサイバー犯罪に加担することがないよう、教育の強化を図るなど取組を進めております。これら新戦略に基づく取組を確実に実施し、サイバーセキュリティーの確保に万全を期するよう、関係省庁と連絡して取り組んでまいります。

中山(泰)委員 政府のサイバーセキュリティー、横断的に予算を全部合計すると、約七百十二・九億円という状態です。私、これは一桁足りないんじゃないかなと思いますので、ぜひ頑張って、このサイバーセキュリティー、しっかりと、電子政府を目指す中で頑張っていっていただきたいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

野田委員長 これにて中山さんの質疑は終了いたしました。

 次に、笹川博義さん。

笹川委員 自由民主党の笹川博義です。

 本日は質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、障害者法定雇用率についてでございます。

 昨年の八月、国の行政機関における障害者雇用において、まことに遺憾ながら、不適切な取扱いがあったわけであります。これはまさに、多くの省庁にまたがり、そしてまた地方自治体にも波及をしたわけであります。

 障害者の皆様方が受けた思い、そのことに至ると、大変な、私は当事者の皆さん方の怒りの思いがあったと思いますし、同時にまた、民間事業者の皆様方も、国は何をやっていたんだという思いは抱いたというふうに思います。私自身も、選挙区に帰りまして、この問題について、多くの厳しい指摘がありました。

 この不適切な取扱いについて安倍総理にお伺いいたしますが、改めて、この不適切な取扱いへの御所見をお伺いしていきたいというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 障害のある方も含めて、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会をつくっていくというのは、安倍政権において、重要な政策の柱であります。

 今般、多くの府省において法定雇用率を達成していないことが明らかになったことは遺憾であります。

 こうした府省については、できるだけ速やかに、障害者の方に無理のない形で法定雇用率を達成できるよう、例えば、障害者の作業環境を整えるための機器等の導入や、非常勤として勤務後、常勤職員となることを可能とするステップアップ制度の導入を行うなど、障害者の就職促進や職場定着を推進することとしております。

 さらに、府省に対する報告徴収を可能とするなど、障害者雇用促進法の改正を検討しております。

 こうした総合的な対策を政府一体となって推進してまいります。

笹川委員 この問題につきましては、ぜひ障害者の皆様方にしっかりと寄り添っていただきたいというふうに思いますが、改めて、この障害者の雇用対策については、非常に民間事業者に対して厳しく国は対応してきたわけでありますよね。特に、障害者雇用納付金制度、このことについては、制度の趣旨は私もよく理解しておりますが、民間の事業者の皆さんからすれば、これは罰金だという認識の方が強いんですよね。

 そして、この法定雇用率においても、平成二十五年に法改正が行われて、精神の障害者の皆さん方の雇用義務も要求されることになり、民間事業主の障害者の雇用率を、三十年の四月より、二%から二・二%に引き上げたわけですよね。更に今後二・三%に引き上げる措置ということになっておりまして、国は二・五%。残念ながら、今総理からも遺憾だというお話がありましたが、未達成なんですよね。

 私、この件につきましては根本厚労大臣から御所見をお伺いしたいんですが、今、国も総理を先頭にしてこの未達成の状況を改善をするということで努力をしているということでありますので、これも仮定の質問になってしまうので、あえて答弁は結構でございますが、仮に未達成の場合のときにもかかわらず、これを更に民間事業者に対して引上げを行うのかということについては、その時点でしっかりと検討をすべきだというふうに思うんですね。本来は、国を先頭にして障害者の雇用というのはあるべきなんであって、それを、民間事業者だけおもしを載せるということは、私は逆だと思っていますから。

 しかし、今は国の努力を注視するという段階でありますので、あえてこの質問はしないで、私の思いだけを大臣にお伝えをさせていただきたいというふうに思います。

 続いて、今後の国の対応についてでありますが、今総理の方からも触れられましたが、この障害者の雇用促進法の実効性を担保するために、国等の機関に対するいわゆる報告書徴収システムの導入、それから担当者の報告書の作成、そしてまた報告書の保存、それに対する責任の明確化、さらには不正に対する責任を明確化し、同時にまた懲戒規定を定めなければならないという指摘も実はあるわけでありますので、この指摘についての御所見を根本厚労大臣にお聞きいたします。

根本国務大臣 国の行政機関等における障害者の任免状況に関するチェック機能の強化、これについては、公務部門における障害者雇用に関する基本方針で、引き続き法的整備を視野に入れた検討を行う旨記載されております。

 これを踏まえて、現在、労働政策審議会雇用分科会において、厚生労働大臣が、国等の各機関の任命権者に対して報告を求めることができるようにすることなどを検討しています。

 また、国などの各機関における障害者雇用の実務面での責任体制については、基本方針において、障害者雇用の推進に関する実務責任者を配置する、あるいは、働く障害者向けの相談窓口を設置するなどを整備する旨基本方針に定められております。

 この責任体制を法律上規定することについて、現在、労働政策審議会障害者雇用分科会において検討中であります。

 このような仕組みが整備されれば、国などの各機関における障害者雇用の推進体制や、責任の所在が明確化されると考えております。

笹川委員 御答弁ありがとうございました。

 今、労働政策審議会の方で議論を積み重ねているわけでありますので、それが整備されればという御答弁でありました。

 やはり、もう一つ大事なことは、この一連の改善、整備が進んだ時点で、政府として何かしらの私はけじめが必要だと思っているんですよ。先ほど触れたように、民間事業者に対しても重いものを課しているわけですから、それに対して政府として何かしら応えない限り、やはり民間事業者は心の中にわだかまりをずっと持つわけですよね。だから、そのことについては、やはり、例えば給与の一部返納なども含めて、何かしらのけじめをつけるべきだと私は思いますので、こういう指摘が民間にも多くあるということは、ぜひ受けとめていただきたいというふうに思います。

 続きましてですが、ぜひ、この障害者雇用の場合には、いわゆる法定雇用率の達成という、その数合わせに私は主眼を置くべきではないというふうに思っております。大事なことは、やはり雇用の質の確保なんですよね。

 先ほど総理も、無理のない雇用をということでありました。これは恐らく障害者の人に寄り添って環境整備をしてほしいということだと思いますし、先日、自民党の党大会で谷垣先生が、正直、本当に車椅子という形の中でも力強い演説がございましたが、その中に、障害者一人一人の課題が違うんだというお話がありました。

 やはり、谷垣先生も健常者からああいう車椅子になったわけでありますので、ここで初めて障害者としての当事者になって、そしてその気持ちの一端に触れたわけでありますので、その言葉というのは非常に僕は重いと思っていますので、どうか、大事なことは、やはり現場、いわゆる当事者の話をしっかり受けとめて、そして雇用の質の改善を図っていく。

 私は、厚労省の中にも実際問題として障害者の方も働いているわけでありますから、やはり厚労省が手本を示して、こうあるべきだと、しっかりと当事者の話を聞いて職場環境の改善につなげて、そして、他の省庁、さらには地方自治体に向けて発信をすべきだというふうに思っておりますので、改めて大臣の御所見をお聞かせください。

根本国務大臣 委員の御指摘のとおりだと私も思います。やはり、余り数合わせになってはいけない、雇用の質をどう確保するのか、これが何よりも大事だと思います。

 障害者の希望と能力に応じた、障害者が活躍しやすい職場づくりを推進するために必要な職場環境の整備により、障害者がとにかく活躍できる場を拡大する、あるいは、任用面での対応を講じて公務における障害者の雇用機会を安定化する、これが必要だと思います。

 例えば、必要な職場環境の整備としては、厚生労働省も率先してやってまいりましたが、各府省における障害者雇用の推進体制の整備、障害者とともに働く同僚、上司の障害に対する理解の促進、個々の障害者のサポートをする支援者の配置、委嘱、こういうものが必要だと思っております。

 そして、任用面での対応としては、障害者を対象とした新たな常勤採用の枠組みの導入、あるいは、非常勤として勤務した後、選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップ制度の導入、これはもう既に厚労省を中心にやっておりますが、こういう対応を通じて、きちんとした雇用の場を確保して、全体の単なる数合わせにならないように、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

笹川委員 障害者の皆様方や民間事業主の厳しい視線があるということを念頭に置きながらの、ぜひまた厚労省の取組を御期待申し上げたいと思います。

 続きまして、毎月勤労統計についてでありますが、昨日も熱心な議論が交わされたわけでありますし、また、小川先生と菅官房長官のやりとりもあったわけでありますが、改めてちょっと確認をさせていただきたいのは、平成二十七年当時の毎月勤労統計で変動幅が大きい要因について、いわゆるそのサンプルを全数入れかえをしていたと承知をしているが、この件について、菅官房長官はいつごろこの説明を受けられ、また、受けて何か指示を行ったんでしょうか。長官にお伺いをさせていただきたいと思います。

菅国務大臣 きのうも答弁させていただきました。四年ほど前の話であり、記憶が定かでありませんが、当時の担当秘書官に聞いたところでは、厚生労働省から、毎月勤労統計について数年ごとに調査結果に段差が生じる、このことに関して統計の専門家の意見を聞いて検討する旨、その説明を受けていたということであります。

 さらにまた、きのう御指摘もいただきましたので、官邸全体について調べてみました。

 当時、総理の秘書官が厚生労働省の担当者からサンプル入れかえの状況等について説明を受けた際、そのやりとりの中で、サンプル入れかえによって過去にさかのぼって数値が大幅に変わってしまう理由だとか、あるいは、そのことについて専門家の意見を聞くなど、実態を適切にあらわすための改善の可能性、こうしたことについての問題意識を伝えたことというのはあったようです。

 いずれにしろ、毎月勤労統計の調査方法の見直しについては、統計委員会を始めとする専門家の検討を経て統計的な観点から行われている、このように承知をしております。

笹川委員 本当に、毎月の勤労統計については、この予算委員会も含めて、さまざま熱心な議論が積み重ねられたわけでありますので、私も委員として議論をお聞きしている中で、地元に帰っても、正直に申し上げて非常にわかりにくいということだというふうに思うんですね。その中で、やはり賃金のことについてというのは、国民の人からいうと、非常に身近な問題であるんだけれども議論がわかりにくい。

 やはりそういう意味においては、私自身は、この問題というのは、統計について厚労省の不適切な集計に至った経緯をまず、なお一層明らかにすること、それから、追加給付対象者に対する速やかな対応、そしてもう一つは、政府統計に対する信頼回復をどうしたらいいか、大別すればこの三つではないのかなというふうに思うので、今申したように、特に賃金に関してなんですけれども、やはり本系列、共通事業所系列をめぐる議論についても非常に専門的な部分が多いと思うんですね。

 こういうことにおいては、やはり改めて別な場所、いわゆるオープンな場所で、専門家の皆様方、それはそれぞれの立場は違うと思うんですよ、新聞によっても専門家の意見は違う場合もありますから。やはり、オープンな場所で、それぞれの立場の、分野の先生方、専門家が話し合う、そういうことをして、初心に返ってこの議論、議題の整理を目指すことが、私は、急ぐことの、やはり重要じゃないのかなというふうに思っているんですよね。その点について、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 この本系列と参考値としての共通事業所の系列、何度も私も答弁してまいりました。

 確かに、これは極めて専門的な統計の問題なものですから、やはり、説明しても、統計の専門的な問題なのでなかなか十分に伝わらないのではないか、私も率直にそう思っております。

 政府統計というのは、常に正確性が求められると同時に、統計利用者が目的に応じて適切に利用できるよう常に多角的に検証される必要がある、私もそう思います。

 そして、本統計というのは、労働者全体の賃金水準を見るのが本系列なんですが、共通事業所系列は、要は、去年とことしの共通する事業所をとってそこの月々の振れを見るということで、参考値として位置づけられております。そして、共通事業所は、あくまでその月ごとの当年と前年度の比較を目的としているものですから、賃金水準の時系列の比較にはなじまないのではないかという論点があるんですね。

 それからさらに、共通事業所の賃金について、実質化した上で、その前年同月比を時系列で見てはどうかという議論もあります。これについては、標本数が少なくなるため標本誤差が大きくなる、あるいは、新規事業所の影響が反映されておらず標本に偏りがある可能性、あるいは、作成が開始されてから十二カ月であって蓄積が乏しい、こういう課題も指摘されておりまして、統計的な観点からの専門的検討が必要であると考えております。

 したがって、今委員が御指摘のように、厚生労働省において、統計的な観点や統計を活用する側の観点などを踏まえつつ、専門家を参集した新たな検討の場を設けたいと思っています。そういう形で検討してまいりたいと思います。

笹川委員 検討の場を設けるということでありますので。

 今日までの議論を聞いたときに、やはり大事なことは、委員の人選、さらに、特に委員会の運営、特にまたこれは事務局の体制もあるだろうし、その指摘もあったわけでありますから、公平さをしっかり担保すること、オープンな場にすること、このことによって国民の理解も深まってくると思いますので、これはさまざまこの委員会の中でも指摘事項があったわけですから、そのことも踏まえた上での検討の場をぜひ設置していただきたいというふうに思います。

 それでは、外国人の受入れ環境整備交付金についてお聞きをします。

 昨年、入管法改正に伴いまして、政府として、外国人材の受入れ、共生のため、百二十六項目の総合対策を年末に取りまとめました。対応策を展開するに当たっては、この交付金の制度というのは大変重要だというふうに考えております。ただ、ただなんですけれども、その中にあって、多文化共生総合相談ワンストップセンターの整備、これが目玉ということになるわけなんですよね。

 先日、私の地元で、太田市において外国人集住都市会議が開催されました。これはもう御承知のとおりでありますけれども、長年、毎年のように、意見をまとめて、そして国に対して上申をしていましたけれども、ようやく国の方が振り向いてくれたという状況でありますので、そういう意味において、この集住都市会議の意見、意見書というものをぜひ尊重していただきたいということで、百二十六項目の中にもそれぞれ反映されたというふうには思っておりますが、その辺のところは集住都市会議のメンバーも評価はしております。特に、初めて出入国の管理局長、局長という肩書を持った方が御出席をいただいたということが、都市会議のメンバーは驚きとともに、おお、ようやく我々の意見に耳を傾けてくれるのか、国という期待もあったわけであります。

 そのワンストップセンターでありますが、都道府県、指定都市を中心に設置をするということだったんですよね。しかし、それで本当にいいのかなと。いわゆる、もう既に定住権を持った外国の人、地域住民として受け入れて多文化共生を長年やってきた町とこれからの地域、果たして一緒でいいのかという実は思いがあって、そして都市会議のメンバーも、やはりそういう意味においては、優先すべきものがあるんじゃないかということでありますので。

 特にまた、運営費も含めて、これは市町村の新たな負担になるんですよね。先行しているところは、既に自分たちの予算でやっていることもあるんですよ。その上に更にまたお願いしますと言われても、これはどうなのかなというのが私はありまして、ぜひそこら辺の御所見を、山下大臣、お聞かせください。

山下国務大臣 お答えいたします。

 これまで、委員の御地元である太田市を始めとする外国人集住都市会議の会員都市におかれましては、地域に住む外国人が日本社会に溶け込み、安心して安全に暮らすことができるよう、長年にわたって苦労されながら、きめ細やかな支援やさまざまな取組を行ってこられたことに敬意を表しますし、また、そういった集住都市の声を、笹川委員におかれては私どもにいろいろ教えてくださった、そのことに関しても心から感謝申し上げます。

 まず、御指摘のように、昨年末に、私と菅官房長官が共同議長を務めさせていただいております関係閣僚会議におきまして了承された外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策、ここにおいて、一つの柱として、外国人が行政手続や生活のため必要な情報をワンストップで受け取ることができるよう、公共団体が設置する多言語による一元的な相談窓口を交付金により財政支援することといたしました。

 この交付金の対象となる地方公共団体、約百カ所を考えているんですが、都道府県あるいは政令指定都市、そして外国人が集住する市町村も入れようということでございまして、ある程度の規模が必要でございます。ですから、それについては、外国人住民が一万人以上か、一万人に満たない場合でも、外国人の住民の割合が一定以上を対象とする、一定のやはり人口は要るということになるんですが、それを考えておりまして、ちょっと東京は交通の便がよ過ぎるので別枠で考えておりますけれども、具体的基準については、委員の御指摘もございますので、ごく近々に公表させていただきたいというふうに考えております。

 交付金の額につきましてでございますが、交付金は整備費と運営費に分かれておりまして、整備費については、今回は、補正予算で一カ所当たり一千万円を上限に、必要経費の全額を交付することとしております。

 これは、新たにセットアップする地方公共団体も含めて相談窓口の整備を促進するものでありますが、既に太田市など集住都市のように整備しているところでも、もっと拡充したい、あるいは、例えば一定の言語はそろっているんだけれども、ほかの言語もそろえたいとか、そういった御要望もあると思います。そうしたものの整備、これにも御活用いただければというふうに考えております。

 実は、こういった窓口は、その当該市町村だけではなくて、近隣の市町村にお住まいの外国人の方にも提供していただくことを考えておりますので、そういったものも含めて考えていただきたいと思っております。

 また、運営費、これは当初予算でお願いするところでございますが、必要経費の二分の一を一カ所当たり一千万円を上限にするということでございますが、この二分の一は地方公共団体が負担するということになるんですが、この負担について、地方公共団体の財政運営に支障のないよう、総務省において必要な財政措置が講ぜられるものというふうに承知しております。

 私ども法務省といたしましても、総務省を始めとする関係省庁と連携して、地方公共団体の負担軽減に資するよう、適切に対応してまいります。

笹川委員 大臣、ありがとうございました。

 石田総務大臣、寛大なお気持ち、ありがとうございました。ひとつ今の答弁のようによろしくお願いいたします。

 そういうことで、ぜひ自治体のそれぞれの要望事項に真摯に向き合っていただいて、それに応えようという姿勢がありましたので、そういう意味において、内閣、政府全体として、この問題をぜひこれからも真摯に取り組んでいただきたいと思います。

 総理にお願いでございますが、今回の入管法の改正、それから技能実習制度の改正、それぞれ段階がありました。ただ、もともと、旧の技能実習制度のときは非常に国際社会からも御批判があったわけでありますよね。それも踏まえた上でありますが、しかし、この入管法の改正だけでも、実は光の当たらない外国の方、いらっしゃるんですよ。ブローカーにだまされたり、さまざまな形で、悪条件の中で日本におられる方もいます。そういう人たちにどうやって光を与えていくんだ、そういう人たちをどうすくい上げていくのか、また、外国の子供たちの学ぶ権利もどう守っていったらいいのかという課題がまだあるんですよ。

 ですので、引き続いて内閣でしっかりとこの問題について取り組むことが、インバウンドだけじゃなくて、輝く分野だけじゃなくて、こういう光の当たらないところにも光を差していく、これがやはり私は安倍内閣の責務だというふうに思っていますので、そのことを強く要望させていただきたいと思っております。

 続きまして、気候変動適応法案についてでありますが、この問題につきましては、先日、報道の中で、地球気候変動適応センター、これについて、自治体に対して整備をしていただきたいということになっておるんですが、残念ながら、その七割が見通しも立っていない、未着手だというようなことがありました。

 まだ施行されて間もないということでありますが、しかし、その前に、不肖私も、大臣政務官を拝命してから、幾つかの自治体にもお願いに上がりました。そういう過程があったにもかかわらず、努力の過程もあったにもかかわらず、まだ七割が未着手で見通しが立っていないという調査結果には、正直申し上げて私自身もちょっとがっかりしたところもあるんですが、ある意味、まだまだ努力不足だったんだなというふうに私自身も反省をいたしておりますが、この調査結果についての原田大臣の御所見をお伺いします。

原田国務大臣 笹川委員が環境省政務官として二年近くしっかり頑張っていただいて、また、ただいまお話がありました気候変動適応法案についてしっかり活躍されたということは、私もよく聞いておるところであります。

 お申し越しの話でありますけれども、この適応法案というのは、適応ということは、まず、環境政策の中で、地球温暖化が非常に深刻になってきております。これが災害やいろいろな問題につながっているのは間違いないところでありまして、そのためには、まず一つは、やはり温室効果ガス、CO2を排出しない。あわせて、どうしてもとめられないものだから、それをちゃんと予測して、そのための準備、それを適応という言葉で私ども政策の中でそう称しておるわけでありますけれども、しかし、そのためには……

野田委員長 原田大臣、笹川さんの質問時間が終了していますので、簡潔に御答弁願います。

原田国務大臣 はい、わかりました。

 そのためには、地域の特性にしっかり即した対応がなされなければなりません。北海道と鹿児島が受ける影響は違うわけであります。

 そういう意味では、各地方公共団体が、地域の適応の取組の拠点となる地域気候変動適応センターというのをそれぞれつくってやっております。十二月一日に施行されたものを、差し当たりは、埼玉県と滋賀県がこれを早速設置しておりますけれども、残りのところも急がなきゃいけないな、こういうふうに思っておるところであります。

 国においては、国立環境研究所を中心に技術開発やら、また情報収集をやっておりますから、しっかりまた地方自治体を指導してまいりたい、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上であります。

笹川委員 はい、ありがとうございました。

 大臣の決意と、そしてまた人件費についても御配慮を賜りながら、ぜひ進めてください。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

野田委員長 これにて笹川さんの質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉さん。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、地元愛知でも発生をしております豚コレラについて、吉川農水大臣に御質問をいたします。

 この豚コレラ、本予算委員会でも累次にわたって取り上げられておりますけれども、農水省が六日、愛知県の豊田市の養豚場で飼育をされている豚に豚コレラを確認したと発表いたしております。この養豚場から子豚が出荷をされた大阪、滋賀、そして愛知の田原市、岐阜、長野、この五県でも感染を確認いたしました。

 これは御存じのとおり、昨年九月、国内では二十六年ぶりに、野田委員長のお地元でもある岐阜県で発生が確認をされて以降、その抑え込みに取り組んできたわけですけれども、残念ながら、現在広がってしまっている。これまでの殺処分は、累計で約二万七千頭。豚を一生懸命育ててきた農家の皆さんのことを考えると、本当に言葉がございません。

 農水省は、この感染経路等を調べていただいている中で、二月八日金曜日には、岐阜から豊田に感染をしたと思われていたんですけれども、この豊田と岐阜県本巣の養豚場で確認をされたウイルス、遺伝子が一部異なっているということが明らかになりまして、現時点では感染経路の特定が非常に難しいという報道を確認しております。

 また、昨日農水省が発表されました内容によりますと、この豚コレラが発生をした愛知県豊田市の養豚農場における防疫措置が十二日火曜日の八時三十分で完了した、あわせて、疫学関連農場である愛知、岐阜、長野、滋賀においても防疫措置が完了し、大阪府については引き続き実施中、こういう報告を農水省から受けております。

 そこで、吉川大臣に改めてお伺いをさせていただきますけれども、この感染拡大防止対策の徹底、発生農家等への早期支援、風評被害の防止など六項目にわたって、私ども公明党も大臣に申入れをさせていただいております。現場の皆さんも、さまざまな御不安を抱えながら、今、一生懸命前を向いて頑張っていただいていることと推察をいたします。

 地元も含みますこの地盤から発生した、私も農水大臣に、国が主導をして、重ねて万全の体制で対策を講じていただきたいと心からお願いを申し上げますけれども、大臣の答弁を求めます。

吉川国務大臣 二月の八日でありましたけれども、伊藤委員もおいでをいただき、御党から、感染拡大防止対策の徹底、さらには発生農家等への早期支援及び風評被害対策など、六項目につきまして御要請をいただきました。対策に対しまして御支援をいただいたことに感謝を申し上げたいと存じます。

 今般の豚コレラ発生防止のための措置を強化する必要がありますことから、発生農場に関連する農場の周辺及び交差汚染の可能性がある農場につきましては、監視を強化するとともに、岐阜県、愛知県からの要望に応えまして、野生イノシシの捕獲活動等を支援するための事業費等を増強しているところでございます。

 一方、感染経路の究明につきましては、国の拡大豚コレラ疫学調査チームによりまして、あらゆる可能性を想定いたしておりまして、検証を急いでいるところでありまして、これによって感染原因の早期究明を図っているところでもございます。

 発生農家等への支援についてでありますけれども、豚コレラ発生農家に対しましては、家畜伝染病予防法に基づきまして、殺処分された家畜の評価額の全額が手当金として交付をされることになっております。また、移動制限をかけられた農場に対しましては、出荷制限による減収分を補填することといたしております。

 さらに、経営再開に向けてでありますけれども、家畜疾病経営維持資金、農林漁業セーフティネット資金の活用も可能であります。さらには、家畜防疫互助基金の加入者が新たに豚を導入する場合でありますけれども、経営を再開する場合には、経営支援互助金も交付を受けることが可能でございます。

 風評被害についても言及がございました。

 まず、屠畜場に出荷される豚につきましては、屠畜場で屠畜検査員によります臨床検査、解体検査等が行われ、異状がなく検査に合格した豚のみが市場に出回ることとされております。

 この豚コレラでありますけれども、人に感染することはございません。仮に豚コレラにかかった豚の肉や豚由来の製品を食べたとしても、人体に影響はございません。

 このことを理解していただくために、農林水産省におきましては、このような情報をホームページ等を通じて国民の皆様に発信いたしますとともに、生産、流通、小売団体を対象に、正しい知識の普及等について通知をいたしております。それぞれの地域の農政局におきましても不適切な表示に関する調査を実施しておりまして、万一不適切な表示が見られた場合は、表示の自粛ですとか改善を求めることといたしております。

 引き続き、各府省、都道府県、関係機関と連携いたしまして、迅速な防疫対策を実施いたしますとともに、この豚コレラ対策に万全を期してまいりたいと存じます。

伊藤(渉)委員 大臣、ぜひとも、自治体も、また現場の養豚場の皆さんも必死で取組を進めている渦中であります。国の主導でぜひ、抑え込みと、これ以上被害が広がらないように、また、アジアではいわゆるアフリカ豚コレラという違う家畜伝染病がはやっており、この侵入も大変危惧をされております。そういったものの侵入の防止、これも徹底をしていただきたいと改めてお願いをしていきたいと思います。

 続きましては、物づくり、中小企業支援の中でも物づくりの支援ということで御質問をさせていただきます。

 愛知県は、これは先日、根本委員も言われておりましたけれども、農業産出額も全国七位ですけれども、製造品出荷額は全国一位。そういう意味では、物づくりの集積地でございます。こうした活力は、文字どおり中小企業そして小規模事業者によって支えられておりまして、この年末年始も御挨拶回りをする中で、さまざまな声をお伺いしてまいりました。その声を通して、中小企業支援を拡充していくために取りまとめ、一月二十八日には経済産業省に申入れもさせていただきました。

 こうした取組は、マクロで見れば生産性の向上、また、この委員会でも何度も議論になっている名目賃金の上昇、そして、それをもって実質賃金も向上させていく、こういう取組にもつながってまいりますので、ぜひとも、三点ほど御提案を含めて御質問させていただきますので、世耕大臣にはできる限り前向きな取組をお願いしたいと思います。

 まず一つ目は、既に成立をした本年度の二次補正予算に計上されておりますものづくり・商業・サービス補助金の執行に当たってですけれども、やはりよく現場で聞くのは、どうしても現場で実施ができる時間が短い。たしか年内ぐらいには何か終えて報告なりをしなきゃいけないので、この時間をとにかくとってくれ、こういう声がございますので、これは一度、大臣、答弁されていたように記憶をしておりますけれども、一つは、年度内採択、早くスタートできる枠を設けるなどして、十分な実施期間を確保してほしいということ。

 もう一つは、補助率のアップの要件となっている先端設備等導入計画の認定、こういうのがありますけれども、これも、この二次補正予算が成立をする前の、期限の前に既にこの計画を取得されている方々というのがお見えになって、そういう方々たちにも柔軟な運用をぜひともお願いしたい。

 これは細かい話ですけれども、現場の声でございますので、ぜひとも前向きな答弁をよろしくお願いします。

世耕国務大臣 このものづくり補助金は二通り要望が出ていまして、一つは、できる限り公募期間を長くしてほしいという要望、もう一つは、やはりできるだけ早く始めたい。公募期間を長くしてしまうと、当然審査が後の方になりますから実施期間が短くなるという、ちょっとジレンマがあったんですけれども、こういうことで対応させていただいております。

 まず一つ、公募期間は二カ月程度しっかり設けるんですけれども、中でも、早く始めたい人向けにファストトラックのようなものをつくって、一旦途中で仮の締切りをやって、早いスタートを希望する方々にはそこで審査をやって、早ければ三月中にも事業を開始するようにできるようにして、その分、事業実施期間を長くとるというような対応をさせていただいております。

 また、補助率のかさ上げの部分でありますけれども、これも、なるべく多くの設備投資を応援したいと我々は思っていますので、既に認定を受けた事業者であっても、ゼロから計画をつくり直すわけではなくて、例えば、ちょっと新規の投資を追加するような、計画変更を行っていただくことで補助率の引上げの対象にしていくという、前向きな取組をしたいと思っております。

伊藤(渉)委員 大変ありがとうございます。現場の声が大臣に届いたことで、現場の中小企業また小規模事業者の皆さんもこれで頑張りがいがある、こう思いますので、ありがとうございます。

 続いては、この補助金は本当に現場でいろいろな形で活用していただいておりまして、平成三十一年度当初予算から、初めて当初予算化がされたと思います。

 それについて、今は、単なる設備の設置から、IoTあるいはAI、こうした活用を含めて、個々の事業者の高付加価値化、生産性向上仕様に合わせた、調査、設備の設計、製作、据付け、調整、こういうオーダーメードのニーズが拡大をしてきています。

 そうすると、要するに、単年度で、今申し上げたような、調査から始まって製造して据え付けて調整まで、これが非常に難しくなってきている。せっかく当初予算化をしていただきましたので、この補助金を、要は、利用する企業側が複数年を視野に入れて利用できるような制度設計をぜひとも次は目指していただきたいと思いますけれども、大臣、御答弁をお願いします。

世耕国務大臣 なるべく事業期間を長くやりたい。特に、今回、かなり高度な調整が必要な事業も入ってきますので、そういう意味では、できる限り長い事業期間を確保することが重要だと思います。

 まずは、今御審議いただいているこの三十一年度予算においては、公募から決定までの時間をできる限り短縮をして、その分長くやっていただけるようにしたいというふうに思いますし、三十二年度以降の支援措置については、まず三十一年度の状況もよく見た上で、複数年の事業化も含めて、どういう支援措置が最適であるか検討してまいりたいというふうに思います。

伊藤(渉)委員 麻生大臣、お聞きいただいていたかと思いますけれども、これは大臣の最終的に御了解がないとなかなかできないことですので、我々もしっかり勉強しますので、御協力よろしくお願いします。

 もう一つは、このものづくり補助金、今回本予算化をする中で、複数企業間でのデータ連携、これはよく言われる、中小企業もまざって、コネクテッド・インダストリーズ、こういうことが最近よく言われておりまして、このことにも非常にいわば利用価値のある補助金なわけであります。

 このコネクテッド・インダストリーズということになると、例えば、中小企業、小規模事業者が持っている金型の図面、3Dのデータ、もちろんそこにあるノウハウ、この技術情報の秘密保持というのが非常に大事になってくるわけです。

 秘密保持契約をして連携企業体以外への流出を防止したり、知的財産ということを明確にして保護しなきゃいけない。だけれども、中小企業や小規模事業者の方は、そもそも秘密保持契約をどうやって結んだらいいのかわからなかったり、そもそも自分が持っている技術のどこが知的財産なのかわからなかったりするんですね。

 だから、そこを、事前相談体制をしっかりしたり、あるいは秘密保持契約のひな形などもぜひ用意してもらって、また、どういうものが知的財産になり得るんだ、そういうことを中小企業や小規模事業者の皆さんに気づかせてあげる、そして、きちんと契約をさせてあげて、こういったものが流出をしたり、またあるいは下請関係を悪用して技術情報提供を強要されたり、残念ながら海外に不正に流出したり、こういうことにつながらないように、適正な制度運用と中小企業、小規模事業者へのサポート、ぜひともこれをよろしくお願いしたいと思います。

世耕国務大臣 これからは中小企業も、何でもかんでもばらばらに競争するのではなくて、やはり協調領域というものを持って、特にコネクテッド・インダストリーズの考え方で、データを共有して、なるべく一緒にやるところはやりながら、最先端のところだけ競争していくという考え方が重要だと思っております。

 ただ、そのためには、やはり秘密の流出を防ぐということが大変重要になってくるわけでありますので、専門家による相談体制の整備ですとか営業秘密の管理方法に関する普及啓発等を重層的に行っています。

 どういうことをやっているかといいますと、まず一つは、平成二十七年に不正競争防止法を抜本改正いたしまして、海外での使用を目的とする不正な営業秘密流出を重罰化するというような措置をとらせていただいています。

 また、第二に、御指摘の相談体制の整備ということで、INPIT、これは正式には独立行政法人工業所有権情報・研修館でありますが、ここで、東京には営業秘密・知財戦略相談窓口、大阪には関西知財戦略支援窓口、また、四十七都道府県には知財総合支援窓口を設置して、中小企業からのいろいろな相談に応じる体制を組ませていただいています。

 また、警察や全国の都道府県警とも連携をして、実務者向けの説明会を行ったり、営業秘密の管理に関するわかりやすいハンドブックですとか手引の作成、配布も行っています。

 そして、特に中小企業がよく出入りをする四十七都道府県のよろず支援拠点でも、知財とか営業秘密に関しての相談があった場合は、国がしっかりと関与している適切な専門家ですとか相談窓口を紹介するようにというような指導も行っているところであります。

 こういう多重的な取組で、中小企業の営業秘密、知財保護への取組をしっかり後押ししてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 世耕大臣、ありがとうございました。

 いずれも極めて現場のことをよく理解していただいて、前向きな答弁をいただきました。また、この予算委員会でも質問が出ているとおり、これだけ国としても頑張っていますが、まだまだ現場への周知、これも課題があると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 残り時間わずかですが、児童虐待のことを質問させていただきたいと思います。

 これも何度もこの委員会で取り上げられておりますけれども、栗原心愛さん、十歳、自宅で亡くなり、両親が傷害容疑で逮捕。報道によれば、母親が、父親の留守中には無料通信アプリのLINEで心愛さんの動向を報告し、食事を与えないこともあった。考えられないことであり、私が思うのは、母親も父親のDV等による恐怖に支配されていた可能性も十分考えられる、こう思います。

 報道を見るたびに胸が締めつけられる思いであります。この場をおかりして、心から心愛さんの御冥福をお祈りを申し上げます。

 時間もございませんので、少し資料を配らせていただいておりまして、早速、総理もいち早く関係閣僚会議を開いていただいて、手を打っていただいておりますが、資料、三枚ございます。

 一枚目は、これまで発生している児童虐待の相談件数、平成二十九年の速報値では既に十三万件を超えております。一方、二枚めくっていただくと、児童相談所の児童福祉司の配置、これがございまして、早速、総理にも、人員増、来年度たしか千名というふうに言っていただきましたけれども、こちらも着実に伸びているのは事実ですけれども、この両者を比較すると、相談件数は二〇一二年からの五年間で倍増しています。そして、対応する児童福祉司は、この同じ五年間で二割増、一生懸命ふやしてはいるんですけれども、件数の伸び方に追いついておりません。

 二枚目のページを見ていただくと、これは、本当に現場、私は、多くの心ある皆さんが必死で頑張っていると思いますけれども、ごらんのとおり、虐待によって亡くなる児童の数は減ってはおりません。ふえたり減ったりを繰り返しているというのが実情であります。

 こうしたのを、児童虐待防止法第四条五項に基づいて、死亡事例の背景、要因等分析、これをもう十四次にわたってやっております。この中でこういう提言が出てくるんです、十四次報告の中で。関係機関の連携及び適切な引継ぎによる切れ目のない支援、あるいは児童相談所及び市町村職員による丁寧なリスクアセスメントの実施と評価、いっぱい出てきます。つまり、この提言内容が実施できれば防げたのではないかと思わざるを得ないわけであります。

 これは根本大臣にお伺いしますが、現時点での認識、そして現状の取組の評価、まず率直にお伺いをしたいと思います。

根本国務大臣 児童虐待防止対策については、政府が一丸となって取り組むため、昨年七月に緊急総合対策を取りまとめました。

 対策では、関係機関の連携強化、転居した場合の自治体間の情報共有の徹底、子供の安全確保を最優先とした適切な一時保護や施設入所等の措置の実施、解除などを盛り込み、周知徹底を図ってまいりました。にもかかわらず今回のような事案が繰り返されたこと、まことに残念であり、厚生労働省としても事態を深刻に受けとめております。

 このため、政府として、今月八日に関係閣僚会議を開催し、緊急総合対策のさらなる徹底、強化として、児童相談所や市町村が支援を行っている家庭が転居した際の引継ぎを徹底すること、保護者が虐待を認めない場合や、家庭訪問や子供と会うことを拒む場合は、リスクが高いものと認識して、ちゅうちょなく一時保護、立入調査を行うなど的確な対応をとることなどの緊急点検を実施するとともに、子供の安全を第一に、関係機関の連携に関する新たなルールの設定などの対策を取りまとめました。

 さらに、議員のお話にもありましたが、職員の資質の向上策も含めた児童相談所の体制強化、これを図るための法改正案を提出する予定であります。児童相談所の体制強化、資質向上に関する主な改正項目としては、児童相談所における弁護士等の配置、児童相談所の業務に対する評価の実施、児童福祉司等の任用要件の見直し、児童心理司の配置基準の法定化等の法改正案を提出する予定であります。

 このような痛ましい虐待事件が繰り返されないよう、万全を尽くしてまいります。

伊藤(渉)委員 時間が来たので終わりますけれども、この問題は、文科省、柴山大臣におかれましては、学校側の体制整備も重要な課題だと思いますのでお願いをしておきますのと、また、ぜひ、全体のリーダーである総理には現場の声をよく聞いていただいて、私は実際に携わっている職員の方とも話してきましたけれども、ナイフを突きつけられたこともある、両親から。それぐらい緊迫した状況の中で現場は闘っておりますので、現場に手の届く、そんな支援をお願いして、私の質問を終わります。

野田委員長 これにて伊藤さんの質疑は終了いたしました。

 次に、本多平直さん。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 私は、主として安全保障政策について、できるだけ総理と議論させていただければと考えています。

 そのわけは、私は安全保障委員会にも属しておりまして、安全保障政策、防衛大臣とも安全保障委員会ではしっかり話す機会があるんですが、実は、昨年末につくられた新しい防衛大綱や中期防、どうも防衛省の意向を無視して、国家安全保障会議、総理が議長でありますけれども、そこがいろいろ主導してやっているんじゃないかと。私もこれを確かめるすべはなかなかないんですが、そういう報道もされています。

 ですから、具体的な議論は防衛大臣ともしたいんですが、総理とできるだけ議論させていただきたいと思いますので、委員長、よろしくお願いをしたいと思います。

 それで、百兆円の予算のうち五兆円を超える予算がこの防衛費に割かれているわけです。そして、昨日は泉健太議員がイージス・アショアについて取り上げていただきました。

 余り、話題になっているイージス・アショアや「いずも」の話だけをやっていると、ほかにも私、見ているとたくさん問題があるんですけれども、きょうは、ちょっと「いずも」を中心に議論をさせていただきたいと思います。

 昨年十二月、私も同僚議員と一緒に「いずも」、横須賀の基地で、訪問をさせていただいて、見学をさせていただきました。想定をするのは主に中国だと思うんですけれども、潜水艦、これをしっかりと哨戒するという重要な任務を自衛官の皆さんに果たしていただいている大切な船だということを私も認識いたしました。これが、何かよくわけのわからない形で改修をされるということについて質問させていただきたいと思います。

 イージス・アショアの方は防衛省から要求があって設置されたものではないということ、声が上がってきて設置が決まったものではないということを防衛大臣は答弁されていますが、こちらの「いずも」の改修の方は、同じと思っていいんですかね。防衛省の中から、自衛隊の中から声が上がってきてこういうことが行われたのではないということを会見でも大臣はおっしゃっていますが、それで正しいですか。

岩屋国務大臣 「いずも」の改修は、先生御案内のとおり、今般の大綱、中期防の中で方針として決まったわけでございますが、この決め方というのは、どこか一部の声を反映して決めたということではなくて、政府においても懇談会がつくられましたし、私が参加する以前から国家安全保障会議でも長らく議論を続けてまいりましたし、また、自民党の中にも議論が続いて提言というものがまとめられましたし、最終的には与党のワーキングチームでも御議論をいただきましたし、そういうものを総合してつくった方針の一つでございますので、ぜひそのように御理解をいただきたいというふうに思っております。したがって、どこか一部の声を取り上げて「いずも」の改修という決定をしたわけではございません。

 ただし、北朝鮮からのミサイル発射等が長く続いた時期がございました。やはりイージス艦という船の運用が非常に厳しい状態であった、乗組員にも非常に負担がかかっていた、したがって、二十四時間三百六十五日、常時ミサイル防衛体制がとれる、そういう装備が必要だというのがイージス・アショアでございました。(本多委員「「いずも」の話をしているんですから」と呼ぶ)はい。

 「いずも」の方は、太平洋側の守りを主に強化していく、そして、これまで「いずも」型の護衛艦が果たしてきた、先生おっしゃるその哨戒活動、海洋の安全確保の活動、護衛隊群の安全確保のための活動というのも、先生見ていただいたように、多機能な機能をこれからも果たしていくという考え方でございます。

本多委員 委員長にお願いをします。

 私は、今、そういうことを聞いたんじゃなくて、いろいろなところから声が上がったことは知っています、国家安全保障会議、自民党の提言。しかし、自衛隊・防衛省の内部からはあったんですかということを確認しているので、端的に答えてください。

岩屋国務大臣 防衛省の中にも、私を委員長とする、私の前は小野寺前大臣を委員長とする会議がございまして、その中で、これからの防衛力のあり方はどうあるべきかということをずっと議論してまいりました。その中で、各幕からもいろいろな意見が上がってきていたことは事実ですが、その何か一つを取り上げてこの方針が決まったということではなくて、先ほども申し上げたように、総合的な判断で決められたということでございます。

本多委員 そのことは、では、私は、防衛省からそういう強い要求があったものではないという認識をしております。非常に政治主導で決まったものだという認識をしておりますが、大臣、そこはお答えにならないということで、よろしいです。

 それで、まず、もう一つ質問をさせていただきます。攻撃的空母は憲法上持つことができない、この見解は変更がございませんね。

岩屋国務大臣 変更はございません。

本多委員 この改修をされた後の、STOVL機と皆さんはおっしゃっています、わかりにくいので、まだ決まっていないだけで、F35Bしかほぼ想定されないと思いますが、この飛行機を十機程度積んだものが空母でないというのはどういう理論なんですか。

岩屋国務大臣 憲法上の攻撃型空母という定義はございますけれども、これはもう先生御案内のように、今、国際的に空母という定義があるわけではございません。

 そして、本多委員も見ていただいたように、「いずも」型の護衛艦はあくまでも多機能の護衛艦でございます。そこに、STOVL機、これは機種の選定はこれからでございますけれども、十機程度のSTOVL機を積むことができる機能を追加するということでございまして、常時あのSTOVL機を艦載するという運用を想定しているわけではございませんので、空母というものには当たらない。ましてや、憲法上で言うところの攻撃型空母には当たらないというふうに考えております。

本多委員 今大臣分けていただいたとおり、まず、空母かどうかという話がありますよね、空母か空母じゃないか。空母と決まった後は、これは世界的には通用しない議論です。日本だけの、憲法上攻撃型空母というのは、別に我々が分けているわけじゃなくて、長年政府が、攻撃型空母は持ってはいけない。ということは、持ってもいい空母もあるんでしょう、攻撃型空母とわざわざ書いているということは。あるのかもしれませんね、この理論上は。

 こういう分け方をしていますが、まず私は、その攻撃型空母かそれ以外かという分け方じゃなくて、空母かどうかということを聞いているんです。

 これは総理、国家安全保障会議の議長として、空母じゃないんですか。

安倍内閣総理大臣 憲法上保有できない攻撃型空母ではないということは明確で、これは共通認識になっている。

 では、果たして空母かどうかということで議論なんだろうと思いますが、公式には空母とは呼びませんが、その実質は空母ではないのか、そういう趣旨なんだろうとこう思います。

 その上で申し上げれば、空母については、一般的には、米空母のように専ら航空機の運用機能に特化した艦船を指すものと考えており、改修後の「いずも」型護衛艦は、その実質においてもそのような意味での空母に該当するものではありません。

 他方、空母については、現在国際的に確立した定義はないため、改修後の「いずも」型護衛艦について、空母ではないかという御意見があり得ることは承知をしております。

 いずれにせよ、改修後の「いずも」型護衛艦は、憲法上、先ほども申し上げましたように、保有の許されない攻撃型空母ではないことは明らかであると考えております。

 「いずも」型護衛艦の改修は、専守防衛のもと、自衛隊員の安全を確保しながら、広大な太平洋を含む我が国の海と空の守りについてしっかりと備えを確保するため必要不可欠なものであると考えております。

本多委員 私はまだ空母だと思っているんですけれども。勝手に私の見解を決めつけないでいただきたいんですよ。攻撃型空母でもある可能性もあると私は思っているんです、十分。攻撃型空母じゃないというところは見解は一致していませんので、変なこと言わないでください。

 それで、国際上定義がないのはわかりましたけれども、国際常識上、総理どう思われます、これ。空母じゃないんですか。

安倍内閣総理大臣 定義がないものを果たして私が国際常識上どうかと言うことはなかなか難しいわけでありまして、先ほど申し上げましたように、空母ではないかという御意見があり得るということは承知をしているということでありますが、私どもとしては、定義がない中においてここで答弁することは困難である、こう考えております。

本多委員 昨年自民党が提出をした多用途運用母艦ではあるんですか。

岩屋国務大臣 多用途運用護衛艦でございます。

 自民党の提言の際は、何といいますか、漠然としたイメージで母艦という言葉を使われたんでしょうけれども、今般、「いずも」という護衛艦を改修するという方針を決めさせていただいたので、今後の呼び方も多用途護衛艦ということになります。

本多委員 総理、こういうごまかしを、総理、聞いていただけますか、ごまかしをやめた方がいいと思うんですよ。時計を時計じゃないとか、マイクは、マイクの定義が国際的にはないからこれはマイクじゃないなんて言ったら、何の議論もできなくなっちゃうんですよ。

 私は別に、すぐ憲法違反という議論をしたいと言っているわけじゃないんですよ。その後、更に行って、そこは分かれるかもしれません。しかし、まず、航空機を十機載せる。これを、常時何とかと言っていますけれども、アメリカの空母だって常時載せていないんですよ、戦闘機は。全く、常時載せているかどうかなんて空母の定義と関係ない。

 世界でも、このクラスの空母を持っている国というのは、大体、核保有国ぐらいなんですよ。それを新たに二隻も持つ。この重大な話を国民に対して、時計を時計じゃないと言うみたいな、まあ安倍内閣はよくやりますよね、FTAもTAGと呼びかえたり、カジノのことも統合型リゾートと言ってみたり。しかし、それ以上に、明らかに、戦闘機を十機積めるようにする、これは空母なんですよ。

 こういうごまかしを続けるというのは、防衛政策、ここから先の議論に行けないんですよね。こういうごまかしをするというのは、非常に私は問題だと思います。

 それで、さらに、じゃ、次の議論に行きたいと思います。

 私は、護衛艦のままでも何でもいいです、名前が実態ではないと思うんですけれども、攻撃型空母にも当たり得ると思っているんですよ。なぜかというと、攻撃型空母の定義、ちょっと防衛大臣、言ってみてください。

岩屋国務大臣 その前に、先ほどの御指摘ですが、総理がお答えになったように、空母という国際的な定義はありませんけれども、専ら航空機の運用機能に特化した艦船でございまして、米国の空母も、艦載機が陸にいるときもありますけれども、運用するときは常に戦闘機を七、八十機載せている運用しかやっていないわけでして、そういう空母には当たらないということでございます。

 それから、ただいまの、ごめんなさい、質問は。(本多委員「攻撃型空母の定義を」と呼ぶ)はい。

 攻撃型空母は、専ら相手国の国土の壊滅的な破壊に用いられるような兵器の例示として、大陸間弾道弾ですとか戦略爆撃機というものと同時に攻撃型空母というものを挙げてきたところでございます。

本多委員 私、この議論もだまされそうに一瞬なったんですよ。空母を二隻持っただけじゃ、想定される北朝鮮や中国、壊滅的、なかなか厳しいかな、そういう理屈で来るのかなと思ったんですが、いろいろ考えたら、例えば太平洋には非常に人口の少ない小さな島国がたくさんあります。日本と友好的で、そこと戦争するということは余り想定できませんけれども、そういう国にとっては、ほとんど軍事力はないんですよ。二隻も空母を持って、そこに戦闘機を十機ずつ積んで太平洋をうろうろする。これは壊滅的な打撃をもたらせるんじゃないんですか。

岩屋国務大臣 それを言っていると、例えば、今の自衛隊の戦闘機、航空機も、他国まで行ける、米国まで行けるわけでございまして、もちろん弾薬を積むこともできるわけでありまして、それでいうと、それで敵基地攻撃ができるじゃないかという議論と同じになるんだろうと思います。

 およそ、防衛判断、政策判断としてそのようなことは全く想定されない、先生がおっしゃったようなことは想定されないというふうに考えております。

本多委員 自民党席からもいろいろやじが出ているようなんですけれども、攻撃型空母の定義というのは何か。私たちが、空母の種類を二種類に分けているのは政府ですから。政府が長年言ってきて、定義に当たる可能性があるんじゃないか、このことはしっかりと議論させていただきたいと思いますよ。

 空母かどうかも認めない、国民にごまかして、変な名前で改修をする、今自衛官が一生懸命やっている潜水艦の任務が本当にどうなるかわからない、運用のあり方もまだ決まっていない、こういうものを大きな予算をかけて改修をするというのは、私は非常におかしな話だと思って、今後も議論したいと思います。

 きのうの議論を聞いていて、とんでもないことを総理はおっしゃいました。イージス・アショアについて、泉健太議員が、いろいろ、ほかにこういう方法があるんじゃないか、こういうまともな、非常に、きょう私、ちょっと憲法論を絡めましたけれども、憲法論と関係なく、これだけ多額な費用をかけて必要なのか、今まで整備してきたイージス・アショアと整合性がないんじゃないか、こういう議論をされましたけれども、あった方がいいじゃないですか、マイナスじゃないですかということを泉議員に盛んに言っていたんです、総理。

 それはあった方が、お金が、予算が幾らでもあって、日本に憲法の制約がなくて、この場合は憲法は関係ないので憲法の話は抜きにしましょう、子育て支援も教育予算も潤沢にできる石油でも出ている国だったらいざ知らず、苦しみながら百億の予算とか出しているところで、一千二百億のものを二つ買う、そのときに、いろいろ言うけれども、あった方がいいじゃないか、それどころかマイナスにはならないじゃないか、こんなことで一千二百億円のものを買うんですか。

安倍内閣総理大臣 マイナスであるかのような議論がなされていたので、私はそう申し上げたわけであります。マイナスにはならないということを申し上げた、強調したにすぎないわけでございまして、これはしっかりと説明させていただきたいと思いますが、これまでの我が国の弾道ミサイル防衛は、ミサイル発射の兆候を早期に察知してイージス艦などを展開させ、必要な期間、迎撃体制をとることを基本としてきました。これが基本だったんですね。こうした考え方のもと、政府としては、イージス艦八隻体制であれば、二隻程度は、一定期間にわたって継続して洋上でBMD任務を行い、我が国全域の防護が可能であると考えてきたところであります。

 他方、北朝鮮は、移動式発射台、TELによる実戦的な発射能力を向上させ、また、潜水艦発射型、SLBMを開発するなど、発射兆候を早期に把握することは困難になってきている。きのうも申し上げたんですが、このような状況の変化なども踏まえれば、今後は、二十四時間三百六十五日の常時継続的な体制を一年以上にわたり、長期にわたって維持することが必要であり、これまでの我が国の弾道ミサイル防衛のあり方そのものを見直す必要があると考えているわけであります。

 また、現状のイージス艦の体制において、長期間の洋上勤務が繰り返される乗組員の勤務環境は極めて厳しいものとなっています。これに対し、イージス・アショア二基の導入により、我が国全域を二十四時間三百六十五日、長期にわたり切れ目なく防護することが可能となり、また、隊員の負担も、これは大きく軽減されるわけであります。

 いわば、イージス艦であれば、洋上へ出ていれば、もちろんこれは二十四時間でありますが、シフトでありますが、しかし、シフトで休みになっていても、陸上で休みになっているのと違いますから、艦上にいるわけですよ。艦で起こるさまざまなことにも対応しなければいけないわけでありますし、生活環境は全然、これは狭い二人部屋等々の状況にもなっているわけであります。

 そこで、なお、イージス艦八隻体制のもとで二隻程度が洋上でBMD対応で展開するためには、イージス艦はほぼ……

野田委員長 総理、簡潔に御答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 はい。

 これは非常に、しかし、国民の命にかかわることで、それの予算は要らないと言われていますから、丁寧に説明をさせていただいています。

 洋上でBMD対応で展開するためには、イージス艦はほぼBMD任務に専従する形で運用せざるを得ないということでありまして、他方、そうした運用を行った場合、海洋の安全確保任務というイージス艦の本来の任務を実施することができず、また、そのための練度を維持するための訓練や乗組員の交代を十分に行うことができなくなる、こう考えているわけであります。

 我が国の周辺における警戒監視任務等の所要は大幅に増加をしています。イージス・アショアの導入により、イージス艦を本来の任務や訓練に充てられるようになり、我が国の対処力、抑止力を一層強化するものと考えております。

本多委員 今、総理はプラスになることをおっしゃったので、きのうそうおっしゃればいいんですよ。とっさに言われて、あった方がいいだろうとか、マイナスにはならないだろう、こういう言い方は、千二百億のものを二基買うときの議論として、総理の言葉の使い方を私は言っただけなので、長々と説明していただかなくて結構です。

 そのことについてはいろいろ反論がありますが、きょうは別の話をしたいと思います。

 総理、ちょうど一年前、総理はこの予算委員会でとんでもないことをおっしゃっているんですね。専守防衛は、純粋に防衛戦略として考えれば大変に厳しい、先に攻撃した方が圧倒的に有利、何かこういうことを勝手におっしゃって、日本が長年とってきた専守防衛についてこういうことを述べられているんですね。これは与党議員の質問ですから反論がなかったわけですけれども、私は非常におかしいと思ったんですけれども、総理、本当に、専守防衛というのは純粋に防衛戦略で考えたら圧倒的に不利なんですか。

安倍内閣総理大臣 昨日も、先ほど答弁させていただいたものをもう少し圧縮した答弁をさせていただいたにもかかわらず、更にまるでマイナスかのような質問をされましたから、それはマイナスではないということを非常に端的に申し上げたわけでありまして、同じ答弁をもう一度させていただいたら長くなって申しわけないなと思ったわけでございますが、今はフルで発言させていただいた、こういうことでございます。

 専守防衛は、憲法の精神にのっとった我が国防衛の基本原則であり、大前提であります。政府としては、今後ともこれを堅持していく、このことは繰り返し申し上げているところであります。

 昨年の予算委員会での私の答弁は、専守防衛は、純粋に防衛戦略として考えれば大変厳しいものである、それは、相手からの第一撃を事実上甘受することになりかねず、国土が戦場になりかねないものであるという現実を国民の皆様に理解いただきたいと申し上げたものであります。

 その上で、これは議事録をよく読んでいただければ明らかでございますが、専守防衛のもと、自衛隊員の安全を確保しつつ我が国防衛に万全を期すためには、自衛隊の装備の質的向上を図る必要があることを御説明したものであります。

 なお、何ら武力攻撃が発生していないにもかかわらず、いわゆる先制攻撃を行うことは、専守防衛に反するものであり、これは国際法上も許されないものと考えています。

 先制攻撃ができるよう憲法改正を目指しているという指摘をする人がいるんですが、これももちろん全く当たらないということでございます。

 いわば戦略として、これはこの厳しい状況の中での戦略であるけれども、その中において、やはり質的な向上を常に心がけていかなければならない、これを申し上げたわけでございます。

本多委員 私は、圧倒的に不利だとは思わないんですよ。

 総理、この百年間の戦争を見ても、例えば、第一次世界大戦、オーストリアが攻めて負けています。第二次世界大戦もドイツが攻めて負けています。太平洋戦争も日本が攻めて負けています。朝鮮戦争も北が攻めて負けています。ベトナム戦争もアメリカが攻撃をして負けています。湾岸戦争もクウェートがしかけて負けています。

 圧倒的に先に攻撃した方が有利なんですか。これは、私は事実として、いや、それは厳しいことはあると思いますよ、専守防衛というのはいろいろ。圧倒的に不利というのは撤回していただけないですか。

岩屋国務大臣 ただいまの総理の答弁は、やはり、現代の軍事技術が極めて進展をしていて、例えば精密誘導兵器というのは非常に命中精度が高い。一たび攻撃を受ければ、これを回避することは極めて困難という状況になっております。

 例えば、湾岸戦争のときは、使用された弾薬のわずか六%が精密誘導兵器でしたけれども、イラク戦争では六八%、それからリビア攻撃や昨年四月のシリア攻撃、これでは一〇〇%と言われております。

 そういう時代になった中で、やはり、先制攻撃を受ける、そしてそれに反撃をするという専守防衛という方針は、非常に厳しいものであるけれども、これをしっかりと守っていかなければならないというお考えを総理は述べられたものだと思います。

安倍内閣総理大臣 今、防衛大臣が述べたように、湾岸戦争からだけでも、あるいは二〇〇三年のイラク戦争からだけでも、相当これは大きな変化が出ているわけであります。いわば精密誘導弾であるということ、そして、その破壊力が極めて大きくなっているということ、生物化学兵器を持つ国が近隣にいるということ、その破壊力は相当の人命の損傷に及ぶということ等であります。

 そして、それらを阻止するということについて、これを、いわば第一撃を甘受するということについて、それはやはり相当の被害を受ける中においての対応をしていかなければならない、こういうことであります。

 また、サイバー攻撃においては、かなりこれは、サイバー攻撃を先に相手に受けた場合にはかなりの無力化が図られてしまうという現実があるわけでありまして、今までの戦史の評価についてはこれは歴史家に任せたい、こう思いますが、現実において、戦略としてもそうなんですが、いわば戦術においても、個々の場面において相当圧倒的な不利になるということが考えられるわけであります。

本多委員 別にそれは専守防衛だからではなくて、今の兵器の向上によって、一たび戦争が起こると大きな被害を受けるということであって、専守防衛だからそういうことが生じるのではないと私は思います。例えば、アメリカは専守防衛の国ではないです。いろいろな理由で外国で戦争していますけれども、強大な軍事力を持っていても九・一一テロのようなことをされているのも、一方で今の現実なんですよね。

 そういう中で、何か与党議員の質問だからといって、反論のないところで、圧倒的に不利とか、日本が沿っている政策についてイメージ操作みたいなことをするのは非常によくない。これは私もいろいろな議論があると思います。しかし、圧倒的に不利という言い方は明らかに間違っている、このことは指摘をしておきたいと思います。

 次に、総理の憲法に関する考え方について議論をしたいと思います。

 二階さんに質問されて、何かとうとうと憲法について本会議場で意見を述べていて、私もびっくりすることがいろいろありました。

 一番びっくりしたのは、例えば、憲法改正をしなきゃいけないという理由ですね、総理がおっしゃった。きょうの新聞にも結構出ているんですが。

 自衛官の募集は市町村の事務ですが、一部の自治体はその実施を拒否し、受験票の受理さえも行っていません。また、防衛大臣からの要請にもかかわらず、全体の六割以上の自治体から、自衛隊員募集に必要となる所要の協力が得られていません。

 これは事実ですか。

野田委員長 岩屋防衛大臣。

本多委員 ごめんなさい。総理の発言だから。

野田委員長 まず、その前に事実かどうかの確認をします。

岩屋国務大臣 六割の自治体から協力をしっかり得られていないということは事実でございます。

 私、きのう会見で説明をさせていただきましたが、その六割のうち三割の自治体は、閲覧はさせてくれているわけですが、本来は情報をしっかり紙媒体などの形で出していただきたい。四割の自治体はそのようにしていただいているわけですが。

 閲覧ですから、自衛官が物すごい労力を使ってそれを書き写すということをしているわけでございまして、ぜひ自衛隊法あるいはその施行令にのっとって自治体側には協力をしていただけるように、防衛省としても引き続き努力をしてまいりたいというふうに思っております。

安倍内閣総理大臣 ただいま岩屋大臣が答弁をいたしましたように、自衛隊員募集に対する自治体の協力については、防衛大臣からの要請にもかかわらず、全体の六割以上の自治体から隊員募集に必要となる所要の協力が得られていない状況であります。

 具体的に申し上げれば、自衛隊法九十七条により、「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」とされており、自衛官募集は、法律上自治体の事務とされています。これを受けて、自衛隊法施行令第百二十条により、防衛大臣は、自衛官の募集に関し必要であると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができると定められています。

 これらの規定に基づき、防衛大臣は、全ての都道府県知事及び市町村長に対し、自衛官募集に必要な氏名などの情報に関する資料の提出を求めていますが、全体の六割以上の自治体は、法令に基づく防衛大臣の求めに応じず、資料を提出していません。

 自衛隊は、これまで四万回を超える災害派遣を行い、助けを求める自治体があればいかなる自治体にも直ちに駆けつけ、献身的な働きを行っています。これに対して、募集に対する協力の現状はまことに残念と言わざるを得ません。

 憲法改正について、内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは差し控えさせていただきたい、こう思うところでございますが、そこで、今申し上げましたように、先ほど大臣から答弁をさせていただいたわけでございますが、これは、資料提出を受けられない自治体に対しては、自衛隊法令に基づく資料提出の求めとは別途、やむを得ず、住民基本台帳に基づいて閲覧の請求を行っているものと承知をしております。

 これは自衛隊ではなくて、いわば住民基本台帳に基づく閲覧は私人であっても要件を満たす場合にはできるわけでございまして、先ほど申し上げましたような形での要請に対しては拒否をされている中において、これは、住民基本台帳法に基づく閲覧は文字どおり見るだけでありまして、そこに見に行って、写しの交付は行われません。写しの交付は行われない中にあって、複写もできませんから、膨大な情報を自衛隊員が手書きで書き写しているということであります。

 これも含めて、きょうの報道は一部、そういう意味では私は誤りであろう、こう思うわけでございますよ。それも協力を得ているということで勘定されてしまっていますから、あの報道は誤りであります。

 その中において、今大臣から答弁をさせていただいたように、六割以上の自治体において協力を得られていないというのが真実、ファクトであります。

本多委員 ファクトじゃ全くないんですよ。

 まず、資料をお配りしていますけれども、紙媒体を皆さんの要請に応じ出しているのが、三六%の自治体がある。ここのところはいいですね。住民基本台帳、皆さん得られているんですよ。それは手間がかかるというだけなんですよ。総理は憲法改正の理由としてこれをおっしゃったんですよ。

 別に、自衛隊が憲法違反だからこうしているわけじゃないんですよ。自治体、これは自民党が応援している首長さんもたくさんいらっしゃいますよね、なぜ自民党も応援しているような首長さんがこれに協力しないかというと、法令に書いてないからなんですよ。

 受験票の受理とか、法定受託事務である、別紙につけてありますよね、「ものとする。」と書いてある法定受託事務については、これはほとんどの自治体が協力しているわけですよ。しかし、これは法定受託事務になっていないから、高校三年生の名簿を送ったらそれは住民からこれは個人情報の観点からどうだといろいろな声が来るので、法律に書いてないから、なかなか協力したくてもできないというのが本当なんじゃないんですか。だとしたら、憲法改正をするんじゃなくて、こういう法制度を、きちんと改めるところを改めればいいんじゃないですか。

 私は、そんなに強制的にやらす必要はない。今、住民基本台帳、この時代……(安倍内閣総理大臣「書き写しているんですよ」と呼ぶ)書き写しって、あなたたちも私たちに書き写しさせたじゃないですか、あの外国人実習生の。何を言っているんですか。

 それから、総理、今、人々は、みんな会社の社長さんの苦労は人の募集なんですよ。誰が高校三年生に全部、パンフレットを送らせてもらっているところはなかなかないんですよ。それは自衛隊も苦労されているのは、私、わかりますよ、募集に。しかし、消防だって警察だって民間企業だって大変なんですよ。住民基本台帳を見せているのも協力ですよ。それを協力しない六割に入れているって、おかしいじゃないですか。

岩屋国務大臣 自治体に要請しているのは防衛大臣でございますから、私の方から答えさせていただきたいと思いますが、自衛隊法第九十七条第一項によりまして、「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」と規定をしております。これを受けまして、自衛隊法施行令は、いかなる事務が自治体が行うものであるかを明らかにしているところであります。

 募集に関する事務のうち、自衛隊法施行令において、都道府県や市町村長は何々を行うものとすると規定しているのは、当該事務が自治体が行うものであることを明らかにしているものでございます。(本多委員「それはやっているじゃないですか。何を言っているんですか」と呼ぶ)いや、先生言われた……(本多委員「名簿の方ですよ」と呼ぶ)いやいや、名簿の方は……

野田委員長 そういうやりとりはやめてください。

岩屋国務大臣 それは提供していただいているのではなくて、先ほどもお答えしたとおり、閲覧をやむを得ずして、それを自衛隊員が写しているということでございますから、これは協力をいただいているということにはならないというふうに思っているところでございます。

本多委員 協力じゃないかもしれないですが、これは憲法を改正したらどうなるんですか。住民基本台帳は、自由に高校三年生の名簿を、政府は、防衛省は得ることができるんですか。

安倍内閣総理大臣 今、本多委員もとうとう協力していないかもしれないと……(本多委員「言っていません」と呼ぶ)今言ったよね。議事録を精査していただきたいと思いますが……(本多委員「あなた、内閣総理大臣でしょう。言っていません」と呼ぶ)総理大臣ですかというのは御質問ですか。

野田委員長 お互い、ルールにのっとって議論をしてください。お願いします。

安倍内閣総理大臣 はい。じゃ、質問に対して。

 ですから、今、いわば協力ということについては、協力していないかもしれないということははっきりとおっしゃったんです、今。(本多委員「おっしゃっていないですよ」と呼ぶ)いや、だったら後で議事録を訂正することをお勧めいたします。それはもう間違いない、こう思います。

 そこで、今、大臣から答弁をさせていただきました。いわば、自衛隊法第九十七条に……(本多委員「憲法を改正したらどうなるのかと聞いているんだよ」と呼ぶ)

野田委員長 本多さん、まず総理の答弁を聞いて、御質問ください。

安倍内閣総理大臣 委員長、ありがとうございます。

野田委員長 お願いですから、委員長の裁きに従っていただきたい、委員会が成立しませんから。御協力お願いします。

安倍内閣総理大臣 自衛隊法第九十七条により、「都道府県知事及び市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する事務の一部を行う。」とされており、自衛官募集は、法律上、自治体の事務とされています。これを受けて、自衛隊法施行令で、百二十条により、「防衛大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」と書いてあって、それに応じていただけるところはありますが、それに応じていただけないところについては、先ほど申し上げましたように、住民基本台帳法によって、自衛隊員が行って、それを書き写している。書き写しているということでありますから、これは当然、協力をしていただけない、こう考えるのが普通なんだろうと思います。

 そこで、憲法との関係において、私は憲法を変えれば直ちにということを申し上げているのではなくて、それによって、いわば、憲法学者の中において、自衛隊は違憲ではないと言い切る憲法学者というのは二割にしか満たない中において、そういう中でずっとある種の空気が醸成されてきたのは事実なんですよ。随分多くのいろいろな団体が自衛隊に対する協力について抗議運動を展開していたのは事実ですよ。さまざまな市町村議員においてもそういう議論をしてきたのも事実。

 そういう中において、いわば地方自治体においては、そういうところとのトラブルを避けるためにそういう対応をとっているということも十分に推測されるわけでございまして、私は、まさに自衛隊を憲法に明記するということによってそういう空気は大きく変わっていくと考えている、私の意見を申し上げたわけでございます。

 いずれにせよ、この場においては、私は内閣総理大臣として出席をしているところでございまして、これ以上この問題について更に深く議論をするということは差し控えた方がいいんだろう、こう思いますが、私の考え方を述べさせていただいたということと、実際に六割以上の地方自治体がこれは協力していただけていない、拒否されているということは、この場で、議論でより明確になったのではないか、このように考えております。

野田委員長 安倍総理に申し上げます。

 先ほど議事録訂正の件について総理から言及がありましたが、委員会として判断をいたす事項でありますので、注意申し上げておきます。

本多委員 今、学者の二割というのもよく総理は憲法改正のときに言うんですけれども、これは、学者の二割が、合憲だと言い切っている人が二割というデータは二〇一五年の朝日新聞の調査だと思うんですけれども、これは、集団的自衛権の解釈を閣議で変更した後ですよね。

安倍内閣総理大臣 それは、閣議で、集団的自衛権の法案の審議をしているときでありますから、その前年、急な御質問でございますが、記憶をたどれば、閣議決定をしたのは前年ということでございます。

本多委員 集団的自衛権なんか、というか加わったから、解釈が変更されたから自衛隊が違憲と言う人がふえているおそれがあるから、総理の憲法改正の理由にこの数字を使うのは不適切じゃないですか。

安倍内閣総理大臣 いや、その前からそういう状況はあるわけでございまして、そういう、恐らくあれも、これは平和安全法制とは全然かかわりがないわけでありまして、平和安全法制については、違憲かどうかという問いをそのまま立てています。

 それとは、平和安全法制への質問とこの憲法についてどうかという質問は別。いわば自衛隊そのものがどうかと。平和安全法制が、これはまだ成立をしていませんから、恐らく成立をする前だったと思いますよ。成立をする前でありますから、平和安全法制のもとでの、まあ、これは二〇一五年の七月十一日でございますから、これは平和安全法制が成立をする前で、いわばその前の憲法解釈については変更だったということだと思いますが。

 自衛隊については、憲法違反が五十人、憲法違反の可能性があるが二十七人の一方で、憲法違反に当たらないは二十八人、憲法違反に当たらない可能性があるは十三人であった、こういうことであります。

本多委員 自衛隊を違憲だと言っている学者は、いろいろな人がいるんですよ。自衛隊の量が大き過ぎるとか、こういうことを載せたから違憲だとか、いろいろな議論があるので、過去にデータがあると言うけれども、ないじゃないですか、こんなアンケート調査。あるんだったら出してくださいよ。

安倍内閣総理大臣 今急に出せと、急に今言われて、私がここに持っているわけがないじゃないですか。

本多委員 では、いずれ出していただきたいと思います。

 もう一つ、総理が憲法改正の理由としておっしゃっていることで非常におかしいなと思っていることが、いろいろな場面で言っていらっしゃるんですけれども、去年ですかね、下関の講演で、お父さん、憲法違反なのと言われて、自衛官の息子さんが涙を浮かべていたという話をよくされているんですけれども、これは実話なんですか。

安倍内閣総理大臣 これは実話であります。

本多委員 何県で、いつごろ聞かれた話ですか。どういう方から聞かれたんですか。

安倍内閣総理大臣 これは防衛省から聞いた話であります。

 今具体的に氏名を挙げるということは避けたいと思いますが、それ以上、もう少し詳しくは、お話を、急に今聞かれましたから、これは正確にお答えをしたいと思いますので、これについても、それは資料は、出せというのであれば、これについて資料を出させていただきます。

本多委員 私は、このエピソード、後で調べてください、私ね、実感と違うんですよ。

 私は、小学校、中学校と、ずっと自衛隊の駐屯地のそばで育ちまして、たくさん自衛官の息子さんがいて、こんな話が出たことがないんですよ。ですから、それが、私の小学校、中学校の時代ですらそうで、今こんな話なんか出ているという実感がないので、本当に総理にこんな話を投げたら、あったらそれ自体が、私はしっかりとその子供を説得しなきゃいけないですよ、そんなことないんだよ、お父さんの仕事は別に憲法違反なんかじゃないよと。そのことを私は説得しなきゃいけないと思っていますよ。

 ただ、実は私、総理に申し上げたいのは、今この一年間の国会で、自衛隊が憲法違反の疑いがあるとか憲法違反だということを、総理の思いは違うんだと思いますよ、ただ、そういうことを取り上げている政治家というのは誰だと思いますか。

安倍内閣総理大臣 先週、私、あれは戸越銀座に行ったときかな、党大会のときかな、その前に会った年配の女性から、私の息子は、安倍さんが憲法で自衛隊を明記してくれる、自衛官だけれども、本当にうれしく思っている、これで誇りに思えるようになった、こう言っています。私も自衛官の娘を持って本当にうれしく思っています、これはそう言われました。

 本多議員は、私が言ったことをうそだと言っているんでしょう、それ。それは非常に無礼な話ですよ。うそだと言っているんでしょう、あなたは。(本多委員「言っていないですよ、聞いているだけですよ」と呼ぶ)では、これは本当だったらどうするんですか、これ。(本多委員「根拠を教えてくださいよ、いつの話なんですか」と呼ぶ)これはあなた、本当だったら。うそだと言っているんだから、総理大臣に。

 じゃ、根拠を出したら、こんなに時間を使って……(発言する者あり)

野田委員長 お静かに。

安倍内閣総理大臣 私に対してうそだと言っているというのは、極めてひどい話だと思います。

本多委員 ちょっと委員長、議事録精査、私、うそと言いましたか。いつ、どこで聞いたんですかと聞いているんですよ。(発言する者あり)茂木大臣、静かにしてくださいよ。例え話なのか、実話なのかと聞いただけじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 だって、今、本多さんは、そんなことはないということを言っているわけですから、うそだということを前提に言っているわけであって、それは、事実上、私のこういう話を……(発言する者あり)

野田委員長 お静まりください。

安倍内閣総理大臣 そんなことを、私がうそを言うわけないじゃないですか。(発言する者あり)それで確認しろといって……

野田委員長 総理もやじに答えないようにしてください。

安倍内閣総理大臣 それで、確認しろといっても、氏名は出せませんよ、幾ら何でも。(発言する者あり)

野田委員長 お静かにしてください。

安倍内閣総理大臣 でも、事実上……

野田委員長 総理もやじに答えないようにしてください。

安倍内閣総理大臣 済みません。今、筆頭理事からの御指摘だったので、済みません、ちょっと反論させていただきましたが。(発言する者あり)

野田委員長 お静かに。

安倍内閣総理大臣 これは、いわば私がこういうことを、まるで、ないことを創造というか、政治的に利用するために作り話のようにつくったということについて、そういういわば前提で議論をしておられるわけですから、それは余りにも全面的に人格攻撃ではないか、こう思う。政策論というよりも人格攻撃ではないか、こう思ったわけであります。(発言する者あり)

野田委員長 静かに。お静かにしてください。

安倍内閣総理大臣 これは当然、事実でありますから、出せるというのは、いつ私が誰からどういう話を聞いたかということをしっかりとお話はさせていただきます。

本多委員 私は、政治家の話の中では、例えば、複数の農家の方から聞いた話を、こんなことを農家の方がおっしゃっていましたよというような話はあるんですよ。ただ、私の実感と違うので。

 そして、総理、そういう私が、懇談会での話じゃないんですよ、憲法を変えようという理由として、先ほども自治体が協力していないから変えるんだ、憲法を変えたら、じゃ、自治体はその名簿の話、今、別に実害は出ていない、ちょっと大変だけれども、私たち国会議員にもさせた。あなたたち、させたんですよ、私たちに書き写し作業。それと同じこと、現場の方は苦労されていると思いますよ。多少それは不便だと。しかし、変える必要はないじゃないですか、今、ちゃんと募集のパンフレットは高校三年生に送られているんだから。

 学者の話も、解釈改憲で憲法の解釈を勝手にねじ曲げた後だから、学者も、安保法制は反対だけれども自衛隊は合憲という方はいるんですよ。だけれども、それは加わっている可能性があるじゃないですか。

 そしてまた、こんな子供の情緒論。

 こういうことで憲法を改正するというのは非常におかしいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 以上です。

野田委員長 これにて本多さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志さん。

大串(博)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。

 きょうは統計の話を中心に議論させていただきたいと思いますが、私も、先ほどの話を聞いていて、総理の本多委員に対する、私がうそをついていると言っているんでしょうと決めつけみたいな言い方は、議事録を精査しますけれども、うそなんていう言葉を本多さんが使っていなかったら、総理、大変なことですよ。この場でうそつき呼ばわりを議員にするというのは大変なことですよ、総理。ぜひ、ここは注意していただきたいと思います。(発言する者あり)

野田委員長 お静かに。

大串(博)委員 ぜひ注意してください。(安倍内閣総理大臣「あなたに注意したい」と呼ぶ)何で私が注意されなきゃいけないんですか。(発言する者あり)

野田委員長 大臣席から、静かにしてください。

大串(博)委員 ぜひ、総理、ここは冷静に、ぜひ冷静にお願いしますね。うそつきなんという物騒な言葉を、うそつきなんて言っていないのに言うというのは、ちょっと私はどうかと思いますよ、総理の品格として。そのことは申し上げさせていただきたいと思います。

 統計の問題ですけれども、まず、きょうは統計委員長、お忙しいところ、来ていただきましてありがとうございます。

 まず最初に、この間問題になっております共通事業所系列と本系列のことでちょっと確認をさせていただきたいと思うんです。

 この件に関しては、政府の方でも考え方が示されていて、毎月勤労統計の調査による数字に関しては、賃金に関してですけれども、賃金水準は本系列を重視していく、賃金変化率は共通事業所による前年同月比を重視する、こういう考えが示されているわけですね。

 それで、きょう私、資料を配らせていただきましたけれども、この資料の一枚目なんですけれども、これは山井議員から借りて使わせていただいています。

 これは何をプロットしたものかというと、毎勤統計の中で出てきている名目賃金と、あと共通事業所系列の賃金の各月ごとをプロットしたものです。

 これを見てわかるように、二〇一八年六月は、もともと三・三と非常に高く毎勤統計で出ていたものが、サンプル、三倍補正をしていたことを明らかにし、修正したところ二・八に今下がった、こうなっているわけですね。一方、共通事業所系列では一・四%という対前年の同月比が出ている、こういうことなんですね。この数値、対前年同月比ですよね、対前年同月比。私、見ると、これはまさに賃金の変化率だと思うんですね。

 統計委員長に、私、確認的にお尋ねさせていただきたいんですけれども、このような賃金変化率を見るときには、このグラフでいいんですけれども、ここに全部、毎勤統計で出ている数字が出ていますから、このグラフの中で、二・八という数値と一・四という数値、賃金変化率を見るときにはどっちを見ればいいんでしょうか。統計委員長にお答えをお願いします。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 統計委員会では、先ほどからも御説明がありましたように、労働者全体の賃金の水準は本系列で、景気指標を見る場合には、前年上昇率を見るときには共通事業所系列ということを重視していくということが重要という見解を出しております。

 これは、共通事業所系列による賃金上昇率というのは、同じ事業所の賃金の変化ということで、人々のというか労働者の実感に合うという形で考えているためであります。したがって、標本交代やウエート変更による断層を回避できるということがあります。

 そういうメリットがあると同時に、共通事業所系列では、新設の事業所の影響が反映されていないとか、標本に偏りが生じてくる可能性があるということがありますし、それから標本数が少ないというために標本誤差が大きいということがあります。したがって、全体の平均賃金の変化を示すにはデメリットがあるということも明示しております。

 以上のことを踏まえて、これは、利用者が目的に応じて、本系列それから共通事業所系列の双方の系列を見て適切に判断するということが統計を見るためには重要だと考えております。

 以上です。

大串(博)委員 ありがとうございます。

 大変明快な説明をいただきましたけれども、そうすると、私たち、今、国会の中でも議論していて、私たちの賃金は前年と比べて上がったのかな、下がったのかな、何%上がったのか、下がったのかなと、変化率をやはりかなり、実額の水準というよりも、前年と比べて上がったのかな、下がったのかなというのをよく議論します、何%かな、何%下がったのかなと。

 この何%上がった、下がったということに関しては、先ほど西村統計委員長がおっしゃったいろいろな留意事項、留意事項があるということをおっしゃいました。それはよくわかります。留意事項があるということを留意した上で、前年と比べて何%上がった、下がったということを見ていく際には、共通事業所系列を重視していくということでよろしゅうございますでしょうか。

西村参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、共通事業所というのは、同じ事業所の中での賃金の変化ということですから、働いている人の感覚ですね。ということは、景気指標としては非常に重要であるということですが、それと同時に、全体としての平均賃金ということも考えなきゃいけませんので、それとを組み合わせる形で考えていただくというのがやはり正しい考え方だと思っています。

 そして、これは目的に応じてやはり考えていかなきゃいけないので、どういう目的に使うのかということでお考えいただきたいというふうに思います。

 以上です。

大串(博)委員 今おっしゃったように、いろいろな留意事項を考えながら、かつ、目的に応じてということでございました。先ほど話がありましたように、働いている方が賃金が上がったな、下がったなということの実感により近いのは、賃金変化率ということでございました。

 そこで、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、いろいろな留意事項があるということはわかります、労働者全体の賃金水準は本系列ということはよくわかりますが、世の中的にいうと、非常に端的に、実質賃金は上がっているのかな、下がっているのかな、名目賃金は上がっているのかな、下がっているのかなということを議論することがありますね。この非常に世の中の端的な、実質賃金は上がっているか、下がっているか、名目賃金は上がっているか、下がっているか、この端的な問いに答えるような統計というのは、今どれを見たらいいんでしょうか、政府の統計の中では。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 端的にというのは、まさに目的に応じてということですので、これに関して統計委員会として何か特定の数字に対してお墨つきを与えるということは適切ではないというふうに考えます。やはり、基本的に、どういう目的で、どういう形で使いたいのか、それをもって何を知りたいのかということに全面的に依存しますので、そういう形で統計を使っていただきたい。

 ただ、重要なのは統計の透明性を確保するということですので、基本的には、どういうやり方でそういう統計をつくったのか、これはどういう目的でそういう統計をつくっているのかということは、どんな場合でも明確に説明していただくようにしなきゃいけないというふうに考えております。

大串(博)委員 ちょっと私、非常に困った立場にいるんですね。予算を審議していくときに、私も国民の皆さんからよく聞かれるんですよ、景気いいの、悪いの、賃金上がっているの、下がっているのと。非常に大きな要素なんですね。それに対して、端的に国民の皆さんの声に答える、その数字はどこを見たらいいでしょうかということを問うと、今のように、まあ、統計委員長の立場からはそうだと思うんですけれども、はっきりした答えは出てこない。これが今の政府の状況ではないでしょうか。

 賃金が上がっているか、下がっているか、国民の皆さんの端的な質問に真っすぐ答えられない、こういう状況になっていることが、私、今の統計の、特に毎勤統計に関する大きな論点だと思うんですね。ここを明らかにする責任は政府側にあると思うんですよ。

 そこで、この間、根本大臣にもこの辺を聞きました。根本大臣からはいろいろな話があって、いわゆる共通事業所系列の名目の賃金の伸び縮みを、実質賃金として、ないのかという話を聞いたときには、期間が短いとか、先ほどおっしゃった、標本数が少ないから標準誤差が大きくなるとか、あるいは比較的新しい統計だから積み重ねがないとか、こういったことが言われて、いろいろ検討しなきゃならぬことがあるから検討に時間を要していますという根本大臣からの話があったんです。

 統計委員長にもう一回お尋ねしたいんですけれども、このサンプル数が少ない、標本数が少なくて標準誤差が大きくなるとか、あるいは比較的新しい統計なのでまだ定着していないというんですか、新しいんだというような問題は、今出されている名目値の共通事業所系列の数字にも同じ問題が当てはまるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 統計は、どのようなものでも完全な統計というのはございませんので、したがいまして、今までの統計に関しても同じような問題が程度の差ではあるということは確かです。ただし、その程度をどういうふうに評価するかということは、やはり目的に応じて、そして、それぞれの政策なりなんなりの状況に応じて判断されることだというふうに考えています。

 したがって、実質賃金というのは、もともと、毎月勤労統計から集計されている名目データの原データから加工されたデータの分析データという形になりますので、統計委員会としては、これは審議の対象にするものということは位置づけられていないというふうに認識しております。

大串(博)委員 実質賃金に関しては、だから厚労省で出していただかなきゃならないんですけれども、先ほど言われたように、サンプル数が少ないとか、共通事業所系列は新しい統計なのでということは、既に政府の文書の中で、総務省と厚生労働省が出した文書の中で、名目の共通事業所系列の値に関してそういう、ある意味デメリットというか、留意点があるということを書かれているんですね。

 ですから、実質化するときの論点ではないんですよ。それをとうとうと根本大臣が、実質化するときにはこういう問題があるとおっしゃるものだから、本当に問題をよく理解されているのかなという気がするんですね。

 根本大臣にお尋ねしますけれども、先週、専門家にいろいろな意見を聞きながら検討を進めているというふうにおっしゃいました。先ほど、でも、自民党の方の質疑を聞いて、これから専門家の方々と検討を始めていくとおっしゃったんですね。あれっ、答弁が変わっちゃったのかなと私は思いました。

 ちょっとお尋ねしますけれども、国会で答弁されている以上は、私が質疑したこの間より前に専門家とも検討を始めていらっしゃったんだと思いますけれども、これは、レク、通告もきちんとしていますから、ぜひお答えください。いつごろから、名前は言わなくていいです、何名ぐらいの専門家の方々とどのような形で検討を進めていらっしゃったのでしょうか。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問でございますけれども、統計に関する専門家の御意見を厚生労働省で伺っているところでございますけれども、相手があることでございますので、具体的な名前を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

大串(博)委員 ちょっと、次、質問に答えられなかったら、私はもう質問できません。

 私が聞いているのは、名前なんて聞いていないんです。いつから、何人の方々に聞いているんですかということを聞いているんです。これを私はベースに質問を組み立てていますので、これは答えがなかったら私は質問できませんから、お願いします。

野田委員長 藤澤政策統括官、今の質問に答えてください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 藤澤統括官。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでのところ、三名の方にお話を伺っておりますが、それ以外にも聞いていく予定というふうに承知をしてございます。(大串(博)委員「いつから」と呼ぶ)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省藤澤政策統括官。

藤澤政府参考人 ことしになりましてから、一月以降でございます。

大串(博)委員 一月以降というのはいつですか。厳格に。私、きのう、質問レクも、質問通告もしていますから、何月何日から始めたかというのをお答えください。

藤澤政府参考人 一月以降でございますけれども、それ以上のことは確認をしたいと思います。(発言する者あり)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 藤澤政策統括官。

藤澤政府参考人 いつ三名の方から聞いたかということでございますけれども、現在確認をしているところでございます。(発言する者あり)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省藤澤政策統括官。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 専門家の意見を聞いたのがいつかということでございますけれども、先ほど、一月以降というふうに御答弁を申し上げましたが、一月以降、三名の方から意見を聞いたというふうに申し上げましたけれども、二月二日にお一人、それから二月の四日にお二人でございます。(発言する者あり)

 先ほど、一月以降というふうに申し上げましたので、二月二日にお一人、二月四日にお二人でございます。

野田委員長 お静かに。静粛にしてください。

大串(博)委員 それでは、これも質問レクをしていますので、お答えください。

 その検討の場には、誰がどういう形で検討をお願いしたんでしょうか。もし会っていないのであれば、紙で投げたのなら紙を出してくださいとも私、レクしています。会ったのなら、どういう話の相談をしたのかというのも教えてくださいというのを、きのう私、レクしています。

 二月二日はどのような話で、二月四日はどのような話で、どこでやったんですか。どこでというのも質問レクしています。担当は誰がやったのかということも、これは質問レクしています。お答えください。

藤澤政府参考人 これは、相手の方に対しまして電話などで、統計的な観点、あるいはその統計を活用する側の観点などをヒアリングをさせていただいたものでございます。

大串(博)委員 電話などでと言われましたけれども、直接、役所等々で会ったことはあるんですか。

藤澤政府参考人 三名の方とは直接お会いはしてございませんで、電話などでお話を伺っております。

大串(博)委員 さっき、私、質問していますけれども、誰がその電話の質問をしたんですか。

藤澤政府参考人 それは、私のところの職員がヒアリングをしてございます。

大串(博)委員 電話などと言われましたけれども、電話ですか、メールですか、メールも含みますか。

 メールも含むんだったらメールも出してくださいと言っておりますので、メールでやったんだったらメールの項目も教えてくださいというふうに言っていますので、電話かメールか、メールなんだったらメールでどういう項目を聞いているのか、電話の場合もどういう項目を聞いているのか、お答えください。

藤澤政府参考人 申しわけございません。

 今のところは、電話などとしか確認ができないところでございます。

大串(博)委員 電話だけですか。本当に電話だけですか。明確にお答えください。本当に電話だけですか。

藤澤政府参考人 これは、電話とメールで、三名の方からヒアリングをしてございます。

大串(博)委員 レクしていますのでお答えください。メールの中に書かれていた項目はどういう項目ですか。質問内容、これも聞きましたので、お答えください。

藤澤政府参考人 統計の専門家の方に御意見を伺ったわけでございますけれども、その相手方の、相手様方との関係で、どういう項目を伺ったかということについては答弁を控えさせていただきます。

大串(博)委員 相手方との関係で、この共通事業所系列の数字を実質化できないかという問いの項目を、どういう項目を相手に投げたかというのを、相手方の関係で開示できないというのは、世の中通りませんよ。

 与党の皆さんからもちょっとあきれた声が出ていると私は思うんですけれども、お答えください。(発言する者あり)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省藤澤政策統括官。

藤澤政府参考人 専門家の方にヒアリングをした項目でございますけれども、具体的には毎月勤労統計の共通事業所の数値の実質化についてでございまして、具体的には、総務省と厚生労働省の「毎月勤労統計調査の賃金系列について」という資料がございますけれども、それについての御意見を伺ったところでございます。

大串(博)委員 今、二月二日と四日とお答えになりましたけれども、議事録を精査しますけれども、国会の中でこれは随分議論になっていて、国会が冒頭から、代表質問に対する答え、総理の答えの中で、既に、実質賃金として出せるか検討していますと。これは議事録を精査しますけれども、専門家の意見も踏まえて検討していますというふうな答弁をされていたんじゃないかと思うんですよ。二日と四日ということだとすると、その答弁は虚偽だったということになりますから、ちょっとここはよく私は精査させていただきたいと思います。

 要するに、先ほど大臣は、これから専門家の意見も聞きますと言われたので、何だと。私、この実質賃金を出してくださいという極めて重大な問題を、何だこれからやるのかと。これまで繰り返し繰り返し国会で、あれだけ、検討しています、検討していますと時間稼ぎをしておきながら、これから検討するのかと。

 とどのつまり、聞いてみたら、専門家に聞いているのは、電話、メール、二日と四日に結局三人だけ。まともな調査をやっているとはとても思えない。実質賃金を、マイナスであるという結果が出るのを見せたくないがために時間稼ぎしているんじゃないですか。大臣、いかがですか。

根本国務大臣 時間稼ぎをしていることは毛頭ありません。これは統計ですよ、いやしくも。これを……(発言する者あり)いやいや、統計は本当に大事なんですよ。統計は本当に大事。

野田委員長 静かにしてください。

根本国務大臣 そして、共通事業所は、先ほど委員長も答弁されたけれども、本当に月々の振れを見るから、だから共通事業所ということで持っている。

 それを実質化するということは、どういうことを意味するのか。物価変動を除くというのが実質化ということですから、これは全体を経年的に見るということだから、指数化して見るということなんですよ。その指数化になじむのか。

 私もいろいろ個人的にも勉強しましたけれども、本当にこれは実質化して指数化になじむのだろうか。私も個人的に統計の専門家からは聞きましたよ。でも、それは、この場で名前は言うわけにはいきません、相手もあるから。

 ただ、これは、比較的、極めて専門的統計の話だから、だから専門家に電話でだって私はヒアリングできると思いますよ、問題が明らかだから。しかも、政策の問題ではない、統計の問題だから。だから、これは専門家に聞けば、私は、電話だってわかりますよ。

 だから、私もそういうものを聞いた上で、だから、実質化あるいは指数化に伴う課題、問題点、これは私もるる説明してまいりました。これをクリアする必要がある。だから、専門家に集まっていただいて、そして、きちんと議論してもらおうということで、専門家の会合を立ち上げたということであります。

大串(博)委員 大臣も専門家に話を聞かれましたということをおっしゃいました。

 そうすると、さっきとまた更につじつまが合わないんですよね。二日に一人、四日に二人、藤澤さんは、私の下の人間が聞いたと言った。それと大臣はまた矛盾することをおっしゃっているんですよ。ちょっとわけわからないなと思いますが。

 樋口理事長にお尋ねしますが、この件に関して相談を受けた有識者というのは、樋口理事長ではありませんか。

樋口参考人 お答えします。

 事務当局から今お話しのことについて電話がありましたが、私は、御存じのとおり、今、特別監察委員会の委員長をやっておりまして、とても忙しくて、そういったものには答えられないというふうに申し上げました。

大串(博)委員 これでわかりましたね。事務方が意見を求めたお一人は樋口委員長だったんですよ。

 これは皆さん、おかしいと思いませんか。樋口理事長の今の対応は正しいと思いますよ。第三者委員会をヘッドとして今率いていらっしゃる。とても忙しいと思います。とても答えられない、だと思いますよ。

 それよりも問題なのは、厚生労働省の事務方が、この問題に関して、第三者委員会、特別監察委員会のヘッドをやっている樋口委員長に対して、まさに論争のポイントである実質賃金を出すかどうか、このことを樋口委員長に聞いているということですよ。まさに、厚生労働省の事務方と樋口委員長が一体化していることは、これで明らかじゃないですか。

 だから、私言っているんですよ。樋口委員長のもとで特別監察委員会を開く、これは第三者性が十分確保できないんじゃないですかと最初から申し上げているんです。この点は指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 さらに、ちょっと一つまた統計委員長に質問させていただきますけれども、私、一番よくわからないのが、去年の一月に向けて、三倍補正をこっそり行ってしまったことなんですね。それを政策統括官と室長のもとでやっていた。室長は、名前はもう出てきていますけれども、石原さんという方ですね。政策統括官は酒光さんですね。

 この報告書によると、室長は、三倍補正してもそんなに大きな影響がないと思うから三倍補正したことを外に出さなかった、こういうふうに言った。報告書によると、政策統括官は、この説明を受けたけれども、しかるべく公表しろと言って、後、フォローアップしなかった。この経緯がどうも解せないんですよ。何でこうなったのか。

 先ほど菅官房長官はおっしゃいました。この前にあった厚生労働省における毎月勤労統計の厚生労働省内の検討会でこういう議論をしているということは、総理の秘書官の耳にも入っている。これは、総理御関心事項だったんじゃないですか。

 私も役所に勤めていました。だから、総理の秘書官に情報が入るというのは、いわゆる総理御関心事項というんですよ、役所では。総理御関心事項しかやはり上げないんです、だって秘書官も忙しいから。その秘書官に情報が入っているというのは、総理が、毎月勤労統計を、サンプル入れかえするたびに賃金の数字が下がるということに関心を持っていたということじゃないかなと私は思うんですよね。

 この点に関して、更に統計委員長にお聞かせいただきたいと思いますけれども、去年に、三倍補正して、それを外に言わないということは、私、ちょっと考えづらいんですよね。かつ、三倍補正しないとローテーションサンプリングがうまく機能しないからそうしたんだ、三倍補正をしたんだというふうに室長さんはおっしゃっているんですけれども、そういうものなんでしょうか。

 まず一つに、三倍補正というのはそんなに影響が小さい、統計学的にですよ、小さいものなんでしょうか。

西村参考人 お答え申し上げます。

 影響が大きいか小さいかというのは具体的なデータを見なきゃわかりませんので、結果的に見ると大きな影響の結果が出たということは間違いないです。それが累積したということが非常に大きな問題であるという形になります。

大串(博)委員 統計委員長、もう一つお尋ねさせていただきたいんですけれども、当時の室長は、ローテーションサンプリングがうまく機能しないだろうから三倍補正をあわせて行うことにしたというふうに言われているんですね。私は、これはどうも統計的に理解できないんですよ。三倍補正を行わないとローテーションサンプリングというのはうまく機能しないものなんでしょうか。

西村参考人 関係ありません。

大串(博)委員 そういうことなんですよ。

 だから、報告書の中に書かれている、当時の室長石原さんが、ローテーションサンプリングがうまく機能しなくなるといけないから三倍補正を行った、この説明はどうも腑に落ちない。

 だから、一番の今の論点は、去年の一月になぜ突然三倍補正をし出したか。それによって賃金の数字が高く出たわけですけれどもね。これは、いろいろな議論の中で、かなり無理してやったんじゃないかという疑念が拭い切れないわけですよね。

 だから、私は、ぜひ、この間のこととして、当時の酒光政策統括官と石原室長、特に石原室長は現職でいらっしゃいますから、現職の、厚生労働省内で働いていらっしゃいますので、ぜひこの委員会に来ていただいて、経緯を説明していただきたいと思います。そうでないと、この実質、解明は図れないと思います。

 ぜひ、委員長、よろしくお願いします。

野田委員長 この件につきまして、後刻、理事会にて協議をいたします。

大串(博)委員 先ほどの、総理の秘書官の方が、厚生労働省の中で、毎回毎回サンプリングを入れかえるたびに賃金が低く出る、この問題をどうにかしなきゃいかぬのかなということで厚生労働省内で議論が始まった、そのことに関して、先ほど菅長官の答弁によると厚労省から総理秘書官に連絡が行っていると。これは、総理が秘書官に、これに関心があるんだということを、明示的にか、何がしかの機会で伝えないと、総理秘書官はそんなの聞かないと思うんですよ。

 総理は、このことに関して、なぜ毎月勤労統計はサンプリングを入れかえるたびに段差が低く、つまり賃金が低く出るのかといった関心を示したことがあったんじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 これは、今ここで議論していた三倍補正とは全然かかわりがない、別の話でありますから。

 三倍補正につきましては、昨年十二月の二十八日に、厚生労働省から秘書官を通じて、事案の概要と考えられる影響について報告を受け、私としては、その見きわめが必要と判断し、しっかりと事案を精査するように指示をしたところでございます。ほかの方が混同されるといけないので、ちょっと整理をさせていただいているところでございますが。

 そこで、先ほど菅官房長官から答弁があったわけでございますが、もちろん私から、そのような、勤労統計についてどうなっているんだという指示をしたことは、これは全くございません。毎月毎月、私、勤労統計を聞いているわけでもないんですから。

 この年、二〇一五年ですよね、二〇一五年は何があったかというと、平和安全法制ですから、私、千問、質問を受けているんですよ。最大の関心、これ以外は持ってこないでという状況ですから。そこで、何か統計でサンプルを入れかえるどうのこうのと、私がそんな関心を示すわけがないじゃないですか。そんなこと、根本的に知りませんから、問題として。

 なお、この毎勤統計のサンプルがえの影響については、平成二十七年の九月に賃金について国会で御質問を受け、その答弁を準備する際に、調査対象事業所の入れかえの影響があった旨の説明を受けた際に認識をしたということでございます。

 その上で、官房長官から答弁したとおり、当時の私の秘書官が厚生労働省の担当者からサンプルがえの状況等について説明を受けた際のやりとりの中で、サンプル入れかえによって過去にさかのぼって数値が大幅に変わってしまう理由や、専門家の意見を聞くなど、実態を適切にあらわすための改善の可能性などについて問題意識を伝えたことがあったとのことでありました。

 いずれにいたしましても、毎月勤労統計の調査方法の見直しについては、統計委員会を始めとする専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものである、こう承知をしているわけでございまして、秘書官というのは、常に担当している省庁からさまざまな報告を受けているわけでございまして、私がこれが関心があると言ったらそればかり持ってくるということではもちろんなくて、それでなければ私の秘書官は務まらないということでございます。

大串(博)委員 今、重要な答弁でしたね。

 秘書官の方が、厚生労働省の方から、一五年、毎月勤労統計のサンプルがえの影響に関する調査を始めているんだという話を聞いたときに、関心がある旨、秘書官から伝えているということですよね。(安倍内閣総理大臣「秘書官が」と呼ぶ)秘書官が伝えているということですよね。秘書官は勝手にこれに関心があるんだなんて伝えませんから、普通は。総理がやはり関心があるからということだと私は思うんですよね。

 私、なぜこれを不思議に思ったかというと、総理は森羅万象を担当されていますから、とても統計の一つ一つの技術的なことに関して関心を持てると思わなかった。ましていわんや、総理秘書官もそうですよ。その総理秘書官が、この二〇一五年の六月から始まっている厚労省の検討会のことを報告に来させている。これは、役所には影響を与えますよ。そんたくかもしれない。

 だって、ここの間、森友にしても、加計学園にしても、そんたくかもしれない、指示があったかもしれない、その中で、公文書の改ざんまでやられているじゃないですか。その中で、人が亡くなったりもしているんですよ。それだけ大きな影響を安倍総理は与えているんですよ。

 その影響の一環として、この毎勤統計にも、見直しに関して大きな力が働いていた。否定できないじゃないですか。だから上振れしたんじゃないかと私は思いますよ。

 私は、そのことを申し上げながら、反論があったら、ぜひ、総理、お聞きしたいと思いますけれども、私は、この流れは大きくあると思います。だって、総理秘書官が聞くというのはそんな簡単なことじゃないですよ、総理秘書官も忙しいから。いかがですか、総理。

安倍内閣総理大臣 このいわば上振れというのは、三倍復元とは基本的にかかわりのない話だということは最初に申し上げていたとおりでありますし、では、復元したのがいけなかったのかということにもなってしまいます、今の議論をしていくと。

 厚労省の検討会は、毎勤統計のサンプルがえの影響が大きいことなどについて統計ユーザーや専門家の間から指摘がなされていたことを踏まえ、労働省の判断によって設置されたものと承知をしています。

 なお、先ほど申し上げましたように、私自身はそうした動きについては知りませんでした。しかし、知りませんでしたが、サンプルがえによって大きく統計数値が変わることに対して、その理由を尋ねる、これは、ただ聞くだけというよりも、それは当然、そこでやりとりがあるのは当然じゃないですか。ただぼうっと聞いているということはないと思いますよ、それは。

 なお、サンプルがえによって大きく統計数値が変わることに対し、その理由を尋ねたり、これはどうしてと理由を尋ねますよね、普通。そうすると、専門家の意見も聞いてみたらどうなの、こういう大きな変化があることについてとの当時の秘書官の反応は、私は、至極当然のことだ、こう思うわけでございまして、そこで、例えば、アベノミクスに都合のよくなるようにどうのこうのなんということを一々考えませんよ。だって、実際もういいんですから、経済の状況は。

 あらゆる数値がいい方向を示している中において、事実、私は一回も、毎月勤労統計を使ってアベノミクスの成果を誇ったことはないですよ。そういうことを言われたことに対して、総雇用者所得という形で答えたことはありますよ。普通、私はその数値は使いません。その数値のみを使ってアベノミクスの成果を誇ったことはない、こういうことであります。

 いずれにせよ、最終的な調査方法の見直しについては、その後の統計委員会を始めとする専門家の検討を経て、統計的な観点から行われたものであるということを承知しております。

大串(博)委員 これで終わりますけれども、当時、第一回の毎月勤労統計の検討会、部長さんはこう言っているんですよね。実質賃金の動きが世の中的に大きな注目を浴びておりますと、わざわざこう銘打って、第一回の毎月勤労統計改善に関する検討会、部長さんが始めているんですよ。しかも、当時は、円安の影響で物価が上がって実質賃金が伸び悩んでいた時期なんです。非常に気にされていたと思いますよ。

 この点から、更に質疑を深めさせていただきたいと思います。ぜひ、参考人等々、真相解明のためによろしくお願い申し上げて、質疑を終わります。ありがとうございました。

野田委員長 これにて大串さんの質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史さん。

川内委員 ありがとうございます。私の時間が残り少しありますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 西村委員長が午前中だけだということなので、毎月勤労統計について、平成三十年の一月に調査方法が違法に変更された後、確報値が発表される、四月ですね、平成三十年四月。この毎月勤労統計について、西村委員長が厚生労働省から、この調査方法の変更に伴って、監察委員会の報告書では八月、九月に議論しているということになっているんですが、それだけなのか。それ以前に厚労省から報告を受けていらっしゃったのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

西村参考人 お答えいたします。

 この件に関しては、統計委員会は、厚生労働省と長い間やりとりをしております。したがって、内容についてのさまざまなやりとりというのは、当然のことながらあります。

 しかし、それは、全て書かれた、全てまず承認を得たものを前提として我々はやっているわけですね。したがいまして、統計委員会は、基本的に、各省が誠実に本当のことを説明するということを前提にやります。つまり、当たり前ですけれども、性善説に立つわけです。したがいまして、さまざまなやりとりの中で我々がいろいろお話をお聞きする、そういうこともそれを前提としてやります。

 したがって、そういう中でどういう問題が起こるかということを見ていくという形になります。

川内委員 平成三十年の一月に調査方法が変更になった後、毎月勤労統計について厚労省から説明を受けていると思うが、いつ受けましたかと聞いたんです。

西村参考人 正確に申し上げますと、四月のときです。

川内委員 それは誰から受けましたか。

西村参考人 それは、四月の時期ですから、厚生労働省のそのときの担当者の方ですね、正確に名前を覚えておりませんが。

川内委員 四月に受けているわけですが、そのときは、五百人規模以上の事業所は全数調査であるということを、毎月勤労統計について、西村委員長御自身が御存じでしたか。

西村参考人 それは、五百人以上は全数であるということは、当然のことながら知っていた、知っているというか信じていたわけです。

川内委員 厚労省から、五百人規模以上は全数調査は、調査方法の変更はあったけれども変わっていないんですよという御報告はありましたか、そのとき。

西村参考人 余りにも当然なので、そういうような議論というのはありませんでした。

川内委員 厚労省は、四月と八月と二回、西村委員長をだましているわけですよね。全数調査していないにもかかわらず、全数調査をしているかのごとくに説明を続けていた。

 実は、酒光さんが最近話題になっているんですけれども、特別監察委員会の報告書には、酒光さんは知っていたわけですね、政策統括官、ずるしているということを。でも、しかるべき手続を踏んで修正するべきだと室長に指示した、こう書いてあります。

 しかるべき手続を踏んで修正するべきとは、きちんと公表してもとに戻そうねということを指示したのかということを酒光さんに聞いてくださいとお伝えしてあるんですけれども、聞いていただいたでしょうか。お答えいただきたいと思います。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からそのような要請があったということを承っておりますが、現在、特別監察委員会において、統計の専門家、弁護士等の外部有識者による中立的、客観的な立場から、本件については更に厳正に調査を進めていただいているところでございまして、個別に問い合わせる等は差し控えたいと考えているところでございます。

川内委員 酒光さんを参考人として要求をしたいというふうに思います。

野田委員長 後刻、理事会で協議いたします。

川内委員 あと、済みません、野地さんも非常に重要な役回りを演じていたんですけれども、野地さんも参考人要求をしたいと思います。

野田委員長 あわせて、後刻、理事会で協議いたします。

川内委員 せっかくですから西村さんにも。

 西村さんが十二月十三日に、これは重大な問題だと指摘したのか、これは統計法に違反するよというふうに指摘したのか、どっちか、お答えいただきたいと思います。

西村参考人 この点については、実は録音も残っていないのでわからないんですが、法令違反という言葉を使ったかどうかは記憶にないんですね。

 しかし、重大なことである。したがって、政府の中で……(川内委員「わかりました」と呼ぶ)はい、どうも済みません。

川内委員 西村委員長も大変お気を使っていらっしゃるんだと思いますが。

 大西さん、その指摘を受けて、これは大変なことだと、官房長らに電話なりですぐ報告しませんでしたか、あなた。五日間、何か黙っていたみたいなんですけれども。報告ぐらいはすると思いますけれども。最後、お答えいただきたいと思います。

大西参考人 お答え申し上げます。

 十二月十三日に、官房幹部には電話はしておりません。その後、十八日までの間にも電話はしていない、そういう記憶をしておるところでございます。

川内委員 また続き、午後にやりますので。

 終わります。

野田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十九分開議

野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 三案審査の参考に資するため、来る十九日火曜日、長野県及び北海道に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 質疑を続行いたします。川内博史さん。

川内委員 午前中に引き続き質疑をさせていただきます。

 午前中の続きを少しさせていただいた後、総理に辺野古について聞かせていただきたいと思っています。

 まず、統計委員会の事務局が、五百人規模以上の事業所についてデータがおかしいねということに気づいたのは平成三十年の何月何日か。十二月十三日に西村委員長が大西政策統括官に、これは重大な問題だと指摘するわけですけれども、その前に、事務局で何月何日に気づいたのかということを教えていただきたいと思います。

石田国務大臣 お答えをいたします。

 平成三十年一月分の結果の公表は、平成三十年四月に行われました。そして、平成三十年四月十六日に、ローテーションサンプリングを導入しても断層が小さくならなかったことが判明をいたしました。このため、この断層の要因について、まずは、従業員規模別などの細かい分析ではなく、全体的な視点からの分析等を西村委員長から厚生労働省に求めたが、厚生労働省の対応には時間がかかった。

 そこで、平成三十年七月の十二日に厚生労働省から統計委員会の部会に中間的な報告があり、その後、八月二十八日に統計委員会に報告がございました。委員の指摘を踏まえた追加の資料が、九月二十八日の統計委員会に提示をされております。

 その後、平成三十年十月以降、その報告を受けて、統計委員会の事務局職員が、断層縮小に向けた検討のため、詳細な分析に着手をいたしました。そして、平成三十年十二月上旬に、その一環として従業員規模別に断層を確認したところ、本来ほとんど断層が生じない全数調査である七百人以上の事業所に……(発言する者あり)ごめんなさい、失礼しました、全数調査である五百人以上の事業所に断層が生じていることに統計委員会事務局が気づいたわけであります。

 その内容を委員長に報告の上、委員長の指示に沿って、十二月十日に、従業員規模別の断層データを示して、その理由を厚生労働省に照会したわけであります。

 その後、平成三十年十二月十三日の委員長と事務局、厚生労働省の打合せの場において回答を求めていたところ、本来全数調査である五百人以上の事業所のうち、東京都分については抽出調査にしていること、神奈川、愛知、大阪府にも抽出調査を拡大する予定であるとの発言が厚生労働省からあったため、委員長から重大な問題ではないかとの趣旨の発言があり、事務局から、統計法に基づき承認した調査計画に即していない旨指摘するとともに、詳細な情報を提供するよう求めたと承知いたしております。

川内委員 それで、十二月十三日の会合になるわけですけれども、十二月十日に厚労省に対して指摘をした、十二月十三日、重大な問題だねと先ほど、西村委員長が大西政策統括官にお伝えになられたわけですけれども、重大な問題だと言われて、先ほど最後に聞いたんですけれども、大西政策統括官は、十二月十三日から十八日までの間、官房幹部の誰とも連絡をとらなかったんですか。何にも連絡しなかったんですか。電話なりメールなりその他の電子的なメッセージなり、何にも連絡をとらなかったのか、それとも何らかの形で報告をしたのか、連絡をとったのかということをもう一度答えてください。

大西参考人 私と参事官が手分けして、官房幹部に初めて一報を入れたのは十八日でございます。

川内委員 だから、それは会合をしたわけですよね。十二月十三日から十八日までの間、電話なりメールなりその他の方法なり、全く、重大な問題だと法令違反を指摘されて、何にもしなかったんですか。何にも報告していないと。電話で、こんなことを指摘されたので、私も知らなかったんですわとか、何にも言わなかったということですか。

大西参考人 記憶によりますと、私は、十三日から十七日までの間でございますが、電話、メール等はしておらなかったと思います。

川内委員 おらなかったと思いますとは、どういうことなんですかね。

 では、誰にも話していないと。官房幹部じゃなくてもいいですわ、誰かに話をした、誰かに伝えたということはないですか。

大西参考人 官房幹部にはお話をしていないということでございますが、部内ではもちろん、調べるようにというようなことはしておりました。そういうことでございます。

川内委員 いや、それ以外の人にはということですけれども。

大西参考人 記憶の限りでは、特段お話はしておらなかったということでございます。

川内委員 恐るべき危機管理ですけれども。

 それでは、十九日の会合で官房幹部に大西さん御自身が説明をされている、資料を持って説明をしたと、この前、私の質問に対して御答弁されました。その資料の中に、雇用保険あるいは労災給付の算定の基礎となっている、毎月勤労統計とはそういう統計であるという説明資料が入っていましたか。

大西参考人 これも記憶の限りでございますが、そういう雇用保険とか労災保険のことについては、手持ちの資料の中には入っていなかったというぐあいに記憶しております。

川内委員 どんな資料を持っていらっしゃったのか、この資料の提出を委員会に求めます。そのとき説明した資料の提出を委員会に求めたいと思いますが、委員長、お諮りください。

野田委員長 この件につきましては、後刻、理事会にて協議をいたします。

川内委員 十二月十三日から十八日の間、大西さん、あなたは何をしていたんですか。何をしていたんですか、ちょっと教えてください。私、こんなことをしていたんですよということを教えてください。

大西参考人 十四日の日には、三府県に抽出調査をするという予定であるというお話があるので、それを取り消すように指示をするとともに、担当室に、抽出調査と復元をしていなかったということについて、いつから、どのような取扱いで行っていたかということについて調べるという、そういった指示を出していたというぐあいに記憶しております。

川内委員 十五、十六が土日ですから、十七日は何をしていましたか。あるいは、土日に何をしていましたか。

大西参考人 十七日、十八日にかけて、どういう状況になっているのかというのを聞いていた、あるいは、引き続き調査をするようにということでございました。

 ただ、ちょっと記憶では、残念ながら、まだ十八日の段階に至っても、なかなか確定したことがわからなかった、そういう状況であったというぐあいに記憶しております。

川内委員 さっぱり要領を得ない御答弁になられるわけですけれども、こんな重大なことをよく覚えていないというのは、ちょっと私には信じられないことなんですけれども。

 あと、この前、官房長が逢坂議員の質問に対して、法改正せずとも省令の改正で保険給付ができるように法制局に相談をしているというふうに答弁して、あたかももう省令改正でよいのだというような御答弁をされたんですけれども、きょう法制局に来ていただいているんですけれども、追加支給について、雇用保険あるいは労災の給付、法改正ではなく厚生労働省令で対応可能か、この間、累次にわたって厚労省から相談を受けていると法制局から聞いています。まだ結論は出ていないという説明をきのう受けましたけれども、それでよろしいでしょうか。

横畠政府特別補佐人 厚生労働省からは、今般判明した毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額等の誤りを、統計的に合理的な根拠、考え方に基づいて正し、これにより認められる従前の給付額との差額について追加給付を行うことについて、相談を受けております。

 詳しくは、所管の厚生労働省から御説明があるとは思いますが、この追加給付は、現行の雇用保険法による基本手当や労働者災害補償保険法による休業補償給付等として給付しようとするものであり、これらの法律が、給付額等について、毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額等を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定される平均給与額に変動があったときは、その比率に応じて自動的に変更しなければならない旨を規定していることから、これらの法律の規定を根拠として、今般判明した毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額等の誤りを正すことによって生ずることとなる追加給付を行うことが考えられるわけでございます。

 ただ、御指摘の下位法令の整備等を含め、詳細につきましては、なお検討中ということでございます。

川内委員 それでは、辺野古に移らせていただきたいと思います。

 ちょっとパネルを出していただいて、これは、一月六日の「日曜討論」の安倍総理大臣の発言なんです。土砂を投入していくに当たってですね、あそこのサンゴについては、これを移しております、こう総理は御発言をされていらっしゃるわけですが、これは私は不正確な発言なのではないかというふうに思います。

 不正確だったので撤回をされるというふうに言われるおつもりはありませんか。

安倍内閣総理大臣 何が不正確かということはよくわからないんですが、今、図で示していただいているように、埋立海域、それは海域ですか。(川内委員「これはパネルがないんですよ」と呼ぶ)パネルはないの。そうすると、ちょっと説明しにくいんですが。

 では、ちょっと説明します。

 埋立海域については、米軍キャンプ・シュワブの北側と南側、北側というのは大浦湾側ですね、そして南側は辺野古側とに分かれており、現在、このうち南側海域全体について、周囲の海域に影響を与えないよう、埋立海域を全て護岸で締め切った上で埋立てを進めているということなんですね。これですね。

川内委員 では、ちょっと一つ一つ進めていきましょう。

 総理、あそこのサンゴについてはと御発言されていらっしゃいますが、この埋立区域一の一、埋立区域一の二、埋立区域二、埋立区域二の一、埋立区域三、こういうふうに分かれているんですけれども、あそこというのはどこを指すのかということを教えていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 これもパネルにしていただければ説明しやすかったんですが。

 いわば南側全体ですね。そうすると、なぜ一、二を……(川内委員「一、二」と呼ぶ)一、二とは、この辺野古側、南側ですね。南側海域全体について、周囲の海域、これとこれですね。これです。

 そこで、なぜそれをそう指摘したかというと、ですから、いかに私が正確に、まあ、あそこという言い方ではありましたが、それが正確であったかということを御紹介させていただきますと、サンゴに関しては、護岸で締め切ると、周囲の海と切り離され、海水の出入りがとまってその生息に影響が生じるため、海域を締め切る前に南側の埋立海域全体を調査し、生息している保護対象のサンゴは移植したと聞いているわけであります。

 つまり、ここは今ちょっと、全部埋め立てられて護岸があるかのごとくなんですが、締め切っているのはここだけですね。一、二だけであります。つまり、これを締め切る前にサンゴを移さないと、海流はとまりますからサンゴの生息に大きな影響が出てくるということでありますから、ここ全体についてのサンゴの移植を行ったと聞いている。

 こちら側はまだ締め切っていませんから、それは行われていないという説明を聞いたということであります。

川内委員 総理、この埋立区域二の一と埋立区域二というのは、全然別な工区なんですよ。今やっているのは埋立区域二の一ですね、全体の四%。だから、埋立区域二と埋立区域二の一を混同されていらっしゃるということがそもそも不正確なんです。総理、これは私どもの受けとめですから。総理は正しく理解していたかもしれないけれども、一般の視聴者はそういうふうに理解するんですね。

 今、総理のおっしゃっていることは正しいとしても、埋立区域二と埋立区域二の一にある移植したサンゴは何群体か、御存じですか。

岩屋国務大臣 事業を行っておりますのは沖縄防衛局なので、そういう事業の、工事の細かいことについてはぜひ防衛省に聞いていただきたいというふうに思います。

 私どもは、総理に対しては、辺野古側から工事を始めますという報告をしております。そして、そちら側のサンゴは移植をいたしました、一群体移植をいたしました。

 だから、総理の認識は間違っていないんです。(川内委員「何群体かと聞いたんですから、一群体と言えばいいんです」と呼ぶ)だから、総理の認識は間違っていないということをはっきり申し上げておきたいと思います。

川内委員 総理、今聞いていただきましたか。この埋立区域二と埋立区域の二の一にあった移植したサンゴというのは一群体なんです、一群体。この埋立区域二と埋立区域二の一にあったサンゴは一つなんですよ。それを移植しましたと。

 では、この、まだ締め切っていない大浦湾側に、移植すべきサンゴが何群体あるのかということを、大臣、教えてください。

岩屋国務大臣 大浦湾側には多くて、七万四千群体でございます。

川内委員 それで、最近総理は、那覇空港の第二滑走路のことをよくおっしゃるじゃないですか。そこよりも厳しい基準で移植するんだよということをおっしゃるわけですけれども、那覇空港の第二滑走路事業に付随して移植したサンゴは三万何千群体あるんですけれども、そのうち、五年経過後、現在でも生存しているサンゴは、生存確率は、割合はどのくらいでしょうか。

石井国務大臣 航空局の関連の事業でございますので、私から御説明申し上げます。

 那覇空港滑走路増設事業では、環境保全措置の一環として、事業者である沖縄総合事務局において、外部有識者等から成ります環境監視委員会の意見を聴取した上で、サンゴ類の移植を実施しております。

 サンゴ類につきましては、工事区域に生息しているもののうち、小型サンゴ約三万七千群体、大型サンゴ約三十七群体ほかを平成二十五年度から二十六年度にかけて移植したと聞いております。

 移植サンゴ類が生き残っている割合は、平成二十九年冬時点で、小型サンゴは四一%、大型サンゴは一〇〇%と聞いております。

川内委員 だから、サンゴは移植すると、いろいろな、台風の影響とかはあるにせよ、やはり生きていけなくなっちゃうわけですね、非常にデリケートな生き物なので。

 総理、一般の視聴者が辺野古の工事を思うとき、そして、あそこと言われたときに、やはりこの埋立区域全体を思っちゃうわけですよね。そこからサンゴは移していますよという説明を受けると、そうなのかなというふうにも受け取るわけですけれども、実際には、総理がおっしゃった、この締め切られているところからは一群体しかなかった。それを移しましたと。

 まだ締め切っていないところには七万四千群体あります。さらに、それを移植すれば全部生きるかというとそうではなくて、小型サンゴは特に生存率が低いわけですから、今国交大臣に御説明いただいたわけですけれども、四割ぐらいしか生きられませんということになるということで、そういう詳しい説明を省いておっしゃられたんだろうというふうに思いますが、私は、不正確な、あそこのサンゴについては移しておりますと、もう全部移したんだというふうにとられかねない御発言であった。

 だから、これは、政治家がよく使うじゃないですか、誤解を与えたとしたら撤回するという、よく使う言葉があるじゃないですか。だから、それで誤解を与えたとしたら、撤回、それはするよ、ちょっと不正確だったねということは、県民の気持ちに寄り添うと言っているわけですから、それは言わなきゃいかぬと私は思うんですよ。総理、お願いします。

安倍内閣総理大臣 誤解を与えたら撤回する、そういうレベルの発言ではないと思いますよ。

 では、あそこの、あそこというのはどこかというと、それはまさに、土砂を投入している、普通南側だと思いますよね。だって、南側をやっているんですから、今。締め切っているのも南側ですから。それは、締め切らなければ。だって、まず。そちら側もやるんですから。まだ締め切っていないからやっていないわけですよ。

 両方ともやるんですが、いわば私があそこと言ったのは、まさに土砂を投入している側ですね。土砂を投入している側だとすると、それはまさに南側ですから、南側のサンゴは移植したというのはそれは事実ですから。それは、一群、それしかなかったんですから。例えば、何群体かあって一群体しかやっていないというんであれば別ですよ。あるいは、やっていないというんであれば、それは、私、間違いですよ。でも、やっているんですから。それしかなかったわけですから。そちら側もやるんですから。

 ということでありますから、それは、今の私が説明したものを、長々とテレビでは説明できませんよ。一時間半ぐらい私に時間を与えていただいたら、いかに普天間の危険性と、どれぐらい負担が軽減されているかというのを、まずちょっと説明していましたから。そういうのも全部説明をさせていただければ、その中で説明をさせていただければと。

 ですから、私はそれが間違いというわけでは全然ない。間違いではないと思いますけれども。

川内委員 いや、今まさしく総理が、土砂を投入しているところ、こうおっしゃいましたけれども、土砂を投入しているところは埋立区域二の一なんです。このちっちゃなところですね。総理、見てください。

 この二の一は、もともと移植すべきサンゴはゼロなんです。土砂を投入しているところは二の一なんです。埋立区域二は全然別な工区なんですよ。側は一緒だけれども、別な工区なんです。

 だから、そういうことを含めて不正確な発言なので、誤解を与えるとしたら撤回をすると。私は、ちょっと、そんないこじになる必要はないと思うんですよ。ここは、県民の気持ちに寄り添うと言っているわけですよ。

 ミスリーディングな御発言をされたことについて、みんなは、大体全てのサンゴだと思いますよ、この辺野古の大浦湾側を含めて。大体みんなそうだと思います。総理はそうじゃないとおっしゃるけれども、聞いている方は、あそこのサンゴと言われたら、この辺の全部のサンゴだと思うんですよ。それは、言われた側がそう思うんですと言っているわけだから、そこは認めてくださいよ。言われた側がそう思うんですよと言っているわけだから。

 だから、それについては、ああ、おまえらに誤解を与えたとしたらちょっと言葉が不十分だったね、それはちょっと言い方を今後考えるよというぐらいは言わないと、ちょっとそれは、県民の気持ちに寄り添うということにならないんじゃないですかね。どうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 川内委員は非常に弁論が巧みですから、思わず川内先生に引き込まれる感じはあるんですが。しかし、事実として、私もいろいろこの件については防衛当局と議論をしてきましたよ。

 そこで、例えば、一区、二区というふうにいって、でも、一区と二区を一度に、これを締め切ったときにやっているわけですから。この一区、二区といってサンゴをとるんじゃなくて、締め切った段階では全部やるんですよ。

 例えば、こっちも、ここに点線が引いてありますけれども、一区、二区、三区、三つの区に分かれていると普通わからないですよね、これ。普通わからないですよ。これは北側という捉え方なんですが、しかし、ここは実は三つの工区に分かれているということですよね。

 ですから、そこまでは普通なかなかわからないですから、ここは、締め切った段階でそこでまさにサンゴをとる必要が生まれるわけでありますから、そこはとっていると。

 その後のこちらも、いわば第二滑走路よりも厳しいというのは、これはこちらもこちらもやるということでありますから。これ、やらないんだったら別ですよ。でも、まだ締め切っていないんですから。しかも、締め切ってしまっていてやっていないんだったら別ですよ。

 まさにその過程において、この南側、こういうことを申し上げているわけでございまして、しかも、その中において、土砂を投入していくに当たってとなったら締め切らなきゃいけないですから、そこで、要するに、締め切るときにやった。そっち側はまだ締め切っていないんですから、そっちは、全体とは一応区別しているということであります。

 それは、この状況、これを全く御存じない方に平から説明するという説明の仕方には、それは確かに、委員のおっしゃるように、なっていないかもしれませんが、それが間違いだったというふうには考えておりませんし、大体、普通、今の私の説明が、どちらかに投入する、そういう意図的なものではなくて、いわば、とるべきサンゴについてはとっている。ない場合は、それはとろうと思ってもないわけですから。ということではないか、こう思います。

川内委員 だから、私、総理の言い方が間違っているなんて一言も言っていないですからね。誤解を与える言い方をされているので、撤回されて、言い方をもう少し考えられたら、工夫されたらいかがですかということを申し上げているわけで。

 県民の心に寄り添うということであれば、移されていない七万四千群体は、移植されたら生存確率は四割なんですということも御説明を国交大臣からいただいたわけで。そういう意味では、環境を大事に大事にしていくんだということであれば、言い方をもうちょっと、撤回された上で考えてくださいねということを申し上げているわけで、間違いだとは言っていないですからね。間違いだとは言っていないですから。

 そこは、総理、誤解されずに、素直に、それは、森羅万象を担当される総理大臣として、よっしゃ、今後言い方を考えるよ、さらに、軟弱地盤もあるんだったら、きちんとそれがしっかりするまでは工事をとめるよというぐらい総理として御決断をいただきたいというふうにお願いを申し上げて、私の時間を終わらせていただきたいと思います。

野田委員長 これにて川内さんの質疑は終了いたしました。

 次に、寺田学さん。

寺田(学)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの寺田です。

 きょうは総理質疑ですので、総理の政治姿勢についてお伺いしようと思っていたんですが、朝に通告を追加しました。櫻田五輪担当大臣について質問をさせていただきます。

 競泳の池江選手のきのうの告白に対する御発言について、冒頭質問させていただきたいと思っています。

 総理、御存じですか。御存じないかもしれないし、他の方のこともありますので、池江選手がきのうツイッターの方でお話しされたこと。

 御報告です。応援してくださる皆様、関係者の皆様へ御報告があります。日ごろから応援、御支援をいただきありがとうございます。このたび、体調不良としてオーストラリアから緊急帰国し検査を受けた結果、白血病という診断が出ました。私自身、いまだに信じられず、混乱している状態です。ですが、しっかり治療をすれば完治する病気でもあります。今後の予定としては、日本選手権の出場を断念せざるを得ません。今は少し休養をとり、治療に専念し、一日でも早く、また、更に強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います。これからも温かく見守っていただけるとうれしいです。

 物すごい精いっぱい書かれているなと思います。

 それに対して、櫻田大臣、きのう、報道に、テレビカメラの前でお答えになられていました。正直、恥ずかしながら、私は朝まで知らなかったんですけれども、聞いてびっくりしました。きのう、記者団に、この池江選手の白血病の告白に関して大臣が御発言された内容。金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なのでがっかりしている。また、それに加えて、一人リードする選手がいるとみんながつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干下火にならないか心配していると。

 大臣にとって、選手というのは、メダルをとるためだけの駒なんでしょうか。私、本当に、今回のこの大臣の発言を聞いて、震えましたよ。大臣にとって、白血病とかがんとかと闘っている方々の御本人の気持ちだったり御家族の気持ちって、わかりますか。

 余り自分の家のことを言いたくないですけれども、私の母も十年前、白血病になりました。ちょうど私が結婚するときで、結婚式も来られず、本人もそうでしょうし、家族も母が亡くなるということを何か覚悟せざるを得なかったです。その上、高齢だったので骨髄移植もできなくて、投薬治療に入りました。死の不安を抱えながら、毎回、血液検査のたびによくなっていたり悪くなっていたりということを家族全員で話し合ったというのはまだ覚えています。何年も何年も投薬が続いて、奇跡的にですけれども、五年以上投薬治療をやって、何とか今頑張って生きています。

 今回、十八歳の、本当に今一生懸命頑張っている競泳の選手ですよ。その人が今回こういう形で公表して、さぞ悔しいだろうな、そしてまた想像できないような不安を抱えて、かつ、御家族の方も、今後を想像できないです、不安に駆られているんだろうなというふうに思っています。

 今彼女にとって大事なことは、大臣が言うようなメダルの話じゃなくて、生きることそのものですよ。それに正面から向き合って頑張って十八歳の女性がこうやって発信しているのを、下火になるかもしれないとか言っている時点でどうかしていると思いますよ。答弁を求めます。

櫻田国務大臣 昨日、夕方に国会から戻る直前に一報を事務方から聞きました。その後、役所に戻るところで取材を受けました。

 私からは、まず治療に専念して元気な姿に戻っていただきたい旨申し上げました。その上で、池江選手が金メダルが期待されている選手であり、御本人もトレーニングに励まれているとお聞きしている中で、突然の話にショックを受け、率直に残念である旨の発言をしたところでございます。

 なお、昨日の私の発言の中で、がっかりしている、盛り上がりが若干下火にならないか心配だという部分につきましては、配慮を欠いたと思いまして、おわびをし、撤回をさせていただきたいと思います。

 とにかく、治療を最優先にして頑張ってほしいと思っております。

寺田(学)委員 紙なんか見ないで答えてくださいよ。

 全文見ましたよ。当初は、前後の文も見てもらえばわかると思っていたのかもしれませんけれども、読めば読むほど、メダルが欲しいというだけですよ。もちろん、治療に専念してほしいという言葉もありますけれども、読めば読むほど、最近、水泳が非常に盛り上がっているときでもありますし、オリンピック担当大臣として水泳に非常に期待している部分もあるんですよ、一人リードする選手がいれば、みんなその人に引かれて全体が盛り上がるんですよ、その盛り上がりが下火にならないか、若干それは心配していますねと。

 今白血病に立ち向かう人にどういう言葉をかけているんですか。撤回して済む問題じゃないですよ。大臣にわかりますか、そういうがんと闘う方の気持ちが、そしてそれを支える家族の気持ちが。わからないでしょう。

 オリンピック担当大臣という文脈で言いますけれども、本来であれば、選手に最も寄り添うべき立場の人間ですよ。全く資格がないと思います。そういう立場としても、そして、私自身、白血病と闘う母を見ていた人間としても、大臣なんてすぐやめるべきです。あなたが今やれることは、撤回とかそんなレベルじゃないですよ。あなたができる責任のとり方は、直ちに今やめることです。それ以外ない。大臣、いかがですか。

櫻田国務大臣 水泳界の盛り上がりが下火にならないか心配しているという発言につきましては、池江選手が水泳界をリードするとともに他の選手の目標となる選手である趣旨を述べたものですが、配慮を欠いたと思いますので、撤回させていただきます。職務を全うできるよう、努めてまいります。

寺田(学)委員 もう一度お伺いします。大臣をやめるつもりはありませんか。

櫻田国務大臣 職務を全力で全うするつもりでございます。

寺田(学)委員 正直、言葉がないですよ。

 何か、すごい、怒りで震えが来ますよ。病気で闘っている人、本当に大変ですよ。僕自身、大病ないですけれども、特に白血病、がんも同じように大変ですけれども、血液がんの白血病も、数字一つで一喜一憂ですよ。いつ治るかわからないし、いつ体調が変化するかもわからないし。

 十八歳の女性が、そういう形で、あなたが言うような、自分自身でも期待がかかっているのはわかっているはずですよ。そういう選手としても自覚があるにもかかわらず、こうやって正直に話して、何とか専念したいと、声を振り絞って言っているわけじゃないですか。

 大臣、あなたは、五輪を担当する資格は全くない。もう一回、最後に聞きます。おやめになりませんか。

櫻田国務大臣 今までの分も挽回できるよう、一生懸命職務に努めたいと思っております。

寺田(学)委員 そもそも、責任がどういう形であるか、今回発言したことはどういうことを、今、白血病に立ち向かう子、そしてまた、それを支える家族、そしてさまざまな方々に対して、どういうようなオリンピックの担当大臣としての発言だったか、わかっていないですよ。

 総理、どうされますか。

安倍内閣総理大臣 ただいま櫻田大臣から、発言について撤回をし、謝罪があったところでございます。

 こういう、白血病というのは本当につらい、大変な病気だと思いますし、さまざまな病気あるいは難病に苦しむ人たちがいますが、これは本当に、なってみないと、本人には、わからないんですよ。理解のない言葉というのが、よく発せられることもあります。

 しかし、その中で、やはり大臣も、オリンピック担当大臣として、今回のことを今まさに深く反省し、配慮がなかったということを胸に刻んで、担当大臣として職責を全うしていきたいということを述べているところでございますが、池江璃花子さんにしても、恐らく本人が一番、私はつらいんだろうと思います。その中で、一日も早く元気な姿を治療に専念して見せていただきたい、こう思います。

 私も、たまたま月曜日にテレビを見ておりましたら、新潟のアルビレックスの早川史哉選手、たまたま私、番組を見たんですが、この方も白血病となり、約三年で、ことしから復帰をされるということなんですが、この早川さん自体がブログにおいて、早川選手が二年、三年で復帰したから大丈夫という話を目にしますが、それぞれの段階があると思います、誰かと比較せず、池江選手のペースでしっかりと病気と向き合って進んでほしいのが一番の願いです、池江選手に温かい優しさをたくさん与えてほしいと思います、そういう思いは必ず池江選手の力になると思っています、それは僕自身も感じてきたことであります、ということでありますから、まさに私は、そういう気持ちで見守っていくことが大切なんだろう、こう考えています。

寺田(学)委員 総理自身として、この件に関する考え方を今御披露いただきましたけれども、任命権者としてお伺いします。櫻田五輪担当大臣は適任ですか。この五輪を迎えるに当たって、選手であり、関係者、さまざまな方々と、成功を導くための役割を担っていると思いますが、全くもって選手の気持ちなんて思っていないという、素養の問題です。今回の発言を撤回したら終わるものじゃなくて、そもそも、御本人としてこの五輪を担当するような資格はないし、素質もないと私は思います。

 総理、おやめにさせる、そういうおつもりはないんですか。

安倍内閣総理大臣 櫻田大臣の考え方そして決意については、先ほど櫻田大臣が述べたとおりでございます。

 その中においてしっかりと職務を果たしてもらいたいと考えております。

寺田(学)委員 聞き方を変えます。

 適任だと思いますか、思いませんか。

安倍内閣総理大臣 私は、職責を果たしてもらいたい、こう考えております。

寺田(学)委員 私がお伺いしているのは、櫻田大臣が五輪を担当する適任者ですか、違いますか、そのことをお伺いしているんです。

安倍内閣総理大臣 櫻田大臣は、まさに五輪招致においても全力を尽くしてきた一人であります。そうした経験も生かしながら、来年のオリンピック、パラリンピックを成功させるために力を尽くしてもらいたいと考えております。(発言する者あり)

野田委員長 寺田さんに。もう一度質問をしてください。

寺田(学)委員 オリンピックの成功に向けて努力してもらいたいという意向を聞いているのではなくて、その五輪を担当する大臣として櫻田大臣は適任か否かを聞いているんです。

安倍内閣総理大臣 今まさに委員がおっしゃったような観点から、政権として、内閣を今回組閣した段階においてそれぞれ適時適切に判断をしたわけであります。

 今回のことについては確かに厳しい御批判がある、そのことは受けとめなければならない、こう思っておりますが、私が任命したときの考え方としては適任である、こう考えたところでございますが、今回のこともしっかりと反省をしながら、こう考えております。

 いずれにいたしましても、今は、池江選手がしっかりと治療に専念して元気な姿で戻ってくることを、みんなでそういう雰囲気をつくっていく、あるいは期待していきたい、見守っていきたいとこう思っております。

寺田(学)委員 全く私はそう思いません。選手に最も寄り添っていかなければならないお立場の人の発言とは到底思えませんし、それは幾ら撤回したところで、私は、その人の考え方というものが今回かいま見えましたので、素養もないと思います。

 そしてまた、人の上に立って政治をやって大臣という重責を担うという意味においても、私は人の気持ちがわからない方だと思っていますから、適任ではないと思います。

 そこは任命権者の総理が御判断されることだと思います。まあ、はっきりと適任と言われたのは驚きましたけれども、私は適任ではないと思います。

 本来用意していた質問に移りたいと思います。

 今回、資料を三枚ほどお配りをいたしました。総理の言葉と政治姿勢とその具体的な行動はどのような形になっているのかということを、私、常々お伺いしたいなと思っていて、沖縄の問題であったり、あとは、きょう午前中やりましたけれども、憲法改正に対する考え方も含めて聞きたいというふうに思っています。

 読売新聞の世論調査の推移をまとめて資料にしました。

 二〇一二年十二月末、政権交代をして六五%の支持率で、直近の一九年一月ですか、四九%、大きく変わっていないと思います。やってきた政治がどうかというのはいろいろありますけれども、政権運営という意味で、六年も続けているということ自体はこの数字があらわしているのかなとは率直に思います。

 不支持率が変わってきました。一三年八月というのは、参院選後かな、二六パーということですけれども、その後、どんどんどんどん変わりまして、今は四割程度になっています。

 それで、支持理由、不支持理由、さまざまあるんですけれども、読売新聞がずっと六年間とり続けているところに、総理を信頼するか否かという項目があります。

 支持理由に関して言うと、総理を信頼するから支持するんですというのは九%で、今七%で、ほとんど変わりません。そのかわり、政策というところにはね返っているのかどうか、わかりませんけれども。

 ただ、顕著に変わっているのが、不支持理由の信頼できないから。そういう、総理を信頼できないという理由で政権を支持しない、不支持だと答えられている方が、一番低いときで一七%しか、信頼しないと答える人は少なかったんですけれども、一番多いときで六二パー。最近でも四割程度のところで推移している。

 これは率直にお伺いしたいんですが、総理、いいですか。このような形で、総理の人柄と聞いている社もありますけれども、総理を信頼できない、信用できないという理由の方がふえているのはなぜだと、総理御自身として自己分析されていますか。

安倍内閣総理大臣 私も、一々世論調査の動向に一喜一憂しないというのが私の基本的な考え方でございますが、同時に、国民の皆様の声は真摯に受けとめていきたい、こう思っております。

 これは、まことに私自身が至らない人間でございますから、そのように思われることもあるんだろうと思いますが、とにかく、真実一路でございまして、誠実に政策を実行していく。おかげさまで、五回の国政選挙によって力強い御支援をいただきました。五回の総選挙によって力強い御支援をいただきましたので、そうした支援に、あるいはその際に負託された皆様の思いにしっかりと応えていく、結果を出していくことによって一つ一つ信頼を積み重ねていきたい、このように考えております。

寺田(学)委員 今後どうするかという意向はわかるんですけれども、信頼すると答える方が少なくなる。言い方をかえると、信頼できないから支持できない。総理個人のことを評価しながら政権自体を不支持と言われる方がふえていること自体に、御自身としてどのような分析をされていますか。理由は何だと思われますか。

 もちろん、至らない人間だからと謙虚な御発言がありましたけれども、本当に率直に言って、どのようなことが、信頼できないという方がふえている要因だというふうに思われているのかを、ぜひとも自己分析をお伺いしたいんです。

安倍内閣総理大臣 そこは私が分析のしようがないところでございまして、これは、例えば身近な人々にそう思われていたのであれば、どうしたんですかと聞いて対応のしようがあるわけでございますが、会ったこともない方々がそういう判断をしておられるということであれば、どういうお気持ちなのかということを伺わなければならない、こう思っておりますが、いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、私も至らない人間でございますので、至らない点は多々あったんだろうな、そういう点で厳しい御批判をいただいている、こういうふうに考えております。

寺田(学)委員 それを踏まえた上で、沖縄の方に移りたいんです。

 お渡ししました、防衛省からもらった辺野古の工事の進捗状況をトピックごとに並べたもの、あとは、沖縄県の中でも選挙が何回か行われていますから、その出来事的なところも並べて、工事が始まったり中断したり、始まったり中断したり、始まったり中断したり、また始まったり。何度か、これをごらんのとおり、工事が始まりとまり、工事が始まりと進んでいます。このところに対して、総理自身、どのように御判断されているのかというのを聞きたいんです。

 ぜひ下の方を見てほしいんです。工事と中断と繰り返していますけれども、沖縄県知事選挙、去年の九月十三から三十日まであって、玉城デニー新知事が誕生しました。

 私が選挙を拝見する限り、明確に、新基地建設に対するイエス・オア・ノーというのも大きな争点の一つだったなと思うんです。

 総理に私自身としてぜひ聞きたかったのは、総理、去年の冒頭の国会の本会議で、沖縄の方々の気持ちに寄り添うというお言葉があった上で、その後、翁長知事が亡くなられて選挙があって、そして今に至るわけですけれども、沖縄の選挙が終わった後に、十月十七日、総理、わかりますか、執行停止云々と、なかなか言葉として理解しづらい部分はあるんですが、さっき川内議員もやりましたけれども、土砂の投入を含めて、沖縄県知事選後に工事が再開をされました。

 総理、総理自身、この工事の再開に、どのように判断、加わられたのか、私聞きたいんです。いや、沖縄防衛局が進めたことですと言うのか、最終的に防衛大臣が決めたことだと言うのか、総理御自身に上がってきて、工事を再開せよと御指示されたのか。総理の判断、どのような工事再開に関して判断をされたのかというのを、総理御自身にお伺いしたいんです。

岩屋国務大臣 工事の進め方に関しましては、事業者であります沖縄防衛局において事務手続を踏み、適切に移設工事を進めているという報告を受けておりまして、総理から対応を指示されているものではありません。沖縄防衛局から私に報告があり、私が了解し、そして総理に報告をしているところでございます。

安倍内閣総理大臣 戦後七十年以上経てもなお沖縄の皆さんには大きな基地負担を負っていただいており、この事実を我々は重く受けとめています。このような現状は是認できるものではなく、その負担の軽減を図ることは政府の大きな責任です。

 このため、政府としては、沖縄の基地負担軽減に全力で取り組み、一つ一つ着実に結果を出していく考えです。特に、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない、これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識である、こういうことでございます。

 普天間の全面返還を一日も早く実現するとの方針のもと、辺野古への移設を進めており、工事を進めている沖縄防衛当局は、環境保全に最大限配慮しながら、事業者として一つ一つ必要な事務手続を踏み、適切に移設工事を進めていると報告を受けています。

 工事の進め方に関しては、沖縄防衛当局において、関係法令や埋立承認に基づき、工事の安全性や効率性なども踏まえ、作業の準備が整ったところから順次工事を進めているものと承知をしています。

 移設作業については私が対応を指示しているものではないわけでありまして、なお、工事の具体的な進捗状況……

野田委員長 総理、簡潔にお願いします。

安倍内閣総理大臣 はい。

 移設作業については私が対応を指示しているものではないということでございまして、なお、工事の具体的な進捗状況などについては、適宜、防衛省から報告を受けているということでございます。

寺田(学)委員 今、防衛大臣と総理の御発言を端的にまとめると、防衛大臣が工事の再開を指示をし、その報告を総理が受けて了解をした、この解釈で間違っていませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 今、防衛大臣から答弁したとおりでありまして……(寺田(学)委員「いやいや、僕の整理が正しいかと言っているんです」と呼ぶ)整理としてですね。いわば、報告は受けているということであります。承認ということではなくて、これは、沖縄防衛局において判断して進めていく、そしてその報告を受けているということでございます。

寺田(学)委員 後ろから何を聞かれているのかわかりませんけれども、防衛大臣が判断をして、その報告を受けて、了解されたんですよね。もちろん、判断している内容、総理大臣の方が上ですから、いや、とめろとか、いや、進め、それは了解したという、その二つしかないと思うんですよね、それか留保するか。

 了解されたんですよね。

安倍内閣総理大臣 基本的には、その判断を……(寺田(学)委員「了解したと」と呼ぶ)了解したというよりも、判断をまず報告を受ける。もちろん、そこで、それを私がやめろと言うことはできますよ、それは。

 なお、私は当日、防衛省から工事を再開する旨の報告を受けた、当日報告を受けたということであります。

寺田(学)委員 僕はちょっとびっくりしたんですけれども、工事を始めたその日に報告を受けたんですか。もっと前に上げて判断を仰ぐべきでしょう。知事選挙をやっているんですよ。この知事選挙自体がどういう争点であったか、それは人それぞれの考え方はありますが、新基地の建設が問われた選挙であることは明白ですよ。もちろん、その上で国としてどうするかという考え方はさまざまありますけれども。

 総理、沖縄の方々に寄り添うんでしょう。もちろん、今の普天間の基地、その危険性を除去してほしいという声も沖縄の方々の中にはあるのは、当然私もわかっています。ただ、その反面、新しい辺野古の基地はつくらないでほしい、新基地に反対する、玉城デニー知事を含めて、そういう民意があるのも事実だと思います。

 最初に戻りますけれども、何でそんなに遅く上げたんですか。もっと、工事を始めるか始めないか、隣に国交大臣はいらっしゃいますけれども、始めるか始めないかを総理に相談せずに、何で防衛大臣だけで決めるんですか。

岩屋国務大臣 ちょっと、寺田委員の事実の認識に少し誤認があるんじゃないかなと思いますが、埋立承認の取消処分を受けたことによって工事ができなくなりました。そこで、私どもは、行政不服審査法に基づいて国交大臣に承認取消処分の執行停止の審査請求をさせていただき、その決定を受けて、状況判断をして、あの工事を再開するに至ったわけでございます。その判断をした段階で、総理に御報告をしたということでございます。

寺田(学)委員 総理にちょっとお伺いしたいんですが、この玉城デニー知事が当選した選挙において、新基地をつくることが争点になったというふうにお考えになられていますか。どのようにお考えになられていますか。

安倍内閣総理大臣 地方自治体の選挙の争点等について、総理大臣として、コメントする立場にはございません。

寺田(学)委員 選挙結果に対しても、やはりコメントする立場にはないですか。

安倍内閣総理大臣 選挙結果についても、いわば、その選挙の中において沖縄の基地負担ということが大きなテーマになっていたということは承知をしておりますし、その結果についても真摯に受けとめたいと思いますが、今そこについてコメントすることは差し控えたいと思います。

寺田(学)委員 反論があったらぜひしてほしいんですけれども、沖縄の県知事選挙は、明確に新基地の賛成、反対でしたよ。

 政府としていろいろな考え方があるのはわかりますけれども、立派に、沖縄の方々に寄り添うという発言をしておきながら、その後、選挙という一番明確なやり方ですよ、この後、県民投票も控えていますよ、そういう形である意味示される民意、沖縄の民意というものに本当に寄り添っていらっしゃるんですかということが気になるんです。

 選挙結果に対してコメントする立場にないと言われていますけれども、去年、名護市の市長選挙もあったんです。これも激しい選挙戦が繰り広げられて、報道によりますと、新基地建設に関して容認する方向の、自公で推された市長が当選されました。その後も地方自治体の一選挙に対してコメントをされないのかなと思ったら、報道の書きっぷりを言うと、異例な発言をされた、地方自治体の選挙についてと。

 今ありますけれども、名護市長選挙の結果についての受けとめはと、これは恐らく官邸の玄関で言われたんでしょうね。最も強いと言われている三選目の現職市長を破るのは難しいと思っていましたが、本当に勝ってよかったと思っています、自民党、公明党、そして日本維新の会が推薦した候補を選んでいただきました、名護市の市民の方に感謝したいと思いますと、結構踏み込んでいますよ。これからは落ちついた政治を行って、市民の生活をよくするために経済や雇用をよくして、そして教育や福祉や環境にしっかりと力を入れてもらいたいという市民の声に、新しい市長に応えていただきたいと思いますと、まあエールを送っているのかもしれませんけれども、ここからですよ。市長が公約したことについては、国としても責任を持って応援していきたいと思いますと言っているんですよ。

 幾ら自民党が応援した候補とはいえ、終わったら、このときだけですよ。私いろいろ調べました、総理が、選挙が終わった後、地方自治体の選挙の後に何を述べられているかと調べましたけれども、まさしく、新聞で言われたように、異例ですよ。市長の公約したことについては、国としても責任を持って応援していきたいと思いますと、かなり踏み込んでいますよ。

 お伺いしますけれども、その後、玉城デニー知事が当選しました。玉城デニー知事が公約したことについて、国としても責任を持って応援していかないんですか。

安倍内閣総理大臣 ぶら下がりについては、これは自民党総裁としてのコメント、いつも基本的には総裁としてのコメントをしているわけであります。(寺田(学)委員「官邸でやっているんじゃないですか」と呼ぶ)一々、今、官邸から党本部に行ってという、もちろんありますけれども、官邸で聞かれたものでありますから、党の総裁としてお答えをしているわけでありまして、基本的には、選挙においては、いつも党の総裁としてお答えをさせていただいているということでございます。

寺田(学)委員 最初に聞いた質問に戻るんですけれども、私自身、政権運営をこんなに長年続けられて、その意味においては、そういう手腕を持たれているのかなと思いますが、不信が高まっているその理由は、私なりに判断すると、総理、都合のいいときだけそういうふうに、報道の調査を利用したりとか、こういう自分たちが応援して自分たちの政策を進めたいときだけ、異例ですよ、国としても責任を持ってその公約を応援したいなんと言うのは。私は、そういうところだと思いますし、そういうところに対して私は大きな疑念と不安を覚えます。

 もう時間がないのであれですけれども、この沖縄の件と一緒と言うには、さまざま語弊があるかどうかわかりませんけれども、今、イージス・アショアについて、私の生まれ故郷の秋田と総理の御地元の山口に配備をしようと防衛省は考えて、政府として考えています。

 総理にぜひとも聞いてほしいんですけれども、山口は山口で一番お詳しいと思いますよ、河村先生の御地元ですけれども。秋田の今置こうとしているところ、目の前は学校ですよ、目の前は住宅街ですよ。イージス・アショアの有用性、そのいかんは、それはそれでまた別途、大臣とやりますけれども、目の前に住宅街があるんですよ。防衛省の、自衛隊の演習場であるところに設置するという話ですけれども、目の前が学校だったり福祉施設だったり住居ですよ。

 総理、これは別に難しい答弁は求めません。一回見に来てくださいよ。わかりますよ、こんなところに、これから何十年常設するイージス・アショアを置くということがいかにすごいことなのか。沖縄で、普天間、目の前に基地があって住民の方々が心配しているから、その負担除去をとにかく取り組みたいと言っている反面で、秋田の住宅街の目の前に置こうとしているんですよ。一回、ちょっと見に来てください。総理、お願いです。

安倍内閣総理大臣 当然、担当の部局も視察をしていると思いますし、この問題については、防衛大臣、また政務三役がいるわけでございます。

 山口県側につきましては、今、河村先生の選挙区でございますが、もともと私の選挙区でもありますので、そちらの側の方は私はよく承知をしております。

 秋田の方については、そういう話は私は今委員から初めてお伺いをしたわけでございますが、このイージス・アショアの配備に当たっては、候補地の地元の皆様の御理解をいただくことが大前提であります。現在、防衛省において、地元の皆様の御懸念を払拭できるよう、各種調査を実施していると報告を受けております。さまざまな御懸念や御要望について、一つ一つ丁寧に応えていくことが大切であろう、こう思っております。

 私は、その現地へ行ったことがないわけでありますから、私も今、軽々にはお答えできないということでございますが、いわば……(発言する者あり)見るかどうかは、まずは、当然、大臣、また政務三役はそのためにいるわけでございますから、政治家として、そうしたこと、今申し上げたことも含めて、しっかりと対応していきたい、こう考えております。

寺田(学)委員 かなり質問を用意していたんですが、答弁書をつくられた役所の方々には本当に申しわけないんですけれども、今回、櫻田さんの件もありましたので、御了承ください。

 終わります。

野田委員長 これにて寺田さんの質疑は終了いたしました。

 次に、逢坂誠二さん。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 随分昔のことになるんですが、私も、自衛隊の募集事務を三年ほどやったことがございます。防衛省の、当時は防衛省ではございませんでしたけれども、地方協力本部の皆さんと一緒に学校を回ったり、あるいは自衛隊父兄会の行事に参加をしたり、いろいろなことをやって、自衛隊の募集事務をやらせていただきました。

 私の感覚では、自衛隊の募集、これは非常に大事なことで、市町村の仕事の中でも、私は大切にしなきゃならぬものだなと思っております。当時は法定受託事務という概念はありませんでしたけれども、今は法定受託事務であります。

 そこで、総理にお伺いしたいんですけれども、防衛大臣からの要請にもかかわらず、全体の六割以上の自治体から、自衛隊募集に必要となる所要の協力が得られていませんと、これは一月三十日の本会議の答弁です。このことに関して総理は、その根拠として、きょうの午前中、我が党の本多委員の質問に対して、自衛隊法施行令の百二十条を引用されました。「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。」であります。

 こうやって規定があるのに協力していない自治体があるではないかということでありますけれども、午前の答弁を聞くと、住民台帳の閲覧をしていただいて、書き写しなどのことをやっているということでありますけれども、総理は、それも協力ではないんだ、その中には入っていないんだという話でありましたが、総理が求めている協力というのは、この住民台帳のコピーを欲しい、そういう意味なんでしょうか。総理がおっしゃったんですよ。

岩屋国務大臣 今先生が触れていただいたように、自衛隊法上あるいはその施行令上で、防衛大臣は、都道府県知事及び市町村長に対して、自衛官募集に関する協力を要請できるということとなっております。

 この規定に基づいて、私どもとしては、要請をした際に、対象、該当する資料を紙媒体等でいただければ大変ありがたいということで、四割の自治体はそういうふうにしていただいているわけですが、あとはそうしていただけないので、閲覧という方法をとって、それを数十万、もっと多いでしょうか、単位で自衛官が書き写しているということでございますので、残念ながら、私どもが想定した協力は得られていない状況にあるということは事実だと思います。

逢坂委員 石田総務大臣にお伺いします。

 住民基本台帳法上、住民基本台帳のコピーを許されるというのは誰ですか、これは。住民基本台帳のコピーを許されているのは誰ですか。あるいは、本人でもない方が、役所の窓口へ来て、住民台帳のコピーを下さいということは、これは可能なんですか。私の認識では、住民台帳法上は閲覧しか認められていないという認識なんですが、いかがでしょうか。

石田国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今議論になっております、自衛官及び自衛官候補生の募集に必要な氏名や住所等に関する資料を市町村長が自衛隊地方協力本部長に提出する方法につきましては、自衛隊法九十七条第一項及び同法施行令第百二十条の規定に基づきまして、防衛省と市町村とにおいて定められるものであります。

 それで、今御指摘がございましたけれども、住民基本法上にはそういう明文の規定はございませんので、防衛省との話において、紙媒体等で要求があれば、それは出していただいて問題ないと思います。

逢坂委員 石田大臣、今の説明、よくわからないんですが、住民台帳は閲覧しかできない、住民台帳そのものはコピーできないんだ、そういう理解でよろしいですよね。

石田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 例えば、住民基本台帳に記載された情報については、住民基本台帳法上、住民基本台帳の一部の写しの閲覧等により住民や行政機関に提供されるものであるが、他の法律の規定に基づく情報提供がなされることもあり得るというふうになっております。

逢坂委員 では、岩屋大臣にお伺いします。

 この自衛隊法施行令百二十条の「求めることができる。」というのは、これは住民基本台帳のコピーを求めることができるという意味なんですか。

岩屋国務大臣 百二十条では、防衛大臣は、自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができると定められておりますので、紙媒体というような形、それは必ずしも紙でなくてもいいかもしれませんけれども、そういう資料の提出を求めることができるというふうに考えております。

逢坂委員 私は、自衛隊の募集事務をないがしろにしろという意味でこれを言っているのではありません。私自身も自衛隊の募集事務をやっていました。大事なものだと思っています。精いっぱいやらせてもらいましたし、今も、地元の自治体の行事にはできる限り出席をして、自衛隊の皆様の激励をしたいというふうに思っています。

 だけれども、正直言いまして、募集事務の実務の現場でいうと、住民基本台帳との関係が実は曖昧なんですよ。ここ、一時整理されたように思っているんですけれども、総理から、閲覧させているところは協力していないなんということを明確に言われると、それはなかなか、自治の現場では大変な思いをされている方がいるわけで、岩屋大臣、ここを少し整理する必要があるんじゃないですか。いかがですか。

岩屋国務大臣 閲覧だけですと私人でも可能なわけでございますので、この自衛隊法上の規定又は施行令の規定に基づけば、もう少し積極的な協力をいただきたいというのが本音でございます。

 もちろん防衛省は、一つでも多くの自治体に御理解いただき、御協力いただけるように、これからもしっかり努力をしていきたいというふうに思っておりますが、ぜひ自治体の御理解と御協力を重ねてお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

逢坂委員 総務大臣にお伺いします。

 自治体側の御理解と御協力があれば、住民基本台帳はコピーをして出してもいい、防衛省との間で話が成り立てば、そういう理解でよろしいですか。

石田国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど答弁をさせていただきましたけれども、住民基本台帳法上に明文の規定はないわけでありますけれども、そのことによって特段の問題を生じるものではないというふうに認識をいたしております。

逢坂委員 いや、明確に言っていただきたいんですが、それじゃ、自衛隊との間で自治体が合意すればコピーを出していい、そういう理解でよろしいですね。

石田国務大臣 お答えします。

 それは防衛省と市町村とにおいて定められるものである、法に基づいてですね。私は、出していいと思います。

逢坂委員 出していいと総務大臣がおっしゃっておられますので、それじゃ、その方向で今後調整するというのは、それでよろしいんですかね、防衛大臣。

岩屋国務大臣 私どもが要請して求めているものは募集の対象になり得る方々の情報でございますので、住民基本台帳をもとにした情報であれば、それは用をなすわけでございますので、そういう御協力がいただければ大変ありがたいというふうに思っております。

逢坂委員 質問時間が終わりましたのでこれでやめますが、総理、今のやりとりを聞いてわかっていただけるとおり、必ずしも明確な規定がないんですよ。そういう中で自治体からの協力が得られないと言い切るのは、私は少し言い過ぎだと思いますよ。閲覧をして書き写すというのが法律上の大原則であるんですよ。

野田委員長 逢坂さん、質問時間が終了しております。

逢坂委員 そこのところを総理、よく認識をした上でこれから発言をしていただきたい、そのことを申し上げさせていただきます。

 終わります。

野田委員長 これにて逢坂さんの質疑は終了いたしました。

 次に、階猛さん。

階委員 国民民主党の階猛です。

 本日は、三十八分間お時間をいただきましたので、質問させていただきます。

 まず、櫻田オリンピック担当大臣にお尋ねします。

 オリンピック担当大臣として、オリンピック憲章は当然読んで、理解していらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。答えてください。事実関係です。すぐ答えてください。

櫻田国務大臣 話には聞いておりますが、自分では読んでおりません。

階委員 話には聞いているって、オリンピック憲章ってオリンピックの憲法みたいなものですよ。その根本原則というのがありまして、これは読んだことがないということですか。

櫻田国務大臣 IOCによって採択されたオリンピズムの根本原則、規則、付属細則を成文化したもの。憲章は、オリンピックムーブメントの組織、活動、運用の基準であり、かつオリンピック競技大会の開催の条件を定めております。

階委員 そのオリンピック憲章の根本原則というところにオリンピズムの目的という箇所があるんですね。そこをちょっと読んでいただいてもいいですか。読めますか。用意してないですか。

櫻田国務大臣 詳細のものはここには用意しておりません。

階委員 見たことがないということなので、しようがないと思いますけれども。

 そこには、オリンピズムの目的として、「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」、これがオリンピズムの目的であるというふうになっているんですね。

 人間の尊厳、その意味は、大臣、わかりますか。

櫻田国務大臣 それは、それぞれ、人によって、立場が違うことによって価値観は違うので、尊厳のことについても、多々、種々、いろいろな考え方があると思います。

階委員 そういうことではありません。

 人間の尊厳というのは、個々の人間を手段として扱うのではなくて、その人自体に価値があるんだ、一人一人の人生あるいは人格そのものに価値があるんだということが人間の尊厳の根本的な意味なんですよ。

 しかるに、今回の池江選手への大臣の発言というのは、人間の尊厳ということを全く理解していない発言だったと思います。金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしているというような表現でしたが、この発言こそがっかりです。

 この発言は、まさに、先ほど寺田さんも言っていたように、池江選手を金メダルをとるための道具としか見ていない。人間の尊厳を無視した発言だ。このオリンピック憲章の根本的な原則に反するものだと思っております。

 そもそも読んでいないということ自体、オリンピック大臣としての資質を欠くと思います。私も寺田委員と同じ思いです。潔く辞任されたらいかがですか。

櫻田国務大臣 先ほどもお話ししましたように、池江選手については、私の発言は、何よりも本人の治療を最優先していただきたいということでございますので。

 それで、いろいろなことで池江選手に対して配慮を欠いたことがあることは申しわけなく思っております。

階委員 辞任しないんですか。オリンピック憲章も読んでいない、理解していない。人間の尊厳も答えられない。それで大臣を続けられるんですか。オリンピックの根本的な哲学、理念もわかっていなくて、大臣が続けられるんですか。

 復興五輪とも言われております。私も、被災地の代表として、この復興五輪をあなたには任せられないと思います。ぜひやめてください。お答えを求めます。

櫻田国務大臣 職務を全うしたいと思っております。

階委員 その職務を理解していないから、やめてくださいと申し上げているんです。

 総理、改めてお尋ねしますけれども、櫻田大臣、このまま続投させていいんですか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 櫻田大臣においては、文部科学副大臣としてオリンピック招致に大変御尽力した一人でございまして、オリンピック担当大臣には適任である、こう考えたところでございます。

 今回の発言については、確かに配慮に欠けた発言であることは事実でございまして、本人も撤回をし、そして謝罪をしたところでございます。そのことをしっかりと胸に刻みつけながら、大臣としての職責を果たしていってもらいたい、こう考えております。

階委員 その任にあらずということを申し上げたいと思います。

 それで、復興五輪という話もしましたけれども、この震災の復興がまだ時間はかかるということは、政府の方でもお認めになっているということだと思います。

 一月三十一日には、代表質問の中で総理も、復興・創生期間が終わった後、すなわち二〇二一年度以降の復興の進め方について、国が前面に立って取り組む必要があるといった観点も踏まえ、組織のあり方も含めて具体的に検討していくというふうに述べられていました。

 復興庁の存続ないし後継組織を設ける方向で検討していく、そういう理解でよろしいでしょうか。

渡辺国務大臣 階委員にお答えをいたします。

 昨年……(階委員「短く答えてください、私、総理に聞いていますから」と呼ぶ)はい。一月二十一日に復興推進委員会において、「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針の骨子案を示したところでございます。

 現在、後継組織のあり方を含め、復興・創生期間後の復興の基本的方向性について検討を進めているところでございます。

 今後、被災自治体等の御意見を踏まえ、関係省庁とも協議しながら、三月にはこれを基本方針の中で取りまとめていきたいと思っております。

階委員 この復興庁のトップは総理大臣なんですね。ですから、私、総理大臣に聞いています。

 それで、平成二十八年に、復興・創生期間という五年間の計画、基本方針が定められまして、その中で、被災地は、震災以前から人口減少や産業空洞化といった全国の地域にも共通する中長期的な課題を顕著に抱えており、いわば我が国の課題先進地だ、今後の復興・創生に当たっては、町に人が戻ることを目指すのみならず、魅力あふれる地域を創造することを目指すというくだりがございます。

 先日もこの委員会で私が指摘したとおり、町に人が戻るどころか、むしろ流出している、こんな状況です。

 やはり、そういったことも考えると、総理にお尋ねしますが、復興庁の存続ないし後継組織が必要不可欠ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 ただいま担当大臣から答弁させていただいたんですが、三月には復興の基本方針を見直し、その中で復興・創生期間後の復興の基本的方向性についても示してまいりたいと思いますし、今後とも、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意のもと、東北の復興に政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えておりますし、具体的な組織のあり方については、三月に改定される基本方針に沿って検討が進められるものと考えております。

階委員 ぜひ、この点については、最後の最後まで復興を完遂するという観点に立って、しっかりとした組織を復興・創生期間の後も続けていっていただきたいと思っております。

 次に、不正統計に関してですが、根本大臣が参議院予算委員会での答弁で、追加給付を今回実行するための事務費、この捻出方法について次のように答えています。複数年度をかけて、優先度の低いシステム改修経費の削減や手続の合理化による人件費の削減などによって確保していくということです。

 約二百億というこの事務費、何年かけて確保するのか。事務方に尋ねたら、わからないという答えでした。また、削減対象となるシステム改修費や人件費、これについても納得できる説明がなくて、そもそも、こういったものについては、今回の件がなくても削減すべきもののように私には思えました。

 これでは到底国民の理解は得られません。労使が負担している保険料を結局は使われてしまうんじゃないか。なぜ役所の不祥事の後始末にこのお金が使われるのか。この疑問、不満、不安は消えないと思います。厚労省に任せていては、この話は絶対に国民の信頼は得られない。

 そこで、総理にお尋ねしますけれども、厚労省にこの事務費の捻出は任せっ放しにするのではなくて、政府として、工程表なりをつくって、透明性と納得性のある形で事務費の捻出を行うべきと考えますが、総理の御見解を求めます。

安倍内閣総理大臣 今般の追加給付に要する事務費については、これにより被保険者等の負担する保険料の上昇につながらないよう、所要の財源について、複数年度をかけて、既定の事務費や人件費の削減を行うことにより確保することとしております。

 具体的には、優先度の低いシステム改修経費の削減や手続の合理化による人件費の削減等により確保し、保険料の上昇につながらないようにしてまいりたいというふうに考えております。

階委員 その話はこの間も聞いていますが、その答弁だけでは具体的なことがわからないので、きのう、厚労省の事務方に尋ねたところ、何年かかるかもわからない、そして、優先度の低いシステム改修経費は何なのか、それから、手続の合理化による人件費の削減をどうやってやるのか、これもはっきりとした答えが得られていないんです。だから、厚労省に任せてはいられない、こういう問題意識です。

 そこで、総理にお尋ねするわけですが、これは、厚労省に委ねるのではなくて、政府として、しっかり工程表をつくって、透明度、納得度の高い形でやるべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今後の具体的なスケジュールについては、今後の追加給付の進捗状況も踏まえ、かつ、各保険制度等の適正な運営も確保しながら、複数年度を要するものの、できる限り早く所要の財源を確保していく考えでありますが、この作業については、厚労省のみならず、厚労省と財務省にしっかりと進めていくように指示をしているところでございます。

階委員 しっかりチェックをしてもらわないと。我々の保険料、こんなことに使われてはたまりません。国会にもしっかり説明してもらいたいと思います。

 その上で、次の質問に行きますが、前回、例のキャッシュレスによるポイント還元の二年度にわたる四千億の予算、このことについて、ひょっとしたら、途中で枯渇して、さらなる追加で、キャッシュレスどころか税収レスになるんじゃないか、こういう指摘をしました。

 ちなみに、コンビニ大手三社、これはフランチャイズ店舗では二%還元の対象になりますけれども、このコンビニ大手三社のフランチャイズ部分だけの売上げだけで、全国で九兆円以上、仮に全てに二%還元したら、これだけで千八百億円です。他のフランチャイズチェーンや、あるいは五%還元の対象となる中小の店舗でキャッシュレスが進めば、四千億の予算は足りないと私は感じます。

 世耕大臣は、そういう場合には、枯渇した場合には対応を検討したいというふうに結論を留保されておりました。安倍総理にも同じ問題意識で尋ねましたが、予算が足りなくなった場合にどうするか、明言を避けられました。

 そこで、改めて、この四千億の予算、枯渇した場合に追加可能性があるのかないのか、総理に答弁を求めます。

安倍内閣総理大臣 本事業を担当いたします経済産業省において、需要喚起策であることも踏まえた上で、事業を実施するに当たって十分と考えられる額を措置していると承知をしておりますけれども、詳細については担当大臣である世耕経済産業大臣から説明させたいと思います。簡潔に説明すると思いますので。

階委員 前回同じことを聞いて、経産大臣は答えを留保されたわけですね。要するに、財務当局と相談して対応を検討したいという答弁だったんです。

 前回、経産大臣にはちゃんと聞きましたので、そこで、総理の見解はどうなのかということを聞きたいんです。

安倍内閣総理大臣 本来、担当している経産大臣であれば詳しく御説明をすることができるのではないかと思いますが、私の方から簡単に説明をさせていただきますと、平成三十一年度の予算額は、現状のキャッシュレス決済の動向などを参考に、関係事業者にアンケート調査などを行って、事業を実施するに当たって十分と考えられる額を措置したものであります。ざくっと考えたということではなくて、現状のキャッシュレス決済の動向、そして関係事業者にアンケート調査も行っているということです。

 そして、積算の一般論としては、上振れのリスクもあれば、下振れのリスクもこれは確かにあります。特に、今回の事業については、消費者の行動であるため、正確に当てることは難しいということは御理解いただけるんだろうと思いますが、まずは予算の使い残しがないように、広報、周知に徹底的に取り組んでいくということであります。

 いずれにせよ、仮に予算額が上振れし、不足するような事態になった場合には、予算の執行状況などをよく分析して適切な対応を検討していきたい、こう思っております。

階委員 結局、追加はあり得るのか、あり得ないのか。今のお話だと、どちらもあり得るように聞こえたんですが、そういうことでよろしいんですか。

安倍内閣総理大臣 これは、執行状況をよく分析をしながら適切な対応をしていきたい、こう思っております。

階委員 そういう曖昧なことでは、やはりこの税収が本当に、消費税を上げて、社会保障の充実、安定化にちゃんと回るのだろうかという不安が消えないわけですね。

 それからもう一点、前回議論をさせていただいたのは、キャッシュレス普及策で、ポイント還元が行われるのは九カ月限定で、その後反動減になるんじゃないかということをお尋ねしたところ、総理からは、その後ちょうど東京五輪が来てインバウンド消費が盛り上がるから問題がないという答弁だったんですね。

 ところで、オリンピックが終わった後、その段階で反動減が来るんじゃないでしょうか。当然来ると思うんですが、そのオリンピックの後、消費反動減対策は考えていないということなんでしょうか。お答えください。

安倍内閣総理大臣 オリンピック、パラリンピック終了後は、いずれにせよ、このポイント還元の実施にかかわらず、よく注視していく必要があると考えています。

 今までオリンピックを開催した国々の後の状況を見ても、それはそれぞれでありますし、そういう対策を、いろいろな対策をしているところもあるでしょうし、対策の仕方も違うんだろう、こう思います。

 そうしたものをよく見ていかなければいけないと思っておりますが、中長期的な観点から生産性の向上等に取り組んで、自律的な成長軌道を確かなものとしていくことがまずは第一だろうと思いますが、同時に、オリンピック、パラリンピック後に予想される需要変動には十分留意をし、二〇二〇年度予算による対応を含め、政策運営に万全を期してまいりたい、このように考えております。

階委員 オリンピック後の景気対策等について否定されないわけなんですけれども、やはりそうすると、増税をしても結局税収は残らないんじゃないか。

 そもそも、この消費税対策で、いただいた分はお返しするというお話もありましたけれども、いただいた分以上にお返しするというお話もありますけれども、それはあくまで一過性の話だったはずです。しかし、今の議論を踏まえていますと、その一過性のはずだった消費税対策、景気対策がずっと続いていく可能性もなきにしもあらずだと。かつ、きのう、後藤委員が指摘したとおり、ポイント還元で四千億もの予算を使うことについては、恩恵が及ぶ中小企業を含むスーパーマーケットなどの事業者団体からも反対論が出ているわけです。

 私が前回提案したように、キャッシュレス普及は地域経済や地域コミュニティーの活性化に資するようなやり方でやるべきだ。地域電子通貨という御提案も申し上げました。そういうやり方でやるべきであって、今回のポイント還元は撤回すべきだと考えますが、総理の見解を求めます。お願いします。

世耕国務大臣 当然、地域の中小の店舗が裨益するようなことにしなければいけないということで、クレジットカードだけではなくて、手数料の安いいろいろな支払い方を我々も考えているわけであります。

 今回を契機に、地方の商店でもしっかりキャッシュレスに対応して、インバウンドの需要を取り込むようなチャンスをつかむことができるようにしていくことが大切だと考えております。

安倍内閣総理大臣 今とうとうと答弁をされたわけでございますが、まさにこのキャッシュレスの流れをつくり、インバウンドについても来年の四千万人を目指し、さらに、そうしたインバウンドの増加が続いていくように更に努力をしていきたい、そういうインバウンドの需要を中小・小規模事業者もしっかりと受けとめるようにしていくことも大変重要だろうと考えております。

階委員 あくまで消費税対策ということをやるのであれば、弊害が少ないやり方でやるべきであって、キャッシュレスはキャッシュレスで、それに資するような、お金をかけないようなやり方もあるわけですから、そこはきっちり切り分けて考えるべきだということをこの場で改めて繰り返しておきたいと思っております。

 日銀総裁に来ていただきましたけれども、私がきょう皆さんにお配りしている資料の二ページ目をごらんになってください。これは展望レポートですね。

 二〇一三年四月に黒田総裁が着任されて、異次元緩和を開始されました。ちょっと見づらいかもしれませんが、横軸で見ていただきますと、例えば二〇一三年四月、横に三つ数字が並んでおります。きれいに右肩上がりで二〇一三年度、一四年度、一五年度というふうに物価が上がっていくということなんです。

 今度は、二〇一五年度、一・九という数字がありますけれども、これが実際どうなっていったのかというのを、今度は横ではなくて縦に見ていただきたいんですが、この二〇一五年度の見通しというのが、三カ月ごとの展望レポート、これを経るごとに徐々に下がっていく。この二〇一五年度の見通しでいうと、一・九が次第に下がっていって、最後、四月の段階、もう期間は過ぎておりますけれども、結果が出る前の見通しでは〇・〇、そして、一番最後に実績値というのが欄外に書いていますけれども、マイナス〇・一。こんなふうに、予想は右肩上がりなんですけれども、現実は尻すぼみ。

 これが、この場合だけではありません、二〇一三年四月だけではなくて、翌年の四月、その翌年の四月、さらにその翌年の四月と同じことが繰り返されています。今も同じことが繰り返されつつあるということでありまして、二〇一八年四月、去年の四月ですね、このときからは、さすがに同じことを繰り返しても能がないということかもしれませんが、もはや目標達成時期は示さなくなった。こんなことであります。

 そもそも、こういうやり方、異次元の金融緩和と言われていましたけれども、トリプルツーと言われていました。二年で物価安定目標二%を達成するためにマネタリーベースを二倍にする、これがトリプルツーです。マネタリーベースというのは、流通現金と日銀当座預金を合わせたものです。これは日銀の負債であります。言うなれば、新しい経営者が来て、新しい経営方針で仕事をしたいので借金を二倍にしてくれ、こういうふうに頼んできたというときに、銀行が、じゃ、二年で目標達成できるというんだったらしようがない、借金を二倍にするのもしようがないかといってお金を貸してあげた。ところが、二年たって目標が達成されるどころか、六回も先送りして、ついに雲散霧消してしまっているわけですね。

 これは、私も銀行員でした。日銀も銀行です。銀行が、普通の会社の経営者がこんなことをして借金を二倍にふやしたら、どういうことになるんでしょうか。少なくとも、経営者は首です。

 黒田総裁、あなたは、一般常識からすれば、とっくに首です。そういう自覚はありますか。今すぐやめた方がいいんじゃないですか。お答えください。

黒田参考人 先月公表いたしました展望レポートでは、政策委員見通しの中央値で見て、消費者物価の前年比は二〇二〇年度でも一%台半ばにとどまる見込みになっております。

 もっとも、最近では、幅広い企業で販売価格引上げに向けた動きが見られるほか、積極的な設備投資計画からうかがわれるように、企業の将来に対する見方も変化しつつあります。先行き、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けるもとで、企業の慎重な賃金、価格設定スタンスや、値上げに対する家計の慎重な見方といった、これまで物価上昇をおくらせてきた要因の多くは次第に解消していくというふうに見ております。

 確かに、二〇二〇年度までの見通し期間を超えることにはなりますけれども、消費者物価の前年比は二%に向けて徐々に上昇率を高めていくことが展望できるというふうに考えております。(階委員「ちょっと、答えていません。答えてください」と呼ぶ)

野田委員長 黒田参考人、答弁、最後までお願いします。

黒田参考人 ということでありまして、引き続き、粘り強く金融緩和を続けることによって、二%の物価安定の目標を達成するということが私に課された義務であるというふうに考えております。

階委員 あなたが粘り強くこの異次元の金融緩和を、まさに異次元のジゲンはタイムリミットの方の異時限になってきている、異なる時限になってきている。この異次元の金融緩和をすることで、資料の三ページ目ですけれども、地銀を中心に、国内の融資残高は約二十年ぶりに高水準になってきているんですが、これは非常に危険なものだというのがこの記事です。

 なぜ危険なのかというと、要は薄利多売、まさに、利ざやが薄いのに、どんどん貸し込んで、危険なところにも貸し込んでいる。無理なリスクテークを続けているうちに、自己資本を食い潰していくことになりかねない、こういうコメントも地銀の関係者から出ているということであります。

 また、記憶に新しいスルガ銀行の問題では、文書改ざんやらパワハラなどの問題が出て、そして、その融資で一般の借入人が損害をこうむっている、こんなことも起きているわけです。

 皆さんが、二年を過ぎて、どんどんどんどんこういう悪影響を生じさせている。その責任を感じるのであれば、やはり潔く辞任すべきではないかと思いますよ。これが私は普通の一般社会の常識だと思います。なぜ常識が黒田総裁には通じないのか。なぜやめられないんでしょうか。お答えください。

黒田参考人 まず、金融機関の基礎的収益力が、低金利環境の長期化に加えて、人口や企業数の減少といった構造要因を背景に、地域金融機関を中心に低下傾向にあることは事実であります。

 ただ、これまでのところ、信用コストの減少や有価証券売却益が収益を押し上げてきたほか、金融機関は資本と流動性の両面で相応の耐性を備えておりまして、全体として、我が国の金融システムは安全性を維持しているというふうに見ております。

 もちろん、そのもとで、金融機関は、貸出しを前年比二%程度で増加させるなど、金融仲介活動には積極的に取り組んでいるわけでございますが、先行きを展望した場合に、人口減少などの構造問題が今後も金融機関の収益力を継続的に下押しするというふうにも見られますので、これが金融機関の損失吸収力を低下させることなどを通じてリスクテーク姿勢が、消極化させたり、あるいは金融仲介機能の制約となることがないか、しっかりと点検していくことが重要であるというふうに思っております。

 その上で、御質問に対してお答えいたしますが、そういうことで、粘り強く金融緩和を続けることによって物価安定の目標を達成する、そのもとでの金融機関の収益状況については十分注意し、粘り強く続ける中で副作用についてもよく点検して、それが問題を起こさないように金融緩和を粘り強く続けていきたい、それが私の責務であるというふうに考えております。

階委員 この記事の中でも、本当に限界が近づいているというコメントが、地銀の関係者だと思いますが、ありますね。限界が近づいているという中で、粘り強く続けていって、本当に金融システムが保てるのかどうか。

 ちなみに、四ページ目をごらんになっていただきたいんですが、これは成長実現ケース、先日、内閣府が発表した中長期経済財政試算から引用したものですが、消費者物価のところを見ていただくと、二%に達するのは大体二〇二二年度後半ぐらいではないかというふうにこの表には出ているわけです。つまり、黒田総裁の任期の終わりごろに達成するかどうか。しかも、これは成長実現ケースです。アベノミクスが大成功した場合を想定したものです。

 むしろ、現実にはこのとおりになっていない。ことしも、二〇一八年度の経済成長率は、この成長実現ケースどころか、ベースラインケースも下回りそうな、そういう状況です。

 そういう中で、まだまだ粘り強くとおっしゃっていますけれども、本当にそれで地銀の経営は大丈夫なんだろうか、日本の金融システムは大丈夫なんだろうか。責任を持って言えますか、黒田総裁。

麻生国務大臣 今の御指摘の中で、内閣府の中長期において、公債、債務残高等々の、対GDP比の将来見通しが……(階委員「いや、そんなこと聞いていません。違います、違います」と呼ぶ)いや、それは、内閣府の話から入ったから話をしているんです。試算よりも悪化した主な要因というのは、これは分母の名目GDPが下振れしたものによるものだと承知をしているんですけれども、少なくとも、そういった意味で、内閣の中長期試算においてという話を最初に、前提をされましたから私は答弁をさせていただいているんですが、その質問はした覚えはないと言われるんですか。(階委員「その質問はしていません。黒田総裁、答えてください。黒田総裁に質問しています」と呼ぶ)だったらおりますけれども。

黒田参考人 先ほど来申し上げていますように、金融機関の基礎的収益力というものが低下傾向にあることは事実でありますが、そのもとでも、これまでのところ、信用コストの減少あるいは有価証券売却益が収益を押し上げてきたこともありまして、金融機関は資本と流動性の両面で相応の耐性を備えておりまして、全体として、我が国の金融システムは安定性を維持しているというふうに見ております。

 ただ、そのもとでも、長期的な人口や企業数の減少といった構造的な要因を踏まえますと、将来にわたって金融機関の収益力が継続的に下押しされる可能性があるということでありますので、そういう点については十分注視して、これが金融機関の信用仲介機能を阻害したり、逆に、あるいは非常にリスキーな投融資を行ったりするという両面のリスクを十分考慮して、よく点検してまいりたいというふうに思っております。

階委員 リスクを認識しながらもやり方は変えないということでは、全くPDCAサイクルが回っていないのが今の日銀だということを指摘させていただきたいと思います。

 それと、最後に麻生大臣にお尋ねしますけれども、資料の五ページ目、今回、法案が出るそうですけれども、金融機能早期健全化法の改正案ということで、今、預保に入っている余剰金、これは早期健全化勘定の方の余剰金が一・六兆ぐらいあるそうなんですが、大体、その中で本来使われるべきものに使ったとしても一・一兆ぐらい残りがあるそうで、このことは会計検査院が既に二〇一六年の段階で指摘しております。

 この指摘に対して、当初、麻生大臣は、十・四兆円の国民負担が平成の金融危機のときに確定していること、それから、預保の他の勘定について欠損金や含み損があること、さらに、含み損は変動して膨らみ得ること、こういったことを考えて総合的に検討するんだ、要は慎重に検討するんだということを当時言っていたんですけれども、今、急に変わって、この一・一兆を、八千億は国庫に返納して、今回の予算の財源にして、そしてあたかも財政が健全化しているように見えるような、そういうたてつけにしているわけです。

 なぜ今までと方針を変えたのか、御説明ください。

麻生国務大臣 前回というのは、平成二十六年の四月の消費税率に際して大きな駆け込み需要と反動減が生じて、その結果として景気の回復が弱まることになったという背景があります。

 したがいまして、本年十月に予定しております一〇%というものへの引上げに対して、こうした前回の経験を生かして私どもとしてはいろいろ対応をさせていただいているんだと思っておりますが……(階委員「ちょっと、全然関係ないことを答えている。関係ないことです」と呼ぶ)今のお話で、私どもとしては、十二分な対策を講じることとして、預金保険機構の中から、本題に入ってよろしいですか、それで。何か御不満があるようだったから丁寧に答えているんですけれども。

 預金保険機構から国庫納付金八千億円を含みます臨時の収入を、こうした臨時特別の措置として、財源としてお示しをさせていただいているとおりです。

 今、階先生の御指摘、最後の返済資金については、いろいろ御意見のあることは知っておりますけれども、これは衆議院、参議院からも、この件に関しましてはいろいろ言われておったところにつきましては、これまでも言われておりましたので、そういった意味で、私どもとしては、今回の指摘の中には、平成二十八年の十一月の、会計検査院が、適時の国庫納付、また、預金保険機構の財務の健全性維持のための活用に向けた方策を検討するというように指示をいただいて、意見表示が行われておりますので、その後、衆議院、参議院におきましても同趣旨の議決がなされておりますのは御存じのとおりです。

 それらを踏まえまして、今般、利益剰余金のうち八千億を国庫納付させていただくということにさせていただいたのであって、私どもとしては、御存じのように、含み損がありますのは御存じのところなので、そこのところにはきちんと、残すものは残して、今回のこととして、これを、法律を変えないかぬことになりますので、総合的に考えて、私どもとしては、本通常国会に改正案を提出するということをさせていただいた上で、平成三十一年度に国庫納付をさせていただくということになったという経緯です。

階委員 過去に十兆円も国民の負担が生じた。私も、当時長銀におりましたので、その責任を痛感しています。

 この国民負担を減らすには、余ったお金を単純に、またポイント還元やら何やらで使うのじゃなくて、やはりそれはちゃんと、過去に公的資金を投入したときに借金をしました、この借金減らしに充てるべきだと思いますし、また、〇・八兆も使っていいのか。次なる金融危機に備えて、株価が下がったときに含み損がふえます、それを処理するためにどうするのかということも考えなくちゃいけないと思いますし、今回のやり方は配慮に欠けている、思慮に欠けているということを御指摘して、質問を終わります。

 以上です。

野田委員長 これにて階さんの質疑は終了いたしました。

 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、児童虐待につきまして質問させていただきます。

 連日、この予算委員会でも質疑があっております。去年、目黒区で船戸結愛ちゃんの大変痛ましい事件がありまして、二度とこういう悲しい事件を起こしてはいけないという思いの中でさまざまな取組がなされましたけれども、再び、野田市、栗原心愛ちゃんが、両親からの虐待によって亡くなるという大変悲しい事件が再び起こってしまいました。

 今回、余りにも対応のミスが重なってしまい、救える命を失ってしまったということは痛恨のきわみでございます。ここに、幼い、とうといみたまに心から哀悼の意をささげ、質問に入らせていただきます。

 今回の栗原心愛ちゃんの虐待死については、私は、お母さんが父親からDVを受けていたというのが大きな要因になっているのではないかというふうに思っています。

 今回逮捕された母親が、逮捕された夫からDVを受けていたということを、妻の親族が糸満市の方に相談をしておりました。また、そのときに、心愛ちゃんもお父さんから恫喝を受けていたということを親族が相談をしておりましたけれども、これが伝わっていなかった。逮捕後、母親から、娘が叱られれば自分はやられないという趣旨の供述があったというふうに聞いております。

 この心愛ちゃんへの恫喝や母親へのDVについて引き継がれていたのであれば、児童虐待防止法の第二条第四項にある、DV環境で子供を養育することは心理的な虐待に当たるということで、恫喝の情報があればすぐ要保護児童となっていたということが、野田市の担当者から述べられております。

 このDVを防止するというDV法の取組の中で、DVを受けているお母さんなり、親と一緒に子供たちを守ることができるのではないかというふうに考えております。

 今のDV法では、DVを受けている親が主体で、子供に対するきめ細やかな体制がありません。この法律を整備して、ここでも子供たちの命を救う取組ができるのではないかと思っておりますけれども、総理の御所見をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨年の三月に、五歳の女の子、結愛ちゃんが児童虐待で亡くなったことを受け、児童虐待の防止について政府一体となって取り組むため、昨年七月に緊急総合対策を取りまとめたにもかかわらず、今回の事件が繰り返されたことはまことに残念であります。政府として深刻に受けとめており、八日に関係閣僚会議を開催し、新たな対応を指示しました。

 その中で、転居した際の引継ぎが徹底されているかどうかの緊急点検、現在三千名の児童福祉司を、来年度、一気に千名増員し、二〇二〇年度には五千名体制とするなど、児童相談所の体制の抜本的強化などを直ちに実行するよう、厚生労働大臣を始め各府省庁に指示をいたしました。

 さらに、今御指摘のあった、DVが行われている状況下では虐待の制止が困難となる場合があることから、婦人相談所において母子を同時に一時保護するなど、児童相談所と婦人相談所が特に緊密に連携して対応することを徹底させたい、こう思っております。その際、子供の安全確保を最優先として対応してまいります。

 いずれにせよ、何よりも子供の命を守ることを最優先に、あらゆる手段を尽くして、児童虐待の根絶に向けて総力を挙げてまいります。

西岡委員 今総理からございました、女性相談部門と子供相談部門の連携というのが大変重要だというふうに思いますし、また、子供にかかわる分野の職員の皆さんに、虐待やDVについての理解を深めるということも大変有効ではないかと思っております。大学の教育課程や職員研修のカリキュラムの中に、このDVについて、また虐待についての研修を入れていくということも大変有効ではないかというふうに思っております。

 御紹介でございますけれども、実は、私の地元長崎県は、DV対策について大変先進的な取組をしております。総理が悪夢のときであったと言われました民主党政権の時代に、光の補助金という、住民の生活の中でなかなか光の当たらない分野で重要な分野に交付金をつけたということがありまして、それをもとに、長崎県ではDVに対する対策を、いち早く取組を始めております。

 その中で、学校現場で、小中高、大学の中で、DVについて子供たちに出前教育のようなことをずっと続けてきております。このような取組も大変重要であるというふうに思いますし、DV予防教育プログラムということで、現在まで一万八千人の実績がございます。

 こういうことも大変重要だというふうに思いますけれども、総理の御所見をいただきたいと思います。

片山国務大臣 西岡委員にお答えをいたします。

 まさにDVの問題は非常に重要であるという認識を我々も持っておりまして、このところ、やはりDV被害者、この件数が高どまりしております。まさに、昨年の件、今回の本当に痛ましい事件、DVとの関連性は非常に強いというふうに認識をしておりまして、先月、DV等被害者のための民間シェルターに対する支援のあり方に関する懇談会というのを私のもとに立ち上げ、まさに、進んでいらっしゃるというふうに委員が御指摘の御地元の長崎でシェルターに長らく取り組んでこられた方もお呼びしてお話を聞き、教育の問題、認識の問題も含めて総合的に取り組ませていただく所存でございます。よろしくお願いします。

西岡委員 今片山大臣からもございましたけれども、先進的な取組の一つとしては、一時的な保護をする、その先としてステップハウスというものを設けまして、常駐のスタッフが母子の支援を続けながら、一年間そのステップハウスで生活をして地域になじんでいくということを、その中でいろいろな、裁判所に同行をしたりですとか、また、子供の養育、家事の補助をしたりですとか、そういう、一年間一緒にステップハウスで生活をしながら自立を促していくという取組もいたしております。

 ただ、なかなか、大変財政面で厳しいところがございますので、ぜひ、このような先進的な取組が全国に広がって、どういう地域に住んでいても同じようなことを受けられる体制というのがやはり必要だというふうに思いますので、その意味では、県独自の取組ではなかなか難しいところもございますので、国として、ぜひそのような取組を全国的に取り組んでいただきたいと思います。

 総理に、御所見、もしいただければと思います。

片山国務大臣 では、まず担当からお答えいたしますが、まさに今そういった認識の御議論をさせていただいております。

 DVの呪縛から逃れられない、そういう母親、特に小さいお子さんを連れておられる場合、それが被害を大きくしているということは本当に認識されているところでございまして、民間のシェルターでございますから、支援の方向についていろいろな法的な問題もございますが、そういったところも今相談に乗りながら、何とかいい方向を見出していこうとしているところで、この六月にまた、政府の基本方針、女性活躍加速のための重点方針をつくりますので、そこにも盛り込み、できるだけの努力をさせていただこうと思っております。

 以上です。

安倍内閣総理大臣 ただいま大臣から答えさせていただきましたが、地域においてさまざまな取組を行っていて成果が上がっているということであれば、それも国がしっかりとリードをして全国展開をしていくということも十分に検討に値する、このように考えております。

西岡委員 総理、ありがとうございます。

 片山大臣の方で今お取り組みになっているというふうに思いますけれども、ぜひ、全国で、お力をいただいて、この先進的な取組を広げていくことができればというふうに思っております。

 やはり、さまざまな取組をしていく中で、児童虐待による、本当にとうとい命が奪われないための施策について、与野党問わず全力で取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 さきの米国のINF廃棄条約破棄通告についてお尋ねをいたします。

 私、長崎選出でございますので、被爆地長崎市の代表として質問をさせていただきます。

 今回の条約破棄、私は大変深刻に受けとめております。この一日に破棄を通告して、二日から既に条約の義務を停止いたしました。また、ロシアも義務を停止し、プーチン大統領は、自国の安全を強化する追加措置をとると軍備増強を明言されております。

 この条約は、冷戦の終結を後押しする大変歴史的な役割をこれまで果たしてきたというふうに思います。今回のことについて、安倍総理はどのようにこの事態を受けとめておられるのか、また、このことが日本にとってどのような影響があるとお考えになっているのかということについてお伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードしていく使命を有しています。これは私の揺るぎない信念であり、我が国の確固たる方針であります。

 我が国は、INF全廃条約が軍備管理・軍縮において歴史的な役割を果たしてきたことを踏まえ、これまで米国と緊密に連携するとともに、ロシアや中国ともやりとりを行ってきています。今後同条約が終了せざるを得ない状況は望ましくありませんが、今般、米国が同条約の義務を停止する旨発表するに至った問題意識は理解しています。

 米国は、今後開発を想定している中距離ミサイルは、核弾頭ではなく、通常弾頭の中距離ミサイルであると説明をしています。

 INF全廃条約が対象とするミサイルをめぐる問題は、東アジアの安全保障にも直結することから、我が国としても高い関心を有しています。我が国としては、従来から、米国やロシア、そして中国を含む関係国をしっかり巻き込んだ軍備管理・軍縮の取組が重要であると考えています。

 地域の安全保障に与える影響等も踏まえつつ、米国と緊密に連携するとともに、ロシアや中国を含む関係国とも、透明性の向上等について意思疎通を図っていきたいと考えております。

西岡委員 今の総理の答弁ですと、この条約破棄については安倍総理も理解をしている、事前にアメリカと、トランプ大統領といろいろな話合いを、外交上のことでもあるかもしれませんけれども、理解をしているということでございましたので、このことについて、何か日本の立場をトランプ大統領にお話をされたということはなかったということでしょうか。

安倍内閣総理大臣 一番最初に申し上げましたように、核兵器のない世界をつくり出していくということは、これは我が国の確固たる方針であり、この方針についてはアメリカも当然了解をしていることであります。

 今までのINF全廃条約が歴史的に果たしてきた役割、使命ということについても、米国と緊密に連携をしてきておりますし、また、ロシアや中国ともやりとりを行っているということは先ほど御説明したとおりでありますが、かつ、同条約が終了せざるを得ない状況は望ましくないということについては、これは米国側にも日本の考え方というのは伝わっています。と同時に、今申し上げましたように、米国が同条約の義務を停止する旨発表するに至った問題意識については理解をしているということでございます。

 今後、今までこのINFの中には、御承知のように中国は入っていないわけでございます。であるからこそ、日本としては、従来から、米国やロシアだけではなくて、中国を含む関係国をしっかりと巻き込んだ軍備管理・軍縮の取組が重要である、このように考えているところでございます。

西岡委員 中国については、報道等でございますけれども、大変、多国間の枠組みには否定的であって、総理がおっしゃる枠組みというのは大変難しいというような状況も報道等では見ておりますけれども、逆に、核、ミサイルの戦力強化を強める方向に働くのではないかという危惧もございますし、この条約が破棄されたことによって、近隣、その周辺で競争が激化をしていくのではないかということも懸念をされております。

 また、長崎の被爆者の皆様からは、大変、時計の針を戻してしまうことになるのではないかという不安や、核軍縮の動きがこれで停滞をして、逆に核が広がって競争が激化していくのではないかという危機感が大変、長崎の方ではお声を聞くんですけれども、そのことに対して総理の御見解をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、米国は、今開発を想定している中距離ミサイルについては、これは、核搭載、核弾頭ではなくて、通常弾頭の中距離ミサイルを開発をしているということでございまして、つまり、その中において、いわばより実効性の高いものをつくっていく必要があるわけでございます。

 中国は、そうだからといって最初から諦めてしまっては、これはそもそもバランスがどんどん崩れていくことになるわけでありまして、そういうバランスをとっていくことが大切であろう、こう思っているわけでございます。

 そういう意味においては、もちろん日本もそのためにリードを果たしていきますが、当然、交渉するのは、いわば米国、ロシア、更に中国も入っていくことがこれは望ましいのではないか、こう我々もずっと考えてきているわけでございます。

 例えば、日本は、削減するも何も、そもそも中距離核弾頭というのはないわけでありますから、持っているところ同士がお互いに削減していきましょうという交渉をしなければならないんだろうな、こう考えております。

西岡委員 そこで、唯一の戦争被爆国である日本の首相の果たす役割が大変重要になってくるというふうに思いますので、総理も、毎年、広島、長崎にもおいでになって、被爆者の皆さんの声も毎年聞いていただいているというふうに思いますので、ぜひ、そのことを総理の思いの中に持ちながら、これからもこのことに取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問に行きたいというふうに思います。

 首相の公的な記録管理のあり方ということでお尋ねをさせていただきます。

 先般、福田元総理が提言をされましたけれども、それは、安倍総理、お読みになりましたでしょうか。

安倍内閣総理大臣 福田元総理も、ルールをつくり、歴史的文書として保存することを提言をしておられるわけでありまして、こうした指摘について、我々も、今そうした指摘も受けとめながら、政府としては、内閣総理大臣が各行政機関から説明や報告を受けた際に用いられた資料のうち、公文書、また行政文書に該当するものについては、公文書管理法等の規定に基づき、官邸で説明を行った各行政機関の責任において、国民への説明責任を全うすることができるよう、適切に、適正に管理するべきものと認識をしているところでございます。

西岡委員 総理は二回、総理大臣になられているわけでございますけれども、今、総理の文書というのは、私的な文書か公文書かというのが大変区別が難しいんだというふうに思いますけれども、今、総理はどのように、御自身が持っていらっしゃる資料を保存されているんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 それは、公文書に該当しない、例えば、私自身の日記、また、いただいた手紙ですね。この中でもいただいた方、おられます。私、結構とっているんですが、ほとんどの方からいただいておりませんが、出していただいた方もおられます。そういう手紙。あるいは、外国の首脳から、あるいは元首脳、あるいはその家族から個人的にいただく手紙、手書きの手紙というものもあります。

 そういうものはとってあるわけでありますが、その中にも歴史的に重要なものは、これは私のものについて存在し得るかどうかというのは、ほかの方が判断するものになるかもしれませんが、記録については、国立公文書館において、公文書を補完、補強するものとして、本人の了解を得た上で、私であれば私のですね、得た上で、退任後に資料を積極的に収集し、保存することとするとともに、歴代総理大臣経験者を対象として、口述記録、いわゆるオーラルヒストリーを収集するなどの取組を進めていることとしていると承知をしております。

 なお、一連の公文書をめぐる問題も踏まえ、昨年七月に、文書管理の実務を根底から立て直すべく、公文書管理の適正化に向けた総合的な施策を決定し、全て着実に実行に移しているところであり、引き続き適正な公文書管理の徹底に万全を期してまいりたい、こう思っております。

 ちなみに、私自身は、今現在は日記というものはつけておりません。どこかの段階でまたつけるかもしれませんが、今の段階ではつけていないということでございます。

西岡委員 総理が例えば会議とかでメモをされたものですとか、後世、歴史的に大変価値のあるものになる可能性もあるというふうに思いますので、福田元総理は全て持ち帰ったものはとっていらっしゃるということのようでございますので、総理も、二度総理大臣を務められておりますので、私文書というあれではなくて、やはり後世に歴史を伝えるという意味でも、ぜひ残していただきたいというふうに思います。

 ただ、ルールを本当はやはりつくるべきなのではないかというふうに私自身は思いますけれども、麻生元総理、お尋ねしてもよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

 メモとか、総理大臣当時の資料はどのように保管されておりますでしょうか。

麻生国務大臣 基本は今総理が言われたとおりなんですけれども、私の場合はほとんどそういったものは残さないように努めていますので、ほとんど残したことはありませんし、日記というのをよく書かれていらっしゃる方がいらっしゃるんですけれども、偉い方の書かれた日記なんというのは、大体後の人に読んでもらいたいと思って本当のことが書いてあるかどうかわからない。私は基本的にそう思っていますから、書かないことにしていますし、自分でも、書いたって人はそう思って読むだろうと思いますので、そういったことはしないことにしております。

西岡委員 実は、どうしてこういうお尋ねをさせていただいたかといいますと、福田元総理が公文書管理法をつくられたときというのは、社会保険庁の消えた年金問題、厚生労働省のC型肝炎関連資料の放置、海上自衛隊補給艦「とわだ」についての日誌を間違って破棄してしまったなど、公文書管理にまつわる不祥事が多発をしたということを受けて、福田当時の総理が公文書管理のあり方を見直すチームをつくられまして、その途中で退任をされましたので、その最終報告書をお引き受けになったのが麻生総理でございまして、麻生総理のときに、二〇〇九年に公文書管理法が成立をいたしております。ちょうど十年目になります。

 公文書管理法と車の両輪と言われるのは情報公開法でございますけれども、情報公開法はちょうどことし二十年ということでございますので、先般、昨年から大変公文書にまつわるさまざまな問題が発生をいたしましたので、我が党も公文書管理法については二法提出をいたしておりますので、ぜひ、法律できちんと公文書管理についてのルールを、もっと第三者的に監視をするルールも含めまして公文書管理を、改正をしていただいて、法律できちんと規定をするべきではないかというふうに思います。

 総理に御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 公文書については先ほど答弁させていただいたとおりでございますし、御党が御党として出されるんですか。(西岡委員「昨年出しております」と呼ぶ)失礼いたしました。御党の出された法案については、まさにこの国会で御議論いただければ、こう思うところでございます。

 先ほど申し上げましたこの二点でございまして、公文書につきましては、いわば官邸において申し上げれば、内閣総理大臣が各行政機関から説明、報告を受けた際に用いられる資料のうち公文書に該当するものについては、公文書管理法等の規定に基づき、各行政機関の責任において、国民への説明責任を全うすることができるように適正に管理すべきもの、こう考えているところでございます。

 また、その後も、委員の御指摘になった公文書ではない日記等々、そういうものについても、これはさまざまなものが存在するわけでございますから、それは、先ほど申し上げましたように、公文書を補完、補強するものとして、本人の了解を得た上でという。メモ等を我々も書く場合があります。さまざまなスピーチを書いていく上において、基本的な考え方を実際にスピーチライター等に渡す場合がありますから、そういうものは私の手書きのものもありますし、それを添削的にするときの、いただいた原案にどういう問題があるかという、書き込んだ原稿等も私は一部とってはあります。

 また、人事を行う際にもいろいろと、例えば、これは私というよりも、そういうことをそれにおいて推敲する方もおられるんだろう。そういうメモをしつつ共有する。しかし、それはそれでそれなりの史料的な価値というものはあるのかな、こう思うところでもあります。

西岡委員 さまざま、昨年からの公文書改ざんも含めまして、やはり、今きちんと公文書管理法を改正をして、第三者的な監視がきちんと行われる仕組みにすることが、今のこの行政また立法府も健全な形になるのではないかと思います。

 そのことを申し上げまして、質問を終わります。

野田委員長 これにて西岡さんの質疑は終了いたしました。

 次に、岡本充功さん。

岡本(充)委員 きょうは、二十分ですけれども、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 早速、限られた時間ですから、質問していきます。

 まずは、けさのニュースでもありました櫻田大臣の発言について、私からも問いたいと思います。

 大臣、今回の発言、先ほど謝罪、撤回をされましたけれども、何を謝罪、撤回されたのか、もう一回はっきり言ってください。

櫻田国務大臣 私としては、何よりも治療を最優先にしていただきたいと考えておりますが、今回、そうした私の意思が必ずしも伝わらない状況になっていると考えております。

 私としては、何よりも治療を最優先にしていただきたいと考えております。そうした意味で、私の立場でメダルへの影響について言明することとか、そういったことについては配慮が足らなかったのではないかと思っております。

岡本(充)委員 何を謝罪、撤回をされたのは何ですか。言ってください。

櫻田国務大臣 昨日の私の発言の中で、がっかりしている、盛り上がりが若干下火にならないか心配しているという部分については、配慮を欠いたと思いまして、おわびもし、撤回させていただいたところでございます。

岡本(充)委員 何で、櫻田大臣、こうやって、まあ失言と言われる発言が多いと言われるのか、御自身ではどう考えてみえるのか、どうしてそういう発言が多いと思われますか。御自身の見解を求めたいと思います。

櫻田国務大臣 自分で自分のことを評価することは難しく、それは、評価は人に委ねたいと思っております。私にはよく理解できません。

岡本(充)委員 ちょっと、今のはどうかと思いますよ。何で失言とされる発言が多いのか、御自身でどういうふうに今回のことを踏まえて反省されているのか、そこを聞いているんです。

 反省を相談しなきゃいけないんですか。反省を、役所から聞く話じゃないでしょう。

櫻田国務大臣 やはり私の配慮が足らなかったということでございまして、私の不注意だと思います。もうちょっと発言に対しては慎重を期してすべきだと思っております。それが若干というか、大分足らなかったということでございます。

岡本(充)委員 もう本当に、こういう話が出てくるのが残念でならないし、私は、今回の発言は、選手本人もそうですが、白血病で苦しむ多くの患者さんにとっても大変、あるまじき失言だと思います。そういう意味で、強く抗議をしたいと思います。

 さて、本題に入ります。

 きょうは、児童虐待についての話を聞きたいと思います。

 今般、本当にまた痛ましい事件が起こってしまいました。

 今回、野田市で十歳の女の子が亡くなられた事案について、文科省、沖縄での状況については、私ないし我が党からの指摘を受けて、先週の金曜日から調べ始めました。これは事実ですか。

柴山国務大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の事案について、野田市での実態のみならず、沖縄における状況確認の必要性は、二月八日の国民民主党政務調査会第三部会において御指摘をいただき、文部科学省として、沖縄の状況をしっかりと確認したいと考え、現在、沖縄県の教育委員会を通じて状況を確認しているところでございます。

岡本(充)委員 したがって、二月八日に私どもが、私が朝、部会で指摘をするまで、文科省は沖縄の調査をしていなかった。沖縄で何があったかも調べていなかったわけであります。

 厚生労働省においても、沖縄での出来事について、二月八日の我が党の部会に資料を持ってくるように要求をしましたけれども、沖縄についての資料はない、こういう説明をされました。事実ですね、大臣。

根本国務大臣 千葉県野田市における児童虐待事案については、事案発生後の二月四日に、虐待防止対策推進室長を現地に派遣して、千葉県及び野田市に対して事実関係の確認を行いました。そして、この事実確認の結果、転居前の沖縄県糸満市から転居後の千葉県野田市へ当該児童に関する情報提供があったことが判明したことから、二月五日以降、沖縄県及び糸満市に対しても事実関係の確認を実施いたしました。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、二月八日の朝に、二月七日に沖縄での事態についてまとめたものを持ってくるよう要求をされたにもかかわらず、当時、厚生労働省は、資料がないと言って持ってこなかった。事実ですね。

根本国務大臣 その時点で資料がなかったことは事実であります。ですから、持ってこなかったんだと思います。

岡本(充)委員 ひどい話ですよ。これは後で説明しますけれども、政府は、昨年の夏に、転居した場合の児童相談所間における情報共有の徹底というのを決めているにもかかわらず、転居前の情報については調べていなかったり、情報を持っていなかったわけですよ、金曜日に指摘をするまで。これは本当に姿勢が疑われると思います。

 そこで、総理にお伺いをしていくわけでありますけれども、このような状況の中で、なぜ、私たちが昨年の六月に提出をした、野党共同で提出した児童虐待防止法の改正、この法案について審議をしようとしないのか。自民党総裁でもある安倍総理、なぜこの審議を進めようと自民党はされないのか、そこについて説明を求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 もうここでは何回もお答えをさせていただいておりますが、ここに立っているのは、内閣総理大臣として、国の予算あるいは法案等について答弁をする義務を負っているからここに立っているわけでございます。これは、自民党総裁としてここでお答えする立場にないということと同時に、まさに、議会、委員会等においての議事の進め方、議論の仕方については議会が主体性を持って行っていくべきもの、このように理解をしております。

岡本(充)委員 ひどい話ですよ。自分たちが強行採決するものは強行採決する。働き方改革にしても外国人労働者の受入れ拡大にしても、強行採決をする。一方で、委員会の時間が余っているにもかかわらず、こうした児童虐待の政策は前に進めない。大変に私は、今回のケース、自民党が対応してくれなかったこと、怒りにも、そしてまた大きな悲しみにも感じるところであります。

 そこで、今回、じゃ、自民党というわけではなく政府として、ここ七ページにも書いていますけれども、夏、いろいろな対策をとりました。じゃ、今回のこの対策、野田市のケースではきちっと生かされていたんでしょうか。例えば、ここに書いてある児童相談所と警察の情報共有の強化、これはできていたんですか、総理。

根本国務大臣 昨年三月に五歳の女の子が児童虐待により亡くなったことを受け、児童虐待防止について政府が一丸となって取り組むため、昨年七月に緊急総合対策を取りまとめました。

 そして、具体的には、例えば、転居した場合の児童相談所間における情報共有の徹底、通告後四十八時間以内に子供の安全確認ができない場合の立入調査のルール化などの対策を重点的に行ってきました。

 そして、この緊急総合対策については、昨年八月には、全国の都道府県、児童相談所が集まる会議において説明、周知したほか、昨年十月から十一月にかけて、全国七ブロックにおいて、児童相談所長が集まる会議の場で説明、意見交換など、あらゆる場を通じて周知徹底を図ってきました。

 しかしながら、本事案については、現時点においては、少なくとも、一時保護解除後、家庭復帰を行う際の家族全体の状況へのアセスメント、家庭復帰後の援助体制、特に学校との連携、役割分担について課題があったのではないかと考えております。

 このような点について、緊急総合対策においても、家庭復帰の判断の際、チェックリストの活用等により、保護者の支援の状況や地域の支援体制などについて客観的に判断した上で判断すること、解除後は、児童福祉司指導や地域の関係機関による支援などを行い、リスクが高まった場合には、ちゅうちょなく再度一時保護するなど適切な対応をとること、関係機関の連携強化などを盛り込んでまいりました。

 にもかかわらず、今回のような事案が繰り返されたことはまことに残念であり、深刻に事態を受けとめております。

 このため、八日の関係閣僚会議で、児童相談所において、在宅で指導している全ての虐待ケースについて、一カ月以内に緊急的に安全確認を行うなどについて決定いたしました。また、本日開催する社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会においても、千葉県野田市、沖縄と本件事案に関する事実関係の確認を行っており、今後は、自治体で実施する検証結果なども含め、本事案の問題点や課題を明らかにしてまいります。

岡本(充)委員 長いです。端的に答えてください。

 じゃ、せっかく触れられましたから、緊急総合対策のさらなる徹底と言っていますけれども、これは、一カ月以内って、いつから一カ月以内なんですか。はっきりしてください。

根本国務大臣 今回の緊急安全確認の対象は、児童福祉法に基づき……(岡本(充)委員「いつからと聞いているんです。いつから一カ月ですか」と呼ぶ)いつから、ちょっと待ってください。

 一カ月以内の緊急安全対策の起点はいつかということですか。これは関係閣僚会議で決定していますが、詳細な調査方法などについては、速やかに決定した上で、もう既に決定していますけれども、各自治体が迅速に緊急安全確認を行えるよう通知したいと思います。

 そして、基本的には、決定はしていますが、通知を発出したいと思っております。そして、基本的には通知の発出日が起点日となるものと考えられるため、速やかに詳細な調査方法等を決定した上で通知を発出したいと思っております。

岡本(充)委員 ということは、まだ始まっていない、一カ月以内にやりますと言って、まだその一カ月は始まっていないんですか。

根本国務大臣 一カ月以内の緊急安全確認の起点はいつかということですが、今、詳細な調査方法等について速やかに決定した上で通知をしたいと思っております。速やかに通知をしたいと思っております。

岡本(充)委員 では、文科省は、一カ月以内に公立の小中学校、教育委員会等に対して、今回のような虐待が疑われるケースについて緊急点検、これはいつからですか。

柴山国務大臣 お答えをいたします。

 私ども文部科学省といたしましては、今委員からお話があった、全国の公立小中学校、教育委員会等において、今回のような虐待が疑われるケースにおいて、お話があったとおり、二月八日に関係閣僚会議がございましたので、私どもとして考えていたのは、その関係閣僚会議から一カ月ということを目標として取りまとめるため、今現在、緊急点検の項目の詳細を大至急詰めているところでございます。

 ただ、これについては、厚生労働省とも連携をしながら、どのような事態を調べるのが適切なのかということを今詰めているところでございまして、私どもとしては、想定した一カ月を守るために全力で作業を急ぎたいと考えております。

岡本(充)委員 起点は何月何日か、もう一回はっきり言ってください。

柴山国務大臣 共通の、厚生労働省との詰めがあったわけではありませんけれども、先ほど申し上げたとおり、緊急対策会議が二月八日で、そこで私ども一カ月以内ということを決めたわけでございますので、我々としては、そこから一カ月を目標として作業するべく、全力でそれに必要な作業等を今進めているところでございます。

岡本(充)委員 もう二月八日から何日もたっているわけです。だけれども、何を点検するかも決まっていない。そして、はっきりいつまでにやるのかも決まらない。こんなことで、総理、いいんですか。全然やっていないでしょう。緊急じゃないじゃないですか。総理、指導力を発揮してくださいよ。

安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、二月の八日に関係閣僚会議を開いて、そこで私から一カ月以内ということを申し上げたわけでありまして、その段階で私も事務方に申し上げたんですが、きょうからだよということを申し上げたわけであります。しかし、通知が届いているかどうかということで、厚労大臣の方から、それを確認した上でということなんだろうと思います。

 具体的に何をしていくかということについては、基本的なことについては私はもう申し上げているわけでありますが、さらに、それにつきましては厚労大臣から答弁させたい……(岡本(充)委員「いやいや」と呼ぶ)それを聞きたいんでしょう。ここは対決の場ではなくて、お互いにいいものをつくっていこうということなんですから。お互いに非難をし合うことではなくて、より、これはみんなの責任なんですから、やっていこうということですから、そこを今厚労大臣から答弁させますよ。

根本国務大臣 自治体に対して、詳細な調査方法等について我々は伝えなければいけませんから、これは速やかに決定した上で、各自治体が迅速に緊急安全確認を行えるよう、具体的な調査方法などについて通知をしたいと考えています。

岡本(充)委員 いずれにしても、こんな緊急総合対策と言っておきながら、全然緊急性を感じないわけでありますけれども。

 じゃ、はっきり聞きます。

 在宅で指導している全ての虐待ケース。昨年の結愛ちゃんの事件、目黒で、児相で、これは在宅で指導をしているわけではありませんでしたね。そういう意味では、結愛ちゃんのケース、そしてまた今回の野田市の女児も、一カ月以内の点検と言っていますが、二月の四日まで沖縄にいる、こう保護者に言われ、それで納得してしまっていた児相と学校。いずれにしても、この野田市のケースも、亡くなる数日前の時点、この時点の状況が緊急的に安全確認する対象にならないと考えますが、この文言ではですよ、厚労大臣、どうですか。

根本国務大臣 緊急安全確認の対象、これは、児童福祉法に基づき児童相談所が行う行政処分に当たらない指導としての継続指導と、行政処分に該当する児童福祉司指導を行っているケースを想定しています。

 この指導については、具体的には、家庭から子供を分離せず、虐待の未然防止や再発防止を図りながら、在宅における生活を援助する必要があるケースに対して行われます。

 このようなケースについては、児童相談所の援助方針会議において、継続指導又は児童福祉司指導を行う旨を決定します。例えば、子供の安全についての重大、深刻な……(岡本(充)委員「ちょっと待ってください。答弁、そう聞いていないでしょう。ちょっと委員長、もう一回やらせてください」と呼ぶ)

野田委員長 大臣、戻ってください。

岡本(充)委員 時間が限られています。

 じゃ、はっきり聞きます。

 今回の野田市のケース。一月二十一日に、児童相談所から小学校へ連絡して状況確認した。小学校より、二月四日まで沖縄に帰省している、こう言われて、このまま児童相談所は何もしなかった。じゃ、今回の緊急点検、二月四日まで沖縄にいると言われたら、一カ月あるわけですから、安全確認をしないまま一月二十四日の亡くなる日が来るんじゃないかと言っているんです。点検の対象にならないのではないか、この指摘に対してはっきり答えていただきたい。

安倍内閣総理大臣 これは、両親からそう通知がある前に、児相とのやりとりがあるわけであります。児相とのやりとりがあって、そこで児相が把握していること、学校が把握していること、連携が十分にいっているかどうかということが大きな課題なんです。ですから、そのことも反省しながら、これは当然対象になりますよ。いわば……(岡本(充)委員「ならないでしょう。だって、継続しかしていないもの」と呼ぶ)ここはお互いに、そんなどなり合って相手を非難する場所じゃないと思いますよ。

 そこで、申し上げたのは、我々も誠意を持ってやっているんですよ。昨年三月に、いわば、五歳の女の子の結愛ちゃんが児童虐待で亡くなったことを受けて、児童虐待の防止について政府一体となって取り組むため、昨年七月に緊急総合対策を取りまとめ、引っ越しの際の引継ぎの徹底と四十八時間ルールの徹底などの対策を重点的に行ってきた。こうした状況の中でこの事件が起こったということを、反省を鑑みて、この四十八時間ルールを更にしっかりと徹底していく。その際にちゃんと連携をしていく。これは、共同対処もしていくということも含めて徹底をしていくということが今回決まったことであります。

岡本(充)委員 もう時間がないです。

 ですから、これは対象にならない、それを私ははっきりさせるべきだと思いますよ。しっかり、私は、やる気があるんだったら、法案の成立を、審議を自民党として進めていただきたい。お願い申し上げて、私の質問を終わります。

野田委員長 これにて岡本さんの質疑は終了いたしました。

 次に、関健一郎さん。

関(健)委員 国民民主党、関健一郎です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 豚の伝染病、豚コレラの対策について質問いたします。

 冒頭申し上げます。

 私の地元の渥美半島、愛知県田原市でも、本日、新たに疑似患畜千百八十頭が確認されました。まさに国家の緊急事態と言うことができます。局面が変わりました。一刻も早い封じ込め対策をしなければなりません。

 作業された方に話を聞きました。重機が足りません、人が足りません、時間が足りません、それが今の現場の皆さんの声です。これは省を横断してやらなければいけないことだと思います。総理におかれましては、万全の体制を指示していただくことを改めてお願いを申し上げます。

安倍内閣総理大臣 昨年九月に豚コレラが確認されて以降、岐阜県や愛知県等の発生農場においては、感染拡大防止のために迅速かつ徹底した防疫措置を講じてきました。特に大規模な養豚場においては、自衛隊の協力も得て、獣医師を中心とした自治体、関係団体の職員等が夜を徹して防疫作業を実施してきました。まさにこうした形で、省を横断をし一体となってやっていきたい、自治体と政府、一体となってやっていきたいと思います。

 こうした作業に携わる方々には多大な精神的、肉体的負担がかかるため、岐阜県や愛知県では、国の指針に基づいて相談窓口を設置し、相談を受け付けています。

 これ以上感染拡大をさせてはならないという緊張感の中で、現場で対応を行う皆さんの疲労も蓄積していると思いますが、養豚農家の方々に一日も早く安心していただけるよう、引き続き、関係各省、自治体等と密接に連携をして、迅速かつ徹底した防疫措置に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

関(健)委員 今御答弁いただきましたけれども、これは政府、県、市町村の職員の皆様、そして自衛隊の隊員の皆様、緊急事態ということで、大変な激務の中で今作業に当たっていただいております。

 具体的に話を聞きますと、夜中の一時に電話があって、朝の六時から作業に当たっておられます。自衛隊の隊員の皆さんにおかれましては、いつ食事しているのかなというペースで作業をしておられます。また、県、市町村の職員の皆様は、いつも動物に対処するような仕事をしておられる皆様ではないですから、殺処分ともなると動物の声も響きます。心のケアも必要な作業がずっと続きます。

 まず、その現場の激務に当たっておられる国、県、市町村の職員の皆様、そして自衛隊の隊員の皆様に心から敬意と感謝を表しますとともに、私、かつてNHKの記者として口蹄疫を取材させていただきました。そのときも、殺処分など激務に当たった皆様の心、体のケアはぜひしていただきたい。そして、これは省をまたがっておられますので、総理、改めて、心、体のケアについて徹底して、今まさに起きていることですので、指示をお願いいたします。

吉川国務大臣 まず私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、先日、玉木代表とともに関委員におかれましては、私どもに御要請をいただきました。そのことにつきましては心から感謝を申し上げたいと存じます。

 その折にも申し上げましたけれども、全力を挙げて蔓延防止に取り組んでいるということを申し上げさせていただきました。

 また、県の関係者あるいは、農林水産省はもちろんでありますが、自衛隊の皆さん等々におきましても大変な御苦労を今いただいているところでございまして、ケアの大切さというのは私どもも十分承知をいたしております。職員には多大な、今も御指摘をいただきましたけれども、精神的、身体的負担がかかることから、今私も申し上げさせていただきましたが、ケアが必要だと考えております。

 豚コレラに関する国の防疫指針におきましては、都道府県に対しまして、関係部局と連携をいたしまして、相談窓口の設置等の対応を検討するよう求めているところでもございますが、これに基づきまして、岐阜県及び関議員の御地元愛知県におきましても相談窓口を設置していただいておりまして、従事者の相談を受け付けていると承知をいたしております。

 また、国や他県、関係団体からも人員を派遣して、個々の従事者に多大な負担がかかりませんように、協力体制のもとで防疫作業に取り組んでいるところでもございます。万全の対応をしてまいりたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま大臣からも答弁させていただきました。まさにこの作業にかかわる方々の精神的な負担というのは大変大きなものがあるわけでございますので、心のケアについても、しっかりと対応していきたいと考えております。

関(健)委員 最後に、経営再開に向けた支援についてお話をさせていただきます。

 生産者の支援について、このほど政府が、移動制限をかけた生産者に対して、その間にかかる豚価の下落であるとか餌の諸経費に関しての支援を打ち出していただきました。これは、実は現場の生産者の皆さんには非常に助かっているという声が出ています。

 更に私が申し上げたいのは、これは、国の命令で殺処分をしなければならない生産者がおられるわけです。殺処分をした場合は、そこでその後、消毒が完了し、そしてその上で新たな豚を購入してというところまでに一つのサイクルがあります。そして、早ければ一カ月でまた新たに再開に向けた取組を始めることができますが、はい、じゃ、ウイルスがなくなりましたというふうに認められるまでに時間がかかるわけです。普通の人は、一カ月何も働かなかったら生活が苦しくなっていくわけです。この豚の新たな購入に関して、十分な支援がありません。

 これは、今回、国家の緊急事態でありますし、政府の命令によって殺処分というものを行うわけです。ですから……

野田委員長 関さんに申し上げます。

 質問時間が終了しました。

関(健)委員 はい、わかりました。これで終わります。

 生産者の皆さんは処分を行わなければいけないわけです。再開に向けた万全の、漏れのない支援を、改めて、総理、言明をお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 大変養豚農家の皆さんは不安なんだろうと思います。しかし、頑張って皆さんが仕事を続けることが日本の食を支えていくことになるわけでございますので、政府としても万全の支援体制をとっていきたい、このように考えております。

関(健)委員 ありがとうございました。

野田委員長 これにて関さんの質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 原発問題について質問いたします。

 日立製作所は、英国で、一〇〇%子会社のホライズン・ニュークリア・パワー社によるウィルファ原発建設計画を進めてまいりました。日本経団連会長の中西日立会長は、そういう中で、難しい状況、もう限界だと思うと述べられて、ことし一月十七日には同社の東原社長が、民間企業としての経済合理性の観点からプロジェクトの凍結を決定した、こう発表いたしました。

 安倍総理はこのことを御存じですね。

安倍内閣総理大臣 先日、日立が凍結を発表したことは承知をしておりますが、もし詳細な事実関係が必要であれば、担当大臣から答弁させたいと思います。

笠井委員 この問題、安倍総理は、二〇一七年の八月三十一日に、英国のメイ首相との繁栄協力に関する日英共同宣言、その中で、英国での新たな原発建設に関する協力を確認し、さらに、ことし一月十日の日英首脳会談の共同声明では、その二〇一七年八月の共同宣言を再確認したというふうにあります。

 改めて英国における新たな原発建設を位置づけているということになると思うんですが、ここまでしてきたことが、中西会長に言わせれば限界となって、まさに破綻をしたということではないでしょうか。総理、いかがですか。

世耕国務大臣 日立が凍結を発表したときに日立は理由を述べているわけですが、適切なリターンの確保が難しい、あとバランスシートからオフバランス化すること、そして許容できる出資範囲、その三点を判断基準として事業継続を精査してきたが、英国政府との合意に至るにはさらなる時間を要すると判断をして、民間企業としての経済合理性の観点からプロジェクトの凍結を決定した、そういうふうに発表されています。

 ただし、日立は、今後も英国のエネルギー政策に貢献すべく、このプロジェクトを含め、原子力発電システムに関する英国政府との協議を継続していく意向というふうに述べています。また、英国政府側も、閣僚が議会で、このプロジェクトを支援していくという答弁もしているところであります。

 英国は日本にとって長年にわたってエネルギー政策における重要なパートナーでありまして、今後も協力を深めてまいりたいと考えています。

笠井委員 まさに言われたとおり、民間企業としての経済合理性の観点からもう凍結しなきゃいけなくなった、三兆円規模になると言っていた、こんなになっちゃったということで、できないということになったわけですよ。今後もいろいろやっていきたいと言うけれども、もう行き詰まっているということは明らかであります。

 そういう中で、英国への原発建設について、私、昨年二月六日の当委員会、予算委員会で総理にただしました。それに対して総理は、そもそも、いかなる国においても、経済性がプロジェクトの大前提、経済性の全く成り立たないプロジェクトが実行されるはずはないと、まさに予見されたように言われたわけでありますけれども、英国への原発輸出には総理の言う大前提である経済性が成り立たないということが証明された、市場がそう判断したということではないですか。

安倍内閣総理大臣 民間企業における個別の経営判断についてはコメントを差し控えたい、こう考えておりますが、いずれにせよ、英国は日本にとって長年にわたるエネルギー政策における重要なパートナーであり、今後とも、原子力を始め、あらゆる分野で協力を深めていきたいと考えております。

笠井委員 民間のことだからとよそごとみたいに言われているけれども、これはもう、二〇一六年の十二月二十二日に両担当大臣同士で、ウィルファという原発の名前まで挙げて、そして、どうするかということで、留意するといって、その翌年、まさに、八月に両首脳で、安倍総理が当事者となって、原発協力を進めると言った結果がこうなっている。まさに、未練がましいことをまだ総理も言われている、そういうことになりますよ。

 総額三兆円にも上るというふうに、この額が、その費用が急騰したと言われたこの計画凍結が報道されました。その途端に、日立の株価は九%も上昇いたしました。まさに市場がノーを突きつけて、原発輸出建設プロジェクトは暗礁に乗り上げて、そして破綻したということでありまして、それをやはり政府が、とにかく、両首脳の間でも、具体的な原発の建設ということも含めて、そして推進してきたという安倍総理の責任は重大だというふうに言わなければなりません。

 河野外務大臣に伺います。

 第二次安倍政権発足以来、総理の外国訪問でありますけれども、六年間に何回行われて、そして、企業、団体が同行したのは何回か。同行した企業と団体、そして、人数は延べ幾らになるか。通告してありますので、お答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 第二次安倍政権発足以降の六年間の安倍総理の外国訪問回数は七十三回であり、その中の経済ミッションが同行した回数は十八回、参加企業、団体数は九百七十九社であり、参加人数は四千八百九十五人であります。

笠井委員 実に、企業、団体から五千人近くというふうに連れていって、安倍総理は行かれているわけであります。そして、総理のトップセールスをやってきたというわけですけれども、その中では、原発輸出が成長戦略の柱として位置づけられてまいりました。

 最初に連れ立って行かれたのが、二〇一三年、第二次安倍政権ができた翌年の四月から五月にかけてのロシアと中東訪問だったと思うんですけれども、そこでは百十八の企業、団体から三百八十三人が同行した。原子炉メーカーの日立、三菱重工業、東芝はその中に含まれていましたよね。大臣、いかがですか。

河野国務大臣 二〇一三年四月二十八日から五月四日までのロシア、中東訪問に同行した経済ミッションには、日立、三菱、東芝が含まれておりました。

笠井委員 このとき、安倍総理は、トルコとそれからUAE、アラブ首長国連邦との原子力協定に署名をされました。

 トルコでは、シノップ原発ということで、それについて日本に交渉権を付与することが確認をされ、UAE、アラブ首長国連邦ビジネスフォーラムでは、総理御自身が、日本は原子力の技術の提供によって貢献できるという発言をされた。

 覚えておられると思うんですけれども、一連の訪問で原発トップセールスをやってきた、それはそういうことでよろしいですね、総理。

安倍内閣総理大臣 二〇一三年春のロシア、中東訪問では、原子力発電について、各国から、日本の最高水準の技術、そして過酷な事故を経験した中での安全性に対して強い期待が寄せられました。

 こうした期待に応え、世界における原子力安全の向上に貢献していくとの考えから、ロシアでは原子力安全を含む協力の進展、アラブ首長国連邦やトルコで新たな原子力協定の締結、さらに、トルコではシノップ原発について排他的交渉権を獲得したところでございます。

笠井委員 文字どおり、今総理も言われましたけれども、政府と原子力産業界ぐるみで推進をしてきたということであります。

 その後、二〇一四年四月の第四次エネルギー基本計画がありました。そこでは、世界の原子力安全の向上や平和利用に貢献していくことは世界からの期待ということが明記されております。

 そこで、世耕経済産業大臣に伺いますが、この年、二〇一四年十月の政府の資料で、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会第七回会合に経産省資源エネ庁が出された資料がございますが、その中で、エネルギー基本計画で世界から期待と言われていると。どんなことがあるのかということで、具体例として、どんな国を挙げて、どういうふうに言っているんですか。

世耕国務大臣 アラブ首長国連邦、英国、トルコ、ブラジル、ベトナム、ポーランド、リトアニアといった国から日本の原子力技術に対する期待が公に表明されている、そのことを取りまとめて報告したのではないかというふうに思います。

笠井委員 二〇一四年の段階はちょっと違うかなと思うんです、ブラジルと言われましたけれども。二〇一四年の資料はこっちですけれどもね。それは、その後、何かのやつかもしれない。いや、だって、ここにありますよ、ブラジルはないけれども。

世耕国務大臣 ブラジルから、私の手元の記録では、二〇一三年五月にエネルギー担当大臣から表明をされております。

笠井委員 まあ、いいですけれども。二〇一四年のときに配った資料はどうですかと申し上げたので、ここにその資料がありますけれども、ベトナム、トルコ、リトアニア、イギリス、ポーランドというふうになっておりまして、その後あったのかもしれないんですけれども、その後ということなのか。

 今挙げた国というと、ベトナム、トルコ、リトアニア、イギリス、ポーランド、ブラジルということになるのか。それで、どんな期待があるんですか。言ってみてください。

世耕国務大臣 これは一つ一つをお答えしていると長くなりますけれども、例えばトルコは、日本の技術と安全性を信頼している、トルコの原発建設で協力を進めたい、これは外務大臣から表明がありました。ブラジルは、これは二〇一三年五月ですが、日本の技術や経験を活用したい、ベトナムについては、ハイレベルな技術と安全性を信頼している、日本は事故を教訓として更に技術を発展させていると信じているというような表明が行われております。

笠井委員 今言われたのは、ほとんど六、七年前の期待の声ですよね。それで、しかも、一般的な協力の期待の表明にすぎないと今伺っていても思うんです。

 その中に、では、原発建設プロジェクト、進んだものはありますか。それに挙げられた国の中で、プロジェクトが具体的に進んで、今ここまで原発建設の契約ができて、こういうふうに進んでいるという国がありますか。

世耕国務大臣 なかなか、原発というのは非常に息の長いプロジェクトであります。やってみようと思ってからも大分時間がかかりますので、今そういった期待が表明されたところで具体的に動いたのは、まあ、イギリスは残念ながら凍結ということになっております。トルコについては、今、民間企業とトルコ政府がいろいろ条件について交渉しているという状況であります。

笠井委員 原発、いろいろあるからなかなか大変ですと言われますけれども、具体的な原発建設プロジェクトになったら、結局成立していないということなんですよ。そして、どれも進まず、凍結、中止というのが現実だと思うんですね。イギリスがそうでしょう。

 今、トルコを言われましたけれども、トルコだって、原発、シノップの場合は総事業費が五兆円にも膨れ上がるということになって、そして、もう三菱は断念ということになってきているということでありまして、マジョリティーでも何でもないし、期待が世界からあるんです、だからこういうふうにやっていけるんですという話では、とんでもない話だと思うんですよね。

 イギリスのクラーク担当大臣、世耕大臣のカウンターパートになると思うんですけれども、日立の計画凍結について、一層厳格な安全規制というファクターが加わると、原発の新設プロジェクトではその多くでコストが増大する、納税者の理解が得られないというふうに述べているわけで、それこそ東京電力福島第一原発事故の教訓から、どこでも安全対策にコストをかける、かければかけるほど急騰して、コストが上がれば結局その国の電気料にかぶさってくるからそれはできない、現地も結局無理というふうになってきて、総崩れになっているというのが現実だと思うんですよ。

 そこで、総理、原発輸出を経済性ということで言われて、それが一番のメルクマールだと言われながら、そして国策としてトップセールスをされてきた。国策としてトップセールスだけれども、あとは民営で、事業者の判断でというふうに言われてきたわけですけれども、ところが、事業者は、コストが高く採算が合わないということで、民間の論理で判断をする。日立がそうでした。英国政府も納税者の理解は得られないと言っている。

 結局、そうやってトップセールスをやってきたけれども、うまくいっていないという責任、総理はどう感じられますか。

安倍内閣総理大臣 原発の建設などに伴うコストは、各国の立地環境や、また国内制度、経済情勢などによって異なるものであり、一概に申し上げることはできませんが、その上で、我が国の原子力技術、人材の基盤を維持強化しながら、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応などにしっかりと責任を果たしていくとの観点から、今後とも原子力に関する国際協力を推進していく考えでございます。

笠井委員 各国一概に言えない、いろいろあると言われながらも、具体的に、じゃ、売り込んでいって建設しようとなったら、そのプロジェクトはもう高過ぎてできないというのが結果だということだと思うんですよ。

 世耕大臣に伺いますけれども、総理が旗を振ったインフラシステム輸出戦略二〇一三というのがありますが、二〇一三年、インフラシステム輸出戦略ということで、原子力の世界市場は年平均約二・二%拡大が見込まれているとして、十月の第六回経協インフラ戦略会議の資料を見ますと、主なトップセールスの案件として、原子力発電所、ベトナム、そしてシノップ原子力発電所、トルコというふうに明記をされております。

 福島原発事故前の二〇一〇年には三千億円あった原子力の海外受注でありますけれども、二〇二〇年には二兆円にするというのが目標だったというふうに掲げていたと思うんです。その結果、直近の単年度の実績というのは、言えるところで、幾らになっていますか。

世耕国務大臣 今、数字でお答えするのは難しいと思います。

 ただ、現実問題として、イギリスでのプロジェクトは、凍結、引き続き話が進んでいく。トルコについては、現在交渉中です。

 ただ、それ以外にも各国の原発プロジェクトの状況というのはいろいろ進んでいる面もありまして、例えば、アラブ首長国連邦では、ここは既に二〇〇九年に韓国による建設が決定されたバラカ原子力発電所一から四号機が今実際に建設中であります。UAEからは、将来、五号機以降の計画が具体化した際には、日本の貢献への期待が表明をされています。

 また、ポーランドは、従来から日本の原子力技術への期待を表明しておりまして、昨年十一月、二〇四三年までに六基を建設するという新たな原発建設計画も発表されているところであります。

 まだまだプロジェクトはあるというふうに考えています。

笠井委員 今二つ挙げられたんですが、UAEにしても、これはバラカの原発四基ですけれども、これは日本の日立とGEが一緒になって、韓国と競って敗れたわけですね。五基目と言うけれども、四基負けちゃっているわけですよ。負けるというのは、別に私はあれじゃないけれども、日本が負けているわけですよ。(発言する者あり)違いますよ。何を言っているんですか。

 ポーランドだって、これから二〇四三年と言うけれども、今、高温ガス炉というのがある。小型原発という話、そういう期待があると言っているけれども、まだこれだって日本で研究段階でしょう、来年度予算で小金つけているけれどもね。そんなこと自体もけしからぬけれども。しかし、これだってどうなるかわからないという話を、期待している、していないという話なんですよ。

 それで、二〇一六年の実績ということで、直近のものがあるはずと思うんです。だって、数字で言うのは難しいと言われましたけれども、日本が原子力の海外受注を受けた実績というのは幾らかというのは、数字では難しいんじゃなくて、数字があるんですよ。経産省はとっているんですよ、毎年。そうでしょう。

 数字では難しいんじゃなくて、じゃ、一体幾らですか、直近、二〇一六年。

世耕国務大臣 当然、いわゆる原発のプロジェクトとしては今成立しているものがないわけですから、そういう意味では、二〇一六年のプロジェクトとしての輸出額というのは、これはないんだろうというふうに思います。

 ただ、原発といっても、部品とか、あるいはプラント建設の部分とか、いろいろありますから、そういった面では一定の輸出というのは成り立っているのではないか。

 プロジェクトとしてはないと思います。

笠井委員 ないということですよ。ゼロということですよ。

 経産省の資料をもらいましたよ。二〇一六年、インフラ受注実績におけるエネルギー分野の詳細と書いてあって、原子力は、二〇一〇年で三千億円と書いてあるけれども、直近、二〇一六年は幾らかというと、〇・〇ですよ。ゼロなんですよ。そういうことをはっきり認めなきゃだめですよ。

 そういうことでなっているということでありますけれども、今のことで言いますと、総理、二〇二〇年というともう来年でありますが、二兆円にするという目標自体が、もう展望がないどころか、この国策が、それ自体が机上の空論であることが非常にはっきりしたんじゃないか、こんな原発輸出戦略をまだ続けるつもりかと。

 総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 現状については、確かに、ただいま世耕大臣から答弁させていただいた状況にあるわけでございますが、我が国の原子力技術や人材の基盤を維持強化をしていく必要はあると我々は考えております。

 そして、同時に、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応などにしっかりと責任を果たしていきたい、こう考えておりまして、その観点から、今後とも粘り強く原子力に関する国際協力を推進していく考えでございます。

笠井委員 原子力に関する人材、技術というんだったら、まさに日本で直面しているのは廃炉の問題ですよ。この技術と人材こそ、きちっと確保するというのが当然なんです。

 今聞いていても、原発輸出戦略への何の反省もなくて、国内では原発を再稼働して、小型原発開発にまで来年度予算をつけて、国内で新増設まで狙うなんというのは、原発輸出に固執し続けるのは論外だと言わなければなりません。

 まして、東京電力福島第一原発事故の収束もできていない、多くの福島県民が避難生活を強いられている状況なのに、事故を起こした原子炉メーカーと一体になって政府が原発輸出を進める、それも、市場がノーと審判を下しているとなっているのに進めるというのは、およそ倫理的にも許されない、きっぱりやめるべきだと強く言いたいと思います。

 では、世界の流れがどうか、見たいと思うんですけれども、IEA、国際エネルギー機関の世界エネルギー展望、WEOというのがありますが、二〇一八というのが最新だと思うんですが、これによりますと、原発の比率は二〇四〇年に世界的には九%にまで低下する、そして、再生可能エネルギーの方は四一%にまで拡大するとの見通しを明らかにしております。

 そして、このレポートの中では、世界の電力市場、この規模の変化についても、これは資源エネルギー庁がIEAの見通しを紹介しておりますが、世耕大臣、二〇四〇年のパリ協定、まあ、気候変動、温暖化問題にかかわって大事な協定ですが、パリ協定目標達成水準で見ると、IEA自身がどういうふうに言っているか。二〇一七年と比べて、世界全体の電力需要と再生可能エネルギーと原子力と火力は、二〇四〇年までに金額にしてそれぞれ幾ら増減する、そういうふうに見ているでしょうか。言ってください。

世耕国務大臣 これは、ちょっと数字が幾つかあるわけですけれども、パリ協定水準で申し上げると、電力需要は全体で百十兆円プラス、そして、その中で、再エネが百八十兆円プラス、そして、原子力も二十兆円プラス、火力がマイナス九十兆円という内訳になっておるところでございます。

笠井委員 世界の電力市場の見通しの大勢は明々白々です。電力需要が発電量で全体百十兆円、そして、その中で、再生可能エネルギーが何と百八十兆円プラスになる、原子力の方はわずか二十兆円、火力はマイナス九十兆円ということでいうと、まさにベクトルは非常に明確になっているわけですよね。

 よく政府の方は日本のことを言いますけれども、あの福島の原発事故からもう八年になります。今なお福島県民がどれだけ苦しんでそれを続けているか。命にかえられないふるさとを返せというのはみんなの声だと。そして、廃炉・汚染水対策、あるいは、それを処理する、賠償、除染など、事故処理費用というのは七十兆円にもなると推計されているわけで、核のごみの処分方法もいつまで幾らかかるかもわからない、まさにそんな状況です。

 国内のことをいろいろこの間も言われますが、しかし、電力十社とJパワーの安全対策コストを合わせると、少なくとも五年間で二・五倍の四兆六千億円近くになって、それらは全て電力料金として利用者負担になるじゃないですか。再エネの課題でも、いろいろ課題があるというふうに言われるけれども、それも、世界から見ても日本で普及が大きくおくれているからです。まさに、その問題をしっかり見詰める必要があるんじゃないですか、総理。

世耕国務大臣 とはいえ、我々はやはり現実もしっかり見ていかなければいけない。電力コストの問題、CO2の排出量の問題、エネルギー自給率といった問題、こういった面で、今、我々は、電気が消えたりということはありませんけれども、やはり潜在的リスクにさらされているという面はしっかり見なければいけないと思っています。

 二〇一〇年に比べて電気代は上昇しています。一般家庭では年間一万六千円、中小企業では九百五十万円、これを放置するわけには私はいかないというふうに思っています。

 また、原発がとまっていることによって、CO2の排出量も増加しています。電力セクターだけで四千百万トンも増加をしています。二〇三〇年までに二六%削減、二〇五〇年までに八〇%削減を目指す日本が、CO2削減という国際社会における責務を果たしていかなければならないわけであります。

 また、自給率は、G7でもずば抜けて低い九・五%まで低下しています。北朝鮮情勢を始め周辺の状況が緊迫する中で、やはりエネルギー安保を危機にさらすわけにはいかないと私は思います。

 政府としては、当然、徹底した省エネ、そして再エネの最大限の導入を進めながら、原発依存度の可能な限り低減をしていく。そして、安全性を最優先に、規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発のみ、地元の御理解をいただきながら再稼働を進める、こういう責任ある方針をしっかりと進めてまいりたいと思います。

笠井委員 CO2、CO2と言われますけれども、私、先ほど、ただして大臣自身が言われた数字がありますよね、二〇四〇年ということを言ったときには、パリ協定の目標達成水準で見ても、世界的には原発はそんなにほとんどふえなくて、そして再生可能エネルギーはふえると。

 結局、私もさっき言ったように、日本で何でそこのところがうまくいかないかというと、やはり、再生可能エネルギーに対して、日本が普及がおくれ過ぎているからじゃないですか、原発にこだわって。今、話を聞いたって、福島事故の反省が本当に感じられない。ああいうことが起こったのに対して、事故の処理もできていないわけでしょう。汚染水だってどうなっているんですか。そういうことを一つ一つしっかりやらないで、原発、原発と言っているけれども。

 具体的に見てください。原子力産業協会の、その当事者自身の会員事業者のアンケートを見たって、そういう形でベストミックスとあなた方はよく言うけれども、二〇三〇年の原発比率二〇%から二二%というのは、原子力産業協会の会員事業者、原発産業界をやっている人たちのアンケートですよ、事業者へのアンケートですけれども、二〇三〇年で二〇%から二二%の原発比率というのは達成できないという人が五割ですよ。産業界自身も、無理の回答が多数じゃないですか。

 それを無理やり、やるんです、それをやらなかったら大変なんですとおどかして。料金の問題だって、結局、原発を続けていって、それでどれだけまたかかってくるか。安全対策の問題、それから事故処理の費用、賠償。賠償だって打ち切ろうとしているんでしょう。そういうことを何もきちっと真剣に考えないで、これが必要なんですなんて言い続けるというのは許されないと思うんですよ。

 世界的に見て、発電コストも高いのが原発であります。

 エネルギー分野で有名なアメリカの投資銀行のラザードというところがありますが、ここは毎年、電源別に新設案件の一千キロワット当たりの発電コストを公表しております。昨年十一月の最新データでは、福島原発事故前の二〇一〇年、原子力は九十六ドルだったのが、二〇一八年には百五十一ドルに上昇する。一方で、太陽光パネルは二百四十八ドルから四十三ドル、風力は百二十四ドルから四十二ドルへと大きく低下しているんです。

 原発が競争力を失っていることは動かせない事実。ちゃんと再生エネルギーに対してしっかりとやる、やってこそ展望が見えてくる、そういうことじゃないですか。

世耕国務大臣 我々は、再エネはやらないと言っているわけではありません。去年に改定したエネルギー基本計画では、初めて、主力電源ということを目指していくということを明確に述べさせていただきました。

 今後、蓄電技術、水素の技術、そういったものも開発しながら、二〇五〇年の目標を達成する上では、更に自立した主力エネルギーとして再生可能エネルギーも使っていきたいと思っています。

 ただ一方で、先ほど私が申し上げた二〇四〇年の各国の見通しでも、まだ二十兆円、やはり原発には投資をすると言っている国もあるわけであります。あるいは、IAEAで原発利用に対するスタンスを明確に示している国、これは登録している国が四十カ国ほどありますけれども、やはり、これからも引き続き原発を使っていきたい、あるいは新たに原発を使っていきたいという国が三十五カ国、将来的にはやめたいという国は五カ国という状況でありまして、まだ原発に対する、やはり、特にCO2を出さないで大量に発電ができる電源として、当然、安全最優先でいかなければいけないわけですけれども、一定の期待はあるというふうに考えています。

笠井委員 一定の期待というのがくせ者で、ベクトルはもうはっきりしているんです。

 結局、今言われたけれども、日本で原発に固執していることが再エネを妨げているんですよ。九電を見たらそうでしょう、原発を動かして太陽光を抑制するんだから。そんなことをやっていったら、うまくいくわけないじゃないですか。

 総理、世界のトレンドは、大きく見たら明らかなんです。どっちに展望があるかをしっかりと見なきゃいけない。発想を根本的に変えないと、ますます日本は取り残されると思います。

 ドイツのシーメンスは、ドイツ政府が、福島原発事故後、原発ゼロへの方針転換をしたのを受けて、原発事業撤退にかじを切りました。シーメンス日本法人の社長は、原発事業は採算が見込めないとの結論に至ったからだと述べております。その後、天然ガスと再生可能エネルギー分野に活路を見出して、ガスタービンや風力発電向けの機器などの売上げを伸ばして、好調な事業実績を維持しているわけです。

 片や、原発事業にしがみついて、政府の後押しを当てにして英国への原発輸出に力を注いできた日立は、市場の審判を受けて凍結を余儀なくされながら、日本経団連会長でもある中西会長は、いまだに、再稼働はどんどんやるべきだと言って、再エネ分野では世界から日立は大きく水をあけられて、ついに風力発電から撤退ということになったじゃないですか。

 まさに、総理、そういう点では、今こそ政策転換のタイミングです。国民の中では、原発ゼロ、原発輸出などやめるべきという世論が多数派です。もはや原発はビジネスとしても成り立たないと市場がノーを突きつけた原発とは手を切って、国民と市場が喜ぶ方向に転換する、そこにこそ展望がある、そういう旗こそ政治が振るべきじゃないでしょうか。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど既に世耕大臣が答弁しているとおりでございますが、原発依存度を可能な限り低減していくとの考え方のもとで、我々、再生可能エネルギーの最大限の導入を図ることは、安倍内閣の一貫した方針でございます。

 一方で、最大の課題は国民負担の抑制でございますが、固定価格買取り制度の導入によって、国民の皆様に、既に年間二兆円の追加的な負担をお願いしているという現実があります。

 このため、競争を通じて買取り価格を引き下げる入札制度を新たに導入するなど、固定価格買取り制度の見直しを行い、国民負担の抑制と再生可能エネルギーの導入の拡大の両立を図ってきたわけでございまして、今後とも、再生可能エネルギーの導入拡大に向けてあらゆる政策を総動員していきたい、こう考えております。

 その中で、また、エネルギーのベストミックスの中における原子力発電の必要性については、もう既に大臣が答弁をしておりますので私から繰り返すことはございませんが、こういう中で再生可能エネルギーをしっかりと拡大をしていく、導入拡大に努力を重ねていくということについては御理解をいただきたい、このように思います。

笠井委員 再エネに本当にかじを切ってやっていくことこそがこれからの活路がある、そして、やはりこれからのエネルギー政策を見なきゃいけないと思います。

 IEAの田中元事務局長は、IEAが昨年、というのは二〇一七年で、一八年段階で言われたんですが、その報告で、多くの国で太陽光が最も安くなると指摘したことにショックを受けたと述べられております。一方で、原発は、福島原発事故以降、安全対策費がかさんでコストが上昇していると指摘されているんですね。原発の新増設について、一基一兆円かかって、べらぼうに高い、とても競争力を持てないとIEAの元事務局長も述べられて、新増設に否定的な見方を示されています。

 それでもなお原発にしがみつく安倍政権は、世界の流れも市場経済もわかっていないと言わざるを得ません。

 野党四党は、原発ゼロ、再エネへの抜本的転換を目指す原発ゼロ基本法案を共同提出しておりますけれども、日本の国民の安全も、エネルギーの未来も、産業の健全な発展も、安倍自公政権のもとではあり得ない、このことを強調して、質問を終わります。

野田委員長 これにて笠井さんの質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一さん。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 昔の作家にレイモンド・チャンドラーという方がいらっしゃって、そこに出てくる探偵の中にはフィリップ・マーロウという方がいらっしゃいます。この小説を読まなくても、このせりふは非常によく知っていることがあるんですが、タフでなければ生きてはいけない、優しくなければ生きている資格はないというようなことがあります。これはもうよく知っている人が多いと思うんですけれども。

 今回の予算案を見ますと、国土強靱化という言葉がたくさん出ているんですが、一方では、優しさというものも、当然、予算の中あるいは国家の体制の中でなされていなければ、これはやはりいけないのではないかなと思いますので、きょうは、その優しさというものがどういったような形で取り入れられているのかということをお聞きしたいと思います。

 これまで、委員の中で、今回の虐待の問題というのは取り上げられてまいりました。そういったようなことで、重ねて同じ質問をするつもりはないんですが、昨年の結愛ちゃんの件、そしてことしの心愛ちゃんの件、共通していることがあります。それは、どちらも引っ越しをしているということなんですね。

 結愛ちゃんの場合には香川県から目黒区、心愛ちゃんの場合には沖縄から千葉ですね、引っ越しをしている。その引っ越しをしている中で、情報というものが十分に伝わっていないということで今回のことが発生を回避できなかったというようなことも指摘されているんですが、閣僚会議とかも開催されたとお聞きをしているんですけれども、引っ越しをする、この情報の伝達が非常にしにくいということをどういうふうに考えてカバーするようにしているのか。

 私は横浜が地元なので、横浜の予算編成のところでこの問題をお聞きしましたらば、児相などの人員を増加するという回答がありました。そういったような形で人がふえるという。

 これは児相なども都道府県単位で設置をされているわけなんですけれども、どんなに都道府県が設置をされていても、引っ越しをされたことによって情報が十分に伝わっていない、そしてまた、都道府県が、各県がいろいろな形でフォーマットを勝手につくっているとするならば、情報の提供がスムーズに行われないというようなこともあり得るのではないかと思います。

 そして、この引っ越しのところで一番問題なのは、こういうような虐待でいろいろな相談を受けている両親が、今度引っ越しをします、何月何日に引っ越しをします、その場所はここです、相手方の児童相談所にその点についての連絡をしておいてくださいなんて言うはずはないわけです。知らない間に姿が消えている。そういう状況のときに、どうやってその引っ越し先を見つけていくのか。

 これがしっかりとできなければ、この子供たちの虐待というものを十分にこれはフォローしていくことはできないと思うんです。

 この引っ越しということに関してどのように政府は対応するのかをまずお聞きしたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 引っ越しに伴う、転居に伴う情報共有の徹底、これは極めて重要であるというふうに考えております。

 昨年の緊急総合対策におきましても、例えば、緊急性が高い場合には、対面等により引継ぎを行うことを原則にする。それから、その他の場合につきましても、ケースに関する資料とともに、書面等により移管先の児童相談所へ伝える。あるいは、移管元の児童相談所は、引継ぎが完了するまでの間、指導等の援助を解除しないことを原則とするといったことを徹底いたしております。

 また、今回の関係閣僚会議の決定におきましても、転居の際の引継ぎについて、自治体間の共有の徹底などを盛り込んでおるところでございます。

 また、転居の際には、市町村に転出届、転入届等がございます。そういう意味では、市町村間での連携、市町村と児童相談所との情報の共有といった点についても配慮してまいりたいというふうに考えております。

串田委員 今の、配慮というのをこれからどういうような形で具体化していくのかというのを見守っていきたいと思うんですが、もう一点、この二つの事件に共通していることがあります。それは、虐待の方法が冷水シャワーをどちらも受けているということなんです。食事を与えられていないということもあるんです。

 これは、結愛ちゃんのケースでは三月二日。ですから、冷水シャワーを浴びていたのは、恐らく一月、二月は浴びていたんだと思います。そして、心愛ちゃんの場合には一月二十四日です。真冬ですよ。大人でも、コートを着て、そしてマフラーをしても寒い中で、冷たい水をずっとかけられている。

 どうしてこういうことが起きているのかといえば、これは、外側からあざだとかが見えないからなんですよ。食事を与えない。そして冷水シャワーを浴びる。でも、虐待というのが見れない。

 これ、児相の説明の中では、外側からはあざがなかった、だからもう虐待はなかったという回答を聞いたときに唖然としましたよ。そういうことを前の相談所のところで十分経験をしているから、引っ越し先において見破られないように、そのような虐待がわからないようなそういう手段をとっているからじゃないですか。それをあざだけでチェックをするというのは、プロとして考えられない。私は非常に残念でならないんです。

 そういう意味で、一つ、今回、今月の七日に国連の子どもの権利委員会から勧告がありました。これは、再三勧告がある中で体罰というのを何で法制化しないのかということをさんざん書かれているんです。

 日本は、この子どもの権利条約は一九九四年、そして勧告があるのは一九九八年からです。最近の勧告は二月七日、二〇一九年、その前は二〇一〇年ですから九年ぶりです。でも、ずっと体罰を何で法制化しないのかと勧告をされている。

 そして、国民がいつもこういう事案を見るときに、私はしつけをしていたんだ、そして、今回の心愛ちゃんの件でも、この捕まった父親は、悪いと思っていない、しつけなんだと言っている。

 要するに、しつけと体罰との差を明確にしていないということをずっと国連の子どもの権利委員会からは指摘をされているのに、それに対して一向にこれを法制化しようという動きがない。

 権利条約を締結しているのは日本なんですよ。そして、その四条の中には、立法化をするということを約束しているんです。何でこれは、勧告がなされているのに、法制化をしないで放置しているんでしょうか。

根本国務大臣 委員のお話のように、今回公表された総括所見の中では、前回審査からの進展として、民法、刑法、児童福祉法、児童買春・児童ポルノ禁止法の改正など、児童の権利保護に係る国内法改正や新たな施策が肯定的な側面として挙げられている一方で、体罰禁止などについて、国連児童の権利委員会としての見解及び勧告が含まれました。

 我が国としては、体罰に関しては、しつけを名目とした児童虐待が後を絶たない実態を踏まえて、これを抑止する観点から、平成二十八年に児童虐待防止法を改正して、親権者は、児童のしつけに際して、監護、教育に必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならない旨を法律に明記いたしました。

 また、体罰によらない育児を推進するために、啓発資料として「愛の鞭ゼロ作戦」を作成し、乳幼児健診や保育所等で配付するなどしております。これによって、子育てに体罰や暴言を使わないことや、育児の負担を一人で抱え込まず自治体等に相談を行うことなどについて周知を行っています。

 総括所見は法的拘束力を持つものではありませんが、内容を十分に精査した上で検討していきたいと思います。

串田委員 今のはちょっと私としては納得がいかないのは、ずっと子どもの権利委員会からはなぜ法制化をしないんだと言っている中で、今は法制化をしているという理解なんですか。家庭内においては体罰はいけないんだということを、はっきりとそれは明記すべきである。

 子どもの権利委員会では、体罰及びあらゆる品位を傷つけるということで、そのあらゆる品位を傷つけるということについては、しつけという部分の中で行き過ぎというのもあるかと思うんですが、体罰に関しては無条件に、これは法制化して、これはできないんだということを明確にしなきゃいけない。これは、だから、冷水を浴びさせるということもそうでしょうし、食事を与えないというのも同じだと思います。

 私は、学校において、体罰に関してはかなり厳しく、今、コンセンサスを得られて、学校では体罰というのはできないということは、かなり周知徹底されているんだと思うんですね。ところが、家の中はまだ、しつけという名目の中で体罰というものがかなり行われている。だからこういったようなことが起きているというふうに思うんです。

 政府としても、もうちょっと、体罰はともかく、しつけという言葉としては、説明は、これはもう認められないんだというようなことを明確に打ち出して法制化するべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 いわば懲戒権という問題についての御議論なんだろうと思います。

 懲戒権に関する民法第八百二十二条の規定については、平成二十三年民法改正の際に、虐待を正当化する口実に利用されているとの指摘があったことを踏まえ、懲戒権は子の利益のために行使されるべきもので、子の監護及び教育に必要な範囲を超える行為は懲戒権の行使に当たらないことを明確にする改正を行ったところであります。

 このように、懲戒権に関しては、民法の規定上も、あくまで子の利益のために行使されるべきものであることが明確にされていますが、この規定のあり方については、子どもの権利委員会からの指摘を踏まえて、法務省に検討させたいと考えております。

串田委員 ぜひ検討していただきたいんですが、もう一つ検討していただきたいことの中に、今回の権利委員会からの勧告の中のメーンというところのエリアのFの(b)というところ、これはわずかな、数行なので、ここの英文はどういうふうに日本語として訳して、そしてそれを政府としてはどう対応するのかということを、これは通告をしているので、お願いをしたいと思います。

河野国務大臣 今般公表された児童の権利委員会の総括所見のパラ二十七(b)においては、児童の最善の利益である場合に、外国籍の親も含めて、児童の共同親権を認めるため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正し、また、非同居親との人的関係及び直接の接触を維持するための児童の権利が定期的に行使できることを確保することとの勧告が示されました。

串田委員 ここはいわゆる共同親権と言われているところだと思うんですけれども、これに関して、法律を改正すべきであるというかなり強い勧告になっているんだと思います。

 そこで、これに関していろいろな意見、委員会からの、委員の、DVの問題もありました。私もDVは、絶対にこれは許してはいけないと思うんですけれども、一方、子供の権利という観点からした場合に、両親が離婚しようが別居しようが、両方の親から養育を受けるというのは、これは子供の観点からすれば権利であるということを子どもの権利委員会というのは勧告をしているんだと思うんです。

 そこで、今回、大阪で六月にG20サミットがありますけれども、この二十カ国の中で共同親権と単独親権の割合、これも通告で調べていただいてあるんですが、いかがでしょうか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 必ずしもG20諸国の現在の状況について網羅的に把握しているものではないとの前提でお答えいたしますが、これまでの調査結果によれば、離婚後にも共同で親権を行使することが認められている国は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、オーストラリア、ロシア、中国、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、韓国の少なくとも十三カ国であり、離婚後は単独親権になるとされている国は、日本のほかにトルコになるというふうにされております。

 それ以外の国については現在調査中ということで、御容赦いただければと思います。

串田委員 今聞いていただいたように、トルコというのがあったというのは私もきょうは知りましたが、それまでは、G7の場合には、もう日本だけが単独親権であるということなんですね。ほかの国はもう共同親権なんですよ。そして、こういったようなことも兼ね合わせて、ハーグ条約では、アメリカから日本は不履行国という大変不名誉なことも指摘をされている。

 今回、入管法で四月から外国人がたくさん入るという中で、入管法は外国人が日本の文化とうまく調和していくということが一つの大きな目標になっていますけれども、一方で、日本もこういう条約を締結した以上は、世界のスタンダードに対して、やはりそれは謙虚に耳を傾けて検討していくということも必要なんじゃないか。

 やはり共同親権というのは、子供の権利として、両方の親から養育を受けるということは、これは権利条約の中にも書かれていることなんです。ですから、それを実行していないのは、法改正をしなきゃいけないと勧告を受けている。

 ぜひとも、この点に関しては、積極的に検討を開始するというお答えをいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 離婚後共同親権制度の導入に対しては、国民の間にもさまざまな意見がある上、離婚に至った夫婦の間では、感情的な対立のため、子の養育監護に必要な合意が適時に得られないなど、子の利益に反する事態が生じるおそれがあることから、慎重に検討する必要があると認識をしております。

 この問題については、国会の議論、きょうも御議論いただきましたが、議論の状況等も踏まえながら、民法を所管する法務省において引き続き検討させてまいります。

串田委員 その話合いをすることができないという話でありまして、そういったような現状ということは私も想定はするんですが、一方で、そういうようにしむけている制度であるということも一言説明をさせていただきたいんです。

 単独親権というのは、どちらか一方だけが親権を得ることのできる制度を日本は用意しているんです。どういうことかといえば、子供を養育したいときに、単独親権ということは、どちらかが親権を持つ、どちらかが親権を失う、そういう競争を国が用意している。そうすると、自分が親権者として適任なんだということを言うよりは、相手は親権者として適任ではないんだということを言う方がたやすいんですよ。要は、この制度は、相手を悪く言う制度になってしまっているんです。

 そういうようなことの中で、WHOは今回、片親疎外による障害というものが子供に発生しているということも証明しているんですよ。

 今、別居や離婚の率が日本は非常に高くなってきました。三割と言われています。そういう中で、この制度をずっとそのまま維持していれば、片方の親が、実の親の悪口を子供に言い続けて、誰か調査員が来たときには、戻りたくないということを言うんだよということを洗脳し続ける国の制度にしてしまっているんですよ。

 こういったようなことから、子どもの権利委員会は、共同親権、幾多の葛藤を経ていると思います。今総理がおっしゃられたようないろいろな問題があると思うんですよ。やはり、そういう、会話ができなかった時代も各国がずっと経ている経過の中で、そして各国がたどり着いたのが共同親権だから、今言ったように、二十カ国の中で圧倒的に共同親権になっているわけです。

 日本がその中で単独で、トルコは別かもしれないけれども、非常にまれな制度をこのまま維持していくということは、世界的な意味で、これからグローバルな社会になっている中で、今、日本の国内で外国人と日本人が結婚したり、又はいろいろなことの中で、もう既にいろいろなトラブルが発生していて、昨年は、EU二十六カ国から法務大臣に対して、直してもらいたいという文書まで手渡されているじゃないですか。これを積極的にぜひ検討していただきたいんです。山下法務大臣、いかがでしょうか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 まず、前提として、親権の所在の問題と、あと子供に、心の問題のケアとして、例えば面会交流の問題、これとは別だということは、法律家でもある委員には本当に釈迦に説法でございますが。

 まず、前段の親権の問題につきましては、国内法の民法の問題からすると、親権者が、居所あるいは職業の許可、問題になっている懲戒権もございますが、財産の管理及び代表をするということになっておりまして、ここを共同親権にした場合に、両者の合意が調わない場合に、例えば、子供のとり合いであるとか、あるいは押しつけ合いであるとか、そういったことも考える必要があるということで、共同親権については慎重に検討しておるところでございますが、なお必要な検討をしてまいりたいというふうに考えております。

 そしてまた、先ほど、WHOが採用しているICDにおいても片親疎外による子供への健康被害が報告されているという御指摘であるということでございますが、こうしたことにつきまして、たとえ父母が離婚した後であっても、親権の有無にかかわらず、子供にとって親であることには変わりなく、別居後や離婚後も両親が面会交流を始めとして適切な形で子の養育にかかわることは、子の利益の観点から非常に重要であるということは法務省も認識しておるというところでございます。

 そうしたことで、いずれにしても、離婚後の親権制度やあるいは面会交流のあり方については、子供の利益を最優先に考慮しつつ、国会におけるさまざまな御議論、これもしっかりと注視しながら、引き続き必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

串田委員 今、子供を引っ張り合うというようなことがありましたが、大岡裁きというのがありましたね。子供を両方が、自分が母親だということで引っ張り合って、そして、最後まで手を離さない人間が勝ったといって子供を連れようとしたら、大岡越前が、そうじゃない、痛いということで手を離した方が親なんだというような、そんなことでありましたが、今、日本で行われているのは、子供を連れ去った側が勝ってしまうんですよ。要するに、現状が維持されていることを現場サイドで任されているものですから、現状のままを優先する裁判になってしまっているんです。ですから、引っ張った方が勝ちなんですよ。

 そういうようなことを踏まえて、今、山下大臣もおっしゃられましたが、引っ張り合いと言うけれども、引っ張り合いをつくっているのは日本の制度であるということを私は強く指摘しておきたいと思います。

 次に、憲法改正と子供の権利についてちょっとお話をさせていただきたいんですが、憲法改正というと、とかく九条が取り上げられやすいんですけれども、私は、二十六条もぜひ検討していただきたいと思っています。

 二十六条は、「普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と。今、はしょりましたけれども、そうなっているんですね。要するに、普通教育を受けさせる義務を負うので、普通教育は義務教育なんですよ、憲法二十六条は。これは、一八七九年の学校令では、小学校までが普通教育だったんです。それが六十有余年で、一九四六年、現行憲法が行われたときには中学校まで格上げされました。

 それから七十有余年、どうですか。今や、九七%までが高校への進学なんですよ。こうやって普通教育というのはどんどんどんどんと格上げされているにもかかわらず、七十数余年、高校はもう圧倒的に進学している、わずか三%が進学できない。だから、この三%がかわいそうなんです。学校に行くということが子供の権利であるということを憲法上も認めなきゃいけないのに、憲法二十六条は高校を普通教育にすることはできないんです。

 そして、今回、文科省で大学支援というものの法改正をするということがありました。とてもいいことだと思うんです。これは、何年もたてば、大学進学も恐らく普通教育になっていく時代も来ると思うんです。しかし、今の憲法二十六条のままですと、これは、一九四六年のまま、中学校までしか普通教育としては憲法上は言えないんです。法律上幾ら言ったところで、憲法で普通教育を高校にすると、イコール義務教育になってしまうんです。大学を普通教育と言ってしまうと義務教育になってしまうんです。憲法二十六条は、そういう弾力的な解釈ができない規定のままになってしまっているんです。

 こういったようなことも、ぜひ憲法審査会で検討していただきたい。これは、憲法改正が子供の権利のためにもなるんだということを、政府は、もう少しこういったところをアピールしていただくということで、憲法改正への機運を高めていただきたいと思うのですが、最後にこの質問をさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 内閣総理大臣としては、具体的内容について立ち入ることは控えさせていただきたいと思いますが、あえて申し上げれば、自民党が示した改憲四項目の中には、九条以外にも、教育の充実が含まれているところでございまして、私は、子供たちこそこの国の未来であり、世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、家庭の経済事情にかかわらず、子供たちが夢に向かって頑張ることができること、そのことが保障されるべきではないか、こう認識をしておりますが、その中で、今委員は二十六条を改正するということで御提起されたんだろう、このように思います。

 ぜひ、具体的な議論が憲法審査会で進んでいくことを期待したい、このように思います。

串田委員 一方で、我が党は、教育無償化も憲法で規定をする必要があると思っています。

 こういうことを言うと、法律でできるじゃないかというふうに言われるんですね。だけれども、そうだったら、表現の自由だって、知る権利だって、プライバシーの権利だって、法律で定めればいいわけですよ。だけれども、そうじゃないんだ。時の権力者によって、この国民の権利というものが、これを奪われないということで憲法へと上げていく。

 ですから、子供たちが教育を受けるという普通教育もまた憲法で日本は認めているんだ。一九四六年、中学校までが普通教育だという、そういう時代はもう今や違うんだということを、憲法解釈論上からも展開をしていく必要があると思います。

 最後に、質問じゃないんですけれども、虐待の中で、動物というものもぜひとも検討していただきたいんですね。最近の動画の中で、散歩中に犬を蹴ったというようなことで取り上げられていることもあるんですが、あれも飼い主がしつけという名前でやっているんですよ。

 そういう意味では、日本の動物に関しては、まず一つ、ブリーダーの問題がある。子供を育てる母親犬、母親猫を狭いゲージでずっと育てていって、産めなくなったら処分してしまうというような、そんなことになって、ぜひとも数値規制をしていただきたいということがあります。

 もう一つは、カワウソも取り上げられていました。野生動物を日本は、ワシントン条約があるにもかかわらず非常に緩やかな規制になっていて、密輸入をすると後の転売は非常に自由になっているんですね。やはりそれは、国の許可を与えるとかというようなことがあると思うんです。

 そして最後に、刑法で動物を器物としたままにしているんですね。これはいろいろな、いつも言われるんですけれども、やはり、そういうようなところから、私は優しさが少し足りないんじゃないかと。国家強靱化というものは、本当に大事なことだと思います。防災、減災、国防、大事だと思いますけれども、やはり、その片方に優しさというものを予算の中で取り入れていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

野田委員長 これにて串田さんの質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明十四日午前九時から委員会を開会し、一般的質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十九分散会


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