衆議院

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第13号 平成31年2月25日(月曜日)

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平成三十一年二月二十五日(月曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 野田 聖子君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 田中 和徳君

   理事 堀内 詔子君 理事 宮下 一郎君

   理事 逢坂 誠二君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      池田 佳隆君    石崎  徹君

      今村 雅弘君    岩田 和親君

      衛藤征士郎君    小田原 潔君

      小野寺五典君    大塚  拓君

      奥野 信亮君    神山 佐市君

      河村 建夫君    国光あやの君

      國場幸之助君    笹川 博義君

      鈴木 俊一君    田野瀬太道君

      竹本 直一君    中山 泰秀君

      野田  毅君    平沢 勝栄君

      福山  守君    古屋 圭司君

      松本 洋平君    村上誠一郎君

      盛山 正仁君    山口  壯君

      山本 幸三君    山本 有二君

      吉野 正芳君    池田 真紀君

      今井 雅人君    枝野 幸男君

      小川 淳也君    大串 博志君

      川内 博史君    武内 則男君

      本多 平直君    松田  功君

      道下 大樹君    早稲田夕季君

      奥野総一郎君    後藤 祐一君

      階   猛君    関 健一郎君

      玉木雄一郎君    西岡 秀子君

      太田 昌孝君    岡本 三成君

      塩川 鉄也君    藤野 保史君

      宮本  徹君    浦野 靖人君

      串田 誠一君    松原  仁君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         石田 真敏君

   法務大臣         山下 貴司君

   外務大臣         河野 太郎君

   文部科学大臣       柴山 昌彦君

   厚生労働大臣       根本  匠君

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    原田 義昭君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   国務大臣

   (拉致問題担当)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山本 順三君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣         片山さつき君

   国務大臣         櫻田 義孝君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  緒方 禎己君

   政府参考人

   (内閣官房拉致問題対策本部事務局内閣審議官)   岡本  宰君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    北村 博文君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    千野 雅人君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小山 太士君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            鈴木  哲君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (財務省主計局長)    太田  充君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            新井ゆたか君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    前田 泰宏君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中  聡君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           齋藤 雅一君

   参考人

   (元厚生労働省大臣官房統計情報部長)       姉崎  猛君

   参考人

   (前内閣総理大臣秘書官) 中江 元哉君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     国光あやの君

  石破  茂君     福山  守君

  今村 雅弘君     岩田 和親君

  小田原 潔君     池田 佳隆君

  盛山 正仁君     大塚  拓君

  武内 則男君     枝野 幸男君

  本多 平直君     今井 雅人君

  早稲田夕季君     池田 真紀君

  後藤 祐一君     玉木雄一郎君

  西岡 秀子君     関 健一郎君

  宮本  徹君     塩川 鉄也君

  浦野 靖人君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小田原 潔君

  岩田 和親君     今村 雅弘君

  大塚  拓君     松本 洋平君

  国光あやの君     秋本 真利君

  福山  守君     神山 佐市君

  池田 真紀君     道下 大樹君

  今井 雅人君     本多 平直君

  枝野 幸男君     武内 則男君

  関 健一郎君     西岡 秀子君

  玉木雄一郎君     後藤 祐一君

  塩川 鉄也君     宮本  徹君

  串田 誠一君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     石破  茂君

  松本 洋平君     國場幸之助君

  道下 大樹君     松田  功君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     盛山 正仁君

  松田  功君     早稲田夕季君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 平成三十一年度一般会計予算

 平成三十一年度特別会計予算

 平成三十一年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

野田委員長 これより会議を開きます。

 平成三十一年度一般会計予算、平成三十一年度特別会計予算、平成三十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、参考人として元厚生労働省大臣官房統計情報部長姉崎猛さん、前内閣総理大臣秘書官中江元哉さんの出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史さん、内閣官房拉致問題対策本部事務局内閣審議官岡本宰さん、内閣府政策統括官小野田壮さん、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官長谷川秀司さん、警察庁交通局長北村博文さん、総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝さん、総務省統計局長千野雅人さん、法務省民事局長小野瀬厚さん、法務省刑事局長小山太士さん、外務省大臣官房参事官安藤俊英さん、外務省総合外交政策局長鈴木哲さん、外務省北米局長鈴木量博さん、財務省主計局長太田充さん、財務省主税局長星野次彦さん、厚生労働省大臣官房長定塚由美子さん、厚生労働省健康局長宇都宮啓さん、厚生労働省職業安定局長土屋喜久さん、厚生労働省雇用環境・均等局長小林洋司さん、厚生労働省子ども家庭局長浜谷浩樹さん、厚生労働省老健局長大島一博さん、厚生労働省保険局長樽見英樹さん、厚生労働省政策統括官藤澤勝博さん、農林水産省食料産業局長新井ゆたかさん、経済産業省製造産業局長井上宏司さん、中小企業庁次長前田泰宏さん、防衛省大臣官房長武田博史さん、防衛省防衛政策局長槌道明宏さん、防衛省整備計画局長鈴木敦夫さん、防衛省人事教育局長岡真臣さん、防衛省統合幕僚監部総括官齋藤雅一さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 本日は、社会保障政策・内外の諸情勢についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平沢勝栄さん。

平沢委員 おはようございます。自民党の平沢勝栄でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 総理、閣僚の皆さんには本当にお疲れさまでございます。

 まず、先月の日本経済新聞に、お手元にお配りしてございますけれども、日本の八つの機関などを挙げまして、果たしてこれらは信頼できるかどうかという世論調査の結果が出ているわけでございます。

 聞いた対象の八機関というのは、自衛隊、裁判所、警察、検察、教師、国家公務員、マスコミ、国会議員、この八つで、この中に信頼が高いと思われる消防とかあるいは郵便局などが入っていないのは残念ですけれども、この八つの中で一番信頼できるという回答があったのは、断トツで自衛隊でございました。次いで裁判所、そして警察、こう続くわけでございます。逆に、最も信頼が薄かったのは国会議員、そしてマスコミ、そして国家公務員、こういう順番になっているわけでございます。

 自衛隊が大変に信頼が厚いというのはうれしい限りでございまして、いろいろと災害現場などで救助活動等に不眠不休で当たっておられる、こういったことも大きく影響したのか、あるいは同時に、緊張している北東アジアの地域にあって、日本の領土、そして国民の生命財産を守るため自衛隊の皆さんは必死で頑張っておられる、こういったことが影響したんだろうと思います。

 その一方で、国会議員、マスコミが低いというのは本当に残念で、これは我々、自戒していかなければならない、自省していかなければならないなと思いますけれども、国家公務員の支持率が本当に低いというのは、これは驚きであると同時に残念でございまして、ちなみに、国家公務員は採用の応募者数も年々減少してきているわけで、日本は、ともかく国家公務員が、霞が関がしっかりしているから日本は大丈夫ということがずっと言われてきたわけですけれども、果たしてこれから本当に大丈夫なのかという、ちょっと危機感も感じないわけではありません。

 この日本経済新聞の世論調査につきまして、総理の御感想がありましたらお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 委員御指摘の日経新聞の調査は、日本の機関や団体、公職を信頼できるかとの世論調査において、信頼できるトップは自衛隊であり、自衛隊について信頼できないとの回答は七%にとどまっているものと承知をしております。

 大きな自然災害が相次いだこの平成の時代において、困難な災害の現場には常に自衛隊の姿がありました。夜を徹して、泥にまみれ、そして雨に打たれながらも、危険を顧みず黙々と任務を果たす、国民の命と幸せな暮らしを守るためにまさに危険を顧みずに職務を完遂している自衛隊の姿に、多くの国民の皆さんが感銘を受けているということだろうと思います。常に被災された皆さんの心に寄り添い、被災された地域の皆さんの力になった、こう思っております。

 今回の結果は、常に国民のため命がけで任務に精励する自衛隊員の姿を国民の皆様がしっかりと見てくれているあかしだと思います。この国民の信頼は、自衛隊員の諸君がみずからの手でかち取ったものであろう、こう思います。

 他方、信頼できないの第一に国会議員、第二にマスコミ、そして第三に国家公務員だったと承知をしております。国家公務員に対するこのような結果は、行政府の長として重く受けとめたい、受けとめなければならないと思います。

 毎月勤労統計について、長年にわたり不適切な調査が行われ、セーフティーネットへの信頼を損なう事態を招いたこと、また、行政をめぐるさまざまな問題について、国民の信頼を揺るがす事態となってしまったことに対し、行政府の長として大きな責任を痛感しており、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。

 真摯な反省の上に、二度とこうしたことが起こらないように全力を挙げて原因を究明し、再発の防止に努めていくことで総理大臣としての責任を果たしていきたい、このように思っております。

 今後とも、行政府の長として、一層身を引き締めて政権運営に当たっていく考えでございます。

平沢委員 ありがとうございました。今回のこの調査結果、ぜひ今後に生かしていただきますようお願いしたいと思います。

 それでは、次に、日韓関係についてちょっとお尋ねしたいんですけれども、日韓関係は大変緊張の度を加えているというか、日々悪化の様相を呈してきているわけでございまして、竹島の問題はありますし、慰安婦の問題はありますし、元徴用工の問題もありますし、昨年の暮れにはこれにレーダー照射の問題が加わりました。

 いろいろな問題がある中で、ことしの二月には、韓国の文喜相国会議長が発言をしております。何という発言をしているかというと、慰安婦の問題の解決は、首相若しくは退位する天皇が元慰安婦のおばあさんの手を握って、そして謝罪の言葉を伝えれば、これで解決すると。そして、天皇陛下のことを戦争犯罪の主犯の息子と、こういったとんでもないことを言ったということがアメリカのメディアに載っているわけでございまして、初めはそんなこと言っていないようなことを言っていたようですけれども、これは録音テープがあるようで、これはそのように言ったことは間違いないようでございます。

 そして、これだけかと思っていましたら、これに対して謝罪、撤回を要求した総理あるいは外務大臣の発言に対しまして、文議長は、謝罪すべき人が自分に謝れというのはどういうことか、盗人たけだけしいというか、逆に開き直っているわけでございます。

 いずれにしましても、ほっておいて余りコメントすることもないかなと思っていたんですけれども、最近の韓国の聯合ニュース、共同通信社みたいなものですけれども、韓国の聯合ニュースによりますと、文議長のインタビュー記事を載せているわけでございますけれども、その中で何と言っているかというと、自分は、自分はというのは文議長のことですけれども、自分は十年前に天皇陛下から、韓国に行きたいけれども、その仲立ちをしてほしいと頼まれた。私は、何はともあれ慰安婦の人たちのところに行って、一言済まないと言うだけでいいという話をしたと。

 要するに、文議長が十年前に天皇陛下から、韓国に行きたいけれども、自分に何とか仲介、仲立ちをしてほしいと頼まれた、だから、自分は、慰安婦のおばあさんのところに行って、そこで謝れということを言ったという記事が韓国の聯合ニュースに載っているわけでございます。

 こんなことを天皇陛下がおっしゃるなんということは、一〇〇%あり得ない。ですから、問題は、果たして本当に文議長は天皇陛下にお会いになったことがあるんだろうかどうかと。

 これについては夕刊フジが大きく報道していまして、それで、夕刊フジは、文書で宮内庁に対して、本当にこのような、面会した事実があったのかどうかということを確認しているわけですけれども、宮内庁の文書での正式な夕刊フジへの回答は、文議長が、事前は議長ではなかったにせよ、文議員が天皇陛下にお会いになられた事実はないというのが正式な回答でございます。

 としますと、文議長は、天皇陛下にお会いになったこともないのに会ったことがあるということにして、そして、自分は天皇陛下からこういうことを頼まれたというようなことを勝手に言っておられる可能性もあるわけです。ちょっと、およそ考えられないんだけれども、そのほかに、電話で頼まれることはないでしょう、勘違いもないでしょう。だとすれば、これしかないんじゃないですかね。

 だとすると、こんなことを言っていることをほったらかしておくと、こんなのはほったらかしておけばいいと思うんだけれども、一々コメントすることもないと思うんだけれども、だけれども、ほったらかしておくと、本当にこんなことを頼まれたというその事実だけが要するに広まってしまう可能性も、おそれもあるわけで、何らかの形で、いわば暴言と言っていいんでしょうけれども、こういったことを言うことをとめなきゃおかしいし、今度のこの問題についても何らかの対応をとらなきゃおかしいと思いますけれども、外務大臣、いかがですか。

河野国務大臣 天皇陛下が文喜相国会議長と御面会になったという記録はございません。この議長の一連の発言は甚だしく不適切だというふうに考えております。

 恐らく国内ではこのようなことを信ずる方はいらっしゃらないと思いますが、海外でそのようなことがないように、政府としては、必要に応じてきちんと対処してまいりたいと思います。

平沢委員 しっかり対応しないと、今大臣言われたように、海外に流れているニュースなんです。海外では、これは当然のことながら、そのとおり信じてしまいますから、信じられてしまいますので、そうすると、そんな事実があったようになりますので、そこはぜひお願いしたいと思います。

 そこで、防衛大臣、いろいろなことがあったんですけれども、その中で一つだけ、ちょっと日韓関係で解せないのは、レーダー照射について、一月の二十一日ですか、最終見解を発表して、そしてこれでもうピリオドを打ったという形になっていますけれども、要するに、何かよくわからないんですよね。

 ですから、この照射を韓国側がしたはっきりしたエビデンスは日本側は持っているはずなので、だとすれば、そのエビデンスを出して、ここでこの問題に、何となくうやむやになっていますけれども、お互いに言い合いみたいな形になっていまして、本当に韓国側は全然認めていないわけですよ。ですから、要するに、有無を言わせないエビデンスを出して、それでピリオドを打った方がいいような気がしますけれども、これについてどうお考えになるか、教えてください。

岩屋国務大臣 本件についての事実関係は明らかだというふうに私ども思っております。これを広く理解していただくために、我が国の主張が客観的根拠に裏づけられた正当なものであるということを示すために、既に、レーダーが照射された際の映像を公表しておりますし、一月二十一日には委員御指摘の最終見解も示させていただきました。また、レーダー照射された際の音も公表いたしました。韓国側には、この事実を受けとめ再発防止を徹底されるよう、一貫して申し入れているところでございます。

 ただ、今委員御指摘のレーダー波の詳細な情報については、当然、防衛省・自衛隊は保有しておりますけれども、これを明らかにすることは、我が方の情報収集能力が明らかになるということに加えまして、韓国側と同じ火器管制レーダーを保有している他国軍にも影響を与えるおそれがありますので、それは適切ではないというふうに考えているところでございます。

平沢委員 防衛大臣、言うことはよくわかりますけれども、おっしゃられることはわかりますけれども、韓国側に言えば、韓国側はその三倍返しみたいな形で来るわけですよ。そして、低空飛行だ何だということで、逆に悪いのは日本だというような形で来るわけですよね。ですから、こんな形で、いつまでも平行線をたどってお互いの言い合いというか泥仕合みたいな形になるのがいいかどうかということで、ピリオドを打つことはいいんですけれども、しかし全然解決はしていないわけです。

 そこで、外務大臣にお聞きしますけれども、いろいろな問題が日韓関係にあります。この日韓関係を、今後どういうふうにこの問題に向き合っていくのか、どういう方向に持っていくのか、これについてどうするのか。今のやり方だと、お互いに言い合いみたいな形になって、日本が幾ら言っても、文議長のやつもそうですけれども、言っても、向こうは、盗っ人たけだけしいという形で、逆に批判が返ってくるだけで、何も前には進まない。それはほかの問題も全部そうなので、ともかく、今の韓国内の反日ムードというのは極めて異常だなという感じがしないでもありません。

 しかし、同時に、韓国の中でも、これはおかしい、やはり日韓関係は大事だから、もっとしっかり取り組もうという声もいっぱいあることも事実なんです。だけれども、今は、何かそういった、いわば親北の声が強いのかどうか知りませんけれども、ともかく、反日ムードがかなり高まっていることは事実なんですけれども、そういった中で、何か問題を解決しようとすれば、その三倍ぐらいに逆の反論が返ってくるというようなこの状況の中で、今後、日韓関係をどうするのか。

 要するに、全く反応を無視するという考え方もあるし、同時に、韓国の嫌がるようなことをむしろこちらからも積極的に言える。例えば、旧朝鮮半島に残してきた個人財産を要求するとか、そういったような嫌がることを言ったらどうかとか、いろいろな意見があるんですけれども、外務大臣としては、今後、日韓関係をどういう方向に持っていくつもりなのか、お答えください。

河野国務大臣 昨年一年間で、日韓の間の人の往来は一千万人を超えました。韓国側から日本に来られる方は七百万人を超えたんだろうと思いますし、日本側も、数的には少ないわけですけれども、伸び率は非常に高くなっているのが現実でございますので、人と人との交流をしっかり続けることによって、お互い相手の国の状況というのがわかってくれば、それは一部にはさまざまなことを言う勢力というのは両側におります。しかし、国民の大多数が、相互往来をすることによって、相手の国のこと、あるいは相手の国の国民のことをしっかり理解するようになれば、こうした問題は自然とおさまってくるというふうに考えておりますので、未来志向の日韓関係をつくりたいということで、これまで康京和外交部長官といろいろやってまいりました。

 ただ、その中で、旧朝鮮半島出身の労働者の問題のような、日韓の両国関係の法的基盤を揺るがすような問題については、これは放置できませんので、まずは、この問題を韓国側でしっかり法的な問題として対応してもらうように要請をしてきておりますし、請求権協定に基づく協議の要請をしておりますので、私としては、韓国が誠意を持ってこの協議を受け入れるというふうに思っておりますので、まずこの問題をしっかりと解決し、両国関係の人的交流を更に伸ばしていきたいというふうに思っているところでございます。

平沢委員 ともかく、韓国は隣国でございまして、日本にとっても極めて大事な国でございますので、もちろんいろいろな言いたいこともありますけれども、ただお互いにやり合えばいいということではないわけで、ここは冷静に、しっかりと、長期的なスパンに立って、この問題の解決、そして日韓の前向きな友好関係の前進のために、引き続き頑張ってくださいますようよろしくお願いしたいと思います。

 次に、法務省にお聞きしたいと思うんですけれども、カルロス・ゴーン被告が逮捕されたのが十一月十九日なんですけれども、捜査そのものは、これは法と証拠に基づいて捜査当局がやったことで、これについては何もコメントすることはありませんけれども、逮捕後、著名人であるゴーン被告だけに、欧米のマスコミ等にいろいろな報道がなされたわけで、その中で、とりわけ、逮捕後のゴーン被告に対する処遇だとか、あるいは取調べのやり方、こういったことについて、おかしいのではないか、疑問だというような報道もいっぱい出たわけでございます。

 批判の主なものは、一つは、取調べに弁護士が同席していないと。各国は同席するケースがほとんどというか、かなり多いわけで、そういった中で、同席していない、これはおかしいじゃないかということやら、勾留の期間が長いんじゃないかとか、あるいは勾留の環境が悪いんじゃないかとか、いろいろな批判が出たわけですけれども、私からすると、この多くの批判は、一言で言えば、日本の刑事司法制度を全く知らない、無知だとかあるいは誤解だとか、そういったものに基づくのかなと。

 一番批判されたのは弁護士が同席していないということなんですけれども、しかし、弁護士が同席するかわりに、欧米は捜査当局にとてつもない大きな権限が与えられているわけですよ、その対抗措置として弁護士の同席を認めているわけです。

 ですから、例えば通信傍受も範囲が物すごい広いですし、会話傍受なんかも行われていますし、それから例えば司法取引も広範に行われていますし、それからあとは潜入捜査なんかも行われていますし、日本とはそういった捜査手法だって全然違うわけですから。

 そういったことを抜きにして、ただ表面的に出たところだけを比較して、日本の捜査はおかしいというような形でいろいろな形での報道がなされたわけで、こういったことがどんどんどんどん世界じゅうに広まりますと、ある海外の新聞が言ったように、日本は何か共産主義中国のようなことをやっているというような、こんな記事が出ちゃうわけですよ。

 ですから、そうじゃないんですから、そこはしっかりと反論するところは反論しなければいけないと思いますけれども、今回、いろいろと報道が海外で出ましたけれども、それについて法務省としてどういう対応をしたのか、教えてください。

山下国務大臣 お答えいたします。

 平沢委員におかれましては、長年、刑事司法を通じて犯罪と闘い、そして社会正義の実現をされてきたことに、そしてまた、議員になられてからも国内外にその刑事司法の意義について発信されてこられたことに心から感謝申し上げます。

 その上で申し上げますと、個別の事件に関するコメントというのは我々申し上げられないということは大前提でございますが、御指摘のとおり、我が国の刑事司法について正確な情報を提供し、国内外で正しい理解を醸成していくことは極めて重要であろうというふうに考えております。

 そして、先ほど委員から御指摘もありましたように、各国の刑事司法制度にはさまざまな違いがあり、それぞれの国において、例えば刑法の中身であるとか刑事手続、それ自体が違います。それが制度全体として機能するように成り立っているということでございまして、個々の制度の違う点だけに着目して単純に比較することは適切でないというふうに考えております。

 その意味におきまして、我が国の刑事制度におきましては、例えば強制処分については、都度都度、事件ごとに裁判官、裁判所の司法審査が入る、そういったこともしっかりとあり、基本的な人権を保障しつつ事案の真相を解明するということをやっている、適切な制度となっております。

 ただ、こういったことについて、また理解をしていただくのに十分な情報発信をしていないのではないかというふうな御指摘については真摯に受けとめたいと考えておりまして、法務省でも、ホームページ上で、例えば日本語のみならず、当然英語で日本の制度について説明も行っておりますし、犯罪白書、これは非常に極めて詳しい情報が入っているのですが、これの英語版を出版したり、あるいは法務省のパンフレットで、英語版のパンフレットなども説明しているところでございます。

 条約交渉や国際会議の場においても適切に説明しているところでございますが、オリンピックイヤーである来年四月は、京都において、実は犯罪防止、刑事司法分野においても国連の最大規模の国際会議である国際連合犯罪防止刑事司法会議がございます。これはいわゆる京都コングレスというものがございますが、私もきょう、バッジをつけさせていただいているんですが、この京都コングレスには、各国の司法大臣、法務大臣あるいは検事総長などを含め百カ国以上の幹部がおいでになります。そうした京都コングレスやその準備段階での各国の発信の機会を捉えて、我が国の刑事司法制度について十分な情報を国内外に発信していくよう、委員の御指摘も踏まえて、しっかりとやっていくということを考えているところでございます。

平沢委員 日本の刑事司法制度が必ずしも理解されていないということが今回のゴーン被告の件でよくわかったわけで、ですから、これに対する情報発信、これをしっかりとやっていただきたいなと思いますけれども、同時に、海外からいろいろ指摘された中には、日本の刑事司法制度、一〇〇%今のままでいいというわけではないわけで、海外が心配しているのは当然のことながら人権の問題なので、もちろん裁判所が節目節目で関与しているとか、いろいろなあれはありますけれども、いずれにしましても、そんな中で、耳を傾けるところがないのかどうか、これについてはしっかりと考えていっていただきたいなと思います。

 最後に、時間がもうなくなってしまいましたけれども、警察、聞かないと怒られちゃいますので、高齢ドライバーの交通事故について、最近非常にふえていますので、これについてちょっと実態を簡単にあれしていただけますか。

 先月も、新宿駅周辺で、七十九歳の高齢ドライバーが歩行者に突っ込んで五名の歩行者の方がけがをしたということがありましたけれども、これについて、警察、どなたでも結構ですから。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 高齢運転者による交通事故防止のために、道路交通法の改正がこれまでに何度か行われております。

 例えば、運転免許につきましては、運転免許証の有効期間が三年間とされ、運転免許証の更新時に特別の講習が必要とされ、また、認知機能検査も義務化されました。運転免許証の自主返納をしやすいような環境の整備にも努めているところでございます。

 その一方で、認知症でなくとも、年齢とともに身体機能が低下することによる運転リスクが指摘されております。このため、警察庁においては、現在、有識者の検討会を開催し、免許証の更新に当たって高齢者の運転能力も考慮に入れることについて検討しているところでございます。

平沢委員 高齢ドライバーの対応についてはこれからもしっかりやってもらいたいと思いますけれども、一つだけ、ちょっと疑問なのは、高齢ドライバーの方の免許証の更新ですね。

 七十五歳以上は三年なんですけれども、もちろんいいんですけれども、個人差がありますので、例えば、八十歳の方も一度免許を取ると三年間有効、八十五歳の方も一度免許を取ると三年間有効、九十歳の方も免許を更新しますとまた三年間有効というのは、ちょっと高齢ドライバーの方の、もちろん余り御負担にならないように、やり方は検討しなきゃなりませんけれども、この三年という期間はいいのかどうか。警察庁、もう一回。大臣、じゃ、お願いします。

山本国務大臣 私の方からお答えをいたします。

 現在、高齢者が運転免許証を更新するときは、認知機能検査と視力検査、聴力検査のチェックとなっております。年齢に伴う身体機能の低下ということを考えますと、先ほど交通局長からもお答えをしたとおり、まずは高齢者の運転能力も考慮に入れた検討をすることが適当であろうというふうに考えております。

 ただいま委員から御提案いただいたことにつきましては、高齢者の経済的負担という課題もございますけれども、さまざまな観点から今後勉強してまいりたいというふうに思っております。

平沢委員 高齢化社会にどんどん進んでいくわけで、大変にいいことなんですけれども、もちろん、高齢者の方の事故が多いこともこれまた事実でございますので、しっかり対応をとっていただきたいと思います。

 最後に、最近、運転で問題になっているのが、あおり運転と、それから、ながらスマホでございます。

 これについては、あおり運転については、昨年の十二月ですか、判決が出まして、危険運転致死傷罪が適用されて懲役十八年という判決が出ているわけですけれども、また、ながらスマホの方については今度厳罰化を検討しているということなんですけれども、あおり運転と、それから、ながらスマホについての、警察の今後の取組についての検討状況、教えていただけますか。

山本国務大臣 あおり運転による交通事故実態、警察の対応ということでございますけれども、一昨年の六月に東名高速道路上で発生した死亡事故を始め、痛ましい死傷事故が発生しているのは御案内のとおりでございます。

 警察では、昨年一月に、都道府県警察に対して、あおり運転に厳正に対処するよう指示したところでございまして、その結果、昨年中は、前年の一・八倍以上、約一万三千件の車間距離保持義務違反を検挙いたしました。

 また、特に悪質、危険なものについては、道路交通法違反だけでなく、今委員がおっしゃるように、刑法の殺人罪、傷害罪、暴行罪による検挙もしているところでございます。

 悪質、危険なあおり運転に対しましては、引き続き、あらゆる刑罰法令、これを適用して厳正に対処してまいりたいというふうに思っております。

 それから、もう一点の、ながらスマホの件でございますけれども、自動車等の走行中に携帯電話を通話のために使用することなどは道路交通法で禁止をされており、毎年八十万件以上の取締りを実施しているところでございます。

 しかしながら、過去五年間で交通人身事故全体の件数が三割以上減少している一方で、携帯電話使用等が原因の事故は四割近く増加をしております。

 こうした状況を踏まえ、現在、走行中の携帯電話使用等について、罰則の引上げなどを検討しているところでございます。

平沢委員 時間が来たから終わりますけれども、あおり運転、ながらスマホについてもしっかりと取り組んでもらいたいと思いますし、とりわけ、ながらスマホについては、厳罰化、とりわけ危険運転致死傷罪の適用もぜひ検討していただきますよう心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

野田委員長 この際、国光あやのさんから関連質疑の申出があります。平沢さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。国光あやのさん。

国光委員 自由民主党、茨城六区の国光あやのでございます。

 本日は、当選一回にもかかわらず、貴重な御質問の機会をいただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。地元の思いを国政に届けるべく、心を込めて御質問を申し上げたいと思っております。

 本日は、社会保障や子育て、そしてまた、農業や経済に関しまして質問は準備をしておったところなんですけれども、一つ、先週来、予算委員会の質疑を伺っておりまして非常に問題意識を持ちましたため、ちょっと統計問題から、ぜひ御質問をさせていただきたいと思っております。

 実は、私、もともと医師でございますけれども、厚生労働省で医療・介護政策を担当する、所掌する医者の技官をさせていただいておりました。厚労省の内部を知る人間としましても、衆議院議員では私一人だけが今、厚生労働省の出身でございますけれども、非常に今回の問題、もう本当にあり得ない、非常にゆゆしき事態でございまして、当時の状況、そして当省職員、諸先輩方もおられますけれども、本当にゆゆしき事態であり、猛省を促したいと思っております。

 ただ、先週来の議論でずっと出ておりますアベノミクス偽装だという御主張には、強い違和感を覚えるところがございます。

 今、一つ御紹介を申し上げたいんですけれども、お手元に、ちょうど先週の金曜日に、当時毎月勤労統計の検討委員会の座長をしておられた労働経済の御専門家、大家でございますけれども、阿部座長のインタビュー記事がございます。

 こちらによりますと、毎月勤労統計、野党が御主張なさっていらっしゃるようなアベノミクス偽装というわけではなくて、あくまで統計の精度の向上のために議論をしていたということをおっしゃっております。

 また、中段に、仮に野党がおっしゃるような、ローテーションサンプリングの結果、必ずしもそれが賃金が上振れする、高く出るという結果になるとは限らないということもおっしゃっているわけでございます。

 そこで、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 平成二十六年から統計改革が行われております。この中で、毎月勤労統計もしっかり見直すべきであるというお話が出てきたわけでございますけれども、当時、旧来の、もう戦後からほとんど変わっていないような統計手法でずっとやっていた統計も多くございます。毎月勤労統計も、まさにそうでございました。そういうものを見直して、使いやすい、そして、実体の経済やいろいろな生活の状況に照らした統計に変えていくんだというふうな改革であったと承知をしておりますけれども、ぜひ、この毎月勤労統計について、利用者目線に立ったとき、何が課題で、どう改善すべきであったのかということを、当時の責任者であられた姉崎参考人、そして現在の御担当者であられます藤澤統括官にお伺いさせていただきたいと思います。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 毎月勤労統計調査につきましては、以前は、二年から三年置きに、新たに無作為抽出をした事業所の総入れかえを実施しておりました。事業所のその入れかえに際しまして、調査結果に段差が生じることから、過去にさかのぼって数値を改定するという取扱いをしておりました。このため、統計ユーザーにとってはわかりにくい等の意見があったところであります。

 私も、若いころから経済企画庁に出向するなどいたしまして、職業生活において経済分析とかで毎月勤労統計を使うというような機会も多く、私自身も、統計ユーザーの一人として、このサンプル入れかえに伴う遡及改定につきましてはかねてから問題意識を持っておりまして、省の統計部門の責任者である統計情報部長に就任して以来、専門的な検討の場を持つなど、この改善の方策を考えたいというように思っておりました。

 こうした自分自身の問題意識と、それから、遡及改定に関する有識者の声、そういったものを踏まえまして、専門家を参集した検討会を立ち上げるというふうにいたしまして、平成二十七年六月に、毎月勤労統計調査の改善に関する検討会を開催することにした、こういうことでございます。

藤澤政府参考人 毎月勤労統計調査の対象でございますけれども、以前は、二、三年ごとに、新たに無作為抽出をした事業所の総入れかえを実施しておりました。それが、事業所の入れかえに際して、調査結果について段差が生じ、過去にさかのぼって数値を補正することがかねてより課題となっていたところでございます。厚生労働省としては、専門家の意見を聞くなどして改善策を検討する必要があると考えておりました。

 このため、従前から改善策を検討する必要性を厚生労働省として認識していたことや、遡及改定に関する問題を指摘する有識者の声、それから、統計委員会の未諮問基幹統計の確認作業が控えていたことなども踏まえまして、統計の専門家等の意見を聞くために、平成二十七年六月から、毎月勤労統計の改善に関する検討会を開催しております。

 同検討会におきましては、平成二十七年九月十六日の第六回会合で中間的整理案が示されたところでございます。

 その後、統計委員会に本格的に検討の場が移りまして、平成二十七年十二月十一日の統計委員会第六十五回基本計画部会以降、統計委員会で、御指摘の、統計利用者のニーズを踏まえた議論が重ねられたところでございます。平成二十八年三月二十二日の統計委員会第六十八回基本計画部会及び同年八月三十一日の統計委員会第三回新旧データ接続検討ワーキンググループにおきまして、それぞれ、定期的なサンプル入れかえ方法については、ローテーションサンプリング、すなわち標本の部分入れかえ方式の導入に取り組む、ベンチマークの更新を含むギャップの補正方法については、過去値を補正し段層を解消することなく、新旧計数をそのまま接続するとの方針が示されております。

 これらの議論を踏まえまして、平成二十八年十月二十七日に、厚生労働大臣から総務大臣に対しまして、毎月勤労統計の変更の申請、ローテーションサンプリングの導入等を行い、総務大臣から統計委員会への諮問、答申を経て、最終的に平成二十九年二月十三日には総務大臣の承認を得ております。

 こうした経緯を経まして、平成三十年一月調査から、ローテーションサンプリング等を導入したところでございます。

国光委員 ありがとうございました。

 当時の状況がつぶさにお伺いできまして、大変参考になりました。

 サンプル劣化の問題に対して、しっかりと取り組むというふうなことが当時議題になっていたということに対して、しっかりとした対応がなされたということかと思います。

 次に、先週の予算委員会の理事会におきまして、当時の厚生労働省検討会の阿部座長と厚生労働省の担当者の間のメールが提出をされました。週末も報道も幾つかございましたけれども。

 私も、このメールを拝見いたしました。その中で、ぜひ直接、与党の立場といたしましても、しっかりと御説明を求めたいと思います点がございます。

 具体的には、一つは、検討会の検討結果は官邸関係者に説明とあります。そしてまた、委員以外の関係者と調整というふうな文言もございます。一体、検討会の報告書の内容につきまして、検討会の委員以外に官邸関係者と調整を行っておられたかどうかというのが一点。

 それからまた、二点目に、阿部座長からローテーションサンプリングを求める御意見がありましたが、それに対して当時の担当者は消極的な回答をされております。しかし、その後、委員以外からの関係者からローテーションサンプルで行うべきとの意見が出てきたことを受けて、引き続き検討するというふうにあります。当時、ローテーションサンプリングにつきまして、どのようなスタンスでありましたでしょうか。

 最後、三点目です。検討会は引き続き行う予定ですとありますが、結局、第六回を最後に立ち消え、検討会は開催されておられません。これは一体なぜでしょうか。

 その三点を、現在の責任者であられます藤澤統括官に御説明を求めたいと思います。

藤澤政府参考人 初めに、九月の四日のメールの、官邸関係者に説明のところでございますけれども、厚生労働省からは、一般に、官邸の参事官、官房長官秘書官、内閣官房副長官補室の担当参事官に対しまして、適宜必要な情報提供を行っており、毎月勤労統計に関して申し上げますと、速報や確報値などを毎月、情報提供をさせていただいております。

 それで、当時の官邸の参事官によりますと、平成二十七年九月四日の前後に厚生労働省から検討会の動向について報告を受けたかもしれないが、内容がテクニカルと思われたので、秘書官には報告していないのではないかとのことでございました。

 このように、官邸関係者に一般的な情報提供は行っておりますけれども、何らかの指示等を受けたという事実はございません。

 それから、九月十四日メールの、委員以外の関係者との調整でございますけれども、九月十四日の関係でございますが、担当補佐によりますと、九月十四日の朝、当時の統計情報部長から、第六回検討会の提出資料に関し、サンプル入れかえ方法については引き続き検討することなどの修正指示を受けたとのことでございます。また、当時の統計情報部長によりますと、この指示を行ったのは総理秘書官レクよりも前だったと記憶しているとのことでございます。

 また、こうした修正については、同年十一月以降の未諮問基幹統計の確認作業が控える中で、統計委員会における委員の意見を聞くまでは断定的に結論を出すべきではないのではないかと判断し、これまでの委員の意見も尊重する形での指示であったとのことでございました。

 また、担当補佐によれば、検討会直前での方針変更について、統計情報部長の意見とは座長に言いにくかったために、委員以外の関係者という含みのある表現を用いたものとのことでございました。

 いずれにせよ、官邸関係者の指示等により報告書の記載が変わったという事実はございません。

 それから、部分入れかえ方式に関する当時の見解でございますけれども、元部長に確認をいたしましたところ、第六回検討会の中間的整理案の内容は、検討会での各委員の御意見を踏まえつつ、一連の議論においても、ローテーションサンプリングについては、実務面での課題が論点の中心であり、手法そのものが否定されていたわけではなく、委員の中に肯定的な意見があったこと、同年十一月以降の統計委員会における検証作業が控える中で判断されたものであり、官邸関係者の指示等により導入を判断したという事実はございません。

 それから、姉崎部長の意向という表現でございますけれども、元部長に確認をいたしましたところ、私は、コストや事務負担の問題を除けば、部分入れかえ方式に反対の立場ではなかった、私が中間整理案に関する修文案を指示したのは九月十一日金曜日か十四日月曜日午前中だったので、このメールの八日時点では、担当補佐は、私が当面総入れかえ方式でいくということについて賛成していると思い、そのように書いたのではないかと思うとのことでございました。

 いずれにいたしましても、第五回検討会における樋田委員の意見を踏まえ、座長が修文する意向を示したことを踏まえての対応であり、都道府県の事務負担やコストに関する意見もあったことから、部分入れかえ方式については引き続き検討することとしたものと承知をしております。

 それから、最後の御指摘の、七回目以降の検討会が再開をされなかった理由でございますけれども、第六回の議事録におきましても、秋以降の統計委員会に、中間的整理のことも踏まえて統計委員会に毎月勤労統計調査の状況について御説明をしたい、それと並行してローテーション方式についても検討させていただいて、しかるべき時期にまた検討会を開催させていただくと説明をしているところでございます。

 第七回が開催されなかったのは、平成二十七年十二月十一日の統計委員会第六十五回基本計画部会における中間的整理の報告以降、実際には、統計委員会に本格的に検討の場が移り、定期的なサンプル入れかえ方法や、過去値を補正し断層を解消することなく、新旧計数をそのまま接続するなどの方針が示され、統計の有識者たちの熱心な御議論の後に一定の結論が出たことから、再開されなかったものと承知をしております。

 こうした経緯があったとはいえ、中間的整理の取りまとめに至らないまま検討を休止したことは適切ではなかったと考えており、こうした仕事の進め方については大変遺憾でございます。

 以上のように、中間的整理案に向けての修正は、当時の統計情報部長等の厚生労働省が委員の意見を踏まえて行ったものであり、官邸の指示等により報告書の記載が変わったという事実はございません。

 引き続き、統計精度の向上に向けて真摯に取り組んでまいりたいと考えております。

国光委員 ありがとうございます。

 続いて、当時の御担当者、責任者であられました姉崎参考人にお伺いいたします。

 今の責任者であられる藤澤統括官の答弁をお伺いされておられて、何か事実確認、事実関係などに御意見や、それからまた、どう同意されるか、どう異論があるかということなどをぜひお尋ねさせていただきたいと思います。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 今、政策統括官から御説明がありましたけれども、この事実関係につきましてはそのとおりであるというふうに思っております。

 一つだけコメントをさせていただきますと、九月八日のメールの部長の意向というところですけれども、昨日、私も新聞を読んでおりましたら、厚生労働省は九月の八日の時点では部分入れかえ方式に否定的な考えを持っていたというような記事がきのうあったのですけれども、私は、先ほども説明がありましたけれども、コストの問題や事務負担の問題ということを考えなければ、部分入れかえ方式には反対ということではありませんでした。私の修正の指示が九月十一日の夜か九月十四日だったということがありましたので、この九月の八日の時点では私の指示がきちっと伝わっていなかったことから、こういうような表現になったのかなというふうに思っております。

 いずれにしても、今回初めて私もこのメールを見させていただきましたけれども、このメールを見て、常日ごろから意思疎通が私と部下の間で十分にできていなかったのではないかというふうに思いまして、その点については反省をしている次第です。

国光委員 ありがとうございます。

 今、御答弁をお伺いいたしましても、統計学的にはサンプリングの手法というのはローテーションサンプリングでやはり妥当なのではないかというふうに、非常に私としては理解をさせていただきます。(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

国光委員 実際に、統計委員会、統計に関するオーソリティーでございますが、そこでもこのローテーションサンプリングが妥当という結論に至っているところでございます。

 そして、野党が主張されるようなアベノミクス偽装ということは当たらず、精度の向上にいかにこだわってきたかという議論だったのではないでしょうか。(発言する者あり)

野田委員長 皆さん、御静粛にお願いします。

国光委員 私は、この問題の本質は、そこではなくて、さっきいみじくも御担当者がおっしゃっていましたけれども、やはり、厚生労働省内部の組織体制にあると思います。委員会を勝手に閉じちゃうとか、あと、ルールどおりに全数調査といいながらしないとか、やはりあり得ません。

 これはぜひ、厚生労働省自身がうみを全部出すというふうな気概を持って、厚生労働省の中の改革を進めていただきたいと思います。あわせて、根本大臣に、深くそれをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、地元からの御要望を強くいただいております農業のお話をぜひお伺いさせていただきたいと思います。

 私の地元茨城は、農業生産額第三位、そして一位の品目も、レンコンやそして鶏卵など十三品目もある大農業県でございます。

 先月、非常に目覚ましいニュースがございました。農業輸出額、これが、昨年の値が公表されました。何と九千六十八億です。政権交代後の、ちょうど政権奪還時の二〇一二年は四千五百億でした。約この六年で二倍に伸びております。

 これにつきまして、安倍総理御自身に、これまでの評価と、そして目標の、ことし、二〇一九年に一兆円でございます。当時は、誰も難しいとおっしゃっていました。でも、それが達成の目前になっております。さらなる輸出額の増加に対する意気込み、特に、私、かねてから非常に思いを持っております、生産者の方とそれから海外の消費者をつなぐいろいろな主体、これをどういうふうにつくっていくかという点を、ぜひお伺いさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 大変重要な御質問だと思います。

 今、日本の人口は残念ながら減少していく中にあって、もちろん少子化対策等をしっかりと打ってまいりますが、当分の間は減少していく。当然、農業の市場は、国内においては縮小していくわけであります。

 しかしながら、アジアの市場は伸びていく。かつ、所得も上がっておりますから、日本の農産物のような、おいしい、品質の高いもの、しかし少し高いものであっても、購買する力がどんどんどんどん増大していく。この市場をそのまま我々、指をくわえて見ているわけにはいかないわけでありまして、ここはしっかりと、手間暇かけてこしらえた質の高い日本の農林水産物を、この大きなチャンスを生かして輸出をしていきたい、こう思っております。

 また、海外のマーケットを獲得できなければ農林水産業の未来はない、開かれれば未来は開かれてくる、こう考えております。

 このため、安倍内閣におきましては、農林水産物、食品の輸出拡大に向けて、海外での需要拡大、輸出拠点の整備、諸外国の輸入規制の撤廃、緩和に向けた働きかけ等を強力に進めてまいりました。

 こうした取組の結果、輸出額は六年連続過去最高を記録し、昨年は九千億円をとうとう超えてきたところであります。

 TPP11や日・EU・EPAの発効を契機に、この流れにさらなる弾みをつけるとともに、輸出に挑戦する生産者と海外バイヤーとのマッチングなど、これは極めて重要だ、高く売る上においても大変重要だと思っておりますが、きめ細やかな支援策を講じてまいりまして、輸出額一兆円目標の達成に向けて、おいしくて安全な日本の農林水産物を世界に、政府を挙げて売り込んでいく決意でございます。

国光委員 ありがとうございます。

 ぜひ、さらなる高みを目指してリーダーシップを発揮していただけることを心からお祈りを申し上げます。

 もう一つ、農業は攻めの、成長戦略だけの農業ではございません。やはり、地域を守る、地域政策としての農業が非常に重要と感じております。

 その中で、非常に最近不安をよく聞かれる点がございます。農事用の、農地、農業用の電力の話でございます。

 今、戦前からずっと、農業用の電力は低く抑えられております。それによりまして、土地改良や、さまざまなかんがい用水の整備など、本当に現場では、ありがたいという声が聞こえておりますけれども、この低価格に抑えている規制が来年に撤廃をされる予定になっております。

 これによりまして、約二倍もコストが増加するんではないかというふうに強く懸念が出ておりますけれども、それにつきまして、ぜひ、世耕産業大臣、お願いします。

世耕国務大臣 二〇一六年にいわゆる電力の小売が全面自由化されたわけでありますけれども、農事用電力を含む小売規制料金については、これは経過措置が講じられておりまして、規制料金が当面残るという形になっているわけであります。その上で、今後の取扱いについては、今審議会で御議論をいただいています。

 昨年十一月には、土地改良区の皆さんから、農業については経過措置の存続を望むという強い御意見もいただいているところであります。

 今後、農水省や、あと電力・ガス取引監視等委員会ともしっかり連携をしながら、関係者の皆さんの御意見も伺いながら、慎重にこの規制料金のあり方については議論したいと思います。

 なお、今月四日の審議会には、電力会社、これは、関西電力と九州電力になりますが、出席をして、この低廉な料金を提供している農事用電力メニューについては、経過措置の有無にかかわらず、当面これを取りやめることは考えていないということを表明しておりまして、何か直ちに農事用電力メニューがなくなるということは想定されないということを申し添えておきたいと思います。

国光委員 ありがとうございます。

 力強い御答弁、心から感謝を申し上げます。

 時間になってしまいました。本当は、麻生大臣にも、地域経済の事業承継税制などの取組、社会保障や、そしてまた、医療の関係、待機児童の関係などもお伺いしたいところでございましたが、余りにもアベノミクス偽装というお話が非常に強うございましたので、冒頭に統計の御質問をさせていただきまして大変ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございます。

野田委員長 これにて平沢さん、国光さんの質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉さん。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 まず初めに、昨年の九月六日に続きまして、先週、二月二十一日にも北海道で大きな地震が発生をいたしました。心からお見舞いを申し上げますとともに、被害を受けられた方がおみえになります、しっかり党としても対応してまいりたいと思います。

 きょうは、社会保障政策を中心とした集中審議でございます。

 皆様御存じのとおり、我が国は、二〇〇五年、初めて人口が減少をし、その後約五年間、横ばいでございましたけれども、二〇一〇年から人口減少が顕著になってまいりました。

 私ども公明党は、個人の意思を尊重することに十分配慮を払いながら、子供が伸び伸びと安全に育つ社会、ゆとりを持って子育ての幸せを実感できる社会、子供の幸せや子供の安心が確保される社会こそ、国民全てに優しい社会であるとの考え方に立ち、子育てを社会の中心に位置づけ、社会全体で支援をするチャイルドファースト、子供優先社会の構築を目指し、当時、坂口元厚生労働大臣のもとで、少子社会トータルプランを発表したのが二〇〇六年でございます。当時、私は初当選、一期目のときでございました。

 あれから十年余。国政では、出産育児一時金や児童手当の拡充、また、本予算に大きく反映をされております教育負担の軽減、また、奨学金制度の拡充、またあわせて、各地方議会では、妊産婦健診の無償化や子供医療の無償化など、国と地方が連携をいたしまして、このトータルプランで提案をした数々の政策を着実に実現をしてきました。

 これらの取組の結果、二〇〇四年一・二ポイント台であった合計特殊出生率は、現在一・四ポイント台まで上昇をしております。

 引き続き、内政の課題の多くの原因とも言える少子化、高齢化、そして人口減少の克服に向けて、取組を進めてまいりたいと思います。

 この中にある、子供の幸せ、あるいは子供の安心が確保される社会、この実現のためにも、まずは、今大きく取り上げられている児童虐待の防止について御質問をいたします。

 これも、この衆議院の予算委員会が行われている渦中でございました、先々週の二月十二日未明、四時、私ども公明党の地方議員に、ある知人から電話がございました。

 夜十二時ごろ、ある自治体在住の女の子からその知人に対して、こういうメールが届きます。父親に虐待されていて、このままだと殺される、母もDVを受けていますと。助けに行きたくても、父親が怖くて住所を教えられないと。知人はこういうことに詳しい方でしたので、地元の児童相談所に相談履歴があることを突きとめ、児童相談所に電話をします。職員ではない人しかいなくて、職員に連絡をとりますと言っていただいたものの、所長がつかまらず、連絡がとれた職員は、住所は教えられない、所長は今対応できないというような対応だったという状況です。職員本人も、自宅から児童相談所に向かおうとしなかった。

 結局、そんなことが四時間も続き、その間に知人が警察にお願いをして住所を特定し、母子ともに保護をしてもらった。その日の夕方には、母子ともに、無事地元の児童相談所に保護をされたということでございます。

 繰り返し議論されておりますとおり、児童福祉司の増員、児童相談所の増設、これに向けて取組をもちろんお願いをしたいと思いますし、あわせて、職員が宿直をするなど、これはもうほとんどしているんですけれども、宿直をするなど夜間の対応の充実、また、これも党として二月十九日に申入れをさせていただいておりますが、やはり現場で聞くと、こういう限界事例になる人は、親なんですけれども、もうほとんど親としての意識がないというか、非常に恐ろしい状況の中で職員は対応しなきゃいけないということが間々あるようで、ぜひとも警察職員またOBの児童相談所への常時配置など、連携を強化をし、緊急時は速やかな対応がとれるよう、さらなる体制の整備を根本厚生労働大臣にまずお願いをしたいと思います。

根本国務大臣 今委員から本当にいろいろお話がありました。この児童虐待をどう防止するか、しっかり対応していかなければいけないと思います。

 幾つか御質問がありました。

 まず、児童福祉司の増員について等の児童相談所の体制整備ですが、昨年十二月に新たなプランを策定して、現在三千名の児童福祉司について、来年度一気に千名増員し、二〇二二年度には五千名体制とするなど、児童相談所の体制を抜本的に強化することとしています。

 また、国としても、新たなプランを踏まえた児童相談所に係る地方交付税措置を行うこととしたほか、来年度予算において、自治体の採用活動を支援するための補助を行う事業を計上しました。さらに、日本社会福祉士会等の専門職団体への働きかけを行ったところであります。

 このような取組によって、着実に人員増を進め、児童福祉司一人当たりの業務量の軽減を図り、よりきめ細かな対応が可能となるよう、体制整備を進めたいと思います。

 そして、児童相談所の増設については、平成二十八年度の児童福祉法改正の附則において、政府は、施行後五年をめどに、中核市、特別区が児童相談所を設置できるよう必要な措置を講ずるとされています。平成三十一年度予算案においては、一時保護所を整備する際の補助の拡充などを計上しています。

 今、夜間対応の充実、宿直などというお話がありました。

 夜間、休日を問わず、児童相談所が対応する通告、相談に対して、随時直接応じられる体制を整備するため、相談援助技術や相談援助活動経験のある児童相談所OBなどの配置を行っています。こういう対応も、しっかりと対応していきたいと思います。

 そして、警察官や警察OBの配置、そういう御提言、御党からも御提言をいただいています。

 児童相談所では、虐待事案における保護者などからの威圧的な要求等への対応、あるいは警察における経験や知識が有効であることが多く、警察との情報共有及び連携の円滑な実施にも資するので、現職の警察職員に係る人事交流や、警察OBの職員の配置を進めています。

 このような取組を通じて、児童相談所の体制強化に努めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 警察の職員、特にOBの方、現在、非常勤で週三日程度というケースが多いと聞いておりまして、ぜひとも、お元気の方、たくさんおみえになると思いますので、予算を確保して、その拡充に取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つ、児童虐待でお願いをしておきたいのは、今、これまでの努力でダイヤル一八九というのができておりますが、今回の事例でもそうですけれども、今やLINEとかメールで連絡をとり合うことが主流になってきておりますので、このLINEやSNSによる相談などの対応もぜひとも進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 「いちはやく」については、広く周知するとともに、これは、平成三十年度補正予算において、無料化に必要な費用を計上して、利便性の向上に努めています。

 そして、今、委員御指摘の、若い世代は電話よりもSNSでコミュニケーションをとることが多いものですから、平成三十一年度予算案において、子育てに悩みを抱える、子供や、子供本人からの相談について、多くの方が利用しやすいよう、議員御提案のとおり、SNS等を活用した相談窓口を開設、運用するための補助を計上しています。

 引き続いて、児童虐待に対応する相談、通報、通告窓口の利便性の向上に努めていきたいと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今、本当に、若い方は電話も余り使わない、こういうメールとかSNSで連絡をとる方がほとんどでございますので、ぜひともしっかり進めていただきたいと思います。

 次は、やはり、私は、よく高齢化という言葉が使われますけれども、何となくマイナスのイメージがあって、好きではありません。これまでの先輩方の努力で我が国は世界で最高の長寿国になったわけですから、この長寿社会にあって、やはり今、万人の願いの一つは健康で長生きをするということだと思います。そういう意味で、健康長寿の延伸という観点から、日本人の現在亡くなる死因の第一位であるがん対策について伺いたいと思います。

 これまで、水泳の池江璃花子選手の白血病、また、この週末にかけて、堀ちえみさんの舌がんの告白など、闘病生活に入ったことが大きな話題となっております。病と闘う多くの方々のためにも、ぜひ元気な姿で皆の前に戻ってきてほしい、こう思います。

 私の身の回りにも、がんの克服に向けて、けなげに頑張ってみえる方が大勢おみえになります。多くのがんと闘う方々へ思いをはせつつ、幾つか伺ってまいります。

 一つは、がん患者のアピアランス、外見のケアについて。

 がんの治療は、御存じのとおり、脱毛とか肌のトラブル、爪の変色といった副作用を伴いやすく、術後の傷跡に心を痛める人も多うございます。そうした外見の変化の悩みに対応するアピアランスケア、これが注目されています。がん医療の進歩によって、がんの生存率は改善をし、仕事をしながら通院治療する患者がふえており、それだけに、治療前と変化した容姿が気にかかって、社会との交流を避けたり離職を余儀なくされる人は珍しくありません。患者が本人らしく生活の質を保ちながら過ごすためのアピアランスケアの重要性が高まっております。

 また、科学的根拠のはっきりしないケア情報も多いことから、医療者向けにケアの指針を示したガイドラインを、これは二〇一六年七月に作成をしております。作成に携わった国立がん研究センターの支援センター長、この方がこう言っています。現状では、ケアに関する情報は玉石混交の状態だ、このため、正しい知識とケア技術を持った人材の育成は欠かせない、厚生労働省の研究事業として教育システムの開発を急ぎたいとおっしゃっておられました。

 第三期がん対策推進基本計画にも初めてアピアランスケアの問題が明記をされ、対応が本格化をしております。教育システムの開発を始め、アピアランスケアの体制整備、医療としての必要性が認められる場合は、保険適用も含めて、一層の推進をお願いしたい。これは、担当として取り組んでいただいております大口厚生労働副大臣に御答弁をお願いします。

大口副大臣 お答えをさせていただきます。

 がん治療に伴う脱毛、皮膚の障害、また爪などといった外見、アピアランスの変化は、がん患者の療養生活の質に影響を及ぼすことから、その対策が御指摘のとおり大変重要である、こう考えております。

 このため、第三期がん対策推進基本計画、平成三十年、昨年の三月に閣議決定されましたが、患者本位のがん医療の実現、そして、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築等を掲げてこの基本計画があるわけですが、この計画に基づいて、さまざまな取組をしているところでございます。

 例えば、がん患者にさらなるQOL向上を目指してということで、医療従事者に対するアピアランスケアの研修を強化するため、Eラーニングの教育教材、これを開発して、教育の均てん化というのを図っていきたい。また、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターでの患者、御家族の方等に対しての相談体制ということでありますけれども、アピアランスケアなど、がん患者の療養生活に関する相談支援体制、これを整備をしていく。さらに、治療に伴う副作用の予防とケアを行う支持療法の開発などに取り組んでいるところでございます。

 また、このアピアランスの変化に伴う副作用等への治療のうち、有効性、安全性等が確立されたものにつきましては保険適用をしていくということでございまして、例えば抗がん剤治療等に伴う皮疹、発疹ですね、に対するステロイド軟こうやあるいは口内炎に対する粘膜保護対策等の処方、こういうことも保険適用されているところであります。

 今後とも、がん患者の療養生活の質の向上を進めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 引き続き、がん対策、これは従来から御質問しておる内容ですけれども、傷病手当金について、これは根本厚労大臣にぜひお願いしたいと思いますけれども、がん対策基本法の制定から十三年がたちまして、治療も随分進んで、今申し上げたとおり、治療後も社会で活躍できる人がふえてきております。一方で、通院をしながら治療するものですから、残念ながら、会社の状況によっては退職を余儀なくされるケースもふえていて、これが課題になっています。

 定期的に政府も調査をしていただいていまして、平成二十九年一月に実施された、がん対策に関する世論調査によると、がん治療や検査で二週間に一回程度通院しながら仕事を両立できる環境にいるかどうかを尋ねると、そうは思わない、あるいは、どちらかといえばそうは思わないというふうに答えた方の割合が過半を超えていまして、約六四・五%、平成二十九年一月です。これはその前、平成二十六年にも行っていて、実はほぼ横ばいです。つまり、治療と仕事の両立が難しい状態が残念ながら今も続いているということになります。

 治療と就労、この両立を考えるときに、再三お願いしております、ぜひ取り組んでいただきたいのが、傷病手当金制度の改正なんです。

 これは、二十九年二月の予算委員会でも私、取り上げて、厚生労働省を中心に検討を進めていただいていることは承知をしております。二十九年四月の社会保障制度審議会医療保険部会において、財政影響と課題の整理を進めていただいています。また、二十九年三月に決定された働き方改革実行計画の工程表においても、この傷病手当金の措置について、二〇二一年度中に決定するということが明記をされました。

 がんと闘う方々やその家族を支援するために、既に共済組合では行われております傷病手当金の支給期間の通算化を健康保険法でも可能とする制度改正、そして、必要であればそのための予算措置、一日も早く実現をしていただきたいと思いますが、厚労大臣の答弁をお願いします。

根本国務大臣 治療と仕事の両立支援、これは厚生労働省として省を挙げて取り組むべき重要な課題であると認識しています。また、第三期がん対策基本計画、そして働き方改革実行計画においても、治療と仕事の両立などの観点から傷病手当金の支給要件などについて検討し、必要な措置を講ずるとしております。委員からも、今までもいろいろな御指摘をいただいております。

 今お話がありましたが、傷病手当金の支給期間を通算で算出する仕組み、要は、傷病手当金というのは、病気やけがによる休業中の労働者の所得補償のため、最初の支給日から起算して最大一年半に限り支給される仕組みですが、通算で算出する仕組み、委員から御提案をいただいております。

 これについては、整理すべき課題が幾つかあります。委員からも御紹介ありましたが、具体的には、必要な財源をどのように確保するか、保険者の事務負担をどのように軽減するかなどの課題があります。

 今後、高齢化の進展に加えて、現役世代の人口の減少が見込まれることに備え、社会保障のあり方を検討していくことにしています。その中で、治療と仕事の両立支援の観点から、これは保険者を始め関係者の意見を踏まえながら検討していきたいと思っております。

伊藤(渉)委員 非常に、日本全体としての財政をやはり抑えていかなきゃいけないという大きい枠組みの中で、保険の制度を改正していくことの難しさは私もよく承知をしていることですが、その上で、がんで苦しみ、また健康になって社会で頑張っていただくためのサポートになる制度ですので、ぜひともそれを乗り越えて、実現に向けてお願いをしたいと思います。

 次は、がんのゲノム医療のことに関して質問をさせていただきます。

 これも第三期がん対策推進基本計画に入っておりますけれども、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関の整備及び拠点病院等や小児がん拠点病院を活用したゲノム医療提供体制の構築を進める、これによって、ゲノム医療を必要とするがん患者が、全国どこにいても、がんのゲノム医療を受けられる体制を段階的に構築するとされております。

 このがんのゲノム医療の推進は、いまだ治療が期待しがたい難治がん、罹患者数の少ない希少がん、小児がんを始め、多くのがん患者の個別化医療を通じた新たな希望をもたらし得るもので、その医療と研究の推進が期待をされております。

 また、がんゲノム医療は、一部、二〇一九年春、この春にも保険適用になる見通しと承知をしております。あわせて、混合診療を迅速に受けられる仕組みをつくっていくことが検討されております。

 一方で、きょうの質問は、がんの原因となる遺伝子の変異、少し難しい話になりますが、一つは、親から受け継ぐ先天的な遺伝子の変異、もう一つは、生まれた後に起こる後天的な遺伝子変異、これがありまして、前者、親から受け継いだ先天的な遺伝子変異を有する遺伝性腫瘍のがん患者、あるいは遺伝子変異陽性のがん未発症者、遺伝子は持っているけれどもまだ発症していない、こういう人の割合が一定割合で存在することが知られてきております。

 このがんのゲノム医療の研究の進展に伴って、こうした患者が検査や治療の過程で見出される可能性があります。そうすると、この両者に対する社会的不利益が発生することがわかってきておりまして、既にアメリカでは、こういった遺伝子情報がわかることによって雇用分野で差別がされないように立法もされている状況になっています。

 そこで、これも大口副大臣にお伺いをしますけれども、がんやその他の疾病、難病等におけるゲノム医療や研究が適切に推進をされて、患者や、遺伝子変異陽性の未発症者、遺伝的情報は持っているけれどもまだ発症はしていない、そういう人が社会的不利益をこうむることがないように、それを手当てしないとゲノム医療のブレーキになりかねませんので、そういう観点で、雇用や保険において、遺伝情報の取扱いやその不適切な取扱いによって社会的な不利益をこうむることがないように措置を講ずること、十分な情報を得て安心して検査や治療が受けられるよう、医療現場での遺伝子関連検査や遺伝カウンセリングに関する医療者など、ゲノム医療に必要な医療者の育成を推進し、各医療機関に十分適切に配置をすること、がん教育やさまざまな啓発活動を通じて、ゲノム医療や遺伝子疾患の正しい理解を図ること、このような取組をゲノム医療の進展に合わせて着実に推進をしていただきたいと思いますけれども、大口副大臣の御答弁を求めます。

大口副大臣 お答えをさせていただきます。

 ゲノム医療の推進、これは適切にしっかり推進をしてまいりたいと思います。ただ、遺伝子異常が見つかった患者の方々などが不当な扱いを受けることがないようにすることが、御指摘のとおり大事でございます。

 そもそも、遺伝情報は、両親から引き継いだものであり、本人が決めることができないものであります。また、病気のなりやすさなどの中には、遺伝要因だけではなく、生活習慣などの環境要因に大きく左右されるものでございます。

 そこで、厚生労働省といたしましては、関係省庁と連携をとりながら、まず、遺伝子情報に基づく不利益を受けないよう、公正な採用の選考、これをしっかりやっていく。そしてまた、これは金融庁とも連携をいたしまして、適正な保険契約の推進のため、事業者に対して周知をしていく。ですから、採用選考やまた保険契約の推進について、事業者にしっかりと周知をしていくということでございます。

 また、現場の幅広いゲノム医療従事者を対象として、がんゲノム医療コーディネーター研修会を行っているところでございまして、がんゲノムの医療に関する科学的な見地に基づいて正しく相談に対応できるようにしていく研修の推進、これをしてまいるということでございまして、昨年三月に百二十人、また昨年の八月に同じく百十九人、そしてことしの二月、先週末、百二十人、また三月も百二十人と、四百八十人の研修を、更に来年度も二百四十人の研修ということで進めてまいりたい、こう考えております。

 また、国民の皆様に正しい理解を進めるための、がんゲノム医療に関する教育と正しい情報伝達、これの研究開発を、私も昨年末参りましたが、国立がん研究センターの田村先生を中心に今研究をしていただいているところでございます。

 今後とも、国民に安心してゲノム医療を受けていただけるように取り組んでまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 もう一問、がんについて。

 これは、介護認定の申請に当たってなんです。

 介護保険制度は、四十歳から六十四歳のがん患者も保険サービスが受けられるようになっているんですけれども、この定義が、がん末期若しくは末期がんとされていまして、これは結局、現場でソーシャルワーカーの方が患者や家族に説明するときに、末期とあるので、末期ではないからとか、あるいはお医者さんも、あなたは末期がんだというふうになかなか言えないケースがあって、これが使いづらいという話がありました。

 こうした取組も我々主張をして、がん対策基本計画に名称を変更するということが明記されて、実は、もうつい最近、二月十九日、厚生労働省から都道府県に通知が出ました。末期がんやがん末期の記載に限らず、がんと記載されたもので申請を受理してよいと、介護保険の適用です。

 これは、通知が出ただけではなかなか現場に伝わらないので、都道府県、市町村、またあらゆるチャンネルや媒体を通して周知徹底をお願いしたい。これも大口副大臣、よろしくお願いします。

大口副大臣 今、委員御指摘のとおり、二月十九日に事務連絡を発出したところでございます。

 特定疾病として介護サービスの利用を受けられるわけでありますけれども、周知徹底をしっかりしていかなきゃいけないということでございまして、厚生労働省といたしましては、ホームページに、要介護認定の概要から末期の表現を削除するとともに、末期がんの記載に限らず、単にがんと記載されたもので申請を受理して差し支えないこと、また、市町村の窓口で申請者に確認する場合であっても、末期がんの表現ではなく、介護保険サービスの利用が可能かを主治医に確認したかどうかにとどめるなど、申請者の心情に配慮した対応をお願いすることにしておりまして、しっかり、この二月十九日に各自治体に発出をして、徹底をしていきたい。

 また、この取扱いにつきましては、日本医師会等の関係団体にもお知らせをしたところでありまして、また、三月に予定されている全国課長会議の場や、各自治体の要介護認定の担当者向けの研修会の場など、さまざまな機会を捉えて周知に努めてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたのでこれで終わりますが、きょうは世耕経産大臣にも、こうした社会保障を安定させるためにも、下請取引の改善、つまり、この国の経済、雇用を支えている中小・小規模事業者の状況の改善のお願いもしようと思っておりました。

 この委員会で賃金のことが議論されておりますけれども、現実の上で賃金を上げるためには、中小企業の経営環境を改善させることが極めて重要であります。そうしたことをまた、そうした機会に……(発言する者あり)

野田委員長 お静かに。

伊藤(渉)委員 ぜひ、またその取組を加速できるよう我々も提案をしていきたい、そのことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

野田委員長 これにて伊藤さんの質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也さん。

小川委員 立憲民主党・無所属フォーラムの小川淳也です。

 週末、いろいろなことがありました。

 皇室においても、大変節目の週末となりました。

 そして、キーンさんも亡くなられたということで、御冥福を祈りたいと思います。

 そして、大きな出来事として、沖縄県において県民投票が実施をされ、圧倒的多数が辺野古に対する反対意見を表明いたしました。

 まず、総理にこの受けとめをお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 沖縄に米軍基地が集中する現状は、決して是認できるものではないと考えております。沖縄の基地負担の軽減は、政府の大きな責任であります。今回の県民投票の結果を真摯に受けとめ、今後も基地負担の軽減に全力を尽くしていきたいと考えております。

 住宅や学校で囲まれ、そして、世界で最も危険と言われる普天間基地、普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければならないと考えております。これは地元の皆様との共通認識である、こう思っております。

 普天間の全面返還については、日米で合意をしてから既に二十年を超えた。今もなお返還が実現しておらず、もはや先送りは許されない、こう考えております。長年にわたる地元の皆様との対話の積み重ねの上に、これからも御理解を得る努力を続けて、普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現に向けて全力で取り組んでいく考えでございます。

小川委員 この後、枝野代表が質問に立たれますので、ぜひお譲りをしたいと思いますが、私どもとしては、一旦工事を中断し、民意を体現する玉城デニー知事と、真摯に沖縄県民の気持ちに寄り添って話し合われることを求めていくことになろうかと思います。

 それでは、統計不正に関連して御質問いたします。

 まさに、先ほど、伊藤委員がおっしゃいました。賃金はバーチャルで上がっても意味がないわけです。リアルに上がらなければ、国民生活にとっては何のいい影響もないわけです。

 申し上げたとおり、一七年から一八年は、ウエート補正を無視して、ローテーションに切りかえ、三倍補正を行い、日雇を外し、四段重ねでかさ上げした結果、それまでの五年間で一・四%、一二年から一七年まで、五年間で一・四%しか伸びていないものを、わずか一年で一・四%まで伸びている。これはバーチャルじゃないか、そして、その経過は適正だったのか、こういう観点から質問をしているわけです。

 午前中、与党の、まさに与党質疑かくあるべし、よくすり合わせ、よく与党側、政府側の主張を盛り込んだ、いいものを見せていただけた。本当に感謝、勉強になりました。そういう説明が、一体、国民に通るのかどうか、お聞きをしてまいりたいと思うんです。

 ただ、その前に、私、率直に、委員長、メールが出てきたことは、やはり国会の一つの機能を果たしたと思います。委員長、与野党の理事、根本大臣、そして、官房長、統括官を始め、私は、このメールは出したくなかったと思いますよ、しかし、こうして出していただいたことには敬意を表したいと思います。

 組織は揺るぐんですよ、これによって。しかし、組織を揺るがしても、こういうことを積み重ねることで、社会は揺るぎないものになっていくんです。一方、財務省はこの間、出しませんでしたよね、国有地の処分に関して。出すものを書きかえて出した、組織を揺るがせないため。こういうことは社会を揺るがすんです。

 そして、あの事件では、この矛盾に耐えかねた人間が一人亡くなりました、財務省内で。そして、麻生大臣は今も、何事もなかったかのように、一見、その席に座り続けておられる。そして、それを許しているのは安倍総理であります。

 こういう政権体質全般としっかり関連づけながら、今回の真相究明を果たしたいわけであります。

 ぜひ、メールの中身について、御存じない方もいらっしゃると思いますので、総理、まずこのメール、お読みいただけましたでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私は読んでおりません。ざっと説明を受けております。

小川委員 それでは、少しあらましを追わせていただきたいと思います。

 この一連の問題の経過と、そして発信されたメールの時期、さらにその内容をポイントだけ整理いたしました。

 三月に、中江秘書官から、姉崎氏に問題意識を伝達したところから全てが始まります。六月に、厚労省が異例の検討会を立ち上げます。八月には、第五回の検討会で、現行の方式である総入れかえが適当だという素案をまとめました。明けて九月の三日、賃金に関して総理が国会答弁をしておられる。翌四日に、担当職員は研究会の阿部座長にメールをしました。現在、検討会での検討結果等について官邸関係者に説明している段階だというメールでありました。

 四日後の九月八日、今度は同じ職員から再度、座長にメール。これは少し中身がわかりにくいんですが、要するに、第二種事業所、これは小規模事業所です、小規模事業所については既にローテーションを採用していますので、それも記述した方がよいとの座長からの意見に対し、部内で検討した結果、この小規模事業所でローテーションを採用していることが、第一種、中規模事業所でもそれを採用しろという意見が出る可能性があるので、あえて記述しないという整理にしたい、これは上司たる姉崎部長の意向でありますと、はっきり書かれているわけであります。

 総理、いらっしゃらないですね。速記をとめていただいてもいいですか。

野田委員長 いやいや、続けてください。私が総理の申出を許可いたしましたので、私に指揮権があるので、続けてください。(発言する者あり)公平にやっています。とにかく質疑を続けてください。私の指揮で進めておりますから。私が許可を出しましたから、総理の御退室は。

 戻っていらっしゃいました。どうぞ続けてください。

小川委員 続けます。

 この八日の時点で、姉崎部長は、ローテーションに切りかえろという意見すら出てくることを恐れて、それを誘発しかねない記述は削除するという整理をしているわけです。

 ところが、六日後の十四日、姉崎、そして総理補佐官である中江さん、両者が午後早い時間に面会し……(安倍内閣総理大臣「秘書官」と呼ぶ)秘書官が、ごめんなさい、そして、確認したところ、その日の十四時〇一分、まだ厚労省のファイルでは、従前の総入れかえ方式が適当だという結論が書かれていることが確認されています。

 この前後に恐らく、姉崎部長から担当者に指示があったんでしょう。急いで担当者は、十六時八分、三たび、阿部座長にメールをし、委員以外の関係者と調整する中で、部分入れかえに切りかえるべきだという意見があった、御存じのとおり報告書案では既に総入れかえ方式が適当との記載を予定していた、したがって、次回、もうこれは二日後なんですが、第六回では報告書の案ではなく中間整理とさせていただきたい、あわせてサンプルの入れかえ方法については引き続き検討と記述する予定である、このため検討会も、引き続き行う予定である、検討会開催前の突然の方針変更で御迷惑をおかけします。

 さぞいたたまれない気持ちでこの担当者は、姉崎部長からの指示を受け、座長に、おわびとともに変更を伝えました。当日の、確認されている限り、二十二時三十三分、厚労省内のファイルでは、入れかえ方式を、既に決まっていた総入れかえから、引き続き検討と書きかわっていたわけであります。

 一連の経緯並びにメールの内容、そして日時、時刻を照らし合わせば、姉崎さん、端的にお聞きします、あなたは当初、ローテーションサンプルへの移行に対して消極的、否定的な考え方を持っていた、しかし、九月十四日、面会を求められた、あるいは求めたか、中江総理秘書官と面談し、その場で、コストの問題だけではなく、さまざまなことを検討し、調査方法を変更すべきだという問題意識の示唆を受けた、これを受けて、急ぎ、担当の職員に変更を指示し、そしてそれが以後のメール、ファイルの書きかえ、当日の研究会の結論へと至った、誰が考えてもそういう経過だと思いますが、姉崎さん、認めてください。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 先ほども申し上げましたけれども、私は、コストや事務負担の問題等々を除けば、部分入れかえ方式に反対という立場ではございませんでした。

 それから、私の修正の指示は、私の記憶で、申し上げたとおり、九月の十一日の夜か十四日の朝に担当の補佐に指示をしたということでありまして、総理秘書官から指示を受けてそういう指示をしたということではありません。

 それから、総理秘書官のところへは十四日の午後の早い時間にお伺いしたということですけれども、総理秘書官からは、コストの問題というよりも、経済の実態をタイムリーにあらわすという観点からは部分入れかえ方式ということもあるのではないかというコメントをいただいたということでございます。

小川委員 そういう説明について、これは私が言っているんじゃありません、ある報道の社説のくだりを紹介しますね。「報告書の書き換えは面会の前に部下に指示してあったとして、秘書官の影響を否定した。誰がそんな説明に納得するだろう。」これは、私が言っているんではありません、報道の社説であり、多くの人がそう感じているわけであります。

 では、一つお聞きします。

 部下に指示したのは十一日か十四日なんですね。それすら思い出せないのに、なぜ、中江さんに会う前だったということだけは覚えているんですか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 それだけを覚えているということではなくて、私の記憶の限りではそうだったということでございます。

小川委員 十一日か十四日か思い出せない、しかし、確かに、中江さんに会う前だった、それだけは覚えているんですね。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 それは、総理秘書官から特段の指示をいただいたということではありませんでしたので、私は前に言ったというふうに思っているということでございます。

小川委員 では、具体的に答えてください。

 この時期、メールによると、いいですか、あなたの部下は真摯に仕事をしていますよ、メールを見る限り。その部下の名誉にかけて、部下が何か取り違えたんじゃないかとか、あなたの意向と違う仕事をしていたんじゃないかなんという答弁は許されない、役所の担当官としての誇りにかけても、人道的にも。若い人ですよ、将来のある人だ、何かこの人が不正確な仕事をしたかのような答弁は許されませんよ。

 その前提で答えていただきたいんですが、では、十一日か十四日の朝、どういう具体的な指示をしたんですか。結論を書きかえろと言ったんですね。

姉崎参考人 両論併記にするということで、総入れかえ方式だけではなくて部分入れかえ方式も、両方とも検討する、統計委員会の議論を踏まえて、断定的にはせずに両方とも検討する、こういう趣旨で直すということで、結論の部分もそういうふうに直せというふうに指示をしたんだというふうに思います。

小川委員 曖昧な言い方。だんだん自信がなくなってきているじゃないですか。

 この時期、まさに、このメールによれば、担当者は委員にいろいろと意見を伺っているんです。それを反映する努力をしているんです。そのさまざまな記述について、あなたと議論している可能性はあるし、その中であなたが何らかの指示なり指導した可能性もある。それをもって十一日か十四日の朝だと、もしおっしゃっているとしたら、私たちが聞いていることをはぐらかし、ごまかしている答弁ということになる。

 私たちが聞いているのは、結論の書きかえを具体的に指示したのはいつだということを聞いているわけですから、それに忠実にお答えをいただかなければならない。

 それでは、今、おっしゃいましたね、統計委員会に備えて両論併記にすべきだと。あなたは自分の判断として判断したということでありますが、先ほど、部分入れかえの意見すら出てくることを恐れて、中規模事業所、小規模事業所に関する記述を削除せよという指示をした。そのことは指摘したとおりです。

 では、聞きます。

 あなたは、九月十六日、検討会の最終回に結果としてなりました、中間報告の整理案について、担当の久古谷課長が、このように述べています。次のサンプル入れかえを総入れかえにするのか部分入れかえにするのかについては、もう少し検討したいと思っておりますと担当課長は述べた。

 そのすぐ後に、当時の永濱委員は、次の変更のタイミングがいつになるかという情報は関心が高いので追記すべきではないかと発言をした。

 これにかぶせる形で、その直後です、姉崎部長は、次いつ変更するかという情報は重要ですが、サンプル入れかえについては、総入れかえ方式ではなく、部分入れかえ方式を検討したいと思っており、と。

 腹をくくっているじゃないですか。腹を固めているじゃないですか。十四日の時点で、あなたの腹は固まったんだ、中江さんからの問題意識の示唆を受けて。両論併記、統計委員会に備えて、そんなきれいごとは通用しない。議事録を見れば、あなたは明確に、総入れかえをやめて、部分入れかえにするんだと断言しているじゃないですか。

 答弁は虚偽だ。説明してください、矛盾を。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 今、小川委員から御質問いただいた点につきましては、金曜日の日に、大串議員からも聞かれた点と同じかというふうに思いますけれども。

 それで、第六回目の議事録、今、先生がお示ししていただいたのは途中のところですけれども、大串先生からの質問にお答えしましたけれども、議事録の一番最後のまとめですけれども、要は、統計委員会における未諮問基幹統計の確認作業に向けてということを踏まえて、先ほど申し上げましたとおり、サンプルの入れかえのローテーション方式のことについても検討させていただいてというふうに、こういうふうに述べておりまして、私の真意は、総入れかえ方式と部分入れかえ方式と両方とも検討するというのが真意でございまして、前半のところはこのような記述にどうもなってしまっておるんですけれども、私の結論は、議事録の一番最後に出てくる、ローテーション方式のことについても検討させていただきたいというのが私の真意でございます。

小川委員 担当課長の発言を慌てて覆いかぶせたかのような発言が続いているわけです。

 では、聞きますよ、藤澤統括官。

 この九月の報告会が終わった後、十二月に統計委員会での審議が始まっていますね。これも何度も指摘しますが、通常、統計法は申請主義なんです。各省から、統計のかくかくしかじかは改めたいので審査してほしいというボトムアップの申請主義なんです。しかし、この勤労統計は、統計委員会から、あんたたち、長らく諮問していないから、諮問は受けていないけれども俺たちから変えろと言うぞとトップダウンでやっている、そういう手続をとられている。

 統括官、今、姉崎さんが言ったように、本当に両論併記で統計委員会にかけたんですか。

藤澤政府参考人 平成二十七年十二月十一日に、第六十五回統計委員会基本計画部会が開催されております。そこで、当時の厚生労働省の担当課長の発言でございますけれども、「労働者数の基準数値の更新を伴う入れ替えのときも同様です。過去の前年同月比の改訂をしない以上、八ページの方法が適当と考えております。特に、今、取り入れようとしております部分入れ替えであれば、標本入れ替えの際のギャップが小さくなることが期待されますので、あえて過去の指数を補正することはせずに八ページの方法が適当とも考えられるわけです。」という説明を行っております。

小川委員 もう正直にやりましょう。

 ローテーションサンプリングに変更できないかと提出資料に書いているじゃないですか、統計委員会に。そして、全数入れかえの利点、あるいはローテーションサンプリングに対する慎重意見、どこにも出ていないじゃないですか。結論ありきでやっているじゃないですか。

 その伏線を引いたのは、姉崎さんだ。そして、後任の小川統計部長は、経緯も方針も全て聞かされて、結論ありきでこのトップダウンの統計委員会の審議に臨んでいる。

 したがって、繰り返しますが、何だか非常に言い逃れの上手な方だなとは思いましたよ、先週から、姉崎さん。しかし、このさまざまな、時系列なりその後の統計委員会での議論を見る限り、あなたの説明は通らない。

 委員長、これは、余りこういう不確かな、不誠実な答弁が続くようであれば、姉崎さんに関しては、私は証人喚問に切りかえる必要があると思います。ぜひ理事会で協議してください。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

小川委員 では、最後に、姉崎さんにお聞きします。

 官邸に厚労省出身の横幕参事官がいらっしゃいましたね。九月四日のメールによると、官邸関係者には説明している、もっと言えば、恐らく頻繁に連絡をとり、定期的に意見交換していたと思われます。

 横幕さんとはどのような頻度で、あるいはどのような内容を協議していたのか、その答弁を求めます。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 横幕参事官とのいろいろなやりとりというのは、当時の担当課長の方でされていたと思いますので、私は、横幕参事官と直接いろいろなお話をしたという記憶はありません。

小川委員 それでは、当時の担当課長についても参考人招致を求めます。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

小川委員 時間の制約もありますので、中江さんにもお聞きいたします。

 このメールが出てきまして、いろいろ政府・与党側にも言い分はあるでしょう。しかし、疑惑が深まっていることは事実であります。

 中江秘書官、十四日の午後早い時間に、姉崎さんと面会した記憶は戻っていないんですね、まだ。

 では、一応お聞きしましょうか。どうぞ。

中江参考人 お答え申し上げます。

 まず、その前に、委員がきょうの資料をお示しになられて、この問題は三月に私が問題意識を伝えたところから始まったというふうにおっしゃられましたので、そこは私も一言お話しさせていただきたいと思います。

 私は、何か悪いこと、不正なことをしたわけではないということを、この際、はっきり申し上げたいと思います。

 私が関係しておりますのは、統計委員会が最後に認められたサンプリング変更のことでありまして、十五年間続いていた違法な統計処理の問題とは違う、このことは、まずはっきりと明確に申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。御静粛にしてください。

中江参考人 それで、サンプリングを全部一度に入れかえるか、一部ずつ入れかえるかというのは、不正でも何でもなくて、政策の話です。どちらが統計として間違っているということではなくて、どちらの方法がより適正か、どちらを選択するかという議論だと思います。そのことは申し上げておきたいと思います。それで私は問題意識を伝えました。

 それで、直接の、九月十四日の件を御質問いただきました。

 それで、先週の金曜日、姉崎部長の答弁も聞いていて、姉崎元部長の顔も見て、声も聞いて、更に自分でも当時の総理の動静をネットで調べて、そのころ何が起きていたか、あるいは九月というのはどういう時期だったかとか、いろいろ自分なりには調べてみました。

 ただ、そこは、本当に、姉崎さんが宮野さんと二人で来られて私にお話をされたということは、どうしても思い出せません。ただ、思い出せませんが……(小川委員「それだけで結構」と呼ぶ)それでよろしいでしょうか。

小川委員 残念です。

 それで、総理、ぜひ聞いてください。今、中江さんが主張されたことは、このテーマの極めて重要な論点なんです。なぜ私どもが官邸の関与を問題視しているかということについてです。

 これは非常に口幅ったいことになりますが、民主主義の仕組みがあり、そして法治国家の仕組みがあります。そして、政府の担当官は全て、法律に基づく権限を、職務権限を行使しています。これには当然、表裏一体のものとして、説明責任と結果責任を負うことが決まっています。これによって手続の透明性を確保し、そして結果の妥当を期す、これが民主主義であり、法治国家が前提としている価値なんです。

 ところが、安倍政権になって、特に二〇一五年ごろから、国有地の処分、学校法人の認可、統計制度の変更、全てにおいて、本来、職務権限がないはずの総理秘書官が暗躍しているケースが目立つようになった。しかも、これは、重大な影響力を持っているにもかかわらず、関与を否定し、うそをつき、ごまかし、その事実をないものとしようとしているかのような答弁が多い。

 これは、彼らは権限がないんですよ。ということは、責任を負わない人たちなんです。責任を負わないにもかかわらず、事実上の影響力を行使して、さまざまな処分に影響力を発揮し、政策の変更に口を出して介入している。このこと自体が民主主義なり法治国家にとっての脅威だ、挑戦だという意味で、問題視をしているわけです。

 したがって、今、何か、ローテーションにするかどうかは政策の問題だとおっしゃるが、手続の適正を期すことがこの国の社会の前提なんです。不透明な介入や政治的影響力を、責任のない、権限のない人たちが事実上行使することは、大問題だと言っている。そういう前提で聞いているわけです。

 中江さん、もう一つ質問です。

 総理に報告していない、意見を聞いていないという答弁、何度もありました。

 今井秘書官には、いかがですか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 私は、これまでのこの委員会での御答弁で、私が秘書官個人としての考えを伝えたというふうに御答弁申し上げております。

 それで、その厚労省とのやりとりについては、総理には報告しておりませんということを申し上げております。今井秘書官にも報告はしておりません。

 総理秘書官は、担当する分野、政策について各省庁から説明を聞いて議論することは常々あります。議論する中で個人的な見解を伝えることも往々にあります。

 個人的と申し上げてきた意味は、総理やその他の官邸の幹部と打ち合わせた上で申し上げたわけではなくて、すなわち、総理の指示とかほかの秘書官の指示ということではなくて、私の単独の意思で申し上げたという意味であります。もちろん、公務の一環です。

 それで、総理説明がその後必要になるかどうかを見きわめるためにも、あらかじめ説明を受けるのはいろいろあることです。

 私は、もちろん、総理の秘書的業務を行う、従事する総理秘書官室の一員ではございましたけれども、担当する政策の一つ一つについて、総理の御指示を受けていたわけではございません。(発言する者あり)

野田委員長 傍聴席からは御静粛に。

中江参考人 私が書いた原稿を説明させていただいております。

 総理の指示を受けずに、各省庁から説明を聞いて議論する中で個人的な考えを伝えたということでありまして、何ら問題であったとは考えておりません。

 それから、先ほど、私のことを指されたかどうかわかりませんが、うそをついていたというふうな御発言をいただきました。もちろん、委員会での御発言ですから、私はそれについてとやかく申し上げませんが、心の中で、ん、と思ったことは申し上げたいと思います。(発言する者あり)

野田委員長 皆さん、御静粛に。

小川委員 皆さん、余りにも都合よく、都合が悪い日の記憶をなくされますからね。それはうそじゃないかと……(発言する者あり)

野田委員長 静かにしてください。

小川委員 私のみならず、思う人は多いと思います。

 では、もう一つ、今、中江さん、重要なことをおっしゃったので、そこをちょっと論点にさせてください。

 これも、一部報道を引用しながら、総理にお聞きします。

 総理秘書官というのは、一体どういう職責なのかという報道についてです。

 かつて小泉政権で秘書官を務めた小野次郎さん、言動は首相と一体とみなされると言う、当時の小泉首相は、小野次郎の耳は小泉の耳と言った。

 総理にお聞きします。中江の耳は安倍の耳ですか。

安倍内閣総理大臣 私も、官房副長官として小野さんと一緒に仕事をしたことがありますが、小野次郎の耳は総理の耳なんて、聞いたことありません、正直言って。私も官邸の主要なメンバーでしたが、そんなふうに感じたことは一度もないということは、申し上げておきたいと思います。

 それと、小川さん、先ほど、総理大臣秘書官というのは何の責任もないと。そんなことはありませんよ。総理大臣を支えるという、とっても大切な責任があるんですよ。その使命感のもと、夜遅くまで働いていますよ。それが全く責任がないかのごときの言動というのは驚くべき発言であって、民主党政権時代の秘書官ってみんなそんなおつもりだったんですかね。ということを申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

野田委員長 静かにしてください。

安倍内閣総理大臣 それと、大切なことなんですが、先ほど、中江秘書官が発言いたしましたが、では、この問題はどうなのかということであります。他の問題ととにかく混同させようとしているような意図を私は感じているということを申し上げるつもりはありませんが、皆さんが、しかし、それはイメージを重ねようとしているんだろうなと思います。

 しかし、今までのことについても、いわば私が関与したということは全くないわけでありまして、それはもう極めて明確になっているじゃありませんか。むしろ、極めて明確になっているんですよ。

 それと、では、この問題について、三点いわばポイントがあると思いますよ。

 まず、いわば不正な、適切ではない調査とかかわっていたかどうか。これは全く関連がないということは明確ですよね。別の問題です。

 もう一つ。では、結論が悪い方向に行ったのかどうか。それはまさに政策判断です。これは、阿部委員長も日経新聞のインタビューに対して、「統計の精度を改善するための意見」だったとの感想を述べておられます。そして、「前年比で上振れさせるような政治的な意図は感じない」と、阿部座長は述べておられるわけであります。ここからももう既に明らかになっているんだろう、こう思いますが、これは決してアベノミクスを上振れさせるためのものではない。

 つまり、三年間上振れがたまっていくよりも、一年一年、半分サンプリングでかえていった方が、それはよりタイムリーになるわけですよね。例えば、今やったものが三年後に改定されるのであれば、今やったものが不確かなものとなっていくわけですよね、三年間。三年後にいきなり修正、遡及的にそれは修正されてしまうわけでありますから、一年一年にギャップを修正していく方がいいんじゃないですか。それ、高く見せるんですか。高く必ずしも見せていないだろう、こう思っています。

 つまり、まさにそれは、政策的な判断について当時の中江秘書官が感想を述べられたんだろう、こう思います。

 そうして考え方を述べることがいいことか悪いことか。あそこで笑っておられますが、笑っている問題じゃないと思いますよ。先ほど来、中江秘書官の人格を否定するようなことをずっと言っておられるじゃないですか。うそつきだとか。そういう人格を否定しておられることをずっと言っておられるんだったら、これぐらいの反論は、私は、元上司としてはさせていただきたい、こう思っているんですよ。

 三点について、ポイントについてはそう述べさせていただいたところであります。

小川委員 中江さん、ごめんなさい。もし、責任が軽いとか、重くない仕事だと受けとめられたのなら、おわびします。総理、そこは、もしそうとられたなら、私は率直におわびします。

 ただ、誤解なく。私が申し上げているのは、行政は法律上の職務権限についても行使されているということを申し上げています。したがって、職務権限を保有しない者が、事実上、横やりを入れたり、圧力をかけたととられかねないような言動は慎むべきだと申し上げている。なぜなら、その人は説明責任と結果責任を負わないからです。ということは誤解なきように、総理にもぜひお伝えをしたい。

 加えて、私たちは、イメージ操作しているというより、出てくる事実を折り重ねるとそういう印象になるじゃないかと言っているわけです。それも総理は誤解しておられる。

 更にもう一点、総理、今重大なことをおっしゃりかけたんですが、内容がよければ手続はいいじゃないかととられかねないような御答弁を今おっしゃった。私が問題にしているのは、そこなんですよ。まさにこの民主主義の仕組みというのは、手続の適正を期すんです。手続の適正を期すことで、結果の妥当、内容の妥当を期そうとしている制度なんです。したがって、出てきた結果がいいんだから、例えばですよ、いいにしてもです、仮に、いいんだから、手続はどうか、少々紆余曲折しようがいいじゃないかというお考えがあるとしたら、これは根本的にこの国の仕組みを誤って理解しておられる。そのことはぜひ指摘したいと思います。

 二点目、お聞きします。

 これは、東大の名誉教授の醍醐先生だそうです。秘書官の行動は総理の意向と受け取るのが普通で、今、中江さんがおっしゃったように、仮に秘書官の一存なら総理の監督責任が問われるという指摘がありますが、これについてはいかがですか。

安倍内閣総理大臣 結果がよければ手続は関係ないということは、私は全く言っていないのであって、先ほども三点ありますよと言って、これはまさに、不適切な調査とかかわりはあるか、ありませんね、これは共通認識ですよね。そして、結果については政策判断、ややいいという感覚をお持ちかもしれませんけれども、ここは大体認識一致。

 私、もう一点申し上げたはずであって、秘書官が意見を言うのがどうかということについては、政策的な意見を言うのが、これは当然そうなんだろうと。例えば、中江秘書官が、それは……(発言する者あり)

野田委員長 お静かにしていてください。

安倍内閣総理大臣 阿部座長等々にこうしろとか、あるいは厚労省に対してこうしろと明確な指示を出していたんだったら別ですよ。そうではなくて、いわば意見を言ったということは、先ほど、阿部座長の感想、だから私は引用させていただいたんですよ、阿部座長の感想を。(発言する者あり)いや、違う。阿部座長の感想を認めているわけであって、それは、阿部座長と中江さんのやりとりではなくて、阿部座長の感想を述べておられるわけで、たとえそうであったとしてもということで述べておられるわけでございまして、つまり、プロセスにおいても、私はそれは、結果がよければプロセスがどうであってもいいということではなくて、プロセスにおいても私は問題がなかったのではないか、こういうことであります。

 秘書官がいろいろな、別に、私が一々指示して秘書官が動くのではなくて、秘書官はみんな大体見識を持っている方々ですから、その方々がそれなりに自分たちの見識の中でさまざまな判断をしていく、それで政策を今この六年間やってきているわけであります。それでなければ政府というのは回っていかないわけであって、一々、政治クラスが、政治レベルが細かい指摘、サンプリングを半分かえたローテーションをやった方がいいかどうかということをまず私が言うわけがないし、第一、二〇一五年というのは、平和安全法制の審議をしていて、九月、私、千問の質問を受けていて、そこでいかに大変だったかというのをみんな見ていますよ。そこでサンプリングなんという話を一々しますか。もう当時は徹夜に近いわけですから、みんな。

 ということで、これは冷静に考えて、ここは皆さん冷静に判断していただいて、みんな役所から出てきていますが、みんなでやじりまくって威圧感を与えるということをやめて、冷静に答弁するという環境をつくる協力も、ぜひ、私も元上司としてお願いをさせていただきたいな、こう思う次第でございます。

小川委員 総理、平和安全法制をやっているときだったから、支持率も下がるから、賃金を始め、ほかで成果が欲しかったんでしょう。

 申し上げましたよ、統計も森友も加計問題も、このまさに二〇一五年なんです。意見を言うぐらい、いいじゃないか、いや、それはそうかもしれない。しかし、そこには前提があって、どれくらいその意見が相手にとって重いかという自覚なき意見は、非常に認識が不適切であり、不足だと思いますよ。

 もう代表の御質問が控えていますので、これでやめますけれども、やはり、まずとにかくメールが出てきたことは非常に大きかったと思います、国会として監視機能を果たした。そういう意味では、関係者に心からお礼を申し上げたい。

 しかし、次なる説明ぶりが果たして納得できるものだったか、メールを前提に、これは更に審議が必要でしょう。

 同時に、やはり私どもも照準を少し修正しなければならない部分があると思うんですが、中江さんがどの程度、今井さんとやりとりしていたのか、今井さんが総理とどの程度やりとりをしていたのか、ぜひ、今井秘書官の参考人招致を求めて、質問を終わりたいと思います。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

 この際、枝野幸男さんから関連質疑の申出があります。小川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。枝野幸男さん。

枝野委員 ほかの質問を用意してきているんですが、今の小川委員の話、もう一度整理をしてお話をさせていただいた上でお伺いをしたいんですが、この問題の端緒は、確かに、ルールどおり統計をとっていなかったというのが端緒であります。でも、今問題になっているのは、その不正云々という話ではありません。

 そこが端緒となって、いろいろな統計に関する事実関係について国会の行政監視機能として調べてきたところ、今問題になっている、二〇一五年に勤労統計の調査の仕方が変更された、これが、急に調査の仕方、どれぐらい入れかえるかという入れかえ方を変えた結果として、結果的に、急に賃金が上がったかのような数字が出てきた。少なくとも、その当時、こうした入れかえの方式を変えたので急に上がったというような積極的な説明はなされていなかったので、そうか、実感とは違うけれども急に上がったんだなと受けとめた方がたくさんいらっしゃった。ここまでは、否定のできない事実だと思います。

 その上で、この手法の変更に当たって、二〇一五年の三月三十一日に、中江秘書官が姉崎氏などに問題意識を伝達した。これは、秘書官個人としての意見でおっしゃったということはお認めになっておられるわけでありますが、そうなると、今、総理は、秘書官といえども個人的な政策的な意見を言うことはいいことだ、悪いことではないという御指摘をされたんですが、私は、そこについて強い疑念があります。

 秘書官の経験者ですから、通告はありませんが、中江さん、お答えいただけますか。内閣総理大臣の秘書官の責務というのは何でしょうか。

中江参考人 ちょっと通告がありませんで、条文が全部思い出せませんが、内閣法二十三条だったと思いますが、内閣総理大臣の命を受けて仕事をするというようなことが書いてあったというふうに記憶しております。

枝野委員 我々国会議員も、なかなか野党の立場で総理大臣の秘書官と直接話をするケースはありませんが、若干の期間、与党をやらせていただいたこともありますが、総理とか官房長官とかあるいは大臣の秘書官から意見を聞けば、それは、その仕えている大臣なり、総理大臣秘書官ならば総理の意向が背景にあるんだと受けとめるのが私は普通だと思うのですが、総理、違いますか。

安倍内閣総理大臣 それは、私がその受けとめ側になったことがないものですから、官房副長官を務めておりましたが、秘書官から言われたら、それが総理の意向だと思ったことが私はないんですね。私に対しては、総理から直接指示が、副長官のときもありましたし、官房長官のときももちろんそうでありますから、それ以外のときに、私、秘書官から一議員として言われたことはありませんから、受け手側の気持ちを私が勝手にこうだという、経験抜きに申し上げることはできないんだろう。

 ただ、総理秘書官が述べることについて、そういう印象を持つ方もおられるかもしれない、それはそう思いますよ。でも、私はずっと官邸には、副長官三年やって、官房長官一年やって、総理大臣既に七年やっておりますが、それは、必ずしもそうではないということを私はよく知っているわけでありまして、私の考え方を理解しながら問題意識を述べる、そして、それぞれで見識を持っておられますから、そういう見識のもとでさまざまな意見を述べられるのは当然なんだろう、このように思います。

枝野委員 お互いの経験値だけで話しても、なかなか、基本的な物の捉え方が違うようですからかみ合わないとは思うんですが、私も官房長官の経験がありますが、もちろん総理から直接指示を受けたりすることはありましたけれども、総理も忙しいし、こちらも忙しいですから、総理の秘書官から、総理はこういう御意向なんだけれども、官房長官どうでしょうかみたいな話は少なからずありましたし、また、その際に、総理の意向はこうなんですがということが省略されるというようなことは当然多々あったし。

 ですから、やはり秘書官から話があれば、基本的には、特段これは、例えば総理秘書官ならば、総理の意向とは関係ない個人の意見だと特に示した上でなければ、それは、総理なり、その仕えている大臣の意向を反映したものだと受けとめるのが、テレビをごらんの皆さん、普通じゃないでしょうか。総理の秘書官がこう言っていますよ、総理の秘書官から何か言われたら、それは、総理の意向なんだなと受けとめるのが私は普通の常識だというふうに思います。

 だとすると、その個人の、もし中江さんの言うとおり、これが完全に個人の意見であって、総理の意向などとは全く関係ないものだとしたら、それは、中江さん、職務のあり方としていかがだったのかという指摘をせざるを得ないし、そもそもが、私は、日本の官僚の皆さんは基本的にはそれぞれの職務に忠実に仕事をされるということは一般的には信用しているし、信用しなければいけないと思っていますので、むしろ、背景に、何らかの意向を少なくとも中江さんがそんたくをしていた可能性が高いのではないか。

 このあたりのところをしっかりとはっきりさせませんと、これが意図的に方針が変更されたものであるのか、それとも、普通の実務的、専門的な見地から変更されたのであるのか。

 既に小川委員などのきょうの質問だけでも示しているとおり、専門家の皆さんの検討委員会では従来の方式でいこうということに決まりかけていたのが、急に最終段階で両論併記になり、両論併記のまま専門家の検討会議は終わって、そして、次の段階では方式を入れかえるということで流れができているということですから、そのプロセスで専門的な意向以外のところが働いていたのではないかと思うのが当たり前だと思いますし、そこに秘書官が問題意識を伝達していた、あるいは、官邸にも説明、報告をしていたということが既にこれは客観的に出てきている以上は、そこのところの意向が反映された結果として、結果的に、賃金が急に上がったかのように見えるような方式が採用されたと疑念を持つのが私は当然だと思います。そうでないのだとしたら、この間、メールも、同僚議員の、党派を超えた野党各党の皆さんの尽力でようやく出てきましたが、積極的に当時の事実関係について出せる資料をお出しになって説明をされるべきだと思います。

 総理に一言だけ申し上げておきますが、私も、総理が具体的にこのローテーション方式云々とか細かいことを指示したなんて思っては全くいません。まさに優秀な官僚の皆さんですから、それは、賃金の上がり方についての統計の数字が、どうも、もっと実際に上がっているんじゃないか、上がっているのに上がっているような数字が出ないようなことになっているのではないかというようなことを結果的に受けとめるようなそういう示唆があれば、それに応じて、何とか統計のやり方でもっと上がっていることが明確に示せるようなやり方に変えるべきではないかという努力を職務として中江さんがしたとしても、それは逆に当然のことだと思います。

 そうしたことの経緯がはっきりしない中で統計についての信頼性が失われているということについて、この間、同僚議員が繰り返し指摘をし、ようやく事実関係の一端が明らかになってきたということであり、ぜひ引き続き野田委員長には、全貌解明に向けてしっかりとした委員長としての指揮をお願い申し上げたいと思います。

 これも小川議員が冒頭でお尋ねをいたしましたが、きのう、沖縄の県民投票が行われました。沖縄の皆さんの民意、辺野古の土砂の埋立ては中止をするべきだというのが圧倒的な多数を占めました。

 総理は、基地負担の軽減と先ほどもおっしゃいました。基地負担の軽減を県民の皆さんが望んでおられるということについてはそのとおりだと思いますし、安倍内閣が基地負担の軽減に向けて努力をしていないと言うつもりもありません。結果も一部出してきている、それは認めたいというふうに思います。そこまでは全く認めています。

 問題は、普天間の危険性の除去、それの必要性が高く、緊急性が高い、だからということで、そこから先の県民の意思、今回示された意思についても入り口でふたを閉ざしておられますが、今回、県民投票で投票された皆さんを始め沖縄の県民の皆さんこそが、普天間の危険性を誰よりもわかっている皆さんじゃないですか。普天間の危険性をよくわかり、ここを何とか危険性を除去しなきゃならない緊急性、重要性を感じている皆さんが、辺野古の基地建設にこれだけの明確なノーを突きつけたということについて、見解をお答えください。

安倍内閣総理大臣 質問にお答えする前に、先ほど、総理秘書官の意思が、総理秘書官がしゃべれば総理が言っていることかどうかということでありますが、私も、総理秘書官から、当時も、総理がこう言っていますと言われたらそう受け取りますよ。しかし、総理秘書官がただしゃべっているだけであっては、私はそれは総理の意思だと思ったことはないということを申し上げていたのであって、中江秘書官も、これは総理がそう言っています、総理の意思ですと言って述べたわけではなくて、自分の考え方を述べて、そして、最終的に専門家の意見を聞いてみるべきではないかということを言っているわけでありますから、まさに専門家が集まっている統計委員会でお決めになるべきだ、けれども自分はこういう問題意識を持っているということを伝えるのは、それは当然のことなんだろうと。

 それで、かつ、全くそこの中で議論がなかったことではなくて、いわばコスト等を省けば、それは精度が上がっていくということは多くの委員が認めていることであるし、また、阿部座長もそう述べておられるということでありまして、何でもかんでも、安倍政権が何か自分に都合のいいことをやっているということではもちろんありませんし、一五年でこの結論が出ていますが、入れかえを行うのは一八年ですから、その数字が出てくるのは一九年ですからね。一五年にすぐそれが出てくるわけではないということでありますし、当時はまだ総裁の任期というのは二期までですから、一九年からのことを考えてそんなことをやるということは、まず考えられないんだろうなということは申し上げておきたい、こう思っております。

 そこで、沖縄に米軍基地が集中する現状は到底是認できるものではなくて、沖縄の負担軽減は政府の大きな責任であります。今回の県民投票の結果を真摯に受けとめ、これからも政府として基地負担の軽減に全力で取り組んでいく考えであります。

 そこで、まさに何回も述べておりますように、これは、全く新たに、ただ、辺野古に新しい基地をつくるということではなくて、そもそも、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対避けなければならないという考え方のもと、私たちは進めているわけでございますし、そもそも、この普天間基地の全面返還ということを米国と合意をし、そして、しかし同時に、県内に代替施設をつくるということを、これは合意に達したわけでございます。

 その中で、いまだに実現できていない、もはや先送りは許されないというのが政府の考え方でございます。

枝野委員 今のお話は、私の問いには答えていただいていないと私は思います。そして、それは、沖縄県民の多くの皆さんの疑問に答えていただいていないと思います。

 普天間の危険性を誰よりも感じておられるのは、普天間基地の周辺に住んでおられる沖縄県民の皆さんです。そして、それは周辺の皆さんにとどまらず、沖縄県民の皆さん、私たち以上に、まさに、この基地の問題、普天間の危険性というものを早く除去しないと、またあの基地の周辺で事故でも起こったら大変なことになると誰よりも感じているのは沖縄県民の皆さんです。そして、辺野古をつくらないと普天間の危険性の除去ができないのではないかという安倍総理を始めとして今の政府の見解は、繰り返し沖縄の皆さんは聞かされていて、それもよく知っておられるんですよ。

 それを知っておられる中でもこういう結果が出たということに対して、沖縄の民意に寄り添うというのならば、何かあっていいんじゃないですかということを私はお尋ねしているんです。

安倍内閣総理大臣 私が申し上げたのは、いわば、まず、普天間飛行場の全面返還ということで我々は米国と合意をし、しかし、その中で、県内に移設をするということでスタートしたわけであります。そして、小渕内閣のときに辺野古に移設をするということがまさに正式に決まったわけでございます。

 そこで、では、辺野古につくらないということになれば、普天間はそのままになっていく。今、例えば、防音の設備をつける必要のある住宅は一万戸近く普天間の場合はあるわけでありますが、これが、辺野古に移設することになるとそれはゼロになっていくわけでございますし、機能も三分の一になっていく。

 これを進めていくということの中において、米軍は、例えば北部訓練場を返還しました。これは、沖縄が日本に返還された後は最大の返還ということになっているわけでございまして、こうした全体の枠組みの中で、今私たちは負担軽減を進めているということでございます。

 もちろん、沖縄の皆様にとって、沖縄に、普天間の返還はあるとせよ、辺野古に新たな基地が建設されるということについては、沖縄の皆さんにとっては、また沖縄にというお気持ちがあるということは、十分に私はそれは理解できます。しかし、その中におきましても、私たちは一歩一歩、沖縄の負担の軽減に向けて着実に歩みを進めていきたい、このように考えているところでございます。

枝野委員 その前に、勤労統計関連の小川議員の質問に対する更問いは私は解除しますので、またこの後、逢坂議員の方からあると思いますので、その関連の方は退席いただいても結構でございます。

野田委員長 参考人の皆さん、御退室いただいて結構です。

枝野委員 その上で、辺野古についてもう一点だけ申し上げた上で、具体的なことをお尋ねしたいというふうに思います。

 今のようなことを誰よりも知っているのは沖縄の皆さんです。にもかかわらず、同じことを繰り返しお話しになるだけで、例えば、この間も残念ながら、沖縄だけではありませんけれども、航空機に関連する、政府がどこまで事故と認めているのかは別としても、事故が起こっています。

 そうしたことなどを踏まえた中での、沖縄の県民の皆さんに対して、積極的に繰り返し、そしてさまざまな観点から説明、説得をするという努力は私には感じられませんし、きょうは官房長官を呼んでおりませんからお尋ねはしませんが、県民投票の真っただ中に、結果にかかわらず工事は続けるんだというような趣旨のことが政府・与党関係者から出てくるというのは、これは明らかに県民の意思に寄り添ったものではないし。これはきょうは深入りしませんが、アメリカの世界戦略も、それから東アジアにおける安全保障環境も、安倍内閣が発足をした六年前と比べたこの六年間でも、大きく変化をしているということの中で、本当に辺野古に基地を移設するということが唯一の解決策なのかということを、時代状況の変化、安全保障環境の変化に応じて模索をするというこの意思も全く感じられない。

 これでは、きのう示された県民の意思に寄り添うということにはならないのではないかと強く危惧をするところであります。

 その上で、そもそも基地の建設は可能なのかということについて、改めてお尋ねをしたいと思います。

 ここは、先週も川内議員がお尋ねをさせていただいたその時点では、具体的な通告がなかったと十分なお答えをいただけませんでしたが、軟弱地盤に対しての工事が従来の工法でできるんだとお答えになっています。サンド・コンパクション・パイル工法というのだそうでありますが、海外では七十メートルで、国内でも六十五メートルで実績があるというふうに説明をされています。

 それぞれについて、水面から海底面までの深さ、海底面から軟弱地盤がどれぐらいあったのか、それぞれ、まずはお答えください。政府参考人で結構です。

鈴木(敦)政府参考人 お尋ねのサンド・コンパクション・パイル工法の実績につきましては、海外、七十メートルの実績については、韓国におきまして施工されたものというふうに承知しております。

 また、国内におきましては、このサンド・コンパクション・パイル工法によりまして、施工本数約千七百本の実績がございます。横浜港のコンテナターミナル等で施工が行われました。この中におきまして六十五メートルの施工実績があるというふうに承知しておりますが、他事業の施工に関することでございますので、これ以上お答えすることは困難でございます。

枝野委員 ちょっと待ってください。

 千七百本くいを打ったというようなお答えをいただきましたが、六十五メートルといったら、それは、水深六十五メートルでその下に軟弱地盤があったんですか、それとも軟弱地盤が六十五メートルなんですか。軟弱地盤が六十五メートルだとしたら、その場合の水面からの深さは何メートルなんですか。

鈴木(敦)政府参考人 六十五メートルにつきましては、これは、海面まで、それから、そこから更に地盤改良を要するところ、こういうものを合わせまして六十五メートルのサンド・コンパクション・パイルによる実績であるというふうに理解してございます。

 いずれにいたしましても、この横浜港の実績、国内の実績につきましては、施工業者との関係もございます上、地盤改良のところだけを切り出して情報を取り出すということはなかなか難しいということと、情報を精査する必要があることなど、こうした理由におきまして、現時点でこれ以上お答えすることは困難でございます。

枝野委員 知っているのに答えないんですか、それともまだ把握できていないんですか、どっちですか。それは答えられるでしょう。

鈴木(敦)政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、防衛省自身で行っている事業ではないということの意味におきまして、ほかの事業であり、事業主体でございますとか施工業者からの了承を得て情報等を精査する必要がございます。さらに、こうしたことを公表するということになりますと、やはりその関係者からの了承、それから精査が必要であるということで、現時点でこれ以上お答えすることは困難ということでございます。

枝野委員 大体、その前のお答えで、六十五メートル、海面から軟弱地盤まで全部で六十五メートルとお答えになりましたけれども、ここは、辺野古は海底面から下に九十メートルぐらい軟弱地盤があるんじゃないですか、違いますか。

鈴木(敦)政府参考人 この辺野古の関係におきましての具体的な内容につきましては、沖縄県が埋立承認の撤回処分の理由の一つとして埋立地の地盤に関することを挙げておりますので、沖縄防衛局におきまして審査請求中のため、現時点ではコメントを差し控えさせていただきます。

 いずれにいたしましても、一般的で施工実績が豊富な工法により地盤改良を行うことによりまして、護岸や埋立て等の工事の所要の安定性を確保して行うことが可能であるというふうに考えてございます。

枝野委員 今までの政府の、大臣の答弁、全部撤回してもらわないと困ります。

 既存の工法でできますとお答えになっていたんですが、既存の工法については説明できないと言っているんですから、説明になっていないじゃないですか。それは公開できないと言っているし、どれぐらいの深さなのかと言ったら、深さについてもわからないという話では答えになっていないじゃないですか、防衛大臣。

岩屋国務大臣 今局長からお答えさせていただいたとおりでございまして、私ども、沖縄県の埋立承認撤回について、これを取り消されたいという審査請求を国交相に対して行っている最中でございます。

 したがって、審査請求の最中でありますので詳細を述べることはできませんけれども、最初の二十四本のボーリング調査、追加の五十二本のボーリング調査、この結果を実績のあるコンサル等に見てもらった結果、実績のある工法をもって地盤改良工事は可能だというふうに確認をしているところでございます。

 実際、どういう設計で、どのくらいの深さの地盤改良のくい打ちが必要かということは、しかるべき時期にしっかりと説明をさせていただきたいというふうに思っております。

枝野委員 コンサルに見てもらって大丈夫だと言われただけで、横浜は千七百本打ったと。今伝えられているところでは、辺野古では万単位、十倍以上と聞いています。七万を超える、七万七千本と言われています。

 横浜の工事はどれぐらい期間がかかったんですか。こんなの、工事をしている状況というのは外に見えるんですから、企業秘密でも何でもないですよね。答えてください。横浜の工事は、千七百本打つ工事、何年かかったんですか。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、施工業者の了承を得て、その上で更に精査をするという必要がございますので、現時点でこれ以上お答えすることは困難だと思います。

 ただ、施工本数のみに関して申し上げれば、これは横浜ではございませんけれども、東京国際空港の再拡張事業におきまして、サンド・コンパクション・パイル工法及びサンドドレーン工法合わせて約二十五万本、それから、関西空港第一期事業におきまして、サンド・コンパクション・パイル工法、同じようにサンドコンパクション工法と合わせて百三万本の実績があるものと承知してございます。

枝野委員 今の、じゃ、深さはどれぐらいなんですか、何万本も打ったことがあるというのは。それはこんなに深いんですか。

鈴木(敦)政府参考人 先ほど申し上げました東京国際空港の再拡張事業におきましては、最大施工水深は四十四メートル、それから、関西国際空港第一期事業におきましては、代表的な水深といたしまして四十四メートル、前者につきましても最大施工水深四十四メートルということでございます。

枝野委員 半分じゃないですか。

 横浜はどれぐらいかかったか言えないんですか。どれぐらいかかったんですか。隠し切れないことでしょう、隠していないでしょう。工事、多分公開されていますよ。何で隠すんですか。

鈴木(敦)政府参考人 期間についてでございますが、私ども、承知している限りでは、底の地盤改良だけではなく、さまざまな事業という形での取上げ方としては、平成十九年度から平成三十二年度というような事業として紹介されているというものを承知してございますけれども、ただ、このうちにおきまして、サンド・コンパクション・パイル工法等、地盤改良に要した月日につきましては、先ほど申し上げた事情から、施工業者等々からの了承等を踏まえまして精査をするという必要があるというふうに考えてございますので、現時点での答弁は差し控えさせていただきます。

枝野委員 横浜港、誰の発注なんですか、工事は。

野田委員長 防衛省、わかりますか、横浜港の。

鈴木(敦)政府参考人 済みません。

 ただいまの件につきましては、御通告いただいておりませんので、後刻、調べて御報告させていただきたいと思います。

枝野委員 どのぐらいの面積の地盤について工事したのか、その六十五メートル、つまり横浜港の。六十五メートルの実績について聞きますと。そうしたら、横浜港だとお答えになったわけですよ。その六十五メートルの工事については、どのぐらいの面積の工事だったのか、何本くいを打ったのか、何年の工期を要したのか、どれぐらいの工事費用がかかったのか、これは全部聞いているんですよ。

 それに対して、主体じゃないから答えられないと言っているんだから、工事主体が自分たちじゃないから答えられないと言っているんだから、どこが工事主体なのか答えるのは通告の範囲内でしょう。

岩屋国務大臣 防衛省が行っている事業ではございませんので、横浜の場合は何本であったか、あるいは羽田の場合はどうであったかということは調べさせていただきましたが、その他の詳細については、調べればわかることでございますので、また後刻、できるだけ速やかに御報告をしたいというふうに思います。

枝野委員 委員長、納得できません。

 いいですか。私は、どのぐらいの面積か聞いているんです。何本打ったのか、これは答えていただきました。工期がどれぐらいだったのか聞いているんです。費用は幾らだったか聞いているんです。

 これを答えようと思ったら、工事主体が自分たちでないなら、どこが工事主体なのか、そして、答えていいのか、当然問い合わせて確認をして、そして、防衛省にも答えていないのか、それとも、防衛省には説明しているけれども、だけれどもオープンにしてもらいたくないのか、そこまでちゃんと調べてくるのが通告の範囲でしょう。到底納得できません。

野田委員長 防衛省、いま一度、枝野委員の質問に対して誠実に答えられるところはお答えいただきたい。また、質問通告の範囲ではないところはどこかということもあわせて答えてください。

鈴木(敦)政府参考人 申し上げましたが、この平成十九年度から三十二年度の全体の横浜港におきます計画の中におきまして、コンテナターミナル等で施工本数約千七百本の実績が、サンド・コンパクション・パイル工法はございます。この中におきまして、六十五メートルという長さのものもあるということを申し上げました。

 それ以上につきましての詳細につきましては、他事業というか、先ほど申し上げましたように、防衛省自身の事業でございませんので、事業主体ですとか施工業者、こうした方々からの了承を得て情報を得る必要がございまして、さらに、そこの中で、地盤改良のみ、そこだけをお尋ねでございますが、そこだけを切り出して工期ですとか費用を算出すること、そういうことですとか、情報を当然、国会に御報告するときは精査する必要がございます。こうしたことなどの理由によりまして、現時点におきましてこれ以上お答えすることは困難というふうに申し上げている次第でございます。(発言する者あり)

野田委員長 では、防衛大臣の答弁をもう一回確認していただいて。

岩屋国務大臣 今、局長からもお答えさせていただきましたように、施工業者によっては名前を明かすことも控えてほしいというようなところもございますので、さまざまな情報を精査してからお答えをする必要があると思いますので、きょうの段階ですぐさまお答えできないということは、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

枝野委員 時間がもったいないので申し上げますが、まさに、こんな軟弱地盤があって、これが相当な広範囲にわたっていて、とてもこの工事は、そもそも可能なのかという指摘を受けているし、可能だとしても膨大な時間と金がかかるのではないかという指摘を受けているんですね。

 その軟弱地盤がある、ないということを、この国会の冒頭、私は代表質問で、本会議で聞きましたよ。そうしたら、従来の工法でできるんだという答弁があったから、聞いているんですよ。従来の工法でできるんだと答弁しているということは、精査してあるから答弁できたんじゃないですか。

 精査もしていないのに従来の工法でできますと、まずはとりあえず答えていたんだ、これぐらい無責任に辺野古の工事が進んでいるということを指摘しておきたいというふうに思っております。

 防衛省、結構ですよ、帰っていただいて。防衛省、帰っていいですよ。

 次に、原発事故についてお尋ねをしたいと思います。

 東京電力は、福島第一原発事故を受け、平成二十六年、二〇一四年一月十五日に、損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策、別名「三つの誓い」を決定、発表していますが、その第三項には何が書いてありますか。これは、業所管大臣として経産大臣でしょうか、それとも文部科学大臣が答えるんでしょうか。どちらでも結構ですが。

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 経済産業大臣世耕弘成さん。

世耕国務大臣 東京電力は、新々・総合特別事業計画において、最後の一人までの賠償貫徹、迅速かつきめ細やかな賠償の徹底を図る、そして和解仲介案の尊重とみずから表明をしているところであります。

枝野委員 その第三項、「和解仲介案の尊重」を読んでください。

世耕国務大臣 項目として、「和解仲介案の尊重」。

 原子力損害賠償紛争審査会の定める中間指針第四次追補においては、東電に対して、中間指針で賠償対象と明記されていない損害についても、その趣旨を踏まえ、合理的かつ柔軟な対応と被害者の方々の心情にも配慮した誠実な対応を求めている。東電としては、中間指針の考え方を踏まえ、原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解仲介案を尊重する。また、被害者の方との間に認識の齟齬がある場合でも被害者の方の立場を慮り、真摯に対応するとともに、手続の迅速化等に引き続き取り組む。

と書かれています。

枝野委員 経産大臣、これは今も生きているんですよね。

世耕国務大臣 当然生きておりまして、これに基づいて誠実に対応することが東京電力の責務であると考えております。

枝野委員 東日本大震災、間もなく八年になります。その年の九月から私も経済産業大臣をさせていただきまして、そして、裁判手続では解決に長い時間がかかるということを踏まえて、中立な第三者機関、原子力損害賠償紛争解決センターをつくって、そこでの和解仲介で被害の賠償が行われるようにという仕組みをつくり、そしてそのもとで、東京電力には、私自身、社長を呼んで、これはちゃんと、ここから和解案が出たら受け入れろということで、何度もうんと言わせて、そして、それに基づき今の「三つの誓い」の三項目ができています。

 さて、そこで、この原子力損害賠償紛争解決センターを所管している文部科学省にお尋ねします。

 この原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続において、示された和解案を東京電力が拒否したことにより打切りとなったのは何件ありますか。

柴山国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続において、平成三十年末までの累計で、手続が終了した計二万三千二百十七件のうち、東京電力が和解案を受諾拒否したことにより打切りとなった件数は百二十一件と承知しております。

枝野委員 多いと見るのか、少ないと見るのか、いろいろな見方があると思いますが……(発言する者あり)わかりますか、人数。件数だけじゃなくて。政府参考人でもいいと申し上げているんだけれども。

 では、それは午後に聞きます、通告していないので。(発言する者あり)

野田委員長 ちょっと、静かに。

枝野委員 では、こちらは通告しているので聞きますが、この東京電力の受諾拒否をされた件について、その後どうなったか。これは文部科学省か経済産業省できちっとフォローアップされていますでしょうか。両方から答えてください。

世耕国務大臣 経産省としては、この原子力損害賠償紛争解決センターが公表している申立て件数、審理中、処理済みの件数や、和解に至った事例、和解に至らなかった事例の概要などについて把握をしているところであります。

 また、この和解仲介手続というのは、基本的に非公開を前提にしたものであるため、和解に至らなかった事案が具体的にどういうことで和解に至らなかったなどを網羅的に把握しているわけではありませんけれども、しかし、東京電力の和解案受諾拒否によって打切りとなった、先ほど文科大臣が答弁された百二十一件については、その後訴訟に当たった案件は十一件と把握をしているところであります。

 また、引き続き東京電力とコミュニケーションが続いている案件数などは、まだ把握はできていないわけでありますけれども、今後、把握するように努めてまいりたいと思っております。

枝野委員 訴訟になった件数は把握しているようですが、じゃ、その訴訟、結審したのはどれぐらいありますか。結審した中では、結論はどうなっていますか、和解の仲介案と。

柴山国務大臣 今、経産大臣から答弁があった十一件のうち、判決が出ているものも中にはありますけれども、いずれにしても、最終的に確定をしているという形での決着がされているものはないと伺っております。

枝野委員 十一件は裁判になった。あえて申し上げますが、それは、日本は法治国家ですから、最終的に東京電力もこれは納得できないと裁判を起こす権利はありますから、一〇〇%全部、和解仲介、応じろというのを強制することはできないだろうと思いますが、まさに東京電力は、今のような冒頭の「三つの誓い」まで公表をして、当時の社長は、和解案は受け入れます、これに従いますと、何度も私の、当時大臣の前で約束をしています。

 そうだとしたら、これは、制度をつくったときの制度に不備があったのならおわびをしなきゃなりませんが、そうだとしても、皆さんが政権をとってからもう六年以上たっているんですから、東京電力が拒否した場合、その拒否をされたことによって、少なくともその時点では損害賠償を受けられないわけですから、その皆さんをどうフォローするのかということについて誰かがどこかで責任を持っていないと、これは、せっかく紛争処理センターをつくったことの趣旨が貫かれないんじゃないかと思うんです。

 文部科学大臣、しっかりと、和解拒否に至った、しかも、被害者の皆さんが拒否されたという場合についてはやむを得ないところはあるかもしれません、でも、東電側が拒否して決着に至らなかったというケースについては、これはちゃんとフォローアップすべきじゃないですか、文部科学大臣。

柴山国務大臣 先ほど経産大臣からもあったとおり、今回、御指摘のあるセンターについては、当事者の合意による紛争解決を図る機関でありまして、仲介手続が打切りとなった後の被害者の状況を全てフォローアップするということは行っておりませんけれども、ただ、御指摘のとおり、和解仲介手続が不幸にして打ち切られた後も、再度の申立てを希望する被害者の方々も当然おられるわけですから、説明会などの広報活動を実施するとともに、被害者からの再度の申立てに係る相談に丁寧に応じるなど、ADRセンターの目的に沿って、被害者に寄り添った丁寧な対応を行わせていただいております。

 例えば、東京電力が和解案の受諾を拒否したことにより打切りとなった浪江町による集団申立てにつきまして、ADRセンターにおいては、昨年の八月から本年二月にかけて、浪江町が主催した個人による申立てに係る説明会に協力をするなど、個人及び少人数の規模による個別具体的な事情に基づく申立てに対して、丁寧に対応させていただいております。

 浪江町による集団申立ての打切り後、集団申立てに参加した浪江町住民による個別申立てが行われ、日常生活の阻害に係る慰謝料について和解が成立した案件もあると伺っております。

 文部科学省といたしましては、文部科学大臣の指示のもと、担当局長から、東京電力に対しても、ADRセンターが提示する和解案の尊重も含め、先ほど御紹介があった「三つの誓い」を遵守し、被害者の方々に寄り添った賠償を一層進めるよう、累次書面で要請を行わせていただいているところでございます。

枝野委員 努力をしていないと言うつもりはありません。しかしながら、そもそも東京電力の方が和解案を拒否するというのは想定外です。基本的には東電の側は受け入れる。でも、仲裁センターの示した賠償額では被害者の皆さんが納得できない、その場合には訴訟になることはやむを得ないですねということは想定しましたが、東電側が拒否をすることで被害の救済がその時点ではされないというのは、想定されていない事態です。

 政府としてやれることは、東電に全部それは約束どおり受け入れろということをしっかりとやらせるか、そうでなければ、そのイレギュラーな事態に対してはきちっと、それは、仲裁センターはADRですから、仲裁センターとして、ADRとして直接フォローアップをすることはできませんが、これは、政府として被害者の皆さんに寄り添う、迅速な賠償を行うということでつくった仕組みなんですから、それは文部科学省なり経済産業省なりの中で担当を決めて、仲介が東電側の拒否で終わる段階で、この後こういう形でここがフォローします、御相談に乗りますということできちっと追いかけなきゃいけないし、追いかけた結果として、まだ訴訟は結審していないということですが、結審をした場合に、これでやはり仲介案が裁判所に持っていっても正しかったというようなことがあったら、それこそ東電に対して厳しく責任追及してもらわなきゃいけないんですよ。

 こういったことに向けて、ちゃんと把握をしてもらわなきゃいけないんですが、経産大臣と文部科学大臣の決意を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 東京電力は、和解仲介案の尊重とみずから表明しており、これらに基づき誠実に対応することは当然の責務であります。

 いずれにせよ、被害者、被災者の方々の個別の事情を丁寧にお伺いしながら適切な対応をするよう、経済産業省から東京電力をしっかりと指導させたいと考えております。

世耕国務大臣 現在、今委員御指摘の事例の中には、個々の申立人の事情ではなくて一定の集団に、中間指針と異なる一律の賠償を求める和解案が提示される場合などで受け入れられないという状況になっているんだろうと思います。

 いずれにしても、経産省としては、被災者の皆さんの個別の事情を丁寧にお伺いをしながら適切な対応をするよう、東京電力をしっかりと指導してまいりたいと思います。

柴山国務大臣 先ほど答えさせていただいたとおり、書面で既に東京電力みずからが定めた「三つの誓い」を遵守するよう要請を行っておりますけれども、引き続き、被害に遭われた方々に寄り添う形で、しっかりと指針を遵守するように、私どもとしても働きかけを強めていきたいと考えております。

枝野委員 集団訴訟だから受け入れなかったという東電の言いわけは、私は余り言いわけにはならないなというふうには思いますよ。

 そうだとしても、仲裁センターが和解案を出したということは、それは、集団訴訟で、集団申立てで一律でここまでは賠償してほしいという声に対して、集団になればなるほど平均的なところで恐らく提示をせざるを得ないというのが仲裁センターの立場ですから、逆に、被害者の側の中でこれでは足りないという方が出たりするということは想定されますが、集団申立てだから受け入れられないというのは、私は一般論としてそれは受け入れることはできないと思っていますが、努力をされているということは認めたいと思います。

 一つは、通告していませんでしたので午後の冒頭で結構ですので、件数だけじゃなくて、先ほど、集団訴訟で、実は人数的には非常に多くの方々が、仲裁センターでの仲裁に期待をしながら、東電が断ったということで、それが受け入れられなかったということになっているというふうに理解をしていますので、午後の冒頭にはそれをいただきたいということと、経産大臣、社長を呼んだりしていますか。

 文部科学大臣は、文書で要請していると。私は、文部科学省は微妙なところで、ADRセンターの所管そのものですから、文部科学大臣が直接やるのは必ずしも適切じゃないかもしれませんが、業所管大臣である経済産業大臣は、これはやはり、時々、特にADRでの東電からの拒否というものが問題になったときには、社長を呼んで、約束どおりちゃんとやれよということをきちっと促す必要があると思うんですが、呼んでやっていらっしゃいますか、そして、ぜひ今後呼んでやってください。

世耕国務大臣 何度も私は申し上げています。例えば、今の経営陣が着任したときとか、あるいは東電改革を話し合う東電委員会において、やはり福島への責任を果たすことが原点だということは、経営陣に対して直接申し上げております。また、経産委員会等でも、私はるるこの点については、東電が丁寧に対応すべきだという答弁も、東電社長がいる現場でもさせていただいております。

 今後ともしっかりと東電を指導してまいりたいと思います。

枝野委員 では、午前中はこれで最後にしますが、委員会などで世耕大臣がおっしゃっているのは私も聞いておりますが、一般的な話じゃなくて、このADRは、結論を東電は尊重するということで、東電側が拒否することは想定されていないスタートをしていたんだということを具体的にきちっと求めていってもらいたい。

 そうでないと、やはり事故に遭われた、事故で被害を受けられた皆さん、そのことだけでもいろいろな意味で大変厳しい状況に置かれています。その中で、裁判なんてことになったら大変だ、でも、ADRがあるから、それよりは楽な、簡易な手続で賠償を受けられると期待をされている。ところが、それは東電側が拒否されたとなったら、二重三重に、金銭的に、物質的な問題だけではなくて、精神的にもまた新たな被害を生じさせるということにつながりかねません。

 ぜひそこは具体的に、このADR、東電からの拒否というのは基本的にはないんだということを東電側に徹底させていただきたいとお願いを申し上げて、午前中、これで締めたいと思います。

野田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。枝野幸男さん。

枝野委員 午前中に引き続き質疑させていただきます。

 当初予定していた本題に入りたいと思うんですが、経済、ちょっと中長期的な、大きな視点で議論をきょうはさせていただきたいと思います。

 現在、最長と言われる長い期間、好景気が続いているということにされていますが、残念ながら、さまざまな調査を見てみても、多くの国民がその実感を持っておられないという現実があります。

 これで安倍政権がけしからぬとかという話につなげるつもりは全くありませんので、率直に、好景気が続いているとされているのに多くの皆さんが実感を持っていないということに対しての総理の認識をまずはお答えいただけますか。

安倍内閣総理大臣 この実感でございますが、政権交代後、前回の景気回復期が戦後最長であったとき、第一次安倍政権もそうだったんですが、これは平成十四年の四月から始まり平成二十年二月まで続いていったわけでございますが、デフレが続いていたことによって名目成長率は二・五%にとどまったということと同時に、その中で、残念ながら、デフレの中で雇用も賃金も伸びずに、また、地域によっては、日本銀行の地域別業況判断のプラス、マイナス、それぞればらつきがあったわけでございます。

 そこは我々にとっては大きな反省点であったわけでございまして、今回は、名目GDPも一一%、約四倍以上成長いたしましたし、そしてまた、地域別に見ましても、最初の一年間を切って、まあ出だしですから、後の五年間を見てみますと、前回の最長期におきましては五年間を通じてプラスであったのは関東地方とそして東海地方だけであったわけでありますが、今回は九つの地域全てプラスになっております。

 ただ、まだまだ実感していないよという方々がおられることは十分に承知をしておりますので、もっと多くの方々が実感していただくように、更に努力を重ねていきたい、このように思っております。

枝野委員 いろいろ御説明されましたけれども、なかなか、そうですねと多くの皆さんがうなずけるかというと、そうではない。

 実は、これは短期的なところを見ていると見誤るのではないかと思っています。もうちょっと大きな目で、平成はことしの四月三十日で終わります、平成が三十年続きました、その前、昭和の後半三十年、六十年ぐらいを見てみるとどういうことになるのかなと。長期的な視点で日本の経済の状況をもう一度見てみたいと思います。

 これは、内閣府の国民経済計算をもとにして作成をしました、一九五六年から二〇一八年、直近までのGDPの成長率です。そして、オイルショック前までの期間と、それからオイルショックが終わってからバブル景気がはじけるまでの期間、そしてバブルがはじけた後と三つの期間に分けて、いつも名目、実質論争をここでもいろいろやってきていますので、名目と実質、両方並べて一つのパネルにしてみました。

 まず、総理、これを見てどういうふうに思いますか。

茂木国務大臣 長期間で見てみますと、日本は何回か景気の回復期というのを経験しているわけでありまして、ちょうどグラフが出てくるぐらいの一九五四年ですけれども、これが、好景気、歴史的にもほとんどないということで神武景気と言われたんですね。その後、五八年から、更にすごいということで岩戸景気が来まして、高度成長期、図にも示していただいたようにイザナギ景気が始まりまして、このころが、平均成長率、名目で一八・四%、実質で一一・五%。そして、八〇年代後半、グラフにも示していただいたバブル景気のころが、平均成長率、名目で七・〇%、実質で五・三%。

 こういったレベルと比べると、確かに、今回の成長率は平均で名目一・八%、実質で一%となっておりまして、このレベルと比べたら実感の弱さはあるかもしれませんが、日本が人口減少に入りますのが九五年ぐらいからでありますから、二〇〇〇年代の景気の回復期、今総理の方からもありましたが、二〇〇二年の二月から二〇〇八年の二月の平均成長率、名目が〇・四と低くて、そして実質が一・六。

 これで比べてみますと、今回の景気回復期は名実が逆転をいたしております。以前もそうでありました。名実が逆転して、名目成長率が実質成長率を上回る健全な経済成長が実現している、このように考えております。

安倍内閣総理大臣 確かに、これはもちろん、高度経済成長期あるいはバブル期に比べれば成長が低いではないか、それはそのとおりなんだろうと思いますが、高度経済成長期は、まさに団塊の世代の皆さんが、だんだん、中学、高校、大学、そして就職という段階ごとに大きな需要が生まれるということであったわけでございますが、今は逆に、人口は減少している、生産年齢人口が五百万人減少している中で、果たして成長ができるか。

 我々が政権をとる前の状況としては、人口減少するんだったらもう成長なんかできないんだという諦めの壁、これはデフレスパイラルの中でそういう諦めの壁があったわけでありますが、それに挑戦し、私たちは名実を、逆転していたものを正常化し、そして名目GDP一〇%以上成長させることができたわけでありますが、何よりもやはり雇用を、雇用状況を非常によくすることができたということがよかったのではないか、こう思っているところでございます。

 正規雇用も百三十一万人ふえたわけでございまして、そうしたことにおいて、実感においては、さまざまな確かに世論調査があるわけでありますが、平成三十年の内閣府の調査によれば、現在の生活に満足と回答した者の割合は七四・七%と過去最高となっておりまして、多くの方々にそういう意味においては今の状況について満足をしていただいている。これは、御本人やあるいは旦那さんや奥さんや子供たちが仕事をしたいというときに仕事ができているかどうかということも影響しているのではないか、このように考えております。

枝野委員 まあ、政府の立場としては、最近の六年間の成果を説明したい気持ちはよくわかりますが、こうやって六十年間を見てみると、その理由は、今若干の御説明がありましたが、オイルショックまでは平均すると一〇%のような日本は経済成長をしていたわけです。

 経済には循環が必ずあって、よくなったらまた悪くなるという循環がありますので、そのいい時期でも上がったり下がったりはあります。最近でも、上がったり下がったりは必ずあるわけです。その目先の上がったり下がったりというよりも、全体としてどういう状況にあるのかということこそが、多分、国民生活にとって中長期的には大きな課題だと思いますが、オイルショックまでの一〇%を超えるような成長、オイルショックで安定成長期に入ったと言われていますが、この時代で五%前後の成長、ところが、バブル景気が崩壊した後、要するにゼロに限りなく近いところに日本は名目でも実質でも張りついているという状況にあります。

 バブルの時代を知っている世代というのは、私がバブルの時代が大学生ぐらいですから、かなり少なくはなってきているかもしれませんけれども、それ以前の日本が安定成長していたと言われている昭和の時代を知っている人間からすると、平成のバブル崩壊以降はずっとなかなかしんどい状況が続いていて、最近いいとか言われているけれども、それでもそんなによくはないよね、こう感じられている実感が僕は正しいんだと思います。

 それが、別に安倍政権が悪いと言うつもりはありません。なぜなら、二〇〇九年からの非自民政権のときも同じトレンドの中にあった、それは間違いないわけでありまして、ずっと、最近三十年間、こういう状況にあるということであります。

 ですから、実は、この状況を変えられるのかどうか。つまり、トレンドとしてはゼロに張りついているようなこの今の状況をもうちょっと、バブルの前のような五%前後までできるかどうかは別としても、もうちょっと中期的には安定して成長するような状況をつくっていくことこそが実は政治全体に求められていることではないかというふうに思っているのでありますが、その上で、なぜバブル崩壊以降こういう状況になっているのかという認識であります。

 日本は貿易立国、輸出立国と教わりました。今も、貿易立国であり輸出立国であるということは間違いありません。この輸出の分野において、グローバル化と新興国の成長とによって急激に競争が厳しくなりました。それが経済の閉塞状況を招いている主要因である、主な要因であるという見方がありますが、これについて総理はどう思いますか。

茂木国務大臣 まず、基本的な問題認識を枝野委員と共有をしたいと思うんですが、総理が先ほども答弁させていただいたように、バブル崩壊以降、企業、これはまずデフレマインドで、賃金や設備投資を抑制する。また、生産年齢人口が減少しますから、需要も伸び悩む。そして、成長の牽引力となる潜在成長率が中長期的に低下をしてきた。

 そういった中にあって、今の日本の経済の実態、これは、人間の体でいってみると、GDPはこの六年間で五十兆円ふえて五百五十兆円。そして、雇用の環境も間違いなくよくなってきています。体は大きくなったんです、人間でいうと。そして、雇用の環境もよくなっていますから、体質もよくなっているんですよ。

 問題は、大きくなった体に見合ったジャンプ力がついているかどうかということが極めて重要でありまして、潜在成長率を上げていく、そのために、人づくり革命、さらには生産性革命に取り組むことが必要だと思っております。

 そして、これまで日本は輸出立国と言われてきました。しかし、そういった中においても、例えば日本経済に占める輸出の割合、これは二割程度でありまして、ちなみに、そこから輸入の方を差し引きました純輸出はゼロ近傍となっております。一方で、個人消費、これがGDPに占める割合で六割近くということであります。

 ただ、輸出が重要か、それとも国内の個人消費が重要か、これはどちらかが重要ということではなくて、輸出についても、例えばTPP、日・EU・EPAを始め、新たな経済連携を進めることによって、海外の市場も国内の市場として取り込んでいく、同時に、消費の方もしっかりとふやしていく。

 消費をふやしていくという意味では、特に今、若者世代の消費性向が低い。教育の無償化を始め、思い切って政策資源を若者世代に投資をすることによって、消費も喚起をしていきたいと考えております。

枝野委員 用意していたんですが、余り使いたくなかったんですが、パネル二をちょっと見せてください。

 足元のことをいろいろおっしゃるのは、余り建設的じゃないですよねと。これが足元、〇九年からの経済成長率の推移であります。二〇一一年には御承知のとおり東日本大震災があって、これによって大きく落ち込んでおります。

 確かに、名目が実質より上回っている方が経済にとっては一般的にはいいということは、私は否定しませんし、それを少なくとも二〇一三年、一四年、一五年と実現をされてきたことについては、私は一定の評価をいたしますが、それすらも若干息切れをしているという状況で、経済の循環のことを視野に入れると、大きな意味でのトレンドで、先ほどのパネルをもう一回戻してください、この大きなトレンドから脱却したと言えるのかというと、必ずしも、残念ながらそういう状況ではありませんし、雇用のことをよくおっしゃるので、最後のパネルを出してください。

 一番よく使われる有効求人倍率なんですが、二〇〇九年がボトムです。一番下です。なぜならば、二〇〇八年にリーマン・ショックがあったからです。そのリーマン・ショックから二〇一一年の東日本大震災を経て、日本の有効求人倍率は、リーマン・ショックで落ちた底から、トレンドは変わっていませんよね。二〇一三年以降、急激に上昇、右肩上がりの角度が高くなったわけではないということを指摘させていただいた上で、茂木大臣、非常に私の認識と近い御答弁はいただいたんですが、三枚目のパネルにしてください。

 これは、いわゆる輸出の成長率です。輸出は本当に世界経済の影響をダイレクトに受けるということで、非常に乱高下をするという、必然的にやむを得ない状況があります。オイルショックでがんと下がって、翌年、世界全体にがっと伸びたところはグラフから突き抜けていますし、リーマン・ショックで下がったところ、これもグラフから抜け落ちているところまで下がっている話です。

 しかし、やはり、先ほど、全体の日本経済のトレンドと同じように、オイルショック以前と、それからオイルショックからバブルの間と、そしてバブル以降の三つに分けると、大体の傾向が出てきます。実は、第二次オイルショックの後、いわゆる安定成長期と言われていた時代の輸出の成長率と、バブル崩壊以降のこの足元での輸出の成長率、それほど下がっていないというのはごらんをいただけるんじゃないかと思いますが、次のグラフをごらんください。

 これがいわゆる国内での消費、つまり、国民の皆さんお一人お一人が日々お買物をされている、このお買物をされている個人消費が全体の半分以上を占めています、日本経済。これの成長率を同じようなグラフにしたものであります。やはり、オイルショックの前と後でこれはがくんと下がっています。これは全体の傾向と一緒です。

 問題は、バブルがはじけた後の平均的な日本の国内の消費の伸びです。ここがまさにべたっとゼロに近いところにずっと張りつき続けていて、これは残念ながら、〇九年の非自民政権の間も、そしてこの六年間も、大きな意味でのトレンドは変わってはおりません。

 やはり、今のトレンドをつくっている大きな要因は、この民間最終消費支出がずっとゼロ近傍のところを続いているということが本質ではないかと思うんですが、茂木大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 基本的な事象から見た認識については共有をさせていただきたいと思いますが、では、どうしてそうなってしまうかということで、先ほど申し上げたように、デフレマインドの中で、企業が賃上げであったりとか設備投資に対してどうしても抑制的になる。ですから、我々は、アベノミクス三本の矢によりまして局面を全く変えていくという中で、五年連続、二十一世紀に入って最も高い賃上げ、こういうのも実現しているわけでありまして、賃上げのための原資を稼いでいく、こういったことが重要だと思っております。

 同時に、消費についての課題ということで申し上げますと、可処分所得から消費に回す割合、いわゆる消費性向、これは六十代以上ですと八〇%から九〇%と非常に高いレベルにあるわけでありますが、三十九歳以下が逆に六四・三%。本来だったならば、二十代、三十代、さまざまな消費ニーズがある世代の消費性向が低くて、しかも、この三十年間、これが最も低下幅も大きいということが課題でありまして、そういった観点からも、幼児教育の無償化を始め、この二十代、三十代、子育て世代、これに大胆に政策資源を投入する人づくり革命、全世代型の社会保障改革、これに全力で取り組むことによりまして、子育て世代の大きな負担を軽減して、消費も拡大していきたい、このように考えております。

枝野委員 賃上げをされてきたという実績を誇られますが、では、二〇一三年以降のこの消費のトレンドを見たときに、それに応じて消費が伸びるような状況になっているのかというのは、これは、統計そのものが信用できるかという話はきょう午前中やりましたけれども、仮に政府の発表している統計に基づいたとしても、残念ながら反応はしていないというのが客観的な事実です。

 消費性向の話をそちらから持ち出していただきましたので、二枚飛ばしていただいた消費性向のグラフをごらんください。

 消費性向というのは、手にした所得の中で、どれぐらい使ったかという比率です。これは政府参考人でも、茂木大臣は専門家ですから大臣でも結構ですが、例えば二百万から二百五十万の世帯は一〇三・六となっていますし、これは最終的には一千五百万円以上の世帯は五五・二となっていますが、それぞれどういうことを意味しているのか。政府参考人でも結構ですが、お答えください。

茂木国務大臣 それぞれの人間、どうしても、基本的に生活をするためには衣食住を始めとしたさまざまな生活ニーズというのが必要であります。一方で、収入が高くなってくると、それに加えてさまざまなぜいたく品も買うわけでありますが、収入に占める支出の割合、可処分所得間の話でありますけれども、それで見ると、どうしても収入が低い世帯の方がこの消費性向が高くなってしまうというか、貯蓄なりをせずに、その得た収入を消費に回さざるを得ない、こういうことであります。

 ただ、ここでもう一つ重要なのは、単純に今得ている所得だけではなくて、消費性向が決まるのは、将来得るべき、見込める収入、こういったものも含めて消費行動というのをそれぞれの人は行っているわけでありまして、今後収入がふえていくと考えれば、消費性向は高くなるわけでありますし、一方で、今後これが少なくなっていくという見込みがあったら、消費性向は低くなる、こういう傾向が出ているんだろう、そんなふうに思っております。

 先ほど年代別の話をさせていただきましたが、二十代、三十代の消費性向が低い。ですから、やはりここの世代にしっかりと政策資源を投入して、ここの世代がまた収入をふやせる、そしてまた、さまざまな支援が得られる、こういう形をつくることによって、低所得の世帯も含めて、若者世代、この消費性向を上げていくということが極めて重要だと思っております。

枝野委員 消費性向がその時点の所得だけで影響されるわけではないというのは認めます。だから、経済のさまざまな分析は、あらゆるものがそうです。他のさまざまな要因が加わってくるけれども、ある基準で見たときにどういう原則がとられるのかということが大変重要なわけで、このグラフからも明らかなように、そして、理論的にもこれは証明されていると承知をしておりますけれども、所得がふえるほど消費しなくなる、お金持ちほどお金を使わないというのは、これは明確な、統計上も出てきている現実ですし、理論的にも証明されていると私は承知をしています。

 実際に、二百万円から二百五十万円の世帯の皆さんは一〇三・六。つまり、手にした可処分所得だけでは暮らしていけない。ところが、年収一千五百万のクラスでも、もう五五%しか消費をしないという傾向にあります。

 実は、もっと上の所得帯で、もっときちっと、例えば一億ぐらいの人はどうなのかというデータを探したんですが、残念ながら見つけることはできませんでしたが、これが更に下がっていくだろうということは、これは普通の常識から考えてもわかることだというふうに思います。

 確かに、こうしたところが大きな影響を与えているのではないかと私は言わざるを得ないと思っているんですが、もう一つグラフを見ていただきたいと思うんですが、その次のパネルを見てください。

 これは、所得階層別の世帯分布、どれぐらいの年収を得ている世帯がどれぐらいの比率があるかという数字であります。緑の折れ線グラフは、平成元年、平成が始まったころの日本における所得の分布です。百万円未満の世帯というのは四%ちょっとしかありませんでした。この緑のグラフのとおりの傾向をたどっていましたが、二〇〇三年、ちょうど真ん中辺ぐらいのときには、黄色の折れ線グラフになりました。今は赤の折れ線グラフになっています。

 明らかな傾向が見えると思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 赤い線の、特に低所得層と言われる部分が高くなっている。いろいろな原因があると思うんですが、一つはやはり、高齢世帯、中でも高齢者のひとり暮らし世帯、これがふえているというのが大きな原因だと思っておりまして、先ほど所得階層別のを見ていただきましたけれども、あそこの中でも、消費の額が高いほど減るわけじゃなくて、割合が減っているという部分というのが基本的にあるのと、核家族化、これが進みますと、それによりまして、例えば、四人で暮らしている方が、一人当たりの消費の割合というのは少なくて済むんです。計算上でいいますと、四人家族で八百万の世帯と一人家族で四百万の世帯、これは大体同じ暮らしができる。つまり、これは、家族の数をルートで割った数で出すのが基本でありますから、そういった形になってくる。

 核家族化が進み、さらに、ひとり暮らしのお年寄りの方がふえると、こういったグラフという傾向が出てくるんだと思います。

枝野委員 いろいろ御説明されましたが、前提として、四百万円ぐらいから七百万円ぐらいまでの層、中間層と言っていいんだというふうに思いますが、この層の世帯数が減って、そして、特に二百万から三百万、百万から二百万というこの辺のところが多くなっている。結果的にここにシフトをしている、こういうことが客観的に見えると思います。

 済みません、戻して申しわけないんですが、収入階層別の平均消費性向、所得の、今のところでふえている皆さんは、消費性向は高いんです。いや応なく、手にした所得のほぼ全てを消費に回しています。そして、減っている層も、いろいろな見方はありますけれども、そこそこ消費をされている層で、半分近くも残すような層とは違います。

 そこが減っているということは、例えば、四百万円の層の皆さんが八割ぐらいお金を使っている、この人たちが二百万円になったときには何が起こるのかといったら、二百万円近く、消費したくてもできない、消費の額が減っていくということになっているので、この中間層が減って、そして貧困層がふえているというのは、人口減少に加えて、どうしても消費が冷え込む、こういう傾向になるということは、これは大きな構造として避けられない。

 繰り返しますが、別に安倍政権が悪いと言うつもりは全くありません。これは、平成に入ってからの大きなトレンド、二〇〇九年の非自民政権の時代も含めてこうしたトレンドが続いてきて、それが放置をされてきて、現在も残念ながら消費は反応していない、こういう状況にあります。

 いかに消費が大事かというのは、五番目のパネルがありますでしょうか、GDPの構成比です。日本の経済全体を項目別に分けた比率のトレンド、これも、一九五八年から十年ごとに統計を、内閣府の国民経済計算をもとにしてつくってみました。

 先ほど茂木大臣からも御説明ありましたとおり、日本の経済の半分以上は民間最終消費支出、つまり、国民の皆さんがお買物をするかどうかで日本の経済というのはでき上がっています。皆さんがたくさんお買物をしなければ、全体の半分のところが伸びませんから、それ以外のところを伸ばしても、なかなか厳しいということになる。ましてや、ここが落ち込むようなことがあれば、ほかの部分を伸ばしても、なかなか全体としては成長しないということになります。

 ここでおもしろいのはというか、これも大臣ちゃんと御理解をいただいているなと思ったんですが、輸出の比率は伸びているんですよね。日本の経済は、特にバブル崩壊以降、新興国の追い上げが大変だ、グローバル化によって国際競争が厳しくなった、そのことによって日本の輸出産業は大変厳しい競争にさらされています。そして、日本を代表する大きな企業が経営危機に陥るだなんというニュースが、残念ながら一年に一遍ぐらいずつ新聞をにぎわす状況です。だから、輸出が落ち込んでいるから景気が悪いんだと勘違いをしている人が、この中にはさすがにいらっしゃらないと思いますが、残念ながら国民の皆さんの間にもあるんじゃないかなと危惧をするんです。

 実は、ほかのところが伸びない中で、輸出は、先ほどのとおり、着実に伸びていますので、日本経済に占める輸出の比率は伸びているんですね。一方で、輸入の比率も伸びていますから、輸出が頑張ってこなかったら大変なことになって、日本は貿易赤字になっていたわけですから、輸出が頑張っていただける、これはこれからも頑張っていただかなきゃいけないんですが、消費のところを伸ばさないと、なかなか、輸出が比率が伸びていっても、全体としては、先ほどのグラフのとおり、ゼロに近いところを腹ばっている、こういう状況が変わらないということを指摘しておきたいというふうに思います。

 ちなみに、実は、政府最終消費支出というのと公的固定資本形成という難しい言葉の項目が二つあります。これは政府参考人でいいと思いますが、どういう意味ですか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、公的固定資本形成でございますが、これは通常の公共事業というふうに御認識いただければと思っています。

 それから、あと、政府最終消費支出でございますが、私ども、あるいは国会も含めて、行政が行う行政サービス全体を集めるものでございます。

枝野委員 そうなんですね。要するに、政府が、公共事業という形であるのか、それ以外の形であるのかにかかわらず、支出をしているお金、これがこの濃い緑色と薄い緑色、済みません、ラジオをお聞きの皆さん、申しわけないんですが、そこを占めております。

 これを見ると、一九五八年、昭和三十三年には合わせて一六%程度でありました。直近では、二四・七%にも達しています。それだけ財政規模が大きくなっています。

 これだけ財政規模をふやしていって、比率をふやしていって埋めていっても、ゼロに近い成長ということですから、実は、この公的固定資本、いわゆる公共事業や、政府最終消費支出、国がさまざまな予算などの形で出しているお金を縮めてしまったのでは、全体はマイナスになる。これをこんなに比率をふやしてきて、何とか今とんとんだという状況だ。

 問題は、それで消費が伸びないんだから、この部分の使い方をどうしたらいいのか、どうすれば消費が伸びるようなところにつながっていくのかということを考えていくのが、今求められている仕事ではないかということを指摘したいというふうに思います。

 その上で、具体的なことを申し上げたいというふうに思います。

 保育料などの幼児教育の無償化、平成三十一年度予算に含まれる幼児教育無償化経費のうち、所得割課税額十六万九千円超の方、平均年収でいうと六百四十万円超の方の無償化に充てられる金額と、全体無償化対象経費に対する比率をお答えください。政府参考人で結構です。

小野田政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、今般の幼児教育、保育の無償化に係る所得階層ごとの公費負担額の試算につきましては、既に昨年末に公表をしてございます。

 これによりますと、保育所等につきましては、平成三十一年度予算案をベースにしました平年度ベースで申し上げますと、市町村民税所得割課税額十六万九千円以上の世帯に係る今般の無償化分の公費負担額は二千三百十五億円となります。全体所要額が四千六百五十六億円でございますので、単純に割り算をすると四九・七%となるところでございます。

 ただ、一方で、幼児教育、保育につきましては、所得の低い方の利用料は既に公費を投じ負担軽減を図っておりまして、また、これまで、低所得世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡充してきたところでございます。

枝野委員 ちなみに、その四九%の経費のかかるお子さんの数の比率はどれぐらいになりますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 人数、万人単位で申し上げますと、三十五万、八万、六万が分子でございまして、全体の人数が百六十七万でございますので、済みません、ちょっと今割り算してございませんけれども、百六十七分の三十五足す八足す六ということになります。

枝野委員 私の試算ではおおむね三〇%程度ということなんですけれども、間違いないでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 今担当の方に確認しましたら、おおよそその割合だということでございます。

枝野委員 これは、幼稚園まで合わせると、比較的所得の高い、年収約六百四十万円超の世帯の、幼稚園の場合はちょっと基準にとっている金額が違うようですけれども、おおむねこれぐらいの金額より上の世帯のための無償化に充てられる金額、幼稚園の分と合わせると全部でどれぐらいになりますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 幼稚園等につきましては、同様の試算をいたしますと、市町村民税所得割課税額二十一万一千二百一円以上の世帯に係る今般の無償化分の公費負担額は九百五十八億円となります。全体所要額が二千四百八十六億円でございますので、単純に割り算をいたしますと、割合は三八・五%となるところでございます。

枝野委員 これは三十一年度予算ベースですけれども、平年ベース、もう出ていますよね。平年ベースで、幼稚園、保育園、六百五十万円前後超の世帯の無償化に使われる予算はどれぐらいになりますか。

小野田政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、説明不足でございまして、今申し上げた数字は、三十一年度予算案を平年度ベースに試算した数字でございます。

枝野委員 平年度ベースに合わせて幾ら。もう一回言ってください。お願いします。

小野田政府参考人 お答え申し上げます。

 平年度ベースで申し上げますと、保育所等の方が、公費負担額は二千三百十五億円、全体が四千六百五十六億円でございます。幼稚園等につきましては、平年度ベースが九百五十八億円、全体が二千四百八十六億円でございます。

枝野委員 合わせると三千億円ほどかかるんではないかというふうに思います。

 保育所職員の従業員数、保育士の平均年賃金額、全産業との平均の差額、それを簡単に、急いで答えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年の社会福祉施設等調査によりますと、全国の保育所等の従業者の総数は約七十三万人でございます。

 保育士及び全産業の労働者の賃金の年額につきましては、平成二十九年賃金構造基本統計調査における、月額の、決まって支給する現金給与額十二カ月分と、同調査における賞与の合計額を算出いたしますと、男女合計で見ますと、保育士は三百四十二・一万円、全産業は四百九十一・二万円、その差は百四十九・〇万円でございます。

 なお、保育士の九割以上は女性でありますことから、女性について見ますと、保育士は三百三十九・七万円、全産業は三百七十七・八万円、その差は三十八・二万円となっております。

枝野委員 先ほど、六百五十万円ぐらいから上の世帯の皆さんを無償化するための費用、三千億円、〇・三兆円ほどかかるというお話がありました。今、保育所の職員の皆さんの給料を、例えば一人五万円、一カ月当たり五万円上げるというようなことをやっても、全然お釣りが出る金額なんですよね。

 今、保育所がまだまだ足りない中で無償化が進められるというような状況にあります。この場合に、無償化にかけるお金、所得の比較的高い皆さんにはちょっと待っていただいても、保育士の賃金を上げて保育士の確保を図る方が、私は、経済にも大きな影響を与える。

 先ほどの消費性向の話を見ていただきたいんですが、六百五十万から上のところ、もうちょっと上のあたりか、どこで線を引くかはいろいろな判断があると思います、七割を切るようなあたりのところからやるという考え方もあるかと思いますが、所得の低い皆さんのところを無償化するのは、無償化した部分のところが消費性向は高いですから、それで、ほかのところに使わなくてよくなった部分が消費に回る可能性も高くなります。

 それから、保育士さん自体の賃金が低いですから、低い皆さんの賃金を上げるということは、消費性向の高い皆さんの所得を上げるということですから、これも消費につながります。

 そして、何よりも、保育所に入りたくても入れないということで困っている皆さんの解決に一番直近に使われる。

 同じ三千億円を使われるなら、こうしたところに使った方が合理的ではないかということを、指摘を繰り返しさせていただきたいと思っています。

 時間がなくなってきているので、消費税、一点だけ聞きたいと思います。

 プレミアム商品券に一千七百億円、ポイント還元に二千七百九十六億円、合計四千五百億円余りの予算が使われていますが、その中の間接経費、つまり、直接消費者のメリットにならない額は幾らですか、お答えください。

太田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、プレミアム商品券につきましては、所得の多寡あるいは年齢等々を確認していただく等々を含めて、地方公共団体に事務を行っていただきますので、その事務費として、今ほどお話があったのは三十一年度予算でございますが、四百九十八億円でございますので、千七百二十三億円に対して二九%がそういうお金ということになります。

 それから、ポイント還元事業、ポイント還元でございますが、二千七百九十八億円ございます。

 大きく分けて三つありまして、一つは、消費者へのポイント付与、これが千七百八十六億円、それから次は、中小・小規模事業者に直接的に行くお金、端末導入費用あるいは手数料の補助ということで三百二十九億円、それから、いろいろな意味での広報、システム等々の事務費、これが六百八十三億円ということになります。三番目の事務費が全体に占める割合ということになりますと、二四%ということになります。

枝野委員 本当にこれが合理的なお金の使い方なんでしょうか。こんなところにお金をかけるのであるならば、そもそも消費税を今無理して上げる必要がないのではないでしょうか。

 しかも、今のような制度によって恩恵を受けられるのはどういう人か。何度も指摘をしておられますが、確かにコンビニなどのプリペイドのカードの使い方は我々には簡単かもしれませんが、本当に全国津々浦々にいる高齢者の皆さんが簡単にこのプリペイドカードで今のポイント還元を受けられると私たちは思っていませんので、断固反対だということを申し上げて、私の質疑は終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

野田委員長 この際、今井雅人さんから関連質疑の申出があります。小川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人さん。

今井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの今井雅人でございます。

 先週の木曜日に、この予算委員会で一般質疑をしようと思ってここに座っておりましたら、何と、櫻田大臣が来られません。それで、この委員会が何時間かとまってしまいました。さすがに反省しておられるんだろうと思いまして、ここで再開するのを待っておりましたけれども、何と、謝罪をされる前に麻生大臣と談笑しておられた。どれだけ気が緩んでいるのか。

 大臣にそのことをお伺いしたら、私は笑っていませんでしたとおっしゃいましたけれども、カメラに映っていますよ、よろしいですかとあのとき申し上げましたよね、大臣。あの後いっぱい映っていましたけれども、私、この週末、選挙区に戻りましたが、確かに笑っていたと皆さんおっしゃっています。気が緩み過ぎているんですよ。

 これを任命したのは総理ですね。総理、こういう緩んだ行為に対して、総理は任命責任はお感じになっていらっしゃらないんですか。

安倍内閣総理大臣 今後も櫻田大臣には身を引き締めてしっかりと職責を果たしてもらいたいと考えております。

今井委員 そういう行為は悪いとは思っていないんですか、今、謝罪も何もありませんでしたけれども。

野田委員長 櫻田さんは謝罪しなかったということですか。(今井委員「いやいや、違います」と呼ぶ)

 今井さん、もう一度お願いします。

今井委員 総理はこういう行為に対して任命責任を感じておられませんかと。こういう、国会に遅刻するということは、今何も謝罪なさっていないですけれども、別に悪いことじゃないと思っていらっしゃるんですか。

安倍内閣総理大臣 もとより任命責任は私にあるわけでありますが、それぞれの大臣も、遅刻したこと等について謝罪をし、反省をし、しっかりと身を引き締めて、謝罪をしているわけでありますが、しっかり身を引き締めて職務を全うしてもらいたいと考えております。

今井委員 櫻田大臣は謝罪されましたので、そこは一つけじめはついていると思うんですけれども、私は、任命された総理として、こういう国会を軽視するような行為をどういうふうに思われますかということを申し上げています。

安倍内閣総理大臣 当然、これは、国会の要請があれば我々はこの委員会において答弁をする義務を負っているわけでございますから、しっかりと、これは時間を守ってその責任を果たさなければならない、このように考えております。

今井委員 菅官房長官はしっかり謝罪されましたけれども、総理はどうしても謝りたくないんですね。よくわかりました。

 先日、総理が、これはこの後予算委員会でも取り上げられましたけれども、なぜ櫻田大臣を任命されたかといったら、副大臣のときにオリンピックの招致に尽力されたというふうにおっしゃいましたので、私は調べましたら、招致のときは副大臣じゃなかったんです。そのことを櫻田大臣にお伺いしましたら、何と、覚えていらっしゃいませんでした。

 いや、びっくりしまして、自分のやってきた職責すら覚えていないんだなとちょっとあきれたんですけれども、総理も、ああいう勘違いをされるということは、そもそもそんなに適任だと思っていらっしゃらないんじゃないんですか。

安倍内閣総理大臣 ちょうど招致が決定した後、内閣において副大臣がかわりまして、その前の谷川副大臣から櫻田副大臣にかわって、そして、櫻田副大臣は組織委員会の立ち上げに副大臣として尽力をしていただいたということでございまして、私がそれを少し混同して答弁いたしましたことについては既に訂正をさせていただいているところでございますが、非常に熱血漢でございまして、熱意を持って組織委員会の立ち上げに努力をしていただいた、こう思っております。

 また、一議員として、オリンピック、パラリンピックの招致のためにも尽力をしていただいた、このように承知をしております。

今井委員 櫻田大臣は議連とかで尽力しましたとおっしゃっていましたから、そこは一点理解しますが、それじゃ、お伺いしますけれども、サイバーセキュリティー担当大臣としてはどうして適任なんですか。

安倍内閣総理大臣 サイバーセキュリティーにつきましては、オリンピック、パラリンピックに対するサイバー攻撃等が予想される中において、前任者においてもその担務として担っていただいたところでございますが、そういう意味において兼務をしてもらった、こういうことでございます。

今井委員 櫻田大臣にお伺いしますけれども、オリンピックの招致は議員の立場で頑張っておられたとわかりましたが、サイバーセキュリティーに関しては、大臣になられる前にどういうことをやっていらっしゃいましたか。

安倍内閣総理大臣 櫻田大臣が、いわばサイバーセキュリティーについての専門家であったということではございません。しかし、それはもちろんNISCにおいてしっかりと対応していくということになるわけでございますが、そのNISCの仕事ぶりについて報告を受け、適切に指示を出していくという任には十分に、今までの櫻田大臣の政治家としての業績等を見て、そういう対応をしていくことができる、こう考えていたところでございます。(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

櫻田国務大臣 オリンピックの開催については、サイバーセキュリティーに関することが極めて大事だと思っております。

今井委員 もう毎回ですけれども、質問と答弁がまるでかみ合わないんですけれども。

 総理も、先ほどまで伺っていると、何か、自分の言いたくないことはほかの大臣に最初に言わせて後で自分が答えていますけれども、私、今、櫻田大臣を指名したんですよ。そんな、かばうことないじゃないですか、わざわざ。そんなに心配ですか、担当大臣。

 今、オリンピックで大事だとおっしゃいましたけれども、じゃ、ちょっと伺いますが、所信でもそのことをおっしゃっていますけれども、一般のサイバーセキュリティー対策がありますよね。じゃ、オリンピックに当たっては、何かそれ以外に特別やることがあるんですか。

櫻田国務大臣 過去の大会で、サイバーの攻撃を踏まえた情報共有とリスク対策というものが極めて大事だと思っております。大会運営の成功に向けた課題であると認識しておるところでございます。

 そこで、大会のサイバーセキュリティーにかかわる脅威、事案情報の共有等の役割を担うサイバーセキュリティ対処調整センターを構築して、大会関係組織間で緊密に連絡調整を図ることの体制を整備いたします。

 また、大会運営に影響を与える可能性のある重要サービス事業者等に対してリスク評価及びリスク対策促進を実施してまいります。

今井委員 いやいや、役所の答弁は完璧でしたね。

 では、ちょっとその前段のところをお伺いしますけれども、「昨今、サイバー空間と実空間の一体化が進み、さまざまな恩恵がもたらされている一方で、サイバー攻撃による多大な経済的、社会的損失が生じるなどの脅威が高まって」いると。前回の臨時国会でもそういうふうにおっしゃっていましたし、今回も力を込めてこれをおっしゃっていますけれども、ちょっとお伺いしたいんですが、じゃ、例えば、サイバー空間と実空間の一体化が進んでさまざまな恩恵がもたらされるとは、どういうようなものがありますか。

櫻田国務大臣 人工知能の活用が進んだソサエティー五・〇では、インターネットを通じて、いつでもどこでも現実空間とほぼ同様の社会経済活動を行うことができる状況になります。

今井委員 私は、例えば、ICTを使った医療で、遠隔医療があって、そこにお医者さんがいて、そこが一体化するとか、そういう何かイメージをちょっと教えていただきたいんですけれども。大臣が考えておられるような一体の空間というのは、どういうものがありますか。

野田委員長 事実関係ということで、担当する……(発言する者あり)ちょっと静かにして。

茂木国務大臣 医療ということで申し上げたので、医療でお答えいたしますけれども、ふだんの医療の適切なサービスがある。一方で、サイバー空間ですから、データによって動くわけです。そして、日本というのは皆保険制度のもとにありますから、それぞれの人のさまざまな医療データというのがあるわけでありまして……(今井委員「委員長、関係ないです」と呼ぶ)

野田委員長 茂木大臣、簡潔にお願いします。

茂木国務大臣 これから、個人ごと、患者ごとに最適な予防であったり、ケア、さらには医療提供サービス、こういったものがリアルな空間とサイバー空間が一体になることによって提供できる、これが成長戦略からも重要だと思っております。

今井委員 ちょっともう、あきれて物が言えないんですけれども。私が一つの例を出して、そういうようなほかの例が何かありませんかということを大臣にお伺いしているのに、どうして安倍政権はこうやって櫻田大臣をみんなでかばうんですか。(安倍内閣総理大臣「一体だから」と呼ぶ)一体だからなんですか。担当大臣じゃないんですね。ああ、よくわかりました。櫻田大臣にはこのことは任せておけないということを皆さんがこうやってかばっておられるということ。いやいや、もういいです。今、一生懸命レクを受けておられましたけれども、もう本当に皆さんが苦労されているというのがよくわかりました。

 ちょっと、もう私、二十分しかありませんので、次、お伺いしたいんですが、先週、自民党の田畑議員に関する問題が起きました。簡単に言いますと、準強制性交容疑として告訴されたと。女性の人権をじゅうりんする大変大きな事案です。

 今、ここには、新聞にもいろいろ出ていましたけれども、安倍チルドレンのスキャンダル問題一覧、いわゆる安倍チルドレン、二期生、三期生、やめた人もいますけれども、いろいろあります。これは、どれもあきれて物が言えないのが多いんですけれども、見ていただくと、田畑議員のだけは告訴されているんですね、刑事告訴されているんです。ほかのは失言とかそういうものでありますが、レベルが違うんですよ。刑法犯の疑いがあると。しかも、警察は受理しています、被害届。そして、本人もある程度認めて、示談に持ち込もうとしています。

 これを、自民党は、何と離党届を受理するという、考えられないような甘い対応をしています。これはもう自民党の体質だと私は思わざるを得ませんが、先日も菅長官にもちょっとお伺いしましたけれども、女性活躍をやはり推進する立場として、あれだけおっしゃっているんですから、総理、こういう問題には本当に、もっと毅然と立ち向かう。これは一政党の国会議員の問題じゃありません。国会議員とて一国民です。そういう事案に対して厳しい姿勢を見せる、それが、女性活躍を進める、女性の権利を守る、そういう政府の姿勢だと思いますけれども、この件に関して、いかがお考えですか。

安倍内閣総理大臣 女性に対する暴力は重大な人権侵害であり、決して許される行為ではありません。安倍内閣ではこれまでも、性暴力被害者が二十四時間いつでも相談できるワンストップ支援センターを昨年までに四十七全ての都道府県に整備するなど、積極的に取り組んでまいりました。引き続き、女性に対する暴力の根絶に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。

今井委員 お題目はそうですが、こういうことというのは、個別のいろいろな事案が起きて、対策を打つんじゃないですか。今の児童虐待の問題でもそうですね。いろいろな事件があって、そして社会問題化して、何とかしようと。これだって一つの事案ですよ。このことに対してどう思うかということを伺っているんです。一般論を伺っているんじゃありません。

安倍内閣総理大臣 御指摘の事案につきましては、現在、警察による捜査が行われているものと承知をしており、政府として個別の事案にお答えすることは差し控えたいと思います。

今井委員 片山大臣、先日、私は、片山大臣があれだけ女性への暴力の根絶ということをおっしゃるんだから、ここにもっと踏み込んだ方がいいよということをお話し申し上げました。その方が大臣の評価が上がりますと。これを流すと、また口ばかりかと言われるというふうにお話ししましたけれども、その後、何かされましたか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 委員も御指摘のとおり、私自身もDVの被害を受けた経験がございますので、その根絶に向けては、既に検討会を立ち上げ、母子ともに一時避難できるようなシェルターを支援するあり方等も含め検討を行っているところでございますが、今の事案につきましては、総理もお答えになりましたとおり、まず、その捜査を行っているという事態でございますので、そのこと自体についてコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で、あえて申し上げるならば、女性に対する暴力というのはもう絶対にあってはいけない人権侵害でありまして、あらゆる暴力の根絶を行うということを安倍政権として強力に進めていくわけでございまして、国会議員たるもの、そういうことをしているという疑いを持たれるだけでも大変遺憾なこと、望ましくないこと、このように考えております。

今井委員 私は、もちろん、そういう刑事の問題になっていますけれども、担当大臣ですから、みずからやはり事情を聞くとか、それぐらいのことをやっていただきたいということをお願いしたんですけれども、そうやって、やはりまた人ごとというのは大変残念です。

 最後、ちょっともう三分しかありませんので、北方領土の問題をやりたいんですけれども。

 二月八日に、小西参議院議員の質問主意書に対しまして、北方領土は日本固有の領土かという質問に対して、この答弁書ですが、「お尋ねについては、ロシア連邦政府との今後の交渉に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。」と。固有の領土かどうかというのは言えない、こういう答弁が出てきて、私はびっくりしました。

 これは内閣府のホームページです。内閣府のホームページ、今も載っています。北方領土についての考え方。「一、北方領土とは何か?」重要な部分だけ言います。「ロシアは北方四島を法的根拠なく占拠」、つまり不法占拠している。そして、「我が国の固有の領土である北方四島」と。

 政府の正式なホームページにこう書いてあるのに、なぜ答弁書ではお答えができないんですか。これは閣内不一致じゃないですか。

河野国務大臣 政府の法的立場に何ら変わりはございませんが、今、日ロの平和条約の交渉が進んでいるところでございまして、この交渉を波静かな状況でやりたいということを考えておりますので、政府として法的立場に変わりがないということを申し上げたいと思います。

今井委員 そうであれば、こちらの方も変えればいいんですよ。合わせればいいじゃないですか。ばらばらにして、片方は何か、私たちは固有の領土であると主張しておきながら、そちらでは答えられないなんて、こんなことではだめです。

 ですから、きのう、ラブロフ外相が、安倍総理の平和条約を締結すると表明することに対して、どこからそのような確信を得たのかわからないと。プーチン大統領が条約締結へ両国民が受入れ可能な条件を探るとしたことに触れ、そうした条件は完全に欠如していると。ゼロ回答ですよ。相手にされていないじゃないですか、総理。今まで何十回もお会いして、実は何も進展していないんじゃないですか、いかがですか。総理は直接お会いになっているから伺っています。

安倍内閣総理大臣 それは、条約の交渉において、条約の交渉の場以外での発言について、一々我々は反応するつもりはありません。

 実際に、我々は、先般、ラブロフ外相と河野外務大臣の間で外相間の交渉も行っているわけでございますし、森・モルグロフ、いわば政府を代表した担当責任者が交渉も行っているわけでございまして、まさに具体的に交渉を進めていかなければならない、このように考えております。

今井委員 こうやって、二枚舌でやりながらも、相手に言われっ放しで、こちらから何も言えない。本当にこの交渉がうまくいくのか、私たち本当に心配なんですね。

 進めてほしいですけれども、余り国民に期待を持たせないでください。ちゃんと、地につけて、時間をかけて、しっかりやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

野田委員長 この際、逢坂誠二さんから関連質疑の申出があります。小川さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二さん。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。

 先週の金曜日になりますけれども、厚生労働省から、二〇一五年の九月に毎月勤労統計の座長に厚生労働省から出されたメールが公開されました。

 総理、これはメールが公開されて私は非常によかったと思っているんですが、残念ながら、このメールは厚生労働省が公開したんじゃないんですね。座長が、座長のところへ来たメールを厚生労働省に転送して公開している。厚生労働省は相変わらず、このメールのありかがわからないというようなことを言っているわけであります。まあ、けさ出てきましたけれども。

 それからもう一つは、前回も私、総理にお願い申し上げたんですけれども、こういうものを議論するときには、資料はきちんと出してください、それから参考人もきちんとお出しください、そう幾らお願いしても、実は与党の皆さんはなかなかうんと言ってくれない。

 きょうも、このメールの発信者である手計さんという方に理事会に来ていただきたいと言っても、それもやらない、ほかにもたくさん資料をお願いしているけれども、それも出さない、こういう状況なんですよ。

 だから、総理に改めてお願いしますけれども、総理が私はとめているというふうには思いませんが、総理の方からも、それぞれの役所に、必要な書類や参考人はきちんと出すように、こういう御指示をいただけますか。

安倍内閣総理大臣 委員会から要請されれば、当然、我々、政府における参考人であれば、政府から参考人として出ていくことは当然だろうと思っておりますし、資料においてもそうです。

 テバタさんですか、テバタさん、どういう方か私もよく存じ上げませんが、その話は今初めてお伺いをしたところでございますが、もちろんこれは、委員会の運営においては委員会が決めることでございますが、委員会から要請されたら応じていくのは当然のことであろう、このように考えております。

逢坂委員 ありがとうございます。

 それでは、与党の皆さん、ぜひ御賛同いただいて、書類や参考人の国会への招致に協力をいただきたいと思います。

 さて、そこで、根本大臣、お伺いします。

 毎月勤労統計の検討会について、この内容については官邸には報告はしておらないという答弁を以前していたかと思うんですが、この答弁は今も変わりませんか。

根本国務大臣 申しわけありません、それは私が答弁したということでしょうか。

逢坂委員 先週火曜日の記者会見でそうおっしゃっているので、その考えは今も変わりませんかということです。

根本国務大臣 いや、私の記者会見で私がどういうことを言ったかということでしょうか。申しわけありませんが、それをお尋ねいただきたいと思います。

逢坂委員 それじゃ、改めてお伺いします。

 記者会見とは全く関係なしに、毎月勤労統計の検討会の内容について官邸に報告をしているかいないか、それについてお答えください。

根本国務大臣 先ほども、いろいろな質疑がある中で、私は報告していませんけれども、厚生労働省で報告をしていたことがあるというのが先ほど来の答弁でも明らかでした。

逢坂委員 大臣は直接報告はしていないけれども、厚生労働省が官邸に報告をしていたと、大臣は今そういう答弁をされて、よろしいですね。大臣、首を縦に振っていただければ。

根本国務大臣 先ほど来の政府委員の答弁のとおりだと思います。

逢坂委員 そこで、中江さんにお伺いしたいんですけれども、中江さん、二〇一五年の三月三十一日、厚生労働省の姉崎部長を官邸に呼んで個人的問題意識を伝えたということでありますけれども、毎月勤労統計に関する個人的問題意識を伝えたということでありますが、その際に、これは個人的問題意識だということを付言して、あわせて伝えておりますか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年の三月に説明を受けました。それで、記録もとっておりませんし、四年前のことですので詳しくは覚えていませんけれども、私から幾つか質問をして、回答があって、それで私の方からそういう問題意識を伝えた記憶があるというのが、これまで私が御答弁していたものであります。

 そういうやりとりだったということで御理解いただければと思います。

逢坂委員 姉崎さんにお伺いします。

 二〇一五年の三月三十一日、中江さんとやりとりをした中で、中江さんが話したことは個人的問題意識だというふうに理解をしておられましたか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 個人的かどうかはわかりませんけれども、秘書官のコメントだというふうに受けとめました。

逢坂委員 姉崎さんは、個人的かどうかはわからないけれども、秘書官の発言だというふうに受けとめたと。

 その発言を受けとめて、姉崎さんは、何かをこれはやらなければいけないとか、何かをやるべきだとか、どう対応するかとか、そういうことは考えましたでしょうか。それとも、ただ聞いておけばいいや、そういう認識だったんでしょうか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 その三月ですけれども、サンプルの入れかわりに伴って過去にさかのぼって数字が変わるということで、どうしてそういうふうに変わるのか、それから、ほかの統計ではどういうふうになっているのかというようなことの御質問等がありまして、前にも申し上げたかもしれませんけれども、実は、私も統計のユーザーとして、過去にさかのぼって数字が変わってしまうというのはいろいろ問題があるなというふうな問題意識を持っておりましたので、私が思っていることと同じようなコメントをいただいたというふうに思ったものですから、指示を受けたというふうな認識をしなかったということであります。

逢坂委員 個人的問題意識を共有するのは、それはそれで私は何も悪いことだとは思っていませんけれども、総理秘書官がわざわざ官邸に呼んで、しかも、統計情報部長を呼んで、個人的問題意識をすり合わせして、お互い同じ意識ですねと、ただそれだけのためにやったんですか。それは時間の無駄ですよ。公務ですよ。何もしないためにそれをやるんだったら、公務時間外にどこかの、居酒屋かどこかでやればいいじゃないですか。何のためにそういうことをするんですか。意味がわからない。

 個人的問題意識などということで公務の場を使っていいんですか。中江さん、どうですか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 私が個人的問題意識と申し上げましたのは、総理の意向じゃないかとか、総理から言われてそういうことを言っているんじゃないかとか、そういうふうに言われたので、私としては、それは私の個人の意思です、私単独の意思ですということを申し上げたわけでございまして、それで、私が、勤務時間中に、厚労省の担当部長の、それからもう一人は総括審議官を呼んで、前の日だったか、話を聞いたところ、何か大幅に入れかわるというのは、これはどういうことですかと聞いて、そこでいろいろやりとりをして、問題意識を持ったわけです。

 それで、もちろんこれをやるのは、厚労省さんが最終的に直すのか直さないのかは決めるわけですけれども、私としては、これは専門家の意見も聞いてみて考えられたらどうですか、これはやはりいろいろ言われるんじゃないですか、三年後また同じことを言われるかもしれませんよ、そういう問題意識を持ったわけです。

 それで、そのときにそういうのを私が伝えなかった方がよかったのかということを考えると、私は今でも、それはやはり伝えて、それによって厚労省さんが動かれたかどうかは私はよくわかりません、それは厚労省さんの問題だと思いますけれども、そういうことを伝えるというのは、それは総理秘書官としての仕事だと思いますし、今でもその考えは変わっておりません。

逢坂委員 私、今の中江さんの認識は正しいと思うんですよ。やはり、そういう疑問があったら総理秘書官として各役所に来てもらっていろいろ話をするということは、私はおかしなことだとは思っていないんです。

 改めて姉崎さんにお伺いしますけれども、今、専門家を交えて検討してみたらいかがですかという話を聞いた、しかも、姉崎さんは、それは個人的な問題意識だというふうには受けとめていなかった。それでも何もしなかったんですか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 検討しろという指示をいただいたというふうには受けとめなかったものですから、私はその場で、総理秘書官に対して、検討するというふうに申し上げませんでした。

 ただ、先ほど言ったように、総理秘書官もやはり私と同じような問題意識なんだなというふうに思っておりましたので、それで、かねて、過去三年間さかのぼって変わるというこの取扱いについてはなかなか問題があるなというふうに思っておりましたので、その後、その後というか、総理秘書官の後に発表しますけれども、数字を発表しましたら、過去三年間にわたって変わったことについて、民間のエコノミスト等から、とてもわかりにくい、サプライズだとかショックだとかというお言葉をたくさんいただきましたので、これはやはりきちっと検討せねばならないというふうに思いまして、六月に検討会を立ち上げた、こういうことでございます。

逢坂委員 私は、中江さんの話を受けて、そのこともあるし、ふだんからも私も考えていたし、それもあわせて検討会を立ち上げたんだというのが当たり前の答弁のような気がするんですが、なぜ中江さんのところだけ遮断するんですか。

 個人的問題意識だということもわからないで、検討したらいかがですかと言われた。言われたら、普通、それに対して検討しますとかしませんとか、こういうふうになりましたと言うのは当たり前のことじゃないですか。それも言わない。だから、そこに不自然さがあるんですよ。それは強く指摘をしておきたいと思います。

 それで、金曜日に公開されたメールの中に、「官邸関係者に説明をしている段階であります。」という記述があります。そして、これについては、きょうの午前の藤澤統括官の答弁の中で、厚生労働省からは、一般に、官邸の参事官、官房長官秘書官、内閣官房副長官補室の担当参事官に対し、適時必要な情報提供を行っており、毎月勤労統計について申し上げますと、速報や確報値などを毎月、情報提供をさせていただいておりますというふうに答弁されているわけですね。

 毎月情報提供をしているものを、これは定例ですよね、ルーチンですよね、毎月、毎月勤労統計は発表されますから。でも、何でそのことをこの九月のメールの中にあえて書き込むのかということなんですね。ルーチンで報告しているものであれば、あえてメールに書き込む必要はないわけですよ。

 これは九月四日、手計さんから検討会の座長の阿部さんに送ったメールですよ。ここにこう書いてあるんですよ。「なお、現在、検討会での検討結果等については官邸関係者に説明をしている段階であります。」

 「段階」とはどういう意味ですか、藤澤さん。

野田委員長 手を挙げたら速やかに御答弁に来てください。

藤澤政府参考人 これは当時の担当者に確認をしておりますけれども、官邸関係者とは、官邸の参事官、それから官房長官秘書官、また内閣副長官補付参事官のことでございます。

 それで、「官邸関係者に説明をしている段階であります。」ということでございますが、厚生労働省から今申し上げました官邸参事官らに毎月勤労統計の月次の公表予定資料を事務的に送っており、また統計ユーザーやエコノミストなど、世の中の関心事項であると考えていたために、検討会の報告の素案も、八月の素案を送付したかもしれない、そういうふうに当時の担当者は申しております。

逢坂委員 質問に答えてください。

 私が聞いたのは、説明をしたとか、説明を終えましたとかならまだ、なるほどなと思うところもないわけじゃないんですけれども、「説明をしている段階であります。」と、なぜこれは「段階」という言葉がつくんですか。段階だということは、多分次があるんですよ。段階だということは、例えば向こうから返答が来るとか、そういう意味合いを持つ言葉なんじゃないですか。

藤澤政府参考人 今の御指摘の「官邸関係者に説明をしている段階であります。」というところでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、当時の担当者に確認をいたしましたところ、厚生労働省から官邸参事官らに毎月勤労統計の月次の公表予定資料を事務的に送っており、また統計ユーザーやエコノミストなど、世の中の関心事項であると考えていたために、検討会の報告の素案、八月の分でございますけれども、それを送付したかもしれないというふうに申しているところでございます。

逢坂委員 この「段階」という言葉については、私は、これはプロセスの途中をあらわしている言葉だと思うんですよ。今はこの段階だ、次はこの段階に行くということですから、この次に官邸から何らかの反応があるということをある種期待している言葉なのかなというふうに私は思うんですが、それを藤澤さんは余り上手に説明できないようですので、やはりこれは手計さんに来てもらって説明してもらうのが最も適切だと思いますので、委員長、引き続きよろしく検討をお願いします。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

逢坂委員 それで、もう一つ。

 これは姉崎さんにお伺いしたいんですけれども、九月十四日の中江さんとのレクですが、総理秘書官レクよりもその修正の指示が前だったと記憶している、だから官邸関係者の指示により報告書の記載が変わったという事実はございませんと言い切っているんですが、これは、なぜこう言えるんですか。何もその十四日のレクだけじゃないでしょう、官邸関係者と意見をやりとりするのは。なぜ、このレクがその修正の指示よりも後だったから官邸関係者の指示により報告書の記載が変わったという事実はないというふうに言えるんですか。いかがですか。

姉崎参考人 お答えをいたしますけれども、その当時の状況を、どうだったかということで聞かれまして、それで、私の記憶の限りでは、私の指示は十一日の金曜日か十四日の朝だというふうに記憶していて、総理秘書官のところに行く前に私は指示をしたというふうに記憶をしていたものですから、そのようにお答えをしたということでございます。

逢坂委員 ということは、姉崎部長、姉崎部長の記憶の限りでは、指示をした後に官邸の中江さんと会っているから官邸の指示を受けてやったものではないという認識を持っているけれども、それは確証としてそう言えるものではないという理解でよろしいですね。

 というのは、官邸とのやりとりというのは、別に九月十四日の午後の早い時期の面談だけではないはずでありますから、このことが指示の後にあったから官邸からの指示はないという理由にはならない、そういう理解でよろしいですよね。

姉崎参考人 お答えいたしますけれども、ちょっと質問の趣旨を私がちゃんと理解しているかどうかあれなんですけれども、メールに出てくる官邸関係者のことなんですけれども、私もこのメールを今回初めて見させていただきましたけれども、恐らく担当課長が官邸の参事官等、官房長官秘書官等三人ですけれども、毎月勤労統計の月次の公表資料を事前に事務的に報告していたわけですけれども、恐らく検討会の状況についても事務的に情報提供していたということなので、私は指示しておりませんけれども、そういうことだったのではないのかなというふうに想像をしています。

逢坂委員 答弁が非常に曖昧になってきたんですけれども、先日は、けさもそうなんですが、藤澤統括官が、官邸関係者の指示等により報告書の記載が変わったという事実はございませんと、けさ、午前中、言い切っていました。これに対して、姉崎さんも、今、政策統括官から御説明がありましたけれども、この事実関係につきましてはそのとおりであるというふうに思っておりますと、言い切っていることに対してそのとおりだと言っているんですけれども、これは言い切れませんよね。

 藤澤さん、それではお伺いしますけれども、なぜ言い切れるんですか。

藤澤政府参考人 九月の四日の官邸関係者に説明の部分でよろしゅうございますか。

 これは、午前中の繰り返しになりますけれども、厚生労働省から、一般に、官邸参事官、官房長官秘書官、内閣官房副長官補室の担当参事官に対して、適宜必要な情報提供を行っており、毎月勤労統計に関して言えば、速報、確報値などを毎月情報提供しております。

 それで、当時の官邸参事官に確認をしておりますけれども、平成二十七年九月四日の前後に、厚生労働省から検討会の動向について報告を受けたかもしれないが、内容がテクニカルと思われたので、秘書官には報告をしていないのではないかとのことでございました。

 ということで、このように、官邸関係者に一般的な情報提供は行っておりますけれども、何らかの指示等を受けた事実はございません。

逢坂委員 非常に根拠が薄弱です。皆さんの都合のいいように解釈しているとしか思えないので、この問題はまた引き続きやらせていただきますが、きょうは時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

野田委員長 これにて小川さん、枝野さん、今井さん、逢坂さんの質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎さん。

玉木委員 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 根本大臣、まず、端的にお伺いします。

 ずっと議論をしてきている部分入れかえ方式についてでありますけれども、この部分入れかえ方式を新たに導入することに関して、根本大臣は、二月十九日の会見で、官邸の影響というのは全くありませんというふうに述べておられます。今も同じ認識ですか。

根本国務大臣 部分入れかえ方式という御質問ですね。

 もともと、この問題は、全数入れかえ方式、サンプル全部を入れかえていたら、段差が生じて、さかのぼって変えた、下方に変えたということから、この問題意識が、もともと厚生省で持っておりました。

 そして、平成二十六年には、公的統計整備に関する基本計画で、今までやっていない統計もレビューしましょうということで、二十七年に毎月勤労統計をレビューする、実はこういう流れであります。

 もともと、この問題については、部分入れかえ方式というのは、極めて統計上の問題ですから、統計の精度をいかに上げるかという観点から、統計委員会でも議論された上で、部分入れかえ方式を導入したと思っておりますので、その意味では、いろいろなお話がありましたけれども、この部分入れかえ方式を精度を高めるために導入したということについては、私はさまざまな影響ということはないと思っています。これは、確実に統計の精度を上げるという観点からやったものですから、あくまでも専門的な統計の問題だと思っております。

玉木委員 もう一回伺います。

 二月十九日の会見で、官邸の影響というのは全くありませんとお答えになっていますが、官邸の影響は全くないという認識は変わりませんか。

根本国務大臣 私の基本認識は今申し上げたとおりですから、官邸の影響は、その意味では私はないと申し上げました。

玉木委員 過去の事実を聞いているんじゃなくて、今の認識を聞いています。

根本国務大臣 今の認識ですね。

 部分入れかえ方式、サンプリングローテーション方式というのは、これは純粋に統計的な精度を高めるという観点で行われたものですから、その意味では、官邸からの影響というのは私はないと思っております。

玉木委員 その意味ではとは、どういう意味ですか。

根本国務大臣 私の基本認識をお尋ねですよね。

 ですから、今回の部分入れかえ方式、ローテーションサンプリング、これは、専門的に統計の専門家で議論された上で、より精度を高めるということからこの方式が採用された。その意味では、私は、この問題については価値中立的だと思っていますよ。この統計の精度を向上するという観点から部分サンプリング方式を導入した。これは、ですから、専門的な見地からなされたものだということであります。

玉木委員 その専門的見地から行われたことが疑われているわけですね。

 改めて整理をしますが、パネルの検討会、毎月勤労統計の改善に関する検討会、八月七日に第五回検討会が開かれて、現在の全部入れかえ方式が適当という報告書案が、まさに専門家の議論のもとで一旦まとまりそうになりました。それがその後、午前中から議論されていますけれども、九月十四日午後の早い時間に、官邸の中江秘書官に姉崎部長が説明をする。そうすると、部分入れかえの考えもあるよという話があり、そして、最後の九月十六日、第六回検討会では、引き続き検討というふうに変わっていくわけですね。

 今回、メールが明らかになって、その間のやりとりが、まさに示唆するような内容があって、これは九月十四日の十六時八分のところですけれども、委員以外の関係者と調整している中で、サンプル入れかえ方法について、部分入れかえ方式で行うべきとの意見が出てきました。委員以外の関係者でしょうから、いわゆる専門家以外の方なんでしょう。

 御存じのとおり、報告書案では、総入れかえ方式が適当との記載を予定していたわけですね。それが第六回では変わっていき、報告書案ではなく、中間的整理案の議論ということで取りまとめを行わせていただきたいと考えていますと変わっていくわけですよ。

 私が心配するのは、部分入れかえは、まず価値中立的に考えたらいいと思います。ただ、なぜ部分入れかえ方式が第五回まで専門家が議論したときに入らなかったのか、あるいはそれを採用しないということになったかということは、ポイントは現場の事務負担です。

 これは、まさに行政として理想的な制度は幾つかあるでしょう。ただ、この場合は、地方自治体にもお願いをしてさまざまな作業をしなければならないので、例えば千葉県の関係者にもメンバーに入ってもらって議論をしたわけです。その中で、そういう考えもあるけれども、部分入れかえの考えもあるけれども、実務面の問題点、例えば調査票の管理システムの更新、都道府県の人員体制及び予算措置の強化等が発生するので、現在の総入れかえ方式で行うことが適当であると結んでいるわけですね。

 まさに、現場をわかった専門家が、予算とか人員のことがあるから、確かに影響を少なくする方法としてはあるけれども、でも総入れかえ方式でいきましょうということが、ひっくり返ったわけですよ。

 専門家じゃない、では、誰の意見で最終第六回の結論は変わったのですか。

藤澤政府参考人 御指摘の点でございますが、お示しをいただいたパネルというんでしょうか、拝見いたしますと、九月の四日ごろから九月の十四日の午後早い時間というところまで、その間何もございませんけれども、けさ御答弁を申し上げましたように、九月十四日の関係につきましては、厚生労働省の担当補佐によりますと、九月十四日の朝に、当時の統計情報部長から、第六回検討会の提出資料に関し、サンプル入れかえ方法については引き続き検討することなどの修正指示を受けたとのことでございます。また、当時の統計情報部長によれば、この指示を行ったのは総理秘書官レクよりも前だったと記憶をしているとのことでございます。

玉木委員 そんなことは聞いていません。なぜ変わったのか。

 九月十四日のメールで言う委員以外の関係者というのは、根本大臣、これは、かつて既に答弁されていますが、中江秘書官という理解でよろしいですか。

根本国務大臣 事務方がもとの部長に確認をして、話を聞いて、そういうことだということを私は報告を受けましたから、私はそういう答弁をいたしました。

玉木委員 当時はそうだったのに、今は変わったということですか。

根本国務大臣 私がそういう答弁をしたのは、繰り返しになりますが、事務方から姉崎元部長に聞いたところ、そういうことだということなので私はそういう答弁をした、こういうことであります。

玉木委員 では、この委員以外の関係者というのは中江秘書官ですか、中江秘書官ではないのですか。厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。

野田委員長 厚生労働省藤澤政策統括官、はいと言ったら速やかに答弁してください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

藤澤政府参考人 委員以外の関係者でございますけれども、当時の担当補佐に確認をいたしましたところ、委員からの修文意見には部長が指示をした修文内容が含まれていなかったこと、また、座長との関係でどのように説明するかを考えた際に、今さら検討会の主催者である統計情報部長の意見とも言いにくかったため、含みのある表現であります委員以外の関係者という表現を用いたように思うということでございました。

 お尋ねの、当時の担当補佐に確認をしましたところ、今申し上げたとおりでございますけれども、具体的には、このメールを当時の担当補佐から阿部先生に送った際には、統計情報部長と、統計情報部長が接触をしていた総理秘書官や他の有識者を、当時の担当者としては想定をしていたとのことでございます。

玉木委員 よくわかりませんね、何か聞くたびに答えが違っていて。

 根本大臣、これは中江秘書官だということを一度御答弁されていますが、その答弁は修正、変更されますか。

根本国務大臣 私の答弁は、当時の担当部長である姉崎氏に事務方から確認したところ、姉崎氏は、メール等を確認できたわけではないので詳細は不明ですが、中江総理秘書官のことだと思われると言っており、その旨を私は答弁いたしました。

玉木委員 よくわからないですね。

 事務方に大臣が答弁するものを確認したら、姉崎元部長は中江秘書官だと言って、ここに参考人で来られた姉崎さんに直接聞くと、そうじゃないと言う。にわかに信じられますか、こんなことを。もっと誠実な答弁を求めたいと思います。

 何を問題にしているかというと、統計の問題は極めて専門的です。ですから、専門家が議論すればいいんです、メリット、デメリット。そして、先ほど申し上げたように、もちろん部分入れかえの方法もあります、特に、第二種の企業群についてはローテーションサンプリングも入れていますからね。ただ、入れるとなると、やはり現場の事務負担が多くなるし、予算や人員の手当てもあるから、そういう考えもあるけれどもやはり問題があるんじゃないですかというのが第五回までの専門家の皆さんの意見なんですよ。それが、官邸に説明に行った途端に違う方向に変わっているので、まさに専門的な議論の積み上げを一気にひっくり返しているんじゃないかということで聞いているわけですよ。合理的な理由がないです、これは。

 なぜ、第五回までの議論と第六回までの議論がこんなに変わってしまうのか。しかも、メールまで出てきているのに、聞かれたら、また言いぶりや答弁を変えていく。こういうことが不信を招いているんじゃないんですか。

 これは改めて同僚議員からも質問させていただきたいと思いますけれども、これでは疑念は一切晴れないと思います。

 総理にもう一度お伺いします。

 前回、一週間前に質問させていただいたときに、我々が統計をいじって政策をよくしようと見せていたわけでは全くないと答弁をされました。

 ただ、私は、これは政策論としてもあり得るなと思うのは、過去にさかのぼって引き下がってしまうということも、ある意味、過去の数字をよく見せようと思う、一つの思いのあらわれではないかと私は思うんですね。

 いわゆる生き残りバイアスというのがあって、残った企業というのはどうしても、生き残りますから、平均よりも賃金が高い企業であることが確率的にもあり得るでしょう。いわば背の高い人たちの集団がずっと残り続ける。そうすると、それを入れかえて、社会全体の企業平均のようなサンプルに入れかえた際には、そのときも下がるし、それをさかのぼって、その企業がかつてどうだったかを調べたら、過去も下がるかもしれない。

 でも、その下がった数字は、まさに、振り返ってみれば、一部の背の高い人たちではなくて、背の低い人たちも含めた社会全体の企業の賃金のあり方なのかもしれませんから、下がること自体を悪いと決めつける必要もないと思うんです。そのときに、やはり価値判断が入っていると思うんですよね。

 繰り返しになりますけれども、第五回までの検討会では、現場の実務も考えたときに、予算、人員を考えたらいろいろあるけれども、やはり総入れかえで継続していこうとなっていたのが、官邸に行って、これは中江秘書官も認めていますけれども、部分入れかえという考え方もあると。

 一つの考え方を示されたのは、これは一つの政策的な価値だし、判断だと思います。そのことをきちんと議論して、そういうふうになっていくならまだしも、いきなり第六回で、開いて、いきなり結論が変わっているというところに政策決定の不透明さ、そして、こうして国会で聞いても、その過程が得心がいく形で説明をいただけないから、前回も総理に聞きましたけれども、改めて伺います。

 我々が統計をいじって政策をよくしようと見せていたわけでは全くない、総理、今もそうおっしゃることができますか。

安倍内閣総理大臣 まず、この問題については、いわゆる十五年間行われてきた不適切な統計のとり方の問題、いわば統計不正と言われている問題とは全く関係のない問題であるということは、まず明確にしておきたい。別の問題ですね。これは共通認識だと思いますよ。

 それを一応述べておいた上で申し上げますが、これは私も、これが問題になってから説明を受けたんですが、いわば、まさに今、玉木委員がおっしゃったように、ずっとサンプルを入れかえをしないと、生き残るところだけを対象にしていきますから、よく出てしまう。三年間それをためておいてかえますと、段差ができますから、これをまた修正していくということになって、さかのぼって修正をしていくということになっている。

 サンプル入れかえは、毎年毎年半分やっていくんですから、毎年毎年やっていきますから、そのたびにいわば修正されていくわけでありますから、この変更がよく見せようということにはむしろならなくて、段差を三年ためているよりも、むしろ毎年毎年これはかえていくということでございますから、まさにタイムリーなものが出ていくということなのではないか、こう思いますね。

 ことし、毎月毎月とっていますが、これは例えば、三年後にやってみないと今のやつが正しいかどうかわかりませんねというのでは、ユーザーの皆さんは、それはちょっとどうなのかという声が出てきたということは姉崎さんからも答弁があった、こう思うわけでございまして、阿部座長も、精度を上げるということにおいては、サンプルの入れかえということについて、それはそうだということを言われているわけでございます。

 ですから、当然、これに変えたところで、我々のアベノミクスがよくなるというわけではございませんし、先ほども答弁の中で申し上げたんですが、一五年にかえたところで、かえるのは一八年ですし、その結果が出てくるのは一九年ですから、これは、一五年に、一九年に出てくるものについて私たちが期待して変えるということはまず考えられないわけでございまして、そういうものではもちろんないわけでありますし、そういう考え方で仕事をしているわけでは全然ないわけでありまして、委員がおっしゃったように、中江秘書官が、これはやはり三年遡及して変えていくというのはおかしいね、こう思ったのは当然だろうという趣旨のお話をされておられましたから、私もそのとおりだな、このように考えているところでございます。

玉木委員 専門家がしっかり議論してそうなるならいいんです。専門家の議論を無視していきなり変えることに問題があるし、このメールの中にも出てきますが、検討会開催前の突然の方針の変更で御迷惑をおかけをしますがといって、わざわざ座長に言っているわけです。何で突然の変更が起こるんですかね、議論を積み上げてきたのに。そこにやはり問題があると思うんですね。

 ちょっと行きますが、今回問題になっているのは、実質賃金はどうなるかということなんですが、最後の安倍政権のところをちょっと見ていただきたいんですが、実質賃金指数はずっと下がっているんですね。

 二〇一四年というのをさかのぼってマイナスになると困るということはあったでしょう。かつ今回も、久しぶりに上がるか下がるかということなんですが、今回マイナスであれば、我々の計算では実質賃金は対前年度マイナスになりますけれども、そうなると、アベノミクスと言われている六年間のうち、実質賃金が対前年度プラスはたった一年だけ、二〇一六年だけなんです。あとは全部マイナスです。

 だから、実質賃金指数を見ていただくとわかるんですが、最後、だだ下がりになって、二〇一六年だけちょっと上がって、また下がる。最後それが上がるか下がるかということに、実は大きな影響を与えるわけですね。

 ただ、私はこれを見て、いや、民主党政権の方が実質賃金のレベルが高いですよと、そんな小さなことを言うつもりは全くありません、総理。これは毎月勤労統計の数字でとっていますから、これはまさにファクトであります。

 何を申し上げたいかというと、きちんと継続的に、今、日本の経済がどうなっているのか、賃金がどうなっているかということを客観的に私たちは見ていくことが必要であって、何か専門家の議論を超えて突然に方向が変わったり、ましてや、今、統計の問題が起こっている一つの原因は、やはり、統計職員が減り過ぎたりとか、さまざまな問題があることが背景だと思いますよ。

 今回、部分入れかえを導入することによって、この検討会で途中まで、あるいは最終的にも書いていますけれども、現場の事務負担を解消した上で部分入れかえ方式を入れたんですか。ここにあるような、管理システムの更新、都道府県の人員体制、予算措置の強化、まさに懸念として挙げられているものはきちんと対応した上で、ローテーションサンプリング、つまり部分入れかえ方式に変えたんですね。

 予算、人員についての、そしてシステムについての説明をしてください。

藤澤政府参考人 大変申しわけございませんが、ただいまの御質問は、事前に通告がございませんでしたので御答弁いたしかねますけれども、ただし、先ほど御指摘の、第五回の検討会と第六回の検討会の間の議論につきましては、第五回の検討会で、樋田委員の意見を踏まえて座長が修文をする意向を示したことを踏まえての対応でございますし、御指摘の都道府県の事務負担やコストに関する意見もその際ございましたので、部分入れかえ方式については、引き続き検討するというふうになったものと承知をしております。

玉木委員 全く対応せずに、私は、非常に現場に負担をかける形で方式を入れかえたんだと思いますよ。こういうところが、やはり私は、さまざまなひずみを、特に現場ほどそういったひずみを受けているのではないかと思います。

 森友学園の問題のときもそうでした。結局、命を落としたのは、一番現場で仕事をされている方ですよ。大きな権力を振るう人間は、それがどのような影響を末端の行政組織に及ぼすのか、そのことをしっかりと考えて行政に当たるべきではないでしょうか、総理。

安倍内閣総理大臣 先ほどもファクトとかおっしゃって、実質賃金は下がっているということをおっしゃっていたんですが、別に民主党政権のときのことを自慢していないと。それはそうだと思いますよ。だって、本当に失業者はいっぱいいたんですから。

 要するに、失業者の方々は賃金をもらっていませんから、この平均賃金の中に入っていないんですよ。これをゼロで数えていただければ、相当低くなると思いますよ。民主党政権時代は、まさにこれは悪夢だったんですよ、間違いなく。

 そこで、これもファクトですから……(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

安倍内閣総理大臣 こういう都合の悪い事実を挙げられると、皆さん、すぐそうやって騒がれますが、しばらくおとなしく聞いていただきたいと思います。

 例えば、景気回復に伴って雇用が増加しました。三百八十万人増加しましたよ。(玉木委員「そんなこと聞いていませんよ」と呼ぶ)大切なところですから、これは皆さんに、テレビを見ていただいている皆さんに御理解をいただかなければいけないと思います。

 実際に、就業者数は、昨年です、昨年、女性の就業者は八十七万人増加をしました。そして、六十五歳以上の高齢者も五十五万人増加をしました。もちろん、働き始めているわけでありますから、賃金は高くない。そういう方々の賃金が、勤労者として参加されましたから、頭数で割っていけば、当然それは低く出るんですよ。ということなんですね。これは名目も実質も同じですよ。

 それを、だから名目も……(発言する者あり)いつも小川さんはそうおっしゃるけれども……

野田委員長 やじは控えてください。

安倍内閣総理大臣 名目も実質もそれは同じことでありますから……

野田委員長 総理も対応しないでください。

安倍内閣総理大臣 はい。

 この論理は同じことでありますから、それをまさに、いわば物価で割り戻したのが実質になるわけでございまして、この毎月勤労統計というのはそういう性格を持った統計であるということを御理解をいただく必要がそもそもあるんですよ。

 私は、もうこの議論は六年間ずっと続いてきておりましたから、それを何か、よく見せようなんというのはさらさら思っていないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、ここで、いわば二〇一五年にそういうことをすれば、そこですぐそういう数字が出てくるわけではなくて、まさにそれが出てくるのは一九年の話であるわけでありまして、まさにそれは、玉木さんの推論は根底からややおかしいのではないかと言わざるを得ないのではないのかな、私はこう思っているところでございます。

玉木委員 全く答えていないですね。

 私は、行政に携わっているそれぞれの、一番、本当にいろいろなつかさつかさで頑張っている行政職員の皆さんが、どんなまなざしで総理を見たり、総理の一言一言に何とか沿うようにやろうと思って、行政官はそうみんな頑張るんですよ。そこに何か無理を強いていないかなとか、そこに思いをはせるのが一国の宰相の仕事なんじゃないんですか。情けないですよ、総理。私はそんな議論をしたいんじゃないんですよ。

 もう一回、三番目の実質賃金を出してください。

 私、これを見て、総理から発せられた言葉が今のような言葉だったことが残念でなりません。私がきょう議論したいのは、これを見ていただくとわかるように、確かに安倍政権になってから実質賃金の指数は三・五ポイント下がっています。皆さんが出した数字でも三・五ポイントです。我々が計算した共通事業所の数字によれば八・五ポイント下がっています。ただ、それが民主党政権と比べてどうこう言うつもりはありません。

 この平成が終わろうとするその三十年間の中に、長期に実質賃金が低下しているという日本経済の現状、あるいはそれを導いている構造的な課題が一体何なのかということに総理大臣としては目を向けてもらいたいんです。前の政権と比べていいとか悪いとか、そんな小さな話はもういいかげんやめてください。もう六年間以上総理をやっているんですよ。それを、その半分以下の三年三カ月の民主党政権をいつも出してきて、自分がすぐれている、おまえたちはだめだ、そんなことをやったって、日本の経済はよくならない。ましてや国民の暮らしはよくなりません。

 では、総理に伺います。

 長期において日本の実質賃金が、このように一九九六年をピークに長期的に下落傾向にある、その根本的な理由を何だとお考えになっていますか。

安倍内閣総理大臣 だから、私は、この実質賃金、毎月勤労統計の数字について、その意味について申し上げたんですよ。そういう議論を理解されていないのであれば、こういう平行線は続いていくんですよね。別にこれは民主党政権がどうだったかということではなくて、ただファクトを言っているわけでありまして、ファクトとしては、まさに就業者がふえたのは事実であります。

 それと同時に、傾向としては高齢者の人口がふえているという現実があります。生産年齢人口が五百万人も減っているんですから、一方、高齢者がふえていますから。しかし、その高齢者の皆さんが働くことができる、そういう社会情勢ができてきたから継続的な雇用が可能になった。でも、今までの部長さんは、部長さんのままの給料はもらえないから、当然、再雇用という形になります。でも、ゼロにはならないということなんですね。再雇用になりますから、当然、賃金は下がる。でも、これを賃金が下がったのかと考えるかですね。本来であれば、もともとであればゼロになったかもしれないけれども、しかし、継続的な雇用が可能になった、こう考える、私はそう考えるわけであります。

 そこで、これはコーホートで見ているわけではございませんから、見ているのは、まさに事業体ごとの総人件費をそこの従業員の数で割っただけでありますから、その人の賃金が上がっていく、それを割り戻した実質ということですらないんですよ。ずっと一人一人で見ていっているコーホートの結果ではないですからね。

 ですから、それはまさに毎年四月にやる賃上げということになるわけでありまして、この賃上げについて言えば、今世紀に入って最も高い水準の賃上げがずっと五年連続で続いているのは事実です。そして、中小企業、小規模事業者の皆さんの賃上げも、この二十年間で最も高い水準になっておりますし、そして最低賃金も、ずっとこれは私ども、上げてきているわけでございまして、パートで働く皆さんの時給は過去最高になっているのは事実でございます。

 ですから、それを見るときも、みんなの稼ぎである、多くのエコノミストがそれは賛成していただいていると思いますが、総雇用者所得で見ていけば、これは名目においても実質においてもプラスになっているということであります。

玉木委員 総理、私はそんな短期的な視点でやっているわけじゃないんですよ。長期の構造的な問題をぜひ議論させてもらいたいと思って、きょうは立っています。余りそういう話が総理から聞こえてこないので残念ですが、私なりの考えを幾つか申し上げます。

 総理、総雇用者報酬が大事なのもわかりますよ、一つの指標として。ただ、毎月勤労統計をもとにはじき出した実質賃金の指数というのは何に響くと思いますか。ことしまさに行いますけれども、年金の財政検証に使うんですよ。

 AからHまで前回のケースを出して、年金の再検証をしていますけれども、一番実質賃金の上昇が低いと見積もっているやつでも〇・七で計算しているんですよ。ピーク時の九六年からずっと今日まで来る中で、二十二年間ありますけれども、そのうち十四年、私どもからしたら十五年間マイナスなんですよ、対前年度。

 一番悪い前提として置いていた実質賃金の伸び〇・七も実現していない現状がここにあるんです。だから、年金の計算をしたり年金財政の持続可能性を考えるときには、このグラフは極めて大事なんですよ。話をそらさないでもらいたい。

 もう一つ言います。

 なぜ長期下落傾向にあるのか。幾つか理由があると思いますが、一つは、この間、特にアベノミクスが始まってから何が起こっているかというと、金融緩和によって物価を上昇させようということが一つありました。その結果起こっていることは、企業セクターにとっては二つ大きなコストがあります。一つは人件費、もう一つは資金調達コストである金利ですね。

 この間起こっていることは、実質賃金と実質金利という、企業にとって大きな二つのコスト要因を下げることによって、企業業績を上げてきているんです。逆に言うと、これは家計の負担をもとに企業業績が上がるということです。例えば、金利が下がるということも、実質的には、預金者から、債務者である企業であったり国に対する所得の移転を促す政策になっているわけですね。

 だから、なかなか、まさに実質賃金は下がった、アベノミクスが成功していないのではなくて、実質賃金を下げることによって企業業績を上げることがアベノミクスの目的なんですよ。いや、むしろ成功しているんですよ。成功しているんです。実質金利も、名目でもマイナスになるし、それで物価を上げていきますから、更に実質金利は下がるし、実質賃金はまさに下がってきている、だから企業業績は上がってきている。そういう側面がある。

 もう一つは、日本の労働慣行ですよ。

 やはり、賃金よりも雇用を重視するという傾向があるし、企業からしてみても、なかなか解雇の壁が高いので、正社員を雇ってしまうと、社会保険料も含めて、あるいはベアもずっといろいろなことに響きますから、正社員を雇いにくい。こういうこともあるんだと思います。

 ですから、セーフティーネットをしっかりと高めた上で労働市場の流動化をもっと図っていくとか、あるいは、正社員が雇いにくいのであれば、法人税減税するよりも、企業、とりわけ中小企業の社会保険料負担を下げるような政策をすることが、こういった長期の、労働者に分配がなかなか行かないような経済の状況を変えるためには私たちは有効だと思っています。

 ですから、経済の議論をしたいんです。私は、このような状況のもとで、つまり、経済政策の方向を変えないで増税をしてしまうと、更に家計部門を痛めてしまうのではないのかということを申し上げたい。

 家計の負担の上に成り立つ企業の繁栄というのは長続きしないと思います。今こそ、人を大切にする資本主義や、あるいは、企業よりも、企業ももちろん大事です、ただ、働く人が将来の展望と安心感を持っていけるような、そういう経済政策に今こそ変えていくべきなんだと私は思うんです。

 そこで、もう一つ。

 今、総理は高齢者の話をされました。たくさんの人が働くようになって、いいという話がありますけれども、戦後最長の景気回復、そして企業業績も極めていいですね。でも、その中で生活保護受給世帯の数は過去最高水準です。加えて、その中で高齢者世帯の割合はもう五割を超えています。

 よく、働ける若い人が遊んでベンツを乗り回してサボっているという話がたまに聞こえてきますが、それは国際比較をしても極めて少ない。むしろ、日本における生活保護の問題は、半分以上、貧困高齢者の問題になっています。

 総理が所信表明演説で、この間、八万世帯、働く世代の生活保護受給世帯が減りましたとおっしゃいましたが、同じ時期に、六十五歳以上の高齢世帯の生活保護受給者は約二十万世帯ふえています。

 総理に伺います。

 子供の貧困という言葉がありますが、高齢者の貧困ということをどう捉えているのか。あるいは、それが今どれぐらいの世帯いて、ふえているのか減っているのか。貧困高齢者の問題についての総理の認識を伺います。

安倍内閣総理大臣 お答えいたします。

 先ほど、いわば家計を犠牲にして我々の政策が成り立っているかのごとくのお話がございましたが、それは間違いです。

 もし犠牲にしているのであれば、家計の資産は減っている、家計の預金も減っているということになるわけでございますが、日本銀行の統計で資金循環統計というのがございますが、この資金循環統計は、安倍政権のこの六年間で二百兆円ふえて千八百五十九兆円と、これは過去最高になっているわけでございます。

 現金の預金についても、相当これはふえているわけでございまして、そういう意味におきましては、家計においては、現金の預金も金融資産においてもふえていて、過去最高水準になっているということでございまして、国民の皆さんがまさにデフレマインドが払拭をされて消費が盛んになってくれば景気の好循環が回っていく、こう考えているわけでございまして、実質賃金がずっと減っているのであれば、当然預貯金等はできないわけでございますが、そうはなっていないということは申し上げておきたいと思います。

 そこで、御下問でございますが、高齢者の生活状況について、国民生活基礎調査によれば、六十五歳以上の相対的貧困率はこのところ横ばい傾向にあります。また、生活保護の状況を見ますと、高齢者の増加に伴い生活保護世帯の総数は増加しているものの、経済の回復や雇用情勢の好転により、近年、高齢者、若年者を合わせた生活保護受給者全体の保護率は減少しており、高齢者の保護世帯数の対前年同月の伸びも鈍化してきております。

 低所得の高齢者の方への対策については、既に、年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮や医療、介護の保険料負担軽減を実施をしてきたところでありますが、さらに、本年の消費税率の引上げに合わせて、低年金の方への年金生活者支援給付金の創設、また、さらには、介護保険料のさらなる負担軽減を実施することとしております。また、さきの通常国会で成立をした改正生活困窮者自立支援法に基づきまして、生活に困窮されている方に対する就労、家計面の支援体制を強化をしていく考えであります。

 こうした数々の施策によって、できる限り高齢者の皆さんが生活に困窮することのないように支援していくことが重要であると考えております。

玉木委員 総理、認識が甘いと思いますよ。

 まず申し上げたいのは、相対的貧困は、近年、横ばいではなくて微増です。まあ、三年に一回しかとっていませんから、私は安倍政権のせいだとは言いませんけれども、やはりふえているんですね。かつ、問題なのは、率がふえるだけではなくて、六十五歳以上の数がふえている中で横ばいということは、絶対数はかなりふえてきているんです。そのことをぜひ認識してください。

 子供の貧困と一番違うのは、子供の数が減っている中で貧困率が下がったら、かなり絶対数も減ります。ただ、六十五歳以上の人口がどんどんふえる中において率が横ばいあるいはふえているということは、絶対数の相対的貧困の中にいる人はふえているという認識をぜひ持ってもらいたいんです。二〇%ですからね、五人に一人の高齢者は貧困なんですよ、皆さん。

 具体的に言うと、総理はさっき、貯金がふえましたと。総理の話はいつも平均値なんです。めちゃくちゃ金持ちがいたら平均値は上がるじゃないですか。我々は、中央値、九十九人いたら五十番目にいる人ですよ、この人に着目しなきゃいけません。

 平成七年から二十七年、例えば世帯の所得の中央値というのは、この二十年間で百二十二万円、率にして二割以上落ちているんです。そういうことを見ないで、いや、何か、貯金がふえています、資産がふえていますと言っても、まさに生活実感にマッチしないんですよ。平成七年にはまだ専業主婦が多かった。でも、平成二十七年は七割が共稼ぎですよ、夫婦で働いている。にもかかわらず世帯全体の所得の中央値が百二十二万円も落ちているという現状に、我々はしっかり向き合わなければいけません。

 そのことは何を意味するかというと、現役の稼ぎが少なくなるということは、将来の年金額にも響くんですよ。そういう人がどんどんどんどんこれから高齢世帯になっていきます。そして、この現状ですよ。

 先ほど総理がおっしゃったような、年金の受給資格を二十五年から十年にする、あるいは介護などの保険料を減免する、あるいは、月五千円、最大月六万円の福祉的給付、これは全部民主党政権で決めたことですから。それ以外に、貧困に向き合う高齢者に対する対策が極めて薄いのではないかと思いますよ。

 私は、今回の福祉的給付、最大月五千円、年間六万円ですけれども、もう少し税の投入をふやしてでも、年金の、特に基礎年金の最低保障機能は高めていくべきだと思います。ある意味、高齢者向けのベーシックインカムのような制度をつくっていかないと、生活保護を受ける高齢者の数は激増すると思いますね。

 できるだけ年金制度の中で、四十年掛けたらその中で将来が安心できるような、最低限の尊厳ある生活を保障するような年金額をどうやって確保するのか。こういう議論をそれこそ与野党挙げてやるべきだと思うんですよ、私は。負担の議論からも、もちろん逃げてはだめです。でも、そのことなくして、単に、何か金融緩和をしたら全部が解決するようなことは、そろそろ御卒業されてはどうかなと思います。

 次に、こういう状況の中で、いよいよ、ことし十月から消費税が上がります。私は、給付と負担を一体的に考えていく一体改革の理念は賛成です。そして、これからふえていく年金、医療、介護、そして子育ても入れた社会保障四分野の安定財源をしっかりと確保していく、これは与野党を超えて議論していくべきと思いますよ。

 ただ、今回、十月から入れようとする消費税、そしてそれにかかわるパッケージは、私、賛成できません。なぜなら、端的に言えば、高所得者に極めて有利で低所得者に極めて不利、すなわち、逆累進性、あるいはもっと言うと、逆再配分機能を極めて強く持った仕組みになっているからです。

 まず、これはかつてやりましたけれども、八%の税率を一〇%に上げます。生活必需品は八%に据え置く。その意味では、一部の商品については二%減税するわけですね。その減税財源は約一兆円かかります、一・一兆円ぐらい。まあ、階代議士のこの前の指摘だと、もっとふえるかもしれない。

 ただ、一兆円としたときに、では、その減税分は誰に行くのか。所得階層で見たときに、年収三百万以下の方に行くのはたった一割です。多くのメリットは中高所得者に行きます。これは考えてみたら当たり前で、やはりお金を持っている人が食料品だっていっぱい買うわけですよ。同じ牛肉を買うにしても、輸入牛肉じゃなくて神戸牛を買おうとなるから、二%分のメリットは高所得者に多いのは当たり前です。これがまず一つ。

 次に、使い道です。入ってきた消費増収分を何に使うかというときに、今回、幼児教育の無償化ということをやります。我々も賛成ではありますけれども、ただ、ちょっとこのやり方はどうなのか。

 枝野代表もやっていましたけれども、約五千億円、保育の無償化にはかかるんですが、これを見てください。年収六百万以上の方に、この五千億円、消費税を上げてですよ、上がった税収で回していくお金の五千億の半分が年収六百四十万以上のところに行きます。年収二百六十万以下、生活保護世帯とか住民税非課税世帯とかですね、これは、今回消費増税して、行くお金は一%ですよ。

 もっと具体的に言いましょう。例えば年収一千五百万ぐらいの方は、今回の消費税増税で一年間の負担は七万円ふえます。七万円ふえて、その一千五百万円の年収の方が、子供がいて、三歳―五歳、保育園へ預けたら、受けるメリットは六十六万円ですよ。ちょっとどうかしていると思いますよ。

 もちろん、低所得の方には既に保育料が減免されているから、その意味での追加がないということなんですが、それにしたって、これは与党の皆さんも感じてもらえると思いますが、ただでさえ逆進性が強いと言われるような消費税で、使い道が、年収六百万以上の方に半分以上行って、さっき具体的に、千五百万以上の年収の方は七万円の負担で六十六万二千円ですよ。年収三百万以下の方には一万五千円ぐらいしか行かない。

 もう一回言いますよ。軽減税率自体、得するのは、一兆円の減税は、三百万以下の方には一割しか行かない、ほとんどは中高所得者に行く。その使い道を、保育の無償化を見てみると、お金持ちばかり優遇されているんですよ。ユニバーサルな制度だから、所得に関係なく子育てをやりましょう、これはわかる。だったら、ほかのところからもっと高所得者に負担を求めるべきじゃないですか。

 それで、我々がずっと言っているのは、金融所得課税の強化ですよ。

 日本は累進課税をとっているから、所得がふえればふえるほど所得税率は上がることになっています。ただ、この横軸、一番左、年収二百五十万、一番右が年収百億円ですよ。いるんですね、一年間に百億円の所得がある方。これを見ていただくとわかるんですが、累進ですよ。ずっと、所得が上がるにつれて、だんだんだんだん税負担が上がっていきます。でも、おやっと思いますよね。あるところから税負担は下がっていくんです、一億円をピークに。どんどんどんどん下がっていくんですよ。おかしいでしょう。

 これは何でおかしいかというと、別に脱税しているわけではありません、高所得者の名誉のために言うと。

 総理、聞いてほしいんですけれども……(発言する者あり)

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

玉木委員 総理、先ほどから申し上げているように、今回の消費増税とそれに伴うパッケージは、極めて高所得者に有利で低所得者に不利。つまり、所得の再分配機能というのは、余裕のある方からいただいて、厳しい方に再分配するということなんですが、みんなから取って所得の高い人に再分配しているんですよ、今回は。

 特に、さらに、こういう金融所得課税、分離課税になっているので、合算してかけないので、どんなに金融所得でもうかっても、最大二〇%の一律課税。かつては株はもっと低かったですから、更に低い税率になっている。こういうところを見直さないで、今のような極めて高所得者に有利な消費増税は、先ほど来申し上げているような、更に家計を痛めることになるんではないかと思っているんです。

 加えて、この消費税、特に今回は軽減税率というものが入ります。私は、これは本当に、総理、今からでもやめませんか。将来に大きな禍根を残すので、ぜひやめるべきだと思います。やめる理由の一つが、不公平だからです。

 ここで、総理に伺います。

 これは代表質問でも申し上げたので、改めて伺いますが、新聞です。

 食料品は軽減税率にすることが百歩譲って何とかわかるんですが、何で新聞が八%に、軽減税率の対象なんですか。しかも、宅配で家に届くのは八パーなんだけれども、全く同じ新聞を駅で買ったりコンビニで買ったら一〇%、私のように全く同じものをiPadなどで電子版で読んだら一〇%。意味がわかりません、なぜこういうことをするのか。新聞業界から陳情をもらったからやっているとしか思えないんですよ。だったら、何で書籍はしないんですか、雑誌はしないんですかということになりますよね。新聞の、しかも宅配だけ八%の軽減税率を適用することの明確な理由を教えてください。

麻生国務大臣 先ほど二つ質問されていたので。一つは軽減税率の書籍の話と、もう一個は分離課税の話をされておられるので……(玉木委員「いや、分離課税はいいです。新聞だけでいいです」と呼ぶ)こっちだけでよろしいですか。

 まず、定期購読契約に基づく新聞については、もうたびたび申し上げておりますように、これは、普通の生活においての情報媒体として、全国あまねく、ほとんど均質に情報を提供して、幅広い層に日々読まれておるということ、また、新聞購読料に係る消費税の負担というのは、これも逆進的になっていることなどを勘案して、軽減税率の適用というものの対象にさせていただいたところでございます。

 駅売りはどうだということでしたけれども、これは、消費者が必要な都度選択し購入するものですので、必ずしも日々の生活の中で幅広い層に読まれているとは言えないということではないかなど、定期購読新聞とは性格が異なっております。

 また、電子版の新聞というのも御質問がありましたけれども、これは、インターネットのような情報提供サイトの間で合理的かつ明確な線引きというのは極めて困難だと思っておりますので、標準税率を適用することとさせていただいたところであります。

 また、具体的な税率の適用ということの事例に含めまして、軽減税率制度の周知、広報というのは今後やっていかないかぬところだと思っております。

 今、もう一点御質問がありました書籍ですけれども、これは、対象範囲の外延の定義づけが極めて困難ですし、書籍、雑誌の購入に係る消費税の負担というものは逆進的とは言えないと思っております。また、有害図書等々を排除するというような仕組みもこれは存在しておりませんので、我々として、総合勘案をさせていただいて、軽減税率の適用の対象外とさせていただきました。

玉木委員 聞いてもわかりません。

 駅売りとか、毎日キヨスクで通勤途上買っているような方々もいらっしゃいますよね。日々の生活の中で幅広い層に読まれていると言えないから駅売りはだめ、宅配は、全国あまねく均質に情報を提供し、幅広い層に日々読まれているから。幅広い層に日々読まれているかどうかが八%か一〇%の差なんですね。

 では、伺います。

 日々の生活の中で幅広い層に読まれていることの定義を教えてください。

麻生国務大臣 一定の限度で私どもは、新聞もいろいろあろうかとは思いますけれども、少なくとも、定期的に購読されているというのであれば、週何回か定期的にというようなものが配達されていること等々が、ある程度の基準だと思っていますけれども、年に一遍のものも定期購読じゃないかとかということにはしておらないのであって、私どもとしては、月何回かの定期購読というような形にさせていただいているというように御理解いただければと存じます。

玉木委員 でも、日々の生活の中で幅広い層に読まれていることと定期購読かどうかというのは関係ないと思いますよ。それは、課税当局が課税しやすいからそうしているだけであって、税の論理からしたらよくわかりませんよ。

 では、広くあまねく読まれているということでいえば、例えば英字新聞。英字新聞は、まあ麻生大臣は読むかもしれませんけれども、広くあまねく読まれているわけじゃないですよね。では、当然、英字新聞は一〇%ですね。いかがですか。

麻生国務大臣 アラビア語であろうと英語であろうと、定期的に購読されているというので契約をされているというものであれば、それは多分八%になっていると思いますが。

野田委員長 大丈夫ですね、麻生財務大臣。

麻生国務大臣 そのとおりです。

玉木委員 今、これはテレビをごらんになっている方も何だろうなと思ったかもしれませんが、要は、恣意的な基準なんですよ。八にしたから八にする、一〇だから一〇と。オロナミンCは八%で、リポビタンDは一〇%なんですよ。これも、にわかに聞いてわからないですよね。まあ、医薬部外品と清涼飲料水だということなんですけれども。

 つまり、不公平なんです。陳情して、陳情が成功した業界のものだけ安くなるとか、こういうことをやはり税はやっちゃいかぬですよ。やはり税は、誰にとっても余りいいものじゃないですよ。だからこそ、公平だとか、中立だとか、簡素だとか、こういう原則をしっかり満たしながら賦課徴収していくということが大事なんですよ。今言ったような、何だかよくわからない、俺が決めたからそうだみたいな理由では、税の基本がゆがみます。

 総理、これは本当に、私は今からでも遅くないと思います。軽減税率、やめませんか。撤回すれば、例えば、一兆円出てくれば、これは、私がずっと言っているコドモノミクス、児童手当を拡充して、第一子は月一万円、第二子は月二万円、第三子は月四万円、これで十八歳になるまでやれば、第三子は九百万円いくんですよ、一千万円弱。それでも、追加の財政需要は一兆円ぐらいしかかからないんですよ。なぜなら、第三子で生まれてくるのは、もう今、日本では全国で十六万人ぐらいしかいませんから、年に。

 だから、一兆円の使い方だって、もっとほかのことをやれば、少子化対策にもなるし経済の活性化にもなる。こんな、聞いたってよくわからない、行政の恣意性が入るし、まさに利権の温床にさえなりかねないような軽減税率はやめるべきだと思いますが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 予定どおり導入する考えであります。

玉木委員 本当に将来に禍根を残すので、やめた方がいいと思いますよ。

 最後に、外交について一問聞いて終わりたいと思いますが、いろいろ心配事がふえております。通告はないんですが、ロシア外交について最後伺って、終わりたいと思います。

 ラブロフ外務大臣が、安倍総理が平和条約を締結すると表明していることに、正直言って、その確信がどこから来ているのかわからない、プーチン大統領も私も、そうした発言につながる根拠を与えていないと述べました。また、六月に、G20があるときにプーチン大統領が日本に来て、そのときに平和条約締結の大筋合意を目指しているとされていることについても、一切の合意はなく、あり得ないことだ、誰一人として大筋合意の枠組み計画を目にしておらず、日本側が何を意味しているのかわからないと述べています。

 総理、ここまで言われているんですよ。平和条約を締結できる確信はどこから来るのか、国民の皆さんにぜひ堂々と説明してください。

安倍内閣総理大臣 ラブロフ外務大臣の発言でございますので、河野外務大臣から答弁させます。

河野国務大臣 条約の交渉は、交渉の場で行うものであって、外で行っているものではございません。外務大臣の発言に一々コメントする必要もないと思います。

玉木委員 そうやって向こうはどんどん言われているわけですよ。

 では、総理に最後に伺います。

 歴史認識を伺います。ヤルタ密約、ヤルタ協定について、総理はどうお考えですか。これが本質的な問題だと思います。このことについて総理がどうお考えなのか、お答えください。

安倍内閣総理大臣 条約上のことでございますので、それは密約でございますが、既にこれは政府の立場は決まっておりますので、河野外務大臣から答弁いたします。

河野国務大臣 ヤルタのことについては、日本はそれに加わっているわけでもございませんので、それに束縛されるものではないと思います。

安倍内閣総理大臣 外務大臣が今御説明したとおり、我々はこれには加わっていないわけでありますから、日本の立場は今までも、かつての日ロの交渉、あるいは日ソの交渉においても、日本側はこの立場をずっと堅持をしているということでございます。

玉木委員 さまざまな外交交渉をされていますから、言えること言えないこと、あるとは思いますけれども、何か随分、私は押し込まれているような感じがしますね。

 今のままいくと、金だけ取られてゼロ島返還、言葉は悪いですが、ゼロ島マイナスアルファ、そういったことにもなりかねないと思いますので、しっかりと交渉をしていただくとともに、最低限必要なことは国民にしっかり説明をして、理解を得ながら進めていくことが大事だということを指摘申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官緒方禎己さん、防衛省地方協力局次長田中聡さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

野田委員長 この際、渡辺周さんから関連質疑の申出があります。玉木さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。渡辺周さん。

渡辺(周)委員 それでは、引き続き、国民民主党の持ち時間の中で質問をさせていただきます。

 この予算委員会、三十年度の第二次補正予算、そしてこの三十一年度、来年度の本予算の審議を続ける中で、議論の中心はこの統計問題でございます。補正予算のときからこの統計問題を審議する中で、当初は、不正統計あるいは不適切統計と言われたこの統計問題が、今や、統計偽装、偽装統計ではないかというように問題の本質が変わってまいりました。

 当初は、与野党で、この統計問題、いわゆる不適切な統計については、我々の政権もまたいでいたこともあるから、これは与野党で取り組んでただしていきましょうと言ってきまして、与党からもそういう御発言がございましたけれども、ここへ来て、我々がたび重なる理事会で、真相究明のキーマンとなる方に参考人で来ていただきたい、あるいは資料を出していただきたいと言うんですけれども、何か意図的に真相の解明をおくらせようとするかのような、非常にもたもたとした答弁も、あるいは参考人も御都合がつかないというようなこと、あるいは、先般の姉崎参考人の質問の中に出てきた方のことを、私たちが、ぜひその答弁を補完、補強するためにも来ていただきたいと言うと、今は課長補佐の任にあるので、政府を代表して答弁するような立場ではないというような理由をつけて、実はお越しいただけません。

 そういう意味では、当初は与党も、与野党で協力してこの統計問題をただしていきましょうと言っていたんですけれども、ここへ来て、非常に何か非協力的な姿勢が目立つわけでございます。

 そこで、通告していませんが、総務大臣に伺いたいんですけれども、実は、あす、総務委員会で法案の質疑とあわせて統計問題の集中審議があるということで、この委員会にも参考人として来ていただいている西村統計委員会委員長、この方に総務委員会では来ていただきたいというような要請を先週からしているけれども、実は、この方が出席できない理由として、こういう資料、文書が回った。

 それをちょっと読み上げますと、

  統計委員会委員長は非常勤の時間給のアルバイト公務員でしかなく私は本務として、学者としての研究教育、そしてその他企業関連の取締役や顧問の仕事をいくつも抱えて居ます。

  国会に対しては、本務を犠牲にしてできるだけ協力していましたが、本務としての研究教育及びその他の企業関連の仕事に支障を来す事態に至っており、これ以上本務に支障をきたす形では協力出来ません。

 何かいわば絶縁宣言のような文書が、これはちゃんと発出元が総務省の大臣官房秘書課というところですね、差出人でファクスが来たもののコピーでございます。

 これが、総務委員会の、先週から、西村統計委員長にお越しいただきたい、しかしお越しいただけないという理由の一つとして、きょう、私たちの手元にございます。

 たしか、西村委員長さん、ここの委員会でも懸命に答弁をされていて、そんなことを、「非常勤の時間給のアルバイト公務員でしかなく」などという、このような卑下した言い方をするのだろうかと思っておりまして、実は真偽をはかりあぐねておりましたら、また別の文書が先ほど国対の方に、総務省の官房の方から持参がございました。

 そうしたら、「国政における国会審議の重要性は強く認識しております。しかし、同時に、私には研究教育等の本務があることを認識していただきたいと思います。」先ほどよりちょっと丁寧な物言いになりました。「そのもとで、研究教育等の本務に支障のない限りにおいて、国会には協力する所存です。なお、国会周辺には私が提出した「文書」と称するものが回っているようですが、私はそのような「文書」を提出するように指示したことはありませんし、内容も提出を前提とした文書としては明らかに不正確であり、」つまり言っていないことが書いてある。「ふさわしくありません。このような「文書」が国会にわたった経緯を私は知りませんが、極めて遺憾です。」というようなことを、先ほど総務省の方が、国対、国会対策委員会の方に届けられた。

 こちらには、後からのペーパーには、日付、二月二十三日の日付と委員長のお名前があります。ただ、直筆の署名ではございません。先ほどの文書は、全く日付もなければ、どなたのお名前も書いてございません。

 この委員会、本予算委員会に、西村委員長がお越しいただけたり、あるいはいただけなかったり、いろいろ、海外に何か出張されていることや、あるいはその他の所用があって、来られる日と来られない日というのを我々も理事会の中で聞いておりまして、できるだけ来ていただけるときにその質問に沿うような形でバッターも立ててきたわけなんですが、お越しいただけないとなると、こういう実は事情があったのかなと思います。

 ここで、総務大臣、あすの総務委員会に来られない理由として、このような形での総務省からの回答があり、あるいは、それをまた訂正した西村委員長名の文書もあるわけなんですけれども、この真偽については、総務大臣は報告を、確認をされているかどうか。そして、もし確認しているのであれば、このような報告は、やりとりがあったことは承知しているかどうか。その点、いかがですか。

石田国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 西村委員長には、今までも国会に四回出席をいただきまして、意見を述べていただいていると承知をいたしております。

 先ほど御指摘をいただきました文書、当初の文書は、もともと出回っていた文書ということで、統計委員会担当の職員が西村委員長とやりとりをする過程のものであり、正式に提出されたものではございません。ただ、委員長の御都合ということがあるということで、そういう関係で国会関係の皆さんに御説明に上がったときのものではないかなと思っております。

 ただ、そういうこともございましたので、本日、西村委員長のお名前の入った文書が出されまして、先ほど御紹介いただきましたが、もう一度御紹介いたしますと、

 国政における国会審議の重要性は強く認識しております。しかし、同時に、私には研究教育等の本務があることを認識していただきたいと思います。そのもとで、研究教育等の本務に支障のない限りにおいて、国会には協力する所存です。

 なお、国会周辺には私が提出した「文書」と称するものが出回っているようですが、私はそのような「文書」を提出するように指示したことはありませんし、内容も提出を前提とした文書としては明らかに不正確であり、ふさわしくありません。このような「文書」が国会にわたった経緯を私は知りませんが、極めて遺憾です。従って本文書が私の初めての提出文書であることを明確にしたいと思います。

 今この読み上げた文書が初めての文書だということでございまして、不正確なものが国会内に出回っていることにつきましては、大変申しわけなく思っております。

渡辺(周)委員 そうすると、お認めになられましたから、総務委員会あるいはこの予算委員会にお出になられないということは、何か、当初は、本務を犠牲にしてまで出たくないというようなことをおっしゃっていた、それは事実ではないと。

 そうすると、職員のメモ書きがこのように出回ったということは、職員の方が、西村統計委員長から聞いた話ではなくて、それを意訳したということで、このような乱暴な書き方なんですか。「統計委員会委員長は非常勤の時間給のアルバイト公務員でしかなく」なんて、こんな言い方をするだろうかと思うんですけれども。

 これはそうすると、この何か三くだり半というか絶縁状のような書き方を見ると、誰かが、もう来ない、こういうことで来ませんということで、言っちゃ悪いですけれども私文書偽造的な、言っていないことを、もう本人が、甚だ遺憾だ、これは私の文書ではないと言っているわけですから、当初、こういうことをどなたか総務省の役所の人間が書いて返事をしたことによって、出られない理由にしていた。

 つまり、動機が違うじゃないですか。そんなことは言っていないわけですから。「これ以上本務に支障をきたす形では協力出来ません。」なんて、これは、要は、この委員会やあるいは総務委員会に出てこない理由を捏造したということになりますけれども、大臣、その責任はいかがですか。

石田国務大臣 私が先ほど申し上げましたように、委員長御自身の、きょうペーパーが出ておりまして、先ほど読み上げましたように、「研究教育等の本務に支障のない限りにおいて、国会には協力する所存です。」ということでございまして、委員会に出ないということを申されているというわけではございません。

渡辺(周)委員 この問題は余り長くやるつもりはございません。ただ、この委員会なり、あす開かれるのであれば総務委員会の席で、ぜひ大臣、責任を持った事情説明をして、なぜこのような答えになったのかということははっきりとしていただきたいということを申し上げたいと思います。

 それで、今もこうしてやりとりをしたとおり、まさにこの真相究明のキーマンとなる参考人が出てこなかったり、もっと言えば、この今のやりとりを見ていると、役所の方が本人とは違う理由をつくって出てこないようにしている、ブロックしている、そう言わざるを得ないわけなんですね。資料も小出しにしてくる。

 今のこの審議を見ていると、多分テレビで見ている方々、何か、もたもたもたもたやっている、一体何でこんな問題ばかりやっているんだと思われるかもしれませんが、実は、当初の話と違って、非常に政府・与党が真相の解明に後ろ向きになってしまっている、そのことをここで指摘をせざるを得ないと思うんです。

 そこで、ちょっと総理に答弁を求めたいんですが、こういう内閣でこのままお続けになるつもりなのか。新元号に改まる五月一日以降、総理はひょっとして内閣改造を考えているのではないか、そのようなお考えはないですか。私たちは、この国会中にこの問題の真相究明をしたい。しかし、この問題で、国会を閉じれば、新しい世を迎える、平成が終わり、今上天皇陛下が退位をされて新天皇が即位をされ、そして新しい御代を迎える中で、新しい元号に改まることを契機に内閣改造をするというようなお考えはございませんか。

安倍内閣総理大臣 現在のところ、内閣改造については全く考えておりません。

渡辺(周)委員 今、現在のところというふうにおっしゃいました。ということは、現在は考えていないけれども、例えばこの国会が終わった後に、大変僣越な言い方ながら、櫻田大臣も非常にその任の当事者意識が薄いのではないかというような繰り返しの、委員からの質問に対しての姿勢が目立ちます。ですので、今現時点ではということは、ひょっとしたらお考えになっているのかなと。そして、そこで一度この内閣の責任をチャラにしてしまうのではないかというような懸念も私は持つわけでございます。その点については、また改めて質疑をしたいと思います。

 それで、拉致問題担当大臣がこの後記者会見ということでございますので、田中実さんの点について一問伺いたいと思います。

 二〇〇五年に拉致被害者と認定をされた田中実さんが、先般の報道で、平壌市内で妻子とともに生活をしているというふうに伝えられました。ところが、この問題はこれが初報ではなくて、もう二〇一四年のころにも、実はストックホルム合意の前に日本政府に伝えられたと。しかし、今日までこの問題というのは真偽が定かでないまま来て、そして、この間改めて出たということでございます。

 その意図については、いろいろ北朝鮮が出しているのか、あるいは、日本政府が持っていたものを何かの形で動かすために出したのかはわかりませんけれども、日本政府としてのこの田中実さんの生存情報についての正式な見解、これは、今ここで見解をおっしゃっていただくことはできませんでしょうか。

菅国務大臣 北朝鮮による拉致被害者や拉致の可能性が排除できない方について、平素から情報収集に努めております。しかし、今後の対応に支障を来すおそれがありますので、その具体的な内容についてお答えすることは差し控えたいというふうに思います。

 いずれにせよ、先般、拉致被害者の家族会そして救う会が公表したメッセージ、これについては、まさに肉親の帰国を強く求める御家族の皆様方の思いが込められたものであり、こうした御家族の積年の思いを胸に、何としても安倍内閣でこの問題を解決したい、その思いで全力で取り組んでいるところであります。

 政府としては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者、その安全確保及び即時帰国のために全力で取り組んでおりますことを申し上げたいと思います。

渡辺(周)委員 大体予想どおりの答弁ではあるんですけれども。

 田中実さんが妻子とともに暮らしている、そして、特定失踪者とされている、金田さんという一緒のラーメン店で働いていた方も実は生存が報道されるわけです。

 今のような答弁だとは思いますけれども、しかし、これで最後だよということに、生存者情報はこれが最後で、ここで議論が打ち切られるということはないように、ぜひ日本政府としても、この拉致問題に対して、つまり、死亡していた、拉致されたという人が生存をしていた、入国の記録、していないと言っていた人が入国していて生存をしていたわけですから、当然、ほかの拉致被害者に対しては、その一つの希望でもある。つまり、彼らの言っていることは、うそをついていたということでもあります。

 しかし、反面で、なぜ日本政府は今日まで、このことを知っていながら公表しなかったのかということに対しても、やはり何らかの思惑があるのかなと思わざるを得ません。

 そういう意味では、何よりも被害者の御家族の方々や、その支援をしている方々に対して、やはり情報を共有できる部分はぜひしていただいて、揣摩臆測を呼ばないような形での、ぜひ交渉も毅然としてやっていただきたいというふうに思うわけで、そうしますと、公式見解ということは先ほどの御答弁ということですね。それでよろしいですね、もう。じゃ、総理からどうぞ。

安倍内閣総理大臣 拉致問題の解決のために渡辺周議員にも大変な御尽力をいただいていることを感謝申し上げたいと思います。

 ただいま田中さんについて言及をされたわけでございますが、我々、拉致被害者の情報については、常日ごろから情報収集そして分析に努めているところでございまして、拉致被害者の奪還に今全力を挙げているところでございます。

 同時に、被害者の御家族の皆様方に対しましては、政府としてできる限り、出せる情報は私の方から出させていただいております。被害者の方々の御家族の皆さんも、これが、私が御説明をさせていただいたこと等も含めて、こうしたことが外に出ていくことは交渉を困難にするということをよく承知をしておられるんだろう、こう思うわけでございますが、今後とも、我々、出せる情報についてはなるべく皆様とも共有していきたい、こう考えておりますが、いずれにいたしましても、全ての拉致被害者の全員帰国を目指して全力を尽くしていく考えでございます。

渡辺(周)委員 では、どうぞ、何か会見があるんですね。退室されるということでございますので、御退室いただければ。

野田委員長 菅官房長官、御退室どうぞ。

渡辺(周)委員 それでは、通告した順番とちょっと変わりますけれども、麻生大臣に伺いたい。先ほど玉木代表からも質問がございましたけれども、消費税の複数税率を導入することによる混乱について。

 先週も我が党の古川議員からも指摘がありました。いわゆる複数税率によって、飲食スペースで食べる場合と持ち帰る場合では税率が違う、これは何度も指摘しましたけれども。このようなややこしい制度を導入したばっかりに、その現場でいわゆるトラブルといいましょうか、客同士のトラブルや、あるいは客とお店のトラブルになる。

 簡単です。持ち帰るといって八%で買った人が、外へ出たら雨模様だからといって中に戻ってきちゃって、中に戻って食べていたら、一〇%で食べている人にしてみればおもしろくない。逆もあって、一〇%で中で食べていた人が食べ切れない、やはり食べようと思ったけれども何かいっぱいだから、じゃ、外に持って帰る、持ち帰るわ、二%分差額を返してくれということになれば、それはお店ごとに対応するわけですね。

 たしか、古川委員が質問したときには、それはお店の責任でぜひ対応してくれ、ここにそういう張り紙をしてやって、とにかく会計を済ましてしまえば、そこである意味、そこから先の、もうこれはそういうことだ、会計を済ませたら、その後のことは店側が対応してくれみたいな話なんです。

 この制度を導入することによって、政治が決めたことによって、現場の人たちが、持ち場持ち場で頑張っている人たちが政治のしわ寄せを最後に受けて、お客さんと対面で仕事をしている人が、今言ったみたいなクレームを受けたり、時には、何らかの形で説明をここでしろと。これは日本の店員もそうでしょうけれども、これから外国人の店員の方もいます。今も、御存じのとおり、コンビニや外食サービスに行くと、外国の方、外国籍の方がたくさん接客しています。こういう説明を最も最前線にいる人たちがしなきゃいけないんですよ。これは本当に忍びない、私は申しわけないと思うんですけれども。

 この複数税率の見直しということは、あるいは導入してからの検証というものは、現場でどんなことが起きているか、麻生総理も、御身内が御地元の筑豊で、スーパーASOという麻生さんのスーパーが十五軒ぐらいある、十五店舗ほどあると聞いていますけれども、こういう複数税率の導入してからの検証ですとか、あるいは、苦労をかけるな、皆さんのところにしわ寄せが行っていないか、そういうことを丹念に聞くような機会は考えているんでしょうか。

麻生国務大臣 複数税率、軽減税率、いろいろな表現がありますけれども、この消費税率の引上げに伴いまして、所得の低い方に対しまして、いわゆる飲食料品等々についての対象品目を決めて、その恒久的な措置として実施するものでありますので、これを五年たったらやめるとか、そういったようなことを法令上定めているわけではありません。

 その上で、今言われましたように、やってみた結果、いろいろなことが起きるではないかという可能性というのは、それは私どもとしては否定をするものではありません。いろいろなものでトラブルが起きるであろうし、考えられないわけではありませんし。私も、住んでおりましたヨーロッパで似たようなのが、幾つだか上がったときにその種の話が、いた現場がありましたけれども、我々、日本語で説明してくれた人はいませんでしたけれども。

 少なくとも、そういったものは自然と落ちつくところに落ちついていくんだと思いますので、少々、ある程度トラブルができることはあろうかと思いますけれども、きちんとした対応をできるだけ広くということで、これだけ、いろいろな説明会を四万回、随分多くの方々に説明させていただいておるところですけれども、ぜひこういった形で軽減税率というものを定着させていきたいものだと思っております。

渡辺(周)委員 何度も申し上げますけれども、政治が決めたことで難解な制度を押しつけられて現場の方々が泣くようなことに本当にならないように、ぜひともこの制度の導入には最善を尽くしていただきたいと思います。

 そこで、これは、労働組合のゼンセン同盟、そこの流通部会が調べた結果です。実は、最近は悪質クレームですね、悪質クレームとは何かというと、受忍限度を超えたような、例えば暴言、あるいは何回も同じ内容を繰り返す。約五千人に聞いたら、大体七割の方が何らかのクレームを受けている。そのうち、ちょっとここで言うのもなんですが、相当ひどい暴言も言われた。

 つまり、正当なクレームの権利というのは、消費者にやはりそれは担保されなきゃいけない、それは守られなければいけない。私も聖人君子でもありませんから、過去、生きてきた中で、どこかで誰かに文句を言ったことがないかといえば、それは否定できません。これは皆さんも多分あると思います。

 ですから、今、改めて自分たちを戒めながらも思うんですけれども、最近は、土下座を強要したりとか、ちょっと今までなかったようないろいろな形での悪質クレーム、迷惑行為が起きることによって、七割の方が経験がある。そして、非常に強いストレス、弱いストレスを含めればもっと、中には精神疾患になったような方もいるということでございます。それらも合わせて九割。

 だから、何とかしてこれは法律でできないかということで、我が党としては、この悪質クレームに対する何らかの対策のための法律をつくろう。そのためには、一つには、政府に基本的な施策を義務づける。ぜひ、事業主による悪質クレームの対策を促進するための対応でありますとか、あるいは、被害を受けた方の相談、保健、医療面でのケア、どうしても耐えられなくなった人の再就職の促進とか、こういうことで、何とか法律として救えないだろうかということを今取り組んでおります。

 確かに、サービスの提供側にもやはり最近ではいろいろな問題があって、バイトテロなどという言葉があって、不適切な行為をして、それをおもしろがってユーチューブ等に載せるような、それが民事、刑事の問題になって、損害賠償まで、一生かかっても払えないかもしれないぐらいの損害賠償まで求められるんじゃないかというところまで来ています。

 当然、サービスを提供する側にも問題があれば、消費者が正当なクレームをつける権利は担保するけれども、しかし、余りにも、お客様は神様だといってもここまでさせられるのかというような、精神疾患まで、あるいはストレスで職場を離れたくなるようなことまで耐えなければいけないのかということについて、やはり我々は法制化も必要だろうということで取り組んでおります。

 そこでお伺いしますけれども、先ほど、この消費税が、複数税率、軽減税率が導入されれば、その現場に、恐らく、どうなっているんだ、さっきのお客と俺とで何で税率が違うんだ、こういう問題は現場の方が対応しなきゃいけないんです。そういう意味では、これからそういうクレームがふえるんじゃないかというふうなことを思えば、何らかのやはり法的な措置も考えておかなければいけないと思いますが、その点について、総理、いかにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 顧客からの悪質なクレームなど著しい迷惑行為は、労働者に大きなストレスを与える、無視できないものであると認識をしております。

 政府としては、今後の職場のパワーハラスメント対策の法整備にあわせて指針等を策定し、事業主が迷惑行為を受けた労働者からの相談に対応することが望ましいこと等を明確化するとともに、関係省庁と連携してその指針の周知啓発を図ることを通じて、誰もが働きやすい職場づくりを目指します。

 なお、軽減税率制度の実施により生じるトラブル等への懸念につきましては、事業者の検討の参考となるよう、同一税込み価格を表示すること等を例示したガイドラインや、営業実態に応じた意思確認の方法などの事例についてQアンドA等を公表するなど、周知、広報を行っておりまして、引き続き、制度の円滑な実施に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 昨年の八月に、百七十六万人の署名が当時の加藤厚生労働大臣にこのゼンセン同盟から渡されて、このような政府の基本的施策を義務づけるような法案をぜひ進めてほしいということで要望もしておりますので、この法制化についてはぜひとも御検討をお願いしたいと思いまして、次の質問に移ります。もう十分しかありませんので。

 先ほど、沖縄の県民投票のことについては、るる御質問がございました。ですから、ちょっと時間もありませんので、長い質問はちょっとできませんけれども、前から取り上げてきた日米地位協定の問題について。

 ここにありますのは、外務省のホームページですね。先般、我々が国民民主党として地位協定の見直し案を昨年暮れにまとめたところ、年が明けて、政府のQアンドAの書きぶりも変わりました。その点については、先般、大塚耕平議員が参議院の予算委員会でたしか質問をしていると思いますので、ここで同じことは質問いたしません。

 そこで、もう時間がありませんから、この赤字の部分、QアンドA問い二、「日米地位協定は、在日米軍の特権を認めることを目的としたものですか。」という中に、途中、「他国におけるこの種の条約の例も踏まえて作成されたものであり、」「国際的慣行からみても均衡のとれたものです。」と、まだこんなことを言っている。

 問い三のところには、「日米地位協定は日本にとって不利になっているというのは本当ですか。」。いろいろ書いてあって、「そもそも一概に論ずることが適当ではありません。」と。どちらかというと、これは日本人に対して諭すような書きぶりですね。

 そして、何といっても、今回の沖縄の県民投票の結果で示された民意でありますけれども、やはり、普天間の危険性を除去する、普天間の危険を置き去りにしないといっても、普天間は今もしばらく存在するわけなんです。

 そうすると、航空法を守らせて、とにかく小学校や幼稚園の上空に米軍のヘリが飛んだりするようなことは、当面まずはそこにある危機を避けなきゃいけないということで、何よりも航空法を守らせるということが必要で、実際、日本と同じように第二次大戦で負けたドイツやイタリアを、沖縄県が自治体として初めて地位協定を比較して調査をしました。ここには書いていないんですけれども、ドイツもイタリアも改正をしているんですね、地位協定というのは。

 そもそも、この種の条約の例も踏まえて作成されたものというけれども、その後に何回も、幾つもの国は、韓国もそうですけれども、改正しているんですよ。ですから、ぜひこの地位協定のQアンドA、あるいは地位協定の考え方について、もう少し丁寧な書きぶりに変えるべきではないか。

 かつて河野大臣が言っていたような、現実的に地位協定は変えられるというような客観的な情勢、他国でも既にある環境をつくっていくべきだと思います。

 そこで伺いますけれども、例えば、こういうことも、これはぜひ外務省、書き直していただきたいと思いますし、総理、戦後政治の総決算として、北方領土の平和条約交渉、そして憲法改正を標榜するのであれば、戦後政治の総決算としてこの日米地位協定の見直しに取り組む、盟友トランプ大統領とこの問題について議論をする、前も伺いましたけれども、そういう意気込みはございませんか。外務大臣と総理に伺います。

河野国務大臣 日米地位協定は合意議事録を含んだ大きな法的な枠組みでございまして、政府としては、日米地位協定について、これまで、手当てできる事項の性格に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて一つ一つ具体的な問題に対応してきているところでございますので、今後ともそのようにしてまいりたいと思っております。

 また、国民の皆様に対する説明は、なるべく丁寧にやってまいりたいと考えております。

安倍内閣総理大臣 政府の立場はただいま外務大臣から答弁したとおりでございますが、安倍政権のもとにおきましては、軍属及び環境に関する二つの補足協定の策定が実現をしました。国際約束の形式で得たこの成果は、日米地位協定の締結から半世紀を経て初めてのものであります。

 また、例えば、日本側に第一次裁判権がある犯罪の被疑者たる米軍人軍属の拘禁についても、日米合意に基づき、実際に起訴前に日本側への移転が行われてきているところでございまして、今後とも、このような目に見える取組を一つ一つ積み上げていくことにより、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいる考えであります。

渡辺(周)委員 この問題については、私もライフワークとして取り組んでいきますので、また改めて、もうあと四分しかありませんから、別の機会にこの議論は深めたいと思います。

 戦後政治の総決算を標榜する安倍総理、ぜひ、この日米地位協定、この世界の中で、日本の国は均衡のとれたものだとか、一概に不利だとは言えませんと言うけれども、ほかの国は改正しながら、少しずつ少しずつ、我が自国に有利なようにやってきたんですよ。それをやらないでいて普天間の危険性を除去するといっても、今すぐそこにある、除去をするためには、いかに日本の航空法を守らせて、普天間から離発着するヘリコプターが危険なところを飛ばないようにするか、もうそこなんですよ。そこのところをぜひこれからも議論をしたいと思います。

 最後に、もう時間がありません。実は、先ほど航空法のことに触れました。ドローンには航空法が適用されるけれども、米軍機には航空法が適用されない。大変矛盾も感じるような米軍の例外扱いなんですが、今、与党の方で検討されているドローンの規制法、特に、今までもこの改正法が出されまして、例えば、皇居でありますとか国会議事堂でありますとか首相官邸にはドローンは上は飛ばないよということなんですが、ここへ来て更に自衛隊や米軍の上空も飛ばないと。

 例えば、ラグビーワールドカップやオリンピック、パラリンピックのときは、人が密集しているところはその期間を限定して飛ばないようにする、そこはよくわかります。

 ただ、今回のこの規制法が更に強められると報道の自由が侵されるんじゃないかということで、日本新聞協会等は申入れをしておりますけれども、例えば辺野古の、今その工事の概要を、もし、この上も飛んじゃだめだということになれば、これは米軍施設とは言えないと思いますが、例えばここはだめだ、あるいは、米軍機がどこかに墜落をしたり不時着したりしたときに、それも撮っちゃだめだという話になると、著しく、ただでさえ我々は規制線の外にいる、国民が更に遠ざけられる、報道機関も遠ざけられるようなことになったときに、非常に、何が起きているかということから遠ざけられてしまうので国民の知る権利が侵されるということで、申入れもされております。

 このドローン規制法に対して、マスメディアの取材というのは例外なのかどうなのか。もちろん、テロ対策でありますとか、危険を除去しなきゃいけないから、ドローンに対して何らかの規制が今後必要になっていくことは私どもも否定はしませんけれども、この点について、いわゆる国民の知る権利との両立、共存についてはどのように今お考えになっているか、伺いたいと思います。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 本法案は、小型無人機の普及あるいは活用拡大の一方で、今委員おっしゃったように、ラグビーワールドカップや、あるいはオリンピック、パラリンピック等々の開催、それから基地を標的にした海外でのテロの発生などの情勢を踏まえて、緊急の安全対策として検討を進めているという経緯がございます。

 したがいまして、十二分に知る権利というものは我々も頭に入れながら、今回、国会の審議を通じてしっかりと御説明してまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 いや、上空という概念は、先ほど、ちょっときょうは質問できなくなったんですけれども、横田の空域のことも含めて、上空という概念ってとても広いんですよ。そうすると、例えば、自衛隊基地であるとか、あるいは米軍施設の上空というのはだめだといったら、どの範囲が上空なのか。それによっては、非常に、過剰な規制によって本来知るべきことが知らされなくなるということなんですが、そこのところはどう検討されていますか。あわせて、どのようなガイドラインを今考えていらっしゃいますか。

野田委員長 渡辺さんの質問時間は終了しました。(渡辺(周)委員「最後の質問です」と呼ぶ)大臣の答弁は必要ですか。(渡辺(周)委員「必要です」と呼ぶ)

 極めて簡潔に。

山本国務大臣 航空法では、上空というのは何メートルというのが決められておりますけれども、今回の場合に、上空というのは上限はないものというふうに把握していますが、まだ法案を実は立案中でございますので、細かい議論については、法案が閣議決定された後ほどにまた御紹介できるというふうに思っております。

渡辺(周)委員 では、また改めてこの問題についても取り組みたいと思います。

 終わります。

野田委員長 これにて玉木さん、渡辺さんの質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也さん。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは最初に、昨日、沖縄で米軍新基地建設にかかわる県民投票が行われました。このことについて一言申し上げます。

 辺野古の埋立てに反対が四十三万四千票余に上り、投票総数の七一・七%を占めました。県民投票条例で玉城デニー知事が日米両政府に結果を通知することとされた投票資格者総数の四分の一はもちろん、昨年の県知事選挙で玉城知事が獲得した約三十九万六千票をも超える結果となりました。辺野古新基地建設に反対の圧倒的な民意が示されたわけであります。

 総理は、午前中の質疑で、日米合意から二十年以上普天間の返還が実現していない、これ以上先送りできないと述べ、今後も基地建設を推進する考えを示しました。しかし、二十年以上にわたって普天間の返還が実現しなかったのは、日米両政府が辺野古の基地建設に固執してきたからであります。もう同じ過ちを繰り返すことは許されません。普天間の五年以内の運用停止は今月が期限であります。政府は約束を守るべきです。

 県民投票で示された県民の意思を正面から受けとめ、辺野古新基地建設を断念し、普天間基地を直ちに閉鎖、撤去せよ、このことを強く申し上げ、毎勤統計の問題について質問をいたします。

 毎勤統計について、パネルを見ていただきたいんですが、この毎月勤労統計の調査方式変更の経緯についてお尋ねをいたします。

 毎月勤労統計の検討会担当の厚労省の課長補佐から、毎月勤労統計の改善に関する検討会の阿部座長へのメールのやりとりが左側に記されております。

 このメールでは、九月四日付のメールにおいて、現在、検討会での検討結果等については官邸関係者に説明をしている段階ですと述べております。

 厚労省にお尋ねをいたします。この官邸関係者とはどなたでしょうか。

藤澤政府参考人 お尋ねの、厚生労働省が情報提供を行います官邸関係者とは、官邸の参事官、それから官房長官秘書官、また副長官補室の担当参事官のことを指すものでございます。私どもで関係職員にヒアリングをいたしましたところ、毎月勤労統計につきましては、速報値、確報値など、毎月事務的に情報提供を行っているということでございます。

 なお、当時の官邸参事官に確認をいたしましたところ、九月の四日の前後に厚生労働省から検討会の動向について報告を受けたかもしれないが、内容がテクニカルと思われたので、総理秘書官には報告していないのではないかと思うとのことでございました。

塩川委員 厚労省からの報告を受けた官邸関係者の官邸参事官というのは、厚労省出身の内閣参事官ということでよろしいですか。

藤澤政府参考人 厚生労働省から官邸に行っております参事官でございます。

塩川委員 次に、九月八日付のメールですけれども、ここには、部内で検討した結果、第二種事業所では、部分入れかえ方式、ローテーション方式を採用しているので、第一種事業所についても部分入れかえ方式で行えばよいのではないかと言われる可能性があるため、あえて記述しないという整理にしたいと考えています、姉崎部長の意向もありますというんですが、ここで、パネルでも赤い字で記しているところなんですが、こういう部分入れかえ方式で行えばよいのではないかと言われる可能性、この手計課長補佐は、誰から言われる可能性があると想定していたものですか。

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省藤澤政策統括官。

藤澤政府参考人 御指摘の、姉崎部長の意向もありますのところでございますけれども、当時の担当補佐に確認をいたしましたところ、部長は、都道府県の事務負担、コストを考えれば、部分入れかえ方式の導入は難しいとする考えだと思っていたと。このため、第二種事業所の部分入れかえ方式の記述をすれば、第二種事業所について記載すると部分入れかえ方式を重視していると誤解されることから、あえて記述しない方がよいと考え、部長の意向と記述したと記憶しているということでございます。

塩川委員 いや、誰に言われる可能性があるという話なんですよ。

 姉崎部長のそんたくの話じゃなくて、誰に言われる可能性があるのか、それは誰なんですか。

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省藤澤政策統括官。

藤澤政府参考人 第一種事業所についても部分入れかえ方式で行えばよいのではないかと言われる可能性があるのところでございますけれども、誰からということについては確認できておりません。

塩川委員 これはしっかり確認をしていただきたい。委員長、よろしくお願いします。

野田委員長 理事会で呼ぶという、そういう意味ですね。(塩川委員「はい」と呼ぶ)

 では、後刻、理事会にて協議いたします。

塩川委員 次に、九月十四日付のメールでは、委員以外の関係者と調整をしている中でサンプル入れかえ方法について、部分入れかえ方式で行うべきとの意見が出てきました。御存じのとおり、報告書案では、総入れかえ方式が適当との記載を予定していました、と。

 ここに出てくる委員以外の関係者とは誰かについて、確認をいたします。

藤澤政府参考人 これまでお答えを申し上げておりましたのは、いずれも、先生から事前の通告をいただいておりませんでしたので、お答えできる範囲内でお答え申し上げておりますが、今の御指摘の点の、委員以外の関係者とは誰かでございますけれども、お尋ねの、当時の担当補佐に確認をいたしましたところ、委員からの修文意見には部長が指示をした修文内容が含まれていなかったこと、座長との関係でどのように説明するかを考えた際に、今さら検討会の主催者である統計情報部長の意見とも言いにくかったため、含みのある表現である委員以外の関係者という表現を用いたように思う。具体的には、メール送付時には、統計情報部長と、統計情報部長が接触していた総理秘書官や他の有識者を、自分としては、これは担当補佐としてはということでございますけれども、自分としては想定していたとのことでございます。

塩川委員 委員以外の関係者で、姉崎部長の話が出るのもおかしなことですけれども、この部長が接触していた秘書官というのは、これは、中江秘書官ということでよろしいのか。ほかの有識者というのはどなたなのか、わかりますか。

藤澤政府参考人 当時の統計情報部長が接触をしていた総理秘書官につきましては、当時の統計情報部長が接触をしていた総理秘書官でございます。

 それから、他の有識者でございますが、統計情報部長が、これもおつき合いをされておられた他の有識者のことだというふうに承知をしております。

塩川委員 ちょっと、姉崎さんにその点をお答えいただけますか。

姉崎参考人 お答えをいたします。

 この委員以外の関係者のことにつきましては、二月十九日の夜に厚生労働省の方から私に確認がございまして、その時点ではメールについて承知をしていなかったんですけれども、もし、委員以外の関係者という記載が事実であるとすれば、要は、私の修正の指示が九月十一日か十四日ということで検討会の直前だったために、阿部座長に対して私からの修文案だというふうに言い出しにくくて、ちょうど九月十四日の午後に私が総理秘書官のところに説明に行っていたので、そのことを念頭に置いて、委員以外の関係者という言葉を使ってしまったのではないかというふうに考え、もしそうであるとすれば、これは、中江総理秘書官のことではないかというふうに思ったので、そのように確認に答えた、こういうことでございます。(塩川委員「ほかの有識者は」と呼ぶ)

 ほかの有識者というのは、統計情報部におきましては、この毎勤の研究会以外にも、統計整備の研究会等さまざまな研究会があって、私が常日ごろから学者の皆さんと接しておりますので、そうした中でお話を多分したというふうに補佐が思ったのではないかというふうに思います。

塩川委員 いやいや、そんなことを言っても納得できるものではありませんよ。これはやはり、手計さんにしっかり来てもらって、説明してもらうことが必要だ。この点については改めて求めていきたいと思っております。

 要するに、このやりとりの中でも、官邸の関係者というのが繰り返し出てくるわけであります。この表にもあるように、九月の十四日、姉崎部長らが、中江秘書官に検討会について説明した。中江秘書官が、部分入れかえということもあるのではないか、これは、姉崎さんの言葉ですけれども、そういうふうに述べたということであります。

 この一連の経過を見るときに、このメールのやりとりの直前にあったのが、九月三日の安倍総理の国会答弁の準備勉強会であります。

 参議院の厚労委員会における我が党の小池晃議員の質問に対して、安倍総理は、調査対象事業所の入れかえの影響によって六月の賃金がマイナスになったことについて言及をしておられます。

 中江参考人にお尋ねします。

 この勉強会のときの出席者は、中江総理秘書官、厚労省出身の内閣参事官、その他総理秘書官ということでよろしいですか。

中江参考人 お答え申し上げます。

 この九月三日の国会答弁の総理への御説明、参議院の厚労委員会で厚生省の法案の審議でしたので、私がほとんどの問いについて多分説明したと思います。それで、そのときに都合がついていた総理秘書官がいたと思います。

 それから、厚労省出身の参事官も、普通であれば、特段何かの用事がなければ出ていたと思いますが、済みません、そこは、誰がいたかというのは、ちょっともう四年近く前ですので、はっきりしません。

塩川委員 中江総理秘書官、また厚労省出身の内閣参事官の名前が出たところです。要するに、メールのやりとりでも取り沙汰されている、そういう官邸の関係者がこの総理の勉強会に出ていた。

 安倍総理にお尋ねをいたします。

 この八月七日、第五回の毎月勤労統計の改善に関する検討会で、阿部座長は、総入れかえ方式で行うことが適当だと。それが、次の九月十六の第六回の検討会では、中間整理案として、サンプルの入れかえ方法については引き続き検討、姉崎部長は、総入れかえ方式ではなく部分入れかえ方式を検討したい、こういう発言を行っていた。その間にあったのが、この安倍総理の国会答弁の準備の勉強会だったわけです。

 メールに出てくる関係者には、九月三日の総理勉強会に出席していた総理秘書官と厚労省出身の内閣参事官の名前が取り沙汰をされております。

 官邸関係者の意向に大きく左右されていることがうかがえるという点で、毎月勤労統計の調査方式の変更について、総入れかえ方式を部分入れかえ方式に変更したことについて、官邸が深くかかわっているのではないのか、この点が厳しく問われているわけですが、総理の答弁を求めます。

安倍内閣総理大臣 これは、九月の三日には、御党の小池議員の質問に対しての答弁でございまして、答弁検討会において、たくさんの質問に対してのこれは勉強会であったわけでございますが、ここで御指摘のような答弁をしたということは承知をしておりますが、特段これについて深くそこで勉強したわけではなくて、ただ、これはそのまま発言すればいいな、こう思っただけでございます。

塩川委員 この勤労統計問題というのが、実質賃金の伸びの議論にかかわるものであり、また、二〇一八年一月以降のベンチマークの補正にも係る、こういった疑念とも地続きの問題であります。

 この統計法というのは、そもそも基本理念に中立性、信頼性の確保が重要だとうたわれているように、統計は国民のものであります。政府からの独立性や中立性が問われる。政府による手続の不透明さをただすというのは、国会の当然の仕事だ。

 委員長に求めます。真相究明のため、厚労省出身の元内閣参事官手計課長補佐の参考人招致を求めます。

野田委員長 後刻、理事会にて協議いたします。

塩川委員 次に、消費税の一〇%増税問題についてお尋ねをいたします。

 総理にお尋ねしますが、この一〇%への増税は、五兆円を超える負担増になります。国民生活に大きな影響を与え、中小・小規模事業者の経営を圧迫し、日本経済に打撃を与えるものです。特に、低所得者世帯の暮らしを圧迫します。きょうは、この低所得者世帯にとっての消費税増税について質問をしたいと思っています。

 総理に確認をいたしますが、消費税には低所得者に重い負担がかかる逆進性がありますね。

安倍内閣総理大臣 消費税については、負担のみを見れば、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高いという意味で、いわゆる逆進性を有するものでありますが、増収分が社会保障の充実、安定化に充てられることにより、受益は一般に低所得者ほど大きくなることから、そうした受益の面とあわせて評価すべきであると考えています。

 また、今般の消費税率の引上げに当たっては、幼児教育の無償化や、年間最大六万円の年金生活者支援給付金等の社会保障の充実を行うことに加えて、所得の低い方々への配慮として、食料品等を対象に軽減税率制度を実施することとしておりまして、いわゆる逆進性を緩和することができると考えております。

塩川委員 社会保障の充実に、受益が低所得者ほどふえる、こういった話がありますけれども、本当にそうなのか。

 前回の消費税の八%増税は、低所得者層の消費動向に大きな影響を及ぼした。これは経済財政白書でも、低所得者層と高所得者層の消費の動きを比較してみると、高所得者層の落ち込みは税率引上げ以前の消費水準の五%程度にとどまっているのに対し、低所得者層では落ち込みの程度が一〇%程度と、比較的大きくなっている、消費税率引上げに伴う物価上昇は、低所得者層を中心にある程度の消費抑制効果を持った、このように、二〇一四年の消費税八%への増税は、低所得者世帯の消費を落ち込ませるものでありました。

 そこで、パネルをごらんいただきたいと思います。

 年収に占める消費税の負担率であります。消費税の八%での、年収が低い世帯と高い世帯の差は五・四ポイントになります。消費税一〇%、これは食料品など据置きの、今予定されているものですけれども、この場合において、年収が低い世帯と高い世帯の差は六・二ポイントになります。どんどん税率が上がれば広がっていく。逆進性の高い消費税が一〇%に増税されれば、低所得者に一層重い負担がかかることになるんじゃありませんか。

茂木国務大臣 まず、グラフで、年収に占める消費税の負担という形でタイトルを書いていただいているんですが、消費税、これは所得税と違って間接税ですから、支出に占める消費税の負担ということだと思います。

 それで、先生がどのような前提で試算をされたかわからないので確たることは申し上げにくいんですが、年収が高いほど、消費性向、これは下がるわけでありますから、先ほど総理の方からもありましたように、消費税には、何らの対策もとらなければ、低所得者ほど家計支出に対する税負担の割合が高い、こういう逆進性があるわけでありまして、そこで、今回は、低所得者など真に支援を必要とする層にしっかりと支援の手が行き届くようきめ細かい対応を行っているということでありまして、消費税率引上げの増収分の半分を、教育の無償化であったりとか社会保障の充実、必要であれば細かく説明をさせていただきますが、それにしっかりと使っていく。

 さらには、軽減税率の問題でいいますと、確かにボリュームでいいますとそうですが、比率でいいますと、例えば飲食料品、これを八%のまま据え置くということによりまして、低所得世帯は全体の支出に占める飲食料品の割合が三分の一、一般の方は四分の一、こういったことからも、より低所得層に配慮した施策、こういったことになっていると考えております。

塩川委員 いや、軽減税率というけれども、これは据置きでしかありません。ですから、ここにあるように、八%の負担で、年収が低い世帯、高い世帯、こういうことでいえば五・四ポイント、これはそのまま残るわけですから、これが何らか低所得者対策になるということは、これはどう考えてもまやかしだと言わざるを得ません。

 それ以外に、いろいろ社会保障や教育の無償化の話もされたんですが、ここで指摘をしたいのは、低所得者世帯の暮らしの実情についてであります。

 まず、夫婦とも六十五歳以上の高齢者世帯、家計調査によると、年金が下げられたことで実収入が減少する、一方で、物価は上がり、実支出は増加をする、社会保険料や直接税、消費税の負担増が大きい、家計は月に四万円の大赤字となっている。消費税一〇%増税がそこに大きくのしかかることになります。

 そこで、質問ですが、このような、住民税非課税世帯ではないが低所得の高齢者世帯に対して、今回の一連の増税の対策は、何らかの恩恵というのは及ぶんでしょうか。

野田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 茂木国務大臣。

茂木国務大臣 先ほど細かく説明をしなかったわけでありますが、消費税率引上げ分の増収分の半分を使って、介護保険料の軽減の拡充であったり、年金生活者につきましては支援給付金を給付する、それから、住民税非課税世帯以外で言いますね、高等教育の無償化につきましては、住民税非課税世帯だけではなくて、それより上の二階層につきましても、住民税非課税世帯を十としますと、その三分の二、三分の一といった形で学費の免除、さらには返さなくていい給付型の奨学金、こういったものも手当てをさせていただきたいと思っております。

塩川委員 いや、聞いているのは、夫婦とも六十五歳以上の高齢者世帯なんですよ。子供はいないんですよ。

 ですから、住民税非課税世帯ではない……(茂木国務大臣「だから、前。そうじゃなくて、途中で言ったから、これ」と呼ぶ)

野田委員長 大臣、質疑中だから、ちょっと黙っていてください。

 塩川さん、どうぞ。

塩川委員 いやいや、私が聞いているのは、夫婦とも六十五歳以上の高齢者世帯で住民税非課税でない場合にはどういう恩恵が及ぶのかと言ったのに対して、今答えていなかったわけであります。

 だから、実態とすれば、こういう高齢者世帯に対しては及ぶものがないということになるわけであります。

 同じことは、単身の勤労者の場合もあります。

 パネルを見ていただきたいんですが、勤労単身者で年収が二百万から三百万円、これは、総務省の家計調査において一番、勤労単身者で年収の規模の多いのがこの二百万から三百万円の層なんですよね。

 一カ月当たりの支出を見ていただきたいんですが、二〇〇〇年と二〇一八年の比較として、二〇〇〇年の実支出、一カ月十八万三千四百二十九円に対し、二〇一八年は十七万百五十九円へと減少しています。食料費は一割減らし、住居費も二割減らし、服や靴は三割減らし、教養娯楽費は四割減らす。その一方で、光熱水費は二割ふえ、社会保険料は三割ふえる。

 消費に係る消費税を試算すると、五%だった二〇〇〇年の五千五百二十九円が、これは一カ月単位ですよ、二〇一八年には七千六百四十九円になる。年間で二万五千円も増加をすることになった。一〇%増税になれば、更に一万七千円も増加をすることになります。

 切り詰めた生活をしているこのような年収二百万円台の単身労働者に対して、今回の消費税の一〇%増税における増税対策の何らかの恩恵というのは及ぶんでしょうか。

野田委員長 塩川さん、どの大臣の答弁を求めますか。(塩川委員「いや、それは向こうが決めてもらって結構です」と呼ぶ)

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

野田委員長 速記を起こしてください。

 茂木国務大臣。

茂木国務大臣 確かに、年収二百万から三百万、単身者の世帯でいいますと、消費税の負担も、多額の出費を伴う子育て世帯、これと比べてみた場合には相対的に小さいと考えていることから、一定の御負担、これをお願いすることになりますが、それでも、その上で、先ほど、軽減税率が適用されるわけであります。さらには、中小・小規模事業者でキャッシュレス決済によりまして買物した場合には、ポイント還元、単身者でも当然つくことになります。さらには、自動車を買われる、若しくは、自分でマンションを買われる、こういったときにも、税制上の措置、これはとられることに当然なる形であります。(発言する者あり)

野田委員長 御静粛に。

塩川委員 見てもらったように、住居費を減らしているんですよ。何でマンションの話が出てくるんですか。

 キャッシュレスというのは、そもそも需要平準化対策でしょう。増税に伴う逆進性緩和の対策じゃないんですよ。そういう点でも、今回のこういった二百万円台の勤労単身者の世帯に対して増税に係る一連の対策の恩恵が及ばないという話が、こういうところでもはっきり見えてきたわけであります。

 私は率直に、今のやはり税制のあり方そのものを見直すことが必要だ、生計費非課税、応能負担の原則こそ貫くべきだということを申し上げたい。

 消費税導入から三十年たちました。消費税は、社会保障の財源の確保と称して導入され、税率の引上げを行ってきましたが、国の税収はどうなったのか。消費税導入直後、消費税率が三%のときの一九九〇年度の国の税収は六十・一兆円でしたが、消費税率八%の二〇一八年度の国の税収は五十九・九兆円で同じ。三十年たって、消費税は三%から八%に上がったのに、税収はふえていない。

 総理にお尋ねをいたします。このパネルにありますように、法人税と消費税の関係であります。

 国の一般会計税収における法人税、消費税の推移のグラフですが、この三十年間、消費税が導入をされ、税率が三%、五%、八%、さらには一〇%にしようとしております。一方で、法人税率はずっと引き下げられてまいりました。結局、この棒グラフで立っているような実額で見ていただいてもわかるように、法人税がずっと減るのに対して、消費税がもう階段状にどんどんどんどんふえていく。結局、消費税増税は、法人税減税の穴埋めに使われただけではありませんか。

安倍内閣総理大臣 消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定しておりまして、勤労世代など特定の者への負担の集中がない、社会保障に係る費用を賄うための財源としてふさわしいと考えています。

 引上げによる増収分は、これまでも、法律で定められたとおり、全額社会保障に充てられており、他に利用されるわけではありません。本年十月の消費税率一〇%への引上げについても、全世代型社会保障の構築に向けて、安定財源を確保するためにどうしても必要なものであります。

 引上げに当たっては、きめ細かな低所得者対策をしっかりと講ずることとしております。また、それに合わせて、幼児教育の無償化、また、来年は、真に必要な子供たちに対する高等教育の無償化等も行っていくわけであります。低年金者対策もしっかりと行っていく。

 そこで、今委員御指摘の、では、企業の法人税、下げているではないかという御質問でございますが、企業に対する税制については、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んできましたが、その中でも、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベース拡大により、財源をしっかりと確保してきております。

 いわば、その減税をこちらに充てたということではなくて、基本的には、先ほども申し上げましたように、消費税の税収については全額社会保障費に充てていくということであります。

 他方、法人税につきましては、いわば日本の企業の競争力を高め、しっかりと国際競争力をつけて戦い抜いて勝っていく中において、雇用を守り、さらに、その中で企業が収益を上げれば、それを、設備投資や、もちろん大切な人件費の上昇に充てていくということを我々は期待をしているわけであります。

 また、これまで、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや、金融所得課税の見直しにより税率を従来の一〇%から二〇%に倍増するなどの施策を既に講じてきているところでございます。

塩川委員 これだけ言いわけしないと説明できないのかと言わざるを得ません。

 企業規模別の法人税負担率を見ても、資本金一億円未満の中小企業の平均は一九・六%です。しかし、資本金十億円超の大企業は一八・九%、百億円超は一二・五%、連結納税法人は五・八%。大企業の法人税負担率は中小企業よりも低い。こういう税制こそ見直して、社会保障や教育の財源を確保すべきじゃありませんか。

 税のあり方が問われております。経済力のある大企業、富裕層に応分の負担を求め、生計費には課税しない、累進制にする、これが基本だ。

野田委員長 塩川さん、質問時間は終了しております。

塩川委員 税制を根本から転換すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

野田委員長 これにて塩川さんの質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一さん。

串田委員 日本維新の会の串田誠一です。

 きょう、まず最初に、動物のことについてお聞きをしたいと思います。

 日本維新の会は、未来共創ラボという、インターネット上で入会していただいた方と議員との間で議論を交わすという、そういったところを設けさせていただいているんですが、その中でも、動物に関しては大変活発に議論をされております。私も、殺処分ゼロ議連のメンバーとして、柴犬のポスターなどを張りながら、殺処分ゼロを目指して活動させていただいているんですけれども。

 まず、ちょっとパネルをごらんいただきたいと思うんですが、これは現在の通常の動物の販売経路の代表的な例で、赤い時計回りが一般的。犬の場合には、半分ぐらいがこのようなオークションを通過して販売されているわけですけれども、この中で、一つ一つが殺処分あるいは虐待に非常につながっている。日本というのも、動物の愛護に関してもう少し力を入れなければいけないのではないかというところを御指摘をさせていただきたいと思います。

 まず、ブリーダー、生産者なんですけれども、ここで今一番問題となっているのは、販売の年齢なんですね。これは、八週齢というのを各国が採用しています。八週齢というのは、生まれてから五十六日間は親のところから離れないようにして、それから販売をしましょう、こういうようなことなんですけれども、どうしても、やはりちっちゃい子供のころの方が売りやすいんですよ。四十五日以内というのが業界的には非常に売りやすいと言われていて、この五十六日の前に出荷されてしまう。まさに物として販売されてしまうんです。

 どうして五十六日が非常に大事かといいますと、やはり、お母さんからしつけを受ける、あるいは、兄弟から、じゃれ合って、かむと痛いんだということが覚えられる、こういう社会性が覚えられるというのがこの八週間の間なんですね。この前に販売をしてしまいますと、社会性が得られないものですから、人をかんでしまう。そうすると、飼い主としては、もう飼い続けることができないということで、保健所に持ち込んでいってしまうというようなことがあります。

 さらには、数値規制というのが非常に重要でございます。お母さんの犬や猫は一生涯に何回出産をするのかということも制限する必要もありますし、また、どういう環境で育てるのか、そのゲージの大きさだとか、飼育をしている人が何頭まで飼育をしたらいいのかというようなことも、もう各国は規制しているんですよ。日本は、ここの部分が非常にまだまだ曖昧であるというようなところをぜひとも考え直していただきたい、法改正をしていただきたいと思います。

 次に、オークションなんですが、これは、野菜だとか魚と同じように、競りみたいな形で動物を売買しているというところでございます。そういう中で問題なのは、長距離の移動というところで子犬や子猫が大量に死んでしまう。また、一カ所に集まるものですから病気がうつってしまっていて、それが飼い主に行ったところで発症してしまう。そうなると、やはりそれは保健所に行ってしまうというようなことになります。

 そしてまた、この図でわかりますように、ペットショップとブリーダーとの間にオークションが入ってしまいますので、たどっていけないんですね。どういうお父さん、お母さんかというのがたどっていけないというような弊害が指摘されています。

 さらに、このペットショップなんですが、売れ残ったときにどうなるか。今、保健所は引き取らないようにはなっているんですが、引取り屋という、お金を払うと動物を引き取っていって、結局、それは処分はしないけれども、ゲージに閉じ込めて死ぬまでそういうふうにしているという引取り屋というのが存在しています。こういったようなことが虐待につながっているというのは言うまでもありません。

 そして最後に、飼い主も今高齢化しているんですね。もちろん動物と接したいというのはわかるんですが、自分の今の健康状態よりも更に長生きをする動物をむやみにペットショップが売ってしまうものですから、もう飼い続けられない、入院したり、場合によっては、主をなくしてしまうペットもいます。そういう犬や猫は、やはり保健所に行ってしまうんですね。

 現在、年間四万頭が処分をされているんです。この処分の仕方も非常に考えていただきたいんですが、今、日本は、ガス室で、炭酸ガスで処分しているんです。これは、諸外国、例えばアメリカやドイツやイギリスは安楽死なんですよ。そういったような部分で、やむを得ないという部分もあるんでしょうけれども、こういう処分の仕方というのも検討していただきたいと思うんです。

 そういう意味で、環境大臣、この部分について、動物に対し、この日本、どういうような対応を示していくのかを示していただきたいと思います。

原田国務大臣 お答えをいたします。

 串田議員が、動物に対する愛情、本当に身をもって行動しておられること、心から敬意を申し上げたいと思います。

 動物愛護管理法というのがございますけれども、いずれにいたしましても、これからの世の中を、人と動物との共生という、これは高い理念のもとにそういう時代をつくっていかなきゃいけないな、こう思っております。

 今委員がさまざま、技術的な分野についてもお話しになりました。まず、飼い主、この問題について意識がこのところ高くなっているのも事実であります。今、四万二、三千頭とお話がありましたけれども、これが平成二十九年の殺処分の数であります。これは実に、この十年間に七分の一になった、統計上は。ですから、世の中、その辺の意識が進んでいるのも事実であります。

 ただ、お話しのように、さまざまな分野で、課題というか、諸外国に比べて日本の現実がどうかということについても、更に検討しなきゃならないことがたくさんあるわけであります。

 例えば、家での飼い方についても、高齢者の方が犬、猫を飼っているわけですけれども、自分の死んだ後もちゃんとその処遇ができるかとか、そういうことについても、しっかりこれから検討しなきゃいけないわけであります。

 まず、お話しのように、ブリーダー、オークション、ペットショップ、こういうものが介在をしております。これについては、動物取扱業者として、この愛護管理法の中でしっかり規制を強化する等で、そういう意味では大分改善はされているところであります。例えば、届出制から登録制にするとか、立入検査をしっかり続けるというようなこと、さらには、これからその改善に向けて、動物の適正な飼養法について検討会を環境省の中につくりまして、そういうことについてもこれからの検討を進めている、こういうことでございます。

 ただ、おっしゃるように、必ずしもしっかりした方向が出ていないのは事実でありますけれども、例えば先ほどの七週、八週の、子供が生まれたときどこでやるべきかということも、議員連盟の皆さんでしっかり議論されておりました。いずれかの議論では、また法案という形で出るかとも思いますけれども。

 今、引取り屋の問題、さらには処分、ガス室の問題についても、実態をしっかり把握しながら、どれが最適かということもこれから検討したいな、こう思っております。

串田委員 総理に一つお願いをしておきたいのは、今、環境大臣から動物愛護管理法の話が出ました。今度、実は改正というのを一生懸命、超党派の議連でやっているんですよ。実は昨年、法案にしたかったんですができなくて、ことし、ぜひとも成立をさせたいと思うんですが、これは議法なんですね。御存じのように、閣法が優先するというようなことの中で、たまたまこれは議法なんであって、本当は国家が動物を守っていかなきゃいけないということでありますので、ぜひとも、安倍総理におかれましては、閣法の中に、この議法、この動愛法だけは優先して成立をするようリードしていただきたい、これをまず一つお願いをしておきたいと思います。

 動物に優しい国は恐らく人間にも優しいと思います。また、動物に優しくなければ人間にも優しくないと思っているんですが、次に、子供のことについてお聞きをしたいと思います。

 パネルの二枚目をお示しいたします。

 これは子どもの権利条約、最近、しつけということで子どもの権利条約についてはよく議論をされているわけですけれども、この権利条約に関しては、日本は一九九四年に締結をしています。そして、これに賛同している国は百九十六カ国。今、世界で何カ国あるかといったら二百弱ですから、ほぼ全ての国がこの条約に賛同していると言っても過言ではありません。

 その中で、きょうは四つの条文を抜粋をさせていただきました。条文の中でもこれは抜粋しているんですが、まず、四条は、この条約を立法措置、行政措置をしましょう、これは当たり前のことです。条約を締結した以上は、国内でその法律をちゃんと整備しましょう。

 その中で、きょうは七条と十八条を挙げさせていただきましたが、これによると、児童は父母によって養育をされる、七条ですね。十八条は、児童の養育及び発達は父母が共同の責任を持つということになっているわけです。これを各国はちゃんと一生懸命守っている。

 今度、パネルの三枚目を見ていただきたいんですが、では、共同で養育をするということはどういうことかといったときに、これは共同親権ということになります。婚姻中、これは日本も共同で親権を持つ、養護するということになるんですが、離婚後、これはG7のうち日本以外は共同親権なんですね。変わらないんです。ところが、日本だけは単独親権になってしまっているんです。

 これは実は、G7のうち日本以外と書いてありますけれども、ほとんどの国というふうに書こうと思ったら、ほとんどの国というのは曖昧だと言われたのでG7以外と言ったんですが、何でこれをほとんどの国と言えるかといえば、先ほどの子どもの権利条約にも書かれているように、共同で養育をするということを百九十六カ国の国が賛同しているということなんです。共同親権になるというのが、この条約を締結している国としては当たり前なんですよ。ということは、これを、違う、単独親権の国を探すということは、条約を締結をしていない国を探すか、条約を締結しているにもかかわらず約束を守っていない国を探すしかないんです。そうすると、これをごらんいただきますように、日本は約束を守っていないと言わざるを得ません。

 前回の予算委員会において、これがどういう問題かということで、大岡裁きという例を挙げさせていただきました。一人の子供を、自分が親だと言ってやってきたので、大岡越前が両方から手を引っ張らせる。そうすると、子供は痛いと言ったところ、片方の親が手を離す。片方の親がやったといって連れ去ろうとしたら、大岡越前が、子供が痛いと言って手を離した方が親なんだよ。今、日本は、手を引っ張っていく方が優先されるという制度だという話をさせていただいたんですが、ここは一つつけ加えなければいけないことがあるんです。

 確かに、子供が痛いと言って、手を離したのも親心です。では、大岡越前のときには、引っ張っていった方は悪者のように書かれているんですけれども、そうじゃないと思うんですよ。どんなに子供が泣き叫ぼうとも、痛がろうとも、この子供をやはり幸せにできるのは自分しかいないと思って、涙を流しながら手を引っ張っている親も親心だと思うんです。

 要は、子供を両方から親心で引っ張っていって、一番苦しむのは誰ですか、子供ですよ、だから、こんな争いをするのはやめましょうといって、子どもの権利条約では共同で養育をする。どちらか一方を決める、そういう争いをやめようというのが子どもの権利条約じゃないんですか。

 法務大臣、どうしてこれは、日本は単独親権になっているんでしょうか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 児童の権利条約の条文の解釈につきましては所管外ということではあるんですが、ただ、我々としては、児童の権利条約の趣旨に沿って国内法を定義あるいは運用しているというふうに考えております。

 そして、まず、我が国における、離婚後は単独親権にしているという理由についてお伝えいたしますと、まずは、親権には特別な意味が民法上ございまして、民法上、子の監護や教育に関する意思決定をしなければならない、あるいは財産管理の権限、あるいは居所を定める権限というものを親権者が定めるということになっております。

 こういった事柄というのは、適時適切な権限の行使、これが必要なものが含まれているわけでございますが、父母が離婚して共同生活を送っていない場合には、父母間で意思疎通をうまく図れずに、結局、意思決定ができないような状態、適時適切な親権の行使が難しいということもあると考えられます。特に父母間の感情的な対立が根深い場合のように、そもそも夫婦が協力して親権を行使することを期待することができないということもございます。

 そういったことから、単独親権ということに離婚後はなっておるわけでございますが、現行法におきましても、平成二十三年の改正の際に、父母が協議上の離婚をするときには、子の監護をすべき者、あるいは面会その他の交流、子の監護に要する費用の分担その他子の監護について必要な事項は協議で定める、子の利益を最も優先して考慮する、あるいは、協議が調わないときには家庭裁判所がこれを定めるというような形で、子の、児童の利益、それをしっかりと図っているというところでございます。

串田委員 毎回、その理由を聞いて本当に情けなく思いますよ。感情的になって話合いができない。ほかの国はやっているじゃないですか。日本だけが感情的な国民なんですか。私は、そういう説明を受けるたびにとても残念でなりません。

 そして、今月の七日ですか、国連の子どもの権利委員会から勧告がなされました。前回の予算委員会で河野大臣から、これの訳を言っていただきました。一字一句、私の方も書き写したので、要約しますと、共同親権を認めるため法令を改正しなさい、こういう勧告ですよ。

 河野大臣、現在、日本は、この子どもの権利条約に違反している国ですか、どうですか。

河野国務大臣 この児童の権利条約は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するよう締約国が最善の努力を払うことを規定したものにすぎず、離婚後の共同親権制度の導入について、明文の規定は存在しません。

串田委員 昨年は、EU二十六カ国から当時の上川大臣に対して抗議の文が出され、そして今回は、国連から子どもの権利委員会によって勧告が出され、にもかかわらず、河野外務大臣のように、自分たちの国はこの条約に違反していないんだ、こう言い張っている。私は、とてもこれは悲しいことだと思います。

 そして、その理由としては、感情的だから話ができない。全ての国がやっているんですよ。何で日本だけができないんですか。本当にそれは悲しいと思います。

 そして、先ほど、子供を両方から引っ張り合うということはどういうことかといいますと、これはお母さんが多いんですけれども、引っ張っていった側がどういうことをそれからするかというと、子供に対して、あなたの父親はとんでもない人なんだよというのを言い続けるんですよ。

 何でそうかといいますと、これは一人を決めることですから、その後、父親から家庭裁判所に対して親権者の確定の申立てを受けたときには、家庭裁判所から調査官がやってきます。調査官が子供の今の環境を見たりしますけれども、子供の意思確認というのも非常に重要視しているんですよ。

 そのときに、子供が、いや、お父さんのところに帰りたいよと言われたらば、連れてきたお母さんは、その子供を帰さなきゃいけない、そういう危機感があるので、一生懸命、その子供に対して、あなたの父親はひどい男なんだ、私にもひどいことをしたんだと言い続けて、誰か来たときには怖いから行きたくないと言うんだよ、こういうことをやらざるを得なくなっちゃう。

 それは、やっている方のお母さんが私は悪いと思わないんです。この国が、どちらか一方を決めるという、各国はちゃんと共同親権にしているのに、この国だけが単独親権であり、単独監護であるから、これは戦いなんですよ、お父さんとお母さんの。だから、そういうことをやり続けなければならないんです。

 それで、これをやられた子供はどうなるのかといいますと、心的障害を受けるということはWHOでも証明されていますし、あるいは、そうやってお母さんからそういうふうに言われている子供が、もしかしたらお父さん似の顔をしていたかもしれない。そのときに、鏡を見ながら、ずっと悪く言われているお父さんに似てくるということの気持ちというものも私は考えていただきたいと思うんです。

 そして、このお父さん、子供に会えなくなる。なぜならば、連れていかれたときに、お父さんのところに会わせると親権がとられるかもしれないから、お母さんとしてはやはり子供をかくまってしまうんです。子供に会えない父親の自殺率は高いと言われています。

 そして、お父さん、お母さんだけじゃないんです。おじいちゃん、おばあちゃんからも孫を奪うんですよ。共同親権、共同監護であれば、お父さん、お母さんのおじいちゃん、おばあちゃん、こちらのおじいちゃん、おばあちゃんと、優しく育てられている。ところが、どちらか一方、そして片方に行くと親権がとられるから絶対に会わせない、こういうようなことになったときには、かわいい孫にもおじいちゃん、おばあちゃんが会えなくなるんです。

 そして、会わせたくても会わせられない、奪われたくないというお母さんは母子家庭になってしまいます。そうすると、生活的にも大変になりますよ。お父さんとしては、養育費といっても子供に会えない養育費ですから、それは非常に不満になってしまいます。

 もし共同養育であれば、それは養育費以上のお金を払おうとするでしょうし、おじいちゃん、おばあちゃんにしたって、それは、ランドセルを買ってあげるとか、あるいは塾の費用を、買ってあげるとか、そういうような援助もしてあげられるんです。母子家庭であれば、その生活を支えるのは税金ですよ。何にもいいことないじゃないですか。

 安倍総理、こういうような状況の中で、今、率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。

野田委員長 その前に、法務大臣から。

 短くお願いしますね。

山下国務大臣 前提としてお答えいたします。

 今御指摘があったのは、面会交流、子供と会える権利と、それと親権、あるいは居所であるとかそういった教育、監護を決める権利、これは整理して考える必要があると考えます。

 親権については、確かに、どちらかに決めなければならないということなので、居所であるとか教育、監護であるとかそういったものは単独親権という、そういった立法理由があるということを御説明申し上げました。

 他方で、会える会えないの面会交流の権利につきましては、例えば、先ほど御紹介いたしましたとおり、平成二十三年の民法改正におきまして、そういった協議の際に、明示的に、面会及びその他の交流あるいは監護に要する費用の分担というのを、必要な事項を協議離婚の際に協議で定める、協議が調わなければ裁判所が定めるというふうに明文の民法で記載しているということを、まずは御指摘させていただきたいと考えております。

串田委員 後でまたもう一つ、最後に質問させていただきますけれども。

 実は、外国も非常に苦労しているんです。アメリカも、カリフォルニアから始まりました。そして、そのときにやはり単独だったんですよ。それが、一九七九年、ジェームズ・クックという人、共同監護の父と呼ばれているんですが、共同監護法というのを成立しまして、今、五十州でそれが適用されています。

 ドイツも、実は単独親権だったんです。ところが、一九八二年に連邦憲法裁判所が違憲の判決をしたものだから、国の中で共同親権へと法整備をしていった。どこの国も苦労しているんです。

 それは、だって、別れるという状況で円満に話をするということはなかなか難しい。だけれども、子供の権利として、子供はどちらが幸せなのかということで、世界が知恵を出し合ってつくったのが子どもの権利条約じゃないですか。だから、日本もこれを批准したんじゃないですか。

 私は、私の考えを押しつけようと思っているわけじゃないんです。世界がやっているからまねしようと言っているわけじゃないんです。日本自身が、一九九四年にこの条約を締結し、それを守っていないということで、国連から再三勧告を受けているじゃないですか。これを守るというのは、国の責務として必要だと私は思います。

 そして、昨年、ハーグ条約の不履行国と認定されました。これは、子の連れ去りについて、ほかの国から日本に連れ去るということなんですけれども、どうしてそういったようなことが横行するかといえば、日本は連れ去りが一番有効な手段だというふうなことで、外国からも連れ去られていく。そして、それを、アメリカは日本を非難しました。不履行国という非難ですよ。このときの単語はアブダクションですよ。これは拉致じゃないですか。拉致の常習国という認定をアメリカからされたのと同じなんですよ。

 こういうような意味で、先ほど外務大臣は条約に反していないと言いましたけれども、それは、国が反しているかどうかということではないんです。アメリカとしては反していると思っている。ヨーロッパとしては反していると思っている。これは、謙虚にこういったようなことを見習っていく必要が私はあると思うんです。

 これは、安倍政権を批判しているわけじゃないんです。この条約を締結したのは一九九四年、連立内閣のときだったんですよ。自公政権もできなかったんです。民主党政権もできなかったんです。なぜかといったら、すごく大変な作業なんです。

 これは、連れ去りをすれば処分を、刑事罰をしなきゃいけない。だけれども、一方で、DV被害者も守っていかなきゃいけないんです。それを、一生懸命、国が知恵を出し合って、ほかの国はやっているんだけれども、日本は現場に丸投げ。だから、現状維持になってしまうので、連れ去りが横行してしまうんです。連れ去りが一番有効な手段になってしまうんです。

 安倍総理、どうでしょう。今、この日本を支える若者が、どういう若者がいいのか、考えていただきたいんです。一方では、いろんな事情で別れ離れになっても双方の親から養育を受ける、そういう子供がこの日本を支える方がいいのか、それとも、あなたの父親は悪い男なんだよ、そういうふうにして、実の親を憎むような子供が大きくなってこの日本を支えた方がいいのか。

 安倍総理、この条約を締結した以上は、決断、国民が見ている前ではっきりと、この条約を遵守するような法改正へと進むということを明言していただけないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 この日本が条約上の義務を果たしているか、遵守しているかどうかということについては河野大臣からお答えをさせていただきましたし、また、政府の立場については山下法務大臣から答弁をさせていただき、親権とは別に、親の面会、そういう権利についてはそうした対応をしているということは答弁させていただきました。

 一方、今、串田議員のお話を聞いていて、聞いていると、なるほど、もっともだなという気もしてくるわけでございまして、子供としては、やはりお父さんにも会いたいしお母さんにも会いたい、お母さんにも会いたいしお父さんにも会いたいという、それはそういう気持ちなんだろうなということは、よく私も理解できます。

 この問題については、国会の議論の状況等も踏まえまして、きょうもそうした議論がございましたが、民法を所管する法務省において引き続き検討をさせたいと思います。

串田委員 安倍総理もいろいろ悩みがあるかと思いますので、ぜひとも我が党の未来共創ラボに入会をしていただきます。そうすれば、隣の浦野議員が心温まる返答をされると思います。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 時間になりましたので、私の質問を終わります。ありがとうございます。

野田委員長 これにて串田さんの質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十六日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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