衆議院

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第2号 令和元年10月11日(金曜日)

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令和元年十月十一日(金曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君

   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      あきもと司君    秋本 真利君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小野寺五典君

      大岡 敏孝君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    金田 勝年君

      神山 佐市君    河村 建夫君

      城内  実君    小林 鷹之君

      笹川 博義君    繁本  護君

      田所 嘉徳君    根本  匠君

      野田  毅君    原田 義昭君

      平沢 勝栄君    福井  照君

      藤井比早之君    古屋 圭司君

      宮内 秀樹君    村上誠一郎君

      山口  壯君    山下 貴司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    浅野  哲君

      今井 雅人君    小川 淳也君

      尾辻かな子君    大西 健介君

      岡本 充功君    奥野総一郎君

      神谷  裕君    川内 博史君

      玄葉光一郎君    源馬謙太郎君

      後藤 祐一君    関 健一郎君

      辻元 清美君    中谷 一馬君

      本多 平直君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    早稲田夕季君

      國重  徹君    濱村  進君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      杉本 和巳君    馬場 伸幸君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (マイナンバー制度担当) 高市 早苗君

   法務大臣         河井 克行君

   外務大臣         茂木 敏充君

   文部科学大臣       萩生田光一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      菅原 一秀君

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    小泉進次郎君

   防衛大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       田中 和徳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国家公務員制度担当)

   (防災担当)       武田 良太君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (海洋政策担当)     衛藤 晟一君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     竹本 直一君

   国務大臣

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (地方創生担当)     北村 誠吾君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   橋本 聖子君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   衆議院憲法審査会事務局長 加藤 祐一君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 十時 憲司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 加野 幸司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  水田 正和君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        森山 誠二君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役上級副社長) 鈴木 康雄君

   参考人

   (日本郵便株式会社代表取締役社長)        横山 邦男君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十一日

 辞任         補欠選任

  伊藤 達也君     藤井比早之君

  石破  茂君     山下 貴司君

  今村 雅弘君     繁本  護君

  金田 勝年君     城内  実君

  河村 建夫君     大岡 敏孝君

  野田  毅君     鬼木  誠君

  山口  壯君     小林 鷹之君

  山本 有二君     田所 嘉徳君

  今井 雅人君     早稲田夕季君

  大西 健介君     奥野総一郎君

  岡本 充功君     源馬謙太郎君

  後藤 祐一君     関 健一郎君

  辻元 清美君     神谷  裕君

  本多 平直君     尾辻かな子君

  馬淵 澄夫君     中谷 一馬君

  前原 誠司君     浅野  哲君

  杉本 和巳君     馬場 伸幸君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     宮内 秀樹君

  鬼木  誠君     野田  毅君

  城内  実君     小倉 將信君

  小林 鷹之君     福井  照君

  繁本  護君     今村 雅弘君

  田所 嘉徳君     山本 有二君

  藤井比早之君     伊藤 達也君

  山下 貴司君     石破  茂君

  浅野  哲君     前原 誠司君

  尾辻かな子君     本多 平直君

  奥野総一郎君     大西 健介君

  神谷  裕君     辻元 清美君

  源馬謙太郎君     岡本 充功君

  関 健一郎君     後藤 祐一君

  中谷 一馬君     馬淵 澄夫君

  早稲田夕季君     今井 雅人君

  馬場 伸幸君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     金田 勝年君

  福井  照君     山口  壯君

  宮内 秀樹君     河村 建夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役上級副社長鈴木康雄君、日本郵便株式会社代表取締役社長横山邦男君、日本放送協会経営委員会委員長石原進君、日本放送協会会長上田良一君及び日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君、内閣府大臣官房審議官十時憲司君、外務省大臣官房審議官加野幸司君、文部科学省大臣官房総括審議官串田俊巳君、文化庁次長今里讓君、農林水産省生産局長水田正和君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁長官高橋泰三君、環境省環境再生・資源循環局次長森山誠二君及び原子力規制庁長官官房審議官金子修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 基本的質疑を行います。

 この際、昨日の玉木君の質疑に関連し、昨日に引き続き、川内博史君から質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。

川内委員 総理以下閣僚の先生方、おはようございます。昨日に引き続き質疑をさせていただきます。

 委員長、発言の御許可をいただいて、ありがとうございます。

 台風十九号が大変に心配をされる中でございますが、政府におかれては、総理以下、万全の体制をおとりいただけるものというふうに確信をしておりますし、また、国民の皆様には十分に気をつけていただきたいというふうに思います。

 さて、質疑をさせていただきたいと思いますが、冒頭、委員長から、参考人についての決議が諮られたわけでありますが、私どもが、日本のエネルギー政策全体にかかわる問題として、これは総理も非常に重い問題だとおっしゃっていらっしゃる関西電力の問題について、関西電力の皆様方御本人に来ていただいて質疑をさせていただきたいという参考人要求が与党の拒否によって受け入れられておらないということに関して、抗議を申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 民間の英語検定を入試に使うという問題でございます。

 五十万人と言われる受験生の英語の四技能、読む、聞く、書く、話すというこの四つの技能を入試で評価しましょう、しかし、五十万人をセンター試験で一度にやるのは難しいから民間検定を使いますよという話で、この民間検定については六団体が名乗りを上げていらっしゃるというふうに聞いておるわけでございますが、来年から始まるこの制度、学校の先生方、そしてまた高校生、受験生、浪人生、大変に心配をしていらっしゃるわけでございます。

 大臣御自身が、今までと違う新しい試みですから、自分が胸を張って大丈夫だというところまでまだ来てはいないというふうに御発言されていらっしゃいますし、来年は精度向上期間だ、お試し期間だというふうに会見でおっしゃってもいらっしゃる。受験生を実験台にしてはならないということも大臣がおっしゃっていらっしゃることも私は存じ上げています。だから、一つ一つの言葉を取り上げてどうこうということではないんです。

 ただ、文部科学大臣が、文科行政、文科政策について大変造詣の深い文科大臣が、精度向上期間だという言葉と、それから受験生を実験台にしないという言葉を両立させるために、受けたい人は受ければいいよ、このシステムを採用したい大学は採用すればいいよということにしていこうという方針を打ち出されていらっしゃるわけでありますが、入試というのは、本来、公平公正でなければならない。公平公正でなければならない。みんなが同じ条件の中で選抜をしてくださいねというのが受験生の、そのためにみんな一生懸命頑張るわけですね。人生の中の若いうちの大きなイベントである。

 今でも地域格差や経済格差があるわけですよね。今でもある。では、この民間英語検定を大学入試に採用する、活用していくということが地域格差や経済格差を縮小することにつながるのか、公平公正さをより担保することにつながるのか。全く逆じゃないですか。公平ではない、公正ではないという方向に向かうのではないかというふうに私たちは危惧しているわけでございます。

 文科大臣が、萩生田大臣が、これは非常に私も問題だなと思う、その象徴的な一つの事例を挙げさせていただきたいと思うんですけれども、六つに分かれた民間試験をどう客観的に査定をして、その試験の参考にすることができる仕組みづくりができるかなどですねというような発言もしていて、この六つの民間試験というのをどういうふうに客観的に評価するのかということを問題点の一つとして挙げていらっしゃる。

 文科省の中にこの六つの民間試験の評価をするために作業部会が置かれて、その部会の先生方が、部会の委員がその六つの民間試験を評価していらっしゃるわけですけれども、これはCEFRというんだそうですけれども、英語検定試験を評価する国際標準規格、CEFRの客観性について検討する文科省の作業部会の構成員八人のうち五人が試験実施団体の社員の方だ、残りの三人が学者であるというふうに教わりました、文科省の方に。でも、残りの三人の学者さんも実は実施団体の関係者なんじゃないですかということなんですけれども、文科省に教えていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 おはようございます。

 川内委員から今さまざまな御指摘いただきました。一つ一つは決して間違っていないんですが、私は、お試しでこの試験をやるなどということは一切申し上げたことはありません。

 今御披瀝いただいた私の言うならば発言は、就任記者会見から経過を経て、たびたびの発言を一遍にお話しされていましたから、いまだに最初の認識のままかと聞かれれば、そうではなくて、私、引継ぎをしたときに、正直に自分なりの不安や疑問というのを皆さんの前で披露しました。その後、約一カ月ですけれども、多くの皆さんのお話も聞き、できるだけこの問題の解決をして、受験生の不安を取り除く努力をしてきたつもりでございます。

 このシステムは二〇二〇年に導入するんですけれども、今後に向け、高校、大学の関係者間で協議をして、より多くの大学がシステムを利用できるように、受験生がより一層安心して受験することができるシステムに、利用の改善に取り組むとして、いわば精度の向上期間ということを表現しました。

 そう申し上げた理由は何かというと、一番のものは、この制度が一体どうなるのかというのが学校関係者も受験者の高校生たちもわからないまま、どんどんどんどん時間がたっていったので、これは一回区切らなきゃいけないということで、九月末で、もう大学がやるかやらないかはっきりしてくださいと。それがわかれば、自分が受けたい大学はこの試験を採用するのかしないのか、自分が受けたい大学の学部が採用するのかしないのかということが明確になれば、受験生はそれに向かって準備をしていけばよろしいんじゃないか、こういうことで条件を切りました。結果として、不公平かといえば、その大学を受験する人は全部同じ条件になるわけですから、私はそれは解決したと思うんです。

 触れていただけなかったんですけれども、例えば格差という点では、受験会場をふやすことや、あるいは、途中では一度振り込んだ申込金を返さないなんという団体もありましたので、受けなかった人にはちゃんと返してあげてくださいね、こういうことも取り組んできて、一つ一つ不安を払拭してきたという、そんな思いがあります。

 まだまだ課題は残っているんですけれども、しかし、これ以上いたずらに見通しがつかないまま引き延ばすのは、受験生の皆さんの心情を考えたら、よくないと私は思いましたので、ことしはこの形で、もう既に手を挙げた大学で、また、既に準備をしていただいている企業や団体の皆さんの試験を活用してやるという方向をこういう形で示させていただいたところでございます。

 お話のあったCEFRなんですけれども、英語の資格の検定試験とCEFRとの相対関係に関する作業部会というのは、各資格検定試験とCEFRとの対応関係が適切に検証されているかを確認するために開催したものです。

 この作業部会の委員の八名のうち三名は外国語教育及び言語学に関する学識経験者であり、五名は、御指摘のとおり、英語の資格検定試験を実施する団体に属した者であることは事実であります。

川内委員 萩生田大臣、私がお聞きしたのは、その三人の学識経験者、いわゆる学者の先生方が、この試験実施団体の、実際に試験を開発したり、あるいは、その試験実施団体と関係を持っている先生方ではないでしょうかということを確認をさせていただいております。

萩生田国務大臣 作業部会における検討及び協議は、三名の有識者とともに、それぞれの試験団体同士で相互にチェックし合うなどにより行われたものであり、特定の試験が有利とならないものと認識はしておりますが、各団体が行った検証の根拠となる研究成果は、いずれも各団体のホームページに記載をしております。

 この三人の先生方は、それぞれこの分野で非常に認識高く、日ごろから文科省などでも相談をさせていただいている先生方なんですが、おっしゃるように、例えば上智大学の先生は、上智はもともとその試験を、外部試験を採用していましたので、そういうところに精通しているという点では御指摘のとおりだと思います。

川内委員 御指摘のとおりという大臣の御答弁があって、結局、三人の学者の先生も実施団体の関係者なんですよね。そういう意味で、私は客観性が担保されていないのではないかというふうに思うし、大臣が冒頭の御答弁でおっしゃられた予約金についても、受験しなかった場合には返していただけるようにお願いしているよと、お願いベースなんですよね。

 というのは、要するに、大臣、こんなことを私が大臣に申し上げるまでもなく、大臣こそが、そんなことは言われなくてもわかっているんだということだと思うんですけれども、結局、民間に任せてしまうので、参加要件とか、あるいは協定書で協定していないことについては、これはもう民間がやるんだということになる。文科省は、そんなこと言わずに予約金を返してあげてくださいよとお願いするしかないというのが今の実態で、そういう意味で制度的な欠陥があるのではないかというふうに思っております。

 私ども、野党全体として、やはり、ある高校の先生は、このまま突き進めば混乱するかもしれない、しかし、このまま突き進めば大混乱するというふうにおっしゃっていらっしゃって、やはり政治としては大混乱を避けるという意味において、一旦ここで立ちどまって延期をすべきじゃないかということで、延期法案を提出をし、文部科学委員会などで丁寧な議論をすることを、大臣とも丁寧な議論をさせていただきたいというふうに思っておりまして、考えているところでございます。

 大臣、ぜひ、大臣が今の御答弁でも、まだまだ十分だとは思っていないよという御答弁でしたので、大臣がまだお会いになられたことのない入試英語のプロフェッショナルとか、その中には東大の先生もいらっしゃるし、入試の専門家の先生方もいらっしゃいます。そういう先生方にお会いいただいたり、あるいは実際に心配している高校生に会っていただいて考え方を聞いてみるとか、これは我々大人が子供たちの将来をどうするかということに大きくかかわる問題なので、子供たちがどう考えているかということをみんなで聞く、耳を澄まして聞いてみるということは非常に大事なことじゃないかというふうに思うんですが、萩生田大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 この英語成績の提供システムの運営に関して、既に高校関係者からの要望書などにおいてもさまざまな御意見は頂戴しています。

 私も、就任以来、与野党を超えた先生方のさまざまな生の声も聞いてまいりましたし、また学校関係者、また、直接の声ではないですけれども、ネットや、あるいはそういう組織を通じた生の高校生の声というものも聞いてきたつもりでございます。

 だからこそ、これ以上の混乱は求めたくない。一度きちんと、ちょっと縮小した制度になってしまったかもしれませんけれども、来年はこれでいく。その間に改めて関係者の皆様にしっかり聞いてみたいと思っております。

川内委員 大臣が何とかこの制度をうまくスタートさせたいというお気持ちは、私どももわからなくはないですよ。でも、それでもなお、大臣、子供たちに公平公正な条件のもとで入試に臨んでもらう。離島の子たちはどうするのかとか、過疎地の子供たちはどうするのかとか、さっき出た申込金の問題とか受験料のばらつきもあるわけですよね。会場の確保の問題、あるいは障害者の受験生に対する配慮はどうなっているのかとか、採点のミスがあった場合にどうなるのかとか、システムの不備があった場合にどうなるのかとか、システムは、これはまだ実証実験さえされていないわけですから、現段階において。

 そういうさまざまなことを考えると、ちょっと一度ここで立ちどまる、今大臣は、縮小した制度になってしまうけれどもとりあえずやらせてくれということをおっしゃられたわけですが、私は、やはりイコールコンディションというものをつくっていくためには、やはりここで一度しっかり考える、立ちどまって考える必要があるというふうに思い、だから、法案を提出をさせていただくことを検討させていただいて、ぜひ大臣とも引き続き今国会で議論をさせていただこうというふうに思っているところでございます。

 それでは、引き続いて、今度はトウモロコシの、総理が我が枝野代表の代表質問で、日米間の約束はない、そんな合意はしていないとおっしゃられたトウモロコシ輸入問題について聞かせていただきたいというふうに思います。

 日米間の合意はない。それは、政府間で買うという約束をしたことはないというのは、そのとおりだろうというふうに思います。トランプさんに総理は、民間に買わせるからねとおっしゃられたのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 トウモロコシの購入については、八月の日米首脳会談において、私からトランプ大統領に対し、我が国では、本年に入り、トウモロコシ等に寄生する害虫の被害対策の一環として、海外のトウモロコシの前倒し購入を含む代替飼料の確保対策を実施することとしている、これは民間企業が購入するものであるが、飼料用トウモロコシの多くが米国から買われていることから、この対策の実施によって米国のトウモロコシが前倒しで購入されることを期待していると説明しましたが、米国と、今私はちょっとゆっくりお話をさせていただいたんですが、聞いていただければおわかりいただけた、このように思いますが、これは、米国と約束や合意をしたという事実はないわけでございます。

川内委員 期待しているというところを強調されて総理はおっしゃられたわけでございますけれども、この日米首脳会談後の、当時の西村官房副長官、今経済再生担当大臣の西村さんの記者さんたちに対するブリーフでは、トウモロコシの備蓄を積み増すという中で、三カ月分前倒しをして購入するというものというふうに、購入するというふうに言い切っていらっしゃいます。記者さんたちに念押しで、トウモロコシの購入規模はと聞かれて、三カ月分ということなので、年間一千万トン、本当は一千百万トンなんですけれども、なので、大体の規模感でその四分の一程度ということを記者さんたちに、買うと、期待するんじゃなくて、買うということをブリーフしていらっしゃいます。

 この日米首脳会談後の記者ブリーフの買うという発言は事実でしょうか。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 官房副長官として、この日米首脳会談、そしてその後の共同記者発表の内容について記者ブリーフを行いました。

 今総理が答弁された趣旨を私は説明をし、その上で申し上げれば、本来、今の立場で答弁する立場にないのかもしれないんですけれども、あえて申し上げれば、多くがアメリカ産であるため、結果的にアメリカのトウモロコシの購入につながるのではないかという言い方をしておりますので、アメリカから購入するということを約束したり断言したことはございません。

川内委員 約束したということを発言した覚えはないと。

 私が聞いたのは、こう発言したのは事実ですかと聞いているんですけれども。

西村国務大臣 私が発言したのは、今申し上げたとおりでありまして、三カ月分前倒しして購入を行うもの、多くがアメリカ産であるため、結果としてアメリカのものを、アメリカのトウモロコシの購入につながるのではないか、そういう趣旨で申し上げました。(発言する者あり)そう申し上げました。

川内委員 アメリカから輸入する飼料用のトウモロコシというのは濃厚飼料で、栄養価の高い飼料になるわけですね。日本で栽培されている、新たに発見されたツマジロクサヨトウの被害を受けているかもしれない飼料用トウモロコシというのは粗飼料。粗飼料というのは栄養価が低いという意味ですが、栄養価が低いんだけれども、繊維分を多く含んでいるので、牛にとっては主食です。粗飼料の方が大事なんですね。

 その青刈りトウモロコシの害虫であるツマジロクサヨトウの発生状況と現在の被害状況について、まず農水省から教えていただきたいと思います。

江藤国務大臣 非常に強い食害性と伝播力を持つ害虫、ツマジロクサヨトウでありますが、本年七月に初めて確認されてから、十月の十日の時点で、九州から沖縄、それから東北まで、十九府県、百四の市町村で発生が拡大しております。

 現在、その防除、蔓延防止に全力を尽くしておりますから、今の段階でどれぐらいの被害総額になるかは予見することは困難であります。

川内委員 今の時点で被害はわからないということでございますが、粗飼料である、牛にとって主食である青刈りトウモロコシが害虫によって収量がもし減った場合、それを一般的には粗飼料で補うわけですね、乾牧草で補うわけですが、この乾牧草では青刈りトウモロコシと比べて栄養価が減ってしまうので、その栄養価を補うために濃厚飼料であるトウモロコシの実が必要になるということで、アメリカからのトウモロコシの輸入がもし必要だとすれば、そこに使われるわけです。

 もう一回農水省に教えていただきたいと思いますが、粗飼料としての青刈りトウモロコシが一万トン収量が減った場合、濃厚飼料であるトウモロコシの実は何トン必要になるでしょうか。

江藤国務大臣 先生御存じのように、青刈りトウモロコシはクロップで巻きまして、発酵もさせますので、粗飼料という側面と濃厚飼料の側面と両方持っているということでございます。

 それで、一万トンの被害が出た場合にどれぐらい濃厚飼料としてのトウモロコシが必要かということでありますけれども、これは農家によって、どのような酪農経営をするかによって大分違ってくると思います。乳脂率をどれぐらいにしたいかというのも農家によって違いますし、高たんぱく質の生乳をつくりたいという人もおられますし、飲用に回したい人もいるし、加工用原料に使いたい人もいるので、農家によってばらつきはありますけれども、私の経験上のお答えでよろしければお答えをいたしますが、長年畜産をやってきた人間で考えると、一万トン大体やられたら、その半分か、少なくても三分の一ぐらいは粗飼料に対して濃厚飼料をまぜる必要があるのではないかと思います。

川内委員 きょうは農水省生産局長も来ていただいているんですよね。

 ちょっと生産局長さんに教えていただきたいんですけれども、今農水大臣から、いろいろあるけれどもということで、最後数字についてお触れいただいたわけでございますけれども、牛も我々と同じ生き物ですから、結局、一万トン被害を受けて、乾牧草一万トンに濃厚飼料五千トン、食べる量がふえるわけですね。食べる量がふえると、濃厚飼料がふえると、これは体調を壊したりするんですよ。病気になったりする。ひどい場合は死ぬんですよ。だから、一概に、粗飼料の不足を濃厚飼料で代替できるなんということは軽々には言えないはずなんです。生産局長、どうですか。

江藤国務大臣 これまで経験したことのないそういった病害虫が発生した場合には、我々としては、やはり畜産農家の不安を払拭すること、安心して経営を、営農がし続けられること、それを基本に対策を考えるわけであります。

 ですから、いろいろなやり方がありますよ、例えばチモシーを食わせるとか、いろいろなやり方はあるかもしれませんが、しかし、もし、これがわあっと広がったときに大変なことになるということで、八月の八日に緊急対策をやったということでございます。

川内委員 いや、だから、それは大臣の御趣旨はよくわかります。でも、牛はとてもデリケートな生き物で、四つも胃があるぐらいですから、食べるものが変わると体調を崩す牛がたくさん出るわけですね。生乳の生産高にも影響する。

 だから、そんな粗飼料の不足を簡単に濃厚飼料で代替していくということ自体が、牛の、特に酪農に関しては、そんな簡単なものではないですよねということを私は生産局長さんに、牛のことを教えてくださいということを申し上げているわけです。(発言する者あり)

江藤国務大臣 いや、時間稼ぎではございません。

 先ほど申し上げましたけれども、どのような餌のやり方をするかは、農家がそれぞれノウハウを持っているわけですよ。どういう牛乳を生産したいか、そういうものにノウハウを持っているわけですよ。ですから、餌をやり過ぎるかどうかのノウハウはまさに農家に蓄積されている知識であって、国がそれだけの輸入をしたからといって、農家が漫然と、やたらに濃厚飼料を食べさせるようなことは起こりません。

川内委員 今まさに農水大臣がおっしゃったように、国が濃厚飼料を輸入したからそれを食べさせるなんということは農家はしないんだと、まさしく真実を語られたわけですね。

 私は農業の素人ですから、今回、ツマジロクサヨトウの被害が出たという農場を、酪農家を何軒か訪問させていただきました。今後どうなりますかと聞いたら、それは、粗飼料は粗飼料で賄うしかないよ、米国産のトウモロコシなんか買う必要はありませんよということをその農家の方たちはおっしゃっていらっしゃったんです。

 だから、私が聞きたいのは、害虫被害の緊急対策事業として、米国産のトウモロコシ、濃厚飼料に補助金をつける、保管経費、金利、この事業自体は一体誰が考えたんですか、誰が発想したんですかということを教えていただきたいと思います。

水田政府参考人 この事業について、誰がつくったかということでございますけれども、農水省で検討いたしまして、農水省でつくったものでございます。

川内委員 どちらかからの指示があったんじゃないですか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 今回のトウモロコシの前倒し購入の支援でございますけれども、畜産農家のために農水省が実施をしたものでございまして、どこからか指示が、ほかのどこからか指示があったというものではございません。

川内委員 ございませんと何か強い口調で言うところが、何か逆にこう、何みたいなところを思わせるわけですが。

 九月二十四日からこの補助金の申請が始まったということですが、応募はありましたでしょうか。

江藤国務大臣 正直にお答えしたいと思います。

 現時点での……(発言する者あり)正直の方がいいでしょう。現時点では申請は上がってきておりません、現時点ではですね。

 しかし、各メーカーにおいて検討は進んでおります。第一番にシェアを持っている会社、A社と申しますが、そこについては、今月中にも輸入業者との相談を始めるというふうに申しております。それから、他の配合飼料メーカー四十六社の加盟団体ですけれども、そこも各社の判断で参加できるようになったというふうに聞いております。

川内委員 私は、ニーズはほとんどないというふうに思っているのですが、この飼料穀物備蓄緊急対策事業というのは、ツマジロクサヨトウの被害農家に対して配合飼料を安定的に供給するための対策を支援する必要があると。

 被害農家に対してという言葉がありますが、この補助事業は、害虫の被害がないのに補助金を申請するということは認められないということでよろしいかということを確認させてください。

江藤国務大臣 これは企業のモラルにも関することになるかと思いますが、そのような必要がないのにこのような事業に申請するようなことは起こり得ないというふうに私は考えております。

 必要以上にこの事業に乗っかって買ったとしますよね、トウモロコシを。メーカーさんは、要りもしない在庫を抱えることになるんですから、何の利点もないというふうに考えます。

川内委員 いや、メーカーさんは、全部金利も国が出してくれるし、保管経費も国が出してくれるわけですから、実害ないわけですからね。

 私が聞いているのは、このツマジロクサヨトウの被害がないのに申請する、補助金を出すということは認められませんねと、国としての方針を聞いているんです。

水田政府参考人 お答えいたします。

 ツマジロクサヨトウの被害でございますけれども、先ほど申し上げたように、多くの県で害虫が発生しておりまして、被害が確認されております。防除対策の一環として、生育途上の飼料用トウモロコシをすき込んでいる圃場では収穫ができなくなっておりますので、既に被害がそういう意味で確認されております。

 確認されたから本事業を実施するものでございまして、被害がないという仮定でやっているものではございません。

棚橋委員長 川内博史君、恐縮ですが、時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。

川内委員 聞いたことに答えていただけないというのは非常に不本意ですね。生産局長がこんなごまかしの答弁をするのは断じて許せないと私は思いますよ。

 結局、被害もないけれども……(安倍内閣総理大臣「あるから」と呼ぶ)確認はされていますよ、多少は。総理、多少はあるに決まっているじゃないですか。それが、被害額が膨大でもないのに三十億円もの補助金を使って米国からトウモロコシを輸入させるというようなことは断じて許されないということを申し上げて、終わります。

棚橋委員長 この際、本多平直君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 共同会派を代表して、きょうは、新しく大臣になられた皆さんを中心に質問させていただきたいと思います。

 まず、菅原経済産業大臣にいろいろ疑惑が出ております。お伺いをしたいと思います。

 秘書給与というのを、公設秘書の給与ですね、これを自分に寄附しろというようなことを勧誘したりお願いをしたら秘書給与法違反になるということは御存じですね。

菅原国務大臣 存じております。

本多委員 そのようなことをされたことはございませんか。

棚橋委員長 まず着席してから。(発言する者あり)

菅原国務大臣 秘書に対して寄附の勧誘、要求といったことはございません。

本多委員 勧誘をせずに秘書が自主的に寄附することは、法律違反にはなっていません。

 今、菅原事務所の秘書さん、公設秘書さん、最近、自主的に寄附されている方はどれぐらいいらっしゃるんですか。

菅原国務大臣 一人もおりません。

本多委員 過去にいらっしゃったと思いますが、どれぐらいの数いらっしゃいますか。

菅原国務大臣 私の今の認識では、過去にもいないというふうに、そういう今認識を持っています。

本多委員 過去に秘書に寄附を強制していたのではないかという疑惑が出たときに、大臣は、週刊誌か何かに、これは秘書が自主的にしたものですとお答えになった例が、今、私、まさかそんな答えが出ると思わなかったので持ってきておりませんが、本当にそれでよろしいですか。過去に自主的に寄附した例があるのではないでしょうか。

菅原国務大臣 今、私、ここでいる状況の中でそういう認識がないということでございまして、その辺含めて確認をしてみたいと思います。

本多委員 私、時間があるので、一つ一つの答弁に、正しく答えてください。

 過去に自主的にしていたことがあるんじゃないかと思うんです。これの数が多ければ、そしてそれが、私は、自然にしていたものかどうか、勧誘があったのかなかったのか、これは法律違反かどうか、今後もしっかり追及をしたいと思います。

 次に、大臣、選挙区内の方に物品、メロン、カニ、こういうものを配ったら法律違反だ、公職選挙法の寄附行為の違反になるということは御存じですね。

菅原国務大臣 そのように認識をしております。

本多委員 大臣にお伺いをします。

 これはちょっと法律違反のことと関係ないので気軽にお答えいただきたいんですが、大臣は、政治家の先輩、もちろん選挙区外ですよ、選挙区外の先輩や同僚にお歳暮、お中元のようなものをお贈りになる習慣はございますか。

菅原国務大臣 選挙区内の先輩、そういうことはないと思います。

 今、そういう認識は持ち合わせておりません。

本多委員 委員長の注意もわかるんですが、私これまで、河村委員長、野田聖子委員長のもとで予算委員会で質疑してきて、一々席に戻るまで指名しないというのは、委員長、初めてなので、なかなか私もペースをつかめないので、私たちの時間も限られた時間でやっているので、円滑な運営をぜひ御協力お願いします、委員長。

棚橋委員長 円滑な運営に努めてまいります。

本多委員 本当に、この長い政治生活の中で、先輩の政治家や同僚の政治家に、メロンとかカニとか、贈ったことはないですか。

菅原国務大臣 先輩の政治家、選挙区内の……(本多委員「選挙区外」と呼ぶ)外。ございます。失礼しました。それは、外はあります。

本多委員 きのうの夜、大臣にお渡しした表、これは個人情報がたくさん載っているので、大臣だけにお渡しをしている表です。大臣は見ていただいていると思います。

 これには、二百三十九名の方の名前が載っていまして、このうち政治家、我々もよく知っている、そこにも並んでいる安倍総理も載っていますし、菅官房長官も載っていますし、載っている方と載っていない方がいるのが微妙に、菅原先生の政治判断がよくわかるんですが、政治家の方が約五十名載っているんですね。そして、大臣の選挙区の練馬区の方百十名、載っているリストがあります。

 このリスト、例えば二〇〇六年でいうと、練馬区の方にメロン二十四、カニ三十八、二〇〇六年の冬、ミカン二十三、タラコ、すじこ六十六、二〇〇七年の夏、メロン七十九、こういうものを、リストがあります。

 このリストは、大臣、おたくの事務所でおつくりになったものじゃないですか。

棚橋委員長 委員に質問させていただきますが、理事会で、今、リストの件についてお話がございませんでしたが……(発言する者あり)いやいや、この資料を出すという話が理事会でなかったじゃないですか。だから、結構ですから、今、筆頭から申し出てください、このような資料を提示しますということを。

 先ほどもそうですが、提示する書籍であってもそのようにしてやっていますので……(発言する者あり)ちゃんとこうやって見せているじゃないですか。だから、筆頭からお話しください。筆頭からお話しいただければ、続けます。時間がもったいないでしょうから、筆頭からお話しください。(発言する者あり)提示されますね、はい、了解いたしました。

本多委員 議長は、今のこの三分ぐらいの時間は後でつけ足していただけるんですか。

棚橋委員長 これまで、提示していただく資料については理事会で事前に諮っておりますので、今、渡辺筆頭から提示をいただいた上で、議事を進めさせていただいております。

本多委員 非常に私は委員長の差配に憤っていますよ。掲示なんかしていないじゃないですか。

 これ、リストは、大臣の事務所のものですか。

菅原国務大臣 きのう、本多委員の事務所からいただきました。それを見て、確認をするように、今、指示を事務所にしたところです。

本多委員 すっとぼけたこと言わないでくださいよ。こんなもの、私の事務所にも私の知らない資料というのはあるかもしれませんよ、しかし、安倍晋三先生にはロイヤルゼリーを出して、大で、塩崎先生にはロイヤルゼリーが小、こんな判断、秘書ができるんですか。あなた、見ているじゃないですか、この資料。

菅原国務大臣 その資料をしっかり、きのうの夕方、この予算委員会が終わった後にいただきましたから、よく確認をしたいと思います。

本多委員 問題は政治家の方じゃもちろんないんですよ。安倍晋三先生に、当時は安倍内閣、第一次内閣ですよね、総理にロイヤルゼリーを贈られる、あると思いますよ、先輩に。違うんですよ、問題は。練馬区に住んでいる百十人に、メロン、カニ、冬はミカン、タラコ、すじこ、配っていたんじゃないんですか。

菅原国務大臣 いただいたそのリストをしっかり確認をしたいと思います。

本多委員 このリスト、政治家さんと一緒になっているので、すごいわかりやすいんですね。このように、菅原先生と親しい政治家と練馬区の方、その他がちょっと載っている、こんなリストをつくる人は、普通の常識では菅原さんしかいないんです。

 今調べているということですので、その結果は理事会に報告していただくということでよろしいですか。

菅原国務大臣 しっかり調べております。(発言する者あり)

棚橋委員長 恐縮ですが、静粛にお願いいたします。

本多委員 選挙区の方に物を配るのはもうやめましょうよ、こういう。これ、うちわを配ってやめた大臣もいるんですよ。タラコ、すじこ、カニ、こんなものを配って、そんな不公正な方がこの関電疑惑のさなかの経産省を率いれるとは到底思えないです。

 更に言うと、ここに、私、言っておきますけれども、これはでたらめだととても思えないです。なぜかというと、元秘書さん本人とお会いして、代議士の横で、この人はメロン、ことしはやめる、この人は、こういうのを話し合って、当然ですよね、政治家さんもなかなか、人気がなくなるとメロンをもらえなくなったりしているんですよ。こういうことを作業したという証言を私は秘書さんからもらっていますから、その調査がどうなるか、しっかりしたいと思うんですけれども。

 もう一点、公職選挙法だけじゃなくて、こういうことをしたらきちんと政治資金収支報告書に載せなきゃいけないんですね、やったとしたら。

 私、ここに、北海道のある物産店、メロンを買われたのかカニを買われたのかわかりませんが、七十八万円相当の領収書を持っています。これですけれども、ちょっと、ちゃんと載っているんですかね、平成十九年八月二日に北海道の稚内の物産店から、自民党東京都第九区選挙区支部、七十五万八千円、お品代という領収書を持っています。

 これはきのう、これもお渡ししていると思いますが、第九選挙区支部の会計に報告されていますでしょうか。

菅原国務大臣 先ほどのお話のあったそのリストでございます。今調べております。平成十八年、今から十一年、十二年ぐらい前のものであります。したがって、今にわかに私も確認できないということで、しっかり調べたい、こう思っております。

 今のお話ですが、この領収書に関して収支報告のお話がございましたけれども、平成十九年の収支報告書には、いわば保存期間がもう過ぎておりましたものですから、きのうの時点で確認できなかったというふうに承っております。

本多委員 公職選挙法違反、政治資金規正法違反、ダブルで疑わしいので、きのうの夜しっかりと資料を出して、私はきょうまでに調べてくれと言っていたのが調べられていないわけで、しっかりと理事会に報告をしていただきたい、来週は参議院もありますので、報告をしていただきたいと思います。非常に疑わしいことだらけでありますので、こんな感じで関電の疑惑なんかは経産大臣のもとでやれるとはとても思えないので、しっかりと事実関係を明らかにしてください。

 委員長、理事会でしっかり取り計らっていただけますか。

棚橋委員長 理事からお申入れがございましたら、後刻、理事会で協議いたします。

本多委員 次に、この内閣には、複数、暴力団との関係が取り沙汰されている方が入っています。芸能界などでは、写真を撮られた、そんなことだけで、非常に、休業に追い込まれたり、場合によっては引退に追い込まれたりする方も出てくるぐらい、厳しい態度で社会は今この問題に臨んでいます。

 そういう中で、きょう取り上げたいのは竹本大臣。竹本大臣は、昨年ですよ、昔の話じゃございません。御自分でパーティーをされたところに、元暴力団関係者、まあ、元なのか、報道によれば、今でも特別顧問のような役割をされているという報道もございます、私はよくわかりません。しかし、その方が来て、竹本先生の派閥の親分である岸田先生がゲストで来られて、岸田先生がその元暴力団の方と握手して、写真週刊誌に撮られて、岸田先生は大変迷惑だったと思いますよ、私。同情いたします。そんなところに行って、写真撮ろうと言われたら、私も撮りますわ。それで言われた岸田先生は全然関係ないですよ、言っておきますけれども。あなたの問題ですよ。

 まず、来ていたことに対しては、その報道をされて、こんな人が来ていて面識もないということを証言されていますけれども、それで正しいんですか。

竹本国務大臣 今おっしゃったことはよく覚えております。去年の三月ですね。大体そのころにこういう集会をやっているんですが、岸田さんは私の政策グループの長ですので、お呼びいたしました。それで、そういった人と握手をしている写真が週刊誌に報道されたということであります。それも見ております。しかし、その方は全く知りません、私は。それで、どういう人か、どうしてそういう人がそこに来たのかと聞いて調べてみましたら、私の知っている人の知人の友人で、その人が連れてきたということでした。全く名前もわかりません。

 以上です。

本多委員 そこまでは一応あることかなという気もします、いろいろな方がパーティーには来ますので。ところが、あなた、このフライデーで自分の派閥の親分に大迷惑をかけた方ともう一回会っていますよね、去年の八月。

竹本国務大臣 もう一回会っているかと言われると、会ってはおりません。

 ただ、これは、これもよく覚えております。七月だったと思うんですけれども、淀川花火というのがあるんです、夏に。そのときに、私は大阪市内に、ほかの人たちといろいろ事務的な相談をしておりました。そのときに、私の知っている人から、きょうは淀川花火で、よく見えるところにいるのでいらっしゃいよという電話がかかってきました。私は忙しいから行かなかったので、五、六回かかってきたと思います。余り何度もかかるので、仕方なく、本当に仕方なく行きました。そうしたら、七、八人おられたか、よく覚えていないんですけれども、そこで、一緒に写真を撮りましょうといって撮られました。その中にその人がいたようであります。私も、それもよく覚えておりません。

 以上です。

本多委員 大臣、そんなばかげた話、通用するわけないじゃないですか。

 ちなみに申し上げますと、大臣のその日の会合は、今もフェイスブックで見ることができるんですよ。その元暴力団関係者の方のフェイスブックをたどっていくと、二〇一八年八月四日、別に大勢の場所じゃありません。ホテルの一室で、一、二、三、四、五、六、七、八名。きょうこの現在も、今この写真はアップされています。

 そして、私見ましたが、この八人しかいない中に、三カ月前に自分の派閥のボスに握手させて大迷惑をかけた方がいるじゃないですか。その人の顔がわからないなんということがこの世にあり得るんですか。どういう記憶力で仕事しているんですか。

竹本国務大臣 ともかく、忙しいところに何回も電話がかかってきたから、しようがないから行ったんですよ。ほんの短時間いただけです。ばあっと写真撮りましょうと撮られただけ。それですぐ帰ったんですよ。覚えておりません。

 ただ、おっしゃるように、その写真を見たら、ああ、同じ人なのかなという感じはしますけれども、全くそのときは覚えておりません。

本多委員 これから更に追及させていただきますけれども、二回なんですよね。一回目だったら、たまたま撮られたとかいろいろなことがあると思いますよ。

 それと、竹本大臣、あなた、十年前のこの予算委員会の場で、ねちねちねちねちと、同じような疑惑があった方にこういうことを言っていますよね。暴力団報道をされた人に、事実がどうであろうと、どうであろうと、要するにうわさが立てば、こういうことで私は潔白なんですよということをやはり示すのが政治家の責任と。御記憶ないですか。これ、議事録二、三ページにわたって、暴力団問題、何か、事実なのかどうか私知りませんけれども、追及しているじゃないですか、あなた。自分は何なんですか、こんな。

 今も、元関係者と、派閥のボスに迷惑かけて、そして今もアップされている。こんなの芸能界だったらアウトですよ。どうなんですか、これ。

竹本国務大臣 最初は私の開いたパーティーです。そこにその方が来ておられた。その方自身は会ったことないんですから知りませんでした。後でフライデーに載った写真を見て、ああ、そんな人がいたのかなという感じであります。

 そして、二回目、また会っているじゃないかとおっしゃる。このときは、呼ばれて何度もうるさい、うるさいというのは申しわけないんですけれども、何回も電話がかかってくるから、しようがないから、まあ、知っている人ですので、呼んだ人は。それで、仕方なく行ったんですよ、息せき切って行って。それで、みんなで写真撮りましょうと撮られた。ただそれだけのことなんです。

 それで、顔を覚えているか。そんな、七人か八人か、よく覚えていませんよ。おまえは頭が悪いとおっしゃるならそうかもしれませんけれども、そこまで覚えていません。そういうことです。

本多委員 全くそういう、にわかには私は、これ、余り出したくないですけれども、岸田先生に悪いので。岸田先生にこれだけ迷惑かけた人の顔を、行ったらすぐ帰って、写真なんか撮るべきじゃないですよ。あなた、御自分でもアップしているでしょう、実は。

 今後も、こういう問題、しっかりと、大臣、言われたとおり、追及していきたいと思います。

 次に、新しくなられた田中大臣、復興大臣。

 新しい分野になられて、いろいろと細かいことを聞かれて答えられないとかということはあるかもしれないです。しかし、復興大臣が、避難者は私の所管じゃないということを記者会見でおっしゃったんですよ。これ、間違いですよね。確認します。

田中国務大臣 お答えをいたしたいと思います。

 この点については、先日、私の方に記者会見のときに御質問がありまして、福島県の国家公務員宿舎の未契約世帯に対する訴訟の提訴について、県と事実上の利用者の間の訴訟であることから、直接の当事者ではない復興庁としてはコメントを差し控えさせていただくというお話をしたわけでございます。

 避難指示区域以外に避難をしておられます皆さん、全ての被災者の支援は、国においては復興庁が担当して当然いることから、引き続き、福島県あるいは自治体、全ての皆さんとも密に連携をしながら、避難者の方々の生活再建を支援をしております。これからもそのようにしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

本多委員 きちんとやっていただきたいんですが、今、避難者の問題というのは、特に県外に避難した方、国家公務員の住宅を出ていけと言われ、出ていかないんだったら違約金を二倍取るとか、結構厳しい扱いをされているんです。

 これは本当に、国の責任で起こった原発事故で避難をしている方、これに対してこういう冷たい政策がどんどんとられている。多くの方は、これだけ時期がたちましたから、徐々に退去されたりしているんですが、残っている方というのは事情があるわけですよ。そこを、役所が冷たい論理で、冷たい役所がいろいろあるんですよ、そこを寄り添うのが復興庁の仕事なんですよ。それをわかっていらっしゃいますか。

田中国務大臣 私は、常に申し上げておりますのは、復興庁の毎日の仕事は、被災者の皆さんの心にも日々の生活にも寄り添っていく、そして、常に現場主義を徹底する、このことを申し上げておりますし、私自身もそのように努めておるところでございます。

 当然、全ての避難をされた方々に対して徹底して対応していく、このことについては、これからも努力をしてまいりますし、真剣な取組をしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

本多委員 それでは、一つ大臣にお願いがあります。

 東雲住宅というところが今問題になっているんですね。少ない数の方ですけれども、私は詳しくまだ知りません、なぜ出られないのか。出ていけと言われ、家賃を上げると言われ、困っているという話は聞いたんです。

 ぜひ復興庁で、大臣、直接はお忙しいと思うので、復興庁でですよ。福島県もいろいろな事情はあるんです、財務省もいろいろな言い分はあるんです。でも、そういう役所はいいんです。復興庁が、復興庁の職員の方が、どういう事情で出られないのか、こういう方法があるんじゃないか、そういう相談に乗っていただきたいと思うんですけれども、お願いできないですか。

田中国務大臣 福島県の方でも今まで相談に乗っていただいているのではないかというふうに思います。

 個別具体的には、私もこれから確認をさせていただいて、十分な対応がされているかどうか調査をさせていただきますけれども、福島県がやっておられることに対しては、私たちも今までしっかりとサポートをしてまいりました。人材面でも、また財政面でもさせていただきましたし、生活保護者の皆様方がいらっしゃる場合は、やはりこれについても期限の延期等もさせていただいておるようでございますし、今先生のおっしゃったことについても、福島県と相談をしながらさせていただきたいと思っております。

 ありがとうございました。

本多委員 福島と相談をしながら復興庁の職員の方が事情聴取をしていただけるという答弁でいいんですか、最後のところは。

田中国務大臣 このことも含めて、福島県と十分確認をさせて、対応させていただきます。

本多委員 全く、復興庁、こんな復興大臣のもとで、私は避難者の方の対応はできないと思いますよ。

 つまり、財務省はいろいろな理由で出ていけと言う、福島県には福島県でいろいろな事情がある。そういうときに、避難者の側の事情を聞いて、役所との折衝が困難な方が残らざるを得ないんですよ、役所から厳しいことを言われて、そこを寄り添うのが僕は復興庁の仕事、復興大臣の仕事だと思っていますが、きょう、私はいい答弁をするチャンスを大臣に与えたと思いますけれども、残念ながら、記者会見で所管じゃないと的外れなことを言ったり、ごく限られた範囲で言いましたよ、この事情聴取に対しても、何か、検討すると、非常に後ろ向きな姿勢。私は大変残念だということをお伝えをしたいと思います。

 さて、小泉大臣に伺いたいと思います。

 大臣に就任して早々に、ニューヨークで、気候変動の行動サミットに行かれました。いろいろ大臣の発言の細かいところ、セクシーであるとか、それから、地球環境に実は余りいい影響がないんじゃないかというステーキを食べたとか、そんな報道がされて、そればかりがちょっと報道されて、大臣も残念だったんじゃないかと思うんですが、私は、実はその陰に隠れて、せっかく新しい若い大臣が行ったのに、大きな地球的な問題のこの会議で日本がすごく後ろ向きな姿勢しか示せなかった、小泉大臣でさえ、そういう後ろ向きの日本の姿勢を背負ってあの場に行っていた、このことこそが非常に残念だったと思うんですが、大臣の見解はいかがですか。

小泉国務大臣 まず、事実関係から申し上げますと、あの国連の気候変動のアクションサミット、こちらは、招待国は百九十六の国と地域でありまして、本多先生がおっしゃる、日本は演説の機会はなかったのではないか、そういったことも含めまして、演説した国はそのうちに六十一カ国プラスEUということで、百九十六の国と地域のうち、演説をした国は六十一とEUであります。

 そして、日本もオファーはありました。しかし、それは総理の予定がつかず、そのスピーチはかなわなかった。

 ちなみに、環境大臣で、世界の国々でこの場で演説をした大臣は一人もいません。

 そういった中でも、日本の取組をアピールできることはさまざまありました。

 そして、今回、私は非常に大きな成果だと思っているのは、日本は今回、ニュージーランドが最近訴えてこられた炭素中立性連合というものに参加表明をいたしました。今回、ニューヨークに行く前にニュージーランドのアーデーン首相とお会いをしまして、私がその場で参加表明を伝え、大変喜ばれました。

 そして、国連の方でも、たまたま国連の本部の中でアーデーン首相とお会いをしたときに先方からお声をかけていただいて、グテーレス国連事務総長に対して、日本が入るということを聞いた、そういったことをお伝えをしたら、グテーレス事務総長は大変喜ばれたと。

 そして、その後に安倍総理がグテーレス事務総長と会談をされたので、私はそこにも同席をさせていただきました。そうしたら、グテーレス事務総長から、ニュージーランドの首相から日本が炭素中立性連合に参加表明をしたと聞いたけれどもそうなのか、そういったお話を私に振られまして、そして、私からそのことを改めてお伝えを申し上げました。

 そして、大変喜ばれ、日本に帰国をしてから、これはおとといでありますけれども、官邸の方でグリーンイノベーションサミットが行われ、その場にレセプションで出席をされたのは、アイルランドの元大統領のロビンソンさんでありました。そのロビンソンさんが、スピーチのときに、日本が炭素中立性連合に入り、そして、その後にアイルランドは表明をして、これから一緒に切磋琢磨をしていこう、そういった話もありましたので、私は、間違いなく、今まで以上に日本がこの気候変動の取組に前向きな意思は、今、この国際社会の中で伝わりつつあると思っています。

本多委員 小泉大臣、大変残念なんですよ。安倍内閣に入った瞬間に、安倍内閣の悪い癖がうつっちゃっているんじゃないかと思うんですよ。聞かれていないんですよ。

 私、実は、環境省の役人の方もちゃんと大臣を補佐してください、会議で発言の機会がなかったことは、いろいろな事情があるから、あした大臣には聞かないと言ったじゃないですか。何でそんな原稿を渡して大臣に読ませているんですか、環境省。聞かないことに答え、そして、聞いていないことは長々しゃべられました。

 じゃ、ちょっと聞きますが、大臣……(発言する者あり)何ですか。何か。

棚橋委員長 質問をお続けください。

本多委員 閣僚席から発言中に何か声があったんですけれども、茂木大臣、何ですか。何を言われたのか、教えていただけますか。

棚橋委員長 本多平直君、御質問を続けてください。

本多委員 茂木大臣が今言われかけたことをお聞かせください。

棚橋委員長 本多平直君、御質問をもう一度お願いします。もう一度お願いいたします。

本多委員 茂木大臣が今言われかけたことを御発言ください。

茂木国務大臣 本多議員には何も申し上げておりません。

本多委員 じゃ、議論を続けます、小泉大臣。

 もちろん、前向きな部分もあるし、大臣に頑張ってほしいと私は思いますよ。しかし、じゃ、ちょっと認識を確認したいんですけれども、グテーレス事務総長が、パリ協定の合意だけでは足りないから、みんな少し上乗せを持ち寄ってくれという会議だったという認識は、ここは共通ですか。

小泉国務大臣 グテーレス事務総長が気候変動の取組に大変思いを持って取り組まれていることはそのとおりでありまして、そして、その場において、さまざまな国に対して、野心的な取組をぜひ持ち寄って広げてもらいたい、そう言ったこともそのとおりです。

 そして、事実、日本も、私が出席をするさまざまな場、そして、今回バイ会談も多くこなしましたが、その場で、日本がとり得るさまざまな具体的なアクション、その一つが炭素中立性連合、これへの参加表明でもありましたし、今回、クリーン・エア・イニシアチブというものもありまして、それへの参加表明も行いました。

 そして、この気候変動の取組は、国だけではなくて、地方、自治体の取組も大変重要です。京都、そして東京、横浜、こういったところが二〇五〇年までのネットゼロを既に表明をしています。

 こういった取組も含めて、私は、日本は前向きのことはしっかりと持ち込むことができたと考えております。

本多委員 大臣、まさに、進んだ自治体は日本の国内でも二〇五〇年代ゼロと言った、幾つかの、小さいとは言わない、大事な成果もあるんだけれども、この会議のメーンは、二〇五〇年ゼロを言えるかどうかが大きな柱だったんですよ。そして、世界百九十カ国のうち七十七は頑張ってコミットしたのに、日本は、残念ながら、その半分の後ろ向きの方に入っちゃった、このことは残念じゃないですか。残念な結果じゃないですか。

 二〇五〇年ゼロをこの機会に、特に新しい大臣になって言うべきじゃなかったんですかということです、私は。

小泉国務大臣 私も、本多先生と同じように、気候変動により前向きに取り組んでいきたいという思いは共有します。

 その上で、日本の中で私は広げていきたいと思っている考え方は、二〇三〇年の中期目標というのは下から積み上げていくという考え方で、まさに今をどうやって積み上げられるかという考え方が二〇三〇年の目標であります。しかし、二〇五〇年の目標は、積み上げではなく、いわばゴールという考え方で、そこまでは非連続のイノベーションとかを含めて起きなければ達成できないけれども、そこを目指していこうじゃないかというその思いというのは、日本というのは大変真面目な国ですから、真面目過ぎて、積み上げて今から二〇五〇年のことを考えようと思っても、私はそれは逆に現実的ではないと思います。

 ですので、引き続き、これから何ができるかを考えていきたいと思います。

本多委員 大臣、積み上げか目標設定かという話は別として、だとしたら、二〇五〇年のゼロにコミットしていくべきなんじゃないんですか、目標型だったら。積み上げ型だったら、いろいろ難しい、経産省も変な数字を持ってきたり面倒くさいことになりますが、目標型なら、世界の七十七カ国、いろいろな事情が違う国々が二〇五〇年ゼロ、これをコミットしているんだから、日本もコミットして、それに向けて全ての力を注力するというやり方をとるべきなんじゃないんですか。

小泉国務大臣 改めて申し上げますが、私は、本多先生と同じように、この気候変動の取組をより強く持って進めていきたい、その思いは共有をしております。

 その上で、日本は今、二〇五〇年に八〇%という形の長期の目標を持っておりますが、この過程においては、さまざまな産業界の声、そして、今までだったら、低炭素という言葉でさえも時にはこの気候変動の取組に対しては経済や雇用の負担になりかねない、そういった思いから、いや、むしろこれからは、経済にとっても気候変動へのアクションというのはリスクではなくて、これはチャンスなんだ、そういったことを、認識を共有できて、その上で今、政府を挙げて気候変動への取組と経済成長を両立をさせる好循環を生んでいこうということが、まさに共有できた大きなところだと思います。

 その上で、この脱炭素社会の実現に向けてということは、日本も、二〇五〇年以降のできる限り早い時期にそれを実現をしていくということは既に掲げているので、私は、その方向に向けて、どれだけ早くできるかという思いで取り組んでいきたいと思いますので、どうかこれからも御支援のほどお願いしたいと思います。

本多委員 すごく残念だったんですが。

 産業界の意見とかを代表する役所はあるんです。経済産業省とかがいろいろな理屈で、そんな数字はできないとか持ってくるんです。それを乗り越えるのが大臣の仕事なんです。

 実は、別にビジネス界もそんなにおくれていなくて、こんな世界的な潮流に乗らないと逆にビジネスできないという発想になっている。それは大臣もわかっていらっしゃると思うんです。

 そこで、これは、実は大臣の前に割と地味な大臣いらっしゃいましたよ。議事録を読んでみたら、ちゃんと頑張っているんですよ、闘って。大臣が、経済界とか産業界とか……(発言する者あり)ああ、いらっしゃるんですか。真面目な、いや、地味って失礼じゃないんですよ。原田大臣の議事録を読んだら非常にいい取組されているんですよ、真面目に。

 だから、まさか小泉大臣のような大臣のところで後ろ向きのことを言わないでください。産業界のいろいろな事情なんかというのは経産省がいろいろ紙を出してきますから、それを乗り越えて、世界の流れ、もう七十七カ国が二〇五〇年ゼロと言っているのに、二〇五〇年代のできるだけ早い時期、これはかなり先ですよ、いろいろな努力でできる目標設定をして頑張りましょうよと私は提案をしたいと思います。

 それで、余り具体策なくこういうことだけ言っていちゃいけないと思うんですが、一番、いろいろ意識改革とか、もちろん環境問題大事です、それから自治体の取組、ミクロの話も大事なんだけれども、実は石炭火力発電所をどうしていくかということがメーンなんですよ、温暖化対策では。これは、さすがにグテーレスさんも、今あるものはいろいろな事情がある、動かしている地域の事情もある、新設はやめようよ、来年からはと言っているんです。

 これは大臣、どうですか。

小泉国務大臣 石炭火力について御質問をいただきました。

 今、本多先生がおっしゃったとおり、環境省は、これは前大臣の原田大臣もあそこにいらっしゃいますけれども、厳しい対応を続けています。

 今予定されている石炭火力発電の新増設計画、これが仮に全て実行されますと、既存の老朽石炭火力が順次廃止されたとしても、二〇三〇年度の削減目標を超過する可能性もあるわけですから、環境省の果たす役割は大きいと思います。毎年、電気事業のレビューを環境省はやっていますので、そこでしっかりと見ていきたいと思います。

本多委員 新設はやめましょうよという質問なんですが、いかがですか。

小泉国務大臣 今お答えをさせていただいたとおりでありますが、しっかりと見ていきたいと思います。

本多委員 済みません、新設に対する大臣の、今いろいろ新設の話が進んでいるんですよ、それは容認するんですか。

小泉国務大臣 改めてでありますが、さっき申し上げたとおりで、新増設の計画が全て実行されると、目標を掲げている二〇三〇年のものは達成できなくなる可能性があるわけです。

 そこに対して環境省として何ができるかと考えますと、電気事業の分野を毎年しっかり見て、この計画を達成できるように、環境省ができることは最大限やるということであります。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

本多委員 経産省がいろいろな理屈で、石炭火力発電所、今あるものの話、私たちは、二〇三〇年ぐらいにはゼロにしていくべきだという、既設のものも含めてですよ、話はそれはそれですよ。新設はやめようよと。これはグテーレス事務総長も言っている話をお答えにならない。経産省がいろいろな理屈をつけるのはわかるんだけれども、環境大臣が今のような答弁をするのは、私はすごく残念なんです。

 特に、大臣、地球温暖化の問題をしっかりとめていく一番の柱が石炭火力なんですよ。大臣、記者会見のときに、具体的な対策は何かといったら、石炭火力なんですよ、まずは。意識改革でも何でもないんです。石炭火力という大きなことをどうしていけるかが鍵なんですよ。

 残念ながら、大臣、たまたまで大変大臣には申しわけないけれども、横須賀が新設なんですよ、大きな基地が。

 ここはまず自分のところから、いろいろな地元の御事情もあるかもしれない、しかし、旗振る、せっかく若い新しい大臣になったんだから、石炭火力発電所の新設中止というのは御地元から、今まさに工事が始まるか始まらないか、今ならとまれるんですよ。ここから始めて、日本の流れを変えていきませんか。

小泉国務大臣 ありがとうございます。横須賀出身の私にとっては、横須賀という名前が、出していただけるだけでもうれしく思っています。

 その上で、横須賀火力発電所、これに対する環境アセスの手続、これは既に完了しています。環境大臣が述べた意見に沿って事業者が進める取組について、今後注意深くフォローしていきたいと思います。

 なお、これは私が大臣になる前でありますが、横須賀火力発電所に対して述べた環境大臣意見は、主に三つ、厳しく言っております。

 一つ目が、世界の潮流に逆行するような地球温暖化対策が不十分な石炭火力発電は是認できなくなるおそれ、そして二つ目が、石炭火力発電に係る環境保全面からの事業リスクが極めて高いことを改めて強く自覚、そして三つ目、二〇三〇年度及びそれ以降に向けた本事業に係る二酸化炭素排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、あらゆる選択肢を勘案して検討することが重要であるという厳しい指摘をさせていただいております。

 ですので、本多先生が言う思いは私もよくわかります。そして、脱炭素に向けて、いかに化石燃料由来のものから脱却をしていくかということは共有をしているということを改めて申し上げたいと思いますが、私は環境大臣として、幾ら地元が、出身が横須賀だからとはいえ、横須賀の案件で全体の行政をゆがめることは私はあってはならないと思います。

本多委員 たまたま今新設で話題になっている大きなところが横須賀なので、新しい大臣になられて、しっかりとここのことから始めるのが私は大きなメッセージになると思いますので。

 今いろいろ言われましたけれども、しっかりと環境省として、今、つまり環境省の権限はなかなか強くないんです、大臣のような国民の支持のある方が経産省の理屈を乗り越えていく大きなチャンスなんですよ。ぜひ、経産省とか産業界にもいろいろな理屈はある、私もそれは勉強しています、しかし、それを乗り越える理屈を環境省で、これは世界的な潮流なんですよ、もう。

 ヨーロッパの諸国は、二〇年代に石炭火力をゼロということをもう、全てヨーロッパの国々は、二〇年代ですよ、三〇年とか言っていないんですよ。もう当然、新設はやめるわけですよ。その中で新設をしている日本の状況というのは、大臣、これは本当に残念な状況だということは認識して、今後も仕事をしていただきたいと思います。

 質問を終わります。

棚橋委員長 この際、辻元清美君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。辻元清美君。

辻元委員 立憲民主党の辻元清美です。会派を代表して質問をいたします。

 まず、総理にお聞きいたします。

 来月、十一月二十日で歴代最長の総理になります。どのようなことを心がけて国会論戦に臨もうとお考えですか。

安倍内閣総理大臣 久々に辻元委員の御質問を受けることができて、大変緊張しております。

 国会論戦に当たってどういう心構えかということでございます。国会を通じて、国民の皆様にわかりやすく、政府が進める政策、あるいは国会で御審議いただく法案あるいは条約等について、わかりやすく丁寧に説明していくことが求められているんだろう、こう考えているところでございまして、私自身、至らない点もございますし、いまだ木鶏たり得ずというところでございますが、辻元委員にも、謙虚で丁寧になった、こう御評価いただけるよう一生懸命努力を重ねていきたい、このように考えています。

辻元委員 では、謙虚で丁寧かどうか。

 私は、厳しい野党の質問というのは、行政監視及び政府の法案やそして予算、厳しい質問にも耐え得ることができたというのは、政府が出した法案、予算の正当性を高めることにもなると思うんですよ。

 総理はいつも、一つ、私、総理に前から言いたかったことがあります。よく民主党政権と比べて経済政策を論じることがあります。私、あれはおやめになった方がいいと思うんです。総理の値打ちが下がると思います。

 なぜかといいますと、民主党政権は二〇〇九年からでした。その前年にリーマン・ショックがありました。麻生大臣は覚えていらっしゃるでしょう、世界じゅうの経済が戦後本当に最悪と言われる事態、その一年後から始まったんですよ。そして、その一年半後に東日本大震災があったんですよ。マグニチュード九、これは、観測史上四番目。チリ地震とか、アラスカ沖とか、インドネシア・スマトラの地震に次ぐ大きな地震でした。そして、大津波です。地震と津波なら世界じゅう、ほかもあるんですが、そこにレベル七のチェルノブイリ級、人類が経験したことがない原発事故が加わったわけです。ですから、リーマン・ショックの直後から始まって、一年半後に今まで人類が経験したことのない複合災害に直面して、そして一年数カ月後に政権が倒れました。

 私、その時代よりもこんなに経済がよくなったとか、その時代よりも、例えばこういうことをおっしゃっていますよ。あの時代は経済が失速し、後退し、低迷しました、苦しみましたよ。そして、仕事がなかったあの時代、地方においては、今よりも中小企業の倒産件数が三割多かった、例えばこういう話。政見放送では四割とおっしゃっています。麻生政権のときのリーマン直後は一・九倍ですよ、倒産件数、二倍ですよ、去年の。

 そういう時代を比べて、自分の経済政策はこんなに成果を上げているとか、それから正当性を主張するのは、私はフェアじゃないと思います。

 まず最初に、もう二度と言わないと。先ほど私に謙虚だと思ってもらえる総理になりたいとおっしゃったでしょう。もう二度と言わないと約束してください。

安倍内閣総理大臣 できるだけ謙虚で丁寧と言われるようになりたい、こう思うわけでございますが。

 そこで、政権との比較でございますが、いわばこれは、経済政策についてわかりやすく御説明する上においては、やはり比較をするのが一番わかりやすいんだろう、こう思っているわけでございます。

 そこで、例えば、私どもが行っている、とっている三本の矢の政策についての御批判を受ける中においては、それは有効ではない、きかない、成果を上げていないと言われる中において、成果は例えばこういう成果がありますよということでお示しをしてきたところでございます。

 例えば、正社員については、これは百三十万人ふえているのでございますが、これはいわば、民主党政権も含めて、その前の小泉政権時代も含めて我々は成果を上げていると考えておりますし、例えば、一人親世帯の大学進学率等々についても……(辻元委員「それはわかっているの、全然謙虚じゃないよ」と呼ぶ)これは、私がなぜそういう比較をするかということについて御質問をいただきましたので、そういう比較はさせていただいた方がこれはわかりやすいんだろうなと。私が比較したから今、辻元委員も反論されたんだろうな、これがやはり討論ではないか、こう思う次第でございまして、そういう議論は今後も続けていきたい、こう思っておる次第でございます。

辻元委員 例えば、総理は今、就職氷河期の人たちの政策を言っていらっしゃいます。この就職氷河期というのは、バブルの後で本当にしんどい、今四十代の世代です。一番このとき有効求人倍率が低かったのはどの政権かといえば、小渕政権、森政権、小泉政権ですよ。

 私、なぜこういうことを言うかというと、一千兆円の国の借金があります。特に総理は、おじいちゃんの時代から政治の大一家じゃないですか。戦前からでしょう。総理のおじいさんは東条英機内閣の通商大臣でした。お父さんも政治家、外務大臣。そしておじさんも総理大臣をされて、御自身は最長の総理となろうとされている。弟さんも国会にいらっしゃいますよ。戦後ずっと、ある意味政治を仕切ってきた大家族ですよ。一千兆円の借金をつくった責任がその家族にあるとは言いません。でも、自覚してほしいんです。一千兆円の借金をつくったのは民主党政権の三年三カ月ですか。原発を安全だ安全だと言って日本じゅうに五十四基つくった、自民党政権でしょう。民主党政権の三年三カ月ですか。

 私はなぜ申し上げるかというと、立派な史上最長の総理になっていただきたいから、もうそういうことを言うて値打ちを落とすのはやめた方がいいよと。もう一回聞きますよ。謙虚だとおっしゃっているんだから、もうそういう値打ちを落とすことを言わないと。

 そして、悪夢の時代とかもおっしゃってきましたけれども、東日本大震災で約一万八千人の方が、行方不明の方も入れて亡くなった時代なんですよ。私、そういう時代を悪夢の時代と言うのは間違っていると思います。

 ですから、総理、一言、よくわかりましたと。またごちゃごちゃごちゃごちゃ反論されたら、全然態度が変わったと認められません、よくわかりましたと一言答弁してください。

安倍内閣総理大臣 できる限り辻元議員にも御評価いただきたい、こう思っているんですが、私も、例えば第一次安倍政権のときの反省も踏まえながら、現在行っている、例えば金融政策も含めた三本の矢の政策を行っている。あのとき、例えばデフレ脱却に向けての金融政策が不十分であったということを申し上げているわけでございます。

 そういう意味において、過去の自民党政権も含めてできなかったことはこういうことであり、今はそれをやっているという話もさせていただいているわけでございます。

 やはりこれは、経済政策について議論するのは、どこが足りなかったかということについて率直に反省すべき点は反省するんですが、何をやっているかということもしっかりと御説明する必要もあるんだろうな、こう思いますし、また、一千兆円の、例えば、その借金が民主党政権のせいだと言ったことは、私は一回もないわけでございまして……(辻元委員「また言っている」と呼ぶ)それはそうですよ。

 基本的に、なぜ、例えば借金がふえたのは借金がふえた理由があって、例えばバブル崩壊後のときに、これは財政出動しなければならなかったわけでありますし、もちろんリーマン・ショックのときもそうでありますし、その前のITバブルの崩壊もありました。そういうたびごとに、しっかりと財政出動をしていく中において景気を支え、雇用を支えていくということは、借金をしてもそっちをとるべきだと私は今でもこう思っているわけでございまして、そういうことでございまして、借金を民主党政権のときに全て負わせたことはもちろんないわけでございますが、しかし、財政再建のスピードについては比較をさせていただいたこともあるかもしれません。

 残念ながら、ちょっと長々と答弁してしまったので評価されないかもしれませんが、これからも丁寧に謙虚に答弁していきたい、このように思います。

辻元委員 余り変わっていませんね。

 財政再建のスピードとかおっしゃるけれども、リーマン・ショックがあって、東日本大震災があったんですよ。ですから、それぞれの時代背景を、それぞれの言い分はありますよ、でも、尊重して、きちんと議論していただきたい。歴代の最長の総理として振る舞いがどうであるか、しっかり見させてもらいます。

 小泉大臣、私、先ほどのやりとりはちょっとがっかりしたんですよ。でも、さすが小泉進次郎と思った発言があるんです。私、この際、その真意を聞きたいなと思っております。

 それは去年なんですよ。去年は、私、国対委員長をやっていましたが、森友学園の文書改ざんの問題で、日本じゅうが、真実はどこにあるのかと、非常に皆さん関心があったときです。このとき、小泉大臣は、平成の政治史に残る大きな事件とおっしゃったんですね。今もそう思っていますか。

小泉国務大臣 あのとき私も発言したのは覚えています。自民党の党大会の日だと思います。

 私は、大臣になる前に、自民党の当選の同期、そしてまた、私よりも当選回数の少ない同世代の議員たちとともに勉強会を開催をしておりまして、その中で、国会改革、そしてまた外交、またさまざま勉強会を重ねてまいりました。

 そういった中で、やはりああいった問題が起きたときに、私なりに思うことを率直に述べたわけでありまして、どういう疑惑があっても、それに対して誠実に答えていくことは政治家の務めである、そういうふうに考えております。

辻元委員 今もこう思っているかということなんですよね、聞いているのは。

 それで、今も思っているかの続きで、こうもおっしゃっているんですね。これは別の日ですけれども、書換え自体あり得ないことだが、なぜ書き換えられたのか、何が真実なのか、やはり知りたい、行政だけの問題ではなく、政治がどう向き合うか、物すごく、官僚の皆さんにだけ責任を押しつけるような政党ではない、その姿を見せる必要があるのではないか。私、拍手喝采しましたよ、頑張れ、小泉進次郎と。

 お聞きします。

 なぜ書き換えたのか、何が真実なのか、やはり知りたい。真実、知ることができましたか。

小泉国務大臣 まず、当たり前のことでありますが、書換え、あってはならないことだと思います。

 そして、私も今、大臣として役所を率いる、全ての責任を負う立場として、そういったことは絶対にあってはならないと思いますし、私はそのときに発言したことは、今もその思いは変わりません。

 ただ、今、安倍内閣の一員として、その内閣の方針の中で責務を全うすることは当たり前のことだと思っております。(発言する者あり)

棚橋委員長 辻元清美君、どうぞ御質疑を伝えてください。(辻元委員「質問を続けられない。ちゃんと答えてください」と呼ぶ)では、もう一度質問してください。(発言する者あり)もう一度質問してください。

辻元委員 小泉政権の一員であっても答えられるはずですよ。(発言する者あり)安倍内閣の一員であっても答えられるはずですよ。あなたのお父さんとも大分やり合ってきたので間違えましたけれども。

 財務省も、決裁を経た行政文書を改ざんし、それを国会等に提出するようなことはあってはならない、責任の所在の明確化を図らなければならない、財務省も報告書を出しているじゃないですか。衆議院議長の談話でもかなり厳しく断罪されているんですよ。

 それを、ここまでたんかを切って、何が真実なのか私も知りたい、やるべきだと言っていて、内閣の一員になったら。内閣がちゃんと断罪しているじゃないですか。あなたの言葉で語ってください、どうぞ。進次郎、頑張れよ。

小泉国務大臣 頑張れというエールをありがとうございます。

 一個人として言っていること、議員の中で言っていること、それは今も思いは変わりません。大臣として、安倍内閣の中で、その果たすべき責務を自分の思いを持ちながら遂行することもまた当然であります。

 そして、私は今、環境省を率いる立場にありますが、環境省の中でそういったことが決してあってはならないと思いますし、私自身は、政治家として、官僚の皆さんに責任を押しつけるようなことは決してしたくない、してはならないと思っております。

辻元委員 官僚の皆さんに責任を押しつけることは決してしてはならない、今もおっしゃいました。前も言っていました。

 森友問題では、誰か政治家が責任をとりましたか。いかがですか。

小泉国務大臣 きょう辻元先生から御質問を受けるということは私は通告をいただいておりましたが、どのような質問をされるかということについての通告は受けておりません。

 ぜひ、実りある議論をこういった場で積み重ねるためにも、通告の方をしっかりしていただくと、より前向きな議論ができるのではないかと思っております。

辻元委員 御自身の発言ですよ。これ、たんかを切っているんですよ。

 今もあなたは、官僚に責任を押しつけることはしないとここでおっしゃったから、森友学園で、官僚に責任を押しつけずに誰か政治家が責任をとりましたかと聞いているんですよ。もう一回。

小泉国務大臣 改めて申し上げますが、私は環境大臣としてここに立っております。その中で、辻元先生からは、環境問題、また気候変動、そういった地球温暖化とかについて御通告を私はいただいております。

 その中で、もちろん、辻元先生と率直なやりとりを交わさせていただきたい。それは政治家同士のやりとりですからその思いはありますが、貴重なこの予算委員会の場ですから、ぜひそういったことについては具体的な通告をいただくと、より建設的な、前向きなやりとりができるのではないかと思っております。

 ちなみに、改めて申し上げますが、私は環境大臣として役所を率いる立場として、私自身、環境省の職員に何かあったときに責任を押しつけるようなことはしたくないし、してはならないと考えております。

辻元委員 私は、本当に小泉さんに国民が期待していることは何かと思いますよ。

 あの森友問題のときに、官僚に責任を押しつけてはならぬ、その小泉進次郎に喝采を送ったんですよ。頑張れと思いましたよ、国民も。私も思った。

 でも、大臣になったら全然違うじゃないですか。言えばいいよ、誰も責任をとっていないじゃないかって。

 麻生さん、麻生大臣が責任をとらずにずっと、内閣改造をやっても大臣でいることはおかしいんじゃないのという国民の声があるということは、小泉大臣、御存じですか。

小泉国務大臣 改めてでありますが、これは麻生大臣に対する声かどうかにかかわらず、私に対しても常に批判の声もあります。

 政治家は、応援の声もある一方、批判の声も絶えずありますので、そういった声に謙虚に向き合い、役割を果たしていくものだと思っております。

辻元委員 実は、この問題はやはりまだ火は消えていないと思います。というのは、佐川理財局長、思い出していただきたいんですが、あの人は出世されました。また、佐川さんと一緒にこの文書改ざんの中核的な役割を担い、責任は免れないと財務省の報告書でも断罪された当時の中村課長が、今度イギリスに公使として栄転しているんですよ。

 こういうことは、私は、やはり官僚組織を腐らせるんじゃないかな。小泉さん、どうですか。

小泉国務大臣 改めて、私は環境大臣ですので、ぜひ辻元先生とは気候変動のことについてもいろいろ議論したいとは思いますが、今るる述べられたことについては、既に総理そして関係大臣が国会等で説明していると私は承知をしていますので、それ以上のコメントは、今、環境大臣としては差し控えたいと思っております。(発言する者あり)

棚橋委員長 ちょっと御静粛にお願いします。

辻元委員 これは、今起こっていることについて聞いたわけです。

 自殺者まで出ているんですよ。それで、文書を改ざんさせられた人は自殺に追い込まれて、それを指示した課長やそれから局長は出世していく、こんな日本でいいんですか。小泉さん、どうですか。はっきりおっしゃってください、あなたの意見を。環境大臣とか関係ないですよ。どうぞ。

小泉国務大臣 大臣以前に、政治家として今まで述べてきたこと、そして今も思っていること、それは内閣の中では自由闊達に述べ合います。しかし、国会の場において、内閣が一丸となって国のために任務を遂行することも当然でありますので、私は、内閣の一員として責任を果たす中で、政府の中では、役所の中でもそうですし、私なりの思いは変わらずに持ち続けてやっていきたいと思っております。

辻元委員 麻生大臣に一つお聞きしたいんですけれども、亡くなられた近畿財務局の職員の弔問には行かれましたか。

麻生国務大臣 私の対応といたしましては、役所として弔問に行くべきではないかという問いに対して、先方に問合せをした結果、来てほしくないということだったので、伺っていないというように記憶しております。

辻元委員 私は、それでも行った方がいいと思いますよ。

 やはりこの問題は、多分まだ国会ではくすぶっています。

 加計学園の問題でさまざま名前を取り出された萩生田大臣も、文科大臣になられたわけですよね。萩生田大臣は、こういうことをおっしゃっていますね。副大臣らが、私の名前を使って、省内、対立した意見をおさめるために、名前を使っておさめようとした官僚たちがいるみたいなことをおっしゃっていますね。その副大臣らって誰ですか。

萩生田国務大臣 そのコメントは、私が当時、官房副長官時代に文科省から謝罪があって、そして、不確実なものを書いた私文書、メモのようなものだったということの説明を受けた中で、その説明に来た副大臣から……(辻元委員「誰ですか」と呼ぶ)当時は義家副大臣です、からコメントをいただいたものです。

辻元委員 これが本当なら、当時の官房副長官の名前を使って、そして勝手に省内でいろいろな問題を解決しようとするというような職員がいたら、これは問題ですよ。ちゃんと調査しなきゃいけないんじゃないですか。省内で調査されますか。いかがですか。

萩生田国務大臣 先生の御通告にはその質問はなかったんですけれども。

 就任以来、そのことについてはもう一度確認をしました。ただ、職員の皆さん、一生懸命働いている中で、そのような、言うならば感想を副大臣が私に述べたということで、その事実関係が、こういうことがあったということは確認を聞いておりません。

辻元委員 この二つの問題というのは、政治家だけではなくて、官僚の皆さんも、指示した側、真実を知っている可能性が高い人がみんな出世しているんですよ。これの意味するところは、結局、口封じと言ったら悪いですけれども、切って、不満がたまってぶつぶついろいろなことを言い出したら困るから、出世させる。

 今の萩生田大臣のことも、これは報道で見ましたけれども、今治の市民が、なぜ萩生田さんが文科大臣になるんだろう、文科省を監視する狙いがあるんじゃないかと言っている市民がいると報道が出ていたんですよ。私は、ああそうか、なるほどと腑に落ちたんですね。

 私、臭い物にふたじゃないけれども、私は、小泉さんの役割、何だか、そういう政府のいろいろな問題をごまかす清涼剤にあなたが使われるんじゃないかと心配しているんですよ、爽やかな小泉進次郎を大臣に入れることで。臭い物にふたという言葉がありますけれども、ふたにはちょっとなっていないですよ、まだ軽いから。消臭剤、デオドラントの役割を担わされるんじゃないかと思って、心配して質問しているんですよ。だから、はっきりいろいろなことを言ったらどうかと申し上げているわけです。国会改革、国会改革と言っていますけれども、その調子だと政治不信の片棒を担がせられるんじゃないか、心配だということを御忠告しておきます。

 それで、パリ協定、トランプ大統領が脱退しましたよね。これは私は間違った判断だと思いますが、小泉さん、どうですか。

小泉国務大臣 今お尋ねがあったトランプ大統領のパリ協定、これは事実関係をまず先に申し上げておきますが、脱退はまだしておりません。脱退は、可能となるのは来年の十一月以降であります。トランプ大統領がしたのは脱退の表明であります。そのことだけを捉えて、アメリカが気候変動の取組に全面的に否定的だということは、私は違うと思います。

 現実に、私はニューヨークでも環境庁の長官のウィーラー長官ともバイ会談をしましたが、大変、海洋プラスチックごみの取組、そして食品ロス、フードロス、この取組についてはとても前向きな思いを持っておられ、そして、これは、今日本でも開催されているフォローアップ会合の中でも、アメリカが参加をして、今回、イノベーションについて、アメリカがホストみたいな形、まあ議長みたいな形でやっていただきました。

 ですので、トランプ大統領の脱退の表明は大変残念であります、残念でありますが、そのことだけを捉えて、アメリカ全体がそうかといえば、カリフォルニア、またそういったさまざまな民間の方を含めて、いろいろな取組がやっていますので、そのことをしっかりとまた評価をしながら、一緒に協力できるところは何かを前向きに考えていきたいと思います。

 ちなみに、先ほど辻元先生からいろいろ言われたのでお答えをさせていただければ、政治家というのは私は使われるものだと思っていますから、使いがいがあると思っていただけるのは、それはやりがいを感じることでもあります。しっかりと頑張っていきたいと思います。

辻元委員 アメリカに対する認識が、トランプ政権に対する認識が甘いと思いますよ。これは、トランプ大統領の脱退表明で、例えばブラジルの大統領とか、世界各地で、トランプ流というか、広がっていますよ。

 この脱退表明のときの山本公一環境大臣の記者会見でこうおっしゃっています。環境大臣として、また山本公一一個人として、大変失望いたしております、人類の英知に背を向けた今回のトランプ大統領の決定は大変な失望と言っているんですよ。歴代の環境大臣は、自分の言葉で、人類の英知に背を向けたまで言っているんですよ。これぐらいのメッセージをちゃんと日本として発出しないと、ごにょごにょごにょごにょ、いや、アメリカは頑張っているんだ、そんな話、通用しませんよ。もういいです。

 憲法に行きます。

 総理にお聞きします。

 総理は、憲法、憲法とおっしゃっているんですけれども、そして、国会で議論するべきだと。今ですと憲法審査会ですね。今まで、憲法調査会が二〇〇〇年に立ち上がって、憲法調査特別委員会、そして憲法審査会、十九年間、これは二百六十一回開かれてきました。

 総理は、これらの国会の正式な憲法の議論の場で議論したことはありますか。

安倍内閣総理大臣 憲法調査会当時に議論をいたしました。

辻元委員 何回ですか。

安倍内閣総理大臣 今、にわかに言われておりますので、何回かということはお答えできませんが、憲法調査会のときには出席をして、議論をさせていただきました。

 ちなみに、私は、二〇〇〇年以降、官房副長官、官房長官等々をずっとやって、政府側にいたのも事実でございますし、またあるいは、幹事長、幹事長代理と、ほとんどそういう職を務めておりましたので、機会は少なかったかもしれませんが、そうではなかったときに、憲法調査会時代に出て、意見を申し上げたことはあるということでございます。

辻元委員 それでは、憲法審査会の事務局、安倍総理は何回出席していますか。

加藤参事 お答えいたします。

 第百四十七回国会の平成十二年五月十一日、衆議院憲法調査会に一回、委員として出席され、発言されております。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

辻元委員 総理、一回だけなんですよ。私、これだけ、だって、総理、こうおっしゃっているじゃないですか。今は憲法審査会ですよ、国会のこういう審査会とか調査会で憲法改正議論をして、国民への責任を果たそうとか、正式な議論の場があるのに、十九年間ですよ、総理の二期目ですよ、私、一期目でしたよ、たった一回でしょう。

 私、これだけ憲法、憲法と言われる人だったら、もう率先して出ていって、委員に志願して、議論しているはずなんですよ。興味なかったんじゃないですか、憲法に。

安倍内閣総理大臣 私は、若いころからいろいろな場で発言をさせていただいております。テレビ等の出演も多かったわけでございます。

 そういう中において、いわば憲法調査会、審査会の委員というのは党で決めているものでございますが、そこで発言がたまたま少なかったから私が興味がないという、辻元さんから、総理は変わらない、こういう御発言がございましたが、辻元さんも、先ほど小泉大臣とのやりとりを聞いていて、辻元さんも変わっていないなということを認識をさせていただいておりましたが、変わっていないということは場合によっては褒め言葉でもあるわけでありますから、場合によってはですね。そこで、いわばそれをもって興味がなかったという決めつけはやめていただきたい、こう思う次第でございます。

辻元委員 それは、私がなぜ申し上げるかというと、総理はもう何回も何回も、国会の場で憲法改正、議論をして国民への責任を果たそう。一回ですよ。

 先ほど官房副長官もしていたしとおっしゃったけれども、例えば中川昭一先生。私、調べてみました。二百九回、発言されています。私、覚えていますよ。憲法の調査にもヨーロッパに一緒に行きました。私と中川先生は全く憲法の考え方は違う。でも、議論を闘わせてきました。

 国会で、ちなみに、今、現職で多い方は、笠井亮議員が三百五十八回、船田元議員が三百四十五回、枝野幸男議員が二百五十回、そして私、辻元清美が二百三十九回、斉藤鉄夫議員が二百二十三回、そして中川先生は二百九回です。私たちはずっとやってきたんです。

 私、総理、一回来られたとき、これは衛藤晟一議員の差しかえで来られて、発言した途端に、ほかの人の意見を聞かずに、ぱっともう立ち去ったんですよ。ですから、どうも、今までの憲法論議の積み重ね、御理解なさっていないんじゃないかな。

 そして、今、憲法、憲法と旗を振っている、例えば岸田政調会長は、きのうここで憲法問題の問題提起をしたいとおっしゃったけれども、岸田さんもゼロですよ。大島議長も、いろいろおっしゃったですけれども、ゼロですよ。私、総理も一回辞職されたときとか、お時間があったときもありますよ。なぜされていないのか。

 ですから、何か、参議院の世耕幹事長がわざわざ本会議場で、憲法改正は安倍政権のレガシーづくりではないとわざわざおっしゃったんですよ。これはレガシーづくり、自分の成果や思い出づくり、そういうふうに言われている、最後の花道で総理は何かやりたい、思い出づくり改憲なんじゃないですか。

 もう一つお聞きしたいと思います。だから、わざわざ世耕さんは、そういう目で見られているから否定しなきゃいけなかったわけですよ。

 総理はこういうこともおっしゃっているんですね。すごく立派なことをいっぱいおっしゃっているんですよ。憲法論議のあり方について、「考え方や立場の異なる者同士が正々堂々と議論し、合意を形成していくプロセスこそが政治であり、国民の負託を受けた我々政治家は、そのために知恵を絞り、合意に至る努力を真摯に積み重ねていかなければならない」とおっしゃっている。

 総理にお聞きします。

 総理は、憲法九条に自衛隊を書き込む、その理由として、七割の憲法学者が憲法違反だと言っているということを挙げていらっしゃいます。

 自衛隊は憲法違反だと主張している憲法学者と議論したことはありますか。

安倍内閣総理大臣 いわば八割近くの方が、自衛隊は憲法違反ではないとは言い切れないというふうに正確には申し上げているということでございますが、私もさまざまな方々と議論いたしました。テレビにも出演して、そういうところに出てきた方々と議論したこともあるわけでございまして、そういう議論を通じて国民の皆様に御理解をいただきたい、こう思っております。

 それと、先ほど来、中身の話ではなくて、いわば出席をしていたか出席をしていなかったかという形式的な議論をされているわけでございますが、憲法審査会というのは、まさに憲法をしっかりと議論するためのこれは国会に設置されたものでありますから、そこで議論していただきたい。

 これは、私が出席をしていたかいなかったかにかかわらず、当然、私はそう議員として申し上げているわけでございまして、そうした外形的なことをもってのみ決めつけるのはやめていただきたい、こう真に思うわけでございますし、私は党内においてずっとそういう議論を続けてきたということを自負しているところでございます。

辻元委員 私は、総理が憲法、憲法とおっしゃっているので、それも国会での議論というのを促進、促進とおっしゃっているから、御自身はさぞかし議論されてこられたんだろうなと思っただけです。私たちはやってきましたよ。

 それで、国民投票法案をつくるにも二年かかりました。来年、二〇二〇年に憲法改正を実現したい、希望だときのうおっしゃいましたけれども、非現実的です。総理は、今までの憲法にまつわる国会での議論の現実を御存じないから、総理の言っていることは非現実的なことばかりのように見えるんですね。だから言っているわけですよ。

 それで、確かに、国会の外では、いろいろな集会、特に日本会議系の集会によく出ていらっしゃいましたよね。

 そして、さらに、総理は創生「日本」という会の会長をされていますけれども、そこで気勢を上げていらっしゃいました。稲田さんとか、それから衛藤大臣もそれに出ていらっしゃいますね。高市さんも出ていらっしゃいますね。それから、下村、党の憲法の責任者をこの間までやっていらっしゃった方とか、それから今の新藤筆頭、出ていらっしゃいます。

 その会でのいろいろな人たちの発言を見てびっくりしましたよ。これは、もう引退された、例えば長勢甚遠法務大臣も出ていらっしゃって、こういうことを言っているんですよね。これは自民党の憲法草案、古い憲法草案についてなんですよ。私はあれを読んで正直言って不満なんです、皆さん、国民主権、基本的人権、平和主義、これは堅持すると言っているんですよ、この三つをなくさなければ本当の自主憲法にはならないんですよとか。

 総理も、憲法調査会で一回発言したときに、こうおっしゃっているわけです。占領中にできた、ハーグ条約等に違反し、日本人にとって心理的に精神的に悪い影響を及ぼしているんだろう、私はこのように思います、そういう意味で今度こそ私たちは私たちの手で新しい憲法をつくろうと、総理は発言しているんですよ。

 これって、何か、自分たちのお友達というか、憲法改正サークルの中だけで気勢を上げて、そしてさらに、日本会議の関係する学者の方が、総理が自民党の憲法の、憲法九条に自衛隊を加憲のようにつけ加えようというような論理を、総理がおっしゃるちょっと前に論文で発表されているんですよね。どうも、自分たちの支持団体やまた考えが同じ人たちだけに引っ張られて、憲法改正、憲法改正と。

 例えば、押しつけ憲法については、自民党は既に憲法審査会の中で、これはとらないということを表明しているのを御存じですか。はっきりそうおっしゃっているわけですよ。

 ですから、総理の憲法、憲法というのはちょっと一回取り下げて、もうちょっといろいろな議論とか勉強してからおっしゃった方がいいですよ。私はそう思います。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 今いろいろ辻元さんはおっしゃったんですが、長勢先生は今ここの場におられませんから反論できませんし、私もその発言は承知しておりません。

 基本理念については、それは維持するということを私はもう何回も申し上げているとおりであろう、こう思うわけでございまして、その中のメンバー、もう引退された方の、一員の発言をもってして、イメージを操作するかのごとくの発言はぜひやめていただきたい、こう思う次第でございます。

 そして、先ほど私の憲法調査会における発言を引かれたんですか。(辻元委員「そうです」と呼ぶ)それは、まさに、特定のサークルではなくて、憲法調査会というところでこれは発言しているんですから。(辻元委員「一回だけね」と呼ぶ)ええ。でも、それは特定のサークルじゃないじゃないですか。だから、辻元さん、ぜひ、特定のサークルの中での発言というのは訂正し、謝罪していただきたい、こう思うところでございます。それは、だって、事実認識の間違いですから。例えば私がそういうサークルの中で発言したものを引用したのであれば別ですが、私が憲法調査会で発言しているのであれば、特定のサークルではない。

 それと、基本的に、辻元さん、憲法というのは、国会で発議した後、国民の皆さんが決めるんですよ。ですから、これは特定のサークルで決められるものではない。ですから、国民の皆さんに、まさに議論をして、国会議員がしっかりと責任を果たしながら、国民の皆様の前でわかりやすく議論を展開する中で、国民の皆様の関心が高まる中で、国会において、三分の二という大変高いハードルでありますが、この合意を得る努力をするということでございまして、私は最大与党自民党の総裁としてその責任を果たさなければならない。

 私が申し上げたことによって憲法の議論が活性化したのは事実なんだろうと。作用、反作用があって、まさに反作用の役割を果たしているのかもしれませんがね、辻元先生は。そういう中において、やはりちゃんと議論がかみ合ってくれば私はいいと思いますよ。別に同じサークルの中で話をしていたって、これは国民的な支持を得られないわけでありますから。より幅広い支持を得るために、何といっても高い三分の二というハードルを越えなければならない、そういう中で党として今努力をしているんだろうな、こう思います。

辻元委員 最後に申し上げます。

 安保法制の議論のときに、三人の憲法学者が憲法違反と言ったあのときから、憲法審査会がおかしくなったんです。自民党が一年五カ月にわたってとめたんですよ。そのとき、理事も差しかえられました。そして、新しく理事に参加された方が私にこう言いました、自民党の仕事は憲法審査会を開かせないことだと。

 私、胸に手を当てて考えていただきたいですよ。自分たちの都合のいいときは開け開け、自分たちに都合が悪いとき、安保法制のときはとめろ。御都合主義じゃないですか。

 だから、レガシー改憲、総理は、最後の花道に、思い出づくりで、思い出づくり改憲を自分の思いと思い込みで引っ張っていく、国民を巻き添えにするのはやめていただきたいということを申し上げて、終わります。

棚橋委員長 この際、岡本充功君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本充功君。

岡本(充)委員 それでは、続きまして、私の方からは、さまざまな政策課題について質問をしていきたいと思います。

 まず一つ目は、先月公表された地域医療構想についてであります。ボードにはしておりませんけれども、委員のお手元にはそのときのニュースが載っています。

 見ていただきますとわかりますとおり、各紙で大変大きく取り上げられました。全国で、四百二十四の公的病院が再編要請へ、若しくは、再編必要四百二十四病院公表、若しくは、四百二十四病院に再編検討を、こういう記事が躍りました。中には、わざわざ三百床以上の病院、これは読売でありますけれども、二ページ目を見ていただきますと、九月二十七日、三百床以上の急性期病床がある病院はこういう病院ですと。

 こういう形で、この病院に通っている患者さんや職員たちが、ああ、うちの病院は再編が必要な病院になったんだ、この病院はなくなるんだという大きな誤解を生んだんじゃないんですか。

 この公表の仕方を含め、調査の仕方を含め、大きな問題があったと考えていますが、これについて厚生労働大臣の見識を問います。

加藤国務大臣 まず、地域医療構想そのものではなくて、これは、地域医療構想は、それぞれの都道府県においてもう既におつくりになっていただいて、そして、それぞれの地域で限られた資源を二〇二五年、更にその実現に向けて、地域の医療のニーズに合った形にしていく、これはもう皆さん、今それに向かって努力をしていくし、そういう努力をしていかなきゃいけないと思っております。

 そういう中で、今御指摘にあったデータについては、これからの地域の議論に資していただきたいということで、急性期等に関する項目について分析した結果をお出しをさせていただいた、こういう流れでありました。

 ただ、今委員御指摘のように、お出しをした前にも、いろいろ説明、あるいはこういう段取りでやるということは骨太方針等でお示しをしていたわけでありますけれども、実際、そうした御批判を特に知事会等々からいただいているわけですから、そのことは私たちも真摯に受けとめながら、まずは、今回の趣旨、別にこれを機械的に整理統合しろとか、再編しろとか、その病院はやめろとか、そういう趣旨では全くないということも含めて、しっかりと御説明をさせていただきたいというふうに思っております。

 また、いずれにしても、この地域医療構想、あるべき姿に向けては、それぞれの都道府県あるいは市町村、そして私たち国が一緒になって取り組んでいかなきゃならないわけでありますから、そういった観点に立って、よくコミュニケーションをとりながら、しっかりと前に進めていきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 これはどうやって調査をしたかというと、平成二十九年六月単月のみの外科の実績を中心に、がんの治療だって内科で治療している人もいる、しかし、こうしたことは勘案せずに、外科の手術の件数だけで例えば比較をする。また、二十分という距離をある意味恣意的に決めて、この二十分以内の病院と比較をする。更に言えば実名を公表するなど、いろんな問題点があった。もう一度丁寧に、今お話をしたような点を反省しながら、もう一度しっかりと調査をしていく、こういう方針があるのか。

 そして、重ねて言いますけれども、この分析をもう一回やる中で、これから民間病院も三千病院、検討すると言っています。同じことをやったら、これは大混乱になりますよ。反省を込めて、この民間病院の分析についてはこれらの反省を踏まえて分析を行うのかどうかについて、答弁を求めたいと思います。

加藤国務大臣 これは全国一律に出していくわけでありますから、やはり一定の前提を置きながら分析をしなきゃいけない。ただ、今委員御指摘のような、そういった中で分析をしたものであるということ、そういったことを含めて、しっかり御説明をしていくということは、まず今必要だと思いますし、さらに、それ以外にも、じゃ、こういう観点からの議論はどうなのかということについて、今回出した公立と公的病院についても、追加的な資料が必要なんだと、必要に応じては我々も対応しなきゃいけないと思っております。

 その上で、地域医療構想は、公立機関だけではなくて、民間も含めて議論しなきゃいけませんから、いずれにしても、民間のデータもと、これは知事会からもお話をいただいています。ただ、どういう形の分析をどうしていくのか、それは関係者の方ともよく相談しながら対応したいと思います。

岡本(充)委員 今、大臣、はっきりもう一回確認です。きちっと改めて分析をしていただける、こういう理解でいいですね、公的病院、公立病院についても。外科の分野を含むだけじゃなくて、内科の問題、また距離の問題、もう一度分析を改めてしていく、そういう方針でいいですね。

加藤国務大臣 改めてという意味が、それをもう一回、これを出し直してもう一回ということではなくて、これは既に出しています。

 そして、それ以外に、追加的にこういうものが必要だという御指摘も既にいただいているものもあります、あるいはこれから出てくるものもあります。それに対しては、もちろん、できるできないはあるかと思いますけれども、我々としては、地域医療構想をしっかり進めていきたい、こういう立場でありますから、必要な資料はしっかり出しながら、実りある議論を進めていきたいと思います。

岡本(充)委員 その際に、ちょっと総務大臣にも指摘をしておきたいと思います。

 公立病院、公的病院、今、病床再編の流れの中で閉鎖している病棟がある病院もたくさんあります。起債をしてつくった病院、ここを閉じたまま債権を返していけと言われても大変厳しいわけです。そういう意味で、再編をした場合のこうした公的病院、公立病院の債務のあり方についてはしっかり配慮するべきだと思いますが、これについて答弁を求めます。

高市国務大臣 公立病院の統廃合の内容によりましてさまざまなケースが考えられ、一概には申し上げられませんけれども、債務が残ってしまう場合には、地方自治体の一般会計ですとか、あと施設の移管先の法人が債務を承継することとなります。

 病床が削減された場合の交付税措置につきましては削減後の病床数を反映することとなるんですけれども、激変緩和を図るための特例措置を現在講じております。

 とにかく、今回の地域医療構想の実現には、地域の実情を十分に踏まえた議論が行われるということが重要だと考えておりますので、十月四日に設置したばかりなんですが、地域医療確保に関する国と地方の協議の場、ここにおきまして、しっかり地方の意見をお聞きして、適切に対応させていただきます。

岡本(充)委員 適切にといつも言うんですけれども、地方は大変不安に思っていますよ、大きな借金をこれで抱えているんですから。

 今、大臣、一般会計でなんて言ったけれども、そんなもの一般会計で返せるわけないんですから。一般会計につけかえて全部返してくれ、それはあり得ないんです。それだけは指摘しておきたいと思います。

 続いて、今、愛知県で国際芸術祭、トリエンナーレが行われていますが、これについてお尋ねをしたいと思います。

 既に補助事業として採択されたものが、補助金の交付の段階になって不交付決定となったということが報道されています。不交付決定になるその決定のいわゆる決裁書、これをきょうは提示をしたいと思います。

 ここにも書いていますけれども、これは、あいちトリエンナーレにおける国際現代美術展開催事業について、まず、なぜ不交付なのかということでありますけれども、安全管理と事業の円滑な運営は、主催者に求められている当然の責務であるが、これを脅かすような重大な事態を認識していたにもかかわらず、申請者はその事実を国に申告することなく採択の決定通知を受領した上、補助金交付申請書を提出し、その後、審査段階においても、文化庁からの問合せを受けるまでそれらの事実を申告しなかったと書いています。

 では、伺います。

 この申告に当たっての書類があるわけでありますが、その書類の中に、こうした事実を記載する欄はあったのでしょうか。

 委員の皆さんには四ページ目からお配りをしております。これが、愛知県が提出をした実施計画書であります。この計画書の中に、こうした懸念を書く欄が一体どこにあるんですか。

萩生田国務大臣 文化庁の補助事業において、申請者から事業の途中経過など逐一報告を求めているわけではありませんが、募集案内において、審査の視点として、実現可能な内容になっているか、事業の継続が見込まれているかを明示して補助事業の公募を行っております。

 したがって、これらの視点に係る審査に必要な情報である会場の安全や事業の円滑な運営に係る事柄については、必要に応じ適宜の方法で申告していただくことが相当であり、例えばどこに書けばいいかといったら、その全体の事業計画書の中にお書きいただければよかったんじゃないかと思います。

岡本(充)委員 具体的に、お配りをしていますけれども、一体、どこに書く欄がありますか。書く欄がないじゃないですか。実際に、こうした警備上の懸念だとか、懸念されることを書いてくださいという欄はどこにもない。

 「実施計画の概要」というのは計画の概要ですからね。懸念されることを書いてくださいとか、その他書いてくださいということがあるのなら、それを書かなかったから審査できませんでした、それはわかる。でも、それを書く欄すらない。その申請書を愛知県に渡しておきながら、後から、書いていないからこれは渡せません、こんな話でいいのか。

 私は、確かに、今回の展示の内容にいろんな意味で不快な思いを感じるものがあるのも事実です。しかし、中身の問題ではないと言う以上は、きちっと形式として整っているのであれば、それは交付決定を覆すことができないのではないか、こう言っているわけであります。

 そういう意味で、改めて聞きます。

 どこの欄に書くのか、はっきりお答えください。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

萩生田国務大臣 「実施計画の内容」等の欄に記載していただくことが適当かと思われます。

岡本(充)委員 何番ですか。

棚橋委員長 恐縮です、岡本充功君、再度お願いいたします。

岡本(充)委員 何番に書くんですか。

萩生田国務大臣 二〇一九年度実施計画、九番の実施計画の(2)番にお書きいただければよろしいと思います。

岡本(充)委員 実施計画の内容というのは、どういうものをやるのかということを書くのであって、それは、申しわけありませんけれども、実施計画の内容の中には、ここに書いてあるとおり、トリエンナーレはどういうことをやるのですか、トリエンナーレの内容を書くんですよ。くどいようですけれども、これは懸念されることを書く欄はないんです。

 その上で、もう一つ聞きたい。

 では、一度採択された、文化庁の事業で採択されたにもかかわらず実際に交付金が不交付になった事例は、過去どれだけあるんですか。

萩生田国務大臣 今回のように、採択後、交付の決定自体がなされなかった例は、現時点では文化庁の補助金において確認できていません。

 ただし、交付決定後に出演者や会場の都合がつかなくなり、事業自体が実施できなかったなどにより交付がなされなかった例はございます。

岡本(充)委員 これは前例がないんですよ。こんなことはこれまでやっていないんですよ。恣意的な運用をしているんじゃないかということを言いたいんですけれどもね。

 これは愛知県からいただいた文書、これが事実かどうか、ちょっと聞きたいです。

 八月四日に文化庁とそして愛知県が出会ってヒアリングをしています。愛知県の主張はこうです。文化庁から、四月中旬に展示の具体的な内容を知り、安全、安心な運営にかなり懸念を持ったので、最初の段階は展示の内容について要望し、監督と調整しつつ、固まった以降は遺漏のないようにするため各所と調整をしたという認識を文化庁は持ち、その上で、安全、安心な運営について危機感や懸念を持って準備をしたが実際は想定を超えてしまったということでいいですかと文化庁が聞いて、愛知県は、はいと答えています。

 つまり、愛知県は懸念は確かに持っていた。懸念は持っていたけれども、万全な準備をしたと思った。しかし、それを超えてさまざまな事態が起こった。つまり、準備はしたけれども想定を超えてしまったということで愛知県は説明をしています。

 その後、騒動はどうなりましたかという問合せが何回か来ています。具体的には八月十九日。これは、文化庁へ愛知県が連絡をしています。その次は九月十八日。その後の混乱はどうなっていますか、愛知県が電話で伝えています。ところが、いきなり九月の二十六日に、文化庁から愛知県に、不交付になりました、以上ですという、こうした電話の通知が来ているわけであります。一体どこでどういうふうに判断をされてこういう決定がなされるのか、全くもってブラックボックスであります。

 お話をしましたように、文化庁は愛知県と会って話をする中で、準備をしたけれども想定を超えてしまったということについてお互いで認識をしていたにもかかわらず、先ほどもお話をしました、後からになって、審査ができなかった、結果として、実現可能な内容になっているか、事業の継続が認められているかの二点について、文化庁として適正な審査を行うことができなかったと、後づけでこういう話をしているわけであります。

 役所の仕事は、文書をもって、文書主義でやるはずであります。書くべき欄がないにもかかわらず、こうした懸念を伝えていなかった、こういう話をし、なおかつ、後から、会って話をしたときに、想定を超えてしまった、準備をしたけれども想定を超えてしまった、こういうことで理解をしたにもかかわらず突然不交付決定をする、しかも過去に例がない、その説明がないというのは極めて恣意的だと思います。

 そこで、総理に聞きます。

 こうした運営をすることについて、総理は承知をされていたのでしょうか。

安倍内閣総理大臣 あいちトリエンナーレについてお尋ねがございました。

 補助金の交付等については、それぞれの所管官庁、実施機関において、法令や予算の趣旨にのっとって適正に実施されるべきものであり、このたびのあいちトリエンナーレに対する補助金については、文化庁においてそうした判断をしたものと承知をしております。

岡本(充)委員 総理は、どこでこの決定がなされたことを知られましたか。報道があってから知られましたか、それとも報道の前に報告を受けていましたか。決定が出る前に報告を受けていたんですか。

安倍内閣総理大臣 これは、当然文化庁において、今申し上げましたように、判断するものでございますから、文化庁において判断した後、報告があった、このように思います。

岡本(充)委員 今私が説明したとおり、極めて私はこの判断には問題があったと思っています。

 総理も聞いていただいたと思いますけれども、書く欄はなかったわけですし、結果として、後からこうした指摘をしてきて、結果として想定を超えたということでもしこれからも不交付になるのであれば、さまざまな団体、これから先も、採択してもらったとしても、事業が想定を超えてしまった段階で不交付になるということの前例をつくるわけでありますから、私はぜひこれは再考をするべきだと思いますが、総理のお考えを聞きたいと思います。

安倍内閣総理大臣 既に萩生田文部科学大臣から答弁したとおりでありまして、萩生田大臣が答弁したことが内閣としての考え方であります。

岡本(充)委員 まさに、これは、自分の意に沿わないものが展示をされていたら、後からいろいろな理屈をこねて、不交付にするぞ、こういう前例をつくってしまったんじゃないかと思って、大変懸念を持っています。

 私は、先ほどもお話をしましたが、中身については私も大変不快感を持つものがあるわけでありますが、その話と手続論は別です。それを私はごっちゃにして今回決めていることに強く抗議をしたいと思います。

 続いて、水産庁の取締り船の話に行きたいと思います。

 皆さんのお手元にこれまた写真を用意しています。パネルで、今回、北朝鮮の漁船と思われる船、これが沈没した船を写しています。

 これがそもそも漁船なのか。六十人も乗っていたという話であります。この上の写真であります。全長が三十メートル。三十メートルで、集魚灯がある部分は、これで見ると十数メートルですよ、真ん中のところ。ここで六十人もの人が釣りができるのか。釣りをやるんだそうです。

 十数メートルのところで、両舷で例えば二十メートルだとしても、一人の幅、三十センチか四十センチですよ。そんなところで釣りをするというのはどう考えても合理的ではないと思うんですが、この船を漁船だと判断をしたのは、後ろに漁網がある。これだって、盛り上がって見えますけれども、この網の下に何があるかはわかりません。

 そういう意味で、これが漁船だと判断した根拠をまず農水大臣に伺います。

江藤国務大臣 「おおくに」が、これが取締り船ですが、北朝鮮船籍と見られる漁船という認識で、これに対して放水をいたしました。

 これが漁船であるかの判断は難しいという御指摘でありますが、我々は、漁船であるという認識のもとに対処したものであります。そして、目の前で急旋回をしましたので、ぶつかって沈没しましたので、人命第一ということで、救命胴衣、それから救命艇を出して助け出したということでございます。

岡本(充)委員 この船、六十人も乗って、作業する場所はないですよ。これで本当に漁船だと判断した理由は何なのかと聞いたわけですよ。これはほかの目的で来ていたんじゃないんですか。だって、イカも干していないし、集魚灯は少ないし、そもそも、そんなに人がたくさんいる目的がよくわからない。これを漁船だと判断する根拠は何なのかと聞いています。

江藤国務大臣 委員がおっしゃるように、日本のイカ釣り漁船に比べれば極めて脆弱な装備だと私も思います。しかし、日本の基準と外国の船は当然違ってしかるべきだと思います。

 イカ釣り漁船に船員が乗っていても、操業中に全員が船舷に並ぶわけでは日本もありません。船倉の中で作業する人間もいたり、操舵員がいたり、機関員がいたり、いろいろな人間がいますので、操業中に全員が甲板に上がって操業するということは日本ではありません。

 しかも、集魚灯がついているということは、我々は、やはりこれはイカ釣り漁船であるという認識で対処したことに間違いはなかったと思います。

岡本(充)委員 この問題の根源は、結局、この乗組員から聞いていないということですよ。あなたたち何で来たんですかということをやはり聞くべきですよ。

 そして、どうしてぶつかったのかを私はきちっと解明するべきだと思います。急旋回したとまだ聞いてもいないことを答えられましたけれども、急旋回したのなら、それを一回見せてくださいよ。これは偶発的な事故なのか、意図的にぶつかったのか、はっきりしないじゃないですか。これは出すべきですよ。

 これは偶発的なんですか、意図的にぶつかってきたんですか、どっちですか。

江藤国務大臣 偶発的であったのか、意図的であったのか、それは相手様のことでありますので、我々には判断できません。

 そして、どうして聞かなかったのかという話でありますが、海上に落ちた船員に対して我々はいろいろとお話を聞きました。

 例えば、六十名ということでありましたけれども、最初は二十名と報道されましたね。六十名だったわけですが、これで全員ですか、全員の命を救うことはできましたかという問いには答えました。それ以外の問いもしましたが、一切のそのほかの問いに対しては、全く答えをしてくれないということでありました。

岡本(充)委員 それは正確じゃない。それは、もう北朝鮮の船に乗ってから聞いているんですよ、これで全員ですかと。それは北朝鮮の船に乗ってから聞いている話であって、この北朝鮮の漁民と思われる者から私は聞くチャンスはまだほかにもあったと思います。

 では、ちょっと聞きます。

 この「おおくに」という船は、どうも借りた船だと聞いています。もっと言うと、取締り官は一人だと聞いています。なぜ放水したんですか。取締り官でない人が放水することはできるんですか。漁船だと考えたのに、なぜ放水したのか。放水の理由を聞きたいと思います。

江藤国務大臣 まず、相手の船に移乗してからではなくて、救命艇の上で聞き取りをいたしております。その点がまず第一点。

 それから、漁業者とか漁民の思いがあります。この大和堆というすばらしい漁場に、たびたび外国の船が入ってきて漁場を荒らしていく。ですから、我々は、漁労中、いわゆる網をおろしたとか釣っているとか、そういう作業をしていなくても、いわゆる漁業等付随行為、許可を得ずに探索をしている、例えば魚群探知機を使って探索をしている、そういうときには、採捕に付随する探索でありますから、我々は放水をするということになっております。

岡本(充)委員 では、ちょっと違った角度で聞きましょうか。

 これは、ぶつかったのは九時七分だった、沈没したのは九時二十五分だと海上保安庁は報告しています。通報したのも九時二十五分なんです。これは、沈没しそうだから通報したんですよね。ぶつかったから通報したんじゃないですよね。沈没しそうになったから通報したんじゃないんですか。通報をした理由、通報した内容は何だったんですか。

江藤国務大臣 若干、御質問に十分答えられるかと思いますが、一応、私の答えられる範囲でお答えをいたします。

 九時七分に接触、十二分に「おおくに」から新潟漁調、水産庁に連絡、そして海上保安庁にも通報、そして、二十四分に沈没、そして、その六分後の九時三十分に私の方に報告が入りました。そして、その後、秘書官等を通じて関係各所、もちろん総理の方にも連絡を入れたということでございます。

岡本(充)委員 海上保安庁、九時二十五分に通報を受けていますね。

赤羽国務大臣 おっしゃるとおり、九時二十五分に、九時七分ごろ北朝鮮籍と見られる漁船と衝突したということと、漁船は沈没したとの連絡を受けています。

岡本(充)委員 これは、沈没したから通報したんでしょう。二十四分に沈没して、二十五分に通報しているんだもの。ぶつかったのは九時七分ですよ。つまり、沈没したから通報した、時系列から考えると。

 では、聞きたい。

 このエリアで一体どれだけの船が日ごろ衝突しているんですか。通報するに至らない衝突はほかにもあるんじゃないですか。今回、衝突だけだったら通報しなかったんじゃないんですか。沈没したから、二十四分に沈没したから二十五分に通報したんじゃないんですか。

 そういう意味で、通報に至らない衝突はどのくらいあるのかということをあらかじめ聞いていますから、それについてお答えください。

江藤国務大臣 海上保安庁ではないでしょうか。海難事故ということになれば、海上保安庁の管轄だと承知しております。

岡本(充)委員 農林水産省、水産庁の持つ船が接触をして、海上保安庁に連絡をして、海上保安庁は初めてカウントするんですよ。つまり、連絡もせずにしょっちゅうぶつかっているのかということについて水産庁に聞いたんですよ。それについての答弁を求めています。

江藤国務大臣 誠実に御答弁したいと思いますが、通告がございませんでしたので、今はお答えできません。

岡本(充)委員 何遍もその話はしていますよ。

 もっと言ったら、通告したいから私の部屋に来てくれと言ったら、これ以上のことは何も言えないから通告は結構ですと断ったのは水産庁じゃないですか。ひどい話ですよ。

 ここではっきりしておきましょう。私の部屋に来てくれと何遍も言ったけれども、この紙以上のことは一切言えない、だから通告は結構です、そう言ったのは水産庁ですよ。ほかの省庁はみんな来ましたよ。名前も私は聞きました。あなた、誰ですかと。さすがにテレビの前でその役人の名前を言うのは忍びないから言わないけれども、その指示を出していたのは、大臣、あなたじゃないですか。

 それをしゃあしゃあと、通告がないとはどういうことですか。

 では、次の観点で聞きます。

 しっかりそれは調べるべきです。相当程度ぶつかっている、そうじゃないかと私は疑っています。

 その上で……(発言する者あり)では、その件については理事会で取り計らっていただきたい。水産庁が全く来なかった件について、理事会で、今後の質問通告のあり方もありますから、ぜひ取り上げていただきたいと思います。

棚橋委員長 後刻、理事会において協議いたします。(岡本(充)委員「その上で、確認したいです」と呼ぶ)

 質問者、恐縮です、まずは名指しをさせてください。

 岡本充功君。

岡本(充)委員 では、今度、下の写真でいきます。

 下の写真、これ、水産庁の救難艇が出ています。手前の、その横では、まだ水に入っていて、浮き輪ですか何かにつかまっている方がいる。その向こうは救命艇があります。完全に水から上がっている北朝鮮の漁民と思われる人がいます。

 この船の上に日本の施政権は及びますか。

茂木国務大臣 国際法上、EEZを持っております沿岸国は、その排他的経済水域、EEZにおきまして、生物資源を含む天然資源の探査、開発、保存及び管理のための主権的権利、主権的権利を有しております。(発言する者あり)

岡本(充)委員 そんなこと、聞いていない。自民党の方からやじが飛びました。

 そんなことは聞いていないです。私が聞いているのは、この船の上について。この船は救難艇です。日本の船が出している救難艇です、これが北朝鮮の船が出しているというなら北朝鮮でしょう、これは日本の船が出している救難艇です、この上は、当然、日本の施政権が及びますよね。

江藤国務大臣 日本の国有財産である部分であるということにおいて、おっしゃるとおりだと思います。

岡本(充)委員 そのとおりなんです。いや、これもさんざん確認したんですよ。ここは、日本の行政権、施政権は及ぶんですよ。

 その上にいる、この漁民と思われる方に、なぜ聞かないのか、なぜ尋ねないのか。どうして来たのか、誰が船長なのか、どうしてぶつかったのか。さっき聞きましたように、偶発的なのか、意図があったのか、これすら聞かない。今さら聞けないですよ。

 では、ちょっと聞きます。外務省、外務大臣、これは抗議されたということでありますけれども、一体、誰に、どういうルートで、北京の外交ルートと報道では出ていますけれども、具体的に、誰に、何を抗議したんですか。入ってきたことを抗議したんですか、ぶつかったことを抗議したんですか、それとも、何を抗議したんですか。そして更に言えば、相手は何と言ったんですか。

茂木国務大臣 まず、外交上の細かいやりとりにつきましては答弁は控えさせていただきますが、今回の衝突事故発生後、我が国EEZ内におけます北朝鮮籍と見られる漁船の行為を踏まえまして、北朝鮮に対して速やかに北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議を行ったところであります。

岡本(充)委員 私が聞きたいのは、その行為とは何ですか。ぶつかったことですか、日本のEEZの中で魚群レーダーで探知していたことですか。それとも、何を抗議したんですか。その抗議の内容ぐらい言えるでしょう。そして、誰に言ったか、相手方はどういう官職の人なのか。それぐらいは言えるでしょう。

茂木国務大臣 冒頭申し上げましたように、外交ルートで話をしておりますこと、それにつきましては答弁は慎重にさせていただきたいと思いますが、大和堆周辺海域に侵入しようとします外国漁船等の数が大変多い中で、北朝鮮籍と見られる漁船に対して退去勧告を行ったところ、当該船舶が急旋回したことから、漁業取締り船と接触し沈没したとの事実関係を踏まえて行ったものであります。

岡本(充)委員 それは、何を抗議したのかさっぱりわからない。悪いですけれども、こういう姿勢をとっているからなめられるんだと思いますよ。

 一体、誰に、何を抗議して、どういう反応があったのか。相手に必ず伝わっているという確証はあるんですか。伝わっていない可能性はないんですか。誰かを介していて、その人が伝えていなければ、伝わっていないかもしれませんよ。必ず北朝鮮にこれが伝わっているという確証だけはあるんですか。

茂木国務大臣 北京ルートを通じて、確実に厳重な抗議を行っております。

岡本(充)委員 テレビを見ている皆さんはわかると思いますよ。北京ルートを使って抗議を行った。ルートは、もしかしたら誰か第三者がいるかもしらぬ。その人が北朝鮮に言わなきゃ、そんなのは伝わらないんですよ。本当に北朝鮮側に伝わったかどうかすら答えられない。(茂木国務大臣「そんなことは言っていない」と呼ぶ)では、北朝鮮側に確実に伝わったと言えるんですか。

茂木国務大臣 北京の大使館ルートを通じまして、伝わるような形で厳重に抗議を行っております。

岡本(充)委員 もうこれ以上やりませんけれども、伝わるような形でといって、伝わったかどうかもはっきりしないじゃないですか、やはり。

 総理にちょっと聞きます。

 この事案については、いつ総理の耳に入り、そして総理からは具体的にどういう指示を出されたんですか。

安倍内閣総理大臣 本事案については、発生直後から随時状況報告を受けたところでありまして、本事案は、海上保安庁及び水産庁が人命救助を実施するとともに、それぞれの任務に基づき、現場において適切な捜査活動等を行ったものであります。

 私が、個々の事案の捜査状況等について報告を受け、あるいは指示をすることはありません。

岡本(充)委員 では、総理にこの事故の概要が入ったのは、何時何分ですか。

安倍内閣総理大臣 何時何分であったかという通告がございませんから、今、何時何分だったということは申し上げませんが、発生直後から、随時状況報告を受けたということでございます。

岡本(充)委員 ということであると、発生直後からということであると、北朝鮮の船が現場を離れる前に総理には連絡が入っていた、こういう理解ですね。もう北朝鮮の船がどこかへ行っちゃって見えなくなってから総理に入ったわけではなくて、まさに、現に救助をしている、その状況で総理はこの事案が発生していることを承知をしていた、こういう理解でよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮の船はもう沈没をしている状況ですから北朝鮮の船はありませんが、船員が乗っているということですか。

 救助中だという報告は受けたところであります。

岡本(充)委員 いずれにしても、これ、判断するためには動画が必要ですよ。

 委員長、動画の提出を私は求めたいと思います。水産庁、海上保安庁が持っている、この件に関する動画の提出を、本委員会に出すことを求めたいと思います。

安倍内閣総理大臣 公表については、既に官房長官がきょう十一時の記者会見でお答えをさせていただいておりますが、公表する方向で今検討しております。

岡本(充)委員 ぜひ全部出していただきたいと思います。

 まだ、公表する方向ですから、まだされては、現時点ではいないということですね。もうされていますか。

安倍内閣総理大臣 証拠として採用等の手続がございますが、今、その中で判断をしているわけでございますが、基本的に公表するということを、私自身はその方向で検討させているところでございます。

岡本(充)委員 ぜひ全部出していただきたいと思います。

 その上で、次の質問、もう一つ、重要な、どうしてもやらなきゃいけない、戦没者の遺骨収容事業です。

 これがとんでもなくいいかげんだった。私、もう聞いていてびっくりしました。ソビエト・シベリアで収容した旧日本兵の遺骨だと思われた骨は、一体誰のものだったんですか。

 その鑑定を含めて、少し現地の状況を御説明しますと、現地では、大変さまざまな、気候が厳しい中、多くの皆さんが、それぞれの仕事を休んだり、時間をつくってボランティアで参加をされています。そして、この中でも遺骨鑑定と言われているところが大変重要でありますが、この遺骨鑑定、実際には現地の、本当に専門家かちょっと私はいろいろな意味で疑問を持つような方が、これは日本人だ、こう言っているんです。

 なぜ疑問を持つかというと、何で日本人ですかというと、このパネルにもありますように、これは大変簡単な鑑定書だけなんです。今回疑惑を持たれている、専門家から、十六柱、日本人じゃないんじゃないかと言われているこの鑑定は、わずかに、性別は男性だ、そして、それぞれのおおよその身長、年齢はこんな形だと書いていますが、その根拠となっているのは、その横にあるプラスの文字の書いてあるものであります。

 モンゴロイド、日本人を含む骨であろうか、いや、違う骨もまざっているんじゃないか、いろいろなものがついていますが、とにかく、これ一枚で十六人分が日本人だと判定をされています。これでは余りにもずさんではないか。

 しかも、例えば、男性だというのであれば、この遺骨のチェックのポイントに、男性を意味するポイントは一つもない。人種だけですよ。これが何で男性だとわかるのかがさっぱりわかりません。

 厚労大臣にお越しいただいています。この鑑定書を見て男性だとわかるポイントはありますか。

加藤国務大臣 その鑑定書のときには、逐次、遺骨収集のときに、現地の鑑定人が中心になりながら、そして、二〇一一年、平成二十三年からは、日本側からも、骨学等の研修を受けた職員、まあ我が省の職員等が同行しております。

 今おっしゃった事案についても、当然、それ以降の事案ですから、同行していた。同行していた職員から聞いたという話ではありますけれども、一つ一つの御遺骨ごとに一応チェックリストがありました、それを集約したのがそれだったというふうな報告は聞いているところであります。

岡本(充)委員 そのチェックリストをどこへやっちゃったんですか。ないじゃないですか。相当捜してもらったけれども、今やない。チェックリストがないのに、どうしてこの骨が男だとわかるのか、男性だとわかるのか。証拠はないじゃないですか。

 結果として、私は、やはりDNAをしっかりとってくることが重要だと思いますよ。日本の遺骨収容で行われているDNA鑑定の予算は一億五千六百万円。来年度の予算でも恐らくそう大きく伸びないのではないかというふうに思っているところでありますが、世界各国はみんなDNAをとってきているんですよ。

 日本には、今、一万体を超える遺骨のDNAが抽出できていると、きのう、担当部局の方から聞いています。しっかり調べて、これが本当に日本人なのかどうか、やるべきですよ。一億五千万と言わずに、もっと、総理、予算をつけたらどうですか。

 やはり、日本人の御遺骨かどうかを確認するために、DNAがあるんだったらそれを調査するべきだし、もっと言えば、現地で焼かずにDNAを抽出してくる。できなくても、将来、できる技術ができるかもしれないんだから、焼かずに日本に持ち帰ってくる。この決断を、総理、するべきです。どうですか。

加藤国務大臣 ちょっと、先ほど技術的な話からしましたけれども、いずれにしても、今回の事案を含めて、もう十年以上前に鑑定人会議から、日本人ではないかという指摘を受けながら、そのままになっていた。このことは我々真摯に反省をしながら、今、検証し、そして、今後の鑑定と遺骨収集はどうあるべきか、議論させていただいております。

 その中で、今委員御指摘のように、既におかしいなと言われていたところについては、まず、約六百弱でありますけれども、これをやる。そして、それが終わり次第、次の、今おっしゃった一万近い検体について実施をしていくということを当然、当面やっていきたいと思います。

 加えて、今後どう対応していくのか。やはり新しい技術がどんどん入ってきていますから、そういったものを入れながらどう対応していくのかも今専門家の方に検討していただいて、必要な予算もしっかり獲得して、やはり、日本人の遺骨を一日も早くという遺族の方々の思いにしっかりと応えさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 これ、いかにずさんだったか、もっと時間をかけてやりたかったですよ。

 五百九十七体の今回の疑惑を持たれている骨、この収容のときに、日本人じゃないと言われた骨はわずかに何体だったですか、大臣。その数だけ知っていますか。ほとんどみんな、日本人だという判定を受けて返ってきているんですよ。結果として違っていたんですよ。

 この事実を考えると、やはり、私が指摘をしているように、DNA鑑定をやる、そして、骨も、今はDNAが抽出できないかもしれないけれども、将来は、技術が変わればとれるようになるかもしれない。だとすれば、焼かずに持ってくるべきですよ。

 総理、そこは、方針転換、やはり総理がリーダーシップをとって、ここは指示して、やらせますと言ってくださいよ。多くの英霊が待っていますよ。それをぐしゃぐしゃにしないでくださいよ。お願いします。

安倍内閣総理大臣 この問題については、私も、厚生労働省に対して、しっかりと責任を持って、一日も早く御遺体が返ってくるように、予算においても最大限の配慮をしたい、こう思っておりますが、御遺体について、焼かずにということでございますが……(岡本(充)委員「骨ね、御遺骨ね」と呼ぶ)御遺骨をですね、御遺骨について。そこについては、御遺族の皆様方の御意向もあるということでございまして、そこはまた御遺族の方々ともよく調整をしていく必要があるんだろうな、こう思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、本人の確認がしっかりととれる、今後の科学、また技術的な対応も期待されるわけでございますが、そういったことも含めてしっかりと対応していきたい、こう考えております。

岡本(充)委員 総理、そうおっしゃいますけれども、御遺族はやはり、自分の身内が亡くなられている、戦死しているということであれば、その御遺骨、受け取りたいという方が多いと思いますよ。焼いてしまったら、もうDNAがとれなくなるわけだから、焼かずに持って帰ってきて、保存して、将来、技術的にとれるようになったときに、もう一回とれるかもしれないじゃないですか。世界各国の主流は、焼骨せずに持ってきていますよ。日本もその決断をするべきだ、こう言っているわけです。

 そういう意味で、総理、決断の言葉をもう一度最後にお願いして、終わりたいと思います。

安倍内閣総理大臣 この焼骨については、岡本委員の言われるような認識を持たれる方も多いんだろうと思いますが、実際に御遺族の中においては、現地でいわば仏様にしてもらいたいという方が、これは意外とおられるわけでございまして、そういう方々との調整等も当然必要なんだろう、こう思います。

棚橋委員長 岡本君、申しわけございません。

岡本(充)委員 では、これで終わりますが、調整が必要だということですけれども、しっかり調整してやっていただきたいと思います。

 終わります。

棚橋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

棚橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、小川淳也君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小川淳也君。

小川委員 野党新会派の小川淳也です。

 きょうは、尾辻かな子さんと二人三脚で質疑をさせていただきたいと思います。

 二日目のきょうも、新会派では、それぞれ役割分担いたしまして、効率的、効果的に政権の姿勢についてたださせていただいております。私は、みずからの職責に照らして、NHK、かんぽの問題、それから、年金の再計算を中心とした全世代型社会保障改革についてお聞きします。

 その前に、ごめんなさい、ちょっと二つ三つ。

 小泉大臣、小泉さんが感じているストレスとかプレッシャーとか、これは、私なんか、想像に余りあります。庶民の出ですからね、本当に。あのお父様のもとにお生まれになって、今どれほどのストレス、プレッシャーだろうと、想像に余りあります。

 しかし、御答弁で、内閣の一員というのは便利な言葉ですが、これは、政治家としての輝きは失わしめますからね。河野大臣を見てくださいよ。昔、光り輝いていましたからね。ねえ、官房長官。

 それで、いろいろ聞きたいことも言いたいこともありますが、ちょっと指摘だけします。

 台風十九号が来ますよね、あした、あさって。これは、犠牲者が出ないとは限りませんよ。負傷者も何人出るかわからない。住宅は何戸壊れるか、インフラはどの程度攻撃され、平穏な人々の暮らしがどれだけ脅かされるか。地球温暖化問題を担当するということは、そういうことでしょう。

 これは、セクシーでもクールでもチャーミングでも、何でもやってください。しかし、説明を求められたときに、それを説明するのはやぼだというのは通らない。あなたは大臣ですからね。

 グレタさん、人類の絶滅の危機だと言ったんでしょう。きょう夕方、ノーベル賞の発表なんですよ、平和賞。総理がトランプ大統領を推薦しているから言いにくいですけれども、私は、ぜひグレタさんに行けばと、本当に心から願っています。それぐらいの危機なんですよ。

 閣僚としてしっかり答弁、御期待をしているがゆえに、お願いしたいと思います。

 そして、総理にも一つだけ申し上げたいことがある。

 私、総理は、憲法改正、本気だと思っていたんですよ、ついこの間まで。でも、最近は、これはひょっとしてポーズじゃないかと。人目を引き、関心を呼び寄せ、政権を浮揚させ、求心力を維持するためのひょっとしたらポーズじゃないかと、今、ちょっと疑心暗鬼です。

 残り任期二年。それは四期目があるのかないのかわかりませんが、総理、これは、御勇退された後、後悔しませんか。これだけ長期政権、そして衆参で三分の二を持った史上初の総理大臣。そして、憲法改正には怨念のような思いをお持ちだ。

 私は、自民党の改憲四項目、いいですよ、しかし、総理が本当に国民に問うべきは、九条に集団的自衛権を書き込むことだ。存立危機事態を明記することです。それで堂々と国民に問おうじゃありませんか。それなら、私、野党からも、私も含めて、発議に賛成したいと思う人間がいると思う。もちろん、異例ですが、賛成した上で徹底的に反対するんですよ。国民投票で敗れたら、もう本当にその日に政界引退してもいいぐらいと思う、そのぐらいのテーマを総理は国民に指一本触れさせずやったんだ。国民主権も立憲主義も民主主義もあったもんじゃないじゃないですか。

 ぜひ、残り任期、集団的自衛権を明記し、そして存立危機事態を書き込む、これこそが総理が国民に提起すべき憲法改正だと思います。そのことを指摘をして、これはまた、ぜひ担当のときに議論させてください。そういう思いを持っている野党の若い人もいるということで、ぜひお聞きおきいただきたいと思います。

 それでは、郵政、かんぽ問題についてお聞きします。

 きょうは、お忙しい中、それぞれ責任者の方にお越しをいただきました。

 まず、かんぽの不正に関してですが、それぞれ、いろいろ反省もおありだと思います。

 去年四月のNHKの放送で、こういう現場の声も報じられているんですね。高齢者に強引に販売せざるを得ない環境が郵便局にはありました、お客様に申しわけない気持ちが日に日に強くなり、退職しました、三十代の元郵便局員。そして、四十代の現役の職員だと思います。以前のような地域の人に頼りにされる局員に戻してください、この番組を機に、世間の目や金融本部、かんぽ生命の偉いさんの考えが変わってくれることを大いに期待しますということが報じられています。

 これは、かんぽ全体、それから被害者もある。更に言えば、株価が低迷していますね、今、日本郵政。この秋の売却予定、そして復興財源を含めて、一連の事件の責任は極めて波及が大きいですよ。

 そこで、横山日本郵便社長に率直にお聞きします。

 既に、親会社、郵政の長門社長は、これは自民党の非公式会合のようですが、逃げ隠れする気持ちは全くない、しかるべき時期に、しかるべき経営責任をきっちり発表すると明言しています。

 横山社長、端的に聞きます。現場は真面目にやっている人もいるんですよ。そして、今回の件で本当に戸惑っている。そして、何より被害者、そして復興財源を含めて影響は大きい。みずからの進退を含めて、その責任のとり方、まずお聞きしておきます。

横山参考人 まず最初に、このたびのかんぽ問題につきまして、お客様を始め関係の皆様方に大変御迷惑とそれから御心配をおかけいたしておりますことを、まずもっておわびを申し上げます。

 現場を含めて、大変お客様に対して誠実に真摯に対応いたしておるところでございますが、私どもといたしましても、御指摘ございましたNHK報道等も含めまして、対応につきましては打ってきたところでございます。

 今やっております再発防止策を含めまして、これをまず徹底させるということで、私どもの経営責任ということを果たしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

小川委員 おやめにならないというふうに受けとめましたが、これは関電もそれでもたなくなっていますからね。早目にみずからの進退を含めて、これは、お偉いさんの考えは変えられないんですよ、恐らく。お偉いさんをかえるしかないんだ。厳しい指摘ですが、受けとめていただきたい。もう時間の関係で往復はしませんが。

 次に、結果としては極めて重要な報道だったNHKの初回放送、去年の四月、このクローズアップ現代にクレームをつけたのが、恐らくです、首謀したと思われるのが、日本郵政の鈴木副社長。

 私ども、政務官をさせていただいた時代に大変お世話になりました、本当に。そのときには本当にお世話になりました。それで、ただ、そのこととこれは別なので。

 鈴木さんは、総務事務次官を務めて、その前には情報通信政策局長、放送課長までやっていますね。このみずからの経歴をかさに着て、事実上、NHKに圧力をかけたんじゃありませんか、鈴木さん。

鈴木参考人 ただいまの御質問でございますが、圧力をかけたという記憶は毛頭ございませんで、私どもの、放送されたものに続いて第二回の取材をするという際に、全く事実の摘示もなく、まるで電車の中づり広告だと私は申し上げたことがありますが、極めて刺激的な言葉だけを並べたようなツイッターを出していたので、それを削除してほしいという要請をいたしました。

 以上でございます。

小川委員 全く認識が甘いと思いますよ。みずからの経歴、人脈、あらゆることをかさに着て、それは受け取った方は圧力に感じるでしょう。

 ちなみに、NHKの石原経営委員長は、御就任が二〇一〇年の十二月十一日だと思いますが、そのときの事務次官なんですよね、鈴木さんは。そうなんですよ。

 これは、鈴木さん、なぜ自信のある抗議なら白昼堂々とやらないんですか。なぜ公明正大にやらないんだ。上場企業はよくメディアに抗議しているじゃないですか、表で。抗議はしたかった、しかし、抗議をしたことは知られたくなかったんでしょう。認識が極めて甘いと思いますよ。

 もう既に、これは日本郵政の長門社長が、一連のNHKの報道は、今となっては全くそのとおりと言っていますから。一連の抗議をしたことも、社内調査を経ずに抗議したことを深く反省と言っていますから、日本郵政のあなたの上司が。副社長、ここで、一連の抗議は誤りだった、撤回して謝罪してください。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 最初の方、石原委員長がNHK経営委員だったというのは、時間的に見るとそういうことなのかもしれませんが、私は、当時は全く記憶にございませんでした。

 その次に、長門が記者会見でしゃべった内容について申し上げると、それは、二〇一八年の四月に放送された番組について考えてみると、今注意が足りなかったということを申し上げておるのであって、先ほど私が申し上げたように、第二弾として、番組の視聴者から番組の素材を提供してほしいといったSNS、それをNHKは公式ツイッターと呼んでおりましたが、それに対して私どもはおかしいと申し上げて、こそこそやったわけでもなくて、NHKの担当者が我々のところへあわせて取材をしてほしいと言うので、それはできません、ああいう刺激的なことを一方的に言うだけで、そんなものに乗るわけにいきませんということを申し上げ、その後、何を言っても全然通じないものですから、七月の十一日付だったと思いますが、私どもの社長三名の連名でNHK会長に対してレターを送っております。別に隠れてやったわけでもなくて、堂々と送っております。

 以上でございます。

小川委員 だったら、その提出した文書を提出してください。まだ公開していないでしょう。自信があるなら公開してくださいね。

 委員長、要求します。委員会、理事会に、郵政のNHKに提出した抗議文書一連、三通ぐらいあるんですが、それを委員会に討議資料として提出するように委員長のお取り計らいをお願いします。

棚橋委員長 後刻、理事の申出がございましたら理事会で協議いたします。

小川委員 これは石原経営委員長にもお聞きしなきゃいけないんですが、なぜこの程度のことで会長を厳重注意するんですか。

 これは御存じない方もいらっしゃると思いますが、NHKが釈明に行ったときに、会長名の文書提出を求められるんですよね、日本郵政から。そこで、職員は、いや、会長は直接番組制作にはタッチしていませんからという抗弁をするんですよ。当然だと思う。会長が日ごろそんなことをやっているわけがないし、一定の節度を持って当然ですから。それを、揚げ足をとるように鈴木副社長が、言いがかりだ、こんなものは。揚げ足をとるように抗議しているんですよ、職員の教育がなっていないと。そういうことなんですよ、この内容は。

 それで、石原委員長、御見識のある方だと思いますが、なぜこんな抗議に屈したんですか。会長への厳重注意なんて、ただならぬ事態じゃないですか。

 そして、あわせて答弁してください。十月の九日、去年、日本郵政から書面が届くんですが、そこで初めて知ったんですか、それともどこかで聞いていたんですか。

石原参考人 お答えいたします。

 まず、職員の失言ぐらいで経営委員会として会長を厳重注意にしたのかという御質問でございますけれども、私ども、番組の内容、中身に立ち入ることは法律上禁止されております。

 そういった点で、どういうことがあったかというよりも、やはり、十月の五日付の文書が郵政から来たときに、この中に、ガバナンスの問題として、現場のチーフプロデューサーが郵政の会社に行って、経営とそれから番組の制作というのは違うんだ、会長には経営はするけれども制作権はない、こういう話を現場のチーフプロデューサーがした。

 これは、チーフプロデューサーというのは現場の制作の責任者ですから、極めて大事な役割を持っているわけでございまして、したがって、チーフプロデューサーがそういうことを言うのは、やはりこれはNHKのガバナンスの問題として、言ってみれば、会長の部下、社員に対する教育の面、心がけ、そういった面が欠けているなと。NHKの非常にこれは大事な部分だと僕は思うわけであります。

 それからもう一つは……(小川委員「ちょっと簡潔にお願いします」と呼ぶ)はい。もう一つは、二カ月間ほっておかれたと文書の中に書いてあるわけでございまして、やはり視聴者対応として、そういった視聴者に対して、また郵政に対してきちっとしたお答えをして、それで納得いただくという努力をちゃんとしているのかどうかということをあわせて調査してみた結果でございます。

 以上です。

 申しわけございません、もう一つございました。

 それから、十月九日の抗議文書を受け取る前に知っていたのか、こういうお話がございましたけれども、これについては、実は、前の月の九月の二十五日、郵政会社の副社長の鈴木様、鈴木様が私どもの代行の森下代行のところにいらっしゃいました。東京に事務所があるんですけれども、そこでお話がございまして、これは恐らく申入れといいますか、という感じでお見えになったということでございますが、ガバナンスの問題とそれから答えがないという話について非常に不満を言っておいでになられたという話は聞いております。

小川委員 やはり、鈴木さんが陰でいろいろ動いて、事実上の影響力を行使しているんですよね。それにNHKは屈したんですよ。はねつけられなかったんだ。

 これは他党が扱っていることですからあれですけれども、叱られない範囲で。郵便局の転居届にNHKの転居届だけセットされているそうですね。こういうこと一つとっても、特別な関係なんですね、両者は。そういうことなんですよ。

 それで、経営委員会も、今回、会長を厳重注意、これは籾井さんに対する、ハイヤーの不正利用とか以来ですよ。過去にこの二つしかないんだ。籾井さんのときはちゃんと公開している、経営委員会は。これは非公開、議事録不作成です。お互いに水面下でやったんでしょう、身内同士であることをいいことに。これがよくないと言っているんですよ。表でやってください、表で。お互いに公的責任を負っているんだから。

 総務大臣に最後に聞きます。

 これはまた総務委員会でやりましょう、きっちり。

 総務大臣は、早々にこれは放送法違反じゃないと。つまり、経営委員会は本来個別番組に介入してはいけないんですね。私に言わせれば、これはガバナンスの名をかりた個別番組への介入です。現に、続編はこれによって見送られた。見送られたこの一年数カ月、恐らく一千件から一千五百件、新たな被害者が出ていますからね。そういうことの責めも負っているんですよ、あなたたちは。

 大臣、これは事実上、ガバナンスに名をかりた個別番組への介入で、放送法違反でしょう。それからお聞きします。

 議事録作成すらしていない。経営委員会は、確かに非公表とできるという規定はみずから持っている。しかし、不作成の規定はどこを探してもないんですよ。恐らく常態化しているんですね。非公表の名のもとに議事録をつくらない、そもそもつくらない。これは放送法違反の疑いが濃いので。

 大臣、大臣は放送法違反でないと早々におっしゃっていますが、ちょっと発言を修正して、NHKと日本郵政にきちんと行政指導していただきたいと思うんですが。

高市国務大臣 まず、NHK経営委員会がNHK会長に対して厳重注意をしたということについてですけれども、毎日新聞だったと思いますが、最初に報じられてすぐに情報流通行政局長に指示をいたしまして、経営委員会に確認をさせました。その時点において、会長に対する注意は、放送法上、役員の職務の執行の監督を行うとされる経営委員会の権限の範囲内で行われたものであること、それから、個別の放送番組や番組編集について述べたものではないということを聞いております。

 ですから、現時点において、経営委員が個別の放送番組の編集に介入することを禁じているという放送法に反したものではないということを記者会見でも申し上げました。

 それから、議事録ですけれども、NHK経営委員会の議事録については、放送法第四十一条に基づいて、経営委員会の定めるところにより、作成、公表を行うということになっております。

 この四十一条というのは、NHKの経営の透明性を確保する観点から設けられているものですから、NHK経営委員会においては適切にこれを説明し、対応していただきたいと思っております。

小川委員 もうこれは、時間ですから、また総務委員会で徹底的にやりましょう。不十分な答弁です。

 総理、この間、本会議で、安倍政権への連日の報道を見れば、萎縮している報道機関などない、ありもしない危機をいたずらにあおる言動だと質問者を批判しました。これ、総理、ちょっと認識が甘くておられるのではないかと私は思いますね。

 この件も、もちろん、これは郵政とNHKの問題だと思って、ちょっとこう高みから聞かれているんでしょうけれども、一連、この間の報道機関の萎縮とか、政権あるいは権力者に対する配慮、これは色濃く背景には反映しているんじゃないですか。私はそういうふうに受けとめています。

 もうこれは、事実として、事実として、国際的なジャーナリストの民間団体は、かつて民主党政権のとき、日本の報道の自由度は十位前後だったんです、世界で。今七十位ぐらいまで落ちていますからね。そういうことも含めて、ありもしない危機をいたずらにあおる言動というのは、総理の御認識として甚だ不十分だということをちょっと指摘して。答弁は結構です。(安倍内閣総理大臣「五分ぐらい」と呼ぶ)いやいや、お互いのために。

 それで、総務委員会でとにかくやりましょう、これは徹底的に。もう、ちょっと残り半分の時間はどうしても年金問題をお聞きしなきゃいけないので。

 まず、この年金問題、一つ目の問題は、総理が参議院選挙前に国民に示すべき財政再計算を示さなかったことです。選挙に配慮したと私たちは受けとめています。問題の第二は、選挙後に示した数値であるにもかかわらず、極めて大甘だということです。問題の第三は、この大甘の想定ですら、老後の暮らしは極めて厳しい。そして、それを政府は率直に認めようとしていないと私は感じています。

 お聞きします。現在、実質で三十五万円なんだそうですね、現役世代の収入が。これが今回の財政検証によると、三十年後四十七万円になるんだそうです。だから総理は、これとの対比で、年金額は減りませんから安心してくれとおっしゃっている。実質賃金が三十年後幾らだと言われても私はわからないので、これは総理でも厚生労働大臣でも結構です、実質賃金が三十年後四十七万円ということは、名目で、三十年後の若い人は、一体、一万円札何枚受け取るんですか。名目賃金は三十年後幾らになるんですか。

加藤国務大臣 今回の財政検証では実質で議論させていただいておりますので、今議員御指摘の名目での数字は、出していないというか、算出していないところであります。

小川委員 それはうそだ。実質賃金は名目賃金に八一・四%を掛けているはずですよ。

 ここで押し問答してもあれなんで、私から言いましょう。

 これは国民の皆様にも、わかりにくいので、本当にどうわかりやすくお伝えすればと思ったんですが。

 とにかく、政府が公開しているのは、ことし二〇一九年、真ん中ですが、現役世代の手取り収入三十五万円が三十年後四十七万円になるということは公表しているんです。

 でも、これはあくまで実質なので、名目でいうと、これは中位推計です、政府がよく言う中位推計。毎年賃金が一%伸びる、物価が一%伸びる、合計で二%伸びる。それを三十年繰り返すとどうなるか。点線で書きましたが、現在額面で四十三万円の現役世代の収入は、三十年後八十三万円になるんだそうですね。それで初めて手取りの実質は四十七万円になるんですよ。とても想定しづらいでしょう、これ。

 例えば、もうちょっと実感していくために、三十年前、これは泉議員が本会議で質問をしました。三十年前、一九九〇年。左側です。現役の収入が二十九万円だった、当時。それで、もし毎年二%伸び続けたとすると、ことしの月給は平均で、ボーナス込みだ、収入は五十六万円になっていなきゃいけない。しかし、現実には四十三万円。これぐらい、中位推計ですら無謀な想定を置いているということです。そして、この無謀な想定が実現すれば額面の年金額は減らないと総理はおっしゃっているわけです。ですから、想定が大甘。

 もう一つ指摘します、この紙で。

 一番右側に、現役世代の収入との対比でいうと、今の、二〇一九年が厚生年金で六一%、国民年金で一八%と書いてありますね。これが、三十年後には五〇%、国民年金は一三%。現役の収入との対比でですよ。そうすると、今の価値でイメージをすると、三十年後の年金は、これは賃金で割り戻すという専門的な言い方をするようなんですが、実際の価値は十八万円ということです。国民年金は四万円ということです。反論があったら後で言ってください。

 もう一つ言います。

 実は、総理が盛んに年金が減らないと言っているのは、あくまでその年新規に年金をもらう人なんですよ。新規裁定者というそうなんですが、新規にもらう人は大体毎年百万人とか百五十万人なんです。ところが、年金受給者の総体は三千五百万人ですから、実に九五%は既にもらっている人ということなんですよ。わずか五%のその年新規にもらう人だけ取り上げて、減らないと言っている。なぜか。新規の人だけ賃金の上昇に伴って年金額が上がるからなんです。一旦そこで発射台が決まると、もらう金額が決まると、あとは物価スライドなんです。

 そうすると、二枚目の資料ですが、例えば、ことし六十五歳の方、二十五年後に九十歳になります。賃金が上がっても年金は上がりませんので、物価が上がる分からいわゆるマクロスライドで調整率が抑止され、減らされ、二十五年後の年金は十九万円になります、形式上。

 ところが、これは、現役世代との対比でいうと、下の数字、四一%ですから、これを今の価値でイメージをしていただくと、厚生年金は十四万円になるということです、三十年後。国民年金に至っては、何と三万九千円ということです。

 それで、もう一つ言わなきゃいけないんですよ、残念ながら。

 これはあくまでモデルケースなんです。満額もらっている人の話ということなんですよ。実際、世の中には、満額もらっている人、そうはいません。厚生年金二十二万円に対して実際の平均は二十万円と言われている。国民年金は六万円に対して五万円と言われている。ということは、この十四万、三万から、つまり厚生年金十四万、国民年金三万から更に二割引いて、初めてほとんどの人の三十年後の年金額ということになります。

 加藤大臣、認めてください。中位推計ですら三十年後のほとんどの人の年金は、厚生年金で十三万、国民年金で三万、今の大体半分という理解でいいですね。

加藤国務大臣 幾つか御指摘いただいたので、簡潔にさせていただきますけれども。

 まず、一九九〇年度から二〇一九年度の伸ばすときに、たしか二・何%とおっしゃったのは今回の経済前提を置いているわけですから、今回の経済推計はこれから先のことを見ているわけですから、これを過去に運用されても、これは趣旨が違うのではないかということをまず申し上げたいということを申し上げます。この間にはいろいろな時代がありました。バブルの崩壊もありましたし、二十年、三十年のデフレもありました。そこは一緒に議論できないのではないか。

 それから、二点目として、ここで言う額面ですけれども、この額面は、この四十三・九のところですけれども、これは、いわゆる税金、保険料、社会保険料、これが入っているわけです。右側の額面は、それと、あと名目でふえている、これは両方入ってしまっているということ、そこはまず……(小川委員「当たり前じゃないですか、そんなのは」と呼ぶ)いやいや、そういうことだということであります。

 それから、三点目は、今おっしゃった、賃金で割り戻すとおっしゃるけれども、年金というのは、やはり、その時点でどういう生活ができるかということを示すという意味においては、物価で調整することの方がこれは意味があるのではないか。それをいたずらに賃金に落とし込んでやっても、これはなかなか、むしろ一般の感覚とは随分かけ離れるのではないかということ。

 それから、四点目。二ページ目でありますけれども、確かに、二〇一九から二〇四四と書いてあるところ、ここの数字は、私どもも財政検証でお示しをして、結果的にこれは、マクロ経済スライドと、それから、既裁定になると賃金ではなくて物価によって調整される、そういう結果においてこうなるというのは事実でありますけれども、それをまた右側に落とし込むというのは、先ほどと一緒になるので省きますけれども、あくまでも生活実態は物価でデフレートするというか調整して見るのが、これは一般的な常識に合うのではないかというふうに思います。

小川委員 まさに物価の名をかりて実態をはぐらかしているんですよ。

 この議論は結構深い議論でして、例えば三十年後も米、みそ、しょうゆは同じ値段、同じ負担で買えますよということは言っているんですよ。だけれども、三十年前に買えた例えば扇風機、三十年後にほぼ同じ値段、同じ負担で買えますよと言われても、三十年後の暮らしにはエアコンが一般化しているでしょう。(発言する者あり)違う。三十年前の黒電話を三十年後も同じ値段、同じ負担で買えますよと言われても、その後、携帯があらわれ、スマホがあらわれているでしょう。つまり、国民所得が伸びることとあわせて生活水準が上がるんですよ。だから、単純に購買力で見て大丈夫ですという議論では不十分なんです。

 だから、例えば生活保護もそうでしょう、物価スライドしていないでしょう。一定の所得水準の消費動態をちゃんと調べていますよね。だから年金は、所得代替率、いわゆる現役収入との対比を極めて重要視してきたんですよ。だから、現役収入との対比という、この生活水準から成る実質価値からいえば、当然三十年後の年金水準は半分になるんですよ。それを認めるところから議論をスタートしなきゃいけない。

 しかも、今見ていただいた推計はあくまでこれは中位推計でして、最後、もう一枚ちょっとごらんいただきたいんですが、中位推計というのは上から三つ目なんですよ。物価の上昇が年率一%、一・二、賃金の上昇が一・一、合計二・三ということなんですね。

 ところが、過去三十年を見ると、ケース最悪より悪いんですよ。ケース最悪は、早々に積立金が枯渇するケースですからね。

 総理は本会議でそれもおっしゃいましたね、今も席でおっしゃっていますが、過去三十年より未来は明るいんだとよくおっしゃる。しかし、安倍政権のこの六年、七年を見てください。消費税を上げて物価の上昇は〇・九ですからね。消費税を上げていなければ〇・五、最悪のケース以下なんですよ。同等なんです。賃金に至っては最悪のケースよりはるかに悪い、マイナス〇・六ですよ。

 したがって、この大甘な中位推計で議論しても意味がないし、実際にはこの最悪のケースより更に悪い可能性がある。それを認めないと、全く国民に対して不誠実だと思いますよ。

 それで、ごめんなさい、もう質問ばかりになるな。

 そういう中で、今議論されている全世代型社会保障改革、その中で、在職老齢年金を見直すのかどうかなんですよ。在職老齢年金というと、何かもらえる気がするでしょう。これも言葉のトリック。就業している高齢者の年金を減らす仕組みをやめるということなんです。月の収入が年金と合わせて四十八万円を超えると、一万円ふえるごとに五千円、年金を減らしているんですね。厚生年金は約十万円ですから、六十八万円で支給停止になる。これを今、骨太方針では、総理、高齢者への「就労意欲を阻害しない観点から、将来的な制度の廃止も展望しつつ、」「速やかに制度の見直しを行う。」と書いてある。

 総理、こんなに、先ほど申し上げた厳しい年金環境で、本当にこの在職老齢年金、廃止するんですか、見直すんですか。総理に聞いています、議長ですから。議長に聞いています。

加藤国務大臣 さっきの物価の話ですけれども、結果的に総合物価で見ているわけで、何か米の価格だけでこれを我々はデフレートしているわけではありません。例えば、かつてのパソコンが、同じ今のパソコンと能力も違っているし、値段も随分変わってきている、それを含んだ意味での物価というものを申し上げているというのが一つであります。

 前提についてはちょっとまたどこかでしっかり議論させていただきたいと思いますが、これは、ただ、あくまでも、いろいろなケースを見る中で、百年後どうなるかという見通しを示すということで、専門家、特に金融の専門家の方々から御議論いただいて前提を設定したという経緯が一つあります。

 それから、在職老齢年金ですけれども、確かに今の状況、次のスライドでたしか状況が書いてあったと思うんですけれども、逆に、本来働かなければもらえるものが、働いているがゆえにもらえない。しかし、働いているといっても、例えば雇用契約があればもちろん対象になりますけれども、顧問契約とか委託契約とか、あるいは不動産収入とか金融収入があっても、これは全然減額されないという実態。それから、一定限度を超えると五〇%取られるんです。一番高い所得税率の限界税率だって今五〇パーいっていないという状況がある。

 さらにもう一つ、私たちは、六十五から先に働くためにやはり一番いいのは、私は、定年制を廃止したり延長していただくということだと思います。そういうことをすると必ずこれにひっかかってきてしまう、その辺をどう考えるのかということも含めて、ただ、議員おっしゃるように、当然、これをやれば必要な金額、所要額が出てきますから、それをどうするのか。あるいは一方で、確かに御指摘のような、より高所得、まあフルタイムで働く人は恵まれているじゃないかという議論も確かにあります。その辺を含めて、これはこれからしっかり議論させていただきたいと思います。

小川委員 今のお話は、本当に支給開始年齢そのものを動かすのなら筋が通っているんですよ。しかし、働きながら年金をもらえる、年金をもらっていることが働き方を阻害するのか。これは厚生労働省も内閣府も、ほとんど影響ないという試算を出していますからね。これはまた厚生労働委員会でやりましょう。(加藤国務大臣「繰下げね、繰下げ」と呼ぶ)繰下げについて。

 在職老齢年金なんですが、これは極端に言うと、廃止すると、総理も、九月二十一日ですか、六十五歳をお迎えになられた。年金支給が始まりますよね。しかし、麻生大臣も含めて皆さん、きょう閣僚の中にも六十五歳以上の方が七名いらっしゃるようなんですが、皆さん、厚生年金に入っていても、国会議員の収入がありますから、厚生年金は支給されていないはずです。これは皆さんに対しても厚生年金を全額支給するということになりますよ。

 しかも、その財源なんですが、年間、もし廃止したら四千億ですよ。報道で言われているように、ちょっと規制を緩和した程度でも二千億。これはこういうことなんですよ。実際に、この収入があるから年金を減らされている人は、高齢者の中で一%ちょっとしかいません。百人に一人。その人に月十万円、例えば廃止した場合、本来支給されるはずの年金を支給するということです。年額で百万円。そのために、残り九十九人から一万円ずつ年金を減らすということなんですよ。

 こんな高額収入者優遇政策、この厳しい年金財政状況の中で本当にやるんですか。とても理解できませんが。総理、議長として答えてください。議長として答えてください、総理。

安倍内閣総理大臣 今の御質問に答える前に、一番冒頭言われた点で少し修正させていただきたいと思うんですが。

 選挙の前に年金検証を、財政検証を我々公表しなかったのは、別に我々、有利になるためでは全くなくて、事実、所得代替率は、これは悪化しているのではないか、こう言われていたわけでありますし、悪化しているのではないか、討論でもそう言われていたわけでありますが、財政検証の結果、五〇・六%に対して五〇・八%と改善したところでありまして、我々としてはむしろ、改善したところを早く示していただきたかったな、こう思う次第でございます。

 また、大甘ではないか、こう言われていますが、大甘ではありません。例えば、TFPの上昇率は、前回ケースのA―Eについて言っても、比べてみれば、一・八から一・〇のやつが一・三から〇・九と、厳し目で見ています。賃金上昇率も、二・三から一・三%のやつを一・六から一・一%。これは、経済成長と労働参加が進むケースでそれぞれ見ております。また、経済成長と労働参加が一定程度進む、進まない、そういうケースで見ても、むしろ控え目な前提を置いているということでございますから、今事実を申し上げているところでございます。

 そこで、在職老齢年金について今お尋ねがございましたが、在職老齢年金制度については、人生百年時代を見据えて、高齢者の就労意欲を阻害しない観点からの見直しが必要と考えており、厚生年金の適用拡大の効果など、年金制度全体の改革の中で、御指摘の年金財政の問題にも留意しつつ、今御指摘になったような、四千億円の財源が必要、こういうことでございますから、年金財政の問題にも留意しつつ、検討を進めていく考えでございます。

小川委員 やるんですね。検討して、やるんじゃないですか、これ、年末に突貫工事で。

 これは厚生労働省の年金部会で議論された資料ですが、山田先生の社会政策学会での報告を資料として出していますよね。その中では、六十五歳から六十九歳では、この在職老齢年金、つまり年金がカットされていることで就業抑制効果を確認できないと明記しているんですよ。

 それから、内閣府が昨年の七月に出した、これは統括官の報告書ですけれども、六十五歳を超えると、六十四歳以下とは金額が違うんですよね、制度が違うんですよ。より高目に設定されてある。だから、年金停止の対象となる場合は限られており、この制度がなかったと仮定した場合の就業確率と現行制度の確率の差は小さいと結論づけているんです。つまり、ほとんど関係ないんですよ。

 ただただ、これは中高所得者層、しかも、老後ですから、現役世代よりはるかに上回る収入のある高齢者です、に年金を増額し、そして、そのツケを、もう今、低年金、無年金の方はたくさんいらっしゃいますよ。六十五歳以上の生活保護も三倍にふえている、この三十年で。ほかの世代は変わっていないのに。この傷んだ基礎年金の中で、そういう状況の中で、この高額所得者を更に優遇する在職老齢年金の見直し、これはぜひやめるべきではありませんか。

加藤国務大臣 先ほどこのスライドをお出しになられたと思うんですけれども、これはある意味では、この分だけへこませてほかの方の部分を上げているというのがこの在職老齢年金の実態だということを、まず一点申し上げたいと思います。

 それから、確かに今挙げられた山田さんの分析はそのとおりであると認識しております。ただ、私どもは、厚労省が年金制度に関する総合調査というのを二〇一九年にやりましたけれども、そこでは、六十歳代の第二号被保険者のみを見ると、二号ですから働いている人ですね、年金額が減らないように収入が一定の額におさまるよう就業時間を調整しながら働くと回答した人が六十五から六十九歳でも約四割を占めているという実態があるということ。

 それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、これから六十五歳以上の就労を伸ばしていく、やはり一番いいのは、正規でこれまでと同じように伸ばす、まさに定年制の延長とか廃止ということになってきますよね。そうすると、今申し上げたように、これは就労所得、働いた所得だけで調整される、不動産所得とか金融所得とか、これは調整されていない、こういう問題もあるわけでありまして、その辺を含めてしっかり議論していく必要があると思います。

小川委員 それは論理のすりかえでしょう。それは、総合課税とか、まさにやらなきゃいけないですけれども。

 働いている人に関して、現役世代も今困っていますよ、それは比較的。現役世代より収入の多い方々ですよ。その方々に、十万円、年間百万円年金を乗せ、そして、それ以外の低年金者、残りの九九%から一様に年金を減額する、これは社会的に極めて不公平でしょう。そういう指摘は報道各社の論説にもありますよ。高額者を優遇し、そして中低所得者にそのしわ寄せを回すような年金改革、これはぜひやめてください。

 具体的に厚生労働委員会でまた議論したいと思いますが、全世代型社会保障改革会議、看板は随分大きいですが、総理、まだ次の会議も内容も何も決まっていないんだそうですね。そして、年内に中間取りまとめなんて言っているそうですね。極めて乱暴な突貫工事をやるんじゃありませんか、これは。

 この高齢者高収入者優遇は、私たちとしてはまかりならぬと思っています。しっかりこれは厚生労働委員会含めて議論をさせていただくことを申し上げて、ひとまずこの質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの後藤祐一でございます。

 この共同会派、ワンチームでやってまいります。

 まず、きょうの質疑、いろいろな盛り上がりがありましたが、少し振り返りたいと思いますけれども、まず、午前中、最後に岡本委員が指摘した水産庁の取締り船と北朝鮮と見られる漁船との衝突の動画について、先ほど総理から、この動画については公開、公表する方針だという答弁がありましたが、この動画を見た上で審議をしなければなりません。

 ただ、きょうの昼の段階では少なくともまだ動画は公表されておりませんので、これは委員長にお願いですが、この動画を我々確認させていただいた上で集中審議を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

後藤(祐)委員 菅原大臣について、先ほど本多平直議員のいろいろな質問がございました。

 その中でも、菅原大臣の御地元の有権者に対してさまざまなものを配っていたのではないか、そして、これに関連する収支報告書にこれが記載されているのかどうか、これについては、先ほど曖昧な答弁がありました、調べてみますというような答弁がありましたが、きょう、昼の理事会で、我々野党側から、この二点、すなわち、菅原大臣が地元の有権者に対して品物を配っていたのかどうか、そして、これに関連する収支報告書上の記載はどうなっているのかについて、きょうじゅうに報告されたいということを求めておりますが、大臣、きょうじゅうにこれは御報告いただけますでしょうか。

菅原国務大臣 今、鋭意調べております。

後藤(祐)委員 これが出ないことには予算委員会は終わらないですよ。

 少なくとも、わかるでしょう、大臣。報告するということについては、時間がどのぐらいかかるかは確かにいろいろあるかもしれませんが、報告することを確約してください。

菅原国務大臣 調べて報告をいたします。

後藤(祐)委員 報告の約束はいただきましたが、もうこれはわかっているはずですから、きのう通告を受けているんですから。きょうじゅうに出していただけませんか。

菅原国務大臣 十二年前のことでありまして、その資料も、きのうの夕刻以降いただきましたので、その内容を過去に振り返って調べております。

後藤(祐)委員 先ほど本多平直議員は竹本大臣の疑問についても質問いたしましたし、そのほかにも、ああ、自分に来なくてよかったと思っておられるような、さまざまな問題が指摘されている大臣もおられますので、ぜひこれら大臣の資質についても集中審議を求めたいと思います。

 委員長、よろしくお願いします。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議いたします。

後藤(祐)委員 それと、先ほど、小泉大臣が九月に、炭素中立性連合に参加する旨表明されたということについてのやりとりがございました。

 炭素中立性連合とは何だろうと思っていらっしゃる方もいると思いますので、これは炭素のプラス・マイナス・ゼロということだと思いますが、小泉大臣の会見での御説明によると、将来的に脱炭素社会の実現をしていこうと積極的に取り組む国々の集まりということだそうでございます。

 先ほど議論があったように、このためには石炭火力をどうするかですとか、特に経済産業省の協力が当然必要になると思われますけれども、菅原大臣、この炭素中立性連合に入っていく、あるいはこれに伴って脱炭素社会を目指していくということについて、小泉大臣から何らかの働きかけはございましたか。

菅原国務大臣 エネルギー基本計画にのっとって、再エネ、新エネをウエートをふやし、原発の低減をしていく、そういう流れの中で、あわせて、脱炭素化というのは国際社会の要請でもあろうかと思います。

 御存じのとおり、磯子のコンバインド、そしてまた、広島の新たな、ガスと炭素を合わせて水素を出して、それをまた燃料電池にしていく、こういうIGFCの技術も進んでいますから、そうした中で、この低炭素、いわゆる炭素の中でもしっかりと地球環境に資する流れをつくる、こういうことでございまして、小泉大臣からはその点は私は何もいただいておりません。

後藤(祐)委員 エネルギー基本計画は経産省主導でつくるんですよ。それだけだと、石炭火力を始め、なかなか難しいわけですよ。

 だからこそ、小泉大臣、これこそ政治のリーダーシップなんですよ。小泉大臣が菅原経産大臣に対して、ぜひ脱炭素社会を目指していくために協力いただけないかと、政治のリーダーシップでやったらどうですか、小泉大臣。

小泉国務大臣 御質問ありがとうございます。

 炭素中立性連合に絡めて御質問をいただいて、私は本当に感謝をしています。この炭素中立性連合自体、ほとんど今まで知られていなかったことだと思います。

 この取組を通じて、今、後藤先生がおっしゃったように、いかに脱炭素社会の実現に向けて政府一丸となってその実現に向けた具体策を前に進めていくかは、日ごろから環境省、経産省、エネ庁、そして、それら関係省庁だけでなくて、これは政府、自治体、そして産業界、また消費者、全てを挙げてやらなければいけないことですので、その機運を高めていくべく環境大臣として全力を尽くしてまいります。

後藤(祐)委員 というような答弁を役人はつくるんですよ。オール・ジャパンで頑張りますみたいな。

 そうじゃなくて、小泉大臣が菅原大臣にこういう方向でやりましょうと、大臣間でそういう働きかけがあると、実は私は経済産業省の環境政策課というところにいたことがあるんですけれども、大臣がこういう方向だと言われると、事務方は当然そういう方向でやるということになってくるんです。全然違ってくるんですよ。残念ながら、今の答弁だと、今までの役所主導のやり方で変わらないなという気がいたします。

 せっかく御注目が高い、力のある大臣だと思いますので、ぜひイニシアチブを発揮していただきたいとエールを送りたいと思います。

 それでは、きょうは、消費税増税、とりわけポイント還元の話について菅原大臣にお伺いしたいと思います。

 菅原大臣は大変地元を大切にする政治家だというふうに伺っておりますけれども、経済産業大臣に就任して、このポイント還元についての評判がどうか、とりわけお年の上の方々の評判はどうか、お聞きしたことがありますか。どんなお話をされていましたか。

菅原国務大臣 消費税が一〇%になって、ちょうどきょうで十一日目でございます。

 いろいろ課題があって、混乱も生じていることも承知しております。いわゆる地図アプリ等も、今、二万件のうちようやく九割修正をして、残り一割、来週に終わるんですが、そうした中で、町中のお話を聞くと、最近よく聞くのは、消費税、増税になったのに減税になったねというような声もあるんです。

 それは、例えば電子マネーでお買物をすると、百円のものを買うと百十円、それが食料品だと百八円、百八円に対して還元ポイントがあれば、いわば、引くと百二円になるんです。そういう、百八円で軽減税率のものがポイント還元で百二円、百二円六十銭ですね。

 そういうようなことで、最近レシートを見るのが楽しくなったという声もありまして、レジから出てきたレシートで、本来は八%で百八円、これがマイナスになって百二円六十銭と出てくるわけです。そういうのを見ると、女性の方々は、主婦の方なんかは、買物するのが楽しくなったという声もあって、いずれにしても、さまざまそういう声をいただいています。

後藤(祐)委員 このNHK放映を見ていらっしゃる方は比較的年の上の方が多いと思いますけれども、私が地元で聞く声は、まず、複数税率でわけがわからない、ポイント還元なんて難しいものは、カードは使うのは嫌だし、何かもっと難しいスマホを使うようなものはとてもじゃないけれどもできないという声が、少なくともお年寄りに関しては圧倒的だと思うんですね。一部の方、うまく使っていらっしゃる方は、もしかしたら便利になったという方もいらっしゃると思うんですけれども、これは人によってかなり差があって、不公平だと思うんですよね。

 来年度の予算も含めると、九カ月間で約四千億円の税金を使うんです。国民一人当たりに直すと約三千二百円の税金を使ってこの不公平な制度をやっているわけですけれども、菅原大臣、これは不公平だと思いませんか。

菅原国務大臣 消費税が上がって、消費の落ち込みを抑えるべくさまざまな対策をやっているのは、安倍総理からもるる御説明もいただいていますが、今の不公平かどうかということに関しましては、ポイント還元を使っている方にとっては、先ほど私、例示を申し上げたとおり、非常にお得感が出てきている、痛税感が和らいでいる。しかしながら、そのいわゆるサービスを、制度を使わない方にとっては、そのまま、例えば現金で買えば今までどおりという状況、あるいは消費税が一〇%という状況、あるいは軽減税率対象のものであれば八%ということなんですが、そういう意味では、使った方が非常に痛税感が和らいでいるという現状がありますから、その点はやや差があるということは承知をしております。

後藤(祐)委員 不公平なんですよ、これ。

 今冒頭、大臣の答弁の中で、消費が減らないようにするためにこれをやっているというお話でございましたが、今うなずいてもおられますが、四千億円もかけてやる、今年度予算でいうと、もう少し少なくて二千八百億円ぐらいですけれども、今年度だけでいいですよ、二千八百億円のお金をかけて、消費はどのぐらいふえるんですか、このポイント還元で。

菅原国務大臣 消費がどれくらいふえるかというのは、今、定かに、データはございませんが、主要な決済事業者のデータを、サンプルをとって、例えば、今現在、一日平均八億二千万程度還元額が出て、その割合からすると、平均で二百二億円という一日売上げが決済、キャッシュレスで出ている。

 ということは、二百億円以上一日に出ているということで考えると、来年の六月まで、それがしっかり普及して、今現在、大体五十万超でございますが、二百万の中小店舗が徐々に、七十万、八十万、百万とふえていけば、そうした対策費は非常に理にかなうという、かけた投資よりもしっかりと国民がそうした利益をこうむるというふうに考えています。

後藤(祐)委員 いや、この制度があろうがなかろうが、カードを使っていた人はいっぱいいるわけですよ。

 このポイント還元制度によってどれだけの消費がふえるんですかということなんですけれども、先ほどの、今年度分、六カ月、この十月から来年三月までで約二千八百億円の予算です。これには事務的な経費だとかいろいろあって、消費者に還元される分というのは千七百八十六億円、これは全体の消費からすると大した額じゃないんじゃないですか。個人消費全体からすると一体何%ですか。

菅原国務大臣 十月一日から消費税が一〇%になって、駆け込み需要で、五から八に上がったときよりも若干そこは余りウエートが大きくないんですけれども、今の千七百云々という数字について今持ち合わせていません。また、今の点は、恐縮ながら、通告ございませんので、正確なことを申し上げたいので、今この時点では把握しておりません。

後藤(祐)委員 基本的な数字ではあるんですけれども、要するに、消費拡大効果というのは、個人消費は一年間で大体三百兆円ですからね、半年でいうと大体百五十兆円ですよ。個人に戻る分というのは千七百億円、千八百億円ですから、〇・一%か二%程度分ぐらいしか戻らない。あるいは、その派生的ないろいろな消費がふえる分はあるのかもしれませんが、そのぐらいの話なんです。

 この予算というのは相当不公平な話であるとともに、現場の混乱をもたらし、今見ていらっしゃる方も、自分たちは恩恵をこうむってはいないと思われる中でここまでやっているのが、消費拡大効果が大したことない。結局、キャッシュレス決済をふやすことが目的なんじゃないんですか、大臣。

菅原国務大臣 もう御存じだと思いますが、日本のキャッシュレスの割合というのが二四%前後で、中国が七〇%、アメリカが五〇%、隣の韓国は九六%。来年、オリンピックがあったりパラリンピックがあったりして、今インバウンドが三千万、四千万に伸びようとする中で、日本の二四%、海外から日本に来て、買物をして、あるいは旅行をして、帰るときに、キャッシュレスがもっと進んでおったらもっと買物したのになという方が七割以上というデータもあります。こういった中でキャッシュレスということを進めていくということも一つ。

 一方で、キャッシュレスによって、この消費税が上がった分の消費の冷え込みを抑えて、また、さまざまなデータでしっかりと決済事業者も中小店舗もこうした流れをつくっていくということを考えると、キャッシュレスという普及と、いわば消費税の引上げによって、消費の落ち込みを抑える両面がございますから、そういう考え方でございます。

後藤(祐)委員 これはお店の方も、実は、非常に混乱しているだけじゃなくて、怒っていますよね。

 というのは、クレジットカードが何で日本で広がっていないかというと、手数料が高いんですよ。小さいお店なんかですと、五%とか七%の手数料を取られているようなお店が結構多くて、今回、ポイント還元のときは三・二五、これは補助金が入って、上限二・一七という形に今は下げられていますよ。

 だけれども、来年六月に終わった後、これは当然また手数料は戻るわけですよ。そうすると何が起きるかというと、これまで、ああ、カードでポイント還元できたから、来年六月の後も、では、カードでやり続けようという方は結構ふえると思うんです。

 それは、キャッシュレス経済が広がったという意味でいいと判断するかもしれませんけれども、結構お店にとってはたまったものじゃなくて、その手数料分丸々損した、売上げとしては変わらない、手数料で取られる分だけがふえるという、要は、このポイント還元という嵐のようなものが来て、来年六月に嵐が去っていったら、手数料負担だけがふえていたというのが中小のお店の実態じゃないですか、大臣。

菅原国務大臣 これも御通告いただいていませんが、キャッシュレスの割合が日本は二四%しかない低い状況、もう先生も御存じだと思いますが、二四%のうちの九割がクレジットカードで、残りのわずか数%が電子マネーとスマホ等のこうしたリーダーというようなことでございますから、今現在、クレジットカードが約九割あって、それが還元ポイントの中において大体五割を占めております。

 そういう中で、クレジットカードの手数料が今割引になっている現状が、来年また六月にこの制度が終わって戻るということは、逆に言うと、しっかりとそこまで景気の底上げをしながら、消費の落ち込みを抑えながらという、こうした今回のキャッシュレスポイント還元制度という趣旨があるわけですが、しっかりとそこは景気の底上げをしつつ、また、いわゆるキャッシュレスという状況を日本全体に普及させる、こういう流れの中で、しっかりと景気の腰折れをなくすようにしていきたい。そして、万が一終わったときにいかにするかということも考えて、さまざまな取組を進めていきたいと思っています。

後藤(祐)委員 何を言っているかわからないんですが、お店にとっては、結局、カードの手数料負担がふえるだけになるんじゃないんですか、カードの会社がもうかるだけなんじゃないんですか。おかしいじゃないですか。これについての見解を聞いています。

菅原国務大臣 九月の三十日までのカードの手数料があって、一日からこの政策によって手数料が下がる、来年六月にまた戻る、つまりもとに戻るわけでございまして、そこのときの約半年間の、いわゆるキャッシュレスポイント還元制度を行っていたときよりは、やはりそこは戻るわけですけれども、その間しっかりと、消費税が上がった中で、軽減税率もある、またポイント還元制度でしっかりと戻ってくる、こうしたことで景気の冷え込みをなるべくなるべく抑えようという政策の中で、そして、やはり全世代型社会保障という、まさに年金、医療、介護、子育て等にこの消費税をしっかりと投入していく、また、さまざまな世代への対策もやっていくわけでございますから、そうした中でしっかりと普及をさせていきたい、このように思っています。

後藤(祐)委員 お店が手数料負担がふえるのはかわいそうじゃないかとか、カードがもうかるだけじゃないかという話をしたのに、消費税を投入していくとか、全然関係ないところに、質問の意味がわかっていらっしゃるんですか、大臣。

 総理に伺いたいと思います。

 今回のポイント還元の話もそうですし、複数税率というのが初めて入るわけで、大変現場では混乱しているわけですけれども、この十月一日に向けた準備期間が大変短いということも現場の混乱の一つの原因になっているんですが、この原因はどこにあるとお考えですか。

 つまり、本当に消費税が上がるのかとみんな疑っていたわけですよ。ぎりぎりまで総理が御判断しないから、ずっと皆さん、投資に踏み切れない。おくれた原因は総理にあるんじゃないんですか。

安倍内閣総理大臣 消費税は引き上げるということについては、いわばリーマン・ショック級の出来事が起こらない限り引き上げるということは、法律にのっとって引き上げるということは、これはもうずっと終始一貫、このように述べております。そして、それによって、その準備をしていただいているところもあると思いますし、残念ながら、準備がそれまで整わなかった方々もおられるんだろうな、こう思うわけでありまして、一方、リーマン・ショック級の出来事があれば、それは消費税の引上げについても再考するということは当然のことなんだろう、こう思っています。

 いずれにいたしましても、基本的に法律にのっとって消費税を引き上げるということは、従来から私はしっかりと、はっきりと、聞かれるたびに述べているところでございます。

 と同時に、先ほど手数料のお話がございましたが、もちろん経営判断ではございますが、これは必ず、いわば、これは期間が終わったらまたもとに返るか、戻すかどうかということはまた別の話でございまして、いわば、今回のキャッシュレス化を進めることによって、当然、カードの利用者はふえていくわけでございます。そして、その中でカード会社も競争をしているわけでございます。

 今回も、参加するカード会社が最初はどうかと思っていたんですが、だんだんふえていくと、後は今まで参加しないと思われていた会社も参加をしてきた。こういう中において、せっかく新たにふえた顧客を手放すかもしれない、また引上げということがどうかという考え方もあるでしょうし、今からそれが必ず上がるというふうにこれは決めつけることはどうか、こう思うところもあります。

 いずれにせよ、これは経営判断なんだろうと思います。

後藤(祐)委員 総理が言うと、もしかしたら、カード会社はみんなそんたくして上げないかもしれないですね。トウモロコシもそうだったし。いや、二・一七で維持してくれるんだったら、これは大変いいことですから、ぜひやっていただきたいと思いますが。

 リーマン・ショック級のという話は、今まで一回も先送りをしていなければまだあれですけれども、総理は二回先送りをしているわけですよ。しかも、リーマン・ショック級のということをそのときも言っていたわけですよ。また二度あることは三度あると、それは経営者だったら考えますよ。

 実際、私の調べた限りでは、六月五日まで、総理は、リーマン・ショック級の事象が起こらない限り増税するという答弁をしていますから、実際、六月の半ばぐらいでも、経営者の皆様に聞くと、本当に消費税上がるのと。

 あのころには何があったかというと、参議院選挙と一緒に衆議院ダブルがあるんじゃないか、そのときには消費税増税は先送りでやる可能性があるんじゃないかということがまことしやかに言われていた時期でもあるわけですよ。そんな状態で例えばポイント還元のための投資みたいなものをどんどん進めるかというと、そういう会社もあると思いますが、なかなかそこに踏み切れない。これによっておくれちゃったんですよ。

 実際、前回、五から八に上げたときは、二〇一四年四月一日ですけれども、その半年前、ぴったり半年前の二〇一三年十月一日に、わざわざこのために総理は記者会見を開いて、本日、私は消費税率を、法律で定められたとおり、現行の五%から八%に三%引き上げる決断をいたしましたと明言されているんです、半年前に。

 ですから、今回、十月一日からなんですから、四月一日に言うべきだったんです。それまでに今年度予算というのは通っているわけですから、その今年度予算というのは消費税が上がることを歳入の前提にした予算なんですから、その段階で決断をすべきだったんです。半年あれば相当準備が違ったと思うんですが、総理は、ちょうどそのころには統一地方選をやっていたし、参議院選挙に向けてダブルのカードも持っていたいなという、結局、総理が政局上のカードを持ちたいがゆえに、この現場の混乱をもたらした一因になっているのではないかと指摘をさせていただいて、次に行きたいなと思います。

 委員長に、ぜひ、このポイント還元、複数税率、この消費税増税の是非、そもそも今の経済状況で上げていいのかどうか、あるいは、消費税ではなくて、むしろ、もうかっているのに給料を上げていない会社の法人税を上げた方がいいんじゃないかとか、金融所得課税は引き上げた方がいいんじゃないかとか、きのう玉木代表もいろいろな議論をさせていただきました。

 ぜひ、この税制改正の話も含めて、あるいは今の経済動向でこんなことをしていいのかどうかも含めて、ぜひこれは集中審議を開いていただきたいと思います。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

後藤(祐)委員 次に、日米貿易協定の話をしたいと思いますが、これも総理にお伺いしたいと思います。

 今回の日米貿易協定の経済効果、これはどの程度でしょうか。自動車と自動車部品のアメリカへの輸出、これは、関税、これから議論するということで、決まっていませんから、これは含まずに、どの程度の経済効果があるんでしょうか。

澁谷政府参考人 お答えいたします。

 TPP12の経済効果分析の結果は、実質GDP押し上げ効果は約二・六%、TPP11の押し上げ効果は約一・五%と試算されているところでございまして、その差分が約一%程度でございますので、今回の日米協定、おおむねその範囲というふうに考えております。なるべく早くお示しをしたいと思っております。

後藤(祐)委員 今のは、アメリカがTPPにもともと入っていた場合に得られていたであろう効果であって、今回の日米貿易協定の効果じゃないですよ。だって、TPPは、アメリカの車の関税は時間はかかりますがゼロにするということでこれは決着していたわけですから、今回の日米貿易協定はとりそびれている部分があるんです。

 だから、むしろ、今の澁谷さんが言っていただいた、アメリカがTPPにいた場合であれば、日本のGDPの約一・一%、五・六兆円ぐらいの効果がアメリカによってあったであろうが、今回の日米貿易協定では、その分、取り返せているんですか、TPPじゃなくて今回の日米二国間になっちゃったことで、どれだけ日本が得られたものが減っちゃっているんですかということが我々知りたいことなんですよ。

 今の澁谷さんの答弁ですと、なるべく早くということは、今の段階でまだないということですよね。だけれども、この国会にこの日米貿易協定の条約の批准を求めるわけですよね、皆さん、来週にも閣議決定して。今の段階でその効果がまだ示されていないのでは、一体どうやって審議すればいいんですか。日米貿易協議はこの予算委員会の最大のテーマの一つですよ。

 ぜひこの数字を出していただいてからこの日米貿易協定についての議論をさせていただきたいと思いますので、集中審議を求めたいと思います。委員長。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

後藤(祐)委員 この日米貿易協定については、自動車・自動車部品のアメリカ側の関税について、きのう玉木代表が少し触れておりましたが、これは茂木大臣に聞きたいと思います。

 きのうの審議にありました英語の部分、これについての訳について、これから日本からアメリカに輸出する自動車・自動車部品のアメリカ側の関税がどうなるかということについて、茂木大臣は、さらなる交渉による関税撤廃という言葉を、九月にもおっしゃっていましたし、きのうもおっしゃいましたが、英語は今一々申し上げませんが、英語を直訳すると、関税撤廃については今後のさらなる交渉次第という訳が普通なんですよ。

 政府としての正式な和訳はどっちですか。さらなる交渉による関税撤廃なのか、関税撤廃については今後のさらなる交渉次第なのか、どっちなんですか、茂木大臣。

茂木国務大臣 まず、これは附属書でありますから、附属書につきましては英語でつくってあります。これは決してまれなことではなくて、これまで我が国が締結をしましたEPA、例えば日豪経済連携協定や日・EU・EPAにおいては、附属書の相手方の約束部分については、相手国の言語、日豪では英語、そして日・EUの場合、EUの公用語のみを正文として、日本語の正文のテキストは作成をいたしておりません。

 そうした観点やこれまでの実績から、これまでのEPAと同様、今回の日米貿易協定におきましても、米国側附属書については日本語のテキストは作成をしておりませんが、なお、協定の審議に当たりましては、今御指摘をいただきました経済についての効果、これは用意をさせていただきたいと思いますし、また、これまでの経済連携協定のときと同様に、必要かつ、わかりやすい説明書、用意をさせていただいて協定の審議に臨みたいと思っております。

 その上で、「ファーザー ネゴシエーションズ ウイズ リスペクト ツー ザ エリミネーション オブ カスタムズ デューティーズ」。これはウイズ・リスペクト・ツーなんですよ。リガーディングじゃないんですよ。ということは、関税撤廃というものを前提として、その時期がいつになるかについて今後協議をする、これが正しい英語の読み方だと思います。

後藤(祐)委員 この訳、文書で出していただけますか、仮訳で結構ですから。

茂木国務大臣 説明は繰り返しませんが、協定の審議に当たりましては、これまでの経済連携協定のときと同様に、必要かつ、わかりやすい説明書、当然それは日本語になるわけでありますけれども、それを用意させていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 何か曖昧な言い方ですが、今の部分の正式な和訳をこの委員会に提出していただくよう委員長においてお取り計らいください。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

後藤(祐)委員 もう一つ、この日米貿易協定には心配なところがあります。

 農業については、米は全部除外でかち取ったという御説明をされておられますし、そこの部分については今のところは守り切ったということなのかもしれませんが、実は、附属書1というのがあって、これは茂木大臣、もう全部頭に入っていると思いますけれども、「アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する。」と明記されているんです。つまり、これは農産物について再協議するということが明記されているようなものですよね。

 確かに、今回までのところは米は守れたかもしれませんが、将来、この附属書1の今の部分に基づいて、米についてもう一回協議しようといって蒸し返されるおそれがあるんじゃないですか。

 米について再協議になる可能性は少しはあるんじゃないですか、茂木大臣。

茂木国務大臣 今の後藤先生が引用された部分、これは、TPP等を振り返っていただきましたら、一般的に農業等におきまして置かれている規定でありまして、何ら新しいことではない、このように考えております。

 その上で、先日の国連総会の際の日米首脳会談におきまして共同声明をつくっているわけでありますが、そこの中で、今後の、どの分野を交渉するか、これにつきましては、その対象をまず協議をする、その対象をどこにするかということを協議をする。コンサルテーションですね。そして、今後の協議の内容はこの協議の中で決まっていくことになる。

 そして、まず、関税ということは、それ以外も出てまいりますけれども、関税に関する事項については、さらなる交渉による関税撤廃を協定に明記をいたしました自動車・自動車部品を想定しておりまして、農業を含め、それ以外の部分は想定をいたしておりません。もちろん、米についても同じです。

後藤(祐)委員 では、その四カ月の協議の場で、農産品については、もう一回、今回決まっちゃったものについて、再協議することはないということでよろしいですか、大臣。

茂木国務大臣 日本として、そのような協議を行うつもりはありませんし、協議が調ったもの、何を交渉するかとお互いに合意したものについてしか交渉はいたしません。そして、交渉するにしても、国益に反するような合意はいたしません。

後藤(祐)委員 交渉するにしてもということは、交渉することはあり得るということなんですよ。(茂木国務大臣「言っていない。まだ合意していないものは入らないと言っているじゃない。ちゃんと聞きなさいよ」と呼ぶ)だから、農産品に関しての再協議というのはあり得るということなんですよ。そうでなきゃ、先ほどの附属書1の「農産品に関する特恵的な待遇を追求する。」という部分、こんなのを加えるわけないんですよ。

 なぜ私はこれを心配するかというと、米というのは……(茂木国務大臣「もう一回」と呼ぶ)ちょっと、席からいろいろ言うのをやめていただきたいんですけれども。

棚橋委員長 大臣、ちょっとお静かに。

後藤(祐)委員 何でこの米の話をトランプ大統領はそれほど求めてこなかったかというと、米というのはカリフォルニアが大産地なんですね。ところが、カリフォルニアというのは、アメリカ大統領選ではもう必ず民主党がとる。要は、あそこは総取りルールですから、多分余り関心がないんですよ、トランプ大統領は。

 でも、来年大統領選ですから、今度、民主党の大統領になったらどうなりますか。カリフォルニアのことを考えなきゃいけない。米についてぜひもう一回協議しようじゃないかと蒸し返される可能性はあるんじゃないですか。

 総理、この米の話はまだ守り切れたかどうかわからないと思いますが、いかがですか。この農産品の再協議について、将来、可能性が全く今ないというわけじゃない茂木大臣の答弁ですよ。守り切れますか、日本の農業を。これは総理に聞いています。

茂木国務大臣 もう一回簡潔に申し上げますけれども……(後藤(祐)委員「同じことはいいです」と呼ぶ)いいえ、おわかりになっていらっしゃらなかったようなので申し上げますが、今回の共同声明では、まず、今後どの分野を交渉するか、その対象を協議をするということになっております。そして、日米間の協議によってここを対象にしようと合意をした部分について交渉が始まるということであります。

 したがって、例えば、米についてアメリカが、今までの経緯からいって、再交渉したいということはないと私は思いますけれども、言ってきても、日本が合意をしない限り、この交渉は始まりません。

 更に申し上げると、交渉することに合意した分野についても、日本として、日本の国益に反するような合意をするつもりはありません。

 それから、アメリカの政治の今後について私がこの場で予見するというのは難しいわけでありますけれども、例えば、オバマ政権のときはTPPを進めたわけでありまして、いろいろな政権によってそれは方針というのは変わってくるかもしれませんけれども、今はトランプ政権との間で、我々は誠実に協定を今後は履行し、また、必要な交渉を進めていきたいと思っております。

後藤(祐)委員 ということは、アメリカの自動車関税についても、アメリカはイエスと言わない可能性が高いということなんですよ。アメリカはそれはディールにしてくるに決まっているんですから。

 次に行きたいと思います。

 豚コレラ、この豚コレラについては、そもそも初動がおくれたという問題があると思いますが、いよいよワクチンを打つという方向になったというふうに聞いておりますが、時間がないので端的にやりたいと思いますけれども、この地図の中で、黄色いところが、豚に豚コレラが発生した岐阜、愛知、三重、福井、長野、埼玉、緑のところが、豚にはまだ出ていないけれどもイノシシに発生した滋賀、石川、富山、群馬、この十県と、さらに、青いところは何かというと、十月九日現在で農水省に対してワクチン接種の要望があった県、奈良、静岡、山梨、神奈川、栃木、茨城、千葉というのは、県として農水省にワクチンを打ってほしいという要望があったものでございますが、まず農水大臣、これで間違いないですか。

江藤国務大臣 私宛てに要望書が届いたのが十三県、それから事務方宛てに要望書が届いたのが三県の十六県でございます。

後藤(祐)委員 資料もあるでしょうし、具体的な県も言ったんですが、これは農水省に確認しながらやっているんですけれども、これは間違いないですか。このパネルの内容が間違いないですか。

江藤国務大臣 合っております。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 ただ、きのう農水省で開かれた専門家会合で、予防的ワクチン接種推奨地域として挙げられているのは、この黄色と緑のところ、すなわち豚コレラが既に豚に発生してしまったところとイノシシに発生したことが確認されている合計十県だけの方向だというふうに伺っておりますが、間違いないですか、農水大臣。

江藤国務大臣 ワクチン接種につきましては、専門家の科学的な知見、そういうようなものをきちっと集積した上で決めなきゃなりませんので、牛豚等疾病小委員会の専門家の意見を聞いた上で国が設定することとなっております。

 防疫指針が改定された段階で正式にこの意見を聞いて、委員会の事前の意見を聴取を行ったところ、野生イノシシの豚コレラ感染が確認されている十県のうち、飼養衛生管理の徹底を図ってもなお豚等での感染の防止が困難と認められる地域を設定する方針ということになっております。

後藤(祐)委員 県が正式に要望しているのに、農水省がだめと言って、この後、そういった県で豚コレラが発生したら農水省は責任とれるんですか。責任とっていただけますか、その場合には、大臣。

江藤国務大臣 責任のとり方がどういうものであるかについてはこの場では申し述べませんが、当初からこのことについては農林水産大臣として責任を持ってやろうという覚悟を決めて事には臨んでおります。

 このワクチン接種が、私は全て正しいという気持ちでは実はないんですよ。やはり、飼養衛生管理基準を徹底する、そして野生イノシシの侵入を防ぐ、これが王道です。王道なんです。これが防疫指針に基づいた一番正しいやり方。ワクチンを打てば清浄国でなくなってしまうということもありますし。

 ですから、私は、ワクチンを打つにおいても、抑制的であるべきだという考えのもとでワクチン接種の方向に今向かっているわけでありますが、実際、少し話が長くなってよろしいですか。(後藤(祐)委員「よくないです」と呼ぶ)よくないですか。

 では、なるべく簡潔に申し上げますが、例えば、今回、清浄国でなくなると輸出ができなくなるという御指摘がありました。しかし、副大臣を派遣しましたところ、香港、マカオ、タイ、カンボジア、これは今までどおり輸入してくれるということでありますから、十億円のうちの八億円は輸出できる状況になっております。

後藤(祐)委員 ワクチン接種を希望している県には打たせてあげましょうよ、大臣。

 確かに、今百五十万ドーズ、百五十万本しか打つ分がないということで、増産をお願いしているそうですけれども、今ある分でまず十県から始めるでもいいですけれども、増産をお願いして、できたら、せめてここの青いところ、希望している県、あるいは、日本農業新聞によると、ほかにも新潟とか福島とか東京も希望しているようでございますから、そのぐらいまでいくと、もうちょっと近畿あたりまで広げると、かなり広い面でカバーされる。

 こういった危機管理というのは、外側をきちっと固めて、それ以上広がらないというところを固めてから対策をあわせて並行してやっていくという形にしないから、だから、岐阜、愛知で最初に起きてから初動がおくれちゃったんじゃないですか。

 先ほど大臣がおっしゃる王道というやり方でやって、岐阜、愛知でとどめることができなかったわけじゃないですか、既に。だからこそ、今こういった、少し面を広げてやる。しかも、希望している県に対して農水省がだめだと言うのは大変問題だということを指摘して、最後、ミサイルの話に少しだけ触れたいと思います。

 十月の二日午前七時十分ごろ、北朝鮮からSLBMが発射されました。これについては、最初、二発発射されたというような発表もあったんですが、一発のミサイルが二つに分離して落ちた可能性が高いというふうに訂正もされたわけですけれども、この北朝鮮のミサイル発射に関しては、撃ってすぐぐらいは韓国の方が比較的情報がもしかしたらあるかもしれない。あるいは、着水直前ぐらいになってくると日本の方が当然これは情報があるんだと思いますが、現に韓国からは、このミサイルに関して日本にGSOMIAを通じた情報提供を求めているわけでございますけれども、このGSOMIAは十一月二十二日に切れてしまいます。

 これは総理にお伺いしたいと思いますけれども、このGSOMIAは韓国からの一方的な通告で破棄になるのは大変残念なことでございますし、これは日本に何の責任もないわけでございますが、ぜひ、今二国間で問題になっている歴史認識の話は、全く譲る必要はありませんし、今までの態度を維持されたらいいと思いますが、安全保障の話は歴史認識の話とは切り離して、このGSOMIAは日本としては継続した方がいいというふうに思いますが、総理、いかがお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 このGSOMIAにつきましては、日韓GSOMIAに関する今後の見通しについて予断を持ってお答えすることは差し控えますが、政府としては、日韓、日米韓の適切な連携の観点から、韓国側に賢明な対応を強く求めているところでございまして、これは日本もそうですし、米国もそういう意向である、こういうことでございます。

 いずれにいたしましても、日韓、さまざまな出来事が起こりますが、お互いにとってこの安全保障ということについては利害が一致しているわけでありますから、そういう観点から、韓国側に賢明な判断をしてもらいたい、このように考えております。

後藤(祐)委員 冷静な総理の御答弁をいただいたと思います。

 最後に、この十月二日のSLBMの発射の際、イージス艦が日本海に一隻も展開していなかったのではないかという報道がありますが、イージス艦は展開していたのでしょうか。また、この前提となる破壊措置命令、これは出されていたのでしょうか。これは総理に通告しておりますので、伺いたいと思います。

河野国務大臣 部隊の体制を申し上げることにつきましては、自衛隊の情報収集能力あるいは運用といった手のうちをさらけ出すことになりますので、控えておりますが、ミサイル防衛については万全を期しております。

安倍内閣総理大臣 ただいま防衛大臣が答弁したとおりでございますが、破壊措置命令の発令の有無を含めて、我が方の手のうちを明らかにするおそれがありますので、お答えは差し控えたいと思います。

棚橋委員長 後藤祐一君、恐縮ですが、申合せの時間が来ておりますので。

後藤(祐)委員 はい、終わりですね。

 日本を守れているのかどうかを国会でチェックしようがないじゃないですか、これでは。それは確かに手のうちの話はあるかもしれませんが、適切な説明の仕方を求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申出があります。玉木君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 前原誠司です。

 会派の質問としては最後でありますので、よろしくお願いいたします。

 まず、総理が力を入れたいとおっしゃっている憲法の問題について伺いたいと思います。

 まず、自民党の総裁として総理に伺いたいんですが、自民党の憲法の考え方というのはどれなんだということを伺いたいんです。

 まずは、自民党の意思決定機関である総務会で決定されているのは日本国憲法改正草案と言われるもので、これは平成二十四年四月二十七日に総務会で決定されていると伺っております。

 総理が平成二十九年の五月三日、読売新聞に発表された考え方、これをもとに憲法改正推進本部でまとめた四項目というのがございます。自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消・地方公共団体、教育の充実。

 この二つがあるわけでありますが、後者については総務会決定はなされていないと私は承知しておりますが、自民党の考え方というのはどちらなんですか。

安倍内閣総理大臣 せっかくの機会でございますから、わかりやすく整理してお答えをさせていただきたいと思いますが、御指摘のように、平成二十四年に、当時の谷垣総裁のもとで自民党の憲法改正草案を取りまとめたところであります。

 この草案は、二十八年十月に党の憲法改正推進本部長方針において、党としての公式文書ではあるが、国政選挙を重ねて議員構成も大きく変化し、内外から多くの御意見をいただいたことを踏まえ、そのまま国会の憲法審査会に提案することは考えていない旨、位置づけられております。

 その後、安保環境の緊迫化や頻発する大規模災害等、我が国が直面する国内外の情勢等に鑑み、まさに今、国民の皆様に問うにふさわしいと判断された四つのテーマを取り上げ、党内で精力的に議論を進めた結果、昨年、憲法改正のたたき台として取りまとめるに至ったものでございます。

 いわば、たたき台としてお示しをしているのは、これは党大会で決定をしているものでございますから、総務会よりも上の意思決定がなされている、こういうことでございます。

前原委員 その上で、今の御説明はわかりました、私、総理が本当に憲法改正に熱心なのかどうなのかということを私も疑っているんですよ。

 第二次安倍政権が始まったときに、総理、一番初めに憲法改正でおっしゃったことを覚えておられますか。これは、選挙が終わった後、いよいよ自民党の総裁としてこれから総理就任が確定している時期におっしゃっている。平成二十四年十二月十七日でありますが、このとき何とおっしゃったか。いよいよ橋を渡って最初に行うことは九十六条の改正だとおっしゃっているんですよ。九十六条というのは、これは改正手続なんですよ。つまりは、ハードルが高いから、言ってみれば改正手続をまず下げて憲法改正の議論を行おうという、ある意味の、お試しと言う人もいるし、こそくだと言う人もいるし、こういうようなことを初めにおっしゃっているんですよ。

 これはその後もおっしゃっていて、平成二十五年、これは総理になられてからですけれども、二月二十六日にはこのようにも発言をされている。国民の七割が改正を望んでも、三分の一を少し超える国会議員が反対をすれば議論すらできない、これはおかしい、こういうことをおっしゃっていて、九十六条のことを初めはおっしゃっているんですね。

 その後、今度は集団的自衛権になってきて、安保法制というのが通りました。

 そして、その後に何をおっしゃっているかというと、今の四項目ですよ。どんどんどんどん言っていることが変わっているじゃないですか、憲法改正の中でも。

 つまりは、総理がやられようとしているのは、憲法改正の中でここは自分の政治生命をかけてやりたいというよりは、憲法改正という外形的なものをやられたいということしかないんじゃないですか。僕は中身がないとしか、今までの経緯を見ていたら思えないですけれども、何がやりたいんですか。

安倍内閣総理大臣 政治の場というのは、現実に結果を出す上においては、現実がどうか、政治的な状況がどうかということを判断して何が可能かということを考えなければならないんだろう、こう思うわけでございまして、まさに政治が可能性の芸術と言われるゆえんなんだろう、こう思うのでございますが、九十六条については、当時のいわば維新の会、また当時の橋下氏が強く推奨していたわけでございますし、九十六条に対する考え方は私も変わりがないわけでございまして、その中において、まずは、この九十六条の改正においては、これは三分の二を形成していく上において可能ではないか、あるいは国民的にも理解を得るのではないか、こう考えたのでございます。しかし、残念ながらそういう政治状況にはならなかったのでございます。

 その後、まさに今出している四つのイメージ、これは四つとも私が出したものではございません、私が申し上げたのは、まさに九条において自衛隊を明記する、一項、二項を残した上において、一項、二項の制約を受ける中において自衛隊を明記すべきではないか、こういう考え方を示したわけでございます。

 いずれにせよ、三分の二という高いハードルを越えなければいけない。それがはなから越えられないものを私が述べても、それはただただ議論のための議論になっているということではないか、こう思うわけでございまして、現実を見る中において、時にはある程度臨機応変に対応しながらやっていきたい。でも、私の考え方の基本がこの九条の改正にあるということについては、これは前原委員もよく御承知のとおりなんだろう、こう思うわけでございます。

 しかし、それも私の意向どおりになるわけでございませんし、党内で議論した結果、四つの項目ということになったわけでございまして、あとは、これはまさに国会で発議されることでありますから、これ以上私が余り、物すごい意欲を示すことはかえってマイナスだという、友情的な御議論をされる我が党の人たちがいるものですから、若干不愉快ではありますが、それも一理ある、こう思わざるを得ないので、私は今このように申し上げているところでございます。

前原委員 安保法制のときにも私は感じたんですね。安保法制で集団的自衛権、これの行使を一部認めるということで、これは私も考え方は違わなくはありません。しかし、立法事実を三つ見て驚きましたよ。米艦防護、ホルムズ海峡の機雷掃海、それからミサイルのインターセプト。全部、審議の中で、そういうことはあり得ないということでことごとく否定されましたよね。つまりは、概念論から入って、集団的自衛権の行使というものを認めるという話をしている。

 今も橋下徹さんの話がありましたけれども、別に、人が言っていたから、それで越えられそうだからって、九十六条というのは中身の話じゃないですから、改正手続の話ですから、そういうものを一番初めに持ってくるということ自体が、魂が入っていないんじゃないかということを私は申し上げているわけです。

 その上で聞きますが、ことしの一月に、週刊朝日で、田原総一朗さんが「ギロン堂」というコーナーを設けておられて、「そこが聞きたい!」という話の中で、こういうことをおっしゃっているんですね。

 二〇一六年秋、改憲勢力が衆参両院で三分の二以上の議席を得たので、私は安倍首相に、課題である憲法改正はしないのかと問うた。すると、安倍首相は、大きな声では言えないが、実は憲法改正をする必要がなくなったのだと答えた。集団的自衛権の行使を認めるまで、米国は日米関係を持続できないと、やいのやいのとうるさかった。だが、それを認めたら、米国は満足して何も言わなくなった。だから憲法改正の必要はない。

 こう田原総一朗さんにおっしゃったと。これは事実ですか。

安倍内閣総理大臣 それは相当事実とは異なるわけでございます。田原さんがそういうふうに、いわば、やや思い込みでおっしゃったんだろうと私は思うわけでございますが、しかし、これは田原さんがおっしゃっていることで、いわば水かけ論になっても余り生産的ではないんだろう、こう思うわけでございます。

 いずれにせよ、平和安全法制ができて、その上に今の日米の安全保障、同盟体制があるわけでありまして、日米安保にとって欠かすことのできないものになっているということでございますし、御承知のように、米国から、この助け合うことができる同盟が大切だという中においては、私からは、助け合うことができる同盟になった、このように申し上げているところでございます。

前原委員 昨日、田原総一朗さんには電話をいたしました。そして、私が確認をしたら、そう言ったということをおっしゃっていました。

 二人でお話しされたんですから、私は知る由がありません。したがって、安倍総理が今おっしゃったことについては安倍総理が責任を持たれて、そして、田原総一朗さんは、そう言ったということをみずから責任を持って週刊誌にも書かれ、あしたの質疑で、予算委員会で問うていいかということなら、ぜひ問うてくれ、事実だということをおっしゃったということは申し上げておきたいというふうに思います。

 私は、先ほどの九十六条から入ってこられたことも含めて、外交の安倍ということを言いながら、外交で何の成果を上げたのかということをずっと実は思っていました。

 日ロ、期待をしました。これは本当に島が返ってくるんじゃないかということで期待をしましたけれども、大山鳴動してネズミ一匹どころも出てこない。それどころか、日本の立場をどんどんどんどん毀損しながら、そして交渉を重ねて、何の解決もしない。これが今の現状じゃないですか。

 そして、拉致問題。安倍総理がスターダムにのし上がったのはこの拉致問題ですよね、小泉総理のときの。全員を抱き締めるまで自分はやり続けると。桂太郎さんを抜いて一位になろうとしている長期間総理をやられていて、誰一人帰ってきていないじゃないですか。

 先ほど、政治は結果だとおっしゃった。結果は出ていない。そういうことの中で、私は、憲法改正というものを、まさに自分のレガシーというか自分の成果としてやろうとしているということで、かなり私は無理筋をやろうとされているのではないかという気がいたします。

 私は、憲法改正の議論をすることは大いに賛成です。それについては堂々と議論をみんなですべきだと思っておりますが、ただ、これからお話をすることは、憲法改正以上に、安全保障においてですよ、安全保障において重要なことがあるのではないかということで私はお話をさせていただきたいと思います。

 その話をする上で、一つ安倍総理にお聞きしたいというか聞いていただきたい記事がございます。読まれていたらそれで結構なんですが、ことしの八月二十日の「正論」に、「オピニオン」というところがございますね、「正論」という、そこに京都大学名誉教授の佐伯啓思先生という方がオピニオンを書かれている。これは読まれましたか。読まれていない。だったら、ちょっと一部分読ませていただきますね。大変いい文章でした。

 題名は、「戦後七十四年、矜持を失った保守」という中身でありました。

 保守主義とは、この独立、自立の気風を、また人間の最も根源的な尊厳と矜持をできる限り守ろうとする精神である。その意味では、戦後日本における保守を語ることは法外なまでの困難と強い意思を必要とするのである。気楽に保守など名乗れるものではない。なぜなら、戦後日本は、精神的に圧倒的にアメリカの影響下にあるだけでなく、国家構造そのものがアメリカによって与えられたからである。言うまでもなく、憲法と日米安保体制である。したがって、戦後日本の保守は、憲法問題とアメリカ問題、防衛と外交の過度なまでのアメリカ依存を問うほかない。

 だが、まさにここで、保守が現実の壁にぶつかるのも事実である。今さら現憲法の有効性を疑問視してもどうにもならず、安全保障も日米関係に依存するほかない。それでも先日の、トランプ大統領による、戦略的な思いつきとはいえ、安保条約破棄宣言に対しても、日本の防衛について、日米同盟についての論議も起きないのでは、保守など消滅したと言うほかない。

 これが佐伯先生の八月二十日の「正論」のオピニオンです。

 これは、総理もおわかりいただいているように、トランプ大統領が、ブルームバーグの記事では、安保破棄に言及した、G20大阪サミットの記者会見においては、日米安保は不公平だと言った、それをベースにしたものでありますけれども、安倍総理、トランプ大統領から再度にわたって日米安保は不公平だと言われていますか。

安倍内閣総理大臣 佐伯先生とは今まで食事もしたこともございますし、いろいろなお話を伺ったこともございますし、大変立派な方だと尊敬申し上げているところでございますが、日米安保についてどうトランプ大統領が思っているかということについては、外向けに既に報道されている、トランプ大統領が発言されていることがあるわけでございますが、具体的な私とトランプ大統領のやりとりをこの場で公表することは控えさせてもらいたい、こう思うところでございますが、一方、日米安保条約が不公平であるかどうかということについては、これはもう御承知のように、五条と六条において、日本の考え方としては、いわば両方とも、日米双方とも義務を負っているということであります。ただ、日米両国の義務は同一ではないわけでございますが、しかし同時に、日本としては全体としてはバランスがとれたものである、こう考えています。

 それと同時に、安倍政権において安保法制を改正し、同時に、これは集団的な自衛権とは別でございますが、アメリカのアセットを日本は例えば昨年十六回防衛している。これは大変高く評価されているということでございまして、こういうことについては、十分に大統領から、こういうことについてもしっかりと説明もしているということでございます。

前原委員 質問だけに答えてください。別に、具体的な中身を、やりとりを聞いているんじゃない。不公平だということを言ったかどうかという趣旨のことを聞いているんですよ。

 記者会見の文章を、これ、国民の皆さん方にも読ませてもらいます。

 日米安保から離脱を検討しているのかという質問に対して、いや、それは全く考えていない。私はただ、あれは不公平な合意だと言っている。ここ半年、安倍首相に何度も言ってきた。誰かが日本を攻撃すれば、我々は反撃し、全軍全力で戦う。我々は日本のために戦いにつなぎとめられ、全力投入することになる。しかし、誰かが米国を攻撃しても、彼らはそれをする必要がない。これは不公平だ。無関心なのかばかなのか、我々はこういう取決めばかり結んできた。典型的な例だ。これを変えなければいけないと安倍総理にも言った。万が一誰かが我々を攻撃したら、我々は日本を助けるのだから日本も我々を助けるべきだ。安倍首相はそれをわかっているし、そのことにも異存はないはずだ。

 ここまで記者会見で言っているんですよ。

 これは、具体的なやりとりを聞いているんじゃないんです。公の場で言っていることなんです。しかも、これはこの間のG20の大阪サミットで言ったことなんです。

 安全保障法制の前に言っているんだったら、先ほどの答弁で、安全保障法制ができたんだから、そこは変えました、変わりましたということが言えるけれども、安全保障法制ができた後で言っているんですよ。何の説得力もないじゃないですか、今の答弁は。

 私が質問したいことはただ一つ、イエスかノーで答えてください、不公平だということはトランプ大統領から言及があったのか。それだけ聞かせてください。

安倍内閣総理大臣 私の方から首脳会談の中の一々についてお答えすることは差し控えたいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、日米同盟については、この五条と六条ということを申し上げたわけでございますが、しかし、その中でバランスが、いわば、同じ義務ではないけれどもバランスがとれたものであるということを述べ、そして、平和安全法制についても説明……(前原委員「いやいや、いいよ」と呼ぶ)これは実は、いや、これは……(前原委員「何かいい話があるんだったらいいけれども」と呼ぶ)いや、いいよではなくて、首脳会談においてこの話を私は説明し、そしてかつ、アメリカの、米艦あるいは航空機の防衛、このいわば防護任務についた、初めてついたということについて説明すれば……(前原委員「いや、そんなことは聞いていない」と呼ぶ)いや、そこでは高く評価をしているんですよ。それは毎回毎回そうであるということだから、何の意味もないということを前原委員がおっしゃったから、それは違うということを申し上げたわけであります。

前原委員 質問に答えずに、そして、質問と違うことをべらべら時間潰しで答えないでください。しかも、相手は明確にもう記者会見で言っていることについてイエスかノーかも答えられないんだったら、予算委員会なんかできないでしょう。外交問題、安保問題なんて議論できないでしょう。ふざけるなと言いたい。

 しっかりと国民に対して、国会というのは国権の最高機関ですよ、それに対して日本の安全保障の根幹をなす日米安保でアメリカの大統領が言っていることは事実ですかと聞いているのに答えないということは不誠実きわまりなく、予算委員会をやっても無駄じゃないですか、そんなことは。

 イエスかノーかでしょう。答えてください。

安倍内閣総理大臣 ふざけるなと言いたいというのは、少し言葉が過ぎるのではないかと私は思います。

 いわば、トランプ大統領は、自分の発言を紹介をしているわけであります。そこで、私は私の発言を紹介をさせていただいた。

 例えば、これはこういうルールがありまして、自分の発言は紹介していいけれども、相手の発言はそこでは言わない。確かに、もう既に外で言っているではないか、こうおっしゃったわけでございますが、これは、言い回し等について、どのように言ったかということについては例えば正確を期さなければならないわけでございますが、相手の発言は勝手には引用しないというのは、外務大臣も短い期間ではございますがなされているから、これは常識なんだろう、こう思います。

 その中で、聞かれていないことを言った、こうおっしゃっているんですが、そのときに私が述べたことを、今ここで、私の言ったことは紹介できるから私がここで述べた、こういうことでございます。

前原委員 トランプ大統領は何と言っているか。

 そのことに、安倍総理はわかっているし異存もないはずだと言ったら、言っていることは理解されていないということと一緒なんじゃないですか。

 つまり、安倍総理が幾ら説明をしたって、トランプはそう思っていないんですよ。不公平だと思っているからべらべらしゃべっている、外で。そして、外では、安倍首相もそれはわかっているし、そのことに異存もないはずだと言っているわけですよ。

 だから、そういう前提で、私が聞いているのは、相手が何もしゃべっていないんだったらまだしも、不公平と言ったのかということに、イエスかノーかさえも答えられない。私は、それは総理としての答弁としては極めて不誠実だと思いますよ。

 でも、ここまで言われたということは、自分の意見を言ったということは、暗に認められたということですよね。

 その上で、私は、この発言を二つのことでしっかりと我々分析しなきゃいけないと思っているんですよ。笑い事じゃないですよ。いいですか。

 二つのこと。一つは、本当に安保条約の改正を考えているのか。もう一つは、これをディールと捉えて、そして、おどして何かをとろうとしているのか。この二つのことを我々は考えなきゃいけないんじゃないですか。本当に安保条約というものを変えようとしているのであれば、その意図についてしっかりと考えなくてはいけないし。

 今、ウクライナ問題ってアメリカで問題になっていますよね。ウクライナ問題ってどんな問題なのかといったら、バイデン前副大統領、アメリカの副大統領に関する疑惑捜査をするように、ウクライナのゼレンスキーという大統領に電話でトランプ大統領が政治圧力をかけた。トランプ流というのは、その電話に先立って、ウクライナへの四億ドル相当の軍事支援を一方的に凍結しているんですよ。つまりは、調べるよね、調べなかったら軍事支援は凍結しているからね。おどしじゃないですか。

 私は、きょうは同僚議員に譲ってそのテーマはやりませんでしたけれども、自動車だって同じじゃないですか。関税を上げる上げるとさんざんおどかされて、そして、関税を上げませんでした、よかった、農産物は下げて、これでよかったよかったって、おかしいじゃないですか。とれていない、何も。

 そういうやり方のトランプ大統領の常套手段とすれば、例えば、中東ホルムズ海峡への派遣、あるいは、来年、ホスト・ネーション・サポートの増額、三倍から五倍と言われているそうじゃないですか。違うんですね。(安倍内閣総理大臣「違う、ちょっとそれを明確に」と呼ぶ)まあ、ちょっと、自分の発言だけ終えて、答弁してください。

 そういうことに、私が聞きたいのは、どちらだと思っているかです。本当に安保条約を変えろと言っているのか、それともディールだと思っているのか、総理としてはどういうふうに考えておられますか。その中で、ホスト・ネーション・サポートについて、それは違う、報道とは違うということであればおっしゃってください。

安倍内閣総理大臣 まず、これは、先ほど申し上げましたように、トランプ大統領の発言は私は述べずに私の発言を述べた。これはまさにルールでありますから、まさに私はさまざまな首脳と直ちにいつも本音の話合いができます。それは、私がこのルールを絶対に守るということだろうと思います。ただ、守らない首脳もいないわけではないわけでございますが、私は必ず守って今日に至ったわけでございます。そして、その上において、先ほども申し上げましたような、この日米同盟については申し上げている。

 そこで、これはおどしなのかどうなのかということでございますが、私は、これはおどしだとは全く感じていません、こういう、トランプ大統領が記者会見等々で述べておられるということも含めて。

 と同時に、米側から日米同盟を改定するという要求は、これは全くない。ということは、安保条約を改定する考え方を示されたことは全くないわけでありますから、具体的なスケジュールにそもそものっていないという中において、トランプ大統領の感想、ただ、トランプ大統領と同じ印象を持っておるアメリカ人というのは、非常に私は、それは当然いるんだろう、こう思うわけでございます。

 そこで、自動車交渉等々の、例として挙げられましたが、例えばホスト・ネーション・サポートについては、三倍、四倍とか要求をされた、これは朝日新聞の記事だったかもしれませんが、これは全く違います。これは誤報と言ってもいいんだろうと思います。

 第一、日本は駐留軍経費のうち七割近くを持っているわけでございます。あとは、これは人件費、こう言われているわけでございますし、世界の中でも日本は最も、駐留軍経費、七二から七八%に近いわけでございまして、それを何倍にもしたら、むしろこれは彼らが駐留して利益を上げるということになってしまうわけでございますから、そんな要求はするわけはございませんし、二〇二一年までこれは有効だということは御承知のとおりだろうと思いますし、そういう交渉にも全く入っていない、こういうことでございます。

前原委員 アメリカ側が出しているデータ、ちょっと古いんですけれども、二〇〇四年版、これが最新でありますが、今総理の言われたように、日本は七四・五%、ドイツが三二・六%、韓国が四〇%、イタリアが四一・〇%、イギリスは二七・一%、一番高いんですね。ですから、倍なんか払うと向こうの給料まで払うという話になりますので、そういうものはあり得ない、そんな交渉はあり得ない。

 要は、おどしじゃないということを言われましたね。これは、それこそ、これからの結果をしっかりと見させていただく中で、本当におどしに屈していないかどうかといったところは冷静に判断をさせてもらいたい、こういうふうに思います。

 その上で、私は、ただ、今、日本の安全保障にとって極めて危ない足元になってきているのではないかと思うのが、北朝鮮のミサイル発射なんですよ。

 皆様方にお配りをしている、そしてここに挙げさせてもらったミサイル発射。父親のときと現在の金正恩委員長のときと比べますと、圧倒的に金正恩委員長のときにミサイル発射が多くなっている。そして、二〇一八年というのは、これはトランプ大統領との米朝首脳会談がありましたから、とまっているんですね。しかしまた、二〇一九年というのは、先ほど、同僚議員、後藤さんが話をされたように、SLBMを含めて、そして、短い、ショートレンジ、ミディアムレンジのミサイル発射を続けている。

 これはなぜか。これは、北朝鮮は、アメリカに対して、核実験とICBMは、協議中は、継続している間は、これは発射しない、核実験はしないということを言っているわけですが、日本と韓国の射程に入るものについてはどんどん撃ちっ放しているんですね。つまりは、日本や韓国については何のお構いなしで、国連決議違反を繰り返しているというのが現実であります。

 さて、そこで防衛大臣に伺いたいわけでありますが、去年の防衛白書では、北朝鮮の核弾頭の小型化については実現している可能性になっていたのが、ことしの防衛白書では、核弾頭の小型化、既に実現していると見られるに変わりましたね。つまりは、変わったということは、日本を射程に置く核ミサイルを北朝鮮は持っているということでいいんですか。

河野国務大臣 北朝鮮のミサイル技術が格段に進歩している、そういうふうに認識をしております。

前原委員 防衛大臣になられてまだ日が浅いんですけれども、実現可能性、これは防衛白書ですよ、防衛省がまとめられた防衛白書から私は引用しています。実現している可能性となっていたものが、既に実現していると見られると。

 進歩しているというのは、読んだらわかるんです。私が聞いているのは、核ミサイルを北朝鮮は持っているという認識でいいのかと聞いているんです。

河野国務大臣 そのように見られるということでございます。

前原委員 そうですね。

 そして、ストックホルム国際平和研究所は、北朝鮮が二、三十個の核弾頭を持つ、つまりは小型化に成功した、こういうことが言われているわけであります。

 さて、ことしの五月から九月に四回発射されたロシアのイスカンデル型弾道ミサイルは、低い弾道で発射されて、最高の高度は五十キロメートルの大気圏内、軌道の最後に急上昇して八十度から九十度の角度で落ちてくる。これは実験をやっているわけですね。

 SM3、PAC3で撃ち落とせますか。

河野国務大臣 我が方のミサイル防衛の能力をつまびらかにすることは、手のうちをさらし出すことになりますので、控えたいと思います。

前原委員 じゃ、私が言いましょう。

 SM3は対応できないんですよ。

 イージス艦搭載のミサイルシステムやイージス・アショア、変わりますよ、イージス艦とそれからイージス・アショアでは変わります。変わりますけれども、SM3という仕組みには変わりはないんですね。レーダーは変わるけれども、SM3というミサイルは変わらないんだ。このSM3というのは、空気抵抗がない大気圏外で迎撃を想定した構造になっていて、大気圏内を飛んでくる弾道ミサイルには対応できないんです。

 それでいいですよね。私が申し上げたんだから、イエスかノーかで。

河野国務大臣 我が方の能力をつまびらかにすることは差し控えます。

前原委員 私もだんだん、河野さんといろいろ議論する中で性格もわかっているので、時間の無駄になるのでこれ以上聞きませんけれども。

 これは一般常識。SM3はこの新たなミサイル弾道では対応できない。

 ということは、総理、総理に伺います。

 イージス・アショアを二基、これをこれから数千億かけて、数年かけて仮に配備したとしても、今秋田でもめていますけれども、新たなこの北朝鮮のミサイル、低空飛行して最後に高度を上げて落ちてくるものには対応できないんですよ。こういうものを、これから巨額の費用をかけて、そして数年かけて本当に配備をするつもりですか。相手は日進月歩ですよ。

 そういうことの議論をこの国会でやらなきゃいけないのに、河野大臣のように、中身の議論をすることは相手に手のうちをさらすことになるということ、それは一定のことはわかりますよ、私も。だけれども、予算審議というのは、まさに国防も含めて、国民の税金を使うことでしょう。それは、税金が本当に役立たなくなるかもしれない、巨大な役に立たないものをつくるようになるかもしれない、そういう議論をするのに、防衛機密だから言えませんということはいけないと私は思いますが。

 このイージス・アショアでは、もう新たなこの北朝鮮のミサイルというものは迎撃できない。しかも、先ほどこれは河野大臣が答えられたように、小型化された核弾頭をミサイルは積んでいる可能性がある。こういうものに対して、イージス・アショア、あるいはもっと根本的に、今の日米安保体制、つまりは、先ほど、みずからの主張をした、そうおっしゃいましたね。

 北朝鮮はどんどんどんどん、アメリカには一定の配慮をしてICBMは発射しない、日本や韓国にはお構いなしでばんばんばんばん国連決議違反のミサイルを発射している、そして日本の防衛網をかいくぐるようなものをもうつくり上げている。中ロはどんどんどんどん軍事拡張している。後ろを見たら、日米同盟関係でアメリカが不公平だと言っている。そして、自国ファーストだと。

 本当に私がきょう前半で申し上げたかったのは、憲法改正という概念議論よりも、本当に日米安保の役割分担とか、今の日本の周辺環境に合った、安全保障環境に合ったような防衛体制に変えることが今の総理の本当になされるべきことではないですか。そのことを私は問いたいと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 こちら側で、そうだという声がありましたが、しかし、今、実際には、前原委員から根本的な、いわば我が国の安保体制の根本的な課題についてお話があったんだろう、こう思います。

 ミサイル防衛、またミサイル防衛の中において更にそれを強化していくためのイージス・アショアについても、これは我が国の専守防衛という考え方の中において、我々、国民の命と安全を守り抜く上において、その中においては、これが、我々、とるべき体制だ、こう考えているところでございます。

 そして、米国との役割についても、アメリカとの役割分担の中で米国の打撃力に依存するということとしており、このような日米の基本的な役割分担を現在変更する考えにはないわけでございまして、これは、このような役割分担のもとで防衛努力を行い、日米同盟全体の抑止力、対処力を強化することが我が国の防衛政策として適切であると考えているわけでございますが、しかし、前原委員がおっしゃったように、日進月歩で技術が進歩する中において、果たして国民の命と平和な暮らしを守り抜けるかどうかということは常に考えていくべきであろう、このように考えております。

前原委員 安保、憲法の話はこれで終わりますけれども、おじい様、岸信介元首相が旧安保から新安保に安保条約を改定されましたよね。アメリカは責務を負っていなかったものを、負ってもらうという形に変えたんですね。これによって政権を失うことになるわけですが。

 でも、私は、現行の安保条約というのは、少なくとも今までは、日本の安全保障を守る上には機能したと思いますよ。憲法改正も、私は、繰り返し申し上げますが、否定はしませんよ。

 だけれども、周辺環境が変わっていく中で、日本とアメリカの、先ほどおっしゃった盾と矛の役割分担とか、あるいは日本の自立性の強化とか、どういう分野をでは強化するのかとか、そういったことを、まさに将来を見据えて、そして政権の支持率という、言ってみれば貯金を使いながら、将来に対する日本の安全保障を考えるかということを、ぜひ私は総理に考えていただきたい。おじいさんのことも含めて、そのことを最後に申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、黒田総裁に、日銀総裁に来ていただいておりますので、質問をさせていただきたいというふうに思いますが、まずパネルをごらんください。

 これは影の金利というものの推移でございまして、これはニュージーランド準備銀行のクリップナーという方が作成をされたものでありますけれども、影の金利というのはどういうことかというと、いわゆる量的緩和、非伝統的な金融緩和というものが多くなってきて、それを利下げにカウントしたらどんな状況なのかということを数値化したものが影の金利と言われるものでありますが、圧倒的に日本は金利が低い状態にあるわけであります、当然です。

 アメリカは、リーマン・ショックの後、金融緩和というのをやっていて、そして今度はテーパリングをやって、そして景気が回復してからはいわゆる利上げまでやってきたということであります。ECBも量的緩和を終了させた。しかし、その間、日銀は、世界経済というのが好調であったにもかかわらず、ずっと金融緩和をやり続けてきた。その意味では、影の金利というものがこれだけ拡大をしているというのは、私はそのとおりだと思います。

 総裁に伺います。

 ECB、つまりはヨーロッパ中央銀行、それからFRB、アメリカの中央銀行、日本銀行、この三者を比べた場合、いわゆる緩和余地というものは日銀が極めて少ない、ほかの中央銀行に比べたら少ないということはお認めになられますか。

黒田参考人 議員御指摘のシャドー金利の計算も含めて、日本銀行、FRB、そしてECBの間で、どこが一番金融緩和的になっているかと言われると、いろいろな考え方はあろうと思いますけれども、確かに日本銀行が極めて緩和的な金融政策を行っているということは事実だと思います。

 ただ、そのことが直ちに、現在のようないわゆる非伝統的金融緩和政策というものの中で、このシャドー金利の計算もそうですけれども、いわば短期金利を一つのメルクマールにして、余地があるとかないとか議論するということについては、非伝統的金融政策のもとでは、短期政策金利だけでなく、資産買入れプログラムであるとか、あるいは資本市場のリスクを、リスクプレミアムを低下させることであるとか、さまざまな手段が援用されておりまして、日本銀行の場合も、政策金利、それから長期金利の目標、あるいはマネーサプライのターゲットであれ、さまざまな手段を持っておりますので、短期金利あるいはシャドー金利という形で計算したものだけでもう余地がないということは言えないというふうに思っております。

前原委員 いや、黒田総裁、これはあくまでも私は一つの物差しで申し上げたわけでありますから、これだけをもって言っているんじゃないんです。

 日銀が、追加緩和があるとすると四つのメニューを持っておられると。短期金利の引下げ、長期金利操作目標の引下げ、資産買入れの拡大、マネタリーベースの拡大ペースの加速、この四つを持っておられるというのはわかった上でやっているわけです。

 そして、この四つを、これは言ってみれば一つの目安ですよ。だけれども、例えば資産の部門で言いましょうか。日銀の総資産というのはGDPを上回る規模でしょう、日銀は。しかし、FRBだと二割ですよ。ECBだと四割ですよ。

 こういうことも含めて、まさに日銀は、景気が世界全体で回復しているにもかかわらず、これは安倍政権のプレッシャーなんだと思いますよ。株価を上げろ、そして日銀は物価目標に向かって徹底的に今なお、言ってみれば、金利を下げろ、緩和を続けろ、こういう政治的な圧力、まあトランプほどじゃないかもしれませんが。トランプは、今でもマイナス金利にしろと言っていますからね、FRBに対して、ツイッターで。

 しかし、そういうことを、今いろいろなことが考えられるわけでありますが、結局、私は、アリとキリギリスでいうと、本来、景気がいいときには金融緩和という金融政策の余地は残すということをしっかりアリのように蓄えておいて、そして、おかしくなったときにはまさに金融緩和をやるということにとっておかなきゃいけなかったのに、結局、日銀はずっと緩和をやり続けた。

 FRBやECBは、程度の差こそあれアリのように、だから日銀はキリギリスですよ。そして、FRBやECBはアリですよ。そして、これから、先ほど申し上げたように、短期金利、長期金利だけじゃなくて、資産買入れも含めて、だって、同じことをどの中央銀行もやったら、ECBやFRBの方が、もっとやれることがいっぱいあるといったって、同じようにやっていったら、どんどんどんどん、言ってみれば、金利差、これが結局縮小していくじゃないですか。日本はやる余地がない。そして、ほかのところは金利が下がっていく。そうですよね。

 つまりは、今までのアベノミクスという無理に無理を重ねる金融政策のツケをこれから日銀は払わされることになるんじゃないですか。まさに今まではキリギリスで、うたげに楽しんでいた。だけれども、これからはアメリカが、これはみずから、トランプの私は自作自演だと思いますけれども、首を絞め、そしてFRBをおどし、今や中立性なんかないと言われている。こういう状況の中でこれから他の中央銀行が金融緩和をやってきたら、どんどんどんどん追い込まれるようなことになる。わかっていて、それをやっていたんじゃないですか。

棚橋委員長 前原誠司君に申し上げます。

 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

前原委員 はい。

 黒田総裁、では、お答えください。

黒田参考人 御案内のとおり、各国の金融政策は、それぞれの国の経済、物価、金融情勢に合わせて最適な政策をとるということでやっておりまして、我が国の場合は、二%の物価安定の目標に向けて緩和を続けてきたわけですけれども、まだそれに到達していないという中で、大幅な金融緩和を続けているわけです。

 他方、御案内のとおり、米国は、一時は物価安定目標の二%をほとんど達成したという中で、いわば一種の正常化というのを始めていたんですが、また今になって金利を再び下げ始めた。ECBの場合も、二%に近いところまで行きそうだということで正常化をしていたんですが、現在、緩和にまたかじを切ったということでありまして、そういう意味では、米国の場合も欧州の場合も、別に、将来の緩和ができるように、いわば時期尚早に正常化とか金融の引締めを図ったということではなくて、経済、物価、金融情勢に合わせて最適な政策をとってきたということでありまして、我が国の場合は、やはりいろいろな理由から、二%の物価安定目標に向けての足取りが景気の拡大テンポと比べても非常に弱いということが続いている中で、金融政策としてやはり最適なものを私どもとしてはとってきたというふうに思っております。

 なお、先ほど来委員が御指摘のとおり、今後の金融政策の余地というものについては私どもは十分あると思っていますが、ただ、その場合にも、緩和のプラスの効果と副作用というものを十分両方勘案して、ベストな政策をとってまいりたいというふうに思っております。

前原委員 終わります、終わります。一言だけ言わせてください。

 今おっしゃったように、他国との比較はありますけれども、金融緩和を続けたことによって株価を上げて、この安倍政権の、言ってみれば、経済がうまくいったように見せかける大きなツールを私は日銀が担わされてきた、上げ底だったということは申し上げて、これからの経緯をしっかりと厳しくチェックしていきたいと思います。

 終わります。

棚橋委員長 これにて玉木君、今井君、馬淵君、川内君、本多君、辻元君、岡本君、小川君、後藤君、前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 大型で非常に強い台風十九号が接近しております。気象庁によれば、暴風雨、そして狩野川台風に匹敵する大雨も予想され、特別な警戒が呼びかけられております。政府においても万全の対策を講じられるよう強く求めておきたいと思います。

 まず、消費税について質問いたします。

 多くの国民が反対する中、消費税増税が強行されました。前回の増税からの消費不況が続く中での増税であります。

 本会議で我が党の志位委員長が、一〇%への増税は失政に失政を重ねるものだと批判をしましたが、それに対し、総理は、前回は対策が必ずしも十分でなかったが、今回は十二分の対策を実施しているところ、こう答弁されました。

 そのもとで今何が起きているのか、ここが問題です。廃業、倒産。

 大阪・八尾市の創業九十五年の酒屋はこうおっしゃっております。消費税増税に伴うレジとシステムの入れかえで百五十万円必要だったが、補助金は後払い、爪に火をともしている零細企業では払えない、創業百周年まではやりたかったが、やむなく廃業した、中小零細いじめではないか、こんな声は安倍さんには届かないかもしれないが、ぜひ伝えてほしいと。都内のある居酒屋さんからは、増税で水道代も原材料費も家賃も上がり、もうやっていけない、十二月で閉店する、こう聞きました。私の地元でも廃業の話を伺います。

 八日発表の帝国データバンクの小売業の動向調査によると、飲食店の倒産、最多更新の勢い、増税を機に廃業を検討する業者が増加しており、その結果倒産に至るケースも聞こえてくるとあります。

 消費低迷の中で懸命に努力してきた事業者の皆さんが増税により廃業する事態が全国で今起きております。総理、増税を強行して少なくない業者の皆さんを廃業に追い込んだ責任をどう感じておられますか。

安倍内閣総理大臣 前回の消費税引上げの際には、耐久財を中心に大きな駆け込み需要と反動減が生じ、その後の回復にもおくれが見られるなど、結果として見れば、需要変動に対する対策が必ずしも十分ではありませんでした。

 今回は、もう御紹介いただきましたが、消費税率引上げに当たっては、こうした前回の反省の上に、教育の無償化や軽減税率に加えて、思い切ったポイント還元、プレミアムつき商品券、自動車や住宅に対する大胆な減税など、十二分な対策を実施しているところでございまして、これらの制度の円滑な実施に政府一丸となって対応することで、経済の大宗を占める国内消費をしっかりと下支えをして、景気の回復基調を確かなものとしていきたいと思います。

宮本委員 その軽減税率や増税によって廃業が起きているんですよ。みずからが行った政策が国民に対してどういう痛みをもたらしているのか、余りにも無自覚過ぎるんじゃないですか。

 総理がさっきおっしゃいました、対策の目玉にしておりますキャッシュレスポイント還元、多くの高齢者の皆さんが使えません。スマホを持っていない、交通系ICカードはあるけれどもインターネットが使えないので登録できない、消費税はみんなが負担するのに、一部の人しか還元がないのは不公平だ、こういう声が広がっております。

 事業者の皆さんはどうか。総理は、ことし二月に戸越銀座商店街でキャッシュレスで買物され、こう言いました。この機会にキャッシュレスをしっかりと皆さん生かして頑張ってもらいたいと。

 私たち、都内のいろいろな商店街を調べました。戸越銀座商店街、商店会の名簿にある数は二百九十六店、対象外の金融機関や医療機関を除くと二百七十店、うちポイント還元の登録は五十六店、二〇・七%。都内の多くの商店街を調べましても、多くが一、二割の参加というのでこの制度はスタートしているわけですよね。清瀬駅の南口には三つの商店会があり、会員二百を超しますけれども、政府のポイント還元で登録されているのはコンビニ四店を含む三十店。参加は都内どこを見ても少数ですよ。

 総理、十二分の対策とおっしゃいますけれども、極めて部分にしかすぎないじゃないですか。

菅原国務大臣 きょうで十一日目でございますが、五十二万軒の中小店舗の登録、そして実行になされています。これは、それぞればらつきがございますが、一日一万店舗ずつ申込みがございまして、現在八十七万になってございます。そのうちの五十二万軒が今実行にあらしめている状況の中で、一日一日しっかりとふえるように努力してまいります。

宮本委員 今、数を言われましたけれども、八十七万店というのは経産省によるダブりがあるんじゃないですか。

菅原国務大臣 その八十六万軒というのは、一店舗に対して決済事業者が例えば三軒あれば、その三軒をまとめて延べ数でいうとそういう数字になります。その中で、いわゆるキャッシュレス推進協議会で名寄せをして店舗を数えていくと五十二万軒ということでございます。

宮本委員 いずれにしても、五十万という話でございますが、商店街一、二割、それが申請が少しふえていっているということですけれども、二割か三割という話じゃないですか。いずれにしても少ないわけですよね。

 なぜ業者の皆さんが参加しないのか、私、聞きましたよ。決済手数料を少ない利益から持っていかれると生活できない、日々の仕入れや支払いで現金が必要なんだ、常連のお客さんはみんな現金だ、カードを使う人だけに値引きなんてできないと。

 それから、私、ポイント還元に登録したお店にも聞きました。もちろん、お客がふえた店もありますよ。ですけれども、ふえていないという声も随分たくさん聞きます。ある飲食店のあるじはこうおっしゃいました。客離れが心配で値段を据え置いた、お客は減っていないが、交通系カードで支払う方がぐっとふえた、手数料の負担がふえ、利幅が小さくなって大変と。

 売上げはふえず、キャッシュレス決済の比率だけがぐんとふえて、手数料がふえて困惑しているという声をたくさん聞きます。皆さんも聞かれているんじゃないでしょうか。

 それから、申請中の戸越銀座のあるお店の話。総理がこの店に来るというので、○○ペイと言っておきます、○○ペイから勧められて導入したが、総理も来ず、○○ペイの利用者は週に一人から二人、タブレットの端末費用、毎月の通信費用の方がずっと大きい、ペイ詐欺だと。

 総理、参加は少数、参加してもメリットを感じていない店も少なくない。そして、参加して利益が減る店もある。中小企業の支援策として、これはもう破綻しているじゃありませんか。

菅原国務大臣 いろいろ御指摘をいただきましたが、いわゆる、決済事業を、誤って入力をした部分を、今、二万件を九割修正をいたしました。そして、これを、ホームページ、絞り込みの検索機能も地図アプリに落とすようにして、いわゆるキャッシュレスポイント還元事業をしっかりと普及をさせていきたいと思っております。

 一方で、それでもまだ現金でお仕事をする、あるいは商売をする、そういう方々もいらっしゃいますが、このポイント還元事業の内容をしっかりと周知徹底させて、決済事業者そして中小店舗、まさに中小の商店街を中心に、全国の店舗に普及をできるように努めていきたい、このように思っております。

宮本委員 普及されて、損したというお店も結構出ているわけですよ、おかしいじゃないですか。何にも反省もなく、どんどんどんどんこのまま普及していくと。

 大体、総理が十二分な対策だということをおっしゃってきましたけれども、ことごとく破綻していると私は指摘させていただきたいと思います。

 私は、消費税増税の影響について、この間、駆け込み需要の反動の影響が相対的に小さそうな飲食店だとか食品小売を中心に、都内のお店約百軒、飛び込みも含めて聞いて歩きました。約二割のお店が早くも客足への影響を感じているということでした。

 ある果物屋さんは、トレーや包装袋の値上げ分をかぶって頑張っているが、お客さんが二割ぐらい減った。それから、同じ食べ物でも、税率で差をつけられた外食、飲食店の一部でも、お客さんの入りに影響が出始めております。サラリーマン客が多いおそば屋さん、いつもは満席のお昼の時間がすいている、二、三割お客さんが減った。ある居酒屋は、稼ぎどきの週末の日々の売上げが数万円単位で落ちた。ある中規模の居酒屋は、お客が半減し、こうした状況が続くなら、店をどうするか相談しなければならないと。今後、更に廃業や閉店に追い込まれる店も出かねないんじゃないですか。

 民間調査では、外食を減らすという方が六八%。増税によって、外食という庶民のささやかな楽しみが奪われているという人も出てきているわけですよ。

 消費税増税は、総理はいつも駆け込み需要とその反動の対策のことをおっしゃいますけれども、それ以外に、実質所得を奪うという最大の問題があるわけですよね。消費は必ず落ちるわけですよ。

 ちょっとパネルを見ていただきたいと思いますが、これは実質民間消費支出の統計であります。消費税が三%のときは平均年二・六%伸びておりましたが、九七年の五%への増税で伸びが約一%に鈍り、さらに、消費税を八%に増税して、伸びは零コンマちょっとということになりました。消費税増税のたびに消費が鈍化しているというのは、私は一目瞭然だと思います。

 総理、どんどんどんどんこの民間消費支出も伸びなくなっているもとで、一〇%増税でこのままずっと突き進んでいくと、日本の経済に対して深刻な打撃を与えることになるんじゃないですか。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 今、実質民間最終消費支出の推移のパネルを示されましたので、このことも含めて今の様子を少しお話ししたいと思うんですけれども。

 この三十年間で、これは二十五年ぐらいですか、の間で日本の社会経済の構造は大きく変わっておりまして、御案内のとおり少子高齢化が進んでおります。したがって、世帯も、もう御案内のとおりですけれども、高齢者の年金世帯がふえておりますので、当然、若者が多い社会と高齢の方が多い社会と消費の傾向は変わってくるわけでありますし、さらに、近年の技術の進化で、シェアリングエコノミーなど新しい動きの中で、若者たちが物離れも出てきておりますので、そういった大きな変化があるということをまず前提として御理解いただければというふうに思います。

 その上で、確かに消費税は、消費マインド、消費者のマインドに何らかのマイナスの影響を与える可能性もありますので、先ほど答弁もございましたけれども、負担を上回る額の、ポイント還元もそうですけれども、何より軽減税率があり、そしてプレミアム商品券も今準備が進んでおりますので、これから商品券に交換された方が、買われた方が、消費も出てくると思いますので、そういったことでしっかりと下支えをしながら、ただし、この消費の動向については、日々のデータ、週のデータなどをきめ細かに分析しながら、しっかりと経済運営に万全を期していきたいと考えております。

宮本委員 少子化だけでは当然説明できないわけですよ、増税のたびに伸びがどんどんどんどん、消費支出も落ちているわけですから。先ほど、消費税は消費のマインドにマイナスを与える可能性があるとはっきりお認めになりました。だったら、そういう道を突き進んでいいのかと真剣に考える必要が私はあると思いますよ。

 前回の八%への増税によって、長期にわたる消費不況が今なお続いているわけですよ。一世帯当たりの実質消費支出はいまだ年二十万円も落ち込んだままであります。

 総理、私は、そして我が党は、この消費不況から抜け出すためには、消費税増税、この間の連続増税をもとに戻すしかないと思いますよ。失政に失政を重ねて突き進んでいくのではなくて、五%に消費税を引き下げるべきじゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 消費税については、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源と位置づけているところでございます。

 つまり、今回もそうでございますが、十月から、三歳―五歳、幼児教育、保育を無償化したわけでございますし、また、来年の四月から、真に必要な子供たちの高等教育の無償化を行うわけでございます。同時にまた、低年金の方々に年最大六万円の給付を行い、そしてまた同時に、介護保険料の軽減等も行っていくわけでございます。

 こうした社会保障あるいは子育てへの支援については、今申し上げたような消費税がふさわしい、こういうことでございまして、この点も御理解いただきたい。同時に、今回は消費の落ち込みに対しましては十二分な対応をとっている、こういうことでございます。

 今後とも、注意深く消費の動向を見ていきたい、こう思っております。

 また、先ほどのポイント還元につきましては、大手は今回の消費税の引上げに対してセールを行う体力があるわけでございますが、中小企業、小規模事業者の皆さんはその体力がない中において、国が支援する形でポイント制も導入したという側面もあることも御理解をいただきたいと思います。

宮本委員 消費税は社会保障にふさわしいと言いますけれども、その認識、全く間違いだと思いますよ。低所得者ほど負担が重い消費税というのは、社会保障の財源として一番ふさわしくないですよ。

 そして、私たちは、財源は消費税に頼らなくてつくれるじゃないかということを、この間、重ね重ね申し上げてまいりました。パネルをぜひ見ていただきたいと思います。

 消費税導入から三十年、社会保障の財源確保のためと称して税率の引上げを繰り返しました。消費税率が三%だった一九九〇年、税収は全体で六十・一兆円でした。消費税率が八%になった二〇一八年、消費税収は大きくふえました。国の税収は全体で六十・四兆円、消費税収は四・六兆円から十七・七兆円。消費税収はこんなにふえているんですね。税収は同じ水準なわけですよ。なぜなのか。

 総理、大企業などへの減税や所得税の最高税率の引下げなど、富裕層への減税を行ったことが大きな要因なんじゃないですか。

麻生国務大臣 一九九〇年以降の所得税という、いわゆる平成二年からの法人税の減収の背景というものからまず申し上げさせていただければ、所得税に関して言わせていただければ、これは、税負担の公平のために消費税を創設させていただきましたのは、このとおり、この赤のところですけれども、その後、個人所得課税を軽減するなどの税制改革を行ったり、御存じの三位一体改革等々で地方に税源移譲を行ったということであります。

 また、法人税に関しては、企業活力と、これは国際競争力というのがよく言われることになりましたので、こういったものを維持強化するための改革を行ったといった制度改正要因に加えまして、この後は、御存じのように、翌年からバブルが崩壊してきますので、資産価格が猛烈な勢いで下落します。株価が三万八千九百円からいきなり、二度と三万八千円に行ったことはないんですが、後はずっと下がった。また、土地も九二年からそういうことになりましたので、経済情勢に要因があるというふうに考えております。

 その上で、消費税につきましては、これはもう御存じのように、国民が広く受益なり負担というものを分かち合うという意味で、社会保障の費用をあらゆる世代から広く公平に分かち合うという観点から、私どもとしては、いわゆる社会保障の財源と位置づけて引上げをさせていただいたところでありまして、大企業、富裕層優遇との御指摘は当たらないと思っております。

宮本委員 制度改正、法人税、富裕層への減税も一因であったことは麻生大臣も否定できないわけですよ。最高税率、所得税は七〇パーから四五パーに下がっています。法人税は四〇パーから二三・二パーにこの間下がったわけですよね。結局、この間起きたことは、法人税、所得税の減収分が消費税に置きかわっただけの話なわけですよ。社会保障のためといって消費税を増税しながら、富める者の減税に費えてしまった。

 それから、あと、経済情勢もあるというお話がありましたけれども、もう一枚のパネルを見ていただきたいと思います。

 この青い折れ線は企業の経常利益ですよ。バブルのときのピーク、一九八九年は約三十九兆円、昨年は八十三兆九千億円、バブルのときの二倍以上になっております。一方で、棒グラフ、法人税と地方法人二税の合計は三分の二に減っているわけですよね。利益に対する法人税の負担というのは、急激にこの間軽くなっている。企業がもうけを上げても、税として社会に還元されなくなってきているわけですよ。とりわけ、資本金十億円以上の大企業の実際の法人税の負担率は一〇%程度ですよ。

 こういう大企業優遇を改めて法人税の負担を少しもとに戻せば、六兆、七兆は出てくるじゃないですか。消費税増税などする必要などなかったじゃないですか。総理、大企業、富裕層優遇税制を改めて、ちゃんと大企業、富裕層に負担を求めるべきじゃありませんか、総理。

麻生国務大臣 企業に対するいわゆる税制の件につきましては、これは御存じのように、どんと落ち込んでいっているこのときに比べまして、私どもは、法人税率の引下げ等に当たっては、これは、いわゆる財政事情とか等々、いろいろ厳しい状況にありますけれども、企業部門の内部留保の状況、さらには消費税率を引き上げたということのような諸情勢というものをこれ考えまして、我々はこの間に同時に、租税特別措置の縮減また廃止等々によって課税ベースというものを拡大させていただいて、財源はしっかり確保しておりまして、ネット減税というものを行っているわけではありません。

 また、所得税につきましては、これまでの再分配機能というものから考えまして、いわゆる回復をするために所得税の最高税率というものを四〇から四五に引き上げておりますし、また、所得税の基礎控除というものも、二千四百万だったものを、たしか二千五百万に上げさせていただくということにさせていただきましたので、金融所得課税の見直しというものも、上場の利益というものを一〇%から二〇%に引き上げる等々の施策は既に講じてきたところであります。

 我々といたしましては、そういったようなことをさせていただいた上で、企業の利益は回復してきているという点につきましては、私どもとしては、法人税というものは、しっかり、きちんとして、上がってきているという状況にはなってきているんだと思っております。

宮本委員 上がってきているといったって、ほとんど上がっていないじゃないですか。以前の水準だったら、これだけの経常利益が上がっていたら、国の税収は相当潤っているわけですよ。ネット減税はしていないと言いながら、大減税をやっているからこうなっている。しかも、減税分の大半は企業の内部留保にどんどん積み上がっているだけじゃないですか。もう四百六十三兆円ですよ。これは経済に回っていかない。そんなところにどんどんどんどん減税するよりは、ちゃんとそこに課税して、消費税は増税しない、引き下げていく、この方がよほど経済は活性化する。そのことを強く申し上げておきたいと思います。

 その上で、もう一点、質問させていただきます。

 国民に消費税増税を求める一方で、アメリカ製兵器爆買いで防衛省予算が膨張を続けております。来年度の概算要求は、またも過去最高であります。

 秋田では、参院選で、イージス・アショア反対の野党統一候補が勝利いたしました。総理は、秋田での応援演説で、地域の皆様の理解がなければ進めていくことはできません、こう述べていました。地元はノーを突きつけました。地元選出の自民党議員も、もう無理と言っております。

 ところが、民意を愚弄するかのように、今度の概算要求にはイージス・アショアの費用が盛り込まれております。とんでもないですよ。

 総理、あなた、演説をされていたわけですから、民意を受けとめてイージス・アショアをやめるべきじゃありませんか。

河野国務大臣 しっかりした調査に基づく正確なデータをもって丁寧に御説明をし、地元の御理解をいただいていく、そういう所存でございます。

宮本委員 民意を受けとめるべきだということを言っているわけですよ。なぜ、県民が審判を下したのに断念をしないのか。

 なぜ秋田と山口にイージス・アショアなのか。パネルをぜひ見ていただきたいと思います。北朝鮮のミサイル基地からハワイ基地に向かう直下が秋田であります。グアムに向かう直下が山口であります。

 アメリカの対日政策に影響を与えてきたアメリカのCSISは、「太平洋の盾 巨大なイージス艦としての日本」なる論文を出しております。この中で、日本のイージス・アショアは、米国が本土防衛のために高価なレーダーを構築する必要性を軽減する、ハワイ、グアム、東海岸その他の戦略的基地などの重要地域を弾道ミサイルなどから守るため、イージス・アショアを使うことができると記しております。

 まさに、アメリカの求めで、アメリカ防衛のために導入しよう、だから秋田に固執しているんじゃないですか。総理、違いますか。

安倍内閣総理大臣 イージス・アショアは、現下のこの厳しい安全保障環境の中、弾道ミサイルの脅威から、我が国全域を二十四時間三百六十五日、長期にわたり切れ目なく防護することを可能とし、そして、国民の命を守り抜くためにこれはどうしても必要な装備品であり、これは米国を防衛するために導入するものでは全くないわけでございまして、今の説についても、今初めて、というか、先般初めてお伺いしたところ、先般、共産党の皆さんの指摘のみについて、私も存じ上げているところでございます。

 繰り返しになりますが、これは、日本の国民の命を守り抜くために導入するものであって、米国を守るためのものではないということでございます。

宮本委員 なぜ秋田なのかという説明が一言も総理から説明されていないわけですね。共産党のみの指摘だということをおっしゃいますけれども、一般紙から私はこれは出させてもらいましたし、アメリカのCSISは、日本政府もたくさん、各省庁から毎年、人が出ております。

 そして、アメリカの太平洋軍ハリス司令官が、二〇一七年、米上院軍事委員会でこう証言しているんですよ。日本は、THAADかイージス・アショア、あるいは両方の導入を決断すべきだ、日本がこれらを購入すれば、我々が配備しなくて済むと。

 アメリカの議会でアメリカの司令官がはっきりと言っているじゃないですか。

 しかも、このアメリカのためのイージス・アショアに一体幾ら税金を投入していくことになるのか。これも大問題なんですよね。

 パネルをごらんいただきたいと思いますが、当初、一基八百億円、答弁がありました。次は一千億円弱になりました。契約は本体一基一千二百二億円、二基で二千四百四億円、そして維持運営費などなど含めて四千四百九十二億円。アメリカの言い値で膨張しているわけですね。

 さらに、新たな追加負担の報道が先月末にありました。ロイターの報道によりますと、実弾発射試験で五億ドル、五百億円以上追加負担を求められる可能性がある。商業用の船舶や航空機の航行を禁止することに伴う経費まで負担する、そういうことが報道されておりました。

 それだけじゃないですよ。これ以外にも、迎撃ミサイルを搭載するわけですけれども、一発三十億円以上と言われています。これを最低四十八発ですよ。これだけで一千五百億かかるだろうと。さらに、基地の建屋の建設や敷地の造成費用、燃料費と、どこまでかかるのか。

 総理、今後、イージス・アショアの整備、運用に一体幾らかかるんですか。際限ないんじゃないですか。

河野国務大臣 そのグラフの最初の八百億は、従来型のSPY1というレーダーの費用でございます。二番目の棒グラフは、それを最新鋭の高性能のレーダー、LMSSRに変更をした、そういうことでございます。三つ目の棒グラフは、それに、現時点で判明している教育訓練経費、あるいは三十年間にわたる維持運用経費を含んだものでございますから、その三つの棒グラフはいずれも違うものでございます。

 今後、ライフサイクルコストをしっかりと精査をすると同時に、日米で価格の低減に努め、価格がかなりの確率で精査できた段階でお知らせをしたいと思います。

宮本委員 違うものだということを言いますけれども、目的は同じものなわけですよね。アメリカから高いものを買えと言われて、いいレーダーに変えて。二つ目と三つ目だって、上がっているじゃないですか。二つ目がLMSSRだったら、三つ目も同じLMSSRで、値段が上がっているじゃないですか。

 最終的に幾らかかるかも、こういう答弁もございませんでした。幾らかかるかもわからずに、そして、民意は、もう要らない、こういう審判が出ているにもかかわらず、アメリカの要求で、イージス・アショア購入だけどんどんどんどん突き進んでいく。こんなこと、国民は絶対納得できないことですよ。

 国民には、財政は大変だといって消費税増税を求めながら、トランプさんに言われたら、アメリカのためには、アメリカの言い値で何ぼになるかもわからない、これをどんどんどんどん爆買いしていく。こういう政治は、私は、根本的に間違っている。

 この政治を正すために、日本共産党は全力で闘うということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

棚橋委員長 この際、藤野保史君から関連質疑の申出があります。宮本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、関電の原発マネー還流問題についてお聞きします。

 関電幹部らが高浜町の元助役から、わかっているだけで三億二千万円相当の金品を受け取っていた。この問題は、決して一企業の金銭不祥事などではありません。国策として進められてきた原発推進政策と不可分一体の問題であります。私は、政府の責任が問われている立場で質問をいたします。

 関電が十月二日に発表した報告書では、こう書いてあります。「森山氏は、その際、当社の経営トップから受け取ったという手紙やはがき等を保管しており、「発電所立地当時の書類は、今でも自宅に残っており、これを世間に明らかにしたら、大変なことになる。」などといった発言があった。」こういう記述です。

 大変なことになるといいますけれども、やはりこれを明らかにしないといけない。この立地当時の闇にメスを入れなければ、本当に真相の解明をしたことにはならないと思うんですね。

 立地当時、何があったか。

 配付資料の一を見ていただきたいと思うんですけれども、これは、福井新聞、一九七八年、昭和五十三年四月二十四日付の記事であります。

 「高浜襲った“札束旋風” 関電の原発協力金」という見出しであります。「美名の裏に醜さ」。リードには、「いや、今度は町にもがっぽり金が入ったらしい」、こういう記述もございます。

 当時の高浜町政というのは大きくゆがんでおりまして、そのゆがみとこの原発マネーが非常に深くかかわっていた。高浜原発をつくる際に出てきた残土、土を使った埋立工事をめぐる不正とか、関電の協力金、ここにも協力金ですけれども、使った乱脈融資とか、相次いだわけです。関電の協力金が、町への寄附なのに、町の口座には入らずに町長個人の口座に振り込まれた、しかもそれは十年以上たって明らかになったとか、ちょっと考えられない事態が起きているわけです。

 総理にお聞きしたいんですが、これは一企業の話じゃないんです。国策として進められてきた原発の立地地域で、立地のときからずっとこの原発マネーがまさに還流していた構図があって、それを全く是正されないまま今日まで続いていた、それが今回の事件である。総理にはこういう認識、おありでしょうか。

安倍内閣総理大臣 必要があれば、所管する経済産業大臣から答弁させますが、今回の問題については、電気事業法に基づき、経済産業省から関西電力に対して、事実関係についての報告徴収命令を既に出しておりまして、これを受けて、関西電力は、独立した第三者委員会を設置をし、現在調査を行っているものと承知をしています。

 独立した第三者の目を入れて、御指摘のような論点も含めて徹底的に全容を解明し、信頼回復に努めるべきである、このように考えています。

藤野委員 関電が第三者委員会をつくっていると。人ごとのような答弁なんですね。私は、政府の責任がある、国策であるということでお聞きをしたわけであります。

 今回の問題についても、私は、経産省自身が深くかかわっているというふうに思います。

 大臣にお聞きしたいと思います。

 経産省から高浜町へ職員を出向させていると思いますが、いつから、何人、出向させていますか。

菅原国務大臣 四名、出向いたしております。一人が平成二十年十月から二十四年の五月まで、もう一人が平成二十四年五月から二十七年の六月まで、もう一人が、その後、二十七年の七月から平成二十九年の三月まで、そして最後、四番目が平成二十九年の四月から現在まででございます。

藤野委員 今答弁あったとおりであります。

 配付資料の二を見ていただければ、その中身が書いてあります。

 出向期間、おっしゃいましたが、初めの方は、五年にわたって副町長を務められていらっしゃる。その後は、政策推進室長などを務めていらっしゃいます。

 大臣に重ねてお聞きしたいんですが、なぜ二〇〇八年にこの出向が始まったのか。何のための出向なんでしょうか。

菅原国務大臣 平成の二十年に、当時、高浜町の野瀬町長から経産省に対しまして、職員を派遣してほしいという依頼がございまして、当近畿経済産業局から職員を派遣をすることとなったわけでございます。

藤野委員 もう少し詳しく教えていただきたい。政策の要請があったということなんですが、どのような政策でしょうか。

菅原国務大臣 今、その点は御通告ないわけですが……(藤野委員「いやいや、しましたよ。しました、しました。全部しています」と呼ぶ)

 よろしいですか。経済産業省に対しまして高浜町から派遣要請があったわけですけれども、これは、エネルギー政策等、いわゆる経産省の所管する国の政策について自治体との連携をしていきたい、こういうことだと思います。

藤野委員 今、ちょっとはっきりおっしゃらなかったんですけれども。

 私自身も、何で高浜のようなと言いますと語弊がありますけれども、人口一万ちょっとの町に経産省から出向者が十年以上途切れることなくずっと送られてきているのはなぜかなと、率直に言って思っておりました。しかし、ほかならぬ、今、高浜町から御要請があったというお話がありましたけれども、私、関電自身の動きと高浜町自身の動きでこれがわかってきたというふうにも感じております。

 といいますのは、この時期、関電と高浜町というのは、二〇一〇年に高浜原発三、四号機のプルサーマルを実施する、プルサーマル発電を実施するということで、そこに向けて大きく動いていたんですね。配付資料の四にその年表をつけております。

 プルサーマル発電というのは、使用済み核燃料、いわゆる核のごみからプルトニウムという危険な物質を取り出して、それを加工して、さらに燃料にする、そういう、普通の原発よりも危険な発電方法と言われているプルサーマルなんですね。これを二〇一〇年に高浜がやると。その二年前に経産省から出向が始まったわけであります。

 この初めに書かれております副町長になられた方ですけれども、この方は、就任されてすぐにプルサーマルの先進地であるフランスに出張している。そして、私も行きましたけれども、ラ・アーグとかそういう原発関連施設、核燃料サイクル施設、プルサーマル関連施設、こういうのを調査してきておりますし、帰ってきてからも、そういうプルサーマルを住民に理解を促進するだとか、あるいは関電との調整を行うだとか、そういう形で中心的な役割を果たされた、最も長くいらっしゃった方なんですね。

 配付資料の五には、これは高浜の広報紙ですけれども、ここで日村氏が、二〇〇九年九月主催のプルサーマルシンポジウムでフランスの経験等について話している、そのことも御紹介をしております。

 つまり、二〇〇八年になぜ出向が始まったのか。これは、二〇一〇年から高浜のプルサーマルが始まる、これに向けた出向だったのではないかというふうに思うんですが、大臣はそれでよろしいですか。

菅原国務大臣 プルサーマルが始まった時期と、また、近畿局から高浜町に出向した、それは関係なく、たまたまその日村という人はプルサーマルについては詳しい方でありましたけれども、あくまでも高浜町の方から、町の振興のために経産省から来ていただきたい、そしてそれが、近畿経産局から出向させたということでございます。

藤野委員 今大臣が、町の振興のためというお話がありました。

 そこで、私は、その町の振興という角度からも見ていきたいと思うんです。これは高浜町長自身のお言葉で見ていきたいなと思うんですね。

 配付資料の三は、これは高浜の町議会便り、二〇〇八年十月二十四日号ですが、ここで、町長の答弁としてこういう言葉があります。継続的発展の仕組みを持った原子力立地のモデルケースをつくり上げたいとの思いから、経済産業省から人材を集めた、こういうことなんですね。

 では、この原子力立地のモデルケースというのは何なんだということにかかわって、町長は、先ほどのプルサーマルシンポ、ちょっとまた資料五枚目になるんですが、その下の方を見ていただきますと、こうおっしゃっているんですね。「原子力発電を進めるにあたり、国から交付金をいただいています。そしてプルサーマルの導入には、核燃料サイクル交付金という六年間で六十億円というお金が用意されています。」ちょっと飛ばしますけれども、「なるべくたくさんいただきたいのですが、それには地域振興計画をしっかり立てるということが必要です。 そこで高浜町は「高浜版・コンパクトシティー構想」というものを考えています。」

 大臣おっしゃったとおり、地域の振興が必要なんです。その計画をつくらなきゃいけない、そのために経済産業省に来てほしいというんです。

 実際、この高浜版コンパクトシティー構想をつくるのはいわゆる政策推進室ですが、先ほど見ていただいた資料、配付資料の二の二番目の方は政策推進室長を何年もやられているわけです。

 つまり、経済産業省というのは、プルサーマル発電という、そのものへの対応についても副町長などの形で関与し、そして、それに伴って交付される交付金の前提となる地域振興計画づくりという点でも主導的な役割を果たしていた、こう言えるわけであります。

 大臣にお聞きしますが、まさに経済産業省と高浜町が一体になって、町長の言葉をかりれば、プルサーマルによる原子力立地のモデルケースをつくる、そういう役割を政府が果たしてきたということじゃないですか。

菅原国務大臣 藤野委員御案内のとおり、電源立地交付金については、地域の振興のために、原子力や水力や火力、こういった電源が立地をする市町村等に対して交付をされるものであります。その使途は、適切性については各市町村が確認をするということになってございまして、あわせまして、この交付金そのものはルールで額が決まっております。したがって、出向者が来たからといってその額がふえるというものではないわけでございます。

藤野委員 私は別に、出向者が来たからということは言っておりません。

 大臣先ほどおっしゃったように、この交付の前提は地域振興計画であります。それに基づいて交付するわけですよ。しかし、そこにも経産省がかかわっているわけです。ですから、私は、今回の問題にも連なるようなこの問題で、政府の責任というのは極めて重いというふうに思います。

 そして、当時はどういう状況かといいますと、国が核燃料サイクルの柱と位置づけていた高速増殖炉「もんじゅ」、これがもう事実上破綻しているわけです。ずっと動かない。そういうもとで、この核燃サイクルが回っているかのように、ある意味一つの方策として行われていたのがプルサーマル発電であります。ですから、国としても必死でこのプルサーマルを推進していた、そういう時期であります。

 しかし、先ほど言ったように、プルサーマルというのは核のごみを再利用するようなものですから、危険なわけです。危険だということですから、住民の反対運動も大きくなる。全国各地で反対運動が起きていたわけですね。

 例えば、私も北陸信越ブロックで、福井も地元ですが、新潟県もあります。この新潟県にある柏崎刈羽原発、この地元の刈羽村というところでは、プルサーマル導入についての反対の声が広がって、二〇〇一年には住民投票が行われて反対が多数になって、とうとう東電は導入を断念せざるを得なくなりました。そういうこともあるわけですね。

 逆に言えば、そういうことが高浜町で起きたら、これは本当に大変なことになる。関電だけでなく、何としてもプルサーマルを進めたいと思っている政府にとっても大問題だった。

 そして、住民に不評な原発政策を推進するとき、そういうときというのは、ある意味で、今回の森山氏のような、そういう方の出番になってくるわけです。

 大臣にお聞きしたいんですが、この方々は、十年以上にわたってずっと、地元中の地元の役場にいらっしゃったんですね。よく事情を御存じじゃないかと思うんです。この出向者の方々に聞き取り調査をする必要があると思うんですが、いかがですか。

菅原国務大臣 実は既にいたしまして、今回の事案が起きたものですから、とりわけ高浜町に出向していた経緯があるものですから、現在いる者を含めて四名に聞きましたところ、今回の、関西電力役職員が森山氏から金品云々という、この事実については全く事情を知らされていなかったということでございました。

藤野委員 いつ、どのような調査をされたか、これはちょっと伺っていないので、また改めてお伺いしたいと思いますが。

 まさに、関電は、盆暮れ、正月、森山さん詣でをしていた、こういうことも報告書にも書かれております。そういう年中行事のように、節目節目でそういう状況が、十年以上地元にいらっしゃって、聞いたこともない、見たこともない、そっちの方が不自然じゃないですか。

 大臣自身がそれが事実とすれば言語道断だとおっしゃるような、そういう業者との関係が全くそれはなかったと。本当にそれは、大臣、信じられるんですか、そういう報告を受けたとして。

菅原国務大臣 あの九月二十七日の報道が出た後に、省内でその四名に確認をしたわけでございますので、そうした、先ほど申し上げたとおりでございます。

藤野委員 私が申し上げたいのは、やはり経済産業省自身がこの問題に深くかかわっているわけであります。プルサーマルという国策を推進しよう、プルサーマルによる原子力立地のモデルケース、そこに高浜をしようじゃないかということで、人も送り込み、そして知恵も出し、一緒に一体となってこの高浜のまちづくりをやってきたわけです。そこに森山さんがいらっしゃったわけですね。それで全く関係がなかったなどというのは、到底私は信じられない。これは引き続き追及していきたいというふうに思います。

 そのためにも、ちょっと委員長にお願いしたいんですが、やはりこういったことをしっかりと明らかにする上でも、関電の経営者を始めとした関係者の参考人招致、そして集中審議、強く求めたいと思います。

棚橋委員長 理事会において協議をいたします。

藤野委員 もう一点お聞きしたいのは、関電の報告書で肝心の部分が黒塗りにされている点であります。

 まさにノリ弁当のようなページが何回も続くんですけれども、ここには、例えば、吉田開発という問題になっているところに対して、いわゆる報告した、こういうふうにやりますよと森山さんに報告した金額とか、そして、実際の契約金額、あるいは、一個挟んで元請がいる場合は元請のいわゆる金額とか原契約の金額とか、大変大事なものが含まれているんですね。実際に報告された金額と実際の契約金額というのがここに書かれていますよと書いてあるわけです。しかし、これが黒塗りにされている。

 経産大臣に確認したいんですが、経産省は関電から、この墨塗りが取れた資料をもらっていると聞いております。事実でしょうか。

菅原国務大臣 白紙のもの、ノリ弁でないものがあります。

藤野委員 それじゃ、白紙じゃなくてちゃんと数字が書かれていると思いますけれども、国会に提出してください。

菅原国務大臣 どうも失礼しました。

 黒塗りにされていないそのものをいただいています。(藤野委員「だから、提出してください」と呼ぶ)それについては理事会にお諮りしたいと思います。(発言する者あり)国会の議員の方からの資料の要求というのは、当然、経産省としても可能な限り協力をしたいという思いがございます。

 しかし、この関電の公表した報告書、その黒塗りの部分は、吉田開発等の名前は出ています。ところが、ほかの特定の会社や団体や個人名、また発注先、契約価格等についての記述もございますから、その辺はそういう対応も必要である。

 なかなか、公開することの可否については、関電に改めて確認をしているわけですが、今申し上げたような取引情報等、ここはなかなか公開ができないということであります。

藤野委員 いや、公開できないのはおかしいと思うんです。

 今回の報告書では、関電側が勝手にサンプルを選んで、それについてはそれなりに正しかったみたいなことを、自分が選んだサンプルについては言っているわけです。それじゃ納得できないわけです。

 この吉田開発が取引した中には、森山元助役が長年にわたって顧問などを務めてきた会社もあるわけですね。双方に利害関係者がいるのではないか。そういうものを例えば我々は見れないわけです。経済産業省は持っているわけです。お持ちなんだから、出してください。

菅原国務大臣 関電が公表したその報告書、黒塗りの部分については、繰り返しになりますが、特定の会社、団体、個人名、発注先、契約価格等が出ています。それは、今回の事案に関係ないものもございますから、当然、そういう意味において、そこはそういう対応をしなければならないと思っておりますし、いずれにしても、一昨日立ち上がった第三者委員会、ここでその中身を徹底調査をして原因究明をするというふうに見ておりますから、それを、報告をいただいて、公表していただきたいと思っています。

藤野委員 今、関係ないとおっしゃいましたが、どうやってそう判断できたんですか。関係ないとおっしゃいましたけれども、今回の事案に。どうしてそう判断できるんですか。

菅原国務大臣 いいですか。今回の森山氏のかかわる流れのことについて、例えば吉田開発等は名前が出ています。そういったところはオープンになっています。そうではなく、その他の企業等の名前については黒塗りをしていますからということでございます。

藤野委員 いや、これは、その他とおっしゃられた企業も含めて、全体像、わからないじゃないですか、まだ。それも含めて、まだ調査中だと言っているわけです。当事者も言っている。

 ですから、私たちは国会として、国会の立場でこれを明らかにしなければならない。しかも、経産省は持っている、資料を。何で隠すんですか。国会に隠さずに出してください。

菅原国務大臣 ここにその報告書、黒塗りのやつがありますが、吉田開発等の名前は出ているんです。黒塗りになっているのは、今回の事案に関係ない、いわゆる契約価格あるいは発注元、発注先、こういったもののところを消しているわけでございますから、そういう御理解でいただきたいと思います。

藤野委員 総理にお聞きします。

 やはりこれは総理の指示で、大臣に、持っているんだから、国会に提出しろと、総理、言うべきじゃないですか、真相解明のために。

安倍内閣総理大臣 政府が持っている資料について、まず、委員会から御要請があった段階において、政府としてどう対応すべきかということを判断したい、このように思います。

棚橋委員長 藤野保史君、恐縮ですが、申合せの時間が。

藤野委員 はい。

 全く納得できません。やはり委員長に、この資料の提出を国会にするように強く求めたいと思います。

 そしてその上で、最後に、やはり国策として原発を推進してきた、そのもとで、ゆがみが押しつけられ、住民の皆さんの多くは、中には、やはり物が言えない、そういう空気で苦しんでいらっしゃる方もずっといらっしゃるんですね。今回、そうした声なき声を国会議員たちが、私たちが受けとめて、今度こそ必ずこの真相を晴らしていく、闇にメスを入れる、そうしなければならない。私もそのために全力を尽くすという決意を申し上げまして、質問を終わります。

 委員長、答えてください。

棚橋委員長 先ほどの件につきましては、後刻、理事会で協議をいたします。

藤野委員 終わります。

棚橋委員長 これにて宮本君、藤野君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 皆さん、お疲れさまです。日本維新の会の馬場伸幸でございます。

 まず冒頭、刻一刻と台風十九号、迫ってまいりました。政府におかれましては、万全の体制をよろしくお願い申し上げたいと思いますし、関東直撃ということだそうでございますので、千葉の皆さん方もまだまだ傷跡が癒えていないと思います。関東方面の皆様方には、ひるむことなく、自分の身を守るということについて早い行動をとっていただくように、お願いを申し上げておきたいと思います。

 総理、きょうで安倍総理の通算在職期間が二千八百四十七日になりました。来月のたしか十九日だったと思いますが、この日を迎えると桂総理よりも在職日数が長くなるということで、非常に長期の安定政権になっていると思います。

 総理は、なぜこういう安定した長期政権が築かれていると思われるか、お答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 我々、二〇一二年に政権を奪還して以来、いわば、我々に課せられた使命とは何か、この使命感のもとに、まさに日本を取り戻す、経済の再生に全力を挙げてきたところでございます。

 日々の努力の積み重ねであり、その間、六回国政選挙に臨んだところでございますが、その国政選挙を通じて国民の皆様から力強い御支援をそのたびごとにいただいた結果、今日に至った、こう思っておりますが、これにおごることなく、謙虚に、丁寧に国民の負託に応えてまいりたい、このように考えております。

馬場委員 おっしゃられたとおりだと思いますが、国民側から見れば、私は、安倍政権というのは、やるべきことを決める政治、決めなければならないことは決断するというところが高い支持率を保っているんじゃないかなというふうに思います。

 一方で、今の日本については、まだまだ決めていかなければならない、決断していかなければならない、そういう難題がたくさんあるのではないかなと思います。

 外務大臣もいろいろ御苦労いただきましたが、これから、いろいろな諸国との貿易交渉であるとか、安全保障の問題、また拉致の解決をどうしていくのか、北方四島はどうすれば返ってくるのか。国内では、これからの社会保障、新しい抜本的な改革を行わなければ、これらの制度が創設されたときの前提条件が今はもう大きく変わっていますので、こういったことを踏まえた制度改革というものにも取り組んでいかなければならないというふうに思います。

 そういった中で、眼下の重要な問題として、私は東京電力福島第一原発の話があると思います。

 これは、本会議でも私の方からも質問させていただきましたが、そのとき総理は、この処理水の問題については、科学的かつ丁寧な議論の上に結論を出していくという御答弁をいただきました。

 我々は、この福島の第一原発、去る十月の一日に、国会議員団八名で現場の視察に行ってまいりました。

 そもそも、我が党の松井一郎代表が、この処理水の問題については、科学的な根拠があれば、科学的に安全だという証明がなされれば大阪湾に放出してもいいという発言をいたしました。

 思い起こせば、東日本大震災が起こった後、汚染されていない廃棄物、瓦れきですね、こういった瓦れきについては、福島、東北地方だけでは処理することができないということで、応援要請がございました。日本の中でこの応援要請に応えて瓦れきの処理をさせていただいたのは、私の地元であります大阪だけということでございます。これは、当時、松井知事、大阪市長が橋下徹だったと思います。

 ただ単にこういった瓦れきを受け入れるのではなく、準備期間として、十分に、府民、市民の皆様方に、何度も何度も説明会を開いて、これは大丈夫なんだという科学的データに基づいた説明を行った上で理解を求めていった。

 その結果、当初、ひどかったんですよ、私も説明会に一回行きましたけれども。大阪の子供を殺す気かというような、そういうやじが飛ぶような、怒号が飛び交っているような説明会でありました。しかし、何度も何度もやることによって、瓦れきに対する理解が深まった。

 私は、今回のこの処理水の問題についても、科学的な部分での安全性の証明というものはもちろんですけれども、こういった風評被害をどう払拭していくかということが大事だと思います。

 きょうは、まず、科学的な安全性というものを改めて国民の皆様方に聞いていただくということで、パネルを用意をしてまいりました。このお手元の資料をごらんいただきたいと思いますが、処理水タンクでの保管状況という資料でございます。

 八二%と書いてありますが、これは、八二%の水については安全基準を上回っている、そういった処理水であります。

 一番左の、ブルーで書いてある、一八%と書いてある処理水が、すぐに放出ができるというふうに理解をしていますが、それで間違いないでしょうか。

須藤政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。

馬場委員 安全基準をクリアしているということでいいんですか。

須藤政府参考人 失礼をいたしました。

 この一八%については、仮に処分をする場合に、排出の基準を満たしているというものでございます。

馬場委員 一八%については安全基準をクリアしているということでございます。

 八二%については、これは希釈か何かをしないと放出はできないという理解を持っていますが、それでよろしいですか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 御質問にありましたとおり、この部分につきましては、規制基準を下回るまでの希釈が必要であります。

馬場委員 ということは、八二%の水、これは大量の量があるんですね。私も現場を見てきましたが、もうタンクがどんどんどんどん埋まってきている、置場が埋まってきている状況です。試算によるとあと二年少しでタンクの置場もなくなってしまうということで、私は、これはもう時間がないと思うんですね。ですから、一刻も早くこの八二%分の水については、もう一度ALPSの機械を使って安全基準以下まで下げるという作業が必要だというふうに思います。

 やはりこの処理水を完全に処理してしまわないと、同時に、除染廃棄物、これも、大きな谷とか沢の部分また平地を掘って、どんどんどんどん除染廃棄物を今埋めているという現場も見せていただきました。また、福島原発の敷地自体が、もう既に、そういったタンクであるとか一般的な廃棄物、こういうものの置場で全く足の踏み場もないという状況なんですね。

 ですから、廃炉に向けたいろいろな作業もしていますが、もう重機もぎりぎりのところを無理やり入れているというような情景でありましたので、私は、福島の安全を取り戻すという観点では、この処理水を処理していくということを始めないと全ての作業に影響が出てくるのではないだろうかというふうに危惧をしていますし、科学的にALPS等で除染された処理水については海洋に放出するということは、委員長も既に何度か委員会の場等で御発言をされていると思いますが、もう一度、その点について確認させてください。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子力規制委員会としましては、規制基準を満足する形での処理済み水の海洋放出については、科学的、技術的観点から環境への影響は考えられないというふうに認識をしております。

馬場委員 今の委員長の答弁で、科学的にこの処理水については大丈夫だという、やはり、学識経験者の方ですから、おっしゃられたことに大変な重みがあると思いますので、私は、この言葉を国民の皆様方に聞いていただいて、福島のこの処理水が安全なものであるということをぜひ再度認識をしていただきたいというふうに思います。

 また、それを裏づける問題として、実は、世界でもどんどんどんどんトリチウムの処理水というものが排出されているんですね。

 この世界地図、お配りしていますので、ごらんいただきたいと思いますが、世界各国で、兆単位のベクレルの処理水が海洋に放出をされています。そして、実はこの資料は、昨年の夏でしたか、福島で開催された公聴会で政府が提示した資料なんですね。世界でこれだけのことがあるんだよということはよく御理解をいただけると思いますが、これ、皆さん、不思議だと思われませんか。日本の地図がここにはないんですね。

 そこで、我が党としては、日本の地図も用意してきました。これが、日本の各原発、再処理施設からのトリチウムの年間放出量なんです。これを先ほどの世界地図と照らし合わせていただくと、何ら、日本だけが異常にトリチウムの処理水を放出しているということがないということを御理解いただけると思うんですね。

 これ、なぜ去年の夏の公聴会のときに出さなかったのか。ちょっと、その理由をまず教えていただけますか。

菅原国務大臣 まず、処理水の、どう扱うかについては、ALPS小委で今議論をしておりますから、馬場先生お話があったような、海洋放出もありますし、大気に放出する等々、五つ、六つの方策がございまして、五つの方策がございますが、それをしっかりと小委の報告を受けて判断をしていきたい、このように思っております。

 今御指摘の、その世界地図の中に日本がなぜないんだ、そしてまた、日本各地での、地図のお話もございました。

 これにつきましては、処理水の処分方法や処分した際の懸念等について広く国民から御意見をいただくということになってございますが、この説明・公聴会の際に、参考事例といたしまして、国内外の原子力発電所で液体廃棄物を海洋に放出しているところの説明があったわけでございます。その際、トリチウムの放出が世界的に広く行われているということを示すために、海外の事例については、個別の原子力の施設の放出量もお示しをしたわけでございます。国内の事例については、個別の放出量を示さなくても、全体像をお示しをすることで十分であるというふうに考えたもので、そのような状況になったわけでございます。

馬場委員 大臣、いろいろおっしゃいましたけれども、やはりこういうことをオープンにしていくということが風評被害を払拭する一助になると思うんですね。

 世界のほとんど行ったことのない国々の、その処理水のデータを見せても、日本の方は、どこかの国のことだから関係ないでしょう、そういうふうに思うと思うんですね。

 ですから、今後は、そういった公聴会、また、東京電力がいろいろな資料も配付をされておりますので、こういったわかりやすい資料、自分たちが日々生活をしている中で原発がどういうことになっているのか、どういう処理水がどういう形で処理されているのか、こういうことをどんどんどんどん情報をオープンにすることによって私は理解が更に深まると思いますので、ぜひそういったことを大臣の方から御指示をいただきたいというふうに思います。

 そして、国内ではそういった日々の努力が肝要であると思いますけれども、これは世界の国々にもやはりどんどんどんどんと言っていかないといけないと思うんですね。

 この間、IAEAの年次総会がありまして、お隣の韓国が、今関係がよくないということもあるのかどうかわかりませんが、御丁寧にこの福島第一原発の処理水の問題をじゃんじゃんじゃんじゃんとアピールしてくれたんですね。

 こちらの方で調べましたら、韓国原子力学会というのがあります。この韓国原子力学会の資料を取り寄せて調べました結果、二〇〇四年から二〇一三年まで、韓国全体で約六千兆ベクレルのトリチウムを排出しているんですね。

 たしか一番大きいと思うんですが、二番目ですか、韓国の主要な原発であります月城という原発がありますが、ここは三千兆ベクレルという処理水を排出しています。福島の処理水のトリチウム、一千兆ベクレルということで、その三倍近くも放出をしているんですけれども、自分のところのことは言わないで人の国のことを言うという状況であります。

 IAEAに行かれた竹本大臣、これを韓国が発言されたときに、いやいや、おかしいだろう、あんたの国もこんなことをやっているだろうというような発言はされましたか。

竹本国務大臣 九月十六日にウィーンで開かれましたIAEA総会へ出席してまいりました。

 それで、実は、天野事務局長さんが先般亡くなられましたので、その追悼演説を会場で行いました。百五十二カ国と、約三千人ぐらいの方が来ておられたんですけれども、天野事務局長は原子力の平和利用と開発利用を推進された方ということで高く国際的に評価されておりまして、それなりの訴えが十分できたと思いますが、それに引き続きまして、我が国の原子力政策について私が説明をいたしました。

 東電福島第一原発事故に係る我が国の取組に関して、政府代表といたしまして、処理水の最終的な取扱いについては現在検討中であるということ、二番目に、処理水の取扱いを含めて国際社会に対して透明性を持って丁寧に説明をしてきていること、第三に、事実や科学的根拠に基づかない批判を受けることがある点については、我が国が透明性を持って丁寧に公表している情報や、IAEAの報告書の内容を踏まえ、公正かつ理性的な議論を行うよう全ての国に対して強く求める、こういうことを私の方からスピーチをいたしました。全ての国ですから、韓国も入っております。

 韓国の演説は私より後に行われたために、私の演説は全ての国への要請の形をこのようにとったわけですが、その後の韓国の演説に対しては、もう一人の政府代表を務めました引原在ウィーン代表部大使からしかるべく反論をいたしております。

馬場委員 そういうことが全くこの国内には残念ながら伝わってきておりません。

 ですから、やはり、事あるごとに、外交の場ですから、強く主張をしていかないと、言われて、ほったらかしという状態になれば、それでもう負けと認めたということになるのが外交上の常識だと思いますので、ぜひ強くこれからもこういった問題について、世界各国がやっているんだ、そして、日本もその安全基準の中で対応しているんだということを強く主張していただきたいというふうに思います。

 いろいろ我々も、現場も見て、勉強もさせていただきました。党内にタスクフォースというのをつくって、福島第一原発処理水に関する緊急提言というのもつくっておりますので、まだ御希望の方がいらっしゃれば、無料でお渡しさせていただきますので。これが最新の情報でございますので、よろしくお願いいたします。

 こういう議論をしておりましたら、私が感じるのは、原子力規制委員会の方は、前の田中委員長さん時代から、一貫して、海洋放出しかないんだということを主張されてこられていると思います。片方の経済産業省の方は、風評被害があるんだということを言いわけにして、結論を出すのを先延ばししているように見えます。

 規制委員会と経産省の立場、大きく違うと思いますが、これ、どうしてなんでしょう。

菅原国務大臣 先ほど、委員会の更田委員長からお話があったように、科学的な見地に基づいて安全性が確保されれば、海洋放出が唯一の現実的な方法だというお話がありました。一方で、更田委員長は、同時に、この事故を経た炉心を一旦通ってきた水に対しては心理的な抵抗があるのも当然でありますから、その風評被害を心配する声にも配慮する必要があるというふうにも述べています。

 そういった中で、規制委員会と経産省と考え方がそこは一致をしているというふうに思っておりまして、いずれにしても、ALPS小委で早晩結果を出す中で判断をしていきたい、こう思っております。

馬場委員 早晩とおっしゃいましたが、大臣、具体的にはいつごろですか。

菅原国務大臣 何度か会議を重ねてきております。早晩というのも、すぐという意味もありますが、あくまでもその独立したALPS小委員会において、さまざまな科学的な知見を集約をさせた中で最終的な報告、答申が出ると思いますから、そこをしっかり待ちたいと思っております。

馬場委員 きょうの議論を聞いていただいた国民の皆さん方は、科学的には安全だということをよくもうわかっていただいたと思います。念押しのために、もう一つの資料だけちょっと披露しておきたいと思いますが、これは放射線被曝の早見表なんですね。パネルにさせていただきました。

 この右側の自然放射線というところをごらんいただきますと、もう日常的に、我々、この地球で生活をしている者はおのずと被曝している。宇宙からは〇・三ミリシーベルト、食べ物からも〇・九九ミリシーベルト、こういった形で、東京―ニューヨークを往復すると〇・一ミリシーベルト、こういうことで、どんどんどんどん被曝をしているわけですね。

 ですから、トリチウムが安全とは言いません、安全とは言いませんけれども、科学的にも大丈夫だという処理水、そして、この早見表を見ていただいても、トリチウム、一万ベクレルで、私の計算によりますと〇・〇〇〇一九ミリシーベルトなんですね。ですから、この早見表よりもずっとずっと下の状況がこのトリチウムの処理水ということでありますので、ぜひ、風評被害を払拭するということに力を入れていただいて、この処理水の問題については早期に決着を図っていただきたいと思いますが、この風評被害を払拭するという問題について、何か経産省なり規制委員会の方で具体的な考えというのはございますか。

菅原国務大臣 ALPS処理の中で、ストロンチウムとセシウムは既に終わっています。トリチウムをしっかり放出をするということの中において、一方で、ALPSの浄化後は他の原発から放出されている処理水と科学的に同じものであったとしても、事故を起こしてしまった福島の原子力発電所で発生した処理水ということで、やはり不安を感じられる方もおられますから、そういったことを、しっかり地元の皆様の声、また各地の声をしっかり真摯に受けとめながら、また向き合いながら、この扱いについては丁寧に議論をしていきたい、そして結果を得ていきたい、こう思っています。

馬場委員 教科書どおりのお答えだと思いますが、目に見える形でやはり安心感を持っていただけるようなアクションを起こさないと、なかなか一般の国民の皆様方に安心感を持っていただくということはできないと思うんですね。

 我が党に所属しております鈴木宗男参議院議員に聞きましたら、六ケ所村の再処理施設ですか、「もんじゅ」ですか、あれが建設されたときに、当時、担当大臣だった中川一郎大臣が上の服を脱いで、その「もんじゅ」に抱きついたというんですね。それを見て皆さんが、ああ、この施設というのは、このプラントというのは大丈夫なんだなという安心感を持ったという話をこの間教えていただきました。

 笑っておられますけれども、本当に、そういうことなんですよ。民主党政権時代に、園田政務官ですか、トリチウムの水を飲んだと。あれ、確認しましたら、どうも違うみたいですけれども。この間、行って確認しました。持ってこいと言うたんですけれども、処理水を。ないと言われてしまいまして、持ってこれないというふうに言われてしまいました。

 そういうようないろいろな方策を使って、目に見える形で安心感を持っていただくということにこれから傾注していただきたいなと思いますが、先ほども申し上げましたように、この処理水がどんどん処理されていくと空きスペースも出てきますので、次は中間貯蔵施設の除染廃棄物、これに移っていけるということになります。

 これは細野大臣の時代ですか、二〇一五年だったと記憶しておりますが、この中間貯蔵施設の除染廃棄物は、一旦貯蔵するけれども、三十年以内に県外に出しますと約束しているんですね。これはどういう根拠で約束したのか、小泉大臣に来ていただいていますので、そのときの経過、御存じであればちょっとお答えいただきたいと思います。

小泉国務大臣 御質問いただきました、三十年以内、この約束の根拠はということでありますが、先ほど馬場先生、二〇一五年というふうにおっしゃいましたところ、これは二〇一四年の平成二十六年に、三十年以内、県外で最終処分、このことを方針として定めた法律が成立をしたところであります。

 今、この除去土壌を減容化、減容化というのは減らすということでありますが、その減容化の技術開発、そして再生して利用をする、そのための実証、この事業の推進を今やっているところでもあります。

 そして、その後に、最終的に、最終処分という場所、そしてその構造、面積、これというのは、まさに、どれだけ減らすことができるか、どれだけ再生利用ができるか、そういったことについても大きくかかわってきますので、まずは、担当の環境省としても、安全第一ということをしっかりと守りながら、地元の皆さんの御理解も含め、この減容化、そして再生利用、しっかりと理解を得られる形で丁寧に進めてまいりたいと思っております。

馬場委員 この問題は非常に難しいと思います。汚染されていない瓦れきの処理について協力した都道府県というのは、大阪だけです。これ、除染されたとはいえ、汚染されている、汚染されていた土壌ですので、なかなか協力をしてくれるところというのは、私は手が挙がらないんじゃないかなと思います。

 そういう意味で、三十年といいますけれども、もうあと二十五年ですから、時間があるようでないというのが現実だと思います。

 小泉大臣は三十年たたれたらお幾つになるのかよくわかりませんけれども、必ず御活躍されていると思いますのでね、三十年後も。もう我々は多分この世にはいないかもわかりませんけれども。将来の子供たちのためにも、この問題については、非常に発信力のある誠実な小泉大臣だというふうに私は思っていますので、ぜひ、こういったことに先頭を切って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 私は、恥ずかしながら、この福島の第一原発、第一号機、第二号機、第三号機、第四号機、目の前で生で視察をさせていただいたのは今回が初めてでした。私は、そのプラントの前に立ったときに、この原発のプラントが、もうむちゃくちゃになっているわけですね、何かプラントが泣いているような、そういう感じを受けとめました。それ以上に福島の方が、今まで大変な御苦労と痛みを持ってこられたというふうに思います。

 ぜひ、福島また東北の皆様方が安心して安全に暮らせるような、そういう地域を取り戻すということに、この問題を絶対に風化させないという思いで私たち日本維新の会もこれからも取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、順番が変わってしまうかもわかりませんが、ちょっとびっくりするものを見つけました。これ、全国市議会議長会がことしの八月に出しているパンフレットです。これは、もう直前に入手しましたので、資料としては皆様方にお配りはさせていただいておりません。

 これ、何が書いてあるか。「厚生年金への地方議会議員の加入について」というパンフレットなんです。これは、私、前回ここへ立たせていただいたときにも、総理とこの議論はさせていただいた記憶があります。

 要は、どういうことになっているのか。これ、テレビをごらんの皆様方もよく御理解をいただきたいというふうに思うんです。

 地方議員というのは、国会議員もそうですけれども、かつては年金というものがありました。よく皆さん恩給恩給と言いますが、恩給ではありません。自分で掛けている年金でございます。

 私の場合は、二十年間市会議員をさせていただいて、二千万掛金を掛けましたが、平成の大合併等によりまして保険料が全く集まらないというような危機的状況を迎えて、平成二十三年にこの地方議員年金制度というのは廃止になりました。二千万、私、掛けたんですけれども、返ってきたのが、麻生大臣、千六百万。嫁はんに怒られました。何で、四百万、どこに消えたんやと言うてね。

 そういう経過があってこの地方議員年金というのは廃止になったんですが、これを再び復活させる、私たちは復活させると言っています。

 このパンフレットによると、年金制度とは違いますというふうに書いているんです。厚生年金に入ってもらうんです。地方公務員が入っている共済組合ですか、そちらの方に入ってもらうということを言っています。

 今、働き方改革等でパート労働者の皆様方にも厚生年金に入るようにと政府の方も推奨をしておりますし、現場ではそういうことは徐々に進んでいると思います。

 ところが、地方議員というのは個人事業主という位置づけになると思いますが、この地方議員も厚生年金の組合に入るということが今回の狙いだそうでございますが、これ、ひどいんですよ、大臣、書いてあることが。

 本年四月末現在、加入実現を求める意見書をどんどん採択せいというのがこれは書いてあるんですけれども、その採択件数が三百四十四市区議会しかない、四二%しかないんだ、だからもっともっとやらんかいというのがここに書いてあるんです。それで、御丁寧に、厚生年金への加入については消極、反対の立場の議会もありますが、それぞれの事情を拝察いたしておりますが、市議会議長会の総会で決議がされましたので、各議会で必ず頑張ってやってくださいと。

 どうですか、御感想。

高市国務大臣 地方議員の方々の年金のあり方については、さまざまな御意見があると思います。

 今委員がお示しになったパンフレットを私拝見しておりませんのでコメントのしようもありませんけれども、厚生年金に加入をすることについては、国民の幅広い政治参加ですとか地方議会における人材確保から必要だという考えがある一方で、この間、本会議でたしか総理に質問されていたように思うんですけれども、やはり、毎年度、年金で約百六十億円、そして医療保険で約百億円という公費負担があるという課題もございます。

 それからやはり、厚生年金の加入者というのは、厚生年金の適用事業所に使用される者、すなわち被用者であることが要件でありますし、現行法では地方議員はその被用者には当たらないだろうとされています。また、あと、労働時間要件にも触れてしまう、当たらないということになってしまっていると思います。

 今後議論されるべきことなんだろうと思います。

馬場委員 実際、地方議員の方に聞いてみると、地方議員は、御存じのように、兼業をされている方、自分で御商売されている方なんかも多いんです。ですから、そういう方々は既に厚生年金に入っていますし、特に若い世代の皆さん方は、こちらの厚生年金にも強制的に加入させられるということになると、毎月の可処分所得が減るだけなんです。その厚生年金が幾らふえるか試算しないとわかりませんけれども、現役世代の手取りが減るということについて反対という地方議員さんもたくさんいらっしゃいます。

 先ほど大臣もおっしゃったように、この年金制度、厚生年金加入ということになると、税金でですよ、税金で年間約二百六十億円、この二百六十億円を裏打ちするということになるんです。

 ですから、これは一般の商売人の方は怒っていますよ。何で、我々は国民年金しか入られへんのに、議員はまたそういうことを特別な制度をつくってやるんだということを言われている方がたくさんいらっしゃいますし、このパンフレットには、市議会議員の厚生年金を復活させて、都道府県議会や町村議会とも連携しながらと書いているんです。ということは、地方議員全員の厚生年金を創設しようという狙いが見え見えです。

 そして、恐らく、地方議員さん全員が厚生年金に入ったら、国会議員も、我々も、みんなで渡れば怖くないという状況で復活をしていくのではないかと。

 我々は身を切る改革ということを標榜していますので、こういうことについてはもう絶対に反対をしていくということを考えておりますので、こういう本当にふざけたパンフレット、大臣からも注意しておいてくださいね。だめですよ、こんなの。ぜひそれはお願いしておきたいと思います。

 持ち時間がもう残りわずかとなってまいりました。最後に、憲法改正、議論させていただきたいと思います。

 憲法改正については、もう総理から、この臨時国会においても、たび重なる御答弁もございました。

 私は、テレビの討論番組とかでも言いましたけれども、この間は参議院選挙前に憲法審査会があったんですね、ことしの通常国会。憲法審査会はボイコットするんですね、日本維新の会以外の野党はボイコットをする。その夜にテレビの討論番組で憲法議論になれば、どんどんどんどんいろいろな闊達な意見をおっしゃるんですね。何か悪いブラックジョークかなというふうに思いますけれども。

 やはり、もう議論をしてくれという国民の数は相当私の周りでもふえてまいりました。今まで憲法というと、票にならない、何か難しくてわからない、相互にそういう思いがあったかもわかりませんが、いよいよ、憲法改正、どういうことですかという質問も数多く聞かれるようになってまいりました。

 ぜひ、この臨時国会では憲法審査会を開いて、そして、懸案であります、まず国民投票法の改正の採決をするということから始めていただきたいと思います。

 これは、野党ばかりが悪いのではなくて、与党の皆さん方もちょっと本気になっていただかなあきません。これ、重要法案でしたら、手練手管を使って、政府・与党の皆さん方は、もうありとあらゆる方策を用いて審議入りをする、議論をする、強行採決と言われても採決まで持ち込むというやはり本気度があるんですね。

 憲法審査会の方は、私も幹事会に入れていただいて末席に座らせていただいておりますが、現場の方の大変な御苦労というのも横では見させていただいております。でも、最後の一歩というのがなかなか前に進まないというのが私が生で感じる状況ですので、総理、勢いのある答弁を何度もいただいておりますので、もう答弁は結構ですけれども、ぜひやっていただきたい。

 御存じの方はいらっしゃると思いますが、私は初代憲法調査会会長の中山太郎衆議院議員の秘書を務めさせていただいてまいりました。そういう立場からいえば、やはり、後世のために非常な苦労をして憲法調査会、憲法審査会に進んできたこの審査会を実際に稼働させていくということに私自身も力を入れていきたいと思いますし、一番私、気分が悪いのは、野党の皆さん方はすぐ、憲法審査会の話になると、中山方式と言うんですが、中山方式ではこうでしたと言うんですけれども、中山太郎衆議院議員のその思いは、憲法を改正するという思いでこの作業に、難しい作業に取り組んできたわけでありますので、憲法審査会という場は憲法を改正するための議論をするという場ですので、余り軽々しく中山方式と言わないようにしていただきたいなというふうに思います。

 中山太郎衆議院議員のまな弟子でありました私、まあ、まな弟子と自分で言うのも変ですけれども、が常日ごろ感じていることでございますので、それを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて馬場君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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