衆議院

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第6号 令和2年2月4日(火曜日)

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令和二年二月四日(火曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君

   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      あべ 俊子君    秋本 真利君

      井出 庸生君    伊藤 忠彦君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      うえの賢一郎君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小田原 潔君

      小野寺五典君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      金子 俊平君    神山 佐市君

      河村 建夫君    笹川 博義君

      繁本  護君    武部  新君

      長尾  敬君    根本  匠君

      原田 義昭君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    村上誠一郎君

      山口  壯君    山田 賢司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    伊藤 俊輔君

      今井 雅人君    小川 淳也君

      大河原雅子君    大西 健介君

      岡田 克也君    岡本 充功君

      川内 博史君    黒岩 宇洋君

      玄葉光一郎君    源馬謙太郎君

      後藤 祐一君    階   猛君

      田嶋  要君    辻元 清美君

      中谷 一馬君    西岡 秀子君

      日吉 雄太君    本多 平直君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      宮川  伸君    山川百合子君

      柚木 道義君    國重  徹君

      濱村  進君    笠井  亮君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      足立 康史君    杉本 和巳君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣

   国務大臣

   (マイナンバー制度担当) 高市 早苗君

   法務大臣         森 まさこ君

   外務大臣         茂木 敏充君

   文部科学大臣       萩生田光一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      梶山 弘志君

   国土交通大臣

   国務大臣         赤羽 一嘉君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    小泉進次郎君

   防衛大臣         河野 太郎君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (復興大臣)       田中 和徳君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国家公務員制度担当)

   (防災担当)       武田 良太君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (海洋政策担当)     衛藤 晟一君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     竹本 直一君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (地方創生担当)     北村 誠吾君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)

   (男女共同参画担当)   橋本 聖子君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増島  稔君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           赤松 俊彦君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小出 邦夫君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    水嶋 光一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         藤澤 勝博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  岡  真臣君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月四日

 辞任         補欠選任

  今村 雅弘君     金子 俊平君

  岩屋  毅君     山田 賢司君

  小倉 將信君     勝俣 孝明君

  河村 建夫君     伊藤 忠彦君

  古屋 圭司君     長尾  敬君

  村上誠一郎君     井出 庸生君

  今井 雅人君     柚木 道義君

  小川 淳也君     黒岩 宇洋君

  大西 健介君     田嶋  要君

  岡本 充功君     階   猛君

  川内 博史君     岡田 克也君

  玄葉光一郎君     西岡 秀子君

  辻元 清美君     大河原雅子君

  本多 平直君     伊藤 俊輔君

  馬淵 澄夫君     日吉 雄太君

  宮本  徹君     笠井  亮君

  杉本 和巳君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     村上誠一郎君

  伊藤 忠彦君     武部  新君

  勝俣 孝明君     小倉 將信君

  金子 俊平君     繁本  護君

  長尾  敬君     古屋 圭司君

  山田 賢司君     小田原 潔君

  伊藤 俊輔君     山川百合子君

  大河原雅子君     辻元 清美君

  岡田 克也君     川内 博史君

  黒岩 宇洋君     小川 淳也君

  階   猛君     岡本 充功君

  田嶋  要君     大西 健介君

  西岡 秀子君     玄葉光一郎君

  日吉 雄太君     馬淵 澄夫君

  柚木 道義君     今井 雅人君

  笠井  亮君     宮本  徹君

  足立 康史君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     岩屋  毅君

  繁本  護君     今村 雅弘君

  武部  新君     河村 建夫君

  山川百合子君     源馬謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  源馬謙太郎君     宮川  伸君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川  伸君     中谷 一馬君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 一馬君     本多 平直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和二年度一般会計予算

 令和二年度特別会計予算

 令和二年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 令和二年度一般会計予算、令和二年度特別会計予算、令和二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史君、内閣府大臣官房長大塚幸寛君、内閣府政策統括官増島稔君、総務省自治行政局長高原剛君、総務省自治行政局選挙部長赤松俊彦君、法務省民事局長小出邦夫君、外務省アジア大洋州局長滝崎成樹君、外務省領事局長水嶋光一君、厚生労働省雇用環境・均等局長藤澤勝博君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、防衛省防衛政策局長槌道明宏君、防衛省人事教育局長岡真臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 昨日の岡本充功君の質疑に関連し、岡田克也君から質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。

岡田委員 岡田克也です。

 きょうは、まずは中東への自衛隊派遣について基本的な議論をしたいと思っています。

 まず、総理に確認いたしますが、今回の中東への自衛隊派遣の意義ですね。私の理解するところ、日本船舶、日本関係船舶の航行の安全確保のための情報収集活動である、有志連合に参加することはなく、我が国独自の取組であるというふうに説明されていますが、そのとおりでよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 これは委員御承知のとおり、中東地域の平和と安定は、世界、我が国の平和と安定に直結するものであろう、そして、エネルギー資源、特に、供給源であり、我が国の原油の輸入量の九割を依存する中東地域において、日本関係船舶の航行の安全を確保することは非常に死活的に重要であろう、こう考えております。

 今般の政府の取組は、中東地域における平和と安定及び日本関係船舶の安全の確保のため、我が国独自の取組として、さらなる外交努力、そして航行安全対策の徹底の上に、情報収集態勢強化のための自衛隊の活用について、政府一体となって総合的な施策を関係省庁が連携して実施するものでありまして、中東地域においては、現在緊張が高まっている状況ではありますが、日本関係船舶の防護の実施を直ちに要する状況ではないと考えています。

 一方、政府としては、こうした緊張の高まりを踏まえて、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集態勢を強化することが必要と考えています。

 こうした状況において、各国の軍が中東地域において艦船、航空機などを活用した航行の安全確保の取組を強化していること等も踏まえまして、我が国から中東地域までの距離、この地域における活動実績及び情報収集に際して行う各国部隊、機関との連携の重要性を勘案し、我が国独自の取組として自衛隊による情報収集活動が必要であると判断したものであります。

岡田委員 そこで、これは防衛大臣で結構ですが、二つ確認したいというふうに思っています。

 一つは、自衛隊の活動範囲。これは既に閣議決定の中で書かれたとおりでありますが、他方で、米国中心の有志連合、もちろん、自衛隊はペルシャ湾とかホルムズ海峡には行かないということになっていますが、それ以外の自衛隊の活動範囲というのは有志連合の活動範囲と重なり合っている、ほぼほぼ重なっているというふうに認識しておりますが、それでいいかどうか。

 それから、二番目ですけれども、その地域を航行する船舶等の状況把握をするということになっておりますが、その船舶等の中には他国の軍の船舶や不審船も含まれる、今までの委員会の審議の中でそのことはお認めになったと思いますが、確認です。

河野国務大臣 IMSCには日本は加わりませんから、IMSCがどの海域でどういうような行動をするかというのを申し上げる立場にはございません。

 日本の自衛隊がオマーン湾で情報収集を行いますが、これは、そこを航行している船舶の情報を一般的に収集するものであって、船舶の種類あるいは船舶の国籍、何か特定のものを排除するということは考えておりません。

岡田委員 特定のものを排除することは考えていない、つまり、不審船であったり他国の軍の船舶もその範囲には含まれている、こういうことだと思います。

 それから、大臣、有志連合について申し上げる立場にないと言われましたが、有志連合の活動範囲というのは米国政府は明らかにしているわけですから、その範囲の中で、具体的にどうするかということまで私は聞いているのではなくて、範囲が重なり合っていますねと聞いているわけですから、そのぐらいはちゃんと答えなきゃ、私はちょっと、ひどい答弁だというふうに申し上げておきたいと思います。

 さて、問題は、どういう状況のもとで情報共有がなされるか。つまり、情報共有の話、今総理もおっしゃらなかったんですが、閣議決定の中でも、当然、情報共有を米軍と行うということは確認されています。

 それは、自衛隊だけで集める情報には限界もあるということで、米軍の情報も要る、そして自衛隊の情報も米軍に提供する、こういうことだと思うんですが、平時のときはともかくとして、いずれにしろ、この船舶等の位置情報とか識別情報、その船舶という中には不審船も、あるいは他国の軍の船舶も含まれるということになりますけれども、そういうものを共有するということになるわけです。

 今までの安全保障委員会の答弁などで、日本の派遣された自衛隊、つまり「たかなみ」あるいはP3C、データリンクの能力があるということで、収集した情報を米海軍の船舶等に情報提供する能力があるということは答弁されています。そのことの確認と、これはフルタイムで情報共有することができるということを意味するんでしょうか。

河野国務大臣 データリンクというのは、取得した情報を艦船等にリアルタイムで情報共有するシステムで、探知した目標に関する位置情報などを共有することができるシステムでございますが、今般の情報収集活動は、あくまで我が国独自の取組として行うことから、我が国周辺海域における警戒監視の任務とは異なり、護衛艦「たかなみ」及びP3C哨戒機は、米軍とデータリンクをつなぐことはございません。データリンクを用いたリアルタイムの情報共有は行われません。

岡田委員 能力はあるというふうに答弁をしていますね、今まで、船舶とは。

 行うことはないというのは、何を根拠に言われているんですか。

河野国務大臣 今回は、我が国独自の取組でございますので、データリンクをつなぐということはございません。米軍との情報共有は、NAVCENT、米中央海軍に送ります連絡員を介して米軍とやりとりをする、そういうことになります。

岡田委員 例えば、国籍不明の不審船が自衛隊の活動する範囲にあらわれた、そこに米軍も展開しているというときに、お互いに協力しつつ、その不審船に対して対処する、法令の許す範囲でですね、ということは当然考えられるんじゃないですか。そのときに、データリンクを使って情報共有することはしないということですか。

河野国務大臣 差し迫った状況の場合には、船舶の共通通信システム、国際VHFなどを使って船舶とのやりとりは行うことができますので、データリンクをつなぐ必要はございません。

岡田委員 データリンクを使うことはないという大臣の御答弁ですから、それを前提に議論したいと思いますが、しかし、情報共有はしなければいけない。お互い協力して、不審船についての情報を共有しながら対応するということになると思うんですね。

 その対応の仕方の中で、例えば、米軍が自衛隊の情報も踏まえて武力行使に至るということは当然考え得ると思うんですが、これは問題ないんですか。

河野国務大臣 米軍と共有するのはあくまでも一般的な情報交換でございまして、その情報だけをベースに米軍が武力を行使するということは想定できません。

岡田委員 一般的な情報交換ということの意味がよくわからないんですが、不審船があって、その不審船に対する情報を日米で共有しながら対応する、これは一般的じゃないと思うんですね。いかがですか。

河野国務大臣 米軍との情報共有は、先ほど申し上げましたように、米中央海軍に派遣をする連絡員を通じて恐らく一日一回程度のやりとりということになろうかと思いますので、何かその情報をもとに米軍が武力を行使するということにはならないというふうに思います。

岡田委員 先ほど大臣は、日米の艦船でデータリンクは使わないけれども、情報交換をしながら対応するということはあるというふうに発言したと思うんですね。

 ですから、その情報交換の情報に基づいて米軍が武力行使などを行うというときに問題はないのかと聞いているわけです。

河野国務大臣 差し迫った、例えば人命救助の必要などがある場合に直接のやりとりをする、あるいは、何か本当に差し迫った状況になったときにVHFの直接のやりとりというのはあると思いますが、その情報だけで米軍が武力行使ができるというものではないと思います。

 自衛隊が収集しますのは、活動海域を航行する船舶の船種、船籍、位置、針路、速力といったものを収集をし、不審船の存在、不測事態の兆候といった船舶の航行の安全に影響を及ぼすような情報を集めるわけでございますので、それだけをベースに米軍が何か武力行使をするというのは想定できないと思います。

岡田委員 それだけをベースにというふうに私は言っておりませんが、自衛隊の収集した情報も含めて米軍が何らかの活動をするということはあるのではないか、そのときに、それは武力行使の一体化という問題が生じるということを申し上げているわけです。

 政府の、法制局の見解ですが、一般的な情報交換の一環として他国に提供することは、実力の行使に当たらず、憲法九条との関係で問題が生じるおそれはないと。確かにそうでしょう、一般的な情報交換であればそうでしょう。

 しかし、例えば、特定の国の武力行使を直接支援するために偵察活動を伴うような情報の収集を行い、これを提供する場合というように、情報の提供に特定の行動が伴うような場合には、これは例外的に他国による武力行使と一体となると判断される可能性があるというふうに考えています、これは最近の法制局の答弁であります。

 したがって、さっき私が申し上げたようなシチュエーション、つまり、不審船があって、それを自衛隊なりあるいは米海軍が見つけて、そして共同で情報交換しながら、その不審船が一般船舶に対してアクションをとらないように行動していく、こういうときに、単にそれを防御するだけならともかく、米軍が武力行使をしてしまうということになると、自衛隊の情報が非常に重要な役割を果たせば、ここで言う武力行使の一体化と判断される可能性があるということになるんじゃないんですか。

河野国務大臣 特定の行動とは、従来から、我が国が、ある国から特定の戦闘行為の実行を直接支援するために特定の情報を特に戦術的にとってほしいと頼まれ、そのために情報収集活動を行うようなことを指すというふうに解しております。

 ある目標に方位何度何分、角度何度で撃てというような、そういう情報を出せば、これは軍事作戦上の指揮命令の範疇に入る、そういうことになろうかと思いますが、今回、自衛隊は、特定の国のために何か情報収集を行うものでもなく、特定の国に頼まれて特定の情報をとるというものではございません。自衛隊が日ごろ情報収集をしているものを一般的な情報交換として交換をするものでございますから、御指摘は当たりません。

岡田委員 特定の行動というのを非常に狭く、今、独自の解釈を述べられたわけですけれども、しかし、先ほど言っているように、米軍と共同して情報共有しながら対応に当たっているという段階での話ですから、これは特定の国ということになるわけでしょう。そういう場合に、全く一体化のおそれがないということを私は断言できないというふうに思いますよ。

 大臣は別のところで、自動的に攻撃が行われることにならないからいい、そういう答弁もしておられると思いますが、そういうふうに、法制局の解釈を狭く狭く勝手に解釈して、大丈夫だと言っているにすぎないというふうに思います。

 私は、法制局の見解と大臣の答弁の間に大きな乖離があるというふうに思うわけですが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど来、河野大臣から答弁させていただいておりますが、自衛隊は、活動海域の船の種類や船籍、位置、針路、速力等を確認した上で、不審船の存在や不測事態の兆候といった船舶の航行の安全確保に必要な情報を収集すると承知をしています。

 その上で、こうした情報についてはデータリンクはしていないということは答弁させていただいたとおりでございますし、先般、横須賀に参りましたときにも艦長等からそのことも確認を私はしているところでございますが、その上で、今申し上げましたようなこうした情報については、基本的に、米中央海軍司令部へ派遣している連絡要員を通じて、原則として一日一回、米軍と情報共有する方向で調整はしていると承知をしておりますが、そこで、このような情報を用いて行う米軍、米国との情報共有は、航行の安全確保のための一般的な情報交換の一環として、これは情報交換ですから、こちらからも出しますが向こうからもいただくということでありまして、こちらの航行の安全の一環にもなるわけでございますが、一般的な情報交換の一環として行うものであり、武力行使との一体化、いわば、問題は、武力行使と一体化するかどうかということであります。

 その中におきましては、これはまさに憲法との関係で一体化するかどうかということであります。

 一般論として、自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動によって得られた情報を一般的な情報交換の一環として他国に提供することは、一般論として、実力の行使に当たらないため、憲法第九条との関係で問題ない。ただし、情報の提供については、従来から、例えば、特定の国の武力の行使を直接支援するために偵察行動を伴うような情報収集を行い、これを提供する場合のように、情報の提供に特定の行動が伴う場合には、例外的に他国の武力の行使と一体となると判断される可能性があるものと考えています。

 ここで言う特定の行動とは、従来から、我が国が、ある国から特定の戦闘行為の実行を直接支援するために特定の情報を特に戦術的にとってほしいと頼まれ、そのために情報収集活動を行うようなことを指すと解しております。

 また、ある目標に方位何度何分、角度何度で撃てというような行為は、情報の提供にとどまらない軍事作戦上の指揮命令の範疇に入るものであり、憲法上問題を生ずる可能性があると考えておりまして、今般の自衛隊が実施する情報収集及び米国との情報共有は、航行の安全確保のための一般的な情報交換の一環として行うものでありまして、憲法上問題は生じないと考えております。

岡田委員 問いに答えてもらっていないんですね、ほとんど。

 つまり、司令部に対して定期的に自衛隊が情報を送るということを私は言っているのではないんです。そういう話ではなくて、特定の、例えば不審船が見つかったときに、そこに居合わせた日米で、自衛隊と海軍が情報を交換しながら対応している、そういう場面は当然起こり得るだろう。そのときに、それは果たして今までの政府の、法制局の見解と合致している、必ず大丈夫だと言えるのか。具体的に情報のやりとりをするわけです、特定の不審船に関して。ということになれば、その情報が非常に決定的に重要な情報であれば、武力行使の一体化の議論というのは当然起こり得るというふうに私は考えるんです。それは普通だと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 一体化するかどうかということについては、今申し上げた中身が、まさに一体化論の中において、それは一体化する、憲法上も一体化するので許されないという立場の中の情報共有とは何かということを御説明させていただいたわけでございますが、自衛隊は、そもそもデータリンクをしていない。もちろん、データリンクをしているから一体化するということでもないんですが、今回はデータリンクをまず行っていないということでありまして、一日に一度、中央軍に先ほど申し上げましたような情報を提供するのでございますが、その意味におきましては、軍事作戦上の指揮命令の範疇にもちろん入るということにはならない範囲の一般的な情報を送るということでございますので、今、岡田委員が御指摘になられたような、自衛隊の船舶と米軍の船舶が近傍にあって、そこに不審船がいて共同対処するということは、我々は全く、これは想定はそもそもしていないところでございます。

岡田委員 今、想定していないと言われましたが、現実に不審船があらわれれば、そういうことは必要になってくるんじゃないですか、現場の判断としては。米海軍の船がそこにあれば、当然協力して不審船に対応するということになるんじゃないんですか。想定しないというのはどういう意味ですか。

 そういうときに、じゃ、自衛隊はそっぽを向いているということですか。あるいは、米軍がそっぽを向いているということですか。私は非常におかしなことを言われたと思いますよ。

河野国務大臣 そういう場合であっても、別に自衛隊は、米軍から情報の収集を依頼されて何か情報をとるわけではございません。自衛隊が米軍に共有をするのは、自衛隊が収集した情報を一般的に交換をするわけで、不審船がそこにいるからといって、別に米軍の依頼を受けて情報を収集したり情報を伝達するわけではありませんので、御指摘は当たりません。

岡田委員 依頼されていないからとか一般的なという言葉でごまかされるんですけれども、現実にはそれは情報交換することになるわけですね。それはやりませんということにはならないわけでしょう。

 だから、私が問題にしているのは、そういうかなり微妙な事態の中で、現場の自衛隊にこれを判断させるんですか、どこまで情報交換すべきかとか。それはかなり酷な話だと思いますよ。だから、今おっしゃった答弁で、私は、現場の自衛隊が迷わずに行動できるとは思えないんですね。

 そして、もう一つは、仮に武力行使の一体化でないとしても、今私が申し上げたような行動を行うとすると、自衛隊の活動が日本独自の取組であるというふうには第三国から見てみなされない可能性が高いと思うんですよ。やはり日米協力してやっているということになりかねない。そうなると、結局、派遣された自衛隊の皆さんの安全の確保、あるいは、そもそもの目的であった日本関係船舶の安全確保がむしろ危うくなる可能性も秘めている。

 つまり、独自の活動じゃない、やはり有志連合に、形の上は加盟していないけれども、一緒になってやっている、そういうふうに受け取られる可能性があると思うんですが、この点については総理はどう考えていますか。

安倍内閣総理大臣 先ほど河野大臣が答弁させていただいたように、基本的には、自衛隊がいる、情報収集を行っている海域と米側が行っている海域というのは、もちろん遠いわけでございます。しかし、その中で、今委員が想定されたような事態、自衛隊艦艇と米軍艦艇が現場海域で情報収集活動によって得た情報を直接交換することは通常想定はしておりませんが、また、そもそもそういう状況にはならない、こう考えておりますが、例えば、緊急時といった、具体に危機が迫っていて、それを知らせる必要がある場合などに、国際VHF、船舶共通通信システム等を使用して、米軍艦艇を含む他国の船舶と直接通信を行うことはあり得るわけでありますが、しかし、実際に独自の判断をして対応するのは、これは米側の艦船であり、先ほど申し上げましたような、いわば一体化に当たるような情報の提供を我々が行うということは考えていないわけでありますし、事実、それは憲法との関係が生じるわけでございます。

 そして、当然、多くは現場で判断するわけでございますが、同時に、さまざまな困難な判断の場合は、東京に指示を仰ぐということにもなるわけでございます。

 また、同時に、日本と有志連合との関係については既にイラン側に説明をしているところでございまして、日本側の詳細な説明に先方は感謝をし、そして評価をし、そして、我々の意図について理解をしているということでございます。

岡田委員 総理はそういう状況にはならないというふうに言われましたけれども、これから米国とイランの関係、どういうふうに展開していくかはわからない。今は小康状態かもしれませんが、根っこは非常に厳しい対立の中にあって、緊張関係がより高まる可能性もある。そういうところに自衛隊といういわば武装した部隊を出しているわけですから、これは一歩間違えると、自衛隊自身の安全の問題や、あるいは日本の国益である日本関係船舶の安全の確保ということに反するような事態を招きかねないというふうに私は思っているわけです。

 そういう議論を、本来であればしっかり国会でもやって、そして、国民の皆さんにも説明をして、理解してもらった上で自衛隊は出すべきだった。それを閣議決定だけで、ほとんど国会の質疑もないままに出してしまって、今ごろ議論しているわけですね。そういうことは私は極めて問題じゃないかということを申し上げているわけです。

 この問題はこれからもしっかり議論していかなければならないと思いますが、自衛隊員の安全確保、そして日本関係船舶の安全航行、そのために何がベストかということについて、私は、もっと思慮深く議論すべき、そういう話だったというふうに申し上げておきたいと思います。

 次に、時間も限られていますので、年金の話をちょっとしたいと思います。

 昨年八月の年金の財政検証、この結果を見て私はおやっと思いました。二〇〇四年の最初の、当時は名前は違いました、財政再計算という言い方でしたが、これと今回の財政検証を見て、大きな違いがあるということです。

 大きな違いの一つは、マクロ経済スライドの導入がおくれたことで時間が随分長引いてしまったということですね。調整の期間が随分長引いたということですが、それに加えて、従来の、二〇〇四年のときには、厚生年金、つまり報酬比例部分と基礎年金の部分は、それぞれがマクロ経済スライドで調整するということになっていたわけですね。その結果として五〇・二%になるということです。

 ところが、今回の検証結果を見ると、報酬比例部分については、赤でちょっと色をつけておいたんですが、今の二五・三がほとんど変わらない。だから、専ら基礎年金部分でマクロ経済スライドがかかって調整する。約一〇ポイント下がるわけですね。そういうことになっている。

 これはなぜそうなっているのか、まず厚労副大臣、簡単に説明してください、わかりやすく。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 現在の公的年金制度の財政フレーム、これを導入した二〇〇四年の改定の際は、賃金上昇率が物価上昇率よりも高い経済が継続することを前提にいたしまして、マクロ経済スライド調整を継続的に行っていくことによりまして、保険料等の収入と年金の給付、この一階部分、二階部分とも約二十年でバランスがとれるもの、このように見通しておりました。

 しかしながら、二〇〇四年改正以降はデフレ経済が続きまして、賃金上昇率が物価上昇率を下回っていたためマクロ経済スライドが発動しなかったことにより、一階部分、二階部分とも当初の想定よりも調整がおくれることになりました。

 さらに、二階部分の比例報酬年金は賃金に連動していることから、現在の賃金の低下により、将来の報酬比例年金額も調整されることで財政のバランスが図られますが、一階部分の基礎年金は定額であることから、賃金が下がって負担側の収入減が起きても、報酬比例年金のような形での給付の調整は生じない仕組みになっております。

 このように、賃金上昇率が物価上昇率を下回ったことによる財政影響を一階部分がより強く受けたため、基礎年金部分については調整期間がより長期化しているものでございます。

岡田委員 調整期間が長引いたことの説明を求めたわけではなくて、基礎年金部分で専ら調整することになっているということについて私は説明を求めたわけです。

 いずれにしろ、それは技術的な、仕組みの中でそうなってしまった。私は、簡単に言えばそういうことだと思うんですね。しかし、それが政策的に妥当なのかどうかということはどうなんでしょうか、総理。

 つまり、厚生年金、基礎年金、つまり二階建て部分も含めた厚生年金全体を受け取っている人にとっては、これは、一階部分で調整しようが二階部分で調整しようが、それは結局トータルとして出てくるわけですからいい、同じだということになるかもしれませんが、国民年金受給者の方は基礎年金しかないわけですから、専らそこで一〇ポイントも調整されてしまうということになると、やはりそれは国民年金加入者にとってはかなりつらい話になるということになると思うんですが、そこをどう考えておられますか。

安倍内閣総理大臣 被用者を対象とする定率負担の厚生年金と、自営業者を対象とし、定額負担、定額給付の国民年金は、保険料や給付の設計において大きく性格が異なり、両者を混在させた形でマクロ経済スライドを設計することは、公平性担保などの観点から課題も多いと考えております。

 他方、基礎年金水準の改善は重要な政策課題と考えておりまして、例えば、先般の財政検証においては、支え手の増加を反映して、前回よりも所得代替率が改善したところであり、これは主として基礎年金部分の改善によってもたらされたものであります。

 さらに、今般、五十人超の中小企業までの厚生年金の運用拡大を進めていくことで、厚生年金のみならず基礎年金の給付水準も向上させる財政効果を持つのは委員御承知のとおりだと思いますが、持つことから、議員の御指摘の政策論として、まさに全世代型社会保障改革によって支え手をふやして、またパートの皆さんへの適用拡大をしっかりと進めていくことで、基礎年金水準の向上を図っていきたいと考えております。

 委員は、このマクロ経済スライドの仕組みそのものを考えるべきだということでございますが、政府としては、今申し上げたような形で基礎年金の水準の向上を図っていきたい、こう考えております。

岡田委員 総理、地元を回っていますと、やはり、年金を減らさないでくれという声はかなり強烈にあるんですよ。私も、マクロ経済スライドで必ずしも減るわけじゃないですよと言うんですけれども、現実に、例えば来年のマクロ経済スライドの状況を見れば、物価が〇・五、二〇一九年度、上がって、そして年金は〇・二%増加ということですから、実質的にはやはり下がっているんですね、〇・五物価が上がる中で〇・二しか年金はふえていないわけですから。

 そういう現実はあるし、そもそも、水準が極めて低いという問題がありますね。生活するには、一人当たり六万五千円余りですから、夫婦ならその倍ありますけれども、それで生活していけというのは、かなりきつい話になります。そういう国民年金加入者のところで専らマクロ経済スライドで調整していくという、それが本当にいいのかどうか。

 総理、いろいろおっしゃいましたが、それでどれだけ、じゃ、所得代替の割合が一〇ポイント下がる、現役世代と比べて下がるということについて、どれだけリカバリーできるんですか。私は、それは微々たるものだと思いますよ。

 だから、この国民年金受給者、あるいは基礎年金受給者に対して、もっと思い切った手を打っていく必要がある。そうでないと、最低生活を保障するという公的年金の役割が果たされていない、あるいはこれが今後果たされなくなる、そういう状況じゃないかと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 マクロ経済スライドの意義、意味については、もう委員も御承知のとおり、将来世代の給付を確保するためでございますし、実額においては減っていなくて、前回も〇・一%プラスでありますし、今回も〇・二%。ただ、実質ということについては、マクロ経済スライドが発動されますから、実質では委員のおっしゃったとおりかもしれませんが、しかし、前回、マクロ経済スライドはマイナス〇・二%だったんですが、それまでたまっていたものを、それを乗せてもプラス〇・一%ふやすことができて、今回は、マクロ経済スライド自体が〇・一まで縮小してきているのも事実であります。

 そこで、手取りが減っていくということでございますが、二〇二五年にはいわゆる団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となる中、現役世代の負担上昇に歯どめをかけることは待ったなしの課題であると考えておりまして、これまでも、高齢者を含め能力に応じた負担をしてきていただいていることは御理解をいただきたいと思いますが、その上で、年金制度については、人生百年時代の到来を見据えながら、働き方の変化を中心に据えて改革を進める必要があります。

 このため、今回の改革においては、被用者保険の適用拡大等により、支え手をふやし、制度自体の安定性を高めることとしておりまして、それが将来の年金水準の確保にもつながることとなります。このような内容を国民の皆様に御理解をいただけるよう、丁寧に説明していきたいと思います。

 なお、低所得や無年金、低年金の高齢者の方には、年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮や、あるいは年金生活者支援給付金の支給、また、年金給付から天引きされる医療、介護の保険料軽減を実施をしてきておりまして、今後とも、社会保障制度全体で総合的な対応を検討していきたいと思います。

岡田委員 この二十五年を十年にしたこととか給付金の話というのは、民主党政権時代に三党合意で確認されたこと、それが消費税を上げていく中で実現したということですが、やはり、基本的に考えると、国民年金というのは、かつては自営業者が対象で、そして資産もあるし定年もない、そういう中で、最低限の水準で、あとは自分でやってくださいということだったと思うんですが、今やその自営業者の割合は恐らく一五%ぐらいだと思うんですね。それ以外の多様な働き方の人が入っていて、その一部は確かに厚生年金の適用範囲を拡大する今回の措置などで、ある程度補われるかもしれませんが、私は非常に限界があると思うんですよ。

 だから、やはり、国民年金、基礎年金について、安心して老後が送れるだけの、余裕はなくとも最低限の生活保障できるだけの制度設計というものをきちんと議論する、それこそが私は年金改革の本丸だというふうに思うんですが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 この問題についても、岡田委員と随分長い間議論、第一次政権のときから議論させていただきましたが、厚生年金と国民年金のそもそもの、つくったときの違い、それが設計の違いになっているわけでありますが、自営業者の方を中心とする国民年金でございますから、これは、老後も一定の生計の手段を有し緩やかに引退をされていく自営業者と、退職して収入の道がなくなる被用者との違いというのもございましたし、また、国民年金については、当初、所得捕捉の困難性の制約もある中で、国民皆年金を達成するため、定額負担、定額給付としたものでありまして、基礎年金だけで生活の全てを賄うという設計にはなっていないというのは今までも申し上げてきたとおりでございます。

 ただ、その中で、確かに、委員が御指摘になられたように、私がこう言うといつも委員から反論されるのは、働き方の多様化を背景に、国民年金の第一号被保険者の中で被用者の方も相当ふえてきている、それは事実だと思います。こうした方に対しては、被用者にふさわしい保障が受けられるよう、被用者保険の適用拡大を進め、生活の安定を確保していくことが重要だと考えています。

 また、同時に、就職氷河期世代の就業支援に取り組むことで、この世代の将来の生活の不安につながるもの、いわば就職氷河期の方々は厚年に入っておられない方もたくさんおられますので、その方々をいかに、例えば厚年に入っていただけるような形に持っていくかということではないか、このように思います。

 さらに、人生百年時代の働き方の変化に年金制度がより柔軟に対応できるものとするために、受給開始時期の選択肢を七十五歳まで広げ、受給額についても八四%までの割増しを受けることを可能にし、そして、在職老齢年金について、働くインセンティブを失われることのないような見直しを行うこととしております。

 また、低年金、無年金の方々については先ほど申し上げたとおりでありまして、こうした対応をしながら、社会保障全体で総合的な対応を検討してまいりたい、このように考えております。

岡田委員 総理、ちょっと答弁が長過ぎると思いますが、もう一言だけ。

 温暖化問題で、総理は、技術開発、例えば人工光合成とか言われます。それは夢のある話で非常に結構だと思うんですが、具体的にそれがいつ実るのかという不確定要素は非常に大きいわけですね。

 じゃ、今何ができるかといえば、カーボンプライシングなんです、炭素に値段をつける。民主党政権時代に地球温暖化税というのは既にある、しかし、非常にレベルは低く、それが精いっぱいだったんですけれども。でも、もう既に入っているわけですから、それを引き上げていけば、やはり炭素を排出するものを使うことが抑制される、市場メカニズムで抑制されるということになるというふうに思います。

 ところが、昨年閣議決定された、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略の中で、こういう表現になっているんですよ。下、最後の二行を見ていただきたいんですけれども、「国際的な動向や我が国の事情、産業の国際競争力への影響等を踏まえた専門的・技術的な議論が必要である。」これがカーボンプライシングについての結論ですよ。何も言っていないに等しいですよね、もう既にあるんだから。どうしてこれはできないんですか。

 それは、景気への影響とか一部の産業界の反対とか、いろいろなことはあると思います。我々がこの税制を入れたときもそうでした、苦労しました。だけれども、総理は安定政権なんだから、そして地球温暖化の問題は非常に重要だということなんだから、これは具体的に考えられるべきだと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 カーボンプライシングと一概に言っても、制度設計によりその効果や評価、課題も異なるわけでございますが、このため、まずは国際的な動向や我が国の事情や影響等の観点から、関係省庁において十分な議論を行うべきであると考えております。さまざまなステークホルダーの意見も交えて、関係各方面と丁寧に議論を進めてまいりたい、こう思っています。

 さまざまな政策オプションを議論するということは、これはもちろんやぶさかではございませんが、現在、固定価格買取り制度のもと、既に二兆円を超える国民負担をいただいていることなどを考えれば、これはなかなか増税ありきという考え方はとれないところでございます。

 いずれにいたしましても、脱炭素社会という大きな目標の実現に向かっては、革新的なイノベーションなど、さまざまな政策を今盛り込んでいるところでございますが、人工光合成等々について、これは夢のような話ということではなくて、CO2を取り込むことによってかたいコンクリートをつくることは、もう既にこれは技術的に可能でありまして、あとは……(発言する者あり)

棚橋委員長 傍聴席は御静粛に。

安倍内閣総理大臣 そのコストをいかに下げるかということではないかということでございます。

岡田委員 総理は結局、今の答弁で、この閣議決定の文書をほぼなぞられたんですけれども。どうしてカーボンプライシング、これはグテーレス事務総長も、日本に対して、あるいは各国に対して、カーボンプライシング、石炭税、あるいは炭素税ということで言われたというふうに思うんですね。各省庁で検討すべきだというんじゃなくて、総理が、私は、主導権をとってこれを実現すべきだというふうに思いますよ。

 最後に、小泉大臣、小泉大臣はこの点をどう考えますか。やはりこのぐらいやらなきゃ、あなたが環境大臣になった意味がないじゃないですか。いかがですか。

小泉国務大臣 まず、岡田先生からカーボンプライシングの議論をこの予算委員会で取り上げていただいたことを、私は環境省に対する応援だと思っています。

 環境省、三十年間、当初は環境税というところから始まって議論をしてきましたが、今先生おっしゃったように、温対税というカーボンプライシングは民主党政権で入れられました。ただ、その水準は、国際社会、特にグテーレス事務総長などが期待をしているような、そういった水準には、この温対税に限って見ればまだその水準ではないし、これからより脱炭素の方向に向けては、産業界の理解を含めてやはり向き合っていかなければいけないさまざまな意見があるのも事実です。

 そして、増税ありきかというそういった見方に対しても、これは脱炭素の方向に産業競争力もつけていくというドライバーにもなり得るという、そういった広範な理解というのが不可欠だと思いますので、引き続き、こういった場も含めまして、カーボンプライシング、これは炭素税、そして排出量取引、これは東京都がもう既にやっていますが、こういったことを含めて、さらなる理解と議論が深まることを私としては期待をしています。

岡田委員 ぜひ、期待ではなくて実行してもらいたいと思います。

 今、二千四百億円ぐらいの税収なんですね、地球温暖化税。例えばそれが一兆円ぐらいに、四倍ぐらいになれば、そのお金を省エネルギーやあるいは新エネルギーの技術開発などに投入することもできるわけですね。総理の言われる技術開発もそれで進めることができる。そこは、ぜひ総合的に考えていただきたいことを申し上げておきたいと思います。

 終わります。

棚橋委員長 この際、黒岩宇洋君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。黒岩宇洋君。

黒岩委員 立国社の黒岩宇洋でございます。

 まずは、冒頭、先週の奥野委員の質疑に引き続きまして、橋本聖子大臣が昨年の参議院選挙で、ウグイス嬢の上限報酬である一万五千円を超えた費用を、報酬を払っていたのではないかというこの点について、ちょっと何点かだけ確認をさせていただきたいと思います。

 お手元の資料にありますけれども、これは橋本聖子大臣の昨年の収支報告書、そしてもう一枚目が、同じく北海道で選挙をしておりました、橋本大臣は全国比例ですけれども、高橋はるみ参議院議員の選挙報告書ということで、個人情報がありますので黒塗りにしていますけれども、この一人分だけ浮き出ているところが、これは同じ方です、あえてKさんと呼ばせてもらいますけれども、このKさんが両陣営に乗っていて、そしてどちらも上限額よりも高い報酬をもらっていたのではという疑惑なんですが。

 橋本大臣、お聞きしますが、このKさんとのおつき合いというのはどのくらいのおつき合いで、そして、このたびの選挙でこのKさんが高橋はるみさんの街宣車にも乗っていたということは御存じでしたか。

橋本国務大臣 お答えをさせていただきます。

 法定の上限を超えて報酬を支払ったという事実はございません。そして、他陣営の車上運動員ということも承知はしております。(黒岩委員「しております」と呼ぶ)はい。ウグイス嬢をされていたということは存じ上げております。

黒岩委員 わかりました。

 この黒塗りの部分を見ていただきたいんですが、この特に備考というところが大事なんですね。

 橋本大臣の、このKさんのウグイスの乗車、これはせんだっての国会答弁でも、これは七月四日から二十日まで十七日間、参議院の選挙期間というのは十七日間であります、そのうち四日から七日、そして十九日、この五日間については終日このKさんが乗っていたと大臣は答弁されました。また、十四、十五、十八、二十のこの四日間については半日乗車をしていた、こう答弁されたんですね。

 では、二ページ目の、高橋はるみ参議員のこの備考を見ていただくと、この同じKさんは、一万五千円、これは上限ですから、要するに終日で十一日間乗っている。そして報酬八千五百円、七千五百円で一日と二日、すなわち、半日で三日間乗っている。

 これは、仮に終日だけで計算しても、橋本大臣の街宣車に五日間、高橋はるみ参議院議員の街宣車に十一日間、これだけでもう十六日間乗っていることになるわけですね。選挙期間というのはあと残り一日ですから、この一日でどうやって、橋本大臣の半日分四日間、そして高橋はるみ参議院議員の半日分三日間、これは、乗ることというのは物理的にも時間的にも不可能ですよね。ですから、これはどちらかがうそをついているか虚偽の報告をしているか、どちらも虚偽の報告をしているか。どちらも本当の報告をしているということは、これをごらんになってもあり得ないということはおわかりだと思います。

 橋本大臣、これはどういうふうに説明されますか。

橋本国務大臣 私どもの陣営においては計九日間、全日が、終日が五日間で半日が四日間の計九日間。他陣営の勤務状況については承知はしておりません。

黒岩委員 これは、通常、他陣営の街宣車に誰が乗っているか、そんなことはわからないわけですけれども、橋本大臣は御存じだとおっしゃった。これは、一部メディアによれば、大変長い、橋本大臣とそして高橋はるみさんとのこのKさんのおつき合いがあって、そして、Kさんを高橋はるみさんに紹介したのも橋本大臣だということであります。

 これは総理にお願いしておきますけれども、これは総理・総裁として、御党所属の参議院議員二人、これはどちらかが、今申し上げたとおり、収支報告書上、明らかにどちらかの報告書が間違っているわけですよ。間違っているということは、虚偽記載をしている、法律違反なんですね。この点については総裁として責任を持って真実を我々に伝えていただきたい、このことをお願いして、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 それでは、これも昨日の辻元議員の質疑から引き継がせていただきますが、桜を見る会、この前夜祭についてです。

 これは全て総理についてお聞きしますけれども、改めて確認します。

 総理、今回、前夜祭は五千円で会費が設定されているということです。安倍事務所が仲介をしていたということですが、この参加者、八百人以上の参加者が個人的にこの当該ホテルに申込みをした、予約をして申し込んだ場合、このホテルは会費五千円と設定してくれるということでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これは、あくまでも、安倍事務所が仲介をし、その金額をホテル側が設定をしたということに尽きるところでございます。

黒岩委員 そういうことですね。

 これはホテル側が、ある意味、設定したと言いますが、確認ですけれども、このホテル側の設定ないしは提案に対して、その五千円でと合意したのは安倍事務所ですよね。

安倍内閣総理大臣 これは、合意とかいうことではなくて、ホテル側が提案をし、そして提案された額を参加者が支払っていただいた、こういうことでございます。

黒岩委員 では、改めての聞き方にしますが、先ほどの、今の答弁、その前の答弁を改めてなぞりますけれども、安倍事務所だから、これは一人一人の参加者ではなくて安倍事務所だから一見さんより安い価格に設定した、ホテルが。そういうことでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 これは、例えばさまざまなことでそういうことは起こり得るんだろうと思いますが、仲介、紹介者の信用というものもそれはあるんだろうと思いますが、それはホテル側の判断でございます。ホテル側の判断によって、安倍事務所が紹介した中において、五千円で、いわば安倍事務所の関係者の方々であればそれぞれ問題ないだろうという判断だったんだろう、こう思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、ホテル側が主体的に五千円というものを、価格を設定し、そして、多くは宿泊をしていた方々でございますが、この方々がまさに主たる契約者としてその金額を支払った。だからこそ、ニューオータニがまさに安倍事務所と契約するのではなくて、ニューオータニが領収書を出し、それに担当者の方が自分の、キャッシャーとして名前を書き、そして金額を入れ、日付を入れて摘要を書き、それぞれ渡したのは、安倍事務所の職員が渡したところでございますが、そこに立ち会ったのは、ホテル側が立ち会い、そして、それを全てその場でお渡しをしているということでございます。

黒岩委員 総理、もう今までそら暗記したようなことを何度も答弁するんじゃなくて、私の聞いたことだけに答弁してください。

 総理、いろいろとはぐらかして論点をずらしているようですけれども、先ほど私が申し上げたように、この参加者が個人としてホテルで申し込んだ場合ではなく、安倍事務所が仲介で、安倍事務所が今まで常連客だったから、それの信用に応じて五千円という価格をホテルが設定した、こういうことでよろしいんですよね。

安倍内閣総理大臣 同じことを聞かれているからそれを答えているわけでございまして、はぐらかしているわけではございません。

 五千円という中には久兵衛のおすしはもちろん入っていないわけでございますが……(発言する者あり)これは関係ない話ではなくて、値段設定には決定的に大きな影響を及ぼすと思いますよ。

 それを黒岩委員は、それを喧伝をされたということでございますが……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 改めて指摘をさせていただきたい、こう思う次第でございますが……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 安倍事務所として仲介をした、こういうことでございまして、多くの方々がそこに宿泊をされているということを鑑み、そして安倍事務所が仲介をした。

 いずれにいたしましても、それはホテル側の判断でありまして、ホテル側の判断において、私がこれ以上つまびらかにすることはできないのでございますが、そういうホテル側の判断であった、こういうことではないか、こう思う次第でございます。

黒岩委員 少し長きの時間をとりましたけれども、今の答弁で十分ですよ。

 要は、きのうの答弁でも、二十五年間の安倍事務所の責任がある、実績があるから一見さんの客とは違う対応をした。これは、安倍事務所の信頼に裏づけされた買収ですよ。

 だって、安倍総理、参加者一人一人、個人では、一見としてはできない価格設定を、安倍事務所の信用でその一見の価格よりもこれは割安に設定させたわけですから、当然これは利益供与ですよ、間違いなく。明々白々です。

 安倍事務所が仲介役として、そこ、後ろ、うるさい。そこ、後ろ、関係ないでしょう。関係ないから。安倍さんしか答えられないこと。ちょっとそこ、何だよ。

棚橋委員長 少し冷静にお願いいたします。

黒岩委員 これは、テレビの皆さん、ごらんになってください。安倍さんが窮地に立たれると、なぜか、これは安倍総理にしか答えられないことに急に出てくる。まあ、あなたの存在が誰か私は知りませんけれども、よく見ていてください。

 ですから、安倍総理、あなたの、今まで、一見とは違うんだ、その理由は、二十五年の信頼であり、また長らく常連であったからという、これは明らかに利益供与ですよ。これを利益供与と言わずして何と言うのか。明々白々に、これは五千円の設定、その内容がどうとかじゃない、明らかに価格として一見よりも安いと認めた。

 そして、参加者一人一人は常連ということはないですよね、総理。

安倍内閣総理大臣 秘書官はさまざまな機会に私に答弁のアドバイスをすることはありますよ。それに対してどなるというのは異常な対応ですよ。それはやはりおかしいですよ。それぐらいは当たり前じゃないですか。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。御静粛に。

安倍内閣総理大臣 今までの政権で、総理なり大臣に秘書官が答弁する、あなたに対して正確に答弁をしよう、誠実に答弁をしようという中の一環のことなんですよ。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 それを、言葉を荒げてその秘書官に対してどなるというのは……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 私は、人間としてどうなのかな、こう思うわけでございます。(発言する者あり)いや、これは私はどうなのかな、そういうことであります。(発言する者あり)

棚橋委員長 今、答弁中ですから、御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 国会議員として、まさにそれは権力の行使に近いんだろう、こう思うわけでございます。

 その上で申し上げれば、今、買収という大きな、非常に強い言葉を使われました。それは全くそんなことはないわけでありまして、極めて失礼な私は発言だと思いますよ。全く事実と当たりませんし、それは参加した人に対しても失礼ですよ。それだったら、もっと証拠をちゃんと挙げていただきたい。全くそれはあり得ない。(発言する者あり)

 委員長、バックベンチが。

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

 朝の理事会で申し合わせたように、与野党ともに御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 まさに今、私は誠実に答えようとしている中においてアドバイスをいただいて、アドバイスをもらうということは、これは間々あることでありまして、それに対して居丈高に言葉を荒げるというのは、それは慎まれた方がいいということは私は言わざるを得ないわけでありまして、買収ということをおっしゃったんですが、そもそも、黒岩委員、これは何度も繰り返しますが、写真を出して、久兵衛のすしを使った、これは……(発言する者あり)いや、これは小さいことではなくて、一人数千円の積算根拠になるわけでありまして、それがまるで事実でないのに事実であるかのような流布を行ったということに、国会議員として少しは責任を感じられた方がいいのではないか、こういうことは申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

棚橋委員長 黒岩宇洋君。

 なお、御静粛にお願いいたします。

黒岩委員 公選法違反については、私どもも、法律の専門家、多くの方とお話をして、構成要件に該当する可能性があるということで申し上げている。

 そして、これは総理にしかわからないことですから、総理が誠実に答えるんだったら、ある意味、秘書官ともそんな、こういったところでひそひそと打合せをするのでなく、正々堂々と答えていただくことが、私は、特にテレビ中継が入っているところでの、有権者に対する、国民に対する誠実な答弁だと思っています。

 そこで、総理、やはり我々が次に気にして疑念を持っているのが、本来、収支報告書に記載していなきゃいけない、この前夜祭については全く収支報告書に記載されていない、こういう問題です。

 これについては、総理は、安倍晋三後援会の収支ではない、この主張をある意味無理やりでも通さなきゃいけないがために、安倍晋三後援会の収支と切り離そうと。すなわち、契約主体は安倍晋三後援会でない、これは八百人の参加者一人一人が契約主体だと。これは多くの皆さんが本当にあいた口が塞がらないような、こんな論理を通しているわけです。

 そこで、総理、当該ホテルは明細書を作成しています。この明細書、中身は、まあ今はあえて営業の秘密とおっしゃるので触れませんけれども、明細書の宛名は誰ですか。これは事前に通告しているので、教えてください。

安倍内閣総理大臣 先ほど、ひそひそと打合せというふうにおっしゃったんですが、委員会審議に迷惑をかけないように大きな声でアドバイスをしないのは……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いします。朝、申し合わせたばかりです。

安倍内閣総理大臣 そうすると、すぐこちらの方が皆さん興奮して……(発言する者あり)誰ですか、岡本さん。いつも興奮して、やじで誹謗中傷するのはやめてください。こちらもできる限り誠実に答弁をしているわけでございますので、少しは御静粛にしていただければ、このように希望するところでございます。

 明細書につきましては、私の事務所の職員に確認したところ、ホテル側から夕食会の明細書は受け取っておらず、内容の確認もしていないと。つまり、これは、先方が提示した額において安倍事務所においては仲介をするということで、参加者が参加する中において、参加者にホテル側が用意した領収書をお渡しをし、そして皆様からお支払いをいただき、受け取った金額はその場でお渡しをした、これに尽きる。

 同じ答弁ということでございますが、これは何回も同じ質問をされておりますので、同じ答弁を繰り返しているところでございます。

棚橋委員長 与野党の議員に申し上げます。

 けさの理事会で静粛な議事進行をお願いしたばかりですので、よろしくお願いいたします。

黒岩委員 今までの質疑で明らかになったのは、この当該ホテルは明細書は作成している。我々が開示してくれと言ったときに、これは公になることを前提には営業の秘密があるから開示できないと。だから、今、私は開示をしてくれとは言っていません。中身についても、全てつまびらかにしてくれと言っているわけじゃないんです。

 せめて、作成しているわけですから宛名があるはずです、この宛名について確認だけしてください。これは別に総理が指示をするということではありません。総理のさまざまな疑念を晴らすためにこれは要請して、少なくとも営業の秘密にならないわけですから、この宛名が誰だったか、これについては、委員長、委員長の御差配において、総理の方から確認をして、その宛名を我々の方に教えてください。お願いします。

棚橋委員長 後刻、理事会において協議いたします。

黒岩委員 宛名というのは当然契約の主体に向けているわけですから、八百人のその参加者一人一人の名前が書いてあるとは私は到底思えない。そうすると、じゃ、この明細書の宛名というのはかなり契約主体が誰かということが決定的になる一つの私は書類だと思っていますので、総理はいつも、文書を出さない、そして論じるだけ論じる、こういう姿勢は改めていただきたいと思っております。

 そこで、では、事前に当然予約をした、段取りは安倍事務所がしたと言っていますから、当然、この前夜祭については、予約、これは安倍事務所がしたということでよろしいですね。

安倍内閣総理大臣 買収とか、そういう決めつけはやめた方がいいですよ。大体、黒岩委員はいつもそうやって決めつけをする、先ほどの久兵衛の話もそうですけれどもね。そうやって決めつけをしたら、それは真っ赤なうそだったじゃないですか。真っ赤なうそだったですよね。それはやはり、自分はうそをついてしまったということは認められた方が私はいいと思いますよ。

 その上において、御指摘の夕食会等に係るアンケートの作成や発送、通信費等の費用は、自民党の山口県第四支部が支出したものでございました。この収支報告書についてはこれまでも適切に行ってきたということでございますが、いずれにいたしましても、事務所の方でこの予約をしたということでございます。

黒岩委員 予約時点で、当然、何らかの原因で取りやめになったり、また、出席予定者が欠席する、こういうリスク負担が発生する可能性があります。これは、結果としてリスクが発生する、しない関係なく、当然、事前にこれについて取決めがあるわけです。

 当然、ホテルニューオータニも規約があるわけですから、では、このリスク負担について、登場人物は、予約をした安倍晋三事務所ないしは後援会、そしてホテル、そして安倍総理がおっしゃる契約主体という参加者、この三人のうち、じゃ、誰がいざというときのリスクを負担することになっていましたか。

安倍内閣総理大臣 これは、私の事務所に確認したところ、ホテル側と夕食会の各種段取りを相談する中で、私の事務所の職員が会場の予約を行ったというところでございます。

 その際、既に事前のアンケート調査によりおおむねの出席者数は判明していることから、ホテル側の了解のもと、取消し料等の取決めは特段行わなかったということでございます。

黒岩委員 では、取決めは行わなかったということは、いざリスク負担が生じた場合には、安倍晋三後援会が負担する可能性もあったということですね。

安倍内閣総理大臣 今の私の答弁を聞いていただければ普通の方は御理解いただけるんだろうと思いますが、それは、ホテル側が、いわばこの私どもとの関係においては、ホテル側の判断で、取決めは行わなかったということでございます。

黒岩委員 だから、総理、そこがおかしいんですよ。このリスク負担というのは、規約を見ても、当然、契約主体との間でリスク負担をするわけですよ。

 安倍事務所の信用で、リスク負担は、じゃ、いいかと。私、当然、安倍事務所が契約の主体だと思っていますからね。だとすれば、ホテルが、いやいや、長年のつき合いだから、まあここは、安倍さんのところだったら、きのうの答弁でも言っていますよね、自分のところだったらすぐに支払うと。そういったことに、ホテルも信用という形で、リスクについては規約のとおりということだと思いますけれども。あくまでも、総理、契約主体は一人一人の参加者と言っているんでしょう。この人たちにそんな信用があるとはホテルは考えていないわけですから。

 だから、本来は、だったら、この信用のある参加者にリスク負担を事前に、発生したかしないかというのは結果論ですし、そして、発生するかどうかということはこれは推測論ですから、いざというときのために事前契約でリスク負担を決める、これは当たり前の商取引ですよ。規約にも書いてある。だから、ホテルからすれば、これは、いざというときには誰だと。

 参加者個人個人にリスク負担を負わせる、こういったことの理解でよろしいんですか。

安倍内閣総理大臣 今、規約に書いてあるとおっしゃったけれども、ニューオータニの規約に書いてあるんですか。

 今、根拠のないことをおっしゃったということが明らかになりましたね。別にこれはニューオータニの規約にあるわけではないですよ、そんなことが。根拠がないのにおっしゃる、それはまた久兵衛のすしと同じじゃないですか。だからそれは、根拠がないことをおっしゃるって、うそをついているということと同じことですよ、はっきりと申し上げて。今の黒岩委員の御質問の中において、規約に書いてあると。規約に書いてあるということについてお答えすることはできないということは、そういうことなんじゃないですか。

 そして、今、これは、ホテル側との関係においては、その際、既に事前のアンケート調査によりおおむねの出席者数は判明していることから、これは最初に答弁で説明していますよね、聞いていなかったんですか、出席者数は判明していることから、ホテル側の了解のもと、取消し料等の取決めは特段行わなかった、こういうことでございます。これに尽きるところでございます。

黒岩委員 逆に言うと、総理、何、人をうそつき呼ばわりしているんですか。

 ここに規約がありますよ、ホテルニューオータニの、これは東京の。そこの規約の第二項に、有料人数の確認、料理等を用意する人数の最終決定数は、宴会、催事開催日前の最終平日の午前中までにホテル担当係に御連絡ください、上記期限を過ぎて出席者が減少した場合でも、全て手配が完了しておりますので、最終決定数にて御請求させていただきますと書いてあるわけですよ。

 これは一人でも二人でも、事前予約、予約したのは安倍事務所だと言っている、一人でも二人でも、これが欠席が出たときでも、それは今言ったように最終決定数で請求させるわけだから、この差額については誰かが負担します。会場が、取消しとかになった場合に、こうやって云々かんぬん、これは八割負担とか一〇〇%とかと書いてありますよ。

 この当たり前の規約に、私はそれに沿って質問しているだけで、規約を読んだこともないみたいなことをおっしゃっていただきたくない。取り消してください。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にまずお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 私が申し上げたのは、つまり、私は仲介をしたわけでありまして、契約の主体は参加者でありますから、当然、参加者との契約になるわけであります。それを前提に申し上げているわけでありまして、そのケースにおいての規約があるのかどうかということを申し上げたわけでございます。

 私が契約主体であれば、今、それは私は確認していませんからわかりませんが、今読み上げられたとおりかもしれませんが、契約主体が違うんですから、それは違うということでございます。(発言する者あり)

棚橋委員長 川内議員、恐縮ですが。

安倍内閣総理大臣 その上において申し上げれば、先ほど来申し上げておるように、アンケートについて、アンケートをとった上でこれはホテル側が了解をしたわけでございますから、いわばホテル側の了解において出されたということでございます。

黒岩委員 私が今申し上げたのは、うそつきと言ったその総理の発言を撤回していただきたい。

安倍内閣総理大臣 久兵衛についてはうそつきだと思います、これははっきりと申し上げて。(黒岩委員「規約については」と呼ぶ)規約については、私、今、その規約について確認をできませんので、今すぐお答えをすることはできませんが、もしそれが事実であれば撤回をさせていただきたい。ただ、久兵衛についておっしゃったことについては、それはうそをついているということは重ねて申し上げたい、このように思います。(発言する者あり)

棚橋委員長 まず、皆様、恐縮ですが、御静粛にお願いいたします。

黒岩委員 今、何度も何度もおすし屋さんの名前を出しますが、私が申し上げたそのおすし屋が提供したとは一言も断言していないということは、私は言っておきます。

 それと、そのおすし屋さんが出したかどうかについては、明細書を見れば明らかになるんです、それが事実かどうか。それを事実にできるのは、総理、あなたですよ。だから、それをしっかりと明らかにしていただきたいと思います。これは、もう時間の都合がありますので。

 今、やはり驚くべきことなんですよ。契約主体が参加者個人個人と言った。そして、この規約上も、総理が言ったように、自分は契約していないと。本来なら、契約している主体がその参加者個人個人だったら、今言ったように、いざキャンセルが出た場合、これは会場費においても料理代についても、これは規約で負担を負ってもらうと書いてある。その取決めがない。そんな契約主体、あり得ないですよ。

 だから、これはまさに参加者個人個人が契約主体ではないということの裏返しですから、この点については、これは契約主体でないということは、この点もしっかりと説明責任を果たしてもらいたいということを指摘して、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

棚橋委員長 この際、大河原雅子君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。

 立国社の、立憲民主党の大河原雅子でございます。

 今、大変な状況、この予算委員会室で私もきょう初めて質疑に立たせていただくわけですけれども、きょうも国会にはたくさんの小学生が見学に来ています。今ここであった議論は、あの未来を担う子供たちに到底説明をすることができません。

 一番簡単なことは、総理が真実を語り、そして身の潔白を証明するための証拠を、例えば八百人を招いた後援会のあの夕食会の領収書、八百人もいたわけですから、一枚も出てこないこと自体が不思議です。

 安倍政権で疑惑と思われることがたくさん起こってきて、うそにうそが重ねられていて、霞が関の官僚の皆さん、お役人の皆さんまで巻き込んでいるという姿は、実はもう何年も続いているわけです。

 今、黒岩議員の追及をかわそうとして、総理は、私から見れば、総理も興奮していらした。私は、総理大臣というのは、そういう意味では、もっと高い倫理性を持って、責任感も持って、説明責任を果たすということを真っ先にやらなければならない人だと思います。いかがですか、説明責任。まずお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 それは、黒岩委員が大分言葉を荒げましたので、それに対していさめたところはあったと思います。そして、彼がかつて全く事実でないことを流布した、それが相当、流言の流布として世の中に行き渡ってしまったので、それを正すことは当然なんだろう、このように思います。

大河原委員 私の持ち時間は十時半まででございます。黒岩議員に提供いたしました。ですから、十五分間、真摯に向き合っていただいて、シンプルに、後ろからの手渡される資料は全くきょうの私の質問には関係ございませんので、どうぞ心を楽に持って、御自身の言葉で語られたらいいと思います。

 まず伺いたいと思います。

 一月の二十二日、本会議で、共同会派、国民民主党の玉木代表が、姓を変えるなら結婚できないと言われた若者について言及をされました。その途中で、議場から、だったら結婚しなくていいという女性の声でのやじが飛びました。御記憶ですか。

安倍内閣総理大臣 御指摘については、私もその場におりましたが、そうした発言があったかどうかも含めて、私自身は定かではございません。

大河原委員 玉木代表自身が、今、やじで、だったら結婚しなくていいというふうに話があったことを既に述べていらっしゃるんですよ、そのときに。ですから、総理の席に聞こえないのか、発言者の登壇のところで聞こえないのかわかりませんけれども、だったら結婚しなくていいというこの内容、ここについては総理はどう思われましたか。

安倍内閣総理大臣 その中身についてでございますが、婚姻により氏を変えたくないために法律上の婚姻をしない方がいるとの指摘があることは承知をしております。

 政府においては、婚姻によって民法上の氏が変わった後も旧姓の使用を望む方が引き続き旧姓を使用することができるよう、旧姓の通称使用の拡大に向けて取り組んできたところであり、婚姻後もそれぞれの氏を称することを希望する男女について、婚姻をしなければよいと考えているわけでは決してないわけであります。

 もとより、婚姻の自由が憲法上保障されていることは当然のことでございます。

大河原委員 結婚したいけれども、自分の名字を変えなければならないので結婚できないというこの悩み、総理、御理解いただけますか。

安倍内閣総理大臣 そういう方もおられるだろう、このように思います。

 その中で、政府として、今まで通称使用等について、できるだけ通称使用が可能になるような対応をとってきたということは、答弁したとおりでございます。

大河原委員 結婚したらどちらかの名字に統一をする、名字を、氏を一つにするということは、今、世界じゅうで日本だけが法律で決めて国民を縛っているといいますか、法律の枠をかけているんです。

 日本人と日本人の場合のみ同姓にする。国際結婚、これは別々です。そして、どうでしょうか、離婚したときも、姓を別にするということ、同じ姓を使うということも、選択がそれはできるわけです。

 どうしても姓、氏を一つにするということ、世界でどうして私たちの国だけなっているんでしょうか。総理、お答えください。

棚橋委員長 法務大臣森まさこ君。(大河原委員「総理に伺っています。短い時間ですから、お願いします」と呼ぶ)

 その後、総理にお答えいただきます。

森国務大臣 短い時間のところ恐縮です。制度上のことですので、今ちょっと御説明させていただきます。

 日本人と外国人のところが選択的別姓になっているという表でしたが、これは、外国人が民法上の氏がないためになっているので、選択的な別姓制度でないということを御説明しておきます。

棚橋委員長 大河原雅子君。(大河原委員「総理からお答えいただいていません」と呼ぶ)立って聞いていただけますか。

大河原委員 総理からのお答えをお願いします。時間を短くするからということだったでしょう。

安倍内閣総理大臣 制度的にどうなっているかという制度上の御下問であれば、これは大臣から答弁をさせていただきます。

大河原委員 この問題について、総理は、何度も何度も同じ質問をされているから繰り返すということで、同じ答弁をされています。夫婦の別氏の問題については、我が国の家族のあり方に深くかかわる事柄であり、国民の間にさまざまな意見があることから、引き続き、国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら慎重に対応を検討してまいりますとおっしゃっているんです。

 この問題、どこでどのように検討しているのか。男女共同参画社会基本法、第四次計画の中には、選択的夫婦別姓導入に向けて検討を進めると書いてあるんです。ところが、今現在、今政府がやろうとしていることは、通称と言われる、その中の、旧姓を併記していい、その通称の併記を拡大をしていくということで、女性活躍促進のための重点の中で出されております旧姓併記、この対象を広げていることだけなんです。

 選択的夫婦別姓。今、求めているのは夫婦別姓制度なんです。でも、希望する人だけ選択して自分のもともとの名字を名乗る、これのどこが、総理、納得がいかないんですか。

棚橋委員長 法務大臣森まさこ君。(大河原委員「総理に聞いています」と呼ぶ)

 制度でしょう。(大河原委員「総理に伺っておりますので、森大臣、結構でございます」と呼ぶ)

 この後、総理に御答弁いただきます。法務大臣は短く御答弁をお願いいたします。

森国務大臣 わかりました。

 今どこで検討されているかということでございますので……(大河原委員「聞いていないです」と呼ぶ)という御質問がございました。今一体どこで検討されているかということでございましたが……(大河原委員「聞いていないです。知っていますから大丈夫です」と呼ぶ)御質問の中にございました。(大河原委員「ないです」と呼ぶ)それについては、この第四次男女共同参画基本計画の重点方針については、ちょうど私が前任の党の女性活躍推進本部長でございましたけれども、そちらの方でも検討をいたしておりまして、旧姓の使用を拡大するということで、今拡大をしております。

 決してまだ完全ではございませんが、今後も不便を解消するようにしていきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 平成二十九年に内閣府が行った世論調査では、法改正により旧姓の通称使用の機会を広げるべきであるという意見を含め、夫婦は必ず同じ氏を称するべきであるという意見が過半数を占める状況にあったと承知をしております。

 このように、世論調査の結果においても国民の意見はなお分かれており、また、国民の中には、夫婦の氏が異なることにより、子への悪影響が生じることを懸念する方も相当数いるものと認識をしております。

 選択的夫婦別氏制度の導入については、我が国の家族のあり方に深くかかわる事柄であり、国民の間にさまざまな意見があることから、引き続き、国民各層の意見を幅広く聞くとともに、国会における議論の動向を注視しながら、慎重に対応を検討してまいりたいと考えております。

大河原委員 森大臣、出てきてくださって答弁してくださったんですが、森大臣も、もともと選択的夫婦別姓は推進、賛成をしておられる弁護士さんなんですよね。

 それで、今、安倍総理のお答えの中には、また出てきたんですよ、我が国の家族のあり方。我が国の家族とよその国の家族は違うんですか。どんな家族観をお持ちなのか、御披瀝いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 それは、それぞれの国々において、国の成り立ち、あるいは、例えば宗教観も含めて、家族観というのはそれぞれの国の家族の家族観があるのだろう、こう思うところでございますが、一概に私から、政府として、家族観とは何かということを申し上げることは困難でございますが、まさに家族というのは、いわば同じ家の中において、きずなを持ち、助け合いを行っていくという認識でございます。

 今、私は政府として家族観について定かなことを言うことは差し控えさせていただきたいと思います。

大河原委員 家族のきずなはみんな持っているんですよ。だから、姓が別でも、特にこの選択的夫婦別姓を求めていらっしゃる方は、家族になりたいがためにその自分の姓を守っていきたい、こういう方なんですよ。

 多様な家族のあり方といったときに、こうした選択的夫婦別姓を求めていらっしゃる方たちは、総理のお考えの中では多様な方々に入らないんでしょうか。そこをはっきりお答えください。

安倍内閣総理大臣 多様な方々に対して、当然それは寛容でなければならない、こう思っておりますが、いわば家族制度、家の制度を法制においてどう考えるか、それについては先ほど来申し上げているとおりでございます。

大河原委員 家族制度、家の制度。今、制度、あるんですか。私たちが例えばパスポートを取るときに一番基本になるのは、つまり、外国に行って私が誰かということを証明する、国境をスムーズに通過する、それは、今現在は戸籍に載っている私の名前になります。

 だけれども、それに不都合がある方たちもいるわけなんです。多様な仕事もあります。専門家として、学術的にも論文を書き、国際会議に出席し、経営者もそうですよね、国際的に活躍してきた多くの女性たちが名字を変える。

 今、ここにお示ししました、現在のパスポートです。名前の姓のところに、サーネームの横に括弧書きで、赤括弧でTANAKAと書いてあります。外務花子さんという方は、結婚してTANAKA姓であれば、今、併用という形で、括弧内だけ認められています。

 でも、今のように、森大臣は、先ほどの表で、マイナンバーも、それからパスポートも、また銀行口座も、併用を可能にする対象として、つまりは、条件の緩和をしてどんどん進めているけれども、まだ不十分だ、そのようにおっしゃいました。不十分なんですよ。本当に不十分なんです。

 それは、例えばこのパスポートで、これは旧姓です。しかし、この赤い部分を見てください。入国で、人が見る部分はこのビジュアルインスペクションゾーンという青い部分なんですね。ところが、機械を通して、このマシンリーダブルゾーン、ここはTANAKAということがなくて読み取れないんです。

 そうすると、何が起こるでしょうか。これを出すたびに、このTANAKAという人と二つ名前を持っているこの人は誰、この人は何、さまざまなトラブルが起こるんです。

 ですから、今、安倍政権、女性活躍と言っています。この方向性、選択的夫婦別姓、世界じゅうで認めていないのは日本だけです。この選択的夫婦別姓を実現すればこのトラブルはなくなるんです。

 このことについて、私は、女性活躍推進という政府の方針と、今びほう策としか見えないこの通称、旧姓の使用拡大、これは矛盾していると思いますよ。総理、どうですか。

棚橋委員長 外務大臣茂木敏充君。(大河原委員「総理にお願いします」と呼ぶ)

 外務大臣、簡潔にお願いいたします。

茂木国務大臣 パスポートの件ですから、私の方から。

 早急に改善をしたいと思います。

 現在でも、日本の旅券には旧姓を別名併記することは可能であります。ただ、その……(発言する者あり)済みません、答弁中です。

棚橋委員長 恐縮です、御静粛に。

 また、外務大臣は簡潔に。

茂木国務大臣 その取得には、外国において、旧姓によります論文の発表、職場、業務による渡航等における旧姓使用の実績を証明するなど、極めて高い要件を今求めているところでありまして、これを変えていきたいということで、もっと簡易に、戸籍謄本等によりまして旧姓の確認のみで旧姓使用が可能になるように検討中でありまして、今お示しいただいた括弧の部分、TANAKAと書いてある部分、これだけ見ただけで旧姓だということがわからないんですね。旧姓であって……(発言する者あり)しっかり答弁しています。聞いてください。

棚橋委員長 御静粛に。

 また、外務大臣も不規則発言に反応しないように。

茂木国務大臣 そこに旧姓、サーネームなりとしっかり書く、メーデンネームと書く、こういうことによってはっきりわかるような形をとっていきたいと思います。

大河原委員 私が指摘しておりますパスポートの旧姓併記の問題というのは、旧姓の名前を、旧姓を使用拡大する、その限界なんです。これは日本しかこの制度を認めていないので、ほかはみんなするっと通るところを、日本のこのことを、今、茂木大臣がおっしゃったことを実現するためには、日本人が旧姓使用をして外に行くときに、ほかの国々に全部認めてもらわなきゃいけないんですよ。この赤いところのシステム変更はもちろんのこと、これは旧姓併記というものを認めてくれということを世界じゅうに発信しなきゃならない。そこにはいわれのない人権侵害も起こるでしょう。

 ですから、この旧姓使用を拡大する方向は全く、私たちは、女性活躍には反し、そして、コストもかかり、そして、このことを実現するためには、既に野党は選択的夫婦別姓を実現する民法改正を既に提出しております。野党の皆さんと、そして、国会内での議論をしろということですから、この法案をしっかり通していくことでこの部分もカバーできるんです。

 昨年の参議院の選挙で、各党、公約に掲げました。孤立しているのは総理だけなんです。世界じゅうで孤立しているのは総理だけ、日本だけになりました。

 ぜひ皆様の、野党の皆さん、同僚議員の真摯な御議論をお願いして、早急にこの選択制夫婦別姓、実現をしていく、ぜひよろしくお願いいたします。

棚橋委員長 この際、階猛君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 立国社共同会派の階猛です。

 本日は、なぜIRなのかというテーマで総理と議論をさせていただきたいと思っております。

 きのう、元IR担当副大臣のあきもと司代議士が収賄罪で追起訴されたということもありましたので、きょうは真剣な議論をさせていただきたいと思います。

 最近の新聞各紙の世論調査を見ますと、六、七割がカジノを含むIRの推進に反対しています。これは、幾ら特別法をつくってカジノを合法化したとしても、賭博は本来、人の道に反する違法なものであるという社会通念が国民の間に根強いからではないでしょうか。

 歴史をひもとくと、我が国では、七世紀の持統天皇の時代から賭博は違法とされてきました。持統天皇は、令和という年号のもととなった万葉集にもみずから詠まれた和歌が載っている有名な方です。

 年号の制定に限らず、日本の伝統や文化を大切にするはずの安倍首相、IRを離れて、賭博行為を一般的に見た場合、その違法性をどのように認識しているのか、お答えください。

安倍内閣総理大臣 刑法上賭博が犯罪とされるのは、最高裁判所の判例によると、賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず、単なる偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものであり、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあることから、社会の風俗を害する行為として処罰されることとされているところでございます。

階委員 最高裁の判例を読み上げられましたけれども、やはり行政府の長として、しっかりとした自分の見解をお示しいただきたかったところです。

 そして、賭博行為自体が、今総理も言われたように、違法であるだけではなくて、特定の事業者に対し特定の区域のみでカジノ賭博を認めるIRという新たな仕組みが今度できます。賭博特区ともいうべき、新たな利権が生まれます。そして、この利権に群がる人々によって、贈収賄など、さらなる人の道に反する違法行為が行われるのではないか、こうした疑念も国民の間に広まっているわけです。

 そのきっかけとなったのが、先ほど申し上げました、首相が任命したあきもと司元IR担当副大臣が起訴、追起訴されて、計七百六十万円収賄をしたのではないかという事件です。

 また、きのう、私の隣にいらっしゃる渡辺周先生が取り上げていましたけれども、自民党の中村裕之代議士、岩屋毅代議士、船橋利実代議士が寄附として受け取った百万円の原資が、あきもと副大臣に贈賄した中国企業のものだったという報道もあります。外国法人による違法な献金が行われた疑いが生じているわけです。

 カジノ利権はうまみがあります。それゆえに、今回の疑惑は氷山の一角であり、かつ、序章にすぎないのではないか、このように思われるわけです。

 カジノ利権が違法行為の温床になる危険、これを総理は認識していらっしゃるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 IRの推進に当たっては、国民的な理解が大変重要であり、事業者選定の公平性、透明性の確保等についても、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて、丁寧に進めてまいりたいと考えております。

階委員 ちょっと今答弁がよくわからなかったんですが、特定の事業者に特定の区域のみでカジノ賭博を認めるIRというものが、カジノ利権として不正行為の温床になる、違法行為の温床になるのではないかと考えますけれども、この点について、総理の認識はいかがですか。

赤羽国務大臣 階委員よく御承知だと思いますが、まず、IR推進法の附帯決議におきまして、このIR区域の整備の推進のために必要な措置を講ずるに当たって、目的の公益性等、八つの観点から、刑法の賭博に関する法制に整合性が図られるよう十分な検討を行うこととされておりました。

 そして、それを受けて、IR整備法の立案過程におきまして、有識者で構成されておりますIR推進会議において刑法学者からヒアリングを行って……(階委員「それはわかっていますから。大丈夫です」と呼ぶ)わかりました。国会における審議を経て成立をしているということでございまして、それで、IR整備法は刑法が賭博を禁じている趣旨を損なうものではなくて、法秩序全体の整合性が確保されていることから、同法においてカジノ管理委員会の免許を受けたIR事業者が、同法に定めるところによってカジノ事業を行うことができる旨が規定されております。

 しかしながら、IR整備法に基づくとはいえ、我が国で初めての民設民営でカジノ事業を認める以上は、私は、今その担当大臣として、一つは、例外的特権と表裏一体の高度な規範と責任が求められる、二つ目が、免許制を与える以上、免許制による厳格な参入規制と徹底した背面調査が必要だ、三つ目は、ゲーミングの公正性の確保、そして四つ目は、厳格な事業規範とカジノ規制当局による厳正な監督による健全な事業運営の確保を前提に、世界最高水準の規制がとられていると承知をしておりますし、そうしたものができるように、しっかりと私自身の仕事として、公平性、透明性を確保しながら、慎重に検討を重ねて、そしてどうしてここを選んだのかといったときには説明責任が果たせるように、しっかりと職務を果たしたいと思っております。

階委員 総理、最初に答えられたので、もう一回お尋ねします。

 カジノ利権が違法行為の温床になる危険を総理は認識しているのか、端的にお答えください。

安倍内閣総理大臣 いわば違法行為の温床にならないようにしなければいけないということなんだろうと思うんですが、いわば副次的弊害の防止の観点で、重層的、多段階的な依存防止対策や、あるいは暴力団員等の排除や上乗せマネーロンダリング対策など、それぞれを具体化した諸制度を整備しているところでございます。

階委員 ならないようにと言いますけれども、既に違法行為が行われたのではないかという強い蓋然性がうかがわれるわけであります。

 そこで、こうしたカジノ、これ以外にもさまざまな弊害があると思います。

 きょうはパネルを用意しました。このパネル、過去の総理の国会での答弁、IR整備法の際の答弁を引用したものです。長々と書いておりますけれども、最初の段落ではIRを推進することによるメリット、そして後段の方で、少しですけれども、依存症対策などの課題に万全の対策を講じるなどということが書かれております。

 この依存症対策ということなんですが、依存症を本当に防ごうというのであれば、カジノでの滞在時間、消費金額をなるべく少なくして、散財、借金、家庭崩壊が起きないようにすべきです。

 そこで、総理に伺いますけれども、貸付業務やコンプと言われるレストランやホテルなどへの優待措置、これが行われるというふうに伺っておりますけれども、その貸付業務やコンプの規制は具体的にどうなるのか。またあわせて、カジノの利用頻度に対する規制はありますけれども、利用金額の規制は今設けられておりません。こうした利用金額の規制は設けないのか。二点について総理に伺います。総理にお願いします。

棚橋委員長 武田国務大臣、簡潔にお願いいたします。

武田国務大臣 IR整備法におきますカジノ事業者による貸付業務というのは、カジノ行為に付随した顧客へのサービスとして必要な範囲で限定的に行われております。この規制につきましては、御指摘のような一律の規制ではなく、顧客の債務の状況等を調査し、これは指定信用情報機関等で調査をいたします、その結果に基づいて顧客ごとに貸付限度額を定めることを義務づけるとともに、貸付限度額を超えて貸付けをすることを禁止いたしております。

 また、御指摘のコンプリメンタリー、カジノ業者によるコンプの提供については、依存防止等の観点から、コンプの内容、経済的価値、提供方法が適切なものとなるように規制が課されております。

 先生御指摘の依存防止対策の全般につきましては、整備法において、依存防止対策としてIR区域数の限定……(階委員「利用金額の規制を聞いています」と呼ぶ)防止はもう結構ですか。(階委員「利用金額の規制を聞いています」と呼ぶ)

 利用金額につきましては、カジノにおいては、本人が持ち込んだ金でゲームをするのが基本であります。貸付けも限定的であり、利用金額の規制は設けておりません。

 他方、のめり込みを防止する観点から、重層的かつ多段階的な依存防止対策を措置しております。

階委員 利用金額の規制はないということでした。貸付金額の規制についても、それぞれの個々人の状況に応じて検討するということで、上限規制は設けない。

 ちなみに、私が事務方に聞いたところですと、八百万円ぐらい預託金を預けられる人には貸すというふうに聞いておりますけれども、国内の人ですね、八百万円。わかりますか。いいです、いいです。仮に八百万円でも五百万円でもいいですけれども、その範囲で預けた人に対しては、最低でもそれぐらいは貸せるという理解でよろしいですか。

武田国務大臣 先生、まだ委員会の方で決定事項ではありません。八百万円の根拠については、シンガポール・モデルを引用したまでであって、これを日本にそのまま適用するか否かについては、今後、委員会で慎重なる審議を持つと思います。

 いずれにしましても、個人の債務状況というものをしっかりと調査、精査した上でその金額は決めるもの、このように承知しています。

階委員 以上を前提に総理にお尋ねします。

 八百万円はシンガポールの例で、まだこれから具体的な数字は決めるということなんですが、仮に八百万円にせよ、大変な額ですね。その範囲で貸付けをして、そして借金をこさえる。普通の人にとっては大変なことです。こういうやり方をすることによって、賭博による散財や借金、家庭崩壊の危険が高まると思いますけれども、こういう貸付業務、本当に認めていいんでしょうか。総理、お答えください。総理にお願いしています。

安倍内閣総理大臣 ただいま武田大臣から既に答弁をさせていただいておりますが、IR整備法においては、貸付業務やコンプの提供に対する規制のほか、重層的かつ多段階的な依存症防止のための措置を制度的に整備をしているものと承知をしております。

 あと、後半で武田大臣が答弁しようとしたところでございますが、ということでございます。

 さらに、運用に当たっては、ギャンブル依存症を始め、さまざまな懸念に対して万全を尽くしてまいりたい、このように考えております。

階委員 貸付業務やコンプが行われることによって、依存症対策どころか依存症を助長するということをまず申し上げたいと思います。

 そして、その上で、IRの外にも弊害が出てくる。IRの周辺では、風俗環境が悪化して、売春や闇金、それ以外の犯罪の増加ということも諸外国の例ではあるようです。こうしたことを防いでいかなくてはいけないと思いますが、総理はこれを防げると考えていますか。

安倍内閣総理大臣 詳細については、私の後、武田大臣から答弁をいたしますが、カジノ事業者は、カジノ施設及びその周辺における犯罪予防や秩序の維持のための措置をとることが、これは法律上義務づけられています。また、こうした措置を実効あらしめるため、国や都道府県等は、区域整備計画の作成や認定に際しては、警察などの関係機関と緊密に連携することとしております。

 こうした取組を通じて、カジノ施設の運営に伴う有害な影響の排除に万全を期してまいりたい、このように考えております。

棚橋委員長 国務大臣武田良太君。(階委員「結構です、聞いていませんから。結構です。大丈夫です。次に行かなくては。時間がないので結構です」と呼ぶ)

 武田君、簡潔にお願いいたします。(階委員「いいです。結構です。大丈夫です」と呼ぶ)

 いや、指名しました。簡潔にお願いします。もう指名してしまいました。

武田国務大臣 総理の方から概略御説明ありましたけれども……

棚橋委員長 武田君、簡潔にお願いします。

武田国務大臣 整備法におきましては、施設及びその周辺における犯罪の発生の予防や秩序の維持等を図る観点から、暴力団員等のカジノ施設への入場を禁止するとともに、カジノ事業者に対し、カジノ施設内において入場禁止対象者を発見するために必要な措置を義務づけることに加え……

棚橋委員長 武田君、簡潔にお願いいたします。

武田国務大臣 施設の利用が不適切であると認められる者についても、カジノ施設の利用の禁止、制限の措置を講ずるほか……

棚橋委員長 武田君、簡潔にお願いいたします。

武田国務大臣 カジノ施設及びその周辺における監視や警備の実施等の措置を講ずることを義務づけております。

 また、都道府県……

棚橋委員長 武田君、簡潔にお願いいたします。

武田国務大臣 これは重要なポイントですから。これは重要なポイントだから。(発言する者あり)いやいや、これは重要なポイントを言っていますから、今。御指摘……(発言する者あり)

棚橋委員長 まずは御静粛に。

 また、武田大臣、簡潔にお願いいたします。

武田国務大臣 都道府県等とIR事業者が区域整備計画を作成する際には、犯罪の発生の予防等の観点から……

棚橋委員長 武田大臣におかれましては、簡潔にお願いいたします。

武田国務大臣 都道府県公安委員会や立地市町村と協議することとされているほか、国土交通大臣が区域整備計画を認定するに当たっては、関係行政の機関の長と協議し、これらの同意を得ることとされております。

棚橋委員長 武田大臣に御注意申し上げます。

 委員長からは簡潔にとお願いいたしましたので、今後は簡潔に御答弁してください。

階委員 もう一つだけ弊害を指摘させていただきたいと思います。

 カジノの収益なんですが、あるいはIRの収益なんですが、ある機関の見通しによりますと、国内の顧客から上がってくる収益が八割、そして、外資系がそこに出資しているとなると、二・五兆円も海外に流出するという試算もあるようです。

 今の制度では、IRの収益の三割程度を国や自治体に納付し、また、IRに附帯する施設の運営費なども負担するようですけれども、それ以外に最終利益をどのように配分するか、どのように使うかについては規制がない。したがって、もうければもうけるほど、最終的にIR事業者、ひいては投資家にそのお金が落ちてくる、そういう仕組みです。これが、IRにたくさんのお客が呼び込まれ、そしてたくさんのお客さんがギャンブル依存症に追い込まれていく、そういう可能性があるわけです。

 そこで、配当原資となる最終利益には規制を設けるべきではないかと思っておりますけれども、この点について、総理、時間がないので端的にで結構ですから、総理だけにお尋ねします。

安倍内閣総理大臣 私の答えですので、非常に簡潔になりますが、よろしいですか。(階委員「はい」と呼ぶ)詳細が必要であれば、武田大臣から答弁させたいと思いますが。

 IR整備法においては、カジノ事業の収益の確実な公益還元を図る措置が設けられており、加えて、カジノ行為の種類及び方法の制限や、重層的かつ多段階的な依存防止対策などを適切に講じることで、御指摘のような弊害防止は可能と考えているところでございますが、IR事業者は、カジノ行為粗収益に対する三〇%の納付金や、法人税、地方税等を納付しなければならない、こういうことでございます。

階委員 三〇%の納付金はわかっているんですが、その後に残ったお金、これが多額になって投資家に流れていく、日本の財産が国外に流出していく、こういう弊害があるということも指摘しておきたいと思っております。

 そして、そうした弊害の反面で、総理が強調しているメリットの部分、これが本当にあるのかどうか、ここについても議論させていただきたいと思います。

 まず、赤で示しておりますが、観光、このメリットですが、先ほども言いましたコンプという仕組み、お客さんに対する優遇、優待でホテルやレストランが割り引かれる、そういう仕組みがある以上、内外の旅行客とその消費額がIRに集中してしまう。結果、地方の観光地は衰退するのではないか。また、IRに外国人旅行客が来た場合、送客機能を持たせるとは言っておりますけれども、IRで時間とお金を消費してしまったら、地方に行く余裕はなくなってしまうのではないか、すなわち、地方には送り出せないのではないか。

 この点について、総理からお答えをお願いします。

安倍内閣総理大臣 先ほどの答弁にちょっと補足をさせていただきますと、三〇%の納付、また、税金、もちろん法人税等を払ってもらうんですが、と同時に、カジノ収益をIR事業の事業内容の向上等に充てるように努めなければならないわけでございまして、これについて、国土交通大臣が毎年度行う評価の対象とするなど、IR整備法等において、カジノ事業の収益の確実な公益還元を図る措置が設けられていると承知をしております。

 そして、今の御質問について、地方との、いわば観光の振興に役に立つかどうかということでございますが、IRの整備は、諸外国の事例を見ても、建設投資のみならず、開業後の日常的な調達、雇用によって大きな経済効果が見込まれ、さらに、新しい観光産業の創出などの契機となることが期待されるものであります。これは、地域全体の底上げを図るものであって、既存の資源をゼロサムでとり合い、あるいは周辺地域を衰退させるものではないと考えております。

 国土交通大臣による区域整備計画の認定に当たっては、IRの整備による地域経済への効果を審査するとともに、計画の認定後も、先ほど申し上げたような形で、毎年度評価を行うことを通じて、地域経済への効果を確保していくこととしております。

階委員 観光について、事後的に評価をするといっても、それで、評価した結果、どういうふうに是正していくのかというのもはっきりしません。

 そして、もう一つ、地域振興というのも挙げられておりますが、これも疑問なんですね。

 このIRの法律の施行令によりますと、日本型IRで、カジノと一体整備が求められる国際会議場は、収容人員が最低でも二千人ほど。また、展示施設の面積は、今申し上げました最低の二千人収容の場合でも十二万平米以上。この面積、ぴんとこないんですが、日本最大の東京ビッグサイトという施設でも約十万平米です。とてつもなく巨大な展示施設をつくらなくてはいけない。それから、附帯施設として求められるホテルの床面積は十万平米以上。これは、客室数に直すと二千から二千五百ということで、今、国内の主要なホテルでも大体平均すると千五百という部屋数でございますから、これも莫大な規模になるわけです。

 こうした規模が要求される日本型のIR、大都市圏でしか成り立たず、仮に、地方に万一設けたとしても、雇用を吸収したり、あるいは全ての消費がIRに集中することによって、地元経済にとってもマイナスなのではないか。結論として、地域振興に果たして役立つのか。私は役立たないと思いますけれども、総理の見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 展示場の例として挙げて、これは広過ぎるのではないかという話をされましたが、実は、日本でそうした展示をしたいという企画は結構あるんですが、実はその中で、幕張は狭過ぎる、東京ビッグサイトも実は狭いという、それは、例えばドイツの、さまざまなものを見ても、これは海外の施設と比べれば、確かに小さいのは事実であります。やる場所は日本の方がいいんだけれども、その会場がないからといって諦めているところもあるのは事実でありますから、そうしたところも……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 そうしたいわば需要が取り込めるのも……(発言する者あり)

棚橋委員長 済みません。御静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 そうした需要を取り込むことができるのも事実なんだろう、こう思います。

 詳細については赤羽大臣から……(階委員「大丈夫です」と呼ぶ)やはり詳細が大切なんですが。IRは、日本の魅力を発信するゲートウエーとして全国各地の魅力を世界じゅうに紹介し、そして来訪客を国内各地に送り出す、まさにこれは交流のハブとして機能します。

 これは、既存の資源をゼロサムで、先ほど申し上げましたように、とり合うものではない、衰退させるものではないわけでございまして、地方の新たな観光産業を創出していくものである、こう考えております。

 また、これまでにないような国際的な会議場を展開し、新たなビジネスの起爆剤となることで、我が国経済のイノベーションを促進し、IR立地地域のみならず、全国各地の地域経済を再生させる契機となることが期待されると考えております。

階委員 地方創生に役立つのかどうかという点で、もう一つ疑問なのが、IRを設けることによって一万人規模の雇用が創出されるというふうに言われておりますが、IRで一万人の雇用が発生した場合、サービス業ですから、女性の雇用も多く発生すると思います。

 ところで、現在、先週発表されていましたけれども、地方創生では、二〇一九年度までに地方から東京圏への流出人口をプラス・マイナス・ゼロにするということですが、これがむしろ拡大して、しかも若い女性を中心に拡大している、こういうデータが先週発表されています。

 そういう中で、日本型IRを東京のような大都市圏に設けた場合、地方からの若い女性を中心とした人口流出が更に加速して、若い女性がいなくなるということはお母さんになる方もいなくなるということで、地方の少子化が更に加速するのではないかと思うわけですけれども、この雇用創出による弊害、悪影響という点について、総理はどのようにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 このIRを今どこにということについては、まだもちろん決まっていないわけでありまして、基本方針を定める段階にあるわけでございますから、仮定の御質問になかなかお答えしにくいのでございますが、いずれにいたしましても、今、東京から地方へという流れをつくるためのさまざまな政策を推進しているところでございまして、地方で起業する方あるいは就業する方について最大三百万円の支給を行うなど、それを更に使いやすくするなどといった努力を今始めているところでございます。

 今後とも、そうした努力、何とか地方への流れを、地方にこそチャンスがあるという流れをつくっていきたい、このように考えておりますが、その中で、IR自体がそうした流れをつくる上において阻害要因になるかどうかということでありますが、私の感じでは、IRをつくるということが特別そうした流れを阻害する要因になるというふうには考えてはおりません。

階委員 今現在、地方から首都圏への流れというものが加速しているわけでありまして、それを更に加速しかねないということが懸念されるわけです。これをやっていくことにより、本当に観光先進国に引き上げられるのかどうか。

 観光先進国というのは、そもそも何なのか。地方が衰退していく形での観光先進国、あるいはギャンブルがどんどんはびこっていく中での観光先進国、私はこれは観光先進国とは矛盾しているような気がしますが、そもそも、この観光先進国とは何なのか。そして、観光先進国を目指す上で、世のため人のためになるような仕事を、自分の利益のために人を犠牲にするようなカジノという事業に委ねてしまっていいのだろうか、こういう疑問がありますが、この点について総理の見解をお願いします。

赤羽国務大臣 観光先進国の定義は、明日の日本を支える観光ビジョンにおいて書かれておりますが、全国津々浦々その土地ごとに、日常的に外国人旅行者をもてなし、我が国を舞台とした活発な異文化交流が育まれ、真に世界へ開かれた国であるとか、ちょっと長くなりますので、あと、その地域地域で観光資源の魅力を発現していく、そして、そこに地域の活性化、雇用を生んでいくということでございます。

 そして、そもそも、私どもが目指している日本型IRというのは、カジノが目的の旅行者を誘客することを主たる目的とした事業ではなく、観光先進国戦略にのっとって、二〇三〇年、訪日外国人旅行者数六千万人、消費額十五兆円を実現するために三つの柱を立てております。

 それは、私、観光政策を考えておりますと、やはり日本というのはMICEが大変弱い。国際会議また大型の展示場、先ほど話がございましたドイツのハノーバーの国際見本市の会場は四十六万平米あって、東京のビッグサイトは十万平米前後なんです。こうした現実の中で、何とか大型の国際会議ですとかイベントを誘致して、そして、できるだけ長期の滞在をしていく。なかなか長期滞在というのは、日本が弱い。

 そして、その中で肝心なことは、そこから日本各地に訪問してもらう。わかりやすく言えば、去年のラグビーワールドカップというのはまさにこうした成功例でございまして、ラグビーワールドカップを毎年やるわけにはいかないので、こうしたIR事業に臨むということでございます。

 簡単に言えば、以上です。

階委員 あくまでIR事業が観光先進国の原動力となるということで、観光先進国を究極の目標にしているのであれば、後段の文章は矛盾していると思うんですね。後段を見ますと、日本型IRを実現するために、観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと。日本型IRが目的になっている、こんな言いぶりもしているわけです。

 こういったカジノつきのIRありきではなくて、カジノなしでもIRを提案している横浜のようなところもあります。そして、カジノなしの方が、きょう私が指摘したような弊害をなくすることができる。そして、そうした弊害がない中で税収増というのも期待できる。

 総理もおっしゃいましたけれども、横浜は、カジノなしでも、展示場に需要があるので十分採算がとれるということを言っているわけです。採算がとれるのであればカジノに頼らない方がいいわけでありまして、それをむしろ推進していくことが観光先進国と言えるのではないでしょうか。

 総理大臣は、IR推進本部長として、これからIR推進の基本方針の決定、あるいは具体的な整備計画に対する意見というのも出していくわけですけれども、ぜひ、IR、カジノつきにこだわらないで、他の弊害のない手段がないのかどうか、これとの比較検討も行っていただく。そのために、弊害とその対策に生じる社会的なコスト、あるいは、経済に与える、先ほど申し上げました、一極集中による地方の経済あるいは地方の観光地にマイナスの影響がどのようになるか、こうしたことも考え合わせて、トータルで見た定量的な利害得失、これを前提にして基本方針の決定、整備計画の意見をやっていくべきではないかと思います。

 総理の見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 まさに今後、基本方針を決定していくのでございますが、今後、高い独立性を有するカジノ管理委員会や国での御議論も十分に踏まえて丁寧に策定してまいりたいと考えています。

 また、国土交通大臣が区域認定の審査を行うに当たっては、第三者による有識者委員会の意見を踏まえることとしており、こうした措置をとることで厳正な審査を確保できるものと考えているところでございます。

 基本方針においては、IR整備法に基づき、カジノの設置等に伴う有害な影響の排除に関する基本的な事項を盛り込むことを検討しており、今後、カジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて策定したい、こう考えているところでございます。

 また、パブリックコメントを行った基本方針案においては、区域整備計画の認定審査を行う際の評価基準の一つとして、カジノの設置等に伴う有害な影響の排除を位置づけ、審査を行う予定としておりまして、今後、基本方針に基づき厳正に審査をしていきたいと思っております。

階委員 委員のお手元には配付しておりますが、さっき私が言いました、横浜のカジノを伴わないハーバーリゾートという計画がありまして、これによりますと、経済波及効果二兆円以上がある、かつギャンブルに伴うデメリットがないということで、こうしたことも検討して、本当にどちらが日本にとって役立つのか、こうした上で判断していただくということをお願い申し上げまして、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 この際、田嶋要君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田嶋要君。

田嶋委員 立国社共同会派の田嶋要でございます。

 きょうは、エネルギー政策に関して、総理を中心に御質問させていただきます。

 まず、エネルギー政策といえば、思い出さなきゃいけないのは関西電力の問題であります。去年、原発マネーの問題が渦巻きました。私たちもさまざまな情報をとろうといたしましたが、残念ながら、経産省は非常に及び腰の印象です。経産大臣はきょうお越しですけれども、菅原さんが辞任されていきなりですから、同情も申し上げますけれども。

 しかし、この政治に対する、そしてエネルギーの問題、信頼を取り戻さない限り、本当に国会審議はできませんよ。そういう意味では、現場で頑張っていらっしゃる皆さんにとっても本当に気の毒な状況が起きている。そして、年が改まった。

 まずは、この国会、これからも法案審議があるようでありますが、私は野党の筆頭理事として申し上げたい。まず第一に、今、第三者委員会の報告、私たちはずっと昨年から待っています。あれはどうなったんですか。総理、これは大事な問題ですよ。この問題をまず解決しなければ先へは進めません。

 総理、まず、いかなる法案審議の前にも、国会に第三者委員会の報告書が提出されるようにお願いをしたいと思いますが、総理、お願いします。

梶山国務大臣 昨年の臨時国会でもいろいろと議論をさせていただきました。

 昨年の十月に第三者委員会ができまして、但木委員長が、年内を目指して取りまとめをしていきたいという御発言がありました。それに対して、年内を目指すということをしっかり守れるような措置をしていただきたいということをこちらからも言ったところであります。

 その中で、また、昨年十二月の十五日の記者会見におきまして、第三者委員会の但木委員長は、調査すべきものは調査をして、これが最終結論だと自信を持ったものを出したい旨説明し、年明け以降も引き続き調査を継続する必要があるとの説明を行ったと承知をしております。

 弁護士四名の委員とあわせて、事務局体制もできていますし、デジタルフォレンジックの体制もできているという中で、そこに情報と資料を集中してやっていると承知をしておりますので、できる限り早くそれが出てきて、皆様に見せられるようにしたい、また、私なりの努力をしてまいりたいと思います。

田嶋委員 これは端的に答えてくださいね。

 もう一月過ぎているんですよ、年末から。何にも出てきていませんよ。これがない限り、法案審議なんてあり得ませんから。そして、国会、立法府のお決めになることとおっしゃるかもしれませんが、閣議決定してほしくないですね、法案提出してほしくない。これは、まず第三者委員会からの報告書ありきです。

 総理、御確認願えますか。

梶山国務大臣 先ほど申しましたように、情報と資料をそこに集中をして今調査をしているということでありますから、それが出てき次第、皆さんに御披露できるかと思います。

田嶋委員 資料の速やかな提出を求めたいというふうに思います。

 次に質問いたしますが、私も千葉の選挙区でございますので、この関電の次の、今の新型肺炎の問題は大変懸念をいたしております。成田空港もございます。

 そこで、一つお尋ねしたいわけでございますけれども、かつて三・一一の後に、安倍総理は二年半後に、海外において演説を英語でなさいましたね。そのとき、多くの方がオリンピックのことで非常に、三・一一そして放射能のことを心配されておりました。その際に総理はどういう表現を使ったか。アンダーコントロールとおっしゃいました。

 そこで、総理にお尋ねします。現在の新型肺炎のこの状況は、アンダーコントロールですか。

加藤国務大臣 現在、世界的にも、中国を中心に感染患者数は増加をしております。国内においては、現段階で無症状の病原体保有者を含めて二十名、ここはここ数日変わっておりませんけれども、世界的にまだ拡大をしている、そういう状況でありますので、現在、それぞれ、日本も当然でありますけれども、各国共有しながら、この感染拡大防止の努力をしている、こういう状況であります。

田嶋委員 大事なことは、オリンピックが日に日に近づいてまいります、オリンピック・パラリンピック。不都合な真実がこれから出てくるかもしれません。そのとき大事なのは、政治が国民に信用されることです。

 くれぐれも隠蔽のないように、隠蔽というのは隠すということですよ、隠蔽のないように、正直な、国民に対するリスクコミュニケーションをお願いをしたいと思いますが、総理、この場でお約束をお願いします。

安倍内閣総理大臣 それは当然のことであろう、このように思います。国民の皆様の不安にお応えする上においては、しっかりと状況を把握し、分析し、正確な情報を国民の皆様にわかりやすくお伝えをしていきたい、このように考えております。

田嶋委員 かつてアンダーコントロールということをおっしゃったときに、小泉元首相は、あれはうそだという批判をされていましたね。そして、よくああいうことを言うなということもおっしゃっておりました。

 総理、大事な局面にこれから入ってまいります。オリンピック、みんなが心配を始めます。ぜひ、正直な、そして信頼される、言葉が信頼される総理大臣であっていただきたいというふうに、切にお願い申し上げます。

 次の質問をさせていただきます。

 先ほどの階委員のお話を聞いていまして、カジノが成長戦略だというふうに安倍内閣はおっしゃるわけでありますが、私は、カジノより……

棚橋委員長 恐縮でございます。厚労大臣は在席のままでですね。

田嶋委員 お帰りください。

棚橋委員長 退席してよろしいですか。

田嶋委員 はい、結構です。副大臣に。

棚橋委員長 厚生労働大臣におかれましては、御退席いただいて結構です。

田嶋委員 お時間ありがとうございます。

 階さんとの御議論で、カジノが成長戦略だという話がございました。私は、カジノより再生可能エネルギーこそが成長戦略だというふうに考えております。

 先ほど、大変興味深い数字が出てまいりました。カジノをやることで年間二・五兆円が海外に吸い上げられる可能性がある、階さんが、そのような御指摘がございました。

 そこで、経産大臣にお尋ねしたいと思います、通告しておりますけれども。日本の今の発電の資源というのは海外から輸入をしている、資源の乏しい国日本でありますから。そのときに、毎年、石油、石炭を海外から調達するのに幾らのお金をかけていますか。

梶山国務大臣 我が国の二〇一八年度の発電用として輸入した燃料の輸入代金総額は約五・七兆円でございます。

田嶋委員 総理、よく考えていただきたいんです。二・五兆円が毎年海外に出ていくおそれがあるカジノと、五・七兆円が毎年今まで出ていっているお金を日本に取り戻すことができる再生可能エネルギーと、どっちが成長戦略に資するんですか。

安倍内閣総理大臣 毎年毎年出ていくという額については、それは質問者の推定の中でございましょうから、これは政府としてそのような数字を挙げているわけではないわけでございます。

 当然、このIRにおいては、初期投資も起こるわけでございますし、そこで雇用が発生するわけでございます。また、三〇%納付ということも申し上げました。また、法人税や地方税としても当然支払いをしていただくわけでございます。

 これは、どちらか一方を、二者択一ということではないわけでございまして、我々は、まさに観光先進国として、このIRの導入を今御議論をいただいているところでございますが、再エネについても当然進めていかなければならない、このように思っているわけでありまして、実際、再生可能エネルギーの導入量はこの七年間で三倍以上に増加をしているわけでありまして、欧州や世界平均を大きく上回るペースで拡大しているものと認識をしております。

田嶋委員 世界は物すごく拡大していますよ。日本は全然だめです。総理、自分の実績を誇るんじゃなくて、ほかの国と比べたときに、いかに今日本がおくれてしまっているか、そのことをもう少し認識をされた方がいいと思いますよ。

 再生可能エネルギーは、海外から毎年入ってくる資源を買うために調達するお金が節約できるんです、麻生さんもうなずいていらっしゃいますけれども。それを節約して、そして日本の国内でお金を回していくことができる、そして地域にお金を回していくことができる、最高の成長戦略じゃないですか、数字は定かでないかもしれないけれども。

 考えたら、カジノは、ノウハウが日本にないんですよ。ノウハウが日本にないから、お金、出ていくに決まっているじゃありませんか。しかも、日本の国民のお金ですよ。そして、健康を害するリスクやさまざまなリスクがある中で、そうしたカジノじゃなくて、やはり私たちは、全国で始めることができる、千葉の睦沢町もやっていますよ、長野なんかの先進県も頑張っている、北九州の風力発電も頑張っている。しかし、国がリーダーシップを発揮しないから、ていたらくなんですよ。

 そして、そのていたらくは、今防衛大臣をやっている河野先生、河野さんが外務大臣のときに、ちゃんと国際社会で発表しているんですよ、日本の状況は恥ずかしいと。資料をおつけしていますよ。日本の状況は恥ずかしい、そういうことをずっと言っている。そして、明快に、失敗だと言っているんですよ。日本の再生可能エネルギーの政策は失敗している。このことをどう受けとめるんですか。

 次に、私はこのパネルで、パネルが私の眼目でありますけれども、要は、安倍総理は本気じゃないんです。本気じゃない。原発最優先、再稼働最優先、そして、再生可能エネルギーをやるやるといいながら、生かさず殺さずですよ。本気になっていない。そのことを数字で示していきたいと思います。

 まず、比率です、目標数値です。

 安倍総理にお尋ねいたします。現在の再生可能エネルギーの発電比率、そして二〇三〇年の目標数字をお答えください。

梶山国務大臣 再生可能エネルギーのただいまの発電比率は一七%でございます。そして、二〇三〇年の目標は二二%から二四%ということであります。

田嶋委員 総理、頑張っていても、全然世界の中で見劣りするんですよ。河野元大臣がおっしゃっていたそのとおりです。恥ずかしい状況にあるんですよ。まずそのことを御認識いただきたい。

 二〇三〇年の数字を今おっしゃいましたけれども、ちなみに、その二〇三〇年の数字、いつ決めた数字ですか。

梶山国務大臣 二〇一五年の七月でございます。

田嶋委員 もう四年半も前に決めた数字をいまだにやっているんですよ。企業経営だったらあり得ないでしょう。ドッグイヤーでどんどん状況が変わっているんです。再生可能エネルギーの分散エネルギーになれば、人工知能、IoT、ビッグデータ、ブロックチェーン、そしてスマートメーター、そういったものを駆使して、私たち、やっていくわけでしょう。そういう中で、五年前の数字をいまだに目標値として定めているんですよ。

 しかも、今どういう状況にあるか、海外の数字を申し上げたいというふうに思います。海外は、ドイツは太陽光と風力合わせて三四%ですよ、既に今。今、三四%。そして、イギリスは水力も加えて三二%。デンマークは風力だけで四七%ですよ。今経産大臣がおっしゃった、三〇年の目標が二二から二四ですよ。はっきり言って話にならない。全く本気じゃないんです。

 総理、これが日本の国力を弱めている、安倍総理が理解しないから、安倍総理が本気にならないから、日本のエネルギーは大転換しないんですよ。そのことを理解してください。総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、主力電源化を進めることは、安倍内閣の基本方針であります。

 そして、先ほど申し上げましたが、この七年間で再生可能エネルギーの導入量は三倍以上に増加をしている、これも事実でございます。そして……(発言する者あり)三倍以上に増加をしております。これは欧州や世界平均を大きく上回るペースで拡大しているのも事実でございます。こうした事実を全く否定しておられましたが、これは事実でございます。

 ただし、その結果、固定価格買取り制度のもとで、国民の皆様に既に年間二兆円を超える負担をお願いをしている現実があります。最大の課題は国民負担の抑制でもあります。(発言する者あり)

棚橋委員長 傍聴席からの不規則発言はお慎みください。

安倍内閣総理大臣 現行目標を達成する上でも、もう一段のさらなる御負担をいただくことが必要なことを踏まえれば、国民負担を度外視した目標を設定すべきではないと考えています。

 政府としては、これまでも入札制度の導入など固定価格買取り制度の見直しを行ってまいりましたが、今後とも、国民負担の抑制と両立しながら、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組んでいきたいと思います。

 なお、このエネルギーミックスについては、中間的な見通しでありまして、その実現を目指して、ある程度の期間、腰を据えた取組を行うべきもの、このように考えております。

田嶋委員 この分野は、先ほど言ったとおり、刻々変わって激動しているんですよ。腰を据えて、五年前の数字をいまだに守って、世界と全然見劣りしている状況を理解していただきたいんです。恥ずかしいですよ。

 そして、先ほど申し上げましたけれども、カジノをやれば、二兆か三兆かわかりませんけれども、お金が出ていくのは間違いない。再生可能エネルギーを応援すれば、今五・七兆円も海外に支払っている資源の輸入コスト、これを減らしていくことができるんですよ。消費税二%分ですから。消費税二%分を、再生可能エネルギーと省エネルギーを国策としてやれば、物すごく日本の風景は変わりますよ。

 このことを総理は、先ほど官僚の資料を読みましたけれども、わかっていないんじゃないですか。世界はすごく動いているんですよ。河野大臣が当時、外務大臣時代に言ったとおり、もっと世界のアンテナを高くして、世界の動きを捉えながらやってほしいと思いますよ。日本の未来を暗くしている。

 次の質問をしたいと思います。

 発電のコストですが、このグラフをごらんください。

 今パネルの資料をお配りしておりますけれども、この発電コストは、三・一一の前後には実は意外と混戦状況だったということなんです。私たちが政権を失って安倍政権になりました。そのころはまだいろいろな選択肢が結構混戦状況だった。しかし、時間は私たちの再生可能エネルギーに味方をしてくれているんです。今、もう圧倒的に安いのは太陽光と風力ですよ。

 多くの国民の皆さんがまだ、石炭が安いんじゃないかとか原発が安いんじゃないかとか、そんなふうに考えているとしたら、考え方をぜひ変えていただきたい。このグラフが示しているとおり、今圧倒的に安いのは自然エネルギーなんです。

 総理、御存じでしたか、こういうことを。五年前は違ったんですよ、十年前は違ったんですよ。総理が総理大臣をやっている間に世界は劇的に変わっているんです。そのことを理解していただきたい。これで一体どうやって、安倍総理、石炭火力やるんですか、石炭火力。

 幸い、我が千葉県は、賢明な経営判断で三つの石炭火力をやめましたよ。カジノもやめましたけれども。石炭火力もカジノもやめましたよ。

 どうやって石炭火力、将来、大丈夫ですか、これ。私は、会社の経営にも大変懸念をするべきだと思います。将来、座礁資産になるリスクもあるんじゃないか。国際社会から指弾をされている日本の石炭火力じゃありませんか。どうですか、総理。

梶山国務大臣 今委員からお話ありましたけれども、現在のコスト試算では、三〇年のモデルプラントの試算では、原子力は十・三円以上、キロワットアワー当たりですね、太陽光は十二・七円から十五・六円、風力は十三・六円から二十一・五円となっております。

 価格について、安くなったというお話でありますけれども、日本の場合は特殊事情もあって、なかなかやはり安くならない部分もあります。それは、造成する場所の問題もある、また、パネルの価格もある、そういったことも含めて、少し高目であるということは現実であります。

 ただ、二二から二四%というのはキャップではないということで、これを超えることもしっかりと視野に入れながら頑張ってまいりたいと思います。

棚橋委員長 ごめんなさい、議論を整理しますが、先ほど委員が太陽光とおっしゃいましたが、このグラフでは大規模太陽光ですね。

田嶋委員 はい。大規模太陽光は太陽光です。

 それでは、今、日本の特殊事情とおっしゃいましたよね。日本の特殊事情の最大なものは、安倍政権が本気じゃないということですよ。だからだめなんです、日本は。進んでいないんですよ。危機感を感じましょうよ、もっと。この先に未来があるんですよ。五・七兆円、国富が流出しているのを取り戻せるかもしれないんですよ。二・五兆円、海外に支払うカジノとは、ビジネスモデルが全く違うじゃないですか。何を笑っているんですか、総理。そう思いませんか。どっちが成長戦略として賢いと思いますか。

 これだけ結果が出ているんですよ。ぜひ私は、間違った方向に日本を連れていってほしくない。経産大臣、いいですよ。

 ということで、最後の分野の質問をさせていただきます。

 省エネルギーも、これはカジノより省エネですよ、カジノより省エネ。カジノは国民の健康を害するリスクがある。省エネは国民の健康を守る可能性があるんですよ。そのことも理解していただきたい。

 まず、経産大臣、日本のアルミサッシは、汎用的なものはそのまま中国に輸出できないというのは本当ですか。理由を教えてください。

梶山国務大臣 中国に限らず、アルミサッシを含む住宅用建材につきましては、輸送コストが高くて、国により標準サイズ、形状なども異なることから、必然的に現地生産が中心となっているということであります。

 その結果として、日本のメーカーも、中国に工場を設置して現地向けのものを生産をして販売をしているということであります。

田嶋委員 大臣、本質、わかっていますよね。そんな役所がつくった資料を読まないでくださいよ。

 ポイントは、日本の断熱性の低いものは中国の基準に合わないから輸出できないんですよ。そういう状況ですよ、今。そういう状況ですよ。ちゃんと聞いていますから。だから、現地でつくっているのはいいですって。だけれども、日本で多くの家庭で使っているアルミサッシは断熱基準が低過ぎて、中国には輸出できないんです。そのことは、多くの国民のまだ知るところに至っていないと思いますよ。そういう状況にあるんです。

 そしてまた、厚労大臣はいらっしゃいませんけれども、日本は、交通事故で亡くなる方の数の何倍もの方が家で循環器系の疾患で亡くなっているという報告が出ているんです。これはまだ厚生労働省でもうちょっとしっかり研究してほしいですよ。東京都の関係団体や消費者庁、そして国交省もこういうことを報告をいたしております。

 次に、その関係で質問しますけれども、やはり、日本の省エネの鍵は住宅の断熱なんですよ。これは小さい話じゃないですよ。この住宅の断熱について、経産省、経産大臣、住宅の断熱は、ドイツもイギリスもフランスも全部やっていますね。そして、断熱をしないと何が起きるか。建築許可がおりないんです。家を建てられない。日本はどうですか。

梶山国務大臣 日本にも、単位面積当たりの熱の逃げやすさを示す熱貫流率で見た場合に数値がございます。そういったものを基準に、住宅の性能として取り入れていると承知しております。

棚橋委員長 厚生労働副大臣が見えていますが、よろしいですか。

田嶋委員 はい。大丈夫です。

 大臣、断熱義務化は行われているかということを聞いているんです。

赤羽国務大臣 現状の建築基準法で、断熱は義務化ではございません。(田嶋委員「理由もお願いします」と呼ぶ)

棚橋委員長 御着席ください。

 田嶋要君。

田嶋委員 なぜ、ほかの国でやっていることができないんですか。

赤羽国務大臣 ヨーロッパで義務化がされていて、日本がされていない理由というのは、さまざまあると承知をしております。気候も違いますし、家の構造も違うというようなこともあったり、それよりも、現状、建築、建設業界の現状が、なかなか、何というか、そこのそうした意識が、ちょっとこれは言葉が難しいんですけれども、業界的に、大手のハウスメーカーでつくっている住宅は全体の二割もありませんので、そうしたことをなかなかすぐ義務化を適用することができない。

 しかし、これは田嶋先生よく御存じだと思いますが、おっしゃるように、我が国のエネルギー消費量の三割を住宅・建築分野は占めておりますので、ここを省エネ化するというのは大変重要だというふうに考えております。

 何にもしないかというと、そうではなくて、昨年改正した建築物省エネルギー法におきまして、住宅については、戸建て住宅等の設計者から建築主への説明義務制度の創設ですとか、住宅トップランナー制度の対象への追加、これは注文戸建て住宅ですとか賃貸アパート等を追加するようなことも進めております。

 加えて、きょうビラで配っていただいておりますけれども、健康と断熱の住宅の効果も、今、一生懸命、国交省としても、平成二十六年からそうした健康状態の分析をするプロジェクトを行っておりまして、エビデンスもそろってきておりますので、そうした方向に私たちも一生懸命やっていきたい、こう考えております。

田嶋委員 もう少し本気でやってもらわなきゃ困りますよ。エネルギー基本計画には二〇二〇年までに義務化すると書いてあるじゃないですか。書いてあるじゃないですか。二回もそのチャンスを見送っているんですよ。やる気がないんですよ。説得してリードするのが政府の仕事でしょう。先進国はやっているんですよ。

 安倍総理、きょう少しわかっていただいたと思いますけれども、カジノなんか頑張るよりも、再生可能エネルギーと省エネルギーを頑張れば日本の風景は激変するんですよ。全然わかっていないと思いますよ。政府の資料を棒読みするんじゃなくて、御自分の頭で考えていただきたいんですよ。出ていくお金を取り戻せるんですよ。

 資源のない国日本でこれまでやってきました。しかし、今は、太陽や風や水や、そういう力をキャッチできるイノベーションが起きているんじゃないですか。そういう力を生かせば、我が国の最大のアキレス腱の一つですよ、資源が乏しい、そのことによって国富がこんなに、五・七兆円も出ていっている、この国の形を変えるのこそが成長戦略じゃないですか。

 安倍総理、御理解いただいたでしょうか。再エネ、省エネ、全力で、国策として、国策として、コスト面でも圧倒的に安くなっている、世界でのこの動きを、ちゃんと流れをつかまえて、国策として頑張ろうじゃありませんか。安倍総理、最後に答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 国策としてやるということでございますが、いわば、これをIRと比べてどちらかをやるかという話ではまず全くないという、このこと、この比較をしながら議論を進めることは、私は、間違っている、こう思います。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 IRはIRで、果たしてどうかということを議論するということなんだろうと思いますし、この省エネということ、あるいは再エネを活用していくということは、まさに安倍政権においてこれは進めてきたところでございます。

 先ほど来申し上げているところでございますが、資源に乏しい我が国にとっては、電気料金のコストに加えて、先ほど申し上げたことをもう少しわかりやすく申し上げますと、多くの原発が停止する中で、震災前と比べて一般家庭の電気料金が平均で二三%アップをしている、国民の皆さんに経済的に大きな御負担をいただいているという現実があります。

 その中で、資源に乏しい我が国にとって、こうした電気料金コストに加えて、気候変動問題への対応、あるいはエネルギーの海外依存度などを踏まえて、責任あるエネルギー政策を進めていかなければならない、このように考えております。

 その中で、原発依存度を可能な限り低減しながら、徹底した省エネ、そして再エネの最大限の導入を進めることが国の一貫した政策方針である、こう考えています。

 そして、先ほど申し上げましたように、今までの努力を全て否定をしておられるんですが、この七年間で三倍以上に再エネの導入量がふえたのは事実でございますし、事実、再エネを利用していく、省エネを進めていく、また、さらにその中でイノベーションを起こしていくということは、これは当然成長戦略の大きな柱になり得る、このように考えております。

田嶋委員 事実は否定していません。これが非常に大事な分野だということを申し上げているんです。再生、風力や太陽光は燃料がかかりませんから、圧倒的に競争力が高まるのは当たり前です。私たちはもう既に法案を五本出しています。原発をゼロにする。そして、それ以外の四本の、自然エネルギー関連の法案も出しています。全く審議もしない、やる気がないのが今の安倍政権じゃありませんか。ぜひ日本を大きく変えていきましょう。

 以上で質問を終わります。よろしくお願いします。

棚橋委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 立国社の今井雅人でございます。

 まず、総理、ちょっと、さっきのは幾ら何でもひどいと思いますよ、先ほどの黒岩さんの件ですけれども。

 規約にあるかというのを、総理は事実関係も確認しないでうそつき呼ばわりしたんですよ。これは、事実に反するなら撤回するとおっしゃいましたけれども、こんなのじゃ足りません。事実を確認しないでうそつき呼ばわりしたのは事実なんですから、この場で謝罪してください。

安倍内閣総理大臣 いわば、私のやっていることが買収に当たる、こういう強い言葉で断定をされたわけであります。その中で、契約主体が参加者だということで私は申し上げたわけであります。その参加者が契約主体であるということを前提に、当然、黒岩委員が述べておられるんだろうと。それは違うのは事実であります。

 規約においては、私が、安倍事務所が契約主体であれば、いわばそういう規約があるということについてはお認めをいたしますが、契約主体が参加者であるということをもって、規約にあり、そしてそれが買収であるということについては当たらないというのは事実であろうと思います。

今井委員 人のせいにしないでくださいって。

 総理は、規約を見たんですかと言ったら、規約にそんなことは書いていないと言って、あなたはうそをついているとうそつき呼ばわりしたじゃないですか。後で議事録を確認してください。そうおっしゃいましたよ。

 だから、そんなの撤回だけじゃ済みませんよ。謝罪してください。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、私の事務所が契約主体ではないんですから、参加者が契約主体ということを前提に、規約にあるということであれば、それは違うわけでありますから、そんなことが書いてあるんですか、こう申し上げたわけでございます。

今井委員 もう一回聞きますよ。

 ホテルニューオータニの規約の中にそう書いてあると黒岩さんはお話ししたのに、そんなのは書いていない、あなたはうそつきだ、そうおっしゃったんですから、事実を確認していないじゃないですか。それは幾ら何でも、やはり謝罪した方がいいと思いますよ。

 もう一度……(発言する者あり)いや、そこは本当に謝罪した方がいいですって。事実を確認しないでうそつき呼ばわりしたんですから。

 もう一度お願いします。

安倍内閣総理大臣 いや、しかし、黒岩委員は、まさに、私が買収をしている、犯罪を犯しているという断定をされたじゃないですか。断定したんですよ。断定したのであれば、私の事務所が契約主体でなければならない、それを前提に議論をしているということになるわけではないですか。

 ですから、規約において、いわば……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 参加者が契約主体であったとしても、それが買収に当たるということについて規約がそうであるということであれば、それは違うということを私は申し上げたのであります。

今井委員 そんなことを言っているんじゃなくて、ニューオータニの規約の中にそう書いてあるというふうに、黒岩議員がちゃんと規約を持ってきて、自分で読んで紹介しようとしたら、そんなの書いていない、うそつきだとおっしゃったじゃないですか。そこについて言っているんです、私は。その前に彼が何か言ったからとか、そういうことじゃないでしょう。(茂木国務大臣「それも関係するな」と呼ぶ)ちょっと、茂木さん、黙っていてください。

棚橋委員長 恐縮です、閣僚席からの不規則発言はお慎みください。(発言する者あり)

今井委員 いやいや、今おっしゃいましたよ。

棚橋委員長 閣僚席からの不規則発言はお慎みください。

今井委員 今、それも関係するよなとおっしゃいましたよね。

棚橋委員長 私の方で注意いたしましたから。

今井委員 いや、ちょっと、今おっしゃいましたよ。

棚橋委員長 もう注意いたしました、私の方で。もう注意いたしました、私の方から。

今井委員 では総理、もう一度。

 彼がどうだったから、規約を読んでいないなんて、事実も確認しないでうそつき呼ばわりしてしまった、そういう意味なんですか。それはちょっと、幾ら何でもひどいと思いますよ。確認しないでうそつき呼ばわりしたこと、このことに対しては、やはり真摯に謝罪するべきだと思いますよ。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 その発言をするときに、繰り返しになりますが、久兵衛のおすしを使っている……(今井委員「久兵衛は関係ないじゃないですか」と呼ぶ)これは極めて関係があるんですよ。重大な積算根拠の一つじゃないですか。日本でいわば最も高いおすしと言われている久兵衛のすしを八百人分に出していたかのごとくを積算して、できないということを流布していたわけであります。

 それについて、それは違ったという事実を黒岩さんはお認めにならないわけでありまして、久兵衛の経営者は、やっていない、それは出していないということを明確に述べているわけでありますが、それは……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 久兵衛の経営者に対してそれを認めないということなのでしょうか。

 そういう意味におきまして、まさにそれについては私は、うそをついていたのではないか、こういうことを申し上げ、その上で、黒岩委員が私に対しまして、いわば買収行為をしていると断定をしたわけであります。

 そういう断定をするのであれば、こちらも少し強い言葉になって、うそつきと。この問題について、うそつきということについては撤回をさせていただきますが、しかし、いわば買収をしているとまで言われて、そして、しかも、先ほど申し上げましたように、久兵衛の件については全くうそだったわけでありまして、その中で相場観ができて、それが違ったわけでありますから、その点については黒岩さんには訂正をしていただきたい、こう思います、今でもそれを信じている人たちがいるわけでありますから。

 それについての責任は全く横に置いておいて、その中において、私も、そもそも黒岩さんが言うことは果たしてどうなんだろうと。こういう中において、果たして黒岩さんがそれをちゃんと読んでいるのかどうか、もし読んでいないのであれば、うそをついていることになるのではないか、こう申し上げたわけであります。

 いずれにいたしましても、根本においては、契約主体が、これは私の事務所ではないわけでありまして、私の事務所が契約主体ということを前提に議論を進めていたというのが事実であって、だからこそ、それはいわば買収に当たる、こういうふうに黒岩さんは議論を展開をされていたのではないですか。ですから、それは違うということを明確にしようということで、私は申し上げたところでございます。

今井委員 関係のないことをああやこうやああやこうやおっしゃって、決して認めようとしないという。ちょっとそれは、本当に総理としてやめた方がいいです。

 委員長、ぜひちょっと議事録を一回精査していただいて、この経緯、総理大臣がどういう発言をされたか。事実確認しないでうそつき呼ばわりされたとすれば、それはやはり謝罪してもらわなきゃ困りますから、ちょっと理事会で協議していただけますか。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議いたします。

今井委員 その上で、ちょっと桜を見る会、私もお伺いしたいと思いますけれども、今、総理にまずお伺いしたいんですが、直近の世論調査をいろいろ見ますと、安倍総理の言うことが信用できない、あるいは、説明が不十分だ、こういう意見が、日経新聞で七八%、日本テレビで七五%、朝日新聞が七三%、ほかも大体同じです。四人に三人が信用できないと言っているわけですよ。どうしてこんなことが起きていると安倍総理は思われますか。

安倍内閣総理大臣 これからも真摯に、御質問があればお答えをさせていただきたい、このように思います。

 また、私自身は、真実を申し上げているところでございます。

今井委員 いやいや、答えていませんよ。

 どうして世の中の人たちがこれだけ不信感を持っていると思われますかと聞いているんです。

安倍内閣総理大臣 それをお答えした人たちの内心を私が勝手に推測することはできないのでありますが、多くの方々に信頼をしていただけるように努力を重ねていきたい、こう思う次第でございます。

 政治における信頼とは何かということについては、まさに選挙でお約束したことを実行していくことなんだろう、こう思う次第でございますが、私自身は一貫して、自由民主党の中において、党とともに公約したことを実行することに全力を尽くしてきているところでございます。

今井委員 いやいや、私は桜を見る会の説明についてどう感じているかということの話をしているので、関係ない話をしないでください。

 それで、私は、例えば、あるべきものの文書をもう破棄してしまったりとか、総理の答弁が二転三転しているとか、常識的にそんなことはあり得ないだろうということを平気でおっしゃる、そういうことがこの不信感を買っていると思いますけれども、そういう認識はありませんか。

安倍内閣総理大臣 私も、お答えするときには、私の記憶の限り、また、事務所においては、事務所が認識している限りのことをお答えをしているところでございます。

 二転三転ということをおっしゃったわけでございますが、その時々に、今申し上げた形で答弁をさせていただいているところでございます。

 政治において大切なことは、選挙でお約束したことをしっかりと実行していくことなんだろう、こう思う次第でございます。

今井委員 じゃ、いかにおかしいかをちょっとこれからいろいろ確認していきたいと思いますけれども、きのう、辻元さんとのやりとりのところで私はびっくりしたんですが、問題はない発言ですけれども、後援会が仲介になって参加者とホテルが契約をしたのであれば、同じ形式であれば政治資金収支報告書に載せる必要はない、こうおっしゃったんですね。

 じゃ、ちょっと具体的にお伺いしますけれども、総理は毎年、新春の集いというのをやっていらっしゃいますね。あれは、例えば第一ホテル下関とか大谷山荘とか、そういうところでやっていらっしゃるようですけれども、仮にこの新春の集いを、じゃ、ホテルに言って、会費三千円でやるから、会費を全部集めて、ホテルで全部渡すので、設営とかそういうのも全部ホテルでやってくださいと。主催は後援会ですけれども、そういうお金のやりとりはそうやってホテルの方で領収書を出してくださいということをすれば、政治資金収支報告には載せなくていいんですか。

安倍内閣総理大臣 夕食会の会費は参加者の自己負担で支払われておりまして、安倍晋三後援会として収入、収支は一切ないわけでありまして、政治資金収支報告書への記載は必要ないものと認識をしております。

 これは今までお答えをしてきたとおりでございまして、私の事務所で、そうした地元の会合においては、それは後援会主催の中で一度後援会の中に入金があり、これはさまざまな形で入金があるわけでございますが、その中で収支を出し、そしてそれを報告をさせていただいているということでございます。

今井委員 新春の集いも会費制でやっているんですよ。三千円というふうに伺っていますけれども、これもこの値段でやれるか、ちょっと不思議ですが、私が申し上げているのは、例えば、新春の集いをホテル側で全部、じゃ、司会者も集めて何とか全部、花もそろえてくださいと。会費、みんなから三千円もらいますから、それをお渡ししますので、うちで集めてそのままそちらにお渡ししますからという形式でやった場合は、収支報告書には計上しなくていいんですか。

安倍内閣総理大臣 新春の集いについては報告をしておりますが、それはまさに、今回のものは、これはいわば参加者との収支においては完全にとんとんになっているわけでございますが、新春の集いについては、さまざまな形の寄附等もあるということの中で行われているものでありますので、一度この後援会の中に入り、そして収支が出ているということだと聞いております。

 それは、今急に御質問がございましたので、そちらの新春の集いについてどのような内容になっているのかは確認をしてみたい、このように思います。

今井委員 きのう総理は、新春の集いも収支はぴったり合っているとおっしゃっていましたよ。

安倍内閣総理大臣 新春の集いもそうでございますが、しかし、これはもう何回もお答えをさせていただいているんですが、夕食会の場合はそもそも後援会に入金がないわけでございまして、そこで受け取り、そして領収書を出し、そしてそのままホテル側に渡しているわけでございます。

 地元の新春の集いの場合は、これは一度、まさに事務所が主体となり、事務所にそれを、会費等を入金しているということでありまして、まさに入金が発生している。そして支出も、後援会が支出をしているという形になっておりますので、これは全然違うわけでございます。地元において、そこでホテルの人が立ち会い、ホテルの領収書を出したということではそもそもないわけでございます。

今井委員 新春の集いも桜を見る会の前夜祭も、これは後援会主催の後援会活動ですよね。目的は親睦を深めるもの、こういうものじゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 後援会活動ということについて申し上げると、後援会活動ということについての法的な定義はございませんが、いずれにいたしましても、後援会が主催をしているということは事実でありますが、いわば契約の主体は、これはまさに個々の参加者、これは何回も御説明をしておりますが、まさに当日、参加者がお金を支払い、そして、そこを、受け取るのはうちの秘書が受け取っているわけでございますが、そこにはホテル側も立ち会い、そして、ホテルのまさに領収書を、ホテル側が、これは決定的な違いでございますから何回も御説明をさせていただいておりますが、ホテル側が書いた、用意した領収書、これは手書きで五千円という金額を書き、日付を書き、そして担当者の名前を書き、摘要を書き、そしてそれを事務所の者がお渡しをし、預かった現金はその場でお渡しをしているということでございますから、出入金が発生していないということにおいては、これは政治資金規正法上、義務がないということでございます。また、必要がないということでございます。

今井委員 僕の質問に答えてもらっていないんです。

 桜を見る会も新春の集いも、ちょっと、時計を見ないでくださいよ。あと三分で逃げられると思っているんですか。どちらも後援会主催で……(発言する者あり)いやいや、答えていないからですよ。後援会主催で、後援会の皆さんの親睦するための会ですよねと言っているんです。どちらも趣旨は同じですねと、そのことを聞いているんですよ。趣旨の話をしているんです。

安倍内閣総理大臣 私も時計ぐらいは見せてくださいよ。時計を見るなと言われても困るんですが。

 そこで、趣旨ということについては、これは親睦を図るということにおいては、趣旨はそうでございますが、大切なことは、政治資金規正法上との関係においては、収支が発生しているかということでありまして、後援会に入金があったかないかということにおいては、ないということでございます。

今井委員 そうですよね。同じものなんです。

 同じものですけれども、後援会がお金を集めて口座に入れてそこから支払ったら収支報告書に載せなくてはいけなくて、その場で集めてそのままホテルに払ったら、ホテルに領収書をもらったら収支報告書に載せなくていい、そういうことじゃないですか。そういうことですよね。

 ということは、これから皆さんがやられる会合は、この形式でやれば、安倍方式で、領収書をホテルから出してもらえば収支報告書に載せなくてもいい、そういうことになりますよ。それでよろしいんですか。

安倍内閣総理大臣 私が例えば地元で、二、三十人、もう少し多い集会がございますが、そういう集会において、個々が例えば焼き肉屋さんでみんなが集まって懇談をしようというときには、あらかじめ幾らだということを事務所が伝え、その部屋を予約をし、そして、その会においては、事務所あるいは後援会に入金をせずに、そこで個々が支払い、そのお店が領収書を出すという会合はよくあることでございまして、それ自体が、それは規模とのかかわりはないわけでありまして、そういう形式、今井さんの場合は全部それは違うのかもしれませんが、そういう会合はよくあるわけでございまして、そういうアレンジをすることもあるわけでございます。

 まさに、事務所が仲介をし、例えば焼き肉店と話をし、焼き肉店側から、一人六千円、七千円でこういうサービスをいたしますということでまた後援会側に伝え、当然、その間、三十人で予約しても二十五人となる場合もありますが、しかし、だからといってそこでキャンセル料が発生するわけではなく、お店側との関係において、お店側が領収書を出し、そして、いわば後援会の親睦という同じ目的でございますが、後援会には入金がないということでございますから、これは政治資金収支報告書には載せないということでございます。

棚橋委員長 今井君に申し上げます。

 定刻の時間が来ておりますし、午後にも今井君の質問がございますので。

今井委員 はい。

棚橋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

棚橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、厚生労働省健康局長宮嵜雅則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 午後も始めさせていただきたいと思います。

 総理、御飯を食べて、少しは反省されましたか。午後は謙虚に答えていただきたいと思います。

 五千円の前夜祭の会費についてちょっとお伺いしたいんですけれども、総理は、そもそも、八百人もの方の大多数がホテルに泊まっておられたので五千円になったということを説明しておられたんですけれども、きのう二〇一五年のことを聞かれたときには、ホテルには宿泊していないんだけれども、ホテル側と相談をしたら一人当たり五千円になったと。だから、泊まっていなくても五千円なんですよ。泊まっていても五千円なんですよ。

 要は、安倍事務所がやると五千円になるということじゃないんですか。

安倍内閣総理大臣 大分細かい説明に入ってきたんですが。

 これは何回も今まで実は説明をしているんですが、かつて全日空ホテルで開催をしていたところでございますが、事務的な不備で会場がとれていなかったということになりました。宿泊者はそちらにいた。そこで、急遽、別のホテルにお願いをしたところでございますが、いわば、そのときに、そのホテルとしては、将来自分のホテルの方に移したいという気持ちが強くあったということでございます。そして、その結果、ニューオータニに移っていくわけであります。全日空ホテルからニューオータニに宿泊も移っていくわけであります。宿泊とパーティーが移っていくということでありまして、それはまさに経営判断の中において、どうしていただけますかということで、うちの事務所が交渉したということであります。

 次の年は、もう一年については、さまざまな人的関係がありましたので。ただ、次の年、直接ということではなくて、一年はあけてその次の年からということになったのでございますが、それは経営判断であったということでございまして、一回、宿泊者なしでやったのでありますが、その後は宿泊者つきで数回、会場を使わせていただいているということになっているわけでありまして、繰り返しになりますが、それはその時々の経営判断であろう、こう思うわけでございます。

今井委員 ということは、その年は、ホテルは赤字で受注した可能性があるということですか。

安倍内閣総理大臣 赤字ということは普通はないんだろう、こう思います。

 これは、それぞれホテルの経営判断で、八百人分において、中身をどれぐらいにするかということで、中身が全然違うわけでありまして、しつこいようでありますが、久兵衛のすしを出せばそれはもちろん全く合わないのでございますが、そうではなくて、それは、出す中身によるでしょうし、また宴会場の場所にもよるんだろう、こう思うわけでございまして、それはまさに経営判断だろう、こう思うわけでございますし、また、ニューオータニにおいても、御党というか、野党の方においても、朝食会等で非常に廉価にやっておられる方々もおられるわけでございますから、それは経営判断なんだろう、このように思います。

今井委員 朝食会はお酒とか出ませんから、廉価なのは当たり前です。

 それで、ちょっともう一回お伺いしますね。

 一月二十七日の私の質疑で、総理はよっぽど久兵衛が好きみたいですけれども、すしがなくても五千円ではできないと。ニューオータニに私行って、数名で行って、私は直接聞いたので、ニューオータニから直接聞きましたから、五千円ではちょっとできませんということでしたから、それをお伺いしたんですよ。

 そうしたら、総理は何とおっしゃったかというと、お客さん、相手によって違いますから、何回も使って信用できる方と一見の方では、商売において当然違うと。これは一見の方は僕のことを言っているのかなというふうにも思いながら聞いていましたけれども。

 要は、これはどちらのホテルも安倍総理だから五千円にしたと。どちらでやっても五千円ということは、安倍事務所から五千円でやってくれという値段交渉をしたということですよね。

安倍内閣総理大臣 それは経営判断であって、相手が今井さんをどう評価するか、あるいは私をどう評価するかということなんだろう、こう思うわけでございます。これは別に、どちらが立派だとかそういうことではなくて、ホテル側の評価としてそうなんだろう、こう思うわけでございます。

 そして、これは、あるテレビのインタビューを受けて、ホテル担当者が、五千円でやることもあり得る、こう述べていたと私は承知をしておりますし、事実、私の事務所においては、先方からそういう提示がなされたわけでございまして、そうした提示がなされた中において、先ほど申し上げましたような形で行ったということでございます。

 先ほど、ちなみに私の地元でやっている新年互礼会との比較で話をさせていただきましたが、調べてみましたら、私の新年互礼会においては、少しでありますが、利益が出ておりましたから、当然これは収支報告書に、これは……(発言する者あり)関係ないという辻元さんの声がありましたが、収支が出たら、これは載せなければいけないんですよ。それは明確に……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛に、恐縮ですが、お願いいたします。

安倍内閣総理大臣 それが基本的に明確なことでありまして、収支がとんとんであれば、ゼロであれば、これは載せる必要はないし、かつ、その場で、いわばホテル側から領収書が出されて個人に渡され、そして、料金をその場でホテル側に払っているわけでございますから、形としては、三、四十人で焼き肉屋に行って、予約を、例えば事務所が世話役として世話したとしても、それは一々……(今井委員「それは関係ない話です。そんなこと聞いてない」と呼ぶ)いや、関係なくって、それはかかわる話でありますが、一々これは政治資金収支報告書に報告をする必要はない。

 これは、八百人とか言っているんですが、これは形、性質の問題でありまして、量ではないということでございます。

今井委員 それは、要は、安倍方式を使えば、千人、二千人のパーティーでも政治資金収支報告書に載せなくていい方法があるという指南をされたということだと思うんですけれども。

 僕の質問に答えていただいていないんですが、どこのホテルでやっても同じ金額ということは、安倍事務所から五千円でやってほしいという依頼をしたということじゃないですかと聞いているんです。

安倍内閣総理大臣 それは先ほどお答えをさせていただきましたが、私の事務所でホテル側と仲介をさせていただいたところ、ホテル側が五千円ということを出したところでございます。

今井委員 安倍事務所から五千円でやってほしいと言って、ホテル側がそれは赤字でやっているということになると……(発言する者あり)いや、赤字でやっているということになるとですよ、僕は断定していませんから。それは寄附に当たる可能性がありますから、ここのところはとても大事だということを指摘をしておきたいと思います。

 じゃ、時間がありませんので。

 総理、ちょっと疑問なんですが、安倍事務所の方にも桜を見る会に行った人たちの名簿はない、後援会の名簿のところにもそういう記載するようなものは一切ない、こういうことをおっしゃっておられましたけれども、一月二十七日の黒岩委員の質問に対して、今問題になっている領収書、この領収書に関しては、多くの参加者にうちの事務所が確認していますが、しっかり受け取ったと言っているとおっしゃっています。

 誰が参加したかがわからないとおっしゃっていましたよね、リストがないから。誰が参加したかわからないのにもかかわらず、なぜ多くの参加者に領収書があるということが事務所が確認できるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず、先ほど、朝食会ではあったけれども、野党で、格安だったらアルコールが出ないという話でありましたが、これは結構重要なことなんですが、例えば、朝食会であれば、二百人、着席でありますから二百人分出さなければならないわけでありますが、八百人であれば、必ずしも八百人分ではないということでございますから、これは、一人当たりのコストは、むしろ一人着席の方が高くなるということもあるということでございます。

 そして、御質問については、これは……(発言する者あり)やめますか。

棚橋委員長 いやいや、続けてください。お続けください。どうぞ。

安倍内閣総理大臣 これは、いわば、当然事務所が、先ほども申し上げましたように、事務所が、出席者について、ホテルにおいて、受付において、これは一人一人手渡しをするわけであります。それは、全員が誰かということはもちろんわからないんですが、何人かは、当然、古い秘書は、参加した人は、この数年間の間に参加した人は誰かということは当然わかるわけでありますが、七百人全員がわかるというわけではもちろんこれはございません。数人わかるというのは、当然、誰かに声をかけて、それから推薦者を募っているということでございますから、その人物に聞いているということでございます。

今井委員 数人だったら多くの人なんですか。総理は、こういう言葉の使い方をするからよくない。

 七百人もいて、そのうちの数人に聞いたのを多くの人がそうおっしゃっているというのは、それはおかしいし、その人たちに確認したら、全員に配っているというのは、なぜわかるんですか。

安倍内閣総理大臣 要するに、一人がそれぞれ数人に確認をしているということでありまして、私の事務所には秘書は何人かおりますから、それぞれが確認をしているということであります。

 ただ、名簿がないというのは今まで申し上げてきたとおりでございます。

今井委員 いや、それは、翌年も呼ぶので、去年誰を呼んだかというのを記録に残していないなんて事務所はありませんよ。だから、事務所でそのリストを見て確認したんじゃないんですか。本当はそうじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 既にお答えをしているとおりでございます。何かそこで相談されているようですが、よろしいですか。

 既に答弁をしているとおりでございます。

今井委員 そうすると、安倍事務所では、前年に参加したかどうかということを、案内状を出すときにどうやって確認するんですか。

安倍内閣総理大臣 私の事務所においては、内閣官房からの依頼に基づき、後援会の関係者を含め、地域で活躍しているなど、桜を見る会への参加にふさわしいと思われる方を始め、幅広く参加者を募り、推薦を行ってきたところでございます。(今井委員「違う違う」と呼ぶ)ここからでございますから、よく聞いておいていただきたいんですが。

 その際、同一人が昨年も参加していたかの確認については、例えば、後援会関係者であれば、事務所の職員がよく存じ上げており、そのような配慮はできたものと認識をしております。

 他方、私の事務所でも、回数を重ねる中で、過去に招待した方を再びお呼びしないのは難しいという場合もあったのではないかと思います。

今井委員 そういうところだけ記憶がいいんですね、安倍事務所というのは。

 では、ちょっと、もう余り時間がないので、もう一点お伺いしますけれども、一月二十八日、宮本委員の質問の中で、総理は、回数を重ねる中で、推薦されれば招待されるだろうという安易な臆測をしてしまった、事務所が謝罪している、こういうふうにおっしゃっておられましたけれども、つまり、これは何を意味しているかというと、それまで、毎回、推薦すれば漏れなく招待されていたということですね。そういうことですね。

安倍内閣総理大臣 事務所に確認をしたところ、招待者名簿をいただいているわけではないので細かく確認したわけではありませんが、毎年多くの推薦者が招待されていたことから、御指摘のような、安易な推測をもって作業を進めてしまったということでございました。

今井委員 ちょっと、しっかり答えていただいてはいないんですけれども、その前の年までは、毎回、推薦すれば漏れなく招待されていたということですよね。

 総理は、推薦したけれども呼ばれなかった方はいらっしゃったとおっしゃっていますが、地元から推薦された方で、そういう方はいらっしゃるんですか。

安倍内閣総理大臣 内閣官房にお伺いをしたところ、私の事務所から依頼をした方においてそうした方がおられたということでございますが、今、名簿が残っておりませんから、それが誰か、どこの方かということについては、確認のしようがございません。

今井委員 いや、安倍事務所の方はとても記憶がいいみたいですから、地元からこうやって推薦を出すわけですよね。また時計を見ていらっしゃいますね。地元から推薦を出して、それが断られていたら、当然謝りに行かなきゃいけませんよね。そんなことは覚えていらっしゃいますよね。いや、ちょっと、推薦をお願いしたんですけれども呼ばれませんでしたという方がいらっしゃったら、当然謝罪しなきゃいけませんよね。記憶にあるはずですけれども、そういう方はいらっしゃいますか。

安倍内閣総理大臣 御質問がございましたので確認をしていたところでございますが、これも何回も実は御質問をいただいていることでございますので同じ答えになって恐縮でございますが、同じ質問でございますので同じ答えになってしまうのでございますが……(今井委員「いやいや、同じじゃないですよ」と呼ぶ)いや、今までのこの委員会の中において……(今井委員「いやいや、僕、地元からというのは初めて聞きました」と呼ぶ)いや、ほかでもそうでございます……(今井委員「初めて聞きました」と呼ぶ)いや、それは今井さんはそうでございますが……

棚橋委員長 委員、恐縮ですが、まず答弁を聞いてください。

安倍内閣総理大臣 お答えいたします。

 大体同じような質問でございますので同じことに、ほとんど同じような質問でございますから同じ答えになるんですが、内閣官房が確認した結果、私の事務所から推薦を行った者で、招待されなかった例もあったものと承知をしておりますが、具体的な人数や、どのような人が招待されなかったかについては、名簿も廃棄されていることから明らかではないということでございます。

今井委員 なぜこういうことを申し上げているかというと、東京の方で、呼ばれたけれども、最初推薦があったけれども途中で呼ばれなくなったというふうに言っていらっしゃる方がいらっしゃるので、その方のことじゃないかなと僕は思うんですよ。だけれども、これは安倍論法、安倍方式なんですが、一つのそういうことを見て、何か全体的にそうなんだみたいな印象をつくるというのは安倍さんのやり方です。

 問題は、今、地元の後援会の人たちの話が問題なわけですよね。だから、そこの中が、推薦をしたらそのまま招待されているんじゃないか、全然スクリーニングもなくそのまま招待されているんじゃないかな、ここが問題なわけですよ。

 総理、先日、推薦した人がふさわしいかどうかを調べるのに事務所では限界があると。事務所では限界があるという答弁をされていますけれども、事務所でチェックするのを限界があるものを、どうやって内閣府がチェックするんですか。だって、それを知っている人たちって事務所の人たちでしょう。その人たちがチェックできないのに、何もわからない内閣府の人たちがどうやってチェックするんですか。チェックなんかできるわけないじゃないですか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 招待者の推薦に当たりましては、御指摘の安倍事務所を含めまして、各方面から提出された推薦者につきまして、氏名や役職等といった情報をいただいております。こうした情報をもとに、内閣官房、内閣府におきまして取りまとめを行わせていただいているところでございます。

今井委員 いやいや、じゃ、あれですか、ちょっと正確に答えてください。安倍事務所でチェックできなかったものを内閣府はチェックした、そういうことですか。

大西政府参考人 恐れ入ります。先ほど来総理からも御答弁ございますけれども、山口の、御地元からの推薦か、東京方面、周辺の推薦かもしれませんが、そのどちらかも含めまして、名簿等を廃棄しておりますので詳細はわからないところでございますが、先ほど申し上げましたとおり、いただいた情報をもとに必要な確認を行わせていただいているところでございます。

今井委員 その方がふさわしいかどうかということをちゃんと審査したということでいいんですか。

大西政府参考人 取りまとめのプロセス、詳細につきましてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、いただきました氏名、役職等をもとに必要な確認を、いずれにしてもさせていただいているところでございます。

今井委員 質疑時間が終了しましたので、もうこれで終わりますけれども、通告の半分もいきませんでしたが。

 今の内閣府の答弁を聞いていただいても、先日の六十番の説明を聞いていただいても、もうとても信用できない、総理の答弁もそうですし。だから、世論調査にこうやって出ちゃうんですから。

 だから、この桜の問題を解決できるのは安倍総理だけですからね。安倍総理がしっかり説明することでこの問題を解決する、そのことをしっかりやっていただきたい。そのことを説明責任を果たしていただくまで我々はこれは追及せざるを得ないということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 この際、本多平直君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 立国社の共同会派を代表して質問をさせていただきたいと思います。

 私、安倍政権の体質、森友、加計、桜と続いてきました私物化、そして隠蔽、改ざん、これも大問題なんですけれども、もう一つ、これと並ぶ大きな問題である、国家公務員の人事を、この安倍政権、第二次安倍政権の間、非常に恣意的にやってきたんじゃないか、そのことがいろいろな不正、そんたくの温床になってきたんじゃないか、逆に不正やそんたくを生んできたんじゃないか、この問題についてきょうは質問させていただきたいと思います。

 総理でも法務大臣でもいいんですが、過去、我が国では、内閣総理大臣を務められた田中角栄氏が逮捕されました。どこの役所に逮捕されましたか。

森国務大臣 検察と承知しております。

本多委員 検察庁のトップは誰ですか。役職をお聞きします。

森国務大臣 検事総長であると承知しております。

本多委員 委員長、もうちょっとてきぱきと当てていただければ幸いです。

 きょうは、内閣総理大臣を務めた方を逮捕する、日本の国でも一番大きな権力を持っている役職の一つだと思います、その検事総長という役職の選任をめぐる、非常に恣意的なことが行われているんじゃないかということについて議論をさせていただきたいと思います。

 そもそもですが、この安倍内閣においては、本来、いろいろな普通の国家公務員の方も結構恣意的な人事でひどい目に遭っているという話を聞きます。しかし、人事は密室で行われるものですから、我々もなかなか証拠はありません。しかし、日銀の総裁、総理の思うとおりの異次元の金融緩和をやるために日銀の総裁の人事もかえ、憲法違反の安保法制を通すために内閣法制局の人事をかえ、NHKの会長、いろいろな、ここだけはやめてね、ここだけは中立に今までの流れでやってねというところを、相当私は恣意的にかえられてきたと思っています。

 それに加えて、最後の最後は、私、検事総長、この人事を都合よくやろうとしているんじゃないかという話をさせていただきたいと思います。

 まず、今回、非常にイレギュラーに、黒川弘務さんという東京高等検察庁の検事長が……(発言する者あり)少し静かにしていただけますか。

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします、与党席の方も。

本多委員 東京高検の検事長の定年が延長されました。我々はこれを、今、検事総長がなかなかおやめにならない、検事総長がやめるまで待って、この七月末か八月あたりに検事総長に据えるために前例のないこういう人事をしたと私は疑っています。

 それで、この黒川弘務さんという、そこにいらっしゃる森まさこ法務大臣が、わざわざ前例もなく、違法だという話は後からしますが、やっている方、どういう評判の方か御存じですか。

棚橋委員長 法務大臣森まさこ君。(本多委員「与党のやじにも言ってくださいね」と呼ぶ)はい、先ほど注意いたしました。

森国務大臣 黒川高等検察検事長についてのお尋ねでございましょうか。評判については承知しておりません。

本多委員 私も名刺をいろいろ調べたら、一回ぐらいお会いしたことはあるんですけれども、どういう評価を巷間されているか。いろいろな報道によりますと、官邸の門番、官邸の代理人、官邸の用心棒と、会社によって違うんですけれども、こういう評価をされているんです。

 あなた、今、人事をやっておいて、その人の評判を知らないと言っていましたけれども、こういう評判がネットをちょっと検索をするとたくさん出てくるんですよ。事実かどうかわかりません。証拠はないですよ。ただ、人事をやるときに……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。与野党ともに御静粛に。(本多委員「こちらのやじだけ言ってこっちのやじに言わないのはやめてくださいよ」と呼ぶ)今申し上げました。それから、先ほども申し上げました。

本多委員 こういうことを認識しないで、こんな違法とも言われる延長人事をやったんですか。

森国務大臣 本多平直委員にお答えいたします。

 まず、違法との指摘は当たりません。(本多委員「違法の話は後でします」と呼ぶ)今、違法とも言える人事をやったのですかという……(本多委員「後でするって言っただろう」と呼ぶ)

棚橋委員長 本多委員、恐縮です、まず答弁を聞いてください。

森国務大臣 御質問ですので、御質問にお答えをいたしました。違法ではございません。

 また、黒川検事長については、報道やネット上の評判ではなく、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、法務大臣から閣議請議を行って閣議決定をされ、引き続き勤務させることとしたものであり、御指摘は当たらないものでございます。

本多委員 森まさこ法務大臣は、この方とはどのぐらいお会いをしたことがありますか。

森国務大臣 法務大臣は検察庁の具体的な事件にはかかわりませんので、それほどお会いしたことはございません。

本多委員 お会いもしないし、評判も調べないで今回の人事をしたということでよろしいんですか。

森国務大臣 法務大臣は、検察庁法によって、高等検察庁の検事長の補職を行うことになっておりますので、通常の人事においても、事務方から説明が上がってくれば私は了としております。

本多委員 誰からのが上がってきたんですか。

森国務大臣 これは通常もそうでございますが、具体的な人事については詳細なお答えは差し控えさせていただいております。

本多委員 私、国民の皆さんにまずちょっとお伝えをしたいんですよ。

 この安倍政権になってからの検察、既にこのおかしな人事が、この夏にこの人が検事総長にならなくても、まあ、この人が官邸の用心棒と言われている理由もこれなんですけれども、不起訴の連続なんですよ、おかしな話が。

 まず、小渕優子元経済産業大臣の政治資金規正法違反、数億円の資金が、安倍さんの問題で今やっていますけれども、数億円ですよ、こっちは。これ、秘書は証拠になるパソコンにドリルで穴をあけて、この話、御本人は起訴されず、秘書が二人起訴されただけ。松島みどり元法務大臣、うちわを選挙区で配った話も不起訴。甘利明元経済再生担当大臣、UR、都市再生機構への口きき疑惑、大臣室で五十万円、事務所で五十万円、合わせて百万円を受け取った。このことも、二〇一六年六月、不起訴。そして、下村博文元文科大臣。いろいろな容疑で告発をされているんですよ。

 でも、いろいろな容疑の中で私が一番問題だと思うのは、例の加計学園からのパーティー券二百万円不記載、不起訴ですよ。そして、きわめつけは、この安倍政権の中で一番私が頭にきている森友学園、これの佐川宣寿元財務局長、国税庁長官、この人を始め三十八人、不起訴なんですよ。

 もう続き過ぎて、私、一個一個きのうリストをつくっていて、あのときもっと一個一個にちゃんと怒っておくべきだったと思うんですよ。

 これは、ちっちゃい話だと、つい先日の上野宏史厚生労働大臣政務官、外国人労働者在留資格口きき疑惑、どこへ行ったんですか。

 つまり、我々の国税を大量に使って、今回審議している予算委員会の予算にもたくさん検察庁の予算をとっているじゃないですか。あなたたち、何仕事しているんですか。

 そして、あなたが今度検事総長にしようとしているこの人は、この間ずっと法務行政の中心にいたんですよ。法務省の官房長であり、法務省の事務次官。

 この第二次安倍政権になってからの検察の仕事ぶり、森法務大臣、どう評価するんですか。

森国務大臣 まず、本多委員が、あなたが今度検事総長にしようとしているというふうにおっしゃいましたが、それは事実ではないので、否定をさせていただきます。

 また、さまざまな個別事件について案件を挙げられましたけれども、検察当局の事件処理について、その時期、それから担当官についても……(発言する者あり)

棚橋委員長 傍聴席はお静かにお願いいたします。

森国務大臣 私、法務大臣として所感を述べることは差し控えさせていただきます。

本多委員 私だって一つ一つの事案に詳しいわけじゃないですから、この中にはどうしても証拠が集められなくて、何でもかんでも起訴すればいいと言っているわけじゃないですからね。勘違いしないでくださいよ。そんなこと、政治家が一個一個、そっちも圧力をかけたらだめだけれども、こっちだって圧力をかけちゃだめだと思いますよ。だけれども、この七年間こういうのが続いているんですよ。そのことを言っているんですよ。

 その前に、森法務大臣、事実じゃないといったら、この人を検事総長にこの七月末から八月にかけてはしないということでよろしいですね。(発言する者あり)やじがうるさいんですよ、委員長。

棚橋委員長 与野党ともに静粛にお願いいたします。

森国務大臣 検事総長の人事は法務大臣にございません。

本多委員 どこですか。

森国務大臣 先ほど申し上げましたが、法務大臣は東京高検の検事長の補職を行いますけれども、検事総長については内閣による任命となっております。

本多委員 今回の、私は違法だと思っていますけれども、違法で異例な、検事総長、六十三歳で本当は定年しなきゃいけない人、もうあと三日か四日ですよね、この延長を決めたのは、あなたが内閣に上げたから決めたときのう説明を聞きましたよ。

 あなたが請議しているじゃないですか。内閣が最終的に決めたけれども、検事総長も一緒なんじゃないんですか。(発言する者あり)

棚橋委員長 与野党ともに御静粛にお願いいたします。

森国務大臣 いえ、今回、検事長の任期の延長について私から内閣に請議をいたしました。

本多委員 検事総長の場合も同じじゃないんですか。

森国務大臣 今回は任期の延長についての請議をいたしましたけれども、先ほど、検事総長の任命については内閣において行うというふうにお答えをしております。

本多委員 では、提案、請議はしないということでいいですね。内閣が独自に発案して閣議決定するということでよろしいんですか。

森国務大臣 任期の延長については今回請議をいたしましたけれども、検事総長の任命については、その手続、請議をいたします。

本多委員 森法務大臣、ちょっと人の時間を無駄にしないでくださいよ。

 請議しないですねということですよ、だから。最終的に決めるのは内閣だけれども、あなたが、今回は延長だけだ、そして、そんなつもりはないと言ったんだから、この黒川さんという人を検事総長にこの七月末から八月に内閣に請議することはないですね、検事総長の人事として、ということを言っているんです。

森国務大臣 お答えいたします。

 先ほど本多マサナオ委員が……(本多委員「平直です」と呼ぶ)申しわけございません。お名前を間違えて申しわけございませんでした。本多平直委員、訂正しておわびをいたします。

 本多平直委員が私に御質問したのは、あなたが今検事総長にしようとしているというふうにお話しになりましたので、今検事総長にしようとして請議をしたわけではなく、私は、高検の検事長の任期延長を請議したというふうにお答えを申し上げたわけでございます。

本多委員 では……(発言する者あり)

棚橋委員長 両方からの不規則発言、お静かに。質問者が困ります。

本多委員 しないという答弁はできないということでいいんですか。七月末から八月に、するかもしれないし、しないかもしれない。みんな疑っているんですよ。こんな異例の人事をしたのは、今検事総長を務めている方がやめて、その後任にするためにこうしていると疑っているから、そうじゃないというんだったらそう言ってくださいよ。

森国務大臣 お答えを申し上げます。

 高検の黒川検事長について任期を延期したことが、将来の人事についてを理由とするものではないかという御質問でございますが、先ほどお答えしましたとおり、今回の任期の延長は検察庁の業務遂行上の必要からしたものであって、将来の人事についてを理由にするものではございません。

棚橋委員長 本多平直君。

本多委員 ゆっくり読まないでください。

棚橋委員長 申しわけございません。

本多委員 国民の皆さんにぜひ覚えておいていただきたいんですが、七月末から八月、オリンピックでにぎやかなときに、この黒川弘務さん、個人的に恨みがあるわけじゃないですよ、一生懸命やってきた部分もあると思います、長いキャリアの中で。しかし、こういう恣意的な形で、官邸の番人だ何だと言われている人が、こういう異例な人事を無理やりやって、私はこれから違法という話もしますからね、この七月末から八月に検事総長にならないことを心から祈りたいですよ。

 日銀総裁だ内閣法制局だという、総理も聞いてください、お願いしますよ、目をつぶらないで。独立性がほかより要ると思いませんか、総理。こういうところは、そんなことが、総理大臣さえ逮捕できる権限があるんですよ。こういう人の人事を、余りごり押しな、前例のない形で裏わざを使う、私は違法だと思いますけれども、森大臣の言うとおりだとしても、裏わざなんですよね。こういうことはしない方がいいと思いませんか、総理。

安倍内閣総理大臣 日本銀行の総裁については、まさに三本の矢の中で……(本多委員「聞いていませんよ」と呼ぶ)では、済みません、やめます。国会の御承認をいただいたということでございますが、人事については、あくまで一般論として申し上げれば、検察官の任命権は法務大臣又は内閣にあるところでありますが、その任命権は適切に運用されるべきものだと考えております。

本多委員 本当に、ぜひこんなイレギュラーな形で無理やり人事をねじ曲げるようなことをしないでほしいんですが、それでは、違法という話をします。

 森まさこ法務大臣は一応法律家ですよね。きのうから私は疑っているんですが、今回の反論が山ほど今ネットで出ています。私は残念ながら、一応法学部を出ましたけれども、森まさこ大臣のように優秀じゃないので司法試験は受かっていません。だからといって、ああいう、きのうのような、素人を煙に巻くようなふざけた答弁をしないでほしいと思うんですね。

 今回みたいに、百歩譲って違法かどうか分かれるような判断をするときに、この国家公務員法の解説を書いた本、一条一条に解説が書いてあるんですよ。これをちゃんと見てからやったんですよね。

森国務大臣 国家公務員法、そして検察庁法の条文にのっとり決定をしたものでございます。

本多委員 当たり前のことを言わないでくださいよ。質問に答えてくださいよ。これを見たかと言っているんですよ。

棚橋委員長 これって何ですか。(本多委員「「逐条国家公務員法」という、今これしか出ていないらしいです、国会図書館に確認しました」と呼ぶ)

森国務大臣 私なりに該当部分は読んだつもりでございます。

本多委員 これは専門的過ぎてわからないかもしれないですけれども、この解釈によると、こういう解説本が、しかし、これは国会図書館に確認したら、今出ているのは一個だけです。法務省の皆さんも裁判のときにはこれを持って使っていますよね。

 これにはどう書いているかというと、本条の規定により勤務延長が認められる者は、前条第一項の規定により定年で退職することとなる職員であると書いているんですよ。ということは、検察官、東京高検検事長は含まれないですよね。延長ができないじゃないですか、違法じゃないですか。

森国務大臣 これにつきましては、検察官は一般職の国家公務員でありまして、検察庁法は特例として定年の年齢と退職時期の二点を定めております。そうしますと、定年制をとったということになります。そうしますと、今御指摘の条文が当てはまり、勤務延長について、一般法たる国家公務員法の規定が適用されるものと理解されます。

本多委員 そういうふうに、森まさこ法務大臣のような人が、法律家であることをかさに着て素人をだまさないためにこういう本があるんですよ。この本には反しているということでいいですね。大臣はそれを主張してください、今後とも。

 この今一冊しかない解説書の、さっき読み上げたところには当てはまらないということでいいですね。だけれども、大臣はこの解説書の、もういろいろあるから、ここは間違っている、違う解釈をとるということでいいですね。

森国務大臣 ただいま御説明したとおりでございますけれども、勤務延長につきましては、一般法たる国家公務員法の規定が適用されるものでございます。他方、勤務延長について、検察庁法上規定が設けられているかと申しますと、特段の規定が設けられておりません。

 これについて、今御指摘の国家公務員法ができた後に、検察庁法に、検察庁法三十二の二であったかと思いますが、特別に、その特例である条文があげつらわれております。その中に、先ほど私が御指摘いたしました二十二条、つまり、定年とその退職時期、これが誕生日ということになっておりますが、それが特例であると書いてあって、それ以外が特例であるということであればここに条文が載るはずなのでございますが、そこに書いていない、勤務延長については国家公務員法の規定を使わないということが特に記載されておりませんので、一般法の国家公務員法に戻りまして、勤務延長が適用されると理解されます。

本多委員 総理秘書官がそろってうなずいていて感じ悪いんですけれども。

 これは法律家の中でもたくさん意見がありますよ。大臣の読み方はおかしいという人はたくさん出ていますから。

 これは、まず、そもそも政治的におかしい、プラス、違法なんですよ。最悪言っても、これまでこんな前例はないんですよ。仕事の途中だから定年できないなんていったら、どんな国家公務員も定年できなくなるんですよ。よっぽど特殊な、その人しかできない、そういう業務をやるときだけ定年が延長される。それを、本来は定年の延長なんか禁止される検察官に持ってきて、七月末から八月に検事総長の人事を恣意的にやろうとしているというとんでもない話なので、ぜひやめていただきたいということを強く私は申し上げておきたいと思います。

 さて、ちょっと私、小泉大臣と議論したかったことがちょうどあるんですよ、一つ。五分しかないんですが。

 去年、ちょうど一年前、大臣、この部屋に来て、統計偽装で大問題になっているとき、統計偽装の質問をした後に、国会改革について述べたんですね。質問も受けない大臣がここに一日いることなんて国民のみんながおかしいと思っていると言われて、私、そこの席で聞いていて、一つ国会改革はそういう考え方もあるけれども、非常に、予算委員としてずっとここに座っている人間からしたら、何か予算委員会の場をちょっとばかにされたような気がしたんですね。

 大臣、今、座られる立場になって、質問のない日もあるかもしれません。どうですか。

 私、実は、結論を言うと、余り無駄だと思っていないんですよ。ここに皆さんにいていただいて、質問をきょうは森さんにしましたよ。森さんの言っていることが、目が泳いでいないかとか、おかしくないかとかというのを、僕は国務大臣たる皆さんに聞いてほしいんですよ。だって、皆さん、検事総長の人事を閣議決定で判こを押すんだから。

 だから、小泉大臣、ちょうど二月四日なんですよ、一年前。あの、ずっと座っているという、いや、それは大臣だけじゃないんです。与党の皆さん、質問も答弁もないけれども、一日七時間座っているけれども、それは無駄ですか。

小泉国務大臣 国会改革について、今大臣という立場でどこまで申し上げるべきかというのはありますけれども、国会改革に対する思いは私は変わりません。

 ただ、今、本多議員がおっしゃったように、一日七時間、予算委員会に座っていて、大変勉強になる、そこも間違いありません。

 ただ、世界の中であらゆる議会がありますが、総理大臣、そして外遊が仕事の主な部分でもある外務大臣、世界の中でもこれだけ議会に出席をしているという国もそうはありません。そして、恐らく、世界の議会の中で、全閣僚がこれだけ、質疑のあるなしを問わず、座っているということが求められていることも余りないというのも事実ではないでしょうか。

 引き続き、そういった問題意識を持ちながら、私、今大臣として、基本的質疑等、この中に座って、先生方の議論に耳を傾け、問われたことには答え、その責務を果たしてまいりたいと考えております。

本多委員 私、小泉さんが出された国会改革の案もいろいろ読ませてもらいましたけれども、結構、一日に委員会と本会議があったら、日数をまとめて書いていたり。

 実は、総理とこうやって質問する機会というのは、十月にちょっとやって、十一月にちょっとやって、そこから、ようやく一月の末にやってもらっているんですよ、小泉大臣。それから、その前は、半年間こういう機会をつくってもらえませんでした。二月、三月だけは、皆さん、予算を通そうとしてこうやって並んでいただける、貴重な機会なんですよ。

 だから、去年もそうでしたけれども、大臣の皆さんに伝えたくてやっている部分もある、与党の皆さんにもたまにはうなずいていただきたいと思ってやっているんです、一生懸命。だから、質問者と答弁者だけいればいいみたいな単純な発想じゃない国会改革の議論を今後もしたいなと思うので、ぜひよろしくお願いします。

 それで、小泉大臣、せっかく座っているんだから感想を聞きたいんですよ。ここに並んでいる方、総理の言っていることをおかしいと、まあ、麻生さんと茂木さんはもうすっかり一心同体ですから、時々、高市大臣が困った顔をされているのが、非常に高市大臣は常識がおありなんだなと。

 あの、総理が募ると募集は違うとか言ったときの表現、コラムにも出ていましたよね。高市さんがこれは反応したらあかんと思ったんじゃないかと、コラムニストの方が非常にすてきな、ここ、ずっと高市大臣は映っているんですよね。だから、高市大臣の表情がずっとテレビで、NHKで映っていて、ほかは冷静な、クールな高市さんが、総理が変なことを言うと、困ったなという顔をされているというのは、なかなかコラムニストの方がすばらしいなと思ったんですけれども。

 小泉大臣、あのニューオータニの領収書が一枚も出てこない、そして、総理の事務所は、総理にとって有利な証拠なのに、それを一枚も探そうとしてくれない。これはこっちで騒いでいる私たちがおかしいんですかね。早くこのネタを終わらせて、先に行きたいんです。その重要な証拠は、ニューオータニのあの領収書を、配ったのを一枚でいいから見たいんです。それが、今ないまではいいんですけれども、探す努力もしないということで、本当に悔しい思いをしているんですけれども。

 一番まともな感覚をお持ちだと思うんです、この中で、多分ですけれども。森大臣がお持ちじゃないことは大体きょうわかったんですけれども。小泉大臣、ぜひちょっと、どういう感想を持たれていますか、この総理の答弁。

小泉国務大臣 まず、大臣として、ほかの閣僚、総理も含めて、その方々の答弁を論評する立場にはありません。

 ただ、その上で、今、桜を見る会の話がありましたが、総理は大いに反省をされているということで何度も答弁しています。

 そして、環境大臣としては、桜を見る会が開催をされている場所である新宿御苑が環境省の所管です。ことしは見送りということになったようでありますが、仮に、さまざまな今までの議論の中で、反省点を改善をされて、そして再開を、もし同じ場所で、新宿御苑でやっていただくということになれば、より国民の皆さんに理解が得られる形で、環境省としては、新宿御苑の魅力をしっかりと伝えていきたいと考えております。

本多委員 事実、明らかにならなくて、あの領収書も出なくて、反省も何も至らないんですね。そのことをぜひ御理解をください。

 そして、検事総長の任命、今回、森まさこ大臣の強引な方法で、違法とも言われる状態の中で延長された方が、七月末から八月にこの内閣の閣議で決定されないことを心からお願いして、質問を終わります。

 以上です。

棚橋委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの後藤祐一でございます。

 きょうは、主に新型コロナウイルス対策についてお伺いしたいと思います。

 忙しい中、加藤厚生労働大臣、来ていただいてありがとうございます。

 まず、総理が一月三十一日に、武漢を含む湖北省に十四日以内に滞在歴のある外国人の方は入国拒否という発表をされましたけれども、二月の二日、この武漢から八百キロも離れた浙江省の温州市というところで、住民移動を制限して、都市を封鎖しています。

 湖北省から対象を広げる必要があるのではないんですか。場合によっては、浙江省だけではなくて、浙江省に接している上海、あるいは、アメリカなどはもう中国全土を対象にしているようでございますが、この入国拒否の対象範囲を広げるつもりはありませんか、総理。

 これは通告していますので、総理にお願いします。

安倍内閣総理大臣 答弁する前に、先ほどの答弁を一部ちょっと訂正させていただきたいんですが。

 桜を見る会の前の夕食会について、収支とんとんという答弁をしたんですけれども、これは収支がないということでございますので、訂正をさせていただきます。

 今般の新型コロナウイルスに関連する感染症については、感染の中心は、全世界的に見ても、依然として武漢を含む湖北省中心であるため、感染拡大の防止に万全を期す観点から、当面の間、入国の申請前十四日以内に湖北省の滞在歴がある外国人又は湖北省発行の中国旅券を所持する外国人について、特段の事情がない限り、入管法に基づいてその入国を拒否することとしたところであります。

 他方、新型コロナウイルスの感染拡大の状況は時々刻々と変化をしておりまして、どこの地域を危険地域として考えるべきなのか、政府としても、中国国内の患者等の動向を分析をしているところでありまして、今後、地域が拡大し得ることも含めて、弾力的に措置を考えております。

 いずれにいたしましても、国民の命とそして健康を守ることを最優先に判断していきたいと考えております。

後藤(祐)委員 ぜひ、中国の国内の状況をよく情報収集して、弾力的かつ早期に対応していただきたいと思います。

 続きまして、これは加藤厚労大臣にお伺いしたいと思いますが、潜伏期間にうつるかという問題であります。

 先週火曜日の、一月二十八日のこの予算委員会で、ちょっとテレビでは報道されていない時間に私が質問でお伺いしたんですが、加藤厚労大臣は、人から人への感染は認められるが、今の時点で、潜伏期間に感染性があるとの認識はしておりませんという答弁をされておられますが、もう中国はこれを認めているんですね。ここがSARSとの違いだと。SARSは潜伏期間には感染しなかったんです。

 ところが、今回の新型コロナウイルスは潜伏期間にも感染し得る、中国はそれを認めていて、潜伏期間に感染するかどうかは、いろいろな対策を講じるかどうかにおいて、極めて重大な判断の違いなんですよ。

 今の時点でも、潜伏期間には感染しないという御認識でしょうか、厚労大臣。

加藤国務大臣 今委員御指摘の、潜伏期間における感染、中国政府が認めているという御発言がありましたが、きょう今の時点と言われるとちょっと私も自信がありません。刻々と変わっておりますが、きのう時点で私が承知している限り、公式にはそうした見解は出ていないというふうに承知をしているところでございまして、そうした報道があったことは私も承知をしておりますけれども、中国政府が公式にその旨を認めたというお話は、少なくとも私の耳にはまだ入ってきていない。

 同時に、そうしたことがあるというエビデンス、そうしたエビデンスが示されたということもないというふうに承知をしておりますので、現時点では、今の段階では、感染中、感染者から、症状がまだ発症していない段階で他に感染するということについては具体的なエビデンスがない、正直、わからないというのが今の状況であります。

後藤(祐)委員 一月二十六日に、中国の国家衛生健康委員会というところが発表しているんですね。これは政府というのかどうかというのは微妙なところがあるかもしれませんが。少なくともその可能性があるというぐらいの認識ではないですか。

 潜伏期間中に感染する可能性はあるかもしれないが今の時点では確認されていないとか、そういう認識ではないんですか。それとも、潜伏期間中には感染しないという前提でいろいろな対策をお考えなんですか。どちらですか。

加藤国務大臣 感染しないということを断言できる状況ではなくて、先ほど申し上げた、エビデンスがないからわからない、したがって、わからないことを前提に対応しているということで、現在でも、先般のチャーター便で帰ってこられた四人、最終的には今四人、当初、五人の方が発症はしていないけれどもウイルスが陽性であった、その後、その中からお一人が発症されたというふうに承知はしておりますけれども、その方については入院をしていただいている、そうした措置をとっておるところであります。

後藤(祐)委員 潜伏期間中にうつるかどうかについてはわからないというのは、一つ、実は、前回からは進化なんですね。前回は、潜伏期間中に感染性があるとの認識はしておりませんと答弁されましたから、少なくとも、わからないというところまでは、少し前に行ったのかなというふうに認識します。

 それでは、今、横浜港沖に停泊している大型クルーズ船については、大変報道でも大きくされておりますし、気になるところでございますが、少し御紹介をいたしますと、この大型クルーズ船に一月二十日に横浜から乗船して、一月二十五日に香港に帰国した八十歳の男性の方から新型コロナウイルス肺炎が確認されています。そして、その方がおりた後、このクルーズ船は、二月一日に沖縄の那覇に寄港をしたんですが、その時点ではまだこの方の新型肺炎の発症というのは確認できていない段階だったんですが、その後、予定では、きょうの朝、横浜に着くことになっていたんですが、急遽、急いでなんでしょうかね、きのうの夜のうちに横浜港沖に停泊をして、検疫をしているという状況だと伺っております。

 厚労大臣に伺いますが、この横浜港沖で行っている三千七百人とも言われる乗員乗客の方々に対する検疫は、どのように行っているんですか。体温測定、質問票の記入、あるいは問診といったレベルなのか、あるいはPCR検査みたいなところまでやっているのか、詳しく教えてください。

加藤国務大臣 今、約三千七百人の、乗務員の方も含めて、その方から、全てから、問診をし、質問票に記載をしていただいて、検温等をさせていただいております。

 その中で、まず、症状がある方、それからもう一つあるのは、既に今委員御指摘の香港でおりられた方と船内等で濃厚の接触が考えられる方などについてはPCR検査を実行するということで今段取りをしておりますが、ただ、いずれにしても、三千七百名という方々。

 それから、きのうの夜、入られたわけですけれども、深夜の時間帯にはさすがに問診、検診ができないので、きょうの朝、いわゆる通常の時間帯からスタートしているということもあって、まだその作業を続けている最中でありますけれども、それが終わり次第、先ほど申し上げた一定のターゲットの方については、まずはPCR検査をし、その結果を待つ、それまでは今の状況を維持していく、こういう考え方であります。

棚橋委員長 後藤委員、専門的なことですから、事務方からも答えさせてよろしいですか。

後藤(祐)委員 いや、今ので結構です。その場合は言いますので。

 要するに、三千七百人全員にPCR検査はしていないということが明らかになりましたが、このPCR検査を行っている方もいると思うんですね。症状が出た方に対して、まだPCR検査は行われていないんですか。

 今、症状がある方、香港でおりた方、濃厚接触者の方にはPCR検査を行うということですが、これはまだ行われていないんですかということと、このPCR検査をした結果、陽性反応が出る方が出てくる可能性があると思うんです。その場合は、陽性反応が出た、すなわち感染者ですね、この感染者と濃厚接触した方についてはPCR検査を行うという説明をきょうの朝聞いておりますが、間違いないでしょうか。

加藤国務大臣 今の時点は、先ほど申し上げた、問診とか質問票に記載していただく、検温等を全ての方にやっているという状況であります。

 その中で、まずは、PCR検査の対象としては、症状がある方、それから、香港でおりられた、既に有症の患者の方でありますが、その方と濃厚接触のあった方、それから、今最初に申し上げた症状がある方で、これはまだ感染しているかどうかわかりませんけれども、その方と濃厚接触している方、そうした方々を対象に検体を採取して、PCR検査は船内ではできませんので、それをしかるべき検査所で検査をして、そしてその結果を見て対応すべきだということで、したがって、それまでは、今、船も、あるいは乗員の方々も、お一人、ちょっと脳梗塞の疑いがあって病院に入院されている方はいますが、原則として船の中に滞在をしていただく、そしてPCR検査の結果を踏まえてその後の対応を判断していく、こういう状況にあります。

後藤(祐)委員 いつごろになるんでしょうか。何か一部報道では、きょう夕方とか言っていたところもありますが、とてもそんな時間ではなくて、もう少しかかるということでよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 私ども、着いたらすぐにという作業を考えておりましたが、先ほど申し上げた、やはり夜の時間帯に起きていただいて一人一人にやるというわけにもいかない。特に、クルーズ船の場合、割と高齢の方も乗っておられますので、そういった意味で、かなり我々が予定した時間よりも後ろにずれているというのは事実だというふうに思いますが、いずれにしても、そうした作業をしながら、先ほど申し上げた手順を一つ一つ踏んでいきたいというふうに思っています。

後藤(祐)委員 症状はないけれども、みずからこのPCR検査を希望するような方に対しては、PCR検査をしてさしあげることはするんでしょうか。

加藤国務大臣 今の御質問は、このクルーズ船に乗っておられる方でありますか。(後藤(祐)委員「はい」と呼ぶ)

 今のところ、正直言って、今の状況は待っているので、次の段階はまだ考えていないというのが正直なところであります。

 要するに、このPCR検査をした結果、全員が陰性なのか、あるいはどのぐらい陽性が出てこられるのか、その状況を見ながら考えていきたいと思っていますが、ただ、今の段階でPCR検査をやったからといって、将来そういう可能性がないというわけではない。

 したがって、今、チャーター便で帰ってこられた方も、引き続き一定期間、我々が確保した宿舎等にいていただいている、こういう状況にもあるわけでありますから、そこはそうしたPCR検査の持つ意味も含めながら、実効性のある対応を考えていきたいと思います。

後藤(祐)委員 濃厚接触者の確認ですとか、そこが終わるまでは船内で待っていていただくということで少しだけ安心しましたけれども、それが終わったとします、PCR検査が終わって陽性の方が出たら、その陽性の方からの濃厚接触者についてもチェックしてという一連の検査が終わった段階で、問題ない方については、症状の出ていない方については下船をするということなんでしょうか。

 つまり、今まで、感染しているけれども症状が出ていない方というのが、二月三日現在で五例出ています。つまり、症状がない方は全部おろしちゃって本当に大丈夫なんでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 そこは、香港でおりられたのはたしか一月二十五か六、ちょっと先ほどのスケジュールにありましたけれども、したがって、そこから十四日間、これは私どももしっかり観察をしていかなきゃいけない期間だというふうには認識をしておりますが、ただ、その辺も含めて、ですから、まだ数日はありますけれども、いずれにしても、そこも含めて、まずは今、これからかかるPCRの結果を見ながら、その対応を考えていかなきゃいけないと思っています。

後藤(祐)委員 一月二十五日から、十日間ではなくて十四日間ですか。そうすると、二月八日までということなんでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 ちょっと正確に申し上げますと、今、WHOのそういった専門機関からは、潜伏期間は二日から十日というふうに聞いておりますが、ただ、スタートのところの関連もありますので、一応十四日ぐらい見ておいた方がいいんじゃないか。これは今の知見なので、もうちょっと、これは専門家の意見も聞かなきゃいけませんが。

 したがって、最大考えると十四日間ということを考えて、済みません、二十五日から二週間たった日が二月の何日か、ちょっとすぐには出てきませんけれども、その間は少なくとも健康観察をしていかなきゃいけないということもありますが、ただ、いずれにしても、まだ全員おりてもらうかどうかという判断も、PCR検査が終わっていませんから、今の段階で、そこはちょっと、その先について申し上げる状況にはないと思います。

後藤(祐)委員 香港で感染した八十歳の方がおりたのは一月二十五日ですが、仮にこの方からどなたかが感染していた場合、その船の中に感染者が一月二十五日以降も何日か乗っているわけです。場合によっては今も乗っているかもしれない。そういう方がもし見つかったら、一月二十五日からの十日間とか十四日間というのは余り意味を持たなくなってしまうんじゃないんですか、大臣。

加藤国務大臣 ですから、まず、今の対象の皆さんにはPCRの検査を受けていただくということで、その作業に入っている。

 要するに、今回、PCRをまず考えているのは、症状がある方、それから香港の既に症状が出た方と濃厚接触をした方、そして三番目のカテゴリーとして、現在船の中で症状がある方と濃厚接触をした方、このグループについてPCR検査を行うということで今段取りを組んでいるということであります。

後藤(祐)委員 このクルーズ船の中では、一人一人かどうかはともかく、少なくとも部屋ごとぐらいに、隔離とは言っちゃいけないのかもしれませんけれども、ほかの方と接触しないような環境をつくっているんでしょうか。

 つまり、もし感染者が今も船の中にいた場合、その方と船内で接触してしまったら、十日なり十四日なりを置く意味がなくなってしまうじゃないですか。今まさに国の研究所なんかに待っていただいている方なんかは、できるだけ自分の部屋にいていただいて、ほかの方と接触しないような形で二週間なりいれば、これはかなりの確度で感染することはないだろうと思えますが、今、船の中でほかの方と接触できるような環境で何日置いても、それは余り意味はないんじゃないですか。できるだけ部屋の中にいていただいて、ほかの方と接触しない期間を十日なり十四日なり置いていただかないと、また残っている感染者から、接触するかもしれないということが排除できないんじゃないですか、大臣。

加藤国務大臣 ですから、そこのところも含めて、ちょっとPCRの状況を見た上でそこから先は判断する必要があるだろうというふうに考えて、先ほど申し上げたように、その結果を踏まえて必要な対応を考えていくということを申し上げているので、今の段階で、こうだ、ああだということを断定的に申し上げる状況にはないというふうに思います。

後藤(祐)委員 せめて船の中で、千三百室ぐらいあるわけですから、それぞれの部屋の中にできるだけいていただいて、ほかの方との接触をできるだけしないというふうにすべきじゃないですか。

加藤国務大臣 今、船の中でどういう形でそれぞれの方にお願いしているか、ちょっと定かではありませんが、ただ、いずれにしても、そういう状況になっていますので、それで、多分、クルーズ船の構造的には、ほぼ個室というか、家族単位で部屋に入っておられるだろうと思いますから、その辺は、今委員御指摘の、少なくとも今の段階において、一定、他の人との接触はできるだけ控えていただくというのは、それは必要なんだろうというふうに思います。

後藤(祐)委員 これは一体どこを起算点にして、どうなったら感染がもうないと言えるんでしょうか。

 検疫法十七条というのがあって、この十七条では、検疫所長は、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたとき、検疫済み証を交付するというふうになっているんですね。そして四条では、この検疫済み証、仮というのもあるみたいですが、検疫済み証を受けた後でなければ入港できないとなっているんですよ。要は、上陸できないということになっているんですね。

 この検疫法十七条の侵入するおそれがないと認めるのは、一体どういう状態になったら認めるんですか。

加藤国務大臣 これは今回の事例だけじゃなくて、あらゆる感染症というのは潜伏期間があって、長いのは一カ月間ぐらいあります。したがって、通常でもいろいろと、我々は、常に起きている。

 通常においては、そうした症状がない、明らかに感染していない、明らかに感染しているという状態でないときには、そこにいわゆる仮の検査済み証というのを発行して、そして、そのもとでそれぞれの皆さんがおりられたり検査している。最終的には、もちろんその期間が過ぎて、誰もそういうことがなかったということで、最終的には検査済みということになるわけでありますので、これは、今回の新型コロナウイルスだけではなくて、全ての感染症、同じような扱いをしているということであります。

後藤(祐)委員 ちょっとよくわからなかったんですが、この検疫済み証を交付するための要件である、病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときと認めるのは、一体どういう条件が整ったとき、丸になるんですか。

加藤国務大臣 ですから、通常は、明らかなそうした患者等が発生していないという中で処理をしている、これは通常であります。(後藤(祐)委員「いや、今回の船の話です」と呼ぶ)いやいや、今回の船であれ、どの船でも同じでありますから、そうした扱い。

 ということで、沖縄で仮の検査済み証が発行されたんですけれども、ただ、今回こういう事態になったので、それを今失効しまして、したがって、今の船は、仮検査済み証も検査済み証も出ていない。したがって、検査済み証、仮検査済み証がなければ、そこに乗っている、乗船している顧客の方、乗務員はおりることができない、これが今の状況です。その中で、PCR検査を行い、その結果を見ながら、最終的に、今お話があった検査済み証、あるいは仮検査済み証になるのかもしれませんが、それを発行するかどうかを判断するということですが……(後藤(祐)委員「どうやって判断するんですか。その基準」と呼ぶ)

 ですから、今の段階でいろいろなケースがあります。PCR検査は全員陰性であるのかどうなのか、そこは今一つ一つ申し上げることはできませんけれども、その状況を踏まえながら考えていくということで、一定で、この検査が済めば全員がおりていただけるという状況だということを申し上げているわけでは全くありません。

棚橋委員長 後藤君、済みませんが、委員長を通して質問の追加をお願いいたします。(発言する者あり)いやいや、どこでとおっしゃったので。

後藤(祐)委員 いや、私、全国が知りたい事実関係を確認しているんですから、ちょっと頼みます。

棚橋委員長 いや、だから、委員長を通じてお願いしますと申し上げました。

後藤(祐)委員 はい、わかりました。

 結局、今の答弁ですと、どういう条件を満たしたら国内に侵入するおそれがないと認められるのかどうかがよくわかりません。特に、船の中でお一人お一人、あるいは家族ごとかもしれませんが、できるだけ部屋の中にいていただいて、ほかの方と接触しないようにするというような条件を満たさないと、日にちがたっても、余り、だって、その後、濃厚接触者がどこかで出てきたら、またやり直しみたいな話になっちゃうじゃないですか。そこは改めていただきたいなというふうに思います。

 それと、これは相当時間がかかる可能性があるということだと思うんですが、これは停留ですね、すなわち、検疫法に基づく停留をしていただくということですか、それとも違うんですか。

加藤国務大臣 これは停留ではありません。第四条の、まず検疫のためにそこにいていただいている。ですから、まだ入国していませんし、検査に入るためにそこにいていただいているということであります。

 それから、先ほど委員おっしゃいましたけれども、これはいろいろなケースがありますので、それぞれのケースについて、我々、今言った十日間の潜伏期間、あるいは十四日間の安全を見ている期間、それからPCRとPCRの間隔、いろいろなことを総合的に判断をしながら最終的に決めていかなきゃいけないと思いますし、先ほど三種類のPCRの検査の対象者、例えば、どこのカテゴリーで出るかによって、また答えは変わってくるわけなんですね。

 ですから、その辺をよく見ながら、そこは私も委員も同じ懸念を持って、同じ懸念、問題意識を持って当たらせていただこうというふうに思っているところであります。

後藤(祐)委員 どこかの段階で、ここでいうところの検疫済み証を出して、検疫が終わったという段階が発生しますよね。ですが、残っていただかなきゃいけない方というのがそれでもいらっしゃると思うんですよ、濃厚接触者も含めて。この方に対しては停留をお願いしなきゃいけないことがあるんじゃないんですか。

加藤国務大臣 今回のケースで、停留という、停留というのはおそれがある者ということでありますから、おそれがある者というのはどういう形で存在するかしないか、それを踏まえながら考えていくということになるので、今の段階で断定的に言うことはできないと思います。

 ただ、委員御承知のように、今の時点で停留措置をとれるのかということに関しては、停留措置というのはとれない、今の、今回私どもが指定した政令等ではとることができない。

 ただ、国内に入った後、さまざまな対応を今までもしてきております。そういう中で、チャーター便で帰った方は、我々が確保したところで、陰性であるにもかかわらず、今、そこでお過ごしをいただいている、そういった対応をとらせていただいているところであります。

後藤(祐)委員 今大臣がおっしゃいましたが、チャーター便で帰ってきた方も研修所なんかにとどまっておられます。でも、これは任意ですよね。強制することはできないですよね。

 停留を強制するためには、実は、新感染症というのに指定しないといけないんですね。今はこの新型コロナウイルスは指定感染症であって、何日間かちょっとここにとどまっていてくださいということを任意でお願いすることはできても、強制することはできません。ですから、二人拒否して逃げちゃったというのがありましたよね、まあ、戻ってこられたみたいですけれども。やはり指定感染症では弱いということがそろそろ明らかになってきていると思うんです。実際、この船の話も、もう自分の検査は終わったんだから早く出してくれというようなことになる可能性がありますよね。

 実際、指定感染症ではできなくて新感染症だとできることというのはいっぱいあるんですね。例えば、今回でいいますと、検疫のキャパシティーが足りない、量がもうこれ以上できませんという状態のときは、場合によっては、船だとか飛行機というのは動かすのを御遠慮いただけませんかという要請が新感染症の場合はできたりします。これは、新型インフルエンザ特別措置法で可能になったりしています。

 これからいろいろなことが起きるんです。これに当たって、やはり新感染症というのに指定していけば、実は、新型インフルエンザのときにいろいろな経験を、SARS、MERS、そして新型インフルエンザの経験を踏まえて、この段階ではこれをやらなきゃいけないといったことを非常に詳しくまとめた行動計画、ガイドラインというのがあって、これは民主党政権のときにつくりましたが、その後、安倍政権でも改定されていて、いわば与野党の過去の知見の蓄積なんですね。これに従って本来やれば、いろいろ、今回の事態も予測できるようなことが書いてあるんですよ。

 この中には、例えば、武漢にいるような方に対して、そのうち出られなくなりますよとか、そのうち病院に行けなくなりますよ、あるいは、連れて帰ってくるときは、チャーター機とかで連れに行くけれども、その場合は、日本に帰った後しばらくとどめ置くこともあるかもしれませんよ、そこまで書いてあるんですよ。すごくよくできているんです。

 ところが、これは、新感染症に今回指定すればこれに従ってやればいいんですけれども、指定感染症の場合はこれは使わないということになっているんですよ。

 指定感染症の場合のこういったマニュアルとかガイドラインとか行動計画というのはあるんですか、大臣。

加藤国務大臣 それは、新型インフルエンザ特措法という法律で、新型インフルエンザか新感染症で、特に、ちょっと条文、明確じゃありませんが、全国にぐっと波及するという限定がついた場合については、そうした計画をつくったり、非常事態宣言を発信したり、本部をつくったり、そういう規定になっています。

 その上で、委員の御指摘のように、新感染症に該当するかどうかということでありますが、感染症の新感染症に係る条文を読むと、通常のものは患者と書いてありますが、新感染症に関しては所見のある者と書いてあります。したがって、これは何が原因かわからない。だから、この菌を持っているか、このウイルスを持っているかわからないから新感染症なんですが、今回の場合は新型コロナウイルスとわかっていますので、これは今の法文体系上、新感染症の適用ということにはならずに、そして、SARSのときになぜなったかというと、そのときはわからなかった、それで新感染症で、わかってから、一類、二類、三類という中で、最初一類にして、二類にしていった、こういう経緯があります。

 ただ、委員御指摘のように、じゃ、停留とか隔離ができるためにどうするかというと、これは検疫法になりますが、検疫法の三十四条等の適用をするかしないかということもあります。

 それから、感染症で今二類相当というふうに指定をしておりますが、それを一類相当に上げる、こういう措置、これは十分法律的にはあり得る措置です。ただ、今それに当たるそれだけの病原性があるのか、感染性があるのかということで、我々は今二類にとどめておりますが、ただ、これからの状況を見れば、そういった対応も当然視野に入れなきゃいけないということは十分認識をしておりますし、その際には、周知期間、いろいろ御指摘もいただきました、この辺も含めて、しっかり対応していかなきゃいけないと思います。

 それから、行動計画、今申し上げた法律に基づく行動計画という状況ではありませんが、ただ、今は一応コントロールされている、コントロールというか、それぞれ、今、国内で発生しているのは三件だけであります、国内・国内は。そして、それも一つの流れの中で起きているという状況でありますが、ただ、これがぽつぽつぽつと広がっていくということは十分あり得るわけでありますから、そのときの医療体制をどうしていくのかということについては想定しながら、中で、私どもだけじゃなくて、関係機関とそうした場合も含めた準備態勢についてはしっかりと議論を進めていきたいというふうに思っています。

後藤(祐)委員 この行動計画的なものはあるんですか、指定感染症の場合に。

加藤国務大臣 ですから、法律的には先ほど申し上げた……(後藤(祐)委員「あるかないか」と呼ぶ)いやいや、その計画というのは新型インフルエンザ特措法に基づいているわけですから、対象は新型インフルエンザと新感染症ということで、今回はその対象ではありませんので行動計画はありませんが、ただ、先ほど申し上げたように、今後の対応をしっかり見据えながら、我々はどうやってやっていくんだということを、厚労省だけじゃなくて政府全体でやっていかなきゃいけませんから、そういった作業はしっかり進めていかなきゃいけないというふうに思っています。

後藤(祐)委員 ないんですよ。

 これは深刻で、都道府県とか市だとか病院とかは、実はこれに従って、この段階になったらうちはこれをやればいいんだな、それに向けて今のうちにこういうことを準備しておこうとかというので、非常にこれは参考になるんですよ。ですから、そういう意味でも、新感染症に指定すべきだと思いますが。

 ここに新感染症の定義、感染症法六条九項というのを取り出しましたが、先ほどの加藤大臣の御説明は、この中の一とか四は満たしているんですね。重篤になるかどうかは、これは両方判断があると思いますが、二を満たしていない。つまり、既に知られている感染性の疾病とその症状又は治療の結果が明らかに異なる、これがSARS、MERSと、あれもコロナウイルスですから、あれと明らかに異なるとは言えないということで新感染症に該当しないということかもしれませんが、ここは解釈の幅がいろいろあって、今、現に注射がまだ開発されていないわけじゃないですか。この注射の開発ができるまでは、やはり新しいからできないというふうに判断すべきなんじゃないんですか、現実に。

 あるいは、まず新感染症に指定しておいて、その後、そこまでやる必要はないとなったら、また指定感染症も少し軽い段階に戻すという対応を、たしか過去もそういう対応をとったことがあると思いますけれども、ぜひ、まず新感染症に指定して、その後、軽くなってきたら指定感染症に戻すという対応をとるべきじゃないですか。二の解釈は可能じゃないですか。

加藤国務大臣 先ほど御説明させていただいたように、一、二、三の前提として、この新感染症というのは、通常は第一類感染症の患者と書いてあります、ただ、この新感染症だけは、先ほど申し上げた、所見がある者と書いてあります。

 これは何が違うかというと、まさにいろいろな状況がある、要するに、原因がわかっていない。ですから、今回の場合でいえば、ウイルスとか病原菌とか、これがわからないという場合が今回の対象であるということの書き方になっているわけですから、したがって、今回は新型コロナウイルスだということは、これははっきりしているわけなので、もちろん委員御指摘のように、これがどんな感染力を持つか、致死性があるか、これはこれからの議論ですが、ただ、そこがはっきりしている以上、新感染症の概念には当たらない。

 かつてあったSARSのときは、先ほど申し上げたように、最初は何が原因かわからなかった、だから、新感染症でスタートし、わかった段階では二類、最初は一類でしたけれども、一類、二類とカテゴリーに移していった、こういう経緯があります。

後藤(祐)委員 まさに、そのSARSと同じようにやればいいじゃないですか。

 総理、これはちょっと総理の御決断だと思うんですよ。今、患者と所見のある者は違うとかいろいろなことを言っていますが、現にワクチンができていないわけですから。今、日本にこれだけ入ってきちゃっているわけですから。新感染症に指定して、いろいろなことができるオプションをふやしておいた方がいいと思うんですよ。

 総理のこれはまさにリーダーシップで新感染症に指定して、かなり広目のことを、強制力を持ったこともできるようにしておいて、その後で、そこまで必要ないとなったら指定感染症に戻すといった、ほかの対応をすればいいと思います。これは総理のリーダーシップだと思いますけれども、ぜひこれは提案させていただきたい。

 加藤大臣は今答弁されたので、総理としての私はリーダーシップを問いたいと思います。これは、厚労省だけじゃなくて、対策全体、政府に広がる話なので、総理じゃなくて加藤大臣が答弁するんだったら同じ答弁になるから結構です。ぜひ、ちょっとこれは総理にお願いしたいんですが。

安倍内閣総理大臣 既に厚労大臣から答弁させていただいておりますが、新感染症と、もう既に指定をしております指定感染症の違い、一類、二類との違いについては、もう答弁させていただいたとおりでございまして、これは法定されているところでございます。

 今般の感染症、加藤大臣からも答弁させていただきましたが、それと同時に、今般の感染症は、既に知られている感染症の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるものではないことや、感染力の程度が明らかではないことなどから、現時点でこれに指定することは難しいと考えております。

後藤(祐)委員 現時点で難しいじゃなくて、まず新感染症に指定して、状況がわかってきたらレベルを落とすという対応をSARSのときもしているんですから。それはぜひしてほしいということを申し上げておきたいと思います。

 予算について伺いたいと思いますが……

棚橋委員長 ちょっとお待ちください、後藤祐一君。

 厚生労働大臣は退席して……

後藤(祐)委員 もう結構です、もう時間がないので。

 新型コロナウイルス対策にはいろいろな予算が必要です。実際、総理は……

棚橋委員長 じゃ、退席してよろしいんですか。まだですか。

後藤(祐)委員 この関係ですが、どうぞ、厚労大臣、御退席いただいて結構ですよ。いいです、いいです。

 ちょっと、時間がないので、早く。

棚橋委員長 新型コロナの関係はもうよろしいですね。

後藤(祐)委員 関係の予算ですけれども、退席いただいても結構です。

棚橋委員長 では、厚生労働大臣におかれましては、御退室されて結構です。

後藤(祐)委員 新型コロナ対策の予算についてなんですけれども、総理。

 総理は、二月一日の政府対策本部第四回会合で、予備費の使用も視野にさらなる対応策を早急に策定し、至急実行に移してほしいと御発言されていますし、一月三十一日の参議院予算委員会では、観光等への影響についてもよく見きわめた上で、事態の進展に応じ、必要があれば予備費の使用も検討したいと発言されておられます。

 予備費というのは、この二月、三月、今年度中について、この新型コロナウイルス対策で新たなお金が必要になった場合は予備費でやる、これはまあしようがないでしょう。

 ですが、ことし四月以降については、まさに今、令和二年度予算案を審議しているわけですけれども、この新型コロナウイルス対策の予算が当然たくさん必要になってくるんじゃないですか。この新型コロナウイルス対策関係予算を、今審議している令和二年度予算に追加修正するべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 現時点では、先ほどもう既に委員から御紹介をいただいたように、予備費の使用も視野に入れて、さらなる対応策を早急に策定し、至急実行に移すよう、二月一日の対策本部で指示をしたところでございます。

 その後、更に必要になるのではないかということでございますが、もちろん、来年度予算の中にももちろん予備費はあるわけでございますが、その中において、果たして、しかし、それで足りないのかどうか。今の段階ではそこにはまだ至っていない、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、どの程度、経済に影響があるかということは注意深く見ていきたい、このように考えております。

後藤(祐)委員 令和二年度予算案の審議をしているときに、四月以降のお金の使い方について予備費で対応すればというのは、総理、これはまずい発言ですよ。

 今、予算案に修正すればいいんですよ。実際、新型ウイルス対策のときは、麻生財務大臣が総理のときですけれども、補正予算とその次の本年度予算合わせて七百億円余りの新型インフルエンザ対策予算を計上しているんですよ。大体どういったことに必要なのか、わかるはずなんですよ。これは、総理、問題発言だと思いますよ。

 時間が来たので、最後に一つ。

 この新型コロナウイルスの指定感染症の指定が遅いということで、自民党の重鎮の方から、憲法改正について、緊急事態条項の議論を念頭に、憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいのかもしれないといった御発言がございました。

 石破議員なんかは、悪乗りすべきじゃないという御発言をされておられますけれども、総理、この新型コロナウイルス対策の関係は憲法改正の緊急事態条項と関係ないでしょう。法律が必要だったら、すぐ我々だって対応しますよ。

 これは関係ない、こんなことで悪乗りしちゃいけないと思いますが、いかがでしょうか、総理。

安倍内閣総理大臣 それは、悪乗りとかそういうことではなくて、常に、何が必要か、国民の命と健康、あるいは平和な暮らしを守るために何が必要かということは常に検討していくべきであろう、それが憲法との関係性があるかないかとはかかわりなく検討していくべきだろう、こう思うわけでございますが、今回、指定感染症への指定につきましては、通常であれば、WHOが緊急事態の、PHEICの宣言を出して後に指定の確定をするわけでございますが、その以前に我々は指定をしているところでございます。そして、WHOが緊急事態の、PHEICの宣言を出した後には、この指定日を繰り上げるという判断もしているところでございまして、我々としては、先手先手で現行法制において対応しているということでございます。

後藤(祐)委員 新感染症への早期の指定と令和二年度予算の修正を求めて、終わります。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 この際、前原誠司君から関連質疑の申出があります。岡本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。前原誠司君。

前原委員 前原でございます。会派の最後でございますので、よろしくお願いいたします。

 まず、総理大臣、前回も質問させていただいたのは施政方針演説を引用してでございましたけれども、今回も、まずは施政方針演説を引用させていただいて、質疑をしていきたいというふうに思います。

 総理の施政方針演説の中に、このようなくだりがございました。

 東京から鉄道で七時間。島根県江津市は、東京から一番遠い町と呼ばれています。二十年以上、転出超過が続き、人口の一割に当たる二千八百人が減少した町です。

 しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。

 原田真宜さんは、パクチー栽培を行うため、東京から移住してきました。農地を借りる交渉を行ったのは、市役所です。地方創生交付金を活用し、起業資金の支援を受けました。農業のやり方は地元の農家、販路開拓は地元の企業が手助けをしてくれたそうです。

 地域みんなで、手伝ってくれました。

 地域ぐるみで若者のチャレンジを後押しする環境が、原田さんの移住の決め手になりました。

 こうおっしゃっていますね。

 一つ、事実関係だけまずお伺いしますが、この総理が取り上げられた原田さんという方は、もう既に江津を離れておられるという認識でよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 御指摘の方は、江津市の支援を受けて、二〇一六年七月に移住し、起業するとともに、三年以上にわたって居住していることから、江津市の起業支援の成功例として演説で紹介したところでございます。

 新しい場所に移り住むことは、それだけでも大きな決断であると思いますが、さらに、三年以上にわたって居住したということは、当然、中途半端な気持ちではできない、このように思いますし、そのきっかけをつくったのは江津市の町ぐるみの支援、起業支援の取組であり、地方創生を進める他の自治体にとっても十分に参考になる、こう考えていたところでございます。

 演説内容については御本人に確認した上で記載をしておりますが、演説に記載した内容以外の事柄については、御指摘の事実関係も含めて、個人的な御事情などプライバシーにかかわるものであり、お答えを差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、決意しての移住であっても、長い人生の中で、家族のことなど、さまざまな事情が起こり得るということだと思います。そうだとしても、大きな志を持って移住した過去が否定されるべきではない、このように考えております。

前原委員 もう既に江津を離れておられる方、なぜこのような例を、今いろいろと言いわけがましくおっしゃいましたけれども、なぜこれを一つの例に取り上げたかというのは疑問に思います。これは指摘をするだけにしておきたいと思います。

 一月三十一日に総務省が二〇一九年の人口移動報告を発表しました。

 一昨年は転入が転出を上回ったと総理が施政方針演説に引用した江津市、昨年は転入超過だったのか、転出超過だったのか、どちらだと思われますか。これは質問通告をしていませんので。どうぞ。

北村国務大臣 お答えします。

 地方から東京圏への……(前原委員「簡単に。答弁だけしてください」と呼ぶ)短く。(前原委員「転入超過だったか、転出超過だったか、どちらかを答えてください」と呼ぶ)

棚橋委員長 恐縮です。私の方で議事進行します。

 簡単に。どうぞ。

北村国務大臣 はい。転入超過は、引き続き、残念ながら存在しております。

前原委員 北村大臣、残念ながらって、残念じゃないでしょう。いや、いいです、いいですよ。もうどうぞお座りください。いや、残念じゃない。

 いわゆる施政方針演説で転入超過だという例で江津市を挙げられて、去年も転入超過だったんです。よかったですねということを僕は言いたかったんです。それを残念ですねと言うのはちょっと、どちらの方向に向いておられるのかよくわかりませんが。

 総理、転入超過が続いているということなんですが、では、もう一つ伺います。

 では、江津市を含む島根県は、転出超過か、転入超過か、どちらですか。

北村国務大臣 大変失礼いたしました。取り違えまして。

 江津の話であれば、入ってくることを喜ぶべきであるというふうに思いますし、東京が転入超過であったということを申し上げたわけであります。(発言する者あり)

棚橋委員長 いや、大臣、大臣、北村大臣、再度御答弁ください。(前原委員「とめて。とめてください」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

北村国務大臣 重ね重ね申しわけありません。

 島根県は転出超過であります。失礼しました。

前原委員 北村大臣、そこで残念ながらとおっしゃらなきゃいけないんです。

 島根県は、残念ながら転出超過なんですね。そして、この一月三十一日に発表されたものでいいますと、千九百七十一名の転出超過で、一昨年が千三百五名ですから、悪化しているんです、島根県は。江津は二年連続よかったけれども、島根県全体としては悪化しているんですね。

 そして、四十七都道府県の中で、転入超過は八都府県だけです。三十九道府県は、転出超過なんですね。

 総理に御答弁いただきたいので、総理、聞いておいてください。三大都市圏を見ますと、東京圏、これは埼玉、千葉、東京、神奈川でありますが、十四万八千七百八十三人の転入増であるのに対して、大阪圏というのは京都、大阪、兵庫、奈良、これは四千九十七名、名古屋圏、岐阜、愛知、三重は一万五千十七人の転出増なんですね。つまりは、三大都市圏であっても、東京圏しか転入増でなくて、大阪圏も名古屋圏もいわゆる転出増になっている。

 そして、この東京圏への転入超過は一九九六年から二十四年間連続であり、そして、転入数の増加というのは三年連続で起きている、こういうことであります。むしろ、東京一極集中というのは加速しているんですね。

 安倍さんは、第二次安倍政権、これ、八年目ですよね。七年やっておられて、歴史の中で一番総理大臣を長くやられているということであります。そして、二〇一四年に、総理は、まち・ひと・しごと創生総合戦略というのをつくられて、どういう目標を立てられたかというと、二〇二〇年の時点で、地方から東京圏に転入した人と転出した人を均衡させると言っているんですね、目標を。この実現は難しいという認識でよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 残念ながら、先ほど北村大臣から答弁した状況でございますし、また、今、前原委員が確かに御指摘になったとおりでございます。

 少し説明させていただきますと、基本的に、景気がよくなる局面においては東京圏への人口の流入が進むわけでございまして、他方、非常に景気の悪いときには、それはぐっと落ちてくるのは事実でございます。

 その中において、今回、景気回復期がずっと続いております。景気回復期が続いている中においては、一時的に、確かにそれは……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 転入増ではございますが、転入増が、ある程度横ばいに一時なっていたのは事実でございますし、第一次安倍政権のときは、残念ながら、二〇〇七年でございますが、このときはずっとふえておりまして、このときは十五万五千人であったわけでありますが、そのときがピークでありました。それは、非常に景気もよかったということもあるんですが、そのときよりは抑えられてはおります。

 しかし、残念ながら、この一四年、一五年、一六年という形で、一七年までは大体横ばいで推移して、景気回復局面の中においては横ばいで推移、大体十一万人台だったわけでございますが、一八年、一九年とふえてきたということについて、我々、基本的に若い方々が仕事を求めてくるということと、やはり、大学に入った後、そのまま東京に残るということがあります。

 しかし、一つだけ言わせていただくと、ちょっと最後、ちょっとだけですね、一つだけ言わせていただきますと、これはやはり、地方において、四十七全ての都道府県で有効求人倍率が一倍になったということもあり、ある程度、一時は横ばいであり、ピーク期よりは少ない、こういうことでございまして、今後とも、第二期のまち・ひと・しごと総合戦略ではさらなる取組が必要である、このように考えております。

前原委員 総理、ちょっと見苦しいですよ。言いわけをずっと言っているんですよ。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

前原委員 要は、総理たる者は、目標を定めたらそれに邁進するのが総理の責任ですよ。そして、景気がよくなったら東京に集中するんです。それを是正するのがあなたの仕事じゃないんですか。それができていないで、景気がよくなったから東京転入がふえたんで仕方ないですと、言いわけでしかないです、そんなのは。

 本当に私は、聞いていて、しかも、総理、言いわけするとき、早口になるんですよ。ゆっくりしゃべってください。その前から、ぺらぺらぺらぺら、聞いていないことをしゃべっているんです。

 私が聞いているのは、二〇二〇年の目標は達成できるのかどうか聞いているんです。できるかできないか、それだけ答弁してください。短く、ゆっくり。

安倍内閣総理大臣 いや、こういうふうに委員がやられたので、つい私は人がいいものですから早口になったのでございますが、ゆっくりしゃべれということでございますので、ゆっくりしゃべらせていただきますと、十代後半や二十代の若者が東京圏への転入超過の大半を占めていることを考えれば、就学、就職が東京圏への移動の大きなきっかけとなっているのは事実であります。

 地方に、若者に魅力あふれる働く場、学びの場をつくることが重要でありまして、きらりと光る地方大学づくりを進めるとともに……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 東京から地方へ移住し起業、就業する場合に、最大三百万円支給する制度を更に使いやすくする。あるいは更に、都市に住む皆さんの地方での兼業、副業を促すために、人材のマッチングや移動費の支援を行う新たな制度を創設する。関係人口を拡大し、将来的な移住につなげることで、地方にこそ大きなチャンスがあると考える若者たちの背中を力強く後押しをし、東京一極集中の是正に全力を尽くしていきたい。確かに、なかなか難しい目標ではありますが、しかし、さまざまな政策を総動員をしていきたい。

 先ほど、言いわけがましいという御指摘があったんですが、事実として、景気がいいときには東京に集中する。しかし、今までの、かつての、過去のトレンドから比べれば、私が挙げた年度においては、ずっと景気回復局面の中においてしばらくは横並びであったということと、ピーク時よりはまだ少ないということは申し上げておきたいと思います。

前原委員 また言いわけしていますね。

 私の質問にだけ答えてください。二〇二〇年に達成できますかと聞いています。それだけ答えてください。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、二〇二〇年度に、いわば東京に入ってくる方々と東京から地方に出ていく方々を逆転させるというのは、これは難しいというのが率直なところでございますが、であるからこそ、それは政策を、今までの政策がだめだったかということではなくて、これを更にパワーアップして力を入れていきたい。

 これはもう御承知のように……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 御承知のように、これはそう簡単なことではないわけでございまして、東京にさまざまな大学が集中している中において、やはり地方にしっかりと、きらりと光る地方大学をつくっていくこと等の、今まで、先ほど申し上げましたような努力を積み重ねることによって、この流れを何とか逆転していきたい、こう考えているところでございます。

前原委員 自分が立てた目標でしょう。それはそんなに簡単にできないですねだったら、総理をやめなさいよ。総理をやめて、できないことは言うな、それだけですよ。できない目標を掲げておいて、できなくなったら言いわけをして、これをやるのは難しいんですよと。それだったら、誰だって総理をできますよ。総理って、そういう仕事ですか、そんなに軽い仕事ですか。あきれた答弁ですよ。目標を定めたらそれに邁進して、どんなことがあろうとそれを実現するというのが総理大臣の仕事でしょう。それを、難しいからできませんでした、でもこれから頑張ります。いつまで総理をやるつもりですか。もういいですよ。それを申し上げておきたいと思います。

 私、この後、何もやっていないということを言うつもりはなかったんですよ。例えば、出先機関の移転、京都は文化庁が来ます。だから、これは中央省庁をどこかに移転するということもやられているわけですよ。あるいは、例えば、企業の本社機能の移転のためにいろいろな仕組みをつくられていますよね。だから、私は、何もやっていないということじゃなくて、言っているわけじゃない。

 私、総理の話を聞いていますと、ちょっと髪の毛が薄くなってきて、そして育毛剤を試してみた、そうしたら、なかなか薄毛がとまらない、そして、その育毛剤の会社に文句を言ったら、いやいや、育毛剤をしなかったら、あなたはもっとはげていますよと言われているようなものなんですよ。それで、そうですかと言う消費者は私はいないと思うんですね。総理たるものは、ちゃんとその製品に、自分の言葉に責任を持って、そして、それをやるということが私は総理の責任だというふうに思いますよ。

 さて、ちょっと提案をしたいと思いますが、批判だけをするのではなくて、私から提案をさせてもらいたいと思います。(発言する者あり)

棚橋委員長 まずは御静粛にお願いいたします。

前原委員 まず、表一をごらんいただきたいというように思いますが、これは何が必要なのかということなんですけれども、この表一を見ていただきますと、普通交付税の算定方式というのが出ています。

 基準財政需要額というものが決まるわけですね。基準財政需要額というのは、ちょっと専門的になりますけれども、警察とか厚生労働とか経済産業とか、あるいは公共事業とか、さまざまな単位費用というのを決めて、そして測定単位というもの、これは人口が主なんですけれども、それに補正係数を掛けて基準財政需要額というのを決める。

 例えば、ある地域における基準財政需要額が百億円とした場合、それで、計算をすると、大体、標準的な地方税収の見込み額が八十億円になる。しかし、四分の一については留保財源として、残りの六十億というのが基準財政収入額として計上されて、そして、この基準財政需要額からこの基準財政収入額というものを引いたもの、つまりは足らざるものを交付税として渡すわけですよね。私、この仕組みそのものをやはり見直す必要があると思うんですね。

 総理、例えば、地方が努力をして、企業を、本社を誘致した、そして税収がふえたということになった場合に、その税収というものについて、四分の一は留保財源になりますよ、だけれども、四分の三は、結局、普通交付税から外されるんですよ。つまり、努力をしても、結局、その分は持っていかれる、交付税が減らされる。こういう仕組みになって、なかなか地方が努力できない仕組みになっていますが、これそのものを見直すというお考えはありませんか。

 総理。総理がお答えください。仕組みを変える議論ですから。

高市国務大臣 交付税の算定上、この地方税収につきましては、各地方団体における標準的な税収の一定割合を基準財政収入額に算入して交付税額を算出しております。この基準財政収入額に算定されない残りの二五%の部分の割合は、一般的に留保財源率とされています。

 これは、さまざまな規模、自然、経済条件などを有する個別の地方団体の標準的な行政経費を全額算定することは技術的に困難であるということから、地方税収入の一定割合を交付税算定の計算外に置くことが妥当であるということ、それから、仮に地方税収を一〇〇%算入するということになりますと、個々の地方団体の努力によって地域経済を活性化し税収を増加させても、その増収分がそのまま交付税が減額されることになり、地方団体が税収を増加させようと努力するインセンティブが働かなくなること、こういったことも勘案してのことでございます。

前原委員 それは、私が言ったことを今総務大臣がおっしゃったんです。それはわかっているんです。それを、私は、地方が努力をしたら税収がもっとふえるような仕組みにしないといけないんじゃないですかということを総理に尋ねています。

 総理、総理。そこは、総理、答えてください。どうぞ。

安倍内閣総理大臣 これまでも、地方の努力がいわば報われる姿にするという努力を続けてきたところでございますが、その中において、そうしたことも勘案しながら、ただいま総務大臣が答弁しているわけでございますが、今の姿になっているということでございますが、今後も、前原委員が言われたように、いかに地方の努力を生かしていくかということについては常に考えていかなければいけない、このように考えております。

前原委員 地方創生ということは、私、いろいろなメニューを教えてもらって、レクを受けて、結局、上意下達なんですね。国が地方に、こういうメニューがありますよ、いかがですかという話になっているわけです。

 だけれども、私は、これはむしろ、権限、財源を移譲して、そして、地方が努力をすれば、その分地方が自由なことをやれるという仕組みをつくることの方が、先ほどおっしゃった、いろいろな努力をしているんですよ、頑張りますよということよりは手っ取り早いような気がしますよ。

 ですから、財源、権限をもう少し地方に移譲して、そして、地方がまさに地方の努力の中で、この東京一極集中を是正するための創意工夫ができるような仕組みにした方がいいんじゃないですか。総理、総理。

棚橋委員長 総務大臣高市早苗君。(前原委員「これは総理との議論ですから」と呼ぶ)

 まずは大臣に。その後、総理に答えていただきます。

高市国務大臣 済みません。今御指名いただきましたので。

 令和二年度におきましては、委員がおっしゃるような問題意識、特に人口が少ないところというのはどうしても地方交付税の額が少なくなる、特に、高齢者の人口が減りますと高齢者福祉に係る費用が少なく見積もられますし、子供の数が少なくなっていくと教育費の算定が少なくなっていってしまいますので、そういった問題もありますことから、令和二年度では、地域社会再生事業費、四千二百億円程度を創設しまして、これは地方交付税法の、交付税の算定上、人口が減少し地域社会の持続可能性への懸念が生じている地方に重点配分させていただくこととしております。

安倍内閣総理大臣 前原委員が言われたことは大変大切だと思っております。

 ですから、安倍政権において地方創生をスタートさせたときに、これはまさに、例えば、地方ならではの特色である農林水産品や観光資源、地場企業の技術力などを生かした地方独自の創意工夫を、一千億円の規模の地方創生交付金などを活用して今全力で後押しをしているところでございまして、先ほどの江津市の例も地方創生交付金等も活用しているわけでございまして、これはまさに地方独自の創意工夫で行っている。

 その際、それも大変大切でありますし、地方が活力を取り戻すということではございますが、根本原因、先ほど申し上げた、いわば、まだ転入になっているのではないか、もうやめろよという厳しいお叱りをいただきました。もちろん、そういう達成できていないということについては、これは深刻に受けとめなければいけないと思いますが、しかし、今養毛剤のお話をされましたが、この景気回復局面の中において、しばらくの間は横ばいであったというのも事実でありました。それは、まさに地方に仕事があるという状況をつくったことも大きかったのではないか。

 ただ同時に、大体多くの理由は、地方に残っていても仕事がないということが大きかったのでございますが、今、正社員の有効求人倍率は地方でも一倍を超えているところもかなり多くありますので、そうした今の状況を生かしながら、かつ、大学に来てそのまま残るということも多いわけでございますから、若年の人たちが地方に残るような努力を更に進めていきたい、このように思っております。

前原委員 総理、エピソードとエビデンスという違いがあるんですね。総理が言っているのはエピソードなんですよ。

 つまり、うまくいった事例を一つ二つ挙げたって、結局、東京一極集中というのはとまっていないわけですし、そして、景気がよくなれば東京に集まる傾向にあるんですよということは、繰り返しになりますが、それを是正することこそが地方創生であり、その土台をつくっていなかったからそういう状況が生まれてきているということで、全ての責任は、やはり、総理が目標を定めて達成できなかったら、実現しなきゃいけないんですよ。

 ですから、エビデンスということをしっかりとベースにやらないと、エピソードだけ、これもうまくいきました、あれもうまくいきましたというのでは、私は、いつまでたったって目標は達成できないと思いますよ。それだけ指摘をしておきたいと思います。

 さて、次のテーマに移りたいと思いますが、令和二年度から、高等教育の修学支援として、授業料減免、それから給付型奨学金の拡充、そして無利子奨学金の貸与基準の緩和などの予算が計上されることになりました。

 個人的な話で恐縮なんですが、私も中二のときに父を亡くしまして、母が育ててくれました。授業料免除、そして奨学金にお世話になって、もちろん母が頑張ってくれたからでありますけれども、しかし、こういうやはり社会が支える仕組みというのがなかったら、私は大学に行けなかったかもしれないし、今の自分もなかったのではないかと、こういう仕組みについて私は非常に感謝をしているわけであります。したがって、こういう仕組みを拡充していかれる、導入して拡充していかれることについては、私は大賛成なんですね。

 この間議論させていただいたように、私は、もう一歩踏み込んで、教育の無償化というものをしっかりやるべきだというふうに思いますが、一定評価した上で、二つの提案をさせていただきたいと思います。時間も限られていますので、総理、できればというか、御自身がお答えください、そんなに難しい話はしませんので。

 一つは、提案は、授業料の減免と給付型奨学金を過去にさかのぼってもらいたいということなんです。

 つまり、どういうことかというと、これからもらえる学生ではなくて、今学生であってもう奨学金を過去にもらった、あるいはもう社会人になって巨額の奨学金を返済するのに四苦八苦している若者というのはいっぱいいるんですね。こういう人たちに対してしっかり遡及できるようなことを今後考えてもらえないかという提案です。

 この昭和十八年に始まった制度というのは、今までに約千二百八十八万人が利用して、貸与金額の累計は約十九兆円です。平成二十九年度には、約百二十九万人の学生に一兆百五十六億円の奨学金を貸与したんですね。この額は、我が国全体の奨学金事業の約八八%なんです。

 そして、我が国の高等教育機関の学生約三百四十八万人の三七%、つまりは、二・七人に一人が、昔の日本育英会、今の日本学生支援機構、こういったものを利用しているわけですね。

 平成二十九年度末で、総貸与残高というのは九兆三千七百四十三億円、うち返還を要する債権額というのは七兆四百九十八億円あるんですね。これを、若い二十代、三十代の人たちが今から一生懸命、七兆四百九十八億円、そして、返済義務が生じてきたら、先ほどの差額というものも払っていかなくてはいけない。

 私、この仕組みについて申し上げると、ですから、一定の評価はしているんですよ、こういうものを導入するというのは。しかし、今の二十代、三十代で、いわゆる授業料免除とか、給付型奨学金をもらえなくて返さなきゃいけない人たちと、これからもらえる子たちをやはり平等に扱うということは大事だと思いますが、過去に遡及させるということをやられませんか。総理、総理。

棚橋委員長 文部科学大臣萩生田光一君、簡潔にお願いします。

萩生田国務大臣 先生の問題意識は、私、理解できます。

 しかしながら、日本の奨学金というのは、貸与した学生が返還して、またそれを次の世代に貸すことによって、この制度がつながってきていることがあります。

 御指摘があったように、返済が困難な人にまで直ちに返せ、すぐ返せというような制度ではなくなっていることは御理解いただけると思います。最低は月二千円の返済から可能になってきましたし、金利についても元金だけ、こういう仕組みにもなってまいりましたので、その辺はぜひ御理解いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 基本的な考え方については、今、萩生田大臣から答弁したとおりでございますが、いわば所得の低い状況でも、毎月最低二千円からの無理のない返還が可能でございますし、また、返還期限猶予制度あるいは減額返還制度等が、この返還期限猶予制度については、平成二十六年度より、猶予の適用期間を五年から十年に延長しております。また、減額返還制度については、二十九年度より、従来からの返還月額二分の一への減額に加えて、三分の一への減額も選択可能としたところでございます。

 こうした形で、既に借りておられる、新しい制度が始まったので、確かにそれは、かつて借りられた方々は、もっと早くできていればよかった、それは当然、そういう気持ちになられると思いますが、こういう制度を活用して支援していきたい、このように思います。

前原委員 いや、私自身が返済猶予を受けた人間ですので、いろんな仕組みがあるというのはわかっていますよ。私が申し上げているのは、これから制度が始まりますということと、今までの制度の中で、要は返さなきゃいけない人との不公平が出てくるのではないかということを申し上げているわけです。

 したがって、それはいろんな基準があっていいと思いますよ。これからの給付型奨学金にしても、所得制限とかありますよね。さまざまなことの中でもちろん違いはあるわけですが、少なくとも、今まで、計算すると、大体平均三百十万円ぐらい借りているんですよ。二十二歳、浪人せずに、留年せずに、四年で出た人たちが平均して三百十万円も借金を持って社会に出るという話なんですよ。

 ですから、これは大変なことで、これがまた、例えば婚期が、結婚年齢が遅くなるとか、あるいは少子化の問題とか、さまざまな日本の根本問題につながっていっているんですよ。

 私は、したがって、この制度をまず導入されるということは一定評価した上で、今までの子供たちに対する遡及も何らかの仕組みを考えるべきだということを申し上げているわけです。

 いかがですか、もう一度。これは、やはり政治的な決断がないと進まない話なんですよ。

安倍内閣総理大臣 今までも、無利子型の奨学金、そして給付型の奨学金等、これを安倍政権において拡大をしてまいりました。

 しかし、新しい制度をスタートすることによって、それまでの制度の中で奨学金また利子を払いながら対応してきた方々に対しましては、先ほど申し上げましたようなそれぞれの仕組みの中で、前原委員が活用しておられたときよりも、それを更に拡充した形で対応しているところでございます。

 これは予算を確保しなければならないということがございますが、今後とも、いわばそうした学業のためにローンを組まれたり、つまり奨学金を返還をしている方々にどのような対応が可能かということについてはよく考えていきたい、このように考えます。

前原委員 私が申し上げていることについては総理も御理解いただけていると思うんですね。したがって、特にこの制度がスタートしたということになると、その後、私は遡及させるべきだということを、これから政治家の責任として言い続けますよ。

 そうなると、特に、やはりこれから、自分たちのときにはそういった仕組みが受けられなかった方々との公平感というのは私は顕在化してくると思うんですよ。やはりしっかりとそういったところについては御検討いただきたいというふうに思います。

 財源の話をされましたね。私は、財源について全く何も言わずに申し上げるつもりというのはないんです。

 ちょっと表の三を出していただきたいんですが、これはよくある議論なんですね。所得税というのは累進課税でありますけれども、いわゆる金融所得等は分離課税になっているわけですね。

 この表三をごらんいただきますと、ちょうどこの折れ線グラフの山になっている、頂点のあたりのいわゆる収入というか所得が幾らかというと、一億円なんです。一億円を超えてくるとどんどんどんどん、言ってみれば金融所得が多い方々との合算になりますので、むしろ累進課税じゃなくて減っていくんですね、どんどんどんどん減っていくということになるわけであります。やはりここを見直していくべきではないか。

 確かに、金融所得課税というのは、一〇%から二〇%に上がりました。国税が一五、そして地方税が五だったと思いますけれども、足して二〇%、上がりました。

 そのときにも、これをやると株価が下がるんじゃないかとか景気が悪くなるんじゃないかと言われましたけれども、それほど大きな変化はなかった。これは麻生財務大臣も今まで、財務金融委員会、私も所属をしておりましたので、何度か御答弁をいただいたところでありますけれども、やはりこの総合課税化、少なくとも金融所得課税の税率を見直すということの中で、今申し上げたようなことも含めて財源にしていくということは、私は、日本のこれからの子供たちの未来、日本の宝を考える場合には大事だと思うんですが、これは、総理、いかがお考えですか。

麻生国務大臣 これは前原先生、御質問をもう何回となく、財務金融委員会等々で答弁をさせていただいておりますし、今の新しい提案としては、これを教育にというところが新しい提案なんだと思いますけれども、平成二十六年からですから約四年間、この一〇から二〇と上げさせていただいたのは確かなんですけれども、これを更に見直すべきではないかということに関しては、これは与党の税調でもちょっと考えないかぬという話になりつつあるというところまでが今のところ御報告申し上げるところでありまして。

 経済への影響等々は、やはり貯蓄から投資へ回すべきじゃないかという意見も、事実、貯蓄は物すごい額たまっておるわけですから、そういった意味ではいろいろな話がありますので、これは引き続き丁寧な検討をさせていただいた上で、その金を学費に、学費というか奨学金等々にという話は、これはまた別の範囲の話なんですけれども、そういった意味では、これがいろいろな意味で長期的な検討課題であるということははっきりしておると思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま財務大臣から答弁したとおりでございまして、そういう観点から検討しているということでございます。

前原委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。

 残りの時間で、黒田日銀総裁にお越しをいただいておりますので、黒田総裁に伺いたいと思います。

 新型コロナウイルスで、インバウンドのお客様が減っている、中国人が三月までに四十万人のキャンセルになるのではないかと言われておりますし、また、中国国内での工場の操業停止が長引くのではないかということの中で、かなり世界経済への影響というものが懸念されるわけであります。つまりは、日本の経済の下振れリスクというものが予想されるわけであります。

 先行きはまだまだ不透明でありますが、現状をどう認識され、日銀総裁として今後どのような対応をされるお心づもりかを問いたいと思います。

黒田参考人 御指摘の新型コロナウイルスによる感染症の拡大が内外経済に与える影響については、現時点で評価することは確かに難しいわけですが、既に幾つかの面で影響が生じ得るというふうに考えております。現に生じている面もあるわけです。

 まず、中国国内の経済活動が抑制されることに加えまして、日本や米国の経済にとっても、製造業のサプライチェーン、あるいは中国人観光客の流入の減少その他を通じて、日本経済だけではなく、世界経済全体に影響することが懸念されております。特に、SARSのときと違いまして、中国経済のプレゼンスが非常に大きくなっております。また、サプライチェーンも世界的に拡大をしております。その結果、影響が大きくなる可能性も意識する必要があるというふうに思っております。実は、国際金融市場でも、こうした懸念を背景に、投資家のリスクセンチメントがやや慎重化しているというようなこともございます。

 日本銀行としては、この問題が我が国の経済、物価に与える影響、さらには今後の金融市場の動向に最大限の注意を払ってまいりたいと思っておりまして、従来からでもありますし、現時点でもさまざまな情報収集をしておりますし、今後予想されるG20その他の国際会議等でも意見の交換をして、必要なときに必要な措置がとれるように万全の対応をしてまいりたいと思っております。

前原委員 今の御答弁ということは、必要であれば追加緩和も辞さず、そのときには、今までおっしゃっていた短期政策金利の引下げ、長期金利操作目標の引下げ、資産買入れの拡大、マネタリーベース拡大ペースの加速という四つ、あるいはそれらの組合せということをやるということでよろしいんですか。

黒田参考人 現時点で追加緩和の具体的な内容について云々するということは差し控えたいと思いますが、必要があればちゅうちょなく金融緩和を追加するということは以前から申し上げていますし、その場合のオプションとしてさまざまなものがある、あるいはその組合せその他工夫の余地もあるということを申し上げておりますが、今の時点で、追加緩和をするとか、その内容について何か言うというのは、やや時期尚早ではないかと思います。

前原委員 日銀総裁、二〇一六年の九月に長短金利操作、イールドカーブコントロールが導入されまして、それ以来、どういう政策目標になっているかといいますと、長期金利については、十年物の国債金利がゼロ%程度で推移するように長期国債の買入れを行う、その際、金利は、経済、物価情勢等に応じて上下にある程度変動し得るものとし、買入れ額については、保有残高の増加額年間約八十兆円をめどにしつつ、弾力的な買入れを実施する。こういう政策をとってこられたわけでありますが、他方で、長期国債の増加額というのは、二〇一五年の八十兆二千五百七十八億円をピークにどんどんどんどん低下して、去年は十五兆八千三百八円まで低下していますね。

 伺います。ネット購入額がマイナスになることはあるのかどうか。これはイエスかノーかでお答えいただけますか。

黒田参考人 現時点でそういうことになるというふうには考えておりません。

 なお、御指摘のようなイールドカーブコントロールというものにつきましては、最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すように長期国債の買入れを行うわけですけれども、これは弾力的に行うということにしておりまして、こうしたもとで、世界的に金利が低下した昨年後半は国債買入れオペを減額いたしましたが、その後は減額しておりません。

前原委員 この新型コロナウイルスについての不確定な要素というのがたくさんあるので、なかなか確定的なことは言えないと思うんですが、私が伺いたいのは、八十兆から十五兆までこのネット増というのは減っている。つまりは、今、黒田総裁が答弁されたように、世界全体で、金利の低下の中で、要は、資産買入れをそれほどしなくても、金利のいわゆる下がっている状況、安定している状況というのは生まれてきているわけですね。

 となると、更にいわゆる買入れをしなくても、低金利、つまりはイールドカーブコントロール目標が達成できるかもしれない。その場合に、ネットでマイナスになった場合に、要は、マイナスにしないために資産買入れをやるということになると、更に金利が下がる。つまり、長期金利をプラスマイナス〇・一の倍程度におさめるということをおっしゃっていますよね、今まで。ということは、今の私の指摘は、下がっていて、これから金利も下がる、買入れしなくても下がる、そういう状況の中で、マイナスにならないために買入れをしたら、更に金利が下がって、むしろこのイールドカーブコントロールの〇・一%のプラスマイナス倍以内におさまるということを更に下回る可能性というのはないのかどうかを聞いています。

黒田参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、確かに世界的に金利が低下した昨年後半は国債買入れオペを減額したわけでございますが、そのもとでも、依然としてネットの国債買入れ額は引き続き増加しておりまして、結果として長期国債の保有残高も拡大しております。

 マネタリーベースについてお尋ねでありますが、御案内のとおり、マネタリーベースにつきましては、国債の買入れだけでなく、ほかのさまざまなオペレーションの結果で出てくるものでもありますので、現時点で、国債買入れがマイナスになるとか、あるいは、御懸念の、いわゆるオーバーシュート型コミットメントとイールドカーブコントロールが矛盾するというようなことになるとは見ておりません。

前原委員 時間が参りましたので、これで終わりにしたいと思いますが、最後、総理に一点だけ申し上げておきたいと思います。

 この新型コロナウイルス、影響がどうなるかわかりません。危機管理についてはしっかりやっていただくと同時に、今後、経済にどういう影響が及んでくるのかわかりません。今、日銀総裁にお答えをいただきましたけれども、金融政策のみならず、やはり財政も含めて、先ほど我が党の後藤議員が申し上げたように、本来であれば、この予算を見直して、そしてしっかり対応策というのはとるということは、私は本筋だと思いますけれども、いずれにしても、経済そのものも踏まえた対応をとるということを一言、最後、言ってもらえませんか。

安倍内閣総理大臣 経済にどのような影響が出ていくか、注意深く見ております。

 例えば、今回、武漢を中心に、中国の方の、外国人の入国について制限を設けたところでございますが、それによってどのような影響が出るか、製造現場、農業の現場等々についても、今リサーチ等々もしております。

 今後、中国の経済にどのような影響を及ぼすか。SARSのときにも影響が出たわけでございます。そうした影響等もしっかりと見ながら、注意深く対応していきたい。そして、必要があればちゅうちょなく対応していくということでございます。

前原委員 危機管理は政府の仕事ですので、しっかりやっていただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

棚橋委員長 これにて岡本君、渡辺君、玄葉君、辻元君、岡田君、黒岩君、大河原君、階君、田嶋君、今井君、本多君、後藤君、前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 冒頭、新型肺炎、コロナウイルス対策について、総理に質問いたします。

 これは、文字どおり、政府、与野党を問わず、一丸となって協力し合わなければいけない課題であります。水際対策の強化とともに、責任ある国の機関から正確な情報を発信して、インターネットなどで流れるデマ情報、いわゆるそうしたものの拡散を防ぐなど、冷静な対応が何より大切だと思います。

 その上で、安倍総理、まず一つ伺いたいのは、国内対策の中で、専門家の知見をもとに、症状がある方を早期に発見をして、そして迅速に対応して早期の拡大防止を図ること、それから、実際に対応する医療あるいは保健所体制を強化して、公的な相談窓口を整備、強化して、現場でQアンドA対応ができるように万全の対策をとるべきではないかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 地方も含めて、さまざまな相談窓口において、公的な相談窓口、あるいは各都道府県に依頼をし、各都道府県の保健所等において順次整備をいただいております。国民の皆様からの相談に対応していただいていると承知をしておりますが、更に具体的には厚労大臣に答弁させたいと思います。

加藤国務大臣 笠井委員御指摘のように、まず水際防止、そして、国内でも、感染の疑いがある者をいち早く察知をして、そして必要な医療を受けていただく、そして、その関係で、濃厚な接触者等に対してしっかりフォローしていく、そういった疑似症サーベイランス等、これをしっかりやっていかなきゃいけないと思います。

 その上で、御指摘のように、国だけでやれる話ではありません。都道府県にも今お願いをして相談窓口を設置していただいておりまして、逐次、専門の電話ダイヤルを設けていただいているところもございます。最終的には、帰国者・接触者相談センターというのを、これは保健所単位ぐらいで設置をしていただいて、そうした窓口で、いろいろな相談をまずそこで受けていく。

 それから、実際の診療に当たっては、やはりこれは感染症というものでありますから、専門の帰国者・接触者外来というのを設けてそこで対応していこうということで、今も感染症の指定病院はございますけれども、更にそういったものを各地域できめ細かく配置することによって、そうした事態があったとしても対応できる体制に向けて今鋭意努力をさせていただいております。

笠井委員 大事なことだと思うんですが、軽症やそれから症状のない感染者が一定おられる、そして、知らず知らずの感染もあり得るということでありまして、封じ込めとなりますと、これはSARSよりも難しいとも言われているということであります。

 そこで、総理にもう一問ですが、医療体制のいわば弱いといいますか脆弱な国への支援、これについても検討すべきじゃないか、これは国際的にもそういうことで防ぐ上では大事じゃないかということと、それから、WHO国際保健規則というのがありますが、これに基づいて、第三条では、人間の尊厳、人権及び基本的自由を完全に尊重して行わなければならないというふうに原則が書かれていますが、これにのっとって、疾病の国際的拡大を防止するために国際的な情報交流と統一した対応、これは国際的にも日本にとっても大事だと思うんですが、これは率先して日本政府が役割を果たすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 医療体制が脆弱な国に対しては、これまでも、御承知のように、WHOの枠組みを通じて、専門家の派遣や保健システムの強化のための支援を実施してきたところであります。今回の新型肺炎に関しても、この枠組みを活用して支援を行っているところであります。

 なお、WHOのテドロス事務局長とは、私自身、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを推進するため、昨年十二月にワシントン・ポストに共同寄稿しております。この中で、第二次世界大戦後、国家の再建を進める中において、国民皆保険制度と持続的かつ包括的な経済成長を同時に達成した我が国の経験を、世界のモデルとして紹介をしているところでございます。

 また、各国は、WHOの国際保健規制、IHRに基づきまして、国際的な公衆衛生上の脅威となり得る全ての事象についてWHOに通告することや、また、特定の加盟国に必要な情報についての当該加盟国への情報提供が求められておりまして、我が国もこの枠組みによりWHOとの間で情報連携を行っています。

 引き続き、関係各国と情報連携を図るとともに、入手した情報に基づき適切な対応を行ってまいりたいと思います。

笠井委員 ふさわしい役割を発揮することを求めたいと思いますし、それから、観光産業や流通業などに大きな影響が既に出ている。打撃を受ける中小企業やそれから業界団体の意見もよく聞いて経済対策をとることも、重ねて強く求めておきたいと思います。

 そこで、次の問題に入ります。

 今、八時間働けば普通に暮らせる社会を築いていくということは、個人消費を活発にして日本経済を立て直す上でも喫緊の国民的課題になっている。ところが、先進国で賃金が下がっている国は日本だけ。

 こちらにパネル、そして皆さんの資料の一ページ目にございますが、OECD、ここが、ここ二十一年間の民間部門の時給の変動率というのを、時給ですね、残業代も含めた変動率を発表しております。一九九七年と二〇一八年、この賃金を比較しますと、イギリスが九三%プラス、アメリカが八二%プラス、フランスが六九%プラス、ドイツが五九%プラスで、お隣韓国が一六七%もふえているわけでありますが、日本はマイナス八%と下に下がっている状況で、いわば世界でも特異に賃金が下がる国になってしまっている。これは重大だと思うんです。

 総理、暮らしと経済を立て直すには大幅な賃上げが必要だ、そのことについては、そういう認識をお持ちですね。

安倍内閣総理大臣 暮らしと経済においては賃上げ、賃金の上昇が必要である、こういうことでございまして、その結果、この六年間、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが続いており、九割の中小企業においても賃上げが実現している、このように認識をしております。

笠井委員 六年間進んでいるということで言われましたけれども、私が提起した、日本だけが先進国でマイナス八ということについて言うと、やはり、危機感が本当にあるのか、まるでないんじゃないかというふうに言わざるを得ないと思うんですね。日本だけが先進国で減少しているという異常ぶりなのに、何かうまくいっているという話で、この五年、六年だけの話をされるという場合かということになると思います。

 しかも、安倍首相は、賃上げということを必要だといってこの間もうたっていらっしゃったということでありますけれども、この安倍政権の七年間でいいますと、実質賃金は年間十八万円も低下したわけであります。この現実を本当に国民は深刻に受けとめているということであります。

 そこで、賃上げという点では、最低賃金についてでありますが、総理は、本会議などの場で、史上初めて全国平均約九百円を超えた、このように繰り返し答弁をされて誇っておられますけれども、九百円を超えたと言うんだけれども、千円を超えた、千円以上というのは、全国で東京と神奈川だけであります。四十七県中十七県は七百円台という時給になっている。全国平均で二十七円ふえました、こういうふうに言われますけれども、しかし、これも実施されたのは去年十月一日ですから、その日に強行した消費税一〇%増税で一気に吹き飛んでしまった。国民の実感です。

 より早期に平均千円になることを目指す、これまた総理も言われますけれども、最低賃金法では、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、」ということも定めている。これは憲法二十五条に基づいてでありますけれども、そういうふうに言っている。

 総理に伺いたいんですが、この憲法と最賃法の規定から、最低賃金というのは一体幾ら、つまり、健康で文化的な最低限度の生活を営むために幾ら必要というふうに総理は考えていらっしゃるんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 最低賃金の引上げにつきましても、この安倍政権の七年間で努力を重ねてまいりました。経済の実態がよくなる中において、安倍政権発足前の十年間、これは第一次安倍政権も民主党政権時代も自民党政権時代も入っているんですが、十年間で八十六円の引上げにとどまっておりましたが、政権発足後の七年間では、全国加重平均で百五十二円引き上げているということは申し上げておきたいと思います。

 最低賃金額の決定に当たっては、最低賃金法により、働く方の賃金や生計費、企業の支払い能力の地域差などの実情を考慮し、地域別に定めます。そして、生計費を考慮するに当たっては、最低賃金が生活保護を下回らない水準となるよう配慮することとされております。

 具体的な最低賃金額を決定するに際し、生計費としてどのような水準を考慮するかについてはさまざまな御意見があると認識をしておりますが、最低賃金審議会の公労使の議論を踏まえつつ、政府としては、より早期の全国加重平均千円を目指してまいりたいと思います。

笠井委員 総理、今、最賃をどう決めるかということで、地域別に定めているというふうに言われましたけれども、その点でいえば、全国知事会からも、都道府県をAからDの四ランクに分けた国の目安というのが格差拡大につながってきたと批判されているわけであります。最低賃金法の水準になっているかどうかというのが厳しく問われる問題だということであります。

 じゃ、最低賃金が幾らであれば健康で文化的な最低限度の生活ができるか。そのための生計費というのは、いろいろと要素がありますけれども、都市でいいますと住居費が高い、一方で、地方は自動車などが必要ということで交通費が高いということですけれども、全国ならせば大体同じになる。そして、コンビニを考えてみたら、全国どこで買ってもおにぎりの値段は同じなんですね。それから、全国チェーンの、今、小売店というのがずっと広がっていますけれども、そこで買うものの値段というのもそんなに違わないわけです。同じということになる。

 ということになりますと、じゃ、一体どんな実態なのか。その一端を、昨年末に全労連、全国労働組合総連合が、最低生計費の調査結果というのを、全国的な調査をしてまとめております。ここにパネルにしております。資料では二枚目です。

 これは二十五歳の単身男性について、一般労働者の所定時間に近い月百五十時間で換算したものでありますけれども、最低賃金を見ますと、端的に比較できるようにしましたが、全国最高の東京都、ここが時給でいいますと千十三円、そして最低の佐賀県などでいうと七百九十円ということで、時給でいうと二百二十三円、年収で四十五万円近くも差がありますけれども、じゃ、最低生計費というのはどうかというふうに見ますと、東京都の北区でいうと、これは実際に調べた話ですが、千六百六十四円、時給当たりにすると。佐賀市でいうと千六百十三円ということで、ほとんど差がないということになっております。

 具体的に中身を見ますと、住居費でいうと、北区の方が月五万七千二百九十二円というのに対して、結局、佐賀市の方は三万四千五百円ということになりますが、そこで二万二千七百九十二円の差がありますけれども、逆に、交通費でいいますと、佐賀市の方が四万一千八百五十六円に対して東京都北区の場合が一万二千七十五円ということで、二万九千七百八十一円、逆の差があるということになりまして、だから、これを相殺しますと全体としてほぼ違わない、一カ月の生計費二十四万、二十四万から二十五万近くになりますが、こういうことになる。

 大体これぐらいになるということについての実態については、総理はお認めになるでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど総理から答弁させていただきましたように、最低賃金法では、最低賃金額の決定に当たっては、働く方の賃金、生計費、企業の支払い能力の地域差などの実情を考慮して地域別に定める、そういった意味で生計費という概念がございます。

 そこについて、私どもの審議会では、これまで、都道府県の人事委員会が毎年、人事委員会勧告とあわせて公表しているいわゆる標準生計費というものを使わせていただいておりまして、それによりますと、例えば東京を一〇〇にすると、北海道が六六、沖縄が五九・九ということで、こうした各地域の標準生計費が違うということも踏まえながら、各地域の最低賃金の議論をしていただいているということでございます。

 委員は、一つの調査の結果でありますから、それを私は否定するつもりはありませんが、国においては、先ほど申し上げた人事院の標準生計費も踏まえながら議論をさせていただいているということであります。

笠井委員 実態をこの労働者の皆さんが調べたら、東京も佐賀も差がないということになっているわけであります。そういう中で、じゃ、加藤大臣が今言われました標準生計費ということになりますが、これは幾らになりますか。

加藤国務大臣 ちなみに、直近の数字で、令和元年度の審議会に提出した標準生計費の例でありますと、これは四人世帯ということでありますけれども、東京は月額二十九万六千四十円、北海道は十九万五千三百円、沖縄は十七万七千百九十円ということになっております。

笠井委員 これは、調査した方が全労連は一人ですから、一人世帯でいいますと幾らになるでしょうか。

加藤国務大臣 済みません。そこでは四人世帯をベースにして提出しているというふうに承知をして、ごめんなさい、この審議会においては、提出している資料しか手元にありませんので、済みません。

笠井委員 手元にないといったって、一人世帯というのも数字はあるでしょう。ちゃんと出してくださいよ。だって、この議論をするとやっているんだもの。

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働大臣加藤勝信君。

加藤国務大臣 大変申しわけございません。ちょっと、今、手元の方で確認ができませんので、確認し次第、御報告をさせていただきます。(発言する者あり)

棚橋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働大臣加藤勝信君。

加藤国務大臣 委員から具体的に、標準生計費一人世帯についてというところまでの御指摘がございませんでしたので、そこまで、申しわけありませんが、今用意しておりませんので、早急に用意をさせていただいて、提出をさせていただきたいと思います。

笠井委員 だって、最低賃金と生計費の話を議論すると言ったわけですから、当然、その中でそういう話は出るわけですよ。だって、今、四人世帯とぱっと出たわけでしょう。四人世帯はぱっと出して数を言うけれども、じゃ一人は幾らかと言ったら、それはわかりませんじゃしようがないですよ。だって、比べようがないし、議論できないですよ。

棚橋委員長 笠井君に申し上げます。

 後ほど資料を提出するということですので、後刻、理事会で協議をいたします。

 笠井亮君。笠井亮君、どうぞお願いいたします。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 では、速記を起こしてください。

 厚生労働大臣加藤勝信君。

加藤国務大臣 済みません。今直ちにはございませんが、今確認して、委員の御質問の間にお答えできるようにさせていただきたいと思います。

棚橋委員長 笠井亮君。笠井亮君、お願いいたします。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

棚橋委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働大臣加藤勝信君。

加藤国務大臣 資料においてはそういうことでありますが、私どものこの議論の使い方でありますけれども、水準そのものの議論ではなく、先ほど申し上げた地域間格差という観点からこの標準生計費を活用させていただいておりまして、基本的に、委員御承知のように、地方の最低賃金は生活保障を上回る、この水準の上で、それぞれの地域の賃金状況あるいは企業の支払い能力、それを総合的に勘案して決定されているということでございます。

笠井委員 総合的に勘案だけれども、さっきだって、総理だって、標準生計費の話もあるわけですから。そうなりますと、やはり、四人家族だと幾らか大きな数みたいに見えるけれども、言いたくないかもしれないけれども、私、ちゃんと手元にありますけれども、一人の世帯の場合だと十二万百九十円ということになりますよ。そのうち、じゃ、食費が幾らになるのか、こういう問題なんですよ。それで暮らしていけるかという問題なんですよ。標準生計費というけれども、食費は幾らぐらいになると。

 だって、この問題は初めて議論をしているんじゃないですよ。最賃審議会があり、この間さんざん、最賃は幾らになるのか、どういう根拠に基づいてやっているか議論している話でね。何か事細かに、じゃ、何人世帯が幾らでどうなっているかというのが全部、何かあれがわからなかったら数が言えませんとか、そんな話じゃないですよ。

 じゃ、加藤大臣、標準生計費で、食費で、一人の世帯の場合に、一カ月でそれでちゃんと普通に暮らせる食事ができるかと、そう認識していますか。

加藤国務大臣 今確認したところ、審議会では、一人当たり、一人世帯という資料は出ていないというふうに聞いております。

 その上で、先ほどから申し上げておりますように、この資料は地方間でどう違うのかということでありまして、基本的に、先ほど申し上げましたように、地域における生活保護、この費用を……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

加藤国務大臣 生活保護費を上回る、そうした水準になるということでこれまでも調整をさせていただいているということでありまして、個々に、例えば生活保護費のように一つ一つを積み上げて議論しているということではないということであります。

笠井委員 標準生計費は人事院が出して、それをもとに審議会で議論していると。一人世帯の場合どうかといえば、人事院の資料で十二万百九十円ということになっていて、月の食費はそのうち幾らかといえば二万六千二十円ですよ。一日当たり、三十日で割りますと八百六十六円だけれども、一食じゃないですよ、三食食べなきゃいけない。そんなのでどんな食事がとれるということになるかという問題なんですが、加藤大臣、本当に、食事三食、普通に暮らして食べられるというものがとれるような今、標準生計費になっている、そういう認識ですか、大臣。

加藤国務大臣 先ほど申し上げた、最低賃金は、生活保護費と違って、そうした地域での一つ一つを積み上げながら出していただいているという経費ではありません。全体の賃金の現在の動向等々も踏まえながら決めています。

 問題は、やはり、委員がおっしゃるように、最低賃金は、要するに、賃金は高いほどいい、それはまさしくそうであります。他方で、しかし、最低賃金を上げた結果として雇用が減少するということになれば、結果的にそこで働く地域の人に大きなことになる。これは……(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

加藤国務大臣 今、別の話というやじもありましたが、経済学的に、ここは両方見てやらなきゃいけない、これはもうある意味ではこの世界の常識と言っていいんだろうと思います。したがって、雇用情勢等も見ながら地域の中において対応していく。

 そういった意味において、やはり、中小企業の生産性を上げながら賃金が支払われる状況をつくり、そしてその中で最低賃金を上げていく、そして上げる中において地域間格差の是正を図っていく、こういうことで今、取組をさせていただいているということであります。(発言する者あり)

棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。

笠井委員 違うんですよ。最低賃金というのは最低賃金法で考え方が決まっているんでしょう、健康で文化的な最低限度の生活ができるようにと。いろいろな要素があって、雇用が何とかじゃないんですよ。憲法二十五条があって、最賃法があって、そのために最低限度の普通の暮らしができるようにするというのがそもそもの最賃の決め方じゃないですか。法律でそうなっているのにそれと違うことをやっているんだったら大変ですよ、日本の政府は。

 大体、標準生計費というのは、これぐらいあれば暮らせるという生計費として計算してそれを出しているはずなのに、それが一日当たり八百六十六円で一人で暮らしていかなきゃいけない。大体、野菜もとれずに、栄養バランスのとれた食事もできない、そんな普通の生活ができないような、生きていくのにぎりぎりで本当に大変な状況というので、それを強いるのかということが問われているわけじゃないですか。

 最賃審議会でいいますと、賃金相場と企業の支払い能力ということがいろいろな要素と言われますが、そればかり重視されている、そこが問題だと思うんですよ。標準生計費で、じゃ、なぜ食費が一人世帯だと二万六千二十円なのかとか、算出根拠が非常に明確でない、データが明らかにされていないと専門家からも繰り返し指摘をされております。

 委員長、これはぜひ、標準生計費についてはどういう算出根拠でやっているのかということについて、当委員会にちゃんと資料を提出させていただきたい。お願いします。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

笠井委員 総理、最低生計費というのは全国どこでも、いろいろ調べてみて千六百円台というふうになっているわけですが、それでやはり、千円を目指すと政府も言っているわけですから、今じゃ足りないわけですね。それなのに、最低賃金はいまだに全国平均で約九百円ということを超えた程度ということでありますが、結局、千六百円台というこの調査を見ても、月二十四万円ということになりますが、これは高いように思うかもしれませんが、年収にすると、北区でいうと二百九十九万円、佐賀市でいうと二百九十万円ということで、三百万円を割ります。結婚の壁と言われる三百万円を超えられないということになっている、こういう現実が目の前にある。

 総理は、早期に千円を目指すというふうに言われますけれども、最低賃金法が求める人間らしい生活というのは、およそそれとはかけ離れた現実にあるということについては、そういうふうにお考えをちゃんとなさっているでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただいたように、最低賃金を定める上においては、生活保護を下回らないということで決めさせていただいているところでございます。

 そして、この四年間で、二十四円、二十五円、二十六円、二十七円、こう上げてまいりました。二十七円というのはもちろん過去最高でございますが、これは、政権奪還前は、その前の年は七円だったわけでして、その前の年は六円でございまして、二十円を超えるということはほとんどないわけでございまして、ずっとこの四年間は二十円を超えている。十円、十四円、十六円、十八円、二十四円、二十五円、二十六円、二十七円、こう上げてきているわけでございます。

 もちろん、これは多々ますます弁ずでございますから、我々がそこに書き込めばそういうふうになるということであれば当然いいわけでございますが、しかし、地域ごとの経済指標の差を考慮せずに全国一律の最低賃金とすることは、中小企業を中心として、労働コストが増加をすることにより経営が圧迫され、かえって雇用が失われるおそれもあることなどから、慎重な検討が必要である、こう考えております。

 今年度はどうなったかということでございますが、今年度は、地域ごとの最低賃金額の格差も十六年ぶりに改善をしました。

 引き続き、地域間格差にも配慮しつつ、最低賃金がより早期に全国加重平均千円となることを目指していきたい、このように考えております。

笠井委員 二十七円ふえましたというふうに誇られたんですけれども、さっき冒頭申し上げたように、日本の賃金というのは依然として先進国で最低で、マイナスという状況になっているということをしっかり見なきゃいけないというふうに思うんです。

 そして、最低賃金の地域間格差のお話を言われましたけれども、結局そのことが、若者を中心に労働力の流出だとか地方経済の消費の減退など、地域経済疲弊の要因になっています。だからこそ地方から、そして保守の方々、さらには与党の中からも、最低賃金の格差是正を、そして全国一律の最賃制度を求める動きが広がっている。自民党の中だって議連があるわけであります。そういう状況で、しっかりと応えるべきだ。

 全国知事会は、日本の地域別というのは本当に少数だ、全国一律が世界の九割で常識だということをずばりと指摘をされております。二年連続で全国一律の最低賃金制度の実現を知事会としても申し入れて、中小企業支援強化を提言しているわけであります。

 総理は、賃上げしたら中小企業に影響があると言われていますけれども、では、全国どこでも最賃引上げのために中小企業は何を望んでいるか。

 日本商工会議所と東京商工会議所が昨年五月に発表した最低賃金引上げの影響に関する調査の結果でも、最低賃金の引上げに対応するために必要とされる支援策として、税、社会保険料の負担の軽減を挙げる、そういう回答が六五・二%と最多でありまして、全体の三分の二を占めております。

 総理は、中小企業の賃上げ支援に三千億円を使うというふうに本会議では言われておりますけれども、その予算を出すんだったら、出し方ですよね、当事者が一番望む支援策にこそ使うべきだ。社会保険料の事業主負担を軽減して賃上げを直接支援する、こういう方向に三千億円を使ったらどうですか。

梶山国務大臣 最低賃金の引上げにつきましては、経済の好循環を実現する観点からも大変重要であると考えております。

 最低賃金の引上げに当たっては、生産性を高め、付加価値を生み出し、さらに、適正取引の徹底により、付加価値がしっかり事業者に残る環境を整備することが重要として取り組んでおります。

 経済産業省としましても、今般の補正予算、三千億円を上回る規模で措置した、ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金により、設備投資やバックオフィス業務の効率化、販路拡大などの生産性向上の取組を後押ししてまいります。

 その際、補助金の申請者に対して、最低賃金を地域別最低賃金プラス三十円の水準へと引き上げる計画の策定を求めるなど、付加価値増加の成果を賃上げにつなげてまいりたいと思っております。

笠井委員 本当に望む支援をすべきだということを強く言いたいと思うんです。

 アメリカでいいますと、連邦最低賃金を四一%引き上げるために約八千八百億円の減税を実施しました。フランスは、全国一律最賃制にするために、引き上げるために約二兆二千八百億円の使用者負担を軽減して、韓国も約三千億円の支援を実施しました。直接支援をするというのは世界の潮流になっております。

 我が党は、消費税に頼らない別の道で消費税の減税と暮らし応援、そして社会保険料の事業主負担軽減に七千億円を提案しておりますが、大企業と富裕層に応分の負担を求めて、経済と財政の好循環をつくれば財源確保は可能であります。今こそ、中小企業への抜本的な支援をして、最賃引上げをする、全国一律でやるということを強く求めておきたいと思います。

 さて、次の問題に行きます。

 安倍政権は、雇用によらない働き方を、働き方改革、多様な働き方などと、広げようとしております。フリーランスとかギグワークとか呼ばれる労働でありますが、その中で一体何が起きているか。

 最近、スマートフォン普及を背景にしてふえているのが、インターネット経由で単発、短期の仕事を請け負う働き方、ギグという働き方であります。その典型例が、今、都会の街角とかあるいはテレビのCMで目にする、つい週末も、私も歩いていたらすぐ目の前を通りましたが、ウーバーイーツでありますけれども、総理、そういうウーバーイーツというのは御存じでしょうか。

安倍内閣総理大臣 存じ上げております。

笠井委員 これはアメリカ企業の配達代行サービスで、スマホから飲食店の料理を注文して簡単に取り寄せられる、配達員はスマホで登録すれば好きな時間に働いて報酬を得られるというものでありますが、一見、これは双方にとって便利なように見えるんですけれども、一番の問題は、配達員の方々が交通事故に遭ってもきちんと補償がないということであります。

 ある四十代の男性は、配達員が専業で、一日十二時間、土日も休まずに働いて四十万円。結構あるなと思ったら、そうじゃなくて、そこから税金や、それから仕事で使うバイクの燃料や整備費、それから国保や国民年金保険料などを差し引いた残りで家族の生計を支えている。一昨年、バイクで配達中にタクシーに追突されてけがをしたけれども、治療よりも仕事を優先しないと生きていけないので働きましたと。ところが、昨年六月、またひき逃げに遭って、六日間入院をして、退院後数日で仕事を再開した。主治医からは、まだ休むようにというふうに言われたけれども、そして本人もひどい頭痛や耳鳴りに苦しんでいたんだけれども、自分が稼がないと家族、妻やあるいはお子さんが生活できなくなるからということで無理して働かざるを得ないということであったそうであります。

 これが雇用関係なら、労働者ということで労災保険が適用されますが、このケースの場合は、雇用によらない働き方で仕事をしているために、労働者ではないために、こういうことで事故に遭っても労災保険ももらえない。総理、こんな実態は御存じでしょうか。

安倍内閣総理大臣 個別の事案に対するコメントは差し控えたいと思いますが、いわゆるフリーランスなど雇用によらない働き方は多様であり、さまざまなケースが考えられることから、政府としては、実態をよく整理、把握をしてまいりたいと思います。

加藤国務大臣 労働者としてみなされれば、当然、労働関係の法令とか、雇用保険、労災保険に入ります。ただ、労災保険は特別加入という制度がありますので、これは一人親方等で入れるケース。ただ、今は対象になっておりませんし、また、そうした皆さんからそういう声がまだ届いておりませんけれども、制度としてはそういう制度があるということであります。

笠井委員 内閣府に伺います。

 昨年七月に内閣府が行った調査では、自営業主の形で働くフリーランスというのは全国で何人、全就業者の何%ぐらいになっているか、結果を報告していただきたいと思います。

増島政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の経済財政分析担当では、我が国のフリーランスに相当すると見られる方々がどの程度いるか、具体的には、総務省の就業構造基本調査における自営業主等のうち、雇用者や店舗を持たない働き方をしている人が何人いると推計できるかについて、昨年七月に一つの推計を行ったところでございます。

 これによりますと、自営業主のうち二百万人前後がフリーランスに相当する働き方を本業にしている可能性があると推計されております。これを就業者全体に対する割合にいたしますと、三%程度となっております。

 なお、副業としてフリーランス相当の働き方をしていると見られる人も合わせると、合計三百万人程度と推計されております。

 いずれにいたしましても、あくまでも一つの試算でありますので、結果については相当の幅を持って解釈することが必要と……(笠井委員「三百万は何%ですか」と呼ぶ)約四・六%でございます。

笠井委員 いろいろな働き方があると言われましたけれども、この間、正規から非正規雇用への置きかえが進んだのに加えて、今度は雇用によらない働き方がふえて、大きくさま変わりしているという状況であります。

 こうした働き方について、じゃ、今政府がどのように見ているかということでいいますと、総理が議長を務める未来投資会議が昨年十二月十九日にまとめた中間報告で、そうした働き方について、組織の中に閉じ込められ固定されている人を解放するもの、そういう見出しも立てて、むしろ推奨をしている。それは間違いありませんね。

西村国務大臣 未来投資会議を担当しております私の方からお答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、第四次産業革命が進む中で、インターネットを使ってさまざまな働き方が増加をしてきております。御指摘のように、短期、単発の仕事を請け負って個人で働く新しい就業形態、ふえているわけであります。時間があるときに兼業、副業でやる方もおられれば、あるいは、高齢者の新たな就業形態の一つとしても期待されているところでございます。

 御指摘の未来投資会議におきまして、昨年十二月に、新たな成長戦略実行計画策定に関する中間報告において、多様な働き方の一つとして、希望する個人が、希望する個人が個人事業主、フリーランスを選択できる環境を整える必要があるという指摘をしているところであります。

 先ほど来御議論ありますように、フリーランスと呼ばれるこうした働き方は多様でありまして、今整理をしているところでありますけれども、御指摘のような労働政策上の保護についての課題、あるいは競争法、取引の適正化といった点からの課題、こうした規律についてさまざま議論があることを承知しております。

 こうしたことを踏まえまして、内閣官房におきまして、一元的に、関係省庁と連携しながら、実態を把握し整理した上で、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けて検討を進めてまいりたいというふうに考えているところであります。

笠井委員 今、西村大臣がバラ色に描くように言われましたけれども、現実にはどんなことが起こっているか。

 ウーバーイーツでいいますと、今、サービスを利用できるのは、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の十都市以上ということで、今後、順次拡大するというわけでありますけれども、現在、そこで一万五千人が配達員として登録している。

 その最大の問題は、配達員が、使用者であるウーバー、その企業の指揮命令を受けながら、労働者ではなく、雇用関係のない個人事業主、配達パートナーというふうに言われていますけれども、そういうふうに扱われていることでありますけれども、総理はそのことは御存じですか。

西村国務大臣 御指摘のように、労働者の保護という観点からの課題、労働政策上の保護という課題、それから、先ほども申し上げましたけれども、競争法上の取引を適正化していくという課題がございます。

 こうした課題についてしっかり整理をして、夏の報告に向けて議論を進めてまいりたいというふうに考えているところであります。

笠井委員 課題があると言いながらも、いいことだと全体に未来投資会議で位置づけて、これは大いに解放するものだからということでやっていくという形でどんどん進めていいのかというのが問われると思うんですよ。

 こういう方々が労働者でないということが本当に核心的な問題、そういうふうに扱われていないことが核心的な問題であります。そのことでどんな働き手の権利が奪われているか、守られていないかということが本当に正面から捉えられないと、いいことなんだけれども課題があるから、それは今後検討して、夏までやりましょうということではない。

 先日、配達員でつくる労働組合のウーバーイーツユニオンの皆さんから話を伺いましたが、パネルにしました。資料の中でもありますが、大きく言って三つの問題があるというふうに整理ができると思います。

 一つは、労災保険がないことです。

 従来のピザやすしやラーメンなど飲食店の出前、宅配サービスなら、店がバイクや自転車を用意して、そして、配達員は労働者ですから、配達中の事故には労災が適用されて、療養給付とか休業補償を受けることができます。厚生労働省が件数や実態もちゃんと法律に基づいて把握しながら防止対策をとることもできる。労災を起こした企業には、危険を除去して、そして再発防止のための対策をとるという責任も重大なものとして出てくるということであります。

 ところが、このウーバーイーツの場合でいいますと、同じような働き方に見えるわけですね、配達するということに見えるんですけれども、個々の飲食店が配達員を雇うんじゃなくて、ウーバーという企業が、アプリを通じて、飲食店と、お客さんに配達するという個人事業主の配達員との請負契約を仲介しているだけです、雇っているんじゃないんですということでやっている。ですから、配達員は、自前でバイクか自転車を準備して、調達して、ウーバーとの雇用関係がないために、事故があっても補償がされない。

 配達員の方が言われていました。自分たちはまるで命綱をつけないで高層ビルの窓拭きをやっているようだ、そんな気持ちだと言われたわけです。

 総理、この気持ちがわかりますか。こんな働き方、働かせ方をよしとするのか。未来投資会議で、全体として解放するものだからいいですなんということでやっていいのかということが問われていると思うんですが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 現行の労働法制は、基本的に、契約形態にかかわらず、労働者としての実態があれば労働関係法令に基づき保護されることになっていますが、御指摘のようないわゆるフリーランスと呼ばれる働き方は多様であり、労働政策上の保護や競争法による規律についてさまざまな課題があるものと承知をしております。

笠井委員 課題があるけれども、実際にはそこは保障されていないというわけですよ、今。実態があればと言うけれども、その問題については、これは大丈夫ですという話になっていないということを今総理は言われた。

 二つ目に、本当に権利の問題で問題だと思うのは、賃金とか時給の規定がなくて、最低賃金も適用されないということです、今回の場合。

 従来の飲食店の出前、宅配サービスなら、バイトでも、労働者ですから賃金、時給が定められて、当然ながら最低賃金というのが適用されます、一時間幾らと。注文がなくて店で待機して待っている、そういう時間も労働時間に、雇われていますから入りますので、バイト代がもらえるということになりますが、ところが、ウーバーの場合には、配達員の報酬は、飲食店から料理を受け取る受取料金と、お客さんに渡すという受渡し料金、届け先までの距離に応じた距離報酬という三つが中心になっております。ですから、配達依頼を待つ時間というのは、無給の拘束時間ということで、いわゆるデッドタイムというふうになっている。

 しかも、報酬額はウーバーが一方的に設定をして改変するということであります。急に変えられる。

 昨年十一月には、突然、二キロの距離を配達するということで八%この報酬が減額をされて、五キロ配達するときには二二%も減額されたということで、その分、報酬が減りますから、より長時間働かなければいけないということで、結局、報酬引下げという配達員の皆さんにとっては死活問題の重大な変更が、じゃ、本人に伝えられるかというと、そうじゃなくて、メール一本で告知されただけということであります。

 これも総理に認識を伺いますが、これでも、未来投資会議中間報告にあるような、組織の中に閉じ込められて固定されている人を解放するという働き方と言えるのかというのはいかがでしょうか。

西村国務大臣 お答えを申し上げます。

 まさに、先ほども申し上げましたけれども、インターネットの発展などによって、多様な働き方、あいた時間を生かそう、あるいは高齢者が引退した後も何か自分の能力を生かしていこう、そういった意味で多様な働き方が広がってきております。そうした中で幾つか課題があるのも事実でございまして、まさにこのフリーランスと呼ばれるような雇用によらない働き方の保護のあり方については、多様で柔軟な働き方の一つとして健全に……(発言する者あり)

棚橋委員長 傍聴席からの不規則発言はお控えください。

西村国務大臣 健全に発展していくよう、その環境をしっかり整えていきたいというふうに考えております。

 内閣官房において一元的にこの実態をしっかり把握、分析をし、整理をした上で、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けてしっかりと検討していきたいというふうに考えております。

笠井委員 インターネットを使って多様な働き方はいいんだということを言われるけれども、そういうやり方のもとで結局こういうことが現実に起こっている。このことについてしっかりと権利の問題をやらなかったら、いいという話で進められないでしょうという話だと思うんですよ。

 健全に発展と言うけれども、これは健全と言えますか、こういうやり方。西村さん、どう思います。健全なやり方ですか、これは。

西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、御指摘いただいたような点も含めていろいろな課題を我々も認識をしております。労働政策上の課題、そして取引適正化といった規律の問題、そういったことを、しっかり実態も把握をして、整理をして、検討を進めていきたいというふうに考えております。

笠井委員 いや、大臣に聞いているんです。こういう働かせ方については健全だと、健全に発展と言われましたから、健全と言えるのか、この点についてちゃんと答えてください。

西村国務大臣 新しい働き方が広がってきております。そして、それは今の法制上でカバーできない面もあるんだと思います。そうしたことを、しっかりと実態を把握した上で、健全に発展していくように検討を進めていきたいと考えております。

笠井委員 健全でないと言えないんですね、健全に発展していくようにということで。健全じゃありません、だからそれはどういうふうに発展するかということをやりますと言うんじゃないんですよ。健全に発展していくようにとしか言わないんですよね。そういう感覚では、本当に恐ろしいと思いますよ。

 もう一つあります。権利の問題でいいますと、配達員の生活と権利を守るための団体交渉権が、労働者ならありますけれども、この場合には保障されていないことです。

 労働者なら、労働組合が、生活を守るために労働条件などについて使用者、使用者団体と交渉する権利が、憲法二十八条で労働基本権として保障され、労働組合法もこれを確認しております。

 ところが、このウーバーの場合に、配達員は自由な働き方ができる、今、西村さん、これはいいことだと言われたけれども、これができると思っていたけれども、実際には、仕事の依頼を受けるかどうかの自由もなく、どんな料理をどこに配達するかの選択権もなく、配達リクエストを受ける率が低ければ、これはちょっといいかな、オーケーしないといって率が低くなると、最悪、アカウントの利用が停止されて、それで契約を切られるということであります。使用者に管理をされて、指揮命令を受けている労働者そのものではないか。それなのに、実際に現場の声ですけれども、自分の上司はAIだ、言いたいことはアプリに入れておけと言われている、権限のある人と話もできない、配達員が働き方や報酬の改善を求めて労働組合を結成して団体交渉を求めても、拒否をされていると。

 総理、こんな働かせ方のまま、政府が音頭をとって、健全な発展とか、全体として多様だからいいんだということで広げていいのか。

 個人事業主であるプロ野球の選手も、選手会という労働組合をつくって、プロ野球連盟は団体交渉に応じているわけですが、こうしたウーバーなどのような企業に対しても、健全な発展とか言うんだったら、団体交渉に応じるように企業に対しても直接交渉したらどうかと思うんですけれども、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 個別の事例についてはコメントを差し控えたいと思いますが、ただ、今委員がその表に挙げておられるような形になるということは、そういう形でそうした雇用に似た形が広がっていくということは、決して私はいいとは思っていません。

 その上で、いわゆるフリーランスなど雇用によらない働き方の保護のあり方については、多様で柔軟な働き方を後押しする政府としても取り組んでいくべき課題、こう認識をしています。

 引き続き、内閣官房において、関係省庁と連携をして一元的に実態を把握し、整理した上で、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けて検討を進めていく考えでございます。

 いわば、そうした課題について、我々はしっかりと受けとめて、実態を把握していきたい、このように思います。

笠井委員 私、この労災保険と最低賃金と団体交渉権の三つの問題で働き手の権利の保障がないということを申し上げて今るる質疑をしたんですが、総理御自身は、こういう形がいいとは思っていないと、そのことは認められました。これは本当に重要なことなので、そういう立場からしっかりとこの問題を見なきゃいけないし、つまり、特定企業に依存しながら、雇用関係がないために労働者としての権利が保障されずに、保護されずに、労災保険もなく、仕事中の事故も自己負担、そして最賃も適用されずに、労働時間の規制もない、契約打切りによる解雇も自由勝手、こんなのがまかり通ったら、究極の使い捨て労働そのものであります。だから、絶対こんなことをさせちゃいけない。

 配達員の方々からは、格差を広げる最悪の貧困ビジネスだという声が上がっています。そして、政府がこんなやり方を推進するなんてむかつくと、はっきりと怒りの声が上がっておりました。働き方改革などと言ってこんな権利ゼロの働かせ方を広げることなど、絶対あってはいけないと思うんです。

 総理自身がこういう形をいいと思っていないと言われて、課題を検討すると言われました。

 そこで伺いますけれども、国際労働機関、ILOは、全ての人に人間らしい労働、ディーセントワークを促進するように加盟国に呼びかけて、世界各国で取組が進んでおります。これは、人間らしい労働というのは、労働者だけじゃなくて、働き方として人間らしくということをきちっと言っているわけでありますが、そういう中でフランスは、二〇一六年八月にエルコムリ法という法律を制定して、ウーバーのようなプラットフォーマーに対して働き手を保護する社会的責任を義務づけております。

 厚生労働省、その内容を端的に紹介してください。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 フランスについてのお尋ねでございますけれども、フランスでは、今おっしゃいましたように、二〇一六年に改定されました労働法典によりまして、電磁的プラットフォームを利用して職業活動を行う独立労働者に関し、プラットフォームの責任が定められたものと承知をしております。

 具体的に申し上げますと、労働災害のリスクをカバーする保険への加入、職業訓練へのアクセスの権利の保障、労働組合の設立、加入等の集団的権利の保障等がこれによりまして定められているものと承知をしております。

笠井委員 やはり、そういう問題に対して、そういう働かせ方に対して、よく検討して法律ができていると私は思うんですね。

 それで、フランスだけじゃありません。ドイツでは、技術革新を良質な雇用に結びつけて雇用破壊や劣化がないようにするということで、そういう議論がさんざん行われて、労働四・〇という白書がまとめられております。

 この件について、私も衆議院の経済産業委員会で、参考人質疑の中で、連合の神津会長とも議論する機会がありまして、神津会長も、私の質問に対して、このドイツの労働四・〇、雇用を大事にするということで言っている点を注目されて、非常に参考にすべきところがある、労働の視点、これが欠くべからざることだというふうにお答えになりました。

 さらには、ウーバーの本社があるアメリカのカリフォルニア州では、労働者として扱っていくということで、最低賃金の保障とか事故時の保険対応を求めるカリフォルニアの州法が制定をされて、ことし一月一日から施行をされているわけであります。

 ILOは、昨年の労働の未来のための百周年宣言で、労働のデジタル化に対応して、全ての働き手を保護して人間らしい労働を実現する包括的な保護法制をつくるように加盟国政府に要請をしているわけであります。

 ILOが加盟国政府に要請しているわけですから、日本も要請されている。ですから、日本でも、フランスでも例えばそういう法律をつくったわけですが、日本の実態に即していていいと思うんですけれども、しかし、その中で、労働保険の加入の義務とか働き手に団体交渉権を認めるなどの措置をとって、人間らしい労働に反するような権利ゼロの働かせ方をなくすことというのは、これは総理、政治の責任じゃないかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど答弁をさせていただいたところでございますが、内閣官房において、関係省庁と連携をしまして、まず一元的に実態を把握したいと思います。そして、それを整理した上で、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けて検討を進めてまいります。

笠井委員 一元的に検討を進めていくということでありました。

 きょう私の質問も、そういう意味では問題提起させていただきました。そして、ウーバーイーツの場合には、いいことではないということも総理は言われた。そういうことも踏まえながら、やはりこの問題はしっかりと対応するということが大事になっていると思います。

 非正規雇用をはるかにしのぐような究極の使い捨て労働ということで、こういうことがまかり通ったら大変なことになりますから、ある意味、そういう意味では、働く、労働という問題についてずっと積み重ねがあって、しかしやはり労働者の権利を守らなきゃいけないということで労働の法制が日本の中でも国際的にもできてきた。ところが、それをまた緩和して、逆に、インターネットとかあるいはデジタル化ということで、それは本当に人間のために使っていけばいいわけですけれども、それをある意味悪用して、働く人の権利を奪うようなやり方をしていくということがあったら、歴史の逆行だと思います。

 そういう点では、そうした使い捨て労働をこんな形で更にふやすということは、最悪の賃下げ、景気悪化の、そうした政策となってくる。ここは本当にしっかりと、そういうことはさせないということで、今こそ、八時間働けば普通に暮らせる、そういう社会にする、そのことを目指すべきだということを強く主張して、私の質問を終わります。

棚橋委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 なお、理事会の申合せにより、厚生労働大臣の退席を許可します。

 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 予算委員会基本的質疑ということで、大変重要な、国会審議の中でも最も重要な局面でございますが、印象操作みたいなものが多くて、総理も辟易されるところもあるかと思いますが、よく耐え忍んでやっていただいているかと思います。私は、とにかく、立法府ですから、法律論を中心に、きょうは議論をさせていただきたいと思います。

 まず、新型コロナでございます。

 封じ込めることがまだできていません、世界的に。これは国を挙げて、国会、内閣、厚労省、そして医療関係者、さらには国民自身がそれぞれのレベルでできることをしっかりとやっていく、これが重要だと思っています。

 これは質問じゃありませんが、先日、本会議場で所信表明演説あるいは各党の代表質問がありました。そのときにちょっと気になったことがありまして、ひな壇の閣僚の皆様の中で、ある方が、多分お風邪だったと思うんですけれども、くしゃみをされまくっていました。くしゃみ、手を当てられていませんでした。手もだめですよ。今、手はだめと言われている。手だとうつります。だから、こう。

 あるいは、総理、ドラキュラのくしゃみという、聞かれたことはありますか。余りないですか。これはぜひちょっと普及させてほしいんですけれども、英語の辞書に入っています。ドラキュラスニーズでしたかね。

 要は、ドラキュラのくしゃみってどういうのかというと、こうするんですね。いや、こうするとうつるから、こうするんですね。ちょっと皆さんやってみてください。総理、こう。ちょっと皆さん一緒に。ドラキュラと言って。やりませんね、ドラキュラ。

 これはまさに国民レベルで、まあ、マスクも大事です。手洗いも大事です。でも、どうしても人前でくしゃみが出ることがありますが、このドラキュラの、これはWHO推奨だそうですので、これを覚えていただいて、何かちょっときたなと思ったら、こうする。マントはありませんけれども、ドラキュラが顔を隠すために、マントでこう隠しますね。この姿勢がドラキュラだというんですね。

 ぜひ、こういうことも含めて、国民全体でお互いを守り合う、そういう取組が大事だと思っています。

 もう加藤大臣にはお忙しいので引いていただきましたが、きのう日本維新の会として、この提言を加藤大臣のところにお持ちをいたしました。しっかりと情報開示をしていく、それから必要な法律改正はしていく、この二点がやはり大事だということで、遠藤国対委員長と私たちでこれをお持ちをしました。

 加藤大臣からも、例えば大阪で広く、広くって、匿名ですよ、匿名だけれども、感染の疑いのある方がどこの空港、港から入ったのか、どこに滞在をしたのか、そういう情報は、要は、国民はばかじゃないんで、国民は賢いんです、政府は余り情報を与えるとパニクると思っていらっしゃるかもしませんが、私たち維新の会は国民を信じています、情報はあればあるほど落ちつきます、だから、ぜひ情報開示はしっかりとしていただきたいということで、加藤大臣も、それはわかった、やはり地域ごとにばらばらではだめだなということで御発言をいただいています。

 政令の周知期間もよくやっていただいたと思いますが、周知期間ですから、内閣を挙げて発信すれば短縮できる、当たり前ですね。私は大変いいお取組だったと思いますが、これからも、そういう制度の周知ということは大変大事になってきますから、迅速にやっていただきたいということであります。

 それから、この国会でやはり私たちがしっかり議論せなあかんと思っているのは、三と四と五です。要すれば法律論ですよ、法律論。

 きょうは、大臣のかわりに橋本岳副大臣、お越しをいただいています。私たちは、法律論の議論があり得ると思っているんです。これは感染症であれ入管法であれ、要は、このまま鎮静化できればオーケーだけれども、もし悪い状況になっていったときには、今の政令対応ではできないことが感染症の世界にもあると我々は思っていますが、橋本さん、ありますね。あるかないかだけでいい。

 まだ、要は、法律改正の余地、今は必要ないですよ、今は必要なくても法律改正の余地があるんだ、状況によっては。鎮静化したらいいですよ。でも、状況によっては。

 まあ、ちょっと、じゃ、ヒントを出すと、例えば新型インフルエンザ特措法があります。新型インフルエンザ特措法でできることで今の法律ではできないことはありますよね。法律改正、必要ですね。そこだけ一言。必要かどうか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 仮定の話なので、ちょっとお答えをするのが困難に存じます。もちろん、今後の状況を見て、必要な対応を政府としてしっかりとってまいるというふうには考えております。

足立委員 ちょっと、せっかく、まあいいや。

 一つは、きょう国民民主党の後藤委員がおっしゃった新感染症ですね。新感染症は、政府から答弁があったように、できません。新感染症じゃないんだから。だから、新感染症の議論をする必要はありません。しても意味がありません。後藤さん、もうちょっと勉強していただいた方がいいと思いますが。

 大事なのは法律の三十四条です。法律の三十四条に指定をすれば、隔離や停留ができます。でも、今の三号指定ではできません。三十四条というのはこの一号、二号、三号の検疫感染症以外の感染症と規定されていますから、普通に考えれば、もう今や三十四条の政令指定はできないと思いますが、きのう加藤大臣のところに伺ったら、加藤大臣が、いや、できる、一回三号指定を外してもう一回三十四条指定をやり直すことができるんだとおっしゃいました。できますか。

橋本副大臣 まさに仮定の質問だとも思いますが、もちろん、それが必要な状況になったときに必要な指定を行うことは可能であろうと思います。

足立委員 要は、検疫感染症は一号、二号、三号です。それで、検疫感染症以外について規定しているのが三十四条政令指定なんです。だから僕はできないと思っていたんだけれども、どうも今の御答弁でも、きのうの加藤大臣も、これができるということだから、じゃ、政令で、必要があればやったらいい、こう思いますが。

 この検疫法って、本当はもうこれからの話じゃないですね。これまで、中国から入ってくる方々、もう十二月末から一月を浪費してしまっていますが、初期の段階で水際でとめるときに必要なのがこの検疫法ですよ。だから、この話はもう遅いと思います。だから、これは、本当は最初から、二条の三号ではなくて三十四条の政令指定をしておけばよかったと私は思っていますが、もう一つ、入管法です。

 森大臣、入管法の第五条第一項第十四号の適用でいわゆる水際の措置をとっていただきましたが、この条文、皆様よく御存じだと思いますが、十四号にはこう書いてあるんです。「日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」を、法務大臣が定めるというか、そういうことですね。

 今問題になっている、感染された方、感染のおそれのある方、あるいは武漢に滞在をしておられた方、どういう行為をするんですか、行為。

森国務大臣 まさに先ほど委員がおっしゃった、くしゃみ、また、せきをするときに、ドラキュラではなくて、こうしてしまい、その後、それでこう、つり革にさわってしまう。そうすると、またそれを違う人がさわるなどの感染を拡大してしまう行為をするおそれということであります。

 これはまた、それをして必ず感染するということではないんですけれども、例えばということで今申し上げました。

足立委員 まあ、そういうのが行為だと。若干拡大解釈だと思いますが、私は、維新の会は拡大解釈を支持します。こういう事態ですから、広く行政府の裁量で拡大解釈していく必要があると思う。

 ところが、もう事態はどんどん動いているんですね。御承知のとおり、中国ではもう湖北省から浙江省に、いわゆる都市の封鎖をするのも、今までは湖北省だったけれども、浙江省にも広がっています。だから、武漢だけじゃなくて湖北省、湖北省だけじゃなくて周りの浙江省、更に言うと中国、こうやって広がっていったときに、私は、この十四号の拡大適用だけではやはり法令の執行として課題があると思います。

 それから、もう一つ課題があるのが、やはり新型インフルの特措法でつくった、この一番下の右側に、ちょっと濃い黄色で、丸と書いてございますが、新型インフル特措法だけでできる、例えば知事に、国民の皆様に外出の自粛を要請する、そういう条項が新型インフルの特措法にはあります。これはこれしかできないんです。知事にそういう権限を与える、あるいは政府の権限を拡大するためには法改正が必要。

 橋本さん、余り準備していないね。忙しいものね。いいです、いいです。大丈夫だよね。要は、今の法律のままでは、知事にそういう外出自粛の要請の権限を付与することはできない。もううなずくだけでいいですよ。ね、できません。

 だから、総理、最後に、このウイルス、新型コロナの話で総理にぜひ一言御答弁をいただきたいのは、今はよくやっていただいていると思いますが、これからの事態によっては、私は法律の話が必要だし、できれば早く法律を措置しておいたらいいんですよ。野党の皆さんも協力しますよね。あれ、協力しないの。

 これからの事態ですから、政府・与党の協議の場所はありますね。与党と野党の協議の場所もあります。だから、ぜひ、政府と与党と野党の、そういう緊急立法協議会みたいなものをつくって、必要があれば一晩で立法を講じて、国会を通すことができる。内閣の閣僚の皆様が、ううん、これはちょっと国会を通るかな、時間がかかるなといって逡巡することがないように、いつでも、即座に立法措置が講じられるような体制をつくるべきだと思います。

 これは、もちろん国会の話が半分以上ですが、ぜひ、安倍総理にも、このような私の提案について一言頂戴できればと思います。

安倍内閣総理大臣 ウイルスについては、今回の新型コロナウイルスの事例でもわかるように、今までとは違う形で出現することもあるわけでございまして、その中において、今までの法令で十分かどうかということは常に検討していく必要があるんだろう、こう思っております。

 迅速に対応するために何が必要かということで、今一つの考え方を御提案されたんだろうと思いますが、これは、足立委員が御指摘のように、まさに国会でお決めになることでございますから、国会において、各会派が連携して御議論をいただきたい、このように思います。

足立委員 今申し上げたように、私たち日本維新の会の提案は、政府・与党・野党協議会です。政府と与党が、政府、与党、野党、三者の協議会の設置に与党と野党が合意したら、政府は御検討いただけますね。

安倍内閣総理大臣 現在の新型コロナウイルスへの対策については、足立委員からは少し拡大しているのではないかという御指摘もいただきましたが、現在の法令を駆使して、この水際対策、あるいは、こうした疾病に対して治療等の健康管理に全力を尽くしているところでございますが、今後どういう対応が必要かということについて、政府、与党、野党という新しい御提案でございます。

 政府・与党というのはあるわけでございますが、それにつきましては、今、急に御提案をいただいたところでございますが、そういう事態になって必要とあらばそういうことも議論する。かつて、小泉政権のときに、いわゆる有事法制等々のときに与野党も含めて議論したこともあり、また政府もその中に参加したこともあるという経験もございますので、そういう枠組みが必要なこともあるんだろう、このように思います。

足立委員 ありがとうございます。

 しっかりこれは、政府、国会、行政府、立法府を挙げて国民の不安を払拭し、実際に新型コロナを封じ込めるために全力を挙げてまいりたいと思います。

 次に、ちょっとテーマはかわりますが、自衛隊の中東派遣でございます。

 今回の中東派遣に当たって、自衛隊、自衛官の皆様に手当てされている、これは新設の手当でございますが、パネルの順番が変わっていまして、済みません、パネルの五でございます。シートの五でございます。イラクや南スーダンが二万四千円レベル、これは日額ですね、日額。今回は、海賊対処並びの四千円と決まって、もう、おとつい、護衛艦の「たかなみ」も出航をされました。

 私は、今回の事態、もちろん、イランへの配慮、外交的なバランス感覚というのはあると思いますが、明らかに海賊よりも僕は危険だと思いますよ。海賊対処の皆さんも一生懸命やっていただいているけれども、今回の中東の派遣は、特に、調査研究に加えて、事態が変われば海上警備行動もあるということで、それを念頭に置いて今派遣しているわけです。これは、四千円、私は低いと思う。しっかりと手当を拡充すべきだと思います。

 実は、昨年の臨時国会から、初任給を上げる自衛隊給与法改正案に我々は反対したんです。我々が反対したのは、自衛隊の処遇を上げるなと言ったんじゃないんです。足りないからもっと抜本的に上げてくれと言って反対したんです。そうしたら、何か大阪の自民党の一部の議員が、チラシで、日本維新の会は初任給に反対したといってビラをまきまくっています。

 だから、総理始め閣僚の皆様に御理解いただきたいのは、印象操作をしているのは野党だけじゃないんです。大阪の自民党も一緒ですから。ぜひそこだけは、ふだん、大変ふがいない思いをしていますので、一言申し上げておきますが。

 総理、これ、拡充を御検討いただけるんでしょうか。

河野国務大臣 今般、中東に派遣します艦船の乗務員に対する手当につきましては、職務に対する手当として乗組手当、これは俸給の三三%でございます。それに加えて航海手当が支給されることに加えて、海賊対処業務に係る海上警備等手当とのバランスなどを考慮して設定したものでございまして、妥当なものだと考えております。

足立委員 これ、海上警備行動に移行しても、この四千円のままですか。

河野国務大臣 妥当だと思っております。

足立委員 実は、きのう事務方は、海上警備行動に移行するときには、せっかく用意していただいているので、ちょっと答弁し直していただけますか。

河野国務大臣 失礼しました。

 海上警備行動が発令されれば、日額二千円を加えることになります。

足立委員 結局、今四千円の手当を、プラス二千円とちょっと初めて伺いましたが、上げるのは上げる。でも、六千円ですよ。私は、いずれにせよ、この手当の問題は抜本的な拡充が必要だと思っています。

 さて、きのうのNHKのニュースかな、一昨日の護衛艦「たかなみ」の出航に当たって、こんなプラカードが出ているんですね。大変残念です。

 私は、自民党の皆さん、もう少し覚悟を決めてやっていただきたいのは、憲法をやりましょうよ。いや、もちろん、自衛隊をどう憲法に書き込むかということについては、パネルの十二ですね、済みません、一番後ろですね。憲法をやった方がいいと思うんですよ。

 憲法九十八条には、憲法は国の最高法規だから、それに反するものは無効だと書いてあるんですよ、無効だと。だから、憲法の読み方によっては、今こうやって発令している発令自体が無効だという、要は、憲法違憲論者からしたら、これは無効だというんですよ。さらには、憲法九十九条には、公務員等の憲法尊重擁護義務もあります。

 そういう、憲法全体を見渡せば、私は、自衛隊明記がだめとか、そういうのはもう話にならなくて、むしろ、立憲主義の観点からいえば、立憲主義の観点ですよ、立憲民主党の皆さん、立憲主義の観点からいえば、PKOだけじゃありません、中東だけじゃありません、災害対応も全部そうです、立憲主義の観点からいえば、自衛隊の明記、もうこの国会でやりましょうよ。それぐらいの勢いで、自民党、与党の皆様には覚悟をお求めしたいと思います。

 いつも答弁いただいていますが、一言ぜひ。気合い入れてください、気合いを。

安倍内閣総理大臣 憲法についての議論についてはコメントは控えさせていただきたいと思いますが、お尋ねでございますので申し上げますと、例えば、PKOのときにも憲法違反と言われ、あるいはインド洋での給油活動のときにもそうでございますし、イラクの復興支援のときにも憲法違反、こう言われて、反対されたわけでございます。

 しかし、今度は、まさに、石油資源の九割を依存する中東地域の日本関係船舶の安全の確保のため、六カ月間ぐらい家族の皆さんと別れて、この任務に自衛隊の皆さんは赴くわけであります。

 出航の式典に、私、参りました。そこには御家族の皆さんもおられたし、お子さんたちもたくさんおられました。お子さんに私は、お父さん、離れて寂しいねと言ったら、うんとお子さんが言って、でも、お父さんを私は本当に誇りに思うよと言ったら、大きくうなずいていました。

 残念ながら、そのすぐ横で、自衛隊は違憲というプラカードを持っている。これは、私は本当に残念でありました。そこにいるお子さんたちや御家族がどう思うか。まさにこの事態には、私は、終止符を打たなければならない。自衛隊をしっかりと明記をして、この状況に終止符を打つというのが自由民主党の考え方でございます。

 しっかりと議論が進むことを期待したい、こう思うところでございますが、まさに、隊員諸官の正当性を明文化、明確化することは国防の根幹にかかわることであろう、こう考えております。

足立委員 全くでございます。

 もちろん、自衛隊の明記の仕方、これについては、維新の会もいろいろな考え方がありますから、憲法審査会でしっかりと議論をしてまいりたいと思います。

 河野大臣、もう一問ちょっとお願いしたいんですが、パネルの四、これは河野大臣の御発言ですね。習近平国家主席の国賓来日について、河野防衛大臣は、昨年十二月、年が明けてからの一月、ここにお示しをしているような、懸念の払拭が必要だとおっしゃっています。払拭されましたか。

河野国務大臣 日中間の間には、引き続き懸念が存在をしております。だからこそ、この習近平国家主席の訪日を見据え、懸案を適切に処理する、それが大事なんだろうと思います。

 尖閣諸島周辺の海空域における出来事についても、中国側に前向きな対応を求めていくことが重要だと考えております。

足立委員 とにかく、この懸念というのは、国民みんなが懸念されています。ぜひ、その払拭に向けて御尽力を、引き続き、内閣を挙げてお願いをしたいと思います。

 さて、きょうもどなたかが質問されていましたが、選択的夫婦別姓の問題でございます。

 これは、皆さん、ぜひ理解していただきたいのは、何か国会で空中戦をやられていますが、国会でやっている空中戦って、この一番上だけです。今の同氏制を維持するのがいいのか、別氏を選択できるようにするのがいいのか、それだけですよ、皆さんが言っているのは。もっと次の、シートは六番ですね。ちょっと前後して済みません、時間が余りないので。

 これは、要すれば、一列目は、だから選択できるようにするかどうか、それしか皆さんは議論をしていません。でも、国会で、まあ、予算委員会でやらなくていいですよ、法務委員会でやっていただきたい議論は、この二段目と三段目です。

 まず、法制審が、当時の民事行政審議会が、平成八年に答申した提案は、この緑のところです、緑の右側ね。それに対して、共産党や民主党が、今の立憲などが提案しているのは、この赤いものです。子供たちの氏のあり方については全く違う意見なんです。じゃ、どっちがいいか議論しましょうよ、それを。

 加えて、それだけではありません。大事なことは、民法や戸籍法にどういう変容をもたらすか。

 森大臣、私、幅はあると思いますよ。今の自民党の旧姓併記、私は、これはややこしいと思う。それから、維新の会が皆さんが合意できる案として提案している、旧姓を戸籍に書いて、要は、住民票じゃなくて、パスポートじゃなくて、戸籍に旧姓自体を書いちゃって公証できるようにする、でも、それは氏ではないというのがうちの案です。それから、法制審は、氏を、同じ家族の氏の中に氏が二つ入る、配偶者の二つの別氏が入る、そういう案です。民主党、共産党が言っている案は、よくわからないんですよ、何がしたいか。だって、出生時に氏を決定するといったら、もう戸籍は要りませんよ、そうなったら。だって、筆頭者の意味がなくなる。だから、共産党、民主党が言っているのは、私は戸籍廃止に近づいた案だと思っています。もちろん、私が立法すれば、個人戸籍、家族戸籍、いろいろなやり方ができます、これだけ議論がある。

 森大臣の前に、小泉大臣。

 小泉大臣は、大体、こういう問題がレーズされると、すぐに、いや、私は選択的夫婦別姓に賛成だ、よくおっしゃいますね。私、意味ないと思いますよ、それ。いや、テレビのコメンテーターだったらいいですよ。でも、政治家がするべきことは、この一番下の民法、戸籍法をどう変えるんだというこれだけのバリエーション、左から右まで、右から左までのさまざまなバリエーションについて、判断して決めていかないといけない。だから、野党もこれはどれがいいか言ってくださいよ。

 小泉さん、どれがいいですか。

小泉国務大臣 足立議員から尋ねられましたが、私は、今のように夫婦が同姓でありたいと願う方はそれが選べる、そして一方で、別がいいという方は選べる、そういう選択肢のある社会は望ましいというふうに私としては思っていますが、もちろんこれは政府の中で議論をすべきことで、そこはまさに法務大臣の所管だと思います。

 ちなみに自民党の公約でも、私は味わいがあるなと思っているんですが、旧姓の幅広い使用を認める取組を進めます、いろいろ書いてありまして、さまざまな場面で旧姓使用がしやすくなる働きかけを行うなど取組を進めていきます、そういうふうに書いてありますので、選択肢のある社会に向けて、足立先生おっしゃるように、具体的な制度設計をどうするか、まさにそれは法務大臣のもとでこれから議論をされるのであろうというふうに私は考えております。

足立委員 自民党の公約に書いてある今のとおりであれば、この表であれば一番左側、旧姓併記、あるいは私たちが提案している、旧姓を戸籍に書いて公証していく、その案ですよ。

 小泉大臣がマイクに向かって言うべきは、いや、私は皆さんと一緒で、選択的夫婦別姓に賛成だと言うべきじゃないんです。民主党、共産党の提案には反対だと言うべきなんですよ。それが政治家の発言なんです。僣越ながら、済みません。余り言うとちょっと地元の票が減りますので、これぐらいにしておきますが。ぜひこういう議論をしましょうよ。

 それで、森大臣、森大臣から一言いただきたいのは、今のように設計次第で、選択的夫婦別姓と一口に言っても、設計の仕方によって民法や戸籍法に与える影響、変容、法律の変容する度合いは全く左から右まで違うという、幅があるということについて、法務大臣としてお認めをいただければと思います。

森国務大臣 制度設計ということでさまざまな多様な御提案をいただいたという点で、建設的な御意見をありがとうございます。

 国民の声に耳を澄ましていくということだと思いますが、今、直近の世論調査ですと、同一の姓を名乗るべきという方が、旧姓の使用、通称の使用を認めるべきだという人も含めて、全体の過半数いらっしゃいます。そして、別姓の制度を認めるべきという方も徐々にふえてはおりますが、まだ過半数には至っておりませんので、そのような状況も見てきて、旧姓の併記を進めて不便を解消しているところですが。

 実は、委員のような御意見も自民党の女性活躍推進本部で、私の前任の本部長の土屋品子さんの時代からやっておりますが、一人っ子同士の結婚もふえておりまして、これは女性活躍の観点からでなくても、やはり困っている方がふえているという御意見の中で、今おっしゃったような両姓併記でありますとか、又は旧姓併記、戸籍上できないかというような案もさまざま出ております。そのような与党内での御議論も踏まえて、政党内の意見、いろいろな御意見をしっかりと見守ってまいりたいと思います。

足立委員 現行制度の中で何とか編み出したのが旧姓併記ですが、私は、やはりややこしいなと。外務大臣がおっしゃった、これは旧姓だよというのをパスポートに書く、いいと思いますが、それでも複雑だと思います。

 やはりこの氏の制度はもう少しシンプルに、先ほど御紹介したような幅のある議論をしっかり国会で、野党の皆さんがちゃんと議論、相手してくれるかわかりませんが、しっかりやっていきたいと思います。

 一方で、自民党もこれは問題ですよ。

 何か戸籍を神聖視する方がいらっしゃいますが、法務大臣、もう一度、戸籍って、皆さん御存じですか、時期が来たら捨てられているんですよ。八十年から百五十年に今は延ばしましたが、平成二十二年に。平成二十二年に法改正されるまでは、戸籍は捨てられていたんです、八十年たったら。捨てられた戸籍が、既に捨てられたものがある。そうですよね、法務大臣。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、平成二十二年以前には、除籍簿の保存期間は八十年とされておりました。この保存期間を経過した除籍簿については、市区町村において廃棄されたものもあると承知しております。

足立委員 いや、だから、自民党の保守系、保守系って、自民党はみんな保守系かも、違う人もいるかもしれませんが。自民党がもし現行制度にこだわるんだったら、その理由は家族観とか、そういういろいろなものだと思います。そうであれば、戸籍ぐらい、これは永久保存にしたらいいじゃないですか。何でしないんですか。

 もう時間がないのでやめますが、法務省に聞いたら、百五十年を更に延ばす予定は将来もない、こう聞いています。永久保存にしたらいいと私は思います。

 こういう公文書の問題は、きょうこの予算委員会でも、野党の皆さんは、何か足を引っ張るというか、要は安倍政権を倒したい一心で、この辺でちょっといろいろ異論を挟んでおられましたが、問題があるなら、公文書の仕組みを変えましょうよ。

 我々維新の会は、公文書管理法改正案とともに、憲法改正、今、三権、立法府、行政府、司法府、裁判所に加えて、会計検査院がありますが、会計検査院と並ぶように、今は単なる独立行政法人である国立公文書館を憲法機関に格上げをすべきだとか、公文書の基本理念を、法律をつくった上でそれを、憲法にその根本思想を書き込んだらどうか、そういう御提案もしておりますので、ぜひこれ、議論を、もうちょっと時間がないのでこれは提案だけにしておきますが、絶対これは実現しません。だって、野党の皆さんは、きょう、皆様、閣僚の皆様を批判していましたけれども、多分野党は反対ですよ。だって、自分たちも困ることが出てくるから。だから、与党も反対、野党も反対。

 だけれども、これだけ国会で公文書の改ざん、公文書の廃棄を問題にするんだったら、憲法審査会で議論しましょうよ、辻元さん。辻元さん、これぜひ、公文書の問題を憲法審査会で議論する、いいですね。(発言する者あり)ああ、聞いたらだめか。じゃ、呼びかけだけをしておきたいと思います。

 最後、二、三分でございますが、皆さん、私たちは臨時国会から、福島の復興のために、処理水、これを福島の沿岸だけではなくて大阪湾でも受け入れるよということを松井代表が、松井大阪市長がおっしゃいました。ところが、この後、全国の知事さんが追随してこないんですね。

 これは何で追随してこないかというと、この世界地図は政府も認めているんだけれども、この日本地図、既に公開している資料で私たちはこの日本地図をつくりましたが、一月三十一日に公表されたALPS小委の取りまとめ案の中には、世界地図は入っているんですけれども、日本地図は入っていないんですよ。

 それで、経産大臣、私がそれを言ったら、いや、世界地図の中に、日本の場所に日本の総量を書き込みましたと言うんですよ。でも、それで足りませんよ。こういう日本地図を隠しているから、福島の風評が広がるんです。みんなが心配するんです。

 風評被害というのは、福島の漁民の皆様の問題じゃないんですよ。風評というのは、国民全体が理解しないとおさまらないんです。漁民の皆さんはわかっていますよ。わかっていないのは国民です、まだわかっていないのは。

 だから、しっかりとこういうのを、例えば、六ケ所村で排出することになっているトリチウムの濃度は、年間ですよ、福島で今たまっている濃度の十四倍あるんですよ。何で青森で十四倍を出していいのに、福島で一を出したらだめなんですか。おかしいだろうと僕はずっと言い続けているんだけれども。

 大臣、日本地図を出さなかったのは失態だと思いますよ。これからALPS小委の報告書を受けて政府として判断するときに、風評対策というのは何なんだ、風評被害というのは、結局は国民全体の理解を、放射能に関する正しい理解を促すしかないじゃないですか。出しましょう。お願いします。

梶山国務大臣 ALPS小委員会の取りまとめ案におきまして、トリチウムの放出が世界的に広く行われていることを示すために、国内外の原子力施設におけるトリチウムの年間放出量を記載いたしました。

 その際、国内の施設については全ての施設の放出量を幅を持ってお示しした一方、海外の事例には取得可能なデータに限りがあったことから、個別の原子力施設からの放出量をお示ししたものであります。

 委員おっしゃるように、これは海外との比較であるとか現実を知ってもらうことが風評の払拭にもつながると思っておりますので、今後の対策において参考にさせていただきたいと思います。

足立委員 では、最後に、もう時間が来ますので終わりますが、総理、この原子力の問題、私は総理に感謝しているんです。韓国が振りまいているデマに対して数字を挙げて反論してくださったのは、ここにいっぱいいらっしゃるんですけれども、総理一人です。小泉大臣はやらない、経産大臣もやらない、誰もやらないんです。(発言する者あり)あ、やっていただいている、茂木大臣はやっていただいている。では、総理と茂木大臣だけですよ。

 もっと内閣を挙げて、数字を示して、韓国が東京オリンピック・パラリンピックに向けて拡散しているデマにはしっかりと閣僚レベルで、特に小泉大臣、機会があったのにやっていないでしょう。日中韓の閣僚会議でやっていない。やってください。お願いします。

小泉国務大臣 まず、韓国のカウンターパート、大臣と会ったときに反論していないということでありますが、私から先方に申し上げたことを紹介させていただきたいと思います。(足立委員「いや、もう時間がない」と呼ぶ)短くやります。

棚橋委員長 大臣、恐縮です、簡潔にお願いします。

小泉国務大臣 短くですね、はい。

 今まで、在京の大使館、これは韓国の大使館も含めてでありますが、私が昨年十一月に韓国側と会ったときには百四回、説明会を開催していて、きのうも開催したので、百五回開催をしています。

 そして、福島第一原発のタンクに貯蔵されている水は処理されたもので、汚染水ではなく処理水であること、そういったこともお話をしていますし、IAEAからは公衆の安全は確保されているという評価を受けていること、さまざま先方には伝えましたが、きょう足立先生が紹介してくださったことも含めて、今後とも適切な情報発信をやっていきたいと考えております。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、本当は総理にももう一言いただきたかったんですが終わりますが、幾らいろいろなことを言っても、韓国に対しては、君たちは、韓国は、日本の福島の処理水よりももっとたくさんの、総理は言ってくださいました、もっとたくさんのそういう水を、トリチウム水を排出しているんだという事実を突きつけないと意味がないじゃないですか。それを、一番発信力が期待されている小泉大臣がやらなかったことについては、私は大変怒っている。

 総理を見習って、内閣を挙げてやっていただけるようお願いをして、時間が来ていますね。

棚橋委員長 はい、来ております。

足立委員 終わりたいと思います。ありがとうございます。

棚橋委員長 これにて足立君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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