衆議院

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第24号 令和2年5月20日(水曜日)

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令和二年五月二十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君

   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      あかま二郎君    あべ 俊子君

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    石破  茂君

      今枝宗一郎君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君   うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    小野寺五典君

      大野敬太郎君    奥野 信亮君

      鬼木  誠君    河村 建夫君

      笹川 博義君    根本  匠君

      野田  毅君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    三ッ林裕巳君

      村上誠一郎君    山口  壯君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    小川 淳也君

      大西 健介君    岡本 充功君

      川内 博史君    玄葉光一郎君

      後藤 祐一君    高木錬太郎君

      武内 則男君    辻元 清美君

      本多 平直君    馬淵 澄夫君

      前原 誠司君    國重  徹君

      濱村  進君    塩川 鉄也君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      杉本 和巳君

    …………………………………

   参考人

   (新型インフルエンザ等対策有識者会議基本的対処方針等諮問委員会会長)   尾身  茂君

   参考人

   (新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長)  脇田 隆字君

   参考人

   (慶應義塾大学経済学部教授)           竹森 俊平君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     三ッ林裕巳君

  小倉 將信君     鬼木  誠君

  神山 佐市君     池田 道孝君

  原田 義昭君     あかま二郎君

  今井 雅人君     高木錬太郎君

  川内 博史君     武内 則男君

  宮本  徹君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     原田 義昭君

  池田 道孝君     今枝宗一郎君

  鬼木  誠君     大野敬太郎君

  三ッ林裕巳君     秋本 真利君

  高木錬太郎君     今井 雅人君

  武内 則男君     川内 博史君

  塩川 鉄也君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     神山 佐市君

  大野敬太郎君     小倉 將信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 予算の実施状況に関する件(新型コロナウイルス感染症対策)


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件、特に新型コロナウイルス感染症対策について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、新型インフルエンザ等対策有識者会議基本的対処方針等諮問委員会会長尾身茂君、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議座長脇田隆字君、慶應義塾大学経済学部教授竹森俊平君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。参考人各位には、新型コロナウイルス感染症対策において、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 それでは、議事の順序について御説明申し上げます。

 まず最初に、参考人各位から一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。委員の質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。

 なお、念のため申し上げますが、発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず尾身参考人にお願いいたします。

尾身参考人 尾身です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、四つの点について申し上げたいと思います。

 まず一点目でありますが、緊急事態宣言発出の効果についてであります。

 四月上旬には、爆発的感染拡大、いわゆるオーバーシュートの軌道に接近し、都道府県によっては医療崩壊の寸前の地域もございました。しかし、四月七日、緊急事態宣言発出の前後から、市民の皆様の懸命なる努力のおかげで、感染は今のところ確かに収束の方向に向かっていると思います。

 日本は法律的な拘束力を持たず、他国のようなロックダウンもせず爆発的感染拡大を今回一応回避できたのは、極めて困難な状況に対しての市民の努力のたまものだと思います。

 今の感染状況は、東京都を例にとっていえば、三月上旬、中旬の、感染者が急速に増加するその直前のレベルまで戻っていると考えております。

 二番目でありますが、これからどういうことが起きるのかということであります。

 早晩、仮に全都道府県が緊急事態宣言から解除されたとしても、あるいは報告者数のゼロが短期間続いたとしても、見えない感染が続いていると考えるべきだと思います。

 冬の到来を待たず再び感染の拡大が起こることは十分予測されます。社会経済活動を再開した諸外国においては、比較的早期に再度感染拡大した例が既に報告されております。その際は、徐々に感染が拡大するというよりは、クラスター感染が突然顕在化することもあり得ると考えております。

 これからは、社会経済活動を徐々に再開しながら感染拡大防止のための努力を継続することが極めて重要だと思います。

 この三カ月で、日本の我々、多くのことを学んできたと思います。三つだけ挙げます。

 一つ目は、感染のリスクが高く、クラスターが発生しやすい場所、状況がわかってきたことであります。二つ目は、身体的距離、いわゆるフィジカルディスタンスを確保すること、マスクの着用、手洗いの実践など、基本的な感染対策が感染防止に有効であること。三つ目、高齢者施設や病院がクラスターとなっている例が多く、引き続きこうした場所での徹底した感染対策が重要であること。

 こうした点を十分注意しながら社会経済活動を徐々に再開していくという、いわゆるめり張りのついた対策が求められると思います。

 三番目でありますが、各都道府県の知事の皆様にお願いしたいことであります。

 感染状況、医療の供給体制、検査の体制などのさまざまな指標を、時には国の支援を得ながら、定期的に評価していただき、感染拡大の兆候があれば、速やかな対策をとっていただければと思います。

 また、感染拡大に備えて、医療提供体制や検査体制の強化、発熱外来のさらなる増設、保健所体制の強化など、今までに変わりなく、強いリーダーシップをとっていただければと思います。

 最後に、国にお願いしたいことであります。

 医療機関、保健所、自治体の皆さんは、極めて困難な状況の中、日々懸命な努力を続けていただいております。国としては、地方自治体を尊重しつつも、今まで以上にこうした現場に対して支援をしていただければと思います。

 具体的な例を挙げれば、一般医療機関への感染防御具の供給を始めとして、各都道府県への技術的、財政的支援をぜひお願いしたいと思います。

 また、迅速抗原検査については、その精度の評価及びPCR検査との役割分担などについて、さらなる検討をお願いしたいと思います。抗体検査についても、しっかりとした精度管理を行った上で実行していただきたいと思います。

 市民が期待する治療薬やワクチンについては、安全性、有効性に関する適切な審査を行っていただきたいと思います。

 国内が収束方向に向かったとしても、感染が地球規模で収束しない限り、ウイルスの国内流入のリスクが続きます。したがって、特に医療資源の乏しい国に対して、技術的、経済的支援もお願いできればと思います。

 最後に、これまで日本がとってきた政策について、諸外国から誤解を受けることがないよう、しっかりとした御説明をお願いいたします。

 以上であります。ありがとうございました。(拍手)

棚橋委員長 尾身参考人、ありがとうございました。

 次に、脇田参考人にお願いいたします。

脇田参考人 まず、このような機会をいただきまして、委員の皆様、関係者の皆様に感謝いたしたいと思います。

 我が国におきましては、一月から二月にかけての中国武漢市及び湖北省を中心とした地域からの感染の流入により、第一波と申します流行がありました。さらに、三月以降、欧米からのその十倍以上の規模の流入による第二波の流行がございました。

 我々は、二月七日に、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードとして厚生労働省に設置をされました。その際には、クルーズ船内における新型コロナウイルス感染対策及び国内の感染対策について議論いたしました。また、二月二十日には、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議として設置されまして、構成員は、感染症学、ウイルス学、公衆衛生学、疫学、社会医学などの専門家で構成され、必要に応じて、座長の求めによって、そのほかの専門家にも出席を要請してまいりました。

 そして、二月二十四日からは、我々から、状況を分析し、見解として発出をし、さらに、その後、分析及び提言という形でその都度発出をしてきたところでございます。

 我々に求められますのは専門家としての分析及び評価でございますので、まず第一に申し上げたいのは、厚生労働省内のクラスター対策班とは密接に連携をして分析をしてまいりました。そのサーベイランスデータからは、この新型コロナウイルス感染症の感染者の八割が他人には感染をさせないという事実、そして、残り二割の多くの部分が、密閉された環境で密集、密接することにより多数に感染をするクラスター感染を起こすことが明らかとなりました。つまり、そのクラスターの連鎖を防ぐことにより感染の拡大を防止できるという対策の道筋が明らかになったわけでございます。

 ところが、三月中旬以降、第二波の流行が拡大いたしまして、リンクの追えない新規感染者が増加をいたしました。四月七日になりまして、緊急事態宣言が政府から発出され、新型コロナウイルス感染症の流行対策としての外出自粛要請が行われました。その間、営業自粛や休業要請が行われ、その途上では、自粛の要請で大丈夫なのか、ロックダウンは要らないのかというような声もいただきました。また、医療現場は三月後半から非常に疲弊をしていったという声も聞かれてきましたが、現場のスタッフの皆様の毎日の努力と行動のたまもので何とか経過できたというふうに考えております。

 さて、幸い、流行は収束の傾向にありますが、この今回の流行における緊急事態宣言の効果につきましては、今後更に解析をして、今後の流行の対策にどう生かせるかということを我々としては評価をしてまいりたいと考えております。

 今後は、最終的にはワクチンの開発まで、長丁場の対応が必要になってくると思います。政府及び国会の皆様にも強いリーダーシップを持って対策に向かっていただければというふうに考えております。

 最後に、新型コロナウイルス感染の被害に遭われた皆様の一日も早い御回復を祈りますとともに、不幸にも命を落とされた皆様には心より御冥福を申し上げて、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

棚橋委員長 脇田参考人、ありがとうございました。

 次に、竹森参考人にお願いいたします。

竹森参考人 私は医療の専門ではないので、ちょっと自己紹介なんですが、今までずっと研究してきたのは金融危機とか経済危機であります。

 今まで、経済危機あるいは金融危機で、パンデミックが原因で起こったのがあるのかと考えてみたんですが、浅学にして私は知らない。

 一九一八年から一九二〇年のいわゆるスペイン風邪、スペイン・インフルエンザですね、これは規模からすれば非常に大きかったんですが、ちょうど第一次世界大戦の末期にぶつかっていたので、それが一種の景気対策みたいになって、不況という話は聞いていない。

 そのかわり、それはアメリカ軍がヨーロッパで大々的に展開される期間で、船の中にすし詰めになる、ざんごうの中にすし詰めになる、テントの中にすし詰めになる、病院ですし詰めになるというようなことがあったために、二千万人以上、五千万人ぐらいかと言われるような死者が出たという非常に悲惨な出来事でした。

 したがって、こういう前例のない中で今回の危機をどう考えるかというのは重要な点なんですが、西村大臣から、ウイルス対策の諮問委員会と経済財政諮問委員会の橋渡しを期待されているというふうには聞いております。

 私の視点からしますと、これからの経済対策を考える上に、ウイルス問題の現状と医療体制について知ることが非常に重要であります。

 よく、今、経済対策がされているものについて、景気刺激策という表現がされることがありますが、私はこれは誤っていると思います。

 景気というのは、渋谷とか新宿とか、盛り場の人の動きを見れば景気は大体つかめるんですが、今は、その渋谷、新宿の人出が、人の動きが少ないように行動しているときで、政府がそういう政策をとっているときで、ここで景気を刺激するというのは非常に難しいということです。今の対策は基本的に困っている人を助ける対策と考えたらいいと思うんです。

 アメリカの連銀のパウエル議長は、ワクチンが完成するのが来年の秋だから、本格景気回復は来年の秋だろうというふうに言いましたが、ざっくり言うならば、それが正しいのではないかと思っております。ただ、それよりもましな状態をつくるためには、医療関係者の方と、尾身先生や何かと相談して、いいアイデアが浮かんで、少しずつでもよくしていくことが必要なので、そういう意味では二人三脚が必要だと思います。

 医療関係者の方を前にして大変失礼ですが、私などは経済の観点から、何で社会的隔離という、ソーシャルディスタンシング、私は社会的隔離と呼んでいるんですが、なぜ必要かを考えてみました。

 SARSの場合は、この人が感染しているというのが、症状がざっくり出て、すぐわかるわけですね。それは隔離できる。ところが、今回の場合、潜伏期間あるいは発症初期の方からも感染が起こるということがわかっていて、発症初期あるいは潜伏期の人を一般の人から見分けるのが大変だということになるわけですね。そうであるならば、その人たちをのけられないなら、社会全体のコンタクトを避けなきゃいけないということでこの社会的隔離が続いているわけであります。

 よく経済界からも、私も一時は、もっとPCRをやれば、要するに、感染している人がわかって、全体のアクティビティーを下げなくてもいいのではないかと思ったことがあるんですが、これは実施上の問題がありまして、今一番やっている国は恐らくドイツだと思いますが、ドイツは一日十万人体制をつくりました。でも、考えていただきますと、一日十万人で、三百六十日だと三千六百万人ですよね。ドイツの人口は八千三百万人ですから、全部、一わたり検査をするのに二年以上かかる。二年の間にまた感染が起こっちゃったら最初からもう一度やらなきゃいけないので、これは実際上、全員を検査するというのは無理だろう。半分だけ検査すればいいじゃないか、では、残りの半分はどうするんだ。彼らを自由にさせたら感染が起こるわけです。

 よく言われている精度の問題もそうで、半分は間違っている検査で、その半分の人が出回ればやはり問題は起こるわけですよね。私は、昔は、東大のテストだって、頭のいいやつだけ本当にとっているかわからないんだからなんてことを言っておりましたが、感染という問題があるために、その精度ということが非常に重要になるわけであります。

 今、どういうやり方をされたか私なりに考えてみますと、症状が出ていない人の中で感染者と濃厚接触があった人、これは、その経路を追跡して見つけられる。そこをまず外すわけであります。それで、外し切れなかったらどうするかというと、今のソーシャルディスタンスというのをとって感染数を減らす。そうすると、潜伏期の人がだんだん有症期に入りますから、それでわかるから、そこを検査して、そこを外していくという形でどんどん数を減らしていけばいいという作戦をとられたんだと思います。この成果は出ているわけで、今、尾身先生がおっしゃったような成果が出ているということは確かだと思います。

 その成果について、誰が一番プラスだったか。もちろん医療関係者の努力もありますが、やはり一般国民の自粛努力というのが大きかったんだと思います。私は外から見ていて、こんな程度の緩い隔離で大丈夫なのかと思って、どうせなら、電車を全部とめて、バスも全部とめなきゃ人間のコンタクトは終わらないんじゃないかと思ったわけですが、しかし、フランスがやっているような一日一時間しか出てはいけないとか、中国がやっているように、外出許可証をとらないと表に出られないとかいうこともせずにここまで下げられたというのは、自粛を日本人はやったということなんですね。

 この社会的隔離というのは感染病に対する歴史の古いやり方であって、一九七六年にザイールでエボラ熱の第一次感染が出たときも、ザイール人の医師が村を訪問して、伝統のしきたりに従ってくださいと言ったら、アフリカでもこういう感染の歴史はあるわけですね、みんなそれに従って自粛をしたということを聞いております。

 そういう人間とウイルスとの戦いは長い長い歴史を持っているんですが、これまでのところ我々は勝っている。勝っているというのは、自分たちを守るため、自分たちのグループ、社会を守るための本能的な行動と私は思っているんですが、それができることだということだと思います。

 今後であります。パウエル議長は、これから、来年の秋、ワクチンができるまではなかなか安定しないのではないかと。

 先ほど申しましたように、ここから先は医療関係者との二人三脚が必要だと思います。それプラス、これからだんだん、技術、デジタル技術というのは今回非常に教育とかリモートワークとかで活躍しておりますけれども、それで接触についてのトラッキングをするようなアプリを導入する。これはもう厚労省が進めていらっしゃるようですけれども、それで問題があったら、今のところ、本人に、あなたは接触しましたというシグナルしか行かない。ただ、その人が同意して、私はこういう人間で、私のところに警告が来ましたということを保健所に通知するというようなことはできるみたいなので、そういうことについて協力をお願いして、できるだけ早く行動をとれるように政府がすることが大事だと思っています。

 あと、首都圏であります。首都圏が今本当に解除できるかどうかの一番瀬戸際に立たされておりますが、なぜ首都圏で病床数が足りないようなことがあったのか、これは徹底して調べるべきだと思います。まず、これについて諮問会議の方では、広域の、つまり首都圏全体の連携をして、病床、医療器具、それから検査について協力をしていったらどうかということであります。

 一つ私は紹介したい言葉がありまして、これは十八世紀のスコットランドの哲学者トマス・リードという人の言葉なので、よく引用されるんです、この危機の際に。鎖の強度、鎖の強さは、一番もろい箇所の強さに等しい。なぜなら、その一番もろい箇所が壊れたら、鎖全体がばらばらに崩壊するからだという言葉があります。

 私は今回の危機で本当にこれを感じておりまして、今、日本国内の中でも大変困っている方がいらっしゃる。大変困っている労働者があり、企業があり、家主があり、たな子がありですよね。政府の政策は、そういう困っている人たちをともかく救って、その社会の一番脆弱な部分が壊れてばらばらにならないようにするということに向けられるべきだと思います。

 困っているということでは、教育も困っていて、今回非常にデジタルが活躍しておりますけれども、デジタルが行き渡っていないところがありますので、そこに対する強化を図る必要があります。

 それから、先ほど尾身先生もおっしゃいましたけれども、国際協力というのにかかわって、そもそも、これから国境をもう一度どうやって開くことができるかという問題です。

 それは、一つは、日本人が外国に行けるかどうかということがあります。国によってはPCR検査を入国のための必要条件としているところもあるので、それについて考える必要がありますが、同時に、外国の人が来て、尾身先生もおっしゃいましたように、もう一度感染の爆発が起こらないようにするにはどういう安全条件が必要なのか。国と国の間の中でも一番もろい箇所から今ぼろぼろになりかけているので、ここを修復することが必要ではないかと思っているわけです。

 これからやることはたくさんありますが、ともかく医療関係者の方と二人三脚して政府も政策を進めていきたいと思います。

 長くなりました。失礼いたします。(拍手)

棚橋委員長 竹森参考人、ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三ッ林裕巳君。

三ッ林委員 自由民主党の三ッ林裕巳です。

 本日は、三人の参考人の先生方には、大変な状況にある中で、貴重な御意見を賜りまして、心から感謝を申し上げます。

 また、新型コロナウイルス感染症対策ということで、先生方がそれぞれのお立場において全力で取り組まれておられることに心から敬意を表する次第でございます。

 また、今回の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々と御遺族に対して、深く哀悼の意を表するとともに、心からお見舞いを申し上げます。

 政府は、新型コロナウイルス感染症への対策は危機管理上重大な課題であるとの認識のもと、国民の命を守るため、これまで、水際での対策、蔓延防止、医療の提供等について総力を挙げて講じてまいりました。

 国民の命を守るためには、感染者数を抑えること及び医療提供体制や社会機能を維持することが大変重要であります。その上で、まずは外出の自粛、三つの密を徹底的に避ける、人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いなどの手指衛生などの基本的な感染対策を行うことを国民の皆様の協力を得て推進し、さらに、積極的な疫学調査等によりクラスターの発生を抑え、また、医療従事者の献身的な御努力によっていわゆるオーバーシュートと呼ばれる爆発的な感染拡大の発生を防止してきました。このことは、感染者、重症者及び死亡者の発生を最小限に食いとめるために大変重要であり、一定の成果を上げてきたと考えています。

 しかしながら、経済の対象は大きく、五月四日に専門者会議の提言で、長期的な対策の継続が市民生活や経済社会に与える影響という観点からの検討を行う体制整備を進めるべきとされました。

 先生方には、それぞれのお立場で、新たな日常の構築に向けてどのような社会を目指すべきか、国民の皆様へわかりやすいメッセージとして御意見を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

尾身参考人 お答え申し上げます。

 今、三ッ林先生の、これからどう長丁場を乗り切るということでありますけれども、冒頭申し上げましたように、実は、緊急事態宣言を出してからの一カ月ちょっとは、かなり大がかりな国民への自粛等々を国が要請したわけですよね。

 ただ、これからは、そうしたレベルでなくて、もう少し、私はめり張りのついたというふうに申し上げましたけれども、実は、感染拡大のいわゆる、言葉は、牽引車といいますか、ドライビングフォースになるのが今回だんだん明らかになってきたんですよね。そういうところを何とか、一人一人の感染を防ぐことも重要ですけれども、感染が爆発的に感染するのはそういうクラスターを中心にやるということがわかってきたので、院内感染もそうですけれども、こういうものを中心にやるということが重要で、そうした中で経済活動を再開する。

 ただ、経済活動を再開する、私は経済の専門家ではありませんけれども、いろいろな方が大変な苦しみを味わっているというのを私自身も一応は知っていますが、それを一度に、すぐに、突然、急激に解除すると、必ずと言っていいほど感染がまた再燃するということがありますので、解除して経済活動を再開するのには、徐々に、少しずつ、様子を見ながらという慎重な態度でやって、そのうちにバランスをとる。

 しかし、そこでうまく小さな山で抑えられることを願いますけれども、どうしてもまた感染が急激に拡大する、しかもそれがじわじわではなく突然来ることがかなり考えられますので、そのときには、また緊急事態宣言を出すなんということの前に、各都道府県がしっかりとそこに至る前に早く抑えてまた小さな山にするということが、そういう意味では、本当に今、我々、オール・ジャパンの努力がこれから必要になるんだと思います。

脇田参考人 私の考えを述べさせていただきたいと思います。

 今、尾身先生がおっしゃいましたように、新たな日常におきましては、当然のことながら、基本的な感染対策というものが非常に重要になりますし、その中には、フィジカルディスタンス、距離をとるということが最も重要になるわけですけれども、これはいわば、先ほど竹森先生もおっしゃいましたけれども、十九世紀の感染症対策ということになりますので、我々はもう少し近代的な対策をこれから構築していくべきだというふうに専門家会議でも考えております。

 その中には、もちろん、新しい検査法であったり、新しい治療法であったり、そしてワクチンの開発ということになりますので、そういった技術革新の面で我々はもっともっと貢献をしていきたいというふうに考えております。

 ですから、この感染症にかかったとしても、治療をすればきちんと治るということがわかれば、我々は余り恐れることなく行動もできるということになりますし、予防法が確立すれば当然もとの生活にも戻れるということになりますので、早くそういった新たな対策というものを構築していきたいと考えています。

 一方で、院内感染とか施設内感染、それからクラスター感染症というものが、仕組みが大分わかってまいりましたので、そういった対策については、早目早目に対策を持てるような方法を既に構築をしているところであります。

 一方で、学校につきましては、これまで休校が長らく続いておりまして、これは世界的にも同じなんですけれども、まだ余り知見が多くないということでございます。

 ですので、学校におきましては、徐々に、やはりこれも少しずつ、段階的に再開をしていって、それで、もちろん子供たちがこの感染症の、先ほど尾身先生はドライビングフォースと言われましたけれども、インフルエンザと違いまして、そこから感染が広がっていくという事実は今のところありません。ですけれども、学校において集団感染が起きるというようなことをいかにして避けていくかということがこれから課題になってくるというふうに考えております。

竹森参考人 医療面のことは今先生がおっしゃってくれましたので、私はちょっとそれ以外のことを考えてみたいんですが、やはり大きなテーマを政策的にも考えていくことが必要であろうと思うんですね。

 今、ヨーロッパでは、マクロン大統領とか、環境についての本腰を入れた政策をやるべきではないかということを言っていて、こんなウイルス問題で大変で、それにお金を使っていて、環境に使うお金があるのかとか、あるいは、ガソリンの値段がこんなに下がっているときに自然エネルギーもないだろうというような声があるかもしれないけれども、一つは、例えばイタリアのミラノという都市は非常に死亡率が高かったんですね。そこの市から、恐らく大気汚染がミラノはずっと指摘されていて、肺が傷んでいる国民は死亡率が高かったのではないかという、そういう情報を自分から出しているわけですね。

 それともう一つは、さすがにヨーロッパも今は空はきれいでCO2は少ないんですが、それでもパリ会議で約束した経路にはまだ届いていないということがあって、これだけ景気、経済を落としてもその経路に乗らないならば、根本的な技術革新が必要ではないかという、そういう提案をしているわけです。

 科学技術というのがポイントですけれども、私は、今回のように全国民が科学技術、特に医療技術の専門家の声に耳を傾けたことは余りないのではないかと思います。

 今のヒーローというのは、弁護士ではなくて、医学専門家でありますから、こういうことを将来目指していくべきだという、そういう子供がたくさん出てきて、何とか自分たちも世の中に役に立ちたいという人が出てきて、学問に対して、特に自然科学の学問に対して真剣に取り組むような、そういうポジティブな展開があるといいだろうと思っております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 国、また専門家の先生方、そして事業者、そして病院、国民の皆様、本当に総力を挙げて一つの方向に向かってこの国難を克服していかなければならない、そういったことを感じたわけでございます。

 尾身先生にお伺いしたいんですが、先ほど財政支援のことのお話がございました。私も医師でありますけれども、入院が必要な患者がいても、新型コロナウイルス感染症を受け入れていただいている病院では、空床があっても、病棟全てコロナ対策として対応しているため、病院としては受入れが可能な患者数が激減しております。

 全国医学部長病院長会議の報告では、四月の診療実績が一年間続くようだと大学病院全体で五千億近い減収になると推計しています。診療所においても、同じように、調査では、一千の診療所のうち九四%の外来患者が減少しているという報告もあります。

 新型コロナ感染を恐れ、通常の生活習慣病の受診、また歯科診療所の受診、こういった方々が激減しております。受診を控える動きが続くと、必要な医療を提供できず、重症化を招きかねません。医療機関の閉鎖や縮小という悪循環に陥るリスクがあります。

 国民皆保険制度をしっかりと維持し、医療崩壊を食いとめるためには、この危機は何としても乗り越えていかねばなりません。そのためには、これからの二次補正、十分な予算措置が必要と思いますけれども、地域医療機能推進機構理事長としての尾身先生に、今後の地域医療体制を守る、そういった観点から御示唆いただけることがあればお願いしたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 私、たまたま、先生おっしゃるように、JCHOという組織の理事をしておりました。先日、四月の決算の報告が組織内でありましたけれども、四月はもう去年に比べると圧倒的に、五十七の病院がございますが、PL上、黒字を出したのは一病院だけです。これは、私はたまたま今、私の仕事上そのことを知っているだけで、恐らく、先生おっしゃるように、感染症指定病院だけじゃなくて、一般病院あるいは診療所の方も患者さんが行かない。

 それから、特に病院の方は、コロナ患者さんを受け入れるためにベッドをあけているわけですよね。普通は、ふだんのときには、病床数を上げるということで診療報酬を何とかするというのが医療の運営上のイロハ、ABCですけれども、そういう意味では、今回、そういうことですので、このことがそのまま行くと、感染症による医療崩壊というよりも、財政的な医療崩壊が起きてしまう可能性があるので、ぜひ政府にはそういう財政的な支援をお願いできればと思います。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 脇田先生に、もう時間も限られていますので、質問させていただきます。

 現在、PCRの検査能力ですけれども、一日当たり約二万二千件に向上しております。加えて、世界に先駆けて抗原検査、一日当たり約二万六千件を導入する予定でありますし、今後、PCR検査と抗原検査の最適な組合せによる迅速かつ効率的な検査体制の構築を進めていくという政府の方針でございます。各種検査を適切に実施する体制を地域で整備し、発症から診断までの期間を短縮していく必要があります。

 そこで、先生にお伺いいたしますが、どの程度の能力がこの国に必要であるのかどうか、その点、御示唆いただければと思います。よろしくお願いします。また、抗体検査についてもお願いいたします。

脇田参考人 お答えいたします。

 現在、PCR検査二万二千件、そして抗原検査が導入されまして、こちらは私は一週間に二十万キットが導入されるというふうに伺っております。さらに、抗体の検査につきましても、大規模な調査が今後始まっていくというふうに理解をしております。

 全て一つのキットで診断をするというのは非常に危険性があるということになります。これは感染症の診断においては当然なんですけれども、PCRにつきましても長所と短所があって、抗原検査についてももちろんそのようになります。

 ですから、抗原検査の利点といいますのは、非常に短時間で診断ができるということですから、患者さんが検査のところにいらっしゃって、その場で検査ができる。これはインフルエンザの迅速診断と同じになります。ですから、その方がすぐに診断をされて、もし陽性であれば入院をされるということになります。

 一方で、感度がPCR検査ほど高くありませんので、陰性になった場合でも、その方が必ずしも新型コロナに感染していないという証明にはなりませんので、PCR検査を実施するということになろうかと思います。

 もう一つ、抗原検査のよろしいところ、利点といいますと、やはり感度がPCRよりは低いわけですけれども、どうやらウイルス量が多い人が検出されますので、感染性が強い人が検出できるということになりますので、そういった方は早く診断をされて病院に入院していただく。それから、濃厚接触者の調査におきましても、より感染性の高い方が早期に隔離ができる。これは院内感染のときでも同じです。ですから、そういったところの使い分けをしていくということになろうかと思います。

 抗体検査ですけれども、現在、抗体の調査が進んでいますけれども、やはり一番問題なのは特異度の問題になります。抗体検査というのは、完全な、一〇〇%、抗体が出たら、それが以前に感染をしたということを証明することにはならないわけですね。どうしても偽陽性の問題というのが出てきますので、特異度が、よくても九九・八%ということになりますと、千人やると二人は偽陽性が出てしまうというところですので、その点を非常に注意して見ていく必要があるというふうに考えております。

 以上です。

三ッ林委員 参考人の皆様、ありがとうございました。

 先生方の御意見をしっかりと受けとめ、私も全力で頑張ってまいります。ありがとうございました。

 終わります。

棚橋委員長 これにて三ッ林君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 国民民主党の渡辺でございます。

 立国社の会派を代表して、参考人の先生方にお尋ねをいたします。

 きょうは、改めまして、それぞれのお立場で、御多忙の中をこういう形で我々の疑問に答えていただくこの時間を、本当に先生に心から敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございます。また、日々の御活躍に対しまして、国民を代表して感謝を申し上げます。

 早速伺いたいと思います。まず、尾身参考人に対してでございます。

 総理が五月中に承認を目指すと言っていた治療薬アビガンについて、けさの報道では、明確な有効性が示されていない、十分な科学的根拠がまだ得られていないというような報道がございました。

 一昨日、十八日には日本医師会が、アビガンの名前は挙げておりませんけれども、科学を軽視した判断は最終的に国民の健康にとって害悪だというような提言をされまして、拙速な特例承認、特例承認というのは臨床検査の結果の提出を後回しにして特例で認めるということでございますけれども、このような意見も出されております。

 アビガンについては、妊婦が服用すると副作用があるということも指摘をされて、大変慎重な扱いが言われておりますけれども、この報道をもし御存じでしたら、どのような御見解を持っていらっしゃるか。

 つまり、新薬の開発というのはなかなか時間がかかる、であるならば、既存の薬の転用をした方がスピードが速いのではないかということでございます。それぞれが取り組まれているわけでございますが、インフルエンザの治療薬であるアビガンの転用について、今、このような報道をされているんですけれども、やはり国民の皆さんが、なぜあるのに使わないんだ、なぜ他国には臨床で出すことができて国内ではなかなか使われないのかという意見もあります。

 この点について、先生の御見解がございましたら、ぜひ伺いたいと思います。

尾身参考人 お答えします。

 渡辺先生の今の御質問の、きょうの総理の発言については……(渡辺(周)委員「というか、けさの報道で」と呼ぶ)そのことは、正直申しまして、きょう、いろいろなことがありまして、準備で、まだ見ておりません。

 その上で申し上げると、今まだ完全に承認されていないけれども、この危機的状況の中で、いわゆるコンパッショネートユースということで言われて、なるべく早く承認をしてということですけれども、当然その際には臨床治験というのが、観察研究もあるし、それのデータで、安全で一定程度、一〇〇%安全で一〇〇%有効な薬というのはないかもしれませんけれども、そういう意味では、しっかりとした評価をした上でなるべく早く使うというのが私は原則だと思います。

渡辺(周)委員 先ほど冒頭の御発言の中で、治療薬、ワクチンの安全性の審査についてはしっかりとお願いしたいというようなことを、最後の四番目の、政府への御提言としておっしゃいました。

 今度はちょっとワクチンについても伺いたいのですけれども、今、WHOでは百十八の計画が進行中とリストを公表した。その中で、有効性というと、我々、余り医学的な知識のない人間にしてみますと、何か既に、もういつでも実用化できるんじゃないかと考えてしまうんですけれども、これは例えば、動物実験、マウスの実験では有効性を確認されたものがある、この後は、動物実験の後には、人への有効性と安全性のために、次は、たくさんのボランティアの方々、要は、臨床試験の対象になる方にお願いをして、そのデータを集めていくんだということで、そういう手続なんですが、例えば事務的な承認に時間がかかるというのは、これは私たちは短縮しなきゃいけないと思いますけれども、ただ、いわゆる臨床試験については、相当なデータの数と慎重な、やはり時間が必要だと思います。

 そこで伺いたいのですけれども、先ほどお話も出ましたアメリカのパウエル氏も、ワクチンができないとなかなか経済の再生にはならないんだというようなこともおっしゃっていますけれども、尾身先生、ワクチンが、本当に最短ででもどれぐらいの時間がかかると。

 つまり、我々は、ワクチンができるまでの、ある意味、脇田先生も先ほどおっしゃったような、時間稼ぎをしているわけですね。その間、我々我慢をするわけですけれども、そのゴールであるワクチンというのはいつ実用化されるかということについて、ぜひそこについては、このぐらいをめどだと。言われているのは、二〇二一年の終わりぐらいだ、つまり来年の終わりぐらいだというような意見もございますけれども、その点については、尾身先生あるいは脇田先生に伺いたいのは、ワクチンができるということについて、あるいは治療薬についてはどうでしょうか。ぜひその点について御見解を伺いたいと思います。

尾身参考人 お答えします。

 いつワクチンが実用化されるかということですけれども、私はワクチンの専門家でないので、公衆衛生全般のあれですが、実はワクチンも治療薬も、これは先生御存じだと当然思いますが、実はもう今、企業あるいは研究者がしのぎを削って、研究開発には物すごく強いインセンティブが働いているので、これは研究者あるいは企業を含めて、夜に日を継いで、日本の研究者もやっていますけれども、やっているので、いわゆるサイエンスのレベルではもう急速なスピードでやっていると思います。

 しかし、今先生がおっしゃったように、実は、これが開発、実際に実験室でやれても、実際の臨床試験がフェーズを通っていかなくて、しっかりと有効性をやるには少し時間がかかって、どんなに早くても、この一、二カ月にできるということはなかなか、実用化ですね、それは神のみぞ知るで、なかなかそこについては私は、残念ながら、正確に先生の御質問にいつということは答えることはできないと思いますが、少し時間がかかるということは確かじゃないかと私自身は考えております。

脇田参考人 私の考えを述べさせていただきたいと思います。

 やはり、ワクチンに関しましては、治療薬に比べたら時間がかかるということは、これは明らかであります。

 当然のことながら、ワクチンは健康な方に投与するものでありますから、これは有効性だけではなくて安全性が非常に重要ということになります。副反応が起きれば当然そのワクチンは使えないということになってしまいますので、フェーズ1から始まります臨床治験、これをしっかりやってその安全性を確認するということが重要ですので、やはりどうしても時間がかかるということになります。

 一方で、海外の情報を聞いておりますと、もう既にフェーズ1がスタートして安全性を確認しているということですので、日本と海外とどちらが先にゴールにたどり着けるかというのはわかりませんけれども、やはり年を越えるということになろうかというふうには思っておりますけれども、その先が、どの程度で開発が可能になるかということは、なかなか今の現時点ではお答えするのは難しいかなというふうに思います。

 一方で、治療薬の方ですけれども、こちらは既存の承認薬を使った有効性の確認というのが今行われているということになります。それぞれの薬で有効性、どこに作用するかというのが違いますから、それを臨床に使って確認をしているという作業が今、観察研究あるいは臨床治験という形でされています。その中で有効なものが出てくれば当然承認をされていくんだろうと思いますけれども、一方で、最近の研究によりますと、投与の仕方というのも非常に重要であろうというような知見も出てきていますので、やはり早期診断して早期治療をするということがこれから重要になるというふうに考えております。

渡辺(周)委員 ありがとうございます。

 ちょっと続けて脇田参考人にお伺いをしたいんですけれども、今も御答弁いただきましたように、ワクチンと、そしてあわせて治療薬を早急に開発をしなければならない。そこがゴールだとすれば、そこに向かって、今はとにかく感染拡大を防ぐ。いわば、なかなか、火事で例えれば、発生元の火災を抑える薬はまだできていないけれども、火が延焼する、そしてそこにいる人たちが延焼しないように、あるいは火の粉をかぶらないように、万が一火の粉をかぶったときには治療薬でやけどを治すことができるというものを今急いでいる。しかし、ただ、残念ながらそうならないために、今我慢の生活をしているわけであります。

 そこで、先般発表されました新しい生活様式についてお伺いを、もう時間もありませんのでちょっと結論だけ伺いますが、この生活様式というのは、これは途中で見直しはあるのでしょうか。

 もし見直す場合は、生活様式の見直しですね、これはやはり、今いろいろと皆さん方が関心を持たれているように、例えば、料理に集中しておしゃべりは控え目にとか、あるいは、通販も利用して、キャッシュレスも利用しましょうと。そうすると、対面商売だとか現金商売の方々というのは正直言ってなかなか転換できませんから、これはもう犠牲になるかもしれない。そして、箸の上げおろしまで、こんな細かくやらなきゃ、神経質にやらなきゃいけないのか、本当に受け入れられるのかというやはり戸惑いも相当広がっています。

 その中で、この新たな生活様式を見直していくということについてはどうでしょうか、例えばこうなったらなると。例えて言えば、例えば感染者ゼロが一週間続いたとか、あるいは重症患者がゼロになったとか、何かやはりめどがあればこの生活様式は見直していきます、あるいは逐次変えていきますというようなお考えはありますでしょうか。

脇田参考人 お答えいたします。

 新しい生活様式というものは、これはいわば目安のような形でお示しをさせていただきました。

 それで、感染防止につきましては、やはり基本的な感染対策ということが重要というふうに考えております。それはもちろん、フィジカルディスタンスでありますし、手指衛生でありますし、それからマスクを着用するというようなことが非常に重要なポイントになろうかと思います。

 具体的にさまざまな形でお示しさせていただきましたけれども、もちろん、御指摘があればそれは改定をしていくということになりますけれども、ただ、感染者ゼロが一週間続いたからそれを変えていくということではなくて、流行の状況を見ながら、一週間で判断できるというものではないわけですね、今回。ですから、そういった感染の状況をしっかりと見ながらそちらについては検討していくということだと思います。

渡辺(周)委員 先ほど竹森参考人の方からは国民の自粛能力の高さというような言及がございました。いろいろみんな文句を言いながらも、不自由な生活をしながらも、まさに自粛をしてきたわけでございますし、その成果がやはりあらわれている。

 ただ、やはりもうそろそろ、ここまで来ますと、つまり、緊急事態宣言は緩和されても、慢性事態宣言とでもいいましょうか、しばらくこの事態宣言の中で生きていかなきゃいけない。そうしますと、国の健康診断、国としてこうなってきたら、改善されてきたから、一種の国の健康診断のやはり数字が欲しいわけですよね。

 その点について、やはりできるだけこの生活様式、これを見直していくことについては、ぜひ果敢に、機敏に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 長期戦も覚悟というようなお話がありますけれども、野球で例えて、一回の表裏が今まだ終わったぐらいですと言う有識者の方もいらっしゃいます。そうすると、まだ九回まで相当あるなと。

 本当に、やはり大事なことは、今を我慢しているのはもう精神論で、一丸となってとか、みんなで助け合ってといっても、どうするためにというやはりゴールが見えませんと、ただ精神論だけではそろそろ横紙破りも出てくるんじゃないかというようなこともあります。また、それを戒める人たちが出てきて、非常に社会がぎくしゃくしてしまうということになると思いますので、その点については、生活様式の見直しについては、社会のアンテナを張りながら、ぜひ指示を出していただける、提言をしていただけるようなことをお願いしたいと思います。

 さて、そこで最後、ちょっとざくっと伺いたいんですけれども、安全宣言ですね。

 先ほどちょっと尾身先生は収束に向かっているというようなことを冒頭おっしゃいましたけれども、これは緊急事態宣言のいわゆる解除でもあるけれども、しかし、さっき申したように、慢性の事態宣言の状況は続いている。それで、だんだんだんだん緩和されていく。しかし、これは安全宣言が出るのはどういうときでしょうか。それをぜひ教えていただきたい。

 そしてもう一つは、竹森参考人に伺いたいのは、経済の専門家として伺いたいんですけれども、それまでの間、インバウンドも大変今厳しい、そして消費も厳しい。先般出たGDPの速報値では、一月―三月、相当厳しい数字が出ました。そして、あわせて、これはマイナス三・四%、輸出の不振は顕著、サービス輸出として計上するインバウンドは半減したという中で、日本経済と世界経済の回復というのは相当先だろうとなると、それまでの間、日本の国はどのような形で内需を牽引していくかということについては、経済学者の先生としてどのような御見解をお持ちか。

 ぜひ、済みません、ちょっとばらばらの質問になりましたけれども、時間の関係でまとめて、あわせて質問しますけれども、お答えいただけますでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 私は、いつ何どきということは言えないと思いますが、どういう状況かというのは、イメージとしては三つ。

 まず一つは、感染者、感染の状況ですね。やはり、安全と言うためには、地域の感染がかなりなくなっているということが一つ。それから、外国からの輸入ということに際してある程度対処ができるということ。それから、検査体制がしっかりしていないと、ゼロというのが本当にゼロかどうか言えませんよね、そのこと。

 それからあと、先ほど脇田先生もちょっとおっしゃっていましたけれども、私は、ワクチンができる前でも、今の新しい治療薬、あるいは抗原のキット、こういうものが出てくると、今までとは違う、一般の人のこの病気に対する不安感が物すごく、私どもみんなそうですけれども、強いですよね、そういうものが少しなくなって、あとは経済活動もある程度落ちついてきて、先の見通しが、先ほど竹森先生も、医療の面だけではなくて社会経済的にもある程度見通しが立つというとき、しかも、外国からのあれも、イントロダクションといいますかね、こういうこともある程度防げるという状況が、安全ということにだんだんと近くなってくるのではないかと思います。

竹森参考人 まず、経済ですけれども、私は、今インバウンドという話がありましたが、その前に、観光というのは物すごく今打撃を受けていますよね。政府は、それに対して、クーポンを出すとかいろいろ考えていますが、その前に、今、県をまたいで人が動くことは感染を広げるからと抑えているのを、まずそれを解除すれば、私だってもう温泉に行きたくてしようがないわけですから、それは需要はあると思うんですね。

 問題は、安全性をどうやって宣言するか。一種のパスポートというものを考えていて、まず国内パスポート、手形みたいなものをどういうふうにつくるかというのが一つ。その次に、国際パスポートですね。

 私は、輸出自体は、一応物は動いていて、アマゾンで頼んだものが外国から来ることは来る。ただ、商売が、ショッピングが盛り上がっていないから、そこでとまっている部分が多いと思うんですね。

 ですから、まず国内で人が動けるようにするのは、何が安全か。これはちょっとこれから先生たちと話して、どうやったら県をまたいで移ることができるか、この安全基準が何なのか。全部非常事態を解除すればそれでいいのか、あるいは、駅にサーモグラフィーを置けばいいのか何なのかということ、まずここから行くべきで、その次に、国と国をどうやってまたいだら移動できるかということを議論するべきで、今、ともかく、ここまで来るだけで大変なので、そこまで話が固まってはいないと思いますが、それをともかく、人が動ける条件は何なのかということを先生たちと徹底的に話しておくことが必要だと思っております。

渡辺(周)委員 長丁場と言われる中で、やはり国民の皆さんが聞きたいのは、科学的、客観的、論理的な根拠だと思うんですね。

 ですから、そこのところ、ぜひ専門家の先生方に、政府に提言をしていただきまして、そして、ウイルスに対するワクチン、新薬の開発をとにかく進めていただくようにぜひ御提言いただきたいことと、あわせて、最後に竹森参考人がおっしゃったような、内需をとにかく、どういう形で安心の、まさにインバウンドもそうですけれども、PCRの陰性であるというようなことを例えば何かの形でやはり証明する、そのためにも検査もしっかりふやさなきゃいけない、そして渡航の解除なんかもこれからできるようにするために、どうぞそれぞれのお立場から御提言いただきますように、心から御活躍をお祈り申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 きょうはどうもありがとうございました。

棚橋委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 まず、この場をおかりいたしまして、このたびの新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様方に心から哀悼の意を表しますとともに、今も療養中の皆様方の一日も早い御回復を御祈念申し上げます。また、このコロナ対策の最前線で日々御奮闘いただいております医療従事者の方を始め、全ての皆様に心から敬意と御礼を申し上げます。

 そして、きょうは予算委員会の参考人質疑という形で、大変御多忙な中、尾身先生、脇田先生、そして竹森先生にお越しをいただきまして、本当にありがとうございます。

 早速お伺いをしていきたいと思います。

 私は、五月十四日に出されました新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言、これを御参考にお伺いをしていきたいと思います。

 まず初めに、尾身先生にお伺いをしたいのは、出口戦略といいますか、新たな日常を取り戻していくために、緊急事態宣言解除後の注意点等についてお伺いをしたいと思います。

 この提言の中では、社会活動と感染拡大防止の両立に当たっての基本的な考えについてという中で、社会経済活動の再開が簡単な道のりではないというふうにまずお触れをいただいております。

 そして、具体的には、接待を伴う夜間の飲食店、居酒屋、屋内運動施設やライブハウス等において、クラスター、集団感染が発生したことがわかっているとの記述もございます。

 そして、感染防止の基本として、感染拡大が加速する場、クラスター連鎖の場を徹底して避けること、そして、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いから成る基本的感染対策などを実践することなどが書かれておりました。

 都道府県知事においては、このクラスターのおそれがある施設や三つの密のある場について、十分なモニタリングを行い、注意喚起をし、必要に応じて施設使用制限の協力要請を検討するなど、必要な対応を求め、先ほど来出ております、一人一人の市民生活においては新しい生活様式の実践、事業活動においては業種ごとの感染拡大予防ガイドラインの作成と実践を求めております。

 そこでお伺いしたいのですが、今申し上げた中で、感染拡大が加速する場、クラスター連鎖の場を徹底して避けること、これは、より具体的に言うと、どういった場を避けるということを想定をされているのか。また、当然、そうした場を提供されている事業者の方の立場から見た場合、どういうことに気をつけてその事業を継続をしていけばいいのか。尾身先生に御教示をいただきたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 どういう場かというと、今までわかっているのは、先生が先ほどおっしゃっていただいた、接待を伴う飲食店とか居酒屋、スポーツクラブ、ライブハウスその他ですけれども、実は、これから起こるであろうというのは必ずしも今申し上げたところに限らないと私は思います。なぜかというと、これらはだんだんと時間を通してわかってきたことがあるので、これからもそういう可能性があるということです。

 それから、事業者の方についてはどういうことをということですけれども、今は、我々が基本的な考えというのをつくらせていただきまして、それを各事業者に向けて発出しまして、その基本的考えをもとに、各事業者団体、そういうところで、事業を再開しても、どんなことをしながら、どういうふうにして感染拡大を防止するかということを今かなりのスピードで、各事業者の組織がありますよね、その中で具体的に考えて、私どももその一部を見る機会がありましたけれども、かなり細かい感染防御対策をして努力をされていると思いますので、そうした中で、事業を再開しつつも、さっきの、めり張りのついたということに尽きると思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 これから社会経済活動を徐々に再開していく中で、各事業者の方、大変厳しい中で、しかも感染拡大を防止しながら事業を再開していく。具体的にどうしたらいいんだ、事業者の皆様の一番悩みどころがここだと思いますので、できる限りわかりやすくこれからもお知らせをいただければ大変ありがたいと思います。

 続きまして、これは脇田先生にお伺いしたいと思いますが、緊急事態宣言の再指定ということについてお伺いをしておきたいと思います。

 やはりこの提言の中で、再指定の考え方とモニタリングの必要性についてというところがございまして、新型コロナウイルス感染症は、当分の間、常に再流行のリスクが存在するため、緊急事態宣言対象地域から除外されても、引き続き再流行への警戒の継続、再び感染者が増加した場合に備えて、流行の監視体制と対応能力の強化の必要性に言及され、再指定に当たっては、先ほどもおっしゃっておられましたけれども、感染の状況として、最近一週間の人口十万人当たりの累積報告数、最近一週間の倍加時間、最近一週間の感染経路不明の症例の割合、その他参考指標として、実効再生産数、PCR等の検査状況。また、特定警戒都道府県として再指定する必要が生じた場合、医療体制等への負荷も考慮して、十三都道府県の指定時よりも迅速に指定、再指定を行う必要がある、この間の指定よりも迅速に指定、再指定を行う必要があると記されていました。当然、医療の状況、モニタリングの必要性にも記述があります。

 また、きょうは特にパネル等準備しておりませんが、この提言の中には、参考一として、地域別の新型コロナウイルス感染症対策、イメージ図が添付されておりました。もう先生方御存じのとおりだと思います。

 それによると、効果的なクラスター対策が可能な水準が少しずつ向上をするので、再指定のタイミングでは、十三都道府県の指定時よりも、あの図だけ見ると新規感染者数は少し多くなるというふうに、あの図だけ見ると少し見えるところがございます。

 そこで、座長である脇田先生にお聞きしておきたいんですが、この提言の記述、すなわち、十三都道府県の指定時よりも迅速に指定、再指定を行う必要があるという点と、今少し口頭で御報告申し上げた参考一のイメージ図を想起しながら、再指定の条件をもう少し具体的に、今お話しいただける範囲で御教示いただければと思います。

脇田参考人 お答えいたします。

 再指定の条件ですけれども、委員が今御指摘になったようなパラメーターをもちろん参考にしていくということになります。

 今回、解除の方は、また、下がっていくときに有効なものを選んでおりますけれども、今度再指定になりますと、できるだけ早く感染の拡大が見つけられるようなものが一番重要になってくるということになります。その点でいきますと、やはり倍加時間というものが一番早く検知できますので、累積感染者が倍加していくような時間というものをしっかり見ていくということになろうかと思います。

 それから、クラスター対策が可能なキャパシティーがだんだん上がっていくので、再指定するときは少し多くなるというようなことでございますけれども、我々としてはなるべく早く検知をしたいということを考えていますし、それから、前回、ある程度上がったところで指定をされたというふうに我々考えておりますので、次回もし、その地域地域によって流行の拡大があると思うんですけれども、その際になるべく早く検知ができる、そして、もし外出自粛をお願いするような場合には、早くやればそれだけ感染の拡大もとめられるということになります。

 そのためには、やはり、今まで感染をしてから検知をするまで二週間程度かかっていたということで、今現在も、今の状況は二週間前の状況を見ていますよということがよく、多分聞かれると思うんですけれども、その時間をなるべく短くしていく。つまり、感染して発症して診断されるまでの時間をなるべく短くして、検知を早くしていく、そういったモニタリングの体制、これは検査の体制もありますので、そこを拡大していくということが重要になります。

 それから、発見された感染者をなるべく早く、周りの濃厚接触者も見ていくということですので、これは保健所の機能も拡張していく必要がある、そういう意味でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 避けられることなら避けたいと思って、我々もしっかり取り組んでいきたいと思います。

 続いて、監視体制と対応能力の強化という点について、尾身先生にお伺いしたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、引き続き再流行への警戒の継続、再び感染者が増加した場合に備えて、流行の監視体制と対応能力の強化が必要と。

 感染が疑われる方が非常に多かった時期、保健所、医療機関など最前線の現場では本当に厳しい状態が続きました。改めて関係者の皆様に御礼を申し上げたいと思います。

 この監視体制と対応能力の強化について、幾つか論点がございます。今、脇田先生がおっしゃっていただいたように、保健所の体制強化、クラスター対策の強化等々あります。時間が迫ってきておりますので、時間の限り教えていただきたいと思います。

 まず、PCR検査、そして先ほども出てきた抗原検査についてであります。

 提言の中で、感染者の早期確定、適切な診断、治療、感染拡大防止に必要な疫学調査などにつなげるため、PCR検査、新たに始まった抗原検査等の各種検査を適切に実施することが大事として、これまでは、今少し触れましたけれども、現場では、PCR検査が受けたくても受けられないといった多くの声が我々のところにも寄せられました。その意味で、検査体制の充実は急務であります。

 一方で、我が国の、まさにこのクラスター対策としての検査機能は十分機能した、だからこそ、諸外国に比べて重症化や死亡される方を、大変な中ではありましたけれども、抑えてくることができたというふうに私は理解しております。

 そうすると、今後、検査体制の拡充、PCR検査以外にも抗原検査等を取り入れるといったこの対策の強化は、具体的に何を念頭に置いて検査体制を強化しようとされているのかを少し御教示いただければと思います。

尾身参考人 お答えします。

 実は、検査をなぜやるかというのは、いろいろな意味があります。

 まずは、公衆衛生学的な意味は、地域がどれだけ感染をしているのかというような、地域の感染の広がりという意味がありますよね。もう一つの大きな役割は、一人一人の個人が、公衆衛生とは別の観点で、公衆衛生はパーセントですよね、グループで、統計学を使ってやる手法ですけれども、個人のレベルでは全て、一〇〇%なんですよね。八割の人は症状が軽いといっても、実は、二割、重症化になる人にとっては全てですよね。

 そういう意味では、公衆衛生学的なモニターとは別に、目的は、患者さん、一般の市民の実感としての安全感、これが今のところないので、それについても医師がしっかりと、この人には診察が必要で、PCRあるいは抗原検査を、必要だと医師が判断された場合に、その人たちに適切に、しかも迅速にできる体制ということで、大きく先生の質問にお答えするとしたら、公衆衛生学的な目的と、個人個人が持つさまざまな不安がございますよね、それに対してどう適切に応えるかという、その二つだと思います。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 時間が、これで最後になると思います。

 これはやはり尾身先生にお伺いしたいんですが、当然、今のいわゆる検査体制を拡充をしていきますと、感染者の症状に応じた受入れ体制の整備というのが必要になると思うんです。なぜなら、検査を充実すれば、それだけ、そのときの状況によりますけれども、陽性者、陽性と判断される方がふえていく可能性がありますので。

 そういう意味でいきますと、各都道府県は医療体制と感染者の受入れ体制を現状よりも、これから、一旦感染の状況は緩和していますけれども、都道府県は、気を引き締めて、現状よりも更にその体制を充実をさせていく必要があるのだと、こう理解しておいてよろしいでしょうか。尾身先生にお伺いします。

尾身参考人 お答えいたします。

 先生のおっしゃるとおり、医療体制は、PCR検査をすれば少しまた感染者がふえるということ。それだけではなく、実は、感染がまた再燃すればふえるという意味で、これからまた医療体制の方はしっかりと、重症者、中等者、軽症者に、ホテルなんかの確保を含めてやるということと、それから、各都道府県はどれだけの余裕があるのかということをモニターしていくことが極めて重要で、今、その指標も我々お示しさせていただいて。あとは、医療体制においては、院内感染ですよね。先ほど、これが非常に重要で、このこともぜひ、それから、各都道府県だけではなくて、いざとなったら、ある都道府県では病床が満杯になったけれども他の都道府県ではまだ余裕があるということで、地域間の連携もこれから重要になると思います。

伊藤(渉)委員 貴重なお話、大変ありがとうございました。しっかり参考にして我々も取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 新型コロナウイルス感染症対策に関する参考人質疑に貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。

 私は、新型ウイルス感染症対策専門家会議の提言に基づいて、きょうは質問をさせていただきます。

 何よりも、緊急事態宣言の解除については、その判断基準として、当然、一つは感染が落ちつくということと、やはり医療提供体制をしっかりと整備するということが必要であります。

 この点で、まず座長の脇田参考人にお尋ねをいたしますが、当然第二波も想定をされます。そういったときに、この医療体制の整備の必要性、今、何をしっかりとやっていくことが必要なのか。このことについて、お考えをお聞かせいただけないでしょうか。

脇田参考人 お答えいたします。

 医療提供体制ですけれども、今回の流行でわかりましたことは、やはり患者さんのトリアージといいますか、その症状によりまして、重症の方はしっかりと治療を提供することが必要であり、そして軽症の方は、最初は自宅ということもありましたけれども、施設の療養でしっかり経過を見ていただく。中には症状が変化するという方もいらっしゃいますので、施設の療養においても、医師あるいは看護師がしっかりとその経過を見ることができるような体制をつくっていくということであろうというふうに思います。

 ただ、医療が十分に提供できる体制であれば、そういった軽症の方も病院で療養するということもあり得るんだろうというふうに思いますので、地域において、そういった、柔軟に医療を提供できるような体制、つまり、患者さんが急にふえてくるような局面になれば、そういった施設的な療養というものも行っていくということになります。

 それから、患者さんがふえてくれば、当然、重症者の方がふえてきます。これはもう一定の割合でふえてきますので、そういった方に対応できるようなICUの病床の拡張、あるいは人工呼吸器、あるいはECMO、そういったものの拡張というもの。それは、機械をそろえるだけではなくて、やはり機械を扱う人員が必要になりますので、そういったところもしっかりと準備をしていくということが重要だと考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 尾身参考人にも伺います。

 この提言の中では、今後の患者急増に対応可能な体制の確保と述べておられます。

 この現状の体制において、まだまだ不十分、こういう認識なのかどうか、その辺について、必要な対策等ありましたら教えてください。

尾身参考人 お答えいたします。

 四月のあの緊急事態宣言を出す前のあたりについては、これは医療の現場の、専門委員会の中でも実際に患者さんを診ている臨床医がおりますので、彼らの生の声だと、あのころは本当に、こういう言葉、悪夢を見ているようだと。患者さんがどんどん来て、ベッドがあふれ返って、これはどうしたらいいかという強い危機感を持ったというのを、もう何度も臨床科の先生方は我々にそういう実感をシェアしていただきました。

 この間、本当に都道府県、各関係者の、医療関係者の努力で少しずつベッドのあきというのか余裕が出てきて、まだまだ十分な余裕というところではできませんけれども、我々が把握している限りでは、重症化の人、それから一般の患者さんも含めて、ベッドが一〇〇%を超えてどうしようもないという状況は今のところ脱していると思うんですけれども、また何かがあればまた満杯になって、そういうことで、やはり余裕を持って。

 そういう中では、今までの努力に加えて、保健所の業務も、それから、ベッドがどのぐらいあいているというのも、実はこれをモニターするというのは、言うはやすし行うは極めて、なぜかと言うと、患者さんは動きますから、きょう中症だった人が重症ということで、このモニターをすることが極めて難しいんです。

 そういう意味では、医療の現場もそれから保健所なんかも、そろそろITをもう少し活用して、今までは、例えば保健所なんかも手書きでファクスでやっている、そういうことですけれども、だんだんとこれからはITを活用して、しかもスタンダードなフォーマットをつくってやるということが少しずつ、今、厚生省の方もそれを考えて指導し始めているので、ぜひその方を加速、速度を速めてやっていただければと思います。

塩川委員 ありがとうございます。

 尾身参考人に重ねてお尋ねしますが、医療機関がしっかりとコロナ対策で頑張っていただいて、本当に大変な御努力の中にあると思っております。そういった際にも、医療機関の経営そのものも今非常に圧迫をするような状況にあります。そういう点では、空きベッドを確保することが必要だ、そうなればワンフロア全部あけなくちゃいけない、実入りが入らない、そういう点での経営の困難さもありますし、必要な医療機器を調えることや、また、感染防護具などについても、当然、必要な経費が上がってまいります。

 そういう点でも、今、本当に経費が大変で、国の包括支援交付金一千四百九十億円、一桁足りないんじゃないのかという切実な声もあるものですから、こういった医療機関への財政支援についてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 実は、医療機関は、民間であろうが公的医療機関であろうが、今、各都道府県等からの要請があって、ベッドを少し確保してくれないかということで、懸命な努力をして、日本の医療者は本当に真摯に、この困難な、そういうことで、今いる患者さんをあけてベッドを確保しているわけですよね。

 そういう中で、医療経営的には、これは民間、それから規模にかかわらず、日本の医療機関が大変経営的には困難な状況にあることはもう間違いないと思いますので、そういう意味では、先生おっしゃるように、国の方から財政的な支援をぜひ医療機関にはお願いしたいというのが私どもの願いでもあります。

塩川委員 ありがとうございます。

 続けて、脇田参考人にお尋ねいたします。

 専門家会議の提言において、保健所の体制強化を強調していることに注目をいたしました。保健所の体制の現状についてどのように認識をしておられるのか、お示しいただけないでしょうか。

脇田参考人 ありがとうございます。

 保健所の体制に関しましては、今回の新型コロナウイルス対策の非常に大きな役割を保健所が担っているわけですね。最初のPCR検査の相談窓口であったり、それから、検査のところで検体を輸送したりとか、そういったところにもありますし、それから、もし感染者がその地域で出ますれば、その濃厚接触者の調査に入るというところも保健所が全て担う。それから、もちろん、地域からの相談の電話も毎日あるという、その対応もしなければならないというようなことで、非常にさまざまな業務が保健所に集中をしているということになっております。

 ですので、専門家会議としましても、なるべく保健所の業務の負荷を減らすことができないかということで、検査体制にしても、医師会の先生方にお願いをして、今までの帰国者・接触者外来、相談センター、外来という流れのほかに、地域の外来とそれからPCR検査センターの流れというものをお願いして、なるべく保健所の業務が減るような形でそこをお願いできないかということを言ってまいりました。

 それから、先ほど尾身先生のお答えの中にもありましたけれども、ICTの活用ですね。こちらも保健所の業務を軽減するために非常に重要なところだと思っております。

 以上になります。

塩川委員 ありがとうございます。

 尾身参考人にもその点をお尋ねしたいと思うんですが、この間、保健所数は、一九九二年度の八百五十二カ所をピークにずっと減り続けております。二〇二〇年度では四百六十九カ所と承知をしております。大幅に減少しています。もちろん、保健所の業務は多様にありますし、また、地域保健センターの役割なども当然あるんですけれども、保健所活動の科学的根拠を支える診断、検査機能というのが大きくやはり劣化してはいないのか、そういう懸念を覚えるんですけれども、現場にいらっしゃって、どのようにお感じでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 先生の御質問は、検査のキャパシティーが劣化したのではないかということだと思うんですけれども、実は、今、PCR等検査についても、保健所に求められているのは基本的にはいわゆる行政検査というふうに言われていて、そういうことで、このような大規模な検査をするということを前提にした仕組みになっていないんですよね。そういう中で今回も、今だんだんと各界の努力のもとでキャパシティーがふえてきていますが、当初は本当に、そういう今までの経緯もあって、人員も削減されているし、もともとそういうことを期待されていなかったということもあって、当初なかなか、医師が判断しても必要な検査ができなかったということでありましたので、これは、今いろいろなところで関係者が努力して、少しずつ改善していますけれども、これはまた、こうした感染が収束したときには、少しみんなで大きな目から評価をして、これからどうすべきかというのをしっかりと後で議論すべきテーマの一つだと思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 脇田参考人にお尋ねしますが、この専門家会議の提言では、保健所とともに、「地域保健に関する総合的な調査及び研究を行う地方衛生研究所の体制強化にも努めるべきである。」と強調しております。

 この地方衛生研究所の体制強化、その意義はどのようなものか教えていただけますでしょうか。

脇田参考人 お答えいたします。

 地方衛生研究所は、自治体に設置されている、いわば感染研と同じような検査能力を持った研究所でございます。

 日ごろより感染研と地方衛生研究所は連携をいたしまして、日本におけるさまざまな感染症の検査のネットワークを構築しています。今回も、新型コロナウイルスの流行に当たりまして、感染研で開発しました検査キットを地方衛生研究所に配付をして、全国の検査体制を整えたということになります。

 一方で、地方衛生研究所におきましては、感染症だけではなくて、さまざまな業務を担っています。環境の検査ですとか食品の検査ですとか、さまざまな業務がございまして、感染症に必ずしも多くの人員がいるわけではなくて、配置転換も頻繁に行われるということですので、非常に業務が逼迫しておりますところに今回の流行が来たということですので、地方衛生研究所ではこの検査対応が非常に大変であるということを伺っています。

 ですから、やはり、こういった感染症の流行に対しては、こういった地方衛生研究所の検査ネットワークというのが日本の検査体制に非常に重要ですので、そこを強化していくということが重要であるというふうに考えています。

塩川委員 ありがとうございます。

 脇田参考人にお尋ねします。

 そういう点で、地方衛生研究所、地方の体制と同時に、国立の感染症研究所、これが、この間、人員や予算などもずっと減ってきているという状況がありまして、今考えるに、やはりここをしっかりと体制の強化が必要ではないのか。

 国立感染症研究所のあり方について、所長としてのお考えもお聞かせいただきたいと思います。

脇田参考人 お答えいたします。

 なかなか自分のところの研究所の予算のこと等を申し上げるのは難しいんですけれども、ただ、感染研の成り立ちというものが、そもそも病原体の研究部が集まってできているという、ラボ中心、研究室中心の研究所であります。

 ただ、こういった感染症の流行に対しては、疫学の調査能力、それから、こういった感染症危機対応といった専門の部門の充実ということが非常に求められるということを考えておりまして、従前からそれは厚労省にもお願いをして、そういった機能強化をお願いをしておりました。

 ちょうど今年度、新たな感染症危機管理研究部門ということを設立していただきましたけれども、やはりそういった疫学それから感染症危機対応の能力を今後も高めていくべきだというふうに、今回の流行を踏まえて、ますますその意を強くしているところでございます。

塩川委員 時間が参りました。ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳です。最後の質問者です。どうぞよろしくお願いします。

 まずもって、この新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々、七百七十余名、現在でいらっしゃいます。また、現在も闘病中の方々にお見舞いを申し上げ、そして亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りしたいと思います。

 尾身先生、脇田先生、竹森先生は、本当に忙しい中、ありがとうございます。三人の先生方が日夜、日本の大ピンチ、あるいはもう世界の大ピンチの中で御活躍をいただいていることを心から敬意と感謝を申し上げたく存じます。

 私ども維新としては、とにかく命をしっかり守りたいという部分と、一方で、生活を守る、経済を守る、それがひいては自殺を防いで命を守ることにつながるということで、とうとい命は一人でも失わないようにしていくということが大事だと思っています。

 そこで、先ほどワクチンの話がありましたけれども、来年の秋というパウエル議長の御紹介が竹森先生からありましたけれども、アビガンとワクチンの話をちょっと申し上げますが、大阪大学大学院の森下竜一先生は、このワクチン、来年の春に実用化できそうだということも言っていらっしゃいますので、余り我々が暗くなるよりは、明るい光をちょっときょうのお話合いではしたいということで、このワクチンの、大阪大学大学院の研究、御紹介しておきます。

 それで、次に、先ほどと、きょう厚生労働委員会があって結構質疑が出ているんですが、やはりアビガンの、治療薬の問題なんですが、このアビガンが五月中の月内承認、安倍総理も言っておられて、私もそうすべきだというふうに思っています。

 ただ、先ほどの質疑でも、特例承認について、あるいは日本医師会の意見陳述とか、渡辺議員からありましたけれども、一つ御紹介したいのは、副作用の問題をいろいろ言われていますが、催奇形性の問題があるということなんですが、私、この副作用の研究の責任者をされた先生のお話を直接伺いました。そうしたところ、その医師の先生は、私に言われたのは、副作用で、奇形と言ったら語弊があるかもしれませんが、動物実験で出たのは一例だけなんだ、それで、ぜひこのアビガンは進めてもらいたいんだということを明確に私は言われました。

 そういった意味で、先ほど尾身先生から御答弁があって、臨床治験、観察研究、しっかりした評価の上でということは伺ったんですが、さはさりながら、治療薬がない中で、アビガンというのはやはり光明であると私は思っていますので、私の勝手な言葉で言えば、特例承認ではなくて暫定承認というような、政治的な判断がこれは入ると思いますけれども、そういったことで、安倍総理の御判断も生かしながら、できないものかなと思っているんですが、お二人、先生いらっしゃるので、それぞれ見解は違っても、ちょっとこの場だということで皆さんにお許しいただきながら、尾身先生と脇田先生に、アビガンの処方について踏み込んだお言葉をいただければありがたく存じます。お願いします。

尾身参考人 お答えいたします。

 今先生おっしゃっていただいて、これは個人の見解としては、アビガンも含めて、副作用があるかもしれないということは前から言われているとおりなので、使う場合には幾つかの条件があるのではないかと私は個人的に思っております。

 一つは、これは観察研究でしっかりやって、投与した場合のことをしっかりと報告してモニターするということが、これはサイエンスとして非常に重要なことだと思います。

 それから、これは個人にしっかりインフォームド・コンセントをとる、副作用もあるかもしれないということをしっかり。それでも希望される場合には行う。

 それから、これは私の個人的な見解ではありますが、やはり余り若い人にやるより、今回の場合には高齢者の方が重症化したりということもあるので、ある一定の年齢をして、もう八十、九十の人というより、比較的、五十、六十、その辺ははっきりは言えませんけれども、高齢者で、本人もぜひやってもらいたいということ、それが三つ目ですね。

 それから、もう一つの条件は、これは病気の早期にやる。これは、治療は基本的には早期にやる方が有効ですので。

 最後の条件としては、これは病院がしっかりした倫理審査会という、これは今システムがありまして、一々の病院でやる必要はなくて、ある病院が代表で。

 そういった幾つかの条件をしっかりとクリアした上でやられたらどうかというのが私の個人的な見解であります。

脇田参考人 お答えいたします。

 アビガン、現在、臨床治験それから観察研究が行われています。

 それで、副反応の方は、委員が御指摘になったように、催奇形性、あるいは尿酸が上がるとか肝機能が異常を示す、そういった副反応があるということは聞いております。観察研究でも十分その副反応に関しては見ることができますので、そういった安全性に関しての知見はある程度得られるだろうというふうに思っています。

 一方で、有効性の方も十分に知る必要があるんですけれども、こちらは臨床治験で比べないと、なかなかその有効性に関する知見が出てこないということがございます。

 この感染症は八割が軽症であって、八割はもう自然に治ってしまうというところ、それから、一五%に肺炎が起きて、五%は重症になるというところですので、そういった八割の方に投与をされて、自然に治るところでこの薬を飲んでいて、本当にこれは効いているのかというのはなかなか判断が難しいことになりますので、症状がよくなるというアウトプットと、それから、実際にちゃんとウイルスが下がるのか、ウイルスが下がって症状が軽快しているということをきちんと見るという、これは臨床治験をしっかりやっていって、この効果をきちんと確かめる。これが、日本がアビガンを本当に使って、これは有効であるということを示していくことが世界に向けても大事なことだというふうに認識しております。

杉本委員 ありがとうございます。

 ぜひ、暫定承認等を含めて、ワクチン開発までの暫定であるというようなことでも御判断いただければと思っております。

 次に、少し中長期的に、ハンマー・アンド・ダンスという言葉は、先生方は御存じだと思いますが、皆さんはよく御存じないかも、ハンマーはシャットダウンというか強力に感染を防ぐということ、ダンスというのは病気とうまくつき合っていくということの中で、それなりに、自粛とか、あるいはソーシャルディスタンス、社会的距離を守っていくとか、そういうことを徐々にやっていくというような、そういうことかと私は理解しているんです。

 そういった意味で、少し中長期的な視点で、私ども維新は、政府に五回、第五弾まで提言を行っています。その中で、直近の第五弾の提言では、経済再開のガイドラインを含めた包括的な段階的な工程表ですね、工程表と我々は書きましたけれども、シナリオ、こういったものを出すことによって、国民の皆様にとってわかりやすい目標とか、あるいは、船の航海に例えれば針路であったり途中の目印であったりということになると思うので、緊急事態宣言が解除された後を考えると、そういったこと、それから先の経済の徐々に徐々にエンジンを吹かしていく、最初は助走ですけれども。そういった意味で、中長期的な出口戦略というのを考えていく必要があると思います。そういったものを策定、公表、提案しているんですけれども、ぜひ会議の中で、重要なお三方がいらっしゃるので、御検討いただきたいと思います。

 それと、あわせて、大阪モデルというのは先生方は十分御存じですし、国民の皆さんもお昼の番組等で御存じだと思うんですけれども、そういった地域の独自の基準も尊重していただきたいということをあわせて申し上げますが、この中長期的な出口戦略をどう考えるかというのをちょっと竹森先生に伺いたいです。お願いします。

竹森参考人 時間の経過ということより、今、先ほどからずっとワクチン、薬の話が出てきましたが、そのことによって状況がどれぐらい変わったかというところがポイントで、まず薬ができるとしますよね。薬がどういう意味を持つのかいろいろ考えてみたんですが、もし重症化率あるいは死亡率が季節性のインフルエンザと同じぐらいになるならば、コロナだからといってこれだけ徹底した行動規制というのは、必要なくなるわけじゃない、その場合でも注意は必要だと思いますけれども、まず、その段階が、今ちょっと議論されておりましたが、来るかもしれない。五月から六月、七月、夏のあたりに来るかもしれない。

 その一方で、秋からインフルエンザとコロナが併発した場合にはどうなるだろうという、その懸念もされる方がいて、そのときに検査がまた難しくなるとかいろいろなことがある。そこは注意が必要だと思うんですね。最終的には、やはりワクチンができて足元がじっくり固まらない限り、長期というのは難しいと思うんですね。

 その前の段階で、どうやって国際的な行動が可能なのか。来年のオリンピックというのは、まだワクチンが実用化していない段階で行われるかもしれない。それはどうやったら可能になるのか。これはもう持っている技術を全部合わせて、何とか薄氷の上でやらなきゃいけない。もしかしたら無観客オリンピックになるかもしれませんけれども、そういうことを考えなきゃいけない。

 私は、時間的に中、長というよりは、いろいろそこに、節目に何か起こるその改善を見て、それで何ができるか、何ができるか。その意味で、先ほどから医療関係者の方と二人三脚で経済計画を立てていかざるを得ないんじゃないかというふうに申し上げました。

杉本委員 ありがとうございます。

 節目節目で、二人三脚でとおっしゃる部分はわかります。ただ、全体の図表があった方がいいかな。シナリオA、Bぐらいはつくっていただきたいなと思っています。

 それで、済みません、時間がないので次に行きたいんですけれども、大阪では、あさって二十二日に新型コロナ専門の病院をスタートさせます。維新の申し上げた提言の第五弾では、首都圏と関西圏に一カ所ずつ、できれば、私は愛知なので、中部圏もなんですけれども、新型コロナICUセンターを整備するということを提言させていただいておりますが、この点について検討の余地はないのかな、あるいは御検討の可能性があるかという点について尾身先生から御答弁いただければと思います。

尾身参考人 今のこういう状況になってくると、今まで以上に、初期のころに比べて、今よりもはるかに各地域の対策というのが物すごく重要になってくると思います。もちろん、国もこれまで以上にしっかりと責任を果たす必要があると思いますけれども。

 今回のコロナ感染症は現場で起きているので、そこでの工夫というのが極めて重要で、一番現場を知っているのは知事さん及び地方の人ですから、そういう中で、今おっしゃるようなセンターをつくることが最も効果的な場合というふうに判断されれば、そこは知事さんたちのリーダーシップで果敢にやっていただいて、それは、ほかの県も見習って、参考にして、いろいろな判断をされるという、これは本当に都道府県の知事さん及び都道府県のこれからの役割というのが今まで以上に大事になるので、そういうことも含めて検討をされたらいいんじゃないかと私は思っております。

杉本委員 もう時間がなくなってきましたが、次に、私ども、経済の方で、ワクチンができるまでの間、二年ぐらいかもしれません、消費税、財政均衡の考え方も先生はお持ちかもしれないんですけれども、まあ、これは有事だということの中で、消費税の暫定税率分を全品目に当てるという言い方をしつつ、全部八%に当面してはどうかという提案を、現実的なところとして、五がいいとかゼロがいいとか、いろいろ意見はわかるんですけれども、八%にいっとき下げて、ワクチンができるまで、それなりに消費で、火は消さないというような、消費の、経済用語で言うCの部分をしっかり数字をつくっていくということも必要かと思うんです。

 この点について、最後、竹森先生から、なかなか安倍政権はうんと言わないんですけれども、先生の方から、いや、ここはちょっと踏み込むぞというような御答弁でもいただければありがたいと思います。お願いします。

竹森参考人 私は、ともかく、今困っている人がいるから、お金を回すんだったらまずそこだと思います。消費ができる人はもうちょっと豊かな方なので、まず困っている人から助けるべきだというふうに思います。

杉本委員 そこの部分は先生と一緒なので、各種助成、現金給付、本当に大事だと思っていますが、その先のストーリーという部分でもぜひ御検討いただきたいと思います。

 時間となりました。本当に三人の先生方、ありがとうございました。委員長、ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて杉本君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございます。改めて厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十九分散会


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