衆議院

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第29号 令和2年7月15日(水曜日)

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令和二年七月十五日(水曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君

   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      あべ 俊子君    秋本 真利君

      伊藤 忠彦君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君   うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小野寺五典君    奥野 信亮君

      神山 佐市君    河村 建夫君

      笹川 博義君    長尾  敬君

      西田 昭二君    根本  匠君

      野田  毅君    原田 義昭君

      平沢 勝栄君    福井  照君

      福山  守君    古屋 圭司君

      村上誠一郎君    山本 幸三君

      山本 有二君    渡辺 博道君

      今井 雅人君    小川 淳也君

      大西 健介君    岡本 充功君

      川内 博史君    玄葉光一郎君

      後藤 祐一君    武内 則男君

      辻元 清美君    本多 平直君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      國重  徹君    濱村  進君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      杉本 和巳君

    …………………………………

   国務大臣

   (経済再生担当)     西村 康稔君

   内閣府副大臣       平  将明君

   外務副大臣        若宮 健嗣君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (中小企業庁長官官房中小企業政策統括調整官)   木村  聡君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  北村 知久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        五道 仁実君

   参考人

   (新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)           尾身  茂君

   参考人

   (新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会構成員)          舘田 一博君

   参考人

   (慶應義塾大学経済学部教授)           竹森 俊平君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十五日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     福山  守君

  小倉 將信君     西田 昭二君

  河村 建夫君     福井  照君

  古屋 圭司君     長尾  敬君

  山口  壯君     伊藤 忠彦君

  小川 淳也君     武内 則男君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     山口  壯君

  長尾  敬君     古屋 圭司君

  西田 昭二君     小倉 將信君

  福井  照君     河村 建夫君

  福山  守君     石破  茂君

  武内 則男君     小川 淳也君

    ―――――――――――――

六月十七日

 一、予算の実施状況に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(新型コロナウイルス感染症対策等)


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件、特に新型コロナウイルス感染症対策等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会会長尾身茂君、新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会構成員舘田一博君、慶應義塾大学経済学部教授竹森俊平君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官安居徹君、内閣官房内閣審議官奈尾基弘君、中小企業庁長官官房中小企業政策統括調整官木村聡君、国土交通省都市局長北村知久君、国土交通省水管理・国土保全局長五道仁実君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 次に、委員会を代表いたしまして一言申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染症及び令和二年七月豪雨による被害でとうとい命を落とされた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表します。

 また、闘病中の方々及び豪雨による被災者の方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、医療提供者の方々及び被災者支援に尽力をされておられる方々に感謝申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

棚橋委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 自由民主党の葉梨康弘です。

 冒頭、七月豪雨で亡くなられた方への御冥福をお祈りするとともに、被災された方に心からお見舞いを申し上げます。

 また、参考人の先生方、本日は御苦労さまです。

 現在、感染者は、首都圏を中心に増加傾向にあります。その中で一定の安心を持って経済活動を再開させるためにはということを議論させていただきたいと思います。ただ、時間の関係で、病床の確保については、きょうはちょっと触れる時間がないかと思います。

 さて、七月六日、分科会後の記者会見で、尾身先生は、プロ野球やJリーグの開催に当たって、感染していないことの確認のために検査をする動きが広がりつつあることと関連して、PCR検査の限界を強調された上で、このような問題もあるということを、最終的な結論を出してほしいと述べられたと報じられています。後でまた尾身先生に伺います。

 まず、竹森先生に伺いたいと思います。

 そうはいっても、今後、経済の面で、出入国の段階的拡大ということを考えていかなければなりません。そして、国際民間航空機関、ICAO、そのガイドラインに照らすと、出国に際して、相手国からの要請によって、PCR検査と陰性証明が求められる可能性が非常に高うございます。その受皿の確保というのは待ったなしの問題です。

 先週原案が示されたいわゆる骨太方針の二〇二〇、その原案には、検疫の方、受ける方は書いてあったんですが、出るときのPCR検査、検査証明のことが書いてなかったものですから、これは書いていただくように意見を申し上げて、書いていただくことになりました。

 このような検査、これは当面ビジネスで、さらには、将来的には観光ということになるんでしょうけれども、これに対して、その検査に税金を投入して無料でやるとか医療保険を適用するというのはちょっと考えにくいなと思います。やはり受益者負担が原則かなと思います。

 このような、今後の経済活動の再開に備えて、受益者負担による検査ルートの確立、これが急務だと思いますけれども、御意見をお聞かせ願いたいと思います。

竹森参考人 御指摘ありがとうございます。

 今、PCR検査は、一応感染の拡大を抑えるというその観点でやっていますが、それと同時に、いろいろな場所に行くときに、その安全証というか、一種の身分保証みたいなものもあります。

 それについては、いろいろその人のビジネスというのがありまして、その受益というのは非常に大きなポイントだと思います。ある程度数を絞らなきゃいけないというときに、その負担をするという覚悟があるかどうかということで余り需要が増加しないようにすることもできると思います。

 ただ、出ていくことだけではなくて、戻っていくときに、海外で感染している可能性もありますから、そこでもう一回チェックをする必要もあるし、ある程度どこかに、安全な場所にいてもらう必要がある。それと、相互の行き来ということを考えれば、海外から来る人に対するPCRということも考えていかなきゃいけない、それが国際活動の復活の鍵だということは、全く御指摘のとおりだと思います。

葉梨委員 それで、次に、尾身先生に伺います。

 私自身も、行政検査体制、これは抜本的に拡充すべきだとは思うんです。ただ、先生も言われたように、無症状で感染リスクの低い方の検査を無料で行政検査として行ったり保険を適用することには、実は私は消極です。毎月受けたいという方もいるでしょうし、希望者で。例えば、大リーグは二日に一遍、トランプ大統領も二日に一遍PCR検査を受けている。

 ただ、このPCR検査、注意しなきゃいけないことは、先生も御指摘のとおり、偽陰性、偽陽性の問題があって、検査で陰性証明とはなかなかならない、あくまで気休め以上かなというふうに思うんですが、ただ、今、自分が感染していないということを知りたいという需要は非常にあるだろうと思います。今後、経済活動を再開しつつ、感染の再拡大が懸念されています。ますますその需要は拡大するのかなと。

 ただ、これはお金がかかるということなんです。保険点数でいうと、PCR検査は千八百点ですから一万八千円、抗原検査、これはちょっと精度が落ちますけれども、これは六百点ですから六千円、それだけの負担が、保険を適用しないと、自由診療ですと必要になってくる。

 それでも、検査キットが量産されれば、民間検査機関によるビジネスとしても私は成り立ち得るのかなというふうに思っているんです。さっき述べましたように、出国時の民間検査による検査ルート、これが確立されれば、これをベースにして民間の検査は更に私は広がるんじゃないか、需要がありますから。

 ただ、政府として、このような検査のあり方を民間任せにするだけではいけないんじゃないかな。すなわち、これらの検査の限界とか効果とか意味づけ、これを国民に対して正確に知らせていくということが今本当に求められているんじゃないかなというふうに思います。

 ですから、このような民間検査機関による検査が行われることを念頭にして、政府は、検査の限界、効果、標準的な料金、こういった注意事項を確実に周知していくということが、この検査の質の確保ということ、これについてガイドラインを策定する、そういったことが必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、尾身先生から御意見をお聞かせ願いたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 今先生の御指摘の費用の負担のことですけれども、実は、分科会では、いわゆる国民を検査の観点から三つのグループに分けて、有症者と、それから、無症者の中は、事前確率あるいは感染リスクの高い人と、それを我々2aと言っていますけれども、それと、非常に感染リスクが低い人、事前確率が低い人を2bということで、1と2aの方はかなりコンセンサスが出てきていまして、この2bの人にどうするかということで、もう、なるべく早く分科会の中でコンセンサスをつくるように今議論を進行中で、その中で、はっきり、ほとんどコンセンサスになっているのは、1と2aと、やはり2bは考え方が違うので、少し違う取扱いをした方がいいんじゃないのかというのは、ほぼコンセンサスであります。

 したがって、行政検査を2bまでやるかどうかという、もう今議論を始めていますが、最終的な、どういう方法でやるかということについて、どこで違いを。

 ただし、今先生のおっしゃるように、どんなことが結論に出るにしても、やはり、一般の社会の人に、なるほど、こことここは何が違うので、何がよくて何ができないかと、大きなピクチャーをしっかりと示すのが、我々分科会にそのことを政府に提案する、今、最後の作業を急いでおりますから、もうしばらく待っていただくと、最終的な、我々分科会としての政府への提案がまとまると思います。

葉梨委員 今申し上げましたように、やはり、全く無症状、それから、例えば二日に一遍受けたいという方、これを行政検査の対象というのはなかなか私は厳しいかなというふうに思います。

 やはりここは、私自身は、国がしっかりと検査体制を整備するというのはこれはもちろんなんですけれども、民間で、そういう検査を受けたいという方には、民間の活力を導入するということも、一つはビジネスとして、これは経済の活性化にもなりますので、ぜひ御検討願いたいなというふうに思います。

 これはビジネスということではないんですが、実は、私の弟も今、感染症の、都内の大学で教授をやっています。さらに、その弟は勤務医です。私の義理の兄は開業医です。おじも二人、開業医です。病院も、感染症だけじゃなくて、市中のクリニック、病院、今、経営が大変です。これは何でかというと、風邪の症状のある人はなかなか来てくれるな、それから、やはり行く方も、待合室で感染するのが大変だから行かないということで、いろいろ聞いてみるんですけれども、まず、対面受診をする前にとにかく検査をしてくれないかという需要が非常に高いんですよね。

 そこで、舘田参考人にお伺いしたいんですが、こういった行政検査の拡充は急務です。もちろん、それが逼迫した状況のときには民間の検査も使えるんですが、これは私は保険適用ということになると思うんですけれども、例えば風邪の自覚症状がある方が、まずは電話などで医師に相談した上で、その当該医師の指示によって、民間検査機関でも、あるいはPCRセンターでも、これは保険の適用による簡易な検査を受けて、陰性の結果を得た後にその医師の診療所などで対面での診療を受けられる、こういう仕組みがあれば、今の閑古鳥が鳴いているクリニックの状況、決して不要不急で行かないというよりも怖くて行けないという状況、これを改善することができるんじゃないか。実は、その話を厚労省の方ともお話したんだけれども、自覚症状がある程度であれば、一万八千円のPCR検査ではなくても定量の抗原検査、これでも意外と十分なんじゃないか。

 いずれにしても、そういう仕組みというのを確立しないと、実際のところ、町の診療所それから病院、この窮状はなかなか救うことができない。確かに、税金で、いろいろな交付金で援助はします。支援もします。でも、基本は、受けたい方が、国民皆保険ですから、しっかりと診療を受けられるということが私は大切なんじゃないかなというふうに思います。

 このような仕組みをつくるということについて、舘田参考人から御意見を承りたいと思います。

舘田参考人 御指摘の点は非常に大事な点だというふうに考えています。

 先生方もよく御存じのように、新型コロナウイルス感染症では、開業医の先生方が外来で患者さんを診るときに検体をとるというところの難しさ、鼻咽頭拭い液をとろうとすると非常に鼻の奥までやる、そのときにくしゃみをするんじゃないか、自分が感染するんじゃないかという形で、なかなか検査が進まないという現実がありました。

 そんな中で、政府の方もいろいろ考えて、例えば唾液を自分でとるとか、あるいは、鼻の入り口のところの鼻前庭というところをとるような形にすれば、開業医の先生方が安心して、また患者さん自身が検体をとって検査が進められる、そういった方向性が検討されています。

 恐らく、唾液検査、先生がおっしゃったようなPCRだけじゃなくて高感度の抗原検出検査、そういったものもかなり有用性が示されてきていますので、唾液や鼻前庭や、あるいは先生が御指摘になった、まず最初にPCRセンターのところで検査をして、そして陽性、陰性を確認した上でもう一回外来に来ていただくような、そういったいろいろな仕組みを考えながら、スムーズな診療ができるような、そういった体制を構築していく必要があるというふうに思います。

葉梨委員 いずれにしても、本当にありがとうございました。

 入国のときは、私は検疫の強化ということが基本にはなるのかなというふうには思いますけれども、海外に日本人が出国する、さらには、今お話があったように、風邪の症状があったときに安心して診療を受けたり、また先生の側も、あるいは患者さんの側も安心して診断を受けることができるようにする、そのためには、PCR検査、さらには抗原検査、このトラックをやはりしっかりと海外向けあるいは風邪の症状向けにつくっていかなきゃいけないし、まだ今現在、そのトラックが確立されているとは私はなかなか言えない状況にあるんだろうというふうに思います。

 ぜひとも、そういったことも含めて、分科会では多分、尾身先生のもとにいろいろな議論がされるだろうというふうに思いますので、その2bの方の検査のあり方とか、それから、さっき申し上げた今のトラックのつくり方、これについて、今ここで申し上げた意見等もまた参考にしていただいて、ただ、これは早く結論を出すことが必要だと思いますので、しっかりした議論を積み重ねていただきたいなというふうに思っています。

 後段は西村大臣に伺います。

 まず、業種別のガイドラインということでちょっとお伺いしたいんですが、今、夜の町だとか、カラオケ、パチンコ、もっともこれは昼カラとカラオケボックスというのは全然違うんですけれども、全部一緒くたにされているところがあるんです。特定の業種、これを営む店舗全てが何か感染源であるかのような、変な誤解を受けるような発言や報道、これがなされている。

 ただ、もう本当にこれはよく最近知られつつあることなんですが、換気とかパーティション、そういった設備の改善やマスクの着用、検温、そういった営業方法の工夫など、店舗ごとの対策によって感染リスクを軽減することは十分可能だろうというふうに思います。

 そこで、大臣に伺います。

 業種別ガイドライン、これに定められた感染防止対策を遵守しつつ営業する店舗、これを消費者に対して明らかにしていくことが必要だと思います。このような仕組みを早期に確立するために、やはり主体は業界団体ということになるんだと思いますけれども、いわゆるマル適マークみたいな話、この取組をやはり強力に支援していくことが必要だと思いますし、その仕組みとか効果、これについて国民に対する周知をしっかりと行っていくことが必要なんじゃないかというふうに思います。大臣の見解を伺いたいと思います。

西村国務大臣 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、それぞれの業界団体において、ガイドライン、いわゆる感染防止策の指針ですね、これを策定していただいて、これを徹底していただくことによって感染防止策を講じながら経済社会活動との両立を図っていく、これが大事なことだというふうに考えております。

 御指摘のように、現在、百五十一の業界団体においてガイドラインを策定済みでありまして、アクリル板の活用とか、今お話のありましたパーティションとか換気の設備とか、こういったことを取り組むということにしております。

 これについては、持続化補助金、給付金ではなく補助金が、最大、上限を二百万まで引き上げまして、こうした設備を導入すること、取り組むこと、こうしたことに支援を行っております。全国の商工会、商工会議所の窓口で今も受け付けておりますので、ぜひこうしたものを活用していただければと思います。

 その上で、その定着に向けて、御指摘のように周知をしていくことが大事だと思っております。

 政府としても、動画、ポスター、ホームページ、SNS、こういった媒体をフルに活用しながら積極的に情報発信していきたいと思いますし、御指摘の、これを守っている店舗、遵守している店舗、これをやはり多くの皆さんにわかっていただくことが大事だと思います。業界団体でも取組が進んでおりますし、また、各自治体において、東京都においてもステッカーとか、埼玉県においても認証の仕組みとか、こういった仕組みをそれぞれ導入をされておりますので、私の立場からも、政府としても、しっかりこういった取組を周知、幅広く知っていただくように努力をしていきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、感染防止策を徹底的に講じていただくことが何より大事でありますし、三密を回避してやれば経済社会活動と両立ができますので、そのために、新しい生活様式、スマートライフ、こういったものを定着させていけるように、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

葉梨委員 感染がちょっと今増加しつつある中で、安心して経済活動を行っていくためには、この業種別ガイドラインはすごく大切だと思います。さっき申し上げた、2bの方に対する検査、あるいはいろいろな検査のトラック、これも非常に大切だし、さらに、一つちょっと付言して申し上げさせていただくと、新しい生活様式、これも確実に守っていただくことが必要だと思います。

 ただし、この新しい生活様式で、まず確実に守るべきということで厚労省が出しているのがソーシャルディスタンス、それからマスク、それから手洗い、その三つの順番になってくるんですが、経済活動を再開するステージになると、ソーシャルディスタンスを一番にしていると、なかなか、きょうも私、電車で来たんですけれども、とれないんです、電車に乗ると。これはやはり、ソーシャルディスタンス、これを否定するわけじゃないんです。やはり、守れるものをしっかりと提示をしていかないと、人間ってなかなか守らなくなってしまう。

 ですから、まず経済活動が再開というステージになったら、やはり、社会的距離、マスク、それから手洗いの順番じゃなくて、マスク、手洗い、社会的距離、そういう順番になるのかな。いずれにしても、確実に守ることができる生活様式が、確実に国民の皆さんに守っていただくということも、今後更に議論を進めていただきたいなというふうに思います。

 そうはいいましても、我が国は民主的な手法を重視して、人権も尊重して、何とか第一波の拡大に、抑えることが、効果を発揮することができた。民主的にやっているという、例えば台湾なんかでは、電子フェンス、トラッキングシステムにより、在宅隔離、在宅検疫対象者が所定の場所外に出た場合、携帯の電源を切っている場合にアラームが発信され、医療機関や司法警察は所在を確認することができる。こういったようなシステムを導入したことが感染拡大を抑え込んだんだというふうに台湾当局が言っているんですけれども、日本はそれなんかと比べると極めて民主的だし、これはやはり大事にしなければいけないことだというふうに思っています。

 しかしながら、前回、緊急事態宣言が出たときでも、法律に基づく休業要請や指示に従わなかった事業者が散見されました。次にどうするかというのも大きな課題です。ただ、いろいろな議論はありますけれども、私自身は、民主的で人権を重視した手法、これは物すごく大事にすべきだし、軽々に罰則みたいなことを言う話ではないだろうというふうに思っているんですが、そうはいっても、とりあえずそれと、もう一つは、やはり、感染がある程度拡大しても緊急事態宣言を発さなくてもいいようにするためにはどうしたらいいか、これを考えなければいけない。これが大切だと思います。

 ただ、その上でなんですが、今後やむを得ず緊急事態宣言を発出して法律に基づく休業要請を行わざるを得なくなった場合を想定して、例えば、こういった方には、風俗営業の許可業者に対しては、今はセーフティーネットの融資、公的融資もあります。持続化給付金みたいな給付もされました。でも、そういうメリット措置を与えるということは本当にいいことなのかどうかということぐらいは考えていく必要があるだろうと思うんです。ですから、例えば、今後、要請に従わない事業者には、コロナ対策として実施される各種の給付や融資、これを行わないということをあらかじめ周知する、そういった方法によって、更に現行特措法の実効性の確保、これが可能になるんじゃないかな。

 ですから、そういった意味で、政府には今後の特措法の実効性確保のために多面的な検討をお願いしたいと思いますが、西村大臣、お答えいただきたいと思います。

西村国務大臣 まず、今御指摘ありましたソーシャルディスタンス等の話ですけれども、やはり、マスクをしていればかなり感染リスクが落ちるということもわかってきましたので、御指摘のように、マスク、手洗い、消毒と手洗いはよく似たあれですけれども、あと、最近はやはり換気ですね。換気がいいこと、これが何より大事。どうしても密閉された空間で感染が拡大しています。それと、もう一つは大声。大声を出さないというのも非常に大きい。満員電車の場合は大声を出す人はそんなにいないんだと思いますけれども、狭い空間で大声を出すのが物すごく感染が広がっていますので、改めて葉梨委員の御指摘でそのことを申し上げたところであります。

 御指摘のように、日本は民主的なやり方で、非常に民主的なやり方で感染拡大を防いでまいりました。この法律の体系もそうでありますし、ガイドラインも自主的な取組を促していっています。さらに、接触確認アプリも、位置情報も電話番号もとらないという、個人情報をしっかり保護した形で今取り組んでいるところであります。

 その上で、この法律の体系は……

棚橋委員長 大臣、恐縮ですが、間もなく時間でございますので。

西村国務大臣 はい。

 御指摘のとおりでありますので、御指摘の点につきましては、有力な選択肢の一つと考えられると思います。

 具体的にどのような制度運用が可能か、関係省庁においてもしっかり検討するように伝えていきたいというふうに思います。

葉梨委員 本日は、参考人の先生方、ありがとうございました。ぜひとも、民間の力も導入しつつ、官民一体となってこの難局に立ち向かっていくことができるように一緒に頑張りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 終わります。

棚橋委員長 これにて葉梨君の質疑は終了いたしました。

 次に、濱村進君。

濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。

 きょうは、参考人の先生方、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、今般の災害について触れたいと思います。

 このたびの七月豪雨によりお亡くなりになられた皆様にお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。今、まだ現状、きょうも北陸などが非常に警戒しなければいけない雨の状態であるということも踏まえると、現場でさまざま戦っておられる方々に敬意を表したいと思っております。

 その上で、ちょっとこの昨今の雨の降り方を見ておりますと、想定が随分と変わってきているんじゃないかというふうに思っておりますので、まず、きょう、ちょっと最初に、冒頭、国交省にお伺いをしたいと思います。

 熊本では、球磨川やその支流で十四もの橋梁が流されているという状況もございます。橋梁が流されるということは、被害というのは非常に大きい、甚大であるということを物語っているんだろうと思っておりますが、これは、降雨量の想定が以前と随分と違ってきているんだということを考えなければいけない、言いかえれば、防災・減災対策の前提が正しくないのではないか、そういう立場に立たなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

 この治水のための施設整備についてはさまざまな考慮要素があるわけでございますけれども、そういう論点も踏まえながら、前提を基準として見直す必要が出てきていると思っております。その前提をまず見直していく、その上で更にその基準に応じて再整備を行っていく必要があるのではないかと思っておりますが、きょう副大臣お越しでございますので、見解を伺いたいと思います。

御法川副大臣 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、近年、気候変動の影響によりまして、自然災害が激甚化、頻発化をしております。その被害が深刻化していることから、気候変動を踏まえた抜本的な治水対策について、社会資本整備審議会において議論を進めました。

 七月九日に、ハード、ソフト一体の事前防災強化の加速化、治水計画を気候変動による影響を考慮したものに見直し、あらゆる関係者が協働して流域全体で治水対策に取り組む流域治水への転換などの答申をいただいたところでございます。

 これを受けまして、国土交通省としては、治水計画などを作成する際の基準を見直し、過去の降雨実績に基づく計画から、気候変動による降雨量の増加などを考慮した計画に見直してまいりたいというふうに思っております。

 この計画の見直しには、河川ごとに目標設定や治水対策の具体的内容を検討する必要もあるため、まずは、計画の見直し作業と並行して、過去の降雨実績である戦後最大洪水を流すことができるようにするための治水対策を明らかにして、ハード、ソフト一体の事前防災対策を加速化してまいります。

 その上で、気候変動の影響を反映した治水計画に基づいて、河川管理者等が行う治水対策を強化することに加え、国、地方公共団体、地域の企業、住民の方々など、あらゆる関係者が協働して流域全体で治水対策に取り組む流域治水を進めてまいります。

 このような治水対策を進めていくために、緊急三カ年後も引き続き必要な予算の確保に努め、安全、安心な社会づくりに全力を傾けてまいりたいというふうに思っております。

濱村委員 緊急三カ年後もしっかりと取り組むというお話でございましたけれども、実績ベースの雨量であると、なかなかこれも、これからふえていくことも想定しなければいけないというふうに思うんですね。

 そうした観点からすると、例えばスーパーコンピューターなどを使いながら、これからの降雨量、気候変動がどのように影響するかというのはまだ予見できないわけですけれども、これはやはり技術を最大限に使って予測をしていくということが重要であるということを一言付言しておきたいと思います。

 国交省についてはこれで終わりますので、御退席いただいても結構でございます。

 続いて、感染症についてお伺いしたいと思いますが、まず尾身先生に伺いたいと思います。

 尾身先生は、これまでも何度となく、保健所の機能について、保健所機能の拡充について御提言をなされてこられたわけでございます。私も、厚労省等々さまざま役所からレクをしていただくたびに、なかなか、データについて、検査者数とその内数の陽性者数がわからないというようなことがあったりとか、あるいは、陽性者数のうち勧奨政策、今、夜の町関連の方々には検査を受けていただくように勧奨、勧めるというようなことをしているわけですけれども、この勧奨政策によって判明した陽性者数というのがなかなかわからないというような、そうした話もございます。これはデータ分析するには余りにも脆弱なデータ基盤でしかないということで、残念に感じている点でございます。

 この点、尾身参考人はデータ収集について問題を感じておられると思っておりますけれども、私は、これは分析可能なデータが集まってこないといけないと思っております。尾身先生の御見解をお伺いしたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 先生のおっしゃるとおり、感染症対策において、特に疫学情報、しっかりした疫学情報を集めて、しかも迅速に集めて、分析して、それを対策に活用するというのは、これは感染症対策の一丁目一番地です。

 その上で、今、関係者、厚生省も含めて、地元のいろいろな関係者が本当に努力していただいて、少しずつ改善していますけれども、本当に我々が求めるレベルの迅速さと、それから必要なデータという両方、これが必ずしも期待されるところまでまだいっていないので、そういう中で、実は、前回の第一回の対策分科会で、この問題について少し深掘りをして、一体何が問題で、これは単に保健所の問題だけじゃなくて、厚生省が今、HER―SYSというものをつくっていただいて、少しずつよくなっていると思いますけれども。

 しかし、これはなかなか複合的な問題なので、一体どこが問題で、解決するためにはどこを押せば、急所が何なのかということを、今、早急に、厚生省内のアドバイザリーグループの中のワーキンググループというのをつくっていただいて、これに早急に、一体何が改善すべき急所なのかということも含めて議論しておりますので、なるべく早い時点で、今よりもよりよいデータの収集体制ができ上がることを期待しております。

濱村委員 尾身先生、ありがとうございます。

 HER―SYSを使うということ自体、私は当然やるべきだと思っておるわけですが、そもそも、HER―SYSにどのようなデータをどのタイミングで入れるのかということが重要であると思っております。

 そうした面でいうと、自治体に任せている部分があるわけでございますが、保健所の機能、この保健所の仕事のサイクルを、ある程度統一的に、どのタイミングでデータを上げてきてくださいというような業務サイクルにしない限り、HER―SYSは有効に機能しないと思っております。

 そうした観点でしっかりと、今やっていただいている保健所の保健師さんは、皆さん、現場で本当に頑張ってくださっているわけでございますので、その方々が報われるように、しっかりと仕組みを考えていかなければいけない。これはある種、政治の役割でもあるかなと思っておりますので、これは、政府も、そして自治体の皆様にも協力を要請しながら、しっかりとした仕組みの構築をしていかなければいけない。そのためには、業務をしっかり押さえていくということですし、業務を押さえられるような人というのもまた必要なのではないかと思っております。

 私は、もともと、この議員の仕事をする前は、業務を分析することを専門とした仕事をしておりました。そうした中で、自治体の業務であったりとかあるいは小売の業務であったりとか、いろいろな現場に入り込んで、業務はどのように効率化するべきであるのかということをやってまいりました。今、私が外から見ていると、その業務を分析する能力がなかなかないなということを痛感しております。この点、ぜひ西村大臣にもリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っております。

 尾身先生にもう一問お伺いしたいと思っておりますけれども、この一週間、陽性者数が大きく増加してきております。これは、例えば特定の地域や業種において東京都ではPCR検査勧奨政策をとっていたりするわけでございますけれども、緊急事態宣言を発出した時期と現在とでは、医療提供体制とかあるいは検査体制、重症患者数など、違いがさまざまあると思っております。こういう状況の中で、これは何がどう違いますかという点がまず一点目。

 そして、その上で、ここ最近の陽性者数がふえている数と緊急事態宣言を発出してきた時期の数、これを単純に比較することが適切なのかどうか、この点について御所見を伺いたいと思います。

尾身参考人 お答えいたします。

 まず、結論から先生の御質問に、単純に比較することが可能か、あるいは適切かという御質問ですけれども、これは単純には必ずしも比較できないと思います。

 その理由は大きく分けて四つぐらいあると思いますけれども、まずは、重症化の人が少ない。あと、医療体制が今比較的よくなっている。あとは、今回の場合、先生も御承知のように、以前は検査をしなかったいわゆる無症状者、いわゆる夜の町を中心にかなり広範に検査をしているということがあります。それからもう一つ、これは余り議論をされていないようですけれども、実は、東京も含めて、エピカーブという感染の広がりを示すカーブがございますけれども、これをよく詳細に見ますと、緊急事態宣言の出た四月の初旬、あのころのカーブの立ち上がり、これがかなり急峻でした。ところが、今回はそれに比べるとやや穏やかな増加。

 もちろん、これで懸念がないわけではなくて、一番の懸念は、やはりリンクの追えないものが結構あって、そこから地方に感染がということではありますが、ただ、先生の御質問の、緊急事態宣言の前とどうかというと、これが明らかに違うところが、さっき申し上げた四つの点であると思います。

濱村委員 今、四つの点ということでございました。エピカーブということで、急峻な感染者数が出てきた、緊急事態宣言を出したころ合いのころと、今は穏やかに出てきているという点、これはしっかりとまた分析についてしていただければというふうにお願い申し上げたいと思っておりますが、やはり、この数がふえていることによって国民の皆様が非常に大きく懸念、心配をされている状況もございますので、これはしっかりと、どういうところでどういう形で陽性者数がふえているのかということを認識していただきながら、自分にどういう行動が必要なのかということを照らし合わせながら日常を送っていただきたいというふうに願うものでございます。

 続いて、舘田参考人にお伺いしたいと思いますが、人々における行動変容ということを、今申し上げたとおり、しっかりと認識をしていただきながら行っていただく必要があると思っております。

 陽性者数というのは重要な指標の一つでございますけれども、当初から重視していたのは重症者数をふやさない取組であろうかと思っております。これはこれからも継続が必要だと思いますけれども、重症化しやすい方というのは、高齢者であったり基礎疾患をお持ちの方というような話がございましたけれども、これは、新たに判明したような、こういう方々は重症化しやすいというような新たな特徴といったものが見受けられるのかどうか、これをまずお伺いしたいのと、あともう一つが、大半の人は陽性者ではないでしょうし、更に言えば、自身の生活において、重症化しやすい方と会う機会が少ない人もいると考えられます。めり張りをつけて行動していただく、めり張りをつけた行動変容というのが非常に重要だと思っておりますが、どのような点に留意をすればよいか、お伺いしたいと思います。

舘田参考人 お答えさせていただきます。

 先生の御指摘のところ、非常に大事だというふうに感じています。特に、このウイルスは、新型ウイルスということで、最初は本当に何もわからない中で、手探りの中で臨床として対応していかなければいけなかったわけですけれども、いろいろなことがわかってきました。その中の一つが、先生が御指摘になったような、高齢者であり、あるいは基礎疾患を持つ人であり、そういった人において重症化しやすいということは、これは非常に大事な臨床的な知見になります。

 と同時に、もう一つ、これは非常に興味ある知見としてわかってきているのは、例えば、HIVの人、エイズの人ですね、免疫不全の人の、エイズの人で、この感染症を合併したときにどうなるのかというような、そういった疑問があったわけですけれども、これまでに得られている知見として、あのエイズ、非常に感染症を起こしやすくなる、重症化しやすいような、そういうふうな宿主において、この新型コロナウイルス感染症では余り関係がない、そういうふうな事実が明らかになっています。

 さらに、それを展開するような形で、逆に免疫を抑制するような薬が、この新型コロナウイルス感染症に対する治療の可能性が出てきた。これは先生方も御存じかと思いますけれども、アクテムラ、トシリズマブですね、IL6の阻害剤であったり、あるいは全身性のステロイド、ステロイドといいますと免疫抑制ですけれども、それが、もしかしたらこの感染症の重症化を抑えるんじゃないか、そういうふうな知見が出てきています。

 そういう意味では、数カ月の間に新しい知見が出てきて、そして、それなりにより効果的な対応がとれるようになってきているということだと思います。

 もう一つは、先生が後半で御質問になられました、多くの人は無症状である、そういうふうなところ、これも非常に大事だというふうに感じます。その中から出てきたのがこのめり張り戦略というようなことになるわけですけれども、今の東京の状況を見ても、ある地域のある人たちの間でその流行が見られているけれども、三密を避ける、あるいはマスクを適切に使う、手指衛生をしっかりするという多くの人たちの間ではその広がりというのはほとんど見られていないというのが現状だと思います。

 そういう意味では、抑えるところをしっかりと抑え、そして、緩める、緩めるというか、維持するところは維持しながらというふうな、そういうめり張り政策が今非常に重要だ、そういうふうなことだというふうに思います。

濱村委員 ありがとうございました。

 新たな知見というもの、これはもう専門家の皆様にしっかりと積み重ねていっていただきたいということでお願い申し上げたいと思いますが、もう一方で、行動変容については、そうした知見を生かした上で我々ができることだと思っております。

 めり張りをつけてこれからも日常生活を送っていかなければいけないわけですけれども、じゃ、なぜそうなのかというと、皆さん御案内のとおり、経済を回しながら感染症を抑えていくということだろうと思っております。そういう意味では、新たな日常というものがどういうものであるのかということが非常に重要だと思っております。

 竹森先生に伺いたいと思いますが、新たな日常というのは、これをやれば終わりですよというものではなくて、常に見直して、改善して、柔軟に対応し続けることが重要だと思っております。そうした観点から、新たな日常におけるメリットをどう生かしていくのかということを考えないと、人々がこうしたいんですということを実現するための努力というものが生まれていかないんだろうと思っております。

 どのようなメリットを実現していく社会が望まれるのか、御所見をお伺いしたいと思います。

竹森参考人 ありがとうございます。

 メリットということは大変よくわかるんです。ただ、これはやはり、感染症に今直面しているというところから起こってくることで、これを減らすためにどうするかというので、人と人との接触回数を減らす、これが一つのポイント。もう一つは、接触しても感染が起こらないようにする、感染率を下げるということですよね。

 残念ながら、この二番目の点について、夜の町関連、先ほど尾身先生もおっしゃられましたけれども、余りうまくいっていない。

 今アメリカのフロリダで起こっていること、ニューヨークで起こった感染はいきなり重症者がふえたんですが、ここでは、フロリダでは、若い人たちが騒ぎ回って、その感染率は物すごく大きいけれども、まだ高齢者に行っていないために辛うじて医療崩壊が避けられているという状態にあります。これは、しかし、そのシナリオは似ているんですが、フロリダは何しろ一日一万五千件発生しておりまして、東京はたかだか百五十件、まあ、たかだかと言っちゃいけない、百分の一であります。

 この違いは、やはり社会的な面があるのではないかと思います。アメリカ人はやはり個人主義で、自分で行動していくわけですが、我々は社会性というのを持っていて、そもそも、手紙でいつも季候の挨拶をしますが、あれは何かというと、礼儀だけではなくて、季候の変わり目で、今がまさにそうですけれども、命にかかわってくるわけですよね、水害もあるし、飢饉もあるかもしれないし、感染病もあるし。その感覚を我々が何とか生かせて、夜の町関連の感染も、結局、社会的自覚として抑えられるようなことになれば、日本のメリットが一つふえると思います。

 一番目の接触回数ということですけれども、これを下げるためにテレワークというのを推奨しているわけで、ある程度定着して、これからも定着しそうな企業も出てまいります。

 これにははっきりメリットがありまして、まず、通勤時間を節約できる。それと、じゃ、一体テレワークで何が評価になるかというと、会社にいて人と会っていた時間ではなくて、やった仕事の量でもって、あるいは質でもって判断される。評価というのを仕事の質でもって変えるという改革は大事だということを政府も諮問会議もずっと言ってきたことですけれども、そこへ転換する一つのきっかけになる。もう一つは、家にいる時間があれば家族と一緒にいられますから、女性がこれから活躍するために、このテレワークというのは非常にメリットがあるということですね。それから、地方にいても、ヘッドクオーターにたまに出ていくので、地方で仕事をする、混み混みじゃない状態で仕事ができれば、これは地方の経済の活性化にも役立つ等、幾つかのメリットがあるわけです。

 今、それが続くか続かないかの瀬戸際でありますが、これは続けば、我々は仕事でもって、個人の能力でもって、個人のアイデアでもって商売ができる、そういう違う時代になると思われまして、これは非常に大きなメリットがあると考えております。

濱村委員 ありがとうございます。

 最後に、端的に竹森先生にお伺いしたいと思いますが、先生は金融危機とか経済危機に対する研究が得意分野でございますけれども、経済財政諮問会議でも、経済的被害は弱い箇所から始まり、それがだんだん強い箇所に広がる、最後、金融セクターまで行く危険性があると言われておられますが、現状の金融セクターに対する影響についてはどのように評価されておられますでしょうか。

棚橋委員長 竹森参考人、お願いいたします。

 なお、大変恐縮ですが、時間が迫っておりますので、簡潔にお願いいたします。

竹森参考人 まず、企業がお金を返せなくなるという状況はあります。ただ、その場合、銀行は待ちます。待つということは問題ないんです。ただ、待って待って待って待たなきゃいけない、だから、九二年のときは九七年までそれを待ち続けたので、それだけずっと悪い状況が続かないようにするというのが第一。

 万一そうなったとしても、銀行セクターを政府ががっと支えればいいわけです。今、政府がやっているのは、まず、お金が払えないという状況をできるだけ少なくしよう、企業が銀行に金が返せないという状況を少なくしようとしている。もう一つは、銀行がまずくなったらいつでもてこ入れしますよという姿勢を出している。

 我々は、大分、九二年のころと比べると進歩しているのではないかと考えていますので、とりあえず金融危機の心配はしないでいいと思います。

濱村委員 ありがとうございました。

 今、先生方からお伺いしたことをしっかりととどめながら、我々も仕事に取りかかりたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて濱村君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 立国社の馬淵でございます。質疑の機会をいただきました。

 まずは、冒頭、全国的な令和二年七月豪雨災害並びに新型コロナウイルスの感染により亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災者の皆様、さらにはコロナウイルスへの感染、療養の中での皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 まず、災害についてでございますが、このコロナ禍における全国的な豪雨で、我々が最も恐れていた感染症と水害の複合災害、こうした状況が発生をしているのではないかということでございます。

 複合災害とは、かつては、水害被害またそこに地震に遭遇するなど、自然災害の重複あるいは火災などの災害の重複、東日本大震災では原発事故ということもございました。このような重複を想定していたわけでありますが、今は全く異なるウイルスとの戦いを考えなければならない。つまりは、複合災害の類型が大きく変わってきたということだと思います。

 したがって、従来からの災害対応の考え方を抜本的に改めなければならない。避難場所、そして、避難所の設置基準の見直しや増加、拡大、さらには、一定数以上の方々が常に密集しない体制を恒常的に確立しなければならない。こうしたことが防災の対応のかなめになってくることだと思います。

 さらに、今、この災害の復旧対応の中で大変な厳しい状況の中におられる皆さん方、この中でも、コロナの蔓延の危険があるということから、被災地支援の団体、ボランティアが大変著しく減少している、あるいは、個人の県外移動もはばかられる中で民間の支援が滞っている、こうしたことが報じられております。

 全国社会福祉協議会の被災地支援・災害ボランティア情報、これを見ますと、今回募集されているボランティアは全て県内若しくは市内在住者に限るとされています。

 こうした状況で、確かに感染拡大の防止という観点からはいたし方ないんだろうなということは私も感じますが、その中で、十三日でございます、豪雨対応の応援で高松市から派遣された職員の方が、これは熊本県の多良木町の高校で避難所運営に当たっていた男性保健師ということでありますが、新型コロナウイルスに感染していたことが判明をいたしました。この保健師の方がおよそ四百人程度の避難者と接触した可能性があるとされていますが、こうした事態を、これは極力、もう最大限防がねばならない、招かないようにしなければならないという早急の対応が求められます。

 そこで、きょうは防災担当の副大臣にお越しいただいておりますが、まず、平副大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 こうした状況で、やはり、コロナ禍におけるボランティアの募集、あるいは公衆衛生活動を行う保健師や看護師の派遣等々、こういった場合には、国としてPCR検査を行って陰性確認ということを行うということを統一的な指針として出すべきではないか、このことを私は強く感じるわけでありますが、平副大臣の方から御答弁をお願いしたいと思います。

平副大臣 初めに、今回の豪雨災害によりお亡くなりになられた方及び御遺族の方に心から哀悼の意を表するとともに、被災された全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 今御指摘をいただいた点でございますが、緊急事態宣言解除後においては、ボランティアの募集範囲を拡大する場合には、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針等に示されている外出の自粛等の考え方のもと、被災地域の住民ニーズ等を把握して、被災者の意向も踏まえ、自治体とも協議した上で決定する旨を、全国社会福祉協議会から地域の社協に通知をさせていただいているところであります。

 当該通知を踏まえて、内閣府も自治体に対して、地域の社協と連携をして、必要なボランティア人員を受け入れることによる被災地の早期復旧復興に配慮し、適切に対応していただくように通知をしています。

 内閣府といたしましては、ボランティアの募集範囲や健康状態の確認の考え方については、地元の被災者や自治体等の意向を尊重することが必要と考えております。PCR検査を統一的に導入ということは、現時点では、自治体のさまざまなニーズに的確に応えられないおそれがありますので、統一的に導入をするということは今の時点では考えておりません。

馬淵委員 内閣府から通知で、通達でさまざまなボランティア支援の対応を発出しているというのは私も事務方から説明を受けました。

 特に、今回の熊本県の人吉等々では、県内といっても、県外の鹿児島、大分、こういった方々の方が非常に近いということもありまして、県内に限るというのは逆にボランティアを制限してしまうことになる。こういった観点も含めて、九日には新たに通知が発出されて、近隣の近接県あるいは自治体との協議も行うようにという通知が出ているんですが、これは自治体でなかなか踏み切れないんですよ。

 こうした場合の、まさに複合災害を防ぐには、国が主導しなければならない。防災の最も重要な観点、それは初動ですから、七十二時間以内に災害対策で行かれる、派遣される方々やあるいはボランティアの方々に対しては、やはり国が率先してPCR検査というものを、ある意味、これは指針を示しながら、義務づけという言葉が正しいかどうかはわかりませんが、率先して課すということを自治体に発出すべきなんです。

 これについて、平副大臣、先ほどのお話はそこまでしかできないというお話でしたが、イエス、ノーでお答えください。いかがですか。御検討いただけませんか。

平副大臣 御承知のとおり、自衛隊も二万人入っています。七十二時間以内に人命救助もしなければなりません。

 PCR検査を義務づけをすると、検査をして結果が出るまでずっと待機をしなければいけないわけですから、パブリックにおいてはそれぞれの主体が責任をとっていただく。今後、ボランティアに関してはいろんな可能性が出てくると思います。

馬淵委員 私はまずボランティアを主体に申し上げておきましたので、ボランティアについては今後さまざまな可能性が出てくるという御答弁をいただきました。

 きょうは担当大臣いらっしゃいませんが、武田大臣いらっしゃいませんが、武田大臣もボランティアの人員が致命的に足りないんだということをおっしゃっておられましたので、ぜひこれは防災担当部局でしっかりと検討して前に進めていただくようにお願いしたいと思います。

 そういった状況が複合災害ということで私たちは改めて認識をすることができたわけでありますが、このように人の移動によって感染リスクが高まると豪雨災害の中でも明らかになった、この状況の中で、七月の十日であります、まさに災害のさなかに、国交大臣から、人の移動を促進させるゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンの二十二日からの前倒し実施が発表されました。

 全国の豪雨災害の被害というのは、七月十四日朝の時点で、死者・行方不明者数が八十三名、全壊、半壊並びに床上、床下浸水が一万四千八百三十六棟。九州の鉄道被害は、JR九州と第三セクター合わせて十二日現在の不通区間は六路線で約三百十キロ、このうちJR九州は約二百三十キロが不通となって、九州新幹線、在来線の全路線のうち一割が鉄道橋の流失、線路への土砂流入で運行不能となっています。このような状況で被災地への観光は不可能です。

 今、被災地にとって最も必要なのは復興支援であります。総理は視察をされて、この豪雨の災害復旧に四千億円を上回る予算を活用する、このように語られました。しかし、一方で、被災地にとっては何の経済支援にもならないゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンをこのタイミングで一兆三千億円を使って行おうとしている。

 そこで、このゴー・トゥー・トラベル・キャンペーン、そもそもどういう位置づけなのか、このことを確認をしていきたいと思います。

 皆さんのお手元と、そしてパネルに用意をいたしました。これは四月の七日、緊急事態宣言発出のとき、その当日に新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として閣議決定をされた文書の抜粋でございます。

 ここにはこのように書かれております。

 まず、次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復というところ、ここでは、新型コロナウイルスの感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後、このときに初めて反転攻勢のフェーズに入る、こう書かれています。

 また、その内容としては、観光、運輸、飲食業、イベント、エンターテインメント事業等に対する支援ということで、さらに、この閣議決定の文書の中には、ゴー・トゥー・キャンペーン(仮称)として、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後の一定期間に限定して、消費喚起キャンペーンを実施する、このように記されているわけであります。

 これは西村大臣にお尋ねをしたいと思います。閣議決定でありますから、閣僚としてサインをされているわけでありますから、そして担当大臣。

 つまりは、このキャンペーンを今回行うということは、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束したという判断をしたということでしょうか。いかがでしょうか。

西村国務大臣 四月七日の時点の閣議決定でありますけれども、この時点で、この新型コロナウイルス感染症について、いわゆる緊急事態宣言を発出したあのときの、あの大きな流行を収束させた後にこういった事業を行うということでありますので、当然、五月二十五日に緊急事態宣言を解除しまして、そして、その時点で、私何度も答弁を申し上げていますけれども、基本的な感染防止策を徹底していただきながら、しながら、社会経済活動を広げていくということであります。

 ただ、御指摘のように、当然、足元の感染状況を踏まえながら進めていくのは当然のことであります。昨日、国交大臣から説明があったと承知しておりますけれども、観光事業者あるいは旅行者における感染防止策の徹底、こうしたことを基本として開始する予定と聞いております。

 そして、その上で、足元の感染状況につきましては、きょうも専門家の皆さんにお越しをいただいておりますけれども、あす十六日に新型コロナウイルス感染症分科会を開催いたしまして、改めて、日々いろんな御意見もいただいておりますし、昨日も厚労省のアドバイザリーグループでいろんな議論がなされたと承知をしておりますけれども、改めて感染状況の分析をいただき、御意見をいただく予定にしております。

 こうした専門家の御意見を国交省にもしっかりと伝えて、専門家の皆さんの御意見を踏まえながら適切に対応されるものというふうに理解をしております。

馬淵委員 私が聞いているのは、閣議決定には明確に、ゴー・トゥー・キャンペーンとして、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後と書かれているんです。そして、その前段には、国民の不安が払拭された後と書いてあるんです。

 今大臣がおっしゃった、大きな流行を収束させたと、これは当日の議院運営委員会で大臣が報告されていますね。その文言どおりです。今回この大きな流行をここまで収束させることができた、これをおっしゃっておられます。

 しかし、繰り返します、閣議決定は明確に、国民の不安を払拭した後であり、コロナの感染症拡大が収束した後であります。その段階でなければ国民の不安は払拭されないんですよ。この決定を覆していることになりませんか。大臣、いかがですか。

西村国務大臣 五月の二十五日に緊急事態宣言の解除をいたしまして、大きな流行を収束させることができた、御指摘のとおりでございます。

 そして、その後は、感染防止策を講じながら経済社会活動との両立を図っていく段階ということであります。

 更に言えば、当然、今の足元の状況、感染状況をしっかりと踏まえて、そして、御指摘のように、国民の皆さんの御不安を払拭しながら、また先ほど御指摘があった被災者の皆さんの心情にも寄り添いながら、配慮しながら進めていくのは当然のことと思います。

 専門家の皆さんの御意見をしっかりとお聞きをして、あす分科会も開きます、そうしたことを国土交通省、国交大臣にもしっかりと伝えて、その上で適切に判断をされていくというふうに考えております。

馬淵委員 大臣、違うお話をされているんですよ。私は、閣議決定を、この決定をどのように変えたのか、あるいは、そうじゃなくて、収束したと判断したのか、このことをお尋ねしているんです。

 閣議決定を変更されたということですか。閣議決定を変更するには閣議決定が要りますよ。大臣、よく御存じのように、内閣法の一条二項に定められて、全員一致なんですよ、閣議決定は。「内閣は、行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う。」この内閣法の一条二項が閣議決定の法的根拠です。これを覆すには閣議決定が要ります。

 だから、覆したのか。覆したとすれば、それは大臣、閣議は全員了解が要りますからね、勝手にやったことになるんですよ。そうではなくて、収束したと判断したのか。ここまで明確に書いているんですから、その中途半端な話はないですよ。

 大臣、いかがですか。

西村国務大臣 その閣議決定は生きております。

 したがって、大きな流行は収束させたという判断をして緊急事態宣言を解除したところであります。そして、その時点の話でありますから、当然、その流行を収束させたということであります。

 ただ、繰り返しになりますが、足元の感染状況についてはきめ細かく分析をして、専門家の皆さんの御意見を聞いて、その上で、その状況を踏まえて適切に判断していくということであります。

馬淵委員 大臣が大きな流行を収束させたと言ってきた。つまりは、これは、大きな流行を収束させたというのは、流行は収束したということを判断したということになりますよ。閣議決定の変更でないんだとすれば、ここに書いてあるとおり、収束した後だと、今、現時点でなっているということになりますよ。違いますか。

 どこに書いてありますか。お答えください。

西村国務大臣 緊急事態宣言を解除したということは、そのときの流行は収束させたということで解除したわけでありますので、その時点でそういう判断をしているわけであります。

 ただ、その後、今の足元で感染がふえていることは十分理解をしておりますし、危機感を持って対応しなきゃいけないと思っております。

 専門家の御意見、日々伺っておりますし、あす分科会を開いてしっかりとお伺いをして、国交省において適切に判断をされていくものというふうに思います。

馬淵委員 もうそれ以上答えられないのはよくわかりますよ。でも、テレビをごらんの方々は、こういう決定をしておいて、今非常に中途半端な状況に置かれているということに不安を感じますよ。不安の払拭どころじゃないですよ。不安の増幅ですよ。お答えいただけないのはよくわかりました。

 大臣は、重ねて、引き続き警戒感を持って感染状況を注視しつつということを、これも常々おっしゃっておられます。つまりは収束していないということじゃないんでしょうかね。つまり、その状況であれば、このゴー・トゥー・キャンペーン、実施すべきじゃないということなんです。

 私は、地元奈良県です、奈良市住まいです。観光都市でもあります。多くの観光業界の方々が大変な苦労をされていることを私も承知しています。そして、何とかこの状況を脱却したい、支援のお願いも私もたくさんいただいております。

 そのことはよくよく承知をした上で、しかし、現在、東京を中心とした首都圏でのコロナ感染拡大ということについては、大変多くの皆さん方が不安に思っておられる。旅館業の方々もそうです。果たしてどうなるかということに不安を感じておられます。

 十日の日に全国知事会は、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンの全国一律の実施を行わないことを求める緊急提言を国に出しました。全国知事会です。緊急提言です。これはとんでもないということで、全国一律やめてくれと、このように文書を発出されました。

 そして、十三日には、私もよく存じ上げておりますが、元国土交通省官僚の宮下宗一郎青森県むつ市長は、キャンペーンによって感染拡大に歯どめがかからなくなれば、これこそ政府による人災だと。ここまで、国土交通行政のことをよく御承知の市長も大変遺憾に思ってこうした発言をされている。

 昨日は、山形県知事は、首都圏での新型コロナウイルス感染状況や各地での豪雨災害を踏まえるとこの時期のスタートはいかがなものか、大阪府知事は、全国的なゴー・トゥー・キャンペーンは今やるべきではないと思うと語るなど、全国の自治体からこの時期でのキャンペーン実施について強い懸念が示されています。

 また、昨日、自民党の世耕参院幹事長は、感染状況などをよく見ながら柔軟な判断をしていけばいい、方針変更は幾らでもやってよいと述べ、慎重姿勢を示したと報道されています。

 先ほど西村大臣がおっしゃったように、赤羽大臣は、こうした声を受けて、新しい旅のエチケットを示した後、さらに、十七日には事業者に感染防止対策の義務化を発表するとして、緊急の説明をされました。しかし今、この世の中から是非が問われているのは、感染防止対策をどうするかということではなくて、なぜ今なのか、そして、なぜ移動を促進させてよいのか、この二点なんです。

 そこで、そもそもこの東京を中心とする首都圏のコロナ感染状況をどう考えているかということでお尋ねをしたいと思います。

 十一日、菅官房長官は北海道で、コロナウイルスの感染拡大、再拡大について、圧倒的に東京問題と言っても過言ではないとおっしゃいました。東京中心の問題になってきているという発言があったんです。

 この時期にキャンペーンを開始するということは、政府は、このコロナウイルス感染拡大が、再拡大が、東京の問題であって、全国的には収束しているという認識なのか、またこの話に戻りますよ。政府は東京問題だというふうに考えているということでよろしいんですか。大臣、いかがですか。

西村国務大臣 御指摘のように、東京そして首都圏を中心に感染者の数がふえているということであります。ざっくり言いますと、東京の感染者の数が全国の半分ぐらい、半分前後、それから、首都圏でいいますと七割とか八割を一都三県で占めているということで、感染は東京、首都圏で広がっているということがまずあります。

 ただ、この新規感染者の数は、先ほど尾身先生からもお話がございましたけれども、積極的に、いわゆるバー、クラブなど接待を伴う飲食業の方が無症状でも受けている。毎日、百五十人とか二百五十人とか数十人とか受けられています。その三割近くが、陽性率ありますので、当然、七、八十人とかですね、これまでは検知していなかった方も入ってきていますので、その分が上乗せされています。それによって二次感染が防げているという面もありますので、このあたりもよく見て分析しなきゃいけないと思っております。

 ただ、それで、首都圏だけで大丈夫かというと、そうではなくて、感染経路不明の割合もありますし、それから、地方でも感染が見られております。ただ、どこでも小さな流行は起こります。これを小さな流行で抑えていかなきゃいけないということでありますので、このあたりの感染状況をよく見て分析しなきゃいけないと思っております。

 それから、国土交通大臣とも昨日もお話をしましたけれども、各県の知事から、あるいは、いろんな声が来ていること、もちろん、推進してほしいという知事の声もございます。一方で、非常に慎重に進めるべきだという声もございます。そうした中で、そうした声を踏まえて、どういった対応がとれるか検討していくというお話も伺っておりますので、いずれにしても、感染状況、それから、御指摘のあった国民の感情、心情にもしっかりと寄り添いながら、国交省において今検討が進められているもの、適切に判断されるものというふうに考えております。

馬淵委員 結局、西村大臣、閣議決定で、全員一致の原則で了解をされて決定された文書、このとおりになっていない中で、それでもこの閣議決定を変更していないということで、収束したと言いたいところだけれども、そう言えないから、大きな流行は収束させたと言って、ある意味、私からすれば、言い逃れておられる。

 さらには、東京問題。菅官房長官は、これは東京の問題だと押し込んで、全国は関係ないんだ、このようにおっしゃろうとしている。

 確かに、過半数を超える、あるいは首都圏で七割、八割という状況、また、PCR検査がより広く、深く行われるようになったという部分もあった。しかし、ここ二日間は百人台でありましたが、東京都の感染者数は、その前、四日間連続で二百人を超えていました。つまり、このキャンペーン実施というのは、結局は、こうした状況で東京都民の皆さん方にも県をまたぐ移動を推奨することになるんですよ。この状況で、県をまたぐ移動を国が推進していいんですか。

 そして、もっと言えば、この緊急経済対策も含めて、閣議決定で、その責任者は総理です。

 安倍総理は、こうした対策のときには、前代未聞、あるいは世界にも、それこそトップクラス等々、さまざまな修飾語をつけて、ここまでやった、ここまでやったと言われるが、その後の尻拭いは、結局、西村大臣に押しつけているんじゃないですか。何でここに来ないんですか。

 本来ならば、安倍総理が集中審議をもって国民の皆様に全てつまびらかにして、どういう状況なのか、収束したのかしていないのか、あるいは、ゴー・トゥー・キャンペーンは今やるべきでないのかあるのか含めて、総理から説明をされる、私は、これが本筋だと思いますよ。西村大臣は、答えられない、閣僚の一員として、総理ののりを越えて発言することはできない、そう内心思っておられるんだと思いますよ。

 こうした状況を、私は大変、テレビをごらんの方々や、あるいは、きょうも含めて同僚議員もまた質問させていただきますが、ニュース等でごらんになる方々は、じゃ、どうしたらいいかわからない、これが率直な気持ちなんじゃないかというふうに思います。

 改めて、西村大臣に確認しますよ。

 今申し上げたような状況の中でも、県境をまたぐ移動については制限しなくていいんだ、大丈夫なんだというお考えだということでよろしいですね。

棚橋委員長 ちょっとお待ちください。

 先ほど、委員会運営に対するお話がございました。

 御報告申し上げます。

 今回、本日の委員会は参考人質疑でございまして、国務大臣は西村大臣のみが出席するということで、全会派が一致しております。その旨は御承知ください。

 西村国務大臣。

西村国務大臣 まず、緊急事態宣言を五月二十五日に解除した後は、経済活動と両立を図っていくということで、徐々に徐々にその経済社会活動のレベルを引き上げていっている段階です。現在は、県をまたぐ移動も自由にできるという段階にあります。

 ただ、自由にできるんですけれども、感染防止策は徹底していただくということが当然で、先ほど来お話が出ていますとおり、三密を回避し、特に換気をよくしていくこと、あるいは大声を出さない、これが最近の感染で広がっている傾向でありますので、ぜひこれは守っていただきたいと思います。

 それから、そもそも体調の悪い人は外出を控えていただく、むしろ、相談して検査を積極的に受けてもらうということが大事でありますので、当然、県をまたぐ移動もそれは避けていただく、こういった認識でおりまして、これは、各県の都道府県知事とも認識を一つにしているところでございます。

 ただ、その上で、県の移動をまさに後押しするゴー・トゥー・キャンペーンをどういう形で進めていくかというところは、国交大臣が昨日言われたように、更に感染防止策を徹底していくということでありますし、足元の状況、専門家の御意見を聞きながら、適切に判断をされていくものというふうに考えております。

馬淵委員 今じゃないということなんですよね、今のお話を聞くと、ますます。

 首都圏での感染者、先ほどお話にありましたように、いまだ安心できる状態にないわけです。

 そして、この状況を、小池都知事は移動を控えてほしいと言い続けてこられました。それに対して西村大臣は、いや、構わないんだと言ってこられましたが。直近でも小池都知事はこのことを言ってこられて、そして、おとといですよ、十三日、菅官房長官がさらに、十一日に北海道で発言してからまた、これは官邸の会見です、ここで、新規感染者の中で東京都が半数以上を占めているということを繰り返し語られて、この東京問題のことについては取り消さず、撤回もなく、おっしゃっているわけです。

 これに対して小池都知事は、消費喚起策のゴー・トゥー・キャンペーンがこれから始まろうとしている中で、整合性を国としてどうとっていくのか、このように語られたわけであります。つまり、これは国の問題だと言っているんですよ。国がはっきりと国民にわかりやすい方針を示す以外にないんだと。

 アクセルとブレーキを同時に踏む。あるいは、冷房と暖房を同時につける、こんな比喩もあります。ネット上では、ちょっと下品ですが、下剤と便秘薬と一緒に飲むというのもありました。

 このような状況の中で、都知事と真っ向対立する概念の整合をどうやってとるのかということが問われます。

 したがって、西村大臣、今、小池都知事がおっしゃっているように、国が率先しろ、こう言っているわけでありますが、どうやってこの整合をとっていかれるおつもりですか。何もされないんですか。このまま食い違った発言をずっとされていくんですか。いかがですか。

西村国務大臣 小池都知事の発言全てを私承知しているわけではありませんけれども、しかし、毎日のように連絡をとり合って、お互いの状況、考えていること、政策など、確認をしているところであります。

 八日の小池知事の会見でまさにおっしゃっていることは、都外への外出等々については、特にお体のぐあいの悪い方は、出張等々あるかもしれませんけれども、他の地域にいらして何かがあるということに気をつけていただきたいという旨を発言されておりまして、その翌日だったと思いますけれども、改めて私から、小池知事と認識を確認して、先ほど申し上げたような、県をまたぐような移動は今自由になっているけれども、感染防止策を徹底していただくことが何より前提ですし、それから、調子の悪い方はそもそも外出を控えていただく、また、他県への移動も控えていただくのは当然であるということで認識を一つにしているところでありますので、小池知事と何か今認識がすれ違っているということはないと思っております。

 ただ、繰り返しになりますが、ゴー・トゥー・キャンペーンの進め方について、足元の状況を見ながら、またさまざまな国民の心情に配慮しながら進めていくのは当然だと思っておりますので、専門家の御意見も聞きながら、国土交通大臣にもしっかりとそれをお伝えして、進めてもらえればというふうに思っております。

馬淵委員 あの八日の話というのは、七日に大臣が会見で語られて、翌日、小池さんも了解されたというようなことをおっしゃったというのはわかっています。

 違うんです。その後も小池都知事は、十三日ですよ、おとといも、国が整合をとってくれ、国がやるべき仕事だろうと、こうはっきり言っておられるんですね。つまり、東京問題と言われて、私から見れば、菅さんと小池さんの中でばちばちばちばち火花が飛んでいるのかな、散っているのかなという気がしますが、いずれにしましても、やはりこれは国が率先して方針を示すべきなんですよ。

 専門家とよく協議をしながらというそんな話じゃなくて、今まさに人の交流が始まろうとしているわけです、それを推進させようとしているんですよ、政府は。それで多くの国民や都民の皆さん方も不安なんです。先ほど申し上げたように、払拭なんかされていませんよ。収束したということは完全に言い切れない、大きな流行がおさまったとしか言い切れない状況の中でなぜこれをやらなきゃいけないのか。国が明確なその方針なりその責務を応えるべきなんです。

 西村大臣、ここでそのことを、しっかりと閣内で議論をして、安倍総理にも伝え、そして政府として見解を出すということ、これは西村大臣の立場で答えられるわけじゃないですよ、そういう動き、働きをする、閣僚の一員として、国会に連帯して責任を負う内閣の一員としてそれを行うと、ここではっきりとおっしゃっていただけませんか。いかがですか。

西村国務大臣 まさに御指摘のとおり、さまざまな御意見があることは承知をしております。こういう状況、東京で感染者がふえている中でやるべきではないという声、特に地方での心配の声、それから一方で、先ほども御指摘ありましたように、地方の旅館、ホテル、大変厳しい思い、観光地が厳しい思いをしている中で、進めてほしいという声も伺っております。

 私の役割、まさに、感染を防止する、命を守ることと経済の両立を図っていくことでありますので、その両面からしっかりと状況を分析して、特に感染状況については、今の東京がふえていること、こういったことも、専門家の御意見を聞いた上で、しっかりとそれを閣内で伝えるのは私の仕事だというふうに思っております。

馬淵委員 しっかりと閣内で話をしていただいて、そして、これはもう委員会の運営は理事と委員長、皆様方にお任せですが、総理に出てきていただいて、そして、まだ間に合いますよ、泥縄方式のこの状況で、あやふやな状況でキャンペーンを進めるべきではない、被災地の方々の心情も考えれば、今行うべきではない。

 そのことを私は最後に申し上げて、そして、政府として英断、政府として判断、このゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンの、今は行わないという、撤回を求めることを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 この際、本多平直君から関連質疑の申出があります。馬淵君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 共同会派の一員として質問させていただきます。

 冒頭、委員長、先ほど、理事会で与野党合意できょうは西村大臣だけだという発言をされましたけれども、我々、やむなく合意しているだけなんですよ。本当は、国会をこのコロナ禍の最中に閉じて、そして、ようやく開いた予算委員会、西村大臣はもちろんだけれども、総理の考えもしっかり聞きたいことがたくさんあるんですよ。その中で、安倍総理は逃げ、与党は安倍総理を隠している、私はそのことをしっかり言っておきますよ。やむなく合意しているんですから、それを間違わないようにしていただきたいと思います。

棚橋委員長 本多平直君に申し上げます。

 理事会で、全会一致で参考人質疑として合意いたしました。さらに、参考人にプラスして国務大臣を呼んでおります。そのことは御理解ください。どうぞ御質問ください。

本多委員 委員長の言っていることが間違っているなんて言っていないですよ。やむなくと言っているんですよ。やむなく合意したんですよ。

棚橋委員長 どうぞお進めください。

本多委員 では、委員長に質問しますよ。

棚橋委員長 どうぞ。

本多委員 我々は安倍総理の出席を要求しましたか。

棚橋委員長 筆頭間で議論されていると聞いておりますし、また、この委員会の後、理事会が開かれる予定でおります。

本多委員 まあいいです。棚橋委員長にこれ以上私の時間を邪魔されたくないので、質問に移ります。

 西村大臣、私も馬淵委員に続いて、この局面で政府の予算一兆数千億円を使って、旅行に行く人を、この時点でですよ、ふやすことはやめてほしい、この思いで質問をしたいと思います。観光業の方は困っていますから、私は、延期をして、しかるべき時期に実施をする、そのことには反対ではありません。しかし、今ではないということをきょうは議論したいと思います。

 それで、今ではないの前提に、さっきの馬淵委員との質疑でも、大きな波だとか小さな波だとか、どこにも一度も出てきていないいいかげんな言葉を使って閣議決定をねじ曲げていますけれども、そもそも今の東京の状況はどういう状況なのかということを西村大臣と議論したいんですよ。

 いいですか。前回の緊急事態をやめるとき、西村大臣は記者会見をされて、記者さんから、今度、一旦緊急事態はやめるけれども、次に発出するときにはどんな目安の数字で見るんですかという質問を問われて、こういう目安を挙げているんですよ。人口十万人当たりの感染者数は週五人、感染スピード、感染者が倍になるスピードは十日以下、感染経路不明の割合はおおむね五割以上。

 このとき言われた緊急事態宣言再発出の目安、これは今も変わりませんか。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 この時点で、私はこのような数字を目安として申し上げました。実は、専門家の皆さんからは、余り数字を出さない方がいいということでお示しはいただけなかったんですけれども、これは数字がひとり歩きするとか、あるいは状況が変わるからということを言われましたけれども、私は、都道府県の知事の皆さんや全国の国民の皆さんが目安はやはり求めておられるだろうということで、この数字を、まさに御指摘のことを申し上げました。

 その上で、今も日々専門家の皆さん等も御議論いただいておりますし、専門家もおられますのでお聞きいただければと思いますが、先ほど来お答えを申し上げているとおり、東京において、新宿区を中心に、無症状の人も、リスクの高い業種ということで、バー、クラブなど接待を伴う飲食業の方々に広く呼びかけて検査を行っております。これが一日百数十件、二百数十件、検査に応じています。その分のプラスが乗っていますので、これはこれまでと状況が違うということがありますから、そのことを配慮して判断していかなきゃいけないというふうに思います。

本多委員 いろいろ理屈を言っていますけれども、大臣の目安は今も生きていると。

 東京の、緊急事態を出すころの数字と、七月十三日、最近の数字を出しています。一番目の目安、五人程度というのが、今の東京は八・五です。四月の東京よりもふえています。それから、感染拡大のスピード、あの四月七日当時は二日程度でした。これが今は二・五日で倍になっています。3、おおむね五割程度、このときは不明な割合は六八%、かなり四月は高かったんですが、今は四六%、おおむね五割ということです。

 私、誤解されないように言いたいんですけれども、数字をちょっとでも超えたらすぐ出せとか、緊急事態宣言を出せば全て解決するとか、今すぐ出せとか、そういう議論をしたいわけじゃないんです。ただ、私が出した目安じゃないんですよ。コロナ対策担当大臣がわずか二カ月前に出した基準、これを大きく超えているということはまず認めていただけますか。大体この目安で緊急事態宣言を考えるねと五月二十五日に大臣がおっしゃった基準を今の東京は大きく超え、四月に緊急事態を出したときよりも数字が大きいものも二つもある、これは認めていただけますか。

西村国務大臣 緊急事態宣言を発出するとき、あるいは再発出するときは、新規感染者の数、つまり感染状況、これと医療提供体制、あるいはPCRがどの程度行われているか、こうしたことを総合的に判断するということにしております。

 感染状況の目安については、私、このとおり申し上げました。現状、これを上回ったり近い状況になっているということは、そのとおりであります。

 ただ、この数字、感染状況自体も、先ほど申し上げましたように、積極的にPCR検査を受けてもらっていますので、その分の、これまで検知していなかった分を検知して二次感染を防いでいるという面がありますので、その面も配慮しなければいけませんし、一方で、医療提供体制は、東京で重症者の数が七名ですかね、直近で七名と聞いておりますが、百床、重症者用のベッドを用意して七名、全体の医療提供体制も余裕があるということでありますので、そういったことを総合的に判断して、緊急事態宣言を発出するかどうか、このことは専門家の意見もお聞きしながら判断していくこととなります。

本多委員 もちろん、この数字は目安ということで大臣もおっしゃっているので、この数字だけでとは限りません。もちろん、一日一人超えたとか、そういうことですぐ出されたら困ります。総合的にほかの条件も見るということは大臣のおっしゃるとおりです。

 今、大臣、こんなに数字は五月二十五日に言った目安を超えているけれども、今緊急事態を出さない理由の一つに、東京都の医療体制がまだ大丈夫だ、そういう条件も考えてと言っています。

 では、本当に、大臣の言うように、今東京都の医療体制は大丈夫なのか。次のパネルを見ていただきたいと思います。

 本当でしょうか。西村大臣も小池知事も、東京都の医療体制は逼迫していないと。いやいや、私、ニュースを見ていると、大変なんですという声、お医者さんなど、保健所の関係者からたくさん聞こえてきています。そもそも今、東京都、きのうの時点で八千百八十九名の方が陽性です。残念ながら亡くなられた方、三百二十五名、退院された方、六千四百七十二名。残りの千三百九十二名の方が問題なんですよ。

 大臣、まず、そもそも論を聞きますけれども、千三百九十二名という人数は、本当は全員入院すべきなんじゃないんですか。

西村国務大臣 これは、無症状の方もかなりおられます。つまり、無症状でも今検査を受けていただいて陽性とわかっておりますので、そういった方々に、もちろん、当然入院するという考えもありますけれども、ホテルや自宅で療養していただくというのが今基本的な考え方になっております。やはり、軽症で症状が出たり、中等症になってくる人、あるいは、当然重症の人は病院に入院していただくわけですけれども、無症状の人はホテルや自宅で療養していただくということで進めているところでございます。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 陽性が確認をされた方につきましては、西村大臣が答弁されましたけれども、入院ないしは宿泊の療養をしていただいて、それは、それぞれの症状等に応じて保健所等で判断をしてそのように対応する、このようなことになっております。

本多委員 いや、ちょっと待ってください。宿泊療養も、やむを得ずですよね。緊急時に病院が足りないから、軽い方はホテルを確保しているだけで、本来は入院なんですよ。これはもうやりとりしてもしようがないので、行きます。

 だけれども、いいですか、これ、皆さん見てください。六百七十九人の方が入院している。百四人の方は、やむを得ず、入院病床が余り埋まっても困るからホテル、ここまでは認めていいですよ。しかし、東京都は何と、今厚労副大臣の言った原則から外れて、自宅療養が二百七十三人。ましてや、何ですか、調整中三百三十六人って。

 こんな、千三百人のうち五百人以上、病院にもホテルにもいない感染者がいるんですよ。どうしてこんなことになっているんですか。何なんですか、これは。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 原則は先ほど申し上げたとおりでございますが、この入院・療養等調整中の方ということにつきまして、東京都の方にも確認をしたところでございますけれども、まさに、その症状に応じて、入院先については確保してあります、そちらに入院していただくべき方にはしていただく。また、宿泊についても、今、宿泊先等について確保しつつ、行っていただける方には行っていただくということをしております。

 また同時に、それぞれの方々の御都合によりまして、例えば、おうちにお子さんがおられて一人で残すわけにいかないでありますとか、そうしたことも勘案しながら保健所の方で調整を続けているということがあるようでございます。

本多委員 本来なら入院をしたりホテルに入るべき方なのに、まず、自宅療養を認めている理由、今、その本当にどうしようもない方だけなんですか。ホテルも病院も足りないから、やむを得ずこうなっている方はいないんですか。いたら、医療体制は逼迫しているじゃないですか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 特に、最近陽性が確認をされた皆様方につきましては、いわゆるクラブなど接待を伴う飲食店などの感染が確認された店舗において、濃厚接触者あるいは同じ店舗の関係者の方々に、積極的に検査を受けていただいた方々も多数含まれております。

 そうした中で、症状がないということもあり、また、先ほど申し上げましたように、それぞれの方々の事情等々に応じながら入院や宿泊先の調整をしているわけでございますけれども、多数に上っているというところもあり、その調整そのものにやはり時間を要しているということがあるというふうに聞いておりまして、私どもといたしましても、保健所等の職員の状況など体制整備、あるいは宿泊療養先の確保等の取組を改めて東京都の方にもお願いするとともに、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

本多委員 西村大臣、西村大臣は、さっき言ったように、もう緊急事態を出すといった西村目安を大きく超えているけれども、東京都の医療体制がしっかりしているから、そういうことを考えない条件の一つだよと言ったんですけれども、今の、本来入院したりホテルに入るべき人が二百七十三人も自宅療養をしていて、調整中って何なんだかよく、後で聞きますけれども、これがこんなに、五百人もいるんですよ。これで、医療体制、病床があるから大丈夫と本当に言えるんですか。東京都の医療体制は逼迫していないんですか、これで。

棚橋委員長 厚生労働副大臣橋本岳君。(本多委員「いや、違う違う、大臣の見解を聞いているので」と呼ぶ)

 まずは担当、その後、西村大臣にも話していただきます。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 東京都の医療提供体制、特に病床の体制というお話をいただきましたけれども、入院可能な病床の増加を東京都において図っていただいておりまして、二千七百床の中等症以下用の病床、百床の重症用の病床、計二千八百床を確保しているというふうに聞いております。

西村国務大臣 病院の体制は、今副大臣からありましたけれども、二千八百床確保している中で、入院を要する方が、今の、六百何人でしたか、ですので、ここはまだ十分あるというふうに認識しております。

 ただ、ホテルがどうも契約の端境期になっているようでありまして、それが今週中にも、あすですかね、プラス百七十室、そして今月中には千室確保できるというふうにめどを聞いておりますので、これは厚労省と都の方でいろいろ調整をされていると思いますけれども、そういう意味で、全体としての医療の提供体制は逼迫はしていないという判断をしております。

 ただ、もう一点、保健所が相当負担が重くなってきておるのは事実でありまして、保健所を支援していかなきゃいけないということで、さまざま、国、都、区で連携しながら保健所の人員強化を行ってきているところでございます。

本多委員 保健所の方々が大変な思いの中で働かれているのはわかっていますよ。そんなもう二、三カ月前から言っていることを今から取り組むとかおかしいし、それから、副大臣、二千八百床、東京都はと今大臣は言いましたけれども、本当なんですか、それは。今、きょう時点、二千八百床確保されているんですか。けさ、二千八百床あいているんですか。

橋本副大臣 繰り返しになりますが、東京都においては、最近の感染拡大を受けて入院可能な病床の増加を図っており、二千七百床の中等症以下用の病床、そして百床の重症用の病床、計二千八百床を確保していると聞いております。

 ただ、実際の入院の調整ということについて申し上げれば、患者の方の重症度、既往歴、合併症の有無、年齢に応じた今後の臨床経過の見込みなどを踏まえた上で、東京都の新型コロナウイルス感染症調整本部又はそれぞれの地域の保健所において医療機関と調整を行っていると承知をしておりますので、それは、二千八百人、今病床ということは申し上げました。ただ、二千八百人の方がやはりそれぞれの症状だとかさまざまな事情をお持ちですから、今二千八百人の方がそのまま入院できるのかということについて聞かれましても、それはそれぞれの調整の中で決めていかれる。ただ、そうした中で、きちんとした療養体制でありますとかそうしたことが確保できるように、東京都とともに私どもも全力を尽くしていく所存でございます。

本多委員 西村大臣が二千八百床と言ったから、けさ、この時点で二千八百床確保できているのかということを確認しただけなのに、今の答弁はよくわかりませんよ。

 小池知事の言っているのは、目標の数字、目指していますという数字と、きょう時点で確保されている数字、ごっちゃに言っているんですよ。これで、本当に逼迫しているかどうか。私は逼迫していると思いますよ。だから、そもそも、さっき言ったような、緊急事態だと考えなきゃいけないような今東京の状況だということは、大臣、しっかり認識をしてほしいと思います。

 さらに、一番、私、きのうのニュースにもなっていましたけれども、調整中って何なんですか。どこにもいない、電話の連絡もつかないと少し問題になって、菅官房長官も都知事にしっかり聞いてみると言ったら、きのうの夕方、小池知事は何か自信満々に、電話の連絡がつかないのはたった一人でしたと言っていますけれども、いいですか、きのう一生懸命電話をかけて必死になったから一人まで減ったんじゃないんですか。数日前に連絡がつかなかった人はどれぐらいいるんですか。確認していますか、東京都に。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 私どもの方で承知をしておりますのは、昨日東京都の方で連絡がとれない方は一名であったということを私どもは承知をしております。

本多委員 小池知事は自信満々に一人でございますと言っていますけれども、本当に数日前の数字、東京都から、どれだけ連絡がつかなかったか、調べて当委員会に報告してもらえますか。

橋本副大臣 東京都の方と、そのような数字がいただけるか、相談してみたいと考えます。

本多委員 これ以上細かい話は聞きませんけれども、要は、本来だったら全員病院に入らなきゃいけない。病院が足りないから、まあ、四月の時点ならわかったんですよ、私も。まだホテルをやっている、ホテルの人が百四人。やむを得ずがこんなにいるかと思うんですけれども、いろいろな事情はあると思いますよ、御家庭の。数人だったらわかるけれども、二百七十三人。それから、調整中って、陽性が出て、今すぐは入院できないから自宅にちょっと着がえをとりに行かせてという人だったらわかりますよ、四、五人。何ですか、三百三十六人って。

 私は、こんな数字で東京都の医療体制が逼迫していないなんて全く説得力がないということを申し上げたいと思うんです。だから、そもそも非常に緊迫した状況だということをわかった上で対策をしてほしいと思っているんです。

 それで、何をやっていくべきかというときに、緊急事態宣言をすぐ出せばいいかどうかというのは私も専門家の方の意見になると思うんですけれども、そうじゃなくても、できることをやっていないんですよ。

 例えば、大臣、いろいろな、特定の業種の方だけ、ましてガイドラインを守っていないところには休業の要請をかけると言っていますよね、かけることも検討するとおっしゃっていますよね。ガイドラインを守っていないようなところにも、まだ休業の要請もかけていないんですか。検討じゃなくて、ガイドラインを守っていないような、危ない、今発生している業種に関しては、もう休業の要請をかけたらどうなんですか、絞った範囲で。できることをやっていないと思うんですけれども、どうなんですか。

西村国務大臣 この間、専門家の皆さんとも、どういう対策がいいのか、連日議論をしてまいりました。専門家の皆さんにもお聞きいただければありがたいですけれども、HIVのときの、エイズのときの経験なども踏まえて、まずは事業者と協力関係を結びながら、信頼関係の中で、多くの皆さんに受診、PCR検査を受けてもらって陽性者を特定して、そこから先、二次感染、三次感染がいかないように、その範囲で抑え込んでいくということが大事だ、ここには信頼関係、事業者と町と、行政と一体となってやっていくことが大事だということで、東京都あるいは新宿区、新宿区長、豊島区長、こういった方々と連携しながら取り組んできております。

 ただ、御指摘のように、ここまで広がってきておりますので、我々としては、何とかガイドラインを守って感染拡大が広がらないようにということで、それも持続化補助金で最大二百万円まで補助をしながら、アクリル板を入れたり消毒液を入れたり換気をよくしたり、さまざまな取組をすることを応援しながら、そういった信頼関係を地元の新宿区が先頭に立ってやられてきたわけでありますけれども、ただ、御指摘のように、これだけ感染が広がってくる状況の中で、協力的なところ、協力的でないところ、守っているところ、守っていないところが出てきている中で、やはり休業要請なども考えていかなきゃいけないということで、東京都、新宿区とも相談をしているところであります。

 東京都、新宿区は、まずは信頼関係で、できるだけ受診を広くして、協力関係の中で進めていきたいということをこれまでも行ってきておりますし、我々もサポートしてきたわけですけれども、これだけ広がってきている中で、さまざまな対策を更に追加的に考えていかなきゃいけないという状況だと思っております。

本多委員 さっき私が挙げた緊急事態という数字は、別にきょう突然起こったわけじゃないんです。十日前ぐらいからこういう傾向が出ているんです。この対策というのは、早くとらないと効果が全然出なくなってしまうんです。もちろん、丁寧にやるという考え方もあるけれども、じゃ、とことん丁寧にやるという方針なんですか。

 私は、ガイドラインを守っている守っていないにかかわらず、一定の地域の一定の業種に休業の要請をかける、そこに一定の給付金をしっかり出すべきだと思いますけれども、いずれにしろ、その要請をしっかりするという、そのぐらいのことは急いで判断しなきゃいけないんじゃないんですか。何でこんな十日もかかって、まだ検討しているなんですか。その遅さは、丁寧にやりたいんですか。どういうことなんですか。

西村国務大臣 私が新宿区長と話をしたのは六月の七日の日曜日であります。そのときから、既にもう新宿区では、事業者の皆さんと信頼関係をつくりながら、発生がふえてきておりましたので、PCR検査の受診などもやってもらおうということで取り組まれてきております。ですから、この間、一カ月間以上、対策も一緒になって取り組んできているところであります。

 そして、その際には、先ほども申し上げましたけれども、エイズやHIVに取り組んできた経験から、いきなりきつい措置をとると、これは地下に潜ってしまったり移動してしまうことがあります。ですから、まずは事業者の皆さんに理解をしてもらって、こうしたガイドラインを守ってもらえるように、我々、補助金もありますと、そしてPCR検査を受けてもらう、こうした取組をずっと進めてきているところであります。

 ただ、したがって対策も、とってから二週間、三週間、一遍に何千人という方の検査はできませんので、ずっと進めてきているわけですけれども、その成果は二週間、三週間たってから出てくるわけでありますから、それも十分見ながらで取組を進める中で、やはりこれだけ感染者の数がふえている、陽性者の数がふえているという中で、より強い措置も考えていかなきゃいけないということで、東京都、新宿区と協議を進めているところでございますし、私は、もう守っていないところに休業要請を出す、そうした段階に来ているのではないかという認識をしているところでございます。

本多委員 一日単位で感染拡大の危険がふえているので、もう少し迅速に判断してほしい。

 私は、残念ながら、業種とか地域を区切ってからやるというのはそうなんだけれども、もうちょっと大きな対策もとらなきゃいけない状況にもう来ていると思います。そして、本質的にはもうちょっと、PCR検査を始め検査体制の抜本的な充実と、限った範囲で自粛要請したところにはしっかりとした協力金などを出していく、こういう対策をしっかりやるべきだと思っています。

 その上で、ゴー・トゥー・キャンペーンの話に戻ります。

 こういう東京の状況下で、今どうしても自分のお金で旅行したい、夏休みだし、こういう方までとめろとは、今緊急事態じゃないんだから、そこまでは言いませんよ。しかし、わざわざ国が予算を使って半額補助して、本当だったら旅行は遠慮しようかな、でも半額援助してもらえるんだから行こうかなといって、ふやそうかというゴー・トゥー・キャンペーン、これは私は絶対延期してほしいと思っていますけれども。

 さっき、とんでもないことを言っているんですよ。閣議決定は収束後と言っているので、明らかに閣議決定違反の行動をしているんですけれども、大きな波は収束したと言いましたよね、大臣。大きな波と小さな波の区別はどこでつけるんですか。今ここで起きているのは大きな波じゃないから、ゴー・トゥー・キャンペーンを始めていいということなんですか。

西村国務大臣 何が大きいか小さいか、明確な基準があるわけではありませんけれども、緊急事態宣言を出して国民の皆様にさまざまな自粛や休業をお願いする、そうしたような大きな波にはまだ至っていないという判断をしております。これは、専門家の皆さんにも毎日お聞きをしながらそういう判断をしております。

 ただ、これは、ほっておくと、ほっておくとというか対策をしっかりとらないと、既にもう感染経路不明の方の割合もふえていますし、地方でも発生が起きておりますので、感染者が出ておりますので、しっかりとここで対策を講じて、そして、これ以上大きな波にならないように、緊急事態宣言を発出するような状況にならないように全力を挙げていかなきゃいけない、こういう状況だと認識をしております。

本多委員 大きな波と小さな波の基準がないのに、大きな波が収束したらゴー・トゥー・キャンペーンをやっていいなんて、行政の責任者としてそんないいかげんなことは本当にやめてくださいよ。

 それで、西村さんの勝手な基準では小さな波かもしれないけれども、私がさっき言ったのは、大きな波、もう事実上、非常事態宣言を出すような波だということを言っているわけですよ。しかし、まあいいですよ、小さな波だと言うんだったら。

 じゃ、本当に緊急事態を出すようなことになったら、ゴー・トゥー・キャンペーンは一時中止するということでよろしいんですね。

西村国務大臣 当然、緊急事態宣言を発出したら、そういった状況ではなく、それぞれの皆さんに自粛をお願いしたり休業をお願いしたりする状況になると思いますので、当然そういったことはできないと思います。

 ただ、今の状況も、東京で感染が拡大している状況、新規感染者の数がふえている状況でありますので、昨日の厚労省の専門家の皆さんのアドバイザリーグループ後の記者会見でも、今直ちに県をまたぐ移動を何か制限する、そういう状況ではないけれどもということで、注視しなきゃいけないというような会見があった、あるいはそうした意見表明があったものというふうに私は承知しております。

 今の感染状況を注意深く分析をしながら、その上で、その状況を専門家の皆さんにもお聞きをし、国土交通省、国交大臣にも正確に伝えながら、また先ほど、閣内でも当然感染状況は共有をしながら、国交省において感染防止策をしっかりとるということで昨日発表されておられますが、いずれにしても、感染状況を踏まえて国交省において適切に判断をされていくものというふうに思っております。

本多委員 国土交通省のせいにばかりしていますけれども、国土交通省は、ずっと計画してきて、業界の方もやってほしい、いろいろなそういう声も聞いている。それを、全体をコントロールするために西村大臣がいるんじゃないんですか。

 あすですか、専門家会議は。あすの専門家会議で、このタイミングでこういう、わざわざ税金を使って旅行者を日本じゅうでふやす、この企画をやることが正しいかどうか議論していただいて、何らかの見直しをする可能性はあるでしょうか。

西村国務大臣 あす開きます新型コロナウイルス感染症の分科会におきまして、当然、足元の東京の状況、そして全国の感染状況、このことについて、それから医療提供体制などもしっかりと資料をお示しし、また厚労省からも説明をしていただき、その上で今後の対策について御議論をいただくことにしております。

 当然、県をまたぐ移動、あるいはそれを後押しするゴー・トゥー・キャンペーンについてお伺いをして、御判断をいただければというふうに考えているところであります。

本多委員 じゃ、あすの専門家会議で、まあ、自分のお金で行く人はまだとめる段階じゃないけれども、わざわざ政府が一兆数千億出して旅行者をふやすタイミングではないという、この検討はしっかりしていただけるということでよろしいですね。あしたの専門家会議の意見が大臣に来たら、しっかり国交大臣に伝えてくださいよ、そのことを。それはお約束いただけますか。

西村国務大臣 専門家の皆さんに分析をいただいて御意見をいただいて、そのことを国土交通省あるいは閣内でもしっかり共有していきたいというふうに考えております。

本多委員 そもそも西村大臣は、都合の悪いときには、外国には例がないとか言うんですね。本当に例がないのかどうか私もわからないけれども、補償をしろと、休業要請をしたら補償をしろと言うと、外国にはそんな例がないと言い放つんですけれども。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、今世界じゅうで、このコロナの最中に旅行の推進のキャンペーンを政府がお金を出してやっている国ってどこかあるんですか。

西村国務大臣 お金を出しているかどうかまでは承知をしておりませんが、ヨーロッパの国、一部の国では、多くの国で感染防止策と経済活動、社会活動との両立を図っていく段階になっておりますので、観光を推進している国はあるというふうに承知をしております。

本多委員 お金を出しているかどうかが大事なんですよ。コロナの中でも工夫をして観光客ゼロにならないようにしようというのは、それはいろいろな取組はあるかもしれませんよ。だけれども、このタイミングですよ。私も、この東京の波が起こらなければ、完全な収束という定義はなかなか難しいですよ、それは国土交通省の判断だってないわけではないかもしれませんよ。ただ、この波が起こったときにこんなことをやるというのは、本当に見直しを真剣に検討していただきたい。

 修学旅行中止で、一生に一度ですよね、大臣、修学旅行って。中学校で一回、高校で一回、これが残念ながら中止になった子供たち、たくさんいるんですよ。被災地にボランティアへ行く人も、県境をまたいだらだめと言われているんですよ。これはどう考えても待つタイミングだということを強く申し上げておきたいと思います。

 最後に、持続化給付金の、税金の使われ方が不透明な問題。我々、ずっともっと追及したかったんですが、残念ながら国会が閉じられてしまいまして、途中なんですよ。

 まず、これは前に玉木さんが使ったパネルをもう一回使わせていただきましたけれども、これはずっと中抜きで、我々が払ったお金がいろいろな会社に行っているんだけれども、このA社、B社、C社、D社、E社、F社、各社、各社、各社という当時わからなかったこと、これを早く教えてくださいと言っているんですけれども、経産副大臣、教えていただけますか。

松本副大臣 履行体制図についてのお尋ねでありますけれども、個社の取引関係、これは開示することによって当該法人の競争上の地位を害するおそれがある情報であることなどから、社名記載の可否につきましては確認が必要であると考えております。

 資料提出に向けて関係者へ確認を現在進めているところでありまして、事業者数が六十三社と多数にわたることに加え、個社ごとにその判断に時間を要しているものと承知をしております。確認がとれ次第、関係者の了解がとれる範囲で履行体制図をお示ししたいと存じます。

本多委員 今の段階で六十三社もあるんですよ、これが。今の段階でわかっているところだけ出せと言っても、それも出さないんですけれども、全部わかってから、全部の会社がイエスかノーか言ってから出すということなんですか、それは。今の段階で出してくださいよ、わかるところだけでも。何で一部だけ出ているんですか。

松本副大臣 委員からそうした御指摘があったことは今お受けとめをしたいと思いますが、仮に、ある時点で開示の了解が得られている社名のみ先んじて公表してしまうということになりますと、それ自体がそのほかの事業者の了解を妨げるおそれも出てまいります。全ての事業者について網羅的に確認を行った上でお示しをすることが望ましいと考えているところでありまして、いずれにいたしましても、我々といたしましても、事業者へ早急に確認をとり、その確認がとれ次第、履行体制図をお示ししたいと存じます。

本多委員 終わりますけれども、国民の税金を使っている会社の名前も、こんなに、一カ月待っても言えない、こんな不透明なことはやめてほしい。

 この持続化給付金は、入札自体、正しかったのか、それから、一部の、我々はずっと言っていますけれども、ラブホテルとか特定の業種だけ除外をするとか、問題は山ほどあるんですよ。しかし、せっかくつくった制度だから多くの国民の皆さんに使ってもらいたいと思いますけれども、引き続きしっかり追及していくということを申し上げて、質問を終わります。

棚橋委員長 この際、玄葉光一郎君から関連質疑の申出があります。馬淵君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玄葉光一郎君。

玄葉委員 立憲民主党、国民民主党、そして社会保障を立て直す国民会議の会派に所属をしております玄葉光一郎です。

 今、政府の対策の主眼というのは、感染防止と社会経済活動を両立させるということだと思います。私もそれは正しい方向だというふうに考えています。日本人ならできるというふうにも思っているんです。日本ならではのバランスをつくっていくということが大事かなと思います。

 道端に財布を落として交番に届くというのが日本の社会であります。あるいは、電車の発着時刻の正確さ、世界一ではないかと思います。カイゼンという言葉が世界の共通語になっています。私は、こういった日本人のモラルの高さとか器用さとか真面目さをもってすれば、積み重ねていけば、日本ならではのバランスというものをつくり上げて、両立は可能だというふうに考えている一人であります。

 ただし、それは政府の手綱さばき次第だということも間違いなく言えるのだろうというふうに思うんですね。

 今、西村大臣が、感染が拡大をしているというような発言をされておられましたけれども、こういった再流行の兆候が見られる中で大切だなと思うことは、一つは、やはりタイムリーなピンポイント封鎖というか、徹底した早目早目の地域封鎖を適切に行うということが一つだと思います。もう一つは、この間ずっと言ってきている話なんですが、やはり検査の徹底だと思うんですね。

 きょうは尾身先生、舘田先生、竹森先生がいらっしゃいますが、分科会が先般行われて、先ほどの議論にも出ていましたけれども、医療のための検査がまずあって、その次に施設あるいは院内の感染防止のための検査があって、ここまではみんな、やりましょうということで、ほぼコンセンサスが得られているという話がありました。私も当然のことだろうと思います。

 私は、あの分科会のたたき台を読んだときに大変驚いたのは、まだ、その次の経済社会活動を行うための検査、あるいは、別の言い方をすれば安心のための検査についての戦略、方針が定まっていない、そのことに、正直、残念ながら驚いた。一旦収束を見たときに、てっきりそのときに次の戦略、方針が定まったんだろうと思ったんですけれども、まだこれからだ、このことがとても残念なんですね。

 この安心のための検査の戦略、方針、西村大臣、いつまでに定めますか。

西村国務大臣 玄葉委員御指摘のとおり、PCR検査、それから、最近では症状がある方には抗原検査あるいは簡易にできる抗原キットが出てきております。こうしたものを組み合わせながらではありますが、検知をしていく、検査をしていく体制、これを戦略的に広げていく、いわば大幅に拡充をしていく、このことを計画的に進めていくことが大事だというふうに思っております。

 そこで、御指摘のように、症状がある人はもうスムーズに受けられるようにしなきゃいけません。緊急事態宣言のころは実は一週間、十日かかっていました。これはもうスムーズに受けられるように、今そういうふうになってきています。

 それから、おっしゃったように、院内感染を防ぐために、入院するときあるいは手術を受ける前、これは検査を行っていただいています。

 それから、高齢者施設でも、私は、従事者の方々、スタッフなども一旦感染すると高齢者に広がる可能性もあるので、広げていっていいと思っています。

 さらには、今、バー、クラブなど、新宿を中心に感染が広がっている。そもそも近い距離で会話をしますからリスクの高い業種ですので、こういった方々に、無症状であっても、おっしゃるようにピンポイントで、その範囲で抑え込んでいくために、積極的に今PCR検査を行っています。それによって二次感染、三次感染を防げています。

 ということで、このあたりのことはかなりもうコンセンサスを得られています。

 さらに、ビジネスマンが海外に行くときに陰性証明を求められる、これも必要になってくると思いますので、こういったことをやりながら、しかし、無症状の人でリスクの低い人にどの範囲でやるか、していくのがいいのかというところが、実は専門家の皆さんでもいろいろと意見がありまして、これはもう近々にまとめていただいて、大きな方針を、これは厚労省とも十分に調整をしていきながら、方針を決めて進めていきたいというふうに考えているところであります。

玄葉委員 さっき専門的な言葉で2bとおっしゃっていたけれども、要は無症状の方に安心を与えるための検査、これは両立が主眼なんですから、両立じゃなければ別ですよ、両立が主眼である以上は、検査で安心を与えて経済を回すしか私はないと思いますよ。

 このときに、戦略、方針、私が申し上げたのは、いつまでに定めますか、政府として。

西村国務大臣 まず、申し上げた有症者とか、症状のある、そういうことはしっかりやっていきますから、これはもう安心につながると思います。

 ただ、議論のあって、ちょっと専門的なこと……(玄葉委員「無症状者です」と呼ぶ)ええ、無症状者で実はPCR検査も陰性と判断されても、その中には三割は本当はかかっている方がおられるので、偽陰性もあります。それから、きょう陰性で安心しても今晩かかってしまうかもしれません。やるなら、全員が毎日毎日受けないといけないことになってしまいます。これは現実的には難しいことであります。

 ですので、こういったところの現実性も考えながら専門家の皆さんに御議論をいただいておりまして、あす開く分科会でもこのことも議論していただこうと思っておりますので……(玄葉委員「いつまで」と呼ぶ)もう本当に近々に大きな方針、特に厚労省とよく調整をしなきゃいけないと思っておりますが、進めていきたいというふうに考えております。

玄葉委員 偽陽性、偽陰性の問題というのは常にあります。偽陽性は、私は、出たらもう一回何らかの形で検査をすれば済むことだろうと思います。偽陰性の場合は、専門家の先生方いらっしゃいますけれども、無症状だったら八割は人にうつさないということですから、偽陰性は余り数は出ないはずでありますから、私は、とにかく検査能力の拡大に向けてはまっしぐらに進むべきだというふうに思います。

 ところで、この検査能力、日本の検査能力は現状どうなっているのか、厚労副大臣にも来てもらっています、通告もしております。

 そして、いつまでにどのくらい拡大するつもりなのか、抗原検査も含めて教えていただけますか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 私どもといたしまして、その新型コロナウイルス感染症に関する検査につきましては、医師が必要と判断した方や、症状の有無にかかわらず濃厚接触の方が確実に検査を受けられるようにすることが重要である、このように考えておりまして、検査体制の拡充に努めてまいっております。

 現在のところ、PCR検査は一日当たり三・一万件の分析能力を持っております。また、抗原簡易検査につきましては一日当たり約二・六万件を供給することが可能となっております。これが現時点での能力ということを申し上げることができると思います。

 さらに、いつまでにどのぐらいの能力をふやそうと目指しておられるのかというお尋ねがございましたけれども、先ほど西村大臣の方からこうした方に検査を受けていただくようにというお話がございましたけれども、そうしたことを目指して、今現在、各自治体におきまして、今後感染が大きく拡大をする場合、仮にそういうことが起こった場合、どの程度の検査需要があるのかという見通しを作成をしていただいております。これは病床数の見通しもつくっていただいておりますが、同時にそれだけの方の陽性の方をあれするためには検査の数もこれぐらい要るということの見通しを今立てられるであろうということでこれを作成していただいておりまして、相談から検体採取、検査、分析までの一連の検査プロセスを点検して、必要な対策を講じていただくように要請をしているところでございます。

 現在、まだその結果を今順次いただいているところでございまして、そろっていないところでございますけれども、まずはそちらの方の、自治体の方からそうしたお答えをいただいて、また、それに見合った体制が実現できるように、私どももしっかり支援をしてまいりたいと考えております。

玄葉委員 中国は四百万件あって、アメリカは一日五十万件ぐらいの検査能力があると言われていますけれども、私は、戦略、方針が早く定まらないと目標も定まらないということだろうと思いますから、一刻も早く前向きな戦略、方針を定めてもらいたいと思っているんです。

 特に、先ほど一覧表、ある方の資料にありましたけれども、抗原検査のうち定量検査というのは今後使えるんじゃないか、つまりは、三十分で判定可能だし、唾液でも可能だし、無症状の方でも検査可能だというふうに聞いています。こういったことを、簡易キットではなかなか難しくても、これからできるようになるわけです。

 率直に申し上げて、出入国だって、恐らく陰性証明とか求められるようになると思うんですよ、少なくとも健康証明書のようなものが。これは、外務副大臣、いらっしゃいますか、きょう。今、ベトナムとタイとオーストラリアとニュージーランド、これ、何か、観光客を含めると、かつては一日八千人ぐらい我々出国していたそうですけれども、今、出入国について交渉中ですね。これは、先方に対して、もしかしたらというより恐らくは陰性証明を求めるんでしょう。そうなれば、こちらも求められますね。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員から御指摘ございました人の往来の再開、この段階的な措置につきましては、ビジネス上のニーズも踏まえながら、感染状況が落ちついている国を対象としまして、例外的な人の往来を認める際、現行の水際措置に加えて、入国前のPCR検査証明など追加的な防疫措置を条件とする、こういった条件などを踏まえた、必要な措置を講じた上で人の往来を可能とする仕組みを試行するものだというふうに考えてございます。

 この検査を求めることを含めまして、防疫措置の条件につきましては、現段階では各国と調整を行っているところでございます。一つ一つの国、今、確かにベトナム、タイ、オーストラリアそれからニュージーランドの四カ国ということで調整をさせていただいているところでございますけれども、外交上のやりとりにつきましては詳細は差し控えさせていただければと思ってございます。

 ただ、先方の方で、四カ国、確かに検査証明を求めている国、これは、例えばタイでございますが、こちらは、出国前の七十二時間以内に取得したPCR検査証明の提示あるいは入国時のPCR検査の受検等を条件に、労働許可証所持者等の入国を例外的に認めるところでもございます。

 また、ベトナム等につきましても、専門家、企業管理者、高技能労働者に対しまして、居住国の権限である陰性証明を提示して、証明に関するベトナム政府の承認を得ることを求めているところでもございます。

 その他ございますけれども、いずれにいたしましても、今、外国政府との個別具体の調整についてはちょっと、調整をしているところでございますので、御容赦いただければと思っております。

玄葉委員 私も外交に携わっていた時期がございましたけれども、相互主義ですから、こちらが求めれば当然先方も求めるということになると思います。

 今八千人という話をしましたけれども、アメリカとか中国とか韓国とか加わってくると、それだけで出国者は一日三万人ですから、そういう意味では、もうどんどんこの検査の能力を経済を回すために拡充するという方針を早く決めないといけないということだと思います。

 例えば、国内でも、営業現場に出る人、あるいはどうしても仕事上、人と不特定多数接触せざるを得ない方々、いっぱいいるわけです。検査したいですよ。そういう人たちに対して安心を与えて経済を回すという当たり前のことを、やはり日本国として早く決めないといけない。

 先ほどの意見は、これは自己負担でやってください、受益者負担でやってください、こういう意見でした。一つの考え方だと思います。行政検査は自己負担ゼロ。尾身先生は、先ほど、自己負担ゼロの行政検査はいわゆる感染疑いのある人、あるいは濃厚接触者等々に行うけれども、今ここで話題にしているような無症状者で感染リスクの低い人たちは同等には扱えないかなというようなことをおっしゃっていましたけれども、私の考えは、保険適用がちょうどいいんじゃないかというふうに思っているんです。行政検査は自己負担ゼロです。保険適用は自己負担があります。抗原検査なら八千円くらいですから、自己負担が恐らく千円、二千円、三千円というレベルですので、そのくらいが私はバランス的にもよいのではないかというふうに考えています。

 ドイツなどは、御承知のとおり、公的健康保険で無症状の方もカバーしているということでありまして、私は、これは参考になるし、しばしばドイツのバイエルン州という州が引用されますけれども、どこでも、誰でも、いつでもほぼ保険適用で検査できます。そういう仕組みはやはり日本にも必要ではないかというふうに思いますが、西村大臣、いかがですか。

西村国務大臣 まず、どの範囲に行政検査で無料でするか、全部自己負担でやるか、その間に保険適用というのは、考え方としてはあり得ると思います。御指摘のとおりだと思います。

 ただ、安心のためにどの範囲に、どの程度のそういった方々にそれを認めていくかというのは非常に難しくて、これは実は専門家の、もし必要であればお聞きいただけたらと思いますけれども、さまざまな議論があって、まさにそのことを御議論いただいているところでありまして。

 御存じのとおり、プロ野球やJリーグは自費で、これはやはり、大相撲なんかもそうですね、どうしても感染者が出ると事業全体が影響を受けること、あるいは、映画の撮影とかドラマ撮影も、当然近い距離で会話をする、ずっとマスクをしているわけにいきませんから、当然やられることになると思います。そういったところは自費でやっていただくとしても、一体、安心につながるのが、どういった方々にどの程度やっていただくのがいいのか、ここが非常に難しくて、日本全国一遍に全員できて、毎日できれば、これは安心につながります。その方々を、いわば療養してもらえれば、いわば隔離ということで離していけばいいわけです。

 しかし、偽陰性も三割ある中で、うつさないとはいえ、あるいは陽性になるのも一%あるとすれば、その方々に隔離というか療養してもらわなきゃいけないということも含めて、どの範囲で、どういった方々に行政検査あるいは保険適用あるいは自費、こういったことも含めて、専門家の皆さんに御議論を詰めていただいて、近々大きな方針を出せればというふうに考えているところであります。

玄葉委員 ぜひ早く前へ踏み込んでもらいたい。そうじゃないと両立は無理ですよ、両立は。感染防止だけならいいですよ。でも、両立させたいんでしょう。私も両立が必要だと思いますよ。両立させたいなら踏み込まなきゃだめだと思います。

 先ほど来から出ているゴー・トゥー・トラベル、ゴー・トゥー・キャンペーンも、もし検査体制が整っていれば、わかりやすい話、じゃ、首都圏からの旅行者は事前に検査をしてください、保険適用します、これである意味、済む可能性もある。少なくとも、そういう選択肢もあるということだと思うんですね。でも、今、残念ながら、そういう体制になっていないということなんじゃないか。

 竹森先生、ちょっとこれは通告していなくて申しわけなかったんですけれども、たしかこの間、予算委員会で、これから緩めていくときに、国内の移動、その次に国と国との間の移動、国内の移動に国内パスポートのようなものがやはり必要なんじゃないかというようなニュアンスの発言をされたと記憶をしていますけれども、このような状況のままゴー・トゥー・キャンペーン、ゴー・トゥー・トラベルを実施して大丈夫だと思われますか。

竹森参考人 国内パスポートというのは、あくまでも私の思考実験であって、もしそういうものがあったとして、それはどういうものだろうということを考えたんですね。

 ただ、私があのとき考えたのは、観光を再開するとして、障害になるのは、経済的なことよりも、結局心配ということではないかなということを考えまして、ちょっと観光の方に聞いてみたんですが、それは、かなり、アンケート調査をしたときに、心配があるのは、東京から外へ出ていく方ではなくて、地元の方が心配が大きい。自治体の中で、観光業と、観光業にいなくて、それで高齢者、そういう方たちが心配していて、このようなところで観光の再開というのは、かなり自治体の中での精神的な苦痛というんでしょうかね、そういうことが起こるだろうということだったと思います。

 その段階で果たして再開するかどうかというのは、私自身は医療の専門家ではないので、それがどれぐらい危険があるかということは専門家にお任せしたいと思いますけれども、ただ、言えることは、もしこれで間違いが起こるというか、感染の拡大とかが起こった場合には、これは将来的にも観光にとって必ずしもいいことではない、これで国内の気持ちがちょっと暗くなるということもあるので、慎重な議論と、専門家と意見をすり合わせて、よく検討していただきたいとは思っております。

玄葉委員 まさに私も、業界の方々が大変苦しんでおられるのはよくわかっているんです。バス業界なんかもそうですね。旅館、宿泊施設は当然そう、観光会社もそうです。ただ、今のまま、はい、それぞれの旅館が感染防止対策を十分にしましたからといって全国一律で始めるというのは、やはりよく考えないといけないんじゃないかなというふうに思いますね。

 感染が収束している地域から収束している地域に行くのはいいと思うんですよ。だから、そういう意味では、段階的に実施していくというのが一つの考え方ではないかなというふうに思いますが、西村大臣、いかがですか。

西村国務大臣 まず、先ほどの安心とも関係するんですけれども、とにかく、何を活動するにしても、経済社会活動を行っていく上では、やはり、三密を回避して、大声を出さないとか、換気をよくしている、これが何よりですので、仮に県をまたぐ移動、今も自由になっていますが、当然、三密を回避し、こういった基本的な感染防止策を講じていただくのが大前提であります。これは、みんな一人一人、そして事業者お一人お一人、我々みんながそれをやることによって感染拡大を防げますし、経済社会活動との両立が図っていけるものというふうに考えております。

 その上で、御指摘のように、東京は感染者の数がふえて、陽性者の数がふえている中で、いろいろ御心配もあると思います。私の立場でも、日々、専門家の皆さんに御意見を伺ってきているところでありますが、こうした御意見をしっかりとお聞きして、そして……(玄葉委員「慎重に」と呼ぶ)ええ。家族がふだん一緒で、その家族で行って、旅館で家族だけで過ごして、それで帰ってくる分には、何も感染は広がりません。しかし、そこでカラオケに行ったり、どこかに行って何か大きな声を出したり、三密の中でやってしまうと、感染が広がる可能性があります。ですから、感染防止策を徹底するということが前提で、これは、きのう国交大臣からもその方向を表明されたものと思っております。

 いずれにしても、専門家の御意見をしっかりとお聞きしながら状況分析を行って、そのことを国土交通省、国交大臣にもお伝えしながら、適切に判断をしていただければというふうに思っているところであります。

玄葉委員 ここは、慎重な議論、竹森先生もおっしゃっていましたけれども、慎重な議論が必要だというふうに思います。

 もう一つ、尾身先生がかつてこの場でやはりおっしゃったんですけれども、財政的な医療崩壊を起こさせないということがとても大事だと。私も、全くそのとおりだと思います。昨今、コロナと戦っている病院の経営悪化、あるいは看護師さんにボーナスが出ないとか減ったとか、そういうニュースが舞い込んできているわけです。

 私、四月の下旬、一次補正だったかと思いますけれども、この予算委員会の場で、今お手元に配付しているような例を出しながら、つまりは地元の中核病院なんですけれども、コロナと戦っている病院は、例えばこの中核病院は、十床、コロナ患者のためにあけるんだけれども、十床なんだけれども、機材とか人員の関係でワンフロア全部あけざるを得ない、だから結果として月一億ぐらい減収になる、こういうことをきちっと、空床補償というらしいということをあのとき言ったんですけれども、そういうことに対してきちっと対応しないと大変なことになりますよと私は警鐘を鳴らしたんですね。そうしたら、残念なことに、加藤厚労大臣は何と答えたかというと、診療報酬を二倍にします、それで対応します、こうおっしゃったんです。絶対にそれでは対応不可能です。

 その後、恐らくいろいろなところからヒアリングをされて、確かにだめだな、このままではと思ったんでしょう、二次補正で空床補償の考え方が本格的に出てきました。重点医療機関という概念が出てきて、ここにはかなり手厚く手当てをして、コロナと戦っている病院を助けますと。

 これはこれでいいんです。ただ、残念ながら、例えば私がお手元に配付しているような病院のような例だと、重点医療機関というのは、もともとの定義が、病院ごと、病棟ごと、コロナ患者を入れないと助けません、手当てしませんという、簡単に言えばそういう考え方だったんですね。こういう考え方じゃなくて、地域の実情に合わせて、本当にコロナと戦って頑張っている病院をしっかり手当てできるような、そういう柔軟な運用を約束をしてほしい。これは、厚労副大臣、よろしいですか。イエスかノーかで結構です。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 先ほど委員御指摘をいただきましたように、休止になったベッド等もございまして、それについて四月に御質疑をいただきました。

 その後、例えば二次補正におきまして、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を大幅に積み増しをしておりまして、その交付金の対象といたしまして、同一病棟内に患者等を受け入れるために休床とした病床についても補助の対象とする、こうした手当てはさせていただきました。また、重点医療機関についての考え方等についての考え方につきましてもお示しをしております。

 もちろん、それで十分なのかということについて、私たちもしっかりとした問題意識を持ちながら、引き続き、さまざまな団体等にヒアリングをする、あるいはさまざまなデータ等をきちんと把握をする等によって医療機関の経営状態を把握をするということは大変大事なことだと思っておりますし、その結果として何かしらの必要があればそれは対応する、そうしたことを頭に置きながらしっかりとウオッチをしていきたいと思っております。

玄葉委員 国会で審議することで大分柔軟な運用ができるようになってきたように思うんです。まさに予算委員会の役割だなというふうに思います。

 時間がなくなったので、最後になりますけれども、西村大臣、V字回復という言葉を何度もこの間使われてきました。総理もです。ただ、どうも、ウイルスの特徴からいくと、残念ながら、ジグザグな回復過程、あるいはL字、U字、W、そういう感じにならざるを得ないのではないかというふうに思っています。

 この認識と、今私がそれぞれ現場に出向いたり電話でいろいろ話をしていく中で、とても有効だなと思っているのは雇用調整助成金です。これは、上限も上げてくれたし、手続も簡素化して、非常に使い勝手がよくなったと思います。九月末に切れます。私は、状況によってはちゅうちょなく延長すべきだというふうに思う。

 もう一つは、私は、この間、安倍総理に、事態を甘く見ているんじゃないですか、もっと財政出動した方がいいと思いますよというようなことを一次補正のときは申し上げましたが、一方で、やはり長期的には財政の健全化ということにもしっかり着眼しないといけないと思います。骨太の方針でどうも財政健全化に関する道筋が示されないということのようでありますけれども、このこともあわせてお答えいただければと思います。

棚橋委員長 国務大臣西村康稔君、恐縮ですが、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

西村国務大臣 はい。

 まず一点目につきましては、緊急事態宣言を行っておりました四月、五月を底に、ぜひ景気回復をさせていきたい。特に内需は、この間、皆さん自粛しておられましたので、意欲は、消費者マインドもかなり改善してきております、いろいろな指標が出てきておりますので。ただ、海外の経済はまだ見通しが立ちません。輸出、生産、したがって生産ですね、といったところを見ながら、内需主導で何とか回復させていければと思っております。

 二点目の雇調金については、そういった状況の中で、今後、製造業なども、あるいは中堅、大企業も出てくる、申請があることも想定しながら、これは臨機応変に対応していきたいというふうに考えております。

 三点目、財政健全化の話ですけれども、実は骨太方針の中でも、次世代への責任の視点に立って、質の高い持続的な成長と中長期的に持続可能な財政を実現していくという、そうした方向性はしっかりとお示しをさせていただいておりますので、いずれにしても、この事態をまさに収束させた後に、質の高い成長を実現しながら、財政健全化も当然考えていかなきゃいけないというふうに思っております。

玄葉委員 終わります。

棚橋委員長 これにて馬淵君、本多君、玄葉君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 今、九州及び全国各地で梅雨前線による豪雨被害が広がっております。

 私は、十二日に、被害が大きかった熊本県人吉市、球磨村でその実態を見てまいりました。現状極めて深刻で、こういう大変な状況のときに、なぜ安倍総理も武田防災担当大臣もこの委員会に出席していないのか、この点については強く抗議をしたいと思います。

 しかしながら、急を要する問題がありますので質問をいたします。

 第一に、政府が分散型避難を呼びかけている、そのもとで、自宅や親戚宅に避難されている方がたくさんいらっしゃいます。しかし、そこに物資や医療の支援が届いていないという状況が現状であります。

 パネルを見ていただければと思います。十二日の人吉市、ごらんいただいたらわかりますように、二階までもう水につかっていたということがたくさんあるわけです。親戚宅に身を寄せていると。ある男性は、自分は一週間車中泊だけれども家族は親戚だと。自宅の二階にいるという方は、一階にあった冷蔵庫も洗濯機もやられた、風呂にも入れない、車も使えなくなったので遠くのスーパーに歩いて買物に行かなきゃいけないというんですね。病院で肺の検査をする予定だったけれどもキャンセルになったと。山間地で孤立が続いている、そういう集落も複数あります。

 防災担当副大臣、平副大臣にお聞きしたいんですが、内閣府は七月の十日に、こうした親戚宅などに身を寄せている被災者に対するプッシュ型の支援を求める通達を自治体に出されていると思います。しかし、現状のままでは、このせっかくの通達がかけ声倒れになりかねない。これをどう改善していかれるんでしょうか。

平副大臣 委員御指摘のとおり、うちの武田大臣と御党の志位局長、連絡を密にされて、今月の十日に、災害救助法の適用を受けた県に対して、在宅避難者への物資、情報等を適切に提供していただくように通知を発出したところでございます。

 委員、その後、現地に入られたということだというふうに思いますが、被災地においては、例えば、やはり圧倒的人手不足の中でありますが、熊本県の球磨村においては、自衛隊により、支援ニーズのあると確認された在宅避難者に対しては、医薬品を含め支援物資を配付をしておりますし、人吉市においては、要支援者名簿を活用して避難者の状況を把握し、必要な支援物資を届けていると聞いています。ただ、まだ足りないところがあるという御指摘であります。

 目詰まりしているのが、まず物資なのか人手なのか情報なのかということですが、物資はプッシュ型で在宅避難者の分まで供給するようにしています。多分、人手のボランティアのところと、あと情報ですよね、どこに誰がいるか全部把握し切れていないということだと思います。

 基本的に、元気な方は避難所まで来ていただいて御連絡をいただいたり、物資を持って帰っていただいたりということだと思いますが、要支援者の方はそうはいかないと思いますので、こちらは、本来、リスト化をして行動計画をつくることになっていますが、避難所の分散化にそれがついてきていない可能性もありますので、今後、自治体とよく連携をとりながら、今の状況を解消してまいりたいと思っております。

藤野委員 ぜひ、きめ細かな対応を求めたいと思います。

 第二に、今回は、コロナ禍に続く豪雨災害という、いわば二重の打撃になっております。それに対応した特別の支援が必要だというふうに思うんです。

 パネルの二枚目を見ていただきたいんですが、これは十二日の球磨村の写真であります。この写真のように、もう本当に多くの家が土台だけを残して流されてしまっている。鉄橋も、まさに上の部分は全部、複数流されているというところもあります。言葉を失う甚大な被害というのが実態です。

 球磨川下りのラフティングを十七年間経営してきた御夫婦のお話では、コロナでラフティングの客がもう全然なくなった、しかし、ようやく七月から予約が入り出したんだけれども、そこに今回の災害が襲ってきたというお話でした。

 そして、人吉市のあるホテルの経営者の方はこうおっしゃっていたんですね。球磨川下り、宿泊業、飲食業、社交業、つまり、直接間接で町全体が被害を受けた、だから町全体が復興しないといけないんだ、ただ、既にコロナのときに目いっぱい借金をして、もう借りきらぬ、借りれない、そういう人が多いというんですね。店を閉めてしまう人が多くなるのではと心配されていました。

 これも副大臣にお聞きしたいんですが、やはり、二重の被害でもう心が折れてしまう、こういう方がたくさんいらっしゃいます。それを、心が折れないために、迅速な、総合的な支援が必要だと思います。特に、もう借りれないという方が多いわけですから、直接的な支援、直接的な補助も含めて、現場が必要とする全てのことをやるという立場で全力を尽くしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

平副大臣 今御指摘の部分でありますが、激甚災害ということで、借入れではないというお話ですが、保証枠が拡大をされます。そういうのも御活用いただきたいと思いますし、また、各省庁横断で被災者生活・生業再建支援チームも設置したところでございますので、きめの細かい対応をしてまいりたいと思います。

 質問の問取りの際に、グループ補助金の速やかな適用という……(藤野委員「それはいいです、それはもう」と呼ぶ)いいですか、それは。それは所管外ですので、経産省に聞いていただければと思います。

 いずれにしても、支援チームを通じて、いろいろな現地の声を聞いて、適切に対応してまいりたいと考えております。

藤野委員 まさに、融資だけでなく、直接的な支援、これはさまざまあります、この間の台風被害でもつくっていただいた、こういったことを全てやっていただく。

 よく政府は、できることを全てやると、総理もおっしゃったんですが、できるできない、現行制度の枠内でできるできないではなくて、やはり、現場が町全体の復興とおっしゃっているわけですから、町全体を復興していくために必要なこと、できることではなく必要なことを全てやるんだという立場で取り組むことを強く求めたいと思います。

 そして、総理は十三日、私が入った翌日に被災地を視察されて、そのときに四千億円の対策費というものを打ち出されました。

 ただ、これは詳細もちょっとまだよくわかりませんし、それで足りるのかもわかりません。さらなる審議が必要だと思います。

 これは委員長にお諮りしたいんですが、総理と防災大臣の出席を求めて、集中審議をぜひ行っていただきたいと思います。

棚橋委員長 後刻、理事会において協議をさせていただきます。

藤野委員 コロナの問題についてお聞きしたいと思います。

 きょうの審議でも、やはりコロナ対策における医療機関の重要性というのが本当に明らかになったと思います。ただ、先ほども、政府、大臣も、医療体制は全体としては逼迫していないと答弁されましたが、私は、こういう認識は本当にとんでもないと思うんですね。コロナ対策を担っている医療現場では、今深刻な事態が広がっております。

 日本医療労働組合連合会の調査で、加盟医療機関の三割、三四・五%で、夏のボーナスが減額されるということが明らかになりました。東京女子医大病院では、ボーナスが支給されないということを受けて、四百人を超える看護師が退職の意向を示した、これも大きなニュースになりました。

 大臣にお聞きしますが、やはり医療従事者の方々は、文字どおり、命がけで治療や感染予防に当たっていただいております。その医療従事者の賃金がカットされることなど、あってはならないと思うんですね。今の状態が放置されれば、この東京女子医大のように退職者が続出して、肝心のコロナ対策、このコロナ対策も崩壊しかねないのではないか。西村大臣にはそういう危機意識はおありでしょうか。

棚橋委員長 厚生労働副大臣橋本岳君。(藤野委員「大臣に」と呼ぶ)担当ですので。

橋本副大臣 医療提供体制のことでございますので、厚生労働省より答弁を申し上げます。

 今御指摘をいただいたような報道があるということは私ども承知をしております。また、医労連さんの調査につきましても承知をしているところでございます。

 賞与等々支給をするか、待遇をどうするのかということは、一義的には、各医療機関の経営判断、労使の話合い等によるものと考えておりますが、私どもといたしましても、地域の医療提供体制は複数の医療機関が連携をして面で対応するものであって、その一部が欠ければ成り立たない、そして医療機関全体として必要な医療従事者の方々にきちんと安心をして働いていただく、そうした中で診療を継続することができるよう支援をしてまいりたいと考えておりますし、そのため、二次補正予算につきまして、さまざまな対策を講じているところでございます。

 まずはしっかりと第二次補正予算の執行を速やかに行うということで、各種支援策を医療の現場にお届けすることで地域の医療を継続することができるよう、万全の体制をとることが重要だと考えております。

藤野委員 その各経営判断に任せていたら、このままでは担い手がいなくなって、コロナ対策が崩壊しかねるという危機感が大臣にはないんですかという質問なんです。

 これは東京だけの話ではありません。この新型コロナの対応や受診抑制で地方の病院経営も深刻な影響を受けております。

 私、この間、新潟県の複数の公的病院でお話を聞いてまいりました。

 パネルを見ていただきたいんですが、これは県内の、A、ある公的病院です。青いグラフが二〇一九年の、こちらが外来患者数、こちらが入院患者数、そして赤のグラフがことしの外来と入院の患者数になります。いずれも、四、五月になって急激に減少しているということがわかります。

 この病院では、外来と入院、合わせて約三億五千四百万円の収入減が起きておるということであります。一つの病院で三億五千万円を超える減収というのは大変な負担であります。

 この病院だけでなく、私は別の公的病院からもお話を聞きましたが、こういう傾向は同じなんです。そして、さらに、新潟県が県内の百二十五の病院を対象に行った調査でも同じような傾向が出ております。

 このA病院の事務長さん、こうおっしゃっていました。大臣、聞いていただきたいんですけれども、地方の病院でも新型コロナによる受診抑制がある、外来、入院患者が減り、減収による経営への影響が非常に大きい、患者が減っても体制、人員は減らすわけにはいかない、人件費や機器のメンテナンスなど固定費は変わらないので減収はすぐ赤字に直結する、下支えが必要だと。

 大臣、ちょっと今度は御答弁いただきたいんですけれども、要するにコロナを、それによって、コロナを受け入れていない、そして地方の病院でも本当に大きな影響が出ている。それぞれの病院は役割分担をしていて、特に地方ではコロナの病院だけを支えればいいというわけじゃないんです、連携してやっていますから。そういう意味で、いずれの医療機関にも起きている減収をしっかりと補填することで下支えをしていく、これが必要だという認識は大臣にはありますか。

西村国務大臣 私のところにも、全国の医療機関の方々、私の地元も含めて、まさに新型コロナウイルス感染症への対応をしているところも、そうでないところも、その対応をしているか否かにかかわらず、大変厳しい状況になっているという声をいただいております。切実な声を伺っております。

 既に、厚生労働省の方で、一次補正、二次補正、特に二次補正において、約三兆円の医療に対する支援の予算を計上し、それを着実に執行しているところだと思いますけれども、診療報酬の三倍増とかあるいは空床の確保、それから、さまざまな支援制度をとっているところであります。

 私の立場からも、地域の医療提供体制がしっかりと継続していけるように、このことを厚労省とも連携しながら対応をしていきたいというふうに考えております。

 もし必要があれば、厚労省から御答弁いただければと思います。

藤野委員 私は、いろんな医療機関の方から大臣にぜひ伝えてほしいという声を聞いてきたので、ちょっと御紹介させていただきたいと思うんです。

 医療の提供体制は逼迫していないというお話なんですけれども、しかし、それは病床とかベッドがあればいいという話じゃないというんですね。ある方は、夜勤をどう組むかとか、感染予防をしながら誰に担当してもらうかとか、そして他の病院とどう連携するかとか、表には見えないけれども、一つのベッドで患者を受け入れるには大変な負担があるということを知ってほしい、こういう声でした。

 そして、人工呼吸器でも、一台当たり、二十四時間で考えると十人ぐらいの看護師が必要だと。しかも、ただの看護師ではなくて、人工呼吸器にかかるということは、いつ症状が悪化するかわからない、二十四時間目が離せない患者なんですね、ですから、専門的な知識とスキルで先が見通せるような、そういう訓練を受けた十人が必要なんだと。そして、その一人一人が胸が痛くなるほどの緊張感を持って仕事につかないといけないとおっしゃっていました。

 ですから、医療従事者は使命感で頑張っているんですけれども、体と心が追いつかない状況に今追い込まれつつある。しかも、東京の状況を見ていると、いつ収束するかわからない。ある方は、一カ月なら夜勤も頑張れるけれども、いつまで続くかわからないもとで続けるというのは本当につらいと。

 つまり、ベッドや呼吸器という物に余裕があるかどうかではなくて、それを動かす何十人もの人が今精神的にも肉体的にもぎりぎりの状態になっているんだ、これをぜひ大臣に認識していただいて、だからこそ、政府がやるべきことは、感謝とかだけではなくて、財政的にもしっかりと下支えをすることによってそうした方を応援していく、これをしっかりとやっていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。

 その上で、次のテーマで、今の感染拡大において大きな穴になっている問題として、米軍関係者の問題があると思います。

 沖縄県内の米軍基地で、十四日までに新型コロナ感染者が百人に達しました。我が党は、このコロナ対応は全て米軍任せで、日本人が受けているようなものを全く受けられない、日本側は関与も検証もできない、このことを国会で何度も指摘して警告してきましたが、政府は対応してきませんでした。その結果、こういうことになっている。

 沖縄の玉城デニー知事は、これ以上の感染拡大を防止するために、政府に申し入れていると思います。

 大臣、お聞きしたいんですが、クラスターが発生している普天間基地とキャンプ・ハンセンは閉鎖をする、そして米国本国等から沖縄への移動を中止する、このことなどを国に要望しております。感染拡大を防ぐためには、この沖縄県知事の要望を直ちに実施すべきじゃないですか。

棚橋委員長 外務副大臣若宮健嗣君。

 なお、若宮君にお願いいたします。申合せの時間が迫っておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

若宮副大臣 はい。

 お答えさせていただきます。

 今委員が御指摘になりました沖縄の在日米軍施設・区域内での多数の感染者確認、地元の皆様方には大変御心配をおかけしているところでございます。

 政府といたしましては、米側からこのような説明を受けております。七月十一日以降に確認されました普天間飛行場及びキャンプ・ハンセンの感染者は、既に感染が確認された者が所属する部隊全員に積極的なPCR検査を実施した結果、判明したものでございます。

 また、感染の増大を受けまして、在沖縄米軍では、健康保護体制が上から二番目のレベルCに引き上げられてございます。新規感染者の行動履歴の追跡を行うとともに、各施設・区域内においても、必要不可欠なものを除く外出制限が命ぜられているところでもございます。

 こうした形で、在日米軍としても、沖縄での感染増大を非常に深刻に受けとめてございまして、県や地元の皆様方と緊密に連携をしながら、感染拡大防止のために適切な措置をとっていくとしているところでもございます。

棚橋委員長 藤野保史君。

 なお、恐縮です、簡潔に。

藤野委員 今、レベルCとかいろいろおっしゃいましたが、それはあくまで日本に入国した後の話なんですね。

 私の質問は、米国民というのは、アメリカの国民というのは、今、感染者が三百四十万人に達している世界最大の感染国であって、米国民は日本に入国できないんですね、基本的に。ところが、米軍関係者だけは基地を通じて入国できているのはなぜなのか。だからこそ、知事は移動中止ということもおっしゃっている。米軍関係者のコロナ感染は、もう既に二万六千人に達しているわけですね。

 ですから、ちょっと大臣にこれはお聞きしたいんですが、コロナ対策といった場合に、この米軍というルートが感染防止対策において大きな穴になっている。そして、この穴を放置していたら国民の命が危険にさらされる、そういう認識はコロナ担当大臣としてお持ちなんでしょうか。

棚橋委員長 国務大臣西村康稔君。

 なお、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

西村国務大臣 先ほど御説明が外務副大臣からございましたけれども、外務省そして防衛省において、在日米軍とも連携し、まさに日本国内における新型コロナウイルス感染症が拡大しないように、適切に措置を講じて防止に取り組んでいただきたいというふうに考えているところであります。

藤野委員 非常に人ごとの答弁なんですが、これは大きな穴なんです。これだけ短期間に百人に達する、これを防がなくて国民の命と健康をどうやって守るのか。大臣としてまさに全力で取り組まなきゃいけない問題なんですね。

 地元紙の報道では、基地で働いている従業員の方の子供さんが学校に登校することを自粛を求める動きが広がっていると。四市町村で、少なくとも十三日、十四日で四十三人が欠席しているというんです。この欠席理由には、米軍からの要請もあったと言われております。

棚橋委員長 藤野君、申しわけないんですが、維新さんの時間が来ておりますので。

藤野委員 本当に許しがたいと思うんですね。

 つまり、要するに、政府が国民の命や健康を本気で守るのか、その気があるのかということが問われていると思います。

 豪雨災害や新型コロナ対策など、審議すべき課題は山積みです。予算委員会の集中審議を強く求めて、質問を終わります。

棚橋委員長 これにて藤野君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井敏彦君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳です。

 時間が十分しかないので、端的にお願いしたいと思います。

 まず、七月豪雨そして新型コロナで亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りしたいと思います。また、被災あるいは罹患されている方々にお見舞いを申し上げます。

 また、雨は今週も続くという見通しでございますし、コロナも感染がとまっていないという状況でございますので、国民の皆様には警戒を引き続き、この場をかりてお願いしたいと思っております。

 私ども維新は、身を切る改革、有言実行ということで、今回のコロナにおいては、十万円の特別定額給付については国会議員も地方議員も全員が寄附をするということを決めまして、まとめて党本部で医療関係に御寄附をするということを決定しております。

 また、今回ボーナスが国会議員にも支給されておりますけれども、私ども維新においては三割カットを自主的に決めまして、これも国会議員、衆参全員が医療関係に寄附をさせていただくということを決めております。

 そしてもう一つ。私どもは、六年前から二割の給料カットをして、そして特別の所得税がかかっている、復興特別所得税がかかる令和十九年、十七年後まで我々は二割カットを続けていくということを決めていますので、ぜひとも国民の皆様は、国民の皆様の被災した状況とかそういったことに寄り添う政党があるということを知っていただきたいと、冒頭、心からお願いを申し上げます。

 さて、昨日、安倍総理と私どもの副代表である吉村大阪府知事が、要望、会見をさせていただきました。急遽、そのことについて三点、要望をまとめてありますので、質問に移らせていただきます。

 皆様のお手元にあると思いますけれども、まず一つ目は、感染防止のための法的義務の明確化と営業停止ということについてであります。

 現行、事業者の自主的な取組に委ねられているという状況です。十分な対策をとらない施設が営業をしているということではないか、そういったことで、また、新宿の劇場が八百五十も濃厚接触者をつくってしまったというような事案が発生して心配をしております。そういった現状に対して、今知事は、事業者に規制ができなくてクラスターの抑制が困難になっている、上の方に書いてありますけれども、そして、クラスター発生施設に対し、また加えて、強制力のある疫学の調査ができない、これが現状であるということで、現状、問題意識を挙げさせていただき、それに対して提案、提言として、下の方に書いてありますけれども、改正イメージということで、法令によって事業者の義務を明確化してはいかがかと。対象施設はクラスターが発生した施設、対象地域はクラスターが発生した地域ということ、そして、義務づけ内容は、施設区分ごとに具体的な感染防止対策を打つ、そしてまた積極的疫学調査、濃厚接触者の調査、PCR等の検査、利用客・従業員の名簿提出への協力。こういったことをしっかりと法令によって義務化をするべきではないかという提案をさせていただいております。

 そして、西村大臣は、二十四条九とか四十五条の二とか現状おっしゃると思うんですけれども、また、今回の質疑でも、日本の人権だとか、非常に国民性という点もあるんですけれども、実際、悪いことをする人たちはやはりいて、それが発生源になるリスクがこの天下の日本国でもあるという認識を私どもは持っておりますので、例えば、義務を明確化したときに義務違反をした場合には知事による営業停止命令ができるんだ、あるいは、命令に従わない場合は罰則もある、又は営業許可の取消しもさせていただくというところまで提言を考えているわけでございます。

 まず一つ目のこの提言に対して、きのう安倍総理も注視とかいうお言葉だったかと思うんですが、踏み込んで、やはり今責任あるお立場の大臣に、今後の方向感を含めて、この提言あるいは要望に対してどういう御所見をお持ちか、現状を確認させてください。

西村国務大臣 これまでも、維新の皆様方から大変貴重な御提案、御提言もいただいてきております。特に、まさに知事がいろいろな措置をとるときになかなか強制力を持てないというところ、悩みも伺ってきておりますし、私自身も、何か実施をするときに、やはり強制力を持った形のものができないのか、これまでも悩んできたところであります。

 今御指摘がありましたように、法律の体系が非常に緩やかな法体系になっておりまして、一つには、第五条に、基本的人権の尊重ということで、私権の制約を伴うものでありますから措置は必要最小限にしなきゃいけないというふうになっております。したがって、全体として強制力は非常に少ないものとなっています。

 もう一つは、緊急事態宣言の前と後で差をつけているということですね。緊急事態宣言の後は、指示をし、公表までできるんですけれども、その前は要請ということになります。

棚橋委員長 大臣、恐縮ですが、簡潔に。

西村国務大臣 はい。

 ということですので、全体の体系の中でこのような仕組みをどう位置づけるのか、これは考えていきたいというふうに思っております。

 あわせて、感染症法とかほかの法律で何かできないのか、このことも検討を続けていきたいというふうに考えております。

杉本委員 検討というお言葉をいただきましたが、やはり、まさかというか、拡大してしまったときに強制力を持ったことができないという状況があってはならないので、まさかに対して備えるのも法律であるということで、ぜひとも前向きに、強く検討をお願いしておきます。

 次に、二点目。パネルをちょっと切りかえさせていただきます。

 業種別、百五十一業種のガイドラインというお話も先ほど質疑でございましたけれども、現行、プロ野球であったりJリーグが始まって、ああ、いい方向になってきているなとも思っているんですが、一方で、やはり東京で百名、二百名という数字が、感染者が出てきているということもあり、また、直近、申し上げた新宿の例なんかもあります。

 そういった中で、やはり業種別に見て、映画館、劇場、ライブハウス、見ていただくこの表の、上の右手の方でございますけれども、現状では、十分な座席間隔確保、あるいはライブハウスでは二メーターを目安に最低一メーター確保とか、こういう形でガイドラインがうたわれて、それが行われているということなんですが、ちょっと下の方を見ていただくと、課題と書いてあります。やはり感染拡大してしまってはいけないので、しっかりととめていく、それぞれでとめていくことが必要なんですけれども、一方で、やはり経済も両輪で動かしていかなきゃいけないという質疑が再三あるわけでございますので、入場者を半分以下に制限されている現状、これがイベントの主催者等の大幅な減収につながって、経営への影響が大きく出ているということが現状の課題であります。

 先ほど西村大臣は、換気が大事だというのは今回認識が強まったということをおっしゃっていましたけれども、私ども維新として、大阪の知事が総理にも申し上げたことでございますけれども、要望として、マスクの着用の徹底はもちろんのこと、換気を始めとすることや科学的検証を前提として、収容率五〇%という現状の問題だとか十分な座席間の制限、こういったものに対して、やはりガイドラインを少し見直し、点検、改良していくということも、サーモグラフだとか問診だとか、これはネット上の話かもしれません、また、個人がきちっと特定できるような形を個人の了解のもとに行っていく、そういった方向づけも必要かと思いますが、このガイドラインの利用制限の見直しについてはどのような御所見をお持ちか、確認させてください。

西村国務大臣 基本的には、同様の、共通の認識を持っております。いろいろな知見が出てきますので、新しい知見を活用してガイドラインも進化をさせていかなきゃいけないと思っております。その一つが、私ども、スーパーコンピューター「富岳」を使って、飛沫がどう飛ぶのか、換気がある場合、ない場合、マスクがある場合、ない場合、こんなことをスパコンを使って検証してもらいながら、分析をしてもらいながら進化させていきたいと思っております。

 ただ、今回の新宿の小劇場でもああいう集団感染になっておりますので、あれがどういった状況の中で生じたのかも分析しなきゃいけませんし、また、足元の感染状況、東京で陽性者の数がふえている状況、こうしたことも見ながら、全体として判断を考えていきたいというふうに思っております。

杉本委員 最後、時間がなくなってきたので、こちらから一方的に提言だけ申し上げる形になるかと思いますが、水際対策、玄葉元外務大臣からも御質問がありましたけれども、やはり外から入ってくるものを防ぐんだ、そして、出入国緩和がされていくだろうけれども、この水際、空港でしっかりやっていくということをぜひお願いしたいと思います。

 特に関空で問題意識を持っているわけですが、PCRから抗原検査へ、そして唾液を活用する抗原検査、あるいは、アプリを進化させるということで、接触確認アプリの更新が今ようやっとなされた状況でありますけれども、これを更に進化させていくこと、それから、現場現場、空港で宿泊施設、ホテルを確保できるようにしていただくこと、全部提言、要望は右側に書いてありますけれども、あるいは、中央、省庁と空港現場の迅速な意思疎通、こういったことをしていく必要が水際対策の充実・強化としてあるということを、ちょっと一方的でありますけれども指摘だけさせていただいて、もう時間となりましたので、質疑終了とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

棚橋委員長 これにて杉本君の質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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