衆議院

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第30号 令和2年9月2日(水曜日)

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令和二年九月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 井野 俊郎君 理事 後藤 茂之君

   理事 坂本 哲志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 堀内 詔子君 理事 山際大志郎君

   理事 大串 博志君 理事 渡辺  周君

   理事 伊藤  渉君

      あべ 俊子君    秋本 真利君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君   うえの賢一郎君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      小野寺五典君    奥野 信亮君

      金子万寿夫君    神山 佐市君

      河村 建夫君    黄川田仁志君

      小泉 龍司君    國場幸之助君

      笹川 博義君    新谷 正義君

      高橋ひなこ君    武村 展英君

      冨岡  勉君    根本  匠君

      野田  毅君    原田 義昭君

      平沢 勝栄君    福山  守君

      古屋 圭司君    村上誠一郎君

      山口  壯君    山下 貴司君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    今井 雅人君

      小川 淳也君    大西 健介君

      岡本 充功君    川内 博史君

      玄葉光一郎君    後藤 祐一君

      辻元 清美君    本多 平直君

      馬淵 澄夫君    前原 誠司君

      國重  徹君    濱村  進君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      足立 康史君    杉本 和巳君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   国務大臣         西村 康稔君

   内閣府副大臣       平  将明君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 高嶋 智光君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    奈須野 太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君

   政府参考人

   (観光庁長官)      蒲生 篤実君

   参考人

   (新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会分科会長)         尾身  茂君

   参考人

   (新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会分科会長代理)       脇田 隆字君

   参考人

   (慶應義塾大学経済学部教授)           竹森 俊平君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     山下 貴司君

  岩屋  毅君     高橋ひなこ君

  うえの賢一郎君    武村 展英君

  河村 建夫君     小泉 龍司君

  笹川 博義君     新谷 正義君

  根本  匠君     國場幸之助君

  野田  毅君     冨岡  勉君

  山本 有二君     黄川田仁志君

  杉本 和巳君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     福山  守君

  小泉 龍司君     河村 建夫君

  國場幸之助君     根本  匠君

  新谷 正義君     笹川 博義君

  高橋ひなこ君     岩屋  毅君

  武村 展英君     うえの賢一郎君

  冨岡  勉君     金子万寿夫君

  山下 貴司君     石破  茂君

  足立 康史君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     野田  毅君

  福山  守君     山本 有二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(新型コロナウイルス感染症対策等)


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     ――――◇―――――

棚橋委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件、特に新型コロナウイルス感染症対策等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会分科会長尾身茂君、新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会分科会長代理脇田隆字君、慶應義塾大学経済学部教授竹森俊平君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君、出入国在留管理庁次長高嶋智光君、厚生労働省医政局長迫井正深君、厚生労働省健康局長正林督章君、厚生労働省医薬・生活衛生局長鎌田光明君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、経済産業省大臣官房長多田明弘君、中小企業庁次長奈須野太君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、観光庁長官蒲生篤実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

棚橋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。

    ―――――――――――――

棚橋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。新谷正義君。

新谷委員 自由民主党の新谷正義でございます。

 本日は、この予算委員会の場で質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、冒頭ですが、先日、安倍総理が辞任を表明されました。私は医者でもありまして、これは医者として申し上げさせていただければ、今その原因として報じられている潰瘍性大腸炎、これは難病でございまして、腸の炎症が持続する不治の病でございます。時に再燃、悪化することがあり、再燃して放っておけば、これは命の危険にもつながります。画期的な新薬によりまして以前よりは再燃が抑えられるようにはなっておりますが、いつそれが起こるかわからない、その大変さは余人には想像を絶するものがございます。直近の百四十七日連続勤務も大きな負担になったのではないかと推測をしておるところでございます。

 そのような難病を抱える中、国のかじ取りをするという重責に耐え、人口減少が進み、同時に安全保障環境が大きく変化する中、我が国の平和と発展に多大な貢献をされ、憲政史上最長の在職期間という長きにわたり、総理大臣として尽力しておられます。心より感謝と敬意を表したいと存じます。

 長期政権でありましたが、この長期政権であることが外交においては大きな力となりまして、地球儀を俯瞰する外交によって、積極的平和主義のもと、各国との連携強化、世界の平和と発展に大きな成果を上げてこられました。その他国への訪問回数は八十一回、飛行距離は地球約四十周にもなるものでございました。

 安全保障においては、安全保障関連の法改正によって、日米間の信頼関係はより強固になり、日米同盟は強化され、我が国の平和の維持に大きな力となっております。

 また、経済においては、アベノミクス三本の矢を始めとする経済政策によりまして、これは昨年まででございますが、昨年までの七年間において、国民総所得は約七十三兆円ふえて、これは過去最高となり、企業収益、国、地方の税収はともに過去最高水準となり、そして、株価も二倍以上に上がりました。完全失業率も二%以上減少し、歴史的低水準となりましたが、同時に働き方改革も進め、日本の労働環境も大きく改善をしてきたところでございます。

 また、将来世代にも思いをはせ、財政再建にも取り組み、強い経済を力に、消費税率を二度にわたり上げることで、長期における社会保障制度の安定化にも貢献をされました。心から、安倍政権の国への貢献は非常に大きいと考えております。

 しかし今、世界は、新たに新型コロナウイルスという大きな脅威に直面をしております。引き続き、次の政権下になっても、国を挙げてこの対策に全力で取り組んでいかなければなりません。

 先日、安倍総理からも発言がございましたが、新型コロナウイルスによる感染症、七月以降の二度目の拡大傾向からやや減少傾向に転じております。

 新型コロナウイルスの感染を抑えながらも経済や生活を継続していくことは非常に困難な課題でございましたが、何より国民の皆様一人一人の御努力の積み重ね、また、医療機関や保健所といった現場の皆様の多大な働き、そして、安倍総理を始めとする関係閣僚の皆様の、あるいは厚労省などの関係機関の皆様の対応が功を奏してきている、そのように私は考えております。

 しかし、まだまだ予断を許さない状況が続いております。これまでの対策も踏まえ、現在の感染抑制の流れをしっかりと継続していかなければなりませんし、また、次に来るかもしれない感染拡大の防止にも、これはしっかり備えていかなければなりません。

 引き続き、国を挙げて感染拡大防止に全力で取り組まなければならない中で、このたび、新型コロナウイルス対策について質問させていただきたい、そのように思っております。

 新型コロナウイルス対策として国民から大きな期待を寄せられているのが、ワクチンによる感染・重症化予防でございます。

 ワクチンの開発は通常はかなり長期に及びますが、今、国内外の研究機関や製薬企業において、例を見ないスピードで開発が進められているところでございます。その中で、先日の対策パッケージにおきましては、全国民に接種できる量の確保が掲げられておりまして、必要な対策をぜひ進めていただきたいと思っております。

 一方で、必ずこれは目を向けなければならない課題があると思います。それがワクチンにおけるリスクコミュニケーションの問題でございます。

 ワクチンに限らず、薬には副作用、副反応がつきものでございまして、そのリスクとリターン、このバランスを見て承認がなされます。どの程度のリスクがあり、どのようなリターンがあるか、これはあくまで科学が決めるものでございます。このリスクとリターンを国民一人一人に向き合っていただくようにお伝えすることが、まさにリスクコミュニケーションであろう、そのように考えております。

 政治の役割は、現時点における科学により証明された正しい情報をきちんと伝えていくこと、そのように考えております。これを実現していくために、やはり、報道機関にいらっしゃる皆様にも協力を要請して意識を醸成するなど、あらゆる手を尽くすことが必要であると考えております。

 このリスクコミュニケーション、これがうまくいかず、ワクチンを十分に打つことができなければ、諸外国のワクチン接種が進む中で、我が国だけウイズコロナ状態が続くということになりかねません。

 ワクチン施策の課題として、これは一つの例を挙げると、子宮頸がんの原因となるHPVのワクチンがございます。

 HPVワクチンについては、子宮頸がん予防効果が高いとされるMSDの九価ワクチンが承認をされたところでございますが、それでも、いまだに政府による積極勧奨は再開できておりません。

 日本では、毎年、子宮頸がんによりまして約三千人もの方々が命を落としております。しかし、このほとんどは現在ワクチンによって救える命でありますが、目下、国全体では、毎年三千人の死者は余り注目されていないのが現状でございます。

 病気になってからの医療提供体制を整えることはもちろん重要でございますが、予防ができる疾病をしっかり予防し、救えるはずの命を救うことこそ最も重要だと考えております。現在のコロナ禍で、国民からワクチンの期待が高まっている今だからこそ、正しい知識をしっかりと伝え、多くの国民に正しく接種を受けていただく必要があると感じているところでございます。

 こうした啓発は、民間や報道の力をかりて進めるべきと考えておりますが、例えば子宮頸がんの検診の分野、これにおいては、IT企業のDeNAや製薬企業のロシュなどが、地方自治体とともに、ブルースタープロジェクトという住民向けの子宮頸がん検診の啓発事業を、民間資金のみで実施をしているという例がございます。

 個人的には、ワクチン分野の啓発についても、ぜひ民間企業等で啓発のアイデアを出して活動してもらうべく、私も働きかけを行っていこうと考えております。

 このような状況の中で、ワクチンに関し、加藤厚生労働大臣にお尋ねをいたします。

 国産、外国産にかかわらずワクチンの確保に努めるとともに、特に、ワクチンのリターンが見落とされがちな我が国において、接種したくても接種できないという状況を避ける必要がございます。

 国民一人一人がみずからの決定に基づいてワクチン接種を行えるよう、これから開発されるであろうワクチンの接種に関するリスクコミュニケーションのあり方について、お考えをお伺いいたします。

加藤国務大臣 今委員から、ワクチンそのものに対するさまざまなお話、そして特にリスクコミュニケーションの重要なお話がありました。

 今回の新型コロナウイルス感染症のワクチンについては、先般も、今後の取組で明らかにさせていただいたように、全ての国民への接種を目指してその量を確保するということにしております。

 そうした中で、研究開発の促進、国内生産体制の整備に対する支援に加えて、今、海外のワクチンメーカーとも適宜交渉を進め、トータルとして確保し、そして早期に国民の皆さんにワクチンが供給できるよう取り組んでいるところであります。

 ただ、御指摘のように、ワクチンが実用化された際に、接種の皆さん方が、委員はリスクとリターン、私どもは有効性、安全性という言い方をさせていただいておりますけれども、そこをよく理解をしていただいた上で、これは最終的には個々の方の判断によって打っていただくということがベースになるわけであります。

 そういった意味で、特に今回のワクチン、これまでにないスタイルのワクチンもいろいろございます。そういったことを含めて、一つ一つ説明をして、そして理解をいただく、そして、その必要性、そしてもちろん、一方での安全性に関することを含めてしっかりと御理解いただいた上で判断していただける環境をつくることが必要だと思っております。

 ただ、現時点においては、ワクチンが既に開発されたというものは特にございませんので、安全性、有効性について具体的に申し上げる状況にはありませんけれども、しかし、さまざまな情報を収集し、科学的知見に基づいた正確な情報をその段階段階で国民の皆さんにしっかりと発信をしていきたいというふうに思っております。

 また、そういった中で、今委員お話しのように、民間の方々等々においてもそうした発信をしていただけるということが、トータルとしての国民の理解の増進にもつながっていくんだと思っております。

 また、政府では、新型コロナウイルス感染症対策分科会においてリスクコミュニケーションに係る議論もさまざまいただいたところでございます。それらも踏まえて、ワクチン接種に関する情報収集、情報発信のあり方について引き続き検討し、具体的な対応を図っていきたいというふうに考えております。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひお取組をよろしくお願いいたします。

 次に、医療機関への支援の必要性に関する質問をさせていただきます。

 新型コロナウイルス対策の最前線は、間違いなく医療現場でございます。本当に、リスクと向き合いながら、みずからを犠牲にして尽くしてこられたところでございます。やはり、他国と比較して新型コロナウイルスの犠牲者が少ないのは、間違いなくこの医療従事者の皆様のおかげだと考えておりまして、改めて感謝をお伝えしたいと思っております。

 一方で、医療現場は危機を迎えております。日本医師会が実施した調査では、病院の収入、これは大きく減少していると聞いておりますし、さらに、医療物資や人手の確保にも課題を抱えているのが現状でございます。

 医療物資でいえば、今後万一、感染爆発、爆発的感染が起きた場合の供給体制、これはまだまだ足りていないのではないかと思っているところでございます。

 例えば、消毒液でいえば、消毒液そのもの以外にもボトルやキャップ、こういったものが何かしらボトルネックになることがございまして、しっかりと対応することが必要でございます。

 そこで、迫井医政局長にお伺いをいたします。

 今回の対策パッケージでも医療機関の支援を拡充する方針が示されているところでございますが、医療機関における医療物資の調達の支援、そして治療に当たる医療人材の確保、診療報酬による収入の支援を迅速に実施するとともに、特に物資支援については、先ほど申し上げたようなボトルの生産に至るまで、関連する全てのメーカーの協力が引き出せるような配慮が必要であると考えておりますけれども、厚労省の見解を教えていただければと思います。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 議員御指摘のとおり、医療機関では、新型コロナウイルス患者への対応を行っているか否かにかかわらず、外来患者、入院患者の減少によりまして経営が悪化していると承知をいたしております。

 このため、コロナ対応を行う医療機関に対する診療報酬や、新型コロナ患者専用病床等に係る空床補償による対応等の支援、また、それ以外の医療機関を含めた対応といたしまして、感染拡大防止のための支援、さらに、当面の資金繰りの支援といたしまして、無利子無担保等、融資の拡充等を行うことによりまして地域の医療を継続することができるような支援を行うとともに、医療機関の人材確保につきましては、DMAT、DPAT等を含む医療チームの派遣についての財政支援や、人工呼吸器、ECMOを扱う専門人材の養成等の取組を行っているところでございます。

 その上で、特に議員お尋ねの医療機関で必要となる物質につきましては、現場での供給の逼迫状況や各物質の性質に応じて、国内増産等による供給力の拡大、医療機関への優先供給などの取組を行っているところでございます。

 アルコール消毒液などにつきましては、引き続き、経産省と連携をいたしまして、メーカー等への要請や生産設備導入補助金による支援等を通じまして、御指摘のボトルも含めました供給拡大に取り組むとともに、希望する医療機関等に対しましてメーカーから優先的に供給するなどにより、それから、マスク、ガウン等の個人防護具につきましても、アルコール消毒液と同様に増産要請等を行う一方、輸入依存度が高く、世界的な調達競争が起きたことを踏まえまして、国といたしましても、メーカー等から必要量を調達いたしまして、個別に発生するコロナ患者受入れ医療機関の需要に対しまして、G―MISによる緊急要請の仕組みを通じて迅速に無償配付を行うとともに、国内において必要な備蓄を計画的に確保していく対応に順次移行していく中で、次の需要の逼迫に備えまして、都道府県や医療機関等の現場備蓄用として一カ月分を無償で特別配付を行っております。

 今後とも、経営支援、人材確保、物資確保など総合的な対策を講ずることによりまして、医療現場の皆様が安心できるよう万全を期してまいりたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひ対策を進めていただければと思います。

 次に、西村大臣に対しまして、風評被害対策に関し質問をさせていただきます。

 新型コロナウイルス対策の最前線となる医療機関あるいは介護福祉施設は、常に感染の恐怖と戦っているところでございます。これらの機関は、重い役割を担っているにもかかわらず、一度その施設内で感染が発生をすると風評被害にさらされるのが現状でございます。

 長崎大学の調査によりましたら、院内の二割の方が、接触を避けられたり、あるいは子供の登園、登校自粛を求められたり、こういった経験をされている、そのように伺っております。

 さらに、風評被害は学校や幼稚園、保育所といった教育、福祉施設でも発生をしておりまして、濃厚接触者の子供に対するいじめのような出来事も発生をしております。子供だけではなくて、やはり大人の感染者への差別や偏見、これも重大な問題となっております。

 さらに、今回のコロナ禍で大きな被害を受けている旅館などの宿泊施設や飲食店も同様でございます。ただでさえ今厳しい経営状況にかかわらず、施設内で感染が発生して風評被害が発生をすれば、これは取り返しのつかない致命傷となってしまいます。また、実際に施設内で感染が発生をした場合、その後の営業の休止や消毒の対応なども大きな負担となってしまうところでございます。

 もしも、いじめや風評被害を恐れて感染を隠すようなことが頻発するような状況に陥れば、クラスター対策も余り機能しなくなり、感染拡大防止の妨げになる危険性もございます。

 そこで、新型コロナウイルス対策の取りまとめを行っておられる西村大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 医療機関や教育、福祉施設、宿泊業者や飲食店といったさまざまな事業者への風評被害、感染者への差別や子供の間のいじめを防ぐために、これは、やはり報道機関との連携を図りながら、さまざまな対策が必要であろう、そのように思っておりますが、御見解をお伺いしたいと存じます。

西村国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 まさに、この新型コロナウイルス感染症は誰もが感染するおそれがあるわけでありまして、差別や偏見、これはあってはならないことというふうに考えております。

 御指摘のように、感染者や濃厚接触者、あるいは、本当にリスクを感じながら現場で命を守ろうとして頑張っておられる医療、介護、こうした従事者の皆さん、そしてその家族に対する偏見や差別、あるいは感染リスクが高いと考えられる事業者への心ない攻撃、まさに問題となっているところでありますし、感染者に関する情報の公開の仕方によっては蔓延防止に資する範囲を超えて個人のプライバシーの侵害に当たる、こうした場合があることも指摘をされているところでありますし、まさに御指摘のように、積極的に疫学調査を行っていく際にも抑制的な効果を生じさせかねない深刻な問題であると認識をしております。

 これまでも政府広報において、テレビスポットで、医療従事者を始めとする関係者への人権上の配慮を呼びかけ、また、不当な差別や偏見を防止する取組を実施しているところでありますし、また、法務省においても、ホームページやSNS等を通じてこうした不当な偏見、差別を行わないよう呼びかけると同時に、人権相談の窓口も周知をしているところであります。

 昨日、偏見、差別に関する問題に関して専門家に御議論いただく、偏見と差別、プライバシーに関するワーキンググループの第一回会合を開催をいたしました。ここで、こうしたさまざまな偏見や差別に関する実態の把握、そして、政府だけではなくて日本全体として、御指摘のように、報道機関との関係も含めまして、プライバシーの尊重と感染拡大防止をどう両立していくか、しっかりと御議論いただき、一定の取りまとめを行って対策につなげていきたいと考えているところであります。

 引き続き、それを待つことなく広報による呼びかけなどもしっかりと取り組みつつ、法務省、文科省、厚生労働省など関係省庁とも連携して対応してまいりたいというふうに考えているところであります。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひ対策を進めていただきたい、そのようにお願い申し上げます。

 続きまして、輸出企業対策について、重ねて西村大臣と、竹森参考人にお伺いをしたいと存じます。

 私の地元企業でマツダという会社があるんですが、グローバル販売台数は新型コロナウイルス感染拡大に伴う急速な需要減少によりまして対前年三一%減、こういう状況になっておるところでございます。経済活動の再開以降は各市場の販売が徐々に回復しておりまして、生産量も順次増加しているとのことでございますが、コロナ禍で大きなダメージを受けたことには間違いがございません。

 さらに、日本経済の全体の状況を見ましても、二〇二〇年四月から六月期のGDP、これは前年比で年率二七・八%縮小したとも発表されております。一九八〇年以降で最悪の落ち込みでございまして、世界貿易がパンデミックの打撃を受け、日本経済もまた同じく大きな打撃を受けている状況でございます。

 そこで、竹森参考人にお伺いをいたします。

 現在、日本経済は輸出企業も含めて大きな打撃を受けていることは間違いないと考えておりますが、今の世界も含めた現状分析についてお伺いできればと思います。

竹森参考人 今、輸出のことを非常に気にかけているんですが、きのうニューヨーク・タイムズを読んで驚いたのは、中国が輸出が物すごく盛り上がっていて、史上一位ではないんですが、史上二番目の記録になった。それは、中国が早く感染症対策をとって、一応落ちついたところで生産再開ができている、必需品の輸出について中国以外に供給できるところがないというので、かえって盛り上がっているんですね。私は、日本は部品を中国に出しているので、そこはよくなると思うんですが、これから日本も早く感染をおさめて、生産を再開して、それで輸出をふやすということが大事。

 もう一つは、私、もう一つ驚いたのは、Zoomが利益を第二・四半期に三十三倍ふやしたというのがあって、これからアイデアに対して政府はサポートするべきではないか。何でZoomみたいなものが日本の企業から出てこないのかというふうに思うわけですね。こういうものは、アイデアを使う分には全然感染が広がるわけでもないので、こういうことに対して積極的な支援をしていくべきではないかというふうに考えております。

棚橋委員長 新谷正義君。

 なお、大変恐縮でございます、質疑時間が迫っておりますことを、よろしくお願いいたします。

新谷委員 ありがとうございました。まさに次を見据えた対策が必要である、そのように考えております。

 やはりこれは競争力向上に向けてさまざまな対策が必要であると考えますが、西村大臣の見解を簡単にお伺いできればと思います。

西村国務大臣 御指摘のように、大企業であっても大変厳しい状況にありますので、私ども、資金繰り対策、そして、場合によっては資本性ローン、劣後ローンですね、それから出資なども含めて枠組みをしっかりと用意をしておりますので、そうしたもの。そして今、竹森参考人からありましたように、新たな取組にチャレンジする企業に対して、ニューフロンティアに挑戦するところに対して、規制緩和であったり、また、資金の供給であったり、研究開発の支援であったり、税制、予算、制度改革、こうしたものを通じてしっかりと応援していきたいというふうに考えております。

新谷委員 ありがとうございます。ぜひ強力なお取組をお願いしたいと存じます。

 あと一問通告しておりましたが、時間となりましたので、これで終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて新谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 きょうは、三名の参考人の皆様にもお越しいただきまして、ありがとうございます。

 ウイズコロナの時代に入りまして、感染拡大の防止と社会経済活動、この両立をいかに図っていくのか、これが今問われております。

 例えば、現在実施中のゴー・トゥー・トラベル事業、これが七月下旬にスタートしたことについて、時期がちょっと早かったんじゃないか、こういった批判や懸念の声も寄せられたところであります。一方で、観光庁の調査によりますと、国内の主要旅行業者の四月の取扱額、これは前年同月比で比べまして九五・五%のダウン、五月は九七・六%、六月も九二・九%と、それぞれ非常に大きくダウンをしております。極めて深刻な状況というのが続いてきました。

 観光産業というのは、全国約百万の事業者、そして約九百万人の方の直接雇用を支える、多くの地域の経済を支える非常に裾野の広い産業であります。適時適切な手を打たないと、取り返しのつかない事態にもなりかねません。

 今回のゴー・トゥー・トラベル事業には一兆三千五百億円の予算が計上されておりますけれども、これは、単にこの一兆三千五百億円を各事業者に分配して給付するよりも、観光地全体の消費を促して地域経済に波及効果をもたらす、こういった点で経済効果はすぐれております。そこで、悩みながらも、ぎりぎりの状況の中で、参加条件をつけるなどして感染防止に配慮しつつ進めてきたのがゴー・トゥー・トラベル事業だというふうに認識をしております。

 まず、このゴー・トゥー・トラベルについて、実際どれだけの利用者がいて、そのうち感染者の数はどうだったのか。これまでの実績について端的に答弁を求めます。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 ゴー・トゥー・トラベル事業の利用状況につきましては、主な参加登録事業者からのヒアリングの結果では、割引での商品販売を開始した七月二十七日から八月二十七日までの間におきまして、少なくとも約五百五十六万人泊の利用実績があったと承知しております。

 また、昨日までに観光庁に報告があったところでは、新型コロナウイルスの陽性と判断された旅行者でゴー・トゥー・トラベル事業による割引を利用して宿泊された方は六名となっておるところでございます。

 本事業は、単なる観光需要回復策ではなく、ウイズコロナの時代における安全で安心な新しい旅のスタイルを普及、定着させることを重要な目的としております。そのため、その実施に当たりましては、全国各地の事業に参加する観光関連事業者と旅行者の双方に着実に感染症拡大防止策を講じることを求めているところであり、引き続き、安全、安心な旅行をしていただけるような環境整備に取り組んでまいります。

 以上でございます。

國重委員 ありがとうございました。

 少なくとも、現在までのデータによりますと、五百五十六万人泊で、そのうち陽性者は六名ということでした。油断はならないですけれども、ゴー・トゥー・トラベルによって大きく感染したわけではないというようなことが現在までのデータとしては出ているということだと思います。

 そもそも、ゴー・トゥー・トラベルがなかったとしても、旅行自体は禁止はされておりません。旅行はできます。その中で、今回、ゴー・トゥー・トラベルで、参加条件を課して、安全対策、感染防止策をとった新しい旅行のあり方を示したということ、これによって宿泊施設も参加者も意識をして感染防止策に取り組むようになったこと、これは今後、国内に安全で安心な新しい旅の形を浸透していくことになると思います。

 その上で、実際に事業をやってみて、感染防止対策は十分だったのか。これまでのさまざまな事例もしっかりと分析をして業界内で横展開していくなど、教訓として生かしていかないといけないと考えております。

 そこで、尾身先生にお伺いいたします。

 今後、東京発着の旅行の対象入りも含めて検討されていくことになりますけれども、これからの観光産業と感染拡大防止との両立に向けて、特に留意すべき点、また課題等についてどのようにお考えか、お伺いします。

尾身参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問、両立をどうするかということだと思いますけれども、実は、二月からこの半年間で、我々、政府も都道府県も日本の国民も多くのことを学んできたと思うんですね。その中ではっきりわかってきたことの一つは、どんな場所、どんな状況が感染のリスクが高いのかということがわかってきたと思います。

 そういう中では、もうこれは何度も申し上げている例の三密だとか大声というような状況が最も感染のリスクが高いということで、旅をするのであれば、例えば、若者とか重症化しやすい高齢者などの団体旅行をなるべく避けていただきたいというようなこと、それから、大人、大人数で宴会を伴うような旅行、これはどうしてもお酒が入りますから、そういうようなことがリスクを高めることはわかっていますので、そういうことにはぜひ気をつけて旅行をしていただきたい、するのであればですね、ということだと思います。

國重委員 ありがとうございました。

 感染をゼロにはできない以上、これまでの例も見ながら、一つ一つ教訓にしながら、コロナと共存していける社会環境づくり、しっかりと進めていく必要があります。

 次に、新型コロナウイルス接触確認アプリ、COCOAについて関連してお伺いいたします。

 社会経済活動、人の移動と感染拡大のコントロール、これを両立させるための一つのツールとしてCOCOAがあります。六月にリリースして以降、八月二十四日時点でダウンロード数は約千四百六十四万ということになっております。これは日本の総人口の一割強であります。

 八月二十一日に厚生労働省は事務連絡を発出いたしまして、陽性者との接触通知を受けた人がPCR検査を受ける場合には無料の行政検査として取り扱うよう、各自治体に要請をしております。このアプリの、COCOAの有用性というのは更に高まっております。

 政府として、これまでもさまざまな周知、広報をしておりますし、これからも力を入れていくということですけれども、COCOAの効果を高めていくために、より多くの人にこのアプリを使ってもらう必要があります。過去にも、ペストとかスペイン風邪の流行といったパンデミックがありました。そのときになくて今我々人類が手にしているもの、これがデジタルツールであります。これを使わない手はありません。

 その上で、どういったシステムを具体的に構築していくのか、これも重要になります。

 COCOAがなかなか広がらない要因の一つに、自分がどこに行ったのか、あるいは誰に会ったのか、こういった個人情報を国に抜き取られるんじゃないかといった漠然とした不安が払拭できていないということもその一つの要因としてあると思います。

 そこで、加藤大臣、COCOAを通じて国は利用者の個人情報を収集したり、あるいは管理することはない、そういったプライバシーに関する懸念はないと、ここで改めて明確に御答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 新型コロナウイルス接触確認アプリ、COCOAでありますけれども、直近の数字を申し上げますと、九月一日、きのうの十七時時点でダウンロード数が一千五百七十七万件、そして陽性登録が五百三十三人ということであります。

 まず、感染拡大防止に向け御協力をいただいている皆さんに心から御礼を申し上げたいと思います。

 そして、今委員御指摘の個人情報の保護という関係でありますけれども、このCOCOAにおいては、まず、電話番号などの個人情報またその方の位置情報については一切取得がされないということが前提になっております。

 その上で、ブルートゥースを利用して、近接した可能性がある場合にも、これはランダムな符号を交換して記録するということで、要するに相手が誰だかわからないようにしているということ、それから、近接した可能性に関するランダムな符号は、あくまでもその御本人の端末のみに記憶をされ、しかも十四日間たつと自動的に無効になる、こういう仕組みとなっておりまして、プライバシーには最大限配慮した安心な仕組みとさせていただいているところであります。

 そして、先ほど委員がおっしゃっていただいたように、仮に、陽性者と接触していたという通知があった方については、先般、全員が検査に結びついていける、こういう仕組みにもさせていただき、こうしたことを踏まえて、更に多くの方々がこれを御利用いただいて、まさにみんなでつくる安心のためのシステム、これが更に進んでいけるように、我々も周知あるいは利用の働きかけをしっかりやっていきたいと思っております。

國重委員 るる御説明いただきましたけれども、データやテクノロジーを使った感染症対策のあり方というのは、各国で幾つかの類型があります。

 例えば、中国のように、当局が位置情報とか診療履歴、決済情報を含む個人情報をアグレッシブに収集して対策を行う積極監視型、あるいは、シンガポールのように、当局が電話番号等の個人情報を限定的に収集して対策を行う積極管理型、さらに、個人を特定する情報を収集せずに、端末などとひもづく識別情報を限定的に収集して、接触通知によって個人の自主的な行動変容を促す自己規律型、大きくこの三つに分類できるとも言えます。今、日本で行っているCOCOAというのは、加藤大臣からも御説明いただきましたとおり、この中で最もプライバシーに配慮した、最後の自己規律型に当たります。

 その上で、今、アプリ利用者が陽性判断を受けた場合、アプリ上で陽性登録するかどうか、これは任意になっております。ただ、今後の感染状況いかんによっては、これを義務化することも必要なんじゃないか、こういう指摘をする方もいらっしゃいます。

 私は、自由とかプライバシー、民主主義を重視する日本国憲法のもとでは、本人同意を前提とした現在の形を変えて義務化、強制化するということは極めて慎重じゃなければならない、軽々にすべきではない、このように考えますが、政府の方針をお伺いいたします。

加藤国務大臣 今委員御整理をいただいたように、大きな三つの類型がある中で、日本は三番目という御指摘をいただきました。

 まさに、今回開発する大前提として、まず、このアプリについてもそれぞれの方の任意で参加をしていただく、この仕組みにおいては個人情報保護等は最大限配慮する、そして、当然でありますけれども、陽性登録についても陽性者の方がみずから登録をしていただくということ、全て任意であり、自発的な対応を前提とした仕組みになっているということでありますから、その一部のみをまさに強制化するというのは全体のシステムの基本的な考え方になじまないというふうに考えております。

 確かに、もっとダウンロードする人をふやすべきではないか、あるいは全体の陽性者数に比べて登録している方が少ないという指摘はしっかり我々受けとめ、更により多くの方にダウンロードしていただけるように、先ほど申し上げた、検査にしっかり結びつく、そういったこともしっかり周知をしていく。さらに、陽性の方に対しては、例えば保健所からそうした通知が行く際には、もしCOCOAに入っておられるのであれば登録をお願いするなど、さまざまな協力を丁寧にお願いしていきたいというふうに思っています。

國重委員 ぜひよろしくお願いします。

 今後、このCOCOAを端緒にして、PCR検査を行政検査として受けるケースもふえてくるものと思われます。しかし、現場では、保健所やお医者さんが必要だと判断した人であったとしても、PCR検査が受けられるようになるまで時間がかかる、こういった声も多く寄せられております。

 検査体制の強化は不可欠であります。感染拡大の当初、PCR検査が目詰まりを起こしていたのは、地域の公衆衛生のかなめである保健所がパンク状態で、検査を請け負う地方衛生研究所も逼迫していたからであります。これに対応するため、保健所業務の負担軽減を図るべく政府もさまざまな手を打ってきましたけれども、現場はいまだ厳しい状況にあります。

 その根本の課題は、公衆衛生に携わる人材が圧倒的に不足している点にあると考えております。

 これまで我が国は、阪神・淡路大震災以降、災害が起こったときの医療については強化とスキルアップが図られてきました。人材のトレーニングとか増員に取り組んだ結果、発災時に即応できる専門人員である災害派遣医療チームは、二〇二〇年四月一日現在、一万五千五百四十四名いらっしゃいます。

 一方で、今回の感染症拡大に対応できるような感染症危機管理に関する専門人材、健康危機管理の専門人材はどうなのか。まず、現在の取組状況をお伺いいたします。

正林政府参考人 お答えします。

 感染症危機管理に関する人材の育成は重要と認識しており、厚生労働省では、感染症危機管理専門家、IDESと呼んでいますが、IDES養成プログラムを平成二十七年から開始しています。

 このIDESというのは、インフェクシャス・ディジーズ・エマージェンシー・スペシャリストの略ですけれども、国内外の感染症危機管理に対応できる人材を育成するべく始めたもので、厚生労働省の感染症担当部署、それから国立国際医療研究センター、国立感染症研究所、検疫所、そういったところを回りながら、約一年間、国内でまず研修し、さらに、WHOとかCDCとか、そういう国際機関での研修を更に一年行っていただく、そういうプログラムでございます。

 加えて、国立感染症研究所において、感染症のアウトブレーク等が発生した際に速やかに派遣、対応が可能な実地疫学専門家を養成するため、実地疫学専門家養成コース、FETPを実施しているところでございます。

國重委員 今答弁がありました厚労省の感染症危機管理専門家養成プログラム、また国立感染研究所における実地疫学専門家養成コース、これらはいずれも、二、三年かけて年間数名の高度専門人材を養成する制度であります。もちろん、こういった取組も重要でありまして、より強化していく必要があると思いますけれども、こういったものだけではやはり不十分であります。

 これらの制度で養成されるような高度な専門性を持つ人材の方というのは、上に立つ人物というのでは不可欠でありますけれども、今後、より大切になってくるのは、そういった人のもとで働くような裾野の広い人材、こういった方たちも必要になってくると考えます。

 今回のコロナ危機は、我が国の感染症管理体制を見直すチャンスでもあります。今こそ国を挙げて、重層的な専門人材の育成、そして繰り返し研修をすることでその質が維持されるような仕組みを構築して、公衆衛生の危機にも即応できるような体制を整備していくべきと考えますが、今後の取組、決意をお伺いいたします。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 今回のコロナウイルス感染症対策におきましては、今御指摘のFETPの方々がクラスター対策の専門家として実際に現地に赴き、感染の実態把握や感染管理の助言等に当たるなど大変御活躍をいただいております。

 この実地疫学専門家につきましては、八月二十八日に取りまとめました今後の取組において、育成、登録を行い、感染症危機管理時に国の要請で迅速に派遣できる仕組みを検討しているところでございます。

 今般の事案対応、また議員の御指摘を踏まえて、幅広い人材育成といった視点も含めて、さまざまな関係者から御意見を伺いつつ感染症の危機管理体制の不断の見直しを行い、危機管理への対応力を一層高めてまいります。

國重委員 今、保健所など地域の公衆衛生の現場が逼迫している状況、こういったものに鑑みますと、やはりこれまでの取組では不十分、まだまだ人材が足りないというふうに思っております。これまで以上に体制を強化するためには重層的な専門人材の育成がやはり必要だというふうに思いますけれども、国立感染研究所の所長であられます脇田先生より、専門家の御見地から一言御所見をお伺いできればと思います。

脇田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の幅広い重層的な専門人材の育成ですけれども、今回の新型コロナウイルス対応におきましては、やはり大学あるいは公衆衛生に携わるOBの保健師さんなどが幅広く対応に当たっていただくということが非常に重要でありまして、先ほどからお話に上がっていますIDES、FETPに加えまして、もう少し短期的な研修でも対応ができるような、そういった試みをこれからも続けていく必要があると考えております。

國重委員 また先生のさまざまな御所見もいただきながら、しっかりと体制の強化に国としても取り組んでいっていただきたいと思います。

 最後の質問になります。

 今回のコロナ禍によりまして、我が国の社会のデジタル化のおくれ、こういうものが浮き彫りになりました。政府としても、今後デジタル化を推進していくという方針になっておりますけれども、ぜひ制度と予算の両面から強力にこれは推し進めていっていただきたいと思います。

 その上で、このときに忘れてはならない視点があります。それは、誰もが取り残されることのないようにしないといけないということであります。全ての人が最低限必要なデジタル技術を使うことができるように保障するデジタルミニマム、この考え方が重要です。

 私、総務大臣政務官時代、当時の厚労政務官、これは先ほど質疑に立たれました新谷先生でありますけれども、新谷先生と一緒にデジタル活用共生社会実現会議というものを政府の中に立ち上げました。この会議で、高齢者の方また障害者の方たちに対して地域でデジタル機器の使い方などをサポートするデジタル活用支援員、この必要性を提言しまして、それが今年度から実証事業としてスタートをしております。今、全国十一カ所だけでありますけれども、今後こうした取組を全国に広げていく必要があります。また、経済格差がデジタル格差にならないように、経済的な支援についても更に検討していく必要があります。

 そこで、平副大臣、今後政府としてデジタル化を進めていくに当たっては、デジタルミニマムの理念も重視をして、誰もがデジタル化の恩恵からこぼれ落ちてしまうことがないように、具体的な施策にぜひ打って出てほしいと思います。そのためにも、来年の改正に向けて現在検討しているIT基本法改正案におきまして、このデジタルミニマムの理念をぜひ盛り込んでいっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

平副大臣 先生の御指摘のさまざまな状況に対応するために、七月に策定したIT戦略においては、IT基本法の全面的な見直しを行うこととしております。

 デジタルミニマムの理念は私も非常に大事だと思っておりますし、まさに、デジタルを徹底利用すると、デジタルにアクセスできないことが深刻な格差を生みかねないと思っています。

 そこで、デジタル格差対策とか、地理的につながるところ、つながらないところがないようにしていかなければいけないと思いますし、あと、生体認証みたいなものを使って、いきなり御高齢の人にPINコードを入れろとか言ってもなかなかうまくいかないので、そういった生体認証の利用や、今御指摘のあったデジタル活用支援員ですよね、人的支援、こういったものをパッケージでそういった理念を実現していきたいというふうに考えております。

 具体的にはこれから検討ですので、ぜひまた御支援をいただければと思います。

國重委員 デジタル化によって誰もが豊かに暮らすことができるような取組、それと、いろいろな取組をしてもデジタルについていけない方も一部いらっしゃると思いますので、オンラインとオフライン、これも十分バランスをとりながらしっかりと進めていっていただきたいということを最後にお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて國重君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立国社会派の大串でございます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 参考人の先生方には、きょうは、どうもお忙しい中ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 予算委員会でございますけれども、私は残念に思っているところがございまして、予算委員会が前回開かれたのは七月十五日でした。西村大臣においでいただいて、参考人の先生方にもおいでいただいて質疑させていただきましたが、総理も出席した予算委員会というのは、六月の八日の週に第二次補正予算案を審議して以降行われておりません。

 その間、御案内のように、六月の末から七月にかけて、そして八月も、第二波と言わざるを得ない大きな新型コロナの感染拡大がありました。国民の皆さんは非常に緊張感を覚えた。にもかかわらず、総理がこの場に、私たちが、野党側が集中審議を求めていたにもかかわらず、そして、政府としてこの第二波と言える新型コロナの感染拡大にどう対応するのか、集中審議を通して国民の前にきちんと説明していただきたいとお願いしたにもかかわらず、それはかないませんでした。もちろん、その間、総理からの記者会見等々もなかった。

 この間の経緯に関して私は非常に遺憾に思っておりまして、やはり、これだけ、国難と言える新型コロナの感染拡大が起こっている間においては、閉会中とはいえ、しっかり予算委員会集中審議、総理も来ていただくべきときは来ていただいて開くべきということはあえて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、先週金曜日に安倍総理は辞任の意図を表明され、会見されました。御体調がおすぐれにならないということで、お見舞いも申し上げさせていただきたいと思いますし、一日も早い御快癒を御祈念を申し上げたいと思います。

 ただ一方で、新型コロナ対策は空白を置くわけにはいきません。国民の生活が、命がかかっております。総理が辞任された中においても絶対に空白を生んではならないというのがこの現状なんですけれども、実際にはどうでしょうか。

 西村大臣にお尋ねしたいんですけれども、総理が辞任会見をされ、これから新しい総理・総裁が選ばれていかれるんでしょう、どのような形の新体制になっていくか、私たちもわかりません。この間、まだまだ新型コロナの感染の拡大は続いていると私は言わざるを得ないと思います。新型コロナ対策に関して、今、総理が辞任会見をされた、辞任されるということで、対策の空白は生じていないのか、私は非常に懸念するんです。

 この点、担当大臣として、対策の空白は、コロナ対策、あるのかないのか、ここをお尋ねしたいと思います。

西村国務大臣 御指摘のコロナ対策についてでありますが、私自身は、連日、きょうお越しの専門家の皆さん始め、さまざまな情報を、各都道府県とも連携をとりながら対応してきているところであります。そして、感染状況等につきましては、定期的に安倍総理、菅官房長官にも御報告し、対応してきているところであります。

 その上で、先週二十八日には、これまで分科会を始めとして、あるいは都道府県からもさまざまいただいてきておりました提案、御提言、あるいは対応について、こうしたことについて、一定の整理をし、今後の取組というものをまとめたわけでございます。それに基づいて、厚生労働省を中心に、今、更にその対応、対策を強化をし、取り組んでいるというところでございます。

 いずれにしても、専門家の皆さんの御意見を日々お伺いしながら、対策、都道府県と連携してしっかりと取り組んでいるところでございます。

大串(博)委員 新型コロナ対策に空白があっては絶対になりません。先ほどおっしゃった、先月二十八日金曜日にコロナ本部で出された新パッケージ、これが今後を通じて活用されていくということを言われましたけれども、本当に新総裁になってこれがきちんと実行されるかどうか、担保は私はないと思うんですよ。新しい総理・総裁のもとで新しい策をつくりたい、やはり、そういうふうなリーダーシップを発揮されるのが総理・総裁の立場だから、そういうことを言われる可能性がある。とすると、今の状況というのは一体何なんだという声があると思うんですね。

 私は、総理の記者会見を聞いていて、新型コロナ対策、新パッケージを発表された、これはこれできちっと聞きました、検証しなきゃいかぬというふうに思いました。

 さらに、総理はその記者会見の中で敵基地攻撃能力のことなんかもお触れになって、私は非常にその辺なんかは違和感を感じたりはしたんですけれども、一体この国は今どういう状況にあるのかというのは、継続的にきちんと語って、政府としては責任を持っていただきたいというふうに思うんですね。

 そこで、二十八日に発表された新型コロナに関するパッケージですね、お尋ねさせていただきたいと思いますけれども、これは理解としてはこういうことでよろしいですか。秋冬以降の季節性インフルエンザが流行する、そのときに向けて、新型コロナも同時流行している可能性があるから、そこに向けて体制をきちっととっていかなければならない。ということは、冬が始まる前までにはこの体制はとっておくんだ、こういう理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 今後の取組、単にインフルエンザの流行期のみならず、今この足元を含めて、新型コロナウイルス対策、感染症全体について述べられておりますが、ただ、目の前の問題としては、まず足元の感染に対してしっかり対応していく、そして、やはり日本では秋冬にかけてインフルエンザの流行期が来ますから、それに対する対応の必要性もここで述べさせていただいて、それに対する考え方も書かせていただいている、こういうことであります。

大串(博)委員 ありがとうございました。

 秋冬に向けた対策だということです。そうすると、もう秋冬もそんなに遠くないですから、すぐですよね。

 まず足元の感染状況ということをおっしゃいました。足元の感染状況に関しては、先般来、八月の末の分科会で、尾身先生なんかにも御意見を頂戴して、七月の末をもって山を越したんじゃないかというような現状認識が分科会の先生方からは示されておりました。

 ちょっと尾身先生にお尋ねしたいと思うんですけれども、七月の二十七、二十八あたりで山を越えたんじゃないかなというふうな御意見が分科会では八月の末に示されたわけでありますけれども、そのときのベースとなった根拠、数字が、私、見て思ったのは、これは政府のドキュメントにも書かれていましたけれども、発症者ベースの新規陽性感染者、新規感染者が山を越えているように見える、あとは、実効再生産数で大都市を中心に一を下回ってきている、こういうふうに言われました。

 しかし、これらの数字、私たち、ちょっと唐突感も正直言ってありはするんです。これまで、新規陽性者の感染者数というと、報告のあったベースで毎日毎日私たちテレビでも見ていますので、それがいきなり、発症者ベースという数字が出てきた、発症日ベース、発症日ベースという数字が出てきた。かつ、この実効再生産数というのも、私たち野党側から、実は、非常に感染の大きかった四月、五月、六月中に、どうなっているんですか、ほかの国は実効再生産数を非常に重視して感染モニターしているにもかかわらず、この国はなぜそれが言えないんですかというふうなことを申し上げてきたにもかかわらず、八月の末になって、ぽんと、この数字が一を下回っているから大丈夫だ、こういうふうな言われ方をされた。指標をもって客観的に評価するということが大きな問題になってきています。

 そこで、ちょっとやや違和感、違和感といいますか唐突感のある二つの数字をもってして、七月末をもってピークを越えた、こう言われているんですけれども、これは、先生、発症日ベースの新規感染者あるいは実効再生産数というものを今後とも一つの目安として感染がおさまっているかどうか見ていかれる、そういう継続的なものというふうに私たちは受けとめていてよろしいんでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 冒頭に一つだけ。新規の感染者が少しずつ緩やかに下降ということはそうでありますけれども、実は、まだ重症者の方が毎日起きていますから、警戒をこれからも怠るべきではないということだけは申し上げておきます。

 その上で、先生の御質問の唐突感ということでありますが、実は、感染症対策においては、何をベースにするかという、基本的な、これはずっと感染症対策の常識でございまして、発症日ベースをもとにやるという。そういう意味で、実は、私ども分科会、専門家の方は、この発症日ベースのデータというのは以前から出していたんですけれども、なかなかそれが取り上げられていなかったということもあります。それが一点です。

 それから、実効再生産数の方は、これは今までも発表してきましたけれども、実はこれを推定するのはなかなか専門的な知識があるので。ところが、最近になって、日本では、先生も御存じの西浦さんというのがこれを。彼がいろいろな努力をして、各都道府県でも実効再生産数を計算できるようになったんですね。そういうこともあって、唐突感ということは確かにあったかもしれません、そういう経過であります。

 それと、今回、どうしてこういう新規感染者の発症についてはそういう少し下の方に行っているかというもう一つの理由は、やはり、いわゆるPCRの陽性率というのも徐々に下がっている。そういうようなことを総合的に判断しますと、新規の感染者数について言えば、少しずつ下がっている。ただ、先ほど申し上げましたように、これからも、重症者の方は毎日報告されるので、警戒を怠るべきではないと思います。

大串(博)委員 ぜひ、継続的に、今私たちがどういう状況に置かれているかというのがわかるような指標を政府においても用いながら、私たちにコミュニケートしていただきたいと思うんです。そういった中で、秋冬の感染状況に応じた対策というのがより敏感にとられていくことになると思うんですね。

 その中で、新政策パッケージの中で一つ私がお尋ねしたいのは、そこで提案されていました「感染症法における入院勧告等の権限の運用の見直し」の項目でございます。

 これは、ちょっと事前に報道等々で、指定感染症としてこの間指定されているわけですけれども、二類相当となっている、まあ、相当ですね、相当となっているものを違う分類にするかというような報道等もあったりしました。ただ、ここに書かれているのを見ると、入院勧告等の権限の運用の見直しということで、「政令改正も含め、柔軟に見直しを行っていく。」こういうことになっております。

 私、ちょっとこれで確認させていただきたいと思ったのは、一体どういうふうな見直しをされようとされているんですか、政令改正も含めと。「入院させるべきことを勧告することができる。」法律においてはそういう文言ですね。それで政令で指定してこういうふうにやっている。法律では、「入院させるべきことを勧告することができる。」「従わないときは、」「入院させることができる。」こういうふうなたてつけになっていて、政令でいろいろな置き方をしている。

 新パッケージにおいては、「政令改正も含め、柔軟に見直しを行っていく。」ということなんですけれども、一体どういう見直しをされようとしているんですか。「軽症者や無症状者について宿泊療養での対応を徹底」する。徹底するということは、軽症者や無症状者について宿泊療養を今よりも強くしてくださいということを具現化しよう、そういうことですか。ちょっとどういうことか教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、今回、指定感染症自体が、感染症法上、既存の感染症法は、それぞれ法律に名前が出ておりまして、一類から五類、それぞれ分類され、その類型ごとに何ができる措置が書いてある。

 ただ、今回の新型コロナウイルスのように新しいものについては、それが対応の必要性があれば、その名前を政令で指定をし、どんな措置がとれるかを準用するということ、そして、措置ができるものを一つパッケージとしてつくっているというのが今の中身でありまして、この間、国会での御指摘もいただきながら、当初は二類相当とほぼ同じような中身から、更に措置を追加して今日に至っているということでございます。

 その上で、今の議論は、一部の報道では、何か五類相当にするんじゃないかとか、こういうお話がありますが、そういった議論ではなくて、あるいは指定感染症の指定を取りやめるということではなくて、それぞれ今講ずることができる措置について、もう少し具体的にきめ細かく規定をしていく、そういう政令の見直しをしていく必要がある。

 具体的に、今、入院措置のお話がありました。これは政令上はできると書いてありますから、必ずしもしなくてもいいわけであります。我々はそれを踏まえて、軽症者、無症者の方は宿泊療養ということの取扱いもお示しをさせていただきましたが、しかし、現実、いろいろな地域のお話を聞くと、できると書いてはいるが、そうしなければならないのではないかという認識があり、それが結果として、軽症、無症状の方の入院につながり、医療機関や保健所の負担につながっている、こういう御指摘をいただいておりますので、そうした認識にならないように、しっかり丁寧に書く必要があるというふうに考えております。

 他方、宿泊療養の要請に関して、これは、実は知事会等からは、場合によって、宿泊療養とお願いしていた方でも、なかなかそれに従っていただけない場合には入院措置できるようにしておいてくれという意見もありますから、そうしたことも踏まえながら、どう具体的にこの政令を書いていくのか、これを今、それぞれの皆さんの御意見も踏まえながら、最終的には今アドバイザリーボードでこの辺も議論いただくことになっておりますから、その検討を踏まえて、政令の改正の見直しを含めた、見直しをさせていただきたいというふうに考えています。

大串(博)委員 重症化を防ぐために資源を投入していく、集中していくという考え方は私も賛成です。ただ一方で、それによって何か大きく緩む、緩和されることになって、感染が更にそこから広がるということになるのは、私は逆効果だと思います。

 その点でいうと、軽症者の皆さんも含めて入院するがゆえに、入院の場において逼迫が生じ医療資源がとられる、だから、そうじゃない方向に、宿泊療養等々に持っていこうということになると、やはり緩和の方向に向かうんじゃないかと思うんですね。知事会の皆さんの御懸念もわかります。

 更に懸念されるのが、ここに、「適切な者は自宅療養」と書かれているんですね。適切な方は自宅療養と。自宅療養が適切な方というのは新型コロナにおいていらっしゃるんですか。どういう方なんですか。

加藤国務大臣 基本的には、軽症者、無症者の方において、高齢者とかそういった方は除かれるわけでありますけれども、宿泊療養ということが原則になっております。その上で、その御本人の状況等を踏まえながら、例えば、自宅でしっかり管理ができる等々に関しては、それぞれ保健所の判断において自宅療養、これは現行でもとられているということでありますので。

 今、私ども、現行の運用を何か変えようということではなくて、むしろ現行の運用でやっていただけるようにもう少し丁寧に書いていこうということであります。ですから、委員御指摘のように、何か体制が緩むとか感染症に対する認識が云々ということではなくて、ある意味では、過度にそこを解釈をされて、本来の、私どもがあるいは多くの方が認識しているものと、より少し外れた運用がされている、そういうことが起こらないように政令の書き方を丁寧にしていこう、これが今回の措置の趣旨であります。

大串(博)委員 いや、だから、重症化しないように資源を集中するというのはわかると申し上げているんです。

 私が聞きたいのは、それで緩む方向に、緩むという言葉が適切じゃないのかもしれないけれども、でも実態はそうですよね、現行よりは宿泊、自宅と、こうなっていくときに、そういうおそれがあるときに、政府の文書にこうやって、「適切な者は自宅療養」でとあえて書いている。

 自宅療養が適切な人、確かに、今も地公体への通知の中には、こういう方々には自宅療養はやむを得ない、やむを得ないと書かれています。しかも、そういう場合にも、こういうふうな感染予防をしてくださいねと書かれている。にもかかわらず、「適切な者は自宅療養」と書かれているものですから、あたかも自宅療養に広がっていく感を覚えるわけです、心配を覚えるわけです。

 実際、六月、七月の感染の際には、宿泊療養が間に合わなくて自宅で待機をされた、入院を調整中という方々も何百人とあった時期もありました。それによって家庭内感染が極めて大きく広がった実態があったじゃないですか。にもかかわらず、適切な者は自宅療養ということになった場合に、更にそこから感染が広がるんじゃないかという懸念は拭えないんじゃないですか。自宅療養は本当に適切なんですか。

 かつ、自宅療養をする人がふえるのであれば、自宅療養で感染が広がらないような措置は、あわせてどこかに導入されるんですか。いかがですか。

加藤国務大臣 まず、「での対応を徹底」するということでありますから、これまでの対応の考え方を変えるわけではないということは先ほど申し上げたとおりであります。

 まさに適切な、ある意味では適切に自宅療養を行っていくということで、先般も保健所長会からもいろいろ御指摘もいただきました。そこでは、もちろん宿泊療養を原則とするけれども、こうした措置、こうした対象者について、例えば食料サービス等々をしっかりやる、あるいは健康観察をやる、そうした措置をしっかりすることで、そうした一つの自宅療養のありようということもお示しをさせていただいたところであります。

 ただ、原則、宿泊療養であることを我々変えているつもりもありませんし、可能な限り宿泊療養ということで対応していただきたいというふうに思っております。

大串(博)委員 医療が逼迫しないようにと、その上でこういうふうに入院勧告の権限の運用の見直しなんかを言わなきゃならなくなった理由は、政府が医療提供体制、宿泊療養体制も含めて、整備をすることに力を注ぐことを怠ってきたからじゃないかと私は思っているんですよ。

 この間、五月、六月、七月と感染がおさまった時期に、本当は、医療提供体制、宿泊療養も含めて、政府がもっと力を入れて、第二波が起こったときに受け入れられる余地をつくっておかなきゃならなかった。それを怠っていたがゆえに、今慌ててこうなっちゃっているんじゃないか。その結果、自宅療養がふえると今度は家庭内感染の広がるおそれがある。これは私、政府が後手に回っている一つの大きな例じゃないかと思うんですね。

 一つお尋ねさせていただきますけれども、この新パッケージの中、四ページに、こういう文章があります。「緊急包括支援交付金による新型コロナウイルス感染症患者の病床・宿泊療養施設の確保について、九月分までを対象に各都道府県に交付決定を行っており、」九月分までですよ、「今後さらに、十月以降分の予算を確保し、」つまり、今ないということですね、「十月以降分の予算を確保し、各都道府県における入院・宿泊療養の体制整備を進める。」と書かれています。

 緊急包括支援交付金、一次予算では一千五百億、めちゃくちゃ少ないといって、私たちは議論させていただきました。二次補正で、やっと一兆七千億近く。それでも私たちは少ないとして、二次補正のときには、更に二兆円を上積みしてくださいという提案をさせていただきました。しかし、かないませんでした。

 その一兆七千の緊急包括支援交付金による病床の確保、宿泊療養の確保について、九月分までの配付は都道府県に行いました。九月ってもう始まっています。十月以降の予算は確保されていないということです。しかも、この九月分の都道府県への予算は八月五日に交付決定をされていて、それで、都道府県はそれを受けて順々に九月の医療提供体制の強化をやってくださっています。

 もう九月は始まっています。十月は、一カ月以内にもう始まります。しかし、今、十月以降分の予算をどう確保するのか、ひょっとすると予備費かなと思いますけれども、予備費を使ったらこの予算委員会に報告になることになりますけれども、一向に何も聞きません。何の動きもない。これは一体どうなっているんですか。

 医療提供体制、宿泊療養体制を整備してください。政府がしっかりやっていないじゃないですか。何もやっていないじゃないですか。これこそコロナ対策の空白なんじゃないですか。

 大臣、予算はあるんですか。どういうふうに予算を調達しようとしているんですか。お答えください。

加藤国務大臣 まず、先般の交付決定では、いわゆる病床確保、要するに空床ですね、あるいは空床等々の場合の費用を補填するといった中身、あるいは宿泊療養の補助については、九月の執行分までを対象に交付をさせていただきましたので、今回、さらに、十月分の予算を確保して、入院や宿泊療養の体制整備を進めるということを、この今後の取組の中に書かせていただいたところでございます。

 今、政府内で具体的な中身は議論させていただいておりますが、先般、総理の金曜日の会見でも、必要があれば予備費の活用も含めてしっかり対応するという旨の発言があったというふうに承知をしております。

大串(博)委員 後手なんですよ。九月分は八月五日に執行を決めているんですよ。十月は、もうあと一カ月以内に始まろうとしているのに、今まだ財源を検討中。政府がこういう態度だから、自治体も困っちゃうんですよ。病床の確保、宿泊療養施設の確保、なかなか進まないのは政府の責任じゃないですか。まさに、新型コロナウイルス対策の空白が生まれちゃっているじゃないですか。この点は厳しく認識していただきたいと思います。

 加えて、検査ですね、検査体制の強化を私たちは訴えてまいりました。総理の記者会見の中で、一日平均二十万件程度の抗原簡易キットによる検査を大幅に拡充する、こういう提案がなされて、おっと思いました。一日平均二十万件ということです。

 先ほど話がありました、この対策は秋冬の季節性インフルエンザがはやるときまでに行うということなので、もうあと一、二カ月のうちにこの体制は整っていかなければならないような提案ですね。

 あと一、二カ月で、どうやって二十万件程度もの抗原検査キットによる検査大幅拡充をなすんですか。具体的には、何をいつまでにどうやって二十万件、いつ到達するんでしょうか。めどを教えてください。

加藤国務大臣 その前に、入院の確保についても、各都道府県においては、先般、私どもからの要請も踏まえながら、適宜、フェーズを決めて、体制をしていただいている。現時点でも、全国ベースでいえば二万三千床の病床の確保等も図っていただいているというところでございますので、そうした努力を今回の十月以降の対応を含めてしっかりと進めていただけるよう、我々も努力をしていきたいと思っております。

 それから、抗原簡易キットの件でありますけれども、インフルエンザの流行期になりますと、発熱ということで多分患者さんがおいでになる。そうすると、通常、去年まででいえば、インフルエンザのキットを使ってその方がインフルエンザかどうかを判定するわけでありますが、今回は新型コロナの可能性もあるということでありますから、インフルエンザの判定と同時にコロナウイルスの判定というのを行っていく必要がある。そして、これまでの流行期を考えたところ、大体、流行期は約百診療日、百日ということであります。大体二千万件を対象に考えれば一日平均二十万件ということで、これは機械的な試算をさせていただきました。

 その上で、現在、簡易迅速キット、この簡易迅速キットも発熱等を発症していればこれは有効であるということはこれまでも申し上げてきているところでありますので、メーカーに対して増産、生産の前倒し、さらに、海外でもこうした開発が進んでおりますから、輸入について強く働きかけをして、八月三十一日にも改めてメーカーに対しそうした要請を行わせていただいたところでございます。

 これからの流行期に向けて更にその確保が図られるよう、働きかけ等々をしていきたいというふうに考えております。

大串(博)委員 要請、働きかけを行っているというだけなんですか。

 二社、今、認可を受けていらっしゃいますね。一社は五月中旬に認可を受けて一日二・六万件、もう一社目は八月十一日に認可を受けて一日当たり十万件。二十万件には遠く及ばないんですよ。かつ、五月の中旬に認可を受けている二・六万件、今、世の中で私たち、これに出会っているか。出会っていないんです。世の中にやはり広がってきていないんですよ。これも、検査が進んでいないということの大きな流れの中の一環なんです。

 それをいきなりこの二カ月ぐらいの間に、まだ開発すらされていないのに、認可もしなきゃいけないでしょう、二十万件、単なる目標を打ち上げているだけじゃないか。私は、この間の記者会見で総理が言われた、本部で決められた政策パッケージ、そう見ざるを得ないと思うんですね。具体的な根拠は何もないじゃないですか。

 やはり、新型コロナの対策の空白は生まれてしまっていると私は言わざるを得ないと思いますよ。ぜひ、このことをしっかり認識して、新型コロナ対策に空白を生まない、やっていただきたいと思います。

 最後に、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンに関してお尋ねさせていただきます。

 これは本当に今やるべきことなんでしょうか。旅行業、観光業の皆さんは本当に厳しい。私たちは、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンのような予算の使い方をするよりは、旅行業、観光業、運輸業の皆さんを直接支援するようなお金の使い方に、一兆七千億円あるんだったら使うべきだ、そう思います。ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンのようなお金の使い方は今ではありません。

 ただ、菅官房長官は、これに関して、これを行っていなければ大変なことになっていたというふうに記者会見でおっしゃいました。効果があったということなんでしょうか。大変なことになっていた、行わなければ大変なことになっていたと。

 菅官房長官がおっしゃった、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンを行わなかったら今ごろ大変になっていたというこの根拠はどこにあるんでしょうか。

御法川副大臣 お答え申し上げます。

 ゴー・トゥー・トラベル事業は、宿泊業、旅行業のみならず、飲食業や小売業、バス、タクシーなど、地域経済全体を支える裾野の広い観光という分野に、コロナ禍の影響で大変深刻な状況を与えていたという中で行ったということでございますけれども、旅行業者からのヒアリングによりますと、四月から六月にかけての国内旅行は、大手の旅行会社で前年同月比約九割以上の減少、中小の旅行会社でも八割以上の減少ということで推移をしておりまして、この状態がもし続いていればより危機的な状況に追い込まれていたというふうに考えてございます。

 このような中、七月は、大手の旅行会社で八割の減少、中小で七割の減少と、四月から六月に比べて若干ではございますけれども改善をしているということでございます。七月の二十二日からスタートしてございますけれども、一定の下支え効果があったものと考えてございます。

大串(博)委員 今の御答弁の中で、もう一度確認しますけれども、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンがあったから減少率が減ったというエビデンスはありますか。

御法川副大臣 繰り返しになりますけれども、四月から六月までの国内旅行のマイナス分というのは、先ほど申し上げたとおり、大手で九割以上、中小で八割以上という減少でございました。

 それに比べて、七月以降、七月についてはまだ第一次の速報ではございますけれども、マイナスでございますが四五・七まで回復をしているということでございます。

大串(博)委員 明らかに、菅官房長官、次期総裁候補と言われていらっしゃいますけれども、根拠もなく、ゴー・トゥー・トラベル・キャンペーンがなかったら大変なことになっていた、非常に根拠のない発言をされていたということを私は言わざるを得ないと思います。

 違った形で旅行業、観光業、運輸業の方たちを直接救っていただく、そういう予算の使い方にしていただくことをお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

棚橋委員長 これにて大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの後藤祐一でございます。

 先週金曜日、安倍総理が辞任を表明されました。七年八カ月という長い間総理を務められたことには敬意を表したいと思います。

 きょう、竹森参考人、お越しになられているので、少しアベノミクスについてお伺いしたいんです。

 このアベノミクス、最初のころ、金融緩和を通じて景気回復をある程度実現したということについては私は一定の評価をしたいと思うんですが、デフレについて、物価安定目標である二%というのは一度も達成できなかったと思うんですが、デフレから脱却できたとは言えないと思いますが、竹森参考人の御見解を伺いたいと思います。

竹森参考人 お答えいたします。

 デフレというのはマイナスのインフレ率で、そこに行くことは少なくなったけれども、ただ、二%というインフレ率の目標は行かなかったというふうに理解しております。

 私は、自分の意見として、強力な金融政策の意味というのは、ある程度円高を、円高が起こりやすかったのが、ある程度それを安定させたことにあったと思っております。私は、安倍総理の政策というのは、輸出をてこにして日本経済を復活させていくことだろうと思っておりまして、自由貿易協定をヨーロッパと結び、TPPをやり、アメリカとやりという形でスタートさせたいところで、残念ながら、トランプ政権ができたことによって貿易を軸にした成長というのがうまくいかなかったというのが非常に残念なことで、一つの形として、マクロの面から輸出がサポートできるような体制があったんだけれども、もう一つ、中国とアメリカとの貿易戦争によって最後はぐちゃぐちゃになっちゃったという印象を持っております。

後藤(祐)委員 西村大臣にも伺いたいと思いますが、安倍政権でデフレ脱却はできたんでしょうか。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 このコロナのいわゆる危機が発生して以降の経済は別として、それまで、その直前まで、いわゆるデフレではない状況は達成をしていた、つまり、物価がマイナスであり続けるような状態ではなかったということであります。

 他方、デフレ脱却かどうかということについては、これは、デフレーターであったり、あるいはGDPギャップであったり、あるいはユニット・レーバー・コストと言われるもの、こういったものを見ながら総合的に判断をしていくわけでありますけれども、残念ながらデフレ脱却というところまでは行かなかったということであります。

 ちなみに、今、竹森先生がお話ございましたけれども、当然、輸出もふやしていく、自由な貿易・投資の環境の中で海外で収益を上げていくことも大事でありますし、GDPの六割を占める消費、これがやはり最も重要でありますので、これについては、雇用をふやしていく、そして賃金を上げていくということで、そうした雇用、所得の環境を改善することによって消費を大きくふやしてきたところであります。更に言えば、公共事業など、政府の対策もしっかりととってきたところでございます。

後藤(祐)委員 続きまして、このコロナのもとにおける経済政策をお伺いしたいと思います。

 四、五、六月に比べて、七、八月は少しずつ回復している業種もあると思いますが、引き続き厳しい業種も多いと思います。これに対して、どういう対策を打っていくんでしょうか。先ほどゴー・トゥー・キャンペーンの話もありましたけれども、今後も大幅な減収が続くような、特に中堅・中小企業なんかに対しては、当初行ったような持続化給付金のような支援策をもう一度打つ必要もあるんじゃないかと思いますが、今後、苦しい状況が続く会社に対しての支援策、どうお考えでしょうか。

西村国務大臣 御指摘のように、四月、五月の緊急事態宣言によって多くの業種が非常に厳しい経済環境にあり、そして解除後、六月以降、消費、あるいは海外、アメリカ、中国の景気回復基調によって輸出も戻りつつあるところでありますので、回復への道筋をしっかりとつけていかなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。

 そうした中で、御指摘のように、厳しい状況にある中小企業、個人事業主、こういった皆さんには持続化給付金で既に四兆円を超える給付を行ってきておりますし、さらには、これは与野党協議のもとで成立をいたしました補正予算の中での家賃支援の給付金も開始をされております。

 休業要請などを行われている地域においても、こうした支援策を活用しながら、しっかりと事業を維持できるように応援をしていきたいと思っております。

 御指摘の厳しい業種、特に、やはり外食、観光関係、ホテル、旅館、それから文化、スポーツなどイベント関係、こういったところは、引き続き、大きな人数がなかなか集まりにくいということもあって、厳しい環境にありますけれども、御指摘のように、ゴー・トゥー・トラベル、それからゴー・トゥー・イート、ゴー・トゥー・イベント、こういったものを、足元の感染状況を見ながら、そして専門家の皆さんの御意見を聞き、適切に事業を開始していければな、そして執行していければなというふうに考えているところでございますし、イベント、エンターテインメントに関しましては、経産省、文化庁において、最大五千万円の支援とか二千五百万円の支援とか行っておりますし、また規制緩和も、例えば道路占用許可を出して、道路上でカフェを開けるとか、あるいはタクシーが食べ物の宅配をやるとか、あるいは薬のオンラインでのそうした受取をタクシーが行うとか、さまざまな規制緩和によって、新たなビジネスモデルをつくっていくところも支援をしているところでございます。

 いずれにしましても、今後の状況を見ながら、いわゆる劣後ローン、資本性資金ですね、なども含めて、しっかりと予算は用意をしておりますので、これを活用しながら、臨機応変に、時期を逸することなく、しっかりと対応していきたいというふうに考えているところでございます。

後藤(祐)委員 持続化給付金って一体何カ月分だったんだということは考えるべきだと思いますね。そろそろ、もうその分、切れていると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それと、加藤厚労大臣にお越しいただいておりますけれども、中堅・中小企業を応援する方法として、特に固定費としての社会保険料の負担というのが大変なわけでございますが、このコロナで一定割合以上の減収があるような中堅・中小企業に対しては、社会保険料を払わなくていい、例えば、その分を国費で社会保険に対して入れればいいわけですから、こういった対策をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 社会保険料については、今回のコロナ感染症の中で収入が急減している状況を踏まえて、税制における対応と同様、無担保かつ延滞金なしで一年間、社会保険料の納付を猶予できる特例を設け、さらに、休業した方が、休業により報酬が著しく下がった、保険料、社会保険料については、通常の手続であれば、報酬の低下後四カ月目からの保険料が減額改定されるところ、特例的に翌月からの減額改定を行っているところであります。

 なお、今お話があった免除についてでありますが、社会保険制度そのものは、制度に加入している被用者を保障するための費用をそこに加入している企業と被用者全体が納める保険料で賄う制度、これが基本であります。その保険料は、給付との見合いで設定をされていく。また、保険や医療費の給付は、経済状況にかかわらず継続していかなければならない。

 そうしたことから、また実際、それぞれ通常の事業活動でも大きく赤字になる企業もありますけれども、基本的にはそうした企業においても社会保険料の負担をしていただくということになっておるわけでありますので、免除ということではなくて納付の猶予、あるいは、先ほど申し上げた社会保険料のそうした減額の適切な改定、こういったことにおいて対応させていただきたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 コロナでこれだけ厳しい中でも社員を雇い続けていただいている会社というのは本当に偉大だと思うんですよね。特に中小企業については、この社会保険料の負担というのはもう本当に固定費できついところなので、ぜひ、延滞というレベルではなくて、ゴー・トゥー・キャンペーンに二億近いお金を使えるのであれば、それに比べればこのお金の方が使いやすいですよ。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それと、もう一つあるのは消費税です。

 西村大臣、これは期限をある程度切ってでもいいと思うんですけれども、暫定的に消費税を引き下げるべきじゃないですか。

西村国務大臣 消費税につきましては、もう委員も御案内のとおり、社会保障財源として活用させていただいております。

 特に、全世代型社会保障改革を進めていくという中で、既にその第一歩として幼児教育、保育の無償化、このスタートをしているところでございます。子育て世代の負担軽減にもつながっているわけでございます。そうしたことを頭に置いて、どうしていくのか考えていかなきゃいけないということであります。

 更に申し上げれば、今回、お一人十万円の特別定額給付金を、もう九九%の世帯に届いているということだと思いますけれども、これは約十三兆円近い給付を行いました。消費税率に換算すれば五%分に相当する金額であります。その分をいわば還元をしたと同等の効果があるわけでありまして、これは、より所得の低い世帯により大きな、減税よりもより大きな恩恵があるということも、所得の低い世帯ほど大きな恩恵があるということも申し上げておきたいと思います。

 いずれにしましても、今後、さまざまな経済情勢、どんな事態になろうとも、しっかりと日本経済、生活、雇用、事業を守っていくという決意で臨んでいきたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 西村大臣は消費税減税はやらないということでありますが、社会保険料負担と消費税負担を下げるのが一番簡単な対策なんですよ。ぜひ御検討いただきたいと思います。

 続きまして、今困っているのは病院です。このコロナで一番頑張っていただかなきゃいけないのは病院なわけでございますが、私の地元の重点医療機関になっている病院は、四月から六月の三カ月で八・三億円、対前年度、減収だそうです。これに対して、配付資料の三ページ目に、いわゆる空床補償、ベッドをあけた分、コロナで準備するためにあけたベッドの補償としてお金が行っているんですけれども、八・三億円の減収に対して三・二億円分しか来ていないということなんですね。入院による減収が二・五億、外来の減収が二・六億、合計五・一億円ぐらいが減収だということで、これが続いたらもう病院は倒れちゃいます。

 こういった重点医療機関だけでなくて、特に耳鼻科だとか小児科ですとかというのは半分ぐらいに、受診抑制になってしまっているという話も聞きますので、ぜひ、この病院、今、一番頑張っていただかなきゃいけない状況でございますので、まさに、予備費の中で一番、この病院を助けるべき話じゃないでしょうかね。

 この空床補償以外の、入院や外来の減収に対しても何らかの支援措置を講じるべきではないでしょうか、厚労大臣。

加藤国務大臣 今御指摘のあった二次補正予算に計上していた分について、この新型コロナ緊急包括支援交付金でありますけれども、八月下旬から各都道府県から医療機関向けの給付が開始をされておりまして、まずこの早期執行に都道府県とともに努力をしていきたいと思っております。

 その上で、委員御指摘のように、このコロナ患者の受入れ、あるいは地域の医療を守るという観点から、最前線で努力をいただいております医療機関をしっかり守っていくということは大変大事なことであります。

 二次補正予算における今申し上げた支援に加えて、先般の新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組においてもるる書かせていただいております、新型コロナ患者を受け入れる医療機関の安定的な経営を確保するためのさらなる支援、地域の医療提供体制を維持、確保するための取組、支援を進めていくこと、また、季節性インフルエンザ流行期に備え、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関等に相談、受診し、必要に応じ検査を受けられる体制を整備すること、こういったことについて、それぞれの医療機関の経営状況もしっかり踏まえつつ、予備費の活用を含めて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、先般の、先ほど申し上げましたが、八月二十八日の総理の会見でも、十分な医療提供体制を必ず確保していく、それに必要なものについては、順次、予備費によって措置を行い、直ちに実行に移してまいりますということを総理も明言をされているところであります。

後藤(祐)委員 今のは、空床補償以外の、入院や外来の減収に対しても補償する可能性があるということですか。

加藤国務大臣 補償という言い方はこれまでもしていないところでありますけれども、これまでも地域の医療提供体制の維持、確保のための取組を進めさせていただきました。

 それに加えて、今回どういう措置をするのかについて、今、政府内で議論をさせていただき、結論が出れば、先ほど申し上げた予備費の活用も含めて速やかに対応していきたいと考えております。

後藤(祐)委員 今、可能性があり得る答弁だと思います。ぜひともお願いします。

 あと、空床補償も含めて、空床確保料と言った方がいいんですか、七月から九月分までは予算が確保されていると伺っていますが、ぜひその後も含めて、対応している病院に対しては支援をお願いしたいと思います。

 それと、同じく医療機関に関して言うと、医療機関で働く皆様への慰労金というのが予算で交付されておりますけれども、七月一日の厚生労働委員会で、我が会派の岡本充功委員からの質問に対して、八月下旬から各都道府県が給付が開始できるよう調整させていただいていると答弁されていますが、これは県にもよるのかもしれませんが、県に申請していますがまだお金は来ていないというところが多いようです。私の地元なんかですと、九月中下旬にはなってしまうだろうということなんですが、ぜひこれは現場に早くお金が行くようにするよう徹底していただくとともに、これは六月までの分だと理解していますが、七月以降の分についても慰労金をぜひ出していただきたい。

 それと、これは医療機関だけではなくて、介護施設ですとか障害者施設についても同じように慰労金がございますけれども、ぜひこれも現場に現実に届くように、そして七月以降の分に対しても対象になるようにお願いしたいと思いますが、厚労大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、六月までの状況を踏まえて、医療機関で働いている方、福祉施設で働いている方、障害者施設も含めてでありますが、直接そうした方に、感染者等に接する可能性のある方々等々含めて一時金を給付させていただくことになり、七月下旬以降、医療機関からあるいは施設からの申請受け付けを開始し、八月下旬から順次、都道府県から医療機関や施設等に対し慰労金に係る交付金が支払われていると承知をしておりますが、各都道府県で、今御指摘のように、かなりまだらな状況でもありますので、一日も早くこのお金が、慰労金が個々の皆さん方に早く届けるように、我々もよく都道府県等と連携をとりたいと思っております。

 この慰労金は、当初、全く未経験であって、よくわからないという、こういったウイルスとの戦いの最前線で、感染すると重症化するリスクが高い患者さんと接していただいているという、そうした御心労等々を踏まえたことで一人当たり最大二十万円の慰労金を給付するということにしたところでありますが、今日では、一定、この新型コロナウイルス感染症の特徴あるいは対処の仕方も判明をしてきているということでありますので、改めてもう一回給付をするという考え方は持っていないということは、先般、あれは厚労委員会だったか予算委員会だったか、今お話があった岡本委員からの御質問にも答弁させていただいたところであります。

 ただ、いずれにしても、しっかりと、さまざまな給料あるいはボーナス等が支給されるように、先ほど申し上げました医療機関への経営支援に対してはしっかりと取組をさせていただきたいと考えています。

後藤(祐)委員 ぜひ現場に早く届くように徹底していただきたいのと、七月分以降についてもお願いしたいと思います。

 続きまして、ちょっと順番を入れかえまして特措法の改正についてお伺いしたいと思いますが、西村大臣、特措法改正について、お帰りになってすぐで恐縮ですが。

 西村大臣は、休業命令や罰則は検討を急ぎ、改正するかどうか考えたいというふうにお答えになられていますが、ぜひ、この特措法四十五条に基づく休業要請に従わない事業者に対しては、特措法を改正して、命令や罰則を必要なら追加をして、そのかわり、その場合には国が補償するという責任も明記すべきではないでしょうか。物すごい広大な範囲になると確かに物すごいお金になるかもしれませんが、例えばエピセンターと言われるような、狭いけれども特にここは対策が必要だというところについては、こういった命令、罰則、そのかわり補償する責任を国が負うというような法改正をすべきではないでしょうか。

西村国務大臣 御指摘の、特措法をより実効性ある形に変えていくということにつきましては、私も問題意識を共有しているところであります。国会でもさまざま、今も御指摘いただいたとおりでありますし、都道府県知事会などからもさまざまな検討の提案もいただいているところでございます。

 担当大臣としては日々、何とかこれを、この法律を実効性が上がる形にできないかと日々考え、そして、時に法制局長官とも私自身が直接議論をしたり、また事務方も一生懸命知恵を出し、また法制局とも議論したりしているところでございます。

 その上で、何点か申し上げますと、今御指摘がありましたように、この特措法の範囲とする感染症を、どこまで対象とするのかとか、それから、まさに実効性あるものにするための措置として、実際に命令、罰則などの強制力を持つ措置を入れるとすれば、法体系全体が緩やかな体系になっている中で、第五条に、必要最小限の措置とすべきという基本的人権尊重の条項もございます。そうしたことを考えると、具体的にどういった要件で命令、罰則をかけていくのか、あるいは、それを実効性あらしめるためにどういう体制が必要なのかなど、今、さまざまな論点について議論を進めているところでございます。

 何より、大きな法体系でいえば、緊急事態宣言の前と後でやれることが違うわけですけれども、後であっても、今、指示、公表という緩やかな中で、実際には今、緊急事態宣言を発しなくて済むように、そういう状態にならないようにより強い措置を今とりたいという気持ちもあるわけでありますけれども、この法体系全体の中でどう位置づけていくのかというところがなかなか苦慮しておりまして、こうした論点について議論を更に深め、まずは、足元の感染者が少し減少傾向にあるとはいえ、引き続き都道府県と連携して対応、対策をとっているところでありますし、そうしたことをやりながら、こうした論点について深めていきたいというふうに考えているところでございます。

後藤(祐)委員 随分後ろ向きになってしまいましたね。感染者数が減ると検討も後ろ向きになっちゃうんでしょうかね。そうすると、いつまでたってもいざというときのための備えができなくなってしまうわけですが。

 配付資料四ページ目に、いわゆる六つのステージ4指標というものを沖縄県に当てはめてみた数字を並べてみました。八月十四日、二十一、二十八と三回更新されているんですが、特に八月十四日は、このステージ4の指標を一番左側と左から三番目も実は赤とみなすと、九つのうち八つの指標がステージ4なんですね。

 実際、沖縄県は独自の緊急事態宣言を出しているわけです。ところが、その独自の緊急事態宣言と本当の緊急事態宣言の違いってよくわかりませんし、ぜひ特措法を改正して、大臣、都道府県から国に要請があった場合は基本的にその要請に従って緊急事態宣言を出すというような法律に改めるべきではないでしょうか。

西村国務大臣 各都道府県知事とは、四月、五月の緊急事態宣言を発出する際、あるいは解除する際、その前後というか以前から、極めて緊密に連携をとり合って対応してまいりました。そして、今回、再び大きな流行となってきた沖縄県の玉城知事とも連日のように私も電話で連絡をとり、話をしてまいりました。

 そうした中で、申し上げたいのは、特措法の中に政府の調整条項がございますので、都道府県知事のさまざまな思いを、あるいは考え方、こういったものを受けとめながら、そして感染状況を踏まえて、専門家の皆さんの御意見を伺いながら判断をしてきたところでございます。

 そういう意味で、御指摘の点、御指摘の内容はよくわかるんですけれども、実態上は都道府県知事と緊密に連携して対応してきたということも御理解いただければというふうに思います。

後藤(祐)委員 まさに、この指標に基づいてやっているということ自体が緊密な連携だと思うんですね。これはもうステージ4じゃないですか、沖縄は、このときには。ぜひそこも特措法改正に入れていただきたいと思います。

 続きまして、PCR検査の価格について聞きたいと思います。

 厚労大臣、八月二十八日の対策において、一定の高齢者や基礎疾患を有する者について、市区町村において本人の希望により検査を行う場合に国が支援する仕組みを設けるというふうにありますが、この一定の高齢者や基礎疾患を有する者がPCRを受ける場合には、国が全額負担をして無料にすべきではないですか。

加藤国務大臣 まず、検査の考え方でありますけれども、医師が必要と判断する方、あるいは症状の有無にかかわらず濃厚接触者の方、さらには、クラスターの発生など、地域における感染状況を踏まえ感染拡大を防止する必要がある場合を含めて、必要な行政検査が迅速かつスムーズに受けられるようにしていくことが重要だと考えております。

 こうした積極的な行政検査の実施をまず行うことを基本とした上で、さらに、先ほど申し上げた、感染した場合に重症化するリスクの高い一定の高齢者や基礎疾患を有する方の希望によって市町村がそうした体制をつくっていく、こういったことに対して我々国として支援を考えているということを文書の中で示させていただきました。

 今、その具体的な支援の仕組みについては、関係省庁とも連携をしておりますので、早急にその仕組みを明確化した上でそれぞれにお示しをできるように努力をしていきたいと思います。

後藤(祐)委員 全額出せませんか、国で。ぜひお願いしたいと思うんですが、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、行政検査については、基本的に全額国費、失礼、全額ではなくて、行政検査についても国と地方が半々しているということが前提になってきているわけであります。

 その上に乗ってくるこうした検査でありますから、現在の負担のあり方、それも踏まえながら議論がされていくべきものだろうと考えています。

後藤(祐)委員 ぜひ高齢者、基礎疾患者については無料にするようお願いしたいと思います。

 それと、それ以外の、さまざまな社会経済活動をする中で本人の希望により全額自己負担で実施する検査ニーズに対応できる環境を整備するとも対策に書いてあるんですが、今、一件三万円とか四万円とかしますね、自己負担でやりますと。これは幾ら何でも高過ぎると思うんですね。まあ、これは自由診療ですから、それぞれの場所で自分で決められるわけですが、これから社会経済活動をする上で、こういった自己負担であってもPCRをやりたいという方はふえてくると思いますので、この価格を、もう少し安くなるための方策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今御指摘のように、まさにこれは自由な経済取引というんでしょうか、そういった中で行われるものでありますから、それぞれにおいてお決めになるということがまず原則になるんだろうと思いますけれども、我々としては、全体の検査能力を底上げを図っていく、要するに供給をふやしていくといったことで取り組んでいきたいというふうに思っております。

 また、こうした自費に伴う検査というのも、ここにも書かせていただいたように、政府として、実施する環境整備、これをどういうふうな形で図っていけるかどうか、これは関係省庁とも連携しながら検討していきたいと考えております。

 なお、PCRの検査の価格でありますが、保険診療の場合には、医療機関で実施しているさまざまな初診料、管理料も含めると、約二万五千円という数字にはなっています。

後藤(祐)委員 やはり、数がふえてくれば安くなるという形にうまく誘導していただきたいと思います。

 PCRをできるだけ安く提供するということと、もう一つはワクチンでございますが、前回、新型インフルエンザのときのワクチンは、配付資料の二ページ目にございますけれども、一回目三千六百円、二回目二千五百五十円、子供は二回打つ場合が多かったそうですが、というお値段で、市町村民税非課税世帯はただという形で十年前はやりました。

 今度、このコロナのワクチンについて一億二千万人分確保するということでございますが、これは有料にすると若い方なんかは受けないと思うんですね。そうすると、あの十年前と同じように、また大量に余るということになってしまうと思いますので、ぜひこれは、高齢者や基礎疾患患者はもちろんなんですけれども、それ以外の方も含めて、接種を希望する人に対しては国民全員無料で接種できるようにすべきだと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 新型コロナウイルスに関するワクチンについては、分科会において、できるだけ早期に多くの国民が接種を受けられるようにするということで議論がされております。また、先般の対策本部で決定した今後の取組においても、国民への円滑な接種を実施するため、国の主導のもと身近な地域において接種を受けられる仕組みを含めた必要な体制の確保を行うとしておりまして、現在、それに向けて鋭意関係者とも議論をさせていただいているところでございます。

 このワクチン接種に対する国の財政支援についてはどうするのかということについては、こうした中での議論、また今回のコロナウイルス、ワクチンそのものの性格、これはまだはっきりわかってきておりませんけれども、そうしたことを踏まえながら結論を出していきたいと思っています。

後藤(祐)委員 今週金曜日の分科会でも議論されるというやに伺っておりますが、高齢者、基礎疾患患者は無料にしようみたいな話もあるようでございますが、大量に余るということを十年前に経験しておりますので、これは有料にすると若い人は打たないと思いますよ。でも、確保しちゃっているわけですから、ぜひ無償にしていただきたいと思います。

 それと、ワクチンを打った場合に何らかの健康被害が起きた場合、ワクチンメーカーの賠償責任というのが発生しますが、それを国が補償してあげるということを約束するから早く日本に下さいね、そういう話をしているんじゃないかと思いますが、これについては法的措置を講ずるということが八月二十八日の対策に書いてあります。

 実はこれは、配付資料の一ページ目にありますが、既に新型インフルエンザのときにこの法律はありまして、実は法律は二回あります。この二回目の法律が配付資料ですが、これは将来に向けて、こういった新型インフルエンザ等が発生した場合には、ワクチンの健康被害が起きた場合には、ワクチンメーカーの賠償責任を国がお金を出すという法律があったんですが、これは切れちゃっているんですね、今。なので、もう一回法律を出さなきゃいけないということなんですが、何でこれは切れちゃったのかと思うんですが、これこそすぐに必要で、十六日にも開く臨時国会で、そんなすぐ終わりにするのではなくて、この法律はもう過去にあるし、これは民主党政権が出している法律ですから我々だって賛成しますよ。すぐやりませんか、臨時国会で、厚労大臣。

加藤国務大臣 ワクチン接種に関しては、今御指摘の損失補償の規定、あるいは、そもそも、国民の皆さんで被害が起きた場合の救済のあり方、あるいはワクチン接種についてのどういう形で進めていくのかを含めて、幅広く今議論をさせていただき、そして、それを踏まえた法律をどういう形で出して、これはいろいろなパターンがあるんだと思っておりますけれども、今それを議論させていただいているところでございますので、いずれにしても、ワクチン接種がスタートする時期をしっかり見据えながら、それまでに体制をつくっていかなきゃなりませんので、そういったことを念頭に取り組んでいきたいと思っております。

後藤(祐)委員 二回やっていて、新型インフルエンザだけに適用される法律を最初出して、その後、将来に向けて一般的な法律を出しているので、ぜひ今回も将来に向けての法律にしてください。その場合は国会承認が必要ですからね。ぜひお願いしたいと思います。

 ただ、これは、アストラゼネカとファイザーとの間では、開発に成功した場合には日本にワクチン供給するという基本合意が既にできていますけれども、こんな基本合意の中に補償を行うって入っているんですか、大臣。

加藤国務大臣 まず、対策本部で決定いたしました、今お話をした今後の取組において、損失補償については、接種の開始前までに法的措置を講ずるとされております。

 他方、今お話があったメーカーとは交渉中であり、基本合意の中身については、既に公開をしたもの以上については、先方との間で、それは公開をしないという扱いにさせていただいているところであります。

 いずれにしても、今後、協議を踏まえながら、ワクチン確保のため、損失補償契約が必要な場合においても対応ができるよう検討を進めていきたいと考えています。

後藤(祐)委員 これは、法律がやはり先でなきゃおかしいんですよね。この後、契約に進むんでしょうから、本当に、すぐ法律が必要ですよ。十月の臨時国会なんて待っていられませんから、九月十六日からの国会ですぐやりましょう。

 それと最後に、このワクチンができた場合にどういった優先順位でワクチンを接種していただくかということについて、八月二十一日の分科会で、これは尾身参考人にお伺いしたいと思いますが、高齢者及び基礎疾患を有する者の重症化を予防することを中心とし、さらに、医療従事者を含めることを考えるべきとされ、尾身会長の記者会見でも、救急隊員、高齢者施設、保健所の職員も検討というふうにおっしゃっておられますが、実は、特措法の二十八条に基づくガイドラインでは、そのほか、食料品スーパーとかコンビニですとか、こういったところまで含めた、いわゆるエッセンシャルワーカーを広く規定しています。

 ぜひ、一般国民よりは前にこういったエッセンシャルワーカーの方がワクチンを受けられるような、医療の方はもちろん先でいいと思うんですけれども、それに準ずるような形で優先順位を上げる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

棚橋委員長 尾身参考人、お願いいたします。

 なお、大変恐縮ですが、後藤君の持ち時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いできればありがとうございます。

尾身参考人 お答えいたします。

 今回の新型コロナウイルスは、前に想定されたものとは違って、前は、非常に病原性も高い、感染力も高いということで、欠勤者が多く出て、そういう意味では、エッセンシャルワーカーに特定接種というものをしないと社会機能が維持できないという発想だったと思いますけれども、今回は、そういう感染症とはちょっと違うということで、先生先ほど申し上げた三つの優先順位、ただし、供給量がしっかりとふえていけばそれ以外の人たちに接種をするということもあり得ると私は思っております。

後藤(祐)委員 ぜひエッセンシャルワーカーは一般国民より前にお願いします。

 終わります。

棚橋委員長 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 西村大臣、加藤大臣、きょうもよろしくお願いします。

 また、参考人の先生方には大変ありがとうございます。日夜御努力をいただいておりますことに心から敬意を表させていただきたいというふうに思います。

 また、経産副大臣、国土交通副大臣にもお運びをいただいております。感謝申し上げます。

 まず、お尋ねをいたします。

 安倍総理が辞任を表明をされたその日に今後の取組が本部で決定をされて、文書が発表されたわけでございますけれども、その中にも、政府の方針としての、感染拡大防止と社会経済活動の両立という言葉があるわけでございます。

 私は、この二律背反することを政府としておやりになろうとしていらっしゃるというのはよくわかるんですが、なかなかその象徴としての、鳴り物入りで始まったゴー・トゥー・トラベルというものが政府が想定したとおりにはうまくいっていないのではないか、私どもは、もっとほかに違うやり方があるのではないかというふうに考えているわけですけれども。

 そこで、考えるに、二月二十七日に安倍総理大臣が、法的根拠はなかったけれども、学校一斉休業要請というものをお出しになられて、全国の全ての小中高を休校した、その後、緊急事態宣言が四月七日に発出をされたということで、この新型コロナウイルスというものはもう大変なウイルスなんだという意識が国民の皆さんの中に大変強烈に刷り込まれてしまって、それがために、新型コロナウイルスに感染することは、政府が感染拡大防止、感染拡大防止とそのスローガンを掲げるごとに感染することは悪いことなのだ、感染した人は悪い人なのだというところに転換していくということが、偏見や差別あるいは排除といったものにつながってしまっているのではないかと。

 だから、芸能人の方とか、きのうもそうでしたけれども、アイドルの方が、欅坂の方が二人陽性反応が出て、そのコメントの中に大変申しわけないという言葉が入ったりするわけでございまして。

 行政機関、特に権限、権力を持った方が感染拡大防止ということを声高に言い募ることが、果たして結果として感染拡大防止につながるのか、あるいは社会経済活動との両立につながるのかということについて、しっかりと、せっかく安倍総理大臣が、私は、多分、御自分でもしまったという思いを持っていらっしゃると思うんです。体調も悪い、人心一新しなければならないということで辞意表明をされたというふうに思うんですけれども。例えば、三密を回避せよ、大声を出すな、こう言われるわけですが、感染していない者同士であれば、密になろうが大声を出そうが、全然問題ないわけですよね、感染していない者同士であれば。

 だから、大事なのは、感染状況を正確に把握し、適切な感染症対策をとる。感染拡大防止ではなくて感染症対策、適切な感染症対策、感染状況をまず正確に把握し、適切な感染症対策をとる中で社会経済活動を両立させていくという目標と手段を明確に国民に伝えていくことが私は必要なのではないかというふうに思います。

 今、例えば、私は地元は鹿児島ですけれども、鹿児島に帰ると、東京から来た人と会うと二週間自宅待機になるから会えませんとか言われたりするんです。御自分たちでそう決まりをつくっているわけですね。一般の方も、ああ、ぐあいが悪いと、病院に普通だったら今までだったら行くわけですけれども、ぐあいが悪くなっても病院に行かない。だから、先ほど加藤大臣がおっしゃられたように、感染者を扱う病院でもそうでない病院でも、大幅な減収が見られる。ぐあいが悪くなっても、みんな病院に行かなくなっているわけですよね。という状況があるというふうに思います。

 私は、そこで、感染状況を正確に把握し、適切な感染症対策をとるという、感染拡大防止という言葉を別な言葉で言いかえて、結果としての感染拡大を抑えていく、防止していくというふうに目標と手段を明確にする政府方針とする方がよいのではないか、今回の本部決定文書やあるいは骨太方針の文書を変更されたらいかがかというふうに思うんですけれども、大臣の御所見をいただきたいというふうに思います。

加藤国務大臣 非常に、委員のおっしゃっているところ、やはり我々の発信の仕方が、場合によって、申しわけありませんでした、そしてそれがある種差別を助長しているということ、これはよく、リスクコミュニケーションを含めてしっかり対応すべきだということは、分科会とか私どものその前の専門家会議からずっと議論して、今、個別でワーキングでさせていただいておりますので、そういった観点にしっかり立ちながら発信をし、そして、おっしゃっていることは、一つは、感染拡大抑止が必要だとおっしゃっている。その中身をよくブレークダウンして、具体的に国民に伝わっていくようにすべきだ、それはそのとおりだと思っておりますし、我々、そうして取り組ませてきていただいたところであります。目標というのはやはり感染拡大防止であること、これははっきりしているんだろうと思っておりますので、あとは、都度都度、それをどうやっていくのか。

 それから、先ほどおっしゃった、感染していない者同士、だから、それがわからないところがつらいところですよね。だから、陰性だったとしても、あしたどうなっているかこれはわからないということは前提にしておかないと、その方が場合によっては陽性化する、あるいは誰かと接触して陽性化していくという可能性もある。それが感染拡大に広がっていくということもあります。

 したがって、今のこれまで踏まえた知見の中で、どこが必要な対応をとらなきゃいけないのか、ここはとる必要がないといったことも、めり張りも含めてしっかりとお示しをする一方で、むしろ、私どもとしては、先ほどから御指摘いただいております検査体制とか保健所とか医療提供体制とか、そうした、陽性になった、感染した場合に対してもしっかり対応できるという体制を構築していくということが非常に大事だと思っています。

川内委員 西村大臣からも一言いただきたいんですけれども、ワーキンググループを立ち上げられたということで、その中において、差別、偏見、だめだよというのは、これはみんなわかっているわけですよね。みんなわかっている。だけれども、なぜかそうなってしまう。

 それはやはり、この世の中は言葉でできているので、どういう言葉を行政として使っていくことがみんなの安心というものにつながっていくのかということをまたしっかりと議論していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

西村国務大臣 大変大事な御指摘だと思います。

 私も、日々会見を行って、感染状況や、御指摘のような、どうやって感染拡大を防いでいったらいいのか、これを丁寧に、国民の皆さんに御理解をいただきながら進めていっているところでありますし、また、分科会など、ワーキンググループなどを開いた後はその説明も行ってきているところでありますけれども、正確な情報を国民の皆さんにどう伝え、どう理解していただくかというところは、日々悩みながら対応しているところでございます。

 もう誰もが感染するわけでありますので、何か悪い人が感染、何か悪い行いをして感染したということではなくて、本当に我々も、きょうも日々どこかで感染する可能性はあるわけであります。ドアノブをさわって、それで顔をさわってしまったら吸い込んでしまうこともあるわけですので、そういったことを含めて、これは専門家の皆さんのお力もかりながら、ぜひ正確な情報をお伝えをしていきたい。そしてまた、特に専門家の、感染症の専門家の先生方は当然ですけれども、さらにリスクコミュニケーションの専門家の皆さんの御意見を聞きながら、できるだけ正確に伝わっていくように努力していきたいというふうに考えております。

川内委員 今、西村大臣がおっしゃったように、誰もが感染する可能性がある。我々国会議員の中からまだ誰も出ていないわけですよね。誰も感染していない。だけれども、感染したらどうしようかと、みんなびくびくするわけですよね。それはなぜそんな気持ちになるのかという、その原因を除去していくという必要がある。

 加藤大臣が、いや、誰が感染しているかわかれば苦労はしないんだけれどもねと。まさしく、だからこそ検査が大事だと私は思いまして、尾身先生を始めとする感染症の専門家の方々というのは、感染症法という法律に基づいてさまざまな施策について御意見をいただける先生方であるというふうに思いますが、感染症対策、感染症法上の検査と、それから社会経済活動を回していくための検査というものを私は分けて考えるべきであるというふうに思います。

 感染症法上の検査は感染症法上の検査として、行政検査としてやればよい。他方で、社会経済活動を回すための検査は、厚生労働省ではなくて、例えば経済産業省の所管にして、いつでも誰でもどこでも何度でも安価で受けられるような体制を構築した上で、感染していない者同士は別に何にも気にしなくて普通にできるよという体制を政府としてつくっていくということが、ワクチンとかに期待をかけるのも、過剰に期待をかけるのも、私は、そんなすぐ開発できるとも、まあ、もしかしたらできるかもしれないし、でも、普通は、人類がウイルスのワクチンとして完璧に完成させているものといえば天然痘のワクチンぐらいしかないというふうに聞きます。

 そうすると、ワクチンの開発にもそれほど望みをかけられない、そんな過剰な期待はできないということであれば、加藤大臣が図らずもおっしゃった、誰が感染しているか、いないのかということがわかれば苦労はしない、それをわかるようになるべくしていく。感染症法上の検査と社会経済活動を回すための検査というものを目指して、そのシステムを構築していくというのが政府として取り組むべき課題ではないかというふうに思うんですけれども、これは誰に聞けばいいのかよくわからないんですけれども、尾身先生、どう思われますか。

尾身参考人 お答えいたします。

 先生の医療上の検査と社会経済のを分けた方がいいんじゃないのかというお話ですけれども、実は、私ども分科会は、先日、検査のこれからのあり方ということを政府に提言しました。その中では、まさに先生がおっしゃるように、国民を検査という文脈から三つのグループ、これを、検査という文脈ですからね、その中で三つに分けて、一番目は有症状、これはいいですよね、症状がある。それから二番目、先ほど加藤大臣もちょっとおっしゃっていました、無症状の中でも、いわゆる濃厚接触者とか、あるいは事前確率の高い場所にいる人。この最初の二つのグループは、やはり私はこれが最優先だと思います。なぜかというと、やれば必ず、事前確率が高いですから、検査。

 先生の最後の社会的というのは、私は、今の時代、こういう経済との両立ということで、ここも大事ですけれども、ここは検査のいろいろな課題がありますので、こちらはじっくりと、いろいろな問題点、課題、メリットもしっかりと理解した上で、特に民間活力を活用してやっていただきたいという提言を出させていただいて、それが我々の考えであります。

川内委員 社会経済活動に対する検査というのは民間活力を活用してやったらどうかという尾身先生の御意見ですが、竹森先生なんかはどう思われますか。検査を分けて、感染症法上の検査と社会経済活動を回していくための検査、要するに、もう食事、宴会もできるよ、会合もできるよ、感染していない者同士だったら別に何をしてもいいわけですから、そういうふうにしていくべきである、そうすることによって経済が盛り上がっていく、みんなの意識というものが変わっていくというふうにお考えにはなられないですか。

竹森参考人 お答えいたします。

 その問題で、ちょっと違う形で前に海外との人材の交流ということで申したことがありまして、例えば、誰かアーティストが来て、それがあれば盛り上がるし、日本のオーケストラで、指揮者が一人来ればそのコンサートが開けるのが、その人がいないから開けないというようなことがありますよね。それと、今、世界で世の中がどんどん変わっていて、中国と香港の問題があるし、アメリカがどうなるかとかいろいろあって、人材の交流が非常に大事なんですね。我々は、何か、ある日コロナがなくなると、前と同じ地球が戻ってきて、みんな、外国から観光客も来れば要人も来て、全く同じようになるだろうと考えている人もいるみたいですが、私は、この間話して、多分五年はこの縮こまった状態が、そのまま巣ごもり状態が続いていて、先ほどからの話の中で、今や、外国とだけではなくて、例えば沖縄と東京というのが物すごく遠くなっているんですね。この人間の心が離れてばらばらになっているというのをもう一度つながないと、ちゃんとした社会、ちゃんとしたグローバルなコミュニティーができてこないということがあると思うんですね。

 ですから、今、政府がやっているのは、この国とだったら何とかやれるというのはありますけれども、この人は来てもらわないと困るという人についてはちゃんとその検査をしてということがあると思うんです。それは全く、国内でのつき合いでも、この人が来てくれないと困るというときは、この人は大丈夫だということをちゃんとチェックできるような体制は必要であると思いますので、その経済的な意味での検査というのは非常に重要だと考えます。

川内委員 ぜひ政府としてお考えいただきたいというふうに思うんですが。

 あともう一つ、言葉は非常に大事で、隔離という言葉も私は非常によくない言葉だというふうに思っていて、保護という言葉に言いかえるべきではないかというふうに考えたりもしているんですね。

 加藤大臣、うなずいていただいていましたけれども、何かその辺、考えた方がいいねというふうに思われますか。

加藤国務大臣 法律上、隔離という言葉が使われているということですから、法律用語を使う場合にはどうしてもそれに触れざるを得ない。

 ただ、一般の方が隔離という言葉を聞いたときに何をイメージするのか。特に、感染症というのはこれまでさまざまな差別と非常に密接不可分な関係にあったわけでありますから、そういったところもよく踏まえながら、我々、言葉を使っていかなきゃいけない。

 ただ、法律上どういう言葉が適切かというのは、ちょっと今、私、ここで答弁できるものは持っておりません。

川内委員 だから、この新型コロナウイルス感染症の問題というのは、早急に手をつけていかなければならない課題がたくさんある。そういう意味では、この法律上の隔離という言葉をどういう言葉にするのが、隔離というと、要するに、社会から隔絶するというようなイメージがありますよね。そうではなくて、社会の中で、みんなの思いやりの中で包摂していくよと、私はそれで保護という言葉を使っているんですけれども、そういうような言葉にかえていくことなども早急に、法改正が必要なら、それこそ新内閣のもとでの国会で改正に向かうべきではないかというふうに思ったりもします。

 全然ここでまた話題をかえますが、先ほど、後藤議員から、持続化給付金もそろそろみんな底をつき始めているというお話がありました。

 この前、地元を歩いていたら、個人タクシーの運転手さんが急に車をとめて、いや、僕はお客さんじゃないですよ、乗りませんよと、こう手を振ったら、その運転手さんがおりてきて、持続化給付金を個人事業主だからもらった、だけれども、五、六、七、八、もう四カ月たって、お客さんは余りいないし、九月ぐらいで精いっぱいだ、もう大変なことになるというようなお訴えをされて、とにかく政治全体で頑張ってほしいというふうに言われたんです。

 まさしくそのとおりだろうなというふうに思うんですが、他方で、八月二十六日に、持続化給付金の不正受給が愛知県警に摘発をされました。約四百人に不正申請があったということで、不正受給額は総額四億円に上る、これは組織的な犯行であるというようなニュアンスで報道されておりました。

 この組織的な不正受給は氷山の一角だという指摘もあります。中小企業庁としてどのように捉えていらっしゃるのか、また、どのように対処されるのかということについて教えていただきたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 持続化給付金の不正受給が疑われる事案ということで、これまでに警察が逮捕したり公表したもの以外にも、御指摘のとおり、多数存在しております。これらは、氷山の一角という言い方が適切かどうかはともかくとして、いっぱいあるということでございます。私どもは、全国の警察とも情報共有しながら、案件の調査、把握を着実に進めております。

 不正受給事案に対しては、逃げ得は許さないという考え方のもと、給付金の返還請求を行うことはもちろん、引き続き、警察とも連携しながら、厳正に対処してまいりたいと思います。

 また、この組織的な不正というのは、SNSを通じて、いろんな人を募ってやってきたという特徴がございますので、チラシを公表したり、SNSで不正が疑われる投稿があった場合に、これはちょっとどうなんですかというような感じで、投稿への注意喚起の書き込みということも始めております。

 こういったことで、さらなる不正受給ということが起きないよう、あるいは、不正受給が起きたものについて、きちんと取締りが図られるよう努力してまいりたいと思っております。

川内委員 本来ならば給付を受けてしかるべき方が、その制度が要求する書類が整えられなくて、給付を受けられず苦しんでいる。他方で、こういう、組織的に書類を偽造しているのかどうなのか、組織的に何億というお金を、これは国費ですから、詐取される、これは許しがたいことで、二回目の持続化給付金を支給するとすれば、こういう人たちは絶対許しちゃならぬ、本来給付されるべきところに丁寧に給付していくというふうにしなければいかぬわけですけれども、何でこんなことが起きるのかなということを考えると、やはり、一般社団法人を介して下請に下請を繰り返して、制度の運営というものが、末端の実際に仕事をされるところで甘くなってしまっているのではないかというふうに思うんですね。

 そこでお尋ねするんですが、サービスデザイン推進協議会、環境共創イニシアチブあるいはキャッシュレス推進協議会など一般社団法人を盾にして、実は株式会社電通さんが仕事を再委託や外注によって行ったいわゆる事務局ビジネスというのは、この前経産省さんにまとめていただいたんですけれども、最近六年間で七十九件で、事業費は一兆二千六百億ですね。この事務費の総額が千五百億、そのうち電通さんが受けている事務費が千四百十五億と、ほとんど、九割、電通さんが事務費を外注で受けているわけですけれども。

 これは一体どういうビジネスモデルになっているんだろうと思って、政府が一生懸命やっていらっしゃる行政事業レビューのレビューシートというのを七十九件集めていただいて、見たんですけれども、この行政事業レビューの作成要領というものがあって、この作成要領には、「費目が「委託費」、「役務費」など、第三者に業務を委託等する場合には、「使途」欄に当該受託者等の名称についても記載する。」と、外注した場合は外注先の会社の名前を書いてねということが書いてあるわけですね。

 この行政事業レビューシート作成要領というのは、平成二十五年四月五日の閣議決定によると、「行政事業レビューの実施等について」という閣議決定ですね、「事業に係る予算の執行状況等を分かりやすい形で公表すること。」と。「事業に係る予算の執行状況等を分かりやすい形で公表すること。」という閣議決定に基づいてこの作成要領がつくられて、ちゃんと外注先や会社の名前を書いてねということになっているわけですが、この作成要領によると、この七十九件、電通さんが外注で受けている事務事業ですけれども、全て電通という名前がなきゃいけないんです。ところが、七十九件の経産省の行政事業レビューシートの外注先に、電通という名前は一枚も出てこないんです。一枚も出てこない。したがって、金額も一件も出てこない。これは行政事業レビューシートの作成要領に反しているということで、まず、よろしいですか。

松本副大臣 まず、先ほど御質問の中で、委員から七十九件という御指摘でありましたけれども、正確には、済みません、確認をいたしましたところ、外注、委託している事業は七十二件ということでございます。大変恐縮でございます。

 その上でお答えをさせていただきたいと思いますが、行政事業レビューの実施に当たりましては、平成二十五年、閣議決定において、事業に係る予算の執行状況などをわかりやすい形で公表することとされているところであります。この方針に基づきまして、経済産業省といたしましては、レビューシートを作成し、公表してきたところであります。

 レビューシートの記載要領におきましては、資金の流れを見える化する観点から、履行体制として再委託先である受託者の名称などを記載することを含めて、できるだけ事業の内容を明らかにしていくことが求められていると認識をしておりますが、他方、記載要領の中でも、具体的な事業者名を記載することにより不利益を与えるおそれがある場合などには省略することができるとされております。

 再委託先や外注先を含めた履行体制図の公表に際しては、事業者の競争上の地位、再委託や外注費の金額の多寡、事業全体の緊急性といった要素を勘案して公表対象範囲を検討することが必要ということで認識をしているところであります。

 ただ、いろいろとこれまでの間、この持続化給付金の執行等々に関しましてさまざまな御指摘をいただいているところでもありまして、履行体制図の公表につきましては調達などのあり方に関する検討会で御議論をいただいておりまして、年内をめどに全体の方針を取りまとめる予定としております。その結果を踏まえまして、当該事業の行政事業レビューシートにおける履行体制図の扱いを速やかに決めてまいりたいと存じます。

 以上です。

川内委員 確かに、「費目・使途を記載する支出先について、その具体的な名称を記載することにより、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼす具体的なおそれがある場合に限り、名称の記載を省略することができる。」と。「ただし、」「法人格等がわかるように記載する。」ということで、電通さんの場合は株式会社電通ですから、株式会社バツバツというふうには書かなければならないわけであって、そういうふうにも記載されていないんです、副大臣。

 そういう意味において作成要領に反していますねということを申し上げているわけで、そこは、反していました、ごめんねということは、ちょっと御答弁いただきたいんですけれども。

松本副大臣 今、川内委員からお話がございましたとおり、行政事業レビューシート作成要領では、第三者に業務を再委託等する場合には、使途欄に当該受託者等の名称についても記載をするということになっているところでありますけれども、「その具体的な名称を記載することにより、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼす具体的なおそれがある場合に限り、名称の記載を省略することができる。ただし、」「法人格等がわかるように記載する。」とあることから、少なくともレビューシート上の委託先として、例えば株式会社バツバツなのか、バツなのか、Xなのかといった記載をすべきであったものと考えているところであります。

 にもかかわらず、過去のレビューシートの記載において、作成原課が、本作成要領に対して十分に意を払うことなく、過去の前例などを参考に、再委託先について事業者の名称を省略した形ですら記載していなかったことは反省すべき点であったと認識をしているところであります。

 いま一度、私の方からもしっかりと、レビューシートへの記載要領に関しましては徹底をしてまいりたいと思いますし、また、全体としての、いわゆる再委託先等も含めました履行体制図をどのような形で公表していくのかということに関しましては、先ほどもお話をさせていただいたとおり、検討会でしっかりと検討をしていただき、速やかにそれを実行してまいりたいと思います。

川内委員 閣議決定の趣旨に反してこういう、ごめんなさい、私、件数を間違えていまして申しわけなかったです、七十二件ですね、七十二件のレビューシートがしっかり作成されていなかったと。それは多分、経済産業省あるいは中小企業庁としての、組織的な何らかの電通さんとのやりとりの中で記載が省略されたのであろうというふうに想像するんですけれども、そういうことが今回の組織的詐取につながっているのではないかということをしっかりと反省していただいて、今中間検査なども行われているようでございますので、その結果などもまた見せていただきながら、私も議論をまた続けさせていただきたいというふうに思います。

 最後に、ゴー・トゥー・トラベルですけれども、私は旅館の息子として、このゴー・トゥー・トラベルというのは、今の現状のみんなの行動が萎縮してしまっている状況の中でゴー・トゥー・トラベルを強引に進めるということに関しては、その利益の分配が偏ってしまうのではないかと。先ほどから国土交通副大臣は、全国の皆さんにと、こういう言葉を繰り返していらっしゃるわけですけれども、裨益が偏ってしまうのではないかというふうに考えておりまして、もう時間になりましたので手短にやりますが、都道府県単位の地域交付金にして、皆さん、地元を再発見してね、さらに、観光持続化給付金という形で直接給付する、この二本立てで観光業を支えていくべきではないかというふうに考えますが、副大臣、いかがでしょうか。

棚橋委員長 国土交通副大臣御法川信英君。

 なお、恐縮です、持ち時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

御法川副大臣 はい。

 川内先生、以前から御主張されているこの二点について、大事な政策提言と考えますが、政府としては、ゴー・トゥー・キャンペーンということで今施行しているところでございます。

川内委員 終わります。

棚橋委員長 これにて川内君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 安倍総理は、八月二十八日に辞任を表明されましたが、その後も総理として執務を継続されております。新型コロナ対策については、この任にある限り責任を持って全力を挙げるとおっしゃいましたし、先日は、敵基地攻撃能力について、保有する方針を在任中に決める旨を発言されました。

 この敵基地攻撃能力というのは、安保法制に次ぐ重大な政策変更になります。まさに国の進路にかかわる政策変更を辞任を表明した総理がやると言い、しかも、そのことを国会で国民にも説明しない。こんなことは絶対に許されません。

 委員長にお諮りしたいんですが、先ほど大串委員からも指摘がありましたけれども、我々はずっと集中審議を求めてまいりました。改めて、安倍総理出席のもとでの予算委員会を開催していただきたいと思います。

棚橋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

藤野委員 二十八日に総理が発表された新型コロナ対策パッケージ、この中で、「医療機関の安定的な経営を確保するため更なる支援を行う」という文言があります。先ほども問題になりました。

 安倍総理は、同日の記者会見で重要な発言をされていると思うんです。この部分についてこうおっしゃっております。コロナ患者を受け入れている医療機関、大学病院などでは大幅な減収となっており、国民のために日夜御尽力いただいているにもかかわらず、大変な経営上の御苦労をおかけしております、経営上の懸念を払拭する万全の支援を行います、こう総理はおっしゃいました。

 西村大臣、方針の問題ですのでお聞きしたいんですが、今、医療機関の経営上の懸念、最大の懸念は大幅な減収であります。総理がおっしゃったとおりです。そうであれば、このさらなる支援には、医療機関等への減収補填、これは当然含まれると思うんです。そういう認識でよろしいですか。

西村国務大臣 まさに、御指摘のように、新型コロナウイルスの患者さんを受け入れて、必死の思いで感染リスクも抱えながら治療に当たられている医療機関の皆様に改めて敬意を表したいと思いますし、その経営が悪化するようなことがあってはならないものというふうに認識をしております。

 このため、総理が表明しましたように、第二次補正予算による支援に加えて、コロナ患者を受け入れる医療機関の安定的な経営を確保するためのさらなる支援を行うとともに、多数の発熱患者の発生が想定される季節性インフルエンザ流行期に備えるということなど、地域全体の医療提供体制を維持、確保するための取組、支援を行っていくこととしたところでございます。

 具体的なさらなる支援につきましては、今般取りまとめましたまさに今後の取組に沿って、引き続き厚生労働省を中心に検討されていくものというふうに承知をしております。

藤野委員 明確なお答えがないんですが、安倍総理が経営上の懸念を払拭する万全の支援とおっしゃって、今、その経営上の支援の最大のものが大幅な減収なわけです。ですから、ここをしっかりと払拭するというのであれば、やるべきです。

 私、先日、長野県のある公的病院でお話を伺ってまいりました。この病院は、ダイヤモンド・プリンセス号の感染者など、早い段階から患者の方を受け入れられているんですね。

 こうおっしゃっていました。最初はびくびくしながらやっていた、怖い、治療室に入りたくないと泣き出す看護師もいて、お互い必死に励まし合って何とか乗り切った、こうおっしゃっていました。今、御存じのように、医療現場はチームで動いております。一人でも欠けると成り立たない、こういう状況で、みんなで励まし合いながらやってきたとおっしゃっていました。

 こうした現場の必死の努力にもかかわらず、この病院は、四―六月で入院患者も外来患者も前年比で約一五%減りまして、医業収入全体では二億二千八百万円の大幅減となっております。

 病院の方はこうもおっしゃっていたんです。政府は減収の意味をどう評価しているのか、減収というのは働かなくて済んだとでも思っているのか、とんでもないと。よく政府は緊張感を持って感染状況を見守ると言うが、緊張感どころではない、命がけでやってきたんだ、こういう、もう痛烈な、切実な声でありました。

 日本病院会など三団体が行った調査によりますと、四分の一を超える病院で夏のボーナスがカットされる。まさに、緊張感どころか命がけという活動をずっと担ってきた方々が、増額されて当然のボーナスをカットされる、こういう事態がずっと広がっているわけですね。これは余りにも理不尽であります。

 先ほど慰労金というお話がありましたけれども、これはまだ届いておりません。届けていただきたいと思いますけれども、仮に届いたとしても、勤めている病院自体が成り立たなくなったら元も子もないわけですね。

 配付資料の一を見ていただきたいと思うんですが、これは同じ長野県で自治体病院を持つ十七の市町、首長さんが知事に要望したものなんですが、この冒頭に、第一番目にまさに損失補填の仕組みの創設が上がっております。そこで黄色く塗らせていただいたのが、新型コロナ感染症受入れに伴う収益機会損失額相当の補助など実効性ある損失補填の仕組み、実効性ある仕組みを強く求めていらっしゃいました。

 配付資料の二を見ていただきますと、これはまさに自民党から共産党まで全員入っているんですが、超党派の、コロナと闘う病院を支援する超党派議員連盟の提言。ここもやはり冒頭で減収補填というのを求めている。より具体的に、コロナ患者を受け入れた医療機関は、昨年度の実績よりも落ち込んだ分に関して一〇〇%公的資金で補填するとか、受け入れていない病院については八〇%と、具体的な提言をされております。

 西村大臣にお聞きしたいんですが、今、日本医師会も自治体の首長さんも、そして自民党から共産党まで、同じ要求をしているわけですね。これは方針の問題です。従来の方針というのはこれはやっていないわけですけれども、やはりこれに今踏み込む、踏み切る、減収補填に、これが必要じゃないでしょうか。

加藤国務大臣 まず最初に、お話を聞かれたその病院において、ダイヤモンド・プリンセスのころから、特に当初のころは、本当にこれがどういうウイルスかわからないという大変な危機感あるいは恐怖もあったと思います。そういった中で御対応いただいた方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、病院経営のお話がありました。病院の団体あるいは医師会からも、こうした現状の危機感、そしてこれに対する支援の要請もいただき、また議員の皆さん方から、あるいは地方公共団体からもいただいているところでございます。二次補正予算を使いまして今現在給付に努めておりますので、これを早期に実際のそれぞれの病院に行くべく努力をさせていただく。

 その上で、必ずしもこれは十分ではないと私どもも認識をしております。そうしたものについて、現在、具体的な内容については精査をさせていただいておりますけれども、例えば、コロナを受け入れていただいている病院に対しては、空床とか休床に対する補填をさせていただいております。これは、まさにコロナ患者を受け入れるために、通常であれば使っているべき病棟等を閉鎖して、そこの人員をコロナ対応に振り分けているわけでありますから、そういったことに対する対応についてさらなる充実も図っていきたいということでございますので、損失補償という言葉、これはいろいろな意味があると思いますが、いずれにしても私どもは、経営が安定的になされ、そしてこの新型コロナウイルス感染症を含めて地域における医療がしっかりと供給される、提供されていける、この基盤に向けてしっかりと取組をさせていただきたいと思っています。

藤野委員 やはり、先ほど私が紹介した病院の方の声、政府はこの減収を一体どう評価しているのかという、ここのところが私は問われていると思います。

 まさに、今政府はいろいろやってきた。これをやってくれ、あれをやってくれと方針を出してきた。しかし、それらの実践については医療機関の現場任せなんですね。このやり方で本当に現場の方は頑張ってきて踏みとどまってきた、ぎりぎりやってきた。しかし、もう瀬戸際に来ているということで、立場の違いを超えて今声が上がっているわけですね。

 ですから、そうした減収というものが今何なのか、医療を崩壊の瀬戸際に追い込んでいる、こういう自覚を持って、今までのやり方の転換を強く求めたいと思います。

 そして、同じ新方針は、保健所の体制の強化も掲げております。応援派遣スキームとか恒常的な体制強化も触れられております。

 私は、この間、我が党の市会議員団と連携しまして、石川県の金沢市の保健所の実態を伺ってまいりました。

 同保健所の感染症対応係の保健師というのは、四月時点で七名いらっしゃった。他方、金沢市というのは、人口約四十六万、感染者は八月三十日段階で二百二十三名、相談は多いときは一日で二百件を超えるという状況です。

 この保健所では、有症者への対応、PCRの可否の判断、そして可となった場合のPCRの実施あるいは検体の輸送、医療機関やホテルの必要な場合の消毒、あるいは陽性者、これも対応するんですね。陽性者が出た場合、行動歴を見る、調査する、接触者も調査するいわゆる疫学調査、そして入院の調整。濃厚接触者の場合は、二週間毎日毎日電話して確認する。搬送、そして御遺体の対応も行っている。そして、クラスターが出たらもちろん対応するということで、大変な業務なわけです。

 とてもこの七名という体制では対応できないので、応援体制がとられたそうであります。四月のピーク時には、市のいろいろな場所の保健センターとか健康福祉センター等から応援で最大四十二名に増員されたそうです。

 しかし、七名から四十二名、つまり六倍の応援があったにもかかわらず、四月の残業は大変なことになって、保健師の過労死ラインとされる月百時間を超える保健師や医師の方が十名出た。ある保健師は二百五十七時間の残業をその月行ったというんですね。しかも、保健所では新型コロナ以外にもいろいろな業務がありまして、HIVとかクラミジアとか肝炎などの検査等もやっているわけですが、そうした検査も縮小せざるを得なかった。つまり、要するに、臨時の応援は結構あったんですけれども、そういうのがあった保健所でも、職員の残業時間が激増して、本来やるべき業務も縮小せざるを得なかった。こういう保健所が多く生まれているわけですね。

 ですから、新方針では、応援派遣、これは緊急時にやっていただきたいと思いますが、やはり恒常的な体制強化、これが必要だということだと思います。

 この点で大事なことは、この体制強化を自治体任せにするのか、それとも国がちゃんと基準等を示して、財政も支援して責任を持つのかということです。

 例えば、アメリカのニューヨーク州というのは、感染者の接触者追跡を行うトレーサーの配置基準を設けておりまして、人口十万人当たり最低三十人必要だと。これを人口四十六万人の金沢市に当てはめると、百二十人から百五十人、こういう対策が必要なんですが、先ほど言ったように、四月段階で七人、その後、市の追加措置でふえたんですけれども。

 そのもとで、ちょっと加藤大臣にお聞きしたいんですが、やはり政府が、自治体任せにすると進まない、現状はそういう状況ですから、しっかり、どれぐらいのものが必要なのか、保健所は、あるいは体制、人員はという基準、設置基準、配置基準をつくる、その国の基準に見合う財政措置を行っていく、これが必要だと思うんですが。

加藤国務大臣 現在、保健所などについての人件費、運営費、設備整備費等については、地方財政措置で対応されているところであります。

 今の現状、この感染症が拡大する前の人員では到底足りないということで、役所の中の他の部署から応援に来る、あるいは外部に委託をする、場合によっては一部、当面直ちにやらなきゃいけない業務以外は少し先延ばしをする等々、さまざまな工夫をしていただいて、それでも大変な状況で先ほどおっしゃられた業務に当たっていただいているわけでありまして、こうした状況を踏まえて、令和三年度予算編成過程においては、保健所等の必要な人員体制の強化に向けた財政措置について関係省庁とも連携をしていきたいと思っておりますが、じゃ、具体的な基準をどうするのかというお話がありました。

 保健所については、地域保健法の規定で、都道府県、保健所設置市、特別区が設置をする、そして、各自治体では地域の実情を踏まえながら必要な体制の確保が行われているというふうに認識をしておりますし、また、同法に基づく基本的な指針においても、地域の特性を踏まえた規模の拡大あるいは施設設備の充実などの体制強化を求めてきているところでございますので、そうした方針を踏まえながら、八月二十八日の今後の取組で、先ほど言っていただきました応援派遣のスキームの構築、あるいは潜在保健師等の人材バンクの創設、保健師等の恒常的な人員体制強化に向けた財政措置の検討、これを行うこととしたところでございます。

 いずれにしても、今回の事例を踏まえながら、中核を担っていただいている保健所がその機能をしっかり発揮していただけるよう、関係省庁ともよく連携をとりながら対応していきたいと思っております。

藤野委員 今までは地方交付税措置とおっしゃいました。そのとおりです。交付税というのは色がついておりませんから、結局、保健所の体制強化に使うかどうかというのは自治体の判断になってしまう。そのもとで、この間ずっと保健所というのが削られてきたわけですね。結局、先ほど言ったように、医療現場は医療機関任せ、保健所は自治体任せ、こういうやり方が医療や公衆衛生の現場を日々疲弊させているわけです。

 ですから、やれ、やれとおっしゃっているわけですから、方針も出したわけですから、それに見合ったしっかりとした国の責任を果たす、基準も示すし、それに見合った財政支援も行うということを強く求めたいと思います。

 次に、雇用の問題をお聞きしたいと思います。

 四―六の実質GDP、年率で二七・八%、戦後最悪と言われる落ち込みであります。私もこの間、現場で実態を聞いてまいりました。

 長野県の伊那市というところでは、週五日勤務が三日に減った、めいっ子の仕事がなくなった、バス会社に勤務していたけれども、仕事がなくなって次の仕事を探しているという声でした。新潟県の新潟市では、群馬県で建設現場の簡易宿泊所、いわゆる飯場に住んで日雇労働をしていた男性が、コロナの影響で仕事を失って、宿泊所を追い出された。知人が新潟市にいると聞いて、別のですけれども知人の車に乗せてもらって新潟まで行って、しかし、そこからは探さないといけないというので、三日間飲まず食わずで探したけれども見つからなかったと。今はもう生活保護を申請されて、アパートも見つかったそうでありますけれども、本当に今大変な事態が広がっている。

 昨日発表された厚労省の調査でも、新型コロナに起因する解雇、雇いどめが五万人を超えた。これは、非正規雇用については五月二十五日からしか統計をとっておりませんから、その前の部分を含めますと実態はより深刻だと思います。配付資料の三を見ていただきましても、完全失業率は、対前年比で四十一万人、これは六カ月連続でふえております。

 このもとで政府の姿勢なんですが、八月二十八日に、雇用調整助成金などを年末まで延長すると発表されました。これはいいことだと思うんです。ただ、延長しますよというその同じ文書に、私は見てびっくりしたんですが、同じ文書の下の方に、今後、重大な雇用悪化がなければ、段階的に縮減を行っていきますという文言もあるんですね、縮減。今、コロナ失職は月一万人以上のペースでふえているし、完全失業者も六カ月連続で増加しているというこの局面で、何で縮減を言い出すのかという強い違和感を私は感じました。

 そもそも、支援しているとおっしゃるんですけれども、それが現場に届いているのか。厚労省と経産省にお聞きしたいんですが、いわゆる休業支援給付金と家賃支援給付金、それぞれ予算額は幾らで、現在までの支給決定額は幾らになっていますか。

田中政府参考人 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の予算額、支給決定額につきましては、予算額は令和二年度二次補正予算で約〇・五兆円を計上しております。支給決定額は、八月三十一日までの決定分の累計で約六十七億円となっております。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 家賃支援給付金の方につきましては、第二次補正予算において予算額が総額二兆二百四十二億円、七月十四日の申請受け付けの開始以来現在までに約四十万件の申請があり、給付実績は、八月四日以降開始して約七・一万件、昨日時点で約六百二億円の給付となってございます。

藤野委員 いわゆる休業支援給付金の方は、予算額五千四百億円に対して六十七億円、一・二%ぐらいです。家賃支援給付金に至っては、二兆二百四十二億円ですけれども六百十億円ということで、これも数%、二%ちょっとだと思います。つまり、縮減などと言い出す前に、これらの制度を周知徹底して着実に給付すべきだと思います。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、緊急事態宣言下の四、五月、そして六月も月一万人ふえているという状況なんですが、この休業支援給付金の締切りが九月末になっているんですね。これは延長すべきじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 まず、雇調金の延長に伴う考え方について御指摘がありました。

 例えばほかの国、当初、雇調金のときに、皆さんイギリスを事例に挙げましたけれども、イギリスはもう既に八月から……(藤野委員「期限。期限だけお答えください。期限の延長だけ」と呼ぶ)いやいや、八月から国庫負担を下げているんですね。でも、私たちは、そうではなくて十二月まで延長していく。しかし、そうした中で本来の姿に、対応できるのであればだんだん戻していく、これは本来の姿だというふうに考えております。

 それから、今お話がありました休業支援金・給付金で支援を必要とする方への迅速な支給につなげるため、休業した期間を原則一カ月ごとに区分して申請をいただく。そして、本年四月から六月までの休業に係る申請期限については、事業主への確認や書類の準備に要する期間も考慮し、申請を九月末、これはそもそも九月末にしていたわけであります。

 それについて、今回、全体としては延長させていただいておりますけれども、この申請期限は、大量に行われる申請について休業の事実などを適切に確認し、迅速な支給につなげるために、休業が行われていることから一定期間内に申請を行っていただくことが必要と考え、設定をしております。

 ただし、天災その他期限内に申請しなかったことについてやむを得ない理由、病気等も入ってくると思いますが、そうした場合には……

棚橋委員長 大臣、恐縮ですが、ちょっと時間がありませんので、簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 はい、わかりました。あと一分で終わります。

 当該理由のやんだ後一カ月間は申請可能とする取扱いを行っており、個別の事情がある場合には適切に判断を行いたいと考えております。

藤野委員 支給決定額、一%ちょっとなんですね。これは周知が必要だと思います。

 最後になりますけれども、本当に課題は山積しております。そういう意味では、来るべき国会でも、首班指名に終わらせず、新しい首相の出席のもとでの集中審議、予算委員会の審議を求めて、質問を終わります。

棚橋委員長 これにて藤野君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 二十八日に安倍総理が辞任を表明されました。心からお疲れさまと申し上げたいし、また、七年八カ月の施政について敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 さて、ちょっと、渡辺先生いらっしゃいますが、野党筆頭の委員会運営、ひどいですね、これ。

 ちょっと皆さん、バッター表を見てください、バッター表。新谷さんと國重さん、さすが自民党ですよね、二十五分、二十五分ですよ。共産党と維新の会、共産党は十二議席ですよ、うちは十一議席です、一議席しか違わないのに、私、十分です。まあ、ちょっといろいろ申し上げたいことはありますが、時間がないのでやめます。

 さて、きょうは、参考人の先生方いらっしゃいますが、政治意思について伺いたいので、恐縮ですが、大臣に御質問をさせていただきます。総裁選中ですから、政治意思を聞くこと自体ナンセンスではありますが、仕方がないので申し上げたいと思います。

 まず、西村大臣。きょう、私ども維新の会で用意している特措法の改正案、六ページにわたる改正案、これをお配りをさせていただいています。

 野党でいうと、玉木さんなんかは、やろうやろう、うちもつくると言ったけれども、結局、出てきません。後藤先生、いらっしゃるかな。後藤先生、早くやろうね。野党で唯一作業をしているのが後藤先生だけですよ。でも、まだ出てこない。多分、上が邪魔しているんですね。ちゃんとやっているのは維新の会だけです。(発言する者あり)えっ、違うの。ありがとうございます。とにかく、やりましょうよ。

 きょう、西村大臣にはこれについての意見も伺いたいと思っていましたが、ちょっと時間がないので。

 それで、閣法はいつ出てくるんですか。例えば臨時国会をやると、閣法は出てくるんですかね。西村大臣は、四月五日の「日曜討論」で特措法には使いにくいところがあるとおっしゃり、衆参でたびたび課題があるとおっしゃってきました。七月二十日には、私の質問に対して、特措法には課題があることは間違いない、検討を進めたい、論点をしっかりと整理するとおっしゃいました。五カ月たちました。論点整理は終わった、臨時国会には閣法を出す、お願いできますか。

西村国務大臣 御指摘のように、この特措法の執行の責任者としてこの間対応してまいりまして、やはりしっかりと実効性を担保する措置は必要なのではないかという問題意識を非常に強く持っております。これは恐らく足立議員とも共有できるんじゃないかと思いますが。

 その上で、他方、この間、都道府県知事とも連日、感染が増加するところもあれば減少に転じているところもあります、あるいは重症者がふえるところもあります、こうした対応、私のみならず、私のスタッフも全員で、まずはこの感染状況を何とかしなきゃいけないということで対応してきているということもございます。

 その上で、何とかこれをよりよい法律にしたいという思いを、これは日々考えてきております。先ほども申し上げましたけれども、私自身が直接、法制局長官とも議論も、意見交換も何度かしてきております。スタッフはスタッフで議論をしてきております。

 時間がありませんので多くは申し上げませんけれども、どういった要件で命令なり強制力を持たせるのか、あるいはそれをどう担保するのか。これはそもそも営業の自由ということがございますし、この法律第五条には、必要最小限で、基本的人権の尊重ということが書かれております。こういった法体系全体をどう考えるのかを含めて、論点を整理し、また議論を深めていっているところであります。緩やかな法体系を全体として変えるとすればなかなか大きな作業になるということも含めて、更に議論を深めていきたいというふうに考えております。

足立委員 先ほどちょっと後藤先生だけと申し上げたのは間違えまして、野党の中でも厚生労働委員会の先生方は、岡本充功先生、大西健介先生はよくやってくださっているので、ちょっと補足をしておきたいと思います。

 さて、西村大臣、お願いしますね、特措法。多分、これだけの案を出したのは初めてだと思います。六ページ。ぜひ御検討いただきたい、こう思います。

 さて、第一波の検証。第一波の検証を同じ私が七月の八日に西村大臣に伺ったら、夏の間には、要は秋冬に備えて夏の間には第一波の検証をしたいと。大臣、スパコンはいいです、別に。スパコンは手段ですから、手段の一つですから。スパコンを使って何をしたというのはもう結構です。第一波の検証はいつ終わるんですか。

西村国務大臣 私、申し上げているのは、第一波、第二波はともかくとして、四月、五月の緊急事態宣言時の私どものとってきた対策、あるいは、都道府県知事と、それぞれの知事と連携しながら対応してきた対策、これがどういう効果を持ったのか、私どもが頼りにしてきたSIRモデル、一つしかなかったわけですけれども、それ以外のモデルはないのか、こういった対策の分析、効果の評価、こういったことを行ってきております。

 スパコンはもういいとおっしゃっていますけれども、今、対策、二分の一の収容人員でイベントをやってもらっていますけれども、これを緩和できるのではないかというようなエビデンスも出てきておりますし、また、全員がマスクを着用していれば、移動制限、仮に二割とる、八割とる、こういった場合にどのぐらい感染者を抑えられるのか、こういった計算も進んできておりますので、近く研究者の皆さんから成果を出してもらって、そして今後の対策に生かしていきたいというふうに考えているところであります。

足立委員 私、西村大臣、加藤大臣は本当は総理にふさわしい、余り受けないですね、ちょっと場違いですね、やめておきます、と思っていますので、ぜひリーダーシップをとってお願いをしたいと思います。

 さて、もう時間がありません。最後になりますが、加藤大臣、政令改正の話が出ています。

 先ほど、きょう、川内先生が医療バーサス経済ということをおっしゃいました。私たち維新の会は、それをもうちょっと正確に言うと、公衆衛生バーサス医療だと思っているんですね。

 公衆衛生の観点から全数把握を続けていく、これをやり続けると、季節性インフルエンザ、きょう大臣が二十万件については要は逆算して出してきたんだと。一日当たり二十万件の検査というのは、季節性インフルの規模との関係で逆算して出してきたんだと。でも、毎日二十万件の処理を、いわゆる疫学的な調査ということも義務づける形で全数把握をしながらできるのかということで、我々は、二類なり一類、二類相当一類みたいになっている今のあり方と五類の季節性インフルを一緒に処理するのは、オペレーションは難しいんじゃないかということを申し上げてきました。

 ところが、きょう大臣は、原則は維持するんだ、これまでの運用方針は見直さないんだ、今やっていることをより正確に政令に書くんだとおっしゃって、私は愕然としました。

 これからも、指定感染症、まあ、指定感染症でもいいですよ、政令の内容は変えたらいいんだから。でも、一つ伺いたいのは、来年の二月以降も指定感染症を続ける可能性があるのか。それから、無症状や軽症を含む全数把握を前提とするクラスター対策や濃厚接触者追跡について、秋冬に備えて見直す可能性はないのか。それだけお願いします。

加藤国務大臣 先ほどこれまでのと言ったのは入院措置の関係で、現在、入院措置と宿泊療養等の整理、それをベースにということを申し上げました。

 それ以外に、今委員御指摘にもかかわるんですけれども、季節性インフルエンザが相当出てきたときに、現在、疑い者についても届出をいただくようになっていますから、これはどうなんだという御指摘をいただいていますので、これについても具体的な検討をしていきたいと思います。

 それから、今おっしゃった二十万というのは基本的に検査する対象なので、どれだけ陽性者が出てくるのかということにかかってくるわけであります。これまでも、陽性者数が多ければ絞り込むということも、対処方針の中にはたしか記載をしてあったというふうに思いますので、それはその状況状況を踏まえながら対応させていただくというのは当然のことだと思います。

足立委員 これまで我が党は、医師である梅村聡参議院議員を始めとして、衆参でさまざまな議論をしてきた。一番心配しているのは、先ほど大臣からもあった特措法の改正も、一段落したらやるとおっしゃったけれども、なかなか論点整理がまだ完結はしていない。それから、第一波の検証も何か終わっていない。

 そういう中で、我々が心配しているのは、秋冬のインフルの季節ですよ。そのときにどうするかということで、やはり早目に政令の案、これを公表していただいて、国民が、あるいは医療現場の医師の皆さんが、医療関係者が安心できる、そういう見通しをぜひ新内閣のもとで速やかに公表していただくようお願いして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

棚橋委員長 これにて足立君の質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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