衆議院

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第2号 令和2年11月2日(月曜日)

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令和二年十一月二日(月曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 金田 勝年君

   理事 後藤 茂之君 理事 齋藤  健君

   理事 橋本  岳君 理事 藤原  崇君

   理事 細田 健一君 理事 山際大志郎君

   理事 奥野総一郎君 理事 辻元 清美君

   理事 浜地 雅一君

      秋葉 賢也君    秋本 真利君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      うえの賢一郎君    上野 宏史君

      江藤  拓君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小渕 優子君

      大塚  拓君    神山 佐市君

      河村 建夫君    下村 博文君

      菅原 一秀君    田中 和徳君

      竹本 直一君    冨樫 博之君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    古屋 圭司君

      村井 英樹君    村上誠一郎君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    伊藤 俊輔君

      池田 真紀君    今井 雅人君

      江田 憲司君    大串 博志君

      大西 健介君    逢坂 誠二君

      岡田 克也君    岡本 充功君

      川内 博史君    玄葉光一郎君

      後藤 祐一君    高木錬太郎君

      武内 則男君    堀越 啓仁君

      本多 平直君    松田  功君

      道下 大樹君    森田 俊和君

      森山 浩行君    山川百合子君

      太田 昌孝君    岡本 三成君

      竹内  譲君    濱村  進君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      藤田 文武君    西岡 秀子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  義偉君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         武田 良太君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         茂木 敏充君

   文部科学大臣       萩生田光一君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       野上浩太郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      梶山 弘志君

   国土交通大臣

   国務大臣         赤羽 一嘉君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    小泉進次郎君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     加藤 勝信君

   国務大臣

   (復興大臣)       平沢 勝栄君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     小此木八郎君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (地方創生担当)     坂本 哲志君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (デジタル改革担当)

   (マイナンバー制度担当) 平井 卓也君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)

   (男女共同参画担当)   橋本 聖子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     井上 信治君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   会計検査院長       森田 祐司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡本  宰君

   政府参考人

   (内閣官房成長戦略会議事務局次長)        野原  諭君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         五道 仁実君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府日本学術会議事務局長)          福井 仁史君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    田中 勝也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高原  剛君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹内 芳明君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    水嶋 光一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       板倉 康洋君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           渡辺由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 飯田 祐二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (観光庁長官)      蒲生 篤実君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    武田 博史君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     上野 宏史君

  うえの賢一郎君    下村 博文君

  小倉 將信君     大塚  拓君

  村井 英樹君     小渕 優子君

  山本 有二君     冨樫 博之君

  大西 健介君     江田 憲司君

  玄葉光一郎君     高木錬太郎君

  本多 平直君     池田 真紀君

  森山 浩行君     大串 博志君

  太田 昌孝君     竹内  譲君

  濱村  進君     岡本 三成君

同日

 辞任         補欠選任

  上野 宏史君     秋本 真利君

  小渕 優子君     村井 英樹君

  大塚  拓君     小倉 將信君

  下村 博文君     うえの賢一郎君

  冨樫 博之君     山本 有二君

  池田 真紀君     伊藤 俊輔君

  江田 憲司君     大西 健介君

  大串 博志君     森山 浩行君

  高木錬太郎君     山川百合子君

  岡本 三成君     濱村  進君

  竹内  譲君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 俊輔君     武内 則男君

  山川百合子君     森田 俊和君

同日

 辞任         補欠選任

  武内 則男君     松田  功君

  森田 俊和君     道下 大樹君

同日

 辞任         補欠選任

  松田  功君     本多 平直君

  道下 大樹君     堀越 啓仁君

同日

 辞任         補欠選任

  堀越 啓仁君     玄葉光一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君、内閣官房内閣審議官岡本宰君、内閣官房内閣審議官山内智生君、内閣官房成長戦略会議事務局次長野原諭君、内閣官房国土強靱化推進室次長五道仁実君、内閣府大臣官房長大塚幸寛君、内閣府日本学術会議事務局長福井仁史君、警察庁刑事局長田中勝也君、総務省大臣官房総括審議官竹村晃一君、総務省自治行政局長高原剛君、総務省総合通信基盤局長竹内芳明君、外務省領事局長水嶋光一君、文部科学省科学技術・学術政策局長板倉康洋君、厚生労働省医政局長迫井正深君、厚生労働省健康局長正林督章君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省雇用環境・均等局長坂口卓君、厚生労働省子ども家庭局長渡辺由美子君、厚生労働省社会・援護局長橋本泰宏君、厚生労働省老健局長土生栄二君、厚生労働省保険局長浜谷浩樹君、厚生労働省人材開発統括官小林洋司君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官畠山陽二郎君、経済産業省産業技術環境局長山下隆一君、資源エネルギー庁次長飯田祐二君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、国土交通省総合政策局長石田優君、国土交通省不動産・建設経済局長青木由行君、国土交通省水管理・国土保全局長井上智夫君、観光庁長官蒲生篤実君、防衛装備庁長官武田博史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 基本的質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会の下村博文でございます。

 本日は、菅総理が誕生して初めての予算委員会ということで、総理も、これまでの総務大臣あるいは官房長官時代とは違った新たな緊張感のもとできょうという日を迎えたのではないかというふうに思います。

 私は、総理と同じく、平成八年、第四十一回の衆議院選挙で初めて議席をいただきました。衆議院の選挙制度が、それまでの中選挙区制度から、我々のときから小選挙区比例代表並立制に変わっての初めての選挙であり、菅総理は、小選挙区世代初の内閣総理大臣として大いに活躍していただきたいと思います。

 政府と党の立場は別でありますが、国民のために働く内閣、そして、私自身も国民のために働く自民党でありたいと思います。総理にエールを送りたいと思います。

 菅総理は、お母さんに毎日電話をされるということを聞いたことがあります。もう十数年前ですか、たまたま、日光駅前でお会いしたことが偶然ありました。そのときに、お母さん、年に一回は家族で旅行へ招待されているということをお聞きしたことがありまして、私もそれから、菅総理に啓発されて、母を兄弟で、そして母の孫たちと家族一緒に、年に一度は家族旅行をするように心がけておりまして、それはまさに菅総理の啓発でございますので、改めて御報告を申し上げたいと思います。

 さて、ことしは世界じゅうが新型コロナウイルスに振り回される年となっております。感染の爆発を絶対に防ぐという菅総理の強い決意のもと、菅政権の掲げるさまざまな対策を強力に進めていただきたいと思います。そして、党としても全力で支えたいと思います。

 まず、経済再生への取組についてお聞きしたいと思います。

 ことしの新型コロナウイルスで、第三次産業、とりわけ宿泊業、飲食店を始めとする生活娯楽関連サービスや、航空会社、鉄道等運輸関係が厳しい状況に、落ち込みがありました。経済活動の再開に向けて、七月にはGoToトラベルがスタートし、十月には東京も加わって全国展開となりました。また、GoToイートも始まり、ようやく国内での人の移動が活性化し始めたところであります。私もきのう高山に行きましたが、高山はもう大変に観光の方々で元気があった町になっておりました。

 ただ、ウイルス感染の収束が見通せない中、キャンペーン終了時の腰折れを不安視する声も聞かれます。人の流れは社会全体の景気、雇用、ひいては暮らしにも直接、間接的に結びついており、自民党内においても、来年のゴールデンウイーク、さらにはオリンピックまでGoToキャンペーンを継続し、社会の活力と経済を下支えすべきであるとの声もあります。総理はいかがお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、新型コロナウイルスによって大きなダメージを受けた観光、飲食、イベントなどに対して、感染対策をしっかり講じた上でGoToキャンペーンによって支援を行って、経済の回復を目指しているところであります。

 GoToトラベル事業の実施期間、そうしたものについては、今後の感染状況だとか、あるいは経済の回復状況だとか、あるいは予算の執行状況、そうしたことを見ながらまたしっかりと対応していきたい、このように思います。

下村委員 総理は官房長官時代から、訪日外国人、インバウンドの誘致、大変力を入れておられました。二〇三〇年、訪日客六千万人の目標は堅持をし、日本の成長戦略の一つとしていく姿勢、これを今後とも貫いていくべきだと考えます。

 ビジネス目的での往来再開を展開し、そこからインバウンドを広げていくことが来年のオリンピック・パラリンピック、そしてその後の訪日客の拡大につながるものと考えますが、こうした訪日客を受け入れ、重要な役割を果たす航空会社、鉄道等、我が国の基幹インフラは今事業存続の危機に瀕しており、特に地方は極めて深刻な状況です。政府としてどのような支援をお考えになっているか、総理にお聞きしたいと思います。

菅内閣総理大臣 鉄道や航空などの公共交通の機能を確保するために、落ち込んだ需要の回復に資するようにGoToトラベル事業を実施しているところでありますし、また、事業者の資金繰り、これまで雇用調整助成金や持続化給付金、さらには日本政策投資銀行の危機対応融資の活用などの支援を行っているところです。そしてさらに、国税などの納税猶予だとか、あるいは航空会社でいえば着陸料の軽減、状況に応じたきめ細かな対応を講じてきており、引き続き、必要な事業者に実情に応じた支援措置というものをここはしっかりと行って、交通の公共機関、こうしたものを守っていきたい、こう思います。

下村委員 感染症対策と経済の両立、その両方を大きく進めていくという意味では、これからワクチンの確保が大変重要な意味を持ってきていると思います。

 これまで政府の努力によって、億単位のワクチンの確保、ファイザー社から六千万人分、アストラゼネカ社から一億二千万回分、モデルナ社からは四千万回分、進められております。

 どれだけワクチンを確保しても、実際に国民に提供できなくては意味がありません。一億二千万人の国民に投与できる、そしてオリンピック・パラリンピックを考えたときに、毎日百万人に提供しても三カ月以上、土日を除けば更に日数がかかる。これだけ大変な事業になるわけでありますが、確保したワクチンをどのような手順で国民に提供するのか、田村厚労大臣にお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 ただいま委員からお話がございましたワクチン、言われるとおり、国民全員分を何とか確保したいということで、現在、それぞれワクチンメーカーの皆様方といろいろな交渉をさせていただきながら、基本的な契約等々も結んでおるわけでありますけれども、かなり大規模な接種になってまいります。それをしっかりとその体制を整えていかなきゃならぬということでありますので、例えばワクチンの流通に関しては、国、地方自治体、それから医療機関でありますとか卸、こういうところがしっかりと、ワクチンの配分でありますとかいろいろな情報を伝達していかなきゃならないわけでありまして、そういう意味で、V―SYSといいまして、ワクチン接種円滑化システムというものを今組んでおりまして、そこでいろいろな情報共有を図ってまいろうといたしております。

 さらには、地方自治体でありますと、人員を確保していただかなければなりませんし、接種者の方々のクーポン券、こういうものも必要であります。さらには、相談窓口の整備、こういうことに関してもしっかりと御支援をさせていただこうという形になっております。

 十月の二十三日でありますけれども、各自治体には、例えば委託医療機関でありますとか、接種の場所もかなり広い場所も必要になってまいりますから、そういうものをしっかり確保いただいているのかどうか、あらかじめいろいろな準備をしていただかなきゃいけない事項、こういうものもお伝えをさせていただきながら、これからも連携をしっかりして、おっしゃられるとおり、大変大きなこれはオペレーションになってまいりますので、しっかりと、望む方々、国民の皆様方が接種できるような、そんな体制整備に努めてまいりたいというふうに思っております。

下村委員 早ければ来年早々という話もありますが、ぜひ地方自治体等現場に対してきめ細かく対応をお願いしたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の現状を見ると、新規感染者数は、全国的に、八月第一週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいの傾向となっておりますが、散発的なクラスターが発生するなど、依然として今後の感染拡大に留意が必要な状況が続いていると思います。そして、この後には季節型インフルエンザの流行期が控えており、発熱や体調不良を訴える方々が急増することも想定されます。

 そこで、いざそういうときに国民の行き場が困らないように、安心して地域の医療機関で検査や診察が受けられる体制の確保とその支援に全力で取り組んでいくこと、これは政府の役割と考えますが、対応策についてお聞かせいただきたいと思います。

 また、もう一つ。各医療機関、患者の減少等により経営状況が悪化したり、とりわけ小児科や耳鼻咽喉科などはその傾向が著しいという声も聞こえてきます。国民の健康と命を守るためには、身近な医療機関での受診機会がなくなるようなことは決してあってはなりません。新型コロナウイルス感染症の患者を診察する医療機関も、またそうでない医療機関も、地域医療を支える幅広い医療機関等への支援も実施すべきと考えますが、あわせてお考えをお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 これから秋、冬、もう秋も深まってまいりつつありますけれども、発熱患者がふえてくる。インフルエンザは、例年大体十一月ぐらいから始まって、十二月、一月ぐらいがピークになることが多うございますけれども、ことしは比較的、インフルエンザ、十月十九日から十月二十五日の定点での報告数を見ておりますが、昨年がこの期間、三千九百五十三あったのに対しまして、三十ということで、比較的少ない、百分の一ぐらいになっておりますが、しかし、これは安心できないわけでありまして、これから季節が向かってくるということでありますので、コロナの患者かインフルエンザの患者か、なかなか症状が似ておるということを考えますと、両方とも受け入れていただけるような検査・診療医療機関というようなものを、今各都道府県にお願いして、都道府県でも事情がそれぞれ違いますから、各地域で対応いただくようにというようなお願いをさせていただいております。

 まず、いつもかかっている医療機関に御連絡いただいて、それから行っていただくというような、そういうオペレーションを考えておりますけれども、最大一日どれぐらいあるかといいますと、かなりの数、検査件数がふえてくる可能性があります。平均しますと、一日二十万件ぐらい検査ができるような、これはインフルエンザのキットはございますけれども、コロナの方も抗原検査の簡易キットを今メーカーにお願いをいたしておりまして、しっかりと、国民の皆様方、発熱されても安心して医療を受けられるような、そのような体制を整備すべく、今、それぞれの自治体にお願いを、また医療機関にお願いをさせていただいております。

 それにあわせて、医療機関への支援というもの、これは確かに今まで、一次、二次補正で一・八兆円、そして予備費から一・二兆円ということで三兆円用意をさせていただきながら、例えばコロナでいろいろと対応いただいている医療機関は、最大は診療報酬を五倍ぐらいまで引き上げながら、また、どうしてもベッドを用意しておかなきゃなりませんので、そういう空床の補償的なものも単価を上げさせていただきながら対応してまいりました。

 ちょっと執行が遅いじゃないかというお話もございましたので、都道府県に再度お願いをして、どうしても都道府県経由になるものでありますから、お願いをして、十月には配られ始めているということであります。これからもしっかり注視してまいりたいと思います。

 あわせて、言われましたとおり、耳鼻科、小児科、コロナを直接診られていない医療機関も含めて非常に経営が厳しいというお話もお聞きいたしております。地域によっても違いますし、診療科によっても違うと思いますが、これはレセプト等々でもいろいろと状況はわかりますので、状況を我々も把握しながら、やはり地域医療機関がもしものことがあれば健康を国民の皆様方は保てないわけでありまして、しっかり支援していく体制を整えてまいりたいというふうに思っております。

下村委員 国民にとって国が最も安心、安全であるかというのは、自分の地元にきちっとした医療機関がある、存続しているということだと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、現在進めている感染症対策が功を奏して仮にコロナ危機が収束したとしても、現実的に冷徹な事実として見ておくべきは、人類は今後、いつ何どき新たな感染症が襲来するかわからないということであります。どのような感染症が発生しても持続可能なレベルの経済活動を維持できる新たな政治、経済、社会、文化のあり方、ビジョンを明確にし、早急にその社会の構築に取り組む必要があります。

 その重要な要素の一つが、まずはデジタル社会の実現だというふうに思います。

 デジタル社会の推進は、規制改革と成長戦略の両面から、社会生活の抜本的な転換につながる大きな可能性を有しており、国民一人一人が安心してデジタル技術を利用し、その便利さを実感することが必要です。しかしながら、今般の新型コロナウイルスへの対応においては、各種給付の煩雑な申請手続やテレワークの対応、あるいは国や地方自治体のデジタル化のおくれなど、さまざまな課題が浮き彫りとなりました。

 個別の問題の洗い出しや具体策を検討していくことはもちろん必要ですが、同時に、国民の皆さんの理解と協力、そしてチャレンジ精神が不可欠だと思います。そのために、個々の取組の前に、政府が目指す社会像を提示する必要があると思います。

 平井大臣、今後の取組について、どのような社会になるのか、まず最初、国民の皆さんにとってわかりやすい説明をしていただければと思います。

平井国務大臣 質問ありがとうございます。

 まず、IT基本法の抜本改正で、なぜデジタル庁をつくらなきゃいけないのか、どのような社会を目指すのかというようなことをちゃんと国民に説明して、その後、そのデジタル化のプロセスを徹底的に透明化しながら進めていきたい、そのように思います。そして、総理から言われているのは、かつてないスピード感を持って取り組めということですから、約一年で新しい庁をつくるという、これは本当に挑戦になると思いますが、全力を尽くしたいと思います。

 そして、究極的に目指すのは、デジタルを意識しないデジタル社会というものだと思います。というのは、圧倒的に便利になるという社会でないと、国民が、これから高齢化も進みますし、いろいろな社会問題を解決していく上で、デジタル化が我々が生きているこの空間を圧倒的に便利にする、人に優しい社会をつくるという意味で、ありとあらゆる技術を使わなければならないというふうに思っています。

 ですから、最終的に目指すのは、場所や年齢などを問わずに、いろいろな選択肢を持ちながら質の高い生活を送ることができる、そして、いろいろなものの効率化によって確保できる新たな時間を、更にそれぞれが皆さんの価値観に基づいて有効に使えるような時間を与えられるようにしたい、そのように考えております。

下村委員 特に高齢者、アナログ世代はデジタルだけでちょっと拒否反応を示すというところがありますので、ぜひデジタル弱者の視点に立って進めていただきたいと思います。

 政府は、デジタル化の利便性を実感できる社会をつくるため、官民問わず能力の高い人材を集め、社会全体のデジタル化をリードする強力な組織を立ち上げることが必要と考えて、デジタル庁の設置を今検討しているわけでございます。

 このデジタル庁は、各省庁、さらには日本全体のデジタル化を牽引する強力な司令塔機能を持たせることによって、かつ、デジタル庁そのものもみずからデジタル化施策を実行に移す必要があると思います。特に、デジタル関連予算の一元化、抜本的な人員数の確保、各省庁間あるいは国と地方の間のシステム連携におきましては、さまざまな抵抗、反発も予想されると思います。断固たる覚悟で各省庁の権限移譲に取り組む必要があると思います。

 政府のお考え、改めて総理の不退転の決意、お聞きしたいと思います。

菅内閣総理大臣 役所に行かずともあらゆる手続ができる、また、地方にいながら都会と同じような生活ができる、こうした社会の実現を目指して官民のデジタル化を加速していきます。同時に、高齢者の方々も含めて誰でも使いやすいサービスになるように、丁寧に説明をしていきたいと思います。

 そのため、行政の縦割りを打破して大胆に規制改革を断行する突破口として、このデジタル庁を創設いたします。社会全体のデジタル化に責任を持って取り組むために、各省庁が持っている権限を含めて、権限をしっかりと付与していきたい、このように思います。

下村委員 デジタル庁に人とそして財源と権限を集中することによって、一気呵成に、来年はこの関係だけでも十本近い法律案が準備されるという状況ですので、しっかり自民党としても応援をさせていただきたいと思います。

 デジタル化とは、単に新しいツールを使うということではないというふうに考えております。デジタル化を進めるということは、社会を変革する、世界を変えるというのと同意語で考える必要があるのではないか。ダイナミックな歴史的転換に恐らくなっていくであろうと思います。このデジタル化の波は、行政の世界にとどまらず、世界じゅう全ての分野に大きな変革をもたらすものではないかというふうに思います。

 この問題に対処するためには、産業や事業のあり方を転換していくのと同時に、AIやDXによって仕事を失う人に対して、AIやDXによって置きかえられる新たな高度な知識、能力を持った方々を養成していく、それが国としても必要なことだと思います。

 このような能力開発を行う社会的仕組みづくりが急がれておりますが、政府の対応について総理にお聞きしたいと思います。

菅内閣総理大臣 デジタル化やAIなどが働く人に求められるスキルを急速に変化させておりますので、こうした中で、技術革新と産業界のニーズ、これに合った能力開発を推進していく、その必要があるわけであります。

 政府においては、高度なスキルの習得も含めて、個人の学びを促進するための教育訓練給付金制度、これによる支援、さらには企業による人材育成を支援するための助成、こうしたものを通じてリカレント教育を推進することで、個人に求められている能力、スキルを身につけられるようにしっかりと支援をしていきたいと思います。

下村委員 人生百年の時代の中で、また終身雇用制も、これから世の中が大きく変わっていく中で大きく変化してくると思います。学びは二十二歳ぐらいまでということでなく、学びながら働き、働きながら学ぶというリカレント教育、職業訓練をあわせたバックアップを政府としてもぜひお願いしたいと思います。

 そして、このデジタル化は、今現在の教育の現場でも求められているというふうに思います。教育の最大の目的は、子供たちに生きる力を身につけてもらうことです。そして、デジタル社会を目指しているからこそ、それにふさわしい教育が求められます。しかし、それにかかる費用は、ノートや鉛筆などとは比較にならないほどかかるわけであります。

 デジタル社会を生きていく子供たちを誰一人取り残すことなく、生まれた家庭や地域の経済財政状況に左右されない教育を実施していくため、政府では、令和元年度と令和二年度の二度の補正予算で合計四千六百十億円を投じ、GIGAスクール構想を急ピッチで進められ、いわゆる一人一台端末については今年度中の整備完了のめどが立ったところでありますが、環境、特に通信環境の整備、それから末端活用に向けた人的支援、これはまだまだ道半ばだというふうに思います。

 日本全国で漏れなく、スピード感あふれる環境整備や人的支援が求められておりますが、萩生田文科大臣に今後の取組についてお聞きしたいと思います。

萩生田国務大臣 文部科学省としては、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、GIGAスクール構想の実現として、本年度中に一人一台端末を実現するなど学校のICT環境整備を進めているところです。

 このGIGAスクール構想の実現を確実なものにするためには、今先生から御指摘をいただいたように、端末を配って終わりではなくて、通信費用をどうするかなどの新たな課題も当然ついてくることと思います。

 まずは、各自治体が安価でかつ円滑に学校ICT環境を整備し、きちんと維持できる管理体制というものをつくるための支援、それから、独立行政法人教職員支援機構における各地域でのICT活用に関する指導員の養成研修の充実、また、各教科等の指導におけるICTの効果的な活用に関する参考資料ですとか解説動画の作成や提供などについて、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 文部科学省としましては、令和の時代のスタンダードとしての学校ICT環境を早急に実現し、学校でのICT活用が当たり前である環境をつくり上げるため、引き続き、ハード、ソフト、人材を一体とした整備を進めてまいりたいと思います。

下村委員 タブレットを導入することによって個別最適化教育がより効果として実現し、これまでの学習時間の二分の一の学習時間で達成しているというデータも出ていますが、このことによって、逆にデジタル化、地域間の格差につながらないように、しっかり文部科学省としてもフォローアップをしていただきたいと思います。

 そして、このデジタル化を始めとする歴史的な社会変革を実現するためには強くしなやかな行政組織が必要であり、そのためには、菅政権が掲げる縦割り行政の打破がぜひとも必要だと思います。ただ、こうした霞が関改革を始め全ての改革においては、制度の改革を中心に置きながら、ここにおいても、人材の育成、これを並行して進めなければ、長期的に見て有意義な成果を生み出すことは難しいのではないかというふうに思います。縦割り行政の打破と霞が関改革を進めるためには、官僚の意識改革と国民のために働く官僚の育成、これを戦略的に進めていくことが必要ではないかと思います。

 河野行革大臣ということで改めて提案をしたいと思うんですが、具体的に、省庁ごとの採用という現在の人材採用方式を抜本的に見直し、全省庁一括採用という人材採用方式導入を考えられないか。それから、省益のために働く官僚が評価されるという評価制度ではなくて、国民のために働く官僚が評価される、そういう評価制度への転換を通じて官僚の意識改革を行えないか。さらには、国民の税金を多く使った官僚が評価されるというふうな評価制度ではなくて、最小の税金で最大の行政改革を上げた官僚が評価される、そういう評価への転換にできないか。これらを通じて官僚の意識改革を行っていくことが同時に必要ではないかと思います。

 こうした人材採用方式の導入、それから評価制度の転換は簡単なことではありませんが、河野大臣には、ぜひとも、この霞が関改革、あわせて人材育成も含めて対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 全省庁による一括採用というのは、これは一案だと思います。これまでもそうしたことが提唱されてまいりました。

 ただ、問題は、私は霞が関で農業をやりたいとか外交官になりたいという本人の希望もあるわけですし、昨今の行政にはかなり高度な専門性も求められる、その相反するものをどう調整していくかというのは極めて重要だと思います。

 また、人事評価についても、考えなければいけない部分というのは多々あるというふうに思っております。特に、今、下村委員おっしゃったような、予算を最大限効率化して最大の効果を上げるというものをどう評価していくかというのは極めて重要だと思っております。

 ただ、一番大きな問題は、最近の霞が関、長時間労働であったり、あるいは、やっている業務にどれだけの重要性を官僚一人一人が感じているか、そうした問題が顕著になっている中で、まず霞が関の働き方改革を行って、家庭あるいはプライベートライフと仕事がしっかり両立できる、そして、自分が国のために重要性のある業務をやっているんだ、官僚一人一人がそういう働きがいを感じて仕事ができる、そういう霞が関を実現した上で、次のステップとして、今委員おっしゃったようなことをしっかり検討してまいりたいと思っております。

下村委員 霞が関における働き方改革は大変重要だというふうに思います。本来優秀な官僚の皆さんが、雑用に追われて結果的に二十代でも退職せざるを得ないというふうな人がたくさんふえるとしたら、これは我々の責任でもあるというふうに思います。

 自民党でも、河野大臣からの、あるいは平井大臣からの要請もあって、もう紙ベースではなくて、朝八時から開かれる部会は全部タブレットで対応する。このことによって、朝四時ぐらいから出勤して、一部会におき二百セットぐらいつくらなくちゃいけない、コピーしなくちゃいけないという作業が全くなくなりました。

 また、それぞれの役所との話合いもオンラインで対応するというふうな形を含めて、我々政治家も、あるいは自民党の方も、働き方改革に対してはしっかり協力をしていきたいというふうに思います。

 次に、学術会議についてお伺いします。

 日本学術会議の七十年の歩みをひもとくと、昭和四十年以来、検証と改革の歴史が常にありました。その時々の困難を乗り越える上で、科学の力、科学者の英知の結集に期待しながらも、学術会議の理想と実態との乖離を目の当たりにし、その都度、見直しが行われてきました。

 最初の大きな改革を見たのは、昭和五十八年。当時、科学者の一部が自分の選挙運動に奔走し、学術会議は設立の目的からほど遠い状態であったと言われております。選挙制による会員選出では学術研究の多様化、細分化に対応できないという問題も顕在化しました。

 そうした中、学術団体を基礎とする推薦制とするための法改正が行われたわけであります。会員となった科学者が、その職責を自覚し、学術会議が本来の役割を十分に果たさんことを願った改革であったのではないかと考えます。

 しかし、それでも十分ではない。平成十三年に行われた中央省庁等再編を始めとする橋本行革の中でも、そのあり方が再び問われることとなりました。会員となる学者の単なるステータス、名誉欲の発散の場、政府の行政改革会議の場ではこうした厳しい指摘があったと記録されております。科学技術政策の司令塔として内閣府に総合科学技術会議が創設をされ、日本学術会議は、その存在意義を含め、あり方が根本から問われることとなりました。

 その後更に、平成十六年に、改革をしなければならないという状態になりました。その基盤となったのが、総理が引用される、総合的、俯瞰的な観点から活動することを求めた総合科学技術会議の意見具申です。

 この改革では、推薦制の方式が改められました。新しい学術研究の動向に対応するためには、既存の学問体系やその勢力図から離れて会員が選出される必要があると考えたからであります。当時、会議からの提言が陳情的なものになっているということも懸念材料としてありました。

 このように、これまでの日本学術会議の歴史を振り返ると、常に、会議の機能、役割と、それを支える会員の人事のあり方が一体として議論されてきております。今回も、アカデミアのあり方や政府の関係、その機能や役割、会員に期待する役割、必要な事務局能力あるいは事務局機能など、党としても見直しPTをつくり、しっかり議論していきたいと考えております。

 政府においても、これまでの改革の精神を受け継ぎ、今回の会員任命をそれだけの問題に終わらせず、日本学術会議が国民に理解される存在となるよう、その機能、役割についてもしっかりと見直しを行う必要があると考えますが、官房長官に認識を伺います。

井上国務大臣 日本学術会議担当の大臣として、私の方から答弁させていただきます。

 委員おっしゃるとおり、日本学術会議にさまざまな課題が存在をしており、そのあり方の検証、見直し、大変重要な課題だと考えております。日本学術会議が本来発揮すべき役割を適切に果たし、国民の皆様に理解される存在であり続けること、これが重要と思います。

 日本学術会議の梶田会長からも、学術会議の提言機能や情報発信力、国際活動などにおいて検討すべき課題があると伺っており、解決に向けた道筋をしっかり検討いただけるよう、私から会長にも要請しております。しっかり連携をして、学術会議のあり方について、ともに未来志向でしっかりと検討してまいりたいと思います。

 なお、自民党のプロジェクトチームについても承知をしておりますので、そこでの議論についても参考にさせていただきたいと思います。

下村委員 総理やあるいは井上担当大臣が、梶田会長との間で、日本学術会議をよりよいものにしていこうという合意のもとで対話を進められているということについては高く評価をしたいと思います。ぜひしっかり進めていただきたいと思います。

 先日の所信表明演説で、総理はグリーン政策を一つの柱として掲げられました。中でも、温暖ガスの排出量を二〇五〇年に実質ゼロとするという目標は、地球温暖化対策に取り組む姿勢を国際社会にアピールする十分に野心的なものと言えると思います。

 地球温暖化は、生態系や産業に大きな影響を及ぼすばかりか、近年の自然災害の原因となっているという指摘もあり、人類共通の課題です。本当に実質ゼロを実現するとなれば、さまざまな技術革新や国民、産業界の理解や協力も不可欠ですが、同時に、その過程で生まれた新たな技術は、そのまま我が国の成長力、国際競争力にもつながります。

 三十年後の目標達成に向け、どのような取組を進めていかれるお考えか、総理の決意をお聞きしたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、さきの所信表明演説の中で、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会を宣言いたしました。そのためには、温暖化への対応を経済の制約と考えるのではなくて、積極的に温暖化対策を行うことを成長戦略として捉えていくことが必要、イノベーションをしっかりと行っていくことが大事だというふうに思っています。この挑戦を産業構造や経済社会の発展につなげて、経済と環境の好循環、こうしたものをつくっていきたい、このように思います。

 先週三十日、地球温暖化対策推進本部、全閣僚が出席しまして行いました。ここで、閣僚がまさに一丸となって取り組むように、こう指示をしまして、今後の具体的な方策については、成長戦略会議だとか、あるいは新たに国と地方の場、こうしたことにおいて集中的に検討を行って前に進めていきたい、こうしたことを全閣僚の中で指示をしました。

下村委員 この取組については、小泉環境大臣も非常に力を入れておられます。

 環境といえば、ともすれば規制や成長の足かせととられる時代がありましたが、今や環境政策が成長を引っ張っていく時代になってきた、到来したということが言えるのではないかと思います。ぜひ、小泉大臣から、具体的なビジョン、工程などについてお聞かせいただきたいと思います。

 もう一つ。また、この大事業をなし遂げるためには、エネルギー政策をつかさどる経済産業省の協力が不可欠です。これまで環境省と経産省は、必ずしも協力関係にあるとは言えない場面もありましたが、今や両省の協力は待ったなしです。

 ちなみに、菅総理がこのことを所信表明演説で訴えられたその日に、党の方に環境省とエネルギー庁に来ていただきましたが、一緒に来たのは初めてだということでありまして、これまで全く縁がなかったということでありますから、この際、梶山大臣からも、今後の取組に向けた決意をそれぞれお聞かせ願いたいと思います。

小泉国務大臣 まず、総理が今回、二〇五〇年のCO2実質排出ゼロ、この宣言をされた意義は、国際社会にとっても非常に大きなニュースになっております。

 総理の所信表明の順番は、一にコロナ、そして二にデジタル、三にグリーン。これは、ヨーロッパでは今グリーンリカバリーというふうに言われていますが、私は、菅政権というのはグリーンリカバリー政権だというふうに捉えて、環境大臣の立場は気候変動対策の全般をまとめ上げる立場ですから、今、下村委員から御指摘のあったように、経産省ともしっかりと連携をしてやっていきたいと思います。きょうの座席もそのあらわれだと思います。

 今後、環境省としては、経産省を含めて関係省庁と一丸となって進めますが、まずは、我々としては、地球温暖化対策推進法、この法律の見直しの検討も深めて、そういった中でしっかりと具体的な施策を位置づけていきたいと考えております。

梶山国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルへの挑戦は、日本の成長戦略そのものであると考えております。あらゆるリソースを最大限投入し、経済界、産業界とともに経済と環境の好循環を生み出していく、そういったことができるように連携をとってまいりたいと思っております。

 その実現に向けましては、温室効果ガスの八割以上を占めますエネルギー分野の取組が特に重要であると考えております。また、鉄鋼や化学などの産業分野も、革新的なイノベーションを推進し、製造プロセスを大きく転換をさせていく必要があります。エネルギー産業の全体を俯瞰して取り組むことが重要であると考えております。

 二〇五〇年に向けた道筋は、経済産業省において年末を目途に示してまいりたいと考えております。具体的には、カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な水素、蓄電池、洋上風力、カーボンリサイクルなどの分野において、具体的な目標年限やターゲット、規制や標準化などの制度整備、社会実装を進めるための支援策などを盛り込んだ実行計画を年末までに取り組んでまいりたいと思っております。高い目標に向かって大胆な投資を行う、そして果敢に挑戦していくという企業に対しては、国も長期間にわたって支援していくことを検討したいと思っております。

 同じものをつくるにも、その手段、方法が変わってくる可能性があるという中で、しっかりとしたイノベーションのために、環境省と連携をとりながら取り組んでまいりたいと考えております。

下村委員 この脱炭素社会を考えるとき、今、梶山大臣は言及されませんでしたが、私は、原発の問題はもう避けて通れないのではないかと思っております。必要なエネルギーの全てを再生可能エネルギーで賄うのが理想ではありますが、直接的にそこにたどり着こうとすれば、二〇五〇年カーボンニュートラルそのものが絵に描いた餅になりかねないのではないかと思います。安全性を最優先にしながら原子力を利用し、再エネと原子力、さらには省エネでまずは脱炭素社会を実現する、そして、その先に、より再エネにシフトしていくというのが現実的な道筋ではないかというふうに私は思います。

 原子力エネルギーの利用を今後も続けていくのか、どの段階で利用を終えるかについては、最終的には国民の皆さんが判断することになりますが、いずれにしても、重要な戦略、きょうは二つ申し上げたいと思います。

 まず一つは、原子力の安全性を高めていく戦略です。将来、原子力エネルギーの利用を縮小していくにしても、現実に存在している原子力発電所、核燃料サイクル施設、使用済み燃料、放射性廃棄物などの安全性を高めることは必要不可欠の課題です。一方、原子力の将来が不透明であるため、優秀な技術者人材が原子力産業から離れていくことは、原子力の安全性を維持していくためにもゆゆしき問題だというふうに思います。

 したがって、原子力発電所、核燃料サイクル施設、使用済み燃料、放射性廃棄物などの安全性を不断に高めていく技術と事業、そして産業を明確なビジョンとして掲げ、戦略的に育成していく必要があるのではないかと思います。いわば原子力環境安全産業と呼ぶべき産業を官民の力を結集して育成していくことを提案したいと思います。

 この産業は、当然のことながら、除染などの環境修復、福島原発の廃炉解体、放射性廃棄物の処理処分、環境モニタリングなどの技術を用いて福島の復興にも貢献する産業であり、将来寿命が来る原子力発電所や核燃料サイクル施設の廃炉解体にも不可欠な産業ではないかというふうに思います。

 もう一つは、原子力政策の柔軟性を高めていく戦略です。原子力エネルギーは、一定のレベルで続けていくにせよ、縮小していくにせよ、政策的柔軟性が担保されていることが重要です。今後、エネルギー需要をめぐるさまざまな変化に柔軟に対応できるようにするためには、従来の核燃料サイクル方式の政策も続けながら、一方で、欧米では一般的になっているワンススルー方式の政策の導入を検討することによって、将来の原子力政策の政策的柔軟性を確保することが必要ではないかと考えます。

 これら二つの戦略について、梶山経産大臣はいかがお考えか、お聞きしたいと思います。

梶山国務大臣 まず、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現のためには、現在ある電源、全ての手段や技術というものを駆使していかなければならない、その前提で取り組んでいかなければならないものだと思っております。

 そして、原子力の利用に当たっては、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させることは当然であります。原子力発電を利用する以上、使用済み燃料が発生をいたします。使用済み燃料については、高レベル放射性廃棄物の量の減少や有害度の低減、資源の有効利用の観点から、再処理することが我が国の基本方針、閣議決定しているエネルギー基本計画に基づき、使用済み燃料の管理も含め、安全確保を大前提に核燃料サイクルを推進していくという方針であります。

 この一環として、最終処分については、再処理に伴い発生する高レベル放射性廃棄物について、国が前面に立って取組を進めているところであります。

 他方、今委員から御指摘がありました、将来の幅広い選択肢を確保する観点から、従来より、エネルギー基本計画に基づいて、直接処分についても調査研究を進めているところであります。御指摘のとおり、柔軟な対応を可能とする観点からも、こういった調査研究というものを着実に進めてまいりたいと考えております。

下村委員 国民の視点に立って、なおかつ安全に、しかし、地域で認められたものに対して有効活用しながら、しっかり対応していただきたいと思います。

 次に、地方財政についてお伺いしたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症への対応におきまして、対策の最前線に立っているのは地方自治体であります。感染が拡大して以降、各地方自治体においては、住民の命と生活を守るため、感染症の拡大防止や雇用の維持などに全力を挙げて取り組んでいただいており、改めて敬意を申し上げたいと思います。

 国としても、地方負担に対しては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等により措置を講じておられるわけであります。

 他方、本年度、多くの地方自治体においては、地方税収が当初の見込みよりも減収する中で、これまで積み立ててきました財政調整基金の取崩しを余儀なくされるなど、厳しい財政運営を強いられている状況があります。

 さらに、大規模な自然災害の発生が相次ぐ中、住民の命を守るための防災・減災、国土強靱化、その推進も必要な課題であります。

 来年度も地方税収等が落ち込むことが予想される中、予算編成に不安を感じている地方自治体も多いのではないでしょうか。こうした状況を踏まえ、本年度の地方自治体の税収減、さらには来年度の財源確保について、総理のお考えをお聞きしたいと思います。

武田国務大臣 先生御指摘のように、コロナ禍において地方税の税収が非常に落ち込んでくるということは予測されたことであり、また、各地方においては、感染拡大防止策に大変な財政出動を伴っている、大変な苦労があるわけであります。

 そうした中、安定的な行政サービスというものを継続していくためにもいろいろな手を打たなきゃならないわけですけれども、当面の資金繰り対策として、地方税の猶予に対する猶予特例債を創設する、そしてまた、地方債の中における公的資金、これをどんどんふやしていくということも、我々としては対策として行っているところであります。また、地方税の減収に対する減収補填債、これに対する対象税目というものも今からふやしていくこともあわせて検討をさせていただいております。

 いずれにしましても、こうした厳しい状況の中であっても、感染症拡大対策、そしてまた地域経済の活性化というものは両方しっかりと対応していかなくてはなりませんし、先ほど御指摘の、災害大国日本の中において、防災・減災、国土強靱化政策というものもしっかりとやっていかなくてはなりません。骨太の方針に従いながら、一般財源総額のしっかりとした確保に今後努めてまいりたい、このように考えています。

下村委員 質問の最後に、コロナ後の国際秩序について触れ、質問したいと思います。

 今、国際社会では、米中対立の先鋭化を始め、各国がポストコロナの国際秩序のあり方を模索し、影響力を行使しようとする動きが活発化しております。デジタル監視型、国家資本主義型の新しい国際秩序の登場によって、自由で開かれた国際社会で各国の相互理解とルールのもとに国益を追求する従来の国際協調システムが揺らぎつつある状況があります。

 総理は、先月、就任後初の外遊先としてベトナム及びインドネシアを選択し、両国との首脳会談を行われました。国際社会の先行きが不透明を増す中にあって、安倍前総理が提唱し、かつ菅総理が継承した自由で開かれたインド太平洋構想の実現がますます重要性を帯びてきております。

 先月東京で開催した日米豪印外相会談におきましても、同構想を推進していくことで一致しました。自由、民主主義、法の支配、人権などの普遍的価値を共有する四カ国の鉄の結束は、地域の平和と安全のかなめとして、域内外の諸国から大きな期待と支持が寄せられたのではないかと思います。

 そのような中で、ASEAN諸国は、インド太平洋地域において地政学的に重要な位置を占めており、また、近年の南シナ海をめぐる情勢、コロナ禍で明らかになったサプライチェーンリスク等も踏まえれば、その動向は非常に重要な意味を持ちます。

 今月中旬にはASEAN首脳会議等も控える中で、今回の外遊の意義と狙い、そして成果について、総理にお聞きいたしたいと思います。

菅内閣総理大臣 インド太平洋地域の中心に位置するASEANは、まさに自由で開かれたインド太平洋、その実現に向けてのかなめであると思っています。

 今般のベトナム及びインドネシア訪問では、インド太平洋国家である日本として、地域の平和と繁栄に貢献をする、その意思を明確に発信することができたと思います。そしてまた、フック首相、ジョコ大統領は、ASEAN関連首脳会議に向けた連携も含めて、対面でじっくりと会談をしてきました。そして、意見交換をし、首脳間の信頼関係を構築することができたというふうに思っています。

 今後とも、地域、国際社会の課題解決に向かって積極的にリーダーシップというものを発揮していきたい、このように思います。

下村委員 世界は今、さまざまな変化のときを迎えております。アメリカの大統領選挙も間もなく結果が出るのではないかというふうに思います。

 こうした転換期にあっては、その趨勢を的確に捉え、国際社会の中で主導的な役割を担いつつ、国益を確保していくことが重要であります。そのためには、今後、世界がどのように変わっていくのか、日本が世界の中でどのような存在を目指すのか、我々自身がそのビジョンをきちっと描いていかなければならないと思います。

 そこで、総理にお聞きします。総理は、今後の世界の趨勢、いわば新しい世界地図をどのように描いておられるのか。また、その中で日本が生き抜いていくためには、どのような国家戦略、取組が必要だとお考えでしょうか。

茂木国務大臣 今、新型コロナの国際的な蔓延によりまして、今まで以上に国際協調が必要でありますが、下村委員御指摘のように、米中の対立であったりとか、さまざまな形で自国中心主義が広がる、こういう大きな課題を抱えておりまして、そういった中で、ポストコロナの国際秩序をどうつくっていくか、極めて重要な課題だと思います。

 一つは、通商の分野で、先ほど総理がおっしゃったような自由な貿易圏をどう広げていくか。さらには、デジタル社会が広まる中で、デジタルのルールづくりをどうやっていくか。さらには、人の移動であったりとかさまざまなものをコロナの感染防止と両立する形で進めていくということも重要だと思っております。

 そんな中、日本は、TPP11以来、まさにこういった、自由で、そしてまたハイレベルの経済圏拡大、こういったことに取り組んでおります。

 さらには、データ流通の分野では、昨年の大阪G20で示しました大阪トラックの自由なデータ流通のルール、これもこれから日本を中心につくっていく。こういった国際ルール、国際秩序づくりにおいて日本が中心的な役割を果たしていくということは極めて重要であると思っております。

 そして、その大きなコンセプトになってくるのが、先ほど総理のおっしゃられた自由で開かれたインド太平洋。日本が提唱し、そしてQUAD、米国、豪州、インドを巻き込み、さらには中心にある東南アジアの国々、さらにはこれを中東やアフリカまで広げていく、こういった取組をしっかりと各国と協力しながら進めてまいりたいと考えております。

下村委員 安倍前総理が、世界の中で我が国のプレゼンスを大きく高めたという大変な貢献をされたというふうに思います。

 こういう国難のときだからこそ、菅政権が、コロナ禍ですからなかなか海外にはそうは行けませんが、しっかりと日本のプレゼンスを高めながら、まずは経済力をコロナ禍であっても回復をしながら、世界の中で、協調体制の中で、日本が大きなリーダーシップをとれる国として菅総理先頭に発展されることを、また我々もしっかり支えていくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金田委員長 この際、小渕優子君から関連質疑の申出があります。下村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小渕優子君。

小渕委員 おはようございます。自由民主党の小渕優子でございます。

 このような貴重な機会、質問の機会をいただきましたことを、委員長始め皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問に移らせていただきたいと思います。

 本日は、少子化対策、女性活躍、財政、エネルギー、外交と聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、少子化対策について質問をいたします。

 申し上げるまでもなく、少子化は、日本が抱える最重要課題の一つであります。総理は、所信表明演説の中で、少子化対策に真っ正面から取り組み、大きく前に進めてまいりますと力強く宣言をしていただいています。

 菅総理にお伺いいたします。

 新型コロナウイルス感染症が問題となっているこの状況下で、より一層この少子化対策、難しくなっているものと思われます。改めて、総理の少子化対策にかける御決意、お伺いさせてください。

菅内閣総理大臣 子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添って、その切実な願いに応えるために、不妊治療への保険適用を早急に実現するように、それと同時に、それまでの間は、現在、助成措置で対応していますけれども、これを大幅に拡充をしていきたい、このように思います。

 こうした不妊治療の経済的負担の軽減に加えて、不妊治療の効果という点では、一般に、年齢を重ねることによって低減していく、こういう報告もあります。不妊治療をする上に当たっては、年齢と妊娠や出産との関係について正しい知識を普及させるとともに、重要な視点であると考えています。また、自治体においては、高校や大学なども活用した普及啓発活動、これも行っているところもあり、こうした取組なども踏まえながら、より効果的な普及啓発に努めてまいりたいと思います。

 さらに、勤労世代の方にとって、不妊治療と仕事の両立も重要な課題であり、事業主、労働者、それぞれに向けた周知啓発、これにも取り組んでいきたいと思います。

 また、議員が今御指摘のとおり、さまざまな方に対する多角的なアプローチが重要だと考えており、子供を持ちたいという願いを実現していただけるよう、引き続き、総体的にこうした取組をしっかり展開をしていきたいというふうに思います。

小渕委員 ありがとうございました。

 菅総理には、国民の皆様から大変高い支持が集まっております。やはり、その理由として、今不妊治療のお話がありましたが、まさに国民目線の政策、そしてその実行力というものに期待が集まっているというふうに思います。ぜひとも、少子化に対しましても、引き続き力強い総理のリーダーシップをよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、このコロナ禍における少子化問題について質問をさせていただきます。

 厚生労働省によると、ことしの五月から七月の各自治体が受理した妊娠届出数、これは前年同期比で約一割減となっています。来年出生する子供の数は大幅に減少することが予想されます。新型コロナウイルス感染症の不安がある中で、なかなか希望と安心感を持って子供を持ちたいと思えるような心境にならないというのが国民の心理の中にあるのではないでしょうか。産み控えといいますか、今は少し様子を見よう、そのような動きもあるのかもしれません。

 そこで、田村厚生労働大臣にお伺いいたします。

 新型コロナウイルス感染症のもとでの妊娠、出産について、現状認識はいかがでしょうか。

田村国務大臣 母子保健法十五条の規定で、妊娠した方々に届出をしていただくことをお願いいたしております。

 今委員おっしゃられましたけれども、八月の実施した調査結果、ここにありますが、五月が前年同月比一七・一%減、六月が五・四%減、七月が一〇・九%減ということで、平均すると一割からの減少ということであります。

 原因自体は分析し切れていない部分はあるんですが、大きな社会的変化ということを考えると、昨年と本年とを比べますと、やはり新型コロナウイルス感染症の拡大というものがございました。ですから、この影響というものが推測はされるわけであります。

 大変不安をお持ちだということもございますので、妊娠された方、そしてまた出産された後ですね、特に。こういう方々に対して、保健師の皆様方等々、いろいろと御相談に乗るべく、訪問したり電話等々での相談体制、これを二次補正で対応させていただいておりますが、もちろん助産師の方々もそうでありますけれども。あわせて、出産前という意味からいたしますと、PCR検査、これを分娩前の方々にしていただけるような、そんな体制整備もいたしております。

 全体を考えますと、やはり、この大綱等々も閣議決定していただいたわけでありますが、例えば、子育て世代包括支援センター、これの整備をしっかり進めていくでありますとか、それから、男性の育休の問題もあります。なかなか取得率、ふえてきてはおりますけれども、まだまだ足らない、こういうものに対してもしっかりと進めていくでありますとか、保育所の方も、今年度でいよいよ、三十万からの、三十二万ですか、整備の方が計画が終わります。この後に向かって、年末の予算編成等々で、さらなる次の計画に向かっての上積み等々も考えていかなきゃならない。

 今、いろんなことを総合的に考えながら、しっかりと対応できるように、とにかく、産みたい方々、育てたい方々がしっかりと子育てできる、そんな環境をつくるべく努力してまいりたいというふうに考えております。

小渕委員 ありがとうございます。今、田村大臣から大変丁寧に御説明をいただいたかと思います。

 今、病院は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐということで、お見舞いですとか面会ですとか、こうしたものが大変厳しく制限をされています。これはこれで、とても大事なことだと思います。

 ただ、出産となりますと、やはり人生においての大変大きな節目でもあります。妊婦さんの中には、里帰り出産がしたくてもできなかった、病院の選択肢の幅が狭まってしまった、あるいは、妊婦さんお一人で入院をし、お一人で出産をし、帰りは赤ちゃんと一緒に帰るというような状況であったというふうに伺っています。

 私がぜひ政府にお願いをしたいのは、どういう社会状況の中であっても妊婦さんが安心して出産ができる、国はしっかりサポートしているんだよ、応援しているんだよ、大丈夫だよという環境を整えてあげるということではないかというふうに思います。

 あわせて、現在、政府では出産育児一時金の引上げについての議論が始まっていると伺っています。環境整備を整えること、これもとても大事なことですが、あわせて経済支援も重要だと考えます。

 こうしたときだからこそ、今こそ、政府を挙げて格段の御配慮、田村大臣には応援の旗振りをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 里帰り出産のお話もございましたけれども、コロナ禍ということで、県境をまたいでの移動等々がいろんな形で抑制されたというようなこともあったんだと思います。一方で、お子さんを欲しいという声もいろんなアンケートで出てきておるということもあるので、そういう意味では、元来から、やはり産み育てられやすい環境、そういう環境をつくっていくことが大変重要なんだというふうに思っております。

 出産一時金のお話もございました。これに関しても、年末に向かって、今、医療保険制度の改革ということでいろんな議論をしておりますが、この中において、出産一時金、これに対してどうしていくべきかという議論もいただいております。

 いずれにいたしましても、先ほど来申し上げましたとおり、産みたい、育てたい、お子さんが欲しいと思われているそういう御家庭、そういう方々が安心して出産できる、子供を育てられる環境というものはどういうものなのかということを改めて我々はしっかりと認識しながら、全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

小渕委員 ありがとうございました。

 次に、このコロナ禍における女性の働き方について質問をいたします。

 現在、一人親世帯のうち約九割がシングルマザーの家庭です。厚生労働省によれば、コロナ禍において雇用や収入に大いに、また、ある程度影響があったと答えた一人親世帯は約四四%。また、もともとの月収と比較して収入が一割以上減少した一人親世帯は三〇%となっています。一方、非正規雇用で働く人の約七割が女性です。総務省の労働力調査によれば、ことし八月の非正規雇用の数は前年同月比で百二十万人減少しています。

 菅政権においては、安倍政権に引き続いてこの女性活躍を施策の重要な柱に掲げており、それはとても重要かつ評価されるものであります。意思決定の場や管理職に女性をふやすことももちろん大事ですが、社会変動があると真っ先にしわ寄せが来る女性たちについても目配りをし、支援する施策も必要だと思います。

 厚生労働大臣に具体的な支援策についてお伺いいたします。

田村国務大臣 女性がその能力をしっかりと発揮できる社会、これは菅内閣の中においてもしっかりと目指すべき方向性であるというふうに考えております。

 一方で、やはり、女性、これは男性と比べて非正規といいますかパート労働の割合が多いという、これは事実でありまして、そういう意味では、今回のコロナ禍において、特に飲食でありますとかサービス産業等々で働く多くの女性の方々、職を失われるということも起こってまいりました。

 特に一人親世帯のお母様方、大変な状況の中で、そういう中において、いろんな、子育ても含めて対応いただいているということでありまして、これに関しましては、与党からもいろんな御提案をいただく中において、臨時の特別給付金というような形で対応させていただいたわけであります。今も実は配っている最中という部分もあるわけでありますけれども。さらには、雇調金のみならず、特にサービス産業等々で働く方々、飲食業で働く方々は、なかなか事業主の方々が雇用調整助成金に対応できない、しづらいということもございましたので、休業支援金・給付金という制度を新たにつくりまして、こういう形でも今対応をさせていただいております。

 残念ながら職を離れられた方々は、マザーズハローワーク等々でしっかりと次の就職へのお手伝いをさせていただいたりでありますとか、また公共職業訓練等もあるんですが、一人親世帯の方々に関しては高等職業訓練促進給付金という制度がございまして、これは住民税非課税ですとたしか十万円、月々しっかりと支援をさせていただきながら、資格、特に看護師でありますとか、いろんな資格を取っていただいて頑張っていただく、こういう制度もございます。

 こういう制度の周知を図りながら、しっかり、窮地になられておられる、そういう女性の方々を支援してまいりたいというふうに考えております。

小渕委員 ありがとうございました。

 次に、不妊治療の質問をしようと思っておりましたけれども、最初の菅総理の少子化に対する御発言の中で大いに触れていただきましたので、次のテーマに移らせていただきたいと思います。

 続きまして、今後の財政運営についてお伺いをいたします。

 今年度に入り、新型コロナウイルス感染症の対応として、感染拡大を防止し、事業と雇用を守り抜くため、既に二回の補正予算を編成し、例えば特別定額給付金、持続化給付金、資金繰り対策など機動的な対応を行ってきました。その結果として、今年度の歳出規模は百六十兆円を超えています。

 コロナ禍において何よりも大切なことは、国民の生命と経済社会を守り、国民の不安を解消していくことが最優先であると考えます。さまざまな対応は、未曽有の危機の克服のために、非常時における必要な支出増だと考えています。大事なことは、この支出増が真に必要なものに配分をされること、特に、本当に困っている人に届いているか。また、例えばデジタル化や環境問題など、未来につながり、次の世代の投資となっているか。あるいは、人の命を救うことにつながっているか。その使い道をしっかり見ていかなくてはなりません。

 財政審の榊原会長が、将来世代に対して恥ずることのない歳出を旨とすべきと述べられているように、今こそ、将来を見据えた賢い支出、ワイズスペンディングや、選択と集中という大原則が大切と考えます。

 総理は、所信表明演説において、新型コロナウイルス対策と経済の両立という大変難しい課題に果敢に取り組んでいかれることを改めて表明されました。今後とも、コロナ対策に万全を期すとともに、経済回復を後押しするような財政運営に取り組んでいただきたいと考えています。

 麻生財務大臣に質問いたします。

 さまざまな対策によって歳出規模が大きくなっている現状だからこそ、今後の財政運営に当たり、選択と集中、賢い支出を行っていく必要があると考えます。御見解をお願いいたします。

麻生国務大臣 これは小渕先生、全く御指摘のとおりであって、今、経済再生と財政の再建化というものの両立を確実に進めて、新型コロナというこの国難というか危機を乗り越えて、次の世代に未来をつないでいく、これは我々の責任なんだと思っております。

 したがいまして、新型コロナのさらなる感染の拡大というのを防止しつつ、そして経済活動を再開していくという中で必要になる対応というのは、これは新型コロナというもののまだ収束とか全貌がよく見えてきていない段階で、緊急避難的な対応というものは当然やらなきゃいかぬですが、それから後の話というのも、おのずとそういう内容が異なってきますので、そういったものを考えた上でやらないかぬということだと思っております。

 したがいまして、これまでやった政策の効果というのをよく見きわめた上で、ポストコロナというものを考えて、経済の構造改革というか変化というものの対応とか、それによって人口減等に伴う対応をして、生産性を向上させるというような支援というものに重点化していくということが当然必要なのであって、したがいまして、構造変化に対応していない施策というものは、これは見直す。今言われましたワイズスペンディングとかスクラップ・アンド・ビルドとかいろいろな表現がありますけれども、そういったものを徹底していくべきであろうと思っております。

 したがいまして、人口減少がある程度不可避という状況が続いている中にありましては、持続的な経済成長というものを実現して、そのために規制改革とか構造改革とかそういったものを通じて、いわゆる潜在成長率というものを確実に高めていくということが必要なんだと思います。

 したがいまして、単に財政支出をふやせばいいというだけでは、そういう単純な話ではなくて、日本の経済とか財政が耐えられるような生産性の向上と、先ほど御質問にあったような少子高齢化、こういったものに対する構造的な課題というものに正面から取り組んでいかなければこの国の将来というものはなかなか描けてこないのではないか、そう思っておるところであります。

小渕委員 麻生大臣、ありがとうございました。

 私は、麻生大臣、平成の是清を超えて、もう令和の是清として大きく御活躍をいただけるものと大変期待を申し上げたいと思います。

 次に、社会保障についてお伺いをいたします。

 新型コロナウイルス感染症が世界で広がっている中で、我が国が諸外国と比較して人口当たりの死者数を低い水準で食いとめられているのは、その要因の精査は必要ではありますけれども、国民皆保険制度、これによる医療へのアクセスのしやすさ、また質の高さ、このおかげではないかと考えています。

 この社会保障制度について、総理は、所信の中で、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでまいりますと力強く宣言をされました。私も、この社会保障制度を、持続可能なものとして、次の世代にしっかり引き継いでいかなければならないと強く感じています。

 コロナの有無にかかわらず、我が国が抱えている課題として、少子高齢化による支え手の減少という厳然たる事実があります。二〇二二年には団塊の世代が七十五歳以上の高齢者となり始め、その後、その数は高どまりを続けることになります。こうした現状の中、社会保障制度について、国民の皆さんはどのように受けとめておられるでしょうか。

 日本世論調査会による先般の調査において、現在の社会保障制度について、安心できない、余り安心できないと感じられている方々は八三%に上るという結果が示されました。政治は、二〇二二年に始まる後期高齢者の急増を目前にして、こうした不安の声に応えていかなければならないと考えています。

 また、社会保障の大事な担い手である現役世代、この現役世代は、そもそも子育てや住宅ローン等で支出が多い上、近年、社会保険料の負担率は上昇の一途です。今般のコロナにより収入や雇用も不安定な状況になる中、現役世代だけではもはや支え切れないという状況に追い込まれているということも認識をしなければなりません。

 このような中で、年齢によって、こちらは現役世代です、こちらは高齢者ですと一まとめにしていくのではなく、全世代で支え合う、特に高齢者同士でもより支え合う、より助け合う、そうした視点を持つことが必要ではないかと考えます。

 田村厚生労働大臣に質問をいたします。

 高齢者医療の改革に当たって、どのような方向性、選択肢を持って進めていこうと考えておられるか、その御決意をお伺いしたいと思います。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

田村国務大臣 小渕委員、たしか自民党の財政再建推進本部のもとの小委員会の責任者であったというふうに記憶をいたしております。そこでも中間報告を出されたというふうにお聞きをいたしておりますけれども、私も、当時、本部のメンバーでいろいろな議論をさせていただいた記憶もございます。

 言われますとおり、全世代型の社会保障ということでありまして、人口構造が逆ピラミッドになっていっておりますから、そういう意味では支える側がだんだん減ってきておる、こういう状況があります。

 本年六月の全世代型社会保障検討会議でも、第二次中間報告において、本年末に最終報告を取りまとめる、こういう話になっておるわけでありまして、そういう意味では、どういう考え方かという話になりますと、やはり負担能力に応じた御負担、これはお願いをしていかなきゃならない。七十五歳以上の方々、いよいよもう団塊の世代の方々が入ってきておられますので、そういう方々がふえてくるという形になると、これから二〇二五年に向かって一定の方向性を我々は考えていかなきゃならぬというのは事実であろうというふうに思います。

 一方で、高齢者の方々の収入もよく判断しなきゃなりませんし、高齢者の方々はやはり加齢とともに医療を受ける機会がふえてくる。つまり、一人当たりの年間医療費、これは自己負担部分だけじゃなくて給付を含めたものでありますけれども、これもふえてくるわけでありまして、こういうものも含めた上で、負担能力に応じた負担というものはいかなるものであるかということを今御議論をいただいているわけでありまして、社会保障審議会の医療部会のもとで十二月末までに向かって検討していただき、一定の方向性をお示しをいただきたいというふうに思っております。

小渕委員 ぜひ田村大臣には、大変難題だと思います、しかし、持続可能性を維持した社会保障制度をしっかり引き継ぐという観点で、これからも医療改革にリーダーシップを持って取り組んでいただければと思います。また、御指導もどうぞよろしくお願いいたします。

 総理に質問をいたします。

 総理は、かねてより、目指す社会像として、自助、共助、公助、そしてきずなを打ち出されています。総理のおっしゃる自助とは、うまくいかなかった人は全て自己責任だというような冷たい自己責任論ではなく、まず自分でできることは自分でやるということで、もし仮にうまくいかなかったときは、それは共助、公助で助け合おう、支え合っていこうということであると理解をしています。

 まさに、こうした考えこそ、全世代による持続可能な社会保障制度の構築につながるものと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。

菅内閣総理大臣 今委員から言われたとおりでありまして、私自身の目指す社会というのは、自助、共助、公助、そしてきずなであります。まずは自分でやってみる、このことが大事だと思います。さらに、そういう国民の皆さんの創意工夫、そういうものを大事にしながら、家族や地域で助け合っていく、このことも大事だというふうに思います。そして、最後は国が守ってくれる、セーフティーネットで守ってくれる、そうした国家というものをつくっていきたい、このように思います。いずれにしろ、セーフティーネットがしっかりしている社会、そういうものを、安心、信頼される社会が大事だと思っています。

 社会保障制度についても同じでありまして、まずは国民一人一人が、仕事でも地域でも、その個性を発揮して活躍できる社会をつくっていく。その上で、大きなリスクに備えるという社会保障制度の重要な役割を踏まえて、各制度の非効率化や不公平を正していくことなどを通じて、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくという、そのことが大事だと思います。

 こうした考え方に立って、全世代型社会保障検討会議において、少子化対策や高齢者医療の見直しについて検討して、年末までに最終報告というものを取りまとめていきたい、このように思います。

小渕委員 ありがとうございました。

 それでは次に、テーマは大きく変わりまして、エネルギー、環境問題について質問をさせていただきます。

 先ほど下村政調会長からの質問にもありましたが、菅総理、所信表明演説で、二〇五〇年にカーボンニュートラルを目指すという宣言をされました。世界じゅうで気候変動に対する危機感が強まる中、日本がほかの先進国に遜色のない野心的な目標を掲げたこと、これに対して総理の覚悟を感じ、大変うれしく、心強く思っているところであります。

 カーボンニュートラルというと、CO2を全く出さないことだと受けとめる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではなくて、CO2を排出をしても、それをまた再利用したり貯蔵したりすることで全体としてCO2の排出量を抑えていきましょう、ふやさないようにしましょうということだというふうに承知をしています。

 私、現在、水素社会推進議員連盟の会長を務めております。同僚議員とともに、水素の利用拡大に向けていろいろ議論をし、取り組んでまいりました。特に、このカーボンニュートラルの達成に対しては、水素が重要な鍵になると考えています。これまで日本は、水素にいち早く着目をして技術開発を進め、世界をリードしてきました。しかし、近年、世界じゅうで水素の関心が急速に高まっており、日本が追い越されてしまうのではないかという危機感を抱いています。

 先ほどの下村政調会長からの、答弁でも梶山経済産業大臣から水素ということに少し触れていただきました。

 質問させていただきます。

 カーボンニュートラルの実現に向けた水素の重要性、また、各国の取組と比較した際、今、日本の立ち位置というものはどのようなものになっているのか、御説明をお願いいたします。

梶山国務大臣 小渕議員御指摘のとおり、この一年で、EUやドイツ、オランダ、オーストラリアなど、多くの国で水素の国家戦略が策定されるなど、世界で水素の取組が本格化をしているのが現実であります。

 他方で、日本は、二〇一七年に世界で初めて水素基本戦略を策定して、水素の供給コストの削減や需要創出のための取組を進めてきたところであります。

 具体的には、国内において、燃料電池車の普及に備え、官民一体で水素ステーションを整備するとともに、国際的には、世界で初めて液化水素運搬船を建造し、国際水素市場の創出に向けた取組を開始するほか、欧米の水素発電のプロジェクトに日本企業の技術が導入を予定をされているという取組が進んできているところであります。

 諸外国の勢いが増す中、競争も非常に熾烈なものとなってきておりますけれども、日本が引き続き世界をリードしていくために、技術開発や社会実装の支援を重点的に行ってまいりたいと考えております。

小渕委員 ありがとうございました。

 少し水素議連においての我々の活動についてお話をさせていただくと、水素というのは、石油やガスなどのエネルギーと違って、まだまだ私たちの生活の中で身近な存在というふうにはなかなか言えないのではないかと思います。ですので、議連においては、この水素の可能性をもっともっと多くの人に知っていただくことが大切だと考えてきました。

 その中で、議連の活動としては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックで聖火台や聖火リレーのトーチの燃料に水素を用いるという構想、これを支援してきました。また、東日本大震災からの復興に取り組んでいる福島県の浪江町、ここでつくられたCO2フリー水素、これによって、東京オリパラにおいて、水素自動車や水素バスをたくさん走らせたり、選手村においては電気や熱を供給する計画、こうしたものも後押しをしてきたところであります。世界から注目を集めるこのオリパラの機会に、日本の最先端の技術である水素、これをショーケースとして世界に発信する場にしたい、そのように考えております。

 来年に向けて、ぜひ、梶山大臣また橋本大臣始め、政府の皆様方の御理解とサポートをお願いをしたいと思います。

 また、カーボンニュートラルを達成していくためには、水素の活躍の場、これをもっと広げる必要があると考えています。

 例えば、製鉄所、化学工場、ここからは多くのCO2が排出をされています。しかし、鉄をつくる際、現在利用している石炭のかわりに水素を使うこと、また、発電所では、化石燃料のかわりに水素を燃料とすることでCO2の排出量は大幅に減らすことができると考えます。

 梶山大臣に伺います。

 水素をさまざまな場で活用するための技術開発、また、その先の社会実装、どのように進めていくのか、国としての方針をお示しください。

梶山国務大臣 水素につきましては、先ほども申し上げましたとおり、コストの削減をどうしたらいいのか、そして需要を広げるにはどうしたらいいのか、どちらが先かというのはいろいろありますけれども、製造や輸送や利用といった点で、そういったものをしっかりと開発をしていかなければならないと思っております。

 これまでも、世界で初めて策定した基本戦略の中で、燃料電池自動車や水素発電の導入による水素の利活用、そして、利用量や水素供給コストに関する具体的な目標を掲げるとともに、目標を達成すべく、企業の先進的な取組を支援をしてきたところであります。その結果、先ほど申し上げましたように、液化水素運搬船の建造や水素発電プロジェクトへの参画など、日本企業が国際展開を実現する成果が出始めてきているということであります。

 今後、カーボンニュートラルを達成するには、新たに水素の利活用が見込まれる産業部門、製鉄の部門では水素還元というような技術であるとか、そういったものもこれから大きな技術開発のテーマであると思っております。

 発電も含めた幅広いプレーヤーを巻き込みながら、最先端の技術開発や社会実装を進めていくことが重要となると考えております。

 そのため、二〇五〇年に向けた道筋を、水素分野も含めて、年末を目途に、具体的な目標年限やターゲット、規制や標準化などの制度整備、社会実装を進めるための支援策などを盛り込んだ実行計画をまとめる予定であります。

 二〇五〇年カーボンニュートラルへの挑戦は、日本の成長戦略そのものであります。あらゆるリソースを最大限投入して、経済界、産業界とともに経済と環境の好循環を生み出してまいりたいと考えています。

小渕委員 ありがとうございました。

 それでは、菅総理にお伺いいたします。

 今まで申し上げてきたように、二〇五〇年カーボンニュートラルという大きな目標の実現には、水素は欠かせない重要な役割を担うと考えます。総理のお考えをお伺いさせてください。

菅内閣総理大臣 水素は、二酸化炭素の排出をゼロにするクリーンなエネルギーであり、カーボンニュートラルの実現に向けて非常に重要な鍵である、このように認識しています。一方で、コストが高いという課題があるために、革新的なイノベーションを通じ、安価で大量に水素を供給するサプライチェーン、これを構築をしていくことが大事だと思います。これによって水素の利用を更に促進することで、産業構造や経済社会改革をもたらして、経済と環境の好循環をしっかりつくっていきたい、このように思います。

小渕委員 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、人の往来の再開について質問をさせていただきます。

 コロナの感染拡大によって、日本経済、世界経済、深刻なダメージを受けました。日本の四―六のGDPは前期比年率でマイナス二八%、これは戦後最悪の数字です。世界全体を見ても、IMFの予測では、ことしの世界経済成長率はマイナス四・四%、これは一九三〇年代の世界恐慌以来、最悪の数字となっています。

 特に落ち込みが激しいのは、運輸サービス、飲食、宿泊、小売といった業種であります。これらの業種は、国内はもとより、海外から人が来なくなれば当然大きな影響を受けます。九月の訪日外国人は、ことしは約一万三千人です。昨年は二百二十万人以上でありますので、もうこれは実に九九・四%のマイナスとなっています。

 私は、このウイズコロナの時代にあっても、日本は世界に開かれた国であり続けるべきだと考えます。オリパラを控えた日本にとって鎖国という選択肢はありません。

 ただ、他方で、欧州などで再び感染が広がっていると聞きますと、不安を覚える方も多いのではないでしょうか。国内に感染が広がらないよう対策を徹底し、国民の皆様の理解をいただきながら、段階的に往来の再開を進める必要があると考えます。

 そこで、茂木外務大臣にお伺いをいたします。

 大臣は、この間も精力的に海外出張をされ、人の往来再開に向けた交渉をしていただいています。各国との交渉はどのような状況にあるのでしょうか。また、現状で人の往来はどこまでできるようになっているのか、御説明をお願いいたします。

茂木国務大臣 まず、小渕委員おっしゃるように、今、日本だけではなくて、世界経済全体、落ち込み、深刻でありまして、四―六の数字、おっしゃっていただいたように二八・一。十二年前のリーマン・ショックのときは一七・八でしたから、それと比べても圧倒的に大きい数字でありまして、しかも、リーマン・ショックのときは先進国がマイナス、しかし、途上国、新興国はプラスという状況でしたが、今回は残念ながら全体がマイナス。そういった中で、内需もそうなんですが、やはりインバウンドも含めてどういった形で貿易や人の往来を再開していくか、経済の再生の面からも極めて重要だと考えております。

 小渕委員のお父様、外務大臣もお務めになった小渕恵三元総理、常々、諸外国との関係、これは政府間の関係の強化もあるんだけれども、経済界の交流であったり青少年を含めた人々の交流、これがまさに基盤をつくって強化をしていくんだ、こういう話をされ、また実践をしていた、このように考えているところであります。

 現在、コロナの影響でなかなかそれができないところでありますが、それを順次拡大させるべく、私も例えば東南アジアの国を回った際に、また、総理も先日ベトナムを回った際にビジネストラックについて合意をする。一つ一つ段階的に、試験的に、新型コロナの感染拡大の防止と両立する形での人の往来の再開というのを進めておりまして、具体的に今協議を行っているのが、十六の対象国、地域と協議を進めておりまして、その結果、長期滞在者とビジネス等の短期滞在者に分けられるんですが、まず、長期滞在者を念頭に置きましたレジデンストラックにつきましては、タイ、ベトナム、カンボジア、マレーシア、ミャンマー、ラオス、台湾、シンガポール、韓国、ブルネイの十カ国・地域との間で既に開始をしておりまして、また、ビジネス関係者など短期の出張者を念頭に置きましたビジネストラック、これにつきましては、シンガポール、韓国との間で既に開始しておりますが、昨日からは、これがベトナムとの間でも、菅総理、フック首相の合意に基づいて開始されたというところであります。

 また、やはり圧倒的に人の来訪が多いのは中国でありまして、この対中国の関係のレジデンストラック、ビジネストラックにつきましても、早期開始に向けて詰めの協議を行っているところであります。

 さらには、在留資格を持っている海外の方、例えば、一旦海外に出てしまってなかなか戻れない、こういう話もありましたので、九月一日からは、そういった方々の再入国を認める形にいたしました。そして、十月一日からは、在留資格を持つ外国人に対して、原則として全ての国、地域について、主に長期出張者を念頭にしながら、ビジネス上必要な人材や留学、家族滞在等、その他の在留資格を有する外国人についても、新規入国、これも認めてきているところであります。

 これは全省的に、法務省であったりとか、さらには厚生労働省、協力をいただきながら、感染拡大が起こらないか、こういった措置もしっかりとって、空港でのPCRも圧倒的に今ふえている、こういった中で、しっかり段階的にふやしていける方向で更に考えていければと思っております。

小渕委員 ありがとうございました。

 コロナのさなかであっても、企業の国際競争というものはとまるものではありません。このような状況にあっても、海外に貢献をしたい、またビジネスチャンスを生かしたい、そういう前向きな姿勢でいるビジネスパーソンは数多くおられると思います。

 ぜひ茂木大臣にお願いをしたいのは、日本の産業界や海外に渡航したい方々に向け、力強い後押しをしていただきたいということです。そして、もう一方で、海外から人を受け入れることに不安を感じている方々に向けて、しっかりとした感染防止をとっているということを御説明をいただきたいと思います。

 力強い後押し、丁寧な説明、このことをお願いして、次の質問に移らせていただきます。

 最後に、橋本大臣にお伺いをいたします。

 総理は、所信表明演説の中で、東京オリンピック・パラリンピックを人類がウイルスに打ちかったあかしとしてやり抜くとの決意を示されました。そのためにも、人の往来の再開は重要な課題であります。担当大臣として、どのようにしてこの総理の御決意、これを実現していくお考えか、お伺いしたいと思います。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 来年の東京大会については、世界が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして開催をして、東日本大震災の被災地が復興をなし遂げつつある姿を世界へ向けて発信する場とするべく、関係者が一丸となって準備を進めております。

 特に、感染症対策については、アスリートや観客等によって安心、安全な大会運営の実現を図るために、国と東京都、そして組織委員会による調整会議を開催いたしまして、実効的な対策の検討を行っており、年内に中間整理を予定しております。

 また、委員が進める水素に関しましても、選手村で水素の利活用された水素バスですとかあるいはロボットの活用、そういったことによって日本の技術を発信して、誇りの持てる大会にしていかなければいけないというふうに思っております。

 先日の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部では、総理から各大臣に、検討を加速し、準備に全力を尽くすよう指示があったところであります。

 私自身、オリパラ担当大臣として、大会を来年必ず成功させるという決意のもと、IOC、IPC、組織委員会、東京都、しっかりと緊密な連携をしながら、準備に努力をしてまいりたいというふうに思います。

小渕委員 ありがとうございました。

 ぜひ、橋本大臣におかれましては、国民の先頭に立ってオリパラ、引っ張っていただきますように心から御期待申し上げ、以上で質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

金田委員長 この際、山際大志郎君から関連質疑の申出があります。下村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山際大志郎君。

山際委員 おはようございます。自由民主党の山際大志郎です。

 きょうも質問の時間をいただきまして、関係皆様方に心から御礼を申し上げます。

 総理は、所信表明演説の中で、アベノミクスをしっかり継承していく、このようにおっしゃいました。

 振り返ってみますと、安倍政権における最大の課題というのは一体何だったんだろうかと。実は、これは説明するまでもなく、皆さん感じていらっしゃるとおりで、日本の経済をしっかりと立て直すということだったんだろうというふうに思います。ある意味、その道半ばでコロナウイルス感染症という大変大きな危機が世界人類を襲いました。

 したがって、菅政権になっても、このコロナパンデミックに対してしっかり対応していくということと同時に経済をしっかり力強い軌道に乗せ込んでいく、この二つは同時にやらなくてはいけないことだというふうに考えてございます。

 そういう意味では、この二つの非常に難しいバランスを今までとり続けてきて、ここまで、日本においては、コロナウイルス感染症が爆発的に拡大するということは何とか抑えながら経済活動を再開してきたわけでございます。

 GoToキャンペーンに関しても、相当国民からは利用してもらっているという感覚がございますし、また、近ごろといいますか、つい最近、イベントに対して参加をする方々の数を少しずつ多くしていこう、こんな試みも行われているというふうに考えてございます。

 この試みがどのような状況にあるかということをぜひ担当大臣に聞きたいと思うんですが、先般、私の、まあ半分地元である、菅総理の御地元でありますが横浜スタジアム、あるいは東京ドーム等と、野球の試合が観客数を少しふやすという実証が行われたと考えておりますけれども、これがこれからどのようになるか、西村担当大臣にお聞きしたいと思います。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 山際議員御指摘のように、感染防止、感染拡大防止を図りながら経済活動と両立を図っていく、そのために、これまでの七月、八月、その前の三月、四月、五月の経験、これを踏まえたデータの分析、それから新たな技術を使ってこの両立を図っていく、これが私どもの方針であります。

 御指摘のスタジアムの件でありますけれども、まずはお一人お一人がマスクを着用し、感染防止策を、基本的なことをやっていただく、これが大事であります。これまでもこうした取組をしていただいて、御協力していただいている成果だと思いますけれども、野球場などでクラスターは発生をしておりません。認識をしておりません。

 その上で、そうはいいながらも、観客人員をふやせば、密集度が高まり、感染リスクが高まることが考えられます。そこで、まさに新たな技術を使ってこれを防ぐ、その実証を行ってきているわけであります。

 私も視察に行かせていただきましたけれども、高精細カメラで人の流れを捉えて、密になりそうなところは誘導をしてそうならないようにしていくこと、あるいは、その試合の終了後も含めた人の流れのモニタリングを行って密集しないようにしていく取組、それから、私ども進めております接触確認アプリ、COCOAのインストールをしているかどうかのチェックを行いながら、インストールしていない方にそれを誘導していく、インセンティブを与えながらしていく、あるいは、室内なども含めて、CO2濃度で換気がきちんとできているかどうかなどを検証していく、こういった技術を使って、更に収容率の緩和、将来の緩和につなげることができないか検討しているわけであります。

 これまでも、感染防止策などの定着を図りながら、段階的に引き上げてきております。今回の実証の結果を分科会にも報告をし、もちろん、何より足元の感染状況については十分注視をしながら、これを踏まえながら、専門家の皆さんの御意見を伺って、イベント開催のあり方、更に検討を進めたいと考えているところであります。

 いずれにしても、こうした新しい技術を使って感染拡大防止と経済活動との両立を図っていければと考えているところであります。

山際委員 ありがとうございました。

 これまで何とかバランスをとれてきたということには、今西村大臣からお話がございました、正しい科学的知見に基づいて新しい技術というものをどんどんどんどん開発していく、それだけでは当然だめなわけで、それに対して、我々国民一人一人、そして社会全体がそれに協力をする、自分事としてしっかり捉えて、その科学的知見、新しい技術というものを導入して、一緒に対策を進めていく、このことが本当に大事だというふうに思います。

 そういう意味でいいますと、この新型コロナ感染症に関しましては、ある程度扱い方といいましょうかが見えつつあるというのも現実だと思います。

 考えてみますと、もちろん新規に感染をされる方というものの数が別に減っているわけではない、ある程度の数いらっしゃるというのも事実ですけれども、しかし、どのように治療をしたらいいのかということに関しては、知見は大分たまっているというふうに聞いております。それに従いまして、重症化をする方の数というのも、比率でいえば相当数減ってきているということも見えてございます。

 そして、何よりも、我々が心待ちにしておりますワクチンですね。これも、もちろん安全性というものが大切ですから、それをないがしろにするわけにはいきませんけれども、しかし、ワクチン開発も、一歩一歩ですが、確実に進んでいるというような、そんな状況にあるというふうに思います。

 そこで、このコロナウイルス感染症に関しましては、新型インフルエンザ感染措置法ですね、これに関して規定をしてこれまで対応してきたというふうに思いますけれども、これに関して、どのように、改正も含めて、この法律を扱っていくかということについては、ぼちぼち検討も進んできているだろうと思いますし、また、筋道として、まだ注意深く検討を進めていかなきゃいけないこともあるんだろうと思います。

 この点について、西村大臣から丁寧に御説明をいただければと存じます。

西村国務大臣 山際議員御指摘のように、三月、四月、五月、まさに四月、五月の緊急事態宣言を経験をし、幅広く業種に休んでいただくことなどによって、いわば経済を意図的にとめることによって、そのときは収束に近づけることができた、七月、八月はそれを行わずに減少傾向に転ずることができたわけでありまして、このあたりの分析を我々はデータに基づいて進めているところでありますし、対策はより深化をさせ、そして、よりエリアを絞り、より業種を絞った対策が有効なのではないかというふうに考えてきているところであります。

 その中で、特措法につきましては、まさに、緩やかな法体系でございまして、強制力を持たない体系でありますが、そうした中で、都道府県知事と連携をしながら取り組んできたところであります。担当大臣としては、まさに、より実効性を上げるためにどのようにすればいいのか、どうあるべきか、日々考えてきたところであります。

 具体的には、御指摘ありましたように、特措法のまず対象範囲を、今回、改正によって新型コロナウイルス感染症を追加したわけですけれども、そもそも対象となる感染症の範囲をどう考えるのか、これは感染症法との関係もあると思います。

 それから、やはり医療機関が大事でありますので、国民の皆さんの命をお守りするその医療機関、逼迫するときに、想定しながら、より柔軟に臨時の医療施設を設けるためにどのような措置が必要なのかという点、そして、今申し上げた感染防止策をより実効性を上げるためにどのような措置が必要なのか、こういった論点があるものというふうに認識をしております。

 特に、この実効性あるものにするための措置につきましては、憲法十二条で、国民は、自由及び権利の濫用をしてはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うということがございます。国民の命を守るために、公衆衛生の観点から必要となれば、こうした強制力を有する措置を用意するというのも、法的な整理があり得るのかなというふうに考えております。

 他方、御案内のように、この特措法の五条には、基本的人権の尊重、とるべき措置は必要最小限にしなければならないという、非常に緩やかな法体系となっております。全体として強制力は、強い強制力は非常に小さい法体系であります。現に、緊急事態宣言の後であっても、後でより強い措置がとれるとしても、指示、公表しかできない、さらには、その前段階では要請しかできないという緩やかな法体系になっております。

 先ほども申し上げましたとおり、緊急事態宣言にならないようにするために、その前段階から、ピンポイントにエリアや業種を絞ったより強い措置がとれないか、こういう問題意識を有しているところであります。

 しかしながら、今申し上げたような、法体系全体が緩やかな法体系なものですから、その法体系全体にかかわる議論が必要でありまして、今後更に検討を深める必要があるというふうに考えております。

 実際、分科会におきましても、強制力を持たせるべきだという御意見と、より慎重にやるべきだという両方の御意見が出されているところであります。さまざまな角度から幅広い議論を進めていきたいというふうに考えております。

 いずれにしても、まず、足元の感染がやや横ばいから微増になりつつありますので、これを減少させることに全力を挙げながら、特措法がよりよい仕組み、よりよい制度となるように、引き続き検討を進めていきたいというふうに考えております。

山際委員 ありがとうございました。

 世界の中で見ても、ハードローというんですか、きちっとした制度、法律で決められていなくても、国民が社会全体として政府がやらんとすることに対して協力をする、そういうことができる国というのは本当に日本以外ないのかなと日本人の一人として感じます。

 しかし、その国民の協力だけに頼るような状況をずっと置いておくというのは、やはりそれはよくないことだと思いますので、ぜひ、慎重に慎重を期しながらも、改正をするべきところは改正に向かって進んでいただければと思います。

 次に、エネルギーの話を少しお伺いしたいと思っております。

 私もこの世界に入りまして大分時間がたちまして、その間ずっとエネルギー政策には携わってきたという自負がございます。そういう意味で、菅総理が二〇五〇年にカーボンニュートラルということを高らかに宣言されたことは、本当に私にとってもすばらしいことだなというふうに思ってございます。

 少し大きな話になるかもしれませんが、我々ホモサピエンスが、人類というものが、これまでどのような社会を築いてきたかということをよく分けるのに、狩猟採集社会であるとか、農耕社会であるとか、あるいは産業革命を経た後は工業社会、今は情報社会などというふうに言われておりますけれども、これをあわせて産業社会というふうにしましょうか。そうしますと、この産業社会というふうに我々人類が進んできた後は、その社会を支える一番土台のものがエネルギーであり続けてきたわけですね。

 我が国だけの話を、歴史を少し、近現代史を振り返ってみましても、約八十年ほど前に我々は戦争に突入せざるを得なかったわけですね。その大きな原因の一つにエネルギーの問題があったということは恐らく事実でしょう。

 戦後、私も子供でありましたけれども、オイルショック、第一次、第二次オイルショックがあり、我々日本の社会はやはりそのときも混乱をいたしました。

 さらには、卑近の例でいえば、三・一一、あの東日本大震災の後、原子力発電もとまり、いろいろな意味で、エネルギー、本当にどうなるんだろうかと綱渡りのような状況で私たちは来たわけですね。

 ですから、エネルギーが私たちの社会の基盤であるという事実は、実は全く産業革命以降変わっていない、事実としてそこにあるんだろうというふうに思います。だからこそ、このエネルギー政策というものは本当に現実的なものでなくてはいけないという、相当慎重にこれまでやってきたものだと思います。

 それを大きく変換をしよう、一歩踏み出そうというこの政権の意気込みは、私はそれでいいと思いますし、それをしっかりサポートしなきゃいけないと思っておりますけれども、そこに加えて、実は、近年の、アメリカと中国の覇権争いというものが出てまいりました。その前から、大分前から、中国は、自分たちの経済力というものを使って、それを安全保障上のカードとして各国を黙らせるということを実はやってきた歴史があると思います。それがいよいよ、経済と安全保障というものが分けられない、そういう世の中に入ってきている。

 もともとエネルギーというのは、ずっと安全保障そのものだった上に、経済安全保障の観点からもこのエネルギー政策というものを考えていかなくてはいけない。そういう視点に立って、総理は、このエネルギー政策というものをどのように捉えて進んでいこうとされているのか、ぜひ総理にお答えをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 エネルギー政策の認識というのは、委員の御指摘のとおりであります。いつの時代、いかなる状況にあっても、エネルギーの確保は常に重要な課題になってきています。二〇五〇年カーボンニュートラル、これを実現するためには、まずは内閣全体で、挙げて体制を組み、取り組んでいきます。

 特に、この温室効果ガス、八割以上を占めるエネルギー、その取組がその中でも極めて重要であります。電源についても、再エネだけでなくて、原子力を含めて、あらゆる選択肢を追求をしていかなきゃならないと思います。

 今後、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指す道筋、これを含めたエネルギー政策について、経済安全保障、この観点も含めて、集中的に議論をして結論を出していきたい、このように考えます。

山際委員 ありがとうございます。

 もちろん、経済安全保障の視点を入れてくださるというのは確信している話でございますけれども、広く国民の皆さんにそれを宣言していただいて、ありがとうございました。

 続いては、少し各論の方に入らせていただきたいと思いますので、梶山大臣から御答弁いただければと思いますが。

 これまでもエネルギー基本計画を、ずっと作成に携わってきた人間として、再生可能エネルギーを最大限利活用したいという思いは、みんな共通している感覚だと思うんです。じゃ、それを妨げているものは何なのかといえば、それを安価で安定して供給できる技術が今のところまだないということなんだと思うんです。

 これを、政権を挙げて、その技術を、新しい技術をどんどんどんどんつくっていく、そして、いずれ、安定して安価で国民に供給できるものにし、その技術を育てていくということが必要だと思うんですが、それまでの間のコストは当然相当なものになると思います。

 これを、言ってみれば、産業界の皆さんは、自分たちがそのコストを賄わなきゃいけないのかというと、ノーと言うでしょう。あるいは、私たち一人一人の国民も、自分たちが使うエネルギーではあるけれども、しかし、そのエネルギーのコストが高くなるということにネガティブだと思うんですね。

 となると、このイノベーションを起こすために、やはり、そのイノベーションを起こすための力が必要になる。それが政府だと思います。そうなると、この技術革新を起こしていくために、どのような方策をこれからとっていこうとされているのか、まず伺いたいと思います。

梶山国務大臣 カーボンニュートラルに向けては、温室効果ガスの八割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に今重要であると考えております。

 具体的な道筋としては、エネルギーの供給側からまず見てみますと、電力分野では、まず、再エネの最大限の導入を進める。そのため、再エネの大量導入に対応した送電網の整備や柔軟な運用、再エネの発電の変動を補う電源の確保を同時に行ってまいります。そして、火力発電についても、CCSやカーボンリサイクルといった次世代の技術を生かして脱炭素化を活用していく。また、原子力についても、重要な脱炭素技術として活用を進める。熱供給分野では、水素などを活用していくということであります。

 また、エネルギーの需要側から見ると、産業、運輸、業務、家庭部門では電化や水素化により対応していくということでありますが、ただし、このようなエネルギーの需給構造を達成するには、議員御指摘のとおり、現在の技術や市場規模ではコスト上昇が避けられないということであります。このため、さらなるイノベーションや市場拡大を進めていく必要があるということで、イノベーションのみならず、政府が主導しながら市場をどう広めていくかということも大きな課題であると思っております。

 脱炭素技術のイノベーションに腰を据えて取り組む企業に国も長期間にわたって支援を行うとともに、市場拡大に向けて必要な規制改革や制度整備など、あらゆる政策を検討してまいりたいと思っております。

山際委員 しつこいようなんですが、もう一問、更問いでさせてください。

 今、長期間にわたる支援を国がしっかりしていくというお話が梶山大臣からございました。まさにそれが必要だと思うんですね。恐らく民間にだけ任せていても、これはなかなか根づかないと思います。そうすると、そこがもうちょっと詳しく見えてくると、一人一人の国民としても納得感が出るし、産業界としても安心して次の投資ができるようになると思うんですが、そこのあたり、もう少し詳しく御説明いただけませんか。

梶山国務大臣 例えば計画において、十年単位、二十年単位の電力の計画を立てる、例えば再エネの計画を立てるであるとか。例えば開発段階におきましても、今、五年単位で、例えば実証なんかの試験も終わって、その試験が終わった後に技術者が他国に引き抜かれるというような面もありますので、しっかりと腰を据えてできるような支援を民間の企業にもしていくということ。また、国の態度、国の考え方というものを民間に示していくというものというのが必要であると思っております。

山際委員 もちろん、各分野、各エリアにおいて、これからきめ細かく、必要な支援策というものを年末に向けて方針として出してくださるものというふうに期待もしておりますので、その議論には党の側からもしっかりと参加をさせていただきたいと思ってございます。

 もう一点、今総理からも御答弁をいただきました原子力発電に関して、我々は正面から向き合わなくてはいけない、そういう状況にあると思います。

 今、現在そこにある原子力というものをしっかり利活用していくというのは、私は当然のことだろうと思うんですが、さはさりながら、再稼働がどこまで進んでいるのかということについて、仮にこれを、今のエネルギー基本計画の目標であります二〇%から二二%、電力の電源構成の中で原子力発電に頼っていこうという話になったときに、再稼働がどこまで進めばそれが達成できるのか、それも実はかなり先行きが不安な状況にあるのではないかと思うんですね。

 ですから、ここで、原子力を使っていくんだということの前提のもとにおいて、再稼働がどこまで進んでいるかということを少し説明をしていただけるでしょうか。

梶山国務大臣 全ての手段や技術というものをしっかりと駆使していかなければ、二〇五〇年のカーボンニュートラル、達成できるとは、なかなか難しいと思っております。

 そういった点で原子力もしっかり活用していくということでありますが、原子力政策についてはさまざまな課題がありますが、再稼働はもちろんのこと、六ケ所再処理工場の事業変更許可や、寿都町と神恵内村において高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する文献調査に向けた動きなど、一歩ずつ取組を進めているところであります。引き続き、これらの課題に粘り強く取り組んでいくことが必要であると思っております。

 こうした中で、安全最優先で再稼働を進めるという方針のもと、これまでに九基の原子力発電所が再稼働をいたしました。二〇一一年の事故の前に六十基あったものが、二十四基廃炉にいたしました。そして、三十六基、建設中のもの、また未申請のものもありますけれども、そういった中で、しっかり再稼働に向けて取組をしていくということでありますし、今、その信頼を取り戻す大きな期間であると思っております。技術的にも、また、地域の、また国民の信頼を取り戻すためにも、最善の努力をしてまいりたいと思っております。

山際委員 先ほどコロナウイルス感染症対策のときにも少しお話をしましたが、法制度であったり、あるいは科学技術として確固なものがあったとしても、それを私たち一人一人の国民がすとんと納得をして、社会全体で協力をしよう、こういう感覚にならなければなかなか物事が先に進まない。その作業をこれまでもやってきてくださったし、原子力発電に関してはこれからも丁寧にそれをやっていただけるということだろうと思います。

 そういう状況にあって、更にその先のことを議論するというのはなかなか難しい話かもしれませんが、しかし、私も先ほど申し上げたようにエネルギー政策に携わらせていただいて、数年前に「もんじゅ」を廃炉にせざるを得ない状況になりました。あのときに、経済産業省として、高速炉開発に関して、これを別にやめると言ったわけではないはずなんですね。

 ですから、先ほどのコロナウイルス感染症の問題でもそうですが、エネルギーの課題も全く同じで、とにかく技術革新を起こして先に進んでいく以外に物事を解決できないはずなんですよ。

 そうなりますと、原子力というまだ未完成の技術に関して、これをしっかりと技術革新を進めていく、そういう意思が明確に政府全体として示されない限り、なかなか産業界としても予見可能性は低いし、あるいはそこに優秀な人材はなかなか来てくれないしという悪い循環に陥ってしまうんだろうと思うんです。

 更に申し上げますと、昨年、私、自民党の方のエネルギー戦略調査会の事務局長も務めておりまして、その関係でアメリカに視察に行かせていただきました。そこで勉強したことは、アメリカで、トランプ大統領のもとで余り環境には優しくない政策をしているというふうに思われがちなんですが、しかし、全方位で、全ての可能性に関してアメリカという国はきちんとお金をつけて研究を進めているんですね。原子力の分野に関してもきちんと研究を進めていて、新しい軽水炉でも、小型炉の研究からそれから高速炉の非常に先端的な研究まで、しっかりやっているわけですよ。

 そういう、全体を一生懸命いろいろな可能性を見ていく中で、何をその時代その時代でチョイスしていくかということをやるのと、研究開発、技術開発そのものが進まないで、結果として選択肢はこれしかありませんというのとでは、もう全く意味合いが違うと思うんですね。

 そういう意味においても、ここのところで菅政権では一歩踏み出して、やはりこの原子力に関してもしっかり研究開発というものを進めていかなくてはいけないんだ、このように私は思うんですが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 先ほども申し上げましたように、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けては、再エネのみならず、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求することが重要であると考えます。原子力のイノベーションも大変大きな政策課題であり、研究開発も進めていく必要があると思っております。

 このため、従来の軽水炉の安全性向上に加えて、米国や欧州、さらには中国やロシアといった諸外国の取組も踏まえつつ、委員が御指摘された、出力が小さく、安全性を高めると同時に初期投資を抑える可能性があるものとして注目されている小型モジュール炉、SMR、燃料を溶けにくい構造とし、高温でも安定したヘリウムガスを燃料の冷却に利用することで安全に高温の熱利用を可能とする高温ガス炉などのさまざまな革新的原子力技術の開発を、民間の創意工夫を生かしながら進めてまいりたいと思っております。

 また、放射性廃棄物の減容化、有害度低減、資源の有効利用という、核燃料サイクルの効果をより高める高速炉の開発については、二〇一八年の十二月に策定しました高速炉開発の戦略ロードマップに基づいて、これまでに培った技術、人材を最大限活用するとともに、フランスや米国との国際協力も活用しながら、着実に進めてまいります。

 こうした取組を通じて、我が国も、革新炉開発を進める海外の波に乗りおくれることのないように、原子力分野でのイノベーションをしっかりと推進をしてまいりたいと考えております。

山際委員 今の御答弁を伺って、安心をいたしました。

 私は、今の時代を生きる政治家の一人として、その科学の発展の可能性というものを消してはいけない、それこそが現世代の責任である、次の世代に対する最大の責任である、このように思って仕事をやっております。

 原子力の分野においてもしっかりその責任が果たされるものと期待をしながら、一緒に汗をかくことをお誓い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

金田委員長 この際、大塚拓君から関連質疑の申出があります。下村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大塚拓君。

大塚(拓)委員 自由民主党の大塚拓でございます。

 本日は、日本学術会議について質問をさせていただきます。

 今、マスコミとかネットを見ても、これは改革派と擁護派、くっきり二つに分かれて議論していますけれども、かなり混乱ぎみかなという感じもあるわけでございます。しかし、一般の方から見れば、今回初めてこの組織について耳にしたということで、どういうことかよくわからないなというのが実態ではないか、こんなふうに思います。

 そこで、まず、学術会議とはどんな組織なのかというのをちょっと整理してみたいと思います。

 主要国にはアカデミーと呼ばれる組織がございます。イギリスの王立協会が十七世紀、アメリカの科学アカデミーは十九世紀に設立をされたという長い歴史がある組織であるわけでありますけれども、誰もが一流と認めるような学者で構成をされている。そして、アカデミーによっていろいろありますけれども、栄誉機関として、賞を出したり、これはノーベル賞なんかもそのうちの一つだと思います、奨学金を出したり、研究助成金を配分したり、あるいは科学ジャーナル、専門の雑誌を発行したり、いろいろな機能がありますが、重要な機能の一つに、政府への科学的助言というものがございます。

 国によって、アカデミーが大統領の公式アドバイザーになっている国もあれば、あるいは、効果的に助言をするために国会に連絡室があったり、国会議員などにインターンシップなどをして政府と議会などとのコミュニケーションを円滑化しようという工夫をしている、アカデミーもいろいろあるわけでございます。

 こうした組織に対応した組織となることが期待されて、戦後の、これは占領下になりますけれども、GHQに草案を説明した資料なども残っているようですけれども、日本学術会議が一九四九年に発足をした、こういう経緯にあります。しかし、これまでいろいろと問題が指摘されてきていて、幾度も改革が試みられてきた組織でもあるわけでございます。

 一方、学術会議は、諸外国のアカデミーと比べると、かなり特異な組織になっているというのも実態でございます。

 G7の諸国で構成されているGサイエンスというものがあります。これは、各国一つ、代表的なところが参加をしているわけでありますが、日本学術会議は、ここに日本の代表として参加をしております。このGサイエンスに所属しているほかの国のアカデミーとちょっと比較をしてみたい、このように思います。

 日本学術会議、これは組織として、政府の組織、行政機関になっています。また、会員は公務員という立場になっているわけであります。アカデミーが行政機関であって会員が公務員、ほかにこういう組織があるかどうか、お答えいただければと思います。

福井政府参考人 G7に参加しておりますアカデミーにおいては、我が国のように行政機関という性格のもの、あるいは公務員となっているものはないと承知しております。

大塚(拓)委員 ありがとうございます。

 学術会議は、会議に出席すると、一日に一万九千六百円、こういう手当が出るわけでありますが、ほかの国は、常勤職の役員というのはちょっと別にいる場合があるんですけれども、それ以外、基本的に無報酬、むしろ会員が会費を納める仕組みとなっているところもあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

福井政府参考人 現在調査中のところもございますが、先ほどのGサイエンス学術会議参加アカデミーのうちでは、英国やドイツでは無報酬と聞いております。

大塚(拓)委員 知っている限りだと、アメリカとかカナダは会費を納める仕組みになっているというふうに聞いております。

 それから、主要国のアカデミーというのは、大体、外国人会員というのが一定の数いるのが普通であります。Gサイエンスの機関で外国人がいないところがあるかどうか、日本学術会議はどうか。

 それから、あわせてもう一つ、ちょっとお伺いしてみたいんですけれども、日本人のノーベル賞受賞者、ことしは残念ながらいなかったわけでありますが、過去の受賞者の数、そして、そのうち学術会議に過去も含めて所属した経験のある方の数というのをお答えいただけますでしょうか。

福井政府参考人 まず、外国人会員につきましては、日本学術会議を除けば各アカデミーの中におられると承知しておりますが、日本学術会議の中には外国人会員はおりません。

 ノーベル賞受賞者でございますが、私が承知します限り、米国籍の方お二人を含めて日本人受賞者は二十七人と認識しておりますが、日本学術会議に過去会員として在籍されました方は、そのうちの六人であると承知しております。

大塚(拓)委員 ノーベル賞受賞者二十七人のうち六人、今の梶田さんも含めてということでありますけれども。

 それから、日本学術会議には外国人会員がいないと。ほかの国は、アメリカだと会員の二割ぐらいは外国人会員、イタリアなんかだと正会員と同じ数の外国人がいます。

 ちなみに、多くの日本人のノーベル賞受賞者、学術会議には所属していない一方で、例えばアメリカのアカデミーなどには所属しているという実態もあると思います。

 それから、運営経費、これは全額国費で十・五億円入っています。御存じのように、自主財源はゼロというのが日本学術会議でありますけれども、ほかに一〇〇%国費でそれ以外の財源が全くない組織というのはあるでしょうか。お答えください。

福井政府参考人 Gサイエンス学術会議参加のほかのアカデミーにつきましては、施設利用料や投資収入などいろいろな形で自主財源を持っておられると承知しております。

大塚(拓)委員 ほかの国のアカデミーは必ず自主財源があるんです、寄附を集めたりとか会員の会費とか。国費も入っているんですけれども、国費の入り方も、例えばアメリカなどは、各省庁から契約ベースで研究を受託するという形で受けています。あるいは、イギリスなどは、当該官庁と相談の上、事業目的に応じた助成を受け、事後的に発注官庁や会計検査院のチェックを受けるなど、日本とは事情が大分異なっているということもあるようです。

 また、もう一つ指摘をしておくと、ほかの国のアカデミーは、奨学金とか研究助成とか賞の授与とか、お金を配る事業をやっているんですけれども、日本の学術会議はそうした事業をやっておりません。したがって、支出はそれだけ規模が小さくて済むということになっているわけでございます。

 このように、実態として、日本学術会議は主要国のアカデミーと呼ばれる組織とは大分違う組織になっているわけでございますが、次に、組織のあり方を見てみたいと思います。

 会員、これは総理が任命する特別職公務員ですが、二百十名おられます。そして、ほかに会長が任命する連携会員という方も二千人おられて、これは一般職の公務員ということになっている。この会員の方々、所属する分野によって、人文・社会科学の人は第一部、生命科学の方は第二部、理学・工学の方は第三部に分かれていて、各部に所属する会員数は毎年均等で、おおむね七十人ずつで推移をしてきているというふうに承知をしております。

 この各部に属する七十人の方々、全体でその分野の研究者何人を代表しているのかというのを見てみたいと思います。

 全研究者数、八十九万九千人、全国でおられます。これに対して、第一部に対応する研究者は約十万人で全体の一割、二部に対応する研究者は約十八万人で二割、三部に対応する研究者は六十一万七千人で七割ということになっています。

 全体の一割の人文・社会科学と、七割を占める理学・工学の会員の割当て数が同じになっています。これを計算しますと、人文・社会の方は理学・工学の人よりも六倍会員になりやすい、こういう構造になっているわけでございます。

 各部は、更に細かく、経済学とか基礎生物学とか物理学とか、三十の分野別の委員会に分かれております。ことし九月までの直前三期九年で、一人も人数が変わらなかったのがそのうち十六分野、一人しか増減していないのが六分野ということで、分野ごとの割当て人数はかなり硬直化しているという実態がわかります。

 各分野で何人の研究者から何人が選ばれているか、もうちょっと比べてみたいんですが、例えば法学、これはずっと十五人が割り当てられてまいりました。ちょっと法学研究者、全部で何人か調べたんですが、どうも政府に統計がないということで、法学、政治というカテゴリーでしかわからないということでしたので、政治学の六人の方を足して、法学、政治で二十一人の会員がおられます。この分野の研究者、これは何人いるか、政府の統計でお答えください。

板倉政府参考人 お答えいたします。

 総務省令和元年科学技術研究調査報告によりますと、法学、政治分野に属する研究者は、大学等におきまして八千百七十七人となっております。

大塚(拓)委員 次に、あわせて電気電子工学という分野を見てみたいんですが、会員数は一貫して四人と少ないんですが、この分野、対応するのは電気通信だと思いますけれども、これについて政府の統計の人数を教えていただけますか。

板倉政府参考人 お答えいたします。

 令和元年科学技術研究調査報告によりますと、電気通信分野に属する大学等、企業などの研究者は、十五万三千九百四十二人となっております。

大塚(拓)委員 これを計算すると、法学、政治の方々は三百八十九人に一人が学術会員、学術会議の会員になれる一方で、電気電子工学の方々は三万八千四百八十六人に一人しか会員になれない。これは百倍違うんですよ。こんなこと、あり得るんでしょうか。こんなことでいいのか。これは非常に偏った組織になっているということを示しているんじゃないかと思います。

 それが固定化している、しかも。学術会議の席が特定のグループにとって既得権化しているんじゃないか、このことを強く示唆しているだろうと思います。(発言する者あり)

金田委員長 御静粛に願います。

大塚(拓)委員 これは、科学者を代表する組織として問題じゃないでしょうか。井上大臣、お答えいただきたいと思います。

井上国務大臣 日本学術会議が、国の予算を投ずる機関として、科学の観点から社会的課題について提言をしていくなど、本来発揮すべき役割を適切に果たし、国民の皆様に理解される存在であり続けることが重要だと考えています。

 日本学術会議の梶田会長からも、学術会議の提言機能や情報発信力、多様性のさらなる充実などについて、みずから検討すべき課題があると伺っており、解決に向けた道筋をしっかり検討いただくよう、私から会長に要請もしております。

 その中で、委員御指摘のように、いわば既得権益化しているようなことがあればそれは問題であると考えておりまして、そのような点も含めて、検証、見直ししてまいりたいと思います。

大塚(拓)委員 これは、既得権化していることを統計上は強く示唆されておりますので、しっかりとここを見直し、切り込みをしていただきたい、このように思います。

 これは選考プロセスにやはり問題があるとしか思えないんです。このパネルは学術会議が配った選考プロセスを説明した紙でありますけれども、会員と連携会員がおのおの二人分の推薦枠を持っている、この結果、直近では千三百人が推薦の候補者となり、選考委員会を経て百五人に絞り込まれたんだということが書いてあるわけです。

 ところで、一番上のところ、「現会員・現連携会員による推薦等」と書いてありますけれども、この「等」というのは何でしょう。御説明をお願いします。

福井政府参考人 この「等」は、現在の連携会員が一定の条件のもと候補者となりますので、それを指しております。

大塚(拓)委員 わかりますか、言っている意味。連携会員の方は推薦のプロセスを経ることなく自動的に候補に入るということを言っているわけです。そうすると、連携会員が自動的に推薦されるということですけれども、その割合、それ以外の普通の推薦で、この候補のプール、千三百人に入っている方というのは何人なのか、教えていただけますか。

福井政府参考人 約百五十名でございます。

大塚(拓)委員 これは、会員と連携会員が全部推薦枠を使えば四千四百の推薦枠があるわけですけれども、それに対して普通に推薦されているのは百五十人だけということになります。

 ちなみに、新任会員のうち連携会員から推薦されて結果的に正会員になっている方というのはどれぐらいの比率でいるのか、教えてもらえますか。

福井政府参考人 連携会員から新任の会員になった方が七〇%強になるはずでございます。

大塚(拓)委員 私が聞いている数字だと、令和二年で九十九人中八十一人で八二%というふうに聞いていますが、違いますか。

福井政府参考人 失礼いたしました。

 九十九名中の七十二名でございます。

大塚(拓)委員 ちょっと事前に聞いている話と違いますね。

 答弁済みの数字でいうと、平成二十六年の数字、これは内閣委員会で答弁済みだと思いますけれども、百五人中九十七人で九二%というふうに聞いております。これは結構、千三百人推薦をされるというふうに紙では書いてあるわけですけれども、そのうちの大多数は連携会員から自動的に推薦をされている方ということになるわけです。それがかなりの比率で会員になられるということなんですけれども、この連携会員というのは、一回なると、十八年連続でそのポストにい続けることができます。そこから会員になると合計で二十四年間学術会議にい続けられるということになるわけです。すなわち、なかなか学術会議の、会員ももちろん連携会員になることも一般の研究者にとっては難しい、ほとんど席が回ってこない、そういう仕組みになっているわけであります。

 これは、選考委員会のところ、矢印、これは二つに分かれていると思いますけれども、このうちの左側、選考分科会からの枠というのは、これは全体の何割ぐらいなのかということと、分科会での絞り込みの過程というのをあわせて説明していただけますか。

福井政府参考人 説明させていただきます。

 会員候補者の選考におきましては、選考委員会の中に各部、三つの部に対応しました選考分科会を置いて審議を行うこととしております。

 この選考分科会の候補者枠については更に改選ごとに選考委員会において決定しているところでございますが、各部にございます委員会ごとに推薦人数を調整いたしまして、再度、選考分科会に持ち寄って、最終的に選考委員会で決定するという流れになっております。そのうちの選考分科会と申し上げております分については、全体で百五人のうち九十六名がそちらの方で選考されているものでございます。

大塚(拓)委員 これは選考分科会分が九割ということです。これは、以前は十割だったのを、多様性を確保しようということで仕組みを少し直した結果、それでも九割がこちらに割り当てられているんですが。

 この絞り込みの過程、今の説明だけだとよくわからないところがあるんですけれども、要するに、分科会、これは各部に設置される分科会で検討している中で、その中の個別の専門分野の委員会分については委員長がこれを持って帰るんです。委員長が持って帰って、その先誰かと相談するかしないかも含めて、これは委員長の裁量になっています。要するに、その分野の方、この人だと決めることに非常に委員会そして委員長の裁量権が大きいという仕組みになっています。

 なおかつ、これは部会に上げたときに、一部、二部の分科会に上げたときに、ある特定の分野の委員会がこの人がいいんだと言っているときに、ほかの委員会の方がこの人はだめだよと差しかえることがあるのか。これはほとんど考えられないと思うんですよね。

 井上大臣、これは事実上のブラックボックスになっているんじゃないかというふうに思います。これは大半が身内から、身内の連携会員から推薦が上がってくる、しかも、その絞り込みの過程で委員長とかその委員会の裁量が非常に大きくて、誰を選考するかというのは相当範囲で決められてしまう、こういう仕組みになっているんじゃないかと思います。

 これは、アメリカなんかを見ると日本と同じ推薦方式だというふうによく説明をされるんですけれども、実態は全然違います。推薦は確かに、最初、入り口になっているんですけれども、推薦された人がまず専門委員会に相当する委員会レベルに提案されて、まず予備投票というのがあります。予備投票を含めて、この委員会レベルを通過するだけで合計三回も投票をやっています。その投票の結果、三分の二の多数を得てやっと、ここで言うところの分科会のレベルに上がることができる。この分科会でも更に投票して、投票数が多い順に優先順位をつけたリストをつくります。そして、そのリストが年次総会に示されて、この段階で更に名前の入れかえとか削除といった手続もあるようでありますけれども、最終的に全体の三分の二を投票で得て初めて会員になれる、こういう極めて厳格、厳密な仕組みになっているんです。

 推薦制というのは、仲間内、身内を推薦するというリスクが常につきまとう、これは自民党のPTで会長経験者の方が発言をされていた内容であります。だからこそ、アメリカでは、一回上がってきた推薦をこれだけ厳格な仕組みで疑念の残らないようにしよう、こういうことになっている。日本のシステム、全然違うんですよね。

 井上大臣、これはゼロベースで日本の選考システム、根本的に直さなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

井上国務大臣 学術会議の会員やあるいは連携会員の選考プロセスについてさまざまな論点があり、また御意見があるということを承知をしております。

 学術会議の梶田会長からも、先日、論点として、選考プロセスの透明性の向上などについて御提案もありました。

 私の方でも、この十月の二十三日、また二十九日に、梶田会長を始めとした学術会議の幹部の皆さんと意見交換をいたしまして、そのときに私の方からも、これは透明性の向上も含めて、選考プロセスについても検証をしてもらいたいということも要請をしたところであります。

 日本とアメリカでさまざまな条件が違いますから、もちろん単純に比較はできないとは思っておりますけれども、この選考プロセスについて、やはりしっかり検証をして、そして、問題があるということであれば見直すことも考えていきたいと思います。

大塚(拓)委員 この選考プロセスは、もう一点の曇りもないシステムに見直さないと、どこまでいっても、身内でお手盛り、特定の既得権集団がポストをたらい回ししている、こういう批判からは免れない、こういうふうに思うところでございます。

 こういう状況の中で、初めて、先例によらず、推薦者を全員任命することはしない、こういう決断をされたわけであります。

 これは、事前に法令上問題がないということは慎重に確認した上で進めていることというふうに聞いておりますけれども、これをやれば既得権集団から強い反発が出てくるということはあらかじめ予想されたことだと思うんです。私もそうだろうというふうに思いました。まあ、案の定といえば案の定だったわけでありますけれども。

 大変難しい判断だったんじゃないかなというふうに思いますけれども、総理、どのような思いで今回の決断をされたか、お話しいただければと思います。

菅内閣総理大臣 私自身も、これは官房長官当時から、この選考方法、あり方について懸念を持っておりました。

 そして、私が学術会議に申し上げてきたのは、やはり国民の税金、予算を使っている団体だということです。年間約十億円を使って活動している。これは政府の機関になっています。また、私が任命をすれば、これは公務員になるんです。国民に理解をされる存在でなければならないと思います。

 そういう中で、専門分野の枠にとらわれない広い分野でバランスのとれた活動を行うべきであるという、私自身、総合的、俯瞰的な活動が求められる、こういうふうに申し上げてきたんですけれども。

 そういう中で、今委員から御指摘をいただきました選考ですよね。会員約二百人、連携会員約二千人、この人たち、先生方と関係を持たなければ、つながりを持たなければ、全国で九十万人いる方が会員になれないような仕組みになっているということも、これは事実だと思います。ある意味では、閉鎖的で、既得権益のようになっているのではないかなというふうに思います。

 私自身、これは正直言ってかなり悩みました。そういう中で、学術会議から推薦された方々、そのまま任命をするという前例を踏襲をするのは今回は私はやめるべきだという判断をいたしました。

 私自身、所信においても、役所の縦割り、そして既得権益、あしき前例主義を打破する、そして規制改革を行って、国民のために働く内閣をつくりたい、そういう話をしておりました。

 そういう中で、これは客観的に見ても、やはり閉鎖的であるとか既得権益とか前例主義、そうしたものを廃止をし、梶田会長と会いました。梶田会長も、国民から理解をされるやはり学術会議でならないという御認識でありました。

 先ほど井上大臣から答弁されましたけれども、こうした、国民から理解をされて、よりよい方向に持っていく、ぜひそういう学術会議でありたい、このように思っています。

大塚(拓)委員 これは本当に長年の課題で、正直言って、これまでも、そこの部分が一番問題だというふうに認識をされながら、その時々の政権で、最後、少し思い切って踏み込み切れなかった、その結果として、長年にわたって問題がそのまま維持されてきてしまっている、こういうことだろうと思います。(発言する者あり)

金田委員長 静粛に願います。

大塚(拓)委員 今回、非常に注目が集まっているタイミングであります。この機会に、今度こそ、この日本学術会議が世界に冠たるアカデミーと肩を並べる、そういう存在になることができるような抜本的な改革を進めていくべきではないかというふうに思いますが、総理の御意見を伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 私、今申し上げたように、やはり国民に理解をされなきゃならない。これはやはり、公務員という制度になっている、会員の方はなりますから、それは大事だと思います。政府としても、そこは責任がある、そう思いますので、私、今回、このような判断をさせていただきました。

 そして、今、井上大臣のもとで、梶田会長と、この学術会議がよりよい方向、よりよい成果を上げられるような対応をしているというふうに認識をしています。

大塚(拓)委員 これは、自民党でも今、学術会議の改革を検討するための政策決定とアカデミアの関係に関する検討プロジェクトチームというのが立ち上がって検討しております。政府とも連携しながらしっかりそこは進めていきたい、このように思っているわけでございます。

 まだしばらく時間がありますので、学術会議の問題、続けていきたいと存じます。

 学術会議、奨学金とかそういうのはやっていないわけですけれども、日本では学士院というほかの組織がやっていたり、研究費の助成は日本学術振興会という別の組織がやっていたりするわけですが、日本学術会議に割り当てられている重要な機能の一つで、政府に対する科学的助言機能、こういうのがあるわけであります。科学者の卓越した専門的知見をもって、政府に、そして社会にそれを還元していくというのは、これは、各国ともアカデミーに期待される、ある意味、最大の役割と言ってもいいかもしれません。

 そこの部分についてなんですけれども、実はこれも、日本学術会議については、その質が非常に低いのではないかということで、かなり批判にさらされているという実態がございます。

 これは私が言っているのではなくて、まず、実態として申し上げると、これは、法律によって定められている助言の機能、二つあります。答申というのと勧告というのがあります。勧告、過去十年以上全く出されていないという状況です。答申も十年以上出されていないんですけれども、これは、ある意味、政府がもう諮問すらしなくなっている、こういう実態をあらわしていると言わざるを得ないと思います。(発言する者あり)

金田委員長 静粛にお願いします。

大塚(拓)委員 昔はそれでも諮問されていたんですよね、昔はそれでも諮問されていたんです。

 それで、法律に基づかない自発的な提言というのがあるんです。これはちょこちょこ出されているんですけれども、これについても、これはもう一回言うけれども、私が言うんじゃないですよ、一線級の研究者の方々からずっとお話を聞いています。これは、今回の問題が起きる前から、学術会議の提言は質が非常に低い、こういう指摘、複数のというか、かなり多くの方からいただいています。それが更にはっきりしたのが今回のコロナ禍だと思うんです。

 コロナ禍、大体二月下旬、三月ぐらいから始まったわけでありますけれども、こうなってから、例えば東大とか旧帝大系、一級の科学者の方たち、人によっては、ネイチャーとかサイエンスとか、そういうところにばんばん論文が載っている、本当の一流の方々ですよ、こういう方々から、学術会議は、コロナの間、何も意味のある貢献をしていないじゃないか、何をやっているんだ、解体してしまえという声まで、学術界の方から、私、聞いています。

 コロナについて、学術会議は、いつ、どのような発信をしてきたか、これはお答えいただけますか。

福井政府参考人 お答えさせていただきます。

 日本学術会議におきまして、新型コロナウイルス感染症に関する取組としまして、幹事会声明の発出やホームページの情報発信のほか、第二部に新たな分科会を設置しまして、本年七月三日に提言「感染症の予防と制御を目指した常置組織の創設について」、九月十五日に提言「感染症対策と社会変革に向けたICT基盤強化とデジタル変革の推進」、この二件を発表したところでございます。

大塚(拓)委員 これは七月と九月ですよね。コロナが発災したのは遅く見積もっても三月ということなわけですけれども、七月と九月、これはいかにも遅いんですよ。

 どれぐらい遅いかというと、例えば、アメリカとかイギリスのアカデミーのウエブサイトを見ると、これは特設サイトになっています。その中で、アメリカのナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス、これを見てみると、これは連合体の方ですね、ナショナルアカデミーズの方のホームページだと思います、見ると、ラピッド・エキスパート・コンサルテーションという形で、もう既に三月の段階からかなり多くのコンサルテーションペーパーがばんばん出ているんです。三月、四月でどんどん出している。

 これを見た日本の学術界の方々が、学術会議は何をやっているんだ、こういうことをずっと思っていたんです。それを……(発言する者あり)動いている分科会はありましたよ、ちなみに。やじですけれども。どんどん動いている分科会はほかにありましたよ。しかし、コロナについての提言は七月まで全く出てこなかった。

 あるいは、アメリカのアカデミーのホームページを見ると、最近、いつ出たかちょっとわかりませんけれども、例えばワクチンの適切な配分方法みたいな極めてアカデミックなものが、これはペーパーかと思ってあけようと思ったら、もう二百ページ以上の本になっているんですよ。これを分野連携、分野横断型で、しかも査読もついている、極めて質の高いものが出ているわけです。こういうのを見ていると、当然、学術会議は何をやっているのかなという気になるのはよくわかるわけであります。

 それで、中身も、これは読んでいただければ恐らく国会議員の方であればわかるとは思いますけれども、そんなに、これはどっちかというと組織論とか行政がまとめるようなタイプのもので特に目新しいものはないねというのは、これも医学者の方から言われたことでありますけれども、そういう状況になっています。

 それから、もう一つ、時間がありそうですのでやってみたいと思いますが、さっき選考委員会の話をしました。学術会議の中での幹部のポストがどう決まっているかというのも、これはかなりブラックボックスになっているんじゃないかな、こういうふうに思うんです。

 それで、ちょっと一例ですけれども、第一部の部長職の方、二十期から二十四期、直前までの五期のうち、定年とかで途中で退任される方というのもいるんですが、そうじゃなくて当初にちゃんと選ばれている方、これは、五期のうち四期は同じ大学の同じ研究所の出身者が就任しているんじゃないでしょうか。答弁をお願いします。

福井政府参考人 二十期から二十四期まで五期のうち、期の当初におきまして、同じ大学の同じ機関の経験者が部長となっているのは事実でございます。

大塚(拓)委員 それはどこの大学の何という研究所か、教えていただけますか。

福井政府参考人 失礼いたしました。

 東京大学の社会科学研究所でございます。

大塚(拓)委員 東大は優秀な大学だと思います。その東大の社会科学研究所にも優秀な方、それはいっぱい所属しているだろうということは私もよくわかるわけでありますけれども、しかし、ほかの大学にもいっぱい優秀な方はいらっしゃるわけですよ。そういう中で、五期のうち四期も東大の社会科学研究所の関係者が所長に就任している。これはやはり、部長職とか幹事、幹部の決め方も、身内でたらい回すことができるような仕組みになっているんじゃないかと疑わざるを得ないわけであります。

 これは、またアメリカの例ですけれども、役員の選考については、特に会長とかの選任になりますけれども、そのときの役員とは全く異なるメンバーで構成されている指名委員会というものをつくります。その指名委員会が選考した方が初めて候補者になる、こういうしっかりとしたガバナンスの仕組みができているわけでございます。

 これに比べると、日本学術会議、はっきり言ってガバナンスが全くなっていないと言わざるを得ない、そういうちょっと欠陥のある仕組みになっているということは指摘をさせていただかざるを得ないというふうに思っております。

 この役員選考プロセスもよく検証して見直さなければならないんじゃないかと思いますが、井上大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 御指摘をいただきました日本学術会議の部長につきましては、部の事務を掌理するほか、幹事会の構成員として日本学術会議の運営に関する事項の審議にも参画する重要な役職であります。

 日本学術会議法において、部長はその部に属する会員の互選によって定めることとされており、会員の投票により部長が選出されていると承知をしております。

 ただ、他方で、委員が御指摘のように、それが特定の集団でポストを回すことができる仕組み、もしそうなっているのであれば、そこはやはり検証をして、そして見直しについても考えてまいりたいと思います。

大塚(拓)委員 先ほど、会員選考の仕組みのところでも議論させていただいたように、かなり、そもそも身内で会員を構成することができるようになっているわけです。その中の互選という仕組みで、結果を見ると、同じ大学の同じ研究所の方が五期のうち四期もその部長を務めている。そして、その部長職が、そして、その下にいるその分野の委員長が、会員選考において、またこれはかなり強い裁量権を持つ、こういう仕組みになっているわけでございます。これはどこかで断ち切らないといけないというふうに思います。

 これは、今まで見てきたように、欧米のアカデミーと比べて、日本学術会議、かなり特殊な組織になっています。ガバナンスも不十分、会員選考、役員選考にも不透明性が見られることから、科学コミュニティーを正しく代表しているのか、こういう疑問も残ります。

 これは、本当に多くの研究者の方から、学術会議、関係者以外から、学術会議をよく言う研究者の方、今までお会いしたことないと言っても過言ではないぐらい、皆さんかなりぼろかすに言うんですよね。あんな会議、なくしてしまえと。だけれども、これを言うと学術会員の、会員の方々から報復されるんじゃないかということを恐れて、どうしても発言するのに勇気が出ないんだと。これは聞いてみてください。多くの方はそういうふうに、本音で話していただければ多くの方はそういうふうにおっしゃると思います。

 これは税金を投入している機関ですから、パフォーマンスも、さっき見たみたいに、そんな十分とは言えないという中で、これは、しっかり政治の役割として、税金を投入するに足る組織に改革をしていく必要があると思います。

 実は、それは、先ほど来申し上げておりますように、昔から議論になっているんです。特に、平成十五年の総合科学技術会議、「日本学術会議の在り方について」というペーパーをまとめております。これは非常にいいことが指摘をされています。

 国から独立した法人格を有する組織であることがふさわしい、緊急の課題にも適切に対応し得る機動的な運営にすべきだ、個々の部門や部門内の領域の定員を固定することなく、中略、柔軟に変更できる仕組みとすべき、一定数以上の外国人研究者を連携会員とする、学協会又は科学者が日本学術会議の経費や人員の一部を負担することを検討すべき、活動状況や運営について内外の有識者により外部評価を行う仕組みが必要だなど、重要な指摘がされていますけれども、いまだに積み残しとなっているわけであります。

 これは、実は、十年以内に組織のあり方、根本的に結論を出せというふうに、この「在り方について」というペーパーは言っているんですが、これは十二年放置されました。十二年放置されて平成二十七年になって、日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議という組織、会議がつくられて、「日本学術会議の今後の展望について」、こういう紙を議論してまとめたわけであります。

 これ、現状維持と書いてあるんですよ。誰がこの有識者会議の事務局をやっているかと思ったら、日本学術会議自身が事務局をやって、まとめているペーパーなんですね。この総合科学技術会議で指摘をされた事項、完全に、これ、先送りという結論になってしまっているわけであります。

 自民党のプロジェクトチームでも今検討を進めているところであります。もう今度こそ先送りは許されない。日本の学術界を真に代表する、全ての研究者の方々がこれは我々の代表だねと思う組織に改革をしていくため、政府と自民党、手を携えてしっかりやっていきたいということをお誓いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金田委員長 これにて下村君、小渕君、山際君、大塚君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

金田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、新型コロナウイルスの世界的大流行と対策について、最初にお伺いしたいと思います。

 新型コロナウイルスは、世界の感染者数が既に四千五百万人を超えておりまして、死者数は百十八万人に上っております。日本での感染者数も十万人を突破しておりまして、お亡くなりになられた方は昨日の時点で一千七百六十九人と伺っております。まさに、世界史上未曽有の被害をもたらしつつある感染症であり、世界各地で再拡大が頻発するなど、まだまだ収束が見通せない状況にあります。日本でもいつ再拡大するかわかりません。油断はなりません。

 改めて、このたびの感染症でお亡くなりになられた全ての皆様に衷心より哀悼の意を表します。また、日夜最前線でウイルスと戦っていただいている医療、保健、介護、清掃を始めとする全ての現場の皆様の献身的な御努力に心から感謝を申し上げます。

 さて、この問題を解決するには、私は、世界各国が自国優先主義から多国間主義、私はこれを多国間による共助と呼んでおりますけれども、この多国間による共助へと価値観を転換していくことが不可欠であると思います。

 その意味で、新型コロナウイルスのワクチンを共同購入する国際的枠組み、COVAXファシリティーへの日本の参加は重要な意味を持つと考えております。

 パネルをごらんください。これは二つの仕組みから成っておりまして、一つは、参加する高中所得国がワクチンの研究開発や製造設備に必要な資金を前金で拠出し合い、開発成功の場合は自国用として人口の二〇%相当分のワクチンを確保できる、こういう仕組みと、二つ目は、各国からの寄附金により途上国にワクチンを供給する枠組みを組み合わせているものでございます。現在、百八十四カ国・地域が参加を表明しております。

 公明党といたしましては、このCOVAXファシリティーへの参加をいち早く政府に強力に働きかけてきたところでございまして、政府におかれましては、この第二次補正予算の予備費から拠出金百七十二億円の支出を既に閣議決定していただいたと伺っております。また、発展途上国への供給に関する寄附金も既に百四十億円の拠出を決定していただいていると伺っているところでございます。

 ところが、残念ながら、米国は不参加を表明をしておりますし、ロシアも未定でございます。裕福な国々がワクチンをひとり占めする、そういう弊害を防いで、低所得の人々が取り残されてしまう悲劇はあってはならないと考えています。

 今後、COVAXファシリティーへの米ロ等未参加国への働きかけなど多国間による共助を通して感染収束を図っていくことの重要性の認識と、そして、改めて、日本国内の爆発的な感染を絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜く、菅総理の決意をお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 新型コロナウイルスにより人間の安全保障が脅かされており、国際連携の強化が必要であると思っています。保健分野など途上国を支援するとともに、多国間主義を我が国は推進していきたいと思います。

 御指摘の枠組みについては、これまでもその重要性を提起し、米国を含む各国に働きかけており、今後もそうした取組をしっかり続けていきたいと思います。

 また、国内的には、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を絶対防いで、国民の命と健康を守り抜きます。そして、その上で社会経済活動を再開をして経済を回復していく、このことが基本的な考え方であります。

 このために、早急に今後の感染拡大に備えた対策を講ずるべく、これまで、経験や科学的知見も踏まえて、地方自治体とも密接に連携して、国が主導して、万全の準備、対策を講じていきたいというふうに思います。

竹内委員 そこで、日本における新型コロナウイルスの現状認識と、インフルエンザ流行期に臨んでの検査体制、医療提供体制、治療薬、ワクチン、保健所の体制、マスク、フェースシールド、ガウンなどの防護具、さらにまた検疫体制など、今後の対策は万全かを確認したいと思っております。

 特にワクチンについては、海外からの輸入に頼るだけではなくて、国内ワクチンの開発、生産体制も支援が必要であると考えております。この点はいかがでしょうか。

田村国務大臣 ワクチンの御質問がございました。

 先週、モデルナ社とも基本契約を結ばさせていただいて、海外のワクチン、今のところ研究が進んでいるのは海外の方が多いものでありますから、そういう意味では海外のワクチンを中心に今のところは基本合意等々を結ばさせていただいており、一億二千万人分といいますか、国民全員が打てるような形、そういう形で今計画をさせていただきながら交渉をさせていただいておるということであります。

 一方で、言われましたとおり、国内のワクチン開発、これも重要でありまして、数社といいますか数機関、今開発をしていただいております。それに関しましては、しっかりとこれに対しての財政的支援も行うと同時に、生産体制、これに対しての支援もしていかなきゃならぬということでございまして、国内ワクチンに対しても我々期待をさせていただいておりますので、それに対しての支援の方もしてまいりたいというふうに考えております。

竹内委員 それでは次に、当面の生活支援策と中小企業対策についてお伺いしたいと思います。

 現状の雇用状況は大変厳しいものがあります。どんどん悪化している状況であります。非正規の雇用労働者は、九月の前年同月比で百二十三万人も減少しているわけであります。中でも、女性の方々の離職が深刻になっております。

 雇用調整助成金の特例措置の延長によって雇用を維持することはもちろん、さらに、雇用創出のための緊急の具体策を講じることが必要だと思います。雇用を守り、新たに雇用を創出するための関係省庁連絡会議などを立ち上げて、政府一体となった雇用対策パッケージを策定すべきではないでしょうか。

 平成二十一年四月のリーマン・ショックを受けた雇用対策のときには、総額一兆九千億円の予算が計上されて、素早い対応がとられたと承知しております。場合によっては、補正予算を待たずに予備費の活用も必要ではないかと考えますが、この点はいかがでしょうか。

田村国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染拡大ということで、雇用調整助成金、これは特例措置という形で、リーマン・ショック後の対応を更に上回る、そういう特例措置をしてまいりました。御承知のとおり、日額一万五千円上限というような形でありますとか、中小企業でありますけれども、解雇しない場合には十分の十、これを補助するというようなことも含めて対応してきておりますし、あわせて、雇用調整助成金をなかなかお使いいただけないような事業主、そういうところの対応ということで、休業支援給付金、このような形で対応もさせていただいております。

 各省庁間、いろいろな連携という意味では、先般、これは新卒者それから既卒三年の方々でありますけれども、そういう方々の就職に関してしっかり経済団体にもお願いを、これは私、文科大臣、そして一億総活躍大臣、経産大臣、副大臣でありましたけれども、お会いをさせていただきまして、お願いをしてまいりました。

 しっかりと連携するところは連携しながら、一方で、失業なき労働移動ということも、これは、どうしてもその職種自体が非常に厳しい中において、もちろん、基本は企業の中でいろんなやりくりをしていただくということでありますけれども、それを、どうしてもいろんな形で雇用というものに対して厳しい状況が続くのであるならば、失業のない中での労働移動、これは産業雇用安定センター等々、そういう役割もいろいろと使わさせていただきながら対応していく。

 とにかく雇用という部分、大変重要でございますので、我々も最善の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

竹内委員 地方に交付金を更に追加をして、地方の方で、各都道府県等で雇用をふやしていただくというようなことも必要ではないかなと私は思っております。

 そこで、次に、新型コロナウイルスの感染拡大によって失業や休業、収入減で家賃を支払えなくなった人を対象に家賃相当額を支給する住居確保給付金がありますが、この決定が四月から九月で何と十万件を超えておりまして、リーマン・ショック時の三倍以上となっているわけであります。未曽有の事態です。感染収束が見通せない中、住む場所がない方が町にあふれるようなことがあってはならないというふうに思います。十二月までとなっている支給期間、これが最大九カ月ですが、これの延長を早急に決定すべきではないでしょうか。

 それからさらに、また、新型コロナウイルス感染症による休業などを理由に一時的な資金が必要な方へ緊急の貸付けを行う無利子の緊急小口資金や、失業されて生活に困窮された方に生活の立て直しのための資金を貸し出す総合支援資金の特例貸付けがありますが、これは支給決定が十月二十一日時点で百二十二万件に上っておりまして、これもリーマン・ショック時の三年間の五倍に達しておるわけであります。

 新型コロナウイルスの感染収束がまだまだ見通せない中、経済の回復もこれからの状況に鑑みますと、これもやはり、この十二月までとなっている受け付け期間を延長すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 住宅確保給付金のお話がまずございました。これは生活困窮者自立支援法に基づいて行っておる事業でありますが、言われますとおり、四月から九月までで十万件、百四十九億円支給をいたしております。ちなみに、令和元年度でいいますと四千件でありますから、言われますとおり、かなり多くの方々に御利用いただいております。

 これに関しては、実情は、仕事を探しておられる方が、求職活動されている方々が要件ということでありますけれども、これも、要件緩和をする中において多くの方々に御利用いただいております。

 一方で、緊急小口、総合支援金でありますけれども、この二つに関しましても、コロナ禍のもとで、特例という形で、かなり大きな形でお貸しをさせていただいておるというような状況であります。二十二日までの話を今委員されましたが、十月二十四日までで百二十五万件、四千六百三十七億円とかなりの金額、お借りをいただいておるということであります。

 それぞれ、九カ月でありますとか、この支援金の方は、小口資金の方は、二カ月、六カ月というような状況があるわけでありますが、実態をよく我々も把握させていただきながら、これによっていろんな形で救われておられる方々がおられるというお話もお聞きをいたしております。しっかりと実態を把握させていただきながら、今後どのような形でこれを支援していくのかということを検討させていただきたいというふうに思います。

竹内委員 まだまだ、冬に差しかかって、インフルエンザとの同時流行ということもありますし、まだ、日本でも再拡大があるかもわかりません。そういうリスクを抱えたままではこの冬は大変危ないというふうに思っておりますので、その辺、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 次に、脱炭素化社会の実現の御質問をさせていただきたいと思います。

 公明党の強い要請で今回の連立政権合意に盛り込んでいただいたのは、持続可能で強靱な脱炭素社会の構築に努めるとの項目であります。これを踏まえて、公明党がかねてより主張していました、二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロを菅総理が宣言されたことに、心から敬意を表しているところでございます。

 しかし、そのためには課題が多うございます。

 国のエネルギー基本計画の大幅な見直しが避けられないと思います。また、今の目標では、二〇三〇年度の総発電量に占める火力発電の割合が五六%あります。再生エネルギー比率の引上げや主力電源化、また石炭火力の削減など、電源構成の見直しは必至であると思います。さらにまた、公明党といたしましては、原発に依存しない社会への移行が求められているということも申し添えておきたいと思います。

 また、地球温暖化対策計画における二〇三〇年度の目標が重要でありまして、二〇三〇年度に二〇一三年度比で温室効果ガスの排出を二六%減らすというこの目標を、これは更に大幅に上乗せする必要があるのではないでしょうか。

 さらに、水素や蓄電池、カーボンリサイクルなど、飛躍的な技術革新が求められております。野心的で大胆な発想で、着実に前進していかなければなりません。

 きょうは、そのために、国としてやはり相当の金額の基金を設立して、官民を問わず、投資や融資、また、場合によっては助成を行っていく必要があると考えております。

 世界各国の投資額は、資料のとおりであります。パネルをごらんください。

 EUでは、この七月の欧州委員会で合意されたこのうち、三十五兆円を三年間でグリーン分野に集中投資するということが表明されております。ドイツでも、六月三日発表で六兆円。フランスは、九月三日に、四兆円がエコロジー対策。お隣の韓国も、グリーンニューディール計画、五年間で約七兆円の環境分野への投資をコミットということが公表されているわけでございます。

 私は、GDPで比較すると、EUの場合ですと、大体日本の二・五倍のGDPがございますので、そういう考え方からいくと、日本でもEU並みのことをやろうとすると、約十五兆円規模の基金を設立してはどうかと。そのぐらいの基金を設立して、この三年間で脱炭素のためにさまざまな施策を行っていく、このぐらいの本気度が問われているというふうに私は思うわけであります。

 この点、ぜひ、総理におかれましては、よく御検討いただきたいというふうに思います。

 そしてまた、今後、民間事業者の投資促進税制、さらに、投資家が、個人、法人を問わずに、いわゆるESG投資と言われるようなもの、環境投資に税制面でのインセンティブを付与することも効果的であると考えているところでございます。

 そしてまた、これらの施策がデジタル化と並んで新たな日本の需要を生んでいくことは間違いないというふうに思っております。

 これらの点を含めて、改めて総理の決意とお考えをお聞きしたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するために内閣全体として取り組んでいく、その体制づくりを、前回、内閣として行いました。

 特に、温暖効果ガスの八割以上を占めるエネルギー分野の取組というのが極めて重要であり、電源についても、再エネのみならず、原子力を含むあらゆる選択肢を追求していきたいというふうに思います。

 今後、電源構成を含めたエネルギー政策については、集中的に議論をして、早急に結論を出していきたいと思います。

 また、産業構造や経済社会への変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換を進めていくことが重要だと思います。受け身でなくて、みずから進んで行う、このことが大事だと思います。

 そういう中で、規制改革などの政策を総動員をし、グリーン投資のさらなる普及を進めるために、長期間にわたる支援策を講じて、革新的イノベーションを推進して、経済と環境の好循環というのを何としてもつくり上げていきたい、このように思います。

竹内委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 さて、その関連で、防災・減災、国土強靱化につきまして質問させていただきます。

 近年、気候変動により、災害が激甚化、頻発化しておりまして、被害が甚大化しております。

 その中で、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策については、各首長の皆様からも、住民の命と暮らしを守る上で非常に助かったという声を聞いております。

 改めて、この三カ年緊急対策に対して、国土交通省としてどう評価されているか。

 また、他方、公共事業の統計上、年度末の繰越額がふえているというデータを指して、今後大きな公共事業予算を積み上げても事業が執行できないのではないかという声がありますけれども、この点はいかがでしょうか。建設業界の施工能力に全く懸念がないということを私は思いますけれども、この点を、国土交通大臣、明らかにしていただきたいと思います。

赤羽国務大臣 まず、防災・減災、国土強靱化のための緊急三カ年対策の取組は、国土交通省にとっても大変ありがたい政策でございました。

 具体的には、この三年間で、国交省の所管では、例えば、二千三百四十の河川で、川の底を掘削して、土砂や樹木、流木の伐採ですとか、また、道路二千カ所で土砂災害の対策を講じ、計六十七の項目で着実に実施をさせていただいております。

 こうしたことを受けて、私も、昨年大臣に就任してから一年余りでありますが、台風十五号、十七号、十九号といった一連の災害の被災地、ちょうど三十カ所訪問させていただき、首長の皆さんからさまざまな御要望を聞いておりますが、皆様異口同音に、この国土強靱三カ年対策は大変ありがたかったと。これまで予算が足りなくて手がつけられなかった中小河川の治水対策ですとかブロック塀の安全対策、またインフラの機能確保のための電源対策、停電も随分多かったわけですので、そうしたことまでしっかりと着手することができたと。

 ただ一方で、まだまだこうした気候変動で激甚災害も多いし、またインフラの老朽化も相当深刻なので、終了後も、来年度以後も引き続き、国、県、市町村一体となって、中長期的な防災・減災、国土強靱化対策がとれる予算の継続並びに充実を強く求められているところでございます。

 我々も、こうした老朽化対策と抜本的な防災・減災対策というのは本当に大変重要な課題だというふうに思っておりますし、与党の皆様からも、さきの骨太の議論の中で大変応援もいただいているところでございます。

 他方、今御質問の、公共事業予算を積み上げても人手不足で事業が執行できないのではないか、その根拠として、公共事業予算の年度末をまたぐ繰越しが多いということが指摘をされておりますが、この繰越しが多いということは、施工余力に問題があるというのは、はっきり言って間違いでございます。

 といいますのは、昨年六月に成立をしました新担い手三法の中の公共工事の品確法において、社会資本整備を支える担い手の確保、育成の観点から、安定的、持続的な公共投資の見通しを確保していくことが重要である、そのために施工時期の平準化を図ることということが盛られておりまして、このことを受けて、国交省としては、繰越制度の積極的な活用を図り、平準化を進めているところでございます。そうした意味で、年度内に執行ができなかったという認識は正しくありません。

 また、現下の建設業協会の状況は、建設技能労働者の過不足率も大変落ちついてきていることですとか、一方で、ICTの施工の増加などで施工効率も大変向上しておりまして、施工余力に問題はないというふうに考えております。

 こうしたことから考えて、国交省といたしましては、今後も、三カ年緊急対策後も必要十分な予算の確保に努めて、防災、減災が主流となる安全、安心な社会の実現に全力で傾けてまいりたい、こう思っております。

 以上でございます。

竹内委員 そこで、既に、この地球温暖化に伴う大災害や、今後、南海トラフ巨大地震、首都直下型地震に備えるために、公明党の強い主張によりまして、七月の政府の骨太方針の柱の一つに、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策終了後、令和三年度以降の中長期的な取組を行う方針が明記されたところであります。

 そこで、この三カ年緊急対策終了後の令和三年度以降については、インフラ老朽対策も含めて新たな五カ年計画を策定して、特別枠で必要十分な予算を確保すべきと考えますが、この点につきまして総理の決意をお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 三カ年の緊急対策後の取組については、骨太方針の二〇二〇においても、中長期的視点に立って計画的に取り組むために、国土強靱化基本計画に基づき、必要十分な予算を確保し、オール・ジャパンで対策を進めることにしています。

 省庁、自治体や官民の垣根を越えて、引き続き、災害に屈しない国土づくりを進めていくことができるように、インフラ老朽化対策を含め、年末に向けて予算編成の中でここはしっかり検討していきたいと思います。

竹内委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 さて、次はデジタル化につきまして質問をさせていただきたいと存じます。

 このたびの新型コロナウイルスの世界的大流行、パンデミックは、私は、明治以来の東京一極集中型社会から地方分散型社会への転換を促していると考えております。その最大のツールがデジタル化であると思います。

 そこで、デジタル化の理念、目的が最も大切です。何のためにデジタル化をする必要があるのか。それによって国民がどういうメリットが受けられるのか。デジタル化の波に乗れる人と取り残されていく人の格差が生じるのではないか。高齢者や障害者は置き去りにされるのではないか。

 慶応大学教授の村井純先生はこのようにおっしゃっています。国民の幸せのためのデジタル化という理念を打ち出してほしいと。全ての人々に情報アクセシビリティー、利用しやすさを保障する置いてきぼりをつくらない社会をどう構築できるかが重要だとおっしゃっておられます。

 全くそのとおりだと思います。私は、人間の幸福のためのデジタル化、誰一人取り残さないデジタル化が根本だと思います。その上で、徹底した利用者目線に立つことが不可欠であります。

 改めて、このデジタル化の理念、目的について、政府の考え方を国民の皆様にわかりやすく説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

平井国務大臣 先生、質問ありがとうございます。

 先ほど御紹介いただいた村井先生にはワーキンググループの座長を務めていただいていて、今、二十年ぶりのIT基本法の大改正、十のデジタル原則、そして進むべきその方向性、理念、目的を明確にする中で、先生の御指摘された言葉を全てその基本法の中に入れていこうというふうに考えています。

 我々が究極的に目指しているのは、デジタルということを意識しないデジタル社会、人間中心の、人に優しい社会をどうやってテクノロジーでつくっていくかということだと思います。そして、最終目的はそのような形ですけれども、やはり利便性を圧倒的によくしようという意味で、三百六十五日、二十四時間、どこでもスマートフォンで利用可能な行政サービスとか、医療、教育、防災のさまざまな分野で使いたいときにデジタルやオンラインを使えるような環境を整えたいと思っています。

 また、先生御指摘のとおり、場所や年齢などを問わず、いろんな選択肢を持ちながら質の高い生活を送ることができる、かつ、効率的な社会になったことによって、あいた時間をさらなる経済活動やいろいろな地域活動に使っていただけるのではないか。

 このような改革を進めていくときには、何のためのデジタル化なのかというのを徹底的にやはり国民目線で考えて説明していかなきゃいけないと思います。ですから、基本法の改正と、今後の政策の中において目指すべきデジタル社会のビジョンを国民の皆さんと共有して理解を得ていくことが重要だと思います。

 そして、誰一人取り残さないというノー・ワン・レフト・ビハインドという考え方はやはり一番重要だと思いますし、先生がお話しになったアクセシビリティー、このことは、高齢者や障害のある方、デジタルに苦手意識を持っている方々にとって本当に使い勝手のいいもの、UI、UXがよい行政サービスにしたいというふうに思っていますし、もう一つ、そうはいってもデジタルだけでは物事が完結しないので、人が人を助ける仕組み、これは御党も長年御指摘をされていた例えばデジタル活用支援員の制度、これなんかが当分の間は絶対に重要だと思います。

 全ての国民がデジタルの恩恵を最大限享受できるように頑張ってまいります。

竹内委員 ありがとうございます。

 そこで、「誰一人取り残さないデジタル化に向けて」というので資料をつくってまいりました。

 民間のシンクタンクの調査によれば、デジタル技術を使える専門人材は五十万人程度不足と言われております。また、OECDの調査によりますと、デジタル分野の再教育の指標が、実は日本はOECD加盟国中最下位となっているわけであります。

 日本は、デジタル技能の教育プログラムや定期評価の仕組みが整っていないことが明らかであります。さらに、デジタル化から取り残されるかもしれない七十代以上の高齢者、障害者、引きこもりがちの方々や外国人材が学ぶ機会をふやすことが大切であると考えています。

 政府は既に、AI知識を持つ人材を二〇二五年度までに年間二十五万人育てる目標を掲げておられますが、この予算拡充が不可欠だと思っております。とりわけ、二〇一七年度から始めたデジタル技能訓練費用の七割を助成する制度、専門実践教育訓練給付についても、さらなる周知、利用促進、助成拡大が重要であると思っております。

 パネルを用意しました。

 この十月から、実は全国十一カ所で、かねてより私どもも主張しておりましたデジタル活用支援員の実証事業がスタートをしております。地域のNPOやシルバー人材センターなどが担い手となって、高齢者を中心にスマートフォンやパソコンなどの使い方や電子申請などのアクセス方法をわかりやすく教える、これが全国十一カ所で行われているにまだすぎないんですね。これをぜひ千カ所程度まではまず拡大すべきではないかというふうに思っております。

 それから、二〇一八から二〇一九年度にかけて全国四十カ所で開催してきました地域ICTクラブというのがあるんですね。これは、あらゆる人が、基本操作を始め、プログラミングやロボット操作を教わり、互いに学び合う場になっているんです。障害の有無や国籍も問いません。ICTに関心があれば、地域住民が誰でも楽しみながら学べる場所でもあります。

 デジタル活用支援員事業とあわせて、私は、これはぜひ、私の言葉ですが、デジタル寺子屋とでも命名して、更に全国的なネットワークを展開していってはどうかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

武田国務大臣 御指摘にありましたデジタル活用支援員並びに地域ICTクラブ等、誰一人取り残さないデジタル化に向けた重要性について御指摘がありました。

 全ての人がこの恩恵を受けて、豊かな生活というもの、人生というものを享受するのがこの社会全体のデジタル化の究極の目的ではないかなと思いますが、多くの高齢者の方々は、このデジタル化自体に不安を抱かれている方が大変多うございまして、今なおオンラインによる行政手続等もなかなか御使用をいただけませんし、デジタル格差というものが明らかになってきているわけであります。

 我々としては、各店頭のショップ、また事業者、そして地方自治体と一緒になって、こういう方々の相談であるとか、またいろいろな説明だとか、そうしたことを今から事業化していって普及に努めよう、このように考えているところであります。

 全国十一カ所で実証実験を行っているところでありますけれども、その結果を踏まえて、更に何が必要かということもしっかり検証しながら充実したものにしていこう、このように考えております。

 また、ICTクラブですけれども、これは、今年度から小学校でプログラミングが必修になったことを受けまして、その学校教育を補完するものとしては非常に重要度が今から増してくるものになってくると思っております。今からさまざまな交流だとかそういった成果発表等を通じて広くこれも広めていきたいと思っておりますし、ICTクラブが広く普及するように先頭に立って取り組んでまいりたい、このように考えております。

竹内委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、少子化対策につきまして質問させていただきたいと思います。

 菅総理と私は、実は一つの共通点があります。それは政令市の市会議員を経験していることでございまして、私はその意味で、総理は大変国民のニーズを的確につかまえておられるというのを感じるんですね。携帯電話の問題もそうだと思います。やはり、地方議員をまことに僣越でございますが私もした一人として、この国民のニーズを的確につかまえるということが一番大事だというふうに思っておりまして、そういう意味で、今回この不妊治療への保険適用を取り上げられたことはまことに炯眼であるというふうに、私自身も公明党も感心をした、大変喜んだ次第でございます。

 パネル四をごらんいただきたいんですけれども、我が党は、一九九八年に、公明党の基本政策大綱に不妊治療の保険適用を明記させていただきました。浜四津敏子代表も頑張っておられたころだと思います。二〇〇〇年に、公明党女性委員会が不妊治療の保険適用を求める署名運動を実施しまして、約五十五万人の署名簿を当時の厚生大臣に提出をいたしております。そして、二〇〇四年度には、公明党の坂口厚生労働大臣が初めて特定不妊治療費助成制度を創設していただきました。年十万円掛ける二年間でございましたけれども。その後、この資料にありますように、何回もこの助成制度を拡充してきたわけでございます。こういう歴史がございます。

 その意味で、公明党としては、大変、今回、菅総理の視点が不妊治療に関しても公明党と一致したことは喜ばしいということを申し上げておきたいと思います。

 菅総理は、不妊治療への保険適用を早急に検討し、本年末までに工程を明らかにするとともに、保険適用までの間は助成措置を大幅に拡充する方針を示されておられます。改めて総理の決意をお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 少子化の問題は、結婚や出産、さらに子育ての希望の実現を阻むさまざまな要因というのが絡み合っているというふうに思っています。その中で、長年の課題であるこの少子化対策に真っ正面から取り組んでいきたい、そして解決したい、このように思います。

 その中でも、不妊治療に関しては、子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添い、その切実な願いに応えるために、先日の所信表明で、所得制限を撤廃して保険適用を早急に実現する、このことを表明しました。

 今後、今後というよりも今、厚生労働省で実態調査を行っています。治療の有効性、安全性等について確認するなど、具体的な工程を示しつつ、早急な保険適用の実現に向けて検討を加速させていきたいと思います。

 また、保険適用までの間も、現在の助成制度、助成を措置していますから、これを大幅に拡大することによって、所得制限や助成額などのさまざまな論点について、保険適用への移行も見据えつつ、年末の予算編成の中でしっかり対応していきたい、このように思います。

竹内委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 次に、出産育児一時金の引上げについて、特に今回は、五十万円への増額につきまして御質問させていただきます。

 出産に関する費用を補助する出産育児一時金は、現在四十二万円であります。一方、平均的な出産費用は、全国平均で約五十万円となっております。

 私どもとしては、この出産育児一時金の五十万円への増額も、これはやはりぜひとも必要なんじゃないかなというふうに思っておりまして、この点につきまして、厚労大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

田村国務大臣 医療保険制度におきまして、出産にかかる費用ということで、その負担を和らげるという意味で出産育児一時金という形で支給をされておるということは、もう委員のおっしゃられたとおりであります。

 今、四十二万円ということでありますが、基本的にこれは、公的病院の部屋料の差額、これを抜いた出産費用、こういうものを参考に今までいろいろと増額等々してきたわけであります。

 多分、委員おっしゃられたのは、全国の平均五十万円というのは、私立病院も含めて全施設ということで、これは多分、平成二十八年の国保中央会の公表データだと思いますけれども、五十万六千円という数字が出ております。

 このときの公的病院の数字というのが四十三万二千円、これはこのデータから厚生労働省で公的病院だけをもう一度再集計したものでありますけれども。という意味からしますと、どれぐらいの金額が適当なのかということを、今、直近の公的病院の出産にかかる費用、こういうものを調べておる最中でございますので、これが出てまいりますれば、ちょうど今、医療保険制度自体、給付と負担の見直しの議論を年末に向かって始めております。この中で、もちろん保険者の皆様方の財政的な状況、御負担等々、いろいろな御意見もお伺いしなけりゃなりませんけれども、しっかりと御議論をいただいた上で必要な対応をしてまいりたいというふうに考えております。

竹内委員 ありがとうございます。

 次に、教育の問題に移らせていただきます。

 高校生等への奨学給付金の充実につきまして質問をさせていただきます。

 家庭の事情にかかわらず全ての高校生が安心して教育を受けられる機会均等を確保するために、教育費の負担軽減を図ることが重要です。

 現在、低所得世帯、非課税世帯につきましては、授業料以外の教育費に使える高校生等奨学給付金が支給されています。第一子は公立で年間八万四千円、第二子以降は公立で年間十二万九千七百円となっておりますけれども、なかなか十分ではございません。

 コロナ禍で取組が進んでいる家庭でのオンライン学習に必要な通信費相当額等も含めて、この高校生等奨学給付金を充実すべきであると考えますけれども、文部科学大臣の見解をお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 高校生等奨学給付金につきましては、平成二十六年度の制度創設以来、給付額の増額を図るなど、制度の充実に努めてまいりました。

 また、今年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、家庭でのオンライン学習に必要な通信費相当額一万円を特例的に追加支給をしたところです。

 文科省としては、今後とも、高校生が家庭の経済事情にかかわらず安心して教育を受けられるよう、高校生等奨学給付金の充実を図りつつ、教育費負担軽減にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

竹内委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 それともう一問、不登校の子供に対するICT支援についても触れておきたいと思います。

 二〇〇五年から、不登校の子供がICTの活用によって自宅などで学習した場合、学校の出席扱いになるという制度が始まったんです。ところが、学校のICT環境整備が不十分などの理由で、極めて低い状況にあるんです。

 実は、不登校の小中学生は全国で約十八万人いらっしゃるんですけれども、ICTの活用により出席扱いとなっている人数はわずか六百八人であります。〇・三%にすぎません。

 ぜひとも、今般のGIGAスクール構想により、また、デジタル化社会を目指す、こういう流れの中で、一人一台の端末が整備されることからも、希望する不登校の子供たちがこの制度を活用できるように促進するとともに、更に必要な方策を検討すべきであると思いますが、文部科学大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 ICTを活用した学習支援を行うことなどによって教育の機会を不登校の子供たちであっても確保することは重要だと考えております。

 先生今御指摘のとおり、二〇〇五年から、出席扱いにできる、言うなら特例扱いができる対応はしてきたんですけれども、率直に申し上げて、学校のICT環境というのは、二十数年間整備してきましたけれども、どんなに頑張っても五・四人に一台のパソコン、タブレットしか整備できなかったというのが今年度までだったと思います。

 したがって、例えばBYODで持ち帰りをしていいですよという学校があったとしても、今度は家庭の方でWiFi環境がなくて、結局、不登校であってもICTを使いこなせないという実態がございました。

 まさに皆さんの御支援をいただいて、来年四月から、全ての公立小中学生は一人一台端末の配備ができるわけですから、何らかの事情で学校に来られない不登校の皆さんも、授業のおくれがないようにICTの活用をすることは私は大いに結構だと思っておりまして、結果として活用率が上がることは期待をしたいと思います。

 他方、活用実績を上げることが目的ではなくて、やはり不登校から登校に変わってもらわなきゃいけないと思います。

 学校現場では、先生方あるいはクラスメート、あるいは地域、家庭、みんなが連携しながら、何とかそういう子供たちを学校に戻していこう、学校に通える子にしていこうということで努力をいただいているわけでありまして、別室指導ですとか、みんなが、友達が手紙を送ったりとか、いろんな努力をしていますけれども、仮に、来年以降、ICTの環境整備ができたから、これはオンラインで授業さえ受ければそれでいいんだというような、やすきに流れるようなことがあっては決していけないと思っておりまして、あくまでツールとして使うことが極めて大事だと思っております。

 やむを得ず学校に登校することができない不登校児童生徒へのICTを活用した学習支援がしっかり、また円滑に行われるように努めるとともに、出席扱いの制度については、その利用状況の分析を踏まえて、必要な対策を検討してまいりたいと思います。

竹内委員 時間が迫ってまいりました。

 最後に、私、拉致問題の解決につきまして、総理の決意をお伺いしておきたいと思います。

 私は、公明党の拉致問題対策委員長を長く務めております。

 二〇〇二年に五人の拉致被害者が帰国して以来、今もって拉致被害者全員の帰国が実現していないことは痛恨のきわみでございます。

 しかし、この間、政府が決して何もしていなかったわけではない、政府として相当の努力をしてきたことは、長くこの問題にかかわってきた一人として承知をしているところでございます。

 北朝鮮側は拉致問題は解決済みだと述べておりますけれども、しかし、日本の様子をじっと見ていることは私にも非常によくわかります。見ております。向こうも、どういうふうに動くかを見ております。その意味で、あらゆるチャンスを逃すことなく、拉致問題解決に全力を尽くしていただきたい。

 この点について最後に総理の決意をお伺いして、終わりたいと思います。

菅内閣総理大臣 実は私自身も、当選二回から、この拉致問題、特に、新潟に年十五回以上出入港した万景峰入港禁止の議員立法だとか、あるいは外為法を改正をして送金の停止とか、河野外務大臣等、たしか六人の若手でそうしたことをやってきました。

 そういう意味において、拉致問題は、私の内閣においても最重要課題であります。

 拉致被害者の御家族が御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もない、そういう思いであります。引き続き、米国、こうした海外の国とも緊密に連携して、全ての拉致被害者の一日も早い帰国のために全力で取り組んでまいります。

 総理就任後に、トランプ大統領との電話を始め、各国首脳との電話会談でも、必ず拉致問題について協力を要請してきました。引き続き、こうした国々とも緊密に連携しながらも、しかし、やはりこの日本ですから、私自身も金正恩委員長と無条件で会って解決したい、そうした機会を、どんな小さい機会でも逃すことなく行っていきたい、そういう思いであります。

竹内委員 ありがとうございました。

 終わります。

金田委員長 この際、岡本三成君から関連質疑の申出があります。竹内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本三成君。

岡本(三)委員 公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 現在、国民生活における最大の不安は、新型コロナウイルスと自然災害だと思います。国民の皆さんの命と責任を守っていくことは政治家の使命です。今こそ、更に本腰を入れて、防災・減災、そして国土強靱化に取り組むべきときだというふうに思います。

 パネルの一をまずごらんください。

 これは、日本有数の河川である荒川の東京付近の状況を示したものです。昨年十月の台風十九号のときには、この荒川も氾濫ぎりぎりのところまで水位が上がってしまいました。太く青い線が荒川ですけれども、荒川の水害対策は二つの点で非常に重要です。

 一つは、仮に、北区にあります岩淵水門の付近の堤防が決壊をいたしますと、浸水被害者の数は、都内だけで三百万人、近隣の埼玉県も入れますと五百万人以上が水害の対象、被害者となってしまいます。

 加えまして、二つ目に、より大切なのは、万が一ここ岩淵水門のあたりが決壊をいたしますと、その水は南に流れ込んでいきまして、東京駅の付近まで達成いたします。東京駅に到達をいたすとすることは、東京の経済が麻痺をする、ひいては日本の経済が麻痺をしてしまうということです。さらに、この排水が完了するまでには約四週間かかると言われています。つまり、荒川を守ることは、日本を守ることにつながっていきます。

 昨年、十九号のときには、この上流の第一調節池、ここに水を大きくためていただいたおかげで、荒川の下流、東京は氾濫を免れました。その量は約三千五百万トン。三千五百万トンというのはどれぐらいかというと、私の住んでいる北区全部に一メーター七十センチの水をためると、それが三千五百万トン。大変な量をこの第一調節池にためることができたからこそ、昨年は災害を免れることができました。

 問題は、今後、更に多くの雨が降ったときにどうするかということです。

 現在、国交省は、更に上流の第二、第三調節池に人工の池の整備を進めていただいておりまして、この全てが完成しますと、ためることができる水の量は九千万トン。九千万トンというのは、北区全体に四メーター四十センチの水をためる、膨大な量をためることができますので、もうこれが完成したら、ちょっとやそっとでは荒川はびくともしません。

 ただ、問題は、その完成予定が令和十二年。あと十年もかかるんですね。さすがに心配です。ですから、私はこれまで国会で何度も質問をして、早く完成できないか、一気に十年かけて完成できなくても、例えば途中で完成できた部分だけでも活用して、部分活用して、住民の皆さんの命と生活を守れないか、国交省の官僚の皆さんとともに現地の視察もしまして、知恵を出し合って、さまざま議論を重ねてまいりました。

 国交省の中でもかなり議論を重ねていただいたというふうに思いますけれども、どのように地域の皆さんの命と生活を守っていただけるか、赤羽国交大臣に伺いたいと思います。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

赤羽国務大臣 岡本委員におかれましては、この問題を、これまで予算委員会、国土交通委員会で再三取り上げていただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 我が国の中枢機能が集中する東京都、首都東京を還流する荒川の事前的な、抜本的な対策というのは本当に喫緊の課題だというふうに認識をしておりまして、この荒川第二、第三調節池につきましても、本年度からこの案件専属の荒川貯水池の工事事務所を開設して、体制を整えながら、今、環境アセスまた用地の取得などを進めているところでございます。

 おっしゃるように、完了まで十年かかる、この間の危機をどう回避するかという御提案を受けまして、今回、岡本委員からの御提案を受けて、部分的にも効果を発現する工夫をしっかりやろうではないかと。ですから、今、下流から順次整備を進めてまいりますが、全部でき上がって初めて使うのではなくて、必要な排水施設をそれぞれに設置をして、各区画ごとに使えるような形で、全体の完成までにも段階的に供用できるように対策をとっていきたい、こう考えております。

 いずれにしましても、荒川の河川整備を強力に推進することは、首都圏の安全、安心の実現に向けて最重要の課題だと思っておりますので、省を挙げて全力で取り組んでまいります。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 大切な御答弁でして、十年待たなくても、できたところから使っていきながら、毎年毎年、住民の皆さんの命を守っていただけるということをお約束をいただきました。

 総理にお伺いしたいんですが、菅総理は、所信表明演説で、利水用のダムや調整池でも水害を防ぐためには活用して、河川の洪水から命を守りますとおっしゃいました。とても大切な取組です。

 そこで伺いたいんですが、昨年、荒川を守った荒川第一調節池でありますけれども、二枚目のパネルをごらんください、この二枚目のパネルは荒川第一調節池の断面図なんですけれども、一番下の青い部分、七百六十万トン、これが、ふだんから水がためられていて、いざという渇水のときに利用する部分です。その上の三百万トン、これは季節によってためたり抜いたりしています。一番上の三千六百万トン、これがふだんは空で、大雨のときにはここに水をためて災害を防ぐわけですけれども、要は、この一番上の治水の容量をふやしたいんですね。

 この下の三百万トン、日本の気象庁の予測のレベルは最高水準です、数日前には大雨がわかります、この三百万トン、そしてこの七百六十万トンも、いざというときにためていますけれども、大雨の予想のときには川にももう既に雨はたくさんあります。

 したがいまして、この七百六十万トンと三百万トン、一千万トン以上を事前に放流をすることができれば、かなりここに水をためて、第二、第三調節池が完成する前でも下流の住民の方々は安心して生活できますけれども、ぜひ総理のリーダーシップで、利用できるように、治水に使えるように、皆さんの命を守るように利用いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 私自身、昨年の台風十九号のときに、何とか水害を防ぎたいという形で役所からいろいろな知恵を出したときに、いわゆる利水ダム、電力会社のダムとか農業のダムというのは貯水対策に全く使っていなかったんです。そして、ことしから、全部、お互いに協定を結んで、やれるようにしました。

 そして、今岡本委員が言われましたように、日本の気象の予測というのは三日先はほぼ完璧にわかるということでした。ですから、その三日前から、ことしから事前放流するのを始めています。

 そういう意味において、今御提案をいただいたことも国土交通大臣のもとでしっかり検討して、できるものがあれば早くやる、それは大事なことだと思います。

岡本(三)委員 総理、ありがとうございます。

 総理と国交大臣のリーダーシップで、荒川を守って、東京、日本を守るということを、ぜひ実現をお願いしたいと思います。

 続きまして、GoToトラベルにつきまして質問させていただきます。

 新型コロナの拡大によって壊滅的なダメージを受けた観光産業の方を支援するために、これは利用者の方々からも大変大きな評価をいただいております。観光産業でお勤めの方は全国に約九百万人、何と働く方の六・三人に一人は観光産業にお勤めで、その多くは地域経済を支えていただいている方であります。

 キャンペーン当初には、コロナが収束していない中で実施するには否定的な意見もありましたけれども、利用者の方、そして観光産業の方、双方が感染防止のための努力をしていただくことによって、大変安全な形で今実施がされています。

 私は、この事業を最低でもゴールデンウイークまで、実際にはオリンピックまで観光産業を支援するという意味で、来年の上半期はぜひ続けていただきたいと思っているんですが、これまでこのGoToトラベル事業を推進してこられた赤羽大臣の現状の認識、今後の決意をお伺いしたいと思います。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

赤羽国務大臣 まず、先ほどちょっと総理から御答弁いただきましたが、荒川第一貯水池の彩湖の件は、事前放流ができるように、早速、利水者と協定を結んで、しっかり検討に入りたいと思います。

 また、GoToトラベル事業につきましては、ウイズコロナ時代において、感染拡大防止と経済社会活動の両立という大変大きなテーマの中で行っている需要喚起策でございます。

 当初、大変反対の中での船出でありまして、私も緊張感を持ってやっておりましたが、十月一日から、いわゆる東京発着の旅行も対象になったことですとか、地域共通クーポンが開始になったということで、実は、七月二十二日の開始から十月十五日までの速報値でありますが、少なくとも、約三千百三十八万人泊、額でいいますと約一千三百九十七億円という記録になっております。

 また、この間、感染状況はどうかといいますと、滞在期間中若しくはチェックアウト後に感染が判明された方も数十人程度となっておりまして、感染拡大防止もしっかりされているのではないかという評価でございます。

 私自身、この間、二十の観光地を訪問しまして、観光関連、運輸関連の皆さんとさまざまな意見交換をさせていただいておりますが、予約状況も大変好調だということですとか、これまでなかなか利用されなかった観光施設への利用も高まっているですとか、お土産物も随分売れるようになったと、高い評価と今後への期待、強くいただいております。

 また、宿泊施設においての感染拡大防止策も、やはり宿泊業の皆さん、衛生面の意識が本当に高くて、チェックイン時の検温ですとか本人確認、また、ビュッフェスタイルでの食事の取り分け、浴場などでの三密回避など、大変しっかりと取り組んでいただいているということを改めて確認したところでございます。

 旅行者の皆様に対しても、新たな旅のエチケットの遵守を呼びかけておりまして、事業者や旅行者の双方の協力で、ぜひ、安全で安心な新たな旅のスタイルの普及、定着を進めたい、それが確実に進んでいるというふうに思っております。

 与党の皆さんからも、この事業の延長をということでございますので、これはもう、政府として答弁しているように、これからの観光の回復状況ですとか予算の状況等々を勘案して、私どもの立場では、しっかりと前向きに検討させていただきたい、こう考えております。

岡本(三)委員 続きまして、携帯電話料金の値下げについてお伺いいたします。

 菅総理が掲げられました、この携帯電話料金の引下げに対して、国民から大きな期待の声が上がっています。それは、国民の生活必需品にもうなっているからだというふうに思います。

 公明党は、これまで、二十五年以上にわたりまして、生活者の目線に立って、一貫して、携帯電話料金の引下げや利便性の向上について取り組んでまいりました。その意味で、今般の菅総理の力強い後押しに心から感謝をしております。

 このパネル三をごらんください。

 これまでの我が党の取組ですが、一九九四年、公明党の神崎郵政大臣が、それまでレンタル制だった携帯電話を売り切り制にいたしまして、携帯販売の自由化を実現し、これを起点として携帯電話は飛躍的に普及をいたしました。

 また、二〇〇〇年には、携帯を誰もが使えるものにするという生活者の視点から、料金の引下げを求める署名運動を展開し、何と千三百五十二万人から署名をいただいて、料金の値下げを推進してまいりまして、このときの署名をいただいた方の大半は二十代、三十代の若い方々でした。

 また、今では当たり前となった、携帯電話会社を乗りかえても同じ番号を使える番号ポータビリティー制度は、二〇〇三年に公明党が展開をした一千十二万人の署名などを受けて、二〇〇六年に導入をしていただいたものです。

 その後も累次の要望を重ねまして、先般も携帯電話料金の引下げを政府に提言をさせていただきました。

 そうした中、菅総理が、携帯料金は四割は下げることができる、携帯電話料金を下げるべきだというのろしを上げていただいたことを私たちは高く評価をしております。

 総理、これまでの公明党の携帯電話料金引下げに対する取組をどのように評価していらっしゃいますでしょうか。また、今回の総理がおっしゃっている引下げの実現というのは、菅内閣の政権公約だと受けとめておりますけれども、それでよろしいでしょうか。御決意をお聞かせください。

菅内閣総理大臣 私自身は、政権公約だという、その思いの中で取り組んでいます。

 詳細について、今かなり進んでいますから、具体的に武田大臣から答弁させていただきます。

武田国務大臣 先般も公明党の皆様方がお越しいただきまして、この料金引下げに向けての力強い御指導を賜ったところでありまして、感謝を申し上げております。

 非常に日本の携帯料金が高いという御指摘は、かねてから受けておりました。この原因を調べたところ、多々その原因がありまして、やはりモバイル市場において公正な競争がなされていなかった、まさに大手三社による寡占状態がずっと続いておったということが一つの原因。もう一つの原因は、個人が事業者を乗りかえるに当たっての選択の自由というものが阻害されておった、数々の障害があったがために、安いプランに切りかえようとしてもなかなかそういう環境にはなかった。そうした点が我々は気づいたところであります。

 先般、我々は、アクションプラン、これは総務省の今後の総合的な対策としての指針を示したわけでありますけれども、過去、二年前と比べて、大容量については約五割以上値下げしたプランというものが今出つつあるわけでありまして、さまざまな選択肢がふえたわけでありまして、御自身に合ったプランというものを自由に選んでいただくように、我々としても使用者に呼びかけていきたい、このように考えております。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 総理、私たち公明党、菅総理の、携帯電話料金を下げるという、生活者の視線でさまざまな施策を取り組んでくださっていること、全く気持ちを一つにしていると思っているんですが、これまでの私どもの取組に関して、総理からも一言御評価をいただけるとありがたいです。

菅内閣総理大臣 私自身が気がつくはるか以前から、公明党の皆さんからそうした運動、署名活動を行っていただいていることを心から敬意を表したいと思います。ぜひ皆さんの御期待にお応えすることができるように、政府一丸となって取り組んで実現をしたい、このように思います。

岡本(三)委員 武田大臣にもう一つだけ。

 最近の電話会社の動きは、自分のメーンブランドではなくてサブブランドで、二十ギガ程度の、物すごく映像を見るような方々の料金の値下げをしていますが、ほとんどの方は、過半数の方は、使っている容量は二ギガ以下なんですね。普通に電話だけというような多くの国民の皆さんが、自分が値下げがされたと実感できるように。また、乗りかえも面倒くさ過ぎます。簡単に乗りかえができるように。

 先般のアクションプランでは、国民の利便性に対してしっかりと取り組まないような事業者には電波の割当てを抑制するということも発表されています。しっかりと携帯会社の健全な競争を促して、多くの一般的な利用者の皆さんが、私も料金下がったと値下げが実感できるような、ぜひそういう取組を総務省としてお願いしたいんですが、一言コメントをお願いします。

武田国務大臣 御指摘のように、技術力を持った、やる気のある事業者が自由に競争できる市場、これを創出する、もう一つは、自分の求めているプラン、それに見合った選択ができるような、自由な選択を保障できるそうした乗りかえ制度、これが今から重要となってまいります。アクションプランにも明記しておりますけれども、しっかりと利用者の立場に立った制度、また環境の整備に努めてまいりたいと思います。

岡本(三)委員 続きまして、銀行振り込み手数料の値下げについて、質問、提案させてください。

 新型コロナ対策で実施をされました、お一人お一人全て一律十万円の定額給付金を受け取っていただく、私も実現に最大の尽力をさせていただきましたけれども、大変多くの国民の皆さんに高い御評価を受けておりまして、追加の給付を期待する声も多くあります。

 あの給付の際に、五千八百万世帯に対して送金をしたその振り込み手数料は、総額百六十七億円という巨大なものになってしまいました。一般的に、銀行の振り込み手数料は、三万円未満で約三百円、三万円以上で約五百円。国民の皆さんからは、振り込み手数料が高過ぎるという批判が、とりわけ、毎月毎月多くの送金をされる中小企業の方から負担が重いとの声が上がっています。

 ことしの四月に公正取引委員会は、銀行振り込み手数料について、銀行間手数料が四十年間固定され、一円も変わらず、コストに見合った手数料になっていないと指摘をして、引き下げるべきだという問題提起を行いました。

 こうした状況を考えると、銀行の振り込み手数料は高過ぎます。大幅に下げるべきだというふうに思いますけれども、その実施時期も含めまして、担当の赤澤副大臣に御答弁をいただきたいと思います。

赤澤副大臣 御質問ありがとうございます。

 菅総理が、平素から、世の中には国民の感覚から大きくかけ離れた数多くの当たり前でないことが残っている、現場の声に耳を傾けて、何が当たり前なのか、そこをしっかりと見きわめた上で、大胆に実行するとおっしゃっているとおり、銀行間手数料の問題に関しても、委員の御指摘をいただいて、何が当たり前なのかを考え抜いて対応してまいりたいと考えております。

 具体的には、銀行間手数料はこれまで四十年以上にわたって不変でありました。本年の政府の成長戦略において、コストを適切に反映した合理的な水準に引き下げることとしたところでございます。

 また、現在、銀行界において、見直しに向けた検討を進めておりまして、本年度内に具体的な対応を決定した上で、準備が整い次第、銀行間手数料の引下げを実施する予定としております。

 金融庁としても、本件に係る検討が着実に進展をし、利用者利便の向上につながるように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 菅総理は、国民のために働く内閣を目指すと宣言をされました。私自身も、与党の議員の一員として、国民のために働く議員の道を突き進むことをお誓いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金田委員長 これにて竹内君、岡本君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 このたび、衆参合わせて百五十人規模で新たなスタートを切りました立憲民主党、江田憲司でございます。

 まず冒頭、このコロナ禍で亡くなられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、困難な状況にあられる全ての方々に、皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。対応に万全を期して、一刻も早い収束に向けて、我々も全力で取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、菅総理、総理御就任まことにおめでとうございます。初当選が橋本政権ということで、当時、橋本総理の御指示で、私も多少、総理の初めての選挙をお手伝いをしたこともございますし、私、不肖江田憲司がここに、政界に身を置いているきっかけをつくっていただいたのも菅総理ということで、今は政治的立場は異にいたしますけれども、ある意味、感慨深いものがございます。

 まさかこんな日が来ようとは、大変失礼ながら、想像しませんでしたけれども、それは一番総理が、御本人がお思いなんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 江田さんですから、私も全集中の呼吸で答弁させていただきます。

 いや、今こうして私がまさにこの椅子に座るとは、夢にも思っていなかったんです。逆だったんじゃないんですかね。私はそういう思いで江田さんを私たち自民党に勧誘したんです。これが、こうして、立場がこのような立場になってまた国会で論戦できるとは、夢にも思っておりませんでした。

 そういう中で、橋本亡き総理、総理の御子息も国会に出てきています。世の中はこうして変わっていくんだなという非常に感慨深いものを、今、思っています。

 ぜひ、今後とも、お互いに競い合いながらこの日本の国を更に前に進めていきたい、そのように思います。

江田(憲)委員 こう見渡してみても、総理ほか橋本政権で初当選の方は大勢いらっしゃいますし、党の方でも総務会長、政調会長、選対委員長。今、本当に残念なことに亡くなられましたけれども、草葉の陰で橋本総理もお喜びなんだろうなと御推察申し上げます。

 自民党では珍しい、二世でも三世でもない、たたき上げの苦労人の総理大臣であられますから、ぜひとも国民目線で、特に庶民や社会的に弱い立場に置かれている方々に寄り添う政治を実行していただきたいと思います。

 その関係でちょっと気になることがありますので、ちょっと冒頭確認したいんですけれども、総理は、あのマキャベリですね、マキャベリの言葉を、今話題の御著書「政治家の覚悟」、これは初版本ですけれども、その後書きにマキャベリの言葉を引かれているんですね。こういうくだりがあります。「政略論」というマキャベリの著書ですけれども、弱体な国家は常に優柔不断である、決断に手間取ることは常に有害である、この言葉を胸に歩んでいく覚悟だとあります。

 マキャベリというと、いわゆるマキャベリズム、一般に評されるのは、目的のためには手段を選ばないとか、ある政治目的を達成するためにはたとえ非道徳的な行為でも許される、結果がよければ許されるとか、そういったことをよく言われる政治思想家でありますけれども、総理はそういったマキャベリズムというものを信奉されているんでしょうか。

菅内閣総理大臣 マキャベリズムというよりも、やはり政治というのは優柔不断であってはならないと思っていました。

 例えば、今、一つの問題を解決、少子高齢化社会、少子化対策はやらなければならない。しかし、具体的な、何をやるべきかということを、いろいろな意見がありますから、そういう中で議論だけしていて何も進まないということは、やはり政治家はやるべきじゃない。

 私自身が今いろいろな御批判を受けていますけれども、例えば、やるべきことって、日本という国はかなり決まっているんじゃないでしょうか。例えば、デジタル化だって、これは何年も前からみんな言っていたんです。しかし、当然反対意見もありますから、やり切れなかった。脱炭素社会もそうじゃないですか。これだって、進めていかなきゃならないということは、多くの皆さん、わかっている。私ども自民党もそうでした。しかし、今回、産業界とかそうした反対をするところをまとめることが実はできて、私、所信に入れさせていただきました。そうしたこと。

 しかし、政治は何のためにあるかといえば、それはまさに国民目線、国民の皆さんの声を反映をさせるためです。ですから、今言われましたけれども、問答無用じゃなくて、そうした国民目線に立って、そして自分自身が見きわめた上で私はやるべきだということをずっと思い続けています。それが基本的な私の姿勢であります。

江田(憲)委員 総理は、俺がやると言えばやるんだと周辺の方によく口癖のようにおっしゃるという、私も多少存じ上げておりますが、ぶれない政治家ですよ、菅義偉さんは。腹がくくれる政治家ですよ。しかし、これは国民のためになることにくくっていただけりゃいいんですけれども、国民のためにならないことに腹をくくっていただくと、こんなに厄介な政治家はいないと思っています。

 その象徴的事例が学術会議の任命拒否の問題だと思うんですけれども、まず端的にお聞きしますけれども、これは任命権者は総理大臣ですね。ただ、その任命基準、選考基準は何ですか。法律上の根拠を述べていただきたいんです。

菅内閣総理大臣 日本学術会議法上は、会員の任命については、学術会議からの推薦に基づいて内閣総理大臣が任命することになっています。推薦については、同法で、すぐれた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣総理大臣に推薦するというふうになっています。

江田(憲)委員 そのとおりで、このパネルですね。短い法律なので、もう、すぐわかることで、これしかないんですね、任命基準。

 であるならば、お聞きしますけれども、総理、すぐれた研究又は業績があるということを総理が判断をせないかぬわけですけれども、総理は任命を拒否した六人の方の研究や業績について一体どれほどのことを御存じでしたか。本件が起こる前からこの六人の方のお名前は御存じでしたか。

菅内閣総理大臣 私は、加藤陽子先生以外の方は承知していませんでした。

江田(憲)委員 ということは、加藤陽子先生以外の方の著作や研究論文等々も読んだことはないということでよろしいですか。

菅内閣総理大臣 それはありません。

江田(憲)委員 それでは、この法律に基づくこの「優れた研究又は業績がある科学者」というのは、どなたが、どうやって判断をされたんでしょう。

加藤国務大臣 まず、ちょっと先に。

 今、そこにあるまさに第十七条でありますが、その主語は「日本学術会議は、」となっております。したがって、まず日本学術会議は、すぐれた研究又は業績がある科学者のうちから選考して、推薦をする。したがって、学術会議においてそうした観点からの推薦が、そういった選考がなされてきている。

 それを踏まえて、私どもの方が、この学術会議法の、そこには出ておりませんけれども、設置目的等を踏まえて、適切かどうか判断させていただいている、こういうことであります。

江田(憲)委員 そこには出ていませんがなんて、そんな発言はだめですよ。

 あなたは、ちょっと聞きますけれども、法律による行政の原理というのは御存じですか。

加藤国務大臣 いや、そこに出ていないというのは、設置目的の条文がそこの掲示板には出ていないということで申し上げたので、設置目的を踏まえて、そして私どもの方で判断をする、内閣総理大臣において判断をする、こういうことであります。

江田(憲)委員 じゃ、設置目的で新たな基準を設けたということですか、これ以外に。

加藤国務大臣 判断基準とおっしゃる趣旨はあれですが、設置目的があり、そしてこの間においていろいろな議論がありました。当然、政府として、そうしたものを踏まえながら判断していくということであります。

江田(憲)委員 法律というのは、そんな恣意的な解釈はできないんですよ。文言はこれしかないんですから。すぐれた研究又は業績があるかどうかですよ。それを、設置目的だ、審議会答申がある、そんなことで解釈変更していいんですか。そんなことを言っている歴代総理大臣は誰もいらっしゃいませんよ。

金田委員長 官房長官加藤勝信君。(江田(憲)委員「ちょっと」と呼ぶ)手が挙がっていますから。

加藤国務大臣 ですから、それに関して、先ほど申し上げておりますように、今回の日本学術会議法、従前から御説明しておりますけれども……(発言する者あり)

金田委員長 静粛に。

加藤国務大臣 憲法十五条からきておるわけでありまして、そうした流れで規定された日本学術会議法の今言われた第十七条、そして、それを踏まえた第七条の二項、これを踏まえて総理において任命がなされていく。そして、その任命に当たっては、当然、この設置目的というのがあります。そして、設置目的を判断するに当たっては、その設置目的に適合するかということについては、時々の、これまでの、例えば総合科学技術会議等でのそうした議論、こうしたことを踏まえていくのは当然だというふうに思います。

江田(憲)委員 今の官房長官の答弁は、過去どなたもされていない答弁です。解釈を変更したということですね、明確に。

加藤国務大臣 いや、解釈を変更しているわけではなくて、これまでもそうした形で適切に判断をして実施をしてきたということであります。

江田(憲)委員 どなたがですか。

加藤国務大臣 最終的には、任命権者である内閣総理大臣がであります。

江田(憲)委員 今度こそ総理に聞きますから。

 菅総理が今回初めてそういう新たな見解を提示された。それが、何ですか、総合的、俯瞰的観点とかバランスとか、そういうことですか、総理。確認です。

菅内閣総理大臣 それは、初めてというより、この法律に基づいて私が判断をしたということです。

江田(憲)委員 申しわけないですけれども、中曽根総理だって、これは形式的任命で、そのまま任命するんだと。

 法律による行政の原理。とにかく、国民主権の国ですからね。その代表者たる国会が定める法律に基づいてやってもらわないと困るんですよ、総理大臣も官房長官も。当たり前の話なんです。法律による行政の原理。行政法や行政でイの一番に習うことでしょう。その法律の規定がこうなっているんですから、私、聞いているんです。何度も聞いている。

 すぐれた研究又は業績がある科学者かどうかしか判断基準はないんです、法律上。それを、設置目的だ、過去の、何、審議会。審議会答申が仮にあったら、それを受けて、あなた方政権にある人は、法律改正をして初めてそれが基準になるんですよ。それもせずに勝手に恣意的な解釈をするから、皆さんが、おかしい、こう言っているわけですよね。

 時間もありますから、これは本当にはっきり言って、法律に基づいてやってくださいということです、本当に。

 それで、報道によると、実は、これは杉田官房副長官が事前に総理に話をして方針を決め、その結果、起案をして、九十九名の方を任命されたと。総理はもともとの百五名の名簿は見ておられないということですが、それで結構ですね。

菅内閣総理大臣 百五名のもともとの名簿は見ていないということは事実です。

江田(憲)委員 それでは、事前に杉田副長官と総理が打合せされた、その方針というのを明らかにしていただけませんか。

菅内閣総理大臣 私は、官房長官のときから、学術会議にさまざまな懸念を持っていました。

 それは、まず、年間十億円の予算を使って活動している政府の機関であり、私が任命をすると公務員になるんです。そういう中で、かねてより多様な会員を選出するべきと言われながら、現状は出身や大学に大きな偏りがあります。また、民間人、産業界、あるいは四十九歳以下の若手はたった三%です。

 午前中もこれは議論がありましたけれども、会員の選考というのは、研究者は全国で九十万人いると言われています、その中で、約二百人の現在の会員、また約二千人の連携会員、この人たちとつながりのある限られた中から選ばれております。閉鎖的で既得権のようなものになっていると言わざるを得ないというふうに思います。

 こうした中で、学術会議から推薦された方々をそのまま任命されてきた前例を踏襲していいのかどうか、私自身は悩みに悩みました。そして、この閉鎖的で既得権のようになっているとも言われるこういう状況の中から任命されてきているわけでありますから、今回、前例踏襲はやめて、結果として、例えば民間人や若い人をふやすことができるようにしたらいいのではないかなという私自身の判断をしたということであります。

江田(憲)委員 総理大臣が個人でそう思われることは自由です。であるならば、総理大臣ですから、しっかりそれを法律改正で提案をして国会審議で議決するというのが筋なんですよ。

 よく総理は憲法十五条を持ち出しますけれども、憲法十五条というのは、公務員の最終的な任免権は国民にあるという国民主権をあらわす条文ですよね。具体的にはどう手続をするかというと、国民の代表である国会、それが定める法律によって公務員の任命はするということなんですよ。ですからこれが大事なんですね。

 ですから、何か設置目的の抽象的な文言を引いたり、法律以外のいろいろな審議会や答申を引いたりして、今バランス論を言われましたけれども、全く通用しませんよ、法律の解釈として。法律による行政の原理に反する、全く違法だと私は思います。

 ただ、百歩譲って、じゃ、バランス論をとるとしましょう。今回、六人任命拒否のうち、三人は私大出身ですよ、総理が少ないと言われている。一人は女性ですよ。女性をふやせって、女性一人を拒否された。慈恵医大の先生、誰一人、今、現会員いらっしゃいませんね。その貴重なたった一人の先生を任命拒否された。立命館大も、今たった一人しか現会員いらっしゃらない。それを拒否された。

 そのバランス論に立ったとしても、総理がおっしゃっていることは支離滅裂ではありませんか。

菅内閣総理大臣 まず、個々人の任命の今理由を述べるようでありますけれども、これは政府の機関にかかわる公務員の人を指名するのと一緒ですから、通常の公務員の任命と同様に、その理由について、これは人事にかかわることですから、答えは差し控えるべきだと思いますよ。

江田(憲)委員 都合が悪くなると人事で逃げるんですけれども、人事を、政治家になる前、やったことありますか、菅総理。

 普通、こういう場合、物事をわかりやすく言いましょう。例えば、社長があの課長を飛ばせと言う。確かにその課長本人には飛ばす理由は言わない。しかし、少なくとも人事部長には言いますよ。上司には言いますよ。なぜか。それは人事が回らなくなるから。なぜ社長が飛ばしたのかわからないと、次以降の人事ができないんですよ。今回の場合は、少なくとも学術会議の会長ぐらいにはおっしゃらないと。早速、会長もおっしゃっているじゃないですか。これからどうやって推薦していいかわからない、全く理由がわからない。また三年後、百五人の推薦をするときに、基準がわからないんだったら推薦もできないでしょう。

 だから、人事で逃げる、個々具体的な本人がどうしたこうした、明らかにできないというのを認めるにしても、この場合は学術会議の会長にはしっかり言わないと、今後、学術会議の人事が回っていかないんですよ。いかがですか。

菅内閣総理大臣 今、私申し上げましたけれども、人事の判断は必ずしも単一の理由でなく、さまざまな要素を考慮して行われるものであって、これを説明することによってその後の円滑な人事が逆に困難となるおそれがある。これは組織一般に通ずるものじゃないでしょうか。

江田(憲)委員 総理、会長の立場に立ってください。これはまた推薦せにゃいかぬですよ。何にも聞いていない、今回、六人排除された基準が。じゃ、この人をどうしようか、ああしようかという議論をしているときに何にもその基準がないと、三年後、推薦できないじゃないですか。だから、もう論理破綻をしているということなんですね。

 それから、山極前会長が、先般、NHKのインタビューにお答えになって、二年前の、これは補充人事の話ですけれども、官邸から難色を示されたとき、理由を教えてください、そのために官邸に出向きますと何度も杉田副長官に面会を申し入れたが、来る必要はない、理由も言うつもりもないの一辺倒で、結局これは欠員になったと。

 なぜ、杉田副長官はこういう対応をされたんでしょう。

加藤国務大臣 二年前の補充人事の際の話だというふうに思います。

 杉田副長官と山極前会長の間では、この件に関しても直接のやりとりはなく、それまでに至るプロセスにおいても、事務当局を介して、しかし他方で一定のやりとりがあったというふうに聞いているところでありますので……(発言する者あり)杉田副長官と山極前会長の間では、直接ではないにせよ、やりとりがあったというふうに聞いております。

 それ以上については、人事のプロセスの話でありますから、詳細はお答えを控えますけれども、そうしたチャンネルの中ではやりとりがあったというふうに聞いております。

江田(憲)委員 聞いているじゃちょっとあれなので、直接お聞きしたいと思います。

 加えて、文部事務次官であった前川さんが、文化功労者の選考委員ですか、その選考のときも、杉田さんから政権を批判するような人は入れるべきではないということを言われたとおっしゃっていますので、この真偽も確かめたいものですから、委員長、ぜひ、杉田官房副長官を国会に呼んでいただけませんか。

金田委員長 ただいまの提案につきましては、理事同士で現在協議をしております。

江田(憲)委員 協議を続けている。

金田委員長 はい。

江田(憲)委員 続ける必要ないんじゃないですか。だって、官房副長官、事務も、過去、衆参、出席していますからね、国会に。

金田委員長 はい。

江田(憲)委員 かつ、杉田副長官は内閣人事局長も兼ねておられるんでしょう。内閣人事局長という行政機関の長が国会出席を拒否するなんてあり得ませんよ。

 もし出てこられないなら、委員長、国民に向かってわかりやすく説明してくださいよ。いいですか。

金田委員長 理事会で協議をしております。

江田(憲)委員 その上で協議してください。

金田委員長 はい。

江田(憲)委員 さて、総理、ここが肝心なんですけれども、本件で、学問の自由、自律性というのは侵されませんか。

菅内閣総理大臣 全く侵されていないと思います。

江田(憲)委員 八三年、中曽根総理の答弁は、この総理大臣の任命は形式的行為だから、学問の自由や自律性は保障されるんだという答弁があるじゃないですか。

 逆に言えば、形式的任命行為でなければ、学問の自由や自律性を侵す可能性があるということを認めておられる答弁ですよ。いかがですか。

加藤国務大臣 当時の答弁ということでありますから。

 中曽根総理の答弁、これは四十年前のことではあります。そのときに、形式的任命という話もされたわけであります。

 この当時、まさに選挙制度でこの日本学術会議の会員を決めていた。それを廃止をして、各学会からの推薦に基づく任命制に移行しようとしたわけでありまして、そうした中において、新しい制度で会員としてふさわしい者が推薦されるという期待があったんではないかなというふうに思うところであります。

 もう一方で、これはこの国会等でも申し上げておりますが、日本学術会議法の会員の任命については、憲法第十五条第一項に基づけば、推薦された方々を必ずそのまま任命しなければならないということではないという点については、内閣法制局の了解を得た、これは当時からの一貫した考え方であるというふうに考えております。

江田(憲)委員 中曽根総理は、これは形式的任命だからこそ学問の自由が保障されるんだという答弁をされているんです。それを変更されるわけですね。

加藤国務大臣 いや、ですから、先ほど申し上げた日本学術会議法の会員の任命については、憲法第十五条第一項に基づけば、推薦された方々を必ずそのまま任命しなければならないということではないという点については、これは法制局の了解も得た、政府の一貫とした考え方であるということであります。

江田(憲)委員 もう具体的に、例えば、大学の学長の任命まで介入してくるんじゃないかとか、こういう先生がいる大学の運営補助金、削られるんじゃないかとか、こういう任命拒否された先生のゼミに入っていると就職が不利になるんじゃないかとか、あちこちで声が上がっているんですよ。これこそ学問の自由に悪影響を及ぼしているじゃありませんか。今度は総理、お答えください。

菅内閣総理大臣 そういうことは全くないと思います。

 だって、学問の自由というのは、これは憲法で保障されている。それについて、杉田官房副長官がそうしたことを行ったという前提じゃないですか、先ほどの……(発言する者あり)いや、大学の学長の人事に介入したということでしょう。ですから、それはないということを私は申し上げております。

江田(憲)委員 ちょっと全くわかりませんが。

 総理は著書でこうお書きになっている、いいことを。人事権はむやみに行使するものではありません、感情に左右されてはなりません。当人は別にしても、周りから支持が得られ、納得されるものでなくては、反発を招き、信頼を失うことになる。

 まさに、私、当人にまで言えというんじゃないんですよ、周りですよ。本件の場合は学術会議の会長や、もしかしたら部会長も入るかもしれない。そういう方にはしっかり説明をして納得ずくでやらないと、これから官邸と学術会議の関係はおかしくなりますし、何よりも、学術会議の人事、任命が回らなくなるということを申し上げておきます。

 それから、杉田副長官、昔、後藤田正晴先生の官房長官秘書官としてお仕えになりましたので、ちょっとお二人で、きょう官邸にお帰りになったら、この言葉をかみしめていただきたい、後藤田先生の。権力者は自分を特別と思ってはいけない、常に常識の目線で見るべきだ、権限があるからといって、それを活用すれば何でもできるというものではない、権限があるからといって、それを振るったらうまくいくかというと、そうでもない、独裁政治ならいいだろう、民主主義の社会ではだめだ。

 こういう権力の抑制、謙抑性というかそういうものをずっと唱えてこられたのが後藤田正晴先生なので、冒頭申し上げました、たたき上げの苦労人の総理であられますから、ぜひ国民目線の政治をやっていただいて、こういうことはやっちゃだめです、本当に。申し上げておきます。

 さて、あとは同僚議員に任せますけれども、経済の問題に入りたいと思います。

 総理はアベノミクス継承とおっしゃっているんですが、残念ながら、アベノミクスというのは、強い者を更に強くし、金持ちを更に大金持ちにしただけです。期待されたトリクルダウン、低所得者への波及効果は起きず、逆に格差や貧困が広がった。

 よく政府は雇用がふえたんだとおっしゃいますが、その大宗は非正規雇用。実質賃金が下がって、可処分所得も下がった結果、消費がどんどん減退してきた。そこに昨年十月、消費増税が襲った。それで、経済、基礎体力を失っているところに、ことしに入ってコロナが襲ったということで、本当に二重苦、三重苦の状態です。

 御案内のように、四―六月期のGDPはマイナス二〇、年率二八・一%。ざっくり言うと、輸出と消費ががた落ちですよね。輸出は相手国もある話ですからすぐにはどうこうできませんけれども、消費は総理の権限でできるんですね。そういう意味では、GoToキャンペーンもいいでしょう、携帯電話料金の値下げもいいと思いますよ。しかし、そういう個別業種対策ではなくて、もっと抜本的な、包括的な消費喚起策、おやりになりませんか。

 ということで、何か報道されているところによると、第三次補正予算、十兆だ、十五兆規模だと今報道が飛び交っていますけれども、総理、指示されるんでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、経済を回復させるために、これまで、低所得者の方を含む全ての方々に一人十万円の現金給付など、総額二百三十兆円を超える対策を必要な方に行き渡らすべく今実行しています。

 持ち直しの動きが見られるものの、依然厳しい経済状況でありますので、引き続き、GoToキャンペーンについて、感染対策をしっかり講じた上で、各事業を適切に運用し、ダメージを受けた観光、飲食、イベントなどを支援し、経済の回復につなげていきたいというふうに思いますし、今後ともちゅうちょなく必要な対策はとっていきたい、このように思います。

 いずれにしろ、経済あっての財政、そういう中にあって、全体を見ながらしっかり対応していきたいと思います。

江田(憲)委員 第三次補正予算の編成はいかがですか。

菅内閣総理大臣 現段階において申し上げることは控えたいと思います。

江田(憲)委員 消費ががた落ち、GDPの五割、六割を占めるわけですから、やはり抜本的な喚起策というのが必要だと思いますよ。

 そのために、例えば、時限的な消費税の減免あるいは所得税の減免、いかがお考えですか。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

菅内閣総理大臣 特に消費税は、御承知のとおり社会保障の財源になっていますから、そこを、消費税の引下げということは考えておりません。

 いずれにしろ、全体を見ながらそこは考えるべきだというふうに思いますけれども、少なくとも消費税は考えていません。

江田(憲)委員 消費税が社会保障の財源、しかし、社会保障の財源は消費税だけじゃありませんから、所得税も法人税もあります。これは時間があったら後でやりますけれどもね。

 所得税の減免はどうですか。例えば、これは制度設計にもよるんですけれども、年収一千万円以下の給与所得者というのは全体の九五%、ほぼ全員を占めるんですね。それで、納めている所得税収は五兆円ですから、五兆円の財源があれば、一年間、給与所得者、特にサラリーマン世帯、一千万円以下の年収の方はゼロにできるんですよ、一年間。

 それで、これは当然、所得税非課税世帯もおられますから、そういう低所得者の人には、消費税を上げたときにやったような給付金を出す。例えば、月一万、年十二万出すと、これは大体二兆数千億でできるんですよ。そうすると、合わせて大体七兆数千億というのは、いみじくも今予備費で残っている額じゃありませんか。

 ですから、総理が決断されれば今すぐ、財源もあるし、一年間九五%の国民の皆さんの所得税がゼロになる、しかもこれは給付金と違って手続要りませんから、給与所得者は、源泉徴収をやめればいいわけで、もう即決でできるんですね。ぜひ総理、これをやりませんか。

麻生国務大臣 所得税のお話なので私の方から。

 これまでいろいろ、所得税の配分については、もう江田先生よく御存じのとおり、これまでもいろいろ配分を変えさせていただいてきたのは御存じのとおりです。最高税率四〇%が四五%になりましたし、金融所得課税も一〇%から二〇%に上がっておりますし、いろいろな形で、高所得に対する基礎控除の分も、二千五百万円超で基礎控除は適用しないということを決めさせていただいたり、既にいろいろ講じてきておりますので。

 今後の税制のあり方というのは、いろいろまだ考えないかぬところはいっぱいあるんだと思いますが、所得税、法人税、消費税等々ありますけれども、こういった税収というのはきちんと確保していかない限りは、今我々がやろうとしている対策というのは、なかなかそういう面に対応ができませんので、私どもとしては、直ちに、そういった意味で、ネット減税を行っているわけではありませんから、そういった意味では、私どもとしては、いわゆる成長志向の法人税改革というのに引き続き取り組んでいかねばならぬところだと思っております。

江田(憲)委員 消費を見ると、欧米はもう、とっくにコロナ前の水準まで戻しているところが多いですよ、日本だけが取り残されているという中で。

 私も財源の問題は必要だと思いますが、今はしかし、今は、さっきも総理、ちょっとお触れになりましたが、やはり財政出動して国民を救わなきゃ。中小企業者を中心とした企業もそうですよ。雇用をやはりしっかりと維持していかないとだめなんですから。こんなときに財政規律だ、財政再建だと言っている方がおかしいと思いますよ。おさまった後に、どう財源、財政規律を考えていくかということだと思うんですね。

 ですから、そういう、さっきのいろいろなことも含めて、総理、これは総理にお答えいただきたいんですが、我々も真剣に考えますから、こういう消費減税の問題とか、所得税の減免の問題等々、給付金の追加とか、そういった問題をちょっと与野党で協議いたしませんか。これは法律改正が必要なので、野党だけ言っていてもだめだし、与党だけが一方的にまた押し切られて野党もいろいろ物を言われる。時間がかかりますから、与野党協議できちっと決めたことは与野党とも一致して法案を通す、そのための与野党協議というのをやりましょうよ。総理、お答えください。

菅内閣総理大臣 現在、新型コロナウイルス対策で政府・与野党連絡協議会が随時開催をされています。対策全般についてその中で議論が行われていまして、そうした中で取り入れてきているものもあると思います。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

江田(憲)委員 いや、それは、コロナの臨床療法的な対応はやっていますよ。しかし、こういう抜本的な改革は、やはり総理大臣のリーダーシップじゃないとだめですよ。

 ですから、野党も党首を出しますから、総理大臣に出ていただいて、しっかり議論して、法律改正しましょうよ。一番望まれていることじゃないですか。それ以外、何をやられるんですかね。

 もう本当に、申しわけないけれども、個別の業種対策をやっても消費喚起できない、もう本当に深刻な状況ですから、ぜひ総理、もう一回、前向きな答弁をお願いします。

菅内閣総理大臣 全体の状況を見ながらちゅうちょなくというお話を私は国会でも答弁しています。そうした、とにかく今は何としてもコロナ対策を最優先にして、その上で経済対策を行うわけでありますから、そういう状況を見ながらしっかり対応していきたいと思います。

江田(憲)委員 大変残念ですね。

 よく、与党自民党、政府の皆さんは、野党は批判ばかりだとおっしゃいますけれども、こういう建設的な提案をしてもなかなか色よい返事をいただけないということで、残念でなりません。

 本当は今この時点でこんな議論をしたくないんですが、財源という話が出ましたから、我々はコロナ収束後にしっかり財源を出しますという話をします。

 まず、この、ここの委員会の場でも何度も過去出てきたボードを最新版にしました。これは、総理、どう思われますかね。

 総理、これはもう、総理もいいことをおっしゃった。世の中には当たり前じゃないことが多過ぎる、その当たり前を、正すのが私の役割なんだ。そのとおりですよ。

 総理、これは当たり前ですか。法人税というのは大体、今、国税で、これは二年ほど前の水準では二三・四%なんですが、ごらんくださいよ、大企業が一番負担していないんですよ。

 税というのは、担税能力、税を負担する能力の人から取るというのが原則なのに、結局、一番低い。これは総理、端的に聞くけれども、当たり前ですか、当たり前じゃないですか。

菅内閣総理大臣 所得税や法人税については、時々の経済社会の変化を踏まえながら累次改正を行ってきています。所得税の最高税率の引上げ、法人実効税率の引下げの際の外形標準課税の拡大など、施策を既に講じてきています。

 今後の税制のあり方については、経済社会情勢の変化を踏まえながら検討する必要があるというふうに思っています。

 また、医療や年金の保険料について、所得に応じて保険料負担の上限を撤廃すべきとの、こういう御指摘もありますけれども、保険という仕組みの中でどこまでそうした所得再分配の機能を追求するのか、そこはよく考える必要があると思います。

江田(憲)委員 ちょっと待ってください。

 麻生財務大臣が過去にも、何だと、この内部留保。利益剰余金ですよ。ことし、何と四百七十五兆円、史上最高ため込んでいるんですよ、企業が、特に大企業を中心に。麻生大臣が幾ら、賃金に回せ、設備投資に回せと言ってもどんどん内部留保が。だから、日銀がどんどん金融緩和してお札刷って金出しても、全部企業の中の内部留保、利益剰余金がたまっているんですよ。それで、一方で財政再建だ、消費増税だと言っているんでしょう。おかしいでしょう、これ、どう考えても。当たり前じゃないじゃないですか、総理。そこが菅総理の真骨頂のところなんですよ。今までの答弁なんです、それは。くそおもしろくも何ともない。

 要は、私は、どういうやり方でもいいから、少なくとも大企業が応分の負担をするぐらい、このグラフでいうと、この中堅企業よりも多少上ぐらいは負担してくださいよ、税金の負担能力はあるんですから、そのための制度設計は議論しましょう、与野党協議会で、こう言っているんです、総理。どうですか。

麻生国務大臣 法人税の話なので。(江田(憲)委員「いや、法人……」と呼ぶ)だろう、法人税の話じゃないの、これ。(江田(憲)委員「あなたは指名していないの」と呼ぶ)指名されなくても、法人税の話となりますとね。委員長に言われていますので。

 租税特別措置の利用状況とかこういう話というのは、これは実際の法人負担率というのはいわゆる一億から十億の間のところが一番問題なんだというところが書いてあるんですけれども、基本的には、こういった点では、連結法人の法人税のいわゆる負担割合というのはこれは比較的小さく表示がされているというんですけれども、これは、基本的にこういった企業では、二重課税を避けるために受取配当課税の話というところの不算入とか外国の子会社から受け取る配当金の益金不算入というような制度というものが非常に大きな影響を得ておりますので、これは国際的にはそういうルールになっているのはもう江田先生よく御存じのとおりなので、これ以上行かれても知っている話を聞きたくはないでしょうから。そういった意味だと思いますけれどもね。

江田(憲)委員 そういうのは全部織り込んだ上で、結果的にこういう負担率がちゃんと応分の負担になるようにするというのが政治家の役目だと思いませんか、総理。

菅内閣総理大臣 今後の税のあり方というのは、現在の経済社会の状況を見ながら決める話だと思います。

江田(憲)委員 じゃ、もう一個、当たり前じゃないこと、所得税。

 これもよく、年収一億円を超えるとどんどん所得税の負担率が下がるんですよ。これはもう原因は明らかで、一億円を超えると株式取引をする人がふえて、それが分離課税でたった二〇%しか負担していないからこうなっていく。これも当たり前じゃないでしょう、総理。ちょっと、答えてくださいよ。当たり前じゃない。だって、お金持ちになればなるほど所得税の負担率が下がるので、もう国民の皆さん怒っていますよ。どうですか。

麻生国務大臣 今のお話は、これは間違いなく数字としてなっておりますけれども、一番の問題点は、株式の金融所得というところが大きな変化の違いという、この差の違いになってくるんだと思っておりますので、一億円を超えた方等々が、いわゆる現金というものは今大体九百九十兆円ぐらいの一般の現預金がありますけれども、株式等々にその預金を回しておられる方々の配当金というものに関しては、これは分離課税というのは御存じのとおりなので、そういうものの差が出てくる。

 したがって、分離課税を二〇%だったものを二五%まで上げさせていただいたんだと記憶していますけれども、そういったようなことをやらせていただいて、私ども、ああ、二〇%じゃない、一〇%から二〇%に引き上げたところですけれども、そういったことをやらせていただいて、いわゆる所得の再分配機能というのはそれなりの対応をさせてきていただいてはおります。

江田(憲)委員 じゃ、ちょっと最後、総理にお答えいただきたいですが、大体、株式譲渡益の分離課税二〇%というのは、国際的に見ると三〇%が水準なんですね。今度、バイデン候補は、アメリカではこれを四〇%に上げると言っていますから。そうとまで言いませんけれども、総理、やっぱりこう、おかしいことはやめましょう、当たり前じゃないこと。少なくとも三〇%へ上げましょう。

 これは総理の決断なんですよ。このままおしゃべりにならないと、総理はもう全く税に疎い総理大臣ということになりますので、ぜひお答えください。

菅内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、経済社会の変化を見据えた上で判断をするということです。

江田(憲)委員 何も言っていないじゃないですか。

 とにかく、今、個人金融資産が千九百兆円ですよ。ミリオネアと億万長者が、二〇一六年の段階で二百八十万も日本にいる。一年間で七十何万もふえている。とにかくお金持ちは金をため込んでいるんです。だから、大企業は金をため込む、お金持ちは金をため込むから、幾ら日銀がお金を出しても全く経済、庶民にはお金が回らない。だから経済がよくならないんですから。この根本的なところを治療するのが総理大臣の役目ですからね。

 これでもう終わりますけれども、ぜひとも、梶山静六先生を師と仰いでおられる菅総理、また、橋本龍太郎総理のもとで初当選をされた菅総理として、残念ながら、もう本当にお二人は亡くなられてしまいましたけれども、ゆめゆめ草葉の陰で泣いているということにならないような政権運営をぜひお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

金田委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申出があります。江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 立憲民主の今井雅人でございます。よろしくお願いします。

 菅総理、就任おめでとうございます。

 早速、この「政治家の覚悟」という本を読ませていただきまして、ちょうど安保法案で内閣法制局長官の首をすげかえたときの話が書いてありましたので、ちょっと読みますね。

 内閣法制局長官や事務次官の人事については、強引だとの批判もありましたが、政権の方向に合う人を極めて客観的に選ぶという方針ですから明快そのものです、こう書いてあります。つまり、政権に合わない人はやめてもらって、自分たちの考えに合う人を採用するのは当たり前の話だ、こういうふうにおっしゃっています。

 ちょうどおもしろい記事がありましたので、資料で皆さんにお渡ししていますが、ごらんになっていただくと、ちょっと後ろの方ですけれども、ことし初めの方に話題になりました黒川検事長の件に関して読売新聞が記事を書いています。中身を見ると本当にこれはよく書いてあるので、読売新聞の取材力はすごいなと思いましたが、ちょっと読みますね、最初だけ。

 菅さんが、やった方がいいと言っている、仕方がない、安倍首相は菅官房長官の名前を挙げ、周囲にぼやいた。そして、もう少し下の方に行きますと、法務省で官房長、次官を務めた黒川氏を高く評価していたのが、菅氏や警察庁出身の杉田官房副長官、北村国家安全保障局長である。これを読んで、ああ、なるほどと思ったんですけれども、実はこれは菅さんだったんだなということがよくわかりました。

 それと、もう一つあるんですけれども、次のところに、二〇一五年の夏の総務省の人事というのがありますね、真ん中あたりです。二〇一五年夏の総務省人事で、高市総務大臣がある幹部の昇格を提案したが、菅官房長官がそれだけは許さないと拒否をしたということが書いてあります。

 どなたのことかはわかっていらっしゃると思いますけれども、私、直接御本人に確認をしてまいりました。御本人いわく、ふるさと納税の仕組みについて意見を言ったら飛ばされた、こういうふうにおっしゃっていました。本人がそうやっておっしゃっていた。

 そこで、菅総理にちょっとまず基本的な考え方をお伺いしたいんですけれども、この本に書いてあるとおり、菅総理は、人事を決めるに当たっては、政府の方向には合わない人は外して、政府の意見に合う人を登用する、これが当たり前だとここに書いてありますけれども、そういう考えでよろしいですか。

菅内閣総理大臣 私たち、選挙の際に、このような政策をする、例えば財政出動をやる、そういう形で約束してきたとします。それをやろうとしたときに官僚の人が反対をしたら、そこは避けてもらわないと国民の皆さんの約束ができないじゃないですか。

 そうしたことというのは、まさに政治主導というのは、私どもは国民の皆さんと選挙で約束をして、何をやる、やらないということを約束してきていますから、その方向性にやろうとしたときにやはり反対をした人は、その職じゃなくて違うところに行ってもらう、そこは私はやむを得ないと思いますよ。

今井委員 部署をかえるのはいいんですが、やはり降格させるというのは、それは問題があると私は思います。

 その上で、学術会議の話に入りたいと思いますけれども、先ほど、午前中に自民党の方が組織の話をされていましたが、それは論点のすりかえです。

 まず、なぜこの六名が任命されなかったか、これを明らかにしなかったら、その次の議論には進めませんよ。しかし、そのことをはっきり説明しておられないから、きょうはどうしてもそのことを聞かなきゃいけない。それをお答えいただくまで私は質疑を続けたいと思います。

 まず、ここに六名の方がいらっしゃいます。この方たちが百五名の名簿から任命されなかった六名です。私は、できる限り、自分の可能な限り、この方たちの論文を読んだり、いろいろな経歴を拝見しました。自分なりになぜこの六人なんだろうということを見たんですけれども、共通点は二つしかありません。

 一つは、先ほどもありました、学術会議は第一、第二、第三部とありますけれども、この方たちはみんな第一部のいわゆる文系です。文系の皆さんであるということ。もう一つは、ここにそれぞれ書いてありますが、特定秘密保護法案、安保法案、そして共謀罪法案、こういうものに表でがんがん反対をした人たちがこの六人です。それ以外に私はこの人たちの共通点を見出せなかったんですよ。

 ですから、ちょっと説明していただきたいんです。この六名は、政府のそういう法案に真っ向から反対をしたから外したんですか。

菅内閣総理大臣 先ほどのことで、降格をさせたと言いましたけれども、私は官僚を降格したことはありません。それだけは、これはテレビで全国放送ですから、そこはぜひ御理解をいただきたい、そこはぜひお願いをしたいと思います。

 それと、政府の何々に反対したからとかいうことでなくて、それで外すことは、そこはあり得ません。(発言する者あり)そこはしません。

 任命に当たっての考え方ということは、まさに個々人の任命の理由ということでありますので、これは政府機関に所属する公務員の任命であり、通常の公務員の任命と同様に、その理由について、人事に関することでありますのでお答えは差し控えますけれども、政府の法案に反対したからということはあり得ないです。

今井委員 とても信用できないですけれども。

 菅総理、今、公務員の人事の理由を説明してはいかぬとおっしゃっていましたよね。公務員の人事のことを、理由とかを個別に言うものじゃないと今おっしゃいましたよね。

 この本の第六章、「「伝家の宝刀」人事権」というのがあります。ここに、NHKの担当課長を更迭というのがありますね。なぜ更迭したかと書いてあります。「論説委員の質問に答えるならいいが、質問もされていないのに一課長が勝手に発言するのは許せない。担当課長を代える」と言って私はかえたと。個別人事をおっしゃっているじゃないですか。個別の人事をこんなに詳細におっしゃっていますよ。なぜ本で言えて、学術会議では言えないんですか。これは明らかに個別の役人の人事のことを書いてあります。今おっしゃっていること、間違っていますよ。

菅内閣総理大臣 私が役所の人間をかえたというのは、私はNHK改革をやるということを宣言して総務大臣をしていたんです。その政策に反対をしたからですよ。(発言する者あり)いや、それはもう表になっている人ですから。それと今回の任命権とは全く違うんじゃないでしょうか。(今井委員「どこが違うんですか」と呼ぶ)いや、任命をしないというだけですから。(発言する者あり)

金田委員長 静粛に。

今井委員 いやいや、公務員だから個別の人事のことは話せないとおっしゃったので、公務員の個別の人事のことを話していらっしゃるじゃないですかと言ったんですよ。任命をしないとかそういうことじゃないですよ。

 公務員の人事の個別のことには話せないとおっしゃったじゃないですか。話していますよ。それがまずいんだったら、この本は回収した方がいいです。「政治家の覚悟」ですから、覚悟を持ってかえられたんだと思うので、任命されなかったと思いますから、理由をはっきりおっしゃってください。

菅内閣総理大臣 今も、先ほど来申し上げていますけれども、説明をできることと、既に公務員である人の個別の人事異動については異なるというふうに思っています。

今井委員 今、聞かれましたか、皆さん。先ほど、公務員だから人事のことは話せないとおっしゃったら、今度は、説明できることとできないことがあって、それは公務員の人事とは関係ないと。全くわかりません、おっしゃっていることが。

 総理は先ほど、公務員の人事の個別のことは話せないとおっしゃったじゃないですか。でも、こちらで説明しておられるから、おかしいんじゃないですかと聞いているんです。どちらかにしてくださいよ。片方は話しておいて、片方は話さないで、そんなのはちょっとやはり納得できないですよ。

菅内閣総理大臣 公務員の任命について理由を言えないことと、既に公務員である人の個別の人事異動については異なる。適材適所で人事異動を行うというのが自然じゃないでしょうか。

今井委員 ちょっと、もう少し上手なペーパーをつくってあげた方がいいと思いますよ。

 だって、個別の人事は話せないとおっしゃったけれども、個別の人事の話をしていらっしゃるから。とてもシンプルじゃないですか。(発言する者あり)いやいや、例とかじゃないんですよ。公務員の個別の人事の理由について話はできないということをおっしゃっていて、どういう例とか関係ないですよ。公務員の……(発言する者あり)いやいや、任命とか、かえたとか、それはどっちだって人事じゃないですか。登用するのだって、使わないのだって、外すのだって人事じゃないですか。違わないですよ。

 一つはちゃんと話をしているのに、こちらは話をしないというのは、それはおかしいですよ。「政治家の覚悟」じゃないですか。人事、決めたんでしょう。

 それで、私は純粋に、この人たちが政府に反対したから外されたんじゃないかとしか思えないから、違うとおっしゃるのなら、じゃ、どういう理由ですか、教えてくださいと今お願いしているんです。

菅内閣総理大臣 政府に反対する人というのは、任命された方の中にもたくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか。

今井委員 私も確認しました。確かに、安保法案に反対を唱えておられる方が、まあ正確には、十名ぐらいおられました。ちょっと、自分で数えたので、人数ははっきりわかりませんけれども。

 その方たちと何が違うかというと、この方たちは、例えば国会の中央公聴会に出てこられたりとか、参考人質疑で出てきたりとか、非常に表でやった方です。だから、残りの十名ぐらいの方たちの行動も私は拝見しましたけれども、この人たちが象徴なんですよ。ほかの方たちは、署名に参加しているぐらいで、大して表立って動きをしていません。でも、この方たちは表でやっているんです。だから狙い撃ちされたんじゃないだろうかと疑っているわけです。違うのなら説明してください。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりです。

今井委員 先ほど申し上げたとおりというのは、どういうことでしょうか、個別に話せないということなんですか。

菅内閣総理大臣 ほかの方でもそうした方がいらっしゃるんじゃないですかということです。

今井委員 いやいや、それに対して私は自分の意見を申し上げたので。違うんですよ。この六名が、じゃ、なぜ任命されなかったのかを教えてくださいということを、総理がお答えになっていることは違いますよ、ほかにもいらっしゃるということじゃない。なぜこの六人、反対したのが理由ではないんだとすれば、どういうことが理由だったんですかと聞いているんです。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりでありまして、任命に当たっての考え方はこういうことだなどということを、それ以上個々人の任命の理由を述べよということであれば、これは政府機関に所属する公務員の任命であり、通常の公務員の任命と同様に、その理由については、人事に関することでありますので、答えをさせてください。

今井委員 びっくりしました。総務省なんですかね。NHKの担当課長というのは政府機関じゃないんですね。(発言する者あり)いやいや、人事ですから、人事。任命とか罷免とかいろいろおっしゃっているじゃないですか。

菅内閣総理大臣 そのNHKの担当課長の任命については、表に明らかになっていたやつです。

今井委員 それは何ですか。(発言する者あり)いやいや、菅さんがこうやって自分で、質問されていないのに一課長が勝手に発言する、勝手に発言しただけで、かえろとおっしゃったんですよね。

菅内閣総理大臣 それは、政府で出そうという法案に、それは担当課長ですから、そこの法案を、政府が出そうという方向性を手続をとって決めているわけですから、それについて反対をするような人をそこに置いたら法案が通らなくなるじゃないですか。ですから私は、そこはもうこの人事は表に出ているやつですから、かえたということです。

今井委員 ちょっともうらちが明かないので、一つずつ確認していきたいと思いますけれども、菅総理がこんな発言をされたことまで表に出ているんですか。まあ、いいです。

 それでは、ちょっと次のパネルを見てください。答えていただけないようなので、一つ一つ確認していきたいと思います。一番下のところをきょうは取り上げたいと思います。

 先ほどもちょっと話がありましたけれども、民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りが見られることも踏まえ、多様性が大事であることを念頭に私が任命権者として判断を行ったと。つまり、これが理由だということを説明しておられる。多様性が大事であるということをおっしゃっている。果たして本当にそうなのかということなんです。先ほど江田さんも少しやられましたけれども、私はきょうちょっとパネルにしてきましたので、一つ一つ伺っていきたいと思うんですね。

 まず、質問の前に、民間が少ないという話。それは確かにそうなんですけれども、一部、二部、三部、一部が人文・社会科学、第二部が生命科学、第三部が理学・工学でありますね。この文系のところというのは、民間はほとんどいません、学者ですから。でも、科学者とかは民間にいるんですよ。ですから、民間が少ないというんだったら、二部とか三部の候補の学者を外さないと理屈が通らない。そういうところの人たちを外して民間を入れなければ、つじつまが合いません。まず、そのことは申し上げておきたいと思います。

 その上で、若手が少ないということをおっしゃっていました。

 先ほどの大塚さんですかね、ペーパーを、資料がありましたけれども、そこに会員の属性、年齢というのがあります。そこで、五十四歳以上、五十五歳から五十九歳、六十歳以上とかいろいろカテゴリーが分かれていて、五十四歳以下は一一%、とても少ないですねということを説明しているんですが、先ほど、任命されたうちの、この宇野教授です、五十三歳、まさに若手として少ないゾーンですね。私、百五名の方の年齢、一人ずつ確認しましたが、宇野さんは五十三歳で、五十二歳以下は十一人しかいませんでした。つまり、名簿の中では最も若手のグループで、それより年齢の高い方はたくさん任命されています。

 じゃ、この宇野教授はなぜ若手なのに任命していただけなかったんでしょうか。

菅内閣総理大臣 個々人の任命の有無については、これはお答えは控えさせていただきます。

 現在の会員のうち、四十九歳以下は三%にすぎずに、若手研究者が十分いるという状況じゃないと思っています。

今井委員 そうすると、この宇野教授は名簿の中で若手だということは認められますね。

菅内閣総理大臣 認めません。(発言する者あり)いや、個人の任命の有無については、お答えは控えさせていただきます。これは当然のことだと思います。

今井委員 ちょっと驚いてしまったんですけれども。

 いやいや、まさに与党の皆さんが用意した会員の属性、年齢というのが、幾つのグループ、これ、四つのグループに分かれているんですかね、四つのグループに分かれている一番若い層ですよ、この方。まさに皆さんが用意したペーパー、僕が用意したものじゃありませんけれども、大塚さんが用意したペーパーで、一番若いゾーンにいますよ、宇野さん。これでも若手じゃない、認めないんですか。

菅内閣総理大臣 四十九歳以下は三%ということを私は言っています。

今井委員 三%以内にいないと若手じゃないということですか。

 済みません、これはさっきごらんになりましたよね。(発言する者あり)いや、大塚さんのペーパーです、これです。これに四つのグループがあって、五十四歳以下というところが一番若いゾーンなんですけれども、そこに該当するんですね。(発言する者あり)マスクした方がいいよ。そうそう、ルールはルールだから、ちゃんとマスクした方がいいですよ。

 この資料によると、四つのグループの中で若いグループにいますよねということです。

加藤国務大臣 一つは、先ほど総理の答弁は、そういうことをもってして任命を判断したのではないという意味において、違うということをおっしゃったということであります。

今井委員 ちょっと議論の根本が崩れます、今のでいくと。

 若手が少ないとか所属大学が偏っているとか、こういうことをいろいろ説明しておられましたが、今回の六名の任命とは関係ないということですね。全く関係のないことを皆さんはとうとうと説明しておられたということですか。

加藤国務大臣 ですから、個々の任命の事由については申し上げられないということで、ですから、今、若手がどうかということも含めて、それは答えられないということ。しかし他方で、全体を見たときにということで、先ほど来、今、日本学術会議において、例えば四十九歳以下が三%、民間の研究者が三%以下だ、そういうことを申し上げているというわけであります。

今井委員 いやいや、個別の人事の説明をするときに、個別の人事には答えられませんがこういう考え方ですとおっしゃっているから、その考え方にちゃんと沿っているのかなと思って今確認しているだけです。

 二つ目に行きますね。

 所属大学に偏り。これは総理、あれですよね、東京帝大、七つですかで四五%を占めている、これは多過ぎるということをおっしゃっておられました。

 今回任命されなかった六名のうち、先ほどもありました小沢教授、この方は今、東京慈恵医科大学ですね。百五名の中で、慈恵医大の方はこの小沢教授一人です、一人。それから、立命館大学の松宮教授、この方も外れたんですけれども、立命館大学からは、今回この方を入れて二人です。しかも、両方とも私立大学ですね。東京帝大ではありません。でも、東京帝大に偏り過ぎているからとおっしゃっていましたけれども、この方たちはまさに逆ですね。旧帝大か。済みません、旧帝大。失礼しました。

 この方たちは全く対極にいる私立大学で、しかも少数の人たちです。ほとんどほかにいらっしゃらない大学の人たちを外しているんですが、これはなぜでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、出身、大学に大きな偏りがあるということを申し上げました。いわゆる旧帝国大学と言われる七つの国立大学に所属する会員が四五%、それ以外の百七十三の国立大学、公立大学合わせて一七%、六百十五ある私立大学は二四%にとどまっているということです。

 さらに、そうした中にあって、学術会議から推薦された方々がそのまま任命されてきた前例を踏襲していいのかどうかということを私は悩んだということを申し上げました。ですから……(今井委員「ちょっと、委員長、僕の質問じゃないことをおっしゃっていますよ。違うペーパーを読んでいるんじゃないの」と呼ぶ)

金田委員長 今、答弁中です。

菅内閣総理大臣 まず、現状の出身や大学について大きな偏りがあるということは今私申し上げましたけれども、これは事実じゃないでしょうか。

今井委員 ですから、それは事実なんです。事実に基づいて、なぜ少ない方の人たちを外したんですかということです。

菅内閣総理大臣 まず、個々人の任命の有無については、これはお答えを差し控えたいとずっと言っております。

 また、学術会議から推薦した方々がそのまま任命されてきた前例を踏襲していいのか、そうしたことを悩んで……(発言する者あり)

金田委員長 静粛に。

菅内閣総理大臣 前例踏襲をやめて、結果として、例えば……(発言する者あり)

金田委員長 静粛に。今答弁中だから、聞こえない。静粛にお願いします。

菅内閣総理大臣 民間人や若手もふやすことができるようにした方がいいのではないかというふうに思ったということであります。(発言する者あり)

金田委員長 それでは、もう一回質問してください。

今井委員 じゃ、もう一度だけ言いますね、もう一度だけ。

 総理は大学に偏りがあるとおっしゃった。私もそう思います。ですけれども、じゃ、この人たちはどうなのかといったら、少ない方の人たちですね。偏りある旧七帝大の人たちを外しているのなら、私はまだ理解できます、まだ。でも、そうじゃない、一人とか二人しかいない人たちを外していらっしゃるのは、この説明と違いますよね。説明と違うことをしているじゃないですか、どうしてですかと聞いている。

金田委員長 内閣総理大臣菅義偉君。(発言する者あり)

 答弁を聞きましょう。

菅内閣総理大臣 政府の機関に所属する公務員の任命であり、通常の公務員の任命と同様に、その理由については、人事に関することで、お答えを差し控えたいということです。

今井委員 総理、これは答弁拒否ですよ、どう考えても。何か、あれですか、言えない理由があるんですか。何かここの場で言えない理由があるんですか。そうとしか思えないんですけれども。

菅内閣総理大臣 政府の機関に所属する公務員の任命であり、通常の公務員の任命と同様に、その理由については、人事に関することであり、お答えを差し控える、これが政府としての考え方です。

今井委員 そうしたら、こんな事実に基づかないようなことを、これ、全然説明していることとやっていることが違うじゃないですか。こんなことを持ち出さないでくださいよ、やっていることが違うんだから。

 撤回してください。こんな説明をするのはやめてくださいよ。誤解しますよ、みんな。実際違うことをやっているじゃないですか。撤回してください、この説明。

菅内閣総理大臣 先ほど来、今も申し上げましたけれども、政府の機関に所属する公務員の任命ですから、通常の公務員の任命と同様に、その理由については、人事に関することであり、お答えをさせていただきたいというふうに思います。

 さらに、学術会議から推薦された方々がそのまま任命されてきた前例を踏襲してよいのか、正直悩んだということ、そして、むしろ今回、前例踏襲をやめて、結果として、例えば民間人や若手もふやすことができるようにした方がよいのではないかというふうに思ったということであります。

今井委員 いや、もうめちゃくちゃですね。ちょっと、次の議員もやられると思うので、これはきちっと整理して答えてくださいね。(発言する者あり)答えていないって。

 これは本当に撤回しないと、これを撤回しない限り、何かみんな誤解するんですよ。全然違うことをやっていらっしゃるじゃないですか。だから、怪しいなと思っちゃうんですよ。怪しいなと思うじゃないですか。だって、おっしゃっていることと違う人事をやるんですから。だから、そのことをしっかりと説明していただきたいと思います。

 もう一点……(発言する者あり)ちょっと黙ってくれよ。秋本さん、黙ってくれよ。

金田委員長 静粛にお願いします。

今井委員 後ろで話されると気が散るんです。

 総理は、先ほどから、必ずしも義務的に任命しなきゃいけないというのは、しなければいけないというわけではないということを、当初からの一貫した考えだというふうにおっしゃっています。しかし、実は、中曽根さんのこの答弁が非常によく取り出されるんですが、もう一個、官房の参事官が答弁しています。二百十人の会員が研連から推薦されておりまして、それをそのとおり内閣総理大臣が形式的な発令行為を行うというふうに、ここからが大事です、この条文を私どもは解釈をしています、この点については、内閣法制局において法律案の審査のときに十分その点は詰めましたと。つまり、内閣法制局は、この時点では、あくまでも形式であり、来たものをそのまま認めるということが法制局の中で詰めた結論です、こう言っています。紙もいただきました。

 もう一つ、その下、平成十六年一月十六日ですね、ここでまた法律改正が行われているんですけれども、そこの説明資料を資料につけていますが、「日本学術会議から推薦された会員の候補者につき、内閣総理大臣が任命を拒否することは想定されていない。」こう書いてあります。それで、その審査をしたペーパーもあります。これは法制局の審査の決裁書ですね。つまり、この時点では、形式的な発令であり、内閣総理大臣が任命を拒否することは想定していない、こういうことを言っているわけですね。

 これも水かけ論となりますから、ちょっと、皆さんが根拠としているこの平成三十年のペーパー、日本学術会議法第十七条による推薦と内閣総理大臣による会員の任命との関係というペーパーがあります。

 ここに至るに当たって、実は、法律改正のときにもいろいろな方が有識者会議で意見をされていますが、例えば、二〇〇三年、初めてこの俯瞰的、総合的という表現が出てくるんですけれども、資料の一番最後につけてあります。これが初めに出てくる「総合的、俯瞰的な」という文字でありますけれども、このとき、有識者議論をした委員から、こういう、共同通信の取材に応じていますけれども、会議の結論と、菅総理が拒否の理由として持ち出したことには乖離がある、こうおっしゃっています。

 それから、平成二十七年、日本会議の今後の展望、先ほどもこれは大塚さんが見せていただいていましたけれども、これは安倍政権下で取りまとめられた報告書です。このとき座長を務めた京都産業大学の尾池学長がこうおっしゃっています。推薦のまま首相が任命するのが当然と思っていたので、任命拒否は議論しなかった、今回政府が自動的に任命しなかったのは法律違反だ、政府がコントロールをしてはいけない。当時この報告書をまとめた座長がそうおっしゃっています。そういう意味ではなかったということなんです。

 ところが、この平成三十年のペーパーで、その解釈を勝手に変えています。しかも、このペーパーは決裁すらされていません。決裁書がないんですよ。どうしてですかと聞いたら、担当の課長だったかな、口頭で了解したと。口頭で了解ですよ。黒川さんのときとそっくりじゃないですか。そんなものが根拠になるんですか、一体。

 大体、まずちょっと事実確認をしてくださいということで、井上大臣、済みません。

 前山極会長がNHKの番組の中で、この平成三十年のペーパー、こんな文書を見たことがないと。大事なことが書いてあるんですよ。学術会議の選出方法は、複数の、任命すべき会員を上回る候補者の推薦を求めと、これまでなかったような見解も書いてあり、しかも、内閣総理大臣に日本学術法第十七条による推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えないと考えられると、今までなかった考えが初めて出てきている。そのペーパーを、当事者である日本学術会議の会長は見たこともないとおっしゃっている。これは事実ですか。

井上国務大臣 委員御指摘のように、山極前日本学術会議会長がテレビ番組において御指摘のような発言をされていることは承知をしておりますけれども、また人事にかかわることでありますから、回答は差し控えたいと思います。

今井委員 済みません、ちょっと待ってください。人事の話なんかしていませんよ。このまとめた報告書は日本学術会議の会長に文書を見せましたかと。人事は関係ないです。そんな答弁、やめてくださいよ。どうですか。

加藤国務大臣 今御指摘の平成三十年の文書、これは学術会議の事務局で作成したものでありますけれども、その内容については、日常的な説明において事務局から山極前会長には説明がなされているというふうに承知をしております。

今井委員 文書は見せましたか。

加藤国務大臣 当時の事務局長が文書の内容を口頭で報告したと聞いております。

今井委員 わかりましたか。これだけ重要なことが、しかも整理されてあるのに、文書を見せていないんですって。口頭で説明したんでしょう。文書を見せていないんでしょう、こんな重要なペーパーを。そんなことでいいんですか、本当に。

 だって、今、日本学術会議の人事についてこれだけ議論している、もととなっているペーパーですよ。このペーパーを学術会議の会長にも見せないで、ちょろっと口頭で説明した、そんなことがあっていいんですか。どうなんですか、総理。

加藤国務大臣 まず、学術会議法で、会長は、会務を総理し、会議を代表するという立場でありますから、そういった会長の立場に対して事務局から必要な説明をする、そのときに口頭で説明をさせていただいたということであります。

今井委員 何度も言いますけれども、推薦に基づかない、必ずしも義務とは言えないということの、六名を外した根拠となっているペーパーですよ。皆さんがこれをもとにお話しされていらっしゃるんだから。しかも、内閣法制局とも合い議したとおっしゃっているんでしょう。そんな大事なペーパーを推薦を出す会長に見せていないんですか。大問題だと思いますよ、私は。

 なぜ見せなかったんですか。見せるとまずかったからですか、こんな重要なペーパーを、文書を。なぜ、ちゃんとこれを渡して確認してもらわなかったんですか。

加藤国務大臣 御指摘の文書は、あくまでも法的なこれまでの整理を確認して、一貫した姿勢、これを確認したものでありますので、事務方から、作成した文書そのものを見せるまでの必要はないんだろう、こういう判断があったというふうに聞いております。

今井委員 聞かれましたか、皆さん。こんな雑にやっているんですよ。人事のこんな大切なことをこんないいかげんにやっているんですよ、この政権は。ちょっとあきれました。

 もう時間がありませんので、総理、最後に。

 クローズアップ現代を見たかどうかわかりませんけれども、今回この任命から外された六人の皆さんの中で、中国の手先だとか、デマに惑わされて誹謗中傷して、困っていらっしゃる方がいらっしゃいます。そして、それに教えていただいている生徒さん、学生さん、自分の就職に影響を、不利になるんじゃないかなと思って、すごい不安に思っていらっしゃるそうですよ。

 こんな事態を招いたのは総理のせいですよ。学生まで不安にさせるという、こんなことをしでかした、その責任はどうお考えですか。

菅内閣総理大臣 実態として、学術会議の機能、役割や会議による提言等について、国民はほとんど知らないのが現状じゃないかと思います。

 学術会議は、公費を投じる国の機関であり、科学の観点から社会的課題の解決に向けた提言を行うなど、国民の期待に応えるためには、そのあり方を考える必要があるというふうに思います。(発言する者あり)

金田委員長 では、答えていると思いますが、それがもし外れてはいけないので、もう一度的確に言ってください。

今井委員 総理の今回の判断で不利益をこうむっている人がいらっしゃるとすれば、いらっしゃるそうですけれども、それは総理が責任をお感じになりませんかということです。

菅内閣総理大臣 個人についてどなたかということは、これは申し上げないことになっています。ただ、そういうことがあってはならないと思います。

今井委員 済みません、時間が来ました。僕はもうやめますけれども、ちょっと今のは、あってはならないと思うんだったら、実態を確認してください、そういうことが起きていますから。

 それと、皆さんわかっていただいたと思いますが、めちゃくちゃいいかげんだし、肝心なところは何も答えないし、ますます疑惑は深まりました。こんなことではこの学術会議の人事の問題は収束できませんから、この後の議員もちゃんと質問しますので、しっかり答えてください。

 終わります。

金田委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申出があります。江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。

川内委員 菅総理大臣以下閣僚の皆さんや、霞が関の皆さんもよろしくお願いします。川内博史でございます。

 今、総理、今井議員と総理とのやりとりあるいは官房長官とのやりとりで、手続に若干不備があったのではないかということが明らかになったわけでございますが、この学術会議の会員の任命、あるいは六名を任命しなかったという問題は、これはもう総理しか解決できない問題ですよね。なぜなら、日本学術会議法に総理が任命すると書いてあるから。

 さらに、学術会議法の七条一項は、学術会議は二百十名の会員をもって組織すると書いてあって、総理は、累次、学術会議は政府の組織だ、政府の組織だ、こうおっしゃっていらっしゃるので、二百十名の会員にする責任も総理は負っていらっしゃるわけでございまして、他方で、日本学術会議がこの六名を推薦してくださいと言い続ければ、推薦されている人以外を任命することは法的に絶対できないので、欠員がずっと続く、これは政府としてやってはならないことだろう、総理大臣としてやってはならないことだろうというふうに思うんです。

 そこで、まず一点確認をしたいんですけれども、この今問題になっている六名の先生方の任命をしない、拒否するということを、政府として意思決定している決裁文書というのは存在するのでしょうか。

大塚政府参考人 委員にお答え申し上げます。

 この学術会議の推薦、あくまでも今回の任命のために行われたものでございまして、推薦された人の扱いを含めて、任命権者として、るるお答えしている最終判断を、まさしく任命権者の総理がしたものでございます。

 一連の手続は終わっているということでございまして、仮に新たに任命を行うには、また法律に沿って、改めて補充のための推薦手続がとられる必要がある、かように考えております。

川内委員 いや、総理、私が聞いたのは、六名の任命をしないよ、総理大臣としては六人の任命をしないんだということを意思決定した決裁文書がありますかということを聞いているんですね。

 総理は六人の名前は見ていないわけですから、見ていないとおっしゃっているわけで、当然ないはずなんですよ。だから、ないよ、それはないとおっしゃるのが総理大臣としての、私が総理の答弁をここで言うのも変な話ですけれども、ないということをおっしゃっていただくのが大事なことかなというふうに思います。

菅内閣総理大臣 私は、九十九名について任命をしたということです。

川内委員 いや、だから、六人を任命しない、俺はしないんだということを意思決定した文書が存在するのか、政府として意思決定するのかしないのかは非常に大事なことなので、それを聞いているんです。

菅内閣総理大臣 九十九名を任命した旨の決裁文書はあります。

川内委員 総理は、縦割りを打破する、官僚主義を打破するんだ、こうおっしゃっていらっしゃって、たたき上げだとおっしゃる。私もたたき上げですよ。たたき上げ比べをしてもいいぐらいだと思っていますけれども。

 この問題を解決できるのは総理しかいないので、これは突っ張っても違法状態が続くだけなんですよ。なぜなら、総理のところには、梶田会長の、六名任命してね、お願いしますよという要望書が来ましたよね。これは、法的には、多分、日本学術会議が六名を、もう一回、推薦してねと総理に持ってきているんですよ。総理の手にその六名の推薦名簿があるんですよ、今。それを推薦しないと、その方たちを推薦しないと二百十名が会員としてそろわないので、総理大臣としての責任を果たしていないということになるんですよ。なぜなら、二百十名の会員を組織させるのは総理大臣の責任だから、最終的に。

 だから、この問題を解決できるのは総理しかいないんです。たった一人なんですよ、この国で。みんないろいろなことを言いますよ、だけれども、結局、説明できないのであれば任命するしかないし。私はそう思いますよ。

 あと、学術会議のことがちょっと、ずっと前から俺は問題に思っていたんだ、改革したいんだ、だって改革者だからね、改革しなきゃいけないんだとおっしゃるのであれば、六人を任命した後、正式な会議体をつくって、議論してね、そして、会員の推薦のあり方等を含めてちゃんとしてねと、これまでと同じやり方をやっていくということが、信頼を受ける、国民に信頼される政治ではないかというふうに思います。そうじゃないと、総合的、俯瞰的に、国民の皆さんから菅内閣はわけわからぬと思われちゃうんですよ。ここは受けませんでしたね。

 総理、総理が一人なんです、これを解決できるのは。このまま、学術会議が六名の推薦を取り下げません、あくまでも任命してくださいと言い続けたら、六名がずっと欠員のままですからね。それは政府としてやってはならないことですから。総理として、考える、梶田会長を呼んで考える、よく話し合ってみると。もう梶田会長は六名推薦してねと来ちゃったんですから、来ているんですから。要望書が出ているんですよ、総理のところに。それはちゃんと、じゃ、話すからというぐらいはしないと、これはずうっと続くんです、膠着状態が。それは、このコロナ禍で、ほかに議論しなければならないこともたくさんあるんですよ。

 総理として決断してください。

菅内閣総理大臣 理論的には川内委員が言われるとおりだというふうに思います。

 梶田会長が来られたときに、それは確かに受け取りました、任命の要望書について。その上で、梶田会長とは、国民から理解をされる会議にしていきたい、学術会議にしていきたい、さらに、そのために何をやるべきかということも一緒にやっていきたい、そうしたことについては合意をしまして、今、井上大臣のところで、梶田会長と会談をして、そうしたことを進めさせていただいているところであります。任命するしないということは、そのままの状況になっています。

 結果として、理論的には川内委員の言うとおりだというふうに私は思っています。(川内委員「いやいや、もういい」と呼ぶ)

川内委員 ちょっと委員長、私が政府参考人の登録を認めているのは、よっぽどのときのときに、どうしてもというんだったらいいけれども、内閣のメンバーと議論するわけですからね。ちょっと……。

金田委員長 川内君を指名しました。

 それでは、内閣総理大臣菅義偉君。

菅内閣総理大臣 多分、局長が手を挙げたのは、一連の手続、これは終わっておりますので、仮に任命を行うには、日本学術会議法に沿って改めて補充のための推薦手続が必要だということです。ですから、そのことで今手を挙げたんだろうと思います。

川内委員 じゃ、改めてもう一度、日本学術会議が六名の先生方の推薦を総理に上げてきたら、そのときは考えるということでよろしいですね。

菅内閣総理大臣 全体の内容を見て判断することになると思います。

川内委員 全体の内容を見て判断すると。

 繰り返し申し上げていますけれども、学術会議のあり方、我々はそんな問題があるとは思っていませんが、総理やあるいは自民党の先生方の中で問題があるんだというのであれば、それは議論すればいいです。あの橋本行革のときにこの日本学術会議は行革の対象になったわけですから、それで、その流れでずっと議論してきて今日がある。

 また、全てベストな組織なんというのはないわけですから、そこは議論を、六人を任命した後、気持ちよく任命して、議論して、あり方を変えた上で次のまた会員の任命になっていくということなんだろうと思いますが、行政改革会議の最終報告の文書には、「内閣機能の強化は、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにし、国民による行政の監視・参加の充実に資することを目的とする情報公開法制の確立と不可分の関係にある」というふうに書いておりまして、内閣機能の強化をするのであれば、それなりの説明というのはちゃんとしなきゃいけないよ、ちゃんとするからねということをこの行革最終報告は言っているわけですから、ぜひ、国民にきちんと説明できることをする、説明できないならばそれはしない。すなわち、六人を任命しないということに関して説明できないのであれば、任命をした上で組織のあり方については議論するという順番をしっかりとおとりになられることが国民からの信頼を受けられる道ではないかということを申し上げておきたいというふうに思います。

 きょうは、新型コロナウイルス感染症の問題を私は主に担当させていただいて、取り上げさせていただきたいんですけれども。

 きょうもみんなマスクをしているわけですが、いつになったらマスクをとった生活ができるんだろう、いつになったらもとに戻れるんだろう、そしてまた、非常に経済も厳しいようだねというのが、多くの国民の皆さんの不安、心配につながっているわけですけれども。

 この新型コロナウイルス感染症にどう対応していくのかということに関して全国知事会が提言をしておりまして、その中で、まず、今回、野党ヒアリングについて、あれは何だと言う方たちもいるんですが、私たちは非常に霞が関の方たちにいろいろなことを教えてもらういい機会だと思っていて、これはびっくりしたのは、全国の感染状況について、厚労省の職員の方が、都道府県のホームページを見て確認していますとか、ファクスを送ってもらっていますとか、そういうことを御発言になられて、情報の共有化ということに関しては非常に不安があるなというふうに思っていたら、知事会もやはり同様で、情報の共有について不十分であった、不備があった、反省点があったというような記述をしております。

 今、これから冬に向けて、インフルエンザ、コロナの同時流行ということも大変懸念をされるわけで、だんだん感染者数もふえてきております。そういう中で、情報の共有については法改正の必要が私はあると思うんです。直ちに法改正する必要があると思う、情報共有については。ほかのさまざまな論点については議論する必要があるかもしれませんが、情報の共有については直ちに法改正をする必要があるのではないかと思っています。

 田村大臣は、マスコミのインタビューに関して、私ども野党と同じ問題意識で、感染症法の改正については考えたいということを、情報の共有について考えたいとおっしゃっていらっしゃるわけですが、感染症法のそもそもというのは感染した人を治療するための法律なので、その情報の共有がこれは感染者情報の共有なんですよ、感染者情報。全国的な感染情報の共有とか、あるいは医療提供体制情報の共有というところにはつながっていないわけです。

 その証拠に、総理、分科会ってあるじゃないですか、尾身先生がやっていらっしゃる。その分科会に提出される、全国の感染の状況とか、あるいは医療提供体制の状況とか、四十七都道府県が一覧表になったこの表があるんですけれども、例えば、十月二十九日の分科会の会議にどういう基準日で出されるかというと、医療提供体制は十月二十日なんですよ。十月二十日の状況が出ているんですね。感染の状況についてはばらばらなんです。基準日がもうばらばらなんですね。

 ということは、総理は政府対策本部長として、ウイルスというのは、いつ変異するかわかりません、いつ強毒化するかもわかりません、一日一日感染状況が変わっていく中で、十日前の情報で議論をしている、医療提供体制については。感染状況については四、五日前の感染者情報で議論をしているということでは、私は即応態勢にならないのではないかと。だから、感染情報の共有というのは今すぐにでも法改正を検討すべきである、これはもう国民の一番の関心事ですから。

 年末年始、しっかり、もうこの国会中に、我々も法案を出しますから、もう準備をしていますので、政府として議論をして、この情報の共有については今すぐ法改正をするという決意を総理から述べていただきたいと思います。

田村国務大臣 私の名前も出していただきましたので私の方から答弁いたしますが。

 今おっしゃられた、私、日経新聞でしたか、そういうような発言をいたしておりました。これはどういうことかというと、おっしゃられる点、共有している部分もあると思います。

 もともと、言うなれば電磁記録等々で報告をする義務というもの、そういうものが今の感染症法上には書かれておりません。ですから、ある意味、手書き等々で集計して、そういうものを最終的に政府が認識をしながら、いろいろな、そのときそのときの感染状況というものを把握してきた。

 最近、最近といいますかこの四月ぐらいからでありますけれども、HER―SYSという情報を把握して管理支援するシステムというものと、それから、病院情報に関してそれをしっかりと確認するG―MISという仕組みが動き出しました。

 問題は、まだHER―SYSも、地域によっては、医療機関で本来は打ち込んでいただきたいんですけれども、保健所に手書きでファクスを送られている、そういうことを標準とされているような地域もございます。法律で書いたとしても体制が整わないことには、これは法律違反のまま実態が伴わないということになりますので、そこも踏まえた上で、いつの時点で法改正がいいのかというものは、これはしっかりと検討をしてまいりたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、将来的には、委員が言われたとおり、ある程度いろいろな情報がリアルタイムに近い状況で集まる、こういうような仕組みをつくらなきゃいけないと思います。

 一方で、医療の提供体制は、これは今も、都道府県それぞれがその時々のものを集計して、これぐらいのものを確保できるということでいただいておりますので、若干、これをシステムの中に組み込むにはまだ時間がかかるということでございますので、そういう点もしっかりと考えながら、どのような形が一番、委員のおっしゃられるように、リアルタイムに対応できるかというようなことも踏まえた上で検討してまいりたいというふうに思います。

川内委員 HER―SYSという情報システムは、自治体が入力してもらう、あるいは病院に入力してもらうということになるわけですが、入力義務がないんですよね。だから、なかなか情報の集約につながらないし、そもそも、じゃ、このHER―SYSについて、厚労省がその入力のためのID、あるいは情報を見るためのIDを振り出すわけですが、内閣官房のコロナ本部はHER―SYSについてのIDを振り出されていませんでしょう。

西村国務大臣 お答えを申し上げます。

 HER―SYSについては、感染者御本人の個人情報、これが多く含まれておりますので、この取扱いには極めて慎重を期する必要があるということであります。

 このため、厚労省と内閣官房の間で、この個人情報を含むデータの共有はされておりませんけれども、しかしながら、適時適切に必要な情報を我々もいただいておりますし、それから、分科会にも、全県のまとまったものは一週間に一度ということで前週のものをお示ししておりますけれども、感染が出ていないところまで全て医療のことをお示しする必要はないものですから、これは私、記者会見でも毎日のように申し上げていますが、やはり感染がふえているところの医療状況については記者会見でも発表しておりますし、それから、分科会でもそういったことを御報告しながら感染対策をまとめているところでございます。

川内委員 デジタル庁あるいはデジタルトランスフォーメーションを進めるという内閣でいらっしゃるわけですから、どの情報を見られてどの情報を見られない、要するに個人情報をどういうふうに保護していくかということを含めて、情報の共有について、私は、HER―SYS情報をコロナ本部が把握することはできないようなシステムになっているということ自体がある意味ちょっと驚愕をしておりまして。

 やはり、何か物事に対処するときに、今全国の状況がどうなっているのか、その地域の状況がどうなっているのかということを正確に把握する、もうほとんどリアルタイムに近い形で把握して、そして対応策を講じていく、だって一日や二日で感染状況は変わっちゃうので。そういうことが必要なんじゃないかと思うので、感染状況の情報の共有、全国知事会もちょっとこれは何とかしてほしい、こうおっしゃっていらっしゃるので、政府として、私はしっかりした対応をすべきだと思うんです。

 これは、総理が、じゃ、今国会中に考えるよとおっしゃられれば私はできると思いますよ。我々も法案をつくっていますから、すり合わせて、成立させればいいじゃないですか。ぜひお願いします。

菅内閣総理大臣 委員から今いろいろ御提案いただきました。私どもも、重要であるとこれはずっと考えていたんですけれども、個人情報との絡みでなかなかできない部分がありましたので、更にもう一度精査をしたい、させていただきたい、こういうふうに思います。

 それと、やはり大事なのは、最悪の事態に備える体制を政府として組み上げることだというふうに思っています。そこについては今全力で取り組んでおりまして、今までの学習もかなりしましたので、従来と比べてすぐ出動できる、そうした体制、クラスター班とか方面別とか、いろいろなことを今考えていますので、今のお話も参考にさせていただきたいと思います。

川内委員 きょう、警察の方にも来ていただいているんですけれども、検視の結果、PCR検査をしたらばPCR陽性と判明した事例というのは、これまでの間、どのくらいの事例があったんでしょうか。

田中(勝)政府参考人 警察が取り扱いました死体のうち、検案等を行う医師の御判断により新型コロナウイルスに係るPCR等の検査が実施され、その結果が陽性であったケースといたしましては、昨日までに計五十四件の報告を受けているところであります。

川内委員 五十四件、五十四人の方が、本来は、もし検査を受けていれば治療できたかもしれないが、死亡後陽性と判明したということで、私は、検査の体制などの充実もしっかりすべきであるというふうに思いますし、何よりも基本的な、基礎的な情報をどう共有化していくかということに政府としてこの臨時国会、注力をしていただきたいというふうに思います。

 次の論点ですが、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立ということを安倍内閣から菅内閣にかけて継承していらっしゃるわけですが、すなわちみんなの生活を守るということだと思うんですけれども、一次補正、二次補正で世界最大規模の予算を組んだというふうにおっしゃられるわけです。この予算を必要とする人々に一刻も早く届けることが大事ですと総理はおっしゃいます。

 この補正予算の執行状況について、政府として一体的に把握をし、管理をしている御担当というのがいらっしゃるんでしょうか。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 現在、内閣府におきまして、私の方で経済対策全体を見ているものですから、各府省に対して、十月十六日の段階で、一次補正、二次補正で措置されたもののうち一定金額以上のもの、百億以上の事業について、重立った事業について、その執行状況を報告するように依頼をしているところでございます。

川内委員 依頼をしているところでございますと。ということは、まだ把握していらっしゃらないということなんですが。

 では、執行率五〇%未満の事業の事業数、その事業の予算総額、現在の執行額などについては把握していらっしゃらないということでよろしいですか。執行率が低い事業です。

西村国務大臣 重立った事業について言えば、五〇%以下のもの、ざっと申し上げれば……(川内委員「重立ったのではなくていいです。網羅的に把握しているかということを聞いているんです」と呼ぶ)百億円以上のものについて、執行状況について確認をしております。その中で、全てまだ出てきているわけではありませんが、重立ったものはもう把握をしておりますので、必要であればお答えを申し上げたいと思います。

川内委員 内閣府は十月十六日に調査をかけたみたいですけれども、私どもは、衆議院の調査局を通じて、執行率五〇%未満の補正予算の事業について、全ての役所に、その事業の予算総額と執行額、そして執行率を教えてくださいというふうに調査をかけて、数字が出てきております。

 執行率五〇%未満の事業は全部で、総理、九十八事業あるんですね。その九十八事業の予算総額は二十三兆二千億。予算執行額は五兆六千億です。まあ五兆七千億ですね。執行率が二四・五%。その中で執行率が低いものというのが、多分、西村大臣がおっしゃろうとした、例えば、医療用物資の確保、医療機関等への配布、これは、四千三百七十八億予算で、まだ執行率一八・九%です。休業支援金、これも、五千四百四十二億で、執行率六・四%。家賃支援給付金も低いんですよ、二兆二百四十二億で、執行率が一六・三%。GoToも、意外とそんな高くなくて、一兆三千五百四十億で、執行率一四%という形ですね。

 やはり、こういうことを一体的に、必要な人のところに必要なお金が行くことが大事なんだ、こう総理はおっしゃるわけですから、常にウオッチして、執行を管理するということをする担当を置かなければならぬというふうに私は思いますけれども、総理、どうですか。

菅内閣総理大臣 速やかに国民の皆さんのお手元に届くことが大事でありますので、そこは政府として責任を持って、どんな状況かという、確認する部署というのは対応したいと思います。

川内委員 そこで、この休業支援金・給付金ですね。

 日々雇用の方とか登録型派遣の方とか、あるいはアルバイトの学生さん、これは高校生も対象になりますけれども、学校に行くために、あるいは、おうちがそれほど所得がないためにバイトしながら学校に行っていますよというような学生さんたちを支援するために設けられたのが休業給付金、支援金なんですけれども、休業支援金は、雇用調整助成金と同じように、保険が財源なので、事業主の承諾が一応必要だ、お金を出すために。だけれども、休業給付金は、一般財源、一般会計が財源なので、事業主にわざわざ了解をとる必要はないわけです。雇用調整助成金の上乗せと一緒です。雇用調整助成金の上乗せも、一般財源を使ったから、省令を改正するだけで、労政審など開くことなく手当てすることができたわけですけれども。

 この休業給付金について、これはすごい、多分、使い勝手がいいと思うんです。だけれども、執行率が低いんですね。なぜかというと、事業主に確認をとっているわけですね、事業主に。この人を休業させていますかということを確認しているわけですね、労働局が。そうすると、事業主は、いや、雇用調整助成金の申請をしていないからなとか、労働基準法上どうかなとか、いろいろなことを考えて、結局、いやいや、休業なんかさせていませんよ、日々雇用だったから、もう今は関係ありませんからみたいな話をされてしまう。

 だから、この事業主に確認をする必要のない財源で給付をする場合は、私は、事業主をどうしてもかませたいということであれば、事業主に確認じゃなくて、事業主に通知だけすればいいと思うんです、通知。この人に休業給付金を払うよ、いいですねという通知だけして、事業主が、いやいや、それは関係ないよ、その人、知らないよというようなことを申し出てこられれば、それはちょっとおかしな申請だねということにつながるわけで。この確認という言葉を、事業主に通知すればいいんだ、通知してやるよというふうに変えたらどうか、その検討をしていただいて。

 総理も、田舎から出てきて、最初、働いて、その後、法政大学に行って、大変な御苦労をされたと思いますよ。今、コロナ禍の中で、ことし一年間、大学にみんな通えていないわけですよね、余り。だけれども、そういう中でも頑張っている、バイトもなくなった、だけれども、とにかく諦めずに頑張っている学生さんたちはもういっぱいいるし、日々雇用の方たちも、あるいは登録型派遣の方たちも、みんな頑張っているわけです。本来、そういう人のところにちゃんとお金が行くようにしなきゃいけない。そのために、この事業主への確認というのを事業主への通知ということに変えたらどうかというふうに私は思っているんですけれども、私どもはですね。

 これもひとつ検討、というか、今ここで総理がそうすると言えば、みんな喜びますよ。バイトして大学に通っていた、高校に通っていた学生さん、みんな喜びますよ。総理、ここでそうするよと。総理が決められるんですよ。言ってください。

田村国務大臣 今、休業給付支援金のお話がございましたけれども、確かに、五千億円ぐらい予算を見込んでおりまして、今現状はまだ三百億円に行っていないという状況だというふうに認識しておりますが、一方で、雇用調整助成金の方は、見込みが一兆五千億、六千億ぐらいだったんですが、もう二兆一千億と。二つ合わせると、大体見込んでいたような金額になっています。

 もともと、大企業等々、言うなれば、雇調金等々は比較的申請しやすいところはしてくれるんですけれども、中小でありますとか零細等々は、なかなか雇調金は手間でございますので、そういうところが、事業主がなかなか申請してもらえないということで、こういう制度をつくりました。

 ただ、そうはいっても、やはり言われたように、日々雇用の方々、それからシフトの方々、受けられるのに受けられていないという方々は、これは何とか我々もしなきゃならぬというふうに思います。

 先週、記者会見で私も、過去六カ月で同じ事業所で継続して一定の頻度で就労していて、このコロナがなかりせば継続して雇用していたという方々は対象になり得るということで、これを更に事業主の方々には徹底してまいりたいと思います。

 なお、申請していただければ、まずは、受付は、受け付けます。受け付けた上で、事業主に確認して、その上で、こういう状況ならば対象になりますからと、そうですよねというような確認をしっかりするように改めて進めてまいりたいと思いますし、何よりも、その本来受ける権利を持っておられる方々が知らないというところに大きな問題がありますので、なお一層の周知徹底を図ってまいりたいというふうに思います。

川内委員 まあ、知らないからと。みんな使いたい、制度のはざまで困っている人たちがいるわけですよね。全体としては、大体、おおむね計画どおりだと。それはおっしゃるとおりかもしれないけれども、人生というのは一人一人の人生なので、一人一人が困っているわけで、その方を救うためにどうするのかということを考えたときに、私は、事業主に、確認という言葉ではなくて、事業主に労働局が休業給付金を払うからねと通知をしてお支払いするという制度にした方が使い勝手がいいというふうに思ったので提案しております。諦めずに提案し続けますので、総理も、そうだねと思っていただいたら、きょうこの後でも指示していただければというふうに思いますが。

 持続化給付金ですね。私ども野党の持続化給付金に対する指摘で、当初二兆三千億配るのに七百六十九億かかると言っていたものが、二・九兆円を配るのに二百九十四億円で済みましたということで、この前、中間検査の結果が出たわけですが。他方で、本来配るべき人に配られずに、よからぬ人々にも何か組織的に詐取されているという話もあります。

 警察の方に、この持続化給付金の現在の全ての都道府県における検挙件数などについて教えていただきたいと思います。

小此木国務大臣 国家公安委員長でございます。

 おっしゃった持続化給付金に関する詐欺についてですが、警察では、十月二十八日時点で五十四件、八十三人の検挙をしているところであります。

川内委員 今後も、四十七都道府県警で、よからぬ人々に渡っているものについては断じて許さないという姿勢で捜査をされるということでよろしいでしょうか。

小此木国務大臣 この種の詐欺は大変悪質な詐欺でありますので、おっしゃったとおり、不安を除くこと、そして決して許さないという態度で警察を指導してまいります。

川内委員 総理、先ほど御紹介申し上げた家賃支援給付金は、二兆円予算を組んで、今のところ三千三百億の執行ということで、一六%ぐらいの執行率なんですね。この家賃支援給付金は、やはり契約関係が難しいので、なかなか申請しづらいみたいなんですよ。申請してもなかなか通らない、書類に不備があったりして。

 この持続化給付金は、これはもう制度としては非常にいい制度ですから、この家賃支援給付金を給付する予算で、僕は、もう一回、この持続化給付金の二回目を、年末、みんな大変ですから、みんな非常に厳しい状況になりつつありますので、予算を持続化給付金に集中させたらいかがか、二回目をやったらいかがかというふうに思っているんですけれども、総理、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 持続化給付金については、緊急事態宣言を経て、厳しい状況にある事業者の事業の継続のため、あくまでも特例的な措置であり、引き続き必要な方々に行き渡るようにしていきたいと思います。

 なお、今後については、新型コロナウイルス対策と経済の両立を図っていく必要があり、新型コロナウイルス経済による影響を始め、内外の経済動向を注視しながら、ちゅうちょなく必要な対応をとっていきたい、このように思います。

川内委員 さっきから同じ答弁書を、ちゅうちょなくやっていきたいと最後おっしゃるんですけれども。

 予算の執行率を見ると、やはり使い勝手のいい予算とそうじゃない予算というのがどうやらあるようだと。そうすると、この新型コロナウイルス感染症の問題というのは、本当に多くの中小・小規模企業あるいは個人事業主に対して物すごい影響を及ぼしておりますので、みんなが非常に厳しい状況の中で我慢して我慢して頑張っている。家賃支援給付金も大事だけれども、これがなかなか使い勝手がよくないようであれば、持続化給付金の二回目で対応するということも頭の中に入れておいていただきたいというふうに思って、聞いているんですけれども。

 余り時間もないんですが、二回目の持続化給付金も検討の対象だということでいいですかね。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、経済状況を見ながら対応することになります。

川内委員 経済対策については、GoToトラベルとかGoToキャンペーンがありますよね。GoToトラベルについては、GoToわらしべ長者という言葉があるそうですね、GoToわらしべ長者。それから、GoToイートは、個社名を出して非常に恐縮ですが、トリキの錬金術とか、ある、くら寿司さんというおすし屋のチェーン店さんは……(発言する者あり)いやいや、ホームページでみずから宣伝していますから言ってもいいと思うんですけれども、無限くら寿司といって、家族三人で一回三千円払えば毎日三千円おすしが食べられますよという宣伝をしていらっしゃったりする。

 制度を使いこなす人たちにとっては非常にいい制度かもしれません。しかし、他方で、エッセンシャルワーカーとかあるいは高齢者とか、おじいちゃまやおばあちゃまは、食べログとかあるいはぐるなびとかいったって、もうわけわからないわけです。制度が使えない人たちにとっては、一体それは何なんですかということになっているわけね、制度として。

 そういう人たち、国民をある意味分断するような、裨益が偏るような政策だけではなくて、国民全体に裨益していく政策というものが、施策というものが必要だというふうに私は思うんですけれども、三次補正も、何か、するとかしないとか言われているわけですから、制度のやはり根本的な見直しというものも必要なのではないかというふうに思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 実態をしっかり掌握しながら、有効的な対応をしていきたいと思います。

川内委員 何か全然議論が深まらないので、ちょっと残念だなみたいに思ったりするんですけれども。

 総理の肝いりのデジタル庁ですけれども、マイナンバー制度に関連経費、その前の住基ネット、合計でこれまで一兆円ぐらい投資をしているわけですけれども、その一兆円の投資に対して、住民票あるいは印鑑証明をコンビニのマシンを使ってとっている人の割合というのはどのくらいなんでしょうか。

武田国務大臣 コンビニでの、まず住民票の方は三・三%、印鑑登録証明は四・一%であります。

 今、コンビニを使用できる市区町村の人口の合計というのはもう既に一億人を超えていますが、やはり我々が反省しなきゃならないのが、絶対的な普及率がマイナンバーカードは低いということで、これを徹底的に上げることによって更にこの使用率というのは上がってくると思います。

川内委員 住民票三・三、印鑑証明が四・一ということですね。一兆円投資して、この率なわけですね。

 政府のデジタル投資というのは、この次またやりたいと思いますが、非常に問題が多いと思うんです。さっき、誰一人取り残さないというふうに総務大臣はおっしゃったんだけれども、このままいくと、政府のデジタル投資が国民から取り残されてしまうと思うんですね。

 要するに、デジタル投資をどういうふうにしていくかというのは、非常に根本的に考えなければならない問題だということを最後御指摘を申し上げて、また提案もさせていただくこともお約束申し上げて、終わりたいというふうに思います。

金田委員長 この際、奥野総一郎君から関連質疑の申出があります。江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。総理、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきますが、まず、いつも総理は、学術会議の問題の際に、十億円の国家予算が投じられている、だから国民に理解されるような存在にならなきゃいけないんだ、効率的に予算を使わなきゃいけないんだ、こうおっしゃっていますが、同じく税金が投入されて無駄になっている大きな問題があります。河井夫妻の問題ですね。

 河井夫妻とのこの写真、総理の側近と書かれています。いまだにフェイスブックを見ると、あんり議員とパンケーキを食べる動画がまだ見ることができます。ぜひ皆さん見ていただければと思いますけれども、側近中の側近、御主人の方もこのように写真に写っておられます。

 あんり議員は、保釈はされましたが、現在も本会議を欠席しています。勾留中は当然出席できませんでした。また、御主人の方も、今、勾留中ですから、国会に出ることはできないわけですよね。その歳費とか文書交通費、これはどうなっているのか。

 去年から調べると、この件が明らかになったのは去年の秋の臨時国会でした。そして、御主人の方は、法務大臣を辞任をされていまして、辞任の直後から、秋の臨時国会はほぼ全部欠席されていたと思います。通常国会は半分ぐらい出ておられています。これは御主人の方ですね。あんり議員の方は、去年の臨時国会は欠席、そして、通常国会も半分も出てきていません。そして、通常国会終了後は当然、勾留されていますから、出ることはできないということなんですよ。

 更にさかのぼれば、このあんり、選挙のために、一億五千万ものお金が御夫妻に振り込まれていたということが判明しています。そのうち一億二千万は政党交付金だということも明らかになっていますね。政党交付金というのは税金ですよ。普通は平均一千五百万、これは記事によればですよ、ほかの一般の候補は一千五百万円選挙資金が振り込まれるところを、河井候補については、御夫妻の、河井夫妻に一億五千万、十倍も振り込まれているんですね。そのうち一億二千万が税金だったわけですよ。買収にそのお金が使われなかったとは言い切れないわけですよね。どうお金を使ったかということは全然今明らかになっていませんから、もちろん選挙の収支報告に出ていませんから、わからないわけですよ。ひょっとして、税金が買収のお金に回ったかもしれない。そして、こういう、国会に全然出てこられないような議員を当選させてしまったかもしれないわけですよ。

 これ、究極の私は無駄だと思うんですね。国民がコロナ禍で苦しんでいるときに、総理、どうですか。こうやって一緒にお写真も写っておられますけれども、もう辞職を勧告されたらどうですか。それが親心だと思うんですね。国民の気持ちに立ったときに、使ってしまったお金はもう戻りませんよ、無駄遣いです。だけれども、更に無駄をさせないためにも、辞職を、総理、こうやって写真も写っておられますから、直接お話しになられたらいかがですか。

菅内閣総理大臣 我が党所属であった現職の国会議員が逮捕、起訴されたことは、まことに残念であります。公判中の事件に関する事柄であります。公判に影響を与える可能性があることから、これ以上のお答えは差し控えたいというふうに思います。

 なお、歳費等の支給については、これは国会がお決めになることであり、行政府の立場から発言することは控えたいと思います。

奥野(総)委員 かつて議員立法で、歳費あるいはそういう諸手当については、起訴、勾留中は支給しないようにしようと、成立寸前まで行ったことがあるわけですね。今そのことをおっしゃっているんだと思いますけれども、私はやはり、総理という立場じゃなくて、側近だったわけですからね、総理、菅義偉個人として、これはしっかり辞職を勧告すべきだというふうに思いますよ。

 やはり、総理は身内に甘いんじゃないですか。今、いろんな役人、自分の考えに反対した役人を左遷したと堂々と本にも書いておられますけれども、その勇気があるんだったら、菅総理としてしっかり辞任を私は勧告すべきだというふうに思います。

 そして、次ですけれども、この本が出てきました。私もこれを買いましたけれども、なかなかおもしろい本ですが、その中で、「「伝家の宝刀」人事権」、こう書かれていまして、NHKの担当課長を更迭というところです。この冒頭のところなんですが、「人事権は大臣に与えられた大きな権限です。どういう人物をどういう役職に就けるか。人事によって、大臣の考えや目指す方針が組織の内外にメッセージとして伝わります。効果的に使えば、組織を引き締めて一体感を高めることができます。とりわけ官僚は「人事」に敏感で、そこから大臣の意思を鋭く察知します。」、こう書いてあるんですね。(発言する者あり)

 これはそんたくの勧めじゃないんですか。そうなんです、それが言いたかったんです。そんたくの勧めじゃないですか、これは。理由を明かさずに人事をやる、俺の意を察して働けよと。まさに今回の学術会議の手法そのものじゃないですか。理由を言わないで、人事をやる、ばさっと切る。まさにこれが菅政治の私は真髄だと思うんですね。ここに本音が書いてあるというふうに思います。

 そこで、学術会議問題の話を続けたいと思いますけれども、先ほど、政府の政策を批判する、共謀罪とかあるいは安保法制とか、そういう理由をもって任命を拒否したことはないとおっしゃいましたが、もう一度確認しますが、これは違法ですよね。そういう理由、政府の政策に反対する、政府を批判する、そういう理由をもって学術会議会員を任命しないというのは違法だということでよろしいですね、総理。総理ですよ、総理。任命権者なんだから総理にやってください。

菅内閣総理大臣 公務員の人事については、適材適所、その考え方で、それぞれの行政機関や個々の部署の役割を踏まえ、能力、実績などに基づいて任命権者が個別に判断すべきものだと思います。

奥野(総)委員 私は違法かどうかを伺っているんですね。

 これは昭和四十四年の高辻内閣法制局長官答弁ですね。これは大学の学長の任命についてのことでありますが、「単に、申し出がありました者が、何らかの理由で主観的に政府当局の気に食わないというようなことではなくて、そういうことで任命しないというのはむろん違法」だ、こういうふうに法制局長官は唱えておられます。

 それから、更にその前に、実はこれには下敷きがあって、昭和三十七年、統一見解、これはちゃんと決裁をとってあるんですね。ちょっと理事会では言わなかったんですが、法制局の古文書です。三十七年の七月、八月ということで、決裁がとられていまして、その中で、申出のあった者、これは大学の学長代行の任命についてなんですが、大学当局が、申出に基づいて文部大臣が任命するという同じ仕組みなんですけれども、申出のあった者がそのときにおける政府の政策を支持しないという理由によって、任命権者がその申出を拒否することは許されないものと解すべきでありと、申出を拒否することは憲法十四条に違反し、許されないのも当然であると、きっちり法制局の文書があるわけですよ。

 総理は当然、この十五条の任命権と学問の自由との関係について理解をされて任命されておられるわけでしょう。違法ということで、確認しますが、よろしいですよね。総理。総理。

菅内閣総理大臣 これも先ほど来答弁させていただいていますが、日本学術会議法上の会員の任命については、憲法第十五条一項に基づけば、推薦された方々を必ずそのまま任命しなきゃならないことではないという点について、内閣法制局の了解を得た、これは政府の一貫した考え方であります。

奥野(総)委員 これも同じことが書いてあるんですよ。ただし、政府の政策に反対するような場合、特定の学説を支持するような場合に任命しないことは憲法違反だと言っているんですね。これも総理のおっしゃっている同じことを言っていて、十五条一項に基づいて、大学の学長であっても、例えば手続的に瑕疵がある場合とかそういう場合は任命拒否はできるんだけれども、とりわけ政府の政策が気に食わないとかそういう場合は任命拒否をすると憲法違反になるよ、こう書かれているわけです。

 これは理解されていますかという問いですよ。

菅内閣総理大臣 今私が申し上げたとおりです。

奥野(総)委員 いや、総理、これは違法だと言えば済む話ですよ。違法だと言えば済む話なんですね。これは変に違法じゃないと言ったら、そういうことをやっているんですかという話になりますよ。

菅内閣総理大臣 学術会議法に基づいて行っていますから、これは違反ではないと思います。

奥野(総)委員 これはこの間の参議院内閣委員会の法制局答弁ですが、一番下のところ、昭和五十八年の日本学術会議法の一部改正時におきましてもこれと同様の考え方に基づいて立案がなされていると。これと同様というのは、上のところですが、当時の教育公務員特例法に基づいて、学長の申出によって任命権者が行うという構造になっている、この話ですよ。この話と同じ構造で学術会議法も成り立っていると言っているわけですから、理の当然として、そんなことは日本学術会議法上はできないんじゃないですかということですよ。

 できると言うのなら、やっているんですかと、今度はそういう問いになるんですが、どうぞ。

菅内閣総理大臣 これは委員、先ほど言ったとおりでありまして、日本学術会議法上の会員の任命については、憲法の話を先ほど来していますけれども、推薦された方々を必ずそのまま任命しなきゃならないということではないという点については、内閣法制局の了解を得た政府の一貫した考えでありますから、違います。

奥野(総)委員 いや、私も百歩譲ってなんですよ、百歩譲って言っているわけです。そもそも、中曽根答弁もあり、任命拒否はできないんだという前提があるんですが、ただ、こういう文書が残っていたので、十五条一項で任命拒否ができるとする立場に立った場合でも、こういう恣意的な任命拒否は憲法違反だという文書が残っているわけですよ。

 それは、でも、総理なんですから、当たり前の常識じゃないですか、こんなこと。政権に逆らうやつは任命しない、そんなのでどうするんですか。総理としての度量が問われますよ。この本のとおりじゃないですか。そんたくしろと学会にも言うんですか。

近藤政府特別補佐人 先ほどちょっと、法制局の一部長の答弁についての御説明、その趣旨がちょっと違っておりましたので、そこだけ訂正をさせていただこうと思います。

 この昭和四十四年の高辻長官の答弁、あるいはその前に、三十七年に法制局の見解も出て、その後、文部大臣の答弁なども三十八年にあって、そのころからずっと、教育公務員特例法の解釈については一定の解釈を政府としてとってまいりました。

 ただ、あくまでも教育公務員特例法という特別の規定についての解釈ですから、そこで得られた解釈が、およそすぐにほかの法律にそのまま全ての具体的解釈が適用されるわけではなくて、私どもが基づいているというのは、そこで示されました憲法十五条と個々の任命に関する規定との関係についての基本的な考え方、すなわち、憲法十五条第一項に規定する公務員の選定が国民固有の権利であるという国民主権の原理との関係で、任命権者は公務員の任命について国民に対して責任を負わなければならないということと、また、申出等に基づいて任命するという規定に基づく場合においても、国民に対して責任を負えない場合には拒否することができる、こういう一般的な命題については基本的には政府として一貫しているということで、どういう場合に、それぞれ、いろいろな組織が違いますし、特に大学の場合は、大学の自治という憲法上の価値がまたありますので、通常の憲法上の価値と十五条の問題と、ただ、行政機関の中における、六十五条のもとにおける問題とはもちろん性格が違いますので、それぞれの組織なり規定において解釈はしていくということだと思います。

奥野(総)委員 これはいいとこ取りなんですよね。任命拒否できるところは引っ張ってきて使っていますよ、でも都合の悪いところは使いませんということでしょう。今の法制局答弁だと、やっていいんでしょう。総理、そうじゃないですか。安保法制に反対したから、あるいは共謀罪に反対したから、そういう人たちは、その理由をもって任命拒否できる、特別公務員だから任命拒否できる、こういうことになる。法制局、そういうことでいいんですか。まあ、でももういいですよ、長くなるから。

 総理、それでいいんですか。総理としてやはり正すべきじゃないですか。

金田委員長 内閣法制局長官近藤正春君、明確に答弁してください。

近藤政府特別補佐人 先ほど申しましたのは、基本的な考え方についてということでございますけれども、個別の規定ごとにおいて、あくまでも申出等あるいは推薦をある程度尊重して任命をしていくという規定に共通するような話でございますけれども、基本的には、拒否をしていくというときには、消極的に拒否をしていくということだと思いますので、恣意的に政府が、自由な裁量権を発揮したような形でのものは認められないというふうに思います。

奥野(総)委員 やはり法制局長官も同じことを言っているんですよね。だって違法なんですよ、これは。恣意的な任命拒否なんて、できるわけないじゃないですか、こんなの。総理、ちゃんとしっかりしてくださいよ。

 では、もう一度聞きますが、六人はなぜ任命されなかったんですか。総理の、政府の政策に反対したからですか。あるいは、どういう理由なんですか。違うというなら、どういう理由でこの六名は任命されなかったんですか。何か基準があるんでしょう。

菅内閣総理大臣 これも先ほど来何回も申し上げていますけれども、まず、年間十億円の予算を使って活動している政府の機関です。そして、任命されれば公務員になられる方でありますから、専門分野の枠にとらわれない広い視野に立ってバランスのとれた活動を行うべきであって、これは、かねてより多様な会員を選出すべきと言われながら、現在は出身や大学に大きな偏りがあるということ。そして、会員の選考というのは、全国に約九十万人いる研究者のうち約二百人の現在の会員だとかあるいは約二千人の連携会員とつながりのある方に限られた中から選ばれており、閉鎖的で既得権のようになっていると言われても仕方ない状況だと思います。

 こうした中で、学術会議から推薦された方々がそのまま任命されてきた前例を踏襲してよいのか、また、結果として、正直に、大分悩んだ結果、むしろ今回は前例踏襲をやめて、結果として、例えば民間人や若手もふやすことができるようにした方がよいのではないか、そういう中で判断をさせていただいたと。

奥野(総)委員 明確な答弁がないわけですから、恣意的な任命拒否、あるいは政府の政策を支持しない、反対しているということが理由だと、それが違法だとはっきりおっしゃらないわけですから、そういう可能性もあるわけですよね。理由を明確におっしゃらない以上、そういう可能性もあるわけですよ。

 今、いろいろな、多様性とかおっしゃっているけれども、じゃ、どうしたいんですか。若手は何%にすればいいんですか。所属大学はどういう姿にしたいんですか。そこがさっぱりわからないんです。

 例えば、ある基準があって、こういう姿にしたいんだから、今回、この方々は任命しませんでしたというなら、百歩譲って理解できるかもしれません。かもしれません。だけれども、そういうのも一切ないまま、何も言えませんと言って、支離滅裂に、若手が少ないのに若手を切ったり、大学に偏りがあると言いながら少数大学を切ったりしていては、およそ恣意的にやっているとしか見えないんですよ、総理。

 もう一度聞きますが、これ、判断基準は御自分で考えられたんですか。あるいは、世上言われているように、杉田副長官が考えて総理に相談したんですか。どっちですか。

菅内閣総理大臣 これも先ほど来全く同じ意見になるんですけれども、国の予算を使っているこれは政府の機関であって、それで、任命されれば公務員になられる、そういう中で、出身、大学に大きな偏りがあるという中で、例えば、旧帝国大学と言われる七つの国立大学で所属する会員が四五%、それ以外の百七十三の国立、公立大学合わせて一七%、六百十五ある私立大学は二四%なんです。産業界に所属する会員や四十九歳以下の方は、それぞれ三%にすぎない。

 そして、国内に九十万人いる研究者のうちに、二百人のこの会員と二千人のこの連絡会員、この人たちにつながりがない方は会員から推薦されないという、閉鎖的で既得権のようになっていると言われても仕方ないというふうに思います。

 前例を踏襲してよいのか悩んだ末、結果として判断をしたということです。

奥野(総)委員 これは答弁になっていないんですよ。なぜ六人の方が外れたかというのがさっぱりわからない。さっぱりわからないということは、さっきと同じで、そんたくしろ、理由は言わないからそんたくしろ、こう言っている、そういうことじゃないですか。

 そうなんです。安倍政権のときは任命拒否はなかったんですよ、これを見ていただくとわかるけれども。内閣人事局ができたのが二〇一四年ですね。この一四年のときから、これは一回目は推薦決定後ですけれども、名簿の提示、百十七人、漏れた人も含めて提示が始まります。

 そして、杉田副長官が内閣人事局長を兼務したのが二〇一七年の八月なんですよ。これは多分秋ですよね、任命って。だから、杉田副長官が人事局長になったときから、推薦決定の前に名簿を見るようになったんですよね。

 そして、今回。このときはまだ安倍政権ですよ。これはやはり菅さんが前例にとらわれず決断されたんだと思いますよ、これまでやってきていないんだから。もっと悪いじゃないですか。

 そこで、もう一度聞きますが、こういうことは杉田さんから全て相談を受けられていましたか。そして、今回の基準は、総理が本当に考えられたんですか。

菅内閣総理大臣 私は、官房長官当時から、問題意識は持って、懸念をしていました。

奥野(総)委員 そういうことですよね。

 じゃ、どういう懸念を持たれていたんですか。

菅内閣総理大臣 やはり特定の人しかその選考の中に入らないという、約九十万人全国にいる研究者のうちに約二千二百人ですか、その中で選ばれておるということが、やはりこれは閉鎖的で既得権益じゃないでしょうか。そうしたこと。さらに、前例主義、そうしたことが続いてきましたので、前例主義というものをやはり今回はやめるべきだという中で判断をさせていただきました。

奥野(総)委員 時間がなくなってきましたけれども、最後の質問にしたいと思いますが。

 きょうわかったのは、恣意的な任命拒否もあり得る。法的には否定しなかったですね。政府に逆らう、政府の政策に反対した場合、任命拒否ということは違法かどうかとおっしゃらなかったわけです。だから、そういうこともあり得るということだと思います。こういうことをやっていると、しかも任命拒否の理由も明かさないと、表現の自由、学問の自由が萎縮しますよ。

 最後に、総理、前に一回ここで望月記者問題をやったじゃないですか、取材の自由の制限の話ね。取材の自由もまあ表現の自由の一環ですよ。報道の自由も表現の自由の一環ですよ。表現の自由には、総理はやはり一定の制限がかかるとお考えですか。制限してもいい場合があるというふうにお考えですか。

菅内閣総理大臣 国の行政機関である学術会議の役割なども踏まえて公務員を任命するものであり、個々人の学問の自由、表現の自由との関係で問題があるとは考えていません。(奥野(総)委員「答えていないですよ」と呼ぶ)

金田委員長 答えましたよ。(発言する者あり)

 じゃ、もう一回質問してください。時間ですから、短く。

奥野(総)委員 一言で言うと、総理は、表現の自由であっても制限される場合があるとお考えですかということです。

菅内閣総理大臣 表現の自由とは全ての国民に保障された基本的人権であって、外部に向かってその思想、信条、主張、意思、感情などをあらわす自由であり、極めて重要な権利だと思っています。

奥野(総)委員 だから、制限していいんですか。

菅内閣総理大臣 ですから、その制限はないと思います。

金田委員長 以上です。

奥野(総)委員 以上で終わります。

金田委員長 次回は、来る四日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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