衆議院

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第4号 令和2年11月25日(水曜日)

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令和二年十一月二十五日(水曜日)

    午前九時九分開議

 出席委員

   委員長 金田 勝年君

   理事 後藤 茂之君 理事 齋藤  健君

   理事 橋本  岳君 理事 藤原  崇君

   理事 細田 健一君 理事 山際大志郎君

   理事 奥野総一郎君 理事 辻元 清美君

   理事 浜地 雅一君

      秋本 真利君    井野 俊郎君

      井林 辰憲君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩田 和親君   うえの賢一郎君

      江藤  拓君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    鬼木  誠君

      神山 佐市君    河村 建夫君

      北村 誠吾君    工藤 彰三君

      斎藤 洋明君    菅原 一秀君

      田畑 裕明君    竹本 直一君

      武部  新君    冨樫 博之君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    福山  守君

      藤丸  敏君    古屋 圭司君

      星野 剛士君    務台 俊介君

      村井 英樹君    村上誠一郎君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    青山 大人君

      稲富 修二君    今井 雅人君

      枝野 幸男君    尾辻かな子君

      大西 健介君    逢坂 誠二君

      岡田 克也君    岡本 充功君

      川内 博史君    玄葉光一郎君

      後藤 祐一君    本多 平直君

      緑川 貴士君    森山 浩行君

      屋良 朝博君    伊佐 進一君

      太田 昌孝君    濱村  進君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      藤田 文武君    西岡 秀子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  義偉君

   財務大臣         麻生 太郎君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         茂木 敏充君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       野上浩太郎君

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     加藤 勝信君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   国務大臣

   (経済再生担当)     西村 康稔君

   国務大臣         井上 信治君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣官房成長戦略会議事務局次長)        松浦 克巳君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          山下 隆一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和田 信貴君

   予算委員会専門員     鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     星野 剛士君

  伊藤 達也君     福山  守君

  石破  茂君     冨樫 博之君

  岩屋  毅君     斎藤 洋明君

  うえの賢一郎君    鬼木  誠君

  小倉 將信君     田畑 裕明君

  河村 建夫君     武部  新君

  田中 和徳君     工藤 彰三君

  竹本 直一君     藤丸  敏君

  根本  匠君     岩田 和親君

  山本 幸三君     北村 誠吾君

  逢坂 誠二君     枝野 幸男君

  玄葉光一郎君     緑川 貴士君

  森山 浩行君     稲富 修二君

  太田 昌孝君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     根本  匠君

  鬼木  誠君     うえの賢一郎君

  北村 誠吾君     山本 幸三君

  工藤 彰三君     井林 辰憲君

  斎藤 洋明君     務台 俊介君

  田畑 裕明君     井野 俊郎君

  武部  新君     河村 建夫君

  冨樫 博之君     石破  茂君

  福山  守君     伊藤 達也君

  藤丸  敏君     竹本 直一君

  星野 剛士君     秋葉 賢也君

  稲富 修二君     尾辻かな子君

  枝野 幸男君     逢坂 誠二君

  緑川 貴士君     青山 大人君

  伊佐 進一君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     小倉 將信君

  井林 辰憲君     田中 和徳君

  務台 俊介君     岩屋  毅君

  青山 大人君     屋良 朝博君

  尾辻かな子君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  屋良 朝博君     玄葉光一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(内外の諸課題)


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、内外の諸課題についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君、内閣官房成長戦略会議事務局次長松浦克巳君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君、厚生労働省社会・援護局長橋本泰宏君、厚生労働省人材開発統括官小林洋司君、農林水産省政策統括官天羽隆君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、経済産業省通商政策局長広瀬直君、経済産業省産業技術環境局長山下隆一君、国土交通省住宅局長和田信貴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 まず初めに、この質問の機会をお与えくださいました理事始め御関係の皆さんに心から感謝を申し上げます。

 本日の私の質疑でありますが、私、常々この予算委員会の進め方について思うところがありますので、その思いに従った形で進めさせていただきたいと思っています。具体的には、それぞれの課題について責任ある大臣がいらっしゃるわけでありますので、私の質問は基本的に担当大臣にさせていただきまして、その御答弁が失礼ながらあんまりだなと思うときに総理に御見解を伺いたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。また、きょうは時間も限られておりますので、骨太の直球の質問をさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。

 ちょっと質問の順番を変えさせていただきまして、経済、産業にかかわる、私が長年懸念をしていることにつきまして御質問させていただきたいと思います。

 この二十年、三十年の単位で日本の経済や産業を眺めてみますと、残念ながら世界における地位というのはずるずると後退を続けているということに関して、私は危惧を覚えております。アベノミクスで立て直しというところがあったわけでありますけれども、長いトレンドで見た場合には、残念ながら我が国産業は競争力を徐々に失い続けているということを大変憂慮しているわけであります。

 時間もありませんので、数字を挙げて御説明する時間はありませんが、一つだけ象徴的な数字を挙げさせていただきますと、先週末のGAFAプラスM、すなわちグーグル、アップル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフトの株価時価総額、これは先週末の時点で、この五社で何と七百四十二兆円です。一方、日本の一部上場企業、これは二千社以上ありますが、この二千社以上を全部足し合わせても時価総額は残念ながら六百五十兆しかありません。つまり、たった五社に日本の一部上場企業二千社がかかっても時価総額で勝てていないというのが現状であります。

 一方、三十年前ぐらいを振り返ってみますと、世界の時価総額ランキングの中で、日本の企業はいっぱい入っていました。

 この間、どこかで道を間違ったのではないか。もちろん、優秀な技術もあり、優秀な人材もいるのになぜなんだというのが私の疑問であります。

 では、政府は無策だったのかといいますと、振り返ってみますと、小渕政権のときには、公共事業で何とか盛り上げるということで、世界一の借金王と言いながら、財政出動で何とか経済をと努力をしてきました。また、小泉政権におきましても、五年以上にわたって、規制緩和だ、サプライサイドの改革だということで、格差を拡大したと批判をされながらも、そういう改革に突っ込んでいきました。また、安倍総理になってからも、異次元の金融緩和ということで、金融政策で何とか盛り上げようという面もやってきました。

 つまり、この間、政策においても、マクロ経済政策的なものはやれるだけのことをやってきたということは言えるんだろうと思います。それなのに大きなトレンドを覆すに至っていない、後退をとめ切れていないというのが現状なんだろうと思います。

 私は、この数年、更に釈然としないことが正直起こりました。

 それは、二つの出来事を申し上げたいと思いますが、一つは、安倍政権になりまして、急速に円安が進みました。当時、野田総理が退任されたときは一ドル七十九円でしたが、半年後には百円に。にもかかわらず、通常であれば、円安が進めば輸出の量もふえるはずなんですよ、しかし、ふえなかった。日本の製品が安くなって競争力がついたにもかかわらず、世界は買ってくれなかった。これはなぜなんだ。日本の製品がそんなに魅力がないのか、それとも売り込むガッツがないのか、よくわかりませんが。

 もちろん、今、日本の企業は世界全体にサプライチェーンを持っていますので、為替変動があってもそれは対応できるようになっていますが、しかし、これほど一気に円安が進んだときにはやはり量がふえなくてはおかしいと私は思いますが、ふえなかった。これはなぜなんだろう。

 それから、金融緩和、今回やりましたが、残念ながら、そのお金は、企業が投資に向かう、挑戦するためにはこれほどのチャンスはないのに、そういう挑戦が行われていない。一体これはなぜなんだ。この数年、そういう疑問を持ってまいりました。

 もしかしたら、この原因は、政策もさることながら、企業というプレーヤーの方にも問題があるのではないかという問題意識で、実は、自民党の若手の議員であります村井英樹さんを始めとして、この問題意識を持って実はしばらく研究を続けて、提言をまとめたものがあります。それがこのプロジェクトT報告書というものでありますが、タイトルだけ読みますと、「「デジタル化」の掛け声だけで、日本の危機は解決しない。日本の組織を開放し、若者の抜擢と挑戦を!」というサブタイトルになっています。

 この勉強の中で浮かび上がってきたことを御紹介します。

 日本の一部上場企業のCEO、最高経営責任者の年齢、平均六十三歳です。一方、アメリカは五十八歳です。ヨーロッパは五十五歳です。つまり、日本のトップは高齢化しています。では、そのトップの在任期間、どのくらいトップとして責任を持って仕事をしているかといいますと、アメリカの場合は七・二年です、平均しますと。日本は三・五年です。つまり、日本の場合は、トップが高齢化していて、しかも在任期間が短い。

 では、中間管理層はどうかといいますと、部長になる年齢を比べてみます。日本の場合は四十四歳で、平均すると。アメリカ、三十七歳、そして中国、三十歳です。つまり、日本の場合は優秀な人を抜てきする年齢が高い。

 こういうことを考えますと、これはあくまでもマクロの世界でありますが、日本の企業の特徴というものは、高齢化をしており、そしてトップの在任期間が短く、なおかつ、若い人、優秀な人を抜てきするタイミングも遅いということがマクロで言えるわけであります。

 そして、じゃ、外の血を入れて経営を活性化しようという点はどうか。一部上場企業の最高経営責任者の人たちが外部から来ているかどうかというのをチェックしますと、アメリカは二三%が外部からトップが来ています。ヨーロッパは何と四三%です。日本は四%です。つまり、同質性が極めて高い。

 こういうところが特徴として浮かび上がってきているわけでありまして、それが象徴的にあらわれているのが日本経団連なんですね。

 日本経団連の加盟会社十九社、正副会長の会社は十九社あります。十九社のうち、これは平均年齢はちょうど六十三歳で上場企業と一緒なんですけれども、この十九名のうち、東大出が七名、そして旧帝国大学出が十九名中十五名、そして残りも一流大学。そして、一人を除いて全員生え抜き。そして、全員男性。これが日本のエクセレントカンパニーと言われている経団連、上場企業の現状なわけですね。

 私が申し上げたいのは、確かに政策も大事なんですけれども、ここの部分に何らかの改革をしない限り、例えばデジタルトランスフォーメーション、これからコロナ後の経済で重要だと言われても、本当にスピード感を持って対応できる、そういう体質になっているのだろうか、そういうことを今もっともっと注目をしていかなくてはいけないのではないかという思いがこの数年あるわけでありまして、確かに民間企業の問題であると言われればそういうわけでありますが、ただ、この問題を座視できるんでしょうかということを担当大臣である西村大臣の見解を伺えたらと思っています。

西村国務大臣 齋藤委員から強い危機意識を持った提言、そして今御提案をいただきました。私も、その危機意識を共有しているところであります。

 株価の話がございました。株価についてはコメントしないということになっておりますけれども、二〇一四年以降、これは先ほど言われたGAFA、マイクロソフトは全てS&Pに入った、そのときからのアメリカの株価と日本の株価を比べてみますと、三万ドルを超えるほどアメリカの株価は大変好調に、大幅に上昇しております。でも、このおっしゃったGAFAプラスマイクロソフトプラス二つのN、ネットフリックスとエヌビディアを除けば、日本の株価の上昇と同じぐらいなんです。

 これは何を申し上げたいかというと、やはり、経済を牽引する、そういう成長企業をつくっていかなきゃいけない、そのために、おっしゃったような組織の改革も行っていかなければならないということだと思います。

 議員始め若手の議員の皆さんから熱心に議論された提言書をいただきました。サバティカル休業であったり休暇であったり、あるいは若手、女性のクオータ制度など、多様な人材を登用し、そして若者の挑戦を引き出していく、そうした御提案をいただいております。まさに成長力を取り戻し、競争力を強化していくための重要な視点だ、そのための組織改革、スピード感のある意思決定が大事だというふうに認識しております。

 御提言を受けまして、まさに日本の組織の変革をどう行っていくのか、促していくのか、このことについての研究会を私のもとで立ち上げることにしております。

 引き続き、齋藤議員始め若手議員の皆さんとも連携しながら、この日本経済の成長のために組織改革に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

齋藤(健)委員 ぜひ危機感を持って取り組んでいただきたいと思いますし、私は、これはトップが決断をすればできることも多いと思いますので、ぜひこの危機感を日本の多くの企業のトップの方に共感して持っていただけたらと切に念じます。

 次に、今経営の話をしましたけれども、現場の話に移りたいと思っています。

 実は、技能オリンピックというのがございます。これは、二年に一回、通常のオリンピックのように現場の技術力を競い合うような、そういう国際大会があります。しばらく前までは、日本の誰々君が金メダルをとったなんていう報道がよくありましたけれども、ふと気づいてみると、最近余り聞かないですよね。

 私は調べてみたんですが、二十一世紀に入ってから、二〇〇一年から二〇一五年まで、これは二年に一回開かれます。この間、日本が、金メダルをとった、その競争において、一回だけ四位になりましたけれども、全て三位以内に入っています、この二〇〇一年から二〇一五年まで。

 ところが、異変が起こったのが二〇一七年なんですよ。二〇一七年にこの技能オリンピックで日本は金メダル三個しかとれずに、九位に沈みます。一位は中国で、金メダル十五個。二位はスイスで、金メダル十一個。何となくわかりますよね、スイスが現場が強いというのは。三位は韓国で、金メダル八個でした。日本は三個しかとれませんでした。

 これが一時的な現象なのかなと思って、その二年後の二〇一九年、このオリンピック、私は注目して見ていたわけでありますが、結果、日本は更に金メダルを減らして、二個しかとれませんでした。一位は、金メダルをふやした中国で、十六個。二位は、開催地がロシアだったものですから、ロシアが入ってきました。三位は、やはり韓国でした。

 日本は、よく言われることですけれども、経営トップよりも現場が強いから何とかなっていると。そういえば戦争のときもそうでした、司令官はいまいちだけれども、兵隊が強いから大丈夫だと。日本はここで競争力を確保してきた。それが日本の強み、お家芸だったわけでありますけれども、そこに今影響があらわれてきているんじゃないか、それがこの技能オリンピックの結果にあらわれているんじゃないかというふうに、私は、杞憂だといいなと思いながら、この件について御質問、御認識をお伺いしたいなと思っております。

 これは、本来、技能オリンピックは厚労省かもしれませんが、製造業の現場を所管されています梶山大臣がどう認識をされているか、お伺いできたらと思います。

梶山国務大臣 齋藤委員御指摘のとおり、直近の二〇一九年の技能オリンピック、二個まで金メダルが減少しているという現実がございます。技能五輪国際大会では、情報通信やアート、ファッションなどの職種でも技能を競わせるような形に今なってきておりますので、この結果のみをもって直ちに我が国製造業の現場力が落ちているとは評価することはできないと思いますけれども、今年度のものづくり白書においては、人材育成、能力開発が進まないことが製造事業者が抱える主要な経営課題の一つであるとの調査結果も出てきているところであります。

 昨今、ものづくりを取り巻く環境が大きく変化をしている、そして不確実性も増す中で、我が国製造事業者が競争力を維持するためには、人材育成が非常に重要なことであると考えております。

 このため、経済産業省としては、厚生労働省ともよく連携しながら、我が国製造事業者の人材育成や現場力の向上に取り組んでいきたいと思っておりますし、時代に合った製造業、またどういう形での製造、物をつくっていくかということも含めて、しっかりと検討をしてまいりたいと思っております。

齋藤(健)委員 技能オリンピックが直ちに現場力を反映しているというわけではないとは思いますけれども、日本の一番重要な部分でありますので、経済産業省におかれましても、これからそこのところをよく注目をしていただいて、問題がないかどうか常に意識を持っていただきたいなと思います。

 次に、地球温暖化について御質問します。

 菅総理が二〇五〇年カーボンフリーを表明されたこと、私、これは高く評価したいと思っています。高い目標を掲げるということは大変大事でありまして、高い目標が決まるとそこに向けて新しい動きがいろいろ起こってくるということがありますので、また、新しい知恵も生まれてくると思いますので、ぜひこの高い目標を徹底的に追求していきたいと思っています。

 ただ、この問題を捉えるときにどうしても忘れてはいけないのは、この問題を何としても成長の機会につなげていかなくてはいけないということであります。

 私は、諸外国を見ますと、自分もこの件で交渉したこともありますし、留学時代はグローバルウオーミングのロールプレーというのをほかの国の人たちと現にやったりしたことがありましたが、そこで気づきましたのは、温暖化のためと言いながら、実は自分の国の競争力、経済や産業を、いかに相手を打ち負かしてやろうかというのが裏に根強く存在している問題なんですね。それで、先んじて経済、産業で優位な地位をとろうというもくろみも実は物すごく強く持ちながら世界は取り組んでいるという点は、どんなに強調しても強調し過ぎることはないと思っています。アメリカもヨーロッパも中国もです。

 時間の問題なので二つだけ例を挙げたいと思いますが、まず水素ですけれども、これは温暖化対策の切り札の一つだと思いますけれども、このところ、世界の競争は激化しています。過去一年で、多くの国が水素戦略を続々と発表をしてきています。

 日本では、被災地である福島県の浪江で、福島水素エネルギー研究フィールドということで、太陽光発電で電気をつくって水を分解して水素を製造する、こういう実証設備が十メガワット規模でもう動き始めています。

 これは、現状においては世界最大級の実証設備でありますが、私も被災地を応援する観点からこれはすばらしいプロジェクトだと思っていますが、しかしながら、ヨーロッパはこれにどう取り組んでいくかというと、実は二〇三〇年までに四十ギガワットの製造能力というのを目指して真剣に取り組んでいます。これは、何と、浪江の水素製造能力の四千倍に当たります。この目標を掲げて水素について本気で取り組んで、この水素で世界をある意味席巻してやろうという意図が恐らくあると思います。

 もう一つは電気自動車ですけれども、これはもう御多分に漏れず、アメリカの電気自動車メーカーのテスラは躍進を続けて、時価総額でいえばトヨタを始めとする日本メーカー七社全部足し合わせたものを既に上回っています。中国もヨーロッパも、大胆な環境規制と思い切った助成で、すさまじい勢いで自動車分野の脱炭素化を推進しているわけであります。もうトヨタでさえうかうかできない状況だと思っています。

 期待の洋上風力も、技術はほとんどデンマークを始めとするヨーロッパに席巻をされているというのが現状であります。

 そう考えますと、この二〇五〇年に向けて日本が取り組むときに、産業分野でどのくらい日本が頑張るかというのは今後の日本の成長に極めて大きな、やられるかやるかという、そのくらいの大きな戦略だと思っていますので、期待をしているわけですけれども、今回質問するに当たりまして、少し経産省の人と若干のやりとりがありましたけれども、確かにペーパーはいいのを書いてきているけれども、本当に気合いが入っているかというところが若干疑問に思いました。

 ですから、これは本当に日本にとって、成長にとって正念場だという認識で、ぜひ大臣の陣頭指揮で、この二〇五〇年に向けての産業面での躍進、どのようにお考えになっているか、お聞かせいただけたらと思います。

梶山国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルの旗を掲げる動きが世界じゅうで相次ぐ中、先進国を中心に企業も生き残りをかけて脱炭素技術のイノベーションに大規模な投資を行うなど、世界は脱炭素技術をめぐる大競争時代、しかも、これはそれぞれの分野で世界の標準をつくるといった産業政策、産業競争力の段階での競争になってきていると思っております。

 日本は、過去において、基礎研究の段階はいいんですけれども、それが実用また実装、大量生産のときになると他国に負けているという実例が幾つかございました。

 今回、年末をめどに、カーボンニュートラルを目指す不可欠な要素、今委員がおっしゃった水素、蓄電池、洋上風力、カーボンリサイクルなどの分野の実行計画を立ててまいりますけれども、これも、単に目標年限やターゲットを定めるだけではなくて、規制や標準化などの制度整備、そして、社会実装を進めるための支援策、また、規制改革なども含めて取り組んでまいりたいと思っております。

 水素についても、供給サイドと需要サイドでどうするかということが必要だと思っております。

 これは、製造技術、ありますけれども、グリーン水素にするためにはどうしたらいいのか、ブルー水素という考え方もある、それは両様で、海外から持ってくる、また、国内でどう生産するか。そして、需要をふやすことによってコストを安くするためにどうしたらいいのかということもしっかり考えてまいりたいと思っておりますし、国の支援による五年単位の研究開発事業などに関して、その切れ目において、技術開発が滞ったり、技術や人材が海外に流出しているという実例がございます。

 それは、何度かヒアリングをしながら実例を挙げてもらったわけでありますけれども、そういったものが起こらないように、腰を据えてイノベーションに取り組む企業に対して、国も長期間で支援をしていきたい、そういうことも含めて対応してまいりたいと思いますし、かけ声だけでなく、魂を入れて頑張ってまいりたいと思っております。

齋藤(健)委員 振り返りますと、太陽光発電について言えば、もう一九七〇年代から日本はサンシャイン計画ということで、私も通産省に入ったときにこのサンシャイン計画で一生懸命取り組んでいました。しかしながら、現在、世界のパネルは中国製で埋め尽くされています。

 ですから、日本はいい技術を持っているわけでありますけれども、それが本当に日本の産業の成長につながり、そして、日本の所得につなげるような形で展開していくためには、やはり、過去の反省も踏まえながら、よほどのことをやっていかなくちゃいけないということなので、ぜひよろしくお願いをいたしたいなというふうに思っています。

 次に、RCEPが合意をいたしました。これも、私は大変、ある種感激を持って受けとめていました。

 残念ながら、一九九九年にシアトルでWTOの閣僚会議がついに合意を得られなかったというところから、WTOを使っての貿易の自由化、経済連携というものはもう前進させることが難しくなりました。

 その後、日本は、二国間ですとかあるいは地域での経済連携を深めるというアプローチをとって、そっちで自由化を進めようというふうにしてきました。

 一つがTPPでした。アメリカを含めて、成長著しいアジア太平洋の十二カ国で、世界の経済規模の四割を占める世界最大級の経済連携地域をつくろうという努力をしてきました。

 そして、RCEPで、東南アジア十カ国とオーストラリア、ニュージーランド、日中韓、そしてインドを含めた十六カ国で、この肝は、インドと中国が入っているというところが肝で、これも推進してきました。

 そして、ヨーロッパとは、日・EU、これを推進してきました。

 これらが一応、今、全部、RCEPで完成をしたということについては、私、直接間接に携わってきた者にとっては感無量のところがあります。

 ただ、残念ながら、TPPで、肝心のアメリカが抜けてしまった。RCEPで、中国、インドが入っているところが意味があるところだったわけでありますが、残念ながら、インドも今回合意には加わらなかったということであります。

 そういう現状において、お伺いしたいのは、RCEPは何か自由化のレベルが低いんじゃないかと批判する人もいましたけれども、自由化や経済連携を深めるに当たっては、ハイレベルのものができる国もあればそうじゃない国もあるので、そうじゃない国はそうじゃないレベルのもので、とにかくつくって、ハイレベルとそうじゃないレベルの方で二極分化をどうしてもしていく、その二極に、両方に日本は足をかけていくということが必要だと思っていますので、私は、RCEPに対する批判は必ずしも的を得ていないと思っていますけれども。

 いずれにしても、今この現状において、今後の日本の通商戦略をどのように考えておられるか、お伺いできたらと思います。

梶山国務大臣 新型コロナウイルスの感染拡大によって自国優先主義が拡大していく中で、我が国としては三つの点が重要だと今考えております。

 まず一つ目ですけれども、自由で公正な経済圏を広げていくこと。TPP11を、市場アクセス、ルールの双方で高いレベルの条件を満たす国、地域へ広げるとともに、RCEPの早期発効と着実な実施を図って、経済的、戦略的に重要なインドの復帰を働きかけていくということであります。

 RCEPは、発展の度合いがまちまちの国があるということで、濃淡がありますので、そういった中で、ルールをしっかりと皆さんに周知をしていただき、また、引き上げていくという能力開発の部分も含めてしっかりやっていかなければならないと思っております。

 第二に、二十一世紀の経済実態にふさわしい形の国際ルールを構築すること。これは、デジタル経済に関する国際ルールを推進し、産業補助金のルール強化を進めながら、WTO改革につなげていくということでもあります。

 第三に、コロナ危機の教訓を踏まえてサプライチェーンの強靱化を進めることということでありますが、日・ASEANや日豪印での取組を通じて、地域全体でリスクに強いサプライチェーンの構築を進めていくという取組をしているところであります。

 以上のような取組の中で、自由で開かれた国際秩序づくりに日本が世界をリードしていく決意でございます。

齋藤(健)委員 これはお願いになりますけれども、何としても、TPPへのアメリカの復帰、これを真剣に追求していただきたいし、インドは現状難しいと思いますけれども、何とか仲間に入ってもらえるように引き続き努力をしていただきたいなというふうに思っています。

 そう言いながら、一方、世界はやはり自国中心主義に傾きつつあるのは事実であります。通商問題は大事ですけれども、一方で、安全保障、特に食料安全保障というものも、実はここは今まで以上に真剣に捉えていかなくちゃいけない課題だと思っていますので、今後の交渉に当たっては、そこもしっかりと踏まえながら進めていっていただきたいと思います。

 時間も限られてきたので、最後、子供宅食についてお伺いしたいと思います。

 子供食堂というのが今全国に広がっているのは皆さん御案内だと思いますが、実は、コロナで、ああいう居場所を提供する形での子供のお手伝いというのは今できなくなってきているわけです。そのかわりに、例えば一人親の御家庭ですとか、そういうところに届けるという宅食、子供宅食という動きが少しずつ広まってきております。

 この動きは非常にいい動きだなと思っていまして、今コロナで厳しい状況に置かれている御家庭がふえていて、ややもすると、自殺がふえたり、それからお子様の虐待につながったり、そういうおそれがある。そこに訪問していって食べ物を届けるというのは、これはすごく精神的にいい影響を与える活動だと思うので、ぜひ宅配のように出張っていって、子供を含めて、宅食、すばらしい活動だと思っています。

 これは、国会議員による議員連盟もできまして、国の方も補正予算でお手伝いしてくださったりしているわけでありますが、残念ながら、今ここに政府の備蓄米があるじゃないか、この備蓄米を活用して宅食に提供できないか、そういう意見があるわけですが、子供食堂の方には、これは食育だから提供できます、しかし、届ける宅食の方は、これは食育に該当しないので、あるいは、福祉なので厚労省の問題ですということで、だめだと言われています。

 私は、これこそが縦割りの弊害だと思っていまして、子供食堂ならいいけれども届けるのはだめだという、これは国民の当たり前の見地からいってもなかなか納得していただくことが難しいと思いますので、この子供宅食については、子供食堂には提供できるわけでありますので、ぜひ宅食にも提供できるように積極的に取り組んでいただきたいなということを、農林水産大臣に御答弁をいただけたらと思います。

野上国務大臣 農林水産省では、従前より、食育の観点から、政府備蓄米を活用しまして学校給食における御飯食を推進をしてまいりました。

 最近、先生御指摘のとおり、子供食堂等が食育の一環として御飯食の提供を行いまして、学校給食の補完機能を果たす取組が見られるなど、その役割が再認識されたことから、本年五月からこの取組を子供食堂にも拡大をして実施をしているところであります。

 御指摘の子供宅食につきましては、経済的に困難な家庭に食品を届けることを通じて家庭の状況を把握し見守っていく出前型の支援として、齋藤先生始め議員連盟の先生方が推進しているものと承知をいたしております。

 御案内のとおり、生活困窮者の方々に向けた食料支援等の対策は厚労省や各自治体におきまして福祉政策の中で実施されており、また、子供食堂やフードバンクの活動等につきましてもNPOなど民間の取組も盛んになっておりまして、それを政府、自治体と多様な手法で支援をしているところであります。

 一方で、政府備蓄米につきましては、不足等に備えまして必要な国産米を在庫として保有するものでありまして、現在実施している子供食堂への無償交付の取組は食育の一環として実施しているものであります。

 先生御指摘の子供宅食につきまして、政府備蓄米のさらなる活用につきましては、これは食育の一環として対応できるか、しっかり検討してまいりたいと考えております。

齋藤(健)委員 備蓄米は農水省のものではなくて、政府のものであり、なおかつ国民のものであると思いますので、国民が納得できるような、そういう扱いにしていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

金田委員長 これにて齋藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日の質問の機会をいただきました。ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきますが、現在、コロナの感染状況、過去最多の水準というふうに言われております。年末に向けて政府がどういう手を打っていくべきかということについて、私、この三連休も地域でいろいろとお声を聞かせていただいて、相談も受けさせていただきました。そういうお声をもとにきょうは議論させていただきたいというふうに思っております。

 まず最初、雇用についてです。

 非正規雇用で解雇されましたというような方の相談も受けました。雇用を一定守ることができればコロナの後の回復というのも早いというふうに思っております。リーマン・ショックのときは、雇用が崩れてしまったので相当回復に時間がかかってしまった、だから、ここは歯を食いしばって雇用をしっかり守っていくということが私は大事なんじゃないかというふうに思っております。

 今、失業率が三・〇%、有効求人倍率は一・〇三まで低下をいたしました。約七年ぶりの低水準というふうに言われております。ただ、それでもリーマン・ショック並みまでは下がっていない。それは、一つは雇調金、雇用調整助成金の特例措置、ここがきいて、今ぎりぎり踏みとどまっている状況じゃないかなというふうに思っております。

 この状況を踏まえて、総理に、ちょっと今後の方針について伺いたいと思います。

 というのは、まず、この雇調金の特例について、これはまだまだ私は効果があると思います、ニーズもあると思いますので、ここは引き続き延長ということを公明党も強く主張しております。日々議論させていただいておりますが、私は次の一手というのも考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思っております。

 というのは、仕事がないので休業せざるを得なくて、手当をもらっている、これはセーフティーネットとして今大事なんですが、一番いいのは、仕事ができるようになるというのが一番いい。いつまでも休業、休職じゃなくて、働きたいと思う人がちゃんと働けるような環境をつくっていく、こういう支援が私は次の一手として大事なんじゃないかというふうに思っております。

 そういう意味では、例えば、雇用の流動性確保であるとか、単に休業ではなくてスキルアップ、こういうところの支援をしていくとか、あるいは別の会社に出向した場合の支援とか、こういうものが必要だというふうに思っておりますが、雇調金の維持、それだけじゃなくて、次の一手の雇用政策について総理に伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 新型コロナウイルスにより経済が大きな影響を受けた中にあって、しっかりと雇用を守っていくというのは極めて重要なことだというふうに認識しております。

 このため、政府として、今お話しいただきました雇用調整助成金について、これまでに例のない特例措置を講じてきたところであります。さらに、新たな日常のもとでの雇用、就業機会の確保に向けて個人の学びを促進するための教育訓練給付制度による支援、また、産業雇用安定センターによる失業なき労働移動に向けた支援、こうしたことを行っており、今後とも必要な対応に取り組んでいきたいというふうに思います。

 引き続き、感染状況が雇用に与える影響も十分に考慮しつつ、国民の雇用、国民の命と暮らし、守っていきたいと思います。

伊佐委員 雇用を考えたときに、私、もう一個やはり大事だなと思うのは、若者の雇用です。今、内定率が七〇%を切ったということで、過去二番目の減少幅。ここはもう第二の就職氷河期をつくらないということが非常に大事だというふうに思っておりますが、ちょっとこの点、時間の関係で、また時間があれば後ほど質問したいと思います。

 残念ながら失業してしまった、今の生活に非常に困ってしまっているという方々に対して、この年末どうやって年を越していくかということが非常に大事だというふうに思っております。この当面の生活費。今、無利子で借りられる緊急小口資金、生活支援金、これは合わせて百四十万円まで借りられる。償還期間も十年間ということになっています。これも十二月に切れてしまいます。まだまだこれもニーズがあって、実は、これはコロナがなければ一年間で七千件くらい使われているわけですが、今だと、ピークは過ぎたとしても、一週間で七千件なんです。だからニーズもある。だから、ここも公明党としても延長を強く今主張しております。

 あわせて、当然、借りたものは返さないといけない、これは借入れですので。ただ、まだまだこれは返済が大変な人たちというのがいて、返済免除という制度もあります。この返済免除についても柔軟に対応できるようにしていただきたいというふうに思います。

 また、あわせてもう一点申し上げると、これは、窓口は今、社協、社会福祉協議会がやっておりますが、返済手続、今借りている方は百三十万件ですから、今まで年間七千件ですから、膨大な事務作業があって、これは返済が始まるまでに事務体制をしっかりと強化する必要があるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

田村国務大臣 ありがとうございます。

 緊急小口資金、また総合支援資金ということで、多くの方々に御利用いただいております。委員言われるとおり、例年だと年間七千五百件あたりが既にもう百三十万件御利用いただいておるということでありまして、多くの方々がこれを御利用いただく中で、何とか厳しい中で御対応いただいておるというところがあります。

 委員言われた、これは返済をしなきゃならぬという話なんですが、返済するときに、住民税非課税で、しかも所得が減っておるということが原則なんですが、ここに関して、やはりなかなか厳しい生活であられるということもございまして、その生活等々にも配慮していかなきゃならない。どうあるべきか、今検討をさせていただいております。

 あわせて、言われた社協、社会福祉協議会が窓口になっていただいておりまして、債権管理等々もしていただいております。最大十年ぐらい償還で時間があるわけでございまして、そういう意味からすると、これに対しても、やはり社協に対してしっかりと予算をつけていかなきゃならぬというふうにも思っておりまして、これはしっかり概算要求等々で要求をさせていただいております。

 必要なものはしっかり獲得できるように、財政当局と検討を進めさせていただきたいというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。大臣の方から、しっかりと社協についても予算をつけていくという言葉をいただきました。

 この生活困窮の支援で、私、もう一個大事なポイントだと思うのは、住居だというふうに思っております。生活に困っている方々の支援制度というのはさまざまございますが、住んでいる状態というのが前提でいろいろな支援制度というのはできております。

 ただ、今、住居の維持が、あるいは確保が困難という方が出てきていらっしゃいますので、昨日、第三次補正予算の編成に向けて、公明党として菅総理に申入れをさせていただきました。その中にも、例えば住居確保給付金、住居を失うおそれのある方々に家賃補助をする、これも十二月末で切れます。これについても延長を強く我々は求めているわけですが、そもそも住宅政策というのは、厚労省だけじゃなくて、住宅全般を担当する国交大臣、ここがいかにしっかり密に連携をしていただいて前に進めなきゃいけないというふうに思っています。

 例えば、その一つ、住宅セーフティーネット制度というのがありますが、これも実態は、例えば家賃低廉化の補助制度というのがありますが、これを使っている自治体というのは三十五自治体しかありません。やはりこの要件がちょっとハードルが高いんじゃないか、要件を緩和したりとか、あるいは使い勝手をよくすることで、もうちょっとこれを使ってもらうように、特にこの局面ですから、してもらわなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。

 住宅支援、本当に国交省が鍵になると思いますので、赤羽大臣、もっと頑張っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 住宅につきましては、言わずもがなでありますが、国民生活の基盤そのものでありますし、人生におけるさまざまなリスクに対するセーフティーネットそのものだというふうに認識をしております。そうした意味で、今回のコロナ禍で住宅を失うような方が急増しておりますので、そうしたことに対する住宅政策は、国土交通省として、当然、厚生労働省とともに連携をしなければいけないと思っております。

 今お話がありました家賃相当額を支援する住居確保給付金も、これは厚生労働省の事業でございますが、その周知を、国土交通省としても家主等への周知を行って、期間も延長し、内容も拡充をさせていただいているところでございます。

 また、国交省としても、所管の地方公共団体に対して、公営住宅、市営住宅、県営住宅への家賃の支払い猶予等の要請も行ってきているところでございます。

 こうした問題について、公明党からも、セーフティーネット住宅のさらなる柔軟な運用等々の具体的な御提言をいただいております。住宅確保給付金の九カ月の給付期限の延長後も、住まいを引っ越すことなく、また公営住宅家賃並みの家賃で住み続けられるようにということで御提言をいただき、セーフティーネット住宅を活用していくために、セーフティーネット住宅、今は入るためには公募というのが原則ですが、公募すると一回出なきゃいけない。そうした公募を外すような御指摘ですとか、家賃のさらなる低廉化ということも具体的な御提言をいただいておりまして、そうしたことをしっかりと進めていきたいと思います。

 この間、セーフティーネット住宅、そもそも、おっしゃるように、登録自体も全国で令和元年度末は約五万戸弱にとどまっておりましたが、公明党からのそうした提言も受けて、この半年間で二十一万戸まで登録済みを済ませているところでございますが、この二十一万戸のうち、肝心な家賃低廉化補助を行っている制度がまだまだ不十分だと言わざるを得ないと思っておりますので、現在、今、令和三年度の概算要求にしっかりと入れておるところでございます。

 繰り返しになりますが、住宅の確保はこのコロナ禍を切り抜けるための一番重要な点だというふうに認識をしておりますので、厚生労働省とも連携をとりながら、政府一体となってしっかり取り組んでまいりたい、こう思っております。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

伊佐委員 ありがとうございます。赤羽大臣、ぜひ強力に推進していただければというふうに思っております。

 次は、中小企業あるいは事業者に対する支援について伺いたいと思います。社会保険料の猶予についてです。

 今、コロナ特例というのがありまして、一年間、延滞金なしということで猶予ができる。ただ、これが、令和二年の、ことしの二月一日から令和三年、来年の二月一日まで。これもまた切れます。まだまだ状況が厳しい、これはさらなる猶予ができませんかというお声も事業者からさまざまいただいております。私の同僚のもとにも、例えば九州のタクシー会社からもそういうお声をいただいていると伺っておりますが、確かにこれは、年が明けて、じゃ払ってくださいとなったときに、猶予されていた分と合わせて二倍払わなきゃいけないというような状況になります。

 まだまだこの第三波と言われている中で厳しい状況にある中で、こういう事業者に対しては引き続き柔軟な対応が必要だというふうに思いますが、厚労大臣、いかがでしょうか。

田村国務大臣 社会保険料のことでやはり大分お苦しみになっておられる、そういう企業がたくさんあるというふうに我々も認識しております。言われましたとおり、これは、それこそ無担保で、しかも延滞金なしということで一年猶予、税制に合わせてそういう対応をさせていただいておりますが、一年納付猶予であったとしても、その後、よく言われるのが、いよいよ返し出したら二倍返さなきゃいけないというような話がある、大変だというお話があります。これは、今の制度でも更にこれを延ばすということができておりまして、最大四年間という中においてお支払いをいただくという形になっております。

 本当を言うと一年ずつ延ばしていくという話になるんですが、こういう状況でありますから、お返しになるときに、その期間の中でどういうふうに分割して払っていただくか、こういうことも相談に乗らせていただきながら、企業ができる限り負担が少ない中においてお返しになられるような計画が立てられるように、我々の方も努力をしてまいりたいというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 大臣が今おっしゃったのは、更に四年間猶予ができるということです。これは、いろいろな制度、今ある制度をいろいろ工夫しながら使っていただいて、柔軟に対応していただけると。これはぜひ、猶予が必要だと思う事業者の皆さん、年金事務所に相談すればいいというふうに伺っておりますが、そのように対応していただければというふうに思っております。

 最後、総理、残りの時間、不妊治療について総理と議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 不妊治療の保険適用、これは一九九八年に公明党の基本政策大綱というところに掲げさせていただきました。二十年以上ずっと議論を進めてまいりました。初代の厚労大臣の坂口力大臣の時代に初めての公費助成がスタートをしまして、少しずつ拡大が行われてまいりました。今回総理が不妊治療の保険適用を公約に掲げていただいたということは、本当にありがたいことだというふうに思っております。

 今、私が不妊治療支援プロジェクトチームの座長をしておりまして、この間も議論を続けてまいりました。二十年間のいろいろな議論がありました。そこでいろいろな声も伺いました。この議論、あるいはいただいた声、こういうものの最後の結論として、先日、総理のもとに公明党としての提言を出させていただきました。

 やはり、今心配なのは、多くの皆さんの声であるのは、質の部分です。不妊治療の質がちゃんと確保されるのか。今受けられる治療というのが保険適用になったときに、例えばその範囲から外れてしまう、こうなったらより質が下がるんじゃないか、こういう心配の声をいただいております。

 例えば、今現場で、治療で使われているホルモン剤であるとか薬剤、機器、薬事承認を受けていないものが多いんです。このまま保険適用になると、今使っているものが使えなくなる。そうすると、かなり限定された治療しかできなくなってしまいます。

 そういう意味では、薬事承認をしっかり急いでほしい。また、時間がかかるなら先進医療を使うとか、あるいは、更におくれるのであれば助成制度を一部でも残していくとか、ハイブリッド方式というのをやるべきだというのを公明党案として出させていただきました。

 この不妊治療の保険適用に当たって質を担保するんだという点について、総理の口からおっしゃっていただければというふうに思います。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

菅内閣総理大臣 子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添って、その切実な願いに応えさせていただくために、不妊治療への保険適用、このことを早急に実現したい、このように思います。ただ、それまでの間、現在の助成措置を大幅に拡充をしていきたい、このように思います。

 一方、議員から御指摘いただきました、保険適用に当たって、有効性、安全性、こうした確認を含め、不妊治療の質を確保していくことも重要であるというふうに思います。そのため、いただいた御提言の内容も十分に参考にさせていただいて、国民が安心して不妊治療を受けることができるよう、具体的な制度設計を検討し、結論を出していきたい。せっかく保険適用をさせていただきますので、そうした皆さんのさまざまな声に応えながら対応していきたいと思います。

伊佐委員 公明党案として出させていただいた、保険適用するまでには助成拡大をするというふうに総理もおっしゃっていただいております。公明党案は、初回あるいは二回目以降も四十万というのを申し上げておりますが、これはちょっと実態に合わせて我々その数字をつくりました。

 ぜひテレビの皆さんにもわかるように説明させていただくと、今、新鮮胚で使うお金というのは、大体三十七万八千円、四十三万一千円というふうに言われています。これは厚労省が出している数字なんですが、ところが実際は、治療を受けていらっしゃる多くの方は、凍結胚、一回凍らせてというような治療を受けています。そうすると、当然値段は高くなります。それぞれの治療を受けている方々の比率に合わせて加重平均すると、大体四十五万六千円あるいは五十二万七千円。だから、五十万ぐらいなんです、やはり実態は。

 この五十万に合わせて保険適用をもしするとすれば、三割負担ですから、掛ける三で十五万円。ところが、高額療養費制度でキャップがかかる。だから、中間値で八万円とすると、五十万の治療費で八万円の自己負担になるのが保険適用したときの姿です。そうすると、差し引き四十二万分の今助成がないと、はっきり言えば、逆にこの額にしないと治療の質が下がる可能性があると思っています。そういう合理的な理由で、我々、初回、二回目を問わず四十万にすべきだというふうに主張させていただいております。

 ほか、凍結胚移植であるとか男性不妊治療も同じ、今の実態に合わせたらこうなるんだというところを提言させていただきました。また、経済的な支援だけじゃなくて、仕事との両立とか、あるいは当事者同士のカウンセリング、ピアカウンセリングとか、死産、流産、心のケア、グリーフケア、こういういろいろな幅広いものも提言させていただきました。

 総理のこの公明党案に対する感想、評価を伺いたいと思います。

菅内閣総理大臣 御党からは、助成措置の拡充や保険適用の拡大や、それだけでなく、不妊治療と仕事の両立だとか、あるいは不育症への支援、カウンセリング体制の充実強化など、非常に幅広い観点から具体的な政策提言をいただいています。

 子供を持ちたいという方々の気持ちに寄り添い、その切実な願いにお応えさせていただくために、御党の提言を真摯に受けとめさせていただいて、不妊治療等に対する支援の拡充というものをしっかり対応していきたいと思います。

伊佐委員 ありがとうございます。真摯にという言葉をいただきました。

 もう時間になりましたので、不育症についても申し上げさせていただいたら、総理の方から非常に前向きなお答えをいただきましたので、不育症についても助成制度の創設をお願いして終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

金田委員長 これにて伊佐君の質疑は終了いたしました。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 立憲民主党の枝野でございます。

 まず、残念なことですが、最初に私からは短く、いわゆる桜を見る会前夜祭をめぐる問題についてお尋ねをします。

 報道各社はそろって、安倍事務所による八百万円超の差額負担を証明する文書の存在を報じております。国会で繰り返し問われ、繰り返し事務所に確認をしたとしてなされた答弁と明確に食い違っています。我々は、明細とか領収書などを出していただければこの問題はすぐに結論が出るんだ、そのことを求めてまいりましたが、まさにそのとおりであったということが今回明らかになりました。

 秘書が勝手にやったというような言いわけは全く通用しません。そもそも、こんな重要な、国会で大騒ぎになっている、一歩間違えればまさに進退にもかかわるような、そんな大きな問題になっていたことを秘書限りで勝手に処理をしていたとは、全く信用できません。更に申し上げれば、百歩譲って、安倍総理、前総理御本人が知らなかったということを、百歩では足りません、一万歩ぐらい譲って、そうだったとしても、国会で明細書や領収書などを確認をすれば一日で終わる、だから確認しろと繰り返し求め、そして、確認したといって国会に対して説明をしていた、その確認を怠っていたということ自体、重大な責任だと言わざるを得ません。

 この問題は、刑事事件の問題じゃありません。国会の審議が愚弄されたということであります。国会に総理がうそをついていたかもしれないという問題であります。刑事事件の問題とは全く切り離して、国会としてしっかりと実態、真相を明らかにしなければならないというふうに思っています。

 安倍前総理は国会に出てきて説明すべきであると思いますが、菅総理は安倍前総理に説明するよう求めるべきではないですか。

菅内閣総理大臣 いずれにしろ、安倍総理自身が国会でるる答弁をしていたことは、これは事実であります。

 そして、総理自身は、今回の案件に関しまして、刑事告発に対応した検察の捜査に安倍事務所として全面的に協力している、その趣旨を述べております。

 国会の件については、それは国会でお決めになられることだと思います。

枝野委員 刑事事件は刑事事件として、それは進めていただければいいんです。

 国会で総理が、これだけ大きな問題になっていたことについて、しかも野党からしっかり確認してくれと繰り返し求められていたことについて、確認もろくにしないで間違ったことを言っていた。そのことについて、現在の総理として、前総理に対して説明を促すのは当然ではないかということと同時に、菅総理は、その安倍内閣の官房長官、危機管理のかなめです。この場合の危機管理は、決して自然災害などの危機管理にとどまりません。私自身の経験も含めて、総理にかかわるさまざまな危機管理、官房長官が知らなかったなんという言いわけは通用しません。

 菅総理自身、この問題についての責任をどう感じておられるのか、お答えください。

菅内閣総理大臣 まず、国会の件については国会で決めていただきたいと思います。

 私自身、答弁をいたしております。私自身も、安倍前総理が国会において答弁された内容について、総理に確認し、答弁してきたところであります。

枝野委員 あのときから、繰り返しますが、さまざまな書類は残っているはずだ、それを取り寄せて確認してもらえばすぐわかる話だということは、当時の菅官房長官もお聞きになっていて、私は、総理を守る官房長官の危機管理の責任として、ちゃんと書類を自分で目で見て、ああ、説明は間違っていないんだなと確認をするのが普通の官房長官だ、こんな危機管理の初歩もやっていなかったのかということを指摘をしたいと思っておりますし、この問題は、国会で堂々と総理が約一年にわたって事実と異なることをおっしゃってきた。これからお尋ねをするCOVID―19の問題についても、同じように事実と違うことを語られたのでは、対策にならないわけです。

 したがって、全ての信用の大前提になっている問題だということ、そのことを申し上げ、詳細については同僚議員からお尋ねをさせていただきます。

 では、COVID―19についてお尋ねいたします。

 新規感染者が急増して、過去最高の数字を記録をしています。東京では、重症者の数が過去最高という報道もなされています。第三波と残念ながら言わざるを得ない状況でございます。

 政府は、GoToトラベルが感染拡大させたというエビデンスはないと繰り返しておっしゃっていますが、じゃ、何でこの時期にこんなに急増していると認識をされているのか。その原因、理由をはっきりできなければ対策を打てないはずだと思います。なぜ今こんなに急増しているんですか。

田村国務大臣 過去最大の数値でありますから、大変な緊張感を持って今対応しているわけでありますが、専門家の方々にもいろいろと我々も確認するんですが、明確な断定はできないという中において、一つは、十分に感染防止策等々が講じられていないということもある、そして、そんな中において人の動きというものがふえてきている、そして、何よりもやはり気温の低下、これも大きな要因であろう、このようなことをおっしゃっておられます。

枝野委員 結局、原因がはっきりしないという状況の中で、私からすれば、現在手をこまねいていると認識せざるを得ないんですが、GoToトラベルが感染拡大を助長したのではないんですか。人の移動が活発になれば感染が広がるというのは、これはこの感染症が問題になってから一貫して政府自身もおっしゃり、国民の皆さんに対して、だから、行動制約を求めてきました。第一波、第二波では、活動を七割から八割減らすこと、人との接触そのものを減らすことを政府が国民の皆さんに求めてきました。

 まず、この春先、七割、八割、人との接触を減らすことと求めてきたのは間違いだったんですか。総理、どうですか。総理御自身が官房長官として、時の政府が国民に求めてきたことですよ。総理、いかがですか。

田村国務大臣 当時、そういう話の中で、接触制限、八割、人との接触を減らすという話でありました。

 ただ、その後、いろいろなことを経験で我々も学んできたわけでありまして、これも専門家の方々、分科会で申されておられますけれども、五つのリスクの高い場面があると。

 例えばそれは、宴会等の場所、それから、長時間にわたる大人数でのやはり飲食を伴うようなところ、さらには、マスクを外して会話をするような場面、そして、それぞれの行動をする中において転換点がある、例えば、仕事をやっている中でちょっとコーヒーを飲みに行くときにマスクを外して、そこでいろいろなお話をする、それからもう一つは、狭いところで共同生活をするような場所等々。

 そういう危険な場面というもの、そういうものにどうやって感染防護をしながら対応していくか、こういうことになってきたわけでありまして、そういう意味では、ただ単に行動制限というよりかは、我々もいろいろな経験のもとでいろいろな対応を今までしてきておるということであります。

枝野委員 ということを求めてきたにもかかわらず、こんなにふえてしまっている、過去最高になってきてしまっているんじゃないですか。

 明確に、この間政府がやったことは、GoToトラベル、GoToイート、そのことによって直接感染が広がったかどうか、エビデンスはない。でも、なぜ広がっているのかわからないんですから、それが理由ではないというエビデンスもないんじゃないですか。

 人の移動が活発になれば感染が広がる。GoToトラベルは人の移動を政府が推奨した、勧めていた、これは間違いないですね。今も勧めているんですよね、全面中止じゃないですから。総理。

菅内閣総理大臣 政府の仕事は、国民の命と暮らしを守ることであります。

 そうした中で、GoToトラベル、今日まで約四千万人の人に御利用いただいております。そして、現実的にコロナの陽性になった方は百八十名であります。

 もともと、このGoToトラベルを進めるに当たって、当然、政府の分科会の皆さんの意見を聞きながら進めさせていただいております。

 まさにこのGoToトラベルによって地域経済を下支えているということは、これは事実じゃないでしょうか。

 そして、先週、二十日の日に、専門家の分科会の提言において、GoToトラベルが感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスは現在のところは存在をしないと。こうしたことも御承知だというふうに思います。

 まず、専門委員会の皆さんが二十日の日に提言をいただいた、その提言を尊重し、感染拡大地域においてGoToトラベルの運用のあり方について早急に検討していただきたいということでありましたので、私たちは、二十日の翌日にコロナ対策の全体の会合を開いて、新たに感染拡大防止のために予防措置として、医療体制を守るために、一部の地域に一時停止、そうした方向を決定をしたということであります。

枝野委員 GoToトラベル利用者、それは延べ人数ですよね。さらに、その中で感染をした方が百何人とかいろいろおっしゃっていますけれども、それは、感染者に対して、全員に対して、GoToトラベルの利用の有無をチェックしたんですか。

赤羽国務大臣 御利用された四千万人泊について、まず、全員に検温をしておりますし、その後全てフォローをさせていただいておりまして、今言われた百八十数名の皆さんも、保健所からの連絡を受けた人間について、全てその数値を公表しております。

 詳しく申し上げますと、その中で、チェックインからチェックアウトまでの滞在期間中に感染された方は四十七名でございまして、その方々から他への感染があったということは聞いておりません。

枝野委員 大体、そもそもが、現時点で感染経路不明者が半数近くに上っているんじゃないですか。これは各省大臣でいいですよ。今どうなっていますか。感染経路不明者、半分ぐらいじゃないですか。

西村国務大臣 連日、感染経路については保健所の皆さんが努力をされて確認をしているところでありますけれども、これは地域によってばらつきがあります。

 例えば、北海道、感染拡大しておりますが、直近の数字で二五・九%、東京は五四・八%、大阪は六四・八%、こういった報告を見ながら対応しているところでありますが、ただ、その日わからなくても、数日のうちに濃厚接触者等、過去の行動からわかってくるケースもありますので、私ども、日々確認しながら対応しているところであります。

枝野委員 別の角度から、一つ総理に聞きましょう。

 一時停止した地域で、キャンセル料は、旅行客、予定していた客にはお支払いをする、これは当然のことだと思います、国の負担で。でも、旅行事業者、キャンセルをされた事業者に対しては三五%ですか、しか補填をしない。これだとかえって損をしている、そういう事業者、たくさんありますよね。これはGoToをやったせいで逆に旅行事業者に損失を与えた部分があるということ、違いますか、総理。

赤羽国務大臣 まず、今回の特別な一時停止の措置で、札幌市と大阪市の宿泊者についてのキャンセル料はかからない、利用者はキャンセル料を負担しない、これが一つです。

 それに対して、事業者、ホテル業とか旅行業の皆さん、事業者に対して、これは枝野さん、ちょっと少し誤解があると思うんですが、キャンセル料は全くかからない、ルールで、さまざまな予約の仕方で、二日前、一日前までキャンセル料はゼロというところもあります、そうしたところも押しなべて一律、事業者に三五%相当の、キャンセル料見合いとして支払わせていただくということですので、恐らく、全額、全てきれいに払った額よりも、それを上回る額のキャンセル料としてお支払いをするということになるかと思っております。

枝野委員 ちょっと本質がわかっておられないみたいですが。

 これは、GoToキャンペーンで、少なくともGoToキャンペーンがどんどん運用されていく中で、率直に申し上げて、端的に申しましょう、北海道、これから冬はスキーなどもあって、これからますます観光客が来られることを期待していたかもしれない、でも、こうして停止の対象になったこと、あるいは、実は感染が広がったこと自体で、この間の三連休初日に慌てて政府が対応する前からキャンセルは相次いでおられました。

 もしGoToキャンペーンなどがなければ、実はほかのやり方で、感染拡大防止をしながら、いろいろな形で何とかお客さんを戻そうという努力がされていたかもしれない。

 ところが、今回、キャンセルをしても、全額キャンセル料は国が負担してくれる。これは、キャンセルをしてくださいというメッセージなんですか、それとも、キャンセルはしないで地域経済を支えるために旅行に行ってくださいというメッセージなんですか、どっちですか。

赤羽国務大臣 まず、そもそも新型コロナウイルス発生から、三月から六月ぐらいまでというのは、観光関連事業というのはほとんど商売が成り立たない、もう廃業をせざるを得ないというような危機的な状況の中で、七月二十二日からGoToトラベル事業を開始させていただきました。

 私は、この間、全国でできるだけ多くの現場に行って事業者の皆さんの生の声を聞かなければいけないということで、二十四カ所足を運んで、毎回二時間以上の懇談をさせていただいております。先日も、週末も、高知県、香川県、愛媛県、その前の週は北海道の道東地域、釧路、阿寒にも行ってまいりました。

 その皆さんが今押しなべて言われているのは、このGoToトラベル事業があったから今廃業をしなくて助かったんだと、大変感謝されているのが現実でございます。

 ですから我々は、我々の、国交省としての希望は、このまま全国の、一律で進めていきたい、こう考えておりましたが、今回、北海道と大阪の両知事から、その両市の、大阪市、札幌市における医療的な状況が逼迫をしているので、予防的な措置としてこの一時停止をとるということはやむを得ない判断だろうという政府の決定の中で、それを国土交通省としても受けて、それに対して、せめてもの支援ということで、三五%相当の支援額をキャンセル料見合いとして支払わせていただく、一律全員に支払わせていただくということでございます。

枝野委員 感染が拡大している地域からGoToトラベルで旅行に行くことは全然構わない、ただ、感染が広がっているところにGoToトラベルで行くのはやめてくださいと。その地域の観光関連産業は全体に大きな打撃を受けますね。

 GoToトラベルを利用して、旅行に行った先で感染が発覚をして、地元の医療に圧迫になったというケースは何件あるんですか。それこそエビデンスを示してください。

田村国務大臣 今、国土交通大臣からも御答弁させていただきましたが、そのエリアにおいて医療が非常に厳しい状況の中で、そこに人が集まってくることによって感染等々、それはいろいろなパターンがあると思います、もう旅行する前から感染して、そこで発症するパターンもあると思います。いずれにいたしましても、そうなった場合には、そこでは入院しなきゃいけないという等々の問題が起こる。

 そういうことをなるべく避けたい、それはそうでありましょう。そんな中での今回の、着においてのGoToに関して一時中断といいますか、そういうような状況になっているわけでありまして、これと外に出ていくというのは若干考え方が違うので、それぞれ外に、発で出る場合には、それぞれ行くところの場所の医療の状況がどういう状況であるかということを判断して、それぞれの自治体と国が相談して決めていくことであろうと思います。

 いずれにいたしましても、そのような内容の中において今回の決断ということになったわけであります。

枝野委員 聞いたことにお答えになっていませんね。エビデンスがないから答えられないんですよ。

 行った先で、GoToトラベルを利用して感染者が多いところに行って、そこで旅行客が感染が明らかになって地域の医療を圧迫した、そういうケースが幾つもあるということなら、感染地域に行くことを限って停止をするというのには合理性があります。しかし、そうしたエビデンスはないですよね。エビデンスはないけれども、でも人が移動すれば危ないからと。いや、そうしたら全体が危ないんですよ。結局、どちらを向いているのかはっきりしない中で進めています。

 確かに、観光関連事業者の皆さんは大変厳しい状況でした。だから我々は、補償をしろ、事実上の補償をしろということを申し上げてきました。しかし、その補償を十分にしてこない中では、それはお客さんに来てもらわなければ事業は成り立ちませんよ。

 しかも、その補償も、じゃ、収入の全部を補償しなきゃならないのか。そうではありません。時間があればやろうと思っていますけれども、休業支援金・給付金、これについて、なかなか受け取れないということで困っていらっしゃる方、実は、ホテルなどで週末に限って非正規で働いていた皆さんなどがこの休業支援金や給付金の当然対象で、したがって、仕事はなくなったけれども収入は途絶えない、こういう対策をとっているはずなのに、しかし、これは指示も徹底していないので、いまだに受け取れない人がいる。でも、そういう方には休んでいただくなどで、支出の方を最小限に抑える。

 その中で、実はこのGoToに使ってきたお金、そしてまだ七兆円予備費が残っているというお金、直接的に、どうしても潰れてしまいそうな、それを潰さないためにというところに直接支援をすることの方が、中長期的に、感染の拡大を抑えて、そして観光事業者を持続させるということにつながったのではないか。

 私は、残念ながら、このアブ蜂取らずのやり方、そもそもが、人が移動すれば感染が広がるリスクが高いということの中で経済を回していくためには、経済を支えていくためには直接支援をして、そして、まずは徹底して検査などによって感染を抑制する。感染がゼロになれば、例えば台湾は事実上そういう状況です、そういう状況になれば、GoToトラベルなんかしなくたって、みんな喜んでこの間行けなかった旅行に行きますよ。

 車の両輪ではなくて、徹底して検査をして、徹底して感染を抑える。その間は、徹底して直接支援で事業の継続を支える。私はこれこそが、今の状況において経済を回していくためには、車の両輪ではない、ベースには感染の抑制がある。抑制されるから社会活動ができて経済を回していける。そうじゃありませんか、総理。

西村国務大臣 私ども、経済活動、社会活動と両立を図っていくためには感染防止策は徹底する、このことを申し上げてきました。当然、感染防止策を徹底することは大事であります。

 そして、先ほども答弁がありましたけれども、四月、五月と違って、全部とめるのではなくて、スーパーコンピューターを使ったシミュレーションなりデータに基づいて、例えば映画館もプロ野球場も一定程度は入っても大丈夫だ、そういったところでクラスターは発生していません、そうしたことをとりながら、経済活動との両立を図ってきたところであります。

 ただ、一定の地域については、例えば北海道の札幌とか大阪市であれば、もうこれがステージ3という、ステージ4になればまさに緊急事態宣言が視野に入る、相当強い自粛なり経済をとめていかなきゃいけない、その前段階で、3の段階で、チェックをしようとする段階に入ってきましたので、一定の措置、つまり、感染防止策が徹底されている行動であっても、これは一定の制約をかけていかなきゃいけない、そういう段階になってきたということで、今般、札幌市と大阪市について一定の停止をするということにしたわけであります。

枝野委員 感染防止策が徹底されていないから感染拡大しているんじゃないですか。現に、感染は過去最高の感染者数を出しているじゃないですか。いや、努力をした部分、それは認めるところはありますよ。それは、例えば映画館とかそういったところについて、どれぐらいの距離を置いて対応すれば感染のリスクが下がるかとか、今おっしゃったような部分は評価するところはありますよ。

 でも、GoToトラベルやGoToイートは、これまで、特に春先、この夏場、みんな旅行に行きたい、会食したい、でも我慢をしていた、政府がこういうキャンペーンを始めたんだから、じゃ、安心して旅行に行っていいんだな、安心して会食していいんだなというメッセージを政府が出したんです。そのことで経済が回る、あるいは、私たち自身も含めて、旅行やあるいは会食できないというのは多くの国民の皆さんにとってストレスですから、できるだけそれが可能になるという状況自体は、それは望ましいことですよ。

 でも、それを政府が推奨する以上は、それによって広がるかもしれないリスク以上の感染拡大防止策を政府としてとらなきゃいけないじゃないですか。それがなされていないまま、旅行を推奨し会食を推奨する政策をとって、そして結果として実際に感染が広がっている。広がってしまえば、今回の札幌や大阪のように、観光関連業者の皆さんにもかえって御迷惑をかけるじゃないですか。

 これがいけないから、感染拡大防止策を徹底しろとずっと我々は言い続けてきた。特に検査の拡大をしろと。検査をして、もちろんPCR検査でも一定の偽陰性、つまり、本来は感染しているのにその感染しているという陽性の反応が出ないケースは一定程度あります、しかし、七割、八割、場合によっては九割、間違いなく自覚症状じゃない感染者を発見できる。そうした方は、会食だってイベントだって旅行だって、それこそ御自身がおとめになるじゃないですか。

 こうした方をたくさんふやせば、さまざまな活動をしても感染のリスクは大幅に下がるんじゃないですか。何でこの検査の拡大をしてきていないんですか。

田村国務大臣 検査は御承知のとおり拡充をしてきておりまして、蓋然性の高い方々は特に、それは地域も含めて、行政検査をやっていただくようにということで、自治体にはお願いしております。

 今般、介護従事者でありますとかそういう方々に関しては、一定の感染拡大地域においては、これは行政検査でやっていただきたい、費用に対しては実質的には国が御負担をしますということで、これも通知を出させていただいております。

 今委員がおっしゃられたのはそういう話ではなくて、一般的に、住民の方々で蓋然性がない方々も含めてというお話だったのかというふうにお受けとめいたしました。

 それに関しましては、これはランセットの掲載されている論文なんですけれども、先ほど言いましたような蓋然性の高いところでやった場合には、これは定期的にやると当該集団から感染を二五から三三%減らすことができるが、一般の集団に広く検査を行った場合は、接触者調査とそれに基づく隔離以上に感染を減らす可能性は低いと。これは大体二%ぐらいしか、実効再生産を下げる、こういう論文です。

 アメリカは一億八千万回検査をやっていますが、しかし、毎日十数万人が感染拡大しております。

 つまり、これは、こういう論文が載っておるわけでありますので、我々は以前から……(発言する者あり)

金田委員長 御静粛にお願いします。

田村国務大臣 申し上げておりますとおり、蓋然性の高いところはしっかりとやってまいりますが……(発言する者あり)

金田委員長 御静粛に。

田村国務大臣 しかしながら、全ての国民の皆様方にという話になると、強制的に一定期間で全てのその地域をやれればそれは一定の効果はあると思いますが、日本は強制的に検査をさせることはできません。それがまさに世界で今起こっている状況でありまして、ヨーロッパもアメリカも日本以上に検査をやっておりますが、実は感染拡大は日本以上に起こっておるということであります。

枝野委員 全国民に全部一気に強制的にやれなんて私は言っていませんよ。

 まず、そもそも、御指摘のあった介護施設に対する検査の拡大については、八月二十八日の取りまとめでその方針を出しているのに、徹底していないから十一月十九日にもう一回事務連絡を出しているじゃないですか、二カ月もたって。実際に広げるといって広がっていないんですよ。

 検査の能力が幾つあるか、改めて、きょうの質問に向けてきのう報告をいただきましたら、十万件に達していないじゃないですか、現時点で。何十万件といろいろな大きな数字をおっしゃっていますが、今後の見通しだって、現時点では十万件以下でしょう。違いますか、これ、厚労大臣。

田村国務大臣 これは、抗原検査に関しましては、抗原検査キット、簡易検査キットでありますが、これに関しましては、メーカーの方々とも調整をいたしまして、このシーズン、約二千万回、これは対応できるということで、今、これは需要がなければ供給するわけにいきませんから、いろいろな形で、ある一定程度は補完をさせていただきながら対応いたしております。

 でありますから、これはインフルエンザが拡大した場合に、それに対応する、同数できるようにということでの対応でありますけれども、一定程度症状を発症された方々には、こういう形で対応いたしたいと思います。

 なお、今、八万五千件、一日当たりでありますが、多分、全て稼働すれば、これは定時で稼働しておりますから、全て時間をとって稼働すれば十万件を超えていくと思いますけれども、それぐらいのPCR検査能力を有しておるということであります。

枝野委員 今、ホームページなどで検索をかけると、PCR検査であったり抗原検査であったりとか、民間の医療機関等が窓口になって、どなたでも受けられる。これだけ感染拡大している中で、私たち自身が東京から感染を拡大させる要因になってはいけないということで、大変高いんですが、私自身も先週末から、地方出張するに当たってはPCR検査を毎週受けることにしました。

 こういう検査能力って、厚労省は把握しているんですか。あるいは、どれぐらいやっているか把握しているんですか。

田村国務大臣 日々御報告をさせていただいている検査の中において、こういう民間の部分も、御協力いただいているところは掲載させていただいております。かなりの部分は、この検査数として、民間の部分も含めて御掲載をさせていただいていると考えております。

枝野委員 済みません、御協力いただいている部分がどの程度の比率になるのかがわからなければ全体像はわかりませんよね。どれぐらい協力してもらっているんですか。

田村国務大臣 実態としてわかっているわけじゃありませんが、これに関しては、法律等々でそのようなことを義務的に報告させるような、そういう制度になっておりませんので、そういう意味も含めて、今度、新たにオープンデータ化を図ろうということで、金額でありますとか、また、どういう内容であるとか、精度管理をどういうふうな形でやっているでありますとか、そういうことを含めてオープンデータ化を図って、御利用する国民の皆様方に、より利用しやすいような形で情報を提供できればというふうに考えております。

枝野委員 政府がやってくれないので、民間では、どうしても感染拡大をさせてはいけない、一方で移動したりいろいろなことの必要があるという方は、民間で自費で受けていらっしゃるんですよね。実際に、民間は急激にふやしています。実は私自身も、先週水曜日に検体をとって、金曜日に結果が出ると言われたら、今、検査会社の方も急速に設備を整えつつあるので、一日前倒しで検査結果が出る、こういう状況なんですよ。

 つまり、民間はお金を出せばやってくれる、政府はやってくれないということの中で、お金のあるところ、あるいは企業とか我々政党とか、お金が出せるところだけはやっているんですよ。

 だとしたら、こういったものをしっかりと集約をして、そして、全額出せとは言いませんよ、全部やれとは言いませんよ、例えばGoToトラベルをやるんだったら、GoToトラベルに行かれる方は、例えば抗原検査だったらかなり簡易でできますよ、抗原検査を安くやっていただいて、あるいは抗原検査の費用を国が持つから、そうしたら、旅行代金そのものについておまけしなくたって、多くの人は、ああ、それなら安心だといって旅行に行かれるんじゃないですか。

 こういうのが感染拡大防止と経済を回して両立させるということであって、多くの皆さんが、少なくとも、もちろん検査は一〇〇%ではありません、だけれども、八割、九割、自分は感染していないんだ、人に感染させるリスクはないんだという安心感があることでいろいろな活動をできる。あるいは旅行業者、例えばホテルとかそうした従業員の方とか飲食店の従業員の方についても、これは一定比率助成をして、そして定期的に検査をしていただく。うちはそういう定期的な検査をしていますよというようなホテルや旅館や飲食店であれば、お客さんも安心して行ける。

 これが、経済活動を回していくことと、それと感染拡大防止をするということで、こうした方向性を我々はずっと言ってきたのに、なぜか検査のことについてはさっぱり頬かむりをしたまま、一生懸命、旅行に行ってください、会食に行ってください、これでは感染拡大するのは当たり前じゃないかと思っていたら、実際に結果としてそうなっているから、私は強く言っているんです。方針を変えるべきじゃありませんか、総理。

菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げていますけれども、政府の役割というのは国民の命と暮らしを守ることだと思います。暮らしを守れないと命も守れなくなります。そういう中で、雇用、そして事業継続、こうしたことに政府としては全力で取り組んでいます。

 そしてまた、このGoToトラベルでありますけれども、今、地方に行きますと、ホテルや旅館、あるいはバス、タクシー、さらに食材提供業者、またお土産屋さん、こうした人たちが全国で九百万人いると言われているんです。そうした人たちがこのGoToトラベルによって雇用を何とか維持できてきているのもそうじゃないでしょうか。

 私自身、これに踏み切ったというのは、たしかゴールデンウイーク前後というのが、ホテル、旅館の稼働率というのは二割までいっていなかったんです。そして、地域経済を下支えている皆さんが、何とかしてこうした方法をということでありました。

 そういう中で、当然、政府としてこれを推奨するわけですから、コロナに感染をする、あるいは感染拡大させてはならない、そういう中で、政府の分科会の専門委員の先生方から話を伺い、移動では感染はしない、そういう中で取り組んできました。今回は、政府の分科会の委員の皆さんから、もう一度検討してほしいという形の中で、ルールに基づいて取り組んでいるところであります。

 ですから、これからも、約四千万人が利用していただいた、これは延べ人数ですけれども、しかし、百八十人という陽性者が、そういう中で、何としても感染拡大防止を最優先としながら経済も回していかなければならない、地域が廃れてしまう、そうしたこともぜひ御理解をいただきたいと思います。

枝野委員 私は、観光関連業者などの皆さんの生活、雇用はどうでもいいなんて言っていません。代案を示しています、きちっと直接的に支援すべきだと。

 例えば、お客さんが減って、そして仕事が減っていらっしゃる皆さんに対しては、休業支援金・給付金、もっときちっと対象になる人には行き渡るように、もっともっと啓蒙して、啓発して、しっかりとお届けをするべきだ。そして、例えば観光産業と、それから感染拡大を防止するためには、検査を例えば事前にやってくださいというようなことを広げれば、それは二月、三月は検査の能力そのものがなかったんだから、そういう手はとれませんでした。今現実に、本当に皆さん、ホームページを見てください、いろいろな医療関係者の皆さんが、気軽にすぐにPCR検査できますよ、抗原検査できますよと。国は何もしてくれないけれども、民間はそういうサービスをたくさんやっています。

 でも、医療従事者や介護施設で働いている皆さん、そうした皆さんに自費でやらせるのはおかしいでしょう。そして、多くの、経済的な理由で検査を受けられない人もたくさんいる。そうした皆さんに検査についてちゃんと支援をしながら、そして、安心して、ああ、感染拡大のリスクは非常に小さいという状況の中でさまざまな社会活動をしてくださいということがよっぽど抜本的な解決策ではないんですか。

 もう一度聞きます。GoToトラベルだけが、GoToキャンペーンだけが経済を回す手ではない。ほかのプランB、プランC、総理は持っていないんですね。もうこれしかない、ほかの柔軟な対応をする、そうした選択をする余地はない、そういう硬直的な姿勢なんですね。

菅内閣総理大臣 私は、地域経済を支える中で極めて有力なのがこのGoToトラベルだという判断をしております。

 そして、今日まで、何回も申し上げますけれども、延べ四千万人で約百八十数名が陽性ということです。もしGoToトラベルを受け入れた旅館でこうした発生があったら大変ですから、私、国土交通大臣からいろいろ報告を受けていますけれども、さっき、国土交通大臣が現場に行っている話がありました、現場の人たちは感染拡大防止のために大変な努力をされるということでありました。

 そういう中で、悩みながらも、国民の皆さんの命と暮らしを守る、そういう中で、私ども、このGoToトラベルというのは大きな成果がある、そして地域の経済の下支えになっている、雇用を生み、そうした中の重要な一つであるという位置づけであります。

 さらに、もしこうしたことにまさるものがあれば、そうしたものも当然、御提案をいただければ受入れをさせていただいて、何とかこの危機を、コロナウイルスの拡大防止を最優先としながらも、経済を回していかなきゃならない、そういう中で御理解をいただければと思います。

枝野委員 私たちは春先から、検査を抜本的に拡大しろ、そして、感染ルートを追っかけていくというところにとどまらず、できるだけ感染のリスクがあるところには検査を広げていくことが感染拡大を抑えることだとずっと提案をしてきていますし、それから、直接的な補償という言い方を政府がしにくいのであれば、実質的な意味でもいいから、お客さんが減って困っているところについては補償しろ、直接支払いしろ、そのことによって事業の継続をしっかりさせろと。持続化給付金だって、もうこれだけでは、一回では足りないでしょう、そういった提案をしています。

 我々は、二十日に緊急対策、これだけの感染拡大の状況、第三波と言われる状況に対して、急いでこういう政策をとれと具体的にパッケージを示しています。これを具体的に説明する時間はありませんが、我々はちゃんと示していますが、なぜかこのGoToキャンペーンだけに一生懸命こだわられて、検査の拡大は進めてこられない。

 そもそもが、この三連休に対して、三連休が始まってしまってから慌てて会議を開いて、そしてGoToキャンペーンの一時停止ということを打ち出した。多くの皆さんは、いや、キャンセルの話はどうなるんだ、今からやめたら、この三連休はキャンセル料とかどうとかわからないねと。それから、ブレーキを踏んでいるのか、それとも踏んでいないのかよくわからないということで、多くの皆さんが、はっきりしないので、従来の予定どおり、全国各地の観光地、大変な人でした。交通機関も大変な混雑でした。

 政府はブレーキを踏んでいるんですか、それともアクセルを踏み続けているんですか。GoToトラベル、GoToイート、一部の地域は停止をするけれども、ぜひどんどん、関連業者の皆さんを救うために、支えるために、旅行にはどんどん行ってください、会食にはどんどん行ってください、ただし会食のときには会話しないでね、意味がわかりませんが、こういう姿勢なんですね、総理。総理、政府の認識です、見解です。

西村国務大臣 分科会におきましては、十月の十五日から、感染が増加する要因と減少する要因が拮抗している、そして、これが崩れるかもしれないからということで提言をいただいて、その時点から、私も感染増加が見られる地域の知事と連携をとりながら、まさに検査の拡充、北海道や札幌市、あるいは大阪、三倍も四倍も今、検査件数をその十月の半ばから現時点でふやしていっています。東京も倍近くなっているんだと思います。私ども、検査についても、リスクのあるところ、これについては重点的に、戦略的にやっていくということで進めているところであります。

 ちなみに、この検査の拡充については、分科会でも何度も議論をしてきておりますが、専門家の皆さんも、きょう検査を受けてもあしたはわからない、しかも全員ができるわけじゃないので、やはり基本的な感染対策、つまり、マスクの効果はもう明らかになっていますので、マスクをし、消毒をし、三密を避ける、このことが何より大事だということで言われています。

 そうした中で、例えばですけれども、福岡にも多くの人がGoToトラベルで行っていますが、福岡は感染が落ちついています。北海道も、八月、九月も大勢の人が訪れました。でも、増加してきたのは十月の末からなんです。こういったあたりを我々はしっかりと分析しながら、感染防止策がとられていない中で人の移動、あるいは気温が下がってくる中でそうしたリスクが高まっている、こういったことにも注意しながら、また、経済、つまり、暮らしと命、両方守るという観点から、経済対策もしっかり取りまとめていきたいというふうに考えております。

枝野委員 専門家の中にもいろいろな御意見があるということは、皆さんも承知じゃないですか。だから、実は学術会議なんかも問題で、政府にとって都合のいい意見を言ってくれる専門家だけ集めれば、政府の方針に従ったそういう方針が専門家から示されるに決まっているんですよ。

 この間、これは危ないぞと言ってきた専門家もたくさんいます。アメリカのCDCは、イの一番に、自分や家族の健康と命を守るんだったら旅行には行かない方がいいと、アメリカのCDC、イの一番に示しています。ですから、いろいろな見解があるんです。

 そして、確かに、検査をしても一〇〇%把握できるわけじゃありませんが、マスクだって一〇〇%防げるわけじゃないじゃないですか。一〇〇%は求めてもできない、残念ながら。そういう敵を相手にしているんです。

 そうした中で、検査をすれば、少なくとも、検査をした対象の中で感染している人がいれば、そのうちの八割、九割はそこで発見できて、その人が旅行に行くのをとめれば、その人が会食に行くのをとめれば、そのことによって間違いなく、その範囲では感染の広がりをとめられるのは間違いないじゃないですか。なのに、なぜか、なぜか、この検査を広げるということについては一貫して抑制的で、一方で、検査をしっかりとして感染拡大を防ぐというような手当てをしないままGoToキャンペーンなどを進めた結果、結果的には、長い目で見たら、この感染拡大の広がりで、この冬の時期の観光業者にも大きな打撃を与えることに私はなってしまったと思っています。

 七兆円残っています。来年の一月の三次補正だなんて待っていたら、実際に手元に届くのは来年の四月、五月、六月になりかねません。今使える七兆円のお金を使って観光事業者を守る、検査を拡大をする、こうした緊急対策をとる、それが政府の責任だということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金田委員長 この際、岡本充功君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、質問の時間をいただきました。

 今回、新型コロナウイルス感染症対策、政府、いろいろとられていますけれども、今、枝野代表の方から話がありましたさまざまな施策の予算、執行は今どうなっているのか、ちょっとここから皆さんと確認をしたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の中で、休業手当がもらえない方、いらっしゃいます。残念ながら雇調金を使うことができません。アルバイト、シフトで生活をされている方々が一体どれぐらい休業支援金を受け取れているのか。予算を組んでいるけれども、執行できているのはわずか七・四%。家賃、さまざまな事業をする中で家賃の支払いが大変な状況になっている人がいる。予算を組みました。組んで、予算、できたのは二次補正ですから六月ですよ、そこから半年近くたってまだ四分の三の予算が残っている。

 一体これはどうなっちゃっているんですか。総理自身はこういう状況を御存じなんですか。

菅内閣総理大臣 今提案をされている分野において、そのような状況であることは私は承知しています。そしてまた、医療関係者の皆さんにもそうした供給すべき資金が行っていない、おくれているということも承知しています。私は、連日のように、関係大臣を含めて、ここは徹底をいたしております。

 ただ、逆に、ほぼ行っているところもたくさん実はあるわけでありますけれども、どうしても、例えば医療とか地方交付金とかそうしたものについては、地方議会との絡みであるということもあるんです。

 そうした中で、何がどうかということは掌握しながらしっかりやっていきたい、こう思います。

岡本(充)委員 掌握しながらやっていると言いながら、これは一向に進んでいないわけです。いつまでたっても進まない中で、方法を変えなきゃいけないんじゃないか。私は、そういう意味で、同じことを繰り返していてもいけないということで、どういう対策をとるのかをまた医療の分野でも聞いていきたいと思います。

 それで、今、感染の状況が全国でどうなっているか、国民の皆さんはすごく心配されているんですよ。皆さんにお配りしている一枚目のページは、実際、各都道府県でどのぐらいベッドが逼迫しているかであります。そもそも、ベッドの逼迫、これは、分母でどれだけのベッドが確保できているかということが課題になるわけでありますけれども、重症化のベッド、東京都は五百用意できる、こういうふうに言っていますが、本当のところ、今現在使うことができる東京都の重症者用のベッドは何ベッドなんですか、この時点で。

 厚労大臣、お願いします。

田村国務大臣 今、最大五百床、これを準備をいただきたい、最大感染拡大状況のもとでということなんですが。具体的に今、現状、重症化用の病床百五十床の確保を医療機関に対して要請をいたしておるということになっております。

岡本(充)委員 国民の皆さん、五百床用意できているかのごとく、今ベッドは五百床で、入院している患者さん、東京の場合は重症者は百八十七人ですよと言っていますが、百五十のベッドを要請しているような状況で、残念ながら、今、医療機関で重症になった人を受け入れる状況ができていないということを物語っているんです。

 総理、この状況、これから全国で広がりますよ。

 例えば、近いところでいえば東京の隣の山梨県。二十四の重症のベッドを用意すると言っていますけれども、これは本当にできるのか。もっと言えば、山梨県でたくさんの患者が出たときに、東京都が受け入れる、都道府県間の調整ができるのか。そういうシステム、今ないんですよ。これを早急につくる、その指示を出すべきです。

 総務省、厚生労働省と絡む案件ですから、総理がこの指示を出すべきだと思いますが、いかがですか。

田村国務大臣 二十二日にも全国に通知を出させていただいて、医療機関等々、今は感染者がそれほどいなくても、やはり冬場になってまいりまして感染が急に拡大する可能性がありますので、状況を見ながらしっかりベッドを確保するようにというお願いをいたしております。

 ちなみに、東京は、今委員、先ほど質問をいただいたのでちょっと私もよく目を通していなかったんですが、十一月二十四日時点で重症者数五十一人となっており、既に三百床の重症患者用の病床確保の体制を視野に入れて医療機関に事前の通知をしている、これは東京都が通知をしているということでございます。

岡本(充)委員 視野に入れてなんというんじゃないんです。本当に今、一体何ベッドあるのか、国はわかっていないんですよ。

 もう皆さん、答弁を聞いてもらったとおり、何ベッドあるんですかと言ったら、ベッド数を答えられないんですよ。何ベッドを視野に入れてとか、最終的にはこのベッドを目指してと。

 今、オンゴーイングでやっているのはいいですよ。でも、現時点で一体どれだけベッドが確保できているのか、それすら国が把握していないということ、これが明らかになっているんです。

 そこで、今、医療提供体制の大変厳しい状況、経営の面でもあります。残念ながら、診療報酬等で手当てをしたと政府は言いますけれども、医療機関からの疲弊はとまりません。二次補正、一次補正で支給が決まっているさまざまな事業についても、全然お金が支払われていないです。交付ゼロですよ。

 例えば、帰国者・接触者外来の設置の費用。帰国者・接触者外来は全国にあります。これが、国の補正予算、四月に成立した予算で手当てをされていると言いながら、二十六の道と県、十月三十一日時点で一円もお金が払われていない。重点医療機関、周産期、小児、救急、こういった体制整備は六月に成立した予算、これも一円も払われていない。こんな状況で医療機関に更に第三波の対策をとれといっても、大変なんですよ。

 総理は地方議会のこともあると言われますけれども、この状況を見て、このままやっていたのでは医療機関は本当に冬を越せないですよ。直ちに手だてを変えるべきです。

 そういう意味で、方針を変えていただきたい、やり方を変えることをぜひ検討していただきたい、このまま推し続けても時間がかかる、だからやり方を変えるということをぜひ検討していただきたいんですが、総理、いかがですか。

田村国務大臣 都道府県にはお配りをさせていただいて、物によっては議会でのいろいろな了承も要るようでございます。

 いずれにいたしましても、医療等々に関してのいろいろな支援金も含めて、なかなか執行されていないというお声は現場から我々もお聞きをいたしております。再度、この間、知事会においても、もう緊急になってきておりますので、改めてこの執行をよろしくお願いいたしたいという依頼をしたばかりでございますので、しっかりと我々も注視させていただきながら、各自治体に対しても対応してまいりたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 注視していたら、医療機関は本当にやっていけませんよ。

 では、N95マスク、どれだけ確保が進んだんですか。

 皆さんのお手元に配っていますけれども、五月十一日の参議院の予算委員会で安倍総理はこう答えています。今回のような感染症は、感染症に立ち向かうためには、マスク等の医療防護具や医療、医薬品、診療器具など国民の健康にかかわる重要な物資の生産、そしてそのサプライチェーンはしっかりと国内で確保することが重要でありますと言っています。

 この五月時点で何社何枚、N95のマスクが確保できる状況にあって、そして、その後、経産省の補助金等があり、今時点で一カ月当たり何社何枚のN95マスクが国内で確保できるような状況になっているのか、お答えいただきたいと思います。

田村国務大臣 N95等のマスクでありますけれども、五月ですか。(岡本(充)委員「五月」と呼ぶ)五月は百九十万枚でございました。十一月時点で一千六百九十五万枚というふうになっております。

岡本(充)委員 国内での生産者は何社ですか。国内での枚数ですよ。国内で生産する枚数、国内での生産者。

田村国務大臣 これは国による調達枚数ということであります。

岡本(充)委員 それは違うんですよ。それは海外からのものも含めて千六百九十五と言っているんです。国内で何枚生産できるか、現時点でわからないはずです。調査している最中でしょう。今わからないはずですよ。

 わからないならわからないと答弁したらいいじゃないですか。

田村国務大臣 ちょっと確認させていただきます。

岡本(充)委員 いやあ、驚いたね。千六百九十五というのは世界各国から輸入して確保する枚数ですよ。それをここで答弁しておいて、国内でどのぐらいふやすか、安倍前総理は五月十一日にやると言ったんですよ。この間何をやっていたのかということを聞いているわけです。いやあ、私は本当に驚きますけれども。ちょっと、答えてもらえるようになったら答えてください。

 では、先ほど来、GoToトラベルの話、ちょっと一点だけ言っておきたいと思います。

 GoToトラベルの利用者、四千万人近いと言っていますけれども、皆さん、私のつくった表を見てもらうと、七月の二十二日から八月、一千三百三十九万人、九月、一千百七十九万人、十月、一千四百五十八万人。まあ大体横ばいなんです。

 それで、GoToトラベルの現場で感染確認された方の数は、七月二十二日から八月末までが六人、九月が十一人、十月は一カ月で六十人、十一月はこの二十三日までで百十人です。このままのペースでいったら百五十人ですよ。

 明らかにふえてきているんです。旅館、ホテルの現場で感染が確認された方の数はふえてきている。これでもGoToトラベルは影響ないと言うのか、私にはやはり信じられない。さまざまな人との交流を、やはり感染を拡大する一つの原因と私は思っています。

 そんな中、確認をしたい。

 GoToトラベルが一旦中断するエリアが出てきます。では、伺いますが、再開するときには、都道府県からの申出なのか、三週間たてば自動的に再開するのか、それとも国から再開しましょうと言うのか、そのきっかけをつくるのは誰ですか。

西村国務大臣 もう御案内のとおりでありますが、ステージ3に入った地域においては、さまざまな強い措置を、正しい行動であっても一定の制約をかけていかなきゃいけない。これは、次のステージ4に入らない、緊急事態宣言に入らないためにしていくわけであります。

 その判断は、まずは、地域の感染状況、医療の状況、これを一番よく把握をしておられる都道府県知事が判断をしていくことになります。

 私どもは、その知事の判断を尊重しつつ、ここは、その状況も共有しながら連携し、私の立場では、時には慎重に判断した方がいいと言うこともありますし、また時には背中を押すこともあります。こういった面をしっかりと情報を共有しながら、連携して対応していくことが大事だというふうに考えております。

岡本(充)委員 どういう手順で再開をするのかというのを決めておかなければ、ぽてんヒットになりますよ、お互い見合っていて。きちっと手順が決まっていないんですよ、中断にしても、それから再開にしても。

 そういう意味で、きちっと手順を決めておくことが必要だということを指摘しておきたいと思います。

 ワクチンについて聞きます。

 総理、報道によると、国内でもワクチン接種が可能になる日がそう遠くなく来るという報道もあります。総理御自身、国内でワクチン接種が可能になったときに速やかに、可能になったら速やかに、ワクチン接種をされますか。

菅内閣総理大臣 順番が回ってくればしたいと思います。

岡本(充)委員 その上で、順番が回ってくれば御家族にも速やかに接種をお勧めされる、そういう理解でよろしいですか。

菅内閣総理大臣 そうなると思います。

岡本(充)委員 記者会見の関係で官房長官は不在なのでしょうけれども、官房長官は一部週刊誌ではそうではないという報道もされていますが。これは本当に接種するのか。

 ちょっと、きょうせっかくいらっしゃっている大臣、通告していないので答えられないと言われる方もいらっしゃるかもしれませんが、財務大臣、いかがでございましょうか。順番が来たら速やかに接種されるおつもりはありますか。

麻生国務大臣 順番が来たらという前提ですね。どういう順番ですか。

岡本(充)委員 まさにそれを聞きたい。どういう順番になりますか、総理。接種の優先順位はどうなりますか。

菅内閣総理大臣 私、申し上げましたのは、やはり医療関係者とかいろいろな関係者の人からということになっていますので、それで順番が来たらというふうに申し上げました。

岡本(充)委員 総理や財務大臣の順番も比較的早いんじゃないかと私は思うんですが、財務大臣、そういう順番だそうです。順番が来たときには打たれますか。

麻生国務大臣 順番が決まる、どなたが決められるんだか知りませんけれども、そういう順番が決まったということであれば、その段階で、私どもとしては順番どおりいかせていただきます。

岡本(充)委員 ワクチンの情報が余りない中で、本当に順番どおり打っていいのかという声が、私は各地で聞かれているような気がします。

 優先順位は医療機関、医療関係者だということでありますけれども、本当にどういう承認がなされるのか、ちょっとよくわかりません。海外でのワクチンの承認があった後、日本での承認ということになるのか、日本独自で承認をして日本が先になることがあり得るのか。

 厚労大臣、どうでしょうか。

田村国務大臣 それは、それぞれのワクチンの開発状況によって変わってくるというふうに思います。

 今、アメリカ、海外等々で開発されて、多くの治験、第三相の治験が行われているワクチン、これに関しては、いろいろな臨床試験が日本の国内よりも進んでおるわけでありまして、そういうもので、海外の方で先に承認された上で、日本に承認申請を出してくる。

 つまり、何を申し上げたいかというと、それぞれの企業の御判断でどのような形で対応してくるかということになろうと思います。

岡本(充)委員 いや、私が聞いているのは、企業が申請してくれば日本が世界で最初になることもあり得る、こういう理解でよろしいですか。

田村国務大臣 海外のワクチンにおいて日本で第三相の臨床試験をやっているものがあるかないかということを含めて、今この場で私は申し上げられませんが、そういうことも踏まえて、仮に海外でも、日本で十分に、薬事申請を出した上で、それに対して十分に承認を得られるというデータを国内でとっておられるというようなところがあれば、それはそういうこともあり得ると思いますけれども、今、新聞報道等々ではそのような状況でないというふうに私は認識いたしております。

岡本(充)委員 ぜひ、承認のときにはきちっとした科学的エビデンスが欲しいですね。

 では、ちょっと、ワクチン。

 今の状況の中で打たない人が出てきた場合、かなりのお金をつぎ込みました、六千七百億円とも言われているお金でありますけれども、ワクチンの接種が進まなかった場合、この費用が、言いかえれば無駄になる可能性もあると思います。

 そういう意味で、ワクチン接種が進まなかった場合、仮定の話には答えられないと総理は言われるかもしれませんが、進まなかった場合にはどのような対応をとるおつもりなのか、総理のお考えを聞きたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、委員言われましたように、仮定の話に答えることは控えたいと思います。

 ただ、政府としては、やはり国民皆さんの行き渡る分というのは用意するのが、そこは政府の責任だと思っています。

岡本(充)委員 私は、今の政府のとっている政策が本当に科学的なのか、そしてもっと言えば、きちっとエビデンスに基づいているのかということに大変懸念があります。

 最近の、イギリスのエコノミストという雑誌、世界じゅうの二万五千人の科学者にアンケートをとった。二十四カ国評価してもらって、科学的な政策をとっていると思われる国は、ニュージーランド、中国、上位。下位は、アメリカ、ブラジルでした。日本は、二十四カ国中十七位ですよ。四割の科学者が、日本の政策は科学的ではないというふうに評価をしています。

 そういった中で、本当に科学的な評価に基づいたワクチンの接種になるのか、これは情報開示がほとんどされていない。

 総理、お伺いしますけれども、総理はこの各メーカーとの契約書は御自身ちゃんと目を通されて決裁をされている、そういう理解でいいですか。契約書自体をごらんになられていますか。

菅内閣総理大臣 これは担当大臣に任せています。

岡本(充)委員 国民の皆さんにさまざまな影響がある、予算も大きい、そして、初めてのRNAワクチンだということもあって科学的なエビデンスも必要だ、そういう中で、私は極めて重要な判断だと思います。

 これをやはり、総理がきっちり私は目を通してやるべきではないかということを最後にお話を申し上げまして、時間となりましたので、終了したいと思います。

 ありがとうございました。

金田委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党、大西健介でございます。

 ただいま枝野代表そして岡本委員からコロナ対策の質問がありましたので、私は、残された時間ですけれども、菅総理に聞かなければいけない問題についてお聞きをしていきたいというふうに思います。

 前回のこの予算委員会で、辻元委員から、日本学術会議の問題について、六人を除外したことについて事前に杉田官房副長官から総理は報告を受けていたということを言われました。そこで、きょうも杉田氏の出席を求めましたけれども、与党の反対で出席いただけないということであります。なぜ杉田氏を隠すのか、強く抗議をしておきたいというふうに思います。

 その上で、この六人を除外した理由について、先月二十六日にNHKの「ニュースウオッチ9」という番組に総理は御出演をされました、そこでキャスターから、国民にわかりやすく説明する必要があるのではないかと聞かれて、ちょっと怒ったような感じで総理が、説明できることとできないことってあるんじゃないですかという発言をされているんですね。総理、覚えておられますかね。覚えておられると。一方で、その後の共同通信の報道だったと思いますけれども、官邸は、過去の言動から六人が政府方針への反対運動を先導する事態を懸念して任命を見送る判断をしたという報道もありました。

 これは総理自身が番組で発言された発言ですから、御自身にお答えいただきたいと思いますけれども、「ニュースウオッチ9」での発言というのは、まさに説明できないことをやったんだ、つまり、六人の過去の反政府的言動を問題視してこの任命を見送ったという意味でしょうか。

菅内閣総理大臣 それは大いなる誤解だと思います。

 政府の機関に所属する公務員の任命ですから、通常の公務員の任命と同様に、その理由について、人事に関することであるからお答えを差し控えます、こう私はずっと申し上げていました。同じことじゃないでしょうか。

大西(健)委員 そこでなんですけれども、この放送の翌日ですけれども、山田内閣広報官がNHKに電話をされたそうです。その電話というのは、総理、怒っていますよ、あんなに突っ込むなんて事前の打合せと違う、どうかと思いますよ、こういう電話をされたそうなんですよ。

 今総理が言われたように、これは人事の問題だから答えられないんだという理由だったら、怒る必要なんかないじゃないですか。キャスターは当たり前のことを聞いているだけです。キャスターは、国民にちゃんと説明した方がいいんじゃないですかと当たり前のことを聞いただけなのに、何で怒るんですか。

菅内閣総理大臣 大変失礼ですけれども、私は怒ったこともありません。山田広報官に指示したこともありません。どういう状況でこの場で言っているんでしょうか。私、その辺のことの常識は持っています。

大西(健)委員 総理が怒っているかどうかはあれですけれども、山田広報官はNHKに、総理は怒っていますよという電話をしているんですよ。こうしたことがあると、報道機関は圧力を感じて、総理に不都合なことは私は聞けなくなってしまうんじゃないかな、そういうことを懸念しているわけです。

 これに関連してでありますけれども、情報開示請求で、ことしの二月の一日から三月の九日の内閣広報室によるテレビの報道番組の分析、記録に関する一切の文書というのが公開をされました。この文書は、番組ごとにニュースの見出しを分刻みで箇条書きにしてあって、そして、例えば新型コロナウイルスの対応とか桜を見る会とか検察官の定年延長問題、こういう政権としての関心のある見出しにはマーキングの線がしてあって、そこに出演者のコメントが付記されている、こういう資料なんです。

 文書にはフォローしている番組名が具体的に書いてあるんですけれども、全部は言いませんけれども、例えば、NHKだと今まさに問題にした「ニュースウオッチ9」だとか、あるいは日テレだと「ミヤネ屋」、BSの「深層NEWS」、テレ朝だと「羽鳥慎一モーニングショー」「報道ステーション」、TBSだと「ひるおび!」や「ニュース23」、フジでは「日曜報道 THE PRIME」、十九もの番組名が実際にここに書かれていて、それがチェックをされている。

 総理は官房長官もされておられましたけれども、内閣広報室がこういう資料を作成しておられるということを御存じでしょうか。そしてまた、官房長官時代を含めて、こうした資料に基づいて、どの番組でどのコメンテーターがこんな発言をしていたといったような報告等を受けたことがあるでしょうか。総理にお尋ねします。

菅内閣総理大臣 こうした事実も全く知りませんし、ですから、報告を受けたこともありません。

大西(健)委員 じゃ、これはどういうためにつくっているのかということなんですけれども。

 ちなみにですけれども、今コロナの話がありましたけれども、新型コロナウイルスの感染が国内で拡大し始めた二月中旬ぐらいからは、関連報道ぶりという、コメンテーターの発言を抽出した記録も作成されているそうです。そこの中には、例えばですけれども、白鴎大学の岡田晴恵教授が十九回、テレビ朝日のコメンテーターの玉川徹氏の名前が十四回も出てくるそうです。

 その岡田氏と玉川氏が出演をされているのが「羽鳥慎一モーニングショー」という番組ですけれども、三月の六日、内閣官房国際感染症対策室の公式ツイッターで、この「羽鳥慎一モーニングショー」という番組名を名指しした上で、三月六日の番組の中でのコメントを紹介して、それに反論するツイートをわざわざしているんです。

 こうした例を見ると、結局、政府に批判的な報道をチェックして、場合によってはツイッターで反論までして牽制をする、そして、山田内閣広報官がNHKに電話をしたように、電話を入れたりとかそういうようなことをするためにやっているんじゃないかと。こういうような報道監視みたいなことがあると、報道機関も、そして専門家も、コメンテーターというのは専門家の方が多いです、政府に反対する意見とか政府を批判するコメントというのが言いにくくなってしまうんじゃないか、そういうことを私は恐れるわけですけれども、総理、そのようにお思いになりませんか。

菅内閣総理大臣 私は、このことがあってから報告を受けましたけれども、これはいつからやっているんだという話をしましたら、少なくとも二〇一一年三月にはもう行われていた、そういう記録があるようです。ですから……(発言する者あり)私自身、全く知らなかったんです。ですから、それで調べさせたら、いつからこんなことをやっているんだということで調べさせたら、このような事実でありました。

大西(健)委員 私もそれはちょっと確認しました。東日本の大震災とかがあったときに、どういう報道がなされているのかというのを内閣広報室でとるようになったみたいです。

 ただ、今言ったように、実際にそれを参考にして情報共有しているというだけじゃなくて、今私が申し上げたように、それでチェックして、実際にそのコメントに対して反論するツイートをわざわざ打っているわけですよ。ですから、まさに、チェックして政府に反対するような言動とかがあれば、それは牽制をする、あるいは先ほどの山田内閣広報官のようにメディアに電話する、こういうことをし出したら、みんな言いたいことが言えなくなってしまうんじゃないかということを申し上げているわけです。

 ですから、もしかしたらこの資料はつくっているのかもしれないけれども、今実際にそういう利用のされ方をしていることは、私はこれはそういう報道監視とか報道統制につながるおそれがあるんじゃないかということを申し上げているんですが、もう一度総理から御答弁いただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 全くそのようなことはございません。内閣広報室の事務に必要な範囲で単に内容を記録していることが報道機関への圧力になるとは全く考えておりません。

大西(健)委員 私が言っているように、記録していることが問題じゃなくて、その記録を使って実際にツイートしているじゃないですか、実際に電話しているじゃないですか。ですから、そういうことがあると、専門家もメディアも、本当は政府を批判するようなことが言いたくても言えなくなっちゃうんじゃないですかということを言っているんです。

菅内閣総理大臣 山田広報官が電話をしたというのは、これは週刊誌か何かですか。私は承知しておりません。(発言する者あり)

金田委員長 静粛に願います。

大西(健)委員 それでは、これは山田報道官が「ニュースウオッチ9」の放送の翌日に政治部長に電話をされているということなんですけれども、これはぜひ委員会としてNHKとそれから山田広報官に確認をしていただきたいと思います。

金田委員長 ただいまの件は、理事会で協議をさせていただきます。

大西(健)委員 先ほど来言っているように、こうしたことがあると、報道機関が圧力を感じて、総理に不都合なことが聞けなくなってしまう、これを私は恐れているわけです。

 私は、次に、総理も冒頭に触れられましたけれども、桜を見る会の前夜祭について質問したいと思うんですけれども、私、当初、本当は児童手当の減額の話をきょうはしようと思っていたんです。共働きの家庭が教育や子育てを諦めたくなるようなことは絶対に私はやってほしくない、このことは総理に申し上げておきたいと思いますけれども、これはちょっと別の機会にさせていただきたいと思います。

 きょうは、桜を見る会の前夜祭について聞かなければならないというふうに思いますけれども、この問題について少しおさらいしておきたいと思います。資料の二ページを見ていただきたいんですけれども、弁護士、法学者が、九百四十一名、桜を見る会前日に安倍晋三後援会が主催して高級ホテルで開催をした夕食会について、収支報告を行わず、かつ、ホテルの正規の費用を大幅に下回る会費で実施されていたことが政治資金規正法、公職選挙法に違反をするとして、安倍首相を刑事告発している。

 予算委員会では、資料の三ページをごらんいただきたいと思いますけれども、辻元委員がANAインターコンチネンタルホテルから、見積書や明細書を発行しないというケースはないんだという回答を得たことから、この明細書の提出というのがまさにこの委員会で争点になったんです。資料の四ページですけれども、これは、当時この委員会で安倍事務所の初村秘書に確認をした結果、ホテルの回答はあくまで一般論で、明細書は受け取っていない、こういう説明になったんです。

 ところが、今回、この明細書というのが実はあったんだということが明らかになっているということであります。

 当時の安倍首相の国会答弁が虚偽だった可能性がある以上、これは安倍首相に参考人として本委員会に来ていただいて、しっかり問いたださなければならないんですけれども、自民党がきょうもそれを拒否されたということであります。

 そこで、かわりに、私、当時、官房長官として菅総理は本件に関して何度も国会答弁をされています。そこで、配付資料の五ページですけれども、それをまとめてみました。

 安倍前首相の主張というのは次の三つだと思います。事務所はこの前夜祭には直接関与していないんだ、それから二つ目は、明細書はないんだ、三つ目は、五千円会費でできるんだ、補填はないんだ、こういう三点です。

 まず一点目ですけれども、参議院の内閣委員会での杉尾委員への答弁、これは菅総理の答弁ですけれども、ここにあるように、受付で安倍事務所が五千円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、集金した全ての現金をホテル側に渡す形なので、安倍後援会としての収入、支出は一切なく、収支報告書への記載は必要ない、こういう説明をしてきたんです。

 しかし、今回、ホテルが資金管理団体晋和会宛ての明細書を作成していて、さらに、総額から会費を差し引いた分を安倍事務所が負担していたということを示している領収書も作成していたことがわかっています。ですから、これは安倍事務所が契約主体だったということが明白であって、この一点目についても、これは虚偽だったということが私は言えると思います。

 それから二点目、これは衆の予算委員会で小川委員への答弁ですけれども、明細書はないと言っていますけれども、これはあったということが今言われているわけですから、これも明らかな虚偽。

 そして三点目ですけれども、五千円の会費、これはホテル側が設定した価格で、可能だというような答弁を菅当時の官房長官が行っておられますけれども、今回、けさの報道でも、安倍事務所関係者、秘書が会費だけでは足りなくて補填をしたんだということを認めているという報道が上がっていますから、そして、五年間で八百万円を超える補填があったんじゃないかという可能性が出てきました。ですから、これも全てうそ。

 この三点の主張が全て虚偽だった可能性が出てきているということであります。

 その中で、そのところに抜いておきましたけれども、小川委員への答弁の中で、菅当時の官房長官はこうはっきり答弁をされています。「ここで答弁していることが、これは責任がありますし、議事録に残るわけですから、そこが全てであります。」と、大見えを切っているわけです。

 ですから、先ほど来、安倍総理が本委員会に出席する、しないというのは国会が決めることだと言っておられますけれども、今私がるる申し上げてきたことは、菅総理御自身がこの国会で自分で答弁をした言葉です。それが全部虚偽だった可能性が出てきている。これについて、ここでもはっきり言っておられるように、総理は、これは議事録に残るんだ、責任があるんだと言った上でした答弁ですから、どう責任をとられるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 まず、答弁でありますけれども、私自身がここでした答弁ということであれば、安倍前総理が国会で答弁されていた内容について、私自身、総理がいないところでありますから、私が聞かれた場合にどう答えるということは、前安倍総理から確認して答えてきたところであります。

大西(健)委員 今の答弁は、ということは、自分は安倍総理に確認をして、それを言われたまま答えただけだから、自分に責任はないということですか。

 そうじゃなくて、議事録に残るんですから、責任があるんだからと何度も御自身で言っているわけですから、安倍総理はおいておいても、自分が語った言葉が結果として虚偽答弁だったかもしれないということについて責任があるんじゃないですか。

菅内閣総理大臣 今、私自身は、今申し上げたとおりです。ただ、現在、捜査機関の活動にかかわる、これは事務所のことでありますので、この場で私自身がこれ以上のことの答弁をすることは控えるべきだと思います。

大西(健)委員 この問題というのは、後ほど申し上げますけれども、刑事事件にかかわるかもしれないという問題であると同時に、一年以上の長きにわたってこの国会にずっとうそをつき続けてきたかもしれないという問題なんですよ。ですから、これは、司直の手に任せる問題とは別に、この立法府としてもしっかりと私はやらなきゃいけない問題だというふうに思います。

 その上で、安倍政権の中枢である官房長官を長年にわたって務められて、安倍政権を継承された菅総理というのは、安倍総理に説明責任を果たさせる私は責任があると思います。先ほどの総理の答弁のとおり、もしかしたら総理は安倍総理の言われることを信じて答弁をしたのかもしれませんが、そうだとすればなおのこと、安倍総理にここに来て説明してもらわなきゃいけないじゃないですか。

 ですから、最後は国会が決めることかもしれないけれども、菅総理は安倍総理にちゃんと国会で説明してくださいということを説得していただけますか。いかがですか。

菅内閣総理大臣 いずれにしろ、今お尋ねの件については、捜査が行われているという、報じられているところであり、捜査機関の活動内容にかかわる事柄でありますので、私は控えさせていただきます。

大西(健)委員 先ほど枝野代表も言われましたけれども、今、例えばコロナがそうですけれども、ここで重要なことを議論していても、その答弁がことごとくうそだったら意味がないんですよ。

 きのうですけれども、衆議院事務局が、森友問題で事実と異なる答弁が百三十九回あった、こういう発表をしているんですよ。だから、これは別にこの前夜祭の話だけじゃなくて、森友問題も百三十九回も事実と異なっていたということを衆議院事務局が認めているんですよ。

 ですから、虚偽の答弁ばかりされたらこの委員会で審議していることの意味がなくなってしまいますから、刑事事件の話は、それはそれで司直の方でしっかり真相究明してもらわなきゃいけないけれども、一年にわたってずっと答弁がうそだったという話、これはちゃんと国会で説明してもらわなきゃいけないじゃないですか。いかがですか。

菅内閣総理大臣 まず、先ほど来申し上げておりますけれども、捜査機関の活動内容にかかわることでありますので、私は答えは控えさせていただきます。

 私自身が先ほど申し上げましたのは、ここで私が答弁したことについては、先ほど申し上げましたように、安倍前総理が国会で答弁されたこと、それを確認して私がここで答弁をしたということであります。

大西(健)委員 繰り返して言いますけれども、それは総理は聞かれて答えたんだというのであれば、やはり安倍総理に来ていただくしか私はないというふうに思います。

 それで、もう一つ聞きたいんですけれども、けさの報道では、秘書が虚偽の報告をしていて、安倍総理は知らなかったんだというような話が出てきています。そうすると、これは、責任を全て秘書に押しつけて、自分は知らなかったんだ、秘書が虚偽の報告をしていたんだ、こういうようなことを言っているのかもしれませんけれども、果たしてそんなことがあるんでしょうか。

 刑事告発を行った法律の専門家は、参加費は会場入り口の受付で五千円を集金してそのままホテル側に渡しているから、お金は目の前を通り過ぎているだけで、ホテルとの契約の主体は個々の参加者だというのはこれはあり得ない説明だ、もとからあり得ない説明なんだと。また、当該ホテルのビュッフェ形式のパーティーの正規の料金は一万一千円で、五千円じゃできるわけないということは、これは普通に考えればわかることだと思います。

 秘書がうそをついていることをうのみにした責任、あるいは、先ほど枝野代表も言いましたけれども、では、明細書を見れば、明細書を見せろと秘書に言えば確認できたのに、それをしなかった安倍首相の責任が私はあると思いますけれども、総理はそのように思いませんか。

菅内閣総理大臣 仮定のことに私が答えることは控えます。

大西(健)委員 仮定じゃなくて、これまでいろいろな政治にかかわる問題が出たときに、私は知りませんでした、秘書に任せていましたと。実際に知らない場合もあるかもしれません。しかし、このケースについて言えば、それは成り立たないんじゃないか。国会でこれだけ問題になっていて、そして、先ほども枝野代表も言っていましたけれども、明細書を見ればこれはすぐにわかることだから明細書を出してくれと言ったのに、明細書はない、ない、ないとうそをつき続けてきたわけです。

 それは国会に出さなくたって、安倍総理が明細書を見て確認していれば、そこで秘書がうそをついているかどうかはわかったはずであって、それもしなかったということは、総理の秘書への監督責任というのが果たされていないというふうに総理は思いませんか。

菅内閣総理大臣 事務所のことに私は答える立場じゃないと思います。

大西(健)委員 残念ながら、私は、この秘書が虚偽の報告をしたので自分は知らなかったんだということも、もしかしたらうそじゃないのかというふうに思っているんです。そして、さっきも言いましたけれども、森友問題でも、百三十九回ですよ、事実と異なる答弁があったと公式に認定されているわけです。

 本件は、国の最高責任者であった人間が、政治的、道義的責任にとどまらず、刑事責任を問われる可能性がある重大な事件です。同時に、先ほど来言っているように、虚偽の答弁で国会を欺いていたということを考えると、これは司直の手に委ねるだけではなくて、国会が積極的に真相究明を行うべきです。これは与党も野党も関係ありませんよ、立法府がうそをつかれていたという話ですから。これは与党も野党も関係ない、立法府がばかにされている話なんです。ですから、これはちゃんと立法府として積極的に真相究明すべきです。

 明細書に当たるホテル作成の経理資料、ホテル側が差額を受領したことを示す安倍事務所に渡した領収書を資料として本委員会に提出していただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。

金田委員長 理事会で協議をさせていただきます。

大西(健)委員 今、予算委員会の権威がかかっているという声もありましたけれども、まさに我々はうそをつかれていたということですから、しかも、一年以上にわたってこれはうそをつかれていたということですから、先ほど来、残念ながら、菅総理に聞いても、自分は安倍総理に言われたとおりに答えたとしか答えが返ってこないわけですから、やはり安倍総理に来ていただかなきゃいけないということだと思いますけれども、同時に、やはり普通だったら参考人なのかもしれないけれども、またここでうそをつかれても、さっき言ったように、百三十九回も事実と異なる答弁があって、今私が示した答弁もことごとくうそだったということですから、だったらば、これは虚偽の証言を行えば偽証罪となる証人喚問という形で安倍首相を証人喚問していただきたいというふうに思いますが、委員長のお取り計らいをお願いいたします。

金田委員長 理事会で協議をさせていただきます。

大西(健)委員 私がきょう前半で言ったのは、報道統制みたいなことをやっているんじゃないか、それから、学術会議の問題もそうですけれども、政府に反対をする学者は排除をする、異論、反論を封じ込めて、政権に不都合な問題については国会でも平気でうその説明を繰り返す、そういう政権には私は信頼してコロナ対策を任せることもできない、そういうことを申し上げて、私の質問を終わります。

金田委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 安倍後援会主催の桜を見る会前夜祭の費用について、安倍事務所が多額の補填を認め、特捜部が捜査をしております。補填が事実ならば、公選法そしてまた政治資金規正法違反ということになっていくわけであります。そして、安倍前総理は国会で一年にわたって虚偽答弁を繰り返してきたということになります。まさに民主主義を揺るがす事態だと言わなければなりません。

 そして、菅総理も、官房長官として安倍前総理を擁護する答弁をこの場で繰り返してまいりました。その責任は極めて重大だと言わなければならないと思います。

 総理、総理の責任でこの問題を真相解明する必要があると思いますが、いかがですか。

菅内閣総理大臣 いずれにしろ、今お尋ねいただいている点は、捜査が行われていると報じられているところであり、捜査機関の活動内容にかかわる事柄でありますので、お答えは控えます。

宮本委員 いや、捜査はしているかもわからないけれども、国会でずうっと問題になってきた問題じゃないですか。総理自身の答弁だってうそを説明してきたという話なんですよ。大体、この問題の解明に消極的な姿勢を見ると、菅総理御自身も何か後ろめたいことがあるんじゃないかと勘ぐられることになりますよ。

 この桜を見る会の問題、もともと、昨年の五月に、一番初めに私と当時官房長官だった菅さんで質問をやったのが、これが始まりだったわけですよ。そして、当初から、隠蔽、文書の廃棄、虚偽答弁が重ねられてきた。そのあげくが今回の事態ということであります。菅総理が解明に後ろ向きだったら、国会として安倍前総理に来ていただくしかないということになります。

 委員長、真相解明のために安倍前総理の証人喚問をお願いいたします。

金田委員長 理事会で協議をさせていただきます。

宮本委員 コロナ対策について伺います。

 感染が急激に進んでおります。重症患者が過去最多ということになっております。病院でのクラスターも続き、医療崩壊の危機が迫っている地域もあります。そして、この感染拡大について日本医師会の中川会長は、GoTo事業はきっかけだった、こう発言をされました。ところが、菅総理は、私たち野党がGoTo事業の見直しを求めてきたにもかかわらず、この間、本会議などでもみずから見直す姿勢は見せてこなかったわけであります。

 総理、GoTo事業を見直さないままここまで感染を広げてきたことについて、御自身の反省はありますか。総理の反省ですよ。総理の反省があるかどうかです。

菅内閣総理大臣 まず、GoToを行っている中で、延べ四千万人以上の方々が利用して、感染者は約百八十名ということであります。先週の専門家の分科会の提言において、GoToトラベルが感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスは現在のところ存在しないとされています。今お話がありました中川会長も、エビデンスはないということを申し上げていることを私も報道で知っています。

 ですから、感染拡大を防ぎながら地域の経済を下支えするGoToキャンペーンというのは今日の拡大と直結はしていない、このように考えます。

宮本委員 いや、きっかけになったということを中川会長もおっしゃっている。

 そして、エビデンスはないということをおっしゃいますけれども、厚労省のアドバイザリーボードの中でも、GoToに東京が加わった十月以降、感染が広がっている県がふえていると。今、これは査読中の論文だから、まだ査読が済んでいない論文だけれども、途中経過だということで、委員の先生から資料も出されているわけですよ。査読が終わってエビデンスが出てからこれを見直そうとなったら、手おくれになるんですよ。そういう認識は大変深刻ですよ。

 人の移動がなければ、そもそもウイルスは全国に広がりません。感染研の脇田所長御自身、十月からGoToトラベルの対象に東京発着の旅行が追加されましたが感染がおさまり切っていませんでした、東京の無症状者や軽症者が他の地域へ動けば感染拡大の可能性は高くなります、道内の感染状況を加速させた可能性があります、こうインタビューで述べられているわけであります。

 そして、先週、コロナの分科会は、短期集中、三週間で局面を変えようということを提言されました。感染拡大地域での営業時間の短縮やGoTo事業の見直しへ、政府の英断を心からお願い、こう提言されております。そして、尾身会長は、見直しはできるだけ早く、こうおっしゃいました。ところが、政府は都道府県の判断に責任を丸投げをしている事態、ようやく決まったのは札幌市と大阪市の除外のみということであります。

 昨夜、厚労省のアドバイザリーボードの会議が行われました。このままの状況が続けば通常の医療で助けられる命が助けられなくなると、大変厳しい評価をされております。

 昨夜のアドバイザリーボードの報告は、総理、受けていますよね。確認だけ。

菅内閣総理大臣 受けております。

宮本委員 ならば、同じ認識でお話しさせていただきたいと思います。

 そこで、医療提供体制が厳しい地域として北海道、関東圏、関西圏、中部圏を挙げて、強い対策を求められております。英断が求められているのは知事じゃないんですよ。政府なんですよ。菅総理なんですよ。のろのろのろのろ本当にしているのは、国民の命を守る最高責任者としての危機感が欠けているんじゃないですか。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 ステージ3に入ってきつつあるということを二十日の日に分科会で提言をいただき、そして、その地域、今おっしゃったような地域が入っているものですから、私ども、特に感染者の増加が見られる北海道、大阪府、それぞれの知事と私もその日からもう毎日のように、毎日何度も連絡をとりながら、地域の状況を一番わかっておられるのは知事でありますから、病床の状況、感染者の状況、知事の意向を尊重しながら、そして情報を共有しながら、私ども、提言を受けて最終的に、知事としてはそれぞれの事業者、関係者との調整、自治体との調整もあるわけであります。そして、その上で、昨晩に札幌市と大阪市を停止をするということを決めさせていただいたわけであります。

 今後も、それぞれの都道府県知事と連携をして、しっかりと対策を講じていきたいというふうに考えております。

宮本委員 札幌と大阪市を外しただけで事態が変わるなんて国民の多くは思っていないですよ。中途半端なやり方でいったら感染拡大は一層加速しますよ。そして、分科会の皆さんも、そうすると後の経済へのダメージはより大きくなると言っているわけですよ。

 今局面を変えないと、観光業などの皆さんの一番の書き入れは年末年始なんですよ。年末年始にもっと感染拡大が広がる事態になったら、そこでもっと強い対策をとらなければいけなくなる。よほど、経済のことを考えても、今が大事なんだという認識を私は持たなければいけないと思いますよ。

 そして、今回、GoToトラベルの見直しも、感染拡大地域の、目的地について、目的地になるのは外すけれども出発地はいいというのが政府の立場で、これは知事会はおかしいじゃないかということで声も上げていらっしゃいます。

 事業者の皆さんには支援を別の形でしっかり行うことを前提に、出発地となった場合でも感染拡大地域は外すという英断が必要なんじゃないですか、総理。

西村国務大臣 これまでも何度も答弁を我々、仲間からも、閣僚からもしておりますけれども、GoToトラベル自体で何かその地域で感染者を拡大をさせているということはないわけであります。陽性者は出ておりますけれども、陽性者は出ておりますが、そこで、旅館やホテルや観光施設で拡大させているという報告は受けておりません。

 ただ、一定のレベルに行った地域については……(発言する者あり)

金田委員長 静粛に。

西村国務大臣 一定のレベル、感染者の数、あるいは病床の逼迫度、これが一定のレベルに行けば、正しい行動であっても制約しなきゃいけない段階があるわけであります。これをそのままほっておくと、ステージ4の、緊急事態宣言を視野に入れた段階になりますから、その前のステージ3の段階で措置を講じて、感染防止策が仮に徹底されている行動であっても一定の制約がかかってくる、それによって感染者数を減らし、医療体制を守らなきゃいけない、そういう段階があるわけであります。

 その段階になっているわけでありまして、これが、分科会の報告でも、北海道札幌、それから大阪府の大阪市、このあたりを我々、数字などを見ながら判断をしてきたわけであります。その上で、その地域は医療も逼迫しているということで、そこに人が訪れることによっていろいろな活動が起こって、そこで更に感染者がふえて、それで更に医療が逼迫することは抑えていかなきゃいけない。

 そして、先ほど厚労大臣も答弁がありましたけれども、出発の方は、それぞれの地域の事情がありますので、そこはそれぞれの事情を見ながらまた判断をしていくわけでありますし、また、今申し上げたように、行くことによって感染を広げていく、そういう事例は報告を受けていないということで、こういう判断をしているところであります。

宮本委員 いや、ちゃんと、担当大臣なんだから、アドバイザリーボードで言われていることを受けとめた方がいいと思いますよ。感染拡大の要因として、きのうも、人の移動の増加ということが書かれているじゃないですか。だから、今、営業時間の短縮だとかいろいろなことも含めて、やらなきゃいけないところはやろうじゃないかということを、そして、短期集中的にやって、年末年始はもうちょっと感染が抑えられた状況で迎えられるようにしよう、これが専門家の皆さんの大事な提言ですよ。

 このGoToキャンペーンと乖離した生活を送っているのが医療関係者の皆さんであります。コロナ対応の激務の上、勤務外も厳格な行動制限をされております。会食の自粛、旅行は届出制にしている、こういう話も伺っております。相当なストレスが続いていて、一方、慰労金はまだ届いていないところも多数あるわけであります。もう疲れたと離職される方もいらっしゃる。

 これは、GoTo事業を見直して感染拡大をしっかり抑えていくという姿勢を政府がとることが、私は医療関係者の皆さんの精神的な支えにもなっていくと思いますよ。その点、強く申し上げておきたいと思います。

 最後に、求められるのは医療への支援であります。コロナ患者が急速にふえる中、またまた医療が、収入面からも大変不安な声が上がっております。また、コロナ患者を受け入れていない病院は、本当に減収のままで、補填もないままが続いているわけであります。

 最後に総理に、医療機関に対して、減収分やかかり増しの経費については全部国が責任を持つ、必要な財政的支援は更に行っていくんだ、このメッセージをしっかり発していただきたいと思いますが、いかがですか。

菅内閣総理大臣 医療機関においては、患者数の減少による収入の減少などが見られたことは承知しております。感染症対策の徹底を促し、地域医療の継続を行うことは極めて重要なことでありますから、これまで約三兆円の支援を実施してきました。また、このほかに、過去に例のない最大減収十二カ月分を上限とする無利子無担保などの危機対応融資も実施してきました。

 一方で、こうした支援が現場の医療機関に十分に行き届いていない、こういう指摘もあります。現実にそうだと思います。まずは、一刻も早く支援が医療現場に届くように全力を挙げたいと思います。

 あわせて、引き続き、国民の皆さんに必要な地域医療が確保できるように、感染状況や地域の医療実態等を踏まえ、必要な取組、支援を検討していきたいと思います。

金田委員長 時間が参りました。

宮本委員 時間になりましたので、終わります。

金田委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 新型コロナの感染拡大が続いているわけですけれども、本件は参議院の方で我が党はさせていただきたいと思いますが、西村大臣が課題があると以前からおっしゃられてきた、先送りになっている特措法の改正、そしてまた、感染防止のために今部分的にも自粛要請をしなくてはならない自治体の補償の拡大や財政措置、そして、水際対策、出入国の管理のあり方等、本当に進めなければいけない問題がたくさんありますので、ぜひとも急いで進めていただけたらと思います。

 きょうは、憲法改正について少し議論したいと思います。

 我が党は、憲法改正の手続を定めた国民投票法改正案の結論を進めるべきである、結論を急ぐべきであると維新の会として与党にも申入れをしております。

 ちょうどこの時間、本来であれば憲法審査会の幹事懇が開かれているはずではありますが、聞き及ぶところによると、一部の野党は出席されずということだったと思います。

 そして、憲法改正は国会で発議するものではありますが……(発言する者あり)ちょっと黙っていただけますか。

金田委員長 静粛にお願いします。

藤田委員 憲法改正は国会で発議するものでありますけれども、その上で、政治家として、そして総理・総裁としての菅総理のお考えを聞きたいと思います。

 そして、きょうは特に大阪での事例を挙げた上で、今後行われるであろう国民投票の公正性の担保についてお話ししたいと思います。冷静にちょっと事実を申し述べます。

 十一月一日、住民投票は否決され、私たちも重く受けとめておりますけれども、住民投票中に、その公正性が毀損されるような事態が発生したことは遺憾でございます。

 十月二十六日、最終盤でありますけれども、毎日新聞の夕刊一面トップで、市分割、コスト二百十八億円増、市財政局が試算、都構想めぐりという誤報道がございました。そして、NHK始め各社が後追い報道をして、そして、財政局が緊急記者会見を開いて完全否定し謝罪したものであります。そして、訂正報道も毎日新聞以外はなされました。

 この二百十八億円はあらゆる意味で間違っておりまして、まず、政令市を四つに分けたという計算であり、前提がまず違う。それから、需要額を計算する際の補正係数が恣意的に上振れするものだけが使われていることで、これは地方交付税上も認められるものではない。そして、基準財政需要額はあくまで理論値であって、実際のコストを反映するものではない。これは総務省も正式な見解を出してくださっております。つまり、基礎的な知識があれば、相当筋の悪い数字であるということは明らかでありますが、私が気になるのは、この背景と経緯がございます。

 これは、新聞社は財政局に草稿を事前に渡してチェックさせていたこと、そして、このやりとりの公文書を、休日に出勤して、証拠隠蔽のために公文書破棄をしてしまったということがあります。共作と受けとめられてしまうのではないかと感じて破棄したという答弁をされています。

 実は、この報道が出る三日前に共産党の市議さんが二百十八億という言葉を出しまして、事前に知っていたのではないかということで、財政に詳しい方が計算したというふうにおっしゃられていたんですが、後の市議会で、共産党に事前に渡していたということが明らかになりました。

 なおかつ、この訂正報道があって、ファクトチェックが済んで、これは相当筋悪の数字とわかった後も、公党の国会議員はSNSや街頭でこれらの数字を喧伝しまくったわけでございます。ここには、政府の一員である政務官や副大臣も含まれておるわけでございます。

 きわめつけは、余り言いたくありませんが、自民党さんの街宣車で、女性の声のテープで、政権政党自民党です、大阪市財政局は、大阪市を四つの特別区に分割した場合、現在よりも二百十八億円行政コストが増加する試算結果を明らかにしました、都構想に反対をというテープを流したわけです。これはもう明らかに間違いで、デマ喧伝なわけでございます。

 名誉のために申し上げますと、こういうことに手をかさなかった自民党の国会議員の方ももちろんいらっしゃるし、これに懸念を示されて発信された方もいらっしゃったことは申し添えます。

 こういう報道のあり方、また、公文書の破棄の問題もありました。

 でも、一番信用されるべき公党又は公党の国会議員がデマ拡散にかかわってしまったという事実、これを受けとめて、憲法改正の住民投票が行われれば、よりひどい状況が想像されるわけでございます。この事実を踏まえまして、国民投票の公平性の担保、公党の情報発信のあり方について御見解、憲法全般についての御見解を菅総理からいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 憲法改正については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは差し控えたいと思います。

 その上で、お尋ねなのであえて申し上げれば、憲法改正は、国会が発議し、最終的には国民投票により主権者である国民の皆さんが決めるものであります。

 また、国民投票は平成十九年に議員立法で制定されましたが、その際、各党各会派でさまざまな議論がなされました。その結果として、公党の情報発信のあり方を含め、国民投票運動については、基本的に自由とし、投票の公正さを確保するための必要最小限の規制のみを設け、現在の制度になった、このように承知しています。

 いずれにしろ、憲法審査会において、国民投票法改正も含め、与野党の枠を超え、建設的な議論を行っていただきたいと思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 憲法改正は、私自身も取り組みたい最重要課題の一つでございますので、ぜひとも前に進めたいと思います。

 続いて、最後に一問、行政の効率化や官僚の働き方改革と国会改革の関係性について少しお話をしたいと思います。

 最近、報道では、官僚の異常な長時間労働の実態や公務員志望者の減少、そして、若手の官僚の退職が急増しているという報道がございまして、官房長官からも行政機能の発揮という点から課題であるという危機感を示されたことは承知しております。

 もちろん、官僚側で、行政府側で効率化を進めないといけないことはたくさんありますけれども、一方で、国会のあしき慣習や構造的な問題が原因となって、行政側に過度に負担をかけているという指摘も多くございます。

 私は、こちらに来て一年半の新人でございますけれども、国会はすごく非効率で不合理だらけ、日本一生産性の低い場所だなというふうに思います。

 例えば、言いたいことはたくさんあるんですが、きょうは時間がありませんので絞って言うと、質問通告。質問通告は、深夜に行われて問題になったこともありますけれども。この要因は、振り返ると、委員会とかの日程が前日とかに決まるという問題もあります。その委員会とかが前日に決まるというのは、日程闘争、つまり、野党はある種暴れて時間切れを狙うしかない、こういう構造的な問題があるわけです。

 私は、深夜に質問の通告があったら、残業代もそう、タクシー代もそう、終電繰上げもありますから、タクシー代も必ず負担増になります。こういうことをもう根本的に変えていかないと、国民の負託に応えるような国会のあり方というのはできないんじゃないかと思います。

金田委員長 藤田君に申し上げます。申合せの時間が来ております。

藤田委員 わかりました。申しわけありません。(発言する者あり)おっしゃるとおりで。ありがとうございます。

 そこで、国会の……(発言する者あり)

金田委員長 静粛にお願いします。

藤田委員 国会のせいで行政の効率を落としているところはないのか、また、こういった申入れを政治的レベルでする気はないのか、お伺いしたいと思います。

金田委員長 国務大臣河野太郎君、時間が来ておりますので。

河野国務大臣 霞が関の長時間労働が問題になっているのは事実でございます。立法府にもそうしたことに御理解を賜れれば幸いでございます。

藤田委員 ありがとうございます。終わります。

金田委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、長崎一区選出、西岡秀子でございます。

 冒頭、安倍前総理には、国会において説明責任をしっかり果たしていただきますよう要望し、質問に入らせていただきます。

 まず、政府の水際対策について、総理に質問をいたします。

 海外からの人の往来に対する水際対策の徹底、強化は極めて重要です。第一波のときに、習近平国家主席の来日やオリンピックの開催を前にちゅうちょして、水際対策がおくれたのではないかという指摘もありました。十月一日に入国制限措置を全世界対象に緩和されましたが、国際ビジネスの回復、これも重要です。そして、やはりオリンピックの開催を優先する、これも、わかることはわかるんですけれども、このことによって必要な判断、対策がおくれ、国民の健康、生命がリスクにさらされるということは断じてあってはなりません。

 政府として、十月一日に全世界を対象とした緩和をした影響について、どのように考えておられるでしょうか。

 この図にあるように、十四日間の指定場所での待機や公共交通機関を利用してはならないことを要請をしておりますが、国の要請にかかわらず、指定場所での十四日間の待機や、電車やバスの公共交通機関を利用しないことが徹底されていない実態があり、また、入国後の行動履歴、接触歴の追跡も徹底されていないのではないでしょうか。

 要請に従わず公共交通機関を利用し移動した入国者、帰国者は、その数は何人で、全体の何割に当たるのか。また、健康状態を把握するための健康フォローアップは対象者全てに確実に行われているのでしょうか。具体的な数字をお示しください。

 総理、政府として、この実態についてどこまで把握しておられるのか、総理のお答えをお願いいたします。

田村国務大臣 国外から国内に入ってこられる方々に関して、今委員がおっしゃられたとおり、基本的に、十四日間どこかで待機をいただく、それから公共交通機関を御利用いただくということが前提になっております。(発言する者あり)ごめんなさい、しないということ、失礼いたしました、原則となっております。

 その上で、どれぐらいの方が公共交通機関を利用して等々、このルールを守っていないかということなんですが、実態は把握できていないというのが前提なんですが、ただ、丁寧に、これは御理解をいただくように御説明をさせていただいております。

 といいますのは、こういう方々というのは、例えば日本人の方であったりだとか、日本国内に生活基盤のある方々がこのような対象になられるということでありまして、この方々、今、日本の国の法律で何らか対応を強制的にするということができないわけで、私権の制限ということもございますので、なかなか難しいという前提があります。

 ただ、一方で、言われた外国の方々がビジネスで入ってこられる場合、こういう場合は、今、レジデンストラック、ビジネストラックというのをつくっておりまして、この場合は受入れの機関があります、企業であったり学校であったり。そういうところに対して、十四日間ちゃんと待機をしてもらわなきゃいけませんよ、それから、今言われたアプリで、いろいろな意味で健康フォローアップ、これに関してちゃんとやっていただかなきゃなりませんよということをルールにいたしておりまして、もしこれを破られれば名前の公表等々のこれはペナルティーがございますので、しっかりとお守りをいただいているという認識であります。

 なお、基本的に、陽性じゃなかった、陰性の方、検査して、この方々にはみんな健康フォローアップアプリを入れていただくということで、実績が、十月が六万六千人、十一月が三万五千人となっております。

西岡委員 今お答えをいただきましたけれども、公共交通機関を利用している方の数というのは把握をしていないということですので、果たして、この実態を把握できていない状況で大丈夫なのでしょうか。

 世界じゅうで今感染が拡大をしている中で、特に無症状者からの感染が拡大するということが言われている中で、現在のように要請するだけで入国の後の把握が十分にできていない、このことは国民からすると大変不安です。

 今、厚生労働大臣がビジネストラックのことをおっしゃいましたけれども、それを、アプリを入れていないというのがわかるのは、感染が発覚したときに、見せてくださいということで、それで入っていないということで、初めてそれが入れられていないということがわかるという状況でございますので、大変、今の状況では不安だと思います。

 ここで、二つ提案をいたします。

 まず、入国者、帰国者に、検疫所における接触確認アプリ、COCOAの利用を義務づけるべきではないか。これは法改正も含めて検討すべきだと考えます。

 また、第二点としては、感染が急拡大している国や地域からの上陸拒否の法的根拠が、今パネルにお示しをしているように、出入国管理法第五条一項十四号であるということが問題だと思います。この条文を適用したとき、当分の間適用するということを言われておりましたけれども、本来テロ対策に使う条文を根拠にして、法的に曖昧な形で対応しているということが、この状況を把握できないことにもつながっているのではないでしょうか。出入国管理法の法改正を急ぐべきだと考えます。

 総理、この二点について、総理の見解をお尋ねいたします。

田村国務大臣 COCOAに関しては、先ほど申し上げたレジデンストラック、ビジネストラックの方々には入れていただくようにさせていただいております。

上川国務大臣 ただいま入管法について御言及がございました。

 入管法につきましては、我が国にとって好ましくないと認める外国人の上陸を阻止するという観点から、同法の五条におきまして、いわゆる上陸拒否事由を定めているところでございます。

 入管法五条一項でありますが、一号から十三号で上陸を拒否すべき外国人の類型、これを具体的に定めた上で、これを補充するものとして、十四号で、日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認める相当の理由がある者の上陸を拒否することを可能としているところであります。

 今回の新型コロナウイルス感染症に関しましては、感染が深刻な地域におきまして滞在歴等がある外国人につきましては、我が国の利益を害するおそれがあるとして、入管法五条一項十四号、これを適用し、迅速に上陸拒否の措置を講じてきたところでございます。

 法務省といたしましては、新型コロナウイルス感染症の国内での蔓延を防止するため、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部での検討結果を踏まえまして、引き続き、現在の水際対策に万全を期してまいりたいと考えております。

西岡委員 総理に見解をお尋ねをいたします。

菅内閣総理大臣 今、両大臣が申し上げたとおりです。

西岡委員 我が党としては、協力できる政党とともに議員立法を提出をしていきたいというふうに考えております。

 もう時間が、残り限られておりますので、私、地元、長崎でございます。

 先般、政府に対しましても、長崎市長、広島市長から要望があっております、来年発効となる核兵器禁止条約の批准、署名を求めるとともに、それがすぐには難しいという場合であれば、締約国会議のオブザーバーとして参加をして、従来から政府が主張されております核兵器保有国と非核兵器保有国の実効性のある橋渡し役をしっかりと果たすべきであると考えます。

 また、締約国会議については、被爆地、長崎市、広島市で開催いただくことを要望させていただきたいと思います。

 最後に総理の見解をお尋ねいたします。

茂木国務大臣 我が国のこれまで申し上げてきた立場に照らして、核兵器禁止条約に署名する考えはなく、御指摘のオブザーバー参加及び広島、長崎での開催を含めて、核兵器禁止条約の締結国会議に関する我が国の取組や関与の方法については慎重に見きわめる必要があると思っております。

 ただし、一般論として申し上げれば、核軍縮に関する国際会議を被爆地で開催することは、唯一の戦争被爆国である我が国として核兵器使用の惨禍の実相を諸外国に伝え、我が国の核兵器廃絶への強い願いを世界に発信する上で有意義であると考えております。

西岡委員 質問を終わります。ありがとうございました。

金田委員長 これにて西岡君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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