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第4号 令和3年2月4日(木曜日)

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令和三年二月四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 金田 勝年君

   理事 後藤 茂之君 理事 齋藤  健君

   理事 橋本  岳君 理事 藤原  崇君

   理事 細田 健一君 理事 山際大志郎君

   理事 奥野総一郎君 理事 辻元 清美君

   理事 浜地 雅一君

      秋葉 賢也君    秋本 真利君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      石破  茂君    岩田 和親君

      岩屋  毅君   うえの賢一郎君

      江藤  拓君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    神山 佐市君

      河村 建夫君    木村 哲也君

      木村 弥生君    北村 誠吾君

      佐々木 紀君    下村 博文君

      白須賀貴樹君    菅原 一秀君

      鈴木 貴子君    田中 和徳君

      根本  匠君    野田  毅君

      原田 義昭君    福山  守君

      古屋 圭司君    村井 英樹君

      山本 幸三君    山本 有二君

      渡辺 博道君    今井 雅人君

      枝野 幸男君    大西 健介君

      逢坂 誠二君    岡田 克也君

      岡本 充功君    落合 貴之君

      川内 博史君    菊田真紀子君

      黒岩 宇洋君    玄葉光一郎君

      後藤 祐一君    斉木 武志君

      櫻井  周君    関 健一郎君

      日吉 雄太君    堀越 啓仁君

      本多 平直君    松田  功君

      宮川  伸君    森山 浩行君

      谷田川 元君    山本和嘉子君

      稲津  久君    太田 昌孝君

      竹内  譲君    濱村  進君

      藤野 保史君    宮本  徹君

      藤田 文武君    西岡 秀子君

    …………………………………

   内閣総理大臣       菅  義偉君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         武田 良太君

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         茂木 敏充君

   文部科学大臣       萩生田光一君

   厚生労働大臣       田村 憲久君

   農林水産大臣       野上浩太郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      梶山 弘志君

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    小泉進次郎君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     加藤 勝信君

   国務大臣

   (復興大臣)       平沢 勝栄君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     小此木八郎君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (沖縄及び北方対策担当)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (地方創生担当)     坂本 哲志君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (情報通信技術(IT)政策担当)

   (デジタル改革担当)

   (マイナンバー制度担当) 平井 卓也君

   国務大臣

   (女性活躍担当)

   (男女共同参画担当)   橋本 聖子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     井上 信治君

   財務副大臣        伊藤  渉君

   参議院庶務部長     加賀谷ちひろ君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君

   政府参考人

   (国家公務員倫理審査会事務局長)         荒井 仁志君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 湯本 博信君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            秋本 芳徳君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  正林 督章君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月四日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     福山  守君

  今村 雅弘君     岩田 和親君

  岩屋  毅君     井出 庸生君

  うえの賢一郎君    下村 博文君

  小倉 將信君     木村 弥生君

  佐々木 紀君     鈴木 貴子君

  古屋 圭司君     大岡 敏孝君

  村井 英樹君     大野敬太郎君

  今井 雅人君     落合 貴之君

  大西 健介君     黒岩 宇洋君

  川内 博史君     枝野 幸男君

  玄葉光一郎君     松田  功君

  本多 平直君     櫻井  周君

  森山 浩行君     菊田真紀子君

  太田 昌孝君     竹内  譲君

  濱村  進君     稲津  久君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     岩屋  毅君

  岩田 和親君     今村 雅弘君

  大岡 敏孝君     古屋 圭司君

  大野敬太郎君     木村 哲也君

  木村 弥生君     小倉 將信君

  下村 博文君     うえの賢一郎君

  鈴木 貴子君     白須賀貴樹君

  福山  守君     石破  茂君

  枝野 幸男君     川内 博史君

  落合 貴之君     谷田川 元君

  菊田真紀子君     森山 浩行君

  黒岩 宇洋君     大西 健介君

  櫻井  周君     山本和嘉子君

  松田  功君     関 健一郎君

  稲津  久君     濱村  進君

  竹内  譲君     太田 昌孝君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     村井 英樹君

  白須賀貴樹君     佐々木 紀君

  関 健一郎君     日吉 雄太君

  谷田川 元君     斉木 武志君

  山本和嘉子君     宮川  伸君

同日

 辞任         補欠選任

  斉木 武志君     今井 雅人君

  日吉 雄太君     堀越 啓仁君

  宮川  伸君     本多 平直君

同日

 辞任         補欠選任

  堀越 啓仁君     玄葉光一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和三年度一般会計予算

 令和三年度特別会計予算

 令和三年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

金田委員長 これより会議を開きます。

 令和三年度一般会計予算、令和三年度特別会計予算、令和三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井敏彦君、内閣官房内閣審議官時澤忠君、国家公務員倫理審査会事務局長荒井仁志君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、総務省大臣官房審議官湯本博信君、総務省情報流通行政局長秋本芳徳君、出入国在留管理庁次長松本裕君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君、厚生労働省医政局長迫井正深君、厚生労働省健康局長正林督章君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省社会・援護局長橋本泰宏君、農林水産省政策統括官天羽隆君、経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、国土交通省水管理・国土保全局長井上智夫君、国土交通省鉄道局長上原淳君、防衛省人事教育局長川崎方啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。よろしくお願いいたします。

 本日からいよいよ来年度予算案の審議が始まります。今回の予算は、コロナ禍を乗り越えるためにも、そして、その先の反転攻勢と次なる成長を図るためにも、非常に重要な意味を持つ予算であります。速やかに成立させ、国民の皆様方に一日も早く安心をお届けしたいというふうに思います。

 国内で新型コロナウイルスの感染の確認がされて以来、既に一年が経過しておりますが、残念ながら、いまだ収束の見通しが立っておりません。改めて、コロナで亡くなった方々への御冥福と、感染された方々へのお見舞い、そして、医療関係者の方々へ心から感謝を申し上げたいと思います。

 さて、こういうときにこそ、政治が国民に、総理の言われる安心と希望を届けなければならないというふうに思います。

 自民党の政務調査会では、今年一月十九日、昨年末からの感染者の急増を踏まえて、厳しい状況が継続するとのシナリオに沿った政策を整理した、新型コロナウイルス感染症収束に向けてのロードマップを取りまとめるなど、政府へ累次の提言を行ってまいりました。本日は、こうした提言の内容に即しまして、まず医療提供体制の在り方を確認したいというふうに思います。

 国民の生活や経済を揺るぎなく支えるとともに、そのための基盤となる質の高い医療を必要なときに受ける医療体制を堅持し、国民の命と健康を守り抜くことが最も大きな国民への期待に応えることであるというふうに思います。

 しかし、医療体制は逼迫し、ぎりぎりのところで医療関係者の方々は懸命な努力をされておられます。早急に新たな医療連携を構築していかなければなりません。同時に、コロナ診療と一般診療との両立をどう確保していくかが課せられた使命であります。

 コロナ禍における医療提供体制、とりわけ地域医療連携のあるべき姿に対する菅総理のお考え、決意をまずお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 新型コロナの感染が長期化する中にあって、必要な方に必要な医療が提供されることを、極めて重要であり、今まさに、今回の新型コロナ対策の要であると思っています。

 そのために、新型コロナ患者の病床確保に向けた医療機関への強力な支援、さらに、重症化病床の効率的な利用を可能にするための後方支援体制の充実、パルスオキシメーターの活用や地域の診療所による医療の提供などによる自宅療養者や宿泊療養者に対する適切な支援、こうした地域の医療資源を総動員をして、重層的、そして総合的な対応を進めることが大事だというふうに思います。

 御指摘の後方支援体制でありますけれども、これをしっかりと整備し、重症者用の病床の回転率、例えば二倍に引き上げることができれば、病床を二倍確保することと同様の効果となるなど、非常に重要な取組だと思います。このため、軽症化した患者の病院を、受け入れる医療機関に対して、昨年十二月より入院診療に係る診療報酬の加算を三倍に引き上げました。また、本年一月より更なる加算の算定を認めることにしたところであります。

 地域のそれぞれの医療機関が連携をし、そして役割分担をしながら、地域全体として様々な症状の方に適切な医療が提供できるような体制を自治体や医療関係者としっかり連携しながら取り組んでまいりたい、このように思います。

下村委員 個々の医療機関は、非常に頑張っておりますが、連携が十分取れていないところもたくさんあると思います。是非、政府がバックアップしていただきまして、それぞれの地方自治体、知事等、コントロールタワーになるように支援をお願いしたいと思います。

 続いて、ワクチンの接種について伺います。

 安全性に限らず、接種のスケジュールや手続などにつきまして、広く国民の皆さんに情報提供していくことがとても重要だと思います。近年、災害が起きると、被災地の要請を待たずに、プッシュ型の支援を行うという形が定着してきましたが、今回の情報提供についても同様にプッシュ型で行う必要があると思います。今までにない、やったことのない大きなプロジェクトです。国民の命と健康が懸かっております。

 既に政府や、あるいは河野大臣、ツイッターなどで努力をされていることは承知しておりますが、さらに、例えばテレビCMとか何でも、あらゆる手段を講じて、そしてより正確に、そして早めに発信をし、また、時には国民の皆さんに協力をお願いすることがあってもいいのではないかと思いますが、河野大臣にお伺いいたします。

河野国務大臣 おっしゃるように、ワクチンの接種につきましては、官邸にホームページを立ち上げ、また、ツイッターのアカウントでも情報発信をしているところでございますが、最初に接種を受けていただきます高齢者の皆様には、やはりテレビなどの媒体が有効なんだろうと思います。現在、テレビCM、テレビコマーシャルについても検討しているところでございます。

 御高齢の方がよく見てくださるテレビ、新聞といった媒体に効果や副反応の正確な情報を提供できるようにしっかり努めてまいりたい、国民の皆様に正確な情報をいち早くお届けできるように最大限努力してまいりたいと思います。

下村委員 同時に、今日も朝のニュースでやっておりましたが、地方自治体の皆さんが、国の方針がはっきり見えないのでどんな準備をしていいか分からないというような報道もありました。

 今回のワクチン接種を迅速、円滑に行う上で、現場を取り仕切る地方自治体、この役割が非常に重要です。現場が本当に大変だと思いますが、その上で、自治体に対する財政的な持ち出しをさせることがあってはならないと思います。これまでの経費の倍を見るということについて大臣が発信をされましたが、自治体が財政的な理由で必要な体制整備をちゅうちょすることがないように、また、自治体の財政力の差によってワクチン接種の進捗に差が生じることがないよう、国が万全の体制を取るべきと考えます。総理から改めて御発言をお願いします。

菅内閣総理大臣 ワクチンは、まさに感染対策の決め手となるものだというふうに思っています。現在、政府を挙げて、全ての国民の皆さんに安心して接種いただけるよう、徹底した準備を進めている段階であります。

 こうした中で、ワクチンの接種の開始時期については、できる限り二月下旬と申し上げてきましたが、一日も早くという思いの中で、懸命の努力を重ねて、有効性、安全性、これを確認した上で、二月中旬に接種をスタートしたいと考えています。医療関係者から始め、高齢者にも四月から接種を進めてまいります。

 また、実際のワクチン接種の実務を担うのはやはり市町村でありますので、国としては、できる限り丁寧な情報提供を速やかに行うとともに、財政力の違いで準備に支障が生じるような、こういうことはないように、接種に必要な費用は全て国費で負担をいたします。

 各自治体で万全の体制が確保できるよう、引き続いて全力で支援をしていきたい、このように思います。

下村委員 よろしくお願いいたします。各自治体も、それぞれの地域事情の中で、医師会等に相当協力していただかないと難しい、そういうエリアが多様性を持って存在をしております。総理からも是非、医師会に対して丁寧に依頼をしていただければというふうに思います。

 次に、経済対策であります。

 昨年四月の緊急事態宣言に続き、今回、十一都府県に緊急事態宣言が発出され、そしてさらに、一昨日、三月七日までの再延長が十都府県に課せられました。

 我が党でも、経済成長戦略本部を中心に提言を取りまとめ、一昨日、加藤官房長官に申入れをいたしました。しっかりとした経済対策をお願いしたいと思います。真に困っている方々のための緊急小口資金、総合支援資金等の貸付増額を求め、また、それぞれの企業に対する支援をお願いしたいと思います。

 その中で、一月の二十二日に発表された東京商工リサーチの調査によりますと、このコロナによる事業環境の変化に対応するため、既に事業再構築に取り組んでいる、あるいは検討している企業は約四七%に上り、規模別に見ますと、大企業が三八%、中小企業が四八%、特に飲食業や娯楽業では約八割の企業が事業再構築を目指しているとのことであります。

 こうした企業を支援するため、先般成立した三次補正予算では一兆一千四百八十五億円の事業再構築補助金が措置されました。まずはこの補助金をできるだけ早く執行することが必要と考えますが、加えて、より多くの困っている方々に必要な支援を届けるべく、事業規模に配慮した特別枠を新たにこの中に創設をすることによって対応してほしいということを、一昨日、政府に申し入れたところであります。

 今回、中小企業、中堅企業の新分野展開及び業態変換を積極的に支援していくに当たり、事業再構築補助金など、より柔軟に運用して適切に対応していただきたいと思いますが、梶山経産大臣にお聞きいたします。

梶山国務大臣 今回の緊急事態宣言の延長に伴いまして、飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動の自粛が継続をし、多くの中小企業の皆様が困難な状況に直面をしております。このため、与党の提言も踏まえまして、事業再構築補助金に特別枠を新設をすることといたしました。

 これは、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業等により、令和三年一月から三月のいずれかの月の売上げが対前年又は前々年の同月比で三〇%以上減少している場合に、事業規模に応じた支援を行うものであります。

 具体的には、中小企業の皆様が雇用している従業員数に応じて補助上限を段階的に最大千五百万円まで設定した上で、補助率は、中小企業は三分の二であったものを四分の三、中堅企業は二分の一であったものを三分の二に引き上げるものであります。

 さらに、特別枠では通常枠よりも迅速な審査、採択を行うとともに、特別枠で採択されなかったとしても通常枠で再審査を受けることを可能とするなど、柔軟な対応を、そして執行を行う予定であります。

 三月の公募開始に向けまして、早急に準備を進めてまいりたいと思っております。

下村委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 特に、今回、一日、緊急事態宣言エリアでは六万円、宣言以外のところでは四万円ということでありますが、事業規模によって、とてもそれでは対応できないというところに対して今回新たな対応策を考えていただいたということを感謝申し上げます。是非これを積極的に政府の方が発信していただきながら、関係の皆様方が更に元気になるような対応を是非よろしくお願いいたします。

 次に、雇用について伺います。

 企業の雇用維持の取組については、雇調金の特別措置を活用して休業手当の支払いを支援することが基本であると考えます。そうした中、雇調金の活用がままならない中小企業の労働者を早期に支援するために、特例的に休業支援金が創設されました。

 しかしながら、最近の報道によると、大企業の、特にシフト制の労働者に対し、休業手当の支払いがなされていないという実態が見受けられます。雇調金はシフト労働者についても活用することは可能であり、大企業に対して政府の雇用維持策の趣旨が十分に伝わっていないのではないかと思われます。

 大企業に対する支援は、改めてこうした趣旨を徹底することを基本にし、休業支援金の安易な拡充には慎重を期すべきであると考えますが、一方で、今般の緊急事態宣言下で、特に女性のパートやアルバイト労働者がお困りの状況を見ますと、特例的に対象者や期間を絞って休業支援金を大企業労働者に拡充することも検討してはどうかと考えますが、総理、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 休業支援金は、雇用調整助成金の活用がままならない中小企業の労働者を早期に支援をするために創設させたものであります。休業支援金を安易に大企業にまで認めますと、企業が休業手当を払って雇用を維持するという取組が行われなくなる、こういう懸念があります。

 また他方で、御指摘のように、大企業の中でも、パートやアルバイトなど、比較的企業との雇用関係が弱い立場の皆さんから、休業手当が受け取れず困っているとの声が寄せられているのも承知しております。こうした方々も含め、国民の雇用と暮らしを守っていくことは政治の責任であると考えます。

 このため、大企業にあっても、休業手当を受け取りづらい勤務形態の方については休業支援金の対象とすることとし、厚労省に検討を進めさせております。早急に具体的な対応を取りまとめさせたいと思います。

下村委員 ありがとうございます。田村厚労大臣、よろしくお願いいたします。

 また、この新型コロナウイルスの影響によりまして、非正規雇用、女性の方が厳しい状況に置かれておられます。雇用保険の対象にならない方向けの求職者支援制度がありますが、条件が非常に厳しく、活用していくのも大変だという声が聞こえてまいります。

 この機を捉えて、厳しい状況に置かれている方々が次のステップアップ、それにつながるような必要な見直しをこの際すべきではないでしょうか。総理にお伺いします。

菅内閣総理大臣 長引く新型コロナの影響によって、特に非正規雇用労働者の方の雇用情勢は大変厳しい状況にある、このように承知をしています。

 御指摘の求職者支援制度も活用しながら、政府としては、しっかりと再就職支援を進めていく必要があるというふうに考えています。

 このため、この制度をより活用しやすくする観点から、収入要件を緩和するなど、要件を弾力化するとともに、訓練を受けやすくするような職業訓練の多様化、柔軟化を図っていきたいと考えており、厚生労働省において早急に内容を検討させたいと思います。

下村委員 困難の中、これから更に前向きに頑張ろうという方々に対する支援については、是非背中を押してもらいたいと思います。よろしく、厚労省、田村大臣、お願いいたします。

 次に、菅内閣が進めるデジタル改革について伺います。

 デジタル社会の推進は、規制改革と成長戦略の両面から社会生活の抜本的な転換につながる大きな可能性を有しており、国民一人一人が安心してデジタル技術を利活用し、その利便性を実感することが必要であると考えます。我が党でも二度にわたる提言を平井大臣に行い、これを基に法案整備がされたというふうに承知をしております。

 アフターコロナの世界においては、こうしたデジタル改革の更なる推進が日本の未来の鍵を握っていると言っても過言ではありません。デジタル社会推進に関する総理の決意について伺います。

菅内閣総理大臣 今回の感染症では、行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れなど、様々な課題が浮き彫りになってきています。

 私は、思い切ってデジタル化を進めれば日本を変えることができる、そのように思いを強くしました。役所に行かずともあらゆる手続ができる、地方にいながら東京と同じような暮らしをすることができる、こうした社会を目指して、デジタル庁が司令塔になって、誰もがデジタル化の恩恵を最大限受けることができる、世界に遜色のないデジタル社会を実現したいと思います。

 デジタル庁は、この改革の象徴として、本年九月に創設をいたします。組織の縦割りを排し、強力な機能と初年度三千億円の予算を持った強力な組織として、国全体のデジタル化を統合するものにしたい、このように思います。

下村委員 是非お願いします。

 昨年の春、国民の全ての皆さんに十万円の給付金を支給するということを決めて、実際国民の皆さんの手元に届いたのは三か月も四か月もかかっている。これはデジタル化が大変遅れていたという証左でありまして、是非スピード感を持った対応をお願いいたします。

 今総理からお話がありましたが、デジタル庁を設置して、強力な、更に権限をここに付与したとしても、どんなすばらしい政策を打ち出しても、国民にとってその利便性が実感できないものであっては意味がありません。特に高齢者を中心に、社会のデジタル化の中で自分が取り残されてしまうのではないか、デジタル機器を十分に使いこなすことができるのか、不安を抱いている方もたくさんおられます。

 また、地方自治体の行政運営の効率化や住民生活の利便性の向上を進めるためにも、自治体間ではその予算規模や職員数に差があり、不安を抱えている地方自治体もたくさんあります。

 国民の皆さん、そして地方自治体におけるこうした不安をどのように払拭しようと考えているのか、平井担当大臣にお聞きいたします。

平井国務大臣 先生御指摘のとおりに、デジタル社会の構築に当たっては、誰一人取り残さない、全ての国民に利便性が享受できるようにするというのは大きなポイントだと思います。

 ですので、まず、今国会に提出する法案の中、デジタル社会形成基本法は、二十年間使ってきたIT基本法を廃止して、この後、我々が進めるデジタル化の基本原則を定めました。その中で一番重要なポイントは、アクセシビリティー、全ての皆さんがやはりアクセスできるようにするということ、そして誰一人取り残さない、人に優しいデジタル社会を日本流につくっていくということで基本方針も作らせていただきました。

 この誰一人取り残さないという意味では、いろいろなことをやらなきゃいけないと思っています。デジタル社会の隅々でサポートする人たちが要る。エストニアなんかも、同じように高齢化が進んでいますけれども、社会全体でそういうデジタル弱者を支援するということをやったと思います。今回、デジタル活用支援員等々の設置はその方向で今進んでいますし、あらゆる意味でトータルで社会全体を優しくしたいと思います。

 そして、自治体の問題に関して言いましても、これは非常に重要なところだと思います。自治体といっても、財政力とか人の問題とか、それぞれ違います。また、それぞれ地域においての政策の優先順位も違うと思います。

 そういう中で、今、ガバメントクラウドという考え方を自治体の皆さんと話し合っているところです。これから、やはりいろいろな制度設計とかシステムの維持管理とか、そういうものに関して、やはりマンパワーの問題もありますし、財政の限界もあるといったときに、国と連携することによって、例えば法律が変わったときに対するシステムの更新のコストが下がるであるとか、新しいサービスを実現するときのまたシステム構築というものが容易にできるとか、やはりクラウドという考え方をベースに、そこは自治体の皆さんを支援することができるというふうに考えています。

 そういう意味で、今、我々、共創プラットフォーム、デジタル改革共創プラットフォームを立ち上げまして、自治体の職員の皆さんと丁寧に対話を重ねるということを進めています。その上で、それぞれ皆さんが納得できる、地方と連携する標準化、またシステムの統一等々をやっていきたいと思っております。

下村委員 是非、自治体がばらばらの対応にならないように、早め早めに、これも政府の方がしっかりと自治体に対してメッセージ、情報を提供していただきたいというふうに思います。

 次に、将来に向けた経済成長の鍵となるカーボンニュートラルについて伺います。

 昨年の臨時国会において、菅総理は、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言されました。目標達成のため、政府はカーボンニュートラルで成長していく道筋、ビジョンを描き、そのビジョンを産学官で共有、連携し、革新的なイノベーションを起こすためのツールを準備することが求められます。

 政府は、カーボンニュートラル実現のため、十二月にデジタル成長戦略実行計画を策定し、今後重点的に取り組む十四分野の工程を示しましたが、実行計画に盛り込まれている事項を二兆円のグリーンイノベーション基金等を活用してどのように実現しようとしているのか、二〇五〇年までの道筋とともに、総理のお考えをお聞きしたいと思います。

菅内閣総理大臣 我が国の経済が再び成長していく、その鍵がグリーンだと思います。世界の脱炭素化の流れ、これが進む中にあって、もはや環境政策というのは、経済の制約でなくて、次の成長の原動力になる、このように考えます。私は、そういう考え方から、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言しました。これによって、これまでなかなか踏み切れなかった産業界も革新的なイノベーションに果敢に挑戦していただけるのではないか、このように考えています。

 この挑戦の目標を示すのが、今御指摘いただきましたグリーン成長戦略であります。洋上風力や水素などの十四の重要分野の実行計画を取りまとめました。そして、二兆円の基金や税制、規制改革、新技術を普及させるための標準化、国際連携など、まさにあらゆる施策を総動員して、民間企業等の大胆な投資とイノベーションを促し、産業構造の大転換につなげていきたい、このように思います。

 また、二〇五〇年カーボンニュートラルまでの道のりについてですけれども、エネルギー供給の在り方や地域の脱炭素化、こうしたものも含めて、社会経済の変革について幅広く議論を進め、結論を出していきます。

 本年十一月、COP26までに、二〇三〇年の削減目標も設定をいたします。さらに、民間企業や地域社会による具体的なプロジェクトを立ち上げることで、我が国の強みを生かしつつ、脱炭素社会の実現に意欲的に取り組んでいきたいと思います。

下村委員 是非、菅総理が先頭に立って、トータル的なリーダーシップを取って対応していただきたいと思います。

 今回のワクチン対応においても、多くの国民の皆さんは、日本にはすばらしい、優れた製薬会社がたくさんあるのにもかかわらず、なぜ国内におけるワクチン製造が遅れているのか、非常に不審に思っている方々もたくさんおられます。個々には企業が努力をされていても、トータル的な資金対応とかあるいは戦略性、あとは市場性が小さいということもありますが、残念ながら、ワクチン国内製造が遅れているところがあるのではないかと思います。

 同様に、今回の二〇五〇カーボンニュートラルについても、個々の企業はこれまでも相当な努力をされてはきましたが、今お話がありましたように、これはもう政府挙げて、産学官で、国家戦略として、なおかつ、これまで、環境とそれから経済というのはある意味では相矛盾する部分があって、なかなかその整合性が難しかったという部分がありますが、是非、しっかりと国がリーダーシップを取りながら、トータル的な戦略で進めていただきますようにお願いいたします。

 次に、人への投資について伺います。

 さきの経済演説で西村大臣は、人への投資、ヒューマンニューディールを掲げられました。すばらしいことだというふうに思います。それというのも、人材こそが、我が国の経済成長、発展を左右するという意味では、今後の肝になると思います。

 そこで、ヒューマンニューディールを掲げたそもそもの問題意識、基本的な考え方、全体像などについてお聞かせいただきたいと思います。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、先日の経済演説の中で、今は、感染拡大を抑えること、これを最優先に取り組んでいかなきゃいけないわけでありますけれども、と同時に、これまで我が国が長年抱えてきた、そして、このコロナを機に浮き彫りになった課題に取り組まなきゃいけない、そういうときであるということを申し上げました。

 そうした中で、今も御質問の中でありました、デジタル、グリーンと併せて、ヒューマン、人への投資、これを申し上げ、まさに民間の投資意欲あるいは創意工夫、これを引き出すと同時に、多様な人材の能力や発想、これが花開く社会にしていきたいということを申し上げたところであります。そうした観点で、政府の投資、ヒューマンニューディールによって、多様な人材の能力、発想が花開く社会にしていく。

 具体的には、新たな社会に適応した、まさにイノベーションを生む人材を育てていくこと、それから、多様な人材の能力、発想が存分に発揮されるための環境整備、働き方の改革などですね、それから、先ほど来あります、誰一人として取り残されない包摂的な社会の構築と格差へのきめ細かな対応、こういったことを総合的に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

 その際、有識者の意見を、見識を経済財政政策に生かす経済財政諮問会議というのがあるわけでありますけれども、人材投資やこうした働き方、まさにヒューマンへの、ヒューマンニューディールについて、未来を担う若い人たち、若者の声を是非お聞きをしたいと考えております。いわば若者諮問会議のような、そんな有識者会議を私の下に置いて、若い人たちの声をしっかりと受け止めながら、将来に向けての検討を深めていきたいと考えております。

 あわせて、多様な人材を登用していく上で、日本企業のまさに組織の硬直性の打破、これも重要な課題であります。コーポレートガバナンス改革を今進めているところでありますけれども、その中で、若者、女性、外国人、こういった活躍の機会を是非増やしていきたいというふうに考えております。

 私の下で既に設置しております企業組織の変革に関する研究会において、個人が組織に縛られ過ぎずに、自由に個性を発揮しながら付加価値の高い仕事ができるよう、日本の組織の変革に向けても検討を進めてまいりたいと考えております。

 今年がまさに、大変なときではありますけれども、日本の経済社会変革のラストチャンス、この思いを持って、ヒューマンニューディールについて関係大臣とも連携して取り組み、まさに、コロナで厳しいときではありますけれども、一人一人が未来の扉を開いて新たな一歩を踏み出す、そうした取組、勇気を是非全力で応援していきたいというふうに考えております。

下村委員 是非お願いいたします。

 デジタルと、それからグリーン、先ほどのカーボンニュートラルですが、それと三つ並べてヒューマンニューディールを掲げられたということはすばらしいことだと思いますが、これは西村大臣の下だけではなかなかやはり難しいと思いますので、是非、文部科学省や、あるいは厚労省もリカレント教育に関係していますし、職業訓練という視点からも関係していますし、他省庁と連携しながら、菅政権における大きな目玉の一つとして、国民の皆さんに期待をしていただけるような構想を具体的に是非つくっていただきたいというふうに思います。

 人への投資という意味では、子供たちの教育がまずは重要であります。まさに未来を背負って立つ子供たちに、それぞれの夢を実現し、社会を支え、世界と渡り合える力を身につけてもらうことが我が国社会の活力と繁栄にも直結すると言っても過言ではありません。そのような意味で、今回の小学校全学年三十五人学級を実現する政府の方針、改めて評価をしたいというふうに思います。

 今後、GIGAスクール構想によるICT活用とこの少人数学級を両輪として、全ての子供たちの可能性を引き出す新しい時代の教育の実現を図るためには、それを担う質の高い教師を確保することが重要です。また、日常的にICTを活用する新たな学びに対応した指導力、指導方針、これも転換していくことが同時に不可欠だというふうに思います。

 そのためには、今まで以上に一人一人の学校の先生方、教師に高い資質、能力が求められ、教師に求められる資質、能力自体もこれまでの時代と大きく異なっていく。そのために、学校の先生方の応援もしていかなければならないというふうに思いますが、同時に、これからの教員養成として、各大学や都道府県任せにするのではなく、国が先頭に立って優れた教員の養成、確保、保証等に取り組んでいく必要があると思いますが、萩生田文科大臣にお聞きします。

萩生田国務大臣 教師は子供たちの人生を変えるくらいに大切な価値のある職業であり、新たな時代の学校教育の成否はまさに教師の資質、能力に懸かっていると思っております。

 このため、先月、私の下に「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部を設置をしました。まずは当面の取組としてプランを取りまとめたところであり、具体的には、小学校の免許状の取得しやすい制度改正、それから社会人等多様な人材の活用、これは、先生も大臣をお務めになりましたけれども、昭和六十三年から、社会人に特別免許状を十年間交付して例えば英語の先生をやってもらう、理科の教員をやってもらうということを、仕組みはできているんですけれども、まだ千四百人程度しか採用されていないんですね。

 都道府県は、やはり、教職課程を学んでいない方が教育現場に入ることに対して非常に不安感を持っています。こういったものを払拭するための指針を明確に作って、大いに多様な人たちに教育現場に入っていただくことも取り組んでまいりたいと思います。

 あわせて、教育環境の変化を踏まえた教職課程の高度化や研修の充実。政調会長も教育学部の出身でいらっしゃいますけれども、あの頃の授業と今、ほとんど変わっていないんですね。これだけ世の中が変化しているにもかかわらず、教員を養成する教職課程で、例えばICTの授業は一単位しかマストになっていません。これだけICTが普及されている中で、一単位しか学ばなくても教員になれるというのは、これはもう時代に合っていないと思います。

 このGIGAスクールの構想を含めて、きちんとした大学はもうカリキュラムの見直しをどんどん急いでいますけれども、相変わらず旧態依然とした体制のまま新年度を迎えようという学校もあるわけですから、ここは文科省としてもスピード感を持ってしっかり取組をしてまいりたいと思います。

 また、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現する令和の日本型学校教育の構築に向け、学びの在り方が変わる中で、教師が再び子供たちの憧れの職業となるよう、プランにとどまらず、中長期的な実効性のある方策について、私自身が先頭に立ち、制度の根本に立ち返って大胆に検討を進めてまいりたいと思います。

下村委員 以前、田中角栄総理のとき、学校の先生に対しては、人確法、給与を大幅にアップすることによって、それだけ国が教育に力を入れて、そしていい先生を採る、そういうことをお示ししました。もちろん経済的な支援はしっかりやる必要がありますが、同時に、これまでのような教員養成では、新しい時代に十分、まず先生方がなかなか対応できないのではないかと今文科大臣からもお話がありました。

 特別免許状という、教員免許を持っていなくても、ある分野で優れた社会人について免許を交付する、それも実際は二百人もいっていません。こういう、多様性の中で学校現場にいかにいい人材を先生として送るかということに対して、しっかり考えていただきたいと思います。

 そして、このデジタル社会を生きていく上で、子供たち一人一人、誰一人取り残すことなく、そして学校、地域、家庭の事情を問わず、特にこれから創造性を育む教育を実施していくことが必要で、このため、学校ICT環境を整備するGIGAスクール構想、これを急速に進めてきたわけであります。いよいよ、今年の四月から学校におけるICTの本格的な利活用がスタートする。ほぼ全ての小中学生に一人一台タブレットが配付されたというふうに思います。個別最適な学びや協働的な学びなど、これまでにない新たな学びを実現していく必要があります。

 ハードはそろった。しかし、実際、ソフトはどうなのか。そのために、これから新たなその学び、旧態と同じような学びをしていったら意味がない、これから新たな学びをどう実現していくのか、条件整備が整う中で、国として今後の取組について、萩生田大臣にお聞きします。

萩生田国務大臣 文部科学省では、GIGAスクール構想に基づき、本年四月から一人一台端末環境での学びを本格的にスタートさせるべく、学校ICT環境整備を全国一斉に進めています。

 このGIGAスクール構想により、ICTを積極的に活用した授業改善はもちろんのこと、例えば不登校児童生徒や病気療養児に対するオンラインを活用した学習の円滑化や、緊急時における学校と家庭の間でのオンライン学習などを通じた子供たちの学びの保障をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

 その上で、さらに、学習用のデジタル教科書の普及促進や、児童生徒のスタディーログなどの教育データの利活用の促進を図ることなどを通じて、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実し、新たな時代にふさわしい令和の日本型学校教育を実現してまいりたいと思います。

下村委員 一人一台、小中学生はタブレットを配付されるわけですから、これを有効活用するために、持ち帰り等も認めて、それぞれ自分の興味、関心に合った勉強が家でもできるような形で、より、勉強に対する環境整備だけでなく、子供たちがそのことによって更に学ぶ意欲を高められるような環境整備を働きかけていただきたいと思います。

 次に、外交、安全保障分野でありますが、先月二十日、第四十六代米国大統領にジョー・バイデン氏が就任しました。バイデン氏は、オバマ政権下で副大統領時代、東日本大震災の被災地をトモダチ作戦の一環として訪問されておられます。折しも震災十年の今年、我が国が最も苦しいときの友人が米国大統領に就任したことに感慨深いものを覚えます。

 歴史を振り返れば、安倍総理とトランプ大統領との関係を始め、日米首脳間の個人的関係の濃淡、それが日米二国間関係に直結し、蜜月と呼ばれる強固な関係を構築してきました。日米の二国間関係と同盟の更なる強化のためには、菅総理とバイデン大統領との首脳間の関係構築が欠かせないというふうに考えます。先日の電話会談におきまして、ヨシ、ジョーと呼び合うことを確認したとも報じられております。加えて、総理とバイデン大統領は、地方議員出身、苦労人、スイーツ好き、共通項が多いというふうに思います。

 関係構築に向けました総理の意気込みについて、お聞きいたします。

菅内閣総理大臣 御指摘をいただきましたように、現在の日米関係というのは、かつてなく強固になっているというふうに思っています。この関係を更に強化する上で、首脳間の個人的な信頼関係の構築というのは極めて重要だと考えています。

 私自身、先般のバイデン大統領との二度目の電話会談で、中国、北朝鮮の地域情勢や、自由で開かれたインド太平洋、この実現に向けてじっくり議論ができたというふうに思っています。

 引き続き、バイデン大統領との個人的な信頼関係を深めながら、日米同盟の更なる強化に向けてしっかりと対応していきたい、このように思います。

下村委員 なかなか、今コロナ禍ですから、訪米するのもままならないというふうに思いますが、しっかり対応をお願い申し上げたいと思います。

 続いて、対中関係について伺います。

 近年、中国による不透明な軍拡、海洋進出、力による一方的な現状変更の試み、そのいずれもが一層顕著になっており、大きな危機感を抱いております。特に、尖閣諸島周辺海域では中国海警局の航行が常態化しており、昨年一年間の接続水域での航行は三百三十三日、過去最悪を記録しました。

 そのような中で、先週、バイデン大統領が菅総理に、ブリンケン国務長官が茂木外務大臣に、そしてオースティン国防長官が岸防衛大臣に対し、それぞれ尖閣諸島への日米安保条約第五条の適用を異例の早さで表明したことは、大きな外交成果であるというふうに思います。高く評価をさせていただきます。

 しかし、中国海警局のいわば第二海軍化は着実に進んでいるというふうに考えます。二〇一八年、中国海警局は、国家海洋局の傘下を離れ、中央軍事委員会の指揮下に編入されました。さらに、今月一日には、武器使用も含め、海警局の権限を規定する法律が中国で施行されました。今後起こり得る不測の事態に備え、海上保安庁の体制や、警察、海保、自衛隊の連携の在り方をいま一度検証し、体制や連携を不断に強化するなど、我が国の対応が急がれます。

 他方で、中国国内に目を転ずれば、チベット、ウイグル、香港等において深刻な人権侵害が生じており、決して看過できない状態です。我が党では、外交部会の下にPTを設置し、今後必要な対応を検討していくということで、昨日からスタートしております。この際、日本政府が、自由、民主主義、人権、法の支配など普遍的価値を共有する国々との連携を一層深め、中国側に対応を迫ることが必要であるというふうに思います。

 尖閣諸島周辺海域の航行を常態化させ、その機能や権限の強化をもくろむ中国にどう臨み、あるいは、チベット、ウイグル、香港等の人権状況についていかに改善を迫るか、茂木大臣に政府の姿勢について伺います。

茂木国務大臣 まず強調したいのは、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土でありまして、現に我が国はこれを有効に支配をしております。尖閣諸島をめぐって解決すべき、また議論すべき領有権の問題はそもそも存在しない、そのように考えております。

 しかし、その一方で、下村委員おっしゃるように、中国によります一方的な現状変更の試み、東シナ海においてもエスカレートしている、極めて遺憾に思っておりまして、昨年十一月の王毅国務委員訪日の際にも、我が国の立場、そして強い懸念について、このような行動を取らないよう強く申し入れたところであります。

 また、中国海警法につきましても、その運用が現場に与える影響を含めて、中国海警局をめぐる、先ほど来の御説明もありました動向を引き続き高い関心を持って注視をしておりまして、この法律が国際法に反する形で運用されることがあってはならないと考えております。こうした日本側の懸念は、昨日、日中の高級事務レベル海洋協議が行われましたが、その際にも中国側に明確に伝えているところであります。

 今後とも、日本の領土、領海、領空を断固として守り抜く、こういった決意の下、関係省庁また米国等ともしっかり連携をして、冷静かつ毅然と対応していきたいと思っております。

 さらに、中国をめぐる人権の状況、下村委員の懸念、完全に共有をいたします。我が国として、国際社会における普遍的な価値であります、自由、基本的人権の尊重、法の支配、中国においても保障されることが重要であると考えております。

 新疆ウイグル自治区に関しては、昨晩、私と岸大臣、日英の2プラス2、これも実施をしたところでありますが、そこでも話題になりましたが、重大な人権侵害が行われている、このような報告も数多く出されております。我が国としても、同自治区の人権状況について深刻に懸念をしております。

 また、国際会議の場においても関係国と緊密に連携をしておりまして、例えば、昨年十月の国連第三委員会において、香港、ウイグルに関する共同ステートメント、これが採択されたわけでありますが、日本はアジアから唯一これに参加をいたしております。引き続き、米国を含む関係国とともに、中国側にこういった人権の問題も強く働きかけていきたいと考えております。

下村委員 ありがとうございます。

 今、外務大臣がおっしゃったこの中国の海警法、これが国際法に反する形で適用されることがあってはならないわけでありますが、なかなか、我が党から見ていると、強い懸念というふうな形で、やや中国に対して腰が引けているようなイメージを持っている議員が多々います。これは、人権問題とそれから尖閣の問題を含めて、アメリカが日米安保条約第五条の適用を示したといっても、実際は我が国がどう対処するかが問われているわけでありまして、しっかりとした外交政策を対中国に対して対応していただきたいというふうに、人権問題と含めて、改めてお願いいたします。

 次に、日韓関係について伺います。

 最近は、音楽界でKポップが世界を席巻しており、我が国でも、NiziUをプロデュースしたJ・Y・パークさん、あるいはヒップホップグループのBTSなど、若者を中心に大人気です。韓国に好意を抱く日本人も多く、大いに歓迎すべきことだというふうに思います。

 しかし、国家と国家の関係は別物です。現下の戦後最悪とも言える冷え切った二国間関係は、韓国政府による度重なる国際法違反、さらには国際合意、約束のほごが原因と断じざるを得ません。

 特に、慰安婦問題の訴訟で日本政府に賠償を命じた先日のソウル地裁の判決は、国際法の主権免除の原則をも無視し、常軌を逸した判決であり、韓国は国際法が通用しない国という懸念が一般的にもうなりつつあります。

 慰安婦問題に加え、旧朝鮮半島出身労働者問題から竹島問題まで、韓国は国際法違反を繰り返しています。我が国としては、国際世論の形成に努めるとともに、国際司法の場で争うことも視野に準備を進めるべきであります。韓国側も、国際法や国際合意、約束を守る意思があるのであれば、国際司法の場に出ることに正々堂々と応ずるべきだというふうに思います。

 外務大臣に今後の対処方針についてお聞きいたします。

茂木国務大臣 重要な御指摘をありがとうございます。

 北朝鮮への対応を始め、地域の安定には本来、日韓、日米韓の連携が不可欠でありますが、最近の日韓関係、下村委員御指摘のように、旧朝鮮半島出身労働者問題やそして慰安婦問題などによりまして、非常に厳しい、かつてない厳しい状況にある、このように考えております。

 特に、委員がまさに御指摘されたように、先日の元慰安婦等によります対日訴訟判決については、国際的に規律をされております主権免除の原則、これを規律した国際法上も、一九六五年の日韓請求権協定、二〇一五年の日韓合意、これからも到底考えられない異常な事態が発生したと、極めて遺憾に捉えております。

 私から康京和外交部部長に電話をいたしまして、これらの点を指摘をした上で強く抗議するとともに、韓国が国家として国際法違反を是正するための措置を早急に講じることを強く求めたところであります。

 また、私が海外に行った際も、それぞれの国に対して、今どんな問題が起こっているのか、まさにこれは国際法に対する挑戦の問題なんだ、二国間の単純な争いの問題ではないということはしっかり説明をして、理解を得ているところであります。

 政府としては、こういった日本の一貫した立場に基づいて、委員からICJ、こういう話もありましたが、あらゆる選択肢を視野に韓国に適切な対応を求めていきたいと思っております。

下村委員 ありがとうございます。

 この韓国問題、中国問題、個々に対応するというよりは、今茂木大臣からもお話がありましたが、国際世論をいかに味方につけてといいますか連携をしながら、それぞれの韓国の問題、中国の問題を国際的な視点でほかの国にも理解してもらう努力を日本政府が積極的に更にしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 最後に、ウェルビーイング、幸福を実感できる社会に向けた取組について伺います。

 私は、GDPの拡大が重要なのは当然でありますが、全ての人がウェルビーイング、幸福を実感できる社会をつくり上げることが政治の役割だと考え、私が政調会長になってから、自民党の中に日本ウェルビーイング特命委員会を、これまでのPTから格上げいたしました。

 イギリスではブレグジット投票の前に実はこの主観的幸福度が下落していた、エジプトではアラブの春の前にこの主観的幸福度が下落していたというふうに、幸福度と政治経済は深く結びついているというふうに思います。

 こうした中で、世界では、国連でもOECDでもこのウェルビーイングという指標が、取り組んで、既につくっておりますが、ニュージーランドでは二〇一九年から、具体的に幸福予算と名づけ、ウェルビーイング重視の予算編成を行っております。コロナ禍にありまして、国民の視点で幸福を高める政策をどう実現するかが重要になっています。我が国においても、本格的にウェルビーイング重視の政策形成にかじを切るべきではないでしょうか。

 そこで、これまでのGDPから、国民一人一人のウェルビーイング、幸福、充実度、これを測る物差しとして、GDPからGDW、国民総充実度、新たな物差しとして考えたらどうかということについて、菅総理にお聞きいたします。

菅内閣総理大臣 下村委員が党においてこのウェルビーイングに関する取組を主導されてきていることに心から敬意を表します。

 GDPのような経済統計だけでなくて、社会の豊かさや人々の生活の質、満足度、これに注目していくことは極めて有意義なことだというふうに思います。その上で、菅政権として、一人一人が力を最大限に発揮し、互いに支え、助け合う、安心と希望に満ちた社会をつくることを目指しております。これは、まさにウェルビーイングの実現と考え方の方向性というのは同じものだと思っています。

 このためにも、まずは、足下の新型コロナの感染拡大を一日も早く収束をさせて、皆さんが安心して暮らせる日常を取り戻す、このことが極めて重要だと思います。

 その上で、グリーン社会の実現、デジタル化による利便性の向上、農業や観光による地方の皆さんの所得の向上、こうしたことの改革を進めていきたいというふうに思います。こうしたことによって、安心と希望をもたらす、まさにウェルビーイング、そうしたものにもつながっていくのではないかなというふうに思います。

下村委員 日本の自治体でも、独自にウェルビーイング、充実度、幸福度を高めるための指標をつくって対応しているところもあるということについて御報告いたします。

 このウェルビーイングの観点で、価値観を変えることが重要な分野の一つが教育であります。

 二〇一八年にOECDが高校生を対象に実施した国際調査で、人生の意義や目的を持っているかどうかという質問に対して、日本は、七十四か国中七十四位、つまり最下位でした。一方で、同じ調査の、学校をサボっていないかという質問に対しては、日本は、サボっていないということではトップであります。このように、ウェルビーイングの視点で見ると、日本の高校生は、世界で最も真面目でサボっていない、しかし、世界で最も人生の目的意識がないという、切なく、つらい現状があります。

 一人一人が幸せになるための教育という観点から大胆に日本の教育を再検討していくことが重要だと思いますが、文科大臣にお聞きします。

萩生田国務大臣 社会の在り方そのものが大きく変化する時代にあっては、幼児教育から高齢期までの生涯にわたる一人一人の可能性とチャンスを最大化するため、次世代の教育を創造していくことが重要です。

 委員御指摘のとおり、ウェルビーイングを大切にした教育という視点は極めて重要であり、文科省としても、夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成することを基本的な方針の一つとして教育を進めているところです。

 具体的には、学校教育において、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生のつくり手となっていけるよう、答えのない課題に対して、多様な他者と協働しながら目的に応じた納得解を見出すなどの力を、また、道徳教育では、考え、議論する道徳へと転換を図り、自己の生き方を考え、他者とともによりよく生きるための力を、さらに、キャリア教育では、職場体験活動などを通じて、学ぶことと自己の将来のつながりに見通しを持ち、社会的、職業的自立に向けた力を育成しています。学校卒業後については、刻々と変化する社会に対応するため、必要な知識やスキルを身につけるよう、社会人の学び直しも推進をしています。

 ウェルビーイングの視点を大事にしながら、今後とも、誰もがそれぞれの能力を最大限伸ばし、一人一人が夢と志を持って様々な分野で幸せを実感しながら活躍できる教育政策の一層の充実に努めてまいりたいと思います。

下村委員 時間が参りましたので、終わりにしたいと思います。

 最後に、菅総理にエールを送りたいと思います。

 総理就任以来、本当に一日も休まる日もなかった日々だったのではないかというふうに思います。総理になった人しか分からない重圧がある中、日々大変な御努力をされておられると思います。しっかり、自民党、我々、全力で総理を支えてまいりますので、国民の安全、安心、そして国民の幸せだけを考えて、思い切ってやっていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

金田委員長 この際、橋本岳君から関連質疑の申出があります。下村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。橋本岳君。

橋本委員 自由民主党・無所属の会の橋本岳でございます。

 三十分お時間をいただきまして、質疑をさせていただきます。

 さて、今日、二月四日でございますけれども、ダイヤモンド・プリンセス号の横浜入港から一年がたった、二月三日に入港ですから、そういうタイミングでございます。

 ちょうど一年前の今晩に、検疫で最初のPCR検査の結果が出て、三十一名中十名だったということで、夜中に、当時の菅官房長官、あるいは加藤厚生労働大臣、それから赤羽国交大臣もおられたと思いますが、ミーティングをし、そこで船内で検疫をするということを決めました。その場の末席に私もおりまして、副大臣としておりまして、その後、乗船をして対応に当たるということにもなったわけであります。

 このオペレーションは、新種のウイルスを国内に無秩序に流入をすることを防ぐという目的で行われたものでございますが、ただ、やはり残念なことに、出発国に戻られて亡くなられた方も含めて十四名の方がお亡くなりになっておられますし、また、多くの方々が感染をして入院をされる、また、そうでなくても不自由な生活を強いるということになりまして、誠に厳しい現場でございました。

 改めて、お亡くなりになりました方に御冥福をお祈り申し上げますとともに、御関係の方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。

 その上で、この対応につきましていろいろな御評価をいただいております。政府において改めて検証されるというふうになっておりますし、私自身もその検証をまつ身だと思っております。

 ただ、現時点でも言えることを一つ申し上げるとすると、その三千七百人が乗るクルーズ船が稼働して、今止まっていますけれども、いたわけです。それを、感染症が拡大をするかもしれない、その場合、検疫をきちんとしなければいけないという状況というのは考え得たとは思うんですが、それに対しての準備というものができていなかったということは今でも言えるんだろうと思っています。それは、人員体制であったり施設だったり、いろいろあるかもしれません。

 ここは一つ総理にお尋ねをしたいんですが、やはりこのダイヤモンド・プリンセス号の検証ということは既に政府から御答弁はありますが、検証した結果をきちんと次に備えて準備をする、二度同じことをしないで済むようにするということがすごく大事だと思うんですが、是非そのことについてひとつお考えをお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 まさに手探りの状況で、深夜、急遽参集してこの対応策が始まったことを今振り返っているところであります。

 この事案については、私は当時官房長官であり対処したわけですけれども、乗員乗客合わせて三千七百名を超えている、そして、検疫事案として過去に例のない大規模なものであると同時に、重症化リスクの高い七十歳以上の高齢者が千二百名以上と、医療面でも厳しい対応が迫られたものでありました。

 また、クルーズ船内という閉じられた空間で、かつ、乗客同士の接触も多く、感染が広がりやすい環境であったなど、初めてこのウイルスと戦う中で大きな困難を伴うものであったというふうに思います。

 こうした中に、感染リスクが高い乗員乗客を安易に国内に入国をさせるわけにもいかず、一方で、これだけの人数を停留させる施設の確保も困難な中で、船内で検疫を行うという極めて異例の対応をさせていただきました。

 こうした多くの困難を伴うものでありましたが、関係者の皆さんの必死の努力によって何とか検疫を成し遂げ、かつ、国内への感染拡大を防ぐことができたと考えています。

 特に、議員におかれましては、船内に入り、感染リスクにさらされながら、まさに最前線でこの陣頭指揮に当たってこられましたこと、改めて御労苦に感謝申し上げます。

 御指摘のように、こうした対応についてしっかり検証して次につなげていく、このことについては極めて大事なことであるというふうに考えています。政府として、現在、緊急事態宣言を発出をし、新型コロナの収束に向けて全力で取り組んでいるところでありますが、今後、次の新たな感染症に備える意味でも、しっかりした検証を行って、その結果を踏まえ、必要な対策を講じることが大事だというふうに思っています。そういう思いの中でしっかり検証していきたいと思います。

橋本委員 しっかり検証し、必要な対策を取ることは重要ということでございます。是非、これはみんなで協力をして、しなければいけないことだと思います。

 この対応におきましては、DMATだとか日本医師会のJMATでありますとか、あるいは政府内でありますが自衛隊さんですとか、いろいろな方々の御支援があって成し遂げることができました。御協力いただいた皆様に深く感謝を申し上げたいと思います。

 また同時に、ダイヤモンド・プリンセス号の乗員、クルーの方々、この方々が、自分たちも感染リスクを持ち、その不安を持ちながら、しかしながら、責任感とホスピタリティーを持ってしっかりと業務を果たし続けていただいた、このことによって私たちの検疫が何とかやることができたと思っております。このことにつきましても、心から感謝を申し上げますとともに、是非広く国民の皆様方にお伝えをしたいと思っております。

 ただ、政府として対応する身からすると、そうしたクルーの責任感に頼ってやらなきゃいけなかったということは、当時ほかに手段がなかったからやむを得なかったとは思いますが、やはり二度同じことをすべきではないと思います。もう絶対やりたくありません、あんなこと。そういう意味でいうと、やはり、どんな準備をするのかという、次に備えるということが大事だと思いますので、改めて繰り返させていただきたい。

 そして、実は、大事なことは、今国内でも似たような状況というのが起こっているんだろうと思っています。例えば、私の地元倉敷市でも幾つかの高齢者施設でクラスターが発生してしまいました。本来であれば入院をさせなければいけませんが、入院が逼迫をしているということで、施設で受けなきゃいけないという状況というのが起こっていますが、例えば介護施設の従業員の方々、本来であれば感染症の患者の人を施設に置いておくということは想定されていない。にもかかわらず、でも、やはりそこに利用者さんがいるんだから自分たちがきちんとケアをしなきゃいけないということで頑張っていただいているんだろうというふうに思っていますし、私たちはそのことを常に忘れてはいけないんだろうと思っております。

 そういう意味で、ここは厚生労働大臣にお尋ねをしたいんですが、そうしたエッセンシャルワーカーと呼ばれている現場に立っておられる方々に対して、処遇の話もあるんですけれども、それだけではなくて、しっかりと例えば専門家がいて知識を学ぶことができる、あるいはPPEのような個人を防護する手段を持たせる、そうしたことはすごく、適切に対応していくことは大事だと思うんですが、そのことについて是非お考えをお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 ダイヤモンド・プリンセス号、大変だったと思います。そもそも動線を、レッドゾーン、グリーンゾーンというような、そういうことを分けることを前提に造られていない、場合によっては非常に狭い通路もある中で、感染管理、制御をしていただかなきゃならない。大変な御苦労の中、本当にたくさんの皆様方が対応いただいてあのようなオペレーションを実現をいただいたということで、改めて関係者には心から御礼を申し上げたいというふうに思います。

 介護施設も、今言われたとおり、本来は入院をしていただくということが前提、それは、高齢者ですから重度化する可能性がありますので。しかし、今現状、病床が逼迫する中で、重症者は入院するにいたしましても、そうでない方々は介護施設等々に残られるという場合があります。

 その場合に、これは同じ理屈、理屈といいますか、同じことなんですけれども、やはりしっかりと感染管理をしていかなきゃならない。そのためには、感染管理の専門家を派遣をして、しっかりその部分、対応していただかなきゃならない。同時に、診療といいますか、診断、また健康管理しなきゃいけない方々もおられると思いますので、医師や看護師、医療関係者の確保もしなきゃなりません。

 あわせて、中で働いている方々も感染という形になると、働いている方々が足らなくなりますから、それの確保もしなきゃいけない。PPEのような物資もしっかり確保しなきゃならない。こういうことを、もし施設内で感染が生まれた場合にはしっかり対応するということが大事であります。

 あわせて、ふだんからいろんな対応が必要でありまして、そういう意味では、例えば、そういう感染防止のためのマニュアル、それから、どちらかというと動画なんかの方が見やすいので、そういうものの作成をしながら、実際問題、そういうものをしっかりと中で学んでいただく。そして、シミュレーションしていただいて、それに対してのいろいろな対応もいただく。さらには、専門家を派遣をしながら、平時でありますけれども、そこでいろんな研修をしていただいて知識を持っていていただく。

 こういうことをやるということが大事でありまして、基本的対処方針の中でも、高齢者施設の感染防止、これを徹底するということが書かれております。

 これからもしっかりと厚生労働省、対応してまいりたいというふうに考えております。

橋本委員 今、現に起こっていることですし、これは、例えば慢性期とか精神科の医療機関とかでも同様のことがあろうと思います。是非しっかりと、引き続きお願いをします。

 続きまして、ちょっと次のテーマということで、PCR検査の精度管理という点についてお伺いをしたいと思います。

 PCR検査というのは、ここ一年で本当に、全ての国民の方が、それまで聞いたことがなくても聞いたことがあるようなキーワードになりました。感染の有無の確認だけではなくて、陽性になったということになれば、そこから入院なり自宅療養なりをしなきゃいけないということで、生活に大変大きな影響があるという中で、当然ながら、その結果が正確である、要するに、精度を高くしていくということがとても大事だということは論をまたないと思うんです。

 その精度管理にも、自分たち、施設ごとに行う内部の精度管理、その上に、それを客観的に外部からの評価を受ける外部精度管理という方法がありまして、一般の方々からすると、外部精度管理、外部の目が入った、ちゃんと施設で検査をしっかりやっていますという方が安心できるということは言えるんだろうと思います。

 今、厚労省に聞いたところによりますと、新型コロナウイルス感染症に関してPCR検査を行っている機関が、医療機関だとか地衛研だとかいろいろ、二千施設ほどあるというふうに伺っておりますが、ここは政府参考人にお尋ねをしますが、では、その二千か所のうち、外部精度管理を受けている機関、施設、何施設ありますか。

正林政府参考人 お答えします。

 厚生労働省が把握している限りでは、新型コロナウイルス感染症に係るPCR検査を行う検査機関としては、民間検査機関や医療機関、地方衛生研究所など、合わせて千九百三十五施設であると承知しています。

 このうち五百六十三の施設が当省の事業である新型コロナウイルス感染症のPCR検査等の外部精度管理調査事業に参加していることから、これらの施設においては外部精度管理が実施されていると承知しています。

 また、当該事業に参加していない施設においては、実施されているかどうかは承知しておりません。

橋本委員 ですから、五百六十三は厚労省の事業でやっていますが、それ以外はよく分かっていないというのが現状なわけであります。

 それは、去年、私が副大臣でおった時代から、おったときにはその事業をやっていなかったので、いやいや、それは問題であろうという指摘をしておりましたところ、厚生労働省で今御紹介のあった新型コロナウイルス感染症のPCR検査等の外部精度管理調査事業というのをやっていただきました。

 その結果として、五百六十三施設に調査に御協力をいただいたわけでありまして、昨日、エグゼクティブサマリーという報告書のサマリーをいただきましたけれども。例えば、その結果によりますと、様々な装置、試薬、手技の組合せがあって、大きな検出感度の違いが施設によってあるということであるとか、導入時に精度だとか検出限界、検出感度についての測定性能評価の実施率が低いというふうに書いてあるとか。あるいは、外部精度管理の、この事業でやっているわけですけれども、結果として正答率が九六・四%から九九・八%だった、これは報告としては総じて良好だったという評価になっております。ただ、九九・八%って高いんですけれども、千人に二人は間違えるということでもありまして、そういうものなのだと考えなきゃいけないということだったりする。そのほか、再現性不良が一・三%から五・三%あったなどなど、様々結果が出ているわけでありまして。これは、この結果は結果ですから、これを今後に生かして、きちんと精度を高めていく取組をしていくということが大事なんだろうと思っているわけであります。

 これは単年度の予算事業なんですが、この結果について、今後、どのように展開をしていくのか。五百六十三の施設が参加ですから、残り千四百幾つだかの施設は参加していない、そこにちゃんと展開をしていく必要があると思いますし、また、事業としての外部精度管理を、厚労省としてやはり引き続きもっと多くの施設に参加していただく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

正林政府参考人 お答えします。

 新型コロナウイルス感染症のPCR検査等の外部精度管理調査事業については、昨年十月三日から本年一月十三日にかけて、医療機関、行政機関、衛生検査所、大学等五百六十三施設を対象に調査を行い、調査結果や検査を行う際の留意点の概要等を含む精度管理事業の報告書の概要版を昨日公表したところです。今委員から御説明いただいたとおりです。

 今後、調査結果等を踏まえて策定する精度管理マニュアル、これが取りまとまり次第、速やかに公表したいと考えています。

 また、まだまだ参加していない検査機関に対しても、できるだけ参加するよう、声をかけていきたいと思っています。

 本事業に関しては、先般成立した第三次補正予算で〇・八億円を計上しており、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

橋本委員 淡々と質問はしておりますけれども、実は、PCR検査の精度の管理に国が、この事業はやっていますけれども、それまでちゃんとコミットしていなかったということというのは、一般の国民の方からするとかなり驚きなのではないかなというふうにも思うわけであります。だって、PCR検査が陽性か陰性かというのは物すごい人生にも影響がかかるような話だったりするものが、もちろん個々の施設でそれを高める努力はしているとは思いますけれども、余り、実は二年ぐらい前までは法律上の根拠もなかったみたいな状況だったりするので、やはり今後高めていくことが必要なんだろうと思っています。

 また、さらに、やはり今後のことを考えれば、もちろん国民の安全、安心ということもあるし、あるいは国際的に、今、水際の交流というのはなくなっていますけれども、感染が収まってそういうことができるようになった、そのときに、陰性証明を出すみたいなときに、我が国の出す陰性証明というのはどのぐらいちゃんと精度管理しているのかということは、国際的にも大変大事なことだと思っています。

 そういう意味で、例えば、国だとか公的機関みたいなものが、そうしたものをちゃんと受けているという機関に対してマークを出すみたいな、そうした認証をするといった、そんなことも展開としては考えられるし必要なんじゃないかと考えますが、厚生労働大臣のお考えをお尋ねします。

田村国務大臣 衛生検査所のPCR検査等々、行政機関でもやっておりますけれども、そういう意味では、外部精度管理というものをやっていただいているところは多々あるんだと思うんですが、PCRの外部精度管理をやっていたかどうかというのは我々もしっかりと把握していなかったということで、多分、そういう意識を副大臣当時、橋本委員がお持ちになられて、これは何とかしなきゃいけないということで号令をかけていただいて、今回のこの外部精度管理の調査に至ったんだというふうにお聞きをいたしております。

 実際問題、PCR検査自体、今言われたとおり、装置も違えば試薬も違うし、手技、手法も違うということで、いろんなやり方があるわけでありまして、その中で一定の精度、品質を確保していかなきゃならないということでありますので、内部精度管理も必要でありますけれども、外部精度管理というものをしっかりやらなきゃいけない。

 今回の調査というのは、そういう意味では、一つ大きな意味合いがあったと思いますし、これからもこれを続けていきながら対応していきたいと思いますが、ただ一方で、他の外部精度管理をやっておられるところもあります。そういうところとどういう整合性を取るかということも考えなきゃなりませんので、やはり、しっかり外部精度管理するための一つの指針みたいなものを作った上で、外部精度管理しているところがちゃんとそれにのっとっているかということがまず分からないと、そもそもそこが駄目だったら精度管理の意味合いがなくなってくるわけでありますから、なかなかちょっと複雑なところはございますが、言われておられる意図というもの、そのお考えは、もう我々も十分に分かっておりますので、何らかの対応をしながら、日本のPCR検査の精度、これをしっかりと高めていけるように頑張ってまいりたいというふうに考えております。

橋本委員 PCR検査、今はPCRじゃなくてほかの検査も出ていますけれども、本当に、量は大丈夫なのかということがすごく議論されました。今でもあります。やはり質も大事なので、是非この点につきましても引き続きお取組をいただきたいと思います。

 さて、ちょっと質問順を変えさせてください。ここで、医師の働き方改革の話を続けてしたいと思います。

 やはり、何で病床が逼迫しているのかという議論というのはあります。いろんな理由があると思いますが、一つは、平時から、元々、特に病院勤務医の方の労働時間が長くて、だから働き方改革というのをやらなきゃいけなかったわけですけれども、その余裕が少なかったということも一つ言えるのではないかとも思っておりますし、そういう意味で、やはり医師の働き方改革をできれば平時から、あるいはタスクシフティングなんかも含めて進めていくというのは大事なんだろうと思っておりますし、先日、その関連で医療法等の改正案が閣議決定をされたというタイミングでもございます。

 ただ、この医師の働き方改革の議論というのは、地域の医療を実際担っておられる方々からはすごく懸念の声がありまして、上限時間の規制をすることによって、地域の医療機関で医師の派遣だとか副業、兼業によって成り立っている病院、医療機関があるので、そうしたところに医師の引揚げが起こってしまって成り立たなくなるのではないか、こうした懸念の声をたくさんいただいておるわけであります。

 実際に、ある同僚議員が要望して、文部科学省さんに、医師の派遣を主に行っているのはやはり大学病院が主ですから、大学病院に対してアンケートを行いまして、上限時間の特例を今度設けるということになりますが、その特例の申請予定を尋ねていただきました。昨日、その結果をやはり文部科学省さんからいただいたんですが、八十一大学病院を調査対象として、医師の派遣元の医療機関を想定した連携B水準というものの申請の予定は、実は三十六病院しかなかった、半分以下だったということが昨日判明をしたわけであります。

 このままでいくと、地域の方々の懸念というのは全く払拭されない、大学病院が連携B水準を取ってくれないともう派遣できなくなるんじゃないか、みんなどきどき心配をしているわけであります。そういう意味で、この文部科学省さんのアンケートの結果について、厚生労働省さんとしての受け止めを大臣にお尋ねします。

田村国務大臣 おっしゃられた連携B水準、要するに医師の労働時間の特例という形で、本来、時間外勤務、超過勤務は九百六十時間でなければならないところを千八百六十時間というようなところまで、これは地域の医療を守るということで、そもそも大学病院なら大学病院では九百六十時間以内なんですけれども、その方々が他の医療機関、地域の医療機関に、それこそ、言うなれば派遣のような形で働くというような形で地域の医療が何とかもっているという現状がある中で、全体で千八百六十で収まる、もちろん一医療機関は九百六十以内でありますけれども、そういうようなものでありまして、これは大変重要であります。

 大学病院で今言われたような状況であるというのは我々もショックでございまして、まだ十分に意図が伝わっていない。そもそも、一医療機関で例えばこの連携B水準しか取れないというわけではなくて、本来の九百六十時間の働き方もできるわけでありまして、そこは複数の時間勤務というものは取れるわけでございますので、そういうこともしっかりと我々周知をさせていただいて、早くやらないと、期限が来ますと、それこそ労働基準法違反という話になってまいりますので、そうならないように再度周知をさせていただきながら、早くこの特例の水準、これを手を挙げていただけるように、我々としても努力をしてまいりたいというふうに考えております。

橋本委員 意図が伝わっていないのでしっかり伝えていきたい、それはもうそうなんだろうと思いますので、是非お願いしたいんですが。

 ただ、そもそも医師の働き方改革というのは、ルールを作って守らせるというのが目的なわけではなくて、当然ながら、長時間労働だった勤務医の方々に対して、仕事と家庭だとか健康だとかの両立ができるようにするということが本来の目的なわけでありまして、その実現のためには、単に意図を普及させていくだけではなくて、支援というのはやはり要るんじゃないかと思っております。

 特に、女性の医師も増えてきております。そうしますと、単に処遇をしかるべくするというだけではなくて、院内保育あるいは病児保育みたいなことを大学病院の中とかでできるようにする、そうした環境を整えることも大事であります。

 これは、医師だけではなくてほかの医療職の方々あるいは事務の人もですけれども、そういう勤める方々にも助かる話ですし、また、病院の臨床の運営というだけではなくて、研究を更に加速をしていくという意味でも意味があるんだと思っておりまして、単に厚生労働省さんの話だけではなくて、大学病院について言えば、文部科学省さんにもやはりそうした気持ちは是非持って御支援をいただきたいと思っております。

 そういう意味で、厚生労働省、文部科学省、両省協力をしながら、それぞれがきちんと御支援を様々な形でいただきたいと思っておりますが、厚生労働大臣、文部科学大臣のお考えをお聞かせください。

田村国務大臣 やはり仕事と家庭の両立は大変重要でありまして、それができないと質の高い医療も提供できないということであります。

 厚生労働省、文科省としっかりと連携しながらその部分を対応してまいりたいというふうに考えておりますが、そういう意味では、診療報酬でありますとか基金でそういうような、例えば救急が多くかかったりするようなそういう医療機関に対してはしっかりと支援をしながら、医療機関側もそういう体制を組めるようにというようなことも、これは検討する中において対応させていただいております。

 これからも文科省としっかり連携してまいりたいというふうに考えております。

萩生田国務大臣 先生御指摘のとおり、医師の働き方改革は、長時間労働を是正し、医師の健康確保とワーク・ライフ・バランスを図る上で重要であり、大学病院においても取組を推進することが必要です。

 文科省では、これまでも、タスクシフトなどの医師の労働時間の短縮に寄与する各大学病院の好事例を収集し、病院長が集まる会議などの場で周知を図るなど、各大学病院の取組を支援してまいりました。

 地域医療に支障が生じないように進めることが重要でありまして、文科省においても、地域の医療機関への医師派遣に係る時間外労働時間の特例、今御指摘のあった連携B水準ですね、これについて大学病院への周知を改めて図ると同時に、厚労省ともしっかり連携しながら大学病院の取組を支援してまいりたいと思います。

橋本委員 大学病院つながりで、もう一つ萩生田大臣にお尋ねをしたいと思っております。

 新型コロナウイルス感染症に関しまして、文部科学省では、国立大学附属病院に新たな施設整備を進める予定というふうに伺っておりますが、是非、大事なことだと思いますので、具体的な取組と大臣の意気込みを伺いたいと思います。

 また同時に、私立の大学病院もあります。そちらへの御支援も是非お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 高度な医療を提供することができる大学病院は、重症患者を始め、また今回のコロナに対しても、まさに重要な役割を果たしていると思います。

 このため、コロナ禍及び今後の新たな感染症の流行の不測の事態が生じた場合でも、地域医療の最後のとりでである国立大学附属病院がその機能、役割を一層発揮するとともに大学の教育研究機能を引き続き確保できるように、フレキシブルに活用できるスペースを確保するための事業を実施することとし、三次補正でお認めいただきました。

 具体的には、感染症の流行時において、院内感染リスクの軽減のため、来院する患者を感染者とそれ以外の患者に振り分けるとともに、平常時には多様な活用ができるフレキシブルな施設を整備するものです。

 今回、コロナの対応のために、各大学病院が駐車場などにテントを張ったり、プレハブなどで対応していました。一般の外来者との動線を変えるというのは非常に難しかったので、あらかじめそういう施設を箱として造って、そして万が一の場合に備えていく、こういうものを造らせていただく予定でございます。もちろん陰圧室にしてありますので、こういったことが起きたときには直ちにそちらを空けて感染症対応ができるような形にしていきたいと思います。

 総理も、これは早く進めることができないかということを御指示いただいておりまして、補正予算では国立大学で手挙げで対応させていただきますが、私立大学の附属病院も同じ役割を果たしていただいておりますので、今後しっかり検討して必要な支援策を講じていきたい、こう思っております。

橋本委員 今、施設についてそうしたサポートをされるということで、私立大学病院も含めて是非お願いしたいと思いますし、先ほど来申し上げていますように、人への投資も是非お願いをしたいと思います。

 ちょっと幾つか質問を残しておりますけれども、時間でございます。上川大臣、平井大臣、申し訳ありませんでした。

 終わります。

金田委員長 この際、大野敬太郎君から関連質疑の申出があります。下村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大野敬太郎君。

大野委員 自由民主党の大野敬太郎でございます。

 まず、私の方からも、初めに、医療機関を始め、社会を回すために全力で戦っていただいている皆様方に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。我々、国会としても全力で支えてまいりたい、そんな思いを含めて、今日は質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、ワクチンについて伺いたいと思います。

 先ほど我が党の政調会長からもお話がありましたとおり、このワクチンについては、非常に大きな関心が寄せられている一方で、不安も寄せられているということでございます。まずは、政府におかれましては、全力でこの不安払拭に努めていただきたい。そのためには、やはり情報の発信というのに努めていただきたい。

 一方で、情報の発信と言いましたけれども、情報を発信するためには情報を把握していないといけない。情報を把握して、そして分析できるからこそ、発信が適宜適切にできるということであります。

 そこでお伺いさせていただきたいのが、現時点で、接種現場の接種状況、個人単位で、例えば、どこでどの範囲で何人ぐらいが受けていて、そして副反応が出たのか出ないのか、こういった、ある種、統計情報になると思いますが、これを把握するシステムを政府は持っていらっしゃるのかどうか。まずは、この点について河野大臣に伺いたいと思います。

河野国務大臣 個人の接種に関する情報を把握するためのシステムの構築を始めたところでございます。

 これは、現在自治体が進めている接種台帳のシステムや厚労省のV―SYSとは全く独立したものを新たに今構築をして、個人の接種状況を把握する、一回目と二回目の間に転居されたり、あるいは居住地でないところで接種された方、そうした方の情報をしっかり入手をする、あるいは接種券をなくした場合への対応、そうしたことができるようにしてまいりたいと思っておりますし、また、日々の接種状況などについても、きちんとお知らせをするためのデータを取るということにも使えるのではないかと思っております。

 また、副反応につきましては、これは医療機関などからPMDAに対して情報が上げられることになっており、厚労省の方で審議会を開催し、都度情報が公開される、そのような状況になっております。

大野委員 ありがとうございます。

 今後、結構計画どおりにならないことというのは様々出てくるのかもしれません。その可能性はあるんだと思います。そういったときに、これはワクチンのオペレーションだけに限らないわけでありますが、まず一番目にやらなくちゃいけないことは、やはり状況の把握なんだと思うんです。状況の把握ができないと当然対処ができないということですので、是非、情報発信とともに、その部分について、これは先ほどの橋本先生のお話にもつながってくると思いますけれども、予測をしていくこと、リスクのマネジメントとかクライシスマネジメントとか言いますけれども、この部分、是非、御注力していただきたいと思います。

 調達の状況について伺いたいと思います。

 結構ワクチン自体の調達については注目が集まるんですけれども、接種のためには、注射器とか冷凍、冷蔵ボックスとか、そういったサプライ品というのが非常に重要だと思うんですけれども、まず、この現在の調達状況についてお示しいただければと思います。

 また、仮に、もう今、全国民分を調達しているんだということなのであれば、これはある種、長期戦、長丁場になってくる可能性もありますので、そういった場合に、安定調達、これを図れるように、サプライチェーンの把握とか、どこか重複ポイントがあって、ここが抜けたら調達できなくなるみたいなこともあるかもしれませんので、そういった把握とか、あるいは、他市場のインパクトあるいは他市場からのインパクト、こういったものもしっかりと把握していくべきなんだと思います。

 また、ワクチン自体については、今、河野大臣が積極的に御努力いただいていると思いますが、まずは、日本だけ不利にならないような環境、これは是非つくっていただきたいと思いますが、一方で、国際社会の中ではワクチンナショナリズムという言葉が結構出ております。是非、不利にならないようにということなんですけれども、その不利にならないためにも、是非、国際連携による調達の協議、これを日本先導で進めていただきたいと思っているんですけれども。

 まず前段は、田村大臣にお願いしたいと思います。

田村国務大臣 冷凍庫といいますか保管庫、これ自体は一万、マイナス七十度というやつを確保済みであります。入ってきたときにはこれで対応する。

 あと、言われる部分では、多分針だとか注射のシリンジだと思いますが、これに関しては、昨年の六月に厚生労働省の方からもう既にお願いをしておりまして、七月に、当時の加藤厚生労働大臣から直接、依頼を再度していただきました。結果、今、今年度末までで、注射針が、約でありますが、一億八千万本、シリンジが約一億九千万本ということでありまして、来年度上半期でありますけれども、上半期までに、注射器約二億六千本、それからシリンジが二億九千本、これをそれぞれ確保をするということで一応見込みが立っております。

 なお、ふだんから打つという意味からしますと、いろいろなところで注射器等々を使いますので、そういうところにやはり不足が生じますと、供給面で一般の医療に影響が出てまいりますので、そうならないようにはしっかりとメーカー側と話をしながら我々も対応させていただいております。

河野国務大臣 我が国は、既に必要な供給量に関する契約は済んでいるところでございます。

 おっしゃるように、ワクチンナショナリズム、いろいろな国が自分のところでといって押さえてしまう、必要以上に押さえてしまうということが起きますと、これは途上国を始め様々な国にも回らないということになりますので、そうしたことがないようにしなければならないと思っております。

 日本は、COVAXのファシリティーにも参加して、途上国にもしっかりとこのワクチンが供給されるような、そういうメカニズムへの拠出も行っているところでございますので、これは、国際的にもしっかりとワクチンが行き渡る、そういうことができるように努めていかなければならないと思っております。

田村国務大臣 済みません。訂正いたします。

 今年度末までが、注射針が一億四千万本、シリンジが一億九千万本なんですが、先ほど、来年度上半期まで、二億六千本とここに書いてあるんですが、万が抜けておるようでありまして、二億六千万本、それからシリンジも、万が抜けておりまして、二億九千万本であります。訂正させていただきます。

大野委員 ありがとうございます。

 その後のオペレーションについても、長期的な目線で、是非調達というものを安定的に、全市場をにらんだ形で俯瞰をして戦略を立てていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 先ほど、河野大臣との議論で、外交力とかそういった話をさせていただきましたけれども、ちょっと見方を変えますと、今、中国は独自のワクチンを開発されて、そしてそのワクチンで結構積極的なワクチン外交というのを展開されていらっしゃいます。今後の影響力の拡大というのは、ある種、国際社会の中では結構懸念材料の一つになっているんだと思います。

 こういった混沌とした状況の中で、まさにバイデン政権というのは誕生したということでございます。最も注目されるのがやはり対中政策なんだと思いますけれども、そこで総理にお伺いさせていただきたいと思いますが、当初は、多分、アメリカの国内の厳しい国内世論を受けて、恐らく対中政策も厳しいものになるんだろうと思いますが、一方で、本質的には、気候変動とかあるいは核の問題とかで中国に対してはある種協力を求めざるを得ない、そういう指摘が結構あるんだと思います。

 そこで、日本としては、当然、有効的な、効果的な対中政策を進めなければいけないわけでありますが、総理は、このバイデン政権、このような環境にあるバイデン政権とはどのように向き合うべきだとお考えなのか、是非お聞かせいただければと思います。

菅内閣総理大臣 今議員から御指摘がありましたように、バイデン政権というのは、新型コロナや気候変動問題などへの対応において、国際協調、ここが重要だということをもう既に述べております。当然、国際社会共通の課題については、米中間で話合いが進むことが、これは国際社会にとっても重要なことだと思います。

 このような観点から、日本としては、バイデン政権との緊密な連携を進めながら、同時に、中国との安定的な関係を築き、中国が大国として責任をしっかり果たしてくれるような形でここは取り組んでいくことが大事だというふうに思っています。

大野委員 ありがとうございました。

 国際協調という目線で非常に重要な観点だと思いますけれども、ちょっと中国にスポットを当てていきたいと思います。

 もちろん、中国とは、我が日本、これは経済関係も非常に強いわけでありまして、これは諸外国もそうだと思いますけれども、特に日本という意味では、来年、二〇二二年というのは、日中国交正常化、ちょうど五十周年に当たる非常に節目の年になります。そういった意味では、普通であればですよ、普通であれば友好ムードというふうになっていくはずなんですけれども、全くならない。

 というのはなぜかというと、先ほど我が党の政調会長も御指摘になられましたけれども、例えば尖閣周辺での力による一方的な現状変更の試み。あるいは、最近の話題では海警法、去年も国防法というのを改定いたしましたけれども、最近では海警法。これ、国際法の一方的な解釈、ある種、運用によっては国際法違反になるかもしれない。

 この法律、実際にこれを見てみると、ある種、軍隊か軍隊じゃないかよく分からぬ組織をつくったということで、結構しびれるなと思います。これは、例えば我が国の周辺の警備に当たっている海上保安庁にしても、活動においては非常にしびれる、あるいは漁師さんもしびれる、あるいは諸外国も結構しびれるんだと思います。

 例えば台湾、台湾近海では結構中国が活動を活発化をされておりますけれども、それに対してバイデン政権は、台湾にちょっかいを出すな、こういうメッセージを中国に送ったりいたしております。これは結構、日本の安全保障に直結した問題だと私は思うんですね。これはしっかりと対応していかなくちゃいけない、そういう観点で外務大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先ほどもお答えありましたけれども、改めてこの海警法の認識と、それから、我が国が台湾とかそういう近海で何かコミットメントできる可能性はあるのか、あるいは、そういった観点で、こういった中国とどのように向き合うべきだと外務大臣はお考えでしょうか。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

茂木国務大臣 中国は我が国にとりましては隣国でありまして、今、世界第二位の経済大国ということであって、日中関係、これは日本にとって最も重要な二国間関係の一つであります。ただ、大野委員御指摘のように、様々な懸案、問題というのがあるわけであります。

 一つは、中国の力による一方的な現状変更の試み、こういった問題が東シナ海においても南シナ海においてもエスカレートしているという問題。さらには、軍、これの透明性の欠如、こういった問題、今回の海警法の制定もそれにつながる、運用によっては国際法に違反するような形になってはいけない、この旨も申し上げているところであります。

 さらには、香港、新疆ウイグル、こういった人権問題、これもあるわけでありまして、先ほど総理の方からも御答弁あったように、コロナそして気候変動、こういった問題については、恐らくバイデン政権、国際協調、中国も含めて進めていきますが、一方で、アメリカの民主党政権、伝統的には人権問題については共和党よりも厳しい立場を取るということでありまして、ここら辺も注目をしていかなきゃならないと思っておりますし、台湾をめぐる動向につきまして、今、中国の動きに対してアメリカを始め様々な国が懸念を示す、こういう状況も生まれているところでありまして、我が国としては、こういった懸案を首脳会談、外相会談を始め様々な機会を捉えて主張すべきはしっかりと主張して、中国側の前向きな対応、これを引き出していきたいと思っています。

大野委員 是非、具体的なコミットメントをしっかりとしていただければと思っています。野方図に放置しておくと、やはりどんどんどんどんと状況は変わっていく。エスカレーションラダーという専門用語がありますけれども、緊張がどんどん高まっていくというのもよろしくない話でありますので、そこはマネージをしていかなくちゃいけない、それは思いますが、どこかでラインを引いていくというのは重要なところだと思いますので、是非、外務大臣の力で何とか回避をいただければと思います。

 ただ、一方で、やはり対処はしていかなくちゃいけない部分というのはあるんだと思います。先ほど、軍隊か軍隊じゃないかよく分からぬ、そんな組織ができた、そんなことを申し上げましたけれども、まさに有事と平時の境目がよく分からない。これは専門用語でグレーゾーン事態といいますけれども、そのグレーゾーン事態の緊張が物すごく高まっている、こういう事態なんだと思います。

 まさに実効的な対処というのができる組織をつくっていかなくちゃいけない、こういうことなんだと思いますけれども、まあ、組織というか機能をつくっていかなくちゃいけないということなんだと思いますが、そういう議論を是非進めるべきだと思います。

 特に、日米共同でのオペレーション。これは、グレーゾーンの事態というのは非常に複雑で、解釈も曖昧。これは、グレーゾーン事態の一つの難しさは、当局によって、解釈が難しい、変わる、違うという可能性もあるということで、相当すり合わせをする必要があるんだと思いますが、例えばそういった日米の共同のオペレーションの話とか。

 あるいは、ちょっと文脈は変わりますけれども、これまで議論されたグレーゾーンじゃなくて、例えば、日米の役割というのはこれまで、盾と矛と言われました。これは基本的に変えるべきでもありません、変えるべきではありませんが、その境目というのが結構、技術力の向上で、ある種曖昧になっている部分がある。守り、攻め、これはどっちなのというものが結構曖昧になってきている部分があります。ここはやはりしっかりと政治としては認識をしておかないといけないんだと思いますし、活動の具体化というのはやはり検討していかなくちゃいけないんだと思います。

 また、宇宙とかサイバーとか、結構、この対象の領域というのはかなり拡大していますので、これはウクライナの事例を引くまでもなく、グレーゾーンの事態というのは非常に複雑なオペレーションになってくるのは当然であります。そういった意味で、これは、湾岸戦争からもう三十年もたちます、今年ちょうど三十年なんですけれども、もうぼちぼち、他国の動向に右往左往するようなのじゃなくて、しっかりとした体制をつくっていかなくちゃいけないと思うんですけれども。

 そこで、岸大臣に、過去の議論の延長線上じゃなくて、しっかりとした体制を、議論を進めていくべきだと私は思っているんですけれども、このグレーゾーンの認識について、防衛大臣に御答弁をいただければと思います。

岸国務大臣 お答えいたします。

 まず、委員もよく御承知のとおりですけれども、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増しております。不透明感も格段に増しているというような状況でございますが、先ほどからも御指摘がございました、中国の海警法ですけれども、二月一日から施行ということであります。これについては、我が国の懸念について、これまでも様々な機会を通じて中国側にも伝えてきておるところでございます。特に、国際法に反する形での運用をされることがあってはならないと考えております。

 今後もしっかりそういった我々の懸念、関心を中国側に伝えてまいらねばならないとともに、この海警局をめぐる動向については、現場に与える影響も含めて、関係国との連携も含めてしっかり注視してまいりたい、こういうふうに思います。

 特にこの問題、尖閣周辺が特にクローズアップされていますけれども、これはまさに我々だけの問題ではなくて、国際社会に対する航行の安全、自由の問題、そういうことで考えなければいけないというふうに思います。

 まず、先ほど茂木外務大臣からもお話がありましたけれども、昨日行われました日中海洋協議においても、中国側にこの海警局の問題、懸念をしっかり伝えました。また、日英の2プラス2においても、英側の理解を深めていただくために我々からもしっかりお伝えをした、こういうようなところでございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、中国の海空域における近年の活動については、独自の領有権を主張する島嶼部の周辺において、各種の監視活動や実力行使を行っております。自国の領有権に対する主張を強める行為を、そういう目的があるのではないか、こういうふうに考えておりますけれども、我々としては、あらゆる事態に的確に対処すべく、そして、領土、領海、領空を断固として守り抜くという決意を、強い決意を、彼らに見誤らせないようにしっかり強調してまいりたい、こういうふうに思っております。

 日米間においても、ガイドラインにも明記されておりますけれども、平時から緊急事態までのいかなる段階においても切れ目ない形での我が国の平和と安全を確保するための措置を取るということにしておりますけれども、防衛省・自衛隊においても、防衛政策や部隊運用について、私と国防長官の間を始めとして、各レベルでのしっかりとした緊密な情報認識の共有というものをしているところでございます。

 しっかり対応、対処してまいりたいと思います。

大野委員 今、防衛大臣からの国際社会の問題なんだというお話を賜りまして、まさにそのとおりでありまして、この点はちょっとその後にまた外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、もう一つ大きな視点、重要な視点が、経済安全保障の観点なんだと思います。

 これは、結構、コロナ禍後の経済復旧のスピードにも大きく影響する問題でありますので、是非ここは総理にお尋ねをしたいと思ってございます。

 今、当然中国も、四億人の中間層という、殊更アピールして、いわゆる戦略的な自律性ですね、これを高めようとしている。一方、アメリカは、以前からファーウェイの問題等々で経済安全保障政策ツールを頻発に発動していらっしゃる。よく言われる議論が、日本はこっちを取るのか、こっちを取るのかみたいな議論がありますが、私はこれは全く違うと思っていまして、まさに日本とアメリカ、日米の間のラインで対中の優位性をしっかりと維持していく、ここが基本で、その後、アメリカ等々と戦略的に協議しつつ、日本独自の経済安全保障ラインをしっかりと張っていく、ここが一番重要なところなんだと思います。

 先ほども申し上げましたけれども、もう他国の動向に右往左往するというのはやはり望ましくないわけでありまして、国際秩序をしっかりと守っていくような環境を日本自ら進めていく、ここが一番重要な課題だと思うんですけれども、そういった観点で、総理には、この経済安全保障、我が党としては、甘利座長を中心に戦略の策定を政府に求めておりますし、あるいは、その上位概念であるところの国家安全保障戦略、これも随分古くなっていますので改定の必要があると思いますが、この辺りについて総理の御見解を賜れればと思います。

菅内閣総理大臣 国家間の競争が激化してくる時代において、経済についても、安全保障、ここは不可欠だというふうに政府としては考えています。

 こうした経済安全保障上の諸課題については、省庁間の縦割り、これを打破して、政府一体となって対応する必要があります。そういう中で、国家安全保障局に経済班を設置し、今、必要な取組を進めています。

 また、こうした課題への対応には国家間の協力が必要であって、バイデン新政権の米国を始め、諸外国と連携しながらやっていくことが大事だと思っています。

 現時点で、御指摘の経済安全保障戦略の策定や国家安全保障戦略の改定に関しては決まっておりませんが、自民党の提案もしっかり受け止めて、その対応について政府として検討していきたいと思います。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

大野委員 ありがとうございます。

 非常に重要な観点だと思いますので、お取組をこれまで以上に進めていただきたい、かように思ってございます。

 先ほど、防衛大臣との話の中で、国際社会にとっての問題だ、課題だというふうな話がございました。まさに国際ルールをどうしていくのか、これは非常に重要なところだと思いますけれども、自由で開かれたインド太平洋構想、私、これはある種、日本が言い始めた非常に重要な、世界に広く受け入れられたレガシーだと思うんですね。

 この特徴は何といっても、基本的に誰にでも開かれているよ、それから、タイトルにあるとおり、自由で開かれたという価値を含んでいる。だからこそエッジが利いているのだと思います。まさに今必要なのは、この構想自体を広めることも当然でありますけれども、具体的な行動を進めていく、その輪を広げていくということなんだと思います。

 先ほど防衛大臣もおっしゃっていただきましたけれども、昨日はちょうど日英の2プラス2、外務、防衛当局間の協議が行われて、当然この構想に対するコミット、これもありましたけれども、何よりも私が注目しているのは、クイーン・エリザベスの具体的な行動のコミットがあった。これは大変重要な成果だと私は思うんです。

 まず、外務大臣にはこの意義についてお触れをいただきたいと思いますけれども、ほかにも、例えば日米でも、イギリスは例えばこの前TPPの参加の申請を公式に表明されましたけれども、アメリカとも、このTPP、是非戻ってきてくれという働きかけも私は必要だと思います。そのほかに、昨日ですか、カナダとも首脳会談をやられたと伺っていますし、また、インドあるいはオーストラリアも、昨年、結構連続で行われました。非常に重要な活動だと思いますけれども、いずれにせよ、この具体的な行動ということをどう行うのか、これは外務大臣に是非気合を入れていただければと思います。よろしくお願いしたいと思います。

茂木国務大臣 今、大野委員からお話のありました自由で開かれたインド太平洋、この実現、これは、今から四年半前になるんですが、二〇一六年、TICAD6、初めてアフリカ、ケニアで開催された際にまさに日本が打ち出したビジョンでありまして、法の支配に基づきます自由で開かれた秩序、これを世界の成長センターでありますインド太平洋地域に築いていく、このことは地域の発展ひいては世界の平和と発展につながる、こういった考え方でありまして、このビジョン、考え方を共有する国には全て開かれている、どこかを排除するという問題ではありません。そういった中で様々な協力を進めていきたい。

 昨日も日英の2プラス2を開催をしたところでありますが、間違いなく、今、英国は、ヨーロッパとの関係もありますけれども、インド太平洋へのコミットメントを強めているところでありまして、この自由で開かれたインド太平洋、幾つかの大きな項目があるんですが、その中で、航行の自由の問題であったり海洋の安全保障、極めて重要な問題だと考えておりまして、そういった中で、本年中に予定されております英空母打撃群の東アジアへの展開、日本としても、昨日の会談の中でも歓迎をしたところであります。

 また、日米豪印、昨年の十月の六日でありますが、その外相会談、東京で開催をさせていただきまして、この自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて具体的な協力を進めていこう、さらには、この日米豪印だけではなくて、ASEAN諸国であったりとかヨーロッパ、様々な国にこの協力を広げていこうということで一致を見たところであります。

 そういう中で、経済面、こういった連携も深めていく必要があると思っておりまして、日本はまさに、TPP11から始まりまして、日・EU・EPA、さらには日米貿易交渉、様々な経済連携協定、そして日英、RCEPを進めてきた。まさに日本がリーダーシップを発揮してきたわけであります。

 その中で、アメリカがTPPに復帰できるかどうか。私、日米の貿易交渉も担当してきましたが、その際も、アメリカがTPPに復帰をするということがアメリカ経済にとっても戦略的観点からも重要なんだ、こういったことは何度も何度も説明をしてきたところであります。

 今、バイデン政権、どうしても、国内のコロナ対策、さらには国内の雇用政策、これを最重視しなければいけないんだと思います。

 そういった中で新たな通商交渉には当面入らない、このようにしておりますけれども、今後、バイデン政権の政策等々も見ながら、しっかり通商分野でも意思疎通をしていきたい、こう考えております。

大野委員 全国には、今コロナ禍で非常に苦しんでいる事業者の皆さんがいらっしゃいます。そういった方の安定のためにも、是非、国際社会の安定をつくっていただければと思いますので、お願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

金田委員長 この際、鈴木貴子君から関連質疑の申出があります。下村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 質疑に立たせていただきます。鈴木貴子です。

 まず冒頭、私からも、日々そしてまた昼夜を問わずコロナ感染防止に御尽力をいただいている国民の皆様お一人お一人に対して、心からの感謝と敬意を表させていただきます。その国民の皆さんの努力というものが、間違いなく地域の医療体制そしてまたエッセンシャルワーカーの皆さんの支えになっている、このことを皆様にも誇りを持っていただきたい。

 そしてまた、その感謝と敬意とともに、私もしっかりと、この政治へ、そしてまた本質疑も向き合ってまいりたいと思っております。

 まず、通告、ちょっと順番を変えさせていただきたいと思います。まず、総理と外務大臣に北方領土について質問をさせていただきます。

 今度の日曜日、七日でありますが、北方領土の日であります。このコロナ禍という厳しい中で、まさにこの原点の地たる根室市も、住民大会、開催をどうするか、こういった様々な悩みがあった中で、しかしながら、規模を縮小してでもこの原点の地の光というものを消してはいけない、様々な知恵を出し合いながら、今年も開催を決定をいただきました。

 まさにその中には、原点の地の皆さんの、北方領土に対しての正しい知識を持っていただきたい、そしてまた、交渉に当たっていただく政府には、まさに交渉をしていただきたい、居丈高な発言をするだけの活動家ではなく、政治家を期待しているんだと。私もよく地元の皆さんにも叱咤激励をされるものであります。

 そこで、まず総理にお伺いをさせていただきます。

 総理は、施政方針演説の中で、二〇一八年のシンガポールでの首脳会談のやり取りは引き継いでおり、これまでの両国間の諸合意を踏まえて交渉を進めますと述べていただいております。

 しかし、一部メディア、専門家、そしてまた、悲しいかな、政治家の中にも、これまではシンガポール合意と言っていた、合意が入っていないということで、日ロ関係、まさにこの交渉は後退をしているんじゃないか、こんな声を上げている方がいらっしゃいます。

 誤ったメッセージにならないためにも、まさにこのやり取りという表現が後退なのか否か、事実関係、そしてまた交渉への姿勢というものを総理にお伺いをさせていただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私が総理に就任をして、九月の日ロ首脳電話会談の際に、二〇一八年十一月のシンガポールでの首脳会談で、一九五六年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる、このことで合意したことを改めて電話の中で確認をしました。

 この際のやり取りは引き継いでおり、これまでの両国の諸合意を踏まえて交渉を進めていく、その考え方に変わりはありません。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 総理、改めてちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、つまるところのこの合意をめぐるやり取りというのは、もちろんこれは外交交渉であります、外に出せないことの方が多いことと思います。その外に、対外的に出せない、ありとあらゆる日ロ間のまさに話合い、交渉の内容が含まれているという意味でよろしいでしょうか。

菅内閣総理大臣 私が申し上げた中に、両国間の合意を踏まえてという話をさせていただきました。その中には、例えばこのシンガポールでの両首脳間の合意、このほかに、二〇〇一年のイルクーツクの声明や一九九三年の東京宣言など、こうしたものが含まれている、このように思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 これで間違いなく、これは後退ではない、しっかりと前に進んでいるんだ、現実的にしっかりと進んでいるんだということが改めて今総理の口から御答弁をいただけた、このように力強く思っております。

 ここで、この事実関係という関連なんですが、外務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 ちょっと前の新聞なんですけれども、一月十二日付の朝日新聞の記事で、外務省のOBそしてまた現職幹部のやり取り、共同経済活動に関するやり取りというものが載っておりました。

 非常に、この中身を聞いていると、共同経済活動が厳しいというような話がかぎ括弧のような形で書かれているんですけれども、この記事にある発言というものは事実に基づいているものなんでしょうか。これは国益にまさに関わってくる、そういう思いがありますので、ここはしっかりと大臣から御答弁をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 私も拝見しております。報道の逐一についてコメントすることは控えたいと思いますが。

 北方四島におけます共同経済活動については、その取組を通じて、北方領土問題の解決、そして平和条約締結につなげていくという考え方の下、ロシアとの間で何度にもわたって、また様々なレベルで協議を重ねてきている重要なプロジェクトでありまして、うまくいくかいかないか、こういう評論ではなくて、どうやったら実現できるか、こういう前向きな姿勢が必要なんだと思っておりまして、まさに鈴木貴子先生が強調される、挑戦は力なり、そのように考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 今の外務大臣の発言で私も改めて今思い返したのが、根室での皆さんとのやり取りの中で、茂木大臣が沖北の担当大臣だった当時、地元の皆さんとの意見交換の中で、元島民の皆さんが、この問題というものを地域の課題にしてはいけない、まさに国民活動にして、国民啓発をしていく、その上では、例えば、若いときからこの問題に触れていただく、その一環で、高校の入試に北方領土に関する問題というものを取り入れてほしいという要望をさせていただいたかと思います。

 そうしましたら、大臣が、すぐにこちらの東京の方に戻ってこられて、速やかに策を講じていただき、翌年度の入試の方には、全国でも、北はもちろん北海道、そして南は沖縄まで、入試にのせていただいた。今でも、元島民の皆さんを始め地域の皆さんは、茂木大臣のリーダーシップと実行力というものに感謝をしているところであります。

 その中で、是非また改めてお願いをさせていただきたい。それは、例えば、昨年もそうなんですけれども、このコロナ禍ということで、いわゆるビザなし交流、墓参、そしてまた一般の訪問というものが、実は自由訪問が一回も開催ができませんでした。上空慰霊という形で、飛行機によって上空からの慰霊はありましたが、これは決して代替ではなくて特別の措置であるという我々は認識をしております。

 是非、もう平均年齢も皆さん八十五歳を超えていらっしゃいます、そういった中で、その元島民の皆さんの切なる思い、今年こそは何とも実現をしていただきたい。その思いに対して、外務大臣、どのように取組をしていただけますでしょうか。

茂木国務大臣 質問の冒頭、鈴木委員の方から、三日後の二月七日に北方領土の日を迎える、こういうお話をいただきましたが、昨年の北方領土返還要求全国大会、私も出席をしましたが、ちょうどその会場の入口に元島民の代表の方、待っていてくださって、切なる思いを聞かせていただいた。鮮明に、一年前のことでありますが、覚えているところであります。

 昨年九月の日ロ首脳電話会談におきましては、総理から、航空機墓参を始めとする元島民の方々のための人道的な措置を重視している、このことをしっかりプーチン大統領にお伝えをして、プーチン大統領からも、元島民のビザなし訪問の重要性を認識している、新型コロナが収束すれば再開する用意がある、こういう発言があったと承知をいたしております。

 また、昨年十月の私とラブロフ外相との会談におきましても、航空機墓参を含みます四島交流等事業について、前進を図るべく協議を進めていきたいということで一致をしたところであります。

 新型コロナの状況、これを見極める必要がありますが、元島民の皆さん、平均で八十五歳、高齢になっているのは確かでありまして、そういった中で、四島交流事業の重要性に鑑みて、できる限り早期に事業を実施していきたいと思っておりますし、航空機墓参の実現、そして臨時の追加的な出入域地域の設置、アクセスが制限された地域への訪問といった元島民の方々が御要望いただいていることについても是非実現したい、このように考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。大変前向きな力強い御答弁をいただいて、元島民の皆さん始め隣接地域の皆さんも大変安心をしていただけることと思います。

 最後に、総理に改めてお伺いをさせていただきます。

 今年は、先ほども総理の御答弁の中にもありましたが、日ソ共同宣言、五六年宣言からちょうど六十五年という節目の年でもあります。そういったその節目の年、是非とも、一歩でも、いや半歩でもこの問題を動かしてほしい。元島民の皆さん、そして、今その活動を支えていただいている二世、三世、今では四世の皆さんもいらっしゃいますが、一歩でも半歩でもという切なる思いがあります。そこには、地域経済の厳しさ、日ロ交渉、日ロの外交のしわ寄せというものは、実は永田町でも霞が関でもない、根室に、そしてまた北方四島隣接地域に、まさにしわ寄せがやってきている。それは水産漁業一つを取っても明らかであると思っております。

 そういった地元の皆さんの思いを踏まえて、総理から、この北方領土問題、平和条約締結に向けた力強い意気込みというものを改めてお聞かせいただければと思います。

菅内閣総理大臣 今御指摘いただきましたように、領土問題は、水産業も含めて地域経済にも影響するものと認識をしています。

 地元関係者の皆さんの声は、総理就任後、昨年十一月の政府要請や十二月のアピール行動の際に直接伺ってきたところであり、御高齢になられている島民の皆さんのふるさとへの強い思い、私も共有をさせていただいています。

 今後も、様々な機会を活用して、そうした皆様方の思いを胸に、北方領土問題解決に向けてひたむきに取り組んでいる、そうした多くの皆さんの思いというものを力にして、私も、半歩でも近づくように、全力で頑張ってまいります。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。大変、総理の御自身のお言葉で、力強い御答弁をいただいたと思っております。感謝申し上げます。

 続いて、コロナ関連でありますが、いわゆる望まない孤独問題について何点か質問をさせていただきたいと思っております。

 この新型コロナによってまさに生活が様変わりをいたしました。それは、テレワーク等々のプラスの面もあったかと思いますが、やはりマイナスの影響というものもどうしても出てきているのではないのかなと思っております。

 例えば、二〇二〇年の年間自殺者数の速報値二万九百十九人、実に十一年ぶりに増加に転じたところでもあります。自殺が増加、これは、自殺に至らなくとも望まない孤独で苦しんでいる方というものはまだまだいらっしゃる、そういった人たちにこそ光を当てるのが私は政治の責任だ、このように思っております。

 総理も、二十五日の予算委員会で、牧島先生の御答弁に答える形で望まない孤独についても触れていただきましたが、総理がおっしゃいましたこの望まない孤独というのは、どういったケース、イメージをされていらっしゃるのか。

 そしてまた、この望まない孤独の問題、相談体制という事後対応への強化というものももちろん必要だと思いますが、私は、やはり根本へのアプローチ、望まない孤独で苦しんでいる皆さんをいかに一人でも減らしていくか、そういったアプローチが必要だと思っておりますが、こういった根っこの問題にアプローチをする必要性について、総理はどのようにお考えでしょうか。

菅内閣総理大臣 そもそも社会全体のつながりが希薄化している中で、また新型コロナによって人と接触する機会が減少してきている、そういう中で、一層問題も顕在化してきているというふうに思います。

 いろいろなケースがあるというふうに思います。子供や若者などが、家で過ごす時間が増えたが家族と心を通わすことができないという中で、居場所が感じられないとか、あるいは、独り暮らしの高齢者が、通いの場の活動が自粛されていますので、地域とのつながりがなくなってきている、あるいは、大学生、大学入学後にオンライン授業が続いて、友人やコミュニティー、こうしたものから隔離されてきている、いろいろな孤独というものがあるというふうに思っています。

 ですから、国として一定の定義で対応していくというのは、ここはやはり避けるべきじゃないかなというふうに思います。

 そういう中で、政府としては、孤独につながるリスクへの対応、これについて、SNSの活用も含めて相談体制を確立するとともに、早期に、かつ予防的な対応を進める、このことが大事だと思います。

 自治体において住民同士が支え合う地域づくりや多様な社会参加を進める包括的な支援体制の整備、こうしたことを政府が支援をしていくとか、こうした取組を通じて、人それぞれがやはりきずなで結ばれるという、そうした社会をつくり上げていく、またそうした環境を政府が応援していく、こういうことが大事だというふうに思います。

鈴木(貴)委員 定義というのは、やはりこれは個々人の感情の問題でもあるし難しいという、これまでの考えというものもよくよく承知をしております。しかしながら、今これだけ自殺者数も増えている、また、うつであるとか、ドラッグ、アルコール、こういった依存症も増えてきているという中で、やはり何らかの、今までの概念にとらわれない新しい取組というものも私は必要だと思っています。

 今、総理の御答弁を聞きながらも、例えば、まち・ひと・しごとのところでRESAS、地域経済分析システム、例えばここの部分に孤独に関する指標を一つ入れ込むことによって、新たなまちづくり、新たな地方創生の在り方、こういったものも出てくるのではないのかなと、逆に改めて今感じ入ったところであります。

 定義というのは非常に難しいと思いますが、是非とも、総理も御答弁をいただいた望まない孤独対策を引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

 そこで、今もSNSの相談強化ということも総理も言っていただきましたが、文科大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 今、自治体で実施をされている相談窓口の多くというものは、実はこれはSNSであります。特にLINEといったものを使われているところが多々あるわけでありますが、実は今回、一人一台端末ということで、タブレットが子供たちに、児童生徒に貸与されるわけでありますが、番号が振られていないがゆえに、もちろんLINEは使えない。

 しかしながら、この一人一台端末を与えるというメリットを最大限生かすためにも、こういった部分で、例えば、二十四時間三百六十五日、子供たちがSOSを発信したいときに、そのタブレットを使って相談できる、SOSを発信できる、そういった何かツールというものをデフォルトで埋め込んでいただくということはできないでしょうか。大臣の見解を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 児童生徒が自ら命を絶つということは本来あってはならないことであり、文科省としても、実態として自殺が起きていることを大変重く受け止め、悩みを抱える児童生徒の早期発見等に向けた取組を行っております。

 また、現在、文科省においてはGIGAスクール構想を推進しているところでありますが、ICTを活用した相談体制の整備による自殺対策も重要なことだと認識しております。

 このため、令和三年度の政府予算案におきまして、SNS等を活用した相談事業の全国展開に向けた予算を計上しているところですが、今先生から御提案のあったICTを活用した効果的な自殺対策の検討も必要だと思います。

 例えば、GIGAスクール構想で整備する一人一台端末を利用して相談窓口にアクセスしやすくするなど、児童生徒が必要なときに容易かつ迅速に相談できるようにすることなども考えられます。

 引き続き、関係省庁と連携しながら検討してまいりたいと思います。

鈴木(貴)委員 大臣、ありがとうございます。

 今回、私、質疑に立つので、先ほど改めてちょっと文科省のホームページも拝見をさせていただきました。子供の相談窓口のところなんですけれども、全ての言葉に振り仮名、ルビが振ってあるんです。しかしながら、言葉が非常に堅いんですよ。下記のようにお知らせします、そしてまた、相談のところも、法務局、地方法務局はこちら、また、各教育委員会が設置している相談窓口はこちらというような書きぶりなんですね。

 ルビは振ってはいただいているけれども、なかなか子供にはこれじゃ届かない。もっと言えば、悩んでいる、苦しいという子供には、これではなかなか、大人や社会が僕、私のことを見てくれているとは思えないのじゃないのかなと思った次第であります。

 是非、大変お忙しいと思いますが、大臣も御自身の目で一度ホームページを見ていただき、適切な指示というものをしていただけますことを強く期待をさせていただきます。

 続いて、厚労大臣に質問をさせていただきます。

 時間が若干押しておりますので、ちょっと質問を飛ばさせていただいて、自殺とメディアの報道のところでありますが。

 例えば、今年、先ほど来から自殺が増えているということも申し上げましたが、とりわけ、芸能人、著名人の方が自殺をされると、いわゆるウェルテル現象、ウェルテル効果というもので自殺者数が増えていると言われております。九月の例でありますが、女優さんが自殺をされた日、影響を受けて増加した可能性のある自殺者、実は十日間で二百六・九人という試算が出ております。

 この報道の在り方なんですけれども、実際、WHOのガイドライン、厚労大臣からも、また官房長官の記者会見でも、マスコミの皆さんに対して丁寧にお願いをしていただいたかと思いますが、私は、正直申し上げて、メディアの皆さんにはまだまだ協力をしていただける。これは決して上からの圧力ではなくて、この状況、まさに自殺対策基本法でも、自殺は個人の課題ではない、社会課題なんだ、これをまさに基本理念にも組み込んでいるところであります。

 是非とも、厚労省が中心となって、メディアの皆さんにも働きかけをしながら、一緒になってこの自殺報道の在り方というものをいま一度検証していただけないでしょうか。

田村国務大臣 委員おっしゃられるとおり、WHOの方でも、自殺報道というのが自殺を誘引するといいますか、そういう影響、これを言っておるわけでありまして、そういう意味では、私も記者会見で、自殺報道に関しては、これはガイドラインがありますので、こういうものを遵守していただきながらやっていただきたいというふうにお願いをさせていただきました。

 命を支える自殺対策支援センター、こちらも共に、自殺報道に対して、二百四十、メディアがありますけれども、こういうところにしっかりと物を言っていただいておりまして、日本記者クラブ、ここでも、十一月だったと思いますけれども、再度お願いをしていただきました。

 そういう意味では、ある程度、今、報道も、その後、こういうところに悩みがある方は御連絡をしていただきますようにみたいなことをやってはいただいているんですけれども、どうしても、メディアもいろいろな取り上げ方があるものでありますから、そういうものを見て自らの命を絶たれるというような悲しい出来事も起こっておるやという形でございますので、再度、我々、もう本当に自殺は個人の問題ではなくて社会全体の問題だというふうに捉えて、本当にそういう問題の意識で、国の責任として、自殺対策、メディアに対しての報道の在り方、こういうものを再度お願いをしてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(貴)委員 大臣、是非、お願いもそうでありますが、相互に協調していく、共同していくというスキームが必要なんだと思います。

 大臣の方からも、官房長官の会見でも、丁寧に丁寧にマスコミに対してガイドラインの説明をしていただいた。しかしながら、その報道をしている間、相談の窓口をずっとテレビ上でワイプで出している、逆にそれが免罪符のごとし、だからこそ二十分も三十分も繰り返し報道が続いている。これはゆゆしき事態だ、このように思っております。

 社会全体でこの痛ましい事案というものを防いでまいりたいな、このように思っております。

 続いて、防災・減災の問題に移らせていただきたいと思います。

 総理も、官房長官時代から、ダムの一元運用等々で防災・減災対策にもまさにリーダーシップを発揮していただき、実績も上げていただいております。国民の皆さんも、国土強靱化を始め、この防災・減災対策、非常に期待をしていることと思います。

 そういった中で、災害関連死について総理の見解を伺わせていただきたいんですが、実は、平成の約三十年の間、災害関連死、本災、地震等々、津波からは命が救われたにもかかわらず、例えば避難所等で命を落としてしまったいわゆる災害関連死、実は五千人いらっしゃいます。

 私は、この救い得た死、災害関連死をゼロにする、こういったことを掲げて今後様々な取組を進めていきたいと個人的に思っているわけでありますが、例えば、この間の熊本地震、災害死五十名に対して災害関連死二百二十名であります。この数が多いか少ないか、もちろんこれは判断できませんが、総理、この災害関連死、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

菅内閣総理大臣 災害時には一命を取り留めることができながら、その後の避難生活を送る中で命を失う、このことは御家族にとって余りにも切なく、つらいことだと思います。

 災害関連死として亡くなる方を一人でも少なくするために、政府としては、避難所に関するガイドラインの作成や財政支援、プッシュ型支援など避難生活の環境改善を図るとともに、見守りや組織など、被災者に寄り添う取組への支援を引き続き行っていきたいと思います。

 今後とも、過去の災害における知見などを生かし、自治体、関係者と連携して取り組んでいきたいと思います。

鈴木(貴)委員 やはりこれまでの、東日本大震災からもまさに節目の年を今年迎えるわけでありますが、これまでの教訓をいかに我々は糧にして、教訓として学びを得てきたのか、こういったことがまさに問われている、そのように思います。

 そこで、男女共同参画担当大臣に伺わせていただきたいと思います。

 近年、この防災、まさに避難所の質を向上するという上でも、多様性というものは一つのキーワードだと思っております。いわゆる災害弱者の皆さんにこそ基準を当てた避難生活、また避難所というものが求められている。

 男女共同参画の中で、防災、危機管理部局との連携をした新しい取組があると伺っておりますが、その取組はどのようなものでしょうか。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 大規模災害の発生は全ての人の生活を脅かしますけれども、中でも、人口の五一・三%は女性でありまして、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分配慮しなければいけないというふうに思っております。

 とりわけ、委員御指摘のように、地方防災会議への女性の参画は重要であると考えております。地方防災会議には、女性が参画することにより、避難所の運営、物資の提供、女性の視点が盛り込まれることによって、女性や子供のニーズ、課題に的確に対応できるというふうに考えております。

 例えば、災害時には、保護者や大人が災害対応に追われて子供たちに目を向けるということがなかなかできなくなってしまっている。そういったところで、災害の怖い記憶ですとか慣れない生活、そして伸び伸びと運動できないということ、こういったことは大人よりも子供の方に大変影響をしている。こういったことをしっかりと見ることができるのは、やはり女性の視点だというふうに考えております。

 昨年十二月に閣議決定した第五次男女共同参画基本計画では、こうした認識の下に、成果目標として、令和七年度までに地方防災の会議の委員に占める女性の割合を三〇%にするということ、また、地方防災会議においては女性のいない組織をゼロにするということ、こういった目標を掲げて、今、地方自治体に対する要請や好事例の展開などもしっかりやっていきたいというふうに思っております。

鈴木(貴)委員 最後の質問となると思いますが、私自身、ライフワークとして取り組んでいるのが、日本海・千島海溝沖地震であります。

 三大地震といえば、首都直下型、そしてまた南海トラフ、どうしてもこの日本海・千島海溝沖地震が取り残されてきた。そういった中で、積雪寒冷地ならではの在り方、また対策というもの、非常に、極めて重要だと思っております。

 二〇一九年には、当時の官房長官だった菅長官の元にも、また武田前防災大臣の元にも、首長の皆さんをお連れをして要請をさせていただきましたが、是非ともこの千島海溝沖地震対策、ここへの支援の強化というものを、地元も期待をしておりますが、大臣の今後の意気込みも含めて、是非見解を述べていただきたいと思います。

金田委員長 時間が来ておりますので、簡単によろしくお願いをいたします。

小此木国務大臣 言われましたように、日本海溝、千島海溝沿いで想定される巨大地震の防災対策の推進については重要であると考え、今おっしゃいました菅官房長官時代あるいは武田防災担当相、私が今務めておりますけれども、多くの様々なことを聞いております。

 特に、複合災害とも言われる中、今コロナ対策で皆さんにもお力をいただいておりますけれども、この中で、寒冷そして積雪、非常に心配されるところの会議は、様々な専門家の皆さんの意見も伺いながら、あるいは地元御出身の議員の方のお話も聞きながら、対策を集中して進めているところでございますので、また御指導いただきたいと思います。

 ありがとうございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございました。

金田委員長 この際、木村弥生君から関連質疑の申出があります。下村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。木村弥生君。

木村(弥)委員 自由民主党・無所属の会の木村弥生です。

 私は、子育てが一段落した後に、三十八歳で看護学校に入学しました、人生再チャレンジ組でございます。四十代で看護師、保健師になりました。今の瞬間も患者さんや御家族のケアをしておられる現場の仲間たちに、感謝とエールを込めて質問をしたいと思います。

 さて、一昨日の記者会見で、総理は、日々悩みながら走っていると語られました。翌日、私の元には、今コロナと戦っている看護部長さんから、総理の言葉に共感した、胸に迫るものがあったと連絡がありました。私たちも、手探り状態の中で患者さんや御家族をケアし、そしてまた、看護師や医療スタッフへの感染症のリスクと緊張感にさらされながら、いつもひりひりした状態の中で、つらいとも言えず、迷いながら走っていると。

 看護だけではありません。全ての医療、介護、エッセンシャルワーカーの皆様の日々の努力に報いられるよう、与党の国会議員としてよりよいと思える政策を実現すること、そして我が国の健康と安心を取り戻せるよう頑張ってまいりたいと思います。

 さて、この予算委員会では、たくさんの議員の皆様が医療従事者へのねぎらいの言葉をかけてくださいました。私はこれから看護職という言葉を使いますが、これは看護師だけではなく、保健師、助産師、また准看護師も含めた意味ですので、御承知おきをください。

 地域医療を支えているのは、医師、歯科医師、薬剤師ほか多職種による連携にほかなりません。ただ、中でも看護職は、医療職の中でも占める人数の割合が大きいです。そして、このコロナ禍で離職が進んでいます。また、看護学校の応募の定員割れも起きています。看護職の人材確保が不可欠です。

 田村大臣にお尋ねをいたします。

 多くの報道にあるとおり、現場は限界に近い状態です。私も、地元の京都で、病院や施設、訪問看護ステーション、保健所で話を聞いてまいりました。どこからも悲鳴が上がっています。

 昨年九月の日本看護協会の調査によりますと、このコロナによる労働環境の変化やまた感染リスクを理由とした離職について、一五・四%の病院が離職があったと。そしてまた、コロナの患者を受け入れている役割を果たしております感染症の指定医療機関においては、二一・五%となっております。今現在では更に増加しているのではないかと懸念するところであります。

 医療や介護の現場におきましては、通常の業務の負担に加えて、感染のリスクが高い現場でストレスを抱え、そして疲労が蓄積し、プライベートな中でも解消することができていません。その上、差別までが起きています。それでも私たち看護職は専門職としての使命感で頑張っていますが、もう限界です。

 今の時点で、コロナに感染した、そして亡くなった看護職の数を国は把握しているんでしょうか。

田村国務大臣 本当に、看護職の皆様方始め医療関係者の方々、大変厳しい環境の下で国民の健康を守っていただいておるということで、心から感謝を申し上げます。

 大変申し訳ないんですけれども、看護職の方々でコロナに罹患している、若しくはお亡くなりになられたという方を網羅的に我々は把握しておりません。労災の支給決定件数という意味からいたしますと、一月二十九日、これも看護職というわけではありません、医療業で働く医療従事者全体では千百三十四件、そのうち、死亡された方、死亡に係る請求、これは二件ということでございます。大変申し訳ありませんが、その中の職種という形では把握しておりませんということであります。

木村(弥)委員 ありがとうございました。

 やはり、数は把握し、そして報告されるべきではないかと思います。そして、きちんと労災が受けられるように御配慮いただきたいと思っております。お願いします。

 使命感だけではなかなか続かない。そこで、やはり見合う処遇が必要ではないでしょうか。

 今、看護職の資格を取っておりながら働いていない、いわゆる潜在看護職は約七十万人、推計されています。なぜ推計かといいますと、看護の免許は更新制ではないからであります。

 こういった潜在看護職たちへ、現場へできるだけ戻ってきてもらえるように、各看護協会で呼びかけております。私の地元の京都府看護協会が、地元のKBS放送さんや京都新聞さんに御協力をいただきまして、呼びかけを行いました。

 今、全国で復職した看護職は二千五百人です。しかし、まだ足りません。復職しようと迷っている方々に、今、国はあなた方の力を必要としているのだ、そういった強いメッセージを発するためにも、待遇改善は不可欠ではないかと思います。

 昨年の四月、私は、東京医科歯科大学病院の看護部から視察の依頼を受けまして、女性議員の有志で行ってまいりました。それを基に、看護職への危険手当を求める要望を出しまして、この度の医療・介護従事者への慰労金へと実現をいたしました。これは、日本の看護界始まって以来のことでございます。

 さらに、昨年末に講じられました新型コロナウイルス感染症患者の受入れ病院の医療機関緊急支援事業の補助金で、初めて人件費への充当に踏み込んだことは感謝しております。

 ただ、その一方で、コロナ禍における医療職の処遇改善につきましては、医療機関の経営が圧迫される中での処遇を維持、確保することと併せて、平常時ではない、負担とリスクの多い現場で働き続けることに対する追加的な処遇を確保するということが非常に必要であると思います。

 何を申し上げたいかといいますと、今回の支援金等々が看護師たちに直接行き届くように、いま一度お願いをしたい。というのも、前回のこの慰労金、ボーナスを減給されて、その慰労金を補填する、こういう実態が本当にありました。

 是非、いま一度、その徹底をお願いしたいと思いますが、田村大臣にお願いいたします。

田村国務大臣 最大二十万円ということで、慰労金という形で、感謝の思いを込めてということで給付をさせていただきました。

 しかし一方で、言われるとおり、医療経営、厳しいという中で、その分、例えばボーナスが減らされたというようなお声があるわけでありまして、そういう意味で、やはり、医療機関の経営もしっかりと支援をしていかないと、結果的にせっかくの慰労金が意味を成さないということが起こるわけでありまして。

 今般、そういう意味で、コロナ患者の方々を、重症者を受け入れられると、一床当たり一千五百万円、新たな場合には更に四百五十万円という形、それ以外の方々に関しては四百五十万円というような形で、一床当たりでありますけれども、これを決定をさせていただいて、今、それぞれ給付をしている最中でありますが、これに関しては、三分の二は人件費に使ってくださいということで交付要件にしておりますので。

 そういう意味では、医療経営の方もしっかりと改善いただきながら、人件費の方でもしっかり対応いただいて、看護職を始め医療現場で働いている方々の処遇の改善に資するようにというような思いの中、狙いの中での今般の対応であるということを御理解いただければありがたいというふうに思います。

木村(弥)委員 いま一度申しますけれども、こういった、どういうふうな待遇をされているのかということは、今、看護の資格を持っている方々も必ず注視しておられると思いますので、そこのところを徹底していただきたいと思っています。

 次の質問に入ります。

 認知症を含む介護が必要な人たち、あるいはその家族、介護者が陽性反応やまた濃厚接触者の疑いがあった場合の扱いが今ばらばらであります。コロナで様々な活動がストップしておりますが、待ったなしの課題は山積したままであります。高齢化の波は押し寄せ、そして認知症の患者さんも増え続けているところであります。

 介護を必要とする人たちが感染した場合、若しくはその家族が感染した場合、あるいは濃厚接触者と診断された場合のガイドラインというかフローチャートのようなものは、今、国であるのでしょうか。そして、受け入れる介護施設が大変今困惑し、また、それを調整している保健所も、御家族からの悲鳴や、またそういったいろいろな感情をぶつけられている、そういう声も聞いております。田村大臣にお聞かせいただきます。

田村国務大臣 フローチャートみたいなものは、今、実はありませんので、これをお示しをしていかなきゃならないなというふうに、早急に、考えております。

 基本は、もう御承知のとおり、例えば、御家族が濃厚接触者、またコロナ患者になられた場合には、入院という場合もありますし、自宅待機という場合もあります。

 入院の場合には、本来、介護という形の中で、これはケアマネジャーと自治体が協力しながら、しっかりとサービスを提供いただくということになりますが、それができない場合は、先般、法律が通りましたけれども、昨日でありますけれども、その正当な理由の一つになるわけでありまして、入院せずに自宅で待機をいただきながら、症状が軽ければでありますけれども、対応もいただくという話になると思います。

 それからもう一つは、御本人が感染された場合、これに関しましても、しっかりとケアマネジャーと自治体がお話しをいただく中で、どういうサービスを提供いただくか。また、事業者に関しましても、当然、それは感染を防護しながら対応いただかなければならないということでございますので、こういうものに関しましては、補正予算等々で、感染防護のための費用、こういうもののかかり増し経費というものを使っていただきながら、しっかりと対応いただくということであります。

 いずれにいたしましても、そういうこと自体が、多分、御本人も事業者も分かりづらいというようなお話だったというふうに思いますので、しっかりとそれを徹底できるようにお示しをしてまいりたいというふうに考えております。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 東日本大震災から十年がたちます。私は、当時、災害支援ナースたちとともに石巻や気仙沼に行きました。そのときに、看護職が非常時を支えているのだと実感したことを覚えています。今、同じことが言えるように思います。

 これからワクチンの接種がスタートするに当たり、例えば、そういった人材確保、ナースセンターと連携して、スムーズにこの潜在看護職を活用していただきたいですし、また、今待機中、自宅療養中の方々への見守りに訪問看護サービスの活用も推進していただきたい。墨田区等で既に進んでいます。また、感染症に非常に専門性の高い感染管理の認定看護師も、現在三千人近くおります。こういった看護師たちを是非活用していただきたいと思います。

 今、使命感と責任感でここまで頑張ってきた、こういった看護師たちに向けて、改めて菅総理から力強いメッセージをお伺いしたいと思います。全国百五十万人の看護職と、そして約七十万人いると言われている潜在看護職たちが総理のメッセージを待っています。お願いします。

菅内閣総理大臣 まず、皆さんには、感染リスクにさらされながら使命感を持って日夜取り組んでおられることに心から感謝と御礼を申し上げます。私たちの命や暮らし、そして社会が守られていることを常に忘れてはならないと思います。心から感謝と敬意を表する次第であります。

 実は私も、昨年の十二月に、新型コロナと対峙する医療の最前線、視察をさせていただきました。緊張感が張り詰める中で、目の前の命を救おうと全身全霊で対処されている医療従事者の皆さんの姿を目の当たりにしまして、その負担を軽減し、しっかり支援しなきゃならない、このように思ってきたものであります。

 そういう中で、新型コロナ対応の医療機関に一床当たり最大千九百五十万円の強力な支援を行うことにさせていただきました。そのうち、看護師さんを始め、人件費としても、そうした支援金については人件費等にもどうぞ使ってくださいという方向にさせていただいています。また、そうしたコロナに対応している病院に派遣される医師、また看護師の皆さんの処遇も倍増させていただいたところであります。

 看護師の皆さんが、まさに、清掃などの業務もやらないで自らの本来の業務に専念をできる、そうした環境も政府として迅速にこれから広げていくように頑張っていきたいというふうに思います。

 引き続き、現場で頑張っておられる皆さんの気持ちに寄り添いながら、このコロナ感染対策、しっかり取り組んでいきたいと思います。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 次の質問に移ります。わいせつ教員や保育士の性暴力防止に向けてでございます。

 皆様のお子さんやお孫さんが例えば教師や保育士に性的な虐待を受けておられたら。想像できますでしょうか。この人の言うことを聞くことが正しいとされている相手に、誰にも言っちゃ駄目だよと口止めされて、そして、そういった行為をほかの子供たちにも行っていたとしたら。

 こういった中で、自己肯定感を育めないまま大人になるケースもあります。性虐待は魂の殺人とも言われております。

 昨年の閣議決定いたしました第五次男女共同参画の基本計画、全ての女性が輝く令和の社会におきましては、こういった保育、教育現場での子供に対するわいせつ行為を防ぐため、「働く際に性犯罪歴がないことの証明書を求めることを検討するなど、防止のために必要な環境整備を図る。」とありました。

 私は、かねてからこの問題に取り組み、委員会等で質問してまいりました。保育士や、また教員のこういった性的な被害から子供たちを守らなくてはなりません。昨年は、政府のリーダーシップの下、こういった防止に向けまして様々な対策が講じられたことは大変うれしく感じておりますが、根本的な解決になっておりません。

 まず、萩生田文部科学大臣にお尋ねします。

 教育現場で教員の児童に対するわいせつ行為が発覚したとき、学校長や教育委員会が対応してまいりますが、なかなか、ここに問題があるわけではありません、速やかに被害を受けた子供たちを保護したり、また、事実関係の調査等々ができない状況でございます。教員の性暴力が起きてしまった場合、警察や司法との連携を強化していくことが必要だと思います。

 具体的には、自治体や教育委員会は、わいせつ行為を行った教員を確実に把握して、懲戒など厳正に処分するとともに、必要な場合は確実に刑事手続につなげる必要があると思いますし、また、司法面接の導入も手段の一つではないかと思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。

萩生田国務大臣 児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してわいせつ行為を行うことは言語道断であり、決して許されることではありません。

 先生も党の方で様々な御努力をいただいておるのを承知しておりますし、私も、実は、この通常国会に教員免許の永久追放の法律を出したい、こんな思いで去年から取組をしてきたんですが、様々な制約があって、まだ法案を提出する段階に至っておりません。

 といいますのは、わいせつ行為を行った教員を、免許を剥奪することができたとして、しかし、殺人をした人たちは一定の刑を終えれば戻ってくることができるなどの不具合が生じてしまうこと、あるいは、状態で判断できないかということで、小児性愛について教員の失格事項にすることはできないか、こういう取組をしたんですけれども、残念ながら、整理がまだついておりません。引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 まずは、児童生徒に対するわいせつ行為を行った教員については原則として懲戒免職とすること、事案が犯罪に当たるか適切に判断を行った上で、告発を遺漏なく行うことを含め、警察機関等と連携して厳正に対処することを求めてきております。

 しかしながら、わいせつ行為等に関する教育委員会等による告発の状況については、被害者の意向や、犯罪に当たると判断しなかったことなどから、必ずしも全ての事案において適切な告発が徹底されていない実態があると承知しております。

 このため、今後改めて各教育委員会に対して、公務員には告発の義務があること、被害者が告訴しない場合でも告発する必要があること、犯罪に当たるか判断に迷うような事案も含め警察機関等と連携して対応することについて、しっかりと周知徹底を図ってまいります。

 また、懲戒処分を行うに当たっての事案の調査方法等は、任命権者である各教育委員会が個別の事案に応じて適切に判断すべきものですが、今御提案のあった司法面接の手法の考え方や事情聴取の方法などについて、法務省等の関係省庁からも情報をいただきながら、各教育委員会の人事管理担当者に対して、事案の調査に当たっての工夫なども伝えてまいりたいと思います。

 わいせつ行為などの事案の調査等に当たって、医師、臨床心理士、弁護士などの外部専門家の協力を得ることも被害者の保護や公正な処分などのために効果的であると考えており、各教育委員会に対して、外部専門家の活用も促してまいりたいと考えております。

木村(弥)委員 大臣が問題意識を持っておられることを大変頼もしく思います。

 しかしながら、根本的にこれが解決に結びつかないのは、この作業が各省庁でいわば縦割りになっていることであります。例えば、学校が懲戒免職になっても、あるいは学童や、また塾の先生等で働くことが可能なわけです。これでは解決になりません。

 こういった中で、縦割り行政打破をうたったこの菅政権こそがこれを実行できる、私は非常に期待されているのではないかと思います。

 総理の御見解を伺います。

菅内閣総理大臣 子供の性被害は、被害者の尊厳を著しく踏みにじり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼす、断じてあってはならないものと考えています。

 そういう中で、先ほど議員から御指摘もありましたように、昨年十二月に閣議決定された、性犯罪歴がない証明書を求める、このことを検討することになっています。こうしたことを関係省庁がしっかり連携してできるだけ早く具体化をし、子供を性被害から守る取組というものをしっかり進めていきたいと思います。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 イギリスでは、DBSといって、子供に一日二時間以上接する、そういった仕事に就く人は必ず犯罪歴のないという証明を義務づけられております。

 こういった中で、私は、各省庁に横串を刺すことが大事だと思っております。これは行革の範囲になるのかなと思いますが、河野大臣、ちょっと御意見をお聞かせください。

河野国務大臣 この問題は、文科省、厚労省、法務省、警察、そして、対外的なものは外務省までまたがるものでございます。縦割り打破の関係でも多くの声が寄せられておりますので、政府内、しっかり対応してまいりたいと思います。

木村(弥)委員 ありがとうございました。

 ちょっと時間がなくなってしまって。

 一人親への支援等々、菅総理が昨年決めてくださいましたのも、今回、私ども大変感謝しております。

 昨年の十一月二十六日に女性活躍特別委員会でそれを要望いたしまして、そして、それを受けて再給付が行われ、また、一人親の団体が十二月二十九日に総理にお礼をお伝えしたと聞いております。こういった中で、やはり、これから、女性が非常に厳しい状況にある中で、様々な支援が必要だと思っております。

 先日、栃木県では、女子高生が赤ちゃんを自分の手で、出産したばかりの赤ちゃんをあやめて、そして逮捕されるという痛ましい事件がありました。こういった、この少子化の時代に、そして日本で生まれた子供たちが八十六万人という、九十万人を切った中で、もっと温かい支援を、日本で授かった小さな命はちゃんと育てていくんだ、そういったメッセージが今こそ必要ではないかと思っております。

 こういった行き場のない女の子たち、また妊婦たちを受け入れる施設がございます。こういった支援をしていくことも方策ではないかと思いますが、総理の御見解をお尋ねします。

菅内閣総理大臣 核家族化の進展や地域のつながりの希薄化など家族を取り巻く環境が多様化する中で、不安や、悩みながら、また、誰にも相談することができず孤立して子育てをする家庭も少なくない、このように承知をしています。

 全ての子育て家庭が安心して子供を産み育てられる、そのような社会にしていくことを目指し、御指摘のように、不幸な事案は絶対になくしていかなければならないと思います。

 このため、若年妊婦や困難を抱える親子に寄り添い、抱えている不安や悩みを丁寧にお聞きするなど、地域の中で妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない支援を行う体制というものをしっかり構築させていただきたいと思います。

木村(弥)委員 そういった、今まで例えば虐待に遭っていたり、また、本当に様々な状況で居場所のない女の子たち、また妊婦たちを支援するような、NPOの努力だけでなく、そういったことをしている体制の整備を行政の方でも関わっていくべきではないかと思います。

 社会で一番弱い立場の胎児や乳児や女性が大切にされる国であってほしいです。どんな家庭に生まれたとしても、誰もが、質のよい教育とそして愛情を受けて、自己肯定感を持ち、健やかに成長できる、そんな日本にしていきたい。これは未来への投資だと思います。

 もう時間がないかと思います。済みません、橋本大臣に一言、思いをお聞かせいただければと思います。

金田委員長 時間が来ておりますから、一言でお願いします。

橋本国務大臣 新型コロナウイルス感染症拡大の影響というのは女性に強く表れておりまして、DVや性暴力、相談件数が増加をしております。

 御指摘のとおり、女性や子供の命や生活を守るという観点から、行政においては、NPO等との連携を含めた体制整備を進めていくことが重要だというふうに思っております。

 そして、内閣府では、NPO等が運営する民間シェルターにおけるDV被害者支援の取組の推進を図るために、今年度からパイロット事業を実施しておりまして、引き続き、NPO等と連携して、DV被害者等に対する支援の充実強化に努めてまいります。

 誰一人取り残さないよう、しっかりと推進しております。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 私は、硬直的な価値観の押しつけだとか排他的な言動が生きづらい社会をつくっていると思っております。困ったときに助けてくれる人がいるような社会にしていきたいと思いまして……

金田委員長 時間が参りました。

木村(弥)委員 私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金田委員長 これにて下村君、橋本君、大野君、鈴木君、木村君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

金田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 冒頭、私からも、まず、この度の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、感染され、闘病中の全ての皆様の一刻も早い御全快を心よりお祈り申し上げます。

 また、最前線で日夜懸命に力を尽くしていただいている医療従事者の皆様、保健所の皆様、介護関係者の皆様、また全ての関係者の皆様に感謝を申し上げる次第でございます。

 そこで、まず最初に、新型コロナの収束は、私どもは、まさにワクチン接種が成功するかどうかに懸かっているというふうに考えております。その意味で、我が公明党も、このワクチン接種を円滑に進めるため、政府と呼応して対策本部を立ち上げて、最重要課題として取り組んでいるところでございます。

 しかし、これほどの短期間にこれだけ多くの方々にワクチン接種をすることは、かつて経験したことのない一大プロジェクトとなります。綿密な接種計画の下、地方自治体と緊密に連携して迅速に行わなければなりません。

 まず、この度の新型コロナの克服に向けて、極めて重要なこのワクチン接種を何としても成功させるとの総理の決意をお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 ワクチンは感染対策の決め手であり、何としても、全ての国民の皆さんに安心して接種をしていただけるような体制を速やかに構築しなければならないと考えています。

 今議員から御指摘いただきましたように、これまで経験したことのないような一大プロジェクトであります。政府一体となって対応するとともに、都道府県や市町村と連携しながら、国、地方を挙げて準備に取り組んでいるところであります。

 まず、これまで三社から三億一千四百万回分の供給を受ける契約の締結に至っています。今後、ワクチンの有効性、安全性を確認した上で、二月中旬から医療従事者へ接種を始め、高齢者は四月から始めてまいりたいと思っています。

 また、ワクチン接種の実務を担っていただく自治体に対しては、できる限り速やかに情報提供を進めて、必要な費用は国が全て負担をさせていただきます。その上で、国民の皆さんが自らの判断で接種いただけるように、副反応や効果を含めて、科学的知見に基づいたワクチンに関する正しい情報を丁寧にお伝えをしていきたい、このように思います。

竹内委員 円滑なワクチン接種に向けて、課題は山積していると思います。ファイザー社のワクチンは超低温での保管が必要でございますし、その輸送方法や保存体制など、細かく計画を立てなければなりません。また、医師や看護師の確保や接種場所の調整にも大変な御苦労があると伺っています。

 一月二十七日には、川崎市でワクチン接種の模擬訓練が行われました。また、一月二十九日に、厚労省は東京都練馬区の先進的な事例も御紹介をされたところであります。国としては、全自治体とこのような訓練や先進事例を共有するとともに、自治体に対してどのようなメッセージを出していくのかが大変重要なことではないかというふうに思っております。

 混乱なく円滑にワクチン接種を実施するための体制整備に向けた課題とその対応について、河野大臣にお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 今回のワクチン接種は、まず四月から高齢者に対しての接種をスタートさせたいと思っております。その際、地方自治体、市区町村に接種体制を確立していただくということが基本でございますので、しっかりと情報の共有をしてまいりたいというふうに思っておりますが、残念ながら、まだワクチンの供給スケジュールを確定させることができず、その面で自治体には大変御迷惑をかけていることをおわび申し上げたいと思います。

 体制を確立する上で必要な費用は全額国が負担をするということを繰り返し申し上げ、そこについては安心をしていただきたいと思っております。

 また、先般の川崎の模擬テストでは、例えば予診にかかる時間に大きなばらつきがあること、あるいは、接種場所を出すための洋服を脱ぐのに時間がかかる、ですから、実際にはそういうところを出しやすい服装で来ていただく、様々、気がついたところがございますので、こういうものについては動画もお配りいたしますけれども、自治体にそういうところについては早めにお知らせをする、なるべく早め早めに情報を出せるものは出していく、そういうことを徹底してまいりたいと思っております。

竹内委員 私の元にも、各いろいろな自治体から、この費用負担が政府から出されている目安をオーバーしているというので大変だという声がいっぱい届けられましたが、先ほどの答弁で、この辺は国がしっかりと面倒を見るということでございますので、そこは安心をしていただきたいというふうに思うわけであります。

 そこで、システムの話を一つお伺いしておきたいと思います。

 政府は、個人の接種記録を掌握するためにマイナンバーを活用する考えを打ち出されました。しかし、既に、ワクチンの流通情報や接種を行う医療機関の情報など、こういうことを一元管理するワクチン接種円滑化システム、V―SYSの構築が進んでいると伺っておるわけでございまして、各自治体も台帳も持っておりますし、マイナンバーも入れると三つのシステムが動き始めるというようなことになるわけでございます。

 そういう意味で、自治体の混乱とか現場の過度な業務負担などが生じないようにしなければならないと思いますが、この辺りについてどのように対処されるおつもりでしょうか。

河野国務大臣 厚労省のV―SYS、それからこれまでに自治体が御準備をしていただいております自治体のシステムにつきましては何ら変更はございませんので、そのまましっかりと進めていただきたいというふうに申し上げてきているところでございます。さらに、国の方でデータベースを構築して、しっかりと接種状況の把握がそれぞれできるようにしていきたいというふうに思っております。

 自治体には、自治体の持っている接種台帳のデータをCSVの形で吐き出していただいて、それをデータベースに載せていただくという一手間がかかります。それから、入力につきましては、バーコードやらOCRでしっかりと読み取れるようにしてまいりたいと思いますし、それにかかる人手については国の方で負担をするわけでございますので、自治体には御負担をかけずにしっかりとしたシステムをつくってまいりたい。

 自治体の事務方とも協議をスタートさせておりますので、話合いをしっかりやりながら、システムを間に合うようにつくってまいりたいと思っているところでございます。

竹内委員 よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、次のテーマに移りますが、この度、緊急事態宣言が三月七日まで延長される中、ますます深刻化する国民の生活と雇用をしっかりと守ることが大切であるというふうに考えております。そのため、我が党としても、年初から、一月六日、二十一日、また二月一日と、政府に緊急の申入れや提言を繰り返し行ってきたところでございます。

 そこで、幾つか生活、雇用を守る施策があるわけでございますが、まず、住居確保給付金についてお伺いしたいと思います。

 パネルの上段を御覧ください。

 住居確保給付金は、離職、廃業した方や、休業などにより収入が減少して離職、廃業と同程度の状況にある方に対し、家賃を補助する制度です。支給期間は、原則三か月のところ、公明党の主張を踏まえて、令和二年度中に新規申請した方は最長十二か月まで延長されています。また、人生で一度しか利用できない制度でしたが、私どもの申入れを受けて、本年三月末までに支給が終了する方は三か月間再度支給を受けることができるようになりました。

 しかし、この最大十二か月支給も、また再支給という特例措置も、申請期限が三月末までとなっているわけでございます。新型コロナによる影響が長期化して生活再建が困難な状況が続いている現状を踏まえて、この辺り、是非ともまたこの特例措置の申請期限の延長も検討していただきたいと思うわけでございます。

 また、現場では、収入基準が厳しくて利用できない等の声も伺っておりまして、収入基準や支給の上限額も何とか引き上げられないのかという声もたくさんあるわけでございます。

 この住居確保給付金につきまして、田村厚生労働大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 御質問いただきました住居確保給付金でありますが、生活困窮者自立支援制度の中の一環でありまして、職業訓練をしながら等々、言うなれば住宅が必要であろうということで、生活保護に申請される前の方でありますけれども、何とか自立をしていただくためにという形でこういう制度がございます。

 まず、今、収入要件のお話がございましたけれども、ある意味、生活保護とのバランスというものもございまして、誤解を招かないように言わなきゃいけないんですが、簡略化して申し上げれば、収入要件、住宅扶助と生活扶助の合計額というのが一つの基準であります。これはまさに生活保護とのバランスということでありますので、ここを変えるというのはなかなか、バランス的に非常につらいものがございまして、どうかそこは御理解をいただきたいわけであります。

 あわせて、今おっしゃられたとおり、本来生涯一回だけだという、これも延長して十二か月間というふうにしてきたんですけれども、それをもう一度、三か月間に関して、申請を、今回の三月までということで、一応、このコロナ禍の状況、緊急事態宣言も出ておりますので、そういう延長という形にしたわけでありますが、それ以上に延ばしてはどうかというようなお話でございましたが、これはちょっとコロナの感染状況を踏まえなければなりませんので、そういう状況を見ながら我々としては検討させていただきたいというふうに思います。

竹内委員 国民の皆さんに寄り添う施策をまた是非とも検討していただきたいと思います。

 次に、パネルの下段を御覧ください。

 コロナ禍の生活支援として、緊急小口資金、総合支援資金の特例貸付けというのが実施されているわけであります。この二つで現在最大百四十万円を借りることができることになっております。我が党としても、一月二十一日と二月一日の二回に分けまして、加藤官房長官に対しまして申入れ、緊急提言を行いました。その中で、既に特例貸付けを借り切って困窮されている方々などへの支援の在り方について、利用者のニーズや業務を担う社会福祉協議会の意見も踏まえ、自立を阻害しないような形で支援の在り方を検討してほしいと要望しました。

 早速その要望を受け止めていただきまして、二月二日に特例貸付けの再貸付けが決定されたところでございますが、具体的にいつから開始されるのか、そしてまたどういう手続が必要となるのか、まず田村厚生労働大臣にお伺いします。

 その上で、もう一つ。今回の特例貸付けには償還免除の特例も設けられておりまして、この度、緊急小口資金特例貸付けについては、令和三年度又は令和四年度に世帯主及び借受人が住民税非課税であれば一括免除ということになりましたが、再貸付け分も含めて、もう一つの総合支援資金の償還免除要件はまだ明らかになっていないわけでございます。

 このままでは、借りる方も貸す方もまだ不安でなりません。私どもとしては、今後、償還開始時に住民税非課税の場合は全額を何とか免除する方向で、できるだけ早くこの償還免除の要件を明確にしていただきたい、このように思うわけでございます。

 これらの点につきまして、田村厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。

田村国務大臣 おっしゃられますとおり、これは緊急の小口資金とそれから総合支援資金という形で、特例で今般貸付けという形をさせていただいているわけでありまして、緊急小口資金の方が二十万という形で、これは一回でありますけれども、あと、総合支援資金の方が、今まで百二十万、二十万の六回、六か月分ということでありまして、全体で百四十万という形でありました。さらに、総合支援資金の方を、三か月上限ということでありますので、六十万、合わせて二百万円までお貸しをさせていただく、お貸付けをさせていただくという形になりました。

 いつからという話がございました。これに関しては、申請の状況もあると思いますが、今、体制もそれぞれの地域で整備しておりますので、若干ばらつきがございます。早急にお貸付けができるように努力してまいりたいというふうに思います。

 あわせて、まずは生活困窮者相談支援窓口の方で御相談をいただきまして、そこからそれぞれの地域の社協の方に話を通していただいての貸付けというような、そういう手続になるということであります。

 今言いました緊急小口の方は、令和三年度、四年度の住民税非課税、今おっしゃったとおり、世帯主と借りた本人、ここが非課税ということになれば、これに関して償還免除ということでありますが、総合支援資金の方は、ちょっとこれは課税の問題もございまして、そこら辺の調整もしなければなりません。なかなかそう簡単ではございませんので、これはちょっとまだ検討中でございますので、決定次第、またしっかりと皆様方にお伝えさせていただきたいというふうに考えております。

竹内委員 重要な点であるというふうに思っております。貸付けの仕組みだけがセーフティーネットであってはならないと私どもは思っております。今後、雇用対策など支援策も同時に着実に実施していかなければいけないと思っているところです。

 そこで、今度は雇用につきましてお伺いしたいと思います。

 私の地元である京都府では、コロナ禍で解雇された方々を一定期間雇用して、企業内で実習などを通じて正規雇用へとつなげる京都未来塾というのをやっているんですね。なかなか好評であります。離職した方を新たに雇い入れる企業への補助金や、さらには伝統工芸品の購入促進を通じた伝統産業の仕事づくりなど、独自の雇用対策も実施しております。

 また、私が先日視察いたしました兵庫県の伊丹市雇用福祉事業団では、生活困窮者の自立支援に向けて、自治体や民間事業者から優先的に公園清掃などの仕事の提供を受けるとともに、相談当日から食料支援や生活費支援などを行うなど、先進的な取組を行っておられるわけであります。

 先日も、その日にもう食べるものが何もないという方が来られて、そして、その場で相談を受けながら、いろいろ簡単な仕事を本当にしていただいて、五百円ですよ、五百円、ワンコインをいただかれただけなんだけれども、そこから、やはり自分の生きる意欲とか、あるいは社会に貢献しなくてはならないとか、そういう気持ちを奮い立たせて、その後、継続的に通われて、毎日何千円も、五千円も六千円も稼げるぐらいに働けるようになった、そういう方のお話を聞きました。やはりそういう方は多いんですよ。分からないけれども、実はもう本当にそういう苦しんでおられる方は多い。そういう意味で、こういう地方公共団体による雇用創出の取組について、私は、国として地方創生臨時交付金を活用して力強く後押しすべきではないかというふうに思っているんです。

 そういう意味で、コロナ禍で、解雇、雇い止め、内定取消しなどにより職を失った方や、あるいは、先ほどの緊急小口資金の特例貸付けなどを受けている方々をまずは最優先で雇用していくなど、生活困窮者支援と連携することも重要だと考えておりまして、地方公共団体による雇用創出への支援について、これは非常に、国全体のことになりますので、地方公共団体を束ねてやはりそういう後押しをしていく必要がある。私は、雇用をつくり出していく、働いていただいて、少しでもそこでお金を受け取っていただくような、そういう仕組みは大事だと思っておりますので、ここは菅総理のお考えを是非ともお伺いしたいと思います。

菅内閣総理大臣 新型コロナの影響が長期にわたる中にあって、国民の雇用と暮らしを守ることは政治の責務であり、しっかり対応していく必要があると思います。このため、雇用調整助成金の特例などにより事業主の雇用維持を支援するとともに、出向の支援や求職者へきめ細かな就労支援を行っております。

 また、三次補正予算の臨時交付金一・五兆円のうち、地方単独事業分一兆円は、経済対策に対応した事業実施のために、地域の実情に応じ、各地方自治団体において自由度高く活用いただけるものであります。雇用創出の支援など自治体独自の措置にも積極的に御活用をいただければいいのかなというふうに思います。

 また、生活にお困りの方に対しては、公的な仕事も含めたハローワークでの就職支援や、生活費の給付を受けながら訓練を受けることができる求職者支援制度、こうしたものによる支援、必要とする方にそうしたものをきちんと届けるようにしたいと思います。

 引き続き、国民の皆さんが感じておられる不安に寄り添って、地方公共団体の効果的な連携をしっかり公共団体で図っていただいて、対策を進めていきたいと思います。

竹内委員 よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、次に、生活保護の弾力的な運用について伺いたいと思います。

 生活保護の申請に関しまして、二十年以上音信不通など家族関係が壊れているようなケースやあるいはDV等のケースは扶養照会を行わないことになっているんです。しかし、現実には、相当一時は立派な会社でかなりの立場にいらっしゃったある方のお話を聞きました、今は全く仕事がない、毎日外を歩き回って、そして役所に行こうか、生活相談に行こうかと思うけれども、しかし、今の自分の状況を娘には知られたくない、言えない、心配をかけたくない、そういう方もいらっしゃるんですよね。そういう意味で、私は、本当に見た目では、この社会、分からないけれども、本当にそういうことで悩んでおられる方がたくさんいらっしゃることを知りました。

 その意味で、この扶養照会の条件というのを、厳しくはないか、扶養照会について、個々の状況に応じてやはり当事者に寄り添った配慮がなされるように、運用の改善の必要があるのではないかと私は思っておるんですが、田村厚生労働大臣の御見解を承ります。

田村国務大臣 コロナが流行する下で、生活保護制度も弾力運用というものを進めてきております。

 例えば、本人の稼働能力、これに関しても、急激に雇用がなくなっているという状況で、求職しても職に就きづらいという状況であればその判断を留保するというふうなことでありましたりですとか、あと、車、通勤用の自動車にしても、求職活動においても、こういうときですから、ちょっと経済が戻ればすぐにまた働ける可能性があるということで、これに関しても弾力運用。さらには、自営業用の資産、これも、今お客さんがいないのでという形で閉めておられるということであれば、経済が若干戻ればまた開いて自立いただけるということで、こういうものも弾力的に運用しよう、そういうような今運用をしております。

 今言われました扶養の問題でありますけれども、扶養は保護に優先するというのは、これは基本原理であります。これは四条にしっかりと明記されておりますので、扶養は保護に優先するということは、これは変えられません。

 一方で、じゃ、扶養照会が義務かというと、そうではなくて、今言われたみたいに、例えばもう家族関係が壊れている、若しくはDVで、もし知られたら逆に自立できない、こういう場合には扶養照会をしなくてもいいという状況、さらには、ほかにも、ちょっとこれは、扶養照会というか調査をした結果、もう既に老人施設、介護施設等に入っておられて、そもそも扶養する能力がないだろうという方々に対しても、わざわざ照会する意味がないということであります。

 私も、問題なのは、二十年音信不通、これは事例で出しているんですが、ちょっと今の時代、二十年というのはどうなんだろうと。これに関して、本当に家族関係がもう壊れていて扶養できない、してもらえないということであるならば、それは二十年というところにこだわる必要もないのではないか。実際問題、運用で二十年以下でもやっておられるところもございますので、そういう部分、公明党からも、これは先月ですかね、先月に御要望をいただいておりますので、ちょっとここのところはしっかりと、事実関係はどうなのかということも含めて調査をさせていただいて、今よりかはもうちょっと弾力的に運用できるように我々も努力してまいりたいと考えております。

竹内委員 御答弁ありがとうございます。是非とも前へ進めていただきたいと思います。

 では、次のパネル資料を御覧ください。一人親世帯への臨時特別給付金の追加支給について伺いたいと思います。

 パネル左側の棒グラフは、二〇一八年における各世帯の平均所得です。母子世帯は三百六万円で、全世帯の平均所得の五五%、児童のいる世帯の平均所得の四一%程度にとどまっているわけです。一人親世帯は元々、新型コロナの拡大前から厳しい状況に置かれてきました。

 パネル右側の円グラフは、年収三百万円未満の世帯における過去三か月、これは九月から十一月ですけれども、の家計収支の状況です。家計収支が赤字の世帯は四三%に上っておりまして、十二月以降の新型コロナの感染急拡大が収入の少ない世帯に特に大きな影響を及ぼしていることは間違いありません。

 昨年、児童扶養手当受給世帯などの一人親世帯に対して、一世帯五万円、第二子以降一人につき三万円を加算するひとり親世帯臨時特別給付金が、菅総理の英断で二回支給されているわけであります。しかし、私は、ここには書いてございませんが、一人親世帯の実は四人に三人は、一人母親のうち四人に三人は、大体、子供の養育費を離婚した元夫からもらっていないんですね。四人に一人ぐらいしか、逆に言うと養育費をもらっていない。そういう意味で、構造的に社会で最も苦しい立場にあるのが一人親世帯であると思います。それは、母親の立場というだけではなくて、その子たちの立場に立ってみれば、やはり精神的、経済的なハンディキャップというのは非常に計り知れないものがあるんじゃないかなと私は常々思っております。

 そこへ加えて、今回、新型コロナによる影響が長期化して、先月から緊急事態宣言が再発令し、更に延長される中、一人親世帯の皆さんの生活はますます厳しい状況にあるのではないかと思っているわけでございます。そういう声が私どもにも寄せられています。

 そういう意味で、低所得の一人親世帯に対する給付金の支給を検討するなど、中長期的な自立につながるよう、就労支援や居住支援など総合的な対策を実施すべきと考えますが、菅総理の御見解を賜りたいと思います。

菅内閣総理大臣 今委員からも言及いただきましたように、昨年末に、いち早くお手元に資金をお届けしたいということで、特例的に給付金の再支給を一人親家庭の皆さんにはさせていただきました。

 また、新型コロナウイルス、この影響が長引く中で、一人親家庭も含めて依然として生活が厳しい家庭もあると認識しており、今回、緊急小口資金、この限度額を百四十万円から二百万円に引き上げるとともに、住居確保給付金の再支給を行うということにしたところであります。従来から、一人親家庭の就労を支援するために、高等職業訓練促進給付金の支給、こうしたものも実施をいたしております。

 一人親家庭の方々にとっても、こうした重層的なセーフティーネットを活用して、個々人のニーズに寄り添った継続的な自立につながるための支援、これはしっかり行っていきたいと思います。

竹内委員 やはり構造的な社会の問題が常に横たわっておりますので、引き続き、是非とも総理もよくこの辺、目配りをしていただいて、また御英断を賜りますように、ひとつよろしく、改めてお願いしておきたいと思っております。

 さて、次に、自殺や社会的孤立の防止対策についてお伺いします。

 コロナ禍では、特に若者や女性の自殺者数が一昨年に比べて大きく増加しておりまして、対策の強化が急務です。SNS等の相談支援体制の拡充や、それを支える人材の養成など、第三次補正予算で創設されたセーフティーネット強化交付金を活用して速やかに対策が実施されるように、地方公共団体に対しまして丁寧に周知、連携していただきたいと思っております。

 さらに、コロナ禍では、DVや児童虐待も増え、社会的孤立状況がより一層深刻化しています。社会的孤立というのは、単に個人の問題だけではなくて、社会全体で取り組むべき重要な問題であると考えているところでございます。

 その意味で、社会的孤立を防ぐためには、単に厚労省だけとかそういうことではなくて、やはり全省庁横断的な対応を行う関係省庁連絡会議を立ち上げて、地方自治体や民間団体と連携して、実態の把握や対策の検討に早急に取り組むべきと考えるものであります。

 この点も、そういう意味で、より大きな視点から、菅総理の明快な答弁をいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 若者や女性を始めとして自殺者が増加する中にあって、自殺に追い込まれることのない社会の実現というのは急務であるというふうに認識しています。

 このため、三次補正予算で創設したセーフティーネット強化交付金について、電話やSNSによる相談体制の強化、相談員の養成、相談窓口等の積極的な周知、これを行うことにしており、自治体に対してこの交付金を活用した自殺対策の強化を働きかけをいたしているところであります。

 また、単身の高齢者、一人親などの様々な方の中で社会的孤立が深刻化していると承知しております。地域によっては、感染防止に配慮しながら、オンラインの活用など様々な工夫をしながら、人と人とのつながりを守る取組が行われているというふうに聞いています。

 社会的孤立を防ぐために、こうした自治体や民間団体での取組を速やかに把握するとともに、やはり関係省庁が連携をしてしっかり対応する体制を検討していきたい、このように思っています。

竹内委員 ありがとうございます。総理から、関係省庁が連携して速やかに対応していきたいという御答弁をいただきました。是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 では、次に、介護分野のお話に移りたいと思います。

 今般の新型コロナウイルス感染症によりまして、介護現場における厳しい労働環境や深刻な人材不足が一層鮮明になりました。こうした介護をめぐる厳しい実態を踏まえまして、一層の対策を講じていく必要があると考えております。

 そこで、この度、処遇改善というものに改めて光を当てなければなりません。

 令和元年十月から、消費税の引上げ財源を活用して特定処遇改善加算が新設されましたが、取得率が六五%にとどまっているとも聞いております。算定していない事業所では、その理由として、職種間や介護職員間の賃金バランスが取れなくなることの懸念が挙げられています。こうした懸念につきまして、本年四月からの介護報酬改定で改善、配分ルールの柔軟化が図られて、更なる取得促進が期待されているところなんですけれども、一方で、この特定処遇改善加算の仕組みだけでは十分ではありません。仕組みを設けるための事務作業が煩雑であったり、計画書などの作成が面倒で加算を取得しないなどの理由を挙げる事業者もあるわけであります。

 そうした事業者へ個別に支援をしてあげるなど、取得に向けた取組を一層進めるべきではないでしょうか。介護人材の確保や処遇改善につきまして、改めて、田村厚労大臣の御見解を伺いたいと思います。

田村国務大臣 処遇改善でありますけれども、数度やってきたわけでありますが、令和元年十月で、これで満年度ベースで公費で一千億円というような、これは経験、能力のあるといいますか、いろいろな経験がある熟練されている方々に対して特に上乗せをするということでありましたが、これは使っていただくと、大体、使った事業者は月額一・八万円ぐらいの賃金上昇になっているということであります。

 ただ、取得率が、言われるとおり、昨年九月で六六%ということであります。やはり使い勝手が悪いと。といいますのは、先ほど言った、経験年数のある方、熟練されているという方に、やはり他の介護職員よりも二倍以上、賃金の上げ幅のところを対応しなきゃならぬというような、そういう形で一応ルールがあったものでありますから、そういう意味では、一定程度長くやった方々の賃金を上げたいという思いがあったものですからそういうことにしたんですが、非常にバランスが取れないということがございましたので、これはちょっと来年度から見直すということで、熟練した方は他の方よりかは賃金、上げ幅は上じゃなきゃいけないんですけれども、二倍というようなそういう基準は外させていただいて使い勝手をよくしようということで、利用いただきたいと思います。

 あわせて、言われたとおり、例えば賃金体系の整備ができていないのでなかなか使えないでありますとか、あと、申請書類がなかなか作れない、そういうようなお声もありますので、そういう部分も個別で支援するということで今回予算化しまして、それに対してもしっかり支援をしていこうということで、せっかくの制度でございますのでお使いをいただいて、介護労働者の方々の処遇の改善につなげていただきたいと思います。

 また、来年度介護報酬改定も、処遇改善という意味も含めてプラス改定をさせていただいておりますので、そういうものを使っていただきながら、是非とも、介護現場の皆様方、処遇改善をいただいて、もっと多くの方々が介護現場にお越しをいただけるように我々も努力をしてまいりたいというふうに思っております。

竹内委員 ありがとうございます。介護の現場の皆様が希望を持って働けるように、是非とも改善していただきたいと願います。

 次に、中小事業者への支援について質問させていただきたいと思います。

 私どもも、二月二日に、中小事業者の皆様への支援につきまして政府に緊急提言をさせていただいております。

 そこで、一問、総理にお伺いしたいと思うんですが、今回、地方創生臨時交付金の協力要請推進枠というのがあるわけでございます。この枠について、柔軟な制度運用を求めたいと思っております。

 迅速かつ円滑な給付という観点から、この度の協力金、緊急事態宣言地域は六万円、それ以外は四万円ということで、期限が延びた分だけこれが支払われるわけです。このことは理解できるわけですけれども、その上で、やはり三次補正の地方単独分、先ほど総理もおっしゃいましたが、一兆円あるわけでありますので、こういうことも活用して、売上規模等を含む、地域や事業者の実情に応じた独自の追加支援を地方自治体でできるように後押しすべきであると考えております。

 この点につきまして、改めて総理の分かりやすい御答弁をいただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 緊急事態宣言による影響に対しては、飲食店などへの協力一時金の支給に加えて、多くの事業者にとって重要な資金繰りの支援、雇用調整助成金の特例措置による人件費の支援、こうしたものを行っております。

 また、飲食店への協力金については、各都道府県において、一店舗一日当たり六万円を支援をしております。これによって、東京都の平均的な店舗において固定費がおおむね賄えると聞いています。大規模チェーンであっても、店舗数に応じた支援を行っているところであります。

 さらに、地域の事情に応じた独自の支援にも活用できる財源として、三次補正で一兆円を用意しているところであり、これによって自治体の取組をしっかり後押しをしていきたい、こういうふうに思っています。

竹内委員 ありがとうございます。まだまだこの点に関しまして質問をしたいんですが、時間の関係上、要望に代えさせていただきたいと思います。

 経産大臣にいろいろ質問を用意しておりました。

 今回の一時金の対象要件がいろいろ、飲食店と直接間接の取引があるとか、それからまた人流減少の直接影響とか、直接とか間接とか、非常に分かりにくいところが国民の側から見るとあるわけであります。

 そういう意味でいうと、分かりやすくするように、やはり当初の持続化給付金に近い要件、直接間接というのは、当初の持続化給付金ですね、最初に百万円、二百万円と配った、その要件に近いものにしていく必要があるんじゃないかなと私は思っております。売上げが半分に落ちたら対象になるように、できる限り分かりやすくこの要件を明確化し、また適用していただきたいということ、これは要望にとどめさせていただきます。

 さて、この度、大雪災害が今年は続いております。これについても質問させていただきたいと思うわけでございます。

 コロナ禍に加えて、大雪が重なって大変な地域がたくさんあるわけでございます。我が党としても、一月十五日には小此木防災担当大臣に、また一月二十日には野上農水大臣に緊急要望を行っているところでございます。それを受けて、特別交付税の繰上げ交付や、除排雪や雪下ろし、それから除雪費の補助なども決定していただきまして、高く評価したいと思っております。

 農業被害につきましても、農林漁業の被害の早期全容把握や、それから被災した農業用ハウスなどの施設や畜舎、漁業施設などの改修、農作物の被害に伴い収入が途絶える期間の支援など、万全にしていただきたいと思うわけでございます。

 そういう意味で、コロナと大雪のダブルパンチによる社会経済活動の影響はますます深刻でありまして、そういう被災地域における宿泊施設等の観光関連業者、飲食業者や公共交通事業者などへの支援についても特段の配慮をお願いしたいというふうに思っております。

 この辺りにつきまして、総理の御答弁を賜りたいと思います。

菅内閣総理大臣 コロナ禍においての厳しい状況にある事業者の皆さんには、予備費を活用して雇用調整助成金や持続化給付金などの支援をしてきました。

 また、重ねて大雪の被害を受けた地域については、被災者に寄り添い、迅速に支援することが必要であり、先日、農林漁業者、中小事業者、こうした者に対して、雪害への支援策等について取りまとめを行いました。また、農林水産関係では、一昨日、農業用ハウスの再建や果樹の植え替えなどへの支援策を決定したところです。

 地域経済を支える観光関連業者、飲食業者、公共交通事業者など被災した事業者がこの大雪の被害を乗り越えていけるように、中小事業者への資金繰り支援など、引き続き政府が責任を持ってしっかり対応していきたい、このように思います。

竹内委員 是非ともよろしくお願いいたします。

 最後に一問、国土交通大臣にお伺いしたいと思います。江東五区の海抜ゼロメートル地帯の流域治水対策につきましてお伺いしたいと思っております。

 公明党の東京都議会議員からの意見や要望を踏まえて、様々な提言を行ってまいりました。また、昨年秋の臨時国会の代表質問でも、私ども、この広域避難対策の強化を要請しているところでございます。

 今回、海抜ゼロメートル地帯でも流域治水プロジェクトの策定が進められておりますが、この度、災害対策基本法の改正案を踏まえて、広域避難対策をこの流域治水プロジェクトにしっかり盛り込んで、地域防災力の強化をお願いしたいと思っております。

 東京など大都市圏に広がる海抜ゼロメートル地帯の流域治水対策の推進について、国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 東京東部地域、いわゆるゼロメートル地帯は、人口、資産が集中をしております。推定では、荒川が一たび決壊をしますと、広範囲で浸水が二週間以上続く、その間、ライフラインが全く使えない生活を強いられて、経済社会活動が麻痺してしまうと大変なことになる。

 この方針は、公明党からの緊急提言どおりでございまして、三つある。一つは流域治水。これは上流のダムですとか荒川の調節池の整備をする。また二つ目は、早い段階から広域避難を開始できる避難体制の強化をする。三つ目は高台のまちづくり。この三つの柱をしっかりと進めていくということが大事だと思います。

 また、加えて、近年の激甚災害のたびに問題となっております高齢者福祉施設の避難対策につきましても、現在厚生労働省と連携をしながら検討会を立ち上げておりまして、次の出水期に向けて、施設管理者に対して、避難計画の緊急点検を実施して、必要な改善を求めていくことにしております。

 また、今国会で提出をさせていただいております流域治水関連法案では、市町村が施設の管理者に助言、勧告をできる仕組みを構築するということと、もう一つは、厚生労働省とこれも連携させていただいて、垂直避難用のエレベーターですとかスロープの設置等をしっかりと促進してまいりたいと思います。

 いずれにしましても、この地域だけではなくて、ゼロメートル地帯は全国にありますので、流域治水プロジェクトをしっかりと、先日成立していただきました第三次補正予算案に、防災・減災加速化五か年対策に入っておりますので、これに早期に着手をして、本年の出水期に間に合わせるようにでき得る限りの対策を講じていきたい、こう考えております。

 以上です。

竹内委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

金田委員長 この際、稲津久君から関連質疑の申出があります。竹内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大対策を中心に質問させていただきます。

 改めて、亡くなられた方々に哀悼の意を表させていただきますとともに、治療中の皆様にお見舞い申し上げます。また、医療従事者始め関係者の皆様に心からの敬意と感謝を申し上げる次第でございます。

 本題に入ります前に、一点だけお伺いさせていただきたいと思います。それは、JRなどに関してでございます。

 日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律の一部改正案が今国会に提出されることになっております。これは、令和三年度以降も、JR北海道、四国、そして貨物会社への支援を継続することが示されておりまして、関係者の方々から大変期待と喜びの声をいただいております。一日も早い成立を望むところでございます。もちろん、三社にはこれまで以上に経営努力をいただかなければなりません。責任は大きい、このように思っております。

 その上で、北海道物流の課題について申し上げますが、パネルを御覧いただきたいと思います。広大な北海道、依存する輸送モードが本州と大きく違っていて、鉄道貨物に依存をしております。鉄道分担率、これが非常に高い地域でありまして、鉄道輸送が、農産品により季節的な波動等、いわゆる片荷輸送、これが発生するということが挙げられます。

 一方で、JR北海道は、自社単独では維持困難な線区というのを挙げておりまして、これが大変今問題になっております。これらの中には、根室線、石北線、室蘭線、いわゆる農産物の輸送に欠かせない鉄路があります。仮に鉄路が廃止された場合、一度に大量の農産物を輸送できるのか。また、トラック輸送に切り替えた場合にドライバーの確保ができるのか。問題は深刻です。

 もちろん、北海道における鉄路の維持というのは、これは貨物だけの問題ではなくて、北海道経済の基盤そのものでもありますし、地域住民の生活のインフラとしても欠かせないものでございます。

 こうした北海道の鉄路の維持について所見をお伺いさせていただきますとともに、本州と北海道を結ぶ第二青函トンネル、この構想を関係者から提案が今出されております。新幹線の高速性能の発揮、それから、鉄道貨物の維持、トラック輸送の輸送コストの縮減につながる、このような利点が多く、私も、是非ともこれは実現すべき、このように考えています。併せて赤羽国土交通大臣に所見を伺います。

赤羽国務大臣 国鉄民営化から間もなく三十五年の月日が経過をしようとしております。

 北海道は、言わずもがなでありますが、広大な大地と、それに引き換えて極端に低い人口密度、また冬場の大変厳しい環境、こうしたことで鉄道ネットワークの維持が大変容易でない地域だというふうに思っております。

 実際、これまでも不採算路線は廃線をしてきたにもかかわらず、現在、国鉄時代の廃線となる基準の輸送密度四千人未満の線区が全体で七七%を占めている。JR北海道は大変な経営努力をしていただいていると思いますが、まだまだ厳しい状況だということでございます。

 こうしたJR北海道の再生は、私の所管するいろいろなテーマの中でも最も解決が容易でない課題だというふうに思っておりますが、私は、何としてもやらなければいけない重要なテーマだというふうにも認識をしております。

 そのために、まず、現場で額に汗を流しながら働かれている鉄道マンの思いの一端を知りたいと思い、北海道を訪問するたびに必ずJR北海道の在来線、一両編成の場合もありますが、乗らせていただきながら、沿線の関係者の皆さんと懇談を重ねてまいりました。

 今お話がありましたように、その中でも、JR北海道が単独で維持することが困難な、いわゆる黄色の黄線区につきまして、この線区存続のために、地元の皆さん、アクションプランを作り、それを実行し、大変な御努力をされているということは、本当に頭の下がる思いでございます。

 そうした中で、私は、やはり北海道の持つ観光の潜在力というか、大変大きな、無限の可能性を感じております。

 詳しくは申し上げませんが、この中で、鉄道の旅そのものも観光資源として大きなポテンシャルがあるというふうに思っておりますし、JR北海道の再生を考える上で大変重要なテーマの一つであります北海道新幹線の札幌までの延伸も、十年後の開業を目指しているわけでございます。

 また、今お話ありましたように、我が国を代表する一大農林水産品、畜産品の拠点でもございますので、貨物鉄道の役割の重要性もよく承知をしております。

 こうした中で、道内の鉄道ネットワークにつきまして、私自身の決意として三つ掲げておりまして、一つは、皆さん心配をしている黄色の線区はむやみに廃線はしない。二つ目は、安全第一。そして、三つ目は、JR北海道の自立に向けての前向きな投資をしっかりとやっていく。こうしたことで今回もJR北海道の支援をさせていただきました。

 今年度で終了するこの支援につきましては十年間延長する。私は、まさに勝負の十年間だということで、決意を込めてやっていきたい。

 一つは、三年間で千三百億円を超える助成。これはこれまでの、単年度でいいますと二倍以上の助成になっておりますし、あとは、経営安定基金の運用益の安定な確保ですとか、特に、観光列車の導入のために、北海道の三セクを使った新しい仕組みもつくらせていただきます。

 また、大変大きな負担となっておりました青函トンネルの改修費用についても、JR北海道の費用負担は免除する、こうしたことをやらせていただいております。

 今お話が出てきました第二青函トンネルにつきまして、実は、北海道新幹線の競争力をアップするという意味では大変有用でありますが、他方で、建設のコストですとか維持管理費をどうするかといった大きな問題があるのも事実でございます。

 農産品の物流につきましては、生乳、牛乳の生乳は海上運送を大変しっかりやられておりますので、こうしたことも検討に入れながら、北海道全体の発展にJR北海道がどう寄与できるかということをしっかりと国としても捉えて取り組んでいきたいと思いますので、是非地元の皆様の御指導をいただけるように、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 是非とも、この法律の改正、成立を待ち、また、今大臣おっしゃったことを実現していただきますよう強く要請をさせていただきます。

 次に、新型コロナウイルス感染拡大対策について伺います。

 私は、昨年の九月まで、厚生労働副大臣として新型コロナウイルス感染症の対応に当たってまいりました。

 これは、これまで経験をしたことのない未知のウイルスとの戦い、また、様々時局が変化していきます、そうしたことを今ここで思い出しておりますけれども、そうした対応の難しさというのは十分承知をしているつもりでございます。

 その上で順次質問させていただきますが、まず、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について伺います。

 これは午前中の質疑にもございましたが、確認の意味も含めて質問させていただきます。

 手続が申請を含めて非常に簡素で、パートやアルバイトの方々も対象となる機能的な制度でございますが、改善点が何点かあると思います。

 まず第一に、制度の周知を強化することです。具体的には、いわゆるシフトで働いている方々、このシフトが減少していることをもって申請ができるんだ、こういうことを事業主それから労働者双方に周知徹底することが必要です。SNS始め、あらゆるツールを使ってこれを進めるべきと思います。

 第二は、コロナ禍にあって、シフトの減少で生活に支障を来している深刻な事態がある、このことを踏まえて、シフト労働者の休業支援金の対象を大企業にも拡大すべきだ。

 第三に、労働局から事業主に行われる連絡、調査、これで結構事業主が誤解を生じている場合もあります。あくまでも事実確認だということを明確にすることです。

 公明党といたしましても、今月の一日に政府に緊急提言をいたしました。総理は、一昨日のコロナ対策本部後の記者会見で、午前中の答弁にもありましたが、大企業の非正規の方々にもきめ細やかな対応を検討している、このように発表なされました。是非、具体的な対応を速やかに行っていただきたいと思います。

 是非、実施の時期のめどというものも含めて、総理の見解を伺います。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

菅内閣総理大臣 大企業の中でも休業手当が受け取れずに困っているとの声が寄せられていることを受けまして、大企業の労働者であっても休業手当を受け取りづらい勤務体系の方について休業支援金の対象とすることとし、厚労省に今検討を進めさせております。早急に具体的な対応策を取りまとめたい、このように思います。

 なお、その上で、休業支援金を安易に大企業まで認めると、企業が休業手当を払って雇用を維持するという取組が行われなくなるという課題もあります。

 引き続き、大企業に対して、雇用調整助成金の活用、ここも丁寧に説明をしていきたいというふうに思います。

稲津委員 総理、私は昨年、生活に困窮している方々を支援するNPO法人に数多くお会いをさせていただいて、様々な意見を聞きました。

 そして、昼もパート、夜もパート、パートやアルバイトをかけ持ちして何とか生活を維持している、そして、そういうところのお子さんは割とシングルマザーの家庭が多くて、そうした子供さんたちをお預かりをして支援をしているNPO法人の方にも数多く会いました。また、そうした児童の、貧困家庭を扱っている児童文学作家の方にもお会いをしてきました。

 そこで私自身が感じてきたのは、やはりこのコロナ禍にあって、いかに非正規の雇用の方々が苦しんでおられるか。そして、中にはシフトでつないでいる、そのシフトで仕事がなくなってきている。これは中小企業とか大企業とか、企業の大小に、規模に関わらないと思っています。

 総理、今お話しされましたこのことについて、私は、そうした困っている方々に一日も早く安心していただくためにも、是非とも早急な対応をお願いしたい、このことを強く申し上げておきます。

 次に、緊急事態宣言に伴う外出自粛等の影響を受けた事業者への一時支援金について伺っておきたいと思いますけれども、一昨日、十一都府県に発令中だった緊急事態宣言が、栃木県を除いて三月七日まで延長されることが決定しました。こうした中で、対象地域の売上げの減少した中小企業に対する一時金など、新たな支援措置が発表されています。

 これに対して、先日、公明党として、緊急事態宣言の発令地域でない、高知県を始めとする全国十三道県の知事の皆様から緊急要請をいただきました。また、私自身も、先日、札幌市長から同様の要請もいただいたところでございます。

 その内容は、緊急事態宣言の発令を回避すべく、昨年末から営業時間の短縮や休業要請など独自に取り組んでいる道や県、ここにも同様の支援措置を行い、影響を受けた事業者にも一時金の支給対象とすべきだという内容でございました。

 こうした要請に対して政府としてどのようにお応えをしていくのか、経済産業大臣の見解をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 一時支援金についてのお尋ねがありました。

 今回の一時支援金は、あくまで、緊急事態宣言の再発令に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動の自粛により影響を受ける中小事業者を支援するものであります。しかしながら、緊急事態宣言の対象地域以外の事業者であっても、要件に該当する事業者は対象となります。

 例えば、北海道において、東京や大阪など緊急事態宣言地域からの観光客が減少したホテルなどは、要件に該当する事業者として、一時支援金の対象となり得ると考えております。他方、それを超えて、緊急事態宣言地域以外の地域の事業者を一律に一時支援金の対象とすることは困難であると考えております。

 地方自治体では、今お話ありましたように、個々の事業実態を把握できる強みを生かして、独自に給付金や補助金の支援措置を講じているところもあると承知しております。

 先ほど総理の答弁にもありましたけれども、政府として、飲食店への協力金に限らない、地域の実情に応じた地方自治体の取組についても、第三次補正予算で計上しました地方創生臨時交付金を通じて、積極的に後押しすることとしております。

稲津委員 この十三道県の知事の方からの要請は、私は、単なる知事からの要請というふうには受け止めておりません。やむなく営業時間を短縮したり休業せざるを得ない、そういう協力をしている事業者の方々の切実な思いがその背景にあるということ、したがって、今御答弁いただきましたけれども、しっかり手が行き届くような、そうした施策の実施を強くお願いをしておきます。

 次に移りますけれども、次は、地方創生テレワークの推進ということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 コロナ禍で多くのことが自粛やあるいは自制を迫られておりますけれども、逆に、大きく進んだものが私はテレワークではないのかなと思っています。

 テレワークは、感染防止の観点から有効でありますとともに、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を実現するものであって、パソナという企業が淡路島に移転したという話、よく報道されていますけれども、北海道の北見市においても、民間所有の施設を共同サテライトオフィスとして使っている、こうしたテレワークの実態もございまして、まさに、場所を問わずに働ける環境、こうしたものが後押しになっている。

 今回、このように地方におけるテレワーク、これを強力に進めていくということは、私は、企業の移転や人の移住はもとよりですけれども、いわゆる地方に人の新しい流れをつくっていく、これは地方創生に最大の貢献をするものだ、このようにも思っておりますが、政府としてこうした取組を強力に推進していくことが重要と思いますが、総理、いかがでございましょうか。

菅内閣総理大臣 新型コロナを機に、地方への関心が今高まってきています。二十四年間、東京都へは転入が続いていました。しかし、昨年の夏以降、六か月連続で流出が続いています。

 こうした機会を捉えて、地方にいても都会と同じ仕事、同じ生活ができる環境をつくり出していく、都会、地方、都会から地方へのある意味で大きな人の流れをつくることのできる最高の機会ではないかなというふうに思います。

 テレワークは、地方にいて都会と同じ仕事をするために不可欠なものであり、御指摘のように、地方移転や移住、東京一極集中の是正にもつながるものと考えます。

 そのため、政府としては、まずは、テレワークを行うための通信インフラ整備をするために、来年度までに、五百億円の予算を使って、離島を含め全国に光ファイバーを張り巡らせます。さらに、中小企業については、テレワークを行う際の設備投資も支援をしていきます。

 こうした取組や働き方に対する意識の変化を促すことによってテレワークを普及させていきたい、こういうふうに思います。

稲津委員 ありがとうございます。

 地方創生は、今の政権も引き続き一丁目一番地の政策の一つだと思っておりますし、テレワークを有効にまた使っていただけるように推進をお願いいたします。

 次に、米の需給対策について伺いますが、新型コロナウイルスの感染拡大は、あらゆる産業に影響を与えてきました。農林水産業も同様で、特に主食用米の需要と供給のバランスが大きく崩れてきました。

 こうした中で、水田リノベーション事業ですとか様々な対策を講じていただいておりますが、この需給状況の改善をするためには、令和三年度の主食用米を、作付面積で六・七万ヘクタールもの大変大きな削減が必要になります。

 そこで、水田活用直接支払交付金などの活用、ここは是非、協力するところはしっかりインセンティブをつけていく、こういうことが重要だと思っています。

 もう一つ、私は、このコロナ禍にあって、米の需給問題というのは、これは数十年に一度あるかないかの、そういう状況かと思っています。そういう意味で、あらゆる政策を総動員しなければ解決できない問題。特に、これから市場における米価の下落が心配されまして、令和三年産米の収穫後も懸念があります。

 こう考えていきますと、政府備蓄米による運用の改善も一定程度見直して、飼料用米としての販売も必要ではないかと思っています。もちろん、それだけで需給改善が、解決するというふうには思っておりません。消費の拡大、米の輸出、米粉の消費拡大、それから、今、最近非常に売れ筋のパック御飯の増産体制を支援する、こうしたことも必要だと思っています。

 総理の御見解をお伺いします。

菅内閣総理大臣 主食用米については、長期にわたり、需要の減少に加えて、新型コロナの影響が長引く中で外食向けの需要も落ち込んでいることから、本年は大幅な減産が必要となるなど、大きな需給ギャップが生じていることは承知しています。

 これまで進めてきた一連の農業改革は、米に偏重した政策を改め、意欲と能力のある農家に農地を集積し、自らの経営判断でより高収益な作物を自由に選択できるようにして所得の向上を図り、農業を地域の核となる成長産業に育てようとするものであります。

 こうした農業改革の趣旨を踏まえれば、需給ギャップの解消のためには、まず、主食用米から麦や野菜などの高収益の作物へ転換を取り組む産地をしっかり支援していくことが重要であると考えます。

 その上で、今回の新型コロナの影響による需要の減少については、販売促進や輸出拡大といった新たな需要の掘り起こしを支援することによって対応していきたいと思います。

 また、政府備蓄米は、不測の事態に備えて一定量の国産米を保有することを目的としており、これを需給操作のために運用することは制度の趣旨に沿わないものと考えています。

 政府備蓄米の詳細については、農林水産大臣から答弁させたいと思います。

野上国務大臣 米政策につきましては、毎年、米の需要が減少していくと見込まれる中で、この需給と価格の安定を図っていくためには、やはり今後も、国内の消費ですとか輸出の拡大を図りつつ、自らの経営判断によって需要に応じた生産、販売を着実に進めていくことが重要であると考えております。

 一方、政府備蓄米につきましては、今ほど総理からもお話があったとおり、不作等による主食用米の生産量の減少によりその供給が不足する事態に備えて、必要な数量の国産米を在庫として保有することを目的としているものであります。このため、需給状況に応じて買入れ数量を増減させるなど、国による需給操作や価格の下支えにつながるような運用は政府備蓄米制度の趣旨に沿わず、また、自らの経営判断による需要に応じた生産、販売を進めるという米政策の考え方に沿って対応する必要があると考えております。

 国としては、麦、大豆や野菜、果樹、輸出用米、加工用米、米粉用米、飼料用米など、需要のある作物ですとか主食用米以外の米への転換に対する支援、あるいは、コロナ禍による需要減少に対する販売促進対策、産地の調整保管への支援拡充等々、総合的な措置を講じてまいりたいと考えております。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

稲津委員 時間が参りましたので以上で終わらせていただきますけれども、是非、米対策についても政府を挙げてお取り組みいただきますことを強く要請しまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金田委員長 これにて竹内君、稲津君の質疑は終了いたしました。

 次に、枝野幸男君。

枝野委員 立憲民主党代表の枝野でございます。

 まず総理に、最初に一問、基本的な認識を確認させていただきたいと思います。

 今の日本の社会、そして日本の政治、この国会における唯一と言ってもいいぐらいの最大の課題は、新型感染症から命と暮らしを守ること、このことに尽きると思っております。この点の総理の認識をまずお話しください。

菅内閣総理大臣 最優先する課題というのは、まさに新型コロナの感染拡大を防止をし、そして収束に向かわせることであるというふうに思います。

枝野委員 この感染症危機を乗り切るためには、何といっても、一番責任が重いのは政治であります。ただ、政治だけでは乗り切ることができない。多くの国民の皆さんに御理解をいただき、それぞれの立場でできる範囲の一定の御協力をお願いしなければ、この感染拡大を防ぎ、この危機を乗り切ることはできません。

 そうした観点からも、私からも重ねて、亡くなられた皆さんに哀悼の意を表しますとともに、医療従事者を始めとするエッセンシャルワーカーの皆さん、感染者やその家族の皆さん、時短営業など厳しい環境にある事業者の皆さん、仕事を失って困難に直面している皆さん、御苦労をおかけをし、御協力いただいている全ての皆さんに、おわびと御礼を申し上げます。

 さて、ところが、残念なことに、御理解と御協力を呼びかける政治に対する国民の信頼が日々損なわれております。残念ながら、自民党の幹部や議員を始めとして、政府・与党の中で連日のように次々と新しい問題が生じています。個々の問題については同僚議員からお尋ねいたしますが、感染症対策に直接関連する事項も含めて、国民の皆さんの不信や不安、疑問などに対して、必ずしも正面からお話しいただけていないということを大変残念に思っています。

 危機において多くの国民の皆さんに御理解をいただき、御協力をいただくためには、政治が真摯に正面から説明をすること、これはリーダーとしての最大の役割だというふうに思っております。是非、総理にはこのことをしっかりと踏まえてお答えいただきたいと申し上げて、具体的な質問に入りたいというふうに思います。

 緊急事態宣言が延長になりました。現在の医療の逼迫というよりも崩壊状況などを鑑みれば、延長そのものはやむを得ないことだというふうに思っています。

 しかし、約一か月緊急事態宣言が延びるということは、生活困窮の状況にいらっしゃる皆さん、その再建に向けた動きが困難な、ほぼ不可能な状態が更に続く、したがって、生活困窮は深刻化をします。また、事業継続が既に困難になっている多くの事業者の皆さんは、更に厳しい状況が継続するということになります。

 ここまでの支援も、我々の立場からは十分とはとても言えない状況でしたが、更にこの支援を充実させなければならない、今回の延長というのをその機会にしなければいけないというふうに思っています。

 一枚目のパネルをお願いします。

 まずは、生活困窮に陥っていらっしゃる皆さんを始め、暮らしを守っていくという観点から、既に私たちは、ここに挙げている二番から五番までのこと、特に厳しい皆さんに急いで対応しなきゃならないということで、一人親の皆さんなど低所得の子育て世帯に対する給付金の支給、これを決める法律案を国会に提出しています。それから、一人親の皆さんについては、職業訓練についての給付金の増額、こうしたことも従来から繰り返し政府に求めてきています。学生支援のための授業料の半額免除、これはもう昨年の半ばから法案を出して、政府に求めてまいりました。そして、休業支援金・給付金の対象に大企業労働者を追加しないと、パートなどで働く皆さん、受け取れていない方が現実にいるというふうに、幾つもの提案を私どもはしてまいりました。

 まず、大企業の非正規労働者に対する休業支援金についてであります。

 昨年から我々はこのことを指摘をし、そして対象に加えるべきだと申し上げてまいりました。先月二十九日、川内博史議員が紹介をして、当事者の皆さんに、総理、お会いをいただいて、前向きのお答えをいただきました。そして、今日も、こうした皆さんも休業支援金の対象にするということで指示をする、指示をしているということを総理からお答えをいただきましたので、これについては厚生労働大臣にお答えいただきたいというふうに思います。

 総理の指示に従って、休業支援金の対象にきちっと大企業労働者も追加をする、このことで検討しているということでよろしいですね。

田村国務大臣 御承知のとおり、休業支援金というのは、そもそもは中小企業等々、雇調金がなかなか対応できない、資金繰り的にも、また労務管理的にもしづらいような、そういう小規模のところが多いサービス業、また飲食業、こういうところを対象にして、中小企業でありますけれども、全般でありますが、休業支援金というものを創設いたしました。

 大企業は、基本的には雇調金で対応いただきたい。というのは、何もかも休業支援金になりますと、雇調金自体もう申請してこないということもあり得るわけでありまして、やはり大企業は大企業で責任を持っていただきたいと思っておりますが、ただ、与党、野党、それぞれから、シフトでありますとか日々雇用でありますとか、言うなれば非常に不安定な働き方をされておられる、こういう方々に対して、大企業はどうしても雇用調整助成金の対象にしないというような、そういうお声がありました。

 我々、補助率を十分の十に上げたんですけれども、それでも対応できないということでございましたので、総理から御指示をいただきまして、大企業においても、勤務形態、こういうものに着目をした上で、対象にできないか早急に検討して答えを出せ、こういう御指示をいただいておりますので、早急に検討したいというふうに考えております。

枝野委員 済みません、最後のところが大事なんです。

 決めてください。分かっているんです、前段でおっしゃっていることは。基本的には、大きな企業で若干のゆとりがあれば、雇用調整助成金で十分の十補われるんだから、だからちゃんと会社として休業手当を払ってください、その仕組みだというのはよく分かっている。そのことでずっと、これはもう半年にわたって申し上げてきているんです。

 現実的に、厚生労働省が昨年の十一月、休業手当未払いの大企業二十五社に文書で要請したけれども、一月の中旬時点で対応してくれたところはゼロだったわけですよね。やってくれないんですよ。テレビやラジオで御覧の皆さん、大企業というと、テレビなんかでコマーシャルをやっているところばかりをイメージされるかもしれませんが、これは五十人以上ですか、業種によっては。だから、決して皆さんがイメージしている、べらぼうにでかい、何億円もという企業ばかりじゃないんですよ。

 ですから、やるということを決めていただいて、なおかつ、この当事者の皆さんは、収入が断たれてもう半年、下手すると一年、非常に厳しい状況にあるんですよ。もう既に、川内議員とともに当事者が総理と会っていただいて、一週間ですよ。こういう緊急時なんですから、一日も早く結論を出して、現実にお金が届かないと、本当に食べていけない方がいらっしゃるんです。

 厚生労働大臣、最後の部分、やりますと言ってください。

田村国務大臣 やるとは、もう総理がおっしゃっているんです、今日午前中に。その上で、制度設計をしっかりやらなきゃなりませんから、やることを前提に、対象はどういう方なのか、期間はどういうことなのか、そういうことを詰めさせていただいて、総理から指示をいただいておりますので、これはもう総理がやるとおっしゃっておられますから、やります。

枝野委員 いつまでにやっていただけますかということが一つです。

 それから、確かに分かるんですよ、大企業が、ゆとりがあるのにこちらの休業支援金の方を頼ってしまって、出していた休業手当を出さなくなる。そんなもの、それこそちゃんと指導すればいいじゃないですか。今まで既に休業手当を払っていたのを、こういう制度ができたからもう払うのをやめましたなんというようなところは、すぐ分かりますでしょう、当事者が。今まで休業手当が出ていないところ、そこが対象なんですから。休業手当を出していたところが急に新しい制度に便乗しますなんということをやれば、指導できるじゃないですか。だから、余り制度設計の細かいことを言わないで、今まで休業手当をもらっていない対象者はちゃんと対象にする、そういう決断がこういう危機的な状況のときに必要なんじゃないですか。

 そして、もうあしたとか来週の週明けとか、そういう単位ですよね、これを決めていただくのは。どうですか。

田村国務大臣 なるべく早くやると申し上げております。ただ、期限を申し上げてできなかった場合には大変御迷惑をおかけします。なるべく早くやるという範囲の中で、これは、もう総理からそのように私、指示をいただいておりますから、しっかり対応させていただきます。

枝野委員 是非、本当に当事者の立場に立って急いでください。しかも、平時じゃないんですから。

 平時であれば、いろいろなところを調整していろいろな手間がかかるのはよく分かります。そういうことは頭に浮かぶから、大臣はよく物事を分かっていらっしゃるから、だから期限を切れないというのもよく分かりますが、状況はしっかりと理解していただいて。

 週単位というレベルじゃないですよ、日にち単位で結論を出す、そういう決意を持って臨んでいただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 もう一つ、川内議員が同行して総理に会っていただいたのは、子育て中の親御さん、やはり非正規の方が大部分、多くいらっしゃって、こうした皆さん、年末に一度給付金を出していただきましたが、これから進学、進級の時期を迎えます。年末にいただいたのは臨時特別給付金五万円、クリスマス、年末年始を越えるための最低限、それでも出していただいたことは評価したいと思います。第二子以降一人三万円です。

 本当に収入が途絶えてかつかつの状況の皆さん、これから進学、進級の時期に向けて、とても乗り切れないという状況です。是非これに間に合うように追加の支援を、そして、年末のときは、まず一番厳しいところで分かりやすいところということで一人親に絞っていただきましたが、一人親だけじゃありません。やはり、生活困窮している子育て世帯に対しては、しっかりと、この進学の時期を乗り切れるように、新しい給付金を出していただけませんか、総理。

菅内閣総理大臣 今、枝野委員から言及ありましたように、昨年の暮れに一人親家庭の皆さんに対しては給付金を出させていただきました。また、今回でありますけれども、新型コロナの影響で長引く中で、一人親家庭も含めて、依然として生活が厳しい家庭もあるということは認識をしています。

 そういう中で、緊急小口資金などの限度額、これを百四十万円から二百万円に引き上げるとともに、住居確保給付金の再支給を行うこととしたところであります。

 一人親家庭の方々にも、こうした重層的なセーフティーネットを是非活用していただいて乗り越えていただきたい、このように思います。

枝野委員 個人向けの緊急小口融資、これが従来の上限百四十万だったのをもう六十万借りられるようにする、このことは結構なことです。

 しかも、減収している世帯には返済を免除しますとおっしゃっていますが、今、返済免除が決まっているのは、二百万円のうちの一番元になっている緊急小口資金二十万円だけで、残りの部分についての免除要件などは決まっていないんじゃないですか、どうですか。これは厚労大臣でいいです。

田村国務大臣 総合支援貸付け、この総合支援資金の貸付けを特例的にやっております。これが今まで百二十万だったのを、更に六十万、三か月分という形にさせていただきます。

 これに関しては、おっしゃられるとおり、基本的に住民税非課税であって元々は収入が下がっているということが前提でありますけれども、そこの詳細についてどのように債務免除、債務免除といいますか償還免除の対応があるか。これは、債務免除の課税が一方でひっかかってくる部分もあります。ですから、免除になって、課税になって、税金払っていただいたのでは、これは話にならないという話になりますので、そういうちょっと複雑な問題もございますので、今、どのような基準でここの償還免除をつくっていくか、今検討中でございます。

枝野委員 多くの方が、やはり借金となると、ためらわれるんですよ、いずれ返さなきゃならないという前提ですから。ああ、免除されるんだと思っても、自分が免除に該当するのかどうか分からなければ、今追加の六十万、入ることになりましたと言われても、多くの皆さんがためらわざるを得ないんですよ。どういう条件で免除になるのかということを早急に出さないと、免除になりそうです、その金は六十万出しますといっても、それは絵に描いた餅にしか感じられない方が少なからずいるというのが私は現実だと思うんですよ。

 実際に、元の二十万については、住民税非課税を確認し一括免除を行うともう決めているわけですから、基本的にはその横並びでいいじゃないですか。もちろん、簡単じゃないのは分かっています、そこが複雑なのは分かっていますが、そんな、何週間もかけて準備しなきゃならない問題じゃないと私は思いますが、どうですか。

田村国務大臣 先ほど申し上げましたが、一つ大きな課題としては、債務免除に課税がかかってまいります。緊急小口は上限が決まっておりますので、二十万という形でございますから、そういう意味ではその要件に関わらないわけでありますけれども、総合支援貸付けになりますと、金額によってはそこにひっかかってくる部分がございます。

 そういうことも含めて、今どうすべきかということを検討中であるということであります。

枝野委員 こういう状況ですから、もし所得税法などを変えなきゃいけないというんだったら、それは幾らでも我々、相談に乗って、迅速対応しますよ。その方針をきちっと示されて、自分の立場だったら、まあどこかで突然いい仕事ができて収入が増えれば別だけれども、基本的に今の状況だったら返さなくていいんだということを一刻も早く伝えないと、この六十万円も絵に描いた餅だというふうに思います。

 総理、是非強い指導力を発揮してください、総理。

菅内閣総理大臣 絵に描いた餅と言われないようにします。

枝野委員 この六十万の上で、もちろん、これは一般的に生活困窮者の皆さん、六十万の上乗せがあるわけです。しかも三か月分ですよね。

 やはり子育て支援を充実させなきゃならないというのは、この感染症危機がなくても一般的に言われている状況の中です。そして、うちも中学二年生の双子を子育て中なので、やはり新学期は金がかかるんですよ。公立の学校でも、授業料はただかもしれないけれども、教科書はただかもしれないけれども、いろいろな学用品、やはり買わなきゃならないことになるんですよ。あるいは、進学、進級を控えて、もうちょっとゆとりがあれば、例えば高校、大学の受験料だってすごい負担になっているわけですよね。

 そうした皆さんには、今の一般的、包括的な六十万円の貸付けに加えて、やはり子育て世帯で困窮されている方についての支援は上乗せする、それがまさに未来への責任じゃないですか、総理。いかがですか。

菅内閣総理大臣 多くの皆さんが大変な生活をされている中で、昨年暮れまでに、一人親の子育て家庭には、特別に二回目の給付金を配分をさせていただきました。

 そういう中で、今申し上げましたように、新たにこの小口貸付けの中で御利用、御活用いただければという思いであります。

枝野委員 小口貸付けは、後で免除するという仕組みは、取りあえず借りたい人に出すんだということで一理ある制度なんですが、でも、一か月当たり、二人以上世帯、一律二十万円なんですよ。単身世帯、一律十五万円なんですよ。これは、住んでいる地域であるとか家族の状況によっては、やはりこの二十万円では、これでもやはり食べていけないという世帯は少なからずあるんですよ。特に、今申し上げたとおり、子育て、特に進学、進級のときには金がかかる。

 やはり、これはベースとしての支援として上乗せをするべきではないか、そして、きちっと渡し切りのお金で初めから子育ての支援としてやるべきではないか、そのことを強く申し上げたいというふうに思います。これは繰り返し求めてまいります。

 更に申し上げれば、やはり生活困窮者一般に、今日、特に大企業の非正規で休業支援金を受け取れていない方と、それから子育て世帯を取り上げましたが、生活困窮者の方、いろいろな方がいらっしゃいます。六十万円の資金の貸付けの上乗せは結構です。更に加えてしっかりと、昨年は定額給付金で全ての方に十万円お配りをしました。あのときと違って、この一年の蓄積、経験があるし、あのときの教訓もあるんですから、全員になんて言いませんよ。だけれども、一定の基準を設けて、やはり生活困窮者に対する給付金をしっかりと政府としてお出しをする。

 これは、この後の事業者との関係もありますけれども、国民の皆さんに感染拡大防止のために御協力くださいねと我々はお願いをして、御協力いただかないと感染拡大防止はできないんです。全ての方に本当は御協力いただいているんだから給付金を出してもいい、それは昨年の一律定額給付金の考え方はあってもいいけれども、その経験もあるから、今回は全部とは言わないですよ。しかし、そういう制度設計、今から一か月、一か月半あればできると思います。

 是非、生活困窮者一般に対する新たな給付金を、この際、これは今すぐやりますと言わなくて結構です、検討してください、総理。いかがですか。

菅内閣総理大臣 そういう強い意見があったことは受け止めておきます。

枝野委員 総理、是非前向きに、いや、簡単じゃないのはよく分かっていますよ、だけれども、できることはやりたいんだという姿勢を国民の皆さんに伝わるように、総理としてメッセージを出していただきたい、お願いを申し上げます。

 次に、事業者の方のパネルを下さい。

 事業者の皆さんには、この間、事業規模に応じた休業協力金、それから飲食店以外の影響を受ける皆さんへの支援ということを、これも繰り返し求めてまいりました。これで、取引業者等への一時金が四十万から今回六十万に最大、増額する。このこと自体は結構なんですが、一つには、これの要件、緊急事態宣言発令地域の飲食店と直接、間接の取引があることがあります。

 確認したいと思います。この要件を満たせば、事業者そのものは緊急事態宣言の発令地域以外でもいいですね。これは経産大臣。

梶山国務大臣 要件を満たすものであれば、地域、業種を問いません。

枝野委員 間接の取引というのは、間にワンクッションだけじゃなくて、ツークッション、スリークッション、フォークッション入っていてもオーケーですね、間接は。

梶山国務大臣 そのことが証明できれば、そういう形になります。

枝野委員 済みません、言葉尻を言うようなことをすると怒られるんですけれども、私も。

 証明じゃないでしょう。一定程度疎明をすれば、証明と言われるとなかなかきついですよ、一定程度疎明すればいいですよね。

梶山国務大臣 具体的に全てということではなくて、その因果関係をしっかり言っていただけて、また、自署の、署名をしていただければ結構であります。

枝野委員 二つ目の方には、不要不急の外出、移動の自粛による直接的な影響を受けたこととあります。

 一般的には旅館や土産物店などが例示されているようですが、イベントが開催できなくなった、興行が打てなくなったというエンタメや文化関係事業は入るんでしょうか。

梶山国務大臣 当然、入ってまいります。

枝野委員 問題は、不要不急の外出や移動の自粛によって影響を受ける旅館、土産物店、エンタメ、文化事業、こういったものって、緊急事態宣言の有無と必ずしも関係ないんじゃないですか。

 緊急事態宣言が出ていないところでも、今、もちろん、先ほど質疑でありましたから知っています。北海道、出ていないけれども、東京から来る人が少なくなって、これは対象になります。よく分かります。

 東北地方、全部出ていないですよね。全部出ていないけれども、やはり、例えば仙台に来て、岩手から山形から秋田から来てというお客さんは大幅に減っていますよね、緊急事態宣言が出ていなくても。それは、国としてやはりお願いしているんじゃないですか、感染拡大防止のために。こういうところは対象にしなくていいんですか。

梶山国務大臣 これにつきましては、十三自治体から要請があるのも承知しております。

 地方自治体では、個々の事業実態を把握できる強みを生かして、独自に給付金や補助金の支援措置を講じているところもあると承知をしております。

 政府全体として、飲食店の協力に限らない、地域の実情に応じた地方自治体の取組につきましても、第三次補正予算で計上した地方創生臨時交付金を通じて積極的に後押しすることとしております。

枝野委員 これは、第三次補正予算で対応したお金を使えと言っているんですけれども、そもそも、この四十万、六十万、このお金の財源って、どこのどの金を使うんですか。

梶山国務大臣 家賃の支援金で現在残余のものを、目間流用という形で使わせていただきます。

枝野委員 そういう流用そのものがいいのかどうか自体というのは、実は財政の考え方としてはあるんですが、それは言いません、今は問いません。とにかく使えるお金は使っていくべきだというふうに思います。

 国が出す四十万、六十万、しかも緊急事態宣言の出ているところで、直接絡んでいる、影響が大きいところでもそういうふうに財源をやりくりしなきゃならない中で、本当に、緊急事態宣言が出ていない自治体が、今出ている交付金で今のような対応を十分にし切れるのか、自治体任せでいいのかというと、私はそれは、いや、いいですよ、財政力のそこそこある自治体は。でも、やはり財政力の非常に厳しくなっている自治体が少なからずある状況ですから、やはり国として制度をつくって、そして国として財源を保障しないと、特に厳しい自治体のところにいる厳しい事業者の皆さんは事業が続けられない。元々厳しい状況にある地域ですから、そういうところの事業が継続できなくなれば、地域はますます成り立たなくなるじゃないですか。

 これは国が責任を持つべきだと思うんですけれども、これはもう一回、経産大臣、どうぞ。

梶山国務大臣 まず、緊急事態宣言で休業をしている、時短の営業をしている、そしてその影響があるところにこの一時金を支払いましょうということで決めさせていただきました。そしてさらに、緊急事態宣言していないところでも同じような影響がありますねという声もたくさんいただいております。

 そういった中で、先ほど申しましたように、地方創生臨時交付金、政府全体で支えていこうと。しかも、それぞれの地域で、例えば売上高五〇%減にならないところ、二〇%から四九%までのところを支援していこうというような支援措置もありますし、そういったところを応援していくという政府の意思をしっかりと示してまいりたいと思います。

枝野委員 三次補正予算のときも、我々は、そうした地方が自由に使えるお金、三次補正の予算額では全然足りないと。これは医療から何からいろいろなものが含まれているわけですから、全然足りないということで、もっと増やせという組替えを出しているんですよ。本当に足りるのかというふうにも思いますし。

 ここで財務大臣にお伺いをしておきたいと思いますが、そもそも、今議論しているこの令和三年度予算に、この新型コロナウイルス感染症、その医療とか生活困窮者とか、あるいは事業継続とか、こうした予算はどれぐらい計上されているんですか。

麻生国務大臣 先日成立をさせていただきました三次補正予算というものを迅速に適切に執行して、コロナ予備費を活用しながら現下の状況に適切に対応していくことになりますが、今委員御質問になっておりますもの、この中にも一部入っていますから、その上で、来年度、今御審議いただいておりますこの予算におきまして、感染症の危機管理体制とか保健所の体制の整備とか、感染症対応のための診療報酬の臨時的措置等々いろいろなものがありますし、医療機器の国内生産能力の増強なども図っていくこととしておりますので。

 さらに、これは収束していくと私どもも願ってはおりますけれども、感染状況によって更に予期せぬ予算の不足というものも、これは生じ得ないという保証はありませんので、我々といたしましては、五兆円のコロナ予備費を措置をしているというところであります。

 この予算を早期に成立をさせていただいて、新型コロナへの対応というものに万全を期してまいりたい、それが基本的な考え方です。

枝野委員 そうなんですよね。実は、今も金額とかはおっしゃらなかったんですよ。

 感染症のための診療報酬の臨時的措置、伺ったら四百五十五億円、医療機器の国内生産能力の増強、四十四億五千万円、感染症危機管理体制、保健所体制の整備、二十一億八千万円。

 本当に三次補正で相当ゆとりを持って新型感染症対策の予算を組んでいるというのであるならば、まあ、それが仮に例えば六月、七月ぐらいまで状況が延びたとしても、どういう状況かといえば、我々は、第三次補正予算の審議のときに、例えば、医療機関や従事者への支援だけでもあと三兆円要るだろう、感染防止対策の徹底として検査の拡大などで一兆五千億円ぐらい要るだろう、それから、生活困窮者への支援は三兆四千億要るだろう、事業者の支援には七兆円ぐらい要るんじゃないか、自治体への包括的な自由に使えるお金も二兆五千億円ぐらい要るんじゃないかと、我々、十七兆円余りの組替え動議を出したわけですが、残念ながら、政府はそれに応じていただけませんでした。まあ、感染症対策ということでは、GoToキャンペーンのお金一兆円などもその中に入った三次補正をそのまま通されたわけで、本当にこれで四月、五月、対応できますか。

 去年の場合は、もちろん、予算の審議の途中で、感染症、大変だという状況ではありましたが、予算を組む段階では想定ができていなかったということで、もう予算が成立してすぐに一次補正という話、これはやむを得なかったと思いますが、今回は継続案件です。

 これは、四月にまたすぐに補正を組まなきゃならないという状況になってしまうんじゃないですか。だとしたら、異例ですけれども、今からちゃんと、四月に補正なんか組まなくても済むように、しっかりと予算編成し直した方がいいんじゃないですか、総理。

麻生国務大臣 この前の補正のときにも同じような御質問があったので、同じようにお答えをしたので、重なるところもあろうかと思って恐縮ですが。

 この感染拡大防止に関する予算というお話ですけれども、これは、当初予算には例年計上しております医療とか保健衛生の基盤を支える経費というのは出されておりますし、地方公共団体の運営のための経費等々も同じように、通年のように計上しておりまして、これらは感染拡大防止というものを進めていく上で必要なものですから、これらを感染拡大防止と関係するものとそうでないものと切り分けるというのは、これは困難です。

 したがいまして、こうした基盤的な予算というものを措置をさせていただいた上で、予期せぬ不足が生じた場合に備えて、いろいろ申し上げましたもののほかに、五兆円のコロナの予備費を活用できるようにしておるということでありまして、今申し上げたような経緯を御理解いただければと存じます。

枝野委員 平時の発想としては御説明は分からないではないんですが、今本当にそういう状況なのかどうか。予算編成していた十二月には、我々は危惧をお伝えをしていましたけれども、総理御自身も年末年始こんなに増えると思わなかったという状態で作られた予算を、これから約二か月かけて審議をするということが、本当に適切な状況なのか。

 予算審議のやり方とか国対でいろいろ調整してもらわないと、今から組み替えるのは大変なのは分かっていますよ。でも、そういうアプローチをされることの方が今の危機対応ではないかということを強く申し上げておきたいと思います。

 さて、緊急事態宣言が一か月延長されましたが、いずれ解除できる状況に早くなってもらいたいと思います。

 栃木県が解除されました。じゃ、解除をするとき、あるいは解除をしたとき、何が一番大事なことだと思いますか、総理。

菅内閣総理大臣 まず、東京始め全国の感染者数には減少傾向が見られており、飲食店の時間短縮を中心とする今回の対策がはっきり効果を上げ始めてきているというふうに認識しています。

 今回、十都府県において一か月の宣言延長を決定しましたが、これまでの対策を続けていくことで感染をしっかり減少させていきたいと思います。対策を徹底し、状況が改善された都府県については、期限を待たずに順次宣言を解除する方針でありますが、まずは一か月で全ての都府県を解除できるように対策を講じていきたいというふうに思います。

 そうした思いの中で、何としても、今ステージ4、その段階をステージ3にいち早くして、更にステージ2に行くことができるように取り組んでいきたいというふうに思っています。

 ちなみに、東京でステージ3は、陽性患者が五百人以下、そして病床の稼働率は五〇%、そういう状況であります。そこをまずクリアをして、更にその下のステージ2の段階に進めていきたいと思います。

枝野委員 そういう話をお伺いしたいんじゃなくて、もっと大局的に、何が大事なことなのか、何がこの一年間の教訓なのかということなんですよ。

 昨年、緊急事態宣言を一度出して、本当に多くの皆さんに御苦労をおかけをしました。幸いその効果が出て、大幅に下がりました。でも、下がったけれども、下がり切らないうちに残念ながら夏の第二波、二つ目の、もう一回山が出ました。これは幸いなことに緊急事態宣言まで行かずに下がっていきましたが、結局、その中でGoToキャンペーンなどを展開して、みんながどんどんどんどん、平常に戻りたい。みんな戻りたいですよ。私だって戻りたいですよ。国民の皆さんだって平常に近い生活に戻りたいですよ。そうすると、どんどんどんどん緩んで人と人との接触が増えれば、これは残念ながらやはり感染は広がっていってしまう。結果的に、去年、最初の山はゴールデンウィーク、次は夏休み、そして年末年始、観光関連などにとっては一番の稼ぎどきのところにまた山が来ているわけですよ。

 これで、仮にこの山が、今の第三波と言われている山が二月、三月と下がっていきました、ある段階で解除することは、僕は解除してもいいと思うんですが、さあ、解除したんだからもう普通の状態でいいんだということになってしまったら、どんどん旅行に行きましょう、どんどん会食しましょうとなってしまったら、今度はまたゴールデンウィークに第四波が来てしまう。こういうことだけは絶対避けなきゃならない。二度目だというだけでも、関連業者の皆さんはもう勘弁してくれなんですよ。

 もう絶対にこんなことは起こさない、それがこの緊急事態宣言を解除していくに当たって国のリーダーとして示すべき大きな方針だと思うんですが、いかがですか。

菅内閣総理大臣 先ほど来の議論の中で、昨年の緊急事態宣言、これは全国を対象として幅広い業種に休業要請等を行いました。今回は、そうした教訓を踏まえて、飲食店、一番感染拡大が多いと言われる部分に焦点を絞って行って、まだ一か月たっていませんけれども、御承知のとおり、間違いなく陽性者の数は下がり始めています。ですから、国民の皆さんに大変御不便をおかけする、申し訳ないと思いますけれども、更に現在の緊急事態の場所についてはもう一か月御協力をいただきたい、今そういう思いであります。

 そういう中で、そこを、緊急事態宣言を解除していくところ、それは当然、政府に専門家委員会がありますから、そうした皆さんの考え方を聞く中で、やはり政治が最終判断をしていかなきゃならないと思います。

枝野委員 残念ながら、かみ合ったお答えをいただけなかったというふうに思っています。大変残念です。

 私は、ゼロコロナ戦略、ゼロコロナを目指すという戦略を明確にするべきだと思っています。もちろん、完全に感染が、ウイルスが日本の国内になくなるということはないかもしれません。でも、とにかく、市中における経路不明の感染拡大が一定程度発生しない、抑制されている、新たな感染ができればすぐにルートを把握できる、そして封じ込める。したがって、それ以外の人たちは、旅行に行っても、会食しても、場合によっては、人が密集する場所でなければマスクを外していても大丈夫ですよと。現にそういう状況をつくったわけですよね、オーストラリアやニュージーランドや台湾は。実際に発見されると、があっと、その周辺は動かないでくださいといって、一斉にPCR検査をかけるというようなことをやっているんです。

 こういう状況で、再度緊急事態になるような感染拡大はもうないんだとみんなが安心できる状況をつくる、そこに向けて、まずは医療の崩壊を食い止めて、そして、早期の感染者の把握と確実な隔離を進めていける体制をつくる、その間は十分に支援する、これが、私は今この国が取らなきゃならない大戦略だというふうに思っています。

 さて、そこで、検査の拡大です。

 自民党さんも何か全職員にPCR検査を実施するということになったそうでありまして、結構なことだと思います。やはり、発症していない方も含めて幅広く、どっと検査をかけて、その中で未発症の感染者がいないかを見つけ出す。これはずっと去年の春から私たちが言い続けてきたことを、ようやく自民党さんも自ら実施をしていただける、結構なことだと思います。

 でも、だったら、みんなができるようにしませんか、総理。

菅内閣総理大臣 感染拡大を防ぐためには、必要な方が検査を受け、その結果として、感染者を早期に把握をし、療養等の対応を行うことが基本であります。

 このために、自治体や民間検査機関等とも協力しながら体制の拡充を図り、我が国の一日当たりのPCR検査の能力は、昨年四月上旬に約一万件でありましたけれども、直近では十四万件になっております。

 また、季節性のインフルエンザと同時流行に備えて、短時間で新型コロナの陽性を判定できる抗原検査キットについて、一日当たり二十万件程度の需要があっても対応できる体制を整備してきました。

 さらに、御本人などの希望により実施する検査に関しても、希望者が民間事業者を選択しやすいように、情報提供の強化に取り組んでいるところであります。

 今後とも、検査体制の充実をしっかり努めていきたいと思います。

枝野委員 希望する人がいつでも簡単に検査ができる体制をつくってくださいということ、つくるべきじゃないですかと申し上げているんです。

 尾身先生、おいでいただいているんですよね、済みません。

 尾身先生、いろいろと分科会の提言などを見せていただくと、やはり検査はできるだけ幅広く、無発症の方も含めて、できるなら幅広くやった方がいい、こういう方針で今はいると。今までの経緯はいろいろな見方があるんですが、こういう考え方でいいんでしょうか。

尾身参考人 お答えいたします。

 まず、先生の先ほどの、解除した後の話ですけれども、その文脈でのことと、それから解除する前の話、二つ分けて。

 まず、解除した件については、私は、これは非常に重要なことは、解除した後も必要な対策を続けていって、急に全てをやめるということではない。

 それと同時に、検査の文脈でいうと、一番、私は、解除した後の都道府県で最も大事なことは、もちろん感染対策をやると同時に、検査は、感染のリスクの高いところがありますから、そこを中心に、無症状者に焦点を合わせた検査をやることによってリバウンドを防ぐ。リバウンドを防ぐためには、感染源を早く予兆、感染源がある場合、隠れたものを早く予兆すると同時に、そういうことをすることによって感染の経緯がしっかりとモニターできるということで、私は、今回、解除したところについては、そうしたリスクの高いところを中心に、しかも無症状者に焦点を合わせた検査をやるというのは、この前、分科会でも提言して、基本的対処方針にもそういう趣旨が書かれている。

 それからもう一つ、今度、今、例えば東京のような場所、これは、私が前に言ったように、無症状者の人についても検査をする。これには二つカテゴリーがあって、2aと言っているやつについては集中的に、今もうそうなっている。2bの方についても、今、実は実態として、多くの人々が、おじいちゃん、おばあちゃんに会いたいから行きたい、あるいは経済活動をやりたいというニーズがあって、民間の自費検査が物すごく多くなっている。

 この実態は私は認めるべきで、それにどう対処するかということで、まず一つは、国にはしっかりとクオリティーコントロールに関与していただきたいということと、もう一つは、しっかりやって、検査をしたら、陽性者だけじゃなくて検査数についても報告してもらう、あるいは、陽性者になった人はしっかりと保健所に報告してもらうような、条件が合ったところについてはしっかりと厚生省のホームページで公表してもらう、そういう二点が大事だと思います。

枝野委員 基本的には私も、大きな方向性はそういったことではないかというふうに思いますが、実際に検査拡大はもっともっとできるんですが、これは御存じでしょうか。

 どなたでもいいんですが、例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィックというところの全自動PCR機は、一日に最大一万七千件の処理が可能だと。しかもこれは、変異株かどうかの確認も同時にできてしまう。それから、国内、島津製作所は、一日数十件の処理ができる非常に安価な、まあ相対的にですけれども、全自動PCR装置を既に開発しています。こうしたものについて把握をしているのか。

 こうしたものをどんどんどんどん、国が金をつけてでも、自治体から、小型のものだったら、ちょっとしたクリニックだってみんな置いてもらったら、そこら辺でどんどんできるわけですよ。そういう状況を各国つくっているところが、検査をばあっと増やして未発症者を防いでいるんですよ。

 こうした情報をちゃんと把握をしていますか。そして、こういったことをどうしたら普及できるか、やっていますか。どなたでしょうか。

田村国務大臣 全てを私が把握しているということではありませんが、ほかにも短時間で数千やれるというようなものもありますし、様々なものを今、各企業が開発をいただいております。

 もちろん、一つは、精度管理をちゃんとやらなきゃいけません、今日午前中、話がありましたけれども。いろいろな民間の検査会社、今やっているんですが、精度管理ができていないという話になりますと、それが陰性と出て、本当に陰性でいいのかという問題があります。

 もちろん、そもそもこのPCR検査、感度七割ぐらいと言われていますから、三割ぐらいは陽性も陰性と出す可能性はあるんですが、それでやらないという話じゃなくて、それでもやった方が、多分、分からなくてそのまま動いておられるのならば、やって見つけた方がいいのはそれは確かでありまして、ただ、問題は、やはり費用対効果という問題であります。

 でありますから、我々はよく、計画的にPCR検査を一斉にやるのがいいだろう、集中的にと言っておりますが、ただ、それも徐々にいろいろな形で広げていって、今、介護施設等々に関しても、そういうものを定期的に、特に感染が広がっているところはやってくださいと言っています。

 プール検査というものを、先般、我々、これをスタートいたしましたし、抗原検査キットが約一千二百五十万キット、これはもう生産をいただいております。これは、インフルエンザが余り流行しなかったものでありますからそれほど使われていませんので、こういうものも使ってしっかり対応してまいりたいと考えております。

枝野委員 民間企業で、しかも、それなりに世界各国で使われているという実績があるような機械が山ほどあるのに、これが必ずしも国内では使われていないという話がいろいろなところであるわけですよ。確かに、検査の、唾液を採ったりとか、そういうところの技術はあるかもしれない。機械そのものは世界で使われているわけだから、そういったものをどんどん取り入れて、費用対効果といったって、それこそ緊急事態で何兆円と、生活、事業支援をやることを考えたら安いもんじゃないですか。

 これは政府として、まず情報を全部下さいと。いろいろな技術の、提供ください。それから、先ほど尾身先生からもお話があった、民間のも、民間でやって私費でやるのを止めたりはしないけれども、そういう能力を持っているところは全部報告してください、全部国が把握して一定程度お金をつける、ある程度の人には。そういうことをすれば、相当な程度の、既にあるかもしれない、更に今のような機械を、自治体とか、それから公立病院とかにどんどんどんどん入れていけば、実は、我々の言っている感染ゼロに限りなく近づけるところまで検査を繰り返ししていくことは十分可能だということは申し上げておきたいというふうに思っています。

 もう一つだけ。

 ここでも提起をしたいと思うんですが、実はゲノム解析が重要なんですよね、これは変異株の問題も含めて。ゲノム解析をしっかりやると、遺伝情報が一緒かどうか分かるので、もちろん、聞き取り調査なんかも必要ですけれども、この人とこの人は同じ遺伝情報のウイルスだから、ここはどこかでつながって感染、ここにあるんだと分かるわけです。こういうことを全部しっかりと把握して処理しなきゃいけないわけですよ。

 ところが、日本は、ゲノム解析、やたら少ないような気がするんですけれども、何でですか。

田村国務大臣 少ない理由は、感染者が欧米に比べて少ないというのが一つあると思います。

 率からいうと、いっとき一〇%弱ぐらい、全体のですね、やっておりましたので、そういう意味からすると、決して率から比べると世界で少ないわけではありません。若干、感染拡大しておりますので、今、率は多分五%、四%ぐらい落ちておると思いますけれども、率からいうと決して少ないわけではありません。

 ただ、これからゲノム解析も進めていかなきゃいけませんので、今、感染研の中で、今までゲノム解析をしていた部署があったんですが、他の部署もやれる能力がありますから、それも総動員すると同時に、民間にもお力をおかしをいただいて、やれるところにはしっかりとお力をおかしをいただいて、ゲノム解析、進めてまいりたいと考えております。

枝野委員 実は、解析そのものを広げることともつながるのかもしれませんけれども、ゲノム解析した情報をしっかりと分析をして、データバンク化して扱わなければ、どことどことつながっているとか、更に言えば、実は、新しい感染症ですから、どういう持病がある人は重症化しやすいとか、いろいろな情報を蓄積することが物すごく大事なんですよね。

 それで、こうしたデータバンクのために、三次補正で基盤整備事業として四十億計上されているんですが、しかし、こうした遺伝情報を含めたバイオ情報のデータバンク、構築するのに物すごい金と時間がかかるわけですよ、プライバシーのところをうまく遮断するとかですね。

 ところが、日本はあるんですよね。既に何百億もかけて、東大にはバイオバンク・ジャパンがあるし、東北大には東北メディカル・メガバンク機構というのがあるんですよ。これを応用する方が、このCOVID―19についてのゲノム解析を含めたいろいろな分析をする上で、しかも、その中には、感染ルートを追っかける上で、ずっと早いんじゃないですか。今四十億つけたって、そんなものができ上がるまでには、これは二年も三年もかかっちゃうんじゃないですか。

 これは官房長官、厚生大臣時代に、官房長官がやろうとしていたのに、なぜか厚労省の中の、四十億よりちっちゃくなっちゃったんですよ。東大や東北大は協力するらしいですから、その協力を求めて、ここを使うべきじゃないですか。官房長官、どうぞ。

加藤国務大臣 今おっしゃるように、まさにゲノム解析というのは非常に大事であります。

 ただ、ゲノム解析といっても、これまでの流れ、御承知のように、難病とかがん、こうしたことを主体に取り組んできたというふうに承知をしておりまして、それぞれ事業の目的等、違うと思います。そこは今、担当大臣から御説明をさせていただきたいと思いますが。

 ただ、そうしたそれぞれにおける知見、それぞれもう持っているわけですから、そうしたものはしっかり活用しながら、また委員おっしゃるように、重複投資や縦割り、こういったことをしっかり排しながら、まず目の前のこのコロナ対策、しっかり対応できるようにしていく、これは我々の務めだというふうに思っております。

枝野委員 残り時間が足りないので、これは引き続きですね。私の把握している限りでは、東大も東北大も十分活用できるし、しかも同じようなレベルまで組み立てようと思ったら、普通は年単位かかるし、とても四十億なんてレベルじゃないというふうに私は承知しています。引き続きこれは議論していきたい。早くしっかりとしたものをうまく活用していただきたいと思います。

 オリンピック・パラリンピックについて聞かざるを得ません。

 厚生労働省にお尋ねしたら、このオリンピック・パラリンピックのために必要とされる医療従事者の数や確保の見通しは今のところ立っていないというお答えでした。延期前の状況以上に、今回は感染症対応にも医療体制を更に充実させなきゃなりません。

 私も、アスリートの皆さん始め期待されている方、たくさんいらっしゃいます。できれば、開催ができるような状況になってほしいし、開催してほしいと思います。でも、そのことで、既に逼迫している医療が更に厳しい状況になり、国民やアスリートなどの命や健康に関わることがあっては絶対にならない。やはりそっちが優先だと思いますが、総理、それでよろしいですね。総理だと思います。これは総理でしょう。

菅内閣総理大臣 安全、安心大会をするために、新型コロナへの対応を始め、医療体制の確保というのは、これは当然、極めて重要であると思います。地域医療に支障を生じさせずに大会において必要な医療体制を確保できるよう、関係者と調整してまいりたいというふうに思います。

 詳細は、オリパラ担当大臣から答えさせていただきます。

枝野委員 今の段階ではそうおっしゃらざるを得ないのかもしれませんが、本当に、今、現に、東京を中心としての医療の逼迫、崩壊状態ですよ。これが、七月ですか、オリンピックは。その頃までにどうなっているのか、正直言って誰も分からない。

 私が提案をさせていただいたゼロコロナ戦略を徹底して取れば相当抑制できるのではないかと期待しますが、これだって、相手はウイルスですから、確約はないです。

 今、現に医療が崩壊しているんです。さらに、ワクチンの接種ということで、医療従事者の皆さんには物すごい御負担をおかけをしなきゃならないわけなんです。あえて言えば、東京都も含めて自治体にも、相当おかけをしなきゃならないわけです。

 どこかで選択しなきゃならないかもしれない。政治のリーダーはつらい選択をしなきゃならない。

 今、本当に日々御苦労されているとは思います。私も十年前の経験を振り返ると、本当に厳しい経験を何度もしました。

 でも、やはり、最後に一番大事なのは国民やアスリートの命と健康だ、そのことは確認したいんですが、総理、こちらの方が優先なんだ、このことはおっしゃっていただけませんか。

菅内閣総理大臣 今日まで、このオリンピック開催については、安全、安心な大会とするために、新型コロナへの対応を始め医療体制の確保、ここが優先すべきということは、今日までも何回となく議論をしてきたことであります。

枝野委員 いや、もちろんそうなんです。だから、昨年の秋までは、この第三波までは、この手のことを私、申し上げませんでした。

 でも、今、現にこういう、医療が崩壊状態ですよ。医療従事者は本当に大変ですよ。ここから、今日はワクチンを私は取り上げませんでしたが、これも大変ですよ。

 本当に、どこかで厳しい選択を迫られるかもしれないことをちゃんと頭に入れていただいて、そのとき必ず命と健康を優先していただきたい。

 最後に、残念なんですが、この間のオリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言や姿勢は、今の、命と健康を最優先するというのとは矛盾をしている。感染症がどうなろうが開催するんだと受け止めざるを得ないような、そんな発言がなされています。

 加えて、昨日、とても唖然として、具体的なことは同僚議員に委ねたいと思いますが、女性差別という言葉では足りないような発言がありました。

 国民の命と我が国の国際的な信用のために、森会長には辞めていただく、その指導力を、総理、発揮されるべきではないですか。(発言する者あり)

金田委員長 静粛に。

菅内閣総理大臣 森会長が発言をした内容の詳細については承知しておりませんが……(発言する者あり)詳細については承知していないということです。スポーツ分野においても女性の社会参画は極めて大事だというふうに思っています。

枝野委員 まず、この間の、どんな感染状況、コロナがどうなろうがやるんだという趣旨の発言、これだけでもちょっと、命と健康、それは我が国の国民もそうだし、来てくださいというアスリートに対してもそうです、やはりこっちが優先で、とにかく、来ていただけるよう、開催できるように全力を政府に尽くしてもらう、この言い方が私は組織委員会の立場だと思う。実際に今、医療が崩壊しているんですから。

 加えて、女性蔑視と言わざるを得ないような、いや、詳細、見ましょうよ。だって、見出しだけで判断したら間違えちゃいけないと思うから、私もちゃんと全文確認しましたよ。どうにも言い訳の利かない発言で、世界にこれは報道されているんです、伝えられているんです。本当に、日本人として恥ずかしい。国益を損なっていますよ。

 是非、総理には、強いリーダーシップを発揮していただきたい。森さんの首に鈴をつけられるのは総理しかいないでしょう。総理、よろしくお願いします。いかがですか。

菅内閣総理大臣 私は、先ほど申し上げたとおりでありまして、スポーツ分野においても女性の社会参画は極めて大事だと思っています。

 森さんの発言した内容の詳細について、詳細については正直承知していません。

 ですから、スポーツ分野においても女性の社会参画が大事である、このことは揺るぎがないことだと思います。

枝野委員 時間になりましたので、以下、同僚議員に委ねたいと思いますが、詳細、把握してください。そして世界でどう報道されているかも把握をしてください。本当に恥ずかしい状況になっています、残念なことに。これはもう国益に関わる問題です。

 是非、総理のリーダーシップをお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

金田委員長 この際、黒岩宇洋君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。黒岩宇洋君。

黒岩委員 立憲民主党・無所属の黒岩宇洋です。

 まず、質問する前に、一言申し上げさせていただきます。

 総理はせんだって、緊急事態宣言の延長を宣言、またされたわけです。発令しました。国民の皆様には、更なる自粛、また行動の制約をお願いしているわけです。そういう中で、このコロナ対策をしっかりと成就させる、言い換えればコロナを克服するために、政治に最も求められるもの、政府に最も求められるものは、私は間違いなく国民からの信頼だ、そう思っています。

 ただ総理、残念なことに、この一年強、安倍政権そして菅政権において不祥事が重なり、国民からの、これは残念ですけれども、信頼を損ねていると言わざるを得ないでしょう。

 まずは、一昨年、菅原経産大臣、これは公職選挙法の疑いがありということで大臣を辞職されました。次に、河井克行法務大臣。河井元大臣は、これは公職選挙法で起訴され、裁判中。妻の河井案里元参議院議員も巻き込んで、前代未聞の大がかりな選挙買収という、こんな状況になりました。そしてその後は、桜を見る会。これは一年たちまして、昨年秋から、この問題をめぐっては、前総理の公設秘書が政治資金規正法で起訴、そして有罪になるという、そして安倍前総理自らも、総理を退陣して三か月で検察から事情聴取を受けるという、正直、国民から本当に失望の声が上がりました。そして、これも一昨年になりますけれども、IR汚職。あきもと元内閣府副大臣がまた逮捕、起訴される。そして昨年末には、鶏卵事業者の問題で、吉川元農水大臣がこれも起訴される。年明けになりまして、直近では、与党の複数の議員が銀座ではしご酒という、本当に国民の信頼をどんどん失墜させている。

 そして、今日お聞きするのは、これも私も本当に恐縮で残念なんですけれども、総理御自身の、そして御長男、放送事業会社に勤めているということが報道されていますが、本来、原則では接待することが禁止されている、そんな所管官庁である総務省に対して総理の御長男が接待をした、こういう疑惑が出ております。

 総理、信頼をこれ以上損ねないためにも、私は、総理に誠意を持ってこの事案についての説明をお願いしたいと思っております。

 これは総理の著書、あえてコピーを持ってきましたが、ここに書いてある「国民の「当たり前」」、今日、総理、あくまでもこの「国民の「当たり前」」という物差しで、自己保身や官僚答弁ではなく、きっちりと国民に向けて説明をしていただきたいと思います。

 まずは、総理、今日発売されました総理の御長男の事案が載っている週刊誌、お読みになられましたか。

菅内閣総理大臣 全体像は掌握しています。

黒岩委員 お読みになられたのか、巻頭のグラビア、写真等は御覧になられたのか。簡単でございますから、お答えください。

菅内閣総理大臣 それは見ています。

黒岩委員 モノクロの、巻頭カラーで、トップ。そこで、目は目隠しですけれども、総務省の高級官僚に……(発言する者あり)今日は週刊誌も資料として出したいと言ったんですけれども、これは理事会で拒否されたので、残念ながら、口頭で説明する御無礼を国民の皆様には御容赦いただきたいと思います。

 黒目隠しが入って、長髪の方で、タクシーチケットを総務省の官僚に渡しているとおぼしきこの方は、どなたですか。

菅内閣総理大臣 それは分かりません。

黒岩委員 今、総理、週刊誌のグラビアも写真も御覧になったと言いましたよね。これは、総理の御長男と指摘されている方ですよ。それは御長男だったのか、そうでなかったのか、お答えください。

菅内閣総理大臣 正直言って、そうかどうかは分かりません。

黒岩委員 総理、国民の当たり前でやりましょうよ。自分の息子が、しかも、かくかくしかじかときっちりと背景も説明されて写っている写真。

 だったら、総理、その方が自分の御子息かどうか、御子息に確認されたんですか。

菅内閣総理大臣 確認はしていません。

黒岩委員 これは、総理、報道によりますと、まあ、我々が驚くべき事実が書かれているんですよ。昨年の十月の七日、そして十二月の八日、十日、十四日と立て続けに、霞が関、総務省のナンバーツー以下、幹部官僚が接待を受けていると。

 ここで報道されている十二月十四日、これは総理がステーキ会食をして猛省をされた日ですけれども、じゃ、この日、これは昨日、事前通告して、ちゃんと事実確認をしてくださいと総理にお願いしてあります。総理の御子息は、高級官僚の方と何をされていましたか。

菅内閣総理大臣 まず、やはり関わった者が誰であっても、国民の皆さんからの疑念を抱かせることのないように、これは総務省によってしっかり事実関係を確認した上で、ルールにのっとって対応してほしいというふうに思います。

 まず、お尋ねは、私の親族であるとはいえ、公的立場にはない一民間人に関するものであります。本人やその家族などの名誉やプライバシーにも関わることであり、本来、このような場でお答えすべきことでは私はないと思います。

 ただ、週刊誌で報道のように、民間会社に勤めていることは事実であります。

黒岩委員 私、ちょっと総理は勘違いされていると思うんですよね。何か、自分の身内だから公私混同で、公の場所で私人のことをと言うんですが、全く違うんですよ。この疑念、疑惑は私人にかけられたものではなくて、菅政権そのものにかけられた疑念、疑惑なんですよね。これを払拭するために、その事実関係を知り得る方が身近にいらっしゃったら、その方に総理としてお聞きすることは、ある意味、可能なことですし、もっと言えば、当然のことなんじゃないですか、こういう趣旨で質問しているんですよ。

 じゃ、十二月十四日、これは報道によりますが、総理の御長男は高級すし店で会食をされていたということです。父親は高級ステーキ店で会食、御子息は高級すし店でと。

 こういったことが事実かどうか、本来、確認したいと思いませんか、総理。例えば、事実じゃないのなら、ちゃんと御子息に確認して、総理は、昨日から、もっと言えば、おとといからの、このネット報道をされてから、御子息と直接ないしは電話で話をされていますか。

菅内閣総理大臣 ええ、電話では話はしました。

黒岩委員 では、この接待は事実かどうか。これについて、御子息からお聞きになったことをお答えください。

菅内閣総理大臣 接待というよりも、私は、調査が入ったら、鋭意、事実関係に対して、そこは協力するようにということは申し上げておきました。

黒岩委員 私は、ちょっとこれも常識とは残念ながらかけ離れているんじゃないかと。一般の親子、まさに国民の当たり前からいえば、息子さんに、これだけ報道されて、公知の事実としてこういった疑惑が持たれたときに、それはやはりつまびらかに話を聞いて、そして今度は総理としてこの場でしっかりと国民に伝える、これは国民の当たり前だと思うんですよ。

 このように、総理が、私が冒頭申し上げたとおり、こういった疑念、それについて、事案に、私は誠実に丁寧に答えているとはなかなか思えない。だから、この点について更に何点か話を進めてお聞きしたいと思います。

 今日は、その接待を受けたと言われる四人の官僚のうち、お二人は残念ながら、総務省審議官お二人が出席を拒まれました。今日いらっしゃっている秋本情報流通行政局長、いらっしゃっていますか。

 では、局長、お聞きします。

 十二月十日、六本木の小料理屋で菅総理の御長男から接待を受けたのは、これは事実ですか。

秋本政府参考人 お答えいたします。

 会食をさせていただいたことは事実でございます。

黒岩委員 会費は御自分で支払われましたか。

秋本政府参考人 お答えいたします。

 当初、出席者の中に利害関係者はいないと認識しておりましたため、自己分の負担を行っておりませんでした。事後に取材を受ける過程で、出席者の中に東北新社の社員であるとともに利害関係があると思われる子会社の社長等を兼ねている方がいることが判明いたしましたため、まずは確認できる範囲での返金を行っております。

黒岩委員 簡略化して再度お答えください。

 要は、その日は、自分では一切お金を払わず、ごちそうになったということでよろしいですね。

秋本政府参考人 事後的に確認できる範囲での額を確認いたしまして振り込みをさせていただいた次第でございます。

黒岩委員 その日は払っていないわけですから、御長男からごちそうになったということでよろしいですね。

秋本政府参考人 確認できる範囲で返金を行わせていただいた次第でございます。

黒岩委員 タクシーチケットは先方からもらったのか、お土産もただでもらったのか、事実をお答えください。

秋本政府参考人 飲食代やタクシー代も、当初は御負担をいただきました。事後的に返金をさせていただきました。

黒岩委員 総理、人から食事を、飲食をごちそうになって、お土産までただでもらって、タクシーチケット代まで出してもらう、これを我々は接待と言うんですが、総理、いかがですか。

菅内閣総理大臣 私自身、全く承知しておりません。

 それが息子であれ誰であれ、それに関連して御指摘のような不適切なことがあったかどうかについては、ここはしっかり関係者の中で対応してもらいたいというふうに思います。

黒岩委員 では、局長、お金を返したと言います。これは一般的にですと、皆さん、聞いてください、物を取りました、でも後で返しました、無罪放免、こんな話が通るんだったら、刑法も何も要らなくなっちゃう。

 お返しになったと言いますが、局長、幾ら返されたんですか。

秋本政府参考人 お答えいたします。

 具体的な返金額の妥当性も含めて現在調査を受けている最中でございまして、この場でのお答えは差し控えをさせていただきたいと思っております。

黒岩委員 いや、返したからいいでしょうと言ったから、幾ら返したと言ったら、それも言えないと。この接待の疑惑に対して、何をどう説明しようとしているのか。

 では、局長にお聞きしますけれども、一緒に会食をした総理の御長男は、これは総務省にとって利害関係者ですか。

秋本政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の点も含めて、今後、公務員倫理審査会等において調査が進められるものと承知をしておりまして、この場でのお答えは差し控えをさせていただきたいと思っております。

黒岩委員 局長、おととい、二月二日にですよ、局長は十二月十日に飲食したんだけれども、これは、利害関係者と割り勘で飲んだときにのみ提出する、一万円以上会費がかかったその届出を事務次官宛てに出しているじゃないですか。これは利害関係者と飲んだときだけ出す届出ですよ。何で出したんですか。

秋本政府参考人 お答えをいたします。

 まず、基幹放送事業者として認定を受けております放送事業者につきましては、利害関係者に該当いたします。会食相手の一部の方はその役員を兼務しておられましたことから、外形上、利害関係者に該当する疑いがあると考えまして、事後的な報告を行わせていただきました。

 ただし、利害関係者に該当するか否かにつきましては、個別の判断を要するということで、今後、総務省の大臣官房そして人事院、公務員倫理審査会による事実確認が行われると認識しておりまして、私はその調査を受ける立場でございます。その調査に真摯に対応してまいりたいと考えております。

黒岩委員 どうも、私、事前の説明を聞くと、要は、東北新社は、直接、放送事業の許認可権には該当しない。その子会社、これは総理の御長男が取締役をしている、これは登記簿にも載っていますけれども、その子会社については、直接、許認可権の関係で、ここは利害関係者だ。要は、東北新社、親会社だったらこれは利害関係者ではないですよという説明のようなんですよ。

 ここでちょっと、人事院、倫理審査会の事務局長に来ていただいていますが、じゃ、利害関係者とは何ですかと。これは倫理規程に定義がしっかりとされています。二条に一から八がありますけれども、一号は、今申し上げた、許認可の申請を受けようとしている、そういった事業者なんですけれども、六番に、所管する業界において事業を営む企業とあるんですね。人事院に聞いたら、これは、一から五まで、個別の要件では抜け落ちちゃうので、この六番目の項目で全て業界を拾いますよ、こういう項目なんだそうですよ。

 そこで、確認ですけれども、この所管する業界というのは、これは、よく役所用語で言うところの所掌事務、所掌する業界という理解でよろしいですか。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 倫理規程二条一項六号におきましては、各省が所管をする事務のうち事業の発達、改善、調整に関する事務に関して、その相手方となる事業者を利害関係人とするものでございます。いわゆる、省庁が所管する業界において事業を営む企業といったものとなります。

黒岩委員 ちょっとペーパーを読まれたので。

 私、事前に人事院に確認して、所管と所掌というのは一緒かというと、一緒だと。要は、所管というのは簡単に言ったもので、本来は所掌と。

 そうすると、総務省の設置法、ここに第四条、所掌事務というのは、これは九十五項まであるんですよ。総務省の所掌事務、第四条の六十号に、電気通信及び放送業の発達、改善及び調整に関すること。これは、許認可とか免許も何も書いてない。放送業の発達、改善及び調整に関すること、これが所掌です、所管ですよと。業界ってこんなに広いんですよ。

 それで、今申し上げた東北新社の定款を取り寄せると、この定款、総則ですね、第二条、これは目的です。第九号に、これはもっと細かくて、放送法に基づく基幹放送事業及び一般放送事業、これをやるんだと。

 こうなると、明らかに総務省の所管は放送業であって、この東北新社は放送業を営んでいる。これはもう間違いなく政治倫理規程が示している利害関係者になる。言い損ねました、利害関係者から接待を受けるのは、これは政治倫理規程違反、アウトなんですよ、懲戒対象ですよ。国家公務員法、倫理規程、法違反ですから。

 総理、総理にお聞きしますけれども、総理も総務大臣をやっているわけですから、この放送業とかのエキスパートですよ。この業界の人だったら、東北新社というだけで、当然、CSチャンネルをやっている、そういう業者だという、これはある意味、常識ではありませんか、いかがですか。

菅内閣総理大臣 それは分かりません。

黒岩委員 今日は時間がないのであれですけれども。

 そもそも、総理、総理は総務大臣のときに、二十代半ばで息子さんを総務大臣秘書官に採用していましたね、任命しましたね。この事実関係をお答えください。

菅内閣総理大臣 任命をしました。

黒岩委員 総理、総理はここのところずっと世襲批判をしていますけれども、世襲でも、選挙を通らなければバッジをつけられないんですよ。だけれども、総務大臣秘書官というのは、これは任命したらすぐそのまま、二十五歳でも。政務秘書官ですからね。

 私は、これは世襲よりはるかに甘いことをやっている、どうも総理は、言っていることとやっていることが真逆のような気がする。国民に対してもこんなに厳しいことを言っていながら、今日聞いていても、自分の親族や家族や、そして一番近いと言われている総務省をかばっているとしか思えない。どうも言っていることとやっていることが逆だ。

 今申し上げたとおり、総理の御子息は、総務大臣政務秘書官という総務省の重責なポストを経てからこの東北新社に行ったわけですから、これは当然、総理だって、東北新社のことは、息子の勤めている企業ですから、これが分からないというのは、これは国民の当たり前とかけ離れていると言わざるを得ないでしょう。

 この倫理規程違反については、今後もまた詰めていきますけれども。

 そこで、総理、やはり国民にとって非常に不可思議なのは、総務省のナンバーツーといったら、なかなか会うことはできないですよ、一般の国民は。我々国会議員だって、本当に相手が忙しければ、局長クラスでも三十分とかで退席ですよ。それが、年末に一週間で三回、十月には、これはナンバーツーの総務省審議官が二時間四十五分も会食している。

 これ、何でこの人たちはこんなに総理の御子息とここまで会食をしたのか。思い当たる理由、目的をお答えください。

菅内閣総理大臣 まず、秘書官にすることに、どうして、ここはルールの下に秘書官にしているんです。

 世襲制限というのは私は言い続けてきています。息子、三人いますけれども、政治家には誰もしません。これは了解をしています。

 それと、今、もう四十ぐらいですよ。私は、ふだんほとんど会っていないですよ。

 それは私自身全く承知しませんが、それが息子であれ誰であれ、それに関連して御指摘のようなことがあったら、あったかどうかというのはやはりしっかり調査してもらう必要があるだろうというふうに思います。

 いずれにしろ、私自身は、自分の政治信条として、世襲は制限するということで私ずっと言い続けてきましたから、そこはそのままやり遂げますし、秘書官をやったのも十年以上前のことですよ。東北新社の社長というのは、私も秋田の同じ出身ですから、先輩で、もう亡くなりましたけれども、そういういろいろな御縁があって応援してもらっていることは事実ですけれども、それと今の、私の長男とを結びつけるというのは、それは幾ら何でもおかしいんじゃないでしょうか。私、完全に別人格ですからね、もう。そこは是非御理解をいただきたいと思います。私の長男にもやはり家族もいますし、プライバシーももちろんこれはあると思いますよ。

 それと、長男が長男がと、やはり会社の一社員ですから、そういう中で、今言われているような不適切なことがあったかどうかについては、これから総務省の、政治倫理ですか、審査会でそこはしっかり対応してもらいたいというふうに思います。

黒岩委員 今いみじくも、東北新社の社長との御縁までおっしゃった。それでいて、さっき、東北新社は何をしている会社か、知りませんと。これが国民の当たり前とはかけ離れていると言っているんですよ。

 それで、総務省……(発言する者あり)駄目ですよ。私が質問しているんです。質問します。

 私は、接待を受けた三人の、今回の総理の御長男と会食した目的というのを、これは総務省から先ほど答えが返ってきました。まず、ナンバーツーと言われる総務審議官、谷脇審議官。これは、内外の情報通信市場の動向等について意見交換を行うため。ちょっと、もっともそうですけれども、ただ、今言ったように、二時間四十分ですよ。次、二番目、吉田総務審議官、これはナンバースリーの方だ。親睦を図るため、これだけですよ、親睦を図るため。そして、今日来ている流通行政局長に至っては、本人又は親が東北出身者の懇親会。

 こんなものにですよ、今申し上げた、接待となったら懲戒処分を受ける、自分の身の危険を冒してまで、四回も、十二月に至っては週三回も、しかもコロナ禍でこれだけ自粛しているときに駆けつけるというのは、これは一般感覚でいったらとても、今総理は一サラリーマンみたいなことをおっしゃっていますが、やはりこれは、総理大臣や総務大臣を経験している方の影響が大きいかもしれない。

 だから、こういう疑念を抱かれるから、今日、そういったことがないということをきっぱりと皆さんに、これからもですけれども、国民の皆様にお伝えしていただきたいと思います。

 それで、質問します。

金田委員長 それでは、ちょっと、先ほどの答弁の続きですから。

 内閣総理大臣菅義偉君。

菅内閣総理大臣 今、私は東北新社のことはもうずっと知っておりますけれども、先ほどの質問は、みんなが知っているということじゃなかったですか。私が今うそを言ったような言い方じゃないですか。

 いや、私自身も、御指摘のような不適切なことがあったら、それは長男から電話があったときに、それはそうした、会社からいろいろなことを聞かれたら、そこは事実に基づいてしっかり対応するようにということは申し上げました。

 そういう中で、先ほど東北新社の内容について、私は皆さんのことを聞かれたと思いましたよ。東北新社って知っていらっしゃる方は非常に少ないと思いますよ、何をやっていらっしゃるか。そこは私が知らないと言ったわけじゃないですから、そこは違ったと思います。

黒岩委員 それは誤解です。私はもちろん、ここにしっかりと総理宛ての質問、文を作ってきていますよ。総理がこの道のエキスパートだから総理は御存じですねと私は質問したつもりですし、まあ、行き違いのそごがあったらそれは私としても遺憾だと思いますけれども、少なくとも、総理とか、私が今言ったように、ここに一般の人なんて、誰も聞いていないですよ。総務省で放送行政を担っている人ならこれは分かるでしょうと、そう言ったわけですよ。その人たちが分かりませんでしたと。

 総理、今後、この利害関係者かどうかということも同僚議員が詰めていくことになると思いますが、まず、今お話を聞いて、局長がおっしゃった、こういった方々って、公務員ですよ。本当に、倫理規程というのは、国民に不信や疑念を抱かれないということで、すごく厳しくできている。そんな中で、平気で、これ一万円以上ですよ、そんなお金を払わずに、もう飲み代、食べ物代、タクシーチケット代、お土産、それでごちそうされている。これは適切だと思いますか。

菅内閣総理大臣 総務省において既に調査開始されておるようでありますが、国民の皆さんから疑念を抱かれるようなことは絶対ないように、ルールに基づいてしっかり対応する必要があるというふうに思います。

 私自身は全く承知しておりませんので、今言われているような、総務省において御指摘の会社との間にどのようなことがあったのか、事実を確認してルールに基づいて対応すべきだというふうに思います。

黒岩委員 最後になりますので……

金田委員長 時間が来ておりますから。もう時間です。

黒岩委員 分かりました。

 今の質疑をしても、本当に不可解な、分からないことだらけだったと思います。そして、残念ながら、やはり総理は国民の当たり前からかけ離れているんじゃないかなというのが率直な印象です。

 今後、この話は総理が主導して、速やかに事案解明をしていただくことを強く要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

金田委員長 この際、菊田真紀子君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。菊田真紀子君。

菊田委員 立憲民主党の菊田真紀子です。

 通告をさせていただいておりますけれども、順序を変えて質問させていただきたいと思います。

 先ほどの枝野代表の質問を引き継がせていただきます。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の御発言についてでございます。

 菅総理は、詳細について承知をしていないとおっしゃいました。さすがに橋本オリンピック担当大臣は承知をされていると思いますので、是非ここで、森会長がどのような発言をされたのか、御紹介いただきたいと思います。

橋本国務大臣 お答え申し上げます。

 昨日、森会長がJOCの評議員会で御挨拶をされたということであります。私自身はそちらに出席をしていなかったわけでありますけれども、先ほど十四時から、森喜朗組織委員会会長が昨日の発言のことについて記者会見をされました。その速報が入りましたので、お話をさせていただきたいと思いますが、森会長が、会見の中では、御自身の発言について撤回をし、謝罪されたということであります。

 いずれにしても、男女共同参画はスポーツ分野においても重要であり、スポーツ団体ガバナンスコードや男女共同参画基本計画に基づく取組を着実に進めていくことが重要と考えております。

 また、東京大会については、新型コロナウイルス感染症対策を万全にして……(発言する者あり)

金田委員長 静粛に。

橋本国務大臣 安全、安心な大会の開催に向けて、引き続き、IOCや大会組織委員会、東京都などと緊密に連携して、大会に向けた準備をしっかりと進めてまいります。

菊田委員 大変残念ですね。橋本大臣は、まさにアスリートであり、そして同じ女性という立場ですから、ここはごまかさないで、しっかりと述べていただきたいと思います。

 言っていただけなかったので、私が紹介します。森会長、このようにおっしゃったんです。

 これはテレビがあるからやりにくいんだが、女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさく言うんですよね。文科大臣、こんなことを言われていますよ。だけれども、女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります。女性というのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言うと、自分も言わなきゃと思うんでしょうね。

 もう本当に、怒りを通り越して、あきれてしまいます。こうした発言は、属性による決めつけでありまして、女性蔑視以外の何物でもありません。

 ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、ロイター、AP通信、フランスAFP等、外国メディアで大きく取り上げられ、東京オリンピックのトップがこのような性差別の発言をしていることに大きな驚きを示しています。

 先ほど橋本大臣がおっしゃったとおり、森会長は十四時から記者会見をされたそうです。不適切な表現だった、発言を撤回する、おわびをする、こういうふうにおっしゃっていますけれども、これだけ恥ずかしい発言をしながら、撤回、謝罪で許される話でしょうか。私はそう思いません。森氏の発言は、世界的な常識、感覚から大きくずれています。これは女性だけではなく、多くの国民が失望していると思います。

 そもそも、何で森さんがオリンピック組織委員会の会長になったのか、教えてください。安倍前総理の意向、任命だったのでしょうか。

橋本国務大臣 森喜朗会長は、長年にわたりましてスポーツ行政に深く関わり、二〇一三年に決定をしました東京オリンピック・パラリンピック大会の招致活動以前から活動されているという長い経験の中で、多くの皆様方に支持され、東京大会組織委員会の会長に就任されたと承知しております。

菊田委員 総理、見解を求めます。いかがですか。

菅内閣総理大臣 実は私、森さんの発言の詳細については知りませんと先ほど申し上げました。(菊田委員「今申し上げました」と呼ぶ)ええ。事実、そうでありました、私。

 それで、今の発言の中で、やはりこれはあってはならない発言だと思っています。

菊田委員 それだけじゃないんです。東京オリンピックの聖火ランナーに内定をしていたロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが、森会長が東京オリンピックは新型コロナウイルスがどんな形であっても開催するんだという理解不能な発言をされているが自分は同意しかねると発言をされて、さらに、有名人は田んぼを走ったらいいんじゃないかと森会長が発言された、このことについても、沿道に人を集める必要がないのであればタレントは身を引くべきだと考えられ、聖火ランナーを辞退されました。

 菅総理は、一月二十九日、世界経済フォーラムのオンライン会合、ダボス・アジェンダにおいて、日本はこの夏開催しますと断言をされています。

 オリンピックの開催について、総理も森会長と同じように、どんな形でも開催するんだというお考えですか。

菅内閣総理大臣 まず最優先すべきは、新型コロナウイルスの克服に全力を尽くすことであります。

 それで、私自身、発言をしたということは、バッハ会長が、昨年から、東京オリンピックは必ず実現するということで、ここは一致しておりました。そして、先日、バッハ会長は、各国の団体、日本のオリンピック委員会ですね、各国のそうした団体に確認した上で、東京オリンピックの七月の開催に完全に集中し、コミットする、そういう旨を表明しておりましたので、私自身も、東京大会においては、安全、安心な大会を実現するために感染対策は極めて重要であり、その具体的な内容を現在検討している、こういう思いで発言をしました。

菊田委員 各種の世論調査では、この夏に開催すべきという返答が非常に少なくなっています。約八割の国民が否定的に捉えています。国民と総理の思いが残念ながら乖離していると言わざるを得ません。そして、今回の森会長の発言で、オリンピック開催に対する国民の理解は一層大きく損なわれてしまうのではないかと私は懸念をしております。

 男女共同参画や女性活躍を理解していない方がトップのような組織では、世界における日本のイメージはよくならないし、国民の多くは気持ちよくオリンピック開催に協力しよう、応援したいとはならないと思います。SNS上でも、森会長の辞任を求める声が多くなっています。

 森会長は、記者会見で撤回、謝罪の言葉はあったそうですが、会長は辞任をしない考えのようであります。総理が、本当に国民そして世界に支持され、祝福される形で開催を考えるというなら、まず森会長にお辞めになってもらった方がいいと思います。枝野代表も先ほど辞任を求めましたけれども、改めて総理の見解を伺います。

菅内閣総理大臣 やはり、オリンピックは、多くの国民の皆さんの理解そして歓迎の下でやられるべきことだというふうに思います。そうした大会になるよう、私どもも全力で取り組んでいきたいと思います。

菊田委員 だから、私は、理解を得るためにも、もうここはお辞めになっていただいた方がいいということを申し上げているんです。何でそんなにかばわれるのか、よく分かりませんけれども。

 大変残念なことに、この発言があったとき、JOC評議員会の中で笑いが起こったということです。誰もいさめる方がおられなかった。これはテレビも入っている中での発言ですから、誰か一人ぐらいいさめる人がいてもいいのではないかと思いますけれども、誰も物を言えない。これが残念ながら現状なのではないかというふうに思います。

 橋本担当大臣、是非森会長と近々お会いになっていただいて、是非時間をたっぷりかけて進言していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

橋本国務大臣 誤解を生むような発言というのは、決していいということではないというふうに思います。

 特に、オリンピックの根本原則であります、オリンピック憲章に定める権利及び自由、人種、そして肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的、こういったことが記されておりますけれども、男女平等の原則を実現するため、あらゆるレベルと組織において、スポーツにおける女性の地位向上を促進し推進するというのがオリンピックの根本原則でありますので、森会長にお会いした際には、こういったことも含めまして、私自身の思い、そして世界のオリンピックあるいはパラリンピックに携わる、東京大会に携わる、そして全ての方々に誤解を生じないように、今後女性の立場というものもしっかり配慮しながら発言をしていただきたい、そして、東京大会が世界の皆さんに理解をし歓迎される東京大会になるべく努力をしていくということを会長にもお伝えしたいと思います。

菊田委員 別に誤解はしておりません。誤解と言うと、受け取る側が勝手に、誤って解釈しているということになりますよね。そんなことはないですよ。撤回してください。(発言する者あり)

金田委員長 静かに。

橋本国務大臣 森会長の言葉で誤解を生じることがあったという話がありましたので、そのように私自身が申し上げただけでありますけれども、誤解ということは撤回をさせていただきます。

 しっかりと、女性の地位向上に向かって、このオリンピック・パラリンピックがIOCの根本原則に基づいて推進されるべく努力をしていくということを会長としっかりと話したいと思います。

菊田委員 オリンピック憲章の精神を大切にしていただきたいと思いますし、重ねて、森会長にはここで身を引いていただきたいということを申し上げたいと思います。

 さて、アメリカでは、国内のコロナウイルス感染者が世界最多の二千五百万人を突破しています。そのような中、アメリカのメディアは、今年の夏のオリンピック開催を懸念する声を次々に伝えているわけです。また、アメリカ・オリンピック・パラリンピック委員会を筆頭とするスポーツ団体は、オリンピック参加のために選手が優先的にワクチンを接種するプランは今のところない、このように述べています。実はアメリカはオリンピック開催を望んでいないのではないかというような懸念も散見されます。

 先日の日米首脳電話会談では、国民が注目しているオリンピックについての言及はなかったようです。なぜ、言及して、アメリカのバイデン大統領と意思疎通を図らなかったのか、総理にお尋ねいたします。

菅内閣総理大臣 先日のバイデン大統領との電話会談では、大統領として正式に就任したことに対しての祝意を述べるとともに、日米同盟の強化だとか、あるいは自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力など、日米間の主要な外交、安全保障の課題を中心に議論を行いました。

 今回の首脳会談では東京大会についてのやり取りはなかったものの、東京大会の成功には米国を含む参加国・地域の協力が必要であるというふうに思っており、従来とも、米国とも緊密に意思疎通を図っていきたいというふうに思います。

 政府として、先ほど私、バッハ会長の発言を申し上げましたけれども、各国のそうしたオリンピックの組織委員会に確認した上で、七月の開催に完全に集中し、コミットする旨を表明していますので、アメリカも、アメリカの組織委員会は賛成じゃないでしょうか。全会一致ということに聞いています。

菊田委員 パネルを御覧いただきたいと思います。

 過去のオリンピックの歴史を振り返れば、必ずしも順風満帆ではありませんでした。

 一九二〇年のベルギー・アントワープ・オリンピックでは、スペイン風邪が流行し、世界の人口の二五%から三〇%が感染をし、死者数が二千万人から四千万人に上ったということであります。一九九六年のアトランタ・オリンピックでは、爆弾テロ事件が発生。二〇一〇年のカナダ・バンクーバー・オリンピックでは、WHOがパンデミック宣言をした新型インフルエンザが流行しています。また、二〇一六年のブラジル・リオ・オリンピックでは、ジカ熱が流行し、加えて治安の悪化もありました。

 つまり、これまで、オリンピックは様々な困難、そして大きな試練を乗り越えてきたわけであります。

 しかし、IOC、国際オリンピック委員会は、開催の決定を行った後は、感染症対策等のオリンピックを実際に開催するために必要な対策に関して主体的に行動することはなく、傍観者的態度に徹してきたように見受けられます。

 例えば、二〇一〇年のバンクーバー・オリンピックのときは、新型インフルエンザのワクチンの接種を推奨はしたものの、義務とはしませんでした。幸いなことに、期間中集団感染は発生せず、大変運よく切り抜けてきた、こういう印象を持ちます。

 しかし、新型コロナウイルスに関しては、傍観や運だけでは通用いたしません。開催国である日本が担う責任は、金銭面だけでなく、とてつもなく重いものがあります。

 一月二十八日の朝日新聞のインタビュー記事で、東京都医師会長の尾崎治夫先生がこのように述べておられました。

 選手のことを思えば、大会を開催できたらいいと述べた上で、政府の今の発信を見ていると、突然崩壊する建物を造っているような不安を覚える、基礎工事や中身がいいかげんでも、外壁を塗ってオリンピックをやりますと言っているようだ。さらに、政府は大会開催を目標に掲げるなら、具体的な工程表を示すべきだ、ムードだけで開催したいと言っても仕方がない、データや目標に基づいて議論を進めないと、国民の開催に対する気持ちも否定的なままでしょう。このようにおっしゃっています。私も同じ意見です。

 橋本大臣は一月二十六日の予算委員会で、辻元議員の質問に対し、大会期間中一万人程度の方に依頼をして必要な医療スタッフの確保を図っているところだと答弁をされました。しかし、医療現場、医療従事者は既に限界を迎えているのに、本当に可能なのでしょうか。国民の多くは懐疑的に見ています。

 最も理解と協力を得なければいけない東京都の医師会長の発言は大変重いものがあると思います。

 そこで、総理に伺います。この尾崎会長の御発言をどう受け止めておられるでしょうか。

菅内閣総理大臣 まず、先ほど来申し上げておりますけれども、安心、安全な大会にするためには、新型コロナへの対応を始め、医療体制の確保というのが、これは極めて重要だという認識です。そして、地域医療に支障を生じさせずに、大会において必要な医療体制を確保できるよう、関係者とよく調整を行っていきたいというふうに思います。

 いずれにしろ、場当たり的な大会でなくて、それをしっかり準備した上の大会にするというのは当然のことであります。

菊田委員 永田町では、菅総理はオリンピックの成功を弾みにして解散・総選挙に踏み切り、秋以降の続投につなげたいのではないかというような臆測や、オリンピックを開催できなければ政局になるのではないかというような声が聞こえてきますけれども、総理、そのようなお考えはおありでしょうか。

菅内閣総理大臣 内閣総理大臣として、今、日本に何が一番大事か、そういう中で、私は、前より、コロナ対策が一番大事だ、ここはずっと言い続けています。コロナ全体が、やはり収束させることが最大の課題であります。それと同時に、やはり景気、経済、かなり傷んできていますから、経済をしっかり回復をさせる、そうした対応策も必要だというふうに思っています。

 そういう中で、ただ、解散はもう今年の十月までにやらなきゃまずいことは決まっていますから。いろいろな中で、そこは政治家ですから、判断をするというのはある意味で当然だと思いますけれども、オリンピックを利用してどうこうということは考えていません。

菊田委員 オリンピックを政局に利用するようなことはない、こういうことでありました。

 総理、私のお願いは、具体的なデータとか目標とか工程表をしっかりと示していただきたいということです。そして、オープンに議論をして、何よりも一番今アスリートが不安に思っていると思うんです。情報がなかなか伝わってこない。本当に厳しいと思います。まずは、アスリートに情報をしっかりと伝えて、そして、国民の共有、そして共感を得た上でこれを進めていく。やみくもに突き進む、精神論だけで突き進むということは是非おやめになっていただきたいというふうに思います。

 続きまして、教育について、コロナ禍での教育の影響について伺いたいと思います。

 今日も私の地元新潟県では、ちょうどこの時間も雪が降っておりまして、今晩あたりから東北、北陸地方は暴風雪になるというふうに言われているんですが、今、この大変つらく厳しい寒さに耐えながら受験シーズンを迎えています。コロナ禍で、マスク姿の受験生の姿が連日ニュースでも取り上げられていますが、子供たち、学生を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。教師や保護者にも大きな負担がかかっています。

 総理、大学生や大学院生は、アルバイトの収入が減少して、学費や食費もなかなか払えない。そしてまた、資料や書籍の購入費にも苦しんでいます。

 先月、筑波大学が、コロナ禍で収入が減った学生を支援するため食料を無料で配布したところ、長蛇の列ができて、受け取りに来た学生さんは約三千人、二十トンもの食料が六時間でなくなったそうです。

 私の地元の大学生は、せっかく大学に入ったのに、キャンパスにも通えず、この一年間ほとんどオンライン授業になってしまった、それなのに高い学費を払い続けるのは納得がいかない、こういう声も多く寄せられています。

 親を亡くした子供たちに奨学金を支給しているあしなが育英会が昨年十月から十一月に行った調査によれば、回答した大学生の二五%、四人に一人が退学の可能性を考えたと答えています。文科省の調査でも、新型コロナウイルスの影響で昨年十月までに短大、大学を中退した学生さんが千三十三人に上ることが分かりました。さらに、就職内定率も低下をしています。

 学校現場においても、教員に大変なしわ寄せが生じていて、一斉休校による学習の遅れの挽回や学校内の感染防止策に追われて、全国の公立小中学校や高校などの教員の五七%が、過労死ラインと言われる月八十時間以上の時間外労働をしているというNPO法人の調査結果もあります。

 一斉休校によってICT機器のニーズが高まりましたが、低所得世帯ではパソコンやタブレットを持っていない世帯も少なくなく、教育格差がだんだんと大きくなっています。一人親家庭では、一日の食事にも事欠く状況で、子供に買ってあげたくてもできないのです。

 総理、こうした学生や教育現場の厳しい現状について、総理大臣としてどのように受け止めておられるのか、お聞かせください。

菅内閣総理大臣 新型コロナウイルス感染症の影響で子供たちが修学、進学を諦めることのないように、しっかり支えていくことが重要だというふうに思います。また、大学生の中退や休学について、現時点では大きな変化は見られませんが、不安の声が大きいことは承知しています。

 このため、政府では、家計が急変した学生を無償化の対象に追加するなど、授業料の減免を行ってきているところであります。

 安倍政権の際に、消費税を二%引き上げた際に、まさに子供、若者に集中的に約二兆円を投資をさせていただきまして、どんな家庭に生まれても、やはり、自ら教育を受けたい方は教育を受けられる、そういう国にしようという形で、大学の授業料も所得の低い方には無償化ということもつくったということも事実であります。

 今回、このコロナ禍の中でありますので、そうしたことがないように、今申し上げましたが、減免したりする大学を国は応援していますけれども、そうしたことをしっかりこれからも対応していきたい、こう思います。

菊田委員 今、受験生は、コロナに感染しないように本当に神経をすり減らしながら、必死に勉強をしています。

 そんな中、所管の副大臣、お辞めになられましたけれども、文部科学副大臣だった田野瀬太道衆議院議員が、知人の女性を励ましたかったといって、飲み歩き、同伴をしていた。本当に残念でなりません。子供たちに見せられない、言語道断の行いだったというふうに思います。

 安倍前総理の虚偽答弁の影響からか、自民党には、うそをついても許されるという文化がいつの間にかしみついてしまったのではないかと心配をしております。

 感染症対策の肝は、迅速かつ正確な申告に基づく透明性の確保、これが基本になることは私が申し上げるまでもありません。

 その場にいたにもかかわらず、それを一週間も隠していて、仮にそのお店でクラスターが発生したらどうなるんでしょうか。本当のことを言わなければ周りの人に大きな迷惑をかけることになる。だから、このコロナに感染した人たちはみんな、苦しんで苦しんで、それでもうそを言わずに、本当のことを保健所等に申告しているのではないでしょうか。

 緊急事態宣言下で夜遅くまで飲み歩いていたことはもちろん責められるべきですが、それ以上に、自ら範を示すべき国会議員が、自分の立場を守らんがために事実を隠して、うそをついて、ともすれば国民の命を危険にさらしてしまう可能性がある行動を取ったことを、私は、本当に真剣に、もっと深刻に受け止めるべきだと思いますが、改めて、総理、何回もおわびをいただいておりますけれども、見解を求めます。

菅内閣総理大臣 緊急宣言の下で深夜まで会食をし、そしてこれを明らかにしなかったことを受けまして、私は文部科学副大臣を更迭をいたしました。また、自民党三人に、議員に対しても、辞職勧告を党で行って、三人は離党をいたしております。(発言する者あり)離党勧告を行って、三人は離党をいたしております。政治家にとって極めて厳しい判断だったというふうに思います。

 もう二度と再びこうしたことがないように、党内においても、もちろん内閣においても、しっかり綱紀粛正の中で取り組んでいきたいと思います。

菊田委員 一つ確認したいんですが、おととい、二月二日の衆議院議院運営委員会で、我が党の青柳陽一郎議員が、複数人で行ったという事実について総理はいつお知りになったのかと質問をいたしましたところ、承知したのは昨日ですと、つまり、二月一日に把握をしました、このように答弁をされましたが、これは本当でしょうか。二月一日の何時頃、誰からの報告を受けたのか、教えてください。

菅内閣総理大臣 いろいろなうわさがありましたけれども、事実関係について確認したのは、二月一日ですか、それで、官房長官と話して、本人から直接聞いてみよう、そういうことで、一日であります。(菊田委員「一日の何時ぐらいですか」と呼ぶ)

 官房長官のところに本人に来てもらって、その上で、私、会いました。それが最終確認ですけれども。そうした、いろいろなうわさがこれは流れていまして、しかし、そういう中で、八時までの会食だったという話もありましたし、いろいろなうわさが流れておりましたので、そういう中で、最終的に確認したのは二月一日であります。

菊田委員 これ以上申し上げませんけれども、一月二十九日に松本純議員が国会対策委員長代理の役職を辞任した直後から、もう国会の中では、実はほかにも同席した議員がいたのではないか、こういううわさが聞こえていたものですから、二月一日になってようやく菅総理のところにその報告が上がるというのは、余りにも危機意識が欠如しているのではないか、こんなふうに思いました。

 さて、菅総理は、教育分野には余り、どうも御関心がないんじゃないかなというふうに実は思ったりもいたします。総理の著書「政治家の覚悟」も、私、さっと読ませていただきましたけれども、余り教育に関しては出てきません。また、今国会の施政方針演説でも教育についてはほとんど触れられていません。ですので、総理が国家百年の計でありますこの国の教育に対してどのような思いを持っておられるのか、是非熱く語っていただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 私は、どんな家庭に生まれても、やはり、教育を受ける権利、これは当然、憲法にもあるわけでありますから、大学まで、学びたい人は学ぶことができるような、そうした環境をつくるのが政治だというふうに思っています。そういう中で、大学生の授業料免除の際も私自身強く進言をしたということも、これは事実です。

 やはり、所得によって教育ができない人を出してはまずいということは、私はこれが基本であります。ですから、そうしたことには自分自身として力を入れてきました。

菊田委員 いろいろお聞きしたいことがたくさんあるんですけれども、時間も限られてまいりました。

 政治と金について伺います。

 一昨年の参議院選挙をめぐる買収事件で東京地裁から有罪判決を受けた河井案里氏がようやく昨日辞職をいたしました。控訴も行わないということであります。

 菅総理は河井案里被告と非常に近い関係にあったというふうに聞いております。選挙期間中は広島に二日連続で応援に入られて、応援演説の合間には二人で仲よくパンケーキまで食べている映像を私も見ましたけれども、総理はまさに河井案里さんの当選に大きく貢献された張本人であります。

 なぜ自民党本部から破格の一億五千万円もの資金が提供されたのか、それをどう使ったのか、それが原資となって買収、つまり票が金で買われたのか、河井氏はまだ国会に対して一切説明していません。私は、本人はもちろんのこと、自民党にも説明責任があるというふうに考えますが、総理はどのように考えられるでしょうか。

 それから、河井さんは議員辞職されましたけれども、支払われた歳費は返還されません。有罪が確定すればそもそも当選が無効になる方へ支払われた歳費であります。

 これは、今日は参議院の事務方、政府参考人、来られていると思うのでお答えいただきたいと思いますけれども、多額な歳費等々を払われているわけですね、それは幾らであったのか、教えてください。

 そして最後に、総理、コロナ禍で国民は塗炭の苦しみにあえいでいるわけですから、このまま歳費が返還されないというのは、やはり、たたき上げの総理からしたらおかしいというふうに思われると思いますので、その点についても見解を述べていただきたいと思います。

 まず、事務方、お答えください。

加賀谷参議院参事 お答えいたします。

 令和元年七月初当選の参議院議員が二月三日付で退職した場合の歳費、期末手当及び文書通信交通滞在費の総額は四千九百四十二万六千五百十四円でございます。

菊田委員 これは国庫には返還されないということですね。

加賀谷参議院参事 お答えいたします。

 辞職後の国会議員が、過去に支給された歳費、期末手当及び文書通信交通滞在費を国庫に返納することを定める規定はなく、返納義務は負いません。

菊田委員 総理、説明責任も果たさないまま、そして議員を辞職して、歳費はそのまま丸もらい、これは国民は許さないと思いますけれども、自民党総裁としての責任、どのようにお感じになっておられますか。

菅内閣総理大臣 私自身、今ここに立っているのは行政の長として答弁しているわけですけれども、あえて、御質問でありますので、自民党総裁として申し上げれば、例えば御指摘の資金でありますけれども、これは、支部の立ち上げに伴い、党勢拡大のための広報紙を全県に複数回配布した費用、そういう説明を受けています。

 それと同時に、使途の詳細については、これは、検察当局に今書類が押収されていますので、返還され次第、党の公認会計士が内規に照らしてしっかりチェックする、こういうことになっております。

 それと、歳費の支給でありますけれども、これについては、やはり国会がお決めになることであり、行政府の長として発言することは、ここは控えるべきだというふうに思います。

 また、政治家の出処進退については自ら判断すべきであることを私は言い続けています。

 いずれにしろ、政治家は、その責任を自覚をし、国民から疑念を持たれないよう、常に襟を正すべきというのが私の基本的考えです。

菊田委員 夫の河井克行衆議院議員もいまだに議員辞職をされていません。自民党を離党したようでありますけれども。そして、国会での説明責任を全然果たしていない。それなのに、国会にも来ていないのに、いまだに国民の血税である歳費をもらい続けている。これはおかしくないですか。

 潔く議員辞職をしなさいと、菅総理、河井克行さんと多分親しい仲だったと思うんですけれども、直接言っていただけないでしょうか。

菅内閣総理大臣 私自身、当選同期で、親しいことは事実です。しかし、議員を辞職することを、辞めるということを私が言える立場ではないということも御理解いただけると思います。

菊田委員 非常に残念です。

 安倍政権のときにも、政治と金をめぐる国民の疑惑、政治への不信、大変高かった。そして、その後、それをそのまま継承するのではなくて、是非、菅総理には、この政治不信を払拭するために先頭に立っていただきたいというふうに願ってやみません。

 桜を見る会前夜祭の疑惑についても、国民の多くは納得していません。今日の予算委員会には安倍前総理の出席も求めましたけれども、残念ながら、与党の賛同を得られませんでした。

 こうした政治をもう終わらせましょう。そのためには、菅総理が先頭に立っていただきたい、政治不信の払拭に努めていただきたい、このように強く強く思いますが、もう時間ですので、最後にお話をいただきたいというふうに思います。

金田委員長 時間が参りました。

 その上で、内閣総理大臣菅義偉君。

菅内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、政治家の出処進退は自ら判断すべきであると思いますし、政治家は、その責任を自覚し、国民に疑念を持たれないように常に襟を正す、そのことが大事だと思います。

菊田委員 従来どおりの答弁を繰り返されるということで、政治不信の払拭のために自ら先頭に立とうという気概が全くないということがよく分かりました。

 私の質問を終わります。ありがとうございました。

金田委員長 この際、玄葉光一郎君から関連質疑の申出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玄葉光一郎君。

玄葉委員 立憲民主・無所属の玄葉光一郎です。

 今日のメインテーマは外交でございますけれども、その前に、一、二、COVID―19、新型コロナウイルス対策で提案、提言をしたいと思います。

 一つは、先ほどの議論を聞いていて、事業者支援が気になりました。それは、先ほど説明がございましたけれども、基本的には宣言の地域の中の話ですよね。関連事業者は四十万を六十万にする、あるいは飲食店は六万円。宣言地域以外は基本的に自治体任せというのは、本当にそれでいいんだろうかということをもう一回検討してもらえないかなと思うんです。

 それは、総理も想像していただけるとお分かりになると思うんですけれども、十一都府県で宣言が出ました。そうすると、実は地方ほど緊張感が出るんですね。危機感が出て自粛するんですよね。みんな外に出ないんですよ。だから商売に影響が出るということが現実に起きています。

 ですから、もう一回ここは、単なる地方任せ、自治体任せじゃなくて、よく制度設計を考えてもらいたいということと、あわせて、適切な額かどうかということなんです。

 六万円も、六十万円もそうなんですけれども、場合によっては、ある人には多過ぎる場合もあります。支援金、給付金バブルだなんと言う人もいますよ。他方で、ある人、ある事業者にとってはスズメの涙です。この公平性の問題ももう一回検討してもらいたいなと思うんです。

 つまり、二区分、三区分ぐらい設けていくというのがいいんじゃないかなと、これはかなり現実的な話として申し上げたいんです。本当は三・一一のときみたいに逸失利益を出して補償するというのがいいんですけれども、もう始めましたからね、支援金で。

 ですから、これは現実的な提案なんですけれども、もう一区分、二区分設けて、本当に規模が大きい、損失が大きいところには、例えば六十万円じゃなくて百万円出す、百五十万円出す、そういうような現実的な検討を是非していただけないかなと思いますけれども、総理、いかがですか。

西村国務大臣 私の方からお答え申し上げます。

 協力金につきましては、月額換算最大百八十万円ということで、この範囲内で都道府県が差をつけていくことはできますが……(玄葉委員「飲食店はね」と呼ぶ)飲食店ですね。時短の要請に応じていただいている飲食店であります。ただ、都道府県としては、支援の迅速性という観点から一律に行っております。

 ちなみに、大企業も含めて店舗ごとでありますので、十店舗持っていれば十店分、一千八百万円、それから、人件費の方は、雇用調整助成金で全員の分を三十三万円までは国が休業手当を一〇〇%出すという仕組みにしておりますので、かなり規模に配慮した仕組みとなっております。これは東京の家賃とかいろいろ調べた結果でございますので、御理解いただいて。

 それから、御指摘のあった六十万円、三十万円につきましては、地域……(玄葉委員「四十万」と呼ぶ)今、六十万円、三十万円にしましたけれども、地域、業種を問わず、先ほど経産大臣から答弁のあった要件に合っていれば、十一都道府県に限らずこれは対象となるということでありますので、是非御理解をいただければと思います。

玄葉委員 今どう行われているかの説明は、本当に時間がもったいないので、いいんです。総理に是非もう一工夫してもらいたいということなんです。

 これは一緒に併せて御答弁いただければと思うんですけれども、これも提案なんですけれども、GoToキャンペーンがありますね。私、あのGoToキャンペーンは反対じゃないです。タイミングが問題なんだと思います。あとは工夫と知恵が必要だと思います。

 つまり、観光業者とか宿泊施設だとか見れば、やはり必要な事業なんです。ただ、止める時期とか始める時期の問題です。やはり十二月は、止める時期、私は間違えたと思っていますが、今度問題になるのは始める時期ですね。しっかり落ち着いてから始めるということと、もう一つは、やはり、始めるときに、例えば少人数で始めるとか、家族で始めるとか、収束している地域同士で始めるとか、そういう工夫を私はしたらいいと思うんですよ。

 これは先ほどの質問も含めて、総理、今の説明じゃなくて、今こういうことが行われているという説明じゃなくて、これからそういうことを検討してもらえますかということに対して御答弁いただけますか。いや、総理に。

菅内閣総理大臣 まず、GoToについては、いろいろな工夫が必要だろうというふうに思っています。県内の旅行から始めるとか、そういうアイデアも、これは知事会等もありますので、そうしたことは、しっかり、地域にとって何が一番必要かという判断からして、いろいろなことを考えていきたいというふうに思います。

 一時金ですけれども、これは、今回もう一か月させていただく中で、そこは検証する必要がある、こういうふうに思っています。

玄葉委員 去年、安倍当時の総理に、恐らく持続化給付金をもう一回出さざるを得なくなるんじゃないだろうかと、私、申し上げたんです。そのときは、かなり柔軟性を発揮して区分を設けた方がいいんじゃないですかと申し上げたらば、安倍総理は、いや、もうそういうふうになったらしっかり判断したい、そのように、柔軟性を持って答えておられました。私は、ここは柔軟性を発揮する場面ではないかなと思います。

 もう一つだけ。COCOAですね。COCOA、この接触通知アプリがアンドロイドで機能していなかったという話があります。これは総理もアンドロイドですか、ちなみに。(菅内閣総理大臣「はい」と呼ぶ)アンドロイドですか。四か月間不具合に気がつかなかったということがとても残念なんですけれども。

 これは、もしかしたら、濃厚接触者に通知がなくて、その方が大丈夫だと思って、陽性な方がもしかしたら動き回っちゃって、感染を拡大させちゃった可能性はあるんですよね。こういうことが二度とないように、失礼な言い方かもしれないけれども、かなりお粗末な事態だというふうに思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

菅内閣総理大臣 失礼じゃなくて、やはりお粗末なことだったというふうに思います。もう二度と再びこうしたことのないように、緊張感を持って対応したいと思います。

玄葉委員 これは鳴り物入りでスタートさせていて、これではいかんともし難いですので、是非お願いをしたいと思います。

 さて、本題の外交でありますけれども、総理、日本にとって、また、二十一世紀の世界にとって最大の外交課題というのは何だというふうにお考えになられるか。

 外務大臣、外務大臣に聞きたいときは、私、きちっと指名申し上げます。技術的なこととか、しっかり指名申し上げますので。これは、かなり基本的かつ大事なことを総理と問答したいと思いますので。

 もう一回言います。日本にとって、そして世界全体にとって二十一世紀の最大の外交課題は何だという認識でしょうか。

菅内閣総理大臣 日本にとっては、やはり唯一の同盟国である米国との関係をより緊密にしていくことだというふうに思いますし、また、日本も世界も、やはり中国の動向というのは皆さんが注視している、こういうことだろうと思います。

玄葉委員 私は、今も総理からも話がありましたが、やはり中国との向き合い方、中国という国をいかに責任ある大国にしていくか、このことがもう最大の外交課題だろうというふうに思います。明らかに力による現状変更をしようとしているわけで、いわゆる富国強兵路線を進んでいるようなこの中国に対して我々がどう向き合っていくのかということに尽きるのではないかというふうに思っています。

 香港で、自由の灯は消えかかっています。あわせて、この場でも出ておりましたけれども、尖閣での領海侵犯は過去最多になっているわけですけれども、私、すごく違和感を覚えるのは、こういう状況でも、日中は正常な軌道に戻ったというふうに言うんですね。私、これはすごく違和感を覚える。正常な軌道に戻ったと言うんですよ。これが本当に正常なんですかと。まさか習近平国家主席を国賓でお迎えするなんということはないと思いますけれども、このことを、日中、どう向き合っていかれるおつもりか。総理、お尋ねいたします。

菅内閣総理大臣 まず、大事なことは、やはり新型コロナウイルス、この収束に専念することだというふうに思っています。そういう中で、習近平国家主席の訪日については、具体的な日程を調整する段階ではないというふうに思っています。

 また、中国との安定した関係というのは、これは日中の両国だけでなくて、地域及び国際社会にとっても極めて重要だというふうに思っています。

 中国との間には様々な今問題があるわけでありますけれども、引き続いて、ハイレベルの機会の中で、主張すべき点はしっかりと主張する中で、中国側の行動を強く求めていくということが、これは大事だというふうに思います。

玄葉委員 この場でも出ていましたけれども、海警法という、国内法ではありますけれども、二月一日に施行されたということであります。これは、私、国際法違反じゃないかと。海警局、日本の海保に当たる海警局はほとんど第二海軍になっていて、今回の海警法というのはどうやら国際法違反であると。接続水域で管轄権を行使できるというふうにしているわけです。

 これは、外務大臣、尖閣の接続水域というのは日米安保五条の適用対象でしょうか。

茂木国務大臣 尖閣諸島、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土でありまして、尖閣諸島をめぐりまして解決すべき領有権の問題はそもそも存在いたしませんし、同時に、我が国として、しっかりと、この領域に施政権が及んでいるという範囲におきまして、五条の適用範囲だと考えております。

玄葉委員 接続水域を聞いています。

茂木国務大臣 領土について、領土、領海について、それは五条が及ぶという話でありまして、その接続水域をどうするかという問題でありますけれども、中国海警法につきましては、委員がおっしゃるように、どうそれが運用されるのか、ここについては曖昧な部分というのが確かにあると考えておりまして、これが国際法に反しない形で運用される、こういうことが極めて重要であると考えておりまして、その点は昨日の日中高級事務レベル海洋協議においても中国側に伝えているところであります。

玄葉委員 今、話しにくいから、答弁しにくいから答弁していないんですけれども、接続水域は、一言で言えばそれは領海じゃありませんから、領域じゃありませんから、施政下ではないということで結局日米安保五条の適用対象にならないということになると、接続水域でいわば日本を排除する活動をする可能性があるということです。ですから、私、今回のことは本当に見逃せないなというふうに思っています。

 これに対して、領域警備法のような議論もあります。ですから、その力の空白を生じさせないようにということもあるんですけれども、今日私が特に申し上げたいなと思っているのは、やはり国際的な法律戦に持ち込むべきじゃないかと。これは国際法違反ですから、国際的な法律戦に持ち込むということを是非、菅総理、私は意識してもらいたいなというふうに思うんです。

 というのは、二〇一二年の六月だったと思うんですけれども、フィリピンの外務大臣が日本に来られて、私、外相会談をやったんですけれども、驚いたことが一つあって、外相会談が終わって夕食会になったらば、何と言ったかというと、今、中国の軍艦がスカボローに向かっている、どうしたものかと言うんですね。私は、総合政策局長、鶴岡さんですよ、あのTPPの首席交渉官をした、二人で顔を見合わせて、さあ、どう答えようかということになったんですけれども、どういうふうに言ったかというと、国際司法の場に出たらどうかと言ったんです、司法の場に。日本も応援するから、国際司法の場に出たらいいんじゃないかと言ったんです。

 そうしたら、それについてすごく得心がいったようなことだったようで、アキノ大統領に相談をすると言って、結果として、御承知だと思いますけれども、六か月後に国際仲裁裁判所に提訴したんですね。その後、結局、その裁判が出たのが二〇一五年の十月です。これは、比中裁判ということで、非常に有名な判決になっています。中国のナインドットラインなどの南シナ海での主張が全て退けられています。

 これは、私、すごく大事なことで、そのとき中国が何と言ったかというと、一片の紙切れと言ったんですよ、その判決を。だけれども、実はすごく気にしています、中国は。このことで国際社会はもう目の色が変わりましたと思います。

 昔、二〇一二年のときに、私は欧州をずっと回って、中国の力による現状変更がいかに危険かということを言っているんですけれども、そのときは商売相手なんですよ、中国が、彼らにとっては。そちらの意識がどうしても強くて。しかし、今変わってきています。

 ですから、これは提案なんですけれども、是非、国際的な法律戦に持ち込んでもらいたい。そのときに、クアッド、日米豪印というのを今、日本政府は言っていますね。クアッド、大いに結構だと思います。日米豪印、ダブル、トリプル、四でクアッドですね。私は、それだけじゃなくて、今申し上げたように、そこに欧州を加えたらいいと思う。欧州の関心が全く変わってきた。だから、これは、五つはクイントと言うと思いますけれども、クアッドからクイントへ、日米豪印だけじゃなくて、日米欧豪印で国際法律戦を戦う、これは私の提案なんですけれども、菅総理、いかがですか。

茂木国務大臣 まず、大切なポイントなので、玄葉委員がおっしゃっていらっしゃるのは、比中仲裁裁判のことをおっしゃったんだと思います、比中裁判とおっしゃっていましたけれども。残念ながら、これを中国は全く守っていない、無視しているということは残念なことだと思っております。

 海警法につきましては、これからどう運用されるか、これを見ていく必要もあるなと思っていますが、昨日も日英の2プラス2が行われまして、海警法の問題点、私そして岸防衛大臣の方からも問題点を提起をしまして、英国側も非常に大きな関心を示しておりました。

 クアッド、日米豪印に欧州を加えて、東シナ海から始まりまして、南シナ海、そしてインド太平洋、自由で開かれた秩序をつくっていく、そのための様々な国際的な協力を進めていきたいと思っております。

菅内閣総理大臣 今委員から提案がありました日米豪印プラス欧州、欧州も、確かにこのところ大きく変わってきたというふうに思っています。我が国としては、国際社会の中で、基本的価値を共有する、そうした、EUも含めて、ASEAN諸国にも私ども、これは働きかけもしております。そうした中で連携協力していくことは極めて大事だというふうに思っています。

玄葉委員 是非、クアッドからクイントへということで、意識してもらいたいなと思います。

 それで、これも提案なんですけれども、日米の関係なんですが、バイデン新大統領と電話の会談を二回されたということです。

 私は、トランプ大統領になくてバイデン新大統領にあるものというのは、一つは、やはりルール重視ではないかなと勝手に私、解釈しています。

 是非、菅総理に私がお願いしたいのは、今コロナ禍なので、なかなか二国間で会って会談するというのは難しいと思います。簡単ではない。バイデン新大統領も余りやりたがっていないように見える。したがって、オンラインでいいと思います。オンラインで頻繁に会談して、むしろオンラインの二国間の会談は日米が一番やっている、首脳で。外相でもいいですよ。そうやってしっかり信頼関係を築いた上で、オンラインの最初の会談で私は言ってもらいたいんですけれども、法の支配、今申し上げたような法律戦を戦う、法の支配というものを日本が主導してきちっと説いていく。特に、バイデン新大統領に説いていくというのは、最初の会談でやるべきことだと私は思うんです。電話会談で残念ながら触れられていないような気がします。

 ですから、最初の本格的な会談では、法の支配というのを菅総理が自分の……(菅内閣総理大臣「言っている。言っているよね」と呼ぶ)いや、法の支配は多分言っていないと思います、法の支配は。法の支配は多分言っていないと思う。是非これから……(発言する者あり)いや、意識してもらって、自分の言葉で、バイデン新大統領、法の支配をしっかり大事にしてやっていこうということを言ってもらいたいと思うんですけれども、いかがですか。

菅内閣総理大臣 自由で開かれたインド太平洋、そうしたことでは米国とも合意をしています。ですから、そうした際に、今御提案がありましたこと、そこは私も極めて大事だというふうに思っていますので、心がけて対応していきたいというふうに思います。

玄葉委員 国際司法、このルール重視、そして、特に法の支配で世界の中で日本がこの分野をリードする。ICJでも非常に評価が高いです、日本は、国際司法裁判所でも。ですから、このことを是非重視をして、ルール形成をしてもらいたいと思います。

 今申し上げた日米豪印プラス欧州というのは、ミャンマーの問題も言えると思います。クアッドだけじゃなくてクイントで是非対応してもらいたいし、国軍に対して、権力放棄、そして拘束者の釈放を私は菅総理に求めてもらいたいというふうに思っています。

 日本は、様々な報道にあるように、独自の国軍に対するパイプというのはまだあります。現に、私の記憶では、菅総理も官房長官時代、今の国軍司令官に会っているんじゃないかと思います。ですから、その司令官に総理の口からしっかり伝えてもらいたいと思いますが、いかがですか。

菅内閣総理大臣 まず、ミャンマーで緊急事態が宣言されて、民主化プロセスが損なわれていることに対しては、極めて重大な懸念を有しています。

 日本は、ミャンマーにおける民主化プロセス、これを強く支持しており、逆行する動きに反対する、ミャンマーにおいて民主的な政治体制が早期に回復されることを改めて国軍に対して強く求めていきたいと思います。

 今後とも、情報収集、関係国との意思疎通を続けていくとともに、邦人の安全には最大限の留意を払いたいというふうに思います。

 いずれにしろ、私自身も国軍の司令官に前に会っていますので、そうしたことも含めて、しっかり対応していきたいと思います。

玄葉委員 是非お願いします。

 もう一回、今日はもうロシアのことは時間がないので触れませんけれども、クアッドからクイントへというか、欧州を加えて、それで中国と向き合っていく、そして、中国のピークアウトまではそれで向き合っていかないと、中国を責任ある大国にしていくのはなかなか大変だと思いますので、そのことを御提案を申し上げたいと思います。

 最後に、東日本大震災の問題、三・一一から十年がたちます。私も今、立憲民主党の復興本部の本部長という立場でもございます。また、三・一一のときは閣僚でもございましたし、当時与党の政調会長でもございましたので、当然ながら最後の復興まで最終的な責任を負いたいというふうに考えています。

 宮城とか岩手のような津波、地震の被災地は、総仕上げの段階に入ってきています。心のケアの問題あるいは公営団地のコミュニティーの問題であるとか、さらには、何か子供たちがやはり不登校が増えているというんですね。そういう問題などにきめ細かに対応していくということだと思います。

 一番問題なのは、御承知のとおり、原発事故のあった福島、特に福島の中の第一原発の周辺です。これは、残念ながら、まだ帰還困難区域になっているわけです。この帰還困難区域において復興の拠点というのをつくって、この拠点からしっかり復興していくんだという考え方は、私も賛成です。これはこれでいいと思います。

 ただ、今一番問題になっているのは、その拠点以外、かなり大きな地域になっていて、その拠点以外がまだ道筋が全くついていないというところに実は問題があります。

 菅総理は、度々、時間がかかっても帰還困難区域全ての避難指示を解除する、復興拠点以外にも住めるようにする、こういうふうに言及されておられるんですね。であれば、私は、できるところから、やはり菅総理の間にきちっと予算をつけて、復興拠点以外ですよ、しっかり除染とか家屋の解体とかを進めてほしいんです。そうじゃないと、自分たちは最後は見捨てられるのかなと地元の方は思っておられる方々がたくさんいるのも事実なんです。

 ここは、菅総理、力強く、最後まで国が責任を持って避難指示を解除するし、必要な除染とか家屋の解体はやるとここでおっしゃっていただきたいと思います。

菅内閣総理大臣 まずこの避難指示解除の方針をどのようなものにすべきか、予断を持たずに、個別に各自治体の課題、要望、こうしたことをまず丁寧に伺っていくことが重要だというふうに思っています。そういう状況の中からここは進めていきたいというふうに思います。

 それで、私、年末に、岩手、宮城を訪問しましたけれども、そういう中でやはり心のケアというのは物すごく大事だなということを痛切に感じてきました。まさにこの東北の復興、こうしたもの、まさに福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本再生なし、そういう思いでここはしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 今御指摘の点につきましては、そういうことから始めていきたいというふうに思います。

玄葉委員 よく地元の意見を耳をそばだてて聞いていただくというのはとても大事なんですけれども、もう一回だけ聞きますけれども、最終的に必要なら帰還困難区域の復興拠点以外も除染はやるし、家屋の解体もやると。これは家屋の解体もやらないまま放置するということは私はあり得ないと思うんですよ、原発事故があってですよ。チェルノブイリと一緒になっちゃう。日本はそんなことはしない、そういうことをきちっと言ってもらいたい。

梶山国務大臣 拠点区域外において除染や家屋の解体というお話でありました。この要望は私どもも聞いております。これまでも頂戴してきているわけでありますが、そうした要望や各自治体の個別の課題等を踏まえつつ、どのように特定復興再生拠点区域外の避難指示を解除していくか、引き続き検討してまいりたいと思いますが、首長さんともやり取りをしております。そうした切実な思いも聞かせていただいておりますので、できるだけこういったことを全力で取り組んでまいりたいと思っております。

玄葉委員 これは、大臣、何で断言できませんか。

梶山国務大臣 それぞれの地域でやはり思いが違うということでもありますし、まだその意見の集約というものがしっかりとできていない。例えば飯舘村においては、居住を前提とせずに、復興公園のような形で土地を活用しました。でも、ほかの地域からは、この新たな仕組みが一律に適用されることがないようにしてほしいという声もある。様々な声の集約ということをしっかり丁寧にやっていきたいと思っております。

玄葉委員 先ほども申し上げているように、首長さんとお話しするのもいいです。ただ、心配なのは、私はあえて必要ならと言っているんですよね。きちっと必要性が分かるなら、除染とか家屋の解体、きちっと帰還困難区域全てやりますとなぜ言えませんかと言っています。

梶山国務大臣 これも検討課題でありまして、しっかり、結論ありきではなくて、しっかり考えてまいりたいと思います。

玄葉委員 なぜ。財源ですか。

梶山国務大臣 その計画、お話を聞きながら計画をまとめていく、そして、これはできる限り早くやりたいという思いを持っております。それで御理解をいただきたいと思います。

玄葉委員 三・一一から十年たちます。やはり必要なら最後まで、だって、総理が復興拠点以外も住めるようにすると言ったんですよ。それなのに、はっきり、家屋の解体、やりませんというか、はっきりやると言えない。これはやはり矛盾していませんか、総理。どうですか。

菅内閣総理大臣 やらないとは言っていないんじゃないでしょうか。

 いずれにしろ、いろいろな御要望を伺う中で行っていくべきだと思います。

玄葉委員 やはり、ここは総理のリーダーシップも大事なところだと思うんです。本人がおっしゃっているわけですから。

 私たちのときに、いろいろな議論があったんですけれども、復興税というのを所得税に二・一%上乗せして、しかも、あの当時の民主党政権の目玉政策を見直したりして十数兆円財源を出して、それでいろいろなことをやりました。

 この間、宮城の県知事が朝日新聞のインタビューに答えて、いや、民主党政権に自分は乗っかって政治主導でやってもらったと、失礼だけれども、自民党だったらここまでやらなかっただろうとまで言っているんですよ、実はインタビューでね。

 それは、例えば三陸縦貫とかを岩手まで一気に引っ張ったり、確かに福島でも相馬と福島の高速道路を一気に造るということを決めたりしたんですよ。

 多分、財源を気にしておられるんじゃないかというふうに思いますけれども、是非、このことは、財源も含めて、そんなに莫大なお金がかかるわけじゃありませんので、最後まで、避難指示を解除するまで、みんなが住めるようにすると総理がおっしゃったわけですから、そのことを次の、少なくとも、本当はこの予算で、本当は予算をつけて具体化を始めなきゃいけなかったと私は思いますけれども、残念ながら今回の予算には入っていないんですよ。是非、具体的な歩みを進めてもらいたいと思います。

 本当に最後にもう一つ。ALPS処理水ですね。これは非常に難しい課題だと私も思います。最終的な責任を負う立場ですから、私も難しい課題だとこの問題は思っているんです。

 ただ、やっぱり国民的な議論がなされていないのは事実なのと、例えば、トリチウムの分離であるとか、福島以外での海洋放出方法とかについて、どうも真剣に議論し、検討した形跡を感じないんですね。だから余計に、多くの皆さんがまだ納得していない。これは福島県の漁業関係者だけじゃなくて、茨城県も、宮城県も、漁業関係者はみんな不安に思っています。この風評をなくすためにも、今のまま決定していいのかというふうに私自身も思うんです。

 これは、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 玄葉委員、これまでの経過はもう御存じのとおりだと思いますけれども、ALPS小委員等によって、専門家によって予断を持たずに検討が行われてまいりました。

 風評はいかなるときでも私も起こると思っております。そして、三・一一の事故後にも、私も隣の茨城でありますから、漁業関係者の方、水産加工業の関係の方、大変苦しんでいるのを見てきております。

 そういったことも含めて、漁業関係者にできるだけ現状をお話をして、また、御理解をいただいていくという作業も必要であると思っております。そういった情報発信も含めて、海外の機関も含めて、しっかりとやっていかなければならない。

 そして、私どもは、その経過を踏まえた上で、ある時期には責任を持って決断をしなければならないと思っております。

玄葉委員 何かいろいろな専門家の方々の意見を大臣も聞いておられるとは思いますけれども、私も聞いているんですね。

 例えば、トリチウムの分離なんかも、何かやっぱり、かなり有望な技術もあったと言う専門家も結構いるんですよね。実用化できたんじゃないかと言う人も現にいるんですね。あるいは、福島以外での海洋放出の方法の問題も、実は輸送というのは現に実績もあるわけで、輸送が難しいというんですけれども。

 ですから、国民誰もが、あるいは福島県の中で出た意見というものをもう一回しっかり吟味して、今申し上げた点を中心にきちっと議論してもらいたいと思いますけれども、いかがでしょう。

梶山国務大臣 輸送は技術的には可能である場合もあると思いますけれども、そこを通過する自治体の全ての了解を得ていく、また、その輸送のための道具に関しまして、例えばタンクであるとか自動車であるとか船であるとか、そういったものもしっかり放射性物質を運ぶという前提での許可を得なければならないということで、大変困難だと私どもは思っております。

 トリチウムの技術に関しましては、いろいろ議論があったことは聞いておりますけれども、現時点ではやはり実用化の方向ではないという理解で私どもはおります。

玄葉委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ただ、現にMOX燃料にしたって何にしたって、輸送していますからね。やっぱり、よくもう一回考えてもらいたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

金田委員長 次回は、明五日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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