第10号 令和3年2月15日(月曜日)
令和三年二月十五日(月曜日)午前八時五十七分開議
出席委員
委員長 金田 勝年君
理事 後藤 茂之君 理事 齋藤 健君
理事 橋本 岳君 理事 藤原 崇君
理事 細田 健一君 理事 山際大志郎君
理事 奥野総一郎君 理事 辻元 清美君
理事 浜地 雅一君
秋葉 賢也君 秋本 真利君
井野 俊郎君 伊藤 達也君
石破 茂君 今村 雅弘君
岩屋 毅君 うえの賢一郎君
江藤 拓君 衛藤征士郎君
小倉 將信君 神山 佐市君
河村 建夫君 北村 誠吾君
佐々木 紀君 菅原 一秀君
田中 和徳君 田畑 裕明君
武部 新君 根本 匠君
野田 毅君 原田 義昭君
古屋 圭司君 務台 俊介君
村井 英樹君 山田 美樹君
山本 幸三君 山本 有二君
渡辺 博道君 伊藤 俊輔君
今井 雅人君 大河原雅子君
大西 健介君 逢坂 誠二君
岡田 克也君 岡本 充功君
神谷 裕君 川内 博史君
玄葉光一郎君 源馬謙太郎君
後藤 祐一君 近藤 和也君
斉木 武志君 櫻井 周君
関 健一郎君 高木錬太郎君
武内 則男君 長尾 秀樹君
西村智奈美君 野田 佳彦君
日吉 雄太君 本多 平直君
松尾 明弘君 松田 功君
道下 大樹君 村上 史好君
森山 浩行君 山川百合子君
山崎 誠君 太田 昌孝君
岡本 三成君 濱村 進君
田村 貴昭君 畑野 君枝君
藤野 保史君 宮本 徹君
浦野 靖人君 藤田 文武君
岸本 周平君 西岡 秀子君
…………………………………
内閣総理大臣 菅 義偉君
財務大臣 麻生 太郎君
総務大臣 武田 良太君
法務大臣 上川 陽子君
外務大臣 茂木 敏充君
文部科学大臣 萩生田光一君
厚生労働大臣 田村 憲久君
農林水産大臣 野上浩太郎君
経済産業大臣 梶山 弘志君
国土交通大臣 赤羽 一嘉君
防衛大臣 岸 信夫君
国務大臣
(防災担当) 小此木八郎君
国務大臣 河野 太郎君
国務大臣 坂本 哲志君
国務大臣 西村 康稔君
国務大臣
(マイナンバー制度担当) 平井 卓也君
国務大臣
(女性活躍担当)
(東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当) 橋本 聖子君
財務副大臣 伊藤 渉君
政府特別補佐人
(原子力規制委員会委員長) 更田 豊志君
政府参考人
(国家公務員倫理審査会事務局長) 荒井 仁志君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 青柳 一郎君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 長谷川周夫君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 佐藤 朋哉君
政府参考人
(総務省大臣官房長) 原 邦彰君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 湯本 博信君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 秋本 芳徳君
政府参考人
(法務省民事局長) 小出 邦夫君
政府参考人
(法務省刑事局長) 川原 隆司君
政府参考人
(外務省アジア大洋州局長) 船越 健裕君
政府参考人
(外務省国際法局長) 岡野 正敬君
政府参考人
(国税庁次長) 鑓水 洋君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 伯井 美徳君
政府参考人
(スポーツ庁次長) 藤江 陽子君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 正林 督章君
政府参考人
(厚生労働省医薬・生活衛生局長) 鎌田 光明君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 橋本 泰宏君
政府参考人
(農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 水田 正和君
政府参考人
(農林水産省生産局畜産部長) 渡邊 毅君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 萩原 崇弘君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 松山 泰浩君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 飯田 健太君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 村上 敬亮君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官) 久保田雅晴君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 小野 洋君
政府参考人
(環境省総合環境政策統括官) 和田 篤也君
予算委員会専門員 小池 章子君
―――――――――――――
委員の異動
二月十五日
辞任 補欠選任
岩屋 毅君 務台 俊介君
河村 建夫君 武部 新君
佐々木 紀君 山田 美樹君
渡辺 博道君 井野 俊郎君
逢坂 誠二君 道下 大樹君
岡田 克也君 野田 佳彦君
岡本 充功君 山川百合子君
川内 博史君 西村智奈美君
玄葉光一郎君 神谷 裕君
後藤 祐一君 武内 則男君
本多 平直君 近藤 和也君
森山 浩行君 斉木 武志君
太田 昌孝君 岡本 三成君
藤野 保史君 畑野 君枝君
宮本 徹君 田村 貴昭君
藤田 文武君 浦野 靖人君
西岡 秀子君 岸本 周平君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 渡辺 博道君
武部 新君 河村 建夫君
務台 俊介君 岩屋 毅君
山田 美樹君 田畑 裕明君
神谷 裕君 伊藤 俊輔君
近藤 和也君 本多 平直君
斉木 武志君 森山 浩行君
武内 則男君 大河原雅子君
西村智奈美君 川内 博史君
野田 佳彦君 岡田 克也君
道下 大樹君 高木錬太郎君
山川百合子君 山崎 誠君
岡本 三成君 太田 昌孝君
田村 貴昭君 宮本 徹君
畑野 君枝君 藤野 保史君
浦野 靖人君 藤田 文武君
岸本 周平君 西岡 秀子君
同日
辞任 補欠選任
田畑 裕明君 佐々木 紀君
伊藤 俊輔君 長尾 秀樹君
大河原雅子君 後藤 祐一君
高木錬太郎君 日吉 雄太君
山崎 誠君 岡本 充功君
同日
辞任 補欠選任
長尾 秀樹君 松田 功君
日吉 雄太君 松尾 明弘君
同日
辞任 補欠選任
松尾 明弘君 櫻井 周君
松田 功君 村上 史好君
同日
辞任 補欠選任
櫻井 周君 逢坂 誠二君
村上 史好君 源馬謙太郎君
同日
辞任 補欠選任
源馬謙太郎君 関 健一郎君
同日
辞任 補欠選任
関 健一郎君 玄葉光一郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
令和三年度一般会計予算
令和三年度特別会計予算
令和三年度政府関係機関予算
――――◇―――――
○金田委員長 これより会議を開きます。
令和三年度一般会計予算、令和三年度特別会計予算、令和三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官青柳一郎君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、内閣府地方創生推進室次長長谷川周夫君、内閣府地方創生推進事務局審議官佐藤朋哉君、総務省大臣官房長原邦彰君、総務省大臣官房審議官湯本博信君、総務省情報流通行政局長秋本芳徳君、法務省民事局長小出邦夫君、法務省刑事局長川原隆司君、外務省アジア大洋州局長船越健裕君、外務省国際法局長岡野正敬君、国税庁次長鑓水洋君、文部科学省高等教育局長伯井美徳君、スポーツ庁次長藤江陽子君、厚生労働省健康局長正林督章君、厚生労働省医薬・生活衛生局長鎌田光明君、厚生労働省社会・援護局長橋本泰宏君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官村井正親君、農林水産省生産局長水田正和君、農林水産省生産局畜産部長渡邊毅君、経済産業省大臣官房審議官萩原崇弘君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官久保田雅晴君、環境省地球環境局長小野洋君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○金田委員長 本日は、新型コロナウイルス感染症対策等についての集中審議を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。村井英樹君。
○村井委員 おはようございます。自由民主党の村井英樹です。
今日は、新型コロナウイルス感染症対策等という集中審議のテーマ、菅総理始め関係閣僚御出席の下、質疑の機会をいただきました。委員長を始め理事各位の皆様に御礼を申し上げます。
本日のテーマに入る前に、一昨日の地震について少し聞かせてください。
一昨日、土曜日でありますけれども、午後十一時八分頃、福島県、宮城県を中心とする震度六強の大きな地震が発生をいたしました。百名を超える負傷者の方、また、土砂災害、停電、断水といったような被害も発生をしているようでありますけれども、政府としてどのように対応していかれるのか、菅総理に伺います。
○菅内閣総理大臣 十三日に発生をしました福島県沖を震源地とする地震に関しまして、被災された全ての皆様方に、冒頭、心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。
人的被害については、本日の五時三十分時点で、重傷十二名、軽傷百四十一名という報告を受けております。また、東北新幹線の那須塩原駅から盛岡駅間における運転見合せや常磐自動車道における土砂崩れなども確認をされており、関係機関において早期の復旧に努めているところであります。
政府としては、人命第一の方針の下に、自衛隊を現地に派遣するなど初動対処に全力で当たってきました。
引き続いて、政府一体となって、地方自治体や関係機関と緊密に連携をし、国民の皆様への的確な情報提供、災害応急対策に万全を期してまいりたいと思います。また、被災された方々が一日も早く元の生活を取り戻せることができるように、必要な支援をしっかり行ってまいります。
○村井委員 ありがとうございます。
コロナ禍での地震被害ということです。また、本日は被災地は大雨ということも伺っております。被災地の皆様は大変な負担感を感じておられると思います。政府の皆様には是非、被災者の皆さんに寄り添ったきめ細やかな支援、御対応をお願いを申し上げます。
その上で、今日のテーマであります新型コロナに移ってまいりたいと思いますが、まず冒頭、このコロナ禍の中、長い間、最前線で戦い続けていただいている医療関係者の皆様、また様々な御協力をいただいております国民の皆様に深く感謝を申し上げた上で、質問に入らせていただきます。
まず最初は、コロナの感染状況についてであります。
緊急事態宣言につきましては、二月二日、栃木県を除く十都府県について、三月七日まで、一か月間延長することとなりました。何としても感染を収束に向かわせる必要がある、そういう判断だと思います。
この一か月間、緊急事態宣言発令後の一か月間で、新規の感染者数は大幅に減少に転じております。そして、その傾向は、この一週間でより確かなものとなっております。先ほど数字が入りましたけれども、昨日の全国の新規感染者数は千三百六十二名でした。年始の新規感染者数は七千名を超えておりましたので、かなり数が減っているということが言えます。
もちろん、昨日は日曜日で、数字が少し少なく出ますので、一週間平均で見ていくと、直近一週間の平均が千五百二十名となっております。四週間前が六千十名、三週間前が五千二百七十名、二週間前が三千六百五十名、先週が二千三百八十名ということを考えると、今週の千五百二十名ということは、着実に新規感染者数が減ってきているということを表しているんだろうと思います。
また、陽性率、これも、東京都の数字ですが、一月七日に一四・五%というピークをつけましたが、その後低下をして、二月十二日のデータでは五・〇%まで下がっております。数字だけを見ると、これは十一月上旬の水準となっておりますので、陽性率の方も大分下がってきているということが言えようかと思います。
政府は一月の緊急事態宣言発出時に、飲食店の時短要請など、めり張りをつけた、的を絞った対策を講じることといたしました。このことについて様々な御意見も当初ありましたけれども、飲食店の皆様、国民の皆様の御協力もあって、政府の対策が確実に効果を出してきている、そのように思います。
その上で、菅総理に伺います。
医療関係者の皆さんの献身的な御努力、また、飲食店、国民の皆様の積極的な御協力によって、コロナの感染者数は確実に減少に転じていると思いますが、これからの一か月間で確実に緊急事態宣言を解除できる状況にまで持っていく、そこに向けての総理の御決意を伺います。
○菅内閣総理大臣 感染リスクにさらされながら使命感を持って日夜取り組んでおられる医療現場の方々によって、私たちの命や暮らし、そして社会が守られていることを、常に忘れてはならないと考えております。こうした医療現場の方々の御努力に報いるためにも、政府としては、足下の感染拡大に対し断固たる措置を講じ、一日も早く感染を収束をさせなければならないと考えております。
緊急事態宣言に基づきめり張りの利いた対策を進めた結果として、新規感染者数は委員の御指摘がありましたように七割以上減少するなど、明らかな効果が見られております。
一方で、引き続き病床は逼迫をしております。今は緊張感を持って、効果の見え始めたこれまでの対策をしっかりと続けて、何としても感染者を減少させ、入院者、重症者を減少させることが必要であると考えております。
さらに、最近は高齢者施設等でのクラスターが増えていることから、都道府県と連携をして、高齢者施設等に対し集中的な検査を実施していきたいと思います。
緊急事態宣言の解除に向けて、ここで対策を一層徹底をして、感染者の減少傾向というものを確実なものにすべく、政府を挙げて全力で取り組んでいきたい、このように思います。
○村井委員 ありがとうございます。少し明るい兆しが見え始めてきたということかと思いますが、引き続いて、緊急事態宣言の解除に向けて、重症者数や病床の逼迫状況なども注視しながら取組を進めていただきたいと思います。
続きまして、新型インフルエンザ特措法改正法について伺います。
本改正法については、既にこの国会でも審議が行われておりますが、一昨日の土曜日から施行となっております。本改正法の施行によって、めり張りの利いた、急所をついた対策が更に前に進めやすくなったのではないかと考えますが、改めてこの新型インフルエンザ特措法改正法施行の意義について西村大臣に伺います。
○西村国務大臣 お答え申し上げます。
緊急事態宣言の発出は、国民の皆さんには本当に大きな不便、自粛などをお願いすることになりますので、そうした事態にならないようにするために、今般、これまでの経験、知見を踏まえて蔓延防止等重点措置というものを創設をし、御指摘のように、焦点を絞った、めり張りの利いた対策を取れるようにしたわけでございます。
まず、昨年春の緊急事態宣言の解除以降、夏に感染拡大したときに、大阪や愛知で八時までの時短、これを、焦点を絞った対策をやりまして、これが効果を持ちまして、一か月で半減以上の成果を持ちました。このデータの分析を私ども行いまして、そして、更に言えば、昨年は映画館やイベントなども全部休業してもらったわけですけれども、そこは、スーパーコンピューター「富岳」などを使って、そこまでやらなくてもいいということで、今、映画館は半分、イベントなどは五〇%、五千人の上限でお願いをしているところであります。
そうした経験を踏まえて、焦点を絞った対策が効果があるという中で、昨年、年末以降、二十二時までの時短を首都圏でお願いしていましたけれども、なかなかこれが年末という時期もあって要請に応じていただけず、神奈川県知事の言葉をかりれば、実際には二割程度しか応じてくれていないということもございました。その結果、感染が拡大したということがございました。
こうしたことを踏まえまして、御指摘のような、今般の特措法改正の中で、地域、業態を絞って対策を講じる、そして、それについて強制力を伴う蔓延防止等重点措置を導入することによって、めり張りの利いた対策ということが可能になったと考えております。
今後とも、この蔓延防止重点措置、これを機動的に活用することによって、もちろん効果的な支援を行いながら、実効性の高いそうした対策を講じていきたい。まずは感染拡大抑制に全力を挙げて、最優先に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○村井委員 今、西村大臣に御説明いただいたとおり、本改正法によって蔓延防止等重点措置というものが規定をされました。この措置は、緊急事態宣言のように都道府県単位ではなく、市町村単位など、きめ細やかな対応が可能になるという特徴がございます。政府、行政の皆さんには、感染状況や医療の提供体制も地域によって千差万別です、是非こうした措置を活用いただきながら、地域のニーズに対応した措置をお願いを申し上げたい、このように思います。
続きましては、現在大きな注目を集めております新型コロナワクチンについて伺います。
先週、菅総理は日本医師会長と会談をされ、この新型コロナワクチンについて、その安全性、有効性が確認をされれば今週の半ばにも医療関係者の方に接種をスタートをし、そして、高齢者の方については四月中には接種を開始をしていく、そうした方針を明らかにされました。
まさにコロナワクチンは感染対策の決め手であります。全ての国民の皆様に安心してワクチン接種をしていただける、そのための体制づくりに国を挙げて取り組んでいかなくてはなりません。その点、既に、国で自治体のワクチン接種の事務費用、これを全額負担することを国の方で方針を示しておりましたが、自治体の声も踏まえて、その補助額を倍増するといったようなことも菅総理は表明をされました。
そうしたことも踏まえて、改めて総理に伺います。この新型コロナワクチン、あさって水曜日にも医療提供者の方に接種がスタートをするとも伺っておりますが、全ての国民の皆様に安心してワクチン接種を行っていただける、政府を挙げての取組を進める菅総理の御決意を伺います。
○菅内閣総理大臣 ワクチンは感染対策の決め手であり、何としても全ての国民の皆さんに安心して接種していただけるような体制を速やかに構築をしなきゃならないと考えております。
本件は一大プロジェクトであり、都道府県や市町村と連携をしながら、政府一体となって現在準備に取り組んでいるところであります。
昨日には、ファイザー社のワクチンの有効性及び安全性が確認をされ、薬事承認が行われました。これを受けて、十七日には医療関係者への接種、ここを開始したいと考えております。
先日は、私自身、日本医師会の会長に要請を行い、医療関係者の全面的な協力を得て、接種を開始をすることにいたしております。
また、ワクチン接種の実務を担っていただく自治体に対しては、できる限り速やかに情報提供、これを進めるとともに、必要な費用は国が全て負担をさせていただきます。
一日も早く国民の皆さんに安全で有効なワクチンをお届けすることができるように、引き続き全力で取り組んでまいります。
○村井委員 ありがとうございます。
このワクチン接種は、前例のない国家的プロジェクトとなります。菅総理の力強いリーダーシップをお願いをさせていただきます。
そして、ここからは河野太郎コロナワクチン担当大臣に伺っていきたいと思いますが、今日はテレビ入りの審議ということでもございます。改めて、このワクチンについて我々国民一人一人が正しく理解を深めることの重要性について少し述べたいと思います。
ワクチンは副反応と呼ばれるリスクがあり、それを完全になくすことはできません。例えば我々が身近に感じている季節性インフルエンザのワクチン接種がございますけれども、これについても、多くの方には何の副反応も発生しませんが、注射箇所の腫れなどの局所反応が約九%の方、また発熱や気だるさなど全身反応が約二%の方に発生をいたします。また、重度の健康被害も報告をされています。両足の力が抜けてしまうギラン・バレー症候群は約百万人に一人、また手足や唇などのしびれなどのアナフィラキシーと言われるものが一千万人に四人、発生をしております。
このインフルエンザワクチンについては、こうした副反応などのリスクを認識しつつも、それを上回る感染症予防の効果がある、ベネフィットがリスクを上回るということで、その接種が進められております。
このコロナワクチンについても、同様に、ごくまれに重度の副反応が発生することを認識しつつも、それを上回る感染症の予防効果が認められる場合、ベネフィットがデメリットを上回る場合に限り接種を進めていくということになります。
もう一つ、是非国民の皆様に幅広く共有をしたいのが、我が国の子宮頸がんワクチン接種の苦い歴史であります。
子宮頸がんは、年間我が国で一万人の方が罹患をされ、約三千人の方が亡くなられる病気です。この子宮頸がんワクチンをWHOは接種を推奨し、そして欧米諸国では広く公的接種が行われています。
我が国においても、二〇一三年、法的な裏づけのある定期接種化をいたしましたが、実はその直後、ワクチンの副反応を過度に強調したセンセーショナルな報道が続き、国民の皆様に不安感が広がった結果、定期接種化前は子宮頸がんワクチンの接種率は約七割を超えていたんですが、それが一%未満まで落ち込んでしまいました。
ワクチンを評価するPMDA、独立行政法人の医薬品医療機器総合機構ですけれども、ここがワクチンの安全性、有効性を確認しているにもかかわらず、接種率は改善をせず、先進国の中で我が国だけが子宮頸がんワクチンの接種が進まずに、引き続いて、残念なことに多くの方が亡くなられているという状況が続いております。
こうした過去の反省に立ったとき、我々は、ワクチンについて国民一人一人が正しく理解を深めていく、これが本当に重要で、過度に恐れるのではなく、コロナワクチンについても、その効果と副反応、これを正しく理解することが重要だと思います。
その意味で、実は現在、首相官邸のホームページに、河野大臣の大変分かりやすいコロナワクチンについての解説動画が出ております。是非皆さんにも御覧をいただきたいと思いますが、この動画によれば、今般承認された新型インフルエンザワクチンの重度の副反応については、アメリカでは、一月十八日までに、ワクチンの接種による急性のアレルギー反応であるアナフィラキシーが百万人に五人程度報告をされています、日本でも、ワクチン接種後に会場で一定時間様子を見て、万が一アナフィラキシーが起こっても医師や看護師が必要な対応を行うこととしていますと、河野大臣、述べられておられます。
以上を踏まえまして、河野大臣に伺います。
政府においてワクチン承認に当たって十二分にその安全性、有効性を確認する、これは論をまちませんけれども、その上で、率直に言って、昨年来のこの新型コロナについての我が国の報道ぶりを見ていると、必ずしも科学的知見に基づかない、極端な意見も散見をされます。今後、このコロナワクチンの接種が進んでいくと、その注目度、また期待も高いだけに、子宮頸がんワクチンの例のように、その副反応を過度に強調したようなセンセーショナルな報道も出てくるのではないかと私は大変危惧をしております。一度こうした不安に火がつくと、取り返しのつかないことにもなりかねません。
そこで、河野大臣に伺いますが、新型コロナワクチンの接種に当たって、子宮頸がんの経験も踏まえながら、どのように国民の皆様に情報発信をしていかれるおつもりか、伺えればと思います。
○河野国務大臣 今回、ファイザー社製の新型コロナウイルス感染症へのワクチンが承認をされました。国が有効性、安全性を審査をし、ベネフィットがリスクを上回る、そういうことで承認が行われたわけでございますので、しっかりと政府として情報発信に努めてまいりたいと思います。
委員おっしゃったように、官邸のホームページにワクチンに関する特設サイトを立ち上げました。ここを窓口として、必要ならば、厚生省のホームページにもリンクを張って、詳しい情報にアクセスできるようにいたしております。また、ワクチンに関する官邸の新しいアカウントをツイッター用に取得をして、正確な情報をいち早く発信できるようにいたしました。また、本日から、コロナワクチンに関するフリーダイヤルのコールセンターを立ち上げて、祝日、休日なく、朝九時から夜九時まで受け付けられるようにいたしましたので、疑問点があればお問合せをいただきたいと思います。
我々として、確かに副反応はゼロにはできませんけれども、ベネフィットがリスクを上回る、そこをきちんと御説明をし、万が一アナフィラキシーのような重篤な副反応が出たときも、現場の医師、看護師がしっかりと対応できる体制をつくっていく、そういうことを正確に情報発信してまいりたいと思っております。
○村井委員 ありがとうございます。河野大臣の発信力で、是非、適時的確に国民の皆様に情報発信をしていただきますようにお願いを申し上げます。
時間も迫っておりますが、続きまして、このコロナワクチンの接種体制について伺いたいと思います。
先週、自民党の新型コロナワクチンプロジェクトチームでは、COVID―19ワクチン接種体制の構築に向けてという提言を取りまとめ、総理を始め関係閣僚の皆様にお持ちをいたしました。私もこのPTのメンバーなんですが、この提言の中は、接種ルートの多様化、医療従事者の確保、輸送、配送に関する事業者の多様化、情報管理システムの整備等々、様々な内容が含まれておるわけですが、時間も限られておりますので、接種ルートの多様化について伺います。
現在、接種体制については、自治体の集団接種、これを軸とするということと認識をしておりますが、できるだけ早く多くの国民の皆様に接種を受けていただくためには、接種ルートの多様化を通じて効率的な接種が必要だと思います。
具体的に申し上げると、六十五歳以上の高齢者の方については、基礎疾患をお持ちの方も多いということで、集団接種よりも医療機関による個別接種の方が、既往歴の把握も容易ですし、副反応への対応や、またそのリスクの把握などもしやすいといったようなことから、高齢者の方向けの接種については、集団接種に加えて、医療機関の個別接種、これを接種ルートの軸の一つに加えるべきだと考えますが、河野太郎大臣の見解を伺います。
○河野国務大臣 今回のワクチン接種は、市区町村にお願いをしているところでございます。市区町村、大きさから、置かれている地理的状況、様々でございますので、それぞれの自治体において最適な接種方法を考えていただくことにしておりますが、多くの自治体で集団接種と診療所などの個別接種を組み合わせた計画を策定をしてくれております。
当初は、マイナス七十五度での輸送、保管が必要だということで、なかなか、ファイザー社のワクチン、小分けが難しいという話でございましたが、ファイザー社からも小分けの了解を取れておりますので、必要に応じて自治体は診療所などにおける個別接種というのも入れてくれておりますので、自治体において、現在体制を計画をしている、その計画どおりにしっかりと進めていただきたいと思っております。
○村井委員 ありがとうございます。
また、あわせて、企業で働く方などの被用者については、健康保険組合など職域のルートでの接種、この接種ルートを構築をして、例えばオフィス内ですとかその近所でもワクチン接種できるようにしていくべきだと考えますが、河野大臣のお考えを伺います。
○河野国務大臣 高齢者の後、高齢者施設の従事者ですとか基礎疾患を持っている方という順番に優先順位が回ってまいりますが、若い世代に接種が始まるときにはどのようにしたらいいのか、職域での接種を含めて、今後の在り方を検討してまいりたいと思います。
○村井委員 ありがとうございます。接種ルートの多様化を通じて、効率的で利便性の高い接種体制の構築をお願いをいたしたいと思います。また、その際、接種状況などを管理するシステムの構築が大変重要になると思いますので、併せての御対応をお願いを申し上げたいと思います。
最後になりますけれども、一言だけこのコロナ対策について申し上げるとすれば、我々はこの一年間で本当に多くのことを学んだんだろうと思います。どういう状況、場面で感染拡大をしやすいのか、また、陽性者が出た場合にどのように対応すべきなのか、そういったようなことを学びながら、一つ一つ対策を積み上げてきました。
例えば、昨年春の緊急事態宣言では全業種を対象としておりましたが、今般の緊急事態宣言では夜の飲食店に的を絞った対策とさせていただきました。様々な御意見もいただきましたが、結果として、感染者数は減少に転じております。また、先ほど申し上げたとおり、特措法の改正によって、よりきめ細やかな対応、これもできるように法改正いたしました。
何といっても、未知のウイルスとの戦いでありますので、なかなか全ての対応が百点満点というわけにはいかないんだろうと思いますが、常に最新の科学的知見と現場の声を伺いながら、我々の対策も常にバージョンアップ、ブラッシュアップさせていく、そういう姿勢が必要なんだろうと思います。
政府、与党、そしてまた政府と国会が連携をして、このコロナとの戦いに必ず打ちかっていくということをお誓いを申し上げさせていただいて、私からの質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○金田委員長 この際、山田美樹君から関連質疑の申出があります。村井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田美樹君。
○山田(美)委員 自由民主党の山田美樹です。
まず冒頭、一昨日の福島、宮城を中心とする地震で被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧をお祈りいたします。
本日は、コロナ対策の集中審議でお時間をいただきました。私の地元である東京都の千代田区、港区、新宿区の地域の皆様からいただいた御意見を基に、感染状況、経済状況、共に全国で最も深刻な打撃を受けている東京の都心の問題意識から、経済対策と医療提供体制、ワクチン接種体制について質問をいたします。
昨年の夏の終わり、地元のおそば屋さんから、今月末で店を閉じることになりましたとお電話をいただきました。時短要請の延長が決まった八月末に飲食店の閉店が相次ぎ、十二月に再び増えました。赤坂周辺では、コロナ禍で、昨年末までに百五十軒を超える飲食店が閉店しました。今回の緊急事態宣言によって、都心の地域経済は更に厳しい状況に陥っています。
ある居酒屋の御主人から、飲食店、飲食店って言われるけれども、僕らは何か悪いことをしたのか、僕らの気持ちは全く分かってもらえない、一律に一日六万円なんて、大きい店は全くやっていけない、飲食店は軽く見られているのかという、やり場のない、憤りの声も伺いました。
住宅街の商店街では、協力金の百八十万円をもらえたお店ともらえなかったお店で商店街が分断されてしまうという心配の声をいただきました。商店街も大変疲弊しています。いつまでこんな状況が続くのか、もうもたない、限界だという悲痛な声も伺います。
飲食店の休業によって、商店街自体の客足が落ちて困っている店舗が少なくありません。例えば、理容店、美容店や、柔整、鍼灸マッサージなどのように、飲食店と直接間接に取引がなくても柔軟に一時支援金を認めていただけるようお願いいたします。
この一年近く、政府も自治体も次々に新たな支援策を打ち出してくださいました。恐らく、徹夜に徹夜を重ね、本当に御尽力いただいていると思います。しかし、どんな制度にも要件があり、要件に当てはまらずに救済が受けられない方がいらっしゃるのも事実です。継続的な雇用関係にない非常勤の方々もその一例です。
政府におかれましては、今ある制度は十分なのか精査していただき、また、予備費も全額活用して、難しいことは承知していますが、どうか誰一人取り残さずに助けてほしいという国民の声に応えてほしいのです。
菅総理の御決意をお願いいたします。
○菅内閣総理大臣 時短営業に協力する飲食店への一日当たり六万円の協力金であります。
東京都の平均的な店舗においても固定費がおおむね賄える水準であるというふうに承知しています。その上で、多くの地域では店舗別に協力金を支給しており、大規模チェーンであっても店舗数に応じて支払われております。
また、緊急事態宣言に伴う時短営業等により大きな影響を受ける中小・小規模事業者に対しては、最大六十万円の一時金を支給することにいたしております。店舗によっては支援が足りないとの声がありますことは承知をしております。
そうした店舗を主に運営します大企業や中堅企業に対しても、雇用調整助成金による一日当たり日額最大一万五千円の人件費、この支援だとか、政策投資銀行等による資金繰り支援、これを行っており、さらに、中小企業については、事業転換を支援するための補助金も活用をさせていただいております。
今後も、今委員を始め皆さんの声に耳を傾け、こうした様々な支援を行い、事業や雇用をしっかり守っていきたいと思います。
○山田(美)委員 力強い、そして温かい御答弁、ありがとうございます。私も、与党の一員として全力でお支えをしてまいりたいと思います。
今回、飲食店への協力金が不公平感を持たれた背景には、事業規模にかかわらず一律の給付だったことも一因です。事務手続の簡素化や迅速化を考えると一律にせざるを得ないという理屈はあるだろうけれども、コロナ禍が始まったばかりの頃ならともかく、もう一年もたつのに、なぜ準備してこなかったのか、行政の怠慢ではないかという厳しい声もいただきました。
納税額の情報などから事業規模に応じて給付する仕組みをつくれるのではないかという御意見もありますが、現状では法律上何がネックになっているのか、国税庁にお伺いします。
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
御指摘の協力金等に関しまして、その対象や支給方法をどうするかといったことに関して、国税当局としては申し上げられる立場にはないことはまず御理解いただきたいと思います。
その上で、税務申告いただく納税額等の情報がどうなっているのかということに関して申し上げますと、法令によりまして法人税や所得税等の課税に必要な情報を申告いただいているところです。
そうした中で、具体的に申し上げますと、例えば、複数の事業や店舗を営んでいる法人又は個人事業者について、個々の事業別、店舗別の売上げ、経費等の情報は御申告いただいておりません。また、個人事業者に関しましては、売上げ減少等によりまして所得金額が生じない場合には所得税の申告義務がないといったことでございまして、法人又は個人事業者の事業規模に関する情報を国税当局として網羅的に御申告をいただいているわけではないということでございます。
○山田(美)委員 様々な制度上の制約はあろうかと思いますが、こうした様々なハードル、広く国民の理解をいただきながら、これから議論を進めていくべき話だと思います。コロナ禍を契機に、前向きに議論が進むことを期待しています。
今回のコロナ禍の特徴は、日本国内でも地域によって影響の大きさが全く異なるという点です。地域の事情に即した経済対策は、各都道府県が地方創生臨時交付金を活用して行うことになっています。しかし、経済規模の大きい東京においては国の支援も不可欠だと感じています。
自治体は、国よりも住民に近いため、どうしても経済対策よりも感染防止の方に重点を置く傾向があるように感じます。他方、国の経済政策は四十七都道府県の最大公約数にならざるを得ず、東京の都心から見ると全然足りない、限界があるのも事実です。そんなはざまにあって、どうしたら東京の経済対策をもっと効果的に行うことができるか、この一年余り、私はずっとジレンマを抱えておりました。
例えば、今回、飲食店への協力金と影響を受ける事業者への一時支援金は管轄が異なります。協力金の支給は、東京都が行うものであり、一か月百八十万円の一律支給です。一方で、一時支援金は、宣言発出地域以外にも関わることなので国の中小企業庁が行い、前年、前々年の確定申告に基づいて、上限六十万円の範囲で、損害額に応じた給付が行われると聞いています。東京都と国の施策の整合性もすり合わせができれば望ましいところです。
東京都の経済対策は、あくまで東京都が責任を持って主体的に政策的なイニシアティブを取るべきことではありますが、国はどのような形で協力していくべきか、菅総理にお伺いします。
○西村国務大臣 制度面の話であります。私から先に答弁させていただきます。
御指摘のように、それぞれの都道府県と連携しながら、影響を受ける事業者への支援を考えていかなきゃいけない。当然のことでございます。
今回、協力金も、先ほど来御議論ありますように、最大六万円、月額百八十万円、これは都道府県の判断で、二万、四万とか差をつけて配ることもできるんですけれども、先ほど御指摘があったように、円滑な執行という観点から、それぞれの都道府県では、もう一律六万円としているところであります。この金額を決めるに当たっても、私ども、都道府県とも連携して、相談をしながら決めてきているところであります。
その上で、御指摘のように、さらに地方創生臨時交付金、一兆円を今回、配分をさせていただきました。これは坂本大臣の下で配分をさせていただきました。それぞれの地域の事情に応じて支援策を講じるということで、東京都も、昨年の一次補正のときは百三億円であったものが、今回、感染状況も配慮しまして、二百六十二億円ということで、かなり大きく東京都にも配分をさせていただいております。
都におかれては、これをどう使うか。例えば、去年の幾つかの例、今回、もう既に幾つかの県でもありますけれども、国の一時金は五〇%以上売上げが落ちたことということですので、それに満たない人、例えば三〇%以上落ちた人を支援していこうということもやられる県もあります。それから、県内の感染状況はかなり収まっているので、県内の観光を、県民が県内の観光施設を使う、ほかの県に移動するのではなくて、県内の支援としてそうしたクーポンを使う、配分する、そういった都道府県もありました。それぞれの地域の事情に応じて、ここは都道府県の判断で支援策を講じていくということでありますが、こういった面についても、私どもはできる限り連携をしながら対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○菅内閣総理大臣 まず、新型コロナ対策については、東京都でいえば、地域の事情、これを把握している都が中心となって、飲食店への時間短縮などの感染対策、協力金などの経済対策を行っていただいています。
国は、こうした対策の基本的な方針を示しつつ、財政支援を行っております。特に今回の緊急事態宣言による影響に対しては、飲食店などへの協力金や一時金の支給に加えて、多くの事業者にとって重要な資金繰りの支援、雇用調整助成金の特例措置による人件費、こういう支援を行っています。
さらに、三次補正において、地方創生臨時交付金、地方単独事業について、今、西村大臣からお話がありました。東京二百数十億円ということでありましたけれども、東京都以外に、市町村にもその倍行っていますから、結果的には、東京都に四百六十九億円を配分をさせていただいております。これによって、地域の事情に応じた自治体ごとの独自の支援策、こうしたものを後押しをしていきたいというふうに思います。
昨年の場合は、やはり東京は不交付団体でありましたので、そうした支援策というのは地方とは差がありましたけれども、今回のことによって、飲食店に絞った形の中で対応をさせていただいているところであります。
○山田(美)委員 改めて、国から東京都に対して多大なる御支援をいただいていることを感じました。ありがとうございます。
続きまして、医療提供体制についてお伺いします。
先日、地元の港区にあるコロナ軽症者のホテル療養施設を訪問し、関係者の方々から、現場が直面している課題を丁寧に御説明いただきました。
自宅療養や宿泊療養で最も心配されるのが、急激な容体変化による突然死です。都内のホテル療養施設では、入所の段階でリスクの高い患者さんは病院に送る、ホテル内の患者さんのモニタリングを確実に行う、病状悪化の際には迅速に病院に搬送するという三つの点に力を入れて、現時点では突然死の事例は発生していないとのことです。
ただ、中には、緊急搬送先の病院が決まるまで二百件電話したというケースもあったと聞きますと、入所の段階で、病院なのか、ホテルなのか、自宅なのか、的確な判断が極めて重要だと考えます。
自宅で容体が急変した事例や、軽症でも入院となった事例がある一方で、ホテル療養に関しては、保健所が勧めても、患者さん御自身が自宅の方がいいと言ってお断りになるケースが多いと伺いました。療養のための手段と実際の病状、御本人の希望が結果としてこれほどずれてしまうということは、判断基準にぶれがあるのではないかという気がします。判断を誤ると、人が亡くなることにもなります。
まずは保健所がガイドラインに基づいて判断され、難しい場合は都道府県の医療調整本部で緊急対応の医師が判断するということになっていますが、主に患者さんのお話を聞いて、高齢者か、基礎疾患があるかなどの定性的な基準で判断されているかと思います。
検査で陽性だと分かった段階での医師の関与の仕方はどうなっているのか。エックス線や血液検査などを基に医師が診察した上で行き先を決めるのが本当は望ましいですけれども、保健所と医師の役割分担はどうなっているのか、どのように改善すべきなのか、田村厚労大臣の見解を伺います。
○田村国務大臣 まず、保健所と医師の方々が連携をしっかりしていただいて、入院をされるのか、それから自宅療養、ホテル療養等々、それぞれ選んでいただくわけでありますけれども、医師の皆様方、基本的な基準として、高齢者、基礎疾患を持っている方々は重症化の可能性が高いので基本的には入院、そういうような運用でありました。
ただ、この年末年始、もう極端にといいますか、非常に感染者が大きく増えたということで、医療機関の体制、それから保健所の体制も、東京都も、保健所、区も人を増やしていただいていたんですが、やはり急激に感染者が増えたことで追いついていかなかったというのは、これは実態がございます。それから、医療機関も一生懸命確保をいただいていたんですが、これも追いついていかなかった。これは我々政府も反省しなきゃいけない点、多々あると思っております。
そんな中で、一部高齢者に当たっても、重症化のおそれのない方々はホテル等々で療養というような、そんなオペレーションも組んでいただきました。ただ、実態といいますか、本来はやはり重症化の可能性の高い方々はなるべく入院をいただく、それから、そうじゃなくても、これは総合判断で、医師が判断をいただいて、入院の必要があれば、高齢者じゃなくても、基礎疾患がなくても入院をいただくということであります。
一応、診療の手引きというものを今作っておりまして、先般保険適用されましたインターフェロンラムダ3という、重症化を示す一つ基準がありまして、それで将来重症化するかどうかというのが分かるようなことになってまいりまして、そういうものもこれから使っていただきながらいろいろな判断をいただくという話になってこようと思います。
いずれにいたしましても、御自宅で御療養をするにいたしましても、それこそパルスオキシメーター等々をお使いいただくなり、また、保健所が健康観察を定期的にやるんですが、そういうことも含めて民間に委託して、より専門性の高い方々に対応いただくなり、いろいろな対応の仕方があると思います。それぞれの地域の状況によっても変わってまいりますので、それぞれの地域に合った対応を取っていただく。
国といたしましても、好事例の横展開も含めて、いろいろと自治体とも協力しながら、コロナで自宅で療養されるにしても、何かあったときにはすぐに対応できるようなそんな対応を、我々としても、自治体と協力してつくってまいりたいというふうに思っております。
○山田(美)委員 大変詳しい御答弁、ありがとうございます。現場の負担を減らすということに力を入れていただければと思います。
コロナ患者と最前線で接する関係者の方々の疲労や御不安は想像を絶するものがあります。極限の状態下で患者さんに丁寧に接してくださるお姿に、心から感謝と敬意を申し上げます。
そして、私たちももう一年近く、毎日毎日、新規感染者の数に一喜一憂してきました。緊急事態宣言の延長で、ここ一週間余りの新規感染者数は確かに減少しています。
その一方で、依然として医療提供体制は逼迫していると報じられています。実際、医療機関では、コロナと関係ない病気や事故で運ばれる人も全て感染者かもしれない前提で対処しなければならないため、膨大な手間とスペースが必要になっていますが、残念ながら、国民一人一人にはその逼迫度合いが実感として伝わってこないのが現状ではないかと思います。
経済的な自粛を求められている方々からすれば、新規感染者数は減ってきているのに、どうしてまだ宣言を解除できないのかという気持ちにもなるでしょう。また、この先、宣言が解除された後も、第四波を招かないように、行動自粛の指標として、医療提供体制の逼迫度合いをみんなに知らせる手段が不可欠だと考えます。
既にこうした取組を始めている道府県もあります。東京においても、ただステイホームと繰り返すだけではなく、みんなに分かる指標の必要性を切実に感じておりますが、国や都道府県の情報の公開はどうあるべきか、厚労大臣にお伺いします。
○田村国務大臣 おっしゃられるとおり、新規感染者はかなり減ってきているんですが、病床逼迫、まだ完全に解消されていません。一つは、重症者がちょっと遅く、新規感染者が減ってから遅くしか重症者が減っていかない、それは、だんだん悪くなっていくという過程がございますので。それともう一つは、多く、調整中の方々が感染拡大地域におられました。その方々は、ベッドが空いてくるとまた入っていきますので、そういうこともあってなかなか中等症のベッドも余裕が出てこなかったという部分があります。
いずれにいたしましても、国といたしまして、厚生労働省のホームページ、また記者会見やSNSでいろいろな情報を発信させていただいております。よく六つの指標なんてことを言いますけれども、病床の逼迫度でありますとか、療養者数でありますとか、一週間の新規感染者、それと、それを前週と比べた比率でありますとか、それからまた感染経路不明、こういう方がどれぐらいいるか、陽性率、こういうものをしっかりお示ししておりますが、更に詳しいデータも厚生労働省のホームページにもお示しをさせていただいております。
自治体とも連携しながら、より分かりやすいデータを国民の皆様方に提示し、そして御理解をいただけるように、これからも努力してまいりたいというふうに考えております。
○山田(美)委員 ありがとうございます。
続いて、ワクチンの接種体制についてお伺いします。
早いところでいえば、今週からワクチンの接種が始まります。東京都内では、まず四十三万人を超える医療従事者などへの接種を行い、続いて三百十一万人の御高齢者の方々に接種が行われます。
気がかりなのは、医療従事者への接種と住民への接種は管轄が異なるという点です。
住民への接種は、住民票ベースで、保健所の管轄であり、区市町村が主体となって行われ、かかった費用は国が負担すると政府は既に表明をいただいています。
一方で、医療従事者への接種に関しては、都道府県が支援して、医師会、歯科医師会、薬剤師会などの各団体が行うとされております。医療系の団体の方々が心配をされているのが、特に費用面で、医療従事者への接種スキームに国の補助金は出ないのだろうかという点です。住民接種と同様に、医療従事者接種においてもかかった費用はきちんと国が面倒を見るという点を確認させてください。
また、医療従事者接種では、市区町村が体制を担う一般接種とは違って、事務作業を行う人員の確保に大変御苦労されていると伺っています。これまで既に、医療従事者の方々は命懸けでコロナ対応に当たってくださり、経営難に直面する医療機関も多い中で、その上さらに、医療従事者接種の体制確立は自分たちで行ってくださいというのは、そこまで御負担をおかけするわけにはいかないのではないでしょうか。人的体制について、国はどのように考えているか、厚労大臣にお伺いします。
○田村国務大臣 言われるとおり、自治体で接種いただく場合に関しては、住民向けに、しっかりと費用は国で負担するということを総理もおっしゃっていただいております。
あわせて、医療機関の皆様方、これは先行接種という形になりますけれども、この方々のいろいろな負担も、これも全て国が対応するということになっておりますので、そういう意味では、それにかかるいろいろな経費も含めてしっかりと対応させていただきたいと思います。
医療従事者でございますので、様々な場面といいますか、医療機関等々で接種をいただくので、多分、住民に接種をいただくのとはまた違ったオペレーション等々も生じると思います。それにかかった経費等々も含めて、しっかりと国の方で対応させていただきたいというふうに考えております。
○山田(美)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。
続きまして、一般接種についてお伺いをいたします。
現在の国の方針では、住民票所在地での接種を原則としながら、例外として住民票の所在しない居住地での接種も認めています。例外的に居住地で接種できる対象者は、接種券を住民票所在地の区市町村から受け取ることのできないやむを得ない事情がある者とされていますが、まずはその内容を具体的に示していただければと思います。
今年の一月末時点で新宿区の感染者、累計は六千百五十七人、そのうち区内に住民登録がない方が二千百八十八人、実に三五%も含まれています。新宿区は区内在住の感染者に見舞金を支給するために住所を調べた結果、たまたまこうした事態が明らかになったわけですが、恐らく、新宿区のみならず、繁華街や学生街、単身赴任者を抱える都市部に共通する課題と考えられます。住民票がある住民だけにワクチンを接種しても感染が収束しない可能性があります。
では、住民登録がないのはどのような場合なのか。学生や単身赴任者の場合は、実家のある住民票登録地で接種管理が可能です。決まった住所を持たない住所不定の方も、区役所によると、調査などで一定の把握はできているとのことです。問題なのは、何らかの事情で実家などの住民票住所とは完全に縁が切れてしまっている場合です。都市部には自分の過去を詮索されずに生きていきたいという方も多くいらっしゃるでしょうが、こうした方々には接種券を届けるすべがありません。
接種の周知や接種管理も含めて、各自治体が個別に対応するには余りにも問題が大き過ぎて、国や東京都による支援が不可欠だと考えますが、政府は対応をどのように考えているのか、伺います。
○田村国務大臣 住民の記録がない方々、今言われたとおり、いろいろな方々がおられると思います。場合によっては、例えば在留資格のない方々もおられると思います。そういう方々、本来、在留資格がないので把握できないんですが、在留資格がないということが分かればその対応をしますが、その間、やはり、対応をどうするんだ、コロナの対応ということもあります。分かった時点で、多分、接種券を渡すなりして、接種の対象にこれはなるんだというふうに我々認識いたしております。その後の対応は制度にのっとって対応をいただくということになると思いますが。
それから、ホームレスの方々を含めて、その地区に対して、居住実態はあるんだけれども住民票がない方々に対しては、ある程度自治体も把握をいただいているというふうに思いますが、今言われたように、余り自分から把握されたくない方、何かの理由でそこにいること自体を把握されると困ったことが起こる方々、おられると思います。そういう方々は自ら申請をいただいて、接種券をもらっていただいた上で接種をいただくというようなオペレーション、これは一つ考えられますので、いろいろなパターンがございますので、しっかりと、我々も自治体と協力をしながら、そういうものに対しても対応できるように進めてまいりたいというふうに考えております。
○山田(美)委員 ありがとうございます。是非、確実な対応をお願いしたいところです。
ちなみに、報道では、国は繁華街などの大規模PCRセンターを検討しているようですが、今後、民間による簡易検査が安価で大量に実施できる可能性も考えますと、国が運営するのならむしろワクチン接種センターこそが必要なのではないかと考えます。是非、御検討をお願いいたします。
さて、ほかにも質問を用意しておりましたが、時間が迫ってまいりました。政府にお願いしたいことが二点ございます。
一つは、被用者への接種を行う段階で、健康保険組合を通じて職域ごとに接種できるようにすべきという議論があります。先ほど村井議員の質疑の中でも、河野担当大臣から前向きな答弁をいただいたところです。
他方で、都市部の場合、昼と夜とでは人口規模が大きく異なります。数年前のデータですが、東京都内で昼と夜の人口差が最も大きい千代田区は十四倍、港区は昼間人口が都内最大の九十四万人で夜間人口の三・八倍、新宿区でも二・三倍の開きがあります。お勤めの方々が住まいのある自治体で接種するのか職場で接種するのか、その方針次第で都心部ではワクチンの分配や流通のオペレーションが全く違ってきますので、政府の方針を早めに示していただければと思います。
そしてもう一つは、今まさに国内の製薬企業や研究所において国産ワクチンの開発が進んでいますが、供給が可能になった暁には、海外ワクチンと同様に国が買い取るようお願いいたします。国民の命を守るために、自国でワクチン開発能力を持つことが安全保障の観点からも重要であります。
最後に、コロナ禍で人に会えない状況が続く中で、私の知らないうちにお亡くなりになった方が何人もいらっしゃいます。コロナがなければ御葬儀でお別れ申し上げることができたのにと悔やまれます。きっと天国にもテレビがあって、この中継を見ていてくださったと信じて、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○金田委員長 この際、細田健一君から関連質疑の申出があります。村井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。細田健一君。
○細田(健)委員 おはようございます。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。自由民主党の細田健一です。
初めに、新型ウイルスでお亡くなりになられた方の御冥福を心からお祈りするとともに、いまだ闘病中の皆様にお見舞いを申し上げます。また、医療機関など、第一線で本当に日夜御尽力いただいている皆様方に心から敬意と感謝を表します。また、一昨日発災した福島沖地震により被災された方々に対してお見舞いを申し上げます。
私は、地元の新潟県の実情を踏まえまして、新型ウイルスで苦しむ地方経済をいかに支援するかという点を中心に質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
新潟県は、国の緊急事態宣言の対象となっておりません。しかし、首都圏での宣言の発出によりまして、地元経済は本当に大変厳しい状況に置かれております。
例えば、佐渡島。ここには首都圏から本当に多くのお客様に来ていただいておりますけれども、観光客は例年の半分になりました。観光産業、島の基幹産業ですから、島の経済は本当に大きな打撃を受けています。
あるいは、燕市。ここは、ナイフ、フォークなどといったカトラリー産業の世界的な生産地として有名ですけれども、ここで生産されるナイフやフォーク、あるいは厨房用品の業務用の品物は、主として首都圏の食堂あるいはレストランなどに納入されます。先ほど山田議員の質疑にもありましたけれども、首都圏の飲食業が大変厳しい、この影響を受けて、地元の業務用の厨房用品の売上げというのは激減をしておりまして、地場産業は非常に厳しい状況に置かれています。
また、県の自粛要請を受けまして、昼、夜の様々な催物、会合がなくなったために、地元の飲食業も大きな打撃を受けております。
このような状況を地方出身の同僚議員の皆様方と意見交換をさせていただきますと、どこでも新潟県と似たような状況にあるのではないかというふうに思われます。地方経済の苦境を打破するために、本当に、予備費の全面的な活用も含めて、政府には適時適切な手を打っていただきたいと強く思います。
現在、この状況を受けまして、政府では一時支援金の仕組みを検討中と伺っております。これは、地域を問わず、緊急事態宣言の発令に起因して売上げが半分以下になった企業や個人に現金給付を行うものですけれども、この一時支援金について、地元の関係者からは、果たして自分のところは対象になるのか、支援金はいただけるのかという問合せが殺到しております。
そこで、まずお伺いをいたします。先ほど申し上げたように、例えば観光客が半分になった佐渡島、ここで営業している例えば旅館ですとか、あるいは燕のナイフ、フォークを作っている町の工場、ここで御注意いただきたいのは、この町工場というのは、直接に首都圏のレストランと取引をしているわけではなく、地元の卸問屋さんを通じて間接的に取引を行っているわけですけれども、このような地元中小企業が今回の支援金の対象となるのか、お伺いをしたいと思います。
○飯田政府参考人 お答えいたします。
御質問の一時支援金についてでございますけれども、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動の自粛により影響を受けた事業者が対象になります。
ただいま委員の方から佐渡島あるいは燕市の事業者の御紹介がございました。飲食店との直接間接の取引ということで、対象になります。
こうした佐渡島や燕市のような緊急事態宣言の対象となっていない地域の事業者でございましても、ただいま申し上げたような給付要件に該当すれば一時支援金の支給の対象になる、このように考えてございます。
○細田(健)委員 明確な御回答、本当にありがとうございます。今の御答弁を聞いて、本当に安心した事業者の方がたくさんいらっしゃるのではないかというふうに思っております。
そこで、制度を所管する梶山大臣にお伺いをいたします。
今申し上げたように、本当に地域経済は苦しい状況にあるんですけれども、この支援金については現在制度設計中ということですが、是非、もう本当に可能な限り幅広く対象を取っていただいて、一社でも一人でも多く救っていただくようにお願いをしたいと思います。
大臣の御見解をお願いいたします。
○梶山国務大臣 一時支援金につきましては、給付要件を満たす事業者であれば、業種や所在地を問わずに給付対象となり得るものと考えます。
要件の詳細につきましては、今議員から御指摘ありましたように、引き続き検討、具体化を進めているところでありますけれども、三月頭の申請受付開始に向けて申請を検討されている事業者の方々の参考となるように、対象となる事業者のより具体的なイメージや申請プロセスや事務手続の概要について、二月十日、先週に、現時点での検討内容を公表させていただきました。
また、制度概要の公表と併せて、申請書類やQアンドAの作成に当たって参考とするために、一時支援金に関する質問を受け付ける問合せフォームを経済産業省のホームページ上に設置をいたしました。ここでいただいた質問も参考にしつつ、二月下旬を目途に、より詳細な申請要領やQアンドAを作成、公表していく予定でありますが、対象となる幅広い事業者に申請いただけるよう、事業者の立場に立った分かりやすい広報にも努めてまいりたいと考えております。
○細田(健)委員 大臣、ありがとうございます。できるだけ本当に多くの方を救っていただくように制度設計をお願いしたいというふうに思います。
それでは次に、GoToトラベルについて赤羽大臣にお伺いをいたします。
GoToトラベル、確かにいろいろな批判もあるわけでございますけれども、例えば私の地元の観光地、これは、岩室温泉、弥彦温泉あるいは出雲崎、良寛の里というような観光地がございますが、この観光地の関係者に聞くと、これはやはり大変助かったと。旅行、観光業界というのは本当に大打撃を受けておりますので、何とかしてほしいというのが切実な声としてございます。
先日、我が党の鈴木憲和議員がこの予算委員会の場で問題提起をされましたけれども、私も、GoToトラベルというのは全国一斉に取り扱う必要はなくて、例えば、まずは最初の第一歩として、緊急事態宣言の対象外である区域で区域内の移動に限って行う、例えば新潟県民が新潟県内で移動、宿泊する場合に限って再開するということを第一歩として先行してやるべきではないかというふうに考えております。これであれば、都道府県境をまたぐ移動というものもないわけでございまして。
更に申し上げますと、各県で実施する、しないを決める権限も、あるいは予算も、もうこの際、都道府県知事に渡して、各県独自でGoToトラベル事業については判断できるようにしてはどうかというふうに思いますけれども、赤羽大臣、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 感染状況が落ち着いている地域の首長さんや観光関連事業者の皆様から、GoToトラベル事業の早期、また部分的な再開の強い声があることは承知をしておるところでございます。
ただ、他方、この本事業の運用の前提となります感染状況の見通しですとかまた医療体制の現状等々につきまして、現在、西村担当大臣と田村厚生労働大臣が中心となって、分科会の専門家の御指導を仰ぎつつ状況を整理され、その上で、GoToトラベル事業の運用の在り方につきましては、菅総理の下、関係閣僚が協議をして、政府として決定をしているところでございます。あくまで本事業は国の事業として政府の責任の下で運営しておりまして、それぞれの実施の可否の判断ですとかその権限、予算を都道府県に委ねることは、私は若干なじまないものではないかと考えております。
しかし、他方で、感染状況が落ち着いている地域の宿泊施設をその地域の住民が利用する場合に限って再開をしてほしいというのは、これは実は全国知事会からも緊急で提言をいただいているところでございますので、再開に当たっては一つのアイデアとしてしっかり検討を進めていきたいと思っております。
いずれにいたしましても、国民の皆様が安心して旅行ができる環境をつくること、これが一番大事だというふうに思っておりますので、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
○細田(健)委員 ありがとうございます。是非、その地域を限定して再開するという方向で前向きに御検討をいただきたいと思います。
それでは次に、豪雪の被害について取り上げたいと思います。
一月に、地元新潟県を含めまして北陸を中心に、本当に記録的な豪雪が大きな被害をもたらしました。私の地元でも、除雪作業中にお亡くなりになった方がいらっしゃいます。謹んで御冥福をお祈りするとともに、豪雪により被災された皆様にもお見舞いを申し上げます。
政府としては、既に小此木防災担当大臣、赤羽国土交通大臣、野上農林水産大臣が現地入りをし、また自衛隊派遣などの対応を取っていただきました。改めて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。また、花角新潟県知事から、現地にお越しいただいた三大臣に対して感謝の念を伝えていただきたいというお話がございました。この場をおかりしてお伝えをさせていただきます。
政府としても今後とも十分な対応を取っていただくよう、この機会にお願いをしたいと思いますけれども、これに関連して、武田総務大臣にお伺いをさせていただきます。
本当に例のない豪雪でございました。十二月の下旬から一月の中旬にかけて絶え間なく大変な雪が降ったわけでございますけれども、この豪雪により、地元自治体の除雪費について支出が大変大きく膨らんでおります。
この支出について国から支援をしてほしいという強い要望が寄せられておりまして、自治体の過大な負担にならないように、今回の除雪費用については特別交付税で十分に手当てをするべきだと思いますけれども、武田大臣、いかがでしょうか。
○武田国務大臣 御指摘のように、十二月中旬以降、大変多くの地域で大変な大雪の被害に見舞われました。先生がおっしゃられましたとおり、多くの方が亡くなられました。心からお悔やみ申し上げますと同時に、けがをされた方も大変多くおられたということで、お見舞いを申し上げたいと存じます。
そうした状況の中、やはり各自治体の当面の資金繰りというものに、これを害することなく、我々としてもできる限りの支援をしていかなくちゃならぬ、このように考えた次第であります。
災害救助法の適用となった団体また平年を大きく上回る大雪に見舞われた団体で繰上げ交付というのを希望された二百十八の団体に対して、計三百六十九億、特別交付税を繰上げ交付をいたしました。過去、二月に繰上げ交付をした経験はあるんですけれども、一月まで遡って繰上げ交付をしたというのはこれは初めてのことでありまして。
また、地方団体の除排雪経費につきましては、普通交付税の算定、これは標準的な所要額を措置するわけでありますけれども、実際の所要額というものがその措置額を上回った場合には、なお更に特別交付税の措置でもってバックアップをしていくこととしております。
いずれにしても、地域地域の実情というものをしっかりと把握しながら、その地域の財政運営に支障を来さないように、しっかりと対応を心がけていきたいと考えております。
○細田(健)委員 大臣、前向きな御答弁、本当にありがとうございました。十全なバックアップをお願いしたいと思います。
次に、野上農林水産大臣にお伺いをいたします。
今回の豪雪で、地元では、農業用ハウスなど、農業施設に本当に大変な被害が出ました。春からの営農に間に合うように、被災した農家に対しても本当に速やかな支援をお願いしたい、こういうふうに思っております。
特に農業用ハウスについて大きな被害が出たわけなんですけれども、これは三年前にやはり大きな豪雪被害がありまして、このときハウスの資材が、鉄材などの資材が不足をして、せっかくお金をもらってもなかなか着工できないというような状況がございました。
したがって、今回はそういうことがないように、資材の流通についても目くばせをいただきたいと思っておりますけれども、この被災農家への支援について、大臣からお願いいたします。
○野上国務大臣 お答え申し上げます。
私からも、令和二年、三年の大雪によりましてお亡くなりになられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
今般の大雪による農林水産関係の被害額は約百八億円になっておりまして、東北地方あるいは北陸地方を中心に大きな被害が出ました。お話のありました農業用ハウスですとか畜舎の倒壊、あるいは果樹の枝折れですとか倒伏ですとか、被害が相次いだわけでありますが、私自身も、先般、新潟の方に行かせていただいて、現場の皆様の不安のお声を多数お聞かせいただいたわけでありますが、このような不安に応えて、一日も早い経営再建が図られますように、今月の二日に支援策を決定をさせていただきました。
内容としましては、現場の実情、ニーズを踏まえまして、農業用ハウスや畜舎等の再建、修繕、撤去、あるいは果樹の枝折れに対する修復や植え替え、また、育苗ハウスの倒壊等により必要となります追加的な施肥、防除、種子、種苗、融雪剤等の確保ですとか、あるいは水稲等の種苗の輸送等に必要な経費の支援など、きめ細かな支援を実施してまいりたいと思います。
今先生から御指摘のありました、農業用ハウスの資材について不足がないようにということであります。
農水省では、一月十四日に通知を発出をいたしまして、全農やハウスメーカー等には資材の円滑な供給と施工を行うように、また、生産者団体等には必要な資材等の早期の発注を行うように要請をいたしました。
また、二月一日に、必要に応じて、行政、JA、ハウスメーカーから成る連絡会議を各県に設け、特定の業者で資材の受注が滞留している場合などにおきましては、受注業者間の分散化を図る等の対応策を検討するよう依頼しておりまして、これを受けまして、先生の御地元の新潟県でも二月十九日に連絡会議を開催する予定と聞いております。
引き続き、きめ細かな支援を農林業者の皆様に寄り添いながらしっかりとやってまいりたいと思います。
○細田(健)委員 大臣、本当にきめ細かく対応していただきまして、本当にありがとうございます。春からの営農が被災農家にとってもスムーズにいきますように、引き続き十全な御配意をお願いしたいと思います。
それでは次に、現在、地元で大変大きな問題になっている東京電力柏崎刈羽原子力発電所の一連の不祥事について取り上げたいと思います。
今日は、原子力規制委員会の更田委員長にもお越しをいただきました。
この問題は、先日の委員会でも取り上げられましたが、東京電力社員のIDカードの不正利用でありますとか、あるいは、発表と異なり、安全対策工事を終了していなかったという事案でございまして、本当にもう一体何をやっているんだと言わざるを得ません。大変強い憤りを感じております。
また、規制庁から規制委員会に対して適切なタイミングで情報が上がっていなかったのではないかという指摘もございまして、これはもう本当に、規制庁自身、これまでの経緯をきちっと検証して、我が身を振り返っていただく必要があると強く感じております。
私の地元では、長年にわたって国のエネルギー政策に本当にそれこそ体を張って協力してきていただいた方は多数いらっしゃるんですけれども、こういう方々からも今回の一連の事案については強い失望の声が出ておりまして、これは私も当然のことだと思っております。
本件については、二月十日に花角新潟県知事が記者会見をされました。この記者会見の場で、知事は、今回の件について、全体としての信頼を失いかねないような事案とおっしゃった上で、東京電力の原子力事業者としての適格性について評価をすべきだというふうにお話をされておられます。
私は、今回の質問に立つに当たって、花角知事とお話をさせていただきました。この知事の言葉は大変重いと受け止めております。知事の問題提起は当然のことだと思いますし、また、そのお気持ちは本当に、地元の人間として私も非常によく理解できます。
そこで、更田委員長にお伺いをいたします。
花角知事がおっしゃるとおり、東京電力の適格性について評価をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
東京電力を巡る問題、課題において、特に、柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用は、原子力規制委員会が認可した核物質防護規定に違反したものであり、規制の関与の下で改善すべき問題と認識をしております。
原子力規制委員会としましては、核物質防護規定とそれに基づく東京電力の防護措置が十分なものであるか、検査を通じて厳しく確認、評価をしてまいります。
○細田(健)委員 ありがとうございます。
これは本当に、規制庁自身もしっかりと我が身を振り返っていただきたいと思いますし、また、東京電力の、ある意味、体質が問われている問題だというふうに思っております。東京電力から報告を受けてということですけれども、これはもう本当に厳しく、厳しく、体質改善につながるような評価そして指導監督をしていただきたいというふうに思います。
また、所管大臣である梶山大臣にもお伺いをいたします。
これは大臣もよく御存じだと思いますけれども、原子力政策というのは立地自治体の理解がなければ一歩も前に進まないわけでございまして、今回の事案というのは、この立地自治体との信頼関係を本当に根底から揺るがすようなものではないかというふうに感じております。私の周りも非常に厳しい見方が多いですし、私もそれを感じております。
したがって、今回、一連の不祥事がございましたけれども、所管である大臣からも、繰り返しになりますが、東電の体質改善につながるような、本当に厳しい御指導をお願いしたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
○梶山国務大臣 IDカードの不正利用、安全対策工事の未完了等、東京電力の不適切な対応が続いていることは誠に遺憾であると思っております。私も大変重く受け止めております。
一連の問題を受けて、資源エネルギー庁長官から東京電力社長に対して直接に、徹底的な対応を行うことを厳重に指導したところでありますし、私もエネ庁長官に対して指示をいたしました。
これを受け、東京電力では、IDカードの不正利用について、本人を始め社長を含む関係者を厳正に処分するとともに、原子力規制委員会の監視の下で根本原因の分析を行い、再発防止策を講じていくこと、また、工事未完了問題について、ほかに未完了項目がないかどうかの総点検を行っておりまして、その中で火災報知器の取付けの未了も確認をされており、今後、徹底した総点検の実施と原因究明、再発防止の検討を行っていくと聞いております。
私どももしっかりと指導をしてまいりたいと思っておりますし、また、委員御指摘のとおり、原子力事業を進めていくに当たっては、地元の御理解が必要不可欠であります。信頼が不可欠だということなんですね。東京電力には、両事案について改めて原因究明と再発防止に徹底して取り組んで、原子力発電所の安全確保と、地元を始め国民の信頼確保に向けた努力を強く求めてまいりたいと思っております。
経済産業省としても、厳しい目を持って東京電力の取組を継続的にフォローしてまいります。
○細田(健)委員 ありがとうございます。
本当に、一からの出直しといいますか、大臣にも委員長にもお願いをしておきたいと思いますけれども、本当に厳しい状況にあると思っております、様々な事案が出てまいりまして。ですから、本当にそれぞれ一から出直すつもりで、また、委員長については、規制庁も本当に厳しく指導をしていただいて、是非指導監督をしていただきますように、本当に改めて強くお願いをしておきます。
それでは次に、最後に総理に、環境・エネルギー政策についてお伺いをいたします。
総理は、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言されました。これは、我が国が地球温暖化対策に先陣を切って取り組んでいくということを国際的に明らかにしたという意味がありまして、大変高く評価をしております。
ただ一方で、これも総理御存じのとおり、元々、我が国は高いエネルギー効率を既に達成した国でありまして、温暖化ガスの排出削減余地というのは他国に比べれば非常に低いのではないかというふうに思っております。更にそれを削れと言われるのは、大変な困難が伴います。
また、我が国の強みというのがいろいろございます。これは、高効率の石炭火力発電あるいはハイブリッド車といったものが我が国の強みの一つでありますけれども、こういうものが地球温暖化対策の中で必ずしも前向きに位置づけられていないというような状況もございます。
昨日、総理はこの問題について経済界の首脳の方と意見交換をされた、こういうふうにお伺いをしておりますけれども、日本の国際競争力を弱めるような形で温暖化対策の議論が進むのではないかということを私は強く懸念をしております。
元々、世界全体を見ますと、我が国の温暖化ガスの排出量というのは三%程度でございまして、その少ない排出量に鑑みると、むしろ、例えばアメリカでありますとか中国、あるいはインド、ブラジルのような新興国の排出を今後いかに抑えていくか、こういうことの方が世界全体で見れば非常に大きな意味を持ってくるわけでございまして、そういうこれまでの状況を踏まえますと、今後の温暖化ガスの削減あるいはエネルギー政策を考えるに当たっては、次の三つの原則を考えていくべき必要があるのではないかというふうに思っております。
第一に、日本だけでなく世界全体の排出量を考える。これは、日本は先ほど申し上げたように三%だけですから、やはり世界全体でどう最適化するかということを考えていく必要があると思います。それから二番目は、日本の強みを生かすということですね。これは、既に日本は非常に省エネ技術等々で強みがありますから、これを生かすということ。そして三番目が、日本の企業や家庭に、諸外国に比較して過度な負担を生じないようにする。すなわち、日本の国際競争力に十分に配慮した上で政策を展開する。
こういう三原則が私は必要であると思っておりますけれども、総理のお考えを是非お伺いしたいと思います。
○菅内閣総理大臣 カーボンニュートラルの実現に向けて、今委員の御指摘のように、気候変動問題には、世界全体と協調しつつ、我が国の強みを生かし、国際競争力を強化していく、ここが重要だと思います。
また、気候変動問題は世界全体が取り組むべき重要な課題であり、我が国は、日本の強みである先端技術分野などで引き続き国際社会をリードし、世界全体の排出削減に貢献をしてまいります。
このため、国内においては、民間企業や地域社会における具体的なプロジェクトを立ち上げ、二兆円の基金や税制、規制改革、新技術を普及するための標準化、国際連携など、まさにあらゆる施策を総動員し、国際競争力を強化しながら、脱炭素社会の実現に意欲的に取り組んでまいりたいと思います。
○細田(健)委員 ありがとうございました。
本当に、日本の強みを生かして、また、日本の国益に沿った形で温暖化対策が行われるように、心からお祈りをしたいというふうに思っております。
最後に一点だけ、総理に、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、現在、炭素増税が必要という意見もございますけれども、私自身は、先ほど言った国際競争力という観点からは、極めて慎重に検討を行うべきではないかと思っております。
カーボンニュートラル政策というのは、総理おっしゃったように、経済成長に資するという観点が非常に必要だと思っておりまして、この観点から、炭素増税は是非慎重に御検討いただきたいと思いますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
○金田委員長 内閣総理大臣菅義偉君、短くお願い申し上げます。
○菅内閣総理大臣 私は、もはや環境対策は経済成長の制約ではなく、次の成長の原動力になると考えています。
このような意識から、昨年末、梶山大臣と小泉大臣に、成長につながるカーボンプライシングを連携して検討するよう指示しました。
○細田(健)委員 是非慎重に取り組んでいただくようお願いします。
ありがとうございました。
○金田委員長 これにて村井君、山田君、細田君の質疑は終了いたしました。
次に、岡本三成君。
○岡本(三)委員 公明党の岡本三成です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず初めに、二月十三日の夜に東北地方、北関東地方を中心に地震で被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
東日本大震災からもう少しで十年というこの節目のときに、またもや震度六を超す大きな地震に遭ってしまった現地の方々の御苦労は本当に計り知れないものがあります。
まず初めに、国交大臣にお願いがあります。
東北新幹線、そして常磐道、ストップしています。断水も停電も起きてしまいました。このライフラインの一刻も早い復旧、維持を是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 まず、この度の福島県沖を震源とする地震によりまして被災をされた全ての皆様に、改めまして心からお見舞いを申し上げたいと思います。
今、岡本委員からお話ございましたように、道路や鉄道において利用者の方に大変御不便をおかけしてしまっておりますが、まず、常磐自動車道で発生をいたしました大規模なのり面崩落につきまして、被災直後から土砂の撤去作業を鋭意行いまして、昨日の十八時に、片側一車線での緊急車両の通行を確保したところでございます。引き続き撤去作業を進めながら、今週半ばまでには一般開放できるように段取りをしていきたいと思っています。
また、東北新幹線、那須塩原から盛岡間においては現在も運転を見合わせておりまして、これは架線を支える電柱が相当やられておりまして、復旧には十日前後かかると見込まれております。この代替交通手段を確保すべく、今、鉄道事業者、バス事業者、航空事業者に協力を国交省から要請をしておりまして、各社と連携しながら、調整が整ったものから順次開始しているところでございます。
ちょっと具体的に簡単に申し上げますと、高速バスにつきましては、仙台―新宿間のJRバスの便数を倍増するなどしながら、他の民間バス事業者にも協力を仰ぎ、積み残しを出さないための続行便の運行をしてまいりたいと思います。
航空便につきましては、通常は運航しておりません羽田から仙台行き、花巻行き、福島行きをそれぞれ、全日空が三路線で計十便、また、日本航空が七路線で計二十四便増便するなど、東北各地への臨時便の運航や機材の大型化を既に対応しているところでございます。
鉄道につきましては、首都圏から仙台方面に向けての常磐線での臨時列車の運転、また、上越新幹線の新潟駅から秋田方面に向けての羽越本線での臨時列車の運転などの対応を行っているところでございます。
こうした情報につきまして、国土交通省のホームページまたSNSをフルに活用して、また、報道機関の御協力も仰ぎながら、利用者の方々の不便を解消していくようにしっかりと取り組んでいきたい、こう考えております。
〔委員長退席、山際委員長代理着席〕
○岡本(三)委員 菅総理にもお願いがあります。
このコロナ禍の中で万が一首都直下地震等が起きますと大変なことになりますけれども、その危険性はゼロではありません。スペイン風邪がはやったのは一九一八年から二一年、その二年後に関東大震災が起こっています。いざというときの防災、減災、そしてしっかりとした備え、いま一度徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○菅内閣総理大臣 南海トラフ地震や首都直下地震を始めとする大規模地震に対しての備えについては、想定される甚大な人的被害や経済的被害への対応のために、関係機関が連携をし、予防的対策に取り組んでいるところであります。
また、新型コロナの影響が続く中で被災者の安全と安心を守るためには、これまで以上に医療体制の確保や物資の補給など重要であり、分散避難や避難所の衛生管理、必要な物資の備蓄など、災害時の感染防止対策にも取り組んでおります。
引き続き、政府一体となって、自治体や民間とも連携し、感染防止も念頭に置いた応急対策の検討や訓練の実施などを通じて、防災・減災対策に万全を期してまいりたいと思います。
○岡本(三)委員 続きまして、新型コロナワクチン接種関連につきまして質問をいたします。
まず、田村厚労大臣にお伺いいたします。
昨日、厚労省は、ファイザー製のワクチンを、日本国内での使用、正式に承認をされました。その二日前の二月十二日、厚労省の部会では、このファイザー製のワクチン、承認して差し支えないと評価されました。差し支えない。このワクチン、とてもいいんでしょうか。それとも、ぎりぎりセーフなんでしょうか。どういう状況なんでしょうか。どれぐらい効果があるのか、副反応の状況はどういう状況なのか、具体的な評価を御報告ください。
○田村国務大臣 おっしゃるとおり、先週、PMDAの審査を終了し、その後、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の方で御議論いただきました。
差し支えないという御評価でありましたが、PMDAのいろいろと報告書の中で、まず、発症予防の有効性、これは期待できるということであります。それから、副反応に関しましては、注射部の疼痛でありますとか、それから頭痛でありますとか疲労、こういうものは見られますけれども、軽度、中等度ということでございまして、そのような意味からすると、副反応等々、安全性において重大な懸念は認められないということであります。
全体として、アナフィラキシーのようなアレルギーと、そういう有害事象に関しては、日本の治験ではこれは認められていないんですが、海外の治験でありますとか、海外の方ではもう既に接種が始まっております、こういうところでは一定程度認められているということでございますので、我々としては、これからも情報収集して、評価をこれに関してはしてまいりたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、有効性に関してはこれは期待できるということでございますし、副反応に関しては、重大な懸念はこれは認められないということでありますから、我々としては、しっかりと有効性、安全性が認められたものというふうに認識をいたしております。
○岡本(三)委員 ということは、これは物すごく効果が高くて、そして、副反応のリスクも非常に限定的だということで、打つリスクと打たないリスクを考えたときに、打つメリットの方が圧倒的に高いという認識でよろしいんですよね。
○田村国務大臣 我々、もちろん情報をしっかりと開示をさせていただいた上で、最終的には御本人が御判断をされる話にはなりますが、しかし、国として接種勧奨をしてまいるわけでありますし、範囲については、打っていただく方には努力義務、これがかかる範囲はこれから厚生科学審議会の方で御議論いただくわけでありますが、国として勧奨していくものでありますから、しっかりと打っていただくということで、国としては推奨してまいりたいと思います。
ただ、打つか打たないかはあくまでもこれは個人の御判断でございますので、我々、しっかりと情報を発信いたしますので、そういうものを見ていただきながら御判断をいただくということであります。
○岡本(三)委員 このパネル一を御覧ください。
これは、これからの接種のスケジュール、よく報道等されているものであります。このスケジュールに基づきまして、自治体の方は今様々な準備をしていただいております。
この自治体の方のお話を伺うと、一番困っていらっしゃることは、情報提供が不足しているというふうにおっしゃいます。いつ、何本のワクチンが届くのかということが分からなければ、医師会の方とも相談できないし、物流会社とも相談、なかなかうまくいきません。
ただ、政府の立場も分かるんです。
本年度中に七千二百万人分のワクチンをファイザーから供給してもらうことは約束してくれているけれども、契約できているが、いつ、何本届くかまではまだ明確ではない、だから、軽々に自治体に見通しをお伝えして、もしそれで見通しが変わるようなことがあっては、かえって自治体に迷惑をかけるのではないかという気持ちも分かります。けれども、多くの自治体の方は、直前で予定が変更になっても、今分かる範囲の中で見通しを教えてくださいという方が多いです。
これは契約ですから、日本政府とファイザーの中で守秘義務契約があることも分かっています。これだけ日本に入ってきますと言うと、ほかの国からファイザーに対して、何で日本にそんなに送っているんだと言われることもあるので、言えないことはあると思うんです。けれども、せめて自治体にはその守秘義務を外して、情報を共有するということをファイザーと合意をして、今あるだけの情報を共有して、変わるかもしれませんということで、最大限の情報を自治体の方にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 今問題になっているのは、守秘義務の話ではなくて、現実にファイザーがどれだけ供給することができるかということと、EUの透明化メカニズムがどのようにそこに関わってくるかということでございますので、我々として、自治体に情報が共有できる段階になりましたら、速やかに共有してまいるつもりでございます。
〔山際委員長代理退席、委員長着席〕
○岡本(三)委員 確定する前であっても、ある程度見通しが立ったところで是非情報の共有をお願いいたします。
次に、菅総理にお願いがあります。
民間の世論調査等を見ますと、このワクチン、まだまだ不安が拭い切れないので、二割から三割ぐらいの方は接種を控えたいというふうな、そういう世論調査も出ています。初めてのワクチンですから、心配になって当然だと思うんですね。
そこで、お願いというのは、菅総理にまず率先接種をお願いできないでしょうか。これは、優先ということではありません。まず隗より始めよで、総理御自身が打って、そして、その経過の報告もするというようなことで、多くの皆さんは、数字で安全は確認できても、安心というのはやはりリーダーからのメッセージだと思うんですね。
実際に、ロシアのプーチン大統領、接種を先延ばしすることによって、ロシアの国民の方は接種が余り進んでいません。
ただ、これは総理だけじゃなくて、私、菅総理を信頼する方もいらっしゃれば、余り信頼していらっしゃらない方もいるかもしれませんので、それこそ、野党の党首の方も含めて全員、ポリティカルリーダーが一斉に受けて、そして、その状況、経過も報告するようなことで、国民に安心、安全を与えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○菅内閣総理大臣 まず、ワクチンは感染対策の決め手である、そういう認識をしています。
このため、国民の皆さんが自らの判断で接種をしていただけるように、副反応や効果を含めて、科学的知見に基づいて、ワクチン情報に関するものは正しい情報を分かりやすくここはお伝えをさせていただくというのが、これは政府の役割だというふうに思っています。
その上で、お尋ねのありました私の接種についてでありますけれども、私も高齢者でありますので、順番が来ましたら率先をして接種をしたい、このように思います。
○岡本(三)委員 これは、総理が六十五歳以上枠で打たれているときには、日本の国民の約三%がもう既に接種した後です。ほかの方がやって安心を確認した後に行かれるようなことの誤解が起きないように、私は、一番初めに打っていただきたいという思いが強いということを是非申し上げておきたいというふうに思います。
続きまして、田村厚労大臣にお伺いいたします。
この接種を担当していただくお医者さん、看護師さんの皆さん、医師会の皆さんも、使命感を持って取り組むというふうにおっしゃっていただいています。本当にありがたいです。
けれども、政府としては、その使命感や真心にしっかりとお応えするようなお礼、経済的な謝礼、しっかりしていくべきだと思うんですね。御自分のクリニックで打っていただく先生もそうですし、例えば高齢者施設等まで出向いていただくような先生も出てきます。
しっかりとその真心、使命感に見合っただけの、それ以上の経済的な御礼をしていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 本当に、接種をいただく医療機関の皆様方、これのみならず、新型コロナウイルス感染症という対応の下で大変な激務をこなされているわけでありまして、そこにこの接種というものが重なってくるわけであります。そういう意味では、接種が始まる頃までに何とかして感染拡大を一定程度抑えていかなきゃならぬということで、ただいまも、緊急事態宣言の中でそれぞれ国民の皆様方に御協力いただいております。
打っていただく、これは一回当たり二千七十円、そういうような金額を提示させていただいております。ただ、これは接種という行為に対してでありまして、様々な経費がかかってくると思います、準備のため、いろいろな体制を整えるため。こういうものに関しては、補助金でしっかりと対応させていただく。上限二倍というふうに先般発表させていただきましたが、これは一応基準でございますので、本当に合理的に必要であれば、それを超える部分も含めて対応をしっかりさせていただきたいというふうに考えております。
○岡本(三)委員 河野大臣にお伺いいたします。
全国の自治体の中には、医療従事者の方、お医者さんや看護師さんの数が足らないような地域もあります。
自衛隊の中には、医師が約千名、看護師の方も千名いらっしゃいます。自治体からの要請があれば、こういう自衛隊のお医者さんや看護師さんにも、今回の接種、お手伝いをいただけるという認識でよろしいでしょうか。
○河野国務大臣 先日、菅総理と日本医師会の会長と会っていただきまして、医師会からは全面的な支援のお約束をいただいたところでございますので、それぞれの自治体で今、関係する医師会など医療関係の皆さんと話合いをしていただいているところで、そこでしっかりと人員の確保をお願いをしているところでございます。
自衛隊を今回の通常の接種にお願いをするつもりはございません。もちろん、接種期間中に様々な災害などが起きた場合にいろいろな形で自衛隊の支援をお願いをすることはあるのかもしれませんが、通常の自治体の接種において、自衛隊にお願いをすることは想定をしておりません。
○岡本(三)委員 その状況、状況を自治体の方とよくお話しをいただいて、適切な運用、オペレーションをお願いできればと思います。
菅総理に、続きまして、お願いがあります。
よくソーシャルディスタンスと言われます。これは日本語に訳すと社会的な距離なんですけれども、感染防止のために必要なのは、社会的な心の距離ではなくて、物理的な距離なんですね。ですから、WHO等では、ソーシャルディスタンスという言い方は今しておらず、フィジカルディスタンスと言っています。世界中、そういうふうに変わってきています。
これから、ワクチンが進み、社会的な分断が起きたり、人と人とのつながりが隔てられるようなことがあってはいけないので、その意味をしっかりと伝える意味からも、また、総理がよく強調されている共助というところをしっかりとメッセージを送る意味からも、これから、総理を中心とした政府のトップの皆さんは、ソーシャルディスタンスではなくて、フィジカルディスタンスというふうに表現をされてはいかがでしょうか。
○菅内閣総理大臣 これまで、基本的な感染対策として、人と人との距離を取るとか、マスクの着用、手洗いの徹底、三密を避ける、こうしたことをお願いをしてきました。
今、議員から御指摘いただきましたように、WHOでは、人と人の距離を取ることに関して、社会的に孤立してはいけないという思いを込めて、ソーシャルディスタンスじゃなくて、フィジカルディスタンスという表現を用いている、このように承知をしています。
政府としても、人と人との距離を取ることについては、フィジカルディスタンス、こういうふうに和訳をしておりますので、身体的距離の確保という表現を用いており、今後ともしっかりこうした表現をしていきたい、こう思います。
○岡本(三)委員 別に英語じゃなくても、物理的距離でもいいと思いますので、是非お願いいたします。
続きまして、このコロナ禍における事業者や個人の皆さんへの経済的支援についてお伺いしたいと思います。
昨日、渋沢栄一を主人公にした大河ドラマ「青天を衝け」が始まりました。渋沢栄一は、埼玉県深谷市で生まれまして、その後、私の地元、東京都北区で、日本の礎をつくったような約五百社の企業の創立に関わり、六百以上の慈善事業を支援していらっしゃいました。
ちなみに、この北区の王子、飛鳥山には渋沢栄一史料館がありまして、二月二十日にはこの大河ドラマ館もオープンします。
この渋沢栄一の談話録である「論語と算盤」という本がありまして、これは私、学生のときからの座右の書であります。論語、つまり倫理観と、そろばん、経済というのは、共に運用してこそ大きな価値が生まれるという、本当に大切な指針、今後のポストコロナの時代の経済政策の指針となる本だと思います。
私は九年前に衆議院議員に当選させていただいたんですけれども、そのとき一番初めにやったのは、超党派で、公明党も自民党も野党の皆さんも含めて「論語と算盤」の勉強会を立ち上げまして、以来九年間、定期的に勉強してきております。
この渋沢栄一の哲学に沿ったようなコロナ禍の事業者そして個人の方の支援、非常に重要だというふうに思っています。
パネル三を御覧ください。
こちらは、政府の第三次補正における中小企業支援策の概要であります。左側は一時支援金でありまして、緊急事態宣言の中で時短に応じてくださった飲食店等には一日六万円の支援金を受け取っていただいております。けれども、より多くの方々に負担をかけているわけですから、その飲食店とお取引のある例えば食材の業者さん等に関しましても、中小企業であれば六十万円、個人事業主であれば三十万円支援していただくような仕組み、非常に重要です。
このときに、公明党から政府に要請をしたことがあります。それは、飲食店と直接取引がなくても、人の移動を自粛していただいているわけですから、売上げが非常に落ちて経済的に困窮していらっしゃるような会社がたくさんある。例えば、お風呂屋さん、個人タクシーの運転手さん、マッサージ屋さん、旅行代理店、たくさんあるんです。こういうところにもこの一時支援金、拡大してくださいとお願いをいたしまして、そのように運用を変えていただきました。感謝しています。
この右側は、事業再構築補助金、三月から募集が始まるものなんですが、このコロナ禍でお客様のニーズも変わっています。ですから、新しいニーズを取り込むために前向きにチャレンジしていく事業者を支援する、そういう補助金なんですね。
例えば、喫茶店があって、喫茶店、なかなか密になるようなこともあるので、喫茶店のその着座のスペースを少なくして、改装して、そこでお店で作ったケーキを売る等のときに、この設備投資資金に関しまして、三分の二、国の補助をしていただけます。
すばらしい取組だと思うんですが、二月一日に我が党から、この運用に関しましてお願いをしています。
それは、今、この売上げが少ないときに、前向きな取組の準備、設備投資したいという方は多いんですね。ですから、事前着手、これを前倒しをして、お金も、全部終わった後に精算して差し上げるのではなくて、概算でもう支払って、最後、そのお金で払った後に残ったものは返してもらうようにしていただくこと。また、これは三分の一は手金が必要ですから、公庫のローンを活用できるようにして、一体パッケージとしてこの補助金を運用していただくこと。また、緊急事態宣言の地域の皆さんは特段御苦労されていますので、この地域の方には特別枠を設けてくださいなど、様々運用の改善につきまして申入れをしておりますけれども、この状況、御報告をください。
○梶山国務大臣 二月一日に御党から、コロナ禍における中小企業支援に関する御提案をいただきました。その御提言も踏まえて、各種支援策をできる限り早急に中小企業者の皆様にお届けできるような検討を現在進めているところであります。
一時支援金につきましては、申請を検討されている事業者の方々に参考となるように、対象となる事業者のより具体的なイメージや申請プロセスや事務手続の概要について、二月十日、先週、現時点の検討内容を公表させていただきました。今後、二月下旬を目途に、より詳細な申請要領やQアンドAを作成して公表していく予定であります。
引き続き、三月頭の申請受付開始に向けて、要件や制度の詳細について検討、具体化を速やかに進めてまいりたいと思っております。
また、持続化補助金につきましては、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動の自粛等により影響を受け、売上高が三〇%以上減少した事業者に対しまして、優先採択を行うとともに、感染防止対策費に対する補助を上限額の範囲内で最大二十五万円から五十万円に引き上げる予定であります。
事業再構築補助金につきましては、売上高が持続化補助金同様に減少した事業者に対しまして、優先採択を行うとともに、補助率を引き上げた特別枠の対象といたします。また、同補助金については、補助金交付決定前の事前着手を認める制度を設けるとともに、補助対象経費の支払いに伴う資金繰りへの不安を解消すべく、今委員から御指摘ありました概算払い制度も設ける予定にしているところであります。
事業再構築補助金の実施に当たりましては、事業者の立場に立ち、多様な業種での活用事例を順次更新をしてまいります。
また、三月一日から、事業再構築に向けた設備投資を行う事業者に金利を引き下げる新制度も開始をいたします。その上で、地銀や信金、信組などの地域金融機関が取引先の中小企業に補助金の活用を促していただくことも大変効果的であり、金融機関との広報面での連携を深めてまいりたいと思っております。
○岡本(三)委員 現場を歩いていますと、本当に事業者の方はぎりぎりなんですね。このような補助金があることを本当に周知徹底していただいて、より多くの方にこれは活用していただくのが目的ですから、是非お願いしたいと思います。
続きまして、こちらのパネルを御覧ください。
田村厚労大臣に伺います。
これは、生活福祉資金の金額の伸びの推移であります。下のオレンジのところ、これは緊急小口資金で、コロナ禍の中で失業されたような方、一時的に生活困窮された方が最大二十万円お借り入れをいただくことができます。パネルの二であります。上のブルーのところ、これは総合支援資金で、その後、生活が更に苦しい状況が続いているときに、最大で百八十万円まで今回の三次補正で借りていただくことができるようになりました。新規の申請者数、足下、去年の三月以降、約百五十万件、総額六千億に迫ろうとしております。
これは、私、はっきり覚えているんですが、昨年の二月、三月ぐらいに政府の主要な方がテレビの前でこうおっしゃっていました。生活が本当に困窮されている方、遠慮なくこの生活福祉資金を御活用ください、困っているときはお互いさまです、返済のときになってまだまだ生活が立ち行かない、返済が厳しい方には返済を免除するような制度もあります、是非遠慮なく御活用ください。様々な大臣がおっしゃっていました。
それを受けて、このオレンジのところ、緊急小口資金に関しては、返済のときに住民税非課税の世帯は返済免除になります。このブルーのところはまだ決まっていないんですね。ただ、このブルーのところの方が金額は大きいんです。これは全部足すと最大二百万円。住民税非課税というのは、個人だと年収百万円以下、世帯を持っていらっしゃると年収二百五十五万円以下です。二百六十万円の年収の人が借金二百万円を抱えて、全額返してください、大変酷な話だと思います。
このブルーのところに関しても、しっかりと、例えば、ある程度年収がある方でも、借りた金額のある割合をしっかりと減免するようなことも含めて、今後、初めに皆さんが国民に約束したことをしっかりと守っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 緊急小口資金ということでまず二十万円、その後、総合支援資金ということで六か月で百二十万円、合わせて百四十万円という形でございましたが、更に今般、緊急事態宣言等々大変な厳しい中で御生活をされておられる方々がおられるということで、あと二十万円を三か月、六十万、合わせると二百万円ということであります。
その中で、もう御承知のとおり、緊急小口に関しては、令和三年度、令和四年度、ここでどちらか住民税非課税、これも借りておられる方とそれから世帯主、これだけであります、家族の方々全員ではありません、こういう非課税であれば、これに対して償還免除ということを決めました。
しかるに、残るところの、多分、百八十万円の総合支援資金のところだと思います。
これは両方とも、住民税非課税だったら借りられるというよりかは、収入が下がったら借りられるという、非常に、ある意味、緩和した貸付条件だったんです。ですから、お返しになる能力のある方々に関しては、それはお返しをいただく、十年間で償還いただくということになっておりますが、一方で、住民税非課税の場合は、償還時でありますけれども、この場合は、これに対して償還免除にしようという方向性は出ております。
今言われたのは、多分、住民税非課税ではないんだけれどもということだというふうに思いますが、ここをどうするのかというのはちょっとこれから検討しなきゃなりませんし、一方で、言うなれば、返済を免除した場合の免除益が発生してそれに対する課税の問題も出てまいりますので、様々なことをこれは考えないと、解決しないと、なかなかここの条件緩和というものは、せっかく免除にしても税の部分でぱっと返さなきゃいけないという話になったらこれは意味がありませんので。
そういうことも含めて今検討中でございますので、また委員から、また公明党からのいろいろな御意見もいただきながら、どのような形で償還免除、また返済をどのような形でしていくのかということに関して、早急に検討をさせていただきたいというふうに考えております。
○岡本(三)委員 繰り返しになりますが、約一年前、テレビで様々な大臣が、困ったときはお互いさまです、安心して借りてくださいとおっしゃっていましたので、そのことをすぐ実行に移せるような最終的な決断、是非お願いいたします。
続きまして、こちらのパネルを御覧ください。
昨年十一月、予算委員会で、私、総理に、公明党が長年取り組んできました、高過ぎる携帯電話料金を、健全な競争環境を促すことによって適切な価格に下がっていくように取り組んでいただけませんかとお願いいたしました。そのとき、総理は、この携帯電話料金が下がっていくような方向性をつくることは菅政権の政権公約との思いで取り組むとおっしゃいました。
そして、これを御覧になってください。これは、シェアナンバーワンの事業者の大容量二十ギガのプランなんですが、二〇一九年度まではおおむね八千円台だったのが、昨年は三千二百七十八円、約六〇%下がっています。すばらしいと思います。
総理、これをどういうふうに御評価されていますでしょうか。もう満足なんでしょうか、まだまだなんでしょうか。この御評価、お願いいたします。
○菅内閣総理大臣 国民の皆さんの財産であります電波の提供を受けている携帯事業者が、三社が寡占状況にあって、世界でも最も高い水準の携帯電話、分かりにくい、いろいろな問題がありましたので、私自身、岡本委員を始め公明党の皆さんから署名も頂戴をしました。そういう中で、総裁選挙の際にも約束をしましたし、総理大臣になってから、国民の皆さんにとって分かりやすくて、そして納得のいく料金で提供できるような、そういう環境を今つくっております。
詳細については、総務大臣から説明をさせます。
○岡本(三)委員 武田大臣、私は、携帯電話の理想型は、公共料金、電気代や水道代のように使った分だけ課金されていく、そうすると、自分にどのプランが合うなんか考えなくていい、これが理想だと思っています。そういうプランも出始めています。いろいろな携帯会社さんも工夫をして、余り使わない人には安いお値段のプラン等も出ていますけれども、問題は、事業者を変えたりとか、プランを変えたりとか、めちゃくちゃ面倒くさいんですね。金がかかることもあります。
スムーズに、自分に合ったプランに合うように、更に総務大臣から健全な競争の状況をつくるような促し方をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○武田国務大臣 御指摘のように、御自身に合ったプランを合理的に選択できる制度ではございませんでした。
むしろ、事業者側に都合のいいところは大きな字で書いて、都合の悪いところはちっちゃな字で書いた説明書を配ったり、あとは、他の会社に移るときには多額の手数料を取ったり、他の会社に移ったときに同じ電話番号を使うとなればまた手数料を取ったり、また、SIMロック等々の問題もあった。こういうことを全てやめましょうということを、消費者庁と連携してその制度を一個一個詰めてまいりました。
今まで、自分が何でこのサービスを利用しているかということをよく理解しないままに使われている方というのが物すごく多かったんですね。ですから、この際、やはり、御自身が必要とされているサービスというのはこういうものですよという、例えばポータルサイト、それだとか、あとは、乗換えの手続というものがしっかりとできるように、スマホ相談所なんかを開設して利用者に優しい制度にしていきたいと思いますし、いよいよ、今まではプランの発表に終わっていましたけれども、来月からこの制度、サービスというものが展開されるわけであります。
必ずや消費者の皆様方、利用者の皆様方にこの低廉化の恩恵というものがしっかりと実感していただけるもの、このように確信しておりますので、合理的な選択をしっかりやっていただくこと、このことをお願いしたいと思います。
○岡本(三)委員 最後に、萩生田文科大臣に短く質問させてください。
私、文科省にずっとお願いしてあったことがありまして、それは、工業高校や商業高校また農業高校等の職業を専門としているような高校の学生さんたちが使う機器ですね、これが何十年前のやつだという古いもので、実社会に出たときに、そんな骨董品で学んだことがほとんど役に立たないんですね。なので、新しい、実社会で使われているようなものを学校にしっかりと配置をして、学生が学んだことをそのままスキルとしてすぐ社会で役立てるような状況をつくってくださいとお願いをして、三次補正で初めて二百七十四億円をつけていただきました。これで3Dプリンターやレーザー加工機を買っていただけます。
まだまだ足らないところもあるんです。学生が更に使えるような、ドローンですとか、GPSがついたような測定器ですとか、いろいろなものをお願いしたんですが、今後更に充実をさせていただくことを是非文科大臣にお願いしたいと思います。
○金田委員長 文部科学大臣萩生田光一君、時間が参りましたので、短くお願いいたします。
○萩生田国務大臣 はい、手短に。
先生に繰り返しそのことを発言していただいて、おかげさまで補正予算で予算を組ませていただきました。
デジタルトランスフォーメーションが加速的に進む中で、産業界が期待する即戦力の人材育成を図っていくためにも、専門高校における設備の最新化、デジタル化の緊急性、必要性が極めて高くなっております。こうしたことから、令和二年度において、職業教育を行う学科を設置する全国全ての高等学校約千八百校を対象に、デジタル時代の職業人材育成の基盤となる大型最先端のデジタル装置の整備について国が緊急的に補助を行うことになりました。
今御指摘のように、ドローンなど、次なる期待もありますので、それにも応えてまいりたいと思いますし、また、元々は大学や研究所をつないでいたSINETも高校にも開放していきたい。それから、必要があれば「富岳」で高校生の学習の成果をしっかり計算していただくことを国としてもサポートして、スマート専門高校を目指していきたい、こう思っております。
○岡本(三)委員 ありがとうございました。
質問を終わります。
○金田委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。
次に、野田佳彦君。
○野田(佳)委員 立憲民主党・無所属の野田佳彦でございます。
私は、この予算委員会で質問するのは七年ぶりでございます。七年前というのは、二〇一二年の党首討論で議員定数削減の約束をして、私、解散をしましたけれども、なかなか定数削減は履行されませんでしたので、業を煮やして二年後に安倍さんに質問をした、あれ以来でございます。
ということで、久しぶりでありますけれども、今日は、予算委員会の質疑というよりも、党首討論のつもりで質問をしたいというふうに思います。要求大臣は全く今日していませんので、皆さん、どうぞ、お忙しいと思いますので、席を立たれて結構でございます。
ということですので、重箱の隅をつついたり、揚げ足を取るようなことは全く考えておりませんので、総理の方も大きく構えて御答弁をいただければというふうに思います。
通告の順番をちょっと入れ替えます。
まずは、おととい、大きな地震がございました。震度六強、福島と宮城で記録をいたしました。本当に、十年前に御苦労をされた地域、当時、私は財務大臣、そして総理大臣を経験して、復興に関わっておりましたので、十年という大きな節目を迎える前に、またあのつらい過去を思い出すような大きな地震となりました。百五十人余りの方がけがをされて、建物の被害もあるようですし、今日は雨風も強くなりそうですから、本当に気をつけていただきたいと思いますし、余震も、これも警戒しなければなりません。
頑張っぺ福島、そして、負げねど宮城、頑張っぺし岩手、本当にこの十年頑張ってきた皆さんに、更にコロナ禍が重なって、またこの地震。ちょっと言葉に表せない、切ない思いでありますが、具体的な支援については、この後、午後から同僚議員が質問をいたします。どうぞ寄り添っていただきたいということを申し上げておきたいと思いますが、その上で、こうした大きな地震を踏まえての危機管理の問題から御質問したいと思います。
補正予算の審議のときに、同僚議員が、なぜ公邸に総理は住まないのかという質問がありました。そのときは、衆議院の赤坂宿舎に住んでいるけれども、近いから危機管理上問題ない、だから公邸に住まないんだという趣旨の答弁をされていましたね。でも、土曜日、また大きな地震が発生をして、十一時八分に地震が発生をしています。十一時九分に危機管理センターに官邸対策室ができました。そして、総理は赤坂宿舎から急いで官邸に駆けつけて、到着したのが十一時二十八分ですね。間違いないですね。ということは、所要二十分なんです。この所要二十分をどう見るかなんですね。
私は、改めて思いましたけれども、これは首都直下型地震だったらどうなっているんだろう。道路が陥没したり、倒壊した建物で道路が寸断される可能性があります。火災が起こるかもしれません。信号機も機能していないかもしれません。そんなときに、赤坂と永田町は目と鼻の先だけれども、二十分では到達しないんですよ。しかも、自然災害だけではありません。北朝鮮がミサイルを日本海に向けて発射した、あれよあれよと日本の本土に近づいてくる。十分で着弾しますよ。一分、二分がとても大きいんです、危機管理上。
私は改めてお尋ねします。なぜ公邸に住まないんですか。
○菅内閣総理大臣 まず、議員宿舎から官邸まで、確かに、先般の地震が発生をしたときに、私はまず、福島なのかというのが、やはり一番、私の頭の中でありました。そして、ようやく九年を迎えようとするときに大変なことだなという中で、私自身は着替えて、そして官邸に行ったわけですけれども、十一時八分で十一時二十八分、この二十分に、もし公邸に住んでいればということも、十分とか、あるというふうに思いますけれども、私自身は、自然災害の緊急事態に当たっては、常に対応することができるように、危機管理監も含めて、政府の組織で取り組んでいます。そして、公邸の会議室、こうしたものについては、土曜日とか日曜日、あるいはふだんの日でも、各国の首脳との電話会談、そうしたものには使わせていただいております。
内閣総理大臣が公邸に入居するのかどうかにかかわらず、様々な緊急事態に政府がいち早く対応することが大事であって、それに、宿舎に住んでいることが阻む、そうした、余りにも影響があり過ぎるということであれば、そこは考えなければならないというふうに思いますけれども、現状の中で、私は、内閣総理大臣として、危機管理については、政府の中でしっかり連携をしながら国民の皆さんの命を守ることができる、そういう中で私は対応させていただいています。
○野田(佳)委員 安倍総理が私邸から通われていたときよりは時間は短縮をしているとは思います。でも、一分一秒でも早く官邸に入る、そのためにより万全を期すというのが責任ある態度ではありませんか。今の御答弁では説明になっていないと私は思いますよ。
加えて、警備の問題を考えたいと思います。今、時間だけの問題じゃありません。総理を警備する、これは大事なことなんですね。
今、赤坂宿舎で警備をされています。考えてみていただきたいと思うんですが、赤坂宿舎って二十六階建てですよね。三階から二十六階まで、議員、家族が住んでいます。相当な数ですよ。ワンフロアに十世帯、十二世帯、それぐらい入っているんじゃないんですか。その御家族もたくさんいらっしゃる分、出入りする人がいっぱいいるんですよ。議員関係だけではありません。郵便、新聞、洗濯、宅配……(発言する者あり)そう、最近デリバリーも増えています。たくさんの業者が出入りしていますよ。
何階に住んでいらっしゃるか知りませんが、ベランダに出れば、向かい側から、大きな民間のマンションからこっちも丸見えですわ。防弾仕様じゃありませんよ。どう考えたって警備は大変です、これ。
私は、菅総理が好きとか嫌いじゃないですよ。内閣総理大臣を警備する万全の体制をしくんだったら、やはり公邸じゃないですか。何かあったときにははっても行けますよ。歩いて零分ですよ。なぜ入らないんですか。もう一回お尋ねしたいと思います。
そして、もったいないじゃないですか。旧官邸を八十億かけて持っていったんですよ、横に。今も、空き家だけれども、一億六千万、維持管理費がかかっているんですよ。
総合的に考えても、公邸に入らない理由が分かりません。もう一回、明確にお答えください。
○菅内閣総理大臣 この公邸に住む住まないの問題のやはり一番の大事なことというのは、緊急事態にいかに対応することができるかどうかということだというふうに思います。
議員は公邸に住まわれていた経験がありますから、そして、議員宿舎にも住んでおられると思います。そういう中で、距離のこと、時間のことも言われているんだろうというふうに思います。
私にとって、大事なのは、緊急事態に対応することができるかどうかということがやはり一番大事だというふうに思っています。そうしたことについて、私も、警備の重要性というのもよく分かっています。私、官房長官から総理大臣になって一番驚いたのが警備の数でした。警備の重要性というのは私もそれなりに認識しています。
ですから、そういう中で、宿舎に住むことがいろいろな方に御迷惑をおかけすることも、そのことも一つと同時に、やはり時間の問題、官邸までの。歩いていってもこれは十分です。そういう中で、国民の期待に応えることができないのかどうかということも考えましたけれども、私自身は、現時点においては、今のところでも緊急事態には対応させていただく体制というのは常日頃からしっかり取らさせていただいている、このように思っています。
○野田(佳)委員 非常にかたくなでございますけれども、余り合理的な理由にはなっていないような気がしますね。
世界の首脳を見てください。アメリカの大統領はホワイトハウスですよ。イギリスの首相はダウニング街十番地ですよ。フランスの大統領はエリゼ宮です。中国の首脳は中南海です。韓国の首脳は青瓦台です。ロシアのトップはクレムリンです。みんな、きちっと、ちゃんと職住近接のところに住んでいるじゃないですか。わがままだと思いますよ。
私は、一億二千万人の国民の生命と財産を守る責任感を持っているんだったら公邸に入っていただきたい、これは批判ではなく提言として是非受け止めていただきたいというふうに思います。
同じように、ちょっと危機管理の問題で、もう一点聞かせていただきたいと思うんですね。
私は、官房長官時代、官房長官というのはまさに危機管理の要の重要な役割です、その官房長官時代に、これは思い出していただきたいんですけれども、えひめ丸の事故があって以来、総理そして官房長官が官邸にいなくなっては困るということで、必ずどっちかはいるように、在京にするようにするということが鉄則のように、不文律のように続いてきたというふうに思います。麻生総理のときもそうだったと思います。私のときもそうでした。
私、解散したときに、自分は応援演説で全国を回らなきゃいけない。当時、藤村さん、官房長官をやっていましたけれども、彼も候補者ですから、一日ぐらい地元に帰してあげなきゃいけないと思って、そのとき私は在京です。官邸にいるようにしました。
というように、危機管理の責任ある立場の者は、特に総理と官房長官、二人ともいなくなるようなことをやっちゃいけないと、みんなずっと守ってきたはずですね。
崩れ始めたのは二〇一四年です。二〇一四年秋に、総理も官房長官も不在になったときがあったんですね。これは、秋に知事選挙がそれぞれあって、その直前だったと思います。あっ、こんなことをやるのかなと、ふと嫌な予感がしたんですね。これは異例だけれども、常態化しちゃいけないなと私は思いました。そうしたら、次の、二〇一六年の参議院選挙の頃、大事なときに二人ともいないというのがあったんですよね。
思い返してみますと、まず、二〇一六年の、最初に、そうだ、中国の海軍の船が領海に入ってきたんです。これは小泉政権のとき以来の重大な出来事。そのとき二人ともいなかったんです。それから、イギリスのEU離脱が確定をしたとき、金融市場が大荒れになったんです。このときも二人ともいなくて、マーケットが閉まった後に総理が帰ってきて、関係閣僚会議をやりました。そのときに官房長官はまだ戻っていないんですよね。それから、ダッカで襲撃事件がありました。七名の方が亡くなりましたけれども、邦人の安否を確認をする前に、このときは総理はいらっしゃいましたけれども、官房長官は新潟に向かいましたよね。
というように、相当に危機管理よりも政局を優先しているんだなと思いましたけれども、その上で、もっとエスカレートしたのが二〇一九年の参議院選挙じゃないでしょうか。
二〇一九年の参議院選挙の期間中、総理も官房長官も官邸不在だった日数を是非教えていただきたいと思います。
○菅内閣総理大臣 御指摘の参議院選挙期間中、総理と私が共に東京を離れてあった日、これまでも答弁してきましたけれども、合計で十七日間でした。
○野田(佳)委員 公示から投票日前まで十七日間ですから、毎日いなかったということじゃないですか。毎日いなかった、ということは、明らかに危機管理より政局を優先してきたと言わざるを得ませんね。それが何で危機管理の要の役なんですか。その方が今回総理大臣になったんです。だから、危機管理意識が私は欠如していると思います、公邸に住まずに。
過去のことじゃなくて、これからのことをお聞きします。
今年中に総選挙をやりますね、総選挙。総理は多分あちこち応援に行かなきゃいけないでしょう、党首ですから。加藤官房長官も応援に出られることを許されるんですか。役割分担して、どっちかは在京にしようとかということをしないんですか。二〇一九年の参議院選挙のように、二人で飛び回ることがあるんですか。お答えいただきたいと思います。
○菅内閣総理大臣 まず、総理と官房長官が在京でなくて離れること、そのことについては、これも議員御承知かと思いますけれども、内閣法の定めによって、官房長官の不在時は、政務の副長官、これが職務を代行することとし、危機管理にいささかの間隙も生じないよう体制を整えて私は出かけています。当時のときもこの答弁をさせていただきました。
また、総理、官房長官が東京を離れる際には、緊急時に東京に戻ることができるような、そうした体制もしっかりつくって出ていっています。議員も総理をやられましたから、総理がすぐ帰れるような体制で出かけたということも実態であります。
更に言えば、選挙をどう考えるかだと思います。やはり、政府の対策を国民の皆さんに理解していただく、ある意味で民主主義の根幹ではないでしょうか。いずれにしろ、そうしたものと認識をしています。
大事なことは、危機管理が、何か起きたときに危機管理体制ができているかどうかということじゃないでしょうか。そうしたことをしっかり連携をしながら取り組んでいることは、これは事実であります。
○野田(佳)委員 いや、何か、何の反省もないということにちょっと驚きを禁じ得ないですね。
官房長官の時代から危機管理のこれまでの、法律上の副長官の位置づけは、それはそのとおりですよ。だけれども、そうはいったって、政治経験がより豊かな人が官房長官になり総理大臣になっているわけで、高度な判断をする人が常に、きちっと情報が集まるところで、きちっと指示の出せるところにいるというのが鉄則なんです。さすがに今はリモートの時代ですよ。だけれども、危機管理はリモートじゃなくて、きちっと情報収集できるところにいて、そして指示が出せるところにいる、そのためのベストを尽くし、環境整備をする。当たり前のことじゃありませんか。ということを重ねて申し上げておきたいと思います。
本当はいっぱいテーマがあるので。これだけでちょっと時間が終わっちゃいそうなので。今日は、今の答弁まででは極めて残念なんです。極めて残念です。
その上で、危機管理のテーマにもなってきたことについて、次、お尋ねしたいと思いますけれども、森元総理、森組織委員会会長が大変残念な御発言をされました。もう発言が云々というレベルを超えて、お辞めになる決断が遅かった。加えて、その後の組織委員会も含めての迷走。これは、国内でオリンピック開催を期待した人たちもがっかりしたし、海外からも、日本ってこんな国だったのかという信用に関わる問題になってきて、今や、まさに国益を大きく損ねているような状況になってしまったと思います。
あの森会長の御発言からもう十日以上たちますね。そのときに、総理はこれまで、御認識としては、国益を考えると芳しくないとかということはこの国会の中でも答弁されていましたけれども、最初は、その組織委員会の人事にはちょっと一定の距離を置くような御発言だったと思います、慎重な発言。
報道等によりますと、これは森会長から多分御相談と御報告があったんだろうと思います。そのときに、きちっと透明性を確保しましょう、ルールに基づいて決めてください、こういうお話をされています。それはそのとおりです。そうあるべきだと思います。加えて、若い人、女性が望ましいという御発言をされているようですね。これはちょっと人事に踏み込んできている発言だと思います。川淵さんじゃ駄目だというメッセージですからね。
最初は一歩引いている、そして、問われれば御意見を言っている。私、一貫性がないように思いまして、人事への関わり方が。一貫性がないと私は思います。
私は、これは、振り返ってみると、最初からもっと総理は関わってよかったんじゃないかと思います。なぜならば、これは、元総理と現総理の関係で、元総理の首に鈴をつけられるとしたら、やはり菅総理しかいなかったんじゃないかなと思います。
しかも、多分いろいろな問題の、組織への独立性の配慮とかがあったのかもしれません。ただ、これは学術会議の問題とは違いますよ。違いますというのは、内閣総理大臣は組織委員会の顧問会議の議長でしょう。最高顧問でしょう。大所高所から元々アドバイスできる立場じゃないですか。細かいことをしょっちゅう言っちゃ駄目ですよ、駄目だけれども、こんな大事な局面のときはきちっとアドバイスをするのが、それが顧問会議議長の役割なんじゃないですか。
だとすると、森先生、これはよくないですよ、問題ですよこの発言は、辞められた方がいいですよ、そして、その後はルールに基づいて透明に決めた方がいいですよ、そういうことをもっと早く動いていれば、こんなに迷走していないと私は思います。
お答えをいただきたいと思います。
○菅内閣総理大臣 まず、最初の森前組織委員長ですかの発言について、やはりこれはオリンピック憲章とかけ離れていることであって、私は、あってはならない発言である、そういう発言をいたしました。そして、私の発言については、オリンピック担当大臣を通じて申入れをさせました。そういう中で、結果として森委員長がすぐ撤回しておわびをしたということも、これは事実だというふうに思います。そして、その先、人事のことですから、私自身が、辞めるべきだどうかということは、そこは発言をすべきじゃないというふうに私は思っていました。
そして、今回のことでありますけれども、今回の後継問題について、これについて、森前組織委員長から辞任される話は直接報告がありました。それ以外のことについて、私どもが知らないうちに、報道でどんどんどんどん、理事会もなくて決まったような報道がどんどんどんどん流れていましたので、私はやはり内閣総理大臣として、国民の皆さんに歓迎されるオリンピック、そうしたものにするために、全く不透明な中で理事会の前に決められるということは、やはりこれは避けるべきだ、そういう中の思いの中で、しっかりと透明に、そしてルールに基づいて選考してほしいという趣旨は、私からそこは強く申し上げました。
○野田(佳)委員 経緯の御説明はそのとおりだと思うんです。
私の意見としては、顧問会議の議長であり最高顧問であるから、まさに大所高所でメッセージをもっと早く森会長に出されるということもあってしかるべきではなかったのかという趣旨でお尋ねしたんですね。
今、とても大事な時期だと思うんです。オリンピック、本当に開催できるのかどうか。コロナの感染状況を踏まえての、いよいよ最終判断が近づいているんだろうと思います。
私は、オリンピックをずっと見たかったんですよ。あの一九六四年の東京オリンピック、私は小学校一年生でした。総理は中学ぐらいでしょうか。あのときに、私は本当に多様性というのを学んだ気持ちがしました。アベベを通じてエチオピアを知り、ヘーシンクを通じてオランダという国を知り、チャスラフスカを通じてチェコという国を知り、様々な肌の色の人がいる、民族がいるんだなと本当に学びました。それを生涯で二度も自国開催できるなんということは幸せなことだと思いました。
また、去年の暮れの、あの阿部対丸山の柔道の二十四時間の、二十四分の激闘を見て、二十四時間は無理ですよね、二十四分間のあの激しい戦いを見て、苦労して日本代表になった人はライバルの分も背負って活躍してほしい、それも是非見たいと思っていました。
だけれども、そういう単純な気持ちだけではなくて、森、元、元じゃない、まだ会長なんですよね、森会長は「いだてん」を見ていなかったのかなと思ったんですよ。「麒麟がくる」は評判がよかったけれども、その前の「いだてん」、視聴率は物すごい低かったですけれども、私はすばらしい大河ドラマだったと思っているのは、日本の女子スポーツの黎明期が描かれていて、女の人は素足で走っちゃいけないとか、女の人はスポーツ、体育なんかやるもんじゃないという時代から始まって、人見絹枝さんが日本で初めて、たった一人、女子選手でアムステルダムに行って、それから、前畑さんが金メダルを取り、東洋の魔女が大活躍する、そういうのをずっと描かれていました、その歴史が。
そして、今度の東京の大会は女性の参加者が約半分。男女平等という意味においては到達点に達しつつあるときでしたから、そのことが分かっていない、本当に残念な発言だと思います。
この残念な発言の、さっき申し上げたとおり、今はもう危機管理の問題になっていると思いますので、私は、これからも、まだどういう曲折をたどるか分かりませんが、やはり顧問会議の議長として、きちっと大所高所に、適時適切なアドバイスはすべきだということは申し上げておきたいと思います。これも同僚議員が午後から様々な観点から質問すると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
危機管理だけで大半の時間を使ってしまっていますが、本当は、宰相としての財政論と外交論、ここまで持っていきたいんですよね。ちょっと、少しテンポを上げていきたいというふうに思います。
次、財政の御認識をお尋ねしたいと思います。
パネルを用意してまいりました。総理のところにはお手元に資料が配られているかというふうに思います。
まず、この図ですが、これはもう政治家の皆さんも御覧になったことがいっぱいあるかと思いますけれども、この折れ線グラフの赤、これは、国の一般会計の歳出、社会保障や防衛や教育や、様々な政策経費がありますけれども、歳出の推移をたどっています。青い折れ線グラフは歳入の方、税収の方ですね。消費税、所得税、法人税、様々な税金がありますが、税収、どれだけ国に入ってくるか、その推移をたどっているのがこの青い線です。そして、この隙間の分、歳出に比べて税収が足りない分は国債発行せざるを得ない、その分をこの棒線グラフ、国債発行額を描いているという図です。これは総理もよく御存じだと思いますけれども。
御注目いただきたいのが、一番日本の財政状況がよかったというのは、平成二年、一九九〇年です。一九九〇年が一番財政均衡に近づいてきたというときですね。このとき、歳出七十兆円、歳入約六十兆円です。十年ずつたどっていきますと、平成十二年、二〇〇〇年が、これは歳出約八十兆になるんですね。そして、平成二十二年が、これが九十兆になるんですね。歳出は、平成二年から平成二十二年まで、二十年間で七十、八十、九十と右肩上がり。歳入の方は、六十兆だったものが、十年後には五十兆に、そして平成二十二年には四十兆と、六十、五十、四十と右肩下がり。これはワニの口とよく言われますね。ワニの口のように、歳出と税収の差が広がってきた。
その後、ちょうど今言った平成二十二年の頃に、私が総理を務めた頃です、社会保障と税の一体改革があり、その後、消費税も二回上がり、この下の方の青線グラフの方は少し上がってきますね。そして、この令和二年、一般会計の当初の予算では税収六十三兆を見込んでいました。六十、五十、四十と下がってきたのが、六十まで盛り返してきたんですね。だけれども、残念ながら、コロナ禍によって、三回にわたって補正予算を組まざるを得ない。これは、財政出動はやむを得ないと思います、やむを得ない。
それは、医療機関や医療従事者を支援しなければいけない、持続化給付金が必要だ、十万円の給付が必要だ、家賃の支援も必要だ、いろいろなことが大事です。皆さんが生活に困窮しないように、事業を継続できるように、大盤振る舞いと言われても、将来の世代に申し訳ないと言って借金してでもやっていかなきゃいけない対策はいっぱいあります。
その結果が、この令和二年の赤線の跳ね上がり方、百七十五・七兆ですね。そして、税収は五十五兆へと下がりましたから青線は下がってきた。だから、ワニの口が開くというよりも、今の状況、直近の状況は、ワニの下顎がちょっと外れかかった、そして上顎は、これは何と言ったらいいんでしょうね、めくれ上がったというような状況ですね。へし曲がったというか、という状況。
だから、コロナ禍で、コロナの感染状況を踏まえて、今緊急事態です、宣言をして、多くの皆さんに自粛していただいたり御協力をいただいているけれども、併せて、財政出動は、これはやむを得ないんだけれども、財政も私は緊急事態であるということは強く認識した上で、そのことは国民の皆様に御説明をすることも必要ではないかと思いますが、総理の御認識をお伺いしたいと思います。
○菅内閣総理大臣 まず、今年度は、三度の補正予算を編成し、これまでにない規模で対策を行ってきました。追加で八十兆円の国債を発行し、来年度末の残高は九百九十兆円に上ると見込まれており、我が国の財政は大変厳しい状況であることは申し上げるまでもありません。
これも今委員から御指摘をいただきましたけれども、やはり新型コロナの一日も早い収束に向けて、国民の命と暮らしを守るために全力を傾けるときであり、こうした政権運営、財政運営を行っているということは御理解いただけるというふうに思います。
ただ、こうした大量の国債は、現在のところ、市場では低金利で、そして安定的に発行をできておりますが、その根底には、我が国の経済財政運営に対する信認があるというふうに考えています。将来にわたって維持するためには、財政健全化の取組、ここを進めていくことは、ここは私自身も大事だというふうに思っています。
ただ、現在のコロナ禍の中にあっては、経済あっての財政との考え方の下に、成長志向の経済政策に取り組み、まずは経済を成長させていくことが不可欠だというふうに思います。
また、昨年末には、七十五歳以上の高齢者の窓口負担の見直し、これは若者の負担軽減のために取り組みました。また、薬価の毎年改定により、医療費の負担、これを軽減するために、負担上昇を抑えるための改革を行いまして、約四千三百億円、これは効果を上げることができたというふうに思います。
我が国が少子高齢化というこの構造的な課題を抱えている中にあって、こうした社会保障の持続可能性を高めるための改革など、歳出歳入両面の改革もしっかり取り組んでいかなければならないという認識の下に、今の御指摘というものをしっかり私どもも受け止めながら、この経済財政というものを進めていきたい、このように思います。
○野田(佳)委員 財政の健全化については必要だという御認識は示されました。だったら、そのことはなぜ施政方針演説で明確に言わなかったんですか。私が質問しているから今お答えになっていると思いますが、施政方針演説の中で、財政についてどうするという明確な方針は何にも出ていませんね。財務大臣は、プライマリーバランスの黒字化を二〇二五年度までに目指すと引き続きおっしゃっています。総理からはそうした明確なお話は何にも出てきていません。残念なことだと私は思います。
まず、二〇二五年度までのプライマリーバランスの黒字化といったって、私は無理だと思っていますけれどもね。プライマリーバランス、今、赤字、二〇二〇年度だけで六十数兆円ですものね。甘い見通しを立ててやっていったって、二〇二五年までに黒字化なんて私は絶対無理だと思います。そうじゃなくて、改めて、今年の骨太の方針の中では、財政健全化はどうするかということは示さなければいけないんじゃないでしょうか。
二〇二五年度は私は無理だと思いますので、具体的に、大甘な見通しじゃなくて、きちっとした財政健全化の道筋を示すために、何年度までに黒字化するということをしっかり掲げることが責任ある態度だと思いますけれども、御認識をお聞かせいただきたいと思います。
○菅内閣総理大臣 まず、私自身の施政方針演説の中でありますけれども、そこの中で、経済あっての財政、先ほど申し上げましたけれども、との考え方の下に、当面は感染症対策に全力を尽くし、経済再生に取り組むとともに、今後も改革を進めてまいります、このように言及をさせていただいています。
また、骨太でありますけれども、私自身の内閣の基本姿勢というのは、やはり経済あっての財政で今は進めていくべきだという考え方です。
当面は、そういう意味で、感染症対策に全力で取り組んでいきます。そして、当然、成長志向の経済政策を進めて経済再生に取り組んでいくということの旗もそのままであります。また、財政健全化の旗も降ろさず、プライマリーバランスの黒字化や債務残高対GDP比の縮減という目標を旗印として、歳出歳入両面において改革を進めていきます。
そうした考え方の下、二〇二五年度の目標達成を目指して経済財政運営を進めていきます。その上で、骨太の方針に向けて、そこではしっかりと議論していきたい、このように思います。
○野田(佳)委員 まず、施政方針演説にはちゃんと書いていないですよ。今、読み上げたていで何か改革云々と言っているけれども、道筋は書いていないですから、道筋はね。道筋に至るのが何年度までにプライマリーバランス黒字化でしょう。二〇二五年は絶対無理ですから、だとすると、現実的な道筋を描くために骨太の方針で私は示してくださいと、今年のね。
今、ちゃんと答えていないです。示すとは言っていないです、議論したいと言っていましたね。議長は総理ですよ。経済財政諮問会議の議長です。議長がどういう方向でまとめるかという意思がなければいけないと思います。今年はちゃんと。それは、感染症対策は必要です、それで経済を再生させる、第一歩です。最初にやらなければいけない。一方で、財政の道筋もきちっと国民に説明していく。両方やらなきゃいけないと私は思うんですよ。
プライマリーバランスの黒字化を今年の骨太の方針には示すつもりがあるかどうか、もう一回お答えください。
○菅内閣総理大臣 今申し上げたとおり、二〇二五年度の目標達成を目指して経済財政運営を進めていくというのは、これは当然のことだというふうに思います。ただ、その上で、骨太の方針を策定を今度しますから、その際には議論をしていく。そして、議論をしていくということは、当然今の状況の中で方向性をやはり示していく形に私はなるんだろうと思います。
○野田(佳)委員 意思があるかどうかを私は確認しております。何年度までにどうのという数字の話はよく議論して精査した方がいいと思いますけれども、方向性として、示すか示さないかということは、これは議長の意思というのがあってしかるべきだと思ってお尋ねをしたということでございます。
西村大臣、手を挙げましたが、私、要求していませんので。党首討論のつもりでやっているので、総理を目指しているかもしれませんけれども、ちょっと勘弁してくださいね、それは。
それで、総理大臣の官邸の五階の執務室にボードがあるじゃないですか、経済の指標が一覧できる。株価があったり、金利があったり、金、石油、いろいろな動きが分かるような。あるじゃないですか。総理、一番今気にされているのは何ですか、あの中で。これは通告も何もしていませんけれども。
○菅内閣総理大臣 重点的に見ていますのは、為替については、私、そこは注視をしています。あとは、それぞれの、米国の株価だとか、あるいは我が国の株価だとか、そういう指標も見ますけれども、基本的に為替については私自身は注視をしています。
○野田(佳)委員 為替、とても大事だと思います。
今日、何か株価が三万円台。随分とこれ、ちょっと過熱しているのではないかなと。今の景気の実態と考えると、かなりギャップがあるような気がします。ただ、相場について余りここで議論すると変な影響があるから、それは控えたいと思います。株も気になるところです。かなり気になるところですが、今日はもう時間がなくなってきたので、金利だけちょっと取り上げたいと思うんですね、金利。
これは、長期金利の代表的なもので、十年物の国債の利回りの推移を去年の十二月の半ばから追っています。去年の十二月の半ばはほとんどゼロ%近傍だったんですけれども、ずっと今年になって跳ね上がってきつつあって、先週の十日で〇・〇七五、そして金曜日で〇・〇六五だったと思います。じわじわじわじわと上がりつつあります。
ただ、もちろんこれは、日銀がコントロールしているから、そう簡単に跳ね上がるものではないと思いますが、ただ、だんだん経済が正常化していけば、景気がよくなってくれば、金利がだんだん上がっていくというのは本当はあるべき姿なんだと思いますよ。
でも、それを私、気にしなければいけないというのは、金利について何か心配していないようなお話をさっきしていましたけれども、心配しないで済んでいるのは、日銀が国債を爆買いしているからじゃありませんか、爆買い。もう五百兆を超えましたので、日銀が買っているのは。相当引き受けていますね。もう完全に私は財政ファイナンスだと思います。財政ファイナンスをしているから、まだこんなものでもっている。
日銀の持っている国債の全ての平均利回りは、多分〇・二五とかその辺じゃないでしょうか。平均利回りを金利が超えたらどうなるかというと、これは評価損が出て、日本銀行の債務超過になるんですね。そんなことにならないように必死に日本銀行はコントロールしていると思いますけれども、でも、地政学リスクであるとか、大きな自然災害とか、何をきっかけに金利がぽんと上がるか分かりません。際どいところを今日本はたどっているという意識を私は持たなければいけないというふうに思います。
その意味では、国債をばんばん発行している、今回のいわゆるコロナ対策で借金せざるを得ないのは分かるけれども、異次元の金融緩和の頃からやり始めちゃっているわけです。世界の国もやっているじゃないかと言うかもしれないけれども、日本は先んじてやっている。そのリスクというものを考えると、いつまでも日銀の財政ファイナンスに依存するということはあってはならないと思いますが、それは戒めとしてお気持ちにあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○金田委員長 内閣総理大臣菅義偉君、時間が参りましたので、短くお願いします。
○菅内閣総理大臣 そういう考えというのは当然持つべきだというふうに思っています。
○野田(佳)委員 ありがとうございました。
終わります。
○金田委員長 この際、西村智奈美君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村智奈美君。
○西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
野田総理の後、質問をさせていただきます。
ファイザー製、ファイザー社のワクチンが正式承認となりまして、いよいよ医療従事者等への先行接種が始まることになります。午前中も質問がありましたけれども、なかなかこのワクチン接種体制に関する情報が遅いということと、錯綜しているということの方が私は大変大きな問題だというふうに思っています。
まず、ワクチン接種を、いつ、誰が、どのワクチンを接種したのか、この記録をどのシステムでやるのかということについて伺いたいと思います。
十二月十八日に厚生労働省が初めて自治体向けの説明会を行いました。そこでは、それぞれの自治体が、誰が、いつ、どのワクチンを接種したかということを記録してくださいということで、その後、自治体の方ではシステムづくりに入ったんですね。九割以上の自治体が既に予防接種台帳での取組を進めているということなんですけれども、年が明けて、一月十八日に河野大臣が就任をいたしました、ワクチン担当として。その翌日に、平井大臣が、マイナンバー担当ということで、マイナンバーと接続したらいいんじゃないかというような話があったんでしょう、その数日後、一月二十二日に、新しいシステムを検討していると河野大臣が発表されました。その数日後また、二十五日に、大臣、こんなふうに記者会見でおっしゃった、ワクチンに関する個人情報を国の方で一元管理をすると。これは報道でも出ていたんですけれども、実はその翌日にすぐ、国としてはデータは取り扱わない、個人情報は取り扱わないというような、前日とはちょっと、真逆とは言いませんが、かなり内容が変更された公表をしておられるわけです。
端的に伺います。誰が、いつ、どのワクチンを接種したのかという個人の記録、これはどこでするんでしょうか。今検討している新しいシステムでということになるのか。お答えください。
○河野国務大臣 今、国が整備しようとしているデータベースは、国が開発するシステムの中で区分されたところに市町村がそれぞれのデータを管理していただくことになります。それぞれの接種会場で打った方の接種券を基に情報を入力をし、それで管理をすることになります。
もちろん、自治体は接種台帳に紙ベースで入力をするということをやられると思いますけれども、それが実際に接種台帳に記録が載るのは恐らく二か月後ということになりますので、国の設計しますデータベースを使って、三週間後の接種の勧奨、二回目の接種の勧奨、あるいは、一回目と二回目で引っ越された方、そういう方に関するデータを自治体をまたいで記録を見る、そうしたことに役立つというふうに考えております。
○西村(智)委員 データを移管して、そこで自治体の方から見ていただくということなんですけれども、ここに至るまでに大分紆余曲折があったと思います。
この間、予算委員会が開かれてまいりまして、このシステムについては何人の方かが質問をしているんですけれども、厚労大臣は、このシステムについて、新しい、今、河野大臣がおっしゃったシステムについて、やるかどうかも含めて検討中であると。これは二月の五日の時点でそういうふうに述べておられます。
ですけれども、その後ちょっとまた答弁も変わってきているということなんですけれども、厚労大臣として、新しいシステムで一元管理を今言われたような仕組みでやるということでよろしいですね。確認をします。
○田村国務大臣 自治体は自治体で、ワクチン台帳、接種台帳のシステムを九十数%つくっていただいていますが、河野大臣が言われるとおり、多分、紙媒体を入力をいただくということですから、一定程度集まったものを自治体でシステムに入力いただくということで、時間がやはり二か月ぐらいかかるというのはそのとおりでありまして、そういう意味からいたしますと、接種勧奨等々をやるという形ならば何らかのものをつくらなきゃいけないということで、河野大臣の下でそれを検討いただいているということでございますので、河野大臣の下でしっかりと対応できるものを今検討いただいているというふうに認識をいたしております。
○西村(智)委員 ここに至るまで、情報が物すごく錯綜したんですよ。自治体の担当者の皆さんがどれほど苦労しておられるか。ヒアリング等々もやられたと、部分的にやられたというふうには聞いていますけれども、大混乱ですよね。しかも、デジタル化、予防接種台帳のシステム化をできていないところもまだ幾つかはあります。
そもそも、私、この誰が、いつ、どのワクチンを打ったかという仕組み、せっかく厚労省がV―SYSをつくるのであれば、そちらの方で把握できるようにしておけば、こんなに後になって、新しいシステムがどうなるのか、問合せもいろいろあったし、政府の方にもいろいろな意見が上がったと思いますけれども、こんなことにはならずに済んだ。
もちろんV―SYSだって心配ですよ。複雑なシステム、ワクチンの接種の量、それから入ってくる量、卸とつないで、国と自治体、都道府県から市町村につないで、医療機関、どういうふうに減っていて、どこに補充するか。こんなシステム、入力するのも多分大変だと思うし、このシステム、そもそも動くのかどうか。厚労省はHER―SYSで大変な失敗をしていますからね。
ということからして、なぜこのV―SYSでやらなかったのか。そこでやっておけば、今こんなシステムについて、自治体を右往左往させることはなかったはずだと思うんですけれども、いかがですか。
○田村国務大臣 多分もう委員御承知で、何度も質問もいただいているので。
V―SYSは、元々はワクチンを供給するための自治体や卸、卸といいますか製薬メーカー、それと医療機関等々をつないでいるもので、ここに個人の情報を入れるとなると、なかなかそこで入力が大変手間取るわけで、そういう意味では、河野大臣の下で、やはり住基、それからマイナンバー、こういうものを使ったもので管理をしていくという形の方が、それは実際現場での運用を考えたときにスムーズに動くというようなことなんだろうと思います。
なかなか、医療機関の皆様方にお聞きをいたしておりましても、V―SYSでいろいろなことを入力する、そういうものを考えたときに、これは最小限度のものでというようなお話もいただいておりますので、そういう中において、新たなシステムを河野大臣の下でしっかりと御検討いただいておるということだというふうに認識いたしております。
○西村(智)委員 いずれにしても、もう先行接種が始まり、そして春からは一般の方向けにも始まる、高齢者の方にも始まるという時期ですから、非常にこのシステムの提示についても遅いということ、これはよくよく今後にも響いてくることだと思いますので、この点だけ申し上げて、午前中の質疑は終わります。
○金田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○金田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。西村智奈美君。
○西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。
午前中に引き続いて質問させていただきます。
まず午後の一問目として、おとといの福島、宮城での地震について一問伺いたいと思います。
時あたかも、大学の入試シーズン、多くの受験生が高速道路あるいは新幹線、こういったところを通じて移動して受験する予定になっていたことと思います。東北新幹線が全面復旧するまでに十日ほどかかるということで、これは受験生そして関係者の皆さん、大変御心配だというふうに思います。
まずは、早急に該当する教育委員会などでニーズの調査を行っていただいて、対応を取っていただきたい。既に私立の大学などでは、後日、試験を行うというところで対応しているところも出ているようでありますけれども、これはやはり政府としての対応も必要ではないかと思います。この点について伺います。
○萩生田国務大臣 まずは、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
令和三年度大学入学者選抜が始まっている中での今回の地震により、被災地域の受験生は大きな不安と混乱を抱えていると思いますが、受験生の受験機会を最大限確保する措置を講じていくことが何より重要だと考えております。
昨日十四日付で、文部科学省より文書を発出をし、全ての国公立、私立大学に対して、各大学の個別入試において、追試験の設定又は別日程の受験の振替の設定などの配慮措置を講じるとともに、措置を決定した場合には受験生などに広く情報提供をするように、文書で依頼をしました。
各大学では、今般の新型コロナウイルス感染症への対応として、既にほとんど全ての大学で追試験の設定などの配慮措置を講じることとしておりますが、今回の被災地域の受験生も対象とすることで、更なる受験機会の確保をお願いしたところであります。
また、それぞれの受験生が抱える事情も様々であると考えますので、受験生からの大学への問合せに対し適切に対応してもらいたいなどについても、併せてお願いをしました。
さらに、国土交通省からは、東北新幹線の代替交通手段を確保すべく、鉄道、バス、航空の各事業者へ協力を要請し、調整の整ったものから順次、代替輸送を開始すると承知をしております。
文科省としても、被災地域内の県教育委員会や高校団体等から要望を聞きながら、受験生第一の立場に立って引き続き対応してまいりたいと思います。
なお、今朝の時点の段階では、岩手、宮城、福島三県で受験があった大学は二校というふうに承知しておりまして、そのうち一校は延期をしました。
また、先生今御指摘のは、首都圏の大学などが地方で受験をする会場を設けている場合がありまして、例えば仙台で行われた東京の大学の受験については、試験時間を二時間遅らせての開始をしたというふうに承知をしております。
まだ漏れた話があると思いますので、今日、各方面に調査をかけているところでございます。
○西村(智)委員 代替の交通機関も、飛行機は高い、あるいはバス等はなかなか既にもう予約が取りにくい状況になっているという話も入ってきています。是非、地元の教育委員会にも状況把握していただいて、対応策を講じていただきたい、強く申し上げます。
それでは、本題のワクチンの質問に入ります。
予防接種法が改正になって、有効性、安全性が確認されたワクチンについては、国民に広くそのリスクとベネフィットを周知しながら、個々人の判断によって接種していただくということ、これが基本線でございます。
また、もちろん、副反応などが起きた場合には、万が一にも起きた場合には、速やかにその情報などをPMDAが収集し、そして審議会の方にかけて、必要なものは速やかに周知をしていくようにする、これは基本線だというふうに思い、私も、このワクチンの、言ってみれば大プロジェクトについては是非成功していってもらいたいと。スムーズな接種体制がしかれ、そして効果を上げるということを期待をしているところなんですけれども、大変残念ながら、この間、政府から、実際にワクチンの接種主体となる自治体への情報提供が極めて遅く、しかも、その情報が錯綜しているという問題がございます。
情報の遅れについては、午前中の与党質疑の中にもありました。私は、情報が錯綜しているということについて幾つか伺いたいと思います。
まず、総理、自治体の方が、このワクチン接種に関する情報が本当にばらばらで、昨日言っていたことと今日言っていたこと、まあちょっと、昨日と今日、一日単位ということはないとしても、さっきの午前中、私が質問したシステムの話でいうと、一月の二十五日言っていたことと一月の二十六日言っていたことがまるっきり違うわけだから、これを受ける自治体の方はとんでもない状況になっているんですよ。
何を信じて接種体制を整えていったらいいのか、こういう状況が今、全国の自治体の中で生じているということ、このことを総理は御存じでしょうか。
○菅内閣総理大臣 そうしたいろいろな声があるということは、私にも届いています。
○西村(智)委員 いろいろな声があるということは知っている、何だかもう極めて弱々しい答弁で、本当にますます不安になりますね。
具体的に伺います。
厚労大臣、自治体向けの説明会は厚労省が行っておられます。この間、十二月の十八日、一月の十五日、これは都道府県向け、そして一月の二十五日ですか、何回か説明会が行われてきて、その都度挙げられたクエスチョンに対して、アンサーも紙ベースで出ていたりはしております。
一月十三日の自治体向けのQアンドAで、ある小さな町から、町、小さなってよく分かりませんけれども、ある町から、こういう問いがあったんですね。
ファイザー社のワクチンは供給単位が多いため、本町では、一つの医療機関において供給分のワクチンを有効期間内に使い切ることが困難になることも想定される。そうですよね、百九十五バイアル、これが一つの単位だということなので。しかもそれが、当初は一千百七十回分。今は九百七十五回分かな、そういうふうに減っちゃったんですけれども、質問はここからです。その場合、一医療機関に納品された一箱分から、町内の複数医療機関に分配することは可能かという問いがありました。
この問いに対して、一月十三日の時点では、数十か所といった多数の医療機関への移送はできません、できませんというふうに書いてあるんです。そして、一月の二十五日の説明会でも、せいぜいで、小分けしても最大三か所ぐらいでしょうということで説明があったんですが、突如として一月の二十九日に出てきたのが、例の練馬区モデルです。
このモデルを見ますと、区内の二百五十か所の診療所等に、四つの施設から五十から七十に小分けをして、配送委託業者が原則として三時間以内に移送してということなんですけれども、つまり、数十か所の移送を僅か数日の間に、できるというふうに百八十度方向転換をしているんですね。
この厚生労働省の説明は、首尾一貫していると言えますか。
○田村国務大臣 御承知のとおり、このファイザー社のワクチンというのはマイナス七十五度ぐらいで保管しなきゃいけないということで、ディープフリーザーを一万か所という形の中で、その中で、言われるとおり、百九十五バイアルが一つのセットになっているということでありまして、出しますと基本的には五日間冷蔵。まあ、冷凍庫といいますか、ボックスにドライアイスを入れれば、五日ごとに入れ替えると十九日ですか、もつというような、そういうことを、これはファイザー社から我々も聞いております。
それで、要は、初めは多分、小さい自治体がという話の中でそういう話だったと思いますが、それぞれ、町の状況が違いますので、例えば、医療機関の数も違えば、人口密度、人口も違いますし、交通機関、つまり、どこからどう動くのにどれぐらいかかるかというのも違ってまいります。併せて言えば、物流をちゃんと動かせる、そういう仕組み、どれぐらいで、どの医療機関に何分ぐらいで着くか、こういうのもそれぞれ違っております。
自治体の皆様方には申し訳ないなと我々も思っておりますのは、これだけの、多分今までやったことのないオペレーションを組む中において、それぞれ、こういうやり方でやろうといいつつも、それぞれの自治体からいろいろな提案をいただいて、それができるのかできないのかということをお互いに話しながら、いいモデルに関しては、それは、じゃ、それぞれの自治体で、これにかなう地域に関してはこういうやり方もありますよということで、それぞれがちゃんと対応できるような形でオペレーションが組めるかどうかというのをお考えをいただく中において、我々は、好事例もいろいろと御参考にして出させていただいております。
でありますから、初め申し上げたというのを絶対守ってくださいということで、結果的にそれでその地域がワクチンの接種が十分に進まないということは問題でありますので、それぞれできるということであるならばこういうやり方もお使いくださいという中においてお示しをしているわけでありまして、なかなか、初めから、首尾一貫、全部ばしっと、これで全てやってくださいというのが出せれば本当はいいんですが、これだけのオペレーションの中において、大変御迷惑もおかけいたしておりますけれども、よりよい方向で、各自治体と協力をさせていただきながら、我々もこれからも情報をしっかりとお伝えさせていただきますので、各地域でワクチン接種を進めていただくようにお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
○西村(智)委員 全くお答えになっていないですね。
私は、一月十三日のQアンドA、これは、数十か所といった、何回でも言いますよ、数十か所といった多数の医療機関への移送はできませんと書いてあるんですよ。この町の人は、担当者は、これを聞いて、ああ、できないんだな、うちの町で、じゃ、百九十五バイアル、なかなか一か所でやるのは大変だけれども何とかしなきゃいけないなと思って、体制を組み始めたと思うんですよ、あるいは近隣の市町村と共同でとかで。いろいろなことを考え始めて、しかも、それが何の訂正もされずに今日まで来ています、このQアンドA。そうですよね。
総理、こういうふうに全く、基礎的な条件、接種をするために、どうしても集団的な接種会場でやらなきゃいけないのか、あるいは、複数の医療機関などでやってもいいのかというようなことは、自治体がワクチンの接種体制を組む上で本当に入口の、基本中の基本的な条件設定なんですよ。それがこんないいかげんに取り扱われていて、しかも、一月十三日、一月二十五日、一月二十五日、突如としてこれが変わってしまう。そして何のアナウンスもない。何のアナウンスもなく、二百数十か所まで分配することができるというこの練馬区モデルを参照してくださいといって、あたかも推奨するがごとく全自治体に配られているんですよ。こういうやり方が自治体をまさに混乱させている。そのことについて、総理自身はどういうふうに思いますか。
総理です。河野大臣は呼んでいません。総理、お願いいたします。総理、お願いします。時間が短いから。
○金田委員長 国務大臣河野太郎君。
先に、それで聞きますから。その後、答弁してもらいます。
○河野国務大臣 千七百の自治体がございます。地理的な状況も違えば、自治体の、人口の大きさも違います。そういう中で、一番それぞれの自治体がやりやすいようなやり方をできるように、我々も後押しをしていきたいと思っております。
このワクチンの小分けについては、最初はファイザーが、小分けはしないでほしいという話でしたけれども、小分けをしてもいいということになりましたので、小分けができますということを自治体にお伝えをし、手引でもそのようにお知らせをしているところでございます。
これからも様々な自治体のクリエーティビティーやら柔軟性というものが発揮できるように、自治体からの希望があれば、我々もなるべくそういう方向に沿ってできるように対応してまいりたいと思っております。
先ほど田村大臣が答弁をされましたように、最初からびしっと全部決めることができればそれにこしたことはございませんが、千七百の自治体がこのようなワクチンの接種をやった経験はございませんから、そこはしっかりと自治体と情報を共有しながら今後も進めてまいりたいと思います。
○金田委員長 それでは、続いて総理、総理の御発言……
○西村(智)委員 私は、今、河野大臣が言ったようなことを全て分かっています。各自治体には各自治体のいろいろな状況があるんです。それに応じてできるようにということでした質問が、回答がそのまま生きていて、しかも、何の説明もなくですよ、何の説明もなく、それは自治体に周知したと言っていますけれども、それは後づけの話じゃないですか。順序が逆のことを言わないでくださいよ。
総理、どうですか。
○菅内閣総理大臣 実際に実務を行う自治体や医療機関、できる限り負担をかけないように、そうしたところにしっかりとした情報を伝達をする、そのことが大事だというふうに思いますし、また、そうした皆さんの現場の声もよく聞きながら今後対応させていただきたい、このように思います。
○西村(智)委員 だとしたら、総理、是非ともここは約束していただきたいのは、今私が質問した点については、まさに自治体が接種体制を構築する上で本当に入口のところの話です。分かりますよね。輸送とか接種会場をどうするか、今、各自治体も接種会場を探すのにすごい苦労をしているんですよ。恐らく、長期間の会場確保が必要になるから、公的な施設だけだと足りない、民間の施設まで借りなきゃいけない、すごいお金になりますよね。いつからいつまで取っておくのか。
そういったことも含めて、今本当に大変な状況の中で、状況が変わるときには、なぜそれが変わるのか、そして、どうしてそれを変えなければいけないのか、それまでのことをちゃんと踏まえた上で説明をしていただく。それをやっていただかないと、自治体の方の混乱はもっともっと大変なことになりますよ。接種開始がもっと遅れますよ。そして接種会場が混乱しますよ。
約束してください。
○菅内閣総理大臣 そうしたことがないように、地方自治体、医療機関はもちろんですけれども、河野大臣、田村大臣の間でもしっかり連携をしながら、お互いに問題を共有して進めることができるように、しっかり私の方からも責任を持って対応させていただきたい、こう思います。
○西村(智)委員 そういう御答弁をいただきましたので、是非これから両大臣にはよろしくお願いしたいと思います。
田村大臣、百九十五番、この一月十三日のQアンドAの百九十五番、私がさっき読み上げた質問は百九十五番という質問なんです。この自治体の方には本当に謝らなきゃいけないと思いますよ、私。また、このQアンドAを見て、自分の町でも、ああ、そういうことだったらといって体制を考えたところもあると思いますから、是非そこは真摯に向き合っていただいて、丁寧な情報提供を。
しかも、さっき総理に私はお願いしました。なぜ変わるのか、それをきちんと踏まえた上で、これまではどうだったけれども、今回こういうことになりますよという、当たり前の話をきちんと丁寧に説明していただくように是非お願いをしたいと思います。これは要望にとどめます。さっき総理から答弁をいただきましたので、もう結構です。
それで、次は、政府の中でいろいろな、ワクチンの接種開始時期ですとか、ワクチンの種類ですとか、確保する時期とか、いろいろな話があるんですけれども、何か政府内での情報が一貫していないということについて質問をさせていただきたいと思います。
まず、河野大臣の発言についてです。
今入ってきたのは、ファイザー社のワクチン一種類。今言われているのが、モデルナ社それからアストラゼネカ社。また、日本国内でもいろいろ開発が進んでいるということで、これから、時期は分かりません、時期は分かりませんが、いろいろな種類のワクチンが供給が可能になってくるかと思います。
また、そもそもファイザー社も、メッセンジャーRNAという方式ですので、このメッセンジャーRNAの、ファイザー社のワクチンの中でも複数の種類ができてくることも想定をされます。ただ、入ってくる時期がいつだか分かりません。
そういうことを踏まえて、昨年の十一月に参議院の委員会で、打つ人が、接種を受ける人が、どのワクチンを自分が受けたいといって選択ができるようになるんですかという質問がありました。これに対して、当時、厚労省の政府参考人は、それは想定しておりません、現場が混乱することになる、接種会場でですね、だから、自治体がその時期に提供するワクチン、これはV―SYSを使って決めていくわけですよね、それで受けていただくことになりますという答弁があったんですよ。私も、それはそうだなと思って聞いておりました。
そうしたら、年が明けて二月の八日、衆議院の予算委員会で河野大臣が、突如として、国民の皆様がそれぞれ選択するんですというふうに答弁をされたんです。私はびっくりしました。
高齢者についてはファイザーの一社だけだということをおっしゃりながら、その質疑者は与党の方だったんだけれども、三社のことを紹介しながら、あのワクチンもある、このワクチンもある、有効性はそれぞれ何%だということを紹介しながら、ここで選ぶことになるんですかという質問に対して、河野大臣は、高齢者についてはファイザー社一社だけれども、国民の皆様がそれぞれ選択することになるんですというふうにおっしゃったんですね。
えっと思っていたら、先週の金曜日のまた予算委員会では、副大臣が、それぞれの方が、接種する時期に接種を受ける地域において供給されるワクチンを接種していただくことになると、去年の十一月の政府参考人と同じ答弁をしておられるんですね。
河野大臣、国民の皆さんは、接種会場に行って、接種するワクチンをそれぞれで選択するんでしょうか。
○河野国務大臣 当面、ファイザー社のワクチンが承認されましたので、先行接種、医療従事者の接種、高齢者の接種、これはファイザー社のワクチンでスタートをいたします。
国民の皆さんは、このワクチンを打つ、打たないの選択をすることができます。我々としては、ベネフィットがリスクを上回ると思っておりますので、正しい、正確な情報をいち早く国民の皆様にお伝えをしてまいりたいというふうに考えております。
今後、残りの二社のワクチンの承認のプロセスが恐らく動いていくことになろうかと思いますが、その際については、また国民の皆様にお知らせをすることにしたいと思っております。
○西村(智)委員 答えていただいておりませんし、今の答弁、何か前半の部分は、つまり、打つ、打たないを国民の皆さんにそれぞれ選択していただくという、そういう答弁ですか。そんなふうな答弁じゃなかったですよ、二月八日の答弁。
私、こういうふうに、何というか、場当たり的な答弁を、あるいは記者会見での発表を河野大臣がされることで、自治体の皆さん、そしてこれから接種を受けようとされる皆さん、本当に混乱していくことになると思うんですよ。私は、ですから、河野大臣の発言、どうか気をつけていただきたい。
続きます。ワクチン確保の時期をめぐって。
これも、ちょっと古い話になりますけれども、一月の下旬に、河野大臣がワクチン担当の大臣に就任されたちょっと後ですね、坂井官房副長官が、六月までに全ての国民に必要な数量のワクチンを確保すると従来の政府見解を述べたのに対して、翌日の午前中に、河野大臣は、政府内に情報のそごがありました、あっけらかんとおっしゃって、古い情報でした、修正しますというふうに言って、一回その発言、何か否定されたんですよね、それまでの政府見解を。ところが、その日の夜になって、そごはないと確認したと。大事なワクチンの話なのに、簡単に、政府内で情報のそごがありました、こんな発言、あっていいんでしょうか。私はちょっとおかしいというふうに思いますよ。
それから、接種ルートの多様化についても、先日、我が党の奥野議員が質問した件なんですけれども、先ほど申し上げた、集団的な接種会場でやるか、あるいは個々のクリニック等々でも打てるようにするかという話で、皆さんもお気づきのように、最初は集団的な接種会場でやるというのが原則だったんです、一自治体三か所ぐらい。ところが、これがいろいろなところから、当然の話ですけれども、三か所ではとてもやり切れないという話が出てきて、複数の場所にいわゆる接種ルートを多様化してきた。
このときに、田村大臣は、その接種ルートの多様化について、二月九日の記者会見では、そういったことも対応はあり得るというふうにおっしゃっていたんですけれども、河野大臣の方は、それは将来的には否定するものではないけれども、今は自治体で決めてもらっているとおりにやるんだと言って、何か情報が入っているのか入っていないのかよく分からないようなことをおっしゃっているんですね。
それから、接種開始時期についてもです。もう時間がないので、一気にお話しします。
午前中の質疑でも、接種開始時期について資料を提示された与党の議員の方がいらっしゃいました。それを見たら、高齢者の接種開始は、赤い、たしか赤だったと思うけれども、赤の帯が三月の下旬からついているんですよ、中下旬と言ったらいいのかな。当初、厚生労働省の説明も、高齢者の接種は三月の下旬からという説明だったと思います。
ところが、河野大臣は、一月の二十七日の会見で、早くても四月一日以降になるというふうにばしっと言っちゃっているんですよ、ばしっと。これはどういう根拠で言っておられるのか。
河野大臣、まとめて聞きますけれども、これらの発言、どういう根拠でおっしゃったのか。また、御自身で、こういう政府内のそごが生じているというふうに御自身はおっしゃったけれども、まさにその政府内のそごを生み出しているのは河野大臣御自身じゃないですか。そのことについての見解を伺います。
○河野国務大臣 政府の基本対処方針は、私が繰り返し申し上げているように、令和三年前半までに全国民に行き渡る数量を確保を目指すということで、これは何ら変わりはございません。私の発言もそれに基づいたものでございます。
供給スケジュールに鑑みて四月一日より前に接種がスタートしないということを申し上げたのは、自治体が三月中に公的な施設を確保していることがあればそれは解除してくださいという意味で、早くとも四月一日と申し上げたわけでございまして、供給スケジュールがもう少し確定できれば、いつからスタートしたいということを申し上げようと思っているところでございます。
将来的に否定しないと言ったのは、職域でやってほしいという意見が自民党のPTからも上げられております。そういう意味で、職域でやることは将来的には否定をしないけれども、現在自治体が進めている集団接種、個別接種、これで高齢者はファイザーワクチンを使っていきますということを申し上げているわけで、将来的にそういう職域が入るということはこれから検討しなければなりませんが、現在のファイザーのワクチンで高齢者の接種には職域は当然に入らないわけでございますので、何ら問題はないと思います。
○西村(智)委員 今のような答弁が、何というのかな、接種体制を今まさに組もうとしていて、いつから接種ができるのかというふうに注目をしておられる国民の皆さんに、更に混乱、分からなさというものを私はもたらすと思うんですよ。何か聞いていると、その発言を聞かされている方が分かって当たり前だみたいな、何かそんな感じがないですか。
政府は、本来であれば、国の責任において、このワクチン、本当に平時ではなくて非常時の体制です、非常時の体制で臨時接種の特例ということで始めるという体制ですから、国が全部責任を持って財源も全部面倒を見るというふうに言っていますから、そこはやはり丁寧に説明をして、しかも、自治体に責任を負わせることなく、しっかりと錯綜しない情報を伝えるということが私は必要だというふうに考えています。
総理、聞いていられますか。こういう状況が、今総理がまさにゲームチェンジャーとして望みをかけているワクチンの接種体制を構築するこの現場で起きていることなんですよ。現場で起きていることなんですよ。是非そこは理解していただいた上で、私は、やはり情報発信の一元化、これはやはりどうしても必要だというふうに思います。
今自治体に向けて説明をしているのは厚労省です。これをどういうふうに今後もしていくのか、総理自身はどういうふうにお考えか、河野大臣はどういう役割をこのワクチン体制の中で果たすことにするのか、そこは明確にしていただきたい。
それは、総理にとって心地いいとかメンツが立つとか、そういう考えではなく、まさに接種をする自治体の皆さん、この立場に立っての情報管理の一元化が必要だということなんです。どうでしょうか。
○菅内閣総理大臣 まず、河野大臣の立ち位置ですけれども、私、なぜ担当大臣にしたかといいますと、ワクチンを接種するというのはまさに一大プロジェクトでありまして、厚生労働省だけでなくて、例えば、運搬をするときはどうしても国土交通省からのお願いをしなきゃならない、あるいは、マイナス七十五度の冷凍庫ですか、これを作るについては経済産業省の知恵をかりなきゃならない、そして自治体は総務省からも手伝いを得なきゃならない。そういう中で、各省庁を調整する役割、そして接種について全体を取りまとめる役割を河野大臣に託したということです。
○西村(智)委員 もう時間ですので終わりますが、総理、調整を任せたはずの河野大臣が今まさに混乱の元になっているということ、これを私は申し上げたかったんです。そのことを含めて、今後の情報管理体制、情報発出体制の一元化について、是非ともここは検討していただきたい、そのことを申し上げて、終わります。
○金田委員長 この際、大河原雅子君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大河原雅子君。
○大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。
今の西村議員の質疑にもありましたように、地域では本当に、新型コロナ感染症をいかに早期に収束させていくことができるのか、ワクチンの問題も出てきまして、大変混乱をしております。
こうした新型コロナの対応に追われる中で、十三日深夜には、東日本大震災の余震と言われる、福島沖を震源とする震度六強の地震がありました。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、ここ一週間、まだまだ余震が発生するとも伝えられております、くれぐれも御注意をいただきたい、命を周りの方と共々に守り切っていただきたいというふうに思っております。
自然災害、それから感染症、そして原発事故の後始末もあります。この国は、本当に様々な困難から、私たち一人一人、国民の命と暮らしを本当に守っていくための政治と行政をしっかりと確立しなければなりません。改めてこのことを肝に銘じて、そして、誰一人取り残さない、そのような強い決意と、そして、実効力ある施策をもって共に生きる社会をつくる、ここに心を合わせていただきたいというふうに思う次第です。
それでは、質問に入らせていただきます。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長、この辞任問題。本当に、二月三日の、女性がたくさんいる会議は時間がかかる、こういう発言に端を発して、発言の撤回と、そして謝罪はするが辞任はしないという逆切れ会見になってしまいました。残念でした。多くの国民の怒りを買うことになりましたし、そして国外からの強い批判も届くようになりました。とうとう先週十二日の組織委員会、評議員、理事との緊急会合で辞任を表明されたわけでございますが、退任する会長が後任の人選まで行ってしまおうとした、この一連の問題、とても、日本的といえば日本的だったかもしれません。
総理は、一体、この一連の問題の本質をどういうふうに捉えていらっしゃるのか、まずはお聞かせいただきたいと思います。
○菅内閣総理大臣 森会長が女性蔑視の発言をされたこと、これについて私自身は、あってはならない、そうしたことを国会でも答弁して、そして、私自身の考え方をオリンピック担当大臣から森組織委員長に、国会でそういう発言をして、私の真意はこうだということを伝えてほしいということについては、お伝えをいたしました。
そういう中で、森会長が辞任を表明をされるようになるわけですけれども、その辞任の表明と同時に次の委員長候補の方があたかも決まったような形で報道が流れましたので、私自身はこれに対して大変な危惧を覚えました。私自身も組織委員会の顧問、諮問会議の議長をやっておりましたので、このままでいったら大変なことになってしまうという中で、私は、やはり決定をする際にはルールに基づいて透明な形でそれは決めてほしい、そうしたことを決めるべきだということを強く申し入れているところであります。
○大河原委員 総理からも、あってはならない発言だったというふうに言っていただきましたが、私は、やはり、総理の初動態勢、それを聞いた途端の対応、そして、もちろん、その前に、森会長が発言されたその場で誰も止める人がいなかった、オリンピック憲章にそのことがしっかりと書かれており、これを一年延期をして今年やるんだ、何が何でもやるんだと言った方が、その張本人でございますから、周りの方たちを抑えつけてしまうというか、暗黙のうちに物を言わせない、こうした空気こそが本当に一掃されなければならないんだと思っています。
世界的に見ても、日本のジェンダー平等の後進国性といいますか、本当に立ち遅れた姿、そして、トップダウンで何でも密室で決めても何ともないのかもしれないというこの後進国性、日本の現状が本当に露骨にあぶり出されたというふうに恥ずかしく思っています。
この森発言、そして、これらのぐずぐずした対応。国民の怒りは、特に今、ネット署名という形ですぐに皆さんが自分の思いを表現されます。十五万人近い方たちが声を上げるという状況になりました。まさしく権力者のおごり、それから、このオリンピック、このスポーツ界を、私物化と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、そのトップに立って、何でもできる、そんな空気が出てきていたんじゃないかというふうに思います。
テニスプレーヤーの大坂なおみさんが、本当に無知だなと思う、知識不足だと言っておられました。若い方たちはみんな、このことを声に出して言い始めています。
私たちは、そういう意味でも、この初動態勢が遅れ、ジェンダーセンシティブではない、こうした組織や政府、行政、これを本当に、これを機会に一掃しなければならないと思います。
そこで、森会長がお辞めになりますけれども、後任の人選は検討委員会を発足して行うということです。森会長退任で、オリンピック委員会も、そして、この組織委員会の最高顧問である菅総理も、そして、ジェンダー平等、男女共同参画、それはこの国の最重要課題だといって、男女共同会議も、去年までは、菅総理は官房長官でございましたから、議長でいらした。今年は、総理としてこれをもっと引っ張っていかなきゃならない立場だと思います。
このことで何を解決しようとしているのか、その点についてもお答えください。
○菅内閣総理大臣 男女共同参画は、我が国政府の重要そして確固たる方針であります。加えて、グローバル化が進む中にあって、世界的な人材獲得や投資を巡る競争を通じて日本経済の成長力にも関わる重要な課題でもあると考えています。
このため、先般策定された第五次男女共同参画基本計画に基づき、政府一丸となって、女性が直面する具体的な課題を一つ一つ解決をし、指導的地位にある人々の性別に偏りがない社会を目指してまいりたいと思います。
○大河原委員 第五次男女共同参画基本計画は、十二月の二十五日に閣議決定されたばかりなんですよ。そして、この計画は、「すべての女性が輝く令和の社会へ」というタイトルがついている。令和おじさんとして、総理はこの令和という時代を本当につくっていける人なのか、そういう目でみんなが注目しているということも、しっかりと自覚をしていただかなければなりません。
このジェンダー問題、既に海外では、長く、ジェンダー平等を実現するために施策が打たれ、そしてそれぞれの国の社会が変えられてきました。しかし、残念ながら日本の場合は歩みが遅いんじゃないかというふうにも思います。
この発言の発端になりました、JOCの定めたスポーツ団体ガバナンスコード、これについて伺いたいと思います。
女性理事を四〇%以上、そして外部理事を二五%以上、在任期間制限は原則十年というふうに定めて、ジェンダー平等の理念を行動に移すということで、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催国として、また、国際社会で認められる日本であるためにも大変重要な取組だと認識していらっしゃるというふうにもお答えいただいたかと思います。しかし、本当に、このガバナンスコード、これについてどのような思いを、あるいは評価をしていらっしゃるんでしょうか。菅総理、もう一度お願いします。
○菅内閣総理大臣 オリンピック憲章において、性別を含めあらゆる差別を禁止しており、スポーツの世界において男女共同参画は極めて重要であると考えています。
このため、スポーツ庁が競技団体のガバナンスコードを策定をし、女性理事の割合を四〇%までに引き上げることを定めたところであります。
また、JOCにおいては女性理事の割合が二〇%にとどまっているということを承知しております。
できるだけ早期にこの目的が実現できるように働きかけを行っていきたいと思います。
○大河原委員 いわゆる二〇二〇・三〇、二〇二〇年までにあらゆる分野で重要決定に関わる女性の割合を三〇%にしていく。この二〇二〇・三〇、実はこれが決められた、目標とされたのが随分昔なんです。十七年も前なんです。二〇〇三年、小泉政権のときでした。それから十七年かかっても、実はこの二〇二〇・三〇は達成できなかった。第四次計画で、これを政府は先送りしました。それで、できているのがこの第五次計画なわけです。
これに先駆けて、スポーツ団体のガバナンスコード、二〇三〇・四〇という目標を掲げたわけですね。今二〇%ですから、倍にするという。意欲的なわけです。これは、やはり橋本大臣がこれまで、オリンピックのためだけではなくて、もっとベーシックにある男女共同参画を進めるという強い意思をお持ちだったからというふうにも私は思いますし、多くの要請があったから動き出したかなというふうに思っております。
しかし、この男女共同参画計画が目指すべき社会、このことが多くの人に理解され、そして多くの人が一緒に目指そうということにならなければ、これは意味がありません。ここまで来て、まだ日本がこんなに男女不平等の国、男女平等ではなくて男女不平等の国として世界に伝わってしまっている。このことを、これを機会に払拭していく、世界の水準、世界の価値を共有する、こういうことにならなければ、今回の辞任劇、そして海外からの批判、これをしっかりと教訓にすることはできないわけです。
昨年の暮れにできました第五次計画、そしてこれの基になっている四次計画の評価と、五次計画、新しい計画にかける思いを橋本大臣からお聞かせください。
○橋本国務大臣 お答え申し上げます。
二〇二〇・三〇、この達成ができなかったことというのは非常に残念だというふうに思っております。
その要因としてでありますけれども、二〇二〇年三〇%目標について、女性の参画が進んでいる分野もある一方で、政治分野ですとか経済分野、この取組の進展が非常に遅れているというところがあると認識をしております。
何が進展していなかったのか、これは三つ大きく分けられるというふうに思っておりますけれども、政治分野においては、立候補や議員活動と家庭生活との両立が困難である、人材育成の機会の不足や、候補者や政治家に対するハラスメントの存在、そして二つ目に、経済分野においては、女性の採用から管理職、役員へのパイプラインの構築が途上であるということ、そして社会全体においては、固定的な性別役割分担意識、いわゆるアンコンシャスバイアス、これがあるというふうに認識をしております。
一方で、五年余りで、女性活躍推進法そして政治分野における男女共同参画推進法の施行など、社会全体で取組が進み、上場企業の女性役員数が増加をし、民間企業の各役職段階に占める女性の割合が上昇するなど、指導的地位に置く女性が増える道筋をつけてきたというふうに思っております。
昨年の暮れに採択されました第五次計画でありますけれども、これについては、特に若い世代の方々の声を反映をさせなければいけないという思いの中で、可能な限りその声を反映させたつもりであります。
これまでにつけてきた道筋をより一層強化して裾野を広げることにより、政府一丸となって、あらゆる分野における女性の参画拡大、女性に対する暴力の根絶、男女共同参画の取組を地域にしっかりと進めていく、これを全力でいきたいというふうに思っております。
○大河原委員 今の大臣の発言をしっかりと総理自身が受け止めていただきたいなというふうに思います。
森会長の発言問題で、図らずも、このジェンダー平等という言葉が新聞紙上連日のように使われて、しかも大きな文字で使われて、かつてないほど注目、議論が起こっていると思います。
憲法二十四条は、個人の尊厳、婚姻の自由、両性の本質的平等をうたって、ジェンダー平等を先取りした憲法条文だと考え、私は誇りに思ってまいりました。
お手元に紙で配らせていただいている資料を御覧ください。ところが、この二十四条からすれば当たり前のことと思える、希望すれば結婚前の姓を名のれる選択的夫婦別姓制度、この導入については、四次計画から五次計画に行く間に大変後退をしたとしか見えません。我が国の家族の在り方に深く関わる事柄だとか、家族が壊れるとか、家族の一体感が失われるとか、与党自民党内部にこうした議論があって、第四次計画にあった選択的夫婦別姓制度を導入、検討するということから、更なる検討というふうに後退したというふうに思います。大変残念でなりません。
日本は、世界で唯一、結婚したら夫婦は必ず同じ姓を名のらなければならない、いわば強制的夫婦同氏制度です。
そこで、総理に伺います。家族は同じ姓を名のるのが当たり前とお考えでしょうか。総理の家族観についてお聞かせください。
○菅内閣総理大臣 まず、家族観についてということでありますけれども、私、個人的には、家族というものはきずなで結ばれており、お互いがそれぞれ尊重しながら助け合っていくものだというふうに思っています。
○大河原委員 一人一人の家族の構成員というのは、独立した人格であり、そして、それぞれが認め合い、尊敬し合い、そういう関係だというふうにも思います。
ただ、菅総理が、あるべき社会像、そこに自助、共助、公助、そしてきずなとおっしゃったので、家族についてはどんなふうにお考えなのかなと。特に、自民党の以前の改憲案、今もそうですかね、二十四条を改正しようとしていらっしゃる方たちの、そのお考えがなかなか見えてこないということもありまして。
ちょっとここで、例えば子供を育てるときに、総理は一体何を大事に子供たちに伝えていくのか。それぞれの御家庭でいろいろな子育ての思いがあると思います。私のところも三人子供がおりますが、まずは、うそをつかないこと、人に迷惑をかけないこと、そのことはまず最初に教えたことだと思っています。総理のお宅ではどうなんでしょうか。
○菅内閣総理大臣 まさに、その二つは一緒です。そして、私は、あともう一つ私が子供に言ってきたのは、やはり自分のことは自分で責任を持って生きていく、そのことは強く言って育ててきました。
○大河原委員 最初の二つは同じと。私も、三つ目は、自分のことだけじゃなくてほかの人のことも考えなさいというのを言いました。
今、本当に、一人一人がいろいろな困難を乗り越えて、親の持っている物差しから子供が独立をしていく、自分自身の物差しを獲得をする、そういう中で、若者たちも、自分で幾ら自助努力をしても、自分ではどうにもできなくなってしまう、そういう困難が社会に待ち受けている。元々、子供に自助努力を求めること自体はおかしなことだと思います。
だからこそ、私たちは、子供政策、生まれたときから、物心ついて、しっかりと自分の考えを持って教育を受ける、いろいろなところを応援していくわけですね。だからこそ、他人、利他の心、これを支え合っていく。これから自分事だけではないことは、そして、そのことによって、人を傷つけるとか、一緒にやっていける道を外してしまうとか、そういうことを防いでいかなければならないというふうに思います。
私は今日、御家族の問題を集中的にやるわけではないのです。私は、選択的夫婦別姓、総理のお考えの中からは、家族の中で、家族は一つの氏でなければならないというふうにお思いですか。もう一度お聞かせください。
○菅内閣総理大臣 家族観については、私、先ほど申し上げたとおりであって、あとは、今後、別氏とか、いろいろなことについても、結婚すればそれは本人たちが判断すべきだという、そこはそういう考え方でありました。
○大河原委員 とてもいいお答えをいただきました。菅総理御自身がやはり一人一人の尊厳を守るというところにちゃんと軸足があるんだということで、このことをこれから先の答弁でも是非言っていただきたいなというふうに思います。
別姓を認める、もちろん選択的に、その人たちが決めればそのようにしてあげたい、そういうお気持ちですよね。いま一度お答えください。
○菅内閣総理大臣 私は、息子のこと、子供のことについて聞かれましたので、それぞれの子供がそれぞれの判断をすべきということが私は自然なことだというふうに思っています。
それで、あと、まず、別氏の問題になりますと、これについては我が国の家族の在り方に関わる事柄で、ただ、これは現実問題として、国民の間に様々な意見があることは事実じゃないですか。そういう中で、政府としては、男女共同参画基本計画に基づいて、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しては、国民各層の意見や国会における議論を注視して検討を進めていきたい、それは政府の立場としては当然だというふうに思っています。
私自身、先ほどの、家族の中で、子供が独立した場合は、私はそういうふうに申し上げていたということです。
○大河原委員 菅総理のお宅は男の子さんが三人と伺いました。今、一般的に、結婚して夫の名字を選ぶ方が多いんですね。でも、総理は今、当事者同士が話し合って決めればいいんだと。そういう意味では、菅という名前の方とお連れ合いの方の名字を名のる方がいても、それは不思議ではないんだというふうに判断をいたしました。私も同じです。是非……(発言する者あり)皆さん、確認をしたいということで、どうでしょう、菅という名字に統一されなくても別に構わない、よろしいでしょうか。
○菅内閣総理大臣 私は、結婚したら本人同士が判断すべきだということはずっと言ってきています。
○大河原委員 だから、今の菅家に別の名字が入ってきても、それは止めるものでもないし、当事者たちが決めればいいということで、選択的夫婦別姓ってそういうことですよね。わざと選択的と言わないで、夫婦別姓、夫婦別姓と言うことで何か違うイメージがつくられているようなんですが。
本当に、何人もの方たちが、事実婚の方々も含めて、同じ姓になることによって非常に傷つき、そして不都合、不利益を被る、こういうことから、是非選ばせてくれということで制度を変えてくれと言っているわけです。
何人もの方たち、議員も、国会の中でも議論がありました。立憲民主党枝野代表も、この選択的夫婦別姓はもう既に国会内の議論も熟していると。
この第五次共同参画基本計画、これはパブコメを取っておりますけれども、四百通以上の意見が出てきて、早期の選択的夫婦別姓を実施せよということですが、これに反対をする意見はゼロでした。
ですから、私たちが何が不利益になっているのか、政府は今のところ旧姓使用で通そうとしているということですが、パネルを御覧いただければと思います。
十二月の十六日に内閣委員会で私も質問させていただきまして、男女局長から既に答えをもらっております。旧姓使用は、納税告知書、これには使えません。不動産の登記にも使えません。住宅ローンの金融機関との契約や抵当権の設定契約でも旧姓は使用できません。また、パスポート、旧姓使用、旧姓併記、これは国外で理解されておりませんので、これには、国外で機械の読み取りシステムが整ってもおりませんし、この変更が必要となりますので、非常に出入国時のトラブルや海外生活における支障が大きいんです。そして、旧姓による銀行口座の開設、これも、一部金融機関では行われておりますけれども、システム改修が必要となりますので、一部にとどまっている。
それから、総理が、判こをなくす、押印をなくすと言っておられますけれども、旧姓使用を通そうというときには二つの判こがずっと必要になるわけです。
このことからいっても、私たちは、やはり、選びたい方たちには選択的に氏を選ぶことができる、こういうところに、私たちのこの日本の社会を大きく変えていくべきだというふうに思っています。
法学者、それから法曹の方々も先日お見えになりまして、法学者が三百十九人、弁護士さん七百四十一人、千六十名の声明を立憲民主党枝野代表とともに受け取らせていただきました。今こそ踏み出すべきだと思うんです。
次、上川大臣に伺いたいと思います。
三度目の法務大臣をやっていらっしゃいます。もうこれほど条件が整ってきたということがあると思いますが、是非決意をお聞かせいただきたいと思います。
○金田委員長 法務大臣上川陽子君、時間が参りましたので、簡潔にお願いをいたします。
○上川国務大臣 先ほど、ちょっと総理の方の御答弁を聞いておりまして、私は、両性の同意の下で一つの氏を名のるという意味では、男性の氏を名のっても女性の氏を名のってもよろしいという、その意味での自由、御夫婦での考え方ということをベースにした制度になっているということについては、これは今の現状であります。
その上で、私も、氏の問題、自分の氏も変えてきましたし、子供の世代の氏ということも考えてみますと、自分のこととして、それぞれの国民の皆さんがしっかりと考えていただくということは極めて大事だと思ってまいりました。
夫婦が希望すれば結婚前の氏を名のれる選択的夫婦別氏制度、この導入の問題につきましては、まさに家族の在り方に関わる大変重要な事柄であるということでございまして、国民的な議論、これを踏まえた意見の集約が図られるということが望ましいのではないかというふうに考えております。
その上で、世論の調査結果を見ましても、国民の意見、まだ分かれている状況でもございますし、他方で、この間、家族の形態、あるいはライフスタイルの変化、また女性の社会進出、女性の活躍といった形の中で、婚姻前の氏を引き続き使えないことによって婚姻後の生活において様々な支障が生じているという声があることなど、これらの社会情勢に十分に配慮する必要があるとも考えております。
さらに、令和二年十二月九日には、夫婦別氏を認めず婚姻届を受理しないのは憲法に違反すると訴えた三件の家事審判の特別抗告審が出ておりますので……
○金田委員長 時間が過ぎていますので、答弁をまとめてください。
○上川国務大臣 そういったことも踏まえまして、これから大いに議論をしていく、そうした風土をつくっていくことが何よりも大事であるというふうに考えております。
○大河原委員 何度もこの同じ答弁が続くのかと思いますと、ジェンダー平等後進国というレッテルは貼られたままだと思います。是非一刻も早く新しい社会をつくるべきだと思います。
ありがとうございました。
○金田委員長 この際、近藤和也君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。よろしくお願いいたします。
まずは、一昨日、東北地方を中心とした地震で被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。
今日は、この地震のこと、そしてコロナでの、ワクチンをめぐっての医療の安全保障という観点、そして総務省の問題、そしてコロナをめぐっての食料の安全保障、そして、日本海違法操業問題がいまだに消えません、日本そのものの安全保障ということで、順番に質問していきたいと思います。どうか簡便な形での答弁をお願いしたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、まず東北地方の地震についてですけれども、私は、党の災害対策の部会長もしております。今朝いただいた資料なんですけれども、現場の議員からいただきました。ちょっと総理、資料は配られていないんですけれども、これは須賀川市のホテルです、壁ですね、これが厨房、天井が落ちています。そしてさらには、矢吹町のホテルの姿です。相当厳しい状況になっております。後で資料をお渡しできたらと思いますが。
今、改めて、東日本大震災から十年がたちました。ようやく借金を返し終わるのかなといったところで、このコロナがやってきた。そして、一昨日の地震でございます。もうトリプルパンチだ、そういった表現をされておられました。
それで、一つお願いがございます。
民主党政権時代につくられましたグループ補助金制度を活用してほしいと思いますが、これは激甚災害指定されなければいけません。時間がかかるということもあるんですが、まず激甚災害指定をしていただきたいということ。そして、もし時間がかかる、そして災害指定しにくいのであれば、このグループ補助金制度をコロナ禍だから特例として使えるようにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。総理、総理にお願いいたします。
○小此木国務大臣 担当から一言答えさせていただきますが、現在、発災直後、総理からすぐ指示が出まして、現場の状況をしっかりと把握するようにということがございました。これに、今のお話につきましては、公共土木施設、農地、あるいは中小企業等の状況をしっかりと把握しなければなりません、その状況の調査を昨日から開始しているところでございます。
しっかりとその状況を把握しながら、適切に対応してまいりたいと思います。
○近藤(和)委員 総理、いかがでしょうか。激甚のお願いです。
○菅内閣総理大臣 まず、激甚災害の指定については、公共土木施設だとか農地、あるいは中小企業などの被害状況を適切に把握する必要があることから、既に調査を開始をしています。
いずれにしろ、今、小此木大臣が答弁されましたように、被害状況の把握を早急に行って、その結果を踏まえた上で必要な対応はしっかり打ちたい、こう思います。
○近藤(和)委員 いずれにしてもという形で逃げるのではなくて、しっかりと頑張るという言葉が欲しいんです。お願いいたします。
総理からお願いいたします。もう切実な声なので、コロナで困っているんです。総理の元気な、その姿勢が欲しいんです。お願いいたします。委員長、総理です。同じ答弁は結構なんです。総理、お願いいたします。
○小此木国務大臣 今、省庁で連携をして、様々な状況をしっかりと内閣防災、まとめていくところでありますので、しっかりと皆さんの不安をなくすように対応してまいりたいと存じます。
○近藤(和)委員 いつ分かるんでしょうか。いつまでに。早急に欲しいんですが。
○小此木国務大臣 おとといの晩遅くに起こった災害であります。今日も実は雨で、地元も雨だと思います。調査そのものが困難を極めているのかもしれません。先ほど申し上げたように、被災者、被災地の不安をなくすために、一刻も早くまとめて対応をしてまいりたいと存じます。
○近藤(和)委員 今大変冷たい雨が降っています。是非とも優しい言葉をかけていただいて、力強い、何とか頑張っていこうという気持ちを是非とも総理の言葉から、お口からいただきたかったんですが、少し残念です。何とか頑張っていただきたいと思います。
それでは、コロナのワクチンについての質問に入らせていただきます。
今週から日本でようやくワクチン接種が始まるということなんですけれども、お配りさせていただいているこの世界地図は、色の濃いところがワクチンの接種がどんどん進んできているというところです。アメリカ、中国、イスラエルなどは国民の三分の一以上が接種が済んでいます。日本はまだ白い、これからということですが、世界で七十四か国以上でもう接種が始まっています。なぜ先進国である日本がこんなにワクチンの接種が遅れているんでしょうか。
○田村国務大臣 御承知のとおり、この日曜日に薬事承認ということでございまして、これから接種に向かっていくわけでありますが、幾つか要因があると思います。
一つは、日本が欧米と比べて、今、緊急事態宣言で、感染者が増えているとはいえ、やはり桁が違うぐらい感染者が欧米と比べては少ないという部分。つまり、何を言いたいかというと、治験をするのにどうしてもやはり一定の感染者がいないと比べられない。ワクチンを打った人と打っていない人と、どちらが発症するか比べられないというのがあります。
ファイザー、世界中でやっておりますが、大体アジア人が数%という状況でございまして、そういう意味では、やはり国内の治験を一定程度やる時間が必要であったというのと、もう一つは、中国の場合は、もう国内で、中国でワクチンが作られておりますので、自らで、そういう意味では、中国は自らそのワクチンを打ち出しているということがあります。
もう一つは、薬事行政の歴史がありまして、もう委員も御承知だと思いますが、副反応、副作用というものに対しては、日本の国民の皆様方、非常にこれは敏感でございますので、そういう部分も一因としてはあろうかというふうに考えております。
○近藤(和)委員 私は、殊更、遅いことをなぜ遅いんだということで揚げ足を取ろうというつもりで申し上げたのではありません。これから集団免疫を獲得して、何とかこのコロナを抑え込んでいこうという気持ちは私も一緒なんです。
ただ、出遅れたということで、これから、例えば医師会の方や自治体の方に過度な負担を与えないようにしていくこと。そして、接種を嫌がる方もいらっしゃいますよね、接種を嫌がる方に、なぜあなたたちは打たないんだというような圧力もかけないこと。そして、さらには、副反応、間違いなく出ますよね、残念ながら。出ると思うんですけれども、その出た反応をしっかりと世の中にお示ししていくことも大事です。
そして、もう一つ大事なことは、災害のときによくありますけれども、デマも当然出てくる可能性があります。もちろん悪い反応は、それは世の中の方に知っていただくことも大事なんですが、あることないこと出回ると、特にネットでそういったことが出ることを大変私は心配していますので、遅れを挽回しようという余り焦り過ぎないこと、そして、やるべきことにしっかりと行政のチェックをしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に参りますが、その中で、今、私は、この川上の話をしたいと思います。開発、買取り、供給の話をしたいと思いますが、内閣の中で少し情報が行き違いしているんじゃないかなということを心配をしています。
ファイザー社の接種が今週から始まりますが、今年になって正式な契約をした段階で、六月までということが十二月末までということに変わったわけですね。そして、接種の回数も増えました、二千四百万回分。ところが、先週に入りまして、一瓶当たり六回打てるという話が、やはり五回しかできませんよということで、この一億四千四百万回分、変わるんじゃないかなと。
それで、二月九日の段階では、田村大臣が、六回じゃなくて五回ですよと言われたわけですね。そして、先週の金曜日の段階の予算委員会では、仲間の議員が、ファイザー社の一億四千四百万足すアストラゼネカ社の一億二千万回足すモデルナ社の合わせて五千万回、全部合わせると三億一千四百万回になるんですが、これで変更ないですねといった質問に対して、河野大臣は、変わりありませんと言ったんですよ。
これは、総理、河野大臣と田村大臣の間の連携がうまくいっていなかったのか、若しくは、河野大臣は、いやいや、回数分は変わっているかもしれないけれども、瓶の段階では変わっていないから変わっていないというふうに言ったのか分かりませんが、これは現場は混乱しますよ。総理、いかがでしょうか。総理、現状、把握されていますか。
○河野国務大臣 当初一バイアル当たり五回ということで話をしておりましたが、ファイザー社から一バイアル当たり六回という話がございました。それで、今、日本で調達をしている針とシリンジで実際にやってみると五回しか取れないということでございましたので、自治体に五回ということをお知らせをしたわけですが、これは非常に重要なワクチンでございますので、廃棄ということになっては大変でございますので、今、六回取れるような針あるいはシリンジを調達すべく努力をしているところでございまして、その調達がしっかりできれば回数に変更はない、そのようになるわけでございます。
○近藤(和)委員 言い訳を聞きたくないんです。
実は、厚労省のホームページでは、先週の八日の段階で、三億一千四百万回じゃなくて二億九千万回にもう変わっているんですよ。ですから、このことは、河野大臣、お知りにならなかったんじゃないかなと思います。
私は、これは議事録も訂正した方がいいと思いますし、このような形で混乱がないように、最終的に混乱するのは現場ですから、元々六回打つということで進んでいたわけですよね。それが五回になったわけですから、ちゃんとそこは、総理、監督していただきたい。いかがでしょうか。
総理、総理にこの状況を把握、私はあえて御説明したわけです。
済みません、ちょっと、言い訳は結構です。もう二億九千万という確認はしましたから。
○田村国務大臣 一応、契約上は一億四千四百万回という契約をしております。これはバイアルだとかそういう話じゃなくて、何回分というような契約をいたしております。
ただ、ここは、契約の下において、今ファイザーとどうしていくかという議論の最中でございますので、そういう意味では、ある意味、厚生労働省が書き換えたという話に関しては、これは今の五回分という形の中でそういうふうな動きだったらそうかも分かりませんが、一方で、我々としては、三億一千四百万回を目指して、一応、何とかそれを確保できないかという努力はしているということであります。
○近藤(和)委員 私は、これでぎりぎりと問い詰めたいわけじゃないんです。外の契約、輸入する、買うとき、これは変更はありますよ、思ったとおりにならないこと。でも、内部に入ってきた情報は、しっかりと、これは自分たちで動かすか動かさないかだけですから、情報共有するかしないかだけですから、一番のトップですから、ちゃんとしていただきたいと思います。
そして、次の質問に参りますが、総理にはまた動いていただきたいと思います。
ファイザー社やアストラゼネカがEU圏で開発国そして生産国となかなかぎくしゃくしていること、私はこれはあってしかるべきなんだろうと思います。
その中で、やはり、何かもめごとが起きてから総理が、国が出ていくというよりも、もう最初のうちから安定供給をしていくようにトップ外交、首脳外交をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○菅内閣総理大臣 これは、ファイザー社とか、そうした薬を購入する際、これは外務省とも国を挙げて連携をして取り組んでいます。当然、今回のEUの問題についても、そこは外務省も一緒になってきちっと取り組んでいることを申し上げたいと思います。
○近藤(和)委員 今は緊急事態です。国家的プロジェクトです。責任者は総理ですから、是非とも、総理、もめる前にしっかりとこの安定供給へ向けて動いていただきたいと思います。後になってからではもっともっと大変なことになると思いますので、よろしくお願いいたします。
米国の前トランプ大統領、いろいろされておられましたが、評価できることがあります。それがワープスピード作戦という、コロナのワクチンを開発すること、僅か一年弱で達成したということですけれども、縦軸の開発を斜め軸にした。そして、しかも、国のお金を一兆円以上投入をされました。
一方で、日本は、第一次、第二次補正予算を合わせて、開発については六百億です。桁が違います。
結果として、この三社との契約で約七千億円程度お金がかかるわけですよね。来年もかもしれない、再来年もかもしれない、もっと金額が今年だけでも増えるかもしれない、私はちょっとそこは心配をしていますが、一方で、国内の開発、製造が進めば、七千億から、今後、来年、再来年、少なくなるかもしれませんよね。そういった点で、やはり国益が流出していくことは間違いありません。
日本は資源のない国です。エネルギーで大体十七兆円輸入しています。そして、食料では七兆円、そして医療品に関しては、コロナがなくても約三兆円輸入をしているという状況で、エネルギーの安全保障、そして食料の安全保障、そしてさらには、医療の安全保障という観点で政策を進めていただきたいと思います。
参考になるのがスイスですね。スイスのロシュは世界で第一番の製薬メーカーで、しかも、食料安全保障を憲法で書いているような国です。
そして、イスラエルは、資源がない国ですが、人への投資、企業への投資、そして、企業への投資をするためのベンチャーキャピタルへの投資、これらも力を入れているところであります。新しい会社には八五%近くお金を入れる、こういったこともやっています。
それで、よく考えれば、今回のモデルナ社も、創業僅か十年足らずの会社なんですね。
ですから、これからの日本の進むべき方向として、医療の安全保障を日本の成長戦略に取り込んでいただきたいんです。このことについて、総理、答弁をお願いいたします。
○菅内閣総理大臣 そこは極めて大事な御指摘だと思っています。
さらに、日本は社会保障の問題、超高齢化社会でありますので、そうしたことについても、そうした開発というのも大事だというふうに思います。
○近藤(和)委員 前向きな答弁、ありがとうございます。
ワクチンナショナリズムという不穏な言葉が出てきています。中国、ロシア、インドなどが覇権争いのような、そういった姿を見せてきている一方で、このコロナワクチンを貧富の差がなく配分していこうというCOVAX、日本も取組に参加しています。アメリカも、バイデン大統領に替わってから参加していこうということでございますが、是非ともこのCOVAXへ日本がもっともっと関与していく、医療の安全保障、そして世界の安全保障そのものということで取り組んでいただきたいと思います。これはお願いでございます。
それでは、次の質問に参ります。総務省の問題です。
総理の御長男と総務省の幹部が会食を重ねていたことが問題となっています。
総理、総務省にとって東北新社は利害関係者なんでしょうか。総理、総理に……(発言する者あり)分からない、分からないことはないでしょう。
○武田国務大臣 現在、総務省において可能な限り迅速かつ正確な調査を進めております。その調査は公務員倫理審査会の御指導に基づいて行っておりまして、まさに御指摘の案件も調査中でありまして、今の段階でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○近藤(和)委員 大臣、呼んでおりませんので、出てこないでください。
総理は、総務大臣をされていたわけですよね。
○金田委員長 総務大臣は旧任ですから。
○近藤(和)委員 以前は総務大臣をされたこと、ありますよね。そして、東北新社がどのような事業を行っているか、このことについて、総理、総理の御知識、教えてください。東北新社がどのような会社だったかということを総理に伺いたいんです。
○金田委員長 総務大臣武田良太君。(近藤(和)委員「違いますよ、総務大臣、それは私、聞いているわけじゃないですから」と呼ぶ)その後、聞きます。
○武田国務大臣 ただいま公務員倫理審査会の指導に基づいて、今調査中の内容でございますので、今の時点でお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○菅内閣総理大臣 利害関係者かどうかというのは、私は承知していません。(近藤(和)委員「違います、違います」と呼ぶ)
○金田委員長 近藤和也君、もう一度質問。(近藤(和)委員「東北新社がどのような会社かということです」と呼ぶ)もう一回言ってください。
○近藤(和)委員 それでは、改めて質問いたします。
東北新社がどのような事業を行っているか、御存じでしょうか。
○菅内閣総理大臣 私は、詳細については承知していません。映像とかそういう仕事をやっている会社であるということはそれなりに漠然と分かっていますけれども、具体的に何がどうかというところまでは承知していません。
○近藤(和)委員 総務大臣を経験された方としては、なかなか寂しい答弁ですね。
東北新社の定款では、「放送法に基づく基幹放送事業及び一般放送事業」、そして「ケーブルテレビその他メディア用放送番組の編成」と書いてあります。要は、放送事業をやっていたということなんですね。
そして、公務員の倫理規程の中でこの利害関係者とのおつき合いは駄目ですよということも書いてありますが、総務省にとっての利害関係者というのは、総務省設置法第四条に書いてあります、電気通信事業及び放送業の発達、改善及び調整に関することと書いてありまして、要は、総務省にとっての利害関係者にこの放送事業は当たるということなんですね。
改めて伺いますが、今の私の話を聞きまして、総務省とこの東北新社は利害関係者であるかどうかということを、総理、お答えください。総理に聞いています。総理に聞いています。総務大臣に伺っていません。
○武田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、今、迅速かつ正確な調査を進めているところでありまして、倫理審査会の指導に基づいて、まさに、御指摘の件、今調査中でございます。今の段階で答えるのは差し控えさせていただきたい。御理解をいただきたいと思います。
○金田委員長 近藤和也君。(発言する者あり)
設置法第四条の解釈についてお尋ねだと思いますが、これについては、現総務大臣が最も有権解釈ができるんじゃないでしょうか。したがって、総務大臣から答弁させるのが妥当だと私は判断します。
それでは、総務大臣武田良太君。
○武田国務大臣 倫理審査会の方からしっかりとした調査をするようにという項目は与えられています。調査をしなければ分からないのかどうかというよりも、我々は、倫理審査会の指導に基づいてしっかりとした審査をしなければならない立場に今おります。御理解いただきたいと思います。
○金田委員長 それでは……(発言する者あり)静かにしてください。
総務大臣、私の方から、近藤和也君の趣旨が、設置法の第四条に照らして、東北新社という法人が利害関係に当たるかどうか、総務省のケース、そういうふうに尋ねられていますので、その点について答えてください。
○武田国務大臣 設置法第四条六十号に関することということでありますけれども、東北新社の定款におきましては、放送法に基づく基幹放送事業者及び一般放送事業の業務を営むと規定されてはおりますが、当該業務は東北新社が出資した子会社が行っており、東北新社は自らは行っていないということであります。
○近藤(和)委員 出資しているということは、関係会社ということじゃないですか。何割出資しているかということは後でまた伺いたいと思いますが。
それで、皆様の手元に「マンガで学ぶ! 公務員倫理」というものがございます。こちらですけれども、秋本局長に来ていただいていますが、秋本局長は見られましたかということと、そして、二枚目を見ていただきたいんですが、これは、利害関係者から供応接待を受けてはいけませんということで、真ん中の方を見ていただきたいんですが、私的な関係がある場合はという場合でも、国民の疑念や不信を招くおそれがない場合のみと書いてあるんですね。それで、私的な関係の例で、NGということで、職場のOB、仕事で知り合った相手、職場上のカウンターパートはNGですよと書いてあります。
それで、秋本さんに伺いますけれども、菅総理の御長男と、仕事で知り合った相手ではないのでしょうか。そして、公務員倫理の、漫画で学ぶ、こちらの存在、御存じでしょうか。そして、見たことが、読んだことがあるでしょうか。重ねてお願いいたします。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
このパンフレットに記載の内容は、これまでも研修その他で拝見したことがございます。
その上で、今般の事案に至りましたことについて、深く反省をしております。
現在、国家公務員倫理審査会の助言指導を得ながら、総務省の大臣官房の服務、倫理担当からの調査を受けております。国家公務員倫理法に照らして、会食参加者が倫理規程上の利害関係者に該当するか否かも含めて、調査、報告を求められ、迅速かつ正確に対応するよう求められております。
いずれにいたしましても、調査を受ける立場にある者として、真摯に対応させていただきたいと考えております。
○近藤(和)委員 総理の御長男と、仕事上で知り合った相手でしょうか。秋本局長、お願いいたします。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
別の知人の方を介しまして、二〇一五年以降に名刺交換をさせていただき、知り合うに至りました。
○近藤(和)委員 仕事を通じてということを聞いているんですが、いかがでしょうか。秋本局長、お願いいたします。
○秋本政府参考人 仕事を通じてと申しますか、会食でも同席をさせていただいた木田由紀夫氏を介して、二〇一五年以降に知己を得させていただきました。
○近藤(和)委員 仕事でということですね。
総理、私は、お役人の方に、こういう委員会で、ねちねちというか、ごりごりというか、余りやりたくないんですよ。総理、笑っていらっしゃいますけれども、私だって、今日はもっともっとたくさん質問したいことはあったんです。その気持ちを分かっていただきたいんです。
そして、コロナでもう皆さん苦しいですから、早くコロナのことをやってくれとみんな思っていますよ。でも、国がいろいろお願いしたりするわけですね、その国が、信じられないようなことをしているんだったら、それを晴らさなきゃいけませんよ。
今改めて、総理、新人の公務員の方々に、これは人気があって第二版が出るらしいんですけれども、この公務員倫理、漫画で学ぶ、これを読んでいただきたいんです。いかがでしょうか。
○菅内閣総理大臣 いずれにしろ、国民の皆さんから疑念を持たれるようなことについては、やはり気をつけるべきだというふうに思いますし、今、総務省の中で、客観的な、しっかり調査をしているものだろうというふうに思います。
○近藤(和)委員 李下に冠を正さずでございます。どうか、身ぎれいにしていただいて、この今の国難を乗り越えていくように頑張っていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○金田委員長 この際、斉木武志君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斉木武志君。
○斉木委員 立憲民主党・無所属の斉木武志でございます。
私からは、まず、オリンピックに関して、オリンピックの利益剰余金の行き先についてお尋ねをしたいと思います。
橋本担当大臣にお聞きいたします。
オリンピックは、大臣も経験されております、長野冬季五輪では四十五億円、また平昌では六十二億円、そして、夏季五輪でいいますと、ロンドン・オリンピックで四十六億円、四十億円から六十億円ぐらい、大会が終わると剰余金が出ます。東京大会で剰余金が出ることも十分考えられるんですが、この五輪の剰余金の行き先は決まっていますか。
○橋本国務大臣 剰余金について御説明をさせていただきます。
東京都、組織委員会及び日本オリンピック委員会、JOCが国際オリンピック委員会、IOCと締結している開催都市契約によれば、大会後、仮に組織委員会に剰余金が生じた場合、日本オリンピック委員会に二〇%、組織委員会に六〇%、国際オリンピック委員会に二〇%の比率で配分をすることになっていると承知をしております。
また、組織委員会に配分される剰余金につきましては、開催都市契約によれば、日本オリンピック委員会と協議した上で、日本におけるスポーツの全般的利益のために使用することになっているというふうに承知をしております。
なお、東京大会の延期に伴い、IOCは、開催都市と開催国の青少年やスポーツ並びに社会の全体的な利益のために使用されることを条件として、剰余金の二〇%の取り分を組織委員会の利益のために放棄するというふうにしていると承知しています。
剰余金が生じた場合、取扱いについては、今後、組織委員会がIOCと協議しながら、透明性の確保を含め検討されるべきものと理解をしております。
○斉木委員 過去、日本で直近行われた長野冬季五輪では、およそ四十五億円剰余金が出まして、その後、その受皿となる公益法人を立ち上げまして、オリンピック、スポーツの振興のために十年、二十年かけて費消してきたというふうに承知しております。
その行き先に関しては、今大臣も言及されたとおり、解散のときにどこに使うのかを評議員会で議決をして決めていくということと承知をしております。
ただ、その行き先、評議員会の議決によってオリンピックマネーが贈与されるのではないかとJOCの関係者の方また複数のマスコミ報道で今指摘の出てきている団体が、こちらの団体でございます。
日本スポーツレガシーコミッションという一般財団法人、これは去年できたばかりなんですけれども、今回、人のところをよく見ていただきたいんですが、人のところを見ますと、まず、最高顧問が森喜朗さんです。森喜朗さんが、昨年、三百万円の拠出金でもって設立をされたというふうに複数の関係者が証言をしております。そして、今回、その森さんがオリンピック組織委員会会長を辞任するのを四日に涙ながらに止めたと森さんが御自身で発言していらっしゃいます遠藤利明元オリパラ担当大臣が、本団体の理事長でございます。そして、同じくまた、強く森氏に留任を迫った武藤敏郎オリンピック組織委員会事務総長が評議員ということで、組織委員会の中でも特に森さんと関係の深い方々が、こうして最高顧問、理事長、評議員にずらっと名前を連ねていらっしゃる団体でございます。
内閣府担当大臣にお聞きをいたします。
当該法人が、今こちらにオリンピック組織委員会の定款があるんです、十二ページにわたる文書です。「残余財産の帰属」という文言がございます。第四十五条、「当法人が清算をする場合において有する残余財産」、オリンピック組織委員会が解散するときに残った財産ですね、これは、「評議員会の決議を経て、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第五条第十七号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。」と四十五条に書かれております。ですので、当一般財団法人だと、これは公益財団法人ではないので、贈与を受けることはできません。
この後、内閣府が所管をされる公益財団の認定に関わる委員会というのがございます、そこで公益性を認められ、公益財団法人ということで認定をされれば、当該団体はオリンピックの残余財産の贈与先となることは可能でしょうか。イエスかノーか、可能か不可能かでお答えください。
○西村国務大臣 お答え申し上げます。
まず、御指摘のこの一般財団法人が、現時点で公益認定申請がなされているわけではございません。ですので、仮定の話についてはお答えすることはできません。
その上で、一般論で申し上げれば、公益認定をする一般法人から申請があった場合には、今お話ありましたように、公益認定等委員会が公益認定法に規定された基準に基づいて審査を行うこととなります。その際、公益目的事業を主な目的として、その費用割合が五〇%以上であるとか、あるいは、特定の個人、会社、団体に特別の利益を与えないとか、それぞれ公益認定を受けるための基準がありますので、これを満たすことが必要となってまいります。
○斉木委員 ということは、満たせば、認定をされれば可能であるということでよろしいですか。
○西村国務大臣 この団体から申請が出ているわけではございませんので、仮定の話については差し控えたいと思います。
○斉木委員 これが公益財団法人であれば受けられるということはオリンピック組織委員会の四十五条に書いてありますので、そういうことと理解をさせていただきます。
では、総理にお聞きをいたします。
総理、現状、長野で四十五億円、ロンドンで四十六億円、平昌で六十二億円と剰余金は必ず出ておりますので、この行き先に関しては、私は、全額、余ったお金、利益剰余金はコロナ対策費に使うということを宣言されたらいかがかと思うんですね。
総理は、午前中の質疑でもおっしゃいました、本オリンピック組織委員会の最高顧問、そして顧問会議議長でもいらっしゃいます。ですので、十分、これは組織委員会に対して、評議員会の皆さん、これは、今回二千二百億円ももう国税を突っ込んでいるじゃないですか、この大会。都税は七千億円以上突っ込んでいます。一兆円近い税金をもう既にオリンピック成功のためにといってつぎ込んでいるわけです。四十億、六十億というのは二百分の一の非常に小さい金額ですよ。
でも、これを不透明な団体に帰属させるのではないかという疑念が国民の間から提起をされておる。この段階で、八割の国民が、延期か中止をした方がいいんじゃないか、今やったらコロナの変異株が入ってくるんじゃないかと今非常に心配が広がっている段階で、やはりお金の話というのはすごく重要だと思います。お金の透明性をどうお考えですか。
全額、コロナに打ちかったことを示す大会にしたいとおっしゃっていますよね、まだ打ちかっていないです。コロナに打ちかつための軍資金に利益は全部寄附してもらうんだ、そういうお考えはないですか。
○菅内閣総理大臣 大会後、組織委員会に配分される剰余金については、開催都市契約において、日本のスポーツ全体の利益のために使用することとされているということです。
剰余金の具体的な使い道については、今後、組織委員会がIOCと協議しながら、透明性の確保も含め検討されるものと理解をしています。
○斉木委員 非常に残念な答弁だなと思います。
じゃ、過去の例を見てみましょう。
ロンドン・オリンピック、四十六億円、剰余金が出ました。今これをイギリスの通貨に直しますと三千万ポンドです。三千万ポンドの剰余金のうち、ロンドンはどうなったかといいますと、二千万ポンド、三分の二は国に寄附しているんです。だから、こうして、平時においても、日本でいえば厚生労働省やスポーツ庁のようなカウンターパートですよ、そういったところに寄附をしている委員会もあるのに、総理、今回のオリンピックは特別だと思いませんか。ロンドンは平時でしたよ。
でも、今、これだけ変異株のおそれもある、市中感染も起きている状況で、百、二百の国々をホスト国として受け入れたら、また未知のウイルスが入ってくるんじゃないか。派遣する国はいいですよ。派遣する国は、選手団と委員が帰ってきたら二週間隔離すればいいんです。でも、我々日本人はそうはいきませんよ。全世界中、地球上の民族を受け入れるわけです。隔離する、逃れる場所はないんです。だから、八割の方が不安に思っているんじゃないですか。
そういう中で、今、人事でもめています。私は、人事がこれだけ注目を集めるのは、そういった国民の不安が裏にあるからこれだけの反発が起きているんだと思うんです。
重ねて、剰余金の行き先も評議会で決めますよ、終わってから決めますよというのでは、私は、もう二千二百億も国税をこの大会に突っ込んでいる長として、余りにも無責任ではないかと。やはり剰余金というのは、まあ、いっても百億円ぐらいですよ。二十分の一以下の金額です。それすら不透明な行き先というのは、私は、国民がついてこなくなってしまうと思うんですが、いかがですか。
総理、総理ですよ、総理。総理、手を挙げましたよ。(発言する者あり)
○金田委員長 静かにお願いします。
○菅内閣総理大臣 これは、公益団体に、組織委員会には当然ルールというのがあると思いますから、そういう中で決められることじゃないでしょうか。これは、私自身が、どこに寄附しろとか、そういう発言はすべきじゃないというふうに思います。
○斉木委員 私、ちょっと今、唖然といたしました。
アスリートの気持ちになってほしいんですね。今、東京五輪を目指して、今も、今日もトレーニングしていますよ、選手の方々は。でも、オリンピックを開いてくれと言えないんですよ。何でかといったら、それは自己実現だろう、自己目的だろうと言われかねないからですよ。国民がこれだけ、オリンピックを開催したら世界中からウイルスが入ってくるかもしれないと心配している中で、アスリートの方は、自分から開いてくれと言えないじゃないですか。
でも、これを、じゃ、剰余金は、余ったお金は全額コロナ対策に使うんだよというふうに最高顧問がおっしゃれば、選手が大手を振って、じゃ、私が頑張れば大会が盛り上がって、金メダルを量産すれば剰余金も増えるじゃないですか、だったら、コロナに打ちかつため私は頑張るんです、だから開かせてくださいとまだ言えるじゃないですか。アスリートが今、開いてほしくてもまともに開いてほしいとも言えない状況を、総理は今、分かっていらっしゃるんでしょうか。
そういう中でも、総理が開くことに固執していらっしゃる、人類が打ちかったあかしにしたいとおっしゃっている、政治がそうやって固執するのであれば、選手がやってくださいと言える状況に、これは最高顧問としてもすべきなんじゃないですか。選手団体の長でもあるじゃないですか、顧問会議議長でもいらっしゃるんだから。選手が開いてくれと、それは、頑張ってコロナ対策金を少しでも上増すんだと、少しでも理由ができるじゃないですか。そういうお考え、お感じになりませんか、一厘も。
○菅内閣総理大臣 私自身は、先ほど申し上げたとおりですよ。だって、まだ剰余金も決まったわけでないし、これから準備して、大会の準備に今全力を挙げているわけでありますから。そして、私の立場で申し上げるべきではないというふうに思います。
○金田委員長 橋本聖子国務大臣、つけ加えることはありますか。
○橋本国務大臣 先ほど総理が申し上げましたとおり、剰余金のこの具体的な使い道については、今後、組織委員会がIOCと協議しながら、透明性の確保も含め検討していただきたいと考えておりますが、当然、IOCそして組織委員会は、アスリートの視点も考えながら、透明性を持ってしっかりと決めていくというふうに承知をしております。
○斉木委員 オリンピアンの橋本大臣なら分かると思ったんですがね。今、開いてくれというふうに、選手だってかわいそうじゃないですか。私はいろいろ声を聞いていますよ、今自分たちから主張できにくいと、非常に。これだけコロナ、コロナと騒がれている中で。その気持ちは選手だった橋本さんなら分かるだろうと私は思ったんですが、非常に残念だなというふうに思っております。
これは総理にお伺いしたいんですけれども、二千二百十億円ですよね、本大会に国税を。オリンピック、今回の大会に幾ら国の税金が使われているでしょうか、総理。予算ぐらいは把握されているんじゃないですか。国税で幾ら使っているんですか、本大会に。
○金田委員長 橋本聖子国務大臣、分かりますか。答えてください。
○橋本国務大臣 済みません。正確な数字、金額をお示しさせていただきたいと思います。
オリパラ関係予算は、オリパラ全体で、令和二年度第三次補正予算は九百五十九億円、令和三年度当初予算は四百五十二億円、東京大会の招致が決定した平成二十五年度から令和三年度当初予算までのオリパラ関係予算の総額は三千九百五十九億円となります。
○斉木委員 それは、三千億円以上、四千億近いお金を投じている中で、僅か四十億、六十億の利益。国税で政府としてこれをつぎ込む決定をしてきたのは総理御自身そして前の総理ではないですか。それが、利益が、やはり透明性、これは少なくとも私はコロナ対策に使うと言わないと、本当に選手もかわいそうだと思います。
そして、もう一つ。透明性というのは非常に今大事だということをおっしゃいました。透明性がやはり、こういう団体、私、質疑で取り上げますので、じゃ、教えてください。
これはホームページから取ったんですが、電話番号非公開の団体なんですね。そして、JOCの入っているビルの十階にあるんですが、しようがないので、日本スポーツ協会、管理者にこっそり教えてもらって電話しました。六回電話してかかってこずに、やっと七回やって通じて、いや、来てもらったら困るんだ、全部遠藤利明さんがやっているので遠藤利明さんに聞いてくれというふうに事務員の方から言われました。言われて、理事長に、遠藤利明事務所に電話をいたしました。遠藤利明さんは、いやいや、答えられません、事務局に聞いてくれと言うんですよ。両方で責任を押しつけ合ってですね。
じゃ、しようがないから、来てもらって困るんだったら文書でお尋ねしますと言って、文書を投げました、御質問項目を。さっきやっとファクスが来たら、答えられませんというファクスでした。透明性のかけらも感じないんですね。実際にどんな活動をしているのか、存在しているのか。電話番号すら非公開の団体です。
こうした団体があって、森さんや遠藤さん、そして武藤敏郎さんが主要なメンバーで名を連ねていらっしゃる。こうした団体が剰余金の受皿にもなり得るわけです。ここで総理が、いや、剰余金は全部コロナ対策費に使うよ、三千九百億円をもう突っ込んだんだから、当然その一部でも、アスリートが頑張った心血の結晶はコロナ対策に使うんだと何でおっしゃれないのかなと。
私は、アスリートに共感する心が欠けているのではないかなと思うんですが、総理、いかがですか。
○橋本国務大臣 お尋ねの団体については、民間団体でありまして、一般財団法人でありますので、私としては承知をしておらず、お答えする立場にはありません。これは、先ほどお尋ねの、一般財団法人日本スポーツレガシーコミッションについてのお尋ねに対しての答弁でありますけれども。
いずれにいたしましても、コロナ対策というものを万全の体制で講じた上で、アスリートが安心、安全で大会を迎えられるように、しっかりと準備している段階であります。
この剰余金の使途につきましても、繰り返しになりますけれども、組織委員会とIOCがしっかりと透明性を持って、今後のアスリートのためにもどうあるべきかということを議論するのは当然だというふうに承知をしております。
○斉木委員 私は、総理に助け船を出すつもりでこの御提案をさせていただいたんですが、まだちょっと残念な答弁だったなと申し上げさせていただきたいと思います。
そして、もう一つ。後段は、原子力に関してお聞きしたいと思います。
私の地元は福井県なんですけれども、小選挙区に十五の原発が集中しております。日本でも最大の集中立地地域であります。総理は、こうした原子力を新増設をしたり、今あるものを建て替える、リプレース、これはお考えでしょうか。
○菅内閣総理大臣 原発依存度を可能な限り低減し、新増設やリプレースは現時点では想定しないという政府の考えに変わりはありません。
○斉木委員 であれば、私は、新しく造るな、原発は新しく造らせない、そして建て替えることも駄目だ、考えていないとおっしゃいましたので、やはり、それが主要産業となっている立地地域としては、じゃ、新しい生きる道を模索することを是非手助けをしていただきたいというのが当然の思いだと思います。
そこで御提案させていただいたのが、一月二十九日に本国会に、原発立地地域特措法、立地地域の振興に関する特別措置法の十年単純延長案というものを内閣として提出をされております。これはどういう法案かといいますと、例えば福井県など集中立地地域で学校を造る場合、道路を造る場合、国費の補助をかさ上げをしたり、また、そういった立地地域の産業を複線化していくために、製造業であるとか、貨物運送業であるとか、倉庫業であるとか、様々な企業誘致に対して固定資産税の優遇を与えていく、こうした二つの柱、立地地域の振興法でございます。
今、新しいものを造ることは考えていないとおっしゃいましたので、では、やはり、これは立地地域の固有の強み、太い送電網、品質のいいものが来ております、それを利用して、今総理が唱えていらっしゃる水素発電であるとか、そしてリニューアブルズ、新エネルギー、こういったものを立地地域でやることに対して同じように固定資産税の恩典を与えていく、こういうような、新しく造るなというのであれば、こういった新しく生きる道を与えてほしいと私は思うんですが、総理、いかがでしょうか。
○菅内閣総理大臣 今御指摘をいただいています改正法案は、原発の立地地域の産業振興や防災などについて総合的に整備するためのものであります。これは、カーボンニュートラルを目指すという方針に何ら反するものではなく、また、福島の復興再生に反するものではないとも考えています。
水素や再エネなどの産業振興や原発事故からの復興については、これは経済産業大臣から答弁させます。
○金田委員長 経産大臣、要りませんか。(斉木委員「要らないです」と呼ぶ)
○斉木委員 私は、やはり、ちょっと立地地域の現実が総理は御理解いただけていないと今感じました。実は、私の実家は総理の選挙区にございます。神奈川二区、横浜市港南区にございます。やはり、そこを地元として活動していらっしゃると、どうも、福井県であるとか、北海道、青森県、鹿児島県のような地方の立地地域の実情を御理解いただけていないなと私は痛切に感じました。
というのも、人口が急激に減っているんですよ。敦賀市の例を取ってみます。敦賀市は、F一の、福島第一原発事故の前には七万人を超える人口がありました。今六万五千人程度です。この十年間、毎年五百人、千人減っていっているんですね。それはなぜかと申しますと、主力産業だからですよ、原発が。やはり、主力産業で、新設もできない、そして建て替えも許さないというふうに言われてしまうと、じゃ、おまんまの食い上げ、これは稼げなくなってしまう。発電ができていない、実際、敦賀市では一ワットもこの十年間発電できておりません。これは、やはり非常に深刻な事態だと思います。
敦賀三、四号機とか、新しい新増設の話もありますけれども、経産大臣も、経産委員会で質疑をすると、いや、政府として三、四号機の新設を日本原電が計画しているとは承知していないと、計画そのものを否定する。でも、もう千六百億円もかけて広大な埋立地を造ってあるんですよ。存在しない埋立地なんですよ、政府が認めない埋立地に新設を計画しているのが、今敦賀市にある日本原電です。
十年も、福井県知事もずっと求められていたと思いますよ、西川さん、今、杉本さんですけれども。早く、この十年間、新設するのか、それとももう撤退するのか示してくれというのが立地地域の声なんですよ。宙ぶらりんで、考えていないということをずっと言い続けている割には、じゃ、代わりに太い送電線を生かして新エネルギーをやればいいじゃないですか。新しい生きる道を私は与えるべきだ、そして、そのためには優遇税制でやるべきだと思っているんです。
それは補助金じゃないんですよ。租特だからですよ。この法律です、これは。法律で固定資産税や事業所税を優遇すると書き込めば、総理大臣が替わったって、これは優遇を受けられますよ。
企業は見ていますよ、これが政府の確固たる方針なのかどうか。法律に新エネルギーが立地地域で優遇されると書けば、今申し上げた、日本原電だって新しい会社を立ち上げられるじゃないですか。カーボンフリー発電を立ち上げて、原子力だってカーボンフリーです、でも、リニューアブルズ、水素もカーボンフリーです。
こういったものを、新しい新会社を立ち上げて、ともかくこの十年、一ワットも発電できていないんです、敦賀市は。これを発電できるようにしてあげること、政策誘導していくこと、こういう必要性をお感じではありませんか。
○梶山国務大臣 立地地域は、今委員がおっしゃったように、原子力関係の産業というものが中心で、今まで単線で来たわけですね。その複線化をしなくちゃならないということはいつも議論をしているとおりであります。
そういった中で、今回、特措法ということですが、特措法に関しましては担当大臣は井上大臣ということですけれども、与野党の議論の中でそういったものがまた入るかどうかというものも、この法律の中で議論されていくものだと思っております。
ただ、水素を始めとする再生可能エネルギーにつきましては、全国どこでもやっていただくということが基本の方針でありまして、しっかりとした対応をしてまいりたい。ここで手を挙げていただいても結構だと思います。ただ、法律にうたうというのは、今後の法律の審議によるものだと思っております。
○斉木委員 一聴するともっともだと思えるんですが、現実はそうなっていないんですね。
大臣も、茨城、東海第二の五キロ圏内に住んでいらっしゃる。私もUPZの住人です。実際ここでは、製造業、道路貨物運送業、倉庫業、梱包業、卸売業というのが事業や固定資産税の優遇対象に加えられておりますが、福井県嶺南地域においては、そうした大規模な倉庫ができているか、大規模な製造業ができているか。全くできておりません。やはりそれは、この立地地域のアドバンテージを生かせていないからだと私は思うんです。
立地地域のアドバンテージとは何ですか。それは太い送電網ですよ。一基百万キロワットの定時安定送電をできる非常に高品位の太い送電線が来ている。地域の優位性を生かさなきゃ地域振興なんてないじゃないですか。それが、この法律を作っても福井県嶺南地域に倉庫業や製造業ができない理由ですよ。ほかの地域に勝っていかなきゃいけないんだから、立地地域だって。
だから、そういう面で見れば、私は総理にお伺いしたいのは、総理の冒頭おっしゃった、リプレースや新増設をするな、考えていないというのは、立地地域にとっては死刑宣告に等しいんですよ。例えば、総理は神奈川二区で、選挙区にしていらっしゃって、横浜で日産が新しい工場を造るな、若しくは古い工場も建て替えるなというのと一緒です。豊田市でトヨタが新しい工場を造るな、古くなっても建て替えるなというのと全く一緒のことを言っているんです。でも、そんなことあり得ないじゃないですか。
それだけのことをこの十年間政府は立地地域に言ってきて、じゃ、政府が新エネルギーと言っているのに、その新エネルギーの優遇策もくれないというのでは、私は、これは立地地域にどうやって飯の種をつくっていくという、本気度がうかがえないんですけれども、総理、お考え、いかがですか。
○菅内閣総理大臣 日産と横浜の話とはかなり違うように思うんですけれども。
原発依存度は可能な限り低減をして、新増設やリプレースは現在想定していない、これが政府の考え方でありますから。政府が今言えるのはこのことです。
○斉木委員 今の一言、非常に立地地域の方々は大きな失望を持って受け止めたと思っております。
我々としては、これはやはり、新エネルギーをしっかり書き込んだ法案というものももう準備をさせていただいておりますので、内閣委員会で引き続き我が党の案をベースに議論させていただきたいと申し上げて、今日の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
―――――――――――――
○金田委員長 この際、お諮りいたします。
三案審査のため、本日、政府参考人として国家公務員倫理審査会事務局長荒井仁志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○金田委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。
○今井委員 立憲民主党の今井雅人でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、総務省さん、来ていらっしゃっていますか。済みません、ありがとうございます。
実は、先ほど我が会派の近藤委員のやり取りのところで総務省設置法の第四条の議論がありまして、東北新社というのはこの設置法第四条の電気通信業及び放送業に当たるかということを質問したんですけれども、総務大臣は、子会社がそういう事業をやっているのであって、東北新社はそういうことはやっていないという御答弁だったんですね。
ちょっと確認なんです。金曜にちょうど、更新のところで資料をいただいたので確認したいんですが、その子会社というのは、株式会社スター・チャンネル、これはスターチャンネル1、2、3というのを運営しています。それから、株式会社東北新社メディアサービス、これはザ・シネマとかファミリー劇場HDとかスーパー!ドラマTVとか、こういうのをやっているところですね。もう一社、株式会社囲碁将棋チャンネル、これは囲碁、将棋の番組を放送している。
この三社のやっている事業に対して許認可を下ろしていらっしゃるということでよろしいですか。
○原政府参考人 お答えいたします。
御指摘のあった三社ということでございます。
○今井委員 確認させていただきました。
人事院さん、今日はいらっしゃっていただいていますね。ありがとうございます。
先ほど何かパンフレットもありましたけれども、ホームページで確認したいんですが、人事院のホームページのところに、国家公務員倫理審査会のホームページにQアンドAがあります。そこに、問い、Q4というところですが、「「利害関係者」について、詳しく説明してください。」との問いに対して、八つの例を出しています、こういうものが当たりますと。
確認なんですけれども、一番上にあります「許認可等の申請をしようとしている者、許認可等の申請をしている者及び許認可等を受けて事業を行っている者」、これが利害関係者に当たると書いてありますが、それで間違いありませんか。
○荒井政府参考人 お答えいたします。
御指摘の倫理規程二条一項一号におきましては、許認可等に関しまして、おっしゃったような者が事業者等となるというふうに規定をされているところでございます。
○今井委員 どうもありがとうございました。
そこで、今の三つの事業の会社、ありましたね。そのうちの一つの囲碁将棋チャンネル、総務省さん、よろしいですか、この囲碁将棋チャンネルの取締役に、菅正剛さん、いらっしゃいますね。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、株式会社囲碁将棋チャンネルの取締役のお一人に菅正剛氏がいらっしゃいます。
○今井委員 そうなんです。
今の理屈でいいますと、菅正剛さんは利害関係者だ、こういうことになりますね。取締役ですから、経営陣にいますので、この囲碁将棋チャンネルの取締をやっている菅正剛さんは利害関係者、こういうことにならざるを得ないと思うんですが、いかがですか。
○原政府参考人 お答えいたします。
今御指摘ありましたとおり、許認可に係る会社の役員ということでございます。
それで、元々は、総務省の方は、利害関係者じゃない、東北新社であると思って出席したわけですが、結果として、そこにそういう許認可のある方がいたということでございます。
いずれにいたしましても、今現在、事実関係を精査しておりまして、利害関係者ということについても、事実関係を整理した上で、公務員倫理審査会と調整しながら、そこで該当性については判断させていただきたいと存じます。
○今井委員 いや、済みません、今の御説明によると、どう考えても、菅正剛さんは利害関係者であるということをおっしゃっているんだと思うんですよ。
もう一度お伺いします。菅正剛さんは総務省にとって利害関係者ですね。
○原政府参考人 囲碁将棋チャンネルについて総務省は許認可があるということは御指摘のとおりでございます。
それで、先ほど調整と申し上げましたのは、この問題、今私どもは事実関係を一生懸命、土日返上でやっております。ちょっと、今の調査をしっかりやりまして、そういう事実関係を前提といたしまして、最終的に、人事院に報告してから、人事院が意見が要るということになっておりますので、そういう意味で私さっき調整と申し上げました。その中で利害関係性についても該当性について判断をし、しっかりと認定していくということでございます。
○今井委員 それはおかしいですよ。
今、私、人事院に確認したじゃないですか、許認可を受けて事業を行っている者は利害関係者に当たると。
まさに、囲碁将棋チャンネルはそういう事業をやっている会社であるとおっしゃったよね。それで、菅正剛さんはそこの取締役であるとおっしゃっているわけでしょう。利害関係者じゃないですか。それ以外あり得ないですよ。違うなら違う理由を言ってください。
こういうのをまさに利害関係者というんです。違いますか。
○金田委員長 総務省官房長原邦彰君、しっかり答えてください。
○原政府参考人 いずれにいたしましても、これは今事実関係を精査をしてございます。その上で、利害関係者に該当するかどうかという点については、最終的に、事実関係を前提とした上で、人事院と相談しながら該当性を判断するということでございます。(発言する者あり)
○金田委員長 総務省の官房長、原君、今までの質問者の指摘で、これが利害関係者に当たるというケースになるのかならないのかを端的に答えてください。
○原政府参考人 倫理規程では、許認可がある者は利害関係者というふうにされてございます。その上で、個別の当てはめは事実関係を前提として判断するということでございます。(発言する者あり)
○金田委員長 総務大臣は答弁ありますか。答弁ない。じゃ、ちょっと待ってください。
時計を止めてください。
〔速記中止〕
○金田委員長 速記を起こしてください。
それでは、まず、もう一度今井さんの指摘をいただいて、答弁をいただきます。よろしいですね。
それでは、どうぞ。今井雅人君。
○今井委員 もう一度確認します。
総務省が許認可を与えた事業の者で、国家公務員倫理審査会の基準に当てはめると、そういう事業を営む者というのは利害関係者に当たると。当然経営者を含むと思いますけれども、ということになると、この囲碁将棋チャンネルの取締役の方も当然利害関係者になるという、論理的にはそういう帰結になると思うんですけれども、その点について御答弁お願いします。
○原政府参考人 お答えいたします。
倫理規程上の利害関係者に該当するという疑義があることは否定できないと存じます。
○今井委員 疑義があることを否定できない。苦しい答弁ですが、ちょっと、そこまでしか今のところ言えないんでしょうけれども、テレビを見ていただいている方は、今日分かっていただけたと思うんです。一つ一つ積み上げていったら、菅正剛さんというのは今回の事案のまさに利害関係者なんです。そのことは否定ができないということです。
総理、今、私のやり取りを聞いていただいて、どうお感じになりました。
○菅内閣総理大臣 いずれにせよ、関わっている者が誰であっても、国民から疑念を招くようなことについてはやはり避けるべきだというふうに思いますし、ルールに基づいて、透明性の下で、総務省でしっかり対応してほしい、こう思います。
○今井委員 その上で、ちょっともう一点、僕は本当に不可思議だなと思うんですけれども、昨年の十二月の四日、十日、十四日と、吉田総務審議官、秋本局長、湯本審議官という、短い時間に三人もの方が菅正剛さんと会食をしているんですが、実はこの時期、どういう時期だったかといいますと、十一月二十五日に東京都が飲食店に時短要請をした後です。まさにそこから三週間。分かりますね。勝負の三週間のときです。この勝負の三週間が、十一月二十五日から十二月二十六日です。ですから、その間にこの三回の会食が行われたんですね。
このとき、政府も東京都の知事も、不要不急の外出は避けてください、控えてください、こういうことをおっしゃっておられました。そういう中で三日、連続で行かれるということは、不要不急じゃない用事があったということですね。その不要不急じゃない用事って、一体何だったんですか。そこが知りたいんですよ。
ただの懇親で行くはずないですよね。不要不急の外出は控えてくれと。あなた方も政府の人間ですよね。何の用事で行ったんですか。
○金田委員長 総務省……
○今井委員 いやいやいや、秋本さん、秋本さん、行った本人に、行った本人に聞いています。行った本人。秋本さん、湯本さん、いやいや……(発言する者あり)
○金田委員長 静粛に。静粛に。
○今井委員 どうして行ったんですか、こんな時期に。みんなに自粛を求めている、外出するなと言っている時期に何でわざわざ行ったんですか。全く理解ができないんですよ。何をしに行ったんですか。(発言する者あり)
○金田委員長 静粛にしてくださいね。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
会食に至った経緯も含めまして、国家公務員倫理審査会の助言指導を受けながら、総務省大臣官房の倫理、服務担当の調査を受けている最中でございます。私としては、その調査に真摯に対応させていただきたいと考えております。
○今井委員 そんなことを言っていると、本当に隠蔽していると思われますよ。
じゃ、ちょっと、簡単に、質問を変えます。
この会合は、先方から申し出て、申出ですか。いやいやいや、御本人たち。先方からの御申出ですか。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
先方からのお声がけに応じて、日程調整の上、参加をさせていただきました。
○今井委員 先方から誘われたけれども、断らずに三人とも行かれたということですよね。
それはどうしてですか。ひょっとすると、これは総理の御子息だから断るとまずいと思って行かれたんですか。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
菅正剛氏とは、木田由紀夫氏を介して平成二十七年、二〇一五年以降に名刺交換始め知己を得させていただきました。
会合につきましては、先週の予算委員会で官房長から御答弁差し上げましたとおり、平成二十八年七月二十日から、私の場合、会食を重ねさせていただきました。昨年の、私の場合、十二月十日で日程調整がなされまして会合に及んだということでございます。お声がけの中で木田様から菅正剛さんも参加されるという御案内をいただきました。少人数で、三人で十二月十日に会食をさせていただきました。これまでの会合と同様、会食の目的と申しますか、少人数で集まりまして、御本人又は両親のいずれかが東北出身者の懇親会という色彩が強い会食でございました。
○今井委員 じゃ、ちょっとお伺いします。これは質問通告していますので教えていただきたいんですけれども、こういうスター・チャンネルとか囲碁将棋チャンネルとか、こういう同業のBS事業を運営していらっしゃる事業者はたくさんおられますね。こういう関係者の方とも今回のように頻繁に会食をすることは今まであったんですか。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
ございません。
○今井委員 そういうことなんです。特別扱いなんですよ、菅総理の息子だけが。
総理、先日、御子息は別人格だとおっしゃいました。私もそう思います。私と子供とか親だって別人格です。それはそのとおりなんですけれども、もし、自分の息子さんが自分の肩書、御自分の、お父さんの肩書ですね、総理大臣の息子だからといっていろいろな優遇をされていたら、これはもう別の人格だとは言えません。これは、別の人格だと言ってそのまま知らぬ顔はできないということです。
もし、じゃ、総務省が、今聞かれましたよね、ほかの事業者ではこんなに頻繁に会食をすることはないんだそうですよ。しかも、こんなみんなに外出を控えてくれと頼んでいるときに、審議官ですとか総務審議官、局長、こんななかなか普通の人では会えないような方が一週間で三回も会食をする。これは普通に考えたら、やはり総理の息子だから断れぬなといって行ったとしか私は思えないですね。そういう忖度がもしあったら、それは倫理的に問題なんじゃないでしょうか。
○菅内閣総理大臣 私自身の長男であるからとか、誰であっても、やはり国民から疑念を抱かれるような行動は、ここは控えるべきだというふうに思います。特に不要不急のときでもあります。
いずれにしろ、ルールに基づいて、透明な形で総務省でしっかり対応してほしい、こういうふうに思います。
○今井委員 そういう人ごとにならないで……(菅内閣総理大臣「いやいや」と呼ぶ)いやいや、是非しっかりと調査をさせてください。
今日、法務省もいらっしゃっていただいていますか。
一件ちょっと確認なんですが、刑法百九十七条に、収賄という項目がございますね。そこにこういう規定があります。「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。」こういうことがありますが、お尋ねですけれども、この賄賂というものには、例えば、飲食のような接待ですとかお土産を供与されるとか、こういうものも含まれるんでしょうか。
○川原政府参考人 お答えを申し上げます。
個別の案件におけるものにつきましては、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいのですが、あくまで一般論として申し上げますと、今御指摘の刑法の収賄罪における賄賂とは、公務員の職務に対する不法な報酬としての利益をいい、利益は、財産上の利益にとどまらず、およそ人の需要、欲望を満足させるに足りるものであればよいとされておりまして、例えば金銭、財物、それから今御指摘の接待供応等が財産上の利益として賄賂になり得るものと承知しております。
○今井委員 そういうことなんですね。この飲食の接待とかお土産は賄賂になり得る、なるというところまでは分かりませんが、なり得るんです。
ですから、先ほどの利害関係者の話もそう、この刑法のことでもそうなんですけれども、相当これは大きな問題をはらんでいる可能性があるということです。確定はできませんよ。私も、その中でどういう会話がなされたのかとかを教えてもらえませんので、判断のしようがないんですけれども、中でそういう会話がなされていたとすれば、これは大変な問題です。ですから、襟を正すというためにも、このことをしっかり解明しなきゃいけない。
私は、もちろん、それは役所の中で調査されるのもいいですよ。でも、自分の、内部調査でしょう。私たち国会だって、そういうことを調査する権利はありますよ。ですから、今日、事実関係をお伺いしたいと思って、東北新社の菅正剛さん、参考人で来ていただけないかということでお願いしたんです。それから、谷脇総務審議官、それから吉田総務審議官、それと、以前この総務省におられた、今、内閣広報官をやっていらっしゃる山田さん、この方たちに来ていただいて、実際いろいろなことが、どういうことが起きたのかということをお伺いしようと思ったんですが、どなたも呼んでいただけません。
委員長、やはり、今御説明したとおり、いろいろな問題をはらんでいます、これは。ですから、我々は真相を解明しなきゃいけない。是非、今申し上げた参考人の方を呼んでいただきたいと思います。
○金田委員長 ただいまの点につきましては、引き続き、理事会で協議をさせていただきます。
○今井委員 もう少しだけお伺いしたいと思います。
秋本局長、秋本局長は、過去に四度食事したというふうにおっしゃっていましたね。今回のこの十二月の事案に関してだと思うんですけれども、返金をしたというふうにおっしゃっていますが、その前の三回の分は返金されたんですか。どっちですか。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
十二月十日の事案を除き、過去三回同席をさせていただいたとき、会食当日に負担額をお伺いし、その場で現金でお支払いをしております。
○今井委員 そういうことなんですね。よく分かりました。
そうすると、今回だけはごちそういただいたということですね。それは何か理由があったんでしょうか。
○秋本政府参考人 特に理由はございません。当日お支払いをすべきであったと今は深く反省をしております。
○今井委員 それと、先日、後藤委員の方から質問があって、まだ答えていただけていない件がありまして、現在内閣広報官をやっていらっしゃる山田真貴子さんが菅正剛さんとかつて会食をしたことがあるかどうかということをお伺いしておりますが、これについてもお願いします。
○原政府参考人 委員から御指摘いただきましたので、私、山田広報官に部下を通じて確認をいたしました。現在、本人に連絡を取っているところであり、相手方もあることから、迅速かつ正確に確認を進めてまいりたい。
なお、現時点で確認できる範囲でのお答えとなりますが、本人に、山田広報官本人にですね、本人に確認したところ、菅正剛氏と会食をしたとの明確な記憶がないとのことでございました。
○今井委員 もう一問だけ確認させてください。これで今日、この話はもう終わります。
今回、四名の方が会食に行っていらっしゃいますが、秋本局長、ほかの方も正剛さんとその時期に会食に行くということは、あるいは行ったことは御存じでしたか。
○秋本政府参考人 お答えいたします。
ほかの職員がいつ会食するかについては全く存じ上げませんでした。
○今井委員 ありがとうございました。
ちょっと、私は今日ここまでにしておきますけれども、今聞いていただいたとおり、いろいろな疑義がありますので、これはもうこんなところでは終わることはできませんから。
この問題を、総理、最後に、今調査しているじゃないですか。これはやはり衆議院で予算をやっている間に出してもらわないと、僕らはやはりこれは採決できないですよ。そういうふうにちょっと指示していただけないですか。予算をちゃんと審議をし、最終的に通過していくために、その前に調査を出してくれるように指示していただけないでしょうか。
○菅内閣総理大臣 そこについては、いずれにしろ、手続を踏んで、透明なルールの中でしっかり対応してくれる、このように思います。
○今井委員 重ねてなんですけれども、今問題になっている例の鶏卵の疑惑、吉川元農水大臣の。
総理のあれですかね、御同期でしたっけ、違うんでしたっけ。何か、選対の事務局長をやっておられたとかって伺ったんですけれども……(発言する者あり)ちょっと済みません、僕もちょっと聞きかじりで、間違っていたら済みません。
これの、今、第三者委員会の調査もしているんですね。実はこれはこの予算に関連していまして、鶏卵生産者経営安定対策事業って、三年度も五十一億か五十二億円ぐらい予算計上されているんです。ですから、予算を審議するに当たっては、この予算が適切にこうやって計上されているのかどうか、これは実は物すごい関係があるんですね。
ですから、これも予算を最終的に採決する前に明らかにしていただかないと、この予算が適切かどうか分からないんですよ。これも出していただけるようにちょっと指導していただけないですか。
○菅内閣総理大臣 農林水産省においてできるだけ速やかに調査を行っているものと承知をしております。
いずれにしろ、しっかり対応したいと思います。
○今井委員 これはお願いしますね。予算採決前にこの二つのことはちゃんと明らかにしていただきたい、そのことを強く申し上げておきます。
それと、実は今、河井克行元法務大臣の選挙買収の公判が始まっておりまして、そこで調書がいきなり読まれたんですけれども、その調書の中に、陣営の元会計担当者が、自民党本部から提供された資金が原資だったという調書が読み上げられました。
総理はこれまで、適切な手続に基づいて交付されたので特段問題はないとおっしゃっておられましたけれども、手続上はそうなんです。しかし、もしそういうお金が買収のお金に使われたということになると、これはやはり倫理的にはとても問題ですよね。だって、お金がなかったら配れないんですから。お金をもらっちゃったから配ったんですよ。そういうことを引き起こした、結果的にはそうなったということの責任はお感じになりませんか。
○菅内閣総理大臣 現在、自民党総裁の立場でありますので、あえて発言をさせていただきます。
御指摘の資金は、支部の立ち上げに伴い、党勢拡大のための広報紙を全県に複数回配布した費用に充てられたと説明があったという報告を受けています。
いずれにしろ、使途の詳細については、検察当局に押収されている関係書類が返還され次第、これは党に公認会計士がおりますから、内規に照らして監査を行い、しっかりとチェックをしてもらうことになっています。
○今井委員 ちょっと私の質問に答えていただいていないんですけれども、もしその公判で出ていることが事実だとしたら、結果的に買収資金に使われたことになるわけですね、結果的には。
まず、交付するときはそういう意図はなかったのかもしれませんが、そうすると、結果的にやはり一億五千万円も交付したことがこの事案を招いたとも言えなくはないですね。そういうことについて、何かお考えはないですか。
○菅内閣総理大臣 まず、現在行われている裁判の中のやり取りのことですから、それについて行政の長として何か申し上げることは、まずここは控えるべきであると思います。
そういう中で、自民党総裁としてあえて申し上げれば、私が先ほど申し上げたとおりでありまして、検察当局に押収された書類、関係書類が返還された際に、党の公認会計士が内規に従ってしっかり監査を行い、チェックをすることになっています。
○今井委員 お答えいただけないので残念なんですけれども、ない袖は振れませんからね。お金をもらってしまったから配ったんですよ。そういうところに是非責任を感じていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。
もう一点ですね。もうこれは四年も五年もやっているんですけれどもなかなか決着しない森友学園の問題なんですが、実は今月の二月八日に、亡くなられました赤木さんの妻の方が大阪地裁に提訴をいたしました。何を提訴したかというと、いわゆる赤木ファイル、これを国側から提出してください、国側に提出するようにという提訴をしているんです。
覚えていらっしゃると思いますが、これは、生前、赤木さんが、これを見たら我々がどういう過程でやったのか全部分かる、こういうふうに発言しておられたファイルです。ところが政府は、これが存在するのかしないのか、その存否すら答えません。ちょっとひどくないですか。ないならないと言ってもらえればいいんですよ。
財務大臣、これはその存否ぐらいは教えていただけないでしょうか。
○麻生国務大臣 今のファイルにつきましては度々御説明申し上げておりますけれども、これは現在係属中の国家賠償請求訴訟というものがやられている最中なのは御存じのとおりです。
したがいまして、その存否も含めて求釈明事項の対象となっております上、文書提出命令の申立てがなされているということから、訴訟の一方的な当事者である国としては、従来より訴訟に関わることは訴訟外でお答えすることは差し控えておりますというのは度々申し上げているとおりです。
○今井委員 それでは質問を変えます。
裁判所から提出を求められたら提出をしますか。
○麻生国務大臣 今申し上げたとおりなんですが、お尋ねの件ですけれども、これは国家賠償請求訴訟の係属中でありますから、訴訟に関わることであるためコメントを差し控えたいということにしかならないと思っております。
○今井委員 いやいや、内容のことを言っているんじゃなくて、裁判所からの要請があったら、じゃ、ファイルという言い方は変えますよ。裁判所から要請があったものにはその要請に応じるということでよろしいですか。
○麻生国務大臣 裁判所から請求があったらという御前提ですか。仮定の問題ですので、お答えいたしかねます。
○今井委員 どうしてそんなに隠すんです。(麻生国務大臣「係争中だから」と呼ぶ)いやいや、存否ぐらい別に明らかにしたって何にも問題ないじゃないですか。ずっと隠し続けてもう数年。まだ隠しますか。なかなか大したものです。感服いたしました。
もう大分時間がなくなってまいりました。あと一問か二問。
菅総理にちょっとお伺いしたいのは休業支援金の件ですけれども、一月二十九日だったと思いますが、うちの川内委員と一緒にお会いになっていただきましたよね。随分前向きな答弁をしていただいたので、ああよかったなと思ったんです。
ところが、先週の末、厚生労働省から公表されたのは、大企業にお勤めの一定の非正規雇用労働者の方についても新たに休業支援金・給付金の対象とすることを発表しました。よかったなと思ったんですよ。ところが、その下を見ていきますと、令和二年四月一日から六月三十日までの休業、この三か月に限る、それ以外は駄目よと。しかも、その間の分も休業前の賃金の六〇%。普通の方は八〇%もらっているんですね。だから、四月から考えると、今まで対象だった方は、十か月あったとしたら毎月毎月もらっているわけです、八割。でも、今回の方たちは三か月に限り六割しかもらえないんです。どれぐらいの差だと思います。約二割です、約二割しかもらえないんです。
今、ネット上でも随分これで抗議運動が始まっていまして、ハッシュタグ何というか、御存じですか。総理、話が違うじゃない、こういう運動が今巻き上がっています。当事者の人たちも声が届いていまして、うっと喜んだら、がくんとした、何だこれは、どうしてこんな中途半端なことをされるんだと。
どこの企業に働いていても非正規の人達はみんな一緒なんですよ。大企業で働いていようが、中小企業、零細だろうが、みんな一緒なんですよ、同じ苦しみを抱えているんですよ。なぜ差をつけるんですか。そんな大した金額じゃないでしょう。それぐらい面倒を見てあげたらどうですか、総理。ちょっと田村さん、ちょっと待ってください。総理が直接官邸でお会いしていただいて、約束いただいたんでしょう。あの約束はどうしたんですか。話が違いますよ。ちょっとお願いします。
○菅内閣総理大臣 私は、その際は現状を伺っただけでした。現状を伺う中で、やはり必要だということで、判断をさせていただきました。
そして、詳細については、厚生労働省で、国民の皆さんからいろいろな質問を受けてもしっかり対応できるような形の中で考えた結果であります。
いずれにしろ、厚生労働大臣から詳細に説明をさせてください。
○田村国務大臣 まず、もう御理解いただいていると思いますが、休業支援金は、本来は雇調金、雇用調整助成金を受けられるけれども、それを受けられなかった方です。
その上で、一点ちょっと違うのは、この四月、五月、五月に緊急事態宣言が終わっていますので、その後の一か月という意味では、今回と同じ意味合いです、一月の八日から三月までという。その上で、さらに、その前に北海道や大阪で一部時短がかかっていますよね、時間短縮が。そういう方々は、エリアを限定してその期間から対象になります。
なぜ六割かという話でありますが、実は、中小企業は解雇していなければ十分の十雇調金が出ます。ですから、そういう意味では、十分の十もらう、さらには八割の方もいたかも分かりません。一方で、大企業はそもそも十分の十出ておりませんので、そういう意味からすると、六割しか雇調金自体が出ていない方々もたくさんおられるんです。
となると、雇調金の代わり、しかも大企業という話になりますと、八割というと、雇調金をもらっている方々よりもたくさんもらわれる方々もおられるということになりますので、ここはバランス、雇用調整助成金とのバランスを考えると、やはり六割ということであろうということで、そのような判断をさせていただきました。
○今井委員 時間が来ましたから終わりますが、ちょっとやはり冷たいと思いますよ。やはり、本当に困っている人の声をよく聞いて政策を考えてください。
終わります。
○金田委員長 これにて野田君、西村君、大河原君、近藤君、斉木君、今井君の質疑は終了いたしました。
次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
二月十三日の夜中、福島県、宮城県で震度六強の地震が発生しました。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。被災者の救助と、避難所等での新型コロナウイルス感染症対策、被害の復旧など、政府の迅速な対応を求めます。
それでは、質問に入ります。
まず、森会長発言問題について伺います。
二月三日、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかるという女性蔑視発言を行った東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長に対して、厳しい批判が国の内外から寄せられ、二月十二日、森会長は辞任すると表明しました。四日夜から始まった抗議の署名は、十日までに十四万筆を超えました。
森会長の辞任は当然です。しかし、これで終わりではありません。森会長の発言は、日本社会にある女性差別の構造的なゆがみをあぶり出しました。長年にわたり職場や家庭などで差別され、セクハラやパワハラ、暴力に苦しめられてきた女性たちを始め、様々な差別を受けながら黙らされてきた人々をおとしめる発言でした。
日本社会の在り方そのものを変えなければならないという声が広がっています。ジェンダー平等社会を実現することが強く求められています。菅義偉総理大臣の御認識はいかがでしょうか。
○菅内閣総理大臣 この森前組織委員長の発言を契機に、まさにこのジェンダー問題というのは、日本で解決をしなきゃならない一つの大きなきっかけにして、これから政府としても更に一層、全体を通して、女性の登用、女性と男性のバランス、そうしたものをやはりしっかり頭に入れながら対応していきたい、このように思います。
○畑野委員 総理からはジェンダーということが言われました。
森会長発言の出た場というのはどういうところだったか。女性理事の割合を四〇%以上にしようと日本オリンピック委員会が取り組んでいる、その臨時評議員会の場で出されました。森会長が述べたのが、テレビがあるからやりにくいが、女性理事四割は、これは文科省がうるさく言うんでねと言って、先ほど紹介した女性差別、女性蔑視発言になりました。
パネルを御覧ください。女性理事の目標割合四〇%以上、これはスポーツ庁の、スポーツ団体、中央競技団体向けのガバナンスコードです。
橋本聖子大臣に伺います。
この基になったのは、ブライトン・プラス・ヘルシンキ二〇一四宣言を行った第六回世界女性スポーツ会議の勧告です。スポーツ組織、団体における意思決定の地位における女性の割合が二〇二〇年までに少なくとも四〇%に引き上げられるべきだといたしました。その二〇一四宣言について、二〇一七年には、スポーツ庁や日本オリンピック委員会、日本パラリンピック委員会など五つのスポーツ機関、団体が合同で署名をしております。
ここに来るまで、オリンピックにおけるジェンダー平等を求める長い闘いの歴史がありました。一八九六年の第一回アテネ大会は、男性のみが参加が許されて、女性は参加できませんでした。女性が選手として初めて参加できるようになったのは、一九〇〇年、第二回パリ大会からです。女子マラソンが始まったのは、一九八四年、第二十三回ロサンゼルス大会。二〇一二年の第三十回ロンドン大会でボクシングに初めて女子種目が加えられて、ようやく全競技で女性の参加が可能になりました。
いかなる種類の差別も受けないと、オリンピック憲章も発展してきたんです。こうした歴史があって、日本オリンピック委員会は、女性理事、今二〇%ですけれども、四〇%以上にしようと取り組んでおられる。
オリンピック・パラリンピックの開催地の責任というのは、世界にオリンピックの理念を示すモデルになることでしょう。東京大会に求められたアジェンダ二〇二〇の大きな改革の一つは、ジェンダー平等ですよ。それに反する女性蔑視発言を大会組織委員会の会長が行うとは、そもそも東京オリンピック・パラリンピックを開催する資格が問われる大問題だと言わなくてはなりません。
担当大臣として、橋本大臣、そういう御認識ですか。
〔委員長退席、山際委員長代理着席〕
○橋本国務大臣 お答え申し上げます。
この度の森会長の発言は、オリンピック・パラリンピックの重要な理念である男女共同参画とは全く異なるものでありまして、あってはならない発言だというふうに考えております。森会長は、御自身の発言について熟慮の上、十二日、大会組織委員会の合同懇談会におきまして辞任を表明されたと理解をしております。
また、この度の発言を受けて、理事会等の女性比率の向上に取り組むとともに、男女平等を推進するチームを立ち上げることとしたことを承知しておりますけれども、男女共同参画という理念に沿った大会となるように努めていかなければいけないというふうに思っております。
オリンピック・パラリンピックのオリンピズム、根本原理、これは多様性と調和であります。いかなる差別があってはなりませんので、こういったことをしっかりといま一度推進をして、早期に信頼回復を図り、新しい体制に向かっていかなければいけないというふうに思っております。
○畑野委員 本当に遅かったと言わなくてはなりません。
それでは、一方で政治はどうなっているかということが問われます。
男女共同参画基本計画の問題です。これは、計画を作られるのは総理大臣でいらっしゃいますから、菅総理の責任も重大です。
パネルの右を御覧ください。
安倍政権の二〇一五年の第四次男女共同参画基本計画では、社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも三〇%程度になるよう期待し、引き続き更なる努力を行うとしていましたが、達成できませんでした。そのときの官房長官は菅総理でいらっしゃいます。菅内閣になって、二〇二〇年十二月の第五次男女共同参画基本計画では、二〇二〇年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が三〇%程度になるよう目指して取組を進めるとしたわけです。
二〇二〇年代の可能な限り早期に、曖昧ですよね。はるかかなたの目標にしてしまった。「少なくとも三〇%程度」の「少なくとも」というのも外されました。菅総理、このままの水準でよいのでしょうか。変えるべきではありませんか。
○菅内閣総理大臣 まず、第四次計画に掲げていた二〇二〇年に三〇%、この目標に、政治分野、経済分野を中心に進捗が遅れ、その達成が厳しい状況にあることは、まさに率直に反省すべきであるというふうに思います。
そして今、五次男女共同参画基本計画について言及がありました。二〇年代の可能な限り早期に指導的地位における女性の割合を三〇%程度になるよう、ここは政府一丸となって取り組んでいきたい、このように思います。
○畑野委員 ジェンダー平等への姿勢が問われると思います。これは変えることができるわけですから、今の政治も本当に変えなくちゃいけない、そのことを強く求めておきたいと思います。
次に、少人数学級について伺います。
子供たちに行き届いた教育をと、少人数学級、三十人学級を求める運動は、保護者や教職員、市民の皆さんが何十年にもわたって求めて、国会には多くの署名が積み上げられてまいりました。二十二年前、私の国会議員としての初質問も三十人学級で、以来取り組んでまいりました。
政府は、全国の小学校について、現在の四十人学級を四十年ぶりに人数を引き下げて、全学年での三十五人学級へと順次改める法案を今国会に提出されました。総理は施政方針演説で、現場で子供の状況を把握し、一人一人にきめ細かい教育を実現しますとおっしゃられました。
伺いますけれども、今回、小学校全学年での三十五人学級に踏み切った総理のお考えはどうなんでしょうか。
○菅内閣総理大臣 今回、公立小学校について、四十年ぶりに学級人数の大改正を行い、三十五人学級を実現いたしました。三十五人学級によって、ICTの活用をしながら学校現場で子供の状況を把握をし、一人一人にきめ細かな教育、これが可能になると思っています。その際に、外部の人材の活用、社会人の採用、教師の計画的採用などにより教員の質の確保を図って、引き続き指導体制の効果的な強化充実に取り組んでいきたいと思います。
〔山際委員長代理退席、委員長着席〕
○畑野委員 総理は、一人一人にきめ細かい教育をとおっしゃっていただいて、総理も私と同じそういう認識に立っていただいた、この点は本当に前向きに評価をしております。
現場からは、本当に少人数学級はいいんだ、例えば、学級担任が日常的に子供たちの状況を、学ぶ到達度を見ることができて、必要な支援ができる、それから、向き合う時間が確保できるので生活習慣も本当に定着しやすいんだというお話を伺っております。ここは本当に前に進めていく必要があると思うんです。
しかし、今回、三十五人になるまでに四十年もかかった、じゃ、三十人学級に一体何年かかるんですか、こういう声も出ております。
パネルを御覧ください。一クラスの子供の人数の上限についての国際比較です。小学一年生は、アメリカの例で二十人、ドイツの例で二十九人、日本は三十五人。中学一年では、アメリカの例で三十人、ドイツの例で三十人、日本は四十人です。こんなに多いんです。
総理、世界の流れは三十人学級、二十人程度の学級です。今回一歩踏み込んだわけですから、日本で更に前に進むべきだと思います。小学校三十五人にとどまらず、中学校でも三十五人に進むべきではありませんか。
○菅内閣総理大臣 まず、今回、四十年ぶりに三十五人学級を実現できるようにしました。まず、この三十五人学級を実施する中で、少人数学級の教育に与える影響だとか外部人材の活用の効果、こうしたことについてしっかり検証を行った上で、その結果も踏まえて、望ましい指導体制の在り方について、これから引き続きしっかりと検討していきたいと思います。
○畑野委員 そうすると、菅総理、その検討の中には当然中学校も入ってきますよね。
○菅内閣総理大臣 今、私、中学校を念頭に申し上げました。
○畑野委員 中学校もということでよろしいですね。初めて言っていただきました。ありがとうございます。
これは大事な御答弁です。本当に中学校は大変なんですよ。小学校に比べて学校の規模も大きいし、学区も広くなるし、そして進路の問題はあるし、友人関係も複雑だし。そして、不登校も、小学校六年から中学校一年になるとぐんと増える。本当にきめ細かい支援が必要になってくるわけです。
是非、少人数学級は何よりも子供たち、そして保護者、教職員、教育研究者、知事、市町村長、みんなの願いですので、一日も早く前進をしていただきたい。
中学校はやっていただける、検討すると言っていただきましたので、是非進めていただきたい、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
○金田委員長 この際、田村貴昭君から関連質疑の申出があります。畑野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
この度の福島県沖で起きた地震によって被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます。政府が被災者、被災自治体に寄り添って対策、支援を行うことを強く求めます。
では、質問に入りますけれども、通告をしていました鶏卵大手企業と元農林水産大臣の贈収賄事件については、発言通告をしていましたけれども、要求していた資料の一部がまだ出されていません。それから、吉川、西川両元農水大臣の国会招致も決まっていませんので、次回以降とさせていただきたいと思います。野上農水大臣は退席していただいて結構です。
馬毛島の基地建設について、菅総理に質問します。
パネル資料を御覧ください。
馬毛島は、鹿児島県種子島の西側約十キロに浮かぶ島であります。貴重な植物が茂り、希少動物のマゲシカの親子が走り回り、島を囲む海はトビウオが跳ね回り、イセエビやミズイカ、トコブシが豊富に捕れる漁場であります。政府はこの島を百六十億円で買収し、米軍空母艦載機の地上離着陸訓練、FCLP施設並びに自衛隊基地の建設をしようとしています。
総理に伺います。
総理、私は去年の二月十八日、この予算委員会で、当時官房長官だった菅総理とこの問題で議論しました。米軍戦闘機の訓練は種子島の住民に耐え難い騒音をもたらし、住民が強く反対していること、また、買収に関わる様々な問題があることを指摘して、中止を求めました。当時の菅官房長官の答弁は、「地元の皆さんの御理解を得るべく対応していきたい」でありました。
総理、この答弁を今も覚えておられますか。
○菅内閣総理大臣 もちろん覚えております。
○田村(貴)委員 一月三十一日、馬毛島の基地建設が最大の争点として戦われた西之表市長選挙で、現職の八板俊輔市長が再選されました。
八板市長は、二月二日、岸防衛大臣宛てに要請書を送っています。大臣、どのような要請だったんですか。
○岸国務大臣 お答えいたします。
お尋ねの、二月二日付の西之表市長からの要請書における具体的な要請内容でございますが、主に三点ございます。
一つ目は、詳細検討及び外周道路の整備に係る入札行為の撤回、二点目は、海上ボーリング調査の中止、三点目は、環境影響評価を実施しないことであると認識をしております。
○田村(貴)委員 要望はその三点です。
そして、大臣、大事なところがこの要請書に書かれている。それは、市長が地元の理解は得られていませんと書いているところなんです。
なぜ理解が得られていないのか。
米空母艦載機離着陸訓練というのは、陸上の滑走路を空母の甲板に見立ててタッチ・アンド・ゴーを繰り返し、すさまじい爆音をまき散らします。一回の訓練で十日間程度、飛行回数は二千回から三千回にも上るとされています。訓練は朝から深夜三時まで続き、数分置きにひっきりなしに飛び続けます。
さらに、政府は、島の全部を基地化し、陸海空の自衛隊によるあらゆる訓練、演習を予定しています。米軍、自衛隊を合わせた戦闘機の訓練は年間約百五十日を見込んでいます。まさに年がら年中訓練を行う大基地計画であります。したがって、種子島の住民が大きな不安を抱いているのは当然のことであります。
西之表市議会は、昨年の十二月定例市議会で、FCLP移転と自衛隊整備計画の撤回を求める意見書を可決しました。そして、さきの市長選挙で、基地建設で失うものが大きい、基地は容認できないと訴えた市長が基地受入れ容認の候補に勝って再選されたのであります。明確な民意が示されたわけであります。
総理は、地元の理解と協力が必要だと言われました。しかし、市長が地元の理解は得られていないと述べている以上、基地建設に踏み出すことはできないのではありませんか。総理、いかがなんですか。
○菅内閣総理大臣 地元の皆さんの御理解と御協力をいただくように努力をする、そうしたことに尽きると思います。
○田村(貴)委員 理解と協力に尽きると言われました。しかし、総理、政府と防衛省、そして地元の自治体との溝は深まるばかりではありませんか。
西之表市長は、この一年余りの間に防衛大臣に何と三回も質問書を送っています。そうですね、大臣。そして、二回抗議文を出していますよね。それは、土地の買収にしても基地の設計にしても、地元に何の説明もないままに始めたからであります。自治体、住民の頭越し、なりふり構わぬそのやり方に地元の理解が得られないのは当然のことなんです。
西之表市には、元々、馬毛島の地理的、そして自然条件を生かした活用計画があります。パネル資料を御覧いただきたいと思います。宇宙関連事業、自然・文化施設の設置、島における体験活動の実施などであります。現に馬毛島では、毎年、小中高生を対象にした体験学習が実施されています。
八板市長は、基地経済に依存しないまちづくりを推進することにこそ持続可能な社会への希望があります、将来にわたって島の子供たちが安心して生活できる島を築くことが今を生きる者の責任であると私は考えます、このように述べておられます。ここを市民が支持しているわけであります。
総理にお伺いします。
基地建設は地元が願う未来と違います。総理は、地元の皆さんの理解、協力を得るべく対処していく、対応していくと述べられました。であるならば、地元の理解を得ずに一方的に進めることはしないと、この場で断言していただけませんか。総理、いかがですか。
○岸国務大臣 まず、委員のおっしゃるとおり、地元の理解と御協力をいただくというのは大変重要なことだというふうに思っています。
その上で、馬毛島におきます自衛隊の施設につきまして、我が国の南西防衛、また、米軍の空母艦載機の着陸訓練を実施することになりますと、日米同盟の強化に大きく貢献する重要なものであります。
馬毛島における自衛隊の施設の整備については、地元の方々から様々な御質問、御要望が寄せられております。各種調査検討を進めつつ、改めて説明を聞きたいという市民団体からの要望書も防衛省に送付をされているところです。
こうした地元の皆様の御疑問に十分答えていくためにも、様々な調査検討を進めて、事業の進捗に合わせてその内容を改めて皆様に御説明したい、このように考えておるところでございます。
詳細検討、海上ボーリング調査、環境影響評価については、いずれも、地元の方々より、詳細に防衛省の考えを説明するために必要な事業でございます。
また、外周道路の整備についても、馬毛島における自衛隊設備の整備とは別に、国有地の適切な管理のために必要なものであると思います。
○田村(貴)委員 そういうことを地元と、住民の頭越しにやっているから理解が得られないと言っているんですよ。
総理、昨年末に防衛省が地元で説明会をやっているんです。そのときに一人の高校生が述べた意見を、八板市長が雑誌の寄稿で紹介しています。高校生の声です、聞いてください。
離島の高校生は、就職だったり進学だったり、一度島を出ます。島を出た後、帰ってきたいかどうかが本当に重要なので、帰ってきたくないような島にはしてはいけないと思うんですね。僕の同世代で、島を出た後に馬毛島に基地ができたら、種子島に帰ってきて家を建てて住むということにはしたくないなと言っている人が僕の身の回りにもいます。経済的な豊かさだけを求めるなら、若い世代は外に就職をして家を建てて、都会で暮らせばいいと思うんです。種子島にある豊かさというのは、自然だったり人だったりと思う。そういうものを守っていくということが、帰ってきたいなと思うような島になって、種子島が、僕の大好きな種子島が続いていくということにつながると僕は思います。
総理、この高校生の思いを受け止めるべきではありませんか。
○菅内閣総理大臣 そうした声も一つの大きな声だというふうに思います。それとまた、賛成の方も反対の方もいらっしゃる、そういうことも、私、承知をしております。
いずれにしろ、先ほど申し上げましたように、やはり市民の皆さんの理解と御協力をいただくことが極めて大事だというふうに思っていますので、そうしたことができるようにまずは全力を尽くしていきたい、こういうふうに思います。
○田村(貴)委員 総理は、それから岸大臣は、種子島、それから防衛省が取得している馬毛島に行かれたことはありますか。
私、何度も種子島に行ってまいりました。夜、本当に静寂な島なんですよ、星がきれいで。そういう島で、夜中の三時まで、防衛省の説明でも夜中の三時までFCLPをやるんでしょう、戦闘機が飛ぶんでしょう。そして、十キロ圏内でその上空を飛ばないというあかしはどこにもないんですよ、米軍が約束しているわけじゃないんだから。そういうことを是非想像していただきたいというふうに思います。
馬毛島には、まだ学校の校舎がそのまま残されています。かつてここで学んで、そして農漁業を営んで、家族で暮らしたたくさんの思い出が今も種子島の島民の心に刻まれています。この島には特別な思いがあります。しかし、島の全部を買い取ってしまい全基地化してしまうのであれば、これはふるさとを奪ってしまうのも同じなんですよ。
市長選で、市民は基地建設の選択を迫られて、悩みました、戸惑いました。
テレビの報道番組、私、この間、ローカルの番組を見たんですけれども、西之表市にある区長さんがこう語っておられました。総理、聞いてください。馬毛島の話が出なければ仲がいいのに、馬毛島の話になると賛成か反対になっちゃう、それが嫌だねと。気持ちが分かりますか。無用の対立と分断を持ち込んでいるのは政府なんですよ。
離島の住民にこんな思いをさせて、総理、心が痛みませんか。どうですか、分断と対立。今、住民は、島民は困っているんです。いかがですか。
○岸国務大臣 先ほども申しまして繰り返しになりますけれども、地元の皆様の御理解と御協力をいただくことは大変重要だというふうに思っております。このため、防衛省としては、今後とも、作業の進捗に応じて一つ一つの説明を積み重ねまして、地元の理解が広がり、より多くの協力を得られるように最大限の努力をしてまいりたい、このように思っております。
○金田委員長 田村貴昭君、時間が参りました。
○田村(貴)委員 分断と対立、これは不幸をもたらしているんですよ、政府の行為によって。総理、答えてください。
○菅内閣総理大臣 今、防衛大臣が言ったとおりであります。
地元の皆さんによく説明をさせていただいて、御理解と御協力をいただけるようにしっかり取り組んでいきたいと思います。
○金田委員長 田村貴昭君、時間です。
○田村(貴)委員 納得できません。理解とそして協力を得ると言いながらずっと説明しているんだけれども、地元の理解は得られていないと再三繰り返して市長が抗議し、そして質問を出し、そして選挙で民意は示されたわけなんです。基地は断念すべきです。
馬毛島取得を中止し、基地建設を直ちにやめることを求めて、質問を終わります。
○金田委員長 これにて畑野君、田村君の質疑は終了いたしました。
次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。
まず、コロナ対策についてお伺いをさせていただきます。
報道等でもありますし、国会でもいろいろな質疑の中で同じようなことが言われていますけれども、時短要請に応じた飲食店に対する協力金、一日最大六万円のやつですけれども、これについて様々な声があるということは、政府の皆さんも御承知をいただいていると思います。
中には、もらい過ぎだと、私たち、こんなにたくさんもらっても仕方がないということで、あるピザ屋さんなんかは、ピザを無償で作ってそれを提供したり、あとランチを病院に無償提供したりする。一日六万円というのは余りにも業態的に大き過ぎるということで、いただけるのはありがたいけれども、やはり何か地元の役に立てたいということで、そういう活動をされている事業者の方々もいらっしゃいます。
更に言うと、その事業者に仕入れているところとかが、やはり休業してしまうと仕入れ先の収入も減るということで、わざとそういう発注をして、みんなでその痛みを分かち合うということの意味も込めて、そういうことをされている事業者もたくさんある。
その中でやはり、これじゃ足りないというところと、少ないというところと、もらい過ぎだと、自分たちはこれはもらい過ぎだと正直におっしゃっているところとあります。こういう声、いまだにたくさんありますけれども、これは当初から不公平な制度だというふうに言われていますけれども、これをどういうふうに是正していくのか、今お考えがあるでしょうか。
それともう一点。このコロナの自粛が始まってから、もちろん様々な政策を打っていただいて、助かっている方々もいらっしゃいます。その中の一つで、日本政策金融公庫から借入れをして、返済期限が実は半年とか一年というのが多いということですけれども、一年の場合はもうすぐ来る、半年はもう始まっています。
ところが、このコロナが、コロナ禍がずっと、第三波も来て、まだ長引く状態になって、その当初は、返済になる頃には落ち着いているだろうということでやっていたと思うんですね。ところが、返済の期日とコロナが落ち着かないというのがあって、返済できない。よって、返済の期日を延ばしてほしいという声があります。
そういう声を受けて、政府では、そういう返済を後ろにやるということを認めています。認めていますけれども、実際にそれを、じゃ、現場でやってくれているかというと、やってくれない、それで困っているという事業者があります。
そういった声に対して、いま一度、政府からこれは通達も出されているんですよね、わざわざ、そういう声があるというのを分かっていらっしゃるようで。ところが、なかなか現場では期日の延期をしてくれないという声がありますので、改めて、ここで、国会の場で、しっかりとそれができるんだという明言をしていただけたらと思います。
○西村国務大臣 まず、私から、協力金の対応につきまして答弁申し上げたいと思います。
御指摘のように、一日最大六万円ということで、月額換算百八十万円の支援をできることになっております。これは実は、都道府県の判断で、小さなところは二万円とか三万円とかといったことも可能にしておるんですけれども、支援の迅速性という観点からそういった対応をされています。それから、大企業に対しても、店舗ごとに対応ということで、十店舗持っていれば、百八十掛ける十で一千八百万の支援があるわけであります。
そして、もうよく御存じのとおり、雇用調整助成金も、アルバイト、パート含めて、一人月額三十三万円まで、その従業員の数に応じて休業手当を一〇〇%、大企業も支援をする仕組みとなっておりますので、そういう意味で、私ども、規模に配慮した支援という形には一定程度なっているものというふうに理解をしております。
ただ、御指摘のように、様々な御意見がございます。国会でも、附帯決議もいただきましたし、また、アメリカの制度やドイツなどの制度の御提案もいただいておりますので、しっかりと研究をして、まさに事業への影響の度合い、それから公平性、こういったものも見ながら、今後更に不断の検討を進めたいというふうに考えております。
○麻生国務大臣 後半の質問の話ですけれども、この件は、今先生もおっしゃいましたように、これは既往債務の返済期限の話をしておられるんだと思うんですけれども、この件につきましては、最大限柔軟に対応するようにということで、もう既に総裁の方から通達も下りているのは間違いないところだと思いますので、私どものところでも、繰延べ等々はしてもらったという話は幾つか入ってきていますので、そうじゃないという状況もあれば、その状況の内容がいろいろあろうかとは思いますけれども、もしそういうものがたくさんおありでしたら、私どもに直接言っていただいたら、私どもの方から対応させていただきます。
○浦野委員 ありがとうございます。
中小企業でも、まだまだこのコロナの影響が長引く中で、そういった話というのはまだまだ出てくると思います。今、麻生大臣がおっしゃっていただいたように、政府の方ではちゃんと対応できる仕組みをちゃんとつくっていただいているということですので、また地元でもそういうふうにお伝えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
コロナ対策なんですけれども、確かに、都道府県知事等で金額をいろいろ対応できるようにしてあるということなんですけれども、収入によってそういう差をつけていく、そういった仕組みというのはもう当初からやはり時間がかかるということで、なかなか、まあ、制度化されている部分もあります。この協力金、例えば今回の、今言っている協力金なんかではそうではなくて、やはりスピードを重視して、最大六万円というのがほぼ一般的になっています。
ただ、例えばそれで賄い切れない部分、事業の規模によっては賄い切れない部分が出てきた場合に、例えば大阪では、松井市長なんかはその部分は上乗せして支給するというふうな、大阪府、吉村知事と松井市長なんかは表明していますけれども、その部分についての財政負担というのは都道府県になるのかどうかというのを確認したいと思います。
地方創生特別臨時交付金、これがありますけれども、これは自治体の裁量にある程度委ねていただいていますけれども、その超える部分については都道府県がこれを使って活用できるのかどうかというのを確認したいと思います。
○坂本国務大臣 それぞれの自治体によって事情が違います。協力枠、六万円を超える自治体につきましては、地方創生臨時交付金、地方単独分、これは非常に使途の自由度を高めておりますので、この地方創生臨時交付金を各自治体の判断で御活用いただくということが可能でございます。
○浦野委員 ありがとうございます。
ワクチン接種が始まっても、これは変異種の話題もありますけれども、これがまだまだ、緊急事態が、今のところ徐々に落ち着きを見せて、これはもしかしたらどこかのタイミングで解除されるということになるとは思うんですけれども、支援の格差というのは本当に今でも問題で、やはりそれに対応できないと、倒産、廃業、そういったものがまだまだ増えていくのではないかというふうに思っています。
我々、このコロナで影響が出始めた頃に、やはり、なるべく早く法改正をしないといけないんじゃないかとか、いろいろなスキームを、収入に見合った支援ができるような仕組みをつくるべきじゃないかということで提言をさせていただいてきました。確かに、先ほども触れましたけれども、そういったスキームをつくって入れている部分もあれば、なかなか、かゆいところに手の届かない部分もある。
先ほど答弁をしていただいた中にも、附帯決議の中に努力義務を入れてあるということなんですけれども、この努力義務を果たすのを、いつ果たしていただけるのかという答弁をいただけますか。
○西村国務大臣 附帯決議もいただきましたし、先ほど御答弁申し上げたように、諸外国のこうした規模に応じた支援策の仕組みなども今もう研究を進めておりまして、こういったものを踏まえて、日本として、我が国としてどういった支援ができるのか考えていきたい。
それから、昨年の、まさに持続化給付金とか家賃支援給付金とか、これも、金額、減少幅とか家賃の多寡に応じて支援をしていく仕組みでもありますので、こういった経験も踏まえながら検討を進めていきたいというふうに考えております。
ただ、今まだ緊急事態宣言のさなかで、協力金、一旦定めておりますので、これを途中で変更するとなるとかなり混乱も生じると思いますので、引き続き、諸外国の仕組み、あるいは過去の経験なども踏まえて検討を進め、しかるべきタイミングで何か対応ができればというふうに考えているところであります。
○浦野委員 コロナが下火になったときにすぐに行動できるように、いろいろと準備をしていただけたらと思っています。よろしくお願いいたします。
我々、ずっと言わせていただいていますけれども、政府は受忍論というのを取っているということを言わせていただいてきました。補償という言葉をなかなか使っていただけない。そういう部分を、我々は、受忍論があるからだろうということで言わせていただいていますけれども。
ただ、そうなってくると、我々ももちろんそうですけれども、公務員の皆さん、そして、エッセンシャルワーカーの皆さんはまた別の話ですけれども、コロナ禍でも給料の減らない人たちもいてます。政治家なんかみんなそうですけれども。
我々は、身を切る改革で、そういったところ、しっかりと身を切る改革でみんなやっていますけれども、受忍論というと、それは、国民全員がそうであれば、そうかもしれません。ただ、そうじゃない人たちもたくさんいらっしゃる。特に、ここに座っている政治家の皆さん、そして公務員の皆さんも、ほとんど皆さん給料は関係なく支給されます。そういったところに、やはり政治と一般の国民の皆さんの間に乖離が見られて、やはり不信感を増されているんじゃないかと思うんです。
そういった部分で、総理にお伺いしますけれども、要は、内在的な制約が、それが仕方がないんだということを、国民に納得できるような理由を分かりやすく説明をしていただけませんか。
○菅内閣総理大臣 特措法で感染症の拡大防止を目的として休業等を要請をした場合に、事業活動に内在する制約であることから、憲法第二十九条三項の損失補償の対象とはならないと解釈をされております。これは、施設の休業等の要請が、施設の使用自体が感染症の蔓延の原因となることから実施されるものであること、緊急事態宣言中に限って行われるものであり、一時的なものであること、こうしたことから、法制定時に整理されているというふうに承知しています。
その上で、そうした基本的な考え方は、今回の改正によっても変わるものではないと考えています。
○浦野委員 我々、様々な提言をさせていただいてきた中で、消費税の減税も、我々、二年間という限定的な期間ですけれども、一〇%から五%に引き下げることを繰り返し主張させていただいています。もちろん、これに対する答弁は、これは社会保障に充てる財源だということで何度も政府はされていますけれども、消費税を下げることも社会保障の一つだと私は思うんですね。国民全員に、あまねく恩恵を受けることです。
私は、一体誰が消費税を減税することを反対しているのか、政府なのか、それとも財務省なのか、厚生労働省なのか、どこなのかというのをちょっと確認をしたいんですけれども、いかがでしょうか。
○麻生国務大臣 消費税のお話をされておられますけれども、これは御存じのように、この消費税はいわゆる社会保障というもの、御存じのように今日約百兆を超えます予算のうち、厚生省関係の予算だけで約三十何%になっておりますので、そういった意味では、社会保障の財源としてこの消費税というものが位置づけられておりますのは御存じのとおりです。
これは、二〇一九年、令和元年に消費税の引上げに当たりましても、今、少子高齢化というのは日本にとって非常に大きな問題ですので、いわゆる払う人の方が少なくなってきて、受益者側の方が増えていくという現状というのが現実な問題としてありますので、そういった意味では、全ての世代が安心してできるような社会というものを目指して、社会保障制度というのはきちんとしておかないかぬということから、政府一体となってこれを実施させていただいたというふうに理解いたしております。
○浦野委員 消費税の話になると、必ず社会保障の話も出てきます。それは、もちろん、一定は理解ができるんです。ただ、本当にこれからもっと増えていくであろうと言われている社会保障費を賄おうとすれば、消費税はもっと上げていかないといけないという議論も確かにあります。
我々は、消費税のそういった議論はもちろんありますけれども、今のこの仕組み、この国の仕組みでそれを乗り切れるのかという議論、これはいろいろ様々ありますけれども、私たちはそれに対して、こういった新所得倍増計画というものを独自の政策として掲げています。それは三本柱から成るんですけれども、税制改革、社会保障改革、そして成長戦略、この三つの柱でやっていこうと。今現在、フローに課税をされています。それをストックに課税をしていくとかですね。いつもこれは、時間をかけてもっと説明しないといけないんですけれども、なかなか説明が難しいので、また次のバッター、次の時間で藤田がやりますけれども。いつも途中まで……(発言する者あり)そうなんです、ここまでしかいかないんですよ、なかなか。済みません。
これは、我々は、やはり抜本的な仕組みの改革をしないともうもたないんじゃないかという心配をしています。我々は、だから、こういった新しい提案をさせていただいています。政府としては、政府の考えは、今のままでいろいろやっていけば大丈夫とおっしゃるかもしれませんけれども、国民はやはりすごく不安がっています。特に、社会保障はどうなるんだというふうに思っています。我々、新しい仕組みというのをこれから考えていきたいと思っているんですけれども、政府としても、抜本的な、そういった思い切った改革というのは考えますか。
○西村国務大臣 建設的な御提案を、常に、冒頭だけなんですけれども、いつも、いただいているものと思っております。
私どもも、毎年、骨太の方針も定めていますし、成長戦略も定めていますけれども、その中で、二〇三〇年を見据えて、例えば、ビジネス環境のランキングをどうしていくとか、あるいは無人運転をどうするかとか、あるいは輸出や宇宙開発、様々な中長期の戦略も議論をし、こうした対応、その中で、当然、税制やそれから全世代型社会保障改革、これも短期ではなく中長期でも考えていっているところでありますので、まさに御指摘のような議論を経済財政諮問会議を中心に行っておりますので、是非、いろいろな様々な御提案をいただく中で、私どもも更に議論を深めていきたいというふうに考えております。
○浦野委員 ありがとうございます。
あとパネルを三枚用意していたんですけれども、ちょっと今日も使えなくて、申し訳ないです。
最後に、一問だけ、尖閣関係について少し触れたいと思っています。
我が党の足立委員からも質疑をさせていただいたときに、茂木大臣の方から、有効に支配しているという答弁がありました。これは、我々は実効支配、実効支配とよく使っているんですけれども、実効支配と有効な支配の違い、これはもちろん、大臣、答弁をされているところも、有効と実効の違いというのは答弁をされています。
ところがなんですけれども、歴代の国会の答弁でもばらばらに使われているんですね。
例えば、令和二年の十一月四日、菅総理は有効支配と。これは、何か指摘を受けて、実効支配という言葉から有効支配というふうに換えられました。
安倍総理、平成三十年の一月には、有効に支配。同じく安倍元総理、平成二十九年六月五日には実効支配という言葉を使っています。
遡っていけば、平成二十二年の十月にも、菅直人当時の総理は有効に支配という答弁をしています。ところが、平成二十二年の十一月二十六日は、同じく菅直人当時の総理は実効支配という言葉を使っています。
実効と有効という言葉が、至る所にばらばらに出てくるんです。調べていただいたら、相当な数になります。昔おった薮中さんも、有効と実効を同じ年の委員会で別々に言っていたりとかしています。
もう一つ問題なのは、これを英文に訳したときですね。これもばらばらです。エフェクティブコントロールと言ったり、サーベランティーと言ってみたり、ばらばらなんですね。
私、是非、政府の見解として、何が正しいのか、どれをこれから使っていくのかというのを答弁をいただけたらと思います。
○茂木国務大臣 大変いい問題指摘をしていただきまして、ありがとうございます。
まず、事実関係として、尖閣諸島、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土でありまして、現に我が国はこれを有効に支配をしております。尖閣諸島をめぐって解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないと考えております。
そこで、委員から御指摘のありました実効支配でありますが、この言葉は様々に使われることはあるわけでありますが、国際法上は、一般的に、ある領域に対する領有権を法的に確立させるために実効支配が必要である、こういう文脈で使われることが多いと考えております。
ちょっと私も英訳がどうなるのかと調べてみたんですが、直訳するとエフェクティブコントロールと、実効支配になるのかもしれませんが、国際的に定着している言葉、これも多分ないんじゃないかな、フランス語で使ったりはするんですけれども、英語で実効支配について決まった文言はないんじゃないかなと思っております。
これに対して、尖閣諸島につきましては、解決すべき領有権の問題、先ほど申し上げたようにそもそも存在しないことから、政府としては、実効支配という言葉を用いず、領有権が確立している領域に対して用いる、有効に支配している、こういう表現を使っているところでありまして、英語でも、バリッドコントロール、こういう言葉を使ってきているところであります。
○金田委員長 時間が参りました。
○浦野委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。
○金田委員長 これにて浦野君の質疑は終了いたしました。
次に、岸本周平君。
○岸本委員 国民民主党の岸本周平です。
本日は、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
午前中からの質疑もありましたけれども、今、コロナに対して国民の命と暮らしを守るためには、これは本当に難しい局面だと思います。誰が政権を運営していても難しい。その中で、問題は、国民の命と暮らしを守るために、できることは今やっていくと、午前中、総理もおっしゃいました。今はある程度財政もできる限り出していって国民の命と暮らしを守るんだ、これは私も大賛成であります。
一方で、しかしながら、今回の累次の補正予算の中でも、コロナ対策と冠がつけば、実は、余り賢くない支出、賢い支出はワイズスペンディングと言いますけれども、余り賢くない支出もあります。麻生大臣、笑っている場合じゃないです。本当に賢くない支出もあるんです。ただ、補正予算というのはどうしても、当初予算で認められなかったものを、枠があるものですから、その枠に入れるために少し査定が甘くなるということがあります。
枠を決めるということ自体も、通常の景気循環のときは、ある程度、GDPで減った需要をカバーするというのはありかもしれません。しかし、こういうパンデミックのときのような、有事の際の景気対策は、GDPの減った需要を丸々埋めるなんということであっちゃいけないと思うんですね。幾ら何でもそんなことをしたら、お金はないんですから、どこかで孫や子供が払うんですから。
そういう意味では、今はある程度みんなで知恵を絞って、特に、生活困窮者、それからやはり医療従事者、介護に従事している方、エッセンシャルワーカーの皆さんにできるだけの支援をしていく。これも今回分かったんですけれども、医療従事者とか介護に従事している人、あるいはエッセンシャルワーカーの人の処遇自体が、ほかの方に比べて低かったんじゃないだろうか。だから、人材も集まらず、こういう有事の際には逼迫していくということもあるのかもしれない。
いろいろなことを学びました、私たちは。ですから、今私たちが、与党、野党関係なく、コロナと戦った後、収束したら、第三者委員会的なものをつくって、この歳出、緊急避難でやったいろいろな歳出を検証してみたらどうでしょうか。本当にこれがよかったんだろうか。というのは、また来るかもしれません、こういうパンデミックが。そのときに、次は賢い支出をする。
例えば、十万円給付しました。ほかに手がなかったですよね、あのときは。みんな困っている。ともかく、本当に困っている人に届くすべがなかったんです、日本政府は。マイナンバーがありながら、日本政府は、諸外国と違って、直接、国民の所得の状況を把握していない。特に、住民税非課税のところを把握していない。これ、していたら、預金口座が分かっていたら振り込めたんですよ。でも、できないから、十万円、全員に配っちゃった。本当に正しかったのか。そのときはしようがない。
野村証券のエコノミストの推計では、何と九割が貯金に回っているという推計まであるんです。家計調査を使っています。これは麻生大臣よくおっしゃっています。一割しか使っていないという推計もあります。アンケート調査でも、ほとんどが貯金に回しているという答えが多いんです。じゃ、十二兆円の借金をつくって、孫や子供にそれを払わせて、効果が本当にあったのかということは、やはり検証すべきだろうと思います。
賢い使い方。今はしようがないですよ、ある程度はしようがない。収まったときにそれを検証していただきたいということを申し上げた上で、ワクチン問題も、これは本当に賢い使い方なのか、考えていただきたい。
午前中から議論がありました。ファイザーと日本政府の間で一億四千四百万回、回数で契約されている。事務方に確認しました。回数で契約されている、これはアメリカもヨーロッパもイギリスも同じです。じゃ、一億四千四百万回の供給が本当に得られるのか。これは田村大臣がお答えになりました。これからの交渉ですとおっしゃいました。
元々、去年、アメリカで認証されたときは、一瓶五回しか取れないということでスタートしているんです。ところが、アメリカの薬剤師さんというのはすばらしくて、みんなで考えたら、いや、これ六回取れますよとすぐ分かって、みんなで工夫して、シリンジも工夫して、あっという間に、六回打てますねと。それをFDAに申請したら、一月六日、今年の一月に、オーケー、六回でいいですよということになったんです。その動きは分かっていたはずなんです。それはもう報道されていましたから。イギリスもそうなんです。イギリスも最初は五回だったんです。途中から、六回でいいですよと。
日本政府は知っていたはずです。しかも、最終契約は一月六日のFDAが認証した後の話ですから、当然、一瓶で六回取れるということは日本政府は分かって契約しているはずなんです。その契約の中身を知りたいです、私は。オーケー、一億四千四百万回は出しましょうと。でも、それは、一瓶六回分でお金を払うのか、一瓶五回分でお金を払うのか。全然違いますよ。二割違うんですよ。
これ、事務方に聞いたら、契約は言えないと言うけれども、終わった契約なんですから。単価を聞いているわけじゃありません。単価は、海外の報道では三十ドル程度と言われていますけれども、単価は言わないでしょう。だけれども、これ、回数で契約していて、これは二割違いますからね。例えば、一回三千円だったら、一瓶で買ったときに、六回だったら、これはファイザーはもうかるわけですよね。一万八千円もらえる。だけれども、五回ですよとなると、一万五千円しかもらえない。ファイザーが何で六回にこだわったかというと、六回で承認されると三千円もうかるからなんですよ。だからロビーイングして認めてもらったわけです。
日本政府、大丈夫ですか。これ、余分に、契約したときよりもお金を取られるようなことはないですか、厚生労働大臣。
○田村国務大臣 午前中、二億九千万回というふうにまだ書いてあるというふうにホームページの話がありました。あれ、変わっていなくて、三億一千四百万回と書き換えていないものですから、そういう意味で確認しました。
それで、これは、言われるとおり、回数で契約しております。中身、詳細は、これはもう契約の中身でございまして、言えない、言わないという契約でございますので、これは申し上げられません。
確かに、六回分取れるシリンジ等々、今、世界中でこれは取り合いになっておりますので、我々も確保をしっかりと河野大臣の下でして、なるべく六回取れるように、六回打てるように対応していきたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、契約、これは回数でやっておりますので、それを基にしっかり交渉してまいります。
○岸本委員 それは大丈夫ですね。では、回数ですから、一瓶で六回取った分であろうと、まあ、今後六回取るように努力されるとおっしゃいました。当然のことだと思います。五回取った分は五回で計算する、六回のところは六回、回数で計算するということでよろしいか。
というのは、アメリカ政府はそうしているんです。アメリカ政府とファイザーの契約では、基本的に六回だけれども、そのシリンジが準備されなくて五回でやった場合は五回でしかお金を払いませんよと。六回で使うところは六回分払いますよと。それはもうアメリカ政府とファイザーはそういうふうに今きちんとやっているんです。これはワシントン・ポストにそう書いてありました。私は裏を取っていませんけれども、アメリカ政府まで。
日本政府はそこは大丈夫ですね、本当に。そこはちゃんと議事録に残りますから。国民の税金ですから。
○田村国務大臣 報道とアメリカ政府がどう契約しているかは、これは別の話ですので私は分かりませんが、契約は回数でやっております。
それから、世界中でそのシリンジは取り合いになっています。これは事実であります。日本の国としては、しっかりとこれから交渉していくということであります。
○岸本委員 そこは是非よろしくお願いします。今、海外の報道を見ますと、例えばイギリスのガーディアンなんかを見ますと、日本はかわいそうに、七千二百万人が六千万人に減っちゃいましたよ、供給がもうないですよという報道もあったりしますしね。
それから、日本政府は高い料金を払うんですが、一番の問題は、総理、お聞きいただきたいんですけれども、海外の目が厳しいんです。アメリカもヨーロッパもイギリスも、貴重なワクチンですから、努力して努力して余さないように〇・三ミリリットル、使い切る努力をしています。日本はしていないじゃないか、日本は五回でいいのかというふうになってしまいます。じゃ、そんなところにワクチンを回す必要ないじゃないか、途上国は困っているんだから、そんな無駄遣い、もったいないというのは日本語じゃなかったのかと海外から批判されるようなことのないように、今、もう二億の注射器を三月までに準備している、五回分のやつをとありましたけれども、そこは是非お願いします。
日本が世界から見られているんです。これはオリンピック・パラリンピックのあの事件と同じじゃないですか。世界から、日本は貴重なワクチンを無駄遣いする国だというレッテルが貼られないように、どうか総理、よろしくお願いします。
それで、次の質問に行きたいと思います。
先ほど言いましたように、私たちは賢い支出をしなければいけません。今一番大切なのは、例えば若い女性の自殺が一・八倍、本当に生活に困っていらっしゃる方々にどう手を差し伸べるか。この方法として、今すぐは無理ですけれども、もしこれ、税額控除、給付つき税額控除という制度が入っていたら、マイナンバーを使って給付つき税額控除という制度が入っていたら、預金口座とひもづけていれば、配れたんですよね、直接。お金を配れたんです。諸外国はそのとおりやっているんです。
この税額控除の制度につきまして、実は従来からいろいろな議論がありました。税額控除といってもいろいろなものがあります。例えば、勤労税額控除、生活保護の代わりに、働いても手取りが減らないようにする勤労税額控除、これはイギリスやアメリカの制度です。それから、児童税額控除、子供の数に合わせて、これはフランスなんかがやっています。それから、カナダやシンガポールがやっているのは、まさに昔民主党が提案した消費税の逆進性をカバーするための税額控除、給付つき税額控除、キャッシュを渡しますよ、こういうことなんですけれども、実は民主党が提案したその税額控除は残念ながら採用されませんでした。代わりに軽減税率が採用されました。
軽減税率はお金持ちほど得をするんです、お金持ちは高い食料品を買いますから。実は、逆進性の解消にはほとんど効かないんです。一番逆進性が強いのは、実は社会保険料なんですね。健康保険料も厚生年金保険料も上限があるじゃないですか。お金持ちは途中で払わないんですよ。特に国民年金は定額制なんですよ。こんな逆進性のひどい制度はありません。
これは、給与所得者で簡単に計算しても、簡単なんですが、実は消費税による負担率というのは所得二百万円のサラリーマンも二千五百万円のサラリーマンもほとんど変わりません。だってパーセントですから、ほとんど変わりません。だけれども、社会保険料は何と所得二百万円のサラリーマンと二千五百万円のサラリーマンを比べると倍違うんです、倍。倍、逆進性が強いんです。
だから、給付つき税額控除を入れなきゃいけないと、これは実は自民党と公明党が政権を取っていたときの二〇〇九年の所得税法の改正案の附則に書いてあるんです。だから、給付つき税額控除を検討しましょう、そして中低所得者の皆さんを何とか救いませんかと、これは自公政権の提案なんです。
そのときの総理大臣、麻生財務大臣にお聞きします。これはまさに自公の提案ですから、民主党がね、どうでもいいじゃないですか、是非給付つき税額控除を検討していただきたい、次のパンデミックのために。いかがでしょうか、財務大臣。
○麻生国務大臣 今お話のありましたこの給付つき税額控除、これは、もう先生御存じのように、長い長い議論の末、こういうところに行き着いておりますので、それまでの経過はいろいろ御存じだと思いますが。
いわゆる低所得者対策へのこういう議論、全体の議論の中で、やはり、同じような政策はほかにもありますので、それとの関係もちょっと十分に整理した上で考えないかぬところなんだと思いますが。
もう一点は、今マイナンバー制度というお話もありましたけれども、これが導入をされたことによって以前より所得の把握が楽になった、可能になったんだというようなものだとは思いますが、しかし、ただいま、今の現状ですよ、現状では、海外で得た所得とか、また源泉分離課税となっている利子所得につきましては、マイナンバー制度を活用いたしましてもなお正確な把握は困難、もう御存じのとおりです。
加えて、課税最低限以下の所得の方々につきましても、そもそも申告義務がありませんから、そういった意味での所得の把握ができないといった課題等々も、御存じのような課題が幾つもありますので、私どもとしては、これは十分に検討せないかぬということだと思っております。
また、社会保障番号が導入されております例えばアメリカとか、イギリスとか、そういうところにおきましても、給付つき税額控除というのをやった場合の間違いとか不正受給とかいう問題がもういろいろ新聞に出ておりますのは御存じのとおりなので、そういったものも、いろいろなものを考えて、この問題については検討を要するだろうと思っております。
○岸本委員 今、所得格差がどんどんどんどん広がっています。そして、このコロナでますます格差が広がっています。これはもう今日のいろいろな質疑の中でも出てきました。
そうすると、まず給付つき税額控除をつくって、所得の低い人には現金でキャッシュバックをする、そして、その財源は、所得控除をやめちゃえばいいんですよ。所得控除というのは金持ちほど得しますから。所得控除をやめて、税額控除をして中低所得者を助けてあげる。そして、特に高額所得の方は資産性所得が多いわけです。これもよくされる議論です。この資産性所得をきちんと課税するためには、株式やこれの譲渡益、そして配当は既にマイナンバーがついているんです、支払い調書がありますから。御存じのとおりです。生命保険もそうです。だけれども、利子所得については、おっしゃったとおり、これは番号がついていませんし。
だけれども、少なくとも義務的に預金口座とマイナンバーをひもづけをして、それをきちんと把握した上で、所得再分配効果のきちんとできるような税制改正、税と社会保障の一体改革をしていくべきだと思います。総理の御見解を伺いたいと思います。
○菅内閣総理大臣 社会全体のデジタル化を進めるために、行政が利用者目線に立ってデジタルトランスフォーメーションを実現することが極めて大事だというふうに思います。そのためにマイナンバー制度は不可欠だと思っています。
今般、給付のための口座を登録できるようにするとともに、新規口座開設時に金融機関がマイナンバーの告知を求めることを義務づける法案を提出したところです。これは国民の金融資産を把握するものではありませんが、預貯金口座にマイナンバーを付番することにより、迅速な給付の実現や所在の分からない口座情報の把握に資するためのものであります。
詳細は平井大臣から説明をしたいと思います。
○平井国務大臣 今総理がお話しになったとおりでございまして、今回の法案に関して言えば、国民の負担軽減のための制度として検討しているわけで、国民の金融資産を捕捉するものではないんです。
現行の制度上、政府が法律に基づき国民の資産を調査する必要があると認められる場合は、その預貯金口座にマイナンバーが付番されているか否かにかかわらず調査対象となるということで、マイナンバーの付番の有無によって調査の対象や範囲が変わることがない。
先生の御意見はよく分かりますが、ここはいろいろな議論があるというところだと思います。
○岸本委員 本当に平井大臣とは長いつき合いで、目と目を見れば分かり合うんですけれども、実はマイナンバーというのは民主党政権のときに提案したんですよ、法律を出したんですよ、マイナンバーは、社会保障と税の一体改革のために。だけれども、政権が替わっちゃったんですよ、法案が通るときに。そのときに修正しているんです。実務担当者が、自民党は平井卓也大臣、公明党が高木美智代代議士で、民主党は私がやったので、中身は分かっています。
その上で、最後に御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、さっき言いましたように、さっき野田元総理が大変よい質問をされたと思っています。ずっと厳しい中、財政規律が守られずにどんどんどんどん毎年三十兆借金をする中で、今年、二〇二〇年度はワニの口がこんなになってしまいました、跳ね上がっちゃいました。これは本当にしようがないんですけれども、この借金をどうするのかということですよね、この借金を。
実は、規模は違いますけれども、まさに十年前、三・一一のときに震災復興の財源が必要でした。震災復興の財源を私たちはそのときどうしたのか。歯を食いしばって私たちの世代で払いましょう、孫や子供にはこの震災のツケは回さないとみんなで決めたじゃないですか。それは、所得税、二十五年間ですよ、二十五年間、そのイヤマークした債務を払うために、二・一%ずつみんなで負担しましょう。住民税は十年、一人千円、今でもやっているんです。今でも千円ずつみんな払っているじゃないですか。そうやって歯を食いしばって、法人税は三年が二年になりましたけれども、法人税も、みんなでその震災復興の特別のお金は払いましょうと決めたんです。
今回も、桁は大きいですよ、だけれども、これは本当に子供や孫に継がせていいんですか。三十年でもいいですよ。これを、特別の財源を、我々、何か、このコロナが終わった後で自分たちの世代で払う、そういうことをお考えいただきたい。
それで、最後に総理に聞きたいのは、私は一月の施政方針演説で感動しました。梶山静六さんが、国民に負担をお願いする政策も必要になる、必要性を国民に説明し、理解してもらわなければならないとおっしゃった。
私は、実は、梶山静六通産大臣のときに、大蔵省主税局で課長補佐をしておりました。当時、輸入税制というのを入れたんです。輸出促進じゃなくて、輸入促進。つくったんですけれども、終わったら、大臣が私と課長と局長を呼んでくれて、慰労会をしてくれたんですよ。私に同じことをおっしゃいました。当時、自民党のやはり政治家ってすばらしい、課長補佐にでも国を、国家を語ってくれました。同じ思いです。私、涙が出そうになりました、施政方針演説を聞いて。
このコロナのお金、菅総理、何とか私たちの世代で払う、そのお覚悟をみんなで持とうじゃありませんか。菅総理、私は本当に、梶山さんからいえば、総理の孫弟子の孫弟子かもしれない、弟弟子、下の方ですけれども、同じ梶山静六先生に同じ言葉を聞いた同志として、総理の御見解を求めます。
○菅内閣総理大臣 私も、涙が出るような思いで今、話を伺いました。
今回の新型コロナ対策のために大量の国債を発行し、財政が悪化したことは事実であります。
一方、新型コロナの影響は国全体に広く及び、国民の命を、暮らし、ここに直結する問題であります。
このため、コロナ対策に係る経費がどの程度になるか、そうした検証をすることは意味があるとしても、直ちにその負担の議論を進めることよりも、当面はやはり、この感染を収束させることに全力を今尽くしているところです。
その上で、経済あっての財政との考え方の下に、成長志向型の経済政策を進めて経済再生に取り組んでいくとともに、財政健全化の旗も降ろさず、今回の対応が将来世代の負担になることがないように、歳出歳入両面においてしっかり改革を進めていきたいと思います。
○岸本委員 菅総理の思いは共有いたしました。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○金田委員長 これにて岸本君の質疑は終了いたしました。
次回は、明十六日午前九時から委員会を開会し、参考人の意見陳述及び参考人に対する質疑を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十六分散会