衆議院

メインへスキップ



第2号 令和3年12月13日(月曜日)

会議録本文へ
令和三年十二月十三日(月曜日)

    午前八時五十六分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      あかま二郎君    青山 周平君

      秋葉 賢也君    東  国幹君

      井野 俊郎君    伊藤 達也君

      石川 昭政君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    小倉 將信君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      川崎ひでと君    菅家 一郎君

      木原  稔君    北村 誠吾君

      後藤田正純君    下村 博文君

      高市 早苗君    高木  啓君

      土屋 品子君    土井  亨君

      中谷 真一君    平沢 勝栄君

      藤井比早之君    古屋 圭司君

      牧原 秀樹君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山下 貴司君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      渡辺 博道君    石川 香織君

      江田 憲司君   おおつき紅葉君

      小川 淳也君    落合 貴之君

      城井  崇君    源馬謙太郎君

      神津たけし君    近藤 和也君

      階   猛君    堤 かなめ君

      長妻  昭君    道下 大樹君

      吉田はるみ君    足立 康史君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      竹内  譲君    中川 宏昌君

      前原 誠司君    宮本  徹君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   外務副大臣        小田原 潔君

   財務副大臣        岡本 三成君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三貝  哲君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澤田 史朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房健康・医療戦略室次長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長)          小野平八郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           新井 孝雄君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        師田 晃彦君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    藤本 隆史君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       小野 啓一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    小野 日子君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            生川 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            前島 明成君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  森   健君

   政府参考人

   (林野庁長官)      天羽  隆君

   政府参考人

   (水産庁長官)      神谷  崇君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ長)            濱野 幸一君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            島田 勘資君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  浅輪 宇充君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十三日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     高市 早苗君

  伊藤 達也君     山下 貴司君

  石破  茂君     八木 哲也君

  岩屋  毅君     あかま二郎君

  衛藤征士郎君     高木  啓君

  奥野 信亮君     菅家 一郎君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  下村 博文君     土井  亨君

  中谷 真一君     牧原 秀樹君

  平沢 勝栄君     藤井比早之君

  鷲尾英一郎君     小倉 將信君

  渡辺 博道君     井野 俊郎君

  江田 憲司君     小川 淳也君

  近藤 和也君     神津たけし君

  中川 宏昌君     竹内  譲君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     岩屋  毅君

  井野 俊郎君     渡辺 博道君

  小倉 將信君     鷲尾英一郎君

  菅家 一郎君     奥野 信亮君

  高市 早苗君     川崎ひでと君

  高木  啓君     衛藤征士郎君

  土井  亨君     下村 博文君

  藤井比早之君     平沢 勝栄君

  牧原 秀樹君     東  国幹君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  八木 哲也君     石破  茂君

  山下 貴司君     伊藤 達也君

  小川 淳也君     江田 憲司君

  神津たけし君     堤 かなめ君

  竹内  譲君     中川 宏昌君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     中谷 真一君

  川崎ひでと君     石川 昭政君

  堤 かなめ君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     青山 周平君

  吉田はるみ君     おおつき紅葉君

同日

 辞任         補欠選任

  おおつき紅葉君    近藤 和也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和三年度一般会計補正予算(第1号)

 令和三年度特別会計補正予算(特第1号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和三年度一般会計補正予算(第1号)、令和三年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井敏彦君、内閣官房内閣審議官三貝哲君、内閣官房内閣審議官澤田史朗君、内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣官房健康・医療戦略室次長八神敦雄君、内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長小野平八郎君、内閣府地方創生推進室次長新井孝雄君、内閣府地方創生推進事務局審議官師田晃彦君、警察庁刑事局長藤本隆史君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁統括官村上敬亮君、総務省大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎君、総務省自治財政局長前田一浩君、総務省総合通信基盤局長二宮清治君、外務省大臣官房地球規模課題審議官小野啓一君、外務省大臣官房参事官岩本桂一君、外務省経済局長小野日子君、文部科学省研究開発局長生川浩史君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君、農林水産省大臣官房長横山紳君、農林水産省大臣官房総括審議官水野政義君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官前島明成君、農林水産省農産局長平形雄策君、農林水産省畜産局長森健君、林野庁長官天羽隆君、水産庁長官神谷崇君、経済産業省大臣官房審議官新川達也君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ長濱野幸一君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長佐々木啓介君、国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官島田勘資君、国土交通省港湾局長浅輪宇充君、国土交通省航空局長久保田雅晴君、観光庁長官和田浩一君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官川嶋貴樹君、防衛省防衛政策局長増田和夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高市早苗君。

高市委員 おはようございます。自由民主党政務調査会長の高市早苗でございます。

 冒頭に、米国を襲った竜巻により大変な被害を受けられた皆様にお見舞いを申し上げ、また貴い命を亡くされた方々に哀悼の誠をささげさせていただきます。

 いよいよ今日から令和三年度補正予算の実質的な審議が始まります。国民の皆様に一日も早く安心をお届けするために、この予算委員会では、与党も野党も建設的な議論を行い、速やかに補正予算を成立させることが求められていると考えます。

 今回の補正予算案を自民党の政調会で審査するに当たりましては、第一に、感染症や自然災害、国防上の脅威などから国民の皆様の命を守り抜くこと、第二に、コロナ禍でお困りの方々、生活にお困りの方、また学業や事業継続にお困りの方々をお支えすること、第三に、コロナ禍で傷んだ日本経済を立て直し、成長軌道に乗せていくために、令和四年度予算の成立を待つ、来年の春を待つことなく岸田内閣が掲げる主要な成長戦略の頭出しをしておくことの三点を重視いたしました。

 さらに、審査に先立って、政調会の会議で全ての部会長に対し、財政支出ではなく一般会計の規模に留意して審査するよう要請をいたしました。

 財政支出は、国の歳出、地方の歳出と財政投融資の合計でございますので大きな額に見えますが、一般会計は真水と言われる国費の歳出追加額でございます。まずは、積極財政で皆様が働く場所、事業主体を守り抜き、成長への道筋を示すことによって、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善させ、最終的には税収も増える形をつくるということが最優先だと考えたからでございます。

 結果的には、財政支出は約五十五・七兆円、真水で見ると、一般会計は約三十一・六兆円、特別会計と合わせると約三十一・九兆円と、十分な国費が追加される補正予算案となりました。他方、国債発行額は二十二兆五百八十億円となりました。

 総理は、所信表明演説で財政健全化にも言及しておられましたが、今回の国債発行額の規模は大き過ぎるとお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、委員の方からアメリカの竜巻被害についてお見舞いがありました。私の方からもお見舞いを申し上げさせていただきたいと存じます。

 その上で、今回の経済対策、そして補正予算について御質問がありました。

 今回のこの経済対策、補正予算、委員御指摘のように、コロナ禍に対する、この緊急時に対するしっかりとしたコロナ対応、そしてお困りの方々に対する支援、そして日本経済を起動するために必要な取組、こうしたものを積み上げた結果として五十五・七兆円という予算になりました。

 その中で、御質問は、国債発行額二十二兆円、大きいと考えているかということですが、この二十二兆円という国債発行、これは決して小さなものではないとは思いますが、先ほど申し上げた考え方に基づいて、コロナ対応、お困りの方への支援、そして経済の再起動、必要なものをしっかりと積み上げた結果、五十五・七兆円、さらには国債二十二兆円、こういった数字になったと認識をしています。

 今は、まず、緊急時であります。国民の命や暮らしを守るためにあらゆる手だてを講じなければならない。お困りの方の生活、事業を守るためにしっかりと予算を用意しなければならない。そして、未来に向けて経済を再起動する。必要なものをしっかりと用意することが政治の責任であると思っております。

高市委員 私は、超低金利の今だからこそ、長期国債、十年物以上の長期国債や超長期国債をちゅうちょなく発行することがこの国債管理政策の常道だと考えております。今回の補正予算も来年度予算も含めて、日本経済が成長軌道に乗るまでは、時限的にいわゆるプライマリーバランス規律は凍結し、命を守り成長に資する戦略的な財政出動を優先するべきだと考えております。

 プライマリーバランスが赤字でも、名目金利を上回る名目成長率を達成すれば財政は改善します。命を守る防災対策や未来を開く成長戦略の恩恵は未来の納税者にも及びます。強い経済は、中期的には財政健全化につながり、全世代型の社会保障の実現、また、科学技術力や外交力の強化、豊かな教育の実現にも資するものでございます。

 二〇一二年十二月に、民主党政権から自公連立政権へと政権交代がありました。その後のアベノミクスにより、国と地方の税収合計は、二〇一二年度の七十八・七兆円から、二〇一九年度には百七兆円と過去最高になりました。

 八千円台だった株価は安倍政権下で二万四千円を超え、公的年金の運用益は七年半で五十七・六兆円増えました。

 有効求人倍率で見ましても、二〇一二年には百人に対して八十三人分の求人しかありませんでしたが、二〇一九年には百人に対して百六十四人分の求人がありました。

 人手不足によって事業者は待遇改善をしますから、時給の最低賃金でも、二〇一二年度には七百四十九円でしたが、二〇一九年度には九百一円に上がりました。

 一人親世帯の子供の大学進学率も、二三・九%から四一・九%に大幅に増加しました。

 これは二〇一九年度までの話でございますが、コロナ禍により、二〇二〇年度以降の数字には厳しさが見られます。

 総理には、まずは経済のパイを大きくしていただき、ワイズスペンディングを前提に効果的な財政出動と成長戦略を大胆に講じていただき、雇用と所得と消費を増やし、結果的に税収増にもつながるお取組をお願いしたいのですが、御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、安倍政権時代の経済政策によって、GDPを始め、日本の経済は大きく成長いたしましたが、コロナ禍によって大変大きな打撃を受けました。そして、我々はこれから未来に向けて経済を再生していかなければならないわけですが、是非、まずはこの危機をスピード感を持って乗り越え、そして経済の回復軌道を取り戻していきたいと考えています。

 その際に、新しい時代における経済、世界が経済の新しいモデルを模索する中にあって、日本においても経済の成長と分配の好循環をしっかり実現していかなければならない、このように考えております。

 ワイドスペンディングというお話がありましたが、経済の成長においても、科学技術ですとかデジタル、グリーンあるいは経済安全保障、新しい課題を、成長戦略にしっかり取り組むことによって成長を実現する。そして、成長の果実をしっかり国民の皆さんに分配をし、それを実感してもらう。そのためには、官と民が協働する形でしっかり分配を行い、そして分配が消費から成長につながる、しっかりこういった好循環をつくっていかなければならない。その際に、御指摘のワイドスペンディング、効果的な財政、経済の仕組みをしっかり考えていかなければならないと考えます。

高市委員 次に、給付の在り方について伺います。

 自民党は、衆議院選挙の政権公約で、非正規雇用者、女性、子育て世帯、学生を始め、コロナでお困りの皆様への経済的支援を行いますとお約束しました。

 今回の経済対策には、住民税非課税世帯に対する給付金、新型コロナウイルス生活困窮者自立支援金、学生支援緊急給付金、住居確保給付金、子育て世帯に対する給付など、様々な支援策が盛り込まれ、自民党の公約でお示しした対象者についてはカバーされています。これらの支援は、補正予算成立次第、直ちにお困りの方々にお届けするべきですが、今後の課題について問題を提起させていただきます。

 今回の子育て世帯に対する給付につきましては、自民党の政権公約ではコロナでお困りの皆様への経済的支援としていたことから、所得制限を設けるべきだというのが自民党としての見解でございました。他方、公明党の選挙公約では、ゼロ歳から高校三年生まで全ての子供たちに一人当たり十万円相当の未来応援給付をするとされており、給付の目的そのものに多少違いがございました。

 選挙直後に、このすり合わせは、政策事項というよりは連立事項だということで、自公両党の幹事長が会談をされました。その結果、所得制限は設けることになったものの、給付には児童手当の仕組みが活用されることが決まり、夫婦いずれかの年収が九百六十万円以上の世帯が給付対象から除外されることになりました。

 フリップを出しております。

 このフリップのとおり、児童手当の仕組みを活用すると、年収を主たる生計維持者の収入で判断することになりますから、今回の子育て世帯への十万円相当の給付では、世帯合算年収が全く同じ一千五十万円であっても、夫の年収一千万円、妻の年収五十万円の世帯には給付されない、夫の年収九百五十万円、妻の年収百万円の世帯には給付されるという設計となり、自民党政調会の会議でも、不公平だという異論がございました。

 一定の期間があれば、世帯合算年収で給付対象を決めるということは可能でございました。しかしながら、年内には現金給付を開始するという総理の強い思いや自治体の実務を考えますと、まずは、既に給付口座が把握できる児童手当の対象である十五歳以下の子育て世帯に給付し、次に、口座を確認して、十六歳から十八歳の子育て世帯に給付するという方法しかございませんでした。

 私は、党の政策責任者として、総理の年内給付への思いをお伝えし、今回については迅速な給付を優先せざるを得ないということで党内の説得を行い、議論を決着させました。しかし、今後も子育て世帯に限定した各種給付が行われる可能性はございますので、この際、改善に向けた取組に着手するべきです。

 そもそも、現行の児童手当の仕組みにも不公平は存在いたします。

 このフリップのとおり、小学生と三歳未満の子供二人を育てる共働き世帯の場合、夫の年収一千万円、妻の年収五十万円の世帯が支給される児童手当は、小学生も三歳未満も五千円の特例給付ですので、合計しても一万円です。夫の年収九百五十万円、妻の年収百万円の世帯が支給される児童手当は、小学生に一万円、三歳未満に一万五千円の本則給付ですので、合計すると二万五千円です。世帯合算収入が同じ一千五十万円でも、主たる生計維持者の年収で本則給付の対象が決まるからでございます。

 この児童手当法が制定された昭和四十六年から、はや五十年が経過しました。半世紀前と違いまして、共働き世帯の数は専業主婦世帯の二倍を超えています。夫婦いずれかの年収を基準にするという考え方はもはや実態には即さず、世帯合算に見直しをするべきではないかと考えております。

 世帯合算の所得制限を設けている制度は多く、例えば不妊治療に対する助成、保育料、高等学校等就学支援金などが挙げられます。

 自民党政調会の少子化対策調査会では、児童手当の在り方について検討を開始いたします。

 児童手当法の改正をして間もないことは十分承知の上ではございますが、世帯の働き方による不公平を解消するための児童手当の収入制限の在り方、また十八歳以下に支給対象を拡充するなど、少子化対策全体の中で見直しを検討するべきだと考えておりますが、総理の御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 働き方また家族のありようが多様化する中で、委員御指摘の点、これは問題意識としては大変重要な問題意識だと思います。

 そして、児童手当ということにつきましては、中学生までの児童を対象として、主たる生計維持者の収入を基に支給額を決定しているわけですが、この点につきましては、特に世帯合算ということにつきましては、世帯合算を導入するという意見と、そして、この点については、変更を加えることによって世帯への影響が出る、すなわち、従来支援を受けていた世帯が外れる等々、様々な変化があることを踏まえて慎重であるべきだという意見と、そういう意見があり、先般の児童手当の見直しの議論においてもこの点について見送ることとなった、こういった経緯があったと承知をしています。

 そして、五月の児童手当の改正法の附則の中で、児童の数に応じた効果的な支給、あるいは財源の在り方、あるいは支給要件の在り方、こういった観点から検討を加えるということが附則に盛り込まれたと承知をしております。

 そして、この児童手当についてももちろん議論は必要だと思いますが、委員御指摘のように、様々な支援の仕掛けの中で、子供施策全体の中でどのように取り扱われているのか、どのようなバランスが取られているのか、こういった観点から、児童施策全体の中で今の点についても考えていくべき課題であると認識をしております。

高市委員 時代の変化も見据えながら、できるだけ多くの方に公平感を持っていただくいい施策を岸田内閣で構築していただくことを大いに期待申し上げております。

 総理は、今回の子育て世帯への給付については、予備費を活用した五万円の現金については年内に給付を開始、補正予算を活用した五万円相当のクーポンを基本とした給付については来年春の卒業、入学、新学期に向けて行うこととしておられました。

 しかし、クーポンを基本とした給付につきましては、事務費が高い、地方自治体はワクチン接種などコロナ対応で業務多忙だ、また、現金十万円を一括給付すべきだといった御指摘がございます。

 地方自治体の負担を軽減するという観点から、本日現在、どのような方策を総理がお考えなのか、自治体の準備を考えてももうタイムリミットだと感じておりますので、総理の明確な御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 子育て世帯への給付金につきましては、今日まで地方自治体の皆様方から様々な御意見をいただきました。本当に多くの御意見をいただいてきました。また、国会が始まりましてからも、与野党の皆様方からこの給付金については様々な御指摘があり、そして議論が続けられてきました。

 私としては、地方自治体と調整しながら、柔軟な制度設計を進めていかなければいけない、このように申し上げてきたわけですが、そうした様々な議論、指摘を受けて、様々な制度設計の検討を行ってきました。

 そして、自治体の判断により、そして地域の実情に応じて、選択肢として、年内からでも、先行分の五万円の給付と合わせて十万円の現金を一括で給付する形で今回の対策の内容を実行する、こうしたことも選択肢の一つとして是非加えたいと私は思っています。そういった方向で、是非、具体的な制度設計、考えていきたいと思います。

高市委員 ありがとうございます。

 その理由書の提出とか、もうややこしいことをせずに、一括で、自治体が迷いなく一括十万円でしたら十万円の現金給付ができるように対応をお願いしたく存じます。

 この迅速なプッシュ型の給付、自治体負担の軽減ということを可能にするために、マイナンバーを利用して、場合によっては国から直接給付できるような基盤整備も是非積極的に進めていただきたいと考えております。

 マイナンバーは、マイナンバーカード保有の有無にかかわらず、外国人も含めて日本に住む全ての皆様に付番されています。

 昨年は、一律十万円の特別定額給付金の事務で、自治体職員の皆様には大変な御苦労をおかけいたしました。当時の総務大臣として、全世帯が公金を受け取る口座をマイナンバーとともに国に登録するという制度を創設するべきだと考えまして、職員に指示をいたしました。

 また、東日本大震災の津波で御自宅を失ってしまった方々からは、全ての通帳も流されてしまって、自分や家族が開設をしていた預貯金口座の所在が分からなくなったという声を伺いました。また、私自身も、親が急死したときに、家中にばらばらに置かれていた預金通帳、これをとにかく相続の期限が迫るまでに捜し出すのに大変苦労したという経験を持ちます。

 そこで、災害時や相続時に預貯金口座の所在を確認できる仕組みもつくりたいと考えまして、全口座とマイナンバーの連携についても検討を指示しました。

 その成果として、今年五月にデジタル改革関連法が成立し、公金受取口座をマイナンバーとともに登録をしていただき、その口座情報を緊急時の給付金等の支給に利用する制度や、災害時や相続時に、一つの金融機関の窓口に照会すると、マイナンバーが付番された全ての口座の所在を確認できる仕組みが今後実現することになりました。

 総理は所信表明演説で、希望者は公金受取口座の登録を進めるとおっしゃいましたが、それでは、希望していただけない世帯の給付には相変わらず手間がかかってしまいます。米国では、私が暮らしていた三十年以上前でも、銀行口座の開設時にソーシャル・セキュリティー・ナンバーの提示を求められました。

 この際、希望者のみならず、全ての国民の皆様にこのマイナンバーを付した口座登録を行っていただくよう制度を改善するべきだと考えておりますが、デジタル大臣の御見解を伺います。

牧島国務大臣 高市委員が総務大臣在任中に検討を推進し、創設されることになりました公金受取口座登録制度は、今年五月に成立した公金受取口座登録法に基づき、国民の皆様が金融機関にお持ちの預貯金口座について、一人一口座、給付金の受取のための口座として任意で登録していただく制度でございます。デジタル庁として、令和四年中できるだけ早期に口座の登録を開始できるよう、現在、システム整備等の準備を行っております。

 委員御指摘のとおり、迅速な給付金の支給を可能とする観点からは、多くの国民の皆様に口座登録を行っていただくことが重要だというふうに考えておりまして、給付の迅速化や申請手続の簡素化といった口座登録のメリットを広く国民の皆様に丁寧にお伝えをしていかなければならないと思っております。

 また、補正予算が成立すれば、公金受取口座の登録により付与される新たなマイナポイント事業も活用しつつ、多くの国民に登録いただけるよう、制度の周知、広報にしっかりと取り組んでまいります。

高市委員 できましたら、希望者だけではなく全世帯ということで対応をお願いできたらと思います。

 特にこの預貯金口座のマイナンバー付番につきましては、行政が預貯金残高など個人の資産状況を把握できるようになるのではないかという誤解が一部にございます。従来どおり、行政機関が個人の口座内容を確認できるケースは、法令に基づき必要な社会保障の資力調査や税務調査などを行う場合に限られますので、デジタル大臣には、是非とも誤解を解くための周知活動への御尽力もお願い申し上げておきます。

 さて、総理は、十二月六日の所信表明演説の際、大事なのは最悪の事態を想定することですとおっしゃった上で、ジョン・F・ケネディ元米国大統領の、屋根を修理するなら日が照っているうちに限るという言葉を引用されました。

 感染症対策に限らず、日本が直面する可能性のある最悪の事態を想定し、先手先手で構えを講じ、そしてリスクを最小化しておくということは、これは危機管理の要諦でございます。総理のお考えに心から賛同いたします。

 そこで、リスクの最小化という観点から幾つか伺います。

 補正予算案には、変化する国際情勢に迅速に対応し、国家の安全保障をしっかりと確保するための経費として七千百三十九億円が計上されました。総理がおっしゃった、大事なのは最悪の事態を想定することですという理念が国防力の強化にも生かされるものと高く評価をいたします。

 十二月一日、安倍晋三元総理が、台湾有事、それは日本有事です、すなわち日米同盟の有事でもありますと発言をされました。この発言に対して、中国外務省の報道官が、でたらめな発言だと反発しただけではなくて、中国の外務次官補が日本大使を呼んで、中国の内政に対する粗暴な干渉であり、主権に対する露骨な挑発だと抗議したと伝えられています。

 防衛大臣に伺います。

 台湾有事は日本有事という安倍元総理の御見解について、安全保障の観点から正しい認識だとお考えになりますか。

岸国務大臣 日本の最西端の与那国島まで参りますと、台湾はそこから百十キロのところにあります。まさに目と鼻の先に存在をしております。

 台湾は、日本にとって、自由や民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的な価値を共有する極めて重要なパートナーであり、また大切な友人でもあります。

 御指摘の安倍元総理の御発言について政府としてコメントすることは差し控えますが、台湾をめぐる情勢の安定は、南西地域を含む我が国の安全保障にとって重要であると考えています。我が国として、台湾をめぐる問題については、対話により平和的に解決されるべきと期待する立場であります。台湾海峡の平和と安定の重要性については、これは我が国のみならず、日米間あるいは日・EU、G7首脳会談においても認識を共有しているところであります。

 近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中で、中台の軍事バランスは全体として中国側に大きく有利な方向に変化をし、その差は年々拡大をしています。また、中国軍機による台湾の南西地域への度重なる進入を含め、中国は台湾周辺における活動を更に活発化させておりまして、我が国として、防衛省としても、引き続き関連動向については注視をしてまいりたいと考えております。

高市委員 外務大臣、御出張、お疲れさまでございました。

 日本の閣僚を含む政治家が台湾有事、つまり中台有事を想定した発言をすることや、日本政府が中台有事への備えを進めることというのは、中国の内政に対する干渉だとお考えでしょうか。

林国務大臣 台湾海峡の平和と安定、これは、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要でございまして、また、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが日本の政府の一貫した立場でございます。

 政府としては、このような、日本のみならず国際社会にとっても重要な問題について正当な関心を表明すること自体がいわゆる内政干渉に当たるとは考えておらないわけでございます。

 台湾海峡の平和と安定が重要であるという認識は国際社会においても高まっておりまして、四月の菅総理訪米時に発出した日米共同声明や、六月のG7首脳会合でも同様の認識が示されているということはこの証左でございまして、現政権も当然に引き継いでいるものでございます。

 そうした認識を踏まえて、私自身、十一月の十八日、日中外相電話会談において、王毅国務委員に対して直接この点に対して提起をしております。また、日本の政治家による御発言に関連する中国側からの不当な申入れに対しても、外交ルートにおいてしっかりと反論させているところでございます。

 また、十一月十三日のブリンケン国務長官との電話会談や、今般のG7外相会合の機会に行った日米外相会談でも、台湾海峡の平和と安定の問題をブリンケン長官と議論させていただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、日本を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、政府として、いかなる事態に対しても対応できるよう、平素からの体制の整備を含め、万全を期していくということは当然であると考えております。

高市委員 分かりました。

 先ほど防衛大臣がおっしゃいましたとおり、台湾は与那国島から約百十キロという近距離にあります。また、台湾南側のバシー海峡というのは、これは、日本の原油の九割、また天然ガスの六割の輸入を依存する重要なシーレーンでございますので、台湾の平和と安定は日本の安全保障に直結をしています。

 台湾国防部によりますと、昨年一年間で、延べ三百八十機の中国軍機が台湾の南西空域に進入しています。最近では、十月一日から四日の四日間にかけて、延べ百四十九機もの中国軍機が台湾南西空域に進入しました。米国は、中国の攻撃的な行動が緊張を高めていると牽制しました。中国は、台湾独立を防ぐため、反国家分裂法により武力行使を放棄しない方針を明記しております。

 今年の三月に、米軍のデービッドソン前インド太平洋軍司令官が、中国の台湾に対する脅威は今後六年以内に明らかになると発言して大きな注目を集めました。その後、軍事侵攻の時期については様々な見方が専門家からも示されておりますが、中国の台湾侵攻能力が加速しているという認識は共通しております。

 仮に、仮にですが、中台有事と言われる事態が発生した場合に備え、内閣は、先島諸島などにお住まいの皆様の安全を確保するということに加えて、中国在留邦人約十一万二千名、台湾在留邦人約二万五千名の皆様の救出手段についてもあらかじめ検討をしておかなければなりません。

 総理は、現在の自衛隊法は在外邦人救出を行う上で十分な内容を備えているとお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 現在、多くの日本人が海外で活躍する中で、こうした日本人の安全、安心を守っていくこと、これは政治にとって大変重要な役割であると考えます。

 例えば、先日のアフガニスタンのような困難な状況の中にあっても、在外邦人の生命身体の保護に万全を期すことが重要である、これは強く感じます。

 そして、自衛隊法、十分かという御質問でありますが、例えば自衛隊法八十四条の三という点につきましては、かつて、平和安全法制の議論の中でも、憲法やあるいは国際法の観点から随分と議論が行われた、こうした課題であります。これについては十分な審議が行われたと認識をしていますが、一方で、八十四条の四、これは、アフガニスタンの事例において、自衛隊機が現地の安全をどう確認するかという部分に関わる条文でありますが、これについては更に改善することができないか、これについては検討を指示したところであります。

 このように、平素から、海外で邦人が危機にさらされた際に邦人の保護、退避にどのように対応していくのか、全力でそうした対応ができるように平素から準備をしておくこと、これは重要だと認識をいたします。

高市委員 今、八十四条の四について検討を指示したとおっしゃいましたが、八十四条の四は在外邦人等の輸送を任務とするものでございます。

 今年の八月、アフガニスタン、まさにこの八十四条の四によって自衛隊が派遣されましたが、輸送業務ですから、自衛隊は現地の空港から外には出られません。派遣された自衛隊員は武器を携行しておりましたけれども、自力で逃げてきた方を安全に輸送機に導くということ、また、ハイジャックなどから機体を守る、人を守る、こういったことに武器使用が限定されていたと承知をしております。仮に、空港に向かう途中の日本人が襲撃されたとしても、空港外に出て武器を使うことはできませんので、なかなかこれは難しい派遣だったなと思います。

 ただ、安倍内閣が平和安全法制の一部として追加した自衛隊法第八十四条の三に基づく派遣でしたら、在外邦人等の保護措置を認めていますので、大使館などに集合した邦人等を陸上輸送し、この保護任務の実施を妨害する行為を排除するための武器使用というのは認められています。ただし、この保護措置の実施には、第一に、当該地域の安全を現地の当局が確保し、戦闘行為が行われていることがないこと、第二に、武器使用を含む自衛隊の活動について、領域国が同意していること、第三に、当局との連携が見込まれること、この三要件が含まれています。

 ですから、今年八月のアフガニスタンについては、もう既に政権が機能しておりませんでしたから、この三要件を満たさず、輸送を任務とする八十四条の四に基づく派遣しかできなかったということについては、十分理解できます。

 しかしながら、よくよく考えると、安全が確保されて、戦闘行為が行われることがない地域であれば、自衛隊が武器を携行して日本人を助けに行く必要はございません。むしろ、危険な地域、戦闘行為が始まった地域、政権が崩壊した国に取り残された日本人を日本政府が救出するための法制度整備が完成していないということが問題でございます。

 総理は、十二月九日の衆議院本会議で、日本維新の会の馬場共同代表の御質問に対し、国民の生命と財産を断固として守り抜くことは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応できるよう万全を期していくことは当然であり、これまでも平和安全法制の整備等を行ってまいりました、法制面を含め、必要に応じた検討を不断に行ってまいりますと答弁されました。

 先ほど、私は中台有事に触れました。最悪の事態を想定して、いま一度、自衛隊法第八十四条の三の三要件を見直すなど、在外邦人などの保護措置を実効性のある内容に改正していくという御意思はありますか。総理に伺います。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、八十四条三につきましては、これは憲法との関係、あるいは国際法との関係、随分と平和安全法制の際に議論を行いました。これは、武器の行使を伴わない警察的な活動を行うことを担保するための要件等、慎重に考えていかなければならない点を含んでいると認識をしています。

 ただ、一方で、邦人の生命、安全を守るために自衛隊が現地に赴くという際の安全ということについては、安全に対する考え方、これは決して民間における安全と同じ安全を意味するものではないと思います。この点についてもう少ししっかりと整理をしないと、アフガニスタンの際に国民の皆さんから様々な疑問が出された、こういった指摘にもつながってしまう。こういった点について問題意識を持ち、よく整理する必要があるのではないか、こういったことを検討するように指示をした、こういった次第であります。

高市委員 最悪の事態を想定して、より実効的に、多くの邦人を救出できるような知恵を絞っていただきたく存じます。

 先ほど防衛大臣がお答えくださいましたが、中国と台湾の軍事バランスというのは、国防費だけで比較しますと、中国は台湾の約十五倍になるといった感じで、今、その差は年々拡大しております。

 現在、米国は台湾に強く関与する姿勢を示しております。先月、米国の上下両院の国会議員が台湾を訪問しました。また、欧州も台湾に対する関心を強めております。これも先月、欧州議会議員団が初めて台湾を公式訪問しました。

 自民党では、積極的に台湾民進党との信頼関係を深めています。今年の八月には、自民党と台湾の民進党との間で初めて外交、防衛の政策責任者が協議する2プラス2を開催しまして、圧力を強める中国への抑止策をめぐって意見交換をしました。

 仮に、台湾で民進党政権が倒れ、第二の香港といった状況になりましたら、日本の国防にも経済安全保障にも深刻な影響が及びます。

 台湾の大手半導体メーカーであるTSMCの日本国内への立地は先端半導体の国産化に向けて朗報でございますが、仮に、TSMCに中国の会社法や中国共産党規約、また、国家情報法が適用されるような事態になってしまいますと、社内に中国共産党組織が設置され、先端技術や機微情報の流出拠点にもなりかねません。

 自民党は、衆議院選挙の政権公約の中で、自由、民主主義、人権、法の支配など普遍的価値を共有するパートナーとして列挙した国や地域の中に台湾を明記しました。また、台湾のTPP加盟申請を歓迎し、WHO総会へのオブザーバー参加を応援すると公約に掲げました。

 我が国は、今月末までTPP議長国の立場にあります。議長国として、台湾のTPP加盟実現に資するような具体的な行動を取る予定があるのかどうか、また、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加について、岸田内閣としてどのような方針で臨んでいくのか、外務大臣にお伺いします。

岸田内閣総理大臣 済みません、外務大臣の答弁の前に、一つ先ほどの答弁で訂正をさせてください。

 八十四条三につきまして、かつて平和安全法制の議論の中で、私は、武器使用を伴わない警察的な活動として行うことを担保するための要件を議論したと答弁いたしましたが、これは、武器使用ではなくて、武力の行使を伴わない警察的な活動として行うことを担保するための要件の間違いでありました。武器使用を武力の行使に訂正させていただき、おわびを申し上げます。

林国務大臣 台湾は、我が国にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係を有しております極めて重要なパートナーでございます。そのような台湾が、TPP11への加入申請に向け、具体的かつ様々な取組をかねてから公にしてきておりまして、台湾による加入申請を我が国として歓迎をしておるところでございます。

 これに関連しまして、蔡英文総統が、全てのルールを受け入れる用意があるとの決意を指導者として自ら示していることについて、肯定的に受け止めております。

 我が国としては、台湾がTPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているかどうかについて、まずはしっかりと見極めていく考えでございます。

 加入申請を提出したエコノミーの扱いにつきましては、他の参加国ともよく相談する必要がございますが、我が国としては、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくとのTPP11の意義を参加国と共有しつつ、戦略的な観点や国民の理解も踏まえながら、引き続き、TPPの議論を主導していく考えでございます。

 それから、WHO総会へのオブザーバー参加についてお尋ねがありました。

 我が国は、国際保健課題への対応に当たっては、地理的な空白、これを生じさせてはならないとWHOで一貫して主張をし、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を一貫して支持をしてきております。

 特に、今回の新型コロナのような全世界に甚大な影響を与える感染症につきましては、台湾のように、コロナ対策で実効的な措置を取り、成果を上げた地域を含めて、世界各国・地域の情報や知見が自由、透明、迅速な形で広く共有をされる、これが重要であると考えております。

 こうした考え方の下で、日本を含むG7各国は、今年五月のG7外務・開発大臣会合コミュニケにおきまして、世界保健機関の諸フォーラム及び世界保健総会への台湾の意義ある参加を支持する、こうした立場を表明しておるところでございます。

 政府といたしましては、引き続き、WHO等の場で日本の立場を明確に主張していくとともに、台湾のWHOオブザーバー参加に関し、関係国と連携し、WHOに働きかけていく考えでございます。

高市委員 ありがとうございます。

 TPPの議長国は今月末で終わっちゃいますが、来年、シンガポールに議長が移ったとしても、前議長、現議長、次の議長国とトロイカ体制でしっかりとした取組ができると聞いておりますので、しっかりと日本の主張を、そしてまた台湾への支援をお願い申し上げます。

 自民党は、衆議院選挙の政権公約に「ウイグル、チベット、モンゴル民族、香港など、人権等を巡る諸問題について、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めます。」と記しました。

 総理は、内閣発足早々、人権担当総理補佐官を新設されるなど、その姿勢には、戦後最長の外務大臣を務められた知見と、そして総裁選で拝見した戦う姿勢が見られます。

 特に、中国の人権問題につき、中国政府に対してどのように対応していかれるのか、また、北京五輪に外交使節団を派遣しない、いわゆる外交的ボイコットについて日本政府の方針を現段階でどうお考えになっているのか、伺います。

岸田内閣総理大臣 私の内閣におきましても、人権を始めとした普遍的な価値を守り抜いていくこと、これを重視しております。

 そして、我が国としては、こうした普遍的な価値が中国においても保障されることが重要であると認識をしています。私自身も、十月、就任して間もなく行われました習主席との電話首脳会談においても、香港、新疆ウイグルといった人権状況について、直接提起をしたところであります。

 そして、御指摘のように、この内閣において、初めてとなります人権担当の総理補佐官を設置いたしました。省庁横断的にこうした人権問題に取り組む、同盟国、同志国と緊密に連携してしっかり声を上げていく、こうした人権を重視した外交を進めていきたいと考えています。

 その上で、北京冬季大会について御質問がありました。

 この対応につきましては、これは適切な時期に、オリンピック・パラリンピックの趣旨、精神ですとか外交上の観点、こうした諸般の事情を総合的に勘案した上で、何よりも国益に照らして自ら判断する、これを適切なタイミングを選んで、しっかりと明らかにしたいと考えています。

高市委員 総理がおっしゃる適切な時期とか国益というのはどういったものでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、適切なタイミングについては、オリンピックまでの期間の中で、各国の動き、様々な動き等も勘案した上で、我が国として適切な時期を考えていかなければならない。国益、これはまさに日本の外交の置かれている立場等をしっかり総合的に勘案して判断すべきものであると考えます。

高市委員 各国の動きを勘案してということなんですが、総理は自らお決めになるともおっしゃっておりますので、早期にしっかりとしたメッセージを、人権問題に対してしっかりと取り組む日本の姿勢を打ち出していただきたい、こう希望を申し上げます。

 昨年一月以降、私たちは、マスク、消毒液、また医療用ガウン、人工呼吸器、注射器、半導体など、様々な必要物資の不足を経験しました。

 米国では、国防生産法に基づきまして、昨年は、当時のトランプ大統領が自動車メーカーであるGMに対して人工呼吸器の製造を命令しました。今年は、バイデン大統領がメルク社に対して、ライバル会社のジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンを製造するように命令をしました。しかしながら、大統領が命令をした場合には、しっかりとそれに必要な設備投資の費用というのは国費で手当てをされたと承知をいたしております。

 感染症にかかわらず、自然災害や紛争、テロなど様々な緊急時に、生活、医療、衛生、産業に必要な物資というものは国内で生産、調達する、そういう体制をつくっておくということは、リスクの最小化に不可欠であると考えておりますし、経済安全保障の大きな柱の一つだと思います。

 補正予算案には、経済安全保障の項目が設けられ、先端半導体の国内生産拠点の整備などが盛り込まれております。半導体以外にも、多様な必要物資や原材料についても、例えば、生産協力企業への国費支援策の具体化ですとか、研究開発拠点、生産拠点の国内回帰を希望される企業への税財政支援などを検討して、国内製造基盤を強化する制度の構築が必要だと考えておりますが、経済安全保障担当大臣の御見解を伺います。

小林国務大臣 世界各国が戦略的物資の確保やあるいは重要技術の獲得にしのぎを削っている中で、経済安全保障の確保、推進というのは喫緊の課題だと考えております。このため、総理を議長、そして官房長官と私を副議長とする経済安全保障推進会議の下で、まさに省庁一体となってこの新しい課題を取り組んでまいります。

 課題の一つがサプライチェーンの強靱化だと考えておりまして、コロナ禍におきましてもサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことを踏まえまして、供給が途絶した場合に、国民生活ですとかあるいは経済活動に対して影響が大きい物資につきましては、安定供給を確保していく必要は当然あると考えております。

 御審議いただいております補正予算につきましても、今委員から御指摘のあった先端半導体について、国内生産拠点の確保のために六千百七十億円、そして、今後の感染症危機に備えまして、国産ワクチンの開発や製造を大きく前進させていくために五千億円規模の予算を計上します。

 こうした取組に加えまして、サプライチェーンの強靱化を含めた新たな法案につきまして、来年の通常国会への提出を目指して、まさに検討しているところでございます。現在、有識者会議も立てまして、産業界あるいはアカデミア、いろんな方々から御知見をいただきながら、様々な角度から議論をしております。

 こうした会議の議論も踏まえながら、委員御指摘の国内製造基盤の強化を含めまして、サプライチェーンの強靱化に向けて、民間企業の協力も得つつ、しっかりと必要な対策を講じてまいります。

高市委員 大いに期待をいたしております。

 気候変動が進む中で、厳しい気候にも耐え得る農林水産技術の開発を早期に着手することや、担い手の育成や、また需要に応じた生産の拡大など、食料自給力の強化をしておくということ、つまり食料安全保障もリスクの最小化に資する重要な柱だと考えますが、農林水産大臣が新たに着手する予定の具体策はございますでしょうか。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 我が国の農林水産業は、人口減少に伴う国内市場の縮小や農林漁業者の減少、高齢化などに直面しており、さらに、世界的な課題となっている気候変動にも対応していく必要があります。将来にわたりまして食料安全保障を確かなものにするためには、こうした課題に対処していく必要があります。

 このため、スマート農林水産業の実現を原動力としつつ、気候変動に適切に対応するための、みどりの食料システム戦略を踏まえた環境負担低減の取組を推進しまして、年々拡大していく世界の食市場を獲得するための農林水産物、食品の輸出促進等などによりまして足腰の強い農林水産業を構築し、食料自給力を強化していく必要があります。

 あわせて、高温に強い米や果樹の品種開発などの、気候変動に適応するための技術開発についても進めてまいりたいと思います。

 以上です。

高市委員 総理が所信表明演説において、三回目のワクチン接種について、八か月を待たずに、できる限り前倒ししますと言ってくださったことについて高く評価をいたします。

 十一月五日には、横浜市立大学附属病院、大学院、企業などによる共同調査で、ファイザー社のワクチンについて、二回目接種六か月時点で、抗体価が約九〇%減少し、ウイルスの感染阻害能を示す中和抗体価も約八〇%減少していたという結果を拝見しました。

 その後、十一月二十五日に、厚生労働省幹部に対して、三回目の接種時期を二回目接種後八か月としているけれども遅過ぎるのではないかと伺いました。そのとき、厚生労働省幹部は、八か月後で大丈夫だと強く主張されましたので、厚生労働省が科学的知見を基に八か月で大丈夫だと保証をするということでよいのですねと、かなり厳しい表現で確認をいたしました。

 オミクロン株が初めて国内で確認された十一月三十日の官房長官記者会見では、現時点で接種時期を変更する予定はありませんというお答えでございました。

 その五日後の十二月五日には、官房副長官が、三回目の接種について、自治体の能力も踏まえながら、可能なところは前倒ししていくとテレビ番組で発言をされました。

 これは、自治体の能力次第にされては、私たちは安心できません。住民の皆様の命を守るために絶対に必要なことであれば、自治体は懸命に対応してくださいます。内閣が、中和抗体価が低下して感染阻害が困難になるまでの期間について科学的根拠を示した上で、三回目接種を開始するべき時期を明確に示すということ自体が、国民の皆様の安心感や、接種を実施してくださる自治体や医療従事者の皆様の納得感につながるものだと考えますので、明確なメッセージの発信をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 本日はありがとうございました。

根本委員長 この際、牧原秀樹君から関連質疑の申出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。自由民主党の牧原秀樹でございます。

 まず冒頭ですが、この長い間続くコロナ禍において、私たち国民の命と暮らしを支えてきてくださっております医療や保健関係者の皆様等のエッセンシャルワーカーと言われる皆様、あるいは自衛隊、警察、消防、救急の皆様、さらには霞が関や自治体などの行政の関係の皆様にも、ほぼ休みなくずっと取り組んでいただいているところでございます。改めて感謝を申し上げる次第でございます。

 さて、最初に、第四十九回総選挙が終わりまして、一か月半ほどがたちました。私自身も、最大野党の党首の方と一対一で戦うという最前線の中で、地元埼玉の皆様のおかげをもちまして、こうして質問をさせていただいている次第でございます。

 本当に、この選挙、岸田総理からすると、総理就任から選挙までが十日間。今まで戦後最短だったのは、鳩山一郎内閣の一次内閣のときの四十五日間というのが最短でしたから、それを大幅に上回る、恐らく歴史上破られることがない、総理就任から解散までの最短の総選挙という、歴史的な選挙になりました。

 改めて、総理は、この選挙を、事前には未来選択選挙だと名づけていらっしゃったわけですけれども、今振り返ってみると、この選挙というのはどういう選挙だったか、○○の選挙だったというふうに簡潔にお答えをいただければと思いますし、もしこの結果が、勝ったとちまたには言われておりますけれども、勝ったと御評価されるんだとすれば、どういうことで勝ったとお考えになるのか、お答えをお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の第四十九回衆議院選挙、自民党として二百六十一議席、公明党が三十二議席、与党として二百九十三議席を得ることができました。

 与党として過半数を得ることができたということについては、自公政権の下で安定した政治を進めるようにという多くの国民の皆さんの民意の表れだったとは受け止めています。

 ただ一方で、選挙戦を通じて我々自民党にも多くの厳しい声も投げられたというのも事実であります。こうした声については、厳粛に受け止めなければならないとも思います。

 これからも丁寧に国民の皆さんとの対話、意思疎通を図りながら、信頼と共感が得られる政治を進めていかなければならない、こうしたことも、選挙の結果、選挙を振り返って感じているところであります。

牧原委員 まさに総理がそうお感じになられているように、私も、結果よりもはるかに厳しい声、視線というのをやはり感じた選挙でございました。

 私は、やはり大切なのは目線だなとつくづく感じたんです。私たちが一方的にこうだろうと思う目線、つまりこれは上から目線だと思うんですが、これは、やはり下に届かないし、上から見られている方は、何だという反発を受けます。

 なので、やはり同じ目線あるいは下からの目線を貫いていくことが大事じゃないかという思いで、今日はちょっと質問をさせていただきたいと思っております。

 まずは、私は弁護士なんですけれども、元々、弱い者のために力になりたい、こういう思いで、政治家になった後も、政治は弱い者のためにある、こういう思いで活動させていただいております。

 先日、選挙プランナーの三浦さんの衆議院選挙の総括の勉強会があったんですけれども、そのときにも、まさに、自民党は強くなっている、だから、強い者こそ弱い者の声に耳を傾けよ、これがこれから大事なんだ、こういう話を受けたところでございます。

 そういう意味で、ちょっとパネルを、済みません、2の方を示していきたいんですけれども、この上の方の、令和二年の自殺された方の数でございます。

 実は、この自殺をされた方というのは、与野党を超えた対策法ができたり、いろんな取組、例えば貸金業法を改正したり、悪徳商法をなくしたり、消費者庁を創設したり、私もそういうことに取り組んでまいりましたし、消費者庁を創設するときの大臣は総理でございますし、初代の長官というか大臣は野田さんだったというふうに理解しておりますけれども、こうした取組もあってどんどん自殺された数は減ってきたんですけれども、令和二年に十一年ぶりに増えました。

 特に、女性の方が八百八十五人増えておりまして、増加率でいうと、二十代の方が一七%と一番高くなっております。そして、非常に心が痛むことに、小中高生の自殺者は六十八名増えて四百四十人で、これは過去の歴史最多となっているところでございます。

 今年の動向は、前半期は、前年同月比でいうといずれもかなり増加をしております。特に女性の方の増加というのは、今年の六月まで、引き続き非常に高かった状況でございます。後半になって、七月以降になって減ってきているんですけれども、しかし、こうした深刻な状況であることには変わりありません。また、理由として、経済問題を理由とした自殺の方が増えているというのも一つ大きな特色でございます。

 これは、私たち、いろんな対策を打って、生活が困窮されている皆様に何とかお力になりたいと取り組んできたわけでありますけれども、例えば、既に代表質問でも出ておりましたが、非課税世帯への給付金、ありがたいんですけれども、単身世帯でいうと年収百万だ。そうすると、例えば百五十万ぐらいで都内で独り暮らしをされているという方にしたら、それで生きていくかというとなかなか厳しいのは確かでございまして、こういう方はいろんな支援から漏れているという状況になっております。これはワーキングプアと言われている状況でございます。

 昨日だったと思いますが、ニュースに出ていた自立支援金、これは貸付けではなく給付の形で三か月分ということなんですけれども、これも政府の想定より半数ぐらいしか実は適用がない、九万件ぐらいで、適用がなかったという話があるんですけれども、私が聞いている限りでは、これはニーズがなくて使っていないのではなくて、それまでの緊急小口資金や総合支援金等はいわゆる社協というところでかなり優しい対応がされるんですが、自立支援金になると市区町村の実務になって、こちらは真面目に、要件にちゃんと合致されているかと、すごく厳しく見るんですね。そこにハローワーク等で求職しなきゃいけないというような要件がまた厳しくついていまして、働きながら苦しいというような方はほぼ使えない制度になっているというような状況もございます。

 あるいは、緊急事態宣言中は、携帯電話とかガスとか電気とか、いろんなものが猶予されているということ、これは私たち去年の四月にみんなでやったことでございますけれども、その請求が、十一月になって、緊急事態宣言が明けて今落ち着いてきたからといって、一斉に来ているんです。これは、役所に聞くと、確かに携帯電話とか、確かに電気、ガスはと言ってそれぞれの省庁ごとにおっしゃるんですけれども、受けている方からすると、縦割りとは関係なく、一斉に請求が来て、特に携帯電話は、払えないと止められるというと、もう求職もできないという大変なことになります。

 こういう意味で、私は今、厚生労働部会長という形で生活困窮も担当するような立場に一応なっているんですけれども、この立場になってみて、改めて、国の支援が、生活が困窮されている方にやはり行き届きにくい、あるいは行き届いていない、あるいは我々も実態をきちんと把握し切れていない、こういう問題にすごく深刻な問題意識を持っております。

 これは、コロナ対策のことだけではないかもしれません。是非とも、実態をきちんと把握し、そして、この国に生まれた限りは、どういう生活状況になろうとも、優しい、温かい、そういうことが、国が我々を守ってくれるんだ、そういう国にしたい。これは総理が温かさを非常に強調されております。

 そしてまた、平時と有事の違い、これも大きくて、やはり平時の体制のまま突然制度だけ有事で降ってくると、現場の方はもう本当に大変になっている、こういうこともございます。

 私は、こういう意味で、改めて、先進国でも余り例がないんですけれども、生活困窮を担当する特任の大臣を是非岸田内閣はおつくりいただいて、そして徹底的にこの問題に取り組んでいただき、そして世界でも例を見ないぐらいな、歴史でも、本当に歴史になるような生活困窮者対策を是非岸田内閣として取り組むべきだと思いますが、総理の御見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 新型コロナの影響が長期化する中にあって、様々な困難に直面される方々がおられる、そして、そういった方々それぞれを速やかに、生活、暮らしを支援する形でできるだけ助けていかなければならない。

 こうしたことで、政府としても、御指摘のように、緊急小口資金等の特例貸付けですとか、生活困窮者自立支援金ですとか、様々な取組を用意している、施策を用意しているということですが、その連携等に問題があるのではないかという御指摘の中、もちろん、政府においても、例えば社会福祉協議会の取り扱っている緊急小口資金の特例貸付けについても、この貸付けを受けた方に対して、ハローワークにしっかりとつないで、ハローワークにおいて、無料の職業訓練と月十万円の給付金を支給する、こうした求職者支援制度を紹介する、こうした連携等に心がけている部分もあるわけですが、まだまだ、御指摘のように、まず情報が行き届いていない、また連携が不十分である、こういった点があるということについては、これは素直に謙虚に受け止めなければならないと思います。

 その中で、担当の大臣を設けたらどうかという御指摘ですが、こういう問題意識はしっかり共有しながら、まずは、現場であったり、自治体、関係機関であったり、その中で連携あるいは情報共有、これについていま一度しっかりと確認をし、この取組を進めていくところからまずは始めてみたいと思います。その上で、必要なものが何なのか、考えていきたいと思います。

牧原委員 前菅総理のときに孤立・孤独担当相というのができて、大変世界的にも大きなニュースになりました。是非とも、大臣をつくること自体が目的ではありませんけれども、やはり、日本の国の取組をほかの国が、あそこの国はあったかい国だな、優しい国だなと、こう思うような取組を是非進めていければなというふうに思うところでございます。

 次に、ちょっと済みません、下の表、児童虐待相談対応数の数、これは、もちろん、制度ができて、今まで相談されなかった方の数が入っているという面もあると思いますけれども、過去最多を更新し続けております。この虐待の問題も深刻でございます。

 また、こちらはいじめの認知件数ですけれども、令和二年は余り学校がなかったので、いじめ件数は減っていることにはなっていますけれども、しかし、かなり増えてきていることは言えます。これも認知が増えているという面もあるんですけれども、こういうこともあります。

 それから、不登校の方の児童の数、これは過去最高になっているという話でございます。

 こういう関係者の皆様のお話を聞くと、やはり、これは単なる表とかの話ではなく、ここに一人一人の子供たちの人生、そして家族の人生、あるいは学校関係者の方、その他の関係者の方の苦しみや悲しみ、こういうものが本当に詰まったということを私は日々実感をしております。

 こうした、せっかく日本がこれだけ戦後様々な政策を打ってきて、その結果がこの悲しい現実になっているということは、我々は重大に受け止めなきゃなりません。是非とも岸田政権としては最重要課題としていただきたい。是非、総理の御決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、いじめ、虐待、不登校、貧困、子供たちは様々な課題を抱えており、現状、憂慮すべき状況にあると認識をいたします。

 私も、十月でしたが、子供食堂に足を運ばせていただきまして、貧困や孤独、孤立などの課題を抱えて困っている方々を支援する側の方々の話をお聞きいたしました。想像以上に厳しい現実を強く認識してきました。

 所信表明演説でも申し上げましたとおりに、人は国の礎であります。そして、その中で特に、未来を担う子供たちが様々な深刻な状況にあるということ、これはあってはならないと認識をいたします。こうした子供たちをめぐる様々な課題に適切に対応するためにも、子供目線で、そして縦割りを排した、こうした行政を進めていかなければならないと考えます。

 そういった問題意識を持って、この子供政策の基本理念、目指す方向性、こういったものを実現するための新しい行政組織が必要であるという考えの下に、今検討を進めているところです。

 委員御指摘のように、子供政策、内閣の最重要課題の一つとしてしっかり取り上げ、取り組んでいかなければならないと認識をいたします。

牧原委員 ありがとうございます。

 今総理がおっしゃったこども庁については、実は、去年の二月ぐらいから若手で勉強会を行って、私、代表世話人を木原官房副長官とともに務めてきたんですけれども、あと自見さんや山田参議院議員等とも一緒にやって、それで菅総理に提言をしたところ、それをやろうということで、党本部でも総裁直轄の本部ができて取り組んできたことでございます。野田大臣が座長として、一番トップでも力を入れてくださったことでございます。

 これについて、先日先送りという報道が出て、大変関係者の人は不安を感じるとともに、何だ、せっかく自民党に投票したのにと、私も随分と叱られました。

 是非とも、これはそういうことではないと。改めて、今総理が御言及いただいたこども庁についての今後の取組と決意について、総裁選でもこれを第一に掲げられていた野田大臣にお伺いをしたいと思います。

野田国務大臣 牧原委員は、自民党の中の子供政策のリーダーとして大変活躍をされて、結果として、今、岸田政権の下でそれを受けて、見える形で子供たちをしっかり支えていこうというのがこども庁のありようだと思います。

 御指摘のいじめの問題、不登校等々の問題の解決もさることながら、国会にいると子供が見えません。でも、私たちは、未来の日本は子供の光によって歩んでいくものだと思います。

 一人残らずしっかり支えていくために、「こどもまんなか」という考え方の下で、子供目線に立って、縦割り等でいろいろ問題が起きているとするならば、それをしっかりと一元的に受け止めて、そして、迅速に子供の課題、問題を解決する場所を私たちは責任を持ってつくらなければならないという思いで、こども庁の創設に向けて、岸田総理のリーダーシップの下で今進めているところです。

 計画としては、年末までに基本方針を決定して、来年の通常国会には法案を提出する方向でしっかりと検討しているところです。

 発足の時期につきましては、御承知のとおり、子供たちを支えてくれているのは全国の地方自治体の皆様方です。そういう方たちとのしっかりとやり取りをする、整理をした上で、令和五年度のできるだけ早期に発足させたいと考えています。

 頑張ってまいります。

牧原委員 是非ともよろしくお願いします。

 これも最初に申し上げた目線なんですよね。やはり、大人たちの目線ではなくて子供たちの目線でこの政策が進められるようにお願いをして、そして、岸田内閣が進むにつれてこうしたものが全部こう下がっていったんだと、目に見えるような成果が、是非ともみんなで出していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 その目線の問題でいいますと、私、中高の先輩でもございます谷垣禎一元総裁、大変尊敬を申し上げておりますが、現在、車椅子で活動をされて、先日、ちょっと立ったという話が、歩かれたという話もありましたけれども。

 谷垣元総裁がおっしゃっていたのは、自分が車椅子になってみて、今まで自分も障害がある方のためにとかいろんなふうに思っていたけれども、なってみると全然違うと。改めて、なってみて見える風景の視点からいろんな政策を進めてほしいんだ、こういうことをけがから復帰した多分最初か次の御挨拶でおっしゃっていたことを、私、大変感銘を受けた次第でございます。

 その中で、バリアフリーという問題がございます。これはもうずっと十五年ぐらい、バリアフリー、私も議員になって取り組んでいますし、多くの皆さんが取り組んできて進められておりますが、しかし、まだまだそう感じるということでございますので、是非、このバリアフリーというものを一つシンボリックに、政権のレガシーとするぐらいの勢いで取組をお願いしたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 若者も、高齢者も、そして障害のある方も、全ての方々が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会を目指していきたいと思います。我々一人一人が、持てる力を存分に発揮するとともに、みんなで協力をしていく、こうしたことで新しい時代をつくっていかなければならない、これが基本的な思いです。

 その際に、このような、多様性が尊重される、それぞれの力を発揮できる社会を目指すに当たりまして、多様な方々が安心して活躍できる環境を整える、そういった観点から、御指摘のバリアフリー、これは重要であると認識をいたします。

 そして、その際に、ハードのみならずソフト面も含めて、このバリアフリーの取組を国民の多くの皆さんの様々な声をしっかり丁寧に伺いながら進めていかなければならない、こうした思いで政策を進めたいと思います。

牧原委員 私は十七年間、選挙に弱いので、駅に立ち続け、毎日通勤客の皆様、学生の皆さんをお見送りしていますが、その中で、指扇駅とか日進駅とか与野本町駅とか、幾つかの駅のバリアフリー化もお手伝いをして、バリアフリーになると、何かやはり通勤客の皆さんも顔が心なしか明るい雰囲気がありますし、重い荷物の方、つえをついた方、もちろん車椅子の方、様々な方が本当に笑顔で電車に乗られる、こういう風景を目にしてまいりました。

 是非とも、そうした目に見える形での、岸田政権発足後、何かみんなが笑顔になったねという社会を築いていくために、お願いをしたいと思います。

 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策でございますが、これは党本部でほぼ毎日のように、いろいろな観点で闊達に議論をしております。西村前大臣が本部長で、様々PTもつくって、私も入って議論をしておりますが、特に、やはり感染症法に関して言うと、これはやはり有事だと。振り返ってみると、これを何とか平時の延長で捉えようとしたところに、最初、無理があって、有事だというふうに声が大きかったです。

 実は、このことを一番おっしゃっていたのは、岸田総理が総裁選のときにおっしゃっていたことで、健康危機管理庁の創設も含めた、やはり有事としての体制強化が必要だという話をされておりましたが、この点について今後どのように対応していく方針か、お伺いをしたいと思います。

 山際大臣にお願いいたします。

山際国務大臣 新型コロナ対応につきましては、先般、十一月十二日になりますけれども、お示しをしました、次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像に基づきまして、まずは、次の感染拡大を見据えた医療提供体制を確保する、そして、ワクチン、検査、飲める治療薬の普及により、予防、発見から早期治療までの流れを抜本強化することとしております。

 また、国が主導して感染症危機に対応できるよう、国と地方の連携強化を行うとともに、緊急時に、安全性の確認を前提としつつ、迅速な薬事承認ができるよう、法整備を行うことともしております。

 今御質問がありました緊急時ということでございますけれども、息の長い感染症危機への対応体制を整えるためには、これまでの新型コロナ対応を徹底的に検証することとしておりまして、感染症危機管理の在り方について、与党の方で、それこそ先生中心に御議論いただいていると思いますけれども、活発的に御議論いただいていると承知しておりますが、来年の六月までに、感染症危機などの健康危機に迅速的確に対応するため、司令塔機能の強化を含めた抜本的体制強化策を取りまとめられるよう、しっかり取り組んでまいりたいと存じます。

牧原委員 是非お願いをします。

 先ほど高市政調会長も、国内でのいろいろなことが大事だという中で、例えばワクチンも国内のものができなかったなんという話がございました。

 昨年、今年と、なぜできなかったかという検証はかなり党本部で行われて、例えば、薬価改定が毎年あることが投資の見通しをつきにくくしているんじゃないかとか、治験の問題だとか承認の問題だとか、いろいろな問題がありました。

 やはり、でも、経済安全保障上、少なくとも国内製造が必須だというふうに思いますけれども、今後の対策について改めてお伺いをします。

小林国務大臣 パンデミックの際には各国がワクチンの確保を図りますので、国産ワクチンの開発というのは、経済安全保障上、非常に重要な位置づけを持つものだと考えています。

 したがいまして、今後の感染症の危機に備えまして、国産ワクチンの開発ですとかあるいは製造を大きく前進させるために、今御議論いただいておりますこの補正予算案におきましても、五千億円規模の金額、予算を計上させていただいております。

 具体的には、新たな創薬手法による産学官の実用化研究への集中的な支援、また、世界トップレベルの研究開発拠点の形成、そして、ベンチャー企業や生産設備の支援などによって、産学官の総力を挙げて国産ワクチンの迅速な開発を目指してまいります。

 そして、平時から有事に備えた継続的な取組を進めていくことが、パンデミックの際に、でき得る限り我が国自身の意思と能力で国民の皆様の命を守っていく観点から極めて重要だと考えております。

 その上で、我が国のワクチンなどを海外に提供することなどができれば、それは、国際的な貢献となって、我が国の更なる国益につながっていくものだと考えております。

 こうした姿こそがまさに我が国の経済安全保障が目指すべき姿だというふうに考えておりまして、しっかりと対策を進めてまいります。

牧原委員 是非お願いします。

 昨年、私、経済産業副大臣として梶山大臣の下、マスクの生産とかを厚労省でやり切れないということで、経産省の方が多く行って、それを見ましたけれども、そこで一生懸命国内生産を増やした結果、まあ、結果だけではないと思いますが、今、マスクとかの不足というのはほとんど感じなくなりました。これは多分、第一波のときと一番の違いだと思うんです。やはり国内生産に力を入れることが大事だと思いますので、よろしくお願いをします。

 この間、第六波対策ということで、選挙後、早々と岸田内閣の下で取りまとめも行われましたが、やはり医療の充実というのが大変重要だということでございます。

 私、選挙中にいろいろな方にお話を伺うと、特に看護師の方で、全くこの間休みがなかったと。休みがなくてつら過ぎるので辞めちゃう人がいると、残った人は更につらくなって、その方は逃げ遅れたという言葉を使っていましたが、そのぐらい過酷な状況で、この間、活動されてきました。

 先日の会合でも、これは、ある病院に、指定病院としてそこをコロナ対応にとっさのときにはやれるようにするんだなんということになると、その病院に勤めている人たちは、あらかじめそこから逃げ出しておこうといって辞めちゃう可能性があるので、やはり、あるところにしわ寄せをするような対策ではなくて、医療界全体として取組を促していくような、そういう方向性が大事だということでございました。

 この点について、このような御指摘を受けての政府の方針と、それから、やはり、診療報酬改定が目の前でございますので、私の立場としては、とにかく現場を見ている立場として、これをプラス改定にすることも含めて、現場の皆さんがやる気が出るような結果にしてほしい、こう思いますが、後藤大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症対策に、医療関係者の皆様、また国民の皆様、本当に御尽力をいただいていることに改めて、今、牧原先生のお話も伺って、感謝を申し上げたい、そういう気持ちでございます。

 令和四年度の診療報酬改定についてのお尋ねがありましたけれども、物価、賃金の動向や、医療機関の経営状況、また、保険料などの国民の負担、岸田政権が支える看護師の収入の引上げ、処遇改善、新型コロナを踏まえた政策課題への対応、こうしたことを踏まえまして、予算編成過程においてしっかりと検討してまいりたいというふうに思っています。

 医療提供体制、そして国民が安心できるように、全力を挙げて努めてまいりたいというふうに思っております。

牧原委員 是非よろしくお願いをいたします。

 今お話がありました中で、この処遇改善というのは、私は歴史的な取組だと思います。これは総理の強烈なリーダーシップがなければ、強烈なというよりは強力なリーダーシップがなければ進まなかったことだと思いますが、他方で、実務を預かる立場からしますと、例えば、保育士や看護師、看護師といった資格を持っている方でも、これはあくまで、施設で働いていらっしゃる方とかは対象になりますけれども、そうじゃない、何らか資格を持って、対象とならないところで働いている方は支給がされない場合があり得ますし、それから、配置基準に基づく支給というふうになるので、実労働者の方が多い場合にはその分薄くなる可能性がありますし、それから、資格者以外の、例えば補助者の方とかコメディカルの方とかいろいろな方に、みんなで賃上げしようねと払われる可能性があるので、実際には、言われていますような四千円とか九千円とかいう金額が、給料袋を開けてみると上がっていない可能性が私は非常に高い、こう思っているところでございます。

 しかし、こうした動き自体が、総理のリーダーシップがなければ動かなかったということで、これは歴史的な意味でも大きな第一歩であり、そして、また今後継続されるものだと思いますので、改めて、今後のこの方針について、総理にお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今般の経済対策において、新しい資本主義を起動するための分配戦略として、御指摘いただきましたように、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々、そして、地域で新型コロナ医療対応などを行う医療機関で勤務する看護職の方々の給与の引上げを行います。

 今御質問の中で、給与袋を開いてみたら変わっていないのではないか、こういった御指摘もありましたが、これは、現場の方々に確実に行き渡るよう、補助額を全額給与引上げに充てたことを自治体において確認する仕組み、こうしたものも用意をしております。

 そして、今後についてですが、まずは補正予算でスタートいたしますが、来年度の本予算、予算編成の議論の中で、こうした処遇改善について引き続きしっかり支えていく議論を進めていかなければならないと思いますし、さらには、その後の更なる引上げ等については、安定財源の確保と併せた道筋も含めて、この度設けました公的価格評価検討委員会、ここにおいてしっかり議論をし、そうした取組を維持し、発展させていきたいと思っています。

 そして、その委員会におきまして、年末までに中間整理を取りまとめることになっています。そういった取組を通じて、これからのこの取組を、スケジュールや姿勢について明らかにしていきたいと思っています。

牧原委員 是非、なかなか賃金が、日本は二、三十年上がっていないじゃないかという御指摘を受けて、そのとおりだと思いますので、岸田内閣でこの流れが大きく変わるように総理のリーダーシップを期待したい、こう思うところでございます。

 先日、自民党に障害児者問題調査会、調査会はたくさんあるんですが、障害の子供たち、あるいはある方に本当に特化した調査会があるということ自体、私はすごいことだ、こう思っているんですが、ここで本当に活発な議論がなされました。

 やはり、先ほどのお話のように、コロナ禍で、実は障害のある方が、あるいは施設が、結構大変な思いをされております。

 私が言われたのは、議員の皆様、よくイベントとかお祭りとかに行くと、障害者の方がパンを売っていたり、そういう形で、結構あれが売上げがあって、また、みんなの生きがいややりがいにもなっているという面があるんですけれども、このコロナ禍でほとんどのイベントが中止になってしまっております。持続化給付金等の対象にもならないので、売上げが下がっても、そこに何か補填があったり給付金があったりするわけではありません。

 こういう大変な中で、例えば駅のコンコースとか、そういうような場所で是非とも恒常的に自分たちのパンを売ったり物を売ったりする場をつくりたいんだけれども、その費用が結構かかるので、これができないんだ、こういう費用を援助してもらえないか、こういうことがあると障害があるみんなが働く意欲がすごく出て、やりがいもあるんだがと、こういう指摘を受けたんですけれども、これはいかがでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスの影響によりまして、牧原先生御指摘のとおり、障害者が働く就労継続支援事業所等において、発注の減少等によりまして大変に厳しい状況にあるという声を伺っております。

 このため、コロナの影響により生産活動収入が大幅に減少している就労継続支援事業所に対しまして、新たな生産活動への転換や販路開拓等への支援を通じまして事業所の生産活動を後押しする生産活動拡大支援事業を補正予算で計上をいたしております。今御指摘のありました、駅のコンコースで新たに販売を開始するような、そういう場合の費用も含めまして、今申し上げた事業の対象になります。

 こうした取組によりまして、障害者の働く場がしっかりと確保されまして、工賃を支えていけるように、温かい目で、みんなで支援していきたいというふうに思っております。

牧原委員 是非よろしくお願いします。

 障害のある方は、最近高齢化して、御家族の方は、自分の子供が心配だという不安の声なんかもありますので、是非、改めてコロナ禍での実態をよく見ていただいて、対策を打っていただくようお願いをしたいと思います。

 さて、来年のことを言うとまだ早いかもしれませんが、私も党で関わってきたことですごく大きいこと、成人が十八歳になります。

 この十八歳成人の実現が、四月になるんですけれども、この中で、我々、私、事務局長で今津先生と取り組んだんですが、問題になることの大きな一つが、消費者被害が増えるんじゃないかという不安です。

 この消費者被害を防ぐという現在の準備状況について、是非お伺いをしたいと思います。

若宮国務大臣 牧原委員にお答えさせていただきます。

 牧原議員は、これまでも消費者問題に非常に熱心に取り組まれていること、改めて敬意を表したいと思います。

 また、御指摘のとおり、来年四月から成年年齢引下げ、十八歳、十九歳の方を始めといたしました若年者の消費者被害の防止、これは非常に重要な課題だというふうに認識をいたしてございます。

 来年の四月のこの引下げを見据えまして、主に若年者に発生している被害事例を念頭に置いた上で、平成三十年、消費者契約法の改正におきまして、社会生活上の経験の不足を利用した不当な勧誘行為に対する取消権の追加を行ったところでございます。またさらに、若年者の被害も多い詐欺的な定期購入商法に対しましては、本年、特定商取引法の改正におきまして対策の強化を図ったところでもございます。

 また、消費者庁におきましては、これまでも、関係省庁と連携をしつつ、高等学校等におけます消費者教育の充実、また、若年者に必要な情報が確実に届くように、SNSなども活用いたしました情報発信の取組も強化をしているところでもございます。

 今後とも、若年者の消費者被害の実態、これをきめ細かく把握した上で、法務省そしてまた金融庁等の関係省庁とも連携をいたしまして、若年者の消費者被害の防止にはしっかりと取り組んでまいりたい、このように思っております。

牧原委員 是非よろしくお願いをします。

 改めて、今日は、少し目線を大切にして、やはり上からではなく、少なくとも同じ目線、そして下からの目線をお願いをしたい、そして、弱い立場の者の声をみんなで聞くということが大変今は大切であるということを改めて強調したいと思います。

 私、大変尊敬をする池田勇人総理大臣が、やはり経済を、所得倍増で日本の戦後を変えたというふうに思いますが、その池田総理が、山より大きなイノシシは出ないということをよくおっしゃっていて、これは総理と同じ広島の方の農夫の方がおっしゃっていたような言葉でもあるそうですが、イノシシが出るとびっくりするけれども、しかし、大局から見ると大したことはないんだ、だから、難局があって大変だと思っても、大きな意義からすればそれは乗り切れる、こういうふうにリーダーとして心構えを持っていたそうでございます。

 是非とも、どんな難局も、山より大きなイノシシは出ない、必ずこれを乗り切って、我々、このコロナ禍の新しい日本を次の日本につなげていく、このことを総理を始め岸田内閣にお願い申し上げ、私たちもそのことに全力を尽くすことをお誓い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、島尻安伊子君から関連質疑の申出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。島尻安伊子君。

島尻委員 自由民主党、島尻安伊子でございます。

 私ごとでございますけれども、また再び国会での議席を取らせていただくことになりました。二〇一六年の参議院選挙で落選して以来でございますので、約五年半ぶりでございます。まさか衆議院当選一期の同期の会で林大臣と御一緒できるとは思っておりませんでしたけれども、また頑張っていこうと思っております。

 私の選挙区、沖縄第三選挙区は、これからの沖縄振興の鍵になるところでもございますし、また、まさに基地問題も抱える選挙区でもございまして、ここから自民党公認として選出されたということは大変大きなインパクトがあるということだと思っておりまして、今後、私自身、更に謙虚に、感謝を持って、そして思いやりのある政策を前に進めていくべく、更に精進していく所存でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 そして、本日、このように衆議院予算委員会での質問の機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げまして、質問に移らせていただきます。

 岸田総理、改めて、御就任、誠におめでとうございます。総理御就任、本当におめでとうございます。沖縄担当大臣を経験された方が総理になるということで、地元沖縄の皆さんも大変に喜んで、そして期待をしているところでございます。

 総理は覚えておられないかもしれませんけれども、当時、沖縄担当大臣でいらっしゃったときに、私も視察に同行させていただきました。一番よく覚えているのが南大東島で、あそこはフェリーが着岸できないところなので、クレーンでおりのようなものにつられて、そして船に乗ったというようなことも覚えておりますけれども、本当に、総理と、当時の沖縄担当大臣と県内をくまなく御一緒させていただいたということを思い出しております。

 総理、沖縄は日本に復帰して、来年でちょうど五十年でございます。まさに節目の年になります。これまで政府は、十年ごとに、五回にわたって沖縄振興のための法律を制定をして、沖縄振興策を進めてきました。第一次の法律を作ったとき、これは佐藤内閣、第二次は鈴木内閣、そして三次は宮沢内閣、そして四次は小泉内閣、そして現行の法律は野田内閣でございまして、今般、次の新しい振興法は、宮沢総理の流れをくむ岸田総理が制定されるということになります。

 そしてまた、鈴木善幸総理をお父上に持つ鈴木財務大臣も内閣におられるということも、これは何かのえにしではないかというふうにも感じているところでございます。

 まず、岸田総理にお聞きをしたいと思います。総理の沖縄への思いということを是非御答弁いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、私は平成十九年の年に沖縄北方対策担当大臣として初入閣をいたしました。沖縄政策に思い入れがあります。来年、沖縄が本土復帰五十年を迎えることについても、非常に感慨深いものを感じております。

 沖縄担当大臣を務めさせていただいた際にも、現場主義というのを掲げ、度々現地に足を運ばせていただきました。記録を見ますと、一年ほどの在任でありましたが、沖縄訪問、七回を数えました。その際に、委員御指摘のように、南大東島上陸の際にクレーンでつり上げられた。クレーンでつり上げられた初めての大臣だと当時話題になったことも懐かしく振り返っています。その間、当時はゆんたく会議という名前を使っておりましたが、車座対話も随分、離島等で行わせていただいた、こんなことも振り返っています。

 そうした経験の中で、私は、沖縄というのは、歴史、伝統、文化、自然、様々な観点からすばらしい魅力を持っている地域だと思います。また、この東アジアにおいて、地政学的に見ても、各主要都市との距離を考えましても、中心に位置する、大変重要な場所に位置をしています。こうした点からも、大きな可能性を持っている地域でもあると思います。

 来年、本土復帰五十周年という節目を迎えるに当たりまして、是非、沖縄の魅力や潜在力、こうしたものをしっかり発信していきたいと思いますし、何よりも、強い沖縄経済をつくることができるように、沖縄振興についても取り組んでいかなければいけない。新しくスタートする沖縄振興計画についても、強い思いを持って取り組んでいきたいと思っています。

島尻委員 ありがとうございます。

 先ほどもお話をさせていただきましたけれども、沖縄復帰五十周年を来年迎えます。先般、参議院の本会議で有村治子先生からも御質問がございましたが、復帰五十周年の式典について、この開催地についてでありますけれども、過去、見ておりますと、復帰十周年と二十周年においては沖縄と東京での開催でありました。その後、三十年、四十年は沖縄のみでの開催でございました。来年、五十周年を迎えるに当たって、沖縄の皆様からは、是非とも東京とそれから沖縄で、この二つのところで開催をしてほしいという大変強い要望がございます。

 東京でも行うということで、改めて、国民の悲願であった沖縄の本土復帰の歴史とか意義とか、こういったところを思い返していただいたり、要は、四十六都道府県で沖縄の復帰を是非とも祝っていただきたいなということを考えておりますけれども、総理、是非この二か所での開催をお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 来年、沖縄は本土復帰から五十年という節目の年を迎えるわけですが、当時の沖縄復帰は、沖縄県民の皆様方、そして日本国民全体にとっても悲願であり、この復帰というのは、まさに国家的事業が実現したと多くの方々が受け止めていたと認識をしています。

 こうした節目を契機に、沖縄の本土復帰の歴史的な意義を想起する、また、沖縄の歴史をしっかりと思い返す、思いを致す、さらには、先ほども申し上げましたが、魅力や可能性をしっかり発信していく、こうしたことは重要であると認識をいたします。

 そして、御質問の沖縄の本土復帰五十年を記念する式典の開催ですが、これにつきましては、沖縄県においても、県議会において、国等と連携協力して取組を進める旨答弁をされていると承知をしております。

 政府としましても、御指摘のような点も踏まえつつ、本土復帰五十年という大きな節目にふさわしい式典の在り方について、沖縄県等ともしっかり連携しながら検討を進めていきたいと考えます。

島尻委員 是非ともよろしくお願いをしたいと思います。

 次の新しい沖縄振興法、これについては、沖縄も、全国的な施策とか、それから経済の流れに乗っていく形で成長するようにするという、むしろそうなるような国の支援を求めていきたいというふうに考えておりまして、本日、これから進めさせていただく質問については、まず総理に、政府の施策、総理のお考えをお聞きしつつ、それを沖縄政策にどう落とし込めるかというような流れで参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、早速、今般、岸田総理は、成長と分配の好循環を実現するための新しい資本主義を唱えておられます。この在り方について総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今、主要先進国を始め、世界中で新しい資本主義のモデルを模索しようという動きがある中にあって、我が国においても、官と民がそれぞれ役割を果たしながら成長と分配の好循環を生み出す、こうした新しい資本主義を実現したいということを申し上げております。

 成長についても、科学技術、デジタル、グリーン、あるいは経済安全保障、こうした新しい課題をしっかりと取り上げて、国としても、将来の市場規模を示す、あるいは規制・制度改革を実行する、こういった形で民間投資を促していく、官民協働しながらこうした成長戦略を加速させていきたいと思います。そして、成長の果実をこれまた官民で協力しながら分配をしていく、こうした取組を進めていかなければならないと考えています。

 民間に先んじて、先ほども議論になっておりましたが、看護、介護、保育等の公的価格と言われる所得、給与について引き上げていく。そして、民間を支援するために賃上げ税制の税額控除を引き上げていく。さらには、人への投資を積極化させるための三年間で四千億規模の施策パッケージを創設するなど、民間にもこうした分配をしっかりと協力してもらう。こういった形で分配を実現していく。そして、こうした分配は、人への分配というのは、コストではなくして、これは投資であるという考え方に基づいて、人への投資を消費を通じて次の成長につなげていく。こうした成長と分配の好循環を実現することによって、持続可能な経済をつくっていくことを考えていきたいと私は思っております。

島尻委員 ありがとうございます。

 今総理がおっしゃった、やはり成長と分配、この循環をよくしていくということが、また、先ほどからある、経済を強くしていく、ここに必ずたどり着くんだろうというふうに思っておりますし、また、これを、先ほどから申し上げております、じゃ、国の施策を沖縄振興にどう落とし込んでいくのかという中でこの分配を考えたときに、この沖縄振興において、やはり所得を上げていくということが大きな課題、柱になります。

 中でも、沖縄の社会事情とかそれから経済事情、これを色濃く落としているのが沖縄の子供の貧困対策事業であるというふうに思います。この度の総選挙におきましても一番声高に叫んできたのがやはり子供の貧困対策でございまして、ただ、沖縄の子供の貧困は、全国の貧困とやや毛色が違うということが特徴でございます。

 このことについて、また西銘大臣の御答弁もいただきたいというふうに思っておりますけれども、例えば若年妊産婦という、とても若い女性が妊娠、出産をする、そういう女性の存在が大変多くて、沖縄の場合は。ここに対する対応とか、それから、先ほども質問の中でありましたけれども、例えばDVとか育児放棄とか、そういったケースが多い。そして、それが、負の連鎖といいますけれども、連鎖してしまう。やはり対策としては、この連鎖を断ち切るということが大事だということがございます。

 この事業、実は、沖縄に特化した子供の貧困対策事業、立ち上げて約六年が過ぎていきますけれども、これは、やればやるほどいろいろな問題が浮かび上がってくるというのが実態であります。

 これまで、専門の大学の教授陣とか現場で働いているNPOの皆さんとディスカッションをしてまいりましたけれども、行き着くところ、教育が大事ですねと、改めてではありますけれども、教育の必要性が指摘をされております。親の所得とかそれから家庭環境に左右されない教育環境を整えていくというのが、これこそ今後の沖縄の成長に寄与していくというふうに確信をしております。

 西銘大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

 大臣も、大臣御就任後すぐに地元に行かれて、車座での意見交換を、この子供の貧困対策に関してなさったということでございますけれども、是非とも、そういったところを入れつつ、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

西銘国務大臣 島尻議員から沖縄子供の貧困についてのお問合せでございます。答弁いたします。

 沖縄の子供の貧困が深刻な状況にあることから、平成二十八年、当時の沖縄担当大臣であった島尻議員の強いリーダーシップによりましてこの事業が開始されたものと認識をしております。

 具体的には、放課後の学習支援、あるいは夕食の提供を受けることなどができる子供の居場所の設置、そして、貧困家庭に訪問をして支援を行う子供の貧困対策支援員の配置を中心に事業を進めてきております。現在、子供の居場所は百五十五か所設置をされておりまして、年間で延べ約三十万人の子供が利用をしております。

 今月、委員の御指摘のように、私も、那覇市の居場所の職員の方々と一緒に、教育者も入って車座でお話を伺いました。

 例えば、挨拶ができなかった子供が、居場所に通うことによって生活習慣が改善されたというお話もありました。また、貧困家庭にあっても、支援員の方が訪問活動を通じて、例えば、子供を無料塾に通わせることなどにより学習環境の改善に導くことも可能ではないかというようなところを感じたところであります。

 貧困の子供たちが、教育の格差を生んではならないと考えております。今回、日々、子供たちに向き合っている職員の現場の方々の苦悩のお話も直接お聞きをしてまいりました。改めて、子供の貧困への対応の難しさを痛感したところであります。

 貧困家庭を取り巻く教育、福祉など様々な課題に対して、引き続き、現場の意見をしっかりとお聞きをしながら、地元の自治体と連携しつつ、必要な対策の充実等を含め、しっかりと、この貧困の連鎖をどう断ち切るか、防止に努めてまいりたいと考えているところであります。

 以上です。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

島尻委員 西銘大臣、ありがとうございます。

 まさに、子供たちの教育、これは何も沖縄のみならず全国にマッチするんだというふうに思っておりますけれども、そこで、この教育を語るときに、今はもうデジタルの時代になっていきますので、その点についても、全国的な総理のデジタル田園都市構想、これを改めてお聞きしつつ、そしてまた、どう沖縄に対応できるかということをまたお聞きをさせていただきたいと思います。

 まず、総理、このデジタル田園都市構想なんですけれども、総理はこの構想を掲げて、地域が抱える人口減少、高齢化、交通弱者への対応、そして産業空洞化などの課題を、デジタルの力を活用することで解決しようというふうにお考えとお聞きをしております。

 これまでも政府は、例えばソサエティー五・〇というような大きな、そして高い旗を、目標を掲げて、これを前面に出して科学技術の実装というものを進めてきたかというふうに思っております。

 これまでの、今までの流れとか、それから政策の整合性とか、こういったところを重要視していくというのは大事なんじゃないかなというふうに思っております。もちろん、見直すべきところがあれば、そこは柔軟に対応するということは必要でありますけれども、ただ、同時に、方向性とか継続性とかというのはあるべきだというふうに考えておりますけれども、そういった点を踏まえつつ、改めて、デジタル田園都市構想について総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、政府においては、委員御指摘のように、IoTやAIといったテクノロジーによって新しい社会変革を生み出し、誰もが快適で質の高い生活を送ることができる社会、すなわちソサエティー五・〇を実現するという方向性を示して、その司令塔たるデジタル庁を設置し、政府を挙げてデジタル化の推進に取り組んできた、こうしたことでありました。

 そして、デジタル田園都市国家構想は、こうした取組の成果を踏まえつつ、デジタル技術を活用して地方の課題を解決し、地域の個性を生かしながら持続可能な経済社会をつくっていくという考え方を示したものであります。

 この構想実現のために、まずは国として、光ファイバーですとか5Gですとか、あるいは海底ケーブルを始め、デジタル化を進めるためのインフラ、このインフラについては国が責任を持ってしっかりと整備していく。そして、そのデジタルインフラ、デジタル基盤の上に、自動配送ですとか遠隔医療、オンライン教育を始めとした、デジタル技術を活用した新しいサービスを実装していくということで地方を活性化していきたいと思っています。

 そして、その際に、誰一人取り残さずというのが大変重要であると考えており、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように、デジタル推進委員という制度も全国展開をしていきたいと考えています。

 このように、人口減少ですとか高齢化、産業空洞化、こうした地方の課題をデジタルの力を活用することで解決をしていく、そして地方から国にボトムアップで成長を盛り上げていく、これがデジタル田園都市構想の基本的な考え方であると思っています。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

島尻委員 デジタル田園都市構想、もう常に、我田引水かもしれませんけれども、西銘大臣、これこそ、東西千キロ、そして南北約四百キロに及ぶ広大な海域に百六十の島々がある、そして三十九の有人島のあるこの沖縄、ここにこそ、このデジタル田園都市構想、これを持ってきて、そして、パイロットケース等々、これを進めていく必要があるんだというふうに考えております。

 特に、本島北部、我が三区が北部であります。西銘大臣のところは四区選出ということで、大変恐縮ではございますけれども、是非とも、北部振興も念頭に、あるいは離島政策も念頭に、このデジタル田園都市構想を沖縄でというところのお考えを、是非御答弁いただきたいと思います。

西銘国務大臣 委員御指摘のように、東西千キロ、南北四百キロに点在する沖縄の島々は、まさにデジタルにふさわしいのかなという思いで聞いておりました。

 沖縄の離島は、本当に広大な海域に散在しております。本島から遠隔にある、様々な条件不利性を有しておりますが、こうした不利性に起因する地域課題の解決に向けて、離島活性化推進事業等も活用しつつ、引き続き、このデジタルの技術は有効なものだと考えております。

 離島にルーツを持つ私も、島嶼県である沖縄においては、デジタル化の恩恵は他の都道府県にも増して大きいものと考えております。委員御指摘の北部地域にも、伊平屋島、伊是名島、伊江島、さらには、この地域は世界自然遺産も控えておりますので、非常に有効になると考えております。

 これまでも、内閣府の沖縄担当部局におきまして、沖縄におけるテレワーク施設の整備、先日、現場も見させていただきました。さらには、ICTを活用した離島における学習塾、これも実際に、例えば与那国島とか北大東島とかで活用されております。沖縄本島と離島をつなぐ海底光ケーブルの敷設等の支援によりまして、沖縄のデジタル化の推進に取り組んできたところであります。

 沖縄担当大臣としましても、デジタル化の推進を沖縄の地域課題の解決や県民生活の向上等につなげることができるように、関係閣僚等と連携をしながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

島尻委員 ありがとうございます。

 特に、このデジタル、様々なところで活用、いろいろ、活性化というところにつながっていくんだろうと思います。

 特に、沖縄といえば、やはり観光がリーディング産業でございます。ちょっとその観光についての質問に移らせていただきたいと思います。

 今回のコロナの影響で、沖縄も未曽有の大打撃を受けました。コロナが今一段落ということで、観光客は戻ってきつつありますけれども、また様々な問題も見えてきております。

 例えば、レンタカーです。コロナで車を相当数手放さざるを得なかった会社がほとんどでありまして、今はレンタカーの予約に対応できないと。何か、待ちが百件もあるとか、そういった実情が聞こえてまいります。

 事ほどさように、経済のV字回復とはいうものの、人材の確保ができないとか、様々な、これまであったものの、コロナでのずれというのが出てきているんだろうと思っております。

 これは何も沖縄だけではなくて、沖縄以外の観光地でも同じだとは思いますけれども、総理、このようなまだまだ苦境にある観光業を営む皆様に総理の思いをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 沖縄の観光業ですが、新型コロナが世界的に拡大する前、これは平成三十年度ですが、三十年度においては、国内外から一千万人を超える観光客が沖縄を訪れておられます。当時、たしか沖縄がハワイを超えたというようなことが話題になったことも記憶しております。

 このように、沖縄の観光業、これは非常に高い潜在力を有していますが、御指摘のように、新型コロナによって大変大きな影響を受けている沖縄の観光業、大変厳しい状況にあるということを強く認識をしております。

 ただ、沖縄の魅力ということについても先ほども申し上げましたが、国際色豊かな独自の文化、歴史、伝統、それから豊かな自然、こうしたものは沖縄観光の大きな魅力であり続けているわけですから、これは、このコロナ禍をしっかり乗り越えた先に、沖縄観光再生に向けて、地元自治体への支援など、国としてもしっかり取組を進めていかなければならないと思います。

 沖縄にとって大切な産業であります観光、是非しっかりと、コロナ後をにらみながら盛り上げていきたいと考えます。

島尻委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 観光で、先日、観光業の方からの御心配の声がございました。これは山際大臣にお聞きをしたいと思っております。

 コロナ対応のワクチン・検査パッケージの運用について、これは、沖縄のみならず、全国の観光業の方々が不安視をしております。

 例えば、その対応のためにネットシステムを新たに開発しなければならないのかとか、そうなると資本力のあるところには勝てないけれども、どうなるんだとか、システム自体を政府がつくって、それをオープンに使わせていただきたいとか、そんなことをおっしゃっておりまして。

 実は、この質問をするに当たって、質問取りでは、これは答弁が誰かという議論が起こっておりまして、実は、それを聞いていても、政府の縦割りがこうでは、業者さんたちが不安になるのもこれは無理ないなというふうにも考えておりますが。

 ただ、今回、その中にあっても、山際大臣に御答弁をいただくことにしましたが、是非ともそこを、本当に不安視している、あるいはいろいろな省庁間の中にあって困っているというのが観光業を営む方なんじゃないかなと思います。御答弁をお願いいたします。

山際国務大臣 政府といたしましては、私のところで一元化してこのワクチン・検査パッケージをやるようにということでございますので、不安視しないで、私のところにいろいろお尋ねいただければと思っております。

 そもそも、このワクチン・検査パッケージそのものは、感染症が拡大している状況でも我々一人一人の国民が経済活動を制限しないで済むように利活用するためのものなので、今、沖縄を始め、どこにおいても、このワクチン・検査パッケージ制度を使うという状況にはございません。

 一方で、民間の皆様方には、この制度の中身を今の状況から御自身のビジネスの差別化等々にお使いいただくということは、奨励もしておりますし、是非やっていただきたいと思っておりますので、それはお勧めしたいと思います。

 御質問のというか、御懸念のデジタルに関しての話ですけれども、これは、使い勝手がよくなりますように、ちょっと読みますけれども、紙の予防接種済証あるいはその紙のコピー、スマートフォンで撮影した画像等により行ってもオーケーだということになっておりまして、おおよそ、打っていただいたものをスマホで写メを撮っていただいて、それを使っていただくという形で対応が可能でございます。

 それに加えまして、この二十日には政府の方でワクチン接種証明書を電子化する予定でございますので、それも併せて利活用していただければと思っております。

島尻委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間も迫っておりますので、最後に軽石の問題を取り上げさせていただきます。

 パネルを作ってまいりました。今日は、北海道六区の選出で一回生同期の東国幹先生に御協力をお願いをしております。

 問題は、本当に、今日は、運天港のフェリーターミナルの軽石の漂着状況、もう一つは、今は羽地内海。そして、これが運天港のフェリーターミナルのものでございますけれども、これは、早期に実は斉藤大臣には現地に行っていただきまして、大変地元の皆さんも感謝をしております。

 ちょっと時間もございませんので、是非、国交省としての取組や大臣の軽石に対してのお考え、それから、これからの、よし、やるぞという、そういった御答弁をいただければと思います。

斉藤国務大臣 軽石問題につきまして、島尻委員の御提言、いろいろありがとうございます。

 まず、沖縄では今も断続的に定期航路が運休しておりまして、観光や生活に大きな影響を及ぼしております。

 国土交通省としては、まず一つ目として、海上保安庁が航空機によって軽石の漂流状況を確認し、海運の方に情報提供を行っております。また、十月二十八日からは、現地の被災状況調査や軽石除去の支援を行うために、いわゆるTEC―FORCE、緊急災害対策派遣隊や国土技術政策総合研究所の専門家を派遣して、今、地元関係者と一体となった対応をさせていただいております。また、軽石の除去について財政支援を行っております。

 私も、この運天港に行きまして、車座対話をし、お話を聞いてまいりました。一刻も早い軽石除去の必要性を改めて強く認識したところでございます。

 具体的には、これから向かう港に行っていいかどうか、その場で船長さんが分かるように各港にカメラをつけるとか、そういうことを今一生懸命やっておりますけれども、これからも、また、沖縄県知事からの要請を受けまして、運天港の一部管理を国土交通大臣が、本当は県管理なんですが、今、国土交通大臣が代行するという形で、国が一体となってやらせていただいております。

 私自身も、海上保安庁の飛行機に乗って、軽石の漂流状況を見てまいりました。これを、全国の情報共有をしっかり行って、この軽石除去の問題、解決に全力を挙げていきたいと思っております。

島尻委員 ありがとうございます。

 ちょうど質疑の時間が終了ということになりました。ありがとうございました。

根本委員長 この際、石川昭政君から関連質疑の申出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石川昭政君。

石川(昭)委員 自由民主党の石川昭政でございます。

 今日は、多くの皆様の御協力によりまして質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 また、冒頭、コロナ対策に従事していただいた全ての医療従事者の皆様に衷心より感謝申し上げたいと思っております。

 私、今、自由民主党の経済産業部会長を務めさせていただいております。党内で、経済産業分野の予算や税制を取りまとめてまいりました。その間、いろいろな、中小企業団体の皆様であるとか、地元の皆様から多くの意見を伺ってまいりました。

 私自身、少しでもそういった事業者の皆様が将来に展望と希望を持てるような、そうした政策をつくっていきたいという思いでこれまで取り組んでまいったところです。

 今日は、特に予算と税制、こうしたヒアリングでの意見や地元の皆様の意見を踏まえまして、経済産業分野を中心に、大臣、閣僚の皆様にお伺いしたいと思っております。

 まず、岸田総理にお伺いしたいと思っております。

 十二月六日の所信表明演説の中で、総理は、新自由主義的な政策については、富める者と富まざる者との深刻な分断を生んだ、そういった弊害を指摘されています。また、市場や競争に任せれば全てがうまくいく、そういう新自由主義的な考えは、世界経済の成長の原動力となった反面、多くの弊害も生み出しました、その上で、我々には、協働、きずなを重んじる伝統、文化、そして三方よしの精神などを古来より育んできた歴史があります、だからこそ、人がしっかり評価され、報われる、人に温かい資本主義をつくれるのですと。このように、岸田総理は繰り返し新自由主義経済の弊害を指摘して、新自由主義からの転換をしようという意思を明らかにしております。

 新自由主義、すなわち、言い換えますと欧米主導のグローバル経済とも言えると思いますが、このコロナ禍によって大きな転換を求められているというのが今の世界の現状認識だと思っております。その意味で、岸田総理の先ほどの所信表明演説での現状認識は私は正しいと思いますし、賛同したいと思っています。

 そこで、総理にお伺いしたいと思います。

 これまでの新自由主義的な考えから政策をどのように転換をして、三方よし、賃上げ税制もやりますけれども、こういった新しい資本主義を実現していくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、一九八〇年代以降、世界の主流となった、市場や競争に任せればうまくいくという新自由主義的な考え方、これは世界経済、そして日本経済の成長の原動力となったということは評価されるわけですが、その一方で、格差、貧困、また気候変動、こうした多くの弊害も生んだという評価があります。

 その中で、世界、特に世界主要国においては、こうした弊害を是正しながら更に力強く成長していくためにはどうしたらいいのか、アメリカのビルド・バック・ベターを始め様々な取組が進められている、新しい資本主義のモデルを模索する、こうした動きが見て取ることができます。

 その中にあって日本はどうするのか。こうしたことを考えました際に、成長と分配の好循環を実現する。成長につきましても、科学技術、グリーン、デジタル、経済安全保障、こうした新しい課題をしっかり見据えながら、新しい市場拡大を行うなど成長戦略を進めていく。そして、成長の果実をしっかり分配をしていく。国が主導して、給与、所得を引き上げる呼び水をしっかりと示し、民間にもしっかり協力してもらうように、賃上げ税制の控除額の拡大等、様々な環境整備を行って、官民挙げてこうした分配も進めていく。こうした成長と分配の好循環を実現していきたいと思っています。

 そして、成長と分配、それぞれについてポイントは、やはり、従来のように市場や競争に任せるだけではなくして、官と民が協力する形で新しい成長を実現する、そして分配も実現していく。そして、その結果として、この好循環を実現して、経済の持続可能性を維持していく。こうした大きな考え方を念頭に、具体的な政策を進めていきたいと思っております。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 今の総理の考え方に基づいて、党でも政策づくり、取りまとめを行っていきたい、このように考えております。

 それから、もう一点、総理にお伺いしたいと思います。

 今、党内には二つの財政政策に関する本部が立ち上がりまして、これから、来年の骨太方針だと思いますけれども、それに向けていろいろな提案をまとめていくんだという方向に動いております。

 今総理おっしゃいました、コロナ禍を経まして、大きく世界経済、財政の考え方が変わってきております。

 一つは、やはり、大規模な財政政策を行って、このコロナ禍から急速に経済を復元していこう、こういう大きな流れに、今、世界各国、かじを切っております。これについては、主流派の経済学者も、そういった考え方が正しい、容認するという動きも出ております。

 また、来年度の予算大綱の中では、単年度主義の弊害を是正する、つまり、中長期的に予算を組んで、先ほど総理がおっしゃった、グリーン、デジタル、科学技術、こういったところに投資を行っていくんだ、こういう考え方も明記をされております。

 また、来年は診療報酬の改定も控えておりまして、コロナ禍で傷んだ医療従事者、医療関係の皆さんにとって極めて重要な改定時期を迎えているということでございます。

 そこで、総理にお伺いいたしますが、先ほど総理がおっしゃいました新しい資本主義というのを実現するためには、やはり、国が積極的に財政で経済を下支えして、民間の皆様の活性、活力を引き出す必要がある。そういう意味では、二〇二五年のPB黒字化目標というのは一旦凍結をする、そして、積極的な財政によって経済を拡大して、一気に日本経済を成長軌道、V字回復させるべきだと考えておりますが、岸田総理のお考えをお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、財政というのは国の信頼の礎でありますので、財政について政治としてしっかりと責任を持たなければならない、これは当然のことだと思います。

 しかし、その際に、やはり順番を間違ってはならないということを申し上げています。やはり経済あっての財政だということをしっかり考え、今は新型コロナという危機のさなかでありますので、国民の命や暮らしを守るために必要な財政出動はちゅうちょなく行わなければならない、こうした段階にあります。そして、必要な施策を積み上げ、総額五十五・七兆円の経済対策をまとめた、こうしたことです。

 この危機をしっかりと乗り越えた上で、今度は経済をしっかり立て直していかなければならない。その上で財政の健全化を考えていく。この順番をしっかりと念頭に、施策を進めていかなければならないと思います。

 ですから、足下で新型コロナ対策、経済対策、これをしっかり行うということと、中長期的に財政の健全化を考えるということ、これは決して矛盾しないというふうに思いますし、新しい課題に取り組むためにも、御指摘のような財政単年度主義の弊害等、これはしっかりと考えていかなければいけない課題であると思います。

 その中で、御質問のプライマリーバランスの黒字化の問題ですが、プライマリーバランスの黒字化目標については、既に決定された骨太の方針二〇二一の中で、二〇二五PB目標化、これは堅持するということは一応明記をしております。ただし、感染症でいまだ不安定な経済財政状況を踏まえ、本年度内に、感染症の経済財政への影響の検証を行い、目標年度を再確認するということも骨太の方針に明記をしております。これに従って、必要な検証、これは行っていかなければならないと考えます。

石川(昭)委員 是非、経済の動向を見ながら柔軟にその辺りを私は動かしていくべきだというふうに考えているところでございます。また、米国政府内では、国の債務よりも過少投資の方が国家安全保障上の脅威となっている、こういう見解も出ているわけでございます。総理、図らずも先ほど冒頭おっしゃっていただいたビルド・バック・ベター、こういう考え方で、日本もこのコロナ禍からのV字回復に努めていっていただければと考えています。

 続きまして、事業復活支援金についてお伺いしたいと思います。

 コロナ禍に傷ついた、今回補正予算に盛り込まれました事業復活支援金、前回国で行いました持続化給付金では、売上高五〇%以上減った方が対象となっておりまして、なかなかその対象にならないという声が多数出てまいりました。そこで、総理は今回、売上高三〇%までを対象にするということで、かなり、私からすると大胆な対象拡大策を講じたと考えております。

 総理のお考えがどのように、五〇%から三〇%に拡大したときにお感じになったのか、聞く力を発揮されたのかどうか、その辺も含めてお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事業復活支援金ですが、これは新型コロナの影響を大きく受けている事業者の皆様が来年の春までしっかり見通しを立てていただくために支援をするというものであり、これは大変重要な取組であると認識をしています。

 そして、その制度を考える際に、私も、車座対話を始め多くの事業者の方々の話を聞かせていただきました。その中で、まだまだ新型コロナの影響が長引いている、現在も需要が回復していない、厳しい経営状況が続いている、こうした悲痛な声を随分と聞かせていただきました。

 そういった声を聞いた上で、できるだけ幅広くこうした支援金を活用してもらわなければいけないということで、今回、持続化給付金では対象でなかった売上高が三〇%減の事業者も給付の対象とした、要は対象を拡大したということであります。是非、これによって幅広い事業者の皆様方の事業復活に向けた取組をしっかり後押しをしていきたいと考えます。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 総理の御決断の背景には、様々な方とのコミュニケーションがあったということでございます。

 次に、経済産業大臣にお伺いしたいと思います。

 これまでの持続化給付金では、対象の線引きが業種ごとにございました。宗教団体であるとか風営法団体とか、そういった方々は線引きの対象外となりました。

 今回、幅広く対象とすべきというふうに私は考えておりますが、その辺りの線引きはどのように考えていらっしゃるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 事業復活支援金につきましては、これまでの給付金における考え方を踏まえて制度の詳細設計を進めているところです。

 これまでの事業者向け給付金では、宗教法人について、過去の公的金融機関や国の補助制度においても宗教活動は支援の対象とされていないことを踏まえ、給付対象から除外をしております。

 具体的な制度設計は今後進めていくことになりますが、現時点では、事業復活支援金において対応を変えることは考えていません。

石川(昭)委員 幅広くということでございますので、できるだけ個別の事情に応じた形で考えていただければと思っております。

 そして、次に、燃料、資材高騰対策についてお伺いしたいと思います。

 今、四週連続で原油価格は下がってきておるわけでございますけれども、この間、産油国に大臣としてどういう働きかけを行ってきたのか。

 また、発動条件が、全国平均で百七十円というラインで高騰対策の価格を線引きする、このように承知をしております。そうしますと、全国各地、北から南まで行くと、この百七十円というラインが、例えば、直近のデータですと、岩手県はレギュラー、リッター当たり平均百五十四円であったり、高いところですと、高知県が百七十七円であったり、かなり地域格差が出るのでないかなというふうに考えております。この辺り、大臣、どのように考えているのかというのがもう一点。

 それから、卸売価格の抑制対策として、SS等で小売価格の抑制につながりますよう、今回、補正予算と予備費を使いながら対策を講ずるというふうになっておりますけれども、実際に消費者がスタンドに行った場合に、どのようにそういった、国からこういう価格低減の予算が入っているんだよということが、消費者がどのように伝えられるかということが私は大事だと思いますけれども、その点についてどのような工夫を行っていく考えなのか、併せまして経済産業大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、原油価格は、世界経済や原油の需給動向、また中東などの産油国をめぐる国際情勢などの様々な要因を踏まえて市場で決まるものと承知しております。

 足下では、新たな変異株であるオミクロン株の拡大懸念が原油価格に影響を与えていると承知しておりますが、今後の国際原油市場の価格や需給の見通しにコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で、原油価格がコロナからの回復基調にある我が国を含む世界経済に及ぼす影響も踏まえ、現地大使館ですとか政府関係機関などから、様々なチャンネルを通じて、主要産油国に対して消費国としての立場を理解してもらうよう働きかけを行っているところでございます。

 私も、オンラインですけれども、直接お会いすることはできませんけれども、産油国の担当大臣に対して直接増産のお願いは繰り返ししているところでございますし、外務大臣にもお願いをしたりして、重層的にそういった国々に対して、様々なチャンネルを使って、今までも、またこれからもそういった努力は引き続きしてまいりたいというふうに思っています。

 その上で、ガソリン等の激変緩和事業についてお尋ねをいただきました。

 小売価格の上昇が適切に抑制されるように、元売、小売を始め、各地の団体と連携しながら事業の趣旨を広く周知、広報すること、そして、全国の小売価格の推移について各地の団体などと連携して調査をし、価格が抑制されているかモニタリングをすることで価格抑制の実効性をしっかり担保していきたいと思っています。

 ガソリン価格は、そもそも輸送コストや市場原理により地域差がございますので、ばらつきはふだんからもございます。一方、原油価格の上昇は、国内石油製品の卸売価格の上昇として、地域を問わず、ほぼ全国共通に反映されています。

 このため、本事業では、原油価格の上昇による全国一律の価格上昇の抑制を、国民の皆様にスピーディーに効果が行き渡るようにするために、ガソリン価格全国平均が百七十円を超えるか否かを発動の要件として、その時点で各地域での小売価格からの上昇を全国一律に抑えることとしております。

 実際には、もう既に、卸売の企業の皆さんに対してこういった準備段階での説明をさせていただき、ほぼ大方の企業が、そういった国の制度が始まったことをきちんと告知しますということを逆に公表してくれていますので、現場の皆さんにもそれを御理解いただけると思いますし、様々な広報を使って、きちんと消費者、利用者の皆さんに裨益できるように、制度をしっかり見守っていきたいと思っています。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 是非しっかりPR、工夫を重ねていっていただきたいと思っております。

 また、石油から派生する商品に対する助成ということで、ジェット機で使います航空機燃料について、斉藤大臣にお伺いいたします。

 今回の燃油高騰対策の対象外となったわけですけれども、航空業界、大変苦境に陥っている。そういう中で、何らか支援策、対策を講じるべきではないかと思うんですが、大臣の御見解をお伺いいたします。

斉藤国務大臣 航空会社は、今、石川委員から御指摘のありましたように、原油価格高騰や新型コロナウイルス感染症による甚大な影響の継続により、依然として極めて厳しい状況にございます。

 このため、国土交通省では、航空ネットワークの維持と今後に向けた機材投資等を下支えする観点から、航空機燃料税の軽減措置を要望してまいりました。

 これを踏まえ、先日、十二月十日に取りまとめられました与党税制改正大綱においては、航空機燃料税について、一キロリットル当たりの税率を令和四年度に限り一万三千円に軽減する、コロナ前は一万八千円でした、一万三千円に軽減することが盛り込まれたと承知しております。

 また、このほか、令和四年度の空港使用料の減免についても予算要求をしているところでございまして、全力を挙げて、昨今のオミクロン株の影響も踏まえて、必要な支援措置が講じられるよう頑張っていきたいと思っております。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 是非、末永く状況をウォッチしながらの支援、考えていただきたいと思っております。

 また、ちまたでは様々な資材価格が高騰している。私の地元でも、銅線が入らないとか、鉄板が、鋼鉄、鋼材が入らないということで、仕事に大変支障が出ている、こういうお声をたくさん聞いてまいりました。ほかにも、木材が足らないという、ウッドショックということも言われておりますけれども、こうした対策、政府としてどのように考えているのか。農林水産大臣、経済産業大臣、それぞれお伺いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 輸入木材につきましては、その輸入量は回復しつつあるものの、海運コストが高い水準であることに加え、高値で契約したものが流通しているところであり、当面は高値での取引が続くとの見方が強い状況であります。

 輸入木材の代替といたしまして、国産材の供給につきましては、製材工場等が稼働率を上げて現在対応しております。

 これまで、緊急の対策といたしまして、正確な需給情報の共有のため、川上から川下までの関係団体によります需給情報連絡協議会を中央及び全国七地域において継続して開催し、不足する輸入材製品から国産材製品への転換事例の周知などを行っており、三巡目となる需給情報連絡会議を本日開催する予定にしております。

 また、戦略的対応といたしましては、木材の乾燥施設の整備による国産材製品の供給力強化や、原木の安定供給に向けた間伐や、それから路網整備の取組の更なる推進等に必要な対策費を令和三年度補正予算に盛り込んでおり、これらを通じまして、国産材の安定供給に向けた環境整備を行い、海外市場の影響を受けにくい需給構造にしていきたいという考えであります。

 以上です。

萩生田国務大臣 鋼材価格については、鋼材の種類や取引形態によって差がございますが、鉄鉱石や石炭などの原料価格や鋼材の需給動向に左右されるものであります。このため、原料炭などの原料価格の高騰に加え、経済活動再開による需給の急拡大に鉄鋼生産が追いつかず、価格が六〇%以上上昇した鋼材もあると承知しています。

 今後も、世界的な資源高を受けた原料価格については引き続き注視が必要でありますが、生産量については、コロナ禍前の水準に今戻りつつあります。こうした動きも今後の鋼材価格の安定化につながると期待をしております。

 経産省としては、鋼材価格に影響を与える原料価格を注視するとともに、鋼材メーカーに対してユーザー企業の声を伝えること等によって、引き続き、供給安定化に取り組むよう働きかけをしてまいりたいと思います。

 加えて、鋼材を始めとする原料価格などの高騰に見舞われている事業者が親事業者に対して適切に価格転嫁を行うことができるように環境整備が必要だと思っておりまして、経産省として、下請Gメンの倍増などによって、下請取引の適正化にも全力で取り組んでまいりたいと思います。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 資材やこれからお聞きする半導体などが入ってこないことによって、いつまでに納入しなきゃならないという期間をどうしても超えなきゃならない。そうしますと、それによって違約金であるとかペナルティーが科せられている。そういうお声も聞いておりますので、是非そこは、国や県の皆様、柔軟に事業者の皆様の事情に寄り添った対応をお願いできればと思っております。

 そんな中で、経済安全保障をお伺いしたいと思っております。

 大きく言うと、日本が保持する技術をできるだけ海外に流出させないように、そして、国民の皆様の生命を維持するようなワクチン、医薬品、こういったものは極力国内で製造を継続できるような、そういう仕組みだと私は考えておりますけれども、こういった重要技術、機微技術を、どのように、誰が特定をして、それによって保護して流出を阻止するのか。こういうことをトータルで考えていく必要があると思いますけれども、小林経済安全保障担当大臣にお伺いしたいと思います。

小林国務大臣 近年、世界各国が重要技術の獲得にしのぎを削る中で、まさに経済安全保障の確保が喫緊の課題となっています。

 政府としましては、この経済安保の確保に向けまして、まずは経済構造の自律性を確保していくこと、そして、我が国の技術などの他国に対する優位性、ひいては国際社会にとっての不可欠性をしっかりと獲得していくこと、これらが重要だと思っていまして、こうしたことを実現する観点からは、石川委員御指摘のとおり、重要技術の育成と、流出の防止、またサプライチェーンや技術基盤の強靱化というものが必要になってくると考えています。

 まず、技術流出の防止につきましては、政府として、これまで、例えば、外為法に基づいた輸出管理や投資管理の強化ですとか、研究の健全性、公正性、これは研究インテグリティーといいますけれども、これを確保していくこと、また、留学生や研究者の受入れ審査の強化、こうした取組を進めてきています。

 一方で、委員御指摘のとおり、人工知能やあるいは量子といった先端的な重要技術を特定して育成していくこと、これは大変重要であると考えております。こうした観点から、重点的に開発すべき技術に関する調査分析などを行うシンクタンク機能の試行的な委託事業を本年度開始をして、令和五年度の本格的な立ち上げに向けて現在検討を進めているところでございます。

 また、サプライチェーンの脆弱性への対応に関しましても、国民生活や経済活動への影響が大きい物資などにつきましては、安定供給の確保あるいは代替技術の開発、こうしたことを含めてこのサプライチェーンの強靱化を図っていく必要があると考えておりまして、民間企業ともしっかりと連携をし、協力を得ながら進めてまいりたいと考えています。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 しっかりこれから、フォローしながら、対策、対応に当たっていただきたいというふうに思っております。

 次に、カーボンニュートラル、それから原子力イノベーションについてお伺いします。

 先般、グラスゴーで開かれたCOP26、これは日本にとりまして大きな進展があったと承知をしております。その成果を踏まえて、パリ協定第六条、こういったものを中心に、二国間の排出取引などが決まったというふうに承知をしております。

 山口大臣に、それにつきましてお伺いしたいと思っております。

山口国務大臣 六年前に採択されたパリ協定では、気温上昇を二度未満に抑えることを目標として、一・五度に抑えることはむしろ努力目標とされていたわけですけれども、今回のCOP26においては、一・五度に抑えるために更に温室効果ガスを迅速、大幅かつ持続的に削減していくことが新たに合意されました。そのような合意がまとまったという意味で、歴史的な成果があったと言えます。

 岸田総理が首脳級会合に出席されて支援のコミットメント等を表明されたことも、合意形成に向けて大きなインパクトを残されたと現場で感じました。

 加えて、日本のメディアでは余り報じられていないわけですけれども、このような合意がまとまった一つの要因として、これまでのCOPでなかなかまとまらずに懸案となっていたパリ協定六条の市場メカニズムの実施指針に関する交渉において、日本は長い間積極的に参画し、また議論をリードしてきた、そういう蓄積された知見に基づいて日本案を提案したという事実があります。

 この日本案については、私自身も、米、中、EU、あるいは仏、独、加、あるいはインド、ブラジル、エジプト、シンガポール、そういう閣僚と二国間協議を重ね、また、全体の閣僚級会合での発言も通じて根回しに努めた次第です。そして、日本案がベースとなってようやくまとまったということがあります。

 難題であったこういう部分がついにまとまりそうだということで、交渉全体をまとめよう、そういう機運も高まりました。COP26の成果に大きく貢献したと思います。この日本の貢献なくしては今回のCOP26での合意はなかったとさえ言えるのではないかと感じます。環境省を始めとする日本政府による交渉の蓄積が実を結んだというふうに言えると思います。

 温室効果ガス排出削減量の取引を国際的に行う市場メカニズムが、その在り方が決定されたということを受けて、これから市場メカニズムが世界的に拡大されて、企業の脱炭素ビジネスが大いに促進されることが期待されます。

 環境省としては、来年度の予算として要求させていただきます地域脱炭素移行・再エネ推進交付金による脱炭素先行地域への支援等を含めて、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた取組を強力に推進し、パリ協定の目標である脱炭素社会の実現に向けて、国際社会を主導すべく全力で頑張っていきたいと思います。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣おっしゃいました排出権取引だけではなくて、CO2削減のためには、水素であるとかメタネーション、あるいはCCSのような地下貯留技術というのも不可欠だと思っております。

 アメリカでは、四十五Q法というのがありまして、CCSをやるに当たって優遇税制を導入しまして、地下貯留を促進しております。

 政府もこのように法的な安定性を持ってCCSなどに取り組むべきだと思っておりますけれども、政府のお考え方をお伺いしたいと思っております。

萩生田国務大臣 CCUSは、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するための鍵となる技術と認識しております。

 これまで経産省では、北海道の苫小牧市において、二〇一六年から日本初の大規模CCS実証試験を実施し、二〇一九年十一月に、当初目標としていた三十万トンの貯留を達成しました。また、世界に先駆けて、液体CO2船舶輸送の技術確立のための実証試験や、CO2の貯留適地の調査など、実証事業を現在実施しております。

 一方で、CCUSの事業化に向けて、技術的確立、コスト低減、適地開発などの環境整備など、多くの課題があります。そのため、来年にも長期のロードマップを策定し、これら課題解決に向けた取組を官民で連携して進めていくこととしております。

 事業化に向けた環境整備に当たっては、経済的インセンティブも重要な要素でありまして、委員から御指摘いただいた米国の例えば税制上の優遇措置ですとか、あるいは補助金、また、オーストラリア、ノルウェー、英国などでも既にこういったCCSに対する補助金を国がしっかりつくっておりますので、こういった制度も参考にしながら、しっかり検討を進めてまいりたいと思います。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 また、世界を見ますと、原子力の革新炉や核融合炉、SMR、小型の電力発電をする原子炉の開発が進んでおります。私は、エネルギー安全保障上、やはり原子力技術の維持というのは重要ではないかというふうに考えております。

 また一方で、政府は再エネの最大導入ということを進めております。そんな中で、地方に行きますと、やはり大きな開発によって住民とのあつれきも生まれている。また、地元の自治体、地方の自治体にとっては、事業を行っている発電会社がないわけですから、法人税などの税収入は余り期待できない。その再エネ施設に係る固定資産税のみが税収だということで、この辺り、もう少し地元に還元するような仕組みが必要ではないかということを、二点、経産大臣にお伺いいたします。

萩生田国務大臣 本年十月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画では、原子力については、低炭素の準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有し、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であると位置づけられております。

 また、原子力イノベーションや人材の維持、確保については、将来に向けた原子力利用の安全性を抜本的に高める技術の開発、産学官の垣根を越えた人材、技術、産業基盤の強化を進めることとしております。例えば、事故のときに水素を発生しない安全な燃料等の開発や、サプライチェーン及び運転、保守等の現場を担う人材育成などの支援を行っています。

 今後とも、将来を見据え、政策の一層の具体化に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現や、二〇三〇年の新たな温室効果ガス排出削減目標の実現に向け、再エネにつきましては三六%から三八%という野心的な目標を掲げました。この目標の実現は容易ではなく、様々な課題にしっかりと対応していく必要があります。

 例えば、御指摘のあった太陽光発電につきましては、災害に起因した太陽光パネルの崩落など、地域における安全確保や適正な事業実施に対する懸念が顕在化していると承知しています。このため、条例を含めた関係法令遵守など事業規律の確保を前提に、関係省庁や自治体と連携し、改正温対法を通じて、地域の御理解を得られた場所、公共施設や住宅の屋根などへの再エネの最大限導入に取り組んでまいります。

 その際、太陽光発電については、地域の災害時のレジリエンス強化やエネルギーの地産地消に資するような電源を重点的に支援することで、地域と共生した太陽光の普及を促しています。

 また、委員御指摘のとおり、地域経済活性化の観点からは、発電設備への投資に伴う税収の拡大のほか、設備の補修、メンテナンスなどの継続的な需要の発生が期待されることから、地域の御理解や信頼を得ながら、しっかりと地域に根差した再エネ導入拡大を進めてまいりたいと思います。

石川(昭)委員 それでは、時間の関係で、最後の質問とさせていただきます。

 医療分野で、がんなどの画像診断に使用される核種、テクネチウムの原料、モリブデンというのは、今一〇〇%海外に依存している状況です。それを国産化しようということで、原子力機構が保有する試験研究炉を活用したアイソトープ国内製造に政府としてどのように取り組んでいくのか。

 また、材料試験炉JMTR、これはもう既に廃炉が決まっておりますけれども、その後継についてどう考えて進めていくのか、文部科学大臣にお伺いして、終わりたいと思います。

末松国務大臣 地元の重要な施設に御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 ラジオアイソトープは、工業、医療、文化財の調査も入っていますけれども、こういった分野で重要な放射線源として利用されております。

 しかしながら、核医学診断に欠かせない、今先生御指摘のありましたモリブデン99など、海外からの輸入に頼っているものもありまして、というか全部頼っておりますね。自国の試験研究炉によりますラジオアイソトープの製造は、経済安全保障の観点からも極めて重要でございます。

 このため、文部科学省におきましては、原子力機構の保有する試験研究炉JRR3を活用しました金198、イリジウム192の製造を進めるとともに、モリブデン99の国内製造実現に必要な研究開発を進めてございます。

 さらに、同じく原子力機構が保有します高速実験炉常陽、これを活用したアクチニウム225、この大量製造に向けました研究開発を今後開始することといたしております。

 一方で、ラジオアイソトープの製造を含めて原子力分野の研究開発に活用されておりました材料試験炉のJMTRは、現在廃止措置が進められていますが、原子力分野の研究開発におきましては、中性子照射は不可欠でございます。このため、照射場の確保や必要な技術、人材の維持を図るため、原子力機構におきましては、海外の照射試験炉の活用に向けた取組、新たな照射試験炉の建設に関しまして、中長期的な観点からの検討を今進めているところでございます。

 重要な御指摘でございますので、しっかりと受け止めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

石川(昭)委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて高市君、牧原君、島尻君、石川君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。竹内譲君。

竹内委員 公明党の政務調査会長の竹内譲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速でございますが、まず、新型コロナウイルス感染症は、国民の皆様の懸命の御努力によりまして、ワクチンの二回接種率が十二月十日時点で七七・三%と飛躍的に高まったほか、治療薬の効果もあり、現在は小康状態を保っています。

 ところが、ここへ来て新たな変異株、オミクロン株が出現し、加えて、資源価格の高騰や半導体を始めとする供給制約など、世界的な下振れリスクが顕在化し、経済の見通しに不透明感が増しております。実際、七月―九月のGDPギャップはマイナス二十七兆円と、マイナス幅が拡大しています。

 そこで、お尋ねをいたします。

 パネルを御覧ください。

 まず、これまでの三度にわたる経済対策は、感染抑制と経済の両面に対してどのような効果があったのか。その上で、今回の経済対策は、対策国費が四十三・七兆円と、コロナ禍の対策としては最大規模となっていますが、総理がおっしゃったように最悪の事態に対応できる対策となっているのかどうか。また、感染を抑制し、国民生活を守り、日本経済を再生することができるのか。いま一度、本経済対策の趣旨や狙い、規模の妥当性について総理にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、昨年来の三次にわたる経済対策についての御質問ですが、昨年来、当初は新型コロナの感染力など実態が十分把握できていなかった、また、ワクチン、治療薬が開発されていない中での対策でありました。

 しかし、その中にあっても、国民の命や暮らしを守り抜く、そういった決意で、医療体制を構築するための病床確保、人材確保のための支援、また、新型コロナによって影響を受けておられる方々の事業、雇用、暮らしを守るための、事業規模に応じた協力金や雇調金の支給などの内容を盛り込んだ三次にわたる補正予算を編成し、この三次にわたる補正予算、経済対策の規模、これは世界的に見ても最大級、事業規模二百九十三兆円という規模でありました。

 こうした取組を進めてきたわけですが、その後、ワクチンの接種、御指摘のように進んでまいりました。そして、倒産件数、失業率も低水準を維持している、こうした状況にあります。

 しかしながら、御指摘のように、新たな変異株の出現等もあり、引き続き予断は許されない、引き続きしっかりとした対策を講じなければならないということで、今回の経済対策ということになった次第です。

 この経済対策の中で、最悪の事態を想定しながら、感染拡大へのまず備えをしっかり整える、そして、影響を受けられた方々に万全の支援を行う、そして、これから、経済の再生に向けて、成長と分配の、この新しい資本主義を起動していく、こういった内容を盛り込んだということであります。

 財政支出五十五・七兆円、事業規模七十八・九兆円、これは、安心や希望をお届けするために十分な内容と規模を持ち合わせていると考えています。スピード感を持って執行していくことで、一日も早く経済の回復軌道を取り戻して力強い成長につなげていきたいと考えております。

竹内委員 そこで、本経済対策の経済効果につきまして、政府はGDPの五・六%程度を下支え、押し上げると試算されていますが、民間のエコノミストはおよそ一から三%程度と試算しております。この乖離について説明をお願いします。また、経済対策による波及効果についても説明をお願いしたいと思います。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど総理からもお話ございましたように、まだ、新型コロナ感染症の動向、これが予断を許さない状況の中、感染症の影響により厳しい状況にある方々や事業者の雇用、生活、事業をしっかりとお支えしていくことは、現下の経済政策における最重要の課題であり、今回の経済対策では、感染症の動向や供給制約、原材料価格の動向による下振れリスクにしっかり対応するとともに、厳しい状況にある方々への支援などのいわゆる経済の下支えは大きな柱として位置づけているところです。

 このため、経済対策の効果については、こうした経済対策の趣旨に鑑み、単にGDPを押し上げる効果のみならず、今申し上げました下支え効果も含めて試算しているところでございます。

 一方、民間の試算については、その詳細は明らかではございませんが、基本的には経済対策によるGDPの押し上げ効果のみを取り上げているものと思われます。

 また、本経済対策には、スタートアップ支援や先端半導体の国内生産拠点の形成支援、職業訓練や学び直しなど人への投資を強化する施策なども盛り込んでおりまして、起業の活発化や関連産業の立地促進、成長分野への労働移動促進などが波及効果として期待されるところです。

 スピード感を持って、経済を一日も早く成長軌道に乗せてまいりたいと存じます。

竹内委員 続きまして、令和三年度補正予算の歳入について伺いたいと思います。

 コロナの影響がある中においても、税収見込額が当初より六・四兆円も上振れしているわけであります。また、前年度剰余金が六・一兆円と記載してありますが、これも前年度の税収の増加によるものと伺っています。

 コロナ禍によるマイナス成長の中での二年にわたる税収増加はいわば前代未聞でございまして、これらの要因についてどのように分析しているのでしょうか。お伺いいたしたいと思います。

鈴木国務大臣 令和二年度の決算税収につきましては、補正後税収五十五・一兆円からプラス五・七兆円上振れ、六十・八兆円となっておりますが、その要因でありますけれども、巣ごもり需要の高まりなどにより好調な業種が企業収益を下支えしたことに加え、新型コロナの影響による納付期限の延長といった制度的な要因によって、令和元年度申告分の一部が令和二年度に収納されたことなどが影響していると考えております。

 また、令和三年度の補正後税収につきましては、当初予算税収五十七・四兆円からプラス六・四兆円の増額補正を行い、六十三・九兆円となっておりますが、これは、足下の課税実績が順調に進捗していることに加え、雇用、賃金が持ち直すとともに、企業業績も引き続き改善していること等を反映していると考えております。

竹内委員 一応の御説明をいただきましたが、その背景というか、もう少し経済分析を今後進めていく必要があると思うんですね。デジタル化とかそういうものがどういうふうに影響したか、生産性が上場企業でかなり上がってきたのではないかとか、不思議な現象があると思うんですね。

 そういう意味で、大変な不況下であったにもかかわらず税収が増えるということは、今後の経済政策や財政再建とかを考える上でも非常に示唆に富む現象だと思っておりまして、この辺をよく実態を解明した上で今後の経済財政政策をやはり立案していく必要があるんじゃないかということを私ども考えているところでございます。

 今日はこのぐらいの指摘にさせていただきたいと思います。

 そこで、次に、岸田総理はこれまでも単年度主義の弊害を是正していく方針を主張されています。日本の中長期の展望に立った政策立案の必要性や効率的な財政運営を図る観点から、大変重要な御指摘であるというふうに感じております。

 この度の補正予算には、単年度主義の弊害是正はどのような形で反映されておりますでしょうか。お伺いいたしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 財政の単年度主義の弊害是正ということについては、民間企業に対して長期的な視点を求めるのと同様、国においても、より長期的な視点に立った戦略的な財政運営を考えるという意味で重要であると考えます。特に、科学技術の振興ですとか経済安全保障、重要インフラの整備、こうした国家的な課題において、中長期的な視点を大事にし、適切に予算編成を行っていく、こうした取組の重要性を強く感じております。

 その中で、今般の補正予算でそれがどのように反映されたかという御質問ですが、例えば、この科学技術や経済安全保障の分野において、事業の性質も踏まえつつ、基金やファンドを活用し、複数年度にわたる支援を行うこととしております。また、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も踏まえて、翌年度以降の事業を約束する国庫債務負担行為を積極的に活用する、こうした手法も取り入れております。

 こうした取組等を通じて、単年度主義の弊害是正という課題にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

竹内委員 ありがとうございます。

 そこで、岸田総理は新しい資本主義の概念を提唱されました。刮目に値すると思っております。まさに我が意を得たりとの思いでもございます。

 そこで、お尋ねをいたしますが、まずもって、新自由主義との違いはどこにあるのかということが一点。

 それから、私は、従来のように、成長の果実が滴り落ちるのを待つのではなくて、むしろ、分配戦略を重視し、人への投資の強化をうたっているところに特徴があると見ています。成長の果実を分配するとともに、分配から成長へとつなげていくことが不可欠であります。その成長と分配の好循環を生み出す鍵は何か、その具体的知恵が問われていると思うわけでございます。この辺りの総理の御所見を改めてお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 主要先進国を始め、世界の多くの国々において新しい資本主義のモデルの模索が始まろうとする中にあって、我が国においては、官と民がそれぞれ役割を果たしながら成長と分配の好循環を生み出す新しい資本主義を考えていきたいと考えています。

 成長においても、経済安全保障を始めとする新しい課題をしっかりと捉え、なおかつ市場を形成して民間の投資をしっかりと取り込んでいく。また、分配においても、国が率先して給与引上げの取組を示し、民間にもそうした給与引上げの努力を促していく。こうした成長と分配を行っていきたいと思います。

 従来との違いは何かという御質問ですが、やはり、成長の部分においても、また分配の部分においても、単に市場や競争に任せるというのではなくして、官と民がそれぞれ役割を担いながら、新しい成長、新しい分配、これを実現するというところが一つポイントになると思います。

 そして、鍵になるのは、やはり人への投資という部分だと考えています。人への投資というのはコストではなく未来への投資であるという考え方、所得と給与を引き上げることによって消費を喚起し、次なる成長を生み出す、こうした成長と分配の好循環を実現していく、これがこの大きなポイントになると思います。

 こうした社会課題を解決しながら力強く成長を実現していく、結果として、民主主義の基盤ともなる中間層をしっかりと取り戻していく、こうした持続可能な経済社会体制をつくっていくことがポイントになると考えています。

竹内委員 ありがとうございます。

 私は、今の御答弁の中でも、特に、総理が人への分配はコストではなくて未来への投資ですとおっしゃったこと、これは所信表明でも語られていることでありますが、全面的に賛同するものでございます。

 公明党は、今こそ、子育て、教育を国家戦略に位置づけるべきであるということを訴えております。その理由は、子育て、教育こそが日本の最大の課題と捉えているからでございます。

 パネルを御覧ください。

 我が国の出生数は、長期的に減少傾向が続いてまいりました。直近では想定を上回る速度で少子化が加速し、コロナ禍の昨年は、九十万人を下回り、約八十四万人となっているわけであります。このままでは日本の衰退は明らかであります。

 さらに、我が国における家族関係社会支出の対GDP比は、幼児教育や高等教育の近年の無償化によりまして、二〇一五年の一・三一%から、二〇二〇年には一・九%程度へと増加しました。しかしながら、依然として、OECD諸国の平均二・一%以下でございまして、更なる充実が必要だと思っております。

 このような理由から、公明党としては、結婚、妊娠、出産、幼児教育から高等教育まで、子育て、教育支援を複数年かけて段階的に充実させていく子育て応援トータルプランの策定に党として取り組んでいるところでございます。この度の十八歳以下の子供たちへの給付は、その一環として考えたものでございます。その根底には、子供の幸福を最優先に考え、社会全体で子育てを応援すべきであるとの哲学があります。

 政府としても、是非、長期的視野に立って、子育て、教育支援の投資計画を策定する必要があるのではないでしょうか。その際には、当然、財源の確保も含めて取り組んでいかねばなりません。総理の御所見、御決意をお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、公明党が、子育てそして教育を国家戦略として捉えるべきだという考え方、これについては強く共感いたします。

 新しい内閣においても、この子育て、教育支援は最重要課題の一つであると考えておりますし、これまでも、安定財源を確保しつつ、様々な支援を充実してきたところですが、子供政策は未来への投資であり、御指摘のとおり、長期的視野に立って強力に進めていくこと、これが重要であると考えます。

 そのための基盤として、これも従来から申し上げておりますが、子供中心の行政を確立するための新しい行政組織の設置、これも重要でありますし、安定財源の確保ということについても、国民の理解を得ながら、社会全体で、その財源、どのように負担していくのか、どのように確保していくのか、こうしたことを幅広く検討していくことが重要であると考えます。

竹内委員 ありがとうございました。

 そこで、午前中の質問を受けまして、子育て世帯への臨時特別給付金の支給に関して質問をいたしたいと思います。

 補正予算成立前あるいは正式な方針が示される前に一括して十万円の給付を行った場合も、後から地方自治体に補助金は交付されるのでしょうか。この点について確認をしたいと思います。

山際国務大臣 追加の五万円相当の給付でございますが、クーポンによる給付が基本との考えに変わりはございませんが、その具体的な運用については、地方の事情が様々であることから、地方自治体の御意見を踏まえるべきものと考えてございます。

 こうした地方自治体の考え方の下におきまして、地方自治体の実情に応じて、現金での対応も可能とする運用とすることとし、さらには、自治体の判断により、地域の実情に応じて、年内の先行分の五万円の給付と併せて、十万円の現金を一括で給付することも選択肢であると考えてございます。

 その際、補正予算の成立前や実施要領をお示しする前に自治体による給付が行われた場合には、給付対象者や給付金額等が適切なものである限り、事後に地方自治体に補助金を交付することにしたいと存じます。

竹内委員 ありがとうございます。

 そこで、もう一点だけ確認をしておきたいんですが、一括給付ではなくて二回に分けて現金給付を行う場合も、この現金給付自体は自治体の判断で認められるのかどうかということ。そしてまた、その場合、どのような条件で認められるのか、お伺いしたいと思います。

山際国務大臣 地方自治体が地域の実情を勘案して行った判断を尊重するとの考えの下、地域ごとに事情が異なることも踏まえて、政府において、現金給付を認める場合について、一律の条件を設け審査を行うということは考えておりません。ですので、おっしゃるように、地方自治体の主体性でやっていただくことになると思います。

竹内委員 承知しました。

 今回の補正予算案では、公明党として、マニフェストにも掲げ、また、これまでも注力してまいりました生活困窮者等への支援策についても重層的なメニューが計上されています。

 パネルを御覧ください。

 具体的には、住民税非課税世帯やコロナ禍で困窮する学生に対して十万円を給付するとともに、一定の場合に償還が免除される特例貸付け、そしてまた、家賃の一部を補助する住居確保給付金の申請期限を延長するほか、一世帯当たり最大三十万円の自立支援金を再支給することとしております。

 このうち、住民税非課税世帯に対する給付金につきましては、昨年の収入を基に今年度の住民税が非課税となっている方だけでなくて、今年になってから家計が急変した方も対象にすべきだと私ども主張してまいりました。

 その結果、今回の補正予算案にその内容が盛り込まれていると伺っておるわけでございますけれども、同給付金について、政府は、プッシュ型、つまり申請不要で給付するとされています。具体的にどのような仕組みを考えておられるのか、対象者の所得や給付の仕組みにつきまして、分かりやすく見解を伺いたいと思います。

山際国務大臣 委員御指摘のとおりに、今年に入って以降収入が減少した家計急変世帯についても、住民税非課税世帯と同様の事情にあると認められる場合には支給を行うことといたしました。

 具体的なお話でございましたので、公金口座登録法に基づく特定公的給付に指定することによりまして、住民税課税情報や口座情報を活用して、市町村において住民税非課税世帯の特定を行い、国民の申請を待つことなくプッシュ型で支給の案内を行う方向で検討してございます。

 更に具体的には、令和三年一月以降の任意の一か月の収入を年収換算、十二倍いたしまして、世帯員全員が住民税非課税基準を下回る場合に給付対象とするほか、収入で見て基準を満たさない場合には、各種控除を適用した後の一年間の所得での判定も可能とする方向で検討してございます。

竹内委員 ありがとうございました。

 いろいろ配慮がされていて、様々な年代、世代の方々に、やはり非常に家計が急変した場合には、それは支援するということがよりはっきり分かったというふうに思っております。

 では、次に参りますが、今般のコロナ禍によりまして、行政におけるデジタル化の遅れが浮き彫りになりました。その反省も踏まえて、政府は迅速にデジタル庁を発足し、その結果、官民ともに今デジタル化の流れが加速しております。

 その上で、デジタル社会を構築するためには、まずは、国民の皆さんにマイナンバーカードを取得していただくことが一丁目一番地ではないかというふうに思っているわけであります。

 このカードは、行政手続の簡素化やデジタル活用による住民サービスを享受することができるなど、私たちの暮らしを更に豊かにするものでございます。加えて、自治体における業務の効率化、コスト削減など、行財政改革にも大いに資するものであり、更なる普及促進が重要であると考えております。

 そうした中、補正予算案には、公明党が衆議院選挙で公約に掲げました新たなマイナポイント制度が盛り込まれ、マイナンバーカードの一層の普及促進や消費喚起、そしてまた、キャッシュレス基盤の構築促進が期待されているわけであります。

 パネルを御覧ください。

 政府が想定する具体的な制度イメージを私の方でちょっと説明をさせていただきますが、まず、一定の要件をクリアすれば、最大二万円相当のポイントを御自分のポイントカードやQRコードなどに付与できるというものであります。

 まず第一の要件が、マイナンバーカードの新規取得。新規取得者は、チャージあるいはお買物をすることで最大五千円分のポイントが付与されます。また、既にカードを取得している方でも、現行のマイナポイントに申請していなければ、同様に最大五千円相当のポイントが付与されるというものであります。

 第二の要件が、マイナンバーカードの健康保険証利用の登録であります。登録した場合には七千五百円相当のポイントが付与される。

 三番目の要件が、災害とか大きな経済変動などのあったときに、緊急時に給付金等を迅速支給することを可能にする公金受取口座の登録であります。これを登録した場合、更に七千五百円分のポイントが付与されるというものでございます。

 なお、第二、第三の要件は、チャージや買物をしなくても、登録するだけで直接付与される仕組みになっているわけでございます。

 改めて、この新たなマイナポイント制度の目的を始め、実施スケジュールや手続方法につきまして、そしてまた波及効果についても説明をしていただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 ただいま竹内委員から詳しくお触れいただきましたが、マイナポイント第二弾は、マイナンバーカードの普及やキャッシュレス決済の拡大を図りつつ、消費喚起し、さらに、カードの健康保険証利用や公金受取口座の登録も促進することでデジタル社会の実現を図ることを目的としております。

 補正予算の成立が前提ではありますが、マイナンバーカードを新規に取得された方などに対する最大五千円相当のマイナポイントの申込み、付与については、第一弾が本年十二月三十一日に終了することも踏まえ、来年一月一日から切れ目なく開始することとしたいと考えております。

 また、手続方法につきましては、第一弾と同様、マイナンバーカードと登録するキャッシュレス決済サービスを御準備いただき、お手持ちのスマートフォンや、自治体、郵便局等に設置しております端末で申し込んでいただくことになります。

 なお、カードの健康保険証利用や公金受取口座の登録に係るポイントの申込み、付与につきましては、そのスケジュールや手続方法につきましては、デジタル庁、そして厚生労働省と連携して検討を進め、できるだけ早期に開始することとしたいと思います。

 マイナポイント第二弾をきっかけとして、キャッシュレス決済の利便性やマイナンバーカードのメリットをより多くの国民の皆様に実感していただき、デジタル社会の実現につなげてまいります。

竹内委員 ありがとうございました。

 現在のマイナポイントでは、実は、スマホやパソコンを持たない方などでも制度を活用できるように、コンビニのATMとかマルチコピー機などを活用したマイナポイント手続スポットが全国約九万か所に設置されてあるんですね。

 しかし、高齢者の方々や障害者の方々、また外国人などの方々には、このようなATMやマルチコピー機などの端末があったとしても、申請に苦労される方が数多くいらっしゃいます。

 そのため、今後、誰でもこのポイントが利用できるように、手続スポットの更なる拡充とともに、デジタル活用支援員とも連携するなど、人による手厚いサポート体制を構築すべきと考えます。

 加えて、シンプルかつ直感的に利用できるユニバーサルデザイン機器の開発支援も推進して、多くの方々がマイナポイントを利用できる環境を整備すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

牧島国務大臣 まず、御質問のうち、マイナポイント申請におけるシステム利用時のユーザー目線での配慮について、私の方から答弁をさせていただきます。

 新たなマイナポイントについては、今、総務大臣からも御答弁ありましたとおり、補正予算成立が前提にはなりますけれども、マイナンバーカードの新規取得者の申請は、早期の申請を実現する観点から、現在のシステムを活用することにより、来年の一月一日より開始をいたします。そして、健康保険証利用登録を行った方と公金受取口座登録を行った方におけるマイナポイントの申請は、既存システムの改修が必要になりますので、現在検討を開始しています。

 御指摘のとおり、ユーザー目線での配慮というのは大変重要な観点であると私どもも捉えております。このため、ユーザーの満足度、いわゆるユーザーエクスペリエンスというものを徹底してよいものにしたいと考えています。

 デジタル庁には民間から参画をしているデザイン等の専門家もおりますので、この知見を生かしながら、既存の申請画面を使い勝手のよいものにするようにしっかりと検討してまいります。

 また、重ねて、この画面のツールの使い勝手のよさを上げるだけではなくて、ユーザーのオンライン行政手続を支援するという観点からは、デジタル推進委員によるサポート体制を、デジタル庁としては総務省などとも連携しながら進めていきたいというふうに考えております。

金子(恭)国務大臣 マイナポイントの申込みはオンラインで行うものであります。スマートフォンやパソコンなどの活用が必要であることから、高齢者などに対する手厚いサポートが必要と認識しております。

 このため、第一弾では、住民に身近な全国の市区町村窓口においてポイント申込みをサポートしていただくとともに、郵便局、携帯ショップなどでの対面による支援や、コンビニ、ATM等での手続支援を行ってきたところでございます。

 また、総務省が実施いたしますデジタル活用支援推進事業においても、民間の携帯ショップなどで、マイナポイントの申込みを始めといたしました、オンラインによる行政手続等を学べる講習会を全国で開催しているところでございます。第二弾の予算案が成立することを前提に準備をしていただく観点から、各自治体に対し、この講習会を積極的に活用していただくよう、去る令和三年十二月九日に事務連絡を発出し、周知したところでございます。

 加えて、第二弾におきましては、全国のショッピングモールなどへスタッフを派遣する、新たな、高齢者などを対象とした申込手続支援を実施するための予算を計上するなど、今後とも、国民の皆様ができるだけストレスなくポイントの申込みができるような環境整備に積極的に取り組んでまいります。

 以上です。

竹内委員 ありがとうございます。是非、積極的な支援の方をよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、もう一点、その関連ですが、新たな、健康保険証としての活用ですね。

 しかし、現在、その利用に対応する医療機関は僅か八%程度にとどまっていると伺っております。是非、ここは国がリーダーシップを発揮して、医療機関の方々への丁寧な説明や不安の払拭、導入メリットの明示に全力で取り組んでいただきたいと思うものであります。御答弁の方、よろしくお願いします。

後藤国務大臣 マイナンバーカードの保険証利用につきましては、その準備に必要となる顔認証つきカードリーダー、これを全医療機関等の六割に今申し込んでいただきました。実際に準備が完了した施設は一二%、運用を開始した施設は、先生の御指摘どおり約八%となっております。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用することによりまして、医療機関等にとっては、期限切れの保険証による受診で発生する過誤請求や患者の資格情報の入力の手間等が削減されまして、事務コストも低減いたしますし、患者の側も同意を得て、過去の薬剤情報や特定健診結果を閲覧することでよりよい医療を提供できるという大きなメリットがございます。

 また、今度は患者側のメリットということで申し上げますと、私自身も、十月十日のデジタルの日に、虎の門病院に牧島大臣と一緒にデモンストレーションで行ってまいりまして、マイナンバーカードを利用した顔認証つきカードリーダー、非常に簡単だということを実感いたしております。

 厚生労働省としては、こうしたメリットをしっかり周知するとともに、医療機関等に対するアンケート調査やヒアリング等を通じて、導入に係る課題等を把握、解決しながら、導入加速にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

竹内委員 医療機関のマイナンバーカードを始めとするデジタル化というのは非常に私は重要だと思っておりまして、社会保障の効率化、これによって、実は相当の財源が生み出されるんじゃないかなというふうに私どもは試算をしておるわけでございます。様々な意味で非常に重要な施策、政策だと思いますので、是非ともよろしくお願いしたいと思っております。

 そして次に、中小企業の足腰強化につきまして御質問します。

 公明党は、さきの衆議院選挙でも、中小企業向けのグリーン・デジタルトランスフォーメーション補助金の創設を実は提案をしておったんです、余り知られておりませんけれども。

 パネルを御覧ください。

 この我が党の提案も踏まえ、今回の補正予算案に盛り込まれたものづくり補助金などには、新たに、補助率等が加算されるグリーン枠やデジタル枠が設けられています。加えて、IT導入補助金は、これまで補助対象外であったパソコンの購入も補助対象になるんですね。更に活用しやすい制度となっています。

 そこで、本日は、テレビの前で事業者の皆様も御覧になられていると思いますので、このグリーン枠やデジタル枠の補助金は、通常枠と違い、どのような取組に活用が可能なのか、また、少額なデジタル投資にも活用できるIT導入補助金の改善点などについて、分かりやすく萩生田大臣から御説明をいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 ありがとうございます。

 世界的にグリーン化やデジタル化など大きな構造変化が訪れる中、ウィズコロナ、ポストコロナを見据え、今後は中小企業の新たな挑戦を後押しすることも重要だと思っております。

 経産省としては、今先生おっしゃったように、選挙前から、御党の御提案も踏まえて、グリーン化あるいはデジタル化に関連する前向きな成長投資を行う中小企業を強力に支援すべく、令和三年度補正予算案において補助事業を拡充し、中小企業グリーン・デジタル投資加速化パッケージとしてお示しをさせていただきました。

 具体的には、事業再構築補助金及びものづくり補助金、これは既にお使いいただいている制度ですが、ここに新たにグリーン投資の枠を設け、補助上限額を引き上げることにしました。

 具体的には、事業再構築では、最大一億円でしたけれども、今度は一・五億円まで、このグリーン投資枠では使わせていただきます。また、ものづくり補助金では、最大千二百五十万円だったものを二千万円まで引き上げさせていただきます。また、ものづくり補助金に新たにデジタル枠を設けるとともに、IT導入補助金等にインボイス対応の枠を設け、補助率などを引き上げることにしました。

 中小企業の脱炭素に向けた取組やデジタル化による生産性の向上への取組をしっかりと応援できる内容としております。

 また、IT導入補助金につきましては、これまで一年分でしか補助対象にならなかったクラウド利用料を、今回は二年分まとめて補助することにさせていただきます。それから、御指摘のありましたパソコン、タブレットは対象外だったんですが、二分の一の十万円まで、また、レジにつきましては二十万円まで、購入費を補助対象に追加するといった改善を講ずることといたします。

 こうした措置により、例えば、IoTを活用して生産設備の稼働状態を遠隔監視あるいは制御する最新のシステムなどを導入する場合に御活用いただくことも可能となります。

 中小企業の方々のグリーンやデジタルへの対応をしっかりと後押ししてまいりたいと思います。

竹内委員 ありがとうございました。

 私は、日米の成長率の差は、デジタルのソフト、ハードにわたる、まさにこの二十年間の投資額、投資量の差がそのまま日米の成長率の差につながったものというふうに思っておりますし、また、そういうデータも既に出されております。是非とも、中小企業を足腰から支えて、デジタル化、グリーン化でバックアップしていきたいというふうに思っているところであります。

 そして、最後に、新たなGoToトラベル事業の内容につきまして御質問いたします。

 GoToキャンペーンシリーズにつきましては、いまだ回復途上にある観光業界や交通事業者の皆様から早期の再開を望む声が数多く寄せられています。重要な取組だと考えております。

 一方で、言うまでもなく、GoToの運用は感染防止対策の徹底が不可欠でございます。国民の皆様に安全、安心が伝わるように、新たなGoToに盛り込まれた感染リスクの軽減策とともに、中小の観光事業者への配慮や、公共交通の利用者の増加につながる内容について、分かりやすい御答弁をお願いしたいと思います。

 あわせて、やはり今、オミクロン株などの発生など、先行きに対する不安感も出始めておりますので、再開につきましては慎重に判断しなければならないと思うわけでございますが、このGoTo再開についての考え方についても答弁を求めたいと思います。

斉藤国務大臣 GoToトラベルは、今大きな打撃を受けております観光、交通、また地域経済、この維持、復興を図る観点から非常に重要な政策だと認識しております。

 一方、現時点で感染状況は落ち着いておりますが、観光需要の喚起に当たっては、安全、安心を最大限確保し、感染拡大防止と経済の回復の両立を図ることが重要です。

 具体的には、ワクチン・検査パッケージを活用する、このことにより、感染リスクの低減や旅行者の安心感の醸成をしっかりと図っていきたいと思います。

 また、割引率、割引上限額を引き下げるとともに、地域共通クーポンを定額化することにより、低価格帯の中小事業者にもしっかりと配慮していきたいと思います。

 さらに、多くの人々により広域的に旅行していただくため、交通つき旅行商品の割引上限額を高く設定することで、公共交通機関の利用も、促進にもつながるものと考えております。

 加えて、平日は地域共通クーポンの金額を上乗せすることによって、旅行需要の平日への分散化を図っていきたいと思います。

 また、時期でございますけれども、先ほど申し上げましたように、再開につきましては、安全、安心をしっかり確保する必要がございまして、感染状況がその時点で落ち着いていることが大前提となります。具体的な再開のタイミングについては、専門家の意見を踏まえつつ、オミクロン株の影響を含め、また年末年始の感染状況等をしっかり見極めた上で、関係省庁とも協議しながら検討してまいります。

竹内委員 ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わります。

根本委員長 この際、伊佐進一君から関連質疑の申出があります。竹内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず冒頭、コロナ対応について伺います。

 経口薬、飲み薬について伺います。

 これもワクチンと同様に、この経口薬で、コロナ対応のまさしく切り札になるというふうに思っています。いかにこれを普及させていくかというのが大事なテーマであると思っておりますが、総理の方からは、この経口薬は今年中、だから今月中に実用化します、二十万回分を確保しています、年度内に四十万回。合計で百六十万回分確保したということです。

 国民の皆さんからすれば、何万回分というのはちょっと分かりにくくて、要は、身近で、自分の地域の医療機関やクリニックでちゃんとすぐに処方されるのかどうか、これが大事だと思います。

 そこで、ちょっと大臣に伺いたいのは、この新しい経口薬というのは、自分の住んでいる地域、クリニック、医療機関でちゃんと手に入るような体制をしっかりつくっていただきたい、そしてまた、例えば薬局で処方していただいたらそれが郵送されるとか、こういう形での体制をつくっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症の経口薬が実用化された場合にどう使われるかという重大な、重要な御指摘でございます。

 入院に加えて外来、往診まで、様々な場面で使用できる体制を全国で構築したいというふうに考えております。

 具体的には、入院や往診で診療を行う地域の医療機関が患者に対し経口薬を処方すること、この外来診療を行う医療機関からの処方に基づいて地域の薬局から患者の居宅に経口薬を配送するといったことを可能とするように、準備をいたしております。現在、自治体に対しまして、地域の医師会、薬剤師会とも連携の上で、こうした経口薬の提供体制の整備をお願いしているところでございます。

 必要な患者の元に速やかに薬剤をお届けできるように、引き続き必要な体制の整備に努めてまいりたいと思います。

伊佐委員 この経口薬は、発症してから五日以内とか三日以内に処方しますという薬でありますので、是非、早期に処方できる、服用できるような体制をつくっていただきたいというふうに思います。

 次、賃上げについて伺いたいと思います。

 この年末に向けての与党の税調プロセスの中で、賃上げ税制というのが確定した。この賃上げ税制は、賃金を上げた企業に対して税を減税しますというところです。かなり大胆な賃上げ税制になっているわけですが、これはこれでいいと思います。

 ただ、ちょっと公明党の中で、私を含めて少なくない意見だった、総理に是非聞いていただきたいというのは、この賃上げ税制自体は平成二十五年からやっているんです。ずっと、手を替え品を替えて、バージョンアップしながら今までやってきました。つまり、賃金を上げたところの税制優遇をする。

 ところが、じゃ、この間、ずっと見てきたら、賃金が上がっているかというと、ずっと横ばいなんです。代わりに、一方で、企業の内部留保とか現金預金というのは、これはどんどん積み上がっているわけです。だから、平成二十五年度からやってきた賃上げ税制というものが本当に効果はどうだったのかというところの分析が私は必要だというふうに思っております。

 その上で、じゃ、中小企業の皆さんに話を聞くと、経営者の方が言われるのは、従業員の賃上げ、すごいしたいんだ、したいけれども、原資がないんです、配るものがないんですと。つまり、大企業からの取引条件、ここが変わらない限り従業員に配るものがありませんというふうに言われます。だから、この取引条件の改善をいかにしていくか。雇用の七割は中小企業ですから、中小企業の状況が変わらないと賃金は上がらないと思います。

 さらに、賃上げ税制というのは、さっき申し上げたとおり、支払うべき税の優遇なので、黒字企業にしか利かないんです。そういう意味では、今回、大幅に賃上げ税制をやっていただけるわけですから、実効性を上げるという観点からすれば、取引条件の改善がこれは必須だというふうに思いますが、是非そこは力強く後押ししていただきたいと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の賃上げ税制、従来なかなか効果が上がってこなかった、どこが違うのかということについて申し上げるならば、やはり、賃上げ税制の評価の対象、従来のように新規雇用だけではなくして、賃上げの総額をしっかり評価した上で、なおかつ控除率も従来と比べて格段高めていく、こうしたことで賃上げ税制自体もバージョンアップしているということを申し上げた上で、これを中小企業の皆さんにしっかり活用していただく、実効性を上げるというためには、中小企業の取引環境を改善して、賃上げのための原資、これをしっかり確保できるようにしていかなければいけない、こうした委員の問題意識、そのとおりだと思います。

 そのためにも、中小企業において取引先としっかり共存共栄を目指して適正な取引価格を実現していく、こういったことにつながるパートナーシップ構築宣言についても更に拡大をしていかなければならないと思いますし、また、下請取引の更なる適正化に向けて下請Gメンの倍増を図るなど、取引適正化のための監督、これを強化していく。こうした取組を通じて、大企業と中小企業が共存共栄できる取引環境をしっかりつくっていきたいと存じます。

 こうした取組を通じて、是非、中小企業の皆さんが賃上げができる原資をしっかり確保できる環境整備を進めていきたいと思っています。

伊佐委員 総理、共存共栄とおっしゃっていただいて、パートナーシップ宣言にも触れていただきました。

 確かに、今回の税制でも、大企業が優遇を受ける条件として、このパートナーシップ宣言であったり、あるいはマルチステークホルダーへの配慮、いわゆる取引企業にもちゃんと配慮しますよというのも入っているんです。

 ただ、それは、あくまで、今、宣言というのが条件になっていて、宣言、ホームページに載せれば、じゃ、終わりなのかということになりますので、ここは是非政府全体で、これをちゃんとフォローしていくような仕組みというのが私は大事だと思いますので、ここは是非お願いしたいというふうに思います。

 さらに、ちょっと賃金の話で、公的賃金の引上げ、これは、看護、介護、保育、幼児教育で賃金アップ、総理に決めていただきました。

 この中で、私、それでもちょっと心配なことがあります。それは何かというと、社会保障費の伸びというのは毎年キャップがかかっています。高齢化の伸びに合わせますというキャップがかかっていますので、その増加分というのも、毎年この予算はこの範囲内でやりくりしているわけです。つまり、同じパイの中で食い合うことにならないかという心配をしています。

 実は、今、診療報酬改定の議論をやっています。厚労省と財務省でもう毎日のように議論して、恐らく今週が山場だというふうに思いますが、結局、この十月以降の公的賃金というのは、全部、診療報酬とか介護報酬に乗ってくるわけです。そうすると、もし同じような考え方であれば、結局は同じパイの中で食い合うだけになるんじゃないか。公的賃金というのは、今回、総理のリーダーシップで、政治的な判断で決めていただいたもので、通常、普通にやるようなものとは別枠で私はやるべきだ、そうじゃないと、結局は同じパイの中での食い合いになるというふうに思います。

 そこで、ちょっと総理に一応確認させていただきたいのは、今回の公的賃金の引上げというのは、あくまで本来の予算折衝であるとか報酬改定とは別の賃上げであって、同じパイで、ほかを食い込ませてここだけ優遇します、こういう話じゃないですよねというところを確認したいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の公的価格と言われる賃金については、補正予算によって、二月に前倒しする形でしっかり実現をしていきたいと思います。

 そして、それ以後につきましては予算編成作業の中で議論していくことになるわけですが、この医療・介護費は、御案内のとおり、高齢化に伴って増加していく、こうした取組を続けています。こうした高齢化に伴う、増加する医療・介護費の中で分配の在り方等を考えていただく、こうした予算編成過程においてしっかり議論をしていきたいと思います。

 そして、そこから先の中長期的な公的価格の在り方については、先日立ち上げました公的価格評価検討委員会、ここにおいて議論していただくということで、年末までに中間整理を行っていただき、中長期的な方向性についても議論を深めていただくことにしております。

伊佐委員 私は、同じ、結局、決められた範囲の中で、そこでこっちを優遇するとなって、それだと、そのほかの予算でも、医療や看護の方々の職場環境のための予算も当然あるわけですね。そこがめり込んで、そこだけ、給料だけ上げますとなっても、それだと余り意味が、ないとは言いませんが、ここは是非御配慮していただきたいというふうに思っています。

 次に、診療報酬改定で、薬価について伺いたいと思います。

 なぜ日本で国産のワクチンとか治療薬ができないのかという、再三いろいろな質問、この国会でもなされてきたと思います。私は、その一つの原因は日本の薬価制度にあるというふうに思っております。

 薬価というのは、毎回の診療報酬改定で財務省と厚労省で交渉する。ところが、薬価は、今や毎年改定ということになっています。財源を出すために、薬価というのは毎年削られてきています。

 ずっと削られてきているが上に、更に厳しいのは、日本の場合は、特許期間中であっても薬価が下がります。普通、新薬を出すと、特許期間中はずっと価格は一定です。ところが、これが、特許期間が切れると、今度は、安いジェネリックに市場を譲るために薬価をがんと下げるんです。ところが、日本の場合は、特許期間中にも薬価がどんどん下げられていきます。これはG7で日本だけです、下がっていくのは。

 だから、何が起こっているかというと、日本で新薬を出しても、コストが回収できませんと。これは日本の企業だけじゃないんです。海外の企業にとってみても、最先端の新薬を日本で出したら、薬の価格というのは、世界中の価格はお互いに参照し合うようになっているので、日本で低い価格がついたら困るので、日本で出しにくくなるんです。そうすると、国民の皆さんにとっても、最新のワクチン、最新の治療薬が使えなくなっていくということになります。

 更に言えば、臨床試験の力が落ちていきます。何でかというと、臨床試験をやるときというのは、最新の薬を投与して、それで効かない場合に、そこで臨床試験が始まるんです。ただ、その最新の薬がなくなっていくわけですから、臨床試験ができなくなったら何が起こるかというと、当然、病院の臨床試験の力も落ちる、お医者さんの力も落ちる。あるいは、研究者の能力も高まっていきません。これは、若手の研究者も含めて、学生まで波及していきます。人が育たなくなるんです。そうすると、結局、人が育たないので、創薬の力がますます落ちる。負のスパイラルに陥っていくと思います。

 そういう意味で、このパネル、御参考までにお持ちしました。世界から見て日本の市場はどうなっているか。これからの市場予測、日本だけマイナスなんです。日本だけです。こういうような状況の中で、世界ではこう見ていますので、この状況を変えない限りは、私は、日本では国産のワクチンとか治療薬というのはなかなかできる環境にならないんじゃないかというふうに思っています。

 私、厚労大臣はよく御存じだと思うので、この認識を是非財務大臣にも持っていただきたいと思います。

 財務大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 御質問は、薬価改定に当たりまして、真にイノベーションを促進するものをしっかりと評価しろ、こういうお話だと思います。

 薬価算定基準につきましては、骨太の方針二〇二一におきまして、革新的な医薬品におけるイノベーションの評価の観点、それと、それ以外の長期収載品等の医薬品についての評価の適正化を行うという観点、それを踏まえて見直しを図ることとされております。

 薬価改定に当たりましては、この方針を踏まえまして、国民が恩恵を受ける、国民負担の軽減、それと医療の質の向上を両立しつつ、真にイノベーションを推進するかという観点から取り組んでまいりたいと思います。

伊佐委員 財務大臣としてはなかなか、こういう御答弁というのはよく分かります。

 その上で、総理にもまたこの点についてお答えいただきたいのと、あわせて、ちょっともう少し大きな観点で総理には確認させていただきたいんです。

 医療とか介護とか創薬というのは、私は日本の成長産業になり得るというふうに思っています。総理が今成長産業として挙げていただいている、例えばグリーンとかデジタルとかAIとか、これも私は重要だと思います、世界中が今しのぎを削っていて。ただ、この分野というのは、日本はどちらかといえば、デジタルもAIもキャッチアップする側だと思います。ところが、この医療とか介護とか創薬というのはそうじゃありません。今のところ、日本がまだ強みを持っているところだというふうに思います。

 例えば、医療であれば、国民皆保険制度、誰でもどこでも医療が受けられる、世界に冠たる皆保険制度というのがあって、しかも、すばらしいのは、このデータが全部蓄積されているんですという点であったりとか、介護、ここも世界中からいろいろな方が介護を学びに来ています。日本の介護保険制度もそうだし、あるいは、介護の現場でのノウハウ、こういうものも日本がいろいろな国に今お伝えしているような状況です。創薬についても、さっき申し上げたように、今、最先端のイノベーション能力はどんどん落ちていっています。ただ、その中で、何とか過去の蓄積で、最先端かどうかはおいておいて、世界の医薬品売上げの上位百品目をだあっと並べると、アメリカが当然断トツなんですけれども、日本は今のところまだ二位争いできているんです。

 こういう中で、そもそも創薬できる国というのは限られていますので、是非、このヘルスケア産業、医療や介護や創薬、薬価制度も含めて、トータルで成長戦略として是非生かしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 我が国において、科学技術によるイノベーションを推進し、経済の付加価値創造力、これを引き上げていく、これは大変重要な取組であり、本年六月閣議決定いたしました成長戦略実行計画、この中においても、御指摘の分野、ライフサイエンスの分野として、デジタルやグリーンと並ぶ重要戦略分野と位置づけています。

 具体的には、革新的新薬を創出する製薬企業が成長できるイノベーション環境を整備するために、医療情報を利活用しやすい環境整備を進めていくとか、また、コロナ禍で新たな健康課題が生じていることも踏まえて、予防、重症化予防、健康づくりへの支援を推進するとか、そして、委員の方から先ほどデータの話がありましたが、データヘルス改革を推進し、個人の健康医療情報の利活用に向けた環境整備を進める、こうした取組を推進していくということがこの計画の中に盛り込まれているところです。

 是非、こうした取組によって御指摘の分野の成長をより推し進めていくよう、しっかり努めていきたいと考えます。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

伊佐委員 ありがとうございます。

 次の質問に行かせていただきます。

 雇用政策について、大臣、少し伺いたいと思います。

 コロナ禍での雇用政策というものも、そろそろ軸足を移していくようなときに来たんじゃないかというふうに思っております。

 というのは、今までの雇用調整助成金、これはコロナで休職した方に特例で上限一万五千円、国が十分の十負担というものでありました。

 これは、これがあったから、諸外国と比べて非常に日本の失業率は今低く抑えられているという状況になっております。リーマン・ショックのときよりも低いという状況になっておりますが、ところが、雇調金、当然、これは国民の皆さんが支払っている保険料から出ています。

 今までトータルで五兆円出ました。だから今、雇用保険財政というのは、今まで貯金があったのが全部すっからかんになって、仕方ないので国が国費を投入した。国費というのは税金ですから、税金を投入して二・二兆円。それでも足らなくて、今、年末に向けて、保険料率の引上げというものが議論をされています。

 これは、雇用財政の観点だけじゃなくて副作用もあって、というのは、労働移動にブレーキをかける面もあります。というのは、仕事がなかったとしても雇調金があるので同じ職場にずっとつながれるというような状況があって、成長産業に人が移っていかないというような観点もあります。

 これからは、必要な方々に対しての支援というのはもちろん継続するべきだ、まだまだ大変ですから、と思います。その上で、その軸足を、働きたい人が働けなくても支援金があるという状況から、働きたい人が働けるような支援金があるというところに移していくべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 今、伊佐先生から御指摘をいただいた点でございますけれども、確かに、コロナ禍におきましては、雇用、暮らしを守るために、雇用調整助成金の特例措置に加えまして、産業雇用安定助成金等によりまして在籍型出向を活用した雇用維持への支援等を行いまして、何とか雇用を維持してきたという状況でございました。

 今後は、先ほど先生も御指摘になったとおりで、今後のコロナの状況等をよく見極めながら、産業構造や働き方の変化の中で多様な人材の能力発揮と雇用の安定を図るために、就職支援、能力開発支援などに総合的に取り組みまして、円滑な労働移動を実現していくことも重要と考えております。

 今般の経済対策では、人への投資を積極化させる、そのために、三年間で四千億円規模の政策パッケージを新たに創設することといたしました。まずは、デジタルなど成長分野を支える人材育成の強化、非正規雇用労働者のステップアップ、正規雇用への転換の促進、無料の職業訓練と月十万円の給付金を支給する求職者支援制度、そうしたものの要件緩和等の施策を盛り込んだところでございます。

 引き続き、労働移動の実現のための取組もしっかり進めてまいります。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

伊佐委員 さっき大臣がおっしゃっていただいた求職者支援制度、私、これは本当に大事な制度だというふうに思っています。

 これは、是非国民の皆さんにも知っていただきたいのは、今回、雇用保険からこぼれた方々、そこに、雇用保険の対象じゃない方々、払っていない方々であったとしても、再就職とか転職するときに使える、月十万円の生活資金を受けながら職業訓練ができる。だから、まさしく労働移動のための制度なわけですが、ここを強化していただきたい。

 というのは、ここは使いにくいという現場の声もありまして、例えば、最小限で、シフト制で仕事だけは少ししているんです、こういう方々でも使えるようにしてほしいとか、職業訓練の出席要件が厳し過ぎるので緩和してほしいというので、二月から要件緩和はされたんです。

 ところが、要件緩和されたにもかかわらず、この特例措置を活用した人、これまでで、このほぼ一年間で、全国で二百人です。雇調金が毎月三十万件使われている、ここと比べて余りに差があるので、是非ここは、働きたい人を次の働く場所につなげる、こういう重要な制度ですので、改善して強化していただきたいと思います。

 大臣、お願いします。

後藤国務大臣 新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響が長期化する中で、非正規雇用労働者等に無料の職業訓練をしまして月十万円の給付金を支給する、先生まさに御指摘の求職者支援制度の活用を進め、再就職やステップアップを支援することが非常に重要だと考えております。

 このため、これまでも、働きながら訓練を受講しやすくするために、収入要件や訓練の出席要件を緩和する特例措置を設けまして、活用促進に取り組んできたところではございます。

 しかし、今般さらに、令和三年度補正予算におきまして、世帯収入要件を月二十五万円以下から月四十万円以下に緩和すること、先ほども御指摘のあった、現職にとどまってステップアップを目指す方にも支援対象に入っていただけるように、離職していなくてもよいというふうに要件を緩和する、あるいは、出席要件を緩和しまして、受講者の都合による欠席を一定範囲では認めること等の特例措置を予定をいたしております。

 今般の特例措置を含め、求職者支援制度の周知を積極的に行いまして、その活用を進めてまいりたいと思っております。

伊佐委員 ありがとうございました。

 本当は、あと、経済安全保障の話、あるいは半導体の話も用意しておりましたが、残り多分三十秒ぐらいなので言い切って終わりたいと思いますが、小林大臣、経済安全保障というのは、経済的手段による国益の確保というのが目的だと。国益というのはかなり曖昧ですので、何をもって国益かというのは非常に大事だと思います。自律性、日本の技術を守るというのも重要だし、同時に、国際連携とか経済連携でイノベーションを日本が得てきたのもこれまでの日本の国益であったわけで、ここは是非バランスを持って議論していただきたい。

 米中はあれだけけんかをしながら、この間、米中の貿易総額は伸びていますので、是非そこはしたたかに、守る部分と戦う部分を戦略的に議論したいというふうに思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて竹内君、伊佐君の質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也君。

小川委員 立憲民主党の小川淳也です。

 総理、まず御就任、遅ればせながら、おめでとうございます。様々な重要閣僚、そして党の要職を務められた方ですが、やはり総理・総裁の重責、これまたひとしおではないかと、想像に余りあることながら、そのように拝察しております。

 本題に入る前に、先週末、石原内閣官房参与が辞任されたということの一報を受けました。これは、かなり世間の評価は厳しいんですね。落選者の失業対策じゃないか、そして官邸は民意を軽視しているのではないか、さらに、お友達人事、上級国民なんという言葉も飛び交っています。

 そこで、まずお尋ねしますが、そもそも何のための任命だったのですか。そして、一連の辞任に至る経過の中で、総理大臣御自身の任命責任をどのようにお考えになっているか。まずこの点からお聞きします。

岸田内閣総理大臣 まず、石原伸晃氏参与就任につきましては、私自身、石原伸晃氏のこれまでの政治経験、政府においては、国土交通大臣、環境大臣、経済財政担当大臣、要職を務めてこられた、こうした役職を通じての政策における能力、さらには、自民党においても、幹事長、政調会長始め要職を務めてこられた、この政治における様々な力、こうしたものを勘案した中で、是非、今、新しい内閣がスタートをした、そして今、具体的に重要な課題が山積している、その中で、特に観光の分野、これは自民党の中でも、国土交通大臣経験者、もう数少なくなってきました……(小川委員「簡潔に」と呼ぶ)うん。こうした経験を評価して、私として是非助けてもらいたいということで、参与をお願いしました。

 それで、責任ということについて御質問がありました。

 そうしたことで参与をお願いしましたが、結果として、様々な点が指摘をされ、本人として、混乱を生じることは本意ではないということで、自ら辞職を申し出られた、私がそれを認めたということです。

 そして、その経緯を振り返りますときに、混乱ということについては否めないと思っております。この点については、私は申し訳ないということを申し上げているところであります。

小川委員 いろいろな御経験があった方であることは事実ですから、それは受け止めたいと思いますが、ただいま私が申し上げた世論の批判、これもしっかりと受け止めていただきたいと思います。

 その上で、発端となった政党支部による今般の雇用調整金の受給について、総理はこれをどう評価なされるか、ちょっとその点もお聞きしておきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、制度ということで申し上げるならば、政党支部は雇用保険の適用事業所であり、雇用保険も納めているというのであるならば、被保険者たる従業員の方が要件を満たしたときに失業手当等の雇用保険給付を受けること、これは法律的には適法であると認識をしております。

 しかしながら、今回のケースについては、政党助成金等を主たる収入の原資とする政党支部がこの制度を使うことがよいのかどうか、更に言うと、コロナによって政治活動の制約を受けた、そして収入が減少した、こうしたことと、一般の事業者の方がコロナによって収入減となったこと、これを同じように扱うということについて国民の皆さんが疑問を感じられた。このことについては、疑問を感じるということについては、理解ができます。

 こうした制度については、私自身、今申し上げたように考えているところであります。

小川委員 これは法律上明確に除外はされていないんですよ。しかし、我々の政治活動は基本的に安定的な財源によって賄われているんです。もちろんそれは、パーティーだとかいろいろ、やりやすいもの、やりにくいもの、やりやすい時期、そうでない時期、いろいろあるでしょう。しかし、安定的に公費で支えられているこの政治活動が、安易にこのコロナ禍で苦しむ方々と同様に、同等に受け取るという判断は、私は不適切だと思う。

 その観点で、今日はあえて大岡副大臣にお越しいただきました。私、この場をおかりして申し上げますが、大岡さんとはずっと厚労委員会でも一緒で、個人的には党派を超えた友情を感じていました。だから厳しくお尋ねしますよ。

 これは、さっきも申し上げましたが、私たちは、削減しているとはいえ、安定した歳費、そして政党交付金、そして文書交通費によって支えられている。少々それは月次の変動はあるでしょう。しかし、年次で見ると、ほとんど石原さんも収入は減っていないし、大岡さんもほぼ横ばいじゃないですか。何でこれは、安易にこんな雇用調整金、助成金に頼ったんですか。

 それから、もう一点申し上げる。

 私たちは、制度を議論し、決定し、実施する立場にあるんですよ。例えば、去年、全国民に十万円が支給されましたね。それも、しかし、私たちのほとんどは辞退し、寄附しているんじゃないですか。

 それもこれも含めて申し上げれば、あなたはこうした制度への国民的信頼を損ねた、軽んじたという政治的、道義的に責任が発生している。大岡さん、はっきり申し上げますよ。引責したらいかがですか。

大岡副大臣 小川議員にお答えいたします。

 なお、これは環境副大臣としてではなく、一議員としてお答えすることをお許しいただきたいと思います。

 まず、昨年……(小川委員「切り離せないよ、それは」と呼ぶ)はい。では、最初の段階につきましては私が一議員としてお答えをさせていただき、後半は環境副大臣としてお答えをさせていただきます。

 まず、昨年、私の政治団体が雇用調整助成金の給付を受けた経緯でございますが、昨年三月、当時は、新型コロナの拡大が進んでいた時期、政府が矢継ぎ早に様々な対策を打っていた時期でございます。全く先が見えない中で、私も、事務所をどう維持するか、秘書、事務員の雇用をどう維持するかに悩んでいた時期でございました。

 そうした中におきまして、秘書を休業させることとし、定められた手続に沿って休業を進め、そして条件を満たしていることを確認をした上で雇用調整助成金を申請したものでございます。なお、これらは、全て私が雇用主、事業主として判断をしたものでございます。

 その上で、先ほど小川議員から厳しい御指摘をいただきました。私も振り返りまして、今回の私が給付を受けたという事実は、国民感情に照らして理解を得られるものではない、共感を得られるものではないと自省をしております。

 このことを受けまして、先週金曜日、報道機関の皆様を通じて、全額返金したい旨発表し、本日月曜日、私自身が返金の意思を伝え、そして手続を開始したところでございます。

 なお、副大臣の仕事につきましては、全てを任命権者に任せておりますが、今、職に与えられているうちはこの仕事を全うしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小川委員 真摯な御答弁と受け止めます。

 これは再三申し上げますが、私たちの活動は公費によって基本的に支えられている。したがって、コロナ禍で本当に苦しまれた飲食、観光、移動、交通、そして文化芸術関係者の気持ちを逆なでするようなこと、疑いを招くようなことは一切控える責任がある。

 それは申し上げた上で、総理、この矛盾について説明してください。

 内閣官房参与は、受け取ったことをもって自ら辞意を申し出た。しかし、環境副大臣は、同じく受け取ったことをもって任命権者に預けているとさっきおっしゃった。自分から辞めると言った人は辞めるんですか。辞めないと言った人は辞めさせないんですか。そこは、総理大臣、最終の任命権者として、きちんと見識なり良識を発揮すべきだと思いますが、その点、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の案件について、先ほど申し上げましたように、適法ではあると思いますが、国民の理解は得られないということと私も感じています。

 結果としてどう身を処するかということにつきましては、それぞれの立場、経歴、あるいは影響力、こうしたものを勘案して、それぞれがどう身を処するか、これを考えていくべきことだと思います。これは、石原参与は自ら辞意を表明しました。そして、大岡副大臣においては、説明を行い、そして返金を行う、こうした対応を行いました。

 基本的な考え方は冒頭申し上げたとおりですが、政治の信頼、共感、これをしっかりと得るために、それぞれの立場で身の処し方をしっかりと判断していくことが重要であると考えています。

小川委員 私は、それでは任命権者としての責任意識は不十分だと思います。やりたいと言った人はやらせる、辞めたいと言った人は辞めさせるだけでは済まないでしょう、総理大臣の任命責任というのは。

 それから、適法だが不適切だとおっしゃったが、ここも正確に表現する必要があって、明確に違法ではないが不適切の疑いは強いというふうに言うべきなんですよ、対国民との関係で。

 そのことをちょっと重ねて申し上げ、これはまた、議論がここで終わるとも思えませんが、ちょっとトップバッターとして一通り触れさせていただきました。

 大岡先生、どうぞ御退室くださって結構です。

 じゃ、総理、補正予算についてお聞きします。

 まず最初に聞かなきゃいけないのは、私たちが三十三兆円の経済対策を発表したのは六月なんですよ。七月に国会開会を要求したんです。

 しかし、そのときに自民党はどうしたか。国会は開かず、オリンピックを開催し、その間、感染爆発が生じ、菅総理は突如の退陣表明をされ、自民党の総裁選挙を行い、そして任期をまたぐという異例の総選挙をやった半年だったんです。そして、私どもが発表してから半年たって、今ようやく三十兆円規模の補正予算が出てきた。

 まず、コロナの感染爆発で一番国民が苦しんでいたときにそこに真摯に寄り添おうとしなかったこの与党の姿勢について、そして半年もこの経済対策が遅れたことの責任について、まずこの点、総理にお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今夏の第五波の際には、感染の急拡大によって医療体制が逼迫する、また多くの方々の暮らしに影響が出た、大変厳しい状況にあったということでありますが、その中で、医療体制の強化、事業や雇用、暮らしを守るための支援が行われたわけですが、これらは、その当時、予算の繰越分ですとかコロナ予備費、これを活用した。これは、繰越分、予備費がしっかりとあったことからこれを活用したということでありますので、その時点で予算が不足したという状況ではなかったと認識をしています。

 しかし、その後も影響が続いている、そしてなおかつ、新しい変異株の登場も指摘をされている、こういった状況であるからして、最悪の事態にも備えていかなければいけない、引き続き生活や暮らしを守っていかなければいけない、そして経済の再起動にも備えなきゃいけないということで、今のタイミングで経済対策そして補正予算をお願いしているということであります。

小川委員 大変残念な答弁です。

 オリンピック、そして感染爆発、こういう夏の時期を過ごした、そして多くの方が犠牲に遭った、苦しんだということをもっと十分想像して御発言をいただきたいというのが一つ。

 それから、繰越財源があったということですが、これも決して褒められたことではありませんからね。三十兆円の予算を繰り越したんですよ。しかし、一体誰が、どこにいる国民が、支援は十分だったと感じていますか。むしろ、支援が遅きに失し、繰り越されたことの、逆に責任を感じるべきじゃありませんか。

 そういう姿勢の一つ一つに、恐らく国民は敏感に感じ取っている。そこに応えられなかった安倍政権は突如として辞任し、菅政権は突如として辞任し、そして岸田政権は問われているということなんですよ。そういう意識を持って、是非お答えをお願いをしなければならないと思っています。

 それで、焦点の一つである子供関連の給付金、午前中の答弁をお聞きしました。しかし、今日はもう十二月十三日でしょう。各自治体の議会、十二月議会はもう動いていますよね。私も可能な限り午前中確認しましたが、もう既に五万円の予算、議案上程しようとしているか、したところがほとんどですよ。今になって年末一括十万円と突如総理がおっしゃっても、対応できるところはほとんどないんじゃないですか。

 判断が遅かったと思いますが、その点はいかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず最初の、この夏における対応について、様々な取組が行われたけれども、十分だったかどうかということについては、多くの国民の皆さんの声も謙虚に受け止めて、実際、具体的な対応が十分だったか、更にやることがなかったかどうか、これは絶えず振り返って検証していかなければいけない課題だと思います。

 先ほど申し上げたのは、そういった取組が予算の制約によって制限されたということではなかったということを申し上げたわけであります。

 そして、今の経済対策の中の十万円の給付について御質問がありました。

 これは、この十万円の給付について、経済対策の中に、子育て世帯、あるいはより困った方々への支援ということで盛り込ませていただきましたが、これについては、もう御案内のとおり、地方自治体から様々な指摘、意見がずっと寄せられてきました。そして、この臨時国会に入ってからも、野党の皆さんを始め多くの議員から様々な意見が寄せられてきました。そうした議論の中で、私としてもできるだけ柔軟な制度設計に努めたいということをずっと申し上げてきたところであります。

 そして、その結果として、今日、一括十万円の支給についても申し上げたところでありますが、これは、こうした議論や様々な声、これをしっかり受け止めた結果、よりよい制度設計を行うという結果であると思っています。

 おっしゃるように、これは、これから対応すること、いろいろな不都合もあるかとは思いますが、これは是非、地方自治体ともしっかり意思疎通を図りながら、共に、国民の生活、暮らしを守るためによりよい制度はどうなのか、こういった観点からしっかりとした制度設計を続けていきたいと考えています。

小川委員 ですから、その判断が遅かったんじゃないですかと申し上げているわけですね。地方自治体の議会の日程などを考えますと、もう対応不能なところが多いんじゃないですかと申し上げているわけです。

 それで、なぜ、クーポンにこだわったのか、途中、そしてそれは六月支給なのか。本当の物入りって三月、四月でしょう、卒業にしても入学にしても。これは、うがった見方をする人たちによれば、参議院選挙対策じゃないかという見方もあるんですよ、六月末までということはね。そういった見方だってされかねないような制度設計。それで、撤回に追い込まれているわけですからね、事実上。

 それから、一つだけちょっと、これをお答えいただけたらありがたいんですが、今もクーポンが原則だという立場は崩していないんですよね、現金でもいいよとは言っているが。

 十二月の三日に自治体向けに説明された資料を拝見すると、現金にするときは、つまり、クーポンを使わないときは理由書を出せと言っているんですよ、政府が。

 せめて、これはないということでいいですね。理由書までは要求しないということでいいですね。

山際国務大臣 実務的なことなので、私の方からお答えいたします。

 理由書は必要ございません。

小川委員 所得制限も議論があります。九百六十万円。

 これは、例えば、一人親であれば、一世帯九百六十万円の収入を超えると受給対象外になる。例えば、二人親であれば、限りなく九百六十万円に近い収入の親が二人いても対象になる。分断を招く可能性があります。

 そもそも、この政策は、果たして経済対策なのか子育て支援なのか、その哲学、理念もはっきりしない。これらについても改めて整理していただく必要があります。

 私は、既に我が党は、自治体の裁量、総理が今日おっしゃったことを前提にすれば、既に法案を提出していますので。一括した現金給付、これは十二月、年内にできるかどうかは別として、これが実現すれば、私どもが提出している法案が成立すれば、自治体も簡便である、親も助かる、支給にはスピード感が生まれる、そして、クーポンであれば約一千億円近い事務費が、現金であれば二百億円程度で済む、七百億円の節減になる、この法案を提出していますので、総理、是非、この速やかな審議、採決、そして我が党の法案に御賛同いただくこと、これをお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 幾つか御質問がありましたが、まず、世帯合算の話につきましては、午前中も少し答弁をさせていただきましたが、児童手当の議論の中でも議論になった課題であり、今後、子供政策全体の中で、どうあるべきなのか、こういったものについては議論を行っていきたい、このように思っています。

 そして、十万円の支給の在り方については、先ほど申し上げたように、様々な関係者の意見、国会での議論、こうしたものを踏まえて、より柔軟な制度づくりを検討してきた、その結果として、今日、一括給付という選択肢もしっかりと用意するということを申し上げたわけです。

 そして、御提案の法案についてどう審議するかということについては、これはまさに国会で、どのように扱われるのか、これは与野党で協議をされ、扱いを判断されるということだと思っております。

小川委員 いずれにしても、クーポンに当初こだわられ、そしてそれを撤回されるタイミングが随分遅くなり、そのことは少なからず自治体にも混乱をもたらすでしょうし、場合によっては給付の遅れにつながりかねない。ですから、なぜ最初クーポンにこだわったのか、そしてなぜそれは六月だったのか、そうしたことも含めて改めて検証が必要ですし、説明責任、説得力が必要だと指摘をしたいと思います。

 補正予算に関して、私、もう一点お聞きしたいのは、マイナポイント約二兆円なんですよ。

 マイナンバーカードを普及させるのに、登録したら五千円でしょう、保険証登録したら七千五百円でしょう、公金口座の登録をしたらまた七千五百円でしょう。二万円もの現金を渡さなければ作ってもらえないカードって、これは一体何なんですか。こんなソーシャル・セキュリティー・カードをそこまでして国民に一生懸命普及させている国、ほかにあるんですか。

 私、天下の愚策としか言いようがない気がしているんですね、これ。二兆円ですよ。登録したら二万円上げますから登録してくださいと政府が真面目な顔して国民に言っているんですよ。二兆円あればどれだけ困窮者支援できますか、今。

 総理、国会の答弁で、学生の学費は出世払いでもいいとおっしゃいましたね。これはつまり、借金を負わせるということでしょう。この国は、残念ながら、未来ある子供たちに多額な借金を背負わせて社会に送り出している、少なからぬ子供たちに。二兆円あれば、半分で国立大学の授業料を無償化できるじゃないですか。二兆円あれば、その半分で学生たちに返済不要の十分な奨学金、給付できるじゃないですか。困窮者支援だって、今に余りある対応ができるはずだ。

 なぜこのカードに二万円、総額二兆円近い、これは私なりに申し上げれば、このカードに国民は必要性も利便性も感じていないということなんですよ。そして、黙っていても取得していただけるほど政府に信頼感はありませんと政府自らが告白しているようなものなんです。だから、お金を配るから登録してくれという何だか情けない言い方になっている。情けない言い方にこの二兆円もの予算を使おうとしている。

 これも提案です。私どもは近々、この二兆円の予算を削除して困窮者支援に振り向けるための組替え案を提出しますから、是非それに御賛同いただくことを岸田総理にお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、マイナンバーカードは、我が国の社会全体をデジタル化していく、こうした取組を進める上で大変重要なインフラに当たるものであると私は認識をいたします。このマイナンバーカード、これからデジタル化を進める上でインフラ基盤となる大切な存在であり、これを進めることは大変意味があると考えます。

 今回の経済対策におけるマイナポイントですが、これは、このカードの普及のみならず、健康保険証利用、あるいは公金受取口座の登録促進、こうした意味合いもあるわけですし、何よりも消費の喚起という観点もありますし、また、キャッシュレス決済を拡大する、こうした意味合いもある。こうした取組自体は決して無駄なものではなくして、意味ある取組であると認識をいたします。

 こうした取組と併せて、マイナンバーカードの利便性を高める、こうした取組を進めることによって、是非普及をし、そして、我が国のデジタル化、社会全体のデジタル化、しっかり進めていきたいと考えます。

小川委員 いや、そんなに重要なインフラであれば、お金なんかもらわなくても国民は登録するでしょうと申し上げているんです。

 ということなんですよ。だから、本当に利便性のあるカードにするということは、ある種政府の側にも覚悟が求められるんですね。これじゃなきゃ保険証を使えませんよとか、場合によっては運転免許証がこれに替わりますよとかね。まあ、いずれそれをやっていかれるんでしょうが、そういうことを速やかにやっていけば、国民にとって利便性が生じる。しかし、それには、政府がセキュリティー管理において信頼に足るというメッセージも併せて必要になるということであったはずなんです。

 私は、この二兆円については改めて組替えを求めたいと思っております。

 コロナ対策について聞きます。

 私は、総理の所信表明の中で、意外だと思う言葉がありました。最悪を想定しなければならないと、わざわざ当たり前のことをおっしゃったことです。

 これは、私はこう感じたんです。去年から約二年、安倍政権の時代から、総理の所感の中に、去年以来、改めて、最悪を想定し切れていなかったんじゃないかという思いがおありじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 当時の政府の対応については様々な評価がありますが、少なくとも私がこの問題に取り組むとした際には、最悪の事態を想定する、それが危機管理の要諦であるということを繰り返させていただいてきました。

 私がこの問題に取り組む際の最も基本的な姿勢として申し上げておりますし、これは、これからも大事にしていきたいと考えております。

小川委員 ちょっと厳しいお尋ねでしたが、私どもも、そう感じていたんですよ、去年から。

 ずさんな水際対策、入国管理が感染の拡大をとどめられず、平時における医療提供体制の整備も間に合わず、百七十万人が感染し、一・八万人が命を落としました。そして、恐らく今も後遺障害に苦しむ方が数十万人単位でいらっしゃる。そして、厳しい事業環境、生活苦、これは言うまでもありません。

 このほとんどの責任は、私は、本会議場でも尋ねられていらっしゃいましたが、総理は当時の与党の政調会長ですから、政策責任者ですから、一定の責任が当然あるということでもありますし、ここへ来て、最悪を想定とわざわざおっしゃったことの意味について、改めて、私なりに感じて、考えておりました。

 それで、最悪を想定するということは、現在、新たな変異株との関係でいうと、やはり水際対策、入国管理、これが全てですよね。

 今ちょっと資料を御覧いただきたいんですが、これ、大体アメリカなど四十か国からの入国者については三日間の待機を要請しています。そして、イギリスなど十二か国は六日間、南アフリカなど十か国は十日間の待機を要請しています。その他、約十三か国ですが、同じく三日間の待機を要請している。

 先月、十一月の入国者、実際の入国者を見ますと、上から、四万、一万四千、三百、そして一万。これをそれぞれ掛け合わせますと、何日待機するかと、全部で二十四万部屋必要になるということなんです、先月。三十日間ですから、三十日間で二十四万部屋ということは、大体一日当たり八千室が今のこのルールで必要になっているということなんです。総理が本会議で答弁なされたように、現在の確保部屋数が九千余りでしょう。ということは、そんなに余裕がないということです。

 これは、水際対策という観点から幾つか論点がありまして、御覧のとおり、全部足しても、対象国七十か国ですから、ほかはいいのかという論点が一つあります。あと百二十か国、これはいいのかという論点があります。もう一つ、最短三日間でいいのかという論点もあります。なぜ三日間なんだと。その後、十一日間自宅待機を要請していますから、矛盾するんですよ。なぜ三日は施設で、なぜ残りの十一日間は自宅でいいのか。これも恐らく説明は難しいでしょう。

 もう一つ。今、部屋がいっぱいになってきたから、特にオミクロン株対策以外、自宅待機に切り替えようとしていますね。逆でしょう、これ。部屋を確保することに最善を尽くさなきゃいけないんじゃないですか。もっと言えば、諸外国がやっているように、今幾つか問題点を指摘しましたが、全ての国からの全入国者に約十日間の施設隔離をお願いする、これが総理のおっしゃる最悪の事態を想定した水際対策なんじゃないですか。

 速やかに方針を撤回されるように、変更されるように求めたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、待機施設については、より多くの数を確保しなければならないということで、先週の金曜日から更に約二千室追加確保し、現在、一万三千室を運用しているというのが現状であります。

 そして、そもそも、この水際対策の制度として、多くの国があるけれども、今、十日待機、六日待機、三日待機、様々な制度を組み合わせている、その中で三日で十分なのかという御指摘もありました。こうした取組をしているのは、専門家の皆さんにも相談した上で、限られた医療資源を、より今大きな不安につながっているオミクロン株に資源を集中するという観点から、様々な、めり張りをつけた対応を行っているというのが現状であります。

 待機施設を確保するために最善を尽くすべきではないか、それが本筋ではないかという御指摘、これはそのとおりであります。

 だからこそ、今の水際対策、これは、今の水際対策は、少なくともG7を始め先進国の中では最も厳しい対応をしていると思います。これをしっかり維持するために多くの待機施設をしっかり確保しなければいけないということで、全国の都道府県知事の皆様方にも御協力をいただいています。多くの知事の皆さんに御協力をいただいていることは心から感謝を申し上げるところですが、是非御協力もいただきながら、待機施設のより多くの確保、これからも努力をしていきたいと考えております。

小川委員 いずれ、これは結果責任が問われますからね。資源が無限でないこともそのとおり。それはそうです。

 しかし、総理がおっしゃる、最悪の事態を想定し、全責任を私が負うんだとおっしゃるその言葉の意気込みと、現実にやられている、現実への妥協というんですか、部屋が足りなくなってきているから自宅待機に切り替えるとか、それがどうもそぐわないんですよ。

 これは、いずれ、ワクチンが大分進んでいますし、三回目のワクチンについても聞かなきゃいけないんですけれども、状況が去年から今年の前半とは違うと期待はしたいと思いますが、しかし、それにしても徹底した対策が取られているようには思えない。

 もう一つ、国際線の新規予約を停止した、しかしそれを撤回したという件についてもちょっとお聞かせ願いたいんです。

 これは、発表されたのは十一月二十九日でしたね。そして、そのときに、関係閣僚が顔を合わせられて意思決定されています。恐らく、このときに、それまで一日五千人だった入国者数の上限を三千五百人に引き下げる、十二月の一日から、ということを意思決定された関係閣僚会議だったんだろうと想像しています。しかし、そこでは、国際線予約の停止を、新規予約の停止をするんだということは聞いていなかったと総理はおっしゃった。ですね。

 では、ちょっと逆にお聞きしたいんですが、どうやって五千人の入国者数を三千五百人に抑えるおつもりで意思決定されたんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、十一月二十九日の閣僚会議において、日本人等の入国者数について五千人から三千五百人程度をめどにするという方針を確認したということであります。

 そして、その時点において、年末までの予約状況を見る限り、三千五百人程度を前後するまでに予約が積み上がっていたという事実があった。そして、それを見て、国土交通省としては新規の予約を停止するという措置を取ったわけですが。

 しかし、私は、報告を受けて、予約の数は確かに三千五百に迫る数字が並んでいるけれども、これは予約の数であって、例えばトランジットの場合は、予約は入っているけれども入国はないわけであります。それから、コロナの状況次第ではキャンセルというのは十分あり得るわけですから、一律に予約を停止するのではなくして、そういった状況もしっかり見ながら丁寧に入国の需要にも応えていく、その丁寧さをしっかり示すようにということを私から指示をさせていただいた、これがあのときの経緯でありました。

 是非、今後とも、予約状況、そして世界の感染状況もしっかり見ながら、この入国者数のありようについてもしっかり注視をしていきたいと思っています。

小川委員 ちょっと違和感を感じるのは、五千人を三千五百人に引き下げたわけです。それは、いろいろ反省はおありだと思いますよ。例えば、年末年始の繁忙期ですから、もっといろんな状況を想像しなきゃいけなかった、反発が出るだろう。それから、周知期間がありませんよね、あさってからという話ですから。それから、新規予約を停止したこと自体も公表しなかった。様々、反省点はおありだと思うんですが。

 しかし、今、現実問題、船で入ってくる人はほとんどいませんから、主要五空港に入ってきているだけですから。そうすると、五千の入国者数を三千五百に減らすためには、既存の予約を取り消せというのは、これはなかなかしんどい話ですから、新規予約を停止する以外に、普通に考えて、方法はないわけです。

 ということは、普通に考えて、総理は、五千人を三千五百人に引き下げた時点で、やはり急なことだが十二月一日から新規予約を停止せざるを得ないと考えておられたんじゃないかと私は思うわけです。

 しかし、それをあたかも、これは問題点が二つありまして、どうやって三千五百人を本当に実効あらしめるかという論点と、この一連の意思決定を、不都合なところだけ国交省の航空局の課長、官僚に責任転嫁していませんかということ、この二つが、私、どうしても気になるんですよ。

 ちょっと資料を御覧いただきたいんですが、予約者数と入国者数の関係でいいますと、既に新規予約の停止を撤回されましたから、十二月の週からどうですか。一日当たり五千、六千になっているんですね。

 じゃあ、さっき総理もおっしゃいました、確かにトランジットで日本には入国しない人もいるでしょう、この中には。それから、予約をキャンセルして、実際には来ない人もいるでしょう。しかし、どうですか、十一月の半ばまでの数字を見ると、大体、予約者数を少し下回るぐらいの人が入ってきているでしょう。十二月の予約数を見ると、五千、六千というオーダーが出ている。

 ということは、筋からいえば、三千五百人に抑えないと、隔離待機要請施設がないということであれば、三千五百人に抑えると言わなきゃいけなかった。そして、多少反発が出ようとも、新規予約は停止してくれと断固たる決意で言わなきゃいけなかった。逆であれば、新規予約を認めるのであれば、もう一回入国者数の上限を五千人に戻さなきゃいけなかった。そして、五千人を受け入れるにふさわしい施設を用意しなきゃいけなかった、そのどっちかでなければ筋が通らないんですよ。

 三千五百人にはする、予約は認める、現に予約は六千を超えてきている、そして待機施設はない。これは総理、最悪の事態を想定した水際対策とはほど遠いんじゃないですか。いかがですか。どちらかの筋の通った対応に変更してください。

松野国務大臣 先生の御指摘のとおり、五千人を三千五百人に抑制するということは、これは入国者に関して一定の抑制が必要になるのはおっしゃるとおりであります。

 そのために、航空会社に関して、帰国者に関する調整を要請している、これはもうかねてからこの方法論によって、帰国者の数について一定の制限を課してきたところであります。

 今回の五千人を三千五百人にしたということは、全体としての感染状況をより抑制していくという目的でありますが、確かに先生御指摘のとおり、十二月、帰国事情がございますので、三千五百人のめどを超える日がございます。

 今先生からいただいた資料の中にある数字というのは、先ほど総理からの答弁もありましたが、トランジットや、過去のデータからいうと大体、キャンセルとかもあると七割から八割の数字になりますが、それでも一定期間は三千五百人を超える期日がございます。その中においても、今、ホテル、宿泊所等の確保によって当面の間それはカバーをしていけるということでありますし、今のトレンドからいいますと、十二月の末には当初の三千五百人のめどに緩やかに目的が進んでいくという理解をしております。

小川委員 今の御答弁もそれらしく聞こえますが、これもまた結果責任がすぐ問われますからね。つまり、三方四方に向かって都合のいいことは言えないということなんですよ。どこかをのみ込んで、どこかを引き受けて、どこかをきちんと折り目をつけなきゃ政治にならないということです。大変厳しい任務を背負っておられる総理に申し上げるのも僭越ですが、三方四方に都合のいいことは言えないということなんですよ。それが最終的に国民の命や健康を守ることにつながるということなんです。

 もう一つだけ各論をお聞きして、この点、もうやめたいと思いますが、例えば、総理は所信の中で、公立病院を中心にコロナ病床をきちんと用意しますとおっしゃいましたね、おっしゃいました。ところが一方で、これは前政権から続くことですが、公立病院の整理、統廃合の方針そのものは撤回していないんですよ。これも私はどっちかを取らなきゃいけないと思う。三方四方に都合のいいことは言えない。これもまた、ちょっと後続の質疑者の中でいろいろ議論させてくださいよ。

 それから、もう一つだけ。これは個別論点ですが、アベノマスク、三億枚作った。八千万枚が残っている。一枚百三十円、約百億を保管しているわけです。去年の保管費が六億、今年の保管費が三億。介護施設に、希望施設に配るとおっしゃるが、十月に希望が上がってきたのは三十七施設、九月が六十八、八月は九十五、限りなくゼロに近い。どうしますか、これ、八千万枚のアベノマスク。

 そもそも、総理は、当時政調会長でいらしたと思いますが、これは賛成していたんですか、総理も。そして、この残った八千万枚、どう処分されるおつもりですか。

後藤国務大臣 まず、最初の公的病院の件につきましては、御指摘は地域医療計画のことだろうと思いますけれども、地域医療計画というのは病床の機能についての地域ごとでの見直しでございまして、決して、今、機能の見直しを求められている病院に統合、廃止を求める内容ということではございません。

 それから、二番目に御指摘のありましたマスクの件でございますけれども、確かに御指摘のように、最近、五万施設の希望で千二百万枚の累積の配付しかありませんが、今後、有効活用としては、災害備蓄や地域住民から求められたときの配付、そういうようなことを考えております。

 いずれにしても、昨年このマスクを配ったときには、本当にマスクがない状況の中で、本当に真剣に、何とかマスクを供給しよう、それは洗えるマスク、布マスクというものでも供給したいという政策であったと思いますけれども、その後それが、各施設からの要望もなくなり、不良在庫になったのは御指摘のとおりでございます。

小川委員 これも難しいと思いますよ、処分は。処理は難しいと思う。しかし、今もそれらしい御答弁ですが、現実に、公立病院に対してベッドを減らせば百万円、二百万円の補助金を交付するという政策が続いているんですよ。これによって二千床のベッドはもう既に減っているんです、ということもある。

 だから、それで、約五万施設に配ったというお話でした。それもそうなんです。しかし、それは去年から今年にかけての話で、さっき申し上げたように、直近はもう三十七施設とか、六十八とか、九十五とか、もうほとんどないんですよ。ない。

 こういうことも含めて、余り、それらしく聞こえる都合のいい答弁をすることは可能でしょうが、この瞬間に限って言えば、しかしそれでは解決になっていないということです。

 総理、ちょっと今日は、トップバッターでしたので、私もいろいろな論点を一通り触れさせていただく責任を感じながら、ちょっと個別論点を先にお聞きしました。

 残り十数分なんですが、私は、岸田政権の発足について、大きく問われるべきが二つあると思っているんです。

 一つは、やはり安倍、菅政権、長かったですから、もちろんいいこともあったでしょう。しかし、これによって失われたものも大きいと私は思っています。そうした負の遺産をちゃんと清算しようとする政権であるかどうか。これが一つ。

 もう一つは、今回の補正も大型補正です。それなりの当面する課題への対応には適応できる可能性はあると思います。しかし、日本では、人口減や高齢化、そして社会保障の傷み、財政悪化、気候変動、かつてない構造問題を大量に抱えています。こうした根本問題にきちんと向き合って、構造改革をきちんと進めていこうとする政権であるかどうか。それがなければ、従来の、対症療法を重ねてきた旧来政権と変わらない。

 私、この二点、岸田政権発足で問われるべき論点であり、大きな点だと思っています。

 最初の、負の遺産の指摘からいえば、総理は、御本人、どう思っておられるか分かりませんが、国民からの信用を毀損した公文書改ざん問題、早々に再調査を否定された。そして、恐らく、亡くなられた、故赤木さんの奥様にも何のお返事もしていないんでしょう、聞く力、聞く力とおっしゃる割には。していないでしょうね。

 そして、これは私は菅政権の負の遺産だと思いますが、学術会議の任命問題。これでも、総理は、聞く力とおっしゃるんであれば、耳の痛い声こそ聞かなきゃいけないんでしょう。政権に不都合な主張にこそ耳を傾けるのが本来の岸田総理の姿勢でしょう。

 しかし、誰に遠慮してかしなくてか、公文書の再調査はしない、学術会議の任命は行わない。これでは従来と全く変わらないじゃないですか。

 その点を指摘した上で、少々変化を志されようとしているテーマとして、新しい資本主義という議論を受け止めています。

 しかし、これも、今お聞きする限りは、政府の重要会議に、まさに民営化、市場原理、競争社会を象徴する竹中平蔵さん、任命されていますよね。これは、いわゆる新自由主義との決別じゃなかったんですか。

 もう一つ。盛んにおっしゃる成長と分配の好循環という言葉、これもアベノミクス時代からさんざん聞いてきました。なぜうまくいかなかったのか、十分には。どこに問題があったのか。

 この二点。市場原理との、新自由主義との決別ではなかったのか。成長と分配の好循環という言葉だけでは、何ら新しさを感じない。どこに問題があったのかもよく伝わってこない。この二点。総理のおっしゃる新しい資本主義は、何が新しいのか。明確にお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、何が新しいのか、どこが変わるのかという御質問につきましては、今、世界が、一九八〇年代から世界の主流であった新自由主義的な政策によって大きな経済の成長は得ることができたけれども、一方で、格差、あるいは気候変動、こうした様々な負の成果も出てきている。これにしっかり向き合っていかなければいけない。向き合った上で経済を成長していかなければいけない。こういったことで、新しいモデルを、アメリカを始め各国が今検討し始めている。この中で、日本も新しい経済モデルを考えていく必要があるのではないか。こんな問題意識を持って議論を行い、そして、どこが変わったのか。これは、先ほども少し答弁させていただきましたが、成長と分配の好循環といいながら、基本的に、競争や市場に全て任せるというのではなくして、それだけではなくして、やはり、政府そして民間、それぞれの役割分担の下に今現代求められる成長と分配をしっかり実現していく。この点が市場や競争を重視した新自由主義的な政策とは異なると思っています。

 竹中平蔵氏の採用について御質問がありましたが、竹中氏については、特区問題について従来から関わっている、その分野の議論に参加していただくことが続いていますが、基本的な全体の経済の取組自体は、今申し上げたように大きく変えていかなければならない、このように思っています。

 是非、こうした点をしっかりと国民の皆さんにも説明しながら、何が変わったのか、そしてみんなで何をしていかなければいけないのか、こうした理解を得ていくよう、しっかり努力を続けていきたいと考えております。

小川委員 若干、市場に任せ過ぎず、政府がきちんと介入するんだというメッセージとしては受け止めました。しかし、それだけで新しさというと、よくある議論でもあるんですね。

 ここは大変僭越ながら、ちょっと私見になりますが、私、成長と分配について、少し御提案を兼ねて、思うところがございましてね。

 今世紀、二十一世紀の成長には、恐らく激しく環境調和が求められると思います。環境影響を度外視した経済成長はもしかしたら許されない時代に入るかもしれない。そのぐらい、ある意味社会全体が持続可能性の回復に向けてかじを切り始めている可能性がある、その途上にあるという意識までが必要で、既に世間では、一部ですが、脱成長という考え方にまで注目が集まるような時代を迎えつつあります。

 したがって、経済に関しては、極めて環境制約、地球限界を踏まえた政策なり経済の在り方が問われる時代に入る、ここまでの時間感覚や哲学が必要ではないか。御提案を兼ねて、私見ですが。

 もう一つ、分配に関しては、成長と分配の好循環などという生易しい言葉では済まない時代に入ったと私は感じています。賃上げ税制も結構ですが、これは、そもそも赤字企業は、少々補助金を出すにしても、法人税を払っていませんから、それから人件費ってそもそも損金ですから、どこまで効果があるのかという厳しい評価、これはあり得る。この程度のことで、今のこの異常な格差、富の偏在と集中、そして中間層とかつて言われた方々の没落、ワーキングプア層の拡大、これは、私は、とてもではありませんが止まらないし、救われないと強い懸念、危機感を持っています。

 そこで思うのは、結局、日本社会の原型はやはり右肩上がりの昭和の時代にできています。ここでは、人口は増え続け、経済は高い成長、そして多くの方が正社員、給料は毎年上がり、生活は年々よくなるというモデルの下に、しかし、住宅や結婚、子育て、教育、医療や福祉、ほとんどのことは自助努力、自己責任の下に置かれてきた社会を築いてきたわけです。

 そして、平成に入って前提が変わりました。人口は減少、高齢化は進み、正社員の門は狭きものとなり、毎年みんな給料が上がるとは期待し難い時代に入った。しかし、依然として、さっき申し上げた人生のステージのほとんどは、基本的に自助努力と自己責任の下に置かれ続けている。

 ここは思い切って公助を拡大をし、人生の各ステージにおいて、あるいは社会において必要となる基本的なサービスを限りなく安価で、できれば無償で提供をし、人々の暮らしが成り立つような、自己責任や自助努力を強調するんじゃなくて公助によって整えていくような社会に移行していかない限り、これから先の社会は成り立たないし、やっていけないんじゃないかという大きな歴史観、つまり、頭の中が昭和のままだけじゃ、昭和の成功体験を引きずっているだけじゃ、新しい時代には行けないということです。そこでは、多くの方がそのはざまで苦しんでいるということです。悩んでいるということです。それを自己責任だと思いながら生きているということです。これに対して、明確なビジョン、方向性、そして具体策をそろそろ提示してやる責任が、私は政治の側にあると思うということです。だから、新しい資本主義とおっしゃる総理の志は、私は期待したいと思っているんです。

 しかし、今おっしゃるような、成長と分配の好循環だとか賃上げ税制だとか言っている程度では、私は、過去、旧政権も、一億総活躍とか地方創生とか人生百年時代とか働き方改革とか、いろんな看板をかけてきましたよね。もう部屋は閉じているんでしょう。見かけ倒し、看板倒れに終わるんじゃないかということを危惧しています。

 最後に、もう一分ですが、これも言いっ放しで終わることをお許しいただきたいと思いますが、今日幾つか指摘しました。

 岸田政権は過去の政権と何が違うのか。公文書の調査を行わない、学術会議の任命もしない、人事には身内びいきの批判がある、官僚への責任転嫁のにおいもする、水際対策が不徹底、公立病院の統廃合は依然としてその構えを崩さない、敵基地攻撃や憲法改正にも随分前のめり、新しい資本主義といいながらも金融所得課税には及び腰。変わらないんじゃないかということです、従来の政権と。その点に対する指摘や批判に十分お答えいただく見識と覚悟、これが私は必要になるということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。

 岸田総理、総理としてはこれが初めての予算委員会だと思いますが、よろしくお願いをいたします。

 まず、この我が日本で、ついこの前、入院すれば助かるはずの命が助からない、こういうあってはならないことが起こってしまった。ここにいる全員が本当に深く反省しなきゃいけないというふうに私は思うわけでございます。これを絶対に繰り返さない、そして、医療崩壊、生活崩壊を食い止める、この責任が国会に大きくあるということを踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 生活支援の件なんですが、例のクーポンの話ですね。子育て支援ですね。

 総理、午前中に、十万円一括給付オーケーです、こういう趣旨の御答弁をされました。これは、午前中も相当問合せが私のところにもありまして、ちょっと自治体の方も疑心暗鬼になっているんですね、また本当かいなと。ちょっと、本当にそうなのかなと。何かまた条件がいろいろあるんじゃないかな、こういうことを言われて、聞いてほしいということを今日お伺いします。

 まず、総理は、先週の金曜日、ついこの前ですけれども、国会で、原則クーポンだが現金も可能とするとおっしゃったんですよ、ついこの前の金曜日。そうすると、今の時点でも原則クーポンというのは変わりないということでよろしいんですか。

岸田内閣総理大臣 この十万円の給付については、経済対策の中でこの対策を用意し、そして国会で議論をお願いしているわけですが、その中で、その経済対策の中で、クーポン、これを基本としながらも、ただし、これは地方自治体の様々な意見も聞きながら、この現実的な対応を可能にするという形で経済対策をまとめ、そして、今回、国会の議論においても、クーポンということについては、政策的な目的等、様々な意味があるということは申し上げた上で、なおかつ柔軟な制度をしっかり用意しなければいけない、これを、国会において野党の皆さんとも議論する中で申し上げてきたところであります。

 そして、今日、十万円一括というのも選択肢としてしっかり用意させていただく、こうしたことを申し上げさせていただきました。

 クーポンについて、政策的な意味、これは確かにあると思いますが、様々な意見、議論の中で、今日午前中申し上げたように、十万円一括、これも選択肢として政府として用意をし、そして地方自治体としっかり連携しながら、具体的に制度を動かしていきたいと考えております。

長妻委員 クーポンを基本とするというのは変わらないという今御答弁でした。

 ということは、クーポンを基本とするということは、じゃ、十万円を一括給付するというふうに判断する場合、クーポンは基本ですから、十万円を現金で一括給付する場合は、何らかの要件、十万円を現金に移行する場合、要件というのがあるということですか、何らかの要件が。

根本委員長 国務大臣山際大志郎君。(長妻委員「いやいや、総理。ちょっと、総理に聞いているんですから。総理の言葉で聞いているんです、総理の言葉で。ちょっと待ってください。総理の言葉で聞いているんですよ。ちょっと委員長」と呼ぶ)

 今指名したので、まずは一旦。(長妻委員「これは自治体の皆さんも相当疑心暗鬼になっているんですよ。総理に聞いているんですから。簡単な質問ですよ。ちょっと一回止めてください」と呼ぶ)

 じゃ、大臣、一回出て。

 ちょっと、実務的なやつなので。ちょっと待ってください、実務的なやつなので、答弁させてください。(長妻委員「総理に聞いているんだから、ちょっと待ってください」と呼ぶ)まず大臣。

山際国務大臣 よろしいですか。(長妻委員「ちょっと一回止めてください、そしたら」と呼ぶ)

根本委員長 まず、実務的なやつなので、答弁をさせてください。

山際国務大臣 実務的な話ですから、それほど難しくない実務的な話なので、私の方からお話をいたしますが、今あった、何らかの要件を設けるというのは、地方自治体の実情に合わせた形のものにしますから、極力簡単な形でやりたいと思っておりますので、何か抑制要件のようなものを設けるつもりはございません。

岸田内閣総理大臣 政府において、十万円の一括給付、現金給付を認めるに当たって、何か特定の条件をつけて審査をするというようなことはありません。

長妻委員 これは先ほど私が聞いていないのに山際大臣から御答弁ありましたけれども、簡単な要件を付すと今おっしゃいましたね。

 つまり、これは本当に疑心暗鬼になっているんですよ、自治体、二転三転しているので。いろいろな通知も出ているんですよ、実は、自治体に対して政府から。

 簡単な要件ということについて、こういう心配があるんですよ、総理、本当に。

 今の段階で、今日、国会答弁がありましたね、総理から。だから、自治体でもう、住民の皆さんも、総理が答弁したんだから早くやってちょうだいというような問合せが来ていると思うんですよ。自治体からして、じゃ、一旦これは立て替えるわけですよね、間に合わない場合は。補正予算の成立をもって、あとの五万円の現金は補填されるわけですよね。ただ、そのときに、今日決断して大丈夫なのかということなんですよ。

 つまり、簡単な要件があるとおっしゃいましたから、じゃ、十万円給付します、現金で年内、それを決断して作業を進めていったら、でも簡単な要件がある、その簡単な要件に反した場合、現金の補填が政府からないというケースもあるのではないか、こういう懸念があるわけです。

 これは、総理先ほど、条件はないと断定されました、条件はないと。山際大臣は、簡易な、簡単な要件とおっしゃいましたが、当然、総理の方が偉いわけですからね。

 総理、条件はないということで本当によろしいんですね。つまり、無条件で、お金を立て替えたら戻ってくる、補填されるということでよろしいんですね。

岸田内閣総理大臣 簡単な条件と申し上げましたのは、例えば、給付金が十万円であるとか、そして支給対象、九百六十万円の上限も設けているわけです。こうした基本的なところはしっかり守ってもらわなければならないわけですし、こうした給付対象や給付金額、これが適切である限り、これは事後に自治体に補助金を交付するという形で政府としては対応していきたいと考えております。

長妻委員 とすると、今おっしゃったのもちょっと。

 つまり、だって、元々十万円じゃないですか。十五万円配れないですからね。そうすると、十万円という金額が守られているのか、それと、九百六十万円という年収条件が守られているのか。これは当たり前じゃないですか、だって。簡単な要件じゃないじゃないですか。

 これを守れれば、あとは無条件でということで、山際大臣、いいんですね。

山際国務大臣 何か誤解を与えるような表現で大変申し訳ないんですが、おっしゃっているとおりでありまして、自治体の皆さんと相談する中で、所得制限を設けずに全てのお子さんに対しても支給したいというようなところも実際にあるんですね。

 我々政府といたしましては、給付対象者や給付金額等が政府で決めたものであることについて、後で補助金をお渡しするということになっていますから、そこを確認させていただくというだけでございまして、基本的には無条件と思っていただいて結構でございます。

長妻委員 念のために確認するんですが、これは自治体も……(発言する者あり)いやいや、これは通知が出ているんですよ、谷さん、御存じでしょう。自治体に通知が出て、それが撤回されているかどうか、まだ撤回されていないわけですよ。

 ちょっと通知の一例を申し上げますけれども、これが十二月三日の時点で自治体に出ている通知なんですよ。これはまだ撤回とも何とも連絡はないわけですね。

 もう一回確認ですけれども、ここに書いてありますのは、現金を給付する要件が書いてあるんですね。つまり、クーポンが令和四年六月末までに間に合わない見込みである場合に限り現金給付を可とすると。この下の理由書の提出は、しないでいいということを先ほど明言いただいたのでいいんですけれども。

 そうすると、ここの三行については完全にもう撤回する、こういうことでよろしいんですね。

山際国務大臣 今先生がお示しになっていらっしゃる、十二月三日に我々の方から地方自治体に説明をするために使わせていただいた資料ですが、その文言が書いてあるということは事実でございますけれども、そこで、しっかりと自治体の皆様方から様々な御意見をいただく中で修正をさせていただいているわけでございますので、今おっしゃっていただいたように、ここの案件はなくなっていると思っていただいて結構でございますが、実際には、補正予算が成立した後に実施要領というものをしっかりとお示しをすることになりますので、今確認していただいたことがちゃんと削除されているというもの、誤解のないような、修正された実施要領というものが、補正予算が成立した後に出されるというふうに御理解いただければと思います。

長妻委員 これは本当に、そもそも、我が党の後藤議員が事務費の問題を提起して、我々も議員立法を出しました、きちっと、自由に選べるようにと。それもたなざらしにして、ずっとこの間迷走して、自治体も作業が止まったり進んだり、三回目のワクチン接種があるにもかかわらず、相当な混乱を招いた。非常に遅い判断で、もう議会で、自治体の補正予算、審議が終わっているところもいっぱいあるわけですよ。

 これは是非、丁寧な対応をしていただいて、今ここでは言葉のやり取りでありますが、誤解を招かないような、今のことを明確に、無条件だということをきちっと書いて送っていただきたいということを強くお願いしますが、最後、それをお約束いただけますか、総理。

岸田内閣総理大臣 この十万円の給付につきましては、先ほど申し上げたように、自治体関係者を始め多くの皆さんからいろいろな意見をいただきました。いろいろな御指摘や御指導もいただきました。そして、国会が始まってからも、野党の皆さん、与党の皆さんにも様々な御指摘をいただき、議論を行いました。その議論の結果として、柔軟な制度設計をしなければいけないということで、今日午前中申し上げた、一括給付も選択肢として用意させていただいた、こうしたことであります。

 こうした変化は議論の結果であると認識をしておりますが、いずれにせよ、結果が出た以上、地方自治体の皆さんに混乱を生じさせないように丁寧にしっかりとした連絡をし、確認をしていく、こうしたことはしっかりやらせたいと思います。

長妻委員 是非、本当に責任を感じていただきたいと思います。

 ある自治体の首長さんと先ほど話しましたら、そこは、例の先行する五万円は十二月の二十七日に間に合わせる、こういう作業がほぼ済んだんですね。だから、そこに合わせて五万円じゃなくて十万円の現金をかぶせていくには、その自治体はかなり大きな自治体なのでかなり人手があるからかもしれませんが、それでも、今月の二十一日までに追加の五万円の入金がないと、なかなか間に合わない、立替えせざるを得ない、こんなような話がありますので、そういうスケジュール感も、今もう綱渡りでありますので、是非総理のリーダーシップでお願いします。お金を待っている、本当に生活に困っておられるお子さんの世帯、たくさんありますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 そして次に、オミクロン株はワクチンが効きにくいんじゃないか、こういうことも言われております。

 そこで、三回目のブースター接種についてお伺いしますけれども、これは今、八か月という、ただ、総理が御答弁されて、モデルナを活用して、八か月を待たずにできる限り前倒しとお話がありましたが、ただ、これも在庫があるので、ちょっとなかなか、自治体ごとにばらばらなんじゃないかという話もございます。

 これは、例えば政府の中では六か月というのを一つの基準にするというような御判断というのはできないんですか。

後藤国務大臣 三回目のブースター接種、追加接種につきましては、当初、感染防止力効果がだんだん下がってきているという判断もございまして、当時、八か月の接種を原則といたしておりました。

 しかし、感染防止、オミクロンも出て、万全を期す観点から、既存ワクチンのオミクロン株への効果等を一定程度見極めた上で、優先度に応じて、追加承認されるモデルナを活用して、八か月を待たずにできる限り前倒しをするということで考えております。

長妻委員 まずは六か月ということを今お示ししていただきたかったんですけれども、例えばイギリスは、短縮して、今三か月を推奨しています。フランスは、六か月だったものを五か月にしています。韓国は、高齢者向けだけですけれども、六か月を四か月にしております。これはオミクロンによって、相当前倒し、各国、危機感を持っているところであります。

 今、年内の在庫を政府に聞きますと、ファイザー、モデルナを合わせて四千万回ある。来年の契約量が、ファイザー、モデルナを合わせて一・七億回ある。まあ、ほかのメーカーだと、加えればもっとあると思うんですけれども、これは総理、是非、何か月かというめどを出していただきたいんですよ。やはり自治体、三回目の接種というのは準備が必要でありますので、六か月とかですね。八か月というのはいかにも先進国では遅い、間隔が空き過ぎるというふうに思っておりますので、これはめどを総理のリーダーシップで出すということはお考えいただけませんか、まずは六か月以内にしようというような。

岸田内閣総理大臣 今、最後、六か月以内というふうにおっしゃいましたが、まず、これは六か月以上の間隔で三回目の接種ができるという形で薬事承認されていますので、このことを考えますと、接種間隔は、最短でも二回目接種から六か月、六か月以下ということは、今、薬事承認との関係でそれは難しいと思っています。

 ただ、度々申し上げているように、八か月も待たずにできる限り前倒しするということは申し上げています。既存のワクチンのオミクロン株への効果等も今いろいろな議論になっています。その辺も見極めた上でどこまで前倒しをできるのか。今、在庫のお話もされましたが、現実に在庫がどうなっているのか。

 何よりも、やはり地方自治体において、先ほどの十万円給付を始め様々な対応が求められる、その現実、現場においてしっかりと対応できる、こういったことも勘案した上で、この八か月をどこまで前倒しするのか、丁寧に考えていきたいと思っています。

長妻委員 是非、先進国の中で後れを取ってはならないので、よろしくお願いをしたい。できる限り、まずは六か月という目標はできると思います。

 これはワクチン担当に聞きますけれども、三回目のブースターワクチンというのは、メーカーはどこにしたい、どこにするのかというのは国民の皆さんは選べるんですか。

堀内国務大臣 三回目のブースター接種におきましては、メッセンジャーRNAのワクチンでお願いしたいというふうにお伝えしています。(長妻委員「メーカーは選べるんですか、メーカーは」と呼ぶ)モデルナ社又はファイザー社でお願いしたいというふうにお伝えしております。(長妻委員「いや、どっちかを選べるんですか、どのメーカーか」と呼ぶ)

 この三回目のワクチンにつきましては、私どもといたしましては、ファイザーを四百十二万回まず出させていただきました。次に、千二百万回またファイザーを、十二月十三日、十二日の週あたりに出させていただきます。そしてまた、モデルナを一月の方に一万七千回出させていただきます。そのように……(長妻委員「いや、選べるんですか、モデルナがいいとかファイザーがいいとか」と呼ぶ)

 選べるかにつきましては、きちっと自分の打ちたいワクチンを打つことができるということは、同じ医療機関で複数のワクチンを扱っている場合に予約の段階でワクチンを選択するのかといった御趣旨の質問だと思っているんですけれども、予約時に自らがどのワクチンを接種することになるか把握した上で、仮に両方のワクチンの予約枠が開放されている場合には自分の打ちたいワクチンを予約いただけることになるという、予約のプロセスとしてはそういうことはあり得ますが、ただ、今の現時点としましては、三月末までに、接種対象の方々約六割にファイザー、そして四割にモデルナという割合で送らせていただきますので、その中で可能な限り予約を取っていただきたいと思っております。(発言する者あり)

根本委員長 選べるのか。じゃ、もう一度答弁してください。

堀内国務大臣 済みません、まず先ほどの訂正なんですが、モデルナの単位を千七百万回というふうに申し上げさせていただきます。最初、一万七千回と言ってしまったやに聞いております。しっかりと、千七百万回とそこの部分については訂正させていただきます。

 追加接種におきまして選べるのかといった御下問ですけれども、先ほど申し上げたように、三月末までのお示しした数の割合が、ファイザーが六割、モデルナが四割といった状況でございます。

 いずれにしても、追加接種においては、初めてモデルナを接種いただく場合、つまり、ファイザーを一、二回目で接種していただいてもモデルナを接種していただく場合が多くなると思っております。

 このため、モデルナワクチンや交互接種の安全性、有効性に関する情報を丁寧に発信していきたいと思いますので……(長妻委員「いや、選べるのかという。ちょっと一回止めてください」と呼ぶ)

根本委員長 ちょっともう一回、ゆっくり。

堀内国務大臣 割合として、六割と四割、出させていただくということになっております。(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、長妻君、単純な問いなら単純な問いで、もう一度言ってくれますか。よろしいですか。じゃ、もう一度。

長妻委員 ちょっと明確に、これも私、地元の方を含めて相当聞かれているんですよ、心配だということで。

 つまり、私が聞いているのは、国民の皆さんが、三回目の接種について、私はファイザーがいいとかモデルナがいいとか、メーカーを選ぶことができるんですかと。先ほど、秋葉さんですか、秋葉さんは、医療機関によっては選ぶことができるというふうにおっしゃったんですが、そういう答弁でいいんですね。医療機関で、選べない医療機関と選べる医療機関があると、予約するときに。

根本委員長 じゃ、まず厚労大臣に答弁していただいて、そして、また、ワクチン担当国務大臣、必要があれば答弁してください。

後藤国務大臣 ワクチン政策は厚労省にも関わりますので。

 今の質問、丁寧に担当大臣は話をしておりますけれども、ワクチンの供給制約があるので、選べますけれども、本当に、自由に選べるワクチンを、供給制約の中で選べない場合もありますけれども、少なくとも本人が選ぶことはできる仕組みになっております。

長妻委員 そうすると、今確認しましたら、国民の皆さん本人が、私はファイザーがいい、モデルナがいいと選ぶことができるということですね。

 ただ、数量の、先ほどちょっと堀内さんの話だと、医療機関によっては選べないところと選べるところがあるというような御答弁だったわけですけれども、ちょっとはっきりしていただけますかね。国民の皆さんが選べるということですか。

 私も、物理的な制約は分かりますよ。ただ、やはり聞くのは、同じメーカーのワクチンが安心だわという声も多いんですよ。副反応が大体分かるから、相場観というんですかね。ただ、三回目と二回目は違うかもしれませんけれども、そういう御心配の声があるので。

 つまり、医療機関によっては選べないけれども、選べる医療機関と選べない医療機関が、あるいは接種会場で選べるところと選べないところがある、こういう理解でいいんですね。

後藤国務大臣 医療機関も国民は選ぶことは自由にできますので、そういう意味で、基本的には、今回はモデルナとファイザーを、例えば、集団接種と大規模接種会場はモデルナ、市町村はファイザーというような区分けをせずにお分けをいたしますので、基本的には医療機関でどちらか選んでいただくことができます。

 ただ、分かりやすく申し上げると、ファイザー、ファイザーで打った方が今年多いです。ファイザー、ファイザーで打った方が三回目もファイザーで打ちたいなというふうに思われたときは、一、二月にファイザーが四百万回、それから、二、三月で三千七百万回のうちの二千万回はファイザーで、先ほど担当大臣が答弁したように六対四なので、御希望のとおりにワクチンが、来年の初頭について言えば行き渡らないということかもしれませんが、総量としては足りるわけでございます。

 そして、前倒し等を検討する場合も、混乱が起きないように、ワクチンの供給量の総量は混乱の起きないようにきっちり管理しながら、優先的に配付をするということで考えていくということだと思います。

長妻委員 ちょっとなかなかまだはっきり分からないところも多いので、これは、国民の皆さんも御心配なので、文書で後日出していただきたいというふうに思います。

 そして、警察が発表したデータがございます。これは私の方で依頼して出していただいたものなんですけれども、金曜日に発表したもので、昨年の一月から今年の十一月まで、コロナ死のデータでございます。

 警察、これを簡単に説明いただけますか。

藤本政府参考人 令和二年一月から令和三年十一月までの間に警察が取り扱った新型コロナウイルス陽性の御遺体のうち、検案医等により死因が新型コロナウイルスとされた方は、その疑いがあるとされた方も含めて、現時点、五百三十九人です。これらの方々のうち、生前にPCR等の検査が実施された方は二百四十三人、また死後に実施された方は二百九十六人となっています。

長妻委員 私どもの依頼で、厚生労働省とも情報を共有していただく仕組みに今なっています。

 これは、発見場所は自宅等、外出先ということで、お医者さんがずっとケアしていない方が多いわけですね。不審死等の形で解剖された方々もおられるわけで、そういう意味では、我が国でコロナで入院できずに自宅でお亡くなりになった方の人数というのがなかなか分からないんですよ。

 これ以外にも厚生労働省も数字を持っていますが、これよりも少ない。しかも、厚生労働省の数字というのは、主治医がいて自宅で亡くなった方もおられるので、そういう意味では、こことちょっとまた種類が違う数字なんですね。

 私は、これは相当深刻だと思うんですよ、教訓を我々学ぶという意味で。そういう意味で、やはり、我が日本で、私は、戦後最悪の医療行政の失態が起こってしまったと思うんですよ。入院すれば助かった方が、この日本で入院できない、それでお亡くなりになる。

 これは是非検証していただきたいんですよ。今、政府は全く検証していません、残念ながら。我々は、もう前から検証してほしいと。全てが無理だったらば、まずはサンプルで検証していただきたい。最終的には全ての方を検証していただきたい。これは本当に多くの教訓が詰まっています、御遺族のお話を聞くと。

 これは、総理、御存じでしょうかね。新型コロナウイルス自宅放置死遺族会というのが先日できました。無念の死を遂げた御遺族の方々がつくった遺族会でございます。私も、代表者、共同代表の二人の方とお話、お伺いしました。一人の方は、弟さんが自宅でお亡くなりになってしまった、独り暮らしの方ですね。もう一人の方は、お父様を自宅で亡くされた。

 そして、会員の中にはお子さんを自宅で亡くされた方もおられて、お話をお伺いすると、やはり遺族の声を聞いてほしいと。すごく教訓がいっぱいあるし、もう二度とこういうことを繰り返してほしくないと。救えたはずの命が救えなかったとの自覚が政府はあるんですかと。検証してほしい、やれることはやったではなくて、一人一人を検証してほしい、一人一人の命を尊重してほしい、本来行政としてはどうあるべきだったか、なぜ最悪を想定して対策しなかったのか、仕方なかったでは納得できない。こういうようなことで、私、自治体と国と、いろいろな検証が必要だと思っております。我々の考え方は今年の一月、二月の予算委員会で明確にお示しをして、なかなか、菅総理、当時、それについて耳を傾けなかったわけでございますけれども。

 総理に是非お願いをしたいのは、聞く耳を持っておられる、聞く力があるとおっしゃっておられるので、是非、人数さえ分からない、実態も分からないではなくて、政府の中に例えばコロナ自宅死等調査検証委員会のようなものをつくって、有識者の方に検証していただいて、そして教訓を第六波に備えて蓄えていく、こんなような取組を本当にやっていただきたいというふうに思うんですが、いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、特に今回は、第五波の中で、自宅療養をされている方あるいは宿泊施設で療養されている方で十分に医療にアクセスできなかった、こういった事態が発生してしまったということ、こうしたことについては、深刻な事態であったと受け止めています。

 その実態把握について、政府として今現在どういった状況にあるのか、これは私も確認してみたいと思いますが、そういった経験を経たからこそ、これから第六波への備えとして、私の内閣においても、この対応の全体像を示して、まずは感染力が二倍になったとしてもしっかりとした病床を確保する、それから人材を確保する。そしてその上で、御指摘の自宅療養、宿泊療養については、この夏と比べて四割増、一万九千室を増やして六万六千室ということにする、さらには自宅療養された方がしっかりアクセスできるようにするということをやっております。(長妻委員「遺族のお話を聞いて検証しますかと言っている」と呼ぶ)

 それで、遺族の皆さんの話をどのように受け止めて検証するのか、これについて、今ちょっと政府としてどういう対応にあるのか確認をさせていただきたいと思いますが、そういった声も大変重要な声であると考えます。

 ちょっと今、実情を是非、厚生労働大臣を始め、今現状がどうなっているか、ちょっと私もすぐ、にわかに、承知しておりませんので、それを確認した上で、どうあるべきか考えたいと存じます。

長妻委員 是非お願いをしたいというふうに思います。

 そして、オミクロン株が心配でございまして、いろいろなことが言われているんです、重症化しないんじゃないかというようなことも言われておりますけれども。ただ、これは、国立感染研の方と議論をしましたけれども、まだ査読済みの論文がないので、そういうデータもあるというようなレベルなので、決めつけるのは早計だ、そういう話なんですね。

 その意味で、これはトップリーダーである総理にお伺いするんですが、総理も所信表明演説で最悪の事態を想定するとおっしゃいました、コロナ対策、コロナについてですね。

 そこで、今非常に微妙な時期にあると思うんですよ、今日という時期がですね。というのは、やはり、国民の皆さんは、年末年始、もう既に予定を入れておられる方も相当多いし、これから予定を、旅行とか飲み会も含めて、忘年会を含めて、新年会を含めて、ということが佳境に入っている時期に、一つ政府の中の考え方であるのは、私が漏れ聞いているのは、軽症者が多いらしいので、このまま自然体で、飲食店とか旅行については、今のままで、自然体で年末年始いこう、それでも、軽症者が多いから、来年二、三月でもベッドが足りなくなるということはないんじゃないのか、こういうような声も聞こえてくるんですね。

 私は、それは本当に大丈夫なのかと思うんですよ。分からないわけですから。軽症者が多いという今の各国の実際の報告だけで、それで判断していいのか。国立感染研の方も、判断するのは早計だとおっしゃっておりますので。

 そこで、総理、大方針を決める立場の総理にお伺いしたいんですが、私は、今の時期、厳しいメッセージをやはり出す時期に来ているんじゃないのか、来週、再来週だともう皆さん行動が始まってしまいますので、と私は思うんですけれども。総理、大きな考え方として、オミクロン株に対応するため、コロナ対策に対応するため、年末年始については、自然体でこのままいくのか、あるいは相当強いメッセージを出して人の流れを抑制する、そういう方向にかじを切るのか、どういうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 まず、オミクロン株については、長妻委員御指摘のように、まだ実態が十分把握されていない、こういった状況にあるわけですから、これについては慎重の上にも慎重を期さなければならない。今、やはり緊急避難的、予防的措置をしっかりと講じていかなければならないと考えます。

 だからこそ、水際対策についても、G7各国の中で最も厳しい対策を講じているところでありますし、また、今、感染者の数が低く抑えられておりますので、全ての国内新規感染者についてオミクロン株の検査を行うということで、早期探知に全力を尽くしているわけですし、そして、それに加えて、国立感染研究所等においても、マスク、手洗いに加えて、三密、これについてもしっかり回避することを奨励するという発信をされておられます。是非、マスク、手洗いと加えて三密の回避、政府としてもしっかり呼びかけていきたいと存じます。

 それに加えて、さらに、今回の補正予算において三千二百億円を計上して、予約不要の無料検査、これも開始するわけでありますし、飲める治療薬、そして三回目のワクチン接種、できるだけ前倒しをしていきたい。

 ですから、その中の一つとして、先ほど言いました三密の回避、こうしたことについて政府としてもしっかり発信をしていきたい、このように申し上げております。

長妻委員 いや、人の流れを絞るんですかというふうに総理に聞いているんです、年末年始。

根本委員長 じゃ、まず、ちょっと実務の、まず厚労大臣、具体的に答えてください。

長妻委員 いや、違います。もう時間ないですから。じゃ、いいです。総理、一言お願いします、一言。

 じゃ、いいです、ちょっとこの後の質問者に迷惑をかけるので。もう時間が来ましたから、質疑時間が終了しましたと。

 これは私は残念なんですね。総理、今この時期に、何らかのメッセージを発するとしたらこの時期なんですよ。でも、今、総理は長々と、私が聞いていないことをお答えになっておられて、私は、人の流れ、このまま自然体でいくというふうに総理は判断できないんじゃないかと。つまり、自然体でいくのか、絞るのか、今まだ迷っておられる、だから答弁できないんじゃないかと私は推察しましたけれども。

 三密を回避はもう今までもずっと言っている話なので、ですから、これまでの自然体の流れを絞るのか絞らないか、是非早急にこれは判断していただいて、また判断ができないからということで先送りにしていくということはあってはならないと思いますので、是非よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、江田憲司君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田憲司君。

江田委員 江田憲司でございます。

 岸田総理、御再任おめでとうございます。

 先ほど来からの議論を聞いていまして、くどいようで申し訳ないですが、十八歳以下のお子さんへの十万円給付で、相変わらずクーポンが原則と。そうこだわられる理由は何でしょうか。たしか、この前の選挙の自民党さんの公約は、住民税非課税世帯への十万円給付だったはずですよね。なぜそこまでクーポンにこだわられるんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 クーポンの政策的な意義は申し上げておりますが、先ほど来説明しておるように、実質的に、十万円の一括給付も含めて、現金の給付、こうした選択肢はしっかり用意をし、自治体の実情にしっかり応じて制度を運用していきたいということを申し上げているところであります。

江田委員 いや、ですから、だったらもう最初から十万円給付ですればよかったんですよ。

 私は横浜市ですけれども、横浜市みたいな大きい都市は、今日、さっきやっと方針が出ましたけれども、もう間に合わないんですよ。これは、五万円であれ十万円であれ、民法上の贈与ですから意思確認の通知を出しますよね。でも、残念ながら先週末にはもう出しました。ですから、もう年内給付、一括十万円給付は大きな都市ほどありませんし、大阪市長も何かそういう類いのお話をされていましたよね。

 だから、返す返すも残念なんですよね。本当に迅速にこういった給付を行おうという趣旨からすると、わざわざ二つに分けてクーポンにこだわられた。

 だから、お聞きしたのは、どうして分けてクーポンに、今でも原則だと言ってこだわられるんですかと。その問いにはお答えになっていないので、もう一度お願いします。

岸田内閣総理大臣 ですから、クーポンについても、選択肢として、これは当然残っているわけですが、ただ、自治体の事情に応じて現金での給付あるいは一括給付、こうしたものも選択肢としてしっかり用意させていただきました。是非、この選択肢の中で、各自治体、しっかり判断をしていただきたいと思います。

 遅いではないかという御指摘がありました。これについては、先ほど来申し上げたように、経済対策の中でこうした対策を打ち出したわけではありますが、各自治体の様々な意見、また国会での議論、こうしたものを踏まえて、できるだけ柔軟な制度をつくっていこうという努力の中で、つい今申し上げたような結論を出したというのがこれまでの過程であります。

江田委員 地域の実情というのはよく理解しました。ただ、クーポンはあるわけですね。先ほど来聞いていると、まだ原則だとおっしゃっているんですよ。何でそこまでこだわるんですか。クーポンには、現金給付にはない効用があるからでしょう。それをお答えくださいと言っているんです。

岸田内閣総理大臣 クーポンに政策的な意味があるということですが、より直接的に、効果的に、今回の場合であるならば、子供たちの支援をすることが可能であるとか、民間の事業者の振興、あるいは新たな子育てサービスの創出ですとか、消費下支え効果ですとか、様々な意味があるということを申し上げてきております。

 ですから、これは選択肢として一つあるわけですが、あくまでも、それぞれの自治体の事情に合わせて選択をお願いしたいということを申し上げております。

江田委員 クーポンといえば、有名な事例は小渕内閣当時の地域振興券ですね。これは事務的にもいいんですけれども、その地域振興券の経済波及効果はどういうふうに分析されましたか。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、クーポンの話なんですけれども、実際に……(江田委員「いやいや、効果、地域振興券の効果」と呼ぶ)効果ですか。効果は大体、地域振興券約六千億に関して、一九九九年の話ですけれども、それをきちんと、その後、追って調べたところ、二千億円程度の効果があったというふうに分析されておりますから、約三〇%を超えるほどの効果があったものだというふうにされております。

江田委員 そのとおりで、クーポンにしても、残念ながら三割しか消費に回らない。あと七割は貯蓄に回る。結局、クーポンで浮いたお金は後で貯蓄をするという家計行動があるんですよ。

 ですから、これは結論はもう出ているんです。前の経企庁、今の内閣府もしっかり分析しているとおり、経済波及効果について言えば、現金であれ、クーポンであれ、減税であれ、三割は消費に回るけれども七割は貯蓄に回るんですよ。

 ですから、私、申し上げたいことは、これは、分割してクーポンを選択した場合も、クーポンにはまた事務的経費がかかりますし、手続も変わりますよね。ですから、何で、同じような経済波及効果しかないのであれば、もっと簡便な、私は減税でもいいと思いますよ、消費税の減税でもいいし、それから所得税の減税でもいいし。

 特に、我々立憲民主党が選挙のときに年収一千万円以下の所得税を一年間免除すると言ったのは、まさに、昨年の一律十万円給付ですら、手間暇がかかるとか、都市によってタイムラグが出た、そういうこともあったものですから、事務手続も必要だったし。

 例えば、年収一千万円以下の所得税の減免であれば、ほぼサラリーマンは源泉徴収です。調べてみると、大体、税収が、一千万円以下の年収の方は五兆円、五・六兆円ぐらい、五兆数千億あるんですね。そのうち、ほぼ五兆円がサラリーマン世帯です。源泉徴収です。あとの数千億円が個人事業主の方なので、これを例えば法律を通してやると、新たな給付手続も要らないんですよ、源泉徴収ですから。特にサラリーマンの皆さんは。すぐに即刻できるというような簡便性も考えた上で、所得制限、いろいろ事務的経費がどうした、手続がどうしたと関係なく、そういう効果があると思ってそういう提言もさせていただいたんですね。

 消費減税も訴えておられる党もありますし、我々も訴えましたけれども、御承知のように、もう世界で五十以上の国が今回のコロナ局面で消費減税をしています。例えば、英国でいうと、飲食や観光業に限ってですけれども、税率を二〇から五%に下げている。マレーシアでは、観光業やホテルのところですけれども、六%の消費税をゼロにしている。それから、ドイツでも、レストランの食事等は一九から一六に下げ、食料品などの軽減税率も下げていますよね。

 こういった手法もいろいろあるんですから、だから、是非、総理大臣として、やはり一番肝腎なことは、今一番困っておられる人たち、それから事業者の皆さんに、迅速にこういう救いの手が差し伸べられるということですから。何度も言いますけれども、クーポン券であれ、現金であれ、減税であれ、残念ながら経済波及効果は同じなんですから、そこは迅速性とか、簡便性とか、手続の簡易性とか、そういうことを重んじて、こういったことも含めて、今後、まだどうなるか分かりませんから、選択肢として御検討いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように様々な政策手段があります。

 今の議論を聞いておりましても、例えば所得減税であったならば、所得税を払っていない低所得者層には効かないという部分もあるかと思います。

 消費税であるならば、ただ、我が国においては、消費税というのは社会保障の財源ということになっているわけですから、社会保障をできるだけ広く分担するという観点から消費税の意味は私はあると思っていますので、消費税の減税ということについては、私は慎重であるべきだと思っております。

 などなど、様々な政策には様々なメリットがあり、デメリットがあります。おっしゃるように、どこを優先するのか、その政策目的、これをしっかりと検討する中で、どの手法を取るのか、これを丁寧に判断していく、政治の立場からそういった姿勢は大事なのではないかと思います。

江田委員 消費税については、後でもし時間があれば財源論の中で議論したいと思いますけれども。

 ちょっと言い忘れて申し訳ありません。我々は、所得税の場合、一千万円以下の人の所得税を一年間減免する、プラス、住民税非課税世帯等には十万円の給付金と合わせ技でやりましたので、そこは誤解なきようにお願いします。

 さて、今回の子育て支援という観点からいえば、私どもは、やはり、こういう一時金でやるよりも、本予算、本格的に、子育ては社会全体で支えるものだということで、我々立憲民主党が提案しているのは、例えば児童手当、今、中学生までですよね。しかも所得制限がある。これを高校まで所得制限なしで児童手当も給付する。それから授業料ですね。中学校までは義務教育で無償ですけれども、これも高校まで所得制限なしで無償化する。こういった本格的な子育て支援をやろうじゃありませんか、総理。

 やはり、お子様というか子育てへの、やはり日本の将来の宝でありますから、それへの投資は、必ず、我々、今の日本の国に返ってくるものですし、やはり社会全体で育てる。もっと発想を変えて言えば、言い方を変えて言えば、例えば義務教育の年限延長だってずっと議論がありますよね。明治以来ずっと延長してきた歴史がありますよね。戦後、今の九年体制、六・三とありますから。はっきり言えば、高校進学率は、たしか二〇二〇年で九八・八%です。

 ですから、いきなり高校まで義務教育化はできないまでも、実質上、義務教育と同視して、そこにしっかりとお金を投入するという意味では、今私が申し上げたような、高校の授業料も所得制限がかかっていますけれども、なしにする。児童手当も高校まで支給する、所得制限をなくして。こういった形で子育て支援を本格的にやるというのが真っ当なやり方ではないかと私は思いますけれども、どうお考えになりますか、総理。

岸田内閣総理大臣 子供への支援、また子育て世帯への支援ということについては、おっしゃるように、教育の無償化を始め、様々な取組が必要だということについては同感です。

 ただ、今回議論になっている十万円の給付は、新型コロナの影響が長期化する中で、特に困っておられる世帯、子育て世帯に対する支援ということですから、御指摘のような、恒久的な安定財源に基づいた取組、これももちろん大事ではありますが、それと今回の取組は、この緊急時に対する困っている方への支援という意味合いがありますので、この辺は少し整理した上で議論する必要があるのではないかと思っています。

江田委員 困っている、困窮している方に焦点を当てるというのは分かりますよ。だけれども、こういう形で、それは九百六十万という所得制限をかけられましたけれども、中には困っている人もいれば、そんなに困っていない人もいるわけで、こういうやり方が本当にいいのかどうかというのはよく御検討いただきたいと本当に思います。

 ちょっと順番が前後しますけれども、コロナ対策で、水際対策は多少議論に出ましたけれども、この点について一点言えば、今、一人見つかりましたね。抗原定量検査をすり抜けた方が、隔離から帰られた自宅でオミクロンに感染された方が一人見つかりましたよね。

 ですから、今の形で、抗原定量検査ではなくて、しっかりPCR検査、精度の高い、そこでまず検査をするというお考えに変更されるおつもりはありませんか。

後藤国務大臣 今、水際では、御指摘のとおり、抗原定量検査をやっております。それは、やはり検査が大量にできること、そしてPCR検査と抗原定量検査はほとんど性能において変わりはないということでやらせていただいております。

江田委員 ほとんどというか、一割ぐらい違うんですけれどもね。今回、まさに、今は抗原定量検査を二回やって、疑わしいときはPCR検査ですか、オミはね。ただ、それもすり抜けた方はいらっしゃる。

 それから、昨日でしたか、西村さん、何かNHKの番組で、PCR検査に移行することも考え得るみたいなことをおっしゃっていました。

 だから、それは総理、いい提言、私もそう思いますよ。きっちり水際対策、最悪の事態を想定してやるというんだったら、PCR検査をやる。PCR検査も最近非常にあれして、待機時間も短くなっていると聞きますので、現にすり抜けた人も出てきているわけですから、そこは変えられた方がいいんじゃないでしょうか。

後藤国務大臣 一つ言い忘れましたが、PCR検査で非常に早いものも出てきているんですが、コンテナぐらい大きくて、機能が悪いということがございます。コンテナ、非常に大きなもので。

 御指摘は、そんな細かいことよりも、もちろん技術の進歩によって、条件が変われば、いろんなことを考えるべきだという御指摘は承りました。

岸田内閣総理大臣 抗原定量検査とそしてPCR検査の関係ですが、まずは、空港において大量に検査を行わなければいけない、そして限られた時間でまず検査を行わなければいけない、そうした要望に応える観点から、今、まずは抗原定量検査を行い、そしてグレーな場合においてPCR検査で補完する、こういった体制を取っています。

 加えて、水際対策、御案内のとおり、十日、六日、三日、こうした待機期間を設けているわけですが、十日であるならば、入国してから四回検査を繰り返すということになっています。ですから、検査の精度と加えて回数で、この検査の体制を補完しているというのが現状であります。

 そして最後、PCR検査の技術が高まったならば、PCR検査を活用する。この点については、今厚生労働大臣からお答えした点と、私も同感であります。

江田委員 今おっしゃった、十日で四回PCR検査するんですか、それはいいと思いますよ。

 だけれども、問題は、三日間の隔離の後自宅、六日間の後自宅となると、これまでのプラクティスからしても、やはり自宅にお帰りになった方が本当に遵守されているのか、我々が求めておられる要請を。非常に疑問が残る例も多々見受けられますしね。ですから、自宅に帰られた後というのはなかなか国自らが強権的に管理もできませんからね。

 ですから、私は、少なくとも十日、十四日は一律しっかり、今の段階はですよ、今の段階はしっかり宿泊施設で隔離する。羽田空港や成田空港の近辺のホテルは観光客もいなくてもうがらがらなわけですから、ここはお金を惜しまず、しっかり政府が借り上げて、やはり一律、どの国から入国しようが、本当に最悪の事態を想定するとおっしゃるんであれば、やはり十日間なり十四日間なりしっかり一律隔離するという方針に変えられませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた十日、六日、三日待機は、施設待機の日数であります。その中で検査、十日であったならば国内に入ってから四回検査を行う、こうした体制であります。

 そういった形で、全て十日にしたらどうかというような意見もありますけれども、入国している国のリスクの大きさ等をしっかり考えながら、限られた医療資源を集中させるという観点から、待機施設での待機の日数を十日、六日、三日というふうに定めている、これが現状です。

 そして、待機施設が余っているかどうかということについては、午前も、先ほども議論になったと思いますが、今一万三千程度を運用していますが、これからも、自治体にしっかり協力をいただきながら、この待機施設はしっかりと確保するべく努力を続けたいと思っています。

江田委員 残念です。検査のやり方にしろ、隔離施設、何日間やるかにせよ、結果責任ですから、それはもう総理がお負いになると思います。

 それから、私、感染が収まりかけた以降、年末にかけて一番やるべきことは、新たな変異株、デルタ株に代わる新たな変異株を外国から侵入させないということが一点。二つ目に、国内でも新たな変異株を出現させないという両様の体制が要ると思うんです。

 それで、今申し上げてきたことは水際対策。もう一つは、国内で新たな変異株が出現するのを防ぐという意味で、これはファウチ博士、今大統領の特別顧問ですかね、前のCDCの所長もおっしゃっているし、ほぼ世界では常識になっているんですけれども、ほとんど免疫不全の患者にウイルスが入り込むと、そこでコピーをして、そこでエラーを重ねて新たな変異株が出現するということになっているんですよ。

 ですから、私の提案は、これは実は四月にも菅総理に申し上げたんですね。要は、感染が収まっている今だからこそできる対策というのは、これまで一年半かけて感染研中心にいろいろなところでデータを集積しているでしょうから、ほぼ、私の言葉で言うと、ウイルスが根雪のようにたまったような感染集積地というか、そういうところがあるんですよ、実は。東京でいえば、言いたいですけれども、言うとまた風評被害とか言われるので言いませんけれども、誰でも知っている地域は、本当にウイルスが根雪のようにたまっているんですよ。そこを徹底検査する。

 それで、今なら、今の状況であれば、PCR検査も全員できるかもしれません。しかし、自由意思ですからね、検査は。だから、私が提案したのは下水道検査なんですよ、下水道検査。これはもう実は半年以上前から実証研究が札幌市でも、北大と札幌市、船橋市と金沢大学、京都でもやっています。

 これは、精度の問題を言うんですよ、必ず。私が厚生労働省の方に聞くと、精度がまだ悪いんだと。とんでもなくて、半年前で一万人に一人、これは下水道から抽出するんですね、水を取って圧縮して、それでやれば翌日検査結果が分かって、半年前でも一万人に一人の陽性患者がいれば抽出できる。今では十万人に一人とも言われています。

 仮に精度にそんなに精緻なものがないにしても、まず特定するという意味で、これは例えば政令指定都市には百五十、下水道処理場がありますし、それから、もっといいことは、老人施設とか病院とか、一施設ごとの前のマンホールを開けて、そこで抽出すれば、そこには本当に感染者がいませんとか、ああ、ここの老人施設は物すごくウイルス量が多いから結構感染しているぞとか、とにかく無症状者も含めて抽出できるんです。

 ですから、今収まっているからこそ、これが、もう感染が蔓延しているときにPCR検査を全員しろなんていっても非効率極まりないし、経費も莫大ですね。今収まっているときこそ、感染集積地みたいなところは大体めどが立っているでしょう、専門家の人に言わせれば。そこに下水道検査をかけて、ああ、ここはちょっとウイルスがたまっているなと思ったら、そこにPCR検査をかけていく。

 こういうやり方で、長々述べましたけれども、まず国内から、免疫不全の患者の人、例えば抗がん剤を打っているような患者の人にウイルスが長期間入り込んで、どんどん複製してエラーして新しく変異株を出現するというのを抑えるという、水際対策に並ぶもう一方の大きな柱が私はあると思うんですけれども、総理、是非やっていただけませんか。総理。

後藤国務大臣 今お尋ねになりました下水サーベイランス、これは政府の方でもチームをつくってちゃんと検討をいたしております。

 国立感染症研究所において下水からの新型コロナウイルス検出方法について検討しておりますが、現状としては、沈殿物で効率的に新型コロナウイルスを検出できることが分かってきている反面、下水中のウイルス濃度から感染の状況を推定することは現状では困難なようであるというようなことがだんだん分かってきているということは承知しておりますけれども、更なる、いずれにせよ、これは科学としての研究をしっかり進めて役に立てばというふうに思っております。

 それから、もう一言だけ。国内感染について言えば、まずPCR検査で陽性になった場合は、全ての方に変異株PCRの検査をいたします。そして、それが陰性になれば、今度はその方たち全員に全ゲノム解析をして、オミクロンかどうかをチェックします。それから、最初から全ゲノム解析をやっていただく方は、外国から帰って、滞在経験のあるような方は最初から全部全ゲノムをやります。それから、元々その前のPCR検査についても、感染のおそれがあるようなところ、そういうところについては無料の行政検査によるPCR検査ができます。

江田委員 総理、お答えいただく前にちょっとつけ加えると、四月の段階で菅総理はそこで、これは大変いいアイデアだから検討させる、わざわざ、審議が終わった後、私も電話いただきまして、これは絶対やらせると。もう半年以上たっているんですね。それから、精度の問題は多少あったとしても、そんなにないと思いますが、特定する、そういう根雪のようにたまった感染集積地を特定するぐらいの手法では有効なんですよ。

 それから、武漢株、議論ありますけれども、あれはイタリアかなんかで下水道をずっと標本として取っていたやつを年月を遡って検査したら武漢株があった、こういう報告もあるんです。だから、下水というのは本当に無症状者も含めてウイルスを検出する非常に有効な手段なので、総理、これは是非お考えください、引き続き。決意を。

岸田内閣総理大臣 まず、今厚生労働大臣からお答えしたように、政府としても調査研究は行っております。御指摘の点、しっかり受け止めて、是非、新型コロナの監視強化に下水をどう使えるのか、これをしっかり検討させたいと存じます。

江田委員 検討じゃなくてやってほしいんですけれども、北大の方、金沢大学の方、塩野義製薬の方に聞いていただきたいと思います。

 さて、所信表明演説で総理が本当にいいことをおっしゃったと思うのは、これまでのコロナ対策を検証されると。検証される。

 これは振り返りますと、初期の頃は何でPCR検査がこんなに進まないんだとあったり、GoToキャンペーンの停止、専門家会議が提言しているのになかなか停止せずに年末年始の感染爆発を招いたんじゃないかとか、水際対策も、今年の年末年始、いっぱいいろんな人が入ってくるのに年末年始は止めずに、一月中旬になってやっと水際を止めて、それがまた第三波につながったとか、いろんなことを言われましたよね。

 去年の秋には、民間臨調ですか、そこで総括がされていて、とにかく場当たり的対応の積み重ねだったという結論。官邸の職員の方の証言は、つけ焼き刃だけれども結果オーライだった、その類いの表現でしたね。

 だから、こういうことをしっかり政府が、岸田政権が検証されるというのは非常に大事なことだと思うんですが、どうされますか、この検証。どういうやり方で、どういう組織で、いついつまでに検証されますか。

後藤国務大臣 今の、各省の関係のところと、そして国立感染症、これは厚生労働省の一部でございますけれども、そこでチームを組んで検討、検証させていただいております。

岸田内閣総理大臣 検証ということについては、人流抑制、あるいは国、地方自治体との連携、さらには司令塔機能、こういった三点を特に私としてはしっかり考えていかなければならないと思います。

 そういった点を中心に、今、厚生労働大臣から答弁あったような検証をしっかり進めた上で、来年六月までにはこうした課題についてどうするのか結論を出し、必要であるならば法改正についても考えていかなければならないと認識をしております。

江田委員 じゃ、当面、厚生労働省だけでチームでやるということですか、官邸とか全政府的な検証作業はしないと。

後藤国務大臣 今、御指名がありましたので。

 先ほどの下水サーベイランスの件については、各省で連携を取って、そして国立感染研究所とともにやっております。

岸田内閣総理大臣 今、厚生労働大臣から申し上げたように、様々な関係者、協力しながら対応していますが、特にコロナ対策は、山際大臣がコロナ対応でありますので、山際大臣も含めて関係閣僚もしっかりと責任を持ち、検証を進めていきたいと存じます。

 最後、取りまとめについては、どういった形で行うのか、これからいろいろと関係大臣とも協議しながら決めていきたいと思っています。

江田委員 それじゃ、総理、その結果、来年六月末までに司令塔機能の強化というのを図るんですね。それはいいんですね。どういうイメージですか。ちょっと、総理で、官邸ですから。

岸田内閣総理大臣 司令塔を担う機能、私も、総裁選挙のときに健康危機管理庁という名称を仮に使っておりましたが、司令塔機能を担う組織が必要であるという問題意識は従来から持ってきました。こうした体制を整えることは重要であると今も認識をしております。

江田委員 まだ具体策はないということですね。

 もう時間がないので、ちょっと話題を変えますけれども、新しい資本主義、これがなかなか、今日もずっと聞いていたんですけれども、よく分からないんですが、まず、端的にお答えいただきたいんですが、これは、さっき小川議員の指摘もありましたが、成長と分配の好循環というのはアベノミクス時代の言葉ですね。

 端的にお聞きしますけれども、このアベノミクスは岸田内閣において継承されるんですか。イエスかノーかで。

岸田内閣総理大臣 アベノミクスは、GDP、企業収益、雇用等、様々な課題において大きな成果を上げた経済政策だと思います。ただ、その経済政策の上に様々な工夫を加えなければいけない、このように申し上げています。

 成長ということに関しても、単なる競争や市場に任せるというだけではなくして、やはり政府も民間とともに役割を果たす必要があると思いますし、分配というのも、単にトリクルダウンを待つというのではなくして、政府もしっかり責任を担って、民間の呼び水としての環境整備をしっかり行いながら分配も考えていく。こうした点においては新たな取組ということが言えると考えております。

江田委員 分配を重視されるということですか。経済成長と分配というのは、オール・オア・ナッシングじゃないですからね。成長、分配というのは、最近ではOECDであれIMFであれ、これは二律背反ではなくて、まさに分配をしっかりやることによって、経済格差や貧困を撲滅することによって、全体的に教育水準が上がってイノベーションが起こるんだと。だから、新自由主義的なグローバリズムの象徴であったIMFですら、やはり、分配なくして成長なしと言い始めているんですね。

 こういった考えに立っているということですか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、分配をするためにも成長の果実が必要であるということから、成長戦略もしっかりと進めていかなければいけない、そしてその成長の果実をしっかり分配することが消費につながって次の成長につながっていく、こうした成長と分配の好循環を考えていくことが、持続可能性のある経済モデルをつくる上で重要であるという問題意識を持っております。

江田委員 いや、それは、今聞く限りにおいては余り違いはない、新しい考えではないと思いますけれども。

 総理、それではお聞きしたいんですけれども、総理は、分配にはお金が要るわけですね、その財源はどこに求めるというお考えですか。

岸田内閣総理大臣 財源を、例えばストレートに税等に求めるということは申し上げておりません。だからこそ、成長がまず大事だ、成長の果実があってこそ分配できるものができるんだということを申し上げております。

江田委員 いや、それは、聞こえはいいんですけれども、成長していないんですよ、アベノミクス下でも経済は、日本の経済だけが。

 それで、このパネル、これは日銀の統計ですけれども、何と潜在成長率はゼロにまで落ちました。グラフを見てください。アベノミクスでどんどん、潜在成長率というのは、これは端的に言うと、日本経済の中長期的実力を示す指標です、これがほぼゼロに落ちているんですよ。

 ですから、岸田総理が幾ら分配、分配だと言ったって、成長の果実はないんですよ、成長していないから。そこで分配ばかりすると、借金ばかり増えるわけでしょう。

 誤解なきように言うと、今回みたいな困窮、非常なコロナ禍では増税はできません。我々も国債で賄うのはやむを得ないと思っていますけれども、しかし、いずれ、総理、ずっと分配もやっていくんでしょう、この政権は、毎年毎年。その財源はどこに求めているんですか。成長はしませんよ、じゃ何でやるんですかといったら、税と歳出削減しかないじゃないですか、あとは。どう考えておられるんですか。これは根本的なことです。

岸田内閣総理大臣 今日までの成長について御指摘のような様々な評価があるということは承知しておりますが、だからといって、これから我が国の経済、成長を諦めるなんということは絶対あり得ないと思っております。経済は成長させなければならない、これが低いのであるならば、これから様々な工夫を加えて経済を成長させようということをまず申し上げております。

 そして、その際に、競争や市場任せで成長を引き出すというだけではなくして、更に政府としても役割を果たしていかなければならない。制度あるいは規制改革等、こうした環境整備はもちろん必要でありますが、それに加えて、例えばこれから注目すべきデジタルやグリーンや経済安全保障の分野においても、将来の市場規模等を政府がしっかりと示すことによって民間の投資をしっかり引き出していく等、政府としても、単に市場や競争に任せるだけではなくして、役割を果たしながら成長を実現していこう、これが成長をこれから進める上で大事だということも申し上げています。

 成長、大事です。成長の果実を分配する、こうした好循環をつくりたいと思っています。

江田委員 もちろん我々も成長は大事だと思っています。イノベーション、技術革新は大事だと思っていますよ。

 このグラフを見ていただきたいんですね。私どもは、そのイノベーション、技術革新の一番の推進力は国立大学だと思っています。

 その予算を見てください。この交付金、もうどんどん下がっているんですね。しかも安倍政権になって以降極端に下がっている。

 一方で、赤いこのグラフ、増えていますね。これは競争的な資金といいまして、要は、申請で、研究者が競争して取る資金ですよね。

 何が起こっているか。この運営費交付金が下がっていることで、結局、一般共通経費にお金を取られちゃってなかなか研究費に回らないという実情があるんですよ。

 一方で、競争的な資金が増えているものだから、研究者はその申請、応募書類を書いたり、いろいろなことで競争して、変な書類を書くと落選するものですから、とにかくそこに手間暇を取られて研究時間も削減される。

 研究費も削減されている、研究時間も削減している、これではイノベーションは起こるはずないじゃないですか。

 総理、これは増やしませんか、まず、少なくとも。この基本的な運営費交付金は下がるトレンドですけれども、ちゃんと増額していく、お約束できませんか。成長のためには必ず必要なことです。

岸田内閣総理大臣 大学における運営費交付金等の基盤的経費の重要性の御指摘は、御指摘のとおりだと思います。こうした経費も大事であり、科研費も大事であり、そして今回、大学ファンド、新たなファンドをつくって、こうした様々な財政的な支援を行っていく、こうしたことは大事だと思います。

 ただ、加えて、こうした財政面だけではなくして、大学改革など、様々な研究者の環境整備についてもしっかり考えていかなければならない。大学においても、運営と研究の分離等の考え方に基づいて、若い研究者がより研究に専念できるような環境整備を行うなど、こうした制度的な改革も併せてやることが結果につながると思っています。

江田委員 時間がもうないので、最後の一問にしますが、要は、岸田総理が給料をアップさせようという、僕は意図は正しいと思っているんですね。しかし、そのためにどうするか。

 税金で控除率を上げて、給料がアップするとは思えません。企業の六割は赤字ですしね。三%賃金を上げたって、一%しか控除されない、これは効き目がないことは今までのとおり。

 だから、例えば、赤字企業でも負担せざるを得ない社会保険料を軽減する、そうすれば賃金を上げるというインセンティブも湧きますし、何よりも、岸田総理もおっしゃっている、非正規職員を正規化するインセンティブにもなるんですよ、社会保険料を軽減すると、負担を。

 これは是非、総理、税だけじゃなくて、社会保険料でもちゃんと工夫しませんか。どうですか。

岸田内閣総理大臣 給与、所得を引き上げるということに加えて可処分所得をしっかりと確保するという観点から、社会保険料の負担を下げていく、こうした考え方は重要であると認識をいたします。

 ただ、その際に、これは単純に社会保険料を引き下げるということでは保険財政を損なうということに終わってしまいます。

 ですから、社会保険制度全体を考える中で、例えば、基本的に、社会保障制度を支える人間をいかに増やしていくのか、その能力に応じて支える側に回ってもらう、様々な工夫をすることによって支え手を増やしてこの制度自体を維持していく、能力に応じてみんなで支え合う社会保障制度をつくることによって社会保障制度の持続可能性をしっかり維持していく、そのことによって現役世代の保険料の負担増の抑制を実現する、そういった形で社会保険料の負担を抑えていく、こうした取組が重要であると考えます。

江田委員 この新しい資本主義、もう論点は多岐にわたりますので、引き続き議論させてください。

 今日はどうもありがとうございました。

根本委員長 この際、石川香織君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石川香織君。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。岸田総理、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、岸田内閣での初めての予算委員会の初日ということで、最後に質問をさせていただきます。

 私は、国家の基本は食であり、食は生きる源だと思っておりますので、一次産業は大変重要だと思っております。

 今、コロナで一次産業も非常に不安を抱えておりますけれども、先日の岸田総理の所信表明の演説の中でどんな言及があるかということを注目しておりましたが、先日の演説の中では、デジタル田園都市国家構想の中でスマート農業という言葉が入っただけでした。軽石被害のところでも漁業者の支援という言葉は入っていましたが、あくまで単語が入っていたということで、一次産業をこうしていきたいという方向性までは残念ながら見えませんでした。

 スマート農業、もちろん効率化とか省力化の点で非常に大事です。ただ、今すぐ取り組まなきゃいけない深刻な問題というのが現場には山積をしています。これまでの安倍政権そして菅政権を経て、一次産業の現場ではどんなことが起きていたか。

 例えば、家族経営が大部分を占めます農業経営体、二〇一〇年から二割以上も減らしました。これまで政府は大規模化を推し進めてきましたが、規模が大きくなるということは農家戸数が減るということです。これが地域のコミュニティーの衰退につながるのではないかという懸念を持っています。

 また、自治体の農政担当職員も、この十五年間で二七%削減をされています。現場に寄り添ってサポートしてくれるはずの自治体の職員が削減される一方で、規制改革推進会議の存在は一次産業の場においても大きな影響を及ぼしたと思っています。例えば、農協改革、水産改革、生乳改革。改革という名の下で、現場にほど遠い人たちが現場のルールを一変させてきた。この現状に、現場は本当に辟易しています。

 まず、岸田総理にお伺いをさせていただきます。

 岸田総理は、昨年の自民党総裁選の中では、この規制改革会議について、構造改革一辺倒を見直すため、規制改革推進会議を改組という踏み込んだ発言をされておられましたが、結局、この規制改革推進会議は存続するということになりました。

 新自由主義からの転換、そして規制改革を現場目線で検証といった主張もされていましたけれども、このことを一次産業の現場においてもしっかりお約束していただけるかどうかということをまずお伺いします。

岸田内閣総理大臣 私も、新しい資本主義という新しい経済モデルを進める中にあって、再三申し上げているように、競争や市場に任せるだけではなくして、やはり、政府もしっかり責任を担って、民間とともに、要は現場で汗をかいている皆さんとともに成長も分配も考えていかなければいけない、こういったことを申し上げています。

 そして、規制改革会議については、おっしゃるように存続はいたしますが、基本的な考え方、さらには、中にワーキンググループ等もたくさん設けてきました。そうした議論のありようについては、今申し上げた新しい資本主義の考え方を踏まえてこの議論を進めていただきたいと考えておりますし、そういった議論を是非関係者に期待をしたいと思っています。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

石川(香)委員 一次産業の現場は、自分だけがいいという考えでは、間違いなく持続可能な環境にはなりません。是非、今日は、岸田総理、聞く力を大切にされているということですので、現場の声を凝縮した質問をさせていただきますので、是非力になっていただきたいという思いを込めまして、まず、赤潮被害からお伺いをさせていただきたいと思います。

 赤潮被害ですが、未曽有の事態になっております。十二月の三日時点で道内の被害額は八十二億円と試算をされています。この被害額ですが、今後も複数年にわたって被害が出るということで、九十億円以上の被害が更に見込まれるとのことですけれども、私は、この程度では済まされないのではないかと思っています。

 被害額の内訳はサケ、ウニでして、八十二億円のうち七十三億円、およそ九割がウニの被害額となっています。見ていただいた方が重大性が分かるということでパネルを用意したんですが、これは十勝の広尾というところで、私の事務所で撮らせていただきました写真です。

 ウニの白い死んだ殻がばあっと打ち上がっている。このウニは四年かけて成長しますので、四年前から丹精込めたウニが、いざ捕る時期になって壊滅してしまった。この事実と向き合わなきゃいけない浜の皆さんの絶望等はいかばかりかというふうに感じます。

 私も浜の皆さんとたくさんお話をしましたが、こんなことは初めてだと。そもそも赤潮は西日本で発生することがほとんどでしたので、北海道のような開放された海域で発生するのは本当に珍しいことだそうです。

 この赤潮被害は、アキサケの異変というのが発端だったんですが、えらにプランクトンがくっついてへい死した数、ある漁協によると、もう既に一万一千匹以上となっていると。アキサケは主力ですから、これだけでも物すごい被害なんですが、先日漁が終わったシシャモ漁では、漁獲の大体例年の三分の一、ツブ貝も六分の一程度、ケガニも例年の三分の一しか捕れていないということでした。

 金子農水大臣にお伺いしますが、赤潮の原因も含めて、影響の度合いもまだはっきり分かっていないわけなんですが、このウニの殻のように目に見える被害だけではなくて、魚がいない、捕れないという、捕れない現実がずっと続いています。この見えない被害というのが非常に甚大だと思っています。

 そこで大臣にお伺いしますけれども、この被害額も含めて、長期的にという視点も含め、もっと精査する必要があるんじゃないかという点についてまずお伺いをします。

金子(原)国務大臣 石川議員の御質問にお答えしますが、北海道で赤潮というのは、こういう大々的な赤潮というのは私も初めてでございまして、これだけの大きい被害が出たということについては、我々も重く受け止めております。

 そういう中で、北海道庁の公表によりますと、十二月三日時点の被害の見込みといたしましては、サケが約〇・七億円、ウニが四年程度で約七十四億円など、計八十億円に及ぶとしておりまして、被害原因の究明と漁業経営の再建は重要な課題であると私も認識しております。

 今回の漁業被害のうち、サケ、昆布、貝類などにつきましては漁業共済の対象となっております。漁業共済及び漁業収入安定事業によりまして減収の補填を行います。

 漁船で漁獲していないウニ漁につきましては、共済の対象とはなっていませんが、令和三年度補正予算に盛り込んだ北海道赤潮対策緊急支援事業におきまして、漁業関係者など地元関係者が取り組む漁業環境の回復の取組を支援し、経営の継続を支援していきたいというふうに考えております。

 このほか、同事業については、広域モニタリング技術の開発、赤潮の発生メカニズムの解明等による発生予察手法の開発、赤潮原因プランクトンの水産生物に対する毒性の影響等の調査を行うことといたしております。

 これらの措置によりまして、今般の被害の、漁業の維持、回復を図ってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

石川(香)委員 浜の皆さんは、既にもう、近年、不漁に悩まされていたと。コロナが発生をして、赤潮というダブルパンチ、トリプルパンチ状態です。

 今、大臣からもお話ありました共済制度と積立ぷらすという制度がありますが、これは五年間の一番いい年と悪い年を省いた三年の平均の八割を補填するというものですので、ここまで長く不漁が続きますと、三年間の平均がぐっと下がってくる、補填される金額が少なくなるということで、この制度自体が機能を十分に発揮できないという状況にあると思います。

 今、お話、更にありました赤潮緊急支援事業というものですけれども、これは十五億円、国ということで、自治体と合わせて二十一億円というものを打ち出していますが、被害のスケールから考えて余りにも少な過ぎると思います。

 先ほども話しました、ウニは大きくなるまでに四年、ナマコは七年かかります。この先、今、モニタリングもしていますけれども、プランクトンの検出される数は少なくなっていますが、本当に死んでいるのか、それとも海底に沈んでいるのかというのは分かりません。やはりこれはかなり長期的に考えなきゃいけないというのもありますし、この緊急支援事業では使い道も限定されているというところもありますので、漁師の中で不公平感につながりかねないと思います。

 改めて、これでは足りないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

金子(原)国務大臣 実は、ウニの四年間ということで、取りあえず、初年度のウニの種苗を買い付けする対応をいたしております。したがって、これから、要するに原因究明をよくしなきゃならない。今は、漁業者からの聞き取りで、大体、北海道庁が、こういう状況になっていますということを私たちに報告が入っておるわけでございまして、これから原因を徹底的に究明いたしまして考えていかなきゃいかぬというふうに思っております。

 確かに、漁業共済の五中三というのは、議員御指摘のように、量が少なくなっていくとだんだん下がっていきますから、この問題についても、これはこれからよく検討していかなきゃいかぬというふうに私も受け止めております。

 以上です。

石川(香)委員 総理にもお伺いをさせてもらいます。

 この赤潮の被害は明らかに災害だと思います。被災地として、当面、浜の皆さんの生活支援をするとか、あらゆる知恵を出して、やはりこれを支えていかなきゃいけないと思っています。

 私、この赤潮の件は、漁師の方から夜電話をいただいて、翌朝視察に行ったんですが、その日を境に日替わりで各党が視察に来ると。現場を見ることは大事なんですが、やはりここは被災地ですので、議員の視察の在り方というのもひょっとしたら考えなきゃいけないかと、私はそういうことも考えました。

 この重大性を改めて感じていただいたと思うんですけれども、是非、この赤潮の解決に向けて積極的に取り組んでいただくという言葉を総理からもいただければと思います。

岸田内閣総理大臣 今委員のお話を伺っていても、この赤潮の被害、現地の皆さんにとっていかに深刻な課題なのか、これを痛感いたします。

 今、農水大臣の方から、漁業共済について、また、漁業共済の対象外であるウニについては赤潮対策緊急支援事業について、説明がありました。

 例えば、このウニについても、ウニ殻の除去等の漁場環境の回復の取組を経済対策によって支援していきますが、これに伴う地方自治体が負担する経費に対して特別交付税措置を講ずる、こうした取組もしっかり進めていかなければならないと考えます。

 いずれにしましても、現場の状況、これをまず丁寧に把握する、そして現地の皆さんにしっかり寄り添った対策、政府としても考えていきたいと思います。

石川(香)委員 もう浜の皆さん、このままだったら本当にみんな浜から離れてしまうと言っていますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 この赤潮もそうなんですが、確実に気候変動の波が日本にも押し寄せていると思っています。

 今日も、アメリカの竜巻の発生でたくさんの方が亡くなったというニュースもありましたが、国内でも災害が頻発をしています。先日の北海道の強風被害、余りにもすさまじかったので、このことについてもお伺いをします。

 十二月の一日に、急速に発達しました低気圧の影響で、北海道内ではすさまじい強風が吹きまして、倒木、ビニールハウス、住宅、畜舎の倒壊などの被害が発生しています。

 一番上のビニールハウスですが、過去二十年間、何事もなかったこのビニールハウスが二棟ひしゃげていると。下も、牛舎が、屋根が五十五メートルも先に飛ばされたということで、屋根がない状態になっています。

 この被害状況も、全てまとめられていませんけれども、少なくとも、ビニールハウスや倉庫など、現時点で営農施設の被害は千百件以上に上っているということでした。

 このビニールハウスの中では資材を置いたり春の営農に向けて育苗もしていたということで、かつ、雪国ですので、雪が本格的に降る前に修繕をしなければ、雪が降ってからだと二次被害、三次被害も出る可能性があるということで、北海道は日本の食料供給基地ですので、このままでは日本全体の食料供給に影響が出かねないということで、金子総務大臣にお伺いします。

 この被害の甚大さも鑑みまして、自治体からは、国の特別交付税措置など財政支援の必要性を強く訴えられておりますが、この点についてお伺いします。

金子(恭)国務大臣 まずは、北海道で発生いたしました十一月三十日からの暴風等において被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。

 この被害により被害を受けた自治体において、応急復旧対策などにどのような財政負担が生じるのか、その実情を丁寧にお伺いしたいと考えております。

 その上で、特別交付税措置を講じることなどにより、被災自治体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいります。

石川(香)委員 是非、被害の全貌をしっかり明らかにした上で、自治体から要請が来た際には地域に寄り添った対応をしていただきたいと思います。

 総理、やはり気候変動というのは命あるものにおいては非常に脅威だと思います。世界でも、気候変動、どんどんいろいろなところで影響が出ていて、国も気候変動の担当のポストなども積極的に置いている。

 日本も本気度を示すために、是非、日本でも気候変動担当大臣、この創設を考えてみてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 気候変動、おっしゃるように、今、世界においても、世界共通の大きな、地球規模の課題と認識をされ、大きな議論が行われています。

 先ほど来、資本主義の話をしておりましたが、新自由主義的な政策に基づく資本主義の弊害の一つとして、先ほど来出ている格差の問題と併せて、資本主義自体が自然環境に負荷をかけ過ぎてしまった、結果として気候変動問題が大きな問題としてクローズアップしてきた、こういった指摘もあります。

 こうした気候変動についてしっかり取り組んでいかなければならない、こうしたことでありますが、新たな大臣を設けよということですが、一応、環境大臣という、この問題をしっかり担当する優秀な大臣がおりますので、まずは山口大臣に、しっかりとこの問題に、今申し上げたこの課題が地球規模の重大な課題であるというしっかりとした認識を持って、しっかり対応してもらいたいと思っております。

石川(香)委員 カナダでも気候変動担当大臣というのがいるということで、是非前向きに考えていただきたいということも言いつつ、次の問題についてお伺いさせていただきたいと思います。

 続いては、燃油価格高騰についてお伺いをさせていただきます。

 ガソリン価格、多少波はありますけれども、依然高値が続いています。あらゆる産業、生活に大きな影響が出ているということで、特に雪国では深刻な問題です。今、コロナで密を避ける、換気をするという習慣がついていますけれども、一分、二分、外気を入れると物すごく室温が下がるということで、かなり通常よりも負担が大きくなっているという感覚です。

 今回、ガソリンの小売価格の全国平均が一リットル百七十円を超えた場合に、石油元売会社に最大五円の補助金を出すというものがありました。午前中の質疑でもこのことに触れられていた委員がいらっしゃいましたが、元売会社などに説明をして周知されている、現場の人にも理解してもらえるのではと答弁をされていましたけれども、これはモニタリングをしても強制ではないわけで、小売価格に反映されるとも言い切れないのではないかと。勘違いしやすいのが、小売価格が五円下がるわけではありません。

 一方、十二月七日に立憲民主党からトリガー条項発動法案を提出させていただきましたが、これは、一リッター百六十円が三か月続いた場合にガソリン税二十五円分を減税するというものです。

 萩生田経済産業大臣にお伺いしますけれども、政府案の民間企業に補助金というやり方よりも、減税して、生活に直結する支援の方が分かりやすいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 岸田内閣発足当初は、まだオミクロン株などが発見されていなくて、ここで経済を逆転をさせていこう、しっかりコロナで傷んだ経済を回復させていこうというのが大きな当初の目標でした。

 御指摘のトリガー条項も、消費者の皆さんにとっては安定的にガソリンを使う料金が下がるというメリットがあって、私、決して否定するものじゃないんですが、しかし、十月から百六十円を超えて、三か月後、そして財務大臣の告示の翌月ということになると、どんなに早くても二月以降の執行ということになります。そうではなくて、この年末年始をしっかり安定して見渡していただけるような体制をつくろうということで、今回初めてそのような制度をつくらせていただきました。

 おっしゃるように、ガソリン価格、灯油価格、軽油価格、これは、価格の設定は小売店の自由でありますから、強制はできません。しかし、これだけ話題になって、そして、元売業者に対してお金を入れるということは、もう既に元売業者の皆さんが、大宗の、取扱高の九割を超える業者の皆さんが、きちんとそれは価格から引いて卸しますということをはっきり言ってくれていますので、ここまで透明度がある形でガソリンや灯油が動くということになると、小売の皆さん、特別な事情があってどうしても下げられない地域も中にはあると思います。現に、現時点でもやはりいろいろ値段は地域によって違うんですけれども、私は、そこは、全国二万九千か所のSSの全調査というのもやる予定でございますし、価格が適切に抑制されているかどうかモニタリングすることで、価格抑制の実効性というのはしっかり確保していきたいなと思っています。

 私たちが優先したのは、とにかくスピード感を持って、この年末に対応できることをやろうということです。

 そして、なかなか評価されていないんですけれども、元売に入れるということは精製前の原油に対してのお金を下げるということなので、実は、トリガーでは、軽油を下げることができますが、灯油は下げることができません。しかし、今回のこの制度は、元売価格にお金を入れるので、精製をした灯油も下がるということになりますので、是非、小売店の皆さんを信頼して、私は、この冬しっかりやっていきたいと思いますので、見守っていただければと思います。

石川(香)委員 これはいろいろな考え方があると思うんですが、とにかくよりいい方法を見つけていかなきゃいけないということで、引き続き、このトリガー条項発動法案も含めて検討していただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってしまいましたので、少し質問を変えますけれども。

 今、このガソリンもそうですが、アドブルーというものも足りない。ディーゼル車が走るために必要なものなんですけれども、これも足りなくて現場では大混乱している。

 マスクも昨年は全く足りなかった。ウッドショックという問題もあった。これは、やはり輸入に頼り過ぎたということのリスクの大きさというものを私たち実感させられた出来事だったと思うんです。

 今、食料自給率が三七%の日本ですけれども、一方で、食品ロスと呼ばれるものが五百七十万トンもある。今この瞬間にも、今日、明日食べるものに困っている方が大勢いらっしゃる。その中で、なぜこんなに食品が廃棄されるのか、このミスマッチを私は解消するべきだと思っています。

 今、このミスマッチが酪農の現場でも起きようとしています。

 金子大臣にもお伺いしますけれども、今ちょうど搾乳の時間だと思いますが、コロナによって需要が減って牛乳が余ってしまう、処理し切れなくなると、最悪、廃棄をしなきゃいけないという正念場になっています。

 元々、そもそも政府が大規模化をどんどん推し進めて、そして意欲のある人が多額の投資をしてどんどん頑張ってきた、その人たちが今負担する側になるというのは、やはりこれは納得できないと思うんです。

 日本の食料の問題ですので、是非これは全国レベルで生乳流通を考えていかなければいけない正念場ではないかと思うんですが、国がもっと積極的に関わってほしいという点について、是非御答弁いただきたいと思います。

金子(原)国務大臣 加工原料乳の生産過剰の問題でございますけれども、加工原料乳の生産補給金の単価につきましては、加工原料乳の生産地域の再生産が可能となるように、生産コストの変動や物価動向を考慮いたしまして算定し、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決定することとしております。

 本年度についても、これらのルールにのっとりまして、適切に算定をしてまいりたいと考えております。

石川(香)委員 本当に、飼料代も燃料代も上がっていて、もちろん、この補給金のことも皆さん大変気にされていますけれども、やはり、食料を無駄にしないで、必要な人の口元に入る仕組みを国が頑張って考えるということが必要だと思います。

 今、食料も非常にこういう状況で、危機的な状況だということですけれども、この酪農、畜産の農家に向けてでも、是非、総理からも、この危機的な状況を何とか改善できるように頑張りたいというメッセージを送っていただければと思います。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、食料の話、乳製品の話、御指摘がありました。

 是非、政府としましても、現場の様々な課題、現場の方々の思いにしっかり寄り添って、丁寧な対応をしていきたいと存じます。農水大臣にも、そうした対応をしっかりと検討させたいと思います。

石川(香)委員 生き物は、人間の都合で増やしたり減らしたりということが急にできません。是非、現場に寄り添った対応を心からお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 次回は、明十四日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.