衆議院

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第3号 令和3年12月14日(火曜日)

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令和三年十二月十四日(火曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      加藤 勝信君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    菅家 一郎君

      北村 誠吾君    後藤田正純君

      下村 博文君    土屋 品子君

      中谷 真一君    根本 幸典君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      宮崎 政久君    宮澤 博行君

      簗  和生君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    江田 憲司君

      逢坂 誠二君    岡田 克也君

      落合 貴之君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      階   猛君    鈴木 庸介君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      牧  義夫君    道下 大樹君

      山崎  誠君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    渡辺  創君

      足立 康史君    池下  卓君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      遠藤 良太君    小野 泰輔君

      沢田  良君    藤田 文武君

      三木 圭恵君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    中川 宏昌君

      福重 隆浩君    玉木雄一郎君

      前原 誠司君    赤嶺 政賢君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      吉良 州司君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   野田 聖子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣

   (国際博覧会担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   環境副大臣        大岡 敏孝君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     高科  淳君

   政府参考人

   (内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長)          小野平八郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       堀江 宏之君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十四日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     宮崎 政久君

  下村 博文君     根本 幸典君

  江田 憲司君     吉田はるみ君

  源馬謙太郎君     岡田 克也君

  階   猛君     牧  義夫君

  長妻  昭君     山田 勝彦君

  道下 大樹君     逢坂 誠二君

  足立 康史君     沢田  良君

  市村浩一郎君     小野 泰輔君

  岩谷 良平君     池下  卓君

  輿水 恵一君     福重 隆浩君

  前原 誠司君     玉木雄一郎君

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     菅家 一郎君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  逢坂 誠二君     道下 大樹君

  岡田 克也君     源馬謙太郎君

  牧  義夫君     中島 克仁君

  山田 勝彦君     長妻  昭君

  吉田はるみ君     渡辺  創君

  池下  卓君     岩谷 良平君

  小野 泰輔君     藤田 文武君

  沢田  良君     遠藤 良太君

  福重 隆浩君     輿水 恵一君

  玉木雄一郎君     前原 誠司君

  赤嶺 政賢君     宮本  徹君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     宮澤 博行君

  中島 克仁君     山崎  誠君

  渡辺  創君     鈴木 庸介君

  遠藤 良太君     三木 圭恵君

  藤田 文武君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     簗  和生君

  鈴木 庸介君     江田 憲司君

  山崎  誠君     階   猛君

  三木 圭恵君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     下村 博文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和三年度一般会計補正予算(第1号)

 令和三年度特別会計補正予算(特第1号)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和三年度一般会計補正予算(第1号)、令和三年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長高科淳君、内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長小野平八郎君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官堀江宏之君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、文部科学省大臣官房長矢野和彦君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省労働基準局長吉永和生君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省社会・援護局長山本麻里君、厚生労働省人材開発統括官小林洋司君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、防衛省人事教育局長川崎方啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 昨日の小川淳也君の質疑に関連し、逢坂誠二君から質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。逢坂誠二でございます。

 総理、今日はお世話になります。委員長もよろしくお願いします。

 特に政調会長時代、いろいろお世話になりまして、ありがとうございました。岸田総理と話をしていて、政策や考え方に私と近いところがあるなというふうに思っていまして、非常に期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 実は私は、大平正芳さんが大好きで、大平正芳さんの考え方、大平さんの本なんかも今も時々読んでおります。学生時代に大平さんが亡くなったときも、大変残念だなというふうに思った、そういう思い出がありますけれども、総理は誰か、自分の目指す政治家というか、お手本にする政治家というか、好きな政治家というのはいらっしゃるんですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 私も、目標にすべき政治家、大先輩方、大勢おられますが、私個人としましては、同じ広島県出身でもあり、地元においても、また政治活動においても様々な参考にさせていただいている池田勇人総理、一つ大きな目標として挙げさせていただいております。

逢坂委員 突然の質問で恐縮でありました。池田さん、所得倍増ということでありますけれども。

 それぞれ、目指す政治家、似ているところもあるのかなというふうに思いつつも、とにかく国民の命と暮らしを守るために様々な政策を具体的に実行する、そのために私も頑張ってまいりたい、そう思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入らせていただきますが、まず、今日、第一点目、文通費についてお伺いをします。

 今回、文通費、衆議院議員が、十月三十一日、たった一日だけしか在籍しないのに、一月分、百万円が満額支給される、これについて随分国民の皆さんから、おかしいじゃないかという声が上がっているわけでありますが、この点について、総理、どう思われますか。一日しか在籍しないのに百万円満額支給される、この点について総理はどうお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 文書通信交通滞在費について、一日しか仕事をしていないのに満額支払われるということ、これは、国民の皆さんの感覚からして、納得がいかない、疑問に思われる、当然のことではないかと存じます。

 是非、こうした疑問に対してどのように応えるのか、政治家として共に考えていかなければいけない課題であると認識をいたします。

逢坂委員 一日しか在籍しないのに満額払われることは国民の理解は得られない、これは政治家が考えなければならない課題であるということであります。

 もう一方、現在、文通費、これは使途を公開しなくてもよいということになっております。ところが、世論調査などを見ると、この点についても多くの国民の皆さんは納得されていない。国から百万円も出ているのに、領収書も添付しない、使途も公開しないなんておかしいじゃないか、こういう声が随分多いと、世論調査などでは私にはそう受け止められるわけですが。

 この点、国民の皆さんがこう思うということについて総理はどう思われますか。

岸田内閣総理大臣 こうした文書通信交通滞在費のありようというのは、議員活動に具体的に様々な影響をもたらす課題であると認識をいたします。

 こうした国民の皆さんの疑問が呈されている、こういったことを受けて、国会において、各党各会派、議論を今続けておられると認識をしております。

逢坂委員 総理は今、事実を述べただけで、国民の皆さん、それは疑問に思うのは当然だろう、それを受けて各党各会派で議論をしていると認識をしているということでありますけれども、総理御自身、どう思われますか、この使途は公開しなくてもいいよということについて。これは、やはり国民の皆さんがこれに疑問に思うというのは当然だというふうに思うのか、それとも、いやいや、それはそういう事態もあり得るだろうというふうに思うのか、それはいかがですか。

岸田内閣総理大臣 一日しか勤務していないのに満額払われるという事実に対して多くの国民の皆さんが疑問を呈されておられる。それに対してどう応えるかということについて、各党各会派、今議論をされておられる。そして、御党からも、たしか三点ほど提案をされているということを承知しています。それを三点にするのか、一点にするのか、こういった議論が行われていると承知をしています。

 そういったこと、これは国会の、議員の活動そのものに大きく影響することであります。私自身、内閣総理大臣の立場からその内容について申し上げることは控えますが、こうした各党会派の真摯な議論を通じて国民の疑問に応えていくことは大変重要であると認識をいたします。

逢坂委員 国民の疑問に応えていくことは重要であると。国民の疑問は、要するに、使途が公開されないのはおかしいだろうという疑問があるわけで、その疑問に応えることは重要だという認識でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 こうした議論を尽くしていくことは大事だと申し上げています。ただ、私の立場から内容について、国会のこの議論の内容について申し上げるのは控えたいと思いますが、こうした議論を尽くすことは重要であると認識をしております。(発言する者あり)

根本委員長 まず、御静粛にお願いいたします。

逢坂委員 内容について総理が踏み込まないというのは、私、いささか残念であります。総理自身も国会議員の一員でありますし、文通費も受け取っておりますから、そこに踏み込まないのは非常に残念なんですが。

 立憲民主党としては、これまで、日割り、それから返還、使途の公開、これを三点セットで実現するように訴えております。そして、その法案も国会に提出をしております。

 そこで、自民党はこの点について……(発言する者あり)委員長、ちょっと。

根本委員長 御静粛にお願いします。

逢坂委員 この点について、日割りだけでよいと考えているのか。我々は三点セットが大事ですよと、日割りが大事ですよ、返還が大事ですよ、使途公開の三点セット……(発言する者あり)

根本委員長 今、本人質問中ですから、御静粛にお願いします。

逢坂委員 これが大事ですよということを言っているわけですが、どうも御党の議論を見ると日割りだけでいいんじゃないかというふうにも聞こえるんですが、この点は、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 国会において各党各会派が議論されること、今委員が御指摘になられたような三点についてどう考えるか、それを一点に絞るか、どうするか、こういった議論をすること、これは大変重要なことだと思いますが、私の立場から、政府として内容について申し上げることは控えたいということを申し上げております。

 是非、こうした議論を尽くし、そして国民の疑問に応えていく、こうした努力は重要であると認識をいたします。

逢坂委員 総理の立場は、もうこれはいつも語り尽くされていることですが、総理の立場であると同時に自民党総裁です。党の立場、これはよく予算委員会の答弁でも、使い分けた答弁をされる場面もありますので。

 私どもは、繰り返し言いますけれども、日割りをやること、返還をすること、使途を明確にすること、この三点セットを我々としては主張しているわけです。法案も提出しました。だから、是非、自民党総裁として、この立憲民主党が提案する三点セット案、これを何とか実現できるように御党の中でも指示を出していただきたいと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点は、議員活動の在り方に関わる重要な課題であると認識をしています。こうした議論、各党各会派でしっかりとこの議論を尽くしていただく、このことは重要であると認識をいたします。

 私も、そうした議論の結果に国会議員の一人として従っていく、これはしっかりと、こうした思いでこうした議論の行方を見守っていきたいと考えております。(発言する者あり)

根本委員長 不規則発言は慎んでください。御静粛に。

逢坂委員 総理、総理としてのお立場は私は理解はいたします。でも、自民党の総裁でもありますから、是非、議論を見守るということではなくて、野党も、今我々が主張している三点セット、日割り、返還、使途の公開というのは、多くの野党の皆さんからも、それはいい方向じゃないですかということを御支持もいただいておりますので、あとは自民党の皆さんがそうだと言ってくれればこれは実現するわけですよ。

 だから、是非総理も、改めてお願いですけれども、自民党総裁として、この三点セットの話をよく聞いて、これが実現するように努力をしてくれよというようなことは党内では言えないものなんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 内容について申し上げることは控えますが、議論を尽くすべく努力することは大事である、これは申し上げることができると思います。

 自民党としても、この議論に誠意を持って臨むということはしっかり確認をしたいと思っています。

逢坂委員 是非、総理、しっかり議論をしてくれということを言っていただきたいと思います。

 我々は、何度も繰り返しますけれども、日割り、そして返還、それから使途を公開する、この考え方を明確に旗印と掲げ、そしてこれを法案として提出をしておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 ただ、踏み込んだ発言がないのはちょっと私としては失望感がありますけれども、是非改めて、しっかり議論するようにということを言っていただきたいと思います。

 それでは、総理、その点を強くお願い申し上げて、次の話に入りたいと思います。

 いわゆるアベノマスク、アベノマスクと言う方が国民の皆様には通りがいいので、あえてアベノマスクというふうに言わせていただきますが、政府は昨年、約四百億円をかけて二億九千万枚、これを購入いたしております。ところが、昨年度末時点、今年の三月末時点で八千二百七十二万枚、八千二百七十二万枚ですね、これが国民に行き渡ることなく在庫として保管されていると。これを金額に換算すれば、約四百億円で購入していますので、この八千万枚余りを金額に換算すれば百十億円以上、これが在庫として積み上がっているということになっています。

 しかも、これは倉庫に保管していますので、この在庫を保管するための保管料がかかる。昨年度、昨年度だから今年の三月までですね、この八か月間で六億円、倉庫への保管料がかかっている。六億です。そして、新年度に入ってから今までの段階で、政府から聞いたところによると、三億余り、保管料にお金がかかっているということであります。

 今日私がお伺いしたいのは、この八千二百万枚余りのマスク、この在庫を政府は今後どのようにしようとしているのか、これをお伺いしたいんです。

 昨日、我々の同僚の小川議員に対して総理は、災害備蓄や住民からの求めに応じて配付をするという答弁をされました。ところが、実際には、この十月、それじゃ住民の皆さん、国民の皆さんから求めがあったのかといえば、ほとんどなかった。三十七の施設からマスクが欲しいという求めはあったというふうに聞いておりますけれども、それは八千二百万枚からすればごくごく少ない枚数なわけですね。このペースでいったら何年でこの在庫がはけるか分からないぐらい、物すごく少ない額なわけであります。

 このマスクを、単に災害備蓄や地域住民からの下さいよという求めに応じて待つだけなのかどうか、この点、総理の考えをもう一回教えていただけますか。

後藤国務大臣 昨日も答弁をさせていただいているところでもありますけれども、まずその八千万枚のマスクの事情について申し上げれば、昨年度、マスクの需要が非常に逼迫して、入手困難な状況となっていた中で……(逢坂委員「在庫をどうするかと聞いているんです」と呼ぶ)はい。感染拡大防止に一定の効果があり、洗濯して使えるということで、少しでも国民の健康を守りたいということで緊急的に実施したものでございます。その後、プッシュ型の供給等の必要がなくなり、八千二百七十二万枚の保管枚数があることは先生の御指摘のとおりでございますし、昨年度の保管費用が六億円かかっているということも御指摘のとおりでございます。

 今後、これまでの介護施設への随時配付、これも続けるといたしまして、有効活用として、希望する自治体に配付するほか、災害備蓄、地域住民への配付などで活用させていただきたいというふうに思いますし、希望する個人の方への国からの配付にも使いたいというふうに思っております。

逢坂委員 希望する方へ配付をする、あるいは福祉施設などへ配付をするということですが、後藤大臣、ガーゼのマスクは、今、コロナのこの感染の中で、こういう不織布のマスクに比べて効果が薄いということで、私も実は以前、布のマスクをしていたんですが、それをしているだけでも批判を受けるというようなことがあるわけですね。だから、布のマスクの今の時点における、ある種、感染対策としての有効性というのは必ずしも高くないというのが多くの国民の認識じゃないかと思うんです。その中で、必要な方に配るといっても、マスクとして普通に使っていただきたいという思いなのかどうか、ちょっと私はそれは疑問なんじゃないかというふうに思うんです。

 今のペースでもしこのマスクの配付を続けるとしたら、後藤大臣、これは何年保管することになりますか。その間の保管料というのはどれぐらいになりますか。

後藤国務大臣 将来どういう需要があるかは定かでないので、なかなかどのぐらいかかるかということについてお答えはしにくい状況でございます。

 それから、保管費用につきましては、もう少し安くできないかということは、今、入札を行っている過程で、努力もしているところでございます。

逢坂委員 じゃ、この八千二百七十二万枚のマスクは、いつ在庫がはけるかまだ今の時点では分からない、だけれども在庫は抱え続けるということでよろしいですか、後藤大臣。

後藤国務大臣 今後しっかりと将来の使い方についての検討をすべきだということでございますけれども、いずれにしても、例えば、一部にあるような、廃棄をするというようなことも検討かということについては、まずは有効活用策を何とか考えていきたいというふうに考えております。

逢坂委員 じゃ、改めて総理にお伺いしますが、今の後藤大臣の答弁からすれば、廃棄よりもまず有効活用を考えるんだということ。ただ、今のペースでいけば、簡単にこの八千二百七十二万枚の在庫が減るとはちょっと私には思われない。ということは、保管料、今、年間大体十億ぐらいかかるんですね、去年は八か月で六億ですから、十億ぐらいの年間の保管料を負担して、このマスクは抱え続けるということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 まず、今、厚生労働大臣からお答えしたように、有効活用の道は引き続きしっかり検討し、模索していきたいと思います。

 ただ、今聞いておりまして、保管料の点も御指摘がありました。その点を踏まえて、費用対効果の観点から何か道はないのか、今厚生労働大臣のお答えの努力を続けた上で、費用対効果で何か道がないのか、これは私としても検討させたいと考えます。

逢坂委員 費用対効果の観点から何か検討させたいと。その中には、廃棄という選択肢もあるんでしょうか。それは、あくまでも有効活用ということでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まずは有効活用の道を探りたいと思います。そして、その上で、費用対効果の点から何か、今厚生労働大臣がお答えした道以外にないのか、これを検討したいと思います。

 中身については、今の段階では予断を持って申し上げるのは控えたいと思いますが、是非しっかりと検討させたいと考えます。

逢坂委員 中身について予断を持って答えるのは控えたいというよりも、中身は今の時点で想定がつかないから答えられないというのが現実じゃないかと思うんですが、それはちょっと脇に置くとして、今回のこのアベノマスクですけれども、私は、どうもこの政策は、この政策の発足当初といいましょうか、これをやるぞと言った最初から迷走続きだったように思っています。

 最初は、調達先、これが本当にマスクを調達するにふさわしいところに依頼をしたのかどうかというところ、これはまだ内容がはっきりしておりません。ここが不透明でした。その金額についても非常に不透明でした。

 それから、途中、製造過程の品質管理、これが非常に悪くて、途中で、カビが生えていたとか、異物が入っていたということで、返品をして、また作り直すみたいなこともありました。

 それから、国民に実際に配付をしても、自分じゃこれは使わないよ、この小さなマスク、これじゃ全然駄目だよということで、よそに寄附をしたとか、あるいは家にそのままほったらかしになっていた、そういうケースもあったというふうに思っています。

 その意味でいうと、今、在庫もこんなに、八千二百七十二万枚も残っていて、このアベノマスクという政策、これは、岸田総理、客観的に見て、失敗だったというふうに言わざるを得ないのではないかと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の政策については、昨年度、まだ新型コロナの実態が検討され、そして模索されていた段階において、また、ワクチンやそして治療薬等の開発も進んでいない中にあって、先行きの見通しが立たない、こういった状況の中にあって、マスクが逼迫をし、そして入手困難な状況が起こり、そして社会において不安が広がっている、こうした中で、少しでも国民の不安を和らげたい、国民の健康を守りたい、こうした思いで緊急的に実施されたものであると認識をしています。

 しかしながら、その後、たしか会計検査院からもこの政策について、たしか大きく三点ほど指摘があったということは承知をしています。そういった点、検証すべき又は反省すべき点があったということはしっかり受け止めなければならないと思います。

 その上で、今後、在庫についてどう考えるのか、真剣に考えていきたいと思います。

逢坂委員 今、総理が答弁する前に、私の隣の与党筆頭の谷公一さんから、それは失敗したとは言えないよというつぶやきが聞こえたんですけれども、確かに総理の立場でなかなか失敗したとは言えないというふうに思います。

 だけれども、今、総理が真摯にお答えいただきました、会計検査院のことも含めてお答えいただきましたので、私は、このアベノマスクについては、まず最初に、調達先の妥当性というところも相当大きな疑問があったわけであります。そのことも含めて、会計検査院の指摘、それも踏まえて、この政策が本当に妥当だったのかどうか、どこに課題があったのかということをしっかり調べていただきたいと思いますし、それを調べた結果をまた後に私お伺いしたいと思うんですが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政策が妥当だったかどうか検証するようにという話ですが、そうした考え方はしっかり受け止め、具体的にどこでどう検証するか等、一度考えてみたいと思います。

逢坂委員 私は、政策を様々実行する上で、岸田総理の聞く力、これが本当に妥当かどうかということを聞くということがあれば、多分こんなことにはならなかったんじゃないかと思うんですね。昨年、予算委員会でもこの問題、私も安倍総理ともやり取りをさせていただいたこともありますけれども、何かやはり謙虚さが必要だというふうに思いますので、岸田総理、是非、聞く力、大事にして、これから政策を進めていっていただきたい、そう思います。

 それでは、次の話題に移らさせていただきます。大岡環境副大臣のことなんですが、雇用調整助成金を、制度としては確かに政治家の事務所も該当にはなるだろうけれども、決して適切なものではなかったといった雇用調整助成金を活用した問題であります。

 これは私、総理、既にもう結論が出ているんじゃないかというふうに思うんですね。結論が出ているというのはどういうことか。

 昨日、大岡副大臣、どういう答弁をされたかということを、ゆうべ速記録を読ませていただきました。そうしたら、大岡副大臣、こう言っているんですね。今回の私が給付を受けたという事実は国民感情に照らしても理解を得られるものではない。国民から理解が得られないものなんだという認識を大岡副大臣は持っているわけですね。その上で、副大臣の仕事については、全てを任命権者に任せておりますということなんですね。任命権者というのは、すなわち岸田総理のことであります。

 一方、総理自身は、やはりこう言っているんですね。適法だけれども、国民の理解は得られないということを私も感じています。だから、大岡副大臣と同じように、国民の理解は、これは全く得られないということを総理も感じているという答弁を昨日しているわけであります。

 それで、その上で総理はこういうふうに言っています。どう身を処するかということにつきましては、それぞれの立場、経歴、あるいは影響力、こうしたものを勘案して、それぞれがどう身を処するか、これを考えていくべきと答弁されているんですね。

 これらの答弁を、全体を見てみますと、大岡副大臣は、もう自分では自分のその出処進退を判断しないと言っているんです。総理に委ねていると言っているわけです。でも、いずれもが、総理も大岡副大臣も、国民に理解は得られないということは、これはもう明確に認めているわけですよね。だから、大岡副大臣のこの処分をどうするか、身の処し方をどうするかということは、ひとえに総理の御判断に懸かっているというふうに思うんですが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回の件については、これは、制度上適法な対応ではあるけれども、政党支部がこの制度を利用するということについて国民の皆さんがどう思うかという点、ここがポイントであったと思います。その点について、今委員の方から御指摘があったような答弁を昨日行ったところであります。

 大岡副大臣については、国会あるいは記者会見の場で、まずは、こういった制度について、そして、この対応については適法であったということもしっかり説明した上で、政党支部としてこの制度を活用した経緯について説明を行いました。そして、その上で、このお金については返金を行うということを明らかにし、そのように対応すると承知をしています。

 大岡副大臣の立場からは、こうした説明を行い、そして返金を行うということでありますが、引き続き国民の皆さんにこうした経緯について説明を行う、丁寧な対応を行う、こうしたことを行ってもらいたいと私は思っています。そういった対応で、引き続き副大臣として国民の信頼、共感の下に仕事をしてもらうよう努力をしてもらいたいと考えております。

逢坂委員 私、今の総理の判断は、国民の皆さんには納得いただけないと思いますよ。副大臣自身も、国民の理解は得られないと言っている。総理自身も、理解は得られない、そうお感じになっておられる。その上で、副大臣は、任命についてはもう、どう身を処するかということについては全てを任命権者に任せていると言っているわけですから、総理の御判断なわけです。ただ、その御判断をする総理自身が、今、副大臣の仕事を説明を尽くした上で継続してもらうという発言をされました。私は、これは国民の理解は得られないというふうに思います。

 そこで、総理、私、これは、ここから先は分からないです。大岡副大臣は、例えば、コロナ禍だからこの雇用調整助成金を活用したのか、あるいは、ほかの場面でも雇用調整助成金を活用するようなことがあったのかなかったのか、あるいは、今はコロナ禍ですから、そういう意味でいうと今年も同じ状況にも思われるわけですので、その中でも雇用調整助成金を活用していなかったのかどうか、こういう広がりについては、大臣、どう御覧になっていますか。私は、ここは分からないので、素直に、ストレートに大臣に聞いているんですが。

岸田内閣総理大臣 だからこそ、先ほどから申し上げているように、制度としては適法であったけれども、制度利用に至るまでの経緯、これをしっかり説明してもらいたいということを申し上げています。現在まで、説明は行ったわけですが、そして返金もしっかり行っていただいた上で、引き続き、この背景等についてもしっかり説明をしていく、こうした努力は副大臣にしっかり行ってもらいたいということを私からも申し上げているところであります。

逢坂委員 現時点で総理が何も処分をしないというか、要するに、このまま継続して副大臣を続けるという判断をされていることについて、多分、私は、国民の皆さんにしてみると、そうか、そんな程度なんだという思いを持たれるんじゃないかと思っています。

 この問題については、私の後の時間に同僚議員が、今度は大岡副大臣にもここへお越しいただいて話を伺うことになっておりますので、続きはそちらに譲りたいと思いますけれども、総理、きちんとやはりこういう問題には対処をされた方がいいと、私からは、僭越ですけれども御提案したいと思います。

 それでは次に、十万円給付についてお伺いをします。

 昨日、総理がこの十万円給付について、クーポンだけではなくて十万円の一括給付を認めたということは、私はこれは総理の聞く力のたまものかもしれないというふうに思っています。

 全国の自治体の現場、私も長い間自治体で仕事をしておりましたので、今の状況を思うと、そうか、一括十万円で給付してもいいんだ、しかも、条件はないんだ、その財源も国から支援される、そう思えば、自治体の皆さんもちょっと安堵をされているのではないかというふうに思います。もちろん、安堵だけではなくて、大混乱にあることも事実ですけれども、その反面、いやあ、クーポンをやらなくてよかったから事務量も減ったな、予算編成の忙しい時期にやらぬでよかったよ、そう思っている部分もあると思うんですね。

 そのことについて、昨日の総理の答弁、これも議事録を読ませていただくと、これから対応する、いろいろな不都合もあるかと思いますが、地方自治体ともしっかり意思疎通を図りながら、しっかりと制度設計を続けていきたいという答弁を昨日されました。

 この答弁は、すなわち、これからも、不都合があればこの十万円給付の制度を見直すという意味なのでしょうか。要するに、こう言っているんですよね、いろいろと不都合もあるかと思います、自治体ともしっかり意思疎通を図りながら、しっかりと制度設計を続けていきたいという発言をされているので、今後、何か不都合があれば更に制度を直すというお考えなのかどうか、この点、確認させてください。

山際国務大臣 お答えいたします。

 昨日、この子育て世帯への給付の在り方について、地方自治体からの御意見や国会での議論も踏まえ、柔軟な制度設計を進めるというふうなこととしたものでございまして、地方自治体において円滑な準備が行われるよう、補正予算の成立を待たずに、まずは、この現金給付を認める場合について一律の条件を設けて審査を行うことは考えていないということや、補正予算の成立前に給付が行われた場合、給付対象者や給付金額等が適切なものである限り事後的に補助金を交付することなどを、この政府の考え方を地方自治体にまずはお示しをしたいと思ってございます。

 そして、昨日総理から御答弁させていただきましたように、そのコミュニケーションを続ける中で、更に工夫が必要なものに関しては、柔軟な制度設計ということでございますので、柔軟に対応はさせていただきたいと思っております。

逢坂委員 コミュニケーションを続ける中で、柔軟な制度設計ということで対応してまいりたいということでありますから、自治体から追加の要望などがあれば見直しもあり得るという理解でよろしいですか。大きくうなずいておりますので、それでよろしいという理解をいたしました。

 それでは、総理、是非直していただきたいものがあるんです。

 まず、全国の自治体の状況を見ると、私は、クーポンをやるところが皆無だとは思いません、ゼロだとは思いませんが、ほとんどのところが現金支給に私はシフトするというふうに思います。それなのに、クーポンを原則とするというこの原則。これを撤回された方がいいんじゃないかと思います。これは、制度の変更というよりも、撤回しても何しても、自治体の皆さんにしてみると、とにかくそっちが主流なんだから、制度はもうクーポンじゃなくて現金が主体だ、だからクーポン原則というのはやめてくれよということだと思うんですが、このクーポンが原則というのを撤回するおつもりはありませんか。

山際国務大臣 今委員が、十万円給付の方にほとんど流れるんじゃないかという話がございましたが、実務を担当している我々の部署からいたしますと、毎日、地方自治体の皆様方とコミュニケーションを取っております。その中には、クーポンを利用したいという声も少なからずございますし、また一方で、今回のことをいい契機として、新しい、言ってみればデジタルを使ったような仕組みを使って地域を活性化するということにもチャレンジしてみたい、こういうような声も聞こえます。

 ですから、ある意味、この十万円一括給付というものがメジャーになったとしても、そういう工夫をしたいという方々について、政府の方針としては、基本的にはクーポンを使ってやろうということを堅持して、そこに関してしっかりサポートしていく、そういう姿勢を示さなくてはいけない、私は担当大臣としてそう考えております。

逢坂委員 余り説得力がないですね、山際大臣。

 今のような話であるならば、どっちも選択できますよということでいいんじゃないですか、どっちにもメリットがあるんだから。だから、クーポンをやりたいというところはクーポンどうぞ、現金でやりたいというところはどうぞと。クーポンを原則にするという意味はないんじゃないですか。いかがですか。

山際国務大臣 柔軟な制度設計と言っておりますから、どちらを選択していただいても結構だということは、先ほど御答弁申し上げましたように、まず、この補正予算が成立する前ですけれども、しっかりとお示しをしてまいります。

 その上で、やはりクーポンというものを使ってやろうということを、最初に決めた話でありますけれども、これを準備するのは相当大変だというのは先生もう御案内のとおりですね。ですから、ある意味、逆に、どちらでもいいということはお示しをするんですけれども、この基本的な設計としてクーポンを使っていくということをなくしてしまうと、そうすると、何でクーポンを使ってやるんだというようなことについて、ある意味ネガティブに働く可能性だって僕はあると思うんですね。

 ですから、そういうことも含めて、どちらを使っていただいてもいいというのは明言させていただいているわけですけれども、しっかり政府としてこのクーポン等々を活用するということに関してサポートをする、そういう姿勢も含めて申し上げているわけでございまして、事実上は先生がおっしゃっているようにどちらを選択していただいても構わないということを言っているわけですから、この方針のままいかせていただきたいと思っております。

逢坂委員 総理、全く説得力がないというふうに思うんですがね。

 今回のこの混乱の要因というのは、総理、何だと思いますか。政府がクーポンにこだわったことじゃないですか。二回給付、クーポンにこだわるから自治体の現場は混乱して、本当にそんなのこの短期間の中で二つもやらなきゃいけないのかということだと思うんですよ。私、地域振興券のときも随分この類いのものに関わりましたけれども、一つあれをやるだけでも大変なんですね。

 だから、総理、今回の混乱の原因というのは、クーポンにこだわり過ぎた、クーポンが原則だということにこだわり過ぎて今日の混乱がある、そうは思われませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、クーポンについては、クーポンの政策的な意義はあると思っています。直接的、効果的に子供への支援を考えていくとか、民間業者の振興ですとか、地域の工夫ですとか、消費の下支えですとか、そういった政策的な効果はあるということでクーポンを考えたということであります。

 しかし、その後、様々な意見を踏まえて制度を柔軟なものにしていった、その議論の中で様々な選択肢を用意した、これが今回の議論の経緯だったと思います。

 そして、今なお、先ほど山際大臣からお答えさせていただきましたように、地域によってはクーポンのメリットを活用したいという自治体もある、こういった状況でありますので、そういった工夫も尊重できる対応を国としては考えていくべきではないかと考えます。

逢坂委員 大変不満ではあります、クーポンの原則は変えないと。ただ、クーポンであれ現金であれ、どっちを選択してもいいんだ、そこに条件はつけないということについては評価をしたいというふうに思います。

 じゃ、もう一点、総理にお願いがあるんですよ。所得制限です。

 これは相当不公平ですよ。主たる世帯の収入者、その人の収入が九百六十万を上回っていれば、今回の給付の対象にはならない。例えば、奥さんと御主人、二人の収入が一千九百万あっても、どちらも九百六十万を超えていなければ、世帯収入が一千九百万あっても、これは今回の対象になる。これはどう見ても不公平ですね。おかしいじゃないかという声が上がっているんですね。

 これはもちろん、児童手当の仕組みを使うからそうなんだということは、私はそれは分かっています。児童手当の仕組みがいいかどうかということも、それは議論が必要でしょう。子供政策全体の中でそういうことを考えていく、この児童手当の今の所得制限がいいかどうかということは考えていくことが必要だとは思いますが、今回、これほど十万円給付にスポットライトが当たって、国民の皆さんの関心も高い、この中で、この不公平のままでこの十万円給付は続けるおつもりですか。与党の中にもこれは随分議論があったんじゃないですか。相当不公平ですよ、これは。

 一千九百万の収入がある世帯に給付されて、たまたま主たる生計者、主たる人の収入が九百六十万円を超えていれば給付されない。これは相当不公平じゃないですか、総理。これはこのまま実施するんですか。見直した方がいいんじゃないですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回は、こうした給付をプッシュ型で、そして迅速に国民の皆さんにお届けする、こういった観点を重視いたしました。よって、御指摘のように、児童手当の仕組みを活用して、そして予備費を使い、もう年内から支給を始める、こういった制度を考えたということであります。迅速に給付を行うためにこうした工夫をしたということは、政府としては意味があると思っておりますし、国民の皆さんの理解を得るべく、しっかりと説明をしたいと思っています。

 ただ、この不公平ということについては、要は、世帯合算の問題も含めて、児童手当そのものにおける議論の論点であると思っています。そして、児童手当における世帯合算の問題についても、賛成する意見と、そして、こうした改定を行うことによってこの対象から外れる世帯があるなど、慎重に議論するべきだという議論もある。こういった議論があるということを承知しています。

 この議論についても尽くしていかなければならないと思いますが、不公平ということを考えますと、児童手当の制度だけでこの問題を議論するというのではなかなか難しい部分もある。よって、子供施策全体の中でそれぞれの立場の方々をどう支援していくのか、全体の中で考えていく、このことによって、この世帯合算についても、考えていくべき課題であると認識をいたします。

逢坂委員 何を答弁されているのか、後半、ちょっとよく分かりませんでした。

 それはともかくとして、児童手当の所得についていろいろ議論すれば、これまで受給されている方がそこから外れる可能性があるので、そこは慎重にやらなければ駄目なんだという議論は、私は十分承知をいたしております。ただ、今回は、それとは切り離して単独で十万円を給付するわけですから、新たな所得という発想があっても私はよかったのではないかと思っています。

 ただ、今の答弁からは、国民からいろいろ指摘されている不公平なまま、それを放置したまま、今回の十万円は給付するんだということでありましたので、私はこれは大変不満ですけれども、総理がそういう考えであれば致し方がないというふうに思います。

 総理は今回、これはやはりいろんな方の意見を聞いて柔軟に対応されてきたということは、私は、それはそれである一定の評価ができるというふうに思っています。ただ、総理、やはり、聞く耳、聞く力を発揮する時期があると思うんですよ。

 今回のこの経済対策、この十万円給付を含めた経済対策の閣議決定は、私の記憶違いだったらあれですけれども、十一月の十九日でしたかね、閣議決定をして、自治体に通知まで出して、通知を出してからいろんな意見を聞いて、閣議決定した、閣議決定した内容そのものは変えていないかもしれませんけれども、制度を変えてきているわけですよ。これは、自治体の皆さんは国の手足じゃありませんからね、自治体の皆さんは国の下部組織や国の一機関ではありません。その自治体からしてみると、ころころころころ変えられて、もう大変な状況だと私は思っています。

 だから、総理、本来であれば、閣議決定する前に、実は、いろんな方の声を聞いて、どういう方向がいいか、どういう制度設計がいいかということをやらなければいけなかったんじゃないですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回の経済対策については、衆議院選挙が行われ、新しい体制がスタートをし、そしてその中で議論を行いました。今、コロナ禍の影響が続く中にあって、年末を迎えようとしている、その中で、一日も早く、困っている方々に様々な支援を届けなければいけない、こういった状況の中での議論でありました。

 限られた日程の中でこうした経済対策を進める中にあって、御指摘のように、様々、より工夫すべき点があった、このことは謙虚に受け止めなければならないと思いますが、衆議院選挙の限られた中で、できるだけ早く、効果的に、困っている方々に様々な支援を行うという観点から、それぞれの立場で全力で取り組んだ結果であると認識をいたします。

逢坂委員 それぞれの立場で全力で取り組んだ結果であると。だけれども、所得制限は不公平でしたよとか、自治体の現場は混乱しましたよということでは、やはり納得できない。全力で取り組んだけれども、やはり聞く時期をもっと早くすべきだったと私は思います。

 そこで、総理、今、十八歳までの子供の給付だけにスポットライトが当たっているんですが、今、この年末を迎えて、最も苦しんでおられる、お金が必要だとされている方々、生活困窮者の皆さんへの対策、この議論がほとんど、まあ一部ちょっと昨日も出ていましたけれども、これが余り出ておりません。あるいは、ワーキングプアと言われる皆さん、こういった方々にも、この年末を越えられるかどうかということで相当苦しんでおられる方がおられます。

 まず、所得が少ない方、住民税非課税の方々、あるいはそれ以外の生活困窮者の皆さんへの対策、これは一体どうなっていますか。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 子育て世帯への給付以外のお話だというふうに思っておりますが、住民税非課税世帯に対する十万円の給付金のほか、緊急小口資金等の特例貸付けや生活困窮者自立支援金等の申請受付期間の延長、また、無料の職業訓練と月十万円の給付金を支給する求職者支援制度の要件緩和など、様々な施策を重層的に講じることとしており、きめ細かく御支援を申し上げたいと思っております。

逢坂委員 緊急小口は、あくまでもこれは貸付けですね。それから、生活者自立支援というのは、実は要件が厳し過ぎてほとんど活用できないといって、物すごく苦情が多いんですよ。だから、今回有効になるのは、住民税非課税世帯への十万円の給付というのは、これは直接的に有効になると私は思っています。

 山際大臣、これはいつ支給されるんですか、今の状況では。

山際国務大臣 もちろん、できるだけこれは急いでやりたいというふうには思っておりますが、しかし、この補正予算をしっかりまず立てて、その後ということになることは間違いがなくて、先生が御指摘の年越しを何とかしなくてはいけないというところに、間に合うところは間に合わせたいと思っておりますけれども、それを越えることもあり得ると思っております。

逢坂委員 山際大臣、この予算というのは、国が直接支給するんですか、自治体に移し替えるんじゃないですか。それはどちらですか。

山際国務大臣 少し説明不足でしたけれども、これは自治体がやることでございますので、ですから、基本になってくるのはやはり我々がまず補正予算を通さなきゃいけないということですから、どうしても時間がかかるという説明をしたかったということでございます。

逢坂委員 総理、今最もお金を必要とされる方々、生活に困窮されている方々への対応は、これから補正予算、明日、衆議院では採決というふうに伺っておりますけれども、その後、参議院でも同じような日程をかけて採決をして、その後、今度、自治体の議会で議決しなきゃいけないんですよ、予算を計上して。年末にかけて自治体の議会をもう一回やってくれということには私はなかなかならないと思いますよ。そうなれば、当然、自治体での実施というのは年明けになる。最もお金の必要なときにこれは届かない、そういう対応なんですよ。

 このことについて私たちは繰り返し言っていました、生活困窮者のための対応を早くやるべきだと。これはもう昨年から言っていたんですよ。だから、これも私は政治の無策、怠慢が招いた原因だと思うんですね。

 補正予算の成立が遅れるとかなんとかの問題じゃないんですよ。以前からずっと言っていたことをやらずに来た、その結果、一番苦しい年末に、一番苦しんでいる方に支援の手を差し伸べられない。これはまずいんじゃないですか。今後こういうことがないように、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については謙虚に受け止めなければならないと思いますが、現実においては、御指摘の住民非課税世帯への支援に加えて、様々な施策を重層的に使うことによって、できるだけ多くの方々への支援をできるだけ早く実現するということだと思います。

 緊急小口資金についても、また生活困窮者自立支援金についてもいろいろ御指摘はありました。こうしたこともできるだけ活用することによって、できるだけ幅広い方への支援を努力するべく、しっかりと指示を出していきたいと考えます。

逢坂委員 次に、あわせて、最近余り議論になりませんが、事業者への支援についても若干言及をさせていただきたいと思うんですが、地域を問わない、業種を問わない、規模別で事業者に支援をする、これは、総理、所信の中で述べていただきました。

 総理、もしかするとお忘れかもしれませんが、この考え方、去年の夏の段階で私が総理と何度かやり取りを、当時政調会長でさせていただきました。その段階から私が主張していたことです。地域や業種を問わずに規模別に支援をしなければ事業者は大変なことになる、そういうふうに言っていたんです。

 だから、総理が今回、所信にこれを入れてくれたことは、私は本当に、やった、よし、やったぞ、そういう思いでした。いや、総理は私のことはお忘れかもしれませんが、夏に何度かやり取りさせていただきましたよね、あの中で、この話をしたんです。

 ところが、残念ながら、今回、やはりちょっと配慮に欠けるんじゃないかなというふうに思うんです。二百五十万円という額が少ないという指摘もあります。それから多店舗対策、たくさん店舗を持っている方については、これはちょっと余りにも少ないんじゃないかということもあります。

 ただ、多店舗対策で店舗ごとに収支を見ていたのでは正確な収支が把握できないから、それはなかなか多店舗対策は無理だというのが多分総理の答弁だと思うんです。でも、本当に多店舗対策を講ずることはできないでしょうか。法人全体として収支を見た上で、多店舗のあるところにはある一定のルールをつけて割増しをするということだって、考え方としてはやれると思うんです。こういうことをやるということはできないでしょうか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点は、昨年、持続化給付金あるいは家賃給付金、あの議論の中で、逢坂議員ともいろいろな議論をしたことを覚えております。様々な論点があり、様々な課題がありました。

 そういったことをいろいろと踏まえた上で、今回の事業者に対する支援についても、御指摘がありました、全体の額についても上乗せをしたわけですし、また、支援の要件につきましても、この減収要件、五〇%のみであったものを三〇%という新たな要件を加えるなど、できるだけ幅広い支援を行えるように工夫をしたというのが今回の支援の中身でありました。

 まだまだ不十分だという御指摘はあるのかもしれませんが、御指摘の点も踏まえて制度をつくった。この制度は、是非早急に国民の皆さんの元に届けたいと思いますが、今後について、これはコロナの状況、まだまだ不透明な部分もありますので、今後、また検討する場面があるとしたならば、そうした課題についても考えていく、こうしたことではないかと思っています。

逢坂委員 今後の検討課題ということで考えていくということの発言をいただきましたので、〇・五歩前進かなと思っておりますが、私は工夫の余地はあると思っていますので、是非また御相談させてください。

 それじゃ、今日、時間がなくなりましたので、最後に一つ。

 介護、保育、幼児教育の現場で働く方については、来年二月から三%、年間十一万円程度給与を引き上げますと、これは所信で明確に述べられました。

 総理にお伺いしますが、これは、介護や保育、幼児教育の現場にいる方、全ての給与が十一万円上がるんですか。それとも、全てではなくて、介護なら介護士の皆さん、保育なら保育士の皆さん、幼稚園なら幼稚園教諭の皆さんの給与だけが全て十一万円上がるんですか。それとも、そうじゃない、国がある一定の基準を設けて算定をしたお金をそれぞれの施設に渡すので、そのお金の範囲内で給与を上げてくださいというものなんですか。それはどちらですか。

後藤国務大臣 介護それから障害等、そういうところに……(逢坂委員「簡潔に答弁してください。全てが上がるか」と呼ぶ)

 それにつきましては、他の職員の処遇改善にも充てられるということになっておりますし、看護の場合も、看護補助者、理学療法士、その他コメディカルの方たちにもその積算の中から給与として支払いができるということになっております。

逢坂委員 厚労大臣、それじゃ、確認させてください。

 所信では、介護、保育、幼児教育の現場で働く方については、来年二月から三%、年間十一万円程度給与を引き上げますと言っているんですよ。これだけを読むと、この介護や保育の現場にいる方の給与はみんな上がるような印象を持つんですが、そうじゃないということでいいですよね。ある一定額を国は施設に渡すけれども、それをそこの施設で、ある種薄まきにして使っていいという、そういう意味ですね。うなずいておりますので、そういうふうに理解をいたしました。

 総理、最後にしますけれども、所信でやはり十一万円上げると言うと、多くの人は期待するんですよ。ところが、現実には十一万円上がらないんです。私も、保育所、幼稚園の経営、福祉施設の運営、これにも携わっていました。国が示している定員どおりの人員で、これらの施設はほぼやれません。必ず、国が示す定員よりも多くの職員を配置してやっているのが現場です。そのときに、その実態も頭に入れずに、あたかもみんなが十一万円上がるんだみたいな発言をするのはミスリードだと思いますので、ここは今後、丁寧に発信をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 実態について丁寧に説明すべきだというのは御指摘のとおりであります。

 こうした今回の措置がどのように現場に行き届いているのか、こういった点については自治体においてしっかり確認をしていただく、こういった仕組みを用意させていただいています。そうしたことを通じて、できるだけまずは現場にしっかり届くという努力をしていきながら、実態をしっかり説明していく、こうしたことは政府としてもしっかり考えていきたいと思います。

逢坂委員 岸田総理、今日はありがとうございました。今日は公文書管理と憲法についてもじっくりやりたかったんですが、残念ながら時間切れとなりました。これはまた次回に譲りたいと思いますけれども、正すところはきっちり正してもらって、国民のために少しでもよい政策を実現するということに我々も努力をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、岡田克也君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡田克也君。

岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。

 今日は、中心は核軍縮政策ということで議論したいと思います。

 総理は、熱心に、核兵器のない世界ということを目指して政治家として取り組んでこられたと思います。著書も私は読ませていただきました。私も外務大臣のときにかなり力を入れてきたつもりであります。次世代のために核のない世界を目指して一歩一歩進んでいくということは極めて重要な政治家としての課題だと思います。

 ただ一方で、日本を取り巻く環境は極めて厳しい。北朝鮮の核能力は近年極めて高くなっておりますし、中国も核の増強を図っている。核大国ロシアもある。そういう中で、日本自身の安全をどう確保していくかという問題と、核なき世界を実現していく、この両立が非常に難しい。総理も恐らく政治家としてそこに多くの悩みを感じておられるというふうに思います。私も同じ思いであります。

 ただ、具体的な政策になると、総理のお考えと私の考えはかなり違いますので、基本的方向は同じであるという前提の下で、私もアメリカの核による拡大抑止は重要だという前提に立って議論しておりますので、しかし、具体的中身についてはかなり違うので、それを議論させていただきたいと思います。

 まず確認ですが、核兵器を持たない国に対して核を使ってはいけない、消極的安全保障と言われますが、これは日本政府の従来からの主張だったと思います。NPTに加盟するときにもそのことを強く主張したと思いますし、その後も一貫した主張だと思いますが、最近だと、オバマ大統領の時代に、核兵器を持たない国に核を使わないということをほとんど無条件で明言されました。そういう政策については、総理は当然賛同されていますね。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、岡田委員におかれましても、核兵器のない世界を目指す、核軍縮・不拡散につきまして、外務大臣時代も、核密約の問題を始め様々な取組を続けられた、この分野において努力をされておられたこと、このことについては敬意を表し申し上げたいと思います。

 そして、御質問の消極的安全保障についてですが、核兵器国が非核兵器国に核を使用しないというこの考え方、これは引き続き我が国として基本的に支持できるものであると考えております。

岡田委員 核軍縮を考える際に、核の数を減らすという話と核の役割を限定していくという、この二つの考え方があると思います。核の役割を限定していくという中で、核を持たない国に核を使わない、これはその一つの重要な柱だと思います。いま一つ重要な柱が核の先制使用をしないという考え方で、実は、バイデン大統領は、副大統領のときからこのことを強く主張しておられましたし、そして大統領候補のときにも発言をしておられる。

 報道によりますと、アメリカ政府から、核の先制不使用についてアメリカがそれを宣言することについて日本政府に打診があった、同盟国ですから。それに対して、日本はそれを断った、そういう宣言をされては困るというふうに言ったという報道があります。

 国会でも何回もこの問題は取り上げられてきて、政府ははっきりと言われないんですが、しかし、そういうことがなかったなら、はっきり否定できるはずじゃないですか。だから、否定されないということは、やはりその類いの申出がアメリカ政府からあって、そして日本政府がそれに対してそれは受けられないと言った、そういう事実はあるんじゃないですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 歴代アメリカ政権は、それぞれの政権における「核態勢の見直し」の策定を行ってきました。NPRというもの、各歴代政権がそれぞれ作成をしてきた。今、バイデン政権においても、バイデン政権におけるNPRを検討している、この策定が進められるということで我が国としても注目をしている、こうしたことであります。

 そして、御指摘の米国とのやり取りでありますが、当然のことながら、同盟国として、日頃から、安全保障、防衛体制について緊密かつ幅広く日米の間においては意見交換が行われているわけですが、ただ、御指摘の点については、これは日米同盟また我が国の安全保障に関わる性格のものです。なければないと言えばいいのではないかという御指摘ではありましたが、こういったやり取りがあったかなかったか、それに対してどんなやり取りが行われたか、こうしたこと自体、これは申し上げることが安全保障に大きな影響を与えるものでありますので、これは控えるべきものであるということを申し上げております。

岡田委員 こういう申出がなかったということなら、ありませんでしたと言えば済む話ですから、そういうふうにおっしゃらないのは、やはりあったんだというふうに私は考えるわけであります。

 政府は、一般論として、これは官房長官の答弁ですが、当事国の意図に関して、何らかの検証方法がない形による核の先行不使用の考え方に依存し、日本の安全保障に十全を期することは困難と考えます、こういうふうに、これは一般論ですが、言われています。この答えは、答えであるようで答えでないんですね。

 まず、今回、アメリカは単独で宣言すると言っているので、ほかの非核国と一緒になって非核宣言をすると言っているんじゃないんですね。だから、当事国というと、これはアメリカのことですか、アメリカの意図が検証ができないから駄目だと、同盟国として、日本としてそういうことを言っているんでしょうか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、整理しておかなければいけないのは、先ほど申し上げたように、日米の間において具体的にどういったやり取りがあったかということについては、安全保障の観点から、申し上げるのは控えております。

 そして、御指摘の官房長官の発言につきましては、これは、核の先制不使用宣言というもの、これを一般論で、一般論として申し上げているわけであります。一般論として、核の先制不使用というもの、これは、全ての核兵器国が検証可能な仕組み等がなければ有意義ではない、意味がないという一般論を申し上げたということであります。

 ですから、一般論を申し上げているということですので、日米のやり取りとは、これは直接関連するものでは、直接結びつけているものではないと考えています。

岡田委員 今の御説明でも、ですから、当事国は約束するものではないので有効ではないと。今回、アメリカが自分だけ宣言するということですから、より当てにならないね、こういうことですか。

岸田内閣総理大臣 ですから、アメリカは今、バイデン政権の下でNPRを検討をしておられます。その一方で、一般論として、核の先制不使用ということについては、全ての核兵器国が検証できる制度がなければ有意義でないという制度であるということについて申し上げたものであると理解しております。

岡田委員 そもそも、この宣言政策、先ほどの、非核国に核を使わないというのも一種の宣言政策です。これはやはり当事国の意思に最終的には委ねられていますから、検証なんてできないと思うんです。だから、検証できなきゃ駄目だというのは、要するに駄目だと言っているに、それと何の違いもない。

 じゃ、検証ってどうやってやるんですか、先制不使用についての宣言について。当事国の検証って、具体的に言ってください、どうやって検証するんですか。数なら検証できますよ。だけれども、こういった宣言政策は、検証なんか基本的にはできないんじゃないですか。

林国務大臣 今総理からお話がありましたように、その検証、まさに核兵器国間における信頼関係が不十分であるということを踏まえると、一般論としてでございますが、例えば、全ての核兵器国が核の先行不使用宣言を行ったとしても、それぞれの意図に関する検証の方途があり、それを客観的に担保することができなければ、そのような宣言は効果的には維持され得ないということになるわけでございます。

 また、仮にそのような検証の方途が確保された場合、核兵器国間のバランスが崩されないようにしなければ、核兵器国が実効性のある形で宣言に踏み切るということは考えにくく、そのためにも同時に意図表明が行われる必要がある、こういうふうに考えておるところでございます。

岡田委員 私の問いには答えていただいていないんですが。こういう宣言政策における検証って、あり得ないと私は思うんですね。当事国の、あるいはアメリカであれば核のボタンを持っているアメリカ大統領の意思に懸かっているわけで、それをどうやって事前に検証するんですか。だから、答えになっていないんですよ、政府の言っていることが。

 じゃ、もう一つ聞きますけれども、アメリカは先制不使用についての宣言をしたいと、これは日本に対してということは私申し上げませんが、少なくともバイデン大統領はかねてからそういう考え方を持っています。

 岸田総理は、そういう宣言政策について否定的な考え方を先ほど示されました、検証のしようがないとか言われましたが、じゃ、どういう場合に、相手の核保有国が核を使用していないのに、アメリカに対して、核を使用してください、核を先行使用してくださいと、どういう場合があり得るんですか、それは。相手国が核を使っていない段階で、要するに先行使用というのはそういうことですから。アメリカに、どういう場合だったら、是非日本のために核を使ってくださいと、相手国に対して、おっしゃるつもりなんですか。明確に答えてください。

林国務大臣 これも先ほど来総理がおっしゃっておられますように、日米両国間での間については、アメリカとの関係もあり、お答えを差し控えたいということでございます。

 あくまで一般論でございますけれども、核抑止力において、一定のやはり計算された曖昧性、こういうことを残すということで相手の計算を複雑にして、もって抑止の効果及び信頼性を高めるということにつながる、こういうふうに考えておるところでございますので、まさにこの一般論は、今先生がおっしゃっておられます米国による拡大抑止というものにも当てはまることである、こういうふうに考えております。

岡田委員 総理、核なき世界を目指しておられる、真剣に目指しておられる総理にお聞きしたいんですが、繰り返しになります。

 相手国が核をまだ使っていない、そのときに、日本のために、アメリカに対して、核を使ってくれと、その国に、これはどういうケースなんですか。私、そういうことの余地を残すために先制不使用は駄目だというのは、ちょっと日本として考えられないことだというふうに思うんですね。どうして先制不使用宣言は駄目なんですか。

岸田内閣総理大臣 まず確認しておきたいことは、今回、バイデン政権におけるNPRに関して、日米の間で、具体的なやり取りについての内容について申し上げることは控えております。その上で、今、一般論として申し上げているわけであります。

 ですから、どういった場合に先制不使用のケースがあり得るのかということについては、一般論でありますので、これはこうした原則を一般論として当てはめることができるかどうか、こうした議論であります。その際に検証の仕組みが必要だという一般論を申し上げているということですので、これを具体的にどうこうというのは、逆にこの制度をどう具体的なものに当てはめるかという議論をするべきであるというふうに思いますので、様々なケースが考えられるということになるんだと思います。

岡田委員 核をまだ使っていない国に対して日本のために核を使ってくださいとアメリカに言う、そういうケースがあり得るのかということを私は聞いているわけです。私は、それはあり得ないことだというふうに思うんですね。ですから、先制不使用宣言をアメリカがしたからといって、それが日本に対する核の抑止力を弱めることにはならない。

 そして、バイデン政権が先制不使用宣言を、かなり固執をしておられるというか、持論でしょうが、バイデン大統領の、それはやはり、民主主義国家であるアメリカが核を先に使うことはないということを明言すれば、それだけ相手国も核の使用を慎重になるだろうと。逆に、アメリカが先に攻撃してくる可能性があると思ったら、それより先にということで核を使う、そういうインセンティブになりかねない。それを抑えるためにも、やはり、この核の不使用宣言というのは、アメリカが単独で宣言するということであっても意味があるというのが、私はアメリカの考え方だというふうに思います。

 そして、この先制不使用宣言を言うことで、今、世界の中で核を、例えば中国が核能力を非常に高めている、北朝鮮もある、そういう中で、核軍縮・不拡散の大きな流れをつくり出そうというのが、私はバイデン大統領の狙いだと思うんですよ。それに対して日本が、いやいや、よく分からない理由でもって、それは駄目ですよと言っているのが私は理解できないんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、核兵器のない世界を目指す、核軍縮・不拡散について、先ほど委員の方から、核兵器の数を減らす、役割を減らす。そしてもう一つ、意義、すなわち厳しい国際環境のリスクを低減していくという部分。この三つを、三つの提言と称して、核兵器のない世界を目指す上で有力なアプローチの仕方だということを申し上げてきておりますので、そのうちの、役割を減らすという、役割という部分について、核の先制不使用の議論、これは大変重要な議論だとは思います。しかし、一般論として、この先制不使用の部分については、核兵器国の信頼関係、これがベースにならなければいけない、少なくとも、検証できる透明性なくしてこうした宣言というのは実際に機能しないという、この一般論を申し上げているということです。

 あくまでも、今、現実のバイデン政権との関係においてこれを主張するしない、こういったことについて申し上げているのではないということは御理解いただきたいと思います。

岡田委員 議論が全くかみ合わないんですが、今回は、核保有国が合意して先制不使用宣言をするということじゃなくて、アメリカが一方的にするということですから、総理のおっしゃるケースとは違うんですよ。

 いずれにしても、十分な答えはいただけないと思いますが、まだまだ、これ、先制不使用が駄目なら、じゃ、唯一目的、ソールパーパスという話も出てくると思うんですね。少しそれを、先制不使用を広げた考え方。そういうことについて、私は、日本政府としてもっとしっかりと再検討すべきだと、アメリカのその要請を受け入れるということについてですね。せっかくバイデン大統領が核軍縮ということにかじを切っている、そういうときに日本が否定的な態度で終始するというのは、私には理解できないことでございます。

 核兵器禁止条約について、国民の、例えばNHKの十一月調査では、五六%が核兵器禁止条約に賛成すべきだというふうに答えているという調査結果があります。

 私は、若干ミスリーディングじゃないかなというふうに思っているのは、日本がアメリカの核の下にある、米国の核の下にあるということと核禁条約というのは両立できないんじゃないかというふうに思っているんですね。つまり、この核禁条約は、核の使用や威嚇だけじゃなくて、これについて援助を求め、援助を受けることも禁止しているということですから、自身が核を持つことだけじゃなくて、援助を受ける、つまり、核の抑止、対象になる、核の傘に入るということも含めて、これは禁止している条約じゃないかと私は理解していますが、政府はそういう考え方でよろしいですか。

林国務大臣 今、岡田委員からお話がありましたように、この核兵器禁止条約、今おっしゃったような条文もあるわけでございます。

岡田委員 条文があるんじゃなくて、解釈として、日本政府の解釈としてはそういうことでよろしいですかと聞いているんです。

岸田内閣総理大臣 今、外務大臣からありましたように、核禁条約の中にはそういった条項があります。

 そして、今委員の御質問は、今の日本の拡大抑止、日米同盟のありようと両立しないのではないか、そういった御指摘ですが、冒頭も委員がおっしゃったように、現実の安全保障の状況と、そして理想をどう両立させるか、これが大変重要なポイントですが、それを両立させるためにこそ、私が申し上げているのは、今、現状から理想に向けてどのようにプロセスをつないでいくのか、これからのタイムスケジュール、これが大事だと。その中で両立することができると私は思って、核禁条約そのものについても、決して否定するのではなくして、核兵器のない世界に向けての出口に当たる重要な法律であると。ただ、日本の今の立ち位置からそこにたどり着くまでのプロセスが大事だということを申し上げている次第です。

岡田委員 岸田総理に替わられてから、核禁条約についての政府の見解がかなり私は変わったというふうに思っています。少なくとも出口としては、これは非常に重要だというふうに言っておられるわけで、従来は、これは非核国と核保有国の対立を高めるものだというふうに一刀両断に言っていたのを、かなり言い方が変わられたことは私は評価をします。

 私が先ほど申し上げたのは、これは質問主意書か何かでもう一度確認しようと思いますが、今の条約の中で、拡大抑止の傘の下にあるということはできないんじゃないかというふうに私は思っているわけですね。それが果たしてどうなのか。もしできないとしたら、例えば、あなたは核禁条約に参加すべきだと思いますかという聞き方は正確ではなくて、そのときには核の傘から出なければいけませんよということを併せて言わないと、正確に聞いたことにならないわけですね。そういう問題意識でお聞きをさせていただきました。

 さて、この核禁条約のオブザーバー参加ということは度々国会でも議論されてきております。オブザーバー参加、どうして駄目なんですか。オブザーバー参加すれば、恐らく発言権は得ますよ。議決権はないですけれどもね。そこで日本の考え方を核禁条約参加国に対して説明する機会だってある。あるいは、被爆国として、核がどういう被害を及ぼすかということについても説明の機会もある。

 私は、オブザーバーとして参加することのメリットは非常にあるというふうに思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、今、現状の我が国の安全保障体制と核兵器のない世界へ向けての理想、さらにはこの出口に当たる核禁条約、これをどう結びつけるのか、両立させるためにどういったタイムスケジュールでプロセスを考えていくのか、これが大事であると思っています。

 核禁条約、核兵器のない世界を目指す上で出口に当たる重要な条約だと思いますが、核兵器国は一国も参加していないのが現状であります。

 私も、外務大臣を四年八か月務める中で、この問題において、現実を変えるためには、核兵器国を動かさないと、現実は一歩も動かないという厳しい現実に何回もぶちのめされた、こうした苦い思い出があります。やはり、現実を変えるためには核兵器国を動かさなければいけない。

 そして、先ほど言った、現状から理想に向けて物事を進める上において、まず第一にやらなければいけないのは、我が国として、唯一の同盟国であるアメリカとの信頼関係、アメリカとの核軍縮・不拡散における信頼関係、これをしっかりつくり上げることであると思っています。

 ですから、まずは、バイデン大統領、バイデン政権との間の信頼関係をつくることから始めなければいけない。アメリカとの信頼関係ができないうちに、いきなり理想の部分に足を踏み出す、オブザーバーということでもう参加するということになってしまうと、肝腎の信頼関係そのものを損ねてしまうことになってしまい、現実が動かないことになってしまうのではないか。そういった思いを申し上げ、まずはアメリカとの信頼関係から始めさせてもらいたいということを再三申し上げているという次第であります。

岡田委員 総理が相当、外務大臣時代にこの核禁条約について悩まれたことは、この本を見ると行間ににじんでいますよね。しかし、最終的な結論としては、参加しないということを決められた。私も参加は無理だというふうには思っていますが、オブザーバー参加はそれほど問題なのか。

 私は、ドイツは新しい政権でオブザーバー参加という方向にあると聞いていますが、アメリカの主要な同盟国である日本とドイツが共にオブザーバーとして参加をして、まさしく橋渡し役を演じる、核保有国と非核国との。ということは、私は日本が求められる役割じゃないかというふうに思います。

 オブザーバーとして参加することについて、交渉をされていますか、アメリカと。説明していますか。それに対して否定的な答えしか返ってこないということですか。別に首脳間でそのことを決めるんじゃなくて、まず大臣でも、あるいは官僚ベースでも、議論したらいいじゃないですか。どうなんですか。

林国務大臣 あくまで、先ほど来一般論で御議論させていただいてきておりますので、この件も含めてでございますが、日米間で具体的にどういうやり取りがあるかというのは控えさせていただきたいと思います。

岡田委員 総理、この問題はそろそろやめますが、日米首脳会談が予定されていますね。日程的にはいつになるのか、来年の国会が始まる前ぐらいになるのかなというふうには思っていますが。ここで議論しなきゃいけないテーマはたくさんあると思います、重要なテーマは。だけれども、この核の問題は主要テーマにしてもらいたいんですね。日米間でしっかりとこれ、議論してもらいたいし、一定の成果を出してもらいたい。

 私が先ほど申し上げたように、核の傘は重要だということは大前提とした上で、例えば、オブザーバー参加は行うということを日米間で合意をする、アメリカの先制不使用宣言あるいはそれに準ずるものについて、日本はこれを歓迎する、ただし、そのことによって抑止力が減じられることがないように日米で協力するというようなことを一つのパッケージとして、日米首脳会談の成果として出されたらどうですか。

 今は相当、核軍縮については逆風ですよね。一月のNPT再検討会議でも、そこに力を入れると総理は国会答弁されていますが、現状でいったら、核保有国と非核国の断絶といいますか、これはなかなか簡単には埋まらないし、合意文書ができるかどうかも分からないという状況だと思うんです。それを乗り越えようとしたら、やはり日米が首脳会談ベースで、大きな核軍縮についての流れをつくり出す、そのことによってNPT検討会議でも一定の成果が出るという、そういったことをやってみる気持ちはございますか。

岸田内閣総理大臣 日米首脳会談で取り上げる具体的な項目について、私から今の段階で申し上げるのは控えなければならないとは思いますが、バイデン大統領は、自らの大統領選挙の最中にも、ですから昨年の八月の段階で、自ら、核兵器のない世界を目指すということを明言された大統領であります。

 是非、首脳会談においては、バイデン大統領との間において、核兵器のない世界を目指すという観点から信頼関係をしっかりつくるということはしっかり目指さなければならないと思います。そこから様々な取組をスタートさせていきたいと思っています。

 そして、来年一月に予定されているNPT運用検討会議ですが、私も六年前の、前回のNPT運用検討会議、日本の外務大臣として十年ぶりに出席をし、自らその会議に参加をいたしましたが、結果として合意文書を作成することができなかった、大変残念な結果になったということを今でも強く覚えております。

 是非、次回のNPT運用検討会議に向けては、成功に向けて我が国としてしっかり貢献をしたいと考えております。

岡田委員 そのためにも、是非、首脳会談という場をうまく使っていただきたいというふうに思います。

 最初の話に戻るんですが、核なき世界を目指すということと日本の安全を保つということが、なかなか、コンフリクトがあるというか、矛盾してしまう、そこに悩みがあるということを私は申し上げましたが、実は、北東アジアというのは、北朝鮮にしても中国にしてもロシアにしても、核保有国が密集していて、もし核が使われるとしたら北東アジアである可能性はかなり高いと思うんですね。そういう中で全体の核軍縮を進めていくということは、実は日本の安全にも直結する。だから、矛盾するようで実は一致しているんだというふうに私は考えているんですが、総理も同じような考え方をお持ちになりませんか。

岸田内閣総理大臣 北東アジアの安全保障環境の厳しさ、リスクを低減していくことが大事だという点については、全く同感であります。

 先ほども少し触れましたが、核兵器のない世界を目指す際には、核の数を減らす、核の役割を減らす、そして核の意義を減らす、この意義の部分が、この環境の緊張感、リスクの緩和という部分であります。この三つを同時に減らすということが、核兵器のない世界に向けて物事を前進させる大きな切り口であると思います。

 そして、その三つのベースになるのが、やはり核兵器国と非核兵器国の信頼関係、すなわち透明性であると思っておりますので、こういった観点から、日本としてしっかり貢献できるように努力をしていきたいと考えます。

岡田委員 次の話題に参ります。

 気候変動について、時間もありませんので一つだけ。

 カーボンプライシング、これは、実は昨年の十二月に、菅総理が梶山経産大臣と小泉環境大臣に対して、成長に資するカーボンプライシングの検討を指示されたということで、私は、安倍政権時代と変わって、カーボンプライシングに前向きに取り組んでいこう、それの中身は税なのか排出権取引なのか、そこは検討次第だと思いましたが、前向きに取り組んでいこうというその姿勢は高く評価いたしました。

 ところが、岸田総理に替わって、私は、温暖化に対しての、気候変動に対しての勢いが、政府の取組姿勢が、大分勢いが少なくなってきているなというふうに思うわけですね。

 与党の税制改正大綱、この中でも、まずカーボンプライシングという言葉がなくなったわけですね。本来であれば、一年ぐらいで私は具体案が出てくると思っていたんですが、具体案が出てこないばかりか、カーボンプライシングという言葉もなく、「カーボンニュートラル実現に向けたポリシーミックスについては、政府の議論も踏まえつつ、産業競争力の強化、イノベーションや投資の促進につながり、成長に資するものとなるかどうかという観点から、専門的・技術的な検討を進める。」これが与党の税制改正大綱の検討事項に書いてあることなんですね。

 これじゃ、しばらくできないなというふうに言わざるを得ないですよね。カーボンプライシングという言葉もない。菅総理が二大臣を集めてこれを検討しろと言って一年たつけれども、まだこんな状況だということは、私は大変問題だと思いますが、総理、このカーボンプライシングについてもっと前向きの発信を総理としてされるべきじゃありませんか。どうですか。

山口国務大臣 環境省においては、本年八月に、令和四年度税制改正要望として、カーボンニュートラルに向けたカーボンプライシングを含むポリシーミックスの推進を提出したところです。

 与党での各要望事項についての御審議の結果、この項目は引き続き検討すると整理されたと承知しております。その上で、与党税制改正大綱の検討事項において、カーボンニュートラル実現に向けたポリシーミックスについて検討を行うとされており、これは環境省の要望も反映されたものと理解しております。

 環境省としては、大綱で示された方向も踏まえ、検討を行っていきたいと考えております。

岸田内閣総理大臣 気候変動問題、これは、私も先日、COP26に出席をさせていただきましたが、世界、そして日本にとりましても重要な課題であると思います。

 そして、御指摘のカーボンプライシング、これはその議論の中の一つの重要なポイントであると認識をしています。後退したのではないかという御指摘でありましたが、引き続き、そして世界の動きにもしっかりと目を凝らしながら、取組を前進させるように努力をしたいと思います。

岡田委員 CO2を幾ら減らすという数字を出したところで、そのための具体的手段がなければこれは実現できない、そのことを分かっているからこそ、菅総理は二大臣に指示を出された。それが全部チャラになってしまっているという状況、もう一度、総理は考え直していただきたいと思います。

 最後に、桜を見る会について一言。

 これは今までの国会審議で明らかになったことですが、予算額は余り変わっていないんですが、支出額はどんどん増えていって、これは二〇一三年、一六年、一九年の数字を出してありますが、もう二〇一九年に至っては予算額の三倍使っている。参加人数も一万八千人、この前は一万人ぐらいでしたから、ほぼ倍に近くなっているということですね。予算をはるかに上回る額が使われていた。

 では、どういう人が参加しているのかということ。これも菅官房長官の答弁として出されていますが、この赤いところを見てください、自民党関係者の推薦で約六千人、それから総理の推薦で千人。

 自民党関係者の推薦ということですが、政調会長をしておられたときに、岸田総理は、何か推薦枠を使って推薦されたことはありますか。

岸田内閣総理大臣 推薦枠を使って。済みません、たちまち、ちょっと記憶がありませんので、ちょっとそれは確認してからお答えしなければならないと思います。

岡田委員 是非、後でお知らせください。

 私も、自民党関係者の推薦というのはどういう仕組みでやっておられたのか分かりませんので、ここでこれ以上のことは申し上げませんが、非常に奇異な感じはしますよね。政府の行事なのに何で党が、まあ公明党さんも入っていますが、与党が推薦をするのかと。非常に、それだけでも不思議な感じがいたしますね。

 おまけに、安倍総理は自分の後援会の人間を何百人とこの推薦枠の中で招いていたということはもうはっきりしていますよね。これって、国のトップリーダーとしてやるべきことだと総理は思われますか。こんなことをして、国民の税金をシロアリが食い尽くすように自分たちの政治活動のために勝手に使って、総理大臣ですよ、それで国民の政治に対する信頼というのは確保できますか。

 こんなことは、私は絶対あってはならないことだというふうに思いますし、私は、自民党の中で、今、改革のための組織が幹事長の下につくられているというふうに承知していますが、こういうことの経緯、なぜ自民党の中でこれはおかしいよという声が上がらなかったのか、そして実態はどうだったのか、そういったことをしっかりと検証するということが私は改革の第一歩だと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 桜を見る会につきましては、御指摘のように、長年の慣行の中で行われてきた、招待者の基準が曖昧であった、また招待者の数も膨れ上がってしまった、そうしたことが国民の皆さんからも大変厳しい批判を招いた、こうしたことであると思います。これは大いに反省すべき点があると思いますし、二度と起こしてはならないと思います。

 検証すべきだという御指摘についても、自民党のありようということで、今、党改革の議論をしておりますが、こうした議論を進めていき、信頼を回復していきたいと思いますし、少なくとも、私の内閣において、桜を見る会、これを開催することは考えてはおりません。

岡田委員 桜を見る会そのものが悪いことではなくて、やはり、それを悪用してと言っていいかどうか分かりませんが、とにかく利用して、自分たちの政治活動のために使ってしまったという、そこが問題で、しかも、総理大臣が自らそういうことをやっていたということが、私は国のありようとして本当に情けないし、国民に対して申し訳ない。そういう思いを持っておられる方は自民党にもたくさんいらっしゃると実は思います。

 じゃ、なぜ声が出せなかったのか。そして、何でこんなことが起こってしまったのか。長年のとおっしゃいましたが、これは安倍政権になってからですよ、増え出したのは。

 だから、そういうことについてきちっと党としてけじめをつけられるべきだと申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

根本委員長 この際、近藤和也君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也です。

 岸田総理、初めての質疑になります。どうかよろしくお願いいたします。

 能登半島は、十年前に、先進国の中で初めて佐渡島と一緒に世界農業遺産に選ばれた地域でございます。総理、すばらしいところですよね。何度もお越しいただき、ありがとうございます。これからも、何度でもお越しいただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 今日は、能登から日本海、そして世界、世界の中からの地方という観点で、食料安全保障、そして安全保障そのものの議論をしていきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 その前になんですけれども、先輩の逢坂議員、先ほど質疑がございました雇用調整助成金について、大岡環境副大臣にお越しいただいています。ありがとうございます。

 特に、この雇用調整助成金に関しては、民間で働いていらっしゃる方、かなりの方が当事者です。受給するだけではなくて負担をしているということではかなりの方が当事者でございますので、こちらに対しての疑念は、やはり私は晴らしていく必要があるのではないかなと思うんです。そして、総理が先ほどおっしゃいました。引き続き経緯を丁寧に説明を行ってもらいたいということは総理おっしゃいましたので、どうか、大岡副大臣、丁寧に説明をしていただけたらと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、大岡さん、中小企業診断士の資格をお持ちだと伺っていますが、どのような資格なんでしょうか。

大岡副大臣 近藤議員にお答えをいたします。

 私は中小企業診断士でもございまして、中小企業の経営を総合的にサポートする、経済産業省が所管する資格でございます。

近藤(和)委員 それでは、自らの事業も含めて、そして中小企業の方々へのいろいろなアドバイスもできる方なのかなというふうに伺いました。ありがとうございます。

 それでは、雇用調整助成金のことについて少し詳しく伺っていきたいと思います。

 お手元、皆様にお配りいたしました四番の資料を御覧ください。これは厚生労働省のホームページから取ったものですけれども、どのような条件で受け取ることができるか、申請することができるかということが簡単にまとめられたペーパーでございます。こちらは大岡さんも十分御存じだと思います。

 まず、昨日、受給された理由に挙げられた、事務所をどう維持するかということですけれども、この中でも書いてありますよね、上段のところに、ちょっと薄い字ですけれども、「従業員の雇用維持を図るために、」ということで、こちらは目的に合致していると思います。

 そして、その左側の二つの黒文字、「「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、」と書いてありますが、具体的に、大岡さんの事務所は、コロナのどのような影響を受けたのか、そして事業の活動の縮小を、影響を受けたのか。

 そして、一番下にございますけれども、黒文字で、「前年同月比五%以上減少」、売上げですね、こちらが実際はどうだったのかということを具体的に教えてください。

大岡副大臣 近藤議員にお答えいたします。

 まず、私の政治団体が新型コロナウイルスの影響をどう受けていたかについてでございます。

 私が給付を受けたのは四月、五月の二か月分でございまして、それに先立って、三月にその休業計画を立てました。その当時、昨年の三月は新型コロナウイルスの拡大が進んだ時期でありまして、当時、政府もこのことを受けて矢継ぎ早に様々な対策を打っていた時期でございます。私も、当時を振り返りますと、非常に緊張感を持っていたことを覚えております。そこで、今回の、私の事務所の秘書そして事務員を守るために、その方法の一つとして休業を決断したわけでございます。

 事業活動の縮小につきましては、これは売上げではなくて、あらゆる事業所を対象にしておりますので、生産指標というものが五%以上下がっているということが条件でございます。当時は、私の政治団体の活動も、いろいろな団体からイベントや挨拶で呼ばれる数は激減しておりましたし、訪問活動は当然、移動が自粛されておりましたので、できない状況でございました。

 そうしたことを、私は審査はしておりませんので、何を審査されたかまでは分からないんですが、総合的に審査を受けて、五%以上の生産指標が低下しているということを認められたものと存じます。

 以上でございます。

近藤(和)委員 もう一度詳しく教えていただきたいんですが、生産指標というのは、政治資金収支報告書の中でどのように書かれているんでしょうか。

大岡副大臣 生産指標についてお答えいたします。

 生産指標は、事業の業態ごと、今回のこの雇用調整助成金は、営利団体、非営利団体、また私たちの政治団体、誰に雇われているかを問わず、労働者に着目した制度でございますので、業態ごとにこの生産指標の扱いが変わるものと存じます。

 私の政治団体につきましては、専門家が見ていただいて、何らかの指標で生産指標を測っていただき、そして条件が合致していると認められたものと考えております。

近藤(和)委員 この資料だけでは、売上げ又は生産量となっているんですね。生産指標ということは書いてありませんので、さすがお詳しいなというふうに思います。

 一方でですが、一般の事業者の方は、この五%がクリアできるかどうかということ、そしてさらには、手続、大変ですよね、物すごく大変ですよね。私もこの時期は当然地元に戻れませんでした、四月、五月、六月半ばまで。地元に戻れずに、ずっと地元の方と休日も電話で相談事を受けていました。その中でも、やはり多くの事業者の方が苦しんでいたわけですよね。事業者の方もそうですし、働いていらっしゃる方もそうですし。特に、この雇調金の申請については物すごく面倒ですよね。今、随分簡便になったというふうに聞いていますけれども、その途中の過程も、国会では何回もやり取りがされておられるはずなんです。

 一般論として、私は、ちょっとずるいんじゃないかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

大岡副大臣 近藤議員にお答えいたします。

 確かに、御指摘のとおり、非常に丁寧な手続を求められる制度と承知をしております。

 当時は三月でございました。私自身も三月に、まずは私が雇用主として休業を指示いたしました。その上で、休業計画を立て、四月、五月、二か月間休業をさせ、そして、様々なものが審査を受け、条件に合致していることを確認をした上で申請をしたものでございます。

 したがいまして、確かに、丁寧な手続があり、また厳正な審査が行われているものと承知をしております。

 また、これについて、ずるいのではないかという御指摘につきましては、昨日も小川政調会長宛てに答弁を申し上げましたとおり、国民感情に照らしますと、誤解を招きかねないし、共感は得られないものと判断をいたしまして、昨日から返金の手続を進めているところでございます。

近藤(和)委員 改めて、先ほどおっしゃいました生産指標というのは、具体的にどのようなことなんでしょうか。

大岡副大臣 生産指標とは何かということになりますと、制度そのものの議論になりますので、厚生労働大臣が所管されるかと思いますが、私の団体についてお答えをさせていただきます。

 私の団体は政治団体でございますので、売上高ですとか利益ですとか、そういった指標のない団体ということになります。ほかにも、NPO団体、非営利団体、多数ありますので、これは恐らく企業者向けに書かれたものではないかと思いますけれども、どのような団体に雇われているかを問わず、労働者に着目した制度である以上、団体ごとの特性に応じて生産指標を測るものでございまして、私の政治団体につきましては、政治活動の量を様々な観点から調査を受け、そして条件を満たしていると判断されたものと考えております。

近藤(和)委員 分からないんですよ。煙に巻こうとされているのか分かりませんけれども、もう少し分かりやすく教えてください。私も支部長で、自分の事務所はどういう状況か分かっていますので。どの数字を、どの活動を示してこの生産指標となっているのか。総理も言われましたよね、丁寧に説明をしてくださいと。どうかよろしくお願いいたします。

大岡副大臣 生産指標の内容についてのお尋ねだと思います。

 私の事務所に対しても、審査を担当された方から様々な問合せがされました。私もこれは秘書から聞き取っていることでございますので、少し正確さに欠ける部分はありますけれども、去年と今年と比べて活動量がいかに減ったかということを、様々な質問をされて、あるいは様々な資料を見せたり提出したりをして、そして総合的に、昨年に比べて今年、当年、去年ですね、一昨年に比べて昨年が大きく減少しているということを審査をされた方に確認をしていただき、その上で申請をしたものでございます。

近藤(和)委員 済みません、審査をされた方というのはどなたなんでしょうか。

大岡副大臣 お答えいたします。

 それは滋賀労働局のこの審査を担当された方でございます。

近藤(和)委員 滋賀労働局の方が審査をされたということですね。

 それでは、少し方向を変えたいと思います。

 先ほど、この活動ということですね。活動というのは実際見えにくいと思います。政治家の活動で一番見えやすいのは収支報告書ですよね。大岡議員の収支報告書も何年分か拝見させていただきました。収入は減っていますよね。収入は減っているという見方がある一方で、企業からの献金が増えていますよね。頑張ったからじゃないですか。

大岡副大臣 私の昨年の政治活動についてのお尋ねかと思います。

 当時、私が休業を指示した時点は昨年の三月でございましたので、その時点では全く先が見通せない状況でございました。なお、四月、五月に休業をさせ、その後審査を受けているのもこの期の途中でございますので、少なくとも、私の政治資金による収支報告の結果、つまり、収入額が増えたとか減ったとかは当時は測れないものと思いますので、その審査をされた内容ではないと考えております。

近藤(和)委員 もう少し詳しく伺いたいんですが、その休業等の指示をされたというのは三月と伺いましたが、三月のいつ頃ですか。

大岡副大臣 お答えいたします。

 三月のいつ頃かは私も記憶しておりませんが、四月、五月に計画を立てて休業しているということは、三月のいずれかの時点で、私から、私が雇用主として指示をしたものと思われます。

近藤(和)委員 それで、資料等を調べさせていただいたんですけれども、これがどういう関係性があるのかというのは後々詳しく分かると思うんですけれども、少なくとも、滋賀県の労働局さんが、どういったところから寄附を受けていたかということは、客観的で一番分かりやすい数字だと思います。秘書さん若しくは議員がどのような活動をしているかなんて分からないですからね、基本的には。

 それで、ちなみに、二〇一九年、二〇二〇年、二〇二〇年の四月、五月、受けられたんですよね。ということは、その先月の数字を、例えば、一番分かりやすい数字でいけば、三月の活動ということでいけば、寄附の数字が一番分かりやすいわけですね。

 ちなみに、二〇一九年の三月二十二日、三月二十八日、三月二十九日、仮にA社、B社、C社といたします。そのA社が、九万六千円、三月二十二日、寄附をいたしました。その会社が、二〇二〇年には七月十三日に同金額寄附をされています。そしてB社は、九万六千円、これも同額ですが、三月二十八日、二〇一九年に寄附をされているのが、二〇二〇年の六月二十三日、約三か月後に寄附をしています。そしてC社は、三月二十九日に十四万四千円寄附をされているんですが、二〇二〇年の七月十日、これも約三か月後。

 きれいに三か月後に、A社、B社、C社が三か月飛ばしているんですよ。このことについては、どう弁解されますか。

大岡副大臣 お答えいたします。

 こうした寄附を、私の事務所が何らかの働きかけをして時期をずらしたということはございません。

 さらに、先ほど申し上げましたとおり、私の政治団体の活動を御評価いただく上で、御評価いただいたのが期の途中でありますことから、収支がどうであったか、最終的に収入が増えていたか減っていたかということを判断されたということは聞いておりません。

近藤(和)委員 私も性善説に立ちたい人間なんですけれども。ちなみに、A社、B社、C社、挙げましたが、二〇一八年、二〇一七年も、ほとんど三月に寄附をされています。一社だけ四月四日なんですけれどもね。しかも、全部同じ金額です。

 それが、たまたま二〇二〇年、恐らくは、何らかの形で、時期をずらしたというような形が客観的に見えるんですが、そのことについてはいかがでしょうか。

大岡副大臣 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、私どもの事務所から働きかけて収入の時期をずらしたということはございません。私は、そのようなことを一切指示をしておりません。このことをはっきりと申し上げたいと思います。

 さらに、今回の給付の条件を確認していただいた中において、期の途中のことでございましたので、私の収入がどう動いていたかということを聞き取られたということは聞いておりませんので、恐らくそれを評価されたものではないと思います。

 最初に申し上げましたとおり、これは生産指標というものを基準としております。それは、法人形態が営利企業であろうと非営利企業であろうと政治団体であろうと、制度の内側に入っているから、その業態に応じて、どの程度の生産指標を取るかというのは、これは、専門家、審査をする人間が判断をして行うものと考え、私どもは、必要な資料、必要な情報を審査の方に提供し、評価をいただいたものでございます。

近藤(和)委員 それでは、詳しくは、労働局のせい、若しくは秘書さんのせいにされているかのような答弁に聞こえますけれども、これは後で分かることですからね。

 そして、更に質問を重ねますけれども、今年は申請されたんでしょうか。

大岡副大臣 近藤議員にお答えいたします。

 誤解があれば私の言い方がよくなかったのですが、私は決して秘書のせいにするつもりはございません。また、労働局の担当の方は、本当に丁寧に、真摯に審査をされたものと思います。私も当時東京におりましたので、地元の様子はつぶさに承知をしておりませんが、いろんなことを聞いてこられて、丁寧に判断、評価を受けたということはうちの秘書から聞いておりますので、そこは間違っても滋賀労働局の担当者が何かやったということはございませんので、その点だけは誤解を晴らしておきたいと思います。

 その上で、済みません、質問……(近藤(和)委員「今年は」と呼ぶ)失礼いたしました。今年につきましては、受給をしておりません、申請もしておりません。あくまで私が申請をしましたのは、昨年の四月と五月の二か月間のみでございます。

近藤(和)委員 昨年の四月、五月は緊急事態宣言が出ているときでした。移動制限もかかっていました。

 今年の三月、四月、五月もかかっていましたよね。なぜ申請しようとされなかったんですか。

大岡副大臣 お答えいたします。

 それらを全て私は雇用主として判断をしておりますが、昨年の三月、四月、五月は、本当に、この先一体どうなるのか分からないという状況でした。私も非常に危機感、緊張感を持っていた時期でございました。

 翻って今年の三月、四月は、政府が矢継ぎ早に打った対策も功を奏していた時期でございますので、比較的、私自身も、また世の中も安定していた時期、特にこのとき休業までさせるということは、私は当時、雇用主としては判断いたしませんでした。

近藤(和)委員 いや、今年の三、四、五月も大変でしたよ。私は、ずるいという、ちょっとげすな言い方をしてしまいましたけれども、やはりなかなか多くの方々は理解しにくいと思うんです。

 だって、この雇用調整助成金、これは三月まで延長だという話ですよね。一月ぐらい前の報道であれば、今もう財源が尽きてきて、保険料を上げようという話まで出てきているわけですよ。そういう状況の中でも受け取られていらっしゃった。それこそ、報道で出るまでは自分は正しいことをしていたんだと思っていらっしゃった。私は、その思いが全く理解できません。

 総理、いかがでしょうか、今のやり取りを聞かれて。私は、いろいろなデータを取った上で少しお話しさせていただきましたけれども、客観的に見てなかなか厳しいと思うんですよね。

 今の説明が、果たして総理が言われました丁寧な説明ということになったでしょうか。秘書さんの行動、そして労働局の行動、不透明なままですよね。これで丁寧な説明になったと思われていらっしゃるでしょうか。

岸田内閣総理大臣 ただいまの副大臣の説明、生産指数の取扱い等、経緯等、昨年の経緯については丁寧に説明を行ったと思います。

 ただ、不十分であるならば、引き続き丁寧な説明を続けていくことは必要だと思います。

近藤(和)委員 私は、丁寧な説明というのは、これだけの状況であれば、辞められることだというふうに思います。今の議論を聞いて、少なくとも国民の理解を得られたというふうには私は思いません。

 任命責任者自らも、の総理も、理解が得られたとは思っていないと言われていたわけですよね。そして、大岡さんも、国民の皆様に対して悪いというか、理解されていないと思うということも言われたわけですよね。国民の理解が得られていないと任命責任者御自身が思われていて、そして、その副大臣も自分で、御自身で国民の理解が得られていないと思われていらっしゃいます。

 こういう状況のままで、総理、任命といいますか、ずっと役職を継続させるおつもりでしょうか。任命責任はないんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今回の件につきましては、まず、制度として、これは適法であるということは申し上げております。

 ただ、政党支部がこの制度を使うことについて国民の皆さんに理解が得られるだろうか、こうしたことを申し上げています。そうした声に対して、副大臣としても、助成金、全て返還した上で説明を行っているということであります。

 納得がいったのかどうか、これは御指摘もありましたが、これは不十分であれば、引き続き説明を行っていくべきであると考えています。

近藤(和)委員 総理、ばれたら返せばいいって、そんなことをしたら、万引きした人だって、ごめんなさいで済みますよ。質は違いますけれどもね。何でも返金したからいいというのは違います。

 それで、厚労大臣にお伺いをしたいんですけれども、雇調金についてですけれども、不正な使用があった場合にはどのような罰則があるでしょうか。

後藤国務大臣 今の会話の流れからいきますと、不正な受給という議論になっていないわけでございます。一応、法律の解釈としては、可能であるという法律のたてつけになっているということでございます。

 ですから、その点をあくまではっきり申し上げた上で今の質問にお答えするということでいえば、不正受給を行った場合は、法令に基づき、国が不正受給による返還を求める額に加え、不正受給の日の翌日から納付の日までの延滞金、当該返還を求めた額の二割に相当する合計額を請求するということでございます。

 これはあくまで、それが不正であった場合の対応についてのお尋ねにお答えいたしました。

近藤(和)委員 詐欺罪に問われることはあるんじゃないですか。

後藤国務大臣 詐欺罪に問われるかどうかについては、私の所管ではありません。

近藤(和)委員 おかしいですね。昨日、そのような可能性も、ホームページにも何らかの形でそのようなことがあったと思うんですけれども、違いますか。告発される可能性、あるんじゃないですか、詐欺罪で。

後藤国務大臣 もう少し丁寧に申し上げるとすれば、我々も公務員でございますから、特に悪質な場合には告訴を行うということは、それはあり得ることだと思います。

近藤(和)委員 ちゃんと言ってください。何で告訴するんですか。詐欺罪ということで告訴するんじゃないですか。

後藤国務大臣 正直申し上げまして、私どもは質問を受ければ答える必要があるわけなので、明確な質問についてはお答えいたしますけれども、今、現実に行われ、あるいは問題になっていることと大分次元の違う話であるということを御指摘をした上で、特に悪質な場合に告訴を詐欺罪でする可能性があるのかないのかということについては、公務員でありますし、それはないとは申し上げられませんが、しかし、今、不正受給の事案と解釈されていないということでございます。

近藤(和)委員 不正なのか不適切なのかということであれば、売上げの時期をずらすというのは、私は不適切じゃなくて不正だと思います。この点については、どのような観点がありますか。

後藤国務大臣 個別の内容の事案についてよく承知しておりませんし、また、お答えするべきものでないと思っております。

近藤(和)委員 随分時間を使いました。

 この雇用調整助成金について、このまま、総理、どこかで保険料の負担増というのは、私は多くの皆さんは納得いかないと思いますよ。どこでどの政治家が、皆さんに理解のできない、納税者の皆さん、そして保険者の皆様に理解のできないような行動を政治家そのものがしていたら、この制度そのものの信頼が私は揺らぐと思います。

 どうか、総理も任命権者としての責任を感じていただきたいですし、まだ幾つか不明な点がございましたので、大岡さん、また引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、安全保障についてのお話に参ります。もう残り四分なので、拉致問題についてお話ししたいと思います。

 十二月十日から十六日まで、北朝鮮人権侵害問題啓発週間でございます。その中で、総理も、前提条件をつけずに、あらゆるチャンスをと決意を述べられています。対話の姿勢は、それはそれでいいと思います。

 しかし、僅か四年前、二〇一七年の時点では、当時の安倍総理は、異次元の圧力という表現まで使われていました。対話のための対話ではなく、対話のための圧力というわけです。ところが、その翌年の春頃には、条件をつけずにということで、百八十度転換をされました。なぜ変わったんでしょうか。それ以降も対話は行われていないですよね、全く。

 それで、今日は中身までは踏み込むことはできませんけれども、私は、是非、拉致対策特別委員会をしっかりと活用していただきたいと思います。

 この資料を見ていただけたらと思いますが、この五年間の間に、参考人質疑の一回を入れても、僅か五回、十二時間半しか質疑をしていません。二〇一九年の五月から二〇二一年の六月までは、二年間、五国会丸々質疑がされないときもありました。

 幾ら何でも、強気の言葉を言っても、丁寧に下手に出ても、国会が動かなければ、日本は拉致問題には真剣ではないのかと北朝鮮に間違ったメッセージを与えることにもなります。私たちは、ここ数年の間、何度もこの委員会開催を求めてきました。しかし、応じてはいただけませんでした。

 総理は、自民党の総裁でもあります。そして、関係大臣にとってみれば、トップでございます。どうか、今後は、この委員会の開催の求めに積極的に応じるように指示を出していただけないでしょうか。

松野国務大臣 近藤先生にお答えを申し上げます。

 国会の運営に関しては、国会でお決めをいただくものと考えています。

 その上で述べれば、拉致問題は岸田内閣の最重要課題であります。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、米国を始め各国と連携をしながら、あらゆるチャンスを逃さずに全力で取り組んでまいります。

近藤(和)委員 総理、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、北朝鮮に対する我が国の外交方針、これは一貫しております。

 圧力について、変わったのではないかと御指摘がありましたが、我が国は現在も、国連安保理決議違反に対する関係国と協力してでの制裁、また我が国独自の制裁、これもしっかり続けております。

 圧力はしっかりとかけながら、対話についても考えていく、こうした基本方針は全く変わっていないということを申し上げた上で、国会の議論、特別委員会の運営、基本的にはこれは国会でお決めいただくことではありますが、是非、国会においてもこういった議論が幅広く行われること、これは期待したいと思います。

近藤(和)委員 あらゆる条件をつけずにということは、これは、圧力ということに対して、日本側のですね、場合によってはそれを軽くしないかという可能性もあると私は思うんですよね。

 それによって対話がしっかりと進むということであれば、進められるでしょうか、総理。

岸田内閣総理大臣 現状、外交方針は変わっておりません。しかし、対話ということも大事である。要は、圧力一辺倒でもなく、対話一辺倒でもない。このバランスは大事であると考えます。

近藤(和)委員 前の菅総理、そしてその前の安倍総理も含めて、ずっと最重要課題だということを言われ続けていました。何らかの私は変化球というものが必要なのではないかと思います。

 例えば、スイスやスウェーデンなどを活用するといったことも含めて、何代か前のスイスの大統領も、これは核のところからだと思いますが、何らかの形で仲介しようかといった話もあったと伺っています。そして、前の前の総理大臣の安倍さんも、私は何らかの形で活用されていいと思うんですよ。何が何でも拉致被害者を全員救済するんだという覚悟を持って、是非とも頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、落合貴之君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 岸田総理、御就任おめでとうございます。この国をよくしていくためには、これまでの政権がやってきた姿勢から変えなければならない点、これも多々ありますので、是非、本気で、国のためになることはやっていただければと思います。

 まず、本日は、先にワクチンのことから取り上げさせていただければと思います。

 十二月から、医療従事者を始めとして、三回目の接種を始めました。これまでも、二回の接種も全国的に、国民対象に、各自治体窓口が大変な思いをしながら対応したわけです。今回も、希望者全員に打っていくんだということで、国民的関心が高いわけですけれども、まず、ワクチン担当大臣にお伺いをさせていただきます。

 厚労大臣ですとかコロナ担当大臣もいるわけですけれども、ワクチン担当大臣の役割というのは何なんでしょうか。

堀内国務大臣 お答えします。

 自治体への供給、またワクチンの様々なことへの発信、そういったものを担当させていただいていると思っております。

落合委員 ロジの部分ですとか、それから国民に発信、説明をしていくということだと思います。

 前回も議論になりましたが、ワクチンが、我が国で手に入る量が一気に来るわけではないので、ちょっとずつ来るとは思うんですけれども、これは、各地域に配給するときに地域差は設けるのかについてはどう計画されていますでしょうか。

堀内国務大臣 三回目につきましては、二回接種完了後おおむね八か月という方の人数に合わせて各都道府県さんにお渡ししていきたいというふうに思っております。

落合委員 おおむね八か月ということは昨日も答弁されていましたけれども、地域差はつけるのかということです。

堀内国務大臣 二回目接種完了の方の人数に応じて各地域に配分させていただきたいと思いますので、二回目完了なさった方が多いところにはその八か月後にその数、少ないところにはやはり少ない数ということになると思っております。

落合委員 東京ですとか大阪ですとか、人口が多いところは恐らく接種した人が多いでしょうから、そういうところから多く供給されるということでよろしいですね。

堀内国務大臣 二回目を完了した方の数がVRSなどにきちっと入っておりますので、その数に応じてお配り申し上げたいと思います。そういった方が東京に多い月にはそこの数だけ、やはり二回目接種が終わられた方の数だけ。大阪であろうと、それがほかの地域であろうと、二回目接種が終わられた方の数をきちっと、おおむね八か月後に接種券が送られてきた、そして皆さんが接種していただける、そういったことになっております。

後藤国務大臣 今委員長から御指名がありましたので、ちょっと補足をさせていただきますが。

 今、ワクチン担当大臣はワクチンの地方への配付についての話をしておりまして、昨日から問題になっておりましたのは、八か月を原則にしていたものを、オミクロン株への効果等を一定程度見極めた上で優先度に応じて前倒しをしていく、その担当は厚生労働大臣でございますので、それに従ってということでございます。

根本委員長 後藤大臣、簡潔に。(発言する者あり)

 ワクチン担当でちょっと関与している部分もあったので答えてもらいました。

落合委員 ロジの部分を伺っているわけで、八か月か六か月は違うときに質問させてもらいますので、今、質問をしておりませんので。

 これは、各自治体、その後、基礎自治体が全部担当するわけです。今回の五万円の給付にしても五万円のクーポンにしても、クーポンにするのか現金にするのか、全部しわ寄せは基礎自治体に行っているわけです。これは、国が早めに決めないと、全部早くやってくださいと基礎自治体に押しつけられてしまうということで、大変これは全国的に苦労されています。

 三回目の接種のために各自治体にいつ何箱送るという段取り、これはしっかりできているということでよろしいですね。

堀内国務大臣 できているというふうに思っております。

 最初の四百十二万回についてはもう配送済みでございます。次に千二百万回、両方ともファイザーでございますが、それについても十二月中に発送するような御相談をきちっと自治体とさせていただいているというふうに認識しております。

落合委員 これは、今自治体にも、在庫がある自治体もあると思います。それは使っていいんでしょうか。

堀内国務大臣 はい。今自治体で残余の在庫がおありの場合は、活用していただいて結構です。

落合委員 これは三回目に活用していいということですね。

堀内国務大臣 はい。三回目に活用していただいても結構ですし、また、一、二回目を打っていらっしゃらない方、そういう方のためにお使いいただいても結構でございます。

落合委員 これは、幾つかの基礎自治体にヒアリングをして、しっかり伝わっていない状況がありましたので、ここは大臣、しっかりやっていただければと思います。

 あと、段取りのこともしっかり伝わっていない自治体がたくさんありますので、そこもしっかり大臣が確認をいただければと思います。

 これはどれぐらい全国の方が、もう二回目を打った方がどれぐらいで、来年のどれぐらいまでにみんな打てるようになるのかという全体の見込みはどうなっていますでしょうか。

堀内国務大臣 一回目を全国で打った方ですか、今、御質問……(落合委員「二回目を打った後、三回目はいつまでに」と呼ぶ)おおむね八か月後ということに現在はなっております。

落合委員 では、今二回目を打っている方が希望すれば、おおむね八か月前後で全部、全員が打てる、それからそのワクチンの量は確保ができているということでよろしいですね。

堀内国務大臣 済みません。二回目の接種から原則八か月以降の方が追加接種を行う場合には、十分なワクチンを供給することが可能であるというふうに認識しております。

 十分に打てるということです、おおむね八か月後にということですね。

落合委員 なので、二回打った方が三回目を打ちたいと八か月後前後に思ったときは、もうそれを打つ、その分の国民的な量は確保ができているということでよろしいですね。

堀内国務大臣 はい。三回目の追加接種、二回目完了なさった方が当たる三回目の追加接種では、ファイザー社とモデルナ社のワクチンを用いることとしておりますが、二社のワクチンを合わせて、二〇二〇年に、一億七千万回の供給を受ける契約を締結済みであり、総量として必要なワクチンは確保できるといった見込みとなっております。

落合委員 分かりました。

 国民にもしっかり伝わっていないのと、各基礎自治体が、かなり今、どうすればいいのかということで、クーポンの配付等も含めて、またいろいろ国から押しつけられてしまうのかということで、不安と混乱をしております。しっかり、大臣、リーダーシップを発揮をしていただければと思います。これは進捗が進み次第、また聞かせていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 では、経済の問題に入りたいと思います。

 総理、新しい資本主義というものを看板政策として掲げられております。私も、総理がおっしゃっている株主資本主義からの脱却等、賛同するところが多いわけでございます。我々も、六月に経済政策中間取りまとめを発表していまして、株主資本主義から脱却して、公益資本主義的な考え方を導入して、従業員、消費者、取引先、地域社会など、多様なステークホルダーへの利益の公正な配分を実現しようということを掲げています。

 総理は、その株主資本主義からの脱却の象徴的な施策として、上場企業の四半期決算開示の義務化を見直すということを言及されてきました。これが、十月の就任されたときの所信にはしっかり書かれていたと思います。ただ、今回の十一月には書かれていない。株主資本主義からの脱却ということも言われなくなってしまっています。

 これは取り下げてしまったのか、特に具体的に、四半期決算の開示の義務化はやめるというのはやるのかやらないのか、どっちなんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の企業の四半期決算の見直しについては、新しい資本主義を考える上において、企業が長期的な視点に基づいて物事を考えていただくという点において、大変意義のある課題であると認識をしています。

 そして、現実においては、中長期的な企業価値を重視するという観点から、前向きに捉える意見がある。一方で、こうした四半期開示、これは業績の進捗状況をしっかり確認する上で必要だという意見もあります。そのため、金融審議会において、市場への影響等を見極めつつ、丁寧に検討をしていただいているという状況にあります。

落合委員 では、やるかやらないかもまだ決まっていないということですね。

岸田内閣総理大臣 私は、従来から申し上げているように、これは意味ある課題であると認識をしております。

 ただ、様々な関係者の方々の意見、市場への影響等もしっかり勘案しながら、関係者での議論、これをしっかりやってもらいたいと思っております。

落合委員 経済の好循環が、なぜ、アベノミクスのような、経済政策成功したと言っている政権でも、経済の力強い好循環は道半ばですということを言い続けていました。史上最大の企業収益が上がっても、個人消費が安倍政権下でも弱いままだったわけです。

 コロナ前でも、総務省の消費動向指数を見ると、安倍政権が始まった二〇一二年を一〇〇とすると、コロナ前の二〇一九年、安倍政権の後半、一九年には九〇ちょっとなので、一割も最も景気のエンジンになる個人消費は下がってしまっているわけです。これは、消費税増税を二回したということもありますし、それから、何より賃金が上がらないから消費が上がらないということなわけです。

 アベノミクスで企業収益最大になりました。GDPはそれなりに上がりました。それでも賃金が上がらない、個人消費も下がってしまう。これではずっと、どんな政策をしても国民の懐が豊かになることはないわけです。ここは、幾ら財政出動してもGDPを上げても、国民が豊かにならない経済政策をするのであれば意味がないわけです。

 このグラフを見てください。何で賃金が上がらないんですかと。

 いわゆる経済的な改革が始まったのは九〇年代後半です。一九九七年を一〇〇として、これは日本のそれなりの企業の、十億円以上の資本金の企業の数値を全部足し算してその合計の推移を見たものです。この売上高、紫のところが売上高なんですが、これが四半世紀で一〇七。七%ぐらいしか日本企業の全体の売上高は増えていません。でも、赤の部分を見ますと、三倍以上に経常利益が増えている。

 これは、何で売上げが上がっていないのに利益が増えたんですかというと、設備投資と従業員の平均給与は四半世紀前よりも低いんです、足し算した金額が。じゃ、何でそこまでして利益を上げたんですかというと、配当金は六倍に増えました。

 企業収益を上げて利益を出させる、そして配当を出させる、これは、この四半世紀、国がやってきた政策なんです。それが、賃金もカットし、そして会社の将来を担う設備投資さえもカットする、こういうことにつながってきました。これは、コーポレートガバナンス改革、四半期決算もそうです。それから、いろいろほかにもやってきました。そもそも、政府がROE経営を推奨して、一株当たりの利益率を上げてください、それがいい企業ですと言ってきたわけです。

 さっき総理も、中長期的な企業価値を上げるためには短期決算も必要なんじゃないか、短期の開示も必要なんじゃないかと、その答弁書に書かれていました。しかし、中長期的な価値の向上というのが、中長期的に株主に配当するための企業の価値であって、従業員やそれから産業競争力を意味しているわけでもないんです。会計上配当ができる、株価を上げられる価値を最優先してきたこの日本の経済政策、ここにメスを入れなければならないわけです。

 ですから、岸田総理が一番最初の十月の所信で言ったことは合っていた。しかし、反対が出てきた。二十五年間やってきた政策を転換するわけですから、反対は出ます。残念なのは、今回の所信からは外れてしまっていることが残念だと思います。本当にやる気があるんでしょうか、総理。

岸田内閣総理大臣 もちろん、コーポレートガバナンス・コード全体を否定するものではありません。こうした取組は、意義がある取組、たくさんあると思います。

 しかし、その中にあって、先ほど申し上げました企業の長期的な視点を考えた場合に、四半期開示の見直し等、見直すところはあるのではないか。少なくとも、株主資本主義と言われるような資本主義のありようについて考える必要はある。分配という観点からも、こうした資本主義のありようについて考えていくことは、これからの日本の経済を考えた場合に意義があるということを申し上げておりますし、その思いは今でも全く変わっておりません。

落合委員 今もおっしゃった長期的な視点というのは、産業競争力でもなくて、国民のお給料を上げることでもないんです。企業の会計上の利益率が高いということを維持する、それを長期的な視点というふうに言っているわけです。

 例えば、設備投資がずっと伸びていない。今デジタル、デジタルと言っていますけれども、IT化が始まると言われていたのはもう三十年前ぐらいです。そこから日本のIT投資はほとんど上がっていません。それは、全体の設備投資額が増えていないからです。

 じゃ、今回どうなりましたか。その頃五割あった世界の半導体のシェアは、今一割になりました。もしかしたら十年後はシェアゼロになるかもしれないという試算もあるわけです。設備投資、開発投資をしていなかったら、世界から取り残されていきます。しかし、会計上、企業の収益を上げるために、そういった産業競争力が犠牲にされてきたわけです。

 大臣の今回の所信にもありました、5Gとかで世界をリードする。これ、リードできる段階じゃないですよ。残念ながら、韓国とか中国よりも5Gの分野で遅れています。世界に追いつくことさえもできていない。世界から遅れている。どうやって具体的にリードするのかなというふうに思います。

 どんな施策も賛成、反対は多いわけですけれども、四半期決算、この短期主義の見直しぐらいは絶対にやるべきです。なぜなら、四半期決算を義務化しているのは、主要国ではアメリカと日本だけです。

 九〇年代に、四半期決算が当たり前だ、それがグローバルスタンダードだと言われて、主要国はみんな四半期決算を義務化したんです。でも、こういう短期主義の弊害があるということで、ヨーロッパはやめました、六、七年前に。これ、グローバルスタンダードだと思っているのは日本だけなんです。

 ですから、これは早期に、日本の産業競争力を上げるためにも、賃金を上げるためにも、やらなきゃいけないんです。もう、やろうかな、やらないかなと言っているような話ではないんです。絶対に実行していただきたいと思います。

 それから、これは世界的に議論がされていることですけれども、じゃ、株式市場って何のためにあるんですか。

 自社株買いというものがあります。これは、ここで企業が上げた収益を、自分の会社の株を買うために利益を使う。お給料を上げるのでもなく、設備投資をするのでもなく、上がった利益は自分の会社の株を買うことに使う。そうすることで、世の中に出回るその会社の株の数が減りますので、株価が上がります。これは投資家が求めていることです。

 これは日本はずっと禁止をしてきました。それが小泉改革で解禁がされました。これは何のためにやったのかよく分かりません。少なくとも外国の投資家はそれを求めていました、株価が上がりますので。ただ、従業員が一生懸命働いたこの売上げを、株価を上げることばかりに使うことは私は問題だと思います。

 今、自社株買いの金額の方が、株式市場で資金を調達する金額よりか高いんです。アメリカはずっとそうなんです。日本も解禁以降ずっとそうなんです。ヨーロッパもそうなので、見直しの議論が始まりました。株式市場に上場している意味がだんだんなくなってきている。上場している企業はどんどんどんどん資金が株主に吸い取られてしまっている。本来であれば投資家から資金をもらうのが株式市場であるにもかかわらず、投資家に資金を上げるのが株式市場になってしまっているんです。

 自社株買いも、きっぱりと見直し若しくは禁止まで議論は踏み込むべきじゃないですか。

鈴木国務大臣 自社株買いにつきましての御質問でありますが、近年、株主への利益還元や株価収益率、ROE向上などのために広く使われているということは承知をいたしておりますが、企業の利益につきましては、株主への分配だけではなくて、持続的な成長のために新事業等に再投資すること、また、長期的な視点で、賃金など、従業員等へ人材投資をしていくことなど、これも重要だと考えております。

 一方で、企業が成長の果実をどのように、還元したり、再投資したりしていくことは、各企業において、その置かれた状況に基づき経営判断すべき事柄でありまして、自社株買いについて新たな抑制する措置を設けることは、企業における柔軟な対応の余地を狭めることにもなるのではないか、そういう指摘もございます。

 いずれにいたしましても、上場企業におきまして、様々な利害関係者に配慮しつつ、中長期的な企業価値の向上に取り組んでいくこと、これが重要であると思っております。

落合委員 これは、自社株買いをどうするかとかは会社法に書いてあるので、法務大臣がなぜか所管なんです。これは非常に多岐にわたっているので、問題が見えにくいと思います。

 今、財務大臣、金融担当大臣がおっしゃったのと同じ意見でしょうか、総理。

岸田内閣総理大臣 自社株買いについては、それぞれの企業判断に基づいて、状況に応じて判断していく問題ではありますが、私自身、多様なステークホルダーを重視して、持続可能な新しい資本主義を実現していくということから考えましたときに、御指摘の点は、これは大変重要なポイントでもあると認識をいたします。

 ただ、今、金融担当大臣からありましたように、企業の様々な事情や判断がありますので、画一的にこれを規制するということは、これは少し慎重に考えなければいけないのではないか、その個々の企業の事情等にも配慮したある程度の対応、例えばガイドラインとかですね、何かそういったことは考えられないだろうかということは思います。

落合委員 これは、アメリカでさえ制限のための議論が始まっていますので、恐らく日本が一番遅れています。

 今、金融担当大臣がおっしゃった話は、二〇〇〇年代前後ぐらいの、そういう担当の方々が言っていたような答弁をいまだに二十年後も言っている。これは物すごく時代遅れですので、是非検討ぐらいは始めるべきだというふうに思います。

 ちなみに、会社の判断と言いますけれども、それを判断するのは取締役です。二年前、三年前に、社外取締役も義務化をわざわざしました。これをしているのも、アメリカと日本だけなんです。

 社外取締役を義務化したら、社外取締役はどこから連れてくるかといったら、ファンドから送られてくるわけですよ。株主還元のためにどんどんどんどん利益を吐き出せという意見を言う取締役を増やすための法律も、三年前に通しているんです、二年前ですか、二年前に通しているんです。

 これは、全然、世界の潮流から、二十年前にやっていたことを今、時代遅れにやっていることは認識をするべきです。そのための株主資本主義からの脱却、そのための岸田総理なんです。御自身の役割をしっかり認識をしていただければと思います。

 賃金を上げるというふうなことで、金融面からも賃金はどう考えても上がりませんよということを申し上げました。

 それから、非正規雇用が二〇〇四年に解禁されて、その頃から非正規雇用の数はぐんと増えて、今、四割にもなってしまっています。これは、最低賃金を上げなかったら賃金は上がりにくい構造ができてしまっているということです。これも抜本的な対策が必要だと思います。

 我々は、中小企業が新規で正社員を雇用するときに、雇用主の社会保険料の負担を補助するという法案も出しました。具体的にこれぐらいの踏み込んだ法案を出さないと、正規雇用化は進まないと思います。

 今回、私が総理に聞きたいのは、この非正規雇用の問題より更に先までこの雇用の問題は進んでしまっているということです。

 みなし個人事業主というのがはやっています。社員と同じように働いているのに、正社員でもない、非正規雇用でもない、業務委託料をもらった個人事業主、こういうのが増えています、建設業にしても、ITにしても、配送業にしても。そうなると、最低賃金さえ関係ないんです。労災もない、社会保険もない。非正規雇用よりも守られていない雇用がどんどん増えています。

 これは数が、二年前ぐらいに調べたら、三百万人、こういう人たちがいたんですけれども、今、四百六十二万人ぐらいということで、やはり急増しています。

 働き方改革の旗を振ったことで、フリーランスという働き方も選択肢として出てきて、所得が上がる要素よりも、こうやって低賃金の、低い業務委託料で働く人たちがどんどんどんどん増えてしまっている。働き方改革は、負の部分が大きくなっています。これは修正するべきじゃないでしょうか。

山際国務大臣 議員おっしゃるように、フリーランスと言われる働き方がどんどん増えているという認識はもちろん持っております。

 一方で、多様な働き方を認めていく社会にしていこう、この流れも我々としては推し進めようと思っております。

 また、議員おっしゃるように、様々な問題があるということも我々承知しておりまして、令和二年に内閣官房において、これは公正取引委員会や中小企業庁や厚生労働省と組んで実態調査を行いまして、その後、その結果に基づいて、全世代型社会保障検討会議において方向性を出して、令和三年、今年の三月にガイドラインを作らせていただいております。

 また、厚生労働省においては、令和二年の十一月から、ワンストップでこの相談を受け付ける窓口等々も設置して対応しているところでございますが、まだこれで十分だというふうには当然思っておりませんで、そもそも、その実態調査によりますと、今議員からもお話ありましたように、様々な問題がある。

 例えば、契約という名前のものがそもそも行われていないなんという問題もありますし、また、書面や電子メールで交付されていないもの以外にも、内容が十分に明記されていないといった根本的な問題もございます。

 これらを受けまして、まず契約を明確にするところから始めまして、その法制化、保護法制化というものも含めて、今検討して、前向きにこれを何とかしたいと思っております。

落合委員 これも、総理、賃金を上げる政策をやるのであれば、早急にばしっとやるべきだと思います。

 EUは、ギグワーカー保護法をもう作りました。早めに総理のリーダーシップでやるべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、これまでも、ガイドラインですとか相談窓口ですとか様々な対応をしておりますが、今後とも、多様な働き方を可能とする社会を目指していくとしたならば、そうした問題意識を持って、より、それにどういった対策を加えなければいけないのか、政府全体としても考えていきたいと思います。

落合委員 これはどう考えても答えは一つしかありませんので、慎重な答弁ではなくて、本当に国民の賃金を上げるつもりがあるのであれば、やると言っていただければと思います。

 それから、特定技能二号、外国人労働者を受け入れる業種の拡大が政府で検討されているということです。

 これは、国会審議もなしに、低賃金のいわゆる外国人労働者をどんどん入れることができてしまうわけです。これも導入時に、アベノミクスに対するアドバイスをしているエコノミストの方々などが、労働力の投入量に制約があるから賃金が上がるんだ、これを解禁したらアベノミクスの負の部分はもっと広がっちゃうという指摘もしているんです。これは民間のシンクタンクも試算を出しています。

 最初の導入のときから賃金という点でマイナスの意見があったのに、賃金を上げると言っている岸田政権がこういった施策をもっと広げようとしている、これも間違いじゃないでしょうか。総理のリーダーシップで絞るべきじゃないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、改正入管法の附帯決議の中で、我が国の産業、雇用、さらには国民生活、こうしたものに与える影響に十分配慮することを求めるという附帯決議の内容が盛り込まれております。この附帯決議に基づいて、これは慎重に検討しなければいけない課題であると認識をしております。

落合委員 これで終わりますが、アベノミクスはことごとく、企業収益は上げるけれども賃金が下がるような政策をしてきました。それを引き継いだら、賃金を上げることはできません。びしっと前政権との政策を断ち切って、違う方向に進んでいただければと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて小川君、長妻君、江田君、石川君、逢坂君、岡田君、近藤君、落合君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、日本維新の会、さきの総選挙で大きな議席をいただきまして、今回、この予算委員会も二時間二十七分頂戴をしまして、大変ありがたく存じます。

 私、トップバッターでございますが、私の後に、東京一区でチャレンジをして国会に上がってまいりました小野泰輔さんが半導体について、それから、大阪から、これも一期生でありますが、岩谷良平さんが、国家公務員の人事制度、議員特権、また大阪・関西万博について取り上げさせていただきます。そして、四人目のバッターが、新しく幹事長になりました大阪の藤田文武代議士。この四人で今日は質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 さて、総理、第二次岸田内閣発足、本当におめでとうございます。岸田内閣も新しい形で今回立ち上がっているわけでありますが、私たち維新の会も、総選挙を経て体制が。あっ、ここで今パネルを掲示しておりますのは、紹介を忘れていました、大阪十区で小選挙区を勝ち抜いてこられました池下卓代議士に今日は手伝っていただきます。

 これは、先ほどから自民党の理事の先生方から宣伝かと言われてちょっと笑われていたんですが、我が党の体制が分かりにくいとよく言われるので。党三役、そして国会議員団の四役という二層構造になっています。ちょっと馬場さんと井上さんの顔が大きく出ていますが、これは本物も大きいので、ちょっと御容赦をいただきたいと思いますが、こういう二段構造になっています。

 なぜ二段構造になっているかというと、私たちは、地域から、地方から生まれた唯一の国政政党です。だから、地域の、大阪だけではありません、全国の議員団、全国の首長、全国の議員団と一緒になってこの政策を組んできている。この政調会の国会議員団の中の体制はもちろんございますが、全国の議員団と一緒になって政策をつくってきているということを御理解を賜って、私はこの左側をまとめていますが、この全体の政策をまとめているのが音喜多駿党政調会長であると御理解をいただきたいと思います。

 さて、まず取り上げなあかんのは、この十万円ですね。

 今申し上げたように、私たちは地域から生まれた唯一の国政政党ですから、国会で決めたことを上意下達で地方にそれを落とすというような考え方は一切ありません。むしろ逆で、地方の議員団、地方の首長、これから私たちは、大阪だけではなくて全国で、東京、関東もそうです、全国で、議員集団のみならず、今、大体五百名弱の議員団が全国に立ち上がってきていますが、首長はまだ大阪中心です、これからは全国で、市町村の首長、都道府県の知事をつくっていく、そんな思いで取り組んでおりますが、例えばこの十万円、とにかく松井市長から、何とかしろということで、要は、地域からしたら、これはもう絶対にやらなあかん至上命題なんです。

 だから、全国の市町村から私たち国会議員団が宿題を受けて、松井大阪市長は、我が党の代表でありますが、七日の日にもう、大阪市としては年内現金一括給付をしたい、するということをおっしゃって、ペナルティーはあるのかということを私たち国会議員団に問うてきました。再三私たちも内閣府に問合せをしてきましたが、答えはない。要は、まだ何も決まっていないということでした。

 そういう中で、今日、予算委員会の我が党の筆頭理事は浦野靖人筆頭理事でありますが、松井大阪市長とは府議会の同期なので、浦野さんのところにも、浦野さんが、まだ分からないんですとツイートしたら、松井さんが、早く決めてくれというツイートをされたりとか、もう全部、大体、我が党の動きはツイッターを見ていれば分かりますので。

 そして、ここには抜けていますが、八日には、松井市長から、これもツイッターあるいは記者会見で、今週中、今週中というのは先週中です、先週中に政府の判断がないと年内一括現金給付は厳しくなる、明日が正念場、明日が正念場というのは先週の木曜日の我が党の代表質問です。先週木曜日の馬場共同代表による衆議院本会議での岸田総理に対する代表質問が、もう最後の最後の最後のお願いだと、お願いというかデッドラインだということを定めて質問をさせていただきましたが、全国の自治体が納得のいく御答弁は、そのときはありませんでした。

 それを受けて、当日、九日の木曜日、大阪市長は、残念で仕方がない、ニーズに全く合っていない、年末に何とか十万円を届けたかった、判断する権限を自治体にいただきたい、こういうことをおっしゃっていました。私も、このまま、全国の議員団の願いを実現できないまま、何が躍進だと。このままであれば、私も、この年末、悔しくて正月を迎えられないぐらいの気持ちでこの週末を過ごしました。

 そうしたら、この休日明けに、昨日、岸田総理から、あるいは山際大臣から、新しい方針が打ち出されたということであります。

 これは、総理、何とか先週中なんだけれども、今日になった。それでも、今、それを、昨日の議事録を、私の事務所でばあっと全部、総理の御答弁、山際大臣の御答弁を全部たたき打って、それを、とにかく、いろいろ問合せがある市長さんに全部送りました。議事録しかない。

 なぜあと三日早くできなかったのか。乗れたところは感謝すると思いますが、間に合わなかった市町村がたくさん出てきます。やはりこの三日は必要だった、そういうことですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 子育て世帯への給付金の在り方については、地方自治体からの御意見や国会での議論も踏まえ、柔軟な制度設計を進めることとしたものであります。

 できるだけ迅速にプッシュ型で支援をお届けする観点から、コロナ予備費を措置した五万円の先行給付金については、九割超の市区町村が年内に支給する見込みであると聞いております。

 その上で、今回の十万円の現金一括給付を選択肢に加える方針については、地方自治体において円滑な準備が行われるよう、補正予算の成立を待たずに政府の考え方を地方自治体にお示しをしたいと考えております。

 なお、補正予算の成立前に給付が行われた場合、給付対象者や給付金額等が適切なものである限り、事後的に補助金を交付することとしております。

足立委員 今、予算が成立前ということは、これも御努力に感謝をしますが、いつですか。いつ説明がなされるか。お願いします。

山際国務大臣 ただいま官房長官からお話しさせていただいたように、速やかにやりたいと思っておりますので、今週中には間違いなく通知が行くようにしたいと思っております。

足立委員 当たり前ですね、予算成立前なんだから。予算成立、まだ成立していませんが、週明けにもという流れと承知していますので、そういう中では、もう水、木、金、この水、木、金しかないんです。だから、今、山際大臣、今週中とおっしゃった。当たり前です。でも、これが水なのか、木なのか、金なのかによって、全国の市町村の事務が、それを待つわけですね。お願いします。

山際国務大臣 この中継を通じて全国の自治体の首長さんも御覧になっていただいていると思いますので明確に申し上げたいと思いますが、条件は何もありません。適正にやっていただく限りは、後から、追ってきちんと補助金でそれを補填をするという形でございますので、国からの通知は出しますけれども、それを待たずに、これを聞いていただいている方々は、準備ができるところは準備をしていただいて結構でございます。

足立委員 昨日から今日にかけて、今の山際大臣の御答弁も含めて、国会での議事録が全てで、それ以外に市町村が把握すべきことはないということだと、今うなずいていただいているので、そういうふうに受け止めます。

 一応、いただきましょうか。追加のメッセージはないと。

山際国務大臣 追加というか、ここで議論させていただいたことをきちんと明確にするものを私どもの方から出させていただきたいと思ってございます。

足立委員 国会の質疑を明確に整理して、事務的に説明会もするというふうに承りました。今週中ですね。

 これは、できれば総理、これは総理が御判断された、私は御英断だと思います。このままいったら私は本当に正月を越せなかった。だから御英断と感謝をしますが、大事なポイントは、その御判断に当たって、全国千七百の市町村の中で、年内十万円一括現金給付、年末に十万円を一括で現金給付できる自治体、どれぐらいあるんでしょうか。

山際国務大臣 定量的に何自治体あるかということはお答えできるような状況にはございませんけれども、議員も御案内のように、地方議会を通してこれを決めていくということもありますが、専決事項として首長さんに御判断いただくということも可能でございますので、要は、国としてしっかりその費用を負担するということが明確になっていれば御決断いただけるものだと思いますから、今日これを聞いていただいている首長さんたちには、それをもって進められるものは進めていただければありがたく存じます。

足立委員 繰り返しになりますが、御英断だと思います。

 ただ、もし、今、私の地元を始めいろいろな、私が手の届くところの首長さんたちとは綿密に連携を取らせていただいていますが、やはりちょっと、もうごめん、さすがにもう間に合わないというところもあります。そういうところの首長さんにとっては、総理は、岸田内閣は、一括十万円、年末、年内給付オーケーということをおっしゃったわけだから、もしそれができない市町村があったら、そこの市長さん、町長さん、村長さんは、住民に、岸田、国はオーケーと言ったけれども、なぜうちの町はできないんだという説明責任を果たすことが必要になりますね。だから、できない市町村にはこれは大変な負担。特に首長さん、政治家ですから、選挙、公選職の首長さんにとってはこれは死活問題です。

 総理、是非、できないとしても、それは、いや、元々クーポンでやりたいというところがあるというのが御答弁ですから、それはそれでいいです。でも、できれば年末一括十万円、年末に、正月を越す前に十万円を一括で配りたいという首長さんがこの内閣の御判断が遅かったためにできなかった場合、その責任は内閣にある、国にある、岸田内閣にある、それは当然ですね。それだけ明言ください。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の御指摘、時期が遅いという指摘については、謙虚に受け止めたいと思います。

 元々、選挙の結果を受けて、年末までに国民の皆さんに何らかの形で支援を届けたい、こういった思いで努力をしてきたわけですし、そして、実際、プッシュ型で、コロナ予備費を使って年内に五万円だけでも先行して支援を届けたいという取組を進めていき、結果、五万円の先行給付については、九割超の市区町村において年内に支給する見込みであるということを聞いております。ただ、その後、国会の議論の中で、十万円一括で支援すること、支給すること、これも選択肢の一つとして定めさせていただいた、こういったことであります。

 時期が遅い、自治体において苦労されているということは謙虚に受け止め、先ほども山際大臣から申し上げたように、政府の考え方、一括給付の考え方、これは、補正予算の成立を待たずに自治体に示したい、今週中にと申し上げましたが、私としては一両日中にお届けしたいというふうに思います。

 この点についても努力をしたいと思いますが、実際、こういった経緯は、マスコミ等を通じて国会でのやり取りは全国に伝わっているわけですから、全国の市区町村長の皆様方におかれまして、自分たちの対応について、こうした国会での議論のありようをしっかり説明の中に加えていただき、対応を御説明いただく。これは当然あるべきことであると認識をいたします。

足立委員 重ねてで恐縮です。

 一両日ということは、今日、あした、あした中ということでいいですね。

岸田内閣総理大臣 一両日中、今日、明日を言っております。

足立委員 御答弁ありがとうございます。

 住民に直接向き合っている基礎自治体にとっては、一時間がその住民サービスを提供できるかどうかの分かれ目になるということですので、是非、今おっしゃったように、あした中、それも国会答弁がベースということですので、今日、明日の一両日中に、改めて国会での御答弁を整理したものが市町村に行くということで確認させていただきました。

 上から目線で申し上げましたが、住民に向き合っている市町村が一番大事ですから、是非御理解を賜りたい、御努力をいただきたい、こう思います。

 さて、私、今日はコロナについて取り上げさせていただきますが、岸田総理は、さきの所信表明演説でこうおっしゃいました。「これまでの新型コロナ対応を徹底的に検証します。」もう二年近くたつんですね。これから検証をするのは後で議論しますが、これまで検証はしたのか、したのであれば、何が分かったか、御紹介いただけますか。

山際国務大臣 検証につきましては、実はずっとやっております。これは、ある意味、ここにいる皆様方は全員そうでしょうが、必死の戦いをこの二年間続けてきたわけですね。それから、日々積み重なってくる知見というものを分析、検証しながら、よりよい方法は何なのかということを探り続けて今がある、このように考えております。

 その上で、岸田内閣になりまして、総理から、検証をまとめて、全体像として分かりやすくお示しをするように、このような御指示がございましたので、それをまとめて、全体像としてお示しをしてございます。

 そこで、課題としてあるものを更に解決していくために、今回の経済対策の中に、補正予算の中に、その足らざる部分、課題の部分というものを盛り込んで、今回、補正予算案として皆様方にお示しをしているということでございます。

足立委員 もちろん、政府はもうこの二年間、私たちも、大阪で責任を持つ、吉村知事を筆頭に、大阪では責任政党でありますので、今、山際大臣がずっとやっているんだとおっしゃった気持ち、全くよく分かります、それは。よく理解できます。

 ただ、やはり国民に対して、この感染症対策は国が一義的には責任を持つものでありますから、一体この二年間どうだったのか、あれだけの負担を国民の皆様にお願いをして、知事にも奮闘いただいて、そして、それらの結果はどうだったのかということを、やはり私はちゃんと説明していかなあかんと思うんですね。まさに説明責任です。

 これは、民間の、経団連の資料を掲載をさせていただいていますが、JR東日本のデータをCATSという仕組み、システムに乗せた成果を経団連の報告書に載せているものを紹介をさせていただきますが、結論を申し上げると、これから分かる、これは政府のスタディーじゃないですよ、これは民間のスタディーですが、結論から言うと、相関はある程度はあるが、その相関係数は安定しません。それから、仮に相関があったとしても、それは因果関係を示すものでは当然ありません。

 更に言うと、この右の方を見てください、ワクチンが、これは全体的にもそうかな、ワクチンが打ち進むと相関が減ってきています。これは明らかです。だから、ワクチンが打たれる、進むと、人流抑制の必要性というか、それは大変な負担を国民におかけするわけですから、人流抑制とか営業規制の必要性は下がるという示唆を私は得ていますが、政府はそういう示唆を持っていますか、持っていませんか。

山際国務大臣 端的に言えば、先生のおっしゃっている意識と同じ、同様の意識を持っているということでございますが、それも受けまして、今回、私どもで、お示しをしました全体像に基づいて、新しいレベル分類という分類を入れさせていただきました。そのレベル分類に基づいて緊急事態措置あるいは蔓延防止等重点措置をしていく上でのどういう行動制限をしていくかという議論をする中で、先生今御指摘ございましたように、人流の抑制というものに関しては、その科学的なファクトが積み上がってきたということもあって、今までとは違うやり方にしてございます。

 正確を期すために少し読みますが、混雑した場所や感染リスクの高い場所を訪れる場合を除き、ワクチン接種の有無にかかわらず、国として自粛要請の対象に含めない、このような形にしておりまして、まさにおっしゃるように、国民のワクチン接種の割合というものが増えてきたということを受けて、初めてこのような形でやらせていただくことを決めたところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 これは、今年の二月一日に衆議院の内閣委員会で、今日もお越しをいただいています近藤内閣法制局長官から私がいただいた御答弁であります。今、山際大臣の方から、人流の話、御答弁もいただきましたが、ここでは、特に営業規制ですね、要は、さきの特措法の改正で、過料が入りました。そのことに関連して、近藤長官から、それだけの規制をするのであれば、それなりの、より科学的で、要は、疫学的な見地からこれは必要だと言えるものに絞らないと駄目なんだと。

 当たり前のことですが、近藤長官、改めて、この御趣旨、国民の皆様に分かるように、同じことになりますが、繰り返し御答弁いただけますか。

近藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 委員がお示しなされた資料でもうほぼ言い尽くされておりますけれども、この今年の二月一日の衆議院の内閣委員会における私の答弁ということで、そのときの私の答弁は、特措法に基づく都道府県知事の要請に応じた事業者への補償の要否については特措法制定時の整理が当てはまる旨答弁した上で、新たに設けられました過料制度につきまして、以下のように述べております。

 都道府県知事の命令に応じない事業者に過料を科するということで、特に今回、原省庁にお願いしたのは、蔓延防止等重点措置及び緊急事態措置のそれぞれについて、これらの措置に基づき都道府県知事が事業者等への要請又は命令を行う前に、特に専門家の意見を聞くことを法律で義務づけてもらい、これらの措置は、科学的知見や疫学的見地から真に必要なところに絞っていただくということで、過料との見合いで、厳重、慎重な発令をお願いするという条文になっているという旨を御答弁したところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 全く繰り返しでありますが、御足労をおかけしました。

 大変重要な御答弁であったと思い、今日はパネルで提示をさせていただいております。

 これを見れば、いわば、かつてと同じように、余り科学的あるいはエビデンス、そういうものがない中で、飲食店等に過度な、まあ、思いつきでしかないと国民には、あるいは事業者の皆様には思えないような緊急事態に係る様々なお願いを乱発するような状況には、もう法律論としてもそれは認められないし、先ほどワクチンの関係でも、ワクチンが打たれていけばそういうことは必要がなくなってくるんだ、そういうエビデンスがあるんだという私の指摘に対して、山際大臣もそうだとおっしゃっていただいた、これは確認をさせていただきたいと思います。

 すると、これから大事なことは、オミクロンのウイルスが市中感染をする前に、何とかこれを水際で抑える。ワクチンを打つのはもうちょっと時間がかかります。今日もワクチン大臣、もう今日は質問しませんが、ワクチンはもう本当にとにかく急いでほしい、これが国民の願いです。いや、頑張っていただいているのは本当によく分かっているんだけれども、とにかく高齢の方が二回目の接種からどんどんどんどん時間がたっているんです。

 吉村知事も、クラスターが発生したらということではなくて、高齢施設、介護療養施設、広く、そういう抗体価が下がっていると思われる方々にはとにかく早く打っていただきたい。それが間に合う、ワクチンの三回目、ブースター接種ができるまでは水際で止めるしかないんです。これはもう時間との戦いです。だから、私は、水際については、これ以上やり過ぎることはないというぐらいやるべきだと思うんですね。

 ちょうど政府が新しい方針を出したときに、斉藤国土交通大臣が、ちょっとやり過ぎたということで謝られました。私は謝る必要はないと思いますよ。いいんです、やったら。だって、そういうことを、やり過ぎたらみんなでマスコミがたたくから、閣僚が判断するときに、あれは大丈夫か、これは大丈夫かと言っている間に一週間たつわけです。

 岸田総理が御英断で水際規制をどんと決めた。でかい、大国ですから、日本は。日本の各部、各省において、それは多少行き過ぎたこと、でも、すぐ訂正されました。私は、そういうのを何かあげつらうのではなくて、その迅速な御判断をやはりもっと称賛する、岸田総理の御判断を、マスコミを挙げて、これはよかったんだと。国民はそれを分かっていますけれどもね、分かっていないのはマスコミだけでありますが。いずれにせよ、その御判断は私はよかったと思う。

 あと、今日、昼のNHKのニュースを見ていて、ちょっとあれっと思ったんですが、待機するホテル。

 厚労大臣、済みません、昼のニュースで何か一万三千室という数字が出ていましたが、私が吉村知事と話をする中で、私の理解しているのは、大阪府だけで、ホテルの準備は、公式ベースで八千五百、下準備ができているものを合わせたら一万室がある、こう聞いているんですね。あ、それは違いますか。じゃ、余りすり合わせ、あれですが。え、八千五百というのは聞いていない。(発言する者あり)ちょっとまた概念が違うのね。済みません。

 いずれにせよ、総理が、たしか知事にもお電話をいただいて、とにかく、全国の、特に大都市、東京、大阪を始めとする大都市に、空港もあります、それをお願いというか、連絡をいただいて、全国の知事が頑張っている。その中で、大阪も、今、ちょっと概念は不正確ですが、一万室の準備はできる、こういう話がありました。

 ちょっと確認は、まだ不十分だと思うんですね。要は、今日、これは検疫法の停留に関する規定ですが、十六条の二が協力要請です。十六条はもっと強いんですね。まだ、今適用しているのは十六条の二だと理解していますが、これは、なぜ十六条を適用しないんですか、厚労大臣。

後藤国務大臣 検疫法の件でございますけれども、新型コロナウイルス感染症を含む新型インフルエンザ等感染症の病原体に感染したおそれのある者については、合理的に必要と判断される限度において、十六条の二第二項に基づく協力要請を行っておりまして、こうした協力要請に従わないような場合、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときに停留を行うことができるという、そういう規定になっております。

 こうした規定の仕組みの中から、帰国者全員を一律に取り扱うのではなくて、滞在国、地域のリスクに応じて検疫所の確保する宿泊施設における十日間、六日間、三日間の待機措置や自宅待機を組み合わせて、十四日間の待機と健康フォローアップを求める。その要請に応じない者に対する停留措置としての位置づけで、今は十六条の二第二項の協力要請で対応いたしております。

足立委員 要は、私は、まだ十分にオミクロン株の性質がよく分からないんだから、最大限の水際措置を取るべきだと思うんですが、今おっしゃったような枠組みでしかやれていないのは、宿泊施設のキャパの問題なのか、あるいは検疫のキャパなのか、あるいは人権への配慮なのか。

 水際の検疫のキャパ、そこもキャパがありますね、そこでふん詰まっているのか。宿泊施設が足りないのか。あるいは、人権を意識しているから緩めにやっている。三つのうち、どれですか。

後藤国務大臣 まず、待機施設でございますけれども、地方自治体の皆様にも大変協力をいただきまして、本日時点で、一万三千室を確保しております。大体、今、日ごとに移りますけれども、待機施設に入る方が八千人前後ということでございますので、そのキャパで議論しているというわけではなく、先ほども申し上げたように、滞在国のリスクに応じた評価によって、こういう十日、六日、三日の施設における待機をお願いをいたしております。

足立委員 関西空港で、五日に関西空港に到着された御家族で、停留期間中の検査で陰性と出て、実は御家族のお一人が陽性だったんですが、残るお二人は陰性だったため、停留が解かれ、入国して自宅待機になっていましたが、結局、濃厚接触者であるのではないかという、後から追いかけて、これは潜伏期間でそれをチェックできなくて、自宅で、まだオミクロンかどうかは解析中でありますが、陽性者が後で見つかったケースが出ています。

 もう少し停留期間を延長するとか、私たちの関空のこの事例を見ると、この停留措置についてはまだ甘い、もう少し、陽性者が出たらその御家族とかそのグループだけは停留期間を延長するとか、もう少しできることがあるので、是非また、知事、私は吉村知事から聞いていますが、是非、全国の知事さんの御意見を改めて聞いていただいて、更なる水際規制の徹底をお願いしたいと思います。これは時間との戦いでありますから、よろしくお願いします。

 今申し上げたのは日本人でありますが、外国人については、依然として、入管法五条の一項十四号に基づく、それで一斉に、外国人はもう入ってくるなということをやりました。これは、昨年の二月から日本維新の会としては入管法改正をすべきだと。これは、私たちはいわゆるテロリスト条項と言っていて、テロリストは止める、この条文で全部、今、世界中から外国人を止めているわけですね。

 二年たっているんです。私たちが提言したのは昨年の二月。入管法を早く改正しませんか、法務大臣。

古川国務大臣 お答えいたします。

 外国人の上陸拒否についてでございますけれども、現下の新型コロナウイルス、世界における感染状況は刻一刻と目まぐるしく動いておるわけですね。入管法第五条一項の第十四号に基づきまして、上陸拒否の範囲を明確にしながら、機動的な水際対策を今講ずることができているというふうに認識しております。

 それで、今委員が御指摘されました、新たにきちんと項目をつくるべきではないかということについてでございますけれども、もちろん、これまでも、過去において、この上陸拒否事由につきましては、社会情勢に応じて適宜追加をしたりしております。ですから、今後、そういうことも含めて適宜適切に判断をして、見直すべきは見直していくということになろうかと思います。

足立委員 よろしくお願いします。

 次に、話はちょっと変わりますが、私たち日本維新の会は、岸田政権であれ、前政権であれ、やはり自民党は、この戦後というか、一九五五年から六十年以上にわたって日本を統治してこられたから、今の制度が前提になっているんですね。だから、雇用保険というのは平時の仕組みです。景気変動はありますよ、景気変動はありますが、平時の仕組みの雇用保険制度を有事に使うものだから大変なことになった。窓口も大変だけれども財政も大変ということで、リーマン・ショックのときに、このちょっと吹き出しがございますね、下の方に吹き出しがあります。今までに二回だけ、税金をどおんと入れたわけです、法律で。リーマン・ショックのときと今回です。今回は二兆円前後のお金を入れているということですね。

 私、今日、維新以外の野党の皆様が、石原さんあるいは大岡さんの問題を取り上げて、けしからぬとやっているんだけれども、なぜけしからぬか、もうちょっと言った方がいいですよね。私もけしからぬと思う。

 彼らが、彼らというと僭越ですけれども、石原さんや大岡さんがなぜ今非難されているか。それは、人道的な問題だけではありません、税金だからです。保険料であれば、保険料を払っていますよ、彼らも。社会保険事務所に登録しているんだから。だから、保険の議論だけすれば、受給する資格はあるんですよ。もし、ないと言うんだったら、保険料を払わないようにした方がいい。

 そこはいいんです。今回は、税金でしょう。お二人が受けたお金は恐らく税金で穴埋めされるんですよ。そうであれば、平時の雇用保険のルールではなくて、緊急時のルール、緊急時に、給料が減っていない政治家の事務所、公務員がそんなものを受ける必要はありません。

 平時の仕組みと緊急時の仕組みを立て分けるべきだというのが私たちの考え方ですが、いかがですか。

後藤国務大臣 今回のコロナ禍におきまして、雇用保険制度では、雇用調整助成金の前例のない特例措置、一万五千円の上限とか十分の十などを行いまして、これに伴う支給増等のために、昨年六月に、令和三年度末までの雇用保険臨時特例法を制定をいたしました。そして、その臨時特例法では、雇用保険財政の状況に応じて、一般会計から雇用保険に対して任意の繰入れを行うことができる、そういう仕組みを特別の財政運営の仕組みとして導入をいたしまして、御指摘の、一・七兆円を含め、合計で二・二兆円を繰り入れることといたしております。

 労使の負担感も考慮しつつ、雇用保険制度の安定的な財政運営のための措置を取りました。

足立委員 済みません、予算委員会なので、局長レベルで答えられるような御答弁はちょっと勘弁してほしいんですが。ごめんなさい、大臣に失礼ですが。

 もう一つ、社会福祉協議会ですね、緊急小口、総合支援金。これは元々福祉の窓口なんです。令和元年度、四月から翌年の三月、一年間で数十件、数百件をさばいていた窓口なんです。そこで今回は月に数万件ですよ。

 これが私が言っている、なぜ平時の福祉の窓口を使うんですかと。これのせいで、これのせいでというか、社会福祉協議会の窓口がてんやわんやになるのは当たり前でしょう。だから、職員も大変な思いをするし、窓口に来た国民は、住民の皆さんは、何だこの窓口は、となる。窓口が悪いんじゃないんですよ。内閣が悪いんです。もういいですね、これは。厚労大臣、ちょっと時間がないので。

 総理、これにとどまりませんが、やはり日本は、九条改正もそうですが、有事に関する意識が甘過ぎる。緊急事態に関する頭の体操をふだんから必死でやっておかないと、こういうことになるんです。包括的な緊急事態に関する法制度の検討をやるべきではないですか。

岸田内閣総理大臣 ただいま委員の御指摘になった緊急小口資金等の特例貸付けにおいては、御指摘のように、膨大な数の申請があり、現場が混乱したということを承知しております。課題があったと認識をしております。

 是非、課題をしっかり整理しなければならないと思いますし、さらに、大きな議論として、中長期的にこうした緊急事態にどう対応していくのか、こういった観点から、来年六月をめどに、こうした人流抑制ですとか、国や地方との関係ですとか、そして司令塔機能ですとか、こうした緊急事態に中長期的にどう立ち向かうのか、こういった点も是非検証して、考え方をまとめ、必要な法整備も考えていきたいと思います。

足立委員 是非お願いしたいと思います。

 最後、憲法でありますが、今、総理に、包括的な緊急事態に関する法制の検討をとお願いしましたが、究極的にはこれは憲法論です。

 安倍総理は、ここにあるように、自衛隊や緊急事態対応に国会で具体的な言及をされて、そうした案を示すことが国会議員の責任である、私はその責任を果たしていきたいんだということを何度も答弁されましたが、岸田総理は、就任をされてから、憲法の在り方に真剣に向き合っていく責務が国会議員にある、ちょっとトーンダウンしているようにしか見えないんですね。

 総裁としてでも結構ですが、やはり具体的な案を各政党が持ち寄って、しっかりと毎週憲法審査会で議論をしていく。野党のあの例の、三年めどの検討規定なんというのは、手続法が国民の憲法制定権力を制約するはずがないんですから。是非力強いお言葉をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 私も、憲法改正については、自民党の政調会長時代から議論してきた、自民党が提案しております四項目のたたき台素案、これをしっかり引き継いでおりますし、具体的にこうしたたたき台素案をベースに議論を進めていくということ、自民党総裁選挙においても再三繰り返し申し上げてきたところであります。

 そうした思いは強く持っているところですが、ただ、内閣総理大臣の立場からは、国会の議論を尊重しなければいけない、御指摘のような発言になっておりますが、憲法改正に対する思いは決して後れを取っていないと自負をしているところであります。

足立委員 私の質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

根本委員長 この際、小野泰輔君から関連質疑の申出があります。足立君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、初質問で、この予算委員会、テレビ中継入りということで、本当に大きな機会をいただきましたことを、先輩議員そして同僚議員に御礼を申し上げたいというふうに思います。そして、今日は、隣で沢田議員にもお手伝いをいただくということでございます。

 今回私が質問させていただきたいのは、今回、半導体の関連法案、そしてそれに基づく非常に大きな予算が補正予算で措置をされているということで、この点について、非常に産業政策を占う上でも重要なので、これ一本で約三十分質問させていただきたいというふうに思っております。

 この補正予算、先端的な半導体を国内で生産する設備を整備しようとする事業者に対して、一定の要件を満たせば設備投資を最大二分の一補助するという事業が含まれておりまして、何とこの予算額が六千百七十億円ということで、非常に巨額なんですね。このような予算を企業の補助金に使うというのはなかなかなかったことだというふうに思います。これは、国民一人当たりで計算しますと約四千九百円ということで、非常に大きな額になっています。

 このような大金を半導体の工場の建設の補助金に使うということで、なぜこのように民間の事業者の支援を国として行うのかということについて、今回、主に質問をしていきたいというふうに思っています。

 半導体の話でございますから、非常に専門用語が飛び交いがちなんですけれども、今日は、テレビの前でも多くの国民の皆様が御覧になっていますので、是非分かりやすい答弁をお願いしたいというふうに思っております。

 そして、この事業は、適用対象としては、私が熊本県で昨年まで副知事をしておりましたけれども、熊本の方でも非常に大きく関わっていて、今日は恐らく熊本の関係者の皆さんも多く御覧になっているというふうに思いますので、私も、今日は本当は、金子総務大臣がいらっしゃっているので、金子大臣に全てお聞きしたいというふうに思っているんですが、残念ながら質問を用意しておりません。今回は、萩生田大臣に御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、我が国の国民の皆さん始め世界中の人たちがいかに多くの半導体を日々使っているのかということについてお話をしていきたい。そして、この半導体産業というのは現代社会に生きる我々にとって非常に大事だということもお示しをしたいというふうに思っています。

 半導体は、我々が生活する上で、様々な製品に組み込まれています。毎日のように使っているスマートフォン、これはもう国民一人一台以上は持っているというふうに思いますが。それから、パソコン。そしてまた、今インターネットで、サーバーやそしてデータセンター、本当に多くのコンピューターが使われていて、そこに半導体が組み込まれています。

 そして、今非常に問題になっているのが、我々の生活を支えている足となっている自動車、そして人の命を守っていくための医療機器、これも多くの半導体が使われているということでございまして、それを我が国産業としてどうやって支えていくのかというのは非常に大事なことだというふうに思っています。半導体がないと人の命も救えないということになってしまうわけなんですね。

 さらに、今、コロナの状況が長引いて巣ごもり需要というものが広がっているということで、コンピューター、それからゲーム機、様々なものがより需要を増しているということで、私も、パソコンを注文してもなかなか納期が見えない、通販で買ってもいつ届くのか分からないというような状態になっています。

 従来、半導体は産業の米というふうに言われてきましたけれども、これからますますその重要性が増していくというふうに考えています。特に今後は、デジタル社会やAI社会、そして目下、脱炭素を始めとするグリーン社会を目指そうというふうになっていると、これから電化というものが来ますので、その電気を制御する上での半導体というものがもっともっと必要になってくるということになっています。

 しかし、足下では、世界的なコロナの感染拡大によって、生産活動が阻害をされているという状況が押し寄せています。そして、我が国においても、サプライチェーンが著しく滞っているということになっております。先週の記事でも、半導体の不足によってトヨタの国内の二工場が操業停止に追い込まれてしまったというような報道もありました。

 また、自由で開かれた世界と権威主義的な国家との対立も深まって、自国を中心とした生産、自国側も、この自由主義の世界でしっかりと半導体の生産を守っていかなきゃいけないという認識も広がっています。米国やEU、そして韓国など、半導体の生産を今頑張っているところにおいても、戦略的に重要な製品を自国内で製造しようという動きを国家的に進めようということで、多くの予算を確保して事業者の支援を行っているところです。

 そこで、最初の質問なんですけれども、アメリカやEU、そして韓国、様々な国が、今回の補正予算で提案がなされているような先端半導体の生産設備の国家による補助を行っているというふうに認識をしていますけれども、そのことについて、政府としてどのように状況を把握しているかということを萩生田大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 お答えします。

 今、小野委員から、日本国内における半導体不足の現状について解説をいただきました。まさに、このコロナ禍を経験して、本来物づくり国家であった日本が、足下を見たら結局国内で物がつくれないという、大きな危機感を抱いております。

 産業の米と言われている半導体を国内できちんと整備をしていく、国内で流通させていくということは、これからの日本の産業を考えたときに、全てに通じるものでありますので、先ほどちょっと、すごく簡単に、工場に補助金を出すとおっしゃいましたけれども、そういう簡単な補助金じゃないということは、あした以降、また法案の審議の中で議論させていただきたいと思います。

 そこで、御質問の、半導体に関するグローバルサプライチェーンのリスクが高まる中、米国やEU、韓国などは、その製造基盤の国内整備を進めるべく、従来とはまさに次元の異なる、兆円規模の強力な政策支援を展開しています。

 具体的に、米国では、今年六月に約五・七兆円の半導体関連投資を含む法案が上院を通過し、現在下院で審議がされています。

 EUでは、同時期に半導体を含むデジタル関連投資への約十七・五兆円の投資を発表するとともに、九月には新たな半導体法案の制定を表明しました。

 お隣韓国では、今年五月に、K半導体戦略と称しまして、半導体関連設備投資に対する最大二〇%の税額控除や、研究開発に対する約五〇%の税額控除、半導体製造拠点の増設などに対する一千億円以上の金融支援などを行う計画があると承知しております。

小野委員 御答弁いただきましたけれども、本当に、まさにこの認識を是非国民の皆様にも持っていただく、政府としてしっかりと発信していくことが、今回の予算を御理解いただく上では大事だというふうに思っているんですね。

 先ほどの税額控除の率にしても、普通じゃあり得ないようなレベルですし、そして、十数兆円というような規模で国家が予算を講じてこの半導体産業を支えようとしている。やはり、こういった文脈の中で、我が国としても半導体産業をどうやって盛り上げていくかということを政府として取り組もうとしている、そのことを是非メッセージを、同時に、この予算案を審議する上でしっかりと発信をしていただきたいというふうに思っています。

 次に、じゃ、そういうこの補助制度、それだけではないんだということも先ほど大臣はおっしゃいましたが、この工場を造るための補助制度が、一体どういう製品を作るときにこれを利用するのかということについて議論をしていきたいというふうに思います。

 ここで、私も昨年までいた熊本の話が出てくるんですけれども、今回のこの補正予算の対象として、今第一号として想定されているというケースが、これが熊本県に進出する予定の台湾の半導体製造メーカーのTSMCの工場だというふうに言われています。このTSMCというのは、半導体受託製造の世界シェア、これが五〇%もあるんです。そして、特に先端の半導体では世界シェアが七〇%という圧倒的な力があります。

 そのTSMCが子会社を立ち上げて、同じく子会社が熊本にありますけれども、ソニーセミコンダクタソリューションズが出資をして、十一月九日に二社でプレスリリースが出されました。その発表資料の中には、工場の設備投資額が七十億米ドル、約八千億、八千億もかけて工場を建てて、そして、その中で、「日本政府から強力な支援を受ける前提で検討しています。」というふうに書かれているんですね。

 こちら、今、フリップをちょっと御覧いただきたいんですけれども、この工場で、じゃ、何を作るのかということなんですけれども、二十二ナノメートルから二十八ナノメートルぐらい、ここで言うと真ん中のレンジですね、ここのものを作っていこうということで、自動車ですとか、それからスマート工場、これから後、グリーン化によって電動車も増えてきますが、そういったところで使う半導体を作っていこうということになっています。

 一方、半導体の世界では微細化がどんどん進んでいて、先端の半導体は、この最上部のところの、もう十ナノとか、あるいは五ナノとかというレベルに行こうとしているんですけれども、ここがハイエンドと呼ばれています。

 今回のTSMCの工場は、この真ん中のところなので、先端半導体というふうに政府が一応これは位置づけているとはいうんですけれども、この一番上のところではないんです。このような製品を作る工場に巨額の予算をかけるということに意味があるのかどうかというようなことも厳しく批判されていることも一方ではあります。

 次に、もう一つのフリップを御覧いただきたいんですけれども、今の日本の半導体製造のマーケットでの状況です。かつて日本の半導体のシェアというのは、半分、この一九八八年のところですけれども、五〇%を占めておりましたけれども、今、これまでアジアを始めとして追い上げを受けて、最近の世界シェアは二〇一九年で一〇%というところまで落ちてしまいました。

 こういう中で、これまで目にしたことがない額を民間の工場に補助することが日本の半導体産業の復調を促すのかどうかということについて、私は非常に高い関心を持っております。

 そこで、二つ目の質問なんですが、まず、かつて世界を席巻していた日本の半導体産業がなぜ凋落してしまったのか。業界としての対応ももちろんあったでしょう。しかし、政府としての対応として一体どういう反省があったのか、そして、それをどう総括しているのかということをまずお聞きしたいのと、それから、その反省を踏まえつつ、どのように我が国の半導体産業をまた再び成長に導こうとしているのかということについて、経産大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 我が国の半導体産業は、一九八〇年代には世界一の売上高を誇っていたものの、その後、競争力を落としてきました。

 この原因の一つは、当時の政府が、世界の半導体産業の潮流を見極めることができず、適切かつ十分な政策を講じなかったことだと思います。まずこの点は真摯に反省しなければならないというふうに思っていまして。

 その他の原因として、一九八〇年代、日米の貿易摩擦を契機に積極的な産業政策を後退させてしまったこと、また、一九九〇年代以降、ロジック半導体の重要性が高まる中で、半導体の設計と製造を分業する世界的なビジネスモデルの大転換を読み切れず、産業界を導くことができなかったこと、そして、そういう状況にあるにもかかわらず、日の丸自前主義というべき、まさに国内企業再編に注力して、イノベーション力の向上ですとか販路の開拓において有力な海外企業との国際連携を推進できなかったこと、また、バブル経済崩壊後の長期不況において民間投資が後退する中で、諸外国が国を挙げて積極的に投資支援を行う一方で、我が国は国策としての半導体産業基盤整備を十分に進めてこなかったこと、経済社会のデジタル化を十分に進めることができず、半導体の需要家となるデジタル産業が十分に育たなかったことなどが挙げられると思います。

 こうした過去の反省も踏まえ、我が国のデジタル化を強力に推進しながら、国策としての半導体製造基盤整備のための大胆かつ総合的な支援や国際連携による先端技術の共同研究開発など、我が国半導体産業の基盤確立に向けた取組を今回はしっかり進めてまいりたいと思っております。

小野委員 ありがとうございます。大変詳しく丁寧にお答えをいただいたというふうに思っております。

 この半導体の日本の凋落というのは、本当にいろいろな反省点があったというふうに思います。もちろん、我々の努力が足りなかっただけということではなくて、やはりアメリカとの通商問題ということも非常に大きくて、これによって多くの努力してきた産業基盤が失われてしまった。

 そして、一番悲しいことは、人材の流出です。これが、台湾や韓国、そういうところに、大手の電機メーカーを中心とした構造によって半導体産業の発展というものがなかなか道が開けなかったということによって、人材が流出し、そして、我々が先端半導体を作る、今、技術基盤がないということは本当に深刻な問題だというふうに思っております。

 そういう意味で、今回、岸田内閣において、半導体産業をもう一回立ち直らせようというような重大な決意の下で、補正予算というタイミングではありますけれども、岸田内閣が発足したタイミングということもあるんでしょう、そういうところで勝負をかけていくという意気込み、これは私はしっかり頑張っていただきたいなというふうに思っているところでございます。

 続いて、三点目の質問として、それでは、今回の補助金の措置とか、それからそれに伴う法律の改正案がありますけれども、それがその反省や分析に立ってどう行われているのかということについてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 今回のTSMCのような、最先端の半導体ではない、これは先端半導体ではあると思うんですけれども、世界最高峰では残念ながらありません、そういうところに税金をつぎ込むことが、これが、我々が今直面している、自動車産業それから医療機器などのサプライチェーンが今寸断されている、そこを埋めるということにはある程度寄与するというふうには私は思っているんですけれども、しかし、先ほど萩生田大臣がおっしゃった、我々がまた、この半導体の産業において日本がトップランナーに行くための措置に具体的になっているのかどうかというところについて、お答えいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 小野委員、熊本県で副知事も務めていらしたので、熊本の取組、TSMCに大変な期待をしているんだと思うんですけれども、念のため申し上げますけれども、TSMCの国内拠点を支援するということを政府で決めた事実はございません。

 これから、法案で支援のまずパッケージをお認めいただいて、そして、きちんとそれにまさに戦略的に合うものを、手を挙げていただいて、その中からセレクトしていきますので、新しい工場に対しての応援もありますし、既存の半導体工場が新たな設備投資をしたいというものに対しての支援もしていきたいと思っていますので、そこをまず御理解いただきたいと思います。

 その上で、よく言われるのは、ミドルレンジの二十ナノ台のものを今更国内に工場を造ってどうするんだと言われるんですけれども、今更も何も、国内に二十ナノ台を作れる工場を持っていないというのが日本の最大の欠点でした。

 これは、資料も作っていただきましたけれども、まさに日本の最も基幹的産業であります自動車産業や様々な機械製造などに関して使う部分なんですけれども、これも今までは全て輸入に頼ってきたわけですよね。したがって、今回みたいなことが起こると、国内で自動車が造れない、こういうことになりました。

 今よくお耳にするのは、冬場になって給湯器が壊れたんだけれども、直せない。給湯器も半導体で電気を整圧していますし、また、ハーネスという材料がないことも大きな問題なんですけれども。

 こういうことを全部考えますと、今までなかったミッシングパーツを埋める上では、このミドルレンジももちろん作っていかなきゃなりませんし、幸いにして、今回国内に拠点を持っていただけるその台湾の会社に関しては、最先端の技術もお持ちなわけですから、今からそれは作らないですということは別に発表していないので、こういったことも、これから法案の審議でも含めてしっかり議論をしていきたいなと思っています。

 いずれにしましても、我が国の、こういった半導体の製造能力を有していなかったために、その製造能力を獲得することで国内製造業の需要に応じて安定供給体制を構築する意義は非常に大きいと思います。すなわち、日本で物づくりができるという環境を日本自らの力でしっかりつくっていくというのが今回の大きな目標でございます。

 さらに、今回、補正予算案では千百億円を計上して、日米連携による超微細な次世代半導体の製造技術などの将来技術の研究開発も行う予定です。

 こうした研究開発の成果を社会実装するためには、先端半導体の量産現場におけるノウハウは極めて重要だと思っていまして、今回の先端半導体の国内製造拠点の整備が実現すれば、量産現場の知見、経験が蓄積されることになるため、これに研究開発で得た最先端技術を組み合わせることによって我が国半導体産業全体の競争力強化につなげることが可能であると考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 非常に丁寧に、熱くお答えいただいているので、時間が予想以上に減ってきてしまったんですけれども、本当に、この作る技術が、先ほどお示しした図の真ん中が日本はないということなんですね。

 先ほど私が人材が流出してしまったという話をしましたが、まさにこの失われた時代に日本の製造能力というのが非常に下がってしまったということは紛れもない事実で、そこを今回の事業で埋めていこうと。そして、先ほど、千百億円のこの研究、これを日米で共同でやっていくというようなことも御指摘いただきましたけれども、このことも含めて、しっかりと技術開発も当然していく。

 そして、その裏で、もちろんこれは熊本の方々も期待されているんだと思いますけれども、今回、六千億円を超える事業費で誘致しようとしている工場ができれば、そこと今最先端の技術をしているところがつながっていくと、これからまた我々のこの失われた製造能力が上がっていくということを期待していますので、そこのリンクがしっかりとできるようにしていただきたいというふうに思っています。

 そして、次に、では、実際に今回の補助金で誘致した工場、これができた場合に、一番問題になるのが人材の問題です。

 例えば、プレスリリースでTSMCは、千五百人の技術者が必要になるというふうに言っていますが、これもやはりそれなりの専門家集団、プロ集団をつくらなければいけません。そういう中で、この人材を、例えば、TSMCが稼働しますよと今言っているのは二〇二四年末というふうに言っているわけですが、そういう意味ですと、やはり二年とか、三年もないわけですね。

 ですから、そういった期間の中でどうやって必要な人材を日本の中で確保していくかということが非常に大事になりますが、この点、学校教育の点、また社会人教育の点、そして企業側がそれにどう関わっていくかという点について、文科大臣、そして厚労大臣、そして経産大臣にお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 質問を興味深く聞かせていただきました。

 半導体メーカーでありますTSMCにつきまして、二〇二四年に熊本で稼働するということと、千五百人の雇用というものが求められるという話は承知をいたしております。

 もう一つ、調べて分かったことは、熊本県の工業高校における卒業生の半数以上が県外に就職しているということでありまして、実際調べましたら、卒業生が全員で令和二年度で千二百二十五名でございます。そして、県内に就職された方が五百十四名の四二%、七百十一名が、五八%、県外に御就職なさっておられるということでありますから、このことも大きな課題であると思います。

 地元の産業を担う人材を育成するためには、まず、地方自治体等の学校設置者におきまして、産業界とよく連携を図りまして、工業高校等の専門高校、それと高専、大学等の各教育段階において必要な学科等の構成を検討することが必要であると考えてございます。

 特に、文部科学省におきましては、令和三年度より、産業界、地方自治体、そして専門高校が一体となりまして、地域産業の成長を牽引する最先端の職業人材の育成を推進するマイスター・ハイスクール事業、副知事をされておられたのでお詳しいと思うんですけれども、産業界と専門学校が一体となりまして職業人を育成していくというシステムで、実際、企業内で授業をしたり実習をしたりするということでありまして、企業の施設を使うわけであります。こういった事業を展開しております。

 熊本県におきましても、この事業を受託して、現在、熊本県八代工業高等学校を中心に取組を進めているところであります。こうした枠組みの中で、半導体技術者の育成の取組を充実させていくことも考えられます。

 また、高等学校段階におきまして、熊本県内の、熊本大学、熊本高専、そして熊本県立技術短期大学校など高等教育機関が多く存在することから、県や経済産業省とも連携しまして、半導体の新工場で求められます技術、知識を明確にしつつ、九州全体の高等教育機関が一丸となって、半導体製造に携わる即戦力の人材を、進めてまいりたいと思います。

 なお、工業高校というのは、科目が五十九ございまして、その中に、調べましたら、デザインや、いろいろ、インテリアもあるんですけれども、電子技術科目で、その指導科目で半導体、電子回路が入ってございますので、私は期待が持てると思います。工業科が十三校ございます、私立も入れまして。

 そういうことでありますので、しっかり取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 長くなりました。

後藤国務大臣 企業内での人材育成は非常に重要であるというふうに思っております。

 従業員の育成に積極的に取り組む企業を支援するために、人材開発支援助成金により、訓練の経費や訓練中の賃金の一部等についての助成を行っております。また、事業主が行う都道府県知事が認定した職業訓練についての補助も行っておりまして、各種支援策によりまして、半導体製造をする企業を含めて、事業主のニーズに合った人材育成の支援に努めてまいりたいと思っております。

萩生田国務大臣 先端技術を取り扱う高度な人材の確保、育成には、国と地方、産業界と教育界、官と民が一体となって取り組むことが必要だと思っています。

 岸田内閣では、人への投資、科学技術への投資、こういったものを大きな政策の柱に掲げておりますし、私、ついこの間まで文科大臣を務めさせていただいて、経産大臣に横滑りと報道で言われているんですが、横っ飛びのつもりで今就任させていただきました。

 その中で、ちょっと僭越なんですけれども、先日、蒲島知事とも、また地元の教育者とも会って、既に、九州全体を含めて、この九州全体を九州シリコンアイランドとして復活をさせようということをお話合いをしてきました。

 ありがたいことに、熊本大学では、既に来年四月から半導体の研究センターをつくっていただくことを準備しています。同じように、九州工業大学、九州大学でも同じような準備をしています。それから、熊本高専を中心に、今までなかった半導体のカリキュラムを上乗せしようということになりました。

 先生御承知のように、半導体といっても、技術的なものもあれば、プログラミングなども必要ですから、そういった意味では、いろいろな、多岐にわたる研究をし、そして、今、厚労大臣からもお話がありましたが、リカレント教育なども活用しながら、一度、半導体の分野で、このミドルはやったことがないけれども今まで働いていたという人たちをもう一度再教育して、熊本を始めとする九州で働いていただくということを全体的に俯瞰してやってまいりたいと思いますので、またお知恵をかしていただきたいと思います。

小野委員 ありがとうございます。

 熊本に決まっていないよと言いながら、非常に、熊本に対する御答弁をいただきまして、金子大臣も相当喜んでいらっしゃるんじゃないかと思います。蒲島知事もそうです。

 私の不手際によって、総理に質問する時間がなくなってしまいました。本当にこんな下手なことでよかったのかと反省しきりですが、最後に、意気込みを、半導体の産業をどうしていくのかについて総理から一言お願いできればと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど経産大臣の方から、今日までの歩みについて発言がありました。一九八〇年代、我が国の電機産業が、半導体を始め、この分野において世界を席巻してきた。しかし、それにもかかわらず、その後、ビジネスモデルチェンジに失敗してしまった。こうしたことで、三十年間、この分野において我が国は低迷してしまった。

 こうした歴史を振り返りながらこれからを考えますときに、これはもうデジタル化、脱炭素、経済安全保障、どの分野を取っても、半導体は欠くことができないキーテクノロジーであると確信しています。

 日本の未来を考えても、産業の米とおっしゃいましたが、産業の脳とも言われる半導体、これは欠かすことができないと思います。この半導体の製造の基盤、これを我が国に取り戻すチャンス、今逃したらもう二度と来ない、そういった覚悟で、民間と協力しながらこの産業をしっかりと盛り上げていきたいと考えます。

小野委員 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、岩谷良平君から関連質疑の申出があります。足立君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岩谷良平君。

岩谷委員 大阪府の東大阪市からやってまいりました、維新の会の岩谷良平です。当選一か月の超新人ではありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、岸田総理、早稲田大学法学部出身ということで、私も実は早稲田の法学部ということで、偉大な先輩の胸をかりるということで、大変光栄に思っております。よろしくお願いいたします。

 今日、隣には兵庫の遠藤良太代議士、同じ一期生です。よろしくお願いいたします。

 今、新人と私は申し上げましたけれども、実は、今から十年前の二〇一一年に大阪の方で大阪府議会議員を一期四年間やらせていただきました。当時、維新の会ができた直後でして、結成直後に維新の会に参画しまして、そして府議会議員をやったんですけれども、そのとき同じく維新の会に飛び込んで大阪市会議員になったのが、今大阪府知事の、我が党副代表の吉村洋文副代表です。そういう意味で、私と吉村さんは同期ということで、一緒に大阪の改革をやってまいりました。当時、橋下チルドレンと呼ばれたり、今は逆に吉村世代と呼ばれたりしておりますけれども、一緒に大阪の改革をやってまいりました。

 どんな改革を大阪でやってきたかといいますと、こちら、パネルを御用意いたしましたけれども、まず、身を切る改革、政治改革ということで、自らの、議員定数あるいは議員報酬の削減等をまず最初に断行いたしました。それから、知事の報酬や、知事の退職金に至っては全額カットということでやっております。

 こうしてまず自ら身を切る改革をやったことで、初めて、役所の皆さんの職員数の削減であるとか、我々も身を削ったんだから役所の皆さんも少し給与カットさせてくださいとか、あるいは天下り先のいわゆる外郭団体と言われるもの、これらも少し削らせてくださいということで改革をやってまいりました。結果、大阪、財政も健全化しつつあり、また、成長戦略等も実現ができているところであります。

 こうして削ってばかりなのかといいますと、そうではなくて中身の改革ももちろんやっていまして、私と吉村さんが一番最初に作った条例、二人で出した条例は、公務員制度改革条例ということで、大阪府職員基本条例といいますけれども、今、こども庁の設置等の話も出ていますけれども、結局、箱をつくっても、そこで働く官僚の皆さんが最高のパフォーマンスを発揮していただかないと、なかなか箱をつくってもうまくいかないというふうに考えております。

 同じ考えで、まず、我々が政策や改革をやっていくに当たって、まずは大阪の公務員組織を高いパフォーマンスが発揮できるような組織につくり変えていこうということで、いわゆる身分と言われていた公務員を、身分から職業へ、普通の職業に変えていこうという観点、それから、いわゆる年功序列を排して実力主義を導入するという考え方の下、改革を進めました。

 その中で、肝になるのが人事評価制度です。このパネルにお示ししましたのは、大阪府と国家公務員のそれぞれの人事評価の結果の数字です。

 大阪、上の方ですけれども、五段階評価、Sランクが一番最高で、一番最低がDランクということで評価しておりますけれども、これは令和元年の実績ですけれども、最高ランクのS評価が約五%、A評価が約二〇%、B評価、これが普通という評価ですね、約六〇%、ちょっと悪いC評価が一〇%、そして最低ランクのD評価が五%というふうに、きれいに分布しております。

 これはなぜかといいますと、相対評価と申しまして、最高のSランクは必ず全職員のうち五%をつけてください、Aランクについては二〇%つけてください、Bは六〇、Cは一〇%、そして最低ランクのD評価も必ず毎年全職員のうち五%の方につけてくださいということで、あらかじめ割り振っているんですね。

 一方で、国家公務員の方ですけれども、下の方の一般職員の方ですけれども、同じくSからDの五段階評価になっていますが、Sランクが約一〇%、その次の、ちょっといいというAランクが五〇%程度、そして普通というBランクが三六、七%あたり、悪い評価のC、Dは、〇・四パーとか〇・一%等しかついておりません。

 また、その上段の幹部職員の皆さんに関しましては、A、B、Cの三段階評価になっていますけれども、最高評価のAランクが八五%以上、普通だよというBランクが一〇%、一四%程度、そして、悪い評価のCランクに至っては〇・〇%ということになっております。

 これ、余り意味ないと思うんですね、この評価。ほとんどの人がいい評価がついてしまうという。まさに身内でお互いいい評価をつけ合っているような、そんな印象を持ちます。これだと、一生懸命頑張った職員の方も、結果を残した職員の方も、そうじゃなくて、いまいち結果を残せなかった方も、同じようにいい評価がついてしまっていますから、それこそ切磋琢磨、あるいは能力主義ということにはなっていかないと思います。

 大阪府と同じような相対評価という人事評価システム、これを国家公務員の方に適用するお考えは、総理、ないでしょうか。

二之湯国務大臣 お答えいたします。

 人が人を評価するというのは大変難しい側面があると思いますね。国の方では、大阪府と違いまして、絶対評価というのを採用しているわけでございます。

 それぞれ、国、地方公共団体、あるいは民間企業等においても、それぞれの業務に合わせていろいろな人事評価制度を取られておる、このように承知しておるわけでございます。

 一般的に、絶対評価は、あらかじめ明示した基準に照らして一人一人の能力や業績目標の到達度を評価するために職員の納得感が得られやすい、こういう非常にメリットがあるわけでございます。人材育成に効果があるとされておりますので、国としては絶対評価を採用しているわけでございます。

 令和二年度にも、人事評価の改善に向けた有識者検討会において、引き続き国としては絶対評価による評価を行うことが適当であるという、そういうような結論を得たわけでございます。

 もちろん、一方で、絶対評価については、評価が甘くなるんじゃないかとか、あるいは、一つの評価区分に集中して使い勝手が悪いんじゃないか、こういう御指摘もあることはあるのでございますけれども、国においては、具体的な行動事例や達成目標を明示して評価基準を設けているほか、今後、一般職員の評価区分を、現行の五段階を六段階にいたしまして、よりきめ細かい評価などを通じて人事の公平を図っていきたい、このように思っております。

 引き続き、運用状況を見ながら必要な改善をしてまいりたいと思います。

岩谷委員 絶対評価の方が優れているというお考えだということだと思いますが。

 そうしましたら、もっと分かりやすいお話をさせていただきたいと思います。

 これも、極めて国民の皆さんから評判の悪い天下りの問題です。天下り規制。

 これも、大阪で我々がやった改革では、再就職と書いていますけれども、これは指定出資法人等への再就職なので、いわゆる天下りです。天下りは原則禁止としております。一定の例外的要件を満たす場合だけ認められるという形に変えました。

 一方で、国家公務員、国の方ですけれども、組織的なあっせん等は禁止されているんですけれども、職員さんが、官僚の方が、退職されて、御自分で利害関係団体、企業等へ就職活動をして就職していくということは禁止されておりません。極端な話で言いますと、退職された官僚の方が、翌日、自分で利害関係があった企業、団体に行って、そして、昨日退職したので採用してください、国とのパイプ役になりますよというような活動をして再就職しても、禁止されていないという形になっております。

 これはまさに天下りの抜け穴ではないでしょうか。大阪並みに原則禁止としていく考えはないでしょうか。総理、お願いいたします。

二之湯国務大臣 お答えいたします。

 国家公務員の再就職に関しましては、問題になるのは、官民が癒着しているのではないか、こういうことが、予算あるいは権限を背景にして再就職をするとか、あるいはOBが口利き等のことをするんじゃないか、そういう不適切なことが言われているわけでございます。一方、こうした不適切な行為は法律によって規制しているわけでございまして、議員御指摘のような御心配はないと私は思っております。

 一方、役所で培った経験、能力を生かすということも、国家のために、あるいは社会のためにも必要なことだ、このように思うわけでございます。

 したがいまして、今議員御指摘の不適切な行為を防止するために、国家公務員法におきまして、各府省による再就職のあっせん、あるいは公務員OBの口利き、さらには利害関係企業等への在職中の就職活動などを禁止するなど厳格な規制を設けるとともに、第三者機関である再就職等監視委員会がこれらの規制の遵守を見守っておる、こういうことでございますので、議員御心配のそういう不適切なことは絶対にないように努めてまいりたい、このように思っております。

岩谷委員 天下り原則禁止という形は取らないという御答弁かと思いますけれども、国民の信頼なくして、結局、政治も行政もやはり前に進めることはできないと思います。

 総理は所信表明演説で、人がしっかりと評価され、報われる、人に温かい資本主義であるとか、付加価値を創出し、経済的豊かさや力強さをもたらす原動力は人です、国の礎は人です等、人の重要性というのを繰り返し説いておられました。

 今、二つの御答弁を聞いて、総理、どう思われますか。

岸田内閣総理大臣 委員の方から二点、重要な課題について御指摘がありました。

 まず、人事評価制度ですが、基本的には、絶対評価、相対評価、これはそれぞれ評価のメリットというのはあるんだと思います。その中で、今二之湯大臣の方から御説明させていただいたように、国においては絶対評価、これを基本としているということを説明させていただいたわけですが、しかし、それとて様々な工夫を加えています。

 絶対評価をするにしても、評価の区分、これをできるだけ細かくすることによって、こうした絶対評価の御指摘のような問題点についてどれだけ応えていくのか。それから、勤務成績について、職員の勤勉手当あるいは昇給、こういった際には職員の成績を反映しなければいけないわけですから、その際には相対評価の要素も取り入れるということで、それぞれのメリットを組み合わせて工夫をしているというのが現状だと思います。

 ただ、御指摘の点もしっかり踏まえて、今後とも、こうした人事評価、より国民から理解される評価、どうあるべきなのか、これは不断に考えていかなければならないと思います。

 そして、もう一点の天下りについては、要は、大切なのは、不適切な行為の規制、それから社会における人材の有効活用、この二つの点をどう両立させるかということなんだと思います。

 そういった観点から、国家公務員法において、先ほど大臣から紹介があったような、各省庁による再就職のあっせん等を禁止する様々な取組が行われているわけですが、この両立という観点から、再就職等監視委員会において、この規則の遵守徹底、これをいかに図っていくのか、これは国としてもしっかり考えなければならないと思います。

 御指摘の点、絶対評価、相対評価、それぞれのバランス、そして、もう一つは、不適切行為の規制と社会における人材有効活用、この二つのバランスをしっかり考えながら、国としてもあるべき制度を考えていきたいと思います。

岩谷委員 是非、引き続き、あるべき制度を議論していきたいと思いますけれども、こう言っておきながら、もし、総理が気が変わられて、今言ったような改革をやろうともし思っていただいたとしても、私、多分うまくいかないように思っているんです。なぜかといいますと、そもそも政治家の側がむちゃくちゃをしているからなんですね。いわゆる議員特権と言われるものの話です。

 ちょっとパネルをお示しいたします。

 これは、大阪府議会に私はいましたので、大阪府議会との比較で作らせていただきましたけれども、例えば真ん中の航空券の話ですけれども、今日お持ちしましたけれども、議員になりまして、この航空券、国会議員航空引換クーポンというのとJRの国会議員のパスというのをいただきましたけれども。

 先週、初めて羽田から大阪に飛行機で帰ってみました。このクーポンを使って、議員会館の中に旅行代理店があるんですね、そこで予約をしましたところ、羽田空港のVIP入口に来てくださいと言われました。それはどこにあるんですかと聞きましたら、タクシーの運転手さんに言ってもらったら分かりますということで、タクシーに乗りまして、VIP入口に行ってくださいと言ったら、分かりませんと言われまして、普通にターミナルで降りたんですけれども、探し回ったら、隅っこの方にひっそりとありました。中に入りますと、もう至れり尽くせりのすばらしい接遇をしていただきまして、非常に感動しましたけれども。

 あのVIPルームというやつは、どうも税金で何か支払いがされているわけじゃないそうなので、まあいいのかもしれませんが、問題は、この航空券パスで、いわゆるファーストクラスと言われるものであるとかプレミアムクラスと言われるものに乗れてしまうということですね。(発言する者あり)いや、JALであるんですよね。調べてみますと、衆議院で昨年、四億六千万、参議院で二億七千万ほど、この航空券クーポンで使われているということなんですけれども。

 これは、全部の路線にあるわけではないですし、乗っていない方もいらっしゃると思うんですが、やはり結局、納税者目線というのを忘れないためには、こういうのは我々から身を律していかないといけないと思うんですね。

 それから、このJRパスも、これで乗り放題ということで、これは公務に本来限定されているものだと思うんですが、結局、チェックする仕組みがないということで、プライベートなことでも使おうと思えば使えてしまうという状況。

 それから、公用車ですね。議長、副議長は大阪もありましたけれども、委員長を前にして申し訳ないですけれども、委員長にも車と運転手さんがついてくる。また、会派にもあるということで、実質これは議員も使えるということで、大変驚きました。

 この公用車の運転手さんの年収ですけれども、大体平均八百万円ぐらいということで、外部委託でも九百万円ぐらいかかっているということで、こういうのも、本当に、文通費があるわけですから、タクシーでも、JRパスもありますから電車でも、議員は移動できると思うんですね。これは本当に必要なのかなと疑問に思いますね。

 そして、委員長手当。また委員長、済みませんけれども、開会中、一日六千円、委員長には支払われる。年百万円程度、単純計算でですね。これは、例の、年に一、二回しか開かれない特別委員会でも同じように支払われているということで、これはもうとっくに大阪府議会では廃止していますから、こういうのも、国民の理解が果たして得られるものなのか、大きな疑問があります。

 そして、問題になっている一番上の文通費。

 これは、地方では、大阪府議会もそうですが、政務活動費という、似ているといいますか、似て非なるものですが、ありまして、厳格に使途制限があります。議会活動であるとか調査研究活動に限定されています。それから、地方の方は、領収書の公開もちろん必要、残額返金必要。領収書を公開されているものですから、使用目的と違うじゃないかということで、もうしょっちゅう訴えられています。それで議員辞職される方も毎年のように出てこられます。

 一方で、文書通信交通滞在費なんですけれども、「使途制限あり?」と書きましたのは、公の書類を発送し、公の性質を有する通信をなす等のため使えると法律に書いていますけれども、この等が結局何なのかがよく分からないということで、実質、制限があってないようなものだと思うんです。領収書の公開は不要、残額返金も不要ということで。ほかにも、立法事務費で月六十五万円。これも、同じように、使途とか領収書の公開が不要となっているものになっています。

 これらの議員特権についてまた総理に質問をしますと、それは、議会は議会、議会のことは議会で決めてくれとおっしゃると思いますので、ちょっとあえて聞き方を変えますけれども、総理、この文通費、過去、例えば飲食代とか、あるいはプライベートな交通費とかに使用されたことはありませんか。

岸田内閣総理大臣 文通費については、法律に従って処理をしております。

 ですから、御指摘のような取扱いになっておりますので、厳密にその資金について区分しているものではありませんが、当然のことながら、私用、飲食、要するに目的外に使うということはあってはならないと思っております。

岩谷委員 使うことはあってはならないということで、使っていないということですね。

 であれば、我々維新の会は領収書を公開しています。総理も、御自身だけでも結構です、領収書の公開、是非これからやっていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 これは度々申し上げておりますが、こうした文通費の取扱い、これは議員活動に大きな影響を与えるものでありますので、議員自身がしっかりと考えなければいけない課題であり、今、国会において議論をしていただいております。

 是非、国民のこうした視点に応えるべく、しっかり議論をしてもらわなければならないと私も思いますが、内容については控えなければなりませんし、私自身も、国会におけるこの議論の結果はしっかり受け止めて、それに従っていきたいと思います。

岩谷委員 総理が御自身で個人的に自分の分だけ公開されても、議員活動に別に何の影響もないと思うんですね。

 もう一度お聞きしますけれども、御自身の分だけでも公開していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 私自身がどういう行動を取るか、これはすなわちその問題に対する私の思いを表現するということにもなるわけでありますので、これはまずは国会での議論をしっかり尽くしていただくことが先であると思っています。

岩谷委員 この文通費改革に関しましては、我々も法案を出しておりますけれども、本日夕方、我が党の遠藤国対委員長と立憲民主党馬淵国対委員長の方で国対委員長会談をする予定というふうに聞いております。引き続き議論をさせていただきたいと思っております。

 我々、この文通費の改革について、党内であさってには公開討論もやります。これはフルオープンでやります。それから、立法事務費とか政党交付金に関しても、この文通費と併せて、党内改革PTというものを立ち上げて、政治と金のこの問題を、党内で議論を進めていくということになっておりますので、是非注視をしていただければと思います。

 ちょっと話題を変えまして、万博の話に行きたいと思います。

 総理、突然なんですけれども、二〇二五年大阪万博、二回目の大阪万博、これを、もう一遍大阪で万博をやろうと最初に言い出したのは一体どなたか御存じでしょうか。

岸田内閣総理大臣 済みません。今すぐに名前は出てきません。

岩谷委員 誰も言ってくれませんので、私、自分で言いますけれども、私なんです、実は。

 二〇一三年にオリンピックの誘致が決まったあの瞬間をテレビで見ていまして、このおもてなしの瞬間を。そのときに、もちろんうれしかったんですけれども、一方で、これはまた東京一極集中が進むんじゃないかなという不安もあったわけなんですね。

 そこで、ひらめいたわけなんです。東京で二回目のオリンピックをやっていいなら、大阪でもう一遍万博をやったって全然おかしくないじゃないかと。大阪で万博をやることで東京一極集中を是正して、大阪を、万博を契機に、東京に並ぶもう一つの第二極として、ツインエンジンで日本の経済、成長を引っ張っていくんだという、そういう発想が元々あって万博というのを言い出した。

 最初は、本当にいろいろな人にばかにされて笑われました、そんなことできるわけないやろうと。一年間言い続けまして、笑われながらもですね、お亡くなりになりましたが、堺屋太一先生にも個人的にお話をしたり、そういうことをやっていきましたら、だんだんと声が維新の内部でも広がっていきまして、大阪府市の誘致表明につながったわけなんですけれども、一年ぐらいかかりました、本当に。

 この万博、私が最初に発想した東京一極集中の是正とか、大阪にもう一つのエンジンをつくるんだとか、成長のエンジンをつくるんだとか、あるいは、今、大阪府市で大阪の副首都化ということを取り組んでいますから、是非、大阪の副首都化とか東京一極集中の是正について、この万博を契機として進めていただきたいと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

若宮国務大臣 岩谷委員にお答えさせていただきます。

 最初に私がおっしゃったと、改めて敬意を表したいと思います。また、今後ともどうぞ御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

 今御指摘になりました大阪・関西万博、これはまさに、新型コロナを乗り越えた先の新たな時代に向けた国家プロジェクトでございます。地域の魅力、日本の科学技術を世界にアピールをし、地域活性化等を通じました強い経済の実現につなげる絶好の機会だというふうに私も思っております。

 本年八月に、万博を支えます周辺インフラの整備、この具体計画となりますインフラ整備計画を政府の国際博覧会推進本部で決定もいたしました。広域的な交通インフラの整備、多分、御地元でいらっしゃいますので目にしていらっしゃるかと思いますけれども、あるいは、地域のにぎわい、そしてまた魅力の向上に資します関連事業を推進するとともに、歴史、伝統、文化など多彩な観光資源を有します関西の各自治体とも連携をいたしました魅力の発信や万博関連イベント、こうしたものの開催をしていきたいと思っております。

 また、来場者、今、私どもの想定では、大体約二千八百万人ぐらいの方にお見えいただけるのではないかなと想定をいたしてございます。こうした来場者の方々が大阪にとどまらず関西全体を行き来することで、関西地域全体、万博を契機といたしました地域の活性化につなげてまいりたい、このように考えております。

斉藤国務大臣 岩谷委員の後半の質問、大阪の副首都化につきましては、国土形成計画、国土交通省の所管でございますので、お答えをさせていただきます。

 中長期的な関西圏の在り方につきましては、平成二十七年八月に策定した現在の国土形成計画では、一つとして、我が国経済の主要な成長エンジンを担うことが求められること、二番目に、リニア中央新幹線によるスーパーメガリージョンの形成を見据えた発展を目指すこととしております。

 これを受けて翌二十八年三月に策定した関西広域地方計画におきまして、アジアを中心に世界との活発な経済的、人的交流を通じ、我が国の経済の中核として成長し、スーパーメガリージョンの一翼を担うこと、世界の人々を引きつける長い歴史、伝統文化を強みとした観光誘客により我が国の成長を牽引すること、それから、首都圏の非常時に諸機能のバックアップを担うことと位置づけております。

 その後、新型コロナウイルス感染症の拡大やデジタル革命の急速な進展など急激な状況の変化があることから、現在、国土審議会において、新たな国土形成計画の策定に向けて議論をしたところです。

 この議論に当たっては、本年六月に公表した「国土の長期展望」で示された視点である、一、デジタルとリアルの融合により地域で安心して暮らし続けられることができる地域生活圏の形成、二、国際競争の中で稼ぐ力の向上などを踏まえ、我が国経済を牽引する関西圏の在り方について検討を深めていきたいと思っております。

岩谷委員 時間が来ました。

 私の地元東大阪は、世界に誇るべきいろいろな物づくりの中小企業等もございます。皆さん、万博にやはり参加して何かしらPRしたいと思っておられますので、是非、中小企業の万博への参画の仕組みをつくっていただきますことを御要望いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、藤田文武君から関連質疑の申出があります。足立君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 今日は、最終バッターということで、いろいろ総理にも聞いていきたいんですが、足立議員から最初に我が党の紹介がありまして、私は二期生なんですけれども、地方議会も経験せずに来まして、約三年弱で幹事長という大役を仰せつかりまして、自民党さんにも、そして政府にもしっかりと対峙していく、そういう維新の会を牽引していけたらと思いますので、今日はお手合わせのほどよろしくお願いします。

 岸田総理が就任されたときに、何か共通点はないかなと思っていろいろお調べしたら、お父様が文武というお名前というふうにお聞きしましてちょっと親近感が湧いたわけでありますが、政策についてはガチンコ勝負でさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 冒頭、こども庁について先にさせていただきたいと思います。

 こども庁構想について、私、幾つか疑問がございまして、これは組織ありきで進んでいないかという疑問が一番あるわけでありますが、国民の三大義務、納税、勤労、そして教育を受けさせる義務ということで、親や家族がしっかりと責任を持って健やかな育ちを支えていくということは当たり前ですが、今後社会を支えることになる子供たちを社会全体でどう支えていくかというところにやはり注視していかなければなりません。

 その中で論点となっているのは、効果を最大化させるために、子供への施策の効果を最大化させるために、ばらばらではなくて、総合的、一体的な政策をスピーディーに打っていこうということが一番の肝だというふうに思うわけでありますが、私、どう考えても、今もいろいろな省庁にまたがっていますね、子供の政策は。内閣府、それから、もちろん文科省、そして厚労省、いろいろまたがっているわけでありますけれども、こども庁というのを改めて組織改編で内閣府につくるということが、私は、これは結局、機能するのかなというところがあります。

 特に、幼保の問題があります。これ一つ前に進められないこども庁構想ということにどのような意義を見出したらいいのかというのは、私、まだ頭が整理できていないんですが、この意義について、野田大臣からまずいただけたらと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 まず、こども庁に関心を持っていただきましたことに感謝申し上げます。

 子供をめぐる様々な課題に適切に対応するため、子供目線に立って、縦割りを排した行政を進めていかなければならないというのは、誰もが、今お話があったとおりのことです。

 このような状況を踏まえて、「こどもまんなか」社会、実は「こどもまんなか」社会というのは世界でも日本が初めて発している考え方なんですね、に向けて取り組む独立した行政組織と専任の大臣が司令塔になるということが大切であって、そこを中心に政府が一丸となって取り組みましょうということであります。

 このために、内閣総理大臣の直属の機関として、子供に関連する内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けるとともに恒常的な事務を実施するべく、内閣府の外局として検討しています。あわせて、各省大臣に対して勧告権等を有する子供政策を担当する専任の特命担当大臣を必置化することで、教育分野にとどまらず、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用等の分野を超えて、行政各部の統一を図る方向で検討しています。

 つまり、今御指摘のように、またがってというよりも、むしろ、ばらばらになっていて、結果として子供たちやその親たちが困難になったときに届かない、隙間になってしまう、そういうことが間々、もう長年発生していて、それをしっかり、まあ遅きに失したところもありますけれども、しっかり対策する、責任ある一元化の組織が必要だということであります。

藤田委員 ありがとうございます。

 やはりどうしても、内閣府で牽引していこうという話だと思うんですね。なんですが、我々、やはり子供の教育というところに目を向けた場合、諸外国の状況を見てみると、教育は国家戦略であると。公教育の質を高めることにしのぎを削っているわけでありまして、世界のトレンドとしては、教育の視点で子供の政策を一元化している。

 つまり、ここにありますように、諸外国の例を見ると、学校教育をつかさどる教育省、つまり文科省ですよ、文科省が幼児教育、保育といったある種福祉的な側面も包含してやっていっている、教育の政策を柱に組織改編をやっているというのが、これが世界のトレンドなんですね。

 私は、我々維新の会でいろいろディスカッションをしていますが、文科省、もうちょっと頑張ったらどうかなと。文科省にもう少しこども庁のような機能を、幼保一元化も含めて、やった方がすっきりするんじゃないかなというふうに思いますが、これは文科大臣、よろしくお願いします。

末松国務大臣 その国の未来を知りたければその国の青年を見よという言葉がございます。子供、若者の姿に未来を知ることができるということなんですけれども、未来を担う子供たちの健やかな成長というのは政府全体で責任を負わなければならないと思っております。

 御指摘のとおり、諸外国、特にヨーロッパを中心にいたしまして、就学前の教育については、国家戦略の視点から、幼児教育を人材育成の基礎と捉えて、そして教育省が幼児期全体をカバーする体制が標準となっております。幼児期の教育は学習や生活の基盤となる力を育てるものであり、その重要性が世界的にも一層認識をされているところであります。

 就学前を含めまして、教育は我が国の未来を切り開くものであり、このため、子供に関する政策は、福祉との連携を図りながら、教育機能のみならず福祉的な機能を有している学校を基点に、教育の一貫性、継続性を確保した形で対応する必要があると考えております。

 現在、内閣官房を中心にいたしまして、先ほど野田大臣の話がありましたように、「こどもまんなか」の社会の実現に向けまして、内閣府の外局として、司令塔機能を発揮する体制について検討しており、先日公表されましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針では、教育について文部科学省の下で充実し、こども庁と文部科学省が密接に連携することとされております。したがいまして、例えば幼稚園の教育要領を改訂する場合は、私個人として今考えるのは、丁寧にこども庁とは相談をしていかなきゃならないと思ってございます。

 文部科学省としましても、引き続き関係府省と連携しながら、未来を担う子供たちを社会全体で支えていくように、体制の構築に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。

根本委員長 キシダフミタケ君。(発言する者あり)

藤田委員 委員長、ありがとうございます。最初の私の冗談を引いていただいて、ありがとうございます。

 こども庁につきまして、やはり、何か今の方向性のままでいって、この縦割りの弊害というのが果たしてすっきりするのかなという疑問はありまして、これは引き続き我々も提言していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、十万円給付についてやりたいと思います。

 我が党の足立議員が、十万円給付の意思決定の遅さで、クーポン問題、これは自治体に相当負担をかけましたよねという御指摘はさせていただいて、これは決断いただきましたのでそこはもうやりませんが、今後このような同趣旨の政策をやるときの政策目的はどうすべきなのかという論点から少し論じたいと思います。

 まず、昨年、全国民に特別定額給付金が配られまして、これは十万円やりました。これは、私、今年の通常国会の予算委員会でやったんですね。政策目的は何でしょうかというと、三つぐらい候補がありまして、一つはマクロ経済政策です、それから二つ目は困窮者支援、きめ細やかに、困っている方にお届けする、三つ目は国民の連帯や団結を後押しするためのお金、そういう非常に精神的な内容なんですね。これでいうとどれかというと、明確に三番目であるという答弁をいただいています。だから、政策目的は非常に曖昧で、精神論だったんです。

 でも、私、昨年行われたこの十万円は反対しません。なぜならば、あのときにいち早く素早くお金をお配りして、困っている方に手を差し伸べるすべがほかにはなかなかありませんでしたから、これは私は支持しましたし、提言にも我々もさせていただきました。

 ただ、ここで私が問いたいのは、そもそも国は、どの方がどの程度お困りになっているかを把握できないし、もしいたとしたら、その方に対して素早く公平公正な支援を届けるすべが、そういう仕組みが全くないということが、このコロナ禍において、特に有事において明らかになったんですよ。私は、これについて、その仕組みを整えましょうということを、国会内外、ずっとこれを言い続けてきたんですが、これはほとんど進んでいません。

 それで、じゃ今回の政策目的は何であるかということをまず問いたいんですが、今回の政策目的、これを確認したいと思いますが、山際大臣、お願いします。

山際国務大臣 今回のこの給付金十万円の目的でございますが、これは経済対策の中に明記してございまして、子育て世帯への給付は、新型コロナが長期化しその影響が様々な人々に及ぶ中、我が国の子供たちを力強く支援し、その未来を開く観点から、ゼロ歳から高校三年生までの子供たちを対象とした給付を行うこととしたものです。

藤田委員 ありがとうございます。

 つまり、政策目的が明確で、子育て支援なわけです。

 じゃ、なぜクーポンというアイデアが出てきて、これだけいろいろな混乱を来したかというわけでありますが、これはなぜですかね、総理。

山際国務大臣 子育て支援と同時に、この五万円のクーポンの話というのは、より直接的に子育て支援に使っていただけるんじゃないかという、そういう思い、さらには、各地方自治体によって、それぞれの地方自治体、置かれている状況が違いますので、それぞれの地方自治体の知恵と工夫で、創意工夫で地方を活性化することに使っていただけるんじゃないかということ、もちろん消費喚起という意味も含めて、工夫ができるような形でというもので制度設計しようというふうに企図したものでございます。

藤田委員 今回の混乱で明らかになったように、クーポンでやることで失われるものはたくさんあるんですね。例えば自治体事務が間に合わずに、例えば入学時期である三月、四月をまたいでしまうであるとか、こういったことで、やはり政策目的が曖昧に進んでしまう。そもそも、子育て支援策と定義されて明確化されているにもかかわらず、違う用途、例えば貯金に回ってしまうんじゃないかとか、消費喚起とか地域振興だとかという、そういう政策目的が曖昧になってこの混乱を来しているわけであります。

 だから、私が思うに、この政策目的は何であるかということをしっかり決めて給付金というものの意思決定をやるべきだし、今後そういう意思決定をすれば、今回のように、曖昧な議論の中で、又はいろいろな政治の駆け引きの中で意思決定が遅れて、結局しわ寄せになるのは自治体又は生活者というような政策を、私は、これは大変申し訳ないですけれども、岸田政権の統治能力に少し疑問を持ちました。

 もう一つ、この給付をやるに当たって、不公平さというのがやはり指摘されています。コロナ禍においていろいろな支援、政策が打たれてきた中で、国民の皆さんから一番評判が悪いのは、不公平だという声なんですよ、多い少ない以上に。

 今回でいうと、例えば年齢に対する不公平、これは子供がいない低所得者世帯又はアルバイト学生、十九歳以上の。それから、収入も、ずっと他党からも指摘がありますが、一千万円のところはもらえなくても、合算で一千八百万円でももらえてしまうというような、こういう不公平ですね。

 こういう給付の公平性、不公平さというものについてどのように認識されているか、総理にお伺いします。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、前半の政策目的の部分で申し上げるならば、そもそも、今回、クーポンという手法が議論されたきっかけは、まさに委員がさっき御紹介されました昨年の現金給付の中で、これが十分活用されていなかったのではないか、貯金に回ってしまったのではないか、そういった指摘があり、それを受けて、クーポンにすることによって、より直接的に子供や子育て家庭に、直接的に、さらには効果的にこうした支援ができないか、さらには、先ほど大臣からありましたように、民間や地方の工夫を促す、あるいは消費を喚起する、こういった点を政策目的としてしっかり掲げることはできないか、こういったことで議論として出てきたんだと振り返っています。

 ただ、結果として、全体の制度設定の中でいろいろな議論があった。

 いずれにせよ、この政策目的も含めて、早い段階からしっかりと議論していく、こうしたことは大事だと思います。

 それから、不公平の部分について申し上げるならば、確かに、一つ、今回の十万円の給付ということについては、所得制限もかけました。子育て世帯に対する支援ですので、もらえない方が大勢おられる。この制度一つ取ってみるとそういったことかと思いますが、それと別途、学生に対する十万円の支給ですとか、住民税非課税家庭に対する支援ですとか、様々な支援を組み合わせることによってより幅広い方への支援を考えていくというのがこの経済対策の全体像でありますので、一つの制度だけで全体をカバーすることができない、これは御指摘のとおりだと思いますが、だからこそ重層的な政策を用意することが大事だと考えて、経済対策全体を考えたということであります。

 不十分な点があるという指摘は謙虚に受け止めながらも、こうした姿勢で、今後とも、経済対策、考えていきたいと思っております。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

藤田委員 ありがとうございます。

 重層的かつきめ細やかに、本当に必要な人に支援を届けていく、これは理想ですが、前提として、先ほど私申し上げたように、どの方がどの程度困っているかリアルタイムに把握しようがない状況、特に有事において、そして、現金を配るにも物すごい膨大な事務が地方自治体に発生するという現実、これを考えた場合に、そこで、結局それで無駄が出て、これだけどたばたどたばたしたわけですよ。

 だから、私たちは、これの対案として、そして、この補正予算の対案として、消費税の五%減税、無駄な配り方、不公平な配り方をするんであれば、広くあまねく国民の皆さんに恩恵が行き渡る消費税の、期間限定ででも、時限的な五%への減税を、私たちは法案を提出、今回させていただきます。

 やはり腰が重いんですね、この提案に対しては。消費税減税、踏み込めない理由は、最大の理由は何ですか。お答えいただけますか。

鈴木国務大臣 今回の十万円給付などよりも消費減税の方が効果的ではないかという趣旨の御質問だと思いますが、消費税につきましては、急激な高齢化等を背景に社会保障給付費が大きく増加する中で、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられております。

 その上で、消費税はあらゆる世代が広く公平に負担する一方、新型コロナの影響は人や地域によって様々であるということも分かっているところでございます。

 したがいまして、コロナ対策としては、消費税の減税ではなくて、困っている方々にフォーカスして、雇用、収入、住まいの確保など、様々な課題に応じたきめ細かな施策を講じていくことが重要であると考えております。

 また、消費税の減税につきましては、税率の切替えに伴う事務コスト、これもかなりかかります。それから、実際に消費税を引き下げるまでの一定の期間があるわけでありますが、その期間の間、買い控え等の問題もあると考えております。

 全世代型社会保障制度を支える重要な財源でありますことから、消費税を引き下げることは考えておりません。

藤田委員 消費税については引き続きやりたいと思いますが、今日は、新しい資本主義について少し議論したいと思います。

 私、新しい資本主義、総裁選の頃から岸田総理がいろいろ打ち出されて、結構勉強したんです。ただ、結論、よく分かっていないんですね、まだ。これは皆さん、本当に議員の皆さん、そして役所の皆さんもちゃんと理解してやっていらっしゃるのかなというのを、本当、いろいろなレクを通じて疑問を思うんですね。

 新しい資本主義とは具体的に何かということを問いたいんですが、私は、私のイメージですよ、政府・与党が様々な判断の中で必要と考えたところに強化して補助金を出したり、後押ししたり、又は租税特別措置のような複雑化した税制で減税をやっていく。つまり、個別にいろいろな事情の中で優遇していく、後押ししていく。これは、国が確かに賢く本当に当てていければいいかと思うんですけれども、私、必ずしもそうならないと思うんですね。

 つまり、政治や行政に対する恣意性とか裁量性のオンパレードにならないかなというのが私の危惧なわけであります。一言で言うと、市場の競争原理を弱めて政府の介入を強めるという考え方として受け取っているんですけれども、お考え、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 新しい資本主義、成長と分配の好循環を考える中にあって、成長においても分配においても、市場や競争に任せるのではなくして、官民が協働していくことが重要だということを申し上げているわけですが、官民の協働というのは、市場や競争を全く否定しているものではありません。

 これは資本主義でありますので、当然、市場あるいは競争、これは大切な仕掛けとして尊重するわけですが、しかし、それに全部任せるのではなくして、今、格差ですとか、あるいは気候変動ですとか、こういった社会的な課題、世界的で社会的に議論されている課題に向けて、政府として、民間がしっかりと投資を行う、民間の様々な努力を促していく、この呼び水をしっかりと用意しなければならないということで、成長戦略においても、ファンド等資金を用意するだけではなくして、こうしたデジタルや環境や経済安全保障において、将来の民間の市場の規模、こういった見通し、こういったものも提案させていただきながら、より見通しを立てられる形で民間の投資も促していく。こういった形で、市場や競争も大事にしながら官民の協力を実現していきたい、こういったことを申し上げています。

 是非、民と官の役割分担ということについても丁寧に説明しながら、この成果が、結果が出せるように、しっかりと経済の政策を進めていきたいと考えます。

藤田委員 ありがとうございます。

 官と民の役割分担、これは必要だと思いますが、その恐らく考え方がかなり私たちの政党と相当違うのかなという認識を持っています。

 ちょっと前提として、幾つか日本の現状把握をしたいと思います。

 まず、経済ですね。これはよく言われますが、三十年、GDP、ほとんど伸びていない、諸外国はどうかというと伸びている、こういう現状がまずあります。

 それから、次に賃金の推移ですね。これは名目賃金、実質賃金、赤が名目、青が実質でありますけれども、これは下降トレンドにずっとなってきているというわけであります。

 それから、先ほどのは非正規も入っているんです。だから、ある種それが下げ要因にもなっているというのは私理解していますが、じゃ、フルタイムの人だけで抽出した場合の平均年収ですね。日本は三十年横ばいなんです。じゃ、諸外国はどうかというと、これもやはり伸びているんです。つまり、賃金の伸びが悪いというのは、日本固有の問題なんです。

 そして、これが、特に注目したいのが可処分所得です。赤が平均所得、青が平均可処分所得ですね。税や社会保障を抜いた自分の手取りというような話ですけれども、これは赤と黄色で差がついているんです。つまり、可処分所得はどんどん下がっていっている、ワニの口のように広がっていっているというのが今の日本の賃金における現状なんですね。

 これは社会保険料の話、税、社会保険料の話でありますが、負担はどうなっているかというと、どんどん右肩上がりに上がっていっている。給与の水準は上がらない、でも税や社会保障は毎年のように増えていっている、こういう状況であります。

 これは、じゃ、企業が労働分配率をどう上げていくかという問題になりますが、これも、やはりマクロで見ると相当下降トレンドになってきているという話なんですね。

 つまり、私は素朴に考えて、今、労働力不足で働き手が少ないのになぜ賃金が上がらないのか、これは不思議ですよね。私は、これは構造の問題だと思っていて、確かに総理が言われているようないろいろな呼び水は必要だけれども、労働市場をやはり改革していかないといけないというのが私の意見ですけれども。

 その中で、私が一つ残念だなと思うのは、総裁選で打ち出された令和版所得倍増計画。私たち、日本大改革プランというのを、政府のプランAに対してプランBとして、提案型の野党として、これを選挙前に発表して、それを政策集に落として、できる限り国民の理解を得ようと頑張ってきましたが、これは実は、このネーミングが決まる前は新所得倍増計画という名前だったんです。これは没になりましたが、実は予算委員会でも一回やらせてもらいました。

 だから、目指すゴールは同じなのかなと思うんですが、令和版所得倍増計画、私は本気で目指していただきたいなと当初思いましたが、すぐ引っ込められました。これはなぜですか。

岸田内閣総理大臣 私も、令和版所得倍増計画という名称を使って、自民党総裁選挙において成長と分配の好循環を訴えました。そして、成長と分配についても、今までどおりでいいのか、先ほどいろいろな資料をお示しいただきました。資料の見方についてはいろいろ評価の仕方はあるのかとは思いますが、成長も分配も、今までどおりではなかなか結果として分配に至らない、要は、可処分所得、これを引き上げることができないということで政策を訴えてきたということであります。

 そして、結果の所得という部分についても、まずは今回の経済対策において、この足下、やるべきところから、公的価格から始めて、民間への協力をお願いするというところから始めましたが、是非、今後は、特に若者、子育て世帯、ここにターゲットを絞りながら所得を引き上げていく、こうした政策をしっかり進めていきたいと思います。

 こうした可処分所得、この所得に注目した政策は、総裁選挙の時点から基本的に変わっていないと認識をしています。

藤田委員 言わなくなったけれども、所得を上げていこうという思いはあると。じゃ、各論に行きたいと思います。

 今回、先進諸国に比べて賃金水準が伸びない又は可処分所得が減少しているということの分析は、これは通告しましたが省略させてもらいますが、そういう現状がありますね。その中で、目玉政策として看護、介護、保育、幼児教育などの分野の給与引上げ、これをやっていく。私は、エッセンシャルワーカーさん、本当に頑張っておられて、低水準でやっておられるので、これは賛同しますけれども、これのまず意図と、それからその方法、これを御説明いただけますか。簡潔にお願いします。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、公的価格と呼ばれている分野の看護、介護、保育、幼児教育の皆様方に対して、政府として賃上げをしていくということを決定する、それは、ある意味呼び水としてこれから先の民間全体の賃上げにつなげていこう、こういう意思の表れだと思っていただければ結構でございます。

藤田委員 その手法の詳細は、また各委員会でちょっとさせてもらいます。これも相当いろいろ問題があると思うので、させてもらいますが。

 呼び水という言葉を使われました。私は、確かに呼び水、いいと思うんです。ただ、調べてみると、今言った看護、介護、保育、幼児教育のようなそういう領域で働いていらっしゃる労働者さんは、全労働者人口の約五、六%なんです。じゃ、残りの九〇%以上の人をどう上げていくかということが総理の仕事です。この業界を上げるのは厚労大臣の仕事かもしれないけれども。全体をいかに上げるか、そういう賃金水準を全体的に、こんなに下降トレンド又は横ばいから伸びないトレンドをどう激変させていくかというグランドデザインが、私は我が国に一番必要だと思うんですね。

 そのメカニズムは、たった五、六%が呼び水になるかどうかは分かりませんが、この全体に広げていくメカニズムをどうお考えか、御説明ください。

山際国務大臣 新しい資本主義の全体像、グランドデザインは、今議論を重ねておりまして、来年の春を目指してこれをつくり上げていくことになると思っておりますが、今回の補正予算の中にも入れさせていただきましたように、例えば、賃上げ税制を深掘ったことによって、これで給料、収入を上げていくということが一つありますし、あるいは、赤字の中小企業に関しては補助率をかさ上げするという手当ても入れております。また、人的資本への投資として三年間で四千億円というパッケージもありますし、下請Gメンを倍増して、そして、言ってみれば企業間での取引の適正化というものを進めるということもございます。

 また、先般総理から御指示がありました、エネルギー価格等々が高騰しているということもありまして、その上昇分を適切に価格に転嫁させるための施策パッケージ、これも年内にしっかりお示しをする、まずはそこからやらせていただきたいと思っております。

藤田委員 賃上げ税制の話がありました。これはちょっと各論をやりたいんですけれども、賃上げ税制で、果たして全体的な、しかも継続的な賃上げが起こるかという、私は起こらないと思っているんです。

 なぜならば、元々、賃上げ税制、上げた分の十何%が控除されるという制度が今ありますけれども、その税額控除を大幅に上げようという政策ですね。これは皆さん考えていただきたいんですが、仮に一億円人件費を払っておられる中小企業さんがいらっしゃったとして、ざくっと三%給与をベースアップしたら、三百万円プラスにかかります。ここで、今言っておられる最大の四〇%税額控除したら、百二十万円お金を出しましょうという制度です。これはおいしいように思えるんですが、そもそも企業というのは給与をどのように設定しているかというメカニズムを知らな過ぎる制度だなと私は思うんですよ。翌年更に三%上げないともらえないわけですから、これは単年度なんですよ。

 企業というのは、解雇規制が非常に厳しい日本においては、一度雇ったらよっぽどの理由がないと解雇ももちろんできないし、しないし、そして、給与、賃金には、下方硬直性、つまり下げにくいという特徴があるんですよ。つまり、単年度で助成金をもらえるから給料をぼんと上げようというだけで考える経営者はいません。そこで、単年度の昇給と単年度の補助金を見合いで政策を組んだ場合に、効果は非常に限定的であるというのが私の解なんです。

 だから、つまり、長期的なトレンドをどうするんですかというのが私のそもそもの現状認識で、総理に対する問いで、この長期的なトレンドをどうつくっていくかという中で今回出てきた目玉政策が賃上げ税制であるという、何とレベルの低い政策パッケージかというのが私の感想なんです。

 じゃ、この賃上げ税制を使って、どの程度、どれぐらいのスパンで賃上げをしていくのかというお考え、聞かせていただけますか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、長期的なトレンドをつくるということがまさに目的であると思っています。

 御指摘のこの賃上げ税制そのものについても、やはり効果、これは毎年の人件費の積み上げを評価する形で税制控除を行うという形になっていますし、それに加えて、先ほど担当大臣から御紹介がありましたように、下請対策ですとか、さらには人への投資の施策パッケージですとか、様々なものを用意しているんですが、そういった政策を用意した上で、これは社会的な機運を変えていくところに持っていかなければならないと思っています。

 ですから、こうした施策を税制改正や経済対策の中でしっかり用意をした上で、今、経営者を始めとする様々な関係者と会議体を通じて意見交換をさせていただいています。

 その中で、来年の春闘に向けた議論についても、業績が回復した企業については是非三%を超える賃上げを期待するということを直接申し上げた上で、賃上げの水準、二〇一九年が二・一八、二〇二〇年が二%、そして二〇二一年が一・八六と賃上げの水準は毎年毎年今低下しておりますので、この低下傾向を是非反転させてもらいたいということを経済界とともに今議論を進めているところです。

 冒頭、公的価格の引上げを呼び水として申し上げましたが、それを民間の様々な税制や制度を通じて努力につなげ、そして社会全体の雰囲気を賃上げに持っていく、こうした流れをつくっていかないと、今の賃金の値下げ、低下傾向、これはなかなか反転させることは難しいという問題意識を持って、様々な取組を今動員させていただこうと考えているところであります。

藤田委員 具体的な政策パッケージは非常に、私は、今のお話を聞いた上でも弱いなというふうな感想なんですね。やはり、呼び水で機運を盛り上げよう、ある種の精神論、これは私は全否定しませんが、これはやはり、企業は、それは雇っている従業員さんの給料を上げたいですよ。皆さんそう思われていると思います。でも、上げられない現実があって、その構造やインセンティブ設計を変えなければ、この三十年ずっと上がらなかった賃金水準、この流れを変えることはできないんじゃないかというのが私の思いで、総理がよく言われる、人への分配はコストではなく未来への投資、それはもうそのとおりだと思います。

 しかしながら、銀行に借入れを起こしている企業はコストと評価されているんですよ。そして、雇わないという、厳し過ぎる解雇規制やそういう賃金水準の圧が、それが負担となって、雇わない、そういう選択肢も企業は合理的な経済活動としてできるわけです。だから、インセンティブ設計なんです、この賃金水準を向上させるという策は。

 私、一つずっと提唱しているのは、これは社会保障の問題と関連するんですが、日本の社会保障はその多くを企業に負わせています。企業を通じて広く国民の皆さんに社会保障を提供している。年金もそうです。そして、その企業に社会保障をちゃんと手厚くできる雇用を増やしてくださいというのが今までの政策なんです。

 しかしながら、考えてみれば、厳しい経済環境、GDPも伸びない、国際間の競争も厳しい、そして、ビジネスモデルとかマーケットが変化していくスピードも物すごく速いので、だから、何十年ともつ企業であるかどうかも不安がある。

 そして、それに加えて、もちろんやらなければいけないカーボンニュートラル、環境配慮のコスト、それから、最近ホットですが、人権の保護の、これも取組としてやっていかなければならない中で、これは労働者から見たら全て手厚い政策として、労働者側からだけを見ればいい施策として、厳しい解雇規制、最低賃金は毎年上がる、社会保険料は毎年上がり続け、そして年金の適用拡大が広がる、そして定年延長、同一労働同一賃金で非正規の待遇を正規に近づけるという政策、これは、労働者側から、いや、正社員から見ると非常にいい政策でしょう。

 しかしながら、私が思うに、今、この経済環境、そして頑張っても給料が上げられない企業さんの少し肩の荷を下ろしてあげて、企業を通じて広くあまねく国民に社会保障を提供するという考え方は発想転換して、国がユニバーサルに個を支援する。

 その一例として、私たちは、この大改革プランでは、社会保障の大改革として、ベーシックインカムを一つの手段として提案し、そこにまつわる改革はこういうことをすべきだと具体の提案、そして数字まで入れて提案しているわけでありますが、こういう、企業の肩の荷を少し下ろしてあげて、その代わりに、問題点としては、企業の社会保障を受けられない人は、これは制度の穴や崖に落ちてしまうわけなんですよ。今でも、非正規やフリーランス、皆さんそうじゃないですか。

 こういう、特に有事で気づきました、企業も大変で、なかなか社会保障を抱えたままずっと成長していくというのが難しい時代に、私は、企業の成長と、そして賃金を上昇させることのインセンティブ、そしてそれを、国がユニバーサルに個に対して社会保障を提供していく、社会のセーフティーネットを生んでいき、それがチャレンジできる社会につながるという大発想転換を私はやるべきだというのが我が党の考え方ですが、これについて総理のお考えを聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から、ユニバーサルな社会保障を提供するベーシックインカム的な考え方について紹介がありました。

 まず、我が国の社会保障というのは、基本的には社会保険方式、要は本人と事業主が保険料を拠出することによって制度を支える、こうした社会保険方式を取っています。

 こうした中で、最低限の所得保障を無条件に与えるベーシックインカムという考え方、これをたちまち導入することについては様々な課題があるということも、これは当然議論されているところです。既存との関係をどう整理するかなど、慎重な検討が必要であるということを考えます。

 そして、先ほどおっしゃったように、隙間、十分にこうした社会保障が行き届かない方がおられるではないか、こういったことについては、私は、現状の社会保障制度、できるだけ支え手を増やすことによって、持続可能性を維持する。さらには、従来の保険を横に拡大する形で、できるだけ幅広く、いろいろな働き方をする方もこの保険制度の中に取り込むという形で、隙間に陥ってしまう方をできるだけ減らしていく。こういった方式でこの社会保障を考えていくべきではないか、それが現実的な対応ではないか、こんなことを申し上げております。

藤田委員 ありがとうございます。

 かなりよく分かりまして、政府の案と我々の案の違いが浮き彫りになってきたと思います。これを真正面から議論を是非させてもらいたいなと。

 今日はちょっと時間もないので終わりますが、そうであれば、やはり年金の話をやらないといけないと思うんですね。

 総裁選で河野さんが年金の話を取り上げて、いろいろたたかれまして、いろいろ大変だったと思いますが、私は、年金の問題、この持続可能性を考えたときに、避けて通れない問題だと思うんですね、議論から。

 その中で、自民党さんのマニフェストには、保険、年金については、勤労者皆保険の一言しかないんです。年金をどうしていくかというグランドデザインは、マニフェストには一切ありませんでした。これは不誠実だなと思うんですが、これはまた時間のあるときに、次回以降にやらせていただきます。

 今日はありがとうございました。

根本委員長 これにて足立君、小野君、岩谷君、藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 十万円の給付金から伺いたいと思います。

 これまでも議論があったように、かなり与野党の議論を経て、十万円の一括給付まで総理が決断されたことは、私は評価をしております。

 せっかくここまで来たので、クーポンが原則ということをやはり変えてはどうですか。

山際国務大臣 これは、これまでも御説明させていただいたように、今回の支給策というものを使って、各地方自治体が創意工夫をしながら、クーポンを使いたいという自治体もあるわけですね。ですから、各地方自治体の主体性にお任せをして、柔軟な制度でやりますということをこちらとしては申し上げているわけでございますけれども、クーポンを使いたい、あるいはデジタルを使いたい、こういう方々に対して、それをサポートする意味でも、この方針というものは変えずにやろうと。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、両方使えるということはもう申し上げているわけですから、そちらの、今申し上げたクーポンに関して、使いたいというところをきちんとサポートするという意思表示だと思っていただければと思います。

玉木委員 クーポンを使いたい、デジタルを使いたいというのは、全自治体のうち、どれぐらいあるんですかね。一つでも二つでもあったら、そのためのシステムを用意しなければいけないので、九百六十七億円とも言われた事務費はほとんど削減できないと思います。

 創意工夫は自治体に任せたらいいんですが、実際どう使うかの創意工夫は個人に任せたらいいんですよ。最も使い勝手のいいクーポン券は日本銀行券です、それは。ですから、中にはそれをアメリカのように投資に回す人もいるかもしれないけれども、でも、それは個人に任せたらいいと思います、私は。

 例えば、じゃ、クーポン券にしたときに、塾代には使えますか、コンビニでは使えますか、図書は買えるけれども漫画は買えますか。あるいは、地元の地域の活性化というときに、隣町の大型ショッピングモールでは使えないように設定するんですか。

 何か、あたかも地域の活性化に使えるように説明がありますけれども、クーポンの使い道等についての具体像がはっきりしないので、全く生産的な議論になっていないんですが、それでもクーポンが原則は変えませんか。

山際国務大臣 今まさに議員がおっしゃったように、一人一人、いろいろな工夫が考え得るんだと思うんですよね。それを私たちとしては、地方自治体の皆さんと相談しながら、各自治体の実情に合わせて、創意工夫をしていただけないかということを最初お願いをしたわけなんです。

 それに呼応してくださっている自治体、今幾つあるんだというお話がありましたけれども、もちろん、今相談しているところだから、幾つでどこだというようなことを言及はいたしませんけれども、かなり思い切ったことをやりたいと言っている自治体もあるんですよ。

 そういうところに、もちろんコストがかかることはそのとおりだと思います、しかし、それも含めて、先ほどの答弁の中でも申し上げましたように、地域活性化ということも今回のこのクーポンの中には政策の趣旨としては含めるということを、私、この場で答弁させていただきましたとおりですから、その趣旨に照らして考えるならば、その地方自治体の工夫というものを我々としてはきちんとサポートしたい、そういう思いでやっております。

玉木委員 せっかくの税金なので、総理、使いたいという地方自治体があることは否定しませんよ。一回、調査を取ってみたらどうですか。千七百ぐらいある中で、どうしてもクーポンでやりたいところが十自治体だったとか、どうしてもIDカードを付与してデジタルでやりたいというのが二十とかになったら、別途考えたらいいんじゃないですかね、それ。

 大宗が現金を望むのであれば、現金を原則として、それに付随する経費とか地方自治体の事務負担を軽減させるということを内閣総理大臣として決断をすべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回の議論の経緯を考えると、当初、これは昨年の給付金等のありようもいろいろ議論した上で、スタートとして、クーポンの、先ほどからある、子供の支援に対する直接的あるいは効果的な役割とか、地元や民間企業の工夫とか、そういった点に注目して、クーポン原則というところから議論が始まったわけではありますが、その後、多くの自治体からの意見も伺い、そして、国会においても、野党の皆さんや与党の皆さん、いろいろな提案をいただいた。その議論の結果として、柔軟な制度を考えてきた。そして、十万円一括給付、これも選択肢の一つとして用意をした。

 そういったことで、当初、クーポン原則ということで議論は始まりましたが、結果として、今申し上げたような様々な選択肢を用意をし、実質的に、自治体が選ぶことができる、選択することができる、こうした制度を用意いたしましたので、その原則、建前にどうしてこだわるのかということでありますが、実質的に、自治体が選べる制度を用意いたしましたので、是非積極的にそれぞれの自治体の立場で制度を選択していただければと思っております。

玉木委員 今回の混乱の根源は、自治体のニーズを国が把握せずに制度をつくって、それを一旦押しつけようとしたことに私は原因があると思うんです。これだけいろいろな問題が出てきて、選択肢として、現金、しかも一括まで認めた以上は、一度まさに地域のニーズを聞いてから何がベストかを判断してはどうですか。私はこれを強く勧めたいと思います。

 もう一つ。ここまで来たら、現金でやると言ったら約一千億が浮くので、それを使えば、約一割の人が外されている所得制限も外したらいいと思いますよ。

 所得制限に意味があるときはあります。負担の能力のある方には負担をしていただいて、自らやっていただこう。ただ、今回の場合は、世帯としての負担がばらばらですよね。先ほど来出ている、旦那さんが九百五十万の年収、奥さんが九百五十万の年収、世帯年収一千九百万、子供三人、三十万もらえます。でも、御主人が一千万の収入、奥さんが三百万の収入、世帯年収が千三百万の場合は一円ももらえません。世帯としての負担能力は明らかに一千九百万の世帯の方があるにもかかわらず、そこにはお金が行き、一千三百万世帯には行かないというのは、所得制限を入れるそもそもの意義が薄れていると思います。

 ですから、是非これは所得制限を外して、子供のための支援ということであれば、一律に十八歳以下の世帯に対しては配るということを、これも総理、決断したらいかがですか。

岸田内閣総理大臣 今回の議論の一つのポイントとして、いかに早くこの資金を国民の皆さんに届けるかという論点もありました。よって、プッシュ型で、コロナ予備費を使って、そして迅速に制度を進めていこう、その際に児童手当の制度を活用しようではないかということで制度をつくりました。

 結果として、児童手当の制度との絡みもあり、なおかつ、制度の目的として、より困った方々にこうした支援をしっかりと届けるという建前もあり、所得制限を設けた、こういったことでありました。この部分については、一つ基本的な部分として、これは変えることは考えておりません。

 ただ、先ほど来委員がおっしゃっているように、現金、クーポン、様々なことについては、制度として、これは地方自治体がしっかり選択できる制度を用意していると思っておりますし、用意しなければならないと思っておりますので、制度の基本は守った上でこの制度を利用していただくのであるならば、現金、クーポン等、様々な選択肢を活用できると考えております。

玉木委員 急ぐから児童手当の枠組みを使うことは分かるんですが、高校生はどうするんですか。今の児童手当は十五歳、中学生までなので、中学生に対しては今の制度とか枠組みは使えますけれども、高校生はどうするんですか。高校生は迅速に配れませんよ。

 もう一つ言います。

 児童手当の枠組みを使うときに幾つか問題があるので、指摘しておくので、是非改善してください。

 十月以降に離婚したカップル、九月に、主たる生計者が例えば御主人だとして、夫側が主たる生計者として、九月の児童手当の、夫の口座に振り込まれている場合、十月以降に離婚した場合であっても、このお金は元の夫のところに振り込まれますね。そういった手当ては考えておられますか。

 もう一つ言います。

 今回のは、法律が新たに出て、差押えの対象から外れることになりますが、山際大臣もさっきおっしゃっていましたが、地方自治体で上乗せで、独自の財源で、九百六十万を超える世帯に対しても差をつけるわけにはいかないから、そこは全部にうちの町は配りますというところがあります。でも、これは国の制度ではないので、九百六十万円を超える給付については差押えの対象になります。

 ですから、こういう差をなくすためにも、一律、これは内閣総理大臣が判断をして、子供のための制度だということで、所得制限を設けずに、ユニバーサルな制度として給付することを改めて求めます。岸田総理、いかがですか。

山際国務大臣 御趣旨は理解しますが、やはり制度ですので、少し分けて考えなきゃいけないと思うんですね。

 今、児童手当の制度を使って迅速にというものは、どうしてもこれは十五歳の次の年の三月までということになりますので、元々、十六歳から十八歳の高校生の方々に対しては、この補正予算にその費用というものを計上してありまして、やはりこれは調べなきゃいけない、やり取りをしなきゃいけないものですから、少し時間がかかるんです。なので、元々、十五歳以下の方々に対して所得制限を設けて迅速にお配りをするという制度になっているので、そこの趣旨というのか、そこの内容に関しては御理解いただければと思います。

 それと、委員がおっしゃった、それぞれ、言ってみれば制度の隘路に陥る可能性があることについて、これはどんな制度を使っても恐らく少しずつ出るところがあるのかもしれませんが、そういうことが極力ないように、やはり自治体とはきめ細かく私たちは協議をしなきゃいけないと思っておりますし、具体的にそういう例が出てきたというときにどういうことができ得るのかということについては政権全体としてきちんと考えた上で、そういうお困りの方がいらっしゃるのであれば、それに対しての対応というのも考えていくというのが岸田政権だというふうに私は思っております。

玉木委員 先ほど申し上げた十月以降に離婚したカップルについては、是非、これはよく現状を調べて、きちんと行くべきところにお金が行くようにしてください。あと、差押えの対象になり得るところについても、国としても対応していただくことを強く要望しておきたいと思います。

 いろいろな制度があるから制度の間に落ちてしまうというのは、これは複雑な条件をつけるからそうなるんですね。

 パネルを見てください。

 我々国民民主党がずっと提案しているのは、いろいろなことがあるけれども、一律まずは給付をした上で、後に課税時に、ある種、所得の高い人あるいは収入が落ちていない公務員のような方については、通常の所得税に加えて上乗せの税を賦課して、お返しをいただく。そうすると、所得連動課税条件付一律給付でやると、結局、自分は所得が高い、あるいは減らないということが分かっている人は、どうせ返さなきゃいけないので、元々申請しないんですよ。

 だから、真に必要な人を、先ほども、維新の藤田さんですかね、おっしゃっていたのは、国は国民の前の年の所得しか分からないんです、日本の場合は。イギリスみたいに月ごとに資産、所得を把握する仕組みを持っていませんから。そうすると、誰が困っているかは自分しか分からないんです。分かっている人に申請してもらうように、どのように制度設計するかが実はポイントなんです。

 我々は、マイナンバーを全ての口座にひもづけてイギリス的な制度をつくるべきだと提案していますが、今、間に合いませんので、現行やれるのは、まず一律給付をした上で後で課税で調整するということが一番早くて、本当に困っている人に行くんじゃないかと申し上げているんです。

 もう一つは、先ほど言ったように、今回は子供がいらっしゃる方に着目しているので仕方がないとはいえ、独身で、それでも課税対象になっている、東京都で独身だと百万より収入があれば課税対象ですから、例えば年収百五十万、あるいは月十万円のお給料で年収百二十万の独身の男性の方、女性の方は、今回、一円の支援も受けられません。年収、世帯収入千九百万で、夫婦、お母さん、お父さんがいて子供三人のところには三十万来るんですが、懸命に働いている年収百二十万の独身の男性、女性には一円も行きません。

 こういうことを、多分、総理答弁で、住民税非課税世帯には十万ありますとか総合支援資金とかがあると言いますが、あるいは、困窮者支援の資金がある、最大六十万あると言います。使えないんですよ。ハローワークで求職していなきゃいけないとか、貯金が百万未満じゃなきゃいけないとか。だって、もう既に予算は半分余っているじゃないですか。そんな使い勝手の悪い制度がいっぱいあるのにそれを山盛りにしたって、困っている人は助からないんですよ。

 だから、昨年のように一律の給付をして、そして、ただ、今度は課税できちんと調整するようなことをした方が、本当に困っている人に、この年末どうしようかという人に届くと思うんですが、思い切って予算の組替えをして、こういったことをやりませんか、総理。

山際国務大臣 やはり制度が少しごちゃごちゃになってしまうので。

 今委員がおっしゃったお話は、十八歳までの子供たちに対する制度というよりは、困窮者の方々も含めた全員の方にまず十万円を給付して、その後、税でという話ですね。これも考え方としてはないわけではないのかもしれませんけれども、しかし一方で、やはり、この後、財務大臣から御答弁あるかもしれませんけれども、確定申告をする必要がない方、この方は本当に申込みをしないのか。もしするんだとすると、確定申告をしないわけですから、非常に多くの税務上の事務の負担が増えるということになるわけですね。

 ですから、何をやるにしても、やはり事務的な費用というものはかかるわけでございまして、私たちは、様々な御意見があることは承知しておりますけれども、迅速性を持ってやれるものは何かということで、まずゼロ歳から十八歳までというのを、児童手当の仕組みを使ってやる、そういう判断をしたわけでございます。

玉木委員 何をしても手間はかかると思うんですが、今の仕組みは相当手間がかかっていますよね、自治体の職員の皆さんに。サイトを作るだ、クーポンを刷るだ、これからどれだけ事務があるのかなと。

 私が提案しているのは、お近くの税務署に行って、今の、皆さんも確定申告したら分かると思いますが、上にマイナンバーを書いて、下に還付口座を書くんですよ。医療費の控除を求めるように、サラリーマンの方でも税務当局に行ってマイナンバーと還付口座だけ登録して、それで税務署から十万円を受け取るというような仕組みだって、私はできないことはないと思いますよ。最終的に情報が全部集まりますから、課税の段階で調整していくということだって、幾らでも制度はつくれると思うので、もう少し効率的な制度を是非設計してもらいたい。

 そして、デジタル担当大臣に申し上げたいんですが、今回、クーポンの話をしているんですが、こういう制度設計をするときにデジタル庁って絡んでいるんですか。大臣は何か相談がありましたか、この制度をつくるときに。こんなことをやったら紙で無駄だ、デジタルファーストだっけ、まずデジタルでやりましょうという原則がこの制度には貫かれていますか。

牧島国務大臣 今回の制度につきましては、担当大臣の方でその方針をお決めになったものというふうに理解しております。

 一方で、デジタル社会を推進していくという意味では、連携を各省庁と取らせていただいております。

玉木委員 大臣、こういうところを積極的に口を突っ込んだ方がいいですよ。そのためにデジタル庁とかデジタル担当大臣ができたんですから。

 ですから、こういうところをやはり誰かの目で最初にデジタルの観点からチェックするという癖を政権はつけてもらいたいなと思います。

 次に、マイナンバーカード、マイナポイント制度について伺います。

 これも一・八兆円でやるんですが、私が伺いたいのは、健康保険証に登録すると七千五百円もらえるというやつなんですけれども、悪くはないんです、ただ、これを補正で緊要性を持ってやるのかなということなんです。

 つまり、どういうことかというと、マイナンバー、仮に健康保険証に登録したとしても、使える病院とか歯医者さんとか薬局とか診療所がどれだけあるのかと。年度末までに日本中のそういった医療機関でマイナンバーの健康保険証を使えるようになるんですかね。それだったら緊要性があるので、この補正予算にのせてやったらいいと思うんですが。

 厚労大臣に伺います。

 例えば、私の地元の香川県で、マイナンバーを登録した保険証、どれだけの病院と歯医者さんと薬局で使えますか。数と比率を教えてください。

後藤国務大臣 玉木先生の御地元の香川県、マイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関、薬局数は百四十二施設で、全体の七・八%となっています。

玉木委員 まだ一割にも満たないんですね。全国平均も八%ぐらいです。なので、これは、まあ分かるんですけれども、あと、今年度、もう三か月ちょっとですよね。やはりちょっと私はおかしいと思う。

 ちなみに、閣僚の中で、聞きますけれども、マイナンバー、健康保険証を登録されている方は何人いらっしゃいますか。総務大臣もされていますね。よかった。厚労大臣。

 だから、そんなものなんですよ。本当に便利だったら多分閣僚の皆さんはされていると思うので、こういうところについてもやはりしっかり見直していただきたいなということを改めて申し上げたいと思います。

 次に伺います。

 成長戦略の中で、人づくりがすごく大切だと思います。その意味で、我々も、人づくりこそ国づくりだということをさきの衆議院選挙で訴えて選挙を行いました。

 それで、十兆円ファンド、大学ファンドについて伺います。

 これからファンドをつくって運用して大学を支援していく、こういうことなんですが、具体的に大学に支援が始まるのはいつなんですか。

末松国務大臣 先生御承知のとおり、大学は有形無形の知的財産が存在しております。我が国の成長とイノベーションの創出に当たりましては、大学の研究を強化することは極めて重要であるという認識に立っております。そして、運用益を活用することで長期的、安定的な支援を行うことと、若手研究者の育成と研究基盤の強化の二つが目的でございます。

 ずばり、令和六年度の開始を想定してございます。

玉木委員 三年後ですよね。二〇二四年から。

 本当に私は急ぐと思うんですよ。なぜなら、人づくりというのは時間がかかるから今すぐ始めなきゃいけない。

 お金を集めて運用して、運用益から出すなんていうことをして、初めて大学に最初のお金が届くのが三年後って、そんな悠長なことで我が国の国際競争力が回復するんですかね。

 大臣に伺います。

 私は、これは責める意味で言っているんじゃなくて、この大学ファンドのお金、今回六千億積んでいますが、これは建設国債の発行対象経費ですね。

末松国務大臣 そうでございまして、政府の出資ということになってございます。出資ですね。(玉木委員「だから、建設国債発行だと」と呼ぶ)建設国債ですね。出資ということです。だから、出資という名目になっています、貸借対照表上は。(玉木委員「いや、だから、建設国債発行対象経費ですかと聞いているんです」と呼ぶ)そうでございます。(玉木委員「そうですか」と呼ぶ)はい。

玉木委員 ちょっとパネルを見てください。

 私、ずっと教育国債を発行した方がいいということを実は提案しているんですが、今回の大学ファンドのお金、一般会計から出ているお金は、何と建設国債を発行して調達したお金が大学ファンドに入っています。

 それで、出資金だからそうだということはそうなんですが、私は、ESG債とかSDGs債といって、民間でも使途を絞り込んだ債券の発行をして資金調達をしているケースがあるんですが、今財政法上唯一認められているのは建設国債で、これは一九六六年から認められていますが、橋や道路を造るためには建設国債を発行して、なぜなら、成果物ができて、それは将来の人も受益するから、そういう話でやっています。

 ただ、これからの時代、特にこのデジタル社会においては、人こそ最大の資産だと思いますから、かつてはインフラ、物だったのを、今度は人的資産形成にも国債発行してきちんとやるべきだというのが趣旨です。

 ですから、今建設国債を発行してやっているんですが、きちんと切り分けて、正面から、教育や科学技術は一定の範囲で教育国債の発行で賄うと。

 我々国民民主党は節度ある積極財政ということを提案しているので、この成長の分野、もっと言うと、将来の納税者をつくる分野、将来の成長をつくる分野については、積極的に、国債発行してでも予算を増やすべきだということを考えているんですが、否定的だと思いますが、財務大臣。

鈴木国務大臣 玉木先生からお話がございましたとおり、出資金が建設公債の対象経費とされておりますのは、出資金が、残余財産分配請求権などの出資による権利が確保された国の資産であり、貸借対照表に具体的に金額を表示でき、長期に保有されるものであることによるものであります。

 他方、教育予算につきましては、一般的には出資金のような会計上の資産性がないと考えられ、そのような支出については確実な償還財源もなく、新たな特別な国債を発行することは実質的には赤字国債の発行にほかならないと思うわけでありまして、慎重な検討が必要であると思っています。

玉木委員 慎重だけれども検討してくださいね。償還の当てがないと言ったら舌をかみますからね。宇宙開発事業団とか、実は今回の大学ファンドだって、償還の当てはあるんですか。そういう中で入れていっているんですよ。

 だから、これは国家の意思としてどうやるかということですから。私は、この二十五年間賃金が上がらない国になってしまったのは、やはり出すべきところにお金を出してこなかった。やみくもに何かお金を出せとは言っていません。ただ、人づくり、教育、科学技術には徹底してお金を出すんだということを、ここを切り替えないとまた同じような二十五年を続けてしまうと思うので、是非総理、そこは十分検討いただきたいと思います。

 次に、人権外交について伺います。

 先般、総理、十月二日、民主主義サミットに、オンラインだけれども参加されたと思います。そこで、アメリカとオーストラリア、デンマーク、ノルウェーの四か国が、人権侵害に悪用されるおそれのある先端技術の輸出を管理する仕組み、輸出管理・人権イニシアチブというのを立ち上げました。これに対して、イギリス、フランス、オランダ、カナダは支持を表明したんですが、日本は支持表明すらしていないんですね。

 総理、せっかく民主主義サミットに参加しているのに、何で支持表明すらしていないんですか。これはやはり、人権外交を大切にする国家として言うべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、民主主義サミット、リモートですが参加いたしました。

 様々な議論が行われたわけですが、御指摘の提案について我が国として賛同していないではないか、こういったことですが、これについては、内容を精査し検討中であることから、現時点では参加を表明しておりませんが、これは、今後の議論を踏まえて、対応ぶりについては検討していきたいと考えております。

玉木委員 是非検討してください。

 これは極めて私は大事だと思っていて、オーストラリアのシンクタンクのASPIというところがレポートを出していて、ウイグルの人権侵害に関わったような可能性のある、結果として関わった可能性のある、そういった企業をいっぱい出しているんですが、その中に日本企業も含まれているんです。

 これから、環境のデューデリジェンス、環境をちゃんと適用しているのかなということと同時に、人権をきちんと、人権侵害に加担していないですよということを確保した商品しかサプライチェーンの中で使えない、逆に言うと、そういったところに配慮していない日本企業がサプライチェーンから取引排除される可能性があるんですよ。

 だから、各企業としても、コーポレートガバナンス・コードみたいなことをしっかり守っていただくと同時に、人権侵害に加担していませんよということをきちんと証明しようとするような日本企業を政府としてもサポートするような枠組みや、特に法的枠組みをつくる必要があると思います。

 人権デューデリジェンス法、我が党はもうこの骨格をまとめていますから、是非政府としてもこれは積極的にやっていただけませんか。

林国務大臣 今先生からございました、国際的に企業に対する人権尊重、これを求める声が高まる中で、実は、昨年、政府から、ビジネスと人権に関する行動計画を策定しております。この行動計画で、今お話のありました人権デューデリジェンス、これを企業に対して導入を、促進を期待する旨を表明しておりまして、企業の意識の啓発や喚起をすべく取組を行っております。

 まずは、この行動計画を着実に実施しながら、関係者の意見を聴取し、国際的な動向、そして企業を取り巻く今御指摘のあったような状況等も踏まえながら、いかなる措置が必要か、関係省庁で更に議論を深めていきたいと考えております。

玉木委員 林大臣もよく分かっていると思いますが、これは経産大臣に頑張ってもらいたいんですよ。

 これは我が国の、我が国企業の競争力に関わる問題なんですよ。だから、人権だから何かポリティカルコレクトネスみたいな、政治的に正しいからどうこうではなくて、我が国の国際社会における競争力に直結する問題になっているという、産業政策だという観点があることも、これは、外務大臣、経産大臣、是非、両大臣、そして総理、しっかりと認識をしていただいて、積極的に前に進めていただきたいと思います。

 最後に、憲法改正について伺います。

 我が党は、憲法改正の議論には積極的に加わりたいと思っています。静かな環境の中で憲法審査会が動くことを期待をしておりますし、与野党が合意をしてそういった議論が深まることを期待をしております。

 その中で、総理、いわゆる自民党の改憲四項目というのがあります。あれにこだわり過ぎると、なかなか、じゃ、あれを通すのか、通さないということで、非常に慎重になる政党、会派もいるので、一旦、この四項目にはこだわらないということで議論してはいかがですか。(発言する者あり)ちょっと、やじをやめてください、足立さん。いや、これは真剣な話です。

 総理が、十一月のインタビューだったと思いますが、四項目でも、四項目一括改憲にこだわらないということを発言されておられたと思うんですが、それも含めて、柔軟にそこはやっていくという、それは自民党総裁としての、私は議論を推進する立場から申し上げているんです、総理のお考えを伺います。

岸田内閣総理大臣 私自身、今日まで、総裁選挙等を通じて、自民党の提案している四項目のたたき台素案、これは重要であるということは申し上げてきました。是非、これを中心に改憲の議論を進めたいということは申し上げてきました。

 しかし、今、内閣総理大臣の立場からは、こうした議論の進め方あるいは内容について直接申し上げることは控えなければならないと思っておりますが、是非、関係議員の皆様方には、積極的に憲法改正の議論を進めていただくことを期待したいと思っています。

玉木委員 十一月におっしゃった、四項目一括改憲にはこだわらないという考えは変わっていませんか。

岸田内閣総理大臣 詳細に踏み込むことは控えたいと思いますが、今の点については、四項目、大事だと思っています。ただ、順番とか取扱いについては様々な議論があると存じます。

玉木委員 各党それぞれ考え方があると思うんですね。ただ、私、憲法の議論を本当にきちんとやったらいいと思ったのは、やはりコロナがあったからです。コロナがあって、やはりこれはいろいろな議論がありました。つまり、十分な補償なく、簡単に私権制限が行われたり、営業の自由が制限されたり、あるいは最近だと、日本国民がなかなか国内に戻ってこられなかったりと、憲法上保障された様々な権利が緊急事態という名の下に簡単に制約されてしまう。

 私は、緊急事態条項というのがありますね、自民党の四項目の中にあります。緊急事態条項自体が危ないのではなくて、緊急事態条項にはルールもないのに、緊急事態を理由にいたずらに私権制限が簡単に行われてしまう今の日本の現状が危険だと思うんです。ですから、やはり、コロナを経て様々な課題が顕在化したので、そういった議論を積極的にやっていく。

 ちなみに、自民党の改憲草案の緊急事態条項の中には、大規模な災害などと書いていますが、実は感染症は条文上予定されていません。その意味でも、あのときにはあの四項目でおまとめになったかもしれませんが、もっと柔軟に幅広く、このコロナという歴史的な事態を踏まえた、本当に今やるべき憲法議論は何なのかというところを柔軟に自民党としても考えていただきたい。

 改めて、自民党総裁としての岸田総理に伺います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、自民党のたたき台素案の中の緊急事態条項と感染症との関係についてどう考えるか、こういった議論があること、これは御指摘のとおりであります。

 この点も含めて、是非、国会において積極的な議論を期待したいと思います。

玉木委員 この緊急事態に関して、総理に一つ、これは総理として、あるいは政治家として伺いたいんですが、我々、緊急事態宣言が出された中で、国民の皆さんには、人が集まるなとか、移動するなとか、リモートワークしてくれ、電車に乗るな、いろいろなことをお願いしました。ただ、あのとき、多分、一番この国で集まっていた場所が二か所あって、衆議院本会議場と参議院本会議場だったんですね。

 地方自治体からも問合せが来たときに、委員会についてはいわゆるオンライン審議なども可能なんだけれども、本会議だけは駄目だと。それは何でかというと、国会の本会議も、基本的には出席、つまり物理的出席を求めるというふうに解される、あるいは国会の規則にもそう書いてあるということだったんですが、憲法上も三分の一の出席あるいは過半数の出席。

 この出席はオンライン出席でもいいと、総理、思いませんか。

岸田内閣総理大臣 内容について直接触れることは控えますが、緊急事態において、国民の代表である国会の権能をいかに維持するか、守るか、こういった観点は、この議論の中で重要なポイントではないかと考えます。

玉木委員 今、後ろから、仕方がないんだよという声が出ましたけれども、それだと何も変わらないんですよ。

 やはりコロナを経て、民間の人には、あれを変えろ、これを変えろ、社会も経済も、いろいろな価値観も変えなきゃいけないという中で、政治だけが、国会だけが変わらないということは、私は免れないと思います。

 変えるべきところをしっかり変えていく、そういったところを憲法にまで立ち返りながら議論をしっかりと我が党は進めていきたいということをお誓い申し上げ、質問を終わりたいと思います。

根本委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は初めに、軽石被害の問題から質問をいたします。

 小笠原諸島の海底火山、福徳岡ノ場の噴火で発生した大量の軽石が、沖縄県や鹿児島県を始め全国各地の漁港、港湾、海岸に漂着し、漁業や観光、離島航路などに被害を及ぼしています。

 私も現地調査を行ってきましたが、護岸で囲われた港一帯がセメントを流し込んだように灰色に覆われ、停泊している漁船が身動きできなくなっておりました。白い砂浜も、波打ち際に沿って灰色の帯が続いておりました。ショベルカーなどで除去作業が続けられておりますが、沖合には大量の軽石が帯状になって漂っており、北風が吹くとまた漁港に戻ってくる、こういうイタチごっこであります。

 専門家は、元の環境に戻るまでは一、二年はかかるだろうと指摘しております。

 特に漁業は深刻で、出漁を自粛せざるを得ない漁船が全体の三四%に上っております。県内の地方議会でも意見書が次々と上がっておりますが、一番強い要求は、漁に出られない漁民への休業補償であります。

 漁業関係者のお話も伺いましたが、大半の漁業従事者は小規模や零細で、共済に加入していないとのことでありました。特に、この時期はモズク栽培やソデイカの漁期に重なっており、漁に出られないのは大きな打撃であります。

 総理に伺いますが、今回の補正予算には、除去作業への財政支援策は盛り込まれております。しかし、休業補償は入っておりません。漁民が漁業を続けられるように、この点での支援が必要だと思いますが、総理、いかがですか。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 海底火山の福徳岡ノ場の噴火に伴う軽石につきましては、漁港等に漂着した軽石の回収、処理の対応として、リエゾンの派遣や国土交通省と連携した回収に関わる技術的な支援に加えまして、災害復旧事業等による財政的な支援を行います。

 その上で、軽石の影響による操業自粛や漁船の故障などの被害に対しましては、漁業共済等による減収補填や漁船の修繕費用への支援を行います。

 漁業共済に加入していない漁業者に対しても、資金繰り支援を行いつつ、関係する地方自治体と連携し、現場の状況を丁寧に把握しながら、引き続き災害復旧事業等による支援を行ってまいります。

 以上です。

赤嶺委員 共済に入っていない人が大部分で、資金融資なんて、とてもじゃないけれども手が出ないですよ。

 ソデイカというのは非常に高価なものでありまして、例えば糸満市の漁協の収入の七割はソデイカで、そのシーズンが始まっているんですね。しかし、もう二か月も漁に出られない。この後も、どうやったら漁に出られるか見通しがない。いろんなエンジンなんかも工夫して、しかし、出かけるのは命懸けですよ。

 災害ですから、総理、是非、休業支援について検討していただきたいと思います。これは是非、農水大臣の方もよろしくお願いいたします。

 沖縄の米軍基地問題について質問をいたします。

 総理とは外務大臣の時代から何度もこの議論を積み重ねてまいりましたが、今日は、その沖縄の基地問題の形成過程、総理としてどんな態度で沖縄の問題に臨まれるのか、この点から議論をしていきたいんです。

 ちょうど沖縄が本土に復帰してから来年で五十年です。半世紀がたとうとしている今なお、広大な米軍基地の存在が沖縄の政治、経済、社会に重大な影響を与えております。沖縄本島の面積の約一五%を米軍専用施設が占め、米軍機の墜落や爆音、環境汚染、米軍関係者が引き起こす犯罪などによって、県民の命と安全が脅かされております。周辺の海や空にも広大な訓練区域が設定され、漁業活動や航空交通への制約ともなっています。

 こうした広大な米軍基地がどのようにして造られたのか、基地の形成過程についての総理の認識をまず伺いたいと思います。(発言する者あり)

岸田内閣総理大臣 質問の趣旨が、私の基地問題形成に対する認識ということでありましたので、私から直接答えさせていただきます。

 例えば普天間飛行場につきましても、戦前は、その地域において役場、国民学校、郵便局、病院、こうしたものが所在をし、街道が通っている、そして集落が所在して田畑が広がっていた、こういった地域であったと認識をしています。そして、戦時中、昭和二十年四月、米軍が上陸した後に土地を接収し、そして普天間飛行場が建設された、これが経緯であったと承知をしています。

 その他、沖縄の米軍施設・区域の形成過程については様々な見方や議論があるということは承知しておりますが、いずれにせよ、世界一危険と言われる普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないと思っておりますし、また、沖縄の基地負担の軽減、このために、そうした経緯も振り返りながらしっかりと取り組んでいかなければならない、これが基本的な認識であると考えます。

赤嶺委員 今総理がおっしゃったとおりなんですよ。

 戦前、村役場や学校がある、まさにその村の中心地を、中心市街地を米軍が乗っ取って基地にしたから、今、市街地のど真ん中に普天間基地ができ上がっているんですよ。造ったのは米軍なんです。世界一危険な基地という他人事の話ではなくて、まさに戦前、そういう場所に基地を造ったから、今危険な状態になっている。

 しかも、県民が収容所に入れられている間に、私有財産を強奪して造ったわけですね。一方的に囲い込んで構築したものであります。私有財産の没収や略奪は、占領下においても最低限守るべき基準を定めたハーグ陸戦条約という国際法に違反するものです。

 一九五二年にサンフランシスコ講和条約が発効いたしましたが、沖縄は、奄美、小笠原とともに本土から切り離され、米軍占領下に置き去りにされました。その後、いわゆる銃剣とブルドーザーで、抵抗する住民を力ずくで排除して、基地は拡張をされました。

 国際法に違反して、住民の土地を強権的に奪って造られたのが沖縄の米軍基地であります。様々な見方はありません、事実は一つですから。そういう歴史を見ていただきたいと思います。

 戦後二十七年間に及ぶ米軍の直接統治下で、県民は、憲法が適用されない無権利状態に置かれ、度重なる米軍の事件、事故に苦しめられました。

 沖縄の祖国復帰を求める運動が本土と連帯して取り組まれ、一九七二年には、不可能と言われた祖国復帰が実現をいたしました。私も、小学校、中学校時代は憲法に憧れ、大学に入学してからは、東京で、沖縄の返還運動、祖国復帰運動、これに必死に頑張りました。

 しかし、七二年の復帰が実現しても、広大な米軍基地はほとんどそのまま残されております。占領下で構築された広大な米軍基地がいまだに引き継がれているのであります。

 復帰に当たって、当時の琉球政府が県民の要求をまとめた、復帰措置に関する建議書という文書があります。当時の屋良朝苗主席の名前を取って屋良建議書と呼ばれているものです。総理、御存じでしょうか。

岸田内閣総理大臣 復帰措置に関する建議書、復帰の前年、一九七一年、当時の屋良主席が提出された建議書であると承知をしております。

赤嶺委員 国会図書館でも閲覧できるようになっておりますし、復帰五十年を迎える沖縄にとって、五十年前、どんな建議書であったかという原点に返る上でも非常に大事なものでありますから、是非目を通していただきたいと思います。

 屋良建議書にはこう書かれております。「県民が復帰を願った心情には、結局は国の平和憲法の下で基本的人権の保障を願望していたからに外なりません。」「基地あるがゆえに起るさまざまの被害公害や、とり返しのつかない多くの悲劇等を経験している県民は、復帰に当っては、やはり従来通りの基地の島としてではなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります。」このように書かれておるわけですね。

 さっき総理がお答えになりましたように、五十年前の一九七一年秋の臨時国会は、当時、沖縄国会と呼ばれておりました。米軍基地の存続を前提とした沖縄返還協定が審議されていました。屋良主席は、県民の声を届けようと、建議書を携えて東京に向かいました。羽田空港に降り立ったその三分前に、返還協定は衆議院の特別委員会で強行採決をされました。

 屋良主席は、当時のことを、沖縄県民の気持ちというのは全く弊履のように踏みにじられるようなものだと日記に書きつづっております。破れた草履のように踏みにじられた、沖縄県民の気持ちは破れた草履のように踏みにじられたと述べているのであります。日米両政府が推し進めた沖縄返還は、県民が望んだ復帰とはかけ離れたものでありました。

 こうして沖縄の歴史を振り返れば、占領下で構築された米軍基地の縮小、撤去に取り組むことは政府の沖縄に対する責務だと思いますが、総理はどのように認識しておられますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の建議書の中に、基地のない平和な島としての復帰を強く望む、また、施政権が返還されるときには整理なり縮小なりをして返すべきだ、こうした内容があるということ、承知をしております。こうした歴史を振り返りながら、政府としましても、沖縄における米軍施設・区域の整理縮小のために様々な取組を進めてまいりました。

 しかしながら、戦後七十五年以上たった今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を負っていただいているということ、これは政府としても重く受け止めなければならないと考えます。

 これからも、丁寧な説明、対話による信頼、こうしたものを地元の皆さんと築きながら、未来に向けて大きな可能性を持つ沖縄の発展を思い、また、そのために基地負担の軽減、全力を尽くしてまいりたいと考えます。

赤嶺委員 総理は外務大臣も務めておられましたので、基地の現状について、私も何度も質問をしましたからよく御承知の上だと思いますが、建議書の中身にも触れられました。

 大事なことは、返還協定を作るときに、基地のない沖縄を目指して建議書を持ってきたのに、羽田に着く三分前には特別委員会で強行採決して、屋良建議書は、国会は受け取らなかったんですよ。弊履のように踏みにじられた、破れた草履のように県民の気持ちは破られてしまった、こういう思いを持って、五十年、今なお基地が続いている、広大な基地が続いている。この問題は、よっぽど岸田内閣が決意をしないと解決しないと思います。対話とか、そんな軽々しい問題ではないですよ。

 政府は、復帰以降も曲がりなりに基地の整理縮小を掲げてきました。ところが、その多くは県内移設が条件とされて、進みませんでした。例えば、那覇空港に隣接する米軍の那覇軍港の返還が合意されたのは一九七四年ですよ。いまだに返還されていないどころか、先日はオスプレイが突然飛来し、県民を驚かせました。

 それでも、従来の自民党政権は、県民の苦難の歴史に寄り添おうという姿勢を見せたときもありました。

 ところが、二〇一二年に安倍政権が発足して以降は、政府の沖縄政策は全く異質なものになってしまっております。県民の民意や思いを全く顧みず、強権的に物事を推し進めるようになりました。選挙の翌日に大量の機動隊を沖縄に動員して基地建設を強行する、国策に協力しない自治体には容赦なく予算を冷遇する、こういうやり方が露骨に取られるようになりました。戦後、沖縄がたどってきた歴史への理解があれば、このようなやり方はできないはずです。

 総理は、安倍政権以降の沖縄政策についてどのように認識しておられますか。

根本委員長 復興大臣西銘恒三郎君。(赤嶺委員「何で。沖縄担当大臣は答えられないよ、基地の問題、所管じゃないよ。総理ですよ。沖縄の基地のですよ。沖縄政策じゃないですよ」と呼ぶ)

 ちょっと、一度答弁してください。

西銘国務大臣 沖縄振興策に関わるものですから、お答えさせていただきます。

 今、赤嶺委員のお話にありました屋良先生の教え子が西銘順治であり、台湾のところで教えているときの、山中先生が教え子であり、そういう御縁で、この沖縄国会で、赤嶺委員の先輩の瀬長亀次郎も、私のルーツの父も、西銘順治も沖縄国会にいたことを思い出しながら、今、赤嶺委員の質問に答えさせていただきたいと思います。

 安倍政権以降の政府においては、平成二十五年の十二月、当時、総理の発言に基づいて、従来よりも一段と高い水準の予算を確保し、沖縄振興に取り組んできたところであります。具体的な事業を一つ一つ目に見える形で実現してきたものと思います。

 赤嶺委員も私も、高校、あるいはそれ以上に、米ドルで生活してきたものからすると、例えば、那覇空港の第二滑走路の供用開始や、あるいは名護東道路の問題等……(発言する者あり)

根本委員長 簡潔に、簡潔にお願いします。

西銘国務大臣 見事に実現してきたものもありますので、その辺はしっかりと御理解をいただきたいと思います。

 以上です。

赤嶺委員 西銘大臣、沖縄の選出ではあるんだが、今そういう答え方をしたら、総理、駄目ですよ。

 私が聞いたのは、振興策ではなくて、安倍内閣になって沖縄の基地問題はどう取り扱われてきましたか、その取扱いについて総理はどのように認識しておりますかと。だって、安倍、菅政権の後でしょう。大事な質問じゃないですか、総理の認識を聞くのは。

 総理、答えてください。

岸田内閣総理大臣 先ほどの質問は、沖縄政策について認識をということであったので、今、沖縄振興についてもお話をさせていただきましたが、これは、振興は、沖縄の基地負担ということにも深く関わっております。北部訓練場の過半の返還、嘉手納以南の土地の返還、こうしたことは、この沖縄振興という部分にも関わっておりますし、そして何よりも沖縄の基地負担の軽減につながる、こうした取組であると思っています。

 私も、外務大臣時代、沖縄の基地負担というこの課題に様々な場面で立ち会わせていただきました。多くの関係者の御努力を、それと御協力をいただきながら前進を図ってきたわけであります。

 是非、来年、本土復帰五十年という大きな節目を迎える、そして沖縄振興も新しい計画がスタートする、こうした年に当たって、まず、大事な基地負担軽減というテーマを忘れることなく、沖縄問題にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

赤嶺委員 北部訓練場の返還を基地負担軽減の前進とおっしゃっていますけれども、北部訓練場は、半分は返還して、ここは米軍も使わなかったんですよ、古くなって。古くなって使わなかった場所を返還したら、代わりに新しいオスプレイの着陸帯を六か所造れといって、北部訓練場の別の場所に、住宅に近いところにそういうオスプレイの離着陸帯を造って、今騒音で大変ですよ。住んでいる人の立場に立って考えてください。何か、過半を返還したら負担軽減が進んだなんて、そんなの住んでいる人は誰も思っていませんよ。

 具体的に聞いていきますけれども、十一月の二十五日に、辺野古新基地建設に関わって、玉城デニー知事が、政府が昨年四月に提出した軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更申請を不承認といたしました。ところが、政府はまたしても禁じ手を使いました。国民の権利救済を目的とした行政不服審査制度を濫用し、同じ政府の一員である沖縄防衛局が国土交通大臣に不服を訴えるという、安倍政権、菅政権が繰り返してきた法律無視のやり方に踏み切りました。

 総理は、所信表明演説で、丁寧な説明、対話による信頼を強調していますが、これまでの政権のやり方と全く変わっておりません。何が違うんですか。安倍政権や菅政権と同じことをやろうとしている。何が違うんですか。教えてください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点につきましては、これは、行政不服審査法、法律にのっとって対応をしているところであります。沖縄防衛局は、この行政不服審査法にのっとって審査請求の手続を行ったと承知をしております。その上で、所管大臣であります国土交通大臣において、法律に従って手続が行われている。

 こういったことでありますので、政府としては、この手続、しっかり見守っていきたいと考えております。

赤嶺委員 常識で見てもそこがおかしいと何で考え切れないんですか。

 いわば、行政不服審査請求というのは、国民の権利救済のためですよ。それを防衛局が国土交通大臣に申請をしている。国土交通大臣、見守っていくということですが、辺野古の新基地建設というのは閣議決定をされているわけですよね。政府方針そのものですよ。閣議決定に拘束されている国土交通大臣に中立公正な審査なんかできるはずがないではありませんか。総理、いかがですか。

斉藤国務大臣 法定受託事務に係る都道府県知事の処分についての審査請求は、地方自治法の規定により、法令を所管する大臣に対してすることとされております。公有水面埋立法は国土交通省の所管となりますので、行政不服審査法の審査庁として、今後、沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出される書面の内容を検討し、法令の規定に基づき、適切に対応してまいります。

 行政不服審査法の審査庁として、法令の規定に基づき、公平公正に審理してまいります。

赤嶺委員 立派らしい答弁をしておりますけれども、あれですよ、国土交通大臣、ああ、防衛大臣に聞きましょうか。

 防衛省は、これまで、港湾整備の専門家を国土交通省にお願いをして防衛省に職員を出向させてもらって、辺野古の事業を進めております。防衛省で辺野古の事業を進めているのは、国土交通省の港湾の専門家の皆さんですよ。

 今、何名出向しているんですか。

岸国務大臣 今、国土交通省から海洋土木工事に関する経験、知見などを有する職員が出向し、担当部局において防衛省職員として業務に従事しているところです。

 国交省から防衛省に出向し、普天間飛行場代替施設建設事業推進チーム、いわゆるFRFチーム及び沖縄防衛局で勤務をしている職員数は、令和三年十二月現在で十名であり、同チームが設置された平成二十七年四月以降現在まで、延べ三十五名であります。

赤嶺委員 今の答弁にありましたように、防衛局の中で、防衛省の中で辺野古の新基地建設を進めているのは、国土交通省から出向してきた港湾の専門家の皆さんですよ。

 さっき、審査庁として公正にやると国土交通大臣がおっしゃっていましたけれども、国民がどんなに考えても、これは公正ではないという結論しか出ないんじゃないですか。

 辺野古の基地建設は、防衛省と国土交通省が一体となって進めているものです。こうした実態からいっても、中立公正な審査が行われるはずがありません。

 行政法の研究者も、行政不服審査制度が濫用されるものだ、法治国家にもとる、このように厳しく批判をしています。今年六月には全国知事会も、総理、そういうやり方は改善してほしいという意見書を出しているんですよ。

 これらの地方自治を全く無視して、国土交通省と防衛省の共同事業である辺野古の新基地建設を進め、そして、不服があるからといって、国土交通省が公平な審査をしますと。こんなのは冗談でも言えないんじゃないですか。やめるべきじゃないですか、そういうことは。

 設計変更申請には、沖縄戦の最後の激戦地である沖縄本島南部から埋立土砂を調達する計画が盛り込まれています。沖縄戦跡国定公園に指定され、今なお、戦没者の遺骨を収集し、遺族の元に送り届ける活動が続けられている地域です。戦没者を冒涜し、遺族の心情を踏みにじる計画の中止を求めて、全国の地方議会で意見書を可決する動きが出て、広がっております。

 総理は、遺骨の眠る土砂や戦没者の血がしみ込んだ土砂を辺野古の埋立てに使うというこの計画、これを総理としてどうするんですか。

岸田内閣総理大臣 沖縄防衛局が沖縄県に提出していた変更の承認申請書においては、変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達の候補地として沖縄本島の南部地区が記載されているということ、承知をしております。

 この変更承認申請については、先日の不承認処分を受けて、先ほど来議論になっておりますように、沖縄防衛局が国土交通大臣へ審査請求を行っているところでありますので、この土砂の調達先について現時点でコメントすることは控えなければならないと思います。

 ただ、いずれにせよ、さきの大戦で悲惨な地上戦を経験した沖縄において今なお戦没者の御遺骨の収集が進められている、こういった現状を考えますときに、この御遺骨の問題、これは大変重要な問題であるということは認識をいたします。

赤嶺委員 重大な問題であるという認識を持っておられるのであれば、防衛省は計画を変えていませんので、いずれ使うという計画のままですので、総理として直ちにやめさせるようにしていただきたい。

 私、岸田内閣になってもう一つ驚いたのがあるんですよ。今、玉城デニー知事が辺野古の不承認を出して、そして、工事は止めて話合いに応じてくれと総理に求めているときに、辺野古では八百一億円の膨大な補正予算を今度計上しているんですね。問答無用で進めていこうとしている。私、この補正予算の額を見たときに、岸田総理は、安倍、菅さん以上に強硬に辺野古新基地建設を進めようとしているのか、余りにも強引過ぎると思いました。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 世界で最も危険だと言われている普天間基地が固定化され、また危険なまま放置される、こうしたことは絶対に避けなければならない、これは地元の皆様との共通認識であると考えます。

 そして、日米同盟の抑止力、そして普天間飛行場の危険性の除去、これを考え合わせたときに、辺野古移設、これは解決策として唯一のものであると考えて取組を進めているところであります。

 この方針に基づいて着実に工事が進められていく、このことによって、一日も早く普天間飛行場の全面返還が実現し、危険性を除去することにつながるということを考え、しっかり努力を続けていきたいと思っております。

 そういったことから、今回の補正予算において、御指摘の埋立工事に係る緊要な経費、これを計上している次第であります。

赤嶺委員 もう終わりますけれども、工事の完成まで、政府の試算でも十二年ですよ。ところが、それも根拠はないですよ。今、普天間では、ヘリやオスプレイから物資が落下している。この間も水筒が落下している。こんな危険、明日は何が起こるか分からないような宜野湾市で、危険性の除去だからあと十二年待ってくれというんですか。危険性の除去というなら、あしたにでも閉めなきゃいけないんですよ。運用停止をしなきゃいけないんですよ。

 中国とアメリカの覇権争いの舞台にもなっておりますが、軍事対軍事の対決ではなくて平和的に解決、そして、沖縄の米軍基地は歴史的にいっても縮小、撤去しなければならない、これが岸田内閣の最大の任務だ、菅内閣や安倍内閣以上のことをやってはならないということを強く申し上げて、質問を終わります。

根本委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 新しい会派、有志の会の代表、吉良州司です。

 総理、遅ればせながら、御就任おめでとうございます。難題山積の日本丸のかじ取り、よろしくお願いいたします。

 岸田総理とは、総理が外務大臣時代、何回も外務委員会において議論をさせていただきました。私、中でも印象に残っているのは、地政学的戦略、外交戦略を問うと私が大上段に構えてした質問であります。

 その中で私は、中国が推し進める上海協力機構、これを陸の帝国、ランドパワーと位置づけ、そして一方、我が国が推し進めていたTPP、これは単に多国間経済連携のみならず、戦略的意義を持つという認識の中で、自由な貿易、そして自由な投資、自由な人の往来等、自由を尊重する国々の集まりとして、シーパワー、海の帝国と位置づけ、そして、戦略的そして地政学的観点から、TPPを最大限に活用して中国と対抗せよ、このようなことを申し上げました。

 加えて、日米同盟を強化したいならば、当時、米国の本国派遣外交官が一番多かったのが南米コロンビア、その米国目線に立てば、南米コロンビアにもコミットすることこそが日米同盟強化につながる、そのようなことを私は提言をさせてもらいました。

 総理がどこまで覚えておられるかどうか知りませんけれども、懐かしく思っております。

 今日は、総理が提唱する成長と分配が好循環する新しい資本主義、これに関連して、日本経済の実態ということについて議論をさせていただきたいと思っていますが、その前に、全く新しい会派でありますので、少しだけ、有志の会、どのような会派であるのか、そして何を目指しているのか、簡単に紹介させていただきたいと思っています。

 私たち有志の会五人は、全て無所属で自民党候補と戦い勝ち上がってきた、無所属議員だけで構成する会派です。私は現職だったですけれども、ほかの四人がすごい、気概がすさまじいのは、この間、浪人中であったにもかかわらず、また、他の野党からの公認要請があったにもかかわらず、あえて信念を貫くために比例復活のない無所属で臨み、そして勝ち上がってきていることです。財務省出身者おり、外務省出身者おり、経産省出身者おり、現職の医師おり、そして、不肖私も元商社マン。多士済々、制御不能なほど個性豊かなメンバーの集まりです。

 立ち位置は、今の時代、右だ左だ、保守だリベラルだ、そのようなことで区分けをする時代ではないと思っています。ただ、あえて分かりやすく言うならば、中道新保守、米国のようなネオコンという意味での新保守ではなく、我々流の新保守、これが立ち位置です。五五年体制的な与野党対立軸はもうとっくの過去のものになっていると思っています。

 我々が目指すものは、自民党の業界主権政治に対して、生活者主権の政治。そして、あらゆる政治課題の中で、将来世代を最優先する政治。これから、このような基本理念に基づいて具体的な提案をさせていただきたいと思っています。

 一方、建設的、積極的な憲法論議、外交、安全保障、エネルギー政策、また経済安全保障、こういった国家の根幹に関わる諸課題、諸政策については、政権党とこれから政権を目指さんとする政党の間で大きな違いがある必要がないと思っている仲間でもあります。

 さて、有志の会の説明はこれくらいにさせていただいて、本題に移っていきたいと思っています。

 総理、日本経済が世界経済と密接にリンクしていて、その関係はほぼ正比例の関係にあるという御認識をお持ちでしょうか。簡潔にお答えください。

岸田内閣総理大臣 日本経済と世界経済、貿易ですとか国際金融市場等を通じてこれは密接に連携していると考えております。

 経済がグローバル化していく、こうした中で、活発な貿易・投資を通じて世界経済が全体として共に発展していく、成長していく、これは重要な考え方であると思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 お手元にも配っている資料一を御覧いただきたいと思います。このパネルにも示してあります。

 これは、日本経済と世界経済の実質成長率の推移を表したものです。これを見て一目瞭然でありますけれども、実はほぼシンクロしています。世界経済がよければ日本経済もいい、世界経済がよくなくなると日本経済もよくない。正比例的な関係であります。

 ただ、一点、注意が必要なのは、この九七年のアジア金融危機、また二〇〇八年、九年、リーマン・ショック、こういった世界的な経済危機のときには、世界全体の落ち込みよりも日本の落ち込みの方がはるかに大きい。このことについては注意が必要です。

 総理、御承知のとおり、世界各国の経済力、企業の実力、これを表すのは米国ドル、そして、評価も、また比較も米国ドルでなされます。そして、今、先ほど見ていただいたように、日本経済と世界経済がこれだけ密接にリンクしている以上、日本経済の真の姿、実力、実態、これは米国ドルで表されるべきものだと私は思っています。海外の人は誰も、日本円で幾ら、日本のGDPが幾らだとか見る人はいません。必ず米国ドルで見ます。

 もう一点、黒田日銀総裁就任以来、言い方は極端ですけれども、バナナのたたき売りのように自国通貨を強引に安くして、日本企業、そして日本国民の世界に対する買う力を著しく減じています。また、働く人からしてみると、単位時間当たりの働く価値が米ドルベースで大いに減じています。それでいて、残念ながら、公約であった物価上昇二%も達成できていません。

 買う力がこれだけ落ちてしまっている日本円で幾らGDPが伸びたと言っても説得力がない。見るべきは、米国ドルベースで日本の真の実力、実態を見るべきだと思っています。

 そして、これから、お手元の資料も含めて、その米国ドルで見た日本経済の実態について見ていきたいと思います。

 資料二を御覧ください。ここにフリップでも示しています。

 これは、日本の日本円での名目GDP、実質GDPに加えて、米ドルベースでの名目GDPを描いています。赤い太線が米ドルベースでの日本のGDPの推移です。

 特に国民の皆さんに訴えたいと思いますのは、意外かもしれませんけれども、民主党政権時代、見てお分かりいただけるように、山になっています。そして、その後、アベノミクスが始まってから、ぐっと下がっています。ざくっと、米国ドルベースで見た民主党政権時は大体六兆ドル、アベノミクス以降は大体五兆ドル前後です。一兆ドルも少ない状態がずっと続いています。これが実はアベノミクスの実態ということを是非御理解いただきたいと思います。

 次に、米ドルベースで見た世界のGDP一位、二位、三位の図です。

 これはグラフ三になりますけれども、これを見てお分かりいただけるとおり、米国はこの三十年間で何と三・七倍、中国は四十倍です。日本は一・四倍。これが実態です。

 他の主要先進国と比べたのが、その次のグラフです。

 主要先進国、米国を除くとドングリの背比べのように見えますけれども、実はこの間も主要先進国は、オーストラリアなんかは四倍以上、米国も三倍、欧州大陸諸国が二倍から三倍、日本だけがほぼ横ばいです。

 そして、これまでの議論の中でも一部出ていますけれども、その最大の原因は何かといえば、主要先進国、これは名目賃金指数の推移をその次のグラフで表していますけれども、日本だけ横ばいで、ほかの主要先進国は一倍台の後半から二倍台、伸ばしています。先進国の経済成長のエンジンは個人消費ですから、賃金がこれだけ伸びなければ、こういう状態になるのは当たり前の話です。

 もう一点、これが最重要でありますけれども、これも国民の皆さんに是非御理解いただきたい。

 今私が説明してきた問題というのは、多くの人が、えっと思われると思います。なぜならば、安倍政権、菅政権、アベノミクスによってデフレを克服して日本経済はこんなによくなった、なぜならば、株価もこんなに上がっているじゃないかという説明を聞かされ続けてきました。

 しかし、この図を見てください。実はこれは、「デフレの正体」で有名な藻谷浩介さんの資料を参考にさせてもらっています。資料六です。

 さっき出しました、黒田総裁による、市場にじゃぶじゃぶに資金を流すことによって、棒グラフはマネタリーベースの上昇です、確かに、このマネタリーベースの上昇に伴って、ジグザグでありますけれども、株価は上昇しています。しかし、日本の国の豊かさを表すGDP、一番上に名目GDPというラインがありますけれども、これは決して上昇していません。

 さっき言いました、先進国のGDPは六割、七割を個人消費が占めておりますので、個人消費が伸びない限りGDPは伸びない。株価が伸びたからといって、経済がいいわけではないんです。

 以上、見てきて、ほか、資料を用意していたんですけれども、もうほかの議員が既に提示していますので、これはやめます。

 総理、成長が先か分配が先かという論議があります。私は、当然ながら、どちらも大事だと思っています。ただ、今見てきていただいたように、自民党が、成長が先だという議論、これは、今見てきたように、この三十年間、失われた三十年間、そのうちの民主党政権と細川政権の四年を除くと二十六、七年が自民党中心の政権です。この間、成長させられていない、国民の生活を豊かにできていない。この中で、成長が先だという議論は、正直、全く説得力を持ちません。

 でも、私が思うに、岸田総理もそのことに対して憂慮し、危機感を持っているからこそ、成長と分配の好循環をもたらす新しい資本主義というものを提唱しているんだと思います。

 そういう意味で、必ずしも自民党政権下で成長ができない以上、分配のための原資が極めて限られているわけです。ということになれば、どこに分配するのか、このことが成長か分配の中で最も重要なことになります。

 総理、私は、政治家の最大の使命は優先順位を明確にすることだと思っています。総理、どこを最優先して分配されますか。簡潔にお答えください。

岸田内閣総理大臣 委員からいろいろな御指摘をいただきました。

 それで、世界各国が経済力を評価する際に、ドルベースで考えている、ドルベースの数値を用いている、このことは承知しておりますが、ただ、その際には、為替の状況、これは大きな影響をもたらす、これは留意しなければいけない点だと思います。

 御指摘のように、ドルベースで考えますと、二〇一〇年、二〇一一年、二〇一二年、これは成長しているということになるわけですが、しかし、あの当時は、一ドル八十円という大変な円高の中にあります。ですから、ドルベースで評価すると成長しているというグラフになるわけですが、あの当時は、倒産も多く、雇用も厳しい、日本経済六重苦と言われていた時代です。

 あの時代が成長していたと評価するというのはなかなか難しいのではないかと私は考えておりますし、そして、国民が景気、経済の実感ということを感じるとした場合、やはり、生活は円でもらっている、給料は円でもらっている。こうしたことを考えますと、円建てのGDPを増やしていくという点が大事であると思います。

 そして、いずれにせよ、これは過去の評価の問題ですが、これからについて、やはり日本の経済は成長しなければいけない。もう成長のパイはないから、分配においてどこを優先させるかという質問ではありますが、まずは成長させなければいけない。これは、これから特に大事な点だと思います。

 成長の果実があってこそ、分配ができる。そして、そのことによって初めて成長と分配の好循環が実現できるわけですから、成長を諦めるというような議論はしてはならないと思っています。

 成長、デジタルやグリーンや経済安全保障、この新しい課題を市場化する、民間が生き生きと活躍できる場にしていくために、政府もしっかり汗をかく。官民協働によって、成長、新しい時代の成長をしっかり実現したいと考えております。

吉良委員 総理、円高、円安の議論、私は幾らでもしますよ。私はその世界で生きてきましたから。

 一言言うならば、輸出企業を支援をして、その果実がトリクルダウンとして日本全体を豊かにする、このような時代が実はとっくに終わっています。細かく言えませんけれども、ガソリン問題しかり、さっき私が言いました、業界主権と生活者主権。生活者主権から見れば、実は今や、無理やりやる円高ではなく、自然な円高の方が、生活者にとっては可処分所得が増えて、GDPが六割を占めるこの経済において、そちらの方が経済成長の要素になるんです。そのことについては、これからとことんやりますよ。

 じゃ、日本が……

根本委員長 吉良州司君、申合せの時間が来ておりますので、御協力願います。

吉良委員 はい。

 GDP世界二位だった、今は三位だ、何でやっているんですか。日本円と人民元とドルで比べているんですか。過去も、日本が二番だったとか、日本がこれだけすごい経済だった、全部ドルなんですよ。都合のいいときだけ円高だと、こんな議論は成り立ちません。この件は、もうとことんやらせていただきます。

 そして、今言った、私が自民党の、この長期低迷の最大の原因だと思うのは、業界主権政治、業界優先社会主義経済なんです。自民党を選挙時に応援する、資金面で支援する、そういう業界に対しては、生産性が低かろうが、将来的にタックスペイヤーになる可能性が低かろうが、支援をしていく。この業界優先社会主義経済が……

根本委員長 吉良州司君、質問時間は終了しております。

吉良委員 停滞の最大の原因だということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして各会派一巡の基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、明十五日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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