衆議院

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第4号 令和3年12月15日(水曜日)

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令和三年十二月十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      菅家 一郎君    北村 誠吾君

      小林 茂樹君    後藤田正純君

      下村 博文君    土屋 品子君

      中谷 真一君    平沢 勝栄君

      藤丸  敏君    古屋 圭司君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    江田 憲司君

      落合 貴之君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      階   猛君    長妻  昭君

      馬場 雄基君    太  栄志君

      道下 大樹君    足立 康史君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      中川 宏昌君    前原 誠司君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   野田 聖子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣         堀内 詔子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長)          小野平八郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十五日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     宮崎 政久君

  後藤田正純君     井出 庸生君

  山本 有二君     藤丸  敏君

  長妻  昭君     太  栄志君

  道下 大樹君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     八木 哲也君

  藤丸  敏君     小林 茂樹君

  宮崎 政久君     菅家 一郎君

  馬場 雄基君     道下 大樹君

  太  栄志君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     木原  稔君

  小林 茂樹君     山本 有二君

  八木 哲也君     後藤田正純君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和三年度一般会計補正予算(第1号)

 令和三年度特別会計補正予算(特第1号)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和三年度一般会計補正予算(第1号)、令和三年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長小野平八郎君、厚生労働省健康局長佐原康之君、経済産業省大臣官房審議官龍崎孝嗣君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今枝宗一郎君。

今枝委員 おはようございます。自由民主党の今枝宗一郎です。

 令和三年度補正予算の締めくくり質疑の機会をいただきました先輩方、同僚諸君に感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 まず、今回の補正予算は、新型コロナ対策が最も大きな柱として編成をされております。現在の新型コロナの感染状況につきましては、感染者数も全国で数百名程度、重症者数も全国で三十名程度になっております。

 感染力の強いデルタ株でありましたけれども、先般の第五波を、国民の皆様の感染拡大防止への御協力と、またワクチンの接種の加速化によりまして、ここまで低い水準に抑えて、維持もできております。国民の皆様、また必死に医療を提供してくださった医療関係者を始め、エッセンシャルワーカーの方々に心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 そして、第六波への備えといたしまして、医療体制は約一・三倍に、また療養施設も約一・四倍へと強化がなされております。また、数千人規模の、いわゆるコロナで医療に対して派遣ができる医療従事者のチームもつくることができるようになってきているというふうに承知をしております。岸田総理を始め、政権の皆様の大変な御努力に改めて敬意を申し上げたいというふうに思っております。

 しかし、ここに来まして、御案内のとおり、オミクロン株が出てまいりました。オミクロン株の感染力の強さにつきましては、例えば南アフリカの論文では、六日間でデルタ株の約二倍に感染が増えるというようなデータも報告されておりますし、また、どのような検査でも感度一〇〇%というような検査は残念ながら存在いたしませんので、いずれは日本国内にやはり入ってくるということを私たちは覚悟せねばならないというふうに考えております。

 今のところは、ただ、本当に人事を尽くしていただいて水際で止めていただいておりまして、その間に、例えば変異ウイルスをすぐ同定できるPCR検査でありますとか、ほかの検査体制の強化をしたりですとか、また、重症化率を下げる飲み薬、コロナの内服薬のいわゆる承認や確保についても、様々対策を、今、準備を必死にいただいているというふうに思っております。

 そこで、総理にお聞きをいたします。

 総理はよく、最悪の事態を想定して事に当たる、準備をするというふうにおっしゃられておられますけれども、今後、国内にオミクロン株によるいわゆる第六波の感染拡大が起きても、必ず国民の皆さんの命と暮らしを守らねばならないと思います。

 どのようにこの対策等々進めていくのか、その決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、オミクロン株への対応、それから第六波への対応、これは政府としても全力で取り組まなければなりません。オミクロン株については、まだ未知のリスクが指摘をされているわけですから、慎重の上にも慎重に対応しなければならない。緊急避難的、予防的措置をしっかり講じているところであります。

 外国人につきましては、新規入国者について、全世界を対象にする、こうした対応を取らせていただいておりますし、日本人等の帰国者に対しましても、滞在国、地域のリスクに応じて指定施設滞留措置を講じさせていただいております。また、国内感染対策についても、全ての国内新規感染者についてオミクロン株の検査を行う、こうした早期探知を行っております。

 また、第六波への備えといたしましては、既に全体像を示させていただいておりますが、感染力が二倍になった場合にも対応できるだけの病床の数あるいは医療人材の確保、これをしっかりと進め、そして体制を確保、敷いております。

 そしてさらには、検査についても、予約不要の無料検査を実施するための経費として、補正予算で三千二百億、これを計上しておりますし、飲める治療薬も年内の薬事承認を目指しておりますし、ワクチンの三回目接種、これもできるだけ前倒しをする。

 こういった形で、予防、検査、早期治療、こうした流れをしっかり強化してまいります。

 国民の皆さんの安心を取り戻し、国民の命と健康を守り抜く、こうした強い覚悟で臨んでいきたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。非常に詳細に、また決意も含めて、力強くお答えをいただきました。

 それでは、一つ、今ワクチンの三回目接種というお話もいただいたんですが、これも非常に重要であります。細かくお聞きしたいんですが、ちょっと時間がないものですから、少し飛ばして。

 ワクチンの三回目接種はもちろん重要なんですけれども、さらに、今、製薬メーカーの各社さんが、いわゆるオミクロン株に対応する、有効性が非常に高い、そういったワクチンを、既に開発が非常に進んでおります。各国とも、開発されることを前提にしながら各社との交渉を今始めておるというのが実態でございます。我が国も、遅れずに各社との交渉を、このオミクロン株用のワクチンについても準備をどんどんどんどんしていくということは非常に大切だと思います。

 交渉内容でありますから、余り外部には言えないことも多いかもしれませんけれども、少しでも多く、そして早く確保をするために、総理自ら先頭に立って交渉に向かっていただきたいと思いますが、決意も含めてお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 オミクロン株に対応するワクチンでありますが、ファイザー社とモデルナ社において開発が今進められております。

 この二社において、オミクロン株に対応するワクチンの開発に成功した場合には、来年分のワクチンとして既に契約締結済みの枠内で同ワクチンの供給を受けること、これが可能となっております。既に一億二千万回分のワクチンの契約をしているわけですが、これは最新のワクチンをということになっておりますので、今申し上げたようなことが可能になっているということであります。

 いずれにしましても、国民の安心のために、しっかりとしたワクチンの確保につきましても、私自身、先頭に立って強い覚悟で臨んでいきたいと考えております。

今枝委員 どうもありがとうございます。非常に、今の御答弁で国民の皆様も、ああ、きちんとオミクロン株対応のワクチンについてもしっかり政府は準備しているんだということも御理解をいただけたというふうに思っております。

 さて、次のテーマに参ります。ちょっと余り時間がないので簡潔にいきますが、賃上げにつきましてであります。

 国が率先して看護、介護、福祉、保育、幼児教育の分野での給与の引上げを行うために、今回の補正予算でも二千六百億円ほどが計上をされております。こういったいわゆる官の分野、この分野の賃上げというのが、特に看護や介護、福祉、保育や幼児教育を含めて、人手不足でもありますから、非常に重要であるというのはもう論をまたないわけであります。

 ただ、これは持続的に賃金を上げていくことを考えないといけないということも同時にございまして、単発ではいけない。そのためには財源が必要であります。

 また、看護の賃上げにつきましては、来年十月以降は診療報酬の引上げに対応していくということになると思います。

 そこで一つ指摘したいのは、この看護の賃上げは、ほかの診療報酬改定とはやはり別に考えなくては、いわゆるほかの、コロナ対応にしてもそうでありますし、医師の働き方改革による医師確保のための支援など、様々な診療報酬本体にめり込んでしまうと、やはり、いわゆるパイの食い合いみたいな話になってしまいますので、それではまずいというふうに思っております。

 このような継続的な賃上げ、また診療報酬改定、この看護の賃上げの分を差し引いてもやはりプラスになるような、そういったことについて考え方をお聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の給与の引上げにつきましては、継続的なものにするために、補正予算により二月に前倒しで実施した上で、予算編成過程において安定財源を確保するということにしていきたいと存じます。

 そして、その後の更なる引上げについては、公的価格評価検討委員会において議論をいただき、年末までに取りまとめていただく中間整理を踏まえて適切に取り組んでいきたいと存じます。

 そして、令和四年度診療報酬改定については、予算編成の過程でしっかり検討していきたいと考えております。

今枝委員 時間ですので終わらせていただきます。十万円給付についても聞きたかったんですが、時間が以上となりましたので、失礼いたします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて今枝君の質疑は終了いたしました。

 次に、輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことを心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 さて、今回の予算委員会で、昨日までの議論の中で、日本の技術競争力の低下とか、あるいはGDPが低迷している、そういった現実についての議論が様々交わされておりました。そして、今回の補正予算は、この日本の現実を大きく打開をして新しい経済の成長を大きく開いていく、そういった予算であると私は感じているところでございます。

 そんな中、岸田総理、今回、未来社会を切り開く新しい資本主義の起動を掲げて、そして、その一丁目一番地に科学技術立国の実現、このようにうたわれております。まさに私自身、民間企業で半導体露光装置の開発に二十年間携わっておりまして、まさにこの科学技術の再構築で日本の新たな経済を牽引していく、こういった時代を切り開いていきたい、このように感じているところでございます。

 そして、この科学技術立国の実現における科学技術、まずは当面の課題のために新しい産業として市場を牽引し国益に直結するものと、中長期的な展望に立って技術開発に取り組むものがあると思います。

 そんな中で、当面の課題として、世界中の国々が野心的な目標を掲げてグリーン化を進めようとしている、このグリーン化を牽引する技術市場を展望することも必要かと考えます。

 例えば、水素社会の実現に資する技術もその一つであると思います。

 二〇一〇年から二〇一九年の間の水素利活用に関するトータルパテントアセット、つまり各社の特許ポートフォリオとしての総合的な競争力を測る指標の下で世界中の企業を評価した結果、上位二十社の中に日本の企業が九社入っております。

 ここで国がやるべきことは、世界中の国々と連携をして水素技術市場を創出することであると私は考えております。

 EUは、ドイツを中心に、電気自動車を始めとするバッテリーに頼る社会ではグリーン化が達成できないとの判断で、水素の利活用を目指す、そういった方針を掲げたと聞いております。

 まさに、CO2削減目標だけではなく、水素への転換目標、このようなものを掲げるような、そういった市場を構築し、日本が得意とする技術を更に伸ばしながら新しい産業を生み出していく、このようなことも必要かと思いますが、岸田総理のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

萩生田国務大臣 我が国が二〇五〇年カーボンニュートラルを実現し、地球温暖化対策を成長につなげるためには、技術革新による産業、エネルギー構造の転換が必要で、先生のおっしゃるとおりだと思います。このため、二兆円のグリーンイノベーション基金を効果的に活用し、企業による革新的技術の研究開発、社会実装への取組を力強く後押ししてまいりたいと思います。

 特に、水素分野においては、この基金から約三千億円を活用して、大規模水素サプライチェーンの構築に向けた技術の研究開発と社会実装を進めるほか、発電、産業、運輸などの幅広い分野での需要拡大に取り組んでまいりたいと思います。

 また、水素市場の拡大のためには、世界の国々と連携し、水素の活用を進めていく必要がございます。そのため、二〇一八年より毎年日本が開催している水素閣僚会議も活用しつつ、国内のみならず世界で水素利用を広げていく決意です。

輿水委員 ありがとうございます。

 そして、質問の趣旨として、水素を世界が使っていく、そういったものを目指すべきだということで、私はやはり、日本だけが伸びるというよりも世界でまず協力をしていく部分と、競争していく部分、そこを立て分けるということが必要なのかなと。

 協力の部分では、水素を生成する水電解技術を世界で共有をして、水素がどこでもたくさんできるようにしておくことによって水素の市場ができ、その市場ができた上で、今度はそういう水素の利活用を進める、そこに日本の技術で競争をしかけて新しい産業の展開を図っていく。

 このような協力と競争の在り方について、もし、御見解をいただければと思いますが、総理、いかがでございましょうか。

岸田内閣総理大臣 諸外国との熾烈な国家間競争、こうした現実を前にしまして、我が国として、競争と協力、共にしっかりと進めていかなければならないと思います。

 協力によって最先端の技術を共有し、そしてしのぎを削る、そして、競争によって今度は我が国の自らの競争力を高めていく、この両方をしっかりそろえることによって我が国の技術をより発展させることができるんではないか、このように考えます。

輿水委員 ありがとうございます。

 それでは、続いて、次世代技術への戦略的な先行投資について伺います。

 今回、ワクチンとか薬、海外からの輸入という形で今対応させていただいているところでございますが、日本もかつては薬品輸出国であった。しかし、その原因は、日本はかつては、低分子化合物、これが非常に強かった。しかし、最近はバイオ薬品という形で移転している、技術が。そういったところでの技術の移転という部分で若干後れを取ったような気がしているわけでございますが。

 今回、コンピューターの世界、今、電子デバイス中心となっている。今後は、将来的には、まだまだ実験段階のところもあると思いますけれども、量子デバイスを活用した量子コンピューター、こういったところに技術移転があることが想定されるわけでございますが、こういった中長期的な展望に立って、今度は、世界の流れに乗り遅れない、そして、しっかりとその流れを受け取って、そして日本が繁栄と発展の道を開く、そんな取組も必要なのかなと思いますけれども、この点についてのお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

小林国務大臣 量子技術につきましては、将来の産業や社会を大きく変革させる、経済安全保障上も重要な革新技術でございまして、先生御案内のとおり、国際競争も極めて熾烈になってきているものと承知をしております。この競争を勝ち抜くためにも、量子を含めた先端科学技術への研究開発投資、これを官民協働して大胆に実行していくことが重要だと考えております。

 このため、御指摘のありました量子デバイスを含む量子分野のオール・ジャパンでの戦略を策定して、量子分野において先行している要素技術、これを組み合わせて、産業界と連携した研究開発から実用化までのロードマップを策定したところでございます。

 また、今回、御審議いただいているこの補正予算案におきましても、いわゆるムーンショットの制度におきまして、量子分野を含めて、抜本的強化のために政府全体として八百億円を計上しておりますし、また、経済安全保障の確保、強化のために、量子を含む先端的な重要技術を支援していくために基金を設けて、新たに二千五百億円計上しております。

 戦略的かつ機動的な先行投資を行っていきながら、関係省庁、また民間とも連携をしながら、この研究開発、実証に戦略的に一体的に取り組んでいくことを通じて成長につなげていきたいと考えます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、量子技術、世界で競争しているところだと思いますが、もう時間がございませんので、思いだけ伝えさせていただければと思います。

 かつてメイド・イン・ジャパンという形で、例えば量子コンピューターを日本製というよりは、今度は、先ほどいろいろ御説明がありました、要素技術は日本が持っている、この要素技術を武器にメイド・ウィズ・ジャパンというか、世界と協力しながら、そうした要素技術を日本が押さえて、そして、共にその新しい技術にコミットしながら日本の新しい国益を切り開いていくような、そんな取組もあってもいいのかな、このように感じております。

 岸田総理の下で、新しい日本の資本主義、そして新しい日本の産業が大きく前進することを期待をいたしまして、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 これにて輿水君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 事前に通告していた質問事項を少し変更しまして、今朝の朝日新聞の記事についてお尋ねしたいと思います。

 記事によりますと、第二次安倍政権発足直後の二〇一三年から、国交省において、政府の基幹統計である建設受注統計の基資料である、建設業者が提出した受注実績データを改ざんしていたということであります。これが事実かどうか、お答えください。

斉藤国務大臣 今、階議員の御質問にお答え申し上げます。

 建設工事受注統計調査について、過去に、集計の過程において、事業者から期限を過ぎて提出された過去分の調査票の情報を当月分に含めて集計していたことは事実です。この点につきましては、九月一日に公表された会計検査院の特別報告においても指摘がなされておりまして、こうした運用については既に令和二年一月の数字より改善を行いました。

 国土交通省所管の統計においてこうした指摘があったことは大変遺憾であり、おわびを申し上げます。二度とこのようなことがないよう、総務省の統計委員会の提言を受けて昨年改定された政府の公的統計基本計画に基づき、品質確保に向けた取組を強化し、再発防止の徹底に努めてまいります。

階委員 統計が水増しされていたということで、当時、GDPの数字にも影響が出ていたと思うんですね。

 そこで、総理に伺いますけれども、これは令和二年一月から改善されたと。まあ、改善されたということも今日初めて知りましたけれども、この改善される前に、国会では、毎月勤労統計が虚偽であったということで、基幹統計の一斉点検というものが行われました。それにもかかわらず、その際には報告も是正もされていなかったわけですよ。

 自浄作用が著しく欠けていると思うんですが、こうしたことが生じた経緯であるとか、そもそもこうした改ざんが行われていた動機であるとか、あるいは関係者の責任であるとか、そうしたもろもろのことを明らかにするために、自浄作用がない組織ではなくて第三者委員会を立ち上げ、しかるべき有識者を入れて、そして徹底的な真相解明、そして責任の所在を明確にして再発を防ぐ、このことを総理としてやるべきではないですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、私の方にも国土交通省から、報道で指摘された処理を行っていたこと、これは事実であり、そして、先ほど大臣からもありましたように、既に会計検査院からも指摘を受け、令和二年一月からの数字の修正、改善も行った、こうした報告を聞いております。

 こうしたことが生じたこと、これは大変遺憾なことであり、御指摘のように、どうしてこういったことになったのか、そして、二度とこうしたことが起こらない、この再発防止に努めなければならない、これは当然のことだと思います。

 そして、今日までの経緯を確認する、そして、再発防止のためにどういった形でそれをやるのか、やるべきなのか、これについて至急検討をし、そして対応したいと考えます。

階委員 私は第三者委員会でやるべきだと思いますよ。なぜなら、一斉点検のときに国交省はちゃんと報告していなかったわけですから。もう自浄作用は期待できないわけですよ。

 それで、なおかつ、関係した職員、これは公文書でないですから改ざんということには、公文書の改ざんには当たらないんですけれども、刑法上は公用文書の毀棄罪、これに当たる可能性があります。三か月以上七年以下の懲役ということですから、七年が最高刑です。それから、統計法違反にも当たり得ます。六か月以下の懲役又は五十万円以下の罰金。

 こうした重い行為でありますから、これはやはり第三者の目でしっかり調査していただく。これをやらなければ、政府の統計に対する信頼は回復できないと思います。

 第三者委員会で調査をする、これをお約束いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、政府の統計の信頼、これは誠に重要なことであり、この統計の信頼を回復するということ、これは政府の立場からも、これは重大な課題として真剣に取り組まなければならないと存じます。

 そのためにどうするべきなのか。先ほど申し上げましたように、この報告を受けて、至急これを詰めなければならないと思います。今、委員からの御指摘、これもしっかりと受け止めながら、政府として具体的にどうその目的を達するのか、真剣に考えたいと存じます。

階委員 ひょっとすると、こうした問題が放置されて真相解明がはっきりされないとなると、政府の統計というのはどうなんだということから、政府が出してくる今回の補正予算も、GDPを五・六%引き上げるといったような数字も出ていましたけれども、これも極めて信憑性に欠けるということになってきます。

 そこで、こうした統計の信頼を回復するために、第三者委員会でしっかり調査をして、再発防止策がきちんと打ち出されるまでは、本予算の審議とか、到底できないと思います。

 問題は、統計だけではなくて予算の信頼性にも関わってきますよ。当然ですよ。だって、GDPを引き上げるというのがこの補正予算の意味であり、本予算でも、当然、GDPにどういう影響があるのか、これを我々は見なくちゃいけないわけです。新しい資本主義で経済の成長と分配を目指すというのであれば、これは大事な問題ですよ。

 統計の信頼を回復する、それまでは本予算の審議に入れない、私はそう思います。まずは、徹底した調査、そしてそれに基づいた予算委員会での集中審議、これを行うべきだと思います。

 まず、本予算の前に調査をちゃんと行って、結果を我々に示す、このことはお約束いただけますか。総理。

金子(恭)国務大臣 統計を所管する総務大臣から答弁をさせていただきたいと思います。

 今般の報道につきましては、それ以上のことはまだ承知をしておりませんが、今、斉藤国土交通大臣、そして岸田総理からお話がございました。

 政府の統計の信頼性の確保に向けて、いろんな選択肢はあると思いますが、検討してまいりたいと思います。

階委員 総理、私の問題意識を受け止めていただけましたでしょうか。

 本予算の前に調査結果を公表して、そしてそれを踏まえた予算委員会の集中審議、これを経なければ本予算の審議には移れないと思いますが、総理の見解をお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 まず、統計の信頼回復は誠に大事なことだと認識をいたします。

 ただ、先ほど来答弁させていただきますように、統計については、今回御指摘いただいた統計については、令和二年の一月から数字の改善を行っております。よって、令和二年度、令和三年度のGDPの統計には直接影響がないものと考えております。

 よって、この補正予算についても修正等の必要はないと思っておりますし、一方、本予算につきましては、今日本がコロナ禍の中で、国民生活あるいは事業、大変な状況の中にあり、経済の再生を考えなければいけない、もう時間との戦いで、政府としても、そして政治としてもしっかり責任を果たさなければいけない、こういった時期でありますので、しっかりとこの予算の審議は進めていかなければならないと我々は認識をしています。

 是非、本予算につきましても、今後国会の方で真摯に御議論いただきたいと考えております。

階委員 予算を急がなくちゃいけないというのは、むしろ我々の方がずっと求めてきたことなわけです。ただ、今の総理の答弁は、あくまでも今回問題になった統計がGDPに影響していないということをおっしゃったわけで、ほかにもいろんな基幹統計がありますよね。そうしたものが果たして正しいのかどうか、そういう疑問が、あの一斉点検を経た後もこうした改ざんが行われていた、間違った統計が流布していた、そのことから疑惑が生じているわけです。この今問題になっている統計がGDPに影響を与えなかったということだけで事足れりということにはならないわけですよ。

 そこで、私たちが求めているのは、この問題をきっかけとして、どうしてこういうことが起きたのか、一斉点検でもなぜ発覚しなかったのか、関係者がちゃんと責任を取らなくちゃいけない、こんなことをまずやった上でじゃないと、政府の統計への信頼が回復しない。信頼を回復して、それはこの問題だけに限らず、政府の統計全体への信頼を回復して、それから予算を審議した方が、これは国民の納得感も得られる、信頼も得られる、これで私は正しい審議の在り方が確立すると思います。まずそれをやってください。

 最後に、お願いします。

金子(恭)国務大臣 先ほど総理が述べられたとおり、令和二年、三年は書換えがない統計に基づいております。統計の信頼性確保に向けた取組をこれから進めてまいりたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今回のこの件につきましては、統計の信頼回復のために、これまでの経緯等をしっかりと確認をし、再発防止を図るために、しっかりとした対応を考えなければいけない。具体的にそれをどうしてやっていくのか、これをしっかりと考え、そして確定したいと思っております。

 ただ、予算の審議ということについては、先ほど申し上げました、令和二年一月から数字が修正されている、令和二年度、令和三年度のGDPを始め、大きな数字に直接影響はしていないということを考えましたときに、国民の命、暮らしを守るために、政治の責任を果たすため、予算の審議、補正予算も、また本予算も、我々政治の責任としてしっかり進めることは大事ではないか。是非こうしたことを御勘案いただき、国会において御議論を進めていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。

階委員 前段の答弁は納得しました。

 後段の答弁については、やはりちょっと、確かに予算も大事ですけれども、でも、信なくば立たずですよ。この信を回復するためのことをまずやってほしい。

 そこで、やはり、一度、この問題については予算の前に集中審議を行うことを委員長に御提案します。いかがでしょうか。

根本委員長 理事会で協議します。

階委員 よろしくお願いします。

 それでは、本題に移らせていただきます。

 私、締めくくり質疑でございますので、最初に補正予算全体についてお伺いしたいんですが、前年度の決算剰余金の処理について鈴木財務大臣にお尋ねします。

 今回の補正予算では、前年度の決算剰余金約四・五兆円については、財政法の規定にのっとって、半額が過去の国債の返済に充てられています。

 麻生財務大臣の下では、決算剰余金は、二年連続で、財政法の特例法を通した上で、過去の国債の償還に充てないで、全額を補正予算や翌年度の本予算の財源に回していたんですね。新規国債の発行を減らしたいというのが麻生前財務大臣の言い分でありましたが、私は、全くこれはナンセンスだったと思っています。

 なぜならば、新規国債の発行を減らしても、過去の国債を減らさなければ、過去の国債を借り換えるので、新たに借換債というのを発行するので、トータルで見れば、国債は全く減らないんですよ。要は、見かけだけ財政健全化、努力しているということを示すためのものだった。私は、二年連続で財務金融委員会でこのことを指摘しました。

 しかし、今回、この点については改められています。改めた理由について、財務大臣、お答えください。

鈴木国務大臣 ただいま階先生から御指摘のとおり、今年度、前年度剰余金六・一兆円程度を受け入れまして、そのうちの純剰余金四・五兆円程度の二分の一を、二・三兆円程度でありますけれども、国債整理基金特別会計の方に繰り入れることといたしました。

 そして、昨年度との対応の違いということなんだと思いますが、令和二年度の第三次補正予算におきましては、歳出追加の財源について、建設公債等のその他の財源で賄えない部分について、二つの選択肢があったと思います。一つは、全て特例公債の追加発行で対応するか、あるいは、公債の償還財源を活用してでも特例公債の追加発行を抑制するかということであったわけでありますが、特例公債の追加発行を少しでも抑制することが財政健全化に向けての政府の姿勢として重要であると考えまして、剰余金特例法を提出して、決算剰余金の二分の一を超えて財源として活用をしたと承知をしております。

 一方、今回、新型コロナ対応により、公債発行額が急増いたしまして債務残高が大きく増加するといった、新型コロナが発生する以前には想定できなかった状況が生まれております。こうした中で、新型コロナ対応に由来する多額の決算剰余金が発生していることを踏まえれば、これを極力当該債務の償還に充て、債務残高を圧縮すること、この方が適当であると考えられます。

 そのために、今年度につきましては、剰余金特例法を提出しませんで、財政法第六条第一項の規定に基づきまして、剰余金の二分の一を債務の償還に充てることとしたところでございます。

階委員 るる述べられましたけれども、私は、財務大臣が替わったから、自分の判断でそれをやったんだと言っていただければよかったなと思っています。

 それで、総理にも是非お願いしたいんですが、やはり財政の実態を見誤らないように、やはり、いたずらに不要不急の特例法を使って新規発行国債を抑制するといったようなことをやるんじゃなくて、なるべく素直に実態を明らかに国民に示す、こういう姿勢が大事ではないかと思うんですが、この点について御見解をお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 財政については、コロナ禍の中で緊急な財政出動も多く、余儀なくされている、その債務が巨額に積み上がっている、こういった状況であります。

 財政というものは、国の信頼の礎でもあり、そして、国民の未来の世代にとっても大きな関心事であります。こういった実態について、政治の立場からできるだけ透明に実態を示すことによって、国民の信頼をしっかり得ながら財政について考えていく、こういった姿勢は政治にとって大変重要ではないかと私も考えます。

階委員 そこで、今度は、補正予算の歳出の方についてお伺いしたいと思います。

 この予算委員会でのやり取りを聞いていて一番驚いた総理の答弁、これは、皆さんにお配りしている資料の二ページ目につけておりますが、高市さんがワイズスペンディングを前提にした財政出動を求めたのに対して、総理は、ワイドスペンディングを考えていくというふうに答弁しているんですね。両者は全く意味が違います。

 総理にお尋ねします。

 これは単なる言い間違いなのか、それとも高市さんの意向を忖度したのか、どちらでしょうか。

岸田内閣総理大臣 申し訳ありません。これは単なる言い間違いであります。ワイズスペンディング、これが私の本意であります。

階委員 私も言い間違いだというふうに思っていましたけれども、確認しました。

 ところで、問題は、果たしてワイズスペンディングになっているかどうかということなんです。二つほど取り上げたいと思います。ワイズスペンディングと言えるかどうか。

 総理が新しい資本主義を語る際に必ず出てくる、人への投資、四千億の施策パッケージ。まず、人への投資というからには、投資の効果がどうなのか、リターンがどうなのか、これを具体的にどう見積もっているのか、お答えください。二つ目に、施策パッケージというからには、施策の内容は固まっていてパッキングされているはずだと思いますが、パッキングされているのかどうか。この二点、お答えください。

後藤国務大臣 メニューの内容についての御質問であると思いますけれども、まず、人への投資につきましては、目的としては、明確に、非正規雇用労働者の円滑な労働移動の支援、教育訓練の充実を始めとした人への投資を抜本的に強化するという目標でございます。補正予算におきましては、具体的な施策内容が当然のことながら補正予算案に書き込まれております。

 そして、その後、四年から六年度につきましては三千億の枠組みということで閣議決定がなされておりますけれども、その趣旨は、企業や労働者のニーズに合った支援に、一定期間、一定の規模でしっかりと政策を強力に取り組んでいく方針を示すことで、こうした柔軟な政策形成に、民間の皆さんの御意見もいただきながら、弾力的な政策を進めていく、それがこのパッケージの趣旨でございます。

 効果につきましては、こうした具体的な政策の積み上げの中でしっかりと効果が上がるように、毎年度毎年度のこれからの予算において具体的な事業については確定をしていくということでございます。

階委員 総理、今お聞きになったとおり、パッケージといいながら、パッキングされていない。それから、投資といいながら、効果が明らかでない。こんなものがワイズスペンディングと言えますかね。

岸田内閣総理大臣 御指摘の三年間で四千億規模の政策パッケージですが、内容、まず、補正予算においては、このコロナ禍での非正規雇用労働者への労働移動支援ですとかデジタル人材の育成、そして非正規雇用労働者のキャリアアップ、こうしたものを計上し、一千百五十六億計上しているわけですが、これは今後、令和四年度本予算以降もこうした枠組みを使って人への投資を進めていかなければならないと考えています。

 その際に、今回考えました一つのポイントは、もちろん、政治としても大きな責任を持って、人への投資を促すために様々な施策の具体的な中身を用意しなければならない、こういったことも大切なことでありますが、今、コロナ禍の中で、様々な立場に置かれている方、様々な現場において具体的な様々な悩みが多く聞かれます。私も、車座、国民の皆さんとの対話の中で具体的なアイデアをいろいろ聞かせていただいております。

 そういったことから、できるだけ多くの民間の企業や地域で働く方々のアイデアを広く募ってこの施策を進めていこうではないかということを考え、企業や労働者のニーズに合った支援内容を考えるという意味から、こうしたアイデアを公募するという仕掛けをこれはセットで用意させていただきました。

 この大切な予算の使い方、もちろん最後は政治で責任を持って判断いたしますが、できるだけ多くの皆さんの声を吸収する、受け止める、こういった仕掛けもセットで用意する形で有効にこの予算を使っていきたいと考えているところであります。

階委員 総理のおっしゃっていることも分かりますけれども、ワイズスペンディングとはちょっと論点がずれている気がします。

 そこで、もう一つワイズスペンディングとなっているかどうかということでいうと、ちょっと時間がないので私の方から説明しますけれども、今回の目玉の事業復活支援金、この中身について、要件を見ますと、一月から十月の業績悪化に対する支援金とはなっていないわけですね。それについて総理の国会での答弁は、一月から十月までは一時支援金や月次支援金などによる事業者支援を既に行っているというものでありました。

 しかし、私の地元の岩手県を始めとしまして、緊急事態宣言や蔓延防止措置の対象とならなかった地域では、やはり同じように経済が落ち込んでいるにもかかわらず、なかなか一時支援金や月次支援金は申請が容易ではなかったんですね。

 全国に満遍なく一時支援金や月次支援金が行き渡っていなかったわけですから、やはり、今回のこの事業復活支援金の要件、十一月以降三月までの落ち込み分についてそれを判定して支援金を出すということなんですが、その前の一月から十月までも見ないとこれは合理性を欠いたのではないかというふうに私は考えています。

 今申し上げた二つのことも含め、やはりワイズスペンディングというにはまだちょっとほど遠いのかなというのが私の認識です。

 政府の方では、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、これの推進ということが至上命題になっているかと思うんですが、エビデンスのEであって、エモーションやエピソードのEではないわけですね。EBPMを推進していくには、公正中立な立場から、政府の予算が将来、財政にいかなる影響を与えるのか、これを推計する独立財政機関が必要だというふうに私は考えています。

 実は、この閣僚の皆さんの中にも、林先生を始め、古川先生を始め、こういった考えに賛同している方もいらっしゃるかと思います。

 岸田政権に是非お願いしたいんですが、岸田内閣として、独立財政機関の設置を考えたらどうでしょうか。お答えを求めます。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の今の御質問の前半部分でありますが、一時支援金あるいは月次支援金、これは十月までこういった制度が運用されている、このことについて、まずは、実績が十分把握されていない、また利用されていない、こういった実態もあるのではないか、こうしたことについての指摘ですが。

 月次支援金は、現在もこれは申請の受付は続いています。特に、十月分は今この申請が続いている状況ですので、この制度自体も引き続き申請を行っていただき、活用していただきたいと思います。そして、それと並行して、今般の事業復活支援金、これも十一月から三月までという形で活用していただければと思います。

 そして、後半、最後の、政府として新しい仕組みが必要なのではないか、この点については、御指摘を受け止めた上で、どうあるべきなのか、政府としても考えてみたいと思います。

階委員 独立財政機関、是非、超党派で進められればと思っております。

 さて、今、事業復活支援金の話をしましたけれども、我が党からも提案しているとおり、この支援金のもう一つの問題は事業規模が大きいところには足りないのではないか、たくさん店舗があるようなところですね、そういう問題があるわけです。

 今までそういうところは足りない分をどうしていたかというと、借金を増やして何とか乗り切ってきた。ただ、これを返済する当てがあるのかどうか、これは非常にこれからの大きな問題です。過剰債務問題。

 私たち民主党政権のときに、東日本大震災が起きたときに、同じような過剰債務の問題、二重ローンと言っていましたけれども、二重ローン対策で、被災地である岩手とか宮城では、経産省が買取り機構を設けたり、あるいは、これも超党派で、東日本支援機構というのを設けたりして、過剰債務に苦しんでいる事業者を救済するために債務を軽減する、そんな仕組みをつくりました。

 まずは、この過剰債務問題について、どうやって取り組むのか。

 それからもう一つ、債務だけではなくてフロー、ニューマネーをどうやって調達するか、これも問題になります。

 このニューマネーというときに、もう既に借入れを増やしているところはこれ以上借入れを増やしたくない。実際、最近の政府系金融機関の融資の伸びを見ておりますと、もう頭打ちになっていますね。この背景には、やはり融資はニーズがだんだんなくなってきた。代わりにニーズがあるのは、資本性の資金です。この資本性の資金を入れるということは、単にニューマネーを調達するだけではなくて、中小企業にとっては財務内容が健全化するわけですね。債務ではなくて資本の部が厚くなりまして、それによって民間金融機関からの追加融資が呼び込みやすくなる、こんな効果があるわけです。

 ですから、総理、時間がないので二つまとめて聞きます。中小企業の支援として、過剰債務問題への対応、それから資本性資金の供給、この二つを積極的にやるべきだと思います。時間がないので、端的で、ポイントだけで結構ですので、お答えいただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、過剰債務問題につきましては、従来から、官民の金融機関に条件変更等の取組を進めるように要請をしてきたわけでありますが、その上で、中小企業の事業再生や整理を円滑に進めるために、年度内に策定する中小企業の私的整理等のガイドラインによりまして支援に万全を期していきたいと思います。

 また、資本性劣後ローンにつきましては、事業者のニーズを踏まえて金利水準の引下げなどを行うことで支援を行ってきたところでありますが、是非、この更なる活用を含めて、事業者の資金繰りには万全を期してまいりたいと考えております。

階委員 ありがとうございます。

 もう最後の質問になるかもしれません。

 最近の物価動向について、グラフにしました。先週末、報道に出ておりましたとおり、企業物価が非常に上がっておりまして、過去の統計を見ますと、それに連動するような形で消費者物価も上がってくるということであります。ただ、この消費者物価が上がっていることが必ずしも国民経済にとっていいことかどうかというと、これは問題なわけです。なぜなら、エネルギーが上がっている、海外の資源が上がっている、そして、円安によって輸入物価が上がっている、これが物価上昇の主たる要因だからです。

 そこでお尋ねしますけれども、日銀総裁、お見えになっていますね。もうずうっと、九年近くも異次元の金融緩和、二%の物価安定目標が達成できないということで続いていますけれども、このスタグフレーション的な物価上昇の下で物価が二%を恒常的に超えていくというような状況になったとした場合、この異次元の金融緩和は終了するんでしょうか。お答えください。

黒田参考人 御指摘のように、国内企業物価がこのところ大幅に上昇しておりまして、十月に八・三%、十一月に九%ということになっております。これは、御指摘のように、原油価格の上昇を反映して、石油価格、石油製品、電力、化学製品が上がっておりまして、さらには鉄鋼などの中間財にも原材料コストの上昇の転嫁が進んでおります。

 他方で、消費者物価の前年比は、足下でまだプラス〇・一%というところであります。これは、特に携帯電話通信料の引下げが大体マイナス一・五%ぐらい、下落の要因になっておりますので、実力としてはもう少し、〇・一%よりももうちょっと上だと思います。

 それでは、この国内企業物価の上昇が消費者物価の上昇に直ちに反映されるかというと、これも御案内のとおり、我が国の企業が、コストの上昇分をマージンの圧縮で吸収して、消費者物価の引上げというものをできるだけ据え置こうとしておりますので、企業間物価の上昇が直ちに消費者物価の上昇に反映していくとは考えておりませんが、ただ、確かに、様々な経緯を経て、消費者物価の上昇率が二%に近づいていくという可能性はあると思います。

 ただ、私どもとしては、委員と全く同じ意見なんですが、あくまでも経済が順調に成長して、企業収益も増え、賃金も上がっていくという中で物価が上がっていくということが望ましいと思っておりますので、そういう形にできるだけ早くなるように、金融緩和を粘り強く続けてまいりたいというふうに考えております。(階委員「質問に答えてください、スタグフレーション的な状況では金融緩和は続けるということですか」と呼ぶ)

 スタグフレーション的な状況に今なっているとは思っておりません。これは、日本もそうですし欧米も、欧米の場合はもっと物価が上がっていますけれども成長率も上がっていますし、我が国の場合は、先ほど申し上げたように、消費者物価はまだ〇・一%しか上がっておりません。経済は回復軌道に乗りつつあると思いますけれども。そういう意味ではスタグフレーションになっているとは思いませんが、やはり賃金、物価が好循環で上がっていくような経済を実現するべく、金融緩和を粘り強く続けてまいりたいと考えております。

階委員 答えていないですよ。

 時間が参りましたので終わりますが、今日触れられなかった入管の問題、これは古川大臣にも、真剣に取り組んでおられると思いますが、是非、名古屋入管の問題については真相を解明し、そして、責任を取るべきは取って再発防止に取り組む、これも是非お願いしたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて階君の質疑は終了いたしました。

 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 岸田総理を始め大臣の皆様、よろしくお願いをいたします。

 まず、総理に伺います。

 新型コロナの自宅療養で亡くなった方の遺族会の皆さんとの面会、聞き取りの件についてでございます。

 十三日の衆議院予算委員会、立憲民主党長妻昭委員の質問に関連してですが、新型コロナウイルス自宅放置死遺族会の皆さんのお話を直接総理に聞いてほしいとの訴えに、岸田総理は直接お話を聞くとお答えをいただけますか。自宅療養で亡くなった方々の検証委員会を政府で設けていただけますか。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、長妻委員とのやり取りの中で、まず、遺族の皆さんの話をどのように受け止めて検証するか、そして政府としてどういう対応をするのか、そういったことをまず確認した上で、お会いしていただきたいという御要望に対してどう対応するかを考えたいというふうにお答えしたと記憶しております。

 そういったことから、まず、長妻委員からの御指摘を受けて、私の方から厚生労働省に対して、たしか長妻委員から、サンプルの検証でもいいからまず考えてくれというお話であったものですから、サンプルでの検証を含めてどのような対応が可能か整理するよう指示をしたところであります。

 是非、厚生労働省での取組をまず確認した上で、対応を考えたいと存じます。

城井委員 総理、サンプルでの検証を指示ということでありました。ありがとうございます。

 今後、コロナ対策の検証作業の中でも、そうした御遺族や当事者の御家族の経験も踏まえて対応いただくように是非お願いしたいというふうに思います。

 続きまして、困窮学生への対応について、総理とそして文部科学大臣に伺います。

 新型コロナの影響で大学等を中退、休学している学生が増加しています。文部科学省の報告でも明らかになったところです。厳しい状況にある学生等への支援については、私ども立憲民主党から、学費の半額免除やバイト減収学生への一時金支給などを実現する議員立法案を既に提案させてもらっています。

 そこで、政府における対応の一つとしての、学生等の学びを継続するための緊急給付金について伺いたいと思います。

 政府の緊急給付金では六十七万人が対象とのことですが、この算出根拠をお示しをいただきたいと思います。このときに、困窮する世帯の自宅生も必要に応じて支援対象とすべきだと考えますが、文科大臣、お願いします。

末松国務大臣 失礼いたします。

 今般実施をいたします学生等の学びを継続するための緊急給付金であります。

 新型コロナウイルスの感染症の影響で厳しい経済状況にあります学生等に対しまして、修学を諦めることのないようにという思いで、臨時緊急の措置として一人十万円の現金を給付するものでございます。

 こうした観点から、まず、二〇二〇年四月から始まりました高等教育の修学支援新制度が対象とする低所得の学生等約三十四万人に加え、昨年度の学生支援給付金の実績を踏まえまして、新制度利用者以外の学生等約三十三万人を見込み、全体で六十七万人としてございます。

 このうち、高等教育の修学支援新制度の対象につきましては、自宅生と自宅外生を問わず、今回の緊急給付金を支給することとしております。

 また、それ以外の学生につきましても、学生等の経済状況を最も身近な場で把握しているのはやはり大学でございますので、大学がよく見て支給の可否を総合的に判断することとしておりまして、自宅生であっても、大学等が修学の継続が困難であると判断した場合には給付金を支給することとしておりまして、この点につきましても、大学等に周知をすべく準備を進めてございます。

 まずは、給付金が一日でも早く必要な学生に行き渡るようにと思ってございます。

 前回、大学も少ししゃくし定規であったと思いますし、自宅から通いましても、親と家計を分けている学生さんもいますので、そういう点も細かくできるだけ配慮しながらということで考えております。手引きもできればなということを思ってございます。

 以上でございます。御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

城井委員 運用での対応範囲ということの趣旨の御答弁だったと思いますが、これは知らないと手が届きませんので、周知の徹底を是非改めてお願いしたいと思いますし、今ほど文科大臣からお触れいただきましたように、家庭状況によってかなり差があるというふうに思いますので、この点も是非お願いしたいと思います。

 総理、私がこの困窮学生の支援で一番深刻だと思っていますのは、こうした今の緊急給付金しかり、そして新しい高等教育の修学支援制度しかり、そうした仕組みを整えてきたというふうに、政府側でもかなりやってきたという自負があるんですが、ただ、それでも支えが届いていない学生がいるという現実です。

 実際に、その修学支援制度があっても、そして緊急給付金があっても、新型コロナの影響による経済的な困窮で退学をする学生が増えています。文部科学省によりますと、令和三年四月から八月の大学等の中途退学者のうち、経済的困窮が理由の人は、何と二〇・七%に上ります。この方々には支援が届いていない、このことにどう対応するか。

 今ほかにある政府の手だてということで申しますと、貸与型奨学金という学生ローン、この手段があって、そして現行の所得連動型の返還制度があっても、経済的困窮を理由にして中退せざるを得ない学生が存在している、この事実は大変重いというふうに思うんです。政府・与党で検討されている出世払い型奨学金も、結局借金だということは変わらないというのが状況です。

 こうした、苦しむけれども手だてがない、支えが届いていない学生に寄り添うためにも、給付型奨学金そして授業料の免除の拡充を行って、届いていない方にせめて手が届くように、総理、していただけないでしょうか。この手だてが届く仕組み、つくっていただけないでしょうか。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 経済的に困窮されている学生の皆さんが学びを諦めることがないように、政治の立場からもしっかりと考えていく、これは重要な課題であると認識をいたします。

 その中で、委員も御指摘になっておられましたが、従来から政府においても様々な取組を進めております。

 低所得者世帯への高等教育無償化の中で、給付型奨学金が五十万人、授業料の減免、これを五十万人、実施をしています。また、貸与型奨学金の中で、無利子奨学金五十一万人、有利子奨学金七十七万人、そして、あわせて、今文科大臣から御説明させていただいた、今回の経済対策に盛り込んだ十万円の緊急給付金六十七万人、これを実施をしていきます。

 大学の学部、大学院、短大、これは合計いたしますと、対象学生というのは総数は三百万人ですから、三百万人の学生に対して今申し上げたような様々な施策を用意している、これが現実であります。

 しかし、それでも、委員御指摘のように、その施策からこぼれておられる方がおられる、これは現実としてしっかり受け止めなければならないと思います。

 そういった現実に対してどう考えていくのか、どう対処するのか、これは絶えず政治として考えていかなければいけない。委員の御指摘も念頭に置きながら、その部分についても政府として引き続き検討を続けていきたいと考えます。

城井委員 住民税非課税世帯への支援の部分はテーブルにのりやすいんです。ただ、税金を納めて、保険料を支払って、教育費を自前で出して、介護のお金も工面した。そうすると、手取りが残らず、貯金もない。こういう御家庭が、手だてが足りないのではないかというふうに私は感じています。

 そうした方々に、無利子奨学金なども含めて、借金の勧めではなくて、少しでも豊かさを感じられるように、普通の安心を届けることが政治の仕事だと思うんです。可処分所得が増えるように、何とか教育費の軽減を、そうした本来中間層に行ってほしい方々に届けたい。このことが我々の仕事だと思うんです。

 我々からも是非政策提案を続けたいと思いますし、制度全体の議論の機会を改めていただければと思うので、よろしくお願いします。

 続きまして、オミクロン株への水際対策について、総理並びに国土交通大臣に伺います。

 早めの対応をと、政府が、オミクロン株の水際対策として、外国人の新規の入国を原則停止とした対応自体の狙いは理解できる。しかし、二つ問題があったと考えていまして、以下、質問をいたします。

 一つは、外国にいた日本人の保護や、そうした方々への配慮が足りなかったんじゃないか。今大臣もうなずいていただいていますが、この点です。新規予約の停止の要請の際に、邦人保護の観点は、どのように検討され、取り扱われたか。もしかして抜けていなかったかという心配です。国土交通大臣、お答えいただけますか。

斉藤国務大臣 今回の要請につきましては、一つは、十一月二十九日に、入国者総数が一日五千人から三千五百人を目途に縮減され、航空機の新規予約を抑制することが決まったことを受けまして、また、帰国需要等による予約が積み上がっていたということも受けまして、国土交通省において、取り急ぎの対応として、緊急避難的に、予防的観点から行ったものでございます。

 取り急ぎの対応とはいえ、十二月は帰国需要が高まる時期でもあり、こうした邦人の帰国需要への配慮に欠ける面があり、より丁寧な対応が必要であったと考えております。

 その後、この要請により混乱が生じたこと等を踏まえ、十二月一日夜に、総理から国土交通省に対して、邦人の帰国需要について十分配慮するよう指示があり、これを受け、政府内で慎重に検討を行った結果、新規予約の停止要請を取りやめることとし、十二月二日、その旨、航空会社へ通知いたしました。

 航空会社からは、その後、混乱は生じていないと聞いておりますけれども、引き続き、邦人の帰国需要について十分配慮し、予約状況や需要動向を踏まえ、きめ細かく対応していきたいと思っております。

城井委員 もう一点の問題を御指摘申し上げます。それは、意思決定の混乱です。

 航空会社への要請について、国土交通省の事務連絡の内容については、国土交通省航空局が原因ということにされていますが、航空局に一日当たりの入国者数の決定過程について私から聞きましたところ、内閣官房副長官補室にお問い合わせくださいとのメール回答がありまして、実質的な指示は内閣官房から出ていたと国土交通省から確認をしているところです。

 今後、この事案を踏まえて、この反省を踏まえて、政策判断を行う際の政府内における意思疎通や判断ルートの見直し、つまり、今までは人数の増減について事務的に判断、確認をして発出していたという面がありましたが、そこに例えば政治の目はちゃんと入っていたのか、この部分が不十分だったんじゃないか。この意思疎通や判断ルートの見直し。

 そして、要請を受ける航空会社が混乱することがないように、航空関係者との密な連携を含めたシミュレーション、このように発するとこのように伝わっていきますねというところをあらかじめ確認を行うべきだというふうに考えるわけですが、総理、こうした見直しやシミュレーション、やっていただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、経緯についてはしっかりと検証していかなければならないと思いますが、いずれにせよ、これからを考えた場合に、委員御指摘のように、政府全体としての調整をしっかりやっていかなければならない、混乱があってはならない、これはおっしゃるとおりだと思います。

 いずれにせよ、今、現状は、官房長官の下に関係大臣も加わってタスクフォースというのをつくっております。このタスクフォースにおいて、政治の立場、そしてそれぞれの省庁の立場、それぞれ情報を共有しながらしっかりと取組を進めていく、こうした体制をより強固なものとし、混乱がないように努めていきたいと考えます。

城井委員 邦人保護の観点にしても、航空会社との連携にしても、今ほど総理がおっしゃった関係大臣会合に情報を差し上げるタスクフォースが目が届いていなければ、そうしたことが関係大臣にも上がらないというふうに思うので、このタスクフォースにおける今ほど二つ申し上げた問題点について、是非対応徹底を御指示をいただければと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、経済活動再開基準の明確化について、総理に伺います。

 この約二年間、コロナ禍の影響を受け、打撃を引きずり苦境が続く観光関連産業は、感染予防策を業種別ガイドラインに従ってやりながら感染拡大防止に努めてもらっています。

 これまでも観光関連産業の現場からは、九回にわたり対策の要請をいただき、政府にも都度伝えてきました。この度十回目の緊急要請をいただきますが、医療提供体制の整備強化、ワクチン接種、検査体制の強化、ワクチン接種者、陰性証明書取得者の行動緩和の推進、海外渡航の再開へロードマップの明示と世界共通のワクチンパスポートの整備、並びに雇用調整助成金の特例措置延長などが求められています。

 特に現場が悩んでいるのは、この業種別ガイドラインに基づいて営業しても、そもそも国民は、移動することによる感染拡大にまだ不安を覚えている、移動そのものをためらっている、この現状に一番悩んでいるということでございました。例えば、本日の報道でも、年末年始の新幹線の予約は昨年の二倍ということでした。ただ、それでも全体の六割にとどまるという状況。つまり、まだためらう方が多い、これが実情だと思っています。

 感染対策と日常生活の両立で、改めて政府が、旅行や宿泊、飲食、会合などにおける科学的根拠に基づくガイドラインの策定を行って、条件や基準を明確にした上で、国民が安心して移動できる環境整備を求める、こうした声が観光関連産業の現場から届いています。

 総理、政府による科学的根拠に基づくガイドラインの策定を行うべきとのこの現場の声にお応えいただけませんか。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、観光関連産業を立て直していくためには、感染対策と日常生活の両立、これが極めて重要であると私も認識をしております。

 そして、このために、技術実証の結果も踏まえて、ワクチン・検査パッケージを活用した行動制限緩和の方針に基づいて、通常に近い経済社会活動の再開に取り組むこととしているわけですが、このガイドラインということで申し上げるならば、今申し上げました方針に基づいて、旅行分野においても、技術実証の結果を踏まえ、旅行業や宿泊業の現場における具体的な運用方法を定めるガイドラインを既に策定はしております。ただ、それをしっかり周知していかなければいけない。周知はもちろん始めているわけですが、この周知、しっかりと徹底をしたいと思います。

 そして、国民の皆さんの不安ということにも触れておられましたが、やはり、全体的な環境として、オミクロン株の出現等様々な状況の変化の中で、国民の皆さんにより安心、安全を感じてもらえる全体の取組を政府としてもしっかりと用意する、このことも観光業を押し上げる上で大事ではないかと認識をいたします。

城井委員 総理、観光関連産業の現場では、もう既に人件費を限界まで削っていますし、借金をぎりぎりまで重ねています。彼らから要望を伺うときに、我々は忘れられた産業ではないかということまで口にせざるを得ないぐらいに追い込まれている状況だと。苦境に耐え切れず、人材の流出も始まっているというような現状です。もう一回観光立国をといったときに、支える人がいなければどうしようもない、こういうことだと思います。

 先ほど申しました要望を一つでも多くかなえていただいて、現場で踏ん張るための具体的な手だてを是非政府からも届けていただきたいということを改めてお願いしたいと思います。

 続きまして、賃上げ税制について、総理並びに財務大臣にお伺いいたします。

 長らく続いた実質賃金の上がらない状況を打破する意味でも、給与、賃金を上げていく政策には賛成をしたいと思っています。

 我々立憲民主党からも、中小企業への支援を前提にした最低賃金の引上げを提案済みで、社会保険料負担軽減という具体策も示しています。

 今回の賃上げ税制は、与党税制改正大綱によりますと、継続雇用者の一人当たり給与の増加が要件になっており、非正規も含めて全雇用者の給与総額の増加を対象としていますが、この賃上げ税制がその意図とは異なる方向で脱法的に使われる可能性があるのではないかということを心配しています。

 以下、政府にただしたいと思います。

 まず、当該年度で心配なケースが二つ想定されます。

 一つは、一部社員だけ給料を上げて、給与総額を引き上げるというケースです。

 継続して雇用する人の給与総額を基準とすることで、見た目の給与総額をそろえる企業が出てくるケースがあり得るんじゃないか。特に、成長している企業ですと、引き抜かれては困る社員の給与だけを大幅に引き上げるんじゃないか。一方で、正社員さんや非正規社員の賃上げはコストが増えると考える経営者からすれば、一般社員の給与水準を一度上げてしまうと下げるのは難しいという発想に立つということだと。この税制を目の当たりにすると、成長している企業の経営者は、まず格差を広げて給与総額を増やす方向に動く可能性、あるんじゃないかというふうに考えます。

 この一部社員だけの給与大幅引上げで、継続して雇用する人の給与総額の要件をクリアする場合は、対象に入れますか。財務大臣、お答えください。

鈴木国務大臣 結論から申し上げますと、税制措置の適用対象となります。

 ちょっと詳しく述べますと、今般、大企業向けの賃上げ促進税制の適用の判定に用いられる継続雇用者とは、前期から当期にかけて、毎月給与を支給されている雇用者のことでございます。したがって、城井先生御指摘のとおり、一部の社員のみの給与を引き上げた場合でも、その一部の社員を含めた継続雇用者全体の給与総額が対前年度比で三%以上増加をしていれば、税制措置の適用対象となります。

 しかし、企業は、税制だけでなく、事業の業績や従業員の能力評価、モチベーションの維持など、様々な状況を踏まえた上で雇用者の賃上げをどうするかという判断を行うもの、そう理解しておりまして、御指摘のような事態はなかなか生じないのではないか、実態的に、そう思っております。

城井委員 財務大臣の認識は少し甘いと思っています。経営者の方々の方がシビアに見ていると思います。ほとんどの社員の給与を上げない形でもしメリットが得られるならば、この税制の仕組みを使うケース、あり得ると思います。

 次に、もう一つ御指摘を申し上げます。

 もう一つのケースは、退職金を前払い退職金に置き換えるケースです。

 給与総額の定義では、前払い退職金も給与総額に含まれます。前払い退職金制度とは、退職金相当額を給与に加算して支払うという制度。社員から見れば、毎年の給与が増えて、そして、退職時の支払いが減ります。退職金は制度上、給与総額には本来含まれないというふうに考えますが、前払い退職金に制度変更すれば、給与総額は増えます。そうすると、この制度を使うと、社員の実質的な処遇は変わらない、でも賃上げ税制のメリットは得られると考えるんじゃないか。

 この指摘に政府がどう答えるか。このやり方を見逃すのか。財務大臣、お答えください。

鈴木国務大臣 御指摘のとおり、今のような場合につきましても、税制措置の適用の対象となります。

 仮に、退職金を給与として置き換えた場合も、その結果として、継続雇用者全体の給与総額が対前年度比で三%以上増加していれば、適用対象となるということでございます。

 しかし、退職金を給与に置き換えた結果、従業員の所得税の負担が一般的に重くなる、そのことに加えまして、従業員、企業の双方に社会保険料負担が発生することにもなる、そのように思います。

 また、退職金を給与に置き換える場合には、企業における制度を変更する必要や、雇用主と従業員の間においても一定の手続を経る必要のあるケースが多いのではないかと理解をしております。

 こうしたことから、賃上げ促進税制の適用を受けるために退職金を給与に置き換えることは、企業にとってのコストや労力がかかるものでありまして、こうしたこともなかなか想定しづらいのではないかと思っております。

城井委員 今回、控除割合が増えていますから、そこを含めての計算が立つのかどうかというのは、経営者はシビアに見てくるというふうに考えています。

 もう二つ、御指摘申し上げます。

 当該年度はないんですが、次の年度以降に心配なケースが二つあります。

 一つは、外部発注を非正規雇用などで会社の内部に取り込んでしまうケースです。

 業績が停滞している大企業の経営者の場合、優秀な社員に上乗せする賃金の原資がないため、賃金を上げない形で従業員の給与総額を増やす、上げる方法を模索するんじゃないかという指摘があります。

 外部発注を切って非正規雇用に置き換える方法がある、これは政府でちゃんと考えていただいたでしょうか。

 継続する雇用者の給与総額ということで、もし仮に引っ張り込んでも、その新規採用で増やした部分はその年の税額控除にはプラスにはなりませんが、継続的に外注を非正規雇用に置き換える、外注を非正規雇用に置き換えるということでその年その年で増やしていきますと、継続社員の給与総額は次年度以降は少しずつ増えるということができます。

 具体的に、本来外注でなくてもできそうな業務を非正規従業員に切り替えていくことで達成できると考える経営者の可能性を政府がちゃんと考えてくれているか、財務大臣、お答えください。

鈴木国務大臣 今般の大企業向けの賃上げ促進税制の適用の判定に用いられる継続雇用者は、前期から当期にかけて毎月給与を支給されている雇用者であって、当期に新規雇用された雇用者は対象には含まれません。

 その上で、企業が税制の適用を受けるためには、継続雇用者全体の給与総額が対前年度比で三%以上増加する必要があります。

 こうしたことから、外部発注している業務を内製化しただけで税制措置が受けられるわけではありません。

城井委員 財務大臣、内製化した場合に、超えてくるケースは全くないとお考えですか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、外部発注している業務を内製化しただけで税制措置が受けられるわけではないということであります。

城井委員 給与総額が増える場合を想定してお伺いしているわけですが、今申した方法で給与総額が増えて対象に入るというケースがあるのかないのか、お答えください。

鈴木国務大臣 つまりは、内製化して、その翌期の賃上げが必要であるということでありますので、内製化しただけでは税制措置が受けられるわけではないと申し上げたところであります。

城井委員 その次の年度に適用になるかどうかということを伺っているわけですが、今の話だと、入ってくるという認識でよろしいですかね。

鈴木国務大臣 賃上げすれば入ってくるということであります。

城井委員 もう一点、翌年度、次年度以降に関わるケースについて御指摘を申し上げます。

 毎年小さな会社を経営統合して給与総額を増やすというケース、あるんじゃないか。継続する雇用者の給与総額が増える形で、毎年、先ほどの、四%を目指して、給与総額が増えるように、健全な企業、小さな企業をMアンドAしていくということがあり得るのではないか。このことを政府でちゃんと検討してくれているでしょうか。

 グループ会社に安い人件費の会社をつくって利益をそこに集めるようにして、次年度以降は継続する雇用者の数が増えるということ、この可能性を考慮すべきじゃないか。このやり方、政府として認めるんでしょうか。これ、ありでしょうか。財務大臣、お願いします。

鈴木国務大臣 MアンドAによる企業再編が発生した場合でありますけれども、MアンドAが行われた事業年度において税制の適用が受けられるかどうかの判定に当たっては、合併後に消滅する企業で雇用されていた者は含まれないというふうに考えております。

 したがって、企業が御指摘のケースのようにMアンドAによる企業再編を行っただけでは、賃上げ促進税制の適用が受けられるわけではありません。

城井委員 その年度は、今の大臣の説明だと思います。私が心配しているのは、その次の年度です。

 その次の年度は、もう既にその会社の中の人という計算になるはずですから、当然含まれて、給与総額は増えるという計算ですよね。

鈴木国務大臣 それは先生の御指摘のとおりでございまして、企業再編をして、翌期に賃上げして継続雇用者としての全体の給与が三%以上のものと増加されたことになれば、適用になります。

城井委員 総理、お聞きのとおりでございます。

 四つの、あえて抜け道というふうに表現しますが、このことで、本来は一人一人の給与を上げたい仕組みのはずなんですが、その趣旨が届かずに、もしかすると、給与総額やあるいは平均値は上がるかもしれない、でも、一人一人が上がっているか、処遇が改善されたかということとは違う観点で仕組みが使われてしまう可能性をとても心配しています。今、四つ言っただけで、三つプラスアルファになるかもしれませんが、ほぼ使える、やれてしまうということが明らかになったところです。

 総理、この抜け道、使わせないことが必要だと思いますが、どのように対応されますか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、一人一人の賃金が上がる、こういった結果につなげることが大事であると認識をいたします。

 そして、今御指摘の賃上げ税制ということについても、委員の御指摘、そういった可能性については否定するものではありませんが、そもそもこの賃上げ税制についても、様々な点、できるだけ結果につながるようにということで、今回は継続社員を対象にするなど工夫を加えたところであります。

 加えて、賃上げ税制と併せて、下請関係、大企業と中小企業との適正な利益配分ですとか、あるいは、補助金における特別枠を設け、赤字企業に対する配慮ですとか、それから、国が率先して公的価格を引き上げ、民間に対する呼び水とする、さらには、民間企業、来年の春闘に向けて回復企業に対しては三%の賃上げをお願いするなど、社会全体で一人一人の賃上げにつながるような仕組みを用意するというのが大事だと思います。

 御指摘の点、これは重要な指摘だと思いますが、一人一人の賃上げが実現するために様々な仕掛けをつくり、そして何よりも、社会全体として賃金、給与を引き上げるという機運をつくり上げていくことが大事であると考え、それを、一つ一つを丁寧に取り組み、進めていきたいと考えます。

城井委員 総理、機運では困る。きちんと届かなきゃいけない。先ほどのように、かえって格差が広がる形や、処遇が改善されないのにルールをクリアしてしまうような抜け道を見逃していては、機運だけでは届かないというふうに思いますので、一人一人の賃金、給与が実質的に上がる仕組みとなるように取組を徹底いただきたいと思います。

 本当は、今日は半導体のお話ですとかGIGAスクールの関係の質問も準備しておりましたが、時間がなくなりましたので、また改めての機会をいただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて城井君の質疑は終了いたしました。

 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会の市村でございます。

 締めくくり質疑をさせていただきたいと存じます。

 私も、兵庫六区の皆様の代表として、九年ぶりに送り返していただきました。しっかりと頑張ってまいりたいと思いますし、兵庫で今回、衆議院でいうと九名当選させていただいております。そのうち何人かも今日応援に来てくれていますが、そうした、維新は大阪だけではない、兵庫も、また全国にあるんだということもお示しさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速質疑に入らせていただきたいと存じますが、まず、十万円給付の件であります。

 政策目的について、昨日、我が党の藤田委員の方からも質問させていただきましたが、改めまして、十万円給付の政策目的を総理からお話しいただければと存じます。

岸田内閣総理大臣 従来から申し上げてきたとおりに、まずは、このコロナ禍において、困っている方々に対してできるだけ早く支援を行わなければいけない、こうした考え方に基づいております。

 その中で、特に子育て世帯に対する支援、これは重要であるという認識の下に、今回の十万円給付、これを考え、そして、できるだけ早い支給を行うためにはどういった工夫をしたらいいのか、様々な検討の上でこの制度をつくり上げてきた、こういったことでありました。

 加えて、地方自治体、あるいは国会での議論、様々な御意見、これをしっかり踏まえた上で、柔軟な制度設計を行い、既に申し上げているような支給を実行しようと考えているところであります。

市村委員 ありがとうございます。

 総理の方から、昨日の答弁で、この政策目的も含めて、早い段階からしっかりと議論していく、こうしたことは大事だと思いますという御答弁があったと思います。

 やはり、今回、いろいろ混乱はあったと思います。結果的には迅速な対応ということで、私は、岸田総理が、これまでの内閣の皆さんと違って、改めるべきにしくはなしということで、しっかりと国民の声を聞いていただき、改めるべきはすぐ改めるという御姿勢を持っておられているということは大変評価をさせていただいておりますので、そうした状況で、後から消費税の議論もしますが、議論の結果、いいとなったら是非とも改めていただきたいと思うところであります。

 ここで、官房長官が四十五分までなのでありますが、実は、官房長官、やはり僕は、長期政権というのは官房長官によるというふうに思っております。中曽根政権の後藤田官房長官、小泉政権の福田官房長官、そして安倍政権の菅官房長官と、やはり官房長官によって長期政権はあると。

 今回、松野官房長官になりますが、私は、松下政経塾の九期生として共に釜の飯を食った仲間でありまして、その官房長官、松野さんが官房長官をされているということで、大変期待をしているというところでございます。

 大切なのは、やはり、何が今、日本に足りないかといいますと、千里を駆ける馬を見つける能力を持った伯楽が足りないと私は常々思ってきています。この場合、岸田総理が官房長官を選ぶ名伯楽なのか官房長官が名伯楽なのかというのはこれからになるかと思いますが、やはり私、官房長官に大変期待しております。

 我々は、無税国家ということも松下政経塾で研究してきた仲間でありますので、後から減税の議論をいたしますが、官房長官に、やはり、この岸田政権を支える意気込みを一言いただきたいと思います。よろしくお願いします。

松野国務大臣 市村委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 お話の中で余りに偉大な先輩方のお名前を挙げられたので、大変恐縮をしているところでありますし、自分の非力は十分に承知をしておりますので、精進をしてまいりたいと考えておりますが、官房長官としてまずやらなければいけないことは、岸田政権において、今、喫緊の課題、最大の課題というのは新型コロナ対応でございますので、このことを、総理の下、内閣一丸となって進めてまいりたいと考えております。

 あわせて、この新型コロナと同時に、総理が提唱されております新しい資本主義の実現、大変、極めて歴史的な大きな課題でございますので、この挑戦に関して官房長官として力を尽くしてまいりたいと思います。

 あわせて、官房長官職と兼務をしております仕事として、拉致問題と沖縄基地の負担軽減の問題がございます。

 拉致問題に関しましては、被害者の皆さん、また御家族の皆さんも御高齢になられて、一刻の猶予もない、そういった切迫感を持って対応していかなければいけないと思っておりますし、長く基地問題で御苦労いただいております沖縄の皆さん、こういった沖縄の皆さんの御苦労に応えるべく、この基地問題も最重要課題の一つとして、軽減に向けて対応してまいりたいと考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 次は、いよいよ本題に入りたいと思いますが、喫緊の課題として、今官房長官の方からまずはコロナ対策ということがあったんですが、やはりこれは、オアではなくて、経済かコロナ対策ではなくて、コロナ対策も経済対策もと、アンドの考えでやるべきだと思います。

 それで、そのアンドの考えの中の、特に経済ということでいいますと、喫緊の課題としては、やはり、コロナ禍で傷つきましたこの日本経済をどうやって回復させるのかということがあると思います。そのときに、何といいましてもGDPの六割を占める個人消費を刺激するのが私はやはり早道だ、このように思っておりまして、その個人消費を刺激するには、やはり、私ども日本維新の会は、この度の衆議院選挙でも、消費税率を例えば二年に限って五%へ減税したらいいではないかというような提案をさせていただいておりますし、その法案も今回、今国会に提出をさせていただいているところでございます。

 それで、消費税の議論につきまして、昨日、我が党の委員に対して、例えば、消費税になりますと事務コストがかかる、そのコストがかかると言うんですが、じゃ、その事務コストというのはどれぐらいかかる見込みであるか、お答えください。どなたでも構いません。政府委員の方でも構いません。

鈴木国務大臣 定性的なものは言えますが、定量的なものは、ちょっと今、事前に言っていただければ調べてまいりましたけれども……(市村委員「事前に言っていますけれども」と呼ぶ)そうですか。定量的な、具体的な数字について。(市村委員「はい。事務コストはどれぐらいかかるかと聞いていますが」と呼ぶ)

 それでは、ちょっと私はそこを聞いてございませんでしたが、定性的に言えば、値段の貼り替えとか、あるいは、例えばJRの切符の値段の変更とか、相当額がかかるのではないか、そういうふうに思っております。

市村委員 事前に言っていたつもりだったんですが、まあいいです。

 というのは、なぜこれを聞くか。

 じゃ、もう一個、先に聞きます。買い控えによる消費停滞があるから消費税は下げるべきでないんだという議論がありましたが、やはりこれはそういう論点ですか。買い控えというのはどういう論点で言われたのか、もう一度お答えいただければと思います。

鈴木国務大臣 やはり、消費税を下げるということを決めて、実際にそれが執行されるまでの間、これも相当期間かかると思います。そういたしますと、消費者の皆さんは、あるいは車とかそういう耐久財とか、もろもろ全部含まれると思いますが、価格が下がるまで、消費税率が下がるまで我慢しようと。その間、買い控えが起こる。こういうことを申し上げました。

市村委員 例えば、増税のときにも買い控えは、買い控えというか、先食いによる消費停滞。つまり、消費停滞が起こることによって、消費税率を下げるべきではないという議論ではないかと思うんですね。買い控えが起こったり、例えば諸コストがかかるから消費税率を下げるべきではないという議論なのかもしれませんが、じゃ、消費増税のときだって事務コストはかかるし、先食いによる消費停滞というのは起こるんですね。ならば、じゃ、増税しないのかという判断になるんですか。どうでしょうか。

鈴木国務大臣 消費税の増税のときのことでございますが、そういうこともございますけれども、やはり消費税というのは恒久財源でありまして、全世代型の社会保障制度ということを考えますと、これは、消費税の増税というのは、そういうことがあっても、やはり引上げを国民の皆さんにお願いしなければならない、お願いしなければならなかった、こういうふうに思っております。

市村委員 それでは、社会保障財源とおっしゃいますが、今現在、消費税だけで社会保障財源を賄えているんでしょうか。

鈴木国務大臣 賄えてはおりません。公債等も発行しております。

市村委員 ですので、これから社会保障財源を消費税でやろうとすると、結局、将来的には、消費税で賄うということを前提とすれば、増税が行われるということがやはり頭の中にあられるんでしょうか。

鈴木国務大臣 総理もいろいろなところでお話しになっておられると思いますが、今、消費税の増税ということは考えていないということでございます。

市村委員 今は考えておられないでしょうけれども、結局、社会保障財源を消費税で賄うという観点では、そういうことに将来はつながり、なるんだろうと思います。

 いや、決して私、消費増税を、必要じゃない、必要であるという議論をするつもりはありません。今、減税を議論したいんです、今、減税を。

 やはり、消費税というのは水平的公平を保つ税制ということで、いわゆる子供から大先輩方まで、消費をされれば払う、負担するというものであると思います。逆に言えば、減税をした場合はその恩恵が広く行き渡るということになるんだろうと思います。

 特に、個人消費を刺激するには、何といっても消費税を下げるのが一番ではないかなと思うんですね。特に、我が党が主張しております、二年に限ると。そうなりますと、いわゆる駆け込み需要というのが出てきますね。例えば、日々の買物というのも大切なんですが、例えば住宅政策をここで二年間にわたって取る、新築、中古、リフォーム、取っていく。住宅政策というのは極めて経済波及効果の高い産業でありますから、例えば、戦後ドイツは、我が国は重工業に重点して戦後復興を果たしてきましたが、戦後ドイツは住宅政策で戦後復興を果たしたというふうに聞いております。

 ならば、このときに、コロナ禍で傷ついた日本経済を立て直していく、特に若い世代が頑張ってほしい。結婚したら、やはり新築住宅が欲しい、若しくは中古でもいいからリフォームして欲しいということに、じゃ、消費税が下がっている間に、五%に下がっている間に、全然違いますから、数百万の違いが出てきますから、消費税だけで。

 だから、そういう消費喚起をするという意味でも、消費税率を今下げるというのが、私は、一番個人消費を刺激し、このコロナ禍で傷ついた日本経済を早期に復活させる一番いい手だてだと思うんですが、総理、いかがでございますか。

岸田内閣総理大臣 消費を喚起するために消費税の引下げが重要ではないかということですが、まず、消費を喚起すること、これは大変重要なことです。

 そのために、私としては、まずは、成長と分配の好循環の中で、分配、これをどれだけ充実させるか。一方で、社会保障費の増加をいかに抑制するか。このことによって可処分所得をしっかり確保して、それを消費に振り向けて消費を喚起する、こういったことを考えています。

 よって、この消費の喚起について、消費税の引下げ、こういった手法を今考えているものではありません。

市村委員 これは長く時間がかかりますから。ただ、今の、分配についてとか、社会保障の負担を減らすということの、可処分所得を増やす、それも一つ。とにかく、あらゆる手段を使って消費を喚起しなくちゃいけないんですね。だから、それも大切かもしれません。しかし、やはり何といっても消費税率を下げるのが一番実効性が高いと私は考えております。

 ちょっとこの議論は長く続きます。今回は残念ながら、ここにおいては相入れないということでありますので、ちょっとなかなか、私どももこの度の補正予算にどういう態度を取るかというのは、またこれから、ちょっといろいろ厳しい態度を取らせていただくかもしれません。よろしくお願いします。

 では次に、ガソリン諸税の当分の間減税による消費喚起というのも私は訴えさせていただいておりまして、これも私も、もうこの夏ぐらいから、ガソリンが上がり始めたときから、トリガー税制、いわゆるトリガーの凍結、トリガーの発効ということにつきましては、実は私も関わっていたことでありましたので思い出しまして、これは、百六十円を超えて三か月続いたらガソリンの値段を下げられるな、下げなくちゃいけないな、こう考えておりました。

 昔は暫定税率といっていたんですが、今は当分の間税率というらしいですが、じゃ、この当分の間税率の当分の間というのはどれぐらいの期間を指すと。前も、暫定税率のときも、暫定というのは一体いつまでが暫定なのかという議論をさせていただきましたが、当分の間というのは一体どれぐらいの期間を指すんでしょうか。どなたでも構いません、お答えください。

鈴木国務大臣 御指摘のとおりに、揮発油税等の燃料課税の旧暫定税率については、道路特定財源の廃止を踏まえ、民主党政権下において検討が行われ、その際に、地球温暖化対策の観点や厳しい財政事情を踏まえて税率が維持され、特定の期間を定めず、当分の間税率とされたもの、そういうふうに承知しております。

 そのときの議論にありました地球温暖化対策の必要性や厳しい財政事情といった状況は現在も変わりはないものである、そういうふうに思っております。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

市村委員 結局、だから、財源が乏しい、厳しいから、財政が厳しいから税金は下げられないというのが大きな観点だということだと思いますが、しかし、そうやっているうちに個人消費はどんどんどんどん落ちているという状況で、じゃ、経済をどうやって復活させるんでしょうかねという議論になるんです。

 じゃ、ちょっともう少し具体的に聞きます。

 例えば減税をするとすれば、昨日の答弁で、来年の二月からになるし、遅れるということなんですが、何で来年の二月まで待たなくちゃいけないんでしょうか。そのからくりを教えてください。

萩生田国務大臣 トリガー条項については、震災特例法四十四条によりその適用が停止されていますが、私、十三日に石川先生への答弁に対して、仮にトリガー条項が凍結していなかった場合にどのような手続になるかを想定してお答えをしました。

 そのときに、トリガー条項は、ガソリン価格の全国平均が連続三か月にわたり百六十円を超えた場合に発動するものでありますので、今回のケースで照らせば、十月の二週目から平均価格が百六十円を超えました。十一月の価格も百六十円を超えていますので、仮に十二月の価格が百六十円を超えた場合は要件は満たすことになりますが、十二月から一か月ですから、一月までかかります。一月に、三か月を超えた段階で、確認の上、財務大臣が告知を制定し、告示の翌月から発動というルールになっておりますので、そうすると、二月ということになるということの説明をさせてもらいました。

市村委員 今、政府統計というか、政府の把握でいえば、百六十円を超えたのは十月ということだと思いますが、私の消費者目線での感覚でいうと、もうこの夏ぐらいから百六十円という数字が見えていたんですね。見えていました。

 だから、実際は百六十円を超えてもう三か月がたっているんだと思います。そこは、政府の把握と実体の経済のところと、もちろん、実体経済でも地域によってガソリンの値段は違うというのもありますけれども、そこのところがちょっとずれがあるのかなと思います。

 もう一回。そこに、昨日の答弁で、ガソリン価格がちゃんと下がっているかどうか、これはトリガーじゃなくて政府案の方ですけれども、ガソリン価格がちゃんと下がっているかどうかモニタリングをしていくということですが、つまり二万九千か所のモニタリングをされるそうですけれども、そのコストはどれぐらいと見込んでおられるんでしょうか。

萩生田国務大臣 実効せしめているかどうか、モニタリングだけじゃなくて、ガソリン等の激変緩和事業の実効性の確保、これは、小売価格の上昇が適切に抑制されるように、元売、小売を始め各地の団体と連携をしながら、事業の趣旨をまず広く周知し、広報してまいりたいと思います。

 また、元売輸入事業者が補助金の支払い請求をする際、補助金支給単価相当額が全て卸価格に反映されたことが確認できたもののみ精算払いとすることで、必ず卸価格に反映させることを制度上担保しています。

 あわせて、今御指摘のあった全国二万九千か所のスタンドに全数調査を実施するほか、ほかの油種も含めて全国数万の事業所を毎週調査します。仮に、卸価格が据え置かれているにもかかわらず、値上げをしている事業者がいる場合は、事業の趣旨を踏まえた価格設定がなされているか、個別に事情を確認することとしております。

 この調査には、まだざっくりの数字なんですが、数億円程度のコストがかかることは事実だと思います。国が行う事業の実効性を確保していく上で必要なコストだと思っております。

市村委員 それから、そのときの、今回八百億円というふうに把握しておりますが、聞いておりますが、基金をつくられるというんですが、基金はどこにつくられるんでしょうか。

萩生田国務大臣 今回の予算八百九十三億円は、まず予備費を使わせていただき、残りを今回お認めいただく補正予算で対応させていただきますが、基金というよりは、もう既に、委託先に全てお預けをするという予定でございます。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

市村委員 済みません、私の聞き間違いだったのか、基金と聞いた気がしたんですが、じゃ、委託先というのは、要するに元売ということでありますか。

萩生田国務大臣 元売は数社おりますので、この事業について説明会を行って、それを対応していただけるかどうかということを、お話を聞いた、応募のあった二社から選ばれたところでございまして、先生がおっしゃるように、そこにお金を一回預けるわけですから、基金という解釈は決して間違っていないと思います。基金と我々は呼んでいませんでしたけれども、必要経費をそこへ積ませてもらうということでございます。

市村委員 もう一点確認です。

 だから、それは、預け先は元売の二社ということになるんですかね、ということですね。元売のうちの中の、たくさんある中の二社に預けるということですね。

萩生田国務大臣 そうじゃなくて、応募のあった団体のうちの選ばれた団体にお願いします。一般社団法人です。

市村委員 その一般社団法人、具体的に、ちょっと一言ここでお答えください。

萩生田国務大臣 お金は、一般社団法人全国石油協会を経由して博報堂に委託をする予定です。

市村委員 分かりました。それはまた改めてやりますが。

 結局、私はやはり、この暫定税率、大体一・六兆円と聞いております、昨年度一・六兆円。まあ、別に一・六兆円全部とは言いません。つまり、二十五円十銭下げると一・六兆円。すごい税収だなとは思うんですけれども。まあ、全部下げなくても、消費喚起をするという観点から、やはりこれも減税なんですね。しかも、暫定税率ですから、いつまで暫定だったのか、今は当分の間税率と呼んでいるらしいですが。要するに、今減税をすべきだという、減税をすることによって個人消費を喚起すると。

 例えば、ガソリンについては、やはり個人にとっても、じゃ、ちょっとドライブしようかなと思うわけですよね、ガソリンの値段が下がれば。特にこれからまたGoToキャンペーンとかが復活するんでしょうから、そのときにやはり、ガソリンの値段が下がれば、ちょっと遠出したいな、遠出すれば宿泊もする、宿泊もしていただければお食事もしていただける、その地域でいろいろなお土産物も買っていただける。さっき観光立国の議論もありましたけれども、そういう観光産業の刺激になるわけですね、ガソリンの値段を下げるということは。

 だから、そういうことで、やはり、特に暫定、今は当分の間なんでしょうけれども、当分の間はもういいんじゃないでしょうか、その分の二十五円十銭の減税を、私たちは、日本維新の会は、この度また法律も出させていただいて、求めているわけでございます。

 じゃ、今日はここでちょっと議論はやめます。とにかく、どういう手段を使っても、あらゆる手段で個人消費の喚起をすることがコロナ禍で傷ついた日本経済を立て直すには一番早い、私はそのように思っております。

 次に、じゃ、新しい資本主義について議論したいんですが、議論をする時間もなくなってしまいまして、大切なのは、新しい資本主義、いろいろ岸田総理の答弁をお聞かせいただいていますと、要するに、官民協働と政府関与の強化、特に分配について頑張ろうというのがこの新しい資本主義の肝ではないかなと思うんですが、岸田総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、成長においても分配においても、市場や競争や自然に任せるのではなくして、官民で協働する、官、政府においてもしっかり役割を果たし、そして民間の皆さんに思い切った投資等を促す、あるいは協力を促す、こうした取組が重要であると考えております。

市村委員 そこで、今回の方は、政治、官の働きが重要だということを議論、特に総理はおっしゃっているんですが、じゃ、その場合の、新しい資本主義における民の役割について総理はどうお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 民の役割、企業等においても是非こうした大きな新しいモデルについて御理解いただき協力いただく、これは大変重要でありますが、営利セクターだけではなくして、NPOを始め非営利セクターの皆様方にも是非期待をしたいと思っております。

 私も、車座対話ということで地方を歩かせていただきますが、その中で、先日も、福島県会津若松において、非営利法人の皆さんがデジタルという切り口で随分と活躍をされておられる、こういった話も聞きました。また、分配における非営利セクターの役割としては、子供食堂に行って車座対話をやらせていただきましたが、これは、子供たちに就学や就職などについて支援をする、こうした皆様方において様々な現場の苦しみを聞かせていただきました。こういった方々にも民の立場からこうした流れを推し進めていただけるよう協力をお願いしなければならない、このように思っております。

市村委員 まさに今の、民にNPOを加えていただいて、我が意を得たりということでございます。感謝申し上げます。

 NPOという言葉は、私が日本に持ち込んだといいますか、日本で私が最初に使い始めた言葉であります。私も、九年前に自分が出した本に新たな資本主義という言葉を書かせていただいていまして、実は恐らく岸田総理と志は多分かなり近いというふうに思っておりますので、是非とも、新しい資本主義の中で、今の、民の中に、民の公を担う、民のいわゆる先駆性、柔軟性、迅速性という特徴を持った組織が、その特徴を持って公を担うのがNPOでございますので、民の公のセクターでありますから、どうぞよろしくお願いいたします。

 それと、最後に、新しい市場を創造していかなくちゃいけないんですね、これから新しい市場を。やはり、これから未来の日本を担う若い世代や子育て世代が意欲を持って活力を発揮するためにどのような施策を打ち出さなくちゃいけないかというときに、やはり起業しやすい環境を整えなくてはならないと思います。

 そのため、昔、私のときはベンチャー企業と言っていましたが、最近、若い人はスタートアップと言っています。だから、このスタートアップをいかにやりやすくしてあげるかということを考えなくちゃいけない。そのときには、やはり、私は、日本に足りないのがリスクマネーなんです。リスクを取るお金が足りないんですね。

根本委員長 市村浩一郎君、申し訳ありませんが、簡潔にお願いします。

市村委員 はい、分かりました。では、最後にします。

 だから、さっきの議論でも資本性投資とありましたが、インキュベーションというのも大切でありますので、総理、是非とも、新しい市場をつくるために、若い人たちのためにも、そういうリスクマネーを日本に創造することもお願いしたいんですが、最後に一言お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、スタートアップの支援、大変重要だと思います。そして、スタートアップが資金面等においてしっかりと充実した活動ができるように、政府としても様々な取組を今進めております。

 こうした点についても、是非、国民の皆さんにしっかりと説明をしていきたいと考えております。

市村委員 どうもありがとうございました。これで終わります。

根本委員長 これにて市村君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原です。

 資料に財政法二十九条を配っておりますので御覧いただきたいと思うわけでありますが、これは補正予算に関する条文でございまして、補正予算というのは、基本的に、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出という場合に限るということが書かれております。

 まず岸田総理に伺いますけれども、今回出されている補正予算は、全てこの財政法二十九条に基づいて出されているということで、責任を持って出しているということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 財政法二十九条、御指摘をいただきましたが、この中で緊要性という要件、これを満たす内容であると考えております。

 コロナ禍において、まずはコロナ対策をしっかりと行う、そして、コロナ禍で苦しんでおられる方に対する支援をしっかり行う、そして、経済の再生に向けて必要な予算をそろえる、そして、それに加えて、防災、安全保障という国民の安心、安全、こういった部分も用意したということで、この二十九条の要件を満たしていると考えております。

前原委員 質問時間が短いもので、答弁も短くお願いいたします。

 それでは、防衛大臣に伺いますけれども、今回の防衛予算に防衛装備品の安定な納入のための経費四千二百八十七億円というのが入っておりますけれども、これは歳出化経費ですね。

 歳出化経費というのは、今まで購入を決めて、そして分割払いをする、こういうものが歳出化経費でありますけれども、じゃ、この補正予算を計上することによって、この納入される時期というのは早まりますか。イエスかノーかでお答えください。

岸国務大臣 御指摘の予算についてでありますが、今回、予算成立後、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化によって、防衛装備品を製造する企業の財務状況が悪化するなどとともに、防衛装備品の納入に遅れなどが懸念される状況が続いておるところであります。

 このため、この補正予算において、企業への支払いの前倒しを行うことで、納入遅延リスクを軽減し、防衛装備品の安定的な納入を図ることとしております。

前原委員 要は、時期は早まらないんですね。これは防衛省から事前にもらっていますけれども、お答えとしては、早まらないんですよ。

 今、防衛大臣がお答えになったように、要は、納入の遅延リスクというものを回避するんだということでありますが、コロナ禍において困っている企業というのは、防衛産業だけじゃないんですよ。防衛産業だけじゃなくて、いろいろな産業にわたっている。それに対して、政府はいろいろな手だてを取っているじゃないですか。例えばゼロゼロ融資、日本政策金融公庫、商工中金、様々な形をやっているじゃないですか。

 つまりは、遅延リスクということは、これは資金繰りですよね。資金繰りということなら資金繰りの支援をしたらいいわけで、別にこれは補正予算として計上する必要はないんじゃないですか。資金繰りを助けてやることが目的であって、納入時期が早まらないのであれば、補正予算に計上することは財政法二十九条に反するんじゃないですか。

岸国務大臣 艦船や航空機のように、納入までに長い時間を要するものが装備品の中では多くあります。厳しさを増す安全保障環境に対応して、将来にわたっても我が国の防衛に万全を期すためには、装備品の納入の遅延というものは許されないと思います。また、可能な限り早期の納入が必要となる場合もあります。

 このような状況においては、防衛力を強化するために、必要な財政措置を機動的に講じていく必要があると考えております。

 この考えの下で、これまでの補正予算では、財政上の緊要性の要件などに照らして、個別具体的に判断した上で、その時々の安全保障環境に対応するために必要不可欠な措置として歳出化経費の前倒しを行ってきたものであります。

前原委員 私の質問に答えておられないんですよ。つまりは、財政支出をしなくて、資金繰りを助けてあげればいいという話ですよね。それをなぜやらないのかということの答弁が全くないんですね。

 もう一つお聞きします。

 普天間飛行場代替施設の建設、八百一億円と計上されていますね。これによって全体の工期は短くなるんですか。

岸国務大臣 工期について申しますと、令和元年十二月に沖縄防衛局からお示しした九年三か月の工期について、変更承認申請の計画に基づく工期に着手してから工期完了までに要する期間がかかります。令和三年度補正予算については、普天間飛行場代替施設建設事業について、工事の安定化、効率化の取組を行った結果、工事の工程が当初の計画より進んでいることから、埋立工事に要する経費として約八百一億円を計上しているところであります。

前原委員 要は、工事が早く進んでいるから計上しましたということなんですが、防衛省からあらかじめ聞いておりますけれども、これは今埋め立てているところの工事が早く進んでいると。しかし、大浦湾、つまり北側の工事は全く今進んでいないんですね。全体の工期ということについては、この八百一億円を支払ったとしても全体の工期の圧縮にはならない。

 総理、先ほどの歳出化経費にしても、普天間のこの移設のいわゆる埋立経費にしても、これで本当に緊要な予算と言えますか。言えないと思いますよ。つまりは、こういった予算というのは、まさにほかの手当てで対応できる。まさに埋立てなんかは、事業が、その埋め立てている事業の部分については早く進みましたけれども、全体については工期は変わらないということだったら、緊要と言えますか。そういうものが紛れている。これはほかにもいろいろありますけれども、時間がないので申し上げませんが。

 総理が初めに胸を張って、この財政法二十九条に基づいた予算だと言っていることに、実は偽りがあるんじゃないですか。削除すべきだと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 両方とも、これはこの財政法二十九条に当てはまる支出であると考えております。

 防衛装備品については、前原委員は防衛関係にお詳しいですからよく御存じだと思いますが、これは歳出化経費と言われる部分であります。この厳しい環境の中で、必要な装備を契約しているわけですが、その契約、予定どおり入ってこないと、これは我が国の国民の安心、安全に関わる問題ですから、これを契約どおりしっかり入れるために、しっかり予算を用意する、これは重要なことだというふうに思います。

 普天間の工事についても、先ほど大臣から説明がありましたように、一部分という御指摘はありましたが、これはこの計画の中で、この工事の進み具合を見ながら必要なものを計上させていただいたと考えておりますので、御指摘のようにおかしな計上ではないと認識をしております。

前原委員 説得力が全くありませんね。

 これは、財務大臣、御答弁は要りませんけれども、財務大臣がきっちりチェックしなきゃいけない話なんですよ。

 つまりは、規模ありきでこの補正予算は組まれているから、補正予算というのは、大体、こういう、言ってみれば甘くなるんですね。本予算は厳しく査定をする。しかし、補正予算において、とにかく本予算に当てはまらなかったものについては詰め込んで、そして財政もずたずたになる。そして、財政法に基づく支出もされない。悪循環がどんどんどんどん続いていっている。

 これについてしっかりと正していくのは財務省の仕事なんですよ。これがちゃんとできていないし、今の総理の御答弁に対して納得できる人は誰一人いないと思いますよ。

 先ほど申し上げたように、歳出化経費のものについては、これは、資金繰りの話であれば、これについてはしっかりと資金繰りに対して、コロナ対応ということで手当てをする仕組みがあるわけですから、そこにおいてやればいいことであって、私は、こういった支出は財政法二十九条違反の支出が入っているということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、前向きな話というか、今後の話の中で申し上げますけれども、この歳出化経費については、この厳しい周辺環境そして安全保障環境を考えた上で、しっかりと我々の自衛隊の装備を強化していくということは私は大賛成です。

 しかしながら、やはり、全体の予算というものと先ほど申し上げた本予算と補正予算の在り方というものをしっかりと考えたときに、納期が短くならない歳出化経費というものについては、これからは補正予算に入れないということをしっかりとやはり考えるべきじゃないですか。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 御指摘の問題意識については、しっかり考えていきたいと思います。

 しかし、今回の予算については、先ほど申し上げたとおりであります。

前原委員 問題意識が一緒ということは、それは、歳出化経費というものについては、納期時期が短くならないのであれば、早くならないのであれば、これは補正予算に入れるべきではないということについて賛成だということですね。

岸田内閣総理大臣 賛成ではありません。問題意識についてしっかり受け止めるということを申し上げました。

 今後の予算を考える上で一つの御提案だというふうに受け止めますが、政府の方針は今のところ変えるつもりはございません。

前原委員 もう一つ申し上げたいと思うのは、総理は所信表明演説で、今度、資料にも配っております、二枚目、裏側でありますけれども、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画をおおむね一年かけて策定しますということをおっしゃっていますね。

 一年かけて策定をしていく上に当たって、幾つか考えていただきたいことがあるんです。それは、これは私のライフワークでもあるんですけれども、やはり自分の国は自分で守るというのが基本でなければいけないのではないかと思うんですね。

 今、敵基地攻撃能力については今日は議論する時間がありませんけれども、敵基地攻撃能力の議論が出てきている一つの背景というのは、周辺環境が厳しくなってきている、そしてアメリカだけで中国に対応できないような状況になっている、だからクアッドだ、AUKUSだと。そして、言ってみれば、日本も自前で守れる能力というものを拡大してほしいと。

 昔のアメリカというのは瓶の蓋というのが、つまりは、アメリカが守ってやるんだから日本は防衛力を強化しなくてもいい、これが昔の考え方でしたけれども、今や、もう一緒にやっていかないと拡大をする中国に対応できない、こういう形になってきていますよね。だけれども、アメリカに頼り過ぎたために、FMSなんかは、言ってみれば、初めの言い値から一・五倍あるいは二倍近くまで吹っかけられる。F15の改造が止まっているじゃないですか。

 こういうことも含めれば、やはり自分の国は自分で守るために、先ほどの防衛装備の要望も、私、見ましたけれども、要はどんどんどんどん日本の防衛基盤が疲弊していっているんですよ、輸入ばかりに頼るから、FMSに頼るから。だから、そういう意味においては、やはり自分の国は自分で守るということを根幹に置いて考えてほしいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今の厳しい安全保障環境に対する認識は共有いたします。

 今、この厳しい安全保障環境の中で、どの国であっても、自分の国だけで、一国だけで地域の平和を守れる、あるいは自分の国を守れる、こういった時代ではない。やはり、多くの同志国、同盟国ともしっかりと協力をしながら安全保障を守っていかなければいけない、これが時代の要請であると考えます。

 その下で、自らの防衛の在り方についてどう考えるのか、是非、国家安全保障戦略を始め、この三文書の改定の中でしっかりと考えていきたいと存じます。

前原委員 これで終わりますけれども、考え方は共有するけれども賛成ではありませんと先ほど言われました。そういうことのないような、共有するんだったら、そちらの方向でちゃんと政策は決めてもらうということで頑張っていただくことを申し上げて、質問を終わります。

根本委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、COP26を踏まえた気候変動対策についてお伺いいたします。

 先日甚大な被害を出したアメリカの竜巻も、気候変動との関係が指摘をされております。気候変動で災害が頻発し、漁業にも大きな影響があって、命と暮らしを脅かす事態が進行しております。

 今日、資料をお配りしておりますが、COP26のグラスゴーの気候合意の三で、こう言っているんですね。人間活動がこれまでに約摂氏一・一度の温暖化を引き起こしていること、影響が既に全ての地域で感じられていること、また、パリ協定の温度目標達成と整合的なカーボンバジェットが今や小さく、急速に枯渇していることに、警告と最大限の懸念を表明する、こうあります。

 気温上昇を一・五度までに抑えるために残されているカーボンバジェットは、IPCCによると四千億トン、現在のCO2の排出量が続いていけば十年程度で超えます。

 総理に基本的な認識をお伺いしますけれども、この数年で抜本的にCO2を削減しなければならないという危機感を共有していますか。

山口国務大臣 今御指摘の第六次評価報告書、IPCCの報告書の第一作業委員会の報告書の中に、このカーボンバジェットというのがあると思います。それは、気温上昇を目標とする水準以下に抑えるためには、あとどれだけのCO2を排出し得るか、そういう考え方だと承知しています。

 他方、報告書では、この考え方と併せて、パリ協定の目標である一・五度目標の実現のためには、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現することが重要と。

 我が国も、この危機感を共有している中で、こういう科学的知見も共有しつつ、二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言して、また、整合的な形で、野心的な目標として、二〇三〇年度の四六%削減目標を掲げており、その実現に向かって全力で取り組んでいるところです。

宮本(徹)委員 危機感を共有しているということですけれども、ただ、現状は、COP26で各国が表明した目標を足し合わせても、この一・五度目標は達成できないということになっているわけですね。ヨーロッパの研究所などで構成されるクライメート・アクション・トラッカーというところの試算では、二・四度上がるだろうということが言われております。

 そこで、グラスゴー気候合意の二十九を見ていただきたいと思うんですけれども、二〇二二年末までに、パリ協定の温度目標に整合するよう、必要に応じて各国の国が決定する貢献における二〇三〇年目標を再検討し、強化することを締約国に要請するとあります。

 総理にお伺いしますけれども、このグラスゴー気候合意の二十九が求める二〇三〇年目標の再検討、強化、行いますか。

山口国務大臣 このパリ協定一・五度努力目標と整合的な形で二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言して、また、二〇三〇年度の目標として、二〇一三年度比四六%削減、さらに、五〇%の高みに向け挑戦を続けるということを設定しています。

 我が国としては、これを実現するために、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入、地域の脱炭素化、国民のライフスタイル変革の推進など、施策を総動員して脱炭素社会を構築していく、そういうことにしています。

宮本(徹)委員 ですから、このグラスゴー気候合意は、二〇三〇年目標を再検討して、強化することを締約国に要請しているわけですよね。これを無視するんですか。

山口国務大臣 今申し上げたこの数値によってしっかり実現できるというふうに我々は踏んで、そのとおりに実現、今努力しているところです。

宮本(徹)委員 いやいや、ちょっと驚きなんですけれども。今の数値で、各国の目標を足しても達成できない、だけれども日本は低い目標のままでもいいんだと。それがグラスゴー気候合意の立場なんですか。

 さっき、二〇一三年比ということをいつもおっしゃるんですけれども、世界は今、二〇一〇年比で四五%、CO2を二〇三〇年までに削減しなければならないとなっているわけですよね。

 これは何で、二〇一三年比ということを言って、二〇一〇年比というのを使わないんですか。

山口国務大臣 パリ協定が行われたのは二〇一五年ですけれども、その際、直近の数字として二〇一三年の数字を取りました。また、いろんな国でそれぞれの事情に応じて基準年を決めているわけですけれども、アメリカの場合は二〇〇五年、あるいはEU、イギリス、ドイツ、この辺は一九九〇年という数字を取っていると承知しています。

宮本(徹)委員 資料の三枚目に、CO2の日本の排出量を載せておきましたけれども、今の答弁を聞いても、二〇一三年を基準年として使い続ける理由はどこにもないと思うんですよね。この二〇一三年というのは、原発事故後、最もCO2の排出量が増えた年なんですよね。その年を基準にこれだけ削減しますよということを言ったら、当然、数字は見た目だけ大きく見えるわけです。

 二〇一三年比で四六%減というのは、二〇一〇年比に直すと何%になりますか。

山口国務大臣 お尋ねの二〇一三年度比四六%減は、二〇一〇年度比に直すと四一・六%減となると思います。

宮本(徹)委員 二〇一〇年比で言うと四一・六%なんですよ。

 このグラスゴー気候合意の、資料の一枚目に戻っていただければ分かりますけれども、見ていただきたいんですけれども、二十二番に、二〇三〇年までに世界全体の二酸化炭素排出量は四五%削減しなければならないと。しかし、日本は、二〇一〇年比で四一・六%の目標しか掲げていない。だから、グラスゴー気候合意は二十九で、各国は来年のCOP27までに目標を再検討してくださいということを決めたわけですよ。

 これは、目標を再検討しないなんてあり得ないんじゃないですか。総理、どうですか。

岸田内閣総理大臣 まず、その二〇一三年度比が適切なのかという御質問につきましては、先ほど環境大臣からお答えしたように、各国とも基準とする年は違っている。日本の場合は、やはり二〇一一年に東日本大震災の発災という大きな出来事がありました。これ等も勘案した上で最も高い年を基準として考えている、こういった日本の事情を現実的に考えた上での対応であると認識をしております。

 そして、後半の方の質問については、我が国として、二〇五〇年カーボンニュートラル、これは大きな目標としてしっかりと確認をしているわけです。この目標に向けて努力を続けていく、そのプロセスを一つ一つ積み上げていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 いやいや、二〇五〇年の前に二〇三〇年があるわけですよ。さっきも言いましたけれども、今の世界の排出量のペースでは、二〇三〇年の時点でカーボンバジェットはなくなっちゃう。そうなったら一・五度を必ず超えちゃうわけですよね。一・五度に抑える目標に日本政府も合意したわけじゃないですか。それに向かってみんなで目標を再検討しようということを、グラスゴーの気候合意で確認したわけですよ。なぜ、ここで、来年のCOP27に向けて、日本の目標について再検討しますと言えないんですか。世界の求めている排出目標よりも低いんですよ、日本は今。

 目標を再検討すると総理が指示を出せばできる話なんですよ。環境大臣はこの間優秀だということを総理はおっしゃっていたけれども、全然優秀じゃないですよ。

山口国務大臣 この四五%削減するというのは、必要性をそういうふうに認めているわけですけれども、各国にひとしく四五%削減を求めているものではありません。

宮本(徹)委員 各国にひとしく求めていない、それは確かに各国にひとしく求めていないですよ。

 日本は、一人当たりのCO2の排出量で見れば、八・三トンなんですね、今。世界平均の二倍ぐらい出しているんですよ、私たちの国は、一人当たりで見たら。だから、ひとしくどころか、日本は世界の四五%削減よりももっと削減しなければならない位置にいるんですよ。アメリカもそうだと思いますけれども、日本もそうなんですね。EUはちなみに一人当たり、今、平均のCO2排出量は五・八トンですよ。

 やはり、一人当たり排出量が多い国ほど、世界が掲げている四五%、二〇三〇年削減よりも大きく減らさないと、世界全体が四五%削減、二〇三〇年まで、できるはずがないじゃないですか。それは当然でしょう。その当然のことをなぜやらないんですか。

 総理、新しい資本主義、目指すんでしょう。総理、いつも言うじゃないですか。新自由主義が気候変動をもたらしている、新しい資本主義を目指すんだと。この目標の再検討もできなくて、新しい資本主義なんと言う資格はないですよ。

岸田内閣総理大臣 気候変動問題、地球規模の重要な課題だと強く認識をしております。

 そして、御指摘の合意についても、先ほど大臣からお答えしたように、全ての国に等しい対応を求めているものではない。二〇五〇年カーボンニュートラル、そして、我が国としては、二〇三〇年度四六%の削減、こうした目標を掲げて、国際社会にしっかり理解をいただきながら取組を進めているということであります。

 この大きな目標においては共有している。その目標に達するために、より具体的に、現実的に我が国として取組を積み上げていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 世界からは理解されないですよ。だって、グラスゴーの気候合意自身で、先ほど、二十九で、それぞれの国は目標の再検討をしましょうということを言っているわけですよ。

 本当に危機感を共有しているんですか、総理は。若者の手紙を読んだというお話をされていましたよね。高校生、大学生の手紙を読んだと。そして、そこには深刻な若者の気候危機への危機感が書かれていたということも本会議で述べられていましたよね。その若い皆さんが、本当にこのままでは私たちの未来が奪われるんだと。この危機感に応えなくてどうするんですか。

 ちゃんと目標を再検討する、ちょっともう一回相談してみますと、それぐらい答えられないんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほどから申し上げているように、我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、こうした大きな目標を国際社会とともに共有しております。その目標に向けて、我が国の具体的な、現実的な事情、しっかりと加味しながら、国民の皆さんにも協力をいただきながら、企業活動のみならず社会生活全体において一つ一つ努力を積み上げていく、こうした方針は間違いないところでありますし、大きな目標を達成のために、国民の皆さんにも理解、協力をいただきながら、努力を続けていきたいと思っております。

宮本(徹)委員 二〇五〇年カーボンニュートラルは大事ですよ。ただ、問題は、そこまでにどう到達していくのかといったときに、どんどんどんどんカーボンバジェットはなくなっているわけですよ。もう二〇三〇年にはこのままではなくなるわけですよ。そこに向かっての、どう責任を果たすのかというのを世界みんなで議論している、石炭火力発電もやめようと言っている。ところが、石炭火力発電もやめない、目標を見直さない。

根本委員長 宮本君、簡潔にお願いします。

宮本(徹)委員 これでは、人類の未来に責任を負っている姿勢とは言えません。

 再検討を、目標の引上げを強く求めて、質問を終わらさせていただきます。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして令和三年度補正予算両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいままでに、立憲民主党・無所属源馬謙太郎君から、また国民民主党・無所属クラブ前原誠司君から、それぞれ、令和三年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、両動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。源馬謙太郎君。

    ―――――――――――――

 令和三年度一般会計補正予算(第1号)及び令和三年度特別会計補正予算(特第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

源馬委員 立憲民主党・無所属を代表し、ただいま議題となりました政府提案の令和三年度補正予算二案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まず、編成替えを求める理由を申し述べます。

 新型コロナウイルス感染症の第六波となる感染拡大が懸念される中、万全の対策が不可欠であり、経済対策及び補正予算の必要性については異存ありません。しかしながら、経済対策は規模が大きければよいというものではなく、その中身が重要であります。

 政府の補正予算案には、かねて私たちが提案してきた施策も一部盛り込まれていますが、内容が不十分なものも見られます。さらに、効果が疑問視される施策も散見されます。

 そこで、新型コロナウイルス感染症の第六波を抑え込み、国民の命、暮らし、そして事業を守る上で万全の対策を講じるために、補正予算の編成替えを提案いたします。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、三兆円を投じ、命を守る施策を講じます。

 病床、療養施設の確保に向けて、国がより積極的に関与してまいります。

 コロナ禍で収入が減った全ての医療機関、介護施設に経済的支援を実施します。加えて、既に期限を迎えた診療報酬、介護報酬等の上乗せ特例を再実施します。

 新型コロナとの戦いが長期化する中で、医療従事者等の方々に慰労金を支給します。さらに、重症患者等の治療、看護に当たる医師、看護師等の方々に特別就労支援金を支給します。

 また、新型コロナを抑え込むために、PCR検査の拡充や感染ルートの徹底把握に向けたゲノム解析に取り組むとともに、入国管理の徹底を図ります。

 第二に、三・五兆円を投じ、暮らしを守る施策を講じます。

 住民税非課税世帯に、世帯当たりではなく、一人当たり十万円を支給します。

 また、一人親家庭の方々の職業訓練に対する給付金を増額します。

 失業者を支えるため、失業手当の給付日数を延長するとともに、給付率を引き上げます。

 授業料半額免除や奨学金の返還免除、生活支援給付といった学生支援を実施します。

 第三に、六・八兆円を投じ、事業を守る施策を講じます。

 要件緩和、対象拡大の上で、持続化給付金を再実施します。また、雇用調整助成金の特例措置の縮減撤回、大企業助成率の引上げ等により、雇用の維持を図ります。

 コロナ禍で経営環境が悪化している地域公共交通機関に、年間減収額の二分の一相当額を給付金として支給します。

 観光関連事業者及びその取引先を対象に、観光産業持続化給付金を支給します。

 イベント自粛等の影響を受けた文化芸術事業を支援するための基金を創設します。

 コロナ禍で苦境にある茶業に対し、生産や研究開発等への支援措置を講じます。

 緊急限定的な措置として、政府備蓄米の買入れ枠を拡充し、民間の過剰在庫を受け入れ、子供食堂への支援等に活用します。

 これら施策の財源として、まず、令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費から一兆五千億円を充当します。

 加えて、政府案における、子育て世帯に対するクーポン給付に係る事務費、マイナポイント第二弾及び辺野古基地建設費に係る経費を削減します。

 さらに、事業の趣旨には賛同するものの、予算計上の緊急性を鑑みて、今回の補正予算ではなく、来年度当初予算に計上すべきものとして、大学ファンド、本年度予算内に執行が困難な公共事業関係費及び防衛装備品の支払い前倒しのための経費を削減し、計三兆九千八百三十億円を捻出します。

 また、特例公債を七兆八千百七十億円追加いたします。

 以上が、立憲民主党・無所属の編成替えを求めるの動議の概要であります。

 各会派に本動議に賛成していただくことをお願いして、趣旨の説明といたします。(拍手)

根本委員長 次に、前原誠司君。

    ―――――――――――――

 令和三年度一般会計補正予算(第1号)及び令和三年度特別会計補正予算(特第1号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

前原委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提案の令和三年度補正予算二案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。

 新型コロナウイルス感染症により、二年近く、国民は自粛を求められ、負担を強いられてきました。当初、日本はワクチン接種が先進国の中で遅れていましたが、政府のワクチン確保の努力、国民の協力もあり、その後、急速に接種が進みました。そのかいもあってか、現在、新規感染はかなり抑制されています。

 一方で、ようやく自粛生活からある程度解放されたところで、ガソリン、軽油価格が高騰し、国民生活は大きな影響を受けています。また、厳冬期の暖房用の灯油、農林漁業用の重油にも価格高騰の影響が出始めています。政府の補正予算案は、そうした現状に対応していくには力不足であることは否めません。

 また、子育て世帯に限定した十万円給付の事務費が千二百億円もかかり、国民一律十万円給付の際の事務費と同程度となるなど、問題が多いと言わざるを得ません。補正予算の要件である緊要性が疑われる歳出も散見されます。

 よって、国民民主党・無所属クラブは、真に国民生活を支えるため、補正予算の編成替え動議を提案いたします。

 次に、編成替え動議の概要を御説明いたします。

 第一に、コロナの影響を踏まえ、国民全員に一律十万円給付を実施します。本給付は所得税の課税対象とすることにより、実質的に所得制限を行います。

 第二に、事業者の減収補填を実施します。コロナの影響を受けた事業者に対して、業種や地域を問わず、事業規模及び売上げの減収幅に応じて、家賃や光熱水費などの固定費を最大九割、月二億円まで支援します。

 第三に、国の負担により、消費税を五%へと引き下げます。

 第四に、ガソリン、軽油のトリガー条項の凍結を解除し、ガソリン価格が三か月連続で百六十円を超えたら、ガソリン税を一リットル当たり二十五・一円、軽油引取税を一リットル当たり十七・一円減税する仕組みを復活させます。

 第五に、国民全員一律十万円給付、事業者の減収補填の実施、及びガソリン、軽油減税の実施、並びに補正予算の緊要性の要件に鑑み、補正予算の歳出を見直します。

 第六に、特例公債を十五・八兆円追加いたします。

 以上が、国民民主党・無所属クラブの編成替え案の概要であります。

 委員各位におかれましては、真に国民生活を支える本動議に賛成していただくことをお願いして、提案理由の説明といたします。

根本委員長 これにて両動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより討論に入ります。

 令和三年度補正予算両案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議二件を一括して討論に付します。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久です。

 ただいま議題となりました令和三年度補正予算につきまして、与党を代表して、賛成の立場から討論します。

 賛成理由の第一は、感染拡大防止に万全を期し、国民の命と暮らしを守り抜く予算となっている点です。

 三回目のワクチン無料接種の実施や飲み薬の確保を含め、感染力が今夏の二倍となった場合にも対応できる医療提供体制の再構築に約四・五兆円が計上されています。

 また、コロナの影響から国民生活を守るため、子育て世帯への臨時特別給付を始め、住民税非課税世帯や学生への給付金を支給するほか、各種生活困窮者対策に万全を期すこととしております。

 事業者に対しては、売上げが減少した場合に、事業者への事業復活支援金のほか、原油高騰対策も盛り込み、合わせて十四兆円超の支援策が計上されています。

 第二に、コロナ禍を乗り越え、経済を立て直す予算となっている点です。

 日本経済の再生には、飲食、観光など対面型サービス業の復興が不可欠であります。ワクチンや検査証明を活用して、コロナ下でも安心して社会経済活動が実施できる環境づくりを目指し、予約不要の無料検査の拡大や、新たなGoToトラベルの予算が計上されています。

 また、成長戦略に約六・三兆円を計上し、デジタル化やグリーン化に大胆に投資をしています。とりわけ研究開発については、基金を造成して、中長期的な視野を持って計画的かつ効率的に財政支出を図ろうとする点は高く評価します。

 また、我が党が推し進めてきた新たなマイナポイントも盛り込まれ、デジタル行政の基盤となるマイナンバーカードを普及すると同時に、消費の活性化につながるものと期待します。

 第三に、人材への投資に重きが置かれている点です。

 新たな成長が分配され、家計全体の所得水準の向上につながってこそ、経済の好循環は実現します。

 本補正予算案には、デジタル人材の育成支援、生活支援を受けながら無料で職業訓練を受けられる求職者支援制度や、非正規労働者の正社員化を支援するキャリアアップ助成金の拡充など、人材の投資に多くの予算が充てられています。

 さらに、看護、介護、保育、幼児教育等の処遇改善を行うとともに、最低賃金の引上げを後押しする業務改善助成金の拡充や、下請取引の適正化対策など、中小事業者の賃上げに向けた環境整備を図ることとしております。

 以上、これらの対策を一日も早く執行することこそ効果の最大化につながります。本補正予算案の成立に向け、各委員の皆様の御賛同を求め、私の賛成討論といたします。

 なお、野党提出の編成組替え動議につきましては、見解を異にするため反対することを申し述べておきます。

 終わります。(拍手)

根本委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました令和三年度補正予算案に反対、立憲民主党・無所属提出の編成替え動議に賛成の立場から討論いたします。

 その前に、今朝の新聞報道で、国土交通省が、建設業の受注実態を表す国の基幹統計の調査において、建設業者から提出された受注実績データを無断で書き換えていたという事実が判明しました。言語道断であります。予算案などにも関連する重大な事案であり、令和四年度予算案の審議前にこの事案の集中審議を行うべきと強く求めておきます。

 私たち立憲民主党は、コロナ第六波の感染拡大が心配される現段階において、しっかりとしたコロナ対策や経済対策を打ち立て、その裏づけとなる補正予算を編成することの重要性に異存はありません。しかしながら、今回の補正予算案を精査すると、いささか疑問な点が見受けられます。

 本補正予算案では、政府が、十八歳以下の子供への十万円相当給付に関して、クーポン五万円相当を給付することをかたくなに原則とし、一括現金給付より九百六十七億円も余計にかかる事務経費は、到底容認できません。

 政府は、我が党や国民、自治体の意見を受けて、一括現金給付も容認すると方針転換しました。このことは一定の評価はしますが、一括現金給付に間に合わない自治体もあり、なぜ自治体の意見を聞いてから制度設計しなかったのか、なぜ所得制限の撤廃は容認するが補助しないのか。結局、振り回されるのは国民や自治体です。

 国民一人当たり最大二万円相当のマイナポイントを付与する事業に一・八兆円もの予算を計上していますが、財務省の財政審分科会でも指摘されているように、マイナポイント事業は効果には限界があると言わざるを得ませんし、緊要性が求められる補正予算で措置することについて、国民の納得が得られるとは到底思えません。一・八兆円は困窮する個人や事業者への支援に振り向けるべきです。

 私たち立憲民主党は、今年三月、申請が締め切られた持続化給付金について、要件緩和や事業規模の加算を講じて再支給すべきと提案し、法案を提出しました。それから約九か月たち、やっと政府が補正予算で、中小事業者向けに地域や業種を問わない事業復活支援金の創設を行おうとしていますが、規模が不十分で、いつと比べて五〇%なのか、いつから給付が始まるのかはっきりしていません。これでは、来年三月までの見通しを立てられるよう事業規模に応じた給付金といううたい文句に見合うのか、懸念が募ります。

 補正予算案には、私たちの命を守る、必要不可欠な予算が幾つか欠落していると言わざるを得ません。例えば、収入の減った医療機関や介護施設に対する抜本的な経営支援策が必要であると提言してきましたが、補正予算案には含まれていません。

 また、私たちは、観光関連産業への支援を充実させ、雇用と産業の継続を守る必要があることから、観光産業持続化給付金を創設すべきと提唱していますが、これも含まれていません。

 我が党の編成替え動議は、コロナ感染第六波から国民の命、暮らし、事業を守り抜くためのコロナ対策予算を集中、拡充し、不要な予算や補正予算にふさわしくない予算は削減する内容であり、高く評価できます。

 以上、令和三年度補正予算案に反対、立憲民主党・無所属提案の編成替え動議に賛成の討論といたします。(拍手)

根本委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会の市村浩一郎でございます。

 私は、党を代表して、令和三年度一般会計補正予算(第1号)外一案について、反対の立場から討論いたします。

 本補正予算は、本来、コロナ禍で縮小した日本経済を有効性が高い手法によって向上させるものでなければなりません。困窮者への支援策につきましても、本当に困っている人々や世帯に対して実施されなければなりません。

 そうした意味で、政府の補正予算案は、見出しだけ立派で中身は旧態依然、本当に国民が望んでいる内容になっていないと断じざるを得ません。

 子育て世帯に対する十万円の年内一括現金給付を遅きに失したとはいえ認められたこと、大阪市の松井一郎市長を始め、全国の首長の皆様の声に応えられたことは英断であったと評価しています。改むるにはばかることなかれでございます。

 しかし、そもそも子供の年齢や親の所得で壁をつくる、それも納得性の低い不公平な線引きをすることには違和感しかありません。

 コロナ禍で国民の皆さんが外出を控えることにより消費が減少しました。経済を活性化させるためには、公平性の高い方法で国民に広く消費を促すことが必要です。

 そうした観点から、日本維新の会は、消費税率を五%に減税する消費税減税法案を衆議院に提出しました。この法案こそが、政府提出の補正予算案に対する私たちの対案です。

 言うまでもなく、消費税は国民の消費活動に大きく影響します。日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス〇・一%の金利が適用され、更なる金融緩和措置が取りにくくなっている現在、消費税率を引き下げるという政策手段は、経済を再生させるための最良の政策であります。

 日本維新の会としましては、政府の補正予算案に反対、また、立憲民主党提出の動議、国民民主党提出の動議にも反対であり、消費税の減税こそが、国民に対して広く恩恵を行き渡らせ、公正な形で経済を活性化することができる今こそ必要な政策であると強く主張し、反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

根本委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原誠司です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の令和三年度補正予算二案に反対、国民民主党・無所属クラブ提出の組替え動議に賛成の立場から討論を行います。

 この春から秋にかけて、新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言と蔓延防止等重点措置が繰り返されました。この間、多くの事業者の方々が休業や営業時間短縮による影響を受け、直近七月から九月の実質経済成長率は年率換算でマイナス三・六%と低迷するなど、経済活動の停滞が長期に及んでいます。加えて、折からのガソリン、軽油価格の高騰で、国民生活は大きな影響を受けています。

 今回、政府は、過去最大の補正予算を編成し、コロナ対策及び経済対策を講じるとしておりますが、例えば、十八歳以下への十万円相当の給付については所得制限がかけられていたり、また、そもそも十八歳以下の子供のいない世帯には給付が行われない等の問題があり、さらに、事業者への給付は一律が原則で、事業規模に応じた支援がなされないことなどから、コロナの影響で疲弊した家計や企業への支援としては不十分であると言わざるを得ません。

 我が会派では、家計と企業の支援に万全を期するため、所得制限をかけずに国民一律に十万円給付を行うとともに、コロナの影響を受けた事業者に対し、業種や地域を問わず、事業規模及び売上げの減収幅に応じた支援を実施する組替え動議を提出しております。

 他方、補正予算の編成は、財政法第二十九条の規定により、法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合に限り認められているところ、本補正予算には、緊要性を満たすか疑念が残る経費も多く含まれています。

 例えば、防衛省関係予算では、歳出化経費として、防衛装備品への前払いの実施などに四千二百八十七億円、普天間飛行場代替施設の建設に八百一億円などが計上されておりますが、こうした経費は、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費と言えるのか、当初予算に計上すべきではないかといった疑問が残ります。

 また、大学ファンドに六千百十一億円、先端半導体の生産基盤整備のための基金創設に六千百七十億円が計上されるなど、基金への支出も膨らんでいます。特に後者は、海外の半導体メーカーの工場を国内に誘致するに当たり、基金から数千億規模の補助金が支出されると言われておりますが、むしろ国内の企業に投資した方が、より我が国の経済安全保障にも資するのではないでしょうか。

 ほかにも、公共事業関係費、国際分担金及び拠出金への支出など、本来であれば当初予算に計上し、十分な国会審議を尽くして必要性を精査すべき経費があり、我が会派では、歳出の見直しを行い、令和四年度予算編成過程で再検討し、計上すべきと提案しております。

 以上のように、政府は、我が会派提出の組替え動議に従い、本補正予算を撤回し、真に国民生活を支えるための予算として出直すべきであり、このままの補正予算では賛成できないことを申し上げ、私の討論といたします。

根本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出補正予算案に反対の立場で討論を行います。

 政府提出補正予算案に反対する最大の理由は、コロナ禍で苦しむ国民への支援が不十分な一方で、軍事費と特定企業に異常な大盤振る舞いをするからであります。

 本補正予算案には七千七百三十八億円という空前の軍事費が計上され、補正後の防衛省予算は初めて六兆円を超えます。長く歯止めの目安とされてきたGDP比一%を大きく超え、GDP比二%を念頭にした大軍拡へ大きく踏み出すものであります。

 アメリカ製兵器の爆買いに加え、実質的な敵基地攻撃能力の保有につながる護衛艦の空母への改修、空母に搭載するF35Bの導入、相手国のレーダーを無効化する電子戦機の開発などで膨張する軍事費を来年度予算案の範囲では全く組み切れず、その一部を補正予算案に大規模に組み入れたものです。到底、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要な経費の支出とは言えず、財政法二十九条違反は明白であります。

 重大なのは、辺野古の新基地建設に八百一億円の予算を計上していることです。沖縄県の玉城デニー知事は、政府が申請していた設計変更を不承認としました。沖縄県民の民意を無視し、破綻した新基地建設を強行するなど、断じて許されません。戦没者の遺骨が眠る土砂を基地の埋立てに使うことは犠牲者の尊厳を踏みにじるものであり、人の道に反します。国際法に違反して土地を強奪して造られた普天間基地は、アメリカに無条件返還を迫るべきです。

 また、海外、台湾の半導体メーカー、TSMCの工場建設に四千億円もの国民の血税をつぎ込もうとしております。半導体の安定確保は、電機や自動車等のユーザー企業が本来は自助努力で行うべきものであります。これら大企業の五十四兆円に上る内部留保のごく一部を半導体確保の投資に充てれば済む話であります。税金投入は国民の理解は得られません。

 軍事費や特定企業への大盤振る舞いをやめ、国民の暮らしへの支援にこそ充てることを強く求めます。

 なお、立憲民主党及び国民民主党の予算組替え動議については、政府予算案の最大の問題点を是正し、国民生活や事業者への支援を強める内容であり、いずれも賛成といたします。

根本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより採決に入ります。

 まず、源馬謙太郎君提出の令和三年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、源馬謙太郎君提出の動議は否決されました。

 次に、前原誠司君提出の令和三年度補正予算両案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、前原誠司君提出の動議は否決されました。

 次に、令和三年度一般会計補正予算(第1号)、令和三年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して採決いたします。

 両案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、令和三年度補正予算両案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました令和三年度補正予算両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

根本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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