衆議院

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第2号 令和4年1月24日(月曜日)

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令和四年一月二十四日(月曜日)

    午前八時五十六分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      加藤 勝信君    加藤 竜祥君

      金田 勝年君    上川 陽子君

      亀岡 偉民君    北村 誠吾君

      国光あやの君    後藤田正純君

      下村 博文君    高市 早苗君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      宮崎 政久君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    山口  晋君

      山本 有二君    和田 義明君

      渡辺 博道君    石川 香織君

      泉  健太君    梅谷  守君

      江田 憲司君    落合 貴之君

      城井  崇君    源馬謙太郎君

      近藤 和也君    階   猛君

      長妻  昭君    道下 大樹君

      山岸 一生君    山田 勝彦君

      足立 康史君    市村浩一郎君

      岩谷 良平君    伊佐 進一君

      浮島 智子君    輿水 恵一君

      竹内  譲君    中川 宏昌君

      前原 誠司君    宮本  徹君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   野田 聖子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣         堀内 詔子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  下田 隆文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  川上恭一郎君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所次長)         増島  稔君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    櫻澤 健一君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   吉開正治郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       曽根 健孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官)           飯田 陽一君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            松尾 剛彦君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  村山 一弥君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    奥島 高弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    鈴木 敦夫君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十四日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     高市 早苗君

  石破  茂君     八木 哲也君

  木原  稔君     上川 陽子君

  鷲尾英一郎君     国光あやの君

  石川 香織君     泉  健太君

  江田 憲司君     梅谷  守君

  輿水 恵一君     浮島 智子君

  中川 宏昌君     竹内  譲君

同日

 辞任         補欠選任

  上川 陽子君     加藤 竜祥君

  国光あやの君     鷲尾英一郎君

  高市 早苗君     宮澤 博行君

  八木 哲也君     石破  茂君

  泉  健太君     石川 香織君

  梅谷  守君     山田 勝彦君

  浮島 智子君     輿水 恵一君

  竹内  譲君     中川 宏昌君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     宮崎 政久君

  宮澤 博行君     山口  晋君

  山田 勝彦君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     木原  稔君

  山口  晋君     和田 義明君

  山岸 一生君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     青山 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官下田隆文君、内閣官房内閣参事官川上恭一郎君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、内閣府経済社会総合研究所次長増島稔君、警察庁警備局長櫻澤健一君、デジタル庁統括官楠正憲君、総務省政策統括官吉開正治郎君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、外務省大臣官房国際文化交流審議官曽根健孝君、外務省大臣官房参事官實生泰介君、外務省アジア大洋州局長船越健裕君、外務省国際法局長鯰博行君、外務省領事局長安藤俊英君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官武井貞治君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省子ども家庭局長橋本泰宏君、経済産業省大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官飯田陽一君、経済産業省通商政策局長松尾剛彦君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省大臣官房長瓦林康人君、国土交通省大臣官房政策立案総括審議官高田陽介君、国土交通省総合政策局長和田信貴君、国土交通省道路局長村山一弥君、国土交通省鉄道局長上原淳君、海上保安庁長官奥島高弘君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官川嶋貴樹君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長土本英樹君、防衛装備庁長官鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。総務大臣金子恭之君。

金子(恭)国務大臣 発言の機会をいただきましたので、おわび申し上げます。

 この度、予算案審議の資料として配付させていただいております令和四年度総務省所管一般会計歳出予算各目明細書につきましては、その積算内訳に記載誤りがございました。誤りの原因は、入力ミスや確認作業を行っていたことなどでございます。

 予算の国会審議に関わる文書におきましてこのような誤りを生じさせましたことは、事務に携わる総務省職員が著しく緊張感に欠けていたと言わざるを得ず、全くもって申し開きできるものではございません。総務大臣として、心よりおわび申し上げます。

 今後、決して同様なことが起こらないよう再発防止に全力で取り組んでまいりたいと思います。(発言する者あり)

 申し訳ありません。緊張しておりまして、間違った発言をさせていただきました。

 誤りの原因は、入力ミスや確認作業を怠っていたことなどでございます。謹んでおわび申し上げ、訂正させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 財務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 ただいま総務大臣から、総務省所管予算の各目明細書の記載に誤りがあったとの報告がございました。

 今般の誤りにつきましては、予算書に影響はなく、また、財務省において改めて予算書の再確認も行いましたが、予算書に誤りは発見されなかったとの報告を受けておりますので、何とぞ予算審議をよろしくお願いを申し上げます。

 なお、総務省所管予算の各目明細書の記載に誤りがあったことは遺憾であり、各省庁所管予算の各目明細書についても、財務省から各省庁に対し再確認を依頼し、精査をいたします。

 あわせて、今後、今般の誤りの背景等を分析し、同じような誤りが発生しないよう再発防止策を検討してまいりたいと考えております。

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高市早苗君。

高市委員 おはようございます。自由民主党政調会長の高市早苗でございます。

 今日から令和四年度予算案の審議が始まります。

 私は、国の究極の使命は、国民の皆様の生命と財産を守り抜くこと、領土、領海、領空、資源を守り抜くこと、そして国家の主権と名誉を守り抜くことだと考えております。これらの使命を果たす観点から、岸田内閣の基本的な姿勢と政策について順次伺います。

 感染症対策につきましては、重症者の数とお亡くなりになる方の数を極小化するということを最優先に、ワクチンや治療薬の十分な確保、治療薬の早期投与を可能にするシステムづくりなど、的確な措置を迅速に講じていただくことを強くお願い申し上げ、我が党の次の質疑者に託すことといたします。

 まずは、政調会長として、地方公共団体から伺っているお声をお伝えいたします。

 一月七日に、新潟県知事、佐渡市長を始めとする新潟県の皆様が政調会長室にお越しになり、佐渡の金山に関する御懸念を伺いました。

 昨年十二月二十八日、文化庁文化審議会の世界文化遺産部会により、今年度推薦することが適当と思われる世界文化遺産の候補物件として、佐渡の金山を選定する旨が答申されました。「全体として顕著な普遍的価値が認められ得る」など、選定理由も記載されていました。

 ところが、文化庁は同日、文化審議会による選定について、「推薦の決定ではなく、これを受け、今後、政府内で総合的な検討を行っていきます。」と報道発表しています。一月五日の官房長官記者会見で、総合的な検討というのは具体的にどういうことを検討されるのかという記者の御質問に対して、官房長官は、総合的な様々な状況、懸案事項、条件等を考えてと答えておられました。

 文化審議会の答申が出た十二月二十八日に、韓国外交部報道官が、韓国人強制労役被害の現場である佐渡鉱山の世界遺産登録を推進することについて非常に嘆かわしく思い、これを撤回することを求めると論評しました。

 佐渡の金山は、十七世紀における世界最大の金産地でした。海外の鉱山で機械化が進む中、鎖国下だった江戸時代の日本では、伝統的手工業による生産技術と、それに適した生産体制により、大規模で極めて高品質の金生産を実現しておりました。江戸時代にはこの独自性を持って発展した貴重な産業遺産でございまして、これは戦時中とは全く関係がございません。

 本件は文部科学省と外務省の共管事項だと伺いましたので、外務大臣にお尋ねいたしますが、佐渡の金山のユネスコへの推薦について、韓国外交部報道官の論評や、三月に大統領選挙を控える韓国への外交的配慮も、官房長官がおっしゃった懸案事項に該当するのでしょうか。

林国務大臣 お答えいたします。

 文化審議会からの答申を受けまして、佐渡の金山の世界遺産登録を実現する上で何が最も効果的かという観点から、政府内で総合的な検討を行っております。韓国への外交的配慮といったものを行うことは全くないということでございます。

 なお、佐渡の金山に関する韓国側の独自の主張については、日本側としては全く受け入れられず、韓国側に強く申入れを行ったところでございます。また、韓国国内において事実に反する報道が多数なされていることは極めて遺憾であり、引き続き我が国の立場を国際社会に説明をしてまいりたいと思っております。

高市委員 早々に抗議を行っていただいたということで、感謝を申し上げます。

 仮に今年度の申請を見送った場合、日韓併合条約によって、同じ日本人として、戦時中、日本人と共に働き、国民徴用令に基づく旅費や賃金を受け取っていた朝鮮半島出身者について、誤ったメッセージを国際社会に発信することになりかねないと考えます。

 また、一九六五年の日韓国交正常化の際に締結された日韓請求権協定に明らかに違反して、日本製鉄や三菱重工業に対する慰謝料請求権を認めた二〇一八年の韓国大法院判決や、昨年の九月と十二月に、日本企業の差押資産に関して裁判所による特別現金化命令が出たということについても、日本政府の反論や抗議に対して国際社会の理解が得られにくくなるのではないかと懸念しております。

 我が国は、ユネスコに対して、主要国として貢献してきました。ユネスコの世界遺産の諸事業も、当初から日本が支援してきた活動の一つです。日本国政府は、江戸時代の貴重な産業遺産を誇りを持ってユネスコに推薦し、来年六月の決定まで一年四か月の期間を活用して、審議、決定を行うユネスコ世界遺産委員会の委員国に対して、江戸時代の伝統的手工業については韓国は当事者ではあり得ないということを積極的に説明するべきです。もしもそれもできないと諦めているのであれば、国家の名誉に関わる事態でございます。

 日本政府としてユネスコ世界遺産委員会に推薦するためには閣議了解が必要で、推薦期限は二月一日に迫っています。一年に一件しか申請できない貴重な機会ですから、必ず今年度に推薦を行うべきだと考えますが、外務大臣の御見解を伺います。

林国務大臣 政府といたしましては、佐渡の金山に関する文化庁の文化審議会の答申を受け、佐渡の金山の文化遺産としての価値、今御指摘があったとおりでございますが、これに鑑み、是非登録を実現したいと考えておりまして、現在、文科省及び外務省において総合的な検討を行っているところでございます。

 政府といたしましては、登録の実現に向けて必要な諸準備を進める中で様々な事項を考慮しているわけでございますが、そうした考慮要素として、まず、他国から疑義が呈される場合に、佐渡の金山に関わる歴史や事実関係について証拠を挙げて反論を行うために十分な準備が整っているか、検討しているところでございます。

 また、我が国は、これまでユネスコ改革を主導し、昨年の四月には、世界の記憶について、関係国間で見解の相違がある案件は関係国間の対話で解決するまでは登録を進めないこととするための異議申立て制度を導入するなどしてまいりました。

 政府としては、佐渡の金山の登録実現に向けて、何が最も効果的かという観点から、以上の諸点を含め、総合的に検討を進めたいと考えております。

高市委員 今外務大臣がおっしゃった世界の記憶に関するルールでございますが、これは世界文化遺産のルールとは別物でございます。

 江戸時代の金山について、韓国が当事者であり得ないということ、これは明確でございます。仮に今年度推薦しないとすると、来年度以降、佐渡の金山の推薦は更に困難になると思います。

 世界遺産一覧表への記載候補の審議、決定を行うユネスコの世界遺産委員会は、締約国のうち二十一か国で構成され、日本も昨年十一月から二〇二五年秋までは委員国です。世界遺産委員会では委員国にのみ意思表示の権利があり、現在、韓国は委員国ではございません。世界遺産委員会の決定は、世界遺産条約第十三条第八項に基づき、三分の二以上の多数による議決、つまり、委員国十四か国の賛成で認められます。

 日本政府が今年二月一日までに推薦した場合、結果はともかく、世界遺産委員会における審議、決定は、来年の夏、六月でございます。

 しかし、来年、二〇二三年秋に任期終了となる委員国が九か国ありまして、来年秋から二〇二七年秋までの任期の委員国に韓国が立候補する可能性が高いと外務省から伺っております。来年の推薦、そして再来年の審議、決定となると、委員国として韓国が反対するという最悪の状況を招きます。その後の二〇二七年秋から二〇三一年までの任期には中国が委員国に立候補する可能性が高いことから、来年から八年間にわたって、韓国と中国による歴史戦に持ち込まれるということは容易に想像できます。

 新潟県知事は、結果にかかわらず、国際舞台で日本の主張を堂々と行ってほしいとおっしゃっています。一年間佐渡の金山の推薦を延期した場合、来年の文化庁文化審議会ではほかの遺産が選定される可能性もあり、二十年間以上も情熱を持って取り組んでこられた新潟県の方々が余りにも気の毒でございます。

 仮に今年度の推薦を見送るようなことになった場合、来年度までに確実に佐渡の金山を世界遺産一覧表に記載できるような環境をつくれる、その自信と戦略をお持ちなのか、外務大臣に伺います。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、まだ今年度の推薦をしないということを決めたということではございません。今、先ほど申し上げたように、総合的な検討をしておるところでございます。

 したがって、我々としては、今申し上げたように、検討を進めながら、どうやったら登録が実現できるのかということを考えながら、十分な準備をした上でということを検討をさせていただきたいと考えておるところでございます。

高市委員 実現への可能性ということを一番大事に考えておられるということは先ほど御答弁をいただきました。ただ、二月一日に日本から推薦を出して、決定までには一年四か月あります。十分な準備を並行して進めながら、是非とも今年度の推薦をいただきますように、心からお願いを申し上げます。

 さて、朝鮮半島から内地に移入して働いておられた方々については、菅内閣時の二〇二一年四月二十七日に、「旧国家総動員法第四条の規定に基づく国民徴用令により徴用された朝鮮半島からの労働者の移入については、これらの法令により実施されたものであることが明確になるよう、「強制連行」又は「連行」ではなく「徴用」を用いることが適切である」、強制労働ニ関スル条約は、緊急の場合すなわち戦争の場合において強要される労務を包含しないものとされていることから、徴用による労務者については、同条約上の強制労働には該当しないという日本政府の考え方が閣議決定されております。

 岸田内閣においても、今後変更することなく、この閣議決定を踏襲されますでしょうか。岸田総理に伺います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の令和三年四月二十七日に閣議決定された答弁書に示された政府の立場、これは岸田内閣においても変わっておりません。

高市委員 第二次安倍内閣では、安倍総理の指示で、内閣官房副長官補室による国際社会に向けた歴史広報が始まり、菅内閣もこれを引き継がれました。韓国や中国とのいわゆる歴史戦に係る摩擦対処は、本来は外務省の仕事ですが、外務省には相手との協調を大切にする役割もございます。摩擦対処の役割を副長官補室に移したことによって、外務省としては、主張すべきことは主張しながら、よい関係を築く外交がしやすくなったということも安倍内閣当時報じられておりました。

 事実関係に踏み込んだ体系的歴史認識の国際広報を継続、強化することは、日本の名誉と国益を守る上で必要だと考えます。岸田内閣でも内閣官房副長官補室は歴史認識の国際広報を担っておられるのか、総理に伺います。

岸田内閣総理大臣 歴史認識に係る問題については、私の内閣においても重視をしております。政府としては、国際社会において客観的事実に基づく正しい歴史認識が形成され、我が国の基本的立場やこれまでの取組に対して正当な評価を受けることを強く求め、いわれなき中傷には毅然と対応してまいります。

 そして、御質問に対するお答えですが、私の内閣においても、歴史認識に係る問題について、安倍内閣以来の体制を引き継いでおり、内閣官房副長官補室を中心に、政府全体で、国際広報を含め、歴史問題にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

高市委員 ありがとうございます。

 ここ数年、歴史認識の国際広報というのは、時の総理による政策判断で行われてまいりました。私は内閣の任務として制度化すべきだと考えるんですが、総理のお考えを伺います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 歴史認識に関わる問題につきましては、複数の省庁にまたがる案件が多く、かねてより、内閣官房の外政担当の副長官補が取りまとめて、政府全体としての対応を行ってきたところであります。

 内閣官房は、内閣法において、内閣の重要政策に関する基本的な方針に関して企画立案、総合調整を行うこととなっているところ、引き続き、こうした規定を踏まえて、歴史認識に関わる問題についても、官邸の司令塔的役割の下で、政府一体となって取り組んでまいりたいと考えております。

高市委員 私は、戦争が繰り返され、列強各国が植民地支配を行っていた不幸な時代に、自らの国籍を変更しなくてはならなかった方々が民族としての誇りを傷つけられたこと、また日本人として共に戦争を戦わなければならなかったことについては深く思いを致さなければならないと考えております。

 しかし、当時の国際法や国内法や国際情勢を勘案せずに現在の価値観だけで歴史を裁き続けるならば、多くの国々が謝罪や賠償を続けなくてはならなくなり、未来を開く外交関係というものは成り立ちません。

 岸田総理は、史上最長の外務大臣として活躍してこられました。国家の名誉を守りつつ国益を最大化するというのはとても困難な仕事ではございますが、岸田内閣として毅然とした外交をお願い申し上げます。

 それでは、地方公共団体から伺ったお声の二件目をお伝えいたします。

 岸田内閣が令和三年十月二十二日に閣議決定した第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の電源構成は、再生可能エネルギーを三六から三八%とし、その中でも太陽光と風力が主力とされています。しかし、昨今、各地で太陽光や陸上風力の発電設備設置への反対運動が起きていることにも留意しなければなりません。

 昨年末、北海道当別町の町長と町議会議長が政調会長室までお越しになりました。当別町では、民間事業者によって、高さ百五十六メートル以上、ローター直径百十七メートルの巨大な陸上風力発電設備が十二基も設置される計画が進んでいます。既に昨年三月二十四日に経済産業省の売電認可が終わっており、事業者は再来年、令和六年の着工を目指しています。

 当別町では、事業予定地の森林近くに開発された住宅地に、緑豊かな環境を好む若い世代の世帯が多く移住してきておりましたが、巨大な風力発電設備が設置されたら景観が悪化するとして、住宅地の方々から、町から出ていくという声が上がってしまっているそうです。

 事業者は昨年四月と十月に説明会を実施しましたが、町民の皆様の納得を得られず、当別町議会では、昨年十一月の臨時会と昨年十二月の定例会で、二回にわたって、風力発電事業に反対する請願、陳情が全会一致で採択されました。

 町長や町議会議長から伺った懸念事項は複数あるのですが、第一に、せっかく若い世代の方々が移住してきてくださったのに、町から出ていかれると、地方創生や人口減少抑止にも逆行し、町の住民税収も減ってしまうという心配をしておられました。

 総理は、令和四年度予算案においても、デジタル田園都市国家構想に力を入れておられます。大都市への人口集中から、地方分散、地方定住の環境づくりを目指しておられる中、当別町のように人口流出を招きかねないケースにつきまして、総理はいかなる解決策があるとお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 お答えします。

 風力発電など事業者が大規模な再エネを導入する際に、各地域の実態に応じて自治体や地域住民の方々の御理解を得ながら進めていくことが重要です。特に、景観の問題や土砂崩れなどの防災上の懸念がある場合、自治体や地域住民の方々の御意見をよくお伺いし、適切な調整が必要となるケースがあり、こうした地域の懸念にしっかりと向き合って取り組むことが必要だと思っております。

 そのため、まず、景観を含めた環境に対する影響の低減策については、環境影響評価法及び電気事業法に基づき、経産省と環境省が連携をし、立地する自治体の意見を踏まえて適切に評価、確認することとなっております。加えて、再エネの適正な導入拡大を支援する再エネ特措法では、発電事業者に対して、地元住民と適切なコミュニケーションを図ることや、所在する自治体が定めた条例を含めた関係法令の遵守を求めております。

 これらの取組を通じ、今後も、自治体や地域の御理解を図りながら、再エネが地域と共生した形で導入されていくことを取り組んでまいりたいと思っております。

高市委員 今御答弁いただいた環境影響評価法なんですが、これは環境アセスを義務づけていますが、当別町では、この環境アセスも、中国資本と関係の深い事業者が委託を受けております。

 また、再エネ特措法、コミュニケーションを取るということですが、残念ながら、これは努力義務でございます。

 さらに、当別町の風力発電所計画では、この土地の取りまとめを行っている事業者は他県でもソーラー発電事業を行っており、その発電所は、七〇%の株式を上海電力が保有しているとのことでございます。

 中国系資本と関係の深い事業者が航空自衛隊レーダー基地からおおむね三・五キロに位置する土地を取得していることから、町長や町議会議長の第二の懸念事項は、国防上の問題があるのではないかということ。

 第三の懸念事項は、夕張市のマウントレースイのように、中国系企業が転売を繰り返す可能性や急に発電事業を止めるリスクがあるということでした。

 経済産業大臣に伺います。

 経済産業省が売電認可をした事業者による再生可能エネルギーに地域の電力供給を頼った場合、転売や事業停止による電力供給停止リスクはないのでしょうか。また、そういったリスクをなくすための法制度について御紹介ください。

萩生田国務大臣 再生可能エネルギーによる電源も含めて、電力の安定供給は、国民、安定的生活と経済活動にとって不可欠であり、日本全体で電力の供給を管理し、安定供給を確保する仕組みを構築してまいりました。

 その上で、個別の事業者に対しては、一般論として、外国投資家による国内の発電事業への投資や別の外国投資家への発電事業の転売等に当たっては、外為法による事前届出が義務づけられており、国の安全等の観点から、厳格な審査を実施しております。

 電気事業法では、電気の供給安定が損なわれるおそれがあり、公共利益を確保するため特に必要がある場合には、経済産業大臣が発電事業者に対して供給命令を出すことも可能としております。

 今後とも、電力の安定供給の確保に万全を期してまいりたいと思います。

高市委員 奈良県でも、現在、太陽光発電設備の設置計画への反対運動が複数の自治体で起きております。森林を切り開いてメガソーラーを設置することについて、議会や住民の皆様は、環境破壊、水道水源の汚濁、土砂災害などを心配しておられました。土砂災害については、電気事業法でも一定の規制があることは承知をいたしております。

 これまでは、地球温暖化対策にも資する施策として、国土交通省は緑地の整備や屋上緑化に取り組み、農林水産省は森林を整備し、環境省も美しい自然環境の保護に力を入れてこられたはずでございます。

 菅内閣時代に再生可能エネルギー推進の必要性を最も強く主張してこられたのは環境省でございました。メガソーラー設置のために豊かな森林の伐採が進むことによって、かえって地球温暖化が進んでしまうのではないかという疑問の声も伺ってまいりましたが、環境大臣のお考えをお伺いします。

山口国務大臣 確かに、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、再エネの最大限の導入が不可欠ですけれども、しかしながら、御指摘のように、太陽光発電のためにみだりに森林伐採が進めば、自然環境あるいは景観への影響、先ほどもありました土砂流出による濁水の発生、あるいはCO2吸収源としての機能を含めた森林の多面的機能への影響が懸念されます。

 こういう懸念が生じないように、環境に適正に配慮、あるいは地域における合意形成を丁寧に進めるということが、より適切な再エネの導入につながるというふうに認識しています。

 このため、環境影響評価法では、大規模な再エネ事業について環境アセスメントを義務づけており、環境保全の見地から、環境省としても必要な意見を述べています。

 また、特に、今年の四月からは、改正地球温暖化対策推進法により、地域における円滑な合意形成を図りつつ、再エネ促進区域において、適正な環境配慮を通じて地域に貢献する再エネを促進する仕組みが導入されます。

 環境保全の観点からは、促進区域とすべきでない場所の考え方を提示するということも含めて、改正法を効果的に運用することによって地域と共生する再エネ導入を促進していきます。

 さらにまた、経済産業省で行われているように、再エネの事業規律強化のための取組も進められていると承知しております。関係省庁とも連携しつつ対応してまいりたいと思います。

高市委員 ありがとうございます。

 改正地球温暖化対策推進法、四月からということなんですが、法施行前に売電認可や土地取得が終わっていても、これは適用可能でございますか。

山口国務大臣 法律の施行は四月からですけれども、従来から、地域における合意形成を丁寧に進めるということを努力義務として申しているところであります。正式には四月からでしょうけれども、これまでの考え方の延長だと認識しています。

高市委員 しっかりと目配りした運用をお願い申し上げます。

 今後、デジタル化の推進によりまして、消費電力は急増してまいります。総理のデジタル田園都市国家構想では、五年程度で十数か所のデータセンターを整備するとされていますが、データセンターの消費電力も現在の技術では膨大なものになります。

 この地球温暖化対策と高圧で安定的な電力供給が必要な産業の維持発展を両立させるため、昨年十月の衆議院選挙の自民党政権公約では、安全が確認された原子力発電所の再稼働、SMR、小型モジュール炉の地下立地、究極のクリーンエネルギーである核融合、つまり、ウランやプルトニウムが不要で、高レベル放射性廃棄物が出ない高効率発電の開発を国を挙げて推進し、次世代の安定供給電源の柱として実用化を目指すことをお約束いたしました。令和四年度予算案には、早速、核融合発電の実現に向けた基幹技術の研究開発予算も計上していただいております。

 主に産業向けの安定的な電力供給の方法として、特に、安全が確認された原子力発電所の再稼働やSMRについて、総理のお考えを伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、デジタル化が進む中で、使用電力量が増大する、その電力を賄うためには、グリーンという観点、もちろん大事ですが、あわせて、安定供給と、そして価格、コスト、これらもしっかり勘案していかなければいけない、そのためにも多様なエネルギー源が求められる、これは我が国のエネルギー政策の基本であると思っています。

 そして、その選択肢の一つとして、御指摘の原子力でありますが、今ある原子力発電所については、安全性の確保を大前提に、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合には、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく、そして更なる安全性の向上に向けて技術開発などに不断に取り組んでいく、これが基本的な考え方です。

 そしてその上で、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するために、先ほど言いました、あらゆる選択肢を活用するという考えの下、日米間の協力が様々な形で進んでいることも踏まえて、小型炉や高速炉を始めとする革新原子力の開発などに着実に取り組んでいきたいと思っています。

 また、非炭素電源となり得る核融合は、気候変動問題への対応に重要な技術であると認識をしており、政府としては、核融合研究開発、これも引き続き推進していきたいと考えております。

高市委員 よろしくお願いいたします。

 さて、今年の国会における最重要課題の一つが経済安全保障だと考えます。先月に成立した令和三年度補正予算と現在審議中の令和四年度予算案は、経済安全保障の強化に大きく日本が踏み出す第一歩となる内容だと感じております。インテリジェンス機関の定員は増え、経済安全保障関連予算についても様々な御配慮をいただいたものと高く評価をしています。

 経済安全保障の強化やテロの防止など、国民の皆様の安全を守るインテリジェンスコミュニティーの人員は、米国では約二十五万人を擁すると伺っていますが、日本では約四千五百人で、米国の五十五分の一にも満たない状況です。

 内閣情報調査室、国家安全保障局、公安調査庁、警察庁、防衛省、内閣サイバーセキュリティセンターなど、こういうところについては、特別枠を設けてでも定員と予算を増やしていくことが必要だと考えております。

 令和五年度以降も、経済安全保障の強化に向けて、継続的な予算措置や定員増が必要だと考えますが、総理の御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の経済安全保障は、待ったなしの課題であり、新しい資本主義といった経済政策においても重要な柱であると認識をしております。

 そして、継続的な予算措置、これは重要であります。例えば、五千億円規模に向けた基金を設けて、未来にとって不可欠な分野における研究開発の投資を後押ししていく、そして民間の投資を呼び込み、経済成長を実現する。半導体においても、六千六百億円規模の支援を行う。また、国産ワクチンや治療薬の開発、デュアルユースでの製造等に五千億円規模の支援を措置した。こういった予算の取組を行っております。

 そして、人の方の話でありますが、情報の収集、集約、分析が極めて重要であるという認識の下、本年度予算において、経済安全保障の分野の人員体制の強化をするなど、関連情報の収集、集約、分析体制の強化、これに取り組んでいるところです。

 是非これからも、予算、そして情報収集の機能の強化、こうした観点、経済安全保障の確保という目標のためにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

高市委員 次は法整備を実現しなければなりません。

 昨年の衆議院選挙の自民党政権公約では、経済安全保障を一本の大きな柱として特出しで扱いました。具体的には、第一に、どのような事態になっても必要な物資を国内で調達できるように、第二に、日本の機微技術、先端技術、戦略物資が海外に流出することを阻止できるように、第三に、近年急増しているサイバー攻撃から国民の皆様の生命や財産を守れるようにという三つの目的を示した上で、経済安全保障推進法の策定を国民の皆様にお約束いたしました。

 経済安全保障担当大臣におかれましては、法整備に当たって、自民党政権公約でお示しした三つの目的を達成できる規定をしっかりと盛り込んでいただくこと、また、リスクの状況に応じて累次の法改正を続けていただくことをお願い申し上げておきます。

 その上で、法整備とは別に、日本企業が既に直面しているリスクの最小化につき、所管大臣に伺います。

 米国では、国防や経済安全保障上のリスクを減らすために、国防授権法、輸出管理改革法、外国投資リスク審査現代化法などが制定され、輸出管理や対内直接投資管理が強化されています。近年は、多くの中国企業がエンティティーリストに追加されています。

 このエンティティーリストというのは、米国の商務省が、国家安全保障や外交政策上の懸念があるとして指定した企業を列挙したリストでございます。このリストに掲載された企業に対して規制対象となる物品やソフトウェアや技術を輸出するためには商務省の許可が必要となりますが、申請は原則不許可とされます。

 過去には、主に米国が制裁を科していた中東諸国などの企業が掲載されておりましたけれども、近年は、サイバー攻撃など技術的安全性への懸念から、中国の通信関係、半導体関係企業の追加が目立ってきておりました。さらに、昨年六月には、新疆の五つの企業、団体が追加され、エンティティーリストの拡大は人権問題にも及んでいると考えられます。

 このリストに基づく規制は、米国産の部品やソフトが一定割合含まれる場合、日本企業にも適用され、違反した場合には米国企業との取引禁止などの罰則や罰金が科されます。

 この商務省の輸出管理規則の規制には、日本からの再輸出も含まれます。例えば、米国から日本に輸出された物品や技術を日本から中国に再輸出する場合、また、米国産の部品や技術を組み込んで日本で製造した製品を日本から中国に輸出する場合、組み込み比率や品目によっては日本企業も規制を受けます。

 つまり、日本企業は、日本の外為法に基づく輸出審査を受けるだけではなく、米国法に基づく輸出審査にも対応しなければなりません。

 さらに、昨年一月九日に施行された中国の外国の法律及び措置の不当な域外適用を阻止する規則への留意が必要になってしまいました。これは、第三国の法人との正常な経済、貿易について、外国の法律により禁止又は制限を受けた場合、中国公民及び組織は、人民法院を通して第三国の主体に対して損害賠償請求ができるというものでございます。

 つまり、日本企業が米国法の再輸出規制に従って特定の中国企業に製品の供給をしなかった場合、中国側から損害賠償を受ける可能性が生じると考えます。

 日本企業は、これでは米国法と中国法の板挟みになりかねず、もしも対応を誤れば、米国とのサプライチェーンから外される、また中国のサプライチェーンから外される、そういった可能性がございます。

 日本企業をいかなる方法で守れるのか。この米国と中国などと取引をしている小規模事業者を含む全ての日本企業、経営者に十分に外国の法制度を周知しておられるのか、経済産業大臣に伺います。

萩生田国務大臣 お答えします。

 産業界からは、米中を始めとする我が国の主要貿易相手国による輸出管理措置について様々な懸念の声が上がっていると承知しております。

 こうした企業の声を踏まえ、経産省として、私自身からの申入れも含め、事業の予見可能性や競争環境の公平性確保が重要であることを米中両国に対し強く申入れをしておりますし、また、WTOを始め、国際、マルチの会議の場では常に、こういったことを第三国の皆さんにも知っていただくべく発言をさせていただいております。

 また、米中等の輸出管理措置によって日本企業が貨物を輸出できなくなったと認められる場合には、それにより発生した損失は貿易保険でカバーすることができるとしております。

 さらに、産業界に対しても、各国の輸出管理措置について積極的かつタイムリーに情報を発信するとともに、第一に、自社のサプライチェーン上のリスクについて精緻に把握し、必要に応じて規制当局に許可申請を行っていただきたいこと、第二に、各国の輸出管理上求められる内容を超えて過度に萎縮していただく必要は全くないこと、第三に、仮にサプライチェーンの分断が不当に求められるようなことがあれば、経産省としては前面に立ってしっかり支援をしていくことをお伝えをしてきました。

 引き続き、関係国との対話やこれらの取組などを通じて、日本企業の事業環境の維持向上にしっかり努めてまいりたいと思います。

高市委員 いろいろと周知をしていただいているようですが、残念ながら、小規模事業者に至るまで、また、地方の中小企業に至るまで、これらの情報が行き渡っていないというのが現状でございます。また、各都道府県にジェトロの事務所もできておりますので、こういったところも活用しながら、是非とも効果的な周知をお願い申し上げます。

 中国共産党規約第三十条は、企業、農村、学校、科学研究所などは、三人以上の正式な党員がいる場合、必ず党の基層組織を設置しなければならない旨を規定しています。

 中国の会社法第十九条は、会社においては、中国共産党規約の規定に基づき、中国共産党の組織を設置し、党の活動を展開する、会社は党組織の活動に必要な条件を提供しなければならない旨を規定しています。

 日本国内でも、中国共産党の党員が三人以上おられる企業では、会社法と中国共産党規約に従って中国共産党組織が設置されることになります。

 おととし、二〇二〇年に、日本の上場企業が中国で買収した子会社の経営判断が、企業内に設置された中国共産党組織に掌握されてしまったことによって、架空取引の把握が遅れて、日本企業が一時、上場廃止の危機に追い込まれる事態が発生しました。

 米国では、おととし、二〇二〇年七月、FBI長官が、中国国内に展開する米国企業の中にも共産党組織が設置されていると言われており、警戒を要すると懸念を表明しました。同年十月には、中国共産党員の移民ビザ申請を不受理とする方針を発表しました。同年十二月には、中国共産党員とその近親者の短期商用ビザと観光ビザの有効期限を最長十年から一か月に変更しました。

 中国の会社法や中国共産党規約に関して、中国共産党員を三名以上雇用する場合の留意事項ですとか、中国企業を買収する場合の子会社管理における留意事項、こういったことについても日本企業への情報提供や注意喚起が必要だと思いますが、経済産業大臣、今のお取組をお伺いします。

萩生田国務大臣 先生御指摘のあったとおり、中国共産党を三名以上する雇用リスクや中国企業を買収する場合の管理リスクについて、特に中国で活動する日本企業から経営への影響などを不安視する声が上がっております。国内外問わず、日本企業の健全な経営や秘密確保、保護の確保は重要であります。

 経産省としては、海外での日本企業の活動を支援する観点から、ジェトロ等を通じて、諸外国のビジネス関連制度などの情報を随時発信をしております。中国についても、中国会社法の内容ですとか、中国での営業秘密の管理方法、その漏えい防止策などについて、セミナーの開催や個別相談などを通じて情報提供を行ってきております。

 また、国内における機微技術管理として、国内における居住者への技術提供であっても、外国政府などから強い影響を受けている状態にあると考えられる場合は明確にみなし輸出の管理の対象に位置づけるなど、技術流出の防止に向けた取組を進めております。

 経産省としては、今後とも、現場からの声を踏まえ、関連情報を収集しつつ、日本企業の国内外での正当な経済活動の確保に努めてまいりたいと思います。

高市委員 よろしくお願いをいたします。

 中国の国家情報法第七条でございますが、いかなる組織及び公民も、国家情報工作に協力しなければならない、国家は、国家情報工作に協力した個人と組織に対して保護を与える旨を規定しています。日本在住の中国の方々や企業にも情報収集協力義務が課されており、国防上や経済安全保障上の脅威となる可能性が高いのではないかと心配しております。

 例えば、極超音速兵器は、現在の日本の防空システムによる迎撃は困難だと指摘されています。この極超音速兵器開発の鍵となるのが、推進装置、設計、耐熱材料、流体力学など、日本が強みを持つ民生技術でございます。これらの関連技術を支える日本の大学や研究機関に中国科学院や国防七校の研究者が在籍し、中国に帰国後に中国の大学や研究機関で極超音速関連研究に従事している事例が多数確認されています。

 日本では、海外人材受入れ時のスクリーニングが甘くて、日本の先端技術が中国の武器、装備品の性能向上を下支えしてしまっている可能性が高いということを懸念しております。

 例えば、フランスやイタリアでは、ビザ申請を受けた段階で外務省がスクリーニングを実施し、治安機関、情報機関に対する照会も行っていると承知しています。

 日本の出入国在留管理庁も、昨今の状況に鑑み、留学生や研究者の受入れ審査を運用面で強化していると承知しております。

 法務大臣に二点伺います。

 留学生や研究者にはどのような内容を申告させているのでしょうか。また、これまで申告内容によって在留資格を付与しなかった事例というのはございますでしょうか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 まず一点目でございますけれども、御指摘のとおり、現在、機微技術管理の重要性というものは国際的にも大変高まっておりまして、我が国におきましても、機微技術の流出防止の観点から、留学生、外国人研究者の受入れに当たりましては、その審査を一層強化する必要がございます。

 そこで、具体的には、在留資格認定証明書の交付申請などの審査に当たりまして、これは通常、受入先、あるいは学歴、本邦でどのような活動内容をするのかというようなことを申請書等で確認しておりますけれども、これに加えまして、機微技術の流出防止の観点から、必要に応じまして、これまでの実績、あるいは具体的な研究内容等に関する資料の提出などを求めることといたしております。

 そして、二点目の御質問でございますけれども、その御質問の事例の有無につきましては、今後の審査など、この取組に支障が出るおそれがございます。あらかじめ手のうちを明かすようなことになってはならないというようなこともございますので、ここでつぶさなことをお話をすることは差し控えたいと思いますけれども、しかし、私の方から申し上げられますことは、きちんとした、厳格、的確な審査を行って、その結果、不交付決定を行うということは当然あり得るということでございます。

 法務省としては、これまでもこの機微技術流出防止という観点からしっかりした審査を行ってきておりますけれども、これからも、引き続き関係省庁とも連携をしながら、引き続き厳格かつ的確な審査を実施をし、それをもって機微技術の流出防止に努めたい、このように考えております。

高市委員 在留資格を付与しなかった事例があるかないかというのは、手のうちを見せることにはならないと思います。むしろ、先ほど列挙された申請内容について明らかにしておられるわけですので、ちょっと今の御答弁では実は納得できないのですが。

 それはさておき、英国には、大学院生レベルの外国人理系研究者をスクリーニングする制度がございます。身分事項、研究内容、発表論文、研究資金の財源、推薦人二人の身分事項までを申請させており、これは外務省が責任を持つということが法律で定められています。おおむね日本で申請されている内容と似ていると思うんですけれども、先ほど研究資金の財源については特におっしゃらなかったと思うんですが、いかがですか。

古川国務大臣 研究資金の財源につきましては、そういうこともその背景を知る上での一つの要素だというふうに考えております。

高市委員 しっかり申請内容に入れていただきたいと存じます。

 しかし、英国の場合も、ほぼほぼ日本と同じような内容を申請させているんですけれども、最近になりまして、共産党員か否かを確認していないじゃないかとか、千人計画への参加経験の有無、また、研究成果の提供を本国に約束したか否かといった項目が含まれていないじゃないかということ、それから、米国のように機微技術流出で摘発されたケースもないということから、制度の有効性というものに疑問の声が上がって、問題点が議論されていると聞いております。

 さらに、先ほど私が極超音速兵器のところで例示いたしましたように、これからの国防の在り方を左右するゲームチェンジャーとなる革新的技術はデュアルユーステクノロジー、つまり軍民両用技術でありまして、日本では大半が防衛事業とは無関係の民間企業や学術機関で民生技術として研究開発されています。

 経済安全保障担当大臣に伺います。

 今は、とにかく今国会に提出をしていただく法律案の準備に没頭していただきたいんですが、今後、留学生や研究者の受入れ審査、法務省と連携してということでございますが、この受入れ審査やセキュリティークリアランスというものに関しても徐々に検討を進めていかれることだと思いますが、その場合、対象者や申請内容や技術分野をいかに定めていくべきか、望ましい在り方について、もしもお考えがあれば伺います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、我が国といたしましては、諸外国の優秀な人材を集めて科学技術力の更なる発展を図る観点から、留学生や外国人研究者の受入れを進めてきているところであります。

 他方で、我が国の技術などの他国に対する優位性、ひいては国際社会にとっての不可欠性を確保していく観点からは、機微技術の流出防止の重要性が高まってきております。

 国際的にもこうした傾向が見られる中で、留学生や外国人研究者の受入れに当たりましては、大学や研究機関における内部管理の強化ですとか、あるいは受入れ時の審査の一層の強化に取り組む必要があると考えます。

 こうした観点から、昨年から、審査において必要とされる場合には、留学生や大学などの関係機関に対しまして、追加的に、これまでの職歴、学歴、あるいは資金提供者などの情報を求める運用を開始したところでございます。

 一方で、留学生や研究者の受入れ審査に当たっての対象者や技術分野につきましては、現時点で審査の具体的内容が明らかになることにより今後の審査に支障が生じるおそれがありますことから、お答えは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしても、関係省庁が緊密に連携をして、適切な審査をこれからも行っていきたいと考えております。

 また、御指摘のいわゆるセキュリティークリアランスについてですけれども、これは、主要国を中心に、諸外国では、機微技術に関するものを含めまして、主として政府が保有する秘密情報の保全等の観点から導入されているものと承知をしております。

 先端的な重要技術の保全につきましては法制上の手当てを講ずるべきだと認識しておりまして、現時点におきましては、経済安全保障法制に関する有識者会議を開催して、その在り方について現在議論をいただいているところでございます。

 重要なことは、先端的な重要技術を官民が連携をして育てて、そして守っていくことであると考えておりまして、現在行われている有識者会議の議論などを踏まえながら、更に検討を深めてまいります。

 いずれにしても、議員御指摘のとおり、経済安保に関連して取り組まなければならない課題は多岐にわたっておりますので、関係省庁と連携をしながら、できることからスピード感を持って対応していきたいと思います。

高市委員 できることから一歩一歩、日本の経済安全保障の強化をよろしくお願いをいたします。

 外務省に対しては、時間があれば質問するということで予備的通告をしておいたのですが、昭和三十五年二月外務省発表資料集第十号に収められている「在日朝鮮人の渡来および引揚げに関する経緯、とくに、戦時中の徴用労務者について」と題する昭和三十四年七月十一日の外務省記事資料について伺います。

 この外務省記事資料というのは、外務省としての正式発表のうち、外務報道官としての公式見解を表明する場合及び外務省より正式発表を行うものという位置づけだと外務省から伺いました。

 外務大臣に伺います。

 昭和三十四年七月十一日の外務省記事資料の記載内容は、現在においても、この調査結果が最新のものであり、外務省が訂正する必要がない公式見解だと考えてよいのか、それとも、その後新たな調査が行われ、現在では無効なものなのか伺います。

林国務大臣 今、委員から御指摘の記事の資料、存在について承知をしておるところでございます。

 当該資料に記載のある数字等が正確であるかどうかについては、それを否定する客観的な情報はないということでございますが、現時点でその詳細について確認することはできないため、お答えすることが困難でございます。

高市委員 それでは、最後の質問となりますが、コロナ禍における生活や事業継続に係る支援策にかかわらず、様々な支援策の存在やその活用方法を御存じないまま、食べるものがないとか住む場所がないといった窮地に陥る方が多いことが残念でなりません。

 総務大臣在任中に行政評価局で行った調査でも、御家族の介護を始める前に介護保険サービスを知らなかった方が五三%、介護休暇制度を知らなかった方が七二・八%もおられました。

 生活保護の申請ができずに亡くなったり、育児や介護の負担に耐え切れなくなったり、進学を諦めたりする方がいなくなるように、生活、育児、介護、障害、進学への支援策など、利用可能な施策の周知を徹底することが必要だと考えております。

 政府や地方公共団体による周知はもちろん、学校や地域社会において、そしてまた民生委員、児童委員、社会福祉協議会役員の皆様のお力もおかりしながら、社会制度教育というものを充実していくことが必要だと思いますが、総理のお考えを伺います。

岸田内閣総理大臣 国民の皆さん一人一人が安心で充実した生活を送ることができるよう、御指摘のように、学校や地域社会など様々な場において社会制度の理解を深めていただくこと、これは重要なことだと考えます。

 このため、学校においては、子供の発達段階に応じて、公的サービスの在り方を学習することにより社会で生きていくための基礎的な知識や技能の習得に取り組んでいます。

 例えば、本年四月に高校で新たに実施される公共という科目では、全ての高校生が生活保護などの各種の社会保障制度の意義や役割などを社会との関わりを意識しながら学ぶようにするなど、社会制度教育の取組を充実するということにしております。また、本年四月から成年年齢が十八歳に引き下げられます。消費者教育の充実等を行うことも重要だと考えます。

 さらに、地域社会においても、民生委員、児童委員や社会福祉協議会の協力を得ながら、各制度の具体的な内容、申請等の手続について普及啓発に取り組んでおります。

 コロナ禍を教訓として、様々な支援策を知らないまま窮状に陥ることがないように、こうしたそれぞれの取組を充実させ、しっかり取組を進めていきたいと考えます。

高市委員 岸田内閣のお取組の強化に大いに期待をいたします。

 以上で質問を終わります。誠にありがとうございました。

根本委員長 この際、上川陽子君から関連質疑の申出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上川陽子君。

上川委員 自由民主党の上川陽子でございます。

 本日は、私にとりまして、十数年ぶり、四度目の予算委員会での質問となります。こうした機会をいただきました皆様に心から感謝申し上げます。

 質問に先立ちまして、新型コロナによりまして亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、病床や御自宅で療養されている方々に心からお見舞いを申し上げます。また、国民の命と暮らしを守るために第一線で懸命に御尽力いただいている、医療、介護を始め、エッセンシャルワーカーの皆様に心から感謝を申し上げます。

 振り返れば、一度目の二〇〇五年の質問で、私は、当時の谷垣財務大臣に対し、基礎的財政収支の均衡、いわゆるプライマリーバランスへの政府の覚悟を問う質問をいたしました。当時は、二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランス達成に向けて、公債発行額を三十兆円以下に抑えるという総量規制の縛りが予算編成に当たって強く意識されていた時代でありました。

 二〇〇九年、二度目の質問では、当時の麻生総理に、行き過ぎた市場原理主義、新自由主義への反省についてお考えをお聞きしました。ちょうど、リーマン・ショック後の世界金融危機で日本が不況の真っただ中にある頃でございました。

 十年一昔といいますが、当時日本が置かれていた状況と今日の状況は、経済的にも社会構造的にも格段の違いがあることに気づかされます。そして、その後の世界における日本の経済的地位の低下には、残念ながら歯止めがかかっておりません。

 私自身、初当選から今年で二十二年目でございますが、常に心に置いている物差し、不易流行であります。変えるべきものを変える勇気を、変えることができないものを受け入れる冷静さを、そして、変えるべきことと変えられないことを見極める知恵を。国民の不安感が高まり、変化の激しい、国難とも言える時代において、今、日本という国の不易流行を見定め、変化に果敢にチャレンジするリーダーが求められています。

 そうした観点から、以下、総理並びに閣僚の皆さんに質問いたします。

 現下の最大の危機は、何といっても、一昨年以来、二度の冬を越した新型コロナウイルスとの戦いであります。

 オミクロン株については様々な特性が既に明らかになっているようでありますが、そうした知見を踏まえまして、感染急拡大の中、どのように対策を実行していくのか。

 特に、子供、若者の感染者が急増している中で、ワクチンを接種していないお子さんの場合、副反応や中長期的な後遺症に不安があってワクチン接種を逡巡している状況も踏まえ、お子さんや親御さん、その心配にしっかり寄り添った対応が必要となります。また、子供が発熱した場合などに、すぐに医療機関に受診できる体制が整っているのでしょうか。

 第五波の際に保健所と医療機関の連携が十分でなかった反省を踏まえ、関係機関の連携をしっかり整え、自宅療養も含め患者一人一人の状況に応じて迅速かつ十分な対応ができるよう、万全を期すべきと考えます。今回は、急激な感染拡大で保健所機能が既に限界になっている地域もあると聞いております。疫学調査の縮小、健康観察の重点化、医療機関に協力を求めるなど、オミクロン株の特性に応じた対応を講じるべきと考えます。

 以上の点につきまして、総理の御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、オミクロン株につきましては、厚生労働省の専門家組織から、感染力が高い一方、感染者の多くは軽症、無症状であり、重症化率は低い可能性が高い、ただし、高齢者等で急速に感染が広がると重症者が発生する割合が高くなるおそれがあるといった分析が報告されており、政府としても、このような見解に基づき必要な対応を進めております。

 そして、御質問の子供さんへの接種ですが、十二歳未満の子供への接種の実施に当たっては、保護者やお子さんが安心して接種できるよう取り組んでいくことが重要だと考え、現在、子供を接種対象とするに当たり必要な手続を進めているところでありますが、接種を開始することになった場合には、保護者等が接種の判断をするに当たって必要な、有効性、さらには安全性、こうしたものについての情報を分かりやすく丁寧に提供していきたいと思います。

 そして、保健医療体制についても御質問がありました。

 保健医療体制については、オミクロン株による軽症の自宅療養者の増加を踏まえ、自宅療養体制の確保、これが重要だと考え、先般、各都道府県に、保健医療体制の点検をし、そして強化を依頼したところです。オンライン診療等により自宅、宿泊療養に対応する地域の医療機関の数、全国で一・六万、昨年明らかにした全体像の計画を更に三割上回る、こうした体制を準備したところであります。

 政府としては、自治体との密接な連携の下、拡充してきた医療体制を何よりも機能させること、用意したものをしっかり機能させること、これが重要であり、あわせて、予防、発見、早期治療の流れを強化し、オミクロン株の特性を踏まえためり張りの利いた対応を進めていきたいと考えております。

上川委員 是非、連携ということにしっかりと沿った政策を適宜適切に行っていただきたい、心からお願いを申し上げます。

 もう一つ、子育て世帯に寄り添った支援、これを重視する岸田政権、この重要な施策の一つが十万円給付金だと思います。

 昨年十一月十九日に経済対策が閣議決定されてから一か月で、中学生以下のお子さんにプッシュ型で給付金が支給されたと聞いております。迅速な対応に感謝申し上げます。

 ただ、迅速性を優先した結果、九月以降に離婚をし、そしてお子さんを養育されている方の中には、給付金が元の養育者に振り込まれているため、様々な事情でこの給付金を受け取れない方もいらっしゃいます。こうした方々のお手元にも給付金が届くよう制度を見直すべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 子育て世帯への給付は、新型コロナが長期化し、その影響が様々な人々に及ぶ中、子供たちを支援する観点から、ゼロ歳から高校三年生までの子供たちを対象に給付するものです。迅速に支給するため、児童手当の仕組みを活用し、昨年のうちに九九%、ほぼ全ての市区町村で支給が開始されています。

 一方で、御指摘のように、迅速にプッシュ型で給付するために、児童手当の仕組みを活用して八月末時点での養育者基準として支給した結果、九月以降に離婚するなどして、経済対策においてこの給付金が決定され年末まで大半の方々が支給を受けている中で、現にお子さんを養育しているにもかかわらず給付金を受け取れない、こうした場合があるということであります。

 政府としては、給付金が政策目的に沿って子供たちに使われるよう、元養育者である受給者に協力をお願いするなど対応してはきましたが、現実には、様々な事情で元の養育者から受け取れないという声、これもしっかり聞いております。

 こうした当事者の皆さんの声や国会での議論も踏まえ、子供たちの未来を開くという観点から、プッシュ型で児童手当の仕組みを用いたことに伴う不公平を是正し、こうした方々の手元にも給付金が届くよう、国として、見直し、検討したいと思います。

上川委員 既に実態に即して取り組んでいただけるというこの御判断、心から感謝申し上げ、是非、一日も早く施策を遂行していただくよう、どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。

 総理は、新政権の政策運営の最重要目標として、新しい資本主義、これをグランドデザインとして打ち出されました。それは、成長と分配の好循環によります経済社会変革により、持続可能な新しい日本社会を再生するものということでございます。

 その特徴を私なりにまとめさせていただきますと、一点目は、単なる経済政策にとどまらない、社会変革を伴った経済変革の必要性を訴えられていること、二点目は、成長戦略と分配戦略を切り離して考えるのではなくて、表裏一体のものとして捉える新しい発想、新しい見方を御主張なさっていることでございます。

 その背景に、私は、二つの危機意識があるのではないかと感じております。一点目は、世界の中で日本経済が更に地盤沈下することへの危機感。そして第二に、市場に任せれば全てがうまくいくという新自由主義的な考え方が生んだ様々な弊害、あるいはそれがもたらした中間層の衰退による民主主義の危機、施政方針の中でも述べられています。

 そこで、まず、日本経済が現在置かれている状況につきまして、企業のバランスシートと、世界における円の強さを示す実質実効為替レートの、二つの指標で確認していきたいと思います。

 財務省の法人企業統計で日本企業のバランスシートを見ますと、過去十年間、企業収益、企業利益が内部留保に積み上げられ、そのかなりの部分が国内ではなく海外に投資をされています。さらに、そうした海外投資によって得られた利益、これも、その多くがそのまま海外に再投資をされておりまして、国内の雇用・所得環境にはさほど還元されませんでした。この点は、大企業の人件費が、実額でこの十年間ほぼ横ばいに推移したことからも明らかでございます。

 海外向け投資による経常収支の黒字は、まさに投資立国日本の一面の真実ではありますが、私には、海外への緩やかな資本逃避、いわゆるキャピタルフライトが進んでいるように見えます。そのことは、世界における円の価値が足下で過去五十年間の最低水準にまで落ち込んでいることからも見て取れます。円安傾向が今後も進めば資本流出のリスクを更に高めることになると懸念する声が市場でも聞かれます。

 日本は、私たちが気づかないうちに、国内企業からも海外企業からも選ばれない国になってきているのではないか、私自身、強い危機感を持っておりますが、総理御自身の、世界における現在の日本経済についての御認識をお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国においては、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレによって停滞の時代を経験しました。企業は投資や賃金を抑制し、消費者も将来への不安から消費を減らさざるを得ず、結果として需要が低迷しました。そして、デフレが加速し、競争力も低下する、こういった悪循環であったと認識をしています。

 そして、その後、政権交代後、アベノミクスによって、経済最優先で取り組んできた、このことによってデフレではない状況をつくり出し、GDPが高まり、雇用は拡大しました。

 しかし、その後、新型コロナによって、我が国の経済、大きく傷ついている、こうした状況にあります。こうした状況を踏まえて、全力で日本経済の立て直しを図らなければいけない、これが今我々の置かれている立場だと思っています。

 そのために、デジタル化、気候変動、経済安全保障といった我が国の課題、これを、弱みを強みに変えるという観点から、課題を成長のエンジンにしようではないかということで、こうした課題とされる分野に、政府としても、予算であったり様々な制度改革であったり、市場を養成する環境をつくり、そこに思い切って民間の投資を集中させ、成長のエンジンにしていこうということを考えています。

 是非こうした新しい時代に向けた新しい経済モデルをしっかりと官民でつくり上げて、この新しい時代の経済再生に取り組んでいきたいと強く思っています。

上川委員 まさに、総理がおっしゃっている、また提唱していらっしゃる新しい資本主義、この中に成長と分配の好循環、この好循環というところに力を尽くしていく、こういうお話だというふうに思います。

 総理は、成長戦略、今も、デジタル、気候変動、科学技術・イノベーション、またスタートアップなどといった今日的なふさわしい課題、施策を列挙されておられます。また、分配戦略に関しましても、賃上げ税制の拡充、また最低賃金の見直しなどの施策が盛り込まれているところでございます。

 しかしながら、これらの施策でございますが、基本的には従来の方向性、これを踏襲したものであり、過去におきましては、残念ながら、期待されたほど成果を上げることができず、トリクルダウンも期待されたほどには起こりませんでした。

 その原因でございますが、成長戦略と分配戦略、この両者をつなぐ循環のパイプが目詰まりをしていたのではないか。そして、目詰まりのほとんどが、経済そのものより、既存の社会制度、更に言えば、それらに縛られた私たちの考え方そのものにあったのではないか。

 経済再生のためには、国民の意識改革により、社会の目詰まりを解消するための発想の転換、まさにパラダイムシフトが必要であり、そうしたお考えが施政方針の中で、まさに経済社会変革、とりわけ社会の変革という明確な表現として主張されているのではないかと思っているところでございます。

 日本経済、これを真の意味で再生をするためには、この目詰まり部分ということに対して、風通しのよい社会、また社会的なまとまりのある中間層、こうした役割が大変重要であると考えているところでございます。

 総理も、分配戦略の三本目の柱といたしまして、賃上げとは別に、若者世代や子育て世代に光を当てた中間層の維持が掲げられておりますが、こうした位置づけの背景には、私、冒頭、二つの危機意識と申し上げたところでございますが、分断に象徴されるような様々な弊害と、それがもたらした中間層の衰退、これによる民主主義の危機が半ば現実のものとなっている、あるいはなるのではないかという危機意識というものが背景にあるのではないかと考えております。

 中間層が果たす役割が極めて大切と考えておりますが、新しい資本主義を掲げるに至った、先ほどお述べになったところでもございますが、もう一度、その考え方の枠組み、具体化する方針、こうしたことについてお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、格差ですとか気候変動、さらには中間層の衰退による健全な民主主義の危機など、資本主義経済の弊害、これは我が国だけではなくしてグローバルに顕著になってきた、これが現代であると思っています。

 新しい資本主義は、これらの問題解決を市場や競争に全てを委ねるのではなくして、官と民が協働して、市場の失敗ですとか市場不経済、これを是正する仕組みを、成長戦略そして分配戦略、その両面から資本主義の仕組みの中に埋め込むことで、社会問題を解決しながら成長を実現する、そしてそのことによって持続可能な経済社会をつくっていく、こうした考え方に基づいて、様々な施策を組み合わせていこうということであります。

 特に、委員御指摘の分厚い中間層については、これは民主主義にとって重要であるとともに、新たな資本主義における経済社会の主要な担い手でもあると考えます。そうした未来を担う次世代の中間層を維持強化するために、デジタル化や気候変動といった社会課題を成長のエンジンに転換し、持続可能な経済社会を実現したいと思います。

 その上で、成長した果実、これを広く国民お一人お一人に分配することで、消費を拡大し、次の成長につなげていく、結果として、成長と分配の好循環、これを実現していく、こういった取組を進めていきたいと思います。

 そして、その際に、賃上げを通じた人への分配、これはコストではなく未来への投資であるという考え方の下に、賃上げ税制、あるいは公的価格の引上げ、そして、そのためにも価格転嫁が行える環境をつくっていく、こうした取組を進めることによって、付加価値を創造する源泉となる人的資本、この投資を抜本的に強化していく、こういった考え方は重要であると思います。

 社会変革ということを委員は御指摘になられましたが、こうした新しい経済の全体像をできるだけ多くの皆さんにも共有していただいて、それぞれの立場で、こうした持続可能な経済をつくるために何をするべきなのか、これを考えていただくこと、これは大変重要なことであり、そういった意味で社会変革ということになるのではないかと認識をしております。

上川委員 次に、岸田政権における地方の位置づけにつきまして御質問をさせていただきます。

 二〇二〇年の国勢調査の結果によりますと、人口減少や財政力の低下により、過疎自治体に位置づけられる、指定される自治体、五割を超えることが発表されております。

 地方の衰退は深刻の度を増しておるというふうに考えております。国民一人一人が様々な行政サービス、これを受ける上で、その基盤を提供するのが基礎自治体でありますから、その安定化は、誰一人取り残さない、まさに持続可能な社会にとりまして極めて重要と考えます。

 京都大学の広井教授の将来予測モデルによりますと、日本が将来的に繁栄を維持するためには、現在の東京一極集中から地方分権型へ大きく路線転換するしかない、しかも、その決断のタイムリミットは五年後に迫っていると警鐘を鳴らしておられます。

 東京一極集中の是正と地方創生への流れをつくるラストチャンスとも言えるこの時期に、岸田総理は、新しい資本主義の主役は地方であるとし、地方から国全体へボトムアップの成長を実現するとして、デジタル田園都市国家構想を提唱されました。

 高度経済成長期に地方の働き手を集め、これまで日本を牽引してきた世界的都市東京は、今後急速に高齢化の局面に入ります。日本社会の持続可能性を高めるには、人口、とりわけ若者の東京への集中をストップし、若者が選択する魅力ある地方でなければなりません。

 その際、物の資本主義から事の資本主義へ発想を変え、豊かな自然、文化、伝統、芸術、アートなど、貨幣で測ることのできない無形資産に軸足を移す新しい資本主義の実現が重要ではないかと考えております。

 選ばれる日本の魅力は、高さを競う高層ビルではなく、貨幣では測ることができない、伝統の物づくりの技やおもてなしの文化、自然と調和した暮らしの工夫などが息づく地方であり、これを、人のアイデアや最先端のデジタル技術を駆使し、地方経済の好循環を生み出すことではないでしょうか。

 デジタル田園都市国家構想には、この国の形として中央集権国家から地方分権国家への転換を目指そうとされた、大平元総理の田園都市構想に通じるものがあると考えます。総理がデジタル田園都市国家構想に込められた思い、東京一極集中から地方分権への総理の意気込みを是非お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 デジタル田園都市国家構想は、高齢化あるいは過疎化など社会課題に直面する地方にこそ新しいデジタル技術を活用するニーズがあるということに鑑み、デジタル技術の活用によって、地域の個性を生かしながら地方の課題を解決し、地方から全国へとボトムアップの成長を実現していきたいと考えてつくり上げた構想であります。委員御指摘のように、地域の個性を生かした地域活性化、あるいは集中から分散へ、こうした考え方など、その理念には大平元総理の田園都市国家構想と共通するところがあると考えております。

 具体的には、本構想によって、企業版ふるさと税制の活用等によるサテライトオフィスの整備、あるいはリモートワークの推進、デジタル人材の地方での活躍等に取り組むことで、地方への大きな人の流れを生み出し、地域が抱える人口減少などの課題を解決し、東京への一極集中の是正にもつなげていきたいと考えています。

 そして、委員御指摘の地方分権ですが、地方分権改革、この推進は、地域から、自らの発想と創意工夫によって課題解決を図るための基盤となるものであり、地方からの提案に基づいて、地方の自主性、自立性を高めるための取組を進めてきたところであり、引き続き、地方の自主性を高める様々な見直しはしっかり進めていかなければならないと考えます。

上川委員 大きな社会変革を伴うものでございますので、スケール大きく、しかしきめ細かく対応していただくことができますよう、よろしくお願い申し上げたいと存じます。

 今おっしゃったような新しい資本主義、この実現のためには、ベースで支える財政の在り方が極めて重要であるというふうに思っております。

 資本主義をバージョンアップするということでございますので、その便益を最大化するための新しい資本主義、ここにおきましては、人への投資、地方への投資、また科学技術やイノベーション、こうした問題につきまして、中長期的な視点から政策効果の大きい歳出項目をしっかりと選択をし、そして予算化をしていく。これはケインズの言うところのワイズスペンディング、賢い支出、こういったことを財政の中にしっかりと盛り込んでいかなければならないと考えております。

 そのためには、やはり財政規律への配慮が重要であると考えております。将来の財政基盤に対する疑念が、また社会保障の持続可能に対する不安感が、国民の消費性向に重い足かせとなっている、そして、とりわけ若い世代、子育て世代の将来不安の最大の理由としてこうした項目が挙げられているところでございます。

 今年一月十四日の経済財政諮問会議におきまして、総理は、内閣府による中長期の経済財政に関する試算、これを基に財政健全化目標の堅持を明言しておられますが、改めて、財政規律を堅持することの意義、重要性につきまして、総理と鈴木財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

鈴木国務大臣 財政は国の信頼の礎でございます。社会保障制度を持続可能なものとするため、受益と負担のアンバランスという構造的課題に取り組んでいくことなど、財政規律の堅持は極めて重要な意義を有するものと考えております。

 このため、財政健全化の旗を降ろすことなく、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出と歳入両面の改革をしっかりと進めてまいります。

 令和四年度予算におきましても、新しい資本主義の実現のため、例えば、科学技術立国に向けたデジタル、グリーン等の研究開発の推進、人材育成や非正規労働者のステップアップなどの人への投資の推進などに予算を重点化する一方、診療報酬改定における通院負担の軽減につながるリフィル処方箋の導入、防衛装備品の原価の精査や、重要度の低下した装備品の運用停止、登記情報のデータベース拠点の集約化など、効果的で効率的な予算となりますよう工夫を積み重ねたところでございます。

岸田内閣総理大臣 先日公表された中長期試算においては、現時点で二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化の目標年度の変更が求められる状況にはない、こうしたことを確認したところです。

 財政は国の信頼の礎であり、中長期的な財政の持続可能性への信頼、信認が失われないよう、しっかりと責任を持って経済財政運営を進めていくことが重要です。

 そして、経済あっての財政であり、この順番を間違えてはならないということは再三申し上げております。しかし、足下のまず新型コロナ対策あるいは経済対策、これをしっかりと行うということと、中長期的な財政健全化に取り組むということ、これは決して矛盾はしないと思っています。経済を立て直し、そして財政の健全化に向けて取り組んでいきたいと考えます。

上川委員 最後、司法外交につきまして法務大臣に御質問をすることでお願いをしておりましたが、時間となりましたので、大変申し訳ございません、次回にまたやらせていただけたら、こんなふうに思うところでございます。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、宮澤博行君から関連質疑の申出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。宮澤博行君。

宮澤委員 自由民主党の宮澤博行でございます。

 本日は、質問のお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。

 早速でありますけれども、質問に入っていきたいと思います。

 私が担当するのは安全保障分野についてであります。

 本当に日本の周りはきな臭くなってまいりました。そういう中でも、総理は、施政方針演説の中で、三文書の新たな策定、国家安全保障戦略、そして防衛計画の大綱、そして中期防衛力整備計画、この三文書を新たに策定するんだ、そういう御意思を表明されました。当然、我々自民党といたしましても、この政府の方針に合わせて、様々調査研究を重ね、提言をまとめてまいりたいと思います。

 ついては、その前に、政府のお考え、主要な項目についてきちんとお考えを把握しておく必要がある、そういう観点から今日はやらせていただきますので、是非よろしくお願いいたします。

 まずは、ミサイル防衛について質問をさせていただきます。

 まあ年明けから本当に頑固にやってくれていますよ、北朝鮮。一月の五日、十一日、十四日、十七日、もうミサイルの発射は立て続けに行われているわけであります。

 ただ、これは技術の大幅な革新が見られるんですね、極超音速ミサイルではないかということ、それから軌道が変わっているのではないかということ。これらの能力の向上、さらには質だけでなく量、さらにはこの北朝鮮の意図、政府としてはどのようにこれを把握していらっしゃるのか、まずは見解をお願いしたいと思います。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸国務大臣 北朝鮮は、我が国を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有しているとともに、極めて速いスピードで弾道ミサイル開発を継続的に進めております。

 特に昨年九月以降、極超音速ミサイルと称するものや、変則軌道で飛翔する弾道ミサイルなどを立て続けに発射をいたしました。今年に入ってからも、委員御指摘のとおり、二週間の間に四回という極めて高い頻度で、また、鉄道からの発射や水平機動を含む変則的な軌道の可能性がある飛翔といった新たな態様での発射を繰り返しています。

 これらを通じて、北朝鮮が、発射の兆候把握を困難とするための秘匿性、即時性や、奇襲的な攻撃能力の向上、発射形態の多様化等、急速かつ着実な関連技術や運用能力の向上を図ってきていることは明らかであります。

 北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許すことができません。また、ミサイル技術の著しい向上を見過ごすことはできません。こうした一連の弾道ミサイル発射を含む北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であり、また、地域及び国際社会に対する平和と安全を著しく損なうものと認識をしております。

宮澤委員 断じて許すことはできないという防衛大臣からのお言葉もありましたけれども、遺憾、遺憾とよく言われます。遺憾、遺憾と言っているだけじゃ、とてもしょんないわけなんですよ。何か我々だって準備しなくちゃいけない。

 でも、北朝鮮だけが脅威であるわけではありません。私が今日特に話題としたいのは、中国が保有するミサイルなんですね。

 こちらのパネルを御覧ください。射程一千キロですと、これはもう日本のほとんどが射程圏内に入る、射程三千キロですと、もう余裕で入ってしまう、一千五百キロでも、これは日本全土が射程に入る、そういう状況になってきているわけなんです。これは、中国のミサイルを脅威と言わずして何を脅威とするのか。私は、もうそういうフェーズに入ってきていると思うんですけれども。

 まず、中国のミサイルについて、余り政府は言及されませんけれども、いかがですか、見解の方は。お願いいたします。

岸国務大臣 中国は、ミサイルの能力の強化に取り組んでおります。

 DF16、15、11といった短距離弾道ミサイルを多数台湾正面に配備し、我が国の南西諸島の一部もその射程に入っていると見られます。

 また、DF21やDF26といった我が国を含むインド太平洋地域を射程に収める中距離弾道ミサイル等により、周辺地域への他国の軍事力の接近、展開を阻止し、この地域での軍事活動を阻害する能力、いわゆるA2AD能力の強化に取り組んでいます。

 最近では、ミサイル防衛の突破が可能な打撃力を獲得するため、極超音速滑空兵器の開発を急速に推進していると見られ、HGVを搭載可能な中距離弾道ミサイルと指摘されているDF21の運用が二〇二〇年に開始されたものと指摘もあります。

 さらに、中国は、残存性の向上等を通じた戦略核戦力も強化しており、多弾頭の新型ICBMであるDF41や射程を大幅に延伸させたSLBMであるJL3を開発しています。

 これらミサイル戦力の急速な増強を含め、一連の中国の軍事動向は我が国を含む地域、国際社会の安全保障上の強い懸念となっており、防衛省としては、引き続き重大な関心を持って注視してまいります。

宮澤委員 重大な関心を持って注視していくということでございますけれども、これはやはり国民の皆さんと危機感を共有していかなければならない、私はそう思いますね。ですから、どんどんどんどん、これは、昨年の八月も極超音速ミサイルの実験、訓練があったわけじゃないですか。これをきちんと公表して国民の皆さんに理解を求めていく、それが必要だと思いますけれども、見解はいかがでしょうか。

岸国務大臣 御指摘の中国による極超音速滑空兵器の発射実験についての報道につきましては承知をしているところですが、また、中国のミサイル発射試験、訓練については鋭意情報収集、把握に努めておるところですが、個々の把握状況については、我が国の情報収集能力を明らかにするおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

 その上で、これまで米国などにより明らかにされているところでは、例えば、米国防省は、中国が二〇二〇年八月に南シナ海の西沙諸島周辺で中距離弾道ミサイルの発射を含む軍事演習を実施したことについて懸念を表明したと承知をしております。

 また、米国防省の報告書では、中国のロケット軍が二〇二〇年の一年間で試験、訓練のために二百五十発以上の弾道ミサイルを発射し、これは世界の他の国々の発射合計数よりも多いことを指摘しており、こうしたことを踏まえれば、各種弾道ミサイルの急速な展開や運用が行われていることが指摘されており、引き続き関連動向を注視してまいります。

 防衛省・自衛隊が収集した情報の公表については、国民の皆様への情報提供の必要性を十分踏まえつつ、我が国の安全保障への影響や我が国の情報収集、分析能力の保全といった点を総合的に勘案した上で、個別具体的に判断、実施しているところであり、今後も適切に判断してまいります。

 先ほど、ミサイルのところで、DF21の運用が二〇二〇年に開始されたと申しましたけれども、これはDF17の間違いであります。失礼しました。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

宮澤委員 我が方の情報収集能力を明かす云々とありましたけれども、我々国会議員としても、この中国のミサイルが脅威だということを国民の皆さんにちゃんと訴えながら理解を求めていく、そういう活動をしっかりやってまいりたいと思います。

 では、今後のミサイル防衛の基本的な在り方について御質問させていただきたいと思います。

 こういうような安全保障環境の中でも、国政に携わる我々とすると、国民の皆さんの生命、財産、自由、そして領土、領海、領空、断固として守っていかなければなりません。多少のリスクはとか、多少の犠牲はとか、そんなものが許される、そういう日本じゃないんです。完全に守っていかなければいけない。

 だとすると、このミサイル防衛に関しては二つの柱がある。一つはミサイルの迎撃体制ということ、もう一つは今総理が御検討されているいわゆる敵基地攻撃能力、この二つの柱でなければなりません。

 そうすると、このミサイル迎撃体制については、敵基地攻撃能力の議論が始まった中において、まあ、お金がかかるからこの辺でいいじゃないのかという意見があるんですよ、時々。そうじゃないと私は思う。とことん国民の皆さんの命を第一撃から守っていかなくちゃいけない。

 そうすると、いろいろなことが考えられますが、まずはこの基本的な考えについて、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、我が国周辺においては、相当数の弾道ミサイルが開発、そして配備されています。これは、一たび発射されたならば、極めて短時間で我が国に到達し、国民の生命財産に甚大な被害を与えるおそれがあります。

 その上で、極超音速滑空兵器、変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化しており、迎撃が困難になってきている、これも事実であります。

 こうした技術の進歩に応じて迎撃能力を高める不断な努力は誠に重要であり、これからもしっかりとこうした迎撃能力を高めていかなければなりません。具体的には、迎撃ミサイル、PAC3の能力向上、衛星コンステレーションの検討など、取組を引き続き進めていきたいと思います。

 国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているかという問題意識の下、ミサイル迎撃能力をしっかり向上していきます。それと併せて、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を進めていきたいと思っています。

宮澤委員 ありがとうございました。

 総理の方から、衛星コンステレーションの話が出ました。それこそ、昨年十一月、アメリカで、GPI、これはグライド・フェーズ・インターセプター、極超音速ミサイル迎撃システムの研究開発に着手した、そういう話が出てきております。今度、バイデンさんがいらっしゃるんですよね。是非、これを話題にしていただけませんでしょうか。日本も、この共同開発、是非やりたいというふうに申し出るべきだと私は思います。

 国民の皆さんの命を第一撃から絶対的に守らなければいけない。私は、このGPI、グライド・フェーズ・インターセプターへの開発に参加すべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先日行った日米首脳テレビ会談において、今年前半にバイデン大統領の訪日を得て、いわゆるクアッド、日米豪印の首脳会談を行うということについて合意をいたしました。

 こういった日程をにらみながら日米でしっかりとこの議論を行っていきたいと思いますが、首脳会談における中身については、今ここで予断を持って申し上げることは控えなければならないと思いますが、その中で、日米同盟を強化し、そして我が国の安全保障にとって何が必要なのか、こうした議論はしっかり行っていきたいと思います。

 詳細については、ここでは控えたいと思います。

宮澤委員 それでは、いわゆる敵基地攻撃能力について質問させていただきたいと思います。

 この中身も、これからこれからとお答えになりそうですが、ある程度の構想、柱というのは見えてきているわけなんですよ。やはり、今想定されているのは、確かに敵基地に対する反撃、いわゆる物理的打撃力と言ってもいいかもしれませんが、技術の変化によって別の方法が出てきているんですよね。

 アメリカ海軍のEA18Gグラウラーのような電子攻撃機、これを使って電子戦によって敵通信網を破壊する、これもまた有効な手段。もう一つは、ロシアがよくやっているやり方なんですけれども、相手国の測位システム、我が方でいうGPSですね、これを妨害する、妨害するだけじゃなく偽のGPS信号を出す、こういうやり方もあるわけなんですよ。言葉で言うと、電波妨害による敵ミサイルの錯乱とでもいうんでしょうか。

 このように、敵基地に対する物理的打撃、そして電子戦による敵通信網の破壊、そして電波妨害による敵ミサイルの錯乱、いろいろな方法があるんですけれども、今どういうことを構想されているのか。

 そして、これらを考えたときに、攻撃という言葉が適切なのかどうなのかですよ。与党の中でも、ワーディングについては議論があります。他党の皆さんからも、このワーディングについては様々な提案がなされている。それでいいと思うんです。それこそ聞く力を持って、この言葉を、よりよいものを作っていかなければならないと思います。

 このミサイル防衛についての構想、さらにはワーディング、どのようにお考えになっているか、お話しください。

岸国務大臣 敵基地攻撃能力について、今委員のお尋ねでございますけれども、ミサイルに関する技術が急速なスピードで変化、進化している中で、ミサイル防衛体制を始め、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているかという問題意識の下で、いわゆる敵基地攻撃能力を含めたあらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいります。

 このため、御質問に現時点でお答えできる段階ではありませんけれども、今後、新たな国家安全保障戦略等を策定していく過程の中で、しっかり検討してまいりたいというふうに考えております。

 ワーディングについてですけれども、いわゆる敵基地攻撃能力という名称は様々な議論があることは承知をいたしております。一般に広く用いられている用語を現時点では使用しているところですが、重要なことは、急速なスピードで変化、進化するミサイルなどの技術に対して、国民の命と暮らしを守るため、何が求められているか、あらゆる選択肢を排除せずに、現実的に検討していくことであります。

宮澤委員 ありがとうございました。

 ちょっと順番を変えまして、先に台湾有事の方を進めさせていただきたいと思います。

 中国の武力による台湾侵攻、これは非常に現実味を帯びてきているところですよね。昨日も、三十九機、台湾の防空識別圏に中国の軍機が入ってきたということです。

 習近平氏は、中華民族の偉大な復興という言葉を使用している。台湾独立のたくらみを断固として粉砕する、主権、領土保全に関する中国の決意、意志、能力を見くびるべきではない、こういうように言っている。

 中国による台湾侵攻は、やるかやらないかじゃなくて、いつやるか、そういう評もあるぐらいなんですね。

 我々はこの台湾海峡の平和と安定、何が何でも守っていかなければならない、私はそう思うんです。

 林大臣の外交演説の中でも、先人たちの努力により世界から得られた日本への信頼を基礎に、普遍的価値を守り抜く覚悟、日本の平和と安定を守り抜く覚悟、人類に貢献し国際社会を主導する覚悟、こういうふうに述べられました。

 台湾海峡の平和と安定は日本の国防にとって重要だということと同時に、もう一つ、伝統的な友好国である台湾の平和を守らなくちゃいけない。

 ちなみに、私の地元に鳥居信平さんという人がいました。台湾の地下ダムを造って、かんがい用水の源とした。袋井市というところの出身です。森町には鈴木藤三郎さんという人がいて、衆議院議員も務められたんですが、台湾製糖、砂糖の会社です、これをつくって台湾の皆さんの所得の向上に貢献をした。やはり、こういうふうに、友好な台湾の人たちとの関係構築、これも、維持も必要。

 それと同時に、今、コロナのパンデミックで、専制主義なのか民主主義なのか、そう問われているじゃありませんか。自由と民主主義を守り抜く、これは我々日本の国益であると同時に、多くの民族の皆さん、国の皆さんたちが、その中で繁栄を享受するということが必要なんです。

 そういう点でいうと、この台湾海峡の平和と安定に積極的にコミットすることが私は必要だと思う。それについての政府の決意をお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

林国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境の急速な変化、また、緊張する米中関係などによって厳しさと複雑さを増す国際情勢の中で、岸田政権においては、未来への理想の旗をしっかり掲げながら、したたかで徹底的な現実主義を貫く新時代リアリズム外交を展開してまいります。

 その上で、先ほど言及をいただきましたけれども、外交演説でも、台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとって重要であると申し上げました。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、従来から一貫した立場でございます。

 そのような立場から、台湾をめぐる情勢について引き続き関心を持って注視しながら、両岸の関係者を含む国際社会にしっかりと主張してまいりたいと思っております。

宮澤委員 もしものことについては、もう準備をしていかなければならないと思います。台湾には、先日御指摘もありましたけれども、二万五千人の邦人の皆さんがお住まいになっていらっしゃる。国家承認がない中ではありますけれども、この邦人退避についてはもう準備をしていかないといけないと思います。

 台湾が独立国家であるというふうに言っちゃうと、ちんぷりかえっちゃう国があるものですから、それじゃとてもしょんないんですよ。関係がないからといって何もせぬでいいかといったら、そういうわけじゃないと思う。

 だからこそ、いろいろなチャンネルを通じて準備する必要があると思いますが、その準備については、状況はどうでありましょうか。

林国務大臣 海外に渡航又は滞在する邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでありまして、平素から、在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っておりまして、邦人保護の強化を図っているところでございます。

 その上で、一般論でございますが、邦人の退避が必要となる事態が発生する場合には、まず、極力、商用定期便が利用可能なうちに、在外邦人の出国、出境又は安全地帯への移動の確保に努めることになります。

 商用定期便での出国、出境が困難、あるいはそれだけでは不十分な状況に至った場合には、個別具体的な状況に応じ、あらゆる可能性を追求しながら、邦人の安全確保に万全を期するべく、政府として全力を尽くしてまいりたいと考えております。

宮澤委員 次は、もしものときですけれども、台湾とアメリカの関係、もしものときにアメリカはどういうふうに動いてくるのか、そして、そのアメリカに対して日本はどのように支援をしていくのか、この想定がなければ、これから計画というのを策定するのもなかなか難しい。それについて政府がどのように今捉えていらっしゃるのか、それについて見解を述べていただきたいと思います。

岸国務大臣 台湾をめぐる情勢の安定は、南西地域を含む我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要なことであります。

 先ほど外務大臣からも御答弁があったとおりなんですけれども、先日の日米2プラス2においても、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸関係の平和的解決を促していくことで一致しました。

 台湾のもしものこと、有事のことといいますと、仮定の質問にお答えすることは差し控えるところですが、我が国としては、台湾をめぐる問題について、対話により平和的に解決されることを期待するという立場であります。引き続き、関連動向を注視してまいりたいというふうに考えております。

 その上で、個別具体的な事例から離れて、あえて一般論で申し上げれば、重要影響事態に際し、自衛隊は、例えば、事態に対処する米軍等に対する補給、輸送といった後方支援や、捜索、救援、救助活動を実施することが可能であります。

宮澤委員 残りの時間で、尖閣諸島についてお聞きをしたいと思います。

 領域警備に努力されている海上保安庁の皆さん、警察の皆さん、そして自衛隊の皆さん、日頃の努力に本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

 特に、昨年は、十一月の二十日と二十一日に、長崎県の津多羅島におきまして、警察と海上保安庁と自衛隊の共同訓練、島嶼部における対処能力の向上、相互連携、この訓練がなされたというふうに聞いております。非常に実り多いものだったというふうな話も聞いているところでありますが、まず、この尖閣諸島の防衛については三つの視点があります。

 一つは、現行法体系、これを維持すべきだと私は考えます。

 まず、海保、警察による領域警備、そして、もしものときの事態認定、そして、自衛隊による治安出動、防衛出動、この法体系は崩してはならない。自衛隊に領域警備をやらせようという、そういう方々がいらっしゃいますけれども、これは多大な混乱を与える。むしろ、この事態認定をスムーズに行うことが私は大事だと考えております。

 二点目。

 だとすると、領域警備、この警備力の増強というものはどうしても必要になってくる。これは、令和四年度予算でもそうですが、その後においても、ちゃんと、領域の警備力、海上保安庁の増強、そして警察の装備の増強、これをやる意思があるかということ。これが二つ目に重要であります。

 三つ目。

 やはり事態認定、この事前準備はちゃんとしていかなければいけません。フィリピンにおいて漁船が二百二十隻押し寄せてきた。武装をしている蓋然性が極めて高い集団が不法に上陸するのであるならば、海上警備行動、治安出動の対象になりますが、丸腰じゃないのかという漁船に対してはどういうふうに認定するのか。こういう議論がまだ残っているわけなんですよ。

 そうすると、今申し上げました三点、現行法体系の維持、そして領域警備力の増強、そして事態認定の事前準備、これらについて総理の見解、さらには、今日、国交大臣と国家安全、いらっしゃっていると思いますので、警察力の増強についても見解を伺いたいと思います。

 以上です。

斉藤国務大臣 お答えいたします。

 武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であり、現行の法制の下、海上保安庁と自衛隊等との情報共有、連携の強化、各種訓練の充実などを推進しているところです。

 今後とも、海上保安庁において、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と連携し、事態をエスカレートさせないよう、冷静に、かつ毅然として対応を続けてまいります。

二之湯国務大臣 警察におきましては、国境離島への不法上陸事案、いわゆるグレーゾーン事態が発生した場合に備えまして、現行の法令に基づきまして、沖縄県警察本部に国境離島警備隊を編成しておりまして、そして、海上保安庁、自衛隊などと共同の訓練を実施しておりまして、そういう面で、いわゆる対処体制を編成しているわけでございます。

 仮に不法上陸事案があった場合には、今申しました海上保安庁そして自衛隊と連携しつつ、法に基づき的確に対処し得る体制を整えているところでございます。

岸田内閣総理大臣 ただいま国交大臣それから国家公安委員長からありましたように、今、現行の法制の下で、警察機関と自衛隊の連携、これをしっかり充実させようということで取組を進めております。

 そして、今後の取組については、法整備が必要という声もあります。その中で、各機関の連携を充実させ、円滑にさせるために必要なものはないか、こういった点については、訓練等を通じて検討はしていきたいと考えております。

 政府としては、海上保安庁と自衛隊の連携を含め、海上保安体制を強化して、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を断固守り抜く、こうした強い覚悟で、冷静かつ毅然と対応していきたいと思います。

宮澤委員 時間が来ましたので、以上とさせていただきます。ありがとうございました。

根本委員長 この際、宮崎政久君から関連質疑の申出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。宮崎政久君。

宮崎委員 自由民主党の宮崎政久です。

 質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 私、予算委員会で質問に立たせていただくのは初めてでございまして、地元沖縄はもとより、御支援いただいている全ての皆様に感謝と責任の思いを胸に今日は質問に立たせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、昨日でありますけれども、私の地元沖縄県で、名護市長選挙、南城市長選挙とございました。私ども自由民主党と友党の公明党が推薦をする候補者がいずれも当選を果たすことができたわけであります。とりわけ、名護市におきましては、普天間飛行場の移設先も抱えておりますので、投票日の当日は、県内の新聞は、辺野古、振興に審判と大きな見出しを掲げておりました。

 今日は、質問に先立ちまして、沖縄振興にも関わるところでございますので、まず岸田総理の受け止めをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、地方自治体の首長の選挙の結果について政府の立場から見解を述べることは控えたいと思いますが、一般論として申し上げれば、地方自治体の首長選挙は住民の方々にとって身近な事柄が争点になると認識をしております。

 その中で、二つの市長選挙、特に渡具知名護市長は、地域経済の振興や住民福祉の向上、こうしたものを訴えられたと承知をしております。

 政府としては、北部地域の振興を沖縄振興における重要な課題と位置づけて、引き続き、市長とも連携しながら、名護市そして北部振興に取り組んでまいりたいと考えます。

宮崎委員 ありがとうございます。

 もう一つあった南城市、これは西銘恒三郎大臣の本当にお膝元中のお膝元でございます。

 今年は五月の十五日に沖縄の本土復帰の五十年を迎えます。また、沖縄振興特別措置法の改正法案も今国会に上程することも予定しているという状況でございます。今後の沖縄振興との関連を踏まえて、西銘大臣の受け止めもお聞かせください。

西銘国務大臣 沖縄振興の観点からお答えしたいと思います。

 北部振興につきましても、離島振興と同様に沖縄振興の大きな課題の一つであります。今お話のありました南部地域の市長選挙でありますけれども、この市長選挙も住民の一番身近なところでのリーダーを選ぶ選挙ですので、住民の意思を謙虚に受け止めたいと思います。

 御案内のように、今年は沖縄が復帰をして五十年の節目を迎えます。この重要な節目に、引き続きまして担当大臣として、総理から日頃から言われているように、市町村長、地元に出向いて、現場の声を聞いて、地元の方々としっかり情報交換しながら、強い沖縄経済の実現に向かって、沖縄振興、法案の検討もいたしております、沖縄振興に係る施策を着々と進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

宮崎委員 ありがとうございます。

 もう一点、沖縄県でのコロナ対応についてお伺いしたいと考えております。

 実は、沖縄では、オミクロン株による感染が全国より先行いたしまして、感染が拡大をしております。その結果、PCR検査が検査体制の上限に近づきまして、検査を希望しても予約が取れない。一時は、予約をしようとしても五、六日後になってしまうという状況で、県民の間で検査難民という言葉も出るぐらいでありました。実は、最近は、全国でもこういった類いの報道を目にするところであります。

 こういったこともありまして、発熱外来を行う医療機関に患者さんが集中しているということもあって、救急医療の負荷を軽減する、緩和していくという必要がございます。

 そこで、今、沖縄では、県医師会などを中心としまして、抗原検査キットを活用するコロナ対応策として二つのものを検討しております。

 一つは、県民の皆さんが調剤薬局で抗原検査キットを購入して、自ら検査をしていただいて、陽性の値が出た場合には、医師が電話などのオンラインで問診をして、診断確定して、発生届をそれで出していただく。これによってしっかりと対応するという、いわゆる陽性者登録支援の取組。

 もう一つは、抗原検査センターをつくってしまいまして、ドライブスルー方式で抗原検査キットを無償で配付をする。そして、自ら検査をしていただいて、陽性の値が出た方については、問診を経て、そこにいる医師が確定診断をして、医師の指示に基づいて自宅待機であるとか医療機関への受診に振り分けていく、こういったことをしたいという取組であります。

 全国各地で感染が大変に広がっていくということになりますと、各地でも検査を受けられない方が多数出てしまうということが想定されますので、この我が沖縄での取組を全国の先駆けにしていきたいと考えているところであります。

 今、県医師会を中心に、県の薬剤師会などの協力で進めることを検討していますが、今申し上げた、例えば陽性者登録支援であれば電話問診による発生届で進めていってよいか、また、抗原検査センターであれば、キット確保、人員、医師の予算措置など、財政的な支援もお願いしたいと考えているところでありまして、このような取組について後藤厚生大臣の御意見を聞きたいと思います。

後藤国務大臣 今、宮崎委員からお尋ねの、抗原検査キットを活用した医師のオンラインでの診断につきまして、自治体において、新型コロナ感染が急拡大していると確認された場合には、医師が、患者の症状や周囲の感染状況、検査の有効性なども踏まえて、情報通信機器の画面から検査結果を確認すること等により、改めて検査を実施することなく、新型コロナウイルス感染症と診断し、届出を行うことができる旨をお示しをしているところでございます。

 また、抗原検査センターにつきましては、検査を集中的に行うところには人件費を含む運営費に対する補助を用意し財政支援を行うとともに、抗原定性検査キットを確実にお届けできるよう、買取り保証も含めて、メーカーに対して生産能力を最大限引き上げるよう要請もいたしております。

 引き続き、沖縄県を始め、各都道府県とよく連携しながら、検査体制の充実をしっかりと図ってまいりたいと考えております。

宮崎委員 後藤大臣、ありがとうございます。

 やはり、これはもう沖縄に限らず、国民の皆様の不安が広がらないようにしていく。対処ができるということが不安の低減になると思いますので、是非取組、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、国土交通省所管の建築工事受注動態統計調査、この不適切処理の問題について質問したいと思います。

 まず、受注統計というのは、国内建設業者の建築工事の受注動向や、公共工事、民間などからの受注工事の詳細、これを把握することによりまして、我が国の経済状況の基礎資料を得るというものであります。平成三十年に問題になりました毎月勤労統計調査と同様に、政府が作成する公的な統計の中でも最重要に位置づけられる基幹統計の一つであります。

 この重要な統計である建築工事受注動態統計調査に当たりまして、数値の合算の問題、二重計上の問題というものが発覚をしたというところで、パネルを御覧いただければと思います。

 この受注統計を作成する基となる資料は、毎月、企業さんの方から送付をされる前提となっておりますが、一部の企業の方からは、本来提出すべき時期に遅れるということも、これはあり得る話であります。この今見ていただいているパネルでは、六月分、七月分が提出をされずに、八月分に三か月分がまとめて提出されたという場合を想定して記載をしています。

 まず、本来であれば、八月分は、記載のとおり、一番左の端でありますけれども、六十億円なのでありますけれども、遅れて届いた六月分の三十億円、七月分の三十億円の受注高も合算をして、八月の受注高が六十億円ではなく百二十億円であると調査票を書き直して計上するという運用をしていた。これが合算問題と言われるものであります。

 また、これとは別に、こういうふうに調査票が提出されなかった月については、推計値を計算して、各月で推計額を受注高として計上するという取組もまた別途行われるようになりました。ここに書いてある例では、六月と七月は従前月から推計値を出して、六月は十五億円、七月は二十億円と推計計上をしたという例で記載をしております。

 推計の計算であるとかこの推計計上自体が悪いというわけではありませんけれども、推計値を計上したというのであれば、八月に六月、七月の調査票がまとめて提出されたという時点で、例えば、この推計値を控除して本来の数字を改めて加算するということをするべきでありますけれども、この推計値を控除せず、さらには、そのままにしたまま、六、七月分の受注分も引き続き八月分と合算して計上するという運用が継続していたということで、六月、七月の受注分は、推計値のものと実数のものとで二重にカウントされてしまっている。これが二重計上という問題であります。

 そして、担当者が合算問題に気づいて上司に報告をしたにもかかわらず、一向に是正されることがない。加えて、会計検査院から指摘がありながら、この指摘にも適切な対応が取られない。そして、昨年、この問題が報道に上げられたということを契機として、国土交通省内で第三者検討委員会が設置をされて、報告書では厳しい指摘の下で取りまとめが行われて、先週金曜日には、国土交通省で、事務方で十名の処分、斉藤大臣を始めとする政務三役の給与等の自主返納、また、総務省でも対応というようなことが発表されたというのが今日までの経緯でございます。

 まず最初に、国土交通省から、こういった二重計上、それとか、発覚後の対応が不適切であった、その原因についてどう考えているのか、認識を伺います。

和田(信)政府参考人 お答えいたします。

 調査の結果、いわゆる二重計上問題については、集計の実務を担当していた係長以下の者と推計方法の見直しを検討していた課長補佐以上の者との間で情報共有がなされておらず、情報の分断が生じていた、一斉点検や、総務省、会計検査院への不適切な対応などのいわゆる事後対応問題につきましては、幹部職員において責任追及を回避したいといった意識があった、業務過多と管理職の短任期が合わさり、管理職に、自らで問題を解決せずに先送りするインセンティブを有するという構造的な問題が存在したとなってございます。

 大臣官房始め国土交通省として、このように認識してございます。

宮崎委員 斉藤大臣から、また後で御答弁、頂戴いたしますので。

 長年にわたる不適切な処理が行われていたということであったり、問題発覚した後も適切に是正がされていない、これは組織として大いに問題であるということについても、報告書が指摘する、全くそのとおりです。ガバナンスが機能しないで、分かっているのに是正も図らなかった、これは信頼失墜行為の最たるものでありまして、私も本当にけしからぬことだというふうに思っております。

 また、今回の不適切な処理については、受注統計がGDP、国内総生産の算出の資料となっているため、その数値に誤りがあると歳入の予測にも誤りが生じて、その結果、この予算委員会で審議される予算案へも影響するんじゃないか、こういう懸念の報道も一部されております。この点も確認をしていきたいというふうに思います。

 また、別のパネルを御覧ください。

 まず、GDPの算定と今回の建設工事受注動態統計調査の関係でありますけれども、GDPの算定に当たって使われているのは建設総合統計というものでありまして、今回不適切処理が発覚した受注統計を直接には使っていないわけであります。ただ、この建設総合統計を算定するには今回の受注統計を使っている、こういう関係がありますので、両統計の関係を確認をするためにこのパネルを用意させていただきました。

 まず、建設総合統計というのは、現在の建設投資額、つまり現在時点で工事などが行われた額を調べるというものでありますけれども、現在の建設投資額、この図でいうと青いところでXと書いてありますけれども、現在の建設投資額というのはすぐに把握できないという事情もありますから、既に把握をしている過去のある時点の過去の建設投資額、これは青でAと書いてあります、このAに、赤い線にある一定の伸び率を掛けて現在額を推計するという仕組みになっております。

 この推計の際の伸び率については、建設分野で毎月の数字が把握できているのが受注統計でありますので、これを活用します。こういった関係に立っているわけです。

 受注統計では、左側の青いのと同じ過去のある時点、今度は黄色くなっていますけれども、過去の受注総額Bと現在の受注総額C、この二つは分かりますので、この二つを対比して伸び率を出す、この赤い線を出すというような形になります。この伸び率そのものでありますけれども、これは建設受注においても建設投資の分野でも同じと考えられますので、受注統計から算出された赤い伸び率を建設総合統計でも用いて、過去の建設投資額、青のAのところに伸び率を掛けて現在投資額のXを算出するということになります。

 じゃ、今回の受注統計における不適切な処理が建設総合統計にどう影響していくのかということであります。

 受注統計、黄色い方でありますけれども、受注統計の受注総額では、過去の時点でも現在の時点でも同じように、不適切な処理の影響という、上の方の緑で四角く囲んだ部分、緑の部分が計上されております。両方に同じように計上されて含まれているということになりますので、そうなると、伸び率そのものは比率計算でありますから大きく変わることがないということになって、これが右側の図にある、平行に示している二本の赤い伸び率という線になってまいります。こういった関係にある。

 不適切な処理がなされているか否かで、建設総合統計での現在の建設投資額の算定がどう影響するのか。こういった計算式の上で見ると、必ずしも大きく影響しているわけではないというふうにも言えます。

 国土交通省の方から、こういった考え方でいいか、ちょっと説明をお願いしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 委員が説明された内容のとおり、過去の建設投資額から現在の建設投資額を把握するために用いる建設工事受注動態統計調査の受注総額の伸び率を算出する際、過去の受注総額と現在の受注総額に二重計上等の不適切な数値が含まれていたとしても、同一の要因であれば、双方に同等の影響を与え、打ち消し合うことになるため、その影響は軽微であると考えています。

宮崎委員 今のこの建設総合統計の変動というところを踏まえて、報道にもありますとおり、GDPの数値にどういう影響が出るのかということについて、政府の見解、山際大臣からお聞きしたいと思っています。

山際国務大臣 御丁寧な御説明、ありがとうございました。

 今国土交通省の方からも委員からも御説明がありましたように、この受注統計の計算の仕方では、その図でいうと分母にも分子にも同じように影響しているものですから、伸び率という意味においてはそれほど変わりはないのではないかという説明だったと思っております。

 それに加えて、GDPに関して計算するときには、このGDPの推計は多くの基礎統計を利用しておりまして、その中の一つとしてこの建設総合統計が用いられているということ、そして、ただいまの国土交通省の説明によって、その影響が軽微である、この二つのことを併せて、GDPにおける影響は軽微であるというふうに判断しております。

宮崎委員 予算委員会、審議に入りますので、GDPへの影響、これははっきりさせておく必要がありますので、今質問をさせていただきました。

 ただ、このGDPへの影響というのを考えるときには、全体への影響ということと成長率への寄与というところの議論もあるわけでありまして、整理をするとこういうことになるというふうに思います。

 ただ、不適切な処理が是認されていくことは全くありませんので、再発防止策の検討などがこれから進んでいくと思いますけれども、しっかり取り組んでもらう必要があることは論をまちません。これはしっかりやっていただく必要があります。

 この関係で、ちょっと臨時国会の答弁との関係を整理させていただきたいと思います。

 斉藤国交大臣にお聞きしたいと思います。

 昨年の臨時国会で、この受注動態統計について、令和二年一月からは正しい手法、改善された手法で統計を取っている、前年度の数値を修正することにより正確に反映されている旨の御答弁がございます。その後、今回、報告書が提出されているわけであります。

 これを踏まえて、斉藤大臣の御認識を伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 お答えする前に、まず、国土交通省におきまして、受注動態統計調査、長年にわたり不適切な処理が行われていたこと、そして、それが発覚した後の事後対応が言語道断な対応であったこと等について、心からおわびを申し上げます。

 再発防止策をするためのタスクフォースを立ち上げました。また、正しい受注動態のデータをできる限り復元する、それは統計の専門家からも技術的に可能であるとも言われております。その遡及調査の委員会も立ち上げたところでございます。

 その上で、宮崎委員の御質問に答えさせていただきます。

 昨年の臨時国会での私の答弁でございますけれども、この二重計上について、検証委員会報告書においても、令和二年一月分から、過月分、過去の月の分を除外した上で、新たな推計方法で再計算されたとされております。昨年の臨時国会における私からの答弁は、このことを前提としていたものでございます。

 しかしながら、令和二年一月分以降の数値においても、今回の報告書にあるように、一部の都道府県で書換えが継続されていた可能性があること、それから、平成二十五年四月分から令和三年三月分までの調査で用いられていた回収率の計算方法に誤りがあったこと、それから、完成予定年月を受注月に修正する運用を行っていたこと、こういうことによる影響が存在しているということが報告書で書かれております。

 こういうことで、これらの影響が存在しているため、改善は行われたものの、これらの影響に伴って、令和二年一月分以降の数値にも正確とは言えない部分があったと考えております。

 昨年の臨時国会で、正しい手法、改善された手法と申し上げておりました。正しい手法は、改善された手法と同じことを言い換えて表現した趣旨でありましたが、令和二年一月分以降に残る影響を踏まえると、正しいとの表現については、事実を正確に反映した表現とは言い難い部分があったと考えております。

宮崎委員 ありがとうございます。

 総理にもお伺いしたいと思います。

 総理、臨時国会での御答弁の中で、令和二年一月からの数字の修正、改善を行った旨の御答弁がございます。

 第三者委員会の報告書がその後提出されておりますので、この点に関しての総理の御認識を改めて伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほど委員から説明がありましたように、この二重計上の問題が生じていたわけですが、この点について、国土交通省においては、令和三年四月分から集計方法を改め、令和二年一月分からは新たな方法に基づく数字を公表していた。

 昨年の臨時国会での私の答弁は、その時点の調査で明らかになっていた、こうした事実関係について説明をしたものであります。

 この点については、今回の報告書においても、令和二年一月分から、過月分を除外した上で、新たな推計方法で再計算されたと記載されており、臨時国会での答弁内容と同様の事実が確認をされているところです。

 しかしながら、その後、今回の報告書において、更なる複数の不適切な処分がなされていたこと、また、問題発覚後に国土交通省内部で不適切な事後対応の問題があったこと、こうしたことが明らかになりました。このことは極めて遺憾であると思っております。

宮崎委員 答弁を少し整理させていただきました。

 今、斉藤大臣からも国交省での再発防止策を検討するタスクフォースの件、また、先週水曜日に、統計を所管する総務省で、統計委員会での専門チームを設置されたと聞いております。斉藤大臣、金子大臣のリーダーシップで、実効性のある取りまとめをしっかりと進めていただきたいと考えております。

 こういう統計をめぐる不適切な事案が発生する背景には、政府において、統計が持っている価値が適切に認識されていないのではないか、統計が軽視されているんじゃないか、そういう疑念があります。

 統計は、国の政策を立案するに当たっての根幹、EBPMなどと最近よく言いますが、エビデンスとして重要であります。また、統計は、過去を計って将来を見据えるための重要性も高く、政策論争をするに当たっては、立場が違っても民主的な対話を進めるために共通の土俵であるということで、統計は公共財だなんという言い方もされます。

 イギリスやフランスなどで、組織だとか、統計に関わる職員の数はどれぐらいいるのか、総務省から簡単に説明してもらいたいと思います。

吉開政府参考人 お答え申し上げます。

 イギリス政府及びフランス政府のホームページの情報によれば、イギリスでは国家統計局を中心に統計職員数は約三千七百人であり、フランスでは国立統計経済研究所を中心に統計職員数は約七千五百人となっております。

宮崎委員 ありがとうございます。

 今答弁があったとおりでありますけれども、イギリスでは国家統計局というところで職員数三千七百人、フランスでは国立統計経済研究所で七千人という職員。我が国、翻って考えてみると、ちょっと教えてもらいましたが、令和三年四月一日時点では、各省またがりますけれども、国の統計職員千九百九十六人、二千人にも満ちていない、こういう状況であるということであります。

 人口規模が違います。といっても、人口規模といっても、この先ほど挙げた例の二つの国は日本の半分ぐらいの人口でありますから、人口十万人対比をしてしまうと四倍から十倍以上の差が開いているという状況であります。

 必要な人員を確保して、担当する職員の方に統計の専門知識を取得してもらう。さらには、役職上もその重要性に応じた評価をして、間違っても閑職のような扱いにしない配慮をする。組織としても、例えば統計庁のような、政府として集約する機関があってもおかしくないわけでありまして、この問題は政府として全体で取り組む必要があると思います。内閣官房の統計改革推進室は行革推進本部に移されていますから、牧島大臣の下で、各省庁、横串を入れるチェック体制も推進してもらいたいと思っています。

 また、今後の統計の在り方、企業や事業所に直接報告を求めて政府で統計を作成するというだけではなくて、いわゆるビッグデータという民間データをうまく活用するなど、時代の変化に応じた公的統計の整備を進めていくことも必要だと思います。

 消費行動では、例えばJCB消費NOWが使われています。また、人の移動は、よく出てきますが、携帯電話の位置情報も使われておりまして、こういったことから効率化というものを考えるべきだと思っております。

 データ社会と言われていますから、統計の持つ価値はますます重要で、DXを進めてスピード感のあるデータを使うことは成長戦略にも大きく影響すると思っています。

 この不適切な処理の問題、そしてまた、これからの統計の在り方、総合して岸田総理大臣の所見を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の国土交通省の検証委員会等の報告を受け、直ちに関係大臣に対し、再発防止に取り組むよう改めて指示を行いました。

 さらに、統計委員会において、国土交通省の検証委員会報告を精査し、統計作成上の問題点や課題を抽出し、各府省の基幹統計について集計プロセスを点検するとともに、再発防止策やデジタル化、それから人材育成などの公的統計の改善施策を取りまとめることとしており、関係閣僚に対して、こうした統計委員会の活動に協力し、統計の信頼回復に向けて全力で取り組むよう指示をいたしました。

 そして、デジタル化による公的統計の改善施策を検討する際には、総務省などの統計作成担当府省だけではなく、デジタル庁も協力していくということにしております。

 そして、御指摘の民間データの活用については、一部の公的統計の作成において取組が見られるようになったところですが、こうした取組も重要であると考えておりますし、こうした取組を拡大していくことによって、統計に回答する事業者等の負担軽減、そして正確な統計作成、こうしたものにしっかりつなげていきたいと考えております。

宮崎委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、和田義明君から関連質疑の申出があります。高市君の持ち時間の範囲内でこれを許します。和田義明君。

和田(義)委員 自由民主党の和田義明でございます。

 本日は、予算委員会で質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。委員長、理事そして委員各位に心から感謝申し上げます。

 また、冒頭でございますが、この二年間、コロナ禍で大変厳しい状況下、耐え忍び、社会を動かし、そして家庭を守り、勉学に励んでこられた全ての国民の皆様方に感謝と敬意を表したいと思います。

 最初の質問でございます。

 世界でオミクロン株の感染が拡大する中、昨年十月四日に岸田総理は御就任をされました。その後、水際対策の強化、病床の増強、そして三回目ワクチン接種の前倒しなど、矢継ぎ早に、果敢に対策を打ってこられました。

 オミクロンの病原性が未知数だった状況下、先手先手の対応は、私は正しかったと確信をしております。特に、水際対策の強化、これが行われたおかげでオミクロンの感染拡大までの時間を稼ぐことができ、そして、多くの国民が、完全とは言えないまでも、そこそこ日常に近い年末年始を過ごせた。大きな効果があったと思います。

 岸田総理にお伺いをします。

 総理に御就任されて、これまで打ってこられた主な感染症対策を改めて確認させていただきたいので、端的に御披露いただければと思います。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 私自身、総理に就任してから、デルタ株を超える強力な変異株が現れる、そうした最悪の事態を想定して、慎重の上にも慎重を期して、政府を挙げて取り組んできました。

 これまで、G7の中でも最も厳しい水準の水際対策により、海外からオミクロン株流入を最小限に抑え、国内感染の増加に備える時間を確保することができたと考えています。今後は、国内対策に重点を置き、少しずつ明らかになってきたオミクロン株の特性を踏まえて、めり張りの利いた対策へと移していかなければと考えます。

 全国で感染が拡大していますが、こうした状況も想定し、昨年十一月、全体像という計画を作成し、それに沿って、在宅、宿泊療養を含め医療体制の拡充を図るとともに、ワクチンの三回目接種の加速化による予防、無料検査の拡充による発見、そして経口治療薬等による早期治療への流れの強化に先手先手で取り組んできた、こうしたことでありました。

 内外のオミクロン株に関する科学的知見を集約しつつ、拡充してきた医療体制、これを何よりもしっかり機能させる、稼働させる、これが重要だと考えています。

 各都道府県知事との密接な連携の下、今後の状況を高い警戒感を持って注視しながら対応を進めていきたいと考えております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 総理から、まさにしっかりと機能させるというお言葉が最後にありましたけれども、四十七都道府県ある全ての自治体に、そして各医療機関にしっかりと機能していただく、これは本当に難しいことだと思っております。でも、そういった中、予防、検査、治療等々で抜けのないようなPDCAをしっかりと回していただいている、日々、このプロセス、これを磨いてくださっている、こういったことも非常にありがたいと思っております。

 次の質問に移ります。

 メディアでは、連日、新規感染者の数が非常に躍っていると言っても過言ではないと思っております。しかし、その一方で、デルタ株とオミクロン株の病原性は明らかに異なる、これははっきりしていることだと思っております。

 オミクロン株による重症者数、死者数、デルタ株の違いについてお示しをいただきたいと思います。厚生労働大臣、お願いします。

後藤国務大臣 国立感染症研究所におけるリスク評価も踏まえまして、直近の厚生労働省のアドバイザリーボードにおいては、オミクロン株はデルタ株に比べて、世代時間が約二日に短縮、倍加時間、潜伏期間も短縮しております。感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されております。相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低い可能性が示唆されておりますけれども、オミクロン株感染による入院例が既に増加している地域もある、そのような評価、分析がなされております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 日本では、オミクロン株の症例は急激に増えているものの、まだまだ母数は少なく、分析にも困難を極めておられるというふうにお察しをいたします。したがいまして、オミクロン株の病原性を把握するためには先行して感染が拡大した南アや欧米の症例を分析する必要があり、政府でもこの分析を日々進めていただいていると認識をしております。

 オミクロン株は、基礎疾患がない場合は肺までウイルスが到達しにくいといった評価も漏れ聞こえておりますけれども、オミクロン株の病原性について、特に重症化や死亡のリスクについて、最新の日本政府の分析状況について御披露ください。よろしくお願いします。

後藤国務大臣 今、和田委員御指摘のように、オミクロン株による感染拡大については、諸外国でまず拡大していることから、諸外国におけるオミクロン株に関する科学的知見を収集することは非常に重要であると考えております。

 国立感染症研究所のリスク評価によりますと、オミクロン株の病原性について、入院に至るリスクは、英国健康安全保障庁の分析ではデルタ株の約三分の一、南アフリカ国立感染症研究所の分析では約五分の一などと報告されております。

 ただし、これらの報告では、オミクロン株の感染例が若年者で多く、自然感染やワクチン接種による免疫の影響が考慮されていない等、様々な制限があることを踏まえますと、更なる知見の集積も必要であると考えております。

 引き続き、オミクロン株について、国内外の様々な科学的知見を収集しながら、国民の皆様の安心確保に取り組んでいきたいと思います。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきます。

 オミクロン株が蔓延し始めてからのG7諸国の感染症対策と、重症者、死者数の相関関係についてお示しいただきたいと思います。

 特に、飲食、旅行、テレワーク等々における対策について、G7諸国はどのような対策を打っているか、こういったことをお伺いしたいと思っております。

 先般、英国のジョンソン首相が、マスクの着用の義務化、これを撤廃するといった発言もございました。この是非は当然問われるところではありますし、まだ分からないことが多く、どこが正しいというふうに言えないところも多々あると思います。しかし、現状確認のために、G7諸国のこういった対策について御披露いただけたらと思います。よろしくお願いします。

後藤国務大臣 各国は、その感染状況のみならず、それぞれの事情を基に対策を講じております。

 感染症対策とオミクロン株の特性との関係性を必ずしも明らかにできないというふうに考えておりますけれども、まず最初に、一般的に、マスク着用等の標準的な感染対策は有効と考えられ、取られていると思います。

 また、網羅的に調査しているわけではありませんけれども、厚生労働省として把握している限りでは、フランス、ドイツでは昨年十二月からマスク着用が義務化されており、いずれの国でも、ロックダウンのような強い外出自粛制限は実施されていないというふうに承知しております。

 さらに、旅行、テレワークにおける対策については、例えば飲食店利用時におけるワクチン接種証明書等の提示では、イギリスでは十二月、フランスでは八月、ドイツでは一月から提示が義務化され、旅行については、フランスでは八月からワクチン接種証明書の提示の義務化、テレワークについては、イギリスでは十二月から在宅勤務の推奨、フランスでは一月から実施可能な企業に最低週三日のテレワークの実施を義務化しているものと承知をいたしております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 G7諸国で、飲食における時間制限ですとか、あと、お酒の制限、こういったものがあるところを御認識されていますでしょうか。念のため、確認をお願いします。

後藤国務大臣 網羅的な調査をしているのではないので、今ここで確たる御答弁ができないことをお許しいただきたいと思います。

和田(義)委員 ありがとうございます。

 ここは大変重要なポイントになってくると思いますので、是非継続的に調査をお願いしたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、オミクロン株の病原性、これは政府は調査中というようなことでございますけれども、重症化や死亡のリスクはデルタと比べて相当程度低いというふうに考えられております。今大臣の方からも、入院のリスク、これはすなわち重症化のリスクだというふうに思いますけれども、イギリスではデルタの三分の一、南アでは五分の一というふうなお話がございました。

 病原性の前提条件が変われば、例えば蔓延防止等重点措置などの感染症対策の前提条件も変わるはずでございます。私は、動かせる経済は動かさなければいけない、そのように考えております。既に首都圏などで蔓延防止等重点措置となっておりますが、経済活動をデルタのときと同じように制限することの是非についてお示しいただければと思います。よろしくお願いします。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、オミクロン株の性状はデルタ株と大分違うということが分かってきておりますので、それに対応して、めり張りの利いた対策をするということをやらせていただいております。

 専門家からは、社会経済活動の広範な制約ではなく、マスクを着けずに大声で会話をするリスクの高い場面での人数制限などが諸外国の例を見ても有効であるという御指摘をいただいております。このため、大人数、長時間の飲食や酒を伴う飲食など、感染リスクが高まる行動をできる限り避けるといった観点から、飲食店の時短要請等、オミクロン株の特性を踏まえた、めり張りの利いた対策を講じることとしております。

 また、専門家からは、感染拡大から遅れて重症者が増加するリスク、あるいは、感染者数が増加すると、軽症者であってもエッセンシャルワーカーの休業が増加して社会経済の維持に支障を来すリスクがあるというふうな御指摘もございますので、政府といたしましては、確保した医療体制をしっかり稼働させるとともに、繰り返しになりますけれども、めり張りの利いた対策によって感染者数の増加を抑制することで、社会経済活動の維持と感染防止対策の両立、これをしっかり取り組んでまいりたいと思います。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 国民の命を守るということ、そしてしっかりと社会を回していくこと、これを担保するために、今、デルタのときと同様の対応を取っておられるというようなことで、非常に明確な御回答をいただきました。ありがとうございました。

 また、今後、オミクロンの進捗が進むにつれて、これの病原性がよりはっきり分かってくると思います。動かせる部分があったら、たとえ少しであったとしても動かしていく、こういったところを改めてお願いを申し上げたいと思います。

 次の質問に移ります。

 ワクチン接種におきましてファイザーとモデルナを選定したこと、これは大変正解だったというふうに考えております。

 オミクロン株におけるワクチンの効き目でございますけれども、これはデルタと比べて同様なのか、それとも優れるのか、劣るのか、この点についてお伺いをしたいと思います。また、これを三回目の接種によって、どの程度、劣っている場合には挽回できるのか、また、経口治療薬の効果などについて厚労大臣にお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 ワクチンの効果についてお答えいたしますが、一月十三日に公表された国立感染症研究所の報告書によりますと、オミクロン株に対する、一、二回目接種により、発症予防効果はデルタ株と比較して低下するものの、三回目接種により発症予防効果は回復することが示唆されております。また、オミクロン株に対する一、二回目接種による入院予防効果は、デルタ株と比較して一定程度の低下は認めるものの、発症予防効果と比較すると保たれている、加えて、三回目接種により入院予防効果が回復することが示唆されております。

 オミクロン株に対する三回目接種は有効でありまして、希望する方が早期に接種できるよう、引き続き、自治体と連携をして取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 それから、治療薬の効果についてでございます。

 オミクロン株に対する治療薬の効果については、有効性が期待されるものと有効性の低下が報告されているものがあると承知しております。

 抗ウイルス薬であるレムデシビル、モルヌピラビル及び中和抗体薬であるゼビュディについては、製造販売事業者より、オミクロン株に対して一定程度の有効性が期待されると報告されております。一方、中和抗体薬であるロナプリーブにつきましては有効性の低下が報告されておりまして、オミクロン株に感染していることが明らかな場合や、その蓋然性が高い場合に本剤を投与することは推奨されないと承知しております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 この二年の大変厳しい期間を経て、ワクチンの接種も進み、そして経口治療薬も少しずつ開発され、そして市中に流れてきたというようなことでございます。去年では考えられなかった状況でありますし、私たちは、コロナに対して、ワクチンというよろいと、あと経口治療薬という刀を持って対峙できるようになった。これは非常に大きなことだと思います。

 次の質問に移ります。

 今話に上がりましたワクチンの接種率でございますけれども、二回接種をした率、これは八割に到達する勢いになっておりまして、これはG7諸国の中でトップということで、改めて、このワクチンオペレーションを率いてこられました政府、関係各位に敬意を表したいと思います。

 この三回目のワクチン接種、随時始まるというふうなことでございますし、既に、医療関係者においては二か月、一般国民に対しては一か月、接種を前倒ししていただいたというふうに理解をしております。

 このワクチンでございますけれども、現段階で、ファイザーとモデルナのワクチンの在庫でありますけれども、何人分の在庫があるのでしょうか。そして、こういった在庫をもって、これから更なる前倒し、三回目のワクチン接種の前倒しというのは可能なのかどうなのか、ここのところをお答えください。よろしくお願いします。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの三回目接種が始まる前には、一、二回目接種用として自治体に配送したものの未使用であったワクチンが約九百万回分あったと承知しておりますが、これについて、三回目接種に用いることとしております。

 また、昨年中に千六百万回分のワクチンを配送したほか、国としては、在庫を持たずに輸入されたワクチンを順次配送することといたしておりまして、今週も約千六百万回分を配送中でございます。

 さらに、四月までに使用するワクチンについても、都道府県別の配分量をお示ししておりまして、これによって、三回目接種の対象となる一億人の方の約八五%に当たる八千五百万回分をお示しをしております。

 そうした中で、一月、二月に山場を迎える高齢者など三千百万人を対象とする前倒しの加速を図る必要がありまして、自治体の皆様の御協力、また国民の御理解をいただきたいというふうに思っております。

 高齢者以外の一般の方、五千五百万人についても一か月前倒しをし、余力がある自治体につきましては、順次、できるだけ多く、更に前倒しを行っていただきたい。六か月の前倒しまで可能でございますので、是非そのように推進をしてまいりたいと思っております。

和田(義)委員 ありがとうございました。

 九百万回分の在庫がある、それに加えて、これから順次入ってくるものがあるというようなことで、大変大量のワクチンを短期間にこれから入れるというようなことでございます。

 実際に接種を行う方々、そしてそれを管理する自治体の方々、やはりしっかりとスケジュール管理をしなければ大変だと思います。本当に御苦労いただいていると思います。ただ、やはり、打てる人に一人でも多く打っていく、これがすなわち国民の命を守ることに直結するわけでございますので、フォーマリティーにとらわれず、一人でも多くの方に一日も早く打っていただく、このことを引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、今年の冬、日本全国で豪雪に見舞われた地域が大変多うございました。この豪雪のところについて、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 北海道札幌市におきましては、一九九九年に観測を始めてから史上一位を記録しました。また、北海道の千歳市、石狩市、留萌市、宗谷市などでも、積雪深、雪の積もった高さですね、これが例年の二倍を記録しておりまして、ポイントポイントで観測史上一位を記録しております。

 こういった状況下、北海道の多くの地域において、例えば国道の二車線が一車線になって大変深刻な渋滞が起きるですとか、また、裏道なんかですと、もう完全に埋まって車が通れない、人が家から出れない、そういった状況も生じておりました。

 国土交通大臣、そして総務大臣にお願いでございますけれども、是非、この除雪、排雪の予算、そして除雪のマンパワー、そして機材、こういったものの御支援、これはこういった、もうほぼ災害のような状況でありますので、是非ともお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

斉藤国務大臣 この冬は、年末から度々寒気が入り、北日本や日本海側を中心に大雪となっております。このため、道路除雪に必要な予算や人材、資機材の確保が地方公共団体にとって非常に重要な課題になっております。

 道路の除雪費用については、年度当初に、防災・安全交付金、いわゆる防安交と言われるものですが、配分して、除雪の費用に充てていただいております。また、今年はこれに加えて、地域の降雪状況に応じて、三月を目途に予算を追加配分することとしております。今年は、例年二月に実施している地方公共団体への除雪費用の執行状況等の聞き取りを一月に前倒しして実施しております。

 また、道路除雪に必要な資機材については、市町村から御要望があれば、国が保有する除雪機械を貸し出すことが可能となっております。

 同様に、除雪のための人材についても、国の除雪機械をオペレーターとセットで派遣している実績があるため、市町村の御要望を踏まえて対応していきたいと考えております。

 国土交通省としては、今後とも、地方公共団体が除雪体制を確保、充実できるよう支援してまいります。

金子(恭)国務大臣 昨年十二月中旬以降、北日本や日本海側を中心に大雪となっており、降雪量の多かった自治体においては、多額の除排雪経費が生じていると承知しております。

 自治体の除排雪経費につきましては、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置し、実際の所要額がその措置額を超える場合には特別交付税により更に対応することとしております。

 現在、自治体の状況を丁寧にお伺いしながら、特別交付税の三月交付に向けて算定作業を進めているところでございます。

 自治体の財政運営に支障が生じないよう、しっかり対応してまいります。

和田(義)委員 両大臣から大変心強いお言葉をいただきました。誠にありがとうございます。

 また、ちょっと通告はないんですけれども、これは厚労大臣にお願いでございます。

 訪問看護や介護の仕事が、非常にこの雪の影響で困っているというような状況にございます。

 豪雪という不可抗力の中で、時間どおりに場所にたどり着けない、そういったときに、例えば十分遅れても一時間分減算されてしまうとか、又は、高齢者の方をピックアップに行っても、近寄れないから除雪までして、そして高齢者の方をお連れする、そういったことも現場であります。

 何とぞ寛大な御措置をいただきますよう、お願いします。

 最後の質問でございますけれども、第二青函トンネルに関してでございます。

 今既に走っている青函トンネルがあるわけでございますけれども、もう一本、本州と北海道の間にトンネルを通して、そして二階建て構造にして、貨物列車と、そしてトラックを走らせよう、こういった構想がございます。これは北海道の経済団体が、日本プロジェクト産業協議会、JAPICと研究しているものでございます。

 北海道は、日本で最大の農水産品の産地でございます。ある意味、日本の食料基地でございます。そういった状況下、北海道は、まだ本州と陸路でつながっておりません。市場価格は東京などの大消費地で決まってまいります。一方で、その市場価格を何とか守るために、いろいろなコスト負担、時間の負担、こういったことが北海道の生産者に降りかかっており、北海道の豊かさを阻害していると言っても私は過言ではないと思っております。

 これを、このトンネルを通すことで、トラックの輸送料、これが半減できるといった調査結果も出ております。そして、何よりも、物を大消費地に送る時間、これが大幅に短縮できる、こういった話も出ております。

 同時に、新幹線、北海道新幹線でございます。今、札幌延伸に向けて目下工事中でありますけれども、貨物列車と同じ今の青函トンネルを通っている背景から、本来の新幹線のスピードが出せない、こういった状況もあり、これは北海道にとっても大きな、経済効果的にはマイナスが生じている次第でございます。

 この第二青函トンネルでございますけれども、私は実現するべきと考えておりますけれども、国土交通大臣の御所見を最後に伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 北海道は、我が国を代表する農林水産品、畜産品等の産地であり、最大の食料供給基地となっています。そのため、北海道から本州への安定的な貨物輸送の確保は非常に重要であると認識しています。

 委員御指摘の第二青函トンネル構想に関しては、幾つかの民間団体において検討されていると承知していますが、膨大な建設コストや長大な海底トンネル特有の維持管理費用など様々な課題があることも事実であり、関係者の今後の検討状況を見守りたいと思っております。

和田(義)委員 ありがとうございました。これで終わります。

根本委員長 これにて高市君、上川君、宮澤君、宮崎君、和田君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。竹内譲君。

竹内委員 公明党の政務調査会長の竹内譲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まずコロナ対策についてお伺いいたします。

 日本は、今、オミクロン株による感染急拡大という新たな課題に直面をしています。オミクロン株の正体がよく分からないことが、国民の皆様の不安にもつながっていると思います。オミクロン株の感染力や重症化リスクなど、現時点での最新の分析を国民に分かりやすく伝えることが重要と考えます。

 連日の新規感染者数は、昨年夏のデルタ株の感染拡大時を大幅に超えて増えており、感染拡大の波は更に拡大していく可能性があります。既にPCR検査自体が目詰まりしているとの報道もあります。こうした感染状況の把握に加えて、病床など医療提供体制の状況や、保健所の疫学調査の在り方や、あるいは健康観察が滞っていないかなどをつぶさに点検し、コロナ対策に当たることが大切です。

 改めて、オミクロン株の最新の分析とともに、感染拡大の今後の状況や、検査、医療提供体制の状況を踏まえ、今後の蔓延防止等重点措置の適用やワクチンの追加接種、経口薬の投与、保健医療体制の見直しや強化など、第六波を抑え込む戦略と総理の決意をまずお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、新型コロナへの対応は、政権の最優先課題であり、最悪の事態を想定して、政権を挙げて、政府を挙げて取り組んできたところです。オミクロン株については、まだ未知のことも多く、全てを見通した上で判断を行えるというわけではありませんが、専門家の意見を伺いながら、過度に恐れることなく、最新の科学的知見に基づく対応、これを冷静に進める覚悟です。

 そして、御質問の蔓延防止等重点措置の適用については、今、大阪、京都、兵庫の関西二府一県や北海道などから要請をいただいているところですが、政府としては、第一に、確保した医療体制がしっかりと稼働するよう各自治体に更に準備を進めていただくこと、また、第二に、めり張りのついた対策を講ずることにより感染者数の増加を抑制すること、こうした観点から、自治体と連携しつつ、関係大臣と協議を行い、基本的対処方針に基づき、速やかに判断をしたいと思っています。

 また、現在、全国で感染が拡大しておりますが、こうした状況も想定し、昨年十一月、全体像を明らかにしたわけですが、この全体像に沿って、在宅、宿泊療養を含め医療体制の拡充を図るとともに、ワクチンの三回目の接種による予防、そして無料検査等による発見、そして経口治療薬等による早期治療、この流れを強化し、先手先手で取り組んできました。これから大事なのは、そうした体制をしっかり機能させることであると思っています。

 感染が急拡大した地域においても病床が逼迫するような事態になることがないよう、引き続き、都道府県としっかり連携しながら、高い警戒感を持って対応に当たっていきたいと考えております。

竹内委員 そこで、今後、自宅療養者の急増が懸念されています。オミクロン株の重症化リスクは低いとの指摘もありますが、感染者が増えた分だけ保健所業務には負荷がかかります。このような状況下では、自宅療養者に対して適切に健康観察や医療の提供を行えるかが大きな課題となります。保健所だけでなく、地域の医療機関などと連携を強化して自宅療養者への対応に当たることが大変重要であります。

 そうした自宅療養者への訪問診療を行う先駆け的な民間チーム、KISA2隊というのがあるんですね、キサツタイと読みます、の本部が私の地元である京都にありまして、先日、視察をいたしました。

 このKISA2隊は、昨年二月に結成され、医師や看護師、薬剤師など約五十人のメンバーで構成されるチームで、防護服を着て、二十四時間三百六十五日、自宅療養者の往診に当たり、これまでの訪問診療は延べ五千回を超えていると言われております。昨年、抗体カクテル療法を往診で初めて投与したチームでもありまして、その中心的な存在である守上佳樹医師は、あと一時間遅ければ亡くなったケースもあった、また、オミクロン株が急拡大している今も、くじけずに頑張っていますと決意を語ってくれました。

 自宅療養を余儀なくされる方々が安心して過ごせるように、こうした取組を地域の実情に応じて全国的に広げていただきたいと思います。政府として、地域の重層的ネットワークの構築、そして自宅療養者への支援体制の強化に向け、財政支援も含めて迅速かつ強力に取り組んでいくべきと考えます。

 総理の見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 重症化率が低いと言われているオミクロン株への対応において、専門家からも、軽症の自宅療養者の増加に対応した医療体制の確保が重要であるという指摘をいただいております。

 政府としても、在宅、宿泊療養に対する地域の医療機関を、全国一・六万、全体像の計画の更に三割上回る体制を準備するとともに、ITも活用しながら、保健所に頼らず地域の医療機関において健康観察等を実施できる体制の構築、さらには、パルスオキシメーターを自宅療養開始当日ないし翌日に配付する体制の構築など、先手先手で取り組んできました。

 さらに、今後増大する在宅療養への対応力を更に強化するため、パルスオキシメーターの増産、これにも取り組んでいるところです。

 そして、財政支援にも御質問ありましたが、財政支援については、これまで総額約六・八兆円の予算を確保するとともに、昨年秋以降は、自宅、宿泊療養者への往診等について、診療報酬上の特例措置、これも講じているところです。

 こうして拡充してきた医療体制をしっかり機能させ、病床が逼迫するような事態になることがないよう、高い警戒感を持って対応を続けていきたいと考えております。

竹内委員 ありがとうございます。

 診療報酬だけではなくて、いろいろな間接経費がいろいろかかっているそうでございますので、是非、様々な御配慮をお願いしたいというふうに思っております。

 さて、次に、コロナ対策として、今、パネル1を御覧ください。

 新型コロナの感染が拡大する中、保健所や、小学校の臨時休校や子供の感染などにより、保護者の方々がお子さんの世話をするために仕事を休む必要性が生じています。そうした方々が安心して仕事を休めるように、年次有給休暇ではない特別の有給休暇を取得させた事業主に対して、小学校休業等対応助成金という制度が既にあるんですね。

 この助成金は、正社員だけでなく非正規雇用で働く方も対象となる。また、中小企業だけでなく大企業も利用することができ、事業所単位ではなく法人ごとの申請となっています。

 この対象期間は、昨年十二月末まででしたが、公明党の提言も踏まえ、本年三月末まで延長されました。こうした制度を是非積極的に活用していただきたいと考えます。

 しかし、現場からは、延長されたことを知らなかったとか、それから、周知も不十分なため利用できなかったとか、あるいは、職場が申請してくれないとか、そういう声も、実は多数、私どもの方に寄せられております。私のところにも、直接そうした声が届けられました。

 今月から学校が始まり、お子さんの感染が拡大しているとの報道や、学校の臨時休校が増えてきております。こうした場合に、保護者の方々を支援するためにつくられた本助成金は大変有益な制度であり、政府においては、事業主や労働者の方々に丁寧に周知徹底し、手続の簡素化も含めて活用が進むよう努力していただきたいと思います。

 改めて、総理の御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 小学校の臨時休校等により仕事を休まざるを得なくなった保護者を支援するための小学校休業等対応助成金については、政府としても、保護者の方が必要な休暇を取得できるよう、是非、事業主の方に活用していただきたいと考えています。

 今般、学校現場等に対して保護者への周知依頼を改めて行ったところですが、引き続き、事業主団体への周知を図るなど様々な機会を通じて丁寧に周知を行い、本助成金の活用が進むよう努めていきたいと考えております。

竹内委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、次に、パネル2を御覧ください。また同時に、資料3も御覧ください。

 二年に及ぶコロナ禍で、日本の名目GDPは大きく減少しております。にもかかわらず、不思議なことに、税収が増加しているわけであります。この資料1を御覧になっていただくと分かるように、令和元年から令和三年でトータル五兆四千億円も税収が増加しているんですね。内訳は、所得税が九千億円、法人税が二兆一千億円、そして消費税が二兆八千億円ということで、驚くべき、前代未聞の現象であります。

 その要因は何か。実は、令和三年度補正予算審議のときもお伺いいたしましたが、改めて財務大臣にお尋ねいたします。

鈴木国務大臣 直近二年の税収につきましては、令和二年度の決算税収は六十・八兆円であり、前年度から二・四兆円の増加、令和三年度の補正後税収は六十三・九兆円となり、前年度から三・一兆円の増加となっております。

 この背景でありますけれども、令和元年十月の消費税率引上げによる増収に加えまして、一部の業種は大変厳しい状況にある一方において、好調な輸出やデジタル化等を背景に、製造業等を中心に全体として企業業績が改善していること、また、各般の感染症対応の効果もあって、雇用、賃金が下支えされるとともに、株式譲渡益が増加していることなどが背景としてあると考えております。

竹内委員 資料の2というのもございまして、お手元に、これも御覧いただきたいわけでございますが、幾つかの点を指摘しておきたいと思うんですね。

 日銀短観などによれば、この資料2は日銀短観の資料ですが、大企業製造業が牽引役として大きく貢献したと推察されます。また、中国やアメリカの景気回復が二〇二〇年度内に進んだことがあります。また、円安効果などがあったことも事実です。そしてまた、日本の大企業製造業の海外投資が非常に進んでいたということが背景にあるわけでございます。さらに、ここで見ても分かりますように、国内の卸、小売業も、巣ごもり需要やEコマースのデジタル需要により増益となったわけであります。企業活動の自粛は二回目以降は飲食店などに絞ったことも指摘されております。

 二〇一九年十月に引き上げた消費税は、二〇二〇年にはこれが通年化いたしますので、先ほど大臣からあったように、当然、増収となります。今後、家計最終消費支出が、コロナ禍の収束が前提でありますが、もし二〇一九年度並みに戻るとすれば、計算上は、消費税収は一・七兆円も増えることになるわけでございまして、これは当然、社会保障財源に充てられることになるわけであります。

 所得税の落ち込みもありませんでした。二〇二〇年度内に株価が上昇したことにより、譲渡益課税の増加を通じて所得税収が押し上げられたわけであります。背景には、日本企業のファンダメンタルズへの期待感があることや、アベノミクスによる金融の量的緩和が株価を支えたことも要因として挙げられるわけであります。

 しかし、それだけではありません。やはり、雇用調整助成金などの経済支援策によって多くの企業が倒産を免れ、雇用を維持できたことが大きい。もしも倒産、失業、個人破産などが増大していれば、消費支出は悪化して、所得税収や消費税収は大きく下落していたはずであります。また、企業に対する融資も、その規模とスピードの点で多くの企業の破綻を防いだことも大事な視点であると思っているわけであります。

 あるエコノミストはこのように指摘しております。名目GDPが減少しても税収が増加した背景には、雇用や所得、企業経営を支援してマクロのダウンサイドリスクを最小化しつつ、海外のリバウンドのチャンスを得たことがある、水面下で政府が危機能力を発揮した点を見逃してはいけない、そういう指摘もあるわけであります。

 さて、そこで、今後の経済財政運営の考え方につきまして総理にお伺いしたいと思います。

 ただいまの税収増加の結果として財政再建が進むでしょう。計算上は、二〇二六年度にも基礎的財政収支が黒字転換できることになります。このことから学ぶべきことは、目先の財政赤字にとらわれ過ぎて、国民生活や経済を守るための政府支出を惜しんではならないということであります。もちろんコロナ禍の収束が前提ではありますが、恐らく、税収弾性値が上昇していくので更に財政再建が促進されるでしょう。

 新しい資本主義の理念の下、人への投資が重視され、賃上げの必要性が叫ばれています。しかし、それを実現するためには、まずデフレ経済を脱却することが前提であります。なぜなら、依然として大きなGDPギャップが存在するからであります。

 資料3を御覧ください。

 二〇二一年七月から九月期では、マイナス四・八%、約二十七兆円程度のGDPギャップが存在しております。物価上昇率も依然として低いままであります。これらの事実を無視して、アメリカのように量的緩和を縮小したり、目先の財政再建を焦って短兵急に政府支出を抑制したり、あるいは増税の流れをつくってしまっては、デフレから脱却できず、経済は再生しません。当然、賃上げができるはずもありません。私は、バブル崩壊以降はその失敗を繰り返してきたのではないかというふうに感じております。

 まずは、コロナ対策をしっかりと実施して、オミクロン株の収束を図るとともに、令和三年度補正予算、令和四年度予算の十六か月予算を迅速に執行して、速やかにGDPギャップを解消し、国民生活と経済の再生を図るべきと考えます。

 岸田総理の今後の経済財政運営についての見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、新型コロナの危機を乗り越え、経済をしっかり立て直す、そして財政健全化に向けて取り組んでいく、これが私の経済財政運営の基本であります。

 まずは、新型コロナとの戦いに打ちかち、経済を再生させるために、危機に対する必要な財政支出、ちゅうちょなく行い、万全を期したいと思います。

 そのために、総額五十五・七兆円の大規模な経済対策を実行するための令和三年度補正予算、これを速やかに執行するとともに、いわゆる十六か月予算として一体的に編成し、そして審議入りを行ったこの令和四年度予算の早期成立、これに全力を挙げていきたいと思います。

 そして、新しい資本主義の下、デジタルや気候変動対応などに官民の投資を集め、社会課題を成長のエンジンへと転換するとともに、分配戦略を通じて成長の果実を幅広く分配し、次の成長につなげる、こうした好循環を生んで、デフレからの脱却、おっしゃるように、これは大事であります。しっかりとデフレからの脱却を成し遂げるとともに、社会課題を解決しながら、持続可能な経済社会をつくっていきたいと考えております。

竹内委員 そこで、次に、人への投資の問題に移っていきたいと思っております。パネル3を御覧ください。

 非正規雇用について伺います。

 我が国の非正規雇用労働者数は、二〇一〇年以降増加を続け、昨年は減少に転じたものの、その人数は二千九十万人に上り、雇用者全体の三七・二%を占めます。非正規雇用には、賃金が低い、能力開発の機会が乏しい、福利厚生等が不十分などの課題があります。

 昨年四月からは、不合理な待遇差の解消や待遇に関する説明義務の強化などの改善策を盛り込んだ、改正パートタイム・有期雇用労働法が全面的に施行されました。その施行状況について、厚生労働省が昨年十一月に行った調査によると、同一労働同一賃金など、雇用形態による待遇差の解消、縮小に取り組んでいる又は待遇差はないという事業所は八六%に上っております。一方で、依然として、一二%の事業所が取り組んでいないと回答しており、着実な履行が不可欠です。

 岸田総理が掲げる新しい資本主義の下、二千万人を超える非正規雇用の方々が成長と分配の好循環を実感するためには、雇用形態にかかわらない公正な待遇確保が重要であります。そのためには、行政等による助言指導や、キャリアアップ助成金というのがあるんですね、正社員化したときに中小企業等に助成金が支払われるというものであります。このキャリアアップ助成金による正社員化や処遇改善などを着実に推進すべきと考えます。

 総理の御見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 政府としましては、誰もが納得した待遇の下で、一人一人の希望に応じて、多様で柔軟な働き方を選択できる社会、これを実現していくことが重要であると考えます。

 同一労働同一賃金については、労働局による助言指導等により、法の履行確保、これを図るとともに、事業主向けの周知や個別相談への対応など、企業への必要な支援を行うことによって、雇用形態にかかわりない公正な待遇、これを確保することに向け、全力で取り組んでまいりたいと考えます。

 そして、非正規雇用の方の正社員化については、御指摘のキャリアアップ助成金等による支援、もちろん大事ですし、それに加えて、今般、人への投資を抜本的に強化するため、三年間で四千億程度の施策パッケージを創設いたしました。非正規雇用の方を含め、再就職や正社員化に向けた学び直し、あるいは職業訓練、これを強力に支援をしていきたいと考えます。

竹内委員 そこで、次に、パネル4を御覧ください。

 非正規雇用で働く方々は、正社員に比べて教育訓練の機会が少ないといった課題も指摘されています。今総理がおっしゃったとおりであります。そうした非正規雇用で働く方などのセーフティーネットが求職者支援制度でございまして、生活費として月十万円を受給しながら、無料の職業訓練を受けることができる制度です。より利用しやすい制度にとの公明党の提言を踏まえ、コロナ禍での特例措置として、今回、転職せず今の職場でスキルアップを目指す方にも対象を拡大したほか、世帯収入の上限を月二十五万円から新たに月四十万円に緩和しました。この特例措置は、コロナ禍が長期化している状況も踏まえ、今後、延長するとともに、恒久化を是非検討していただきたいと思っております。

 また、昨年十月からは、パソコンとインターネットを使い、自宅でも教育訓練を受けられるEラーニングコースが創設されているわけです。例えば、離島にお住まいの方など自分のニーズに合った教育訓練を地域で受けられない方や、子育てや介護などで外出に制限があり、これまで教育訓練を受けることが難しかった方が、Eラーニングにより、全国どこからでも自宅にいながらそれぞれのニーズに合った教育訓練を受けることができるようになりました。

 Eラーニングは、デジタル分野と親和性が高く、デジタル人材の育成が期待されますが、訓練を実施する事業者からは、申請手続が非常に煩雑であるといった声が寄せられております。申請手続を簡素化して幅広い事業者の参画を促すことで、デジタル分野を始め多様なニーズに応えられるように、Eラーニングコースの訓練内容を充実させていくことが重要と考えます。

 オミクロン株感染の急拡大や人への投資の重要性に鑑みると、現在、特例措置として行っている要件緩和の延長、恒久化や、申請手続の簡素化によるEラーニングコースの充実などを図る必要があると考えますが、改めて、求職者支援制度についての厚労大臣の答弁をお願いいたします。

後藤国務大臣 求職者支援制度につきましては、今、竹内政調会長から御指摘のありましたとおり、現在、現職にとどまってステップアップを目指す方を支援対象とすることや、世帯収入要件を月二十五万円以下から月四十万円以下に緩和すること等の特例措置を今年度末まで設けております。

 これらの特例措置について、労働政策審議会での議論等も踏まえまして、今年度末までに方針を検討してまいりたいというふうに考えております。

 また、Eラーニングコースにつきましては、昨年十月に新設したところでございますけれども、今後の運用状況を踏まえながら、今御指摘のありました申請手続の簡素化など、必要な対応を図りまして、その充実に努めてまいりたいと思います。

竹内委員 是非お願いしたいと思います。

 そこで、引き続き、今度は、男女間の賃金格差の問題につきまして質問させていただきます。

 分配戦略を進める上で、女性活躍を推進し、男女間賃金格差の縮小を図ることは欠かせません。先日、総理は、有価証券報告書の開示項目の見直しを表明されましたが、諸外国では、労働法制の中で男女間賃金格差の開示を行っている例も増えていると承知しています。

 労働法制においても、女性活躍推進法の枠組みを活用した男女間賃金格差の開示を今後検討すべきではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の男女間賃金格差は、適正な分配がなされていないことの表れの一つとも言えます。私が掲げる新しい資本主義を全員参加で進めていく上でも、この縮小を図ることは極めて重要であると考えます。

 男女間賃金格差は、縮小傾向にはありますが、依然として大きく、主な要因として、管理職比率や平均勤続年数に大きな男女差があることがあり、これらの要因に働きかけ、改善を図ることが必要であると考えます。

 このため、女性活躍推進法では、管理職割合や平均勤続年数など格差の要因となり得る項目を定め、企業がそれらに関する状況把握を行い、行動計画を策定して、女性活躍のPDCAを回すとともに、それらの項目の中から企業の実情に応じて開示項目を選んでいただく、こういった仕組みとなっています。

 同法については、行動計画策定義務の拡大などを盛り込んだ改正がこの四月から完全施行されることになっており、現在、この施行に万全を期しているところですが、依然として男女間賃金格差が大きい状況も踏まえ、同法のスキームが更に実効あるものとなるよう、御指摘のように、男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しについて具体的に検討し、速やかに着手してまいりたいと考えます。

竹内委員 ありがとうございます。非常に重要な点だと思うんですね。是非お願いしたいと思います。

 次に、女性デジタル人材育成について質問いたします。パネル3の一番下のところを御覧いただきたいと思います。

 公明党は、昨年の衆議院選挙の重点公約でも、女性デジタル人材育成十万人プランを掲げました。デジタル社会が進展する中で、二〇三〇年にはIT人材が七十九万人不足すると言われています。このプランは、三年で女性デジタル人材を集中的に育成し、就労や起業に結びつけるものです。肉体労働や時間の制約が少ないITの仕事は、子育てや介護などに時間を割くことの多い女性に適した働き方であり、コロナ禍で厳しい経済状況に苦しむ多くの女性にとっても希望が持てるものだと思います。

 長野県塩尻市が取り組む、家で働くという意味から名づけたKADOという就労支援は、国のテレワーク支援策を活用し、一人親や子育て中の女性、障害者などをデジタル人材として育成するものです。六年間で就労人数が八倍に増加しています。そのうち九割が女性であると伺っております。

 こうした先駆的事例を横展開し、例えば、各省庁が多く用意しているスキルアップ講座や支援策などを地域の実情に応じて組み合わせたり、企業が求めるスキルと求職者とのマッチングをパッケージ化するなど、国が積極的に動き、十万人の女性デジタル人材を育てていただきたいと思います。

 誰一人取り残されないデジタル社会の実現には、こうした丁寧な取組が極めて大事です。女性デジタル人材十万人を育て、どう就労に結びつけていくのか、総合的なプランを是非取りまとめていただきたいと思います。

 内閣府男女共同参画担当、野田担当大臣に伺います。

野田国務大臣 人生百年時代を迎えて、女性の人生や家族の姿が多様化している中で、女性が長い人生を通じて経済的困窮に陥らないよう、女性の経済的な自立が重要です。

 また、コロナの影響やデジタル化の進展に伴う経済産業構造の変化を見据え、女性人材の成長産業への円滑な移動支援を図る必要があります。

 こうした状況の中、女性デジタル人材の育成は極めて重要であると考えています。女性デジタル人材の育成のため、本年春頃をめどに、新たに、女性デジタル人材育成プランを関係大臣ともしっかり連携して取りまとめ、取組を強力に推進してまいりたいと思います。

竹内委員 是非、取りまとめをよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、引き続きまして、子育て世帯訪問支援臨時特例事業についてお伺いをしたいと思います。

 公明党は、衆議院選挙の公約として、家事、育児サービスの拡充を掲げましたが、令和三年度補正予算では、新たに、訪問支援員が子育て世帯等を訪問して家事、育児支援を行う、子育て世帯訪問支援臨時特例事業として具体化されました。昨年十二月、参議院本会議の代表質問では、我が党の山口代表がこうした支援策を恒久化すべきと訴え、岸田総理からは、児童福祉法等の改正を検討しているとの答弁がありました。

 背景には、家事、育児等に対して不安、負担を抱えながら子育てを行う家庭が増加しており、子供の養育だけではなく、保護者自身が支援を必要とする家庭が増加しているということがございます。

 したがって、同事業においては、妊産婦やヤングケアラーなどを含め、家事、育児等に対して不安、負担を抱えた子育て世帯を幅広く対象として認める制度とすべきと考えます。

 対象者や支援内容について、厚労大臣からの答弁を求めます。

後藤国務大臣 家事、育児等に対して不安、負担を抱えながら子育て等を行う家庭が増加しており、子供の養育だけでなく、保護者自身が支援を必要とする家庭が増加しております。

 このため、令和三年度の補正予算におきまして、市区町村の訪問支援員が家庭を訪問し、家庭が抱える不安や悩みを傾聴するとともに、家事、育児等の支援を実施する子育て世帯訪問支援臨時特例事業を実施することといたしております。

 御指摘のとおり、この事業の対象については、支援を要する妊産婦、ヤングケアラーのいる家庭も含めて、幅広い家庭を対象として支援をしていきたいと考えております。

 また、これも御指摘のありました、現在検討を進めている児童福祉法等改正法案において、子育てに関する情報の提供、家事、養育に関する援助等を行う子育て世帯への訪問支援事業を市区町村の事業として制度上位置づけることとしておりまして、事業の計画的な整備を進めてまいりたいと思います。

竹内委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 引き続きまして、パネル5を御覧ください。マイナンバーカードの普及促進についてお伺いいたします。

 先月時点、一月一日時点では、マイナンバーカードの交付枚数が五千百八十七万枚、四一・〇%を突破したものの、政府の計画に示された来年度末までに全国民に行き渡らせるという目標にはまだ遠く、このままでは、誰一人取り残されないデジタル化とはなりません。

 改めて、おさらいになりますが、マイナポイントの第二弾では、健康保険証と公金受取口座をひもづけることによって、それぞれ七千五百円相当のポイントが付与され、また、カードの新規取得者に与えられる五千円相当のポイントと合わせると最大二万円相当のポイントが付与されることとなります。

 来年度は、マイナンバーカードと健康保険証のひもづけによって、救急車の搬送時に患者の手術歴や薬の服用歴などを確認する実証実験を行うことになっており、より迅速かつ適切な医療体制の構築が進んでいます。こうしたマイナンバーカードのメリットを更に拡大していくことが重要となります。

 二〇一六年一月からマイナンバーカードの交付がスタートいたしましたが、改めて、このカードの交付の目的、また健康保険証や公金受取口座登録とひもづける狙い、さらに、政府が進めている運転免許証とマイナンバーカードの一体化などは、社会と国民生活に対してどのような効果と利便性を生むのか、分かりやすい説明をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 マイナンバーカードは、対面に加え、オンラインでも確実な本人確認ができる最高位の身分証であり、デジタル社会の安全、安心のためのパスポートでもあります。その利便性を改善していくことにより普及を進めてまいります。

 例えば、昨年十月より健康保険証としての利用の本格運用を開始し、これにより、過去の薬剤情報や特定健診結果を閲覧することにより、よりよい医療を受けることができるようになっています。また、公金受取口座を登録してもらうことにより、今後、様々な給付金の給付、これを迅速に受け取ることができることにつながります。

 そして、令和六年度までに運転免許証とも一体化を進め、例えば、転居時において、住所変更手続を市役所で行えば、警察署での手続を不要とする、こうしたことも可能になります。

 引き続き、国民視点でのカードの利便性、これを向上させていく施策をしっかり進めていきたいと考えます。

竹内委員 引き続き、特に公金受取口座の登録について重ねてお伺いいたします。

 コロナ禍において、日本のデジタル化の遅れは浮き彫りとなりました。その反省を踏まえて、公金受取口座の情報をマイナンバーとともにマイナポータルにあらかじめ登録することで、今後の緊急時、コロナ禍のような大きな経済変動や大規模災害などに給付金等の申請をするときに、口座情報の記入や通帳の写しなどの添付、行政機関における口座情報の確認作業が不要になり、迅速かつ正確な支給が可能となるというものでございます。

 そういう意味では、非常に私、これは重要だと思うんですね。マイナンバーカードは、今総理からもお話ありましたけれども、まさに社会保障給付の基盤となる非常に重要なインフラであるというふうに思うわけであります。

 しかしながら、この公金受取口座へのひもづけについて、国民の方々からは、資産などの個人情報を政府に監視されているのではないか、あるいはセキュリティーに問題はないのかなど、不安や懸念の声があります。そういった観点から、マイナンバーカードとのひもづけや申請をためらう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 改めて、このような国民の不安や懸念の声を払拭すべきでありまして、今後の見通しも含めてお伺いしたいと思います。

牧島国務大臣 公金受取口座の登録制度は、国民の皆様が金融機関にお持ちの預貯金口座について、一人一口座、行政からの給付金等の受取のための口座として任意で登録していただくものでございます。登録いただくと、利用者の国民の皆様は迅速な給付が受けられ、行政手続等を行う行政機関は申請手続の簡素化という効果が期待されます。

 今後、迅速なプッシュ型での給付を可能とする観点から、多くの国民の皆様に口座登録を行っていただくことが重要と考えております。この給付の迅速化や申請手続の簡素化といった口座登録のメリットなど、丁寧にお伝えをしていきたいと思います。

 また、御指摘のございました不安を感じる方の御懸念についてですが、公金受取口座の登録により、行政機関が個人の資産を把握できるようになるという事実はありません。そして、行政機関が個人の口座の内容等を確認できるのは、従来と同様、法令に基づき、必要な社会保障の資力調査や税務調査などを行う場合に限られます。これは、公金受取口座の登録の有無により変わるものではありません。

 スケジュールとしては、マイナポータルからの公金受取口座の登録をこの春に運用開始することとしており、できる限り早期に運用開始できるよう、現在、システム整備の準備を行っております。

 さらに、本年六月頃から開始予定の、公金受取口座の登録により付与されるマイナポイント第二弾も活用しつつ、制度の周知、広報にしっかりと取り組んでまいります。

竹内委員 ありがとうございます。分かりやすい説明であったと思います。

 カードの取得や、また、そのメリットの一つとしてのマイナポイント、せっかく用意しておりますので、市町村、市区町村の窓口で、分からない方々が、お年寄りの方々が聞けばすぐに分かるように是非していただきたいというふうにお願いをするものであります。

 さて、次の質問に参ります。次は、気候変動対策について申し上げます。

 気候変動対策は喫緊の課題であります。公明党は、令和二年一月の衆参本会議の場で二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を提案するとともに、これを菅政権での自公合意に盛り込むなど、政府の気候変動対策をリードしてまいりました。

 一昨年十一月の予算委員会で、私は、グリーン社会に向けて、EUなどと遜色のない規模の基金を創設するよう当時の菅総理に求めました。その結果、令和二年度第三次補正予算に二兆円のグリーンイノベーション基金が創設されたところであります。

 我が国の温室効果ガス排出量を消費ベースで見ると、約六割は家庭部門が実は占めているんですね、家庭部門が。環境に優しいライフスタイルへの転換が非常に重要であります。

 その意味で、国民の今後の行動変容を促す観点から、公明党は、脱炭素への行動や商品の購入などにグリーンライフポイントを付与する取組をこの衆院選重点公約にも掲げております。その結果、昨年の補正予算にグリーンライフポイント推進事業が盛り込まれたわけであります。

 お手元の資料4にその概要を用意してありますけれども、その具体的な内容について、山口環境大臣にお伺いしたいと思います。

山口国務大臣 先ほどのグリーンライフポイント事業については、公明党の提案も吸収させていただいて、令和三年度の補正予算で認めていただいたところです。

 確かに、我が国の温室効果ガス排出量は、約六割が衣食住を中心とした家計に由来している。その意味で、カーボンニュートラルの脱炭素社会に移行しようとすれば、どうしても、このことを念頭に置いて脱炭素型のライフスタイルへ転換していくことが重要です。

 このために、このグリーンライフポイント事業は、環境に配慮した製品あるいはサービスを選択するといった消費者の環境に配慮する行動に対して新たにポイントを発行しようとする企業や自治体などに対して、その準備経費の支援を行うものです。

 例えば、先ほどのパネルで見ていただくとすると、食のところの二番目に、販売期間間際の食品の購入、あるいは、この右上の循環のところに、プラ製の使い捨てスプーン、ストローの受理辞退、あるいは、その下の方に、リユース品の購入とかがあります。こういう消費者の方々の環境に配慮した行動に対して企業などがポイントを発行する取組を大幅に拡大させていこうとするものです。

 これにより、消費者の方々が、日常生活の中で、環境に配慮した取組、あるいはそのインセンティブを高められる、そういう環境を醸成しつつ、消費者のライフスタイルの転換を促進していきたいと存じます。

竹内委員 ありがとうございました。

 加えて、私は、経済成長にCO2などの温室効果ガス削減努力を加味したグリーンGDP、仮称ですが、グリーンGDPの導入が不可欠と考えています。このグリーンGDPを通して、企業の環境保護や脱炭素への努力を見える化するためにも、今後更なる研究を進めることが重要と考えております。御答弁をお願いいたします。

山際国務大臣 委員御指摘の環境と経済、この関係を見える化していくという勘定、これは国際連合の方でもう既にその基準が策定されておりますが、また、OECDにおいても、温室効果ガスの排出削減努力を考慮した経済成長率の推計というものも考えられています。

 こういう国際社会の中における流れというものを受けまして、内閣府においても、これを委託事業で今年度やっておりまして、できれば今年度内に暫定的な推計を出させていただきたいと考えております。

竹内委員 非常に重要な私は政策であるというふうに思っております。是非よろしくお願いいたします。

 最後に、北朝鮮によるミサイル発射、拉致問題についてお伺いいたします。

 今年に入り四回という極めて高い頻度、また、鉄道からの発射や変則的軌道の飛行など、新たな態様での発射を北朝鮮は繰り返しております。極めてゆゆしきことであり、断じて許すことはできません。ここまで繰り返し発射を行うことについて、どのような狙いがあるのか、現状の分析をお伺いしたいと思います。

 さらに、北朝鮮は、コロナ禍で経済が逼迫する中、中国との間で約一年半ぶりとなる陸路貿易を再開したようですが、一連のミサイル発射がこうした動きに関連しているのか、今後の動向を注視する必要があります。直近の北朝鮮の経済状況についても伺いたいと思います。

 そして、最後に、最も重要な拉致問題の解決についてです。

 私は、長年、公明党の拉致問題対策委員長を務めておりますが、今もって拉致被害者全員の帰国が実現していないことは痛恨の極みです。政府がこれまで解決に向けて大変な努力をしてきたことも承知をしておりますけれども、ミサイル問題も併せて、関係国と連携して対応するという政府の説明だけでは、残念ながら、被害者家族、国民の不満、不安は拭い切れないのではないでしょうか。

 総理は、先週、バイデン・アメリカ大統領とテレビ会談を行われましたが、日米、日米韓の協力の深化、さらに、国際協調の下、具体的にどのような対応を進めていかれるのでしょうか。

 総理の答弁、そして決意をお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 ミサイル開発、そして経済状況、そして拉致問題、三点、御質問いただきました。

 北朝鮮による核・ミサイル開発、これは断じて容認することはできません。そして、こうした行動は、我が国と地域の平和と安全を脅かすものであり、国際社会全体にとって深刻な課題です。

 その狙いや意図について断定的に申し上げることは私の立場からは控えますが、例えば、金正恩委員長は昨年十二月の朝鮮労働党の会議において、朝鮮半島の軍事的環境や国際情勢を踏まえ、防衛力を一層強化する必要がある旨述べたと承知をしています。

 また、北朝鮮は、昨年一月に発表した五か年計画に沿ってミサイル発射試験等を進めている旨、累次にわたって表明しており、少なくとも、北朝鮮が奇襲的な攻撃能力の向上など、急速かつ着実に関連技術の運用能力の向上を図ってきている、これだけは明らかではないかと思います。

 そして、経済状況については、平素から情報収集、分析に努めていますが、北朝鮮においては、新型コロナの影響や経済制裁により、厳しい経済状況に直面している、これは十分考えられます。

 そうした中、十七日、中国政府は、中朝双方の協議を経て、中国と北朝鮮を結ぶ貨物列車の運行が再開された旨明らかにしたものと承知をしております。

 政府としては、今般の中朝間の動きと一連のミサイル発射との関連を含め、引き続き、情報収集、分析に努めていきたいと考えております。

 最後に、拉致問題ですが、言うまでもなく最重要課題であり、一刻の猶予もないと感じています。

 先週行われました日米首脳電話会談においては、私から拉致問題の解決に向けて理解と協力を求め、バイデン大統領から力強い支持を得ました。また、日米韓では、次官級、局長級などでも頻繁に協議を今積み重ねているところです。

 全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現に向けて、米国を始め関係国と引き続き緊密に連携しつつ、私自身、金正恩委員長と直接向き合うべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組んでいきたいと考えております。

竹内委員 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、浮島智子君から関連質疑の申出があります。竹内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、感謝申し上げます。ありがとうございます。

 まず、新型コロナ感染症でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、罹患された方々に心からお見舞いを申し上げます。また、医療機関等で御尽力いただいている方々に心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 本日は、教育、そして文化芸術について質問をさせていただきます。

 公明党は、教育は子供の幸福のためにあると、人間主義の教育、子供の幸福を最優先する社会、チャイルドファーストの考えに立ち、大先輩の柏原ヤス参議院議員の質問から実現した教科書の無償配付を始め、教育条件の整備に全力で取り組んできました。

 昨年の通常国会では、現場からの強い御要望をいただき、全力で取り組み、四十年ぶりの法改正が行われ、昨年三月に義務標準法を改正し、まず、小学校三十五人学級が実現することとなりました。引き続き、中学校を含め、少人数学級の取組を進めていく必要があると考えております。

 また、お孫さんが教員からわいせつな行為を毎日受けているという現場からのお声をいただき、学校は子供たちにとって安心、安全の場であり、絶対に許せない、わいせつ教員は二度と教壇に立たせない、そんな思いで、子供たちの尊厳を守り抜くため、教職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律、議員立法で、八十九日というスピード感を持って、全会一致で成立させることができました。

 このコロナ禍において、この約二年間の子供たちの学び、そして生活を振り返りますと、これまで当たり前のように機能していた学校が急に休校になる中で、学びの場として、また福祉の場として、いかに学校が大きな役割を果たしているのかを、子供も、そして保護者も、国民の皆様も実感したと思います。

 その中で、GIGAスクール構想による一人一台の情報端末の整備は子供たちにとって学びの命綱であり、学校のICT化はこれから更にしっかりと取り組まなければならない重要な施策だと思います。

 そして、これからますます、デジタルの力で子供たちの格差や社会の分断を乗り越えなくてはなりません。その際、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの教育・人材ワーキンググループの、デジタル化は一人一人の多様な幸せ、ウェルビーイングを実現してこそ意味があると、重大な指摘をされております。

 例えば、私たち大人が子供たち一人一人のよさ、そして違いを理解せずにデジタル化による教育の個別化が進めば、子供たちはAIに指示されるがままに勉強することになります。このような学びは、一人一人の多様な幸せにはつながらないと思います。

 だからこそ、教師が、生徒が直面する困難さに向き合い、そこからの気づき、そして、その学ぼうとする心に灯をともし、討論や対話、協働を引き出したりすることは、バーチャルではなくて、人としての教師のかけがえのない役割として、それこそ学校の存在意義だと私は思います。

 教育のデジタル化は、全ての子供たちが家庭環境や地域などの格差や分断を乗り越えて自分の学びを自分で調整するための手段で、教育はあくまでも人であるという考え方が揺らいではならないと私は思います。

 そこで、まず、教育条件の整備について、総理にお伺いをさせていただきたいと思います。

 子供たちの学びや生活をきめ細かく支えるために、学校のデジタル化はこれからもしっかりと進めなければなりません。しかし、デジタル化はあくまでも手段であって、教育の目的は、他の人との対話や協働の中で子供たちが社会において自立をし、持続可能な社会のつくり手となることを手助けすることだと私は思います。そのためには、子供たちの困難さにしっかりと向き合い、そして、子供たちの学ぶ心に灯をともす教師をしっかり確保することが不可欠だと思います。

 教職員定数の改善は喫緊の課題です。小学校高学年の理数教育などの教科担任制の推進や中学校学級編制基準引下げなど、一層の教育条件の整備について、人への投資を重視されている総理の姿勢と今後の取組についてお伺いをさせていただきます。

岸田内閣総理大臣 成長と分配の好循環の流れを加速化させていくための鍵、これは日本の未来を担う子育て、若者世代であることから、子供たち一人一人の個性や能力を最大限伸ばすことができるような教育環境の整備、これが必要であると考えます。

 このため、一人一台の端末や高速通信ネットワークを整備し、デジタル技術の活用により、空間的、時間的制約にとらわれず、子供たちの最適な学びを実現するGIGAスクール構想、これを推進しているわけですが、委員御指摘のように、やはり対面での教育の重要性、これは言うまでもないわけでありまして、こうしたGIGAスクール構想の効果を最大化するためにも、指導体制の整備、これが重要であると考えます。

 このため、専門性の高い教師による小学校の高学年の教科担任制を推進するとともに、現在進めている小学校の三十五人学級の効果検証などを踏まえ、中学校を含め、学校の望ましい指導体制の在り方を検討するなど、引き続き、一層の教育環境の整備、これに努めていきたいと考えます。

浮島委員 ありがとうございます。

 今、総理の方から、個性や能力を伸ばす最大限の努力をしなければいけないというお話もございましたけれども、どうか、教員の先生方一人一人が子供たちに向き合える体制をつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、ちょっと順番を変えさせていただきまして、先に文化芸術の支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回のこのコロナ時代における文化芸術活動でございますけれども、文化団体は存続の危機にあります。

 一昨年のゴールデンウィークのときですけれども、私のところにもたくさんの連絡をいただきました。仕事がなくなって舞台にも立てない、様々なお声をいただきました。そんな中で、私は、公明党の中で議長を務めさせていただいております文化芸術振興会議を十八回開催をさせていただき、そしてたくさんの現場の方々にお越しをいただき、現場の貴重な御意見をたくさんいただきました。

 そんな中で予算の確保に努めてきたところでございますけれども、令和二年度の二次補正でスポーツを含んで五百六十億、また、三次補正で五百五十一億、今年度の予備費で百八十億、今年度の補正で九百五億。まさに、文化庁の年間予算は約一千億です、その一千億の倍になる支援をしてきたところでもございます。

 しかし、このコロナという初めての中で、全ての支援が手探りでございました。文化関係団体の皆様に現場のお声をいただいてきたわけでございますけれども、現在でもオミクロン株が蔓延をしており、予断を許さない状況であります。

 本日も、現場からお声をいただきました。オミクロンの拡大と水際の措置の双方により、五月末までの舞台は、三十三団体ほどの回答で、三千二百六十六ステージ、動員数四百二万人超への影響が出てくるということでもございました。

 この文化芸術団体の方々とずっとお話をしてきましたけれども、文化芸術団体の方々は、海外ではすぐに国から支給が届いた、だから生活ができる、そして継続することもできるというお話でございました。ただ、日本はなかなか支援が届かない、早くしてもらいたい、お叱りの声をいただきました。

 でも、大きな違いがありました。海外ではユニオンがあり、そこでプロの方、アマの方、アマチュアもプロの方も、ちゃんと線引きがされております。そこで銀行とのひもづけもされているために、支援がすぐに行き届く体制になっております。

 しかし、日本は、各団体にお伺いをさせていただいたところ、プロとアマの線引きも曖昧である、そして契約書がなく口約束であるということで、財務省との交渉も難航いたしました。これまで、申請に慣れていない文化芸術団体の方々と、特に文化庁と団体の方の関係がしっくり、うまく構築していないという問題もありました。

 また、アート・フォー・ザ・フューチャーなど、審査、交付に時間がかかり過ぎる。これまで気づかなかった文化芸術特有の課題が、このコロナ禍で浮き彫りになってきました。

 そこで、総理にお伺いをさせていただきたいと思いますが、これまでの教訓を踏まえますと、これからはもっと文化庁と団体等がしっかりと関係をつくり、文化芸術に携わる方々に即した支援、そして条件を整えつつ、さらに、日本のアーティストたちの技芸を守り、将来へ伝えていくという公共的な使命を果たしていくため、その人材養成や研修等を公的資金などで支援していく体制が必要だと思います。

 文化芸術団体への支援の在り方について、大きな方向性を私は打ち出すべきだと思いますけれども、総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 国難と呼ぶべき現在の状況の中において、人々の心を癒やし、勇気づける文化芸術の力、これは必要であり、その灯は絶対に絶やしてはならないと考えます。

 今委員の方から、日本の国と海外の違いについて御指摘がありました。そういったことにも思いを巡らせながら政府としても対応を考えていかなければならないと思いますが、補正予算等を活用して公演等の活動を充実発展させるための支援を行うほか、令和四年度予算案においても、団体が行う活動や新進芸術家等の人材育成を支援することとしています。

 そして、来年度に策定予定になっています次期文化芸術推進基本計画に向けた検討においても、文化芸術団体の御意見を伺いながら、日本の文化芸術の創造、発展、継承のための団体支援の在り方について議論を深めてまいりたいと思います。

 先ほど御指摘の点も踏まえて、こうした取組を進め、是非、文化芸術団体の関係者の皆様方に寄り添った対応を考えていきたいと考えます。

浮島委員 このコロナ禍で、舞台芸術の関係の方々は、突然中止になったり、また収容人数が制限されるなど、本当に厳しい運営を余儀なくされてきました。しかし、協力しているにもかかわらず協力金などはありません。でも、この苦しい中でも、たくさんの文化芸術、アーティストの方々から私のところには、このようなときだからこそ国民の皆様に笑いや心の豊かさを感じていただきたい、今こそが私たちの出番なんだという強いお声をいただいております。

 決して、文化芸術、エンターテインメントは不要不急ではありません、必要なものです。また、観客や演じる側、スタッフ、しっかりとサポートしていかなければならないと思います。

 今、総理の御答弁の方から、灯は絶対に絶やしてはならない、消してはならないというお言葉もありました。しかし、しっかりと寄り添った支援をしていかなければ、即した、合った支援をしていかなければ、本当に灯は消えてしまうと私は思っているところでございます。

 また、舞台芸術などは、今日から閉めてほしい、また、例えば二日後、今日から開けていいですよと言われても、すぐに舞台は開けられるものではありません。一つの舞台をやるのにも、一か月、二か月、それぞれ練習期間があります。なので、そういうところもしっかりと考えた上での支援をしていただきたいと思います。

 また、海外からのアーティストを招聘することも重要な課題でありますので、スピード感を持って対応していただきたいとお願いをさせていただきます。

 次に、スタッフ支援についてお伺いをさせていただきます。

 私も大変申し訳なかったんですけれども、このコロナ禍で初めて分かったことがありました。舞台というものは、幾ら演じる側のキャストがそろっていても、支える音響、照明を始めとする舞台技術の方々がいなければ成り立ちません。

 コロナ禍において、照明のお仕事をしている方から、雇用調整助成金を申請するのに大変だった、もらえなかったかもしれないというお声をいただきました。なぜか伺ったところ、日本標準産業分類に舞台芸術スタッフ、技術スタッフ業を定義する分類がなく、とても苦労したということでございました。

 彼らの仕事は大変重要にもかかわらず、その他扱いとなっています。七四、技術サービス業に分類されていると思われるものの、現在、分類不明です。そのため、現在は仕方なく、七四九九、その他の技術サービス業、八〇九九、他に分類されない娯楽業、九二九九、他に分類できないその他の事業サービス業といった分類を各事業者の判断で使用している状況のため、特定業種に絞った際の国や行政の施策が行きにくい、届きにくいということがあります。

 そこで、萩生田経産大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、この日本標準産業分類への、舞台技術スタッフ、事業者及び従業員に対して国、自治体が行う支援の施策がしっかりと行き届くためにも、新たに分類を設定する必要があると考えます。

 また、現場からは、J―LOD、まさに生命線であり大変助かっているというような声もいただいておりますけれども、繰越しができなくて困っている、また、今回の水際対策でキャンセルになってしまった公演のキャンセル料の支援が強く求められております。

 経産大臣として、この産業分類へのサポートとともに、J―LODの支援もお願いしたく、大臣の見解を伺います。

萩生田国務大臣 文化芸術の灯を消さない、当時、私は文科大臣でしたが、先生も公明党を代表して一緒に様々な取組をしていただいて、その中で、一つの舞台を行うには様々なスタッフの皆さんがいなければできないということが明らかになりました。

 その皆さん方をしっかり支えていくためにも、舞台技術スタッフの方々に成長分野であるエンターテインメント産業を裏方として支えていただいておる実態を踏まえて、今、事業者数も六千を超えるというふうに思っております。一方で、今御指摘のあった日本標準産業分類において、現状、舞台制作技術スタッフが提供するサービスの名称が明確に位置づけられておらず、適切な政策の立案につなげていく上でも、御提案のとおり、産業分類上明確に位置づけることが重要だと認識しております。

 新たな分類指定に向けて、所管大臣である総務大臣とともに検討してまいりたいと思います。

 エンターテインメント産業に対する支援については、同産業が新型コロナウイルスの感染拡大により非常に厳しい状況に置かれているとの認識の下、これまで経産省として、徹底した感染防止対策を前提としたイベントの開催支援や、イベントの開催制限等によりイベントを中止した場合のキャンセル料に対する補助などを実施してまいりました。

 現在執行している令和二年度補正予算で措置したJ―LODlive補助金につきましては、繰越しを行い、切れ目なく、事業者の皆様にしっかりと補助金をお届けしてまいりたいと思います。

 また、今後も支援を継続するため、今回の令和三年度補正予算においても同様の支援策の措置をしました。

 なお、オミクロン株の世界的な感染拡大を受けて外国人の新規入国を停止しておりますが、これに伴って延期、中止となった公演につきましても、キャンセル料等に対して支援をすべく検討しております。

 経産省として、引き続き、これらの施策により、舞台芸術現場も含め、我が国のエンターテインメント産業をしっかり支えてまいりたいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。繰越しをしていただけるということ、また、キャンセル料を検討していただいていること、感謝を申し上げます。是非、サポートをよろしくお願いします。

 この日本標準産業分類への分類指定について、新たに設ける必要は私はあると思いますけれども、総務大臣の見解を伺います。

金子(恭)国務大臣 現在、令和五年度の日本標準産業分類の改定に向け、分類項目の新設についても必要な検討を行っているところでございます。

 検討に当たっては、その項目が一定の規模を有しているかどうか、産業として定着しているかなどについて、関係府省や統計委員会の意見を聞きつつ、その必要性を適切に判断してまいります。

浮島委員 舞台というものは、技術スタッフなくしては絶対に成り立ちません、できないものであります。しっかりとした専門職ですし、一流の職業だと私は思っておりますので、しっかりとした分類をしていただくよう、強く要望させていただきたいと思います。

 また、私の方から一言申し上げさせていただきたいのは、今、三回目のワクチンが始まっております。科学的知見に基づいたワクチン接種とともに、たくさんの方々の心がふさぎ込んでしまっておりますので、文化芸術の力で、心にもワクチンが必要であるということを強く申し上げさせていただき、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて竹内君、浮島君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉健太君。

泉委員 立憲民主党・無所属の泉健太でございます。

 総理、いよいよここから立憲民主党の質疑となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 立憲民主党も、国民の命と暮らしを守り抜く、そういう政党であります。

 早速この国会で代表質問にも立たせていただきましたが、冒頭、少し総理に申し上げなければいけないのは、代表質問における総理の御答弁、やはり質問とかみ合っていない、これが非常に残念でした。やはり聞いたことには、しかも先に原稿を作れるわけですから、ちゃんとお答えをいただく。これは後ほどまた触れさせていただきますので、是非そういった点は有益な議論をさせていただきたいと思っております。

 我々、特に立憲民主党は、やはり自民党さんとは違う視点、アプローチからの様々な政策提案をさせていただきたいと思っています。

 やはり我々は、権力の側からではなく国民の側からの声をこの予算委員会でもお届けをし、展開していきたいと思いますし、そして、なかなか自民党さんでは多様な価値観、そういったものがまだ許容されていないんじゃないかと思います。我々は、多様な価値を尊重して、この質問を展開していきたい。また、働く人々や生活者、そして、特に立場の弱い中小企業、個人事業主、こういう方々、皆様の声を国会に届ける、この役割を果たしてまいりたいと思います。

 私は、与野党論戦という意味で立憲民主党の存在意義があったなということが早速一つ出てきたと思っています。それは、まさに今日の午前中の予算委員会の質疑、ここでした。

 実は、あの十八歳以下の子供たちへの十万円給付、これは、約四万人の方が給付を受け取れないという状況になっている。そういう中で、我々は、一人十万円と考えれば四十億円である、これは、あのクーポンで九百ウン十億円の事務費がかかる、そういうことを指摘をさせていただいて、これも、撤回をしていただいたことによって、我々からの指摘が通ったおかげで、九百億円ぐらいのお金が浮いているわけです。

 そういった意味では、今給付が当たらないとされている一人親家庭への十万円というのは、総額でも四十億円ぐらいだと言われている。私は、十分予算としてもあるんだろうなと思っております。

 そういう中で、立憲民主党が、まず、国会冒頭、代表質問でこの問題を取り上げました。そのとき、与党からの代表質問にはこの問題は入ってありませんでした。含まれていなかったんですね。しかし、やはり代表質問で取り上げたことによって、世論も喚起をされて、今日、まさに午前中に与党の議員の方からも指摘があった。

 それに対して総理はこう答えられました。児童手当の仕組みを用いたことに伴う不公平を是正し、こうした方々のお手元にも給付金が届くよう、国として、見直し、検討したいと思いますと。

 大変私は前進だったと。これこそまさに、こうした国会論戦の役割、野党が先に指摘をする、そしてそれを与党が質問する、それで総理の答弁が前進をするのであれば、これも私は大きな一つの在り方だと思っております。

 改めて確認をさせていただきたいと思います。

 先ほどの答弁ですが、私たちとしては、これは、総理が見直すとおっしゃるならば、やはり全ての対象者に、国のお金、国費でちゃんとこの給付金を届けていただきたい。要は、地方には交付金を出しているから、後は自治体で、やってもやらなくてもいいよなんという話じゃなくて、これは、総理、地域に応じてじゃないんです。地域の事情に応じてなんというのはおかしな話。子供がどこに住んでいるかによって対応がばらばらだったら、こんなおかしいことはないじゃないですか。だから、私たちは、そうではなく、国として一律にちゃんとこういう対応をしますということを改めてお願いをしたいと思います。

 そして、やはり時期ですね。もう既に対象になっている方々はこの給付を受けるという環境にあるわけですから、やはり自治体への通知は一月中、是非行っていただきたい。そして支給開始は二月の上旬から。

 一人親家庭の子供たちは本当に大変な思いをしている。まず、この二つについて改めてお願いをしたいと思いますが、お答えください。

岸田内閣総理大臣 詳細が必要であれば担当大臣からお答えさせますが、基本的なところをまず私から申し上げさせていただきます。

 おっしゃるように、十万円の給付については、迅速な支給を心がけなければいけないということで、児童手当の仕組みを使って支給を行い、昨年中に九九%の市区町村において支給が開始されているということで、事業が動き出しました。

 しかし、先日から御指摘いただいておるように、そうした仕組みを使ったことによって生じた不公平、ある起点とした日時以降離婚された方など、不公平が生じているケースがある、こういった指摘を受けて対応を考えたということであります。おっしゃるように、地域によって不公平があってはならないということで、国として対応を考えるということを申し上げた次第であります。

 そして、いつから支給するかという質問ではありましたが、これは、今の考え方に基づいて、できるだけ早く、自治体ともしっかりと連携した上で対応を考えていかなければならないと思いますので、今の考えに基づいて、できるだけ早く対応できるように努力をしたいと考えております。

泉委員 ありがとうございます。

 担当大臣は追加で言うことはないですか。大丈夫ですか。具体的なことがあれば言ってください。

山際国務大臣 具体的なことというより、今も明確に御指示をいただいたものとして、自治体としっかり協議をして、一日でも早くできるようにしてまいりたいと思います。

泉委員 是非お願いをしたいと思います。

 そして、もう一つ、総理、子供の政策に関しては、やはりこの十万円給付においても所得制限を受けてしまっている、そういう御家庭、世帯があるのは認識していますよね、所得制限。これも二百万人の子供たちが、今回、十八歳以下の給付、受けられない、所得制限によってという事態が生じています。

 私、改めて総理に聞きたいんです。

 これは、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針ということで、昨年の十二月二十一日に閣議決定をされているものですね、閣議決定されているもの。その中に、こども庁創設の概要のようなことが載っているんですが、何と書いてあるか。「誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援」と書いてあって、大目標の一つにですよ、まず「誰一人取り残さず、」と書いてあって、そして、横にこう書いてある。「全てのこどもが、施策対象として取り残されることなく、」と。これは明確に書いているんですよ、閣議決定文書にですよ。

 じゃ、この十八歳以下の給付十万円、施策の対象から外されていますよね、所得制限以上の方は。そして、児童手当、これも所得制限。自民党政権によって外されてしまいましたよね。思いっ切り矛盾しているんじゃないですか、閣議決定と。これを説明してください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の給付金については、児童手当の仕組みを使って迅速な支給に心がけたということで、この取組を進めました。御指摘のように、その仕組みにおいて該当しない方がおられる、これはそのとおりだと思います。

 ただ、この仕組みにおいても、児童手当の仕掛けを使うことにおいて迅速に支給するとともに、政策としてしっかりと、この支給を行いたい方々の大多数の方々には支援が行われていると認識をしています。

 そして、一つの制度だけで全ての方々に平等に給付を行うということは、現実上不可能だと思っています。だからこそ、重層的な取組が必要である。

 だから、様々な仕組み、住民税非課税世帯への給付等、様々なメニューを用意して、全体として、あらゆる方々、いろいろな立場の方々がおられます、いろいろな方々に対してしっかりと支援が行われる、こういった体制をつくっている、これが現実であると思います。そして、その全体において、御指摘のように、誰一人取り残されない、こうした精神を持ってしっかりと支援を進めていきたいと私たちは思っています。

泉委員 いや、総理、何だかおっしゃっていること、多分、総理も矛盾を感じているんじゃないですかね。これは閣議決定違反じゃないですか、明確に。閣議決定違反でしょう。何と書いているか。「全てのこどもが、施策対象として取り残されることなく、」と書いてあるんですよ。児童手当、当たらないんじゃないですか、所得制限以上の方々には。その方々が二百万人いるんでしょう。

 これは閣議決定違反じゃないと言い切れますか、総理。

岸田内閣総理大臣 だからこそ、施策をしっかり用意をし、メニューを用意することが大事だということを申し上げています。様々な施策を重層的に施行することによって、できるだけ幅広く、多くの方々に恩恵を届けていく、こういった姿勢が大事である。トータルで国民のできるだけ幅広い方々にしっかりとした支援を届けていく、こういった姿勢が大事だということを申し上げております。

泉委員 私たちは、普遍主義ということをよく言ってまいりました。これは是非、国民の皆様にも、もう厚生労働省のホームページに出ていますので、こどもの政策の新たな推進体制に関する基本方針という、このページを是非御覧いただきたいと思いますね。ここに書いてあることと児童手当の所得制限が思いっ切り矛盾しているということは、これは誰が読んでもそう思いますね。是非、そういう普通の文章解読力を持っていただきたい、まずこのことをお願いをしたいと思います。

 我々は、所得制限はなくすべきだということを、改めて、子供の育ちのためにそちらの方が正しいということを訴えたいと思います。

 さて、この予算委員会、まさに野党の役割というのは、国民のための予算、この予算に間違いがないかということも含めて、そして、各大臣を始め各省庁の政治姿勢、あらゆることについて、やはり、ある意味、まあ、刀を作るのと一緒だと思いますね、たたいてたたいて、延ばしたり冷やしたり熱したりしながら、そういう中でよいものを磨き上げていくということが大事です。だからこそ、厳しい質問も非常に重要になってくるということであります。

 その意味で、我々、相当今、細かく予算を拝見をさせていただいている、精査をさせていただいている。そういう中で、これも午前中ありましたが、総務省関係の所管一般会計歳出予算各目明細書というところの積算内訳、これはちょうど、金曜日に、私と仲間で質問作りをしている中で、細かく資料を見る中で発見をしたものであります。

 やはり、こういうことで、予算の前提となる資料について、今我々はその一つを発見したわけですが、その発見したことをもって総務省に問合せをしてみたら、最終的には十幾つの誤りが判明をした、そして今、恐らく全省庁において改めて再確認をするということになっていると伺っております。

 改めて、今回の指摘を受けた総務省の側に御答弁をお願いできればと思います。

金子(恭)国務大臣 泉委員から御指摘をいただきました。

 本日、委員会の冒頭でおわびを申し上げさせていただいたわけでございますが、まさに、令和四年度総務省所管の一般会計歳出予算各目明細書について、積算内訳に記載誤りがございました。これは、入力ミスや確認作業を怠っていたことでございます。

 今お話にありましたように、まさに今、公的統計の信頼を失墜するような事案が発生している中で、我々としては、もう信じられない、全くもって申し開きようのない誤りがあったということを心よりおわびを申し上げまして、総理から再発防止の指示がございましたので、しっかりと再発防止に向けて努力をしていきたいと思います。

泉委員 これは、こうした我々からの指摘ということでありますけれども、総理、改めて、全省庁に指示をされたということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の総務省所管一般会計歳出予算各目明細書の積算内訳に誤りがあったこと、これは大変遺憾なことであり、まず心からおわびを申し上げます。

 総務大臣に対して再発を防止するための取組を行うように指示を行ったところであり、今後このようなことが起こらないよう、徹底してまいりたいと思っています。

 そして、昨日、財務省から各省庁に再確認の依頼も行っております。是非、他省庁分についてもしっかり再確認を行っていきたいと考えます。

泉委員 こうしたものも、例えば、与党の側から何か指摘があったのかといえば、なかったんだと思います。だからこそ、やはり、野党によるチェックというのは非常に大事であるというふうに思っております。もちろん、これは与党の側でも見つけていただくべきことだと思いますが、我々はこれからも、この予算を注視をして、また皆様の政治姿勢や政策を注視をして、しっかりただすべきことをただしていきたい、国民のためにやっていきたいと思います。

 そういう中で、建設統計のことについては、やはりもう一つ疑問がございます。

 まさに、国土交通省の建設統計の予算額を、これも見てみました。

 まず、今回の書換えの問題を受けて、第三者委員会がどのように言ったか。調査報告書によれば、再発防止策としては、業務過多の解消、あるいは専門家との相談体制の構築、要は充実が必要だということを言っているわけですね。業務過多であれば、やはり、その業務のためにもう少し人員を増やすだとか、あるいはパソコンの更なる導入だとかいろいろあるかもしれませんが、とにかく拡充をしていくということが求められるわけですね。

 そこでということで、国土交通省の建設統計の予算額、これを見てみました。そうすると、令和二年度八億四千万、令和三年度八億三千万、そして令和四年度八億二千万、一千万ずつ減額してきています。減額してきている。第三者委員会が、このままじゃ統計ぼろぼろだ、やっていけない、業務過多だ、そして専門家との相談体制を構築しなきゃいけないと言っているのに、一方では予算は毎年下がっているじゃないですか。おかしいですよね、総理、これ。本来であれば、予算を積み増さなきゃいけないんじゃないですか。

 このことについて、是非、令和四年度予算案、ここに関してはやはりちゃんと見直すべきじゃないかと私は思います。是非、一度出したものは見直せませんという不毛なやり取りじゃなくて、おかしいなと思った、正さなきゃいけない、こういうところはやはり聞く力で、直すべきところは直すということが必要だと思います。

 この統計不正を踏まえて、やはり、GDPの数字が変わるかもしれないという大事な統計、その統計において、今回、第三者機関が、業務過多の解消が必要だと言っている、相談体制の構築が必要だと言っているということを踏まえて、私は是非ここは増額すべきだと思いますが、総理、いかがですか。

斉藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の事案に関しまして、第三者委員会から厳しい報告書が出たところでございます。その報告書を受けまして、国土交通省で二つの会議体を立ち上げました。

 一つは、受注動態の統計の正しい値を、より正しい、より真実に近い値を遡及推計する、そのための……(泉委員「予算のこと」と呼ぶ)はい、委員会をつくりました。そしてもう一つが、再発防止、そして、先ほど泉委員からございました、新しい体制をどのようにつくり上げていったらいいのかということを検討するタスクフォースでございます。そのタスクフォースで、今回しっかりと検討して、新たな、どういう体制をすれば、しっかりとした統計が、これから間違いのない統計が取れていけるのか、その検討を今始めたところでございます。

 その検討を受けまして、どういう形に、どういう人員が必要なのか、どういう予算が必要なのか、その委員会でしっかりと報告をして、答えを出していきたいと思っております。

泉委員 全然、予算のことをお答えするのが本当に最後の少しでしたが。

 今、お話、委員会に報告をされるというふうに、この予算委員会にですね、それは是非、じゃ、お願いをしたいと思います。

 我々としては、この毎年下がり続ける予算額、これはやはり駄目だと思っておりますので、是非、予算を増やすということで、この訂正を、見直しをお願いしたいということをお伝えしたいと思います。

 さて、総理、先ほど、答弁がかみ合っていなかったというお話、代表質問のときに、させていただきました。是非お伺いをしたいのは、憲法のところの質問だったんですね。

 私が代表質問でどう質問をしたか。憲法に自衛隊を明記せねば日本の防衛に不備が生じると考えていますか、緊急事態条項がなければ国民の命が守れないと考えていますか、高等教育の無償化を憲法に明記せねば高等教育の充実は無理だと考えていますか、私はこう質問しました。総理は何と答えたか。様々な論点や意見があるものと承知していると。全然かみ合っていないですね。

 じゃ、すぐお答えいただけるということで、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 憲法については、本会議の代表質問において、度々多くの方々から御質問いただきました。

 基本的なお答えとして、内容あるいは国会での議論の進め方について私の立場から具体的に申し上げるのは控えさせていただきますということを申し上げた上で、しかし、憲法は国民のものであるからして、国民の代表である我々国会議員がしっかり国会の内外で議論することが大事である、是非こうした議論に期待するという趣旨のお答えをさせていただいたと記憶をしております。

 委員の御質問、これは大変重要なポイントであるとは思いますが、私の立場から本会議において具体的にその内容について申し上げるのは控えますということを申し上げさせていただいた次第でございます。

泉委員 こうした総理の憲法観、これについても、今後我々は、予算委員会も含めて明確にしていきたい、ただしていきたいと思います。

 さて、オミクロン対応であります。オミクロンは感染力が強いということ、今やもう、学校、保育所、そして、本当に感染防止に頑張っておられる病院でもクラスターが起きるというようなくらいの強い感染力であります。

 その意味では、飲食店だけに様々な規制、制約がかかるというのは、私もやはり少しおかしいんじゃないかというふうには思います。いかにして感染を高齢者や基礎疾患のある方に近づけないようにしていくかというところは、例えば、それはお昼のお店であろうが夜のお店であろうが、お昼だから、お酒がないから大丈夫なんということは決してないわけでありますので、改めて、社会全体で感染対策を、皆さん、政府には徹底をしていただきたいと思います。

 更に言うと、濃厚接触者の待機期間については、やはり様々な指摘がなされつつあります。厚生労働省のアドバイザリーボードでも、最終暴露から七日で待機解除というのもあり得るんじゃないかという意見が出ていると認識しております。

 総理、改めてこの点についてお答えください。

岸田内閣総理大臣 今の御質問で、最初、飲食店に対しての対応について御質問がありました。

 様々な議論があるとは承知していますが、ただ、政府の専門家の意見の中には、やはりマスクを外して大声で飲食するようなリスクの高い場面はできるだけ避けることが望ましい、人数制限も行うことは考えるべきだ、こういった意見もありました。こういった観点も踏まえて、飲食店についても、自治体の皆様方とお話をする中で、どうあるべきなのか考えている、こういったことであります。

 そして、二点目の濃厚接触者の待機期間でありますが、オミクロン株につきまして科学的知見が少しずつ集まってきました。それに基づいて、原則十日とした上で、地域における社会機能の維持のために必要な場合は、自治体の判断によって、社会機能維持者については、検査で陰性を確認の上、待機期間を短縮するということを可能にした、これが現在の対応であります。

 今後、オミクロン株の科学的知見、これからもどんどん集まってくると思います。これをしっかりと踏まえた上で、この待機期間につきましてもより現実的な期間を絶えず考えていく、検討していく、こういった姿勢は大事にしていきたいと考えております。

泉委員 その社会機能維持者というのは、医療機関のみならずという理解でよろしいですか。

後藤国務大臣 今総理御答弁になられた社会的機能の維持については、幅広く、医療関係以外の方も含まれております。

泉委員 ありがとうございます。是非、やはり社会基盤の維持に必要ということであれば、そのような対応をしていくということだと思います。

 そこで、エッセンシャルワーカーの職場でやはり今足りていない抗原検査キット、これは是非早急に、増産ということを今やっていると聞いていますが、ここも本来はもっと早くやるべき話であります。

 そして、その検査費用についてなんですが、ここが、公費か、それともその企業の自費かというところについては、今どうなっていますか。

後藤国務大臣 今、検査、PCR検査キットも含めてでありますけれども、感染が拡大している地域に不安のある方のための事業を起こしている場合や、あるいは、今ちょっと一時原則休止になっておりますワクチン検査キット、これで受けられない方に対するもの、これは無料ということでやっておりますけれども、基本的に、そういう枠組みの延長線上で対応のできるものについては、無償ということで対応をさせていただきたいと思います。

泉委員 鉄道の様々な会社ですとかからも私はお話を伺っていますけれども、是非、こういった検査費用でそれぞれの事業者の負担がどんどん積み重なっていくことがないようにということで、維持のために必要な費用は公費でお願いをしたいということもお伝えしたいと思います。

 さて、感染症法の改正について伺わなければいけません。

 自民党の総選挙公約、これを御覧いただくと、「行政がより強い権限を持てるための法改正を行います」、これは去年の時点での自民党の政策ですよね。そして、政府のコロナ対策、取組の全体像というところについても、「法的措置を速やかに検討する。」と書いてある。

 我々も、そういうものだと思ったんです。まさに今、各自治体において、病床の確保が難しいかもしれないという緊迫した状況にある。だから、一刻も早くここに取り組まなきゃいけないというふうに思っていたところです。

 当然やるものだと思ったら、政府は、感染症法の改正の先送りということを今回発表したわけなんですね。私は、これは信じられない、何でだという気持ちでありました。

 これは、総理、本年六月を目途に、危機に迅速、的確に対応する。六月を目途にということと危機に迅速にというのと、全くまた違う話だと私は思うわけですね。これはなぜ今できないのか。

 例えば、我々立憲民主党も、医療提供体制を確保するために、知事がより強い権限を持てるための法改正ということで、知事から医療機関への設備、人員の配置変更の要請、指示を可能にするという特措法改正案は既に出している。特措法でやるか感染症法でやるかは、両方あり得ると思います。そういう中で、別に感染症法にこだわるという必要は私はないと思います。

 なぜ今回すぐやらずに、昨年、ちょうど第三波がどんどん出てきていたときでありましたけれども、与野党協力をして特措法の改正協議をやりましたよね。やったんですよ。これをもう一回やったらいいんじゃないですか。政府がただ先送りをして六月にという話じゃなくて、与野党でやらせていただけませんか。

後藤国務大臣 現在、十一月に出しました全体像に沿って、在宅、宿泊医療を始めとした医療体制を整備して、オミクロンに対して今必死になって、先手先手と我々は思いながら、一生懸命やらせていただいているところでございます。

 そうした形で今いろいろな対策に取り組んでいるわけでありますけれども、そういう中で、今お尋ねのあった感染症法改正法案、法改正の内容に関しまして、例えば、病床、医療人材の確保などについて、今御指摘ありましたけれども、より実効性のある措置としていくためには、今、足下、オミクロン株への対応状況、大分いろいろな問題が出てきておりますし、そうしたことも踏まえることも適切ではないのか。

 それからもう一つは、従来のウイルスと比較して格段に強い感染力を持っているわけで、こうした新たな状況に直面する中で、政府としては、昨年十一月に取りまとめた取組の全体像をともかく着実に稼働させることを含めて、目下の対応に全力で注力する必要がある、そういうふうに考えました。

 目下の危機対応を行いつつ、また、今のいろいろな経験も踏まえて、本年六月の司令塔機能の強化を含めた抜本的強化策の取組に向けた対応を進めていきたいという考えで進めております。

泉委員 いや、これはみんなおかしいと思っていますよ、総理。総理、本当にやりましょう。やりましょう、すぐできるんですから。

 実は、厚生労働省に我々も聞いているんですよ。端的に言えば、忙し過ぎるからと言うんですよ。総理、これは本当です。今、先ほど大臣もお話ししたように、オミクロンで非常に大変になっているから今はできませんと言うんですが、だったら、国会議員たちでやらせてくれたらいいんですよ。どうですか、総理、やりましょうよ。

岸田内閣総理大臣 今が忙しいからできませんということは私は申し上げません。

 今、昨年から最悪の事態を想定してということで体制を整え、オミクロン株の存在が注目を集めてから、それに向けてもしっかり準備を進めてきました。今の法律の中で何ができるのか、これを追求してきました。

 ですから、病床の確保についても、昨年の夏に比べて三割増の三万七千人分を確保した。あるいは臨時の医療施設、入院待機施設も、昨年の夏の四倍弱になる三千四百人分を確保した。また、自宅、宿泊療養者への対応のために、地域の医療機関一万六千を確保した。こうした体制を今の法律の中で今用意をしました。

 これは、まずはこれを機能させることが大事だと思いますし、法改正が必要であるならば、オミクロン株との対応の中で、こうした今の法律でやったことが十分機能するかどうか、これもしっかり確認した上で、法律上何が足りないのか、これをしっかり確認した上で法改正を考えていく、これが中長期的な対応として大事ではないか、こういったことを申し上げて、司令塔機能等々も併せて六月に法改正をするべきであるということを申し上げているわけです。

 今の法律の中でできること、今申し上げたことを用意したわけですから、これをしっかりと機能させること、これがまず大事でありますし、それでも法律上足りないものがあれば、これは法改正、しっかり考えていく、これはあるべき姿だと思っています。

泉委員 こういうところが後手後手という話になるんでしょうね。

 やはり、今の法律でやってみて、それでもできないときにと考えたら遅いんじゃないですか。今の法律は今の法律で頑張りましょうよ。だけれども、それよりもということも最悪の事態として想定していいじゃないですか。そしてそれを政党間で協議をして進めていく。それは、何でも法律というのは政府の側が作るものじゃないんじゃないですか。国会議員たちを信用していないということですか。なぜ与野党協議をさせないんですか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げているのは、我々政府の対応であります。政府としては、今言った考え方に基づいて、オミクロン株についても科学的知見、随分集まってきましたが、まだ十分分かっていない部分がある、その中で今対策を進めています。そういった中で、現実、何が足りないのか、これを十分確認する必要はあるのではないか、それも踏まえて法改正、必要なものはやっていこうということを申し上げているわけです。

 与野党間の協議等は国会においての対応ですので、これは与野党でしっかりとお話をいただきたいと思いますが、政府としては、そういった姿勢で法改正に向けて臨みたいということを申し上げております。

泉委員 こうして、本当は、自民党の昨年秋の公約、そして政府の考え方としてもすぐ法改正をすると言っていたものが、今回の波では全く機能しないというのは極めて残念であります。

 更に言えば、総理、総理は健康危機管理庁と御自身でおっしゃっていたのを覚えておられますかね。司令塔の強化ということもよく出てきますが、この司令塔の強化というのは、総理がおっしゃっていた健康危機管理庁のことを指すのか、それとも、我々、岸田総理が組閣をしたときに、何でまたワクチン担当大臣をつくるんだろうと当時思ったものです。自民党内からもそういう声がありました。余りにコロナに関係する大臣が多過ぎる、ここはやはりちゃんと権限を集中させて、司令塔を強化するべきじゃないかという声もあった。

 この健康危機管理庁と司令塔、大臣をある意味減らす、集約する。これは、どちらのことをおっしゃって司令塔の強化と言っているんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 私が総裁選挙等で申し上げてきた健康危機管理庁、これは、おっしゃる司令塔機能を担った組織ということを念頭に申し上げてきました。

 そういった体制づくりについても、今、コロナとの戦いの中で、しっかりと現状を把握した上で、このありようについて考えていかなければならない。これは一定の時間は必要であるということから、六月までに、先ほど言いました法改正、必要な法改正と併せて、司令塔機能についてもしっかりと結論を出したいということを申し上げております。

泉委員 こういう、言っては取り下げということも多いのも、残念ながら岸田政権の特徴なのかなと思っております。是非、言ったことは迅速に行っていただきたいと思います。

 さて、次に、経済政策についてお話を伺いたいと思います。

 この新しい資本主義なんですけれども、やはり、文芸春秋を読ませていただいても、施政方針演説を読ませていただいても、何度も読み直しをしたんですが、何が新しい資本主義なのかがなかなか国民の皆様にも分からないのではないか。

 それはなぜか。成長と分配の好循環を生み出すということそのものは、岸田総理がつくった言葉ではないからですよね、これは以前からあった言葉。そうすると、成長と分配の好循環を生み出す成長戦略、これが新しい資本主義だと言われても、何が新しいのかが分からないということであります。

 改めて、パネルをちょっと御覧いただきたいと思うんですが、岸田政権の新しい資本主義ですね、そして、我々立憲民主党は人に優しい資本主義とあえて言っていますが。

 そこで、立憲民主党の方を御覧をいただくと、既に具体的な政策を幾つも並べています。三つの分配ということで、所得の再分配、そして地方への分配、将来への分配。

 このように整理をさせていただいて、この所得の再分配ということを考えたときに、非常に今格差が広がっている、成長は大してしていないのにです。経済成長も大してしていない、賃上げもしていないのに格差が大きく広がっている、これが一つですね。そういうものについて我々は是正をしていく、再分配をしていくということで、金融所得課税ですとか、所得税のやはり累進性を高めていくべきじゃないかということを具体的に言っております。

 そして、雇用においても、社会保険料事業主負担を軽減することで正社員を増やす。正社員を雇用した企業にどう優遇するかということで、与党側、岸田政権の側を見ると、賃上げ税制の拡充というのが真ん中にありますけれども、これは赤字企業には適用されない、黒字企業のみの話になっていますよね、法人税の引下げですから。そういった意味では、我々の考える社会保険料事業主負担の軽減の方がかなり幅広に恩恵が届くだろうと思っています。

 そのほかにも、最賃、また、ベーシックサービス人材の賃上げ。このベーシックサービス人材の賃上げは、与党側は、公定価格の引上げというのが一番上に岸田政権はありますけれども、こちらでおっしゃっていることと内容は一緒なんですが、額が違う。岸田政権は一万円に満たない額ということになっていますので、我々としては、もっとこういった人材の賃上げをしていくべきだと言っています。

 さらには、私たちは、地方への分配が必要だということで、農林水産業、そしてエネルギー、こういったものに重点を置いて、地方の人口増を明確に実現をしていくべきだということを言っている。

 さらには、将来への分配ということで、子育て支援策における所得制限の廃止、これは先ほども言いました。ここは、総理、本当にやりましょう、これはおかしいですから。先ほどの、厚生労働省の文書であり、閣議決定文書であるところで、「全てのこどもが、施策対象として取り残されることなく、」と書いているわけですから、所得制限はなくす。

 そして、教育については、国公立大学の授業料半額化、また、当然、奨学金も給付型の奨学金にしていくべきだ等々があるわけです。

 こういうものを見ていったときに、果たして、岸田総理、よく言われる賃上げ税制の拡充はあるんですけれども、例えば、若者、子育て世代の所得引上げ、よくおっしゃいますよね。これは代表質問でも、私、具体策は何ですかと伺ったんです。お答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、御質問の最初にあった、成長と分配の好循環は今までもあった言葉ではないか、これはそのとおりであります。

 その上で何が違うかというのであるならば、これは、今の資本主義において様々な課題として浮かび上がってきた気候変動とか格差とか、あるいはデジタル化の遅れ、あるいは経済安全保障、こういったものを成長戦略の中にしっかりと取り上げて、これを、その弱点を是非成長のエンジンにしようではないか、こういった仕掛けをつくる。

 一方、分配戦略の中においても、従来、トリクルダウンなどと言われてきましたけれども、分配をしっかり考えることによって、官民が協力することで分配をしっかり進めて、格差の問題についてもしっかりと考え、そして次の成長につなげていく、こういった好循環をつくろうではないかということを申し上げてきました。

 それで、御質問の私の分配戦略についてでありますが、これは、賃金引上げ、もちろん大事なことですが、御質問の若者世代に対する支援ということについては、賃金の引上げ、もちろん大事ですが、一方で、社会保障改革によって社会保障における現役世代の負担を抑制することによって可処分所得を引き上げていく、これも大事なことでありますし、そして、そもそも賃上げについては、先ほど質問の中にもありましたが、その賃上げをする原資をしっかり考えなければいけないということで、価格転嫁、これが価格の引上げを抑え込んできた、こういった点も考えて価格転嫁の施策パッケージをつくっていくとか、様々な施策が組み合わさる必要がある。

 また、先ほど、中小企業に対して賃上げ税制を行う、これは所得税を払っていない世代には利かないのではないか、こういった話がありましたが、これは、赤字企業に対しては補助金という形で賃上げのインセンティブを働かせる、補助金等を通じて、賃上げに取り組んだ中小企業に対してそれなりのインセンティブを与える、こういった仕掛けで賃上げを応援するなど、様々な政策を総動員する形で賃上げを盛り上げていく、こういった考え方に立っています。

 地方への分配というのも、この立憲民主党の方には書いてありますが、私の政策の中にも、中小企業、大企業における分配の在り方、もちろん大事ですが、大都市と地方における分配の在り方等々、様々な物差しにおいて今申し上げた分配政策を用意しているということであります。

 成長と分配、それぞれに今の資本主義の課題を乗り越える仕掛けをつくっていく、これが大変重要なポイントとしてあるんだと思っています。

泉委員 今のお話を国民の皆様が理解をされたか、分かったかですよね。私は総理に、質問として、若い世代の所得引上げ、具体的に何がありますかと伺って、今の御答弁でした。ほとんどの方は、何があったんだろうかと思っているんじゃないでしょうかね。本当にかみ合っていないのか、そもそもやはり具体策がないのかというところが、私は今、大きく問われているんだと思いますよ。

 例えば、総理とは代表質問の中で、家族関係政府支出が低過ぎるということでは私は共通したというふうに思っています。

 その意味では、実は今問題なのは、例えば、一つの考え方ですが、育児休業給付、育休という制度があるわけですけれども、このときの給付というのは、実はみんなが受けているように思えて、例えば、自営業者が対象外であったり、あるいは出産をするために退職してしまった、そういう女性については対象外になってしまうわけですよね。ですから、育休なんてみんなもらっているでしょうと実は思っても、女性の多分半分以上の方々がこの育休の対象外になっている、こういうことも今問題になっています。

 やはり、こういった不公平を正すということも含めて、例えば、一つの考え方は、子供保険、こういう考え方も、これから全世代で子供たちを支えていく、こういう考えもあるんだったら、やはりちゃんと出していただきたいと私は思うわけです。是非御検討もいただきたいと思っております。

 そして、やはり、先ほどの成長と分配の話でいきますと、私が伺いたいのは、総理、成長なくして分配なしとおっしゃるわけですね。これは、一般論としてはよく分かる話の一つかもしれない。ただ、低成長の場合に分配はしないんでしょうか。分配には成長に資する政策があるんじゃないでしょうか。そういう意味では、成長なくして分配なしなんですか、本当に。そうじゃないんじゃないですか。

 改めて、そこを整理してお答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 申し上げているのは、成長も分配もということでありまして、要は、分配だけということになれば、これは当然、その分配の原資、これを考えていかなければいけないわけであります。そのまますぐ増税ということにはいかないわけであります。だからこそ、成長あってこその分配だと思っています。

 是非、成長も分配も共に進めていく、だからこそ好循環ということを申し上げているわけでありますから、この好循環を完成することによって成長も分配も実現していく、これが持続可能な経済だと思っています。

泉委員 ここはまだまだなかみ合い方だなと思いますが、引き続き議論していきたいと思います。

 それでは、もう残り十分ですので、外交、安全保障に移りたいと思います。

 まず一つは、地位協定であります。

 やはり、今回のコロナ、沖縄そして岩国、こういったところで、アメリカから入国する米兵についての検査が行われていなかったということで、相当感染が拡大をしたということが問題になっています。

 総理は、本会議答弁で、私の指示でという言い方でこの対応をしてもらったということをおっしゃっていましたが、この指示というのはいつ行われた指示ですか。

林国務大臣 総理からは随時指示をいただいておりますが、まず、十二月の二十二日に、私から米軍のラップ司令官に直接電話で申入れ等を行っております。その後、一月六日に日米外相電話会談、一月七日に2プラス2と、それぞれ機会がございましたが、その都度、総理からの御指示をいただいて対応してまいったところでございます。

泉委員 ということは、林大臣が、今、十二月二十二日にアメリカに申入れをしたと。しかしながら、アメリカ軍が日本入国時のPCR検査を再開したのは十二月三十日なんですね。クリスマス休暇は、結局のところ、全然自由に移動できる、検査なしで移動できる状態であったということで、日本の外務大臣が申入れをしてもすぐ受け入れるわけじゃなく、十二月三十日に入国時のPCR検査を再開したんだなというのは、大変残念な状況であったと思います。

 それで、昨年のこれも十二月に、我が党の議員から、委員会質問の中で、この件について議論している中で、在日米軍からは水際対策を含む日本政府の方針に整合的な措置を取るという説明を受けているということを政府側は答弁しているわけですが、我が国の入国管理、水際対策と全然整合性の取れていないアメリカの対応がこの間行われていたということなんです。

 だから、私は、バイデン大統領とのオンライン会談のときにもこの問題はちゃんと申入れをするべきだというふうに言ってまいりましたし、それが申入れなのか、議題に上げただけなのか分かりませんが、総理は、一方で、地位協定の見直しを言下に否定をされたわけです。これはなぜだと不思議に思っている方も多いんじゃないですか。

 特に、今こうして表を作らせていただきましたが、日本、ドイツ、イタリア、ベルギー、この地位協定でどれだけ日本と他国が違うのか。

 まず、国内法ですね。日本は原則不適用、他国は原則適用、これだけでも相当違う。要は、ですから、日本の検疫法はアメリカ軍には不適用、しかし、他国では検疫法は適用される、ここがもう大きく違うところであります。

 そのほかにも、基地の管理権。基地に、ホスト国、日本の例えば立入り権があるかといえば明記はなし、他国にはちゃんと権利がある。そして、訓練や演習については、あらかじめその国の承認が必要というのが他国では当たり前ですが、日本ではアメリカの飛行機はいつどこを飛んでいるか、これは日本では先に承認なんというのはできないようになっている。

 こういうふうに明確に違うことを、総理は、単純に比較することはできませんという大変残念な、残念な回答であります。

 何も単純な話じゃないんじゃないですか。単純な話ではなくて、例えば今回の検疫法、この検疫法でいえば、日本国民の命と暮らし、健康を守るために、せめて地位協定の中のまずは検疫法、ここは協定を変えたっていいじゃないですか。なぜ駄目なんですか。検疫法を変えるとこうこうこういう形で日米の関係が壊れる、そういう説明があるんだったら、お答えください。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、日米地位協定と米国が他の国と結んでいる協定との違いについては、各国の駐留の在り方とか、実際の運用ですとか、さらには安全保障環境等の背景、こういった全体像で判断する必要があります。

 その中で、今回の検疫ということについても、英国や韓国など、米軍基地から入国した場合には米軍が検疫を行うという扱い、これは多くの国でも行われているところであり、日本がこの検疫において特別緩い対応、おかしな対応をしているということではないと考えています。

 そして、今回問題になったのは、感染症への対応ということであります。日米地位協定というのは大変大きな法枠組みでありますので、問題になった案件によって具体的に迅速にどう対応するのがいいのか、これはずっと今までも日米で議論してきました。

 私の外務大臣時代においても、環境問題が起こったときには、日米地位協定にはそもそも環境条項がないということから環境補足協定を作るとか、軍属の事件が起こったときも補足協定で対応するなど、膨大な法体系を前にして迅速に結果を出すにはどうしたらいいのか、こうしたことを議論してきました。

 今回は感染症法への対応ですので、より迅速な対応が必要であるということで、日米合同委員会の議論等を通じて、まずは外出制限等をアメリカが発表した、そして、それも今月末まで、先日の日米テレビ首脳会談の際に、月末まで延長する、こういった対応も行ったということであります。

 そして、今後についても日米合同委員会においてしっかり議論をし、あるべき姿、これは日米でしっかり考えていきたいと思っております。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

泉委員 外務大臣もされてきたのであれば、この地位協定を変えるということぐらいは是非真剣に取り組んでいただきたいですよ。なぜ、その都度その都度、事が起こってから対応しますというやり方なんですか。今回もそうですよね。事が起こってからそこに迅速に対応する。そうじゃなくて、ちゃんと日本と整合性の取れるような対応がいつでもできるように検疫法は国内法を適用する、こうすればいいじゃないですか。私は、本当にここは日本政府の自主性が見られないと思います。

 大変残念ですが、その議論は更にほかの方にも譲っていきたいと思います。是非、地位協定の見直しを我々は訴えていきたいと思います。

 そして、敵基地攻撃能力について触れたいと思います。

 まず、やはりこの言葉、先ほども自民党の議員からも指摘がありましたけれども、もう敵基地攻撃能力なんという言葉はやめた方がいいですよ。実態と合わない。これは、私はまず一つ言いたい。

 そして、現実的な観点からいって、やはり、一発どこか、あるいは十発でもいいです、どこかに打撃を与えたから相手がそれで沈黙するなんてことはあり得ないですよね。こちらが打撃を与えるということは、間違いなくその後に総反撃を受けることも十分に認識をしておかなければいけない。だから、中途半端な打撃なんというものはないんだということですよ。

 アメリカのように、完全に相手を打撃できるという、それぐらいの自負のあるだけの物量があれば、技術があれば別でしょう。しかし、中途半端な、ごく一部の打撃力を持ったところで他国からの反撃を防げますか。じゃ、反撃を防ぐだけのフルスペックの敵基地攻撃能力を本当に持とうとしているんですか。何をやろうとしているのか。まず、じゃ、ここを御回答ください。

岸田内閣総理大臣 我が国をめぐる安全保障環境、大変な厳しさを示しています。ミサイルの技術についても、極超音速滑空兵器ですとか変則軌道ミサイルですとか、日々技術が向上している。この中で、我が国の国民の命や暮らし、しっかり守れるのかどうか、こういった議論を行っています。

 まずは、ミサイルの迎撃体制、しっかりと完備しなければいけない、午前中も議論があったところであります。しかし、それで十分なのかどうかも含めて、あらゆる選択肢を排除することなく、しっかり議論をしていきたいと考えています。

 そして、その際には、憲法、国際法、そして日米の今の役割分担、この基本は変わることはないと思っています。その範囲内で何ができるのか。これは、あらゆる選択肢を排除せず、しっかり議論をしていくのが政治の責任であると考えています。

泉委員 仲間の時間を少しいただいて。

 今、総理が、憲法ですとか国際法の範囲内でというお話がありました。

 そこで、確認なんですけれども、敵基地攻撃能力の根本的なところの考え方として、昭和三十一年の鳩山総理の答弁というのがよく出てまいります。我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段として我が国土に対し攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限の措置を取る、これが敵基地攻撃ができるという一つの法理なわけですね。

 ここに、我が国に対してという言葉と我が国土に対しという言葉が、総理、ございます。これでいいますと、これはあくまで個別自衛権ということを想定している文章、答弁かなと思うわけです。これはそう理解してよろしいですかね。この答弁が今も有効であって、そして、集団的自衛権ということにおいては、これは必要最小限の措置を取るということにはならないということになるのかどうか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の昭和三十一年の政府答弁ですが、その後、我が国においては、安倍政権時代に平和安全法制の議論を行い、そして、昭和四十七年の政府見解に現状を当てはめる形で、新しい武力行使の三要件を確認をいたしました。我が国の武力の行使については、その原則に基づいて対応すべきものであると思っています。

 そして、敵基地攻撃能力を含むあらゆる選択肢については、そういった憲法の考え方、国際法、そして日米の役割分担、こういったものをしっかりと維持しながら考えていく、これを国家安全保障戦略の議論の中でしっかりと行っていきたいと思っております。

泉委員 今のも、ちょっとまだ怪しいなというところを感じます。

 そのほかにも、今お話ししたような、日米の役割分担を基本的に維持というような文章になっているわけですが、これは明確に盾と矛の役割分担を維持するということでよろしいですね。それとも、その役割は基本的にであって、一部、のりを越えるということですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 日米の役割分担は変えることはないということを申し上げております。我が国として、専守防衛を始め、基本的な安全保障の姿勢はこれからも大事にしていかなければならないと思っています。

泉委員 ありがとうございます。

 まだまだ問わなければいけないことはありますけれども、今日は時間がありますので、これにて終了させていただきたいと思います。

 改めて、総理は、今日、十八歳以下の一人親家庭への給付ということについても見直しをするということで、見直しをするというのは一つのよさではあるのかもしれない。しかし、余りに当初の政策の誤りが頻発をしているんじゃないかということは、大変問題を持っております。

 そういうことのなきように、このことを注意をさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

根本委員長 この際、大串博志君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。

大串(博)委員 立憲民主党の大串博志でございます。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 岸田総理、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今日は、コロナ対応等々を中心に議論させていただきたいと思いますが、その前に、政府の姿勢、どうも私、この岸田政権になってからの近い頃を見ていて、気の緩み、おごり等々が見られるんじゃないかという感じがしております。

 例えば、今朝方から問題になりました総務省における予算書の各目明細の誤り、泉代表の方から、一か所の誤りを見つけ、調べてもらったところ、何と全部で十三か所の誤りがあったということが判明しました。

 各省予算の各目明細書というのは、極めて、予算審議の前提として重要なものでございます。何せ、各省予算を見るには、その各目明細を見ないと各省予算の詳しいところは分かりませんから。

 財務大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、各省予算の各目明細書、これは私の理解するところでは、法律に、財政法においては、財政法二十八条、予算の参考書類というものが定められております。その第十項に、その他参考となる書類を提出しなければならないと位置づけられていて、その中の一つとして、財政法二十八条に基づいて提出されているものと位置づけを理解しておりますが、間違いないですか。

鈴木国務大臣 今御指摘がございました各目明細書、これは、予算決算及び会計令第十二条の規定によりまして、各省各庁の長が製作をいたしまして、予算が国会に提出された後、直ちに財務大臣に送付することとされておりますが、国会への提出義務は法令上ございません。

 それと先生が今お触れになられました財政法第二十八条では、歳入予算明細書等の特定の書類を予算に添付して提出しなければならないと定められておりますけれども、この各目明細書は、財政法第二十八条に定める書類ではなくて、慣例によりまして、国会の予算審議の参考資料として提出をしているものでございます。

 そうはいいましても、国会の予算審議の参考資料として提出しているものについて誤りがあったということは、誠に遺憾なことであると考えております。

大串(博)委員 ちょっと確認ですけれども、昭和三十年答弁で、各目明細書は、二十八条の第十項に、その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするために必要な書類ということで、本予算の場合にはこれを必ず出すことにしております、つまり第十項に位置づけて出しているというふうに国会で答弁があります。

 今、大臣は、この十項に位置づけられているものじゃないと言われましたけれども、これまでの政府答弁を変えるということですか。

鈴木国務大臣 財政法二十八条は、「国会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」と書いてございまして、一から十までございます。その十に「その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類」、こういうふうに書いているところでございますが、この規定に、第十号の規定に基づいて今まで、この予算書に添付して提出したものは今まではない、そういうふうに聞いております。

大串(博)委員 繰り返し聞きます。

 昭和三十年五月二十八日の参議院予算委員会の答弁で、政府の方から、二十八条の第十項に云々かんぬんの必要な書類ということで、本予算の場合にはこれを必ず提出することにしておりますと、この中で言われているわけです。どうですか。

鈴木国務大臣 平成九年二月二十五日の衆議院予算委員会、第百四十回国会でございますが、その中で、安住委員、当時の委員の質問に対しまして、当時の政府委員が、そのまま読みますと、財政法二十八条は、一号から九号までは具体的にその内容を指定しております、十号におきまして、その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類ということでございます、この規定に基づいて今まで提出したものというものはございませんという答弁がございます。

大串(博)委員 政府見解の統一したものを求めたいと思います。

 三十年の五月二十八日の参議院予算委員会の答弁では、必要な書類といたしまして必ず各目明細を出すという取扱いに従来からいたしてございますというふうに言われております。どうもそごを来していますね。是非確認をいただきたいと思います。

 これは委員長、お願いします。

根本委員長 じゃ、理事会で協議します。

大串(博)委員 いずれにしても、私たちは国会に、何か、皆さんそうだと思いますけれども、国会で予算の議論をするとき必ず見る各目明細書、極めて重要なものです。

 総務省において十三か所の誤りがあったということ。各省はどうなのか。各省においても多くの間違いがあったとすると、この予算審議自体、土台を失うんじゃないかと私は思います。

 財務大臣の方から各省に、急ぎチェックするようにというような指示が出ているということでございますが、予算審議は始まっております。できるだけ急いで、物すごく急いで出していただきたいと思います。

 総務省の場合には、この間の土曜日に、誤っておりました、誤りが見つかりましたという連絡をいただいた上、昨日日曜日の朝には、全部調べて十三か所でしたという報告をいただきました。

 ですから、財務大臣、あしたの朝には報告をいただきたいと思いますが、いかがですか。

鈴木国務大臣 御指摘のとおり、財務省の方から各省庁に確認を今お願いをしているところでございます。

 再確認の期限は、二十四日月曜日中ということでお願いをしておりますので、できるだけ早く確認をさせていただきたいと思います。

大串(博)委員 よろしくお願いします。

 金曜日のこの予算委員会でも驚くべきことがありました。予算の提案理由説明を聞いたわけですけれども、その補足説明を副大臣からしていただいたわけでございますけれども、何と読み間違いが多数あった。ちょっと私も何回もこの予算委員会、出席しておりますけれども、過去こういうことはなかったです。

 しかも、四か所誤りがありましたと言って訂正されました。しかし、財務大臣、それだけじゃないの、御理解ですか。四か所訂正されましたけれども、四か所だけじゃないのは、大臣なりに御存じですか。

鈴木国務大臣 全部で六か所であったと思っております。

大串(博)委員 この状況ですよ。六か所間違えて、指摘をされて、四か所間違えていましたとその場で修正されました。しかし、蓋を開いてみたら、結局六か所間違えていた。自分がどこを間違えていたかも、財務大臣すらもそこにお座りになって気づいていなかった。この政府の、私、総理大臣、やはり気の緩みみたいなものがあると思うんです。

 是非きちんと正していただきたいと思いますし、総理として責任を是非感じていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 大変遺憾なことであり、資料の誤り、あるいは発言の誤り、こうしたことについては心からおわびを申し上げます。

大串(博)委員 是非気を引き締めていただきたいと思います。

 その上で、その前提でありました統計の問題なんですけれども、私、言語道断の問題だと思います。国交省において基幹統計の一つである建設工事受注動態統計に関して、三年前あれだけ毎月勤労統計の問題が問題になって、その後、政府全体で一斉点検まで行われたにもかかわらず、そこでも問題を浮き彫りにすることができず、なおかつ、その後、隠蔽と言われても仕方がないと報告書において書かれるような結果であったということでございます。これは、是非総理には統計を立て直していただきたいと思います。

 統計を、しかし、立て直していただくためには、やはり総理の姿勢というのが極めて私は大切だと思うんです。

 そこで、総理の姿勢を確認させてください。

 何となれば、今回、国交省の統計不適切書換えに関しては報告書が一月十四日に出ました。その中で、私も驚きを持って読みましたが、今回、十二月に指摘された二重計上の問題、あのとき、十二月の予算委員会の答弁で、もう既に令和二年一月からは改善されているのでという答弁をいただきましたけれども、この報告書を見てみると、追補という形で、一番後ろのところに、なお、令和二年一月以降も、都道府県においては、国土交通省から是正をする通知を受けていたにもかかわらず、それがうまく届いていなかったんでしょうね、その後も二重計上になりかねない調書が届けられていて、それがどれだけ積み重なって現下の、今の統計に影響を及ぼしているか、これから検証しなきゃならない。

 すなわち、去年の十二月の予算委員会の段階では、改善をされたと。総理は改善とだけ言ったわけじゃないんですよ。こうした運用については既に令和二年一月の数字より改善を行いました、令和二年一月からの数字の修正と言われたんです。修正、改善も行った、こうした報告を聞いております、こういうふうに総理は言われたんです。修正ですから、修めて正しくしたということですよね。そこまで言われたから、私たちは、十二月、ああそうかと、数字はもう正しくなっているんだということで、補正予算の審議には応じました。

 しかし、蓋を開けてみると、それ以降も、現在でも、どれだけの、その後の不適切な、都道府県からの数字の上がり方があったのかは検証しないと分からない、いまだに数字が正しいか分からない、こういう状況じゃないですか。総理自身が正しい数字ですとこの場で言われたわけです。しかし、結果として正しい数字ではなかった。

 このことに関して、誤った答弁をされていたわけですから、このことをお認めいただき、国民の皆さんにしっかりそこは申し開きをいただいて、その上で立て直すという姿勢を示していただくことこそが政府全体の統計を立て直すことにつながると思います。

 先ほどは極めて遺憾ですというふうに、自分に責任がないかのごとく言われました、先ほどの答弁で。私はその答弁が遺憾だったんです。是非、総理、十二月に正しくない答弁をされているわけですから、この数字は修正されたと言われているわけですけれども、結果として修正されていないという報告書が出ているわけですから、そこは端的にお認めいただいて、申し開きを国民の皆さんにしていただいて、そしてしっかりと統計を、政府全体、立て直すという意思を示していただきたいと思います。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、国土交通省の統計において合算計上が行われ、二重計上が行われていた、この点について国土交通省において令和三年四月分から集計方法を改め、令和二年一月分から新たな方法に基づく数字を公表していた、その時点での調査で明らかになっていたこういった事実関係について答弁したのが、御指摘の臨時国会での私の答弁でありました。

 この点については、今回の報告書の中においても、令和二年一月分から、過月分を除外した上で、新たな推計方法で再計算された、こうした臨時国会での答弁内容と同様の事実が確認をされていると承知をしています。

 しかしながら、その後、今回の報告書において、更なる複数の不適切な処理がなされていた、また、問題発覚後に、国土交通省内部で不適切な、事後対応に問題があった、これが明らかになったわけであります。この点について、午前も、極めて遺憾であると申し上げた次第であります。

 この辺は、答弁とそして報告書の中身と、よく整理をして説明をしていかなければならないと思っています。

大串(博)委員 岸田総理らしくない答弁だと思いますよ。

 結局、数字は修正、改善はされていなかったわけですから、間違った部分が残っているわけですから、あの十二月に修正、改善を行ったと言い切られたことは誤っていたわけですから。そういったことを総理自身が認めないと、これは政府全体に私は影響が及ぶと思うんですよ。

 私は、岸田総理はこの間の所信表明演説でも言われていました、後から誤った、変えた方がいいと思うことがあったら柔軟に変えていく。コロナ対策のことを考えてのことでしょうけれども、そう言われていました。でも、どうですか、今の答弁は。私は間違っていない、言いこわっていらっしゃるように聞こえます。

 いかがですか。ここはきちんと、十二月の答弁は正しくなかった、よって、それも含めてきちんとこれから政府全体で正しくしていく、その先頭に立つ覚悟だと言われないと、統計、政府全体で立ち直るなんて私はできないと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 私の発言、修正、改善という言葉について疑念があるという御指摘がありました。だからこそ、今、御説明を申し上げた次第であります。私の発言の趣旨は今申し上げたとおりであります。

 しかし、それに加えて様々な不適切な対応があった、このことは深刻に受け止めて、信頼回復に努めていきたいと考えております。

大串(博)委員 岸田総理らしくない答弁だと思います。

 何やら、私もこの予算委員会で大分いろいろ議論しましたけれども、前の政権や前の前の政権でも、答弁を受けていて、どうもすり替えばかり食らっている、どうも話がかみ合わないなと思ったことは多々ございましたけれども、岸田総理になってそれはちょっと変わったかなと私は思ってはいたんです。しかし、今の答弁を聞いていると結局同じような感じだなというふうに思います。統計が本当に直るのか、私は非常に不安であります。

 それもこれも含めて、委員長、最近の政府の気の緩みの問題も含めて、やはり、きっちり、国会、予算委員会の場で起きたことですから、予算委員会で、集中審議で、きちんと確認すべきは確認し、議論すべきは議論したいと思いますので、お取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

大串(博)委員 是非しっかりお願いします。

 それでは、新型コロナウイルス対策に話を移させていただきたいと思います。

 今、オミクロン株のこの問題、非常に私も心配しております。全国で罹患されている方々、亡くなられた方々、お見舞いとお悔やみ申し上げながら、医療従事者の皆様やエッセンシャルワーカーの皆様を始め、多くの皆様の御努力に心から敬意を申し上げさせていただきたいと思います。

 五万人を連日超えた感染者、東京でも一万人を軽く超えるというような状況になっております。

 岸田総理はこれまで、最悪の事態を想定してと繰り返してこられました。先般の施政方針演説でも、総理に就任したときから、デルタ株を超える変異株が現れる、最悪の事態を想定して対応してまいりました、こう繰り返しおっしゃってこられました。

 総理にお尋ねしますけれども、現下のこの感染状況は、総理が想定されていた最悪の事態の想定の、想定内なのか、それとも想定外なのか。総理の感じを、感触をお聞かせいただけませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、私自身、最悪の事態を想定して、慎重の上にも慎重を期して対応をしてきました。G7で最も厳しい水際対策を用意し、そして感染を最小限に抑え、時間を確保することによって、国内の医療体制をしっかりと用意をし、そして予防、検査、早期治療の流れをしっかり強化する、こうした体制を用意いたしました。

 今の対応がうまくいっているかという御質問でありましたが、こうした用意した体制、病床についても、臨時医療機関についても、また、自宅、療養施設に備えた地域の医療機関のありようについても、これをしっかり、用意したもの、これをしっかり機能させられるかどうか、これが今問われているんだと思います。

 今、感染が広がっている中でありますが、是非、用意した様々な体制がしっかり機能するように、自治体ともしっかり連携しながら対応を進めていきたいと思います。それがうまく機能するかどうかが評価ということになるんだと思っています。

大串(博)委員 ごめんなさい。私の聞き方がちょっと悪かったかもしれませんが、対応がうまくいっているかという話はまたこれから少しずつ詰めさせていただきますけれども、今の感染状況、感染状況は総理が最悪ということで想定していた想定内なんですか、どうですか。

岸田内閣総理大臣 従来から申し上げていますが、昨年の段階から、デルタ株を超える新たな変異株の出現によって感染が拡大するという事態を想定して、様々な対応を行ってきました。今回のオミクロン株、少なくとも新規感染者の数ということにおいては、デルタ株を超える大きな感染者の数を示しています。ですから、デルタ株を超える事態にも備えなければいけないということにおいては、こうしたオミクロンの状況、これもしっかり想定して準備をしていたと申し上げなければならないと思います。

 ただ、相手は自然との戦いでありますので、こうした新しい変異株に対しては、決して予断を持たずに、科学的知見をしっかり大事にしながら対応していきたいと思っております。

大串(博)委員 デルタ株を超えた変異株が出てくるということを想定していたということでいえば、想定の中と言わなければならないというふうにおっしゃいました。

 であれば、例えば今、今日も報道等でもたくさんありました。例えば濃厚接触者について、もう自治体においては積極的疫学調査ができない。つまり、保健所の皆さんが濃厚接触者の方々に連絡することはもうできない、自分で濃厚接触者と思われる方々に連絡をしてください、こういう状況になっているところが多々今もう自治体としてあります。さらには、この一両日の報道では、検査が受けられない、検査が受けられて検査の結果が出るまでに数日かかる、こういった状況になっている。

 こういった状況になっているにもかかわらず、つまり、濃厚接触者ですら、自分で患者さんが、苦しい中、あなた濃厚接触者やと電話しなきゃならない。検査、ああ、やばいと思って検査に行こうと思っても、検査がなかなか予約を取れない。しかも、結果が出るのに時間がかかる。これですら、総理、総理の想定内なんですか。

後藤国務大臣 全体像の検討をしましたときには、例えば、感染力が二倍になるときとか、三倍になるなどそれ以上、それ以上の場合というようなことで、いろいろな可能性を念頭に置いて全体像の対策をつくっているということであります。

 しかし、今御指摘のように、オミクロン株というのは本当に感染力が強く、スピードが速いということでありまして、それについて言えば、我々、与えられた条件の中で必死に、現場が、適切な医療がそれぞれの症状の方たちに伝わるように、少しでも、自宅療養や、あるいはホテル療養を含めて、宿泊療養を含めて、しっかりと回せるように今必死でやっています。

 濃厚接触者等についても、オミクロン株の性格が変われば、おのずから客観的エビデンスが変わりますから、従来、五日間はかかる、五日間でピークというのが、十日たてば感染が起こらなくなるということで入院者についてやっていましたけれども、新しいエビデンスが出てくれば、それを六日に縮めるとか、あるいは濃厚接触者についても縮める、そういう形でいろいろな対応をしながら、保健所等においても対応をしているということであります。

大串(博)委員 総理は先ほど、取組の全体像、去年の十一月十二日、厚労大臣もこれを踏まえながらそういうふうにおっしゃっています。

 ここに書かれているように、感染力がこの夏の二倍、三倍となった場合でも対応できるようにしておかなければならないということでこの昨年の十一月十二日の取組の全体像をまとめられて対応してこられたということからすると、想定の中だと言わなければならない、こう確かにおっしゃいました。その姿勢は誠実だと思います。

 しかし、私は、実際、対応できていないと思うんですよ。やはり、かなり後手後手に回られている点が多いと思うんです。この基本的取組の全体像に従っていろいろやられているんだけれども、結局、濃厚接触者を追えない。検査も何日もかかる、結果が出るまでに。そういう状況になっているということ自体が、やはり後手後手になってしまっていることの事実を表しているんじゃないかと思うんですね。

 そういった中で、さて、どう対応するかということに関して、今、蔓延防止措置が、最初、沖縄を含めた三県から、先般、東京等を含めた十八県等とまた広がって、また今週、更に十数県、全国でもう三十数県ですから、全国を蔓延防止で覆うような状況になってきている中で、先週、専門家の皆さんから、オミクロン株の特徴を踏まえた効果的な対策という提言がなされました。

 ちょうど東京等々の蔓延防止等重点措置が決められたときであったものですから、この中で、今日は分科会の会長の尾身会長にも来ていただいております。どうもありがとうございます。この中で、尾身会長におかれては、人流制限という方法もあるが、人数制限の方が適しているというような考え方を示されています。インタビューでは、ステイホームはしなくてもいいということも尾身会長は言われておりました。

 ちょうど先週、東京の蔓延防止等重点措置で、行動制限、お店の皆さんへの営業自粛、営業の制限等々をお願いしていた中なので、この専門家の皆さんの提言のメッセージと、政府が蔓延防止等重点措置、基本的対処方針の中でやろうとしていることが、どうも国民の皆さんに、ちょっとメッセージがうまく伝わっていない可能性があると思うんです。

 尾身会長に御説明いただきたいと思いますが、今、政府がやろうとしている、やってきている蔓延防止等重点措置における行動制限などと併せて考えると、この提言書から受け取る国民の皆さんの、メッセージですね、人数制限でいいんだ、人流抑制でなくていいんだというようなことに関して、若干のやはりちぐはぐ感を覚える人もいらっしゃるかと思うんですけれども、尾身会長はどういうふうなお考えでこれを提示していらっしゃるんでしょうか。

尾身参考人 お答えをいたします。

 長い間コロナを経験した中、感染症対策と社会経済活動の両立が今私は求められていると思います。

 現在の感染状況を乗り越えるためには、まず、いかなる場面で感染しているか、そして、いかなる行動で感染を、リスクを下げるかについて人々に納得して協力していただくことが、私は、以前にも増して重要だと思います。

 これまでの疫学調査で分かっていることは、オミクロン株の場合でも、マスクを外した状態、これが非常に多いです。マスクを外した状態や不十分な着用、それから換気の悪い中での大人数、大声での会話などが主たる感染の場であるということが分かっています。したがって、一人一人が不織布マスクのしっかりとした着用など、基本的な感染対策の徹底が求められていると思います。

 なお、今申し上げたいわば集中的な対策に加えて、各都道府県知事の判断でそれよりももっとより広範な行動制限をするということも当然考えられると思います。ただし、今後状況が更に悪化すれば、私は更に強い対策が必要になると思います。全国知事会とは今話合いをもうしておりまして、共通の認識に今立っているところを確認しています。

 さらに、このような席ですので、今回オミクロン株がどうしてこれだけ急速に拡大したかという最も大きな原因は、このオミクロン株の世代間の期間、それからターンオーバーが非常に速いということが非常に特徴です。

 そうしたウイルスの特徴に加えて、今回の拡大の非常に明らかな特徴は、クリスマスと年末年始、成人式などでの大人数のパーティーで感染がばっと拡大したこと、そしてさらに、パーティーなんかで拡大したのがその後家庭とか職場に感染したというふうに我々は判断しています。

 そして、現在見ている状況、今日見ている状況というのは、成人式までの経過ですよね。この経過を今、少しタイムラグで報告されますそういうものを今見ているということになります。

 したがって、これからどうなるかということは、今申し上げたような大人数のパーティーなんということがまたぞろ再現されるとまた感染拡大をする可能性が強い、しかし、それを国民みんなの努力である程度抑えることができれば、感染の拡大のスピードを鈍化することも可能だと思います。

 以上であります。

大串(博)委員 知事会の皆さんとも意見交換されて、共通の認識に立たれているということでございました。

 私、総理、専門家の皆さんとの意見交換、一生懸命されていると思いますけれども、ちょっとやはり、先週の後半のこの東京等の蔓延防止等重点措置を決めたときの、これまでの基本的対処方針に基づく行動制限を含めた政府の対応と、専門家の皆さんとの意思疎通、やはり欠いていた面があるんじゃないかと思うんです。国民の皆さんは、やはりメッセージをどう受け止めていいか迷われたところがこの数日間あったと思います。是非、今後も専門家の皆さんとは意思疎通をよく図っていただきたいというふうに思います。

 そして、さっき総理が言われました、今の対応がうまくいっているか。私は、かなり後手に回っている面が大きいんじゃないかと思うんです。

 例えばワクチンです、三回目のワクチン。今日は私のお隣の県の山田勝彦議員にお手伝いをいただいておりますけれども、例えば三回目のワクチンです。

 これは非常に私は重要なポイントだと思うんですね、このオミクロン株を乗り越えていくにおいて。にもかかわらず、これを見ていただくと、先進七か国の中で圧倒的に日本が少ないという状況です。

 三回目のワクチン接種、一月末までに本来であれば千五百万人ぐらいの方が打てなければならないにもかかわらず、今どのぐらいの方が打たれていますか、堀内大臣。

堀内国務大臣 大串委員にお答えします。

 三回目の接種完了数は、百九十四万回強となっております。

大串(博)委員 本来であれば、一月末までに千五百万回の、高齢者の皆さんも含めて打つことになっているのが、今百九十万です。

 なぜこんなに遅くなっているんでしょうか。総理、いかがですか。

後藤国務大臣 諸外国と比べてみると、日本は、ワクチンの接種も出発は割合に遅くなりました。しかし、地方公共団体がしっかりと準備を整え、また、国民の皆様が大変に御協力していただけるということで、ぐっと後から追いついて、先進国では最高の八割に近い接種率になったというふうに思っております。その後、三回目の接種というのは、一定期間を置いてから打つということになっておりまして、ちょうど一月から本当に打てるようになるというふうに思っております。

 また、今、現時点で、各地方公共団体に調査をいたしまして、全国の八四%の自治体が、二月末までに対象となる希望者に対する高齢者への接種を想定どおりに終えることができるという回答が来ておりますので、力を合わせて、みんなで協力しながら三回目のワクチン接種に努めてまいりたいと思っております。

大串(博)委員 ワクチンを前倒しで打つということに対する政権のエネルギーは、私は低かったと思うんですよ。

 総理は、十二月の所信表明演説のときに前倒しのことに触れられました。十二月の十七日に三千百万人前倒しする方針を出されました。しかし、それは結局、絵を描いた、方針を示した、ここにありますとおり、私、持っていますけれども、七か月間隔まで高齢者を前倒すとこういうふうになるという計画はあります。これによると、一月末までに千五百万人の方が打てなければならないんです。しかし、実際、今、百九十万人、十分の一ですよ。もうワクチンを前倒して打とうと言い始めてから一か月半以上たっているんです。にもかかわらず、これだけしか進んでいない。

 先ほど厚労大臣は一月、二月のうちに大分終わるような報告を受けていらっしゃるというふうに言われていますけれども、本当ですか。今、十二月、一月の二か月間あって、千五百万人がまだ百九十万人しかいっていない。これ自身が非常に遅いんだと思うんです。

 それに加えて、私は、今のこの打つ予定の人を打ってくださいというだけじゃなくて、今の予定でも、ほとんどの高齢者の方々は二月に打つことになっているんです。二千二百二十七万人。これ自体私は遅いと思うんですよ。この七か月間隔で多くの高齢者の皆さんが二千二百二十七万回打つということ自体をもっと前倒しして、今の足下を前倒ししなきゃならないんじゃないかと思うんです。

 それに対して、総理自身、どういうふうなエネルギーをつぎ込んでやられていますか。前の菅総理のときには、総務省を使って、総務省から直接各自治体に直電して、よろしくと。これは非常に大きなプレッシャーだったというふうに言われていますけれども、そういうエネルギーみたいなものを何か感じないんです。前倒しして前倒ししてと口では言われていますけれども、本当に一生懸命前倒そうとしている姿が見えないんです。どうですか。

岸田内閣総理大臣 ただいま厚労大臣からありましたように、我が国は、各国よりワクチン接種の開始、一回目と二回目ですが、これが遅れたために、三回目もこれから本格化すると考えております。

 さっき、これも答弁の中にありましたが、現時点で、全国の八四%の自治体が、二月末までに対象となる希望する高齢者等への接種を、想定どおり二月末までに終えると見込んでいます。自治体との協力、誠に大事だと思います。だからこそ、意思疎通を図りながら、今、自治体に体制を確認しているところですが、自治体においても大型接種会場の設置、そして、国も自衛隊の大型接種会場の設置等を行うことによって、できるだけ一般の方の接種も前倒しをしていきたいと思っております。

 是非、政府としても、自治体の協力をしっかり得られるよう、しっかりと、気迫が見えない、意気込みが見えないという御指摘でありますが、しっかりと意思疎通を図って努力を続けていきたいと考えております。

大串(博)委員 是非よろしくお願いします。やはり、ワクチンは私は大事だと思うんです。私の周りでも、三回目を早く、来たら打ちたいという方はたくさんいらっしゃいます。ですから、自治体の皆さんも努力をしていただいていると思いますので、是非政府の方からもより具体的にやっていただきたいと思うんです。

 政府がつくる自衛隊の大規模接種会場も、聞けば、菅政権のときにやられていたものの一日当たりの接種回数は五分の一、四分の一ぐらいだと聞いています。それでいいのかという話なんです。是非、岸田総理自身が一つ一つの施策を細かく見ていただいて、こうするぞという力強いリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 そして、ワクチンに加えて、一番心配になるのが、やはり夏のときにもありました医療提供体制です。医療提供体制、病院にちゃんと皆さん入院できるのか。夏のときには、病院に入院できなくて自宅療養になっちゃって、自宅で悪化して命を落とされる、救急搬送されない方が多く出ました。

 今、さて、どうなんでしょうか。夏の経験をして、岸田総理、今、自宅療養される方、非常に多くなっています。東京でも二万六千人自宅療養という報道でした。今、自宅療養はうまく、対応は取れているんでしょうか。

根本委員長 厚生労働大臣後藤茂之君。(大串(博)委員「細かいことを聞いていないです。全体的に、自宅療養に関して、取扱い、頑張っていますかということを聞きたいんです」と呼ぶ)

 じゃ、全体的に。内閣総理大臣岸田文雄君。

岸田内閣総理大臣 軽症者が多いと言われているオミクロン株への対応ですので、専門家の皆様方の御指摘の中においても、自宅療養が重要であるという御指摘がありました。

 自宅療養に備えての対応をしっかり考えなければいけないということで、昨年十一月の全体像の計画との比較においても、三割上回る、一・六万の地域の医療機関に協力をしていただくこと、確保したところであります。

 是非、自宅療養においても、昨年の夏、なかなか医療にアクセスできない、こうした大きな不安が広がったことをしっかり振り返りながら、パルスオキシメーターですとか健康観察ですとかあるいは経口治療薬など、適切に医療にアクセスできるような体制をしっかり起動させていきたいと考えています。

大串(博)委員 ふわっとしたことではないんです。命が懸かる可能性があるので。

 総理は、一月五日の日、記者会見でこう言われています。自宅療養者の皆さんに対して、在宅で療養される方々には、陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察や訪問診療を始める体制を取りますと約束されています。陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察が行われるです。そして、療養開始の翌日までにパルスオキシメーターをお届けするとともに、診断の当日ないし翌日に経口薬を投与できる体制を確立します。この三点、国民の皆さんに一月五日、これはオミクロン株に関して、基本的に、入院とか宿泊療養ではなくて、自宅療養も致し方なしとするということを方針転換された日のことです。そういうことを三点おっしゃったんです。この三点。

 在宅療養される方々には、陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察や訪問診療が始められる体制となっているのか。更に私が気にしているのは最後の三点目です。診断の当日ないし翌日に経口薬を投与できる体制ができているのか。どうですか、できているんですか。

後藤国務大臣 自宅療養が、しっかりと医療が始まるということは、昨年の夏の経験から考えても、非常に重要なことだというふうに思っております。

 今、陽性が判明しますと、即日ないし翌日にしっかりと健康観察、そしてまた、診療が始まる体制を今つくって、それはできているというふうに思っております。

 そして、保健所機能が非常に滞っているような場合には、現在は、保健所の健康観察を通らなくても、陽性を発見しました医療機関で早速医療を始めるという、そういうルートも開きましたので、対応を準備したと思います。

 それから、経口薬の件でございますけれども、これも早速に、例えば、今、経口薬自身は百六十万人分確保して、現在二十万人分が利用可能となっておりまして、外来で処方をする場合には、登録された薬局、これが今、大体、医療機関、薬局が全国三万で、医療現場に四万五千人分がお届けできるようになっておりますし、それぞれ薬剤の配送を担う地域の卸売業者に対しても、原則、医療機関、薬局から発注があれば翌日に配送できる、そういう仕組み、十一万人分の薬剤を地域の拠点に配置しているところであります。

 そうした形で、今御心配していただいている点についてしっかりと対応ができる体制を、これは、隅々の薬局そしてまた医療機関に到達できるように、点検を行って進めているところです。

大串(博)委員 後藤大臣に聞きますけれども、点検をしていると言われましたけれども、具体的に、何月何日のどの文書で、先ほど言いました、陽性判断の当日若しくは翌日に健康観察を受けられる、これは非常に大事ですね。健康観察、連絡が来るというのは非常に大切ですよ。診断当日ないし翌日に経口薬を投与できる体制、具体的に、何月何日のどの通達ないし自治体からの返信で、一つ一つの自治体から、それが、体制ができていますと確認したんですか。

 私が厚生労働省から聞いているところでは、具体的にその体制ができているという確認はされていません。されていません。されていると言うんだったら、今おっしゃいました、何月何日に、これはレクもしていますからね、何月何日に各自治体から、当日ないし翌日の健康観察の連絡が来る、当日ないし翌日の、経口薬を渡すのができる、何月何日に自治体から確認して、できますという答えが返ってきているんですか。それが本当にあるんだったら言ってください、この場で。

後藤国務大臣 点検をしていると申し上げたのは、体制整備ができているかをきちっと点検するように各自治体に連絡をしたということです。全ての自治体でそれができ上がっていて、今もそれがきちっとワークしているということを点検したというところまでは申し上げておりません。

 それから、その日付の事務連絡、通達がいつであるかということについては、今、事前に御連絡がなかったので、ちょっと手持ちにしておりません。

 それから、先ほど申し上げました経口薬については、これは、今実際に四万、それから登録、これは日々報告が上がってまいりますので、これは実際に体制が整っているもので、拠点に十一万人分のモルヌピラビルがきちっと配置されているということについては、これはしっかり確認済みでございます。

大串(博)委員 総理、聞かれましたでしょう。健康観察が当日ないし翌日にできるということを個々個別に確認はしていないというふうに言われた。そのとおりなんですよ。

 だから、総理は実は、この取組の全体像の中で既に、陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察が実施できる体制を確保すると、もう十一月の段階から言われているんです。にもかかわらず、今それが各自治体でできているかどうか、確認すらされていないんですよ。その状況を是非御認識していただきたい。だから、全体的に、やはりきちっと脇が締められた形になっていないんですよ。実行された形になっていないんです。そうなっては絶対ならないので、是非、私はしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、総理、聞きますけれども、これは元々、十二月の半ばにキャンプ・ハンセン、米軍の皆さんの感染が相当広がって、これが特に沖縄なんかへの感染が相当広がった、残念でした、面があると言われています。

 米軍の皆さんが、なぜこんなに広がったかというと、去年の九月から、それまでの決まりでは、日米地位協定ではなかなかうまくいっていないけれども、基本的には日本と同じシステムで入国前の検査等々をやる、整合的なシステムで検査なんかをやるというふうに言われていたのが、去年の九月からなぜか、米軍において、私たちの知らない中で、アメリカから日本に入ってくるときの検査が行われていなかったということがありました。これは先ほど議論がありましたけれども、外務大臣から答弁がありました。米軍のトップとも話していただいたということです。

 今は、アメリカから日本に入ってくるときのこの状況、入国のときの検査も含めて、米軍との関係においては日本の取扱いと整合的なものになっているんですね。

林国務大臣 今お話がありましたように、在日米軍施設・区域内及びその周辺自治体における感染状況への対応については、十二月に司令官、また一月六日の日米外相電話会談、一月七日の日米2プラス2、度々、それぞれのレベルで感染防止対策の徹底及び地元の方々の不安解消に向けた対応を強く申し入れてきたところでございます。また、日米首脳テレビ会談でも、ハイレベルで日米が緊密に連携することの重要性が確認されているところでございます。

 今先生からお話があったように、二〇二〇年七月の日米共同プレスリリースで、米側の措置が日本側の措置と整合的なものとなるよう連携を図ってまいりましたが、今般、米側の措置の整合性を確保する取組に不十分な点があったということは否定できず、真摯に受け止めたいと思っております。

 こうした反省を踏まえて、一月九日の日米合同委員会の声明に基づき、日米当局間における建設的な協議を通じまして、感染状況も注視しながらこの徹底をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

大串(博)委員 一言で答えてください。今は整合的になっているんですか。つまり、日本に入国するときの検疫上の制限と同じものが米軍軍属の皆さんにも適用されているんですか。

林国務大臣 累次の申入れを踏まえて、我々の措置と整合的なものに、今おっしゃったところはなっていると考えております。

大串(博)委員 事務方の方に聞きますけれども、日本に入ってくるときの検査は、PCR検査、抗原検査、抗原検査も抗原定量検査と抗原定性検査がありますけれども、どれならよくて、どれなら駄目なんでしょうか。

武井政府参考人 空港の水際の検査について御質問がございましたので、お答え申し上げます。

 現在、空港検疫では、全ての入国者に対し、原則として唾液を用いた抗原定量検査を実施しているところでございます。

 唾液を用いた抗原定量検査につきましては、鼻咽頭拭い液を用いたPCR検査と比較する調査研究が行われ、高い一致率を確認することができたため、厚生科学審議会感染症部会における審議も踏まえ、令和二年七月より検疫において活用したものでございます。

 空港検疫では、大量の検査について結果が判明するまでの待機時間を短くする必要があることから、迅速に結果が判明し、PCR検査と同等の検査精度を持つ抗原定量検査が現時点では最も適していると考えています。

 また、抗原定量検査では判定が難しい場合には追加的にPCR検査を行うなど、陽性者の検出に万全の対応を取っているところです。

大串(博)委員 抗原定量検査なんですよ。PCR検査若しくは抗原定量検査なんです。

 米軍の方は今どうですか。抗原定量検査若しくはPCR検査と決定されていますか。

林国務大臣 日本側の強い申入れも踏まえて、在日米軍は、昨年の十二月二十六日以降でございますが、出国前七十二時間以内の検査を再開しております。

 今御指摘のあった出国前七十二時間以内の検査においてはPCR検査又は抗原検査が実施されると承知しておりまして、このうち抗原検査の場合については、日本側の措置と整合的となるよう、抗原定量検査を実施するよう米側に説明、申入れを行っているところでございます。

大串(博)委員 総理、これなんですよ。申入れをしているんです。いまだにですよ、抗原定量検査となるよう申入れをしているんです。本当に抗原定量検査がなされているか、確認されていないんですよ。いまだに申入れしているんですよ。

 日米地位協定の下で、先ほど泉代表から言われました、非常に日本は厳しい、あるいは不平等な立場に置かれていると言わざるを得ない。その中で、今回、米軍から大きな感染が広がった、それが、検査が日本と同じものがなされていなかった、そこが理由であったにもかかわらず、いまだにこのことは改善されていないんですよ。これ、総理、知っていましたか。もし知らなかったとしたら、とんでもないことじゃないですか。

 先ほどから言っているんです。コロナ対策において、総理は、本当にきちっと、エネルギーを込めて、きちんと自分の目で見て、こうすべきだ、ああすべきだと、きちんとリーダーシップを発揮してやってもらっているか。上辺だけをさらっとなでているんじゃないか。ここなんです。

 総理、抗原定量検査がきちんと行われていなかった、このことに関する反省の弁なり、今後どうするなり、述べてください。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、累次にわたって検査をやっていただく、その中で、この抗原検査の種類についても説明、申入れを行ってきておるところでございますので、冒頭申し上げましたように、整合性をしっかりと確保していくということを引き続き努力してまいりたいと思っております。

岸田内閣総理大臣 いずれにせよ、日本側からの強い申入れに基づいて、現在、日本に入国する全ての在日米軍関係者の出国前七十二時間以内の検査、入国後二十四時間以内の検査及び入国後五日以降の検査、計三段階の検査を実施しているということは報告を受けています。

 ただ、委員の御質問は、その検査のやり方、抗原定量検査なのかPCRなのか、こういったことだと思います。こういった三回の検査の内容については、しっかり申入れを行っているという外務大臣の答弁でありましたが、是非いま一度、この内容についても日本政府として別途確認をしたいと思います。

大串(博)委員 終わりますが、外務大臣の答弁の撤回を、また理事会で協議してもらいたいと思います。

 外務大臣は先ほど、アメリカのやり方は、今、日本と整合的なものになっていると冒頭答弁されました。しかし、結果としては、抗原定性検査もあり得るという、日本の仕組みとは違ったものであるということが判明しました。ですから、外務大臣の答弁を撤回してもらうように、後ほどこれは理事会で協議していただきたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

大串(博)委員 以上、総理、しっかりお願いします。

 終わります。

根本委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。

 総理、よろしくお願いをいたします。

 今日は、東京の山岸一生代議士に手伝ってもらいます。

 我が国で、新型コロナウイルスでこれまで一万八千五百人を超える方がお亡くなりになりました。心からお悔やみを申し上げます。そして、医療の現場で奮闘されておられる全ての皆様に心より感謝を申し上げます。

 そして、このテレビ、ラジオを聞きながら、自宅や病院で、宿泊施設で療養されておられる皆さん、そして濃厚接触者となって待機をされている皆さん、そして病院の待合室でこれを聞いておられる皆さん、そして全ての国民の皆さん、今、大変な我慢を強いられているというふうに思います。

 しっかりとこのコロナ対策に万全を期すよう、総理と議論をしていきたいというふうに思います。

 まず、やはり重要なことは、医療崩壊と生活崩壊、この二つの崩壊を繰り返さない。特に、昨年の八月にございましたように、助かる命が助からない、これは決して繰り返してはならない。これは、新型コロナの患者さんのみならず、コロナでなくても、入院できずに命を落とした方がたくさんおられました、昨年ですね。それを絶対に繰り返してはならないという思いで、これはもう総理と同じだと思いますので、しっかりとした議論、そして政策を前に進めるということをしていきたいというふうに思います。

 今日は大方針をお伺いしますので、総理とやり取りをさせていただければと思います。

 まず、総理は聞く力ということを言われておりますけれども、このオミクロン株対策について、国民の皆さんから、政府の対策について苦言なり、あるいは注文なり、そういう耳の痛いことというのは総理の耳にちゃんと入っているのかなというのはちょっと心配なんですが、国民の皆さんから聞いたそういう類いの話、ちょっとここで、もしあれば御紹介いただければと思うんですが。

岸田内閣総理大臣 オミクロン株への対応については、様々なお立場の方から、私の方にも直接いろいろな御意見を承っております。

 水際対策についても、それぞれのお立場によって、より厳しくしてもらいたいという意見もあれば、より緩和して、世界への窓を広げてもらいたい等の意見もあります。病床、あるいはワクチン接種、そして検査、また経口治療薬、こうした体制について、よりスムーズにアクセスできるためにいろいろ工夫してもらいたい等々、様々な御意見を承っております。

 政府として、昨年から、こうした新しい変異株への対応も含めて、様々な準備をしてきたところでありますが、その対応をしっかり稼働させると同時に、日々いただく様々な御意見についてもしっかり受け止めて、よりオミクロン株の特性に合った対応を考えていかなければいけない、こうしたことを考えております。

 濃厚接触者の待機期間であったり、あるいは入退院の基準であったり、オミクロン株の科学的な知見が集まる中にあって、より現実的な対応を日々考えていかなければいけない、こうしたことを思いながら取組を進めている次第であります。

長妻委員 今いろいろな声が届いているということで、医療体制に対する注文の声もあるということでありまして、ちょっと私が心配なのは、総理に、本当に国民の皆さんの厳しい声が届いているのかなと。我々の方は、野党だからというわけじゃありませんけれども、日々地元を回っておりますので、御自宅なんかへ行くと、いろいろなことが耳に入ってくるわけでございます。

 というのは、危機感の欠如というのが少しこれはあるんじゃないのかなと心配なんですね。

 総理は、代表質問あるいはいろいろな場面で、最悪の事態を想定する、こういうふうにおっしゃっておられます。この最悪の事態の中には、入院できない状態、つまり、助かるはずの命、これが入院できない、そういう事態も最悪の事態の中に入っているという理解でよろしいんですか。

岸田内閣総理大臣 昨年の十一月明らかにさせていただいた全体像という計画の中においても、昨年の夏の段階と比べて二倍の感染力あるいは三倍の感染力、こうした形で感染が広がったとしてどう対応するのか、こうした計画を作らせていただきました。

 そういった体制の中で、病床の逼迫等についても厳しい状況をしっかりと想定して、この全体像の計画の中に盛り込ませていただいた、こうしたことであります。

長妻委員 二倍、三倍ということを想定したと言われておりますが、厚生労働省の見解によると、今回のオミクロン株の感染力は三倍から四倍だということなんですね。重症化率は、東大の先生のグループによると、大体四分の一から三分の一ぐらいじゃないか。でも、逆に言うと、新規感染者が四倍から五倍になったら、去年の八月と同じレベルの絶対数、重症者の絶対数が発生するわけです。

 私が聞いた質問にちょっと答えていただきたいんですが、最悪の事態というのは、入院すべき方が入院できない、助かる命が助からなくなる、こういう事態も最悪の事態、総理が考える最悪の事態に含まれているのかということなんですね。

岸田内閣総理大臣 先ほど言いましたように、昨年の夏と比べて二倍、三倍、更にその上の状況が起こったとしても医療が逼迫しないように病床をどう確保するか、あるいは、何よりも、自宅療養において、去年、医療にアクセスできずに大変厳しい状況に陥ってしまった、この点をしっかり振り返って、自宅療養も含めて全体として医療にしっかりアクセスできる体制を全体像の中に盛り込ませていただき、準備を進めてきた、こういったことであります。

長妻委員 ちょっとお答えいただけないんですけれども、やはり、最悪の事態というのは、去年の八月の再来、これも起こり得るんじゃないのかということも考えながら私は対策を取ってほしいんですよ。起こらなきゃいいですよ、それは。

 医療のキャパをきちっと確保して、万々が一のときに備える対策をするということは、逆に言うと、経済も動かせるんですよ。今、経済がなかなか動かしにくいのは、去年の八月の再来、つまり、医療がまだまだ私に言わせたら不十分なんですね。確かに病床は三割増になりました。いろいろな手当てがありますが、細かく見ていきますと、それを超えた場合の臨機応変な対応の仕組みがないわけですよ。そこが非常に心配なんですね。

 そこで、一番私が心配なのは、選挙前に、自民党の公約で、先ほど泉代表からもありましたけれども、医療確保等の法律を手当てする、こういうことを約束されておられた。選挙前に、私もテレビ番組に出ますと、自民党の方なんかは、法律をすぐ作るんだ、万全を期すんだということで、私もそれは同感だったわけですが、選挙が終わりますとそういう話が立ち消えになって、私が一番驚いたのは、総理が、今年の六月をめどに、司令塔とか、感染症法の在り方とか、保健医療体制の確保、これを取りまとめると。しかも、危機に迅速に対応するため。今は危機じゃないんですか、今。

 これは、役所も、我々も役所ともいろいろ勉強もしておりまして、役所がこういう資料もまとめているんですよ、やる気になって。今、配付資料の中に入っていますけれども、去年の十二月十七日に厚生労働省がまとめた「現行の感染症法等における課題・論点」、これを基に法律を速やかに作るということで、私は期待したんです。

 というのは、今総理がおっしゃったように、ベッドを増強した、いろいろな医療の手当てをしたというのは分かります。それで済めばいいんですよ、その範疇の中に今回収まればいいんですよ、それは。ただ、収まらないときにどうするのかというのがここに論点として書いてあるわけですね。それが法律の改正なんですよ、目的なんですよ。オーバーフローしたときどうするのか、臨機応変に、オーバーフローしそうになったときにどう対応するのかということを。

 この中に書いてありますのは、論点として厚生労働省が作ったのは、まず、国の権限、関与の強化が必要だと。去年の反省から。

 これは、御存じのように、今の現行法だと、医療の最終責任は都道府県が持つんですよ、都道府県が最終責任。国じゃないんです。これは平時なんですよ、発想が。その平時の発想で今もずっとやっているわけですよ。だから、お国は後ろに構えていろいろ見ているというか、指示するというか、そういう状況になっているわけです。

 それじゃ駄目だと。やはり国が、危機のときは、オーバーフローしそうになったときは、できるときはいいんですよ、その皆さんの手当てをして、したときは国が前面に出ていく、そういう仕組みがないといけないし、あるいは、都道府県も医療の現場に少し手を入れて、権限を持ってコントロールできるような仕組みも必要だと。

 つまり、何が言いたいかというと、一番重要なのは、危機が起こる前に、全国のお医者さんとか看護師さん、あるいはベッド、これを融通し合う司令塔が必要なんです、首相官邸に、自治体と協力して。それは、全国全てで同等の危機が発生したらこれはなかなか難しいんですが、濃淡あるわけですよ、タイムラグもあって。そういう形で融通し合う仕組み。そして、特に今度は御自宅の対応というのが、更にデルタ以上に重要になってきます。そういう意味では、自宅におられる方をケアする体制、オンライン含めて、お医者さんをどういうふうに配備していくか、足りなくなった地域にはほかから応援をもらうとか、そういう融通し合う調整能力がないんですよ、今、国には、法的な根拠が。

 実はこの前も厚生労働省が、沖縄が大変になりましたね、去年、今も大変ですけれども。昨年、非常に新規感染者が増えたときも、厚労省の一部局が電話しまくって、いろいろなところに、看護師さん、ちょっとお願いねと、こういうことを職員レベルでやっているのが現状なんですよ。

 これは、総理、六月と言わずに、是非前倒しをして、もう本当は去年やってほしかったんですが、我々と議論して、大車輪で、一刻も早く、今月から議論を始めて、来月上旬とか、非常に速いスピードで法案を作り上げる、こういうことを是非御決断いただきたいと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政府としては、まずは目の前のリスクにしっかりと対応しなければいけないということで、今の法律の中でできること全てをやらなければいけないということで、準備を進めてきました。

 病床についても、公的病院中心に病床の確保を進めながら、民間の皆さんとも書面をもって契約をし、病床の確保に協力していただく、こういったことで、去年の夏の三割増、三万七千の病床を確保しました。臨時の医療施設、入院待機施設も、去年の夏の四倍弱でありますが、三万四千人分を確保しました。また、地域においても、自宅療養者の皆さんにしっかり医療にアクセスしてもらわなければいけないということで、全体像の計画の三割増、一万六千の医療機関を確保しました。これは、まずは今の法律の中でできることをしっかり用意すること、これが何よりも大事だという考えで取り組んできました。

 そして、法律の改正ということですが、現在のオミクロン株の実態についても、科学的知見、ようやく少しずつ集まってきたという状況であります。そういったこの新型コロナの実態にどう適切に対応していくのか。これは、去年から今年にかけての様々な対応をしっかりと検証した上で法律を作っていくべきであるという考えに基づいて、六月、司令塔機能と併せて法律を作っていく、こうした考え方を示させていただいている、これが私たちの考え方です。

長妻委員 総理、今総理がおっしゃった医療の充実、数字を挙げていただきました。それはそれでいいことなんですが、私が申し上げているのは、それをオーバーフローしたときにどうするのかということを法律であらかじめ手当てしておく。

 この法律が、空振りになった方がいいんですよ、発動しないまま終息すれば。ただ、私は、本当にそうなのかな。少し気になるのは、例えば、大阪で一月十六日に判明した、これは政府からいただいた資料ですが、重症者七人おられると。そのうち五人がデルタで、二人がオミクロンだった。私は、今出ている重症者はかなり、半分以上がオミクロンかなと思ったんですが、デルタ株もまだ根強くあるわけですね。東京なんかでも、九割以上はオミクロンかもしれませんが、逆に言うと、残りはデルタなんですね。先生方によっても、デルタも変異していると言う先生もおられるんですよ、デルタ株が。

 そういう意味で、是非、さっきの厚生労働省のこの論点にも、こういうことが書いてあります。病院の任意の協力に頼らざるを得なかった、去年は。それが問題だった。あるいは、自宅やホテル療養者への医療提供の体制整備が課題だった。法的根拠が必要なんじゃないのか。有事を想定した国、地方の事前計画の策定の仕組みがなかった。ここに論点、我々も考える論点が全部書いてあるんですよ。準備万端とは言いませんが、準備していたんですね。ところが、政治の上の方から、撃ち方やめと。何でなのか。まあマスコミ報道なんかによると、参議院選挙で何か支障があるみたいな報道があります、私、理由は分かりませんけれども。

 これは是非、今パネルをちょっと示しましたが、実は、我々立憲民主党は去年の六月に法律を提出しているんです。国民の命を守るための検査拡充、病床確保、医療従事者等支援三法案というんです。その一つの法案の中に、これはインフル特措法改正案なんですが、患者等に対する医療を確実に行うための要請等、他の都道府県知事に対する医療の提供の要請、国がですね、そういう権限を付与した法律を国会に出しているんです。国会の仕組みは、御存じのように、なかなか我々、過半数を取っていないので、審議してほしいとお願いしても、やはり過半数の反対で審議されていないわけです。

 ですから、じゃ、この法案を修正してもいいですよ、もちろん。ここはこういうふうに変えた方がいいと自民党から言っていただいて、これはもう既に六月に出している法律なので、総理の鶴の一声で、自民党総裁でもあるので、この法律を国会で議論しましょう、ちょっとやってみましょう、早くと、お話しいただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず最初に、先ほどの答弁の中で、臨時の医療施設、入院待機施設、去年の夏の四倍強となる三万四千と申し上げたようですが、三千四百、四倍強の三千四百でありました。訂正をいたします。

 その上で、今の提案ですが、基本的な考え方は、政府としては、先ほど申し上げたように、今の目の前のリスクに対してしっかりと体制を準備して、それを機能させる、これを今自治体とも協力しながら進めている、そして、オミクロン株の知見、大分集まってきましたが、今後、よりその特性が明らかになって、具体的な対応の中で考えていかなければいけないことがこれからもしっかり出てくる、その辺もしっかりと検証した上で法律を作っていく、こうしたことを申し上げています。

 そして、今の法律の取扱いについては、政府としては今申し上げた考え方でありますが、議会の中で法案の取扱い、これをどうするか、これは議会の中でしっかりと御議論いただいて対応は考えていただく、こうしたことだと考えております。

長妻委員 我々も長年国会にいるとよく分かるんですが、そういうふうに答弁をいつも総理はされるんですが、総理は自民党総裁であって、それはそういうのを前向きにやってくださいと指示しないと動かないんですよ、結局は。言えば動くんですよ。それが国会ですから、是非、つまり、今の枠組みの中で本当にできるのであればそれにこしたことはないんですが、それをオーバーフローしたときなんですよ。

 例えば、重症化率が四分の一という、先ほど、東大のグループの試算がありました、オミクロン株ですね、デルタに比べて。東京は、例えば、去年のピークが一日六千人ぐらいだったんですね。そうすると、二万数千人を超えると、その絶対数が同じになるんですよ、比率と掛け算すると。相当な、それ以上の、二月に入ると、例えば東京で新規感染者が一日に出るという、ちょっとここでははばかられるような数字を試算しているグループもあるわけですね、相当大きな数字を。そういうようなことで、是非、この法案をやっていきたい、やっていただきたいということを強く思いますが。

 それはもう、検証するって、終わっちゃいますよ、六月。六月はもう国会を閉じるじゃないですか、参議院選挙。そうすると、法律は秋ということなんですか。だって、六月まででしょう、まとめるのは。六月にまとめて、国会会期末じゃないですか。参議院選挙は七月じゃないですか。そうすると、秋の臨時国会に法律を出す、そういう流れなんですか。

後藤国務大臣 今、総理の指示の下、政府としては、六月に司令塔機能も含めた法制度をまとめるということで、それ以降の段取りについて、今の段階で決めているわけではないという認識でおります。

長妻委員 私も、皆さんも一生懸命コロナ対策をやられているので余り厳しいことは言いたくないですが、国民の皆さん、テレビ、ラジオを聞いておられる方、六月まで取りまとめて、法律は、じゃ、秋の臨時国会に出るか分からないし、来年かもしれないし、これはだから、もうコロナが全部終わった後、今後日本どうするかという法律じゃないですか、そうしたら。そうじゃなくて、今なんですよ、危機は。今対応しないといけないと思うんですね。

 ちょっと時間もだんだんなくなってきましたので、これは粘り強く、いろいろ働きかけをしますので、是非総理も、促進するように、我々もいろいろな法律を更に準備しますので。ちょっとこれは本当に、総理、しっかりしていただきたいと思います。

 そして、もう一つは、どれが正しいのかということなんですね。

 これは、この前の土曜日、皆さんのところに提出があったと思います。小池知事と首都三県の知事ですね、千葉、神奈川、東京都で要望書が出ました、この前の土曜日。どういう要望書かというと、人流抑制ではなく人数制限との発言を、基本的対処方針と異なる考え方が報道され、現場に混乱を来している、国、地方、専門家らが一体となってほしいと。これは知事さんが出しているんですね、国に対して要望書を、どなたか受け取ったんだと思いますけれども。

 これは、専門家の意見を聞くのももちろんいいんです、総理のよく聞くのも。ただ、最後はワンボイスで総理大臣が、つまり、私が不満だったのは、蔓延防止措置、総理、いつも会見していますよね、ぶら下がり、国民の皆さんに何をお願いするのかという発言がないんですよ。国民の皆さんにこれをお願いします、国もこういうふうに頑張っているから、これをお願いしますというのがないんですね。

 ですから、専門家の方の意見、もちろんきちっと聞かないといけないんですが、最後、決断してワンボイスでという意味でお伺いするんですが、人流について、外出自粛とか必要ない、尾身先生の発言は大きいんですよ。私のところへもいっぱい問合せが来ました、皆さんから、地元の方を含めて。これは、じゃ、もう旅行とか行っていいんですね、ちょっと考えていたんだけれどもと。国の方針は、人流や人との接触機会の削減が重要。小池知事らは、不要不急の外出自粛。

 これは、総理、どれが本当なんですか。外出自粛は必要あり、なし、どっちですか。

岸田内閣総理大臣 尾身会長も、その後、発言については訂正をされたと承知をしています。結果としまして、オミクロンの特性を踏まえ、マイクをつけずに会話をするなど、リスクの高い場面での接触機会を減らすための人流制限に重点を置くということでありましたが、あわせて、地域の実情に応じた人流抑制も有効である、こうした発言であったと理解をしています。

 政府としましては、まずは、国民の命を守る、入院体制をしっかりと準備することが第一だと思っていますが、あわせて、軽症の自宅療養者に対して地域医療の即応体制をしっかりと準備する、そして三番目として、社会経済活動をできる限り止めないことというポイントにおいて、今申し上げた人流抑制とそして人数制限の議論が出てきた、そして先ほど申し上げましたような整理をさせていただいた、これが国としての発信内容であります。

長妻委員 そうすると、総理、国の方針とここに書いてありますが、これは基本的対処方針なんですよ。国のコロナのバイブルなんですね。バイブルというか、まあ、憲法みたいなものです。大方針が書いてあるペーパーには人流抑制、人流の削減とあるんですが、そうすると、不要不急の外出の自粛というのは、これは生きているということでいいわけですね、総理。

 そうしたら、是非ちょっと統一見解をまとめていただきたい。

 尾身先生が訂正という話がありましたけれども、この新たな、効果的な対策という、専門家の尾身先生が入ったペーパーのことではないかと思いますが、これは二十一日に出たんですけれども、確かに若干修正されています。ただ、人数制限が適していると考えられる、なお、感染状況の実情も踏まえて、各都道府県知事の判断により、人流抑制を加味することもあり得ると。サブなんですよ、人流抑制。

 だから、これは是非統一見解を出していただきたい。

 そうすると、県をまたぐ移動についても、これは、総理、大きなことなので、じゃ、県をまたぐ移動に限定してお伺いします。

 つまり、不要不急の県をまたぐ移動は自粛というのが政府や国あるいは知事のメッセージなんですけれども、これは、じゃ、旅行というのはどうなんですか。いいんですか、悪いんですか。

山際国務大臣 蔓延防止等重点措置において、基本的対処方針において何と書かれているかをお伝えしますが、不要不急の都道府県間の移動は極力控えるように要請することとしているというふうに書かれておりまして、その上で、都道府県は地域における感染状況等を踏まえ、必要な措置を講ずるものという話でございますから、これというふうに決められているものではないとしています。

長妻委員 これというふうに決められているものではないというのは、じゃ、旅行は感染対策をすればしていいということですか。

山際国務大臣 不要不急という言葉の意味をどう捉えるかによると思いますけれども、例えば、いつも一緒にいる家族間で移動するということに関して、それで何か制限をする必要はないというのが、混雑した場所や感染リスクの高い場所を除き、外出自粛要請の対象としないということで全体に書かれていますから、やはりそれはケース・バイ・ケースなんだと思います。

長妻委員 これは更に問合せが来ますよ、私のところにも。これはちょっと、笑い事じゃないですからね。つまり、それは今初めて聞きました、家族とならば注意すればいい。

 これは、そうしたら、分かりました、もう時間もないので、政府の統一見解を、是非、総理、出していただきたい。いろいろ細かいところがありますので、私も役所に申し上げますので、相当聞かれますから。これは重要です。

 もう一つ心配なことが、国土交通省が検査していただいたわけですね、二酸化炭素濃度。これについてちょっと概要を、検査結果をお願いします。

斉藤国務大臣 昨年十月、産業技術総合研究所、産総研が、東京メトロの実際の車両を用いて、混雑時の運転状況を模擬した地下鉄車内の二酸化炭素濃度及び換気回数に関する試験を行いました。

 具体的には、東京メトロの実際の運行において最も駅間の長い区間の所要時間が九分間であることから、ラッシュ時を想定した乗車率一五〇%で九分間走行した状態を再現して行われました。

 その結果、二酸化炭素濃度については、最大で三二〇〇ppm程度まで上昇し、また、感染リスクを低減する観点から重要と考えられる換気回数については、窓を閉めた場合には一時間当たり約六・三回、さらに、一両当たり二か所、十センチ窓を開けた場合には約九・四回車内の空気が入れ替わることが併せて確認されたと承知しております。

長妻委員 窓を開けた場合は、二酸化炭素濃度は、閉めた場合に比べてどのぐらい低減しましたか。

萩生田国務大臣 検査したのが産総研で所管なものですから、私の方から。

 車内二か所で窓を十センチ開けた状態では、そうでない場合と比べてCO2濃度が約一五%減少しました。

長妻委員 私の予想では窓を開けるともっとCO2濃度が下がると思ったんですが、一五%ということなので、これは是非対策を、国土交通大臣、今のままでいいのか、いいんだったらいいんですけれども、あるいは、万全に、もう少し対策をするのか、そこら辺を是非検討していただきたい。

 私は、一つ、ちょっと今のにも関連して、マスクについて政府に提言をしたいんですね。

 やはり、我々の行動を全部止めるわけにはもちろんいきません。ところが、日本は皆さんマスクをされておられる方が多いんですけれども、やはり、ウレタンとかそういうようなマスクも非常に多いということです。

 東北大学の本堂先生が実験をしておりまして、不織布マスクが全体の七割から九割まで上がれば、全体の飛沫の量は十分の一になる、こういうものも出されておられるし、その本堂先生ら三十八人の科学者が、去年の八月、緊急声明を出しました。不織布マスクが必要だ。これは、エアロゾルとしてのウイルスを吸入する確率を小さくできる、ポリウレタン製のマスクや布製のマスクは、五マイクロメートル以下のエアロゾルの吸入阻止に無力である、徹底させるための措置を速やかに実施すべきである、こういうような提言を出しておられて。

 仙台医療センターの西村センター長も、こういうことを言われております。布、ガーゼマスクは不織布マスクに比べて大きく効果が落ちる、ウレタンは他と比べて効果がかなり低いということで、やはり不織布が、密閉して、これが相当必要だということです。

 海外を調べますと、なるほどと思ったんですが、イタリアは、今、緊急事態宣言が出ているようです。このFFP2マスクというのは、日本でいうN95マスクですね、医療用マスクと同じレベルのマスク。このFFP2マスクの着用義務化、公共交通機関に乗る人は、これをしていないと駄目だ、映画館、コンサート、クラブ、スポーツイベント等。

 ドイツは、このFFP2マスクの着用を推奨、公共交通機関、小売店、閉鎖された空間内。これを受けて、ベルリン州など幾つかの州は、公共交通機関等でのFFP2マスクの義務化が実施されている。

 アメリカは、御存じのように、先週ですかね、バイデン大統領が、アメリカ国民成人一人当たり三枚のN95マスクを無料で配付する、四億枚。そういうリスクの高い場所のときは着けてくださいと。

 というようなことで、やはり、いきなり医療用N95というのは無理だとすると、総理、この不織布マスク、これを何としても国民の皆さんに着けてください、マスクは不織布マスクでお願いしますと。これは国の基本的な方針にも書いていないんです、国の対処方針にも。お国はそういうのを推奨していないんです、日本は。

 是非、これは研究結果が積み上がっていますので、基本的対処方針に書き込む。そして、公共交通機関を利用される方とか、そういうような場合はそれを着けていただく。というか、外に出る場合は不織布マスク。これは不織布ですけれども、ほとんど皆さん不織布だと思いますけれども、それを総理からちょっとおっしゃっていただきたい。

 これは事前に相当詰めて質問通告していますので、ここで是非アナウンスしていただきたいと思います。総理、お願いします。

山際国務大臣 基本的対処方針に関わることなので私からお答えしますが、先生御案内のように、御指摘のとおり、不織布のマスクは大変効果が高いということもありますし、これまで書いてあったんですね。しかし、国民がマスクを着けるということを習慣になるぐらいに徹底してやってくれているということもあって、着け方を短くして、マスクの着用という形に今なっております。

 不織布の話も含めまして、それをより丁寧に説明していくために何ができ得るかということは、基本的対処方針の検討の中でももう一度やらせていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 基本的対処方針の中にも、従来から、三密の回避、それから換気、あるいは手の消毒と併せてマスクの重要性、これはもう記載しているところであります。

 委員の御質問は素材の話でありますが、不織布マスクとウレタンマスクについて申し上げるなら、一般的に不織布マスクの方が高い効果を持つと私も認識をしています。

 各国の動き等も見ながら、我が国として、この素材の部分、どう扱うかということについては、是非関係大臣ともまた考えてみたいと思います。

 いずれにせよ、各国の取組をしっかりと参考としながら、またオミクロン株の特性にしっかり配慮しながら、具体的な、現実的な対応を行っていきたいと考えております。

長妻委員 委員長に、先ほどの県をまたいだ移動等についての政府の統一見解、それをお願いするとここで言ったんですが、是非理事会で協議いただきたいと思います。

根本委員長 まず、内閣総理大臣岸田文雄君。

岸田内閣総理大臣 政府の統一的な見解を示す、これは重要なことであります。そして、そのためにも、基本的対処方針、これがありますので、この基本的対処方針の中に今言った点も含めてどう明らかにするのか、是非検討していきたいと思います。(長妻委員「じゃ、理事会で」と呼ぶ)

根本委員長 理事会で協議します。

長妻委員 次の質問に移りますけれども、オミクロン株については、アドバイザリーボード、厚労省のメンバーの方々が最近提言を出しましたけれども、そこに書いてありますのは、この二週間でピークが来るんじゃないかと。非常にピークが早いわけで、そのピークの山を抑えるというのは今なんですね。

 ですから、非常に短期決戦。このオミクロンについては、その後、重症者がどっと増えてまいりますから、ここで山を低くしておくということが何よりも重要ですので、是非、めり張りのついた対応。マスクを外しての会話、かつ、大勢、長時間、大声、これはリスクが高い、これを相当アナウンスをして対策を取る。そして、換気の悪い空間、マスクありでも長時間は対策を取る。そして、マスクの質、今申し上げた不織布を推奨するというか、マスクについてはもう何とかお願いをしていく、これを是非やっていただきたい。それで、もう与野党一致結束してこのオミクロンを乗り切りたい。山を低くするのが今ラストチャンスだと思いますので、この一週間が本当に大きいと思います。

 最後に総理にお伺いします。

 非正規雇用の方が今回コロナで直撃を受けております。総理がおっしゃっておられるのは、小泉内閣以来の新自由主義的政策を転換するんだ、こういうようにおっしゃいました。私も同感です。ただ、遅いですね、遅いぐらいなんですけれども、ずっと新自由主義的政策。

 その中の私は典型例というのが、労働法制、つまり非正規雇用の拡大だったと思います。小泉内閣から、本格的に製造業の派遣とか、派遣が本格解禁して、どんどんどんどん非正規が増えて、今四割です。

 その前も、経団連の前身の経済団体が、雇用のポートフォリオ論ということで、日本は正社員だらけの国だと。そうじゃなくて、一九九〇年代、もう少し弾力的に、景気が悪いときは解雇できて、そしてよくなったらまた雇う、そういうような社員が必要だというのを真に受けて自民党が、そしてどんどんどんどん労働法制を緩和して、こういう脆弱な雇用になったと。私は、大罪だと思うんですね、自民党の。

 総理とこの場で議論しました。私が一番印象に残っているのは、安倍総理にこういうふうに聞いたんです、予算委員会の場で。労働法制、これは岩盤規制だ、自分のドリルからは逃れられない、こういうことを総理はおっしゃっておられたんです。こんな趣旨のお話をされている。この考え方は是非改めていただきたいと言ったらば、少しは改めるかなと思ったんですが、安倍総理は、その岩盤規制に穴を空けるには、やはり内閣総理大臣が先頭に立たなければ穴は空かないわけでありますから、その考え方を変えるつもりはありませんと。

 でも、労働法制というのは、弱い立場の労働者と経営者が対等の関係じゃない形で契約を結ぶときに、労働者を守るための規制なんですね。バリアなんですよ。そこに穴を空けるという発想じゃ駄目だ。

 私は、まさにこれは新自由主義的政策の発想なんじゃないかなと思うんですが、岸田総理は、この安倍総理の発想というのは、これは否定されますね、持ちませんね。

岸田内閣総理大臣 今の非正規雇用の在り方についての御質問ですが、平成十五年の製造業への労働者派遣の解禁、これは、厳しい雇用環境の中にあって雇用の場の確保等を行う、これを目的として行われたものですので、この措置自体はこれは転換すべきではないと私は思っています。

 非正規雇用の待遇改善については、同一労働同一賃金を始め、労働者の保護に欠けることがないように、そして多様な働き方ができるように、選択できるように、必要な制度整備を行ってきたところであり、そして、非正規雇用の正社員化については、これは午前中も、先ほども質疑がありましたが、キャリアアップ助成金の支援や人への投資、政策パッケージ、こうしたものについてしっかりと……(長妻委員「この考え方は取りませんね」と呼ぶ)ああ、そうそう、だから、それは冒頭言った、いや、そうじゃなくて、基本的に、安倍総理時代の製造業に対する労働者派遣の解禁、これは変えるつもりはないと冒頭申し上げたとおりであります。

長妻委員 いやいや、そうじゃなくて、総理、逃げないでください。この発想は総理は持ちませんねと、労働法制は岩盤規制でドリルで穴を空ける、緩めていく、その発想は持ちませんねということなんです。

岸田内閣総理大臣 岩盤規制云々の御質問ではありますが、ちょっとその前後の文脈が分かりませんので、どういった意味でその発言が行われているか、そして、それをどうするかということについては、それが分からないとちょっとお答えするのは難しいと思っています。

長妻委員 これは、だって、相当、当時激論になって、そのときに岸田さんもここら辺におられたのではないかと思うんですけれども。

 是非、新自由主義的政策の転換と言うからには、非正規雇用を増やす方向には労働法制を変えないでください。高プロとか裁量労働制をどんどん拡大する動きがありますけれども、是非、製造業派遣を解禁したというのも、雇用のためであればもっと別のやり方がいっぱいありますよ。

 最後に一言だけ。総理は、労働法制についてはどういう考えを持っておられますか。

岸田内閣総理大臣 労働法制についてどう考えているかということでありますが、どういった課題において、どういった考え方に基づいて労働法制をどうするか、これは個別に丁寧に言わないと、一般論として労働法制についてどう考えるか、これにちょっと一概に答えることは難しいと考えます。

長妻委員 これで終わりますけれども、具体的に聞くと答えなくて、だから抽象的に聞いて、労働法制の意義なり、役割なりを御答弁いただければよかったんですけれども、まさか安倍総理に忖度はされていないと思いますけれども、新自由主義的政策を転換するとおっしゃったんですからね。その政策によって大変な思いをされている方、日本中たくさんおられるんですよ。

 日本の労働生産性も今二十位以下になりました。賃金も上がっていません。自己責任論が蔓延しています、過度な自己責任論が。是非、本当に、言うからには覚悟を持ってやっていただきたいということをお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 次回は、明二十五日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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