衆議院

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第3号 令和4年1月25日(火曜日)

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令和四年一月二十五日(火曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      加藤 勝信君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    北村 誠吾君

      後藤田正純君    笹川 博義君

      下村 博文君    土屋 品子君

      中谷 真一君    平沢 勝栄君

      古川  康君    古屋 圭司君

      星野 剛士君    宮崎 政久君

      山下 貴司君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    江田 憲司君

      おおつき紅葉君    落合 貴之君

      城井  崇君    源馬謙太郎君

      近藤 和也君    階   猛君

      堤 かなめ君    長妻  昭君

      藤岡 隆雄君    太  栄志君

      道下 大樹君    山井 和則君

      吉田はるみ君    足立 康史君

      青柳 仁士君    市村浩一郎君

      岩谷 良平君    奥下 剛光君

      金村 龍那君    中司  宏君

      藤田 文武君    三木 圭恵君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      中川 宏昌君    前原 誠司君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   野田 聖子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣         堀内 詔子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   最高裁判所事務総局行政局長            門田 友昌君

   政府参考人

   (内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室審議官)         黒田 岳士君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長)    谷内  繁君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            船越 健裕君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         鎌田 光明君

   政府参考人

   (林野庁長官)      天羽  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官)           飯田 陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十五日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     山下 貴司君

  岩屋  毅君     星野 剛士君

  加藤 勝信君     古川  康君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  江田 憲司君     太  栄志君

  階   猛君     おおつき紅葉君

  長妻  昭君     吉田はるみ君

  道下 大樹君     山井 和則君

  足立 康史君     青柳 仁士君

  市村浩一郎君     藤田 文武君

  岩谷 良平君     金村 龍那君

  緒方林太郎君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     笹川 博義君

  星野 剛士君     岩屋  毅君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  山下 貴司君     石破  茂君

  おおつき紅葉君    階   猛君

  太  栄志君     堤 かなめ君

  山井 和則君     道下 大樹君

  吉田はるみ君     長妻  昭君

  青柳 仁士君     足立 康史君

  金村 龍那君     奥下 剛光君

  藤田 文武君     三木 圭恵君

  北神 圭朗君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     加藤 勝信君

  堤 かなめ君     藤岡 隆雄君

  奥下 剛光君     中司  宏君

  三木 圭恵君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  藤岡 隆雄君     江田 憲司君

  中司  宏君     岩谷 良平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室審議官黒田岳士君、内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長谷内繁君、内閣府政策統括官笹川武君、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君、デジタル庁統括官楠正憲君、外務省アジア大洋州局長船越健裕君、厚生労働省医政局長伊原和人君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省医薬・生活衛生局長鎌田光明君、林野庁長官天羽隆君、経済産業省大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官飯田陽一君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、国土交通省都市局長宇野善昌君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 次に、お諮りいたします。

 最高裁判所事務総局人事局長徳岡治君、最高裁判所事務総局行政局長門田友昌君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 財務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣鈴木俊一君。

鈴木国務大臣 各省庁所管予算の各目明細書について各省庁において再確認した結果、昨日報告があった総務省のほか、法務省、文部科学省、国土交通省の三省の所管予算の各目明細書の記載に合計四項目の誤りがあったところであり、大変遺憾なことであり、おわびを申し上げます。

 今般の誤りにつきましても、予算書に影響はございません。

 今後、今般の誤りの背景等を分析し、同じような誤りが発生しないよう再発防止策を検討してまいりたいと考えております。

根本委員長 昨日の泉健太君の質疑に関連し、階猛君から質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 おはようございます。立憲民主党の階猛です。

 本日は、貴重な質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。

 今、財務大臣からお話があった件について、まず最初にお尋ねします。

 今日の説明によりますと、文科大臣、法務大臣、国交大臣、それぞれについて、各省でなぜそのような各目明細書の誤りが起きたのか、その原因の説明と、そして、このことに対する国民に対する真摯なおわびの言葉、これをいただきたいんですが、順次お願いします。

末松国務大臣 失礼いたします。

 この度、予算案審議の資料として配付させていただいております令和四年度文部科学省所管一般会計歳出予算各目明細書につきまして、その表題の怠り、記載漏れが一か所ございました。原因は、確認作業が徹底されていなかったことによるものでございます。一般勘定という文字、四文字が抜けておりました。独法法人には特別な勘定がありますので分けなきゃいけませんので、そのことが漏れていたということでございます。文部科学大臣として、心よりおわびを申し上げます。

 今後、決して同様のことが起こらないように、再発防止に全力で取り組んでまいります。

古川国務大臣 法務省におきまして、一般会計歳出予算各目明細書を改めて確認をいたしましたところ、一か所、組織、公安調査庁、目、公共施設等維持管理運営費の積算内訳の参考、国際法務総合センター維持管理運営業務を記載した部分におきまして、令和三年度以前支出額を、本来二億三千四十万三千円と記載すべきところを二億三千四十三万円と、二万七千円多い金額を記載していたことが判明をいたしました。

 これは、該当箇所の作成に当たりまして、誤った数値をシステムに手入力をしてしまったものでございます。

 これは、令和四年度予算要求額の合計に誤りがなかったこと、また、該当箇所について、複数担当者での突合による適切な確認作業ができていなかったことにより、数字の誤りに気づくことができなかった、そのためにこういう誤りが発生したということでございました。

 これは、入力した職員及び確認した職員の緊張感が欠けていたことによるものと言わざるを得ません。

 今後は、マニュアルを改定したり、チェック体制を強化したり、あるいは幹部職員から一般職員に至るまで意識づけを強化するといった再発防止策を講じまして、決して同様のことが起こらないよう再発防止に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 いやしくも国会に提出をする文書におきましてこのような誤りがありましたことは、大変申し訳なく、また、恥ずかしいことだというふうに思っております。再発防止に全力を挙げたいと思っております。おわびを申し上げます。

斉藤国務大臣 この度、予算案審議の資料として配付させていただいております令和四年度国土交通省所管一般会計歳出予算各目明細書につきまして改めて確認を行ったところ、その積算内内訳に二項目の記載誤りが判明いたしました。

 誤りの原因は、手入力による作業で記載漏れがあったこと、さらにはその確認作業が不十分であったことなどです。

 予算の国会審議に関わる文書におきまして、このような誤りを生じさせましたことは極めて遺憾でございます。国土交通大臣としても、心より、心よりおわびを申し上げます。

 組織の規律をしっかりして、今後決して同様のことが起こらないよう、再発防止に全力で取り組んでまいります。

階委員 今、三大臣から説明とおわびの言葉がありました。

 国交省から金額の説明はなかったんですが、国交省はかなり金額も大きかったと思います。ほかの二つの役所も金額に影響がなかったり軽微なものであったりするわけですけれども、国民の皆さんにとっては、この問題の重要性がぴんとこない面もあるかもしれません。しかし、この予算審議というのは、国民の大切な税金を一円たりとも無駄にしないで、そしてしっかりその使い道を精査する場です。

 過去にこうした事例があったのか、平成以降、調べました。こうした事例を調べたところ、今までは、平成の全期間を通じて、都合六つの役所、そして国会の単位でいうと五回しかなかった、こういうことであります。それが、今回、一つの国会で一気に四つですよ。これはどういうことなんでしょうか。役所の姿勢が、もうどんどんたがが緩んでいるとしか思えないわけです。

 特に国交省においては、つい最近、統計不正のことが問題になったばかりです。統計不正を踏まえて、細心の注意を払ってこの予算書は作らなくてはいけないはずなのに、ここでも数字の誤りが出ている。

 そして、今日、総理にお尋ねしますけれども、朝日新聞の報道によりますと、例の建設受注統計で、推計すれば四兆円ぐらい、総理が改善されたと言った令和二年以降も四兆円もの上振れがあったんではないかというふうに言われております。

 四兆円。全体で八十兆円ぐらいの年間の受注額の中で四兆円、五%ぐらいも上振れしている。これは、統計の信用性に大きな影響を与えるわけです。

 総理は、多分御自身で答弁を考えられたわけではないと思いますけれども、私が十二月にこの場で質問したときに、令和二年一月以降はもう改善しているというふうにおっしゃっていました。しかし、実態はこのとおり。改善したとはいっても、今までは、調査票を後から出した分について、全部出された月に上乗せして集計していた。それを、改善したとはいえ、前月分についてはまた上乗せをしていたわけです。前月分の上乗せだけ足し合わせていくと、本来の数字よりも四兆円も増えている。こういうことで改善したと言えるんでしょうか。

 総理、前回の私の質問に対する答弁を撤回していただいて、そして、国交省の統計問題について、これほど数字が違いが出ると、やはり予算の収入に関する算定根拠であるGDP、これにも影響が大いに及んでいる可能性があります。前回も申し上げましたけれども、GDPの再算定、これが必要だと思います。この件について、総理の答弁を求めます。

斉藤国務大臣 お答えさせていただきます。

 臨時国会における総理の答弁でございますけれども、建設工事受注動態統計調査に関し、平成二十五年四月から生じた二重計上については、検証委員会報告書においても、令和二年一月分から、過月分を除外した上で、新たな推計方法で再計算されたとされております。令和二年につきましては、新たな推計方法、つまり過月分を合算しない方法で計算された。総理の答弁は、それを前提にした答弁でございます。

 しかしながら、その改善された手法でやったとしても、これは後から分かったことですけれども、検証委員会において、一部の県において、まだ合算したものが提出されていた。

 そういう影響はまだ残っているので、そこは修正しなくてはいけませんけれども、総理の答弁におきましては、その時点で、新しい、過月分を除外した新たな推計方法で再計算されたものであるということは、検証委員会でもきちっとそのように認定されているところでございまして、総理の答弁が誤っていたということではございません。

岸田内閣総理大臣 まず、この資料の過ち、総務省に加えて、また三省の資料に過ちがあったということ、このことにつきましては、大変遺憾なことであり、改めて重ねておわびを申し上げなければならないと考えております。

 そして、こうしたこと、気の緩みであるという御指摘、これは当然のことであり、改めて各省庁に対して、気を引き締め、再発防止に努めるよう指示を出したところであります。

 そして、その上で、今御質問の私の発言についてでありますが、私の発言は、今、国交大臣からも補足はしていただきましたが、令和二年一月分からは新たな方法に基づく数字で公表していた、この点を指摘をして、改善をされたと発言をしたわけですが、この点については、今回の第三者による報告書の中においても、同様に、令和二年一月分から、過月分を除外した上で、新たな推計方法で再計算されたと記載されており、同様の事実が指摘をされているわけです。しかし、その後、今回の報告書において、更なる複数の不適切な処理がされていたこと、そして、問題発覚後に国土交通省内部で、不適切な事後対応が問題であったこと、こういったことが明らかになった。これが事実の経緯でありました。

 そして、今委員の方から、報道された大きな数字の違いが疑われるということについてでありますが、報道はもちろん承知をしておりますが、複数の専門家が助言をされ、そして計算をしたということでありますが、推計方法等が明らかでありませんので数字について直接申し上げることは控えたいと思いますが、この二重計上における影響ということについては、国土交通省が立ち上げた統計の専門家による検討委員会において、過去の統計の遡及改定、要は数字の復元、こういったことについて検討を進めるとされています。

 是非この作業によって、過去の数字がどうであったのか、遡及改定、復元をしっかり行った上で説明をさせていただくことが重要であると考えております。その作業を急がせたいと考えます。

階委員 今の総理の答弁は、前回の私の質問の時点で総理が認識していた情報の下では、改善したという答えは間違いでなかったということだと思うんですが、ただ、他方で、国交省の方はどういう事実を認識していたかというと、総理が改善されたというふうにおっしゃった令和二年一月以降も、二重計上は、前月分については続いていた、それからもう一つは、今総理も触れられたように、一月以降は、各都道府県にも、二重計上のようなことはしないように、合算はしないようにということは指示したんですけれども、徹底されていなかった。徹底されなかった結果、そのことによって水増しというのも生じている。これは総理が当時知らなかったことだと思います。

 こうしたことが、役所は知っているのに、ちゃんと伝えない。これも隠蔽体質の現れだと思うんですよ。この後も取り上げますけれども、こうした隠蔽体質は、今回の国交省の問題が最初ではありません。森友問題に始まって、私が法務委員会で取り上げた入管の問題もそうです。

 隠蔽問題がどうしてこんなに続いていくのか。これを私たちはしっかりただしていかなくちゃいけないと思っています。これは後半で取り上げます。

 まず、質問の順番に沿って、今日は、最近はウクライナの問題など国際情勢も気になりますけれども、国政の大きな問題である物価についてお尋ねしていきたいと思います。

 まず、ちょっと前までは物価はマイナスという状況が続いていたんですけれども、ここに来て、物価が上がっています。

 二十一日に総務省が発表した十二月の消費者物価指数、生鮮食品を除くコア指数というものでは、四か月連続の上昇で、〇・五%プラスになっています。特に灯油代は、前年同月比で三六%も上昇しています。ガソリンは二二%、電気は一三%。生鮮食品を除く食料品や日用品など生活必需品もじわじわと値上がりしています。

 私の地元である岩手を回っていますと、今年は冬の寒さが厳しく、しかもコロナ禍で換気もしないといけないということで、例年より暖房に必要なエネルギーの消費量が増えています。そこで余計に、値上がりと消費量の増大によって出費がかさむという声を耳にします。中小企業においては、原材料の仕入価格の値上げも顕著になっています。

 パネルの一番目を御覧になってください。

 これは、左側は生産者段階の物価動向。今申し上げました仕入れに関わる部分です。そして、右側が消費者物価の動向。対比してみますと、日本が青いライン、アメリカが赤いライン、ユーロ圏、ヨーロッパが緑の点線です。

 日本は、アメリカやヨーロッパほどではないんですけれども、左側の生産者段階の物価動向、大きく上がって、直近では八%から九%ぐらい。他方で、右側の消費者物価の方は、さっき言ったとおり、上がったとはいってもまだ〇・五%ぐらい。

 そこで、何を言いたいかというと、仕入価格が消費者物価すなわち小売価格に十分に反映されなくて、中小企業の利益が細っていくような、そういう状況になっています。ということは、当然、従業員の賃金も上げにくくなってきます。

 パネルの二を御覧になってください。

 これは、名目の賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金、これがブルーの折れ線です。それとさっきの消費者物価とを比較してみたものですけれども、ここに来て、名目の賃金から物価上昇を差し引いた実質賃金はマイナスになってきました。

 以上を踏まえて、総理に質問したいと思います。

 よく、物価上昇には二種類あると言われています。一つは、よい物価上昇。物価の上昇によって企業の収益が改善して、労働者の賃金が上昇して、個人消費が活発化して需要が増大する、これがよい物価上昇です。もう一つは、悪い物価上昇。今申し上げた賃金の増加や需要の拡大を伴わないような、単なる物価の上昇です。

 現在起きている日本の物価上昇は、私は悪い物価上昇だと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 いい悪いということについて、どこで線を引くかということは難しいかとは思いますが、委員おっしゃるように、まず、今回の物価上昇は、原油を始めとする世界的な原材料費の高騰、ガソリンやエネルギーの価格高騰、こうしたものを背景としたものであると思います。ただ、資料で御指摘になったように、そうした原材料費の高騰が価格転嫁できない、こういった現実がある、こういったことだと思います。

 やはり、こうした物価高騰に対しては、そうしたものがしっかり価格転嫁が行われ、そして賃金の引上げが行われ、そしてそれが消費につながって、そして次の経済成長につながる、こうした好循環の中で物価が上がるというのが好ましい状況だと私も理解をいたします。

 そうした賃金引上げ等、価格転嫁そして賃金引上げ、これは、こうした今現実の物価高騰を前にして、一刻も早く政治の責任として政策の中で実現していくよう努力をしていかなければいけない、こうしたことを改めて感じるところであります。

階委員 明言を避けられましたけれども、輸入物価が上がっているということはお認めになったと思います。

 その上で、日銀総裁にお尋ねしますけれども、輸入物価が上がっているのは、元々の値段が上がっていることプラス、円安が進むことによっても輸入物価は上がります。

 そこで、今の異次元金融緩和を続けていくとどういうことになるかということなんですが、先ほど見たとおり物価の上昇が進んでいるアメリカやヨーロッパでは、物価を抑えるために金融を引き締める、つまり金利を引き上げる動きが出てきています。つまり、内外で金利差が拡大していく、そんな状況です。

 そうすると、金利が低い円から運用上有利なドルなどの外貨にお金が流れて、円安が加速しかねません。すると、ますます輸入に頼るエネルギーや原材料が値上がりして、私から言わせると、悪い物価上昇が進む懸念があると思います。

 今の異次元の金融緩和を継続して、この悪い物価上昇を阻止できるのかどうか、日銀総裁にお尋ねします。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、我が国の生鮮食品を除く消費者物価の前年比は足下でプラス〇・五%になっております。このような最近の物価上昇の背景には、我が国経済の持ち直しに伴うマクロ的な需給バランスの改善に加えて、これも委員御指摘のとおり、国際的な資源価格の上昇やその販売価格への転嫁も影響しているのは事実でございます。

 なお、現在の消費者物価への影響について見ますと、国際商品市況の影響というのが円安といった為替の影響よりもはるかに大きいという結果になっております。

 これは、一面で、為替の場合は異常な円高とか円安というのは非常に好ましくないんですけれども、ファンダメンタルズを反映した範囲内で安定的に推移している限り、その下で若干円安になっても、それ自体としてはむしろ経済にプラスに働くということが見られておりまして、足下で、異常な円安になって、それが輸入物価を大きく引き上げるということにはなっておりません。むしろ、私どもが今注目しておりますのは、やはり国際商品市況、特にエネルギー価格がかなり上昇しているということであります。

 その下で、これまた御指摘のとおり、PPIは非常に大きく上がっているわけですけれども、CPIが〇・五%しか上がっていないということは、逆に言いますと、企業は海外への輸出価格とか企業間の価格は上げているんですけれども、対消費者の、消費者物価については価格転嫁をかなり抑制しているということであります。

 そのことが、これも委員御指摘のとおり、中小企業、特にサービス関係の中小企業が、仕入価格などの、エネルギーを中心としたものの価格の上昇を販売価格に転嫁できていないということでありますので、その点は確かに、中小企業、特にサービス産業の中小企業において収益にマイナスに働いている。これは、私ども、非常に警戒しつつその状況を見ております。

 これはさらに、コロナ禍の下で、サービス、対面型サービスが非常に大きな影響を受けています。もちろん政府が大規模な支援をしておりますけれども、それでも、対面型サービス、そこにおける中小企業が大きな影響を受けていることは事実でございますので、この点については非常に警戒をしております。

 ただ、一方で、総理も言われたように、経済が拡大し、物価も賃金も企業収益が増加する中で上がっていくという形で好循環が起こるということが一番重要でございますので、日本銀行としては、引き続き、金融緩和を続けて、景気の回復、そして企業収益の回復、それが賃金の上昇につながり、その下で消費者物価が徐々に上がっていくという形を目指しているということは事実でございます。

 ただ、御指摘の中小企業への影響、それから、賃金が上がる前に物価が大きく上がっていくということに対する警戒、それは引き続き続けておりますので、そういったことをよくにらみながら現在の金融緩和を継続していく必要があるというふうに思っております。

階委員 今長々と述べられましたけれども、円安はそんなに悪い影響は与えないということを言っていましたが、今の話を聞いているんじゃないんです。この先、金利差が拡大すれば、円安が進んで悪い影響があるんじゃないかということを言いました。

 それから、金融緩和を続けることによって悪い物価上昇をよい物価上昇に変えていくんだというような趣旨のことも言われましたけれども、実際、黒田総裁が九年前に着任して何を言ったかというと、二年間でよい物価上昇を、物価安定目標二%を実現するということを言って、ずっと、二年どころか九年間同じことをやってきました。

 委員の皆さんには、三ページ目に、実際、この間、CPIがどういうふうに推移したか、消費者物価がどのように推移したかということが書かれていますけれども、三か月ごとに日銀は物価の見通しを改定しますけれども、最初は威勢がいいことを言っていても、だんだん、時がたつにつれてトーンダウンしてくる。その繰り返しで、一番下の実績値を見てください。二〇一三年度、〇・八に始まって、途中、二〇一五年度、二〇一六年度、マイナスです。また、ここに来て、二〇二〇年度も大きなマイナス。二〇二一年度も、足下はプラスになっていますけれども、当初はマイナスでした。

 こういうことで、よい物価上昇が全く実現できないまま、今、悪い物価上昇の懸念が生じている、こういう状況なんですね。この状態をもたらした、私は日銀の責任は重いと思っていますよ。どうしてこれほど、よい物価上昇は起きないで、悪い物価上昇につながるようなことが起きてしまうのか。

 総理にお尋ねします。よい物価上昇をどうやって達成するのか、そして達成時期をいつにするのか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、物価上昇が行われているにもかかわらず、企業が価格転嫁を行うことができず、結果として収益が圧迫され、賃金が引き上がらない、こうした悪循環は脱しなければならない、こういったことだと思います。

 そういったことから、今回、年末に策定した経済対策の中においても、まずは価格転嫁、これをしっかり行わなければいけないということで、価格転嫁の施策パッケージ、こうしたものを用意して、公正取引委員会、中小企業庁、あるいは下請Gメンを始め、関係者が努力をすることによって、価格転嫁、これをしっかり行うよう政策を進めていきたいと思っております。

 そして、その上で、賃上げを企業が積極的に行えるように、賃上げ税制ですとか、公的価格の引上げですとか、政府が率先して呼び水となって民間の賃上げの雰囲気をつくっていこう、こういった政策を進めています。

 そして、御質問は、よい物価上昇をいつまでに実現するのかということですが、これは、今申し上げたような問題意識を持って、そして具体的な政策を用意して、そしてしっかりと努力をしたいと思います。しかし、先ほども申し上げましたが、いい悪いの線引きも含めて、いつそれを実現するかというのは、まずは、できるだけ早くこうした賃金が上がらない状況を脱するよう努力をするということを申し上げることしか今はできないのではないか、具体的にいつまでと申し上げることは控えるべきではないかと思っています。

階委員 繰り返しになりますが、日銀総裁は二年でやると言っていたんですよ。九年たってもできていないんですよ。期限を区切らないで、同じことの繰り返しになりますよ。

 それで、達成時期の話は今言ったような問題がある。達成手段について、価格転嫁のお話を今、総理、されました。これも、一部プラスになる面はあると思います。ただ、価格転嫁の話というのは、大企業の下請の中小企業の皆さん、大企業に下請で作ったものを売るときに、なかなか、大企業が交渉力が強いので、高い値段で売れないから、そういう中小企業を助けるための価格転嫁をしましょうという話なんですね。

 今私が申し上げているのは、中小企業がそういった大企業から、売るんじゃなくて仕入れる、仕入れるときは高いんです、さっきの物価、見たとおり。高いものを仕入れて、安いときには消費者に売る、ここの値段が上がってこないから細っているわけです、利益が細っている。それを改善するためには、今の価格転嫁のパッケージでは全く役に立たない、消費者物価の方を上げなくちゃいけないんですよ。分かりますか。

 ところが、この消費者物価を上げるというのは、我々の生活実感からしてもなかなか大変です。なかなか大変なんだけれども、やはりこれを何とかしてやっていかないと、いつまでたっても、よい物価上昇、消費が増えて、利益が上がって、賃金が増えて、それがまた消費を生むという好循環にはならないわけです。

 中小企業が小売価格、消費者物価に、ちゃんと価格を上げられるようにする、そのために環境を整える必要が私はあると思います。

 何の環境を整えるか。よい物価上昇に転換するまで、つまり、実質賃金が上がってくるまでの間は消費税を一時的に減税する。今、一〇%、軽減税率でも八%。そして、来年からは例のインボイス制度が始まります。一千万円以下の中小企業、あるいはフリーランスの皆さん、このインボイス制度が始まるとますます厳しくなると言われています。これではよい物価上昇にはなかなかたどり着けない。

 私たちは、このよい物価上昇に転換するまでの一時的な間、消費税を減税しないと、いつまでたってもよい物価上昇は実現できないと思いますが、総理の見解をお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、物価上昇を消費者価格に転嫁することが大事だということ、これはそのとおりだと思います。

 ただ、消費者物価に転嫁するための環境を整備しなければいけない、こうした御質問の趣旨に関して言うならば、これは何といっても、社会全体の賃金の引上げ、所得が引き上げられることによって、事業者も、これは物を販売するなり、サービスを提供するなり、そうした経済活動をしなければいけないわけですから、消費者物価に転嫁するためには、消費者の心理にしっかり適合した経済活動を行わなきゃいけない、消費者物価への転嫁を考えなければいけないわけですから、社会全体の所得や賃金が上がる、上がった環境がまず実現しないと思い切った転嫁ができない、これがまず第一ではないかと思います。

 そして、そこにたどり着くまでの様々な施策が必要だということで、この賃金の引上げのために、先ほど、消費者物価への直接の転嫁には影響しないのではないかとおっしゃいました価格転嫁を始めとする様々な施策、これは全体の賃金引上げのために重要な施策の一つであると思っています。

 そして、委員の方は、消費者物価引上げへの一つの環境として、消費税の引下げについて提案されたということですが、この消費税については、様々な政策を考える際に、我々は、消費税というものは、我が国の社会保障を支える重要な財源として、安定財源としてこれは重視しているからして、その引下げというのは政策の手段としては取らないということを申し上げています。

 是非、あらゆる政策を動員して、賃金を引き上げる、所得を引き上げる、こういった社会の雰囲気をつくることを念頭に、努力をしていかなければならないと思っています。

階委員 私も、消費税が社会保障を支える上で重要だということは認識しています。リフレ派の人からは、私なんか財政規律派だといってさんざんたたかれたりもしているんですよ。その私が消費税の引下げを言うというのは、私も相当の覚悟を持ってここに臨んでいるんです。

 ただ、今のままだと、悪い物価上昇になって、賃金は上がらないけれども物価だけがだらだら上がっていく、これは何としても避けなくちゃいけない。よい物価上昇が実現するまでの間、この過渡的な間は消費税を引き下げてもいいのではないかというふうに私も思い至りました。これは是非考えていただきたい。

 そしてもう一つ、年金生活者の問題。

 非常に今の年金制度というのは複雑になっていまして、今度の四月から〇・四%、年金、引き下がります。

 これは、なぜそうなるかというと、物価が去年一年間でいうと、直近では上がっていますけれども、一年間で見ると〇・二%マイナスなんです。普通、年金生活の人はほかに収入がないわけですから、物価が上がったら上がった分だけ年金を増やしてもらう。逆に、下がったら、まあ、下がった分ぐらいは年金が下がっても今までと同じ生活は維持できるかなということで、物価スライドというのが原則なわけですね。

 ただ、今の制度では、物価以上に賃金が下がった場合は、賃金に合わせてもっと下げましょうという仕組みになっていて、この図でいうと4。今回は4が適用されているわけです。そうなると、どうなるか。物価以上に賃金に合わせて年金が下がるから、生活が苦しくなる。

 更に加えて、今回はどっちもマイナスなので、ここの賃金以上に年金を下げるということはないんですけれども、本来であれば、高齢化に向けてだんだん保険料を納める現役世代が少なくなるということで、それに見合った引下げというのもしなくちゃいけない。これをマクロスライドというんですけれども、このマクロスライドは、さすがにこの賃金、物価が下がっているような状況でマクロスライドをやるのは忍びないということで、こういうときは発動されないんですね。いつ発動されるかというと、将来、賃金が、物価が上がってきたときに発動されるということで、今は、本来発動されるべきマクロスライドをキャリーオーバー、宝くじみたいですけれども、キャリーオーバーということで、ため込んでいるんですよ。

 ということは、どうなるか。将来、賃金や物価が上がってきた場合、賃金が上がってきたとしましょう、1とか2とか6のケースですね。こうした場合においても、やっぱり物価に見合ったほどは年金は上がらない、こういうことになってくるわけです。

 つまり、常に年金は物価に負けてしまう。物価の上昇に年金は負けてしまう。ということは、年金生活者は、長生きすればするほど生活が苦しくなるんです。百年安心年金と言いますけれども、安心なのは年金財政だけで、普通の年金生活者にとっては、百年生きたら不安だらけですよ。

 だから、こうした状況を解決するために、私はいろいろ仲間と知恵を絞りました。やっぱりだんだん、高齢者といっても、今は昔と違って七十五歳ぐらいまでは何とか、年金だけじゃなくて副収入というか、生きがい就労と呼んでいますけれども、無理のない範囲で働いて収入を増やすことはできるだろう。ただ、七十五歳過ぎたら年金が頼りなんですよ。そうしたところで、年金がこのような目減りしないような仕組みをつくっていく。最低保障年金をつくる。そして、最低保障年金で、財源が追加で必要になった分は、亡くなったときに余った金融資産を国に返して、次の世代の年金財源に与える、そして年金財源をリサイクルしていく、こんなふうな仕組みを取ることによって、本来の意味での百年安心年金にすべきではないか、こういうことを考えております。

 今の年金制度、このままでは、どんどん年金生活者は、物価が上がってもそれ以下しか年金は増えない、つまり物価に対して負けてしまう。こういう年金は改めなくちゃいけないと思いますが、私の今申し上げたような提案も含めて、総理の見解をお答えください。

後藤国務大臣 今、階委員から、大変に年金の……(階委員「短くお願いします、ごめんなさい」と呼ぶ)分かりました。では、短く。

 来年度の年金改定額がマイナスになるというのは、これは物価、賃金のマイナスの影響でございます。

 公的年金制度は、将来世代の負担が過重なものとなることを避けつつ、長期的に給付と負担のバランスを確保していくということで、今御指摘のあった賃金・物価スライド、そして、今回は発動になっていませんが、いわゆる構造的なスライドをやるということで準備ができております。

 今、階委員がおっしゃったように、この公的年金制度の所得分配機能、どのように世代間の公平、バランスを今後考えていくかということは非常に重大な年金制度の課題だというふうに問題意識を共有をいたしております。

岸田内閣総理大臣 まず、委員が御指摘になりました賃金・物価スライド、それからマクロ経済スライド、この仕組みにつきましては、やはり、将来世代の負担が過重にならないようにしながら長期的な給付と負担のバランスを確保する、あるいは現在の受給世代と将来の受給世代のバランスを図る、こういった観点から、こういった制度自体は重要な制度であると認識をしています。

 そして、委員の問題意識として、年金制度を持続可能なものにするにはどうしたらいいのか、こうした問題意識については、基本的に私は、この制度を支える支え手をいかに増やしていくのか、こういった観点で努力をしていく、そして、能力に応じてみんなで支える社会保障制度、こういったものをつくることによって持続可能性を維持していく、こうした考え方に基づいて、これからも全世代型社会保障会議においてしっかり議論をしていただき、持続可能性について追求してもらう、こういった考え方で議論を進めていきたいと考えております。

階委員 現役世代の負担をなるべく増やさないような形で、かつ老後の安心も確保していく、そのための知恵を私たちも出していますので、是非、この点については積極的な議論をお願いしたいと思います。

 さて、それでは、物価の話はここまでにしまして、冒頭取り上げました行政あるいは司法の質の低下について取り上げたいと思います。

 今回の不正統計の報告書、これは、私が提案して第三者委員会を立ち上げたおかげで、かなり今までの政府の報告書と違って、事実関係が、役所に不利なこともいろいろ出ていると思います。

 特に私が注目したのは、先ほど、途中で改善されたと言いますけれども、改善のタイミングが一年ぐらい遅いわけです。

 というのは、令和一年というか、当時はまだ平成の終わりでしたけれども、平成三十一年の一月、この頃、厚労省の不正統計を受けて一斉点検が行われた。そこで、国交省の方でも点検した結果、担当者は、これ、おかしいよねということで誤りを発見したんですね。ところが、上司に報告したら、上司はこれを却下した。それで隠蔽されてしまった。こういうことがあるわけですよ。これは、平成三十一年、二〇一九年ですか。

 前年には、赤木さんが、近畿財務局で、自分は反対しているにもかかわらず公文書改ざんを命じられて、そのことがストレスになって自殺に追い込まれている。こういうことがもう役所で行われていたにもかかわらず、また今回こういうことが起きている。だから、この隠蔽体質というものが本当に役所に根差しているんじゃないか、巣くっているんじゃないか、そういうふうに思うわけです。

 今日は時間がないので、本当はいろいろな問題を取り上げたいんですけれども、赤木さんの問題に絞ってお尋ねします。

 まず、今日、皆さんのお手元の資料にあるんですが、認諾のときに国が出した書面、皆さんのお手元、五ページ目なんですけれども、要するに、なぜ請求を認諾したかという理由が書いていますが、黄色で線を引かせていただいておりますが、原告の夫が、強く反発した財務省理財局からの決裁文書の改ざん指示への対応を含め、精神疾患を発症して自殺に至ったということが真ん中あたりに書いているんですね。やはり、理財局長の指示というのが非常に大きかったということなわけです。それを国も認めて、もう真相解明もうやむやにしたまま、請求を認諾するに至っています。

 ただ、やはり、これだけ理財局長の責任を認めるのであれば、国は当然、理財局長、佐川さんに対して求償権を行使すべきです。国賠法に基づいて求償権を行使すべきですよ。

 この間、代表質問などで総理が、求償権の行使はできないと言っていますけれども、その理由を改めてお尋ねします。

鈴木国務大臣 森友学園事案につきましては、財務省として、文書改ざん等の問題について説明責任を果たすために、徹底した調査を進めました。

 文書改ざん等の主たる目的については、調査報告書において、平成二十九年二月以降の国会審議において森友学園の案件が大きく取り上げる中で、更なる質問につながる材料を極力少なくすることであったと認定していることでありまして、こうした文書改ざんはあってはならないことであり、誠に遺憾であると思っております。

 その上で、国家賠償法におきまして、国が支払った賠償金につきましては、職員に故意又は重大な過失があったときは、職員個人に求償することができると規定されていると承知をいたしております。

 今回の賠償金につきましては、赤木さんが大変厳しい状況に追い込まれてしまったとき、当時、業務負担の軽減等様々対応がなされていたこともありまして、国が個々の職員に対して求償権を有するものとは考えておりません。

階委員 おかしいですよね。故意はあったんじゃないですか。決裁文書の改ざん指示というふうに国の書面に書いていますよ。故意はあったと。

 これはたしか一億一千万ぐらいの請求の認諾だったと思いますが、一億一千万全て、指示者である佐川さんの責任かどうかは、これは議論があると思いますけれども、少なくともゼロということはないでしょう。本当に、私は、もう一億一千万の八割方は佐川さんの責任だと思いますよ。これは一〇〇、ゼロの話じゃなくて、一部でもいいから求償してくださいよ。総理の答弁です。求償してください。

岸田内閣総理大臣 求償に関する法律的な解釈については、今財務大臣から申し上げたとおりであります。そうした法律的な解釈に基づいて、どうあるべきなのかを考えなければいけない。財務省の判断としては、今回は難しいという判断だと報告を受けております。

階委員 全く説得力がない説明でした。

 それとともに、今回、裁判が終わらせられることによって、真相解明がうやむやになってしまう。

 そこで、思い起こすと、キーマンである佐川氏、証人喚問を衆議院と参議院で行いました。それぞれ、三十回近く答弁拒否がありました。何の理由で答弁拒否したか。刑事訴追のおそれがあるからということで答弁拒否したんですよ。今、もう刑事手続は終わりましたよね。刑事訴追のおそれはなくなりました。

 今こそ、証人喚問をきちんと行って、我々国会の前で、国民の前できっちりとした説明責任を果たすべきだと思います。この点について、総理の見解をお願いします。

岸田内閣総理大臣 証人喚問、国会でやるべきではないか、こういった御質問ですが、国会においてどういった対応をされるかということについては、国会、与野党において御議論される問題ではないかと認識をしております。

階委員 私は、今、隠蔽が引きも切らないその大きな理由は、国家公務員の皆さんが何のために仕事をするのか、この目的を失っているからだと思います。権力者のために仕事をする、これは間違っています。

 この国家公務員倫理カード、最初のところに、「国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正に職務を執行していますか?」というふうに書かれていますが、今こそそれが国家公務員に徹底されなくてはいけない。総理は、それを徹底する責任があると思いますよ。

 この国家公務員倫理カード、ぼろぼろになっています。これは、亡くなった赤木さんが、勤務中、肌身離さず持っていたものなんですよ。こういう方がなぜ命を落とさなくてはいけなかったのか。これは、しっかり行政の責任として真相解明をしなくちゃいけない。真相解明をするべく、これは佐川さんの証人喚問だけじゃないですよ、国交省と同じような第三者委員会による再調査も必要だと思います。

 これをきっちりやる、総理大臣として、また与党の総裁として、このことを約束していただけませんか。お願いします、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、赤木さんがお亡くなりになったことについては、改めてお悔やみを申し上げ、御遺族の皆様方にお悔やみを申し上げる次第ですが、今回の件につきましては、これまでも、財務省において自らの非を認めた報告書が出され、会計検査院においても二度調査が行われ、そして、第三者であります検察においても捜査が行われ、様々な点が指摘をされ、そして明らかになってきた、こうしたことであったと思います。

 その上で、必要であるならば政治の立場から説明を加えるということ、これは避けてはならないと思っています。そうした形で、引き続き、この事案に対する説明はしっかり行っていきたいと考えております。

階委員 最後に、委員長にお願いです。

 総理も、説明をしっかり果たしていくことが重要だとおっしゃられましたので、佐川氏の証人喚問、是非この委員会でお願いしたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

階委員 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 質疑の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 早速質問に入ります。

 オミクロン株による子供への感染拡大について、岸田総理に伺います。

 子供への感染拡大に対応を強めなければならないというふうに思います。政府でも、例えば、一月七日に文部科学省からの事務連絡で、オミクロン株の存在、そして基本的にはこれまでどおりの感染防止対策を学校現場に伝えたということでございました。

 この感染力が強いとされるオミクロン株、亜種も出てきています。従来どおりで大丈夫か、総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 オミクロン株については、科学的な見知がだんだん集まってきて、まず一つの特徴として、感染力が大変高いということが指摘をされています。それに対して、国立感染症研究所が示す基本的な予防策ですが、その予防策としては、従来同様、三密の回避、換気、マスクの着用、手洗い、こうした基本的な感染防止対策、これが奨励されている、こうしたことの徹底が奨励されている、こういったことであります。

 こういったことから、学校あるいは学校設置者に対して文部科学省が示している学校衛生管理マニュアルを参考とした感染症対策の徹底のお願いをさせていただいているということであります。

 引き続き、オミクロン株については、科学的知見が集まりつつあり、そして更に実態が明らかになりつつありますので、そうした状況もしっかり把握しながら、必要なものは何なのか、これは、学校のみならず、全体の対策においても重要な姿勢であると思います。こういった姿勢で対応を考えていきたいと思っております。

城井委員 最新の科学的知見で臨機応変、是非お願いしたいというふうに思うんですが、今、昨日も今日もそうなんですが、各子供さんのいる御家庭でどんなことが起こっているか。特に感染前の御家庭、判断が難しいということを、たくさんお声が届いています、育児と家事と仕事の両立が難しいと。

 どういうことかということを申しますと、例えば、幼稚園、保育園に行かせるべきかどうか。今、園での確認が爆発的に増えている。うちの子供が行っているところはどうか、登校、登園させるべきかという判断が、今政府が出している基準だと、なかなか家庭での判断は難しいという声です。

 また、オンラインでの対応を政府としては構えています。ところが、例えば、三人子供がいるときに、限られた家の中のスペースで三人ともオンライン、さて、やれるかといったときに、とある方からは、小学生二人は家でオンラインにしようか、でも、中学校の子までだと大変だから、中学生だけ行かせようか、こんな悩みを抱えている親御さんがいます。

 また、習い事や塾なども含めてですが、行かせるかどうか。曜日が違ったときに濃厚接触者あるいは感染確認が出た、では、うちの子はどうしようか、こんなふうな悩みに今さらされています。

 オンライン授業の環境はまちまちですし、塾や習い事に行かせるべきかという判断の基準もなかなか個人では難しいというのが今、実際です。

 総理、こうした今出している基準をお伝えしながらでもまだ悩みがある、この悩みを受け止めながら今後の基準の改定をお伝えをいただけるかという点、確認したいんですが、お願いできますか。

岸田内閣総理大臣 今、判断について御質問をいただきました。

 まず、学校で感染が確認された場合においては、学校の設置者が臨時休業について適切に判断できるようガイドラインというものは設けて、その周知徹底を図っているというのが現実であります。

 ただ、おっしゃるように、オンラインですとか、あるいは塾への対応、悩むケースがある、こういった御指摘でありますが、オンラインについては、臨時休業が行われた場合にあっても切れ目なく学びが継続される、こういったことのために重要であるという認識に基づいて、オンライン学習を進め、環境整備を行っているということであります。

 塾への対応も含めて、現実にいろいろなお困りの点があるということについては、政府としてもしっかり受け止めなければならないと思います。

 ただ、全体の中で、それはどこまで政府としてお手伝いができるのか、こういったことについては、具体的なケース、今おっしゃったようなケース等も聞かせていただきながら、現場現場で考えていくということではないかと思って聞いておりました。

城井委員 基準は基準として示しながらですが、御家庭の、真剣に受け止めたときに、悩んでいるこの部分については、是非踏まえていただきたいということをお願いしたいと思います。

 陽性の確認があったお子さんのお話や、また濃厚接触者になったケースの場合については、後ほど山井議員から同様にお伺いすると思いますので、よろしくお願いします。

 もう一点、伺います。

 子供の感染拡大に従って、子供の休校が全国で増えています。それに従って、働く親が休んで対応するケースも増えています。小学校休業等対応助成金による休業補償、準備いただきました。これは、コロナだけではなく風邪などでも使えること、また登校や登園の自粛の要請があった場合にも使えること、そして個人でも申請できること、こういうことをもっと国民に知ってもらうべきだというふうに考えます。

 また、この助成金は、申込みの際に、いまだに郵送での手続だけしか受け付けてもらえない状況です。総理、オンラインでも対応できるように国で工夫ができないでしょうか。

 この改めての周知と申込方法の改善について、岸田総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の小学校休業等対応助成金については、新型コロナに関する対応として臨時休校等をした小学校等に通う子供や、新型コロナに感染した又は風邪症状があるなど新型コロナに感染したおそれのある、小学校等に通う子供の世話を行うことが必要となった保護者を支給対象とするものです。学校現場等に対して保護者への周知依頼を改めて行ったところでありますが、引き続き、事業主団体への周知など様々な周知を行い、活用が進むようにしていきたいと思います。

 そして、御質問は、オンラインでこれはできないかということでありますが、この助成金については、時限的な導入であるからして、オンラインの申請は行っていないという報告を受けております。

 ですから、できるだけ活用していただきやすい環境をつくらなければいけないという観点からは、事業主の方に活用していただくために、問合せをコールセンターや都道府県労働局で受け付ける、こうした相談支援を行う、こういった形で、できるだけ使いやすい環境をつくろうという努力をしているという報告を受けております。

 こういったことで、できるだけ周知を図り、活用していただく環境づくり、努力を続けていきたいと考えます。

城井委員 総理、確かにスタートは時限的だったんです。ところが、感染確認状況があり、延長したという経緯がありました。ですので、延長したという部分も含めて、時限的とは必ずしも言い難い。しっかり、どの状況の方でも申し込めるように、オンラインを含めての対応を是非御検討いただきたいということをお願いしたいと思います。

 続きまして、令和三年度九月以降の離婚等世帯十万円不支給問題について総理に伺います。パネルと資料を御覧ください。

 問題は二つ。一つは、昨年九月以降に離婚をした家庭などの子供たち推定四万人に十八歳以下の子供への十万円給付金が届いていないケースがあるという件。そしてもう一つは、子供を養育していない元配偶者に支給された給付金を返還させるべき点。どちらも国の責任で行った事業の結果でございますので、国の責任で問題解決をすべきだと考えます。

 一月二十四日の衆議院予算委員会で岸田総理からは、プッシュ型で児童手当の仕組みを用いたことに伴う不公平を是正し、こうした方々のお手元にも給付金が届くよう、国として、見直し、検討したいと答弁いただきました。一歩前進だと思います。

 そこで、総理に確認をしたいと思います。

 一つ目、給付金が届いていない四万人の子供たち全員に国の責任で給付をいただけるかということ。現時点では、対応を決めている自治体は実は、一千七百十八市町村のうち、何と二十八市しかありませんでした。全体の一・六%、今、パネルを出していただいています、にとどまっています。国からの指示がないとなかなか進まない。総理、四万人の子供たち全員に国の責任で給付をいただけますか。総理。

根本委員長 まず、国務大臣山際大志郎君。ちょっと運用の問題がありますので。丁寧に。

山際国務大臣 制度の方を担当させていただいておりますので、端的にお答え申し上げます。

 今委員から御指摘がありましたように、これは国の制度でございますので、国が今持っています制度、子育て世帯への臨時特別給付制度ですね、これを見直しまして全額国費で、どれぐらい総数がいらっしゃるかということは別にして、その該当される皆様方に給付をさせていただきたいと考えております。

城井委員 今、全額国費でという答弁をいただきました。これは、地方創生臨時交付金を使うという意味ではなくて、先ほどの子育て世帯への特別給付について、その制度を見直して、その国費の中から支給する、こういう認識でよろしいですか。

山際国務大臣 委員御指摘いただいた二十幾つの自治体は、既にこの地方特別臨時交付金で始めていただいているというふうに認識しておりますが、今回は、その自治体も含めて、全額、こちらの子育て世帯への臨時特別給付制度の枠で、国費で、すなわち、臨交金は使わずに、こちらの制度できちんとやるということでございます。

城井委員 もう一点、確認します。

 一月二十四日の予算委員会で岸田総理からは、できるだけ早くということでございました。いつまでに検討、いつまでに実際に通知して、いつまでに届けるか、この点、お答えいただけますか。

山際国務大臣 もう昨日から地方自治体の皆さんとは相談を始めております。

 それで、恐らく、これはもちろん年度内を目指して頑張りたいと思いますけれども、きちんと枠組みをつくって、そして、全体の数からすると、そういう問題を抱えていらっしゃる方々、きちんとコミュニケーションも取らなくちゃいけないということもありますから、そういうことも含めまして、できるだけ早急にやれるようにしたいと思いますが、いつまでにと言われますと、努力をしますということしか言えませんので、できるだけ早くやりたいと思っております。

城井委員 御家庭の方々にもめどが立つ形で、早い段階での日程のお示しをいただきたいということをお願いしたいと思います。

 もう一点、伺います。

 給付金を返還すべき、子供を養育していない元配偶者への対応、正式な仕組みで渡したものですから取り返しは難しいという議論があるのは承知しています。ただ、立替え払いなどの形で自治体で既に取り組んでいる事例を、政府も、やり取りをしながら、例えば兵庫県明石市の例などは、応援してきたはずです。

 そうしたものも踏まえて、この給付金を返還すべき、子供を養育していない元配偶者への対応、国として責任を持って行うか。一部報道では、まず、とにかく届けるということをして、この点は難しいのでちょっと先送るというふうな趣旨の報道も出ていましたが、総理、この給付金を返すべき方、返還もちゃんと求めていきますね。

山際国務大臣 これは、今委員御指摘いただいたように、正式な手続をもって一度支給したものを返還していただくというのはなかなか難しいというのは御理解いただいた上で今御質問いただいたものと考えております。

 本当に、これはケース・バイ・ケースだと思うんですね。ですから、その努力は我々としてはもちろんさせていただきますけれども、それを何か制度としてかちっと決まったものにできるかというと、それは法の安定性からいっても難しいというのは御理解いただきたいと思います。努力はさせていただきます。

城井委員 今、山際大臣もよくお分かりでおっしゃったと思うんですが、法的な、仕組みの部分では確かにそのような部分もあるかもしれない。でも、じゃ、その渡された給付金が、子供のために、子供の支援のために使うといって渡したお金を子供を育てていない方に渡して、これで目的を達したと言えるのか。目的外使用になるのではないか。

 例えば、一部報道では、ギャンブルに使われた例があるぞ、こうした御指摘もあったわけです。子供のために使われていない、現に使われていないお金、国も十分に周知をしてきた、子供のために使ってくださいねというお金ですという周知をしてきた、国会でも何度も答弁されてきたのに、目的外使用されるような給付金の状態をそのままにするわけにはいかないんじゃないでしょうか。現に、もらい得だ、二重取りだということを言う世論もありますし、それがどこに矛先が向いているかといいますと、実は、事務を取り扱う自治体に向いているわけです。

 つまり、四万人にお届けするのは必要、でも、その上で、本来は受け取るべきでない、給付金を受け取った子供を養育していない方々からは、ちゃんと戻してもらうこともやらないと駄目だ。自治体にこれを、返還に取り組むきっかけがないと、自治体がそうした批判にさらされてしまいます。

 総理、国から指示を出して、この返還をさせるきっかけをつくっていただけませんか。

山際国務大臣 これは制度上、指示を出すということではないと思いますが、今申し上げたように、またおっしゃっていただいたように、これはもう目的外使用だ、それを認めるべきではない、それは我々も全く同じ思いでいますから。そして、おっしゃるように、どうしてもこれは、自治体の受付というか、事務をやられるフロントにいらっしゃる方々がすごく大変な思いをされることなんです。なので、自治体と丁寧に話合いをしながら、やれるベストのことをやりたい。

 当然、我々としては、自治体と日頃からコミュニケーションを取っていますから、言ってみれば、もう一つ事務作業をお願いするに当たっては、こういう思いだから何とか努力をしてください、そういうことは丁寧にお願いをしてまいりたいと思います。

城井委員 渡すべきでない方に渡してしまったというのは、急いだからといって使った児童手当の仕組み、これで抜けていたという意味で、国の仕組みのミスなんです。国の仕組みのミスは、国がちゃんと手当てしないと駄目です、大臣、総理。

 ですので、先ほどの、届いていない子供に給付金を全員届けるということとともに、今の、子供を養育していないのに給付金を受けた方から国の責任で返還をいただくということは、できるだけ早く、総理、これはやらなきゃ駄目ですよ。

 返還の部分について、先ほど、自治体とも丁寧に話しながらという大臣答弁がありましたが、返還についても、横に置かずに、ちゃんと政府で検討するよということを総理から言っていただけますか。

岸田内閣総理大臣 返還については、今、山際大臣の方から答弁させていただいたように、自治体とよく意思疎通を図って、どうあるべきなのかを考えていきたいと思います。そして、全体を考えた場合に、できるだけ早くお困りの方に給付を届けるという観点から、制度の詳細、これからしっかり詰めていきたいと考えております。

城井委員 あと二つ、確認をと思います。

 一つは、高校生の申請手続について。もしかして同じ問題が起こるんじゃないかという指摘があります。この点、いかがでしょうか。

山際国務大臣 もちろん、高校生も対象にきちんと含めてやらせていただきたいと思っております。

城井委員 もう一点、確認をいたしたいと思います。

 今のままですと里親の御家庭にも影響があると、実際に里子さんを預かっていらっしゃる里親さんから伺いました。実の親と里親では、実の親に給付金が行く仕組みになっているということでした。実の親からの手続があれば、里親の元におられる子供さんにも届く、それがなければ届かないということでした。

 この点を含めて改める必要があると考えますが、いかがでしょうか。

山際国務大臣 先生、里親の場合は、多くは施設に子供が入っているということが多いと思うんですけれども、その施設から紹介を受けて里親になっていらっしゃるという制度だった場合は、今回のこの児童手当の制度というのは施設の方にお金が支給される制度になっていますので、そこでこの案件にはならないと思うんですけれども。

 しかし、実際に里親で子供を預かっていらっしゃる方が受け取れないんだという事実がある場合には、それはきちんと対応したいと思いますし、また、今回のことで、手続をしていただければ、里親の方にしっかり行くようにしたいと思っております。

城井委員 今回受け取れなかった御家庭は、今の離婚の世帯やあるいは里親さんの場合もありましたし、あと、たまたま昨年九月に拘置所に入っていた親御さん方、その間だけ児童手当が停止していた、こんなふうなケースもあったりしました。ですので、様々ケースがあると思いますので、せっかく制度の手直しをいただけるのでありましたら、そこで一人も取り残すことなく、漏らすことなく、しっかりお届けするということをお願いしたいと思います。

 次に参ります。子供政策の予算確保について総理に伺います。

 今国会では、こども家庭庁の設置が議論をされます。立憲民主党の子供総合基本法案では、箱より中身、子供、子育て予算を大幅に増やすことが大事だと訴えています。

 政府の、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針では、子供関連予算の確保がどのように具体的に図られるか、必ずしも明らかではありません。基本方針では、応能負担や歳入改革、企業を含め社会、経済の参加者が広く負担をする新たな枠組みの検討と明記をされていますが、総理、この応能負担、それから歳入改革、さらには新たな枠組み、これは具体的には何を指しているんでしょうか。金融所得課税の強化でしょうか。最高税率の引上げでしょうか。泉健太立憲民主党代表が提起をした子供保険でしょうか。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 子供政策については、安定財源を確保しながら、保育の受皿整備ですとか、幼児教育、保育の無償化など、様々な施策を進めてきましたが、令和四年度予算においても、不妊治療の保険適用の開始ですとか、新子育て安心プランに基づく保育の受皿整備、こういったものに取り組んでいく次第です。

 そして、御質問の応能負担、歳入改革、新たな枠組み、どういうことかという御質問でありますが、これは、こども家庭庁の下、子供政策を我が国の社会のど真ん中に据えて進めていく中において、要は、応能負担、歳入改革、あるいは全体での負担の在り方、これらを国民の理解をいただきながら幅広く検討していく、この例としてこれは並べているわけでして、是非、幅広く財源についても考えて、安定財源として、子供政策を支える重要な予算を確保していこうということを考えている次第であります。

城井委員 幅広く検討する例ということで今総理から答弁がございましたが、必ずしも具体的ではないなということを、今お聞きしながら感じております。

 子供関連の予算を思い切って倍増していかなければならないと、昨年秋の自民党総裁選挙で岸田総理は明言をされました。この子供、子育ての支援に係る家族関係政府支出の対GDP比は、日本では一・七%、先進国で最低水準、そして欧州諸国に比べると半分程度だというのが現実でございます。これを仮に、出生率が比較的高いスウェーデンやフランス並みの三%程度に引き上げる、この意向を示したものではないかというふうに受け止めているわけですが、具体的にどのように実現できるか。

 国立社会保障・人口問題研究所によりますと、日本の家族関係社会支出は九兆六千七百三十億円。もしこれを三%程度に引上げとなりますと、約二十兆円となります。内閣府の外局で二十兆円の予算が確保できるか。総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今の子供政策の予算については、社会全体の負担の在り方を含め幅広く検討し、安定財源を確保するということを申し上げました。

 子供政策に関する予算は、今後はこども家庭庁の下で、子供の視線に立って、体系的に取りまとめていきたいと考えています。その際に、期限とか規模ありきではなくして、こうした体系的な取りまとめを行うことによって、将来的には倍増、これはしっかり目指していきたいと考えております。

 私もそういった考え方を従来から申し上げてきたと思っております。

城井委員 こども家庭庁で取りまとめ、期限、規模というところは今明言はなく、でも将来的には倍増という話でした。

 今の答弁ですと、ここでの倍増発言もまたイメージだけかなというふうに聞こえてしまう。期限、規模がなかなか区切れないという点では、総理、ここもやはり、言ったけれどもなかなかはっきりしないというふうに我々としては受け止めざるを得ないというふうに感じています。

 続いての質問に参りたいと思います。新型コロナ対策予算について、総理並びに関係大臣に伺います。

 コロナ対策事業の目的や概要の重複について、まず伺います。

 NHKによりますと、コロナ前から国でやっている事業のうち、コロナ対策予算に組み込まれたその事業数は七百十二に上るということでした。総額にして二十三兆四千億円。そのうち、コロナ対策の事業といいながら、事業目的と事業概要がコロナの前とコロナのさなかの三年間で全く同じ、書きぶりが全く同じという事業が八十九事業もあったことが明らかになりました。

 少なくとも、コロナの影響をどう踏まえたか検討して、事業内容に反映した上で予算計上をすべきです。

 この三年間で事業目的、事業内容が全く一緒だった事業、行政事業レビューというものを政府は行っていただいています、幾つあったと総理は認識していますか。当然、コロナを踏まえた事業目的や内容に改善すべきだと考えます。総理、いかがですか。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

鈴木国務大臣 NHKの報道であったと思いますが、その報道、承知をいたしております。

 新型コロナ対策予算につきましては、これまで、真に必要な事業を精査をして、それを積み上げて予算措置を講じてきたところでございます。

 一部に、目的や趣旨それから事業内容が過去の事業に類似するものが含まれているといたしましても、コロナ禍にある国民の命と生活を守るための支援策とともに、ポストコロナに向けた経済構造の転換等、目的や必要性を十分精査した結果、予算措置をされたものと認識をいたします。

 そして、この三年間で事業目的、事業概要が全く同じだった事業は幾つあったかとのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたとおり、事業の目的や必要性を精査した上で予算措置をしているものでございますので、仮に行政事業レビューシートであったとしても、三年間で事業目的、事業概要が全く同じであるとはこれは限らないわけでございます。そしてまた、新型コロナによる経済への影響への対応等もコロナ関連と言い得ることなど、コロナ関連経費のみを取り出すことは困難であると思います。

 そうしたことから、この同じだった事業、三年間で事業目的、事業概要が全く同じだった事業は幾つあるかということについては、お答えすることは困難であると思ってございます。

 今後とも、新型コロナ対策の目的に沿う事業として効率的、効果的な予算となりますように、各関係省庁と連携をして適切に対応していきたいと思っております。

城井委員 総理、今の財務大臣の答弁をお聞きいただいて、お感じいただけますでしょうか。

 コロナ対策といいながら、目的にも概要にも、どうコロナ対策になるかということは書いていない。今までと同じ内容のものがそのまままかり通っている。私どもの確認では八十九事業ということでしたが、それは精査をしたので大丈夫だという説明で国民に伝わるでしょうか。そこは、コロナの対策をこのように踏まえたので、この事業をこうやっていきますということが当然国民に示されてしかるべきだというふうに思うわけですが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今の財務大臣の答弁は、目的や趣旨や事業内容が過去の事業と類似するもの、あるいは同じ表現のものもあったかもしれないけれども、しかし、一回一回、予算において、目的や必要性、これを精査した結果、予算を積み上げて、そして予算をお願いしたということを説明したんだと思います。項目等において同じなものが当然あったんだとは思います。しかし、それは一つ一つ予算の必要性を吟味した結果、計上しているということでありますので、項目が同じだから全然進化していない、吟味していないということではない、こうした説明だったと理解をいたします。

 ですから、同じ項目が幾つあったかということについても、これは、確かに同じ項目は、数えたら出てくるのかもしれませんが、表題としては同じかもしれませんが、内容は一つ一つ吟味したということを申し上げているのであり、そのこと自体は決しておかしなことではないと理解をしております。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

城井委員 八十九事業、改めて予算委員会の場でもお示ししながら、この件は議論したいと思います。

 次に参ります。雇用調整助成金の不正受給について伺います。

 事実と異なる雇用調整助成金の支給申請などを行うとして合計九千六百七十三万円を不正受給している実態が、会計検査院が抽出をした調査によって明らかになっています。

 その後、現時点で政府が確認している不正受給額と不正件数をお示しください。その後、どのように正されたか、特に、返還されていない不正受給がどのくらい残っているか。厚生労働大臣、お願いします。

後藤国務大臣 雇用調整助成金については、コロナ禍において特例による手厚い措置で雇用を支えてきたところでございますが、迅速に支給決定できるように、申請手続の簡素化にも取り組んでまいりました。例えば、事前の休業計画の届出省略、添付書類の簡略化など、それによりまして、書類審査において不正申請が見つけにくくなるという側面もありました。

 こうした状況の中で、昨年十一月、今委員御指摘のとおり、会計検査院から九千六百七十三万円の不正受給についての御指摘を受けました。早速、都道府県労働局に対しまして、不正が疑われる事業主への積極的な調査実施、不正受給に対応するチームの編成、労働局間での不正手口等の共有、警察等関係機関との連携を指示して対策強化を進めております。

 令和二年一月のコロナ特例以降における不正受給は、令和三年十二月末時点で二百六十一件、三十二億円に上っております。現在、債権回収に個別に対応しているところでございまして、今、未回収件数が四十三件あると承知をいたしております。

 引き続き、制度をしっかりと運用しながら、制度を的確に運営してまいりたいと思います。

城井委員 今の未返還四十三件の金額をお示しいただけますか。

後藤国務大臣 今、不正受給の三十二億円のうち、回収、一部返還を含むものを含めて二十一億ということでございますので、十一億ほどまだ回収に至っておりませんが、しっかり回収させていただきます。

城井委員 不正受給の三分の一が未回収ということであります。徹して取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。手続の簡素化は大事だったというふうに思うんです。でも、不正が見つけにくいということでは本末転倒。その点も含めてのお取組をお願いしたいと思います。

 GoToトラベルについて確認をさせてください。

 ここでも不正が幾つもありました。

 トラベル事業の対象にならない旅行商品が令和三年六月二十四日時点で八十三件の確認があったと、会計検査院の報告でした。現時点での同様の事例は幾つ確認したか、その対応はどうかという点。

 あわせて、予約取消し連絡がなく、宿泊施設に現れない、専門用語でノーショーというそうでありますが、このノーショーの状態なのに宿泊予定日に電子クーポンを利用したケース、つまり電子クーポンの不正受給、利用が、利用額で二千百十四万円あったと令和三年三月末時点で会計検査院が確認をいたしております。

 二〇二一年の十一月六日の朝日新聞によりますと、予約者を特定できた六十四万円のうち、返還を請求中ですが、返還額は十四万円だったということでした。

 現時点で、同様な不正な電子クーポン利用事例は金額ベースで幾ら確認しているか、幾ら返還させたか、国土交通大臣、お願いします。

斉藤国務大臣 まず、第一点目の、対象とならなかったものの件でございますけれども、御指摘のとおり、令和二年のGoToトラベル事業の実施時に、同事業の対象となるものとして申請のあった旅行商品のうち、実際には対象とならないものが八十三件あったことが分かっております。返金等の対応は全て完了済みでございます。

 これは、令和二年十二月に事業を一時停止した後、トラベル事業を停止いたしました。その後、観光庁及びGoToトラベル事務局において調査を実施したものであり、同事業を再開していない現時点において、その件数に変更はございません。

 国土交通省としましては、令和二年十月に、対象となる旅行商品について一定の基準を示し、適切な対応を図ってきたところですが、本事業の再開に当たっては、基準の明確化を改めて図るなど、その適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

 そして、二点目のノーショー事案でございます。

 このノーショー事案については、現時点で、不正利用額が約二千百五十三万円あったものと把握しており、そのうち不正利用者を特定できた約二百十万円について返還請求を行い、約十四万円の返還を受けております。返還を受けていない残額百九十六万円の対象者は三名でございます。不正利用者を特定できていない残りの金額については、捜査当局と連携の上、不正利用者の特定と返還請求を進めてまいります。

 また、国土交通省としましては、こうした事案を踏まえ、不正防止対策として、令和二年十月から、旅行会社における予約時の本人確認の徹底、有効なクレジットカードの事前登録等の対策を、それから、令和二年十一月からは、電子クーポンを受け取る際のSMS、ショートメッセージサービス認証を活用した本人確認の徹底を既に実施しております。本事業の再開時には、電子クーポンの利用に関する不正防止対策を徹底し、事業の適正な運用に努めてまいります。

城井委員 大臣、二千百五十三万円、特定できたのは二百十万円で十分の一、さらに返還がかなったのはその十分の一弱の十四万円ということでありました。これじゃお話にならないと思いますので、引き続き、今後の様々な審査の見直しもあると思いますが、まず目の前のこの不正受給、コロナ対策についてはやはり厳しい目も注がれておりますから、この点はしっかりやっていただきたいということをお願いしたいと思います。

 GoToトラベルについてもう一点伺いたいと思います。通告を一問飛ばします。いわゆるキャンセル料の問題です。

 トラベル事務局が三年二月から七月までに旅行業者等に対して支払ったキャンセル料の対応費用は一千百五十七億円、観光庁がトラベル事務局にこのキャンセル料の対応事務費用として支払ったのが百十五億円、そして、トラベル事務局がキャンセル料対応の事務費用として旅行業者等に支払ったのが八十一億円の支払いということでした。

 この旅行業者等から宿泊事業者など観光関連事業者へのキャンセル料の対応費用の配分がどんなふうに行われたか。旅行業者にとどまってはいないか。観光関連事業者まで届いていないんじゃないか。影響を受けた全ての観光関連事業者に公平に配分されるべきですが、会計検査院が検査した時点では、この配分が把握されていませんでした。現時点でも未把握だというふうに会計検査院から確認しました。

 現時点までの、旅行業者等から宿泊事業者など観光関連事業者へのキャンセル料の対応費用の配分について、国土交通大臣、お願いします。

斉藤国務大臣 GoToトラベル事業のいわゆるキャンセル料対応の取扱要領では、旅行業者及び宿泊事業者に対し、国から支払いを受けたキャンセル料対応費用を関連事業者に仕入れ額などに応じて配分することなどを求めております。

 昨年の会計検査院の所見を踏まえ、キャンセル料対応費用が関連事業者にどのように配分されたかについて、現在検証を行っております。アンケート調査などでございます。具体的には、昨年末から、キャンセル料対応費用を支払った事業者に対してアンケート調査を行うとともに、回答内容の精査や、事業者に対する追加の調査、確認を行っているところです。

 調査結果を踏まえ、不適切な事例が確認された場合には、事業者に適切な配分をするよう要請するとともに、アンケート結果についても適切なタイミングで公表できるよう検証を進めてまいります。

城井委員 大臣、いつまでに公表いただけますか。

斉藤国務大臣 今、このアンケート調査結果を鋭意分析しているところでございます。できるだけ早く公表したいと思っております。

城井委員 持続化給付金の不正受給についても対応状況を確認させてください。

 会計検査院によりますと、中小企業庁は令和三年九月までに、五百九十一件、給付額にして五億八千九百五十八万円を不正受給と認定しました。この時点で、返還金の一部又は全部が国庫に納付されていないものは二百二十二件、二億二千百八万円だったとの検査結果でした。

 現時点での不正受給の確認状況はいかがでしょうか。返還金が国庫納付されていないものはどれぐらいか。この不正受給の認定、返還について、経済産業大臣、お願いします。

萩生田国務大臣 持続化給付金につきましては、一月二十四日現在、九百三十七件、約九億四千万円の不正受給を確認しております。

 このうち、約八割の七百四十九件、約七億五千万円分については、年三%の割合で算定した延滞金に加え、元本と延滞金の合計金額の二割に相当する加算金も含めて返納を受けているところです。

 また、未納分は、百八十八件、約一億九千万円となっております。未納者に対しては、電話、書面により個別に督促を行った上、それでもなお支払われない場合には、訴訟手続による強制執行なども視野に入れ、国庫返納がなされるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 ちなみに、未納分百八十八件のうち、既に約束をした納付期限を過ぎている八十七件につきましては、経産省のホームページにて氏名、住所などの公表を行っております。

 さらに、今後も、不正受給が疑われる案件が発見された場合には、引き続き、警察とも連携の上、調査を行って、不正受給認定をしてまいりたいと思います。

城井委員 貴重な税金からの支援でございますので、この未納分の、今の、特に締切りを過ぎているものを含めての一億九千万円、しっかり対応いただきたいということを改めてお願いしたいと思います。

 次に、特別定額給付金、国民全員十万円の給付でありました、これについて総理に伺います。

 総理、この予算の執行状況を行政事業レビューで確認しようと思いましたが、行政事業レビューが見当たりません。十三兆円と、かつてない規模での国の事業でありますが、予算の使われ方が国民からも国会からも確認ができません。なぜ、行政事業レビューが存在しないのか。岸田総理はこのことを御存じだったか。

 総務省からは、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うため一律に一人当たり十万円を給付することにした、このような政策目的に鑑みれば、あらかじめ、経済波及効果などの目標設定になじまないため、行政改革事務局へ報告の上、行政事業レビュー作成を行わなかったと回答をいただきました。ただ、じゃ、行政事業レビューって何ですかという話です。

 パネルと資料を御覧ください。

 行政事業レビューは、霞が関の各府省自らが、全ての事業を対象に事業執行の実態を明らかにした上で、点検の過程を見える化し、外部の視点を活用しながら点検を行い、結果を予算や執行等に反映させる取組ですと、これは国のホームページに今も書いてあることです。この自律性、透明性、外部性、公開性は、国の事業である特別定額給付金事業にも当然適用されるべきものであります。

 総理、国民や国会が事業内容をチェックできるように、この特別定額給付金の行政事業レビューを作らせて、公開してください。総理、お願いします。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 今委員からお話がありましたように、特別定額給付金は、人々が連帯をして一致団結し国難を克服しなければならないことを踏まえ、一律に一人当たり十万円を給付することとしたものでございます。この特別定額給付金の政策目的に照らせば、あらかじめ、経済波及効果などの目標の設定になじまないため、行政事業レビューシートを作成しなかったものでございます。

 しかしながら、さきの臨時国会において、子育て世帯への臨時特別給付金などについて、事業を迅速に執行する観点から、制度の在り方が議論となっておりました。このことを踏まえ、特別定額給付金についても、将来の教訓として事業検証を行っておくことは有意義であるとの考えに至りました。

 このため、できる限り早期に特別定額給付金事業に係る行政事業レビューシートを作成し、公開することといたします。

城井委員 続きまして、教育データ利活用ロードマップについて伺いたいと思います。

 岸田内閣の教育のデジタル化のミッションは、誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会と掲げています。ただ、これを実現するために示したロードマップの内容が検討不十分だと御指摘申し上げたいと思います。

 一月七日にデジタル庁が公表した教育データ利活用ロードマップは、個人情報保護法違反のおそれが高く、憲法十九条にある内心の自由、そして憲法十三条にあるプライバシー権の侵害のおそれや、また、憲法二十六条、教育の平等をうたった憲法違反のおそれもあると思っています。

 さらに、プロファイリングや信用スコアリングの危険及びマイナンバー法違反のおそれがあるため、デジタル庁など政府では、この計画の中止や再検討を行うべきだというふうに考えます。

 そこで伺います。パネルを御覧ください。

 デジタル庁の教育データ利活用ロードマップの資料を読みますと、学習者、名簿、健康履歴、体力履歴、テスト履歴、自宅での学習履歴、どのような本を読んだかというNDCコード情報、奨学金データ、職業訓練データ、職業データなどが、行政や民間企業などが広く利活用できるとなっています。

 ところが、本人の思想信条に関する情報や病歴に関する情報などは、センシティブな個人情報であります。個人情報保護法に言う要配慮情報だというふうに思います。その収集には本人の同意が必要なだけではなく、オプトアウト方式による第三者提供も禁止されています。

 教育の個別最適化や国民の生涯学習といった漠然として曖昧な利用目的しか示さずに、生徒本人の同意を無視するかのように、民間企業や行政、自治体がこうした機微に触れる個人情報を様々に目的外利用したり、第三者提供を認めようというのは、これは個人情報保護法に反しているというふうに考えます。

 総理、この個人情報保護法と教育データ利活用ロードマップのずれやそごについて、いかが認識されていますか。

牧島国務大臣 御指摘いただきましたこのロードマップは、デジタルを手段として、学習者主体の教育への転換や教職員が子供たちと向き合える環境を整えるための論点を関係省庁とともにまとめたものであり、そこでは、データの利活用と個人情報の保護はしっかりと両立をしていくものと考えております。

 そして、本ロードマップで明示しているものは、教育データを利活用する者においては、個人情報の保護に関する法律に基づく個人情報等の適正な取扱いを確保すること、個人情報の取扱いについては、利用目的の特定や当該目的の本人への明示、通知、第三者提供における同意取得等、改正個人情報保護法を踏まえ適切に対処する必要があること、機関間の個人情報等の連携は、法令に基づく場合等を除き、原則として本人の同意により提供すること、こうしたことを明記しております。

 個人情報保護法を遵守する方針を示しておりますので、同法とのずれやそごがあるとの御指摘は当たらないものと考えております。

城井委員 この件は、まだまだ心配、懸念がたくさんありますので、改めてただしたいと思います。

 最後に、総理に、発展途上国のワクチン確保への日本外交の役割について伺いたいと思います。

 人間の命、生活、尊厳に対する脅威から人々を守ることを最優先する人間の安全保障の考え方は、我が国が提唱した、そして国際的にも定着した概念だ、コロナ禍が続く今こそ、この人間の安全保障を改めて我が国外交の柱の一つとして頑張っていくべきだというふうに考えています。

 そこで、コロナ診療の最前線の医療従事者からいただいた意見を踏まえて、総理に伺います。

 ワクチン確保が困難なアフリカなど、途上国で変異株が生まれ続けると、世界的な再流行は避けられない。ワクチン供給の国際協力にもっと力を入れるべきではないか。いわゆるワクチンギャップの問題です。

 ワクチンが争奪戦になり、経済力がない国、特にアフリカでは、ほとんどワクチン接種ができていません。一国で流行を抑え込んでも、結局、ほかのところで変異株ができて回ってきますと、同じことを繰り返す。アルファ株、デルタ株、オミクロン株、同じことの繰り返しではないか。これまでも、菅内閣などでもワクチン供給の国際協力をやってまいりましたが、もっと大規模にすべきじゃないかという意見は、傾聴すべきだと考えます。

 希望する日本国民にワクチンをどう早期に安全に供給するかということ、これも大事。もう一点は、国際的なワクチン接種の機会格差をどう是正するか。総理、この両立は日本外交の知恵の出しどころだというふうに考えます。

 外務大臣も経験された岸田総理、この途上国のワクチン確保へ踏み込んだ取組を是非お願いできますか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、あらゆる国、地域においてワクチンへの公平なアクセスの確保がされる、これは大変重要なことであり、国際協調を進めつつ、我が国としましても支援を行っていかなければならないと思います。

 具体的には、財政支援ということでいうならば、昨年六月にワクチンサミットを共催して、資金調達目標に達成する貢献をする、我が国としても、合計十億ドル、財政支援を行いました。また、現物供与としても、三千八百万回分、各国、各地域に届ける、こうした取組を進めてきました。これらは高く評価されていると認識をしています。

 途上国を含む世界全体でのワクチンへの公平なアクセスの確保に向けて、引き続き努力を続けていきたいと思いますし、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成という意味でも、このワクチンへの取組、我が国として、我が国の外交として、しっかり努力を続けていきたいと考えます。

城井委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、山井和則君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山井和則君。

山井委員 五十分間質問をさせていただきます。

 このコロナ対策に関しては、与野党協力して、政府とも協力してやるべきだと考えておりますので、岸田総理には前向きな答弁をお願いしたいと思います。質問通告もさせていただいておりますし、基本的なことをお聞きしますので、岸田総理、お答えいただければと思います。

 まず、最初のフリップを御覧ください。

 岸田総理、今非常に問題になっておりますのは、濃厚接触者の待機期間の問題なんです。昨日、経団連の十倉会長も、濃厚接触者の待機期間十日というのは長過ぎるんじゃないか、そういう御指摘がありました。アメリカでは五日間なんですね。

 それで、今日の配付資料にもありますけれども、こちらですね、十七ページの新聞によりますと、濃厚接触者、待機十日に、アメリカ、イギリスより制限厳しくと。要は、アメリカは隔離は五日です、そして日本は十日、このことについて長過ぎるという、そういう声が出てきているんですね。

 それで、岸田総理、もう一つ、これに関連してどういう問題が起こっているかといいますと、子育て家庭なんですね。

 つまり、お子さんと両親が同居されているとします。お子さんが感染をされます。お子さん自身は一週間で、感染者ですから、隔離期間が終わるんです。ところが、岸田総理、これは非常に今深刻な問題で、子育て家庭、日本中で、働く御両親も困っておられるんですけれども、十日間でお子さんが、感染者本人が隔離期間が終わっても、最終接触日から濃厚接触者は起算されるから、つまり親は二十日間働けないということになってしまうんですね。これは非常に深刻な問題なんです。

 それで、かつ、その途中で、兄弟が二、三人おられて五月雨式に発症していったら、結局、二十日間どころか、下手したら一か月ぐらい親が仕事をできないというケースも出てきているんです。

 それで、岸田総理、今、現場でどういう声が出ているかというと、逆に、感染した方が早く隔離、待機期間から逃れられる。感染した人は十日で仕事や学校に戻れるんですね。ところが、濃厚接触者は、岸田総理、これは十日間と書いてありますけれども、感染した家族などと接触した最終日から十日ですから、お子さんが元気になって学校に行っても、その最終日からまた十日間仕事に行けないんです。こういうこともありまして、これは非常に深刻な問題になっているんですね。

 東京都の予測では、二月八日に百四十万人、十人に一人が濃厚接触者になるんじゃないか。そんなときに、十日じゃなくて、家族が治ってから十日ですから、二十日ぐらい働けないケースが増えてきたら、当然、社会は回りませんよね。

 繰り返し言いますけれども、アメリカでは濃厚接触者の待機期間は、三回目接種した人は隔離不要、それ以外でも五日なんです。それで、これから急拡大する中で、コロナに感染された方の対応も大変ですけれども、こういう濃厚接触者、待機期間が余りにも長過ぎる、これを、さすがに、社会活動を回していく上でも、また、お子さんにとっても、ずっと十日、二十日と濃厚接触者で家にいるというのはよくないと思うんですね、隔離されて孤立化するというのは。

 これを短縮すべきだというふうに思いますし、聞く力の岸田首相のところにもこういう子育て家庭の声はたくさん来ていると思いますので、短縮すべきだと考えますが、岸田首相、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、濃厚接触者の待機期間の問題、これは、感染を防ぐという観点と、そして社会経済を回すという観点と、このバランスという議論の中で大変重要な論点となっていると承知をしています。

 現状は委員御指摘のように原則十日でありますが、社会機能の維持のために、自治体の判断によって、社会機能維持者については、検査で陰性を確認の上、待機期間を六日又は七日に短縮することを可能としている、これが現状であります。

 これとて、科学的な見地に基づいてしっかりこの数字を確定しているわけです。ですから、先ほど言いました、感染対策に万全を期す、一方で社会経済活動は維持していかなければいけない、このバランスの中で、科学的な見地に基づいてこれらをどこまで短縮できるか、これはしっかりと確認していかなければならないと思います。

 科学的な見地、少しずつ集まってきました、データが集まってきました。こうした数値もしっかり尊重しながら、社会経済活動を回すという観点から、待機期間の短縮、こういったことを検討していくことは大事だと私も認識をしております。

山井委員 そうなんです。当然、誰が考えても、お子さんが感染したら、親が感染していないのに二十日仕事ができないというのは、それは社会が回るはずありませんよね。逆に言えば、親が感染したら、二十日間お子さんが学校に行けない、保育園に行けない、これもどう考えてもおかしいんです。

 昨日も泉代表がこの質問をされました。それで、岸田首相、検討するということはオーケーなんですけれども、私たちも、国会で総理大臣と直接質問しているということは、聞く力だけじゃなくて、是非、岸田総理に決めていただきたいんです。私たちも、総理大臣と直接議論できる機会は少ないんです。

 それで、今おっしゃったように、確かにこれは賛否両論あるんです。感染リスクということを考えたら、長い方がいいに決まっていますよ。ところが、それだったら、社会生活はもう回らないですよね。先ほども言ったように、東京では、二月八日に百四十万人が濃厚接触者ですよ。これは社会が回らなくなりますよね。

 ということで、岸田総理へのお願いは、検討ということを一歩踏み出して、どう考えてもこれはおかしいですよ、お子さんが感染しただけで二十日間仕事できないというのは、これはやはりおかしいし、国際的にもおかしいです。ですから、岸田総理、濃厚接触者の待機期間を短くしたい、そのことを言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 委員の問題意識、社会経済活動を回していくために、濃厚接触者の待機期間、これを短くしていくことを考えるべきだ、これは私も同感です。

 ただ、これは、何の根拠もなしに短くするということは申し上げるわけにはいかない。先ほど言いましたルールにつきましても、科学的な知見に基づいて、リスクの度合いもしっかり確認した上で十日なり六日なり七日なりを決めているわけですから、短縮する際にも、専門家の意見もしっかり聞きながら、そうした数値的なデータもしっかり確認しながら短縮していく、どこまで短縮していく、これを考えていかなければならないと思っています。

山井委員 繰り返し言いますが、おっしゃる意味は分かるんです。これは、メリット、デメリット、賛否両論あるんです。でも、岸田総理、そろそろ決断するときじゃないんですか。

 いろいろ、科学的根拠とおっしゃいますが、アメリカでは、濃厚接触者の待機期間は五日なんです。さらに、デルタと違って、オミクロンの潜伏の平均期間は三日なんですね、中央値は三日なんです。

 さらに、今日の配付資料にも入れておりますように、十九ページ、二十ページ、一月十四日、今から約二週間前に既に、こちらにありますけれども、尾身茂コロナ分科会会長や脇田先生、舘田先生を始めとして、そうそうたる医療関係者、感染症の権威の方々も、一月十四日ですよ、二週間前に、次のページにありますように、濃厚接触者の健康観察終了の基準、最終被曝から七日経過でいいんじゃないかということも二週間前に提言されているんですよね。私が言っているんじゃありませんよ。こういう専門家の方々もおっしゃっているんです。

 予算委員会、そして先週の本会議、やっていますが、岸田総理の答弁は検討するが多いんです。でも、検討すると岸田総理がおっしゃっている間に事態は逼迫しているんです。岸田総理が総理大臣になられたのは、聞く力がすばらしいということは聞いておりますけれども、総理大臣の仕事というのは決める仕事だと思うんです。それも、こういうコロナ対策においてはスピーディーに具体的に決める。そのことを野党も含めて国民全体が今、岸田総理のリーダーシップに期待しているんです。先週から濃厚接触者の待機期間を短くしてくれと言って、検討します、科学的情報に基づいて検討します、検討します、検討します。それで事態は本当に逼迫しているじゃないですか。

 岸田総理、これはどういう話になっているかというと、濃厚接触者の親の中には感染したいという声が出ているんですよ。感染したら十日で待機期間は終わるんです、はっきり言いまして。しかし、感染しない濃厚接触者だったら、お子さんの十日の待機期間終了が最初の最終接触日になるから、プラス十日。

 ここは重要なのであえて言いますと、自分が感染しなかったら、お子さんが十日で感染が収まって、お子さんは十日後から学校に行く。でも、親は、その後十日、合計二十日間仕事ができない。もしお姉ちゃん、弟がいて、その弟が五日後遅れで感染したら、二十日じゃなくて二十五日。そこにおばあちゃんがいたら一か月。両親共に一か月仕事ができないといったら、会社がもたないだけじゃなくて、例えば日給制の非正規の人、これはどうなるんですか。お子さんも二週間、三週間学校も保育園に行けないといったら、これは本当、健康でもありませんし、隔離もよくないと思うんですね。

 だから、そういう意味では、そろそろ岸田首相の御決断をいただきたいんです。もうそろそろいいんじゃないんですか、短縮したいという御答弁をいただいて。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、検討する、検討するばかりではないかとおっしゃいましたが、これは、先ほど申し上げました原則の期間についても、当初十四日だったものを十日に短縮する、あるいは社会機能維持者についても、どこまで短縮できるのかということで、検査と組み合わせる形で七日、六日、こういった期間に短縮してきた、短縮する問題意識を持って様々な努力を続けてきた、これはしっかりと申し上げなければならないと思います。

 先ほど、ニューヨーク、アメリカの例、五日だとおっしゃいましたが、五日にすることによって混乱も生じているということも聞いています。

 大事なのは、国民の皆さんに納得してもらう、安心してもらう、これが背景としてなければならないということだと思います。だからこそ、先ほど申し上げているように、科学的な知見をしっかりと収集した上で、そして、リスクの度合いも数値として、何日目にどのぐらいのリスクが生じるのか、いろいろなデータが出ています。それをしっかり踏まえながらどこまで短縮するかを考えるということだと思います。

 そして、先ほど来御指摘になられているケース、確かに、そういったことになれば大変なことだという問題意識、これはそのとおりだと思いますが、科学的な見地に基づく待機期間の短縮、どこまで短縮できるかを考えるのと併せて、具体的なケースにおいて、それをどう組み合わせて、どう運用して社会経済活動を回していく、こういった点も大事なのではないかと思います。

 両面から、実際に社会経済活動を動かすためにはどうしていくべきなのか、しっかり知恵を出していきたいと考えます。

山井委員 いや、ちょっとショックです。

 国民は今、待機期間が長過ぎて、仕事も家庭ももう大変なことになっているということで、不安で、二十日間も仕事ができない、隔離されるということに納得していないんですよ。短縮する方がはるかに納得するんです。

 それで、岸田総理、繰り返し言いますけれども、これは私の意見を言っているんじゃないんです。尾身会長や脇田先生や舘田先生を始め、専門家の方々が、感染症の日本の第一人者の方々が、一月十四日に、七日でいいんですということを、もう二週間前に提言をされているんですよ。科学的根拠、科学的根拠とおっしゃいますけれども、このままいったら、日本の社会は大混乱しますよ。

 改めて、岸田首相にお聞きしたいんです。

 これは、科学的根拠だけれども、最初から言っているように、これはもうリスクもあるんですよ、そこは最後は政治判断にならざるを得ないんですよ、ロックダウンができない以上は。

 岸田総理に本当にお聞きしたいのは、濃厚接触者というだけで、自分がぴんぴんしているのに、二十日間仕事をできないお父さん、お母さんが日本中に今急増している、この現状は放置されるんですか。

 ちょっと今、岸田首相が答えられたので、それをマイクのところで言ってください。

岸田内閣総理大臣 放置するのかという質問に対しては、放置はいたしません。

山井委員 ということは、放置しないんだったら、濃厚接触者の待機期間は短くするということでいいですか。いやいや、だから、総理に聞いているんですよ。そういうことになるじゃないですか。今、岸田首相に聞いているわけですから。

 今、岸田首相の放置しないという言葉の意味を聞いているんです。放置しないということは、待機期間を短縮するんですかと聞いているわけですよ。それをお答えください。まず総理ですよ。その言葉の、今大事な答弁をされたわけですから。

岸田内閣総理大臣 放置しない、ですから、検討すると申し上げております。

山井委員 検討するということは、決めない、結論を出さないということは、先送りするということです。

岸田内閣総理大臣 当然、結論を出すために検討するわけであります。

後藤国務大臣 一言、議論の整理のために申し上げた方がいいと思うんですけれども、尾身理事長が専門家の方々と一月十四日にまとめられた提言の中では、確かに、最終暴露から七日間経過も選択肢の一つとして指摘されておられますけれども、その中に書かれているのは、七日経過後も一定程度の感染リスクがあるということも併せて指摘をされております。

 ですから、政府はこれまで、感染リスクが拡大しない範囲内で、客観的エビデンスに従って、十四日を十日に、検査つきで六日でというような形で今までやってきております。

 しかし一方で、今委員から御指摘のような、社会活動、生活を維持するために、非常に濃厚接触者の扱いが困難になる局面が生まれ、そして感染状況が変わってくるということになった場合には、今総理が答弁されたように、適切に対応するために、しっかりと今後の対応を考えていきたいということでございます。

山井委員 分かりますよ、検討と答えたいのは。でも、私たちもやはり方向性を出してほしいと思って国会審議しているんです。

 せめて、せめてですよ、私は遅いと思いますけれども、せめて、じゃ、今週中には待機期間の短縮の方向性は出しますか、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 方向性は、短縮の方向で検討すると再三申し上げております。その方向で検討いたします。

 そして、それは、先ほど厚労大臣からもありましたように、一定のリスクは伴うものだという中で、どこまで国民の皆さんの安心という観点からいって適切なのか、これを政府として、政治としてしっかり判断をしたいと思っております。

山井委員 今週中に結論を出していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 オミクロン株、これは自然との戦いでありますし、国民の命、安全が懸かった問題です。期限を区切ってと申し上げることは控えなければならないと思っております。

山井委員 これは、岸田総理がおっしゃっていた、最悪の事態を考えて先手先手で対応するの逆じゃないですか。

 本当に、これは多くの方々が困られております。繰り返し言いますが、私たちも対決しようと思っているんじゃないんですよ。やはり、これは別に私の意見を言っているんじゃなくて、多くの国民の方々が困っておられるし、先ほども言いましたように経団連の会長も困っておられるわけで、多くの方々から声が出ているので言っているわけなんですね。また今後も議論はさせていただきますが、とにかく、もう一両日中にも判断をしていただきたいということを強く言いたいと思います。

 それに関連して、検査キットがないという問題。

 昨日、岸田首相は記者会見で、一日八十万回分まで供給量を上げるようにということを製造各社に要請したと。八十万回分まで上げるように要請されたのはいつですか。

岸田内閣総理大臣 正確には確認をさせますが、先週指示を出したと記憶をしております。

山井委員 岸田総理は既に四百六十万回分の確保をしているということですが、岸田総理、四百六十万回分の検査キットは大体何日分ぐらいですか。

岸田内閣総理大臣 在庫四百六十万回分、これは最近の出荷量と比べますと三週間分に相当すると承知しております。

山井委員 三週間分と言ってくださっても、今、クリニックやいろいろなところで検査キットがないんですよ、目の前に。目の前にないという現象が起こっているんです。

 そこで、岸田総理にお伺いしますが、三週間分私はあるとは思いませんけれども、幾ら備蓄があったって、目の前で検査を受けられなかったら意味がないわけですから、いわゆる検査を受けたいのに検査を受けられることができない人、そういうことにはならないということを、御発言をお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、現実においては目詰まり等が生じているケースがあるということは承知をしております。

 しかし、総量ということを考えた場合に、四百六十万回分、三週間分をまず今確保した上で、メーカーに対する生産につきましても、一日五十万回分だったものを八十万回に引き上げるという形で、買取り保証もしっかりと考えながら、増産をしっかりお願いしているということであります。

 こうした増産を在庫に加えることによって、検査キット、足りないことがないように、少なくとも総量において足りなくなることがないように、しっかり努力をしていきたいと考えております。

山井委員 オミクロン株が感染力がデルタ株の三、四倍あって、検査キットが必要だということはもう昨年から分かっていたことで、増産を要請したのが先週というのは、これは遅過ぎませんか、岸田総理。

後藤国務大臣 おっしゃるように、オミクロン株の感染が急に拡大いたしまして、キットの需要が増えている、それも、ここのところ急速に増えているわけでございます。

 今委員御指摘があったように、一部地域、一定期間において摩擦的に入手しづらいという御指摘がある点についてはよく掌握しておりますので、しっかりと、先ほど総理がおっしゃったような、そういう、いわゆる買取り保証も含めた、輸入分そして最大量の生産増、そうしたことでしっかりと対応していきたいと思っております。

山井委員 私は、岸田総理が最悪の事態を想定して先手先手で対策をするというお言葉は非常に頼もしいし、期待もさせていただいております。ただ、今の検査キットの話を聞いても、逆に言えば、現実は最悪の事態を想定せず後手後手になってしまっているような気がしてならないんです。

 それと同じことが、私は、ワクチンの三回目接種、ブースター接種についても言えるんじゃないかと思うんです。

 私は調べて驚いたんですけれども、例えば、ここに、手元に資料がありますけれども、追加接種実績、一月十四日は十一万九千回なんですね。一月十四日金曜日は、追加接種、ブースター接種、十一万九千回。ちなみに、過去多かった頃を見てみると、七月十日には百六十九万回、十倍以上やっているんです。菅前総理は目標を定めてワクチン接種を加速化されたんですね。十倍、今、開いてしまっているんです。

 これは、岸田総理、菅前総理は一日百万回ということで号令をかけられました。大前提として、一番頑張ってくださっているのは、地元の自治体の方、お医者さんたちや医療関係者ですから、その方々への十分な支援を大前提としてということを大前提としながら、岸田総理としては一日何万回の接種を目標とされているんですか。

岸田内閣総理大臣 日本においては、一回目と二回目のワクチン接種、これは国民の多くの皆さんのお力をいただいて、大変速いペースで接種を行うことができました。しかし、残念ながら、一回目、二回目、スタートが遅れたために、三回目、間隔を空けて接種を行わなければいけないということでありますので、我が国において三回目の接種が本格化するのは、まさにこれから、一月、二月にかけての時期だと思っています。

 そして、二月末を目標として、全国八四%の自治体において、対象となる希望する高齢者への接種を想定どおり二月末までに終える、この見込みを行っていると。八四%で、希望する高齢者の方々に二月末までに接種を終える、こうした回答を自治体からもらっている、こういったことであります。

 期間が来た方、希望される方にはできるだけ早く接種を受けてもらえるように、体制をしっかり組んで接種の促進に努めていきたいと考えております。

山井委員 この三回目の接種は、先進国三十数か国の中で日本は最下位なんですね。今おっしゃったような様々な事情はあると思います。

 検査キットもない、ブースター接種もしていない。ブースター接種をしていないと重症化のリスクがオミクロン株でもあるんじゃないかと言われているわけです。

 ということは、岸田首相としては一日何万回というような目標は持ってはおられないということなんですか。

後藤国務大臣 去年も、実を言うと、最初の頃は、日本はワクチンの接種が全然進んでいなかったわけです。それで、体制を整えて、そして一斉に全国で打つことによって、最終的には急速にワクチンの接種は追いつきまして、そして、先進国の中で最高の八割という接種率まで到達をいたしております。

 今回も、宣言するだけして一部で打っているような外国の例とは違って、我々の場合には、正式にそれぞれの地方自治体に、千七百、それぞれ体制をしっかり組むように連絡をして、そして今、前倒しということで進めております。

 そういうことでありますから、今話があったように、各自治体全てに総務省と厚生労働省で連携をして聴取をした結果が、二月末日までにしっかりと高齢者の希望者について打てると回答したところが八四%あったということです。

山井委員 これも岸田首相のリーダーシップに期待したいんです。

 ということは、岸田首相は、一日何万人分、何万回接種する、三回目接種するという目標はもうお決めにならないということなんですか。やはり目標を決めて、十分に自治体の現場を、最大限に財政的な部分も含めて支援しつつということですけれども、その目標を決めてやられた方がよいんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、二回目の接種との間隔を空けるという条件はあるわけですが、その中にあって、今、三千百万人の医療従事者と高齢者の方々については三回目の接種をどんどんと進めている状況であり、そして、一般の方五千五百万人の方々の接種もそれに続けて行っていく。その際に、七か月間隔ということでこの五千五百万人の方々の接種を進めていこうとしていますが、余力がある場合、市中に出回っているワクチンの量等も考えた上で余力がある場合には、六か月間隔で接種することもお願いしようということを言っています。

 ですから、そういったルールで接種を進めていますので、一日何人というのではなくして、今言ったルールに従って、必要なワクチンの供給量をしっかり算定して自治体の方にお届けしているということであります。それをしっかりと活用してもらう体制をつくり、そして接種回数を積み重ねていく、これが現実だと思っています。最初から一日何人というのではなくして、今申し上げたルールに従って、できるだけ多くの方に接種をしてもらう体制をつくっていきたいと考えています。

山井委員 私は、リーダーシップが不十分なのではないかという気がいたします。

 それで、今日、蔓延防止措置、関西を始めとして多くの自治体でまた追加をされます。

 その中で、今日の配付資料も見ていただきたいんですけれども、今日の配付資料の四ページ、これは私の地元の洛タイ新報という新報ですけれども、京都は観光の町、お茶の町ということで、本当に、GoToキャンペーンも延期になった、「商店街活動にコロナの影 感染再拡大も将来見据える」、窮状、要望などを市議会が聞き取ったということなんですが、そういう中で、本当に、オミクロン株で、GoToキャンペーンもあって景気が戻るのかなと思っていた先に、再拡大をしてしまった。

 それで、来週月曜日から、事業復活支援金、いわゆる二回目の持続化給付金の申請受付が始まります。

 これは、山岡達丸経産部会長を先頭に、昨年の三月十九日に、私たちも持続化給付金再支給法案というのを提出したのが三月十九日。それから八か月たって、一月三十一日に、岸田総理が就任の記者会見でもおっしゃった、持続化給付金並みの措置をするとおっしゃった、事実上の二回目の持続化給付金が、これは山岡議員を始めとして私たちが提出した議員立法が三月十九日ですから、八か月たってやっと実現した。

 私たちの提案を受け入れてもらったのはうれしいんですけれども、ただ、問題がありまして、上限が、五割減収で五十万円、そして法人が百万円ということで、一回目の持続化給付金の半額なんですね。それで、岸田総理、当然、これは昨年の補正予算で決めた事業ですから、今回のオミクロン株、GoToキャンペーンの先送り、蔓延防止措置は勘案していないんです。

 そこで、岸田総理、これは質問通告もしていますけれども、全国の事業者の方々は、もう本当にやっていけないと。残念ながら、私の地元でも、潰れたお店、潰れそうな中小企業、精神的にももうもたないと泣いておられる方々、本当に今回の、今日から始まる蔓延防止措置でも皆さん困っておられますし、蔓延防止措置でお客さんが減るのは夜の飲食店だけじゃないんですよね。あそこには協力金が出ますけれども。ということは、夜の飲食店以外の、協力金が出ないところにも経済的支援をしないと、本当にこれは国民生活がもたないと思うんです。

 ついては、繰り返し言いますけれども、これを決めた時点では、オミクロン株もGoToキャンペーンの先送りも、そして蔓延防止措置もなかったわけだから、今こういう第六波が来た事態において、新たにこの事業復活支援金の上限額を倍増する。具体的に言うと、法人一億円以下の規模で二百万円に、そして個人では百万円に、一回目の持続化給付金並みに引き上げるということ、これは質問通告しておりますけれども、是非御決断いただきたいと思います。岸田さん、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 厳しい事業者の方々の状況を考えてしっかり支援をしていく、こういった考え方は大変重要だと思います。

 そして、御指摘の事業復活支援金ですが、これは、内容としまして、固定費の約半分を目安に、昨年十一月から三月まで五か月分を一括して支払うことになっていますし、そして、中身において、持続化給付金との比較においても、事業の規模に応じて二百五十万円まで、さらには売上げの減少割合三〇%の方も対象にするなど、内容において持続化給付金より手厚いものになっている、これは御理解いただきたいと思います。

 そして、これは一月三十一日、申請の受付を開始する予定ですが、これをすぐ、できるだけ早くまずお届けするのが大事だと思います。

 しかし、状況が悪化している、不安が広がっているという御指摘に対しては、この事業復活支援金だけではなくして、様々な支援を組み合わせていかなければならないと思っています。

 これは、雇用調整助成金の特例措置もありますし、そして、実質無利子無担保融資、これも年度末まで延長したわけでありますし、事業再構築補助金を始めとした様々な支援金も拡充をしていくわけですから、こうしたものも併せて、厳しい状況においてしっかり事業者を支えていく、政府としてしっかり責任を果たしていきたいと考えています。

山井委員 岸田首相の答弁には、私はやはりがっかりなんです。なぜかというと、いろいろメニューをおっしゃいましたよね。そのメニューは全てデルタ株対応の事業者支援なんですよ。今年度の、今私たちが審議している予算案も、第六波、オミクロン株は想定していないんです。入っていないんですよ。

 今日から蔓延防止措置の対象も広がります。去年も同じ議論をしたんです。山岡達丸筆頭理事を先頭に、二回目の持続化給付金を支給する法案を三月十九日に出して、それで、十一月一日、岸田総理が総裁に就任されたら、持続化給付金並みの措置をやるとおっしゃって、私たちの意見を取り入れてくださった。それで、来週月曜日から、名前は事業復活支援金になりましたけれども、そういうものをやることになったけれども、でも、これは八か月かかっているんですよ、私たちが提案してから。

 私が今言った事業復活支援金の拡充、恐らく、岸田総理、そのうちされることになると思いますよ。でも、岸田総理はなかなか決めない。決めないだけじゃなくて、スピードも、申し訳ないけれどもちょっと遅いんですね。

 だから、これは、私は本当に、今日提案していますが、この事業復活支援金は必ず拡充せざるを得なくなると思いますよ。今、日本の観光地も商店も大変な状況になっていますから。

 ついては、今日、蔓延防止措置が更に拡大して、本当に事業者の方々はもう不安のどん底なんです。その不安のどん底の事業者の方々に対して、岸田総理から、今までやっている措置はオミクロン株は想定していなかったので、新たにオミクロン株、第六波、蔓延防止措置、GoToキャンペーンの先送りに対応して経済支援を拡充します、その一言を全国の事業者の安心のために言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 事業復活支援金を始め様々な対策を、今年の春まで見通せる形で経済対策の中で用意しました。そして、こうした用意したものを、申請を受けて、これから実行するわけです。まずこれを早く届けることに全力を注ぐ、これが第一であるということ、これは間違いないと思います。

 支援金をできるだけ早く届けた上で、状況を見ながら、政治として更なる対策が必要かどうか、これはしっかり考えていきたいと思っています。

山井委員 本当に検討、検討で、決めない。この危機のときに政治に一番必要なのは、私はスピードと決断だと思います。それが決定的に欠けていると思います。

 私たちは諦めませんよ。これは、議員立法の提出も山岡達丸経産部長を先頭に予定をしておりますけれども、どう考えても、第六波、オミクロン株に対する経済政策、経済支援がゼロ、ゼロ、そんなことでもつはずないんですよ。

 非常に残念ですが、それに関連して、残念ながら、私の地元でも、コロナ融資が返済できない、もうお店が潰れる、あるいは会社が倒産する、そういう心配が出てきております。そのことについても、これは要望にしますけれども、是非とも、コロナ融資の返済の猶予、それと減免ということを是非お願いしたいと思います。これも通告していますので、答弁をお願いいたします。

鈴木国務大臣 今やっていることの一つでございますけれども、事業者の資金繰り支援について、既存融資の返済猶予など、柔軟に対応するよう、政府として官民の金融機関に要請をしております。そして、金融機関の条件変更の応諾率は約九九%と、多くの事業者の返済負担軽減につながっていると理解をしております。

 貸付金につきましては、もう言うまでもないことでありますが、補助金や助成金とは異なりまして、債務者から返済をいただくことが前提のものでありまして、きちんと返済をされている債務者との公平性の問題、モラルハザードの防止、国の財政に与える影響などの観点からも、その返済を免除するということについては慎重に判断する必要があると思っております。

山井委員 とにかくこれは、これから、返済できないということで本当に苦しまれる方が多いので、是非柔軟に返済減免、そして猶予、お願いをしたいと思います。

 それで、最後になりますけれども、この間、九月以降に離婚された方々、約四万人のお子さんに十万円が行かないということで、私たちは、十二月十六日から、森山浩行内閣部会長を先頭に、この四十日間で十回政府に申入れをしました。十回、四十日間で、年末年始も。やっと今日、城井議員の質問に対して、四万人の子供たちに払うとおっしゃったけれども、私、さっきびっくりしましたのは、年度内に払えるかどうか分からない。それでは困るんです、早急に払ってもらわないと。

 今日の配付資料、しんぐるまざあず・ふぉーらむの方々が、五十二人の不支給の離婚された後のお母さんのヒアリング、皆さん読んでください。そして、次の十一ページは、ひとり親支援協会の今井智洋さんが中心にまとめられた十二人の支給されない方々の声。

 何にその十万円を使いたいか。長女の大学の入学資金、こども園に入園する制服代や教材費、食費、息子の誕生日プレゼント、そして、離婚してテレビを持っていかれたのでテレビ、子供の冬物ジャンパー、靴などと、みんなこれは同じようにクリスマスにもらえると思って期待されていたんですよ。今、もう一月の二十五日、既に一か月遅れているんです。入学費用、冬物のジャンパー、こども園入学の費用、誕生日プレゼント、年度内というのは遅過ぎるじゃないですか。

 岸田総理、お願いなんですけれども、年度内にできるかどうか分からないなんて、そんな冷たいことを言わずに、やはり早急に指示して、既に児童手当の口座は変更している方がほとんどなんですよ。もう口座は分かっているんです、お母さんの、離婚された後の。分かっているんですから、そういう既に口座が分かっている人に関しては早急に、もう二月に振り込むと。二月をめどでもいいですよ。それぐらいのことを言ってもらわないと、それは、年度内に振り込めるかどうか分からないと言ったら、みんな泣いてしまいます。

 岸田総理、二月めどぐらい、さすがに、もう一か月遅れているんですから、お答えいただけませんか。

岸田内閣総理大臣 二月をめどに努力をしろということでありますが、間違いなく二月から支給を開始できる自治体は存在すると思いますし、できるだけ多くの自治体にこの支給を急いでもらうよう政府としても働きかけを行っていきたいと思っています。

山井委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、私、今から十数年前、岸田総理が厚生労働委員長で私は野党の筆頭理事で、厚生労働委員会で一年間仕事をさせていただいて、人柄はすばらしい方であります。ただ、私、岸田総理に期待したいのは、やはり決断力とスピードなんですね。今、平時じゃなくて、これだけコロナの緊急事態になっておりますので、やはりそこは是非決断をしていただきたいと思います。

 改めてになりますが、最後にもう一回だけ、濃厚接触者の待機期間の短縮、あ、駄目ですね、それでは今の、とにかくスピードと実行というものをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて泉君、大串君、長妻君、階君、城井君、山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 私の前の山井議員が濃厚接触者の件について取り上げていまして、表現ぶりは少し違うかもしれませんが、私自身も同じ問題意識を持っておりまして、その件について、まず冒頭したいと思います。

 我々は、我が党として、コロナ対策の提言書を、厚労大臣、お忙しい中お時間いただきまして、提出とともに生産的なディスカッションをさせていただきました。その節はありがとうございます。その中でも、提言、幾つか入れさせていただいたことを今日少し確認しつつ、我々の提案も盛り込みたいというふうに考えております。

 そもそも、今、感染拡大が物すごいスピードで起こっているわけでありますけれども、これはやはり、我々が認識しないといけない前提として、感染拡大を完全に抑え切るという隔離政策が、果たしてこれがこのまま続いてよいものだろうか、そういう前提に立って、特に、経路不明の感染者が非常に多くなってきて、もう誰がどこで感染しているか分からなくなっているということ、それから、海外のデータも含めて、このオミクロン株は、感染力が強い反面、重症化率、致死率が低いという特徴もデータとして出てきているわけでございます。

 先週は、医師会の中川会長が、リスクの少ない若年層にはインフルエンザに近いものと考えられる、経済の再活性化と感染拡大の防止の両立を目指す段階に入っているということは言及されたわけでありますけれども、先ほどの山井議員の話にもありましたように、濃厚接触による、社会機能がかなり止まってしまっていて困っている方がたくさんいらっしゃるという問題について、これについて総理の見解をお聞きしたいんです。

 これは、先ほども科学的見地から、基づいて、冷静に判断するということをおっしゃられましたが、まず、この隔離期間の短縮が、我々も提言しましたが、十四日から十日、そしてエッセンシャルワーカーが六日、医療従事者はPCR等を含めてゼロ日というふうになりましたが、これの根拠についてまず確認したいと思います。

後藤国務大臣 濃厚接触者の待機期間につきましては、感染してから発症するまでの期間、すなわち潜伏期間に基づいて科学的知見により定めておりまして、国内の積極疫学的調査により得られた情報、HER―SYSによる発生届の状況等を国立感染研究所で分析しまして、オミクロン株の潜伏期間は三日間のケースが最も多く、十日を超えることは極めてまれであるということから、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間を十四日から十日に短縮をすることといたしました。

 あわせて、検査を組み合わせれば、一定の待機期間を経て濃厚接触者のうち陽性が判明する可能性は極めて低くなることが分かりましたので、自治体の判断により、社会機能維持者については、検査で陰性確認の上で、待機期間を六日プラス検査回数ということで短縮をしているところでございます。

 こうした濃厚接触者の待機期間は、リスクを拡大しないということを前提として、科学的知見の蓄積、そして専門家の御意見も聞きながら決めているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 今、潜伏期間の話がありました。その辺りが多分重点的に議論されているんだろうと思いますが、これは、一人の感染者さんがどれだけ広げていくかということを前提に考えれば、それは三日よりも十日、十日よりも十四日の方が多分安全なんだろうと思います。しかしながら、先ほども申し上げたように、社会全体で、誰がどこで感染しているか分からない、経路感染不明者が出てきて、しかも、今、空気感染も起こっているんじゃないかという話も出てきている中で、濃厚接触者の取扱いというもののバランスをどう取っていくかは非常に重要なハンドリングなので、これは政治決断の部類に入ってくると思っているわけです。

 特に、今、現状を見れば、保健所がそもそも濃厚接触者をある種の認定をしていたわけです、以前は。しかしながら、今は、例えば沖縄では、もう早いうちに、濃厚接触者への連絡は新規陽性者が自分で判断してくださいというふうに運用上なっていて、そして、先ほどもありましたが、もう東京では、それが広がって、十人に一人が濃厚接触者だろうというふうにも言われていて、これは甚大なる社会機能の低下を及ぼす可能性が出てきているというわけであります。

 特に、そうなってくると、濃厚接触者だろうけれども濃厚接触者と余り認めたくないよね、たくさんしゃべったけれどもマスクをしていたよねとか、そういう判断がもう行われていて、本来隔離や行動制限をかける方が理想的なはずの濃厚接触者は恐らくたくさん漏れ落ちていて、そして、濃厚接触者とある種認定されてしまって扱われた人はかなりの行動制限がかかる、こういう不合理なことが起こってしまっているわけであります。

 私たちは、そういう状況を危惧しながら、一つのメッセージとして、五類、二類から五類又は五類相当という議論をしているわけでありますが、これは、五類というのは、感染症法のいわゆるひな形に入れてしまおうというのが五類ですね。五類相当というのは、今の新型インフルの枠組みの中でオーダーメイドでアレンジしながら五類相当に近づけようという議論でありますが、私たちは、これは後でも言いますが、保健所の管理の在り方、パンクしていますから、保健所の役割、そして濃厚接触の在り方、そして、この後、応招義務についてやりますが、その辺りについて整理した方がいいよと。

 これは、私たちは、何も、コロナをもう既に軽視する段階に入ったんだと言いたいわけではありません。そもそも感染症法というのは、少ない感染者で、しっかり隔離して、そして、高い重症化率だから広がらないように公衆衛生の力を最大限使おうというのが趣旨であったわけでありますが、もう既にその前提が崩れていて、多数の感染者、どこで誰が感染しているか分からない感染の仕方で、そして重症化率が少し低くなっているということで、早期発見、早期治療の段階に、早期発見、早期治療のために医療へのアクセスをスムーズにする政策を最大限やった方がいいんじゃないかという問題意識で、これは後藤大臣にも理解していただいたところでございますが、この濃厚接触の行動制限をどこまで続けるか、その合理性は、社会全体で見たときの合理性は低くなっているというふうに思うわけです。

 これは、一つのアイデアとしては、濃厚接触者が認定されても、PCR検査を受けて陰性であればすぐに行動制限を解いてあげるということも考え得ると思うんですが、この辺り、濃厚接触者の行動制限の合理性についての御見解、いただきたいと思います。

後藤国務大臣 今委員から御指摘があったオミクロン株の特徴、すなわち、非常に感染力が強いし、重症化率が低い可能性が高い、そういうオミクロン株の特徴が、今の感染がこれまでの感染の形と大分違ってきているということを専門家の皆さんも御指摘をされているところであります。

 一般的に言うと、今御指摘があったように、濃厚接触者を特定して行動規制をかけていくということは疫学的には大変効果のあることだという認識でございますけれども、今御指摘があったように、オミクロンの特徴を踏まえて、感染が極度に拡大していくような形のときに、社会機能の維持の観点や、あるいは暮らしを支えるという観点から、どのような判断をしていくかということはしっかりと検討をしていく。

 先ほど総理からも、そうしたことも踏まえて検討が要るという答弁をさせていただいておりますが、委員のおっしゃっている趣旨を理解しつつ、今後どういうふうに社会的機能の維持も含めて考えていくか、オミクロン株の特徴、そして安全性、しっかりと踏まえて考えていきたいと思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 もう繰り返してはお聞きしませんが、前向きに考えてくださるということで、受け止めます。

 我々、公衆衛生の機能を少し弱めて、医療を前面に出したやり方をしていこうじゃないか、早期発見、早期治療を重視しようというところで、医師の応招義務について少し見解を問いたいと思います。

 応招義務というのは、お医者さんは来た患者さんを診てくださいね、そこに義務が生じますよという話ですけれども、ざっくり言うと。これが、幾つかの通知で整理されているんですが、二〇一九年十二月二十五日には、これは医師の働き方改革に関することの記述の中で出てくるんですが、簡単に言うと、一類、二類の感染症については応招義務の除外規定のような、読み込める、そういう文書が出ています。

 それから、二〇二〇年の三月の十一日には、とはいえ、発熱だけでは拒否しないでくださいねと書かれてあるんですね。なんですが、これは、よく読み込むと、そういう専門的な医療機関に受診をお勧めして、お譲りすることはできますよという見解なんです。

 つまり、広い概念で言うと、発熱の外来を診ないということがある程度許容されてしまっているというのがあって、私は、これは結構現場でもやはり多いんです。やはり難しい扱いをどうするかということで、医療現場の方もできるだけ診たくないというインセンティブが排除できないんですよね。

 この応招義務についてのまず見解と、それから、これは私は、できる限り町の診療所で診ていただいて、そして、早期発見、早期治療につなげていくという体制を早くつくらないことには医療が機能しないんじゃないかなというふうに思うわけでありますが、この応招義務についての見解、いただけますか。

後藤国務大臣 医師法では、医師は正当な事由がなければ診療を拒んではならないというふうに決まっております。まさに御指摘のあった医師の応招義務の規定でございます。

 この応招義務に関しましては、患者が発熱等の症状を有しているということのみをもって、まさに御指摘のあったとおりで、その発熱ということだけをもって診療を拒むということは正当の事由に当たるとは考えられないこと、それから、仮に診療が困難な場合、例えば、オミクロンに対する十分な防護体制がないような医院とか、それから診療・検査医療機関としての役割を担っていないような、そういうところについては確かに正当な事由と解されることはあると思いますが、その場合でも、必ず新型コロナ患者を診療可能な医療機関へ紹介するというところまでは医師の応招義務としてやらなければならないということになっております。

 それから、一部、医療界も含め誤解があるとすれば、診察した患者が新型コロナ患者であるということが判明した場合であっても、しっかりと防護の体制を取っているお医者さんは原則として濃厚接触者にはならないということでございまして、御指摘のように、各医療機関においては、感染予防を徹底しつつ、できる限りの必要な診療をしっかり行っていくようにと考えておりまして、また、発熱患者が診療、検査を受けられる診療・検査医療機関については、現在まで、度々医師会長にもお願いをし、それぞれの支部にも下ろしていただきまして、現在までに診療・検査医療機関は三万五千か所と増やしておりまして、これからもしっかり機能するように努力していきたいと思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 もう一つ重要な論点で、感染症の分類を、五類相当とかの議論をすると必ず出てくるのが、二類から五類にしたら医療費がかかるようになるじゃないか、こう言われるわけです。

 今、二類相当ということで、三割負担の部分は、都道府県に基金があって、そこに交付税措置がされていて、実質、実質というか無償化されている、こういうスキームなんですけれども、これは別に、五類相当のように、アレンジしていわゆる分類を変えたとしても、これは、感染症法上のたてつけはよく分かりますが、予算措置として政治決断でできると思うんですね。

 つまり、何を言いたいかというと、お金が皆さんかかるようになるので二類のままなんです、こういう論陣を張られる方は、僕ははっきり言って間違っていると思うんですよ。もっと言うと、そうやって分類を変えていくというステージが恐らく来るでしょう。来たときに、それは予算措置しないんですかと問いたいわけです。

 これだけはっきりさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 委員の御指摘は、いわゆる感染症法上の医療としての計上じゃなくて、一般医療として保険医療適用させた上で、そこに補助金を出せばいいじゃないかという御指摘なんだろうというふうに思います。

 もちろん、感染症法上、法律改正をして、そして公費の補助規定みたいなものを入れるということは、立法論としてまでは否定するところではありませんけれども、少なくとも今の感染症法上の仕組みからいいますと、感染症法上の公費負担の規定がついているということについて言えば、やはり五類相当というわけにはいかないということでございます。

 それよりも、余り聞かれたこと以上のことをお答えするのもとも思うんですけれども、二類になっていることの理由は、死亡率が例えば高いとか、感染力が非常に高くて、もしかすると国民にどんどん広がってしまうかもしれない、そういうときに、例えば、入院の措置規定が使えるとか、検疫法上分けられるだとか、特措法が適用できるだとか、そういうことのためには、やはり二類である、二類相当。五類にするとなかなか厳しいということも含めてトータルで考えなきゃならないということと、もう一つは、法律改正なしに、もちろん今の議論は、やるということの前提でございます。

 立法論としての考え方については、いろいろあろうかと思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 これは、どういうスキームでお金が措置されているかというのは国民は余り関係なくて、要は、お金がかかるかかからないかという話なんですね。だから、法律が現実を振り回してはいけないと思うんですよ。現実に合わせて法律論をちゃんと整理すればいいだけの話で、その頭で是非やってほしいのと、それから、最後にちょっと、時間がなくなってきたので一問だけ。

 今、五歳から十一歳のワクチン接種について、やはり議論がいろいろなところであります。その中で、これは予防接種法上の臨時接種特例として定められていて、いわゆる努力義務がかかっているわけです。

 これは、五歳から十一歳は、自分で判断するのは非常に難しいし、自分で情報を取るというところもなかなかままならない中で、ワクチンで、率はおいておいても、一定数はやはり副反応が出るわけですね。そうやって出た場合に、やはりこれは、努力義務がかかっていることによって、どうしても打たないといけないんだろうという社会的なインセンティブが大分働いていて、これはよくないんじゃないかということが言えるわけでありますが、我々も提言で、この努力義務は、妊婦さんはこれは外れていますから、同じように外すべきであるというふうに思いますが、これについての御見解をいただけますか。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの接種については、個人予防のみならず集団予防の観点から実施するものでありまして、原則としては、感染症法上の予防接種をするときには努力義務を課すことといたしております。

 ただし、五歳から十一歳までの子供に対するワクチン接種への努力義務の適否については、これは大変議論を専門家の間でもしているところであります。新型コロナの蔓延の状況、接種の有効性や安全性を、子供の観点から見てどういうふうに踏まえるか、労働省の、今、審議会、厚生審議会の方でも議論を集中して行っております。

 いずれにしても、妊婦につきましては、当初は、いわゆる調査が全然やられていなかったということで努力義務が外されているのは先生の御指摘のとおりでありますけれども、一応、子供についてはそういう治験も行ってはおります。その辺のところは、今非常に大きな議論になっておりますので、もうしばらく審議会で検討したところで、ここは子供の健康と将来の安全に関わる問題なので、しっかりと専門家の意見を聞いて進めたいと思います。

藤田委員 後藤大臣、ありがとうございます。非常に理知的な判断をされる大臣ですので頼りにしておりますので、よろしくお願いをいたします。

 午後に続かせていただきます。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 午前中に引き続きまして、後半、二十一分させていただきます。

 後半は、新しい資本主義、それから社会保障、それから労働市場等について少し議論したいなというふうに思うわけでありますが、ちょっと順番を変えて、させてもらいます。

 新しい資本主義については、私も臨時国会でいろいろ論戦させていただいて、具体論がなかなか見えてこないし、これは新しい経済社会をつくっていこうという構想として私も捉えたいところではありますが、なかなか、これから詳細については検討していくよというステージなんだということを聞いて、ある種、愕然としたわけでありますが。

 その中で、新しい資本主義、これは経済の話ですけれども、私たち、税や社会保障や労働市場を一体的に考えて、経済の在り方、それから労働市場の在り方、働き方も含めて、経済社会をどう変えていくかという議論を党内でもやっております。その中で、ちょっと今日は、先に勤労者皆保険について議論したいと思います。

 勤労者皆保険というのは、総理が、恐らく総裁選の頃から訴えられて、多様な働き方に中立な社会保障を実現していこうというコンセプトを言われて、私、自民党のマニフェストを、選挙で対戦する相手ですから、結構読み込みましたが、例えば年金のこととかほとんど記載がなくて、で、この勤労者皆保険というワードが出てきたわけです。

 これは、コンセプトは分かりますが、論戦するにも、ちょっと具体論がどこを探してもなかなか見つからないというのがありまして、この勤労者皆保険というものの具体策や実際の制度設計、そして、今議論がどの程度のステージにあるかということをまずお聞かせいただけたらと思います。

岸田内閣総理大臣 週の労働時間二十時間以上等の要件に該当する短時間労働者に対する被用者保険の適用について、様々な改革が進められています。従業員百人以上の企業は本年十月から、従業員五十人超の企業は令和六年十月から行うということになっていますが、基本的には、被用者保険の適用拡大、これを行うことによって、働き方に中立、すなわち、いろいろな働き方をしたとしてもひとしくセーフティーネットが用意される、こうした体制をつくっていく、こうしたことを考えています。

 現在あります被用者保険、これをできるだけ拡大する形で、こうした社会保障のベースをつくっていきたいと考えております。

藤田委員 総理、今の説明をお聞きしたら、一言で言うと適用拡大の話ですよね。適用拡大ということでいいのか。

 いわゆる、働き方に中立なというのは、今のお話だったら、いわゆる非正規雇用の勤務時間が少ない方についてどんどん適用拡大していこうという方向性は、これは既に出ていますよね。

 その中で、例えば、フリーランス、兼業、副業、ギグワーカー、パラレルワーカー、いろいろ出てきますけれども、この辺りについては今言及がありませんでしたが、多様な働き方、あらゆる働き方に中立な社会保障という意味では、そこは考え方の外にあるという意味でいいんですか。

岸田内閣総理大臣 勤労者皆保険は、御指摘のように、兼業、副業、フリーランス、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保される、そうしたことによって、誰もが安心して希望どおりに働くことが可能となる、これが基本的な考え方です。

 御指摘の働き方も含めて、社会保障の支え手を増やして、全ての世代が支え合う持続可能な社会保障制度をつくっていく、これが基本的な考え方であります。

藤田委員 ありがとうございます。

 我が党の考え方との対比で、最後の質問に入れているんですけれども、いわゆる日本の社会保障というのは企業中心で、社会保障をしっかりと提供できる雇用をしっかり生んでもらおう、そして、企業にある程度社会保障を負担してもらおうという発想の中で、その船にどんどん乗せていこうというのが適用拡大の発想で、その方針だということはよく分かっています。それにどこまで乗せるのか問題なんですよ。

 じゃ、今の話でいうと、フリーランスとか個人事業主とか、そういうかなり不安定な働き方をしている人にも中立的な社会保障とおっしゃるのであれば、それも乗せていくということですか、その船に。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 従来の被用者保険、これを拡大し、フリーランスを始め多くの方にもその制度に参加してもらう形で共通のセーフティーネットをつくる、これが基本的な考え方だと思っています。

藤田委員 ここがだから明確に違って、じゃ、実務の話になったときに、多分、厚労大臣、めっちゃ大変やと思うんですよ。実際に、フリーランスの方が、企業の船に、社会保障に乗せていこうって、実現可能ですかね。

 私は、よくよく官僚の皆さんにもヒアリングして聞いていると、一言で言うと、勤労者皆保険というのは、コンセプトはよく分かりました、ただ、内容はないんですよ、今。議論は今からやるという段階。これはちょっと私は問題じゃないかなと思って。早急に具体論を詰めていただかないと議論にもならないし。

 これは、私たちが言っている、社会保障を企業に負わせて、そこを通じて広くあまねく国民にセーフティーネットを引いていこうという考え方から少し転換して、直接的に個を支援していくという社会保障に変えていかないと、これからの企業、これからの、そこから船に漏れ落ちる人たちのセーフティーネットをちゃんと機能させていくことは難しいんじゃないかという問題意識で言っていて、だからこそ、私は、この勤労者皆保険って、せっかく言っていただいた、これは重要なコンセプトだなと思って取り上げたんですが、中身がないということで、今日はこれで終わりますが、こういうことをしっかりと、打ち出すんだったら、やはり論戦できるレベルで打ち出していただきたいというのが私の総理に対する思いでありますので、よろしくお願いをいたします。

 じゃ、せっかくなので、新しい資本主義について深掘りしたいと思うんです。

 新しい資本主義は、私は中期的な構想なんだろうなというふうに受け止めました。政府は、構造上、予算を毎年回していく、一年間ローリングしていくんですよ。そして、いわゆる短期的な目線で予算配分がなされているということが往々にして起こっている。その中で、中期的な構想、経済社会をどう変えていくかという、そういう壮大なテーマだというふうに私は受け止めました。で、内容がないよねというふうにこき下ろしているわけですけれども、申し訳ありませんが。

 じゃ、長期的な構想と捉えていいんですかということと、それから、それはどの程度の時間軸のテーマとして総理が設定されているか、これをお聞かせいただけますか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、経済社会全体を変えていかなければいけない構想であると認識をしています。中長期的な構想であるという御指摘はそのとおりだと思います。

 そして、ただ、その構想のスケジュール、タイムスパンということを考えた場合には、中身によって違ってくると思います。

 そもそも、新しい資本主義というのは、今の資本主義における様々な課題を成長のエンジンに換えようということで、気候変動ですとか、それからデジタルですとか、さらには人への投資ですとか、こうした課題を取り上げているわけですが、気候変動であるならば、当面は二〇五〇年カーボンニュートラルを目指して需要、供給両面から社会を変えていくということですので、そういったスパンで物事を変えていかなければいけない。こういったことでしょうし、デジタルということにおいては、デジタル田園都市構想ということを申し上げていますが、まずは地方にこそデジタルインフラをしっかり配置していこうということで、5Gとか光ファイバーとか海底ケーブルとか、あるいはデータセンター、こうしたデジタルインフラを実装していこうということを申し上げているので、この辺りは、三年から四年で、まず実装した上で、その上に、自動運転ですとか遠隔医療を始めとするデジタルサービスを実装していくという形で全体の構想を考えていく。

 人への投資ということについては、まずはしっかりと、諸外国に遅れている状況に鑑みて、人への投資をできるところからしっかりと行っていくということで、これは、一年、二年、目の前にしっかりと結果を出すように努力していかなければいけない。

 このように中長期的な構想ではありますが、中身によってタイムスケジュールは変わってくると思っています。

藤田委員 だから、中身によってタイムスケジュールが変わってくるということは、やはり、中長期的な社会変革をする中身を出してもらわないと議論にもならないというわけなんですね。

 私たちも、やはり中長期的に社会のシステムを変えていかないといけないという問題意識を強く持っています。

 その中で、経産大臣にちょっと御見解をお聞きしたいんですが、シンギュラリティーということを言われていまして、AIとかテクノロジーが人間の力を超えてくるというのが四五年と言われていますけれども、これは前倒しになるかもしれないというのがどんどん言われていて、AIとかテクノロジーが発展して、人の仕事が置き換わっていくよと。

 これをちょっとよう見ていただきたいんですが、これは経産省の未来人材会議というところが作っているところで、この資料を読みましたら、非常に私は面白い資料だなと思って、このほかにも見ていたんですけれども。これは、職種ごとに、人の仕事が置き換わっていくのを、どれぐらい置き換わっていきますかというようなことが図示されているんですけれども、一言で言うと、日本の労働人口の四九%がAIとかロボットに代替される可能性が高いというふうになっているんですね。つまり、今の労働慣行や労働市場の在り方が激変していくというこの十五年から二十年なんですよ。

 ということがあるんですけれども、まず、こういう、AIとかテクノロジーと労働者の在り方についての御所見を経産大臣からいただけますか。

萩生田国務大臣 デジタル化や脱炭素化による産業構造の転換に加え、先端技術が次々と実用化される中、今後、企業が働く方に求めるスキルや能力は大きく変化すると予想されます。

 一方で、働く方自身も、やりがいを求めたり副業を希望したりと意識を変えつつあるなど、御指摘のとおり、働く方々の在り方も今後変わっていくものと考えています。

 今、こうした重要な転換期を迎える中、まず企業には、学び直しやスキルを重視し、多様な人材を活躍させる、人を大切にする企業経営への転換を徹底的に考えていただき、そして、産業界はそれをしっかりと教育機関に示していただくことが必要です。また、大学を始めとする教育機関においても、機敏にこうしたシグナルを感知し、時代が求める実践的な人材育成を行っていただくことで、これからの社会に柔軟に対応できる人づくりが実現できると思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 一言で言うと、変化に対応できるような体制をつくりましょうよという話だと思うんですね。それは賛同します。

 その中で、賃上げのことを前回取り上げたんですが、賃上げをやるにおいても、やはり、賃上げ税制、これだけでは不十分だという指摘は前回させていただいて、そして、その中で、人への投資というのも力を入れていきますよと。これもまあいいと思うんですが、やはり本丸は、私は、労働市場改革だと思うんですね。

 この労働市場改革の、一番今、国会における論点は、どの党も、そして政府も、労働市場改革を全く言わなくなったことなんですよ。

 私は、これは問題だなと思っていて、ちょっと、幾つかグラフを通じて議論したいんですが、まず、共産党さんはよくおっしゃられて、野党、ほかも言っているのかちょっと分かりませんが、賃金水準を引き下げてきた要因は、小泉政権下で行われたような派遣法を始めとする労働法制の規制緩和である、そこに非正規雇用が拡大して、なかなか賃金が上がらないような状況になってしまったというふうによく批判されて、首切りやとかいろいろ言われるわけですよ。

 私、これをちょっと見ていただきたいのは、例えば、それが事実だとしたら、正規の人がどんどん減っていって非正規がどんどん増えていく、置き換わっていってしまっているというのであれば、ある種、正しいかなと思うんですが、これを見ていただくと、正規は、母数は余り変わらずに、非正規が拡大している。つまり、新規参入が非正規で起こっているという現状がまずあるというのがこの図なんですね。確かに、この折れ線グラフは、パーセンテージや内訳は変わっているんだけれども、正規の母数は余り変わっていないという現状があります。

 そして、二枚目のグラフでいいますと、これが、非正規から正規、正規から非正規、どっちに転換しているかというと、上の青い棒グラフの方は、非正規が正規化したものの方が多いよというふうなことを指し示しています。差引きの差額なんですけれども、ずっと非正規から正規への転換の方が多いということがこれで分かります。

 それから、これが三つ目で、先ほどの、小泉政権で派遣法の話でありましたけれども、じゃ、この非正規の中で派遣労働者はどれぐらいいるかというと、非正規の中の六・六%なんですね。ということは、批判でよくある、派遣法を改正して労働市場改革に踏み込んだから、賃上げも起こらないし、これは悪い影響ばかり出ているというのは、明らかに間違いだと思うんですね。であるならば、労働市場改革にやはり踏み込んでいかないと、本丸はこれですよと私は思うんです。

 日本の労働市場というのは、統計上、雇用創出率、そして喪失率というのは低いし、労働移動率が低いというのは、これはデータでも明らかで、実際には、企業間の流動性、雇用の柔軟性、流動性というのは低い。一方で、企業の中である程度柔軟性を保ってきたというのが今までの労働市場の在り方なんですが、例えば、日本の賃金というのはボーナスの比率が高いから、ボーナスで調整して賃金も調整してきたという事実もあるし、実際に、雇調金を始めとするような補助金制度によってある程度の労働調整が行われてきたし、ジョブローテーションを含めて、いろいろな職種に企業内で移してきた。

 これを私は、やはり、企業がその企業の中で行われるんじゃなくて、企業間で流動性を高めていくということの必要性を、恐らく、これは議論していたら、官僚の皆さんは分かっていらっしゃるし、多くの政治家もそこに問題意識を持っていらっしゃるにもかかわらず、他党のマニフェストを見れば、労働市場改革は一言も言わないし、そこに勇気を持って議論しようという議員がほとんど見当たらないというのが私は問題なんだと思うんですね。

 だから、賃上げを本気でやる、そして、先ほどの、AIなどによって社会の構造が変わっていくところに、我々が変わっていく、社会が変わっていく準備をしなければならないというのであれば、絶対にこの労働市場の改革について真正面から議論すべきだと思うんですが、なぜそこに踏み込まないか、総理に見解を聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、社会を大きく変えようとしている、そして変わってきている、この中にあって、労働移動の円滑化というのは大変大きなポイントになると思います。だからこそ、この今の内閣においても、人への投資ということで、三年間で四百億円の施策パッケージを用意して、そして、民間のニーズをしっかり踏まえた上で学び直しや職業訓練を支援する、再就職あるいはステップアップ、こうしたものをしっかりと進めていく、こうした取組を用意しているということです。

 そして、その労働市場の議論の中で、委員の方からは、要は、解雇規制の緩和を始めとする具体的な法的な仕組み、制度、これについての踏み込みということを御指摘されているんだと思いますが、これについても、この議論を行うことは大変重要ですが、多くの労働者が賃金によって生計を立てている、こういった現状を考えますときに、企業雇用慣行、人事労務管理の在り方と併せて、労使の間でこれは十分議論を尽くすことが重要であると考えます。

 ですから、こうした議論について、労働移動の円滑化という観点から、これは重要な議論であるとは思いますが、今言った点で、労使それぞれの立場から、この問題については丁寧に議論を進めていく課題であると思っています。

藤田委員 労使間の議論というのは法律に基づいた枠組みの中でされていますから、だから、その枠組みを踏み越えることは労使間ではできません。だから、社会に流動性を持たせた労働市場を実現するのであれば、これは法律でやっていくしかないと思います。

 だから、それはまさに、僕が指摘しているように、労働市場の流動化や解雇規制についての在り方についての議論から避けていると言われても私は言い逃れできないことじゃないかなと思います。

 そして、これは、私は労働市場だけ流動化しろと言っているんじゃなくて、社会保障と裏表なんです。

 一つの事例で分かりやすく説明しますと、例えば就職氷河期世代、私、最後ぐらいなんですね。就職氷河期世代というのは、労働市場のゆがみによって、うまく参入できなかった人たちが多い世代。その人たちは、賃金水準が低かったり非正規が多かったりして、それが給与水準の低さとかにつながって、貯金や資産形成がなかなかできなくて、そして、年金が未払いになっている人が多くて、低年金、無年金問題につながっていき、そして、その人たちが高齢になってくると、老後、生活保護の問題に吸収されていく。こういう、今、始まりは労働市場のお話をしましたが、最後は社会保障の問題になったわけです。

 だから、私たちは一体的にやりましょうと言っていて、この日本の社会保障の在り方、労働市場の在り方を抜本的に変えて、時代の変化に対応できるようなインフラ整備を是非やっていただきたいというのが私たちの論戦のテーマで、これは、各論はまた、労働市場の各論、たくさんあるので、やらせていただきますが。

 最後に一問、もう一度やはり確認したいのは、さっきの適用拡大、いわゆる勤労者皆保険ですか、この勤労者皆保険は、企業が負うべき社会保障の船にどんどんどんどん乗せていこう、それを、フリーランスも含めて視野に入れて、そこまで含めて拡大していこうという企業中心の社会保障をこのまま継続していくというお考えでいいのか。私たちはそれは大反対なんですけれども、その考えはいかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの答弁で一つだけ訂正させてください。人への投資の施策パッケージ、三年間で何か四百億と言ってしまったようですが、四千億の間違いでありました。

 訂正した上で、今の御質問にお答えさせていただきますが、先ほど委員もおっしゃったように、社会保障と労働市場、これはまさに一体で考えなければいけない。だからこそ、社会保障の担い手をしっかり広げるという意味からも、こうした社会保障の一元化、勤労者皆保険制度、こういったものが重要であるという問題意識に立っています。

 そして、その共通するプラットフォームとしては、先ほど申し上げましたように、今あります勤労者保険、これをベースにしながら、できるだけ多くの様々な形で働く方々に参加してもらう形で一元化を考えていく、これが基本的な考え方であります。

藤田委員 ありがとうございます。

 コロナでも分かったように、やはりそこから漏れ落ちる人を救おうとすると、企業の船に乗せるという発想は、私は、ここがまず転換しないといけないし、企業の船に乗せるということは、雇用の硬直化を、まあ是認しているわけです、追認しているという制度設計の設計思想なんですよ。

 だから、これは、私たち、日本大改革プランという全体像を示したプランを発表させていただいていますが、これはまた各論も各委員会でさせていただきますが、引き続き、この議題については取り上げたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 終わります。

根本委員長 この際、青柳仁士君から関連質疑の申出があります。藤田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 ただいま我が党の藤田文武幹事長から、新しい資本主義に関する、内政に関する疑問点等、申し述べさせていただきましたが、私の方からは、グローバルな視点から見た新しい資本主義の問題点というところについて御質問をさせていただきたいと思っております。また、今国会で、余り争点のない国会と言われますが、まあ、唯一でもないですが、重要な論点であります経済安全保障のことについてお伺いをできればと思っております。

 先週の金曜日にバイデン米国大統領と電話会談を岸田総理が行われたというふうに伺いました。この中で新しい資本主義について御説明をされて、そして支持を受けたというふうに首相官邸からの発表でありました。

 しかし、今の御答弁にもありましたとおり、まだこの新しい資本主義、グランドデザインができ上がっていない、また、ここにいる委員の皆さんでもまだ中身がよく分からないという状況の中で、一体何が支持されたのかというところは非常に疑問に思うところであります。海外に向けて発信を行っていくのであれば、これは、世界の潮流にのっとった議論をしっかりとしていくこと、そして中身をしっかりと詰めていくことが、これが最低限必要なことではないかと考えております。

 そういった中で、まず総理の御認識をお伺いしたいんですけれども、この新しい資本主義について、昨年の臨時国会の所信表明の中で、持続可能な社会経済の実現に向けて、歴史的スケールで社会経済変革の動きが始まっているというふうに御指摘されました。この歴史的なスケールでの社会経済変革の動きというのは、具体的にどのような動きであるというふうに考えておられますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 歴史的なスケールの社会変革の動きということですが、委員御指摘になられました先週の米国バイデン大統領とのテレビ会談においても、何が支持されたかということで申し上げるならば、今の資本主義において、格差や分断、あるいは、民主主義の基盤であります中間層の毀損、あるいは気候変動、こうした課題があり、これに向けてしっかりと取り組んでいこうということにおいて共感を得て、是非同じ問題意識で努力をしようという話につながっていった、こういったことでありました。

 こうした課題を新しい経済モデルの中で解決しながら経済の好循環を完成させる、そのことによって持続可能な経済をつくっていこう、こういった問題意識、これは、多くの国において問題意識を共有し、それぞれ工夫をしながら経済モデルを考えている、これが現在の状況ではないかと認識をしております。

青柳(仁)委員 今まさに総理がおっしゃった認識というのは、一定正しいものだというふうには解釈をしております。

 資本主義の変革に向けた大きな議論というのは、国際社会の中では、今この場で岸田総理が言い出したことではなく、一九八〇年代からずっと続いてきた潮流があります。特に、サステーナビリティーと言われるような潮流がありますけれども、この中では、二〇一五年にSDGs、そしてパリ協定というものが世界で合意をされたことを受けて、極めて大きな流れとなって、政府の側にも、また民間の側にも影響を与えているところかと思います。

 こうした中で、しかし進んでいるのは、政府による規制、あるいは予算づけによる政策というだけではなくて、従来の市場における競争原理というものを変えていこうという動きが起きています。

 消費者、あるいは投資家、労働者という中での意識変化が行われておりまして、この中で、市場メカニズムの中で、どういった主体が競争に勝ち残るべきか、どういった主体は淘汰されていくべきかということが、従来のような、単にお金もうけ、お金がもうけられるところが、企業が伸びるというわけではなくて、社会や環境、あるいは格差といったような問題に対して、しっかりとした、好影響を与えていくような企業のものが売れ、また成長し、そして、そういうところに投資家からのお金が集まっていく、こういう仕組みが世界全体で動いているところであるというふうに承知しております。

 特に、今、金融庁を中心として日本政府でも取り組んでいると思いますが、ESG投資と言われる、この市場規模は今年の時点で三千九百兆円という規模にまでなっておりまして、こうしたいわゆる資本主義、次の時代の資本主義をどう考えるか、まさに格差であるとか気候変動というものを解決しながら、また、経済成長を両立させていくためにはどうしたらいいか、次の資本主義をどう考えるべきか。

 こういう議論は、実際、この国際社会の中で行われているわけですけれども、そういった議論の中にもし打ち出しをしていくのであれば、日本だけに関係する内向きの議論をしていっても、これは仕方がないと思っております。

 また、日本だけにしか当てはまらないような話であれば、これは、よく言われるガラパゴス化と言われるような議論の中で、国際社会からは一定全く評価されずに、また、我々の、日本の言っていることも全く、国際的な基準作り、あるいは市場の、マーケットのルール作りの中にも取り込まれていかないというふうに認識しておるんですけれども。

 そういった中において、また総理の方で、施政方針演説の中では、ダボス会議やG7の場を活用して、世界の議論を牽引し、資本主義の変革に向けた大きな流れをつくっていくという決意が述べられているんですけれども、具体的にはどのような発信を行っていくおつもりなんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今、先ほど申し上げたような国際的な議論がある中にあって、少なくとも、民主的な資本主義国家の中では、市場機能、これをまず基盤とするということ、これにおいては議論は共通していると思います。その基盤の上に立って、今課題とされている気候変動とか格差の問題を解決するための仕組みを資本主義の中に盛り込むことができないか。

 すなわち、成長戦略においても、こうした気候変動ですとかデジタルとか経済安全保障とか、今の資本主義の課題、これを成長のエンジンに換えるような工夫をすることによって、課題を解決しながら、なおかつ成長を果たし、そして経済の持続可能性を確保する、こういった考え方が共有されていると思っています。

 こういった基盤に立って、是非、それぞれの経済政策、経済モデル、国の事情によって様々ではありますが、こうした経済政策について国際的な議論を深め、そして、当然のことながら、経済は一国の中で完結するわけではないわけですから、国際経済の中で、こうした同じ考え方の下に成長を共に果たすことができないだろうか、こうした議論を深めていくことは大事だと認識をしており、御指摘のような表現をしたということであります。

青柳(仁)委員 今まさに、少し競争に関する話がありましたけれども、その点が非常に私は重要だと思っております。

 昨年の末、臨時国会の中で補正予算の議論をしていたときに、各省からのブリーフィングを受けました。そのときに、各省から、この予算は新しい資本主義のための予算であるという、いろいろな説明を受けたんですが、当時、まだ新しい資本主義の中身が決まっていないのに、どうやって国民の皆さんに対して予算をお願いするのかというのは非常に疑問に思っておりました。

 ですから、そのときにちょっと感じたのは、これは要するに各省の予算取りのためのキーワードでしかないのかなというふうに、非常に諦めの気持ちを持って聞いておったんですけれども、そのときの感覚からも含めて、我が党の代表質問、馬場伸幸共同代表からの代表質問にお答えいただいたときに、新しい資本主義の定義ということを岸田総理はおっしゃっておりました。それは、格差や気候変動といった市場の失敗や外部不経済を是正した資本主義というふうにおっしゃっていたんですけれども、市場の失敗や外部不経済を是正するというのは、これは政府の役割として経済学の教科書の一ページ目に書いてあるような話ですから、この点について否定する人は誰もいないと思うんです。そうではなくて、問題はその方法だと思うんですね。

 先ほど御紹介したサステーナビリティーの議論の中では、私もこれまで政府開発援助だとか国連だとかといったところで働いておりましたけれども、ほとんど全ての方が分かっているのは、政府の予算でもって、国民の皆さんにお願いしている税金でもって、それでもって社会課題を解決していく、格差や気候変動を解決していく、これはもう不可能だ、そういう規模じゃない。政府が予算でやるのはもう無理なんです、こういうコンセンサスが一定ある中で、そうではなくて、どうやって民間のリソースやあるいはイノベーションや科学技術というものを使わせてもらえるのか、そういう仕組みをつくっていくことが大事だ、そういう問題意識の中で、今のサステーナビリティーであるとかSDGsであるとかという議論は進んできているんです。

 つまり、何が言いたいかと申し上げますと、競争を否定しているわけではないんです。よい競争とよくない競争、もうけばかりを皆が考えて、その結果、社会や環境に負荷をかけ続けるような悪い競争と、社会や経済にいい価値を生み出しながら、それでいて自分自身も大きくなっていくような、そういうよい競争と、そういうものがあって、よい競争をつくるためにはどうしたらいいかということを考えているのが、これまでの、今の国際的な議論の中での潮流であるというふうに理解をしております。

 ところが、新しい資本主義の中に出てくる官民の役割分担という言葉からは、政府による市場介入が増えていくとか、政府が予算をつけてやっていくことが増えていくとかという印象をまず受けます。また、その印象がただの印象でないと思ったのは、先ほど申し上げた、昨年末の補正予算の要求の際に、まさに各省がこれで予算を要求しているのを見て、私は、これは非常に問題があるというふうに考えました。

 したがって、是非ここで総理の見解を伺いたいんですけれども、この新しい資本主義というのは、そういう、政府の介入を増やしていくだとか、それから政府の予算をもっともっと使っていくということではなくて、今、国際社会で議論されているような、よい競争をつくり出すために、市場競争の力を活用して民間のリソースやイノベーションを引き出していく、そのためには、予算をつけるだけじゃ駄目です、規制改革、構造改革をしっかり行っていく必要があるんですけれども、そういった言葉として言っておられるのか、あるいは、そうではなく、いわゆる予算を取るための一つのキーワードとしておっしゃっているのか、その辺りをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の今の話を聞いておりまして、全く同感であります。おっしゃるように、まずは市場機能をしっかりと活用する、これが経済政策の基盤であると思いますし、国が全部できるものではない、そのとおりであります。

 だからこそ、成長においても分配においても、官民協働という言葉を使っていますが、成長ということを考えても、先ほど言いました気候変動や経済安全保障やデジタル、こういった課題とされている分野に、官が、予算だけではなくして、規制改革を始めとする環境整備を行い、そして、市場規模等、大きな方向性も示す、そして、そこに民間の投資をできるだけ呼び込むことによってそれぞれの分野を成長させていこう、こういったことを申し上げています。

 分配ということについても、単にトリクルダウン、自然に任せるというのではなくして、官民協力する形で、賃金の引上げ等、様々な分配のありようについてもリードしていこうではないか、こういったことを申し上げています。

 ですから、結論として、今委員がおっしゃったような世界の経済の動きと新しい資本主義において訴えている経済モデルのありよう、これは決して矛盾しませんし、そして、協力、協働できる経済モデルであると考えております。

青柳(仁)委員 今のお答えを聞きまして、一定、国際社会の中できちんと打ち出していけるような、競争の考え方も含めて、しっかりしたものを是非、もしこの日本から打ち出していくのであれば、打ち出していくべきだと私は思っております。

 その中で、我が党としては、やはり一つ大きく強調させていただきたい点は、これは予算をつけるだけじゃ駄目だというところなんですね。予算をつけるだけじゃ駄目だというのは、予算をたくさんつけろという意味ではありません。それよりも大事なことがあるということで、これはやはり、規制改革、構造改革に踏み込む覚悟があるのか、そこだと思うんです。

 新しい資本主義実現会議の川辺委員からの指摘に、こういう言葉があります。新しい資本主義の具体策の目玉である科学技術、イノベーション投資においては、巨大な予算を投じて革新的な技術が開発できたとしても、それを生かす社会システムが古ければ技術の持ち腐れになる、社会システムの古い部分に係る規制緩和、規制改革をセットで推進する必要があるが、現在の緊急提言案からはそれが全く読み取れない、こういうふうに言っているんです。

 これは、まさに我々日本維新の会が言いたいことでもあります。新しい資本主義のグランドデザインができ上がったとしても、デジタル、あるいは気候変動、グリーン、科学技術・イノベーションといった、いわゆるこういうビッグワード、皆さんに響くようなビッグワードを並べて、そこにたくさん予算がつくだけでは、これは社会変革は絶対に起きないと思っております。

 今、デジタルトランスフォーメーション、これは新しい資本主義の中にも出てきますが、こういうことを訴えながら、自らの支持母体の業界団体の反対で、これは医師会ですけれども、コロナ禍で多くの人が苦しむ中でも遠隔診療すら進まない。この程度の覚悟では、新しい社会システムをつくって世界へ構想を打ち出すなんてことは絶対にできないと思っております。

 こういった新しい資本主義のグランドデザインに基づく実行段階では、単なる予算づけではなく、大胆な規制改革によって社会経済の構造変化を起こしていく、そういう覚悟はおありでしょうか。

牧島国務大臣 デジタルと規制改革を担当させていただいております観点で御答弁申し上げます。

 新しい資本主義実現会議においては、デジタル改革や規制改革の重要性について、今御指摘があったような御議論があったということは承知しております。

 岸田政権においては、デジタルの活用を成長戦略の最も重要な柱と位置づけており、私としても、デジタルによる成長を実現するため、デジタル改革、規制・制度改革、行政改革を三位一体で進めてまいりたいと考えております。

 具体的には、対面、常駐、目視点検等をデジタル時代にふさわしいものに見直していくこと、四万以上ある法令、通達等と二万以上ある行政手続について、昨年末に策定したデジタル原則への適合性を点検し、デジタル技術を活用する方策を具体化し、この春に一括の見直しを行う。

 こうしたものを通して、御指摘のとおり、規制改革は、地域の現場で創意工夫を発揮しやすい環境づくりをすること、そして、イノベーションの力を強化すること、スタートアップの拡大を促すこと、成長を実現することができるように今後も取り組んでいく覚悟でございます。

岸田内閣総理大臣 ただいま牧島大臣の方から、デジタルという課題についての基本的な考え方を紹介させていただきました。

 要は、デジタル改革ということを一つ取っても、デジタルの改革だけではなくして、制度や様々な規制改革、そして行政改革、これを三位一体で進めていかなければいけない、こういった問題意識を持って取り組んでいく、こういったことを説明させていただきました。

 他の資本主義の課題、成長のエンジンにするということであるならば、同様に、委員おっしゃるように、予算だけではなくして、制度や規制改革、行政改革、こうしたものもセットで行うことによって、予算と環境整備をしっかり行うことによって、民間の皆さんに思い切って投資をしてもらえる、こうした環境をつくっていく、こうした発想でそれぞれ成長を目指していく、こういった考え方を大事にしていきたいと思っています。

青柳(仁)委員 御答弁ありがとうございました。

 一定、そういった方向性に関しては全くおっしゃるとおりかと思うんですけれども、行政改革あるいは規制、構造改革というのは、これは実際、実行する段階では極めて大変なことであるということは、我々はやはり、大阪維新の会から発祥して日本維新の会となっておりますが、大阪で本当に血のにじむような行政改革を、府議会、市議会を中心に、また維新の会の首長も含めてやってきた、そういった政党でございますから、その部分は本当に覚悟を持ってやらないと、こういった場でただ口先だけで頑張りますと言っているだけでは到底進んでいかないということが、これは今、全政党の中で日本維新の会がそういった最も強い覚悟を持っている政党だと思っておりますので、その点も含めて、これからの日本の未来のためにも是非、我々も必要な指摘はこれからもさせていただきますけれども、しっかりと進めていくことが我々政治の責任ではないかと考えております。

 次に、質問をちょっと変えさせていただきます。経済安全保障に関する質問になります。

 今回、この経済安全保障、法案が出てくるというふうに伺っておりますけれども、日本は、まさに今、自民党は余り中国という言葉を名指しで言いませんけれども、まあ、中国ですね。

 今、米中対立の中で、新冷戦と言われるような非常に大きな力のパワーシフトが世界全体で起きている中で、我々日米同盟が絶対的な抑止力であり、安全保障上の力であるというふうなことを信じられるような時代がもしかするともうすぐ終わってしまうかもしれないというぐらいの状況にあるという中において、また、この安全保障の裾野が、これまでのような単に軍事であるとかあるいは防衛、そういったことではなくて、経済の分野にまで広がってきていて、また、その中で、各国での対策が進んでいく中で、一定、日本の中で経済安全保障をしっかりと法制化していくということに関しては必要なことであろうというふうに考えております。

 一方で、だからといって、経済成長を全てないがしろにしていいということではないと考えております。

 また、長期的な対中国あるいは対世界に対する防衛、安全保障を考える際にも、日本が中国に匹敵するような国力を持つということが恒久の安全保障であろうというふうに思いますから、今、個別の対策を繰り返すために経済全体を駄目にするという発想は、絶対にこれはあり得ないと感じておるんですが、その中で二点指摘させていただきたい。

 まず一点目が、インテリジェンスの強化に関することになります。

 今回の安全保障法制の中では、安全保障上重要性が高いと認定された原料、物資、技術、それから産業、そういったものが保護を受けるということになります。このときに、何を重要性が高いと認定して特別扱いするかということ、ここには合理的で科学的な選定がなければいけません。

 それに対して、さきの臨時国会の中で、総理からも、また経済産業大臣からも御答弁をいただいておりますけれども、半導体、半導体は今、これは経済安全保障の中核的な物資ですけれども、一九九〇年頃には日本は世界一のシェアと技術を持っていたにもかかわらず、今、高性能半導体の自給率はゼロという状況になりました。

 これに対して、経済産業大臣、また総理の御答弁は、いろいろな反省の弁が述べられておりました。当時、取るべき政策を取らなかった、それから、これから先のグローバルマーケットの趨勢を見極めることができなかった等々おっしゃっておりましたけれども、ただ、当時、これから経済安全保障上重要になっていくだろうという物資を見抜けなかった今の政府の体制に、これから何が大事になっていくかということを本当に見抜けるんですか。私は全くそのようには思わないんです。

 ですから、この対象となる原料、物資、技術、それから、その産業を見分ける組織的なインテリジェンス、それから、この体制というものを政府の中に構築していくということは、これは不可欠であると考えておりますけれども、この点はどのように担保するおつもりなのか、お伺いできればと思います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、委員から、経済成長をないがしろにすべきではない、その点については私も共有しております。

 この点について若干申し上げますと、経済社会構造が変化をし、国際情勢が流動化している中で、経済面から国民の命や暮らし、あるいは経済社会活動を守って維持していくためには、必ずしも経済合理性だけで割り切ることが適切でない面というのも当然出てきます。

 むしろ、我が国社会に内在する脆弱性をしっかりと解消することによって自律的な経済構造を確立していくことこそが、まさに経済成長の大前提になると思っておりますし、また、委員が今おっしゃった、これからどこで勝負していくのか、どこに強みを見つけるのか、これについては、各国が、AI、量子、ライフサイエンス、宇宙、様々な分野で官民が一体となってしのぎを削る中で、我が国としても、そこでしっかりと見極めて勝負をしていくことによって経済成長につなげていく、それが筋だと思っております。

 その上で、今、見極めの体制についてのお話がございました。

 特に、戦略的な物資やその原料に関するサプライチェーンですとか、あるいは経済安全保障上重要な技術の育成、流出防止、さらには基幹インフラが抱える脆弱性への対応、これは経済安全保障上の重要課題の一つであると思っておりまして、この取組を進めるに当たりましては、情報コミュニティーを含めて、政府全体が行う情報収集そして分析に基づいて、経済安全保障の観点から重要な物資、あるいは原材料、技術、産業などをしっかりと認識、把握することが必要だと思っております。

 そのための体制確保というのは重要な課題であると考えておりまして、御議論いただいております令和四年度予算案におきましては、経済安全保障に関する政策分野の人員強化といたしまして約二百五十名の定員増を計上させていただいているほかに、経済インテリジェンスに係る人員につきましても約百三十人の定員増を計上させていただいているところでございます。

 必要な予算措置や情報収集機能の強化など、引き続き経済安保の確保に努めてまいりたいと思いますし、また、政府一体となってしっかり進んでいかなければなりませんので、昨年立ち上げました閣僚級の経済安全保障推進会議を含めて、しっかりと情報を各省で共有しながら進めていきたいと思います。

青柳(仁)委員 インテリジェンスと体制の強化については、今、増員の件も含めてお話ありましたけれども、これはもう非常に中核的な話だと思いますので、しっかりと進めていくということが必要だと思っております。

 それからもう一点、意思決定における恣意性の排除という問題について指摘をさせていただきたいと思います。

 今回、経済安全保障の対象物、戦略的重要性の高い技術、産業、原料、物資、こういったものは、今回、もしもこの法案が成立したとしても、その成立時には特定はされていないわけです。こういったカテゴリー、これぐらいのものということで大まかな枠が示されるだけで、どの企業のどんな技術かというのはこの後に決まってくるわけです。

 すなわち、今回決めるこの法というのは、何が重要かということを決めるためのルールを決めるというものですから、実際にこれが経済安全保障上重要であるということを決める際には、これは非常に厳格な運用を行わないと、誰かの、権力者のあっせんによる既得権への資金の導入であるとか、あるいは、本来淘汰されるべき企業が生き残り続けてしまう過重な保護であるとか、費用対効果を無視した、そういった施策の実行なんということが起こり得るというふうに考えておるんです。

 そういった中にあって、対外的にこの意思決定プロセスは非公開になると思いますが、その非公開の中で、意思決定者に対して厳格なルールの策定とその運用というのが極めて重要だと思うんですが、そういった恣意性の排除について今どのように対策をお考えか、お考えをお聞かせいただければと思います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 そもそも経済安全保障というのは、先ほど申し上げたとおり、いかなる状況になっても国民の命や暮らし、経済社会活動をしっかりと守っていくためのものであって、決して既得権益に配慮するとかそういったものではない、その点の意識は私も共有させていただいています。

 その上で、この経済安保の取組を進めるに当たりましては、民間の自由な経済活動を阻害しない形で、経済構造の自律性の向上、そして、日本の技術優位性、ひいては国際社会にとっての不可欠性をしっかりと確保をし、それを目指すと同時に、国が過度に企業を保護するのではなくて、あくまでも、こうした分野に民間投資を呼び込むことで経済成長、また経済安全保障をしっかりと実現していく、このことが重要だと思っております。

 この観点から、今、恣意性の話を委員から御指摘いただきましたが、重要な物資、あるいは原材料、技術、産業、こうしたものにつきましては、必要な取組を進めるに当たって、民間の経済主体の予見可能性ですとか、あるいは透明性を可能な限り担保していくことが重要だと考えております。

 現在、まさに有識者会議というものを開いていただいておりまして、ここには産業界やアカデミア、様々な分野から有識者に集まっていただいて御議論をいただいているところでございますので、その検討を踏まえて、新たな法案につきましても、今の意思決定のそのプロセスを含めまして、しっかりと検討を進めていきたいと思います。

青柳(仁)委員 是非、透明性が高く、また民間企業の方々にとって、経済成長、あるいは新しいイノベーションを萎縮させないような、そういう仕組みを考えていただきたいと思っております。

 時間になりましたので、私からの質疑は終わらせていただきます。ありがとうございました。

根本委員長 この際、三木圭恵君から関連質疑の申出があります。藤田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 私からは、こども家庭庁についてお伺いしたいと思います。時間も差し迫っておりますので、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 こども家庭庁、子供を取り巻く環境、「こどもまんなか」社会ということで、こども家庭庁を創設する、それには大きな期待が寄せられていると思うんですけれども、総理は、今までの子供を取り巻く環境の中で、各省庁が縦割りで弊害があると言われておりました。

 こういった縦割りの弊害とは具体的に何で、また、縦割りの弊害があることによって生じる子供たちの環境に与える問題点は何だとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。そして、こども家庭庁ができることによってその問題点がどのように解決されるのか、お示しください。

岸田内閣総理大臣 まず、縦割りは何を指すのかということですが、これまでの子供政策を考えますと、教育、福祉、保健、医療、あるいは雇用、こうした様々な関連分野がありました。それぞれ個別の法律があり、そして事務、そして政府全体の司令機能についても、これまで内閣府、厚生労働省等の各府省において別々に担われてきた。こういった状況を縦割りと表現をし、これをこども家庭庁において司令塔機能を一本化する、担当する大臣を必ず置く、こうした総合調整の観点から、必要に応じて教育政策に関与することもできる、こうした体制をつくっていこうということを考えています。

 そして、どんな効果があるのかということですが、例えば、幼稚園、保育園、ベビーシッターなど、各省にまたがっているため進まなかった、子供を性犯罪から守るための性犯罪の照会制度、日本版DBS整備、こうしたものについても議論が前進することを期待したいというふうに思いますし、幼稚園、保育園、認定こども園の施設類型にかかわらず、教育、保育の質、こういったものについても確保を図っていく、こうしたことが可能になると期待をしたいと思っています。

三木委員 今回のこども家庭庁は、内閣の子供に関する担当部局、今、図でお示しさせていただいております、また、厚生労働省の子ども家庭局、これがくっついて内閣の外局をつくる、ただそれだけの組織改編だというふうにお伺いしております。

 文部科学省と連携を行ってといいますけれども、文部科学省の組織というのは全くこのこども家庭庁には入っていない。意見調整をするだけということになっておりますので、ただ単に、内閣の外局をつくって特命担当大臣を置く、役職を新たに置くというだけで、これははっきり言って、何をやっていくのか、何も変わらないという印象でしかございませんし、特命担当大臣を置くということに関しましては、無駄な屋上屋をつくるだけで、勧告というものも実際に行われるのかどうか分かりませんし、私は、縦割りの弊害というのは厚生労働省と文部科学省の間にあるものであって、厚生労働省と文部科学省が一つになるのであればこの縦割りは排除されると思いますが、現在の、今お示しになっているこども家庭庁の案では、やはり文部科学省と厚生労働省の間には歴然と縦割りの壁があるというふうに言わざるを得ないと思います。

 また、先ほど岸田総理大臣がおっしゃいました幼稚園、保育所、そして認定こども園ですけれども、幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省、この縦割りをなくそうとして認定こども園をつくって、これは内閣府担当ということになったわけでございます。これは、二元化しているものを、幼児教育の二元化を一元化しようとして三元化してしまったという、笑い話にもならないと思うんです。

 総理は、今の日本の子供が置かれている困難な環境というものをどのように把握されていて、何を最優先に取り組まれようとしているんでしょうか。それは、いじめ問題でしょうか。不登校でしょうか。虐待でしょうか。はたまた子供の相対的貧困でしょうか。

 いじめの認知件数の増加、これは小学校で四十万件以上、いじめの認知件数は上がっております。そして、相対的貧困、こちらは七人に一人が相対的貧困と言われております。そして、一人親家庭では約半数にも上ると言われているんですね。虐待も増加をしています。

 そういった子供たちが置かれている環境は、今回のこども家庭庁によってどのように改善をされて、どういった課題が解決されていくんでしょうか。縦割りの弊害をなくすということをどのように総理がお考えになって、総理がどの政策を最優先で取り組んで、今助けを求めている子供や御家庭にどのような政策を打っていこうとされているのか、そういった考えをお示しください。

野田国務大臣 こども家庭庁の設立についてのお話でありますので、担当しております私から少し、総理がおっしゃったことがほとんどですけれども、補足をさせていただきたいと思います。

 子供政策については、役所ありきではなくて、子供の周辺の教育とか福祉とか保健、医療、また雇用など、関連の分野があるわけですね。それぞれが、個別の法律また事務がそれぞれの役所に別々に担われてきている。要は、それによって、どこが問題の本質を解決する場所かということが定かに決まらない、隙間事案が生まれやすいというのが子供の生活環境の中で間々あったことは御承知のとおりだと思います。

 子供政策の司令塔機能についても、各分野の関係法律に基づいて、今御指摘のように、様々、官房であったり、内閣府、国家公安委員会、厚生労働省によって別々に担われてきたことは御承知のとおりだと思います。当然、それに基づいて、子供についてどうするかとか、様々な会議についても別々に行われてきたということが問題であったことは皆さん御承知のとおりだと思います。

 そういう問題点を解決していこうということで、きちっとした子供司令庁をこども家庭庁に一本化することなんだ、これがまず一番大事なことで、それによって、教育とか保健とか福祉とか分野を超えて、そして行政各部の統一を図るために、司令塔であるこども家庭庁から各省の大臣へ勧告権等を有して指示を出すことと、相互に、今までは別々に担っていたことをきちっと意見を交換し合うようなこと、そういうことをすることが今回のこども家庭庁を置く意義なんだと思っています。

 それで、個別の法律、事務については、子供の権利利益の擁護、福祉増進等を目的とするものについてはこども家庭庁がしっかり所管するとともに、国民全体の教育の振興とか雇用の確保等を目的とするものについては、関係府省庁の所管としつつも、こども家庭庁の必要な関与を規定するということにしています。

 さらに、こども家庭庁の必要な関与ということは、今総理がお話しなさいましたけれども、例えば幼稚園、保育園、そして認定こども園があります。これはまだ任意ですね、全員が幼児教育を受けているわけじゃないので。基本的には全員行けるといいんですけれども。

 その中で差ができてはいけないわけです、余り、教育の。小学校一年生に入るときに、この子はアルファベットまでできるようになっている、しかしこの子はまだ足し算もできないみたいな、小学校一年生の壁みたいなものが今現状にあって、そこから子供の育ちの格差をつくっちゃいけないということも、これは基本的にこども家庭庁が教育を担う文科省と連携をしながら教育の統一、平準化をしていくし、同様に、幼稚園にあっては、保育が足りていないとするならば保育を所管していた厚生労働省と連携しながらやり、子供の育ちについては、親にばかり押しつけるのではなくて、社会全体がその育ちを支えていこう、こういうセンターに立ってバランスを取っていくというのがこども家庭庁。

 つまり、子供がどこに生まれようと、どこで育っていようと、格差をつくらないようにしていくような取組を応援していくのがこども家庭庁の在り方であって、役所の分断がどうのという大人のロジックではなくて、子供の立場に立ったときに、どこにいてもきちっと育っていけるような環境をつくっていく、そういうパートナーであろうとするのがこども家庭庁の役割であります。

 さらに、いじめとか不登校、今御指摘あった問題に関しては、文科省が指針等を変更する際に事前協議を受けることとするほか、所掌事務の遂行のために特に必要のある場合は、子供政策を担当する内閣府特命担当大臣は文部科学大臣に勧告を行うことというふうにしてあるわけです。

 それで、今まで、どちらかというと、文科省、学校内のいじめのようなイメージがあったんですけれども、いじめは今広がっているわけですね、学校外でも、SNSの中でも。そういうものについては、網羅的に、これから設立が予定されているこども家庭庁が一元的に責任を持って担っていくというふうな流れになっていくと思います。

三木委員 末松大臣には今から質問をさせていただきたいと思います。

 やはり文科省の問題点としてよく指摘されているのは、いじめ等の報告に見られるように、まず、今回、物すごい認知件数が上がっているんですけれども、これは、初期の段階から認知をして件数を上げていこうということで、これまで、学校ではいじめがなかったですよという報告が結構学校から上がってきたというのが事実で、これを自治体と連携することによって、初期のものから、あるものから全部認知させていこうということで件数が上がっていると思うんですね。

 いじめ防止対策推進法の施行以降に著しい増加傾向にあります。学校現場の努力を認めないというわけではないんですけれども、学校の制度の情報が開かれた状態であるとは私は言い切れないと思うんですね。

 縦割りの弊害の一例として、幼稚園、保育所、認定保育園ということを今申し上げましたけれども、例えば、一年生から四年生で共働きの御家庭の児童を預かる放課後児童クラブというのがございます。こちらは厚生労働省の所管になっています。余裕教室がなければ、放課後に児童がいない教室でも、校庭にプレハブを建てて見ないといけないという縦割りになっています、これは完全に。こういった放課後児童クラブには学校の先生というのは全く関与されません。学校施設は文科省で、放課後児童クラブのプレハブは厚生労働省、これは縦割りになっているわけですね。

 そういったことをやりつつ、また同じ学校内で同じ時間帯に放課後教室という事業もやられているわけです。これは文科省主体でやられているわけです。これはどのような生徒も参加ができる放課後児童教室なんですね。

 だから、同じ学校施設の中で、放課後児童クラブと放課後児童教室というのが二つされているという事実もあるんですよね。

 やはり私は、子供は家庭と学校にいる時間がほとんどだと思います、小学生に関しては。ですので、やはりここは学校の先生が様々アウトリーチをするために、困っている子供を見つけていくためにも、文部科学省がもっとリーダーシップを取って、そして文部科学省の中に厚生労働省や内閣府を入れ込んでこども家庭庁というものをつくっていくべきだと思うんですけれども、末松大臣の御見解をお伺いします。

末松国務大臣 具体の通告が出ておりませんでしたので、今お聞きをいたしました。

 放課後児童クラブは、これは厚労省の所管であるということは変わりはございません。

 私、この前、三鷹の第六小学校に行ってまいりまして、二つの組織を見てまいりました。それぞれにそれぞれの特性があって、有意義に時間を過ごされる子供たちの姿を拝見をいたしたところでございます。

 先生、今御指摘がありましたけれども、切り分けの話をされておられるんですけれども、そこはこども家庭庁に統合されるじゃないかという話なんです。

 小学校の就学前も含めまして、教育は我が国の未来を開くものであり、子供に関する政策は、福祉との連携を図りながら、教育機能のみならず福祉的な機能を有している学校を基点に、教育の、ここが大事なんですけれども、一貫性と継続性を確保した形で対応する必要があるというのが一貫して私たちの考えです。

 こども家庭庁は、先ほど野田大臣から話がありましたけれども、子供の目線に立って、縦割りを排した行政を進めるために、司令塔として内閣府に設置をすることになっている。ここの解釈が全然違うかもしれませんね。

 教育については、こどもの政策の新たな推進体制に関する基本方針のとおり、文部科学省の下で充実し、こども家庭庁と文科省が密に連携をするということを考えてございます。

 やはり、リカレント教育というのがよく言われますけれども、私たち文部科学省は、生まれて、小学生、大学生であれ、高齢者であれ、これはずっと、教育でずっとつながっています。生涯教育というのは、何も、亡くなるまで勉強していなさいというんじゃなくて、学びたいときに学ぶというのが生涯教育の意味でありますから、私は、そういう意味で、文科省はずっと、生まれて亡くなるまでずっと教育は文科省が所管するというのが当然のことであると思ってございます。

 では、こども庁はどうかといったら、こども庁は子供のことだけを考える役所、子供のことをしっかり考えてくれる役所の大臣さんということであります。

 いじめの問題にしましても、学校内外のこともございますので、どちらで起きている問題か、このことも大きなウェートを占めてくる問題でございますので、一概には私は言えないと思っております。

 こども家庭庁に期待をいただきたいと思います。

三木委員 末松大臣から今るる御説明があったんですけれども、もちろん文部科学省の役割は大きいものでございますし、人の一生の中で教育というものは重要な役割を占めている、これはもう当たり前のことでございます。

 ただ、やはり、子供が生活をする、「こどもまんなか」社会だと言われる中で、学校にいる時間というのはめちゃくちゃ長いと思うんですよ。様々な場所でいじめが起こっている。学校外でも起こっている。だけれども、ほとんどは学校の中の知り合い、お友達の間のいじめじゃないですか。私はそう思います。

 だからこそ、学校現場でこういったいじめの把握も行い、そしてSOS、これは厚生労働省じゃなく文部科学省が一貫して受ける、こういった一貫した行政というものがなければ責任の所在が曖昧になって、結局、こういういじめの問題にしても虐待の問題にしても件数が減ってこないんじゃないか、私はこういうふうに考えておりますが、総理のお考えをお伺いいたします。

野田国務大臣 確かに、子供が学校にいる時間は長いです。ただ、子供にとって大切なことは、時間ではなくて、友人関係であったり、家庭の問題であったり、健康問題であったり、様々な問題を子供は抱えているわけですね。ですから、それを一元的に、何があっても窓口は一つということでこども家庭庁がつくられるわけですね。

 片や、学校は教育の場でありまして、学校の先生というのは、基本的には専門的に、学び、教育をする人たちです。その人たちが今でさえ、ただでさえ過度な労働で様々な問題を抱えている中、大事なことは、それ以外の人たちが関わっていくことによって、学校で足りない分を学校でやれということではなくて、学校以外の我々がしっかりと支えていくということがこのこども家庭庁のコンセプトだと思っています。

三木委員 私、野田大臣のおっしゃるとおりだと思うんですね。学校は、今、教員の方々は非常に忙しい思いをされて、疲弊されているという事実はあると思います。

 ですので、岸田総理大臣が、子供関連の予算は思い切って倍増していかなければならないというふうに自民党総裁選で明言されています。およそどれぐらいの子育て予算、子供の予算、子供に関連する予算をこども家庭庁に振り分けるのか、またその財源についてもお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 子供の予算、これまでも令和四年度予算において、不妊治療の保険適用や、新子育て安心プランに基づく保育の受皿整備など、様々な予算を盛り込んできましたが、今後は、こども家庭庁の下で子供政策がど真ん中に据えられて、安定財源の確保について幅広く検討を行っていきたいと思います。

 こども家庭庁を中心に、是非、将来的に子供の予算倍増を目指していきたいということを申し上げております。

三木委員 子供に対する予算を倍増する論点で、今後考えていきたいというようなお話だったと思うんです。

 野田大臣の方からも、今、学校現場にそれをやらせると、非常に学校現場も大変だという御意見がございました。ですので、この倍増される予算を文部科学省につけて、そして、学校の中でまずは子供のいじめ対策や不登校対策、そして虐待を見つけていく。そういった福祉の部分、こういった部分を統合して、一般的に言われている、諸外国なんかでもこれが潮流になっております、教育省というものがございますけれども、諸外国ではこれが一つになっているんですね。

 これが世界の潮流になっておりますので、是非ともこの予算を、こども家庭庁の組織をもう一度文部科学省中心につくり直していただいて、予算を倍増するのであればそこに全部投入していただいて、今本当に困っている子供たちのためにお金を使っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 文部科学省も大変重要な役割を果たしている、先ほど来の議論の中にあったとおりだと認識はしておりますが、こども家庭庁、これも子供の目線で新たな子供政策をしっかり進めていく。

 先ほど申し上げました日本版DBSももちろんですし、それから委員が御指摘になられました子供をめぐる課題、福祉もあれば、いじめもあれば、孤独もあれば、様々な課題、これはデータも各省庁に全部ばらばらの状況です。こうしたビッグデータを共有するということを通じても、こども家庭庁の存在意義というのはあるんだと思います。

 こうしたこども家庭庁の役割、これもしっかりと期待したいと思いますし、それに向けてはそれに向けての予算もしっかり用意していきたいと思っています。

三木委員 我が党の考え方と、今政府がお示しになっているこども家庭庁の考え方が全く違うものなので、なかなか議論がかみ合わない部分があると思うんですけれども、細かい質問項目も出させていただいております。DBSの件につきましても、日本版DBSをどの範囲まで広げて行うのかということを質問項目に挙げさせていただいております。

 学校現場の中では、わいせつ教員をデータベース化で、三年後に教員免許をもう一度取っても再就職ができないような、そういう措置を取られるというふうになっておりますけれども、例えば、じゃ、これは、学校現場以外の部分でこれを進めていくのであれば、どういったところまで進めていくのかというのはちょっと一つお伺いしておきたいと思います。

 例えば、塾の先生なのか、保育士さんなのか。例えば、部活動だけを見ている、担当しているスポーツ担当の臨時職員なのか。どこまでこれを広げて、網羅して、子供たち、わいせつ、犯罪歴のある方を遠ざけていかれるつもりなのか、お伺いいたします。

野田国務大臣 そもそもDBSというのは、先ほど御指摘がありましたイギリス、教育省ですけれども、必ずしも世界の子供に関する政策の責任の役所が教育省ということではないんですけれども、数か国ですから。日本は、子供の育ちに関しては、保育所の厚生労働省があったり、そして認定こども園の内閣府があったり、それぞれやはり今日までの子供の政策の成り立ちが違うということで御理解いただきたいんですが、DBSに関しては、イギリスの政府部局ですね、無犯罪証明を出してくれる役所のことなんです。

 日本版DBSというのは、かねてから、子供たちへの性暴力は絶対あってはならない、そういうことで子供たちを性暴力からしっかりと守っていく取組を進める、そういうことが必要だという流れの中で、今御指摘のように、取りあえず、子供たちに接する職種のうち、個別に資格制度を有しているものとして、教員職員等に関しては昨年の五月に、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律、これが成立していて、また、保育士に関しては、厚生労働省において教育職員等と同様に資格管理を厳格化する見直しを検討していると承知しており、対策の強化を進めています。

 また、昨年十二月に閣議決定した、今まさに議論しているこども政策の新たな推進体制に関する基本方針においても、教育、保育施設等や子供が活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み、日本版DBSの導入に向けた検討を進めるということにしております。現在、関係省庁が連携して、導入に当たっての論点等の整理、論点等について検討しているものだと承知しています。

 この件につきましては、子供の安全、安心の確保のための重要な施策と考えています。対象となる職種などについては慎重に検討しつつも、しっかり取り組んでいきたいと思います。

三木委員 職種については今後慎重に検討するということで、また注視させていただきたいと思います。

 今いろいろと御質問をさせていただきました。内閣府と厚生労働省、一つになってこども家庭庁をつくって文科省と連携していくんだ、これはよく分かったんですけれども、今までもそういった省庁間の連携というものはあったと思います、恐らく。あったと思うけれども、やはり縦割りで弊害があって、これは一つにした方がいいよという議論はずっとあったと思うんですね。

 だからこそ、我が党では、子供省というものを対案として提案をさせていただきたいと思います。文部科学省を中心とした子供省を対案として、法案を提出をさせていただきます予定にしております。

 各国の例を見ても、教育省が一括して管理をしているという国が多数あります。子供が関わる行政を、文部科学省、厚生労働省、内閣府の関連部局を統合して、新たに子供省として再編をすることが重要だと我が党では考えております。

 教育においては、もちろん文科省が責任を持って行っていくべきことだと思っております。子供たちが過ごしている時間というのは多くが家庭と学校であることを考えれば、子供を真ん中に置いた所管は文部科学省が担うべきと私たちは考えております。

 国家として子供は国の宝であるというならば、まずは、子供たちを守らなければならない状況にあることを政府が自覚するべきだと私たちは考えております。そうしないと、世界に伍する人材を育成するという目標を、大きな目標で、これは達成することができないんじゃないか、子供たちが安心、安全に学ぶ環境というものが、今、日本の中で整っていないんじゃないかと私たちは危惧をしております。

 今回のこども家庭庁は、申し訳ございません、名ばかりで、私は、子供たちや子育てをする家庭にとって何も変わらないんじゃないかという無意味なものになってしまわないかと。最後はちょっと、野田大臣と目が合いました。済みません、無意味なものにならないようにお願いを申し上げるとともに、私たちは、こども家庭庁ではなく、文科省を中心とした子供省を提案をさせていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間が来ましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

根本委員長 この際、足立康史君から関連質疑の申出があります。藤田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、我が党の三名の委員から、骨太な議論を閣僚の皆様とさせていただきました。もう大分総理もお疲れな様子が少しお見受けしますが、最初、若干、私、立憲民主党の話をしますので、その間にちょっと気合を入れ直しておいていただきたい、こう思います。

 さて、今日午前中のトップバッターで、階猛委員が消費税の話をされました。ああ、そういえば、立憲民主党も消費減税は一緒だったのかなと思って、私、一瞬喜びまして、日本維新の会が真っ先に消費税減税法案、五%への減税法案を昨年から出しています。それを追いかけるというか、それに合わせていく形で、国民民主党、玉木代表のところもほぼ同じような消費減税法案を出していただいています。

 これが立憲も同じだったら、野党を挙げて消費減税の動きをしたらいいと思うんだけれども、ちょっとさっき、ぱぱっと携帯で、あれ、一緒だったかなと思って、衆院選のときの立憲の公約を拝見しましたら、やはりちょっと違うんですね。余り立憲と一緒にされたくない面もあるので明確に申し上げておきますが、立憲さんは、コロナ禍が収束した時点と書いてあるんですね。要は、収束したら消費減税をして、時限的にして経済を興していこうということだと公約に書いてあります。

 私たち日本維新の会や国民民主党は、今みんな大変なんだから、こうやって御苦労されながら給付金を配るよりも、まず減税して、取るのを止めた方がいいでしょうということを申し上げているので、これは是非、立憲民主党さんも、過去のことは水に流して、もし消費税、一緒に闘えるのであればお願いしていきたいと思います。

 そういう議論が実は国会というのはなかなかできないんです。国対というのはありますが、こういう表の場で議論がなかなかできない。だって、与党も野党も政府に聞くだけです。私は、本当は、立憲の皆さんと、野党第一党と野党第二党が論戦を闘わすような場も委員会でつくっていけたらということですが、なかなか今それは思うようにいきません。そういう中で、私たちは今、オープン政調というのをやっています。

 国会で全て見ていただくことができないのであれば、日本維新の会だけでも、ユーチューブで全て、政策づくりの、若干党内でも、いやいや、それは余り早い段階で見せると、手のうちが、よく政府もおっしゃる手のうちが見えちゃいますからどうかという議論もありますが、昨年、私が総選挙の後、国会議員団の政務調査会長を拝命して、これをやろうということでやっていますので、是非、立憲の皆さんも、私たちの議論を見ていただいて、これはと思ったら、まあ余りないと思いますが、是非これはというのがあったらお声がけをいただけたらと。もう国民民主党さんとはやっていますので、お願いしたいと思います。

 ユーチューブはまた見ていただくとして、立憲の話はまだ、今日はコロナとかいろいろな議論をさせていただきますが、最初に、ちょっとヒトラー発言ですね。

 これは今日の予算委の理事会で蹴飛ばされるかなと思ったら、立憲の理事の皆様からはぐうの音も出ない。要は、これは事実だからですね。立憲民主党の最高顧問である菅直人元総理が、維新のことを、ヒトラーを想起させるとおっしゃった。これはもうドイツだったら、国際社会だったらアウトですよ、アウト。

 これについては、もう許せないということで、我が党は今日かあしたにも馬場共同代表から泉健太代表に抗議文を出します、回答を求めますので、是非真摯な御対応をお願いをしたいと思います。

 私たちがなぜ今、このヒトラーの発言を取り上げたか。これはけしからぬですよ。けしからぬから、しっかりとこれは抗議文を出して回答を求めますが、そうした野党のひどいレッテル貼り、印象操作、デマというものが国益を毀損してきたということを僕は強く思っているんです。

 総理、大分、お時間がちょっとできましたので、気合を入れて。

 これは、規制改革の、岩盤規制をドリルで穴を空ける国家戦略特区の諮問会議の開催頻度です。明らかに落ちています。理由、どう思われますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、開催回数は前回より減っているという点、これは御指摘は謙虚に受け止めなければならないと思います。

 ただ、国家戦略特区の議論、これは、この会議の回数ももちろんですが、どういった成果を上げてきたか、これがしっかり評価されなければならないと思っています。

 会議の回数は減ってきているという御指摘ではありますが、その間にも、例えば、スーパーシティー構想ですとか、あるいは地域限定型、規制のサンドボックス制度ですとか、あるいは法人による農地取得特例の延長、工場立地規制の特例創設、こうした制度整備を行ってきた。こうした結果が出ていることは、それはまた評価しなければならない部分ではないかと思います。

 会議の回数、もちろんこれも大事ではありますが、何よりも、結果、どんな結果を出しているか、これを評価していくことが重要であると思っています。

足立委員 これ、見てください。ちょうどこのタイミング、何か分かりますか。加計学園ですよ。国会はもう加計学園ばかりやっていたんです。それ以来ブレーキがかかっているんです。総理は、いやいや、やっているよ、こうおっしゃいますが、実際、例えば、見てください、養父市の企業の農地取得。結局、普通はドリルで穴を空けたら、その穴を全国展開するんです。自民党の反対で止まっています。

 その加計学園の獣医学部だって、いろいろ、加計学園というと、国民の皆様はイメージが悪い。それは野党が植え付けたイメージですよ。悪いかもしれませんが、ドリルで穴を空けるときには、その岩盤に当てるドリルの先端にダイヤモンドが要るんです。私は、規制改革の穴を通っていく事業者の皆さんは、様々な同業者からいじめられながら、何やっているんだ、おまえはと言われながら、新しいフロンティアを開いていくドリルの先端のダイヤモンドだと思っているんです。

 ところが、自民党は、結局、政府・与党は、穴が空いたのに広げない。養父市も加計学園もそうです。やはり私は、これはブレーキがかかっている、すなわち岩盤側が勝っているんだな、こう思っているわけであります。

 そのもう一つの被害者が、被害者というのはあれですけれども、もう名誉挽回されていますが、ちょうど同じ頃に、国家戦略特区のワーキンググループの座長代理をお務めになっていた原英史さん。私の経産省の先輩に当たるわけでありますが、別に個人的につながりがあるから挙げているんじゃないんです。

 彼は、原英史さんは、立憲民主党の議員から名誉毀損を受けたということで裁判に持ち込みました。一審は勝訴、百六十五万円ですよ。そうしたら、篠原議員、篠原さんは悪い人じゃないんだけれども、立憲の空気にのまれちゃったんでしょう、結局、こういうことをやっちゃった。だって、あれですよ、この下にありますけれども、今はもうさすがに恥ずかしいということで野党もやめられた野党合同ヒアリングの場でやっていたテーマですよ、これ。国家戦略特区利権隠蔽疑惑。疑惑、利権隠蔽なんかなかったんです。だから、結局、これは名誉毀損だということで、一審判決を勝った。

 そうしたら、立憲の議員さん、この方は衆議院の懲罰委員長まで務めた人ですよ、まあ、僕もちょっといろいろ関わりはありましたが、その方が控訴された、控訴。それで、高裁でどうなったか。ひどいからもっと上げろということで、賠償金額が二百二十万円に引き上がりました。その基になっている東京地裁の判決では、野党合同ヒアリングの際に配付された資料を参考にしつつ、べらべらべらっと書いてあります。そして、この立憲の議員は、相当軽率な面があることは否めないと断じられているわけであります、司法府から。

 今、確定はまだしていませんが、もう最高裁には行かないという意思が当事者同士では示されていると仄聞していますので、これで終結をするかと思いますが、何が申し上げたいかというと、こういうことで規制改革が止まっているんです。いや、止まっているって。総理は止まっていないと言うんだけれども、明らかに止まっているんです。

 だから、総理、是非、所信表明に改革の二文字がなかったからどうという議論はもういいですけれども、先ほども藤田さんが、一応、私、質問に立つと、党の体制のアピールをすることになっていまして。私が会長を務めさせていただいている国会議員団の政務調査会、部会が七つ、調査会が三つ、対策本部が二つあります。今日、この予算委員会に質問に立たせていただいたのは、まさにコロナ対策本部長を務めている幹事長でもある藤田さん、それから外交安保をやっている青柳さん、そして文科子ども部会長の三木圭恵さんに質問に立っていただきましたが、私は、それに加えて、ちょっと残る質問を総理にさせていただくわけでありますが。

 総理、まず、この原さんの話、ちょっと、一応コメントをいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の点について、政府として、個別の裁判結果あるいは野党の合同ヒアリングについてコメントすることは控えたいとは思いますが、一般論で申し上げるならば、国家戦略特区制度については、法令にのっとり、オープンなプロセスで行われており、外部からの問合せに対しても丁寧に対応してきた、そうした丁寧な対応が行われてきたと認識をしております。

足立委員 ちょっと物足りませんが。

 今、もう全国の皆さんに見ていただいています。原英史さんに関する、国会でもありました、国会の野党合同ヒアリングでばんばんやられて、それも全部テレビが中継して。それが、司法の場で名誉回復がなされているんだけれども、それは誰も御存じないですから、私は、原英史さんの名誉のためにも、今日、原さんがほぼ勝った、あともう数日で確定すると思いますが、そして、規制改革をめぐる当時の野党のレッテル貼り、印象操作、デマは、司法の場で断罪されたということを指摘をし、しっかりとこれからも、先ほど我が党の青柳委員が、予算だけではなくて規制改革、これがなければ日本に未来はないと申し上げました。是非、総理のリーダーシップで改革を進めていただきたいと思います。

 ここまでが前置きでありまして、コロナの話に入ります。

 今、地元で市長さん、町長さんの話を伺うと、一番御関心があるテーマの一つがモデルナ製のワクチンです。副反応が心配だということで、なかなか三回目の接種が進まないということですが、ここに出させていただいているのは、厚生労働省がビラの形にしてばらまいている、上がビラの表の一部、下は裏のQアンドAの一番最初の、一番目のQアンドAです。

 厚労大臣で結構ですが、これは、副反応の問題と量が半分だというのは関係あるんですか。

後藤国務大臣 モデルナ社ワクチンの追加接種の薬事承認においては、半量接種でも一、二回目接種を上回る中和抗体価が確認されていて、有効性は問題ないと。

 副反応については、発熱や疲労などの接種後の一部の症状が二回目接種より三回目接種後で少ないことが報告されているが、安全性は二回目接種後とおおむね同様であるというふうに薬事承認で評価をされています。

 CDC、米国の疾病管理センターでは、二回目接種後より三回目接種後の方が有害事象の報告頻度が低いとのデータが発表されておりまして、今御指摘の部分というのはそれぞれに書かれているというふうに考えていただいた方がいいというのがオーソリティーからの科学的知見でございます。

足立委員 三回目のモデルナの接種が今おっしゃったような結果になっている、それはいいですよ。それは半量だからなんですか。半量にしたからそういうデータが出ているという検証結果なんですか。私が調べた限りでは、半量だからというエビデンスは取れていないと聞いていますけれども。

後藤国務大臣 接種量がこれまで半量となったことは、探索的な研究成果からモデルナ社が選んだというふうに認識しております。

 分かりやすく言えば、半量であること、半量にすることで特定の有害事象の発現割合が低くなる傾向があるとモデルナ社は一部報告をしておりますけれども、半量であることと副反応の頻度が少ないこととの明確な因果関係は不明であるというふうに評価しております。

足立委員 今厚労大臣から正確に御答弁があったように、不明なんです。これを見ると、副反応が強いと聞いていますが大丈夫ですか、量が半量となります、これは関係ないんですよ。だって、不明なんだから。ここに書いていること自体が、半量だから大丈夫という印象を与えようとした非常に問題のある記述だと私は思いますが、大臣、どうですか。

後藤国務大臣 我々としては、それぞれ、有効性と安全性について国民の皆さんにできる限り安心していただくように、そのつもりで書いているものだというふうに考えております。

足立委員 いやいや、副反応についてのQに対して、半量ですよと書いてあるわけですよ。これは先ほど御答弁にありましたね、関係ないですね、因果関係はないんです。因果関係がないんだったら、このQにこのAは間違っているんじゃないですか。

後藤国務大臣 間違っているというふうには思いませんが。間違っているとは考えてはおりません。

足立委員 いやいや、その理由を。だって、先ほど明確におっしゃいましたよ。量の問題と副反応は因果関係は示されていないとさっき御答弁されましたよね。されましたね、そこはいいですね。

 だから、因果関係がないんであったら、因果関係がないことをQAに書いたらあかんのじゃないですかと当たり前のことを言っているんです。要は、半量だから大丈夫という印象操作ではないですか。

後藤国務大臣 そういう意図で書かれているつもりではないですけれども、いずれにしても、科学的なことをきちんと厚生労働省としてはお話をしたつもりです。

 モデルナ社においては、先ほど言ったような因果関係、それなりの副反応に対する影響の記述等、報告しておりますけれども、正直、医学的、科学的については、今のところ、きっちりとした因果関係はないというのが専門家の認識であるということで、厚生労働省としては、専門家の認識を包み隠さず丁寧に説明をいたしております。

 その中で、説明について、できる限り丁寧な説明をしたいということで、一枚紙の裏表でありますけれども、リーフレットに情報を書き込んでいるということです。

足立委員 ちょっと切りがないので、もう一つ行きます。

 大臣、発熱や疲労などの接種後の症状が少ないことが報告されていると。逆に、接種後の症状が増えた症状。項目がいっぱいありますね、症状というのは。ここには、症状が少ないことが報告された症状として、発熱や疲労などと書いていただいています。増えた症状があるんじゃないですか。

鎌田政府参考人 御指摘の試験は、初回の接種、一回目接種の際に行った試験の結果で、半量のデータを見ているわけでございますが、副反応全体で見ますと、半量の方が少ないということでございますけれども、個々の一つ一つの症状で見ますと、副反応が、五十マイクログラムが半量でございますが、百マイクログラムの方よりも半量の方が多いものがございますが、全体としての副反応の率としては、半量の方が少ないというものでございます。

足立委員 だから、具体的におっしゃってください。私、ワクチン、皆さんが嫌忌するためにやっているんじゃないんです。正確な情報を伝えれば、日本の国民の皆さんは賢いから、打つべきときにはちゃんと打ってくださるけれども、今、明らかに情報が何かよく分からない情報になっているんです。

 地元の皆さん、大阪にはたくさん私の仲間の市長さんもいらっしゃいますが、みんな分からないと言っているんですよ、エビデンスが、この紙の。

 だから、じゃ、報告が少ない症状があったと。報告が多い症状を一つでいいから挙げてください。

鎌田政府参考人 症状が多いと報告があった項目は、リンパ節痛でございます。

足立委員 書かなくていいの、それ。(発言する者あり)ああ、小さく書いてあるのね。済みません、私、これ、気がつかなかった。小さく書くんですか。大丈夫ですか、ちょっと本当に。

 もう大臣、別のテーマもあるので、総理に。

 私は、ワクチンはとにかく、何で私がこれを取り上げているかというと、現場が困っているからなんですよ。要は、住民の皆さんから聞かれたときに説明がし切れなくて困っているんですよ。だって、モデルナがたくさんあるんだから、三回目はモデルナを打っていただかないといけないんだから。現場は、それで、なかなかワクチン接種が進んでいなくて困っているんです。

 何とかこれを進める方向で、正確な情報を、字を大きくしたり小さくしたり、何か関係ないやつを入れたりとかせずに、ちゃんと正面から、事実を国民の皆様にお伝えする努力はやはりもっとした方がいい。総理、どうですか。

後藤国務大臣 済みません。もう一つだけ申し上げておかなきゃいけなかったんですが。

 国民の皆さんがモデルナのワクチンを去年打ったときに一番心配しておられるのは何かというと、熱が出たこと、それから相当な倦怠感が重かったこと、それが去年、モデルナのワクチンを打たれた方たちの一番の心配だったと思います。

 いろいろな項目を検討しているわけですが、少なくとも、発熱や疲労などの接種後の症状が少ないということは、これは科学的に言われていることで、ここが間違っているというわけでは決してありません。そして、これは国民の関心事項です。

 ただし、小さい字で書いてあるのはどうなのかとか、全体としての評価ということについての御指摘は受け止めさせていただきますが、少なくとも、国民の心配がその点だということだけ、一言だけ追加させていただきます。

岸田内閣総理大臣 今議論を聞かせていただきまして、いずれにせよ、安全性、効果について、国民から見て分かりやすく、かつ正確な情報発信、これは何よりも重要であります。これからの情報発信の中で、そういった姿勢はしっかりと大事にしていきたいと考えます。

足立委員 是非お願いをいたします。現場の国民の皆さん、それから首長、市長の皆様も大変御苦労されていますので、是非お願いします。

 さて、そもそも、今日、藤田文武幹事長、コロナ対策本部長からもお話をいただきました。私たちは、今の基本的対処方針、今の蔓延防止措置の実施、やはりこれは明らかにオミクロン株の特性を踏まえていないと思っているんですね。大問題だと思います。このままだと社会機能が、濃厚接触者の扱いとかいろいろなテーマがあるんだけれども、もっと根っこにあるのは、そもそもこの蔓延防止等重点措置を実施すべき事態に該当するかどうかですよ。これは政令ですから、いつでも変えられます。

 見てください、この政令。五条の三、施行令ですね、法律の施行令ですが、特措法の施行令、重篤である症例の発生頻度が、インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いことがそもそも入口の条件なんです。オミクロン株は違いますよね。もうここでそもそも入れないんですから。

 この蔓延防止等重点措置、あるいは緊急事態宣言も同じような議論があります。いかがですか。これは、もう既にこの入口から、蔓延防止等重点措置を発令する法的な整理、法の趣旨、法令の趣旨は外れているんじゃないですか。

山際国務大臣 私たちが考えていることは、重症化のリスクが低いオミクロン株がデルタ株と性状が違う、それはそのとおりだと思います。そのとおりだと思いますが、一方で、この枠組みの中で、やはり新型コロナウイルス感染症という意味では同じ枠だというふうに考えているということです。なので、重症化リスクがある程度低下していたとしても、感染例が大幅に増加することで重症化リスクの低下分が相殺される可能性、これも考慮に入れなくてはいけない。

 そしてさらに、季節性インフルエンザに罹患した場合に比して、新型コロナウイルス感染症であるからこそ、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあると考えることから、特措法で定める蔓延防止等重点措置を講じることができるというふうに判断をしているということです。

足立委員 今大臣がおっしゃったことは、一回ここに当てはめたから、もうそれでやっているんだと。

 ただ、ここの規定が参照している、じゃ、インフルエンザとの比較、根拠となる資料はといって確認をしましたら、一年以上前の新型ウイルス、コロナと季節性インフルエンザとの比較表なんです。一年以上前ですよ。

 変異株、どんどん出てきて、オミクロンについては本当に別のウイルスじゃないかというぐらい、新型コロナウイルスと言っていいのかどうか分からないぐらいになってきているときに、一年以上前の法令の整理学で来ているんだけれども、私は、それは新型インフル等特措法が求めている法の趣旨からもうずれているんだから、この規定がおかしいんだったら、この規定を早く変えたらいいんですよ。政令だったら一日でできますよ。

山際国務大臣 今委員がお示しになられていたのは、JAMAというアメリカの例ですかね。季節性インフルエンザとCOVID……(足立委員「いやいや、日本の資料」と呼ぶ)日本のですか、分かりました。

 我々としては、やはりこれは人の命に関わる話だから、どうしても医学的な知見というものを積み重ねた上でないと、それを根拠にしてしか変えられないということがあることは、それは御理解いただけると思うんです。一方で、何もしないかといったらそんなことは当然なくて、合わせられるもの、変えた方がいいものというのは順次変えつつあって今があるという理解です。

 ですから、オミクロン株の性状が、更に医学的なエビデンスが積み重なって、こういうものだということがはっきりしてくれば、それを柔軟に変えるということを否定するものではありません。

足立委員 これはつきませんが、我々の主張は一貫しています。オミクロン株に対応した法令の運用、基本的対処方針の改定、蔓延防止等重点措置等の、要は具体的な対策の適用、これを早く転換。フェーズが変わっているんだから、コロナのオミクロン株という、明らかにウイルスの特性が大きく変わっているんだから、それに合わす形で基本的対処方針を速やかに改正しなければ、人災となって被害者が増えるということを強く指摘をしておきたいと思います。

 もう一つ、昨日の上川陽子委員に対する総理の答弁で、今日も午前中議論がありましたが、給付金、十万円の給付金、不公平を是正するということでありますが、これは既に午前中もいろいろな議論がありましたから、これの中身は割愛をしますが、そもそも何でこんな大混乱しているんですか。何でこんな大混乱しているんですか。

 私は、まず財務大臣、そもそも所得再分配というのはふだんからやっていますよね。だって、所得税で、累進課税で、あるいは保険料、あるいはそういうものを免除する。元々、日本国は、そういう再分配政策というのはやっているんです。税、社会保険料、医療、介護のサービス。何でこの緊急事態のときに、わざわざ所得制限が要るんですか。私たちはもう、緊急事態には全部配ったらいいんですよ。だって、分配、再分配はふだんからやっているんだから。

 コロナ禍で苦しんでいる方、生活が、今までの生活レベルが維持できなくて、あっぷあっぷしていらっしゃる方はいろいろな層にあるわけです。だから、平時でもう十分に所得再分配政策が実現しているのであれば、緊急時の給付になぜ一々、所得制限だとか年齢制限だとか、何か線ばっかり引いて、財務省が予算を出したくないとか、そういうことはないと思うけれども、僕は分からないんですよ。だから、あるいは先に配っちゃって、来年、税務申告の後に調整したらいいんですよ。一々、パッチワークのいろいろな給付金、いろいろな事業を、所得制限だ、何とか制限だと、これは全く理解できない。

 財務大臣なら、私の言っていることを御理解いただけますよね。

鈴木国務大臣 政府が行う給付金等の事業におきまして、所得制限は不要であるのではないかというお考えだと思いますが、各種給付金等におきましては、所得制限を設けるかどうか、これは個々の事業の目的や支援方法などに応じて、それぞれの事業において必要性が判断されるものと考えております。

足立委員 だから、今財務大臣がおっしゃった、鈴木大臣がおっしゃった、まさに個々の事業なんです。

 今、自公政権、戦後つくってきた自公政権の政治の仕方というのは、所得再分配は、多少、課税最低限の上のところは一応やっている。でも、収入が少ない方々については、例えば給付つき税額控除とか、我が党が申し上げている維新版のベーシックインカムとか、そういう給付制度がふだんないものだから。だから、いつまでたってもパッチワークですよ。この事業は厚生労働省の事業、はい、所得制限。はい、これは内閣府が何か別の理由で所得制限。パッチワークです。

 このパッチワークをやっていると、国民はもう不安で仕方ないんです。何でここで切られちゃうんだと。線の左と右、それも、臨時国会でも高市政調会長がおっしゃっていた例もありますが、あらゆる点で不公平。確かに、所得制限のちょっと上でもらえないんだけれども子供は四人いるとか、たくさんあるわけですよ。そういう、自民党政権がつくってきた日本社会というのは線がいっぱい入っていて、その前と後で不公平の塊。

 総理は昨日、児童手当の仕組みを用いたことに伴う不公平は是正するとおっしゃった。一歩前進ですよ。ほかにも様々な不公平があるんです。今申し上げただけでも山のようにあります。全部やってもらえませんか、不公平の是正。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の十万円給付の件については、今までも答弁させていただいておりますように、できるだけスピード感を持って支給を行うために、従来の児童手当の仕組みを利用して支給を行ったということであります。そして、そういった仕掛けをつくることによって、不利益を被った方々に対してしっかり支援を行おう、こういったことを申し上げています。

 そして、一般論として、所得制限を設けるかどうかということについては、先ほど財務大臣から答弁があったとおりであります。やはり、所得制限を設けるかどうか、個々の制度の目的や支援方法によってそれぞれで判断されるべきものであり、そして、給付金等を支給する事業においての方が、支給する相手の実態をより把握しやすいという点があるということだと思います。

 御指摘のような所得税による場合ですと、資産状況を十分把握できないなど、支給する相手方の状況を十分把握した上での支給ということにはならない場合が多い。この辺の違いをしっかり念頭に置きながら使い分けているというのが現状だと思っています。

足立委員 私は、自民党のビジネスモデル、パッチワーク政党と呼ばせてもらいます。

 私たちは、もっとシンプルで簡素な、そういう制度をつくっていく。そのためには、マイナンバーのフル活用が要るんです。

 もう終わります。終わりますが、これは、昨年、平井前デジタル大臣とマイナンバーのフル活用について議論をしたときに、どういう理由があるんですかと、自民党の皆さんがこれに反対している。平井大臣、理由はないんですと書いてあります。全国の豪族たちに手足を縛られて身動きが取れないんじゃないですか。

 是非、皆さん、合理的で、本当の意味で国民の皆様の役に立つ、そんな政治、行政をつくっていくことを日本維新の会としてお誓いをして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて藤田君、青柳君、三木君、足立君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 質問に入る前に、質問時間につきまして、立憲民主党さん、そして日本維新の会さんに、時間を融通してくださいましたことに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 さて、まず、財政について総理と議論をさせていただきたいと思います。

 その前提として、自民党に二つの組織がありますね。総理が直轄の財政再建本部、政調会長が直轄の財政政策検討本部、この二つがありますね。

 財政に関わるものを議論されることで二つの組織があって、党の考え方はどうやってまとめられるんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の政調の中にある組織は、従来からあった組織であります。そして、新しくできた組織、これは、総裁直属の下で特に重要な課題として党全体として議論をする、こうした課題を取り上げて議論する組織であります。

 そして、党として政策を確定するに当たっては、政調審議会、そして総務会、こうした仕掛けの中でそれぞれ了承を取り、正式に決定する、こういった仕掛けになっていると認識をしております。

前原委員 他党のことですけれども、政調会あるいは総務会にかけられる前に、その二つの考え方が違った場合はどうされるんですか。

岸田内閣総理大臣 それぞれ議論を行い、そして、決定するということになると、決議ですとか法案ですとか、そういった形で党の方針を決定するわけですから、それは党のシステムの中で、政調審議会、総務会、ここで諮り、そして了承を取らない限り正式に党の方針にはならない、こうしたシステムになっております。

前原委員 なぜこれを質問したかといいますと、政調会長直属の組織は、どちらかというと財政積極派の方、あるいはMMT、現代貨幣理論ですか、これを信奉される方、本部長も含めてですね、そういう方々が多くて、そして、総理が直轄をされている組織というのは、オーソドックスな、どちらにも目配りをし、財政健全化にも目配りをするという、そういった二つの流れがあるのかなということの中で質問したわけなんですけれども。

 これから質問することは、やはり国家の今後の運営に関わる話として、是非ここだけはまず確認しておきたいのは、このMMTとか積極財政派の方々の中には、自国通貨を発行できる国は過度なインフレが起きない限り幾ら借金をしても財政破綻はしない、こういう考え方がベースになっている方がおられるわけですね。かなり勢いづいていると思いますけれども、この考え方に総理はくみをされますか、されませんか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、MMTといった考え方、これは自民党のみならず、党の外においても様々な議論が行われ、それを主張される方がおられると認識をしております。

 私自身につきましては、財政というのは国の信頼の礎であります。そして、評価は、市場であったり国際社会が評価するものであるからして、やはり、自らの財政は大丈夫だと自分が主張しても、評価するのは市場であり国際社会でありますので、こうした市場や国際社会の評価に堪え得る財政政策をしっかり進めていかなければならない、このように考えております。

前原委員 当然だと思いますね。

 もう既に、日本は世界最悪の水準の財政赤字を抱えているわけですね。国で一千兆円、そして地方で二百兆円、千二百兆円。今、GDPは六百兆円にまだ届いていませんから、GDP二年強の借金を抱えているということで、かなり積極財政をやっていて、だったらこれからも続けても大丈夫だろうということには私はならないんだろうと思うんですね。

 つまりは、今総理がおっしゃったように、国際社会の信認というところについて言えば、私は、やはり通貨というものに対して着目をしなければいけないと思うんですね。つまりは為替ですよね。

 やはり、日本がどんどんどんどん実質的な財政ファイナンスを行って、そして幾らでも借金をするということになれば、いずれ通貨の下落、暴落というものが起きて、そしてよくないインフレというのが起きるというような、一つのメカニズムとして考えられるということがありますので、そこはしっかりとやはり財政への目配りをすることというのは大事だと思うんですね。

 では、その前提で、予算編成について伺いたいんですね。

 総理、一枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、これは平成二年と令和四年の一般会計の比較であります。

 三十年余りたって、税収は若干増えた、そして四十兆円以上、歳出歳入が増えているということなんですが、この歳出歳入というものを見たときに、この三十年余りで増えている予算というのは二つなんですよね。社会保障が三倍以上になっている、十一・六兆円から三十六・三兆円になっているということ。

 本来であれば、この高齢化に伴う社会保障の増というものを、安定財源をしっかりと担保する中で、そして、この歳出歳入のバランスを図っていくということが理想な形だと思うんですけれども、増税というのは政治においてはなかなかハードルが高い、国民の理解を得るのが難しいということの中で安易な形で国債発行が続けられて、結果的にこの国債費。つまりは、先ほど申し上げました、国は一千兆ですか、これだけ異次元の金融緩和で金利が抑えられているにもかかわらず、元利返済はかなり大きなものになっている、二十四・三兆円になって、そしてそれをまた補うために、特例国債が三十・七、建設国債が六・三、合わせて三十七兆円の国債を発行するということになっているわけですね。

 さて、そこで総理に伺いますけれども、予算編成、なかなか大変でしょう、毎年毎年これをやっていくのに。団塊の世代がいよいよ後期高齢者に入っていかれるわけでありまして、この社会保障費というのは、これを見直して抑制、抑制をしたとしてもボリュームとして膨らんでいくということは、それは私は仕方がないと思うんですけれども、今後の予算編成をする場合に、私はもちろん、歳出の見直しをする、それは社会保障も含めて歳出の見直しをするということは大事だと思うんですけれども、やはり安定財源というものをしっかりと担保しないと予算が組めないし、先ほど信認が必要だということをおっしゃったけれども、世界の信認を得ようと思ったら、やはり歳入歳出のバランスを取るということになると、新たな歳入の確保というのは不可欠じゃないですか。

 このことについてはどう思われますか。

岸田内閣総理大臣 国の財政を考えた場合に、財源、特に安定財源の重要性は御指摘のとおりだと思います。

 だからこそ、私が従来から申し上げているのは、今現在は、コロナとの戦いにおいて必要な財政出動、これはちゅうちょなく行いますが、次にやらなければいけないのは、まず経済の再生であると。順番として、コロナを克服し、経済を再生し、そして財政再建についても考える、この順番を間違えてはならないということを申し上げています。

 去年の税収等も、この予算委員会で度々言われているように、この厳しいコロナとの戦いの中にあっても税収は増えている、こういったことが指摘をされています。この経済再生を本格的に進める中にあって、まず経済の安定を図り、税収を安定させ、そして財政再建を考えていく、こうした順番で、国の信認の礎であります財政についてしっかり考えていきたいと思っています。

前原委員 二つ申し上げたいと思うんですね。

 税収が増えているというのは事実であります。でもそれは、コロナ対策をあれだけ、事業費で百二十兆円以上もしたら、それは税収は増えるでしょう。

 例えば、これは、いろいろな給付金をもらわれた、支援金をもらわれた方が途中で驚かれ始めるわけですね。課税されるの、課税されると思わなかったということで驚かれる方々がおられる。もちろん、ちゃんとした検証は必要だと思いますけれども、あれだけの大盤振る舞いをして、まあ必要だったと思いますよ、需要が減っているわけですから。需要を埋めるために補正予算を組むということは必要だったと思うけれども、そのことを支えたことによって、だって、これだけ失業率が低いというのも、それは雇用調整助成金の特例措置を取ったこともありますよね。そういったことで支えながら、失業率も低い、そして税収も増えているわけですよね。

 じゃ、伺いますけれども、経済成長を行ったら、この特例国債の三十兆円余り、言ってみれば足りないわけですよね、これが埋まるぐらいの税収が上がって、それだけの経済成長はしますか。どうですか。

岸田内閣総理大臣 これについても、先日、政府として発表した中長期的な見直しの中で、従来我が国においては骨太の方針等において努力をしているこうした取組を進めることによって、成長ベース、より高い成長のケースを考えた場合には、二〇二五年プライマリーバランス黒字化のこの基準年を変更する必要は見られないという結論に達したわけです。

 是非、高い成長を実現しなければいけない。だからこそ、このコロナ後の日本の経済において本当に成長を実現するにはどうしたらいいか。もちろん、成長を実現するためには、分配があって、その分配がまた成長につながる好循環が実現しないと成長は持続可能なものにならないわけですから、新しい経済モデルをしっかり考えていかなければいけない。こういった議論を、日本の国だけではなくして、今世界中で議論が行われているということであると認識をしております。

前原委員 今の話を皆さん聞かれると、言葉の遊びなんですよ。そして逃げなんですよ。つまり、言葉の遊びで、新しい資本主義がまだ何かが分かっていない。そして、成長とか分配とか言って、新たな局面になったら、そうしたら、今は増税ということ、負担増ということについては、これはなかなか言いにくい。そして、将来的なものとして、成長ができれば分配ができるということをおっしゃっていて、私から言わせると、机上の空論をとうとうと言っておられるだけです。逃げですよ、そんなのは。

 じゃ、申し上げますよ、今私が質問しようとしたことを先におっしゃったので、聞きますよ。

 国と地方の基礎的財政収支二〇二五年黒字化目標、有権者、国民の皆様方に、基礎的財政収支というのは、歳出と歳入で、両方とも国債費を除いたものがバランスが取れるということであって、これは財政再建の第一歩でしかないんですけれども、それがどんどんどんどん、今までは逃げ水のように逃げてきたということですけれども、二〇二五年、黒字化目標を達成するとおっしゃいましたね。

 じゃ、その達成目標、するためには、経済成長率は何%か御存じですか。名目が三%、実質が二%ですよ。じゃ、異次元の金融緩和をして財政出動したアベノミクス、何%ですか、成長率。直近の、例えば二〇一三年から二〇一六年の平均の成長率は一・六%ですよ。半分じゃないですか。三%という目標の半分しかない。それから、その前提となっているのは全要素生産性ですよ。全要素生産性の上昇率は、この二〇二五年のプライマリーバランス黒字化の前提となっている数字は御存じですか。一・三%ですよ、上昇率は。今、足下どのぐらいか御存じですか。〇・四ですよ。

 これだけ、成長率も半分ほどしかない、潜在成長率も全くもってそれができていない。しかも、補正予算は毎年組まないという前提なんです、補正予算を組んだらプライマリーバランスが崩れるから。そして、なおかつ、それでも二〇二五年には一・七兆円足りないんですよ。

 そこまで大見えを切られて、新しい資本主義として、成長と分配でうまくいくというのであれば、そして二〇二五年、プライマリーバランスが本当に黒字化になるのであれば、その具体的な道筋を示してください。そうじゃないと、二〇二五年はもうすぐですよ。それを示せないのに、自分の新しい資本主義だったらバラ色の財政も描ける、増税も要らない、そんなことを言ったって、それは詐欺と同じですよ。具体的な道筋を示してください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の中長期試算の中における成長実現ケースというケースですが、これは、これまでの経済成長の中で、過去の実績も踏まえたペースの中で最も高いものを試算として用いた、こういったことであります。

 おっしゃるように、近年の実績と、そして今、成長実現ケースにおいて用いた数字、これは違いがある、それはそのとおりであります。だからこそ、近年のまま経済政策を進めていて、そういった数字、これを実現するというのは、間違いなくそれは難しいということなんでしょう。

 だからこそ、新しい時代に向けて経済のモデルをみんなで考えていこうということで、私も一つのベースを考えたわけです。是非、これをベースにして、日本の経済を再び成長させるためにどうしたらいいか、これを考えていくというのがあるべき議論であって、今できないから、これは目標は達成できませんと言って終わるのではなくして、成長実現ケースも、これは決して、過去、日本の経済において実現できなかった数字ではないわけですから、それも参考にしながら、より数字を上げていくためにはどうしたらいいか、これをしっかり考えていきたいと思っております。

前原委員 要は、具体的な考え方がないんでしょう、まだ。具体的な考え方がなくて、成長します、これからやります、だからできますと言われたって、まさに絵に描いた餅じゃないですか。絵に描いた餅を食べろと言われたって食べれないですよ、それを信じなさいと言ったって。

 政治は結果責任ですよね。今おっしゃったことについて、本当にできなかったら総辞職するぐらいの気持ちでやってもらわないと。新しい資本主義という形で新たな社会をつくれるんだ、自分が唱える新たな資本主義の形が具現化できれば、今が一・六%の成長率は三%以上になるし、そして、潜在成長率〇・四%は一・三%以上になるし、そして、補正予算を組まなくても、一・七兆円の赤字があっても、それを乗り越えられるようなものになるということを、具体的に道筋を示してください。そうでなければ、まさに私は、言葉が過ぎるかもしれないけれども、国民に対する詐欺と一緒ですよ。やるやる詐欺。自分たちの夢にかけてくださいと、具体的なものもないのに、今はまだ。だったら早く具体的なものを示していただきたいということを申し上げておきます。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

 ちょっと、総理に塩を送るような質問をしたいというふうに思います。

 原丈人さん、私もよく存じ上げているんですけれども、なかなかすばらしい方ですよね、原丈人さん。原丈人さんの公益資本主義という考え方、私も非常に感銘を受けておりまして、総理の知恵袋でいらっしゃいますよね、原丈人さん。その原さんがやられている財団で、ビデオメッセージを総理になられてから送られて、そのビデオメッセージでは、この公益資本主義というものを実現するということも明確におっしゃっているわけであります。

 まず、その前提として質問いたします。提案の前に質問いたしますけれども、私は、この新しい資本主義という考え方というもの、何かまだ分かりませんが、一つ、私は、自分自身が、ああ、総理がおっしゃっていることはこういうことなのかなと勝手に思っていることは、株主資本主義からの転換なんですよ、株主資本主義からの転換。

 つまりは、今の株式市場というのは、これは第二次安倍政権の二〇一四年に企業が守るべきコーポレートガバナンスが策定されたために、今まで以上に株主に対して、言ってみれば、気を遣うようになったわけですね。配慮するようになったわけです。

 実際は、配当や自社株買いを通じて、企業から株主に過度に資金が流出しているという形になるわけですね。しかも、その株主の三割は海外の投資家です。しかも、売買額というのは、七割から八割が海外の投資家です。ということは、このいわゆる企業の売上げというものが大量に海外に流出してしまっているということになるんですね。

 総理、資料の二番目を御覧ください。

 これは、資本金十億円以上の企業の売上高、給与、配当金、設備投資などの推移というもの、財務省の統計から作ったものでございますけれども、一九九七年を一〇〇としたときに、圧倒的に増えているのは配当金なんですよ、配当金。

 そして、内部留保もすごいねということなんですけれども、内部留保よりもはるかに配当金が多いんですね。そして、問題なのは、よく言われるように、賃金ですよ、賃金。賃金が本当に、言ってみれば、ずっと横ばいが続いているということなんですね。

 原さんがよく例に使われるお話をさせていただきます。

 日本のある大手通信社、まあ、どこか分かってしまいますね、ちょっとこの数字を言うとね。五年間で三兆円の純利益を上げた。五年間で三兆円ですよ。この間、従業員の給与総額は三千三百億円だった。配当に幾ら出したか、一兆六千億円。自社株買いに一兆八千億円。

 自社株買いというのはどういうことかというと、自分の発行した株を買えば、株の数が少なくなって、一株当たりの単価が上がるということですね。自社株買いをすると株主に対する還元になるということでありまして、三兆四千億円という、純利益は三兆円ですから、純利益を上回る株主還元をしているんですね。

 これ、仮に、一割、三兆四千億の一割、三千四百億円、これは原さんがおっしゃっていることですよ、一割、従業員の給与に回したら、総理がおっしゃっている所得倍増ができるんですよ。三千三百億円が、三千四百億円、一割回したらできるんですよ。

 つまりは、この配当金、株主に対して徹底的に還元されている、重視されている、そして、言ってみれば、従業員に対してはその果実が回っていない、今の仕組みをどう変えていくかといったところを変えていけば、先ほどおっしゃった、違う次元の、だって、消費がGDPの六割ですから、本当に所得を上げられる、そして購買意欲が上がってくる、今までと違うシステムがつくれるかもしれませんね。

 このことについて、どう思われますか。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 今委員から御紹介があったいわゆる株主資本主義という考え方、世界的にもステークホルダー資本主義等の言葉が使われ、多くの国で議論されてきた議論であると認識をしています。企業文化という中でこの分配を考えた場合に、おっしゃるような点、大変重要であり、そうした考え方に基づいて分配のありようを考える、これは大変重要です。

 私が申し上げているのは、この企業文化にとどまらず、日本の社会を見た場合には、例えば、大都市と地方、あるいは所得の高所得者層と中間層、低所得者層、さらには大企業と中小企業、そういった様々な分野において格差が生じ、あるいは分配が適切に行われていない、こういった場面があるからして、企業文化におけるそういった問題意識ももちろん大事ですが、あわせて、社会全体について、こうした分配のありようについて考えていくべきではないか、これが基本的な問題意識であります。

 そして、この格差の問題だけではなくして、今の資本主義において課題とされている気候変動であったり、日本の社会におけるデジタル化の遅れであったり、そして今世界的に議論になっている経済安全保障であったり、こういった辺りを、こうした弱みを成長エンジンにすることによってそうした課題に挑戦することができないだろうか。これが、全体の私が申し上げている経済モデルのありようであります。

 その中で、御指摘がありました株主資本主義の考え方、これは重要な考え方の一つであると認識をしております。(前原委員「株主資本主義からの転換です」と呼ぶ)失礼。株主資本主義からの転換、これは重要な考え方の一つであると認識をしております。

前原委員 先ほど総理がおっしゃったステークホルダー資本主義、ステークホルダーという、言ってみれば利益共有者ですね、こういった人たちに対してもしっかりと目配り、気配りができるような仕組みに変えていくということは、すごく私は大事なことだと思うんです。一目瞭然じゃないですか。やはり、もうちょっとみんなで分け前をうまく分けようよ、こういうことですよね。それをやるためには、企業の自主性に任せては、なかなか今総理のおっしゃった問題意識というのは転換できないと思うんです。

 イギリス、フランス、ドイツなどでは、配当に歯止めをかけるような制度があるんですね。もしこれを日本で、実際、株主資本主義からの転換が必要だということ、その一つとしておっしゃったわけですね。となれば、やはり、何らかの制度、会社法制を含めた制度というものの見直しは必要だと思いますけれども、その点、総理のお考えをお聞かせください。

 つまりは、企業の自主性だけに任せておったら絶対変わらないですよ。どうですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、株主資本主義からの転換を考える際に、民間あるいは市場や競争に任せるのではなくして、やはり、政治、政府の立場からも様々な環境整備をしていかなければならない、こういった問題意識を持っています。

 どこにどう手を差し伸べるかということについて、先ほど言いました、全体を考えた場合に、やはり何といっても賃上げ部分、これが重要であるという問題意識に立ち、企業の、企業内における分配においても、より従業員の賃上げ、所得の向上、これにしっかりと効果がある政策を用意しなければいけないということで、今回の経済政策の中でも用意をさせていただいてきた賃上げ税制ですとか、さらには、公的価格等で、国が、政府が旗振りをすることによって民間の賃上げを誘導していく雰囲気づくりですとか、さらには補助金等を利用した賃上げですとか、何よりも、中小企業の賃上げを引き出すためには価格転嫁が必要であるからして、価格転嫁の仕組みもつくるとか、こういった仕掛けによって、賃上げ部分に特に焦点を当てて分配のありようを考えていきたいということを考えた次第であります。

前原委員 とにかく、今後検討されるということですので、先ほど申し上げたように、一つは、やはり企業の自主性に任せていただけでは駄目だ、したがって制度の変更は必要だろう。これは認められますね、制度の変更、会社法制も含めて。お答えください。

岸田内閣総理大臣 制度の変更、政治の環境整備、これは大事だと思います。だからこそ、市場や競争に全て任せるのではなく、官民協働でそういった仕掛けをつくっていこう、こういったことを繰り返しているのは、そういった点を考えてのことであります。

前原委員 日銀総裁も来ていただいているので、時間配分がありますので、今回はちょっと、さらっと触るだけにしますけれども、第二次安倍政権から、租税特別措置というのはかなり増えたんですよ、かなり増えた。そして、その中で初めてつくられたのは賃上げ税制と言われるものなんですね。これが三ページに書かれているものなんですけれども。

 正直言って、全体の青の濃い部分が、これが租税特別措置、全体像ですね。そして薄い水色が、これが賃上げ税制部分、減収部分なんですけれども、赤の折れ線グラフは激しく動いているように見えますけれども、たかが、一番下がマイナス一、上がプラス〇・九ですから、ほとんど、余り変わっていないということであります。ですから、余り、効果がそんなに、租税特別措置を増やした割になかったなと。

 四枚目、これは、租税特別措置に占める、研究開発費のいわゆる政策減税ですね。政策減税部分はこのピンクというかちょっと赤いところでありますけれども、これもそんなに、増やしても増えていない。

 この租税特別措置というのは特別なんですよ。特別ということは、効果があるかどうかということは検証して、ちゃんと見直さないかぬのですね。この十年間で十七兆円ですよ、十七兆円ものお金が使われて、じゃ、果たしてどれだけ賃上げされたの、果たしてどれだけ研究開発に回ったの。一番多く回ったのは何だと思われますか。内部留保ですよ。先ほどのあの問いと一緒で、内部留保。

 安倍政権が始まったときの内部留保が三百兆円余りですよ。それが今四百七十八兆円。内部留保がたまりにたまっていっていて、租税特別措置はそれほど効いていませんねと。

 これ、総理、やはりゼロベースで見直されませんか。これだけ内部留保がたまりにたまって、それをどううまく活用するかということの方が、だって、研究開発なんてやりますよ、別に支援がなくたって。やらないと生き残れないから。賃金だってそんなに上がっていないし、内部留保がどんどんたまっていっていて。そういった支援措置については、やはり私は見直すべきだと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、賃上げ税制については、効果があったかどうかということについて、アベノミクス時代も、二%程度の賃上げ、これは実現しているわけですから、これはそれなりの努力の結果であると思います。ただ、不十分であるという指摘もあり、だからこそ、今回の賃上げ税制についても、従来のこの制度と違って、新規雇用だけではなくして、賃金の引上げ総額を対象にしてインセンティブを与えていく、こうした税制の仕組みを変えたところであります。

 それから、研究開発税制については、それだけ効果がなかったのではないかということですが、研究開発税制を支援し、それを大きな成長につなげていくためには、これをしっかりと生かすエンジンというものが必要になってくるわけですから、だからこそ、この新しい時代の成長におけるエンジンというものを考えていこうということを申し上げてきました。

 ただ、租税特別措置のありようについては、これは我々自民党の中においても長年にわたって議論をされてきたところであります。おっしゃるように、これは特別の措置、期限が限られているとか、そうした特別の措置であったものがずっと恒常的に続いている。こういった状況について問題意識を自民党としても持っていた、これは事実ですし、今後も、そんな問題意識は持ちながら、租特、租税特別措置のありようについては議論をしていくことは大事だと思っております。

前原委員 先ほどの成長もそうですし、やはり、研究開発は大事だ、それに対するインセンティブは大事だ、そういった総論は誰も否定しないわけですね。賃上げが本当にできるんだったら、賃上げ税制も必要だ、それも誰も否定しない。だけれども、それが実効的であったかということと、政策的に、ひょっとしたら金額の規模をもっと積んだ方がいいかもしれない、そういう違う結論が出るかもしれませんよね。

 そういうことも含めて、惰性でやるのではなくて、租税特別措置というのはやはり一回一回見直して、私が財務省からお話を伺ったら、検証できませんと言うんですよ。つまりは、賃金が上がる理由はこの税制だけじゃない。それはそうですわ。

 だけれども、何らかの形で検証しないと、賃金を上げるための税制で、ほかの要因で上がっているかもしれない。それが、このことで、それで温存されたら、税金の無駄遣いでしょう。先ほど申し上げたように、内部留保が三百十兆円から四百七十八兆円まで積み上がっているわけですから。そういうことも含めてしっかりと見直すということをやってもらいたいと思います。

 さて、黒田総裁、お待たせしました。

 ちょっと八まで飛びます、図を。

 日銀は、十九日に、実質実効為替レート、これは、いわゆる、六十の国、地域の通貨を比較して、それぞれの国の物価や貿易量を加味して算出した、つまりは、通貨の総合力を測るものがこの実質実効為替レートと言われるものでございますけれども、今や五十年前と同じぐらいの総合力に落ちていると言ってもいいと思いますけれども、現下の円安も含めて、ちょっと伺いたいと思います。

 十九日に、この実質実効為替レートで円安が一〇%進むと、輸出企業の収益改善や訪日観光の増加に伴い、実質国内総生産を年間〇・八%ほど押し上げるとの試算を公表されたと。

 さて、総裁、まず伺いますけれども、今、コロナ禍ですよね、訪日観光ってほぼゼロですよね、それでもGDPはプラス、〇・八%プラスになる認識ですか。

黒田参考人 御案内のとおり、この実質実効レートのレベルにつきましては、具体的にコメントすることは差し控えますけれども、為替相場が経済や金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だということは御案内のとおりであります。

 そこで、今御指摘の点は、一定のモデルに即して計算したものですので、今現在のコロナ禍によって外国人観光客が激減しているという状況の下で同じような効果が出るというふうには考えておりませんが、ただ、感染症が収束して、観光客も戻ってくるということになった場合には、こういった効果があるということは確かだと思います。

前原委員 確認したいことを御答弁いただきました。つまりは、これはモデルでやっているのであって、実態の、今観光客はほぼゼロということの前提ではないと。ということは、〇・八%プラスにはならないということですね。マイナスかもしれないということです。

 その上で、総裁に伺いますけれども、携帯電話の大幅値下げの影響が縮小する二〇二二年度の入ったところ、つまり今年の四月以降、一%台半ばまでコアCPI、CPIというのは消費者物価指数でありますけれども、加速することが予想されます。昨年の十一月に厚生労働省が発表した賃金指数、基準給与の対前年同月比は〇・三%ですので、仮にコアCPIが年率一・五%になれば、実質賃金はマイナス一・二%になるんですよ。

 つまりは、先ほど階議員の質問に円安になっても大丈夫だみたいな答弁をされていましたけれども、先ほど申し上げたように、そのモデルは、訪日観光客はほぼゼロだから、モデルの〇・八というのは当てはまらないということと、そして、今、CPIが低いのは、携帯電話の値下げによって剥落しているわけですね。それが元に戻ると一・五%程度になるということになれば、つまりは、名目から実質を引いたものになると一・二%ぐらい実質賃金はマイナスになるということになると、これは、国民がやはりこの円安によって、つまり、金融緩和がもたらしている円安によって国民がどんどんどんどん貧しくなるということを表しているんじゃないですか。

黒田参考人 携帯電話通信料引下げの効果が四月から剥落するということはそのとおりでありまして、そうしたこともあって、四月以降の物価上昇率について、委員会の中央見通しでは一・一%というふうに見ております。

 特に、この物価上昇は、為替の円安の効果というよりも、ほとんどが資源価格が世界的に上昇しているということによるものでありまして、こうした資源高による交易条件悪化の影響を受けることは事実ですが、一方で、これはその背後に世界的に経済活動の再開が進んで需要が大きく拡大しているということもありますので、そういった内外需要の増加を背景に日本経済も回復を続けていくということが想定されますので、物価面では一定の原料コスト上昇の価格転嫁が緩やかに進むとは予想していますけれども、先ほど申し上げたような物価上昇率であり、実質賃金に一時的に下押し圧力がかかる可能性はありますけれども、やや長い目で見た見通しとしては、やはり、一人当たりの実質賃金に雇用者数を掛けた実質雇用者所得は、これが消費の源泉ですので、それは緩やかな増加を続けて、そうした下で個人消費も緩やかに回復していくという姿を想定しております。

 そういう意味で、国際的な資源価格の動向というものは十分注視する必要があると思いますが、現状、為替が大きく変動しているということはありませんので、為替の影響を非常に今大きく見る必要はそれほどないのではないかと思っております。

前原委員 今、実質賃金に全体を掛けたものについては拡大していくという御説明がありました。これは裏返せば、一人一人の賃金は、実質賃金は目減りするということを認められているわけですね。つまりは、それは、総裁はマクロ経済、マクロで経済を見ておられるかもしれないけれども、国民一人一人は自分たちの生活が基盤ですよ。自分たちの生活で実質賃金は下がっていきますよということを放置される金融政策を取っているということを自ら認められたことになるんですよ、いわゆるこの金融緩和の拡大というのは。私、大問題だと思いますね。

 そして、同時に、世界経済の需要が拡大している。だからこそ、インフレが各国で起こって、日本でも、これだけインフレが起きないと言われていたのに、携帯電話の剥落で一・一%、そして年央には一・五%ぐらいになると言われている。インフレになってくる。

 各国はテーパリングや利上げだということで、これを本当にずっと、また原油価格も上がっていくかもしれませんね、そんな状況の中で、この間の会合で、今の異次元の金融緩和、つまり利上げをするつもりは全くないと言い切られて本当にいいんですか。やはり、状況を見る中でこの金融政策は機動的に見直すということをおっしゃるべきではないですか。

黒田参考人 御指摘のとおり、欧米ではインフレがかなり進んでいます。米国の消費者物価の上昇率が七%程度、ユーロ圏や英国では五%程度まで高まっておりますし、そうした中で、特に米国や英国では、その二次的波及として、予想物価上昇率あるいは賃金上昇率が、二%のインフレ目標と整合的な水準から上振れていくリスクが高いというふうに言われています。

 一方、我が国の消費者物価の前年比は、従来から申し上げているとおり、足下〇・五%で、確かに携帯電話通信料の引下げの下押し要因がなくなるということは事実なんですけれども、他方で、エネルギー価格の動向とか、御承知のように、エネルギー価格の先物はずっと下がっていくという見通しになっておりますけれども、一時的な要因とかエネルギーを除いたベースで見ますと、やはり消費者物価の上昇率はまだ零%程度になっていまして、先ほど来申し上げたように、生鮮食品を除くベースで見ても一・一%。

 もちろん、従来のように下振れリスクしかないというのではなくて、上振れリスクもあり得るということは考えておりますけれども、その中でも、なかなか、二%になるとか、あるいは予想物価上昇率とか何かに大きな影響が出てくるというような状況にはまだ全然なっていないということからいって、欧米は確かに金融政策について正常化を探り始めておりますけれども、残念ながら、日本においては、二%の物価安定目標にかなり距離があるという状況はまだ二〇二三年度までは続きそうだということでありますので、やはり金融緩和というものは引き続き続けていく必要があるというふうに考えております。

前原委員 改めて、見直すつもりはないということは、国民に実質賃金をマイナスにするということを押しつけている、そういう金融政策であるということは明確に申し上げておきたいと思います。

 最後に、総理、十を御覧いただけますか。ちょっと北朝鮮のことについてお話をしたいんです、残りの時間で。

 これは、産経新聞に、今年の一月二十一日、横田早紀江さんが「めぐみへの手紙」というものを書かれて、そして、抜粋をちょっと読ませていただきます。是非、拉致問題についての総理のお考えを伺いたいと思います。

  めぐみちゃん、きょうも元気に過ごしていますか。光の矢のように時は過ぎ、また新しい年を迎えました。めぐみたちに祖国の土を踏ませたい。心の底からそう願いながら、事態は進まず、無為に時が過ぎる悔しさ、怒り、むなしさが積み重なるのを感じます。

  私たち親世代の家族は自らの世代で拉致事件に決着をつける覚悟でした。それが果たされず、問題が次世代の禍根となりつつある現実が悔しくてなりません。

  改めて日本国、そして北朝鮮に問います。私たちはあとどれだけ、この地獄の業火に耐えなければならないのでしょうか。

  私たちは命懸けです。今一度、心の底から訴えます。日本国の政治家、官僚の皆さま。気が遠くなるほど長く異国の奥底に捕らわれた子供たちを、一刻も早く救ってください。

 これが、直近に横田早紀江さんが書かれた「めぐみへの手紙」です。

 私も外務大臣をやらせていただいて、菅総理の了解を得て日朝交渉というものをやりました。驚いたことに、その途中でミスターXが亡くなったんですね。あの二〇〇二年の日朝合意をした向こう側の担当者ですけれども、ありました。

 総理、昨日の御答弁を伺っていて、やはり僕が残念だったのは、この拉致問題の解決、バイデンさんに頼む。それは必要ですよ。日米で話をして、それで何とかそこからも圧力をかけてもらう。大事ですよ。だけれども、この早紀江さんの思いに応えようと思ったら、何らかの形で、門戸を開けているだけではなくて、何らかの形で、取っかかりでもいいから、直接話をして、そして、もがき苦しみながらも本当に拉致問題を解決するという、私は真摯な姿勢が日本国のリーダーに必要だと思うんですね。いかがですか。

 是非、これをしっかりと取り組む、そして、あとのことは公で言われなくて結構です。いろいろなことを林外務大臣に指示する、そしてしっかりとこれに取り組むとおっしゃっていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 今委員から手紙を読んでいただきまして、改めて、拉致問題は我が国の最重要課題であり、そして、拉致被害者の方々全員の帰国を今でもまだ実現できていないこの政治の状況に対して心からおわびを申し上げなければなりませんし、そして、一刻の猶予もない、こうした危機感も改めて感じるところです。

 御指摘の日米テレビ首脳会談において、この拉致問題についても議論を行いましたが、あらゆるチャンスを物にしなければならないということで、日米はもちろんですが、日米韓の間においても、次官級会議、局長級会議、私の総理大臣に就任した後も繰り返しているところです。

 そして、あわせて、こうした同盟国、同志国との連携はもちろん大事ではありますが、自ら何をするのか、これについても、これは外務大臣をお務めになられた、日本の外交として絶えずいろいろなことを考えてきた、こういったことについては十分御案内だと思いますが、是非これからも、自ら何ができるのか、この点もしっかり考えながら、一日も早い、具体的な結果を出すよう、しっかりと取り組んでいかなければならないと強く感じた次第であります。

前原委員 林外務大臣もうなずいて聞いておられましたので、しっかりと頑張っていただきたいと思いますし、このことはオール・ジャパンでしっかりと支えないかぬ問題だと思いますので、みんなができる限りのことはやっていくということが必要だと思いますので、是非、実現のために努力をしていただきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、コロナ対策についてお伺いをいたします。

 オミクロン株の感染が急拡大する下で、発熱外来が逼迫して、検査の予約が取れない、予約は取れたが二、三日後だ、こういう声があふれております。

 様々な形で必要な診療、検査体制をつくることは政治の責任であります。発熱外来のキャパを増やす上で、診療所の不安として、医師が感染した際に診療所を閉めなければならなくなり、その後も患者が戻らないのではないのかという経営上の不安も伺います。あるいは、これまで発熱外来に取り組んできたが、以前あった診療、検査体制確保の補助金がなくなったので、今は様子見、こういうところもあると聞いております。しっかり財政的支援を行う、このことで発熱外来のキャパを増やしていくことが大事だと思います。

 総理、昨年あった診療、検査体制確保の補助金、これは何で今年やらないんですか。

岸田内閣総理大臣 昨年あった診療体制確保のための診療報酬上の支援は何でなくなったのかということですが、端的に言いますと、切替えを行ったということであります。

 発熱外来について、昨年秋以降、診療・検査医療機関において、新型コロナの疑いのある患者に対して、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を行った場合、診療報酬上の特例的な評価を拡充している、こうしたことであります。

 オミクロン株は、軽症の感染者が多いということ、感染力が大変強いということ、こういった点から考えても、こうした部分にしっかりとした支援を行うという考え方は的を得ているんではないかと考えております。

宮本(徹)委員 何でやめたのかというのは、切り替えたという話ですけれども、ホームページに公表したら二千五百円加算すると、去年の十月にやられましたけれども、実はそれ以上の診療報酬の削減を、検査については十二月にやっているわけですよね。抗原検査ではマイナス三千円、自分の病院でPCRの検体を取るところは一万千円、それ以外でも四千五百円、診療報酬でいえば下がっているわけですよ。

 これだけ発熱外来のニーズが高まっているときに、そして経営上の不安だとかいろいろなところから踏み出せないところがあるのに、そこにしっかり支援をしていく、そのことによって発熱外来を増やすというのは、私はやらなきゃいけないことだと思いますよ。

後藤国務大臣 発熱外来の体制整備については昨年から経緯がありまして、一昨年来、体制整備の補助ということで、医療機関における感染拡大防止対策を強化するための各種支援を行って、診療・検査医療機関は現在までに三・五万か所整っていまして、一応体制ができたと思います。

 昨年秋以降、今度は、体制ができたので、診療・検査機関において、新型コロナの疑いの患者に対して、必要な感染予防策は講じた上で外来診療を行った場合の診療報酬上の特例的な加算をつくりました。

 そして、これを、三月までとされていたので、この三月までの特例報酬の改定を、四年度の新しい診療報酬の改定の明示的な財源に計上して今年度の診療報酬の改定をやっている。そのことが、振替を行って、しっかりと体制整備、その後の病院、空床を充てるような形の、仕組みをうまく使いながらの感染予防対策に充てていくということで、これが今の診療報酬につながっているということだというふうに考えています。

 それから、総額約六・八兆円の予算を医療機関に投入してきたということは、マクロとしては申し上げておきたいと思います。

宮本(徹)委員 新聞の投書にまで、検査をやるたびに赤字だ、こういう投書まで開業医の方から出ているわけですよ。やはり、本当に真剣に発熱外来の体制、どうやって増やしていくのかというのは考えていただきたいと思います。

 続いて、抗原検査のキットを活用した自主検査と組み合わせた診療、検査体制の拡充も非常に大事であります。

 ところが、午前中も議論がありましたけれども、現状は、医療現場からも抗原検査キットが不足しているという悲鳴の声が上がっております。医療現場など、症状がある方の診療、診断のために優先して安定供給する仕組みが必要ではありませんか。

後藤国務大臣 宮本委員御指摘のように、抗原検査キットの供給につきましては、感染の急拡大あるいは無料検査事業の開始によりまして、短期間で検査需要が大幅に増加をいたしております。

 今週の生産百四十三万回に加えまして、足下四百六十万回分の在庫を有しておりますけれども、この在庫四百六十万回は、例えば、最近の出荷量と比べると三週間分に相当する量でございます。しかし、最近の感染状況の中で急速に検査需要が伸びていることから、一部の地域では一時的に検査が受けにくい状況が生じているということは承知をいたしております。

 厚生労働省において一月十四日に増産を要請したところですけれども、一月十八日には総理からも改めて指示をいただきまして、メーカーに対して、国が買取り保証をして、当面、一日八十万回分の増産を要請をいたしております。

 医療機関、希望する有症状者に対する行政検査など、今御指摘のあったように、そうしたところをしっかりと優先しつつも、引き続き必要な量を確保していきたいと思っております。

宮本(徹)委員 世界を見ると、この抗原検査のキットはもっと大規模に活用しているわけですよね。アメリカのバイデン大統領は、十億回分、各家庭に配付をすると。そして自主検査も進めております。

 私、実は、昨年夏の第五波のときに、神奈川県の取組を紹介しながら、抗原検査キットの家庭への配付を提案をいたしました。その際、尾身会長からは、国においても検討するに値する、こういう答弁があったわけでございます。ところが、現状は、抗原検査キットが医療現場ですら足りない状況だということであります。

 総理にお伺いしたいんですけれども、昨年の夏以降、抗原検査キットの確保についてどういう努力をされてきたんですか。

岸田内閣総理大臣 抗原検査キットについては、職場において、昨年六月から、直接入手をして検査できるようにし、そして、高齢者施設に対して、昨年七月から七百八十万回分の配付を行いました。そして、さらに、家庭等で検査ができるようにするため、昨年九月末には薬局における販売を可能とし、直接入手することができるようにし、昨年十一月には、一層入手できるよう、薬局での広告や店頭陳列も認めている。さらには、昨年十二月末には無料検査事業を開始した、こうしたことであります。

 昨年までは、この抗原検査キットの使用、これは今の状況と比べますとかなり低調でありました。しかし、ここへ来て、オミクロン株の感染拡大もあり、この感染キットの要望は格段に高まっている。

 こういった状況も鑑みて、今、後藤大臣から紹介させていただきましたように、四百六十万の在庫に対して、毎日八十万回分の増産を加えて、こうした要望に応えていこうという体制を取っているというのが現状であります。

宮本(徹)委員 抗原検査キットの、昨年来、販売する場所を増やしたという話がありましたけれども、抗原検査キットをどう確保するのかという話が全然昨年来やられていなかった、つい最近になってからやったという話じゃないですか。

 余りにも私は後手後手過ぎると思います。私は去年の夏に提案して、尾身会長だって、国として検討に値すると専門家の立場でおっしゃっていたわけでございます。

 総理は、先週、抗原検査キットの増産の指示を出したということでございますけれども、抗原検査キットの国内供給能力を総理が知ったのはいつなんですか。

岸田内閣総理大臣 済みません、国内供給能力について知ったのはいつか、ちょっと質問の趣旨を十分把握しておりませんが、要は、国内の供給体制については、昨年九月に薬局においてキットの販売が可能になったことを受けて、メーカーに対して増産を要請いたしました。そのことによって、在庫数はそれ以降順次増加し、昨年十一月、十二月以降では、常時、約六百万回分が保有されていた、こういった供給体制になっていたと承知をしています。

 ただ、ここへ来て需要が高まったことから、足下の数字、これが四百六十万回分になった、これを先ほど後藤大臣から紹介させていただいた次第であります。

宮本(徹)委員 そうすると、六百万を目指してずっと確保していたという話じゃないですか。

 デルタのとき、デルタは国民の皆さんのワクチン接種で急速に抑え込む、これができましたけれども、デルタのときだって、国民全員が感染するかも分からないと言われていたわけですよ。オミクロンはもっとすごいスピードで広がっている。そして、オミクロンの亜種はその更に二倍だということを言われているわけですよね。

 本当に、検査して診断するというのは、一番、治療につながる上でも出発点ですからね。それが全く備えがなっていなかったと私は言わなければならないと思います。私は、本当にこのままいったら、八十万の増産といっていても、これでも足りなくなると思いますので、いろいろな手だてを取って、更に確保に努めていただきたいと思います。

 次に、医師、看護師等の国家試験についてお伺いいたします。

 試験が来月に迫っております。コロナに罹患していれば受験ができません。病院は国家試験合格を前提に四月入職者の内定を出しているため、試験を受けられない影響は受験生にも病院にも出ます。

 大学入試については、文部科学省が各大学に要請し、新型コロナに罹患した人にも追試験などの機会が設けられております。

 医師、看護師等の国家資格についても、過去には、二〇一四年の看護師国家試験では、大雪の影響で万全な体調で受験できなかった人のために、三月に追加試験が行われております。

 総理、この医師、看護師等の国家試験について、今回、新型コロナに罹患して受験できない方々にも追試験などの機会を設けるべきではないですか。

後藤国務大臣 医師、看護師等の国家試験の追加試験につきましてですが、こうした試験は職業資格を担保するための国家試験でありまして、広く青少年にチャレンジの機会を与えるための、そうした選別の大学受験の試験とか、そういうものとは、国家試験としての性格として違うものだと思っております。

 そして、本試験と同等の質、量を担保した試験問題ということになりますので、これを短期間で作成、実施することはなかなか難しいというふうに考えております。

 国家試験においては、従来から心身の不調を理由とした追加試験は実施しておりませんので、緊急事態宣言下にあった昨年も行っていないということでございます。

 そうした事情を考慮しますと、本年の国家試験においても追加試験の実施は難しいと考えておりますけれども、一方で、試験当日に発熱症状がある者に関して、試験会場で抗原検査キットによる検査を実施して陰性の場合とか、あるいは、試験前に濃厚接触者とされた者に対し、試験当日に無症状等の条件を満たした場合には別室で受験をさせる等、特例的な対応をすることで、コロナ禍においてもできる限り受験が可能となるように最大限の措置を講じてまいりたいというふうに思っております。

 平成二十六年の大雪の際、交通障害によりまして受験会場に到達できなかった方がおられた看護師国家試験の追加試験、確かに実施をいたしました。これについては、一部の地域、限られた職種、つまり看護師だけです。その特例的に実施したものでありまして、先ほど申した幾つかの理由から、緊急事態宣言下にあった昨年も行っていない、それと類似の取扱いにするように今考えております。

宮本(徹)委員 いや、昨年が間違っているわけですよ。昨年も私はこれを求めましたよ。何で大雪の被害のときは再試験ができて、コロナ禍のパンデミックなら、感染していたら再試験、追試験が設けられないのかと。パンデミックの中で感染することは自己責任なんですか。違うでしょう。

 医療現場は本当に、長引くコロナ禍で深刻な疲弊状況にあるわけです。こうしたときに使命感を持って入職しよう、看護師さんになろう、お医者さんになろう、こういう方は、本当にどんなことがあっても、本来、人材確保をするために国は努力しなきゃいけないんじゃないですか。

 総理、ちょっと、検討するという指示を出してくださいよ。

岸田内閣総理大臣 ただいま後藤大臣から御説明させていただきましたように、医師国家試験を始めとする国家試験の様々な事情を勘案して、追試験は難しいという判断を厚労省としてもしていると承知をしております。

 当日の別室での試験、濃厚接触者に対しての配慮等、別室での試験等の様々な工夫はしているかと思いますが、追試験については厚労大臣が今説明したとおりであると私も認識をしております。

宮本(徹)委員 全く説明になっていないですよ。大雪でできて、パンデミックでなぜできないのか。本当に聞く力があるんだったら、こういう医療現場の声こそ聞くべきだということを申し上げておきたいと思います。

 次に、総理の新しい資本主義についてお伺いをいたします。

 総理は、施政方針で、新自由主義的な考え方が様々な弊害を生んだと述べ、様々な弊害を是正する仕組みを資本主義の中に埋め込むと述べられました。しかし、格差や貧困を是正するために日本経済に埋め込まれていた労働法制や社会保障、直接税中心の累進課税などを次々壊してきたのが歴代の自民党政権であります。弊害を是正するというのであれば、この間の政策への根本的な反省が求められます。

 総理は弊害の一つとして、公平な分配が行われずに格差や貧困の拡大をもたらしたと指摘されました。この間、ワーキングプアと呼ばれる低賃金の方々が増える一方、企業の内部留保と配当が増えております。

 そこで、総理にお伺いをいたします。

 この間の自民党政権の行った政策のうち、どの政策が新自由主義的な考え方によって日本社会に貧困と格差をもたらしたとお考えですか。

岸田内閣総理大臣 私が申し上げたのは、一九八〇年代以降、新自由主義的な考え方が世界的に主流とする中で、欧米諸国を中心に中間層の所得が減少し、格差や貧困が拡大したということであります。例えば、国民総所得に対する雇用者報酬の割合を示す労働分配率で見ると、日本は横ばいである一方、アメリカ等の先進国では趨勢的に低下傾向にあるということであります。

 そして、我が国ということで申し上げるならば、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレによって停滞の時代を経験し、企業は投資や賃金を抑制し、消費者は将来への不安などから消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷し、デフレが加速するという悪循環であったと承知をしております。その結果、我が国の人的投資や設備投資の対GDP比、また可処分所得の伸び、これは主要先進国に対して劣後してしまいました。

 デジタル化や気候変動といったイノベーションの波、あるいは世界的な課題への対応に乗り遅れてしまった、これが我が国の現状であると認識をしています。この現状に対して、しっかりと経済再生に向けて新しいモデルをつくっていこうではないか、こういったことを申し上げております。

宮本(徹)委員 何か、格差と貧困が広がったのは世界の話であって、日本の話じゃないみたいな答弁ですけれども。

 総理、総裁選のとき、こうおっしゃっていたんですよね。小泉構造改革以降の規制緩和、構造改革の新自由主義的な政策は富める者と富まざる者の格差と分断を生んできた。総理自身が、この間の新自由主義的な政策で格差を生んできたというふうにずっとしゃべっていたじゃないですか。総裁選ではそういうことを話しても、総理になったらそれは否定されちゃうんですか。

岸田内閣総理大臣 新自由主義的な経済政策によって市場や競争が重視されたことによって様々な課題も生じてしまったということを申し上げてきました。

 新自由主義的な経済政策そのものについては、まずは成長のエンジンとして大きな役割を果たしたと思っています。ただ、その中でも幾つか課題が生じてしまった。その一つとして格差の問題もある。ただ、格差の問題については、所得の格差だけではなくして、大企業と中小企業、大都市と地方、様々な格差が生じている。これをしっかりと目を向けて様々な対策を資本主義の中に盛り込もうではないか、こういったことを申し上げてきました。

 問題意識は変わっていないと思っています。

宮本(徹)委員 じゃ、どの新自由主義的な政策が格差と貧困を広げたのか、ここをなかなか岸田総理はおっしゃらないわけですけれども、私はその最たるものは労働者派遣と有料職業紹介の原則自由化だというふうに思います。

 戦前、人貸し業が横行し、ひどい中間搾取やピンはねが行われて、労働者は無権利状態に置かれておりました。この反省に立って、戦後の労働法制は、賃金をピンはねする労働者供給事業や有料職業紹介を罰則をもって禁止して、直接雇用を原則といたしました。

 ところが、一九八六年に一部の専門業種で労働者派遣が解禁され、一九九九年には労働者派遣が原則自由化されました。以来、派遣労働者が低賃金の雇用の調整弁として扱われ、このコロナ禍でも多くの方が仕事を失いました。

 年末年始の年越し相談村に私も生活相談員として参加をいたしましたけれども、ある方は、十八歳の高卒以来、派遣労働者として働いていたけれども、コロナ禍で派遣の仕事が大きく減って生活に窮している、こういうお話を伺いました。私も、政治の責任に大変胸が痛みました。

 岸田総理、自民党政権が行った労働者派遣の原則自由化が、雇用の非正規化、不安定化を広げ、貧困と格差を広げた一因だという認識はありますか。

後藤国務大臣 平成十一年の労働者派遣法の改正による対象業務原則自由化は、当時の非常に厳しい雇用情勢に加えまして、ILO第百八十一号条約において、労働者派遣事業を含む民間の労働力需給調整事業の運営を原則全ての業務で認めた上で、その労働者を保護することを目的とする制度をつくるということでございましたので、そうしたものを踏まえまして改正したものでございます。

 これにより、多様な機会、雇用の機会の拡大につながったものと考えておりますが、非正規雇用労働者の待遇改善が必要となった面もあったというふうには考えております。

 非正規雇用労働者の待遇改善については、同一労働同一賃金の導入など、労働者の保護に欠けることがないように十分留意しつつ、多様な働き方を選択できるようにするため、必要な制度整備を行ってきたところでございまして、労働局による助言指導等により、雇用形態にかかわりない公正な待遇の確保に向けて法の履行確保を図っていく必要があると思っております。

宮本(徹)委員 非正規労働者の待遇の改善が必要になった面もあるということを大臣はおっしゃいましたけれども、そういう格差をもたらした、待遇の劣化をもたらしたということの反省の言葉が私は必要なんじゃないかというふうに思いますよ。

 私は、資本主義の中に弊害を是正する仕組みを埋め込むというのであれば、派遣労働については、やはり臨時的、一時的な業務に厳格に限定して、一年を超えれば直接雇用に転換できる法改正を行い、非正規労働から正規雇用への転換を促進すべきだと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 労働者派遣法におきましては、派遣労働者の同じ職場への派遣は三年を上限とすることになっておりまして、派遣の受入れは、今委員もおっしゃったように、あくまで、原則、臨時的、一時的に限ることとしております。

 加えて、一定の派遣期間、三年でございますけれども、が満了する場合の派遣先に対する直接雇用の依頼や計画的な教育訓練の実施などを派遣元の義務として定めておりまして、派遣労働者の方の正社員化や待遇改善に取り組んできているというふうに考えております。

 派遣期間が一年を超えれば直接雇用に転換することを法律に位置づけるのかという御提案についてでございますけれども、かえって派遣労働者の方の雇用の場を狭めるおそれもあるのではないかというふうに考えております。

 非正規雇用労働者の待遇の改善につきましては、同一労働同一賃金の導入など、労働局による助言指導等により、雇用形態にかかわらない公正な待遇改善の確保に努めてまいりたいと思います。

 また、非正規雇用の方の正社員化について、キャリアアップ助成金による支援や、人への投資、三年で四千億円の施策パッケージ等も創設しておりまして、分配戦略を強化しつつ、様々な施策を通じて、非正規雇用労働者の待遇改善と正社員化を推進してまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 現状は、三年たつ前に契約更新を行わないということがあちらこちらで行われているのは御存じでしょう。しかも、このコロナ禍の中、真っ先に雇い止めに遭った方々は派遣労働者の皆さんでしたよ。皆さんもたくさん相談を受けたんじゃないですか。こういうのをどう繰り返さないのかということを真剣に考えるのが、資本主義の弊害を是正する仕組みを埋め込んでいくということなんじゃないかと私は思いますよ。

 もう一点、一九九九年に、労働者派遣と同時に全面的に自由化されたのが有料職業紹介であります。それまで、有料の職業紹介は一部業種に限定され、紹介手数料の上限も年収の一〇%程度に制限されておりましたが、紹介手数料の上限も取っ払ってしまいました。

 さらに、二〇一四年には、ハローワークの求人情報が人材紹介会社に提供されるようになりました。これが今大変な問題を引き起こしております。医療、介護、保育の現場では大きな弊害が生まれております。

 社会保障費の抑制がもたらした低賃金、きつい労働条件による慢性的な人手不足の中、人材紹介会社が営業攻勢をかけ、人材手数料も年収の二〇%、三〇%、三五%と上がっております。

 ちょっとこれは数字を紹介してほしいんですけれども、二〇一四年と比べて人材紹介会社が手にした手数料収入は、介護関係、保育士、それぞれ幾らから幾らに増えておりますか。

後藤国務大臣 民間職業紹介事業者からの毎年度の事業報告によりますと、介護サービスの職業の紹介手数料収入は、二〇一四年度で二十五億円、二〇一九年度では約二百十八億円となっております。また、保育士の紹介手数料収入は、二〇一四年度約十二億円、二〇一九年度で約百二十八億円となっております。

宮本(徹)委員 今の数字のとおり、人材紹介会社の手数料収入は、この間、介護は八倍、保育士は十倍、ちなみに看護師さんも二〇一三年比で五倍に増えております。

 一般企業への人材紹介とは違って、医療、介護、保育の事業所が支払う人材紹介手数料の原資というのは、国民の皆さんの税金であったり保険料ということになります。事業者の皆さんからも、本来ならば給与の改善に充てるべきものが人材手数料に消えていくのは悔しい、こういう声が上がっております。ある社会福祉法人からは、今年度、既に紹介手数料が一千万円を超えた、こういう声も届いております。

 病院協会等の二〇二〇年の調査では、一般病院の利益率一・八%に対し、人材紹介手数料の平均比率は〇・三八%、一部の病院では二%前後になっている。また、福祉医療機構の調査でも、小さな保育園では、人材紹介手数料が収入の約二%、中には五%にも達している。医療、介護、保育の事業所の経営が人材紹介手数料で圧迫される事態すら、今、起きております。

 しかも、厚労省の調査でも、人材紹介会社からの就職はハローワークからの就職に比べて短期で離職する、これが、率が高い。そして、短期で離職と就職が繰り返されれば人材紹介会社の利益になり、事業所は更に経営が圧迫されるということになっております。

 一九九九年、有料職業紹介を自由化した国会で、当時の担当大臣からは、規制緩和することで働く者も使用者の側もメリットが大きいと言っておられましたが、介護や保育の分野で働く者にどんな大きなメリットがあったんですか。

後藤国務大臣 有料職業紹介事業が原則解禁されました職業安定法の改正、これも先ほど御紹介させていただいたILO一八一号条約において根拠のあるものでございますが、それによりまして、これまでハローワークが独占的に行っていた職業紹介について、民間事業者も……(宮本(徹)委員「短く短く。メリットだけ言ってください」と呼ぶ)はい。

 求職者が自分の希望に合った求人を探す上で選択肢が広がったこと、多様なサービスが展開されている中で自分に合ったサービスを行う事業者を選ぶことも可能になったというのがメリットだと考えております。

宮本(徹)委員 現実には、多様なサービスといいながら、ハローワークの情報を使って民間人材紹介会社はやっているだけで、就職先のメニューが増えるわけでもないわけであります。さしたるメリットはない。それどころか、本来ならば労働者の賃金に回すべき保険料、税金が人材紹介会社に流れて、労働者に回らないわけですから、どう考えても、その分賃金は増えないわけですよ。

 大したメリットはないのに、事業者も経営に苦しむ、労働者も賃金がその分増えない、人材紹介会社だけがもうかる、こういうことになっているわけですよね。岸田総理も、この弊害に是非目を向けてほしいと思います。

 医療、介護、保育の事業所や関係団体からは、弊害の是正を求める切実な要望が繰り返し出ております。一つは人材紹介手数料の適正化、上限規制です。もう一つはハローワークによる職業紹介の充実であります。

 総理、少なくとも、医療や介護、保育など、税金や保険料を財源とする公的分野については、人材紹介手数料の上限規制を設けるべきではないですか。また、医療、介護、保育関係は国が責任を持って、無料で迅速に職業紹介できるように、ハローワークに専門部門を設けるなど、ハローワークの拡充を図るべきではありませんか。

後藤国務大臣 紹介手数料の水準につきましては、労働市場の需給の状況に応じて変動するものだというふうに思います。また、求人の内容に応じて様々であるために、一律に上限を設けることについて、そこは慎重に検討が必要になるのではないかと考えております。

 厚生労働省としては、利用者のニーズに合った職業紹介事業者を安心して選択できる環境を整備することが重要であるというふうに考えておりまして、先生のおっしゃっているようないろいろな事情についても、十分目を光らせていく必要もあるというふうに思います。

 平成三十年一月から施行されている改正職業安定法に基づき、手数料等の情報開示を義務づけるとか、職業紹介事業の利用者である医療、介護、保育分野の業界団体等が参画しました、医療、介護、保育分野における職業紹介事業に関する協議会におきまして適正な職業紹介事業者の基準を策定しまして、今年度より、基準を満たす事業者を認定する制度の運用を開始したところでもございます。

 こうした取組を通じて、利用者が優良な職業紹介事業者を選択することが可能な環境を整備することによりまして適切に役割を果たせていくように考えていきたいというふうに思っております。

 また、医療、介護、保育関係等の人材不足分野のマッチングを支援、強化するために、令和四年度予算案にハローワークの専門窓口である人材確保対策コーナーの拡充を盛り込んでおりまして、引き続き人材不足分野の人材確保に取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 一律の上限規制は慎重だという答弁がございました。

 そして、ホームページで適正な事業者、これを公開しているんだという話もありましたけれども、新しく適正な事業者の認定制度、何が適正なのかなと思うんですけれども、それを見ても、手数料三五%とか掲げているところも適正だとなっているわけですよ。

 手数料の上限規制をやらない限りは、本当に皆さんの保険料や税金が働いている方々には行かないということになるわけであります。

 元々規制があった分野ですよ。その規制を取っ払って弊害が起きているのに、その弊害を是正しようともしない。これが新しい資本主義なんですか。

 ちなみに、この労働者派遣の自由化、職業紹介の自由化、ハローワーク情報の民間開放、こうしたものについて、政府の会議の中で主張し、旗を振ってきたのは誰か。今は人材派遣、人材紹介大手のパソナの会長になっている竹中平蔵さんであります。

 それで、岸田総理は、この竹中平蔵さんを総理の看板政策の会議のメンバーに選んで、これまでの政権同様、重用しているわけでございます。

 総理、これでは、弊害を是正する仕組みではなく、新自由主義的政策を進める仕組みを引き続き埋め込んでいる、こういうことなんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の竹中平蔵氏につきましては、政府の会議の中で、デジタル田園都市国家構想会議において議論に参加していただいているということであります。全体の枠組みではなくして、デジタル、この分野において今日までの知見に基づいて貢献していただければということでお願いをしている次第であります。

宮本(徹)委員 今日私が指摘した弊害について、岸田総理も一つ一つ見直すということはおっしゃられませんでした。総裁選のときには、新自由主義的な政策を見直すとおっしゃったにもかかわらず、具体的に一つ一つ指摘してもそれは正されない。労働者派遣法、人材紹介業の自由化で富を増やしたのは、派遣会社、人材紹介会社だけではございません。コストカットで大企業は利益を増やし、巨大な内部留保を積み上げました。

 結局、総理の言う新しい資本主義は、財界のもうけ優先の自民党政治の継続にすぎない、私はそう思わざるを得ません。新自由主義的な政策の根本的な転換を求めたいと思います。

 次に、男女の賃金格差の是正についてお伺いをいたします。

 総理が、我が党の求めに応じて、男女の賃金格差を有価証券報告書の開示項目にすること、また、女性活躍推進法での開示の充実を表明したことは一歩前進であります。

 配付資料を見ていただきたいんですけれども、現在の女性活躍推進法では、そもそも男女の賃金格差の把握が義務づけられておりません。また、情報開示も、女性労働者への機会提供やワーク・ライフ・バランスの指標、たくさんある項目から企業が一つないし二つ選んで公表するという仕組みであります。この選択項目に男女の賃金格差を加えても、公表する、しないは企業任せになるということであります。

 総理、この女性活躍推進法で、男女の賃金格差については必ず把握すべき基礎項目に加える、そして、男女の賃金格差を含めて、少なくとも基礎項目については企業に公表を義務づける、こういう仕組みが必要なのではないですか。

岸田内閣総理大臣 女性活躍推進法ですが、求職者の職業選択等に資するよう、女性活躍に関する情報の公表を義務づけることで、企業に女性活躍推進の取組を促しており、結果として、男女間賃金格差の是正も期待してきたところですが、その際に、同法においては、女性活躍の状況や課題が事業主によって様々であることを踏まえて、その実情に応じた取組が進められるよう、今委員の方から御指摘ありましたように、省令で定めた一定項目の中から企業の規模に応じた項目数を選択して公表することを義務づけております。

 そして、昨日私から申し上げたとおり、依然として男女間賃金格差が大きい状況も踏まえ、男女活躍推進法のスキームを更に実効あるものにするよう、男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しについて具体的に検討し、速やかに着手してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 だから、その答弁があったから私は聞いているわけですよ。具体的に、じゃ、どうするのかということで、必ず把握すべき基礎項目に加える、そして、それも含めて企業には公表を義務づける、こうした仕組みが必要ではないかと言っております。

野田国務大臣 まず、我が国のジェンダーギャップ指数が非常に低い、百五十六か国中百二十位というのは大変残念なことで、特に、御指摘の男女の賃金格差を含む経済分野においてはスコアが大変低調です。我が国の取組が諸外国と比べて非常に遅れているということを示していますし、御理解いただきたいと思います。

 男女の賃金格差の是正に向けて、例えば、諸外国においては、一定規模以上の企業に対し、男女の賃金格差の公表の義務づけが行われている例もあると承知しています。

 こうした諸外国の状況もしっかり分析しつつ、依然として男女間賃金格差が大きい状況も踏まえて、女性活躍推進法のスキームが更に実効のあるものになるよう、今総理からもしっかりと前向きなお話をいただきましたので、男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しについては、厚生労働大臣と連携しながら、具体的に検討し、速やかに着手してまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 今までじゃなく、ちゃんと義務づける、そこまでやる方向で検討されている、検討していこうという意思があるという、うなずいていただければいいですので。うなずいているということですので。(発言する者あり)いや、いいです、いいです。時間がないので、次に行きます。

 さらに、やはり情報開示を求めた上で、企業にその情報に基づいて格差の是正を義務づける仕組み、これを設けないと前には進まないと思います。

 開示を義務づけた上で、その情報に基づいて格差の是正を義務づける、これにも取り組まれますか。

後藤国務大臣 先ほどの話から言いますと、まず……(宮本(徹)委員「ちょっと短く」と呼ぶ)分かりました。

 それでは、開示させる情報をどう生かしていくかということでよろしいですね、そちらの方だけで。

 女性活躍推進法については、行動計画策定義務の拡大などを盛り込んだ改正がこの四月から完全施行されることになっておりまして、今、その施行に万全を期しているところです。

 依然として男女間賃金格差が大きい状況も踏まえて、同法のスキームが更に実効あるものとなるように、男女間賃金格差そのものの開示を充実する制度の見直しについてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 ちゃんと格差の是正を義務づける仕組みがないと、開示だけなら、一九九九年三月までは有価証券報告書にも男女別の従業員の平均給与月額は開示されておりました。それでも男女の大きな賃金格差がありました。開示だけじゃなくて、賃金格差を是正する具体的な仕組みが必要だということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 最後に、女性の賃金が低いことは、教育も含めて深刻なゆがみを私たちの国にもたらしております。

 パネルを見ていただきたいんですけれども、OECD諸国の中で日本だけが、女性の方が四年制大学の進学率、大学院の進学率が低いということになっているわけでございます。

 もう一つのパネルを見ていただきたいんですけれども、なぜ日本だけが女性の進学率の方が低いのか。幾つか理由がございますけれども、その一つは、やはり高等教育を受けたことでどれだけ生涯収入が増えるのか。

 これは、パネルですけれども、各国比較です。日本の女性は、高等教育を受けたことによる収入の伸びが諸外国の中で断トツに低い、小さい。男女の収入格差がこの点でも極めて大きいということになっております。

 総理、最後の質問ですけれども、男女の賃金格差が日本の若い女性の進路選択を狭める大きな要因の一つになっている、こういう自覚はございますか。

岸田内閣総理大臣 御質問に端的に答えるならば、御指摘のとおり、賃金格差が女性の進路選択に影響を与えると考えられると認識をいたします。

宮本(徹)委員 ですから、私たちのこの国をこれから発展させていく、成長させたいというのは本当に皆さんの多くの思いだと思いますけれども、社会の半分を占める女性の力を入口のところから発揮させない国に私たちの国はなってしまっている。これは社会にとっても大変大きな損失だと思います。

 ジェンダー平等をあらゆる面で、そして土台中の土台である賃金の面で進めてこそ、結果として、私たちの社会は本当に住みよく、そして経済も発展していく、こういう国になっていくんだということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗でございます。

 本日は、委員長、そして理事会、さらには、とりわけ立憲民主党、日本維新の会の皆さんに、このように質問の時間を譲っていただいたことに感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 総理、時間が余りございませんので簡潔にお話ししたいと思いますが、本題に入る前に、コロナの影響で、地域の特に中小零細企業、個人商店、商店街、ここが非常に厳しい状況にありまして、去年、後半に大分景気は回復してきたんですけれども、またこのオミクロン株の出現で非常に見通しが不透明になってまいりましたので、迅速かつ柔軟な中小零細企業対応をまずはお願いをしたいというふうに思います。

 その上で、大事なのは、このコロナの問題もありますけれども、若干景気が回復しても、結局、その回復率がほかの国に比べると鈍い、成長率がなかなか上がらない。これは当たり前の話で、コロナに関係なく、我が国の経済の底力というものが非常に弱ってきているというふうに思っています。

 そういう中で、総理は、新しい資本主義、分配によって成長をするという話をされておりますが、私は、分配というのは、税金を集めて、そして格差を是正するために社会的、経済的弱者にお金を支援するというのが基本的に分配なんですが、必ずしも、全て成長に結びつくとはとても思いません。私が今日問題にしたいのは、家庭支援、子育て支援、少子化対策ですね、これは私は経済の、時間はかかりますけれども、底力をつけるためには非常に有効だというふうに思っていますので、この点について質問していきたいというふうに思っています。

 十五歳から六十四歳の現役世代、これが一番、多分、物を買い、サービスを買う、消費力の一番ある世代だと思います。それから、文字どおり、十五歳から六十四歳の現役世代というのは、働く世代でありますので、労働力を提供する世代。逆に言えば、近年、ここが数が減ってしまって、人手不足というものが生じている。景気がよくて注文が入っても、工場はそれに対応できないというのが今の状況だというふうに思います。

 ところが、総理、この働く世代、現役世代、これがピークが一九九五年、大体、全人口の七割弱ありました。これが今や、全人口の六割弱にまで減っている。更に言えば、二十年後、これが半分ぐらいになっちゃうんですね、全人口の。これは恐ろしいことだというふうに思います。

 違う切り口でいえば、二〇二〇年に生まれた子供さんの数、大体八十四万八百三十二人です。これは皆さん……(発言する者あり)大体というか、そのまんまやね。正確です。八十四万八百三十二人。これは、第一次ベビーブームの数の三分の一にすぎないんです。第二次ベビーブームの四分の一にすぎないわけです。

 ですから、こういう状況の中で、生産性を上げるとかいろいろ言っておりますけれども、やはり経済だけじゃなくて、国力、国の力そのものにつながる話でありますので、是非ここに力を入れていただきたい。

 ところが、今年度の予算、分配による成長とおっしゃっていましたから、期待を持って見ましたら、五百三十九億円でしたっけな、少子化対策が増えている。ただ、増えているといっても微増だ、残念ながら。というのは、先進国で、少子化の先進国、スウェーデンとかフランス、GDP比で、日本というのはおよそ半分ぐらいしかないわけです。ですから、ここに力を入れないといけないと私は思っています。

 最初の質問は、予算の規模の、そういう大ざっぱな話じゃなくて、具体的な課題があるというふうに思っています。

 一つは、保育支援の問題で、これは、保育の無料化ということで、三歳から五歳の方々は無料、そしてゼロ歳から二歳までは非課税世帯は無料だということになっています。これはこれで結構なことです。

 しかし、保育所を利用している世帯ばかりじゃないわけです。在宅、おうちで育てている方々もたくさんいる。むしろ、こっちの方が圧倒的に多いわけですね。ところが、国の支援、これに大きな格差があるわけです、この二つの世帯の間に。これを問題にしたいわけです。

 例えば、私の地元の京都市の試算によりますと、ゼロ歳児には保育所に対して二十三万円、国の税金が投入されている。一歳児、二歳児は大体十六万円ぐらいだと。全国、大体同じような状況だというふうに思います。しかし、一方で、いわゆる在宅育児の世帯というのは基本的にゼロです。全く支援がないわけですよ、ほとんどね。

 そういう中で、私が申し上げたいのは、同じ子育てです。同じようにこの人たちは消費税を負担しているんですよ。しかし、この差は一体何なのかということでありまして、私の提案としては、例えば、ゼロ歳から三歳までは在宅育児に対して月々十万円支給するとか、こういった政策がよいというふうに思いますけれども、総理の御意見を聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、二歳児までの約六割が保育所等を利用せず、在宅での子育てということになっています。

 こうした家庭に対する支援、現状、様々な支援を紹介させていただくならば、家庭生活の安定や児童の健やかな成長に資するため、中学生以下の子供を持つ方に支給する児童手当があり、そして、子育てをする親子が気軽に相談、利用できる地域子育て支援拠点があり、また、冠婚葬祭や保護者のリフレッシュなど、一時的に子供を預かってもらえる一時預かり、こういった事業を実施しているわけですが、今後とも、児童手当等の現金給付と、そして子育て支援サービス等の現物給付、この組合せによってニーズに応じた支援を行っていきたいと、政府の方針として考えております。

北神委員 その支援は本当に大事だと思います。しかし、今私が提起しておったのは、保育所を利用する世帯と、利用しない、在宅で育児をする世帯の、この不均衡があるわけですよ、国の支援。ここをやはり是正したい、是正すべきだというふうに思います。

 これは、不均衡の、格差の問題だけではありません。先ほど申し上げたように、ゼロ歳児というのは八五%が在宅育児です。一歳児、二歳児の半分が在宅育児なんです。ですから、保育所を無料化しても、実は広くこの支援というものは行き渡らないので、もう時間がありませんので要請だけしておいて、次の質問に行きたいというふうに思っています。やはりここの格差、そして、もっと幅広くやることが私は大事だというふうに思っています。

 もう一つは、問題点が、いわゆる一時保育。基本的には在宅育児だけれども、いろいろな用事ができたり、いろいろな、緊急時や、あるいは自分の就職活動をするときに一時的に預けるという一時保育です。

 在宅育児の皆さんは、経済的支援の部分でも厳しい状況にありますけれども、心身共にしんどいという叫び声というものが聞こえております。これは、昔みたいに、お父ちゃん、お母ちゃんがいて面倒を見てくれるというような状況ではありません。もちろん、そういう、同居している世帯もいますけれども、非常に少ない。近くにいたらいいですけれども、近くにいても、まさに政府が進めた一億総活躍ということで、結構高齢者の方も仕事をしている方が多い、なかなか親御さんに預けることはできない。そういう中で、お父ちゃんやお母ちゃんが自分で抱え込んでしまって、精神的に追い詰められたり、場合によっては虐待に、非常に悲しいことですけれども、つながることも多くなっているというふうに聞いております。

 ですから、私が申し上げたいのは、この一時保育、ここを是非充実をしていかないといけない。というのは、一時保育に預けようと思っても、保育所がもうなくなってしまったとか、あるいは断られたとか、空きがないとか、やはりこういう状態が多いので、私が申し上げている在宅育児と同時に、一時保育の方もやはり充実すべきではないでしょうか。総理の御意見を聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、一時保育の重要性については、私も同感であります。

 昨年十一月ですが、私も、保育所を訪問し、車座で、保育士を含め現場の皆さんのお話を伺う機会がありました。その中で、保育士の皆さんからも、直接、自らの子育ての中に一時保育を利用した、こういった経験についてお伺いしたり、さらには、親がリフレッシュすることで虐待を防ぐことにつながる、こうした一時保育、一時預かりの重要性について御意見をいただきました。改めてその重要性を認識するところです。

 そして、核家族化や地域のつながりが希薄化する中で、乳幼児を在宅で育てる保護者の負担を軽減するために、保護者のニーズを踏まえて計画的に一時預かり事業の体制整備を進めるよう市町村に求めるとともに、国から運営費の補助、これは行っているところです。

 また、子育ての困難性が増し、虐待も増えている、こうした中で、一時預かり事業を始めとする在宅の子育て家庭に対する支援、これを更に充実させるために、今国会に児童福祉法の改正案、これを提出すべく準備を今進めているところであります。

北神委員 ありがとうございます。

 一時保育は一種、待機児童のような、これは多分、都市部中心だと思いますけれども、そういった状態になっていますので、ここを拡充することが非常にこの方たちにとっては大きな救いでありますので、ここを是非早急に充実を要請したいというふうに思っています。

 いずれにせよ、少子化という問題は、総理が掲げている新しい資本主義というんでしたら、やはり最優先に私はやるべきだというふうに思っています。

 なぜなら、少子化の一番の原因である、経済的な理由で結婚したいけれどもできない、子供を欲しいけれども経済的な理由で産めない、産まない、これ自体が国として誠に私は情けない話だというふうに思っています。先ほど経済成長の話もさせていただきましたが、経済にとどまらず、国の力、国力そのものの問題だというふうに私は思っています。

 一つは、例えば、こういう話をすると、若い人たちばっかりや、何でそんなことばっかり言うんだというふうに言われます。しかし、医療、年金、介護、お年寄りの老後を支える社会保障の財源の七割以上が、現役世代が保険料や税金で負担をしているわけであります。年金が毎年毎年削られるのは、この人たちがどんどん減っていって、財政の基盤というものが崩れているからであります。

 二つには、国の防衛、災害、これに当たっている自衛隊も、どんどん数が減ってきている、いわゆる採用の数が減っている。計画割れ、五年連続続いたこともありました。

 地元の京都の自衛隊の地方本部長、これは亀井さんという女性の方でしたが、この方が講演の中で、最後に、質疑のときに、皆さん、自衛隊にとっての最大の脅威は何でしょうか、こういうふうに聞いたんですよ。まあ、みんな、愛国者たちが、北朝鮮、中国、こう言うんですよ。そうしたら、違います、少子化ですと。こんなに自衛隊に入る人たちが減ってしまって、一体どうやって中国や北朝鮮と伍するんだ、誰が一番この状態を喜んでいるんだ、それは習近平や金正恩さんに違いない、こういう話もあったわけでございます。

 もう一つは、国力の問題という意味では、例えば、地域の活気、それから中山間地域のいわゆる過疎化の問題ですね。東京一極集中をやめてどんどん地方に呼び戻すとかいっても、全体のパイが減っているわけですよ。農業の新規就農といっても、若い世代がこんなに減っている。これはとんでもない話だというふうに思っています。

 最後に、経済の問題でも、よく、いや、そんなに人口を増やすといったって時間がかかる、生産性を上げなあかんと。生産性を上げるというのはそんな簡単な話じゃないんです。

 もっと言えば、生産性によく結びつく技術革新、これは日本銀行が調査をしてこういうレポートを出しています。技術革新というのは、やはり、実は若い世代が一番柔軟で大胆な発想を持っている、実は少子化というのは技術革新にも悪影響を及ぼす、こういうレポートもあるわけでございますので、これはやはり国力全体の問題だということを申し上げたいというふうに思っています。だからこそ力を入れるべきだというふうに思っています。ですから、数百億円増やすとかそういう話じゃなくて、お金がかかります。これは数兆円の話です、本格的にスウェーデンやフランス並みにやるのであれば。

 どうせね、これは財務大臣に聞きたいと思いますけれども、財務省はこれは嫌がるわけですよ。嫌がるんですわ。でも、財務省に私、言いたいのは、単年度の赤字を減らすだけが仕事じゃないんじゃないの、やはり、人の営みの中で最も尊い子育てをしっかりと支援して、国民が豊かに生活をし続け、そして、若い人たちがそれぞれの夢や志を実現できるような道筋を示すのも、私は財務官僚の仕事だというふうに思います。(発言する者あり)そうですよ。予算官庁じゃないんですよ、財務省は。経済官庁であります。であるならば、経済の成長の話をしっかりと国民に向けてしなければいけないと私は思います。

 私は何も、また十万円配ってくれとか、そんな話じゃないんです。目先のばらまきをしたいとかそういう話じゃなくて、今申し上げたような、子育て、少子化対策に向けるような、国力そのものを底上げするような、こういったことを財務省として示すべきじゃないか。こういう経済成長論というものがあって初めて、私は、その中で財政規律、いかに経済成長の中で赤字を減らしていくのか、これを示すのが財務官僚であり、そのぐらいの大きな国家的視野を持って、財務官僚にはその能力と使命感を発揮してもらいたいと思います。

 大臣、どうですか、ちょっと指導してやってもらえないですか。

鈴木国務大臣 財政規律は守りながらも、必要なところにはしっかりと予算をつけて、めり張りのついた質のいい予算をつくっていくということ、これが大切である、こういうふうに思っております。

 令和三年度補正予算につきましても、新型コロナ対策に万全を期しつつ、科学技術立国、デジタル田園都市国家構想、経済安全保障といった分野にもしっかりと予算措置を行いまして、経済成長を実現していくことを考えております。

 また、令和三年度補正予算と一体として編成いたしました令和四年度予算におきましても、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を図るために、将来の成長に向けた重点的な予算措置を行うとともに、骨太の方針二〇二一で定めた取組を継続して、めり張りのついた予算としております。

 その上で、今後、二〇二五年度のPB黒字化目標等の達成に向けましては、その前提として、歳出歳入両面の改革を続けることに加えて、成長と分配の好循環の実現等に向けた取組を強化し、力強い成長を実現することが重要でありまして、財務省としても、経済成長と財政再建の二項対立ではなくて、経済成長と財政健全化、これを併せてしっかりと進めてまいりたいと思っています。

北神委員 財務官僚の使命感がちょっと感じられない答弁でありましたけれども。まあ、大臣、そう言わざるを得ないというふうに思いますが、やはり平時ではないというふうに思っています。ですから、やはり、このままでいくと、誰が見ても、日本銀行とか内閣府が出している潜在的成長率でいっても、今はゼロ%近傍なんですよ。つまり、日本の自然体の経済の実力というのはもう〇・数%しかない。

 これが、このままいくと、労働力人口もさっきの少子化の問題で減り、技術革新で引き上げるとは言っていますが、私の勉強している限りでは、そんな簡単に生産性を上げることはできないというふうに思っています。ただし、研究開発は非常に重要なので、ここは徹底的にやっていただきたいと思いますけれども。

 ですから、経済成長というのは、労働の投入量、資本の投入量、技術革新、基本的にこの三つの要素で成り立っているわけですから、ただ財政規律と言うよりは、それぞれどこに力を入れたら経済成長に結びつき、その中でどのぐらいの成長が見込まれ、そういう中でどうやって財政規律を図るかという、こういう発想の転換が必要だと思います。

 私は適当に言っているんじゃないです。イギリスの大蔵大臣が予算の演説をするときに一番大事なのは何か。失業率の問題を彼は言うんですよ。赤字がどのぐらい減った、国債をどのぐらい減らした、こんなことは言いません、まあ、言いますけれども。一番重要なのは、経済をどのようにするかということをやはり英国の大蔵相も言っておりますので、是非、大臣、私の話を聞いて、役所に戻ってそういう話をしていただければというふうに思っています。

 事務次官がああいう論文を書かれたのは、あの方もよく知っていますが、熱血漢ですから。熱血漢ですけれども、あの人の問題意識は、何で政治家たちはそういう財政の規律の話をしないんだ、彼らが言わないんだったら私が言わざるを得ないという思いでやったと思います、それがいいか悪いかは別にして。

 しかし、ただ財政が厳しい、予算を削る、増税をするだけでは、結局国民が、将来の見通しが厳しい中で、そんなのは受け入れられません。受け入れられなかったら、結局、財務省が狙っているような赤字削減もできていないじゃないですか、実際。だから、戦略を変えてほしいということを申し上げて、最後の質問に移りたいというふうに思っています。(発言する者あり)もう時間がないので……

根本委員長 北神君、あと三十秒しかないので。

北神委員 三十秒なので。

 とにかく、日本というのは、中国、北朝鮮に囲まれ、体力が落ちています。ですから、この底上げというものをやはりやっていかないといけない。やはり人です。先輩方のその思いを現役世代の我々が受け止めて、子々孫々に豊かで平和な日本、これを残すのが政治家の仕事じゃないでしょうか。これを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて北神君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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