衆議院

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第4号 令和4年1月26日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年一月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      北村 誠吾君    後藤田正純君

      下村 博文君    新谷 正義君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      宮崎 政久君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    江田 憲司君

      おおつき紅葉君    落合 貴之君

      城井  崇君    源馬謙太郎君

      近藤 和也君    階   猛君

      田嶋  要君    長妻  昭君

      道下 大樹君    足立 康史君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      金村 龍那君    山本 剛正君

      伊佐 進一君    河西 宏一君

      輿水 恵一君    中川 宏昌君

      浅野  哲君    前原 誠司君

      穀田 恵二君    宮本  徹君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣         堀内 詔子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長)    谷内  繁君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     林  俊行君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            岡野 正敬君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (林野庁長官)      天羽  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席国際カーボンニュートラル政策統括調整官)     南   亮君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長谷川直之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十六日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     井出 庸生君

  加藤 勝信君     新谷 正義君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  石川 香織君     田嶋  要君

  近藤 和也君     おおつき紅葉君

  足立 康史君     山本 剛正君

  市村浩一郎君     金村 龍那君

  伊佐 進一君     河西 宏一君

  前原 誠司君     浅野  哲君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     岩屋  毅君

  新谷 正義君     加藤 勝信君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  おおつき紅葉君    近藤 和也君

  田嶋  要君     石川 香織君

  金村 龍那君     市村浩一郎君

  山本 剛正君     足立 康史君

  河西 宏一君     伊佐 進一君

  浅野  哲君     前原 誠司君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長谷内繁君、デジタル庁審議官山本和徳君、デジタル庁審議官犬童周作君、復興庁統括官林俊行君、法務省民事局長金子修君、外務省大臣官房地球規模課題審議官赤堀毅君、外務省大臣官房参事官石月英雄君、外務省総合外交政策局長岡野正敬君、外務省国際法局長鯰博行君、外務省領事局長安藤俊英君、文部科学省初等中等教育局長伯井美徳君、文部科学省高等教育局長増子宏君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省子ども家庭局長橋本泰宏君、林野庁長官天羽隆君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官畠山陽二郎君、経済産業省大臣官房首席国際カーボンニュートラル政策統括調整官南亮君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、国土交通省都市局長宇野善昌君、国土交通省水管理・国土保全局長井上智夫君、気象庁長官長谷川直之君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官川嶋貴樹君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。秋葉賢也君。

秋葉委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の秋葉賢也です。

 今日は十一年ぶりに予算委員会で質問の機会をいただきまして、関係者の皆さんに御礼申し上げたいと思います。

 三十分の中で、新しい資本主義のグランドデザイン、特に人への投資、そして外交の課題について、関係閣僚の皆さんにお伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、この予算委員会も月曜日から始まりまして、野党の皆さんからは、総理の新しい資本主義のデザインに対しての厳しい御意見もありましたけれども、私は、非常に総理の具体的なビジョンというものが、施政方針演説、特に、この一月に発表されました、文芸春秋の二月号に総理が寄稿されました「私が目指す「新しい資本主義」のグランドデザイン」という中にかなり凝縮されているんじゃないかなと。

 特に、去年、おととしの総裁選のときの前に発表されました「岸田ビジョン」、この中で初めて公にされた政策と言ってもいいと思うんですけれども、一年以上前から構想していたものに従って、政権発足からまだ四か月足らずですけれども、具体の政策が示されたのかなというふうに評価をしているところでございます。

 特に、人への投資の強化のところでは、三年間で四千億円の施策パッケージなどがそれぞれ具体に示されたんですけれども、今日は、こういった新しい施策を充実強化するだけではなくて、既に今ある基本の施策をもう少し見直しして、それ自体ももっと使い勝手のいいものにしていくことも必要ではないか、そういった観点から伺いたいと思います。

 まず初めに、人への投資の中でも、令和二年からようやく日本でも給付型の奨学金制度というものが始まりました。OECDの国の中では日本とノルウェーだけが給付型の奨学金が未整備でありましたから、非常に、消費増税の財源を使ってようやく日本でも本格的に始まるなと期待をしたところでございます。

 高等学校の修学支援新制度につきましては、授業料の減免やあるいは生活支援ということで、給付型の奨学金が、国立の学生の場合には、自宅生で、年額ですけれども三十五万、自宅外の学生だと八十万。あるいは授業料についても、国公立では五十四万、私立では七十万を上限に支給をされているところでございます。

 ただ、私もこの制度が始まるときに本当に期待したんですけれども、非常に対象となる要件が厳し過ぎるんじゃないかなというふうに思っております。令和二年度では五十九万人分の利用を見込んだんですけれども、実際にこれを利用した学生さんは二十七万人ということで、目標の半分ぐらいにしか届かなかったといういきさつがあります。

 これはやはりいろいろな原因があると思うんですけれども、一つは、新しい制度ですから、周知がなかなか末端まで徹底していなかったということは確かにあろうと思います。しかし、一番の問題は、対象となるのは住民税非課税世帯、そしてそれに準ずる世帯というふうに、非常に間口が狭過ぎるような気がいたしております。

 やはり子育て世代というのは、世帯年収が五百万以上あっても出費が多くなるケースが多くて、必ずしも余裕のある家庭が多いわけじゃないので、もう少し対象者の間口を広げるという見直しが必要ではないかと思いますし、特に、住民税非課税世帯に準ずる学生に対する支援は、三区分の中での二区分、三分の二、三分の一と、間口が狭められているだけじゃなくて、更に支援の金額が低くなっていくという問題がありますので、こういったことをしっかり見直していくべきではないか。もう少し間口を広げて、そしてこの区分も、逆に言えば統合して、満額支援するような形にしていくのがこれからのあるべき姿じゃないかと思っておりますので、まずはこの点をお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 おはようございます。秋葉先生にお答えを申し上げます。

 高等教育の修学支援新制度は、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要と考えられる低所得者世帯に限って実施をいたしております。

 所得の要件につきましては、住民税非課税世帯に加え、これに準ずる世帯を対象といたしております。また、令和二年度の利用実績は、先生今御指摘されましたとおり、二十七・二万人に支援を実施をいたしたところでございます。

 新制度の予算につきましては、修学支援新制度導入に伴いまして、これは令和二年から始まっております、先生の御指摘のとおりです。新入生の進学率が高まっていくことで徐々に利用者が増えていくものであり、利用者が極端に少ないとは考えてございません。

 なお、本制度では、低所得者世帯の進学率が全体の平均値であります八割にまで達したとしても対応できるだけの十分な予算を確保してきました。新制度の始まる前は住民税非課税世帯の進学率は約四割であったものが、開始後は約五割に上昇したと試算いたしておりまして、現時点におきましても一定の効果は出つつあるとは考えてございます。

 ただ、先生、こうした制度、学生の方がお受けになっても、友達にはなかなかおっしゃらないんですよね。やはり自分が低所得者であるということを余り語りたくないというのもありまして、それが学生間でも広がらないということもございます。そのため、あわせて、支援を必要とする学生等に情報が行き渡るように、政府広報や各学校に対する周知を一層充実させるとともに、SNSなど若い世代の利用頻度が高い媒体を活用して、まず広報に努めてまいりたい、そのように思っておるところでございます。

秋葉委員 今、現況を文科大臣から詳しく説明をいただきましたけれども、要は、もう少し要件の緩和と、それから、実際の支給の実績が、三区分されているので、これをできるだけ満額に統一して、手厚く、今ある制度を見直していくということは本当に大事だと思うんですね。

 直近の大学中退者の数、令和二年度で五万七千人もいます。これは、多い年は八万人近い年もあったわけですし、もう一つ看過できないのは大学の休学者。これも六万七千人、直近のデータでおりまして、併せて予備軍というふうに考えれば、一年間で十万人近い学生が中退を余儀なくされている。そして、その一番大きな理由が、約二割を占めておりますけれども、経済的困窮という状況になっています。

 総理、こうした問題、見直すお考えはありますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、経済的に困窮した学生が学びを諦めることがないよう、しっかりと支えていく、これは大変重要なことだと思います。その中で、今御指摘のような問題意識が提起されました。

 制度あるいは間口、これはいろいろ考える必要があるのではないか、こういった御質問ですが、こうした問題、やはり時代の変化とともに、また経済状況、今コロナ禍であり、大変厳しい社会状況の中にある。こうした経済社会状況もしっかりにらみながら、適当な制度ですとか間口の在り方、こういったことについて絶えず考えていく、こういった姿勢は、できるだけ多くの若い人たちに学びの機会を得ていただくために大変重要な姿勢ではないかと考えます。

 こういった姿勢で、また文科大臣とともに制度についても考えていきたいと思います。

秋葉委員 制度が始まってまだ二年ぐらいでございますから、今後、状況の運用の実績を見極めながら、やはり、利用実態が進まなければ柔軟に制度を拡充していただきたいと強く申入れをしておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、児童手当制度について伺ってまいりたいと思います。

 今回、十八歳未満の子供たちに対する支給は、十五歳未満については児童手当制度のスキームが利用されたわけでございますけれども、この児童手当、現行の制度というものを、児童手当自体の制度も少し充実したものにしていく、あるいは漏れがないような工夫を強めていくということが必要じゃないかなと思っております。

 私、かねてから問題だなと思っているのは、日本のこうした手当の類いというのは全て申請主義です。本来ならば、該当者が、やはり行政の責任でしっかり把握して、全て漏れがないように一律に給付していくという仕組み、そのためにも私たちはデジタル庁を立ち上げてきたと思います。

 今の児童手当制度の実態というのは、毎年六月までに、自分は対象者だとそれぞれの市町村に自分で届けなきゃいけないんですね。だから、国民の中には、この国会でも離婚した人への給付が届いていないとかいろいろな問題がありましたけれども、そもそも、本来受けられる人が漏れているという事実もあるんですね。自分が対象者なのにアクセスがなくて全く登録できていない、こういった声というのはなかなかクローズアップされにくいんですけれども。

 本来あるべき姿というのは、自分から申請に役所に足を運ばなくても、あなたの所得からいうとこういうことで対象になります、ですから、支給がありますので手続してくださいと、オートマチックに、自動的にいくことが理想の姿だと思いますので、昨年立ち上げたデジタル庁では、そうした公金の受皿の今準備も加速するように、国民の皆さんにお願いしているわけでありまして、そういったメリットも強調しながら、できるだけ取りこぼしがないように、該当者は一〇〇%配れるような仕組み、そういう意味で、申請主義の見直しということが私はまずもって必要ではないかなと思っております。

 それからもう一つ、今回の給付金でも問題になりましたけれども、受給の対象者が世帯の筆頭の主たる世帯主ということで、世帯全体の年収ではないことのアンバランスで、逆に年収が高いのにもらっていて、低いのにもらえない人が生じるという不具合がございました。

 この児童手当制度も、振り返ってみますと、昭和四十七年に制定されて以来、全く受給資格要件を変更してきたということはないんですよね、九百六十万というのは見直しをしてきましたけれども。これは、やはり実態に即して世帯年収で見ていく、こういう改革が一番公平であり、現実的じゃないかなと私は思っております。

 まずは、今日は時間がありませんので続けて申し上げますけれども、例えばドイツなどでは所得制限がそもそもございません。そして年齢も、日本では中学生までとなっていますけれども、ドイツは例えば十八歳までということでかなり手厚いものになっていますし、金額も、ユーロを日本円に換算すれば二万四、五千円ということで非常に、水準も日本の二倍ぐらいということでございます。

 ですから、総理の人への投資の強化というのは本当にすばらしい方向性だと思うんですけれども、新しい施策だけじゃなくて、足下の今までやってきたような取組、これのやはりもう一回レビューと、それのバージョンアップといいますか更なる強化、ここをこれから検討していただけないかなと思っておりまして、今申し上げたような児童手当に対する問題点、野田大臣からお答えいただければと思います。時間がないので簡潔にお願いいたします。

野田国務大臣 今、申請主義や、また世帯、いろいろな導入の在り方についての御質問がありました。

 私の方から、申請主義について見直すべきじゃないかについてお答えしたいと思うんですが、一般的に、行政からの給付については受給者からの申請に基づいて支給されるものであって、この児童手当も同様の仕組みになっているわけですけれども、児童手当については、マイナポータルのぴったりサービスというのがあります、これの対象としてオンライン申請が可能になっていまして、申請者の負担の軽減というのを図っているところです。

 また、本年から、市町村が公簿等で確認できる場合には、毎年提出を求めていた現況届の届出義務を廃止することとしており、受給者の負担軽減を図っています。

 全て私がお答えしてよろしゅうございますか。総理じゃなくてよろしいですか。

 それでは、手当そのものについての言及もございまして、児童手当における世帯合算等々についても、前に児童手当の見直しをしたことがあります。導入を求める重点化の意見と、導入した場合の共働き世帯への影響がある等でいろいろ御意見がありまして、結局、検討の結果、導入を見送ることにしているのが今現在。

 今後は、児童の数等に応じた効果的な支給、また、その財源の在り方、支給要件の在り方について、子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえて、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を加えることとされており、子供政策全体の中でしっかり検討を行っていくべき事項だと思っています。

秋葉委員 ありがとうございました。

 本当に、少しずつ改善されている部分もあるんですけれども、やはり根本的なところを、特に、申請主義が原則とはいいながらも、デジタル庁をせっかくつくって、横串を強化しながら手続の利便性も図っていく。今大臣からは、ぴったりサービスのような利便性も講じているというお話もありましたけれども、基本的には、やはり、こうした生活に直結するような大事な問題については、申請しなくても漏れがないような仕組みをつくれないのかという発想でこれからも取り組んでいただきたいと思います。

 時間もなくなってきましたので少し飛ばしまして、外交力の戦略的な強化についてお伺いをしたいと存じます。

 我が党では、毎年、外交部会あるいは外交調査会が中心になりまして、外交力の強化を求める決議を政策要望として政府に行ってまいりました。私も、総理が外務大臣在任中、部会長も務めさせていただいて、特に、在外公館七つ、ビルド・アンド・ビルド、スクラップなしで実現もさせていただいたり、成果も上げてまいってきたところだというふうに思っております。

 本当に、そういう中で、まず一番重要なのは、いろいろな課題がございますけれども、提言でも毎年触れておりますように、ODA予算の強化でありますとか、拠出金も、つい最近まで四位だったのに、今もう六位まで落ちておりまして、ノルウェーやカナダにもいずれ抜かれるんじゃないか。私も、まさかオランダ、スウェーデンよりも下になったというのは非常にショッキングなことでございまして、ODA予算、二〇〇〇年をピークに激減してきたものを、政権に戻ってからかなり復元はしてきたわけですけれども、その一方で、分担金や拠出金というものがかなり減ってきている。かつては二位だったものが三位になり、四位になり、六位まで落ちてきたというのはちょっと私もびっくりでございまして、こういった面、まずは強化していただきたいなと思います。

 それに加えて、最も重要なのはやはり人だというふうに思っておりまして、政府では、二〇二五年までに千人を目指すんだということで目標を立てていただいております。ようやく昨年九百十八人まで参りましたので、何とか政府目標が達成できる手前まで来ているんじゃないかなと思っておりますが、しかし、D1以上の幹部職員で見ますとまだ八十八人ということで、大変やはり少ない。もっともっと強化していく必要があると思います。

 なかんずく、国家公務員の志望者が大変右肩下がりで激減しているという事情もありますから、JPOなんかもかなりいい成果を出してはいますけれども、対象者がなかなか増えていかないという中で、この外務省のマンパワーだけをどう増やすのかというのは本当に難しい課題だとは思いますけれども、衆知を集めて、しっかりとこれからも取り組んでいただきたいと思っております。

 まず、当初の目標どおり、二〇二五年までに千人の確保が達成できるのかということ、それから、あわせて、在外公館につきましても二百五十、そして職員数も六千五百ということで、ようやくこの令和四年度に何とか職員数は達成できたというふうな見通しが出ておりますので、一つクリアできたのかなと思っておりますが、まだまだ在外公館、少ないと思っております。これまで三年間を数字を見ただけでも、毎年一つずつしか増えていないという事情もあります。

 こういった、やはり一つの外務省の足腰予算として、拠出金などの強化と併せて、これからもっと力を入れていく必要があるんじゃないかなと思っております。

 そんな中で、本当に、ようやく職員数については目標がクリアできたというのはよかったなと思っていますけれども、それでも米国に比べれば四分の一、あるいは、イギリスやフランスやドイツと比べても二千人から三千人ぐらい少ないような状況でありますから、果たしてこの数字自体が、もっと次の目標、高みを目指していく必要もあるのかなと思っておりますが、まず外務大臣に、外交力強化のためにもこうした足腰予算の強化、これからの見通し、決意、伺っておきたいと思います。

林国務大臣 秋葉先生始め与党の皆様の御支援も賜りながら、予算をしっかり獲得し、在外公館、今お話のありました国連の邦人職員、目標に向けて努力をしてまいりたいと思います。

 その上で、国際機関の職員というのは一応中立的な存在ということですが、やはり日本人が活躍することで国際機関との連携がしやすくなり、また、そうした職員は日本の顔ということにもなっていくわけでございますので、政府としても、国際機関のトップのポストや幹部のポストの獲得も重視をしておるところでございます。

 本年一月に、UPUの国際事務局長に目時政彦氏が就任をいたしました。また、世界税関機構やアジア開発銀行などの国際機関においても日本人トップが活躍しております。こうした国際機関の重要ポストを獲得するためには、知識経験、語学力、マネジメント能力、こういったものを兼ねそろえた人材の育成が必要でございます。

 外務省では、国際機関職員として採用されることを目指して若手の日本人を国際機関に派遣するJPO、今委員からも御指摘がありました、とともに、中堅レベルの日本人派遣、これを着実に実施してきております。

 引き続き、内閣官房と外務省が共同議長として開催しております関係省庁連絡会議の枠組みも活用しながら、委員から御指摘のあった、邦人国際機関職員数、在外公館そして国際機関重要ポストの獲得に向けまして、政府全体として戦略的に取り組んでいきたいと考えております。

秋葉委員 本当に、仮に千人の目標を達成したとしても、国連全体の職員から見れば、それでもまだ二・四%という状況でございます。日本は一度も三%の水準すら超えたことがありません。

 ですから、なかなか、本当にリクルートメントも含めて難しい。そして、息の長いお取組が必要だとは思うんですけれども、もう少し、いろいろな工夫をしながら力を入れていただきたいと思います。

 特に、昨年、NSSと外務省が中心になって、国際機関の幹部ポストの獲得に向けた関係省庁の連絡会議ができました。今まで外務省を中心にやっていたことを考えると、内閣官房もしっかりと各省横串を刺して、情報収集して、連携を強化して、そしてやっていこうという取組の表れの一つだと思っておりますので、これを多としたいわけでありますけれども。しかし、昨年一回会議が開かれただけで、二回目の会議がまだ開かれておりません。年に二回ぐらいは会議を開いて、現況の報告、戦略的な取組の確認、こういったことを積み上げていくことが必要ではないかなというふうに思っております。

 国際社会における中国のプレゼンスというのは、何も安全保障だけではなくて、こうしたマンパワーの面でも非常に脅威的な事態にあると私は認識しております。

 今、林大臣が言われたように、国際機関の職員というのはもちろん中立的な立場で仕事をするのは当然のことですけれども、しかし、そこに日本人がいるということのプレゼンスの意味、これは大変大きなものがあるんだろうと思います。

 国連の十五の専門機関の中で、今、中国は、ようやく去年、選挙で二つ負けて二つだけになりました。中国は今、FAOと、たしか国連工業開発機関も替わりましたし、それからICAOも去年選挙があって、中国からそれぞれドイツ、コロンビアというふうに替わって、今、中国のトップ機関、四つから二つに減りましたけれども。

 日本も、今、大臣から御紹介がありましたように、目時さんが、本当にこれ、IAEAに天野さんがおりましたけれども、でも、IAEAは専門機関ではないということを考えれば、専門機関では、実に六年ぶりになるんでしょうかね、日本が国連の、国際機関のトップを占めたというのは。これから目時さんの活躍にも大いに期待したいと思うわけであります。たしか二〇一五年の関水さん以来だというふうに聞いておりますので。

 常に十五機関のトップに日本人がいるような状況をどうつくるのか。それにはやはり、自由、民主主義、法の支配、こうした価値観を有する友好国と、全ての機関を独占するわけにはいかないわけですから、日本としてどういうものを目指していくのか、そういったことをやはり緻密に分析をした上で、各国と連携してポストを配分をしていく、こういったことが本当に重要ではないかなというふうに思っております。

 そういったことを、まさに今回、NSSと外務省でつくった連絡協議会でしっかりと課題に挙げて、そしてターゲットを明確にして、そして取り組んでいくということをやっていかないと、なかなか勝てないんじゃないか。

 特に重要なのは、やはりこの十五機関のトップになるというのは、なかなか行政からの出身者では難しい面もあります。

 今年、WHOの選挙もございますけれども、テドロスさん以外に立候補がないような状況で、再選の見通しになっております。彼はエチオピアの保健大臣を務めました。また、国連の事務総長、グテーレスさんもポルトガルの首相でした。

 やはり、こうしたトップになるというのは、各国の閣僚経験者、例えば外務大臣などを経験して勇退された政治家、こういった方で、能力ややる気のある方、しっかりとリクルートして、日本も戦略的に、こういったトップ人事においては、積み上げの人という発想に加えて、そうした勇退者の中でいないのか、誰かやってもらえる人は。その人が何がふさわしいのか、じゃ、この人をトップ機関に目指そう、こういう動きをしていかないと、G7の国で、国連十五機関のトップに日本の閣僚経験者が誰も就いたことがないというのは、我が国だけです。ある意味で、とても私は恥ずかしいことだと思います。もう少し閣僚経験者が世界のトップの中でも伍していける、こういう体制をしっかりと底上げしていっていただきたいなと思います。

 特に、今年はWHOの事務長選挙に加えてILOの事務長選挙もありますし、ITUのトップ人事の選挙もあります。加えて、国際機関、たくさんありますけれども、やはり国連関連のものがメインだということを考えれば、やはりD1クラスは特に選挙で選ばれるケースも多いわけでありまして、今年を見ただけでも、例えば、自由権規約委員会でありますとか大陸棚限界委員会、女子差別撤回委員会、あるいは国際電気通信連合の局長選挙、こういった選挙について、これは閣僚経験者ということではなくて積み上げの中からということになっていくとは思いますけれども、どういうふうに、全部を取得するわけにいかないわけですから、何を取っていこう、何が今の日本の、将来の国益にプラスなんだろう、どのような分析をしているのか、外務大臣に伺いたいと思います。

林国務大臣 ありがとうございます。

 先ほど、国際機関幹部ポスト獲得等に戦略的に取り組むための関係省庁連絡会議について御言及いただきました。

 これは、昨年は、二月二十五日と、それから、オンラインでございますが、第二回会合を七月にやっております。今年もしっかりと、開催すること自体も大事でございますが、中身を詰めて、今委員から御指摘のあったような戦略をしっかり持ちながらやってまいりたいと思っております。

 その上で、今お話のありました、私もかつて農水大臣時代ですとか文部科学大臣時代等にも、いろいろな国際会議、国連、お話等をしますと、国際機関のいわゆる代表に政治家、閣僚、こういったものの経験者がたくさんいらっしゃるということを目の当たりにしてまいったところでございまして、そういったことも含めて、今まさに委員がおっしゃっていただきましたように、戦略的にどうやってやっていくのか。

 それから、今、これも委員から御指摘がありましたけれども、同志国、同盟国、こういったものといかに連携をして、同じような普遍的な価値というものを共有できる国々との連携、こういうものを生かしながら、今後もこの関係省庁連絡会議等を有効に活用しながら戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。

秋葉委員 時間が参りました。期待をしております。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて秋葉君の質疑は終了いたしました。

 次に、亀岡偉民君。

亀岡委員 おはようございます。自由民主党の亀岡偉民です。

 今日は、二年間の新型コロナワクチン、治療薬開発の成果と今後の取組を中心に聞いていきたいと思います。

 新型コロナ感染から二年余りが過ぎようとしていますが、ようやく昨年、ちょっと収束を迎え始めたかなと思ったときに、オミクロン株で今大変な状況になっております。今では十六の都県に対して蔓延防止重点措置が取られておりますし、さらには十八の道府県も適用されている状況になっております。これは一番大事な、また新たな取組をしなきゃいけないというときを迎えているのかもしれません。

 実は、二年前に私は文科省におりましたけれども、そのときに、いろいろ、この国だとあっという間に対応できるのかと思っておりましたら、意外と、びっくりしたのは、どんなに早くワクチン開発を頑張ってしたとしても、五年はかかる、最短でも三年以上かかると。えっと思ったんですね。まさか、このすばらしい我が国で研究開発をたくさんしているものが、そんなにすぐできないんだろうかと疑問に思ったことがございます。

 ただ、今日お配りした資料一を見ていただければ分かるんですけれども、これまで、我が国においても、新型コロナ対策として政府が各種の迅速な対応を図ってきたことは間違いありません。国民の不安を和らげ、日常を取り戻すために一番求められているのは、まさにワクチンと治療薬の開発、そして実用化であります。

 政府としても、ワクチン、治療薬等の開発支援に全力を挙げて取り組んでおり、日本医療研究開発機構、AMEDでありますけれども、ここで千五百億円余りの予算をつけ、四百に上がるチームに予算を投じてこられました。

 その中でも、これまでに行われた研究の主な成果としては、診断薬や検査法などの開発で四十二の課題、これを支援し、ウイルスの検出や重症化予測のためのキット等が十種類実用化されてきております。また、機器やシステム開発の課題も五十二あり、そのうち一番有名なのが人工呼吸器の開発で、非常に役に立っているということであります。

 また、治療薬についても、五十の研究課題を支援しており、いまだ承認されたものはないですが、十四課題が臨床試験に入っています。その他、基礎研究段階でありますけれども、全く新しい作用機序の治療薬に向けた創薬も支援しています。

 ワクチン開発については、海外企業のメッセンジャーRNAワクチンの臨床試験を支援し、日本ではこれは作っておりませんけれども、特例承認に結びつけて結果を出しております。現在も、国内の製薬企業が進める複数のワクチンの開発を支援しており、中には最終臨床試験に進んだものも出てきております。着実に成果は上がっているとは私は考えております。

 一方、ワクチンについては、開発に成功した後、全ての国民に供給をすることができるようにすることが不可欠だと思っています。ワクチンを作れても、それを全国民に供給できる、それだけの製造能力がなければ役に立たない。これもしっかりと政府は、表に書いてあるとおり、一千三百七十七億円投じているところであり、これもしっかりと期待できるかなと考えております。

 このように、ワクチン、治療薬等の開発や製造設備の整備には二年余りでたくさんの支援を行ってきており、一定の成果は上がっていると思っております。ただ、総理も分かっているとおり、残念ながら、国内で作られたものではない。いずれも海外で開発されたものであり、国産のワクチン、治療薬として実用化にゴールインしたものはまだない。さらには強力な支援を行っていく必要があるというふうに考えております。

 政府としても、いろいろ考えて取り組まれているのは間違いありません。今回、ワクチンの開発・生産体制強化戦略を閣議決定し、関係閣僚で、十二月に決定された補正予算の中では、AMEDの中に先進的研究開発戦略センター、これをつくって、しっかりと司令塔としてファンディングを行うために一千五百億円と、ワクチンとバイオ医療研究、デュアルユース設備を整備するために二千三百億円、合計五千億円を予算を計上したというのは、これは立派なことだと思っています。

 ただ、私もちょっとここまでで思うのは、役人の皆さんはすばらしい、研究者の皆さんと並走していろいろやられているんですが、それが研究開発のためだけではなくて、早く国民に資するもの、そして国民の健康を守るものにしていかなければいけない。それが、どうしてもなかなか結果に結びついていない。

 私、ここで一番大切に思うのは、もう一回ここで政治家がしっかりと、官僚を含めて研究者の皆さんと寄り添いながら、司令塔としての機能をしっかり果たしていく。役人は一年、二年で替わっていくこともあります。研究者の皆さんはずっとやってきています。それらと寄り添いながら、政治家がしっかりとその司令塔として機能を果たしながら引っ張っていかないと、結果に結びついていかないんじゃないか。日本で一番弱いところはそこじゃないかと思っているんですね。もしもっと早く日本の技術があったら、研究者の能力があったら、できているんじゃないだろうかと思っていますので、これからが一番大事なところだろう。

 予算はついた、さあ、これからどうやってしっかりと成果を出していくんだという意味では、強いリーダーシップが求められていくと思いますので、総理のこれからの取組と決意のほどを聞かせていただければと思っています。お願いします。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の、ワクチン、治療薬を国内で開発、生産できる体制をつくっておくということ、これは、国民生活に不可欠な物資を、危機のときに、また短期間に必要とする全ての国民に供給しなければならない事態において極めて重要だという問題意識を持っています。医療に関する経済安全保障という考え方にもつながると考えます。

 そして、委員がおっしゃるように、この研究開発を結果に結びつけるために政治が大きな役割を果たさなければならない、こういった点についても、しっかり受け止めて、政府としても努力をしていきたいと考えます。

 ワクチンについても、新たな創薬手法による産学官の実用化研究を集中的に支援するとともに、世界トップレベルの研究開発拠点の形成、デュアルユースのワクチン製造拠点の整備、こうした開発、生産の体制の強化、進めているわけですが、是非、政治としてもこうした流れをしっかり後押ししていかなければならないと思いますし、治療薬においても同様に研究開発を進めて、国民の安全、安心の確保につなげられるように、政府としてしっかり取り組んでいきたいと考えます。

亀岡委員 まさに、総理、今の決断のとおり、一番大事なのは、やはり私、人だと思うんですね。ですから、いろんな人がいますから、研究者の皆さんは、本当に長く研究をされている、研究をまたしたいというのがあると思います。それを役所の皆さんがしっかりと、国民のためにということで今回も予算措置はされていますが、それを実際に早く結果に結びつけるための指導力というか、政治家のリーダーシップが非常に必要になってきているのが今じゃないかと思っていますので、是非これからも、総理の強いリーダーシップの下で、政治家も交えた中での結果を出すための予算と執行に変えていっていただければと。よろしくお願いします。

 次に、創薬のプラットフォームについてちょっとお尋ねしたいと思います。

 今回のコロナ禍の中で、先進各国がワクチン、治療薬等にアカデミアと企業、臨床現場等が連携した創薬プラットフォームを活用し、世界中の研究情報を収集し、それぞれの知見を結集させて、迅速にワクチンの開発を成功させました。

 この基礎研究の成果を実用化するためには、よく言われている、魔の川、死の谷、ダーウィンの海といった障壁を乗り越えることが必要であると言われております。基礎研究の担い手から実用化の担い手が集う創薬プラットフォームには、疾患や治療に対する基礎研究の厚い基盤の上で、基礎研究の成果を実用化につなげるために必要なもの、ワクチン等を多くの国民に供給するための製造基盤となるものなど、これらの高い壁を乗り越える必要があります。

 ここで一番大事なのは、それぞれの研究にいろんな予算を出していますが、それぞれの情報がぽつりぽつり、あちこちでマスコミで報道されるんですが、日本の場合、それらが全部プラットフォーム上に来て、その研究成果が生かされているというようなところが見受けられない。そこがちょっと世界に遅れているんじゃないかなと。

 一番大事なのは、アカデミア含めて、その研究開発をする人たちの情報又は研究成果が全部一か所に集まって、それらを活用できて、そして新たな国民の安心、安全を守るために使われていくというところが足りないんじゃないかというふうにちょっと見受けられるところがあります。

 これは文科省が主体になってやっていただかないと難しいかなというふうに考えておりますし、このプラットフォームがあることによって世界各国が動いてきたという事実を見れば、日本でも何とかこういうものを早くつくれぬだろうかというふうに考えております。

 文科大臣のちょっと御意見を聞かせていただければと思います。

末松国務大臣 亀岡先生にお答え申し上げます。

 アカデミアの優れた基礎研究の成果を医薬品等の実用化につなげる取組は、我が国の創薬力の強化のため非常に重要と考えてございます。また、理化学研究所で、神戸にスパコン「富岳」がございますけれども、ここでもいろんなシミュレーションを行っておりますし、せんだって、私の視察では、東大の医科学研究所に行きまして、ワクチンの開発に対するいろんな研究の様子を拝見いたしてまいりました。

 そこで、文部科学省におきましては、創薬力強化のための基盤を整備するため、大学等に整備しました先端研究機器、そして研究者が有する高度な技術を他大学や企業の研究者などに開放し、共同利用を進めております。また、基礎研究を臨床試験までつなげる研究支援機関を全国に整備するなど、大学の研究成果を実用化につなげるための様々な取組を行ってきたところであります。

 一方で、今般の新型コロナウイルス感染症に対しては、現在まで、先生御指摘のとおり、国産ワクチンができていない状況を踏まえれば、実用化に向けた取組の強化が大変重要だと考えてございます。

 そのため、令和三年度補正予算で措置され、今後、公募の上で大学等に整備する世界トップレベルのワクチン研究開発拠点においては、企業研究者等の参画や、拠点経営層への民間出身者及び臨床医の招聘など、成果を実用化にしっかりとつなげるべく、産業界や臨床現場と十分に連携した取組を予定いたしてございます。令和三年度の補正予算額でも、これを基金として、当面五年間でございますが、五百十五億円を積んだところです。

 また、この研究開発拠点におきましては、感染症にとどまらない他分野融合や先端的な研究を実施しまして、若手研究者の育成にもつながるものと考えてございます。

 今後とも、我が国の創薬力強化のために、基礎研究の成果を実用化につなげる取組を推進してまいりたいと思います。よろしく御指導のほどお願い申し上げます。

亀岡委員 ありがとうございます。

 今、それぞれの大学でやられているのはよく分かります。できればこういうものを一堂に、一つのプラットフォーム上に上がってきて、そこで共有しながら、それぞれが取った特許も含め、又は失敗例も含めて、そういうものを含めて全部プラットフォーム上で分かりながら、ほかの研究者も全部使えるとか、又は、その中で、これから一番課題になっていくだろうという、学生たち、新たな研究者たち、これも、薬学部はあっても創薬の専門的なものはないということがあるとすれば、日本が遅れている部分だとすれば、そういうのを踏まえて、一緒になって考えていく必要があるだろう。

 後でこれは述べますけれども、国際研究教育施設なんかも、そういうものを兼ね備えたものにしていけば世界に冠たるものになっていくだろうと思うんですけれども、それぞれの大学が、それからそれぞれの研究者がやっていくものを含めて、一つのプラットフォーム上にそれが集約できて活用できるような方法論、これを文科省が主導で考えていただければ変わっていくんじゃないかと思うので、是非よろしくお願いします。

 次に、先ほど申し上げましたけれども、実は、ワクチンの生産設備、これも、幾ら研究開発しても、出口である製造、これがしっかりできていなければ国民には行き渡っていきません。

 これは、一番大事なワクチン、ようやく、これは一つだけいい話題なんですけれども、ワクチンの原液の工場といいますか、この三月には、福島県の南相馬というところに、株式会社アクセリードという会社が、ファイザーやモデルナのワクチンの創薬技法として初めて使われて有名となったメッセンジャーRNAの大量に製造できる工場を着工いたします。

 これがようやく日本でも初めて着工ができるといっても、この原液が作れたとしても、多くの国民に供給できなければ意味がありません。これは、ワクチンというのは当然健康体に打つわけですから、多くの国民に打つということになれば、大量製造ができなければいけない。

 まさに今回、先ほど言った予算の中では、デュアルユース生産設備に二千三百億円の補助金が計上されていますけれども、これをしっかりと活用しながら、これを現実のものにしていかなきゃいけない。これは、しっかりと結果を出すためには経産大臣の強いリーダーシップが必要だと思いますが、経産大臣にお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルスの発生直後から、当時、委員は文科副大臣で、私と一緒に、これはもう、一年で何とかワクチンを国内生産しようということで、全国を駆け回っていただきました。私も覚えていますけれども、カルタヘナ法で、遺伝子の組み換え研究をしなきゃいけない、通常半年かかりますけれども、もう目標は国民の命を救うことで、明らかに研究目的が分かっているんだからということで、二人で相談をして、大げさじゃなくて、中三日で許可を出したという、こういう経験もございました。しかし、いまだ国内ワクチンの生産に至っていません。

 そこで、仮にそういった許可を得たとしても、日本の製薬会社の場合は、非常に一個一個の工場というのは限りがあります。今回、委員がお話しされた企業が、福島県において、海外の技術も活用して、まさに民間の力でワクチン製造工場の建設計画を進展されていることにまず敬意を表したいと思います。最先端のバイオ技術の拠点として、福島復興の大きなエンジンになることを期待しています。

 その上で、昨年末に成立した補正予算では、平時はバイオ医薬品などを製造する民間の製造設備であるものの、感染拡大といった有事の際は、官の要請によってワクチン製造に活用させていただくというデュアルユース生産設備の整備支援に二千三百億円を計上しました。これは、既存の製薬会社でスペースがあったらもう一ライン造ってくれ、これに対しては国が九割投資をしますと。平時はおたくの会社のバイオ医薬品を作っておいてもらって結構だけれども、万が一のときには国の要請に応じて協力してもらうという、こういう仕組みをつくらせていただきました。

 これは、私はこの取組を、官民の協力による、文字どおり新しい資本主義の象徴のプロジェクトであるというふうに考えておりまして、ワクチン製造やそれに不可欠な部素材の国内製造拠点の整備も併せて進めることにより、今後、パンデミックが発生した際においても国民に必要なワクチンを国内で製造できる体制を官民で協力してつくり上げていきたいと思います。

 一つの工場では一ラインあるいは二ラインかもしれませんが、こういった民間の皆さんの御協力をいただいたり、この福島の工場、御支援をさせていただく中で、瞬時に国民の皆さんのワクチンが作れる体制というのをしっかりつくっていきたいと思います。

亀岡委員 今のある製造ラインにプラスするということは大事ですけれども、なかなか、今作っている薬の製造ラインを空けるということが果たしてどれぐらいできるだろうかというのはちょっと未知数のものがあります。できれば、製造ラインそのものが工場で造れて、これから新しく取り組めるというのがやはり一番だと思いますので、是非そこにも力を入れていただいて頑張っていただければと。よろしくお願いします。

 次に、国際研究拠点における放射線科学又は創薬の医療研究についてちょっとお尋ねしたいと思います。

 実は、これは閣議決定されると承知しておりますけれども、この措置法の改正を含め、この国際研究拠点の整備に向けた政府の取組というのは一番大事になってくると思います。

 今、いろいろ、創薬の話もさせていただきましたが、当然、原発の事故がある福島でありますから、放射線科学というものは大事なことになってきますから、世界中が注目をしております。そこに今まさに新たな、創薬ということで、この創薬の医療研究ということは大事になってきております。

 実は、福島県立医科大学も、復興予算の中で、かなり新たな研究をしながら、新しい免疫チップというものを開発して、マイクロアレイという、新しい感染症に対しても分析できるようなものを発明されております。いろんな意味で、福島も今、復興に向けて力を入れ始まって、どんどん頑張ってきて、成果を出し始まっているところでありますから、この国際研究教育拠点というのは、まさに大事な大事な福島の復興に資するものであると。

 残念ながら、いまだに世界の国々の中では輸入規制をしている国もあります。もういいかげんにやめてくれと言いたいところでありますけれども、まだそのイメージを持たれているということであれば、ここで思い切って、この国際研究教育拠点がしっかりとでき上がることによって、事故の福島から研究開発の福島にイメージを変えられる、まさに一番注目できるだろうと。

 そして、私、もう一つお願いがあるんですが、国家的プロジェクトにしていただきながら、地元の復興もまだ、しっかりと進んでいる部分と遅れている部分があります。双葉や大熊を含めて、これからしっかりと復興させなきゃならない部分もありますので、この国際研究教育拠点というのは、できれば広範囲にキャンパスを広げていただきながら、地域の復興も兼ねて。

 そして、せっかくですから、五分野、これは皆さんの資料、届けてありますが、別添二の資料の中にあるんですけれども、ロボットも、廃炉ロボットだけではなくて、あらゆるロボットの研究をさせてもらう。これは、介護ロボットであったり、又は、もし若者が来ないのであれば、ヘルシースマートシティーの中で百歳健康長寿社会を目指す、AIを使ったスマート農業のロボットであったり、いろいろな展開ができると思います。せっかく浪江にオリンピックで使うはずだった水素工場ができていますから、こういうものも活用しながら、この国際研究教育拠点というものが、世界に冠たる研究施設として、福島から名のりを上げることが絶対に必要になってくると思います。

 各省庁の協力は欠かせないものなんですけれども、ただ、何といってもこれは復興庁が全先頭に立って、責任を持って進めていかなければ、早くできるものではありません。何としてもこれは復興大臣にしっかりともう一回、再認識をしていただいて、この国際教育研究拠点、これを世界に冠たる研究施設にしてもらいたいと思っておりますので、その決意のほどをお願いしたいと思います。

西銘国務大臣 亀岡委員には、日頃から復興行政に御理解、御協力を賜りまして、感謝を申し上げたいと思います。

 今お話しの国際研究教育拠点は、創造的復興の中核拠点として、福島を始め東北の復興に向けた夢や希望となるとともに、我が国の科学技術力、産業競争力の強化に資するものと考えております。新拠点における研究テーマにつきましては、総理からも関係大臣に対し、国の内外に誇れる研究テーマの具体化を指示されております。

 現在、放射線科学、創薬医療など五つの研究分野について、福島浜通り地域に整備する実証フィールドを活用した研究成果の社会実装、産業化、そして、連携大学院制度等を活用した人材育成の取組も見据えながら、検討を進めておるところでございます。

 原子力災害により甚大な被害を受けた福島浜通り地域の復興再生のためには、研究者を始めとする多様な人材が新拠点における研究開発等の活動に参画することが極めて重要であります。

 こうした観点を踏まえまして、新拠点が世界の課題解決にも貢献するものとなるよう、法案の提出や年度末の基本構想の策定等に向けて、復興庁が中心となって関係省庁が一丸となり、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

亀岡委員 是非お願いいたします。

 これは、もう数年にわたってこの国際研究教育拠点というのは計画をされてきているわけですから、なるべく来年度はスピードアップをさせていただいて、結果として、多くの国々がまた、しっかりと研究開発の福島という認識をしてもらいながら、規制撤廃をしてもらって、輸入を全部してもらえるような、そういう環境をつくっていかなきゃならないと思いますし、世界中の研究者が、例えば、ICRPのような百年以上も続くような学会がありますから、そういうものをここに持ってくるとか、あらゆることを考えていただいて、世界に冠たる福島にできればと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、時間があるので、もう一問だけお願いしたいと思います。

 二年前に、ちょうどコロナが蔓延し始まったときに、実は、できる限りしっかりとした、ホテル療養者を何とかできないだろうかといって、我々いろいろ検討したことがございます。東京都や厚労省に集まっていただいて、ホテル業界それから大学病院、これも全部集まっていただきながら、何とかホテルに、単なるホテルを借り切ってそこに置いておくんじゃない、そこにもホテルマンがいながら、ちゃんとそこで医療的なものができないだろうかと。そういうときに、一番問題になったのが人的問題だったんですね、人が足りないと。

 是非、これはちょっと厚労大臣にお聞きしたいと思うんですが、せっかく医大の中で、スチューデント、医学生と言われる、CBTやOSCEに合格した者がいるわけですから、これを緊急事態のときに特別に、これは一応、その試験を受かれば医学生の知識はしっかりとあるということを認められたわけですから、これをこれから何か起こったときに、危機管理のときにすぐ使えるような環境はできないものだろうか。こういう検討ができるのかできないのか、ちょっと厚労大臣に聞きたいので、よろしくお願いします。

後藤国務大臣 感染症の拡大時など、緊急時における医療従事者の確保は、委員御指摘のとおり、極めて重要であると認識しております。

 他方、医学生の臨床実習につきましては、大学の医学部のカリキュラムの下で、医師として必要な知識や技能を学ぶことを目的として、指導員の指導監督の下に取り組むものでありまして、人材確保策として医学生を医療に従事させることは、目的が異なり、慎重に考える必要があると考えております。

 しかし、そうした中でも、ワクチン接種の会場等において医学生が事務補助的な業務に参加するなど、緊急時における医療現場を実際に経験することには一定程度の教育的な意義があるとも考えられまして、そうした点については、文部科学省とも緊密に連携をしてまいりたいと思っております。

亀岡委員 これは建前上はいろいろあると思いますが、緊急事態、非常事態のときに、全くの素人は無理ですから、せめてこのスチューデントドクターを活用できる方法論、これがあったら、一人の医者がいれば十人は使えるとか、方法論はいろいろあると思います。

 ただし、本人の意思確認が必要になってきますから、ただ一概にそれができるとは言えませんけれども、もしそういう制度があれば、今度、ホテルで療養するとき、百人をただ置いておくのではなくて、あの当時、みんな逃げ出していなくなって、感染が拡大したということがございました。せめて安心感を求められるようなところにそういう人たちがいるということだけでも全く違いますので。

 そういうことを考えたら、是非、厚労省と文科省で打合せをしながら、もしできるものであれば、そういう制度もしっかりと緊急事態にはつくる必要があるのかなと思っておりますので、御検討いただければと思います。よろしくお願いします。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて亀岡君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷真一君。

中谷(真)委員 自民党の中谷真一です。

 私、初めての予算委員会での質問でございまして、本日機会をいただきました委員長、また理事の皆様、また委員の皆様に心から感謝を申し上げたいというところであります。

 時間もございませんので、早速質問に移りたいというふうに思います。

 私、元陸上自衛官でございます。学校を合わせますと十四年間、自衛官として奉職をいたしました。安全保障の現場にいたわけでありますが、十年前、私は自衛官を退職いたしまして、そして政治を志したわけであります。

 この理由は、何といっても、このままではこの日本国を守ることができないということを現場で感じたわけであります。そして、それはどのように、何を改善しなければいけないかということを考えましたところ、政治だということを強く思いまして、ふるさとに帰り、選挙に出ました。そして、今現在に至るわけであります。

 そのとき、十年前、この日本を取り巻く安全保障環境の厳しさを感じていたわけでありますが、今は更にその厳しさが増しているという認識であります。この状況において、今まさに様々な判断をし、その政策を前に進めていかなければ、この日本を守ることはできないというふうに考えている一人であります。

 まずは、その中でも今最もホットな台湾について質問をさせていただきます。

 この台湾でありますが、私は今日、地図を準備いたしました。下の方の地図を見ていただきたいんです。日本は緑、そして台湾は黄色に塗っております。そして、中国を赤で塗っております。

 この台湾、日本にとって極めて重要な位置にあるということを申し上げたいわけであります。中国がまさに太平洋に出ようとするのを邪魔するかのように日本列島と台湾があるという見方ができます。台湾がもしここで赤色になりますとどうなるかというと、太平洋に出れないということで日本海又は南シナ海に抑えられていた中国の力が太平洋に一気に出てきて、そして大きなスペースを中国に与えることになります。そう考えますと、まさに、台湾を失うことは日本にとって極めて死活的な状況を生み出すというところでございまして、台湾の重要性というのは、まさに日本の安全保障上、極めて重要であります。

 この台湾に対してでありますが、フィリップ・デービッドソン前インド太平洋軍司令官が言っているわけでありますが、台湾有事は六年以内に起こるということを言い始めています。これは、習近平の権力維持のためということを理由としているわけであります。

 また、邱国防部長、これは台湾の国防大臣に当たるわけでありますけれども、この国防大臣は、二〇二五年以降、中国軍が全面的な台湾侵攻ができる能力を持つということを言っております。

 これらの状況からして、非常に、中国は台湾に対して、台湾を手中にできるだけの能力を持ってくる、またその意図があるということを明らかにしてきているわけであります。

 これをしっかりと守っていかなければいけないというふうに思っているところでありまして、じゃ、台湾に対してどのようなことが考えられるのかというところでありますが、私はまさに、ロシアがクリミアを取った、あのような、いわゆる政治と軍事を織り交ぜたようなハイブリッド戦をしかけてくるだろうと。まず、政治的に国内をそのように陽動、クリミアに対しては、ロシアでもいいじゃないかということを陽動して、そして軍事的圧力をかけ、そして、あのときは住民投票を行ったわけでありますが、住民投票の結果、ロシアに編入されるというようなことを行ったわけであります。

 今、中国は台湾に対して、孤立をさせようということで、様々なことを国際社会に対して行っているところであります。私はやはり、台湾を政治的に孤立させてはいけないというふうに思っております。

 また、台湾有事を想定した場合に、バイデン大統領は、台湾有事に対してコミットするということを強く言っているわけであります。

 もし台湾有事になった場合、一番最悪の状況は、台湾への上陸侵攻を行うわけでありますが、そのときに米軍がこれに対してコミットした場合に、沖縄から米海兵隊を始めとする米軍が出ていくわけでありますが、じゃ、これに対して日本がどのような立場を取るのか。支援しないという形を取ったならば日米同盟はどうなるのか。こういったことも考えますと、私はやはり、台湾有事において、中国の脅しにひるまず、日米同盟を堅持し、これに対応していくんだということを政治的に発信することも極めて大事だというふうに考えているところであります。

 私は、先ほど申し上げたとおり、台湾の孤立化をさせないために、まずは日本政府といたしまして、やはり蔡政権と、蔡政権はまさに大陸から距離を取るという姿勢を取っておりますから、蔡政権との距離を縮める。そういった意味では、外交レベルを上げるべきだと。今、政府高官は一切外交を行っていないわけでありまして、外交レベルを上げるためには、政府高官をしっかり派遣をして、そして様々な議論、様々な政策を前に進めるべきというふうに考えております。

 また、先ほど申し上げたとおり、日米同盟を堅持する、そしてこの台湾有事に当たっていくんだということを、私は、政府として発信する、中国の脅しにひるまず発信するということが極めて大事というふうに考えております。

 総理の御見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、中台関係につきましては、経済分野を中心に深い結びつきを有している一方で、その軍事バランスは全体として中国側に有利に変化しており、最近の動向を含め、関心を持って注視をしております。

 台湾は、日本にとって、基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人です。

 最近の新型コロナウイルスの感染拡大という状況の中にあっても、日本から台湾への四百二十万回分のワクチン供与、台湾から日本へのマスクや酸素濃縮器の供与など、中台関係は更に深まっています。

 引き続き、台湾との関係については、台湾に関する我が国の基本的立場を踏まえながらも、日台間の協力と交流、更なる深化、これは図っていかなければならないと考えます。

中谷(真)委員 これはフェーズが私は変わっているということを今申し上げているわけでございまして、これは是非、総理、やはり、引き上げるというんだったら、具体的に何をするのか、これを明確にして、是非実行に移していただきたいというふうに思います。

 続きまして、私、勇ましいことばかりを言うつもりはないわけでありまして、これはまさに、私も、ここにおられる皆様もそうであると思いますけれども、平和を求めているというのは、これは間違いないわけであります。

 ただ、これは、求めるべき平和というのは何かというところでありまして、私は、やはり、ひざまずき、許しを請いながら身体的な安全のみを求める奴隷の平和ではないというふうに思っているわけであります。私たちが求めるべき平和というのは、やはり皆が希望を持ち、そして幸せを追求できる、また、さらに、この国をよくして次の世代につなぐことができる、そういった平和であります。

 この平和を実現するためには、お互いを尊重する平和でなければいけないというふうに思うところであります。お互いを尊重する平和というのは、私は、そのためにはやはり交渉が必要だと思うんですよね。相手国との交渉、また様々な国々との交渉があって初めて自分の立場を維持できる、また、自分の国を維持できるというふうに思っているところでありまして、交渉する平和だというふうに思っております。

 交渉するには、何といっても力が必要だというのは当然のことでありまして、力がない者とは交渉しないというのは、これは一般社会でもそうであります。そのための力というものはやはりしっかり持っておかなければいけない。それは、まさに平和を、この国の平和を維持するためには必要だ、交渉する平和、まさにそれを維持するために様々なことを行っていかなければいけないというふうに考えておりますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの答弁で、一か所、ちょっと訂正させていただきます。

 先ほど、台湾から日本へのマスクや酸素濃縮器の供与など、その後、私は中台関係と申し上げたようですが、日台関係は更に深まっている、日台関係であるということ、ちょっと修正させていただきます。

 そして、今、平和、交渉、そしてそのためには力が必要である、平和についての考え方はどうかという御質問でありますが、私は、国民の命や暮らしを断固として守り抜くとともに、地域、国際社会の平和と安定及び繁栄を確保するために積極的に貢献していくこと、これを強く決意しております。

 そのために、未来への理想をしっかりと掲げつつも、同時に、厳しさを増す安全保障環境も直視をし、徹底的な現実主義を貫く新時代リアリズム外交を展開していくということを申し上げているわけですが、その中の一つの大きな柱として、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を守り抜く取組、こうした我が国の安全保障の在り方、これが重要だということを申し上げております。そのために、おおむね一年かけて新たな国家安全保障戦略を策定する。そして、その中で、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、あらゆる選択肢を排除せずに現実的に検討し、防衛力、これは抜本的に強化していかなければいけない、こういったことを申し上げております。

 外交において交渉が必要である、併せて力が必要である。私も、我が国の国民の命、暮らし等をしっかり守るための力、これは外交における一つの大きな柱であるということを申し上げているところであります。

中谷(真)委員 私は、現役時代、各国の軍人とのおつき合いがあったんですが、やはり彼らも明確に言います。私たちは打撃力ではあるけれども、私たちの存在は、まさにその国の政治を、まさに他国との交渉をしやすくするために存在しているんだということを明確に彼らは言っていたのを今思い出しているところであります。

 そういった観点で、じゃ、どのようにしてこの国を守るという力をというところでありますが、今日準備いたしました地図でございますけれども、上の図を見ていただきたいというところであります。

 これは、米ソ冷戦期の、これはNATOが出しているものでありますが、米ソ冷戦期の状況について示した地図であります。アメリカが青、そして当時のソ連が赤であります。そして、西側諸国と言われたところも青で塗ってありまして、東側諸国と言われたところは赤で塗ってあるという図でございます。

 これは、何を申し上げたいかというと、この米ソ冷戦のときというのは、やはり軍事には方向がございまして、まさにその軍事の方向というのは、アメリカ、ソ連共にヨーロッパを向いているという状況でありました。まさにホットゾーンはヨーロッパであります。

 このとき日本はどうであったかというと、まさにソ連の裏庭、背中側にいたというところでありまして、それなりの圧力は感じましたが、背中側にいたという状況にあります。

 今度は下の図を見ていただきますと、今度は米中であります。米国は青、そして中国は赤で塗っておりますが、これを見ますと、じゃ、ホットゾーンはどこかというと、東アジアがまさに当時のヨーロッパに相当するわけであります。非常に強い圧力が今後かかってくる。

 では、当時、米ソ冷戦時代にこのヨーロッパの国々はどういうことを行ったかといいますと、西側諸国は、まさにNATOというものを編成をいたしまして、お互いを守り合うという体制をつくりました。そして、アメリカを引っ張り込んでソ連に対抗するということを行ったわけであります。

 このような、米ソ冷戦期のような強い圧力が今後この東アジアにかかってまいります。このときに、一国で対応することはこれはできないわけでありまして、そういったときに、じゃ、どういうふうにして対応していくのか、そのことを考えますと、私は、この東アジアに、まさに、当時、今もありますけれども、NATOのようなものを、東アジア版NATOのようなものをつくる必要がある、そのイニシアチブを取れるのは、私は日本しかないというふうに思っているところであります、この東アジアにおいて。

 やはり、右手を伸ばしてオーストラリア、さらにはニュージー、左手を伸ばしてASEAN、奥に手を伸ばして、やはり大国、人口では大国であるインド、こういったところとがっちり手を握って、そして、アメリカ、そしてブレグジットを行ったイギリスもルックイーストしていますから、こういったところを引き入れて、そして対抗していくという体制をつくるべきというふうに考えておりますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、厳しさを増す安全保障環境の中で、同盟国あるいは同志国との連携、これが重要であるという問題意識、私も共有をいたします。

 そのためにも、我が国としては、米国、豪州、インド、ASEAN、欧州などとの連携、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた戦略的な取組、こうした連携、取組を進めてきているということですが、その中にあって、御指摘のアジアということですが、今御質問の中にあった欧州、NATOとの比較ということで申し上げるならば、このアジア地域は、域内各国の発展段階、あるいは政治経済体制、さらには安全保障政策、これが大きく異なっている、こういった点は、欧州との比較において大きな違いとして認識しておかなければならないと思います。

 このようなアジア地域の多様性、さらには、ASEANが地域協力の中心となって重要な役割を担っている、こうした状況を鑑みたときに、現実的な連携あるいは話合いの枠組みとして、我が国としては、日米同盟を基軸としながらも、東アジア・サミット、EASですとか、ASEAN地域フォーラム、ARF、さらには拡大ASEAN国防相会議、ADMMプラス、こうした対話の枠組みを組み合わせる形で、重層的にこうした枠組みをつくっているというのが現状であります。

 先ほど申し上げましたようなアジアの多様性を考えた場合には、こうした枠組みを組み合わせていくことが現実的であるという判断に基づいて努力を続けております。

 いずれにせよ、効果的な話合いの枠組みをどのようにつくっていくのか、これは絶えず問題意識として持ち、努力をしていくことは大事であると考えます。

中谷(真)委員 当時、冷戦期は、NATOに対抗するためにワルシャワ条約機構というものもございました。これは、じっとしていますと、中国は中国で広げてくるわけでありまして、よくよく、私どもといたしましては、やはり価値観の近い国々としっかりとした関係を持っていく、特に安全保障上は、やはり一緒に訓練をしたり一緒に演習を行う、また、さらには、同じような機材を使うことによって、相手の考え方とか、まさに相手の機材との相互性とか、こういったものを図っていかなければとても協力できないわけでありまして、そういう観点に立ちますと、私は、時間はないというふうに思っているところであります。

 是非そのような枠組みをつくって、しっかりとこれを前に進めていけるのは、私は、東アジアでは日本がイニシアチブを取るしかないというふうに思っているところでありまして、また是非これをお願いを申し上げたいというところであります。

 次に、防衛費について申し上げます。

 中国は、三十年間で二十倍の防衛費の伸びであります。それに対抗してということであるというふうに思いますが、オーストラリアについては、十年間で四〇%、防衛費を伸ばしております。韓国は、文政権、この五年間で三七%増、二三年には日本の防衛費を超えるというふうにも言われております。日本はずっと横ばいであります。

 この状況において、やはり相手があることですから、相手に対応していくということは極めて大事であります。これは、五十一年に防衛費を一%以内にするという閣議決定を行ったわけでありますが、これに縛られているのではないかというような思いもございます。

 であれば、歯止めをかけるという意味では、私は、じゃ、二%以内、これは先進国の通常の防衛費でありますが、二%以内にするという、もう一度閣議決定などを行ってやはり対応していく必要があるというふうに考えますが、これは防衛大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

岸国務大臣 NATOの加盟国は、対GDP比二%以上を達成するということで合意をしているところであります。NATOという民主主義国家の集まりが安全保障環境を維持するために各国の経済力に応じた相応の国防費を支出しているという点において、対GDP比というものは指標として一定の意味があるというふうに考えております。

 今、中谷議員からも御指摘がありましたけれども、我が国において、防衛関係費のGDP比については、実際、他の主要国よりも低い状態にあるわけであります。一%以内に抑えるという考え方は取っておりません。厳しさを増す安全保障環境の中で、防衛力を強化するために必要な予算というものをしっかりと確保してまいりたいと思います。

 新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防をおおむね一年間かけて策定することとなりますが、厳しさを増す安保環境の中で、防衛力の強化には一刻の猶予も許されないわけであります。しっかり、スピード感を持って検討を進めてまいりたいと考えております。

中谷(真)委員 安全保障に一体幾らの予算をつぎ込むかということが、まさに国家の意思だというふうに思っているところでもございまして、これは待ったなしであります。是非、早急な御検討をお願いをしたいというところであります。

 そして、次に、敵基地攻撃能力についてであります。

 この敵基地攻撃能力がなぜ必要かというところでありますが、これはまず、二一年四月二十一日に、米上院軍事委員会の公聴会でリチャード海軍大将が、戦略的抑止に失敗するリスクが高くなっている、これはまさにアメリカの力が弱まっているという意味であります、作戦運用において核対応の可能性を考慮する必要があると、核戦略について言及をしております。

 また、マーク・ミリー統合参謀本部議長、これはまさに米軍トップでありますね。二一年の夏に、これは中国が行ったわけでありますが、地球を一周周回して、そして攻撃できる核弾頭搭載可能な超音速滑空ミサイルの発射実験を行ったんです、中国が。これは目標から四十キロ離れたところに着弾したそうでありますけれども、これを見てミリー本部長は、スプートニク、まさに、アメリカを越してスプートニクを打ち上げた、当時のソ連がですね、このときの衝撃に近いということを言っているわけであります。まさに、核を始めとする米国の力に対して、中国の力が物すごい勢いで台頭してきているということを端的に表しているわけであります。

 そうしたときに、そういう状況において、まさに台頭してきたときにおいて、これはチャーチルが言っているんですけれども、同盟に永遠の同盟はないと言っています。そして、あるのは永遠の国益だけだということを言っているわけであります。これは何が言いたいかというと、日本防衛のために必ずしもアメリカがコミットするかというのは、まさにそこに国益があるかどうかということなんですね。

 そう考えたときに、まさに核戦略にまで言及している、それぐらい台頭してきたときに、自国を危険にさらしてまで日本を防衛するかという、そこの議論まで来ているというふうに考えてもいいわけであります。

 そうしたときに、やはり自分たちでしっかりと相手のミサイルから防衛する能力を持つということは極めて大事であるというふうに考えているところでありまして、昨今、超音速滑空ミサイル、これはマッハ十とか言われていますけれども、マッハ五を超えると迎撃できないと言われています。そういった状況において、私は敵基地攻撃能力は極めて大事な抑止力になるというふうに思っているところでありまして、この保有について、私は早急に、急がなければいけないというふうに考えておりますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、日米同盟は我が国の外交、安全保障の基軸であり、我々はこの同盟関係に信頼を寄せておりますが、我が国をめぐる安全保障環境、ミサイルに関する技術、急速なスピードで変化、進化している、そういった中で、国民の命や暮らしを守るために我が国自体十分な備えができているかどうか、これは問題意識を持って取り組まなければならない。ミサイル迎撃能力の向上だけでなく、御指摘の敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討していきたいと思っています。

 今後、おおむね一年かけて、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画、これを議論し、策定していくわけですが、その過程で、こうした課題についてもしっかり検討をしていきたいと考えます。

中谷(真)委員 この検討する防衛大綱に明確に書き込んでいただきますよう、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思うところであります。

 それでは、ちょっと、全く毛色の違う質問をさせていただきます。

 私の後援会長は、児童虐待を受けた子供、その施設におられる子供たちにラグビーを教えています。私も四人の子供の父親でございまして、児童虐待について、私、これをライフワークとしているところであります。この児童虐待対策について質問させていただきます。

 二〇二三年にはこども庁をという、まさに政府の目玉政策の一つであるというふうにも考えております。そういう状況ではありますが、この事件は後を絶たないわけで、これはずっと続いているわけであります。

 大阪の摂津市でも桜利斗ちゃんが六十度の熱湯をかけられて、もう想像するだけで、であります。そのような凄惨な事件が何度も何度も繰り返されているわけであります。これをやはり一刻も早く止めなきゃいけないというふうに思っております。

 ちなみに、二〇二〇年、児相にそういった、虐待ではないかという相談があったのは二十万五千件であります。そのうち保護したのは約五千件。二十万人の子供はそのまま家庭にいるわけです。

 じゃ、何でこのような状況が起きているかというと、保護する能力がないというのが現場の意見であります。これをやはり増強していかなきゃいけない。このときに現場から聞こえてくる声は、やはり子供に関するソーシャルワーカーを国家資格化して、例えば児相だったり保育所だったり、まさに、そういう関係している部署としっかりと同じような考え方で連携できる、またそういうコミュニティーをつくる、また、さらには、児相を始めそういう方々がキャリアアップになるという体制をつくらない限り、これはうまくいかないんだということを強く訴えているわけであります。

 それを受けて、厚生労働省は、二〇二一年四月には、まさに国家資格化するというような考えのものを出していたわけであります。そうしたら、その後、今度、業界団体の意見を聞いたんですよね。社会福祉士とかまた精神保健福祉士、またその養成学校とかの意見を聞いたら、今度、二〇二一年十一月には全く違う案が出てまいりまして、社会福祉士、精神保健福祉士を取らなければ子供に対しての専門知識は付与できないんだというような、全く独立しない、業界団体におもねたような案ではないかと私は考えざるを得ないような案が出てきたわけであります。

 私は、目玉政策として子供と言っているときに、これぐらいのことができなくてどうするんだと。私は、業界団体の意見を聞くのは大事ですが、業界団体のために子供を犠牲にしてはいけないというふうに思っているところであります。

 このことについて、是非、政府の見解をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 子供家庭福祉の資格につきましては、厚生労働省として、社会福祉士等への上乗せの認定資格とすることを基本とした案を示した上で、議論してきたところでございます。

 これに対しまして、賛同する意見が多くある一方で、独立した新たな国家資格をどうしても創設するべきだという意見もございます。

 独立の国家資格を創設すべきだという立場からは、虐待を判別し、親権者等から、親を引き離すという強い権限の行使に当たっては、高度の専門性を必要とするため、独立の国家資格が必要である、そういう御意見もございます。

 一方で、上乗せの認定資格とするべきとの立場からは、現場からのニーズとして、複合的な課題を抱える家庭に対応するためには、社会福祉士等の既存の国家資格を生かした上で、更に子供家庭福祉分野の専門性をその上に上乗せして学ぶことが重要だ、そういう議論もございます。

 児童相談所等の子供家庭福祉の現場において、早急に専門性の高い人材を育成する必要性については、関係者の気持ち、意見は共通していると考えております。

 現在、関係審議会の議論に加え、与党の中でも議論が行われていると承知しておりまして、それらの議論も踏まえて、必要な制度改正を検討してまいりたいというふうに思います。

根本委員長 国務大臣野田聖子君、簡潔にお願いします。

野田国務大臣 今も、予算委員会のさなかに、どこかの子供が虐待を受けているかもしれません。子供にとって、助けてもらう人の資格はどうでもいいんですね。「こどもまんなか」というのはそういうことなので。今、厚労大臣が、そういう議論をされている、いろいろなお話が出ていると言いますけれども、一分一秒でも早くその担い手をつくるということに専心していきたいと思っています。お願いします。

中谷(真)委員 是非、野田大臣、リーダーシップをよろしくお願いします。

 終わります。

根本委員長 これにて中谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 早速でございますが、質問に入らせていただきます。

 初めに、デジタル田園都市構想と農村振興について伺います。

 一九六〇年には六百万ヘクタールあった日本の農地は、宅地等への転用や荒廃農地の発生等により、現在、四百四十万ヘクタールと、大幅に減少してしまいました。農業の現場は、従事者の高齢化や担い手不足などの理由から、耕作放棄地は四十万ヘクタールを超える中、農地の減少は止められない状況でございます。七〇%あったカロリーベースでの食料自給率も、現在は四〇%まで落ち込んでおります。

 このような状況の中で、食料安全保障の視点、また地方創生の観点からも、日本の農業をどのように再建していくかは大変に重要な課題であると思います。

 そこで、日本の農業の現状に対する認識と、日本の農業再建に向けた新年度の取組についてお聞かせください。

金子(原)国務大臣 輿水委員の御質問にお答えいたします。

 食料の安定供給は国家の最も基本的な責務でありまして、国内農業の生産基盤を維持強化し、国内で生産できる食料は、できる限り国内で生産していく必要があります。

 また、委員御指摘のとおり、食品産業などとともに地域の経済を支えているのは、我が国の多様な農林水産業であります。地域の特性を生かした農林水産物の生産や加工、販売を振興することが地域の活性化につながるものと考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、年々拡大していく世界の食市場を獲得するために農林水産物、食品の輸出を促進する、みどりの食料システム戦略により有機農業など環境負荷軽減に取り組む産地を創出する、これらを進めるための土台となるスマート農林水産業について、人材育成と併せて生産現場での実装を加速します。

 農山漁村の地域資源からの新たなビジネスを生み出す農山漁村発イノベーションを推進するといった施策を進めまして、生産力の向上と持続性を両立させながら、農林水産業や農村、漁村の活性化に取り組んでいきたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 安心して農村で働き、生活できる環境を整えていくためには、就農者への様々な支援の拡充とともに、農地中間管理機構を中心に進めている農地の集積により、効率的で安定的な営農基盤を構築することも必要と考えます。

 その上で、日本の農地を守るためには、このように、もうかる農業の推進とともに、地方の農地を保全するという考え方も必要かと思います。具体的には、農村地域への会社の寮やサテライトオフィスを整備する企業への支援や、テレワーク等を行う社員に対して一定の時間を農地保全に従事することを認める企業に対しての補助金など、農村地域に新しい人材を政策的に誘導することも有意義と思います。

 このように、企業と一体となって新しい就農者を生み出すことは、AIやロボットを使いこなす新しい日本の農業人材の創出にもつながると思います。そして、新しい就農者のためのサテライトカレッジやサテライトホスピタルの整備など、夢は広がります。

 官民が一体となって様々な省庁の政策の適用範囲を拡大するなど、効果的にその取組を組み合わせて地域の産業振興と地方創生への活路を開く新しい兼業農家、新しい農村の創出は、まさに岸田総理のデジタル田園都市構想の目指すところであると思いますが、総理の見解をお聞かせください。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 デジタル田園都市国家構想は、高齢化あるいは過疎化といった社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあるということを鑑み、その活用によって、地域の個性を生かしながら地方を活性化していく、そして持続可能な経済社会をつくっていく、こうしたことを目的とするものですが、本構想において、企業版ふるさと納税の活用等によるサテライトオフィスの整備、また、リモートワークの推進、デジタル人材の地方での活躍、こうしたことに取り組むことで地方への大きな人の流れを生み出していきたいと考えます。

 その上で、こうした農村地域に移住や二地域居住する新しい人材が、デジタル技術の実装によるスマート化も活用しつつ、農業と他の仕事を組み合わせた、いわゆる半農半Xという働き方、また、農村景観や野生鳥獣などの農村の多様な地域資源、これを活用した農泊、ジビエなどの新しい事業の創出に取り組むこと、こうしたことを支援し、多様な農業者が安心して生産できる豊かな農業の構築、こうしたものに取り組んでいきたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 是非、多様な、農村地での、新しい人材で、新しい、希望の持てる、そういった農業また農村が構築できるように、私も応援させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、防災、減災のための情報の活用と発信について、一つ、地域の被害予測等を踏まえた避難指示等の発令体制について、初めに伺わせていただきたいと思います。

 近年、地球の温暖化などの影響により、自然災害が激甚化、頻発化をしております。政府や自治体による適時的確な災害対応が一層求められております。

 国土交通省では、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の下、被害の防止や最小化のため、防災インフラ等の整備を進めているところだと思います。

 このハード面の整備と同時に、より正確な情報を迅速に収集し、発信し、被害を最小限に抑える行動を促すためのソフト面の取組も重要と考えます。ここで、警報等の発令時において、都道府県など比較的広い地域に対する情報の発信に加えて、例えば何々市の何々一丁目の付近が浸水する可能性ありなど具体的な地域の被害予測は、住民の的確かつ迅速な避難行動に直結するものと思います。

 そこで、今後は、自治体との連携を深めながら、気象庁の最新の観測と分析結果と、国土交通省や自治体の過去の災害の発生事例などの記録や、河川の流量やダムの水位などのリアルタイムの情報を融合し、地域における具体的な被害を予測し避難指示等を発令する体制を整備することも有意義と考えますけれども、見解をお聞かせください。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のまず第一点目、今後ソフト面にも力を入れるべきではないかという御指摘、まさしくそのとおりでございまして、例えば、豪雨災害の多くを引き起こす線状降水帯の予測精度向上に今取り組んでおります。

 これは、まず、新しい技術を使った水蒸気の観測の強化や、予測に用いるスーパーコンピューター「富岳」を使って予測技術の開発を、今、大学とも連携して進めております。線状降水帯の予測精度を上げていく、これも一つの試みでございます。

 また、今の「ひまわり」からの観測は、二次元的な情報、どこに雲がある、どこに水蒸気があるというのは平面上の情報として来るわけですけれども、これを将来の後継機には三次元情報として取り込む、そういういわゆるソフト面での拡充も進めております。

 そして、後半の二点目でございますけれども、防災気象情報を、地区ごとにきめ細かく、また住民が余裕を持って避難できるようリードタイムを確保して提供することが、御指摘のように、重要でございます。

 このため、河川事務所と気象台が共同で発表する洪水予報では、雨量や河川、ダムの水位のリアルタイムの観測情報や過去の災害事例を基に精度を向上させ、これまで三時間先までであったものを、昨年六月から六時間先までの提供を開始したところでございます。

 また、これら予測情報を活用し、河川の右左、左右岸二百メートルごとのきめ細かな氾濫のおそれの情報、危険度分布を提供することができるようになりました。

 今後、一級水系では国と都道府県の管理区間が一体となった洪水予測を推進するなど、更なる精度向上や長時間化に取り組む予定です。

 このように、自治体による避難指示等の発令や住民等の避難行動の判断に資する情報の充実に努めてまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 今、自治体にもいろいろな形で派遣していただいている気象防災アドバイザー等の活用も含めて、そういった情報が住民の皆様に的確に伝わるような、そんなことを目指していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、再生医療の先進国としての取組について伺います。

 日本の、iPS細胞を活用しての再生医療は、世界で最も進んだ日本の法整備を背景に、最先端を進んでいるというふうに思っております。この競争力の極めて高い再生医療を、日本の新たな基幹産業として大きく育てるときが来たと思っております。

 そのためには、再生医療に必要な細胞を、より大量に、より速く、より安全に、より安定して多くの医療機関に提供できる、他の追従を許さない大規模な細胞製造拠点が必要だと考えますが、そこで、厚生労働大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 また、この件につきましては、産業化という面もございますので、経済産業省の役割も大きいと思いますが、経済産業省の取組につきましても併せてお聞かせください。よろしくお願いいたします。

後藤国務大臣 iPS細胞を始めとする再生医療は、これまで有効な治療法のなかった疾患について研究開発が進む中、非常に国民の期待も大きく、迅速に実用化を進める必要があると考えております。

 このため、昨年九月に策定いたしました医薬品産業ビジョン二〇二一においては、多くの人に再生医療による治療を届けることができるよう、製造技術の確立や原料となる細胞の安定供給体制の整備など、再生医療等製品の生産体制の構築を進めることが必要であるとしております。

 今後、関係省庁と連携して、しっかりと取組を進めてまいりたいと思っております。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 再生医療は、医療に革新をもたらす重要な産業であると認識しております。

 委員御指摘のとおり、再生医療の普及拡大に当たっては、安定的な細胞供給が重要であります。その実現には、再生医療に必要な品質が確保された細胞を大量に製造する技術を確立すること、これに加えまして、医療関係法制の中で、細胞供給の安全性等を確保するためのルールの検討、あるいは、実際に治療を行う現場となる医療機関との連携など、再生医療等製品の製造業の発達なども含めて、医療行政を所管する厚生労働省目線での取組が着実に進められることが必要不可欠であると考えております。

 経済産業省におきましては、各省役割分担の中で、製造基盤技術の確立などの取組を進めております。引き続き、厚生労働省を始めとする関係省庁とも連携して、必要な対応を進めてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 現在、免疫拒絶のない本人のiPS細胞を用いた再生医療の技術が様々確立され、脊髄あるいは網膜、心筋、神経幹細胞など、積極的に治験が進められていると伺っております。

 脊髄損傷の方に再生医療が先日実施されました。今後、あと三人の方にも実施する予定と伺っております。このように、いよいよ再生医療も症例を重ねる段階に入ってきました。このことは、脊髄損傷で歩けなくなってしまった多くの人々に対して大きな希望となっております。

 そこで、我が国が再生医療分野の最先端を走り続けるために、また、脊髄損傷を始め、我が国の技術で再生医療をより成熟させるために、専門の医療施設の整備拡充に対しての支援も重要と考えますけれども、見解をお聞かせください。

後藤国務大臣 輿水委員の御指摘のとおり、再生医療については、新たな疾病の治療や予防、難病等の克服にもつながる可能性があるなど、医療の質を大きく向上させることが期待されております。

 こうした中、更なる技術開発を積極的に進める観点から、脊髄損傷の再生医療など、これまで治療法がなかった疾患に関する再生医療に対して、AMEDを通じた研究支援を行っております。

 また、再生医療の研究施設における研究体制を強化するために、日本再生医療学会を中心に、大学病院や企業、団体なども参画する研究開発の推進に向けたナショナルコンソーシアムを構築し、最先端の再生医療を提供可能なモデル病院を中心に、他の研究施設に対する技術的支援や人材の教育等を行っております。

 今後とも、産学官の連携を強化するとともに、それぞれの研究施設における技術開発を推進するなど、再生医療の実用化に向けて支援を行ってまいりたいと思います。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 社会機能を維持するための濃厚接触者の取扱いについて伺います。

 現在、医療従事者等は、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者であっても、無症状であり、核酸検出検査、いわゆるPCR検査、又は抗原定量検査、やむを得ない場合は抗原定性検査キットにより検査を行い陰性が確認されている場合に待機を解除することとしています。

 この濃厚接触者への取扱いに関する指示の下、現場では、短時間で検査結果が判明する抗原定性検査キットを活用しているケースが多いと伺っております。特にオミクロン株に対しては、咽頭付近でのウイルスの増殖が多いことから、抗原定性検査キットとの相性もよいと言われております。

 この抗原定性検査キットによるオミクロン株感染者のスクリーニングの精度について、厚生労働省はどのような認識を持たれているのか、お聞かせください。

後藤国務大臣 抗原定性検査キットについては、PCR検査等に比べまして簡易かつ迅速に結果を得ることが可能であること、また、一定以上のウイルス量を持つ方への検査として有効であること等の特性があることを踏まえまして、場面や状況に応じ、その活用を進めております。

 国立感染症研究所によりますと、WHOは、抗原定性検査キットの診断精度については、オミクロン株による影響を受けない可能性を示唆しております。

 また、薬事承認されている全ての抗原定性検査キットについて、製造販売業者にオミクロン株を含めた変異株の検出性能の確認を求めておりまして、現時点において、変異による性能への影響があるとの報告は受けておりません。基本的には、性能は確保されているものと認識しております。

輿水委員 ありがとうございます。

 このオミクロン株の感染の拡大は、今までの比ではございません。このような状況の中で、今後、社会の様々な機能を維持していくためには、医療従事者等だけではなく、介護従事者、あるいはトラックの運転手なども、濃厚接触者であっても検査が陰性であれば業務を遂行できる環境の整備も必要になるかと思います。

 そこで、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人々の業務遂行を担保するための濃厚接触者の待機基準の見直しと同時に、業務の遂行可否を判断するための検査キット等の確保が必要となると考えますが、見解をお聞かせください。

後藤国務大臣 濃厚接触者の待機期間については、発症するまでの潜伏期間に基づいて決めております。これまで、潜伏期間が三日のケースが最も多く、十日を超えることは極めてまれであるということから、十四日から十日に短縮することといたしております。

 また、地域における社会機能維持のための必要性や、あるいは自治体の判断によりまして、社会機能維持者について、検査の上で陰性を確認の上、待機期間を圧縮することを可能といたしております。

 また、医療従事者である濃厚接触者については、誰もが必要な医療を受けられるようにするための緊急的な対応として、毎日の検査等を要件に、待機期間中の医療への従事を認めております。

 また、沖縄県については、感染の中心が若者から小児、中高年世代へと拡大しておりまして、高齢者施設についても同様の対応が必要でありましたことから、感染した入所者等が施設内で療養せざるを得ない等の一定の要件の下で、一月二十一日に、緊急的に、待機期間中の介護などへの従事も認めております。

 他の地域での対応については、この沖縄の対応状況や今後の感染状況を見ながら、慎重に検討していきたいというふうに思っております。

 また、濃厚接触者を特定し、行動制限を行うことは、感染防止の手段として非常に有効であるわけでありますけれども、感染が著しく拡大した場合には、社会的な機能の維持の観点からの判断も重要であるというふうに認識しておりまして、濃厚接触者の待機期間については、引き続き、科学的知見の蓄積、専門家の御意見や感染状況等を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 今、検査キットも非常に不足しつつある、あるいは、毎日の検査ということで、それも足りなくなる可能性もあるんですけれども、医療機関とか介護施設等は、空港で利用している簡易的な抗原の定量検査キット、ELISA方式というか、そういった形のものもうまく並行で使いながら、使い分けをしながら、もしものときには、そういった毎日の検査体制の下、社会的機能を維持をしていただけるような取組をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、自治体のデジタル化の推進について伺います。

 行政のデジタル化を進めるに当たり、ゼロから新しいシステムを検討するのではなく、既にデジタル実装している国々の事例を参考にすると同時に、先行する国々と技術的な提携を結び、現場で安定して活用されているシステムの構造などを分析しながら、日本が得意とする改良とか改善による日本版のデジタル化を検討することは、安定したシステムを迅速に構築する意味からも大変に有意義だと思いますけれども、見解をお聞かせください。

牧島国務大臣 委員御指摘のとおりだというふうに思っております。先行している国々からベストプラクティスを学んでいく、また、その教訓や解決に至るプロセスを学ぶということは大事だと思っています。今御指摘あったシステム基盤ということと、それから制度、併せて参考にしていきたいと私たちは考えております。

 既に、昨年十一月に、デンマーク王国とMOC、協力覚書を、初のものとして締結をさせていただきました。

 デンマークは、国連電子政府調査で世界一位でありまして、使い勝手のよい市民ポータルなどの国民向けサービスと、そして、デジタル社会の基盤であるID認証システムを持っています。さらに、デジタル原則にのっとった法律、制度というものを、大変参考にするものとして私たちは位置づけております。

 さらに、エストニア、英国、シンガポールなどとも連携を行うべく、定期的に意見交換をさせていただいています。

 そして、今御指摘あった日本ならではの工夫も行っていく、そして、DFFT、信頼性のある自由なデータ流通の推進も進めていきたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 続きまして、共通プラットフォームの在り方について伺います。

 デジタル化に求められていることは、システムの統一というのは手段であり、データの連携であると思います。データの連携による行政の効率化において、また、個人データの保護とセキュリティー対策を両立させることは重要でございます。

 そこで、全国共通のこういったシステムを立ち上げるというよりも、今現在、各自治体で独立している既存のシステムがある、それを活用しつつ、連携が必要なデータを、必要なときに共通のプラットフォームに乗せることができる仕組みを各自治体で構築することで、安全で安心なデジタル連携を実現する、そんなことも検討してはどうかと思うんですけれども、御見解をお聞かせください。

牧島国務大臣 地方自治体のデジタル化を進める上では、今お話ございましたとおり、プラットフォームが必要であるというふうに考えております。

 デジタル庁は、共通的な基盤、機能を提供する複数のクラウドサービスの利用環境であるガバメントクラウド、こちらで地方自治体の情報システムについても活用できるよう推進をしております。

 住民記録、地方税、介護や福祉といった地方自治体の二十の基幹業務については、このガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへ移行できる環境を整備する、統一、標準化の取組を進めているところです。既に先行的な移行事業を進めております。

 こうした取組、しっかり、地方自治体の皆さんの意見を丁寧に伺いながら、協力して進めていきたいと思っております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 地方のシステムの取組について、現場から、それぞれの地域には、独自の、カスタマイズしているそういった取組がある、それらも含めて国に一本化するのはちょっと厳しいのかな、また、現場で逐次住民のニーズに応じて、また変えていきたいこともある。そういった中で、それぞれの自治体のそういったシステムを尊重しつつ、連携が必要なデータ等について、どのような形で同じプラットフォーム上で進めていくのか。こんなことも考えていただきながら、地方の思いと、また国の思いがしっかり合致した、そして、安全で安心で安定性のある、そういったデジタル社会構築をしていただければと思います。

 ちょうど時間となりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

根本委員長 これにて輿水君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田委員 岸田総理、閣僚の皆さん、本当に連日お疲れさまでございます。

 総理、お疲れですか。(岸田内閣総理大臣「大丈夫です」と呼ぶ)大丈夫ですか。

 今日は、最初、外交問題から入らせていただきます。

 総理は、施政方針演説でこうおっしゃられました。被爆地広島出身の総理大臣として、オバマ大統領の思いを引き継ぎ、勇気を持って核兵器のない世界を追求していきますと。是非、総理、このとおりで、本当に追求していただきたいと思うんですね。

 その一環なのかどうか知りませんが、先週、初めて本格的な日米首脳会談、テレビ会議でしたけれども行われたということで、その際、核不拡散条約に関する共同声明を出されましたよね。

 そこで、世界の指導者に、広島、長崎の訪問を呼びかけたいということが記されているんですけれども、総理、これは具体的に、総理の頭の中に、何かプランはおありになるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 被爆地に足を運んで、被爆の実相に直接触れてもらうということは、正確な認識を持ってもらうという点も含めて、核軍縮に向けたあらゆる取組のスタートであると認識をしています。

 そのため、御指摘のように、先日のNPTに関する日米共同声明においても、政治指導者また若者等に対し、被爆地への訪問を要請したという次第です。

 今申し上げたような考え方に基づいて、今までも、私自身、訪日する様々な要人に対しまして被爆地の訪問を呼びかけてきたところですが、日本政府も毎年、国連に対して核軍縮に関する決議を提出し、百数十か国の多くの国々から賛同していただいているわけですが、この決議の中においても、広島、長崎への訪問を呼びかけ、核兵器使用の惨禍、国境と世代を超えた、こうした惨禍をしっかり伝えていくよう努力をしてきたところであります。

 こうした思いを持って、これまでもこうした被爆地への訪問を呼びかけてきましたが、この度、改めて、日米の共同声明においても確認をしたという次第であります。

江田委員 本当に大変重要なことだと思います。私事にわたって恐縮ですけれども、私も二人の息子を数年前広島に連れていきまして、原爆資料館を見せました。やはり実際に見るのと見ないのでは全然違いますから、それを世界の方々に見ていただく、本当に大切なことだと思いますね。

 その意味で、来年、G7サミット、日本で開催されるんですけれども、総理、広島出身の、被爆地出身の総理大臣として、主催をされるG7サミットを広島で行うというお考えはないんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、被爆地において被爆の実相に触れるということ、これは大変重要なことであると認識をしております。

 そして、御質問のG7サミットをどこで開くのかということについては、広島を始め複数の都市が今立候補されている状況であります。これから、まず、都市の機能としてこうした大きな会議に適しているかどうか等、そういった物理的な条件等から始まって、しっかりと評価していきたいと思います。

 G7サミットですので、核軍縮・不拡散、これも大きなテーマではありますが、様々な課題に向けて議論をする場でありますので、様々な点を総合的に勘案して、適切な開催地を、今年六月にドイツでG7サミットが開かれますので、そのドイツでのサミットまでにしっかりと決定をしていきたいと思っています。

江田委員 岸田総理も御尽力されたオバマ大統領の広島訪問、あれも、ある意味タブーを破ったんですね。私も政府に長いこといたものですから、大体、いると、被爆地広島にアメリカの大統領を来させるようなG7サミットはやるべきではないという、外務省を中心とした、ずっと根強い反対論がありました。しかし、ある意味それは破られたんですね、オバマ大統領の決断というか。恐らく、米国内でも反対はあったと思いますよ。それを押し切って訪問された。これは勇気を本当にたたえたいと思います。

 それから、翻ってみると、御承知のように、小渕総理、沖縄サミットをやりましたね、沖縄サミット、二〇〇〇年のことですよ。あのときも、実は、さきの大戦の大激戦地である沖縄に米国大統領を招くのかという意見があったことも事実なんですよ、政府に。それを小渕首相が押し切って決断をされて、沖縄サミットを開いて大成功されたんですね。

 まさにこれは岸田総理の政治家としての原点でもあり、被爆地出身ということもあり、ここは総理、それは六月に決めるんですね、前年のサミットまでに開催地は。ですから、検討の対象で、広島で開くとまで今言っていただきたいとは言いませんけれども、福岡とか、ほかの、愛知ですか、何か候補地が挙がっているようですけれども、広島も含めて挙がっているんですかね。せっかく一番のいい機会ですから、是非ここは、総理大臣なんですから、今、それを主催するサミット、これは格好の舞台になりますから、そういう実相を知っていただく。

 総理、もう一度ちょっと御答弁をお願いできませんか。

岸田内閣総理大臣 私として、核軍縮・不拡散、核兵器のない世界を目指す、こうしたテーマはライフワークとして大変重要な課題であると認識をしています。

 ただ、G7の開催地については、日本の国益、そして様々な点を総合的に勘案して、しっかり決定したいと思っております。

江田委員 笑みがこぼれましたので、もう心の中では決めておられると私は思いますが。

 これはもう絶対やるしかないですよ、総理。今このときに総理大臣という地位におられるんですからね。そのぐらいは、幾ら地元びいきだと言われたって、そのぐらい許されますよ。

 それから、これも、何度も前国会で聞かれている核兵器禁止条約のオブザーバー参加。

 私も、条約そのものに参加しろとは言いません、オブザーバーですから。ドイツだって、政権交代して、同じアメリカの核の傘の下にあるドイツもオブザーバー参加した。

 それから、これは根本的な問題なんですけれども、アメリカという国の見方なんですよ。

 これは僕の経験、外務省にいると、アメリカへの忖度が過ぎるんですよ。もう何か、これをやったら、言ったら、機嫌を損なうんじゃないかといって、結局俎上に上らないんですよ、テーブルの上に出さないのね。

 典型的なのが、辺野古への普天間飛行場の移設、あのときも外務省は大反対しましたね。こんなことを、初めての日米首脳会談の席上でクリントン大統領に、橋本総理、言っただけで、何か、今度総理大臣になった橋本というやつは安全保障のアの字も分からないばかな総理だと思われますよと外務省の幹部が言うんですよ。

 それを踏み切ったのは橋本総理の決断であり、それをしっかり受け止めたのがクリントン大統領、沖縄の従軍経験のあったペリー国防長官、さらには副大統領経験者のモンデール大使、この連係プレーで普天間基地の返還ができたんですね、合意ができたんです。残念ながら、まだ、四半世紀たってもできないことは本当に残念ですけれども。

 今はその主題ではないのでこれでやめますけれども、いずれにせよ、アメリカという国は、私も多少知っていますけれども、そんな度量の狭い国じゃないですよ。核の傘で守ってやっているから、オブザーバー参加するのはけしからぬなんて絶対言わないと思いますよ。

 その意味で、岸田総理は前国会でもこういう言い方をしているんですよね。いきなりオブザーバー参加すると、やはりバイデン大統領との信頼関係が損なわれますからという答弁もされているんです。それは僕はそのとおりだと思う、いきなり参加だと。

 今回、テレビ会談されたわけですから、ちょっとバイデン大統領に耳打ちでもされたんですか。ちょっと、この核兵器のオブザーバー参加という話があるけれども、参加してもいいでしょうかというか、まあ、いいでしょうかと請うような言い方じゃなくて、オブザーバー参加、どう考えますかとか、ちょっとでも何か話題に上らせたんですか。

岸田内閣総理大臣 先日の日米テレビ首脳会談においては、バイデン大統領との間において様々な課題を議論する中にあって、核軍縮・不拡散についても間違いなく議論を行いましたし、そして、少なくとも核兵器のない世界を目指すという大きな方向性については共有できたと思っています。

 委員おっしゃるように、バイデン大統領との信頼関係、この核軍縮・不拡散という課題における信頼関係をつくる上で、貴重なスタート、一歩になったと感じています。

江田委員 じゃ、個別具体的な話はしなかったと。

 これはもう、岸田総理に私が言うのは僭越ですけれども、要は、こういう、世界でたった一つの被爆国、その日本が世界で名誉ある地位を占めたいと思うならば、愚直にこういう核兵器なき世界を目指すという訴えをしていく。その外部的徴表としてこういうオブザーバー参加をして、そして、橋渡し役だ、核保有国と非保有国の橋渡し役をするんだとおっしゃるんであれば、それはNPTは両方入っていますけれども、この核兵器禁止は確かに非保有国。しかし、非保有国の言い分、保有国の言い分、そういうものを橋渡しするのなんて、オブザーバー参加というのは条約のオブリゲーションを負わないんでしょう、オブザーバー参加だけでは。

 だったら、橋渡し役というなら、このぐらいのことで、日本が世界的なプレゼンス、核兵器のない世界を追求するという中でプレゼンスを示していく、愚直にですよ。実現可能性はありますよ。しかし、こういう世界では、国際場裏の中では、愚直にこういうポジショニングを取っていくということが、将来的な日本への評価につながる、名誉ある地位という評価にもつながると私は思うんですけれどもね。

 岸田総理、それでもオブザーバー参加、されませんか。

岸田内閣総理大臣 私も本の中で書かせていただいていますが、核兵器のない世界を目指すという大きな目標に向けて自分なりにロードマップを考え、その際に、この核兵器禁止条約、これは核兵器のない世界に向けての出口に当たる大変重要な条約だと認識をしています。ああした法的な枠組みをしっかりつくる、あえて言うならば、検証方法等、より具体的なものが条約にあればよりしっかりとした法的枠組みになると思いますが、大変重要な条約であると認識をしています。

 そして、私たちは、日本もそうですが、核兵器国も含めて、NPT、核不拡散条約、これに参加して議論を今続けているところです。この核禁条約とNPTをどう結びつけるか、これが大事だということを申し上げています。

 私は、そのために、一つは先ほど申し上げた同盟国であるアメリカとの信頼関係、これが大事だということを申し上げてきましたし、そして、NPTから核禁条約にどうつなげていくのか。今までも、CTBTとかFMCTとか、これは現実的に、アメリカも中心になって様々な議論を行ってきたわけです。最近それらがすっかり忘れられてしまっていますが、いま一度、NPTに基づいて努力をしてきた今までの成果をしっかり振り返って、こうした努力をしっかり積み重ねることによって、一歩でもこの核禁条約に、我々、近づくように努力していくことが現実的な取組だということを申し上げています。ですから、この足下、日米同盟からしっかり始めようということを申し上げているわけであります。

江田委員 今のお話では、出口としての法的枠組みとしての核禁条約は認めるということですよね。しかし、岸田政権、何年続くんですか。岸田総理でしかできませんよ、こういう原点をお持ちの、オブザーバー参加。出口を認められるんだったら、早く入口に入ってください。十年も二十年も続くんですか、岸田政権。

 是非、これも岸田総理でなければできない、自民党の総理大臣としてはですよ、本当に重要な問題だと思いますから、このぐらい判断しましょうよ、総理。決断の総理なんでしょう、決断の。昨日、山井さんは違うことを言っていましたけれども。

 さて、ウクライナ情勢、緊迫しています。今、十万人規模のロシア軍が集結しているとも言われますし、NATO諸国も軍備増強を着々と進めている中で、アメリカもイギリスも大使館の職員の家族を、退避命令、退避要請も出している。日本も時間の問題だと言われていますね。

 今、総理、このウクライナ危機ともいうべき状況についての、どういう御認識でおられるか、お答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 ウクライナ情勢については、ウクライナ国境周辺地域におけるロシア軍の増強の動き等、重大な懸念を持って注視をしています。

 ウクライナの主権ですとか領土、これは大変重要な問題であり、日本としても大きな関心を持って注視をしているところですが、今後の動きについて予断を持って何か申し上げることは控えますが、少なくとも、G7の枠組み等、これをしっかり重視しながら、国際社会と連携をしながら、このウクライナの今後の動きにおいて、日本としても適切に対応していかなければならないと考えております。

江田委員 一触即発の状況とも言われていますけれども、あくまでも平和的解決を私も望みます。

 しかし、この前の首脳会談、テレビ会談で、このウクライナ情勢についても引き続き日米連携するという中で、いかなる攻撃に対しても強い行動を取ることについて、国際社会と緊密に調整を続けていくことを約束したと。この、いかなる攻撃に対しても強い行動という、強い行動の意味するところを教えていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 二十一日の日に行われました日米テレビ首脳会談においては、日本側として、仮にロシアによるウクライナ侵攻が起きた場合には、どのような強い行動があり得るかという点について、米国とも緊密に調整し、そして検討していくこと、これを確認をいたしました。

 その詳細は控えますが、その強い行動とは具体的にどういうことかという御質問だったと思いますが、これは、ウクライナ情勢、今後、緊迫しているのは間違いありませんが、この状況、そして各国の動き等もしっかり考えた上で、具体的なものを考えていかなければいけない、こうしたことではないかと考えます。

江田委員 強い行動、どういうのがあり得るかじゃなくて、強い行動を取ることについて、今後、国際社会と調整していく。

 バイデン大統領は、プーチン大統領個人を制裁するとか、ドル取引を停止するとか、ロシアからのエネルギー供給を止めるとか、未曽有の制裁をやるというのは個人的に、大統領としておっしゃっている。

 それはともかく、総理、ここで一点確認したいんですよ。要は、クリミア併合のときに、日本は腰砕けの制裁しかできませんでした。欧米と協調できなかったんですよ。それは、一方で北方領土交渉があった、対ロ交渉があったので、そういう事情もあって、当時はたかだか、ビザ発給要件緩和に関するロシアとの協議の停止や、日ロ間の新投資協定などの締結交渉開始を凍結するとか、本当にやわな制裁しかできなかったんですよね。

 今度は違うと。今度、仮にこの強い行動を取る、今度は欧米というかG7諸国と協調して、日本も足並みをそろえて、もし軍事行動となれば制裁をするということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 今、御質問の最後は、強い、軍事行動をすると御質問されたんですか。ちょっと確認をお願いします。

江田委員 クリミア併合時のような腰砕けの制裁ではなくて、今度は欧米、特にG7各国と協調して、足並みそろえてちゃんと制裁するんですね、それが強い行動を取るということですねという確認です。

岸田内閣総理大臣 今回、このウクライナ問題、具体的にどう行動するかは今後の状況をしっかり見た上で考えますが、基本的に、G7の枠組み等をしっかり念頭に置きながら、国際社会と連携をしていきたいと思っています。

 そして、その際に、我が国としての国益をしっかり考えながら、この対応を具体的に考えていくということであると思っております。

江田委員 総理、我が国の国益を考えながらという条件をつけるというのがあれなんだけれども、これは毅然としてやってほしいですよ。

 それで、北方領土交渉。それは多分、一つにはそれを頭に置いての今の御発言だと思うんですけれども。

 まず、総理に基本的な認識を問いたいんですけれども、北方四島の主権は日本にある、当然、ということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、我が国が主権を有する島であります。

江田委員 当たり前ですよ。そんなもの、何で紙なんか出すんだ。秘書官、ばかにするのもいいかげんにしなさい、総理を。

 それならば、総理、これからの北方領土交渉は、当然、四島返還を目指して交渉していくということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 我が国の北方領土問題に対する姿勢は、四島の帰属の問題を明らかにして平和条約締結を目指すというものであると承知をしております。

江田委員 東京宣言も、私が携わらせていただいたクラスノヤルスク合意もイルクーツク合意も、全て四島の帰属。四島の帰属という言葉を入れさせるのに大変だったわけですね、ロシアに。四島なんですよ。

 ただ、今回、僕、総理の施政方針演説を見て、ちょっと違和感を感じたんですね。

 私は、海部、宮沢、橋本政権の施政方針演説の草稿も書いていたんですよ。だから、大体、政府の流儀、文言の言い回しというのには、非常に私、敏感に反応する方なんですけれども、こう書いてあるんですね。ロシアとは、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、二〇一八年のシンガポールでの首脳会談のやり取りを含め、これまでの諸合意を踏まえ、二〇一八年以降の首脳間でのやり取りを引き継いで、粘り強く交渉を進めながら云々と。

 違和感というのは、東京宣言も、イルクーツク声明も、日ソ共同宣言も、これまでの諸合意、まとめられているのに、二〇一八年のシンガポールでの首脳会談のやり取りがばっとデフォルメされて、特記されているということなんですね。

 それで、私、驚いたのが、安倍元総理の北海道新聞十二月二十六日の単独インタビュー記事で、本当に驚きましたね。当事者の安倍総理が、二島返還のみでロシアと交渉したということを認めたと。余り出せない、こういうね。

 要は、安倍総理の発言を見ると、日ソ共同宣言の交渉をなぜ、安倍総理になって日ソ共同宣言というのを意図的に出して、それを基礎としたと。それについて聞かれたときに、安倍総理、百点を狙って零点なら何の意味もない、到達点に至れる可能性があるものを投げかける必要があると。到達点、到達点というのは出口ですね、に至れる可能性があるものを投げかける必要があったといって、二島返還のみで、二島返還を軸に交渉を転換したことを事実上認めた。この路線を考え直せば日ロ関係は一〇〇%後退すると。

 これは実は、私が、シンガポール合意というのは一八年十一月、二〇一九年二月の予算委員会、この場で安倍総理に問いただしました。私は、シンガポール合意というのは二島のみ返還だ、二島先行ではない、二島のみ返還に転換したと確信していましたから。それを問いただしたときも、安倍総理は認めませんでしたね。

 去年も、あえて菅総理に、菅さんも官房長官だったので、質問主意書を出して、同じように、シンガポール合意は二島のみ返還なんだと。言われているような二島先行じゃない。二島先行というのは、まず歯舞、色丹を返した上で、あとの二島については引き続き協議、二島先行ですけれども、安倍総理が踏み切ったのは、到達点に達する必要がある、要は、二島のみだと。

 それで、このインタビュー記事では、それを岸田総理に引き継いだと。とにかく、シンガポール合意とその後に行われたブエノスアイレスの会談のことについて、しっかり岸田総理には引き継いだとこのインタビューでは書いてあるんですけれども、岸田総理、二島のみ返還なんですか。

岸田内閣総理大臣 二〇一八年のシンガポールにおいて、日ロ間で、首脳の間で重要な合意が行われた、これはそのとおりであります。そして、その後も、アルゼンチン・ブエノスアイレス等において首脳会談は続けられてきました。これらの流れをしっかり引き継ぐということを申し上げております。

 その間の事情について、安倍総理からしっかり話を聞いたか、引き継いだかということについては、しっかり話は聞いております。

江田委員 それは、安倍総理が認めたような、これからはもう北方領土交渉は二島のみだ、そういうことでしたか。

岸田内閣総理大臣 合意の内容は多岐にわたっています。安倍総理のその記事、発言について触れることは控えますが、しっかり外交のやり取りの中で確認したこと、話し合ったこと、こういったことをしっかり受け継いでいるところであります。

江田委員 これが事実とすれば、自民党の総理大臣を含め、歴代の先人が本当に苦労してきたことを全て水泡に帰す外交上の大失政ですよ。こんな政策の大転換をやるのなら、国民にしっかり説明をする、これが当たり前の政治家としての責任ではありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、安倍総理のその発言については直接お伺いしておりませんのでコメントは控えますが、外交のやり取りの中で、我が国としてロシアとしっかりやり取りしたことについては、しっかり確認をし、引き継いでいきたいと考えております。

江田委員 こんな話は、外交文書に残っていますから、いずれ公開されるんですよ。政権交代をすれば、白日の下にさらされるんですよ、幾ら曖昧にしようとしたって。でも、曖昧にできるポイントではありません。

 私も当時お世話になった東郷さん、佐藤優さん、このお二人が、当時、シンガポール合意の前後にしきりにメディアに発信されていた。要は、その案というのが、二島返還プラスアルファ論。歯舞、色丹は返還するが、国後、択捉の主権はロシアに認め、この二島とは経済的、人的交流等を自由にするという案なんだと。

 これは私は、彼らはうそをつく人じゃない、僕は信頼しているんですよ、お世話になったんですよ、クラスノヤルスク合意のときも、このお二人には。だから、安倍官邸と当然連携してこういうことを、環境条件の整備か醸成か知らないけれども、こういうことを発信して、しかも、今回、十二月二十六日、総理大臣をお辞めになった気楽さからか、こうやってべらべらべらべらインタビュー記事にああやって二島のみみたいな話をしているんですよ。本当にこれは罪が深いと思いますよ、総理。いや、総理を責めている、総理。

 だから、二島のみってやったら、総理大臣が、権限を持つ総理大臣が一旦口の端に、ロシアの大統領に向かって二島のみだと言ったら、もう四島の返ってくる芽はなくなるんです、未来永劫。

 百点を狙って零点じゃしようがないんだ、私に言わせれば、五十点を狙って未来永劫零点にしたのが安倍元総理ですよ。本当に外交上の大失態だと思いますよ。

 こんなことを、はっきりちゃんと説明しなきゃ駄目です、岸田総理。政権が替わったんだから、総理になられたんだから。外務大臣もやられて、政調会長もやられていたわけでしょう、当時。どうするんですか、北方領土交渉。ロシアのプーチンさんの立場に立ってみれば、はい、取りました、もう。

 だから、私は言ったんです、当時も。二十七回も会った、でもプーチン大統領が日本に来たのはたった一回だけ、長門会談だけだと。私、悪い言い方をすると、お百度を踏む朝貢外交と言ったんです。外交というのは、大体、テーブルに着く前に負けているんです、これだけ、こちらが。首脳外交というのは、大体、こっちが行ったらあっちが来る、イーブンの立場で、それでいろいろな駆け引き、バーゲニングでやっていくんですよ、当たり前に。それを、一方的にお百度を踏んだら。

 もうとにかく、プーチン大統領が来たのはたった一回、安倍当時総理がロシアに行ったのは十回以上ですよ。足下を見られるのは当たり前じゃないですか。そして、共同経済活動、新しいアプローチ、こんなものは小渕政権でやろうとしてできなかったんです。お互いの法的立場を損なわない、共同経済活動、これは新しいアプローチなんだと安倍総理は大々的に喧伝されましたけれども、私に言わせれば、小渕総理がもう既に提案をしてついえた話をまた持ってきて、進むわけないじゃないですか。

 それで、挙げ句の果てに、一昨年、ロシアは憲法を改正して、領土は割譲しない、プーチン大統領はもう憲法違反は一切しない。もう全く北方領土交渉も進まない状態に追い込まれているじゃないですか。

 これは、やはり自民党政権というか安倍政権、外務大臣も政調会長も、本当に重要ポストにおられたんですから、共同責任ですよ、本当に。どうお考えになるんですか。どうやっていくんですか、これからの北方領土交渉は。

岸田内閣総理大臣 我が国の立場、これは、北方領土は我が国が主権を有する島々であり、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題である、この一貫した立場、これは今も変わっていないと認識しています。

 そして、安倍総理の発言について直接コメントすることは控えますが、我が国が今日まで行ってきた様々な合意、これをしっかり踏まえて引き続き交渉を進めていく、これが私の立場であります。正式に合意された内容、これをしっかり尊重しながら、今後とも交渉を続けていきたいと考えております。

江田委員 多少なりとも今まで北方領土交渉に携わってきた者として、もう絶望的に思っています。岸田総理も、やり方はもう思い浮かばないんじゃないですか。もう手詰まりです。それは岸田総理だけの責任じゃないですよ。安倍総理が一番責任は重いと思います。

 ちょっと、この問題はまたやりたい、もう時間もなくなってきたので。これは本当に重大な問題です。国民にしっかり説明せないかぬ。こんなことを勝手に決めて、いけしゃあしゃあとインタビュー記事では述べる、国会では認めない、こんな態度はもう許せません、私は。

 ちょっともう時間がなくなってきているので、オミクロン対応をやろうと思ったんですが、どうしても取り上げたいのはワクチン三回目の接種。昨日時点で、たった二・一%、OECD最下位の接種率ですよ。これが深刻なのは、オミクロンにも三回目のワクチン接種が有効だといいながら、もうオミクロンのピークは来週、再来週に来るんですよ。二・一%ですよ、しゃかりきに打っても間に合わないですよ。

 だから、結果論からいうと、結果的にいうと、これは、オミクロン対応にワクチン三回目接種は間に合わなかったということなんですよ。それだけで岸田政権の責任だと思いますが、どう認識されているんですか。

岸田内閣総理大臣 ワクチン接種に関しては、我が国において、一回目、二回目の接種、これは、結果として八割以上の国民の皆さんが接種を受けるなど、大きな数字を示すことができました。多くの皆さんの協力のおかげだと思っていますが、ただ、一回目、二回目のタイミングは各国と比べて遅れてしまった。そのために、間隔を空けて行わなければならない三回目の接種について、今年の一月、二月がピークを迎える、ワクチン接種が本格化する、こういったタイミングになってしまった。

 こうしたことについて、しっかりと現実を受け止めて、大きな対策の柱でありますワクチン接種、しっかりと進めていかなければならないと考えています。しっかり供給量を用意して、自治体に協力を求めながら、しっかり接種を進めていきたいと考えております。

江田委員 振り返ると、要は、十二月の時点で、幾つもの自治体は、もう打てる体制もあり、在庫もあったんですよ。それを、岸田総理というか、政府というか、厚生労働省が、いや、八か月なんだ、原則は、これにこだわって打てなかった。

 その後、それを受けて、確かに先月、総理は前倒しの検討を表明をされましたよ。しかし、この八か月にこだわり、その後二度変更され、七か月だ、六か月だと。今日も新聞に埼玉県の話が出ていましたけれども、最初から六か月と言ってくれれば準備も相応にできたのに、最初は八か月と言われて、それを七か月だ、六か月、二度も変更されたらとても準備が追いつかない、こう言っていますよ。

 それから、何か、第五波のワクチン接種も、後は一日百万回以上やったから今はもう先進国でトップぐらいの接種率です、そういうのは関係ないんですよ。あれももっと早くスタートさせていれば、あの五波で、あの暑い夏、八月、何百人もの人が自宅で亡くならなくて済んだんですよ。

 今回もそうですよ。オミクロン対応にワクチン接種が有効といいながら、もう二月上旬にはピークを迎えようかというオミクロン対応のときに、何%接種しているんですか、三回目。ほとんど効果ないじゃないですか。それを遅らせてきたのは岸田政権ですよ。岸田政権は九月から政権にいるわけですから。

 イギリスのジョンソン首相がいいわけじゃないですけれども、あの方も最初は八か月だ何だと言っていた、六か月だと。今もう三か月、四か月、どんどん打っているじゃないですか。もう英国のワクチン接種、三回目の接種率は五〇%を超えているんですよ。経口薬も潤沢にあるわけですよ。英国は、経口薬の開発だって、開発段階から予算を投入して、先取特権みたいなものですよ。どんと英国がワクチンも経口薬もそういう形で確保しているから、これだけ接種が進んで対応しているという面もあります。

 ですから、申し上げたいことは、柔軟に変えてきたからいいだろうじゃないんですよ。何でもっと早く、十二月から打てる自治体から打たなかったんですか、総理。何で止めたんですか、八か月だと言って。

後藤国務大臣 先ほど総理からもお話しさせていただいたところでありますけれども、当初、八か月という議論をしておりました頃には、オミクロン株の流行は進んでいなかったというふうに思っています。

 そして、少なくとも薬事承認上も六か月よりも前に倒れることは、今でも、やはり薬事承認というのは、各国の企業、それぞれの企業が申請するものでありますから、そういう形になっております。

 八か月ということを考えましたときには、当時、半年は少なくとも重症化予防効果やあるいは様々な効果が担保されているということを前提に、各国、イギリスも含めて多くの国が八か月を基準としておりました。

 その後、オミクロン株が流行が懸念される状況になりまして、できる限りワクチンの確保をするということとともに、体制整備ができるかどうかということをチェックしながら進めてまいりました。

 イギリスは非常に数が多いことは委員の御紹介のとおりであります。しっかりやらせていただきます。

根本委員長 厚労大臣、簡潔に。

江田委員 もう時間がないので、総理、答えて。

 要は、今きれいごとばかり言っているけれども、私も、厚生労働に聞いたら、これは悪平等を重視したんですよ、悪平等を。要は、在庫のあるなし、自治体によってばらばらだ、打てる体制があるところ、ないところがある。これは官僚組織の悪弊なんですけれども、やはり一番遅れているところに合わせるんですよ、そうすると不平等だ。これは悪平等というんですね。

 こんなに緊急事態で、オミクロンが、何、出て、出ない、そんなことじゃないですよ。いずれにせよ、何か起こったときのワクチン接種というのはもう準備を進めているわけですから。

 だから、総理、是非、これはもう何度も何度もこういうことを繰り返しているんですけれども、これから教訓を得て見直してくださいと言うのはむなしいぐらいなんですけれども、そういうことだったんですよ、総理。だから、そこはもう本当残念でならないですよ。ワクチンだって、三回目接種って今しゃかりきになってやるのはいいですよ。いいけれども、オミクロン対応という点についてだけ言えば、効果ないじゃないですか、二・一%しか打てていない。来週何%になるんですか。

 総理、ちょっと反省の弁で、しっかりこれからは先手先手でやると言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 様々な御指摘はしっかり受け止めながら、今、高齢者を中心に三千百万人の方に三回目の接種を進めているわけですが、その後、一般の方五千五百万人も含めて、余力のある自治体にはできるだけ前倒しをお願いするという方針を伝えさせていただいております。

 是非、できるだけスピード感を持って、前倒しをして、接種を進める努力を続けていきたいと考えております。

江田委員 ちょっと、最後に一問だけ。

 ちょっと懸念される情報が飛び込んできましたね。東京近郊でゲノム解析をやってみると、大体九五%はオミクロン。しかし、あとの五%のうち、デルタ株の変異株、更に変異した変異株が表れているということなんですね。これは、東大先端研の児玉龍彦先生ほかの専門家が二十三日に声明を出していますから、是非それをお読みください。これが杞憂に終わることを願っています。

 デルタ株の変異株といっても、これがデルタ株の亜型であれば大したことはないんですよ。しかし、これがイギリスやアメリカで猛威を振るったデルタ株の変異株であれば、日本ではやったデルタ株とは違うらしいんですよね、いろいろなゲノム解析をすると。日本の場合は三か月で収束したんですよ。これはインドも三か月で収束した。

 これは、政府は認められないかもしれないけれども、国立遺伝学研究所が十月に出した自壊説というのがあるんですよ。要は、インドから来たデルタ株、インド株と日本ではやったデルタ株は同じ、ゲノム解析しても一緒なので、大体三か月で収束している。収束原因は、それは今は議論しません。自壊という説もありますね。

 しかし、このデルタ株の変異は、今のところの情報でいうと、インドではやった、これまで日本ではやったデルタ株じゃなくて、イギリスやアメリカで猛威を振るったデルタ株じゃないかというところまでは来ているんですね。分かりません、これは。

 ですから、是非、遺伝子解析をしっかりやって、オミクロンも大事ですけれども、その次に来る、いつもそうなんです、オミクロンの後にもしっかりまた来るという前提で、来なきゃいいと。ちゃんと対応を図るためにも、まずゲノム解析をしっかり政府としてやって、まずは正体を把握していただけませんか、総理。

後藤国務大臣 委員御指摘のように、変異株というのはいつでも起こる可能性がありまして、今世界でも、デルタ株についても、またオミクロン株についても新しいものが生まれているという論文も出ているので、しっかりと御指摘を踏まえまして、検討して対応していかなければならないと思っております。

江田委員 もう終わりますけれども、総理、ここで指摘しましたから。分かりません、正体は、だけれども懸念があります。総理、ちゃんとしっかり解析しろと指示していただけませんか。問題なきゃいいんですよ。どうぞ。

岸田内閣総理大臣 しっかりと科学的知見を集約して対応を急ぎます。

江田委員 ありがとうございました。

根本委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、田嶋要君。

田嶋委員 田嶋要でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今のお話にもありましたけれども、是非、この刻々動く情勢の中で、最悪を想定し、そして先手先手で対応していただきたいということを私からもお願いしたいと思います。

 総理、これまでのコロナの中で、国民皆保険の国というのに一体何たることとよく指摘をされております。医療を受けられずに命を落とされた方が大勢出ました。そういうさなかで、今度の新たなオミクロン株であります。

 岸田総理にお尋ねしたいと思います。

 こういうことは繰り返さない、二度と繰り返さない、国民の命と財産を守る、そのことを今度こそ失敗のないように行うということの覚悟をお尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 政治の最大の責務は国民の命や暮らしを守ることであると認識をしています。

 総理に就任してから後、強力な変異株が出現する等も含めて、最悪の事態を想定し、取組を進めてきました。

 今回のオミクロン株の流行に際しても、G7で最も厳しい水際対策を行うことによって、国内への侵入を最小限に抑え、そして時間を稼ぐことによって医療体制を準備し、そして予防、検査、早期治療の流れを強化する、こうした取組を進めてきました。こうした体制をしっかりと機能させることが今我々に課せられた最大の課題であると認識をしています。

 御指摘のように、国民の命、暮らしを守るために、政治としてしっかり責任を果たすべく、全力で取り組んでいきたいと考えます。

田嶋委員 政治は結果責任です。あれをやった、これをやった、これがやってある、そういう話ではなくて、去年起きてしまったようなあのような悲しい事態、お医者さんに診てもらうこともなく命を落とした人が全国にいらっしゃる、これを二度と繰り返してほしくない、そのことの覚悟を持って臨んでいただきたいというふうに思います。

 そしてもう一つ、昨今言われているのは、医療のことだけではなくて、社会が機能しなくなってくる、今この感染力の強さの中で、社会全体が麻痺してくるんじゃないか。

 私、懸念しておりますのは、やはり、オミクロンで命を落とすということだけではなくて、これから、岸田総理も御自身の寄稿の中でも書いていますけれども、やはり貧困と格差の問題、経済的に大変苦しい状況に追い込まれる方が今年もますます増える可能性がある。そうした中で、自ら命を絶たれる方のことも、最悪を想定して、しっかりと手当てをしていただきたいというふうに思います。

 配付した資料の二枚目を御覧いただきたいと思うんですが、我が国の自殺対策ということは、いい結果を出してきているところがあります。ちょうど十年ぐらい前ですか、鳩山政権だったと思いますけれども、当時の長妻厚生労働大臣、あるいは長浜副大臣、山井政務官、そういったメンバーとともに、自殺対策に対しての強化がスタートし、そこから、以来、安倍政権になっても、ずっと今日まで数字が下がってきた、それは本当によかったというふうに思います。私も超党派の議員連盟で取組を続けておりますが。

 残念ながら、おととし、御案内のとおり、若い女性を中心に自殺者数が跳ね上がってしまっている、こういう状況があるということは誠に残念であります。昨年の速報値はちょっと数字が下がったということも言われておりますが。

 しかし、考えなきゃいけないのは、やはり、医療よりも少しタイミングが遅れて、経済困窮で行き詰まる人、増えてくるのではないか、そういう最悪の事態を是非想定をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、次の資料を御覧いただきたいんですけれども、菅総理のときに、現場に行っていただき、そして、政府からの支援についてのお話合いがあったということを言われておりますが、下線が引かれております。まだまだ政府の支援が十分ではない。今回、六十億円という予算、そしてまた孤独担当大臣ということで、前進している面はあるわけでございますが。

 岸田総理には、菅総理が現地まで行っていただいていろいろお約束をされている、このことが引き継がれているのかどうか、ここは極めて大事だというふうに思います。医療にかかれずに命を落とされる方もゼロにしてほしい。しかし、追い込まれて、うつになって、自ら命を絶たれる方、これはなかなかゼロにはできないかもしれないけれども、この岸田政権の下で増やさせない、こういう覚悟の下に、この予算の措置。

 特に現場からの声は、単年度の予算ではやはりいい人材の育成ができない。岸田総理は人への投資が大事だ、こういうことも強調されておりますけれども、ここの分野も大事なことは、寄り添ってあげられるボランティアの方の育成が厳しい状況にあるんですね。そして残念ながら、外から入ってくるSOSの電話、半分も出れていないんです、だから、現実。したがって、最後のSOSが、声を届けることなく自死に至っている、こういうケースが相当あるのではないかということが懸念されるわけであります。

 本来であれば、国が直営でこういった体制をしっかり整えるべきだと私は思いますが、しかし、今、民間の様々な団体がこういうことを頑張っていただいている。是非とも、民間の優れたところを生かしながら、しかし、お金の面で心配をさせない。人づくりをしっかり行って、苦しい人、落ち込んでいる人、行き詰まっている人々に、支えてあげられるような、寄り添ってあげられるような、そういう日本に是非ともしていただきたい、そのように考えております。

 是非、その点、きちんと受け継いで実行していく。多年度の、ほかの自治体では三年ぐらいの予算をまとめて約束することもやっているそうですね。始まっております。そういう柔軟な財政支援も是非含めて御答弁いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、政治姿勢を引き継いでいるのかとの御質問に対しましては、しっかり引き継いでおります。

 そして、困難を抱える方々と行政の橋渡しをされるNPO等の方々への支援、これは誠に重要であると思っています。

 私も、子供食堂ですとか、あるいは困窮者支援を行う方々、NPOの関係者の方々と車座でいろいろ意見を聞かせていただいた、こうした経験をいたしました。そうした声をしっかり聞かせていただきながら、昨年末、政府としては初めて重点計画を取りまとめました。孤独、孤立に苦しむ方々に寄り添い、支えるために、官、民、そしてNPO、この緊密な連携が重要であるという考え方をしっかり掲げて支援を行っています。

 そして、具体的に、令和四年度予算、令和三年度補正予算、六十三億円用意をして、NPO等への支援を行うことにしております。この中で、地域の子供の未来応援交付金による子供の居場所づくり、あるいは、自殺防止、困窮者への生活、住まいの支援に取り組むNPOなどの支援、こうしたものをしっかり盛り込ませていただいているという次第であります。

田嶋委員 もう少し明確に、総理がお約束しているのは、思い切って、複数年にわたって見通しが立つような形での支援ということを現場でおっしゃっておるんですね。その点について、自治体がもう始めているところが幾つもあります。そういったアプローチでやっていただけるか。それが人づくりという意味では大事なんです。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 見通しが立つために、先ほど紹介しました重点計画というものを作りました。この重点計画、政府として初めて作った重点計画に基づいて、これからの見通しをしっかりと感じていただける中で、政府としてもしっかり支援を行っていきたいと思っています。

田嶋委員 受け継いでいただくものと信じて、これからもお願いいたしたいと思います。

 総理、先日、私も新宿都庁の下で食べ物をお渡しするボランティアに行ってまいりました。土曜日でしたけれども、四百二十九人の方、九割が男性、一割が女性。そのときは子連れの方はいらっしゃいませんでした。しかし、聞いてはいましたけれども、やはり見ると非常にショックを受けますね。いろいろな食材がボランティアで届きますが、当然、数はばらばらでもありますし、早く来た人は十種類、最後の人は三種類、こんなようなことにもなるわけでございます。

 総理、そういう場所にも行かれておりますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の場所には行ったことはありませんが、先ほど紹介させていただきました車座対話の中に、新宿で食料支援を行われている方も参加していただいて、その方々からお話を伺う、こういった機会はありました。

田嶋委員 それぞれの分野で、民間のそういうボランティアの団体のニーズ、そしてお困りの状況は結構近いものがあるのではないか。やはり、国からの支援が非常に時間がかかったり、いろいろな書類の手間がかかったり、是非、岸田総理の聞く力を発揮していただいて、永田町で聞くのではなくて、現場に行って聞いていただきたいということをお願いをしたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、国民皆保険の国でありながら、医療にアクセスできず命を落とす、あるいは、食べるものがなくて命を落とすような生活困窮の状況が、本当に、私は、テレビや新聞でしょっちゅう見られる、そういうこと自体が異常なことだと思います。恥ずかしいと思います。そういう日本を、新しい資本主義では、貧困格差、おっしゃっておるんですから、総理には是非なくしていっていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、テレビで、食べるものと併せて、住む場所に暮らせない人も今増えていますね。衣食住といいながら、食も不十分、住も不十分、一体どういう国なんだ、どこの国の話なんだ、日本の話ですよ。

 是非、岸田総理、今までの何か政治の間違いでこういう日本が広がってきたのではないか、総理のこの寄稿にはそんなような気持ちが込められていると思います。それを変えていかなきゃいけない。

 私はもう一つ、午前中最後の質問ですが、申し上げたいのは、住宅に関する手当の支援というのは、これはやはり喫緊の課題ではないか。日本だけが先進国の中でそうしたところに非常に弱いということが、データ上も出ております。

 御覧いただきたいのは資料の四です。

 GDPのどのぐらいの割合の住宅手当が提供されているか。いや、生活保護があるじゃないか、住宅扶助があるじゃないか、それじゃ駄目なんですよ。先進国のもうほぼ常識として、もっと幅広い形で、期間を限定せずに、GDPのパーセンテージとしてこのような、下線が引いてあります、一番力を入れているのはイギリスだそうでございますが、GDPの一・三四%。日本で引き直せば、それはかなりな大きな数字ですね。五兆円以上の、六兆円、七兆円、そういった数字になります。日本はそれにはほど遠い〇・一一%、恐らく五千億ぐらい。それは生活保護の住宅扶助に大体相当する、それが大宗を占めると思います。

 先進国でありながら食べるものがないという人がいたり、先進国でありながら、住む場所から、家賃が払えなくて寒空の下で暮らさなきゃいけない。しかも、テレビでやっていたのは子連れのお母さんですよ。泣けてきますよ。恥ずかしいですよ、こんなことが続いていたら。これを絶対に起こさせないということ、そして必要なら、この住宅手当というのをもう少しほかの国との比較を研究していただいて、総理の下でしっかり強化できる、こういう国にしていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のような現状に対して、政治としてしっかり責任を果たしていかなければいけない、これは御指摘のとおりだと思います。

 また、住宅ということで申し上げるならば、空き家の総数は増加しているにもかかわらず、このコロナ禍の影響等によって収入減等が起こり、そして住居を失う方が増加している、こうした厳しい現実に対して、政治として、住まいの確保等の支援、従来から公営住宅の供給ですとか、民間賃貸住宅の空き家等を活用したセーフティーネット住宅の登録とか、様々な施策は用意はされていますが、まだまだ厳しい現実の中にあって、引き続き取組は推進していかなければいけない、こういった問題意識を持って、具体的に検討を続けていきたいと思います。

田嶋委員 ありがとうございます。

 かなり見劣りするのが住宅支援です。その部分、是非、心して強化をしていただきたい。

 以上、終わります。ありがとうございます。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田嶋要君。

田嶋委員 田嶋要です。

 午後は、気候変動問題をお尋ねしたいというふうに思います。

 所信と同じタイミングで雑誌が出まして、岸田総理、私が目指す新しい資本主義のグランドデザイン、これを拝読させていただきました。

 一方で、マスコミなどから、何か菅総理のときに盛り上がった二〇五〇年カーボンニュートラルが下火になってきているのではないかということもよく聞くわけでありますが、改めて、岸田総理、この場で、それを否定されるなり、しっかりと決意として国民にお訴えしていただきたいと思うんですが。

 もう優先順位が随分下がってきているのかなという懸念を明確に否定していただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 気候変動問題、これは、今現在の国際社会において人類共通の課題であり、そして、私の内閣においても、これは優先課題が下がっているのではないかという御指摘でありますが、そんなことは全くないということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 私が訴えている新しい資本主義というのは、今の資本主義の中で浮かび上がってきた課題解決に向けて、経済モデルの中に仕組みを組み込んで経済を回していく、このことによって課題を解決していこう、そして持続可能な経済をつくっていこう、これが基本的な考え方ですが、気候変動問題というのは、今の資本主義における課題の最も集約されている課題ではないかと思っています。

 自然に負荷をかけ過ぎたことによって気候変動問題が生じている、あるいは先進国と開発途上国の格差、こうした問題も大きな課題として浮き上がっているわけですし、様々な点から、今の資本主義の課題の中で、その様々な重要なポイントが集約されて、そして、最も我々がしっかりと取り組まなければいけない課題こそが気候変動問題であると認識をして、私の内閣においてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。

田嶋委員 所信の中でも明確に、そうした、克服すべき最大の課題であるということを言っていただきました。私は、そこは大変重要だと思っておるんですが。

 総理、この雑誌、御自身で書かれているんですよね。これは御自身の思いだということをちょっと言っていただけますか、本当に。これが総理のお考えですか。

岸田内閣総理大臣 新しい資本主義を御理解いただくために、いろいろな場で発信をさせていただいておりますが、その中の一つが御指摘の、それは雑誌の記事でありますが、その記事も私の発信の一つであるということであります。

田嶋委員 文章を読みますと、こちらが役所の人がいろいろくっつけた文章、こちらはもう少し個人の思いがしっかり入っているような、好感を持てる内容になっておったのは事実でありますけれども。

 私、そこで、ちょっとこれを読んでいて、新しい資本主義だということでおっしゃっているんですけれども、その中で特に、例えば、人への投資とか、労働分配率とか、それから、研究開発、設備投資がほかの国に比べてかなり低いぞとか、実質賃金のことも書いていました。

 これ、何か政権交代して野党のトップが言うなら分かるんですけれども、私がちょっと不思議に思うのは、岸田総理はこの間までも政調会長をやっておられた。三年もやられた。そういう中で、何をされていたのかなという感じがするんですよ。

 総理にならないとできないんですか、こういうことは。いや、まあ、総理と総理以外では、それは違うかもしれないですよ。ただ、政調会長ですよね。

 今までのアベノミクスを否定しているんですよね、これは、要は。失敗だったということをおっしゃっているんですか。何か、言葉では、前提にしてとかおっしゃっていますけれども、実は、やはり苦々しく思ったけれども、これまでできなかったということをやろうとしているという、そういうことですかね。

岸田内閣総理大臣 委員が今おっしゃったような言い方は当たらないと思っています。

 アベノミクス、安倍政権において行われた経済政策、これは間違いなく第二次安倍政権前の日本の経済の状況を大きく転換するきっかけになったと確信をしております。GDPにおいても、雇用においても、企業収益においても大きな変化をもたらした。経済の成長のエンジンとしては、これは大きな成果が上がった経済政策であったと思います。

 ただ、全ての点において国民の皆さんが満々足いただけるものであったかどうか、これは再点検した上で、アベノミクスの成果の上に立って、そこに何を加えたらいいのか、こういった観点から、私自身、新しい経済モデルという形で公表させていただいた、こうした次第であると考えています。

田嶋委員 私は、随分総理とは違うんですね。失われた十年だとやはり思います。特に、この環境、エネルギーの問題、深刻さは増しているわけですね。総理が、最重要の課題だとおっしゃる。ということは、総理の期間が始まる前も強い焦燥感をお持ちだったのではないかというふうに思うんですが。

 総理、ここは相当出遅れていますよ。そのことを理解した上でこれから取り組んでいくというふうに、覚悟をお持ちなのかということを改めて確認させてください。

岸田内閣総理大臣 アベノミクスは経済成長において大きな成果を上げたと確信をしておりますが、その一方で、つけ加えなければいけない部分、足りなかった部分については、改めて点検した上で、この次の時代に備えていかなければならない、こういった思いでこの経済モデルについて考えさせていただきました。

 遅れているという指摘、これはしっかり謙虚に受け止めながら、気候変動問題、しっかり取り組んでいきたいと思っています。

田嶋委員 いろんな指標でよその、海外の国と比較をなさっておりますので、是非、このテーマに関しても、常にほかの先進国はどこまでやっているのかということを見て御決断をいただきたいと思います。

 先ほど、江田先生から第三回目のワクチンの話、先進国最低ですよね。そういったことを意識してこのエネルギー問題、環境問題は取り組んでいただかなければ、結局、国際社会で名誉ある地位は占められないと私は本当に危機感を持っております。

 そこで、総理、次の質問をさせていただきますけれども、総理は最重要とおっしゃいますから、二〇五〇年のカーボンニュートラル、そして、今、二〇三〇年が、これは総理もおっしゃっていますよね、勝負の十年だと。もう十年ないんですけれどもね、もう十年ないけれども、勝負の十年だとおっしゃっておりますが、この二〇三〇年のCO2削減というのはどういう数字だという御認識ですか。

岸田内閣総理大臣 二〇三〇年度、二〇一三年度比四六%削減という目標であると認識をしております。

田嶋委員 資料の十一を御覧をいただきたいと思います。

 総理、周りからそのように教えていただいてそれを言っておるわけでありますけれども、これ、本当に数字を大きく見せているだけで、ほかの国の基準年と引き直しますと、日本はこういう状況なんですよ。日本は四六ではなくて、一九九〇年比で四〇%、そういうところに今あるということを御理解をいただきたいと思うんです。

 ドイツなどは大体六五%ですけれども、これは非常に驚くような話もありましたけれども、昨日ちょうどヒアリングをしたところ、憲法裁の判決が出まして、今の数字では未来に対して責任が取れないという判決だったんですよ。その判決を受けて、新たな政権がスタートしましたね、法律改正が行われて、気候保護法というのが改正されまして、それで、二〇五〇年の目標を二〇四五年に五年も前倒しをしているんですね。そしてこの高い目標数値の六五%というのを掲げている。EUの平均でも、大体五五%ですよ。

 だから、岸田総理、四六%ということでおっしゃいますけれども、ほかの国とは物差しが全然違うということ。これじゃ、日本は全然、国際社会で名誉ある地位は占められませんよ。この危機感を持っていただいて。さっきの三回目のワクチンと似たような話ですけれども、全然これじゃ駄目なんですよ。

 そのことを、総理、自覚をしていただいていますかということをお尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 気候変動の議論、私も外務大臣時代、随分深く関わりましたが、各国が気候変動を考える際の基準年は、それぞれの国の様々な取組、経過の中で最も特徴的な年を選んで基準年にしているということで、結果として様々であります。

 我が国においては、東日本大震災、大きな災害を受けて、エネルギーについてしっかり考えていかなければいけない、そういったことで、二〇一三年が基準年という取扱いになっているわけです。

 これは、基準が様々というのはそれぞれの事情がありますので、そのことをもって我が国が遅れているというのは、これは誤解を与えてしまうのではないか。我が国としてしっかりと国際社会を説得できる数字を示せるかどうか、これが問われているのではないかと思っています。

田嶋委員 先ほど、新しい資本主義の中で、いろいろな指標で日本が遅れている、だから、今までの負の部分を直していくのが新しい資本主義なんだというようなことをおっしゃっていますね。必ず他国との比較ですよ。やはり、こうやって他国と比較したときに、我が国の目標というのは非常に見劣りするんですよ。

 元々、もっと低い数字だったですね。安倍総理の頃には、いろいろ議論をさせていただきましたけれども、当時は、再生可能エネルギーの比率もめちゃくちゃ低かったんですよ。二十数%ですか。それを全く動かす気はなかったけれども、菅総理のときに、カーボンニュートラル、二〇五〇年ゼロということになって、ようやく四六というのが何とか出てきて、そして、その後の第六次のエネ基の中で、再生可能エネルギーの比率、電気の比率も、三六から三八と上がりました。

 しかし、総理に申し上げたいのは、今の時点でも日本の目標というのはかなり先進国の中では下の方なんだということを是非御自覚をいただきたいというふうに思います。

 そこで、総理、次の質問なんですけれども、大胆な投資と、そして規制の見直しを進めるということを強調されておりますね。規制の見直しと大胆な投資ですね。お尋ねしますけれども、どういう規制の見直しということを頭の中で最初に意識されているんですか。

岸田内閣総理大臣 大胆な投資と規制の見直し、これは、成長戦略の文脈の中で申し上げたことだと思います。

 成長戦略を考える場合に、今まで課題とされていた分野、デジタルですとか経済安全保障そして気候変動を始めとする、資本主義あるいは我が国の経済において課題とされている分野を成長のエンジンに換える、そのために、こういった分野に民間の投資をしっかりと集めていくために、政治としてしっかり環境整備を行っていかなければならない、そのために、予算と、規制や制度改革、そしてルールづくり等をしっかり行っていかなければいけない、こういったことを流れとして申し上げてきたと思います。

 そして、規制改革、どんなことを考えているのかという質問でありますが、例えば、成長分野、デジタルということを考えても、デジタル分野における予算あるいは投資、政府としての投資、これはもちろん大事でありますが、併せて環境整備ということで、様々な規制・制度改革を考えなければいけないということで、四万にも及ぶ様々な政府の法令、通達、こういったものについてもしっかり見直していく、こういったことを行うなど、制度として様々な改革を進めていかなければいけない、こうしたことを考えております。

田嶋委員 私が申し上げたのは、最重要な課題であるとおっしゃるこの気候変動問題の中で、ここにまさに書いてあるんですよ、百四ページですけれども、規制の見直し、大胆な投資とおっしゃるから、どういう規制の見直しを思い浮かべてこういうことを御自身のお言葉で、役所の作文ではなくて、御自身のお言葉でここに書かれておるのかということを聞いているんです。

岸田内閣総理大臣 気候変動分野で申し上げるならば、先ほどおっしゃった高い目標を達成するためには、エネルギーの供給サイドだけではなくして、需要サイドの産業構造の変革とか、あるいは私たちの暮らし自体も変わっていかなければならないと思いますし、地方の、地域の在り方も変わっていかなければいけない、その変革のために我々が乗り越えなければいけない様々な制度や規制があります。

 この二〇五〇年、二〇三〇年、大きな目標を達成するために、供給側そして需要側、需要、供給、それぞれのサイドにおける様々な変革を実現していくための様々な改革、これを進めていかなければならないと考えています。

田嶋委員 ありがとうございます。

 私もそこはいい御答弁をいただいたと思うんですが、しかし、ちょっとこの文章を読んでいると、私、奇異に映るのは、再生可能エネルギーや将来のいろいろ夢のような技術の話はたくさん出てくるんですけれども、省エネルギーの話は一切出てこないんですね。岸田総理のこの文章の中で、どこを読んでも省エネルギーの話がないんですよ。再エネをつくる、水素をやる、アンモニアだ、何だかんだいっぱい出てきますよ、お金をかけて、だから投資だと。でも、それは、二〇五〇年には分かるけれども、勝負の十年には役立たないんですよ、これからもう八年、九年の話ですよ。

 岸田総理は、その省エネに関して、私は重要性を御認識なさっていないのではないかなというふうに失礼ながら感じるんですが、どう考えられていますか。

岸田内閣総理大臣 その記事の中身については、ボリュームの制限もありますので十二分に書き込めなかったところも多々あったかもしれませんが、おっしゃるように、省エネ、再エネのみならず省エネ、これも大きな目標を達成するために大変重要な取組であり、先ほど申し上げたように、生活あるいは地域の在り方そのものも変えていかなければいけない、こうした文脈の中で省エネが大きな役割を果たしていく、これは当然なことであると私は思っております。

 省エネ法等様々な法律、規制の中で、高効率な機器、設備の普及ですとか、住宅、建築物のゼロエネルギー化ですとか、こうした省エネの取組はしっかり進めていかなければなりませんし、そして、高い目的を実行するためにはより深掘りもしなければいけない、こうしたことを認識しております。

田嶋委員 最重要課題とおっしゃるのであれば、是非総理、大臣にお任せせずに、問題意識を強く持っていただきたいし、再エネのおまけのように省エネをおっしゃるのは間違っています。逆ですから、省エネがまず最初に来なきゃいけない。

 スリーRも、よくリサイクルとかそういうことがありますよね。だけれども、スリーRの最初のRって、大臣、何か御存じですよね。

岸田内閣総理大臣 最初の方はリデュースだと思います。

田嶋委員 済みませんね。クイズをやるつもりはないですけれども。

 ただ、スリーRはリデュースから始まっているんですよ。リデュース、リユース、リサイクルでしょう。最初からリサイクルが大事だとか、そういう話じゃないんです。全体量を減らさなきゃいけない、ごみだって。エネルギーの消費も同じ話ですよ。再生可能エネルギーだって、これは電気を生み出すわけだから、それはそれで大事なんですけれども、まずは今までやってきた活動の中で省エネルギーをどこまでやれるかということが、これは勝負なんですね。岸田総理のこの文章を読んでおりますと、そこはまだお分かりいただいていないのではないか。

 そこで、私は具体的に一つ大変心配している問題がございまして、これは今総理もコメントされました住宅の関係でございます。

 前回の、五回目のエネルギー基本計画というのが平成三十年の七月に出ているんですね。その中でこういう記述があるんです。「二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準への適合を義務化することとしている。」というふうに記述があるんですね。つまり、二〇二〇年に義務化をするというはずだったんです。

 ちょっと資料を御覧ください。資料の十四番、十四ページを御覧ください。その前に十二を見ていただくとはっきりしますけれども、今、ジャンルの中で家庭部門の省エネ削減というのが非常にまだ伸び代が大きいんですね。逆に言えば、今手つかずだということなんですが。

 そして、十四の資料を御覧をいただいても、岸田総理、ちっちゃい話じゃないですよ、これは本当に。日本の住宅のありようというのは、かなり遅れてしまっているんです。例えばドイツなんかは最新の予算でも七割が省エネは建築物に向かうんですね。そのぐらい大きな分野なんですが、閣議決定されたエネルギー基本計画の中で、前回、二〇二〇年の目標。これは私、二〇一五年にも国土交通委員会で取り上げました。当時は今の斉藤大臣の前任の前任の太田大臣ですかね、の時代ですけれども、残念ながら、二〇二〇年、心配したとおり、目標を外しているんです。

 今、二〇二二年ですよね。ずっとこれは遅れた状況が続いていて、二〇二五年にはやりますなどというニュースも流れたけれども、どうも仄聞するところ、この国会でもまた先送りする、やらないというような話。まあ、総理の耳には入っていないかもしれない。

 こうしたことの重要性。こうやって日本はずるずるずるずると、ほかの先進国が普通にできることをやれないんです。そういうことを先送りするから、どんどんどんどん、この配付資料の一番上につけましたけれども、いつの間に後進国になったのかと日経新聞に言われるような、こういう国をこの十年間でつくってきたんですよ。

 岸田総理、少し、ちょっと首を突っ込んでいただいて、やらなきゃ駄目ですよ。ほかの国は普通にやっている。

 これを見てください。世界の省エネ基準との比較。まあ、ちょっとこれは専門的ですから、時間取りませんけれども、フランス、ドイツ、イギリス、米国、ここに準じているのは鳥取県だけですから、やろうとしているのは。鳥取県は立派ですよ。だけれども、自治体がこれだけ目立っちゃうというのは恥ずかしい話ですよ。別に、鳥取がよかったら、鳥取方式を日本中でやってくださいよ。何でこんなに遅れちゃっているんですかということですね。

 本当にこれは、住宅に関してはちょっと断熱性能を高める方向で是非考えていただきたいというふうに思います。そして、法律をちゃんと出してください、法案を。

 岸田総理、お聞き及びではないですか。御答弁いただければありがたいですが。

斉藤国務大臣 田嶋委員御指摘の、住宅省エネ法案のことだと思います。今国会に提出することを、検討を今しております。今国会の提出を見送ったということではございません。

 是非、提出して、二〇二五年目標に向けての法律でございますけれども、できるだけ早く成立させたいと思っておりますので、是非御協力よろしくお願いいたします。

田嶋委員 まあ、失われた五年ですよね。二〇二〇年、何とかやってくれと私も懇願しましたよ、国土交通委員会で、当時、太田大臣ですよ。以来五年たっちゃって、まあ、七年たちまして、またこれで、早くても二〇二五年ですよ。こうやって日本はずるずるずるずる、ほかの国から水を空けられているんですよ、いろんな分野で。この一つの例なんです。

 先ほど江田さんもおっしゃいましたけれども、悪平等といいますか、一番下の基準に合わせるというのは本当に同じ話がありまして、すごく意欲的な工務店もあれば、こういうことをやりたくないという工務店もいるそうなんですよ。そうすると、やりたくない人の方の声が大きくなっちゃって、結局やれないという話なんですよね。まあ、赤羽国土交通大臣のときに、苦しい答弁もございました、議事録を読み返すと。なかなかはっきりは言えませんから。

 したがって、やる気のある人はいっぱいいるんですから、これも人への投資なんです、人への投資。新しい時代に、新しい住宅建築を行うんだったら、現場の皆さんをしっかりトレーニングして育ててくださいよ。これを二〇一五年からずっと言っているのに、いまだにトレーニング中ですか、いつになったらやるんですか、そういうことなんですね。

 だから、是非、人への投資とおっしゃるんだったら、二〇五〇年に役立つ技術のイノベーションも結構ですけれども、目の前のことをやってくださいよ。例えば、このライト、これはLEDになっているんですか、LEDに。そういう話も含めてですよ。

 二〇三〇年にストックベースで一〇〇%LEDですよ。そんなことをやるのに、イノベーションは必要ないんです。今、目の前にある技術でこつこつやっていけば、数字の結果は出るんですよ。

 総理、是非、このことをちょっとお知りいただいて、ここは日本の一番ウィークポイントの一つですから、やれていないところなんですよ。ちょっと力を入れてください。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 気候変動の高い目標を達成するためには、あらゆる方策を動員しなければいけません。身近なところ、足下からしっかり努力するという委員の指摘、これも大変重要な指摘だと受け止め、しっかり政策を進めていきたいと考えます。

田嶋委員 ちょっと経産省の影響が強過ぎるかもしれませんね。供給サイド、そして未来の夢を語るような技術がたくさん並んでいるんですよ。だけれども、目の前の実装なんです、社会実装なんです。だから、総理もさっきおっしゃったじゃないですか。地域、暮らし、そこが大事ですよ。だから、もうちょっと環境省も応援してもらって、みんなで盛り上げていかないと。今までの大規模集中、経産省が産業界とくっついてやっていくということだけでは、そっちも大事ですけれども、足りないんです。是非、お願いいたします。

 この資料の十四の下、見てください、これ。これは鳥取県の資料ですから。投資回収は十五年ぐらいですよと言っているんですけれども、今の油の値段であれば、もっと早いですよ、投資回収。

 だから、工務店の収益を取るか、中東へお金を払う方を選ぶか、そういう選択肢なんですよ。だから、今のように油が、値段が上がっていけばなおのこと、工務店を応援して、官と民が協調して投資をしていく。岸田総理、そうおっしゃっていますよね。彼らを応援して、この鳥取方式を推奨すれば、地域のお金は回っていくし、そして、日本のアキレス腱である、資源のために毎年、まあ二年前に聞いた数字は五兆八千億、電気代だけでも五兆八千億を資源として中東などに払っているわけですね。こういうところの蛇口を抑えていくことが、我が国最大の安全保障じゃないですか。

 そういうことをやれば一石何鳥にもなりますよ。地域活性化、資源エネルギー、安全保障にも役立つ。そして、CO2は出ませんからね、断熱したって。一石三鳥、それが岸田総理がおっしゃっている三方よし、そういうことじゃないですか。是非お願いをしたいというふうに思います。

 最後に、もう一点。

 これは、今のは記述がない省エネの方なんですが、もう一つは、先ほどからおっしゃっている再エネですね。これは、私たちもモデルを作って、それなりにというか一生懸命やっておりますが、風力発電はそんなに数字は違わないんですよ、今の政府と我々。ところが、太陽光はかなり踏み込みが足らないですね、今、政府・与党というか政府ですかね。是非そのところを、これもイノベーションは必要ないですから。ペロブスカイトはこれから来るかもしれないけれども、今ある技術でどこまで広げられるかがポイントですね。いろいろ問題があります。

 したがって、総理にお願いしたいのは、全国でトラブルが余りにも増えているのはよく御存じだと思います。こういうのに毅然とした態度で、自治体を泣かせるのではなくて、国の方針としてやらせない。私は、極論を言えば、もう木を切りながらソーラーをやるなんてやめてくれと言いたいですよ。

根本委員長 田嶋君、簡潔にお願いします。

田嶋委員 はい。

 是非、そういうことを毅然とやりながら、ソーラーシェアとか、あるいは荒廃農地を、十九万ヘクタールありますね、荒廃農地を生かしたソーラー発電、一番大事なのは、地域が理解をして進むということです。是非、そのことを、いいものと悪いものを峻別して、ソーラー発電の数字を上げていかないと間に合いません。

 私たちは、毎年、五ギガワットぐらいは政府よりも数字が大きいんです。設備投資の金額も、八兆円以上政府の数字よりも我々大きい数字を見ているんです。是非、そうやって雇用を作り出してほしいと思うんです。是非、ソーラーに、そういう意味では、いいものと悪いものを峻別しながら、設備投資をもっと推進していただきたい。最後にそのことをお願いしたいと思います。

 答弁をお願いします。

根本委員長 では、もう時間が経過しておりますので。

岸田内閣総理大臣 御指摘、しっかり受け止めて、我々なりに考え、検討してみたいと思います。

田嶋委員 どうもありがとうございます。

根本委員長 これにて田嶋君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、今日は、新しい資本主義の中で、先ほどの田嶋委員のお話の中でも出てまいりましたが、重要だというふうに総理が言われている気候危機対策を中心とした環境問題対策、それから地方活性化について主に伺っていきたいと思います。

 この主に伺っていきたいテーマに入る前に、この前提となる新しい資本主義について、私も総理のお考えをもう少し聞いてみたいと思います。

 この予算委員会でも度々議論が出てまいりました。新しい資本主義というのは結局何なんだ、何を総理が目指されていて、どんな具体策を提示しているのかというのがやはり私にも分かりにくいところです。

 ただ、これまでの議論の中、あるいは御著書や文芸春秋の中でも、トリクルダウンは結局起こらなかったとか、これまでは余りにも成長に重点が置かれ過ぎていたというような言及もあって、今までとはやはり違う新しい経済政策なんだろうと、そこは私も理解をしております。ただ、具体的な中身がないのでよく分からない。

 そこで、これまでの経済政策のどこがどのように変わっていくのか。理念的、抽象的ではなく、具体的に、例えば、どんなことが総理がおっしゃっている様々な弊害を是正する仕組みであって、例えば、何を成長と分配の両面から資本主義の中に埋め込むのかということを具体的に是非教えていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、問題意識として、今日までの資本主義の中で浮かび上がってきた課題を解決していかないと持続可能な経済をつくることができない、これはもう世界各国同じ思いで、新しい経済について考えている、こうしたことであります。そして、成長と分配の好循環という言葉は今までもずっと使われてきました。これが大事だということはずっと言われてきました。

 この今までの資本主義の中で浮かび上がってきた課題、あるいは日本に課せられた課題、デジタル、気候変動、あるいは格差、さらには経済安全保障、こういったものを、まずは、成長と分配の好循環の中の成長の部分においても、この課題とされているものをまさに取り上げて、成長のエンジンに換えて成長していく。そのことによって、課題を解決しながら経済の成長を果たすことができるのではないか。

 分配ということについても、人への投資、これはコストではなくして未来への投資であるという考え方に基づいて、人へしっかり投資することによって、これが消費や需要に結びついて次の成長につながっていく、こうした形で好循環を完成する。

 こういった形で、浮かび上がってきた課題を解決しながら成長と分配の好循環を回していく。そうすると、結果として持続可能な経済を実現することができるのではないか。こういったことで、新しい資本主義という名前で経済モデルを提案させていただいた、こうしたことであります。

 冒頭申し上げたように、世界各国が、今の課題をどう乗り越えて持続可能な経済を実現するか、いろいろな工夫、努力をしている最中でありますので、日本も我が国にふさわしいモデルをしっかりつくっていきたいと考えております。

源馬委員 余り、具体的なことはちょっとまだ分からなかったんですが、要するに、世界各国がやっているようなことということであれば、余り新しくないような気もしました。

 一見両立しないような、例えば成長と分配もですね、でも、皆がどちらも望んでいるんだけれども両立しなさそうなことを並べて、両方やるというような言いぶりだと思うんですが、それはどちらからも反対されにくいと思うんですけれども、だったら、やはり具体的な中身が欲しいというふうに思うわけなんです。

 私も文芸春秋を読ませていただきました。この中に、総理が、小さくて大きな政府を実現するんだとおっしゃっています。これも私はよく分かりませんでした。小さいのか大きいのか、小さくて大きいのか。具体的に何をされて、小さくて大きな政府というのは何なのか、そして、それをどう具体的に目指していくのか。教えていただいてもよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 成長と分配、それぞれに、先ほど申し上げたように、課題解決の仕組みを埋め込んで回していくわけですが、その際に、官と民が協力をしていかなければいけない、市場や競争に任せっ放しではなくして、政治も、官もしっかりと役割を果たして、民間の投資を呼び込めるような環境整備をしっかりしていかなければならない、こういったことを申し上げているわけですが、その際に、やはり、官の役割を果たさなければいけないといって従来の発想でどんどんどんどん大きくしてしまっては、これは元も子もない。だからこそ、デジタルが大事だ。

 このデジタル時代を前にして、こうした最新の技術もしっかり活用しながら、我が国の政府の体制も思い切ってデジタル化を進めて、効率化を進めて、そういった意味では小さな政府でありますが、しかし、役割ということにおいてはしっかり大きな役割を果たさなければいけない、こういった発想で、大きくて小さな政府、ちょっと表現が不十分だったかもしれませんが、そういった思いを込めて申し上げさせていただいた次第であります。

源馬委員 今のお話はよく分かりました。デジタル化ということなんですよね。デジタル化ということなんじゃないですか。小さくて大きな政府というよりも、デジタル化ということなのかなと受け止めました。

 その中で、これから気候変動対策とか地方活性化について徐々に伺っていきたいと思います。

 先ほど、田嶋委員の質疑の中でも、御答弁で、人類共通の課題であって、環境政策というのは最も取り組んでいかなくてはいけない最重要課題だというお話もありました。カーボンニュートラルはその中の一つで、菅前総理が二〇五〇年と表明をしたわけで、これは不可避だと思います。

 一つは、やはり気候危機対策として、国際公約もあります、これをどう守っていくかということもありますが、私は、それも大事だと思うんですが、それ以上に、この今の世界でのカーボンニュートラルに向けた大きな流れの中で、産業革命以来の大きなエネルギーの大転換になっていくわけで、そこの主導権を各国がどう取ろうとしているかという大変重要な局面だと思っています。だからこそ、日本も、この流れに遅れることは、その後の国際競争力においても後れを取るということだと思いますので、非常に大事だというふうに認識をしています。

 そこで、お配りした資料で一枚目を見ていただきたいんですが、ちょっと白黒で見えにくいかもしれませんが、二〇二〇年の速報値で二〇一三年度比一八・四%だったというふうに伺っています。これは決していい数字ではないというふうに聞いています。想定したよりも低い数字だったというふうに聞いています。このままのカーブだと、二〇三〇年の四六%減は達成できないんじゃないかという認識だったと思います。

 しかも、この二〇二〇年の速報値には、コロナがあって、工場が止まっていたり、運輸部門もかなり下がっていた、こういう背景もあって、それでもこの程度の数字だった。

 本当にこのままで達成できるのか。総理の認識と、どうこれを、この問題に取り組んでいくのか、具体的に教えていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、二〇二〇年度の温室効果ガスの排出量は、二〇一三年度比で一八・四%の減少となりました。

 この数字の評価でありますが、委員はこれは不十分だという指摘でありますが、おっしゃるように、二〇五〇年のカーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減、こうした目標を掲げているわけですが、この数字、グラフをずっと引っ張っていきますと、この目標におおむね達成できる、これは数字として決して悪い数字ではないと私たちは評価しています。

 ただ、おっしゃるように、コロナ禍の中での数字でありますから、これは決して油断はしてはならない。そして、元々、目標自体大変高いものでありますし、これからも努力を続けていかないと、このまま線を引っ張っていき続けられるかどうか、これは我々が問われている課題であり、そのためには、供給側だけではなくして、需要側、産業も、暮らしも、あるいは地域も変わっていかなければいけない。

 こうした大きな取組にしっかり挑戦していかなければいけないわけですから、決して気を緩めることなく引き続き努力を続けていかなければならない、こうした数字であると認識をしています。

源馬委員 今総理がおっしゃっていただいたように、暮らしとかそういった、やはり、今までのグリーン成長戦略の中身を見ても、電源構成の調整とか技術革新頼みのところが私はあったなというふうに思うんですが、今総理がおっしゃっていただいたような、暮らしとかあるいは社会経済のモデル自体見直していくということが重要だと思いますが、このことは、ちょっと済みません、後に回させていただきます。

 ちょっと順番を変えさせていただいて、次の、自動車について伺っていきたいと思います。

 このカーボンニュートラルの目標達成のためにも、運輸部門というのは非常に大事だと思います。

 自動車産業というのは、言うまでもなく、日本の基幹産業の一つであって、同時に、このカーボンニュートラルを含めたエネルギー転換の非常に大きな影響を最も受ける産業の一つでもあると思います。さらに同時に、かつての経済大国だった日本から今大分後退しましたが、それでも、数少ない世界的な競争力をまだ持っていて、雇用も非常に大きいという産業だと思います。

 この産業をどう守っていき、そしてさらには、エネルギー転換が起こった後の国際社会で、この産業がどう世界をリードしていくかということは非常に大事だと思います。我が国の強みに的を絞るということが重要な戦略にもなってくると思います。

 そこで、政府の方針では、二〇三五年までに、EVやハイブリッド、燃料電池車などを含めた電動車で一〇〇%を実現すると。現状は、EVに限って言えば、全販売台数の僅か〇・六%にとどまっている。これはやはり世界に後れを取っているのではないかな、ほかの国を見ても。

 この流れに後れを取るということは、カーボンニュートラルで後れを取るということだけではなくて、産業競争力にも影響することだと思いますが、総理、まず、今の現状、日本の自動車産業の、この政府の方針等を含めて、世界の今の流れと後れを取っているという認識がおありかどうか、お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の自動車産業ですが、雇用の一割、輸出の約二割を我が国の経済の中で占めている基幹産業であり、日本経済の牽引役を担っている産業であります。世界的な脱炭素化という大きな環境変化の中でも、引き続き、我が国の基幹産業である自動車産業の国際競争力、これを維持強化していかなければならないと思います。

 その中で、遅れているのではないかという御指摘をいただきました。是非危機感を持って、遅れているどころか、是非世界をリードする産業に育てていかなければならない、こうした問題意識を持っています。

 そして、委員御指摘のように、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%という目標を掲げています。この目標に向けて、二兆円のグリーンイノベーション基金、こうした様々な仕掛けを活用することによって、電気自動車、あるいは燃料電池自動車、そして燃料の脱炭素化、あらゆる技術を選択肢として検討するとともに、世界にも挑戦をし、リードできる技術をしっかりと育てていかなければならないと思いますし、あわせて、この産業を支えているサプライヤーの構造転換、これも大変重要な課題ではないかと思います。

 こうした様々な取組を通じて、自動車産業をしっかり盛り上げていきたいと思います。

源馬委員 力強い御答弁をいただきましたが、是非そうしていただきたいと思います。

 特に、気候危機対策を絡めた自動車産業というのは、目標を定めて、そして補助金のようなメニューを幾つか用意して、後は民間でお願いしますというのはやはり無理だと思います。ほかの国は、もっと大胆に国がどんどん関与をしていって、様々な分野で、製造段階から最後の段階まで、市場に流通する段階まで、全てにおいてもっと強力に関与していると思うんですね。是非、国がもっと積極的関与をしていただきたいと思います。

 私たち野党で、昨年、自動車産業における脱炭素化の推進に関する法律案を出しまして、ここでは国の責務についてきちんと明記をしております。やはり、国が積極的に関与していくことが大事だと思います。これは特定の産業を保護しろというわけじゃなくて、これから非常に大きな転換点を迎えるわけなので、しかも総理は市場や競争任せにするんじゃないというふうにおっしゃっているわけですから、民間に目標だけ出して、後は守ってくれというやり方ではなくて、国が先頭に立っていただきたいと思いますが、その決意をお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、政府、官の役割、これは重要だと思います。

 二兆円のグリーンイノベーション基金の活用、もちろん大事ですし、先ほどサプライヤーの構造転換も重要だと申し上げましたが、エンジン部品のメーカーが新たに電動車の部品製造に挑戦するといった前向きな事業転換を行う、こうした取組を政府としてもしっかり支援していく、こうした政府の貢献、関わり方もあるのではないかと思います。

 このように、大きな枠組みから、サプライチェーンにおける最前線で頑張っている皆さんを支える取組、様々な分野で、様々なレベルで国として責任を果たし、日本の基幹産業であります自動車産業、引き続き基幹産業であり続けるように、世界をリードできるように、しっかり支えていきたいと考えております。

源馬委員 ありがとうございます。

 ちょっと具体的に聞いていきたいと思います。

 電動車を幅広く普及させるために、当然、充電設備の整備なんかも重要になってきて、これはまさに国がもっと積極的に取り組むべき課題の一つだと思います。これはまちづくりにも関係しますし、そうした充電設備は防災にも使えるということで、非常に重要だと思います。

 しかし、まだ十分にこれは進んでいるとは言えないと思います。現在、急速充電器が八千ぐらい、そして普通充電器が二万二千ぐらいあるということで、これを二〇三〇年までに十五万基、今三万基を十五万基に増やすという目標を掲げられていると思いますが、これも、かけ声だけで、補助金があるから民間に何とかやってくれというのじゃ難しいと思います。

 実際に、東京都心部で、二十四か所、六十六基の充電器がありますが、そのうちの二十二か所、二十四か所のうちの二十二か所は有料駐車場の中に設置されていて、利用者は別途負担しないとそれを使えないというような状況にもなっているし、全国を見れば空白地もあります。

 こういう地域の配分とか実用性、こういったことも含めて、国が、民間にどうぞではなくて、もうちょっと計画的に整備をしていかなくてはいけないと思いますが、その辺りの取組についてお聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 電気自動車の普及に向けては、充電インフラの整備が不可欠です。このため、昨年六月に策定したグリーン成長戦略においては、二〇三〇年までに急速充電器三万基、普通充電器十二万基の計十五万基の整備を目標としました。この実現に向けて、令和三年度補正予算においては、六十五億円の整備支援事業を措置したところです。

 また、この事業の実施に当たっては、各地域での整備状況や既存設備の混雑状況、ユーザーの利便性を考慮しながら、充電施設が適切に配置されるように、めり張りをつけて支援することとしております。

 したがって、今先生おっしゃったように、手が挙がったところに補助金を渡して、自然に増えていけばいいやという発想ではなくて、ちゃんと日本全国土を俯瞰をしながら必要なところに必要な数をしっかり配置をしていく、こういう作業をしていきたいと思っています。

 具体的には、充電のニーズが高い高速道路のサービスエリアや充電インフラの空白地帯になっている箇所への設置については、補助率を通常よりも引き上げるとともに、特に高速道路において活用が見込まれる同時に複数の車に充電することができる設備については、高額であることから、補助上限を引き上げるといった措置を講じております。また、集合住宅の設置に当たって必要となる複数の充電施設をコントロールする機器についても補助対象に加えることで、充電インフラ設置へのハードルが高い集合住宅への設置を促進することとしております。

 引き続き、整備支援事業も効果的、効率的に活用しながら、充電インフラの適切な整備をしっかり進めてまいりたいと思います。

源馬委員 これは国土の広さとか人口も関係しますから単純にほかの国と比べることは難しいですが、それでもアメリカとかヨーロッパや中国なんかと比べると大分遅れていると思います。是非、国がリーダーシップを取って整備、環境整備も進めていっていただきたいというふうに思います。

 今度は、充電器ではなくて水素ステーションについてちょっと伺いたいと思うんですが、この水素ステーションも二〇三〇年までに千基を目指すということです。

 お配りした資料の二枚目を見ていただきたいんですが、二〇一三年からこの補助事業は始まっていますけれども、執行率が、一五年の八九%をピークにして、その後、五〇%台とか六〇%台、二〇二〇年も約半分しか使われていないのに予算はどんどんどんどん上がっていく。今年もまた九十億あって、去年からの繰越しも多分あるわけだと思うんですが、これは当然何らかの、執行率が低いのに予算が上がっていくというのは、執行率を上げるという確たる何かがあるから当然上げているんだろうと思いますが、それは何なのか。

 これは新聞報道や行政事業レビューでも取り上げられていますが、なぜ、これだけ執行率が下がっているのに、予算をまだ、どんどんどんどん上がっていくトレンドで取っているんでしょうか。

萩生田国務大臣 予算額については、あらかじめ事業者にヒアリングを行い、次年度の整備予定基数の意思確認を取った上で必要額を要求しております。

 水素ステーションを整備することができる土地を最終的に確保できなかったこと、水素ステーションの整備コストの高止まり、あるいは新型コロナの影響による必要機材の不足などにより整備計画を撤回するケースがあったため、予定基数に届かず、不用率が高くなった年があることは事実です。

 こうしたことを踏まえ、来年度の予算案においては、執行率を高めるべく、比較的低コストで整備できる小型の水素ステーションを新たに補助対象に追加するとともに、既存の水素ステーションの能力増強も新たに補助対象に追加をするなど、事業者のニーズに合わせた補助制度に再設計をさせていただく予定です。

 二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%という目標の達成に向けて、水素インフラの整備は急務です。二〇三〇年、千基程度という新たな政府目標を目指し、予算を適正に執行しつつ、引き続き水素ステーションの整備を加速してまいりたいと思います。

源馬委員 私は、今おっしゃったことも理由の一つかもしれませんが、やはり、そもそも燃料電池車が本当に増えるのかという不安があるから、なかなか水素ステーションも整備に手を挙げるところが増えてこないんじゃないか、そういう大きな背景があるのではないかと思います。

 ですから、ここもやはり国がもっとリーダーシップを取って、燃料電池車を普及させていくんだ、そのために水素ステーションも必要なんだということをどんどん打ち出していかないと、執行率を上げるつもりだというふうにおっしゃっていましたが、そもそもおかしな話ですが、執行率、どれぐらいを来年度は目指すんですか。本来一〇〇%が普通だと思いますが、どのぐらいを目指しているんでしょうか。

萩生田国務大臣 先ほど、未執行の理由といいますか言い訳についていろいろ説明させていただきました。こういうことを一つ一つクリアしながら、当然、一〇〇%執行を目指して進めていきたいと思います。

源馬委員 これは、行政事業レビューでも指摘されていたり、河野行革大臣もおっしゃっていますが、仮にまた執行率が低かった場合、あるいはそれがどんどん続いていく場合はどういうふうにしていくおつもりなんでしょうか。

萩生田国務大臣 この水素ステーションに限らず、政府の予算執行については不測の事態もございます。

 しかし、今お話ししたように、今までなかなか進まなかった理由については、明確に理由がよく分かってきていますので、今年度から、先ほどちょっと申し上げたのは、今までは固定式のかなり大きなもので、そこにタンクまで含めて造るというのが前提だったんですけれども、今年度から可動式のものを入れさせていただきました。コンテナで運んで、そして使いやすい場所で置かせていただく、こういう新しいアプローチもさせていただいておりますので、しっかり予算を使わせていただいて、普及をさせていきたいと思っています。

源馬委員 是非、国がリーダーシップを取って進めていただきたいと思います。

 それから、蓄電池の研究開発についても伺いたいと思います。

 電動自動車の非常に重要な部分である車載用蓄電池について、日本のメーカーは、二〇一五年のときには四〇・二%のシェアがあったのが、僅か五年で、二〇二〇年には半減して二一%になっています。一方で、中国が二八%だったシェアが三七になって、韓国も二八%だったのが三六%。この両国で七〇%以上を占めるというような今現状になっています。

 これはすごく日本の産業あるいはこれからの自動車の未来にとっても重要なことですし、これはさすがにヨーロッパも危機感を持っていて、二〇二〇年に、蓄電池について製品設計からリサイクルに至るまでの全体を規制する改正案をECの方で出したというふうに承知をしています。これほどやはり世界では、この蓄電池の分野でも、誰が主導権を握るかという、しのぎを削っているわけなんです。

 中国もこれだけシェアを増やしましたが、元々、ホワイトリストという規制を作って他国の産業が入らないようにして、これがいいかどうかはちょっとおいておきますが、それで力をどんどんどんどんつけてきて、各国は、この蓄電池でどういうふうに主導権を握っていこうか、これを一生懸命やっているわけです。

 このままでは日本の蓄電池産業にとって非常に厳しい状況になると思いますが、政府の認識を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 蓄電池は、二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成に向けて、自動車の電動化や再生可能エネルギーの主力電源化を達成するための最重要技術の一つです。

 日本メーカーは、今委員も御指摘いただいたように、技術的優位性に立って、初期の市場を獲得することができました。しかしながら、その後、市場が拡大し、中国や韓国のメーカーが台頭してきたことにより、そのシェアは低下しております。

 こうした厳しい現状を真摯に受け止めた上で、現在、政府としては、グリーンイノベーション基金による次世代電池の研究開発プロジェクトを開始しているほか、昨年末に成立した補正予算においても、蓄電池の大規模な製造拠点整備に対する支援や、電動車の購入支援など、蓄電池の需要を促す措置などを盛り込んでいるところです。

 さらに、サステーナブルな蓄電池サプライチェーンの構築に向けて、ライフサイクルでのCO2排出量の算定などに向けた制度面での検討にも着手したほか、この春には、我が国の蓄電池産業が再び国際競争力を取り戻すための総合的な戦略を策定する予定です。

 引き続き、産業界やアカデミアにおける有識者の御意見も伺いつつ、我が国蓄電池産業の国際競争力強化に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

源馬委員 これまでの議論も伺っていても、やはり危機感がいまいち足りないのではないかというふうに思います。今から基金で研究しても遅いんじゃないかと。もうほかの国はいかに自分たちの国のシェアを高めていくかということをやっているのに、これからそれに合うような研究をやっても、この国の産業が負けちゃうんじゃないかという非常に強い危機感を持っています。是非、ここはもうちょっと踏み込んで、危機感を持ってもらいたい。

 例えば、EUでは、もう既に経済全体で、気候中立の経済にしていこうとか、サーキュラーエコノミーにしていって、産業構造の転換を図るとともに、域内だけじゃなくて域外からの影響も戦略的に考慮していると思います。まず自分たちの域内で徹底的に投資をして、その域内の産業が先行してグリーンシフトする、そして、結果としてほかの地域に対する競争優位性を得ようというふうにしているからであって、この流れに、今更研究というのはちょっと遅いんじゃないかなと思います。

 アメリカも同様です。そして、中国も同様だと思います。さっき、ちょっと中国の蓄電池のお話をしましたが、EVについてもかなり力を入れています。もちろん、政府も御存じだと思いますが。

 しかし、今日お配りした資料の三枚目を見ても、これは経産省の資料ですが、このグリーン市場獲得に向けた国内外の動向に中国が入っていない。これも私はどうかなと思います。中国というのは、今はもはや最大のCO2排出国という見方じゃなくて、この機にいかに国際的な主導権を握ろうとしているかという、非常に大きな私はポイントになっているというふうに思います。

 ですから、この中国についてどのように政府が認識をしているのか。特に、総理の所信の中にアジア・ゼロエミッション共同体というのが出てきましたが、この中に中国が入っているのか。あと、中国は余りこの図のように考えていないのか。その辺りについて、総理の認識を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、中国、これは世界最大の温室効果ガス排出国であると同時に、国内では再エネ導入量を伸ばしている、こうした存在であります。

 世界は脱炭素の大競争時代に突入しており、脱炭素という投資分野で技術や市場を獲得していくことが我が国の成長戦略としても不可欠である、こういった発想から、御指摘のアジア・ゼロエミッション共同体構想、こうしたものを打ち出したわけですが、これはあくまでも私の構想でありますが、この構想の中には中国そのものは入れていないというのが事実であります。

源馬委員 ちょっと時間がなくなってきたので余り詳しくは議論できませんが、中国というのはやはりすごく関係あると思うんですよね。

 例えば、自動車に限って言っても、日本車の年間売上げ、総売上げが二千五百万台で、日本の国内の売上げというのが四百三十万台で、そのほかは海外に輸出するわけなんです。もちろん北米が多いですが、中国も、日本で売れている台数よりも中国で売れている台数の方が多いわけなので、この中国とどういうふうに車の分野でやっていくかということはすごく大事な課題だと思います。

 このアジア・ゼロエミッション共同体も、今、構想で、中身は分からないが中国は入っていないということでしたが、もし中国に対抗するというためのものであったとしても、想定しているASEANが、ASEAN諸国に輸出している車も確かにありますが、中国に輸出している車よりも大分少ないわけで、ここはしっかり考えていっていただかないといけないと思います。

 実際に、昨年の十月に、恐らくこのアジア・ゼロエミッション共同体の基になるであろうアジア・エネルギー・トランジション・イニシアチブ、アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合に、中国にも声をかけたけれども断られたと聞いていますので、この辺もしっかりと戦略的にやっていっていただきたいというふうに思います。

 済みません、ちょっと時間がまたなくなってきたので、順番を変えさせていただいて、最後の、DXについて伺っていきます。

 総理は、この新しい資本主義の中で、気候変動に併せて、デジタルも大事なものだというふうにおっしゃっていました。先ほどの、小さくて大きな政府というのも何なのかということであれば、デジタル化するということだというふうに伺いました。このデジタル化というのはすごく大事だと思います。

 インターネットで投票する仕組み、これも私は、そろそろ我が国としても検討してもいいのではないかと思います。我々野党も、これは法案を提出しております。

 何よりも、多くの人が、選挙に行くのが面倒くさい、日曜日に投票所に行って鉛筆で人の名前を書くのが面倒くさいということをおっしゃっているわけで、実際に、日本財団の十八歳に向けた意識調査でも、どうすれば投票率が上がるかという調査で、一番は、断トツ一位がインターネットで投票できることなんですね。私の出身でもある松下政経塾が行った研究でも、投票率を上げるのに一番効果的だという調査は、これは圧倒的にインターネットで投票できることなんですよ。

 コストもやはりかかるし、各投票所に人を配置して今と同じような選挙をやる、コストもかかることです。

 しかも、前回の衆議院選挙はコロナの中でした。十月二十日にコロナで療養していた方というのは全国で五千二百十四人いらっしゃって、投票日だった二十七日には三千二百二十一人。こういうのはもっと多くなるケースもあると思うんですね。今回は特例郵便投票というのがありましたが、この合わせて八千人ぐらいの療養していた方のうち、実際、特例郵便投票を使ったのは僅か三百二十三人だったわけなんです。

 やはりこれは面倒くさいんです、この方法を見ても。一々、何か、証明書を保健所からもらったりとかして郵便でやると。だったら、スマホでできたらもっと投票率が上がるんじゃないか、こういうこともあります。

 総理のこのインターネット投票に向けた御認識を是非伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 所管であります私から、まず御答弁申し上げます。

 インターネット投票に関しましては、現在、総務省において、投票しにくい状況下にある在外選挙人の利便性向上の観点から、郵便等投票が広く認められている在外選挙について、その導入の検討を進めております。

 導入に向けては、マイナンバーカードの海外利用を前提とした確実な本人確認や、二重投票の防止、投票の秘密保持、システムのセキュリティー対策などの論点について確実な対応を行うことが必要となります。

 さらに、国内のインターネット投票につきましては、投票管理人や立会人の下で行うことが原則の投票を、特段の要件なくこれらの者が不在の中で認めることの是非や、有権者の規模が極めて大きいことに伴う、一斉アクセスがあったときのシステムの安定性の確保といった課題もあると考えております。

 新たな投票方法を導入することは、選挙制度の根幹にも関わることから、各党各会派における御議論などを踏まえる必要があります。

 総務省としては、まずは在外選挙での導入について、引き続き着実に検討を進めてまいります。

源馬委員 そういうことを聞きたいんじゃなくて、総理の意気込みをお伺いしたいんです。

 総理は改革マインドがあるんだと。よく改革マインドがないと言われるが、この文芸春秋にもありました、ないどころか、デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に進めていくんだとおっしゃっています。

 デジタル、規制改革、行政改革、まさにインターネット投票もそうじゃないですか。是非前向きな御答弁をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今、総務大臣から答弁させていただいたように、政府においても、総務省を中心にこうした課題についてしっかり検討を続けています。

 ただ、これは、先ほどの答弁の中にもありましたように、新しい投票方法を認めるかどうか、これは選挙制度の根幹に関わる話ですので、政府においても検討いたしますが、これは各党各会派においてもしっかり議論していただく。この両方をしっかりと併せて結果に結びつけていく努力をしていくことが大事であると思っています。

源馬委員 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 これにて源馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 基本的質疑ということで、質問の機会をいただきました。委員長、そして理事、委員の皆様に心から感謝を申し上げます。岸田総理、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、私からは、燃油価格高騰対策について伺いたいというふうに思います。

 昨年の総選挙、十月でございましたが、北海道はもう大体、その頃になると朝晩寒くなりまして、灯油をたいて家の中を暖めるという状況でございました。そのとき、選挙期間中、コロナ対策などを訴えましたけれども、そのときから、やはり、事業者の皆様は、ガソリンや軽油が高くなって仕事が大変だ、事業が大変だということと、御自宅の灯油も値上がりして、この冬を越せるかどうか心配だ、凍死しちゃうよというような御意見もたくさんいただきながら、私は、その間、選挙では、コロナ対策と、もう一つは、ガソリンや軽油に関しては、トリガー条項の凍結を解除し、ガソリン価格の高騰を抑えるということ、それから、灯油に関しては、福祉灯油の助成制度をしっかりと行うことということで訴えさせていただきました。

 それで、福祉灯油に関しては、先日の補正予算で、特別交付税の中に、この福祉灯油の助成について、地方自治体を支援するということでありましたけれども、これも、助成した全てが特別交付税として措置されるわけじゃなくて、決まった予算の中で配分するということなので、これは本当にもっともっと重要視したい、もっと重点的に、福祉灯油、生活困窮者のみならず、多くの方々の灯油の価格を抑える制度を進めていただきたいと思います。

 もう一つ、今日、正式に、午後二時に、ガソリンが百七十・二円、軽油が百五十・〇円、灯油が百十・四円ということで、これで、政府が、昨年、追加経済対策として決めておりました燃油価格高騰対策ということが発動される、あした発動されるということで伺っております。

 今回は、上限五円のうち、三・四円ということと承知しております。やはり、これは、補助金ということですけれども、政府が、石油元売各社に対して、補助金で卸売価格の引下げを約束させるということなんですね。であるので、これが、ガソリンを利用する、軽油や灯油を購入する者にとってみれば、その補助金がしっかりと効果を発揮して、今回だったら三・四円ですけれども、三・四円がしっかりと小売価格に、消費者が買う小売価格にしっかりと反映されるのかということが、やはり大きな点として、そこに多くの国民の皆さんが注目を集めているわけであります。

 私は、今回の補助金制度、百七十円を超えた場合にという、余りにもハードルが高い、基準が高過ぎる。トリガー条項は百六十円ですから、百七十円で発動するというのも、私はちょっと高いなと思ったんですが、やはり、補助金で価格を抑制するということでいけば、本当にこれは小売価格に、国民が買うガソリン、軽油、重油、灯油、この値段、価格をちゃんと下げることにつながるのかということを岸田総理にまずお伺いしたいというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、レギュラーガソリンの全国平均価格が百七十円を超えたことを受けて、明日から、元売事業者等に対して一リットル当たり三・四円支給することとし、これにより小売価格の上昇も順次抑制されていくものと考えておりますが、御質問は、それが本当に反映されるのかどうか、こういったことだと思います。

 小売価格の上昇が適切に抑制されるよう、経済産業省においては、全国数万の事業所を毎週調査すること、これを決めております。

 経済産業省において、御指摘のように、小売価格に順次反映されているかどうか、これはしっかりと把握した上で、この状況を把握し、適切な対応を考えていきたいと思っております。

道下委員 三・四円、今回、補助しますね。石油元売各社が小売に卸した額の三・四円、これは必ず価格が下げられるわけでありますけれども、ちゃんと三・四円、小売価格も引き下げられるということは確約できるんでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、本事業は、国民の皆様が春先までを見通すことができるようにガソリン価格などの更なる高騰を抑えるものでありまして、そもそも値下げを狙う制度ではないことを改めて御理解いただきたいと思います。

 その上で、今御指摘がありましたように、小売価格については小売店の自由度が保たれているわけですから、料金設定はそれぞれの小売店が定めることができます。しかしながら、これは去年からこういうことで、政府全体を挙げて国民生活の支障のないようにガソリン価格の高騰を抑えていくんだ、こういうことを宣言をし、そして、全ての卸売業者の皆さんが協力することを既に公言をしていただいていますので、あらゆる日本中の燃料屋さんはそこから灯油、石油、ガソリンを買うわけですから、間違いなくその部分では値下がりがしたものが納められることになります。したがって、最終的に小売の皆さんはそれに協力をしていただけるというふうに思っております。

 先ほど総理が御説明しましたように、全国二万九千か所のスタンドの全数調査というものも毎週行ってまいりたいというふうに思いますので、是非、これは制度を、趣旨を御理解いただいて、販売店の皆さんにも御協力をいただける、そう信じております。

道下委員 資源エネルギー庁の方は全国の二万九千軒のスタンドに全部電話をかけると言っていましたけれども、ガソリンスタンドも、いろいろと価格に関しては、他の近くのスタンドとの価格競争だとか、あとは、一つ実際に伺ったのは、この前の卸売価格、前回よりも十円上がって卸した、でも、そのときに五円しか上げられなかった、次の週また五円上げて何とか事業をやっていこうということを考えたけれども、今回、この燃油価格高騰対策が発出されることによって、値上げをする前の卸売価格、上がったものを価格に転嫁するタイミングを失ってしまうというようなガソリンスタンドもあるんですね。

 さらに、今回、燃油価格の高騰を抑えるということなので、これは値下げではないということを政府は言うんですけれども、これ以上ガソリンや灯油が上がり続けたら、本当に、特に北国、雪国に住む者としては、もう家では生活できない。特に、今、テレワークを政府が推奨して、家で仕事をする方が多くなっているし、自宅療養を指示されている方も自宅で住まなきゃいけない、その分、灯油をたかなきゃいけないんです。ちなみに、北海道は、暖房を取るのは九割が灯油でございます。そうしたことを考えると、この今回の補助金制度は、余りにも、一部指摘されるのは、焼け石に水ではないかという指摘もあります。

 そして、もう一つは、なぜ燃油価格高騰にだけ補助金を使って抑制するのか。今、食料品も上がっています。そういったものになぜやらないのかというのもあります。

 そうしたことを考えると、今回の補助金制度が、本当に、しっかりと価格を抑制することにつながるのかということは甚だ疑問でありますし、未知数であります。経済産業省は、この効果が表れるのは一、二週間後だと言われています。すぐではないんですね。だから、これは、十分に国民に丁寧に説明するだけではなくて、もっと効果のあるような制度にしなきゃいけないと思うんです。

 そこで、私は、昨年も、我々立憲民主党は、政府に対してこのトリガー条項の凍結解除を要請いたしました。これについて政府は、これまでも、消極的姿勢、また、買い控えだとか、いろいろとこういった課題があるとか、また、ガソリン税等三兆二千億円の税収減につながるとか、いろいろと課題を挙げられます。

 私も、今のこのトリガー条項の中、ガソリンに関しては、一リットル当たり百六十円が三か月続いて発動されるということ、そして百三十円に下がらないとこれが終わらないこと、これはちょっとオーバー過ぎるかなと思いますので、是非、政府、この補助金制度とともに、トリガー条項を使い勝手のよいものにする。例えば、百六十円で発動し、百五十円で停止するとか、若しくは、二十五・一円を減税する、ちょっとこれは税収としては余りにも減収につながるということであればその金額を変えるだとか、そうしたことで今のトリガー条項を活用していく、こちらの方がいいんじゃないでしょうか。

 岸田総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 トリガー条項については、従来から、発動された場合の買い控え、その反動、こうした流通の混乱、あるいは国、地方の税収への影響、こうしたものを指摘をし、凍結解除は適当ではないと考えていると申し上げてきました。

 今委員の方からいろいろ御提案をいただきました。こういった点について考える余地があるかどうか、これは、是非、経済産業省においても考えてもらいたいと思います。

道下委員 ありがとうございます。

 通常の答弁ですと、そういった課題を挙げて、考えていないという答弁なんですけれども、経済産業省の方で検討を、指示されましたので、是非……(岸田内閣総理大臣「考えてもらう」と呼ぶ)考えていただくと。これでも、また半歩前進かなというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 これについては、今後も検討していきたい。これは財務省も関係してくるという、萩生田経産大臣の今お話がありましたけれども、これについては、今後も注視をしていきたい、また予算委員会等で取り上げていきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと順番を入れ替えまして、北方領土問題について伺いたいというふうに思います。

 これは先ほど我が党の江田議員も質問いたしました。

 一つは、昨年十二月二十六日、北海道新聞の安倍元首相に対する単独インタビュー、これにおいては、二島返還、二島のみ返還を軸に変更したことを認めるという内容のものでございます。

 これは、元島民のみならず、我々北海道民だけじゃなくて、全国で北方領土返還運動に携わる者も含めて、私は、少なからず本当に多くの国民の皆さんがびっくりして、また落胆したというふうに思います。

 政府は、これまで、我々国民に対して、学校の教科書でも、北方領土、国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島、この四島は日本固有の領土であり、当時ソ連に不法に占領された、占拠されたということで学び、そして、そういったことを訴えて、四島返還ということで活動してきました。

 折しも、二月七日は北方領土の日でございます。

 そうした中で、今回、北方領土返還における政府の考え方、安倍元総理に対する単独インタビューを受けてかどうか分かりませんが、私は先日の岸田総理の施政方針演説をお聞きしまして、先ほど江田議員も指摘されました。二〇一八年のシンガポールでの首脳会談のやり取りを含め、これまでの諸合意を踏まえ、二〇一八年以降の首脳間でのやり取りを引き継いでということで、二〇一八年ということを強調し、又は限定した内容になっている、私はそのように受け止めてしまいました。

 江田議員の質問とは重ならないようにしますけれども、まず一つお聞きします。

 先ほど岸田総理は、北方四島の主権は日本にあるとおっしゃいました。もう一つは、この四島の帰属の問題をこれから議論するということもおっしゃいました。

 では、私、お伺いします。

 日本の主権、北方四島の主権は日本にあると考えれば、交渉のときに、四島の帰属は日本にある、そういう考え、基本姿勢、認識の下でこれから交渉に当たられるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今御指摘いただいたように、我が国の基本的な考え方は、四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結する、これが基本的な考え方であります。

 そして、先ほど御指摘があった二〇一八年のシンガポール合意、これを基本的に、一九五六年の日ソ共同声明の考え方を基本にしながら協議をしていく、こうした考え方に立っていると承知をしております。

 そして、その他の合意についても、四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結する、この基本的な考え方に基づいて協議をされた結果であると思います。この原則は、これからも変わりません。

道下委員 日ソ共同宣言から交渉がいろいろと進められて、東京宣言でも、ここで、四島の帰属を明らかにするということ、これが幅広くなったんです。これまでは二島までだったのに、四島の帰属を明らかにするということで、これまでの交渉の積み重ねがここまで広がったんですね。それが、二〇一八年のシンガポール合意、これを新たに軸とすることによって、それまで積み重ねてきた交渉が無になってしまう。私は江田議員と同じ考えであります。

 これについても様々議論していきたいんですが、いろいろと、ぐるぐる議論が流れてしまいますので、ちょっと話を一つ変えて。

 総理が、十月四日に総理に就任されました。その後、十月七日にプーチン大統領と電話首脳会談をされました。私、初めて施政方針演説でシンガポール合意ということを、重きを置かれたのかなと思ったら、もうこのとき既に、外務省のホームページによりますと、岸田総理は、プーチン大統領と電話首脳会談を行った中で、「両首脳は、二〇一八年のシンガポールでの合意を含め、これまでの両国間の諸合意を踏まえて、しっかりと平和条約交渉に取り組んでいくことを確認しました。」ということを述べられました。これは事実ですか。

岸田内閣総理大臣 そのとおりであります。

道下委員 十月四日に総理に就任されてから、七日ですから、三日、間があります。

 私、これまでも、菅総理時代もこのようなことで話があったのかと思って、これはあくまでホームページ上なんですけれども、同じように、菅総理が就任されて、日ロ首脳電話会談、プーチン大統領と行ったときの外務省のホームページを確認させていただきました。そこでは、シンガポール合意のことは書かれていないんですよ。これは、シンガポール合意について、電話では話したけれども載せていなかったのか、まだこれは不明であります。

 ただ、岸田総理に伺いたいのは、総理に就任されて、前菅首相から様々な引継ぎがなされたと思いますが、このシンガポール合意に軸を置いて、北方領土交渉について、交渉を行うということを菅総理から伺ったのか、それとも、岸田総理が就任されて三日間の間に、安倍元総理からこの点について引き継ぐようにというような何らかの意見やお話を伺って、このような、プーチン大統領との電話首脳会談でシンガポール合意についてを明言したのか、どちらなんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 二〇一八年のシンガポール合意をしっかり引き継いでいくというのは、安倍政権、菅政権、岸田政権、一貫して政府の方針として引き継いでおります。

 直接菅総理から聞いたのかという今御質問でありましたが、これは直接菅総理とは聞いておりませんが、政府の方針として一貫して引き継いでおりますので、事務的にもこうした方針は確認をされています。その確認された方針に基づいて、首脳電話会談において発言を行った。こうした次第であります。

道下委員 菅総理からは直接はそれは話がなかったということですが、安倍元総理からはあったんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 その前後関係は正確に記憶しておりませんが、ほぼ同じ時期に、安倍総理からは、外交課題、日ロ関係についても様々なアドバイスをもらったことは記憶をしております。

道下委員 その中に、北方領土問題において、話はあったんでしょうか。記憶されていますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 詳細は今ここですぐ、記憶は定かでありませんが、当然、日ロ関係については議論を行ったと記憶はしております。当然、北方領土問題についても話題は及んだと考えます。

道下委員 記憶をたどっていただいて、答弁をまとめさせていただくと、菅総理からは直接はなかったけれども、安倍元総理からは北方領土交渉も含めて日ロ問題についての話があったということで、安倍総理、当時の総理の北方領土交渉の思いが岸田総理に伝わって、今後、私は、岸田総理には、二島のみ返還でいってしまうのかという心配をしています。

 私は、やはり政府がこれまで国民に対して、四島返還でやってきた、やってきているんだ、そういう運動を展開するように呼びかけてきたわけですよね。そうした意味では、政府は、四島返還、こうしたものがゴールなんだ、それで交渉をやっていくんだ、そういう姿勢を見せていただきたい。是非お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、基本的な方針は、四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結する、これに尽きるわけであります。

 この方針をこれからもしっかり守りながら、そして、加えて、これまでの諸合意、合意した様々な結果、成果をしっかり踏まえて、日ロ関係、前進させていきたいと考えます。

道下委員 これは他国との交渉ですので、いろいろと具体的には述べられないかもしれませんが、やはり国民に対してはこれまで、北方四島は日本固有の領土だ、当時不法占拠されたんだということを言ってきたわけですから、そうした国民に対しての説明を裏切らずに、領土交渉、これから是非当たっていただきたいというふうにお願いします。これからもこれについては質問をさせていただきたいと思います。

 次に、新型コロナ対策、ちょっと一つ飛ばしまして、国家資格試験における救済措置について伺いたいと思います。

 これは先日も、公明党の石井幹事長が、特に医療関係の国家資格の試験について、コロナの感染だとか濃厚接触者に対する救済措置を要望されました。

 一つは、大学共通テストに関して追試験等で救済措置があった、これはすばらしいというふうに思いますが、やはり、こうした医療関係も含めて、国家資格の試験における救済措置というものを是非進めていきたいと思いますが、私が一つお聞きしたいのは、理容師、床屋さんですね、と美容師の資格、これは国家資格なんですけれども、この試験が年二回行われる。今度、二月に実技試験、そして三月に筆記試験が行われるというんですね。これについて、厚生労働省が所管する理容師美容師試験研修センターというところがありますけれども、ここでは、よくよく見ますと、また問合せしますと、そういう救済措置が全くないんですね。

 これで、今回、理容師、美容師試験を受ける方、大体、昨年同様でいけば、この二月、三月は二万人なんですね。三月三十一日に合格発表が出ると。本当は、四月になって、そしてその資格があるということで会社に入って、そして仕事ができる、採用されて仕事ができるということなんですけれども、もしここでコロナに感染した若しくは濃厚接触者ということで自宅待機を命じられた、又は試験が受けられないということになると、これは試験を受ける機会が一回しかないのであれば、簡単に言うと、半年資格が得られず、就職できず、人生を棒に振るということにつながってしまいます。これは何とか、こうした、理容師、美容師も含めてなんですが、国家資格に関して救済措置、取っていただけないでしょうか。

 一つの事例は、ある少年刑務所であったんですけれども、これは受ける方がコロナ陽性になった、実技試験を筆記試験と同じ日にやったという特例な対応があったんです。これは柔軟な対応だと思うんですね。こうしたことを是非、理容師美容師試験研修センターに対して働きかけていただけないでしょうか。

後藤国務大臣 お答えいたします。

 理容師、美容師等の国家試験の追加試験については、これは職業資格を担保するための国家試験であるということを踏まえまして、本試験と同様の質、量を担保した試験問題である必要がありまして、これを短期間で作成、実施することはなかなか難しいというふうに考えております。

 それから、国家試験においては、従来から心身の不調を理由とした追加試験は実施しておらず、緊急事態宣言の昨年も行ってはおりません。

 それから、理容師、美容師の国家試験については、今委員から御指摘があったように、年二回の試験を実施していることも考慮いたしますと、本年の国家試験においても追加試験の実施は難しいというふうに考えております。

 理容師、美容師の国家試験については、令和三年二月の試験に、新型コロナに罹患している等により受験を辞退した場合には、次回の受験料を免除する等の措置を予定をいたしております。

 それから、もう一つ……(道下委員「いいです、詳細は知っています」と呼ぶ)よろしいですか。

道下委員 そういうことは事務方からお話を伺いました。

 実は、筆記試験は全国一斉にやるんですね、三月六日に。でも、実技試験というのは二月一日からということで、全国でばらばらなんです。その三月六日の筆記試験までであれば、いつでも実技試験が受けられるんですね。

 だから、実技試験を何か濃厚接触者とかになったということで受けられない、その一回だけで試験を受ける機会を失わせてしまうことは、私は、その受験生に対してこれは冷た過ぎるのではないかというふうに思っておりますので、今も答弁がありましたけれども、是非、再考をお願いしたいというふうに思っています。この試験が受けられなければ会社に採用が取り消されるということもあり得るわけですから、是非、その点、御検討をいただきたいというふうに思います。

 時間もありますので、次に移らせていただきます。賃上げと税制について伺いたいというふうに思います。

 私の地元の中学校の生徒さんたちから、学校の授業で政治や政策について自ら勉強するという機会があったということで、それで様々な政策、疑問や質問をお手紙でいただきました。本当にすばらしいなと。我々もこれには、子供たちが本当に純粋な考え方で、そして自分たちの未来や将来に不安を持っていたり、こうしてほしい、こういう政策があればいいなというような様々な思いを持っておられて、私も本当にびっくり、そして感動するとともに、しっかりと丁寧に回答、返事を書きたいなと思っています。

 少子高齢化、男女平等や国会議員の男女比率、同性婚、SDGsと脱炭素社会、日本に住む外国人の人権や在留環境、それから国の借金、国債、そして労働者派遣法についてというのがありました。そこで、一つ紹介するのが、非正規雇用についてのお手紙を紹介します。

 女性の非正規雇用が増えていたり、日本の賃金が他国よりも低いことを知りました。女性の非正規雇用が増えたり日本の賃金が低いと、収入が安定できず、生活に大きな支障が生じると考えました。格差の拡大にもつながっていくと思います。同一労働同一賃金を実現し、非正規雇用の生活の安定を与えるべきだと思います。なぜ日本だけ賃金が上がらないのですか。また、ほとんどが女性の非正規雇用はどうして増えるのですか。女性にも様々な能力や実力があります。とにかく賃金アップの実現をお願いしますということで、私もそのとおりだと思います。

 伺いたいのは、賃上げについてなんですけれども、よく総理は成長と分配の好循環というふうにおっしゃいます。私は、賃上げに関しては、成長と分配一緒ではなくて、もちろん成長なくして分配なしでもなくて、分配を先に優先順位をつけるべきだと思っています。

 その一つの例がイギリスのブレア政権です。最低賃金を導入して、そして、そのときに経営者側は反対をします。でも、そのときにしっかりと、政府は人件費が上がることに対して支援、補償をしました。融資もしました。そうしたことで、まず賃金を上げて個人消費をアップさせて、そして地域の経済が回っていって企業の売上げが上がり、そして更にまた人件費、給料を上げていく、国も税収が上がっていくという好循環が生まれたんです。こういう成功事例は、まず分配が先なんです。

 そう考えると、私は、賃上げに関しては、今までも岸田総理の、分配そして成長だとか、分配なくして成長なしとか、いろいろと聞いていると、どれが本当なのかな、ちょっと分からないんですけれども、賃上げに関して、成長が先か分配が先か、岸田総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 これも度々申し上げておりますが、成長も分配もが私の基本的な方針であります。

 分配するものをしっかりと獲得しなければならない、だから成長は重要であると思っておりますし、そして分配においては、人への投資、これは、消費やそして需要の創出という点において、そして次の成長につながるという点において、大変重要な取組であると考えております。こうした両方があるからこそ好循環が実現できるわけであり、そして持続可能な経済につながると思います。

 これはどっちが優先されるというものではなくして、成長も分配もというのがあるべき姿であると私は思っております。

道下委員 昨日から実質的に春闘がスタートいたしました。昨日は労使フォーラム、そして今日は連合と経団連との話合いが進められております。その中で、連合は、芳野会長は、働く人全体の賃上げを求めている、そして月例賃金など含めて四%賃上げ。一方で、経団連は、好業績の企業に対して積極的賃上げを呼びかける。

 岸田総理も経団連と同じような発言をされています。私は、これでは一部いいところ、いい企業だけの賃上げが進んでそれ以外は進まない、これではますます格差が広がってしまうのではないか、そう思うわけであります。

 そうしたことを一つ解消するのが、先ほどの非正規雇用の話もありますが、最低賃金をがっと上げることなんですね。イギリスのブレア政権も、計画的に五%以上の、毎年毎年最低賃金を上げていきました。

 岸田総理は施政方針演説で、できる限り早期に、全国加重平均千円以上となるよう、最低賃金の見直しにも取り組んでいきますと述べられました。

 立憲民主党は、昨年の選挙に向けた政策集では、「時給千五百円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。」としておりますし、また、我々の中での議論では、政権に就いた五年間で最低賃金を千二百円に上げるということにもしています。

 今、全国加重平均九百三十円です。岸田総理が掲げる千円以上となると、これまでのペースでいくと、三年後、二〇二三年に千円を超えます。これよりも早く、できるだけ早期にということなんですが、いつまでに千円以上にするんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 最低賃金の引上げについては、御指摘のように、できる限り早期に全国加重平均が千円以上になるように努力を、取り組んでいきたい、このように考えております。

 これは、以上というところに、千円を更に超えてできるだけ金額を引き上げる努力を続けたいという思いが込められておりますし、できるだけ早期にということについては、最低賃金の議論においては、もちろん働く方々の立場、これは大変重要でありますが、中小企業を始めとする全国の地方の雇用者の考え方、立場、こういったこととのバランスの中で、少しずつ引き上げる努力をしてきている、これが現実であります。

 そうした議論をしっかり丁寧にやりながら、できるだけ早くこれを実現していきたいと考えているところであります。

道下委員 これまでも三%ずつ最低賃金は上がっていますので、何もしなくても三年後には千円以上になってしまいます。だから、私はもっと、岸田総理におかれましては、更なる賃上げ率を上げるということや、また、中小、小規模零細企業に対しての様々な、我々が、立憲民主党が訴えているのは、社会保険料の負担を減免、負担を下げるだとか、そういったことで様々な形での賃上げを目指していただきたい。一緒に、我々が政策を訴えていますので、提言しているので、是非取り入れていただきたいと思っております。

 最後、一つ、教育政策について伺いたいと思います。

 これも児童生徒さんからのお話でありました。お手紙をいただきました。防衛費と教育費の予算がほぼ同じくらいになったと聞きました。私は、なぜ防衛費が増えたのかというのと、なぜ教育費は低いままなのだろうという、これも素朴な、そしてそのとおりだというふうに思っております。

 施政方針演説においても、そして岸田総理が特別寄稿された文芸春秋二月の特別号にも、私も拝見させていただきましたが、人への投資という言葉はあるんですね。そして、大学の基金十兆円もありました。こども家庭庁でも言われました。でも、具体的な教育政策、こうやるんだとか、教育予算を拡充するんだとか、特に、小学校、中学校、高校、ここの間の、大変重要な教育の、子供たちのこの期間における教育政策ということに関する岸田総理の思いが書かれていなくて、私は、何で書かれていないんだろうと。

 人を大切にする、人への投資でいけば、大人のみならず、子供にももっと投資をすべきだと私は思っています。給付型奨学金だとか、少人数学級だとか。やっとこの前、四十年ぶりに小学校二年生から三十五人学級が始まりました。これを早く、先日の予算委員会で答弁がありました。少人数学級の効果を検証してということであれば、遅いわけですよ。私は、同時並行で中学校も進めていく、そして、三十五人じゃなくて三十人にする、そのためには学校の先生を増やす、養護教員の人たちだとか、もちろんソーシャルワーカーだとか、スクールソーシャルワーカーだとか、様々なことに教育予算をもっと拡充して、そして子供たちのために投資をしていくという姿を岸田総理から見せていただきたい、私はそのように思うんです。

 これからの社会を担っていくのは、やはり子供たちなんです。デジタルだ何だといっても、それを担うのは子供たちなんですよ。そこにまず投資をしなければ、私はこの日本の未来はないと思います。

 是非、その点、岸田総理から明確な御答弁をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の人への投資において、子供たちが、誰もが家庭の経済事情にかかわらず質の高い教育を受けられるチャンスを平等に与えられ、個性や能力を最大限伸ばすことができるようになること、これは誠に重要だと思います。その観点から、人への投資、しっかりと伸ばしていきたいと思います。そのために、様々な政策、用意をさせていただきたいと考えます。

道下委員 具体的な御答弁はなかったんですけれども、今後も引き続き伺っていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 これにて道下君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 本日は、理事各位そして委員各位の皆様方の御配慮、そして関係各位の御配慮で質問の機会を与えていただきましたこと、まずもって御礼申し上げます。本当にありがとうございます。

 私、九年ぶりの国会でございます。先日、永年表彰されました、今日もいらっしゃいますが、岩屋先生の演説を聞きまして、本当に胸にじんとくるものがございました。やはり諸先輩の教訓をしっかりと生かして、自分自身もしっかりとこの国会で役目を果たしてまいりたいというふうに考えておりますので、是非、今後とも皆様に御指導、御鞭撻賜りますよう、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 浦島太郎なので余り上手にできないかもしれないんですけれども、時間もないので早速質問に入りたいんですが、本題に入る前に、コロナで中小企業の方々が本当に悲鳴を上げられているのはもう総理もよく御存じのことと思います。やはり、希望が将来にある形というものが私は今一番必要なのではないかと。私たちは、日本維新の会は消費税減税を言っておりますけれども、例えば税制であるとか、制度、仕組みであるところで、このコロナ、収束する、若しくはこの後に、ちょっと落ち着いた頃に、ああ、こういうことがあるから頑張っていこうというようなことを思えるような施策を是非やっていただきたい。これは要望でございますので、答弁は結構でございます。

 また、トンガの火山の災害においても、先週ですか、自衛隊の輸送機が着いたというようなニュースもございました。私、ラグビーをやっていまして、トンガにもラグビーの仲間がたくさんおりますので、是非タイムリーな支援をよろしくお願いをしたいと思います。

 早速本題に入らさせていただきます。

 カーボンニュートラルについて今日はちょっと御質問させていただこうと思っているんですが、二〇五〇年カーボンニュートラル実現というものは、これは全員で目指していかなければならないということはもう間違いないことだというふうに思います。

 施政方針演説で総理が唯一具体的に出していた、二〇三〇年度CO2削減四六%。ただ、こればっかり数字が先行してしまうと、今、化石燃料はどうしても、それを削減するために、これが悪なんじゃないか、どんどん化石燃料の使用量を減らしていくべきなんじゃないかというような世の中の風潮もあるわけでございます。これを諸悪の根源みたいに言われると、今まで我々は化石燃料によって今の繁栄を築いているわけでございますから、やはりちょっと敬意が足りないのではないのかなという思いもしております。

 これは率直に、総理、済みません、率直にで結構ですので、化石燃料に対する認識と、あと、化石燃料がちょっと世の中で悪みたいになっているなというような風潮を御認識されているかどうかというのをちょっとお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す中で、これからデジタル化を思い切って進めていくことによって電力需要の更なる増加も見込まれていきます。よって、エネルギーを考えた際に、脱炭素はもちろん大事でありますが、あわせて、供給の安定性、またコスト、こうしたものも考えていかなければいけないということになりますと、単一で完璧なエネルギー源というのはなかなか見出せない、これが現状であると思います。

 そして、足下では、再エネの普及がまだ途上でありますし、原発の再稼働も進まない、こういったことでありますので、現実、化石燃料が現時点ではエネルギー供給の大宗を担っている、これは現実であり、今後当面は化石燃料に依存せざるを得ない状況にあると考えます。

 化石燃料自体が悪という意見がある、こういったことは承知はしておりますが、化石燃料がCO2を排出するのは事実であります。そうした負の側面を克服していくことが大事だと考えます。

 そのため、アンモニアや水素などゼロエミ火力への転換、CO2の回収、利用、貯留、こういったことによってこうした課題を克服して経済社会を変革していく、こうした道のりを丁寧に進めていくことが重要ではないかと考えます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。御丁寧にお答えをいただきました。

 化石燃料は、御存じの方も多いかと思いますけれども、連産品でございます。一つの、例えばガソリンだけとか軽油だけとか重油だけというのを取ることができなくて、精製をする段階で様々なもの、LPGからアスファルトまでできるわけでございますけれども、熱源としてのエネルギーが大体四〇%ぐらい。動力源としても四〇%。実は、原料としても二〇%もあるんですね。

 ナフサに代表されるようなものなんでございますが、例えば合成繊維であるとかプラスチック製品、ここにはペットボトルがありますが、プラスチック製品とか塗料。塗料なんていうのは、例えば今、断熱塗料とか遮熱塗料とかもありますが、化石燃料は地球温暖化防止にも実は役立っているんですね、こういう塗料の分野に関しては。かつ、アスファルトなんかも、一番の最後の燃えかすみたいなものでございまして。

 私、ここで一つ疑念が起きたのが、石油をどんどんどんどん減らしましょうと大合唱ですよ、今、世の中は。でも、じゃ、その石油化学製品の製造計画、若しくは道路計画もあります。その道路計画、今、実はアスファルトは本当に逼迫しているんですね。ただでさえ逼迫しているアスファルトの需給が、これからどんどん石油を減らしていくことによって、今の道路計画と本当にマッチをしているのか。石油化学製品の生産量と、その会社が、例えば売上高を、予算を組んでいる、それと本当にマッチをしているのかというのは、私は、これがないと、本当に、成長という分野に光を当てたときに、こっちは成長するけれども、そこに必ず影ができてしまうのではないかという懸念があります。ここについて、そういった議論がされているのか。

 若しくは、そういったものに対する代替品、例えば道路でいうと、当然、セメントの道路もあります。しかしながら、セメントの道路は乾かすのに一週間ぐらいかかるんですね。例えば、日本は災害が多いですから、災害復旧、もう皆さんも御案内のとおりでございますけれども、災害復旧で一番最初に大事なのは道路の復旧です。そのときにアスファルトを敷くと、即日開通できるんですね。これがセメントの道路ではなかなかできない。

 オランダの方ではプラスチック道路というのもあるらしいんですが、このプラスチック道路、よくよく考えたら、プラスチックは石油製品だなみたいな話で、本末転倒なことになってしまうんですが。こういったものを考えられているのかどうかというのを、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 先生の問題意識は極めて大事で、先ほど総理がおっしゃったように、我々は、化石燃料が悪だというんじゃなくて、CO2を出し続けてきた負の側面を克服しながら、日本ならではの使い方というのをしっかりしながら二〇五〇年を目指していく。

 ややもするとヨーロッパと比較されがちなんですけれども、例えば、ヨーロッパのように国が地続きのところは、自国で消費し切れない太陽光のエネルギーは隣の国に売ることができます、風力もそうです。日本はそういうわけにいきません。したがって、日本ならではのやはりエネルギー利用政策というのをしっかり立てていかなきゃいけないと思っています。

 ちなみに、私、この春、総理に言われてインドネシアに行って、石炭の輸出再開をインドネシア政府にお願いして、輸出の再開を握ってきたところでございまして、これは世の中からすれば、石炭の輸入をするのか日本はとびっくりするかもしれませんけれども、日本の置かれた環境を考えたら、やはりこれを上手に使いながら、その二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、日本ならではの技術をもって解決をしていかなきゃいけないことがあると思っています。

 したがって、石油製品は、ガソリン、灯油、軽油、重油、ナフサ、御指摘のあったアスファルトなど、各製品が同時に生産される仕組みになっています。こうした特性も踏まえ、国土交通省を含む関係者と連携し、今後、審議会などの場を活用して、分野横断的な検討をしっかり進めてまいりたいと思います。

 また、石油製品の代替につきましては、石油由来の原料をCO2に置き換えてプラスチックなどを製造するカーボンリサイクル技術について、社会実装に向けた技術開発や実証を進めてまいりたいと思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 具体的な計画はなかなか難しいのかもしれませんが、やはり成長という分野を考えますと、光があるところに影ができるということが、私は、あって仕方がない部分もありますが、この分野に関してはあってはならないのではないかなというふうに思っております。

 石炭の話が出ましたけれども、私が石炭みたいな顔をしているから別にこの化石燃料を言っているわけではなくて、しっかりと本当に取り組んでいただきたいという思いを込めて申し上げているので、是非、そういった計画を立てられるものなら、そういう審議会を通じて指示していただければなと、これは萩生田大臣のリーダーシップでお願いをしたいと思います。

 このカーボンニュートラルの挑戦は、これは本当に全人類で取り組んでいかなければなりません。これは日本だけでどうにかなるような問題ではないことは、もう皆さんも御存じのとおりだと思います。

 しかしながら、近年、我が国のエネルギー自給率、若干上がりつつはあっているんですけれども、ある意味、単純にCO2を削減すればいい、化石燃料なんかにもう頼らなくていいみたいに簡単に考えられてきている節がやはり私はどうしても否めないと思うんです。この問題において、単純な思考が単純なアイデアになってしまうということでは私は困ると思っています。

 これは税にとっても同じなんですね。環境税とか炭素税なんていう話も出てきますけれども、例えば、環境権なんかは新しい権利なんて言われて、やはりこれは憲法改正でしっかりとその権利を認めるべきだというような議論も当然ございます。

 新しい権利でございますから、既存の税の衣替えみたいな、例えば、石石税を、石油ガス税を、じゃ、環境税に振り替えましょうなどという、衣替えという安易な道を進むのではなくて、岸田総理が、カーボンニュートラルをやっていかなければいけないんだ、二〇三〇年にはまず四六%、CO2削減、これはかなり野心的な目標ですよ、これをやっていくんだというのであれば、やはり、国民の皆様に正々堂々とお示しをして、新しい税も導入するんだぐらいの、まあかなり厳しいとは思うんですけれども、それぐらいの気概を持って私はやっていかなければならない問題だという認識を持っております。

 石油関連諸税を、まさか、ゆめゆめ、環境税や炭素税に切り替えるようなことを考えられているなんていうことは政府の中であるんでしょうか。ちょっとこれを聞きたいと思います。

萩生田国務大臣 議員御指摘の石油関連諸税は、原油や天然ガスなどの輸入、採取段階において課税する石油石炭税や、原油からガソリンへの転換後の利用段階に課税する揮発油税などが存在しております。

 御指摘の炭素税は、幅広いカーボンプライシングの一手法でありまして、成長に資する観点、すなわち、産業競争力の強化やイノベーション、投資促進につながるのか、その他手法も含め検討しているところです。そのため、現時点で石油関連諸税を単に環境税や炭素税に切り替える考えは全くありません。

 こうしたエネルギー、環境政策の検討に当たっては、エネルギーの安定供給や経済と環境の好循環の観点を踏まえた総合的な検討が必要であると認識しております。

山本(剛)委員 大臣、本当にありがとうございます。明確な答弁をいただきました。

 私がここで何でこんなことを言うかといいますと、簡単に考えられるその要因の一つに、まあ、原油ですね、原油が、国際社会では戦略物資です。しかしながら、国内に入ってきた途端に生活物資に切り替わるんですね。つまり、貴重な石油が、原油が、国内に入ると当たり前のように。

 私が商社で働いていたとき、ガソリンを扱っていたんですけれども、一リットルが八十円とか九十円とかいう時代もございました。これは、税金は変わっていないですから、商品代でいうと一リットル当たり二十円ぐらいになるんですね。あのときは、コンビニで一リットル、二リットルの水を買う人が恨めしかったんですよ。何で水があんな値段で買われるのに、ガソリンの商品代は二十円、これはおかしいんじゃないかと。

 だから、調達から物流、そして供給に至るまで、本当にそこに関わる全ての方々が不断の努力で安定供給に努めてきたわけでございます。そこに高い税率を設けて、国の財政に本当に寄与してきた。これが石油製品の私は歴史であるというふうに思っておりますし、これを、二〇〇九年、道路特定財源を一般財源化してしまいまして、今、税金の中で、揮発油税とか暫定税とかそういった石油関連諸税がどこに使われているか分からないというのは、本当に私はじくじたる思いがございます。

 例えば、萩生田大臣は東京の方なので大変申し訳ないんですけれども、東京の一世帯当たりの自動車の保有台数というのは、一番低いところで〇・三とか〇・四なんですよ。つまり、一世帯当たり一台ないんですね。でも、地方に行くと、道路事情も悪いんです。だけれども、そこでどうしても車がないと生活できない。一家に一台はおろか、二台、三台と持っている家もある。その方たちが一生懸命、一生懸命と言ったらおかしいですけれども、ガソリンを入れて、一生懸命納税をしているものが、ちょっと極端な言い方をしますが、誤解を恐れずに言うならば、東京の例えば高齢者の皆さんの年金に消えているとか、全くその目的とちょっと違うようなところに行ってしまっているのも、もちろん今の日本の国家の財政を考えたらそれも致し方がないというところはあるかもしれませんが、やはりもう少し考えていただくことも必要なのかなという思いがしております。

 また、税の簡素化という言葉がよく出てくるんですが、簡素化というのは、役割を終えた税金があるとするならば、それはもうやめていくというのが簡素化なんですよ。複雑な税制が、例えば、揮発油税もかかっている、暫定税もある、石油ガス税もかかっている、そして挙げ句の果てにはタックス・オン・タックスだというような、この複雑怪奇な税制があって、これをもうややこしいから一つにまとめましょうなんて、名前を変えましょうなんていうのは、これは、言っておきますけれども、簡素化じゃないですからね。これはもうはっきり言っておきます。

 ですから、何としてもこういった議論を避けていかなければならないし、それよりも何よりも、化石燃料をやはり有効に使っていくということが私は一番大事だと思っておりますし、この化石燃料から得た税収は、化石燃料の有効活用、そして持続して使っていくための技術革新などに特化するということも私は考えていかなければならないと思います。

 税の使い道をそういうふうにしていくという考え方はございませんでしょうか。財務大臣、是非ちょっとお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

鈴木国務大臣 山本先生の御提案は、燃料課税の税収、この使途をCO2の排出抑制等に、こうした特定の目的に限定することだというふうに私は今お聞きをいたしました。

 先生も先ほどお触れになりましたけれども、特定財源制度には、受益者に直接負担を求めることに合理性があるなどの意義がある一方で、財政が硬直化するといった弊害が指摘をされてまいりました。

 こういうような考え方も踏まえまして、先ほど先生が触れられましたガソリン税等につきましては、平成二十一年に一般財源化を行ったところでございます。

 このような経緯を踏まえますと、御提案のように、ガソリン税等の燃料課税を特定の投資の財源と位置づけることは、慎重な検討が必要であると思います。

 他方で、化石燃料から出るCO2排出を抑制する技術、これはCCSとかCCUSとかあるわけでございますが、これにつきましては、令和二年度の補正予算で二兆円を計上いたしましたグリーンイノベーション基金、あるいは令和三年度補正予算や令和四年度予算を通じまして、社会実装に向けた研究開発のために必要な予算を計上しているところでございます。

 再生可能エネルギーの導入促進などと併せまして、こうした取組も着実に実施をいたしまして、二〇五〇年のカーボンニュートラル、二〇三〇年までの温室効果ガス削減目標の達成に向けて、政府を挙げて取り組んでまいりたいと思っています。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

山本(剛)委員 無理なお願いというのは私も分かりながら質問をしているんです。だけれども、これだけやはり化石燃料というものに対しての認識が世の中の中で残念ながら高くはない、もう下げればいいんだ、削減すればいいんだみたいな、そういったものに、やはり私はどうしてもくさびを打っていかなければいけない、警鐘を鳴らさなければいけないという思いで今ここに立っています。

 化石燃料だけを悪者にしたCO2削減、脱炭素の議論は、これは絶対、雰囲気に流されちゃ駄目なんです。行け行けどんどんでやって、後から、例えば、先ほども申しましたとおり、日本の道路計画やそういった石油製品の製造計画にやはり影響が及んでは絶対にいけない。これは是非、冷静な議論を、まあ、一番私が興奮しているんですけれども、冷静な議論をしていただければなというふうに思っております。

 鳩山政権のときに、二五%CO2削減という高い目標を掲げたことがまず発端でありました。しかしながら、これは、原子力の依存度を五〇%にまで高めるということに担保されていたわけですよね。

 今、原子力、やはり議論がなかなか難しいじゃないですか。でも、野心的な目標をやはり掲げるためには、原子力の議論も正々堂々とやりましょうよ。これは私の仲間が後日やると思いますので、是非、総理もしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 やはりそういったときも、残念ながら、その五〇%の依存度というのは東日本大震災の事故でもう到底かなわないことになってしまったんですが、そのときにも、本当に電力需給が逼迫しているにもかかわらず、無責任にCO2削減だけを声高に叫ぶ人たちがいたんですよ。

 その後は、電力供給の安定化を図らなければいけないということで、我々が、私もその中に入っていたんですけれども、何とか原子力の再稼働に向けて、当初の本当の厳しい安定基準を満たしたものは再稼働をしようということになったんです。

 そうしたら、その決めた次の日の朝、国会に来てみたら、時の総理大臣がストレステストとか言うんですね。原子炉にストレスを与えるのはいいけれども、我々にまでストレスを与えるような総理大臣だったんですよ、そのとき。それから、今度また……(発言する者あり)誰というのはちょっと言えないですけれども。

 国の根幹とも言えるエネルギー政策ですから、短期的な視野というのももちろん大事です、大事ではあります。しかしながら、長期的な視野に立つことももちろん重要なわけでありますから、こういったことを総合的に勘案して、是非、この脱炭素の議論を、総理はリーダーシップを持って進めていただきたいというふうに思います。

 こんなことをやる人はいないと思いますけれども、例えば、民間の中でも、ファイナンスをつけたいがばかりに、今、脱炭素を言っておくとファイナンスがつきやすいとかいうのもあって、そのために短期的なカーボンニュートラルを言っている会社とか、そういった、脱炭素で叫ぶ人たち、自分の都合のいいように持っていきたいというので、今、時流に乗ってという人ももしかしたらいるかもしれない、そんな人はいないと思いたいけれども。そういったことも、やはり政府としては考えていっていただきたいと思います。

 年末のCOP26の総理のゼロエミ演説、私はあれはすごい重要だったと思います。まあ、化石賞を取られたということでちょっと不名誉みたいなことも言われていますけれども、しかし、私は重要だと思っています。ただ、総理の言うアジア・ゼロエミッション共同体、あったかと思うんですが、これは具体的には何なのかということをちょっとお示しいただきたいなと思います。

 カーボンリサイクルやCCSなど、排出削減ではない分野へ取り組む覚悟を強く持っていただきたいということと、そもそも、CO2削減を、環境問題として取り組むのか、ビジネスチャンスとして取り組むのかで全然違うんですよね。環境問題で、とにかくCO2を削減しよう、削減しようだけで、そこに目が行ってしまうのか、それとも、いや、これはビジネスチャンスなんだ、だからこそやらなければいけないんだという視点に立ってやるのか、どっちなのかということをまたお示しをいただければなというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 我が国は国際社会においてもこうした気候変動問題にしっかり貢献をしていかなければならないわけですが、その中で、世界を見回した場合に、アジアにおいては我が国と似たエネルギー構造を持っている国、これがたくさんあります。よって、水素やアンモニアなど日本の技術、制度、ノウハウを生かして、特にアジアの脱炭素化に貢献をして、そして技術標準や国際的なインフラ整備をアジア各国とともに主導していく、これが私の考えたアジア・ゼロエミッション共同体構想ですが、御質問は、気候変動対策なのか、あるいはビジネスチャンスなのかということですが、カーボンリサイクルですとか、あるいはCCS、こうしたものは、化石燃料を使いながら脱炭素化を達成していくための切り札であり、新たなビジネスチャンスになり得ると思っています。

 政府としても、国内のCCSの事業化に向けた環境整備や、CO2を吸収するコンクリートの研究開発などに全力で取り組むとともに、アジアに我が国の技術や制度やノウハウ、これをしっかりと展開をしていきたいと考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってしまったので。本当は今日、野田大臣にも少子化のこととか、古川大臣にもちょっと伺いたかったんですが。

 二〇五〇年は本当にあっという間にやってきます。総理が任期中にだけ耳触りのいいことをやろうなんてことは私は到底思っていないですし、もしかしたら二〇五〇年までの長期政権を狙っているのかなということもちょっと思うところもありますけれども、そこは私のあずかり知るところではありませんが。とにかく、世の中の空気に流されないように、是非、脱炭素の議論を総理のリーダーシップで進めていっていただければと思います。

 本日は、ありがとうございました。

根本委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。

 次に、金村龍那君。

金村委員 日本維新の会所属の金村龍那です。

 この十月に初めて衆議院議員に当選をいたしまして、地方議員の経験もなく、初めての質問で総理ほか全大臣が出席ということで、ずばり、緊張しております。なので、この緊張感をしっかり楽しめるように、真剣に、そしてフレッシュに頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 それで、質問に入る前に、私は、二〇〇二年から十年間、議員秘書を務めてまいりまして、その後、事業を経営して今に至るんですけれども、議員秘書、最後、政権与党であった民主党の国対委員長の秘書を務めておりました。そのとき、野党の国対委員長であったのが岸田総理でした。

 社会保障と税の一体改革を、当時、国会でおまとめになった岸田当時の国対委員長。あれから十年、人口動態も変化して、社会保障制度改革は道半ばだと我々も認識しています。今回、昨年の衆議院選挙の中でも、日本大改革プラン、そしてチャレンジのためのセーフティーネットと日本維新の会は掲げておりますので、是非、今国会の中でしっかり社会保障制度改革の議論をしていただきたいと思います。

 そして、今回、こども家庭庁の質問です。

 私自身は、これまで八年間、障害児支援を事業として行ってきました。なので、福祉の立場から子供の育ちを見たときに、果たして本当に今のこのこども家庭庁が子供政策の真ん中をしっかりと歩んでいるのか、野田大臣もおっしゃっている隙間とはどういった問題なのか、これを改めて総理に、そして担当大臣に問いたいと思います。よろしくお願いします。

野田国務大臣 初当選おめでとうございます。(金村委員「ありがとうございます」と呼ぶ)

 岸田総理、そして私、そして根本委員長の初当選は約三十年前でございまして、是非、御精励、期待しております。

 私自身が三十年議員生活をやっていてずっと抱えていた違和感というのは、国会というのは、国民の代弁者が集まり、そして国民が抱えている様々な問題、疑問に答えを出していく、政策をつくっていく場であったんですが、少なくとも、この過去四半世紀、この予算委員会や又は本会議場で、子供という言葉はほとんど出てきませんでした。大人の議論はたくさんありました。年金制度の話もたくさん出てまいりました。障害者の話もたくさん出てまいりました。ただ、障害児とか、子供とか、そういうワードが与野党を超えてたくさんたくさん議論されたということは、私はかつて経験したことがありません。

 今国会になって、岸田政権において、岸田総理が初めて、人への投資、これは簡単に皆さんおっしゃるけれども、これまでの国の在り方、予算の在り方というのは物への投資なんですね。見えるものに対して、パソコン、使う人よりもパソコンに対してお金、様々な補助があったり、制度があるんですけれども、それの担い手である人に対してはさほどそういうサービスがないわけです、行政サービスが。

 そういう中で、人への投資というのは大きな政治変革だと思います。その中で、じゃ、どういう人たちに投資するか。様々な国民がいる中で、全ての人にひとしく投資をするべきなのは当たり前でありますが、とりわけ子供に投資することがこれからの中長期的な国の展望にとっては効果的であり、かつ、それによって今の大人たちにも夢や希望や展望が開けるということで取り組んでいかなければならないと思っています。

 つまり、こども家庭庁をなぜつくらなければならないかというと、往々にして、この仕事の場は、見えないものに対しての無理解とか、関心が薄い場所です。きちっとした場所を設けて、そして、常に子供という言葉が議論の場に出てくるような環境を整備しなければならない。

 ありとあらゆるところに、子供に対するささやかな政策はありました。

 例えば、障害関係、発達障害の関係、関わられていると思うんですけれども、発達障害の子供たちは、いじめの被害者になり、虐待の被害者になり、そしてまた、逆に言うと、いじめる側になったりもする。

 ただ、そういうときに、その場で大きな事件があると、国会でも社会問題として、わあっと皆さん盛り上がるんですけれども、その後のフォローがほとんどできていなくて、児童相談所の人が足りないんだといっても、そこで終わって何も変わっていない、こういう繰り返しがある中で、子供たちは置き去りになっているんじゃないか。高齢者のことを考える前に、高齢者を支えるべく、子供たちがしっかりと強くならなきゃいけないのに、総じて子供の議論がなかった。

 そういうことで、思い切った政策の転換をするには、大人の議論から、常に皆さん、三百六十五日、どの党にあっても、子供を真ん中にした政策をつくり変えていくことで、日本はややもすると斜陽の時代に入っていると言われるけれども、V字回復の期待が持てる大きな政策変換だと思っています。

 こども家庭庁をつくる意義は、岸田総理も人への投資、とりわけ子供等に、若者に対してお金を倍額、私はもっと出してもいいと思うんですけれども、ただ、その受皿がやはりきちっと一元化されていないと、お金の使い道が散漫になってしまう。今でも、子供政策、厚生労働省も、内閣府も、文科省もそれぞれやっていますけれども、ばらばらにやっているわけですね。でも、子供は一人ですよね、主体として。そういうところもやはりきちっと一元管理することで取り組まなければなりません。

 さらには、短期的には、やはり今、社会的な問題になっている、先ほど午前中も中谷議員からあった虐待、これについても、様々な関係者がいるけれども、結局、誰が責任を取るのかというのがない。これはやはりこども家庭庁が責任者となって、責任の主体となって、しっかりと司令塔としてそれぞれの役割の人たちとチームを組むこと、これによって虐待を防ぐ、虐待から守る、そして虐待を予防するということが見える化するようになってくるわけですね。

 あと、役所をつくることが目的になっちゃっていてというけれども、役所がないと、そこに人は集まりません、専門的な。かつ、お金もそこに集中できません。

 さらに、今回は特に岸田総理の肝煎りで、内閣府の外局にいたしました。何か、みんな省の方が立派なように思えているんですけれども、それは間違いです。内閣府の外局というのは総理直属ですから、直属の大きな権限を持つ、総合的なその居場所をつくることで、子供のありとあらゆるもの、教育だけじゃないですよね、障害児、教育を受けられていない子、たくさんいますよね。

 そういう複合的な、子供をど真ん中に置いた世界で初めての政策をこの岸田政権の下で、与野党の皆さんと力を合わせて、子供たちのためではなくて私たちの将来のため、日本の投資ということで取り組んでいきたいと思っています。

岸田内閣総理大臣 今、基本的な考え方は野田大臣からあったとおりであります。

 子供をめぐる課題、児童虐待、いじめ、貧困、さらには少子化、本当に複雑化しておりますし、多岐にわたっています。こうした子供をめぐる課題に対して、子供を中心に置いて、子供目線で、縦割り行政を排して司令塔機能をつくろう、これがこども家庭庁をつくろうという基本的な考え方であると思います。

 文部科学省は学びという観点から日本の子供たちについて考えるわけですが、こども家庭庁、これは、子供の育ち、健やかな育ち、こういった観点から子供の成長を見守っていく、こうした役割分担の下に、子供の幸せを日本においても考えていきたいと思っています。

金村委員 御答弁ありがとうございました。

 聞けば聞くほど、そうだそうだと一瞬思うんですけれども、こども家庭庁が内閣府の外局になっている、そこから、今の段階であれば文科省は既存の仕組みが残っているという段階なんですけれども、私は障害児支援をずっとやってきたものですから、福祉の立場から見ていくと、やはり一本化、本当に一元化していかないと、実際に子供の育ちを、健やかな支援をすることは難しい。

 よく私、その事業の中でも伝えていたんですが、要は、福祉というのは子供の土台をつくることなんですね、スタートラインをつくること。教育だったり人材育成の視点というのが成長をつくっていくと私は思っていまして、そういった意味では、こども家庭庁だけではやはり不十分なんじゃないか。

 とりわけ、内閣府の外局、内閣府そのものは非常に大きくなってきておりますので、現場の感覚でいえば、こども家庭庁ができても、例えば市区町村や現場で働いている、例えば事業所を運営している人たちが、じゃ、どの通知によって自分たちの行動指針にしていけばいいのかというのは非常に分かりづらいと思うんですね。

 なので、この内閣府の外局に置いた意義というのをもう一度問いたいと思います。

野田国務大臣 先ほどの繰り返しになってしまうと思うんですけれども、内閣府というのはあくまでもインキュベート、子供について様々な、認定こども園なんかもやっていますし。

 例えば、幼児教育で考えてみましょう。幼児教育だと、これは義務じゃないので、まず、行かない子もいます、行けない子もいます。でも、行く子供の中では、幼稚園を選ぶ、保育園に行く、さらには認定こども園ということで、今まさに御指摘のように、いろいろな通知は各市町村にはばらばらに来るわけですね。

 そういうことを排していこうというのが、まずこども家庭庁が一元になって、全てのそういう幼児教育に関して、通知は、単独ではなく、必ずこども家庭庁の下で合同で通知が出されて合理化されていく。

 そして、一気通貫な形で、幼児教育の中においては、例えば、幼稚園は教育、保育園は保育というふうに分かれますよね。でも、それは本当にいいのだろうか、子供にとって。この地区の幼稚園に行っている子は大変教育が進んで漢字が書けるようになった、こちらの保育園の子はそういうことを余りしていなかったので、小学校一年生になったときにお勉強の格差ができちゃって、そこで引きこもりになったり不登校になるということが、今、間々問題になっている中、こども家庭庁という、総合的にそれぞれをウォッチして、又は権限を持って乗り入れができるような場所をつくることによって、教育の平準化であったり、また保育も、今後、恐らく幼稚園も、女性がどんどん働く中で、なかなか幼稚園そのものが成り立たず、認定こども園とかに移っていく場合にも、しっかりとそこの着地を間違えないように支えていける総合調整力を持っているのがこども家庭庁だと思います。

 どうしても、庁はちっちゃくて省は大きい、庁は力がなくて省は力があるみたいなイメージがあって、私も最初はそう思っていました。でも、少し前に消費者庁の創設に関わったことがありましたけれども、必ずしもそうではありません。やはり相当の権能を持っていて、共管することによって、むしろ、今御懸念のばらばらがつながって隙間がなくなる、子供たちの人生の中の落とし穴が減っていくという意味では、庁の役割は大きいと思っています。

金村委員 ありがとうございます。

 僕は、今回のこども家庭庁の子供を取り巻く環境を捉えたときに、従来だと、文科省、それから厚労省、そして内閣府とあったものですから、隙間とよく担当大臣がおっしゃっていたのは、僕はぽてんヒットだと思っていて、つまり、バッターが打ちました、総理も内野手をやられていたと思いますので、例えばショートを守っていたときに、打ち取ったはずなんですけれども、レフトとセンターとショートでお見合いしちゃって、ぽてんヒットが生まれる。

 つまり、うまくグラデーションで支え切れない子供たちをどうやったら福祉の視点からアプローチできるのか、そして、教育や人材育成の観点から子供の成長をつくれるのかといったときに、こども家庭庁でいわゆる厚労省の一部分と内閣府が一緒になる、文科省はそのまま残る、教育の観点で。これはやはり、チャンネルがまだ二つ残るんですよね。

 これを一本化することが本来のあるべき姿だとまず我が党は考えているのと、それから、今、野田大臣がおっしゃっていただいたとおり、やはり小学校一年生に上がるとき、まさに教育の視点から小一の壁が存在しているのが今の未就学期だと思うんですね。それで、私自身は、そもそも持論の中で、いわゆる義務教育を四歳、五歳の段階からスタートすべきだという考え方を元々持論で持っています。

 そういった意味では、今の文科省の取組の中で、この未就学児に対する教育の質を担保する活動、取組、こういったものをお聞かせ願いたいと思います。文部科学大臣にお願いします。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 昨日からいろいろと御意見いただいておりますけれども、幼児教育、幼児期の教育というのは、生涯にわたって人格形成の基礎を培う極めて重要なものでございます。幼稚園、保育所、認定こども園といった施設類型を問わず、全ての子供が質の高い教育を受けられるようにし、小学校への円滑な接続につなげていくことが重要であると考えてございます。

 文部科学省といたしましても、これまでも、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の整合性を確保するとともに、小学校との接続の連携の手がかりとして、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を策定するなど、幼保小の連携を推進してまいりました。

 他方で、幼稚園、保育所、認定こども園の七割から九割が小学校との連携に課題があると感じてございます。これはもうお読みになったとおりだと思うんです。半数以上の園が行事の交流だけにとどまってしまって、資質あるいは能力をつなぐカリキュラムの編成、実施が行われていない、そういった点の指摘もございます。

 このため、幼保小の接続期の教育の質的向上に向けまして、中央教育審議会の幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会にて具体的な方策を議論いただいており、令和四年度予算案でも、幼保小の架け橋プログラムの開発や、自治体の幼児教育推進体制を強化するための経費などを計上してございます。

 最後に、今後、文科省としても、就学前の全ての子供たちの保障を担うこども家庭庁と連携を密にしまして、そして、幼稚園、保育園、認定こども園における教育、保育内容の基準の整合性を制度的に担保することによって、質の高い幼児教育が受けられるようにしてまいりたいと思います。

 昨日申し上げたように、野田大臣のところのこども家庭庁は司令塔でございます。教育は、生まれて亡くなるまでの全体、全てに教育というのは施されるべきであると考えています。教育を担っていくのは、やはり文科省でございます。

 ただ、例えばいじめがあったときに、校内で起きたら、当然、教育委員会とつながりますね。校外でいろんな事件が仮にあった場合、そういった場合というのは、基本的には警察であるとか、あるいは、児童相談所というのは相変わらずやはり都道府県の、これは児童福祉局でしょうか、健康福祉部、児童福祉課あたり、こういったところが担当していると思いますので、そういう面の行政は残っていますので、きちっと全体は、子供に対する、利益というんでしょうか、全ての、幸せになっていく、全体のバランスはやはりこども庁で見ていただくということが好ましいかなということを考えてございます。

 教育を担当したいと思います。

金村委員 ありがとうございます。

 やはり、幼児教育そのものは本当に子供の基点となる教育になると思いますので、今後も力を入れていただきたいと思います。

 私、実は障害児支援もしているんですけれども、実は三人子供がいて、七歳、五歳、四歳。七歳、五歳はいわゆる普通の、健常の子なんですけれども、四歳の子供が障害を抱えているんですね。

 つまり、家庭の中で、いわゆる福祉を必要としている子供と、それから、これから成長を担っていく、つまり、子供を真ん中に政策を置けば置くほど、やはり全ての子供が支援を必要としておりますので、決して、こども家庭庁における福祉のアプローチ、司令塔として教育も担うというのは、やはり組織として一本化、一元化、そしてワンストップで支えていくことが私は組織としては必要なんじゃないかという認識に立っています。

 それは、やはり自分の子供を見たときに、上二人の子供がしっかりと成長を担っていくからこそ、発達に偏りのある子供たちもやがて適切な環境で成人となって人生を終えられることにつながるんじゃないかと自分の子供三人を見詰めても思うんですね。

 そうであれば、今の世界のトレンドも、やはり教育を中心として子供をしっかりと成長させていく、国家戦略の観点からも、ワンストップという、いわゆる組織一つをしっかりと、文科省と厚生労働省、それから今でいうと内閣府、こういったものを全廃して、縦割りを廃止して子供省をつくる、これが我々日本維新の会の今の捉え方になります。

 その上で、この我々の主張するいわゆる子供省についてどのようにお考えか、総理に問いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 お話を聞いておりまして、子供に関する様々な課題にしっかり取り組んでいく、特に、子供さんの置かれている立場は一人一人、皆違うわけですから、そうした多様なニーズあるいは課題に取り組んでいく際に、組織論として、委員がおっしゃるように、一つの組織をつくって、ぽてんヒット等がないような対策を進めていく、これは一つの考え方だと思いますが、こども家庭庁と文部科学省の関係は、先ほども少し触れさせてもらいましたが、子供たちの問題、学びという視点から考えるのが文部科学省であり、子供たちの健やかな育ちという観点から子供たちについて考える、これがこども家庭庁であると思います。

 これが二つに分かれているではないか、それはそのとおりなんですが、そして、両方重なっているではないか、こういった指摘があるわけですが、二つに分かれ、二つの視点に立って、そしてお互い重なり合うからこそ、ぽてんヒットをなくし、様々な複雑な、多様な課題にも応えることができる、こうした考え方もできるのではないかと思っています。

 私たちの政権においては、その後者を取り、皆様方に提案をさせていただいているということであります。組織論と実質的な政策の進展、これをどう関連させていくのか、こうした議論は大事だと思いますが、私たちの政権の考え方についても、是非丁寧に説明をさせていただき、御理解を広めていきたいと思っております。

金村委員 ありがとうございます。

 私がこれまで得てきた経験や今回出てきた政策、それから制度論を捉えたときに、やはりワンストップの方が私としてはしっくりくる。そっちの方がむしろ子供の現場において実は負荷が少なくなる、自主判断できちんと支援ができる、きちんと教育が提供できる、それが子供の育ちにつながるというのは、私が現場で得てきた経験の一つとしてあります。

 その上で、党もワンストップである子供省というものを提案させていただくことになると思いますので、しっかりとお互いの議論を精査して、よりいい、子供たちが成長につながるように努力をしてまいりたいと思います。

 それでは、最後に文部科学大臣に質問をさせていただきます。

 我が党の代表質問でもありました映画「めぐみ」。実は私の妻が新潟県の出身で、長岡の出身なんですけれども、親から子供に伝聞のように伝わってきたのが、あの海岸には行っちゃ駄目だよとか、やはりそういうのが地域の中では浸透していたんですね。ですが、今、我々が親の世代になって、子供たちにそれをしっかり伝えることが実はつながっていなかったりする。そういった意味では、この拉致問題を風化させないためにも、今日は質問をさせていただきたいと思います。

 その上で、今回、その映画「めぐみ」もそうですし、アニメーションだったり、それから舞台だとかいろいろなものがあると思うんですけれども、私は実は、これは教育の現場で人権教育に生かしたらどうかなと考えています。

 そういった観点で、今の学校教育の現場でどういう取組がされているのかをお答えいただきたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 新潟県の御出身であると。私は神戸で、兵庫県なんですけれども、西村先生も有本恵子さんのお近く、私もすごく近くで、非常に親しくおつき合いをいただいてございます。

 ただ、なかなか前へ進みませんで、私個人としては、このブルーリボン、つけていることが大変恥ずかしく思うことも、つらく思うこともございます、町を歩いていて。その意味でお答え申し上げます。

 北朝鮮当局によります拉致問題は、人権教育・啓発に関する基本計画で人権課題の一つとして位置づけられており、文部科学省としましても、学校で拉致問題に係る教育が行われるように積極的に促してまいりました。

 具体的には、これまで、学校におけるアニメ「めぐみ」等の映像作品の一層の活用や、内閣官房拉致問題対策本部事務局が実施する作文コンクールの協力を促すとともに、教育委員会の人権教育担当者等を集めました会議等の場で教育委員会や学校における研修を促すほか、拉致問題を含めて人権教育の好事例の普及等を行う人権教育研究推進事業を実施するなどの取組を行ってございます。

 拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、文部科学省としても、若い世代に一層の理解促進を図ることが必要であると考えております。引き続き、内閣官房拉致問題対策本部事務局と密接に協力をして取組を進めてまいりたいと思います。

 過日、参議院の会館の講堂でめぐみさんの映画を見まして、心が本当に痛む思いをいたしてございます。ずっと活動を続けなきゃならない、そういう思いでございますので、現場にしっかりと、教育現場に下ろしていきたいと思いますので、いろいろな御指導をいただきますようにお願い申し上げます。

金村委員 ありがとうございました。非常に心のこもった答弁で、私も胸が熱くなるものがありました。

 やはり、拉致事件そのものは、相手国もありますので、我が方の主張だけで解決する問題ではないと思います。ですが、この事実そのものをしっかり後世に伝えていくことは、今を生きる我々一人一人のまさに課題だと思いますので、しっかりと御努力いただきたいと思います。

 その上で、私、今回、この二十五分間、御質問の機会をいただきました。大変緊張いたしましたが、心地よい疲れが伴っておりますので、今日はぐっすり寝られそうです。

 本当に今日はどうもありがとうございました。

根本委員長 これにて金村君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 我が党は、先ほど質問に立ちました山本剛正さん、大変豪快な山本剛正議員から、今質問に立ちました、大変上品な、ユーモアもある金村龍那議員まで、多様な人材をそろえておりますので、また御期待を……(発言する者あり)私はちょっと下品で申し訳ありませんが、いろいろな人材をそろえて、しっかり自民党に対峙できるような政党になっていきたい、こう思っています。

 ちょっと昨日に引き続いてでありますが、昨日総理からいただいた答弁で大変気になることがあるので、今日、引き続き質問させていただきます。

 野党の皆様が十万円給付に係る四万人の方を再三取り上げられて、この不公平を是正するんだということで、これは最初は上川陽子議員の御質問への御答弁だったと思いますが、不公平を是正されるということで、これは是非お願いしたいと思いますし、また、野党の皆さんからは、いや、そっちもあるけれども、取ってはいけない方から取っている税金もあるよな、そういう議論がございました。

 私は、私の質問の時間に、そういう不公平はそれだけじゃないんだ、もっとたくさん、不公平の山が、山積みになっていて、国民はその不公平感にもう正直いらいらしているんだということを申し上げました。

 私たち日本維新の会は、だから、給付と負担ということを考えたときに、給付のときに所得制限とか、もうやめましょうよと。負担するところ、だって、それは、確定申告、税務申告して、事後的に再分配すればいいのであって、事前に、あなたは所得が多過ぎますとか、あなたは十八歳、十九歳ですとか。だって、その線の左と右でほとんど状況は変わらない、逆に、対象になる人よりも対象にならない人の方が困っているケースがいっぱいあるということは、自民党の政調会長もおっしゃっていました。

 だから、私たちは、給付はもう線引きなし、あらゆる壁を取っていく。給付事業のあらゆる壁を取っていったその究極の姿が、ベーシックインカムというんですね。だから、私たちは、党として、昨年の総選挙、また参院選、ずっとこれからベーシックインカムを旗頭に訴えていきますが、何か財源がいっぱい要るからとか、そういうのはどうでもいいんです。だって、財源は、足りなかったら、いや、また言うと怒られるな。

 要は、給付つき税額控除と同じですよ。要するに、全部配る。要は、五百円渡して、貧しい、貧しいというか生活が苦しい方には五百円渡し切りでいいじゃないですか。でも、豊かな方からは、五百円渡したけれども四百五十円返してくださいと。増税じゃないでしょう。だって、要らない人に差し上げたんだから、事前はベーシックインカムだけれども、事後的に税務申告でちゃんと状況を把握して、再分配できれいにしたらいいじゃないかと。何で一々、特に緊急事態においてばたばたばたばたする必要があるんだというのが、私たち日本維新の会が昨年来一貫して訴えてきている、私たちの日本大改革プランの基本哲学であります。

 そういうことを申し上げたら、総理の方から、それでもやはり、個々の制度の目的や支援方法によってそれぞれで判断されるべき、これは所得制限がですよ。なぜこの年末年始の十万円について所得制限があるのかと私が伺ったら、個々の制度の目的や、一つ一つの事業、例えば十万円の給付、目的や支援方法によってそれぞれ判断されるべきものであり、そして、給付金等を支給する事業においての方が、要は私が反対している方の方が、支給する相手の実態をより把握しやすいという点があると思うと。おかしいよね。そんなことないと思いますよ。

 続いて、私が、所得再分配だったら、今だって所得税それから社会保険、再分配していますよねと申し上げたら、御指摘のような所得税による再分配の場合ですと、資産状況を十分に把握できないなど課題があるとおっしゃったんです。

 先日の十万円の給付、資産状況を把握して給付していますか。

岸田内閣総理大臣 先日の十万円の給付については、児童手当という仕組みを使うことによって支給を行うということであります。児童手当という仕組み自体に所得制限等の仕組みがあるということから、その制度を使ったわけですから、給付においても同様の考え方が踏襲されているということだと思います。

 そして、委員の方から、ベーシックインカムに基づいて国民への再配分を考えていく、ベーシックインカムという制度を導入した上で課税においてそれを調整していくという考え方についてですが、これは一つの考え方だと思います。

 ただ、現実を考えた場合に、ベーシックインカムへの切替えということを考えた場合に、現実の社会保障制度との移行の課題、さらには、課税によって調整するということになると、まさにそれぞれの資産ですとか所得、これをしっかり把握しなければならない。その際に、前々から議論になっています銀行口座の把握等、様々な課題、これがまた出てくるんだと思います。

 こうした課題をどう乗り越えていくかという点はあるんだろうなと思いながら話を聞いておりました。

足立委員 私、もしかしたら自分が勘違いしていたらいかぬのですが、児童手当の仕組みというのは、資産家は排除されているんでしたっけ。(発言する者あり)所得だけですよね。ですよね。だから、今は資産は捕捉、まあ十分にはされていないんです。

 だから、総理が今おっしゃったのは、出来の悪い制度に倣ったから今回も出来が悪かったんですと言っているんです。いやいや、別に児童手当をばかにしているんじゃないんですよ。だって、おかしいじゃないですか、大金持ちに配るって。(発言する者あり)いや、違う、資産。

 大資産持ちに配るって、おかしくないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、資産等を十分把握できていないという点は御指摘のとおりだと思いますが、所得等、その制度の中でできるだけそれを反映した形で様々な給付を行っているということであります。

 ですから、委員の主張されている制度との比較において、所得や資産をどう把握していくのか、この考え方が違うということを先ほど申し上げさせていただいた次第であります。

足立委員 だから、総理は、岸田内閣は、資産を把握して給付事業に反映させる必要はないのであると。私たちは、それはマイナンバーで把握しましょう、できることはたくさんありますと。

 だから、所得のみならず資産もできるだけ捕捉して、できるだけそれを、所得のみならず資産も捕捉して、そして再分配を、徴税のところで、歳入のところでちゃんとやっておけば、何が起こっても、平時であれ有事であれ、特にマイナンバーでひもづけておけば、いつどこで離婚された、そういう家族関係だってすぐ反映されるんだから。ボタン一個で、どんな緊急事態でも、北朝鮮からミサイルが飛んできても、中国が攻めてきても、十万円配れるわけですよ、一日で。そういう仕組みを早くつくりましょうと言っているのに、何年たっているんですか、マイナンバー法ができてから。

 自民党はやりたくないんです。なぜやりたくないか。全国のお金持ちが反対しているからですよ。だって、そうでしょう。いや、ごめん、これはちょっと断定が過ぎました。私はそう考えている。だって、それ以外に理由がない。

 昨年のデジタル庁のデジタル改革関連法案の審議のときに、私が、今申し上げたようなことを申し上げました。平井大臣は大変正直な方なので、正直な方は選挙はちょっと弱いんですよね、私もそうでありますが。平井大臣、いや、理由はないんだとおっしゃいました。

 マイナンバーのフル活用、全ての預貯金口座へのマイナンバーのひもづけは何で駄目なんですか。いつまでうろうろしているんですか。

 高市総務大臣は、総務委員会で私にやると言った。翌日か翌週かには、やはりやめましたと。皆さんに反対されたからですよ、皆さんに。平井大臣も、やりたいけれども、結局、明確な理由とか根拠はないんだけれども反対という方が自民党の中に多いんです。

 なぜ自民党の中に多いか。全国の豪族たちに手足を縛られているからですよ。違いますか、総理。

牧島国務大臣 まず、全預貯金口座へのマイナンバーひもづけ義務化については、その趣旨はもう委員よく御存じのとおりと思いますけれども、国民の理解をまず得なければならないということが重要だと思っておりまして、相続時や災害時に口座の所在を的確に確認できるメリットがまだ浸透していないものと私どもとしては分析をしております。

足立委員 いや、だから、牧島大臣は、私も、大臣になられる前から、まさにデジタル改革法案のいろいろな、議員立法とかも一緒にやりました。だから、もう友達、いや、友達と言ったら怒られるな。大臣ですが、よくこういう議論をしてきた同僚議員であります。牧島さんも本当はやりたい。でも、先輩方が反対するからできないんですよ。

 今、牧島大臣の御答弁、もう一回確認させていただきましたが、大臣はどうおっしゃったか。理解が進んでいないだけなんですよ。ロジックじゃないんです。合理性じゃないんです。単に理解が進んでいないんです。

 だから駄目なんです、自民党は。野党から憲法改正反対だと言われたら、ひるむ。マイナンバー、ひもづけしたら危険だとデマを流されたら、そのデマにひるむ。労働市場改革、首切り法案だと言われたら撤回する。だから日本経済は、三十年、成長していないんですよ。

 総理、ちょっと言い過ぎました。昨日、予算委員会でやった後、地元の御婦人から、日本国の総理に足立さんの質問は失礼だ、こういうコメントもいただきましたので、もう少し上品にやりたいと思いますが。

 でも、総理、今の私の議論は分かっていただけると思います。だから、理屈では、自民党がつくってきた社会よりも、私たち日本維新の会が提案しているプランBの制度の方が、公正で公平で透明なんです。勝っているんです。明らかに勝っているんです。だって、みんなそうでしょう。だって、誰も理屈を言えないんだから。

 総理、これはこのままだと、本当に選挙、僕ら勝っちゃいますよ。先ほどの野田大臣ぐらいの時間を差し上げますので、ちょっと御答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 今のやり取りを聞いておりまして、まず、マイナンバーカードにおいて、なかなか取組が進まないというのは理解の問題であってロジックではないという点、それはそのとおりだと思います。

 マイナンバーカードの口座のひもつけ……(足立委員「マイナンバーですね」と呼ぶ)マイナンバーカードの……(足立委員「カードじゃなくてマイナンバー」と呼ぶ)マイナンバーの口座のひもつけ、これは資産の把握とは直接関係ない話であると思っています。

 その上で、先ほど来委員の御提案されたシステム、制度と、今の内閣において、政府において取っているシステムとの比較ということで考えたならば、透明、公正であるという主張、これは、でき上がりの姿を見れば、これは透明であり公正であるということをおっしゃるというのは分かるわけですが、それを実現できるかどうか、実現するにはどうしたらいいか、これについては、まさに国民の理解を得ながら丁寧に進めなければならない課題だと思います。

 今の社会保障方式と、ベーシックインカムを基本とする制度、これは移行を考えた場合に、不公平の問題ですとか国民の理解ですとか、大きなハードルもあるということを思いますし、逆の見方からすると、課税によって様々な調整を行うという際には、まさに資産の状況、所得の状況、これをしっかり把握した上でそこで調整するということをやらなければいけないわけですから、まさに全国民の資産、所得をしっかり把握した上でそれをやらなければいけない、これも大変大きなハードルがあるということは感じます。

 こうしたものが全部クリアできれば、こうした理想的な制度ができるのかもしれませんが、現実の中でそれに移行するということは、国民の理解を始め様々な努力が、大きな努力が求められることではないかと考えます。

足立委員 そのための預貯金口座、全ての預貯金口座のひもづけなんです。私が言っているだけじゃない。

 かつて、消費税を上げるときに三党合意がありましたね。三党合意、自民党、公明党、もう今はなき民主党。三党合意に何が書いてあったか。軽減税率とともに、選択肢として給付つき税額控除が書いてあった。給付つき税額控除がなぜ退けられたか。マイナンバーのフル活用による所得と資産の捕捉がまだ十分にできていないから退けられたんですよ。だから、出来の悪い軽減税率をやっているんですよ。

 でも、もうマイナンバーをフル活用すればいいんです。だから、自民党がどこまで格好をつけても、やっていることは、全国の豪族たちに言われて、資産はおいておいてくれ、所得だけで再分配してくれと。(発言する者あり)いや、今はそうなっている。今の日本社会はそうなんです。

 日本維新の会は、所得と資産、当たり前です、当たり前のことを当たり前に把握をして、分散型集中管理で把握をして、透明で公正公平な社会をつくっていく。また様々な場で論戦させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて足立君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野でございます。よろしくお願いいたします。

 まずは冒頭、昨日の前原委員の質疑時間と同様に、本日の質疑時間、他の野党の皆様からの御配慮をいただいた上で今日お時間をいただいておりますことを、冒頭感謝を申し上げたいというふうに思います。有意義な内容としていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、通告の順番を少し変更させていただきまして、ガソリンの価格高騰対策についてから質疑をさせていただきたいと思います。

 皆様も御案内のように、先日、国内のガソリンの平均価格が百七十円を超えまして、百七十・二円という状況になっております。このことを受けて、政府は、元売に対して補助金を出して、ガソリン価格の高騰対策を打つということなんですけれども、いろいろ国民の皆様の声を聞いていて、もしかしたら、ガソリンスタンド、全国のサービスステーションは喜んでいるということを想像される方が多いと思うんですが、現実はそうばかりとは言えない状況になっております。

 なぜか。まず、国民の皆様の理解がまだまだ不十分であるということであります。

 補助金の金額、リッター当たり今のところ三・四円補助される予定だということなんですが、当初、上限五円までという情報が先行したせいで、一律五円引下げという誤解も一部では広まっているというふうに聞いておりますし、あるいは、百七十円を超えたら百七十円で頭打ちになるんでしょうというような認識を持っている国民の皆様もいらっしゃるそうであります。

 まず、政府の方からこの制度の内容についてしっかりと説明をいただきたいと思いますし、今日私が聞きたいのは、この施策によって、ガソリンの販売価格、一体幾ら下がるのかというところをまずはお聞かせをいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 原油価格が上昇している中、本事業は、ガソリン価格などの更なる高騰を抑えるものであり、そもそも値下げを狙う制度ではないことを改めて御理解いただきたいと思います。

 二十四日にガソリンの全国平均価格が百七十・二円となったため、百七十円の超過分と今週上昇が見込まれる原油価格上昇分を合わせて、ガソリン、軽油、灯油、重油に、今週木曜日からそれぞれ一リットル当たり三・四円を支給します。これにより、本来なら三・四円分上昇する卸売価格が抑制されることになります。店頭価格にも今週木曜日から順次反映されていく予定です。

 この効果については、ガソリンは全国二万九千か所のガソリンスタンドに全数調査を実施するほか、他の油種も含め、全国数万の事業所を毎週調査します。卸価格が据え置かれているにもかかわらず値上げをしている事業者がいる場合には、事業の趣旨を踏まえた価格設定がなされているか個別に事情を確認します。

 まずは、本事業を適切に実施し、足下の小売価格の高騰を抑制してまいりたいと思います。その上で、原油価格の高騰が長引くか否かも見極めながら、国民生活や経済活動への影響を最小限にするよう不断の努力をしてまいりたいと思います。

浅野委員 国民生活への影響を最小限にできるだけ抑えるのであれば、やはりガソリンの販売価格にも目を向けながら施策への対応をしていただきたいと思います。

 つけ加えるならば、今サービスステーションから寄せられている不安の声として、今大臣がお答えいただいたような制度の仕組み、あるいはその効果について、やはり国民の皆様との認識のギャップが現状ございます。

 それを埋めるのは誰かというと、今のところ、サービスステーションで働いている従業員の皆様がユーザーの方々に説明をしていくということになるわけですけれども、やはりその労力は多大なものでしょうし、あるいは、消費者の皆様の思い込みによって一部のサービスステーションではクレームが入ったりというようなことも容易に想定ができるわけで、カスタマーハラスメントと言えばいいんでしょうか、こういった問題に対する対応等も十分に政府からケア、サポートをしていただきたいということを申し添えさせていただきたいと思います。

 その上で、財務大臣にお伺いしたいんですけれども、我々国民民主党が昨年来主張しております、トリガー条項の凍結解除によって揮発油税の上乗せ部分二十五・一円を引き去るという法律が既にできております。これを凍結解除した方が直接的に消費者の皆様の不安解消につながるのではないか、政策効果も出るのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今回の政府によりますガソリン価格の抑制対策事業につきましては、卸売原油価格の上昇分に応じてフレキシブルに価格を抑制するものであるほか、トリガー条項とは異なりまして、灯油や重油も対象としているところでございます。

 トリガー条項につきましては、発動された場合、ガソリンの買い控えやその反動による流通の混乱、また、国、地方の財政への多大な影響等の問題があることから、凍結解除は適当ではないと考えております。

 なお、政府では、ガソリン価格の抑制対策事業に加えまして、お困りの方々にきめ細かく対応していくという観点から、灯油や重油をお使いの農業者、漁業者等に対する支援、自治体が地域の実情に応じた対策を行う際の支援策などを強化をしているところでございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 是非総理にも御検討いただきたいのは、このトリガー条項というのは既に法律として成立をしているものであります。もう既にある法律を凍結して別の対策を打つということそのものは、見方によっては、やはり立法府に対する、立法府が決めたことを軽視しているんではないか、そんな指摘もございます。

 今財務大臣がおっしゃっていたようなできない理由ではなくて、それをどうすれば混乱を生じずに法律を有効に活用できるのかという視点で政府内でも是非検討いただきたいと思うんですが、もし御所見があれば一言いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の燃料価格高騰に対しては、政府として、ただいま経産大臣から説明させていただきました激変緩和措置もありますし、また業種ごとへの支援もあれば、地方自治体が独自に支援する際に国としてしっかり財源を支援していく、こうした仕組みであったり、様々な仕組みを重層的に用意をしています。そういった様々な対策の中で何が効果的なのか、こういったことについてはしっかりと検証していかなければならないとは思います。

 ただ、御指摘のトリガー条項については、先ほど財務大臣から説明したとおりであります。

浅野委員 是非、より広い選択肢も含めて、今後検討されることを期待させていただきたいと思います。

 続いて、現在オミクロン株が拡大しておりますが、その対応について質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、厚労大臣にお伺いしたいと思うんですが、現時点で国内の新規陽性者に占めるオミクロン株の割合が分かれば教えていただきたいと思います。

後藤国務大臣 オミクロン株への置き換わり状況については厚生労働省のアドバイザリーボードにおいて毎回報告しておりますが、一月十九日時点のオミクロン株疑い例の割合は九三%となっております。

浅野委員 ありがとうございました。

 九三%ということなんですけれども、もうほとんど、国内の新規陽性者のほとんどがオミクロン株に置き換わっているという状況と言って差し支えないかなというふうに思っております。

 そこで、今日ちょっと議論させていただきたいのは、今日用意させていただいた資料の方には新型インフルエンザ等対策特措法の条文、そしてその施行令の条文を示させていただいております。

 これを見ると、特措法の方では三十一条の四になりますが、新型インフルエンザ等というのは、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限るというふうに明記がされておりまして、これを指定しているのが下に書いてある施行令でありますが、施行令の第五条の三には、当該新型インフルエンザ等にかかった場合における肺炎、多臓器不全又は脳症その他厚生労働大臣が定める重篤である症例の発生頻度が、インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められるものに限りますというようなことが書いてあります。

 要するに、新型インフルエンザよりも症状の発生頻度が高いものに限るということなんですけれども、じゃ、オミクロン株はどうなのかということを見ると、今分かっている事実だけを見た場合に、必ずしもこの政令で定めた条件に合致していないんではないかということが考えられるわけですが、その状況下でこの特措法を適用することが果たして本当に適法なのかどうか、この辺りの御認識を伺いたいと思います。

山際国務大臣 御指摘の問題意識は共有させていただいておりますが、現段階において、政府としては、オミクロン株も新型コロナウイルス感染症であり、政令で定める要件のとおり、肺炎等の重篤な症例の発生頻度が通常のインフルエンザに罹患した場合に比して相当程度高いというふうに判断しているということでございます。

 しかし、委員が御指摘いただいたように、オミクロン株が大分性状が異なってきているということもありまして、国立感染症研究所により、デルタ株に比して入院や重症化のリスクの低下等が示唆されているものの、引き続き疫学的特徴や重症化リスクについて分析、評価の必要があるとされてございます。

 これを受けて、感染症の症例の発生頻度は、ウイルスそのものの性状のほかに、ワクチンの接種状況や医療へのアクセス等によって変わるものであり、新型コロナウイルス感染症に関するデータの収集、分析を不断に行うとともに、医学的エビデンスが積み重なれば、それに応じて柔軟に対応を検討してまいりたい、このように考えております。

浅野委員 大臣、ありがとうございました。

 ちょっと今の部分、改めて少し詳しく確認させていただきたいんですが、最後、具体的な検証でエビデンスが出てきた暁にはより柔軟な対応をするということをおっしゃっておりましたが、今後、オミクロン株によるその辺りのリスクの評価が定量的に出てきて、新型インフルエンザ相当以下である場合、例えばオミクロン株に対して、あるいは類似の危険性の低い株に対して、例えば蔓延防止等重点措置あるいは緊急事態措置の適用をしないというような運用になることも可能性としてはあり得るのかどうか。その辺りをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

山際国務大臣 さすがに、先生、今、仮定の話で、可能性があるかないかと言われると、分かりませんとしか答えようがないんですが、しかし、分科会等々においても専門家の皆様方から、オミクロンの性状に関してしっかりとこれを分析をしなくてはいけない、議論をしっかりしなくてはいけないという話も出ておりますので、そういうことも含めて、しっかり専門家の皆様方と議論をしていただいた上で、政治的な判断をしていくものというふうに御理解いただければと思います。

浅野委員 是非、我々国民民主党としては、やはり国内の経済社会活動と感染防止の両立というものを目指していくべきである、そういう考えに立っておりますので、変異株一つ一つの特性を踏まえた対策内容というものを是非柔軟に運用していただきたいということを申し上げさせていただきます。

 その点でいうと、今、象徴的なのは濃厚接触者の扱いでありますが、先日、政府は待機期間を短縮することを発表されました。

 ただ、我々は、国民民主党としては、当初から、毎日検査をして、陰性であれば、濃厚接触とみなされた場合でも、陰性が証明された状況下では社会活動に参加をしてもいいのではないか、このような考えを持っております。

 是非、特措法を適用するしないという大きな議論にとどまらず、一つ一つの対策内容について、経済も非常に傷んでおりますので、柔軟な観点での検討をお願いしたいというふうに思います。

 そういった点で、今、ちょっと厚労大臣、非常に熱心に聞いていただいていたので、今の観点で、今後、濃厚接触者の対応についてお考えがあれば、是非お聞かせいただきたいと思います。

後藤国務大臣 濃厚接触者の待機期間については、御説明もしているとおりですけれども、客観的エビデンスに従って、十四日を十日に、また、エッセンシャルワーカーの場合は検査つきでもう少し、六日という形で短くしているわけですが、御指摘のように、医療のエッセンシャルワーカーについては、やはり、前回の夏もそうだったんですけれども、病院が回らなくなるということで、社会機能維持、医療の現場を守るために、濃厚接触者になっても、潜伏期間のことを考えずに、毎日検査をして、十分に注意をして医療についていただく、そういう扱いで、エビデンスに従って、リスクを大きくしないという形で運用をしてまいりました。

 今後、社会的機能の維持、あるいは感染状況、オミクロンの性格というようなものが明らかになってきた場合にどういう運用をしていくか。もう少し社会的機能に寄った形で検討をしていくということも含めて、今後しっかりと適用していきたいと思っております。

浅野委員 是非よろしくお願いいたします。

 それでは、次のテーマですけれども、次に取り上げたいのは、子育て世帯への臨時特別給付、そして高等教育修学支援新制度の所得制限についてであります。

 やはり、先ほど維新の足立委員がおっしゃっていたように、所得制限というものが、ある種、国民の中に分断、意識の分断を生んでしまっているんではないかという指摘はされて久しいわけであります。岸田総理も、就任当初、新自由主義経済によって、富む者、富まざる者の間に分断を生んでしまった、だからこそ新しい資本主義が必要だ、そういった趣旨のことをおっしゃっておりましたし、その点では私も同感であります。

 この子育て世帯への臨時特別給付についてまずは取り上げたいと思うんですが、そもそもこの給付金の政策目的は何なのか、改めて御説明をいただきたいと思います。

山際国務大臣 端的に申し上げます。

 子育て世帯への給付は、新型コロナが長期化し、その影響が様々な人々に及ぶ中、子供たちを支援するため、ゼロ歳から高校三年生までの子供たちに一人当たり十万円相当の給付を行うこととしたものでございます。

浅野委員 新型コロナウイルス感染症が長期化し、その影響が様々な人々に及んでいるからということなんですけれども、この政策の出発点となる問題意識を聞いた限りでは、全ての人々が対象になるような気もいたします。

 ただ、実際の運用は異なっておりまして、年収九百六十万円未満の世帯に限定される、それ以上の世帯については自治体判断で給付することもよしとする、そういった制度運用になっているわけでありますが、じゃ、全ての自治体がそれで対応可能かという点で、少し私は問題があると思っております。

 例えば、世田谷区の場合、令和三年度の教育関連当初予算額というのは二百五十九億円だそうであります。それに対して、仮に年収九百六十万円以上の子育て世帯に全て十万円を給付しようとした場合、国から交付された金額に加えて六十八億円の追加予算が必要だと。これは、当初予算の四分の一に相当する規模であります。したがって、一般的には、自治体単独での追加確保というのが難しい規模になってくるのかなというふうに思います。

 じゃ、政府は、補填のために新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用してもよいというふうにしているんですが、こちらもまた十四・三億円しか世田谷区には来ておりません。六十八億必要なのに、国からは十四・三億しか来ていないと。そもそも無理なことをやってもいいというふうに国は言っているように聞こえております。

 是非、その辺りは、国として自治体の判断に任せるというのであれば、自治体が判断できる環境を整える、すなわち国がしっかりと予算措置をするべきではないかと思うんですが、こちらは総理に伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 議論になっております子育て世帯への給付ですが、児童手当の仕組みを利用して、昨年のうちに九九%、ほぼ全ての市町村で支給が開始されています。

 そして、御指摘のように、所得制限が設けられているわけですが、給付を行う必要性の高い子育て世帯に対して幅広く支援を行うことができるものと考えており、そのために必要な予算、全額国庫で負担をしているということであります。

 そして、御質問の中で、地方創生臨時交付金による地方の努力についても、不十分ではないかという御指摘がありました。

 こうした様々な仕組みを用意しているわけですが、今話題に出た二つの仕組み以外にも、小学校休業等対応助成金ですとか、学生等の学びを保障するための緊急給付金ですとか、子育て世帯を対象にして国として重層的な支援を行っています。

 一つの制度では全てをカバーすることができない、これはこの予算委員会の議論の中でも再三申し上げてきたわけであります。だからこそ、国においても、また地方においても重層的な支援策を用意して、そしてそれを重層的に施行することによって幅広い立場の方々を支援していく、こうした結果を出していこうと努力をしているところであります。

 是非、こういった考え方に基づいて、よりきめ細かく支援の方策を用意していく、こういった努力を続けていきたいと考えます。

浅野委員 時間もなくなってきましたので、次の質問に移らせていただきたいと思うんですが、次は高等教育の修学支援新制度について取り上げたいと思います。

 この制度では、住民税非課税世帯の子供は、授業料減免や給付型奨学金を合わせると年間約百六十万円の支援を受けることができます。その一方で、住民税非課税世帯ではない世帯の子供たちには支援がない制度になっております。

 岸田総理が今おっしゃっていただいたような重層的な制度というのがあればいいんですけれども、給付型奨学金あるいは学費の減免制度に代わるほかの制度というのは、今のところ、私が知る限りございません。したがって、住民税非課税世帯の子供に対してはそういう支援があるんだけれども、課税世帯に対しては子供が多かろうが少なかろうが支援がない。

 見方を変えると、年収が四百万円から八百万円程度のいわゆる中間層と呼ばれている世帯の子供たち、子供が仮に三人、四人いた場合、全員を大学まで出してあげたいという親御さんが多いと思うんですが、学費の工面に非常に苦労されて、結果的に、進学先が制約を受けたり、あるいは、それを見越して産み控えのようなことが子育て世帯の中では多いというふうに聞いています。私自身も同じような問題意識を持ったこともありました。

 こうした現状に対する総理の見解、そして現状を改善するに向けたお考えがあるのか、伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今、高等教育の修学支援新制度について御指摘をいただきました。こうした制度では不十分ではないか、こういった指摘であります。

 令和四年度において、安定財源を確保しながら、給付型奨学金ですとか授業料減免等、様々な支援を行っているわけですが、その際に多子世帯への配慮を行うということで、具体的には、世帯の収入ではなく、子供の数が反映される課税所得を用いて家計の要件を満たすかどうかを判定する。要は、柔軟な対応を行っているということであり、これにより、扶養する子供の数が多いほど、収入が高くても支援対象となる。

 こうした配慮を行うということもあり、また、貸与型奨励金を始め様々な制度も用意しているところですが、これから更に上乗せということを考えた場合に、これも従来から申し上げておりますが、大学卒業後の所得に応じて出世払いを行うというような仕組み、これは海外で行っている制度でもありますが、日本においてもこういった制度を導入する、支援を強化する、こうした取組は行っていきたいと考えております。

浅野委員 この問題は、また今後とも議論させていただきたいと思います。

 文科大臣にも、今日は質問ができず、失礼いたしました。今後とも是非よろしくお願いいたします。

 今日は終わります。

根本委員長 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 敵基地攻撃能力を中心に質問します。

 先週二十日の衆院本会議で、我が党の志位委員長は、敵基地攻撃に関わって、安倍元総理が昨年十一月の講演で、敵基地だけに限定せず、抑止力として相手をせん滅するような打撃力を持たなければ日米同盟は成り立たないという趣旨の発言をしていることを指摘し、岸田総理に、この安倍元総理が主張する打撃力という議論をきっぱり拒否できるのかと質問しました。これに対して岸田総理は、安倍元総理の発言にコメントするのは控えると、答弁を避けました。

 安倍元総理が行った発言というのはこれです。資料一、御覧ください。

 そこには、十一月二十日に開かれた日本協議会・日本青年協議会結成五十周年記念大会で行った記念講演、問題の発言箇所は、講演では元総理はこのように述べています。「よく「敵基地攻撃能力」という言葉が使われますが、この表現は私はあまり適切ではないのではないかと思います。」と言っていまして、「敵基地だけに限定せず「抑止力」として打撃力を持つということです。」と述べています。その上で、「米国の場合は、ミサイル防衛によって米国本土は守るけれども、一方で反撃能力によって相手を殲滅します。この後者こそが抑止力なのです。」と、打撃力とは相手をせん滅する能力だと説明しているわけであります。

 そこで、資料を作ってまいりました。二つ目です。

 この配付資料の二枚目は、総理、あなたが総理になる前の昨年三月、自身のツイッターに掲載した「安全保障上の喫緊の課題について」と題する提言の一部であります。

 ここで総理は、中国や北朝鮮のミサイルを、我が国にとって直接的かつ喫緊の脅威と述べた上で、「相手領域内でのミサイル阻止能力、すなわち、敵のミサイル発射能力そのものを直接打撃し、減衰させることができる能力を保有することが必要です。」と主張しています。

 これは、安倍元総理が主張する打撃力の議論と何が違うのか、お答えいただきたい。

岸田内閣総理大臣 私が発言しております敵基地攻撃能力というのは、急速なスピードで変化、そして進化しているミサイル技術などに対して国民の命や暮らしを十分守ることができるのか、こういった課題に対してあらゆる選択肢を排除せず議論するべきである、敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除するべきではない、こういったことを申し上げているわけであります。

 そして、御質問に対しては、これから敵基地攻撃能力については国家安全保障戦略の議論等の中で議論するわけですが、少なくとも、憲法とか国際法とかそれから日米の基本的な役割分担、これはしっかり維持した中で日本の安全保障を考えなければいけない、これは当然のことであります。その範囲内で何ができるのか、これを具体的に考えていかなければならないと思っています。

 安倍元総理の発言についてコメントすることは控えますが、逆に、志位議員が指摘されたような、いざというときは相手国をせん滅する全面戦争を行う、それができる軍事力を持てという引用された部分がありますが、そういったことは全く考えているものではありません。

穀田委員 るる述べますけれども、肝腎な問題は、私はどこがちゃうのかと言ったわけですよね。だから、そういう考えは持っていないとおっしゃいましたけれども、はっきりしているのは、岸田総理も安倍元総理も、敵基地だけに限定せず、打撃力を持つということについては違いはないということなんです。この文章を見たら分かりますよね、そう書いてはるのやから、打撃力を持つと。だから、それを言っているわけで。

 しかも、総理は、当時の提言で、我が国が講じるミサイル抑止策は、弾道ミサイル防衛システムによる迎撃体制のみですと言っていますよね。常時持続的なミサイル防衛を実現するため、昨年十二月、イージスシステム搭載艦二隻の整備が閣議決定されました、しかし、変則軌道のミサイルや飽和攻撃への対応には不十分ですと強調していますね。

 この点でも安倍元総理の認識と全く同じですよね。安倍さんは、ミサイル防衛能力をずっと追求し続けることには限界がありますと述べて、日本が「打撃力を持たなければ、私は日米同盟は成り立たないと思っています。」と強調しています。つまり、相手国をせん滅するために出撃する米軍への協力に日本の打撃力が不可欠だというのが彼の見解ですよね。

 ですから、このような議論は、いずれにしても、何かすぐ、聞かれると憲法の範囲内と言っていますけれども、まさに戦争放棄をうたった憲法とは絶対相入れない、そういう立場だということを私は述べておきたいと思います。

 そこで、次に質問します。

 岸田総理は、一月二十四日の本委員会で、敵基地攻撃能力に関し、安倍政権時代に平和安全法制の議論を行い、新しい武力行使の三要件を確認したと。さらに、我が国の武力行使については、その原則に基づいて対応すべきものであると説明されました。覚えておいでだと思います。

 これは、武力行使の新三要件を満たせば集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うということなのか、明確にお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、さっきの続きを一言だけ申し上げさせていただくならば、まず、ミサイル迎撃システム、これは引き続き大変重要なシステムであり、この迎撃システムの信頼性向上のために引き続き努力をしていかなければいけません。しかし、それで十分なのかどうかという観点から、あらゆる選択肢を排除せず、議論をしていかなければならないということを申し上げているわけですが、しかし、その際に、憲法、国際法、それから日米の基本的な役割分担、これはしっかりと維持していきますということを再三申し上げているわけであります。

 安倍総理の発言についてはコメントは控えますが、御指摘のような相手国をせん滅するような全面戦争、こういったことを全く考えているものではなく、憲法とか国際法、日米の基本的な役割分担、これを守るということは、その範囲内で議論するということは、御指摘の点とは全く違うということは御理解いただきたいと思います。

 それから、後半の方の新三要件の方の話でありますが、昭和三十一年当時の政府見解、これは、当時はいわゆる旧三要件の下で示された敵基地攻撃に関する政府答弁ですが、旧三要件の下で示されたものであり、その後、平和安全法制が成立をし、私も外務大臣として当時答弁に立ったわけですが、武力行使の要件というのが新しくなった、いわゆる三要件になったということでありますので、あくまでも一般論として、我が国の武力行使は新三要件に基づいて行われる、こういった趣旨を申し上げたわけであります。

 武力の行使が新三要件に基づいて行われる、これはどんな事態であっても、これは変わらないと思っております。

穀田委員 前段の話でいいますと、さっき言いましたように、皆さんのところに資料でお示ししました、いわば打撃力ということでいうと、相手をせん滅しますということを言っている。打撃力という問題について、相手領域内でのミサイル阻止能力、ミサイル発射能力そのものを直接打撃し、減衰させることができる能力、こういうことで、余り変わらぬということを私は言っているわけですよ。

 そして、なおかつ、ミサイルの機能の問題についても、敵基地だけに限定しないと。敵基地だけに限定しない打撃力、この点では同じだということを私は指摘しているわけですよ。

 今ありましたけれども、武力行使の新三要件を満たせばということなんですけれども、日本に対する直接の攻撃がない場合であっても、安保法制による集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うことがあるのかないのか、そこを明確にお答えください。

岸田内閣総理大臣 敵基地攻撃能力については、国家安全保障戦略等を考える中で、先ほど申し上げました、憲法や国際法や日米の役割分担、この従来からの、こうした我々が守るべき様々なルールに基づいて、しっかりと議論をしていくということであります。

 間違っても、こうした憲法や国際法や日米の基本的なルール、これを逸脱するような議論は行うつもりはありませんし、その範囲内で何ができるのか、これを具体的に、これから考えていこうということを申し上げているわけであります。

穀田委員 私は、二十四日に答弁なさったから、そのことを聞いているわけですよ。一般論を聞いているんじゃないんですよ。きちんとそういうことをお答えになったから、具体的に言えばそういうことかとお聞きしているわけです。

 しかも、安倍さんは、十二月一日に行われた台湾のシンクタンクが主催する会合で、台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事だと発言しています。さらに、昨年の十二月十三日の報道番組で、台湾有事に関連し、米国の艦艇に攻撃があれば、集団的自衛権の行使もできる存立危機事態となる可能性があると述べているわけですよね。具体的に一つ一つ、ずっとこう話を行っているわけですよ。

 だから、安保法制の下で日本が敵基地攻撃能力を持てば、日本に対する攻撃がないのに、アメリカを守るためとして、自衛隊が米軍とともに他国の領域まで攻め込んで攻撃できるようになるんではないかということを具体的には尋ねているわけです。

岸田内閣総理大臣 安倍元総理の発言については、私は直接コメントは申し上げておりません。

 一般論として、我が国が武力の行使を行う際に、新三要件に基づいて、そのルールに基づいてしっかりと行う、これはもう当然のことであり、先ほど申し上げた、憲法や国際法や日米の基本的な役割と併せて、どんな事態であっても、この新三要件に基づいて武力の行使が行われる、これはもう当然のことであり、そうした枠組みの中で何ができるのか、国家安全保障戦略の議論の中で具体的に考えていきたいということを申し上げております。

穀田委員 私が聞いたのは、武力の行使の新三要件を満たせば、つまり、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うということかということを聞いているんですよ。

岸田内閣総理大臣 いや、敵基地攻撃能力そのものをどうするのか、その具体的な議論をこれから始めようとするわけですから、今の時点で具体的に申し上げることはできません。

 しかし、これから議論をするにしても、先ほど申し上げましたように、憲法や国際法や日米の基本的な役割分担、さらには、武力の行使の新三要件を始め我々が守るべき基本的なルール、これはしっかりと守った上で議論を進めていく、こういったことを申し上げております。

穀田委員 私は、二十四日の答弁に基づいて、具体的にはこういう場合どうなるのかというふうに聞いているわけで、それで、その後考えるというような話ではない、このとおりにいけば必ずそうなるという話を今しているわけですよね。やはり安保法制の下で、今話を私がしたように、日本が敵基地攻撃能力を持てば、集団的自衛権の行使として、日本が攻撃を受けていないのに、アメリカを守るためとして他国を攻撃することが可能になる、こういうことを論理的に私は表明しているわけです。

 ですから、その意味で、私たちが安保法制を憲法違反の戦争法だと厳しく批判してきたのはそのためだということも言っておきたいと思います。

 次に進みます。

 今月七日に行われた2プラス2の共同発表は、日米双方が、緊急事態に関する共同作業についての確固とした進展を歓迎したとあります。新たな共同計画の策定が進んでいることを明記しました。

 問題は、この共同計画の内容であります。

 報道では、自衛隊と米軍は、台湾有事を想定し、鹿児島県から沖縄県の南西諸島に攻撃用の軍事拠点を置く新たな日米共同作戦計画の原案を作成したと報じられています。

 そこで、資料の三枚目です。そのことを伝えた沖縄の地元紙であります。

 記事では、「南西諸島にある有人、無人合わせて二百弱の島のうち、軍事拠点化の可能性があるのは約四十カ所。大半が有人島で、水を自給できることを条件に選んだ。陸自がミサイル部隊を配備している奄美大島、宮古島や配備予定の石垣島も含まれる。」とあり、実行されれば南西諸島が攻撃対象となるのは必至で、住民が戦闘に巻き込まれる可能性が高いと指摘しています。

 日米共同でこのような作戦計画を策定しているんですか。

岸国務大臣 二〇一五年に策定されましたいわゆる日米ガイドラインの下で、日米両政府は、我が国の平和と安全に関する緊急事態についての共同計画を策定、更新することとしています。

 共同計画の策定状況や具体的内容等の詳細については、緊急事態における日米両国の対応に関わるものであることから、事柄の性質上、お答えを控えさせていただいております。

 なお、2プラス2におきましては、共同計画についての確固とした進展を歓迎しましたが、これ以上については差し控えさせていただきます。

穀田委員 作戦計画の内容について、総理に、じゃ、お聞きします。

 記事には、米軍は中台紛争への軍事介入を視野に、対艦攻撃ができる海兵隊の高機動ロケット砲システム、HIMARSを拠点に配置、それから、自衛隊に輸送や弾薬の提供、燃料補給など後方支援を担わせ、空母が展開できるように中国艦艇の排除に当たる。海兵隊は相手の反撃をかわすため、拠点となる島を変えながら攻撃を続けるとあります。

 まさに、日本の島々を米国と中国の戦争の拠点にするということではないんですか。総理にお聞きします。

岸田内閣総理大臣 共同計画の策定状況ですとかその内容、これはまさに我が国の緊急事態における日米両国の対応に関わるものでありますから、こうした場でお答えすること、事柄の性質上、これは控えなければならないと思っています。

穀田委員 そういうことではないと思いますね。

 記事には、海兵隊の新たな運用指針、EABO、遠征前方基地作戦に基づき、自衛隊に提案されたとあります。

 私は、このEABOについて、昨年五月十二日の外務委員会で質問しました。アメリカ政府がこういうことを考えているということについて、当時の防衛副大臣は答弁しました。

 具体的には、その構想は、列島線が生み出す自然の障壁を活用しつつ、地上発射型ミサイルを含む多様な機能を持つ臨時拠点を前方に一時的に設置するもので、危機前の状況から展開することにより既成事実化の取組に対応するものというふうに副大臣は認めているんですね。まさに、実際に進行している作戦計画なんですね。だから私は聞いているわけです。

 しかも、EABOが正式な作戦構想となった二〇一九年に、島嶼要塞と銘打ってミサイル配備拠点を明らかにしているわけです。明らかにしているんですよ、アメリカは。しかも、現に昨年十二月には東北と北海道でそういう訓練が、想定した訓練が行われている。

 だから、アメリカが言っている、具体的にそういう想定をした訓練を行っている、なぜそれが明らかにできないのか、まさにそれが作戦計画ではないのかということを聞いているわけです。

岸田内閣総理大臣 二〇一五年に策定された日米防衛協力のための指針の下、日米両政府は、我が国の平和と安全に関連する緊急事態についての共同計画を策定、更新することとしております。

 しかし、この内容については、まさに緊急事態、国民の命や暮らしに関わる事柄でありますからして、お答えを差し控えさせていただきたいと申し上げているところであります。

穀田委員 国民の命と暮らしに関わることだから明らかにするべきだ。相手のアメリカは言っている、具体的に作戦計画に基づいて訓練を行っているという事実を私は示しているわけですよね。

 海兵隊が反撃をかわすために拠点となる島を変えながら攻撃を続ければ、拠点となった島は一体どうなるのか。人々がそれこそ生活する島です。まさに、沖縄戦の悲劇を繰り返すことになりかねないんですね。

 総理はすぐ住民の命という話をするが、まさに住民の命をないがしろにする計画作りが秘密裏に進められているんじゃないのかということが大問題だと私は言っているわけです。したがって、この点では、国民の前に逆に明らかにすべきことが政府の責任だと私は思います。

 沖縄県の玉城デニー知事は、沖縄県民の不安を著しく高める、これ以上の基地負担と、台湾有事で攻撃目標とされる事態はあってはならないと述べて、詳細を明らかにするように求めています。先ほど述べたように、国民の命と暮らしを守ると言いながら、そういう問題の内容を国会や国民に隠して、住民を戦闘に巻き込むということは許されないと私は思います。

 今、日本政府に求められているのは、敵基地攻撃能力の保有など、破局的な戦争につながる軍事的な対応を強化することではないと私は思います。国際ルールに基づく、あらゆる紛争を話合いで解決する確固たる外交努力だと私は思います。

 中国による東シナ海や南シナ海での覇権主義の行動に対しては、国連憲章と国際法、それこそ何回も言っていますように、大臣もおっしゃっていました、国際法に基づく対処が必要だと、私は外交的批判が必要だと思います。

 今述べたように、軍事に対して軍事で備えるならば、軍拡競争の悪循環に陥り、衝突や戦争という破局的な事態を招きかねないと私は思います。

 憲法九条を生かした平和外交に徹することが改めて必要だし、情報をきっちり国民に開示して、それで信を問うていくというのが本来の政治の役割だということを述べて、終わります。

根本委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 緒方林太郎です。

 今日、ラストバッターですね。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 そして、質疑時間に関しまして、立憲民主党、そして日本維新の会の皆様方から御配慮いただいたこと、まずもって御礼を申し上げたいと思います。

 岸田総理の新しい資本主義ということについて、いろいろ、この二十一時間、昨日、おとといの基本的質疑からずっと聞いていたんですけれども、具体的なことが実は私にはさっぱり分かりませんでした。何回聞いても、何を指しているかが分からなくて、一つ分かったことがあったのが、これ以上聞いても具体的なものは出てこないということがよく分かったということでありました。

 少しアプローチを変えて岸田総理に質問をしてみたいと思います。過去の政策と比べて何が変わったのかということについて、少しお伺いをいたしたいと思います。

 まず、端的にお伺いします。岸田総理は、デフレは貨幣現象だと思っておられますか。

岸田内閣総理大臣 物価変動というものに貨幣が影響を与えるという意味では、デフレは貨幣的現象であると考えられます。ただ、デフレを始めとする物価変動には他の様々な要因も影響を与えるということについては、留意しておかなければならないと思います。

緒方委員 前の政権、安倍総理は、デフレ脱却において金融政策が大きな手段であるということについては、政権の後半のタイミングでも、これは変わらないんだというふうに言っておりましたが、デフレ脱却において金融政策が大きな手段であるということについては、それはそう思っておられるということですか。

岸田内閣総理大臣 政府と日銀は合意を行い、そして、日銀としては、二%の物価目標の下に金融政策を進めていく、こうしたことに取り組んでいるわけですが、こういった姿勢は私の政権になってからも関係大臣の中で再確認をしております。

緒方委員 しかし、この金融政策によって解決をするというのは、最初何を言っていたかというと、期待のインフレ率に働きかけ、そして、その期待のインフレ率が二%になるのであれば、それを追っかけるように具体的にインフレ率が二%になっていくと。期待インフレ率に働きかけるということを、最初、目的としていたはずであります。ここまでの政策の中で、期待インフレ率に働きかけることができていません。いません、実際には。

 そう考えると、デフレを貨幣現象だと言ったというその政策自体は実は妥当していないんじゃないかというふうに思うんですけれども、岸田総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政策の目的は、先ほど言いましたように、従来どおり引き継がれています。それに向けてどのような具体的な政策を取るのか。具体的な金融政策については、これは日銀にお任せするというのが基本的な姿勢であると思います。

 是非、引き続き、二%の物価目標実現のために日銀として努力を続けてもらうことを期待したいと思っています。

緒方委員 正直、さっぱり分かりませんでした。ただ、これは多分、また続けても同じように答えが返ってこないと思いますので、質疑を移したいと思います。

 岸田総理、いわゆるMMTについて、政府としてはそのような考え方は取っておりませんというふうに去年の参議院の本会議で述べておられました。昨日の前原委員との質疑の答弁で、自らの経済、財政は大丈夫だと自分が主張しても、評価するのは市場であり国際社会でありますので、こうした市場や国際社会の評価に堪え得る財政政策をしっかり進めていかなければならない、このように考えておりますというふうに昨日言われました。

 これをつなぎ合わせると、岸田総理として、MMTというのは市場や国際社会の評価に堪えられない政策なので岸田政権としてこういう政策を取っていない、そういうふうに考えているということでしょうか。これは純粋に質問であります。

岸田内閣総理大臣 少なくとも政府として、MMTと言われるような経済政策は取っておりません。

 そして、政府としては、今の政府の方針に従って財政政策を進めていくことが国際社会における信頼を維持するために重要であるという考えに基づいて政策を進めてまいります。

緒方委員 それは私が言ったことの繰り返しでありまして、岸田総理として、MMTという政策は国際社会や市場の信頼が得られない政策だと思うから、だから取っていないんですかと聞いているんです、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 様々な政策議論あるいは学説があります。それぞれが信頼を得ることができるかどうか、これは論争の中で争っていかれることだと思いますが、政府としては、MMTといった政策は取っていないわけでありますし、その政府の政策に基づいて信頼を維持していくことが大事であると考えています。

緒方委員 つかみどころがないですね、済みません。

 では、質疑を移したいと思います。

 何か蜃気楼のようですね。何となく、見えるようで見えないようで、つかみどころがないというのが、昨日から、おとといからですか、ずっと聞きながら、何となく姿が見えているようで、つかみどころがないというのが岸田総理の答弁だなと、今も聞きながら思ったわけでありますが。

 私は時間が限られておりますので、多分これが最後になると思いますが、もう一問質問させていただきたいと思います。

 ある政治家が、二十円の紙代とインク代で一万円ができて、そして、それを使って日本銀行が国債を買い取って、一万引く二十なので、恐らく九千九百八十円の利益があるということなんだと思いますが、そのお金を使って財政政策をやる限りにおいては後世にツケが回ることはない、そういう趣旨の話をしている政治家の方がおられます。

 岸田総理は、この考え方に立ちますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のような意見は、通貨発行を行う日本銀行が国債を直接買い取るというようなことになるわけでありますから、政府が財源を調達し、歳出に充てることであり、これはまさに財政ファイナンスそのものということになってしまうのではないかと理解をいたします。

 日本銀行による引受けを前提とし、野方図に国債を発行するような財政運営を行えば、中長期的な財政の持続可能性、この信認が失われます。国の信頼の礎を失うおそれがある。政府としては、そうした考えは全く取りません。

緒方委員 もう一度、確認でありますけれども、二十円の原価で一万円ができるんだ、それを使う限りにおいては後世にツケを回すことはないのであるという考え方は取っていないという理解でよろしいですね、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 全く考えておりません。取っておりません。

緒方委員 今の、ある政治家と言いましたが、これは安倍元総理の講演でありまして。

 私、岸田総理に若干の期待を込めて申し上げれば、やはり、金融政策、財政政策、時折こういった、とんでも論とか、MMTもそうだと思うんですけれども、社会的にというか、二、三十年前であれば、こんな議論、誰も受け付けなかったという議論が社会でまかり通るようになっていて、ちょっと私、すごく懸念をしているんですね。

 財政は健全であるべきだと思いますし、もちろん、昨日、北神議員が質問したように、つけるところはお金をつけるけれども、根本のところで、インフレ率が二%になるまで財政政策は何をやってもいいみたいな、そんな議論がまかり通る世の中であってはならない、私はそう思うんです。なので、そういったところを、岸田総理、しっかりと取り組んでいただければと思います。

 そして、最後にもう一問だけ、時間があと一分近くありますので。

 危機管理についてお伺いいたしますが、危機管理というのは、想定外をつくらないこと、これが条件ですね。よく、安全保障法制のときに、シンク・ジ・アンシンカブル、想定できないことを想定すると言っていましたが。

 コロナ対策の法整備なんですけれども、六月までに何か検討すると言っていますが、そうすると、参議院選挙があって、その後、国会が開かれてということになると、八月、九月に法律ができ上がるということになる可能性が高い。そうすると、この間、もしかしたら新しい株が出てくる、そして、これまで厚生労働省が想定していたような様々な法制度の整備をしなきゃいけない。

 何があるか分からないというにもかかわらず、八か月、九か月、今から見て何もしないということ、法的に、法律改正として、それは危機管理の概念に反するんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今の法制の中でやれることはたくさんある、こういったことで、今日まで最悪の事態を想定して準備を進めてきました。問題は、それがしっかりと機能することであると思っています。

 そして、法改正ということで申し上げるならば、このオミクロン株、科学的知見、随分集まってきましたけれども、まだまだ分からない部分もある等、科学的な見地からも確認をしなければいけない点、まだあるんだと思います。これもしっかり検証した上で、必要な法改正を考える。だから、そのためには時間が要るからして、六月ということを申し上げている、こうした整理をしております。

緒方委員 本当につかみどころがないですね。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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