衆議院

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第5号 令和4年1月28日(金曜日)

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令和四年一月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      加藤 勝信君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    後藤田正純君

      笹川 博義君    下村 博文君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      永岡 桂子君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    宮崎 政久君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      渡辺 博道君    梅谷  守君

      江田 憲司君    落合 貴之君

      城井  崇君    源馬謙太郎君

      近藤 和也君    階   猛君

      鈴木 庸介君    中谷 一馬君

      長妻  昭君    道下 大樹君

      足立 康史君    阿部  司君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      中司  宏君    吉田 豊史君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      角田 秀穂君    中川 宏昌君

      前原 誠司君    高橋千鶴子君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     牧島かれん君

   国務大臣

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣         野田 聖子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)       山際大志郎君

   国務大臣         堀内 詔子君

   財務副大臣        岡本 三成君

   会計検査院事務総局第一局長            篠原 栄作君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長)    谷内  繁君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室長)        笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所次長)         増島  稔君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉田 博史君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   吉開正治郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       曽根 健孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 渡邊  健君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  光吉  一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官)           飯田 陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            和田 信貴君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十八日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     笹川 博義君

  金田 勝年君     永岡 桂子君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  古屋 圭司君     工藤 彰三君

  石川 香織君     鈴木 庸介君

  長妻  昭君     梅谷  守君

  道下 大樹君     中谷 一馬君

  足立 康史君     吉田 豊史君

  市村浩一郎君     中司  宏君

  中川 宏昌君     角田 秀穂君

  宮本  徹君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     古屋 圭司君

  笹川 博義君     加藤 勝信君

  永岡 桂子君     金田 勝年君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  梅谷  守君     長妻  昭君

  鈴木 庸介君     石川 香織君

  中谷 一馬君     道下 大樹君

  中司  宏君     市村浩一郎君

  吉田 豊史君     阿部  司君

  角田 秀穂君     中川 宏昌君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部  司君     足立 康史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣官房こども家庭庁設置法案等準備室長谷内繁君、内閣府大臣官房総合政策推進室長笹川武君、内閣府子ども・子育て本部統括官藤原朋子君、内閣府経済社会総合研究所次長増島稔君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁統括官村上敬亮君、総務省自治行政局長吉川浩民君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省自治税務局長稲岡伸哉君、総務省情報流通行政局長吉田博史君、総務省総合通信基盤局長二宮清治君、総務省政策統括官吉開正治郎君、外務省大臣官房国際文化交流審議官曽根健孝君、外務省大臣官房審議官渡邊健君、外務省北米局長市川恵一君、文化庁次長杉浦久弘君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省子ども家庭局長橋本泰宏君、厚生労働省保険局長浜谷浩樹君、厚生労働省人材開発統括官小林洋司君、農林水産省経営局長光吉一君、経済産業省大臣官房首席経済安全保障政策統括調整官飯田陽一君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、国土交通省大臣官房長瓦林康人君、国土交通省大臣官房政策立案総括審議官高田陽介君、国土交通省総合政策局長和田信貴君、国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、国土交通省水管理・国土保全局長井上智夫君、防衛省大臣官房衛生監鈴木健彦君、防衛省防衛政策局長増田和夫君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長篠原栄作君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 自由民主党の鷲尾英一郎でございます。

 本日は、委員長始め同僚諸氏の先生方から貴重な質問の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 私も質問に立つのは五年ぶりでございまして、ちょっと久しぶりなものですから、時間配分等、もしかしたらうまくいかないかもしれませんが、そこはちょっと御容赦をいただきたいと思います。

 まず、早速質問したいと思いますけれども、佐渡の金山について質問していきたいというふうに思うわけであります。

 今週の月曜日に、高市政調会長と岸田総理、林外務大臣の議論をお聞きをしておりまして、また、その後の報道等もございまして、地元新潟県の選出の議員としては若干ほっとしたところもあるわけであります。

 というのは、昨年の十二月の二十八日に、文化庁の審議会から、顕著な普遍的価値が認め得るという形で答申がなされた際に、通常であれば国内推薦決定という形になるんですけれども、総合的検討ということが付された。その後、韓国側からもいわれのない批判があって、これはどういうことなんだろう、政府としてどういうスタンスでこの佐渡の金山についてユネスコの世界遺産登録を目指すのか、こう不安を持って見ておりましたけれども、総理から、しっかりと、佐渡の金山の文化遺産としての価値に鑑みて是非登録を実現したいと考えている、こういうふうにおっしゃっていただきましたし、ついに昨日は、今年と来年以降のどちらが登録の実現可能性が高いかといった観点で考えなければいけないと、かなり踏み込まれた発言をされていると思っております。もちろん、韓国側の主張に対しては、いわれなき中傷には毅然と対応するでありますとか、国際広報を含めて歴史問題にしっかりと取り組むというふうにおっしゃっていただいております。

 林外務大臣も、韓国側の独自の主張は全く受け入れられないというふうにおっしゃっておられますし、韓国への外交的配慮を行うことは全くない、こうおっしゃっていただいているわけですね。

 でありますから、これは心強い限りだというふうに思っておりますし、ここまでのやり取りがあるのであれば、もう国内推薦は間違いないんじゃないかなと、この発言のいきさつを考えるとそう思うわけでありますけれども、今日現在、現時点で、いまだ、世界遺産登録実現に向けて何が最も効果的か総合的に検討しているとお述べになった状況のまま、決定に至っていないということでございます。

 もちろん、今申し上げたとおり、二月一日が申請の期限でありますから、もう期限が迫っておりますので是非とも決定をしていただきたいわけでありますけれども、先ほど申し上げました、林大臣がおっしゃった、総合的に検討するという、その総合的に検討する中身、これにつきまして、先般のやり取りを聞いていて、具体的に挙げられているものは何なのかといいますと、他国から疑義が呈される場合に、佐渡の金山に関わる歴史や事実関係について証拠を挙げて反論を行うために十分な準備が整っているか検討している、こう大臣は御答弁されているんですね。この間のやり取りを聞くと、今言った内容と、あと、韓国への外交的な配慮は行わないという二点が、少なくとも世間に明らかになっている総合的検討の中身であると私は認識をしております。

 先般の質疑では、林大臣は、その後、ユネスコ改革を我が国が主導したことを取り上げられまして、世界の記憶につきまして、関係国間で見解の相違がある案件につきましては関係国間の対話で解決するまでは登録を進めないこととするための異議申立て制度を導入するなどしてきたと、我が国の努力を答弁されているわけです。

 そうしますと、聞いている側からすると、何だか一見、世界の記憶とそれから世界文化遺産のルールが何となく何か一緒なんじゃないかなという、印象論としてそう受け止めます、受け止めちゃいました。ただ、これは実際は違うということでいいですよね。大臣、そこをお願いします。

林国務大臣 世界の記憶については、我が国が今委員おっしゃいましたように制度改革を主導した結果、昨年四月でございますが、ユネスコ加盟国による異議申立て制度というものが導入されまして、異議申立てが行われた場合には、関係国間の対話で解決するまでは登録手続が進まない、こういう制度になっております。

 これに対しまして、世界遺産の登録でございますが、世界遺産条約の締約国のうち二十一か国から成る世界遺産委員会で決議をされます。同委員会における世界遺産の登録は、投票に至る場合には三分の二の多数決による意思決定が行われますが、実務上は、コンセンサスによる意思決定を基本とする運用となっております。

 こうしたことで、委員おっしゃったように、世界の記憶と世界文化遺産の登録手続は異なるものでありますが、昨年の四月に、世界の記憶の制度改革、先ほど申し上げましたように、実現しましたが、その後には、今度は世界遺産委員会においても、二〇二一年の七月でございますが、推薦書の提出前に締約国は建設的な対話により他の締約国が懸念し得る潜在的な問題を可能な限り回避することが推奨されると、これは作業指針に定められたところでございます。すなわち、我々の改革努力によりまして、ユネスコでは、関係国間の合意を重視するという原則が浸透し、確立されてきておるところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としては、この佐渡の金山の登録実現に向けて、何が最も効果的かという観点から総合的に検討を進めたいと考えております。

鷲尾委員 違うということと、新たに昨年の七月ですか、推奨される実務指針が策定されて、日本ももちろん、それにのっとってという話なんでしょうけれども。

 そちらの方の議論もさせてもらいたいんですが、そもそも大臣が答弁された、他国からの疑義とおっしゃっていましたけれども、他国からの疑義の他国というのは、具体的にどういうところを想定をされているんですか。

林国務大臣 政府としましては、佐渡の金山に関する文化庁の文化審議会の答申を受けまして、文化遺産としての価値に鑑み、是非登録を実現したいと考えておりまして、文科省及び外務省において総合的な検討を行っております。

 他国から疑義が呈される場合に、佐渡の金山に関わる歴史や事実関係について証拠を挙げて反論を行う必要があると考えておりまして、ここで言う他国とは、日本以外のユネスコの締約国でございます。これには当然韓国も含まれるわけでございますが、いずれにせよ、佐渡の金山に関する韓国側の独自の主張については、先ほど委員からも触れていただきましたが、日本側としては全く受け入れられず、韓国側に対しては強く申入れを行っておるところでございます。

鷲尾委員 他国というんですから日本以外ということなんでしょうけれども、そうすると、何か余り深掘りした質問にならないので、もう少し踏み込んでいただきたかったなというふうに思うんですが。

 というのは、大臣が御答弁されたとおり、実務上のコンセンサスの指針、これに従うんだというのはあったとしても、この実務上のコンセンサスの指針は、例えば、コンセンサスの指針にのっとって、それから審議のプロセスに入るということなんでしょうが、じゃ、コンセンサスの指針にのっとって、韓国側、韓国との合意がなければ、その先のプロセスに、つまり世界遺産委員会の委員国二十一か国の審議に進むことができないということなんですか。ここはどうでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、投票に至る場合には三分の二の多数決による意思決定、実務上はコンセンサスによる意思決定を基本とする運用ということでございます。

 先ほど申し上げたように、七月に作業指針ということになった、こういうことでございますから、そういうルールの中で、今の段階ではまだ総合的に検討しておるということでございますが、登録という手続になれば、先ほど御説明したようなルールによって登録を目指していく、こういうことでございます。

鷲尾委員 登録を目指していくという政府の意思はそうなんでしょうけれども、私、質問申し上げましたのは、昨年七月に作成された実務上の指針にのっとって、日本はもちろん、ユネスコ改革を主導したと言われて、その付随するようなものとして、大臣が御答弁されたとおり、実務上のコンセンサス指針ができた。そこでは当然、関係国とできる限りの協議をするということが指針だそうですけれども、じゃ、そこでその協議がまとまらなかったら審議のプロセスに進まないということなのか。まとまらなくても、それは推奨されている指針であって、しっかりと世界遺産の審議のプロセスに進むことができるのか。その規定の内容について、どうなのかということを質問をしております。

曽根政府参考人 お答え申し上げます。

 作業指針におきまして、昨年の七月、このような、建設的な対話により締約国の懸念し得る潜在的な問題を可能な限り回避することが推奨されるということでございます。

 昨年の七月にできたことですので、これから、実際、具体的な運用が始まっていくということになりますので、その中でしっかり対応を進めていくということかと思います。

 現時点で、こういう手続、こうしなければいけないということが明確に規定等あるわけではございませんけれども、この指針にのっとってしっかり取り組んでいくということが求められるということかと思います。

鷲尾委員 実務上のコンセンサスが求められるとはいえ、日韓の間に、相互の主張は当然対立しているわけでありますから。世界遺産委員会でも、コンセンサスが成立しない場合、大臣の御答弁があったとおり、委員国十四か国以上、三分の二以上の賛成で登録が認められるということになるわけでありますから、これは、こういう明確なルールがあっても、合意されない規定があるわけですから、実務上のコンセンサスが求められているとはいえ、最大限の努力を払って、なお相手国が納得しないんだったら、審議のプロセスに進むのは当然だと思います。

 そうあるべきだと思いますが、大臣、どう思われますか。

林国務大臣 今、文化審から御答弁したように、これはできたばかりのガイドラインということでございますから、実際に、過去、この作業指針はこういう運用をしたという過去の例がないということでございますので、我々としては、この推薦を決定した場合には、先ほど来繰り返し申し上げているように、登録に向けて努力をするということでございますので、今の段階では、こういうものがあるということをしっかり認識しながら、登録に向けて準備を、もし決定した場合はいたすということであろうというふうに思っております。

鷲尾委員 私は、審議のプロセスに、それはルールですから、日本側として、最大限敬意を払いながら、しかし、やはりそれは、相手が言ってきていることに対してこちらがどれだけの証拠を準備できるかという話もあるわけですよ、当然。

 その証拠探しだといったって、随分昔の話ですしね。外務省だって、昔の資料をほじくり返して、それに確証が持てるかどうかなんというのは、これまでの答弁であるとおり、そんなによろしい状況じゃないわけですから。じゃ、この場合の資料といったって、相手が納得する資料なんて、私、なかなか見つからないと思いますよ。だって、そもそも根拠のない主張をしているわけだから。

 ですから、しっかりと審議プロセスを進めてもらいたいと思っているんです。審議プロセスを進めるとなぜいいかというと、世界遺産委員会の委員国に今韓国は入っていないわけじゃないですか。一般的に考えてですよ、一般的に考えて、韓国が世界遺産委員会の委員国に入っているときとそうでないときと、どっちが佐渡の金山が世界遺産として認められる可能性が高いと思われますか、大臣。

林国務大臣 これはまだ決定をしておらない段階でございますので、今の段階では、ちょっと恐縮でございますが、まさに、登録実現に向けて、何が最も効果的かということから総合的な検討を行っているところでございまして、余りいろいろ申し上げますと、これは公開でございますので、相手にも伝わる可能性がある、こういうことでございますし、まだ決定前ということでございますので、現時点では、その評価や結論について予断してお答えすることは差し控えたいと思います。

鷲尾委員 二月一日に期限が迫っておりますので、大臣、何度も申し上げますが、相手の主張に、根拠がないものについてまでこちらが受け入れる必要は全くない、そこは大臣も同じ気持ちだと思うんです。毅然と対処するんだと、いわれなき非難について。韓国に対して外交的配慮をそこはしないんだと言っていますから、是非、二月一日までに国内推薦をお願いしたいし、その点、外務大臣として、前向きに検討している、国内推薦に向けて前向きに検討している、そこまでちょっと言ってもらえませんか。

林国務大臣 これは、もう何度も繰り返し申し上げているように、登録を実現をするということ、これをまさに目指して、何がいいのかということを検討しているというふうに申し上げてきておりますので、まさにこの実現に向けて、何が最も効果的かという観点で検討しているということは、いわば、前向きというよりも、更に前向きではないかと考えております。

鷲尾委員 かなり前向きなんだというふうに受け止めさせていただきましたので、来週、期待しています。

 ということを申し上げて、ちょっと末松大臣には申し訳ないんですけれども、質問通告、幾つかあったんですが、ちょっと時間の関係で飛ばさせていただきたいというふうに思います。

 残り十分ちょっとでありますので、続いて、新しい資本主義についてちょっと質問をさせていただきたいと思うんです。

 新しい資本主義、いろいろ予算委員会でも議論されて、私、あらあらの理解でありますけれども、岸田総理、相当賃上げにこだわってやってこられているんだろうなというふうに思いますし、普通、賃上げを実現するためには、やはり高い付加価値を生み出し続けなきゃいけないんだ、そのためにイノベーションもしなきゃいけないし、地方の課題解決をしっかりとやっていくんだ、地方の課題解決自体がそもそも付加価値を生み出すエンジンなんだ、そういうふうに、私、いろいろなやり取りを聞いて、あらあらの理解ですけれども、そう思っているわけであります。

 そういう意味では、私、既にある程度実績が出ているものとしては、農林水産物の輸出が挙げられるんじゃないかというふうに思っています。もちろんこれは、地方の経済、農業にも非常にインパクトのあるものでありますし、実際、コロナ禍の二〇二〇年、二〇二一年も続けて輸出額は拡大しておりますし、昨年は初めて一兆円を超えたわけですよね。確報値は来週、二月四日に出るということでありますけれども、十一月まででもう既に約一兆一千億円ですから、一兆円を超えている。

 政府の目標はかなり野心的で、二〇二五年二兆円、二〇三〇年五兆円ですから、これに向けて是非頑張っていただきたいと思いますし、ただ、それを生み出すための輸出産地、この状況がどうかというと、これは、金子大臣も御案内のとおり、そんなに今うまくいっている状況じゃないんじゃないかなと私は思っています。

 農業法人等につきましては、輸出拡大が期待できる割合が高いということで生産拡大も意欲的なのでありますが、他方で、農協系統は、意欲があってもなかなか生産の維持拡大には課題を抱えているところも随分多いと聞いております。

 輸出拡大の生産量をどんどん増やしていく、しかもその目標に従って増やしていくということになれば、当然、今のままではよくなくて、生産力強化をもっと促していかなきゃいけない。もちろん政府もそれを目標としていますから、いろいろな政策を打っているわけですけれども、私、特に、GFPグローバル産地づくり推進事業とか、品目別にいろいろな目標を掲げたりされたりなんだりしていますけれども、その担い手である意欲ある若手とかベンチャーなどが主体となって輸出産地づくりに取り組んでもらうということも、やはりこれは、どんどんどんどん生産力を強化していくという意味では大事だと思っております。

 その点で、新たにリスクマネーを供給していく点が必要不可欠だと思っておりまして、政府も、投資円滑化法でリスクマネーの供給主体をしっかりと増やしているんだと承知しております。

 それでなんですけれども、リスクマネーの供給という役割のある投資会社、投資組合というのはかなり設立されておりますが、法律とその施行規則を見ますと、林業や漁業法人に対しては、いわゆる円滑化法に基づく投資会社、投資組合は一〇〇%投資できますが、農業法人についてだけ、五〇%しか出資できないんですね。

 これは、岸田内閣が、新しい資本主義をやっていくんだ、高い付加価値を生み出し続ける必要性があるんだ、地方の課題解決を通じて付加価値を生み出すんだ、こういう部分、文脈からいくと、輸出促進というのは本当に大事だと思っているんですよ。その担い手を育成しなきゃいけない状況で、農業法人のみ出資の上限の規制があるというのはどういう意味なんでしょうか。

金子(原)国務大臣 鷲尾議員の御質問にお答えしますが、議員御指摘のとおり、投資円滑化法に基づく農業分野の出資につきましては、議決権の保有割合を総議決権の五〇%以内としております。

 もとより、農業経営に関しましては、農地法において、農業者等が総議決権の過半を保有することを求め、その主体的な経営が担保されるようになっております。

 その上で、投資円滑化法に基づく一定の要件を満たす出資につきましては、農地法の特例として、その議決権と農業者等の議決権を合わせて取り扱う措置を講じているところでありますが、その際においても、あくまでも農業者等が経営の中心となる観点から、同法による出資が抑制的なものとなるよう御指摘の措置を講じているものであります。御理解いただきたいと思います。

鷲尾委員 大臣がおっしゃることは分かるんです、当然、農地法の関係もありますから。

 ただ、この法律に基づく投資法人の一つに、御案内のとおりに、アグリビジネス投資育成株式会社というのがあるんですよね。これは日本政策金融公庫とJAグループですからね。こういう人たちが、じゃ、その五〇%の出資規制をやってどういう意味があるんだろうなと思うんですよね。だって、JAグループと政策金融公庫が一緒につくっている法人ですよ。だから、こういうところまでその規制が及ぶというのは、私は、もうちょっとこれは施行規則を工夫された方がいいんじゃないかと思うんです。大臣、どう思われますか。

金子(原)国務大臣 確かに、御指摘のとおり、アグリ社は、五一%、農業関係者で持っておるんですが、投資円滑化法に基づきますと、アグリビジネス育成株式会社による出資に関しても、先ほど申し上げたように、農業者等が農業経営を主体的に行えることを担保する必要があることに変わりはないものと言えます。

 こうしたことから、同社による出資についても一定の制限を設けているところでありますが、いずれにいたしましても、議員御指摘のとおり、農業に参入し輸出にチャレンジする意欲的な若者に対し必要な資金を円滑に供給することは極めて重要であり、融資や出資等を含め、必要な支援により積極的に後押しをしてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 やはり、岸田総理、新しい資本主義の実現と言っていますから、是非そこはうまく工夫してほしいですよね。リスクマネーを持ってくるというのはやはり大変ですから、しかも、農業に参入するという人たちがやるというのは本当に大変なので、そこはいろいろ工夫をしていただきたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたが、せっかく資料を作ってきたので、輸出促進という部分でいくと、輸出する体制も大事だということであります。農水省には、今や輸出・国際局がありますから、隔世の感がありますが。

 資料を御覧になっていただくと、輸出の体制、韓国、政府系機関が、東京支社七名、大阪支社五名、ほとんどローカルスタッフです。アメリカは、政府機関として、在京米国大使館七名、在大阪総領事館に四名、ローカルスタッフも採用している。品目団体、これもローカルスタッフを採用しています。アメリカの場合は、これはかなり連携していますから。

 何を申し上げたいかというと、こういうの、日本にないんですよね、今。せいぜいジェトロと在外公館で、どこまで連携されているかちょっと分かりませんけれども、余り連携は、多少あると思いますよ。ニューヨークで一人とか二人でしょう、ロスでも一人ずつぐらいですから、彼我の差が余りにもあり過ぎるわけです。これは、やはり体制を整備しなきゃいけない。もちろん、だからこその輸出促進法の改正だと思っていますけれども。

 これは農水大臣からも答弁をいただきたかったんですけれども、農水大臣の方は、予算がたくさんありますので。輸出ターゲット国における輸出支援体制の確立強化事業、補正で七億取って、この予算でも二億四千万取る予定だと聞いています。合計でいったら九億四千万ですけれども。

 他方で、これはちょっと林大臣に聞いていただきたいんですけれども、外務省は、私、副大臣をやっていたときも主張したんですけれども、やはりこういうことにリーダーシップを取ってやってもらいたい、外務省が矢面に立ってやっていく、相手国の規制に対しての交渉もあるわけですから、専門家も現地で雇ったりして、外務省はやっていいじゃないかという話をさせていただいたんですけれども。

 今年の、農林水産物・食品輸出促進アドバイザーの委嘱という予算が外務省にあるわけですよ、これは幾らぐらいかというと、大臣御案内だと思うんですけれども、九百八十五万なんですよ。しかも、これは四公館で使うと言っていますから、一公館当たり二百五十万そこそこでしょう。これは全然、それはもちろん農水省が頑張ろうとしているのは分かりますけれども、もうちょっと外務省も頑張っていいんじゃないかと思いますよ。

 外交力決議だ何だで、我々、いろいろ外務省の予算獲得、努力していますし、それは広報だの国益だの、そういうのも当然ですけれども、貿易実務を含めて、これから相手国との交渉も増えていくわけですから、そこをもうちょっと力を入れるべきだと私は思いますけれども、林大臣、お願いします。

林国務大臣 日本産の農林水産物、食品の輸出拡大、これは、元農林水産大臣の一人として、政府の最重要課題の一つだ、こういうふうに思っておりますし、先ほど委員からは昨年の実績がついに一兆円を超えたと。最初の倍増目標計画を作った者としては、今後も頑張ってまいらなければならないと思っておるわけでございます。

 今委員が触れていただいたように、当然、農水省を中心とする各省庁の取組とも緊密に連携をさせるということはもちろんですし、在外公館の持つ人脈といった資源をこのアドバイザーと連携させて活用していくということはもちろんでございます。しっかり与党の御支援もいただきながら、これを有効に活用していくとともに、二〇二五年までに二兆円、二〇三〇年までに五兆円、この輸出額の目標の達成に向けて、更に頑張ってまいりたいと思っております。

鷲尾委員 外務省もしっかりとリーダーシップを取っていただきたいと思っております。

 最後の質問でありますけれども、昨年の十一月に閣議決定されたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策であったり、「未来を切り拓く「新しい資本主義」とその起動に向けて」におきまして、成長と分配の好循環の実現ということを目指すということで、分配を強化するんだという話をされていますが、賃上げを行う企業から優先的に政府調達を行う仕組みとして、昨年末に財務省から、賃上げを実施する企業を総合評価落札方式において加点することを各省に求めたと承知しておるんですけれども、御案内のとおり、今、地方の……

根本委員長 鷲尾君、簡潔にお願いします。

鷲尾委員 はい。

 じゃ、具体的に。財務省から通知しているんですよ、賃上げの加点措置について。これはかなり丁寧にやらないと大変だと思います。財務大臣、最後にちょっと答弁をいただいて。

鈴木国務大臣 鷲尾先生御指摘のとおり、令和四年度から、賃上げを積極的に行う場合には、国の調達の対象企業に対して評価の加点を実施するということにしてございます。

 具体的には、令和四年度以降に総合評価落札方式を採用する国の調達について、入札事業者が対前年度比三%、中小企業においては一・五%以上の賃上げを行うことを従業員に対して表明している場合に評価の加点を行うというものであります。

 これにつきましては、いろいろな御意見が様々ございます。政府といたしましては、こうした様々な意見をいただいておりますので、そういうことをしっかりと踏まえて、国が行う調達において賃上げに取り組む事業者を正当に評価できるように、引き続き、関係者の御意見をよく伺いながら対応を進めてまいりたいと思っております。

鷲尾委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて鷲尾君の質疑は終了いたしました。

 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日、貴重な機会をいただいたことを感謝申し上げたいと思います。

 早速質問に入りたいと思いますけれども、まず、厚労省が行っている基幹統計であります毎月勤労統計について伺います。

 国の基本的な、基幹的な統計に対する信頼を揺るがすような統計データの操作が問題となっておりますが、毎月勤労統計についても、不適切な集計があったとの報道がありました。

 実際にどのような取扱いがあったのか、また、ここが一番大事なところですけれども、その取扱いの結果として、二重計上などの、統計の正確性が損なわれ、例えば雇用保険や労災保険の給付等に実際に影響があったのかどうか、御説明をいただきたいと思います。

後藤国務大臣 毎月勤労統計調査において、年二回行う賞与の特別集計の際に、賞与を支払った月の調査票が提出されておらず、その月の月報の集計後になって賞与支払いが判明した場合に、その賞与の額を特別集計対象の最終月の賞与及び特別給与に加算する取扱いとしておりました。

 賞与の額については、夏季は六、七、八月分、年末は十一、十二、一月分のそれぞれ三か月分を合算することから、特別集計対象票の最終月に加算しても結果に影響はありませんが、賞与を含む特別給与については、毎月集計することから、他の月の賞与を八月分や一月分の特別給与に含める取扱いをやめるということといたしました。

 この集計方法の変更を、一月二十六日、統計委員会に報告いたしましたところ、統計委員会からは、今回の集計方法の見直しは統計精度を改善するためのものと評価し、見直し前の取扱いが不適切との評価に至らないとの御評価をいただいたところでございます。そうしたことから、不適切な事案であったとは考えておりません。

 ただし、統計委員会からも御指摘をいただきましたけれども、集計方法の見直しに当たって、変更内容や影響を公表しておらず、利用者に対する配慮が欠けていたということでございます。

 御指摘を踏まえまして、集計方法変更の概要等について、昨日、厚生労働省のホームページで公表したところであり、統計精度を高めるための取組、利用者への配慮した統計の作成、公表に今後一層努めてまいりたいというふうに思っております。

角田委員 このことについて、政府全体の統計の取りまとめを担っております総務省はどのように考えているのか、説明をいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 今、厚生労働大臣から答弁がありましたとおり、毎月勤労統計調査の集計方法の変更については、厚生労働省からの報告を受けた統計委員会におきまして、集計方法の見直しは改善であると受け止められ、変更前の処理も不適切との評価には至らないとの取りまとめがなされたものと承知をしております。

 一方、厚生労働省が集計方法の変更について公表していなかったことに関しては、統計委員会から、変更内容等を統計利用者に示すべきであり、配慮に欠けていたという指摘があったものと承知しております。

 こうした指摘を踏まえ、厚生労働省において、今後、改善の内容について統計利用者への周知を丁寧に行うものと承知しておりますが、総務省といたしましては、各府省においてこのような改善の取組が行われること自体は、公的統計の信頼を確保する上で大変重要なことであると考えております。

角田委員 改善であって不適切とは言えないということですけれども、厚労省は、総務省、統計委員会と連携を密にして、統計の信頼性の確保、これからもしっかりと取り組んでもらいたい。と同時に、利用者等への周知についてもしっかり努めるよう、要望させていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。新型コロナウイルス感染症対策について。

 今年に入り、新型コロナウイルスオミクロン株の感染がこれまでにないペースで急速に拡大をしております。極めて強い感染力など、従来の変異株とは全くの別物として対応を考えるべきだとの専門家の意見もありますが、ただ、新たな変異株に対しても、手洗い、マスク、密を避けるといった基本的な感染予防策を一人一人が行っていただくことが大切であることは変わらないと思います。

 その上で、急速な拡大、日々変化する状況に対して、従来以上に迅速な対応が国、地方に求められていると思います。特に、予防、検査、治療体制の強化とともに、こうした変化の激しい状況では、必要かつ正確な情報の関係者間の共有と、国民、住民への迅速な発信ということが極めて重要であると考えます。

 この点から幾つか質問をしますが、まず、承認を経て実用化されるようになった経口治療薬について伺います。

 自宅で服用できる治療薬の普及により、患者や医療機関の負担軽減が期待されておりましたが、昨年十二月に抗ウイルス薬モルヌピラビルが特例承認され、年末にまず二十万人分が全国に配送をされました。今後の更なる感染拡大という場合にも必要な量を確保できるのかどうか、承認申請の出ている新たな経口治療薬も含めて、現在の見通しについてお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 今、角田委員御指摘のとおりで、全国で感染が拡大しておりまして、こうした状況も想定しまして、昨年十一月の全体像に沿いまして、在宅、宿泊療養を含めた医療提供体制の拡充を図るとともに、予防、検査、そして経口薬等による早期治療への流れの強化に先手先手で取り組んでまいりました。

 昨年十二月に薬事承認されたMSD社のモルヌピラビルにつきましては、昨年末の承認から一か月の間に、一万八千以上の医療機関、一万五千以上の薬局が登録をし、これまでに、一万五千を超える医療機関、薬局に六万一千人分以上を配送いたしております。

 この経口薬については、これまで合計百六十万人分を確保しておりまして、既に納入されている二十万人分に加えて、二月下旬に二十万人分が納入される予定でありましたうちから、企業と交渉しまして、そのうち五万人分の納入時期を前倒ししまして、本日、一月二十八日に納入されることとなっております。

 ファイザー社の経口薬につきましては、一月十四日に特例承認を求める申請がなされまして、現在、PMDAにおいて優先かつ迅速に審査を行っているところでございます。今後、二月中、できるだけ早くの実用化を目指し、審査において有効性、安全性が確認されれば、速やかに承認の手続を進めてまいります。

 その他にも、治療薬の研究開発を積極的に支援するとともに、国民の安全、安心を確保できるように、経口薬の確保に最大限取り組んでまいります。

角田委員 モルヌピラビルの場合、発症してから五日以内に飲む必要があるため、迅速な診断と処方が求められます。

 自宅療養中の患者に対して、保健所も、医師が処方箋を書くことができますが、現状、どこに在庫があるのか分からないために書くことができないという声も伺います。また、クラスターが発生した高齢者施設で五人分必要となった場合に、薬局で現在持てる在庫は三人分ということで、残る二人分を確保するためにどこに当たればよいのかが分からない、こうした声も伺います。

 現状、モルヌピラビルは、他の処方薬と違い、安定的な供給が難しいことから、一般流通は行わず、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した又は発生が見込まれる医療機関及び対応薬局からの依頼に基づいて無償で譲渡することとされております。

 具体的には、医療機関、薬局が都道府県を通じて厚労省が委託をしている製造販売会社が開設する登録センターに登録した上で、個別に登録センターに配分依頼を行うこととなっており、登録センターでは、いつ、どこに、どれだけ配分したかという情報は一元的に把握されているかと思います。

 重症化を未然に防ぐ、クラスターの発生に迅速に対処できるよう、治療薬を管理するとともに、必要とする人に迅速に治療薬が届くよう、こうした情報も含め、関係者間で共有されるようにすべきと考えますが、この点について御見解を伺いたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 モルヌピラビルの提供に当たりましては、厚生労働省が提供を委託しました製造販売会社が開設する登録センターが医療機関や薬局からの受注、発注全体を管理しておりまして、供給量が限られる中、本センター、登録医療機関、登録薬局、厚生労働省間などで情報を共有し、円滑に経口薬が供給される仕組みを構築しているところでございます。

 具体的には、登録医療機関や登録薬局、その他のコロナ診療を担う医療機関等の関係者がモルヌピラビルを取り扱う機関のリストを共有することによりまして、在庫がない場合に他の薬局から速やかに融通してもらうことや、患者を即座に登録医療機関に紹介することができるよう調整してきております。

 また、投与が必要な患者を診断した際には、その都度、上限なく発注することが可能となっておりまして、医療機関、薬局から発注があれば、原則、当日又は翌日にお届けする仕組みとなっており、クラスターなどで在庫の上限以上の需要がある場合にも速やかに対応をできるようにしておるところでございます。

 在庫の上限を設けておりますことは、現時点においては、供給量が限られている薬剤を有効に活用するためには必要な対応と考えておりますが、必要な方に速やかに届けられるように、引き続き、関係者と連携しながら、適切な管理体制の確保に努めてまいります。

角田委員 感染拡大に対応した検査体制の強化とともに、検査の在り方というものも重要な課題になっていると考えます。

 濃厚接触者の待機期間については、最終暴露日から二週間から十日間へと短縮をされ、社会機能維持者、エッセンシャルワーカーについては、六日目にPCR検査又は抗原定量検査が陰性であった場合、あるいは、やむを得ないときは抗原定性検査キットで六日目と七日目に検査を行って陰性であった場合は待機を解除するという取扱いとされております。

 検査が陰性であれば短い期間で職場に復帰できるとされても、実際にどこに行けばよいのか、どうすればよいのか分からないという方が多くいらっしゃいます。

 例えば、介護の事業所で利用者の介護に携わっている方が、同居の家族が感染をして濃厚接触者になった、まず無料のPCR検査を実施している薬局などを訪ねましたが、どこも検査キットが品切れで、入荷待ちの状態。そもそも、濃厚接触者は無料検査の対象になっていないのですが、本人にしてみれば、なかなか理解しづらいところです。

 市のコールセンターに問い合わせても、連日、多数の患者が出ているため、その対応に追われて、症状のない接触者の検査は行っていない、十日間の自宅待機をお願いしているのみとの回答。県の窓口で自宅に近い二つの医療機関を紹介されましたが、行ってみると、どちらも検査を実施していなかった。一体どうすればいいのと途方に暮れながらも、抗原定性検査キットの在庫がある市外の薬局を探し当ててキットを購入したということですが、そもそも、濃厚接触者が外を動き回るような状況になってしまうというのは非常に好ましくないと思います。

 濃厚接触者への検査の支援体制もしっかりとこれは整えなければいけないと思いますし、積極的な情報提供を求めるものですが、この点について見解をお伺いいたします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 エッセンシャルワーカーで濃厚接触者になった方が待機期間を短縮するために受ける検査につきましては、お近くの医療機関や民間検査機関などにおいて検査を受けていただく方法や、抗原定性検査キットを利用する手段として、御自身で購入された検査キットや事業所が購入して配付した検査キットを使って自宅で検査する方法などが考えられます。

 このため、厚生労働省のホームページでは、検査を受けることができる医療機関や民間検査機関のリストを公表している、また、事業所が抗原定性検査キットを円滑に購入できるよう、一般企業からの問合せに対応することができる医薬品卸売業者のリストも公表しているところであります。

 今後とも、自治体とも連携し、検査を円滑に受けられるよう、必要な情報の提供に努めてまいりたいと考えております。

角田委員 この検査への支援というのは本当にしっかりとやっていただきたいと思うと同時に、実際、自分が濃厚接触者になったときにどういう行動をすればいいのか、こうしたこともしっかりと情報提供に努めるよう要望したいと思います。

 これまでにない感染拡大を踏まえて、拡大防止と社会機能の維持をいかに図っていくかについて、国民への情報提供の在り方を含め、これについて、政府が一丸となって、総力を挙げて取り組むべきものと考えます。

 情報提供ということに関して、もう一点。

 感染拡大への対応と並んで、これから三回目のワクチン接種が各自治体で本格的に進められようとしておりますが、円滑な推進のために、交互接種について、副反応に対する懸念に対して、国としても、その有効性についての明確な説明、不安を払拭するような情報発信を更に積極的に行ってもらいたいと思いますが、このことについて見解を伺いたいと思います。

堀内国務大臣 三回目のワクチン接種については、昨年十二月から医療従事者等を対象に開始し、高齢者、その他一般の方も順次接種間隔を前倒しして接種を進めているところであります。角田委員御指摘のとおり、これから本格していくものであるというふうに考えております。

 その上で、追加接種のペースアップのためには、早く予約できるワクチンを選択していただく必要がございます。モデルナ社ワクチンの活用は不可欠と存じております。

 交互接種の有効性については、十分な抗体価の上昇が報告されているほか、安全性についても報告をされております。ワクチン接種に関する広報については、これまでも、CMなど様々な媒体を活用して行ってきたところであります。

 希望する国民の皆様方一人一人が安心して接種できるよう、引き続き分かりやすい情報発信に取り組んでまいりたいと思います。

 具体的に、例えば、昨年十二月、厚生労働省にて、モデルナの有効性や安全性を示したリーフレットを作成いたしました。その内容を基に、私自身もメッセージ動画によって呼びかけを行っております。

 本年一月、ファイザーとモデルナ、いずれも高い効果があり、副反応は同じワクチンを使った二回目接種時とおおむね同程度である旨のリーフレットを作成しました。ワクチンの種類にかかわらず、早く接種できるワクチンを推奨する旨を広報しています。総理からも、交互接種の効果に加え、できるだけ早期に追加接種を行うよう国民に求めるメッセージを発信したところであります。

 今後も丁寧な情報発信に努めてまいりたいと思います。

角田委員 是非、丁寧な情報発信、心がけていただきたいと要望をさせていただきまして、続きまして、防災、減災について質問させていただきたいと思います。

 私の地元千葉県では、令和元年九月の台風十五号、十九号、特に十五号の際は、長期の停電と相まって、過去に経験したことがないような被害が発生をしました。さらに、それに続いて、十月には、県内の広い範囲で猛烈な豪雨に見舞われ、各地で中小河川が氾濫するなどして浸水被害が広範囲で発生し、水害対策が全県的な課題となっております。

 近年の気候変動に伴う水害の激甚化、頻発化に対応して、災害に強いまちづくり、そのための防災・減災対策の推進は、安心、安全の基盤であり、最優先で取り組まなければならないと考えます。

 水害対策として、令和四年度は、流域全体として治水対策を総合的に進めるということとされておりますが、その中で、想定し得る最大規模の降雨で浸水する区域を示した水害ハザードマップに加えて、浸水範囲と浸水の頻度、この関係を分かりやすく示した水害リスクマップを新たに整備することとされております。市町村がリスクを踏まえた施設設備の計画作りに生かせるほか、事業者のBCP策定に生かすなど、災害に強いまちづくりを進める上でも有効なツールであると考えます。

 この水害リスクマップについて、まず全国の一級河川で完成させるということですが、二級河川など中小河川も含めた流域の水害リスク情報の充実を急いでいただきたいと考えますが、水害リスク情報充実に向けた今後の取組について伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 お答えいたします。

 想定最大規模の降雨によるハザードマップだけでは、土地ごとの浸水の頻度が明らかにならず、まちづくりや住まい方の工夫、企業の立地選択、事業継続計画の策定には使いにくい。ハザードマップだけでは使いにくいといった課題があることから、新たに、浸水頻度ごとの浸水範囲を示した水害リスクマップを整備することといたしました。

 リスクマップは、ハザードマップとは異なり、高い頻度で起きる浸水を精度よく示すことが求められることから、高度な技術力が必要です。このため、国土交通省では、先行して着手している十二の一級河川で得られた知見を、令和四年度にガイドラインとして取りまとめることとしております。

 都道府県が管理する二級河川のリスクマップについても、国が取りまとめるガイドラインを都道府県に提供し、技術的な支援を進めるなど、緊密に連携することによって速やかな整備を目指してまいります。

 国土交通省としては、引き続き、水害リスク情報の充実を図り、防災、減災のための土地利用等を促進するなど、流域治水の取組を強力に推進してまいります。

角田委員 是非、積極的な推進をお願いをしたいと思います。

 続きまして、デジタル化について質問をさせていただきたいと思います。

 ネットワーク社会、デジタル化への対応ということは言われ始めて久しくなるわけですけれども、特に、今回のコロナ禍では、これまで進んできた道のりに実は様々な課題があったことが浮き彫りになったと思います。

 こうして浮き彫りになった課題を解決していかなければならないということですが、デジタル社会構築の必要性をクローズアップする一つの契機に、今回のコロナ禍がなっていると思います。コロナ禍で得られた様々な教訓がこれから生かされていくよう、システムづくりと、これに合わせた制度、規制の見直しが進められなければならないというふうに考えます。

 こうした観点から幾つか質問をしたいと思いますが、その前に、デジタル社会において、個人のID、認証基盤であるマイナンバー、マイナンバーカードについて伺います。

 マイナンバーカードの普及加速に向けて、昨年の衆院選で公明党として掲げたデジタル化社会の構築へ向けて、マイナンバーカードの更なる普及拡大と消費喚起の一方策として、今月からマイナポイント第二弾がスタートいたしました。

 目標とする令和四年度末までにほぼ全ての国民にマイナンバーカードが行き渡るようにするためには、マイナンバーカードを持つことによるメリットというものも実感できる取組を積極的に加速させる必要があると考えます。

 その一つとして、カードの健康保険証としての利用の推進が掲げられておりますが、日常で使うことの多い健康保険証がデジタル化されることで、病院等での受付の円滑化以外にも、服用している薬、特定健診等のデータが自動で連携されるため、より適切な診察や薬の処方が期待できるなど、利用者にとってもメリットが多く、身近な医療機関、薬局で利用できる環境整備が急がれなければならないと考えます。

 これについて、令和四年度末までにおおむね全ての医療機関で利用できることを目指すという目標達成に向けて、今後の取組について伺いたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用できるオンライン資格確認につきましては、御指摘のとおり、医療機関等の事務コストが削減できるだけではなくて、患者の方の同意を得て過去の薬剤情報や特定健診結果を閲覧することで、よりよい医療を受ける環境も整備されることとなります。こうしたメリットをしっかりと周知し、また実感していただけるようにしていくことが重要と考えております。

 オンライン資格確認につきましては、令和五年三月までにおおむね全ての医療機関等における導入を目指しておりますが、実際に必要となる顔認証付カードリーダーの申込みをしている医療機関等は全体の約六割程度、実際に運用を開始した施設は全体の約一割強となっております。

 こうした中で、昨日の厚生労働省の審議会におきまして、オンライン資格確認の導入加速化に向けた集中的な取組を公表したところでございます。

 具体的には、まず、医療関係団体にオンライン資格確認推進協議会を新たに設置していただきまして、連携して導入加速化に向けた取組を進めること、二点目といたしまして、来年度の診療報酬改定におきまして、オンライン資格確認システムの活用により診断、治療等の質の向上を図る観点から、新たな評価を行うことを検討すること、三点目といたしまして、医療機関等の状況や種別ごとの特性に応じ、導入支援や働きかけを強化する、こうした取組を公表したところでございます。

 今後、進捗状況を定期的に確認しながら、導入を促進してまいりたいと考えております。

角田委員 これから進めていこうとするデジタル化、デジタル社会のあるべき姿として、誰一人取り残されない社会の実現というものがうたわれております。地理的な制約であるとか、年齢、性別、障害や疾病の有無、国籍、経済的な状況等にかかわらず、誰もがデジタル化の恩恵を享受することにより、日常生活等の様々な課題を解決し、豊かさを真に実感できる社会を目指していく、これは非常に大事な視点であり、そのような社会の構築に向けて、着実に進むよう、特にデジタル庁にはその司令塔としての役割を果たしていただきたいと願います。

 このことに関しまして、ここでは代理手続のやりやすさということについて取り上げて伺いたいと思います。

 障害者や高齢者など、行政機関の手続など、本人では難しい、手続を代理してもらうという場合、特に高齢化の進行で成年後見制度の利用等も年々増加しています。

 例えば、コロナ禍の下で実施された給付金事業を例に考えますと、市区町村からのお知らせは本人宛てに送られます。後見人など代理人がついていても、代理人には通知をされません。そもそも、市町村はそのような情報を持っていませんから、送りようがないわけです。また、代理人として申請する場合、委任状や登記事項証明書の写しなどの確認書類が求められます。

 今、電子申請できる手続が徐々に増えていますが、代理手続の場合ですと、窓口まで出向かなければならないものが多く残されております。デジタル化の流れの中で、情報弱者の立場に置かれがちな方々が取り残されないように、ただいま申し上げたことも踏まえ、サービスの在り方、情報連携の在り方、規制、制度の在り方等について総合的に検討を進めていただきたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。

冨安政府参考人 御答弁申し上げます。

 デジタル社会の実現に向けまして、委員御指摘のとおり、年齢や障害、疾病の有無などにかかわらず、誰もがデジタル化の恩恵を享受することにより、豊かさを真に実感できる、誰一人取り残されないデジタル社会の実現が重要と考えております。

 また、まさに行政サービスを考えるに当たりまして、様々な利用者を想定したサービスデザインをしっかり考えることが重要と考えておりまして、デジタル庁においてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 また、デジタル機器、サービスに係るアクセシビリティーの確保につきましても、環境整備を進めてまいります。

 また、情報連携というお話もございました。役所側が情報連携を進めることによりましてワンスオンリー等の形で手続を簡素化することによりまして、申請する側の負担を軽減し、利便性を向上するという取組もしっかりと進めてまいりたいと思います。

 委員御指摘の代理手続につきましては、昨年末に閣議決定いたしましたデジタル社会の実現に向けた重点計画におきまして、利用者の利便性の向上の観点から、代理申請を可能とする場合、その容易化を図ることを、各府省が行政手続のデジタル化を進めるに当たっての一つの原則として明記させていただいたところでございます。

 政府といたしましては、まさに、制度を考えるに当たりまして、サービスを考えるに当たりましては、やはりデジタルと密接不可分でございますので、デジタルの活用によりまして、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会としてのデジタル社会を目指してまいりたいと考えております。

角田委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。

根本委員長 これにて角田君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也です。今日はよろしくお願いいたします。

 今日は、質疑の流れといたしまして、まずは、コロナ対策の中で一次産業をしっかり目を向けていただきたいということ。そして、今、コロナ対策を行っていく上で、やはりデータについての不正、先ほども委員の方からも、厚労省のまた不正ということが出てしまいました。本当に残念です。データをきっちりしなければ次なる対策は打てませんから、国交省の不正統計の話。そして、話はまた戻りまして、コロナ対策、公平性という観点で、各融資であったり補助金についてのお話を進めていきたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

 今日は、私、胸に花をつけております。去年の十二月の予算委員会でもつけさせていただいたんですが、石川県で開発をしたエアリーフローラという花です。十数年前に開発をされまして、フリージアの一種なんですが、ちょうど今、シーズンが始まりました。花言葉は希望ということで。

 特に今、花卉農家、そして花屋さん、コロナになってから大変苦しまれています。花の値段が暴落した、冠婚葬祭が一気になくなって、苦しい中で、農林水産省さんとしても、花いっぱいプロジェクトということをされていまして、去年やおととしの農水委員会などでは、政務三役の方が中心になって胸に花をつけていらっしゃったんですね。それで、私も協力したいという思いで、委員会の都度、その都度その都度ですけれども、花を挿させていただいています。

 今、お花については、ある程度の値段が戻ってきているということも聞いています。ただ、しかしながら、現状、また苦しくなってきています。

 原油価格が高騰してきている。ですから、この冬などでは、ビニールハウスなどの燃料代が上がっているということ。そして、世界の経済がV字回復しかけてきているという中で、コンテナの確保が難しい。輸送料がかかってしまうということ。そして、一時期、球根がなかなか入ってこなかったということで、古い球根を使われている花卉農家さんがいらっしゃるようです。古いということは、花の大きさですとか、色ですとか、品質が劣りやすいということ。そして、さらには、例えですけれども、一つの球根から十本花が咲くのが、五本ぐらいしか取れない。ですから、品質の点でも劣る可能性がある、そして取れる数量も落ちる、そしてコストは上がるということで、今、花卉農家さん、そして花屋さんも大変苦しい状況になってきています。

 どうか、今年、花いっぱいプロジェクト二〇二二は、農林水産省、今年するんでしょうかね。ちょっと分かりませんけれども、今年はするんですかね、質問ではないですが。できれば、二〇二二はまだホームページには載っていませんでしたので、二〇二〇、二〇二一、そして二〇二二も始めていただけたらなと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 そして、もう少しだけ農林水産のことについてお話ししたいと思いますが、今、農林水産省のホームページでは、BUZZMAFFという非常に面白いユニークなユーチューブが出ていますよね。そこで日本酒ダンスというのがあるんです。財務大臣、御存じですかね。御存じないですか。是非とも見ていただきたいんです。

 農林水産省の関係者の方が、日本酒をどうやって広げていこうか。今、飲食店が苦しいですよね。そして、お酒を飲むことそのものが何となく避けられている。そして、お祭りなども中止になっている。皆さんの集まりが少なくなってきている。ですから、日本酒の売上げが相当厳しいです。

 私の石川県能登半島は日本四大杜氏の一つに挙げられていまして、いろんなところでお酒を造りに行っている、また、酒蔵もたくさんあります。大変苦しい状況でありますので、こういったところにも是非ともまた目を向けていただけたらと思います。

 そして、日本酒からお米の話に移りたいと思いますが、今、このお米の価格が下落をしている、農家さんは大変困っています。今年は作ったにしても来年知らないよ、来年、再来年はもう作らないかもしれない、こういうお話をあちこちで私も伺っています。

 その中で、今、農水省さんとしても頑張っていただいております。周年事業の部分であったり、そして特別枠をつくったりして、民間の在庫の部分を市場から隔離しようということで努力はしていただいています。それでも、まだまだお米のだぶつきということを解消しなければ、今年、来年、再来年、皆さん頑張ってお米を作っていこうという気にはなかなかなりません。

 そこでなんですけれども、去年、おととしから、各農水委員会であったりまた予算委員会でも言われていますが、国内での消費を増やしていく。特に、お米を買えないような方々、今であれば、子供食堂や子供宅食への支援もされていますが、それでもまだまだ足りない、使い勝手が悪い、これを改善してくれという声をたくさんいただいているんですけれども、この点について、現状どこまで進化をしているか、教えてください。

金子(原)国務大臣 近藤議員の御質問にお答えいたします。

 先ほどは、我が省のユーチューブの御宣伝をいただきまして、ありがとうございました。

 実は、お尋ねの件ですが、農林水産省では、昨年度より、食育の観点から、子供食堂や子供宅食を対象に政府備蓄米の無償交付を行っております。これまでの間、交付した数量を適切に使用した場合、追加の申請を可能としたり、申請一回当たり上限数量を引き上げるなど、現場の要望に応じて運用を改善してまいりました。この結果、今年度は、これまでに四百二十件の子供食堂に対しまして七十二トンの無償交付を行いました。

 政府備蓄米の子供食堂等への無償交付につきましては、食糧法第四十九条第一項において、政府は、政令で定めるところにより、主要食糧米の交付又は貸付けを行うことができるとされておりまして、その法律に基づいてやっておりまして、又は食糧法施行令第十五条第一項におきましては、主要食糧の交付は、地方公共団体とその他農林水産大臣が適当と認める者が主要食糧を試験研究又は教育の用に供しようとする場合に行うことができると規定されておりまして、これらの規定に基づき、食育に取り組む子供食堂や子供宅食に対して政府備蓄米を交付しているところで、非常に限定されて、縛りがあるということを御理解いただきたいと思います。

近藤(和)委員 頑張っている、頑張ろうとしているけれども、いろいろ縛りがあるということですね。

 全体としても恐らく百トン前後ではないかなと思います。今、お米がどの程度余っているかといえば、十から二十万トンですね。万トンというところから比べれば、百トンというのはもう桁が二つ違いますので、まだまだ私はできる部分があると思います。もっともっと現場の声を取り入れていただいて、先ほど食糧法のことも言われましたが、この後にまた詳しく伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、先ほど食育というお話がございました。教育ですよね。ですから、子供食堂、子供宅食などにお米を今出せるようになってきている。動いていただいています。

 一方で、今、このコロナ禍の中で、大人の貧困、高齢者の貧困といいましょうか、貧困層でいけば高齢者の方がより多くを占めると言われていますが、先日も、長妻委員が、新宿ごはんプラスのところで四百人ぐらいの方も来られて、たくさんこれだけ困っている方がいらっしゃるんだと。その都度その都度、そのボランティアに参加されておられますけれども。

 貧困対策ということであれば厚労省ですよね。このコロナ禍で、苦しくなった、そして、更に苦しくなったという方が増えてきています。

 厚生労働省として、貧困対策、その中で、お米の活用ということを考えられてはいかがでしょうか。

後藤国務大臣 委員お尋ねがあった政府備蓄米の活用については、農林水産省の所掌であるため直接のお答えはできませんが、生活にお困りの方を支えていく上で食料支援が重要という御指摘はそのとおりだというふうに思います。

 厚生労働省としても、生活困窮者支援の窓口がフードバンク等と連携しまして食料の提供と併せて相談支援を行う場合における、食料の保管や、これは米も含めてでございますが、送付に係る経費や、食料支援を始め生活困窮者への支援を行う民間団体の活動に対する補助など、令和三年度補正予算に盛り込んでおります。

 引き続き、政府備蓄米の活用やフードバンクに対する支援を担う農林水産省とも連携しながら、未利用食品も活用した生活困窮者支援の現場での取組を積極的に支援してまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 農林水産省と連携をしながらという御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 その中で、先ほど言われました、昨年度の十二月補正で、コロナ禍における生活困窮者及びひきこもり支援に係る民間団体活動助成事業という支援を行っていただいて、支援団体への支援ということですよね、なかなかいいなと思ったんですが、金額でいけば四・六億。実際にこれでお米を直接買うわけじゃないですよね。全部これでお米を買うにしても、四・六億円です。市場でのだぶつきという点でいけば、なかなかストレートに影響を与えるものではないなと思いますし、まだまだお困りの方、ニーズはあると思いますので、そこは頑張っていただきたいなと思いながらも、ただ、お米に関しては厚生労働省の所管じゃないということですね。結果として、農林水産省に頑張っていただかなくてはいけないということです。

 結果として、お米を買うに買えない、おなかをすかせている方がいらっしゃる、困っている方がおられる。そして、お米農家の方が、お米が余って、だぶついて、値段が下がって困っているということですから、うまくマッチングすれば本当にウィン・ウィンの関係になると思うんです。

 この点について、厚労大臣からは農水省と協力をしていきたいということを言っていただきましたが、農水大臣の方からお答えをお願いいたします。

金子(原)国務大臣 農林水産省では、これまでも、政府備蓄米の無償交付のほか、厚生労働省と連携を取りまして生活困窮者への食品の提供を行っておりまして、フードバンクへの支援などを行ってきました。

 引き続き、このような支援の輪が広がっていくように関係省庁と連携してまいりますが、いずれにしましても、子供食堂も、非常に要望は少ないんですよね。もう少し徹底してやらないと、せっかくこういった仕組みをつくって、これを活用していただかなきゃいけないというふうに思っていますので、そういった地域のNPO団体等もいろいろありますので、そういったところも含めてこれから検討させていただきたいと思っております。

近藤(和)委員 今、要望が少ないということを大臣おっしゃられたんですが、ここが多分ギャップがあるのかなというふうに感じます。

 私には、もっともっと欲しいという声もいただいておりますし、先ほどのフードバンクにいたしましても、例えば大人の貧困に類する方にとってみても、もうちょっと支援してほしい、子供ばかりじゃなくて、大人にもちゃんと光を当ててほしいということを言われておりますので、どうかこの意識のギャップ、これを埋めていただきますように、これを私からお願いをして、次の質問に入りたいと思います。

 実際には、国内の、例えば子供食堂、子供宅食などで百トン前後というお話を申し上げました。市場規模にインパクトを与えていくためには、やはり海外への支援だと思います。このコロナ禍を受けて、昨年ですけれども、世界のほぼ十分の一、八億人が食料危機だ、コロナ禍であえいでいるということで、WFPの事務所長さんなども困ったという声を上げていらっしゃいます。

 農水大臣に提案、これは何度か行ってきているんですけれども、国家備蓄米として、市場にだぶついているお米、また民間在庫を買い取って、そこから国際支援米として出されてはいかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 お答えいたしますが、政府備蓄米は、不測の事態に備えまして一定量の国産米を保有することを目的としておりまして、これを需給操作のために運用することは、制度の趣旨に沿わないものと考えております。

 米を活用した海外食糧援助につきましては、被援助国からの要請に対して、正常な貿易に支障を来してはならないことや、被援助国のニーズに対応して行われるものであることや、いろいろなルールがありまして、国際ルールとの整合性や財政負担に留意しつつ、ODAを活用したスキームにより現在実施をしております。

 引き続き、国際ルールや財政負担に留意しつつ、被援助国における日本産米のニーズの掘り起こしを努めてまいりたいと思いますが、それぞれの国からの御要望が、是非米をというような要望がないとなかなか難しいところがありますので、その辺も含めて、よくこれからも検討させていただきたいと思っています。

近藤(和)委員 この備蓄米制度の本来の趣旨からずれているということは私も重々承知の上で伺っているんですけれども、ただ、今、農家の皆様にとっては非常事態です。非常事態に、今までではない、できなかったようなことを行うというのが私は政治の大事な役割ではないかなと。今、できない理由を幾つも言われていらっしゃいましたけれども、そこは努力をしていただきたいと思うんです。

 そして、要望が余りないといったこともおっしゃいましたけれども、それでは、外務大臣に伺います。

 現在、ODAとして、どの程度お米を支援として出しているのか。そして、ニーズが本当にないのか。どこまでニーズを探ろうと努力をされていらっしゃるのか。この点について伺います。

林国務大臣 まず、食糧援助の実績でございますが、令和元年度は、供与額ベースでございますけれども、二国間食糧援助の金額が四十・五億円、これが、令和二年度が四十四・〇億円、令和三年度は、見込みですが、四十六・五億円まで増えておりまして、そのうち、我々も、日本米の方、備蓄米にはミニマムアクセス米も入っておりますので、なるべく日本産米をアピールをして、備蓄米のうち日本産米を積極的に活用していきたい、こういうことでございまして、先ほど申し上げた中での日本米の割合が、令和元年度は二三・四%でございましたが、これが、令和二年度二六・六、令和三年度は二九・七ということで、徐々に日本米の割合が上がってきているところでございます。

 引き続き、日本産米を活用した海外援助の実施に努めてまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 重ねて伺いますが、要望に全て応えているということでよろしいんでしょうか。

林国務大臣 これは農水大臣からも御答弁があったところでございますが、当該国の要請を踏まえて食糧援助を行ってきておりますので、被援助国からまず米の支援の要請がある場合に、被援助国政府が要望する品目に含めていただくために、先ほど申し上げましたように日本産米をアピールをしている、こういうことでございます。

近藤(和)委員 大体四万から五万トン程度をODAとして出している、その中にもミニマムアクセス米が大体半分ぐらいというふうに伺っていますが、まだまだ出せると思うんです。

 歴史を振り返れば、昭和の四十年代です、正確には昭和四十五年に、外国政府等に対する米穀の売渡しに関する暫定措置法という法律が作られました。そのときには四百七十万トンものお米が結果として輸出をされました。実際には、お米をそのまま渡すというのではなくて、お金を貸して、そのお金でお米を買っていただくと。四百七十万トンです。今、日本の生産量が七百万トン程度ですから、四百万トンなんて出したらそれこそ日本が食料危機になりますから、そんなことはあり得ないですけれども。

 少なくとも、この一九七〇年、昭和の四十五年でいけば、世界の人口は四十億人程度です。今、世界の人口は八十億人程度です。人口が倍になっています。そのことを考えてみれば、私は、人口が半分だったときの四百七十万トンという規模、これは数年間にわたってですけれども、四万から五万というのは、しかも今コロナですから、本当の意味でニーズを酌み取っていないのではないかなと思うんです。

 くしくも、岸田総理が、先月東京で行われた東京栄養サミット二〇二一でも、三千億円以上の支援を行うと表明をされました。これは、世界の食料危機の方々も喜びますし、そして、日本も国際貢献をしているということで力になりますし、そして、お米農家の方々も、これで自分たちも世界に貢献しているし、そしてお米の値段も何とか下支えしてもらって、これでやっていけるということですから、ここは、外務省さん、そして農水省さん、協力して頑張っていただきたいんです。

 例えば、先ほど食糧法の話がございました。価格維持のためにできない、それは目的じゃないんだということも言われました。そして、政令の中で、厚労の部門になりますけれども、食育や研究開発ということで書いてあるからできないんだ。できない理由が幾つかあったとしても、政令、じゃ、議論しましょうよ、そして食糧法、議論しましょうよということで、私は、日本にとってマイナスになることが本当に少ないと思います。

 ですから、ここは農水大臣がリーダーシップを取って頑張っていただきたいんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 失礼いたしました。

 先ほどの数字がちょっと、私、日本米のシェアと申し上げましたが、先ほど申し上げましたのは金額でございましたので、実際のシェアは、今委員からお話のあったように、令和元年度が五七・七%から令和三年度は六三・八%ということになってきておるところでございます。ちょっと訂正させていただきます。

金子(原)国務大臣 政府備蓄米は、先ほどお話ししたように制約がございますが、そういう中でも、国際ルールで、引き続き、それぞれからの、被援助国からの御要請があれば、できるだけ努力をしていきたいというふうに思っておりますが、なかなか現物の援助というのは、非常に難しいそうなんですよ。国によっては、やはりいただいたものをそれぞれの地域に運んだりするのに大変だし、それから、やはり米を送るとその処理に非常に難しいところもあるといったことのいろいろな状況等もあるようですから、これはODAの中でどれだけ向こうの国がそういった米を要望するかによって、我々は全力を挙げていきたいというふうに思っております。

 あとの問題点、例の政令の問題でございますが、いろいろとほかとの兼ね合いもありますので、よくそこは検討させていただきたいと思っております。

近藤(和)委員 できない理由と、そして検討というか、ちょっとでも前に進んでいただけたらなと思います。

 少なくとも、もう約五十年前ですよね。五十年前で、今よりも電気、ガス、水道が整備されていないような、そういった国々にも日本のお米が行っているわけですよね。保管するのも大変だと思います。

 実績があるわけですから、五年前、十年前じゃなくて、四十年前、五十年前のもっともっと技術が進んでいないときでもできていますので、その努力を、姿勢を見せていただきたいと思います。

 それでは、漁業のことについて伺います。

 私の地元では、日本で有数のイカ釣りの漁港、小木というところがあります。イカのモニュメントで少し有名になりました、イカキングという。これがいいか悪いか両方の評価がございますけれども。

 そこで、違法操業に関して立入検査、拿捕をしてほしいということは、これは別の機会にいたしたいと思いますが、今、この第六波、オミクロンの影響の中で困っているのが、技能実習生の問題でございます。

 具体的なお話を申し上げれば、コロナになる前は七十人ぐらいインドネシアの若者が入ってきてくれていました。そこから、期限が来て帰る人だけ帰る、そして入ってこないという状況で、去年では四十人台、そして今年の春になればもう二十人前後になるようです。

 一隻当たり九人ぐらいで船を動かすそうなんですね。そのうち半分を超えちゃ駄目ですから、大体三人、四人ぐらいはインドネシアの若者が乗っていただいていますが、現状、もう三分の二まで減っていますので、一隻当たり九人、本当は乗れるのに、一人、二人、もう欠員状態で出ているそうです。

 ただでさえ大変な仕事で、そして危険も伴います。その中で人が減るということがいかにしんどいかということ、そして更にいけば、六十人、七十人台から二十人台になるということは、もう船が出せない、この春を過ぎたら船が出せない。売上げが減るどころか、売上げがゼロになるわけです。とんでもない状況が今想定されています。

 そこで、官房長官に伺います。

 コロナ禍における水際対策、これはもちろん厳しくしなければいけません。厳しくしなければいけないですが、一方で、結果として、その水際対策によって苦しい状況に置かれている産業があるということ。これは漁業だけではなく、農業だけではなく、私のところでは繊維での外国人の方もたくさんいらっしゃいますので、そのような産業があります。

 今は外国人の新規入国は禁止ですよね。そこで、例えば、この第六波がある程度収まってきた、もう大丈夫だろう、そのようなタイミングがいつかは来てほしいと思いますが、そのときに、例えば、入国したときの待機時間を、十四日間とかありますよね、それを例えば倍にしても、一月でもいいから、それで安全に安全を確認した上でもいいから入ってきてほしいというお声などもいただいています。

 いずれ来る夜明けのときに臨機応変に対応していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

松野国務大臣 近藤先生にお答えをさせていただきます。

 オミクロン株への対応に当たりましては、慎重にも慎重に対応すべきとの考え方から、G7で最も厳しい水際対策を講じ、オミクロン株流入を最小限に抑えつつ、国内感染の増加に備える時間を確保してまいりました。

 水際対策については、当面、二月の末まで現在の水際対策の骨格を維持することとしております。新規入国については、厳格に審査を行い、人道上、国益上の観点から、必要な対応を取ることとしております。

 委員御指摘の漁業の現場を含め、水際対策を講じたことにより困難な状況に置かれている方々が多くいらっしゃることは十分承知をしておりますが、感染対策の必要性について是非御理解をいただきたいと思います。

 なお、当面、二月の末まで現在の水際対策の骨格を維持していくこととしておりますが、今後については、国内外の感染状況等を踏まえまして、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 何とか、臨機応変に、スピード感を持って、いずれ自分たちは救われるんだと思っていただけるような形で動いていただけたらと思います。

 そして、農水大臣に再度伺いますが、やはり、このまま厳しい、先進国で一番厳しい水際対策、実際には日米地位協定などの話もあって本当にそうかなというところも正直あるんですけれども、それは今回横に置いておきまして、実際にコロナで倒される前にこの水際対策で倒されるという、本当に恐ろしい可能性があるわけですね。

 例えば、最悪の想定でいけば、この第六波がなかなか収まらない、そして、第七波との切れ目がほとんどないまま続いてしまった場合には、出漁できないわけですよね。そうすると、今、事業復活支援金の議論も始まりますが、五十万円、百万円、マックス二百五十万円ですが、漁に出られないというときに、例えば、まあ二百五十万までの規模はないですが、それだけのお金をもらっても、赤字が到底埋められるようなものではありません。

 ですから、これは恐らく四月以降の話になりますので、心の準備というか、漁業者の皆様に、新たな外国人の方が入ってきにくい、漁業者だけではなくて、お米、野菜を作られている方もそうだと思いますが、少なくとも一次産業に関わる方々に、厳しい状況になっても農林水産省としてはしっかりと支えていくんだ、今までにないような対応も考えていきたいという力強い言葉をいただきたいんですが、いかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 本当に、人員不足、人手不足で大変困っておるようでして、石川県だけじゃなくて全国的に非常に困っておるし、漁業の場合は非常に特殊ですから、なかなか農業と変わって、お手伝いをほかの方がするというような状況じゃないので、この問題については、やはりできるだけ早く緩和をしていただいて、確かに、滞在期間というか隔離期間は長くしたとしても、漁業に支障を来さないようなことを考えていただかないと、水産業そのもの全体が相当な疲弊をしていくというふうに思いますので、是非これは、これからも国に対して我々も一緒になってお話をしながらやっていきたいと思っております。

 ただ、その間操業できなくて水揚げが減した分は、共済と積立てでカバーするようになっておりますので、大体、前五年度分の、いろいろな計算の基礎がありますが、保険を掛けていらっしゃれば必ずそれは担保できるという形で今なされておりますので、その辺をまず漁業者の方に御説明をしていきたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

近藤(和)委員 保険というお話もございましたが、一年や二年だけであれば賄える部分はあると思います。ただ、今、例えばイカの話でいけば、もうこの五、六年、ずうっと下がり続けている、元々の漁獲高が。その平均値もだんだんだんだん下がっていくわけですよね。ですから、保険で何とかなりますというのはちょっと冷たいかなとは思います。

 何とか、でも、一番お詳しい方だと思いますので、漁業の守り神として頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、国交省の建設工事受注動態統計、こちらに話を移したいと思います。

 今回は、やはり、なぜこれだけ騒ぎになっているのかといえば、GDPに影響を与えるのではないか。

 農水大臣、帰っていただいて結構です。ありがとうございます。

 あと、厚労大臣も結構です。ありがとうございます。

 そして、GDPに影響を与えるのではないかということの中で、タイミングなんですよね。これは本当に邪推だと言われても致し方ないですが、この二重統計が始まったのが二〇一三年の四月ですよね。それで、二〇一三年の四、五、六月のGDPが出るのは大体八月の中旬になります。

 二〇一三年の四月といえば、その前年の十二月に政権交代が起きた、そしてアベノミクスをスタートさせる、日銀とのアコード。そして、二〇一三年の四月には、黒田バズーカと言われる、お金の流通量二倍、国債買取り二倍、そして二%の物価上昇目標ということで、一気にアクセルを吹かしたときなんですよね。

 そこで、結果として、二〇一三年の四月に二重計上が始まって、そしてGDPの結果が八月半ばに出て、それで、翌年の四月に消費税を増税しようということでもう動いていたわけですよね。実際には、二〇一三年の四―六月期のGDP、そして次の七―九月のGDPでいけば、大体そのときには、当時は十月で判断しようということですから、七―九月期のGDPは十月の判断のときには間に合わないですね。

 ですから、四―六月期のGDPが、これが結果として消費税増税をする決定打の一因になったことは間違いありません。そして、政権としても替わってよかったね、そういう印象を持つには私は十分な動機があったのではないかなと。邪推と言われても致し方ないんですけれども、そのような私の主観的な見方があるんです。

 それで、まず山際大臣に伺います。

 先日の二十四日、予算委員会、宮崎委員、そして十二月二十日の参議院予算委員会で森本議員の問いに対して述べられました、国土交通省の説明によって、その影響が軽微である、この二つのことを併せて、GDPにおける影響は軽微であるというふうに判断しております、最終的な計算をしていくと非常に軽微なものになると言われましたけれども、この思いは今でも変わっていませんでしょうか。

山際国務大臣 はい。それから、十二月二十日の段階から今の段階において何か新しいデータが出てきているわけではございませんので、そのままというふうに御認識いただければと思います。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

近藤(和)委員 済みません、ちょっと、質問に入らせていただく前に、外務大臣、官房長官、今、席を外していただいて結構なので。ありがとうございます。

 その見方は変わっていないということでした。

 そこでなんですけれども、先日の二十五日の階議員の質疑の中で、GDPへ影響を与えるのではないか、GDPの再算定が必要ではないかということの問いに対して、これは総理が答えたんですが、国土交通省が立ち上げた統計の専門家による専門家委員会において、数字の復元についての検討を進める、復元をしっかりと行った上で説明をさせていただくことが重要であると考えておりますというふうに答弁されていますが、これは五月に出るんですよね。五月に結果が出るということは、まだ調査結果が出ていない中で軽微であると言うのは、これはおかしくないですか。

山際国務大臣 ですから、現時点においては軽微であるというふうに考えているというふうに申し上げているわけです。

 その後に、私、申し上げているように、新しい時系列データというものが出てまいりましたら、それに基づいて計算をし直すというのは、何もこのことに限らず、過去に遡ってGDPの計算し直しというのはそういうことをやりますから、当然、新しい時系列のデータのセットが出てまいりましたら、それはもちろん計算はし直すことになりますけれども、現時点においては、国土交通省からの説明を聞く限り、軽微であると国土交通省も説明しておりますから、それをもって軽微であるというふうに申し上げているわけです。

近藤(和)委員 現時点においてはということで答弁を全て正当化されれば、この国会での質疑がおかしくなってしまうと思うんですよね。正直、今の答弁はいかがかなというふうに思います。

 それでは、国土交通大臣に伺いますけれども、今、この統計の専門家委員会において数字を復元していくんですよね、五月に発表されるんですよね。そもそも、この受注統計のデータというのは、ないものもあると思うんですが、いつからのデータがあるんでしょうか。その復元作業の基になるものというのは、恐らくない時期もあると思うんです。それはいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 国土交通省では遡及改定検討会議を立ち上げました。これは、建設工事受注動態統計調査に関わる事案においては二重計上等の不適切な処理が行われており、適正な姿に遡及改定することが必要だからでございます。

 この遡及改定検討会議では、統計の専門家である委員に御議論をいただき、まずは建設工事受注動態統計調査の遡及改定に当たっての手法について検討を行います。

 それから、先ほど来ありましたGDPへの影響、GDPは内閣府の所管でございますが、GDPに直接この受注動態統計調査の数字が使われているわけではございません。GDPに使われているのは建設総合統計、つまりその月に使われた金額でございます。この金額については、もう確定している過去の着工金額……(近藤(和)委員「そのことはちょっと後で聞くので、何年前までのデータということを」と呼ぶ)分かりました。

 ということで、今、数十万枚の調査票が残っておりますが、いつから残っていることについては、ちょっと細かいことなので、政府委員に答えさせます。

高田政府参考人 お答えいたします。

 調査票につきましては、平成二十八年度の四月分以降、残されているところでございます。

近藤(和)委員 要は平成二十七年以前ですね。少なくとも二重統計は更にもっと前から行われているわけですから、要は、この統計専門家委員会において数字を復元していくといっても、もうデータはないわけですから、影響を与えるかどうかというところは、これは分からないんじゃないでしょうか。

 山際大臣、今の答弁を伺いまして、例えば、ずっとこの二重統計が始まったときからのデータが残っているのであれば、ちゃんと調べて、影響があったかないかといったところが判断できると思うんですけれども、ないわけですから、ない状況で調べて、分かりませんでした、影響を与えているかどうか分かりませんという状況の中で、今、影響は軽微であると言うのは、私はさすがに甘過ぎるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

山際国務大臣 私たちからすれば、国土交通省のデータというのはもちろん大事なものだと考えております。

 その上で、GDPを計算する上で、詳しくもし説明が必要であれば政府委員の方から説明させますが、GDPを計算する上で様々な推計のデータを用いながら計算していく、そのプロセスも全部見た上で、様々補正も加えられるということも確認した上で、現段階においては軽微であるという表現を使わせていただいているわけでありまして、もちろん、数値が間違ったものであったということは、これは直せるものは直した方がいいというのは私どもも思っておりますけれども、そういうことを全部勘案した上で、軽微である、現段階においては軽微であるという表現を使わせていただいているということでございます。

近藤(和)委員 実際には、GDPを正確に分析せよ、一つ一つの要素からこの数字をつくれというのはなかなか素人にはできないですよね。この国会の審議の中でも、なかなかそれを丁寧に、私もいろいろ計算しましたけれども、大ざっぱに、煙を巻くような形で、結果として影響を与えませんよ。そして、その一つの理由として、国交省さんから、影響は軽微である。それが一つの根拠にされていますよね、今までの答弁の中で。

 それで、先ほど大臣が途中で説明をされました受注統計に関して、GDPに直接影響しているのは建設総合統計だし、そこで使うのが受注統計だ、ここで変換するから影響は軽微だ、そういう趣旨でよろしいんですよね。

 そこでなんですけれども、昨日でしょうか、おととい、与党の議員の方とのやり取りの中で分母と分子という話がありました。資料でいきますと三ページを見ていただきたいと思います。

 実際、この資料そのものが大変分かりにくいんですけれども、私が口でちょっと説明いたしますが、下に点線の四角で囲ってあるBとCというものがあります。これは例示いたしますが、現在、二〇二二年の一月時点において、最新の受注統計というのは二〇二一年の十一月になります。ここを引っ張って、結果としては、二〇二一年十一月の建設総合統計、これは計算が出せます。今までの国交省の説明でいきますと、二〇二一年の十一月の受注統計が分子だとして、分母の部分は現時点においては二〇一八年になります。これは、建設総合統計が二〇一八年を基に、そこだけ正確に取れているからということなんですけれども、二〇一八年の受注統計分の二〇二一年の受注統計ということでいけば、この部分は大臣が言われた説明は成り立つんですね。

 なぜかといえば、二重統計をしている分母、そして二重統計をしている分子ですから、変化率といったところでは、これは省いても、全く同じではないですけれども、例えば、三か月分上乗せ、三か月分上乗せ、それを省いてもそんなに影響を与えませんよという説明は成り立ちます。ここから軽微であるということを言われているわけですよね。

 でも、ここで問題なのが、じゃ、二〇一三年の四月の時点はどうなんですかということなんです。二〇一三年の四月ということは、分母の部分は大体その二年前ですよね。二重統計されていない分母。そして、分子の部分は二重統計されています。二重計上されています。ですから、今は、ずっとここまで遡っていって、恐らく二〇一六年か五年ぐらいまでは変化率は大して変わりませんという説明は成り立ちます。

 一方で、じゃ、二〇一五年、一四年、一三年ということにいけば、この分母の中に二重計上の部分が入っていないですから、高めの数字、変化率、角度が上がるんですよ。この点はどうですか。

斉藤国務大臣 先ほどの近藤委員のもう一つ前の質問にも関係いたしますけれども、調査票が残っていなかった時点の正しい数値について、第三者委員会の報告書では、この部分についてもできるだけ正しい数字に近づけるような推計が可能なのではないかというふうに、いわゆる第三者委員会の報告書にも、統計の専門家が入ったその報告書にも記載されているところでございます。

 そういうことを受けまして、今回、遡及改定の委員会を立ち上げたわけでございますが、その遡及改定委員会において、その部分についてもしっかり検討していただきたい、このように思っております。

 今、近藤委員御指摘の点は非常にポイントになる点でございまして、そこの点についても遡及改定委員会でしっかり検討していただきたいと思っております。

近藤(和)委員 時間が参りましたので。

 来週の月曜日に集中審議があると伺っています。少なくとも、影響が軽微だという、その結論ありきで議論を進めてきているというのは、私はさすがにおかしいんじゃないかなと思います。謙虚に過去に振り返って、こういったことが二度とないように、そして、今、うそを更に隠すためにうそをつくということがないように、是非ともお願いをしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 オミクロン株、昨日は新規感染者が八万人に迫る数となりました。重症者の方々、お亡くなりになる方々も少しずつ増えてまいりました。感染してから、疑いがある状態から、検査をしたり薬を飲んだり、保健所が健康観察をする、医療機関が医療を提供するといったことももちろん大事なことでありますが、何よりも大事なことは、感染者を少しでもその手前で感染しないように抑えるということだと思います。今、経済も暮らしも学校も子供たちも、みんな影響を受けております。このような事態を一刻も早く止めなければなりません。

 その意味で、世界各国と比べても非常に遅れていると言われているワクチン接種の現状について、今日は、その重要閣僚であられる堀内大臣に、ワクチン接種の状況、そして現状認識についてお尋ねをしたいと思います。

 まず、今週の月曜日の段階では、三回目のワクチン接種が二百三十六万回、一六%というふうに承知しておりましたけれども、直近の状況はどうでしょうか。

堀内国務大臣 直近の実績といたしまして、三回目接種の接種回数については、一月二十七日公表時点で約三百十五万回であります。

重徳委員 参考までに、何%かって分かりますか、接種率。

堀内国務大臣 接種率につきましては、同日公表時点で全人口の二・五%であります。

重徳委員 済みません、私が言いたかったのは、月曜日の段階で一六%という数字、そこに見合った数字としては何%まで伸びたのかなということを知りたいわけです。

堀内国務大臣 対象者の二一・五%になります。

重徳委員 さらに、ちなみにですけれども、国際的に比較をして、例えばOECD諸国の中でどのぐらいの位置にこの二一・五%というのはあるのでしょうか。お分かりになればお答え願いたいと思います。

堀内国務大臣 一番低い接種率となっております。OECD諸国の中でですね、三十八か国の中で、日本の接種率は一番低い接種率となっております。

重徳委員 この数字を一刻も早く伸ばしていかなきゃいけない、それが堀内大臣のお仕事だと思うんですが、当面、当面といっても、もう今日は二十八日ですから三日後、一月末までの見込み、目標と言ってもいいかもしれません、どのような数字になりますでしょうか。

堀内国務大臣 接種対象者数については、二月接種完了時期と接種間隔を踏まえて厚生労働省において計算しており、一月末までの接種対象者数は、当初は約四百七万人でございましたが、一月十三日の前倒しにより、現在、約千四百七十万人となっております。

 また、今後の接種回数については、一、二回目接種と比べ、接種の季節等が異なる、また地域の状況も変わっているなど、前提条件の設定が困難な状況であります。そのため、試算や推計は行っておりませんが、直近の一日当たりの総接種回数の増加数は約二十六万回であり、昨日公表の約三百十五万回から一定程度増加した数になるというふうに考えております。

重徳委員 一日二十六万回ペースが続けば、これから、四日間あれば百万回ぐらいですから、四百万回ぐらいに至るのかなというところでしょうかね。それは、ちゃんと積算しているわけではないということですね。分かりました。

 そうしますと、ここでお尋ねしたいのは、一月末の目標が千四百七十万回という数字、これはこれまでも厚生労働大臣からも総理からもあったかもしれません、そういった数字が出ておりましたが、ここに対して、今私の適当な積算ですけれども、四百万回ぐらいに至るのかなと。これは、結果的に全然たどり着いていないわけなんですけれども、この原因、どういったところにあるんでしょうか。

堀内国務大臣 日本は、世界各国よりワクチン接種の開始が遅れたため、三回目も、まさにこれから本格化していくところでございます。

 現時点で、全国の九七・四%の自治体が、二月末までに、対象となる希望する高齢者などへの接種を想定どおり二月末までに終えるというふうに見込んでいるところでもございます。

 更なるペースアップに向けて、大規模接種会場の設置や接種券の前倒しなどの送付、取組を進めるように自治体に要請する、そして、政府としても一丸となって進めてまいりたいと思っております。(発言する者あり)

根本委員長 では、もう一回、そこを質問してください。

重徳委員 お聞きしたかったのは一月末までの話なんですよ。千四百七十万回を目標とし、そこに対して、昨日時点ですか、昨日時点で三百十五万。これから一日二十数万件だとしても、四百万ぐらいしかいかない。千四百七十万に対して四百万ぐらいしかたどり着かない。その原因、どのように分析をされているかを知りたいんです。

堀内国務大臣 重複すると思いますが、三回目接種につきましては、日本は諸外国に比べて一回目、二回目の開始が遅れましたために、オミクロン株の流行が懸念される状況になったことを踏まえて、昨年十二月以降に接種間隔の前倒しを行ってまいりましたところでございます。(発言する者あり)

根本委員長 なぜ遅れたかということを問われていますので、どうして遅れたかということを御答弁ください。

堀内国務大臣 日本におきましては、一、二回目の接種自身が諸外国に比べて遅く始まった部分がございます。それに対して、一定の間隔を置いてやはり三回目は打たなくてはならない、そういった状況の中、三回目接種の開始が遅くなったという状況でございます。

重徳委員 今、堀内大臣が言われているのは、その千四百七十万回の見込みあるいは目標ということについての御説明だったと思うんです。その目標に対して、なぜいまだに四百万回なのか、ここが先進国諸国の中で著しく遅れている原因なのではないかというふうに思うので、そこの分析を教えていただきたいと思います。

根本委員長 目標に対してどうして遅れているのかという原因ということで、答弁をお願いします。

堀内国務大臣 当初、八か月間隔ということで、三回目の接種、二回目終了から八か月置いて接種していただくということで、各自治体にはそういうお願いをしてまいりました。例えば、十月の半ばには、八か月間隔ということを前提に、十二月、一月分の配送計画をお伝えしておりましたし、十一月の半ばには、二月、三月分の配送計画をお示ししていたところでございまして、自治体の皆様方もそのように準備をしてくださっていた状況でございます。

 そういった中、オミクロン株が大変急激に拡大してまいりましたので、接種の前倒しを二回にわたってお願いしております。そういった中、自治体の皆様方の御準備、例えば接種券の発出などもなかなか思うように進んでいないところもございます。様々な要因があって、そして接種は遅れてきてまいっているといった状況もございます。

 これからしっかりと、接種、自治体の皆様方の力もおかりしながら、また大規模接種会場も、自治体の皆様方に立てていただく、そして自衛隊の接種も、今日、予約も金曜日の夕方始まります。そういったことをもって更に接種を加速してまいりたい、そのように思っております。

重徳委員 最初八か月、それを七か月にしたり六か月にしたり、それも対象者もそれぞれという。これも、結果論ですけれども、随分後手に回ったなという印象があります。

 そして、自治体は、一回、去年、あれだけ多くの方々を、八〇%接種した経験もありますから、そこの指示さえ、方針さえどんどん前倒しにしていくことが一日でも早ければ、その分だけ自治体もついていけると思うんです。

 今、六か月方針というところまで来ていますが、これはもう、これ以上早めたり、対象者全体のうち、まだ七か月という対象者もいると思うんですね、八か月もいますかね、そういう方々を全部六か月にするとか、更なる前倒しをするというお考えはありますか。そういうあらゆる手を尽くしてどんどん前倒しをし、自治体についてきていただくしか方法はないんじゃないかと思うんですが、その辺のお考えはいかがでしょうか。

堀内国務大臣 自治体の前倒しについては、一月十三日、医療従事者の方々や高齢者の施設入所者の方々の接種間隔を六か月、本年二月からその他の高齢者の接種間隔を七か月とすることに加えて、本年三月から、その他の高齢者の接種間隔を六か月に、一般の方や職域接種会場で接種を受ける方々の接種間隔を七か月というふうにお願いしているところでございます。

 その上で、厚生労働省から各自治体に対し、接種間隔の前倒しを計画どおりに実施することをお願いするとともに、ワクチンの量や、そして接種体制に余裕があられる場合は、それを最大限活用し、順次、できるだけ多く更に前倒しを行うことを強く今要請しているところでございます。

重徳委員 今のこともちょっと後ほどお聞きしますけれども、前提として、一月末の目標千四百七十万回については、自治体の対応が遅れている、やむなく遅れているということであって、既にワクチンそのものは提供はしているんですか、各現場に。

 それから、これから先の見通しも聞きたいんですけれども、一月末の千四百七十万回、その後はどういう計画で、それはきちっと配送することはできるものなんでしょうか。

堀内国務大臣 ワクチンの配送、供給につきましては、昨年中にファイザー約千六百万回を御地元に届けているところでございます。また、前倒し計画どおりに実施していただくために必要となるワクチンは、必要な時期に配送させていただくこととしておりまして、四月までの接種に必要なワクチンの配送について既に示させていただいております。これにより、接種の対象となる約一億人の方の約八五%となる約八千五百万回を四月の四日の週までに配送させていただくこととなっておりますし、お示しもしております。

重徳委員 その四月頭、ちょっと先の話になっちゃいますが、その八千五百万回分というのは、もう既に輸入の見込みも立っていて、それは届いたら直ちに届けるというところまで確実なんですね。

堀内国務大臣 はい、確保のめどが立ったもののワクチンで配送計画を立てて、そしてお示ししているところでございますので、確実に配送させていただけるというふうに私自身思っております。

重徳委員 それから、先ほど大臣の御答弁の中で、余裕のある自治体があるというお話でしたけれども、余裕というのは何の余裕のことであり、どういうふうにその余裕を生かして前倒しをしていただくという意味なんでしょうか。

堀内国務大臣 先ほど申し上げましたように、自治体によってはまだ接種券の発送の準備も大変なところもございます。そういった接種券も配送していただきますし、また、打ち手の確保、これも自治体によっては大変御苦労いただいているところもございます。ちゃんと打ち手を確保していただく。そしてまた、会場の確保。そういった様々なものを合わせて、まだより前倒しをいただける方々については、是非前倒しをしてくださいと強く要請しているところであります。

重徳委員 今言われた中で、自治体の努力によらなきゃいけない部分もあると思うんですが、例えば接種券の発送なんかは、省略といいましょうか、届く前でも接種しに行けるわけですよね。技術的には、VRSというワクチン接種記録システムで確認すれば、もちろん現場で本人確認はしなくちゃいけませんけれども、ということはできるのではないかと思います。

 それで、岸田総理の、これは今週の月曜日の御答弁、大串委員の質問に対する御答弁で、全国の八四%と言っていたけれども、先ほど堀内大臣、九七%とおっしゃった。更に増えたという意味ですかね。

 それをちょっと確認するとともに、八四%の自治体が、二月末までに対象となる希望する高齢者等への接種を、想定どおり二月末までに終えると見込んでいますというふうにおっしゃっていますが、我々からすれば、オミクロン株が今どんどんどんどん増えていて、ピークがいつかは分かりませんけれども、二月上旬にも大変な数に上るのではないかと言っているときに、二月末を目指す、一月末の次は二月末だというような目標の立て方のように見えるんですけれども、それでいいんでしょうかね。もっと小刻みに、二月五日まで、二月十日まで、そういった目標をどんどん立てていって。

 これは菅前総理が、一時期、いろいろと批判も受けながら、毎日百万人の接種を目指すんだと自治体に物すごいプレッシャーをかけて、自治体からもかなり反発も食らっていました。我々も国会で批判をしていたときもありますが、結果的には、そこまで総理あるいは当時のワクチン担当大臣も頑張ってたどり着いたように思うんです。

 その意味で、二月の下旬にはこうなるでしょうなんという数字しか今示せませんかね、目標なり見通しとして。どうでしょうか。

堀内国務大臣 重徳議員おっしゃられるように、ワクチンの接種、これはできるだけ早く国民の御希望の皆様方にしていただくという必要があるというふうには認識しておりますし、そのために、全力で、政府一丸となって努力しているところでございます。

 一週間ごとに例えば二月末まで示すかとか、またそういった数のことにつきましては、先ほどと答弁が重複するかもしれませんが、今、現在置かれているこの日本国の状況、例えば、接種の季節なども異なります、場所によっては、なかなか雪などで困難を来して接種会場を開きにくいといった場所もございます。そういった中で、今全力で、できるだけ前倒しをする、そのことにひたすら注力しているといったところでございます。(重徳委員「あと、九七%は」と呼ぶ)

 大変申し訳ない。九七%の数字は、大変、各自治体の皆様方の御努力により、先日の総理のお答えの時点のときよりも上がってまいった数字でございます。

重徳委員 各自治体も一生懸命やっておられるというあかしだと思います。

 そして、今ワクチンの接種が遅れている理由の、大きく言えば二つあって、まあ幾つかありますけれども、自治体の体制が整うということ、それについては今御答弁ありました。そして、二つ目は大規模接種会場ですね。

 これは、どこの接種券でも、どこの自治体に暮らしている方でも行ける会場が、自衛隊が東京と大阪、二か所、それから、ほかにも各県ごとに設置したりしているケースがあると思うんです。そういったところも含めて、やはり接種をするキャパシティーを増やしていかなければならないと思うんですが、この点に関する状況の把握なり認識を教えてください。

堀内国務大臣 重徳委員御指摘のように、大規模接種会場、各自治体の皆様方にお願いして、しっかりと設営していただくことは大切なことだと思っております。

 この各大規模接種会場、基本的には、各都道府県でやっていただいたものについて、国も予算的支援をしっかりと一、二回目と同様にさせていただくといったことになっております。

 また、自衛隊の大規模接種会場につきましては、その大規模接種会場、今日の、二十八日の十八時予約受付開始となりまして、東京と大阪に設営するということになっております。

 これらの会場も利用していただいて、多くの方が接種機会を持っていただければというふうに思っております。

重徳委員 まず、自衛隊の大規模接種会場についてなんですが、今日、東京が予約受付開始ということは聞いておりますが、どうも、前回受け入れた数、東京、大阪で二百万回近くが、今回は四十万回ぐらいという、そういう意味ではかなり小さくなるというふうにも聞いております。それはもう確認をしております。

 それからもう一つ、ちょっと昨日事務方の方と話していて、都道府県の大規模接種会場の状況は何かよく分からないというお話だったんですけれども、そんなことでいいのかなと思うんですよね。少し大臣から、大所高所からちゃんと把握をして、事務方の人にもちゃんと指導してやっていただけませんか。御認識をお伺いします。

堀内国務大臣 県の、地方自治体さんのつくっていただく大規模接種会場につきまして、関係各省庁と今連携して、まさに調整中でございます。しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

重徳委員 お答えができないような状況なんだと思うんですね。この辺りのリーダーシップ、もっと必要だと思いますよ。やはり、各自治体にお願いし、そしてそこを補う形で大規模接種会場、せっかく自衛隊、自衛官の方々まで協力していただいているわけですから、そういったものは全部でどれだけ見ることができるのか、接種することができるのか、そこも把握しながら進めていっていただきたいと思います。

 そしてもう一つ、そのキャパシティーのほかに大事なのが交互接種ですね。今なかなか進んでいない原因の一つじゃないかとまで言われております。

 前回は、ファイザーが八割方だった。そして、モデルナの方が副反応、痛みが強いとかいろんなことが言われて、今回は半々、ややモデルナが多いぐらいですかね。そういう状況の中で、モデルナを打つのはちょっと嫌だなとまだ思っている方々が大勢おみえになるんだと思うんです。

 先ほど、前の委員の方の御質問の中でも、大臣、一生懸命広報活動をやっていますよという御答弁を聞いておりましたが、大臣にちょっと聞いてみたいんですが、大臣御自身は、いつ、どちらを打たれますか。

堀内国務大臣 私自身は、時期が参りましたら、モデルナを接種すると思っております。

重徳委員 そういったことも一つのメッセージになるのかなとは思うんですけれども、そういったことも効果的に国民の皆さんにお伝えいただければいいのではないかと。これはちょっと私の個人的意見ですけれども。

 それから、ワクチンについて最後。

 これから五歳から十一歳への接種が、まず、公費負担が了承されたと聞いておりますが、分科会で。今後の見通し、そして、特に、やはりこれは大変、メリット、デメリットというものをきちっと説明をしないと、これは子供さん本人の判断じゃなくて、やはり親の判断にもなってきますし、子のことを思う親の立場に即した説明をきちっとしていただかなきゃいけないと思うんですが、今のお考えをお聞かせください。

堀内国務大臣 五歳から十一歳までの子供のワクチン接種、いわゆる小児接種につきましては、ただいま重徳委員御指摘いただきましたように、先日、二十六日に開催された厚生労働省の審議会において議論されました。そして、その結果、予防接種法に基づく予防接種に位置づける方向性が了承され、努力義務規定の適用等については、引き続き、今、議論されることとなっていると承知しております。

 審議会の議論を踏まえて、この接種を開始することとなった場合に対しては、希望者の皆さんにできるだけ早くワクチン接種を開始できるように、そして、先ほど御指摘いただきましたように、保護者の皆様方が接種の判断をするに当たって必要な、有効性そして安全性などの情報を発信していくことが大事だと思っております。

 昨年末には、保護者の皆様方と車座対話を行い、そして、小児接種への不安も含め、直接御意見も伺ってまいりました。

 いただいたお声も踏まえて、正確な情報を分かりやすく発信できるように取り組んでまいりたいと思っております。

重徳委員 ワクチンの質問はここまでにしますけれども、やはり数字的なもの、目標をしっかり定めて、そして、どこまで到達しているか、先ほど言いました大規模接種会場、都道府県が設置する大規模接種会場、これについてもきちんと把握をして、その進捗状況を、応援していくということが必要なんだと思うんです。

 期待しておりますので、応援しておりますので、是非、堀内大臣、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 じゃ、御退席、どうぞ。

 続いて、いわゆる敵基地攻撃能力について、防衛大臣、外務大臣にお伺いしたいと思います。

 立憲民主党は、昨年来、外交・安全保障・主権調査会という組織体を設置をいたしまして、日本を取り巻く厳しい安全保障環境の変化への現状認識、厳しく共有をいたしまして、例えば、尖閣諸島周辺の中国海警船の侵入に対応するための法案、これは、海上保安庁を増強する、そして、海上保安庁の装備や人員を体制強化して、その上で、海上保安庁の警備を補完する必要があるときには、自衛隊の部隊に海上警備準備行動という新たな枠組みを設定をいたしまして、我々の法案では、そのような発令ができるということを定めたりしております。

 こういった取組を、今年も立憲民主党挙げて進めてまいりたいと思っております。

 そういった中で、ここのところ、連日、これは総理答弁の中にもありますように、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、これは総理答弁ですよ、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に対応していき、その中で国民の皆様にもしっかりと御理解いただきたいと考えていると。そして、御指摘の、答弁ですからね、御指摘の専守防衛の考え方や、次です、日米の基本的な役割分担を維持しつつ、こうした検討を進めてまいります、このような岸田総理の発言がございました。

 ここで、素朴な疑問ですよね、これ。敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除しないんだけれども、日米の基本的な役割分担は維持すると。基本的なという言葉をあえて入れているところが一つのみそなんでしょうか、これ。この答弁内容について御説明いただきたいと思います。

岸国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増しております。急速なスピードで変化、進化しているミサイル技術などに対しても、国民の生命、暮らしを守っていかなければいけない。十分な備えができているのか、いわゆる敵基地攻撃能力も含めて、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいるところでございます。

 その上で、いわゆる敵基地攻撃能力を含むあらゆる選択肢について、今後、国家安全保障戦略等を策定する中で議論していくものであって、この内容等について現時点でお答えできる段階にはありませんが、前提として、この検討は日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めていくということを申し上げているところでございます。

重徳委員 もうちょっと詰めたいと思います。

 日米の役割分担は基本的に維持するということですが、この日米の役割分担、これは、よく言われるのが、日本は盾の役割でアメリカは矛の役割だと。これが役割分担だと思うんですけれども、あらゆる選択肢を排除しないわけですから、仮に敵基地攻撃能力なるものを日本が保有するとなった場合に、この日本の役割というのは盾のままですか、あるいは、敵基地攻撃能力ですから、矛の役割も担うことになるんですか。お答えください。

岸国務大臣 日米のガイドラインには、日本は、国家安保戦略及び大綱に基づいて防衛力を保持するということ、それから、米国は、引き続き、その核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じて、日本に対して拡大抑止を提供する、また、引き続き、アジア太平洋地域において即応態勢にある戦力を前方展開するとともに、それらの戦力を迅速に増強する能力を維持するとされています、ガイドラインは。

 日米安保条約に基づく義務やこのガイドラインに示された役割などを総体的に、総体を意味するものと解釈をしておるところでございます。ここで言うところの役割分担ですね、基本的な役割分担ということです。

重徳委員 ちょっと、質問にお答えいただきたいんですけれども、明確に、盾と矛の役割というのは、よく与野党を超えて共有されている概念だと思うんですね。ですから、文章にはいろいろ書き方があるから、盾だの矛だの言っていないと思いますが、じゃ、敵基地攻撃能力というのは、盾なんですか、矛なんですか。端的にお答えください。

岸国務大臣 盾か矛かということではなくて、まさに我が国自身の安全保障に関わることでございます。それで、我が国の安全保障に関することで、我が国が主体的に我が国の防衛をしっかり強化していく、このことはこれまでも申し上げていることでございますので、そういう中で、日米安保の中での権利義務関係もあります、そういった役割分担を、基本的な役割分担を変えないということでございます。

重徳委員 今の私の大変シンプルな質問に対してシンプルにお答えできないということ自体が何かを示しているように思うんですが、そこはどうなんでしょうか。

 今まではどうでしょう。盾、矛ということを前提とした、つまり、日本は専守防衛だと。しかし、私は、別にどっちじゃないと絶対いけないということを今の段階から言っているんじゃなくて、政府が今どう考えているかということをお聞きしたいんです。日本は盾じゃなかったんですかね。

岸国務大臣 いわゆる敵基地攻撃能力につきましては、これから安保戦略を立てていく中で検討していくわけでございますが、いわゆる敵基地攻撃能力ということについて言えば、昭和三十一年の統一見解に示されているように、我が国に対しての急迫不正な侵害が行われて、誘導弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をすることが、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことであり、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるということでございます。

重徳委員 今までいろんな累次の政府の質問は、もう全部私、分かっていますよ。今の話も分かっています。

 じゃ、もう一回聞きますよ。

 今まで日本は盾だった、これからも盾のままなんでしょうか。その原則は変わらないんでしょうか。

岸国務大臣 我々は、これまでも専守防衛を基本にやってきております。そういったことは今後も変わってこないということでございます。

重徳委員 じゃ、大臣、そうしたら、これはどうですか。今までアメリカは矛の役割でした。今までアメリカは敵基地攻撃能力を持って、現に持っていますよね、アメリカは敵基地攻撃能力を持っていますよね。そして、それは矛の役割なんですね。そこの定義づけをお願いします。

岸国務大臣 敵基地攻撃能力について、アメリカ軍が打撃力を行使するという意味では、そのとおりでございます。

重徳委員 打撃力を持つのが敵基地攻撃能力ということですかね。敵基地攻撃能力というのは、今大臣がおっしゃった、打撃力を持つということであり、それは矛であり、アメリカが今果たしている役割だ、こういう一貫した答弁でよろしいですか。

岸国務大臣 アメリカはそのような能力を持っているということでございます。

重徳委員 じゃ、今、政府が御検討されている、そして選択肢から排除されていない敵基地攻撃能力というのは、アメリカの今の打撃力を伴う敵基地攻撃能力と違う敵基地攻撃能力ということでしょうか。

岸国務大臣 その議論が今行われているわけであり、これから三文書の中で検討していくということでございます。

重徳委員 つまり、矛にもなり得るという、その選択肢も排除しないという意味でしょうか。

岸国務大臣 これから議論をしてまいるところでございます。

重徳委員 今私が質問したこと、そして大臣の御答弁、そしてこれまでの政府の累次の、盾と矛の関係について、これまでの見解を維持するのか、変えるのか、変え得るのか、この辺りを整理して、統一見解にして提出をいただきたいので、委員長にお諮りします。

根本委員長 理事会で協議します。

重徳委員 この部分はやはり言葉でごまかさずに、しかし、岸田大臣は結構言っていると思いますよ、いわゆる敵基地攻撃能力を含むあらゆる選択肢を排除しないというのは。そして、その意味が、これまでの政府の見解を変え得るということまで今踏み込んでいると思うんですけれども、そのことは、やはり国会を始め日本国民にきちっと理解をしてもらわなきゃいけないと思うんです。

 時代も変わった、安保環境も変わった、アメリカのみならず、中国も軍事大国として台頭してきている、そういう状況の中で、背景が変わり、そこにどう対応していくのかという選択肢の中には、今までの役割だって変え得る選択をしなくちゃいけないんだ、そういう議論を、そういう検討を政府が今しようとしているんだということは、そうならそうとはっきり言っていかないと、いつも安全保障の政策、防衛省の政策というのは曖昧なんですよ。

 そして、出してほしい、出していただいても全然おかしくないような情報も、手のうちをさらすという一言で出さないのが、日本の安全保障に関する国会での論戦なんです。去年も、安全保障委員会の筆頭理事として、私はそんな思いばかりずっと持って過ごしておりました。

 その意味で、一つお尋ねしたいのが、一部報道されておりますけれども、自衛隊と米軍が日米の共同作戦計画の原案を策定したという、これは報道ですから、そんなことは言えないと言うのかもしれませんけれども、しかし、今月行われました日米2プラス2の共同声明の中にも、緊急事態に関する共同計画作業について、先ほどの共同作戦計画のことですね、共同計画作業についての確固とした進展を歓迎する、このようなくだりがございます。

 日米の共同声明の中にまで書かれているこの共同計画の概要といったものについて、現時点の内容、そして進捗状況について御説明いただけないでしょうか。

岸国務大臣 二〇一五年に策定されました日米のガイドラインの下で、日米の両政府は、我が国の平和と安全に関する緊急事態についての共同計画を策定、更新することとしております。

 今回の2プラス2では、共同計画作業についての確固たる進展を歓迎いたしました。

 共同計画の策定状況や具体的内容の詳細については、緊急事態における日米両国の対応に関わるものでありますので、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

重徳委員 これから進捗していくんでしょうから、その都度できる限りの情報はやはりお示しいただきたいんです。国会でも議論がしようがありませんし、国民にもかえって迷惑をかけることだってあります。そういう姿勢を持って防衛政策に、そして外交政策に臨んでいただきたいということを申し上げます。

 それで、最後、一、二問だと思いますが、萩生田経済産業大臣にお尋ねをしたいと思います。カーボンニュートラルと、それが国内産業に与える影響でございます。

 二〇五〇年のカーボンニュートラル国際公約は、地球環境、人類の文明を守るという意味においては、持続させるという意味において極めて大切な政策だと思います。恐らく世界中が、産業も変革され、社会も変わっていくでしょう。

 しかし、少しやはり気になるのは、私の地元でいうと、自動車産業が大変発展してきているんですけれども、EVというものが、メディアも面白いからどんどん取り上げて、小さな発表でも大きな発表でも必ず紙面に大きく載ります。そして、テスラのような、私もこの間試乗しましたけれども、なかなか楽しい車です、ああいったテスラがもてはやされ、株価も急上昇ということで、そういう状況で、これから世の中は、もうガソリン自動車もハイブリッドも全部なくなっちゃって、全部、二、三十年後にはEVになっちゃうんじゃないかというぐらいの印象を持っている国民の皆さんもいらっしゃるんじゃないかと思います。

 ここは冷静になって、そして、これまで百年培ってきた日本の製造業、物づくりの技術力というものを堂々と世界にも知らしめていく必要がある。EUが、環境政策、国境炭素税とかいろんなことを持ち出してルールメイキングをしようとする中で、日本は果敢に戦っていかなければならないと思います。

 そこで、EV、EVと言うけれども、そう簡単なものじゃないぜということ、プラス、これからこのカーボンニュートラルに関する、特に外交面で、外交といいましょうか、通商面といいましょうかね、経済産業大臣、における大臣のお立場、姿勢を御答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 今、重徳先生がもう質問の中で私の思いは全て発言していただいたと思っております。

 確かに、EV、はやっておりますが、例えば、車両価格の高さですとか、航続距離の短さ、充電時間の長さですとか、生産プロセスにおけるCO2の排出削減といった課題もございます。こういった課題を克服するために、エネルギー密度の高い高性能な蓄電池の開発ですとか、電源の脱炭素化も進めていかなくてはなりません。

 また、我が国自動車産業が国際競争力を維持しつつ自動車のカーボンニュートラルを実現するためには、電気自動車に加え、燃料電池自動車ですとか、燃料の脱炭素化など、多様な選択肢を追求しながら、戦略的に取り組んでいくことが大事だと思います。

 これは、再生可能エネルギーとよく似た話で、ヨーロッパは、風力発電や太陽光でできるじゃないか、こうおっしゃって、それが世界の主流のように言われていますけれども、陸続きで他の国と続いている、エネルギーが融通できるヨーロッパと島国の日本とはもう全然違うのと同じように、もっと言えば、先生のお地元で造っていただいたハイブリッドなんというのは、これは、出たときは世界がびっくりしたわけですよね、電気とガソリンを上手に使いながらって、こんな技術はもう世界がびっくりした技術なわけですから、これを更にブラッシュアップして、日本ならではの言うならばEV化というものを目指していく必要があると思っています。

 そのためには、技術も含め、また業界も含め、皆さんが、ちゃんと下請の企業の皆さんも含めて一緒についていってもらえるような新しいスキームというのをつくっていかなきゃならないと思っておりますので、言うならば、風に流されることなく、どっしりと、日本の自動車産業、日本ならではのカーボンニュートラルに向けてしっかり努力をしていきたい、こう思っております。

重徳委員 日本の国益を追求する政府であっていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

根本委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、日本の未来、これをどのようにして展望していくのか、そうしたことについて、世界最先端の技術や知見、また潮流などを踏まえながら質問をさせていただきたいと思っておりますので、関係大臣そして参考人の皆様におかれましては、是非建設的な議論を望みたいと思います。

 皆さん、ダボス会議の中でこんな議論が語られたのを御存じでしょうか。今生まれた子供たちは、きっと運転免許を取る必要はない。これは要するに、十数年後に自動運転の車が普及をすることを念頭に語られた言葉でございますが、やはり時代というのは移り変わっていくものでありまして、様々な未来を見据えた上で、ムーンショット型で、どういう政策を組み立てていくのかということを、まさに政府・与党、そして野党とともに考えていかなければならないということを思っているんです。

 例えば、通貨という話も、今、デジタルマネーが、電車に乗るときにはPASMOやSuicaなどを使って乗ることが主流になっていますが、今後、お金についても、今は一万円札だったり五百円玉を使っていますが、例えば十五年後には、きっと、今切符を買う人ぐらい、貨幣や硬貨を使う人というのは少なくなるんじゃないかということが見込まれているわけです。

 その中において、今、ウェブ3という概念が非常に世界的に有名になってまいりまして、端的に言うと、ブロックチェーンを活用したインターネットの新たな手法ということになりますが、このウェブ3時代を見据えて、経済圏がどうなっていくのか、国家基盤のDXをどのようにして進めていくのか、こうしたことをやはり考えていかなければならないフェーズに入ってきたんじゃないかということを思っているんですが、まず、牧島大臣に伺わせていただきます。

 このウェブ3時代の時代認識について、政府としてはどのように考えられておられるのか、端的に御答弁いただければと思います。

牧島国務大臣 委員御指摘のとおり、新しい技術に対してアンテナを高く張っていくということは重要だと思っています。

 このウェブ3については、今ブロックチェーンを基盤としたという御説明があったとおり、新たなインターネットの在り方を変えていく可能性があるというふうに指摘をされている、期待がある一方で、まだ、どのような抽象的な概念が広がっていくのか懐疑的な見方もあるというふうに私どもとしては受け止めております。

 いずれにしても、日々変化する技術トレンドを把握して、技術の動向を注視するという姿勢は持っていきたいと思います。

中谷(一)委員 是非勉強を重ねていただきたいと思います。現場の方々、このブロックチェーンを活用した相当な技術というものが世界的にはやはり主流になってきていますし、官民連携でそれをどのように育てていくのか、こうした観点が重要だと思いますので、是非、大臣におかれましては注視をいただければと思っております。

 続きまして、日銀総裁に本日はお越しをいただいております。ありがとうございます。セントラル・バンク・デジタル・カレンシー、中央銀行が発行するデジタル通貨について、この先の質問は伺わせていただきたいということを思っております。

 日本の中央銀行制度に強い影響を与えたドイツでは、通貨発行権が国家の主権だということを言われており、日本においても、ウェブ3時代に、通貨を時代のニーズに合わせてどのように発展をさせていくのか、こうしたことは非常に重要なテーマであるということを思っております。

 CBDCの発行に関する主なメリットは、現金に関わるコストの軽減、決済など金融分野の効率化と安定性の確保、キャッシュレス化を含む経済社会のデジタル化やイノベーションなど、こうしたことが挙げられるわけでございますが、その中において、国際決済銀行の調査では、回答した世界の中央銀行のうち八六%が、CBDCに関して、予定を含めて何らかの研究、実験、開発を進めていくということを言っている現状があります。

 その中で、世界的にCBDCへの関心が加速をしていく中、基軸通貨である米ドルを発行するアメリカのFRBが、今年一月二十日にデジタルドルに関する初の報告書を公表いたしまして、パブリックコメントを求めているという現状があります。パウエル議長もデジタルドルについて優先度の高いプロジェクトだと述べておりますが、こうしたセントラル・バンク・デジタル・カレンシーに関わる世界の潮流について、日銀総裁はまずどのように捉えられているのか、伺います。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、現在、多くの国でCBDCに関する検討が進められておりまして、その内容も、抽象的なリサーチから、より実務的な政策分析や技術的な実験に軸足が移りつつあります。

 ECBでは、二年間の調査フェーズを開始して、その結果を踏まえて、デジタルユーロの発行の是非を判断するという方針を明らかにしております。

 また、日本銀行では、一昨年十月にCBDCに関する取組方針を公表し、昨年四月から実証実験を開始しております。

 御指摘のこのFRBの報告書は、CBDCの潜在的な利点やリスク、政策上の検討事項を整理したものでありまして、今後、米国でも様々な経済主体との対話が進められていくというふうに認識しております。

 もちろん、CBDCの位置づけとか具体的な検討の進め方は国や地域によって様々ですが、デジタル社会にふさわしい安定的、効率的な決済システムの構築を目指している点では同じでございます。

 日本銀行としても、引き続き、各国の動向を注視するとともに、内外の関係者と密接に協力しながら、様々な知見を自らの検討に生かしていきたいというふうに考えております。

中谷(一)委員 るる御答弁をいただきました。順を追って一つずつ確認をさせていただきたいと思いますが、まず、デジタル人民元について伺わせていただきたいと思います。

 中国は、来月に行われる北京オリンピック、これに照準を合わせてデジタル人民元の利用を展開する計画と見られており、ウォレットアプリの個人ユーザーの数、これは二億六千万を超えたそうでございます。日本の人口よりも多い数字がもう既に登録をされている現状がある。

 その中で、中国は、G20の中で本格的なCBDCの発行というものを始める最初の国になるということの公算が高まっており、米中関係の緊張がより顕著になるということを思っておりますが、日本においてもこのデジタル人民元が持つ潜在的な可能性は経済安全保障上、非常に大きな脅威になるということを思っているんです。

 鈴木財務大臣に伺いたいと思いますが、大臣は、デジタル人民元の発行、これはどのように捉えられているのか、経済安全保障上の観点も踏まえて御答弁いただけますか。

鈴木国務大臣 今お話がございますCBDCでございますが、お話しのように、中国が先進国と比較しまして進んでいるということ、これは承知をいたしております。やはり、そういう中において、経済安全保障でありますとか米ドル基軸通貨体制の安定等をどう考えていくかということ、これは大切なことである、そういうふうに思ってございます。

 ただ、デジタル人民元に限らず、デジタル通貨が通貨として広く利用されるには、流動性、安全性の観点から通貨としての高い利便性を有する必要があると理解をしております。

 デジタル人民元が経済安全保障や米ドル基軸通貨体制にもたらす影響については、中国の資本規制、例えば、外資の在中国法人が本国に送金する場合、上限規制がかかっている等が人民元の利便性に及ぼす影響がどうなっていくのか、そういうことも考えなければならないと思っております。

 いずれにしましても、引き続き、デジタル人民元の動向を注視していきたいと思います。

中谷(一)委員 御答弁をいただきましたが、認識としてまだ少し甘い部分があるんじゃないかと心配をしました。

 といいますのも、中国自体は、自国の仕様を国際標準にすることを目指す中期目標を掲げていて、これは中国標準二〇三五というものなんですけれども、CBDCの主権ですね、こうした基盤システムの標準化というものをもし中国が先行して取ることになったならば、これは極めて大きな脅威になるということを思っています。

 続けて、これは日銀総裁にも伺っていきたいということを思っているんですけれども、こうした状況を踏まえれば、やはり、デジタルユーロやデジタルドル、様々な研究や実証実験が進んでいますが、欧米と連携をしてCBDCの国際標準について主導権を持って進めていく国家戦略というものを私は作っていく必要があるということを思っているんですが、日銀総裁は日本におけるCBDCの戦略についてどのように描かれているのか、日銀総裁としてのお立場で展望をお示しください。

黒田参考人 もとより、CBDCの検討を進めるに当たっては、それぞれの中央銀行にとって重要なことは自国の決済システムの安定性や効率性を確保、改善していくことであることは言うまでもありませんが、その上で、CBDCのクロスボーダー決済への活用可能性を確保することも踏まえまして、各国の動きをフォローしつつ、CBDCに関する情報技術の標準化に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

 この点、日米欧の七つの主要中央銀行から成る共同研究グループ、ここに日銀も参加しているわけですが、そこにおいて、CBDCに関する国際標準の在り方、これが主要な検討課題の一つに挙げられておりまして、日本銀行としては、こうした議論に積極的に参画することなどを通じて、CBDCの国際標準に対する取組が我が国にとっても適切な形で進むよう、特に欧米との、共通できる点はできるだけ共通するような国際標準というものを確立していく必要があるだろうと。これは、市場経済であり民主主義の政治体制であるところがしっかりしたCBDCの国際標準を作り上げていく必要があるというふうに考えております。

鈴木国務大臣 中谷先生がおっしゃるとおり、CBDCについて、日米欧で連携をして国際的な主導権を確保する必要がある、そういうことはしっかり思ってございます。そのためにも、G7を中心に、これまでも緊密に連携しているところでございます。

 昨年の十月でありますけれども、G7財務大臣・中央銀行総裁会議では、プライバシーの保護や国際的な利用に伴う波及効果などCBDCに係る幅広い公共政策上の課題についてG7の内外において各国が検討する際の指針となる原則を取りまとめて、公表いたしました。

 引き続き、中国を含め、CBDCをめぐる各国の動向を注視しつつ、重要なのは、G7や国際機関と連携をして、G7の原則に沿った取組を各国に促すこと等について、今後ともしっかり対応していきたいと思います。

中谷(一)委員 確認ですが、今までの日銀総裁と財務大臣の答弁を踏まえますと、日本においては、現時点において発行する計画はないんだけれども、今後発行することを見据えて実証実験を行っているという理解でよいですか。日銀総裁、確認させていただいてもいいですか。

黒田参考人 確かに、各米欧の中央銀行と同じく、CBDCを発行するということを決めたわけではありませんが、CBDCに求められる機能、特性、それが技術的に実現可能かどうか等を、実証実験を段階的、計画的に実施しておりますし、さらには、制度設計面の検討もそろそろ始めようというふうに考えております。

中谷(一)委員 分かりました。

 そういった将来展望を持ちながら、いつでも発行に向けて取組を行っていけるということは非常に重要なことだと思っておりますので、私は、年次フローなども含めて本来は示していくべきなんじゃないかということを思っております。

 資料も配付をさせていただいておりますが、欧州中央銀行のラガルド総裁が、就任して以降、デジタルユーロの発行に積極的な姿勢を示されておりまして、既にプロジェクトが立ち上げられて、正式に発行すると決まった場合には、調査フェーズを終えた後、三年かけて発行準備に入ることになっています。これはすなわち、単純計算をすると、二〇二六年ぐらいには最短でデジタルユーロが発行される見込みとなっていまして、現に二〇二一年にラガルド総裁も四年以内に実現することを望むということを述べて、早期発行のスタンスを持っているわけでございます。

 その中において、日本でも今、実証実験、ステップワン、ステップツーとやっていて、今後パイロット実験に移行することを踏まえれば、どこかのタイミングでこのデジタル円の発行の決断をすることが必要になると思います。

 それで、今もう発行することを見据えた研究を行っているということなんですけれども、いつぐらいまでに発行される想定であるのか、年次目標の展望について、黒田総裁、お示しをいただければと思います。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、実証実験で、技術的な実現可能性、これを段階的、計画的に実施しておるわけでして、さらに、制度設計も議論するということであります。

 もとより、CBDCの導入に当たりましては、こうした技術面とか制度面のことも踏まえて、かなり広範かつ大規模な取組が必要となります。そのため、CBDCを発行するか否かを判断するためには、政府あるいは民間事業者などと十分に議論を尽くすことはもちろんのことですが、最終的には国民の十分な理解が得られることが不可欠であるというふうに考えております。

 今現在は具体的なスケジュールが決まっているわけではありませんが、何よりも、今申し上げたとおり、技術的、制度的な検討だけでなく、やはり、政府、民間事業者と十分議論を尽くして国民的理解を得るということが最も重要であるというふうに考えております。

中谷(一)委員 もちろん信認と利便性のバランスは重要なんですけれども、早ければいいというものでもないですが、遅くていいというものでもないと思うんです。

 なので、確認をさせていただきますが、では、発行のスケジュールじゃなくて、できるかどうかの能否、要するに、技術的にも制度的にも、いつ頃からなら私たちはできるのかという判断は、いつ頃出していただけますか。

黒田参考人 二つのポイントがあると思うんですけれども、一つは、もちろん、技術的な可能性、制度設計の部分ということで、これは日本銀行の中で十分議論するということであります。

 もう一つは、先ほど申し上げた政府、民間事業者との、今もう既に対話を始めておりますけれども、それに加えて、先ほど来議論になっておりますG7あるいは七つの中央銀行を中心としたCBDCの国際標準に関する議論が進んでおりますので、その動きも十分注視していかなければならない。

 ですから、この二つの点を考慮して、何年後とは言えませんけれども、ある時点で決断する必要があるというふうに考えております。

中谷(一)委員 今の話を総合的に聞いていますと、人民元は少なくとも今年リリース化される可能性が高い、そしてデジタルユーロは二〇二六年までに発行される可能性がある。それらを踏まえると、日米欧で連携をしてやっていくとすれば、やはり日本においても、少なくとも二〇二六年ぐらいまでには、賛否じゃなくて能否の判断についてはできているという理解で大丈夫ですか。

黒田参考人 私、個人的にはそう思いますけれども、ただ、それ以上はまだ、日本銀行の中でも、それから政府との調整でも、さらには国際的な標準の動きにも変動があり得ますので、確約はできませんが、私も個人的にはそのように思います。

中谷(一)委員 踏み込んだ答弁をいただきまして、ありがとうございます。十分な答弁をいただきました。

 是非、日銀の皆さんの力で、このCBDCの発展というものが、大きく、私たちが世界の標準を取れるかどうかということは皆さんの力に懸かっていると思いますので、是非、前向きな研究、検討を進めていただければと思います。

 続けて、次に、私、国会のオンライン化の話を一問だけ、午後に入る前に触れておきたいということを思っているんです。

 私、パネルを用意させていただきました。私は、危機管理や業務の効率化、そして共生社会の観点から、オンラインを活用した議会開催が選択できるようにするということはすごく重要なことだと思っているんですね。

 その中で、やはり、立法府や行政府で働く私たちは国民の生命や財産を扱うわけですから、業務を止めることはできませんので、継続性を持っていかなければなりませんし、効率的にしていかなければなりませんし、共生社会の観点からも、障害を持っている方や妊娠をしている女性の方が議決権を行使できる環境を整える、極めて重要なことだと思っています。

 その中で、日本の憲法の五十六条の出席に対する解釈というもので、今様々な議論が行われているんですが、私、調べてきました、G7の国々。オンライン審議や審査をするために憲法改正した国はあるのかなと調べてみましたら、一つもありません。その中で、スペインの議会も、日本の憲法とよく似ているんですけれども、出席の要件は、下院規則で、投票できるようにします、議場にいなくても大丈夫ですということに幅広く解釈をして運用されている現状があります。

 我が党でも奥野議員が、憲法改正が実現しなければオンライン審議、審査ができないといったような、ハードルを上げて実現を難しくするような議論じゃなくて、有事においては目の前にある課題を適切に改善していく建設的な議論を私は各党各会派で行っていくべきであるということを考えているんですが。

 そこで、立法府の衆議院議員であり、行政府の要である官房長官に伺わせていただきますが、新型コロナの感染拡大がこれだけ多くなっている中で、国会でクラスターなどが発生したときにも、国民の生命や財産、これを扱う立法府や行政の業務を滞らせることがないように、私は、立法府としても行政府としても、国会におけるオンライン審議、審査を行える環境整備をした方が、業務の継続性や効率性、危機管理の観点からもいいんじゃないかなと思うんですが、官房長官、いかがでしょうか。

松野国務大臣 中谷先生にお答えをいたします。

 国会審議のオンライン化についてという御質問でございますけれども、国会の議事の在り方につきましては国会でお決めをいただくものでございまして、政府の立場で御意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。議員御指摘の点も含めて、各党各会派において御議論をいただければと思います。

中谷(一)委員 行政府的な観点からも、やはりこの立法府が変わることに対して、よりよくなるという感想もお持ちじゃないですか、長官。

松野国務大臣 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、三権分立の制度下におきまして、極めて重要な国会の御審議でございます。その運びに関しましては、国会で、各党各会派において御議論をいただければと思います。

中谷(一)委員 これ以上の審議は午後に移らせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中谷一馬君。

中谷(一)委員 質問に入らせていただきます。中谷一馬でございます。

 午前に引き続きまして午後の質問に入るわけでございますが、地方自治体議会のオンライン本会議の開催ということで、総務大臣にお越しをいただいております。よろしくお願いします。

 今、地方自治体の多くから意見書が寄せられているということは大臣も御存じだと思います。約三十の自治体から、若しくは都道府県議長会から、オンライン本会議、これを実現するための地方自治法の改正であったりとか、出席の解釈、こういったものに対しての変更というものを行ってほしいということが、様々なところから声として上がっている現状があります。

 私自身も、昨年の三月に内閣委員会で、当時、総務副大臣でしたが、質疑をさせていただきまして、これらの改正、出席の解釈変更であったりとか法文の改正をした方がいいんじゃないですかという趣旨の質問をさせていただきましたところ、返ってきた答弁としては、「国会における出席という考え方にも留意しながら考えていく課題だと認識をしております。」という答弁が返ってきたんですけれども、私は、少なくとも、先進的に自治体が進めたいと思っている事例に関して国が足を引っ張るようなことをしちゃいけないと思うんですよ。むしろ、国がやらないと地方ができないみたいなことになってしまうと、それこそおかしいことになってしまいますので、私は、柔軟にこういった地方自治体の先進的な取組はサポートをしていくべきだということを思っている立場なんですが。

 そこで、大臣にまず冒頭伺いますが、この答弁における国会の出席の解釈と地方自治体議会の出席の解釈を一にして検討しなければならない根拠はそもそも何かあるんでしょうか、お示しください。

金子(恭)国務大臣 中谷委員に御答弁申し上げます。

 これまでも御質問していただいていることは認識をしております。午前中、松野官房長官からも御答弁したとは思っているんですが、もう釈迦に説法でございますが、地方議会の本会議においては、地方自治法上、「議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。」などとされており、定足数や表決の要件として、出席と規定されております。

 中谷委員が御主張のとおり、これについては、この出席が、現に議場にいることと解されており、憲法あるいは国会法に言う出席と同様の意義と解されております。したがって、オンラインによる本会議の開催は認められないものと考えております。

 オンラインによる本会議の開催については、まずは、一部の地方議会において実施されているオンラインによる委員会の開催状況や、そこで生じている課題、運営上の工夫などをよく踏まえて、慎重に検討しなければならないというふうに考えております。

中谷(一)委員 大臣、確認をさせていただきますが、今のこの国会で実現していないものは地方議会では認められない、要するに、国会の出席と一にするという趣旨のものに対して、これは、まあ国会準拠論的な話だと思うんですけれども、法的根拠はないという認識で正しいですか。要するに、解釈でそれが行われているという認識で正しいか、確認させてください。

金子(恭)国務大臣 これは、地方自治法の解釈でそのようになっております。

中谷(一)委員 この解釈も昭和二十五年から変わっていないわけですよ。要するに、七十年以上変わっていない解釈を今の時代に持ち出して、令和二年の、コロナがはやり出した時期に、わざわざ、これは暗に議場にいないと駄目ですよということを通知で出すこと自体が、僕は論としては、ずれていると思うんです。

 なので、もう一度確認させていただきますが、法的根拠はないんだけれども解釈がそうだから総務省として通知を出しているという理解でよろしいですか。

金子(恭)国務大臣 地方議会の本会議は、その団体意思を最終的に確定させる場であり、その際の議員の意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われることが必要であります。

 出席の解釈につきましては、委員御指摘のとおり、従前からの解釈に立っているところでありますが、この解釈を変更することについては、国会における対応のほか、先ほども申し上げましたが、一部の地方議会において実施されているオンラインによる委員会の開催状況や、そこで生じている課題、運営上の工夫などをよく踏まえて、慎重に検討しなければならないと思っております。

中谷(一)委員 地方の声を是非聞いていただきたいんですね。

 資料でも配付をさせていただきましたが、みんな、オンラインで本会議をやりたいと思っている人が多いんですよ。なぜならば、やはり、業務をむしろ継続させなきゃいけないと思っているし、効率的にしなきゃいけないと思っているし、みんなが参加できる形でしなきゃいけない、しかも、それは既知の技術でもうできる状況にあるんだから、私たちで、国会が進められないのは、それは国会の議論があるからしようがないよ、でも、地方自治体が先に進められるところは地方の権限で進めさせてよという切実な思いがここには詰まっていると思うんですね。

 なので、是非大臣、出席の解釈、これを変更していただくか、地方自治法で、オンライン本会議ができる環境を、むしろ、是非一緒に考えて、整えていただくことに力をかしていただけませんか。

金子(恭)国務大臣 先ほど、まずは地方議会におけるオンラインによる委員会の開催ということを申し上げました。

 地方自治法上も、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止措置の観点を踏まえ、オンラインによる方法を活用して委員会を開催することも差し支えない旨を令和二年四月の通知でお示しをしております。

 さらに、地方からの思いの中で、オンライン委員会、これについては、条例等の改正状況につきましては、全団体千七百八十八団体の中で、実際、条例改正までして委員会が動いているところが一・九%しかございません。さらに、オンライン会議を開催している団体は、全部で四団体しかないということでございます。

 しっかり、この状況を見ながら、今おっしゃったことも含めて、我々も受け止めていきたいと思います。

中谷(一)委員 これは、国がやはり方針を示してあげないことには、やろうと思っても動き出せない議会がたくさんある。しかも、先進的にやりたいと思っている自治体のその尊厳をどう重んじるかということは、僕は極めて重要だと思っているんですね。

 デジタル担当大臣、ちょうど同席なので是非伺いたいんですが、デジタル社会の形成に、まさにその司令塔としての立場を果たされている方だと思います。未来志向で社会のDXをどう進めるかというお立場の中で、今の答弁で本当にいいですか、あれで。是非御答弁ください。

牧島国務大臣 議論を聞かせていただいてまいりました。

 地方自治法の解釈、また、総務大臣がおっしゃっていること以上のことは、私の立場で申し上げることはできないのですけれども、地方自治体や地方議会、一般論として、DXを進めたいというお気持ちがあることは、私たちとしても重く受け止めております。

中谷(一)委員 是非、閣内で様々議論をしていただいて、地方でやはりそういう声が現実的にあって意見書が上がっているわけですから、是非柔軟な対応を求めさせていただきますことを要望させていただきます。

 続きまして、在外邦人の投票環境についてという質問に移らせていただきます。

 こちらも資料を用意させていただいたんですが、政治学において、個人が選挙に行くことの合理性というものをライカー・アンド・オードシュックのモデルで表されることがあります。簡単に説明をすると、みんなが投票に行くモチベーションはいろいろあるんだけれども、これを全て掛け合わせた数値よりもコストが勝ったときには、みんな投票に行かなくなりますよ、そういったモデルです。

 その中で、例えば、東京―新潟間の距離を移動しないと在外公館にたどり着かないとか、宿泊とか移動費で二万六千円費用がかかるとか、いろいろな報道がまさに出ていたわけでありますけれども、この在外の投票環境をどう整えていくかということは、まさに憲法で保障された参政権を守ることにつながると私は思っておりますので、質問と改善提案を行わせていただきたいと思っているんです。

 こちらもパネルを用意させていただきました。約百万人、海外に有権者がいらっしゃいます。そのうち、投票できた人は約二万人、二万人弱、二%以下だったということなんですね。

 これの大きな要因というのは、そもそも在外の投票を行うには、自治体の選管に対して在外選挙人名簿の登録の手続、これが必要になるわけなんですけれども、海外へ転出後の手続というのは、在外公館まで行かないと行うことができないんですね。その後、登録までに二、三か月の月日を要するということで、結果として、百万人以上海外有権者がいるのに、在外選挙人の名簿登録をできた者というのは九万六千四百六十六人しかいなくて、一〇%にも満たないわけですね。しかも、この九割の方が登録をできていない、一〇%にも満たない方しか登録をできていない状況の中で、その中で更に投票できた人が二〇%しかいない。

 この現状を見たときに、火を見るよりも明らかなのは、政府が在外邦人に過度な負担をかけている状態を放置をしてしまっている、まずこの現実に向き合わなければならないということを思っているんですね。

 その中で、私は、この在外邦人の選挙人名簿の登録などの事前手続に関しては、ウェブを活用してもっと簡便に登録ができる形に改善することは今の技術なら全然可能だと思うんですけれども、大臣、是非改善していただけませんか。

金子(恭)国務大臣 在外公館における在外選挙人名簿への登録申請は厳格な本人確認等が必要であります。そういうことで、登録申請書における本人の署名や旅券等の提示を求めております。一方で、コロナ禍において、登録申請のために在外公館に出向くことが困難な場合があることについては外務省からも伺っているところでございます。

 そのため、現行法の下で、登録申請書を郵送し、ビデオ通話を活用して旅券等の提示を行うことにより、在外公館に出向くことなく登録申請を可能とすることについて、外務省とともに検討することとしております。

中谷(一)委員 それは対面の手続が簡略化されるので、とてもいいことだと思います。

 そして、手続に関しても、今、厳格な本人確認は、インターネットバンキングですらマイナンバーカードのようなものを使わなくともできる体制というのが整っていると思いますし、もっと言えば、二年後にはこのマイナンバーカードが在外邦人も持てるようになりますから、そのタイミングでは、必ずこのウェブでの申請手続というものはもっともっと簡便にできる形にしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

金子(恭)国務大臣 在外選挙人名簿への登録申請に当たっては、厳格な本人確認等が必要であることから、登録申請書における本人の署名や旅券等の提示を求めています。署名をあらかじめいただくことで、郵便等投票において、投票用紙の請求や、投票する際に市町村の選挙管理委員会が登録申請書の署名と照合することで本人確認を行うことができるようにしております。

 御指摘のオンラインによる登録申請を導入するとしますと、現在の署名に代わる手法の検討も必要となりますので、今後検討させていただきます。

中谷(一)委員 大臣、それは前向きに検討していただけるということですか、導入に向けてちゃんと考えてくださるということですか。

金子(恭)国務大臣 今申し上げましたように、手法の検討も必要となりますので、今後検討していく課題というふうに重く受け止めております。

中谷(一)委員 是非、皆のコストを軽減するような改善を図っていただきますことを強く要望させていただきます。

 その上で、もう一個、インターネット投票、これが私はコストを下げるのには非常に有用だということを思っております。

 去年、立憲民主党と国民民主党の仲間たちとともに、インターネット投票の導入を推進する法律案を衆議院に提出をさせていただきました。この法案では、在外投票及び新型コロナウイルス感染症の患者さん、若しくはその疑いのある者に対してネット投票を早期に実施することを求める、その検討を進めることを明記をしている内容でございます。

 これは難しいことは何もなくて、もうフランスでもエストニアでも既に進んでいて、もっと言えば、日本でももう総務省が実証実験を始めているわけですね。その実証実験も、大幅うまくいっているということを思っておりますので、私は、このシステムを応用して進めていくことは現実的に可能だということを思っているんです。

 この手の話をすると、よく、いや、これは各党各会派における議論的なお決まりの答弁が返ってくるんですけれども、立憲民主党はもう議論できていますから、もう法案まで出していますので。

 なので、僕がお願いをしたいのは、是非大臣に、与党と政府内の議論をリードしていただいて、これは一緒に在外選挙のインターネット投票を実現していただく、その力をかしていただきたいと思うんですが、どうですか、大臣。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 第二百四回国会において、御指摘のインターネット投票の導入の推進に関する法律案が提出されたことは承知しておりますが、議員立法の内容に関する事項について総務大臣としてお答えすることは差し控えたいと思っておりますが、新たな投票方法を導入することは、選挙制度の根幹に関わることから、再三申し上げておりますが、各党会派における御議論などを踏まえる必要がありますので、総務省としては、まずは在外選挙での導入について、引き続き着実に検討を進めてまいりたいと思います。

中谷(一)委員 署名が集まっていまして、次の三年後の参議院選挙ぐらいには導入、実施をしてほしいんじゃないか、技術的には僕はそれはできると思っているんですけれども、見通しや展望があればお示しください。

金子(恭)国務大臣 在外選挙インターネット投票につきましては、平成三十年八月の総務省の研究会報告を踏まえ、これまで、実証用のシステムを用いた検証を行うとともに、制度、運用面の論点の洗い出しを行ってきたところでございます。引き続き、こうした論点の方向性やシステムに必要な機能、システム構成などについて検討を行ってまいります。

 導入に当たっては、マイナンバーカードの海外利用を前提とした本人確認や投票の秘密保持という選挙特有の課題に対応し、限られた選挙期間の中で適切に投開票事務を行うことができることなどの重要な課題について確実な対応が必要であります。

 また、現在認められていない新たな投票方法を導入することは、済みません、選挙制度の根幹にも関わることから、各党各会派において十分に御議論、御理解をいただく必要があると考えております。

中谷(一)委員 政府内の技術検討と制度的な組立て、しっかりと皆さんと連携して進めていただきますことを強く要望させていただきます。

 それでは続きまして、新型コロナウイルス対策について伺ってまいります。

 本日は、尾身理事長にお越しをいただいております。ありがとうございます。

 私は、まず、ピークアウトと第七波に関する認識について伺っていきたいと思うんですが、この第六波が顕著になっています。

 その中で、東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授によれば、オミクロン株については、日本で猛威を振るっているBA・1と、亜種のBA・2が確認されていまして、一月十九日までの空港検疫でオミクロン株の陽性が確認されたゲノム解析の結果が出ていまして、千八百二十六例のうち、日本で広がっているBA・1は約八九%。そして、亜種のBA・2は約一一%の人から確認をされています。

 それで、この状況は、市中感染が十分にあり得ると佐藤准教授は言っているわけでありまして、デンマークの事例などを引き合いに、BA・1の後にBA・2が流行拡大すると、第六波がピークアウトしない、若しくはBA・2による第七波が来るおそれがあるから、引き締め直して対策する必要があるんじゃないですかということを述べられております。

 そこで、まず尾身会長に伺いたいと思うんですけれども、尾身会長は、一月二十一日に新たな提言の中で、オミクロン株による感染拡大は、早ければこの二週間前後でピークが到来する可能性があると記されているんですけれども、今でも、第七波の懸念は想定せずに、このピークアウトに関する見解は有効であるのか、確認させてください。

尾身参考人 感染の拡大のスピードを表す指標ですよね。いわゆる今週先週比というのが二週間前には十を上回っていたんですね。そこに、ここに来て、全国的に見ると二をちょっと上回る程度に来て、沖縄では一を切っている。ただし、ほかの多くの地域ではまだ二を切っていません。

 それで、私の今の懸念というのは、この先週今週比の減少のスピードがここに来て少し鈍化しているということであります。なるべく早く、今二をちょっと超えている先週今週比を、なるべく二に下げて、更に一に行くということが必要だと思います。

 そういう意味では、今までもパーティーや会食でのクラスターというのがあって、こういうことを起こさないということと、それから、今、御承知のように、学校、職場、高齢者施設などで感染が広がっていますが、そういう場面での基本的対策をしっかり徹底する必要があると思います。

 それから、今先生が御指摘のBA・2の状況についても、私は、注意、監視をしていく必要があると思います。

 いずれにしても、我々一人一人の基本的感染対策の徹底が今まで以上に求められていると思います。

中谷(一)委員 尾身会長、確認をさせていただきますが、じゃ、ピークアウトが、鈍化をして、遅くなる可能性を含んでいるという理解で大丈夫ですか。

尾身参考人 今申し上げたようなことで、先週今週比の減少のスピードがちょっと鈍化しているので、私は、この一、二週間でピークアウトするかどうか、予断は許さないと思っております。

中谷(一)委員 その中で、山際大臣に伺いたいんですけれども、私、緊急事態宣言を行うときの新たな基準というのが去年変わっていまして、一月二十六日時点における数値というものを持ってまいりました、資料を配付をさせていただいております。

 重症病床の使用率が五〇%を超え、病床使用率が五〇%を超えたときには、緊急事態宣言に関する検討というものが始まってくるということを思うんですけれども、例えば、今、東京都でいいますと、病床使用率が四二・八%、それで、五〇%になった段階で国への緊急事態宣言の要請を検討するということを言っています。大阪は、大阪の指標ですけれども、既に五三・九%になっていて、医療逼迫が顕著になっている。そして、沖縄でも、六三・八%と既に五〇%を大きく超えている現状があって、逼迫する可能性を危惧しているわけであります。

 山際大臣は、一概に五〇%になった場合に紋切りにやるということはない、先手の緊急事態宣言は考えていないとの見解を示されたわけなんですけれども、この中で、じゃ、どのような状態になれば緊急事態宣言の発令を考えられるのか。

 例えば、今の話のように、仮にピークアウトせずに、病床使用率や重症病床使用率が五〇%以上になって、東京や大阪から緊急事態宣言の要請があったときには、これは速やかに発令されるお考えなんでしょうか。判断の基準についてお示しください。

山際国務大臣 緊急事態宣言、これをどういう状況で発出するかというのを基本的対処方針に書き込んでございますが、それをざっと申し上げると、感染状況や医療提供体制の逼迫度に関する客観的指標も踏まえ、レベル3相当の対策が必要な状況等の場合に、国において、専門家の意見も踏まえた上で総合的に判断すること、こんなふうになっているんですが、今委員が御指摘いただいたように、相当、オミクロン株はこれまでのものと性状が違うということをみんな分かってきているわけですね。

 パネルでお示しいただいた表ですけれども、ここに、沖縄県の三週間後に必要とされる病床数で、千百四十四というのが入っています。これは、参考値として使ってくださいと実は我々申し上げたんですね。これがなぜ参考値というのに落とされたかというと、まさにデルタ株とオミクロン株では性状が違うので、デルタ株までのものに基づいて三週間後を推測しようとすると、ちょっとオミクロン株には当たらないんじゃないかということを尾身先生を始めとする専門家の皆様方から御指摘をいただいて、なので、参考値として使うようにしてくださいという話になっているんです。

 事ほどさように、今回のオミクロン株に関して、どんどんどんどん性状も変わるし、新しいBA・2というのが出てきているというような話もあるものですから、相当柔軟にやらないといけないと思うんです。

 なので、我々は、これまでもそうでしたけれども、医療が逼迫するかしないかということを一番大事な視点として持っていて、そして、ですから、医療の逼迫度合いというものを見ながら、今の病床数だとか、新規の感染者数がどれぐらい増えてくるかというそのベクトルを見たり、全てを総合的に判断し、また専門家の先生方の御意見というものを交えながら最終的に判断していく、これしかないと思ってやっております。

中谷(一)委員 柔軟にやるというのは私は好ましいことだと思うんですけれども、確認をさせていただきますが、じゃ、その数値が五〇%をそれぞれ超えてきて、東京などが緊急事態宣言の要請を出したときには、速やかにそれは受け入れる可能性が高いという理解で大丈夫ですか。

山際国務大臣 五〇%、五〇%というのは、実は緊急事態宣言に行く手前の話で、レベル2からレベル3に上がるときに、その指標として五〇%というのをお示ししているものなんですね。

 当然ですけれども、分母が変わるとパーセンテージというのは変わってくるじゃないですか。ですから、入院をどれぐらいの期間していただくか、あるいは重症化率がどれぐらいかということによって、特に重症者病床というものは相当変わり得るという可能性がございます。なので、いたずらに、その数字を超えたからすぐにそれに基づいて何か判断するということではなくて、各自治体ときちんと相談した上で取り計らいたいということを申し上げているわけです。

中谷(一)委員 ということは、現時点では、発令の可能性については、する状況には至っていないという認識を持っているということでよろしいですか。

山際国務大臣 これは、日々、東京都に限らず、各自治体と我々はずっとコミュニケーションを続けておりますが、現段階においては、東京都からもほかの自治体からも、緊急事態宣言を視野に入れて検討しているということになっておりませんので、現段階ではそういう状況にないと御理解ください。

中谷(一)委員 分かりました。ありがとうございます。

 続けて、小児のワクチン接種の努力義務について伺いたいと思います。

 まず尾身会長に見解を伺いたいんですけれども、小児のワクチン接種、予防接種法に基づいて努力義務をどうしようかということが議論をされていると聞きました。やはり、持病のある子供の重症化予防は期待できるんだけれども、オミクロン株に対する感染予防効果を示すデータが不十分だったりとか、子供に重症者がいない中で努力義務ということは外すべきじゃないかとか、賛否両論があるということを聞いているんですけれども、尾身会長はこの努力義務を課すことについてはどのような意見をお持ちなのか、教えてください。

尾身参考人 この議題については分科会などで正式には議論していませんが、私の個人的な見解としては、小児の場合は、まだいろいろなことが分かっていませんけれども、もしやるのであれば、まずは希望者。義務というよりも、大人の場合だって希望者というのが原則で。やっていただければいいと個人的に思うのは、基礎疾患のある小児というのはやはり重症化しやすいということが分かっていますので、そういうふうに、義務ではなくて希望を募る、その上に、特に基礎疾患の小児はなるべくやっていただければいいというのが私の個人的な考えです。

中谷(一)委員 分かりました。ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、健康な子供への接種はメリット、デメリットがあって、やはり圧倒的に弱まるものではないものですから、重症化予防などの効果と、ごくまれに心筋炎のような副反応があるということをやはり養育者や本人がしっかりと自覚をした上で、それを受けたいという方が受けられる環境をつくっていくということが私も重要なんじゃないかなということを思っております。

 そして、もう一点、今日の新聞の一面で大きく、いろいろなところで飾っておりましたが、濃厚接触者の待機期間について後藤大臣に伺いたいと思います。

 これは、私たち、長妻さんや山井さんやいろいろな方が短くしてくださいということを再三再四要望してきて、アドバイザリーボードからも、二週間前の一月十四日に、これは七日に短縮された方がいいんじゃないんですか、この選択肢もありますよという趣旨の提言がされていたと思うんですけれども、今になって、最終調整を今日されるんだと思うんですけれども、行われるというのは、残念ながらちょっと遅過ぎる対応じゃないかなと思います。

 その中で、私自身も娘がいるんですけれども、父親として、やはり子育て家庭というのは本当に、予定の組み方だったりとか様々な部分で、今も、八日目の待機の人もいるでしょうし、十日目の待機の人もいるでしょうし、これによってやはり社会活動がなかなか動かなくなっているということに対して、私は早急に結論を出していただきたいと思っているんです。

 だから、大臣にあえて伺いますが、今日、今ここで決断をしてくださったら、すぐに仕事に行けたり、来週から動ける人というのが増えてくるものですから、待機期間、七日にしていただくなら、今ここで決めていただけませんか。

後藤国務大臣 濃厚接触者の待機期間というのは、科学的知見に基づきまして、これまで期間を短くしてきております。原則十日に今してありますし、また、地域における社会機能維持のための必要性がある場合は、地域で判断していただいた場合には、検査で陰性を確認の上、待機期間を短縮することを可能としております。

 そして、今、足下、オミクロンの感染拡大がどんどん進んでまいりまして、厚生労働省のアドバイザリーボードでも、今御指摘のように、医療機関、介護福祉施設では、職員とその家族の感染や濃厚接触者による職場離脱が非常に多くなっている、そして、患者の療養期間や濃厚接触者の待機期間について引き続き見直しを検討すべきだという御意見も伺っておりまして、科学的知見で、一体どのぐらいのことをやるのかということについては、いろいろ議論がございます。

 こうした感染が拡大が続く中で、社会機能維持の観点から待機期間の見直しに関する要望が非常に高まっていると認識しておりまして、感染力が高く、そして感染した場合の潜伏期間も短くなっているオミクロン株に対しまして、科学的知見や感染状況を踏まえて早急に検討してまいりたいと思っております。

中谷(一)委員 時間が参りましたので、この後の議論は落合議員にお任せをして、私の質問は終了させていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて中谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 私も、まずコロナの、特に待機期間のことについて伺えればと思います。

 今の答弁を伺っていても、もう短縮するんだろうなということを決めているような感じなのに、決めているとは言わないという、非常に、待っている人がたくさんいるのに何で言えないのというような形だと思います。

 まず初めは、政府参考人の方々に質問通告していますので、伺えればと思います。

 まず、総理の施政方針演説でも、オミクロン株はお子さんの感染も多く見られますと、わざわざこういう文言を入れています。政府参考人に伺いますが、今、休園していたり、又は、今月もう休園した保育園やこども園の数を教えてください。

橋本政府参考人 今年の一月二十日時点でございますが、各自治体から報告のありました全面休園している保育所等の数が三百二十七施設でございます。

 それから、認定こども園についてもお尋ねがございました。

 各自治体の方から内閣府の方に報告されることになってございますけれども、今年の一月二十六日時点で、全面休園しているものが四十九施設であるというふうに聞いております。

落合委員 私の住んでいる地区は、結構、元々待機児童が多かった、共働きが多い地区なんですが、先週ぐらいから、私も電車で通勤しているとき、かなりの方から、うちの子供の保育園が休園していて、子供が濃厚接触者になっちゃった、妻が、子供が家にいるんだったらどっちかが休まなきゃいけないんだ、これは恐らく来週、再来週になったら大変なことになるんじゃないかということを、もう先週あたりからかなり私も駅でも言われるようになっています。

 もう一回参考人に伺いますが、今月の濃厚接触者の累計数はどれぐらいなんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 全国の新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者となられた方の人数について網羅的には把握しておりませんが、二〇二〇年にある自治体で実施された積極的疫学調査のデータによりますと、九十九名の陽性者に対して、五百三十名の濃厚接触者がいたことが報告されております。

 濃厚接触者の人数につきましては、感染発生時の周囲の環境や感染対策の状況、またウイルスの感染力等によって異なるため、単純に全国の新規感染者数にこの比率を用いることは適切ではないとは考えております。

落合委員 参考人の方々に通告した質問は以上ですので、お忙しいですから、退席していただいても大丈夫です。ありがとうございます。

 ここからは大臣に伺えればと思います。

 今、ニュースでもばんばんやっている、新聞にも書かれているように、濃厚接触者の問題、自宅に待機しなきゃいけない問題、これは経済にもかなり影響がある重要な数字なわけです。

 私も、先日、厚労省に濃厚接触者の推移がどうなっているのか聞いたときに、把握していないんだということを聞いて、これ、じゃ、どうやって経済への影響を考えるのか。勘でやるしか、科学的、医学的にオーケーかどうかの基準しかなくなっちゃうわけです。これは、今のこういう状態でいいんですかね。

後藤国務大臣 今、健康局長の方から答弁しましたけれども、足下の濃厚接触者となられた数を具体的に把握していないというのは事実です。

 仕組みとしては、HER―SYSの中に濃厚接触者を入力していただく欄があります。欄はあるんですけれども、現場が非常に逼迫している状況で、なかなかHER―SYSに濃厚接触者の人数まで打ち込んでいただけないという状況ではあります。

 ただし、先ほども答弁をしたように、感染者一人当たり四人から六人ぐらいの濃厚接触者が状況に応じて生まれるということは、これは確固たる科学的エビデンスだというふうに思っておりまして、今先生がおっしゃった、濃厚接触者が、社会的機能を維持していくために、今、これだけの急速な拡大の中で、大変厳しい状況になっている。

 そして、沖縄も、最初は若い方たちに感染が広がった後、その後、高齢者そして子供たち、そちらに感染の重点が移っているという報告もありまして、もう一つは、医療現場が濃厚接触者のために立ち行かなくなっている状況になっている。そういう沖縄の、非常に感染が早くに進んだような地域の実態も把握しておりますので、そういう意味では、そういうことも含めてしっかり議論したいと思っております。

落合委員 では、濃厚接触者の数は把握できていなくても、もう仕方ないということで片づけているんでしょうか。

後藤国務大臣 仕方がないと申し上げているのではなくて、当然、濃厚接触者の人数を把握する必要はあると思います。クラスターのときに何人の濃厚接触者が出るのかとか、あるいは、地域で感染状況がどうかというときに疫学的調査で部分的に分かることもありますが、先ほどのお尋ねは全国でどのぐらいの濃厚接触者がいるんですかというお尋ねだったので、そうなると、なかなか一覧的な数字は申し上げられないという意味で申し上げたので、濃厚接触者の実態を把握する、あるいは濃厚接触者をどう評価するかということははっきりしていないと政策はつくれないという御指摘は、そのとおりだと思います。

落合委員 マクロで日本全体の数も分からないですし、これは、いろいろな事例を見てみますと、地域ごとにも、もう分からなくなっている地区はかなりあると思います。

 委員席からもありましたけれども、感染症法十五条は、濃厚接触者はしっかり隔離をしなきゃいけないということを定めて、その原則がもう崩れてしまっているということは、政府が対応できていない、今、そういう現状に来てしまっているのだと思います。

 それで、コロナの司令塔、総合的に判断する立場であるのは山際大臣、医学的なこともそうですけれども、経済のことも考えて、先ほど中谷委員が質問したように、緊急事態宣言のことですとか蔓防のことですとか、いろいろな全国的なルールも判断をしていくと思うんですが、今厚労大臣がおっしゃっていたように、自宅待機している人の数さえも分からない。自宅待機しなきゃいけない児童、つまり、児童が一人で自宅にいれないですから、その場合は共働きの親が自宅待機しなきゃいけないわけです。経済的なマクロの影響が分からない状況で判断しなきゃいけない。これは、判断する上で問題があると、間違いを犯すリスクが高くなってしまうと思います。

 これは、第六波の今回の判断もそうですし、これからも何があるか分かりません。これは問題だと思いませんか。

山際国務大臣 常に問題というものはずっとあり続けるんだと思っておりまして、結局、森羅万象、物事を、世の中で起きていることが全て科学的に理解されている世の中なら先生のおっしゃっていることに基づいてやれるんでしょうけれども、我々はある意味未知の敵とこれまで戦い続けてきて、そして、今なお、まだ、オミクロン株を始めとするものに対して、それがどのような影響を持ち得るものかということを、ある意味、知見を重ねながらよりベターなものをやっていくということを我々やっているわけですね。

 ですから、これから先も、十分かと言われれば、十分になるように頑張るしかないとしか答弁しようがないんですけれども、不完全であるということは認識しながら、なるだけ経済には影響を与えないようにどうすればいいかという、そういう視点も含めて我々としては運営をしていきたいと思っております。

落合委員 HER―SYSへの入力もしっかりできていないし、今働いている方々がどれだけ働けないかの数も分からない。その中で、経済対策を打ち、あと濃厚接触者の自宅待機の期間も決めると。大変これは、最悪を想定して的確に対応しているような状況ではないと思います。明らかに後手後手になってしまっている状況だと思います。これは、今、とにかく改善しなきゃいけないのと同時に、次の波にもう備えて必ずやっていかなきゃいけないことであると思います。

 それで、先ほど出ましたが、国立感染症研究所など、陽性者の分析によると、陽性者一人に平均五人ぐらい濃厚接触者が出るという、そういう数字も出ているわけですけれども、全国で、やはり、二十四日までに一週間で発生したクラスターのうち半数以上が、学校・教育施設、児童福祉施設で今回の第六波は起こっています。

 先ほども申し上げましたが、幼児が濃厚接触者になった場合もその親は休まないといけないですし、幼児が感染した場合は、一人で病院へ行ったりとかもできないですから、必ず親は濃厚接触者になってしまう。しかも、みんな同居しているわけですから、同居している人たちはみんな濃厚接触者になってしまうわけです。今、国際的に比べても、二十日間、本人の十日それから同居人の十日の計二十日以上同居人が自宅待機しなきゃいけないというのは、明らかに長いわけです。

 ある試算では、このまま東京では、二月八日には、隔離されている濃厚接触者が百四十万人、都民の十人に一人以上になってしまうという試算も出ているわけです。これが本当にそうなったら絶対に経済にもマイナスの支障を来します。ですから、もう、検討中の隔離期間の短縮、これはなるべく早くアナウンスメントをするべきである、そういうふうに思います。

 今検討されているということですけれども、二日前の予算委員会でも同じような形でした。これはいつ発表するんでしょうか。

後藤国務大臣 結論が出れば即、速やかに発表したいと思います。

落合委員 早く決めるべきであると、これはもう本当に何日も前から同じ議論をしているわけですので、早く決めるべきであると思います。

 先ほどの答弁にもありましたけれども、地域の判断で検査などすれば外に出られるんだと。しかし、検査キットが足りないという問題も起きているわけですから、国が基準をしっかり決めないと対応ができないわけです。大臣の責任というのはかなり、厚労分野だけではなく、大きいと思います。

 それから、エッセンシャルワーカーも更に短縮するべきだというような話も出ているわけですけれども、それに関しても、短縮は検討しているんでしょうか。

後藤国務大臣 エッセンシャルワーカーの濃厚接触者の解除についても、当然、濃厚接触者の検討の中の、視野の中に入って、検討をいたしております。

 検査キットのこと、今お話がありました。直接のお尋ねでないかもしれませんけれども、一部の地域、そしてまた一定の期間、非常にキットが逼迫しているという認識を、今先生御指摘のように、我々も持っております。そういうことでありますので、買取り保証つきで、今増産も最大限かけておりますし、買取り保証をつけましたので、輸入も急速に増えております。

 ただ、今、急速に一般の薬局等での大量購入が入りまして、市場が非常に逼迫いたしましたので、やはり、まずは医療だとか行政検査だとか、あるいは自治体、そして今言ったようなエッセンシャルワーカーの検査のためのキットだとか、こういうものをしっかりと確保する、そういう必要があるということで、今そこへ集中的に確保するために、一般の薬局の、心配だからちょっと買って持っていってみるかなというような需要に対して、あるいはまとめて買っておこうという需要に対して抑えて、本当に熱が出るとか、いや、体の調子が悪いぞというときに検査ができるキットや体制を守れるように、数週間、それでしっかりと体制をつくっていくように、今発表したところでございます。

 検査キットのことも御指摘いただいたので、御説明いたしました。

落合委員 足りないということですから、やはり、余り後手後手だったということは認めていないですけれども、状況が想定を上回ってしまっているのは確かである、それに対して対応しているんですから、後手後手になっているんだということだと思います。

 エッセンシャルワーカーも短縮するんだったら、検査の期間が短縮されるわけですから、もっと必要になってくると思います。

 それから、先ほど与党の方からも言及がありましたけれども、濃厚接触者が検査キットを出歩いて探さなきゃいけないような状況はおかしいというような話もありました。もうこれも、隔離の原則が崩れてしまっているという事実がはっきりしているわけです。

 検査キットが足りないというのは、想定を超えて、それに対して対応しなきゃいけない、要は後手後手になっている、一言で言えばそういう状況だということでよろしいですね。

後藤国務大臣 今申し上げたように、このオミクロン株の急激な広がりによりまして、オミクロン株がこれだけ感染力が強くて、そして一方で、もう一つ言うと、重篤化がどうもそんなにひどくないのではないか、そういうオミクロン株がだあっと広がりまして、従来のデルタ株ですと、重症をする患者さんの病床やそれまでの間をどうつなぐかということが秋までの、秋というか十二月までの対策、全体像の中心だったと思います。それが、オミクロン株によりまして、まずだあっと感染が広がって、若い方等を中心として、重症でない方が外来の窓口や病院を訪れるような事態で今医療が逼迫している、そういう新しい事態で、しっかりとそういうことに対応するために全力を尽くしてまいりたい。

 そして、さっき申し上げたみたいに、行政検査とか、それから病院の検査だとか、それからエッセンシャルワーカーの検査だとか、その手の検査は、一般薬局の、一般で、有料で自主的に検査をしたいと思って買う人たちのところを少し、しばらく、数週間止めさせていただいて、そして、先ほど申し上げたようなところだけはしっかりと供給を確保して、そして国民に安心していただくようにということでやらせていただいているということをもう一度申し上げて、しっかりと、増産にも努めておりますし、輸入にも努めておりますし、そういうことで乗り切らせていただきたいというふうに思っておりますし、是非、国民の皆さんにも御協力をいただきたいとお願いを申し上げる次第です。

落合委員 想定を超えてしまっているのかということに対してはっきりとお答えではないんですが、遠回しにそういうことをおっしゃっているんだと思います。

 今あった検査キットも足りない、それから、発熱外来ももういっぱいになってしまっている、あと、先ほどの濃厚接触者の入力もできていないということで、これは政府の思ったとおりにはいっていないわけです。

 これは後手後手に回ってしまっていることをしっかり認めて、それを挽回するために、我々野党だって、これをやるべきだ、あれをやるべきだとどんどん提案しているわけですから、決断をしていただければと思います。そのために必要な予算の提案があれば、我々は反対しません。是非、決めていただければと思いますので、よろしくお願いします。

後藤国務大臣 今、全国の病院も保健所も大変厳しい状況にあります。HER―SYSに入力することがルールだということは我々分かっていても、HER―SYSに入力できない現場に、HER―SYSに入力するんだと矢のような催促をできるような事態でもないことも御理解をいただいて、是非御協力をお願いしたいと思います。

落合委員 なので、HER―SYSというシステム自体がもしかしたら問題があるかもしれない。若しくは、保健所の定員がもっと増えていくような予算をつけていかなきゃいけないんじゃないでしょうか。

 だんだん、まだピークの山では恐らくないんですよ、先ほどの尾身先生もおっしゃっていましたが。いつピークか、後ろ倒しになるかもしれないということもおっしゃっていました。そういう状況であるにもかかわらず、現場を任されている各自治体は、もう対応できないからちょっとずつルールを変更していこうというような動きも出ているわけです。

 特徴的なのが、神奈川県がおととい発表していますね、今日からスタートだと思いますけれども、自主療養というものを発表しています。これは、自分で具合が悪いなと思ったら、医師の診断ですとか正規の検査を受けずに、抗原検査キットなどで自分で検査をして、自分で判断をして、自分で療養をしてください、自分でできそうな人はやってくださいということを発表しています。そして、食事の調達は自己責任になるということを発表しているわけです。

 自己責任で調達してくれということは、陽性でも外に出て、外に出てとは言っていないんですけれども、自己責任ですと言っているわけです。これはもう政府の原則から逸脱せざるを得ない各自治体の状況、各都道府県の状況になっていると思います。

 これは対応しなきゃいけないんじゃないですか。

後藤国務大臣 非常に医療が逼迫しているような地域、感染が進んでいるような地域において、例えば検査キットで陽性になった、それを医療機関に送ることによって、それは遠隔診療でいいわけで、そうしたことで管理をしながら、健康観察と、そして、例えば薬の投与だとか、こういうのは、遠隔診療の後、薬局から送付するということも可能ですので、そういう形の地域での取組について、これは認める旨の通達を厚生労働省の方から出しております。やはり事態に応じて、沖縄でもセンターに、そういう人たちを集中的に管理をしていく。

 問題は、自宅療養であれ、あるいは宿泊療養であれ、本当にきちんと必要な管理、あるいは遠隔で診ながらでもしっかりと、放置されるようなことが絶対に起きないように、しっかりとそれに適した対応をしていくということが必要なんだというふうに思います。

落合委員 大臣が、ああやればできる、こうやればできるとおっしゃっても、実際には、もう現場で対応できないので、それなりに大きい県でも、資源があるそれなりの県でもこういう発表を正式にせざるを得ない状況なわけです。

 第五波でも残念ながら、自宅療養という名の、残念ながら自宅放置のような形で亡くなってしまった方々もいる。その反省の下に準備をしていかなければならないのにもかかわらず、同じようなことが起こりつつある。これは、国民の生命財産を守る我々政治家はしっかりと対応しなければならない問題だと思います。頑張っているけれどもできませんでは許されないことですので、是非対応していただきたいと思います。

 では、関連してというか、このオミクロンの原因になったと思われる在日米軍基地の問題についても取り上げていきたいと思います。

 第六波、オミクロン株が、南アフリカですとか、あとイギリスとかでしたか、最初の方に広がったとき、これからどんどん、少なくとも一か月後、二か月後には日本に入ってくるだろうということは秋に言われていたわけでございます。それの状況に対して総理は、G7で最も厳しい水準の水際対策をやるんだということで、十二月ぐらいまでは流行を引き延ばしできたということで、一定の成果はあったと思います。

 ただ、十二月、年明け、何でこんなに増えてしまったのか。それは、沖縄県、それから山口県、山口県に隣接する広島県でございました。みんな在日米軍の基地があって、そこの基地の中の飲食店で働く日本人や周辺の飲食店からも多く陽性者が出て、どんどん日本中に広がっていったわけです。

 ただ、よく見てみると、オミクロン株が流行したのが、我々は水際対策をやっていたのに米軍から残念ながらわあっと広がっちゃったんだということは、政府ははっきり言っていないんですよね。外務大臣が一番踏み込んでいて、一月十三日ですか、在日米軍が要因の一つである可能性は否定できないとおっしゃっているんですけれども、その前の週の山際大臣は、どこが由来かと限定するのは難しいと。総理も、同じようなことを聞かれても、はっきりと答えてはいません。

 ただ、沖縄県ですとか山口県は、国立感染研の解析などによって米軍基地由来の可能性が高いと指摘していますし、東京医科歯科大の調査では、日本中ではやっているオミクロン株は北米系統だということを言っているわけです。明らかに米軍が穴になって、ほかの穴からも少しは来ているでしょうけれども、大きな穴は、米軍が原因になってしまった、米軍基地が原因になってしまった。

 大臣、はっきりとはおっしゃっていないんですが、残念ながらそうだということでよろしいですね。

林国務大臣 在日米軍施設・区域の周辺自治体における感染拡大の要因、これは、様々な可能性がある中で、確たることは言えないと考えております。

 その上で、今お話がありましたように、在日米軍施設・区域内の感染状況がその一つである可能性は否定できないというふうに考えております。

落合委員 まあ、明らかに、最初の蔓防が何で東京ではなくて山口県や沖縄県なんですかと。

 山際大臣はどう思いますでしょうか。

山際国務大臣 これは、私は正直に、前に答弁したときも私なりの感覚を申し上げたつもりなんですけれども、目に見えないものと戦っているわけですから、それがどこ由来かと確定するのは非常に難しい、そう正直に申し上げたわけですね。

 そして今、外務大臣からも答弁をさせていただいたように、在日米軍施設・区域の周辺自治体における感染拡大の要因には様々な可能性がある中で、確たることは言えない、そういうことだろうというふうに思います。

落合委員 こういう新しい株が出るときはゲノム解析をするわけですよ。米軍由来かどうかは、米軍がゲノム解析をしているようですけれども、結果というのはちゃんともらっているんでしょうか。

林国務大臣 まず、今の御指摘のゲノム解析の結果判明の時期でございますが、今のところは確定的な見通しを言える段階にはございませんが、キャンプ・ハンセンの変異株PCR検査については、検査対象の検体の四七%が変異株陰性であったということで、日米双方は既にこれらの検体についてオミクロン株であるということはみなして、その前提で対応していくことで一致をしております。

 いずれにしても、政府としては、一月九日の声明に基づいて、日米当局間における建設的な協議を通じて、今後の感染状況も注視しながら、感染防止対策の徹底や地元の方々の不安解消に向けて、保健衛生上の課題についての日米間での連携をより一層強化していきたいと考えております。

落合委員 四七%がオミクロンで、今その周辺の県ですとかではやっているのが同じ株なのかというのをデータをもらって照合しないと、何が原因かが分からないわけです。

 山際大臣が言う、目に見えないものを見えるようにする作業、第七波を起こさない、なるべく起こさないようにする作業をするためにも、データをもらう必要があると思います。

 催促はしないんでしょうか。

林国務大臣 米側からは、ゲノム解析は在日米軍においては実施する能力がないため、米本国に送る必要がある、こういう説明を受けております。

 こちらからは、先ほど申し上げたように、そういった説明を受けておりまして、確定的な見通しを言える段階にはありませんが、オミクロン株であるということの前提で対応していくことで一致をしておるところでございます。

落合委員 もうクラスターが起きたのが十二月十五とかそこら辺です。常に飛行機が行き来しているわけですから、検体というのは一日で届いているはずです。

 催促はしないんですか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、保健衛生上の課題について日米間での連携をより一層強化していくと申し上げておりますので、そうした中で対応してまいりたいと思っております。

落合委員 日米地位協定の改定の努力をしなくても大丈夫なんだということをおっしゃっていますけれども、これは、ほかの件と同じように我々には教えてもらえない。いいんですか、それで。大臣、いいんですか。

林国務大臣 我々としては、日米地位協定の見直しは考えておらないところでございます。事案に応じて、効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。

 今回も、一月十日から十四日間の施設・区域外における行動制限、施設・区域内外でのマスク着用義務化、出国前、入国時検査、入国後十四日間の行動制限の維持といった措置を取ることを確認し、加えて、在日米軍は、一月十日から十四日間、夜間の外出を禁止することといたしました。

 その上で、一月二十一日ですが、さらに、在日米軍は、施設・区域外における行動制限や夜間外出禁止措置を一週間延長することにしております。

根本委員長 林大臣、簡潔に。

林国務大臣 引き続き、地元の方々の不安が解消されるよう、緊密に連携の上で、適切に対応してまいりたいと思っております。

根本委員長 林君、質問に適切に対応してください。

落合委員 なので、ゲノム解析をもらう努力はしないということなんですね。

 今、何月何日が何とかというふうに御説明いただきましたけれども、明らかに十二月の中旬にはクラスターが起きているんです。なのに、気づいたら、出国時のPCR検査も九月からやっていなかったわけですよね。再開したのが十二月の二十九です。

 クラスターが起きてから対応してもらうまで二週間も。その間、クリスマスがありました。大量に、皆さん、クリスマスをいろいろな飲食店とかで祝っているわけです。きっちり対応すると決めたのは、もうお正月も過ぎて、一月の九日です。

 国民の経済活動も犠牲にして、G7の中で最高レベルの厳しい水際対策をしたわけです。国民の活動は犠牲になったんです。それに対して大きな穴が空いてしまっていた。その穴に対して、全然、迅速で機敏で効果的な対応ができていないんですよ。

 これでいいんでしょうか、こういう状況で。これはよくなかったというふうに認めるべきじゃないですか。同じことをまたやるんですか、この先。

林国務大臣 先ほど、地位協定の改正が必要ではないか、こういう御質問がありましたので、見直しを考えていないと。協定については、機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、具体的な問題に対応してきた。それで、先ほど具体的な取組について御紹介を申し上げたわけでございます。

落合委員 その取組が全部遅いんです、日にちを追うと。国民には厳しいのに、米軍は行動してくれていないんです。これに対して、これでよかったと思っているんですかということです。

 それから、山際大臣は、総合的にコロナ対策を指揮しているわけですけれども、水際対策を指示したときに、米軍基地も穴になるということを想定してしっかり対応しているんでしょうか。

山際国務大臣 我々は、考え得るあらゆるものを視野に入れてやらなくてはいけないという意識を持ってやらせていただいております。ですので、米軍の話が今ございましたけれども、そういうことも全て含めて、どうするのが効果的かということを考えてきたわけです。

落合委員 考えて、それでどう対応したんでしょうか。

山際国務大臣 実際に、外務大臣がアクションを、総理の指示の下にアクションを起こしてきたということが事実なのではないでしょうか。

落合委員 それでもって、出国前のPCR検査もやっていなかった、クラスターが起きるまでというか、沖縄が蔓防の適用になるぐらいまで対応ができなかったというのが結果なんです。国民の生命財産を守る立場として、こんなことがいいんだというようなことは決して言えません。大臣、ここの答弁でやり取りしても結果は変わりませんので。

 これに関連して、大串委員が月曜日、取り上げています。

 日本の入管は、抗原検査の中でも抗原定量検査を行っています。一般に売られているような抗原検査は、抗原定性検査で、間違いがちょっと多いということで、抗原定量検査を入管では行っているわけです。

 米軍基地は到着時に何をしているのかというと、同じように抗原定量検査をしているという答弁はありませんでした。確認するという答弁をしているんですけれども、確認して、ちゃんと日本のやっていることと同じだということはしっかり確認できているんでしょうか。

林国務大臣 まず先ほどの御質問で、これでいいんでしょうかと言われたので、先ほどの答弁をいたしましたが、今回のことに関して、米側の措置の整合性を確保する取組に不十分な点があったことは否定できませんので、そこは真摯に受け止めて、先ほど申し上げましたように、今後は合同委員会声明に基づいて、保健衛生上の課題についての日米間の連携を一層強化していきたい、こういうふうに思っております。

 それで、今の御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、我々からの強い申入れを踏まえて、昨年十二月二十六日以降、出国前七十二時間以内の検査を再開するとともに、十二月三十日以降、入国後二十四時間以内の検査を実施することといたしました。

 この七十二時間以内の検査及び入国後二十四時間以内の検査においては、PCR検査又は抗原検査が実施されておると承知しておりまして、この間、大串委員からも御質問があったときにお答えをしましたが、抗原検査の場合には、より一層日本側の措置と整合的になるよう、抗原定量検査を実施するよう米側に説明、申入れを行っておる状況でございます。

落合委員 それが私の質問なんです。申入れをして、ちゃんと整合的だという確認はできたんですねと。月曜日にも国会で取り上げているんですから、その結果を報告してくださいというのが私の質問です。

林国務大臣 現段階では、まだ、説明、申入れを行っている状況でございます。

落合委員 これはゲノム解析の結果とかじゃなくて、今どういう検査をしているんですかという確認ですよ。それも教えてもらえないんですか。おかしいじゃないですか。絶対にこの状況じゃいけないと思います。

 それから、大臣、大臣の答弁についてなんですけれども、大串委員が、初めに大ざっぱに、米軍軍属が基地に入るときに、日本と同じ検疫上の制限を適用しているんですよねと聞いています。

 それに対して、累次の申入れを踏まえて我々の措置と整合的なものに、今おっしゃったところはなっているというふうに答弁しています。整合的になっていると答弁しているんです。なっていると……(発言する者あり)そうですね、と考えていると。なっていると考えていると答弁しているんです。

 その後に、大串委員が、抗原検査というのは、抗原定性検査と定量検査があるんだ、定量検査じゃないと駄目なんだということを参考人に確認をしました、空港の検疫について。

 そうしたら、その後から、整合的になるよう申入れを行っているところですと。整合的になっていると考えていると答弁していたのが、具体的に聞いてみると、その後は、申入れを行っているに変わっているんです。

 これは、ですから、整合的なものになっていると、まあ、考えておりますというのが下についているわけですけれども、整合的なものになっているといったことの答弁に関しては、整合的になるよう申入れをしているというのが正しいのであって、答弁を撤回しますということをするべきだと思うんですが、いかがですか。

林国務大臣 今お話のありました一月二十四日の衆議院予算委員会におきまして、大串委員から米軍による日本入国時の検査について御質問があったことから、私からは、日本側から米側に対する累次の申入れを踏まえ、先ほど申し上げたように、現在では、日本入国に当たっての検査、すなわち、出国前七十二時間以内の検査及び入国後二十四時間以内の検査がしかるべく実施されているという意味において、米軍の措置は日本の措置と整合的なものになっていると考えている、こう答弁したところでございます。

落合委員 責任者の外務大臣なわけですし、と考えておりますというのをつければ正確じゃなくていいというのであれば、先ほどまでの、結構、堀内大臣の答弁とか、ほとんど、考えていますという答弁ですよ。それじゃ、国会でやり取りする意味がないんですよ。これは、不正確だったということを認めるべきじゃないでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、私の答弁の意味は申し上げたとおりでございますが、その後、大串委員から追加的に検査の具体的な種類の詳細について御質問があったため、私から、先ほど申し上げたように、PCR検査又は抗原検査が実施されると承知しているという説明の上、抗原検査の場合については、日本の措置と整合的となるよう、抗原定量検査を実施するよう米側に説明し、強く申入れを行ってある旨、答弁したものであります。

 これは、米側の措置がより一層日本側の措置と整合的になるよう努力をしているということを御説明したところでございます。

落合委員 誰かに何々してくださいと言っているだけなのに、あの人は何々していると考えていますというふうに政府の高官がこういう国会の場で言って、それは同じ意味なんだというふうに大臣はおっしゃっているんです。これは、外国と約束する立場にある外務大臣がこの言葉の違いを同じだと言うのは、私はおかしいと思います。

 外務大臣だからこそ、撤回するべきだと思います。いかがでしょうか。

林国務大臣 先ほど申し上げたように、この検査、入国に当たっての検査、また、入国後二十四時間以内の検査がしかるべく実施されているという意味で御答弁をしたところでございます。

 したがって、その後の経緯も先ほど御説明したとおりでございます。

落合委員 これは、じゃ、この答弁についての政府の統一見解を求めたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

落合委員 それでは、時間になってしまいました。済みません、ほかの大臣の皆さん、必ず次、取り上げますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて落合君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田豊史です。どうぞよろしくお願いいたします。

 この質問の機会をいただきました維新の同僚、仲間、また、この場に久しぶりに、四年ぶりに立たせていただいております、その応援くださった皆様に感謝しながら、この時間を有意義に使わせていただきたいと思います。大臣の皆様も、よろしくお願い申し上げます。

 今日は、私は、ずっと四年間浪人しておりました状況もありまして、完全に一国民、一生活者としてこの四年間に感じてきたところ、そこを一番メインに置きながら質問していきたい、こう思っております。

 具体的には、コロナがあって、非常に生活している中にいろいろな不安がありました。これを一つ一つ、その不安に対して、どのようにそれを安心に変えていくのか、そして、ずっと国民の皆さんも耐えてきたわけですけれども、これをどう、今度は我慢したところから期待に変えていくのかという部分、この二つがとても大切なこれからの政治のメッセージじゃないかなと私は思っております。その意味で、最初に、国民の安心感、期待感というところで是非質問をさせていただきます。

 まず、コスト感というところなんですけれども、ガソリンの価格等ということを中心に話を聞きたいと思います。

 昨日、プログラム、予定されていました油についての、燃料の価格の激変緩和の事業というところがスタートしまして、そして、これは、非常に政治のテーマとして、日本維新の会が燃料について国民民主の皆様と合同で新しい考え方、別の提案をさせていただいている、こういう状況が国会の中にあって、その上で、政府として、この燃料の価格の激変緩和事業というものを進めていらっしゃるという理解でいいと思うんですけれども。

 これは、一つ一つのプログラムというのは、もちろん、一方でいいところがあればデメリットもある、それから、そのどちらを取っていくかという、それこそ政策の判断ですから、私は改めて、政府として取られた、国民の生活について、特にガソリンの部分についての安心感とか期待感とかサポート感とか、これをこの事業で行っていくということがスタートした。これについて萩生田大臣がどのように、今日、始まってからどのように受け止めていらっしゃるかというところを確認したいと思います。

萩生田国務大臣 まず、先生、今、国民民主党と維新の間で検討していたというのは、去年、トリガー条項の解除のことだと思います。

 私は、去年のこの委員会でも申し上げているんですけれども、決してトリガー条項を全く考えていないわけじゃないんですよということを申し上げて、そのときに、トリガーと今回私どもが発動した激変緩和とはややマインドが違うという説明をさせていただきました。

 それは、一つはスキームの問題でありまして、百六十円以上が三か月続かないと発動ができないという現行の法制度ですと、年末、あの頃はまだオミクロンがこういう感染状況になかったので、言うならば経済の復活の兆しを持ってきたい、そのときに、できるだけ早く、仮に原油価格が高騰した場合でも、そこを何とか頭打ちできるようなことを考えたいということで、この事業の説明をさせていただいたつもりでございますので、こっちが駄目だからこっちだというんじゃないということは、まず前提として御理解いただきたいと思います。

 その上で、原油価格が上昇している中、本事業は、原油高がコロナ下での経済回復の重荷にならないよう、そして国民や事業者の皆様が春先までを見渡すことができるよう、足下のガソリン、軽油、灯油、重油価格の急激な高騰を抑えるものであります。

 今週木曜日から、足下の百七十円を超えた小売価格上昇分〇・二円と原油価格上昇見込み分三・二円を支給することで、地域ごとに価格のばらつきはあるものの、例えばガソリン価格であれば、全国の平均価格が百七十三・四円が見込まれるところを百七十円に抑制するものです。

 トリガー条項の凍結解除を行うべきという御指摘もございましたが、本事業では、トリガー条項では対象にならない灯油や重油も対象にしていることなどを踏まえれば、私自身は、今回の事業の方がこの場合では適切だったんではないかと思っております。

 また、本事業の効果を確認するため、ガソリンについては、全国二万九千か所のガソリンスタンドに全数調査を実施するほか、他の油種も含め、全国数万の事業所についても毎週調査をする予定です。仮に、卸売価格が据え置かれているにもかかわらず値上げをしている事業者がいる場合には、この事業の趣旨を踏まえた価格設定がなされているかどうか、個別に事情を確認するつもりでございます。

 まずは、本事業を適切に実施し、足下の小売価格の高騰を抑制し、その上で、原油価格の高騰が長引くか否かも見極めながら、国民生活や経済活動への影響を最小限にするよう、これで終わりじゃなくて、不断の努力をしてまいりたいと思います。

吉田(豊)委員 大臣がおっしゃるように、たてつけ、それから比べることというのは、どっちがいい悪いじゃないのはもちろんそうだと私も思っているんです。

 その上で、トリガー条項の解除ということについては、私たちとすれば、一番国民の皆さんに分かりやすく、そしてサポートしていくんだというふうな政策だと考えるから、これを提案しているということなんです。

 一方、政府の方で出されました今回の提案について、実際にトリガー条項を採用した場合に、これは総理の言葉なんですけれども、現在凍結中のトリガー条項については、発動された場合に、ガソリンの買い控えや、その反動による流通の混乱というところを、その後、国、地方の財政への多大な影響等、それは別に財政の問題ですから、これは財務大臣にお聞きする部分だと思いますが、最初のところの、ガソリンの買い控え、それからその反動による流通の混乱というところを今回比較されて、採用されない理由というふうに総理は説明されたんですね。

 これについて、大臣は全くそのとおりだと思っていらっしゃるのかというところを確認したいんです。

萩生田国務大臣 鋭い質問で、私が発言していない部分だと思います。

 実は、二〇〇八年に揮発油税の暫定税率が失効した際には、失効前に税率が下がることを見越した買い控えが生じたのは事実でありました、当時は。失効後には、その反動として、税率が戻る直前の駆け込み需要が発生をしました。具体的には、失効前の一か月間は買い控えとして前年比でガソリンの販売量が約一五%減となる一方、失効後一か月間はその反動と駆け込み需要により前月比で販売量が三〇%となるなど、需要と供給のバランスが大きく崩れることとなりました。

 その結果、暫定税率失効時には、買い控えの反動により、未明からガソリンスタンドに車の行列が生じた場所もありました。需要の急増による多数の品切れが発生するとか、駆け込み需要として、安全面で禁止されているガソリンのポリタンク容器への買いだめなどが生じたのも現実でありましたので、総理はそのことを念頭に多分発言をされたんだと思います。

 直ちに、今回、じゃ、二度目の発動をしたときに同じことが起こるのかと聞かれれば、それは、一度経験している国民の皆さんですから、対応はまた違うんじゃないかということは予想がつくんですけれども、私自身は、同じ考えかといえば、岸田内閣の一員ですから、同じ考えですと申し上げるべきなんでしょうけれども、私はあえてこのことは発言していないということは御理解いただきたいと思います。

吉田(豊)委員 大臣、とても丁寧に御説明いただきまして。

 私は、改めて、経産大臣だからこそ、全体像を見渡したときに、今一例を出されましたけれども、全国で、じゃ、この言葉を国民の皆さんが同じように受け止めるのかというと、全然違うと思うんですね。

 私自身は富山県富山市の出身でございまして、全国でも一家当たりの車の保有台数が日本一というトップレベルのところなんです。大臣も、私、ウィキペディアで勝手に見ましたけれども、八王子ということですから、車が生活必需品だろう、そういう地域にいらっしゃると思うんです。そういう本当に車がなくては日々がままならない国民の皆さんと、そうではなくて、主に公共交通機関を使って暮らしていらっしゃる方々と、やはりそれは、同じ国民でも、この政策一つに対する受け止め方も全然違うと思うんですね。

 改めて、私は、ここでガソリンの買い控えが起こるということを富山県の皆様に聞きました、何人も。仲間にも聞きましたし、いろいろな人に聞きましたけれども、買い控えって何というのが、まず想像つかないわけです。ガソリンは、何かポリタンクに入れて管理できるわけでもないですし、それから、車に必要があって減っていくから、また入れないと日々の暮らしができない、こういう性質を持っているわけですわ。

 ですから、そのことを考えたときに、今回、国民への、この厳しい状況の応援なんですというメッセージを送る政策としては、このことが頭に出てきて、これをオウム返しのように繰り返しているというのは、私は余りにも、やはりここに、本当に国民の皆さんが共感する政策になるのか。しかも、これは私たちが考えに考え抜いて出してきた政策の一つですから、そこのところについては、やはりこの受け止め方というところをもうひとつきちっと考えていただいて。

 今、大臣がおっしゃいました。じゃ、今回の、昨日から動き始めたプログラムが国民の皆さんにどう受け止められていくのか。

 そして、それを見て、この政策について質問のやり取りをさせていただいたときに、この緩和事業についての丁寧な説明を頂戴しているんですけれども、根本的に、直近の一年間を見ても、ガソリンについての価格というのは、これは四十円以上動いているんですよね。そういう中にあって、今回の政策というものが、最大五円の範囲内で補填しますというところ、それから、百七十円という基準が適正かどうかは、それは分からない部分はあると思うんですけれども。

 これが三月末までの事業だというところについて、私はニュースで見ましたけれども、大臣は、この後について、この政策がどれぐらいの効果を発揮するかというところを丁寧に見ていく、そのために調査もしていくということもおっしゃっているというプログラムだと思うんですけれども、実際に、国民からすると、昨日から始まって、これがやはり実感できることは政策として大事だと思うので、これについての、先に向けて、実際、これは三月までということですから、私からすると、ほぼほぼ効果は、大きいものは望めないんじゃないかなと感じるんですけれども、どのようにお考えかお聞きしたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、昨日から始まった制度でありますので、来週月曜日には全国の平均値が出てくると思います、水曜日には発表になると思います。本当にしっかりワークできているかどうかということを確認したいと思います。

 ただ、幸い、昨年のうちからこういう心配を政府がしているということは、国民の皆さんにまず伝わったんじゃないかと思っています。私は、市場に介入したつもりは全くありませんけれども、政府がそういう姿勢を示すことで、ある意味、原油高で、取引で利ざやを求めるような人たちは、そこへ介入しても余り面白みがない、こういう判断をしたことによって、年末、ある程度安定をしたこともあったと思います。

 他方、我が国は原油を持っているわけじゃないので、国際情勢と著しく関係を持ちながら変動していくものですから、これは生き物ですから、日々考えながら対応しなきゃいけないと思っております。

 いずれにしましても、国民生活にこれは必要なものであります。先生もおっしゃっていただいたように、先日は維新の先生が、私のことを東京だから分からないだろうとおっしゃったんですけれども、私の東京は、〇三じゃなくて〇四二という市外局番でございまして、一軒に二台ぐらいの平均で車があるという、まさに車社会の、東京の象徴的な場所でございますので、その辺の肌感覚はよく分かっておりますので、是非、国民の皆さんの暮らしに寄り添って、経済産業省として更に政策を磨いていきたい、こう思っております。

吉田(豊)委員 大臣おっしゃるとおりで、そして、少し念押しみたいで、しつこくてあれかもしれませんけれども、実際に価格モニタリングも行っていくという中にあって、私、今日いただいた別のニュースなんですけれども、大手の出光が、この制度については、一〇〇%、全額の反映をさせていく、小売の方にという方針が出ているということを表明されたので、ほかの大手の方々もそのようになさるんだろうと思うわけです。

 そうすると、大きな金額かどうかは別として、最大に用意したこの今回の予算措置については、全て、一〇〇%、国民の皆さんのところに緩和措置として行く方向が見えているというふうに理解してよろしいでしょうか。

萩生田国務大臣 確認の意味で申し上げると、ガソリン価格というのは小売店が決められるものですから、国が金額を指定することはできません。それから、地域差がありますから、やはり、もう既に百七十円を大きく超えている自治体もあれば、いまだに百五十円台で販売できているところもありますが、あくまで平均値が百七十円で激変緩和を、しっかり抑えていきたいというのがこの制度の趣旨でございます。

 その上で、今、出光に限らず、ほぼ全ての卸売企業の皆さんとお話をして、同様に、ホームページですとか、言うならば、自分たちが納めている協力会、関連企業、こういうところに対して、ちゃんとこれをしっかり有効に使うんだということを告知していただいておりますので、私は、一定の成果というものは必ず出る、こう信じております。

吉田(豊)委員 その意味でも、この動きというものをやはり丁寧に追っていただいて、そして、時間が短い分だけ、余計に反応をスピーディーにしていただきたいと思います。

 財務大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、今ほどの、この状況がどのように進んでいくかというところは、経産大臣として、とにかく期間限定だから、このような形でまずスキームは組んでいますと。でも、価格というのは、おっしゃったように、我が国だけでコントロールできるものではないから、いろいろまだ、これがどんどんどんどん高騰していく可能性というのもあるわけで、そういう状況になった場合には、当然、今おっしゃったような、政府の全体の中として、それだけの予算措置をやはりしていかなくちゃいけないという思いを持っていらっしゃるかどうか、確認したいと思います。

鈴木国務大臣 今の御質問は、今後、上限の五円を超えて値上がり続けた場合には予算が足りないのではないか、事業の円滑のために追加的な予算措置を行うということでよいか、こういう御質問だったと思いました。

 御指摘の、ガソリン価格の抑制対策につきましては、高騰する燃油価格を抑制し、激変緩和を行うため、今年三月末までの時限的、緊急避難的な対応策として行うものということで、経産大臣から御説明があったとおりでございます。

 予算につきましては、令和三年度補正予算において、エネルギー対策特別会計に五百億円を計上するとともに、特別会計の予備費としても三百億円を計上しております。

 今後の原油価格やガソリンなどの消費量にも執行は左右されますけれども、制度開始から約一か月半の間の執行実績がなかったことや、制度が発動するガソリン価格の要件が今後一か月に一円ずつ切り上がっていくという制度設計もあり、現段階において、予算が不足することは想定しておりません。

吉田(豊)委員 急に振りまして恐縮でしたけれども、もちろんおっしゃるとおりで、その予算というものが、状況を見てからでないと対応できないというのはおっしゃるとおりだと思います。幸い私自身も財金の方に所属しておりますので、この三月にどのような状況になっているか、そのようなことも見極めながら、また、状況についても、国民の立場から提案していかなくちゃいけないなと思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、順番でいきますと一つ飛ぶんですけれども、大きなところ、心の安全保障というところに入らせていただきます。

 この心の安全保障というのは勝手につくりました。安全保障という言葉は非常に分かりやすい言葉でして、もちろん、国家安全保障から農業の食料安全保障、いろいろな安全保障というのがあります。この安全保障の意味は、その最初につく手前のものについて、それをどう確保するのか、守っていくのかということの理解でよろしいかと思うんです。

 それで、心の安全保障と言いました。心をどう守るかということについて、私は新幹線で富山と東京の間をいろいろ往復しておるものですから、その間に結構ネットの情報をニュースとかで取ったりしておるのが毎日なんですけれども、そういう中で、今回、ちょっとびっくりするようなニュースを目にしました。

 それは、JRの宇都宮線、最近の話ですけれども、そこで、優先席に寝そべってたばこを吸っている若いあんちゃんがおって、その人に対してたばこをやめてくれと注意をした高校生が、その後、電車から出されて、そして暴力を受けたというようなニュースが入ってきたんですね。

 これはもういろいろな意味であり得ないし、ちょっと許されないことだろうと思いますけれども、その状況が、私もそこにいたわけではありませんから、これについてどっちがどうだとか、こういう話を今したいわけではないんですけれども、ただ、私が受けた印象というのは、高校生の子がたばこをやめてくださいと注意することはやはり正しいことで、正しいということを実行しようとした人間が、なぜそこで被害に、暴行されなくてはいけないのか。それはそれぞれの状況とか事情とかがあったにせよ、このことについては、やはり本当に考えられないことだなと私は思ったんです。

 これは常々、心の問題というのが、この国においても、世界でもそうなのかもしれませんけれども、どんどん成熟すればするほど、やはり人間にとって、心というものこそが一番健康でなくちゃいけないのに、それが健康な状態にいられなくなってきているというのを私自身も実感しています。

 この中で、今回のこの事故というか事件というか、起こったことについて、やはり勇気が要ったと思います、注意するということについては。それをやって、そこでそれがちゃんと認められていくという環境ができていなかったということについて、私はやはり、残念というよりも、申し訳ないということしか思わないんですけれども。

 是非これについて文科大臣に、常々私は、国として、やはり日本という国のよさ、心がけ、それが正しいことについて進んでいこう、こういう思いを子供たちに対して教育をしていく立ち位置にいらっしゃるのが文科省だと思いますので、改めて、このことについてどのようにお感じになっているかというところをお聞きしたいと思います。

末松国務大臣 先生に考え方を申し上げます。

 まずもって、御指摘の事件で大けがをされた高校生に心よりお見舞いを申し上げます。

 報道で知りまして、ネットで、その場所に居合わせた方が動画を撮られたんですね、その動画も拝見をいたしました。車内で電子たばこを吸おうとして、高校生が注意をしたということでありますけれども、謝らせて、その謝る高校生にずっと暴力を続けた、駅で降りても続けたという話でございます。

 社会でこういう人間と共生をしなきゃならないというのは、情けないというか、ある種、社会不安すら感じてしまうのが実態でございます。モラルの低下も先生の御指摘のとおりであります。

 こうした痛ましい事件が必ずしも学校での、小学校、中学校は道徳がございます、この道徳教育だけで防げるものとは思いませんけれども、道徳教育については、前回の学習指導要領において特別の教科と位置づけたことを機に、考えて議論する道徳へと質的転換を図って、その充実を図ってございます。

 具体的に言えば、例えば、正しいと判断したことを自信を持って行うなどの善悪の判断、善悪、理非とよく言いますけれども、そして、誰に対しても差別をすることや偏見を持つことなく、公平公正な態度で接して、正義の実現に努めることなどが、私は、公正、公平、社会正義といった内容を扱うとともに、それらの内容と関連づけて情報モラルに関する指導も充実することといたしてございます。

 文科省としても、引き続き、学校での道徳教育の充実が図られるようにしっかり取り組むとともに、今回被害に遭われた高校生の一日も早い回復を祈りたいと思います。

 ただ、難しいことは、やはり道徳というのは、先生、答えが一つだけではないんですよね。非常に複数あるということで、注意をしなければいけないということも事実だと思います、社会正義を果たすには。難しい問題があると思います。

 改めて、高校生の一日も早い元気な姿を心待ちにしております。

 以上です。

吉田(豊)委員 大臣から言葉をいただきまして、やはり何よりも元気に戻ってもらわなくちゃいけないですけれども、それこそ心の問題として、この国でそれだけの勇気を絞ってくれたことについて敬意を表して、そして、その行為こそ、実は、その道徳教育の中から、あるいはその人間関係の中から、その子が勇気を振り絞ってやったことじゃないかなと思うので、それをサポートしていくという体制が何よりも国家として重要だと思いますので、是非、また引き続きこのことについての応援をいただきたいなというふうに思うところです。

 このことについて、私はニュースで知りました。それで、ニュースには結構コメント欄がついております。このニュースについての、出来事についてのコメントを見たときに、ほぼほぼの方が、やはり同じように、許せない、そして被害に遭われた高校生の回復を祈るというとても前向きなことをおっしゃっているんですけれども、やはり一部に、そうではなくて、大人の社会ってこんなもんだよということを冷淡に書いてあるコメントもあるんですね。

 これが私は、実は、ここにいる皆さんは大人だという前提ですけれども、大人って何といえば、やはり、世の中の苦しさとか、酸いも甘いもとか、あるいは、正義だけでは通らない、自分が悔しい思いをしたところがある、そういうことの積み重ねの中で、自分がそれでも正義の部分を、正しいことを目指していくということが、私たちとして感じていることだと思いますけれども。

 なかなか子供が、じゃ、ある段階で教えられて、正しいということをやりましょうといったときに、それをやってみたらひどい目に遭いました、これはどうなっているんだというところは、やはり、子供としてのまだまだ成長過程の中でどうそれを守っていくか、その考え方を温めて、そこから進んでもらうかということが大事だと思うんです。

 これに私は、このSNSのコメントというものが、プラスのもののメリットはあるとしても、マイナスのところのデメリットが余りにも大き過ぎて、それは、子供たちに対してこの匿名のコメントを見せるということ自身が物すごく教育的に大きな問題じゃないかなと感じているんです。

 このことを是非、どうお考えかということを確認したいのですけれども、これは金子大臣の方にお聞きしてもよろしいですか。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 インターネット上には、御指摘のようなものも含めて様々な情報が流通しているわけでございますが、その情報の扱いについて、青少年には必ずしも十分な判断能力が備わっていないため、青少年が安全、安心にインターネットを利用する上で、保護者の果たす役割は極めて大きいと認識しております。

 これを踏まえ、総務省としましては、青少年が利用する携帯電話について、閲覧できるウェブサイトや利用できるアプリを制限する機能、いわゆるフィルタリングの利用を促進をし、保護者が青少年のインターネット利用に関与しやすい環境の整備を進めておるところでございます。

 また、学校の教育現場において、安全、安心なインターネット利用についての出前講座を実施いたしまして、生徒だけではなくて、保護者の情報リテラシーも向上すべく取り組んでおります。

 総務省としては、これらの取組を通じて、引き続き、保護者が適切に関与することにより、青少年が安全、安心にインターネットを利用できるよう、必要な施策に取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 金子大臣のおっしゃるとおりで、そして、私は是非、文科大臣と、ここの部分についてはもう少し、この経緯とか、それから何が本当に問題となっているかというところを、やはり、SNSの匿名性という言葉を一つ取っても、それだから意味があるという状況もあると思うんですね。

 だから、一律に全てそれを止めるなんて話はもちろん私は言っておるわけではなくて、ただ、匿名だからということによって、結局は、心の問題についての、思いやりとかいたわりとか、そういうものが欠如しやすい条件になるということも事実だと思います。

 こういうところをもう少し丁寧に、特に今、子供たちのところに対して配慮していく必要があるというふうに、今回、事件を経て私は感じたんですけれども、是非、文科大臣、もう一度この辺りについてのお考えをお聞きしたいと思います。

末松国務大臣 インターネットのことでございますけれども、いじめのことが事件で起きまして、自死をした子供さんがいます。これも、学校のたしか配付したタブレットの中で、パスワードが実は非常に分かりやすいものであったんですけれども、そのパスワードを、同一性でしたかね、ほとんど、それぞれが、生徒が分かっていて、先生が分からなかった。そこに誹謗中傷するような言葉があって、悩み続けた上、亡くなられたという事件がございました。そういうことが今問題になっておるんですけれども。

 そういう意味で、きちっと大人社会が、子供社会の隙間というか、どういうことが行われているかというのが十分見えていない部分があります。と同時に、やはり、SNSの使い方でも、一つのツールというのでしょうか、使い方というのを、やはりきちっとしたルールを守っていくということ、学校教育においても厳しくこれは指導しなきゃいけないということ、そのことを思っております。

 すぐにこうだという決め手はありませんけれども、ずっとこの問題、議論を続けておるところでございます。いろいろな御指導をいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

吉田(豊)委員 まさにおっしゃったとおり、ツールがやはりいろいろな問題を起こしていくということですから、是非そこは連携を図っていただいて、そして、一つ一つの問題に、親のコントロールということもそうですが、おっしゃったように、親よりも子供たちの方がツールについてたけている状況が現実だと思いますので、その部分についてもいろいろなところを見ていただければと思います。

 どうもありがとうございます。

根本委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。

 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 コロナオミクロン株の急激な拡大により、蔓延防止重点措置の区域が昨日から三十四の都道府県に拡大されました。これまで、緊急事態宣言と蔓延防止重点措置が繰り返し発出されて、そのたびに、飲食店始め事業者の皆さんにつらい思いをさせて、営業時間の短縮などの協力を求めてきたわけですけれども、一体いつまで繰り返されるのかという声が多くの方から寄せられています。

 三回目ワクチンの遅れや検査キットの不足、また、子供世帯への十万円給付についても、現金一括なのかクーポン券なのか、所得制限を撤廃しないのかなど、この間の政府の対応はぶれたり後手に回っているとの印象は拭えません。政府としての出口戦略がはっきりしないからだと思います。

 まず、出口戦略についての考えを山際大臣にお聞かせいただきます。

山際国務大臣 コロナウイルス感染症の蔓延防止等重点措置に限らず、我々が考えていることは、医療体制が逼迫しないようにどうコントロール下に置いていくかということでオペレーションをしております。

 したがって、蔓延防止等重点措置を解除する出口というのも、まさに、これから医療に対して負荷がどれぐらいかかるかということを総合的に判断しながら、医療体制が逼迫しないということが分かるようになって、それを知事と共有しながら、この蔓延防止等重点措置を解除していくということになっていくと思います。

中司委員 地元の大阪府を始め京阪神三府県や全国知事会から、基本的対処方針をオミクロン株に適した内容に変更すべき、そういう要望が出されています。にもかかわらず、しっかりとした検証の下に対応策が検討されたとは思えません。

 保健所の業務が逼迫し、実態は感染症法の五類相当に近い対応が行われているのに二類相当の分類のままであることや、社会経済活動を止めないための濃厚接触者の自宅待機期間の再短縮を行うことなど、積み残しの課題が山積しています。

 二年間のコロナ対応を振り返りますと、国が行うのか、また地方に委ねるのか、国と地方との役割分担が曖昧なままだと思います。例えば、地域の医療機関への財源支援内容については、現場を知った知事の判断に委ねた方が実情に即した迅速な対応が行えるのではありませんか。

 蔓延防止重点措置の対応を含めコロナ禍における知事の裁量権について、山際大臣の見解を求めます。

山際国務大臣 これは、相当、基本的な枠組みというものはもう各知事さんたちとは共有されているもの、我々はそういうふうに認識しています。

 したがって、少し御説明すると、基本的な骨格、基本的対処方針という形でお示しをしていますが、基本的な骨格は国がしっかりお示しをする、その中で、地域地域で実情が違いますから、その地域地域の実情を一番分かっていらっしゃる知事さんが、その基本的な骨格の中で知事さんの裁量で様々なメニューを選び、様々な形でオペレーションをやっていただく、こういう形になっておりますので、そこの整理は一定程度済んでいるものというふうに理解しております。

中司委員 そこは理解するんですけれども、なかなか現実がそうなっていない部分があるので、その辺しっかりと対応していただきますようにお願いいたします。

 次に、コロナ禍を踏まえた国と地方との役割分担について伺います。

 コロナの対応をめぐって、地方分権が進んだから統一的な国の対応が取れなくなって感染が拡大したといった、地方分権に対しマイナスの受け止め方が一部にあります。しかし、実際には、本来知事や保健所長が判断すべきことまで国が地域の実情にそぐわない枠決めを行ったり、その枠決めに必要な財源措置がスムーズに行われなかったりで、かえって対策に支障を来すことも多かったと聞いております。

 国は、水際対策やワクチンの確保などの調整、雇用や事業継続などの経済対策、専門的な知見に基づく方針の決定など国にしかできない対策に注力され、一方で、地方が担うべきところは地方に委ねて、国は必要な財源措置を行った方が現場の実情に見合った効果的な対策が取れると私は思っています。

 コロナ禍から学ぶべき教訓は、非常時と平時との在り方を整理し、国と地方との役割分担をきちんと確立して対策を立てることだと考えます。

 非常時は国が地方の状況を十分に把握して統一した対応を行って、平時は地方の自立性を尊重するといったような、めり張りの利いた国と地方との関係をこれから構築していくべきだと思いますけれども、金子総務大臣の見解をお伺いします。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の対応をめぐっては、委員の御指摘も含め様々な御意見があるものと承知をしております。

 感染症対応に当たっては、地域の実情を踏まえた自治体の創意工夫による対応策が国や他の地域に取り入れられている一方で、例えば、当初、保健所設置市、特別区の感染者情報が都道府県との間で十分に共有できなかったこと、緊急事態宣言に基づく事業者への休業要請等をめぐり都道府県と国の意向が異なり混乱を招いたことなど、国と地方あるいは自治体間の関係の在り方や役割分担をめぐる課題も指摘されております。

 第三十三次地方制度調査会においては、今回の感染症対応で直面した課題等を踏まえ、御指摘の役割分担の在り方を含め、国と自治体及び自治体相互間の関係の在り方などについて調査審議がなされるものと考えており、総務省といたしましても、有意義な議論が行われるよう取り組んでまいります。

中司委員 まず、非常時と平時の整理から進めていただきたい、こういうふうに思っているんですけれども、先ほど答弁にもございました、先般の一月十四日に開催されました第三十三次地方制度調査会の第一回の総会で、岸田総理から、コロナ後の経済社会に的確に対応した地方制度の在り方ということで幅広く審議をいただきたいと挨拶があったと思います。また、金子大臣御自身も、国と地方の関係の在り方や役割分担をめぐる課題も指摘されている、こういうふうに述べておられます。

 この課題とはどのように認識されているのか、また、総理のこの地方制度の在り方というのはどういうものかということは、見解をお示しいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 第三十三次地方制度調査会の発足に当たり、岸田総理より、デジタル化の進展及び新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえ、調査会に諮問がございました。

 今般の感染症対応をめぐっては、自治体の創意工夫による対応策が国や他の地域に取り入れられる一方で、国と地方、あるいは自治体間の関係の在り方や役割分担をめぐる課題も指摘されてございます。また、社会全体のデジタル変革が進展する中で、地方行政の在り方についてもデジタルを前提としたものへと変革していくことが求められております。

 私としましても、社会全体のデジタル変革を加速させ、活力ある地方をつくるとともに、感染症等への対応を推進し、次なる時代に向けた持続可能な社会基盤を確保していくことが重要だと考えており、調査会において、こうした観点も含め幅広く議論していただくことを期待しております。

中司委員 今回の調査会は、ポストコロナを見据えた基本的な国と地方との在り方を検討する、まさに、コロナという、かつて経験したことのない未曽有の事態を踏まえて、これからの国と地方との関係、そのあるべき国の形を議論する大変重要な場であります。コロナ禍に直面して明らかになった課題を十分に認識、検証されまして、さらに、感染症法や地域保健法などの個別法において必要な制度改正も踏まえて、地方自治の発展につながる積極的な議論が展開されることを期待し、強く要望しておきます。

 そして何より、地方分権はまだ道半ばであります。地方制度調査会での検討に当たっては、決して分権改革が後退するようなことがないようにお願いしたいと思います。というのも、現在の国と地方をめぐる財政構造を検証しますと、今から十五年以上前に声高に叫ばれていた、国から地方への税源移譲、これが依然として進んでいないからです。

 当時、私は、大阪府市長会の会長として、また全国青年市長会の会長として、国に対して徹底した税源移譲を求める立場に立っておりました。我が党の前共同代表で、当時の片山虎之助総務大臣は、国と地方の六対四の税源配分の改革を主眼とする片山プランを発表されました。機関委任事務が廃止され、国と地方は対等の関係、対等、平等の関係と言われた時代で、地方の首長も随分勇気づけられたものでありました。

 その時点で国と地方に共通した問題認識は、国全体の財政支出の六割は地方が担っている、つまり、平たく言うと、六割の仕事は地方が行っている、にもかかわらず、国全体の税財源の配分は、国が六割で地方には四割しか入ってこないという構造、いわゆる四割自治とやゆされる状態となっており、そのアンバランスを国庫補助負担金や地方交付税によって賄っている、補っているという構造、これを抜本的な税源移譲によって見直すべきという考え方でありました。

 そうした問題意識に沿って、いわゆる三位一体の改革は進められたのですけれども、当時目指した方向は、残念ながら実現されていませんし、残念なことに後退しています。平成十九年度に国税と地方税の比率が五六・七対四三・三まで縮まり、さらに、平成二十一年度には五三・四対四六・六にまで接近したのですけれども、消費税の増税による国税総額の増加など様々な要因がありまして、再び国税の比率が増加し、令和二年度には国税が六二・〇、地方税が三八・〇の比率に戻ってしまっております。

 このような国と地方との税財源の配分の現状について大臣はどのような見解をお持ちか、お伺いいたします。

金子(恭)国務大臣 中司委員御指摘のとおり、地方分権を推進するためには、その基盤となる地方税の充実確保が必要であり、総務省では、これまで、所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲や地方消費税の拡充など、地方税の充実に取り組んでまいりました。

 このような取組とともに、リーマン・ショック後の経済の回復により、地方税収は全体として増加基調にあり、実質的な地方税源である特別法人事業譲与税を含めた地方税収は、令和四年度地方財政計画では過去最高の四十三・三兆円となっております。

 地方の税源配分割合が三兆円の税源移譲後よりも低下しているのは、消費税率の引上げによる増収効果が国税の方が大きかったことなどによるものでありますが、地方税収については、先ほど申し上げましたように、着実に充実が図られてきたものと認識しております。

 今後とも、地方団体が地域社会を維持するために必要な行政サービスを確実に提供できるよう、地方税の充実確保に努めてまいりたいと思います。

中司委員 ありがとうございます。

 一定、理解をしておりますけれども、総務大臣におかれましては、分権改革の旗振り役として、ポストコロナ時代、それこそデジタル田園都市構想を進めて、地方から国全体へボトムアップの成長を実現するためにも、ひいては、東京一極集中を是正し、この国の形を変えていくためにも、頑張っていただきたいと思っております。

 コロナへの対応の一方で、デジタル時代の到来も国と地方の在り方を変えていく大きな要因であると考えます。デジタル社会を進めて、デジタル田園都市構想を推進するにおいても、現在ばらばらである自治体の情報基盤を標準化する、共通化する必要から、ガバメントクラウドが進められようとしています。デジタルガバメントの実行計画によりますと、この夏までに標準化のための基準を作成する、そして、原則、全ての団体が令和七年度までに標準準拠システムに移行することになっていると思います。

 私も、かつて自治体のシステム構築の財源確保に苦労してきた経験があるので、ガバメントクラウドの活用によって、自治体の大幅なコストの削減とかシステム更新の迅速化、内外のデータ連携による効率化やサービスの向上につながることはよく分かっております。

 まず、総じてどれぐらいの効果額を見込まれているのでしょうか。

 また、これまでのシステムを変えることには、大変な作業であって、拙速に過ぎれば、自治体の事務に混乱が生じたり、システム障害などのトラブルが起こる危険性は十分にあります。セキュリティー上に問題はないのか、また、現行システムとの整合性、あるいは、先行して自治体のクラウドのグループを立ち上げている、この独自の立ち上げたグループへの対応など、ざっと考えてみても、課題はたくさんあると思っています。

 全ての自治体に関わる大事な取組でありまして、果たして計画どおりに進むのかどうか、期待とともに危惧もしておりますが、牧島デジタル大臣の考えを聞かせていただけましたらと思います。

牧島国務大臣 ただいま委員から期待の言葉をかけていただいたものと受け止めております。

 ガバメントクラウドについては、今お話があったとおり、地方自治体の情報システムについても活用できるよう推進をしておりますし、先行事例として公募した八団体の中で、地方自治体がガバメントクラウドを利用するに当たって、課題の検証を行うということをしております。

 この先行事業で得られた知見は、随時、地方自治体職員との対話の場である共創プラットフォームというものを私ども持っておりますので、ここで地方自治体の職員の皆様とも対話をさせていただいております。

 これからも地方自治体の皆様の声をしっかりと丁寧に伺いながら進めてまいりたいと存じます。

中司委員 ありがとうございます。

 堅実に、着実に進めて、効果を出していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 ガバメントクラウドの推進とともに、マイナンバーの普及もデジタル時代の地方自治を牽引する大変重要なツールであります。マイナンバーの活用が住民に対する公正な給付と負担の確保につながるからであります。

 これに関連して、デジタル社会形成基本法において、日本維新の会は、国と自治体との役割について、公正な給付と負担の確保のための環境整備、これを追加修正したところです。これを受けて、どのような対応が行われたのか、教えてください。

牧島国務大臣 今御指摘いただきましたとおり、昨年の法案審議におきまして、公正な給付と負担の確保、修正意見を頂戴し、追加をしたところでございます。

 この公平な給付と負担の確保をどのように図るかについては、一義的には、社会保障制度、税制等とも、所管省庁にてその在り方や制度設計が検討されるものというふうに考えておりますが、これらの制度において、今御指摘あったとおり、マイナンバーの利用、マイナンバー法の改正、システム改修等が必要となる場合には、デジタル庁として、しっかりと所管制度を省庁と協力して取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 なお、デジタル庁としては、これまでも行ってきているマイナンバー制度を活用した行政機関の間での情報連携により、より正確な所得の情報や給付の状況を基にした社会保険料や提供する社会保障サービスをスムーズに決定すること、こうしたこともデジタル社会における公正な給付と負担の確保に資するものというふうに考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 次に、デジタル時代に適応した放送と通信の在り方について質問させていただきます。

 今や、テレビとインターネットで同じコンテンツが流されるなど、通信と放送の融合時代でありますが、それにもかかわらず、それにふさわしい改革とか進化が進んでいるとは言えないと思います。むしろ、海外に比べて、この分野で大きな後れを取っているのではないかと思うところでございます。

 一つには、この大きな変革の時代を牽引する立場の公共メディアであるNHKが、受信料の制度の見直しも含めて、通信と放送の融合時代に適した公共メディアに生まれ変わるという必要があると思いますけれども、その具体像とか、また抜本的な改革案がまだ出されていないわけであります。

 二つ目は、電波行政ですけれども、周波数の割当てについては、総務省による比較審査方式が取られています。電波をより有効で効率的に活用するためにも、また透明性の高い対応をするためにも、電波オークション方式を導入しなければならないと考えています。

 また、三つ目としましては、放送、情報通信に関する規制と振興のいずれの行政においても総務省が担当されていますけれども、規制に関しては、より中立性、透明性が高い独立行政委員会等が担うことを求めているところであります。

 こうした点について、日本維新の会は、かねてから、時代に見合った改革をすべきことを打ち出しておりまして、昨年六月には、オークションの導入と独立行政委員会の設置を求めるための法案を参議院でも提出をしているところでございます。

 先ほど述べました三点の改革について、これまでどのような検討をしておられたのか、お聞きします。そしてまた、今後、どんな改革の方向を打ち出されようとしているのか、大臣にもお伺いいたします。

吉田政府参考人 中司委員から三点御指摘いただきました。私の方から、一点目のNHKについてお答えをいたします。

 NHKにつきましては、NHKが国民・視聴者の負担する受信料で運営される公共放送であるということを踏まえまして、その基本的役割を果たしつつ、経営のスリム化やガバナンス改革を不断に進めていくことが大切であると認識しております。これまでも、NHKの業務、受信料、ガバナンス、これらを一体的に改革する必要性について、私どもといたしまして、累次にわたり、NHK予算に付する総務大臣の意見や検討会の報告書などにおいて指摘をしてきたところでございます。

 昨年NHKが策定いたしました中期経営計画では、受信料の引下げやチャンネルの削減などが盛り込まれております。改革に向けての一歩が踏み出されたところと認識しております。まずは、これらの方針を早期に具体化し、着実に実行するとともに、更に改革を進めることをNHKに求めていきたいと考えております。

二宮政府参考人 中司委員からお尋ねの二点目、三点目につきまして、お答え申し上げたいと思います。

 まず、周波数割当ての方式についてのお尋ねでございます。

 委員御案内のとおり、5Gの導入等によりまして、携帯電話用周波数の利用ニーズが急増しております。電波の有効利用を促進する観点から、総務省では昨年十月より、新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会を開催をしているところでございます。

 携帯電話用周波数の割当て方式につきましては、本検討会におきまして、オークション方式も含めて、諸外国の事例を踏まえながら調査分析を進めているところでございます。その結果を踏まえまして、我が国に望ましい割当て方式の在り方について検討いたしまして、本年夏頃を目途に取りまとめをしてまいりたいと考えております。

 三点目のお尋ねでございます。規制について、独立行政機関でというお尋ねだと思います。

 情報通信分野は、技術革新や国際競争が大変激しい中で、特に国家戦略的対応が求められる分野であると認識をしております。例えば、5Gの普及促進やビヨンド5G、いわゆる6Gの推進などの喫緊の課題に対応するためには、周波数の割当てや周波数利用のための技術基準の策定とその有効利用に係る研究開発、またインフラ整備の促進など、総務省の下で、規制と振興を車の両輪といたしまして、一体的、機動的、総合的に取り組んでいくことが必要と考えております。

 また、総務省といたしましては、行政運営の透明性の向上等を図るべく、情報通信行政の改革に向けた取組といたしまして、昨年八月に重点施策二〇二二を公表をしているところでございます。

 具体的に申し上げますと、電波監理審議会の機能強化、情報通信審議会での情報通信政策の在り方の検討などが盛り込まれているところでございまして、これに沿って、行政運営の一層の透明性の確保、政策立案機能の強化などに取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恭)国務大臣 ただいま両局長から御指摘のございました、NHK改革、電波オークションの導入、あるいは独立行政法人による規制の問題等々について、総務省の取組状況についてお答えさせていただきました。このことも含めて、しっかりと総務省の中で改革を進めてまいりたいと思います。

中司委員 ありがとうございます。

 今局長さんの方からお話ありました、NHKの改革、それからオークション、そして独立行政法人の件、それぞれ一定進めていただいていると思いますけれども、この急速なデジタル化の時代にまだまだ追いついていかない、スピード感を持ってやっていただかなければ、本当に日本の対応が遅れているというふうに実感しておりますので、どうか迅速に対応していただいて、進めていただきたい。

 また、我々も、このことについては法案を出させていただきたい、こういうふうにも考えておりますし、また今後、委員会の席でもこのことについてはやり取りをさせていただきたいと思っています。

 最後に、デジタル時代にふさわしい地方制度についても、先ほど第三十三次地方制度調査会のテーマとしてお話があったわけですけれども、その中で、デジタル時代の地方自治のあり方に関する研究会、これで検討が重ねられていると思っております。

 取りまとめに当たって地方の声も十分に聞いていただきたいというふうにも思っておるんですけれども、その取りまとめ、もう間もなく出てくると思いますけれども、その方向性について少し、よければお話しいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 御指摘のございました、デジタル時代の地方自治のあり方に関する研究会は、デジタル時代に求められる地方自治の在り方について幅広く議論を行うことを目的に、昨年三月から開催しているものでございます。

 本研究会では、地方自治やデジタル化に詳しい学識経験者の方々に御参画いただき、関係省庁や自治体からのヒアリングなども行いながら、専門的見地から、地方自治制度に関する課題や論点の整理を中心に調査研究を行っているものでございます。

 他方で、社会全体のデジタル変革を踏まえた今後の具体的な地方制度の在り方については、地方六団体の代表も入った、先ほど御紹介いたしました第三十三次地方制度調査会において、地方の意見を十分に伺いながら検討いただくものと考えており、本研究会の議論も、そのような検討に資するものと考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、コロナ禍の中で国と地方との関係が大きく変わってきた、それと同時に、デジタル社会の中でも、国と地方の関係、これが問われる時代となってきておりますので、十分にその辺、検討いただいて、新しい国と地方の関係をつくっていただきますように、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて中司君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 本日、質疑の機会を与えてくださった関係各所の皆様に心から感謝申し上げます。

 今回が私にとって人生初の質疑、デビュー戦となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、人生百年時代において、子供から大人まで、たとえつまずいてしまったとしても、誰もがいつでもやり直せる、いつでもチャレンジができる社会をつくりたい、その思いで政治家を志しました。

 本日は、最初に、こども家庭庁に関わる質問からさせていただきますが、実は、私自身、一児の父であります。偶然にも、明日、第一子が一歳の誕生日を迎えます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 私自身が、子供を持ち、最初に思ったのは、子の幸せであります。子供は、存在そのものが本当にいとおしいですし、貴いです。我が子も含め、全ての子供たちに幸せな今とこれからを歩んでほしい、心からそう願っております。

 複雑な家庭環境や、いじめなどの学校生活での困難、こういったもので社会の宝である子供たちの可能性を潰さない、子供たち一人一人を守り、そして可能性を開いていく、これがまさに政治の役割だと考えています。ですので、こども家庭庁が掲げる、子供を真ん中に置いた社会との理念には、非常に共感いたしております。

 一方で、現在の議論を見ていると、必ずしも「こどもまんなか」の観点からは十分ではない点も見られると考えております。

 一つは、義務教育を終えた年代に対しての支援であります。

 義務教育期間においては、必ずしも十分ではないところもあるかもしれませんが、ソーシャルワーカーなどによるフォロー、居どころ不明の児童生徒の把握など、対応がなされてきたものと理解をしております。

 一方で、現場の声を聞いておりますと、義務教育期間と以降との間で断絶があると言われております。特に、中卒者、高校中退者などについては、義務教育期間ではないことから所属がなく、児童へのフォローが困難な状況と聞いております。

 そこで、こども家庭庁として、こういった義務教育を終えた所属のない子供たちに対して、どのようなアプローチで必要な支援を行っていくのか、野田大臣の見解をお聞かせいただきたく、お願い申し上げます。

野田国務大臣 一歳、おめでとうございます。

 本当に、子供といることは幸せで、ただ、子供を守ること、育てることというのは難儀なことが多いので、是非こども家庭庁がよきサポーターになれれば、そういうふうに願いながら議論させていただきたいと思います。

 まず、御指摘の、中卒者の方や高校を中退された方の、どう接していくかということなんですけれども、昨年末に閣議決定をした基本方針がございます。そこでは、今後の子供政策の基本理念として、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援というものを掲げました。

 委員御指摘の、中卒や高校を中退した子供や若者への支援は大変重要であると、まさに認識しているところです。

 こども家庭庁においては、子供や保護者等の相談に応じて情報提供や助言を行う拠点である子ども・若者総合相談センター、これの設置促進と機能の強化、さらに、中卒者や高校中退者を含めた子供や若者に対して、NPOと連携をした、学びたい人、もっと学びたい人、そういう方たちの学習支援の場を始めとする居場所づくり、そして、高校中退ということで困難を抱える子供や若者、家庭に対して、アウトリーチ型、伴走型の支援を届けるための子ども・若者支援地域協議会などの地域の支援ネットワークづくりを進めることにします。実はもうあるんですけれども、非常に数も少ないし、まだまだ、まだまだなんですね。そういうことをしっかり応援していきたい。

 こども家庭庁の下で、中卒や高校を中退した子供や若者の支援が、それによって困らないように、しっかりと応援をしていけるように取り組んでいきたい、そう誓いたいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。是非しっかりと対応を進めていっていただきたいと思っております。

 現場からは、義務教育年代と以降の年代との間で、適切な引継ぎ、連携がまだまだ不十分との声も聞こえてきております。一度切れてしまった行政や社会とのつながりを再びつくること、特に思春期のただ中にある若者にとっては非常に難しいものと思います。

 中学校などで対応に当たられている先生やスクールソーシャルワーカー、また、高校などの義務教育以降の支援に当たられる方々との間で情報交換の仕組みをしっかりと構築していくほか、是非とも、基礎自治体の首長の方々、現場の関係者の皆様とも連携を深めて、必要な対応を進めていっていただきたいと思っております。

 続きまして、十八歳以降の若者支援についてお伺いをいたします。

 民法の改正により、二〇二二年四月から成人年齢が十八歳へと引き下げられます。また、児童福祉法の下では、十八歳以降の若者は、児童相談所、児童養護施設、子供家庭支援センターなどのサポートも受けられなくなると聞いております。社会的養護の観点から、こういった脆弱な十八歳以降の支援体制は非常に大きな課題だと考えております。

 子供は十八歳までと定義されていますが、こども家庭庁では、様々な壁を越えて支援していく、つまり、年齢の継ぎ目の壁をも越えて支援をしていくものと理解しておりますが、こども家庭庁設立によって、こういった十八歳以降の若者たちへの支援がどのように変わっていくのか、大臣の御見解をお聞かせください。

野田国務大臣 まさに御指摘の問題意識の下で、そういう今取り組めていないことをしっかり取り組もうということが大きな趣旨であります。

 先ほど申し上げた閣議決定した基本方針、この中に、今後の子供政策の基本理念として、それぞれの子供や若者の状況に応じて必要な支援が十八歳とか二十歳といった特定の年齢で途切れることなく行われ、思春期から青年期、成人期への移行期にある若者が必要な支援を受けることができ、若者が円滑な社会生活を送ることができるようになるまで、社会全体を支え、伴走していくこと、これを掲げております。

 社会的養護の経験者につきましては、これまでも厚生労働省において、自立に向けた各種支援や支援の連続性の確保のための取組が進められてきてはいますが、今御指摘のような問題、課題があります。ですから、こども家庭庁発足後においては、年齢によって支援が途切れることなく、伴走型を含めた自立支援の充実に取り組んでまいります。

 また、子ども・若者支援地域協議会と要保護児童対策地域協議会があるわけですけれども、これを一元的に所管して、有機的な連携を図ります。そうすることによって、十八歳といった年齢の壁を克服した切れ目のない包括的なアウトリーチ型、そして伴走型支援を届けるための地域における支援ネットワークというのをしっかりつくることに推進していきたいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。是非しっかり対応を進めていただきたいと思っております。

 実は、昨晩も、まさに現場で若者の支援を行っているNPOの代表の方とオンラインでの意見交換をさせていただいておりまして、その方もおっしゃっていたのが、今の支援の多くは、民間団体、そして施設の善意に大きく頼っている状況で、十分な財政的な支援が受けられず、非常に厳しい状態だということでした。

 例えば、成人後も、二十二歳など、一定の年齢までは国や自治体として責任を持って支援する具体的な制度、こちらをつくっていくべきかなと考えております。

 また、本日は福祉的なケアの観点を中心に質問いたしましたが、これと併せて、個人の自立を支援するための教育訓練、こちらも一体的に行っていく必要があるものと考えます。

 日本維新の会では、先般からも御提案を差し上げているかもしれませんが、子供に対してよりワンストップでサポートができる子供省も一つの案として御提案をしております。縦割りを排して真に「こどもまんなか」の理念を実現できるよう、引き続き議論させていただきたいと思います。

 次の質問に参ります。

 現在、中学生以下の子供がいる世帯に配る児童手当のうち、年収千二百万円以上の世帯に支給されている月五千円の児童手当特例給付が今年の十月で打切りとなる予定です。廃止によって浮く年約三百七十億円の財源は待機児童解消に向けた保育の受皿整備に使うという、必要な財源を子育て支援の枠内で移動させようという発想ですが、それでは子育て支援全体に係る予算は増えませんし、なぜ子育て支援だけ厳しい財源確保を求めるのでしょうか。

 コロナ禍で出生率が激減しました。そして、今も、オミクロン株の猛威を受け、保育園の休園などで、子育て世帯は大変な苦労を強いられております。このタイミングで三百七十億円の財源のために本当にやるべきことなのか、強い疑問を感じざるを得ません。子育て世帯を応援するどころか、全く逆のメッセージを発することにならないでしょうか。

 先日、岸田総理は、次世代を担う子育て、若者世代の世帯所得に焦点を絞って倍増を可能とするような制度改革にも取り組んでいくと明言されております。「こどもまんなか」の理念を掲げているこども家庭庁の立場から、野田大臣の所見をお伺いできればと思います。

    〔委員長退席、島尻委員長代理着席〕

野田国務大臣 これまで日本の国が取り組んできた子育て世帯に対する支援というのは、例えば、幼児教育、保育の無償化であったり、不妊治療助成の拡充であったり、新子育て安心プランの実施による待機児童の解消などを行ってきており、子育て世帯全体の支援というのを充実させてきています。

 今御指摘の児童手当の特例給付の見直しについては、総合的な少子化対策を進める中で、やはり長年課題になっている待機児童問題の解決を図るということと併せて行ったものであり、全体のバランスを考えた上での対応であることを御理解いただきたいと思います。

 しかし、これからは、今おっしゃったように、こども家庭庁をしっかり創設して、日本の政治の中で子供政策というのを我が国の社会の、私は真ん中と申し上げ、総理はど真ん中とおっしゃるんですけれども、に据えて、子供目線に立って進んでいく。

 これまでは、子供のことに関して、ややもするとケアレスなところもあったけれども、やはりしっかり子供に様々な国費を投じていくという新しい日本を共につくっていければ、そういうふうに思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 三百七十億円を待機児童解消に使うというのは、いささか古い政策選択ではないかなと個人的には考えております。

 保育園の定員割れ、こちらは、待機児童問題の次の課題が出てきているという意見も各所から伺っております。ポスト待機児童問題も視野に入れて、機動的に予算配分をしていただきたいと思います。

 もっと踏み込んで、予算枠を財務省の取りまとめから独立させて、GDPの一定割合を必ず子供のために配分する等と定めた上で、その財源を着実に活用できる組織体制が今の日本には必要だと思います。先般から御提案している子供省と併せて、引き続き議論させていただきたいと思います。

 じゃ、野田大臣、どうぞ退席していただいて。ありがとうございました。

 続いて、人への投資についてお伺いいたします。

 何度でも、誰もが生涯チャレンジできる社会の実現に向けて、人への投資、特にリスキル、リカレント教育が非常に重要と考えます。

 コロナ禍でも明らかになったとおり、デジタル化の急激な進展などにより、産業の新陳代謝もこれまで以上に加速してまいります。人生百年時代と言われる中、終身雇用と言われる、一生同じ組織に属し、似たようなスキルが求められ続ける働き方を前提とした正社員中心の日本的な働き方のモデルは、既に限界を迎えています。また、個々人にとっても、人生いつでもやり直しができる、キャリアを変えて新しいチャレンジができるためのリスキル、リカレント教育が重要と考えます。

 私は、前職のシンクタンクにおいてリーダー人材育成に携わり、たくさんの仲間たちの人生の新たな挑戦を応援してまいりました。また、自分自身、IT、シンクタンク、そして今、国会議員と、幸運にも、そのときそのときに業種を変えながら、なすべき道へと歩みを進めることができました。

 そういった経験の中で、幾つになっても学び直せる、チャレンジできる環境を整えれば、様々な方々の可能性が広がります。それは本人にとっても社会にとっても非常に重要なことです。天然資源の乏しい日本において、人は最大の資源であります。人への投資、これこそがこの国の今後にとって一丁目一番地の優先すべき政策と私は考えます。

 しかしながら、現在、岸田政権の掲げる人への投資は、実際には中身がなく、つけ焼き刃の印象を受けています。

 まず、予算規模に関してです。現在政府が示す三年間で四千億円との規模は、OECDに加盟する諸外国と比較すると十分ではありません。例えば、人への投資のうち職業訓練の公的支出だけを見ても、日本は対GDP比率で〇・〇一%しかないのに対し、アメリカではその三倍、ドイツやフランスなどでは十倍以上の予算配分となっております。

 政府の言う成長と分配の好循環の原動力に位置づけるには余りにも不十分な水準だと考えますが、大臣の御見解をお聞かせください。

    〔島尻委員長代理退席、委員長着席〕

後藤国務大臣 今般、企業や労働者のニーズに合った支援に一定期間、一定の規模で強力に取り組んでいくものとして、三年間で四千億円の施策パッケージを創設しまして、今委員から御指摘のあったような労働移動の円滑化や人材育成を、リカレントも含めて強力に推進していくことといたしております。

 令和三年度補正予算には千百五十六億円を計上しており、平成四年度から六年度まで同程度の規模の人への投資を進めていくという考えの下、三年間で四千億円を規模としたものです。

 このパッケージの実施に当たっては、政府としては新しい取組をしておりまして、民間の企業、働く皆さんから広くアイデアを募りまして、その募ったアイデアを踏まえて、教育訓練の内容や充実、受講しやすい環境の整備、新しい事業の創設、そうした効果のあるものとなるよう取り組んでいくということで、できる限り頑張って取り組んでいきたいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。期待した御回答はいただけませんでしたけれども、先進諸国並みへと近づけるために、是非引き続き御対応をお願い申し上げます。

 また、予算規模を検討していく上で、具体的な戦略とビジョンの下に、しっかりとした数値目標を示すことが重要と考えます。

 岸田政権での議論を見ていますと、三年間で四千億円という数字だけが独り歩きし、結局のところ、どの領域でどの程度の雇用効果を目指すのか、働く方々の報酬をどの程度上げたいのか、そして結果としてどの程度の経済成長を目指すのかといった具体的な数値目標や明確な時間軸が示されていません。今回はこれ以上の答弁は求めませんけれども、是非、政府には、明確なビジョンと目標設定の下、一貫した戦略に基づく人への投資を進めていただきたいと思っております。

 続いて、人への投資の検討体制、こちらについて質問してまいりたいと思います。

 今回、人への投資を取り上げるに当たって、官僚の方々から、政府が検討する施策について数度御説明をいただきました。その中で気になったのが、厚労省、文科省、経産省などがそれぞれに人への投資に関する施策を別個に検討されており、一貫した方針が見えない点にあります。

 明確なビジョンと一貫した戦略に基づく人への投資を進める上では、司令塔機能、これが不可欠だと考えております。人への投資について、各省庁がそれぞれに施策を積み上げで検討されている現在の体制についての課題認識、そして、一貫した政策立案、実行を実現する体制づくりに関しまして、大臣の御見解をお聞かせください。

後藤国務大臣 三年間で四千億円規模の施策パッケージについては、昨年末に開催されました第一回の教育未来創造会議において、総理からも、関係省庁としっかり連携して、パッケージの政策づくり、また実行の指示を受けております。

 本パッケージについては、既に関係省庁との連携を十分に行いつつ作業を進めておりますけれども、特に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、民間の企業やあるいは働く皆さんたちに広くアイデアを募った形で今後進めていきたいということで議論をいたしております。

 御指摘のとおり、今年の令和三年度の補正予算、文科省、経済産業省の事業も含めて千百五十六億円を計上しておりますが、厚生労働省の千二十四億円、経済産業省の三十二億円、文科省の百億円と、今年の三次補正予算について言えば、そういう形で既存事業の積算になっております。

 しかし、今幅広く議論を求めておりますのは、具体的な事業の中に新しい事業分類や新しい施策を入れられないか。それから、全く新しい事業を創造するということであれば、三年間の途中からになってしまいますが、来年度の予算に全く新しい形の事業もつくるということで、できる限りの対応をするということで取り組んでおります。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 民間企業とも連携をしているといったお話でしたけれども、事前に各省をお呼びしてお話をお伺いしたとき、どちらも牽制し合っているといいますか、強い言い方をすれば、押しつけ合っている、そんな印象も受けました。

 岸田総理、会議をつくることがお好きなようですから、人への投資についても、是非とも一つテーブルを設けて、責任を持って進めていただくことを要望させていただきます。

 それでは、続きまして、リスキル、リカレント教育の現行の制度の課題、施策パッケージの内容にもう少し踏み込んだ形で質問をいたしてまいります。

 今見ている中ですと、どうしても、企業中心、事業主を支援する、そうした施策が中心のように見えてまいります。例えば、令和四年度予算において五百四億円が計上される人材開発支援助成金によるデジタル人材育成、非正規雇用労働者支援についても、こうしたところが見受けられます。私自身、より個々人のニーズに合わせた、働く人が真ん中の施策パッケージが必要ではないのかと考えておりますが、御所見をお伺いできれば幸いです。

後藤国務大臣 デジタル化の急速な進展や職業人生の長期化等に対応しまして、人への投資、そこに注目していくということで、今新しい政策づくりに取り組んでいるわけでありまして、関係者が協働して学びや学び直しを強力に進めていくことが重要だ、これはもう本当に御指摘のとおりだと思っています。

 一方で、日本企業の人的投資、具体的には、オフ・ジョブ・トレーニングの研修費用は先進国に比べて低くとどまっておりまして、近年更に下がっていって、今、世界的には劣後する状態になっているという認識を持っております。このため、先ほど申し上げた四千億円の施策パッケージも創設して取り組んでいるわけでございます。

 また、地域の人材ニーズに対応した精度の高い教育訓練を推進する観点から、地域の労使団体、大学、教育訓練機関、労働局、都道府県職業紹介事業者など、幅広い関係者による協議の場を法定化する検討をいたしております。

 企業における学びや学び直し、そして、それをできる限り、個人のリスキル、あるいは個人の能力を、チャンスを広げるという形で引っ張っていけるように、ガイドラインの策定、あるいは、先ほど申し上げたような新しい事業の創設、是非皆さんから御意見を賜りたいと思います。

 今年の分については、昨年から今年一月の、ちょっと日にちを忘れましたが、一月の末まで、国民の誰からでも事業についてのアイデア提案をしていただくということで、国民の御意見を募集して、参考にしようということで、御意見の募集をいたしているところであります。

阿部(司)委員 御回答、ありがとうございました。

 時間が参りました。引き続き建設的な議論を進めて、この国を少しでもよくできればと思っております。大変緊張しました。質問を幾つか残してしまったんですけれども、あしたの第一子の誕生日はリラックスして迎えたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 今回も、立憲民主党さん、日本維新の会さんに質問時間を譲っていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 さて、まず日銀総裁、三日前に引き続いて少しお伺いをしたいというふうに思いますけれども。

 昨日、ワシントンでFRBの連邦公開市場委員会が行われまして、パウエル議長が、適切な条件が整えば、次回のFOMC、これは三月十五、十六だそうでありますけれども、利上げを決定するという説明をされました。

 アメリカのGDP成長率は六・九%、消費者物価上昇率は七・〇%で、三十九年ぶりという高水準であります。また、昨年十一月に始めた量的緩和の規模縮小を三月上旬に終える、テーパリングですね、これを三月上旬に終えるという見通しを示した上で、予想可能な方法で資産を減少させていくということも述べたわけであります。つまりは、利上げと量的引締めを同時に行う可能性を示唆いたしました。

 今日の日経平均は、織り込み済みもあり、またFOMCが終わったということを受けて、五百円以上上昇していると認識をしております。また、円・ドルは今百十五円台半ばぐらいまで、少し円安が進んでいるということでございますけれども、このFOMCの決定が今後の日本経済に与える影響をどう分析し、日銀の金融政策の変更の必要がないか、まずお伺いしたいと思います。

黒田参考人 まず、各国の金融政策はそれぞれの国の経済、物価の安定を目指して行われますので、それぞれの国の経済、物価情勢の差異に応じて金融政策の内容、方向性が若干変わってくるということは御理解いただけると思います。

 そうした中で、御指摘のとおり、米国では七%程度のインフレ、そして経済は急速に回復しているということですので、そうした中で、FRBが金利の引上げのタイミングを、まだ引き上げると決めていませんが、かなり早急に引上げを始める可能性があると。それから、量的緩和の方は、買入れの資産をずっと減らしていくわけですが、残高がまだ増えていくんですけれども、いずれかの時点で、ネットの買入れをゼロにして、将来、特に国債が中心かもしれませんが、償還期が来たときに、買換えをしないで残高を減らす可能性もあるということも言っています。ですから、そういう意味では、委員御指摘のとおりのことをFEDが始めようとしているということは、そのとおりだと思います。

 他方で、米国経済が非常に強く、しかもインフレが強まっている。ただ、それだけでなくて、物価上昇期待も上がっている、賃金も上がっているということですので、ここでFEDがそういう方向に政策を切り替えるということ自体は、まあ、よその中央銀行の政策をいろいろ言うのもいかがかと思いますが、私自身は大変適切な政策であるというふうに思っております。

 ただ、それが日本経済にどのような影響を与えるかということですが、米国経済は世界最大の経済ですし、日本にとっても重要な貿易相手国、投資先ですので、その国がインフレにならずに力強い成長を続けてくれるということは大変好ましいことですし、世界経済にとってもプラスであると思っております。

 金利の引上げが実際に行われたときに円安になるかどうかということは、これは委員もよく御承知のとおり、そういう傾向がしばしばあるんですけれども、必ずしもそうならないこともある。

 いずれにせよ、為替については、やはりファンダメンタルズを反映して安定的に推移するということが日本経済にとって最も好ましいと思いますので、為替の動向には十分注視していきたいと思いますけれども、今の時点で、何か米国の金融政策が我が国の経済とか金融にマイナスの影響を与えるというふうには考えておりません。

前原委員 三日前も議論させていただいたことで、私の懸念は、やはり、円安傾向に行くということになれば、そしてまた、これから携帯電話の引下げなど、GoTo関連も含めてですけれども、そういった要素が剥落をしていくということになれば、この二〇二二年度においては日本も一%を超えてきて、年央には一・五%程度にまでコアCPIがなるのではないかということが言われている中で、実質賃金がマイナスになる。さらにそれが、アメリカが利上げをする、あるいは、買入れを縮小するだけではなくて、資産そのものを減らしていくということになった場合には、更なる円安基調になると、よく言われる、いわゆる悪い円安というもので、悪い物価上昇、そして賃金は上がらないのに輸入物価が上がり、そして国民の生活が厳しくなるのではないかという懸念を持っているということで申し上げているわけです。

 しかも、例えば、今、イエメンで内戦をしていますね。フーシ派がUAEの拠点をドローンなどで攻撃するということで、これは油の値段にも今後不透明感が漂っているわけでありますし、ウクライナ情勢もどうなるか分からないということで、今、一バレル九十ドルまで近づいていますよね。そういうようなことで、百を超えてくるんじゃないかということが言われている中で、そういった今後の見通しも含めて、私は金融政策というものは見直すべきではないかという観点に立って質問しているわけでありますが、いかがですか。

黒田参考人 消費者物価の前年比は、当面、エネルギー価格が上昇し、原材料コスト上昇の価格転嫁も緩やかに進んでいくという形で、しかも、四月以降は、御案内のとおり、携帯電話通信料下落の影響も剥落していきますので、一%程度までプラス幅を拡大していくというふうに我々も予想しております。

 先行きの一人当たりの名目賃金につきましては、企業収益の増加や労働需給の引き締まりを反映して、徐々に上昇率を高めていくと見られますけれども、エネルギー価格の上昇などから、実質賃金に一時的に下押し圧力がかかる可能性はあると思っています。

 もっとも、先日の展望レポートで示しておるとおり、二〇二二年度は、政府の経済対策もあって、プラス三・八%という高い成長が見込まれている下で、個人消費の動きを規定する一人当たりの実質賃金に雇用者数を掛けた実質雇用者所得は緩やかな増加を続けるというふうに考えておりまして、日本銀行としては、今後とも、強力な金融緩和を粘り強く続けていくことで、企業収益の増加や労働需給の改善といったプラス効果が、幅広い経済主体に及んでいくというふうに考えております。

 なお、一点だけ。これは日銀総裁として特に申し上げる話でもないんですけれども、ウクライナ情勢については大変懸念しておりまして、それがエネルギー価格とかその他に影響しないかどうか、十分注意して見てまいりたいと思っております。

前原委員 これも先般議論したことですけれども、全体のパイがプラスになるからいいんだということではなくて、やはり、一人一人の実質賃金が下がるということは、それだけ生活が厳しくなるということでありますから、悪い円安というものについては極めて注視をしておかなければいけないし、当然ながら、金融緩和というのを続けると、短期的には、マクロ経済というのはプラスになるのは当たり前なんですね。例えば、企業でいうと、為替効果も出てくるし、それからもっと言えば、金利が低ければ、企業は楽ですわね、借入れしているところなんかは。

 逆に言うと、それが原因で、例えば、本来であれば市場に淘汰されてしまうような企業も残ってしまうとか、潜在成長率が上がらないとか、労働生産性が上がらないとか、そういうような要因をつくっているのもこの金融政策であるわけであって、足下の経済さえよければいいんだということではなくて、全体の日本の経済を考える中で、本当に今の金融政策が妥当なのかどうなのかということは、やはりしっかりと私は検証していかなくてはいけないし、その視点が今の日銀総裁の答弁には欠けているということは指摘をしておきたいと思います。

 もう一点だけ、総裁にお尋ねしますけれども、IMFが日本経済を分析した年次報告書をまとめました。

 日銀に対しては、金融緩和の継続は支持しつつも、持続可能性を高めるために更なる措置を検討できると指摘をして、利回り目標を十年物からより短い満期にシフトされてイールドカーブをスティープ化、つまり立たせるということですね、が一つの選択肢となり得ると提言している。

 この背景にあるのは、金融機関の収益に与える影響を軽減すべきだということを言っているわけでありますが、こういったIMFの提言、つまりは、十年物をターゲットにしているのをより短期にするということと、私も従来から申し上げているように、マイナス金利というのは、やはり相当金融機関に悪い影響を与えているということの中で、もしこの十年のイールドカーブコントロールというのが、マイナス金利というものがなくても維持できるのであれば、これはなくした方がいいと思うんですけれども、いかがですか。その二点をお答えください。

黒田参考人 私自身もIMFの幹部といろいろな議論をしておりますけれども、御案内のとおり、先日IMFが発表した世界経済見通しで、日本経済の成長見通しを二二年、二三年共に引き上げていまして、他方で、中国の成長見通しを引き下げているんですけれども、日本経済についてIMFの見方は、比較的積極的というか、ポジティブに捉えておられるというふうに思いました。

 その上で、御指摘の、長短金利操作目標、十年物国債でなくてもっと短いものにしたらどうかという話と、それから、マイナス金利、短期政策金利をマイナス〇・一%にしているというものについて、これは別にIMFが指摘しているわけではありませんけれども、委員御指摘のようなこの二つのポイントというのは、いずれも、結局のところは、イールドカーブコントロールをしている、低位にくぎづけているイールドカーブを結局引き上げる、あるいは立てる、スティープ化させる、こういうことだと思うんですけれども、将来、出口に差しかかって、出口戦略というのを議論する場合にそういったことも議論されるとは思いますけれども、現時点で、このイールドカーブコントロールを変えて金利を上げるとかスティープ化させるということは、時期尚早というか、適当でないというふうに考えておりまして、あくまでも、適切なイールドカーブコントロールを実施していく上で、マイナス〇・一%をごく少ない当座預金残高に掛けているわけですけれども、それは、短期金利をマイナス〇・一%程度で安定させる上で重要ですし、それから、十年物国債をゼロ%程度ということを目指して国債の買入れを行っているということ自体も、全体としてイールドカーブを低位に維持するという意味で、現時点では適切な政策であるというふうに考えております。

 ただ、さっき申し上げたとおり、将来の話として、出口戦略の場合にいろいろな議論が出てくる。それは、二%の目標が達成されるというような状況になれば、当然、出口を政策委員会で議論して、具体的にマーケットにもコミュニケートしていくということになろうと思いますけれども、現時点では、やはり今のイールドカーブコントロールが適切であるというふうに私どもは考えております。

前原委員 これで終わりますけれども、一つ申し上げたいのは、二年で二%の物価上昇ということで異次元の金融緩和を続けて、もう九年ですよね。そして、それが実現できていないし、先ほど幾つかの例を申し上げましたけれども、マイナスの要因も出ているということの中で、本当に日本の経済のためになっているのかということを考えると、私は必ずしもなっているとは思っていないんです。ですから、見直すべきだということを私は申し上げているわけでございまして、余りにもやはり短期的なところを見過ぎているんじゃないか。日本の構造転換とか体質改善というものを考えると、むしろ、長引いていること自体が私は大きなマイナスを生んでいるということを申し上げておきたいというふうに思います。

 御退席いただいて結構です。

 では、財務大臣。

 これも、三日前に総理に伺ったことについて財務大臣にお伺いしたいと思います。

 お配りしている資料一、これは、この間も見ていただいた、平成二年と今年度の予算を比較したものでございまして、とにかく、社会保障と国債費しか増えていない。四十兆増えたけれども、ほかのところは、言ってみれば、シーリングがかかってなかなか増えていないということ。

 それから、三ページですけれども、今後の、これはやはり非常に暗たんたる気持ちになりますね、生産年齢人口がずっと減っていって、日本だけ本当に急激に生産年齢人口が減っていくということの中で、総理は、新しい資本主義。これも中身はよく分かりませんけれども、新しい資本主義によって経済が今までとは違う成長をし、そして二〇二五年のプライマリーバランスも黒字化ができるというようなことをおっしゃっているわけですね、具体的な道筋を全く示さずに。その中にあって、実際、財政を預かられる財務大臣としては、今回の予算編成も相当御苦労されたと思うんです。

 これは本当に、経済成長、もちろん経済成長がなければ税収が伸びないということも事実なんですけれども、日本の人口構成がこれであるのに、しかも千二百兆円、国、地方を合わせて債務残高があるにもかかわらず、日本のいわゆる国民負担率というのは、OECDの中でも下から数えた方が早いですよね。まだ四四%台ということで、三十八か国の中で七位か八位ぐらいだと思います、下から数えて。本当にやっていけるのか。

 もちろん、経済を失速させるようなものはいけないけれども、私は、僭越ながら自分が総理であれば、経済への影響を考えながらどういった増税というものが考えられるのか検討してくれということを、私は財務大臣にお願いすると思うんですね。

 二つお答えください。

 本当に増税しなくてやっていけるのか、これから日本の財政は。ということと、それから、もし検討するとすると、経済に対していろいろな影響を勘案しながら、どういうものが日本にとっては、いい増税と言ったらおかしな話ですけれども、消費税というのは非常に国民的な嫌悪感それから拒否感も強いし、また消費を冷やす大きな要因になっているとも言われるわけですけれども、どういったものが考えられると考えるか。その二つをお答えください。

鈴木国務大臣 総理もおっしゃっていたと思いますけれども、増税について今の時点で明確に総理も申し上げておりませんでした。これから先、どういうような財政需要が出てくるか、そういうこともよく見ながら考えていかなければいけないということでございますので、どの税を増税するかどうかというのは更にその先の話でありまして、それについても総理は触れておられないわけでありまして、私も財務大臣という立場において、将来のことは今ここではっきり言えませんけれども、今のところは増税ということについては想定していない、考えていない、こういうことでございます。

前原委員 想定をしていると言ったら、閣内不一致で突っ込みますけれども。

 ただ、やはり現実を考えた場合、財政需要とおっしゃいましたね、言葉を使われた。これから団塊の世代が後期高齢者に大量に入っていくわけで、この三ページの右側の図を見ていただいたら、どういう人口構成にこれから二〇七〇年に向けてなっていくのかということを考えたときに、人口そのものは減りますけれども、この構成を考えたときに、やはり、社会保障費というものは二〇四〇年が一つのピークとは言われていますけれども、まだ二〇四〇年というのは二十年近くあるわけですね。財政需要はたっぷりあるわけですよ、幾ら社会保障を削ったとしても。だから、財政需要は明確に見えるんです。だって、生まれた人はもう生まれているんだから。そして、長寿化が進んでいるのはいいことだし、そういったものは前提条件としてあるわけだから。

 そうすると、今、財務大臣の言われた財政需要というのは目に見えるものがあるわけですよ。それでも、本当に増税の必要はないということを言い切れますか。

鈴木国務大臣 まずは、財政健全化ということはしっかりやっていかなくちゃいけない、こう思っております。

 それに向けて歳出歳入両面での改革をしっかり進めていくということであって、今後、増税等、どのような取組が必要になるかということについては、そうした努力を進めていくということをした上で、経済の動向、財政状況等を踏まえて対応していくということになるんだと思います。

前原委員 言わずもがなですけれども、歳入歳出改革で歳入というのは入る方ですから、今おっしゃったのは、歳入歳出改革、両方必要だとおっしゃったわけですから、そこは、もちろん、今この段階で総理が増税しないとおっしゃっているのに、それを支える財務大臣として明確に言えないのは事実だと思いますけれども、是非、財務省の方は優秀な方々がたくさんおられるじゃないですか、その方々に、経済への影響も鑑みて、どういう増税というものが今の日本にとって最も適切なのかということを、しっかり研究してみてください。私から要望しておきます。研究しますとは言えないと思いますけれども、是非研究をしていただきたいというふうに思います。要望しておきます。

 林大臣、にこにこされておられますけれども、中国の問題なんですけれども、何度も御答弁されておられますけれども、中国による台湾統一の可能性ということについてお伺いしたいと思います。

 御承知のとおり、前のアメリカのインド太平洋司令軍のトップが、二〇二七年までに統一をするだろうということで、するかしないかではなくて、いつするかの問題だということで、フィリップ・デービッドソンという人でありますけれども、だからそれを、名前を取って、デービッドソン・ウィンドーというふうに言われているわけでありますけれども、この中国による台湾の統一の可能性について外務大臣はどう考えておられるか、御答弁ください。

林国務大臣 両岸関係につきましては、経済分野を中心に深い結びつきを有している一方で、その軍事バランスは、全体として中国側に有利に変化しておりまして、その差は年々拡大する傾向が見られると考えております。

 今お話のあった台湾統一の可能性については、事柄の性質上差し控えますが、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要でございます。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場でございまして、そのような立場から、台湾をめぐる情勢について、引き続き関心を持って注視をしていきたいと考えております。

前原委員 そういう答弁になると思うんですね。

 それはそれで結構なんですけれども、これからちょっと読まないで、林大臣、お話しいただきたいんですけれども、我々が政権のときに、東日本大震災というのが起きて、そして原発の事故が起きたんですね。原発の事故が起きたときの対応ということに非常に批判をされました、我々の政権は。

 一つの大きな問題点は、原発を造るときに、原発は安全です、安全だから造らせてくださいということを、立地地域、そして国民に対して説明をして、そして、安全だからということをコミットメントしたために、自ら事故が起きたときのことを考えることを思考停止していたんですね。結局、それに対する対応策というものを考えていなかった。

 これは、ノーベル賞を取られた田中耕一さんという島津製作所の方とお話をしたときに、まさにおっしゃったことなんです。つまりは、絶対安全だと言ったことで、結局、何かが起きたときの、言ってみれば、取組に対する思考停止になってしまった、これがよくないんだということであります。

 事柄の性質上答えられないというのはそのとおりなんですが、一般論として、やはり、今、岸田政権として、国を預かられるお立場として、国務大臣の皆さん、全ての皆さんがそうですよ、何かが起こったときに一番恥ずかしい答えは、想定外でしたということなんですね。

 ですから、一般論で結構です。あらゆることを想定して、安全保障に関わることとしてですよ、外務大臣、それは、日本としてはあらゆることを想定して、自衛隊を含めた行政組織で準備をし、あるいは同盟国であるアメリカとも緊密に連携をし、様々なことを考えて、演習も含め、訓練も含めて準備をしているということをやはり明確に私はおっしゃるべきだと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 中台関係については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 その上で、あくまで一般論ということでございましたので、今申し上げたように、この安全保障環境、両岸関係が一層厳しさを増す中で、政府として、いかなる事態に対しても対応できるように、平素からの体制の整備も含めて万全を期していく、これは当然のことだと考えております。

前原委員 是非、例えば米軍に関わることであれば、これはなかなか外に出せないこともあるでしょうし、しっかりとあらゆることを想定して準備をしているということでしたので、そのことについては、その言葉をしっかりとこれからも履行していただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 その上で、やはり中国というのは隣国ですし、また、経済関係というものは非常に日本とも、あるいはアメリカとも密接ですよね。

 米ソ冷戦時代と違う一つの大きな理由というのは、米中、共に覇権争いはしているけれども、経済的には相互依存関係が非常に強いということ、ここが非常に米ソ冷戦とは違うことだというふうに思っています。

 私個人的なことですけれども、尊敬する政治家は誰かと問われたときに、私はトウショウヘイと答えるんですね。大学のときに私の卒業論文、高坂ゼミの卒業論文は中国の現代化だったわけでありますけれども、やはり、周恩来、そしてこのトウショウヘイ、この改革・開放路線というもの、毛沢東の、言ってみれば文化大革命という権力闘争で荒廃し切った中国を、外資を取り入れ、取り入れるのも、経済特区をつくって、そして、そこだけ例外にし、徐々にそれを広げていって、一九七八年の三中全会以降、四十年間で中国のGDPは二百倍ですよ。貿易量も二百倍。そして、軍事費は公表されているだけで六十倍。その素地をつくった人、これは、中国であろうがなかろうが、やはりすごい私は政治家、リーダーだと思いますね。その素地を、道筋をつくったというのは。

 そういう意味では、僕はトウショウヘイという人はすばらしい政治家だというふうに思うわけでありますけれども、その意味も兼ねて、僕は中国に学ぶことというのはあると思うんです。もちろん体制は違いますよ。民主主義と、国家社会主義というのか国家資本主義というのかよく分かりませんが、体制が違う。中国一党独裁ということで全然違うわけでありますが、国家目標を定めて、それに邁進をするということについては、私は非常に学ぶべきが多いと思うんですね。

 例えば、今日皆様方にお配りをしたグラフで、四ページを御覧ください。これは中国製造二〇二五と言われるもので、上に書いてある十の分野において、とにかく、下のグラフに書いてあるように、二〇二五年には製造業強国の仲間入りをするんだ、二〇三五年には世界の製造強国で中位の水準まで行くんだ、そして二〇四九年、建国百年には世界の先頭にいるんだ、こういったことで、しっかり国家目標を定めて、この分野についてはしっかりと政府も後押しをするということ。

 そして、五ページを御覧ください。四つのAI特区。まさに改革・開放のときは、シンセンとか青島とか、そういったところが改革特区に、改革・開放の特区に入れられたんですけれども、習近平になってからは、四つのAI特区ということを定めて、そして、こういったところで、自動運転、音声認識、スマートシティー、ヘルスケア、こういったものに対する世界優位を確立する実験場にして、しっかりとバックアップをしている、こういうことであります。

 経産大臣、TSMCを四千億円出して持ってくるのもいいですよ。だけれども、やはりこういった、四十年、五十年先の日本のことを考えて、やはり日本としてはどういう分野に力を入れていき、海外の企業を持ってくるというようなちっちゃな話じゃなくて、日本の企業を含めて、こういう分野についてはしっかりとやはり日本は、どういう分野でもいいんですよ、日本が定めることだから。別に中国の全てまねをする必要はない。日本は日本の得意分野があるでしょう。こういうものを定めて、しっかりとやはり、政権が替わろうが、大臣がどうなろうが、誰になろうが、こういった目標を達成するんだという、私は国家目標を定めるべきだと思いますが、その点について、お考えはいかがですか。

萩生田国務大臣 今、先生から御披露いただいた中国製造二〇二五については、その中身についてはおっしゃったとおりなんです。

 私は、たまたま今、半導体のことを例に出されましたけれども、これに限らず、やはり、コロナ以前とコロナを経験した日本としては、日本の経済の在り方はどうあるべきかというのは、長期のビジョンに立って、少し、ここまで年を切った計画がいいのか、業種を定めたものがいいのかはともかくとして、その必要性は私もあるというふうに思っております。

 したがって、時間があればもう少し詳しく話したいんですけれども、半導体につきましても、これは決して個社を応援するとか特定の半導体分野だけを伸ばすんじゃなくて、人材育成も一緒にやるべきだということを文科省にも呼びかけておりまして、今までとは違った意味での経済戦略というものをきちんと立てて、日本はどの分野で勝負していくのか、どの分野を伸ばしていくのか、どの分野を守っていくのか、あるいは、いい意味で同盟国や同志国の皆さんに依存をしても、この部分は譲りながら、協力をしていこうという必要性があるのかというようなものは、まさに整理をするときに来ていると思いますので、そういう思いで取組をしていきたいと思います。

前原委員 是非また、予算委員会も始まったばかりですので、こういった議論もしながら、そして、今日はできませんでしたけれども、米中の覇権争いによって様々な規制を両国がかけていて、どんな影響を与えているかということについても話を聞きたかったんですけれども。

 総務大臣、来ていただきながら質問ができなくて申し訳なかったです。

 終わります。

根本委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、統計不正問題について質問します。

 三年前、二〇一九年の今頃も、毎月勤労統計の不正問題がありました。「公的統計は、わが国の政策を企画立案するための根拠となるばかりではなく、国民が我が国の運営の実情を知り、政策を評価し、意思決定に利用するために不可欠な社会的情報基盤であり、公的統計は国家の基盤をなす情報」、これは、今回の建設工事受注動態統計の不適切処理に係る検証委員会報告書の指摘であります。三年前も、公的統計の大切さを繰り返し共有したはずではなかったでしょうか。しかし、実際には、あの毎月勤労統計の不正が発覚し、一斉点検や再発防止が叫ばれていた渦中で、もう一つの不正が隠されていたということなのであります。

 そこで、資料の一枚目、検証委員会の報告書の概要を基に我が事務所でまとめた資料であります。これをずっと使いながら議論していきたいと思いますけれども。

 事実関係をまずただしたいと思います。

 本調査が開始されたのは二〇〇〇年の四月です。会計検査院が指摘した調査票の合算処理が行われたのは、実は調査開始当初からである。国交大臣、間違いありませんね。

斉藤国務大臣 検証委員会の報告書においては、その開始された時期を含め、その事実関係や評価、原因を示していただいております。

 それによりますと、調査票の合算処理については、平成十二年、二〇〇〇年の建設工事受注動態調査の開始時点から、過月分の調査票に記載された受注高の数値を当月分の調査票の受注高に合算し、過月の受注高を当月の受注高に算入していたとされております。

 私としても、そのように認識しております。

高橋(千)委員 確認をいたしました。

 そこで、合算処理とは何か、なぜ問題になっているかということなんですが、資料の二枚目を見ていただきたいと思います。

 これは、当時、国交省が都道府県担当者向け説明会で使用した資料であります。左の赤い囲みのところ、「複数月分の調査票がまとめて提出されるケースがあります。」と書いています。ここでは、パターン、二か月分まとまった場合、三か月分まとまった場合。これは、遅れて出された調査票の数字を消して、重ねてカウントする、調査票、過去のやつを重ねて、一社の分にしてカウントすると書いています。これが合算であります。

 一年を通して見ると、合計は合っているかもしれません。しかし、月々の変化を見る統計でありますから、全く正しくないということになります。問題は、遅れて来た調査票の数字を消して、ゼロも消して、足し算をした数字を書き込むという書換えを指示していたということです。

 総務大臣に伺います。統計法第六十条には、基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をしたときは六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するとあり、調査票を行政が書き換えたという行為は統計法違反に当たるのではないでしょうか。

金子(恭)国務大臣 調査票の審査過程において明らかな誤記入がある場合、例えば桁数が明らかに違う等々の場合は、しっかり確認をしながら必要な修正を加えることがございます。

 一方で、今般の書換えの評価につきましては、元々の調査票に記入された正しいデータが損なわれ、誤りのおそれがある場合の再計算などができなくなったことを考えると、統計法の目的、第一条、基本理念、第三条に照らして、望ましい方法ではなかったものと考えております。

高橋(千)委員 理念に照らして望ましい方法ではなかった、これは、統計法違反に当たる可能性があるというお答えでよかったでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 罰則規定である統計法の第六十条第二号は、基幹統計の作成に従事する者が基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした場合に罰せられる規定となっております。この行為とは、基幹統計を作成する過程において、通常の方法によって作成されるはずの結果と異なる結果を意図的に生ぜしめる不正な行為とされております。

 いずれにせよ、個々の行為が統計法に違反し、刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が証拠に基づき判断するものと承知しております。

高橋(千)委員 もちろん、最終的には捜査機関がというのは分かった上で、当然、この議論の中で、やはり意図的だったのではないかということが証明されていかなきゃならないと私は思っているんです。そうじゃないというんなら分かるんですけれども、わざわざこうやって資料まで出して、やってきたことでありますから。

 そこで、もう一度国交大臣に伺います。いわゆる二重計上が起きたのは二〇一三年以降です。先ほどの資料の二にあるように、調査票が提出されていない月を実績なしとカウントしてしまうと、本当は実績があるんじゃないか、少なくなっちゃうんじゃないかということで、回収率、その当時六割ですけれども、割り戻して推計値を出すようになった。それは統計学上は当たり前の作業なんだけれども、こっちで空欄をちゃんと、推計値を埋めたのに合算もやっていた、だから二重計上になったんですよね。あり得ないと思うけれども、本当に知らずにやったんでしょうか。

斉藤国務大臣 検証委員会の報告書では、次のように書かれております。

 平成二十一年、二〇〇九年度からの推計方法の見直しの検討の結果、平成二十五年、二〇一三年四月分から回収率の逆数を乗じて推計する方法による欠測値補完を開始したが、この際、合算処理を継続した結果、二重計上が発生した。当時、推計方法を検討する室長は、合算処理が行われていることを知らず、二重計上を認識することがなかった。その後、遅くとも令和元年、二〇一九年十一月頃に会計検査院が合算処理を察知したことを受けた対応を検討するに当たって、室長が本件二重計上を認識したと考えられる。このように検証委員会からの報告書では書かれております。

 また、報告書では、推計の見直しに当たって、平成二十三年度、二〇二一年度に集計プログラムを発注する際、過大推計になることを気づかないまま、平成二十五年、二〇一三年四月分から推計方法が変更されて統計が公表されることとなったとされております。

 このように、二重計上問題の認識が遅れたのは、建設受注統計調査の集計等の実務を担当していた統計室の係長以下の者と、欠測値の推計による補完方法を検討していた課長補佐以上の者の間で十分な情報共有がなされておらず、いわば情報の分断が生じていたことにあると考えられます、このように報告書にございます。

 こうした指摘を重く受け止め、今般、再発防止対策の検討や国土交通省所管統計の検証を行うタスクフォースを立ち上げたところであり、所管統計の抜本的な改革を強力に推進し、信頼の回復に全力を挙げて取り組んでまいります。

高橋(千)委員 検証委員会の報告書を読むだけであるということ、とても残念です。大臣自らが、やはり国交省として調べたことをきちんと答えるべきですよ。

 次に行きますけれども、もう一度資料の一枚目で見ると、最初に二重計上を認識という表現が出てくるのは、何と六年後なんですよね。一番下の真ん中に、室長は令和一年六月頃に合算を認識した、そして、遅くとも令和一年十一月頃までには二重計上を認識したとあります。この年の一月には、まさに毎勤統計不正が発覚し、一斉点検がありました。そして、その後、会計検査院が参議院の要請を受けて調査を開始するわけですね。先ほどの答弁の中にちらっとあったように、会計検査院が動いたことを察してというふうな表現がありました。まさにそこだと思うんですね。

 会計検査院に伺います。

 昨年九月の報告書には、元年五月分から二年三月分までの調査対象数延べ八万五千九十三者のうち九千五百四十者、一一・二%です、過去分の調査票の情報を合算していたと解明し、作成される調査結果は精度が低いものになっていると指摘をしました。非常に重大な指摘だと思うんですが、ここでは触れておらないんですが、二重計上については気づいていたのではないんでしょうか。

篠原会計検査院当局者 お答えいたします。

 今回の検査におきましては、五十の基幹統計調査を含む二百九十八統計調査について、調査票の集計方法等が調査計画に沿って実施されているかなどに着眼して横断的に確認しておりまして、特定の統計調査の集計方法が統計そのものにどのような影響があったかといった具体的な統計処理に係る更なる詳細な分析は行っておりません。

 したがいまして、今回の検査におきまして、建設工事受注動態統計調査について、いわゆる二重計上になっていたということは把握しておりませんでしたが、過去の調査周期に係る調査票の情報を、調査計画に定められた本来の調査周期ではなく、提出時点における調査周期の調査票の情報に含めて集計していたことについて確認しており、その旨を報告書に記述しているところでございます。

高橋(千)委員 調査の数が、種類が多かったので把握できなかったという趣旨のお答えだったと思います。

 ただ、先ほど資料で出した、都道府県に対して指示をしていた、そういう資料などが、都道府県からのヒアリングなどで把握をして、この合算処理ということに気がついたんだと思います。そのことがようやっとこの問題をあぶり出したことになるわけですけれども、やはり、繰り返し公表するチャンスがありながら、なぜずっと隠されてきたのかと思うんです。

 報告書にはこんなくだりがあります。二〇一八年十月五日、当時の係長が、担当室内での会議の際、たまたま合算処理のことに触れた、ほかの出席者が、触れてはならないことに触れたという雰囲気になった。触れてはならないこと、でも、それは逆に、ここは問題だという認識がその室内にあったということではないでしょうか。

 そこで、資料の三を見てください。これは、「完成予定年月が受注月より過去であればエラー」、これは青のところを読んでいます、「エラーであるが、システムで自動的に修正」と書いています。

 どういうことかと聞きました。建設工事の受注高を取る調査なのに、遅れて来た調査票は、完成している場合があるわけですよね。これはつじつまが合わないので、自動的に完成予定月を提出月に修正する、それをシステムにしたと。エラーじゃなくて、自動的に合算できるシステムにしたということですよね。

 これって、システム化していたとなれば、担当の係の人がこっそり書き写していたという問題ではなくなる。当然、組織的な問題になるんです。上の者の決裁が必要なはずです。システム改修の決裁はどのレベルまで上がっていたのでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 建設工事受注動態統計のシステム改修に関する決裁は、所管の課長決裁とされております。この決裁文書の保存期間については、国土交通省行政文書管理規則等に基づき、五年間とされております。

 現時点で決裁が残る過去五年間においては、過去分調査票の完成予定年月を調査票の提出月に合わせるシステム改修は実施しておりません。

 完成予定年月の書換えについては、検証委員会の報告書において、この運用が行われていた理由やこの運用の発見後の対応の妥当性、その影響の程度については、国交省において調査し、公表すべきとされており、建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る再発防止策検討・国土交通省所管統計検証タスクフォースにおいて取り組んでまいります。

高橋(千)委員 これ、実は私、聞いたときに、二〇一九年からやったのかなと思ったんですよ。逆に、ずっと前からやっていたというのが答弁だった。だから五年保存にはなかったという。驚きの話ですよね。

 ずっと前から合算のシステムがちゃんとできていたということ、しかも、課長決裁といいますから、課長の下に室長もいて、補佐もあり、係員もある。まさに組織的にみんなで認めていたことにならざるを得ないじゃないですか。これはまさに自動合算システムと言わなければなりません。大臣、御存じでしたか。

斉藤国務大臣 その詳しい点については、私、ちょっと存じ上げておりません。

高橋(千)委員 私は、これは重大な組織的な問題だということを示す事態だったと思います。しっかりと検証を大臣自身が指揮を執ってやっていただきたい、このように思います。

 今回の事案を受けて、遡及改定に関する検討会議が二十五日に立ち上がりました。

 資料の四を見てください。この第二合庁の庁舎の地下の書庫に保管されている調査票がこれだけあるそうです。ラインマーカーを引いているように、二〇一六年三月までしか調査票は残っていない、それ以前は既に調査票が廃棄済みとあります。平成二十七年度以前は既に廃棄済みというふうにあるんですね。これは間違いないかというのを一つ確認。

 その上で、資料の五を見てください。統計データは復元できるのかというので、資料を作りました。受注動態統計の二〇〇〇年から二〇二〇年分の資料なんですが、動態統計はどんな種類かと見る上でも大事だと思って。

 左の縦軸は受注高合計ですね。スタート時は六十四兆、リーマン・ショックの頃は四十兆円台、そして今、七十九兆円という事態なわけですね。横軸ですが、受注高の中には元請工事と下請工事、その中に公共と民間、業種別、都道府県別がある。つまり、我が国の建設業の姿が分かる貴重な資料だと思うんです。

 だけれども、この赤枠で囲んだ部分、十六年間、調査票が既に廃棄されたと言っている期間は復元が不可能ではありませんか。

斉藤国務大臣 まず、過去の調査票、残っているものですけれども、おっしゃるとおり、平成二十八年、二〇一六年四月分以降のものが保存されております。

 それから、ない部分の実態をどのように遡及推定していくのかという点でございますが、これも検証委員会の報告書に次のように書いております。検証委員会の報告書を読むだけじゃ駄目だと先ほどおっしゃいましたが、まず、我々は、この検証委員会で指摘されたことをまず事実として認めて、そこからスタートしたいと思っておりますので、お許しをいただきたいと思います。

 この検証委員会の報告書において、本来の数値に基づいて直接推計することは困難と考えられるが、平成三十一年、二〇一九年四月からのデータを活用した上、一定の仮定を置くなど、書き換えられていない本件調査票が残存していない期間の数値を推計することは、不可能ではないと判断される、国交省は、本件二重計上が生じている期間、平成二十五年、二〇一三年四月分以降の建設受注統計調査については、そのような推計によって遡及的に改定を行って公表することが望ましい、このように書かれております。

 このことによって、遡及改定委員会、統計の専門家の先生方にお願いをして、今スタートをしたところでございます。

高橋(千)委員 不可能ではないと書いているのは私も読みました。

 ですが、元々これは、抽出調査であるものを割り戻したりとか、様々なことをやって出している数字なんですよ。それに更に、調査票がないのに、いろいろなデータを入れ込んで想定のものを出すというのは、それは復元と言わないだろう。これは指摘しておきたいと思います。

 そこで、内閣府に伺います。

 国交省は、調査票情報などの文書を行政文書ファイル管理簿に登録していない又は内閣府に廃棄の協議を行わずに廃棄しているということを認めて、公文書管理上の問題があると自ら明らかにしています。この点について、認識を伺います。

 そもそも、調査票に業者が書いてきた数字を消して書き込むというのは、公文書偽造に当たるんじゃないかと思うんですが、もし認識を伺えれば、お願いします。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 行政文書ファイル管理簿、それから廃棄の関係での内閣府の認識ということでございました。

 公文書管理法では、条文は一つ一つ読み上げませんけれども、第七条、それから第八条におきまして、行政文書ファイルの名称、保存期間などを行政文書ファイル管理簿に記載すること、それから、行政文書ファイルを廃棄しようとするときは、あらかじめ、協議して、その同意を得ることというふうに定めているところでございます。

 国土交通省からは、私ども、これらの規定があるんですけれども、にもかかわらず、調査票については、行政文書ファイル管理簿への記載がされていない、それから、廃棄同意の手続を行わないまま廃棄したという報告、不適切な管理があったという報告を受けております。

 私どもといたしましても、国土交通省においてそういった取扱いが行われていたということであれば、不適切であり、遺憾であるというふうに考えております。

 それから、偽造というようなお話、ここは、済みません、公文書偽造ということでございましたら、刑法の話になるかと思いますので、捜査機関の方で判断されるもの。答弁は差し控えさせていただきます。

高橋(千)委員 後段もよく存じておりますけれども、そういう種類の問題なんだということをあえて言わせていただきました。

 次に、今回の統計不正が他の施策に与える影響についてです。

 毎勤統計のときは、雇用保険の基本手当を始めとする各種手当が減額されたという実害がありました。

 受注動態統計は、月例経済報告やGDPのほかに、民間のシンクタンクや、各業界も含め、様々に利用されております。

 それで、資料の六を見てください。これは、中小企業庁のセーフティーネット保証五号における業況悪化している業種の指定について。これは四半期ごとに発表されるわけですけれども、今年の一月二十一から三月末までに、経産省が、建設関連産業十三業種を追加指定しました。関連業種はこれで、四十九あるうち、二十一業種が指定をされたわけであります。

 ちょっと時間の関係で、国交省と経産省、それぞれ続けて答えていただきたいんです。

 まず、国交省に、追加指定というのはなぜ起こったのかということ、今回の事案との関係についてお答えください。

 そして、経産省には、このセーフティーネット保証五号が、コロナ禍の中でどれだけ実績があったのか。一定期間は全業種を指定したこともあったと聞いていますが、その前後を含めて、どのくらいの活用がされたのか。

 やはり、これがなければ、もしかして、前の年には、あるいはずっと前の年にも指定されていたかもしれない業種がいたということもあり得ると思いますが、その点について伺います。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 セーフティーネット保証五号に係る建設業関係の業種指定には、これまで、国土交通省より中小企業庁に対して、業況データとして建設工事受注動態統計に基づくデータを提出しておりました。それが、今回、この問題を受けまして、令和四年一月から三月分の業種指定に必要なデータを提出する必要があることから、十二月十五日に直ちに、国土交通省から業界団体に業況データの提供をお願いしました。

 短い期間でございましたので、十二月二十二日までに提供されたデータにつきましては中小企業庁に提出し、そうしたデータも踏まえて、十二月二十八日にまず八業種の指定がされて、それで、作業が間に合わなかった業種、業界については一月十四日までに御提供いただいて、それを中小企業庁に提出し、そのデータも踏まえて、先生さっきも御指摘ありましたように、一月二十一日に十三業種の追加指定がなされ、合わせて二十一業種の指定がされたという状況でございます。

飯田(健)政府参考人 お答えいたします。

 幾つか御質問いただいておりますので、順にお答えさせていただきます。

 まず、コロナ禍での保証五号の実績でございますけれども、新型コロナウイルスの感染症が発生した二〇年の二月から昨年十二月末までの期間における実績は約三・九兆円でございます。

 続きまして、足下の活用状況でございます。

 御指摘のとおり、昨年の七月に全業種指定を解除いたしました。全業種指定は千百四十六業種行いましたが、昨年八月以降、十二月までにおきましては五百三十五業種を指定しております。

 それから、正しい統計であれば指定された業種があったのではないかというお尋ねでございますけれども、今御答弁ありましたように、指定の根拠となっていた建設工事受注動態統計調査につきまして、今後、国土交通省の方において遡及改定する手法を検討されるというふうに伺っております。

 したがいまして、現時点におきましては、昨年不指定となった業種における影響について確たることを申し上げることは困難であるというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 公的統計が本来資料として使われていたものが、業界団体にお願いをしてデータを出していただいたということでありました。

 やはりコロナの真っ最中は、今もそうなんですけれども、全業種を指定して、千百四十六とおっしゃったと思いますが、でも、それを指定を解除した後も五百三十五業種に活用されていた。これは、三・九兆円の実績もあるという意味では、やはりこの指定が、もしかしたらこのデータが不正確だったために指定されていなかったところがあったんじゃないか、そういうことに思いを致さなきゃならないな、こういうふうに思うんです。

 私は、統計の身近な影響について、改めて今回考えました。

 二十四日の予算委員会の議論などを聞いていますと、例えば山際経済財政担当大臣が、GDPへの影響について、分母にも分子にも同じように影響しているんですから、伸び率という意味においてはさほど変わりはない、影響は軽微と答えました。どっちも不適切な数字だから、率で見れば同じでしょうと言っていることなんですよね。そう言ってしまえば、これは極めて不誠実だと思うんですね。国交省も同じ答弁をしています。

 毎勤統計不正の特別監察委員会は、職員は統計を単なる数値としてしか見ていなかったのではないか、その先にある国民の生活を想起すれば、このようなずさんな対応が長年にわたり継続するような事態にはならなかったであろうと述べています。まさに、その先にある国民の生活、これを全く感じられない答弁だと言わなければなりません。何としてもこれを、信頼を回復する取組が求められると思います。

 さて、非常に残りの問いと時間との関係が難しくなってきたんですが、大変飛ばして申し訳ありませんが、一番最後の資料を見ていただきたいと思います。

 統計委員会は、会計検査院から直接聞き取りを受けています。そして、あわせて、資料の最後の、これに書いてありますが、昨年の八月二十日、国交省から、新聞記者からの取材を受けたので、相談窓口を教えてほしいと相談されています。

 これ、資料はタスクフォースの報告書ですけれども、最初からぼかしてあります。ただ、中身は下に書いてあります。記者からダブルカウントも発生するという指摘がされた、それに対して、国交省が微々たるものだということをしゃべったと書いているんですよね。

 これに対して、ダブルカウント、つまり二重計上じゃないですか、という言葉まで出ている資料を見せられておきながら、気づかなかった、何も指導しなかったということなんでしょうか、統計委員会。

吉開政府参考人 お答え申し上げます。

 本件の書換えによる合算を総務省として認識したのは、会計検査院の報告に係る昨年の八月の国土交通省からの連絡、二重計上については昨年十二月の報道によってでございました。

 統計委員会の対応精査タスクフォースの報告書におきましては、いわゆる二重計上を発見するための手がかりとなる情報が、過去、総務省の業務遂行の中に複数あったことが指摘されておりまして、各職員が担当する職務の中で、警戒心と想像力、洞察力を持って様々な情報を集約し、問題事案を防ぎ、その影響を極小化することが望ましいとの指摘がされております。

 総務省といたしましては、タスクフォースの指摘を真摯に受け止め、職務遂行の改善を図ってまいります。

高橋(千)委員 全く答えていないと思うんですね。

 ストレートに言っているわけですよ。ダブルカウントと書いたものを見せられて、それで気づかなかった、見逃したというのがその担当職員のせりふなんですよ。そんなことは絶対あってはならないでしょう。統計委員会がチェックもできないんだったら、しかも、忙しいとか聞かなかったとかはあれだけれども、見ていながら気づかない、これは本当に深刻だと思います。

 タスクフォースのまとめを見ていますと、二重計上の話題は出なかった、出なかったということが何度も出てくるんですよ。何でそんな言い訳がましいことを言うんですか。そんなことを言わなくたっていいでしょう。それだけが論点になっているかのように言っていることに、非常に私は問題があると言わなければならないと思います。

 それで、時間なので言い切りにします。

 国交省の検証委員会の報告書の「追補」には、調査開始後に判明した幾つかの誤りについて、上記誤りが生じた理由や発見後の対応について、「国交省において調査して公表すべきである。」といった指摘が複数ある。また、合算処理や二重計上など中心的な問題点に対しては、「一応の調査を終えたとはいえ、これ以外にも、解決すべき課題が残っている。」と指摘をされています。

 私は、これは、一月で調査をまとめよという総理指示もあって、ちょっとそこまで届かなかったという悔しさもにじんでいるのかなと思ったんです。だから、国交省自らが全容解明を行って、なぜそうなったのかということを明らかにしてこそ本当の意味での再発防止になる、このことを強く指摘をして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 今日も、最後十五分、よろしくお願いいたします。

 いつものことですけれども、立憲の皆様、そして日本維新の会の皆様方に時間を賜りましたこと、まず感謝を申し上げたいと思います。

 そして、今日は、鈴木大臣、そして、二之湯大臣には海洋政策担当相としてお越しをいただきました。よろしくお願い申し上げます。

 昨年、他国の軍艦が対馬海峡を通って、そして大隅海峡を通って、日本を一周ぐるっとしていったということが大きな問題になりました。国内で非常に盛り上がったんですけれども、あれは実は、私は外務省条約課課長補佐でしたので、国際法上、日本の制度上、特に何の問題もないんですね。なぜなら、領海法という法律、昭和五十二年だったと思いますが、領海法という法律の附則で、宗谷海峡と、津軽海峡と、そして対馬の西水道、東水道、さらには大隅海峡、この五海峡については、本来主張することができる十二海里の主張を、日本の自発的な判断で、主権が及ぶ領海を三海里にとどめている。なので、あの部分に公海部分が開いている。考えようによっては、津軽海峡はちょっと不思議なことがあって、下に青函トンネルが通っていますけれども、青函トンネルの上のところの海は一部公海であるというような状況が実はあるんですね。それで、軍艦が通航していたところは公海であるので、日本として言うことなしというのが現状であります。

 そう思うときに、公海なわけですから、日本の主権が及ばないということなんですけれども、実は、領海の中だと、国連海洋法条約において、幾つかのことを領海の中でやっちゃいけないと書いてあります。例えば、兵器を用いる訓練又は演習とか、沿岸国の防衛又は安全を害することになるような情報の収集とか、沿岸国の防衛又は安全に影響を与えることを目的とする宣伝行為、さらには、いろいろほかにもあるんですけれども、調査活動又は測量活動とか、そういうことはやっちゃいけないですよ、領海の中ではと。

 そうやって考えてみると、例えばですけれども、外国の軍艦が津軽海峡のど真ん中で兵器を用いる訓練又は演習をするということは実は何の問題もないといういびつなことが起きるんじゃないかと思いますが、海洋政策担当相、いかがですか。

二之湯国務大臣 今先生おっしゃったことは、それぞれの個別の法案、法律が各省庁に所管されてありますので、それは各省庁において法令に基づいていろいろと対処する、こういうことになっております。

緒方委員 海洋基本法という法律に、総合海洋政策本部というのが立ち上げられていて、そして、本部があって、そこに、所掌事項は何かというと、海洋に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関することと書いてあって、本部長が内閣総理大臣であり、二之湯大臣が副本部長を務めておられる。実質上の担当大臣であるということである中、一個一個これを聞き始めると、国連海洋法条約、やっちゃいけないことがずらっと書いてあるので、それは厚生労働かもしれないし、国土交通かもしれないし、防衛かもしれない、外務かもしれない、ただ、僅か十五分の質問時間でその大臣を全部呼んじゃいけないから、総合調整をやる大臣として二之湯大臣に聞いているんです。

 もう一回、お伺いいたします。

 津軽海峡のど真ん中において兵器を用いる訓練又は演習をやるという行為は日本の海の制度の中で特に問題がないというふうに考えられるんですけれども、いかがですか。

二之湯国務大臣 先生がおっしゃいます安全保障上の問題につきましては、はっきり言って、私の所掌事務の一部ではありますけれども、それぞれの、どういう外国の艦船がその海域の中でどういうような行動を取っているのかとか、どういうような態様をしているかということにつきましては、それぞれの個別の法案があるわけでございますから、安全保障に関する法令の解釈については、内閣府としてはお答えする立場ではない、このように思っておるところでございます。

緒方委員 領海法があって、そして、領海法であえてセットバックしている。領海法の担当は二之湯大臣ですよ。領海法を、あえてセットバックしていることによって生じた結果がどうであるかということを聞いているのに、それは私じゃないと言われてしまうと、それはねと思います。

 じゃ、ちょっと質問を変えたいと思います。

 あれは、領海内だと通航しなきゃいけないんですね。つまり、通っていかなきゃいけない。通航しないときというのは、例えば、外国の軍艦が、津軽海峡のど真ん中、さらには、どこでもいいですけれども、大隅海峡のど真ん中で、通航しない、停泊している。これも、今の制度の中では、公海上を船が停泊するという行為は、これは特に問題が生じていないんじゃないか、そういう懸念を持つわけでありますけれども、これは大臣の所掌だと思います。大臣。

二之湯国務大臣 今のおっしゃっていることは、主権国家としてそういうことはチェックするというか、今おっしゃっているように、停泊している艦船に対しまして、我が国がその問題について、外国の艦船に対して立ち入るということにつきましては、まず、それについての法律がございますから、私の方の所掌事務ではないということでございます。

緒方委員 今、何かすごいことを言われたような気がするんですよね。津軽海峡のど真ん中に外国の軍艦が泊まっていたら、それを、立ち入ることができる権限のある法律を持っている大臣がどこか別にいて、それで、それは自分の所掌でないと言われましたけれども、私、別にそんなこと聞いていないんです。そして、そんな法律があるのであれば是非教えていただきたいと思いますけれども。

 外国の軍艦が津軽海峡のど真ん中に停泊しているというのは、そこが公海である以上は、日本としてそこに主権を及ぼすことが難しいのではないですかということを聞いているんです。大臣。

二之湯国務大臣 その対象となる外国船舶がどのような目的で航行し、実際にどのような行動を取っておるということに関しましては、国内の関係法令に従いまして所管関係省庁において個別に判断することであり、私が一概に答えることは困難であるということでございます。

緒方委員 いやいやいや、だって、通航していないわけで、通航していない船がどうかということについて、じゃ、どこに聞けばいいんですか。そういう通航していない船が津軽海峡のど真ん中にあります、軍艦であろうが、場合によっては軍艦でないものもあるかもしれないけれども、通航せずに泊まっている、ただただ。それを規律する法律があるかというと、恐らく公海上にそんなものないはずですよ。だから、海洋政策担当相に聞いているんです。

 軍艦がそこに停泊をしているという行為は、日本の主権が及ばない場所で軍艦が停泊しているという行為は、実は日本の法制度の穴になっているんじゃないですかということを聞きたいわけです。大臣。

二之湯国務大臣 今委員がおっしゃったことにつきましては、こういう特定海域でそういう船舶が停止していることにつきまして、そういうことに関しましては、委員御指摘のように、私も、関係省とも連絡して慎重に対処していきたい、このように思います。

緒方委員 正直、何を言っているか分からないんですよね。

 船がそこに停泊していることについてどう思いますかということを聞いていて、海洋政策の重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関することという大臣が、いや、私の所掌でないですと言われたら、是非、じゃ、大臣、教えてください、これは誰に聞いたらいいんですか。

二之湯国務大臣 何遍も申し上げますように、その外国の船舶がその海域でどのような目的で実際にどのような行動を取っているかということに関しましては、関係国内法令の規定に従って所管関係省庁において個別に判断することでありまして、一概にお答えすることはできません。

緒方委員 それはいろいろな可能性があるでしょう。

 いや、私はいろいろ、ワーク・ライフ・バランスとかこの場のことをいろいろ考えて、実はこの後、この質問が全部終わった後に、その後、防衛大臣とか外務大臣とかを呼んで、第二弾、第三弾と用意していて、ここは一般的な日本の海洋政策の在り方について大臣に聞いているんです。このときに、いや、全部俺じゃない、全部俺じゃない、それはもうみんなで考えるんだと言われたら、これは議論にならないですよ。

 私が聞いているのは、例えば、具体的に何か特別な行為をしているんじゃなくて、態様によっていろいろ違うと言いますが、簡単です、軍艦が津軽海峡のど真ん中に停泊している行為、これはどうですか。

二之湯国務大臣 何遍も申し上げますように、私は、昨年の十月に海洋政策担当大臣に就任して以降、海洋政策に関し各省を取りまとめ総合調整を担う内閣府の特命大臣として、これらの関係省庁と協力連携しながら総合的に海洋政策を推進してきているわけでございます。

 一方、個別の案件事項などにつきましては、それらの事項を所管している各省庁により、関係国内法令の規定に従って適切な対応がなされるものと承知しております。

緒方委員 本当にひどいですね。総合調整ってそういうものなんですか。総合調整ってそんなものなんですか。

 ちゃんと海洋基本法に、あなたの所掌として、重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関することと書いてあるわけですよね。それで一切答弁できない、一切答弁しないというのは、これは不誠実だと思いますよ、正直。苦手なのはよく分かりますけれども、もうちょっと勉強していただきたい。

 じゃ、聞き方を変えましょう、もう時間も余りないので。

 なぜこのような領海法の規定になっているんですか、大臣。

二之湯国務大臣 冒頭先生も申されましたように、我が国が五つの海峡について三海里の設定をしておるということは、我が国も、海洋国家として、先進貿易国として、それなりの諸外国において利益を享受している、これが日本の特定水域の基本的な考え方であるわけでございます。

 そして、最初先生がおっしゃいましたように、いわゆる領海内で停泊している、停泊したということについては、私も……(緒方委員「領海内じゃない」と呼ぶ)そうおっしゃいましたですね。(緒方委員「公海」と呼ぶ)公海でね、そのときについてはどうするんだということにつきましては、私も全く想定外でございますので、関係省庁と調整いたしまして、後日先生の方にお答えをさせていただきたい、このように思います。

緒方委員 私は、実は前国会でこの件に関して質問主意書を出して、ちゃんと質問通告のときに、この質問主意書のフォローアップだということで聞いているんです。この件について知らなかったというのは、それは余りにひどいじゃないですか。

 別に、私、何もサプライズで質問しているわけじゃないんです。ちゃんと質問主意書も出して、そして答弁が一般論で返ってきたから、実は答弁は一般論でした、今大臣が言っているような一般論でした。だから、個別に聞くよということで話をした。総合調整をする大臣だからということで、総合調整だと思って聞いたんです。しかしながら、個別に聞くぞと言ったにもかかわらずそれというのは、余りにひどい。余りにひどい。

 今、いろいろ、何か自由な航行がどうだとか言いましたけれども、自由な航行を確保するということは、それを確保するためにあそこを中国やロシアの艦船が自由に通っていけるという、これは日本で盛り上がって、非常にあれは問題なんじゃないかということだったんですけれども、そのデメリットをあえて享受してでもその状態を確保しなくてはいけない、そういうふうに認識しておられますか。

二之湯国務大臣 先生おっしゃっているように、中国、ロシアの艦船が津軽海域を自由に航行していることが日本の安全保障にとってメリットがあるのかないかというようなことですけれども、これは、私に関しましては、私は、海洋政策担当大臣は、外交とか安全保障の所掌を預かっている担当大臣でないわけでございます。

 しかし、今おっしゃっているように、総合的な海洋政策ということで、そういう議員の質問の趣意であれば、外務大臣あるいは防衛大臣とも相談しながら、先生の質問に対する答えを後日させていただきます。

緒方委員 すごいですね。びっくりしました。

 以上です。

根本委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る三十一日午後一時から委員会を開会し、集中審議を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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