衆議院

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第6号 令和4年1月31日(月曜日)

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令和四年一月三十一日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      石原 宏高君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      尾身 朝子君    奥野 信亮君

      加藤 勝信君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    北村 誠吾君

      国光あやの君    後藤田正純君

      下村 博文君    高木  啓君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      宮崎 政久君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    江田 憲司君

      落合 貴之君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      階   猛君    末次 精一君

      長妻  昭君    道下 大樹君

      足立 康史君    市村浩一郎君

      岩谷 良平君    遠藤 良太君

      空本 誠喜君    岬  麻紀君

      伊佐 進一君    伊藤  渉君

      輿水 恵一君    中川 宏昌君

      岸本 周平君    前原 誠司君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    仁木 博文君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   野田 聖子君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)  山際大志郎君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣         若宮 健嗣君

   内閣府副大臣       小林 史明君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            米田 健三君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  松下 裕子君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   海部  篤君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   新川 浩嗣君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    角田  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 鈴木英二郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            和田 信貴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 佐藤  暁君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月三十一日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     国光あやの君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  中谷 真一君     高木  啓君

  鷲尾英一郎君     石原 宏高君

  道下 大樹君     末次 精一君

  足立 康史君     空本 誠喜君

  市村浩一郎君     岬  麻紀君

  輿水 恵一君     伊藤  渉君

  前原 誠司君     岸本 周平君

  宮本  徹君     宮本 岳志君

  緒方林太郎君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     鷲尾英一郎君

  国光あやの君     尾身 朝子君

  高木  啓君     中谷 真一君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  末次 精一君     道下 大樹君

  空本 誠喜君     足立 康史君

  岬  麻紀君     遠藤 良太君

  伊藤  渉君     輿水 恵一君

  岸本 周平君     前原 誠司君

  宮本 岳志君     宮本  徹君

  仁木 博文君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     青山 周平君

  遠藤 良太君     市村浩一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 令和四年度総予算審査に関し、来る二月四日金曜日午前九時、新型コロナウイルス感染症対策等について、また、同日午後一時、国民生活・経済等について、それぞれ参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官米田健三君、デジタル庁審議官山本和徳君、総務省総合通信基盤局長二宮清治君、法務省民事局長金子修君、法務省人権擁護局長松下裕子君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長海部篤君、外務省北米局長市川恵一君、財務省大臣官房長新川浩嗣君、財務省理財局長角田隆君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省政策統括官鈴木英二郎君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省大臣官房政策立案総括審議官高田陽介君、国土交通省総合政策局長和田信貴君、観光庁長官和田浩一君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官佐藤暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、統計問題・政府の規律等についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 自由民主党の葉梨康弘です。

 早速質問に入ります。

 今国会は、建設業者が毎月どれぐらいの工事を受注したかを示す建設工事受注動態統計、このデータの書換えがあった問題等が取り上げられています。その書換えによって、GDPの値に、これが過大になったとしたら、これは大きな問題です。前半、この問題を取り上げます。

 また、後半は、統計データを用いて見えてくる本年の賃上げの課題、これについて考えてみたいと思います。

 まず、お手元の資料一。

 一月二十五日付朝日新聞一面で、「二〇年度統計 四兆円過大か」という記事があります。GDP計算の材料でもある受注統計の総額が七十九兆五千九百八十八億円とあります。ただ、これは、元請と下請を、受注額を合算した数字のように思えます。

 GDP計算の材料となるのは元請の受注額、すなわち五十四兆一千百三十六円ではないかと思うんですけれども、国交省、お答えください。

高田政府参考人 御指摘のとおりでございます。

葉梨委員 確かに、元請がどれぐらい下請に回しているか、これを知るために、この統計では元請額だけではなくて下請額も出しています。でも、工事受注総額を水増しした母数として元請と下請を足してしまったら、これ自体の母数が二重計上になっちゃうんです。これは当然のことです。ですから、ほとんど記事としては意味がない。まあ、でも、批判する報道機関の側がそういう間違いを起こすぐらいですから、結構これはややこしい問題です。

 パネル一を。今日は茨城の国光議員にお願いをしています。

 少し、冒頭、時間をいただきまして、今回問題となった建設工事受注動態統計について考えてみたいと思います。

 建設工事は、発注してから着工します。そして、完成して引渡しになります。ですから、工事の総額を知るためには、注文時ベースの元請受注額、それから完成時ベースの元請完成工事高、二つのアプローチがある。国交省、二つとも統計を取っています。そして、両者、工期の違いでずれはありますけれども、大体一年間のベースでいうとほぼ同額になる、そういうふうに推計はされます。

 このうち、完成工事高を示すのが建設工事施工統計です。こちらの方が、実は、サンプルの数も多いし、また、月ごとではなくて一年まとめての調査で、回収率もいいんです。後で述べる受注統計に比べるとより正確です。

 ただ、GDPの推計に用いることはできません。なぜかというと、この施工統計というのは、GDP推計は四半期ごとに行います。ですから、ほぼリアルタイムで数がなきゃいけない。一年ごとの統計なんです。さらに、一年終わって、それが集計されるのは更に一年後になるので、GDP集計には用いられない。

 GDP集計に、推計に用いられるのが、こちらの受注統計の方になります。受注統計は月ごとに回収されますので、出てくる、それをGDPの推計に用いることはできるんです。しかしながら、調査票を月ごとに提出しなきゃいかぬ。大変な負担です。ですから、回収率が六〇%と悪い。ですから、ここにあるとおり、青が完成高ですね、赤が受注統計、赤の方の数がずっと少なく出てきたのが今までなんです。ですから、工事高総額を知る材料としては使うことはできない、そういう種類の統計でありました。

 ですから、何に使われたかというと、前年、前々年とどれぐらいその受注が上下しているか、それから、受注の中で、元請か下請か、あるいは土木か建築か、さらには官公庁の受注か民間の受注か、その内訳を知るということはできる。ですから、総務省の統計局がこれを出しています、「日本の統計」、この中にも受注統計、出ていますが、内訳を知る統計として載っています。そして、この伸び率の方がGDPに使われてくるということです。

 じゃ、元々何を使うかというんですが、決算ベースの建設投資額、これが基の数字になります。ただ、決算ベースの額というのは、さっきの完成工事高よりもより精緻なものですから、三年後に数が出てきます。ですから、三年前のその決算ベースの建設投資額に、三年前の受注工事高それから今年の受注工事高、この伸び率を掛け合わせることによって今年のGDPの基になる建設投資額を推計するというのが、これが今までの作業でした。ですから、実際のところ、その工事高が幾らになるかというのは余り関係ない統計だったんです。

 ところが、やはりせっかく民間の業者に苦労して出させていただいている以上、これがやはり、正確な数値の受注高になった方がいいに決まっています。ということで、国交省では何年か検討したということなんですが、ある統計的に許された一定の係数、これは階層別とかいろいろ複雑なのがあるんですが、それを掛ければほぼ完成工事高に合ってくる。その係数を検討をして、二十五年の四月から受注統計がこういう形で跳ね上がる形になった。

 ところが、まず一つ申し上げておかないといけないのは、跳ね上がる前から、実は、業者によっては、その月に調査票を出さないで、翌月、翌々月に出すという方もいます。それを出された月に全部足していたという処理が行われていました。これは、実は伸び率にはそれほど影響はありません。ですから、ずっとそれが行われていました。まずそのことをちょっと押さえておいた上で。

 まず、七七・五%、二十四年から二十五年に比べて、受注統計が跳ね上がったんです。そこで、疑念が生じます。二十四年の十二月に自民党が政権に復帰をしました。大幅な補正予算を組みました。そして、二十五年の四月から、受注統計が七七・五%も跳ね上がる。さっきの伸び率の計算でいうと、建設投資額、三年前の投資額、これは決算ベースです、伸び率がぐっと跳ね上がって、GDPが過大になってしまっているんじゃないか、こういう疑念が生じる。もしかしたら、野党の皆さん言われるように、アベノミクスの成果を過大に見せる、そういうことになっているんじゃないか。

 そこの点について、国交省、御説明いただきたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、建設工事受注動態統計調査は、平成二十五年四月分から、回収率の逆数を乗じる欠測値補完を入れた新たな推計方法を開始しております。

 他方、建設総合統計においては、建設工事受注動態統計調査の推計方法の変更による差が生じないよう、同じ推計方法同士で受注総額の伸び率を算出しており、平成二十八年度までは、建設総合統計の推計のため、従前の推計方法による受注総額を算出した上で、従前の推計方法同士で毎年の受注総額の伸び率を算出しているところです。

 したがいまして、GDPの算出に用いられている建設総合統計は、平成二十五年の建設工事受注動態統計調査の推計方法の見直しの際に、異なる推計方法の値を比較した伸び率を使用してはおらず、それによって過大な推計がなされたということはございません。

葉梨委員 いや、そのとおりなんですが、こういう答弁だから、この統計の問題というのはなかなか国民には分かりづらいんです。

 要は、二十五年四月に係数を掛けたことで受注高が跳ね上がったけれども、二十五年のGDPには、その係数を掛ける前のデータがあるので、それを三年前と比較をしていました。そして、係数を掛けた後の比較ができるのは平成二十九年から以降ということなんです。資料の二としてお配りをしています。ですから、これはGDPをかさ上げさせるという意図はなかったということです。

 しかも、さっき言っていた係数を掛けるというその作業、検討というのが始まったのは平成二十二年、民主党政権の下ですから、その意図はなかったということ、これは明らかになったと思います。

 ただ、そこで問題が生じてしまったんです。さっき、報告しなかった月を報告した月の受注高に足すという処理がずっと行われていた、それが継続されてしまいました。となりますと、報告しなかった月については、月ごとにもう既に係数を使って受注額を推計していますから、そこはもう数字があるんです、ゼロじゃなくて。同じ数字が、今度は報告し忘れた月で報告されます。これも一緒に合算してしまえば水増しになる。これが書換えの実態で、いわゆる二重計上問題と言われるものです。

 ただ、そうはいっても、これは褒められた話じゃないんです。こっちの受注統計、図がありますが、つまり、かさ上げされたもの同士の伸び率自体はかさ上げする前の伸び率とほとんど変わりません。同じようなかさ上げが行われている。褒められた話じゃない。ですから、GDP統計に跳ねる伸び率というのはほぼ変わらないということが見えるということなんです。

 でも、さっきも言いましたけれども、全然褒められた話じゃないですよね。しかも、元々この統計を、一生懸命皆さん考えたんだと思います、それで、係数を掛けることによって受注統計を完成高の統計に合わせて、リアルタイムで、額としても、定性的なものじゃなくて、伸び率とか内訳というんじゃなくて、定性的なものじゃなくて定量的にも使えるもっといい統計にしようと思っていろいろな作業をやっていたんだけれども、その元データが二重計上ということになっちゃったので、それにも使えなくなってしまった。ある意味で、税金の無駄遣いといえば税金の無駄遣い。これはもう反省しなきゃいけないだろうと思います。

 その二重計上に気づいた国交省、令和二年一月に各都道府県に対して、遅れて報告された調査票、これを、記載された受注高を合算するという作業をやめるように指示したといいます。もっとも、調査報告書、これによりますと、その指示が徹底されていなかったり、本省内でデータの一部の書換えが行われていたという話があります。

 ただ、令和二年一月の改善に向けた努力、これがなされたことは、確かにそのとおりなんです。大臣は臨時国会でそのことを答弁されたんだと私は思っています。

 もっとも、そうはいったって、再発防止とか復元ということを考えたら、徹底的にその経緯を調査しなきゃいけない。その意味で、総理の指示で第三者委員会をつくって徹底的な調査を行った政府、国交省の姿勢というのは、私は評価できると思います。

 また、誤った方法によって集計されたデータ、これを放置されるというのも、これも問題です。データの復元というのは必須だと思います。ただし、国交省からは、復元には時間がかかるというお話も聞きました。

 大臣から、再発防止への決意と復元に時間がかかる理由、これについて簡潔にお答えをいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 二重計上については、検証委員会の報告書におきましても、令和二年一月分から、過月分を除外した上で、新たな推計方法で再計算されたとされております。私の臨時国会における答弁は、このことを前提としていたものです。

 しかしながら、先ほど委員おっしゃったように、一部の都道府県で書換えが継続されていたなど、これらの影響が存在しているため、改善は行われたものの、これらの影響に伴って、令和二年一月分以降の数値にも正確とは言えない部分があったと考えております。

 本事案におきましては、昨年十二月十五日に岸田総理より指示を受けまして、検証委員会において徹底的な検証を行っていただきました。この検証委員会の報告書の御指摘を重く受け止め、再発防止策を検討するとともに、国土交通省所管の統計を点検するための再発防止検討タスクフォースを設置し、検討を進めているところでございます。

 また、お尋ねのデータの復元に関しては、国土交通省では、できる限り早期に適正な姿に改定すべく、遡及改定検討会議を立ち上げて、一月二十五日に第一回の会議を開催いたしました。

 なぜそんなに時間がかかるかということでございますが、この遡及改定会議に専門家の方々から御議論いただきながら進めてまいりますが、平成二十八年度分以降、数十万枚保存されている調査票について、これをまた精査していく。また、平成二十七年度以前は、調査票が廃棄済みでありますが、電子データとして残っているものもございます。これをどのように推計していくかを検討するということで、復元には一定の時間がかかると承知しております。

 いずれにしろ、本年五月に予定している令和三年度分の建設工事受注動態統計調査の公表までに、統計の信頼確保に向けた一定の結論をいただくことを目指して、国土交通省としても、検討会議の検討に全面的に協力していきたいと思っております。

葉梨委員 今お話しのように、復元に大変手間も時間もかかる、だから、担当レベルでは、このような二重計上みたいな措置をずっと放置していた。もう、それに気づいて直せば大変な労力が要る。でも、それじゃいけませんね。

 今大臣がおっしゃったように、令和三年のGDP、あと令和四年のGDP、これに跳ねるような部分から、しっかり優先順位をつけて復元をやっていただかなきゃいけない。そうしないと、せっかく民間業者の手を煩わせていただいたものが無駄になってしまう。そのことを考えていただきたいと思います。

 もう一つ、統計問題で厚労大臣に聞きたいと思います。

 昨年、毎月勤労統計における集計手法の改正が行われ、先頃、総務省の統計委員会に報告されたと報道されました。正確には、これは統計委員会への報告事項ではないということですけれども、三年前の毎月勤労統計や今回の受注統計問題と異なって、むしろ私は改善と考えていいと思っています。

 昨年夏までの取扱いというのは、夏季や冬季の賞与が支払われる期間に実施される特別集計、それから月ごとに集計される月次調査、これは別々に集計されているにもかかわらず、月次調査では報告されなかったけれども特別集計で報告された賞与、これを月次調査にも合算してしまっていた。これは余りよろしくないんですよね。

 というのは、統計というのは、そもそも調査票が回収できない方がいることを織り込んで集計や推計をするものですから、やはり純粋にやっていかなきゃいかぬ。昨年夏からは、月次調査は月次調査、それから特別集計は特別集計で、それぞれ別々にちゃんと純粋に集計するという方法に改善したというふうに聞いています。これは正しい方向じゃないかと思うんですけれども、厚労大臣から一言お願いしたいと思います。

後藤国務大臣 御指摘の毎月勤労統計調査の集計方法の見直しにつきましては、統計委員会から、今回の集計方法の見直しは統計精度を改善するためのものと評価し、見直し前の取扱いが不適切との評価には至らないとの評価をいただいておりまして、統計精度の改善に資するものと考えておりまして、委員の指摘のとおりだというふうに思います。

 ただし、統計委員会からも御指摘をいただきましたが、集計方法の見直しに当たって、変更内容や影響を公表して利用者にしっかりと配慮をするという点について欠けている面があったものと考えておりまして、既に二十七日、ホームページで集計方法変更の概要等について説明をしておりまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

葉梨委員 後半は、同じ統計問題でも、統計をどう使うかという話です。これは統計のコラボレーションみたいな話なんです。使いようによって将来の政策の方向性というのが見えてくるんです、統計というのは。

 まず、このパネルですけれども、これは、法人税収、令和二年までは決算額、令和三年は補正後見込額、令和四年は当初予算の見込額です。それから平均給与、これは国税庁統計。そして、令和三年、厚労省統計による賃金改定額、これは令和二年より令和三年が下がっていますから、この青い線は更に下に令和三年は行くと思います。

 コロナ禍で日本経済は悪くなったという話を聞く。実際、実態として、大変苦しんでいる人は大変苦しいんです。ただ、企業の利益はどんどん上がっています。特に、勤労者の給与というのは経済成長率じゃなくて企業の利益で決まるはずです。ただ、国の予想も過ちました。

 令和三年度当初予算における令和三年度法人税収見込額と昨年十二月の補正予算における補正後の法人税収見込額、それぞれお示しをいただきたいと思います。

岡本副大臣 お答えいたします。

 令和三年度当初予算における法人税収は、当初、九・〇兆円と見込んでおりました。その後、令和三年度補正後税収におきまして、令和二年度決算において決算税収が補正後の見込みを上回ったこと、さらには令和三年度におきましても企業の好調な業績見通しや上場企業への個別のヒアリング等の結果を反映をいたしまして、三・九兆円増額補正をいたしまして、十二・九兆円を見込んでおります。

葉梨委員 これは令和三年なんですけれども、令和二年についても、実は、コロナの影響を踏まえて下方修正したんです、法人税収見込み。ところが、それを令和二年も三・二兆円も上回っているんです。

 実は、企業や労働組合だけじゃなくて、コロナの影響で、令和二年、令和三年と、二年連続で企業収益は下がるというふうに国も予想していたんです。

 法人税収、平成二十七年、二十八年というのは、税率を下げましたのでこれは下がっているんですが、大体、法人税収というのは、企業の利益です。その企業の利益と平均給与の伸びというのは正の相関関係があるはずなんですけれども、コロナ以降はワニが口を開けちゃっている、これが今の現状なんです。

 その意味で、今年というのは本当に、賃上げ、これの好機だと思います。新しい資本主義、これは中期的な課題もあるということですけれども、もう既に法制面でのチャレンジというのが始まっていると思います。

 今年の賃上げ税制、大企業が今国会で提案されている賃上げ税制を利用するには、マルチステークホルダーに配慮した経営を行う旨宣言することが要件とされています。具体的にはどのような宣言をイメージされているんでしょうか。経産大臣。

萩生田国務大臣 委員御指摘のマルチステークホルダー方針は、資本金が十億円以上であり、従業員数が千人以上の企業を対象に、賃上げや人材投資を行うこと、取引先と適切な関係を構築することなどの方針の公表を求めるものであり、現在、関係省庁において詳細を検討しているところです。

 この方針を公表していることを賃上げ促進税制の要件の一つとすることで、大企業の賃上げを促すとともに、株主のみならず、従業員や取引先を含めたマルチステークホルダーに配慮した経営の実現を通じた企業価値向上を後押ししていきたいと思っています。

葉梨委員 株主資本主義の脱却、これに近いものが法文の形で、そして税制の優遇を受ける条件になるというのは画期的なことなんです。ただ、なかなかこのことに国民もまだ気がついていないところがあります。

 一月二十二日から二十三日まで実施された共同通信の世論調査。岸田総理は賃上げを経済界に要請している、あなたは今年、賃金が全体として上がることに期待できるか期待できないか。期待できる一八・九%、期待できない七七・八%。

 しかも、新型コロナウイルスって、大変頭がいいんですよね。一昨年の春闘直前にダイヤモンド・プリンセスがありました。さらには、オリパラの延期がありました。去年の春闘直前には第三波、東京で一千人超え、緊急事態宣言。そして、今年の春闘直前にもオミクロン株の急拡大。

 ただ、今まで二年間の経験に基づけば、これによって賃上げの機運というのが腰折れすることがあってはならないんです。この二年間、私たちは新型コロナウイルスにだまされてきた。今年だまされては、新しい資本主義は何だということになってしまう。

 そこで、官製春闘と言われて久しいんですが、令和二年、三年と、コロナによる企業利益のマイナス影響、国も、企業も、勤労者も過大に見ていました。苦しんでいる方に手を差し伸べることは、しっかりやる。しかし、利益を上げている法人には賃上げに協力していただいて、賃上げの推進力となっていただかなければなりません。税による再分配も一つのツールです。でも、本来は、企業によって自主的にしっかりと分配をしていく、勤労者に対して。これが極めて大切です。

 今年こそ、このような統計分析などを用いて企業に対する働きかけ、国民への発信、しっかりと行って、法人税収と平均給与のグラフのこのワニの口を示す状況を打破していかなければなりません。

 総理から、御決意をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 委員おっしゃるように、賃上げ、今年、大変重要だと認識しております。賃上げの主体は民間ですので、官製春闘という表現は、ちょっと誤解を与えないようにしなければならないとは思っておりますが、いずれにせよ、新しい資本主義、実現に向けて、成長と分配の好循環を起動させるために官と民がそれぞれの役割を果たすということ、これが大変重要であると思っています。

 賃上げについては、今月十八日ですが、経団連の春闘における基本スタンス、これが示されています。新しい資本主義の起動にふさわしい賃金引上げが望まれる、このように明記をしています。昨年の私の発言についても引用をし、そして、経団連から各企業に対しては、成長と分配の好循環実現への社会的な期待や企業の賃金引上げの環境整備に向けた政府の支援策をも考慮に入れながら、企業として主体的な検討が望まれる、このように明記をし、各企業に呼びかけを行っている次第です。経済界においても政府側と問題意識を共有していただいていると理解をしております。

 政府としましても、御指摘の賃上げ税制の拡充など、あらゆる施策を総動員して、企業が賃上げをしようと思える雰囲気を醸成しながら、広く国民の皆さんお一人お一人の所得引上げに向けて取り組んでいきたいと考えております。

葉梨委員 今年こそ、新型コロナウイルスによる企業利益の縮小というようなこと、だまされちゃいけない、過大に評価しちゃいけないということだろうと思います。

 ただ、そうはいったって、このオミクロン株、しっかり対応していかなきゃいけません。せんだってのサラリーマン川柳の候補に「ワクチンの副反応よもうデルナ」。高齢者はなかなかモデルナをやってくれないんですね。地元でも、どうしてもファイザーという方が、高齢者が多い。ですから、自治体も苦労している。

 堀内大臣から伺いたいと思います。追加接種の必要性、交差接種の有効性、安全性について全力で発信をしていただきたいと考えます。御決意を簡潔にお願いします。

堀内国務大臣 追加接種につきましては、ワクチンの種類よりも、スピードを優先して受けていただくことが重要と考えております。

 このため、希望する国民お一人お一人が安心して接種できるよう、追加接種の必要性などについて、あした、二月一日からも、三回目の接種の必要性をお知らせするテレビCMを新たに流すなど、様々な媒体を活用して分かりやすい情報発信に努めているところであります。

 今後も、交互接種の有効性とともに、ワクチンの種類よりも、早く打てるワクチンを打っていただきたいことをより一層全力で発信してまいります。

葉梨委員 私の弟も、今、東京の医大の病院で感染症の教授をやっております。ずっとコロナと戦ってまいりました。医療の現場もやはり一丸となって、このオミクロンをしっかり乗り越えていきましょう。

 そしてさらに、さきに述べた賃上げの成果、これを国民にやはり今年行き渡らせていきましょう。それによって、私は、国民の皆さんが明るさを実感できる、そういう新しい資本主義の入口ということを実感できる、そういう社会になってくるんだろうというふうに思います。

 そのためには、やはり、税金の無駄遣い、そういうようなそしりを受けることのないよう、統計の問題だけではなくて、我々政府・与党一丸となって、緊張感を持って事に当たっていくこと、これが非常に大切であろうというふうに思います。

 時間が、今、質疑終了の方が参りました。ちょうどぴったりでございます。みんなでしっかり緊張感を持ってこの事態に対処していくこと、このことを国民の皆様にお約束を申し上げて、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、尾身朝子君から関連質疑の申出があります。葉梨君の持ち時間の範囲内でこれを許します。尾身朝子君。

尾身委員 自由民主党の尾身朝子です。

 予算委員会にて質問する機会をいただき、ありがとうございます。

 本日の集中審議の議題でもある統計は、過去から未来を見詰める指標であり、恣意的な操作をすれば、たちまち本質を見誤ってしまいます。科学の世界ではエビデンス・ベースト・サイエンスと言っていますが、エビデンス、すなわち統計を含む根拠は正確でなくてはなりません。

 初めに、科学技術、イノベーションの推進について質問いたします。

 私は、資源に乏しく、少子高齢化社会が顕在化する日本において、国力を維持し、世界で輝く国であり続けるためには、科学技術の力が不可欠であると確信しています。岸田総理には、施政方針演説の中で科学技術立国を成長の柱として掲げていただき、大変心強い限りです。

 このパネルは、まさに三年前、この予算委員会で私がお示ししたものに三年分の変化を加えたものです。

 三年前に、私は、研究開発費の総額では米国には遠く及ばず、中国にも二・四五倍の差をつけられ、大変なことになると発言いたしました。当時の安倍総理からも、死活的な問題であり、科学技術立国の実現に向けて全力で取り組んでいくとの御答弁をいただきました。

 しかしながら、三年が経過し、今や、中国との差は三・〇三倍と更に大きく水を空けられてしまいました。引用論文数などでも、更に差は拡大しています。

 政府は第六期基本計画で投資目標を三十兆円に増やしていますが、国際競争は想像以上に熾烈であり、中国や米国がしのぎを削って、成長の源である科学技術、イノベーションに加速度的に投資しています。米国は、大統領の強いリーダーシップにより、世界の最先端を維持するため、更に巨額の投資を行っています。日本でも、総理のリーダーシップで思い切った資金を確保した上で大胆な政策を行っていかないと、国際競争についていけなくなっているという現実を我が国も直視しなければなりません。

 ここで、科学技術政策担当大臣も歴任され、科学技術立国を掲げる岸田総理にお伺いします。

 熾烈な国際競争に打ちかつべく、大胆な研究開発投資を実現していただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、諸外国において科学技術そしてイノベーションへの投資が大きく伸びている中、熾烈な国家間競争を勝ち抜くため、人工知能、量子、バイオ、さらには宇宙、こうした最先端科学技術の研究開発への大胆な投資を行っていくこと、これは極めて重要だと思っています。

 そのために、まず、政府としましても、今年度から五年間の研究開発投資について、政府全体で約三十兆円、官民合わせた総額は百二十兆円という、前回の基本計画を大きく上回る規模の目標を定めたほか、予算委員会の議論でも度々出ておりますが、十兆円規模の大学ファンドや二兆円のグリーンイノベーション基金など、こうした政策をしっかり進めていきたいと思います。

 今後とも、先見性を持って、基礎研究や人材育成への投資を始め、必要な予算を確保するとともに、研究開発税制などにより、民間の投資、これをしっかりと誘発して、官民が連携協力して国家的重要課題に対応することで、科学技術立国実現に向けて引き続きしっかりと政策を進めていきたいと考えております。

尾身委員 力強い御答弁、ありがとうございました。私も、真の科学技術立国実現のために全力で取り組んでいくことをお約束申し上げます。

 次に、女性活躍の推進について伺います。

 各企業は、社会の趨勢として、積極的に社外取締役に女性を登用していますが、一人の女性が複数の企業において兼任するという例が多いのが実態です。これだけで、統計上は、女性役員の割合が簡単に四倍、五倍と増えてしまいます。指標とするものの意味を正しく理解し、正しく統計を用いる、これが今回の統計資料の問題の根底にあるものと考えています。

 二〇二一年三月に世界経済フォーラムが公表した最新のジェンダーギャップ指数で、日本は百五十六か国中百二十位、先進国の中で最も低い水準にあります。特に、政治分野と経済分野でその遅れが顕著です。

 前衆議院議長の大島理森先生は、議長として各国の代表団などに会う際に、日本の女性議員が少ないことにじくじたる思いをしていたと語られました。また、グテーレス国連事務総長は、女性が含まれないデリゲーションには面会しないと言われています。外務大臣を歴任された岸田総理も、国際的な場面において女性がほとんどいない日本の現状が世界から見て奇異に映っていることを実感されたことと思います。

 日本でも、社会のあらゆる分野において、指導的地位に就く女性の割合を三〇%とすることを目指すという目標が掲げられました。三〇%というのは、いわゆるクリティカルマス、少数意見でも取り上げられるための最低限の割合です。

 現在の衆議院における女性議員の比率は九・七%。有権者の五二%は女性であるにもかかわらず、国権の最高機関である国会の女性議員の割合は、三〇%には遠く及びません。すなわち、女性の意見は取り上げられないということになりかねないのです。この現状は、東大の前田健太郎先生の著書のタイトルのように、まさに、女性のいない民主主義なのです。民主主義がゆがんでいると言っても言い過ぎではありません。

 皆様、予算委員会を御覧ください。委員五十人のうち、女性委員は何と三人しかいません。これが現実です。

 岸田総理、このように、政治における女性の参加が世界から著しく遅れている現状をどのように認識しておられますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、我が国のジェンダーギャップの指数、低い順位であり、特に政治分野そして経済分野、この二つにおいてスコアが低調であると認識をしています。我が国の取組が諸外国と比べて遅れていることを示していると謙虚に受け止めているところです。

 そして、政治分野における女性の参画拡大、これは、政策に民意を反映する上で極めて重要であると認識をいたします。候補者男女均等法では、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すとされ、また、政党は、候補者の数に関する目標設定等に自主的に取り組むよう努めるものとされています。

 法律等によって女性候補者の比率の義務づけを行うということについては議論があるところでありますが、しかし、こうした法律等に基づいて、各党各派において、政治における女性の皆さんの参画においても御議論いただくことは重要であると認識をいたします。

尾身委員 ありがとうございました。

 終戦直後、一九四六年の総選挙で、初めて三十九名の女性議員が誕生しました。そして、昨年の総選挙で当選した女性議員は、与野党合わせて四十五名です。この七十六年でたった六名しか増えていないのです。

 私は、全ての意思決定に女性の視点をと、あらゆる場で働きかけています。本日、私は、四十五名の衆議院女性議員を代表するつもりでここに立っています。有権者の五二%を占める女性の声を的確に代弁できるのは、我々女性議員です。また、女性議員でなければ気づかないことがあります。せめて意思決定に女性の声を確実に反映させることが、今できる最善のことと信じています。

 あらゆる組織に多様性が実現することでイノベーションを起こし、社会変革が生じ、生産性も上がります。そのためにも、真の女性活躍社会の実現が不可欠です。この第一歩が国政の場で女性議員を増やすことであると確信しています。そして、それは、女性のためだけではなく、国益に資するものなのです。

 米国の研究では、男女均衡の意思決定は政治決定の正当性を高めると報告され、英国では、女性リーダーが起こす変化について、民主主義の質が向上し、女性に関する政策が改善し、ケアに関する政策が前進すると結論づけています。

 私たちは、優しさと強さを併せ持ち、強い覚悟を持って臨んでいきます。

 野田男女共同参画担当大臣にお伺いします。

 国政における女性議員の現状について、この七十六年間、議員数を増やすことができなかった要因は何だと思われますか。また、全ての意思決定の場に女性の意見が反映されるようにするにはどうしたらよいとお考えでしょうか。御見解をお聞かせください。

野田国務大臣 初めに、尾身議員の発言に大変勇気をいただきました。しっかり取り組んでいかなければならないと改めて思った次第です。

 総理も述べられましたけれども、政治分野における男女共同参画の推進というのは、政治に的確に民意を反映させるという意味では極めて極めて重要です。

 残念ですが、しかしながら我が国は、先ほど御指摘のように、有権者の五一・七%が女性、にもかかわらず、ここ衆議院、衆議院議員に占める女性の割合はたったの九・七%。ほかのG7の国々は三割前後ということになっていますので、日本の国会議員に占める女性割合がいかに低いか、国際的に低いかというのはもう言わずもがなの話だと思っています。

 政治分野における取組が遅れている現状、要因としては、例えば、立候補とか議員活動がなかなか、それ自体が女性にとって違和感があるというか、自分事ではなかなか得られないということと、また、女性の多くは家庭生活と両立させるわけですね、子育てとか、そういう中で、非常に時間的にも精神的にも困難を極めるということ。さらに、候補者や政治家に対するハラスメント、これは男女共通のハラスメントもありますけれども、女性候補者の場合はセクシュアルハラスメントが非常に多い、そんなことが考えられてきました。また、現実では、地元の農協とか商工会とか、そういった政治的発言をされる方たちの、社会の様々な場面において指導的地位、そういう組織の指導的地位に私たち女性の仲間がそもそも少ない、そもそもいないということもあります。

 内閣府では、事前調査を踏まえて、各議会等で活用できる、まずはハラスメント防止研修教材の作成等に向けて議論を行っていまして、今年の春頃の完成に向けて取り組んでまいります。さらに、全国津々浦々に男女共同参画の裾野を広げて、女性が伸び伸びと力を発揮できるよう、女性版骨太方針として、これも今年の夏までにしっかり具体策を取りまとめてまいります。

尾身委員 ありがとうございました。

 紆余曲折の末に成立した政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が施行後に行われた昨年の衆議院議員選挙の結果は、与野党合わせて女性議員四十五名、これが現実です。この状況を抜本的に打破するためには大胆な改革が必要です。今こそ、この現状を強い力をもって変えなければ、世界の潮流に更に大きく後れを取ります。

 フランスでは、一九九九年に、当時のシラク大統領が憲法を改正してまでパリテ条項を追加し、各政党に候補者の男女比率を同じくせよと義務づけました。その結果、下院の女性議員比率が約一二%から現在は三九・五%となり、世界百九十か国のうち二十七位、G7の中では一位となりました。それに比して、我が国は百六十八位、G7の中で断トツの最下位なのです。このまま何もしなければ、この先二十年後も三十年後も何も変わりません。

 しかしながら、リーダーの覚悟で社会は変えられます。私は、そのような政治のリーダーシップが日本でも絶対に必要だと考えています。

 そこで、岸田総理にお伺いします。

 政治主導により、フランスのパリテ法に匹敵するような、女性議員を増やす実効力のある法律が必要だと思いますが、総理の御覚悟のほどをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 委員のお持ちの問題意識、大変重要な問題意識であると私も思います。

 先ほども申し上げたように、社会として、政策に民意をしっかり反映するという観点からも、女性の皆さんが政治の分野で活躍していただくということ、これは大変重要だと思います。

 行政においても、今御指摘のフランスの事例など諸外国の取組事例の情報提供ですとか、先ほどの候補者に関する数値目標設定等の自主的な取組を各党に働きかける、各政党における取組の見える化、さらには、政府としましても、ハラスメント防止研修に活用できる教材の作成等の環境整備など、しっかり努力をしなければならないと思います。

 そして、御質問の、法律を作るべきだというお話、これは以前から様々な議論が行われており、候補者の比率の義務づけということについてはいろいろな議論があります。機会均等あるいは政治活動の自由、こうした基本原則との課題が指摘をされているところでありますが、しかし、その中にあっても、法律も含めて、我が国全体として何ができるか、これは、官においても、民においても、政府においても、また議会においても、それぞれの立場でしっかり考えなければいけない重要な課題であると私も認識をいたします。

尾身委員 岸田総理の強いリーダーシップを期待申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて葉梨君、尾身君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 本日の予算委員会は、統計問題及び政府の規律等という集中審議でございますので、早速、統計のことからお伺いをしていきたいと思います。

 まず、公的統計の信頼回復に向けた取組、私が知る近年だけでも、平成二十八年、二〇一六年から始まっていると承知をしております。当時、経産省の繊維流通統計調査、これは一般統計調査ですけれども、ここに不正確なものがあることが判明をいたしまして、平成二十九年一月、二〇一六年一月に、総務省は、基幹統計調査、そして一般統計調査及び統計調査以外の方法により作成する基幹統計五統計について、各府省に点検、報告を求め、同年四月に点検結果を統計委員会に報告をされております。このとき、繊維流通統計調査のように公的統計の信頼を損なうような例はなかったとされましたが、承認された調査計画の内容と実際の内容との間に相違がありまして、手続上の問題がある例は三百二調査のうち百三十九調査とされました、二〇一六年です。

 ちなみに、このとき、毎月勤労統計については、この後、平成三十一年ですから二〇一九年にクローズアップされるわけですが、問題なしというふうに報告されております。

 今回議題になっております建設受注動態統計につきましても、同様な報告であったと推察をせざるを得ません。実際には、これまでこの予算委員会でも議論されておりますとおり、建設受注動態統計においては、実に、過去分を合算をしていたのは、平成十二年四月、つまり一九九〇年四月からでありまして、これはずさんな対応としか言いようがございません。

 また、統計ではございませんけれども、これも予算委員会で度々指摘をされておりますが、各省庁所管予算の各目明細書につきましては、総務省、法務省、文部科学省、国土交通省の記載に誤りがあったことも明らかとなっております。

 政府内で何が起きているのか、ケアレスミスも含めて、この事柄から本質的な改善を行わなければ、この予算委員会で質疑をしている意味がない、こういう問題意識で質問していきたいと思います。

 まず、これは国交省ですけれども、統計における二重計上等や問題発覚後の対応が不適切であった原因について、改めて国土交通省の考えをお伺いいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 検証委員会の報告書では、建設受注動態統計調査について大きく三つの問題点が指摘されております。

 具体的には、過月分調査票に記載された受注高の数値を当月分調査票の受注高に合算し、過月の受注高を当月の受注高に算入していた合算問題、平成二十五年四月に、期限までに調査票が回収されなかった事業者の受注高について、回収率の逆数を乗じて推計する方法を採用した際、合算処理を継続したことによって、当月分受注高に合算した過月分受注高が過剰に統計に反映されてしまった二重計上問題、平成三十一年の一斉点検の際に合算問題や二重計上問題を報告しなかったことや、会計検査院の調査への対応、総務省統計委員会への報告の在り方といった事後対応問題について御指摘いただいたところです。

 これらの問題の原因としては、合算問題については、統計室が、通常業務をこなすだけで手いっぱいとなっており、集計作業の点検や見直しを行うだけの人的及び物的余裕がなかったこと、集計作業は、係長以下が行う現場作業で、室長ら幹部は現場任せという分業意識があったこと。また、二重計上問題については、集計実務を担当する係長又は係員において気づきを得られなかったこと、係長以下の者と推計方法を検討していた補佐以上の間で十分な情報共有がなされておらず、いわば情報の分断が生じていたこと。さらに、事後対応問題については、幹部職員において責任追及を回避したいといった意識があったこと、業務過多と管理職の短任期が合わさり、統計室に関連する管理職にとって、自らで問題を解決せずに先送りするインセンティブを有するという構造が存在していたこと、問題の発覚が現職職員の不利益になる構造が存在していたことが、報告書において指摘されています。

 国土交通省としては、こうした報告書の御指摘を大変重く受け止めているところでございます。

伊藤(渉)委員 今答弁の中に、時間があれば一つずつ聞きたいぐらいなんですけれども、例えば、実務を担当していた係長以下の者と推計方法の見直しを検討していた課長補佐以上の者との間で情報の共有がなされていなかったと。日本語で聞くとそうなのかなと思うんですけれども、普通に考えると、係長とか課長補佐というのは同じ場所で一緒になって仕事をしているので、そこで情報が共有されないというと、どうやって仕事をしているんだろうという、そもそも、実は問題意識が出てくるんですね。

 一個ずつ聞いていると時間が切れていきますので、また少し後にしたいと思いますが、もう一つ、先ほど葉梨先生からも議論がありました、いわゆる、これは予算委員会ですから、予算編成等への影響という意味で、GDPへの影響について確認をさせていただきたいと思います。

 建設受注動態統計調査の不適切処理における建設総合統計への影響、これはどの程度あるのか、改めて国交省にお伺いをいたします。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 建設工事受注動態統計調査は建設業者の受注額を把握する統計ですが、GDPの推計に用いられる建設総合統計は、建設工事の出来高、すなわち、工事完成部分に対応する建設投資額を把握する統計です。

 建設投資額の伸び率が受注総額の伸び率とおおむね等しいと考えられることから、建設総合統計の建設投資額の推計に当たっては、建設工事受注動態統計調査の受注総額の伸び率を用いています。具体的には、過去の建設投資額の実績値に、現在の受注総額と過去の受注総額の比率、伸び率を掛けることで推計を行っています。

 建設工事受注動態統計調査の受注額の伸び率を算出する際、現在の受注総額と過去の受注総額に二重計上等の不適切な数値が含まれていたとしても、同一の要因であれば、双方に同等の影響を与え、打ち消し合うこととなるため、その影響は軽微であると考えています。

 いずれにしましても、今般設置した、統計の専門家から成る建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る遡及改定に関する検討会議において、建設工事受注動態統計調査の遡及改定に向けて検討を進めてまいります。

伊藤(渉)委員 今の答弁を含めまして、私も少し事柄の整理をさせていただきますと、GDPは、産業連関表、つまり物とサービスの動きから把握をされております。これは、これまでもこの委員会で、各担当の大臣からも御説明あったと思います。

 近年のGDP、これは二〇一五年、つまり平成二十七年の産業連関表から推計されています。二〇一五年、この平成二十七年を基準年として数字を固めておいて、建設総合統計の伸び率を使ってGDPにおける建設投資を推計しています。

 つまり、GDPの算出には建設総合統計そのものの水準が使われているわけではないということ、そしてまた、今の答弁にありましたとおり、建設受注動態統計の不適切処理における建設総合統計への影響は軽微であると。この二つを合わせますと、GDPにおける影響は軽微であるというふうに政府として判断している、これは妥当だろうと思います。これまでの予算委員会も含めて、こういうふうに理解をしております。

 よって、このことは、今後、詳細については、建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る遡及改定に関わる検討会議、この結論を待ちたいというふうに思います。

 それにしても、その原因ということを徹底的に究明する必要がありまして、まず一つ、理解に苦しむのは、これは大臣にお伺いしますけれども、平成三十一年一月、つまり二〇一九年一月に、当時の係長が統計の不適切処理を申告しています。先ほど、最初に、審議官の答弁ですと、係長と補佐の間に情報が分断されていたとおっしゃっていましたが、それを通り越えて、平成三十一年一月、二〇一九年一月に上に申告をしたと。同じ年の令和元年十二月、つまり二〇一九年十二月には、それをつかさどっている政策立案統括審議官、今答弁いただいている高田さんですね、当時は違うかもしれませんが、も認識をした。にもかかわらず、合算処理が廃止に至るのは、令和三年四月、二〇二一年四月、つまり、二年余りの時間がかかっています。

 幾ら何でもかかり過ぎだろう、こう思うんですけれども、その要因について現時点で率直にどのようにお考えか、斉藤国土交通大臣の認識をお伺いいたします。

斉藤国務大臣 伊藤委員おっしゃるように、平成三十一年一月から令和三年四月までの間、一斉点検がありました、また、会計検査院の指摘もございました。不適切な処理について公表し、早期に見直す機会が、多々、そういう機会があったと思います。

 なぜそれができなかったか。検証委員会の報告書では、一斉点検で報告しなかったことは、国交省内部における事なかれ主義の表れであると。それから、会計検査院等に説明しなかったことは、隠蔽工作とまで言うかはともかく、幹部職員において責任追及を回避したいといった意識があったことが原因など、大変厳しい御指摘をいただきました。言語道断であると思っております。

 合算の把握から見直しまで時間を要したことにもこのような背景があったのではないかと考えており、誠に遺憾で残念なことであるとともに、私自ら先頭に立って職場の風土改善に取り組んでいく必要があると考えております。

 国土交通省の中にタスクフォースを設けまして、全力で取り組んでまいります。

伊藤(渉)委員 今大臣が御紹介いただきましたこの報告書、私も目を通しました。この中には、再発防止策として、今大臣おっしゃった事なかれ主義等々、そういったことを乗り越えて、「問題の発見と解決を奨励する風土を形成し、問題を発見した者が人事上も不利益を受けなくすることも必要」という記述がございました。

 また、もう一つ、これもこれまでのこの委員会での質疑で度々出てきておりますけれども、慢性的な業務過多が遠因の一つではないかと。これは私、非常に大きい言葉だと思っています。ここを改善をしてあげないと、何とかしたいと良識ある職員の皆さんも、実際に物理的にできないとしたらこのような対応になってしまう、まさに遠因になっていると。

 そういうところは我々政治の力で改善をすることが可能だと思いますので、そういうことも含めて、今後の再発防止策について、これも斉藤国土交通大臣、現時点のお考えをお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 我々、今回の我々の作業は検証委員会の報告書がスタート地点だと思っております。

 そういう意味で、検証委員会からの報告を述べさせていただきますが、検証委員会からは、再発防止策として、業務過多の解消、統計を統合的に理解する職員の配置、職員の専門知識の習得、専門家との相談体制の構築、問題発見時の対応方法の明確化及び問題の発見と解決を奨励する風土の形成の五つを提言いただいております。

 また、今般、総理から、統計委員会において、再発防止策やデジタル化、人材育成などの公的統計の改善施策を取りまとめることとし、関係閣僚はこれに協力するよう指示があったところでございます。

 国土交通省としては、事務次官をトップとするタスクフォースを立ち上げて、業務過多の解消や、問題の発見と解決を奨励する風土の形成を含めた再発防止策の検討や、国土交通省所管統計の検証を行うこととしております。これは、大臣が先頭に立ってやらなければ、断固たる決意でやらなければ実行できないと思いますので、その決意で頑張ってまいります。

伊藤(渉)委員 是非ともお願いしたいと思います。

 私のもう一つの問題意識といいますか、これは皆さん御存じのとおり、二〇四〇年問題ということが言われ始めております。

 これは、いわゆる団塊ジュニアの世代が六十五歳以上になる、これが二〇四〇年代。つまり、担い手が今よりも不足してくるリスクがあるという意味です。そうなってきますと、公的部門、民間部門を問わず、限られた担い手で仕事を進めていかなければならなくなります。今よりも厳しくなる可能性があるということです。

 そういうことを考えますと、本質的な業務改善という課題に着目をして、今日、小林副大臣にもお越しをいただいておりますけれども、デジタル化を含めて業務改善ということに力を入れていかなければならないという問題意識で、続いて、統計等に基づく政策立案の重要性について御質問させていただきます。

 これは総理にお伺いします。

 政府は、冒頭申し上げたとおり、平成二十八年の統計問題を契機にして、データやエビデンスに基づく政策、いわゆるEBPMを推進しております。これは、政策課題をデータを駆使して正確に把握をして、その課題に有効な施策を既存のエビデンスを最大限踏まえて立案をし、その政策の効果を可能な限り統計的に信頼性の高い手法で検証することで、不断によりよい政策を目指すものとされています。

 平成二十九年以降、政府横断的な推進体制としてEBPM推進委員会を設置するとともに、各省庁に、今日御答弁いただいております政策立案統括審議官を設置をして、ロジックモデルの活用や人材育成、外部有識者等による支援体制の構築など、こうした取組を省庁横断的に推進してきていると承知をしております。

 統計などのデータやエビデンスに基づく政策立案、EBPMの重要性について、岸田内閣総理大臣の御認識をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、統計データなどのエビデンスを用いて政策の課題把握、立案、検証を行う御指摘のEBPM、これは、行政機能や政策効果を向上させ、国民から信頼される行政を展開する観点から、重要な取組であるとまず認識をしております。

 社会のデジタル化が進む中で、データに基づくEBPMの重要性は一層高まっています。先般、行政改革推進会議の下にワーキンググループをつくりました。ここで、データを活用し、スピーディーに政策サイクルを回し、柔軟に見直しを行う新しい政策形成、評価の在り方について検討するよう指示をしたところです。

 また、今般の建設工事受注動態統計調査における不適切な処理を受けて、政府統計全体について、統計委員会において、再発防止、デジタル化あるいは人材育成、こうしたことの、公的統計の改善施策、これを取りまとめるということにしておりますが、この結果を実行に移して、まずは政府統計に対する信頼回復に全力で取り組んでいくとともに、このEBPMの政府全体への更なる普及、浸透を図ることで、行政の信頼回復、しっかり図っていきたいと考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 これは予算委員会ですから予算の審議なんですけれども、予算そのものの効果的、効率的な執行を更に高めていくという意味でも、このEBPM、極めて重要だと思います。

 しかし、平成二十八年から様々取組をしてきているにもかかわらず、いまだ、どちらかというとずさんなこうした問題が発生しているということは、まだまだデータとかエビデンスに対する認識レベルが低いと言わざるを得ないのではないか。これは我が国にとっては極めて重要な取組だと思っております。

 その意味で、まさに政府の中でこうした事柄を担当いただいている、今日は、小林内閣府行政改革担当副大臣、済みません、名指しで来ていただいておりますので、質問させていただきたいと思います。

 これまで、こうした状況の中でも、各省庁の具体的な取組として、例えば、財務省では、国税庁や税関の保有するデータを活用した共同研究、厚労省では、ロジックモデルの有効活用、外部有識者との連携、意欲と専門性のある若手職員のプロジェクトチームなどの事例が生まれていると聞いております。

 また、私が注目しているのは、これは私が財務副大臣就任中にも直接お伺いさせていただきましたけれども、諸外国がEBPMとセットで取り入れてきた革新的政策手法がございます。その一つが成果連動型民間委託契約方式、ペイ・フォー・サクセスと呼ばれますけれども、これは、病気や介護の予防など、政策目標の達成に応じて事業者に報酬を支払うものでありまして、民間事業者の創意工夫を最大限生かして行政課題を解決することが期待をされています。

 また、人の行動に関する科学的知見の政策応用として、ナッジが注目されています。これは、行動経済学の理論で、いろいろな表現がされていますが、よりよい選択を後押しするために小さなきっかけをつくることという意味の言葉です。二〇一〇年に英国政府内で設立されたいわゆるナッジユニットが、税金徴収促進や省エネなどのナッジを活用しまして、設立二年で投資額の二十倍以上の成果を上げたことで注目され、今では、国内でも省庁や地方自治体の多くで取り入れられ、環境、健康、医療、防災など幅広い政策分野で成果を上げています。

 こうした前向きな動きを更に推し進め、国民と時代の要請に応えるスマートな政府を実現する必要があると考えますけれども、諸外国と比較して、まだまだ政府のEBPM推進体制や人材、予算は十分とは言えず、データ利活用の仕組みやインフラも十分ではありません。

 そうした中、それでも、特に若手、中堅の政府職員の多くが、データやエビデンスを駆使して、より高い精度で国民のための仕事をしたいと考えておりまして、きらりと光る取組が生まれてきております。また、民間やアカデミアの中にも、特に若い世代においては公益的な取組を担いたいと考える人材は少なくありません。

 先ほど尾身先生からもありました、これからは女性と若者の時代です。こうしたところに光を当てていくのが我々の仕事だと思います。従来の公式のEBPM推進の体制に加えて、こうした意欲と能力のある政府内外の人材の力を最大限生かすことで、政府のEBPMの動きを前に進められるのではないかと考えております。

 小林副大臣の所感と展望を是非お伺いいたします。

小林副大臣 伊藤委員のお話は全くそのとおりだというふうに思っております。なので、我々も、やはり官僚組織というのを組織として見るだけではなくて、一人一人、意欲のある国家公務員が仕事をしていただいている、そうなってくると、彼らがやはり意欲的に働ける環境をつくるというのが何より重要だろう、こういうふうに考えています。

 先ほど委員が御紹介された、きらりと光る若手、中堅からも、実際に話を聞かせていただきました。そこでいただいたのは、やはり、正確かつスピーディーにEBPMの基になるデータを集められるようにするということだけではなくて、政府全体で活用しやすい環境をつくる。さらに、自分たちがやっていきたいと思ったときにそれをサポートしてもらえる政府全体の環境が必要だ、こういうお話もいただきました。

 そして、何より重要だというふうに感じたのは、先ほど伊藤委員おっしゃったように、業務がまず多過ぎることによって新しい取組ができないというのが一番大きな問題だろうというふうに思っております。なので、今回、このEBPMの取組をやるに当たっても、これまでやってきた政策の立案や評価の現状についてしっかり把握をして、重複しているものとか、あと過剰な品質を求めているというものはまずやめる、これを決めるのがリーダーのまず第一の仕事だろうというふうに考えていますので、しっかり今までの仕事を見直して、そして新しい取組ができる環境をつくっていきたいというふうに思っています。

 そういった点を踏まえながら、先ほど総理から言及のありました行政改革推進会議の下のワーキンググループで議論をしっかり進めて、EBPMの推進を通じた政策の質の更なる向上につなげてまいりたいと思いますし、多様な人材が活躍できる霞が関の組織をつくってまいりたいと思っています。

伊藤(渉)委員 是非、若手の政府職員と、まさに若手の政治家である小林副大臣のような方がお力を合わせて、更にこの国を前に進めていただきたいと思います。

 副大臣におかれては、これで離席していただいて結構でございます。

 時間の関係で、最後の質問にさせていただきます。コロナ禍における観光産業の支援ということでお伺いをいたします。

 観光立国、これは、急速な成長を遂げるアジアを始めとする世界の国際観光需要を取り込むことによって日本の経済再生に資すること、また、人口減少、高齢化が進展する中、国内外からの交流人口の拡大や旅行消費によって地域の活力維持、つまり、岸田総理、岸田内閣が力を入れている地方創生に資するなど、その重要性は論をまたないと思います。

 これまで、インバウンドでは、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人の目標を掲げ、順調な推移を見せてきましたけれども、二〇一九年の約三千二百万人をピークに、コロナ感染症の影響で需要が消失しているのが現状です。

 観光市場の規模は、二〇一九年に約二十八兆円にも及び、同じくコロナ禍で苦しんでおられるバス、タクシー、航空、鉄道、トラックなどの運輸業だけでもその規模は約七兆円ございました。それが現在、二〇二〇年には、観光市場全体で約十一兆円と半分以下になってしまっています。

 こうした状況を踏まえて、政府・与党総力を挙げて、観光産業の下支えに力を注いでこれまでもまいりました。具体的には、GoToトラベル予算として、令和二年度一次補正プラス予備費で四千六百億円、令和三年度補正予算で二千七百億円、令和二年度三次補正で五千六百億円、計一・三兆円が計上されています。

 観光を支える重要な予算であり、観光立国を目指す政府として、こうした予算規模で観光産業を支援していくというメッセージが、今必死で踏ん張ってみえる関係者の方々の希望になると考えます。

 是非、斉藤国土交通大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。

斉藤国務大臣 人口減少を迎えている日本におきまして、交流人口を増やすことによって地域を活性化させる、その核となるのが観光だ、このように思っております。

 GoToトラベル事業は、我が国の観光関連産業及び幅広い地域経済を支える効果があり、観光に関連する方々からは再開を期待する声を多くいただいております。このため、新たなGoToトラベル事業としてお認めいただいている予算を最大限活用して、事業を適切に実施していくことが重要でございます。

 その開始時期につきましては、感染が急拡大している今のこの状況の中で、評価できるという今状態ではございませんけれども、その状況を見極めつつ、専門家の意見を踏まえて、適切な時期が来たならば再開できるよう、準備を進めてまいります。

 今後、我が国の観光の再生に向けて、地域の観光関係者にとってストック効果が残る取組も一緒に進めていく決意でございます。また、投資促進、デジタル化、生産性向上、多面的な支援もしていきたいと思います。

 これから頑張っていきたい、このように思います。

伊藤(渉)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、江田憲司君。

江田委員 立憲民主党、江田憲司でございます。

 総理、閣僚の皆様、連日お疲れさまでございます。

 先週、コロナ対応についての与野党協議会が再開をされました。官邸からは官房副長官、御出席をいただいております。この場で実は、総理も御存じのように、我々立憲民主党ほか野党は種々の政策提案をしてまいりましたので、是非、再開されたということでございますので、総理、聞く力を発揮していただいて、お願いをいたしたいと思います。

 ただ、我々野党はやはり政府・与党をしっかり監視しチェックするという役目も担っておりますから、今日も多少厳しいことを言うかもしれませんけれども、とにかくコロナから国民の命と暮らしを守るという思いは共通だと信じておりますので、是非、今日は総理と議論を重ねてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、総理、御記憶だと思いますが、先月の臨時国会の冒頭でケネディ大統領の言葉を引かれましたね。「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る。」こういう言葉を引用された総理の思いというものは何だったんでしょうか。教えていただければ幸いです。

岸田内閣総理大臣 政治の立場からして、この感染症の拡大等、こうした危機的な事態に直面する中で、まずは最悪の事態を想定してしっかりと準備をしておく、こういったことが重要であるということを申し上げてきましたが、そうした思いを御指摘のケネディ大統領の言葉にも込めさせていただいたと考えております。

江田委員 おっしゃるとおり、災いが来る前にしっかり備えをしておくべきだという趣旨の言葉なんですけれども、私は、残念ながら、岸田総理のコロナ対応を見ていると、もう嵐の真っ最中になって屋根を必死で修理しているように見えるんですよ。嵐の真っ最中で修理しても、やはり屋根の修理には時間がかかりますし、そのうち家も水浸しになってしまう。私は、本当にそれを懸念をしております。

 感染症対策の基本は、もう釈迦に説法でございますけれども、検査と隔離、そして治療ですよね。しかし、私、見ていると、確かにオミクロン株の特性というのはあるんですよ。しかし、一方で、検査キットが全然足りないから検査なしで診断をしようとか、それから、発熱外来、医療現場が逼迫しているので受診なしで自宅療養を認めようとか、何かなし崩し的にその基本を崩しているという面も私はあると思うんですね、率直に言って。

 そういう事態に立ち至ったことについて、先ほどの言葉も念頭に置きながら、総理、何か反省の弁、率直なそういう思いというものはございますか。

岸田内閣総理大臣 まず、野党の皆さんを始め多くの皆さんから様々な指摘を受ける、また様々な英知を結集していただく、こうしたことについては謙虚に受け止めていきたいと思います。

 その上で、今の御質問ですが、今回の事態に対して、今の政府においては、昨年の十一月の段階で全体像というものをしっかり明らかにし、その中で、昨年の八月、第五波と言われていた大変厳しい状況を念頭に置きながら、病床においても三割増しの病床を用意するなど、医療提供体制をしっかり用意をし、そして、予防、検査、そして早期治療の流れを強化する、こうした計画を明らかにさせていただいた次第です。

 そして、今御指摘の中で、検査等においても、遅れたのではないか、こういった指摘がありました。検査等についても、必要とされる方がしっかり検査を受けられる体制をということで、無料の検査の実施などを図ってきたわけでありますが、ここへ来て、感染が急拡大する中で、検査が受けにくい状況も存在している、これはおっしゃるとおりだと思います。

 検査でいうならば、当初は主にPCR検査ということが重視されてきたわけですが、ここへ来て、感染が急拡大する中にあって、より簡便で迅速に検査ができるということで、抗原検査キット、この活用が強調されてきたわけであります。この抗原検査キットについても、薬局において一般販売分が大量発注されたということで、品薄感が指摘をされています。

 ただ、こうした検査についても、在庫として四百六十万回分を保持し、そして、一日八十万回分の生産そして輸入等の確保について取り組んでいるところでありまして、これをできるだけ、ごめんなさい、じゃ、もう一言……(江田委員「また聞きますから」と呼ぶ)はい。できるだけ必要なところにしっかり集中しなければいけないということで、取組を続けているところであります。

 是非、現実に国民の皆さんの不安につながらないように、しっかり用意した機能を機能させていきたいと思いますし、それを医療体制につなげることによって、より安定した体制を維持していきたいと考えております。

江田委員 個別の問題については、逐次また問いただしてまいりたいと思います。

 まさに総理が触れられた十一月の基本的対処方針では、デルタ株の二倍から三倍の感染拡大があっても備えられるようにすると書いてあるんですね。しかし、残念ながら、オミクロン株はもう四倍、そういう感染拡大の様相を来しておりますよね。

 その結果、本来であれば、昨年秋ぐらいというのは比較的感染が落ち着いておりました。まさに、日が照っているうちにしっかり屋根を修理しておくべきだったんですよ。

 だから、今言われているように、検査能力の拡充とか、病床の確保とか、特に検査キットが足りない。これは今、昔のマスク騒動を思い起こさせるような逼迫ですよ。だから、本当にこれが防げなかったのかと。

 総理は常々、最悪の事態を想定するという言葉でおっしゃるんだけれども、この点はしっかり、いや、僕、もうこれは言ってもしようがないので、もう起こっていることは。だけれども、やはり、人間、反省あるところから教訓が生まれて、これからはしっかりやろうということになるので、やはり去年の秋の基本的対処方針が見通しとしては甘かったということは認められていいんじゃないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 十分であったかどうかという評価については様々な評価がある、これは、いろいろな評価は謙虚に受け止めなければならないと思いますが、ただ、今現状において、先ほど申し上げました十一月の全体像に基づいて用意した様々な体制が本当に機能するかどうか、そして今の厳しい状況に耐え得るかどうか、これが今問われているんだと思います。

 検査キットについても申し上げましたが、用意した病床、あるいは臨時医療機関、さらには自宅療養における様々な医療機関の協力によって、保健所を通さずに医療にアクセスするような体制、こういったものが十分機能するかどうか、これが問われているんだと思います。

 是非、これをしっかり機能させることによって、国民の皆さんの不安にしっかり応え、そして体制を維持していかなければならないと考えております。

江田委員 ちょっと不安なんですよね。やはり、現実に今起こっていることは、もう検査がほとんど逼迫、検査キットが極端に足りない、それから、発熱外来はもう逼迫している、こういう状況なんですよ。だから、こういう事態を本当に防げなかったのか、去年の秋ですね。

 私も、これからまたオミクロン以降のもしかしたら変異株が出るかもしれない、また感染が落ち着いて、またぶり返すかもしれない、そういうときに向かっての総理の心構えをしっかりただすためにもお聞きしたかったんですけれども、何かちょっと不安になりますけれども、残念です。

 さて、緊急事態宣言について、各方面から声が上がり始めました。今、確かに、おととい現在で病床使用率五〇%を超えた府県が十一あります。東京も五〇%に迫ろうかという勢いですね。重症者も増えている。それから、救急搬送困難事案というのが何と五千件、一週間で出ているということで、一般病床も非常に逼迫しているんですね。

 そういう意味で、総理、今、蔓延防止措置は三十四都道府県ですか、これまでは、そういう都道府県から申請、要請があればそれを尊重して認めてこられましたけれども、この緊急事態宣言、どこかの自治体から要請があれば、申請があればそれは認めるということですか。

岸田内閣総理大臣 緊急事態宣言を始めとする様々な取組については、昨年明らかにしているように、病院の逼迫度に重点を置いたレベル分類、これを参考にしながら総合的に判断するという考え方、これを基本的対処方針の中にも明記をさせていただいています。

 そして、病床の逼迫ということで申し上げても、例えば東京は、今の感染拡大は続いていますが、昨年八月、東京の感染者の数は五千九百人超でありました。その時点で病床の逼迫度ということを考えますと、病床はほぼ満杯状況で、そして待機者も出ている、こういった状況でありました。

 しかし、それに対して、先ほど申し上げました十一月の全体像で明らかにした新たな体制、要は、病床の数も増やした、そして何よりも稼働率を引き上げるということを行った。そういったことによって、現在、新規感染者数は、東京において、先ほど言った昨年の八月の段階と比べて三倍近くまで今膨れ上がっています。にもかかわらず、病床の使用率は四八・五%にとどまっている。

 特に、重症の病床ということを考えますと、重症の病床についても、昨年八月、東京においてはほぼ満杯状況でありました。重症の病床の使用率、先ほど申し上げました、全体の体制を拡充したことによって、現在三七・六%、そして東京は独自の基準を設けていますから、東京の基準でいきますと、今現在四・五%という状況にあります。

 こういった病床の状況も踏まえ、なおかつ、蔓延防止等重点措置を今スタートさせているわけですから、その効果もしっかり見極めた上で総合的に判断するということになるんだと思います。

 少なくとも現時点で、緊急事態宣言の発出は政府としては検討はしていないということであります。

江田委員 今のお話を聞くと、総理が重きを置かれているのは重症病床の逼迫度、使用率、そういうものだと理解したんですけれども。

 総理、やはり緊急事態宣言は大きな私権制約も伴いますし、オミクロン株の特性というものも御指摘のようにあるし、これはなかなか難しい判断だと私も思いますよ。しかし、自民党、公明党の政調会長も昨日言及されたようですし、都知事も、国としっかり連携を取って総合的な判断をしたいとかおっしゃっていますからね。

 これは、国民にとってみて、特に飲食店を始め事業者の皆さんにとってみて、予見可能性、いつ何どき、どういう要件なら緊急事態宣言が発令されるんだろうと。できればしてほしくないな、これ以上の事業制約はもうかなわぬという声もあることも事実です。

 ですから、総理、これははっきりと基本的対処方針に、このオミクロン株出現を受けた、十一月はそれ以前ですから、今の基本的対処方針は。しっかり、緊急事態宣言はこういう場合に発令するという、もっと基準を明確化して私は書き込むべきだと思うんですけれども、総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、基本的な考え方は基本的対処方針に書き込んではおりますが、おっしゃるように、現実、今はオミクロン株が拡大している、こうした中ですので、オミクロン株の特性とか、そういったものもしっかり加味して判断しなければならないと思っています。

 そして、先ほど申しましたように、病床の逼迫度、これが大きなポイントになると思いますが、オミクロン株の場合は、感染が急拡大した後、遅れて重症者も増えてくるということも十分想定されますので、決して楽観するわけにはいかないというふうに思っています。こういった点も勘案しながら、そして、今の蔓延防止等重点措置の効果等もしっかり見ながら総合的に判断していかなければならないと思っています。

 これを全て書き込んだらどうかということでありますが、基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりであります。その中にあって、その時々の変異株の特性にしっかりと思いを巡らせながら、専門家の意見をしっかり聞きながら判断しなければいけない、最後は政府としてしっかり総合的に判断しなければいけない、こういったことであると考えております。

江田委員 だから、一点だけちょっと確認すると、要は、これまで蔓延防止重点措置の場合は、都道府県から申請があれば尊重して、そのまま認めてきたわけですよね。今回の緊急事態宣言は、仮に東京都から申請があった場合も、政府としては総合的に判断して、発令しない場合もあり得るという理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 レベル分類の考え方として、蔓延等重点措置は、自治体の意向をよりしっかり尊重しながら判断していくという考え方に立っていたと思います。

 緊急事態宣言については、もちろん自治体の意見もしっかり聞かせていただきますが、政府としてしっかり判断をしていかなければならないと考えております。

江田委員 だから、政府として最終的に判断をする、都道府県の申請あるなしにかかわらず、そこは総合判断するという理解ですね。

 さて、ワクチンの三回目接種、先週も総理に御指摘をさせていただきました。その後もなかなか進んでおりません。二十八日時点で、三回目接種を受けた方は三百四十二万人、全体の二・七%にすぎないということですね。それから、一月末までの政府が掲げた目標千四百七十万人の対比でいうと、達成率は二三・二七%、四分の一も行っていないということで、これは残念ながら、脇田先生、国立感染研の所長さんも、現在の三回目のワクチン接種状況を見ると、オミクロン株の流行を抑える効果を期待するのは難しいと、まさにいみじくも私が先週指摘したとおりのことをおっしゃっているわけですね。

 ですから、こういう現状、本当に残念でならないんですけれども、そういう中で、今日、総理も視察されたそうですけれども、自衛隊の大規模接種センターが再稼働したということなんですが、ただ、先週に、二十八日六時から予約を取ってみたら、九分でもう予約がいっぱいになったと。慌ててまた、一日七百二十人の回数を今度は二千百六十人に増やそうなんということをおっしゃっているんですけれども、総理肝煎りで、しかも、しゃかりきになって加速化しなきゃいけないワクチン接種。

 この自衛隊、去年もやりましたよね。ノウハウもある、人員も、それは手当てが難しいところ、手当てもできた、去年。そうした中で、何でもっと早くこの自衛隊接種センターを設けられなかったのか。そして、これも想定を超えていたわけです、岸田総理、政府の皆さんの。だって、九分でいっぱいですよ、予約が。殺到したわけですよ。打ちたい人がいっぱいいるのに打てないということですから、今。

 だから、この接種会場をもっと何か所かつくったり、それから接種数を増やしたり、総理、これはもう総理の主導でしかできません。是非お願いしたいんですけれども。

岸田内閣総理大臣 まず、自衛隊の大型接種会場については、委員今おっしゃったとおりであります。

 ただ、全体の接種の体制ということで申し上げるならば、政府としては、これから二月、三月と見通す中で、必要なワクチンの量はしっかり確保し、そして、自治体に協力をいただいて、自治体においてもしっかりとした体制をつくっていただき、そして、自治体においても、既に、二月末までに、接種する資格を持つ、すなわち二回目から六か月以上たった希望する高齢者に対しては、九七%の自治体が二月末までに予定どおり完了すると政府の調査に対して答えている。こういった準備を行っているわけです。

 問題は、より多くの方に手を挙げていただくこと、こういったことだと思っています。これから接種券が届いたならば、六か月たった方はしっかりと接種会場に足を運んでいただけるよう、しっかり政府としても後押しをしていかなければならないと思います。

 そして、自衛隊の大型接種会場については、そういった要望があるということ、これはもう事実でありますから、来週から、東京会場においてもその接種の容量、能力を引き上げる、そして大阪においても接種会場を開始する、そして地方自治体においても大型の接種会場の設置、御協力いただく、こういった取組を進めていきたいと考えております。

江田委員 申し訳ありませんが、昨年、自衛隊の接種センターは一日一万回やっていたんですよ。今度、今御指摘の増やすというのは一日二千百六十件、約五分の一でしかないんですよ。

 それから、大阪の会場も来週から稼働するそうですが、聞いてみたら、一日九百六十回。昨年、大阪では一日五千回やっていたんです。

 全然足りないじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 三回目の接種は、先ほど申し上げたように、二回目の接種から六か月過ぎた方が対象となるということで、これからが我が国において三回目の接種は本格化する時期であると思っております。だからこそ、それに備えて準備を進めてきたということであります。

 そして、地方の状況については先ほど申し上げたとおりであります。そして、自衛隊の大型接種場については、委員の御指摘、数字的にはおっしゃるとおりでありますが、まずは地方の体制をしっかり稼働させるのと併せて、大型接種会場も並行して進めていきたいと思います。加えて職域接種も本格化するということで、それぞれ稼働させていきたいと考えております。

江田委員 何やらモデルナへの忌避感があるから進んでいないとか、確かにそういう面は一面ありますよ。しかし、九分で予約がいっぱいになったということは、打ちたい人が堰を切って来られたということなんですよ。だから、受け手がしっかりちゃんとできる体制があればどんどん増えていくということを意味していると私は思いますよ。

 それから、総理、自治体の準備というんだけれども、先週私も指摘したように、当初八か月だったんですよ。それを二度にわたって変更して前倒しして、自治体は、十二月から打ちたい自治体が幾つもあったのを、わざわざ止められているわけです、厚生労働省に。

 事情を聞いてみたら、やはり足並みをそろえて、準備も整っていない、在庫も少ないような自治体ができるまで、そろえるために、これは悪平等というんですけれども、止められたということで、しかも、この二回の変更で、準備がもう追いつかないよ、そんなの、混乱しちゃってみたいな声も上がっているじゃないですか。ですから、これは国の責任なんですよ、ここまで接種が進んでいないのは。

 ですから、私は、総理大臣の対応としては、こういう国自らが主導する接種会場をもっといっぱいつくって、もっと打てる回数を増やすことがモデルナのCMを打つよりもはるかに重要ではないですかという御指摘なので、是非、誰とは言いません、去年、誰かさんが百万回と言ったじゃないですか。そのぐらいの気概で、総理大臣、本当に国民が渇望していますよ、打ちたい人が打てないんですから、是非お願いしたいと思うんですね。

岸田内閣総理大臣 まず、地方の体制において、遅れているところに合わせたとか、悪平等とか、そういったことは全く当たらないと思っています。

 しっかりと前向きに接種に努めてもらいたい、これをお願いしておりますし、これからも、可能であるならば、六か月たった方、接種券を持っているのであればどんどん打っていただく、これを要請してまいります。

 しかし、御指摘の大型接種会場については、要望があるのであるならば、当然しっかりとそれに応えなければいけない。先ほど、来週また拡充すると申し上げましたが、それ以後に向けても、状況を見ながら拡充していくことは考えていきたいと思っています。

江田委員 拡充することに何ら政権として僕は問題ないと思うので。だって、もう目に見えていますよ。来週分の二千百六十件、十分とは言いませんけれども、三十分ぐらいでいっぱいになるんじゃないですか。これは何の問題もないんですよ。私は悪気を持って言っているわけじゃなくて。

 総理、何で増やさないんですか。(岸田内閣総理大臣「いやいや、だから、やると言っている」と呼ぶ)いやいや、だから、じゃ、一体、パンクしてパンクしてまた増やすって、段階的にやっていくんですかと申し上げている。だって、今から準備しないと。大手町の会場だけじゃなくて、だって、場所の確保も要るので。いや、本当ならもうやっておかなきゃ駄目ですよ、こんなもの。ここまで遅れているんですから、OECD最下位の接種率なんですから。

 加速化されるとおっしゃるなら、大手町というのは去年までの前例踏襲主義です。何か所かもう準備していますというぐらいの答弁がないと私はおかしいと思うんですけれども、総理。

 別に足を引っ張るために言っているんじゃないんですよ。お願いなんです。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 我が国の接種については、一回目、二回目の接種、各国より遅れたということもあり、これから本格化すると思っています。

 そして、御指摘の点についてはしっかりと、二回目の予約等も見ながらしっかり拡充していきたいと考えます。

江田委員 一回目、二回目が遅れた、何か菅総理の責任に転嫁されるような発言をよくされるんですけれども、八か月間隔を置くべしというのに科学的根拠はあるんですか。ないんですよ。

 イギリスのジョンソン首相は、九月の段階で六か月ですよ、間隔は。十一月終わりには三か月なんですよ。どんどん前倒しで打っているんです。それで、今、五〇%をはるかに超えているんです、三回目の接種率。

 そういう反省をなきままに、本当に、冒頭に戻りますけれども、不安でたまらないんですよ、総理。八か月は科学的根拠はないんですよ。三か月でイギリスは打っているんですよ。十二月打ちたいと言った自治体を止めたのは厚労省で、これは厳然たる事実ですから。私も聞いていますから、直接。

 こういう不手際があったんですから、総理、自らもっと。いや、いずれやりますじゃ、本当に、これは目に見えていますよ、二千百六十人、また三十分以内にいっぱいですよ。

岸田内閣総理大臣 この間隔の議論については、昨年来、オミクロン株の出現が確認をされてから様々な議論が行われ、そして、八か月からだんだん短くなってきたという議論が世界で行われてきたわけであります。

 そして、我が国においてもそうした議論がありましたが、薬事上の承認、これは六か月ということで承認がされているわけでありますから、六か月、これを念頭に最大限努力をしていきたいと考えております。

江田委員 ワクチンの接種率も極端に低い、じゃ、経口薬はどうなんですかと思って見ると、これも本当に不安でなりません。

 今、経口薬はモルヌピラビルだけですけれども、何か、一薬局、一医療機関三人分配付されているんだ、あとは申請ベースなんだとおっしゃるんですけれども、何で、ワクチンが進まない中で一番の対策は経口薬なのにこんなに少ないんですか。潤沢にもっと経口薬を配付できないんでしょうか、総理。

岸田内閣総理大臣 御指摘のメルク社の経口薬については、合計で百六十万を確保し、昨年末に二十万人分が国内で利用可能となっている、こうした状況であります。

 そして、一薬局三人ではないかという御指摘がありました。これは、全体のバランスを考えて三人としておりますが、その一方で、その背景に地域の医薬の卸があり、その卸の部分に十数万の経口薬、これをしっかりと用意することによって、現場で必要となった場合には卸からも経口薬が届く、なおかつ、地域においては薬局はいっぱいあるわけですから、その地域において融通をするという形で現実にしっかり対応していく、こうした体制をつくっていると承知をしています。

 各医療機関、薬局には過剰在庫を抱えないようにということで今言ったような体制をつくっておりますが、今言ったような体制を組むことによって、現実に必要とされる国民の皆さんにしっかり届けられるように体制を進めていきたいと考えております。

江田委員 それでは、卸さんから、診断されて陽性だ、重症化のリスクもあるという場合は、翌日ぐらいには必ず届くんですね、患者さんには。

佐原政府参考人 現在、モルヌピラビルは国内に二十五万錠ございまして、このうち十五万人分につきまして、医療機関、薬局あるいは卸に配分しております。また、医療機関から、あるいは薬局から処方の依頼があれば、翌日までにはお届けするようにしております。

江田委員 是非お願いします。

 それで、このモルヌピラビルについては、二センチぐらいで、大きいらしいんですね。お年寄りほど飲み込みにくいという指摘もありますし、残念ながら、入院、死亡リスクは三〇%しか低減しないということで、口の悪い方に言わせると、来るべきファイザー製とか更にいい経口薬のためにデリバリー、配付の予行演習をしているようなものなんだというような言い方をする人もいます。ただ、今はモルヌピラビルしかないので、これを活用するしかないんですけれども。

 総理、ファイザー製、これは御承知のように、入院、死亡リスクが九割近く減るという、モルヌピラビルよりもはるかに効能が高い薬なんですけれども、これはまだ認可されていないということなんですが、今後のスケジュール、本当に患者さんの手に届くのはいつ頃になりそうだと、ここで安心感を与えるためにも、是非、総理、ちょっと見通しをはっきり具体的に言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のファイザー社の経口薬ですが、これは一月十四日に特例承認を求める申請がなされ、今、薬事審査中であります。そして、現在、二百万人分の購入に関する最終合意に向けて最後の調整を行っており、結果的に、二月中、できるだけ早く実用化を目指していきたいと考えております。

江田委員 二週間前と総理、余り変わらないんですけれども、二週間、進捗はしているはずなんですけれども、二月中、できるだけ早くというのは一週目ですか、二週目ですか。とにかく、これは本当に死活的に重要な問題だと思いますよ、ファイザー製がいつ届くか、本当に関心も高いので。どんな見通しですか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 ファイザー社からの薬事申請については、今総理が御答弁いただいたように、一月十四日に薬事承認申請されております。今、可及的速やかに審査をすべく、ただ、やはり安全性に関するものですので、慎重に審査をする必要があると考えております。この審査につきましては、二月中の早い時期に審査を終えまして、その後、できるだけ早く実用化をしていきたいというふうに考えております。

江田委員 これ以上あれしてもそれ以上のが出てこないので。

 さて、ファイザー製も、聞くところによりますと、飲める対象者も限定されるとか、薬の飲み合わせの問題があるとか、いろいろ聞いているんですが、その意味で、塩野義製薬さんが開発中の国産の経口薬、これが非常に、効果はファイザー並みで、しかも誰でも飲めるし、副作用も少なくていいという人が多いんですね。塩野義製薬さんの経口薬、同じように、認可、実用化の見通しをちょっと教えていただきたいんですが。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 役所の方から認可の見通しをなかなか申し上げにくいんですけれども、塩野義製薬の方では一月二十日にプレスリリースを行っておりまして、一月二十日時点で第一相臨床試験データを提出し、そして第二相、三相臨床試験のデータについても提出方法の相談を厚労省としているというプレスリリースが出ております。

江田委員 聞くところによりますと、塩野義製薬さんの経口薬、これが遅れているのは、やはり治験データがそろわないというか、難しかった、ほとんど感染が収まっている日本の場合は必要数が集まらなかったということもあって、ここまで遅れているというふうに聞いたんですが。

 しかし、本当にこれは何度も申し上げて恐縮ですけれども、ワクチンの接種が進まない中で、経口薬、特に国産、これは言わずもがなですけれども、非常に安定的に、かつ迅速に対応できますよね、臨機応変に、国産経口薬は。治験データが足りない、治験数が足りないということであったら、なぜもっと政府がそれに協力できなかったのか。

 私、先週、都知事の会見を聞いていて、いいなと思ったのは、東京都は都立や公立病院を活用して治験協力もするとおっしゃって、これは僕はいいアイデアだと思いました。

 これはワクチンですけれども、例えばイギリスのジョンソンさん、ジョンソンさんばかり出して申し訳ない、何か来月来日されるそうですけれども、ワクチンの開発段階からしっかり英国政府としてお金を出して、それで支援をして、先取特権じゃないですけれども、必要数のワクチンは確保したという過去の経緯もございますから。

 総理、国産の経口薬の開発、今、そういう形で治験データ等々が集まりにくいのであれば、東京都だけじゃなくて、国が協力をしっかりして、安全性は大事ですから、そういうベースのデータをそろえてあげるということはできないんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 詳細は厚生労働省によく確認していただきたいと思いますが、おっしゃるように、国内の経口薬の開発、これは大変重要な取組であると思います。よって、国としても、研究開発の段階での支援、これは当然のことでありますが、治験段階においても費用等の支援はしっかり行っているということであります。

 それに加えて、今委員の御指摘は、更に治験のデータの収集等においてということなんでしょうが、何ができるのか、これは国としてしっかり考えていき、できるだけ国産の経口薬の開発に向けて政府としても後押しするべく努力をすること、これは大変重要だと考えております。

江田委員 だから、政府も、国立病院があります、大学病院もありますから、そこで治験協力をしてアクセレレートさせる、加速化させるということは、是非総理、考えていただきたいと思います。

 ちょっと順番が前後しますけれども、今一番問題になっている学校や保育園の休校、休園問題なんですよ。本当に、特に共働き世帯の親御さん、大変困っておられる。

 二十日時点で、全国で保育園の休園が二十七都府県三百二十七園ということですけれども、これは政府参考人でいいですから、直近で、今、保育園は何園が休園ですか。

佐原政府参考人 保育園の休園数につきましては、一月二十七日時点で、各自治体から報告のあった全面休園している保育所の数、保育所全体で三万一千四百八十施設ありますが、うち、六百四十四施設と聞いております。

江田委員 ですから、倍々ゲームで増えているんですよ。

 それで、厚生省のアドバイザリーボードを見ても、五波と六波、今回と違うのは、やはり、学校・教育施設だとか児童福祉施設、保育園、こういうところでクラスターが多発しているんですね。一方で、飲食店は下がっているんですよ。例えば、第五波は、クラスターの発生数、飲食店、八十五、これは五十八。職場のクラスター、五百七十六が百八十二。一方で、こういう、学校や保育園のクラスターが増えている。

 私、実は、昨年四月の決算行政監視委員会で菅総理に、こういう、高齢者施設だけじゃなくて、学校や保育園も大規模集中検査、定期検査をやるべきだと申し上げたんです。そうしたら、菅総理の答弁はすげないもので、とにかく、お子さんは余り感染が広がっておりません、それから、感染したとしても重症化しません、だから、きっぱり、やる必要はないとおっしゃったんですよ。それは議事録を調べてもらえれば。

 だけれども、オミクロン株が出て、お子さんにも感染が拡大をし、それが家庭内感染を呼び起こして、しかも、こうやって休校、休園で本当に困っている状態があるんですよ。

 だから、まず、総理、高齢者施設は結構政府もやってきたんですよ、大規模検査や定期検査。今こそ、学校や保育園、しっかり、実態把握のためにも検査をするということが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、オミクロン株の特性、感染が急速に拡大する、一方で、重症化する可能性が低い可能性が高い、そういった専門家の判断があります。これを考えますときに、感染拡大を防止するという取組と、あと一方で、社会の活動をいかに維持するかという問題と、この二つをいかに両立させるか、これがこのオミクロン株の特性を考えた場合に重要だと考えます。

 そういった観点から、専門家の意見も踏まえて、いわゆるエッセンシャルワーカーを含めた濃厚接触者の待機期間について様々な議論を行い、まず、濃厚接触者の待機期間、一般の方は十日から七日に変更した、そして、いわゆるエッセンシャルワーカーについては、二回の検査を組み合わせることによって五日目に待機を解除することができる、こういったことにいたしました。

 御指摘の教育あるいは保育の現場については、解除の際に必要な抗原検査キット、これは、医薬品卸売業者から直接学校や保育所が入手し、エッセンシャルワーカーである職員に利用できるよう、運用改善を行っているところです。

 この問題意識としては、先ほど申し上げたとおりであり、社会を動かすという観点から、エッセンシャルワーカーの方々に、しっかり仕事をしていくために、できるだけこの現実の中で工夫を加えている、これが現状であります。

 是非、こういった状況もしっかり踏まえながら、そして今後の状況についても注視しながら、ありようについて考えていきたいと思っています。

江田委員 エッセンシャルワーカーについて五日をめどに解除というのは一歩前進だと思いますが、総理、保育士の皆さんを医療従事者並みにすることは可能ですか。要は、休園、休校、教師の人も含まれるかもしれませんが、とにかく、濃厚接触になっても、毎日検査で即時やはり登園していただくような、保育士。

 それから、総理はまとめて答弁されるので、もう一個言うと、介護士はどうなんでしょうか。一部報道でも、医療従事者並みにするという方向性は何か厚生労働大臣ももうおっしゃったらしいですが。

 この保育士、介護士を医療従事者並みにやる、濃厚接触者ですね、という方向を打ち出される予定はございませんか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、医療従事者については、暴露の初日から濃厚接触者であっても従事してもいいということになっておりますが、これは、誰もが必要な医療を受けられるようにするための緊急的な対応として毎日の検査等を要件にしているものでございまして、保育士について直ちにこれに当てはまるものではないと考えております。

岸田内閣総理大臣 御質問の趣旨は、医療の従事者と同様に保育、教師あるいは介護士を扱うことができないか、毎日検査することによって活動する扱いができないか、こういった趣旨だと思いますが、介護士については、医療従事者ということで同様の扱いが行われていると承知をしています。

 それで、御質問は、だから、教師それから保育士、こっちの方ですが、医療従事者をこういった取扱いをしているのは、要するに、医療の現場においては医師が存在する、そして特別の医療的な防疫体制、こういったものが用意されている、こういったことから特別な扱いをしているということでありますので、ほかのエッセンシャルワーカーまで広げろということについては、すぐにそれを行うことは、今現状では考えていないということであります。

 今後、状況を見ながら、エッセンシャルワーカーの扱いについては、どうあるべきなのか、しっかり考えていきたいと思っています。

江田委員 私も、それは感染拡大防止という観点からは緩めたくないですよ。しかし、一方でこれだけ休校、休園があって、本当に親御さんは困っておられる、社会活動が回らないという事態があるわけですから。

 じゃ、質問を変えますけれども、総理、どうされますか、これ。本当に困っているんですよ、さっき、六百を超える保育園が閉まっちゃったら。私も、共働きでしたから、保育園に預けて送り迎えしていたからこそ国会活動がしっかりできたんですけれども。これはもう本当に全国に広がっているわけですよ。じゃ、どうされますか、この休校、休園。

 文部科学省は、一学級に二人感染者が出たら学級閉鎖、学級二つ感染が出たら学年閉鎖、学年閉鎖が複数出たら学校閉鎖みたいな機械的な基準を設けているらしいけれども、現実問題、これは本当に困っている、親御さん。悲鳴を上げておられるわけですから、もしそういう、保育士の方を医療従事者並みにはしないというんでしたら、このままこの現状は放置できませんので、総理大臣としてどういう対策を講じられますか。

岸田内閣総理大臣 まず、社会を動かしていくという観点から、このエッセンシャルワーカーの取扱い、これは大変重要な観点だと思います。

 だからこそ、先ほど申し上げたように、この度も、一般の方々は七日間でありますが、エッセンシャルワーカーの皆さんについては、二回の検査と組み合わせることによって、より早く活動ができる、こういった体制を用意したわけであります。これはあくまでも、数字を目の子で言っているのではなくして、科学的な知見から、リスクとの関係において、どこまでオミクロン株の実情において縮めることができるか、これを検討していったわけであります。

 先ほど申し上げましたように、感染防止の観点と社会を動かすという観点、このバランスをしっかり考えていかなければなりません。

 御指摘の学校あるいは保育の現場等においても、どうするのが現実的なのか、引き続き、この待機期間についても考えていかなければならないと思いますし、文部科学省においても、学校衛生管理マニュアル、こうしたものを参考にしながら、感染対策の徹底、こうしたものを現場にお願いしているわけですが、こうした現場の体制と併せて、今御指摘があった点についても考えていきたいと思っています。

江田委員 いつも検討するとか考えていきたいって、現実に今直面している親御さんの問題に対しては何の役にも立たないんですよ。これはどうすりゃいいんですか。今、総理の言葉を聞いても、全然不安が解消されません。

 この関連で、学校や保育園はマンホールを開けて下水道検査をやるべきじゃないですか。

 私、去年の四月、ここで菅総理に申し上げて、検討すると言ったら、年が明けてやっと政府も下水道検査について実証試験を、これも遅い、実証試験を今年度中に行う。

 これは、だから、もう検査キットもない、検査能力はキャパオーバーしているという中で、保育園や学校、これも親御さんは不安なんですよ、休園、休校していないところも、うちの子供はどうなっているんだろう、うちの学校はどうか。マンホールを開けて、ちょっと下水を抽出すれば、それは精度は完璧じゃないけれども、あっ、この学校、保育園では感染が蔓延しているとか、あっ、このところはもうウイルスが検出されなかったなとか、これはウイルス量によって、じゃ、ここは集中的にPCR検査、抗原検査をかけようとか、こういうやり方ができるんですよ。

 総理、これもトゥーレートなんですけれども、今からでも不安解消のためにやってみませんか、下水道検査。もう実用化されているんです、これ。

佐原政府参考人 御指摘の下水中のサーベイランスにつきましては、推進計画を作りまして、内閣官房、厚労省、また国交省で今取り組んでいるところでございます。

 一方で、課題としては、検出感度の改良の問題、あるいはウイルス濃度から地域の感染状況を把握する際の標準的な推計の問題等ありますので、現在、関係省庁を始め、国立感染症研究所で研究者の方の話を伺い、検討しているところでございます。

江田委員 感度や精度の問題どころか、今検査キットがないんでしょう、検査できないんだから。総理、これは総理マターで検討を指示した、菅総理が。だからやっと前向きになってきたけれども、これはもう今やりましょうよ。だって、PCR検査をやろうにも、もう試薬がないというんですから。だから、やりましょう、下水道検査、総理。これは総理の答弁で。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、当時の総理の判断で、進めようということで、今取組を進めているということを御報告させていただいたわけです。ただ、今、現時点では科学的な知見がまだ確立していないということで、引き続き対応を行っているという報告をさせていただいたと認識をしております。

 引き続き、こういった点も含めて、科学的な見地から取組を考えていく、こうした姿勢は続けていきたいと思います。

江田委員 何でもかんでも引き続き検討なんですね。これは、民間会社二、三社、もう実用化しています。サービスを受けている自治体もあります。一つだけ例を挙げれば、札幌市は現実にもうやっています、北大と協力して。ですから、これも対応が遅いんですよ。ちょっと、本当に総理のリーダーシップを求めたいと思いますけれども、時間もだんだんなくなってきたので。

 それで、保健所ですね。これは二類、五類の話はありますけれども、しかし、今、保健所を介在させるシステムとして動いている中で、政令指定市長会も、保健所がパンクしている、是非もっと重点化してほしいと、保健所の業務を。そういう意味で、二十五日の日には、保健所業務の負担軽減についての緊急提言というのも政令指定市長会は出していまして、大きく言うと二つです。

 一つは、今、感染症法上、全数届出ですけれども、この届出業務が、申し訳ないけれども、まだ手作業で入力が多く残っているというんですね。デジタルでばばっとお医者さんが入れれば、ぱっと保健所に登録できるようなシステムになっていないんですよ、一部しか。この届出、軽症者も含めて、無症状も、そういう労力を、もっと、即対応が必要な重症リスクのある人とかに限定してほしいというのが一点。

 二点目は、積極的疫学調査。これも、今、御承知のように、潜伏期間三日、それから、ジェネレーションタイムといって、次の人にうつす期間が平均二日。とにかく、あれやこれやの前にどんどんうつっていくわけですよ。それを何日もかけて感染経路だ、疫学調査だというのは、私は、オミクロンの前では意義が薄い、ないとは言いませんけれども。という中で、積極的疫学調査をもうやめている自治体も出てきましたね。

 こういうところについて、政府として、総理、自治体任せじゃなくて、やはり統一基準を出していただかないと、自治体だって、賛否両論ある中で、苦渋の決断としてこういう負担軽減をしているんですから、しっかり方針を、総理、この場で出していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、保健所の機能を維持することは大変重要であると思います。そのために、まずは保健所自体の体制を強化する、そして、今委員御指摘のように、業務の合理化、これも大切な取組です。積極的疫学調査の重点化と業務の合理化、これはしっかり行わなければならないと思います。

 そして、それに加えて、今の医療体制、特に自宅療養者に対する体制として、地域において、保育所を通さずに、IT等を活用して、地元の医療機関に協力してもらって健康観察をしてもらうとか、パルスオキシメーターの配付ですとか、そしてさらには、先ほどありました経口薬をしっかり届けるとか、要するに、保健所の負担にならない形の自宅療養体制をつくっていく、これも大変重要なポイントだと思います。

 このように、保健所自体の体制強化、それから業務の合理化、そして医療体制における保健所の負担の軽減、これをそれぞれ進めることによって、必要な業務を保健所ができるようにしっかりと措置を講じていきたいと思います。政府として、そういった考え方を地方にも理解していただくようにリードしていきたいと考えます。

江田委員 確認ですが、じゃ、届出も積極的疫学調査も都道府県の考えでそれなりに重点化していっていいということでいいですか、政府として。それは認めるということですね。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の方向でしっかりと地方自治体にも取組を進めてもらうようにいたします。

江田委員 方向というのはちょっと余計なんですけれども、しっかり自治体の判断でやってください。

 最後、もう時間がないので確認だけ。

 オミクロンは米軍由来と言われていますね。そこで、やっと十二月二十二日に、林外務大臣が出入国時の検査を要請し、しかもゲノム解析も要請をしているんですね。

 まず一点目、このゲノム解析の結果、アメリカから戻ってきていますか。政府として報告はありましたか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のゲノム解析の結果判明の時期については、今のところ、確定的な見通しを言える段階にはございません。

 キャンプ・ハンセンの変異株PCR検査については、検査対象の検体の四七%が変異株陰性であったことから、日米双方で既に、これらの検体について、オミクロン株であるものとみなし、その前提で対応していくことで一致しているところでございます。

江田委員 それでは、出入国時の検査も要請していますが、この米軍が行っている検査というのは、PCR検査ですか、抗原定量検査ですか、定性検査ですか。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、日本側からの強い申入れを踏まえて、在日米軍は昨年末より、出国前、それから入国時等の検査を実施することといたしました。

 在日米軍の出国前七十二時間以内の検査及び入国後二十四時間以内の検査においては、PCR検査又は抗原検査が実施されていると承知しておりまして、このうち抗原検査の場合については、より一層日本側の措置と整合的となるよう、抗原定量検査を実施するよう米側に説明、申入れを行ってきているところでございます。

 これに対し在日米軍からは、PCR検査又は抗原検査を採用しているのは米国疾病予防管理センター、CDC及び米国防省の指針に沿ったものである、また、いずれの指針においても抗原検査は抗原定性検査のみとなっているとの回答があった次第でございます。

 こうした回答を踏まえまして、今般新たに設置されました検疫・保健分科委員会におきまして、日米双方の保健当局を交えて更に議論を深めていく考えでございます。

江田委員 もう終わります。とにかく、申し入れただけなんですよ、政府は。ちゃんと確認してください。

 それから、今日三十一日まで外出禁止、あしたからもう解禁だそうですよ。また米軍由来のが起こりますからね。米軍に物が言えないんじゃなくて、しっかり、総理大臣として、やはり申し入れたことはフォローしていただいて、しっかり国会に報告していただくことを最後にお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申出があります。江田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 岸田総理を始め大臣の皆様、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 まず、追加で通告を一問申し上げました。総理にお聞きしたいと思います。

 週末の経済産業大臣の発言の報道がございまして、ガソリン税を下げるトリガー条項の凍結解除発動というのはいかがかという、そうした報道が出ましたが、このトリガー条項の凍結解除発動について、総理、動きがありますか、いかがしますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のトリガー条項については、これまでも申し上げてきたように、発動された場合、ガソリンの買い控え、そしてその反動等の流通の混乱ですとか、国、地方の財政への影響、こういったことから、その凍結解除は適当でないと政府としては考えております。

 そして、だからこそ、政府としても、激変緩和措置ですとか、業界、業種ごとの支援、あるいは地方自治体が支援した場合の財政的な支援、こうした枠組みを重層的に用意をしているということであります。

 そして、こうした体制でしっかりと状況を見ていかなければいけないわけですが、今後、その状況を見る中で、何が効果的なのか、こうしたことについては引き続き検討していくということ、御指摘の経済産業大臣の発言についても、そういった趣旨での発言であったと理解をしています。

 あらゆる状況を見ながら、あらゆる選択肢を排除するものではありませんが、少なくとも今現在では、トリガー条項の解除等は政府としては考えていないということであります。

城井委員 今現在は考えていない、あらゆる選択肢は排除しないといった答弁だったかと思います。

 立憲民主党を始め野党からも、このトリガー条項の凍結解除については既に提案済みであります。北国はもちろんのこと、国民の関心が大変高いものですから、この一問を聞かせていただきました。

 是非、ガソリン価格、灯油価格の値下げにつながる実効的な対応を国民が切望しているということを改めてお伝えをして、引き続きの検討、そして実現をお願いしたいというふうに思います。

 この件は、引き続き同僚議員からもただす機会があろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、先日の予算委員会でも取上げのありました敵基地攻撃能力について、まず、岸防衛大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 岸田政権が検討する敵基地攻撃能力につきまして、先日の予算委員会でも防衛大臣から答弁がございましたが、議論の前提としてのいわゆる矛と盾、米国と日本の関係ですが、この考え方に関する政府統一見解をおまとめをということで、先日の予算委員会でもお願いいたしました。

 防衛大臣、この点をお聞きします。

岸国務大臣 まず、日米の基本的な役割分担とは、日米それぞれの、憲法や日米安保条約の下での我が国の防衛のための日米両国の役割分担に係る基本的な政策としての考えであります。

 こうした日米の基本的な役割分担の下で、例えば、日米のガイドラインにおいては、日本は、防衛力を保持し、米国は、引き続き、核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じて、拡大抑止を提供すること。

 日本は、日本の国民と領域の防衛を主体的に実施し、自衛隊は、日本及びその周辺海空域、その接近経路における防勢作戦を主体的に実施する。そして米国は、適切な支援を行い、日本は防衛をするため、自衛隊を支援し補完することとなっています。

 あと、米国は、自衛隊を支援し補完するために、打撃力の使用を伴うという作戦を実施することができるということ。

 こうした記載がございます。

 その上で、政府は、いわゆる敵基地攻撃能力については、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存していると説明してきているところです。

 御指摘のあった盾と矛の役割との用語について、政府として確立した定義はありませんが、一般的にはこうした趣旨で用いられてきている、こういうふうに考えておるところでございます。

 政府として、いわゆる敵基地攻撃能力も含めて、あらゆる選択肢を排除せずに現実的に検討していくこととしており、今般の検討の結果を予断することは差し控えますが、今後とも、日米の基本的な役割分担を変更しない、そのことを前提として、国家安全保障戦略等を策定する中で議論してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

城井委員 たくさん御説明をありがとうございました。

 聞きたいのは一つ。防衛大臣、今の御説明で、第一撃を日本が担う可能性があるか、それを含むか、この一点をお答えください。含むか含まないか。お願いします。

岸国務大臣 今議員が第一撃とおっしゃったのが先制攻撃という意味であれば、先制攻撃は行わないということであります。あくまでも攻撃に対する着手というものがございます。そこで判断をするわけでございますけれども、いずれにしても、先制攻撃は認められているものではないと考えております。

城井委員 議論の前提を確認させていただきました。引き続き、この点は予算委員会でも私どもから議論させていただきたいと思います。

 続きまして、新型コロナの濃厚接触者の待機期間について岸田総理にお伺いいたします。

 先ほども少し同僚議員との議論がございました。十日から七日間に短縮されました今回の濃厚接触者の待機期間ですが、今、日本国内、世間様が一番悩んでいるのは、実は、感染者と最後に接触をした最終接触日のカウントの仕方です。

 これまでも同僚議員からも、陽性者と触れる最後の日から数えて、もし待機になったら、十日間プラスということになる、そういう御議論があったと思います。この数え方が自治体や保健所でまちまちになっているということを、いま一度総理に認識をいただきたいというふうに思います。

 どういうことかといいますと、例えば陽性者と部屋を分けることが可能であれば、隔離を開始した日から最終接触日とするというところもありましたり、また、同じ隔離であっても、同居者が患者の看護を行う必要がないときに限られて、例えば食事の運搬なんかで看護していた場合には最終接触日が延びる、つまり、お世話していましたから。そういうふうなケースもあったりしまして、もし待機の最終日が最終接触だったら、家族に陽性者がいたら十日プラスなのかということに当然なってくる。ですので、今申したように、事情事情で変わってくるところがあって、それが今、自治体にある意味で任されてしまっていることになってしまっています。

 総理、この濃厚接触者の最終接触日を国民はどう判断したらいいか。陽性が確認された日から数えられるのか、隔離開始日で統一するのか、陽性者の待機の最終日ということでやはり数えるのか、それとも自治体に丸投げするか。どれかということを是非総理からお答えいただきたいと思うんですが、お願いできますか。

後藤国務大臣 今のお話については、まさに委員が丁寧に御説明していただいたとおりだと思います。

 始期がどこかという形式的なルールよりも、例えばその濃厚接触者となる方、検討された方と御本人との丁寧な、実態に応じて濃厚接触者の判断は行われるべきだというふうに考えております。

城井委員 では、具体的にどうしたらいいかということです。

 ばらばらでやっていくと、では、国民の側に、あるいは自治体の側に結局丸投げすることになるのではないかと思うわけですが、この点、もう一回教えていただけますか。

後藤国務大臣 目安としては、例えば、それぞれ、マスクをしていて、十五分だとか、いろいろな、具体的な目安というのはお示しをしております。ですから、そういう意味で、丸投げをしているということではありませんけれども、それぞれの濃厚接触者の認定に当たりましては、そうした基準のようなものをしっかりと参考にしていただきながら、それぞれの濃厚接触者の具体的な状況で判断をしていただくことだというふうに思っております。

城井委員 今、政府が示している目安でこの混乱が起きているというのが問題だということで申し上げているわけです。だからこそ総理に、ここはこの基準でということをきちっと示していただきたい。今の目安では足りないということを申し上げたいんです。

 なぜこんなことを申しているかといいますと、例えば一月二十九日の陽性者が八万四千九百三十三人でした。七日続くと五十六万人以上の陽性者という単純計算になります。そこからもし、濃厚接触者が仮に十人、それぞれがあったとしたら、当然その十倍ということになって、五百六十万人。もし二十人濃厚接触者がいたらどうなるか。一千百二十万人ということで、日本の一割ということになってしまいます。社会が止まることを恐れている。

 もう既に、昨日の報道でも、医療や介護や保育や教育のみならず、製造業が止まったり運輸が止まったりということがもう現実だというお声が我々の下に届いています。つまり、この数え方を間違えますと日本社会が止まってしまう、それで、暮らしがやられてしまう、こういうことになってしまうわけであります。

 だからこそ、今のお話、ぼやかしたままで進んだときに、では、これまでに示されていた、最終接触日は陽性者の最終日にしましょうということで数えていったりすると、今みたいな計算になってしまって社会が動かなくなってしまいますから、だからこそ、じゃ、縮められる場合があるんだったらそこは明確にしておかないと駄目だというふうに思うわけです。そこを今ほどの目安で、厚労大臣の説明では、国民の混乱は今の状況です。

 総理、ここはもう一度、具体的な目安をもう一回見直していただく。国民に、濃厚接触者の待機期間を短縮するに当たっての目安、もう一回お考えいただくということを明言いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 今、オミクロン株の特性を考えるときに、感染拡大の防止と、社会をどう動かしていくのか、この二つのバランスが重要だということを先ほど来申し上げています。

 その中で、委員の問題意識、これは大変重要なポイントであると私も思いますが、具体的にどうするかということについては、是非、厚生労働大臣が、現場、関係者ともしっかりと議論を重ねて考えてもらわなければならないと思っています。

城井委員 今回政府が七日間と言ったのは、社会の機能を維持するための妥協点ということで、我々も受け止めねばならぬなというふうには思うんです。ただ、それを運用していくに当たっての今ほどの指摘です。

 ですので、それが、ある意味で地域の運用が異なりますと、国民の混乱が広がるようじゃ、これじゃルールを決めた意味がない。その点をしっかり踏まえての運用を是非お願いしたいというふうに思います。

 さて、先ほどエッセンシャルワーカーの議論がございました。教員について一つ伺います。

 教員は今、このコロナ禍のさなかで三つの現状にさらされています。一つは、結局長時間労働が是正をされていないということ。二つ目には、学校現場へのコロナ対応支援の予算なんかをつけていただきましたが、コロナ対応で更に多忙になっているということ。そして三つ目には、ただでさえ教員のなり手が減り過ぎていること。こんな現状です。教員を選ばれる仕事にするためにも、待遇改善の必要があると思います。

 総理、子供を守り、教育の質を上げることにもつながる教育現場の待遇改善、コロナ禍のさなかだからこそ進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 教員の皆さんの待遇改善、コロナ禍、大変厳しい状況にある中、なおさらしっかりと考えていかなければいけない課題であるということは私も同感であります。

 教員の皆さんの待遇に関しては、そもそも厳しい勤務実態がある中ですので、学校における働き方改革、これを進めることが重要であるということで、小学校における三十五人学級の計画的な整備や高学年の教科担任制の推進等の教職員定数の改善、また、教員業務支援員など外部人材の配置の充実、ICTを活用した業務効率化、こうした取組を進めているところであり、これからもこうした取組はしっかりと進めていかなければならない、このように思います。

 是非、教員の皆さんの勤務実態をきめ細かく把握し、教員の皆さんが仕事に全力で投球できる環境の整備は、政府としてもしっかり図っていきたいと考えます。

城井委員 既に学校現場でも、職員室の隣の先生が一年間で三回替わったというふうな事例まで出てきています。教員不足は相当に深刻でありますので、今ほどの手だてだけで足りるか、厳しいところがあるというふうに思いますので、引き続きの対応の拡充検討をお願いしたいということを申し上げたいと思います。

 続いて、中小企業への新型コロナ対策について、総理に伺いたいと思います。

 本日、一月三十一日申請スタートの事業復活支援金の申請においても、ほかに手だてのない当事者の立場で、迅速そして確実な対応をお願いしたいと思います。

 ただ、中身を聞きますと、持続化給付金に比べると、今回の事業復活支援金は支援金額が小さい。個人への給付額は半額に減少。法人も、給付対象のボリュームゾーンである売上高五億円以下は、五十万円から百万円の減額となってしまっています。

 そこで、本日、立憲民主党からは、事業復活支援金・給付額倍増法案を衆議院に提出しました。パネルにあるとおりであります。是非御覧ください。コロナ禍の影響を受けた中小企業への支援の拡充のために、事業復活支援金の倍増、給付回数の増加などを実現する議員立法という提案です。

 この立憲民主党案を踏まえた総理の受け止め、そして、今後の支援拡充、対応徹底についてお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事業復活支援金ですが、これは、新型コロナの影響により厳しい経営状況が続く事業者の皆様に対して、固定費の約半分を目安として、昨年十一月から三月までの五か月分を一括で給付するというものであります。

 事業規模に応じて支援上限額を法人で最大二百五十万円としていることに加え、新たに、売上高の減少割合が三〇%以上の事業者も支援対象にするなど、持続化給付金との比較を委員おっしゃいましたが、政府としては、今言ったような理由によって、持続化給付金よりも手厚い中身になっていると認識をしています。

 そして、政府としては、今申し上げたように、固定費の約半分を目安としてこういった支援金を用意しているわけですが、それ以外に、雇用調整助成金の特例、無利子無担保融資、そして事業再構築補助金、こうした様々な施策を用意しているわけであります。

 そして、御指摘の立憲民主党の法案についてですが、ただいま資料はいただきましたが、ちょっと十分、詳細は承知しておりませんので、政府の考え方は今申したとおりでありますが、その法案についてコメントは、ちょっと今、にわかには控えたいと思います。

城井委員 今回の政府案は、例えば、五千万円の売上げ減があった企業に百万円しか届かない、持続化給付金のときよりも規模が小さくなってしまうという残念な状況にあるということをお伝えせねばなりません。

 様々な、重層的なというんですが、昨年に比べると、今年、その前と比べても、中小企業に対する手だてが届いていない状況があるということは申し上げたいと思います。中小企業にとっては、先の見える経営の安心につながる仕組みにしてもらわなければ困る、こうした声もあることをお伝えしたいと思います。

 さて、もう一点、中小企業の件でお聞きしたいと思います。

 新型コロナ対策の支援金申請のいわゆる不備ループという問題について総理に伺います。

 先日、私からは、新型コロナの対策の不正受給についてただしました。今回は、中小企業に必要な支援が届いていないケースについて取り上げます。

 持続化給付金などのときにも同様の事例があったんですが、月次支援金においても、いわゆる不備ループ、申請をして不備を指摘され、再提出してまた不備の指摘という、この堂々巡りに悩む中小事業者の方々が相当数おられます。マニュアルどおりの答えに悩み、事務局から連絡が来ないケースもあって、理由も分からず不毛なやり取りになる。連絡を待つ間の焦りなどで心身共に疲弊する方が相当数おられます。

 いまだに同様の御意見が大変多い状況ですが、これは、一義的には、政府、事務局が、ちゃんと適切に対応すべきだ、改善すべきだというふうに考えます。

 不備ループの相談を受けた弁護士の方から、ではどの辺が問題ですかということで、聞きました。大きく四つ、お聞かせいただきました。

 一つは、事務局が指摘する不備の内容や追加提出を要求される資料が本来必要と思われる範囲を超えている、こういう内容が多いということでした。

 二つ目には、何度も不備の通知を出すにもかかわらず、事務局側がその不備について正確に把握していない。例えば、五回目の不備通知で、この資料を下さいといったものは既に一回目に出していたとか、こんなことが起こっています。電話の問合せ先と審査部とで担当者が別だというケースで混乱があったりします。

 また、不備ループに陥った事業者さんが、ほかの補助金、家賃補助だとか持続化給付金だとかは受けられているのに月次支援金だけ駄目とか、こんな形で申請者に過大な負担を負わせているケースが大変多くございます。

 あわせて、不備なし放置というケースもあるそうでありますが、支給されるべき人に対して不支給決定を行うことは許されるべきではないというふうに考えます。

 総理、今ほどの幾つか現実の情報をお伝えしましたが、政府、事務局の対応の改善をお約束いただけますか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の月次支援金については、緊急事態宣言等の影響を受けた事業者を支援するものとして、これまで、累計約二百四十九万件の申請に対して二百三十三万件の給付を行っております。

 この月次支援金の審査でありますが、過去の給付金で不正受給が多発したことを踏まえて、申請の際に提出された書類だけでは給付要件を満たすことが確認できない場合には、一部の申請者に対して追加書類の提出をお願いしてきましたが、不必要な書類を求めているわけではないということ、これは是非御理解をいただきたいと思っています。

 そして、追加書類を求めるに当たっては、これまでも書類不備の内容を分かりやすく連絡するなど様々な改善を重ねてきたと承知しておりますが、その上で、更に改善すべきことがあれば、今日は経済産業大臣を呼んでいただいておりませんが、是非、経済産業省に直接、より具体的にここを直してもらいたいということを言っていただければ、政府としても対応をしていきたいと考えます。

城井委員 総理、事務局の担当者次第で不当な不備ループに陥っているケースがあるものですから、今総理からも、大臣に言ったら直させるというふうに言っていただきましたので、経済産業大臣に具体的にお伝えをして、是非改善を促してまいりたいと思いますので、総理からも御指示をお願いしたいと思います。

 さて、一点質問をと思いましたが、御指摘にとどめたいと思います。

 水道管の腐食防止の塗料の問題について、厚生労働大臣にお伝えをと思います。

 ある民間会社が製造する水道管の腐食防止の塗料に不正なものが使われていたことが年明けに発覚しました。多くの水道管はこの会社の作った塗料を使っていたものですから、明るみになった以降、一月十一日からおよそ一週間、全国の多くの水道管の工事が止まったということでした。水道工事業者の経営面での影響を懸念しつつ、また、水道水の安全性への影響可能性についても厳しい指摘があります。また、この企業が水道管塗料の品質試験データを偽装していたとの報道もありました。

 この件、是非政府として毅然たる対応をお願いしたいというふうに思います。これは要望にとどめたいと思います。よろしくお願いします。

 では、残りの時間で、各目明細書と統計不正について参ります。

 まず、各目明細書です。

 各目明細書というのは、国の予算関連書類にミスが続出した問題です。一国会で、総務省、法務省、文部科学省、国土交通省の四省でミスがありました。過去に例がないミスの続出です。ここで打ち止めにしたいというふうに思います。政府の皆さんにおかれては、お疲れだとは思うんですが、この数字一つ一つが国民の税金の使い道に関わるものですから、申し訳ないですけれども、細かいところも申し上げつつ、猛省を促したいというふうに思います。

 各目明細書の誤りのあった省庁で最も項目数が多かった国土交通省の対応について、これは国土交通大臣に聞きたいと思います。

 この項目一つ一つ、複数担当者による突合、いわゆる数字やデータの突き合わせ作業を行ったはずだったんですが、具体的に何をやったんでしょうか。マニュアルはなかったのか。

 項目を見ますと、毎年計上されているものもございますし、数字を見比べてということだったら、ずれるはずがないんじゃないかというふうに思うんです。それが一次資料と各目明細書であっても、積算内訳と予算書であっても、その突き合わせはずれるはずがないんじゃないかと思うんですが、大臣、何でずれたんでしょうか。

斉藤国務大臣 国土交通省におきまして、令和四年度一般会計歳出予算各目明細書につきまして、その積算内訳に二項目の記載誤りが判明いたしました。

 なぜ、ずれるはずがないのに、突き合わせ等を行って、作業して、ずれるはずがないのになぜずれたのかという御質問でございますが、今回、この突き合わせは二段階で行いました。

 まず、各担当部局から、基になる国庫債務負担行為に係るデータを提出してもらい、それらをまとめた整理表を作成する。次に、整理表を基に、積算内訳欄に数値等を転記する。最後に、でき上がった各目明細書の積算内訳欄と整理表の突合を行うとともに、この内訳欄と予算書の突合を行うということで整合性を確認することとしております。

 今回の誤りは、整理表の作成の段階において二項目で誤りが発生し、かつ、大臣官房会計課、各担当部局共に、整理表に基づき作成された積算内訳欄と予算書の突合が不十分であった、このことにより生じたものと考えております。

城井委員 今回のことについての再発防止策として、複数者によるチェック体制の強化ですとか、あるいは、幹部職員から一般職員までの意識づけの強化などが挙げられています。でも、こうしたことも含めて、ふだんから、総理、できていないとおかしい内容ですし、わざわざ言う話でもないというふうに思うわけですが、残念ながらの状況。

 予算書や予算関連書類が整うのは国会審議の大前提だと考えます。今後の改善と信頼回復へ、岸田総理の決意をお聞かせいただけますか。

鈴木国務大臣 各省庁所管予算の各目明細書につきまして、今般、総務省、法務省、文部科学省、国土交通省の四省の所管予算の各目明細書の記載に誤りがあったところでありまして、大変な、遺憾なことでありまして、改めておわびを申し上げるところでございます。

 今般の事案を受けまして、関係省庁と連携をして、誤りが発生した経緯ですとか、あるいは原因など、背景をよく確認、分析をいたしまして、それを踏まえて、今後同じような誤りが発生しないよう再発防止策を検討してまいりたい、そのように考えております。

城井委員 この点、しっかり引き締めてお取り組みいただきたいということを改めて申し上げたいと思います。

 次に、国の統計の改ざんについて、特に国土交通省の建設統計改ざんについてお伺いいたします。

 統計は社会を映す鏡です。しかし、今回、ゆがめられてしまいました。そして、ゆがんでいるのに気づいても見ぬふりをしたというのが、最大の問題だと考えています。この建設統計の改ざんと隠蔽は、違法行為ではないか。

 人員不足や専門知識不足を理由にしていますが、二重計上に気づきながら報告も公表もしなかった改ざんの握り潰しは、そのようなことの言い訳にならないと思いますし、二〇一九年の、毎勤統計の改ざんを受けての一斉点検すら欺いたのも、あり得ないというふうに考えています。

 当時の統計改革が機能していない、大変残念な状況です。統計を扱う公務員の意識を切り替える手だてが必要だというふうに考えます。

 まず、総理に伺います。

 影響が軽微かということ、国会でも議論になっています。そもそも正しい統計データの裏づけがないのに、軽微だとはまだ断言ができないはずですし、伸び率だから影響がないような意見もありましたが、年度によって影響が異なる点を見逃しているということを御指摘申し上げなきゃなりません。

 統計をできる限り復元できるよう政府で試みていますが、失われた基のデータは相当数あります。推計方法で補うのが現実だと考えます。調査票が確認できない二〇〇〇年度から二〇一五年度も含めてですが、できる限り復元した後に、建設総合統計も結果を見直すでしょうし、そして、何よりも、総理、GDPの再算定を政府として行うことを確約いただけるか。これは岸田総理からお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤国務大臣 国土交通省の建設工事受注動態統計調査においてこれまで不適切な取扱いがあったということについては、検証委員会で厳しく問われたところでございます。

 それを受けまして、現在、遡及改定委員会というものを国土交通省の中に、統計の専門家の先生方に入っていただいて設けたところです。これは、検証委員会におきまして、遡ってできるだけ正しい数字を得ることは可能である、このように報告書にいただいたことによるものでございます。

 この遡及改定委員会におきまして、この建設総合統計のできるだけ真に近い値を出すということで、今後努力をしてまいりたいと思います。

 なお、建設受注統計調査そのものはGDPの計算に直接関わっておりません。今朝ほど議論がありましたように、GDPに使われておりますいわゆる建設総合調査、その総合調査には受注統計の伸びが使われております。その受注統計の伸びにつきましては、これはもう詳しく申し上げませんけれども、今回の影響は軽微である、このように我々は考えております。

岸田内閣総理大臣 まずもって、四つの省の各目明細書に誤りがあったことについては、大変遺憾なことであり、改めておわびを申し上げる次第であります。

 その上で、こうした国交省の二重計上の影響等について御質問があったわけですが、この影響については、ただいま大臣の方からありましたように、国土交通省の立ち上げた統計の専門家から成る検討会議において、統計委員会の協力を得つつ、過去の統計の遡及改定に向けて検討を進めていくということになっています。

 まずは、この統計の専門家による検討会議の検討、これを急がせたいと考えます。

城井委員 その上で、GDPの再算定についてはお約束いただきたいということを申し上げているわけであります。総理、お約束いただけますか。

岸田内閣総理大臣 その影響について、この遡及改定等について検討会議において議論するわけでありますから、その内容について、予断を持って今の段階で私から何か言うのは控えなければならないと思います。

 結果を受けて、そして適切に対応する、これがあるべき姿だと思っています。

城井委員 遡及改定を否定しているわけじゃないんです。ちゃんと、できる限り復元した上で、そこに連なるものは、数字は計算し直しましょうね。我々も本当に軽微だったか確認したいんです、目の前で。だからこそ、GDPの再算定まで含めてきちっと、これだけ軽微だったですよというのをちゃんと示してほしいんですよ、軽微ならば。そこまでやってほしいんです、総理。

 再算定、是非やりましょう。お約束をいただけますか。

斉藤国務大臣 受注動態統計調査の遡及改定に全力を挙げたいと思います。そして、その上で、総合建設統計、毎月の出来高を計算するものでございますが、その遡及改定についても我々努力をしていきたい、このように思っております。

城井委員 総理、最後に一言お願いします。GDPの再算定、是非お願いします。

岸田内閣総理大臣 GDPの推計については、先ほど申し上げた検討会議において、GDP推計に用いられる建設総合統計についても検討がなされるものと承知をしています。

 そして、GDPの再算定については、GDPの推計に用いられる建設総合統計の時系列データの遡及改定が必要となってきます。すなわち、追加的な統計データがない限りGDPの算定は困難である、これが一般的な考え方であると承知をしています。

 いずれにせよ、先ほど申し上げました検討会議の答えをしっかり待った上で考えていかなければならないと思っています。

城井委員 時間が参りましたので終わります。またやります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて江田君、城井君の質疑は終了いたしました。

 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の、広島出身の空本誠喜でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、皆様方に感謝を申し上げます。また、パネルは、同僚の愛知県第五区岬麻紀衆議院議員にお願いしております。

 さて、今日は、核兵器廃絶、原子力、石炭ガス火力、カーボンリサイクル、半導体、いろいろ超特急で質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 その前にまず、質問通告はしていないんですけれども、広島県の一番重要な問題、これは政治と金の問題です。河井夫妻による三年前の参議院選挙での大規模買収事件。検察審査会、先日、自民党の県会議員ほか三十五名を起訴すべきと議決されました。

 今朝も地元広島からたくさんの電話が入ってまいりました、どうしてもこれは総理に聞いてほしいと。自民党総裁、そして広島県代表として、まだまだ説明責任を果たしておられません。この点に関して、総理の明確な御説明をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、お尋ねの検察審査会の議決についてはもちろん承知はしておりますが、これは個別の事件における検察審査会の判断に係る事柄ですので、私の立場から今の段階でこれについて何か申し上げることは、これは当然控えなければいけないと考えています。

 しかし、いずれにせよ、国民の政治不信を招いたという批判がある、このことは重く受け止めなければならないと思いますし、今後も、様々な声に謙虚に耳を傾けて、国民の期待に応えられるよう取り組んでいかなければならないとは考えます。

空本委員 でも、少し残念です。広島県民はまだまだ総理の説明を求めております。

 日本維新の会は、議員自ら襟を正す、議員自ら身を切る改革。もしかすると、統一地方選前に補選があるかもしれません。維新はしっかりと戦ってまいりたいと思います。

 それでは、核兵器廃絶についてお聞きしたいと思います。

 先ほど来、総理も私も広島出身でございます。私の家族も、親戚も被爆者がおりまして、直接被爆、直爆で死んだ親戚もおります。また、私の祖母も幼児を背負って入市被爆しています。また、そのお姉さんに当たるおばあさんも妊婦さんでした。そして、十二月だったと思うんですが、生まれてきて、障害者でした。日米の共同研究、ABCC、あの対象にもなります。そういった中で、やはり核兵器は、人類、いえ、やはり広島の悲願であります。

 これまで、パネルのとおり、核兵器廃絶、総理はライフワークとおっしゃっております。大変すばらしいこと、ありがたいです。

 しかしながら、本当の核兵器廃絶の行動、僭越ながら、私も原子力、放射線の専門家であります、もし総理が具体的な行動をされるんだったら是非手伝わせていただきたい。しかしながら、核兵器禁止条約のオブザーバー参加に関して、総理はまだまだ後ろ向き、否定的で、地元の広島の皆さんはまだがっかりしています。総理は、聞く力はおありですが、行動する力をもっともっと出してほしいというのが地元の声です。広島の人たちの声に対して、もっと行動していただけないでしょうか。

 パネルの上段、総理の答弁を書かせていただきました。全力を尽くす決意、また、核兵器国の協力が必要であるとか、ちょっと他人事なんですよ、総理。広島の人間として非常に寂しく感じています。

 先週の江田議員の質問でも、禁止条約は出口に当たる重要な条約と総理はおっしゃった。でも、前向きな回答じゃないです。総理の基本姿勢、まだまだ後ろ向きとしか私たちは思えません。

 アメリカ・バイデン大統領に対して、簡単に参加できないということは分かるんですが、やはり、核兵器廃絶に対して、官僚の皆さんもいますし、具体的な道筋を示していただきたい。理想では困る。

 総理の本、読ませていただきました。二冊読みました。その七十三ページに、私は理想を掲げ続けますとありました。でも、理想主義じゃ困るんですよ。現実じゃなきゃ駄目なんですよ。

 江田議員への答弁で、賢人会議、また、被爆地へ訪問してもらうとか、また、実相に触れてもらうとか、それも大事かと思いますが、二〇一六年にオバマ大統領に、外務大臣時代に、広島を訪問していただいた。でも、世界は逆に全く動かなくなってしまった。このくらいでは何も変わらないのかもしれません。

 実際に、核兵器を総理はいつまでに解体し、廃棄し、そしてなくすのか。核兵器廃絶をいつ頃までにするのか。

 広島から総理大臣が輩出されたこと、すごくみんな誇りに思っています。ならば、具体的な行動、これが広島の声であります。

 私の親戚も総理の御子息と小学校の同級生で、奥様にもすごくお世話になっております。そういった意味で、言いづらいんですが、私たちの、広島の人間としては、総理に相当期待しているんですよ。だからこそ、失礼は承知で言わせていただきますけれども、総理の発言、抽象的です、理想主義です。そして、決意表明だけで終わっている。残念。出口がない、ゴールがない、そこを何とかもう一歩踏み出してもらえないですかね。

 パネルの下段、賢人会議を立ち上げられた。これはいいことですが、全く、有効性があるのか、必要性があったのか、すごく私、疑問です。いろいろな、NPTがあって、そして賢人会議があって、複雑になります。

 実際に核兵器廃絶をいつまでにされるのか。ピンクの、ちょうど中段に書いています。来年、サミットがあります。是非広島で、もし広島じゃなくても、首脳会談、また広島で開いていただいて、そこで、核兵器廃絶をいつまでに行うのか、総理としての目的、ゴールを示していただきたい。

 もう一点。カーボンニュートラル、二〇五〇年。ならば、三十年後、難しいかもしれないけれども、二〇五〇年核兵器廃絶というような、そういった明確なゴールを示していただくことはできないですかね。

 総理の発言、抽象的なところ、私は悲しいです。そこを、五W一H、明確な、総理は核兵器廃絶のために何をされるか、明確なお答えをいただけないでしょうか。お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、随分たくさん、いろいろ御質問いただきました。まとめて答えなければなりません。

 ただ、冒頭、委員の、核兵器のない世界を目指す、そして広島の人間としての思い、これはもう大変すばらしい思いであり、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。そして、私も、核兵器のない世界に向けて理想を掲げ続けていきたいと思っています。

 そして、核兵器禁止条約との関係でいうのならば、核兵器禁止条約、これは、核兵器のない世界を目指す上で出口に当たる、もう少し注文をつけるとしたら、検証方法等、こういったものがあればもっとすばらしいと思いますが、少なくとも出口に当たる大変重要な条約だと思います。

 しかし、私も、四年八か月、外務大臣を務める中で、核軍縮、核廃絶を考える場合に、核兵器を持っているのは核兵器国です。核兵器国が変わらないと、これは現実は変わらない。こうした厳しい壁に何度となくぶち当たりました。核兵器国を変えなければならない。そして、今、核兵器国が参画している大きな国際的な核軍縮・不拡散の枠組みはNPTであります。このNPTをどうやって核禁条約までつなげていくのか、このロードマップを描くことが具体的な理想に向けて前進するために重要であるということを申し上げています。

 そのためにこそ、核兵器国との信頼関係が重要であるということを申し上げ、そして、最近議論が低調になってしまいましたが、NPTの議論の延長線上に、今までも、CTBT、核実験禁止条約、あるいは、FMCT、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約、こういった議論があったわけであります。こうした議論を進めることによって、是非現実的に核兵器禁止条約までたどり着いていこうというのが私が本に書いた思いでありました。

 是非、こうした現実的な取組を進めるためにも、日本の唯一の同盟国であるアメリカとの信頼関係をしっかり大事にしなければならないということで、バイデン大統領との本格的なテレビ会談においてもこの問題を取り上げて、信頼関係の一歩を踏み出したということであります。

 そして、賢人会議、意味があるのかという御質問もありました。

 今の核軍縮・不拡散の国際的な状況を見るときに、最大の問題点は、核兵器国と非核兵器国、そして、非核兵器国の中にあっても、核禁条約を重視する非核兵器国と、そうじゃなくてNPTを重視する非核兵器国と、みんなばらばらになっている、これは全く対話の道筋が見えない。だからこそ、NPT運用検討会議、前回の会議においても、あれだけ大議論をしながら、合意文書一つまとめられなかった。

 この厳しい現実の中で、核兵器国、非核兵器国、NPT派、核禁派、これが共にテーブルに着いて、立場は違うけれども、同じ、目指す方向は一緒ではないかという議論ができないかというのが賢人会議の意味であり、そして、私が外務大臣のときに有識者会議から始めましたが、今は一・五トラック、政府の関係者もこの会議に参加するところまで来ました。それに、政治リーダー、元、現職も含めて政治リーダーも参加するような賢人会議ができないだろうか、これを申し上げています。意味がないとは私は思っていません。

 そして、最後のお答えで、いつまでにということでありますが、これは、いつまでにということを具体的に言えるほど核軍縮・不拡散の世界は甘くないと思っています。

 私も、これまで取り組んできた様々な経験の中で、決して簡単に期限を言うことができない。オバマ大統領の広島訪問の話もおっしゃいましたが、オバマ大統領も、この大きな理想に向けて、自分たちが生きている間に解決できるというような甘いものではないと厳しい見方もしていました。しかし、是非この理想の灯は掲げ続けていかなければいけない、そういった思いで私は努力をしていきたいと思います。

 そういった、今、いろいろな質問に答えなきゃいけないので少し話が拡散してしまったかもしれませんが、今申し上げた、全体の中で、是非現実的に物事を前に進めていきたいと考えています。

空本委員 ちょっと残念なお答えですが、総理として、やはり、目標でも結構ですから、そういうのを是非発言していただきたいと思っております。

 もう時間が余りないものですから、原子力、そして石炭ガス火力、簡単に質問いたします。

 総理、やはり、安全性を確保した上で既存の原発を推進する、また、石炭ガス火力、実際、今、一般の石炭火力ではなくて、石炭を千六百度でガス化して、COとH2、水素と一酸化炭素、それを燃やして、まずは発電します。さらには、コンバインドサイクルを行って、二段目の発電をする。さらに、燃料電池に水素を使って、燃料電池発電も行います。三段階のトリプル発電をします。

 今、広島県の大崎上島で実証試験を行っておりまして、そして、それは成功しております。そして、成果も四〇・八%の効率、また、将来的に燃料電池を合わせれば七〇%以上の効率、すごくいいものです。

 今、広島県呉市、大変疲弊しています。なぜならば、製鉄所が廃炉となる、廃止になる、来年です。そういった中で、百四十九万平米の土地があります。ここに、起爆剤となる、CO2も回収できる仕組みを大崎上島では設けていて、九割は回収できるんですよ。こういったものを、三百万キロワットぐらいの、若しくは数百万キロワットぐらいの発電設備、一基三十万、それを十基ぐらい順次造っていく、十年間で造っていく。そうすると、建設も伸びますし、発展します。

 広島、いえ、全国的に電力が不足します。そういった意味で、新しい設備として、これはクリーンなエネルギーであります。石炭火力、これは維新も反対ですが、クリーンな新しいものはいいんじゃないか。

 それと、一点だけ総理の方に、原発推進か。これから小型炉も進めるとおっしゃっています。原子力をどう進めていらっしゃるか、推進するのか。それと併せて、こういった新しい石炭ガス化燃料電池複合発電、総理、こういったものに前向きで取り組んでいただけないでしょうか。総理の見解をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、炭素中立型の社会経済に向けた変革については、あらゆる可能性を排除せず、使える技術を全て使うことが重要であると思います。

 そして、こうした中で、CO2を資源として活用することでコンクリートや燃料などの製品を作り出すカーボンリサイクルは、炭素中立型の社会経済に向けた変革を実現するために不可欠なものであり、また、石炭ガス化燃料電池複合発電、いわゆるIGFCは、既存の石炭火力のCO2排出を約三割削減する新たな技術です。

 これらの技術の開発を加速するべく、今委員御指摘のように、現在、広島県大崎上島において、IGFCの基礎技術を開発するとともに、カーボンリサイクルの開発、実証を集中的に実施するための拠点整備を進めているところであります。

 二〇五〇年に向けて、IGFCのような革新的な、石炭火力とCCSを組み合わせたり、あるいは、水素、アンモニアやCCUS等を活用して石炭火力を脱炭素型の火力に置き換える取組を加速することで、カーボンニュートラルを目指してまいります。

 そして最後に、原子力についてどうかという御質問がありました。

 今、日本においては、カーボンニュートラルを目指す、その際には、グリーンと安定供給と安価、この三つの要件を満たさなければいけないわけですから、そのためにはあらゆるエネルギー供給の選択肢を追求することが重要であるということで、原子力についても、安全性の確保を大前提に、再稼働を進めるということを取組として進めています。そして、日米間の協力が様々な形で進んでいることを含め、小型炉や高速炉を始め、更なる安全性の向上につながる技術の開発、こういったものを着実に進めていきたいと考えております。

空本委員 ありがとうございます。

 総理、原子力を推進していただけるという発言だというふうに聞いております。

 日本維新の会は、原子力には、今の安全規制上では厳しい、ただし、新しい技術を開発する、こういったものは進めていこうという今体制でございます。

 その中で、時間の方、ほぼないのですが、半導体。

 今日は、質問、御回答、厳しいと思いますが、半導体については、今、熊本で新しい半導体、二十二ナノ。しかし、今、台湾では二ナノ。それに対して、新しい事業をどう支えていくのか、事業展開するのか、そういったものをまた別の機会に質問させていただきたいと思います。

 あと、人材育成も大変です。

 最後に、総理に質問です。

 原子力は、プルサーマル、やりますか、やりませんか。プルサーマルは推進でしょうか。

根本委員長 もう時間が来ておりますので。次の時間に食い込んでいますからね。

空本委員 はい。

 では、どうも、総理、プルサーマルについては次回また聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、岩谷良平君から関連質疑の申出があります。空本君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岩谷良平君。

岩谷委員 東大阪市選出、日本維新の会の岩谷良平です。

 まだ新人ではありますけれども、先月に引き続きまして今月もこうして質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。また、今日も隣には、同じ新人の遠藤良太議員にお手伝いをしていただいております。

 さて、本日は、大変重い、そして重要なテーマについて質疑をさせていただきます。インターネットによる誹謗中傷の問題についてです。

 先週の月曜日、インターネットによる誹謗中傷によって自ら命を絶たれてしまわれましたプロレスラーの木村花さんのお母様でいらっしゃいます木村響子さんが、我が党副代表の吉村洋文大阪府知事をお訪ねになり、そして対策を要望されました。そして、吉村知事からは、大阪府において新たな対策条例を制定を目指すという表明がなされました。

 日本維新の会では、この問題に対するプロジェクトチームを近々立ち上げまして、そして大阪府議会の方では、大阪維新の会府議会議員団の方から条例提出をしていく、そしてこの国会においては、我々国会議員団が、インターネット誹謗中傷防止法案、これを提出を今国会を目途にさせていただきたいと考えております。

 そして、実は私も、先週の水曜日と木曜日に木村響子さんのお話をお伺いいたしました。そして、今日はテレビを御覧になっていると思います。総理、木村響子さんから総理に対してメッセージをお預かりしております。

 誹謗中傷は、短い期間で、毎日いろんな人にひどい言葉を言われることで、ほんの数日間でも、あっという間に心が壊されてしまうので、一日も早く被害者の方を守ってあげてほしい、また、加害者の方も、更生プログラム、カウンセリングなどで心を取り戻して、新しい人生をやり直せるような、みんなを救済できるような制度を一日も早くつくってもらいたいと思いますとメッセージをお預かりしております。

 総理、このメッセージに対してどのようにお答えになるでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、個人の方の人格や名誉を傷つけるような誹謗中傷、これはもとより許されるものではない、これは強く感じます。

 お亡くなりになられた木村花さんに心から哀悼の誠をささげ、そしてお母様にお悔やみを申し上げますが、是非、個人の人格や名誉が傷つけられるような誹謗中傷、これをなくすように努力をしていかなければならないと思います。

 表現の自由の保護等の観点があるのは承知しておりますが、そうした観点との兼ね合いで、何ができるのか、これを政治の立場からしっかり考えていかなければいけないということではないかと考えます。

岩谷委員 総理、故人に対する誹謗中傷はもちろんですけれども、今生きている方へのインターネット上の誹謗中傷というのも非常に大きな問題なわけなんです。

 幾つか、今日、私から提案をさせていただきたいと思います。ちょっとパネルを御覧いただければと思います。

 インターネット、SNS上の誹謗中傷の特徴なんですけれども、加害者の側は非常に軽い気持ちで加害行為をしてしまっている。そしてまた、それに科される刑罰であるとか、あるいは民事上の賠償責任というのも非常に軽いものになってしまっているというのが特徴になります。

 そして、一方、被害者の方は大変重大な被害を受けるわけなんです。時には、自ら命を絶たざるを得ないような被害を受けてしまう。そして、この回復のために、刑事上の手続とか、あるいは民事上の手続をやっていくにしても、非常に重たい負担が被害者の方にはかかるんですね。そしてまた、長いと書きましたけれども、投稿は一瞬で、数秒で行われますけれども、被害の方は一生の傷になるわけなんです。そして、申し上げたとおり、手続に関しては非常に長くかかってしまう、そんな特徴があります。

 木村響子さん、まだ木村花さんの事件で二十件ぐらいの裁判をいまだに進行中で抱えていらっしゃるそうなんですね。裁判費用が、既に弁護士費用も含めて一千万円ぐらいかかっているということで、こうおっしゃっていました。誹謗中傷される側はただ行為をやめてほしいだけなのに、これだけの時間とお金がかかってしまうことが、被害者からするともう本当に救われない、絶望しか感じない、このように私におっしゃっておられました。

 私は、被害者の負担を軽減しまして、そして被害者に代わって行動を起こしていけるような、そんな第三者機関の設置が必要でないかと思っております。ちょっとパネルを御覧いただければと思います。

 これは、昨年、大阪府の方から国に対して出された提案です。提案三で、はしょりますけれども、最後の方で、独立性を有する第三者機関を国に設置されたいという要望が、昨年なされています。

 私は、この第三者機関に、もちろん表現の自由に配慮して、きっちりと、弁護士さんとか、あるいは憲法学の学者さんなんかにも入っていただいた上で、例えば、誹謗中傷されている投稿の投稿者に対して、この第三者機関から、独立性を持って削除勧告をしていくとか、あるいはプロバイダー事業者等に対して削除勧告をしていく。また、被害者の方が裁判に訴えていくには、まず、匿名で書かれている投稿について、氏名、住所等を公開請求をしていかなきゃいけないということで、それも大変な負担になっていますから、この第三者機関からそういった開示勧告のようなものができるような、そんな専門性を持った、独立した第三者機関の設置を検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員が御指摘になるような強い権限を有する第三者機関を新たに設ける、このことについては、表現の自由との関係を始めとする検討課題があると思っています。

 ですから、政府としましては、インターネットやSNS上の誹謗中傷については、法務省の人権擁護機関が、寄せられた人権侵犯に関する相談に基づいて、この相談の数、三年間で二万を超えると聞いていますが、こうした多くの相談に基づいて、個々の投稿が人権侵犯に該当するかを慎重に検討し、該当する場合には事業者等に削除を要請している、こうした取組を進めています。

 まずは、こうした取組の実効性、これを高めることによって人権擁護に努めてまいりたいと考えているところであります。

岩谷委員 現状、法務局等でも行われておりますけれども、まだそれだと非常に不十分だというふうに被害者の方々からお聞きしていますので、提案をさせていただいたわけであります。

 それで、この第三者機関に続いて、提案の二つ目になります。

 まず、現状の問題点ですけれども、インターネットによる誹謗中傷、これはインターネットに限りませんけれども、名誉毀損罪であるとか侮辱罪ではほとんどがカバーされないんですね。例えば、いなくなれとか、死んでほしいとか、ここに実際に木村花さんのツイートが表示されていますけれども、早くいなくなればいいのにとか、こういった誹謗中傷は、人格非難、人格否定と言われていますけれども、刑事上の罪にはならない。

 そうすると、被害者の側は民事上の損害賠償請求等で訴えざるを得ないわけなんですが、この損害賠償請求は非常に費用がかかって、そして長い時間がかかってようやく勝訴をかち取ったとしても、大体、日本の名誉毀損等の賠償額は通常十万円から百万円程度というのが現状です。これだと費用倒れになってしまうわけですよね。弁護士費用すら払えないよという状況になってしまうということで、多くの被害者が泣き寝入りをしてしまっているのが現状になります。

 そこで、皆さんも御存じかもしれませんけれども、アメリカなどでは、名誉毀損の損害賠償等で時には数千万あるいは億単位の賠償が認められています。これはなぜかといいますと、懲罰的損害賠償という制度を取っているからになります。

 ここに書いていますけれども、損害賠償において、加害行為の悪質性や反社会性が高い場合に、将来同様の行為を阻止する目的で、実際の損害の賠償を上回る賠償額を課すことという、この懲罰的損害賠償制度、もちろん、これ、日本に導入するには様々課題があることは承知しておりますけれども、しかし、インターネットによる誹謗中傷の事の重大性、そして、実際に被害者の多くの方が泣き寝入りしているという状況を鑑みて、この懲罰的損害賠償、インターネットの誹謗中傷に対して、日本でも導入を検討すべきじゃないでしょうか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 懲罰的損害賠償制度を創設すべきではないかというお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、我が国の損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価して、加害者に賠償させることによって、被害者が被った不利益を補填をするということを目的とした制度になっております。

 ですから、懲罰的損害賠償制度のように、加害者に対する制裁であるとか、あるいは将来における同様の行為の抑止、そういったものを目的とした制度ではございません。

 ですから、御指摘のように、懲罰的損害賠償制度を導入すべきではないかということにつきましては、我が国の制度の基本原理との整合性、あるいは刑事上の制裁との役割分担など、様々多面的に検討する必要があるわけです。

 そして、さらに、インターネット上の誹謗中傷という特定の分野に限ってこの制度を導入するということになりますと、また更にそのハードルが一つ上がっていくということでして、非常に容易ではないということであります。

 いずれにしても、この懲罰的損害賠償制度の導入につきましては、関係各方面における議論の進展もよく注視しながら、適切に対処していきたいというふうに考えております。

岩谷委員 現行法を前提にしますと、当然そういった課題があることは承知しておりますけれども、だからこそ政治家がやらなきゃいけないと思っているんですね。そのために我々政治家が存在するんだと私は思っています。

 そして、またパネルをお示ししますけれども。

 この原因なんですけれども、軽い気持ちで投稿される、そして、同調者がまた軽い気持ちでそれに乗っかる。なぜこういうことが生まれるかというと、根本的には、やはり、リテラシーの低さ、すなわち、こういったことに対しての理解不足というところが主たる原因だろうと思います。そして、これをやはり根本的に解決していくためには、規範意識の構築というものが重要になってきます。

 この規範意識の構築をしていくためには、二に書いていますとおり、当然、啓発というのが重要になってきます。また、同時に、子供たち、生徒、学生さんらに対してしっかりと教育を行っていく必要があります。

 また、一番。先ほどは、被害者が裁判費用等非常に大きな負担になっているということで、その扶助制度が必要ではないかと思います。

 また、三番目。被害者はもちろん精神的なケアが必要です。ですが、加害者の方も、繰り返し投稿してしまうようなことがあるわけなんです。そういう意味では、加害者の方へのカウンセリングとか、あるいはそういうプログラム、こういったものも必要になってくると思います。

 そして、被害者のみならず、加害者も相談できるような窓口が充実、普及される必要があると思いますが、これをやるには当然コストがかかるわけなんです。

 そのコストを一体誰が負担すべきかという話なんですけれども、私は、SNSやインターネットの事業で利益を上げていらっしゃるプラットフォーマーと呼ばれるような方々に対して、資金を拠出していただいて、御負担いただいて、そして基金のようなものをつくって、この基金の下で、これらの仕組みを拡大、普及、進めていくというのがふさわしいんじゃないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほども申し上げたように、誹謗中傷にはしっかり対応していかなければなりません。

 そして、資金について、あるいは基金について今御質問がありましたが、インターネット、SNS上の誹謗中傷の被害者に対しては、国及び民間事業者が支援を現在でも実施をしています。

 国においては、民事法律扶助制度に基づく裁判費用等の立替え等に国費を支出するほか、関係府省が連携して普及啓発や被害者相談窓口の運営に取り組んでいるところですし、民間においても、インターネット、SNS事業者においては、法人を設けて、相互に費用を持ち寄り、被害者からの相談窓口の運営や、削除等の対応を促す通知、ユーザー一般に対する普及啓発等を実施しており、被害者支援の重要性の高まりから、こうした事業者による取組、これは拡大していると承知をしております。

 こうした現在の官民連携による支援、これをまずしっかり充実していくところから、こうした被害者支援について考えていきたいと考えます。

岩谷委員 木村響子さんがおっしゃっていましたように、本当にもう刻々と、毎日被害者が出ている問題なんですね。ですから、まずはこういうところからやっていくでは遅いと思うんですね。ですから、直ちにこの問題については取り組んでいかなければならないというふうに私は思っております。

 それで、今日現在も苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。今、おっしゃったような相談窓口、たくさん、現状、不十分ですが用意はされています。

 これは総務省さんで作られたフローチャートになりますけれども、今テレビを御覧になっている方でも、もし悩みを抱えている方がいらっしゃいましたら、それぞれ相談窓口、厚生労働省にもあります、あるいは法テラス等もあります。また、身の危険を感じているとか犯人の処罰をしてほしいという方は、最寄りの警察署や都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口に行っていただきたいんですが。

 ちょっとここで一応確認だけしておきますけれども、被害届を出すときに、犯罪捜査規範第六十一条で、第一項、「警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。」となっておりますので、これは各警察署の方ではしっかりと適切に対応をしていただきたいと思います。

 それから、違法・有害情報相談センター、総務省とか、先ほどの、法務省の人権相談、また、協会がやっている誹謗中傷ホットライン等もありますから、是非活用をしていただきたいと思います。

 それから、まだ時間がありますので質問を、ちょっと戻りまして、大阪府の提言を。

 この提案一の方も昨年されています。

 これは、今、現状、法務局が人権相談を受けて、プロバイダーに削除要請を行うことがありますけれども、ただ、行っても受けてもらえないことがあるわけなんですね。その原因の一つとして、削除要請を受けたプロバイダー側としては、むやみに削除すると、今度は投稿者の方から勝手に削除したということで訴えられる可能性があるということが問題になっているわけなんです。

 そこで、大阪府の方では、こういった、法務局等から削除要請がなされて、プロバイダー側がそれを受けて削除する場合については、その責任を制限する、免除する、そういう規定をプロバイダー責任制限法に追加していただきたいという要望が出ています。

 この点についてはいかがでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 個人の方の人格や名誉を傷つけるような誹謗中傷は、もとより許されるものではございません。他方、表現の自由の保護の観点からも、配慮は必要だと考えております。

 こういったことを踏まえまして、インターネット上における人権侵害情報の拡散を防ぐためには、まずはプロバイダーによる利用規約に基づく迅速な削除が重要だと考えております。

 総務省では、法務省及びプラットフォーム事業者と実務検討会を開催をいたしまして、法務省人権擁護機関からの削除依頼に対する事業者の円滑な対応を促進をしているところでございます。

 今後も、こうした取組を通じまして、法務省の削除要請に基づく削除が進むように取組を進めてまいりたいと思っております。

岩谷委員 時間が参りました。

 我々日本維新の会は、政治の力でこの問題を解決していくために、法案を提出をさせていただきます。どうかその際には真摯な御議論をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて空本君、岩谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平です。

 本日は、質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 まず最初に、先ほどの質問に出ていましたけれども、トリガー条項についてお伺いをしたいと思います。

 トリガー条項といいましても、テレビで拝見されている方にはぴんとこないかもしれません。ガソリン税というのがあります。これは揮発油税、地方揮発油税のことですけれども、トータルでリッター当たり五十三・八円、大変高い税金がかかっております。(発言する者あり)ありがとうございます。

 そして、これは本体が二十八・七円で、暫定税率、経緯は時間がないので省略しますが、二十五・一円かかっています。

 トリガー条項といいますのは、リッター当たり百六十円の期間が三か月以上続いた場合には、この暫定税率、上積み税率の二十五・一円をカットしますよ、ガソリンスタンドで払わなくていいですよという法律でございます。軽油引取税についても同じで、これはリッター当たり十七・一円の上積み税、暫定税率をカットしますよ、この法律があります。

 しかし、これは、東日本大震災のときの財源問題があって、今凍結されているんです。この凍結されているものを法改正で元へ戻せば、百六十円が三か月続いている場合に、現場で、ガソリンスタンドで給油するときに、二十五・一円、十七・一円カットされる、こういう制度があります。

 私たち国民民主党は、日本維新の会の皆さんとともに、さきの臨時国会で、この法案、凍結を解除する法案を出しております。再三政府の皆さんには御提案をしておりますけれども、先ほどの総理の答弁、大変厳しい御答弁でありまして、なかなか対応していただけないということであります。

 二十七日、先週でありますけれども、補助金制度を使ったガソリンの引上げを止める制度が実施をされましたが、実際に現場のガソリンスタンドでの値下げは一部になっておりまして、据え置かれている、あるいは、場合によっては引き上げているガソリンスタンドすらあるというようなことで、現場は相当混乱しております。

 これは財源の問題があります、確かに。実は、第一生命経済研究所の永浜首席エコノミストの推計が昨年出ておりまして、一年間この制度を発動しますと、家計の負担が七千億円助かります、軽減されます。企業のコストも一年間で八千億円。つまり一・五兆円軽減されるわけです。すごい効果ですね。しかし、逆にそれは一・五兆円財源を失うということでもあります。これは総理のおっしゃるとおりなんです、財源問題。しかし、これも、当然家計や企業の懐が楽になるわけですから、景気には相当なプラスの効果がありますので、永浜さんの推計ですと、一年目で既に五千億、二年目で八千億、三年目で六千億円の実質GDPの押し上げ効果があるというモデル計算も出ています。

 これこそがワイズスペンディングということじゃないでしょうか。コロナ対応でいろいろな施策がありますけれども、本当に一つ一つ検証しましょうよ。一人当たり十万円配った、しようがなかったかもしれない、しかしそれは本当に効果があったんですかと。八割が貯蓄に回ったという、これは野村証券の推計もあります。

 これを政府で検証してくださいよ。検証もせずに、ワイズスペンディングじゃないものを次から次へと補正予算で積み上げていくのでは、たまったものじゃありません。

 そこで、総理にお伺いします。

 この本当に費用対効果のいいトリガー条項の凍結解除の法改正についての御見解をもう一度お伺いいたします。前向きの御答弁をお願いします。

鈴木国務大臣 トリガー条項につきましては、度々御質問がございまして、総理の方からも御答弁があったところでございますが、この条項を発動された場合におきましては、ガソリンの買い控えやその反動による流通の混乱、国、地方の財政への多大な影響などの問題があることから、その凍結解除は適当でないと考えております。

 トリガー条項の発動には、百六十円に上がったのが三か月かかる、それから、今度は解除をするということについては、百三十円に下がって、それでまた三か月かかった際、こういうことでありますから、恐らくかなりの期間これが続くんだと思います。そういたしますと、先ほど先生が御指摘になりましたとおり、国、地方を合わせて約一兆円半ばの歳入が減るということもございまして、その影響も十分考えていかなければならないと思っております。

 今回の原油価格高騰対策につきましては、激変緩和措置、業種ごとへの支援、地方自治体が独自に支援する際に、国にとってしっかりとした財源を支援していく仕組みを引き続き政府として重層的に実施をしてまいります。そうした様々な対策の中で何が効果的なのかにつきましては、引き続き検討をしてまいりたいと思います。

岸本委員 財務大臣、茶谷主計局長が書かれた答弁をそのままお読みいただいて、ありがとうございます。

 それで、先ほども申しましたように、コロナ対策もいろいろなことをやりました。やむを得ないものもたくさんあったと思います。しかし、これはやはり検証すべきだと思いますね。

 その上で、仮にこのやむを得なかった歳出がたくさんあったとして、補正予算を加えた公債依存度を見てみますと、二〇二〇年度は何と七四%です。公債依存度七四%。二〇二一年度の補正予算後、四六%であります。五割も七割も借金で歳出を賄っているということでありますから、これは講学上、財政学上は放漫財政と呼ばざるを得ません、残念ながら。

 このことが、しかし、金利も上がらずに可能になっているんですね。ずっと可能になっているんです。

 これはどういうことか。明らかに、家計あるいは企業の皆さんが消費をしない、投資をしない。したがって、金融資産がどんどんたまっていきます。民間の貯蓄がどんどんどんどん増えていきますから、そういう意味で、日銀がこの民間の貯蓄、金融資産を担保に国債を幾ら吸収しても金利は上がらない、こういうことなんだろうと思います。経済が成長しませんから、金利が上がらない。本来機能すべき財政規律が働かないということなんです。

 このまま低成長で低金利の生ぬるい経済状況の下、これが、まさに今、日本が置かれている状況こそがMMT、現代貨幣理論のモデルとなっているわけであります。すばらしいモデルなんです。自国通貨で国債を発行すれば、これは無尽蔵に発行できます。これは、MMTというのは別におかしい議論ではありません。非常に正しい経済理論だと考えます。だって、自国通貨なんですから、幾ら刷っても構わないんです。

 ただ、刷っていきますと、必ずどこかの段階でインフレになります。つまり、民間貯蓄の増加が公的債務の増加を吸収できなくなれば、それはもうインフレにならざるを得ないし、あるいは、大きな経済イベントが起きればインフレになります。そうなりそうになれば、インフレになりそうになったら、そこで増税をすればいいんです、歳出カットをすればいいんですというのがMMTの学者の理論で、それは、その限りにおいては正しいと思います。ただ、現実的にはそれができないんですよ。

 実は、一九九二年に、バブルで地価が上がったときに地価税をつくりました。地価税の議論が始まって施行されるまで何年かかったと思いますか。三年かかっているんです、国会で議論して、政府で案を作って。一九九二年の国会議員と私たちと、同じですよ、そんなに私たちは賢くないですよ。三年、インフレは待ってくれませんよ。

 そういう中において、総理、IMFが先週、指摘していますよね。内閣府の中長期試算は、バブル経済期の、生産性が非常に高い段階の、バブルの時代の成長実現コース、それからベースラインケースも含めて非常に楽観的に過ぎる、むしろ、下振れケースみたいなものをつくるべきだと。

 元々、財政再建の見積りというのは、どこの国でもそうですが、保守的に見積もるんです。保守的に見積もって、うまくいけばいいけれども、最悪のケースを想定する必要があると思います。こんなことをIMFに言われるというのは、非常に恥ずかしいことだと思うんですけれども。

 そこで、総理にお伺いいたします。

 プライマリーバランスの黒字化、これに余り固執すると、かえってアブ蜂取らずになると思います。およそ実現不可能な高い経済成長率を前提に、国民の誰もが、そんなの実現できないわよ、そういうふうに思っている目標を掲げて頑張るのは、かえって財政規律をゆがめることになるのではないかと思います。その点、総理のお考えをお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の質問の前半部分ですが、今コロナ禍の中にあって、必要な財政出動はちゅうちょなく行わなければいけないということで、医療体制の維持、雇用の保持、さらには生活を守るために、あらゆる施策を用意している。結果として大量の国債発行ということになっているわけでありますが、これは不可欠なものであると考えています。

 そして、その次の段階として経済を再生し、そしてその先に、中長期的に財政再建を考えていかなければいけない、こうしたことであると考えています。

 そして、後半部分の経済成長、これは想定が高過ぎるんではないかという指摘でありますが、これは成長実現ケースにおける成長率について指摘をされているんだと思いますが、これは、デフレ脱却、経済再生に向けて、成長戦略など政策効果が過去の実績も踏まえたペースで実現していく、こうした姿を示したということであります。要は、成長を実現できるかどうか、これが問われているんだと思います。

 是非、この成長実現ケース、一番高いケースでありますが、こうした一つのケースも念頭に置きながら、本当に日本の経済、成長することができるか、復活することができるか、今、危機を乗り越えた先、それを私たちはしっかりと考えて、そして実行しなければいけないと考えております。

岸本委員 いや、もちろん成長は必要なんです。財政再建するためには絶対成長が必要です。しかし、余りにもかけ離れているんです。

 昔、僕は、高校生のときに五十メーター走を六秒半で走りました。速い、今でも走れますと言っているのと同じなんですよ。

 日本経済は成熟しているんですよ。その成熟に合わせた成長率をある程度見込んで、プラス、駄目な場合、きちんと保守的なものを見詰めて、しっかりと。

 今すぐ増税しろとか歳出カットしろと申し上げているわけじゃないんです。コロナ禍が収まったときにしっかりと財源の問題も議論をさせていただきたいという趣旨で申し上げましたので、今後とも議論を続けたいと思います。

 質問させていただいて、ありがとうございました。

根本委員長 これにて岸本君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 安倍政権以来、公文書や統計の改ざん、虚偽答弁が繰り返されてまいりました。その出発点であり、いまだに何も終わっていないのが森友問題、赤木さんの事件であります。

 赤木雅子さんが起こした裁判で、昨年の六月の二十三日に、ついに赤木ファイルが提出されました。これは、故赤木俊夫さんが命に代えて書き残した決裁文書改ざんの記録であります。

 資料一を見ていただきたい、パネル一でございますが。

 これは、赤木ファイルにとじられた、財務省本省理財局から近畿財務局宛ての、二〇一七年二月十六日、一番最初の電子メールであります。

 五年前の二月十六日といえば、私が衆議院財務金融委員会で森友学園問題を国会で最初に追及した翌日、そして、このメールにもあるように、「福島議員からの宿題返しです。」福島伸享衆議院議員の翌日の質問の答弁準備のための、決裁文書のコピーを送れという趣旨のメールであります。

 赤い下線を引いたところを見ていただきたい。

 ここには、決裁文書を議員に「持っていくつもりはまったくなく、」とか、「物を出せと言われたら、近畿に探させているけどなかなか…と引き取る」などと書かれ、冨安課長も了承済みだとされております。これは、国会議員を愚弄するものだと言わなければなりません。

 総理、これは、役所が省を挙げて国会を欺いてきたということではありませんか。

鈴木国務大臣 国会又は国会議員からの資料要求には可能な限り協力すべきものと考えております。また、そうでなければならないと思います。したがって、決裁文書の改ざんも含め、当時の国会への対応については、誠に遺憾であって、深くおわびを申し上げなければならないと思っております。

 その上で、なるべく早く提出をしろということがしばしば言われるわけでありますけれども、国会議員からの資料要求等に対しては可能な限り速やかに対応することとしておりますが、個々の事案の内容に応じまして、不開示情報の有無の確認等の作業など、中身の精査に時間を要することもあるということは御理解をいただきたいと思います。

宮本(岳)委員 この文書をよく見てくださいよ。最後のところに何と書いてありますか。「ことが終わったらおごりますとお伝えください」と。そんな、真面目に仕事をしている話じゃないんですよ。ふざけるにもほどがあるんです。こんなふざけた話から始まって、最後には真面目な国家公務員が命を奪われた。

 総理、あなたはどう思われますか、これ。

岸田内閣総理大臣 まず、赤木さんがお亡くなりになったことについては改めて謹んで御冥福をお祈りし、そして、御家族の皆様方には改めてお悔やみを申し上げたいと思います。

 その上で、財務省としても、裁判等を通じて、そして自らの報告書を通じて、さらには会計検査院の調査、そして検察でのやり取りを通じて説明の努力を続けてきたということであると承知をしています。

 そして、その文書等についての御指摘については、今財務大臣からも答弁がありましたが、財務省として様々な観点から説明責任を尽くしていかなければいけない、そういったことに関わる部分ではないか。

 引き続き、様々な形で財務省として説明を尽くしてきましたが、今後とも必要に応じて説明責任は尽くしていかなければいけない、このように思っています。

宮本(岳)委員 先ほど申し上げたように、この文書には冨安課長了承済みと書かれていますよ。

 冨安泰一郎国有財産企画課長、当時の、今は、デジタル庁に聞きますけれども、デジタル庁にこの人物、戦略・組織グループのグループ長としていらっしゃいませんか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりでございます。

宮本(岳)委員 この方は今、デジタル庁で更に栄転されているわけですね。

 委員長、私は、真摯に今後も明らかにするとおっしゃるのであれば、元財務省理財局国有財産企画課長、現デジタル庁の冨安泰一郎氏の証人喚問を要求したいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

宮本(岳)委員 一杯おごりますという話をやっているわけですからね。これは答えてもらわなきゃなりません。

 財務省が国会全体のために働く、国民全体の奉仕者でなく与党の下請に成り下がってきたということを示す証拠はほかにもあります。

 資料二を見ていただきたい。

 赤木ファイル三百四十九ページにつづられている、本省から近畿財務局へのメール。件名は「与党理事懇談会の資料」となっております。

 資料二の二を見てください、めくって。

 赤木ファイルでは、これは赤木ファイルにとじられているんですが、その後二ページにわたって全面青塗り。一体ここは何だったのかが全く分からない形になっています。

 財務大臣、ここには一体何を書いていたんですか。

角田政府参考人 ここは、何かが書いてあったというものではなく、青い仕切り紙があったということでございます。

宮本(岳)委員 この青はマスキングじゃないんですね。

角田政府参考人 マスキングではございません。

宮本(岳)委員 これは一体どういうものであるか、最初、全く分からなかったんです。

 ところが、この「与党理事懇談会の資料」というところには、添付ファイル、資料・ZIPというものがついております。

 私は、この度、財務省からこの資料を入手いたしました。つまり、赤木ファイルに添付されていたメールについても提出があったわけであります。

 資料三を見てください、パネル三ですけれども。

 ここに添付されていたものは、説明資料、二月二十三日、逢坂誠二議員要求とあります。これは、二〇一七年二月二十三日の予算委員会で逢坂議員が要求した、地中ごみに関する資料です。

 問題は、この資料を近畿財務局から本省に送らせているんじゃなくて、逆なんですよ。本省から近財に送っているということなんですね。一体、これは何のやり取りをこのメールがやったのかということを明らかにしてもらわなきゃなりません。できますか、財務省。

角田政府参考人 お答えいたします。

 現時点では、ちょっとどういう趣旨で近財に送ったのか、私どもは承知しておりませんけれども、可能な限り調べさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 じゃ、財務大臣に聞きましょうか。

 与党理事懇談会の中身を現場に送って確認することを日常的にやっているんですか。

鈴木国務大臣 申し訳ありません、存じ上げません。

 このことにつきましては、先ほど理財局から答えたとおりでございます。

宮本(岳)委員 じゃ、はっきり調べてくださいよ。明らかにしなきゃなりません。

 役所が国民全体の奉仕者じゃなくて与党理事懇談会の使い走りのようなことになっているとすれば重大ですから、きちっと調べていただかなくてはなりません。

 資料四を見てください。

 赤木ファイルの二百四十一ページ、ここには、我が党、山添拓参議院議員の国交委員会質問の答弁準備のために本省から近畿財務局に問い合わせたメールがとじられております。

 ここに添付していたはずの応接録が赤木ファイルにはありませんでした。ところが、この度提出された資料の中にはその添付ファイルがございました。

 それは一体どういうものであったか。全て青塗りです。この青いもの、これを外して公表していただけますか。

角田政府参考人 御指摘のページですけれども、こちらは、いわゆる質問レクに先立つ、何と申しますか、レクというか、宿題とかをいただいているところでありますけれども、議員と私どもの職員の間の率直なやり取りになってございますので、基本的にはオープンにするというのはいかがかと。

 ただ、その翌日の国交委員会で、その議員の御主張は委員会の議事録の形で残っておるということでございますので、そういう意味では役割が果たせているのではないかというふうに思っております。

宮本(岳)委員 いやいや、何も外さなかったら分からないじゃないですか。本当に誠意を持って説明を尽くすというけれども、結局、再調査もしない、新たに開示した文書もマスキングを外さない、改ざんや隠蔽に関わり処分された職員でも政権を守った者はこれ見よがしに出世、栄転させる、だから、同じような改ざんがあっちでもこっちでも繰り返されるんですよ。

 これでは、岸田政権は隠蔽、改ざん体質でも安倍、菅政権と何ら変わるところがないということを申し上げて、私の質問を終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、仁木博文君。

仁木委員 九年ぶりに国会に戻ってまいりました、有志の会の仁木博文です。産婦人科医師でもあります。

 有志の会は、子供に対する分厚い政策は次世代への投資として、子供たちやこれから生まれてくる命に対して優しい政策、これを、国力のアップということの一環としてどんどんと提言していきたいと思います。

 さて、総理、今日は、コロナ対策について数点質問を行いますが、この日本版CDC、国民の健康、安全に対する感染症を含む脅威から日本を守る疾病予防管理センターをつくり、科学的根拠に基づいた政策を実践できる国にしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 私は、徳島で、ドライブスルーでのPCR検査や、あるいは自宅療養者に対する遠隔診療、そして何よりも、四千人近い方のコロナワクチンを接種してまいりました。そして、先日、コロナ感染者、重症になった方々を最前線で治療していた徳島大学の教授とも話をしまして、デルタ株の、あの第五波においても、ワクチン接種が広がり、そして重症化した患者さんが減ったということで、ワクチンはやはり最大の切り札であるということを再認識しました。

 でありますが、今回、コロナワクチンに対するブースター接種率が非常に低く、岸田総理も懸念されておりますが、どうしてでしょうか。

 一つは、やはり、一回目、二回目ファイザーを打ったから、三回目も、モデルナに比べて副反応の少ないファイザー社を打ちたいという方が多いのが実態です。

 岸田総理も、実際のところ、ファイザー社の供給量が少ないということもありまして、一回目、二回目ファイザー、三回目モデルナという、いわゆる交互接種をされました。ところが、その交互接種の副反応、いわばリスク、そして有効性というメリットが十分国民に届いていないような気がします。

 私は、そういう観点から、このCDCのような、国民が信頼できる組織ができて、そしてそこから、そこが主導しての、リスクコミュニケーションできるような状態であればいいというふうに考えています。

 接種の現場、予約も大変です。接種計画というか、これは国民も大変、そして医療現場も苦労しました。今回、一バイアルで六人打てるファイザー、そして、一バイアルで十人、今回は最大二十人打てるモデルナ、これを、貴重なワクチンということで、注射器に正確に分けて、そして接種していくという一連の工程を限られたスタッフでやっているという、本当に実に大変な状況があります。

 そして、この中においても、去年の十二月、調べましたら、三万回分ものワクチンが破棄されているということも聞きました。

 ですから、私は、現場での経験から、一人に対して一バイアルのワクチンがあれば、迅速にそして効率よく予約や接種もできると考えますので、総理のお立場で、この一人一バイアルのワクチン、国内でもライセンス生産できるようにファイザー社やモデルナ社に対して依頼していただきたいというふうに考えています。

 また、第五波までのウイルスに比べまして、今回のオミクロン株は感染力は強いが毒性は低いとされておりまして、保健所の負担軽減の観点もありまして、濃厚接触者の待機期間が十日から七日に減るということもありました。そして、陽性者の診断につきましても、医師がみなし陽性、みなし診断できて、その結果が行政に反映されていくというふうに最近変わりました。

 こういう疾病分類のありようも含めた感染症法の改正も、今国会でより早くやっていただきたいというふうに考えています。

 次に、コロナ禍における経済活動に向け、ワクチンパスポート、これは、デジタル庁のワクチン接種記録システム、VRSを用いてやられております。これに、過去最大となっておりますが、実はオミクロン株に感染しても大多数の人が回復しておりまして、感染履歴もこのVRSに組み入れた免疫パスポートを実用しまして、科学的根拠で経済を回していくということをお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 そして、最後ですけれども、医療の現場に対して、ベッドの確保に加えまして、重症した患者さんを治療していく医療や、特定認定看護師等、この人材の確保、人材の育成が急がれます。特に、ECMOや人工呼吸器といった高度医療を担う人材が活躍できるようなECMOnetや、指導医の養成に対して予算を分厚く取っていただきたいというふうに考えています。

 以上、通告しましたワクチンや免疫パスポート、そして医療体制に対する要望、そして、質問しましたが、科学的根拠に基づいた、政策をタイムリーに実践していける日本版CDC、疾病予防管理センターについての答弁をお願いしたいと思います。

根本委員長 仁木博文君、簡潔にお願いします。

仁木委員 はい。

根本委員長 じゃ、厚生労働大臣、簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 たくさんの質問をお聞きいただきました。

 まず、有効性、安全性等、交互接種の必要性等をしっかり国民に公表また情報提供するということについては、非常に重要なことだと思っておりまして、審議会の専門家の評価を受けた、そういう事項を丁寧に連絡していきたいと思っております。

 それから、一人一バイアルとの御提案については、生産や流通、保管等を効率的に行って、早期に広くワクチンを普及させる観点からはむしろマイナスという面もございますので、その辺についてはなかなか難しいところがあるというふうに考えております。

 また、感染症法上の取扱いについては、オミクロン株の感染が急拡大している中で、今このタイミングで感染症法上の位置づけを変更することは現実的ではないというふうに考えておりますけれども、今後の感染状況等を踏まえて、厚生労働省の審議会等において専門家の意見を伺いながら対応していきたい、そんなふうに考えております。

 また、パスポート、ワクチンパッケージ等、いろいろな意味での、そういう情報の活用、連携等につきましては、科学的知見において、どの程度の抗体の量があれば感染を予防できるかも明らかになっていない点も踏まえると、今すぐに、慎重にということだというふうに思っております。

 また、予算等につきましては、今回、三次補正予算においても人材育成の予算等も取り組んでおりますし、委員御指摘の人材育成が重要であることは、私たちとしても十分理解いたしております。

仁木委員 ありがとうございました。

根本委員長 これにて仁木君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二月一日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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