衆議院

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第8号 令和4年2月2日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年二月二日(水曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      北村 誠吾君    小林 茂樹君

      小森 卓郎君    後藤田正純君

      笹川 博義君    下村 博文君

      鈴木 英敬君    武井 俊輔君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    古川  康君

      古屋 圭司君    堀井  学君

      宮崎 政久君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      荒井  優君    石川 香織君

      江田 憲司君    奥野総一郎君

      落合 貴之君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      階   猛君    堤 かなめ君

      徳永 久志君    長妻  昭君

      本庄 知史君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    足立 康史君

      池下  卓君    市村浩一郎君

      岩谷 良平君    早坂  敦君

      堀場 幸子君    山本 剛正君

      吉田とも代君    伊佐 進一君

      國重  徹君    輿水 恵一君

      中川 宏昌君    吉田久美子君

      斎藤アレックス君    古川 元久君

      笠井  亮君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    福島 伸享君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     牧島かれん君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)    野田 聖子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (新しい資本主義担当)

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)       山際大志郎君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   財務副大臣        岡本 三成君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  川上恭一郎君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           吉岡 秀弥君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所次長)         増島  稔君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   岩成 博夫君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (林野庁次長)      織田  央君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  宇野 善昌君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小森 卓郎君

  今村 雅弘君     古川  康君

  岩屋  毅君     武井 俊輔君

  奥野 信亮君     小林 茂樹君

  加藤 勝信君     笹川 博義君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  中谷 真一君     鈴木 英敬君

  渡辺 博道君     秋本 真利君

  石川 香織君     奥野総一郎君

  江田 憲司君     徳永 久志君

  源馬謙太郎君     本庄 知史君

  近藤 和也君     堤 かなめ君

  足立 康史君     池下  卓君

  市村浩一郎君     山本 剛正君

  岩谷 良平君     吉田とも代君

  伊佐 進一君     吉田久美子君

  中川 宏昌君     國重  徹君

  前原 誠司君     斎藤アレックス君

  宮本  徹君     笠井  亮君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     渡辺 博道君

  小林 茂樹君     堀井  学君

  小森 卓郎君     青山 周平君

  笹川 博義君     加藤 勝信君

  鈴木 英敬君     中谷 真一君

  武井 俊輔君     岩屋  毅君

  古川  康君     今村 雅弘君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  奥野総一郎君     石川 香織君

  堤 かなめ君     近藤 和也君

  徳永 久志君     湯原 俊二君

  本庄 知史君     源馬謙太郎君

  池下  卓君     足立 康史君

  山本 剛正君     市村浩一郎君

  吉田とも代君     早坂  敦君

  國重  徹君     中川 宏昌君

  吉田久美子君     伊佐 進一君

  斎藤アレックス君   古川 元久君

  笠井  亮君     宮本  徹君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  堀井  学君     奥野 信亮君

  湯原 俊二君     荒井  優君

  早坂  敦君     堀場 幸子君

  古川 元久君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  荒井  優君     江田 憲司君

  堀場 幸子君     岩谷 良平君

  斎藤アレックス君   前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官川上恭一郎君、内閣府規制改革推進室次長吉岡秀弥君、内閣府政策統括官笹川武君、内閣府地方分権改革推進室長寺崎秀俊君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、内閣府経済社会総合研究所次長増島稔君、内閣府地方創生推進事務局審議官黒田昌義君、内閣府子ども・子育て本部統括官藤原朋子君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長岩成博夫君、デジタル庁統括官村上敬亮君、デジタル庁審議官山本和徳君、デジタル庁審議官犬童周作君、総務省自治税務局長稲岡伸哉君、法務省民事局長金子修君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、文部科学省初等中等教育局長伯井美徳君、文部科学省高等教育局長増子宏君、厚生労働省医政局長伊原和人君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省保険局長浜谷浩樹君、林野庁次長織田央君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、経済産業省製造産業局長藤木俊光君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長佐々木啓介君、国土交通省大臣官房政策立案総括審議官高田陽介君、国土交通省都市局長宇野善昌君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、新型コロナウイルス感染症対策・国民生活等内外の諸課題についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自民党の西村康稔でございます。

 しばらく答弁する側におりましたので、予算委員会に立つのは五年半ぶりぐらいでありますけれども、岸田総理を始め閣僚の皆様、よろしくお願いいたします。

 今の感染状況についてでありますが、三十四の都道府県で蔓延防止等重点措置が出されています。ただ、昨日も八万人を超える新規陽性者の数ということで、非常に高いレベルでの感染が続いております。

 オミクロンの特性というものを踏まえて対応してこられている、特に、感染拡大を抑えながらも、しかし、社会機能の維持、あるいは経済との両立、これを図っていくという大きな岸田政権の方針に私も賛同するものであります。

 ただ、これだけ連日高い水準の感染者の数が続きますと、やはり重症者の数も増えてきているわけでありまして、いろいろな課題も明らかになってきています。まずは、国民の命を守るということを最優先に、是非、引き続き取り組んでいただきたいと思いますが、その感染状況からまずお伺いし、感染対策の在り方などを議論していければというふうに思います。

 最初に山際大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、このオミクロン株は、余り重症化しないのではないかという海外のデータも出てきておりますし、季節性インフルエンザに近づいてきているのではないか、あるいは、特に若い人にとっては風邪のようなものではないかという認識が広がっている一方、やはり、これだけの感染者の数が出ておりますので、国民の間にも不安も広がってきているものというふうに思います。各県の知事や専門家の間でも、この対応について様々意見があるのが現実ではないかというふうに思います。

 仮に重症化率が低いとしても、感染者の数が出ると、掛け算ですので、一定程度は重症者が出るということでありまして、これまでもそうなんですが、若い方から感染が広がって、そこからやがて職場や家庭を通じて高齢者に感染が広がる、そして重症者が増えてくるというのがこれまでの経験であります。

 今回も、資料をお配りしておりますけれども、一、二、特に二の方を見ていただきますと、先行して広がった沖縄県では、若い人が、一月の上旬、これは年末から年始、様々な行事の中で、イベントの中で広がったと思いますけれども、その後、若い人の感染が減り、二枚目の数字ですけれども、高齢者がじわじわと増えてきております。また、全国的にも、三枚目でありますが、高齢者施設のクラスターも増えてきています。

 重症者の数、ちょっとパネルを出していただきますと、去年の夏に比べるとまだ低い水準ではありますが、急激に増えてきております。直近の、パネルを見ていただきますと、昨年末は五十人ぐらいだったものが、一昨日は八百人を超えてきています。死者、亡くなられる方も、大変残念なんですけれども、二十人、三十人とやや増加傾向にあるということだと思います。

 ただ、この重症者も違いが出てきておりまして、これまでは、ふだん健康な方がコロナにかかって肺炎になり、人工呼吸器やECMO、重症化する、こういうことが多かったわけですが、今回は、高齢者が、元々持病があったり基礎疾患があって、そしてコロナにかかって重症の病棟に入るということで、人工呼吸器やECMOは比較的少ないという報告も受けております。

 ただ、いずれにしても、中等症それから重症者が増えているのも事実でありますので、危機感をあおるわけではありませんけれども、警戒を強めなければいけない状況にあるということは間違いないと思います。

 それで、この感染力のスピードについてなんですが、海外の例を見ても、急激に増えて急速に減るというようなことを、事例もありますし、これを期待する声もあるわけです。

 確かに、少し状況を見ていただきますと、一月九日から蔓延防止等重点措置を適用した沖縄、これは先週一週間の比と今週一週間の比を比べる、先週今週比という言い方をしますけれども、これは、実は、専門家の皆さんも、一人が何人にうつすか、一人の感染者が何人にうつすかという実効再生産数を簡易に見るものとして、実効再生産数は後から見ないと分からないんですけれども、簡易に見るものとして、今週一週間感染した人と先週一週間感染した人の比で、その実効再生産数を代替するものとしてよく使われています。

 沖縄は、先週今週比〇・八、一番下のグラフですけれども、〇・八まで下がってきていますので、減少傾向にあるということですね。そして、先行した広島も〇・九八、これはちょっと昨日までの仮の計算でありますけれども、〇・九八ということで、減少傾向になってきたということであります。山口、この三県が先行して一月九日から蔓延防止したわけですが、下の三つですね、三つ目です、真ん中ですけれども、一・一一ということで、横ばいになってきたということです。一であればずっと同じ、横ばいですので、一を切らなきゃ減少傾向にならないということですね。

 そうした中で、東京が、一番上の、一・五九まで下がってきています。大阪も一・四五。ピークは十でしたから、先週から今週に比べて十倍増えていた、それが一・五倍、一・四倍ぐらいになってきているということでありますので、まあそれでも増加しているわけですね。増加が鈍化しているということでありますので、これを一以下にしなきゃいけないわけですけれども、蔓延防止等重点措置の効果も一定程度はあったものというふうに思いますが、何としてもこれを減少にさせなきゃいけない、一を切るようにしなきゃいけないということであります。

 そこで、東京なんですけれども、一月二十一日から蔓延防止等重点措置ということで、昨日で十一日ですかね、今日で十二日目。ちょうどその対策を強化した効果が、大体十日後、二週間後に表れると言われています。感染した人が報告するまで、発症して報告するまで大体十日ぐらいかかるということで、十日後ぐらいから数に変化が表れるわけですが、昨日の陽性者の数が一万四千四百四十五人ということで、先週今週比を見てもそうなんですが、急激に増えるのは抑えてきているという状況だと思いますけれども。

 様々な声があります。今週あるいは来週あたりにピークを迎えるんではないかという声もありますけれども、この辺りの東京の感染状況をどう見ておられるのか、山際大臣に認識をお伺いしたいと思います。

山際国務大臣 政府が答弁しなくてはいけないことをあらかた答弁していただいたような感じなんですが、先のことは、さすがにこうなりますということを申し上げられる状況にはないと思いますが、今御説明いただきましたように、沖縄県、山口県、広島県の帰趨というものを見ておりましても、東京都は、それは参考にしながら、対策を練っていく上での非常に重要なものとして扱っていけばいいというふうに我々も思っております。

 一方で、御指摘いただいたように、高齢者に対する新規感染者数の割合が相当上がってきているということもあって、そして、これも御指摘いただいたとおりに、原疾患を持っていらっしゃる方が、その疾患が重くなるという事例が相当増えてきているものですから、そういう意味でいうと、医療体制を相当圧迫するという状況になりますので、医療体制に負荷がかかるということを見ながら我々は慎重にオペレーションをしていかなくてはいけないというふうに思っておりまして、まだ予断を許さない状況にあるというふうに思っております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 御指摘のとおり、重症者の状況などをよく見ながら対応するということだと思いますが、最近の感染者は、先ほど申し上げたとおり、高齢者にぐっと増えてきていると同時に、子供も増えておりまして、子供対策と高齢者対策が恐らく焦点になってくるんだと思います。

 そうした中で、高齢者に対する対策は、やはりワクチンの三回目の接種、これを加速をして進めるということだと思います。政府の方では、二月末までに、高齢者の三千三百万人について、九七%の自治体がこれを実施できる、完了するということで報告をされていますけれども、これを単純に計算しても、残り三十日を切る中で三千三百万人のほとんどを打つということでありますから、単純計算でも一日百万回以上打つということになると思います。

 足下では、二、三十万回から四十数万回まで、一昨日ですか、公表されていましたけれども、少しずつ上がってきていますが、岸田総理に、一日百万回打つということ、この政府の強い姿勢を是非お示しをいただきたい。特に、九七%の自治体が完了するということで取り組まれている、これを全力でサポートして、二月には、今月には高齢者三回目接種を完了するというその強い御決意を示していただければと思います。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、九七%の自治体が二月末までに、対象となる希望する高齢者の接種を完了する見込みであるということを申し上げております。今後は、配付したワクチン、もう既に自治体に配付したワクチン、これを一〇〇%利用していただいて、実際に接種が進むよう更なるペースアップに取り組んでいかなければならないと思います。

 そして、その後、一般の方々への接種ということになるわけですが、一般の方々の接種についても、予約枠に空きがあれば六か月の間隔でできるだけ多く、更に前倒しして接種していただくよう、改めて自治体にもお願いをしたところです。

 各自治体においては、大型の接種会場の設置や接種券の前倒し送付、これにも努めていただかなければならないと思いますし、国としても、そういった取組を後押しするために、自衛隊の大規模接種会場における接種の推進、あるいは交互接種の安全性あるいは有効性に関する広報など、しっかり取り組んでいきたいと思います。

 希望する方々に一日も早く接種していただけるよう、私自身、先頭に立って、接種への取組を進めていきたいと考えております。

西村(康)委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 今言及のありました自衛隊の大規模接種会場での接種でありますけれども、初回の予約も九分で終わり、来週の予約も十五分で満了、完了ということで聞いております。

 この三回目の接種、早急に進めることが大事な中で、自衛隊の果たしている役割は非常に大きなものがあると思います。是非、この三回目を加速する政府の強い姿勢を示すためにも、自衛隊の大規模接種会場の接種規模を少しでも早く、一日でも早く規模を拡大すべきというふうに考えますけれども、総理、その決意を示していただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 自衛隊による大規模接種の取組、これは、政府の強い姿勢を示す意味からも大変重要な対応であると認識をしています。

 そして、自衛隊による大規模接種については、東京会場での接種能力を早急に拡大するべく、防衛省において検討を行っているところですが、昨年と同様のペースで接種を進めるべく、来週には一日当たりの接種回数を五千回程度まで拡大したいと考えております。

西村(康)委員 是非、一日も早くその規模になるように、取組、岸大臣もお越しでありますけれども、よろしくお願いしたいと思います。

 あわせてなんですが、水際対策についてお聞きをしたいと思います。

 各国かなり緩和をしてきておりまして、ただ、変異株、オミクロンの新たなBA・2というものが出てきていますので、これに対する配慮は必要だと思いますけれども、分科会の尾身会長も、以前から、海外が物すごく感染して国内が感染状況が低いときは、ここは水際で止めないとどんどん入ってくる、しかし、国内も感染が増えて同じレベルになると、これは行き来をしてもそんなに感染に影響を与えるわけじゃないということを言われていますし、昨年の東京オリンピックのときのバブル方式を尾身会長は評価をしておられて、海外から入ってくる人を毎日検査をする、そして、バブル、泡の中で一定の行動しか認めないということで、このやり方を評価されて、現実に、そのことで何かクラスターが生じたわけでもないということであります。

 今の状況、国内もかなりこのオミクロンで感染が広がっている中で、今後の水際対策、今申し上げたバブル方式も含めて、留学生、少し枠を広げて入れるということの発表があったようですけれども、スポーツ、文化もそうですし、あるいはビジネスも海外との行き来ができないということで大変苦労しておられますので、この辺りの方針について総理の見解をお伺いできればと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の水際対策については、これまで、G7で最も厳しい水準の水際対策により、海外からのオミクロン株流入を最小限に抑え、国内感染の増加に備える時間を確保できたと考えております。

 水際対策については、委員御指摘のように、内外の感染状況の差が大きかったこと、また、オミクロン株に関する科学的知見の蓄積が十分でなかったこと、こういったことを勘案して、当面の対応として、二月末まで現在の水際対策の骨格は維持するということにし、その上で、新規入国については個別の審査を行って人道上あるいは国益上の観点から必要な対応を取る、こういった体制を取ってきたところでありますが、少しずつオミクロン株の知見も蓄積されてきております。

 今後は、国内外の感染状況、これをまずしっかり見ながら、オミクロン株の特性、これまでの水際対策の実績等を踏まえ、必要かつ適切な対応を行っていきたいと考えております。

西村(康)委員 是非、様々なデータも出てくると思いますし、専門家の御意見も聞いていただいて対応していただければというふうに思います。これまで、厳しい措置でできる限り遅らせてきたということは評価をしたいというふうに思います。

 次に、経口薬、飲み薬についてであります。

 岸田総理は、国産のワクチンや飲み薬、これについても開発を進めると強い決意を示されています。

 そうした中で、一昨日ですか、塩野義が開発中の飲み薬、経口薬につきまして、第二相、第三相の試験の中間報告が発表されています。今のオミクロン株に対しても、飲んだ後、四日後にはウイルス量が五百分の一になる、そうした極めて高い効果も報告されています。塩野義は自らリスクを取って、承認される前から、二月中には五十万人分、三月には百万人分供給できる体制を整えるというふうに聞いております。

 感染症の専門家の先生方からも、かなり強い期待が示されているところでありますけれども、この高い抗ウイルス効果、それと、日本人に対する安全性も積み上げていっています。日本人、国民の期待も大きいと思うんですけれども、この経口薬を早期に、できれば、今まさに感染、この状況でありますので、二月中にも承認すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、国産の経口薬については、委員御指摘のように、大変重要なものであり、しっかり支援をしていかなければならないということで、これまでも取組を進めてきました。

 御指摘の塩野義製薬において、現在、開発の最終段階である国内第二相、第三相の試験を実施中であるということを承知しています。この取組についても、これまで、研究開発への支援、あるいは治験費用への補助、こうした支援を行ってきたところでありますが、今後、その企業から申請があった場合には、優先かつ迅速に審査を行い、有効性さらには安全性、これが確認されたならば、速やかに承認の手続を進めていきたいと考えております。

西村(康)委員 国民の期待も大きいと思いますので、是非よろしくお願いします。

 後藤大臣、お聞きしようと思ったんですが、是非よろしくお願いいたします。

 それでは、緊急事態宣言についての議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まさに、蔓延防止でできるだけ抑えて社会機能との両立を図っていくという方針で臨まれていますけれども、例えば東京で一日一万四千人の感染レベルが十日間続くと十四万人の感染者の数になります。これは、東京都一千四百万人として、百人に一人が感染するレベル、十日間で百人に一人が感染の報告があるというレベルになります。実際にはその三倍、四倍の感染者の数がいるというふうに専門家は言っていますので、そうすると、東京都民の二、三十人に一人は感染しているような状況ということになってくるわけであります。

 もちろん、無症状の方も多いし、軽症の人も多いわけですけれども、一定程度は重症化、重症になる方が出てくるわけでありまして、何としてもこの感染を抑えていくということ、そして、岸田総理がいつも言われるように、最悪の事態も想定しながら様々な検討、準備はしていかなきゃならない。国民の命を守る必要があるとなれば、是非、ちゅうちょなく緊急事態宣言を発出していただきたいというふうに考えています。

 それで、その上で、緊急事態宣言の在り方について少し議論したいと思うんですが、資料、パネルがございます。

 私の経験も踏まえての話であるんですけれども、これまで四度の緊急事態宣言を行ってまいりました。多くの皆さんに御協力をいただきまして、そのたびごとに感染を抑えることができたわけでありますが、しかしながら、真ん中のところにありますけれども、緩やかな強制力、行政罰ということで、昨年の一月から九月の、緊急事態宣言は二百十一日間ですので、これは東京の例ですけれども、蔓延防止を合わせれば、もうほとんど何らかの措置が取られていたという状況であります。

 そして、四度ということで、いわば緊急事態宣言慣れ、あるいは自粛疲れ、こういったものもあったものというふうに思います。緩やかな強制力ゆえに、残念ながら、要請、命令に、守っていただけない事業者の皆さんもおられたわけで、命令に従わず、命令を発出した事業者が約三千、東京都の例でいいますと、ああ、全国ですね、全国。そして、過料の手続に入っているのが約千五百あるというふうに聞いております。

 今も、各県の状況を聞きますと、五%ぐらいの店舗が要請に応じてくれていないというふうに報告を受けておりますけれども、これによって感染を抑えるのに時間がかかってしまったということで、ずるずるずるずるいってしまったという面もあるんだというふうに思います。

 そこで、この緊急事態宣言の在り方、私なりに再定義という言い方をしておりますが、二つの方向性、案があるというふうに思います。

 一つは、強制力を強化をして、強い措置で、御協力をいただいて、短期で感染を抑える。いわば、二〇二〇年、最初の緊急事態宣言のときのように、八割の接触削減、経済を幅広く止めるということで、強い感染力、重症度も高いようなウイルスには備えるということが一つの方向性としてはあるんだろうと思います。

 ただ、上に書いていますけれども、各国のように、軍隊まで出て、何かロックダウン、外出禁止を一律にやる、これはなかなか日本ではなじまないと思いますけれども、例えば、八時までの時短を事業者に要請した場合に、国民の皆さんにもそれに協力してもらう。八時までの時短、ですから、それ以上、それより遅い時間、店に行かない。あるいは、帰宅時間も考慮して、九時以降の夜間の外出禁止をするとか、こういった議論は私も法制局ともしてきています。強制力を強化をしていく、いわば、方向性Aと書いていますけれども、強制力を強化する緊急事態の方向性があり得ると思います。

 ただ、今回のオミクロン株は重症度が低いということもあり、今申し上げたような強制力を強化することについては国民の皆さんにはなかなか理解が得られないと思いますので、むしろ別のやり方、方向性Bというふうに書いていますけれども、まさに、社会機能も維持しながら、経済との両立も考えながら、どうやって感染を更に抑えていくのかという、いわば緩やかなやり方で、強制力を強化するわけではなく、緩やかなやり方だけれども強力に抑えていく、こういうやり方が、効果的なやり方があるのかどうかというところの議論が非常に大事だというふうに思います。

 先ほど申し上げましたとおり、高齢者と子供の対策が中心になってまいりますが、高齢者は三回目のワクチン接種、さらには高齢者施設の検査を頻回に、従事者、従事されている方々も含めてやるということで対策は強化をしていけばいいと思うんですが、やはり子供たち、そして、基本は人と人との接触を減らすということですので、昼間の人流も減らしていかなきゃいけないということであります。

 実は、夜間の人流はかなり、蔓延防止措置もあって減ってきているんですが、昼間は、この緑の線でありますけれども、東京が上です、なかなか減らない。大阪も減っていません。夜間はかなり、東京、大阪も減ってきているわけですけれども。

 そこで、子供たちのことを含めてでありますけれども、学校のオンライン化を強力に進めるということ、先ほどのパネルに書いていますけれども、そして登校する子供たちとハイブリッドで行うことも含めてリモートを強化していくこと。そして、企業においても、テレワーク、今、BCP、事業継続の観点からテレワークを進めていただいていますけれども、やはり、人との接触を減らすためには、七割とか、少なくとも五割とか、これまで経験を積んできていますので、思い切った、こうしたテレワーク、リモートワークの方向性Bのやり方で企業の皆さんにも協力を求めてはどうかということであります。

 ちなみに、島根県、資料に出していますけれども、島根県は、感染者数の多い浜田市、益田市、江津市などで、一月二十二日から三十一日までを休校として、現在、先ほど申し上げた先週今週比、これは〇・五六と、全国で最も改善している、最もいい数字であります。何か、全て学校を休校にする必要があるとは思いませんけれども、この島根県の取組、感染が広がっているところを何日間か休みとする、あるいはオンラインというのもあると思いますけれども、極めて参考になるというふうに思います。

 今週、来週が判断をしていく大きな山場を迎えると思いますけれども、今週から来週にかけて感染が広がった場合、あるいは減少傾向が見られない場合に、例えば、十三日までの蔓延防止措置に今東京都がなっています。ですので、ちょうど十一、十二、十三と三連休があります。この期間を利用して、例えば、その後の五日間、平日を重点期間として、十一日から十日間ぐらい、金曜日から次の土日まで、この期間を重点期間として強力な感染抑制策を実施する、今申し上げたリモートを徹底的にやるというのは一つの方向性ではないかというふうに思います。

 来週には状況を判断しなければ、いずれにしても、十三日までの蔓延防止措置をどうするかということで判断をしなきゃいけないわけですので、こういった考え方も取り得るのではないかというふうに思います。

 私が在任中も、五月のゴールデンウィークの休みの期間を利用して、企業も休みに入るこの期間を利用して、様々な取組を強化して活動を少し抑えていこうということも行いました。是非お考えいただければと思いますが、岸田総理に、この緊急事態の在り方について是非お伺いをしたいと思います。

 今の段階でまだ、もちろん判断はできないわけですが、もちろん蔓延防止等重点措置を継続していくというやり方もあると思う、その中でリモートを強化するやり方もあると思いますが、企業とか大学の多くが緊急事態宣言というものと連動してリモートを増やすとか、そういった取組をやっているところもたくさんありますので、私は、感染状況次第、特に病床、重症者の状況次第でありますけれども、命を守るとなれば、ちゅうちょなく、こうした緊急事態の在り方も議論しながら方向性を出すべきだというふうに思いますけれども、岸田総理の、この緊急事態の在り方も含めて、見解をお伺いできればというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほど委員も御指摘になられたように、感染拡大の防止と社会活動の維持、このバランスの中で何をするべきなのか、具体的に考えていかなければならないと思っています。

 そして、今委員の方から御指摘のあった点につきましては、現状の取組、様々な感染防止の制度、枠組みについても、できるだけ現実的に、具体的に、どうあるべきなのか、最大限工夫をし、考えていく、こういった姿勢でありようについて考えていかなければならない、このように思っています。

 そして、将来に向けても、今後も感染症との戦いは生じる、そういったことも想定しておかなければいけないわけですから、従来から申し上げているように、この六月末までには、司令塔機能、感染拡大防止のありよう、あるいは医療体制の確保など、中長期的な観点からもしっかり議論していかなければいけない。その中でも、御指摘の緊急事態宣言の在り方、これは重要な論点になるのではないかと思います。

 いずれにせよ、危機到来直後から担当大臣として最前線で対応してこられた西村委員の経験あるいは指摘、こうしたものをしっかり踏まえながら、政府として現実に対して的確に対応していかなければならない、このように考えます。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 まさに、方向性Aのような、将来に備えるという準備もしていかなきゃいけないと思いますし、当面、今週、来週、十三日以降どうしていくかということの、緊急事態を発出するかどうかは別として、国民の皆さんの命を守るということを最優先に、どういう対策、効果的な対策があるのか、これは是非、山際大臣を中心に議論していただいて、党の方でも様々また提案もしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 支援策について少しだけお伺いします。事業者の支援について。

 協力金については、飲食店の皆さんには、厳しい、苦しい状況にあると思いますけれども、御負担をおかけしていますけれども、最大月額六百万円までの支援、これに加えて雇用調整助成金もありますので、かなりの支援を行うということでこれまでも対応してきています。それから、事業復活支援金も、最大二百五十万円までということで、岸田内閣で今回、拡充をされていますので、この辺りも多くの皆さんに使っていただければと思います。

 ただ、なかなかこれだけでは間に合わない事業者との間の不公平感、特に、地方の観光関係のホテル、旅館あるいはバス、タクシーといった、かなり規模の大きな事業者にとっては大きな負担になっているものと思います。

 総理が政調会長のときに私も閣僚として議論させていただきましたけれども、アメリカのPPPのように、一旦融資をして、そして一定額は返済しなくてもいいような仕組み、これは家賃支援などのときに、資金繰りを支援していこう、その後、補助、給付の形にしようというようなことも主張しておられました。

 当時は、私は、様々な理由で、海外は不正が多いとか、いろんな理由で、慎重な立場で答弁もさせていただきまして、議論させていただきましたけれども、その後、海外の支援を見ますと、資料に入っていますが、ドイツでは最大十二億円とか、アメリカでも最大十億円とか、かなりの規模の支援を行っています。

 今回、今すぐにということではないんですが、今後、そうした事業者の負担、そして、特に方向性Aのような、厳しい、緊急事態のような在り方を考えていくときには、今申し上げたような支援策、やはり事業規模に応じた支援策、これを考えなきゃいけないんではないかというふうに私自身も考えております。

 是非、総理、当時の主張もございました、こんな方向性について見解をお伺いできればと思います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のPPPですが、あれはたしか令和二年の四月の予算委員会で、私が政調会長として質問に立たせていただいた、その際にこうした仕組みも紹介させていただき、考えていくべきではないか、問題提起をさせていただいたと記憶しています。

 委員の問題意識、私も共有しているところであり、中堅企業も含めてコロナ禍で苦しんでおられる事業者の方々を支援するために様々な工夫をしていかなければいけない、こうしたことは強く感じています。

 現在、事業復活支援金、これは固定費の半分を目安として一括でお金を支給、支援するなど、工夫を凝らし、事業規模に応じて最大二百五十万円という給付金、こうした支援金を用意させていただいているわけですが、雇用調整助成金の特例ですとか、あるいは無利子無担保融資、また中堅企業に向けての資本性劣後ローン、多層な支援を用意しているところです。

 今後、こうした世の中の状況もしっかりと把握しながら、何が必要なのか、何が求められているのか、こういったことは絶えず意識をし、機動的な対応も考えていかなければならないわけです。その中で、更に何が必要なのか、こういった点はしっかり考えていきたいと思っておりますし、その際に、海外の例等は、敏感に、しっかりと把握しながら、参考にさせていただく、こういった姿勢は大事だと考えます。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 党の、自民党のコロナ本部でも議論していきますので、是非連携して対応していければと思います。提案もさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 もう一点、個人や世帯への支援について、特に支援を公平に、迅速に行うということについても、この間、ずっと議論をしてまいりました。なかなか所得の正確な把握ができないということゆえに、二〇二〇年は一律に十万円の給付を行ってきた。もう一律にやる。そのやり方か、あるいは、どこかで所得制限で線を引いて、まあ、これは世帯主で今やっているわけですけれども、そこで一〇〇かゼロかのような形になる。もちろん、教育支援、高等学校の無償化のように、段階、幾つかに分けて支援をしている例もありますけれども、基本は一律の給付かどこかで線を引くというやり方になるわけですが、より迅速に、より状況に応じた支援をきめ細かに、特にプッシュ型で行うというためには、所得の正確な把握が必要になってまいります。

 イギリスやオーストラリアでも、リアルタイムに給与所得などをデジタルの技術を使って把握をしていく仕組みが導入をされてきています。マイナンバーカードも我が国でもようやく五千二百万枚を超えたというふうに聞いておりますが、是非、このデジタルの技術を活用しながら、デジタル庁、それから財務省、国税庁、さらには厚労省、様々な給付も行っています厚労省、連携しながら、こうした基盤をつくって、所得を正確に把握する仕組み、これを考えていく、そうしたときが来ているんじゃないかというふうに思いますけれども、岸田総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 昨年の経済対策においても、児童手当の仕組みを活用した子育て世帯への給付、また、住民税非課税世帯に対する給付金について公金受取口座登録法に基づく特定公的給付に指定することによって、自治体が児童手当の受給資格あるいは課税情報等を活用して迅速な給付を実施できるようサポートした、こういった取組を進めてきました。

 政府としましても、有効かつ効率的な支援を実施するために、法人や個人の状況をいかに正確、迅速に把握でき、迅速な給付ができるか、これは重要な課題だと考えます。今回活用した仕組みなども活用しつつ、デジタル化によって、技術、そして、国民の意識も随分と今変化をしています。そういった変化もしっかりと捉えながら、何ができるのか、政府としても、デジタル化の活用を最大限考えていく、これは大事な姿勢であると思います。是非、政府としても、そういった思いでデジタル化を活用していきたいと考えます。

西村(康)委員 是非、新たな技術、どんどん技術の進化が進んでおりますので、活用しながら、そうした方向性、党の方でも議論をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 残りの時間、新しい資本主義について少し議論したいと思います。

 総理は、デジタル化、気候変動への対応、格差への対応、経済安全保障などを新しい資本主義の内容として掲げられており、まさに早急に進めなければならないテーマだというふうに思います。

 私も、大臣在任時の昨年一月の経済演説で、デジタル、グリーン、ヒューマンという三つのニューディールを主張し、特に、総理おっしゃるように、人への投資の重要性も言及をさせていただきました。

 私、この新しい資本主義の柱として、特にデジタルやグリーンの変革に応えていくためには、昭和、平成のやり方から脱却して、令和の時代にふさわしい新しい経済、社会の仕組みをつくっていく、このことが大事ではないかと。

 三点、簡潔に申し上げますが、一つは、やはり、男性中心、特におじさん中心の経済、社会であったわけでありますので、女性、若者、多様な人材を登用し、その発想を生かしていく、それが一点目。

 二点目に、昭和、平成、ずっと続いているデフレから脱却する。いいものを、付加価値の高いものを高く売るということ。デフレの脱却、これが二点目。

 三点目に、昭和、平成の時代は、自前主義で、全部自分のところでやってきましたけれども、そうではなくて、オープンイノベーションで、ベンチャーとも組む、いろんな企業と組んでやっていく、この姿勢。自前主義から脱却する。

 昭和、平成のやり方、三点挙げましたけれども、これを脱却して、私なりに言いますと、令和の時代の経済政策ですので、レイワノミクスともいうべき、新しい令和の時代の経済、社会の構造をつくっていくことが大事ではないかというふうに思います。

 そして、今、オープンイノベーション、申し上げましたけれども、それを起こしていくために大事なことは、私は、やはり規制改革、様々な規制を取り除いて新しい人がチャレンジしていく、企業が挑戦をする、それを進めていくのが大事だというふうに思います。

 総理に、この規制改革への強い思いを是非語っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 私が今主張している新しい経済モデルにおいても、成長戦略ということにおいて、デジタル、気候変動等の社会的な課題、ここに投資を集めて成長のエンジンにするということを申し上げております。

 その中にあって、例えばデジタルということを考えた場合においても、デジタルの活用においては、デジタル自体の改革と併せて規制・制度改革、これも重要だということも申し上げています。更に言うと、行政改革。デジタル改革と規制・制度改革とそして行政改革、この三本、これを三位一体で進めることが改革を進めていく上で重要であるということを申し上げております。

 そういった意味で、成長戦略を進めていく、そして、今まで社会的な課題、日本の弱みとされている部分を成長のエンジンに換えていく、こうした取組を進める中で、御指摘の制度改革、規制改革、これは大変重要な取組であると考えています。

 今申し上げたデジタルにおいても、四万以上ある法令、通達について、適合性を点検し、そしてデジタル技術を活用する方策を具体化する、こうした一括見直しプランを今年の春にもしっかりまとめたいと思っています。

 このように、各分野において、御指摘の制度改革、規制改革、しっかり取り組んでいきたいと考えております。

西村(康)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 先般、岸田総理は、予算委員会で、この委員会で、株主資本主義からの転換ということをおっしゃられて、様々解釈はなされておりますが、私なりに解釈しますと、企業の収益は、当然株主にも還元されますけれども、そのためだけではなくて、従業員の皆さんの賃上げとか、あるいは将来への投資とか、あるいは取引先とか、いわゆる、日本流に言えば三方よし、自分もいい、株主もいい、取引先もいい、従業員もいいという三方よしですね、こういった精神で収益を配分する。国際的にはステークホルダー資本主義というふうな言い方をされていますけれども、格差是正や環境問題も含めてですけれども、会社だけがいいわけではなくて、社員も、株主も、仕入れ先も、顧客も、みんながプラスになって、長期的な、持続的な成長を目指す、こういうふうに解釈をさせていただいております。

 ちょっと時間がなくなっておりますので、今日せっかく来ていただいているので答弁をお願いしたいと思いますけれども、この中の取引先への還元についてです。

 もう中小企業の皆さんは、原材料費が上がる、さらに賃上げもやらなきゃいけないという中で、自助努力だけではどうしようもない状況になってきています。大手企業がやはりその価格上昇分をしっかり受け止めるということで、調達価格を引き上げていくことが大事だと思います。

 私が担当閣僚をしておりましたときから、パートナーシップ構築宣言、しっかりと価格転嫁の要望を受け入れていくという宣言をしてもらっていますが、現在、五千六百社を超える企業が宣言をしてくれておりますけれども、経団連企業千五百社のうち、かなり少ないのではないかと思いますし、また、関経連、関西経済連合会の企業は約千社あると思いますが、どの程度宣言を行っているのか。

 また、今日は宗清政務官に来ていただいていますが、宗清さんは、東大阪、中小企業の町を選挙区としておられて、まさに中小企業の厳しい声を聞いておられると思います。是非、大手企業、親企業がこういった中小企業の要望を受け止めていく、調達価格を引き上げていく、その決意も併せてお伺いできればと思います。

宗清大臣政務官 お答え申し上げさせていただきます。

 パートナーシップ構築宣言につきましては、西村先生が経済財政政策担当大臣をされていたときに、当時の梶山経済産業大臣との連携の下で、企業が自ら適正な取引を宣言する仕組みとして令和二年五月に創設されたものでございまして、大企業と中小企業の共存共栄を図っていく上で大変重要な施策であると認識をいたしております。

 パートナーシップ構築宣言を行った企業数は一月末現在で五千社を超えておりまして、確実に拡大をしております。お尋ねの経団連につきましては、一月末時点での数を確認いたしましたところ、約二百二十社と聞いております。同様に、関西経済連合会につきまして、宣言をいただいている企業数は約百社と聞いております。

 こうした中、多くの取引先を抱える大企業につきましては、特にパートナーシップ構築宣言の意義を深く御理解いただき、宣言企業が一層拡大することが重要であると考えておりまして、政府といたしましても、経済産業省ほか各事業所管省庁と連携をしつつ、経済団体や業界団体を通じて傘下企業への周知と働きかけに繰り返し努めているところでございます。

 さらに、山際大臣と萩生田経済産業大臣の共同主宰の下、経団連会長もメンバーとなっていただいております未来を拓くパートナーシップ構築推進会議におきまして、宣言企業の拡大に向けた今後の取組について議論していく考えでございます。

 私自身も、地元の経済界へしっかりと働きかけを行ってまいります。

西村(康)委員 是非先頭に立って頑張っていただきたいと思いますし、経団連企業のうち二割もいかない、関経連の企業のうち一割しかいかない。もう徹底的に大企業に働きかけをしていただいて、価格転嫁を受け入れる、賃上げを引き受ける、そして自分たちの製品も上げていく、いいものを高く売る、そうしていかないとデフレから脱却できませんので、是非働きかけを強化していただければと思います。

 公取委員長、来ていただいていますので、公取、こうしたことに積極的に取り組むという決意だけ、一言言っていただければありがたいと思います。

古谷政府特別補佐人 昨年末に、関係省庁が連携をいたしまして、転嫁円滑化施策パッケージというのを取りまとめました。その中で、私ども公正取引委員会がやるべきことは、独占禁止法それから下請法の運用を強化するということであろうかと思います。

 そのために、取引上の立場の弱い下請業者の皆さんからは、取引の継続についての懸念ですとか、報復のおそれなど、いろんな不利益を受けて情報提供をためらうといった事情もありますので、公正取引委員会として、匿名での情報提供を受け付けるホームページを設置するなどしております。

 より幅広い実態把握ができる体制を整備しておりますので、こういうことを踏まえまして、私どもの運用の強化というのは適正な転嫁を実現するための取引環境を整備するということにつながるんだと思いますので、これまで以上に公正取引委員会としての運用、執行の強化に努めてまいりたいと思っておりますので、是非、下請の皆さんからも情報を公正取引委員会の方に臆することなく提供をしていただけると、運用の強化にそれがつながると思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

西村(康)委員 是非、公取、リーダーシップを取っていただいて、徹底的に対応していただければと思います。

 女性の正規雇用の拡大とか、あるいは生産年齢人口も六十九歳までで考えるとかなり見える姿が変わってくるということも少し御議論しようと思いましたけれども、時間となりましたので、これで終わりたいと思います。

 いずれにしましても、令和の時代の新しい経済、社会をつくっていくレイワノミクス、是非、新しい資本主義という岸田政権の旗印、積極的に、大いに推進をしていただければと思います。

 終わります。

根本委員長 この際、今枝宗一郎君から関連質疑の申出があります。西村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今枝宗一郎君。

今枝委員 自民党の今枝宗一郎です。

 本日は、初めて予算委員会のコロナ対策集中審議の質疑に立たせていただきます。先輩また同僚議員に心から感謝を申し上げたいと思います。少々緊張していますが、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、まず、コロナで亡くなられた方々に心からお悔やみを、また、現在も闘病中の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、コロナ感染が拡大した二年であります。大変な御苦労をおかけしてきましたが、それでも、医療そしてまたエッセンシャルワーカーの方々には大変な御尽力をいただいてまいりました。また、国民の皆様には、コロナ禍、大変厳しい中、社会経済を動かし、また家庭を守り、勉学に励んできていただきましたこと、また、今も耐え忍んでいただいております。心から感謝と敬意を申し上げたいというふうに思います。

 それでは、早速質問に入ります。

 先ほど西村理事が特措法関連また経済対策関連の質問をいたしましたので、私からは、医療、感染症対策等について重点的に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、オミクロンの特徴といたしまして、感染力が非常に強く、昨日も火曜としては過去最高の感染者が出てしまったということは御存じのとおりであります。もちろん、感染を抑えるために、我々自身、徹底して努力をしなくてはいけません。しかし、重症者が、増えてきているとはいえ、これまでに比べて少ないというのも事実であります。

 このオミクロン、人間の肺細胞にはどうやら結合しにくいということで、肺炎になりづらい、重症化もしにくいということがだんだん分かってきております。

 実際、データといたしましても、アメリカではCDCのワレンスキー所長が、ICU入室リスクが四分の一、また死亡リスクが十分の一になるというデータを示しております。また、EUでは、入院が発症の約一%、ICU入室や人工呼吸管理、これは重症化と読み替えてもいいと思いますが、約〇・一%、また、致死率が〇・〇一%というようなデータもございます。

 一方、インフルエンザは、毎年約一千万人の方が感染をされ、死者は最大四千人程度、致死率は最大〇・〇四%となります。

 まだオミクロンなどは致死率の研究が少ないので、今後変わっていく可能性もありますけれども、重症度がどうやら今の段階ではかなり低いというのは間違いないことだと思います。

 十倍の感染者が出れば、重症化率が十分の一でも同じだけ重症者数が出ますので、感染拡大防止に気をつけなければならないということは、これは変わらないわけでございますけれども、対策を行う上では、このオミクロンの特徴というものをきちっと冷静に見て進めねばならないと思います。

 そこで、まず総理にお聞きをいたします。

 これまでのデルタの対策とは異なる、オミクロンの特徴に合わせた対策を行っていくのだという決意をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、これからの対策を考えましても、オミクロン株の特性、これをしっかり踏まえたものを考えていかなければならないと思います。

 このオミクロン株の特性を踏まえ、従来からも、まずは命を守ることを第一に、入院体制をしっかり動かすこと、また、軽症で自宅療養される方の不安に応え、万一症状が悪化した場合にもすぐ地域医療が対応できる体制を構築すること、また、社会経済活動をできるだけ止めないこと、こういったことに重点を置いて対策を進めているところですが、今後も、感染拡大の防止と社会経済活動を維持する、この二つのバランスをしっかり考えていかなければならないと思っています。

 こうした観点から、科学的根拠に基づいて、濃厚接触者の待機期間、これを見直ししてきたところでありますし、また、自宅療養においても、保健所を通さずに、健康観察ですとか、パルスオキシメーターですとか、経口治療薬、こういったものにアクセスできる、こういった体制を用意するとか、さらには、行動制限についてもめり張りの利いたものにしなければいけない。様々な工夫をしてきたところであります。

 今後とも、感染状況、また科学的な知見、この蓄積を踏まえつつ、専門家の意見も伺いながら、臨機応変に対応していきたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 オミクロンのまさに特徴に合わせた対応というのを、今決意とともに御披瀝をいただきました。これというのも、外国人入国停止をしっかりとやっていただいて、水際対策をやっていただいて、諸外国に比べて一か月半ほど、大体、感染拡大の時期というのを遅らせた、このことでオミクロンの特性をきちっと把握をしていただいたことで、こういったたくさんの政策に結びついているのだというふうに思います。

 そこで、まず、このパネルを見ていただきたいんですけれども、これは各国の感染者を表す推移であります。

 かなり多くの国で、外出自粛やロックダウンなどを行っていないにもかかわらず、感染が、増えるときは勢いがいいんですが、その後ピークアウトをしております。もちろん、ピークアウトまで多くの感染者が発生をし、日本と比べるとどれだけ多いかというのを分かっていただけると思いますが、我が国と、医療崩壊のような状況とは、全くレベルが違うような深刻な状況になっていたりも海外はいたします。例えば、世界一大病院が集まるマサチューセッツ州では、ICUが本当に全部埋まってしまって、新たに誰もICUに入れない、それで多くの方が亡くなってしまったりもしておりました。

 一方、このオミクロンで、亜種でございますBA・2というのが今出てきております。アドバイザリーボードの西浦教授の推計では、実効再生産数Rはデルタの約一・九一倍で、従来のオミクロンのBA・1の一八%増であるそうでございます。そして、重症度は、どうやらこのBA・1と大して変わらないというようなものだということであります。

 デンマークでは、従来のオミクロンの波の後に、このBA・2の感染の波が再度来ております。そして、ドイツについては、実はイギリスと同様に三回目のワクチン接種がかなり高い水準になっているんですが、まだピークアウトしていないということもあります。

 ですので、よくちまたで言われる、自然と感染がピークアウトするので安心だということではなくて、今後も、オミクロンの流行している限りはしっかりオミクロンの対策を行っていくんだということがやはり非常に重要であるというふうに思っております。

 そこで、具体論に入ってまいりますが、入院療養体制につきましてお聞きしていきたいと思います。

 先ほど言った、オミクロンの特徴である重症化リスクの低さ、これによれば、やはり健康な若年者の方は、私は自宅療養が一番適しているのではないかというふうに思っております。もちろん、割合が低いものの、急に悪化をする方がいらっしゃいますから、こういった方々にすぐに入院してもらえるような必要がありまして、ここが担保されるということが最も重要であるというふうに思っております。

 自宅療養の健康観察などをしていただける体制というのがこれまで以上に、昨年以上に今は非常に大事になっていますし、増やしていかねばならないというふうに思っております。

 そのために、このオミクロンをまさに水際対策で一か月半遅らせていただいたこの間に、自宅療養支援の医療機関を約三割、一万六千まで今増やしていただいていると思います。さらに、現在約三万五千ある発熱外来、これも増やしていく必要がございます。

 そして、昨日、後藤厚労大臣も、まさにこの呼びかけといいますか要請というものも医療界にもしていただいたところであると思いますけれども、この呼びかけのみでは、今までなかなか、ちょっと増えてこなかったというような実際の状況もありますし、また、この一万六千の自宅療養のまさに健康観察を支援する医療機関、これももっともっと一気に増やしていく、更にまさにブーストをかけていく必要が今あると思っております。

 じゃ、どうするかでありますが、呼びかけのみならず、やはりインセンティブづけ、財政支援というものを併せてセットでやっていく必要があると思います。

 例えば、現在、ネットで公表している発熱外来には、院内トリアージ実施料の特例措置として診療報酬の五百五十点、余分につけていただいておりますけれども、これを、例えば、ネット公表でなくとも、きちんと発熱外来、検査に協力していただけるのであればこの特例措置をつけるとか、また、昨年の十二月に下がってしまったPCRや抗原検査の診療報酬を元に戻すなども考えられます。もちろん、患者さんの自己負担分は、これは公費で継続すれば患者さんの負担は上がりませんので、こういったこと。

 いろいろ例を挙げましたけれども、財政支援、インセンティブづけを行って、外来や自宅療養支援の医療機関を増やし、国民の皆さんの安全を確保していくということに関してお考えをお聞かせいただければと思います。

後藤国務大臣 これまで医療機関に対しましては総額六・八兆円の予算を確保してきたわけでありますけれども、今委員御指摘のように、発熱外来を担う診療・検査医療機関に対する対応などは特に重点的にもやっておりまして、医療機関における体制整備の補助など各種支援を通じて、二千か所だった医療機関を三万五千か所に拡充したところでございます。

 また、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を行った場合の診療報酬の特例的な評価の拡充、そうしたことも行っております。

 また、診療・検査医療機関等による自宅療養者の健康観察につきましては、健康管理フォローアップに係る費用を支援する、これは緊急包括支援交付金でやっておりますし、また、昨年秋以降、自宅、宿泊療養者への往診について、診療報酬上の特例的な措置を拡充をしております。

 昨日、御指摘をいただきましたように、日本医師会長に対しまして診療・検査医療機関の拡充をお願いして、改めて、こうした取組をしっかりと進めるように、連携を図って進めていきたいと思います。

今枝委員 ありがとうございます。

 是非、今後の状況に合わせながら、財政支援もまた御検討いただければと思います。

 では、続きまして、保健所の在り方について質問いたします。

 歴史的に、我が国の保健所、保健行政というのは、例えば肺結核をいち早く止めてきたなど、様々な成果を上げてきたものだと思っております。感染力が一定程度で、命に関わるほど重症化しやすいような感染症への対応というのが非常に伝統的に強いのではないかなというふうに思っております。

 少ないうちにいち早く感染者を特定して、濃厚接触者も含めてしっかりと特定をし、少数の感染症病棟に全員入院で治療管理をしていく。また、レトロスペクティブな調査、追跡を得意として、それが、コロナ禍においては、初期のクラスター対策ですとか、また三密概念の早期発見につながってきて、日本がこれまで諸外国に比べても死亡率は低く、さらに、感染拡大防止に貢献をしてきたというふうに思っています。

 しかし、今回のオミクロンのように、感染力が非常に強くて、また全員入院の必要がないほど重症化率が低いウイルスですと、やはり対応が変わっていくと思いますし、保健所に求められる役割も変わっていくと思います。

 入院の判断というのは、当然、感染すれば即入院と保健所が判断するわけではなく、ほかの医療のように、臨床の医師が入院治療の適応があるかどうかを判断すべきでありますし、自宅療養も、入院ができないから自宅療養にさせられたとか、医学的に入院適応でない人がするものということをやはり徹底をすることによって、今申し上げたような不安というものもなくなるのではないかなというふうに思っております。

 もちろん、急激に悪化したときのことを考えて、健康観察の対象になっているということは、きちんとこれは担保する必要がありますけれども、こういった流れをしっかりつくっていく、また国民の皆さんに示していくということが必要ではないかなと思っております。

 とにかく、防疫、公衆衛生よりも、医療、十一万にも及ぶ医療機関が前面に出るような体制で、早期発見、早期治療、自宅療養、健康観察を行っていくということ、そして、保健所も、今言った自宅療養に対する支援ですとか健康観察を補佐していくこと、これを中核にしていくべきではないかというふうに思っておりますので、是非とも、このオミクロンに対しての保健所の対応、デルタとはこういうふうに役割も変わっていっているんだ、こういうふうにやっていくべきなんだということに関してお聞かせいただければと思います。

後藤国務大臣 今、今枝委員の御指摘のとおりでございまして、新型コロナウイルス感染症の対応に際しては保健所が中心的な役割を果たしてきたところでございますけれども、オミクロン株の評価も踏まえつつ、これまで全体像で準備してきたものでもありますが、医療体制をしっかりと稼働させていくことが今後の対応の基本であるというふうに考えておりまして、健康観察、診療を実施する医療機関について、昨年十一月末時点の一・二万から一・六万に、また財政支援も、先ほど申し上げたような支援等も通じまして、しっかりと、保健所のみに頼ることのない体制の構築に、しっかりと医療と連携を取りながら、今後とも体制を整えていくように支援をしていきたいと思います。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 では、続いて、検査についてお聞きをしていきます。

 現在、若年の家庭内の濃厚接触者の方が発熱したときなど、検査を実施せずに、医師が電話とかオンライン診療でコロナと診断をしても認めてよいことというふうになっております。

 これは、一月二十日の段階で既に、感染症の専門家有志の方々の提言案がありまして、この中では、コロナの検査をせずに臨床症状のみで診断を行うことを検討する必要があるというふうに書かれていたというふうに記憶しておりますけれども、エビデンスを重視する立場として、臨床症状のみでコロナだと診断し得る、こういった確からしさをどのように考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

後藤国務大臣 国立感染症研究所の調査によりまして、オミクロン株の家族内二次感染率が三一%から四五%と、従来株やデルタ株と比較して高いということが示されておりまして、アドバイザリーボードにおいても、オミクロン株はデルタ株に比べ二次感染リスクが高いことが確認されているという評価がなされております。

 また、一方で、感染者が更に急増した場合に外来医療等が逼迫する可能性があり、外来医療の機能不全を防止するために、患者の状態等に応じた受診や診断の具体的な在り方も検討する必要があるといった議論もございました。

 こうした評価や議論を踏まえまして、感染症への対応は、原則、検査をいたしますけれども、同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、こうした評価を踏まえまして、医師の判断による、検査を行わなくても、臨床症状をもって診断することも可能であるということをお示ししたところであります。

 引き続き、科学的知見や感染状況を踏まえた診療の在り方については検討していきたいと思っております。

今枝委員 ありがとうございます。

 ちまたでは、検査の逼迫でこういうことを考えたんじゃないかみたいなことを、やゆするような意見もあるんですが、そうではなくて、きちんと科学的知見に基づいてやっているということがよく分かりました。

 続いて、コロナの治療薬につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど西村理事からも、いわゆる国産の内服薬についてのお話がございました。

 もちろん、今承認されているモルヌピラビルについては、これは、約三割、入院ですとかいわゆる重症化リスクを抑えるということで、現場に届けるべく様々な目詰まりも今解消いただいて頑張っていただいておりますし、また、ファイザーが研究をしておりました新しいパクスロビドにつきましては、これはモルヌピラビルの三倍効果がありますから、こういった海外のものをしっかりと、一日も早く患者さんたちに届けていくということも非常に大切でありますが、やはり国産の内服薬を早く実践していく、実用化していくということも非常に大切であります。

 フェーズ2のかなりいいデータがおととい出ましたので、やはりこれは、統計的にきちんと有意である治験計画に変えていくということは可能だと思いますから、早い段階で承認していくということも考えられるというふうに思っておりますので、是非これはお願いをしたいと思っています。

 私からの質問としては、年度内に百万人分ぐらい生産をしてお渡しをしていく、供給していくということでありますけれども、是非ともこれは早く契約をいただいて、備蓄、買取り、こういったものをきちんと担保することによって、早く届けられるような、そんな工夫をしていただきたいなということと、あと、今回のコロナの内服薬の治験において、我が国でやるときに非常に苦労したことがあります。それが症例集めであります。

 特に、感染が落ち着いていた昨年の秋から冬にかけての時期でありますけれども、私ども自民党の新型コロナ対策、医療の議員たちで構成されます本部もありまして、ここでも、とある内服薬の治験を進めていたんですけれども、やはり症例の確保が非常に苦労いたしまして、症例の確保を支援した、東京都立病院とか医師会にも協力をしてもらったという経緯があります。

 今後は、国としても、財政支援は今までやっていただいているんですが、それ以外にも、例えば国立病院機構などに症例集めに御協力をいただくですとか、また、それだけでなくて、例えば、今回のコロナであれば、ホテルで療養されている方も数多くおられます。こういった方々を、こういう施設でも治験を可能にするとか、又は治験の受入れ施設のIRB申請をいわゆる迅速化するなど、様々な有事における治験の円滑な実施のための体制の構築というものを是非ともやっていくべきかというふうに思いますけれども、お考えはいかがでしょうか。

後藤国務大臣 幾つか御指摘はあったと思いますけれども、塩野義製薬の経口薬、今、国内第二、三相試験が実施中でありまして、治験費用の補助などをしておりますけれども、しっかりと今後それを支援すると同時に、申請があった場合には、優先かつ迅速に審査を行いまして速やかに承認の手続を取っていくように、しっかりと治療薬の確保にも努めてまいりたいというふうに思っております。

 それから、変異株のワクチンの評価等につきましても、これもしっかりと、本年分のワクチンとして、これが変異株として、承認されれば、この確保についてもしっかり努めていきたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 オミクロン用のワクチンについても、次の質問で実はやらせていただこうと思ったんですが、先んじてお話をいただきました。しっかり進めていただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 ここでちょっと、いわゆるオミクロン用のワクチンについて、もう少し詳しくお聞きしたい点があります。

 それは、二十五日にファイザー、また二十六日にモデルナがオミクロン用のワクチンの臨床試験を実際に始めたわけでありますけれども、今の段階で、我が国、三回目の接種率というのが低いというのは事実だと思います。もちろん、少しでも多く、早く希望者の方に届けるように努力をいただきたいというのはもちろんなんですが、これは、やはり一番大きな要因は、二回目の接種から一定期間を当然置かなくちゃいけないわけでありますから、これが要因であり、さらに、元をただせば、一回目のワクチン開始が数か月諸外国より時間がかかっていたというのが、これがやはり一番大きな要因であるというふうに思っています。

 では、何で昨年の一回目がちょっと遅かったのかといいますと、特に一昨年の秋から昨年の初頭に関して、諸外国と違って、我が国の感染というのは非常に低い水準で抑えていたわけであります。このこと自体はすばらしくいいことなんですけれども、やはり、ほかの国では、感染拡大があったので、臨床試験の結果が早く出るんです。一気に広がっているところであれば、ああ、ワクチンを打ったからこれだけ差がありますねというのが早く結果として出ます。ですが、我が国ではそうはいかなかったわけであります。

 それにもかかわらず、我が国の中で臨床試験をしなくちゃならないとこだわった方々というのが一部いらっしゃいまして、それによって、ほかの国で日本人は臨床試験の中に入っていたんですけれども、しかし、我が国でやらねばならぬというような強い意見があったものですから、やはり時間がかかってしまったというのが実態だったというふうに思っております。

 このようなことが二度と起こらないように、変異ウイルスのワクチンが開発されたときには、実は、新たな国内試験を実施原則不要とするようなガイドラインを昨年の九月に出していただいていると思います。このオミクロンのワクチンは、まさにこのガイドラインの適用になるのかどうか。

 オミクロンが収まったとしても、BA・2のリスクもあります。さらに、新しい変異ウイルスのリスクもありますから、このオミクロンから派生していくことを考えれば、オミクロン用のワクチンが効くという蓋然性がやはり高いものですから、これをやっていくために、このガイドラインをちゃんと使えるかどうかということの確認をさせていただきたいと思います。お願いします。

後藤国務大臣 今の委員が御指摘になりました変異株ワクチンの評価の考え方につきましては、国際的な整合性も踏まえた上で、二〇二一年四月にPMDAから発出されております。この評価の考え方は、変異株ワクチンと親ワクチンとの間で中和抗体価が同等であるとの確認を基本とするものでございまして、この考え方については、オミクロン株対応のワクチンへも適用可能であると考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 本当に、コロナの、まさにオミクロン用の対策というのを、総理の決意表明から含めて、実際に行っていただいている、こういうことがよく分かりました。

 また、山際大臣も、担当大臣として、これまでよりも両立というものが非常に求められる、非常に難しいハンドリングかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ここまでオミクロンの対応をやっていただいておりますので、我々一人一人も、しっかりと接触機会を減らさなければ感染が下がっていかないというような状況であれば、やはりその努力というものをもっともっと取り組んでいきたいというふうに思いますし、そのときは、総理、また経済支援というものを更に強化をする必要もあるかもしれませんので、そのときは是非お願いをしたいというふうに思います。

 さて、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、済みません、順番をちょっと変えさせていただきまして、自動車産業の未来について。

 これは、新しい資本主義においても、やはり産業政策、成長戦略も非常に大事だということで、産業政策をちょっと見ていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、自動車産業でありますけれども、製造品出荷額が六十兆円を超えて製造業の二割程度、雇用も五百五十万人ということで全体の一割近くと、極めて重要な産業であります。

 総理は、新しい資本主義の成長戦略の中で、よく気候変動対策ですとかグリーンの重要性というのをお話しされておられますけれども、確かに、カーボンニュートラルまた脱炭素というのは、地球環境、持続可能に人間社会、人類社会を守っていくために非常に重要だと考えております。

 ただ、その中で、いわゆる電気自動車、EV、これはよく報道もされますので、カーボンニュートラルの自動車というとイコール電気自動車しかないのかな、ほかのものを進めていると、カーボンニュートラルに否定的なんじゃないかなみたいなことを感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実際、電気自動車にも、蓄電池の開発、また、そのための原材料であるレアメタル、これは非常に国によってかなり偏りがありますから、そういった特定の国に依存しなくちゃならないとか、航続時間にも課題があるとか、いろいろと課題があるのも事実だと思います。

 特に、世界各国が電気自動車しか走らせないというような規制を予定しているのは、それは、自国の自動車産業でこれを伸ばしていこうというようなところがあるんじゃないかというふうなことをやはり我々は感じるわけであります。

 すなわち、エンジン、内燃機関というのは、日本など先行メーカーの技術力に追いつくのに参入障壁が非常に高いので、EVのようなモジュール型、いわゆる参入障壁が低いものでシェアを取っていこうじゃないか、こんなことを考えているんじゃないかなというふうに思いますので、こういった、自国の自動車産業に有利なように、EV一辺倒というような流れをつくっているように見受けられます。

 ですから、我が国がこのEV一辺倒という流れに対して乗っていくというのは、自国の産業、雇用が不利になるということだけでなくて、カーボンニュートラルの実現にも課題がいろいろあるというところでありますから、私はその必要はないんじゃないかなというふうに思っております。

 我が国の現在の姿勢としては、ハイブリッドやPHEV、また、水素で走るFCVですとか、内燃機関のエンジンをそのままにして燃料そのものの脱炭素化を図っていくEフュエルの推進など、多様な選択肢を追求していくことが重要だと考えます。

 こういった中で、実際に、我が政府は、英国主導で進めている一〇〇%ゼロエミ車化宣言には、米国やドイツとも連携していただいて、署名をせずに、我が国の国益に鑑みた外交交渉も行っていただいていると理解をしております。

 そこで、総理、カーボンニュートラルを目指しながら、自動車産業やそこで働く一人一人の雇用、所得を守るためにも、軽々にEV一辺倒の流れには乗らない、今言ったようなルールメイキング、外交交渉から、自動車産業への思いも含めて、お話をいただければと思います。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、自動車産業は、製造業の出荷額の二割、そして雇用の一割を占める基幹産業であり、我が国の経済の牽引役を担っていただいております。世界的な脱炭素という大きな環境変化の中でも、引き続き、我が国の自動車産業が国際競争力を維持し、強化し、世界をリードしていく、これは大変重要であると認識をしています。

 その中にあって、我が国は、二〇三五年までに自動車新車販売で電動車一〇〇%という目標を掲げているわけですが、その中で電気自動車も有力な選択肢の一つであると考えており、蓄電池の技術開発等に取り組んでいこうと思いますが、電気自動車だけでなく、燃料電池自動車、あるいは燃料の脱炭素化など、多様な技術の選択肢、これを追求していくというのが我が国の基本的な立場であると認識をしております。

 その実現に向けて、次世代電池モーターに加え、水素あるいはEフュエルなどの開発、これを進めていきたいと考えております。

 さらには、これらのイノベーションの成果、これを急速な経済成長が期待できるアジアを中心に普及させていく、さらには、こうした方針を国際的なルールメイキングの場でも積極的に打ち出していく、こうしたことによって、国際競争においても有利な立場を築いていきたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。非常に力強いお言葉をいただきました。

 今お話をいただいた中で、多様な選択肢の中で、FCV、これの水素に関係してちょっとお聞きをしていきたいというふうに思います。

 水素にもいろいろありまして、グリーンとかブルーとかグレーとかいろいろあるんですが、最近、ターコイズ水素というものが実は注目をされています。ターコイズ水素は、CH4、つまりメタンから水素を取り出す技術でありまして、大気に放出してしまうと脱炭素に反してしまう、このCを固形物として出していくというものであります。最近、住友化学さんなんかも開発に着手をいただいたりもしております。

 このターコイズ水素が実用化できれば、これまでずっとエネルギーの輸入国であり、安全保障上も一貫して不利な状況にあった我が国がエネルギー大国になれる可能性が出てまいります。というのも、世界第六位の排他的経済水域を持つ我が国周辺の海域、その海底にはメタンハイドレートが非常に多く貯蔵されているからであります。

 このメタンハイドレート、私もこれまで推進をずっと訴えてまいりましたけれども、二〇二七年までに、民間企業が主導するプロジェクトが開始されることを目指して、今、技術の開発を進めていただいております。アメリカのシェールガスがある中で、コストが見合わないだろうとか、いろいろ批判をする方もいらっしゃいますけれども、ターコイズ水素と組み合わせることができれば、メタンの需要もこれまで以上に上がり、コスト問題も解決しやすくなるのではないかなと考えております。

 ターコイズ水素や、また、ブルー水素でもいいんですけれども、我が国固有のエネルギー、国内資源であるメタンハイドレートを水素製造に活用して、我が国固有のエネルギー由来の水素製造基盤を確立すべきと考えます。グリーンイノベーション基金ですとか、国の様々なファンドや研究開発支援策をフル活用して、是非こういったところを最重点分野として徹底推進いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 水素は、再エネ由来の電気による水の分解のみならず、天然ガス等の化石燃料からの製造など、様々な製造源、製造方法が存在しますが、発電、産業、運輸など、幅広い分野の脱炭素化に資するため、カーボンニュートラルの実現に不可欠です。他方で、足下では、製造、運搬、利用技術の確立などに取り組む必要がございます。

 まず、御指摘のメタンハイドレートは、水素原子を含む化合物であるメタンを含むものでありますが、国際情勢に左右されない安定した国産エネルギー源として、二〇二七年度までに、民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指して、可能な限り早期に成果が得られるように、現在、技術開発を推進しているところです。

 そして、委員御指摘のいわゆるターコイズ水素に関する技術、すなわち、化石燃料を水素と炭素そのものに分解する技術については、二酸化炭素を排出しないことに加え、炭素についても有価物になり得るため、現在、コストダウン等に向けて研究開発を進めているところです。

 また、ブルー水素についても触れていただきましたけれども、化石燃料と高温の水蒸気を反応させて水素を製造するものであり、その際には二酸化炭素が発生することから、その二酸化炭素を回収、貯留するCCSの事業化が必要不可欠であります。

 これに向けては、技術的確立、コスト低減、適地開発などの環境整備など、多くの課題があることから、今年中にも長期のロードマップを策定し、課題解決に向けた取組を官民で連携して進めていくこととしています。

 これらの技術開発の状況も踏まえ、水素の原料としての利用も視野に、引き続き、メタンハイドレートを含む国内資源の開発を推進しながら、水素の利活用に向けて政策を総動員してまいりたいと思います。

今枝委員 どうも丁寧な御答弁ありがとうございます。

 是非とも、これまでとは次元の違うレベルで、このターコイズ水素、若しくはブルー水素プラスメタンハイドレート、これはセットで、一体となって御推進をいただければと思います。

 そして、もう一つ、Eフュエルについてお聞きをしたいというふうに思います。

 CO2と水素を合成して製造するEフュエルは、水素と大気中の、また産業由来のCO2を資源として活用して製造をいたします。先ほどのターコイズ水素を活用すれば、カーボンニュートラルに大きく近づくとともに、内燃機関、エンジンや、また現有のガソリンスタンドネットワークも活用できるという非常に大きな利点がございます。今後十年で集中的に技術開発また実証を行い、二〇四〇年までに商用化を目指すと現在されております。

 しかし、二〇四〇年まで商用化が時間がかかってしまうと、我が国でも、先ほどお話ししたとおり、二〇三五年には新車の販売は電動車のみとなりますし、ハイブリッドやPHEV等が入るとはいえ、今全国津々浦々で頑張っていただいているガソリンスタンドネットワークが、この二〇四〇年まで待っていては厳しい影響を受けるかもしれません。

 是非とも、この二〇四〇年商用化を更に前倒しできるように、政府内でも、こういうことができるんじゃないか、ああいうことができるんじゃないか、こういうことを真剣に検討して、できるだけ進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、Eフュエルは、カーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献するだけではなくて、内燃機関や既存のガソリンスタンドのネットワークが活用できるという利点があると認識しております。

 昨年六月に閣議決定された成長戦略実行計画においては、「CO2と水素の合成燃料について、技術開発・実証を今後十年間で集中的に行い、二〇四〇年までの自立商用化を目指す。」とされており、これに向けて、本年一月からは、二兆円のグリーンイノベーション基金を活用したプロジェクトの実施者の公募を開始をしました。

 まずはこうしたプロジェクトなどを着実に進めることにより、可能な限り早期の商用化が実現できるように取り組んでまいりたいと思います。

今枝委員 どうもありがとうございました。

 是非、前広に検討を続けていただきたいというふうに思います。このEフュエル、前段階ではバイオ燃料も非常に有望でございますので、是非とも併せて推進をいただければと思っております。

 さて、それでは、新しい資本主義と、賃上げまで行けるか分かりませんけれども、質問を、テーマを変えさせていただきます。

 いわゆる平成の失われた三十年、世界の成長に対して我が国が低成長であったことは事実だと思います。この二十五年、アメリカやイギリスはGDPで約三倍になっていますけれども、G7では比較的伸び率が低いドイツでも二倍になっておりますが、我が国は残念ながらなかなか成長ができないという状況があります。

 この中で、いわゆる格差拡大のような問題も大きくなってまいりました。

 平均年収、可処分所得もここ二、三十年伸びず、物によっては下がるものもあるぐらいでございまして、中間層の衰退がやはり大きな問題だと思います。実質賃金も、九一年から二〇一九年まで二十八年間で、米国は四一%、イギリスは四八%も伸びているんですが、日本はたった五%の伸びだったというふうに思っております。

 この影響が経済の五、六割を占める消費に及んでしまって、この消費が伸びずに経済成長もますます停滞をしてしまう、低成長から抜け出せない、こういうちょっと悪循環もあるというふうに思っております。

 さらに、この傾向というのは、我が国だけではなくて世界的にも、やはり行き過ぎた市場原理主義の中で様々な課題が出てきてしまっております。

 ちょっとこのパネルを見ていただきたいんですけれども、いわゆる世界においての労働分配率、分かりやすい国だけ抜粋をいたしましたが、アメリカは、二〇〇〇年、五六%から、一九年の五三%へ減少しています。ドイツも、二〇〇〇年の五三・四%から、二〇一九年は五二・三%に低下をしているということであります。我が国は余り変わらず、〇・四%ほどは低下しておりますけれども、我が国がましに見えるほどだと思います。

 グローバル化によって世界中がコスト競争にさらされておりまして、人件費などはできるだけ低い方がいいというようなことにグローバル化の厳しい中でなってしまっているのでしょう。そもそも、人が余り必要がないデジタル分野でのいわゆるスーパースター企業の出現も、この大きな要因かもしれません。

 これらの問題というのは、結局、企業や国自体が成長したとしてもトリクルダウンが起きにくいという問題に集約されると思います。以前であれば、大企業やいわゆるスタートアップ企業、企業が成長することによって関連企業に恩恵が至って、最終的に一人一人に恩恵がもたらされました。しかし、グローバル化や株主の影響が大きくなり過ぎて、今ではそれが通用しにくくなったということだと思います。

 そこで、新しい資本主義、なかなか分かりにくいですとか、具体論がないとか、いろいろ批判もありますけれども、こういった点に着目をして、世界でもなかなか難しいとされてきた分配の分野で新しい取組を行って、この日本の今までのモデルをモデルチェンジさせて脱却しようというふうに考えているものと私は受け取っているんですけれども、この点、総理に、分かりやすく国民の皆さんにメッセージを発していただければと思います。

岸田内閣総理大臣 新しい資本主義においては、官と民が協働して、格差ですとかあるいは気候変動といった課題を解決する仕組みをこのモデルの中にしっかりと埋め込んで、そうした課題を解決しながら成長と分配の好循環を生み出していくということを申し上げています。

 まずは、成長戦略の中で課題とされている気候変動ですとか、あるいは経済安全保障ですとか、デジタルですとか、こういった課題を成長のエンジンにしていくという形で成長を実現していく。そして、その成長の果実を幅広く分配することで新しい需要を……

根本委員長 総理、できるだけ簡潔に。恐縮ですが、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 ごめんなさい。

 そして、次の成長につなげていくということであります。

 要は、賃上げを通じた人への分配はコストではなく、次の未来への投資であるという考え方に基づいて、分配、しっかり考えていくということであります。そうした考えに基づいて、賃上げの環境整備、しっかり進めていきたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 これにて西村君、今枝君の質疑は終了いたしました。

 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 コロナとの戦いにおいて、人類は大きく二つの武器を手に入れました。ワクチンと治療薬です。医療逼迫を回避をして救える命を確実に救っていく、そのためにはこの二つがとりわけ重要になります。

 そして、このワクチンの追加接種、二回目接種から六か月以上たって追加接種を希望する高齢者の方に対して、九七%の自治体が、二月末までに予定どおり接種を完了すると回答しているということですが、総理、今のままで本当に大丈夫なんでしょうか。

 一月末時点で追加接種を終えられた方は、まだ全国民の三・五%にすぎません。一日の接種回数、ばらつきがあるものの、大体三十万から四十万です。追加接種を強力に加速する必要があります。

 そうした中で、接種体制の重要なポイントは大きく三点、物、人、そして場所です。具体的には、まず、ワクチンの確保ができていること、次に、接種の担い手が確保されていること、さらに、接種を受けやすい場所、環境が整備されていること、この三つに分解できます。

 総理、まずこの三点について、現状、どこに課題があるのか、見通しはついているのか、総理の見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、三回目の接種については、二回目の接種から一定程度の間隔を空けなければいけないということによって、我が国においてはこれから三回目の接種が本格化していく、こうした段階にあると認識をしています。

 その中にあって、委員の方から、ワクチンの供給、そして接種の担い手、そして場所の確保、この三点について御質問がありました。

 まず、供給ということで申し上げるならば、三回目の接種については、必要なワクチンの総量、これは確保されています。既に、四月までに必要とするワクチンの配分量、これは自治体にお示しをしているところです。そして、接種の担い手、そして接種会場の確保といった接種体制の構築、これは国と自治体、緊密な連携の下、積極的に自治体にも取り組んでいただいていると承知をしています。

 先ほど申し上げましたように、三回目の接種、これから本格化いたします。そして、御指摘のように、九七%の自治体において、二月末までに、対象となる、希望する高齢者への接種、予定どおり完了すると見込んでいるところであり、ペースアップ、しっかり考えていきたいと思います。

 そしてさらに、その後、一般の方々への接種に入るわけでありますが、これにつきましても、予約の空きがあれば、六か月の間隔が空いた際には順次、できるだけ多く、更に前倒しを行っていくよう自治体に要請を重ねてお願いをしたということであります。

 是非、自治体と緊密に連携しながら、政府一丸となって取り組んでいきたいと考えております。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

國重委員 ワクチンの確保はできている、ワクチンの接種の担い手、また、場所、会場の確保についても、国と自治体が緊密に連携をして進めているというような答弁であったと思います。

 その上で、総理に申し上げます。

 今週から自衛隊の大規模接種会場が再開をしておりますけれども、今週分の予約は僅か九分、来週分は接種回数を倍増したものの十五分で予約が埋まりました。予約を取りたくても取れない人が多くいらっしゃいます。昨年の自衛隊大規模接種は、東京の会場で一日一万人、大阪会場で一日五千人でした。これに対して、今回の追加接種は、東京で約二千人、大阪で千人弱と大幅に減っています。

 総理、自衛隊の本来任務等、負担は踏まえる必要はありますけれども、まずは、自衛隊の大規模接種会場でより多くの人が接種できるよう、速やかに接種能力を上げていただきたいと思います。そして、それぞれの自治体の事情を踏まえつつ、大規模接種会場の設置を要請して、体制強化を更に進めていっていただきたいと思います。

 また、例えば雪深い地域であれば、この時期、接種会場へ行けない高齢者の方たちもいらっしゃいます。巡回接種や大型バスの運行をする、国は自治体が柔軟に取り組める予算措置を含めた配慮をしていく、こういったことも重要と考えます。

 一方で、総理、予約に空きがある自治体もあります。オミクロン株は感染力が強いけれども重症化率は低いこと、ワクチン接種をしてもオミクロン株に感染する方たちがいること、交互接種のモデルナで副反応が重く出るんじゃないかという先入観、恐れ、こういったことから、追加接種を急ぐ必要はないんじゃないかという国民意識が一部で醸成されているんじゃないでしょうか。

 ただ、重症化率が低くても、感染者が急激に拡大すれば、とりわけ高齢者の重症者が増えます。医療が逼迫して救える命が救えない、こういったことがあってはなりません。

 この点、例えば東京都の狛江市では、市の広報紙で交互接種の有効性、安全性に関するPRをしています。ポイントは三点。交互接種の方が抗体価が上昇、ワクチンの種類ではなく早さが重要、モデルナ製は一回目、二回目の半分の量なので副反応は少ない、この三点です。接種券発送前にこの広報紙を配った結果、ちょっと今朝も狛江市の方に確認したんですけれども、今朝二月二日時点で六十五歳以上の高齢者の方の希望ワクチンは、モデルナ製が九五・八%、ファイザー製が四・二%、モデルナ製の希望割合が圧倒的に高くなっています。

 もちろん自治体特有の事情はあるものの、こうした具体的な取組も参考にしながら、政府として、追加接種の必要性、有効性、交互接種の安全性について、国民の皆さんの心に響くように、これまで以上に強力に発信、広報をしていただきたいと思います。

 総理、今日はテレビつきの予算委員会です。るる申し上げましたけれども、こうしたことも踏まえまして、国の総力を挙げてワクチンの追加接種を強力に推進する、一国のトップリーダーとしての見解、決意をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、ワクチンの接種に向けては、政府一丸となって、あるいは自治体、あるいは関係者の皆さんと力を合わせて全力で取り組んでいかなければならない課題だと思います。

 その中で、今委員の方から御指摘があった自衛隊による大規模接種ですが、これは国がまずしっかりとした姿勢を示す上で大変重要な取組であると考えています。

 そして、接種のペースについても、東京会場での接種能力、早急に拡大するべく今取組を進めています。そして、ペースについても、昨年は一回目、二回目の接種合わせて一日一万回でありましたので、そのペースと同様のペースで進めるために、来週には一日当たりの、接種会場、五千回程度まで拡大する、昨年と同じ、同様のペースを維持するために、来週までに一日五千回程度まで接種のペースを上げていく、こうした取組を進めてまいります。

 そして、先ほど、雪など様々な事情によって地方が苦労されておられる、こういった御指摘がありました。いずれにしても、具体的な自治体における御苦労にはしっかり思いを巡らせて、国としても支援できることをしっかり支援をしていきたいと考えております。

 そして、三点目、御指摘があった広報ですが、これは、今自治体での御努力について御紹介がありましたが、国としてもしっかり責任を持って、三回目の接種の必要性、あるいは、交互接種の有効性あるいは安全性、こうしたものについてしっかり国民の皆さんに伝えていかなければならないと考えています。ホームページあるいはSNS等を通じた広報はもちろんでありますが、今後は、テレビのCMなども利用しながら、分かりやすい情報の発信に努めていきたいと考えます。そして、今後も、自治体と協力しながら、積極的な発信に努めていきたいと考えているところです。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

國重委員 総理、ありがとうございます。総理が先頭に立って、ワクチン接種の強力な推進、是非よろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 資料を御覧ください。これは、原材料の仕入れなど企業同士の取引価格を示す企業物価指数と消費者物価指数を示したグラフになります。

 この赤線の企業物価指数、去年の春から急激に上昇しまして、十二月の上昇率はプラス八・五%、企業のコストが大きく上がっております。一方、青線の消費者物価指数、これも上がっていますけれども、十二月の上昇率はプラス〇・五%、企業のコストの上昇分ほどは上がっていません。

 これは、企業がその上昇分をきちんと価格に転嫁できていないということです。特に、大企業と取引をしている中小企業は、原材料のコストが上がってもなかなか取引価格に転嫁しづらい、こういう立場にあります。コロナによる大きな打撃に加えて、価格転嫁ができない状況が続けば、適正な利益を確保することができず、従業員の賃金を上げたいけれども上げられない、こういったことになります。

 価格転嫁を拒否する買いたたきにどう対応するのか、山際大臣にお伺いします。

山際国務大臣 委員御指摘のとおり、中小企業の価格転嫁はよく、これはコロナの以前からずっと日本の経済構造の問題でもありますが、御指摘のように、コロナ禍においてよりその問題というものが明確になってきたということでございまして、それもありまして、昨年年末、年の瀬でありましたけれども、十二月の二十七日に、パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージというものをつくらせていただきまして、産業界の多くの方に集まっていただいて、総理からそれをお示しをしていただきました。

 それを少し御説明しますと、一月から三月を転嫁対策に向けた集中取組期間と定めます。そして、公正取引委員会と中小企業庁が、事業を所管する省庁と連携して、問題となる事例を幅広く把握して、立入調査や要請を行うスキームを創設いたしております。さらに、下請代金法の買いたたきの解釈を明確化するとともに、立入調査の件数を増やし、取締りを強化する。また、独占禁止法の優越的地位の濫用に関する新たな調査を実施し、立入調査の実施や文書の送付など、執行を強化する。更に加えて、本年四月からは下請Gメンを倍増し、年間一万社以上の中小企業の現場の声を聴取する。

 このような形で価格転嫁を円滑にするための施策を大幅に強化していくこととしておりまして、これらをもちまして、官民挙げて価格転嫁が円滑に進むように努力をしてまいりたいと思っております。

國重委員 山際大臣、今御答弁いただいた施策パッケージについては評価をいたします。

 その上で、価格転嫁を真に実効あるものにするためには、現場が困窮している状況をきちんと把握をして、従来の調査だけじゃなくて、今回講じることになった措置の有効性についても適切にフォローアップをしていく、そしてそれを踏まえた改善策を行っていくことは不可欠と考えますが、山際大臣の見解をお伺いいたします。

山際国務大臣 これも委員のおっしゃるとおりだと思っております。

 今ほど御紹介申し上げましたように、一月から三月までは重点期間としてやりますが、四月以降も下請Gメン等々を使ってきちんとフォローアップをさせていただきます。具体的には、年間一万社をめどに、これをフォローアップさせていくというか、調査に入らせていただくような形をしてまいりたいと思っております。

 そして、もちろん、しっかりフォローアップする中で、改善点等々が見つかったときには速やかに対処もしますし、何かルールとして変える必要があるということであれば、それもしっかりと検討しながら前に進めたいと思っております。

國重委員 コロナ対策もそうですけれども、初めから全てが完璧なことなんか、これはできるわけがありません。だからこそ、制度や運用に不備があれば、その都度よりよい方向に改善をしていく、こういった姿勢を持ち続けることが大事だと思います。

 この観点でいいますと、子育て世代に十万円を支給する仕組み、これにつきましては、児童手当の仕組みを使うことで、中学生以下であれば昨年の十二月中にほぼ全てに迅速に支給できたというふうに聞いています。

 その一方で、中学生であれば基準時点が八月三十一日になることから、九月以降に子供を連れて離婚された方々で、支給対象から外れてしまう方もいらっしゃいます。この場合、元の配偶者との話合いで給付金が子供のために使われるようになったらいいですけれども、そうでないケースもあります。こうしたケースを踏まえて、先週の予算委員会で総理から見直しの方針が表明されました。すばらしいことだと思います。

 この関連で、私が現場で聞いた事例を少しお伝えしたいと思います。

 例えば、DVを受けて、子供を抱えて住民票と異なる自治体に避難している方に対しては、元々の特例として、お住まいの自治体に相談すれば、住民票を動かすことなく支給されることになっています。しかし、支給決定までに自治体に相談することができなくて、結局、加害者の方に十万円が行ってしまえば、子供を抱えたDV被害者は対象外になります。また、離婚以外にも、昨年九月以降に養子縁組が成立して養育者が変更になったケース、これも対象外になります。このケースで、実の親、元の親と新しい養育者との関係が悪くて十万円が子供のために使われない事例、これも私、実際にお伺いしています。

 このような事例では、本来届くべき子供の元に給付金が届かないことになります。

 現在、政府は自治体から実際の給付に当たっての課題について意見を求めていると聞いておりますが、今私が示したケースも含めて、様々な事例を通し、制度を改善していっていただきたいと思いますが、山際大臣の見解をお伺いいたします。

山際国務大臣 先週の月曜日になりますけれども、総理から御指示をいただきまして、今、地方自治体と、まさに今先生がおっしゃったようなことも含めて、どんな形でこれを運用していくのが、一番お困りの方々にきちんと支給できるかということを相談しているところでございまして、今、DVを受けて避難をされている方の事例や、養子縁組の話もございました。これらもきちんとその中に含めて、お困りの方に一日も早く支給できるようにやってまいりたいと思っております。

國重委員 子供たちのために、是非前向きな検討をよろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化、この基本方針の下、国は、高齢者等の方たちに対して、スマホの基本的な使い方、また、スマホによる行政手続のやり方なんかを身近な場所で丁寧に教える講習会を昨年六月からスタートしています。でも、そんな講習会があること自体知らない、どこで講習会をやっているか分からない、こういった高齢者の方たちも多くいます。現に、私の元にもそういった電話がかかってきたこともあります。

 そこで、デジタルに詳しくなくても、地域の支え手として日常的に様々な取組をされている方たち、例えば、町内会の役員さんとか民生委員さんとか高齢者施設の職員の方、こういった方たちに、連携役、つなぎ役として、支援を必要としている人たちに講習会への参加を呼びかけていただく、こういったことも私は極めて重要だと思います。

 昨年末、総理はデジタル推進委員を一万人以上全国に展開するとおっしゃいましたが、こうした連携役になり得る人たちにもデジタル推進委員になっていただくように促して、是非しっかり進めていただきたいと思います。

 牧島デジタル大臣、いかがでしょうか。

牧島国務大臣 委員には、これまでも、デジタルに不慣れな方々への対応を強化すべきだという御助言をいただいてまいりました。今御質問あったとおり、私も全く同じ思いでこの場所に立たせていただいています。

 デジタルに不慣れな方たちへの対応をするために、デジタル庁としては、今、デジタル推進委員の制度の検討を行っているところです。

 こうしたデジタル推進委員の方々は、まずは、デジタルの道具を使って、デバイスを使って行政手続などを行うようにする、そのサポートをする。講習会を行っていただく講師役の方も必要ですが、今委員おっしゃったとおり、こうした講習に行くことをちゅうちょされている方を、参加を促していただく、声をかけていただく方の存在も大事だと思っています。こうした町内会や自治会の方々もデジタル推進委員になっていただきたいというふうに私としては考えています。

 この連携役、つなぎ役、大変重要だと思っていますので、関係府省庁、関係団体等も連携して、早期にこのデジタル推進委員の制度をまとめていきたいと思います。

國重委員 是非よろしくお願いします。

 この講習会の取組は、デジタルを単に教えるだけじゃなくて、それぞれの悩みとか課題を聞き取って、孤独で孤立する高齢者に対する生活支援につながる入口にもなり得ます。高齢者への総合的な施策の一つとして位置づけていくことも私は重要と考えます。是非大きく進めていっていただきたいと思います。

 次に、デジタル改革について総理にお伺いいたします。

 デジタル改革を進めていくためには、デジタル改革が目指す国民サービスの将来像、これを分かりやすく国民の皆様にお示しをしていくことが重要と考えます。特に、私が大事だと考えているものは、まずは申請主義からの脱却です。

 今の日本では、申請しないと給付金等が受け取れない、そういった仕組みになっています。これによって、本来は要件に当たるから受けられる給付金が、受けられない方たちがいらっしゃいます。社会的に弱い立場の方、受け取っていない方、いらっしゃるんですね。これをやはり何としても変えていきたい。

 そこで、マイナンバーを活用して、行政機関の間の情報連携を徹底して、できるだけ行政側で給付の要件を満たす人を特定して、申請を不要にしていく。給付対象の方には、お持ちのスマホに給付を行うお知らせをお届けして、給付を拒否するボタンを押さない限り、クリックしない限り、振り込みを行うことにする。

 一方、行政機関の間の情報連携だけでは、要件を満たすかどうか、確定的に分からない場合もあります。そうした場合には、要件に当たる可能性の方に対して、給付や様々な行政サービスの情報をタイムリーにお届けをして、申請の機会を担保していく。

 そして、こういった情報は、個人だけじゃなくて、事業者へのサービスでも同じようにやっていく。いろいろな支援策ができても、事業者の皆さんというのは、お仕事でお忙しくて、なかなかそういった支援策を知らない場合が多いというのが現実です。多分、総理の御地元でもそういう方も多くいらっしゃると思います。だからこそ、事業者の業種や規模に応じて、申請可能な支援策を、お持ちのスマホに情報をお届けしていく。そうすれば、申請の機会を失うことなく支援につながります。

 そこで、総理、国の支援策が一人一人の元にしっかりと届いていることを実感できる、国民目線に立った国民サービス、これを一つの大きな将来像にして、マイナンバー、マイナンバーカードのフル活用を含め、デジタル改革を強力に推進していっていただきたいと思いますが、総理の見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 政府としましても、重点計画を定めて、その中で、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会、これを目指すとしています。そのため、デジタル庁を司令塔として、国民一人一人に即したサービス提供を実現するための様々な取組を行っております。

 委員の御指摘に関しては、例えば、個人に対しては、昨年五月に、緊急時の給付金について申請を不要にするなど、迅速な給付を実現するためにマイナンバーの利用や情報連携を可能にする制度、これを創設したわけですが、マイナポータルでは、行政機関から国民一人一人に適したお知らせを届けるサービス、これを提供しています。

 さらに、事業者に対しても、中小企業支援のサイトにおいて、事業者が登録した関心に応じて関連する制度をお知らせするサービスを提供しています。

 こうした情報提供にとどまらず、御案内のように、給付金の迅速な給付等に資する制度面の見直しとか、あるいは健康保険証利用、あるいは運転免許証との一体化、こうした利用のシーンの拡大、こういったものにも努めているということです。

 デジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードについては、是非、この利用拡大を通じて国民の皆さんにしっかりと活用していただく、こういった社会をつくっていきたいと考えております。

國重委員 総理、是非、国民目線に立ったサービス、こういったものをデジタル改革で進めていっていただきたいと思います。

 次に、オンライン診療についてお伺いいたします。

 コロナ禍における特例措置によりまして、オンライン診療は様々な診療科で利用が進みました。コロナの宿泊、自宅療養患者の健康観察でも利用されるようになっています。まさに国民の命、健康を守る、非常に大切な仕組みです。

 初診であってもオンライン診療ができるようになりましたが、コロナ収束後も同様の取扱いをするということが、一月二十八日、オンライン診療指針の見直しで決まりました。

 一方で、オンライン診療の診療報酬については、現在、中医協で議論されておりまして、対象疾患の制限の撤廃や診療報酬の引上げなど、普及を後押しする方向性だと聞いております。

 こういった国民目線の改善というのは高く評価をいたします。

 一方で、懸念するのは、精神科領域の疾患の患者さんがオンライン診療の恩恵から取り残されるんじゃないかという点です。

 精神科領域の患者さんは、自宅から出ることが難しかったり、医療機関では極度に緊張したりすることも珍しくありません。精神科の先生からも、検査や処置を必ずしも必要とせず、自宅だと患者もリラックスするため、オンライン診療との相性がいいという話も聞きます。アメリカでは、オンライン診療を最も活用している領域が精神科なんです。しかも、海外では、精神科領域のオンライン診療の報酬は、対面診療と同等か、それ以上がスタンダードになっています。

 しかし、今回の診療報酬改定でも、精神科領域は対面診療時との点数格差が解消されない、そういう方向と聞いています。これでは、医療機関がオンライン診療の導入をちゅうちょする要因になってしまうんじゃないでしょうか。かかりつけ医がオンライン診療という選択肢を用意できることが大事で、精神科領域こそ本来そうした環境を真っ先に整備すべきと考えますが、後藤厚労大臣の見解をお伺いします。

後藤国務大臣 厚生労働省といたしましては、医師、患者にとって安心、安全で適切なオンライン診療の普及を推進していくことが重要だと思っております。

 診療報酬上の取扱いは、令和四年度診療報酬改定に向けて、中医協において現在検討いただいております。初診料等の点数について引上げ、また診療報酬の要件を緩和する方向で議論が進められております。これによりまして、精神疾患を持つ患者にも、オンライン診療による初診や再診、それから在宅医療を活用しやすくなるというふうに考えております。

 さらに、現在、AMEDの研究班におきまして、精神疾患治療法のオンライン治療での有効性も研究をしておりまして、この研究の成果、また関係学会等の御意見も伺いながら、精神疾患を持つ患者のオンライン診療に対する診療報酬の在り方については引き続き検討してまいりたいと思います。

國重委員 精神科領域においては、対面とオンラインで治療満足度や症状の有意差はないというカナダにおけるエビデンス、また、うつ病治療におきまして、対面とオンラインで治療脱落率や満足度の有意差はないというアメリカにおけるエビデンスもあります。私、二年前にも、この精神科領域の質疑をさせていただきました。

 こうした海外のエビデンスも踏まえて、厚労省としても、精神科領域のオンライン診療もしっかりと検討して進めていっていただきたいと思います。是非よろしくお願いします。

 総理、時間の関係で、あと二問ありましたけれども、一問に絞らせていただきたいと思います。

 コロナ禍の中、日本の大きな課題である少子化に拍車がかかっています。二〇二〇年に日本で生まれた子供の数は約八十四万人で、過去最少を記録しました。一方、子育て政策は、私ども公明党もずっと粘り強く訴えまして、例えば、出産一時金の拡充や給付型奨学金の導入、幼児教育、保育の無償化、今年四月からの不妊治療の保険適用、この十数年で、確実に、そして大きく前進をしています。だけれども、出生率は低い。なぜなのか。

 実は、結婚した御夫婦の出生率はそれほど減っていません。課題は、未婚化と晩婚化です。三十五歳から三十九歳の男性では、正社員で結婚している割合が六九・七%であるのに対して、非正規雇用者で結婚している割合は僅かに二六%。この不安定雇用の若者の未婚率の、低さというのは、結婚するための経済的基盤が弱いということだけじゃないんですね。職場での結婚相手の出会いが少ないという問題によっても生じています。

 これまでも、若者に対する雇用政策、やってこなかったわけじゃないです。様々展開してきました。ただ、若者の非正規雇用の割合は、二〇二〇年以降高水準のままで、大きな改善傾向は見られません。

 そこで、例えば、正社員化の促進、ニーズが高くて稼げる、賃金が上がる、職業スキルを身につけられる環境整備、それぞれの能力がより生かせる、適性にマッチした労働移動の支援、結婚後の住宅に対する一層の支援、補助など、将来の生活不安を解消するための若者の雇用、結婚に対する思い切ったインパクトのある政策プランが必要と考えます。

 それぞれの価値観は尊重した上で、安心して結婚できる環境整備にどのように取り組んでいくのか、総理の見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 若い世代の結婚をめぐる状況を見ますと、男女共に多くの人がいずれ結婚することを希望しながら、適当な相手に巡り合わない、あるいは資金が足りないなどの理由で、その希望がかなえられていないというのが現状だと認識をしています。

 委員御指摘のように、結婚を希望する若者が安心して結婚できるような環境整備をしていくことが重要であると考えており、非正規雇用の若者の正社員就職支援、あるいは、同一労働同一賃金の実現等に向けた法の履行の確保、賃上げの取組、こうしたことを通じて雇用の安定を図り、そして、経済的基盤を確保することで若者が将来にわたる展望を描くこと、これを目指していかなければならないと考えています。

 そして、この新しい資本主義の取組においても、日本の未来を担う若者世代、子育て家庭に特にターゲットを置いて、所得の大幅な引上げをしっかり目指していきたいと考えております。

國重委員 未来は現在にあります。今、我々は、一国のトップリーダーである総理がどのような方向に一歩を踏み出すか、その選択が未来をつくります。是非強力に取り組んでいっていただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて國重君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。

 総理、お疲れだと思いますが、よろしくお願いをいたします。

 今日パネルをお手伝いいただくのは、滋賀県の徳永代議士でございます。

 昨日、総理、新型コロナでお亡くなりになった方が一日で七十名となりました。この七十名という方は、昨年の第五波の最多の死亡者、これが昨年九月八日でございましたが八十九名でございますから、もうほぼ迫っています。昨日の重症者が八百四人、八百人を超えました。本当に、お亡くなりになった方、そして御家族にお悔やみを申し上げると同時に、重症者の方にお見舞いを申し上げます。

 そして、都内ではコロナ病床が満床の病院も出てまいりました。自宅療養者への都の相談窓口を開設しましたけれども、電話が三割しかつながらない。そして全国でも、入院は必要ないとされたものの、その後、自宅でお亡くなりになる方も、基礎疾患なしでも高齢者を中心に今広がっています、自宅死が。

 テレビ、ラジオで、御不安の中、この質疑をお聞きの皆さんも多いというふうに思います。総理と危機感を持って、質疑に臨んでいきたいというふうに思います。

 まず、緊急事態宣言の件ですけれども、総理は繰り返し繰り返し、現時点では検討していないと何度も何度もおっしゃっておられるんですが、これは恐らく、従来であればもう既に出しているという局面だと思います。なぜ今回は検討すらしないということなんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、強い危機感と警戒感、これは委員とも共有しながら、しっかり取組を進めていきたいと考えております。

 その中にあって、緊急事態について御質問いただきましたが、緊急事態、さらには蔓延防止等重点措置、こうした取組については、病床の逼迫度に重点を置いたレベル分類というのを昨年明らかにし、それに基づき総合的に判断する、このようにしております。

 病床の逼迫状況ということで申し上げるならば、例えば東京を見た場合に、昨年の八月半ばのピーク時、新規感染者五千九百人程度でありました。そして、その時点で既に病床はもう満杯状況であり、待機者が存在していた、こういった厳しい状況にありました。その後、十一月、全体像という形で体制を明らかにし、取組を進めていき、そして病床の数、そして稼働率、こうしたものを大幅に引き上げました。

 そして、今、先ほど紹介した昨年の八月半ばの状況と比べた場合に、新規感染者は三倍弱まで膨れ上がっていますが、病床あるいは稼働率を引き上げたことによって、病床の使用率は五〇・七%という状況にあります。そして、重症者の病床ということで申し上げるならば、昨年八月半ば、当然のことながら東京においては満杯状況でありましたが、その後、病床数や稼働率を引き上げることによって、重症者の病床は現在、使用率三七・二%になっている。さらには、東京の独自の基準ということで申し上げるならば、五・五%という状況になっています。

 こうした病床の使用率の状況に加えて、今、蔓延防止等重点措置を三十四の都道府県で行っているわけですが、この蔓延防止等重点措置の効果等もしっかり確認した上で、今後の事態の推移も見極めながら緊急事態については考えていかなければならないと思っています。

 この状況はしっかりと確認し続けていかなければならないと思いますが、今の時点では緊急事態宣言については検討していないということを申し上げた次第であります。

 引き続き、状況をしっかり把握しながら、対応について考えていきたいと思っております。

長妻委員 昨年のピーク時のお話ありましたけれども、やはり、昨年終わってみると、ピークから一定の期間の後、重症者が増えたり死者が増える、こういうことですよね。ですから、まだ今ピークが来ていないわけですね。上り坂に今入っているので、今の重症者だけ見ると見誤るし、今何か対策を打っても二週間後に効果が出るという、これが感染症の基本でありますので。

 そういう意味で、尾身先生が、昨日ですかね、ここの委員会で、緊急事態宣言については、医療機能不全が想定されれば、実際に機能不全が発生する前に宣言を出すというオプションもある、こういうふうにおっしゃられておられました。

 そうすると、総理としては、もう一回これは重要なことなのでお伺いしますと、今、医療逼迫の兆候というのはまだないというふうにお考えですか。二週間後もそういう状況にはならない、そういうお考えですか。

岸田内閣総理大臣 現状の認識について今申し上げました。

 しかし、これは、状況はどんどん変化するわけですし、委員御指摘のように、専門家の方々も、重症等については遅れてピークがやってくるという御指摘、これは私も承知をしております。こういった点も含めて総合的に考えていかなければならない。

 引き続き、警戒感、危機感はしっかり共有しながら、状況を見詰めていきたいということを申し上げている次第であります。

長妻委員 ちょっと重要なことなのでもう一回聞きますと、つまり、二週間後も医療の逼迫はない、こういう理解、認識をお持ちということでよろしいんでございますね。

根本委員長 国務大臣山際大志郎君、前段で説明してください。

山際国務大臣 だからこそ、専門家の皆様等も含めて、毎日コミュニケーションを取りながら状況を警戒感を持って把握している、こういうことでございまして、そういう観点で、今のところ、まだそういう状況にはないという判断をしているということでございます。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、今は検討していないということであります。

 しかし、毎日毎日、状況は変化するわけでありますから、その状況をしっかり把握して、絶えず次の手を考えていく、こうした機動的な考え方は重要だと思っています。これを毎日毎日、政府としても続けているということであります。

長妻委員 毎日毎日確認するのも重要ですが、機動的とおっしゃるのであれば、二週間後どうなるか、これを予測して動かないと手遅れになるんですよ。今、今日どうだ、あしたどうだじゃなくて、そういうちょっとマインドを持っていただきたいというふうに思います。それが先手先手だと思いますし。

 もう一点、私も、緊急事態宣言を出すとしても、前と同じような対処方針ではないと思うんですね。全部ストップする、そういうことではなくて、やはりめり張りをつけて、オミクロン株特有のいろいろな対応があるというふうに思います。医療でも、もちろん病院も重要ですが、特に自宅ケアが相当重要になる。いろいろな屋外での活動というのは、相当、私は、前回の緊急事態宣言より緩めてもいいと思いますし、いろいろなめり張りのついた対応が必要だと思います。

 そういう意味で、検討もしていないというのは、私、気になるのが、そうすると、総理、仮に緊急事態宣言を出すときに、前回と同じ対処方針でいくんですか。変えなきゃいけないと思うんですが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 従来から申し上げておりますが、今回のオミクロン株の特性、これはしっかり踏まえた上で、具体的な、現実的な対応をしなければいけないと政府で思っています。

 そして、緊急事態宣言等においても、オミクロン株の特性をしっかり考えた上でどうあるべきなのか、これを考えていく、これは大変重要なことではないかと思っています。

 感染の拡大の速度が大変速い、軽症であっても、休業者が増加して社会経済の維持に来すリスクがある、こうした点もしっかり考えなければいけませんし、先ほど申し上げたように、重症者のリスクは遅れて増加する、こういった傾向もあるとか、こういった点はしっかり踏まえなければならないと思っています。

長妻委員 私もそのとおりだと思いますね。オミクロンの特性を考えた上で、取るべきことをしっかり考えると。

 ただ、考えるだけじゃなくて、基本的対処方針の中に、あれが基本的に、自治体も含め、国民の皆さんも含め、いろいろな企業も含め、あれを基にいろいろやるわけですね、政府もメッセージを出されるわけで、これが変わっていないんですよ。

 基本的対処方針の分科会が昨年十一月から開かれていないんですね、蔓防とかいろいろな分科会は開かれていますが。これを、だから、是非開いて、トータルでオミクロンの場合どういう対応を、緊急事態宣言が出た場合どういう対応を取るべきなのか、これを早急にやってほしい。

 実は、委員の方からも、私、言われているんですよ。なかなか開かないので、開いてやはりそれをやらないといけない、オミクロン仕様に変えなきゃいけないんだと。これは総理の鶴の一声で開くことはできますから、是非、開いて、オミクロン仕様に変える議論を早急にしようということをおっしゃっていただきたいと思うんですが、これは総理しかできませんから、お願いします、総理に。総理、どうぞ。

岸田内閣総理大臣 議論の在り方については工夫はしたいと思いますが、ただ、実際、結果として、この基本的対処方針は、今までも見直しはちゃんと行っています。

 オミクロン株の特性を踏まえて、社会経済活動を維持する観点で、濃厚接触者の待機期間、ずっと短縮をしてきています。また、訪問診療等の体制の強化、経口治療薬へのアクセスの確保、増加する自宅療養者への対応、こうした点についても、この基本的対処方針に修正を加えてきています。また、認証店制度を前提とした飲食店の時短要請等めり張りのついた行動制限、こういった点についても見直しを行っています。

 そして、昨日ですが、全国知事会の皆さんと意見交換を行いました。その際に、学校、保育所、家庭等での感染が広がっている等、こういった実態についても御指摘がありました。こういった点も是非、今後とも基本的対処方針を見直す中で充実させていきたいと考えています。

 決して、今までこの基本的対処方針、全く従来と変えていないということではないと認識をしております。

長妻委員 いや、総理、ちょっとこれは違うと思うんですね。

 今まで、蔓防とかいろいろなこと、重点措置を出すときに、分科会が開かれます。その中の補足の議論として微修正がかかっているというのは理解しますよ、事業継続計画を入れたとか。ただ、基本的に、オミクロン仕様の、国民の皆さんへのお願いはどうあるべきか、医療にどういうふうにお願いするのか、あるいは医療物資をどうするのか、そういうきちっとした議論はなされていないんですよ。そういう分科会が開かれていないんですよ。

 今、充実させたいと総理おっしゃいましたから、基本的対処方針をオミクロン対応に変えるということでよろしいんですね。総理、充実させるというのはどういう意味なんですか。充実というのは、やはり基本的対処方針を変えないといけないと思う。

山際国務大臣 事実関係だけ申し上げます。

 基本的対処方針の分科会はこれまでも開いております。今先生が御指摘になったいわゆるコロナ分科会と言われるものですけれども、オミクロンに対してどう対応するかというのも速やかに開く方向で今調整しております。

長妻委員 その分科会、十一月から開かれていないんですが、いつ頃開く予定ですか。

山際国務大臣 これは専門家の先生方とも御相談申し上げながら、今まさに、今申し上げたようにオミクロンの話が中心になると思いますが、何を論点にして、何を変えればいいかということを整理した上で必ず開かなきゃいけないという方向で進めていますので、そうお待たせしないで開くことになると思います。

長妻委員 これは、委員の先生方も本当に、去年から、早く開いてくれ、これは変えないといけない、抜本的な議論が必要だと言っているので、もう遅いんですけれども、緊急事態宣言が迫っていますから、早急に開いて、総理、根本的にやはり社会も動かしながら、強いめり張りが利いた感染対策というのがありますので、それを決定していただきたい。我々も提言を出しています。

 そして、一点気になるのは、マスコミで相当報道されているんですが、総理が発言されたということで、緊急事態宣言を出さない理由として、ピークアウトが見えているのに行動制限すれば政権がひっくり返る、こんなようなお話があるということでテレビ等で報道されているんですが、まさかそんな発言はないと思いますけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 少なくとも、御指摘のような発言をしたことはないと私は思っております。

長妻委員 それで安心しました。

 というのは、そういう雰囲気が政府の中にあるんですよ。つまり、このまま自然体でいってもピークアウトするんじゃないか、二週間後ぐらいに。でも、BA・2株も出ていますからね。デンマークは、ピークアウトしそうになったらBA株でまたピークを迎えていますよ。

 仮に、仮にですよ、二週間かどうか分かりませんが、ピークアウト、このまま自然体でいってもするにしても、山を低くしないといけないし、私、一番心配なのは三月末と四月なんですよ、四月の初め。人が動きますよね。そのときに相当下火にしておかないと、またそこで再燃しかねないというふうに思うんです。

 そういう意味では、ほっておいてもそれはピークアウトするかもしれませんが、そうじゃなくて、極力山を抑えるということが必要なので、そういう意識を、総理、持っていただきたいんですが、特にBA・2株の脅威というのは、総理、どのくらい理解されておりますか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、今後については、引き続き危機感、警戒感、しっかり持たなければならない、そのとおりだと思います。

 そして、新たな変異株の可能性についての御質問ですが、まず、新型コロナ自体が絶えず変異を繰り返していく、そして変異のスピードも大変速い、こうした特徴にあるということは十分認識をしております。

 そういった認識の下に今後について考えていかなければならない、これは大変重要な考え方であると思います。ただ、更に新しい変異株の実態については、まだまだ科学的な知見、十分集まっているとは承知しておりませんし、具体的な数字については、済みません、私自身、今手元にありません。

長妻委員 日本ではBA・2株のスクリーニングがもう遅れに遅れていますので、それも是非お願いしたいと思います。

 そして、もう一つ、尾身先生の発言で、これは尾身先生個人ではなくて、専門家の皆さんが疫学調査を相当されました。私もその調査結果を見ましたけれども、今回何で感染がこれだけ爆発したのかという理由ですけれども、大きな理由の一つに、去年のクリスマス、あるいは年が明けての成人式、それに伴う会食パーティー、これで感染が物すごく増えた、我々の疫学調査で明らかになったと。今回なぜ感染者が急速に上がったのかの理由ということで、尾身先生がいろいろなところで発言されておられます。

 この分析というのは、総理は共有されていますか、政府は共有されていますか、トップとして。

後藤国務大臣 そうした分析については、政府、厚労省のアドバイザリーボード、また学識経験者としてまとめられている報告等で意見を述べられておりまして、そうした専門家の認識を我々も共有いたしております。

長妻委員 これは今後の教訓として質問しているんですけれども、昨年は、感染は余りないからこれで収まるんじゃないかなという雰囲気ももちろんありました。だから、難しいとは思うんですけれども、去年、年末年始、特に人の流れを抑えるような注意喚起、強いメッセージを政府が出しておけばよかったと。今から考えるとそう思う方は多いと思うんですが、これは実はこの委員会で、総理御記憶か、我々としても、去年の十二月十三日のこの委員会で、今配付資料で議事録を配っておりますけれども、総理の元にもありますけれども、私の方から、去年十二月十三日、こういうことを申し上げました。

 国民の皆さんは、年末年始、もう既に予定を入れておられる方も相当多いし、これから予定を、旅行とか飲み会も含めて、忘年会も含めて、新年会も含めてということが佳境に入っている、私は、今の時期、厳しいメッセージをやはり出す時期に来ているんじゃないのか、来週、再来週だともう皆さんの行動が始まってしまいますというふうに総理に申し上げたら、総理は、オミクロン株についてはまだ実態が十分把握されていない、是非、マスク、手洗いと加えて三密の回避、政府としてもしっかり呼びかけていきたいと。まあ、同じ、今までの調子でということだったんですが。

 これは、私もこの時点でなかなか判断するのは難しいというのは分かりますけれども、ただ、我々は一般の感覚じゃないですからね。一般の情報よりも深い情報が得られるわけで、総理は特に責任者でありますから、先手先手を相当見極めていかないといけない。

 今から考えると、やはりこの時期に、私ども申し上げたように強いメッセージを出して、人の流れや会食について抑えるということが必要だったというふうに今思われておられませんか。

岸田内閣総理大臣 メッセージ自体が十分だったかどうかは、これは国民の皆さんや社会全体が評価するものであるとは思いますが、私自身、この委員とのやり取りもしっかり踏まえながら、年末年始にかけて、様々なメッセージの発出には努めました。

 私自身も、年末の県をまたいでの移動は控えるということで、東京に待機しながら、SNSですとかあるいは記者会見ですとか、様々な場を通じて、国民の皆さんにこの状況に対して危機感を共有していただくようお願いをし、そして、御指摘のように、基本的な感染対策については特に御協力をいただきたい、こうしたことを再三申し上げたところでございます。

 引き続き、よりこうした危機感、警戒感、こうしたものが伝わるように努力は続けていきたいと考えております。

長妻委員 やはりこの時期、他国はもう燃え盛っていたわけであります。

 私、飲食を抑え込む、もう本当に飲食の方は大変な思いをされておられるのはよく分かるんですけれども、この時期だった、去年の十二月の時期が一番重要で、今余り効果はないわけですね。このときに逃したというのは本当に痛恨事だ、総理のメッセージも強いものは出ていなかったというふうに思います。是非、今後の教訓として、胸に刻んでいただければというふうに思います。

 そして、他国の状況を見ますと、やはり、ワクチンと検査というのを徹底してやって経済を動かす、こういうような国が多いわけでありまして、経済対策としても、このワクチンと検査というのは重要だなというのは痛感するところであります。

 残念ながら、日本、我が国は、そのワクチンと検査双方とも先進国の中で最低レベルになっています、これは残念なことですけれども。これは今後の教訓として、一体どうしてこういうふうになってしまうのか。日本は先進国の中でも経済大国、世界第三位ですよね。技術力もあるにもかかわらず、なぜ最も後れを取ってしまった国の一つになったのかというのは、重々考えていかないといけないというふうに思うんです。

 そこで、個別にお伺いしてまいりますけれども、私、一つはやはり、下から上がってくる情報をそのまま受け取って行動しないというようなことが相当あるんじゃないのか。やはりここは、いろいろな情報を集約して、基本的にかちっとした情報はないんですよね、こういう状況は。やはり、トップリーダーが最後はリスクを取って果断に決断していくというような行動が非常に欠けていたのではないかというふうに強く心配しているところであります。

 昨年の、私は黄金の三か月と言っているんですが、十、十一、十二月、一定程度落ち着いていたあの時期に、いろいろなことを、ワクチン、検査、これを徹底的に準備すべきだったというふうに思います。我々も提言しておりましたけれども、残念なことであります。

 例えばワクチンでありますけれども、これも去年の十二月十三日、ここで私と岸田総理は議論をしているんですね、これも議事録をここにつけておりますけれども。

 私の方から、六か月にしてほしいと。まだそのときは、政府は八か月は短縮するけれども、どうするかはまだ決めていない、こういう状況だったんです。私の方から、六か月ということを今お示ししていただきたかったんですけれども、例えばイギリスでは、短縮して、今八か月を推奨している、フランスは、六か月だったものを五か月にしている、韓国は、高齢者向けだけですけれども、六か月を四か月にしております、これはオミクロンによって、相当前倒し、各国、危機感を持っているところであります、今、年内の在庫を政府に聞きますと、ファイザー、モデルナを合わせて四千万回あると、このとき私は指摘しているんですね。政府は三千八百万回持っていたわけですよ、十二月上旬に、三回目を打つことができるワクチンとして。

 そういう指摘をしましたら、岸田総理から、既存のワクチンのオミクロン株への効果等も今いろいろな議論になっています、その辺も見極めた上でどこまで前倒しできるのかということで、効果について、この時期に、世界の先進国の首脳で、効果がどうなのか分からないなんて言っている首脳というのは日本だけじゃないんでしょうか。

 そして、今、在庫のお話もされましたが、現実に在庫がどうなっているのか。在庫はあるわけですから。この八か月をどこまで前倒しするのか、丁寧に考えていきたいということで答弁は終わっているんですよ。

 それでずっと遅れてしまったわけで、八か月、あるいは二回目が遅れたから遅れたというよりは、やはり残念ながら、総理が、どこからか情報が入ったか分かりませんが、三回目のワクチンの効果はあるかどうか分かりませんとか、あるいは、在庫についてもどういう状況か分かりませんみたいな、そういう情報が入っていたとしたら、それは総理も判断を間違うと思うし、でも、総理が自分から本当にそれを、どういうことなのか、別のルートを含めて情報を取っていかなきゃいけなかったんじゃないかと思うんです。

 総理は、この時期でまだ三回目のワクチンの効果というのを疑っておられたんでしょうか。総理自身の認識をお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 まず、三回目の接種については、委員まさにおっしゃったように、昨年、世界の議論の中で、多くの国々が、二回目と三回目の間隔、八か月から始まって、それをだんだんと短縮していった、こういった議論が行われてきたわけです。

 そして、我が国においては、二回目の接種との間隔から考えて、これからがいよいよ三回目の接種が本格化する、こういった時期を迎えているわけですから、この時期に当たって、供給量についても、先ほども答弁させていただきましたが、三回目の接種に必要なワクチンの供給量、これはしっかり政府としても確保し、そして、自治体に対してその供給の体制についても説明を行い、そして今、接種体制も用意していただき、これからスピードアップを図ろうとしているわけです。

 是非、自治体ともしっかり連携をしながら、三回目の接種のスピードアップ、全力で取り組んでいきたいと考えております。

長妻委員 それは、総理、苦しいと思うんですよね。

 確かに、相当前に八か月というふうに決めた国もありましたが、どんどんどんどん前倒しして、さっき申し上げたように、ほかの国の例も申し上げました、去年の十二月の十三日に。それでも総理は、まだワクチンの効果が分からないと。去年十二月の時点で、三回目のワクチンの効果について、総理自身としては、何かそういう情報が入ったのかもしれません。私も聞いています。政府の内部で、三回目というのは果たしてどうなのかねという情報があるというのは聞いていますけれども、それを総理も真に受けてしまったということだとすると、これは問題なので、是非、危機ですから、総理自身も情報収集に努めていただきたいというふうに思います。

 在庫がどうなっているのかということなんですが、これは私が指摘して、四千万回あると申し上げました。正確には三千八百万回だったと思いますけれども、在庫が当時使える状況にあったんでしょうか。

後藤国務大臣 在庫につきましては、四千三百、数字としては、その時点で、後から入ってくる、納付する分も含めて、将来にわたって配付量をお約束していたときの数量であります。(長妻委員「実際の在庫は、実際の。あるもの」と呼ぶ)いえ、実際の在庫はそれだけはなくて、モデルナについて千五百、それから、今もし何だったら、ちょっと数字は確認させていただきますけれども、四千三百、これは予定配付量としてお示しをするということで計画上に載せていた数字だというふうに認識をいたしております。

 それから、十三日の質疑でございますけれども、十二月十七日には具体的に日本の国においても六か月の短縮にしておりますし、三十日のオミクロンの感染を通じて……(発言する者あり)分かりました。

根本委員長 厚労大臣、簡潔に。

長妻委員 今、モデルナで一千五百万回は現物があったという話がありましたから、打てるんですよ。六か月経過した人は相当数いらっしゃったわけですからね、十二月の時点でも。一月の時点で、打つ対象者ですら一千四百七十万人おられるわけですから、日本で、政府試算の人数でも。それすら打てていないわけですね。四百四十八万人しか打てていないんです、今時点で。

 ちょっとパネルを見ますと、改めて私は驚くんですけれども、日本が、一月三十日時点ですけれども、今正確には三・五%です、今日の時点で。人口当たりの三回目の接種について、それを報告しているOECD加盟国が三十六か国あるんですが、全くの最下位になってしまっております。かなり打っているところは、相当経済を動かしているところもあるわけでございまして、なぜ日本だけなのかという疑問があるわけでございまして。

 これは総理、菅総理は一日百万回という目標を掲げましたけれども、岸田総理として、自治体の皆さん、本当に大変なのは私もよくよく分かります。分かりますが、目標がないとなかなかこの段取りもできないわけで、総理、一日、ブースター接種、何回目標というのは立てませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、さっきの資料につきましては、人口との比較においてはそのとおりでありますが、接種間隔の関係で、対象者となる中でどれだけ接種が進んでいるか、この点についてしっかり念頭に置きながら努力を続けていきたいと思っております。

 その上で、目標についてということでありますが、今、その数値の話をさせていただきましたが、日本における状況、二回目との間隔の関係で、対象者となる人間がどんどんどんどん増えていくわけですから、その辺の変化もしっかり踏まえた上で数字について考えていかなければいけない。一律に何万人という目標を掲げることは、現状において適切かどうかとは考えます。

長妻委員 総理、対象者が少なくて、イタチごっこで対象者を超えちゃうようなスピードだったら、その議論はあるんですけれども、調べてみますと、昨年七月までに二回目を終了した高齢者は大体二千八百万人おられるんですよ。ですから、そういう二千八百万人の方も、今というか、今年の一月から、もう一月は終わっちゃいましたけれども、先月から打てるんですよ。ですから、どんなに大車輪にやっても二千八百四十五万人こなせないわけですから、ですから、目標を決めないと話にならないと私は思うんですが、総理はかたくなに、目標は決めない、決めないとおっしゃっておられる。

 では、総理、聞きますけれども、ほぼ多くの自治体で二月末に高齢者の接種が終わるとおっしゃいました。二回目接種をした高齢者が約三千百万人おられると思いますけれども、そうすると、この三千百万人の方の中で希望される方はいつ接種が終わる見込みなんですか。

岸田内閣総理大臣 三千百万人の方は、先ほど申し上げました、九七%の自治体が、二月末までに対象となる方で希望される方の接種を終えると言っているわけですから、その中に含まれる人数であると承知をしております。

長妻委員 ちょっと私が役所に聞いた説明と違うんですけれども、この三千百万人のうち、じゃ、希望者については二月中に接種が終わるということなんですか。もう一回、これについてちょっと的確な答弁を。自治体の数は分かりました、九十何%というのは。三千百万人の方々のうち、希望者の方が二月中に終えられるということでいいんですね。

 ただ、そうすると、総理、一日の接種者の数が今四十万人なんですよ、多少上がりましたけれどもね。そうすると、四十万人で計算しても本当に合うのかどうかということがあるわけで、三千百万人ですよ、一日、今四十万人ですよ。これは二月中で大丈夫なんですか。

後藤国務大臣 先ほどから申し上げている九七%とかという数字については、二月分に希望されている高齢者の分を二月中に打てるかという数字がその数字でありますので。

 実を言うと、三月とか四月に、高齢者で元々打つのが遅かった方も去年おられますから、そういう方の分が少しありますけれども、高齢者についていえば、恐らく三百とか、三十とか、二十とかという、そういうロットで三月以降あると思いますが、基本的には、お尋ねの大宗の意味からいえば、高齢者の三千百は、二月に九七%の自治体分は打てるということでございます。(長妻委員「自治体じゃなくて、この人数」と呼ぶ)人数は確認します。

長妻委員 今おっしゃったのは、三千百万人のうち、まだ若干名が、六か月来ていない方がいるということだと思うんですが、六か月来ている方でも二千八百万人いるんですよ、ほぼ同じなんですよ。

 ですから、これについて、ちょっと統一見解を是非出してください、二千八百四十五万人あるいは三千百万人の接種が、二月中に希望者が終わるのかどうかということを。委員長、お願いします。

根本委員長 では、理事会で協議します。

長妻委員 そして、検査についてでありますけれども、検査についても、検査の世界的データで、PCR検査と抗原検査キットとか混在して集計している国が多いので、きれいにそろうとすると、PCR検査のみというのは比較ができるので、PCR検査のみで比較可能な国をしてみますと、やはりPCR検査でも日本は相当低いんですね、PCR検査でも。

 これは、PCR検査あるいは抗原検査キットで待機を解除する一つのトリガーになるわけでありますから、PCR検査というのが今一日三十八万回能力があるということですが、これはちゃんと増強しますね。いつ頃までに、どのくらいの数、増強されるんですか。

後藤国務大臣 PCR検査についても、できる限りのもちろん増強をということでございますが、PCRについては、キットのような……(長妻委員「どのくらい増強するの」と呼ぶ)ですから、そこは、今、定かに目標というのはございません。検査能力ということもあるので、なかなか簡単には増えません。

長妻委員 総理、PCR検査、一日能力が三十八万回で、今大臣がおっしゃったように、ないんですよ、目標、どのくらい増強するかというのが。これは目標を是非、総理からトップダウンでやらないと駄目です、はっきり言えば、本当にそうですから。いろんなメーカーから、いろんなすばらしい商品が出ています、日本製もありますから。

 それともう一つ、キットの話ですが、これも総理が、一月二十五日のこの委員会で、キットについて増産指示は先週出したと記憶しているとおっしゃって、これは一月十四日に要請が出ているんですが、総理が指示を出したんですか、総理も加わって指示を出したということでよろしいんですか。

岸田内閣総理大臣 指示ということで申し上げるならば、厚生労働省において一月十四日に増産を要請し、そして一月十八日に私から改めて指示をし、そして増産の要請を行ったということであります。

長妻委員 余りにも遅くないですかね、一月に、どんどんどんどん燃え盛っているときに、検査キットを。メーカーの方も、もっと早くうちも含めて各メーカーに増産の依頼が来ていれば、もっと早く政府から情報をいただければもっと早く対応できたと異口同音におっしゃっているんですよ、メーカーの方も。遅過ぎませんか。去年のあの黄金の三か月のときに、ちゃんとやはりやっておかないといけないんじゃないのかというふうに思います。

 バイデン大統領が先日も表明しました。今まで五億個の検査キット配付、これを表明しましたけれども、追加で五億配ると。つまり、国民に十億の抗原検査キットを配る、一世帯四個まで申請できると。どんどんどんどんやっているんです。

 先進国の国で、多くの国で、もう町中にあふれていますよ。小売店とか薬局に行けばどんどん買えるような状況になっている。

 これは是非、総理、一日八十万回の増強を要請したというんですが、総理も要請したというんですが、何度も何度も繰り返していますけれども、これはいつ実現するんですか、一日八十万回は。

後藤国務大臣 検査キットの使い方等については、各国においてコロナ対策のありようはそれぞれ違うというふうに思いますけれども、八十万について、キットについては……(長妻委員「いつ」と呼ぶ)きっぱり、輸入の分も含めての八十万でございますので、しっかりと申し上げられませんが、これから数週間かからない間に、今現在、実を言うと、七十万ぐらい生産力が、足下、上がっておりますが、八十万がどのぐらいでできるかということについては、今断言は、ここは国会の場でもございますので、控えさせていただきますけれども、今、直近の、昨日の調べで、七十万キット増強をするところまで到達はいたしております。

長妻委員 これも、私も役所に話を聞きますと、七十万についても、増強する計画ができたということらしいので。

 これはちょっと総理、こういうことなんですよ、つまり。日常の、普通の、平時ならいいんですよ、ボトムアップで。ただ、総理からどおんとやっていただかないと。

 私も漏れ聞いているのは、自衛隊の大規模接種会場、今動いていますよね。ただ、五千人ですよね、一日、増強しても。昨年は一万人でした、一日。それでも少ないわけですけれども、これも総理が、漏れ聞くと、相当業を煮やして言っていただいて、非常に遅かったんですけれども、自衛隊の接種会場、始まったと聞いていますので。

 総理が本当に言っていただかないと、オール・ジャパンで、外務省を含めて、輸入して、世界から在庫を集めてほしいと。増強も重要ですし、輸入して、どんどん集めてほしいということを総理がやはり先頭に立って言っていただくと、全然違います。全然違います。今、一部局が必死にやっているんですよ。官僚も大変ですよ、倒れちゃいますよ。

 是非、総理、この検査キットについてはそういう強いリーダーシップ、PCRについてもやるということをここで明言いただきたい。

岸田内閣総理大臣 私が先頭に立って、しっかり取組を行います。

 検査ということで申し上げるならば、昨年の段階ではPCR検査が主流であって、この抗原検査の需要は大変低い状況が続いてきました。しかし、ここへ来て、感染が急拡大する中で、この抗原検査のキットの需要は急増したという状況にあり、キットが手に入らないではないか、これは一部においてそういった状況が生じている、こういったことであります。

 キットの確保と併せて、今あるキットを必要なところに的確に届ける。医療機関、あるいは症状が出た方に対する行政検査、そしてエッセンシャルワーカーの方々、そして自治体が行っている無料の検査、こういった必要なところに的確に今あるものが届く、こういった取組も併せて行うことによって、必要な方のところにキットが届くよう、私が先頭になって、しっかり取組を進めていきたいと考えております。

長妻委員 総理の認識、さっきから聞いていると、昨年は余り感染がなくて、PCR中心で、キットがこんなに必要だとは思わなかったような答弁だったんですけれども、そうじゃなくて、やはり世界を見ると、もう燃え盛ったわけですから。

 どうしても今の政府の中には二つの対立があって、検査はそこそこにという考え方がずっとあったわけですよ。私自身も、一昨年の記録を見ると、一昨年の二月から、簡易検査キットを増強してほしい、増強してほしいと二年間ずっと言っているわけで、是非、この検査について、総理がどおんとやらないと進みません、日本は。これは是非、ワクチンも含めて、そういう対応を取っていただきたいというふうに思います。

 そして、米軍基地についても、総理、水際対策について穴が大きく空いたと思います。

 米軍の基地について、今ゲノム解析を依頼していると、米軍由来の、ゲノム解析、オミクロン株について。これは、いつ結果が出るのかというのは、この委員会でもありましたけれども、なかなか回答がないわけですが、結果が、じゃ、出たら、是非、総理、これも指示していただかないとうやむやになります。結果が出たら、指紋照合じゃありませんけれども、沖縄の市中感染のオミクロン株との照合、そして東京の市中感染のオミクロン株との照合、大阪の市中感染のオミクロン株との照合を是非していただきたいと思うんですよ。そうすると、米軍由来がどこまで全国に広がっているのかというのが分かりますから、今後の教訓にもなると思うので。

 是非、総理、ゲノム解析の結果が出たら、それぞれの今申し上げたような地域、それ以外の地域もお願いしたいところですけれども、で照合をして、一体、米軍由来のオミクロンが日本でどれだけ広まってしまったのか、この遺伝子照合もしていただきたいと思うんですが、それをお約束いただけますか、総理。総理が言わないと、官僚答弁になりますから。

林国務大臣 御指摘のゲノム解析の結果判明の時期について、今委員からもおっしゃっていただいたように、判明の時期については確定的な見通しを言える段階にはございませんが、キャンプ・ハンセンの変異株のPCR検査については、検査対象の検体の四七%が変異株陰性であったということで、双方は、既にこれらの検体についてオミクロン株であるとみなしております。(発言する者あり)

根本委員長 大臣、質問の趣旨に即して答弁してください。

林国務大臣 その前提で対応していくことで一致しておるところでございます。

長妻委員 これは外務大臣の仕事じゃないんですよ。外務大臣は依頼して、ゲノム解析で来た結果を、これは恐らく厚労省かどこかの役所が、東京、大阪とか沖縄の市中感染の株と照合して、果たして米軍由来がどれだけあるのかということをチェックするわけですから。

 だから総理、それをやると言わないと、これはうやむやになります、間違いなくなりますので、是非ここで言っていただきたいと思うんです。総理、総理。

根本委員長 後藤君、簡潔にお願いします。一言、簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 じゃ、一言。

 ゲノム解析の結果判明の時期については確定的に判明いたしておりませんが、ゲノム情報のみをもってその由来を推定することは科学的には難しいということはございます。

岸田内閣総理大臣 ゲノム解析の情報収集そして分析については、今外務大臣と厚労大臣からあったとおりであります。

 その中で何ができるのか、これは政府としてもしっかり考えていきたいと思っています。

長妻委員 これは私も専門家にいろいろお伺いしました。それは一〇〇%完璧に照合できる場合もあるけれども、そうでない場合もあるということで、ただ、おおむね、これは人間の遺伝子情報もそうじゃないですか、一〇〇%というよりも一定のパーセンテージが照合すればということなので、そういうようなことで是非やっていただきたいというふうに思います。

 最後にお伺いするのが、このゲノム解析、もう一つですけれども、これも日本は遅れているわけでございまして、BA・2ですね、オミクロンの。これについてゲノム解析、今されていますか。日本の市中でどれだけ今BA・2が広まっているのか、何件調査してどのくらいあったのか、分かれば教えていただきたいと思うんですけれども。

後藤国務大臣 国立感染症研究所の新型ウイルスゲノムサーベイランスによる系統別検出状況によりますと、国内におけるオミクロン株の下位系統、BA・1系統とBA・2系統の登録数は、BA・1が一月第一週で四千七百二十、BA・2が十四、令和四年一月第二週でBA・1が千百三十八、BA・2が九となっております。

 また、検疫で確認された事例について言えば、BA・1が千九百三十、BA・2が三百十三ということになっております。

長妻委員 これで終わりますけれども、検疫では千九百対三百、相当BA・2が広まる予感がいたしますので、ピークアウトするから大丈夫だということではなくて、危機感を本当に持っていただきたいということで、終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、階猛君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、昨日、高松高裁で、昨年の衆議院総選挙の一票の格差が二・〇八倍になっているということが違憲状態だという判決が出ました。一票の格差とは、小選挙区ごとに有権者が何人いるかを基準にして考えるわけです。有権者が少ないほど、自分の一票で選挙結果を左右する可能性が高まるために、一票の価値は重くなります。逆に、多いほど一票の価値は軽くなります。ですので、従来から、有権者の数が違い過ぎると投票価値の平等が保たれなくなるとして、これまでも違憲状態という判決が出てきました。

 ちなみに、今日、私の隣におられる湯原俊二代議士の地元の鳥取県、こちらが全国で最も一票の価値が重い選挙区を抱えている地域です。一方、東京などでは投票価値が軽いということになっています。

 こうした一票の格差を是正するために、国勢調査が行われるたびに、都道府県ごとの定数配分が見直されてきました。現在、選挙制度区割り審議会というところで、選挙区を十増十減する案が議論されています。

 都市部に議席が集中することがいいのだろうかという問題意識は私もかねがね持っておりますが、国会で決めたルールに基づく見直しである以上、今回はこれに従うのが筋だと思います。国会の権威を守るべき衆議院議長がこの見直しに異を唱えるのは、天に唾をするようなものだと思っています。むしろ、一票の格差が拡大する背景にある、地方の人口流出と都市部への人口集中、そして、その結果生じる国全体の人口減少という、日本が抱える構造的な問題を解決することに国会は精力を尽くすべきです。

 そのような見地から、今日はまず、デジタル田園都市構想を掲げた岸田総理に、地方の活性化策について伺いたいと思います。

 一つ目のパネルを御覧ください。

 こちらは、被災三県の年齢別の転入転出超過数、日本人の転入転出超過数を見たものです。要は、人口の社会減少、これを示すものであります。

 震災後の十一年間で、被災三県では、年平均一万二千三百七十二人の減少、累計では十三万六千九十人の減少、そのうち八五%が二十四歳以下の若者です。ちなみに、六十五歳以上は、このグラフで見ると横ばいですが、当然ながら、亡くなられる方がたくさんいらっしゃり、自然減少となっています。二十五歳から六十四歳の現役世代は、復興事業がピークアウトした二〇一六年以降、マイナスが続いています。

 被災地では、復興事業によって道路や防潮堤、公共施設などのインフラ整備は進みましたが、そこに住む人がいなくなれば宝の持ち腐れです。今こそ、被災地では、人が生まれ育ち、学び、活躍するための官民からの人への投資が重要だと考えます。

 総理も施政方針演説で人への投資について述べられましたが、総理の考える人への投資とは何なのか、その定義を教えてください。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、地方の活性という観点からも、人への投資というのは大変重要だと思います。

 そして、人への投資の定義とは何かということでありますが、これはまさに、御説明申し上げている、経済モデルの中での人への投資の位置づけ、これが示しているんだと思っています。人への投資、我が国において、諸外国と比べて低くとどまり、また低下傾向にあります。その中にあって、賃上げもコストではなく未来への投資だということで、人への投資の重要性を申し上げています。人への投資を通じて、成長の果実をしっかり分配することによって新たな需要を生み、次の成長につなげていく、こうした全体の流れの中で、人への投資、大変重要だということを申し上げております。

 私の言っている人への投資は、こうした経済のシステムの中で、好循環を生み出すために必要な要素として申し上げているところであります。

階委員 人への投資が何を含むのか、そして人への投資の外延は何なのか、全くはっきりしません。

 ところが、総理は施政方針演説で、この人への投資を早期に少なくとも倍増するということを述べられているわけです。倍増するとおっしゃっているんであれば、今現在幾らなのか、それをお答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 人への投資、これは、今申し上げたように、経済の循環の中で、労働の移動あるいは人材育成、そういった観点から投入される政府としての取組でありますので、数量的にこれを幾らなのかと申し上げることは、それは不可能であると思っています。それを成果として、所得を引き上げるという形で、人への投資を目に見える形にしようということを申し上げているわけであります。

 是非、この人への投資の重要性、先ほど申し上げたように、成長の果実を分配していく、その際に、人への投資、これは、コストではなくして次の成長につながるものであると位置づけて投資を行う、そして、一つの目に見える形として、所得という形で示す、そういったことを申し上げているわけであります。

階委員 私の質問はデジタルに聞いているんですよ。アナログで答えないでください。

 人への投資を早期に倍増とおっしゃっているわけだから、当然今の金額を把握した上で、これでは足りないから倍増と言っているに違いないですよね。だったら、今の数字が幾らか、簡単に答えられるはずですよ。

岸田内閣総理大臣 冒頭申し上げたように、諸外国に比べて我が国の人への投資が少ないと申し上げたわけですが、これは、具体的にはオフJTの研修費用など、企業におけるこうした費用が諸外国に比べて低くなっている、そしてそれが低下傾向にある、そういったことを問題意識として挙げています。ですから、オフJTの研修費用等の数字、これは調べれば示すことができると思います。

 今手元に、にわかにこの数字までは持っておりませんが、この数字等において我が国の人への投資がどういう状況にあるのか、こういったことはお示しできると思っています。

階委員 驚きました。総理が施政方針演説で倍増としっかりおっしゃったから私は聞いているわけで、これは基本的なことで、ここから話を始めようということで私は用意してきたんですけれども、話が始められない。どういうことなんですか。施政方針演説というのは、そんなにいいかげんなものなんですか。私はちょっとあきれますね。全くこれじゃ話になりません。

 人への投資、今幾らなのか、そして、これをいつまでに倍増するのか、これを早急に、資料を提出していただけませんか。お約束いただけますか。

岸田内閣総理大臣 人への投資が幾らなのか、先ほど言った数字もありますし、また、施策の中で、人への投資の施策パッケージ、三年間で四千億の施策パッケージ等を用意している、こういった数字を示して、現状について、そしてこれからについてお示しすることはできると思います。そういったことをしっかり示した上で、具体的な賃金の引上げ等の成果につなげていきたいと思います。

 それをいつまでにできるのかという質問でありますが、これは、まず、今年から、先ほど申し上げた方針によって第一歩を踏むことによって、是非近いうちにこれを実現するべく、あらゆる施策を動員していきたいと考えております。

階委員 これは議論の出発点なので、人への投資の予算、さきの補正予算でも、私、ここで質問しました。四千億のパッケージの話もしました。そして、今回の本予算でも人への投資に関わる部分がやはり一千億ぐらい入っていると思います。

 これを、現状、今、人への投資が幾らで、将来的に一千億、一千億、どこまで伸ばしていくのか。これを把握することは予算審議において非常に重要な問題です。

 是非、早期にということも、できればデジタルに、いつまでにということは答えてほしいんですが、少なくとも、大前提、人への投資、総理が考えている人への投資の定義はこうなっていて、そこに今どれだけお金が投じられているのか、ここは早急に明らかにしていただきたい。このことはまずお約束いただいていいですよね。

 端的に。

岸田内閣総理大臣 先ほどから申し上げているような様々な数値については、しっかり整理をして報告をさせていただきます。

階委員 それでは、理事会の方に提出を求めます。よろしくお願いします。

根本委員長 じゃ、理事会で協議を含めて対応したいと思います。

階委員 それでは、ちょっと私は当てが外れたところなんですが、次に、地方金融機関の問題についてお話をしたいと思います。

 被災地に限らず、地方経済の維持発展のためには、中小企業等に運転資金や設備資金を供給する地域金融機関の役割は極めて重要だと考えます。

 これは資料を見てください。

 ところが、日銀が異次元の金融緩和を始めた二〇一三年以降、地銀さんや信金さんの貸出残高は増えてはいるものの、業務粗利益、すなわち、融資など、資金を運用することによって得られた利益はじわじわ減少しているんですね。地域金融機関の経営が悪化しているということです。

 その一因となったのが、日銀が短期の政策金利をマイナスにし、十年の長期金利をゼロ%前後にするイールドカーブコントロールというものを延々と続けていることだと私は理解しています。このことを、日銀総裁、お認めになるかどうか、端的に結論だけお答えください。

黒田参考人 この低金利環境というものが地域金融機関経営に様々な経路で影響を及ぼしていることは事実であります。

 まず、積極的な金融緩和の下で、我が国経済は緩やかな景気拡大を続けてまいりました。これにより、前向きな資金需要の喚起や与信費用の減少等を通じて地域金融機関の収益にプラスの影響を及ぼしたと考えられます。

 一方で、低金利環境の長期化に加え、地域の人口減少などの構造要因から、地域金融機関の基礎的な収益力は低下傾向を続けてきたことは事実でありまして、日本銀行としては、地域金融機関の経営動向や金融仲介機能の状況について今後とも注意深く点検してまいります。

階委員 私の質問はシンプルで、今、地域金融機関の利益が減ってきている、その一因となっているのが日銀の異次元の金融緩和ではないか、こういうことを聞いているわけです。それを認めるか認めないか、そこだけお答えください。

黒田参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、低金利環境が地域金融機関経営に様々な経路で影響を及ぼしていることは事実でありますが、先ほど申し上げたように、こうした積極的な金融緩和の下で、地域金融機関の収益にプラスの影響も及ぼしているわけでございまして、一概に……(階委員「いや、だから、トータルで聞いているんです」と呼ぶ)トータルでも……(階委員「認めないのか」と呼ぶ)認めません。

階委員 驚きました。驚きました。皆さん、聞きましたか。二年で物価安定目標二%を達成すると言って、九年間もだらだらだらだら金融緩和、マイナス金利、長期ゼロ%。この結果、地方の金融機関は経営統合、リストラに追い込まれているんですよ。その責任を認めない。あなたは本当に中央銀行の総裁としてふさわしいんですか。今の答弁を聞いてあきれました。これは非常に重要な答弁だと思います。

 しかも、日銀が極めて悪質だと思うのは、自らこのように地域金融機関の経営を悪化させておきながら、合併、統合したり、人件費や店舗の費用を削減したりすることを間接的に促す仕組みを導入していることなんですよ。

 総理に伺いますけれども、地域金融機関の統合再編は地方経済の維持や発展のために必要だと思いますか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 地域経済の維持発展のために事業者の身近な支え手である地域金融機関が一層貢献していくこと、これは期待されるところであります。そして、地域金融機関、今、厳しい経営環境が続く中で、地域経済に引き続き貢献するため、経営改革を進め、経営基盤の強化に取り組むことが求められています。

 そして、御指摘の金融機関の統合再編ですが、これは経営判断に属するものであるとは考えますが、こうした経営改革についての一つの選択肢でありますが、ただ、これは地域経済への貢献につながるということが重要であると認識をしています。是非、地域経済の成長につながるよう地域金融機関による事業者支援を促していく、こうした環境をつくっていかなければならないと考えております。

階委員 私は総理と同じ日本長期信用銀行の出身なんですね。その日本長期信用銀行、国有化されて、今、新生銀行に変わりましたけれども、今度二月八日に臨時の株主総会が開かれます。SBIの傘下に入るということで、役員も一新されて、そして、今度は地方金融機関の皆さんと同じグループに入るということで、これは非常に、私ども古き時代を知っている者にとってはかなりインパクトのあることなんですね。しかも、今総理というお立場で、公的資金を新生銀行には注入していますよね。経営の行方には大変関心を持たれていると思っておりますけれども。

 そうした、地域金融機関がこれから地域に貢献していく上で、新生銀行のように、まあ、SBIに言わせれば、地方銀行の中央金融機関として役割を担ってほしいというようなことが報道でも伝わっていますけれども、こうした、これからの金融の在り方、新生銀行の経営の在り方、どのようにお考えになるか、御所見をお願いできますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、個別のこうした取組について私の立場から論評をすることは、これは控えなければならないと考えておりますが、いずれにせよ、先ほど来の議論の中で、地方金融機関というのは地方経済において大変重要な役割を果たしている、そして、事業者の支え手として重要な役割を果たしている、そういった役割をしっかり果たしてもらえる環境整備に努めていかなければならないとは考えます。

 是非、地方金融機関の意義あるいは存在の大きさ、こういったものにはしっかり頭を巡らせながら政策を考えていくことは重要であると考えます。

階委員 合併再編ありきじゃないということはよく伝わりましたけれども、是非、これから、これほど厳しい経営環境に日銀によって追い込まれている地域金融機関の今の状況というものをしっかり把握した上で、金融の方にも、まあ、元々そちらの出身ですから、私も一緒に頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。

 さて、地方社会の維持発展のためには、一次産業も極めて重要です。特に、米作りは重要だと考えております。

 前回、一月の二十八日でしたか、近藤和也委員の質疑で、米の価格下落を避けるためには、市場にだぶついているお米を政府備蓄米として買った方がいいんじゃないかという質問を近藤さんがされました。それに対して農水大臣の方から、政府備蓄米は、不測の事態に備えて一定量の国産米を保有することを目的としているので、そういうことはできないという答弁でした。

 しかしながら、コロナ禍や気候変動で、海外から穀物の輸入が困難となる事態も想定されます。中国などは、そういうことも想定して穀物の買入れを増やしているようです。加えて、今回、トンガの海底火山の千年に一度とも言われる噴火が起きました。過去には、そういう火山の噴火によって大冷害になった、そういうときもありました。まさに今、不測の事態に備えるべきではないでしょうか。

 政府備蓄米を増やすべき状況だと思いますが、総理の所見をお願いします。

岸田内閣総理大臣 様々な不測の事態に備えていかなければならない、こういった問題意識はおっしゃるとおりだと思います。

 その中で、政府備蓄米の在り方、これをどうするのか。これについては、これは様々な要素が絡みます。法律もあります。その中で考えていくべき課題ではないかと思っております。

階委員 総理、デジタル田園都市構想とおっしゃるわけですけれども、正直言って、今、お米を作っても赤字です。そして、お米を作るのを諦めざるを得ないという農家さんがたくさんいます。このままでは、田園なき、ただのデジタル過疎地、そういうふうになりかねません。

 本当にデジタル田園都市、これをつくりたいのであれば、田園を守るための方策、これを総理が積極的にやるべきでしょう。田園を守るために何をするか、おっしゃってください。

岸田内閣総理大臣 まず、地方においては、大きな存在であります農林水産業、多様な農林水産業が地域経済を支えている、そして、輸出促進やスマート化など、農林水産業の成長のための投資と改革、これを更に進めて、国際競争やあるいは災害にも負けない足腰の強い農林水産業を構築していかなければならないと認識しておりますが、御質問の、田園をつくるためにはどういうふうに考えているか、こういったことについては、こうした農業を支えるということと併せて、地方への大きな人の流れ、これもデジタルを通じてしっかりつくっていく、こういった取組も重要であると思っています。

 農村地域に移住する、あるいは二地域居住する、こうしたことによって、新しい人材がデジタル技術も活用しつつ農業に参加をする、農業と他の仕事を組み合わせた、いわゆる半農半Xと言われるような働き方、これを実現していくとか、農村景観などの農村の多様な地域資源、これを活用して、例えば農泊といったような新しい事業を創設する、こうしたことにつなげていく。こうしたことによって、具体的に、農村がそれぞれの個性を生かして活力を取り戻していく、こうしたことにつながるのではないかと思います。

 こうしたデジタルを活用した取組を進める、デジタル田園都市構想の一つの取組として重要であると認識をしています。こうした活用もしっかり進めることによって、地方、おっしゃるように、田園都市としてしっかりと個性豊かな発展につなげていきたいと考えております。

階委員 端的にお答えください。

 総理は、これからも地方の田園を守っていく、その覚悟はおありかどうか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 当然のことであります。

 だからこそ、この今の時代に合った地方創生、地方の活力、こうしたものを考えなければならないということで一つの提案をさせていただき、多くの皆さんの議論に供させていただいているということであります。

階委員 是非、地方でお米を作っている農家の皆さんは大変な状況ですから、総理のリーダーシップでこうした農家を助けてあげてください。

 さて、もう一つ、私が地方の活性化にとって必要だと思うのは、地方でこそ、イノベーションをつくれる最先端の研究開発拠点が重要ではないかというふうに思うんですね。

 ところが、昨日、私から言わせると、それと逆行するような動きがあったと思います。

 総理が議長である総合科学技術・イノベーション会議で承認された資料から、今お見せしているものは抜粋したものです。これによると、国際卓越研究大学、仮称ですけれども、これに選ばれるには、世界と伍する研究大学となるためのポテンシャルを有する大学である必要があるそうです。

 この要件を満たす大学、これは地方には存在するというふうに考えていますでしょうか。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 もちろん、最先端のこの取組については、地方の大学も含めてしっかりと評価し、支援を行っていかなければならないと思っています。

 御指摘の総合科学技術・イノベーション会議におけるパッケージ、御指摘いただいたパッケージでありますが、これは、こうした大学改革に加えて、地域の中核大学、あるいは特定分野に強みを持つ大学、それぞれの強みを十分に発揮し、社会変革を牽引していくべきである、こうしたことを決定していると思います。

 その紙の中にその部分が入っているかどうか分かりませんが、これは、パッケージの中に、今申し上げた地域の中核大学、特定分野に強みを持つ大学、これに対してもしっかり支援をしていく、これは会議の中で確認し、私も出席して確認しておりますので、これは間違いないところであると考えております。(発言する者あり)

階委員 今、別の仕組みですという声もありましたけれども、私もそのように事務方から聞いていまして、この資料の一番下のところに、大学ファンドからの助成というのがありますね。

 今回、大学ファンドというのは十兆円の規模です。今回の本予算の財政投融資の予算の方で約五兆円ぐらいが手当てされて、前回までの分と合わせて、これでトータル十兆円になるわけです。十兆円を運用して、年間三千億円もの運用益を上げて、これを数校に配分するというふうに言っていました。

 数校、具体的には何校ぐらいで、それを割り算すると一校当たり幾らぐらいになるのか、文科大臣、お答えいただけますか。

末松国務大臣 先生お尋ねになったお話ですけれども、昨日、会議でいろいろな話がありましたけれども、地方については、今総理が答弁されたとおりの声が識者からも上がってございましたので、御報告申し上げます。

 金額だけ申し上げたらよろしいでしょうか。(階委員「はい」と呼ぶ)数百億程度を考えております。(階委員「何校ぐらい」と呼ぶ)数校ということでありますから、数校は数校でございます。

階委員 数校ですから、さすがに七、八というよりはもうちょっと低くて、せいぜい五、六校だと思います。そうすると、仮に六校だとしても、三千割る六で、一校当たり五百億もの巨額の資金が毎年毎年流れるということになるわけですね。

 そこが、そういうお金を毎年消化できる大学って、やはり巨大な大学であり、そういう大学は地方には余りないんですね。やはり、東京などの都市部にこういうお金が投じられると、ますます東京に地方の若い優秀な人材が集まってくる。これはやはり地方活性化とは逆行するような気がします。

 そこで、私は思うんですが、毎年五百億もの資金を供給するのであれば、地方の、大学とは限らず、最先端の研究開発プロジェクトにこのお金を投じてもいいんじゃないか。その見地から、今日は鈴木財務大臣、私と同じ岩手なので、是非お聞きしたいと思うんです。

 震災の前から、岩手を始めとした北東北の方では国際リニアコライダーの誘致を進めてきましたけれども、どうしても財務省が反対して、これは一歩も前に進んでいないんですよ。今回、これだけの規模の大学ファンドをつくって、毎年毎年三千億もの巨額の運用益を生み出すのであれば、国際リニアコライダーは、毎年四百億円、この金額があれば造っていけるわけです。

 これは財務大臣として進めていっていただけないでしょうか。お願いします。

鈴木国務大臣 国際リニアコライダーを誘致する、日本にホストするということにつきましては、階先生とともに、超党派の議員連盟でずっと携わってきたことでございます。

 しかし、これは一義的に文部科学省の所掌範囲でありまして、私が財務大臣という立場でこれに対して何かするというと、のりを越えることになってしまうと思います。

 そういうことでございますが、何と言ったらいいんでしょうか、公務と政務という言い方はおかしいわけでありますが、財務大臣という立場でなく、地方、岩手選出の国会議員として、しっかりと、これからもこの誘致に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

階委員 私は、地元にだけ利益をもたらしたいと思って政治家をやっているわけじゃないんですが、こういう話というのは、今回、福島でも、国際教育研究拠点を設けて、復興のみならず、これは世界の課題解決にも貢献する、これも施政方針演説で総理がおっしゃったことです。

 こういう拠点を福島や岩手や全国津々浦々に設けて、そのためにこの十兆円ファンドというのを使ってもいいんじゃないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、地方発で新たな産業を創出する、また日本の成長のエネルギーをしっかりとつくっていく、こうしたことにおいて、最先端の研究開発拠点、これは重要な要素であると認識をしています。

 そして、先ほど来大学の議論が続いていますが、地方における大学等を中核として産学官の連携による研究開発拠点を構築する、このことによって地域の活性化につなげていく、こうした考え方、仕組み、これは大変重要なことだと思います。

 具体的には、大学ファンドを始め、様々な具体的な仕掛けをどう使うか、そして、それが地方における大学を中核とする産学官連携の研究開発拠点につながる、こうした取組をしっかり進めていければと期待をしております。

階委員 地方大学の支援の話、私も聞いていますけれども、全然支援の規模が違うんですね。それでは、格差が広がる一方ではないか、地方の活性化にはつながらないんじゃないか。ただでさえ東京一極集中、大都市集中が進んでいる中、その流れを変えるためには、地方にこそこうした大規模な研究開発拠点を設けるべきではないか、そのように考えますので、是非御検討をお願いします。

 さて、残された時間ですけれども、前回の続きで、公文書改ざん事件に関する国賠訴訟、これは赤木さんが起こした国家賠償請求訴訟ですけれども、これについて、請求を認諾しました、国は。ところが、一億一千万、赤木さんに払う、そのお金は我々の税金で払う。そのお金を、本来であれば、責任がある佐川元理財局長に求償すべきなのに、それを行わない。その行わない理由は何なのかということを前回伺ったときに、鈴木財務大臣からは、故意又は重大な過失がないかのようなお話がありました。

 明らかに、改ざんというのは故意がある。これはパネルを御覧になってください。

 これは、左側に、赤木さんの裁判の訴状に書かれていた請求の原因です。そして、右側に、今回国が請求を認諾するに至った理由などが書かれていますけれども、「第一 事案の概要について」のところで、左側に書かれてあるようなことをほぼ認めているというのが、左、右、対応して見れば分かるかと思います。ということは、やはり国としても、理財局からの改ざん指示があったということを認めているわけです。

 だとすれば、改ざん指示、過失、しかも軽過失ということはあり得ないわけで、故意しかあり得ないわけですよ、改ざんを指示するというのは。だとすれば当然求償すべきだと思いますが、この点についてもう一度お尋ねします。

鈴木国務大臣 求償権のお話でございました。

 今回の認諾いたしました訴訟は、まずは、損害賠償請求であったということでございます。そして、国家賠償法におきましては、国が支払った賠償金について、職員に故意又は重大な過失があったときは職員個人に求償することができると規定されております。

 今回の訴訟において、赤木さんが当時、森友学園案件に係る様々な業務に忙殺をされ、本省からの決裁文書改ざん指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれる中、国として安全配慮義務を十分に尽くせなかったこと、このことについて、国として責任を認め、認諾をしたものであります。

 赤木さんにつきましては、国といたしましても、赤木さんを含む森友学園案件に関わる職員の業務負担を軽減すべく、人員の追加配置でありますとか業務配分の見直し等を行ったほかにも、赤木さんの休職後におきましても、リハビリ出勤を開始するなど復帰に向けた配慮に努め、また、決算文書改ざんにつきましても、赤木さんを含む近畿財務局職員の反発の後、本省理財局幹部と近畿財務局幹部との間で相談がなされまして、結論として、赤木さんを含む統括国有財産管理官の配下の職員の方々にはこれ以上作業に関与させないとされたところでございます。当時、業務負担の軽減等の対応がなされたということを申し上げたところでございます。

 以上を踏まえますと、国として安全配慮義務を十分尽くせなかったといたしましても、重大な過失があるとは考えておらないところでございまして、求償権を有するとは考えていないところでございます。

階委員 改ざんの指示が亡くなった理由の一つではあるということは、きちっと書面に書いていますよね。これはお認めになりますよね。改ざんの指示が自殺された理由の一つだということはきちっと書いていますから、これはお認めになられますよね。

鈴木国務大臣 決裁文書の改ざん等の一連の問題行為につきましては、佐川元理財局長が方向性を決定づけ、近畿財務局の職員の抵抗にもかかわらず、本省理財局の指示により行われたものであること、それから、赤木さんの自死につきましては、赤木さんが当時、様々な業務に忙殺され、御自身も強く反発された本省からの決裁文書改ざん指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれる中、病気休職、さらには自死に至ったものであることといった事実関係の大筋につきましては、国として争うべき点はないと考えております。

階委員 指示という言葉をあえて使わず、方向性を決定づけたなんてごまかしていますけれども、次を見てください。

 これ、赤木ファイル、国がようやく、引き延ばしに引き延ばし、国会にも出さなかった赤木ファイル、ようやく出してきた赤木ファイルに何と書いてあったか。右側が、その赤木ファイルにあった赤木さん宛ての理財局の方からのメールの写しです。この下の方に、「局長からの指示により、調書につきましては、現在までの国会答弁を踏まえた上で、作成するよう直接指示がありました」。

 指示、指示、二回出てきていますよ。指示があったわけでしょう。指示は故意でしかあり得ないでしょう。ここは認めてください。

鈴木国務大臣 正確を期すために、紙を読ませていただきたいと思います。

 財務省の調査報告書におきましては、一連の問題行為は本省理財局の指示により行われたものと認定しており、また、理財局長が方向性を決定づけ、その下で理財局の総務課長が関係者に方針を伝達したものと認定しているとおりであります。

 今回特定されたファイルと調査報告書の内容に実質的な違いがあるとは考えておりません。

階委員 調査報告書、これはこのパネルの左側にありますけれども、念押しがあったというような、これもまた曖昧な書き方ですね。

 ちゃんと赤木ファイルには動かぬ証拠が書いていますよ。そして、訴状に書いてもあるわけですよ。

 訴状に書いたことを皆さん認めたわけでしょう。認諾して、争わないで、裁判をこれ以上長引かせたくないということで認めたわけでしょう。だったら、故意の指示があったんだから、それで亡くなったんだから、求償してくださいよ。

 結論だけ。

鈴木国務大臣 冒頭申し上げましたとおり、今回のこの裁判は損害賠償裁判でございまして、そこで争われていたのは、安全配慮義務がしっかりなされていたかどうかということであると理解をしております。

 国として安全配慮義務を十分尽くせなかったとしても、先ほど申し上げましたとおり、様々、赤木さんに対する配慮はしたところでございまして、重大な過失があるとは考えておりません。

階委員 いや、全く納得がいきません。

 最後に、赤木さんの名誉のために、この一つ前のパネル、「請求の原因」のところで、本件訴訟の目的ということが書かれてあります。

 赤木さんは、お金のためにこの訴訟をやったわけではありません。

 目的は三つ。なぜ亡き俊夫が本件自殺に追い込まれなければならなかったのか、その原因と結果を明らかにする。第二に、行政上層部の保身と忖度を目的とした軽率な判断や指示によって、現場の職員が苦しみ自殺することが二度とないようにする。第三に、亡き俊夫の遺志に基づき、誰の指示に基づいてどのような改ざんが行われ、その結果、どのようなうその答弁が行われたのかについて、公的な場で説明する。

 この三つの目的、これを果たしてもらわなければ、この請求が認諾される意味はありません。是非、この点について、改めて証人喚問、そして第三者委員会による再調査を求め、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、重徳和彦君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 本日は、サポート役で、本庄知史議員に手伝っていただきます。柏市、我孫子市の皆さんから選出いただいている議員でございます。よろしくお願いいたします。

 さて、総理、昨日、コロナの新規感染者数は八万人を超え、重症者数は八百四人、そして死者が七十人という数となっております。先ほど長妻委員からもありましたが、昨年九月八日、第五波のときのピーク、それが八十九人でありました。かなりそこに迫る数のお亡くなりになる方が出てきたということを強く認識すべきだと思います。

 強い危機感を持って、そして、更にこれから、重症者や死者のピークが遅れてやってくる、そういう見立てもございます。危機管理上、常に最悪の事態を想定すると言われる岸田総理の、その思いのとおりの施策を担っていただく必要があると思います。

 総理は、年頭の記者会見などでこうおっしゃっています。陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察や訪問診療を始める体制を取ります、自宅療養者のことですね、自宅療養の。そして、療養開始の翌日までにパルスオキシメーターをお届けするとともに、診断の当日ないし翌日に経口薬を投与できる体制を確立します、こうおっしゃってきましたが、現在、自宅療養をされている方々に対して、この体制は確立されていますか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、軽症の自宅療養者の方々の増加に対してしっかり対応しなければいけないということで、健康観察を始め、地域の医療の対応体制、これを構築してきたわけです。

 現在どういう状況にあるかという御質問でありますが、これは、今、短期間で感染者が急増したことによって、保健所等からの電話になかなか応答していただけないケースがある、逆に、先方からの電話がつながりにくくなっている等で、電話連絡に日数がかかっている、こういったケースがあるということは承知をしております。

 そういったことから、回線の増加等、様々な取組を国としても支援をさせていただきながら、連絡体制の円滑化に努めているというのが現状であると認識をしております。

重徳委員 今おっしゃることは、連絡を取っているんだけれども連絡がつかないんだ、それは回線が足りないんだとかいう話なんですが、そもそも、この自宅療養に対する体制、それは別に電話連絡ができる体制のことだけじゃないと思うんです。全体に見て、それは十分足りているんですか。総理大臣として今年の初めからずっとおっしゃってきた、体制を確立しますと。それに足りていないことがたくさんあるんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 自宅療養の体制については、健康観察、パルスオキシメーターの配付、あるいは経口薬へのアクセス、こうした体制を保健所を通らずともしっかり構築していく、こうした方針で取り組んできました。そして、対応していただく地方の医療機関についても、一・六万、十一月の全体像に基づく計画を三割上回る、こういった数を確保したところであります。

 こうした体制をいかに起動させるか、機能させていくのか、これが重要だと思っています。連絡体制のみならず、全体がしっかりと機能していく、こうしたことを確認し、自治体とも協力をしていきたいと考えております。

重徳委員 私が聞きたいのは、今おっしゃったこと、それは全部整えることが目標ですよ、だけれども、それをちゃんと機能をさせることが重要とか、それを確認するとおっしゃっていますが、その確認ができているのかということを質問させていただいているわけであります。

後藤国務大臣 体制整備については、今総理からお話がありましたように、全体像で、自宅の療養体制、宿泊療養体制も含めて、重篤な方たちの入院との関係も含めて、全体で体制を整えているわけでありますけれども、今、足下のことから言いますと、オミクロン株の感染力が極めて高く、短期間で感染者が急増している中で、電話に応答のない方などもあって、接触に、翌日までにできていない方がいるということは認識しております。

 そのために、今自治体とも至急、個別に協議しながら、例えば、フォローアップセンターの設置だとか、あるいは電話の増設だとか、様々な助言、そしてまた、地方創生臨時交付金等の支援によって財政的にも支援をしながら、今その確認に基づいて対応をしっかり行っているというところでございます。

重徳委員 厚労大臣から、現時点で要するに様々なことができていないことがあるということをお認めになりました。今、本当に急速に感染が拡大していることは誰もが認める事実でありますので、この現状認識をきちっとしていただくことがスタートラインだと思うんです。その点は、全体像がどうというのは去年の終わりの話ですから、そのとおりうまくいっていないということ、これをいわばお認めになったということだと思います。

 そして、もう一つ現状確認をしたい。

 これは、私がなぜここまでこのことにこだわるかといいますと、やはり、最悪の事態、これは、自宅療養の方々に関して言えば、自宅で医療にかかることなく、入院することなく、そのまま自宅でお亡くなりになる、そういう方々が、去年の八月、九月、いわゆる第五波のときに相当数いらっしゃったじゃないですか。

 今月の厚労省の発表によりますと二百二人という数字が出ておりますが、少なくとも二百二人という言い回しで報じられている面もありますが、まず去年の第五波の確認をします。二百二人ですか、それ以上いらっしゃるんですか。

後藤国務大臣 厚生労働省が道府県を通じまして、八月から九月までの間に自宅療養中に死亡された事例や死後に新型コロナの陽性が判明した事例を調査を行ったところ、二百二件の報告がありました。ただし、八県からまだ報告が来ていないということもあり、少なくとも二百件ということであって、二百件で全てだということとは言えないと思います。

 また、警察のデータ等もありまして、不審死の検視で発見されたのは、新型コロナウイルス陽性の御遺体のうち自宅等で発見されたというふうに報告されているものは、検視では三百十四人ということになっております。

重徳委員 それでは、第六波、主に今年に入ってからでしょうね、一月中の自宅でお亡くなりになった方の数というのは把握されていますか。ニュースでも、私が見ただけでも、何人かの方が自宅でお亡くなりになっていることを確認しております。厚労省ではいかがでしょうか。

後藤国務大臣 一月以降の新型コロナの患者さんの自宅死亡事例については、いまだ網羅的に把握しておりません。

 一月一日から三十一日までに自治体から報告のあった新型コロナウイルス感染症患者の死亡者は三百七十一名という報告でございますけれども、そのうち自宅死亡事例については網羅的にしっかりと把握できておりません。

重徳委員 網羅的じゃなくてもいいです。大臣、何人把握されていますか、認識されていますか。いや、本当は総理にお答えいただきたいんですけれども。

後藤国務大臣 HER―SYSに入力されている件数は三件です。

重徳委員 じゃ、本当に少なく見積もって三件ということに取りあえずしましょう。取りあえずですよ。

 それで、やはり、今の第六波と言われる波の中で、オミクロン株が、どうも、感染力は強いけれども軽症の人が多い、だから大丈夫なんだとか、少し安心した感じが漂っている気がするんです。一方で、もちろん、社会が止まるじゃないか、こういうことも言われておりますので、このバランスが極めて重要なところなんですが、今日は私は、とにかく最悪の事態、すなわち自宅療養されている状態のままお亡くなりになる、これを何としてでも防がなければならないという観点から質問を続けさせていただきたいと思います。

 要するに、自宅療養というのは、本来、保健所の方々が健康観察を電話などで一日一回とか、それぞれやられているわけですね。それで、症状に応じて入院措置をさせることなんですけれども、保健所が業務が逼迫をして、これは自治体によりますけれども、自治体によっては、ほかの部署から職員をたくさん駆り出して何とか保健所業務を回す、あるいは外部に委託をするなどして、本当に皆さん必死に仕事をされています。それでもなお、医療にアクセスできずにお亡くなりになるケースが出ている。去年は、たくさん、数百人の方がそういうことになった。

 そして、この自宅で亡くなった方々の御遺族が、昨年、自宅放置死遺族会、自宅で放置されて亡くなった、自宅放置死遺族会という会を結成をし、家族、親族を失った悲しみの中で、しかし、この教訓を何としてでも次に生かしていきたいんだという強い思いで立ち上がられました。

 私も、共同代表のお二人と直接お話をさせていただきました。何日間もの間、毎日本当は健康観察をしていただけるはずの保健所の方と連絡がつかなかったというケース、あるいは、基礎疾患に関する情報がきちんと共有されていなかったんじゃないか、保健所と医療機関の間で、というようなケースもあるというふうにお聞きしました。

 行政側も、これだけ業務が逼迫しているので、これは一生懸命やっている中でどうしても漏れが出てくる、やむを得ない事情があるんだという、もちろんその事情は私も重々分かります。そして、御遺族の皆さんも、そういう部分があるということはやむを得ないことだということもおっしゃっています。しかしながら、御遺族にとってはかけがえのない御家族の命であり、大変無念な思いでいっぱいである、一体誰に連絡を取ればよかったんだろうかという自責の念もおありになっているということであります。

 そこで、総理に、ここはあえて、この自宅でお亡くなりになった方々、その法的な責任関係というのがどうなっているのかということを問いたいと思います。この御自宅で亡くなった方々に対する国や県、保健所の法的な責任についてお答えください。

後藤国務大臣 政府としては、感染症法の規定に基づきまして、感染症の拡大防止や医療提供体制の確保を担う都道府県等々に対して必要な支援を行う責務を有しておりまして、先ほど申し上げているような夏の時点の反省を踏まえて、保健所が手いっぱいになったときに、まず患者を見つけた医療機関がそのまま健康観察とそして診療を始められるような、そういう仕組みを準備したり、去年の夏に起きたようなことが起きないような体制づくりとそのための財政支援を行っております。

 自宅で、本当に、医療を受けている中で急変して自宅で亡くなられる方、元々医療が受けられずに亡くなられる方、いろいろな方がいるわけでありまして、自宅での死亡に至る理由は様々だと思いますので、その法的責任も事案によって様々であるというふうに思っております。

 いずれにしても、全体像でしっかりやること、それから道府県としっかり連携をすること、そして財政支援をすること、感染症法上の第三条第三項に書かれているそういう責任という中で、政府としてやるべきこと、やらなければならないことに臨んでいるということだと思っております。

重徳委員 自治体の役割については分かるんです。役割じゃなくて、私は、法的な責任、こういった死者が出たときにおける法的な責任はどうなのか、過失があったらどうだとか、そういったことについてあえてお聞きしているんですけれども、きちっと答えてください。

後藤国務大臣 ですから、今申し上げたみたいに、過失の問題だとか、あるいはどういう事態が生じたのか、そういうことが具体的でないと責任の問題も一概にお答えできないということを申し上げました。

重徳委員 これは非常に曖昧になっていると思うんですよ。結局、自宅療養されている方々の健康観察、これは、法律上、報告を求めるということですね。保健所がその患者さんから報告を求めるということを健康観察というふうに言っているわけなんですけれども。そこにおいて、報告の、連絡のやり取りができなかったとか漏れがあった、あるいは判断を誤った、こういうときに、そのことと医療的な手だてを受けることができなかったこととの関係とか、その辺の整理がきちっとできていないんだと私は思います。

 しかし、個々の事案に基づいて判断されることになるというのは、それはおっしゃるとおりであります。

 取りあえず法的なことはそこまでとして、もう一つ。

 総理がこの間ずっと、常に最悪の事態を想定するとか、あるいは、先週の予算委員会での御答弁でも、医療機関にアクセスできる体制をしっかりつくるんだということを繰り返しおっしゃっていました。にもかかわらず、このような、最低限の情報で、三人は少なくともお亡くなりになっているということでありますから、こういったケースをなくさなきゃいけないというのが総理の強い思いのはずです。そういったことに関する責任をどのように感じておられますか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員おっしゃるように、昨年のような大変悲惨な状況を起こしてはならないということ、これはもうおっしゃるとおりだと思います。

 だからこそ、政治の責任として、医療体制を逼迫させてそうした事態が起こらないような、しっかり体制を用意し、そしてそれをしっかり機能させる、こうしたことを政治の責任として進めていかなければならないと考えています。

重徳委員 今日は少し具体的な提案をさせていただきたいと思います。

 実は、東京都品川区に品川モデルという、これは自宅療養中の方々が健康観察を受けながら医療も受けることができる、そういう仕組みがあります。少し厚労省から御説明していただけますか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都品川区では、昨年夏の感染拡大の際に、地域の医師会の協力を得まして、保健所や健康フォローアップセンターにおいて、医師の診察等が必要と判断された陽性者の方に対しまして、オンライン上で開業医の方々とマッチングを行って随時オンライン診療を提供する体制を整えたと承知しております。

重徳委員 厚労大臣にお聞きしますが、保健所が行う健康観察とか入院調整といったことと、今のお医者さん方が行うオンライン診療、これは法律的にはどういう関係にありますか。

後藤国務大臣 健康観察を行って、医療が必要だということであれば医療サービスというのをきちんと受けられるようにするということで、両者は法的な位置づけは違うかもしれませんが、ただ、今、例えば、逼迫しているような状況の中で保健所の任務が非常に厳しい場合に、例えばこの品川のケースは、お医者さんにオンラインで診療をしていただくときにお医者さんをプールしているという形のサービスだというふうに思いますが、しかし、一歩進んで、健康観察そのものを、地域のかかりつけの方とかそういう方に、お医者さんだとか、そういうところに委託をしたりして、全体として、地域として、自宅での診療を医療、健康観察一体としてきちんとやっていくという提携、協議をしてやられているところもある。

 そういう意味では、任務は別ですけれども、委託という形を通じてそれを一体的にやっている地域もあるというふうに認識しておりますし、そのことは認めております。

重徳委員 今の御答弁にあるように、曖昧なんですよ。

 私がしたい整理は、健康観察というのはあくまで保健所が行う報告じゃないですか。お医者さんがそれと同じことをやっていても意味がないと思うんですよ。お医者さんは、医療という、保健所ではできない部分を担う。だから、ベースとして、保健所は健康観察をするんだけれども、それから入院の調整を行うんだけれども、しかし、実際に医療が必要だというときに、入院まではいけなくても、自宅で不安になっている方々がお医者さんの手をかりることができるような状態、これを、品川区、東京都ですかね、全体につくっているという理解を、理解というか、そういうことだというふうに聞いています。

 それで、今必要なことはそこなのではないかと私は思います。つまり、保健所には医療の役割は果たせないんですよ。だから、保健所の方々が一生懸命、行政マンが一生懸命やっても、やはり最後まで面倒を見切ることはなかなかできないところがある。そこを補っているのが品川区のモデルなんですけれども。

 要するに何かといいますと、このパネルで御覧いただきますように、本来は、感染症法の枠組みというのは、上の緑色が軽症者ですね、陽性だけれども軽症な方々、これは自宅でいいでしょう。ただ、黄色、少し重篤化していく兆しがあるような方、そして重篤な方々、赤い方ですね、その気配が出てきたら入院の措置をするというのが本来の仕組みなんですけれども、今回の第五波とか第六波では感染が拡大し過ぎてしまいまして、自宅にたくさんの方々が軽症者として療養されているんです。

 しかし、保健所の業務が逼迫してしまったので、もう既に黄色くなっている状態の方々がそれでも家の中にずっといる、こういう状態まで生んでしまっている中で、自宅にいながらにして医療にかかることができる、入院までいかなくてもですよ、入院できるならいいですけれども、ベッドはベッドでいっぱいだというような状況であれば、自宅にいながらにして、放置されずに、そしてこれが、かかりつけ、我々は家庭医という言い方をしています。家庭医に関する法律案も立憲民主党は提出させていただいております。中島克仁議員らとともに提出を去年させていただいたんですけれども、こういったかかりつけのお医者さんが、そろそろこの日本でも制度化していく必要があるのではないかという議論であります。

 このポイントは、やはり登録をするということですね。一番下にあります、かかりつけのお医者さんを登録すること。このコロナ禍において、保健所の方から、何か困ったことがあったらかかりつけのお医者さんに相談しなさいと言うけれども、かかりつけのお医者さんって誰だろうという世界じゃないですか。

 それから、ワクチンのときもありました。ワクチンも、かかりつけのお医者さんに接種してもらいなさいと言われても、かかりつけだと思っていたお医者さんに、ワクチンを打ってくださいと言ったら、いや、あなたは別にかかりつけじゃありません、いわば行きつけのお医者さんかもしれないけれども、かかりつけじゃありませんと。

 かかりつけの定義すらないんですよね、大臣。かかりつけって、法律上の定義もなければ、日本中にかかりつけをやっているお医者さんが何人いるか、かかりつけのお医者さんがいる国民は何人いるか、こういったことも何もないんですよね。ちょっと、一応確認です、端的に。

後藤国務大臣 今先生から御指摘のあったこの下の図の黄色いところ、ここに医療が必要だというのはまさにそのとおりで、ここに医療がなければ、昨年の夏起きたような、そういう事例がまた起きかねないということで、そういう意味で、自宅の療養の方、それからホテル療養も含めて、必要があれば一・六万人のお医者さんにしっかりと医療を提供していただけるような体制を整えていくというのが全体像の考え方です。

 そして、今おっしゃったように、例えば、地域の医療機関において健康観察をしてもらうとか、地域全体として対応する体制とか、そういうようなものをしっかりやっていく必要があるということももちろんでございます。

 コロナ用のかかりつけ医というのが制度的にどういうものになるのかということは別として……(重徳委員「そもそもかかりつけ医というようなものが制度としては存在しないですよね」と呼ぶ)なるほど。それは先生のおっしゃるとおりです。

重徳委員 やっと認めていただけました。

 でも、問題意識は共有できてきたと思いますよ。この図にある赤い点線の中が、医療が欠落しているんですよ。これがないから自宅療養の方々は苦しんでいるわけですよ。保健所も電話がつながらない、誰に連絡すればいいんだということを御遺族の方々も言っているわけですね。

 その問題を解決するには、いきなり法律化、法制度にするかどうかとかいろいろ議論はあると思うんですが、このかかりつけの登録、これを始めなければならないんです。オンラインでとか一万六千医療機関を確保しましたとか言うけれども、それはかかりつけじゃないんですよ。だから、オンラインを実際に品川区でやっている先生からも聞きましたけれども、品川区でなぜオンラインでコロナ患者を何とか診られるかというと、それはコロナだって分かっているからなんですよ。コロナの患者さんをオンラインで診ている、だから一定の判断ができるんですけれども、そもそも何の病気か分からないとか診たことない患者をオンラインで診ることは、これはなかなか難しいだろうと。

 ですから、ちょっと特殊な状態が今あるからオンライン診療、オンライン診療と言っていられるんですが、やはりベースとして、平時からこのかかりつけのお医者さんを登録していく必要がある。この問題意識、総理、共有していただけますか。

岸田内閣総理大臣 かかりつけ医の制度の構築ということについては、委員から御提案もあり、これは様々な議論や取組があるんだと思いますが、ただ、御指摘になったこの資料の中で、緑と点線の部分ですが、この緑の部分においては、ITも活用しながら保健所に頼らず地域の医療機関において健康観察等を行うということですが、この点線、赤い点線の部分において、万が一の場合に、症状が悪化した場合、往診や訪問診療等によりすぐに地域医療が対応する体制を構築する。これは、従来、全体像の中で、こうした取組を進めるべきだという問題意識を持って取組をしているところであります。

 ですから、この赤い点線部分において医療にスムーズにアクセスできるという考え方、これは大変重要な考え方であり、それが国民の皆さんの不安を少しでも和らげる道につながると私ども考えます。

重徳委員 総理も考えるというふうに、まあ、考えるだけじゃ、またこれはいつものパターンで困っちゃうんですが、しっかりとお願いしたいと思うんですけれども。

 結局、今、感染が拡大して自宅療養者が激増する局面においては、それはもう今をしのぐために様々な手だてを講じるしかないのかもしれません。今この緊急事態のさなかに言われてもという部分もあるかもしれませんが、しかし、これからこの第六波がこの先どうなるか分からない、先、まだ第七波、第八波、あってほしくないけれども、最悪の事態を想定しなきゃいけない、そのときに必要な仕組みとしてこのかかりつけ医というものを提案していきたいと思っております。

 これは、私も医者の世界もそんなに知りませんから、元々この議論を始めた頃は、もう四年前から議論しているんですが、コロナが始まる前からですよ、予防医療とかふだんからの安心な地域医療を確保するための議論だったわけなんですが、しかし、こんな、開業医の方々にかかりつけになっていただくなんという議論をしたら、お医者さんとか医師会の皆さんから物すごい反発を受けるのかなということも何となく想像していたんですが、むしろ逆で、今の制度、今このかかりつけのない制度のままいってしまったら、これから先の日本の医療はむしろ高齢社会の中で持続できないという問題意識を持っているお医者さん方、あるいは厚労省の方々もそうです、問題意識を持っている方々がたくさんおみえになります。そういったことを受けてお考えいただきたいと思います。

 最後に、これは法改正が最終的には必要だと思うんですけれども、実は、厚労省自身も同じ問題意識を持っておられる節があります。十二月十七日、去年の終わりに、現行の感染症法等における課題・論点の中で、論点案として、自宅療養者等に対して、医療、外来医療、在宅医療が適切に確保、提供される体制を整備することが必要ではないか、これは法改正の議論ですよ、法改正の議論の中で、必要ではないかということがうたわれております。

 是非、法改正、しかも六月までかかるとおっしゃるわけですから、まだ半年近くありますよ。この間にこういった議論も含めて是非進めていただきたいと思うんですが、総理の御決意をこの点についてはお聞きします。総理。厚労省はもう言っているわけですから。

岸田内閣総理大臣 感染症法の在り方については、オミクロン株の特性を始め、様々な観点から丁寧に議論を続けたいと思います。その中で、委員の問題意識というのも念頭に置きながら、様々な観点からこの法改正ということについて議論を進めていきたいと考えます。

重徳委員 前進した答弁だったと思いますので、是非、これからも追いかけ続けますので、よろしくお願いします。

 残った時間で、前回、経産大臣に、萩生田大臣からは一般質疑のときに大体考え方が一致しているというふうに言っていただいた、自動車産業とカーボンニュートラルについての議論をさせていただきたいと思います。

 今、カーボンニュートラル、まさに、要するに、ガソリンエンジンから、ハイブリッドもありますが、そこからEVへと、今日午前中も議論がありましたけれども、自動車産業からすれば、百年に一度の大転換期が来ているという強い危機感を業界の方々はお持ちであります。

 総理の基本的な認識を問いたいんですが、今、国内で一千万台の生産体制を取っているのが自動車業界であります。そして、非常に大きな日本の産業、経済におけるウェートを占めているのが自動車関連業界でありますが、この一千万台生産体制を維持する、それは、雇用を維持することにもなり、また、技術を持つ人材の確保、維持ということにもつながりますが、この基本的な、自動車産業の在り方、重要性ということについて、まず認識を御確認したいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、需要側、供給側、産業構造も生活も大きく変化をしていかなければなりませんが、その大変革の中で、自動車産業、今現在においても、日本の雇用の一割、輸出の二割を占める基幹産業であり、日本の経済の牽引役であります。

 こうした自動車産業、この変化の中にあっても、引き続き日本の基幹産業として国際競争力を維持強化してもらわなければならない、それをしっかり支えていかなければならない、政治の立場からもそのように認識をしております。

重徳委員 各論は様々あるんですが、今日は二点だけ端的にお聞きしたいと思います。

 一つは、自動車はライフサイクルアセスメントという考え方があります、二酸化炭素の排出量に関して。つまり、自動車は、原料、部品、組立て、走行、リサイクル、廃棄まで、やはり環境に負荷を与える局面が多段階にわたってあります。

 それから、特にガソリン車やハイブリッド、そしてEVへという流れの中で問題にされるのは、ガソリン車はもちろん二酸化炭素を車から排出しておりますが、EVは、充電をするから車からは排気ガスは出ないけれども、その電力は元々石炭火力を中心とした火力発電がすごく多いじゃないか、特に日本は多いじゃないかということでありまして、このライフサイクルアセスメントという、ライフサイクルで評価するという考えなしに、EVだ、ガソリン車だ、エンジンだという議論はやっていてもナンセンスだ、こんなような議論があるんですが、このライフサイクルアセスメント、我々は、これも野党の超党派で、昨年、これを重視してこれからの日本の産業の在り方を考えよう、こういう法案も提出しておりますが、このライフサイクルアセスメントについての総理のお考えをお示しください。

岸田内閣総理大臣 委員おっしゃるように、カーボンニュートラルを実現するためには、自動車の走行時だけではなくして、製造から廃棄を含めたライフサイクル全体のCO2排出量に着目する、こうした考え方は重要であると政府においても考えております。

 例えば電気自動車の場合、蓄電池の製造時や充電時に電気を多く使うため、電源の脱炭素化、これを同時に進めていかなければならない。さらには、自動車に使用される鉄鋼などの素材の製造時にも多くのCO2を排出するため、製造プロセスでのCO2削減が必要となる。こうした考え方。

 政府においても、引き続き、こうした全体の脱炭素化に向けてしっかりと取組を進めていかなければならない、このように認識をいたします。

重徳委員 参議院の礒崎哲史議員とか浜口誠議員とともにこれに関する法案も提出させていただいておりますので、是非議論を、与野党挙げて、この問題に与党も野党もないと思いますので、議論をし、政府を我々としてもリードしていけるように取り組んでいきたいと思っております。

 最後に、簡単にお聞きします。

 電池が必要になるEVは、電池の製造技術、そしてその原料の調達、レアメタルですね、リチウム、ニッケル、コバルトが非常に重要です。電池については、中国が大変な力の入れようであります。ヨーロッパももちろんです。そして、EVが主流になったら日本は車の輸入国になっていたなんということになっていたら、目も当てられません。

 この国際競争力をどう確保し、また、ルールメイキングにたけた国々もあります、この辺りとどのように競い合っていくのか。この辺の戦略性について総理にお尋ねします。

岸田内閣総理大臣 まず、電気自動車の製造には、蓄電池やモーター、こうしたものが基幹部品として不可欠であり、特に蓄電池においては、脱炭素化が進む社会において基盤となるキーテクノロジーであると認識をいたします。そのために、電池に係る技術的優位性の確保、そして安定供給体制の構築、これは喫緊の課題であると考えます。

 政府としても、蓄電池あるいはその材料の大規模な国内製造拠点整備のために、一千億規模の支援措置を講じています。そして、グリーンイノベーション基金を活用して、高性能材料あるいはリサイクル技術の開発に取り組んでいます。

 引き続き、蓄電池のサプライチェーンの強靱化に必要な措置を講じてまいりたいと考えています。

重徳委員 終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として防衛省大臣官房衛生監鈴木健彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、奥野総一郎君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党、奥野総一郎でございます。

 質問の機会をありがとうございます。

 今日は、北海道三区から荒井優さんがパネルのお手伝いに来ていただいております。ありがとうございます。よろしくお願いします。

 私は今、憲法審査会の幹事を務めさせていただいております。これから憲法の議論も本格化していくと思うんですけれども、まず、我が党の立場を簡単に御説明させていただきたいと思います。

 我が党は、論憲という立場を取っています。議論の論に憲法の憲、論憲ですね。改憲というのは、憲法を改正することを優先する。我々は、議論をする、国民主権、そして基本的人権の尊重、平和主義、いわゆる憲法の三大原則を守りながら、憲法に足らざるところがあればそれを補っていくという立場です。議論をして、まずは解釈で補えないのか、そして、それでも無理、今の憲法に不都合があるというのであれば、憲法改正もそれはその議論の中で考えていくということになります。それが論憲という立場であります。要すれば、改正ありきではない、必要があれば改正も考えるという立場だと御理解いただきたいです。

 一つ例を出したいんですが、今、コロナ禍で大変です。今日も、三名の方が陽性ということで報道されておりましたけれども、これがいつ爆発的に広がって、定足数を満たさなくなるんじゃないか、こういうおそれもあるわけですね。だから、改憲派の方は、今の憲法を変えなきゃいけない、こういうふうにおっしゃるんです。

 まず、憲法の条文を見てみましょう。

 一番上のところに五十六条一項というものが書いてあります。「両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」ということになります。例えば、パンデミックになって、三分の二以上、こんなことはあるかどうか分かりませんが、三分の二以上の方が濃厚接触者だったり感染者になってしまえば国会が開けない、こういうことになりかねないわけであります。

 じゃ、この出席というのを改正しなきゃいけないのかということですが、二つ説があって、一番上は物理的出席説ということで、物理的にそこにいなさい、要するにちゃんと出席しろというのが従来の考え方です。そして、最近の新しい有力説としては、これは東京大学の宍戸先生なんかがそうなんですが、必ずしも空間的、場所的に議場に存在しなくとも、ICTを活用して一定のインタラクティブな環境を整備することによって、出席と評価することは可能だ、こういうふうな説があるんですね。

 実際、条文上、どこがひっかかってくるかといいますと、一番下の点線のところですが、五十七条を受けて、衆議院規則というものがあります。五十一条は委員会の出席規定なんですね。「表決の際現在しない委員は、表決に加わることができない。」百四十八条は本会議場です。「議場にいない議員は、表決に加わることができない。」と。

 これはまさに物理的に出席しなさいということを言っているんですが、例えばこれを変えて、表決に加わることができない、ただし、感染症等のため議場にいることができない議員であって、あらかじめ議長の許可を得た者等について、表決に加わることができる、こういうふうに変えれば、直ちに憲法改正をしなくとも、オンライン参加、オンラインで審議に参加できるんじゃないか、こういうことになるわけであります。

 これは、国民民主党の玉木代表なんかも全く同意見なんですが、総理は、こういった考え方、賛成ですか、いかがですか、オンライン審議。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的には両議院の議論の在り方の問題ですので、委員御指摘の点も含めて各党各派において議論していただければと思いますが、ただ、その上で申し上げさせていただくならば、国会関連業務のデジタル化が進むということについては、政府としてもこれは前向きに捉えるべきことではないかと思っています。国会においても、各省庁から国会議員への説明をオンラインでも行わせていただくことが増えていると承知をしておりますが、業務の効率化が進むということも期待されます。

 デジタルをうまく活用することは、多様な働き方を実現する上でもこれは一つ有力な手段となり得ると一般論としては考えるところであります。

奥野(総)委員 国会がやはり一番遅れているんですよ。世界各国がやっているんですから、日本でできないわけはありませんから。是非、これは確かに国会の話なんですけれども、こういうことをやはり、例えば憲法審査会の中で議論をしていく、あるいは議運の中で議論をしていって、前に進めていきたいと思います。これは論憲の一つの例ですね。改正ではなくて、議論をしながら解釈を変えていくということであります。

 それで、今、改憲の話が出ましたが、自民党さんはこういう、今日皆さんにお配りしていますが、日本国憲法改正草案という立派な改正案がありまして、これはホームページにも出ていますし、党の案だというふうに理解をしていますが、岸田総理は自民党の総裁でもあります。こういう聞き方をすると、行政の長だから答えられないということをよくおっしゃるんですが、党の総裁として、この改正草案については賛成されておられる、支持しておられるということでよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の憲法草案については、平成二十四年に自民党としてこの案をまとめたと承知をしております。

 そして、その後、あれは二〇一八年の党大会で、現在自民党として主張させていただいております四項目のたたき台素案、これを優先的に改正の議論の中で進めていく、これをその党大会の中で確認をした、こうした手続を取ってきたと承知をしております。

奥野(総)委員 要すれば、いわゆる四項目、九条、それから、ちょっと順序は分かりませんが、教育の無償化、合区の解消、緊急事態、この四項目については、総理は前向きに進めたいと考えておられるということでよろしいんですね。

岸田内閣総理大臣 これは前々から申し上げておりますが、自民党の四項目のたたき台素案、これに基づいて憲法を改正していくべきだと私は考えております。

 この四項目全ては国民にとって極めて現代的な課題であると認識をし、改正に向けて、国民の理解を得るべく、国会議員もそれぞれの立場で議論を深めていくことは重要であるということは申し上げてきております。

奥野(総)委員 とりわけ九条や緊急事態については異論もいろいろあるところでありますから、私は、一緒に議論をするのはいいんですが、強引に推し進めて国民の分断を生むことがあってはいけないと思うんですね。やはり憲法改正ということは、みんなが一致をして賛成できるというようなものについて進めていかなきゃいけない、その合意が取れるまではやはり徹底的に議論をしなきゃいけないというふうに思います。

 ちょっと今の憲法審査会、私が危惧をしているのは、少しこの四項目に前のめりになっているんじゃないか、もう少し慎重に考えるべきじゃないかというふうに思うわけであります。我々は論憲の立場でありますから、まず解釈、運用でカバーできるところは解釈、運用でカバーしていく、どうしても足らざるところは改憲をするということだと思うんですが、例えば、教育の無償化は別に改正しなくてもできるわけであります。

 それから、運用上問題がある点をもう一つ指摘をしたいんですが、憲法五十三条の問題であります。

 資料をお配りしていますが、五十三条というのは臨時会の召集で、内閣は臨時会を召集することができるんですが、衆参どちらの議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない、こういう条文であります。

 これに従って何回も、過去、召集の要求を出していますが、直近では、私も議長のところに伺いましたが、昨年の六月十六日に、新型コロナウイルス感染症及び各地で頻発する豪雨被害に対応するため、この五十三条に基づく臨時国会の召集をさせていただきました。

 この時期は、夏にかけて、第五波になるんですかね、猛烈に感染が増えた時期に重なります。あるいは、夏の豪雨が重なっています。こういうときこそ国会を開いてしっかり議論をし、補正予算を上げていくべきじゃないかという趣旨で出させていただいたんですが、結局、開かれたのは、九月に入って、要するに、岸田総裁を決める、岸田総理を決める国会まで、およそ八十日間たなざらしにされたんですね。

 そして、同じように、二〇一七年にも出しましたが、このときは九十八日間も間が空いているわけであります。

 これはどうですかね、この条文の趣旨。条文の趣旨というのは、遡ってみると、この条文を入れた趣旨というのは、通年国会、当時は古い言い方で万年国会と言っていたんですが、万年国会を開かない代わりにこの条文を入れた、こういうことが書かれていたんですね。だから、すぐに本来は開くべき趣旨の、要求があれば開くべき趣旨の条文だと思います。

 これは違憲の疑いがあるんじゃないですか、こんな長期間。現に、先日の広島高裁の判決でも、違憲と評価する余地があるという一審判決が維持されています。

 総理、この点について、召集権者としていかがお考えですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の昨年七月十六日に行われた臨時国会の召集要求については、前内閣において、国会のことでもありますので与党とも相談しながら対応を検討し、政府として十月四日に臨時国会を召集する旨を閣議決定したものと承知をしております。

 当該召集の決定については、菅前内閣において、臨時国会で審議すべき事項、様々をしっかり勘案して判断されたものであり、憲法第五十三条に基づき適切に行われたものと認識をしております。

奥野(総)委員 これは、政府も義務だというふうに従来答弁していて、合理的な期間内に開かなきゃいけない、こういう答弁を維持しているんですが、その合理的期間内というのは何なのかというのが問題になるんですね。

 だから、何か天変地異があって開けないとか、そういうことであればそれは延びるんでしょうし、しかし、こういうまさにコロナ禍のようなときに、一刻も早く国会で皆さんに補正予算を届けなきゃいけないと我々が考えているようなときにはこれはもっと短くあるべきですから、八十日というのは本当に合理的な期間内かというのは極めて私は怪しいと思うし、だからこそ、裁判でも違憲の余地があるということが維持されているというふうに思います。

 ちなみに、自民党の先ほど御紹介した憲法改正草案の中ですけれども、これは、上の段が現行、下の段が改正条文なんですが、二十日以内に召集しなければならないと。要求があった日から二十日以内に臨時国会は召集されなければならない、こう書いてくれているんですよ。この二十日間というのは、まさに私は制度の趣旨からいって妥当な時期であると思いますし、この草案、私もどうかと思うところはたくさんあるんですが、この条文についてはよくできているなと思うんですね。

 総理、どうですか。御自分で、今度この召集があったときは、先ほどこの草案についても間接的に支持するとおっしゃっているわけだから、ちゃんとこれにのっとって二十日間で召集いただけるとお約束いただけないですか。

岸田内閣総理大臣 憲法五十三条の解釈については、御指摘の合理的な期間、これについて、臨時国会で審議すべき事項は何なのかなど、様々な観点を総合的に勘案して判断するべきであります。

 そして、自民党草案についてどう考えるかということでありますが、これについて、御指摘のように、平成二十四年に自民党としてこの草案を取りまとめたわけでありますが、その後、自民党としても議論を積み重ね、党として、憲法に関する基本的な方針は、先ほど申し上げました二〇一八年の党大会で確認をした方針、四項目のたたき台素案を中心に改正の議論を進めていくというものであると認識をしております。

奥野(総)委員 最初の御答弁でいうと、要するに、臨時国会は中身が大事だから、それによって考えるということだと思うんですが、少なくとも去年の要求についてはコロナ対策で、コロナが一番厳しいときにしっかり議論をしよう、こういう申出だったわけですよ。

 それを、その間、総裁選とかもやっていたんですけれども、開かず、まず開いてから総裁選だろうと思うし、なぜ、たなざらしにしたのか。これは私は全く違憲だと思うんですよ。総理、そうじゃないですか。どうですか、違憲だと思われませんか。自分はそういうことはしないと、もう一回言ってくださいよ。

岸田内閣総理大臣 適切な、合理的な期間の判断については、当時の菅内閣において、様々な観点を勘案した上で判断したものと承知をしております。少なくとも、憲法五十三条との関係においては適切に判断したものであると認識をしています。

 今後どうするかという質問については、まさに、今後とも、その時々の状況において、様々な観点からしっかりと検討した上で判断していくべき事柄であると考えております。

奥野(総)委員 だからこそ、なかなか、私も、もう少しきちんと憲法の要請に応えていただきたいと思います。

 だから、我々が心配しているのは、もう少し現行憲法を尊重していただきながら議論をしていただきたいということなんですね。毎週でも憲法審査会を開くべしという御指摘も、予算の委員会を開いている時期にこれまでは開かれていなかったんですが、この期間も過去の先例によらずやってくれという御要望も受けていますけれども、まずは、こうやって予算委員会の中でも議論はできるわけですから、ここできちんと私は議論をすべきだと思いますし、時期が来れば、それは定例日にしっかり開いて議論を、論憲の議論を私はしていきたいと思っているんです。

 心配なのは、数の議論で、先ほど四項目、賛成だとおっしゃいましたけれども、数の力で押し切って国民の分断を生んでしまうようなことを我々は心配しているんですよ。だからこそ、慎重にしっかり議論をしていきたいと思います。

 そこで、総理に、憲法については最後ですけれども伺いたいのは、先ほどちょっと私も触れました憲法の三大原則がありますよね。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、それをしっかり堅持しながら、我々の論憲の立場、改正ありきではなくてきちんと議論をしていく、そういう立場に立って憲法審査会の場に与党として臨んでいただく、総裁としての答弁になると思いますが、臨んでいただくということをお約束いただきたいと思うんですが。

岸田内閣総理大臣 内閣総理大臣として、議事の進め方あるいは内容について直接触れることは控えますが、委員おっしゃるように、憲法の三大原則、国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義、こうした原則は、自民党も、大変重要な原則である、原則は尊重しなければならない、こういった思いであると認識をしておりますし、そして、御党においては論憲ということをおっしゃいました。我々自民党としては、憲法改正、改憲をしっかりと考えていくべきだというふうに思っておりますが、それぞれの立場があるものの、やはり国会において、憲法審査会において、しっかり議論を深めていくことは重要であると認識をいたします。

 なぜならば、憲法は日本の法典の中で唯一、国民投票が規定されている法典であります。要は、最後は国民の理解をしっかり得なければならないということですので、国会の議論と国民の理解、これは車の両輪であり、共に進めていかなければならない。さらには、国民の皆さんの理解を得るためにも、国会において丁寧な議論を行うことは大変重要であると考えます。

 是非、憲法審査会においてこうした議論を深めていただき、そして、国民の理解につながる、こうした議論を進めていただくことを期待をしたいと思います。

奥野(総)委員 国民の分断を生まないように、強引に改憲に持ち込まないように、しっかり丁寧に議論していただきたいと思いますし、我々もきちんとルールにのっとって議論していきたいと思います。

 憲法については以上であります。

 続きまして、ごめんなさい、大勢来ていただいていますが、ワクチンの問題ですね。

 堀内大臣に伺いますが、この赤枠のところが、御覧いただきたいんですが、一番上、医療従事者、五百七十六と書いてあります。これは六か月とした場合の接種対象者だ、ブースター接種を六か月間隔とした場合の接種対象者だと思いますが、五百七十六万人、医療関係者がいらっしゃいます。たしか昨年は医療関係者を先に打った関係でこういう形になっていると思うんですが、今、この医療従事者等について、どのぐらいの数、接種が終わっているんでしょうか。

堀内国務大臣 医療従事者が追加接種を終えている数についてお尋ねいただきました。

 まず、追加接種につきましては、昨日の公表値で約四百五十万回打っていただいております。そして、六十五歳以上の接種回数が百八十万回となっております。現時点で接種時期を迎えるのは医療従事者と高齢者が中心であり、総接種回数と六十五歳以上の接種の回数の差である二百七十万回のうち大多数が医療従事者であるというふうに考えております。

奥野(総)委員 四百五十万人のうち大多数が医療従事者ということですか。

堀内国務大臣 総接種回数が四百五十万回です。そして、そのうち六十五歳以上の接種回数が百八十万回なんですけれども、その百八十万回を四百五十から引くと二百七十万回となります。そして、その中の大多数が医療従事者であるというふうに考えておりますので、二百七十万回の中の大多数が医療従事者の三回目を打った方の数となります。

奥野(総)委員 もうちょっと細かく言うと、基礎疾患のある方は、下の段ですね、一般の方は二百四十万人ぐらいいらっしゃるんですけれども、これは全然進んでいないということですか。

堀内国務大臣 総接種回数のうちで、六十五歳以上の方は、VRSで三回目を打った方がはっきりと分かります。それ以外の方々が、残りのいわゆる二百七十万回ということでございます。そして、一、二回目接種、一番最初に受けた方々が医療従事者の方々ですので、医療従事者の方々から打っていっていただいているので、多くは医療従事者だと思いますが、ほかにも、早い時期に打たれた方についても、もちろんこの二百七十万回の中に含まれているというふうに思っております。

奥野(総)委員 要は、医療従事者の接種状況が分からないとおっしゃっているんですね。二百七十万回としたって、これは半分も打てていないということでしょう。真っ先にやらなきゃいけないんじゃないですか、医療従事者を。なぜこんなに遅れているんですか。そういう意識がないんですか。

堀内国務大臣 医療従事者で接種を済んでいただいている方の数は、先ほどの御説明から申し上げますと、大体五百七十六万人のうちの四割から五割ということになっております。

 この医療従事者の方々は、現場でお話を聞きますと、例えば、患者さんへの責任の問題を考えられて、副反応のことを考えると一斉に打つことはできずに、かなりシフトを組みながら打っていらっしゃる、そのような事情もあるかというふうに思っております。

奥野(総)委員 でも、昨年は、優先的に打って、先に打ち終わっているわけですよね。だから真っ先に打つべきだと思うんですが、やはりそういう意識がない。初動の遅れなんじゃないですかね。特に、今回、医療従事者を優先して打つということにはなっていないんでしょう。

堀内国務大臣 一、二回目においては、医療従事者の方々が打っていただくときに、まだこのVRSのシステムがまだまだでございましたので、いわゆる接種券付予診票で接種を行ってくださっておりました。それなので、一、二回目については、接種券付予診票の接種の方の数をしっかりと持って医療従事者の方が何回と明確にお答えすることが、一、二回目のときには、同じように始まってから二か月とかたったときにはできたかもしれませんが、今回の場合は、先行接種という概念ではなく、医療従事者の方もいわゆる二回目接種から同じ間隔を置いて打っていっていただくものですから、はっきりとした区別が今のところ、医療従事者の方、打った方という数を、いわゆる接種券付予診票で出てくるような形では出てきていないといった状況でございます。

奥野(総)委員 だから、結局、一般の高齢者とか基礎疾患のある方と一緒になっていて、そこは特出ししてやっていないということで理解していますが、ちゃんと、先ほど長妻委員からも話がありましたけれども、やはり十二月にはもう既にイギリスとかアメリカもオミクロンが広がっていたわけですよね。早め早めにやればよかったんだと思うんですよ。十一月までは百万回ペースでずっと来ていたんですから、十二月に緩めてしまったことが今回の感染拡大の私は一つの原因じゃないかと思っているんですが。

 このペースでいくと、医療従事者は、分かりました、結局、一般の方と区別がなくということですから、取り立てて先に進めるということはないというふうに理解しましたが、それにしても、このペースで本当に終わるのか。

 この表を見て分かりますが、高齢者で二月までに接種が必要な方は、足し算すると二千八百九十万人。そして、現在接種が終わっている方が四百五十万人と先ほどおっしゃいましたから、高齢者だけで見てもおよそ二千五百万人。それから、医療従事者も同じ枠で考えると、およそ二百万人以上いるわけですね。そうすると、それだけでもう二千七百万人を超えるわけですよ。

 あと二月は、医療従事者も含めてということになるかもしれませんが、二月末までに高齢者全部を打ち終えようとすると、二千七百万回とすると、二十七日ですから、ちょうど百万回になるんですね、ざくっと言うと。医療従事者も区別していないということですから、そういう方も全部接種するとすると、一日平均百万回打たなきゃいけない計算になりますが、昨日は、今日は四十万回でした、三回目。これで本当に終わるんですか。

 そして、総理に最後伺いたいんですが、総理、平均百万回打たないと届かないんです。平均百万回打たないと届かないんですよ。二月末までに九七%終えるには百万回要るんですが、一日百万回をそれでも目標にしないのか。目標にしないとしたら、百万回以上の日もなきゃいけないわけですよ。ですから、百万回を目指すということを言っていただけないですか。そうしないと国民は不安になりますよ、この数字を見て。(発言する者あり)

根本委員長 やじは注意してください。

岸田内閣総理大臣 まず、三回目の接種については、再三申し上げているように、二回目接種からの一定の間隔を置いて接種を進めるということでありますので、スケジュール的に毎日毎日一定の数字を確定して接種を進めるということは、これは現実に合わないと思っています。

 しかしながら、接種を進めなければいけない、これはもう委員のおっしゃるとおりでありまして、先ほど申し上げました、地方自治体においても、九七%の自治体が二月末までに対象となる希望する高齢者の接種を終えるとしているわけですが、それと併せて、地方においても大型の接種会場の設置、国においても自衛隊の大型接種会場の設置、こうした取組をしっかり進めていく。

 そして、職域接種、これがいよいよ始まるわけでありますから、こうした体制を同時並行的に進めることによって、できるだけ多くの接種を進めていく、目標をしっかり達成する、こうした取組を進めていきたいと考えております。

奥野(総)委員 時間が来ましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

 質問を余してしまって申し訳ございませんでした。

根本委員長 これにて長妻君、階君、重徳君、奥野君の質疑は終了いたしました。

 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 まず、昨日、石原慎太郎先生がお亡くなりになられました。国政、また都政でも大きな力を発揮されたと思います。改めて心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 そして、私、先日の衆議院選挙におきまして、高槻、島本の地区、いわゆる大阪十区の方で初当選させていただきました。予算委員会につきましてはデビュー戦ということでありますけれども、総理、総理、総理ということでは追及いたしませんけれども、しっかりと真摯にお答えをいただければ大変ありがたいなという具合に思います。

 それでは、感染症法におけます五類相当への変更についてお伺いをしていきたいと思います。

 今まさに、新型コロナウイルスの感染症、第六波ということで、陽性者、濃厚接触者が爆発的に増えているというところでありますけれども、やはり、ある程度のリスクを取りながら、社会機能の維持であったり、医療の体制、そして保健所の機能というものを維持していかなければならないという具合に考えております。

 パネルの方を御覧ください。

 これは、感染症法におけます感染症の分類、よく御存じかと思いますけれども、今現在は二類相当ということで、このパネルには書いておりませんけれども、新型コロナウイルス感染症の中にコロナが入っているということで取り扱われております。

 我々維新の会としましては、早急にこの二類相当から五類相当に変えていただいて、公衆衛生の面も大事なんですけれども、しっかりと医療体制から治療というものをしていただきたいという具合に思っております。

 ただ、政府の方としては、この五類についての変更というものは今現在認められておりませんけれども、どのような状況、条件がつけば変更が検討されるのか、そして、これまでも感染症の中で分類を変更したケースがあると思うんですけれども、検討から変更に至るまで大体どれくらいの期間があるのか、教えていただきたいと思います。

後藤国務大臣 感染症法上、各感染症、感染力及び罹患した場合の重篤性等を総合的に勘案しまして、講ずべき措置を踏まえてその位置づけが決められておりまして、そういう形で新型インフルエンザ等感染症に位置づけられております。

 仮に新型インフルエンザ等感染症から五類感染症に変更する場合は、感染症法上の入院勧告、措置、こういうものが使えなくなりますし、検疫法上の隔離などの措置が行えなくなるとか、特措法の適用がなくなるとか、そういうことも総合的に勘案する必要があります。

 その上で、感染力及び罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点から、危険性が高くない等の要件に該当する五類感染症という認定ができれば、もちろん五類感染症に変更替えをすることは可能でございますけれども、今のオミクロン株の状態からいいますと、危険性が高くない等の要件、感染力が強くない等の要件にはちょっと当たるものとは考えられないというふうに思っております。

池下委員 それでは、今度は岸田首相にお伺いをしたいと思うんですけれども、昨日、全国知事会の皆さんと意見交換をされたと聞いております。

 知事会の方からもオミクロン株の特性に応じた対策というものを要望されたと思いますけれども、総理、具体的な改善、そしてどんなペースでやっていくのか、そして自治体に対してどのような支援をされていくのか、お伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、知事会の皆さんと昨日、意見交換をさせていただきました。その際に、特に知事会の皆様方から出た意見としては、幾つかありました。オミクロン株の特性に鑑みてしっかり対応してもらいたいとか、幾つか要望がある中で特に印象的だったのは、学校あるいは保育所、こうした場所での感染ということについてしっかり考えてもらいたいということ、さらには、高齢者施設における感染についても御指摘があったと記憶をしています。

 知事会の皆様方とは定期的に意見交換をさせていただいておりますが、その都度いただく様々な具体的な指摘を様々な形で基本的対処方針等にしっかり取り入れさせていただきながら、このオミクロン株の特性にしっかり沿った対応をこれからも心がけていきたいと考えております。

池下委員 御答弁ありがとうございます。

 まさにこのオミクロン株、物すごく、大変数が増えておりますので、早急な対策、私も子育て世代の一人としまして、学校の問題であったり保育所の問題というのは大変注目しておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、引き続きなんですけれども、PCR検査や抗原検査の陽性確認なしで、感冒症状が出た場合にコロナ診断してよいという疑似症の扱いの通達が出ております。医療現場の事務方の方から、検査なしでコロナと診断した場合の方の治療、これが保険請求ができるかどうかという不安の声をいただきました。また、自宅療養者の方が、症状が悪化して治療を受けられた、そこでPCR検査を受けられたら、ちょっとしばらく検査結果が出るのは時間がかかるわけですけれども、実は陰性でしたよという場合もあるかと思います。

 そうした場合に、これまでに治療された費用というのは自己負担になるのか、三割負担になるのか、公費で負担されるのか。そちらの方について、まず、マニュアルがあるのか。そして、あるのであれば、いつ出されたのかにつきましてお伺いをしたいと思います。

後藤国務大臣 新型コロナの疑似症患者の医療費につきましては、患者と同様に、入院の場合は感染症法上の入院勧告、措置がありまして、これは公費負担となります。自宅療養、宿泊療養中にかかった医療費については、緊急的な対応として、緊急包括支援交付金により公費負担ということでございます。

 それから、新型コロナの疑似症患者についてのお尋ねがありましたけれども、感染者の増加によりまして、診療・検査医療機関等で検査や受診に一定の時間を要するような事態になったときに、例えば同居家族などのように、べったり一緒にいる、非常に濃厚接触度の高い感染者の濃厚接触者が有症状になった場合には、医師の判断により検査を行わなくても、臨床症状をもって診断する。これは確定診断することができる。これは、だから、医療行為として認められているということになります。

 ちょっと複雑で申し訳ないんですが、ただ、経口薬を患者さんに使っていただくという場合には、基礎疾患を有する等の重症化リスク因子を持っている患者が投与の対象となる薬なものですから、投与に当たっては、診断を確定するための検査を求めておりまして、そういう意味では、臨床症状をもって、非常に密接な濃厚接触者の有症者を検査なしに臨床で確定診断することはできますが、経口薬を使っていただくときには検査が要るということになります。

池下委員 済みません、いつマニュアルというのが出されたのかというのを、ちょっと改めてお伺いしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 一月二十四日付事務連絡、また、二十八日、一部改正しております。

池下委員 ありがとうございます。

 多分、疑似症につきましてのだったと思います。

 公費負担につきましては、実は、昨日、大阪府の方に確認したんですけれども、疑似症についての国からの公費負担の通知というのはちょっと確認できなかったんですという、お問合せについての回答がありました。それで、調べたところ、二〇二〇年の四月に公費負担についての通知が発出されているということで、また、疑似症については、今言っていただいたように、昨年の十一月であるということであります。

 ですので、疑似症が公費負担の適用になるのかどうかにつきまして、現場の方で、医療事務の現場の方でやはりちょっと混乱が起きているんじゃないかなと。地方自治体の方から取扱い通知というのは一旦出しているということは聞いておるんですけれども、国としても改めて通知の方をしっかりとしていただければありがたいなという形で思いますので、よろしくお願いいたします。これをお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 ちょっと今、いつの時点での事務連絡、通達なのか把握しておりませんが、しっかりと実態を調べて、必要な周知、しっかり行っていきたいと思います。

池下委員 ありがとうございます。

 現場が混乱しないように、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、次の質問をさせていただきたいと思うんですけれども。

 今、大阪府の方ではみなし陽性の仕組み、そして神奈川県の方では自主療養制度の仕組みを導入するなど、各自治体でも、医療崩壊の回避であったり、保健所業務の逼迫を抑えるという取組が進んでいます。

 指定都市市長会の方からも要望が来ていると思うんですけれども、先ほども答弁ありましたように、すぐに五類相当に変更することが難しいということでありましたら、現在の二類相当の中でできるだけ柔軟な対応というものをしていただきたいなという具合に思っております。

 そこで、保健所業務の逼迫というものをできるだけ軽減させていただくためにも、積極的疫学調査、いわゆる濃厚接触者の特定であったり、療養支援を柔軟に行えるよう、国で見解というものを、基準というものを改めてちょっと出していただきたいと思うのが一点と、そして、現在の第六波の感染の観点から、現在の感染症法十二条で規定されています陽性者の全数報告について、この届出の在り方というものを見直すべきであると思っております。一定の定点観測、これを認めることや、重症化リスクのある場合や入院の必要性がある場合など限定するなど、新たな基準を策定して、保健所業務の軽減をすべきだと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

後藤国務大臣 積極的疫学調査につきましては、濃厚接触者の特定に当たりまして、感染拡大地域においては、陽性者の増加に伴いまして保健所業務が逼迫していることから、優先順位をつけて積極的疫学調査について把握をするなど、地域において柔軟に対応いただくことも可能というふうにしております。

 もう一点の発生届につきましては、感染症法十二条において医師の義務ということにしております。感染拡大防止と適切な医療の提供のために、患者に対するアプローチの起点となる重要な届けだというふうに考えておりまして、発生届の見直しについては慎重に検討せざるを得ないのではないかというふうに考えております。

池下委員 それでは、少し観点を変えてお伺いしたいんですけれども。

 先ほどちょっと御紹介いたしました神奈川県の自主療養制度についてなんですけれども、これは、自治体の方で限られた医療資源をフルに活用するために取り入れられたものだと思っております。重症化リスクの低い方で、抗原検査キットや無料検査で陽性が判明した場合は、医療機関の診断を待たずに自ら療養を始められるというものであるかと思うんです。

 この自主療養制度は、感染症法で規定されている陽性者の全数報告による届出の取扱いに明確に該当するのか、神奈川県の例というものは例外になってしまうのかどうか、お答え願いたいと思います。

後藤国務大臣 神奈川モデルにおいては、今まさに御説明がありましたように、医療機関による検査を省略して、いろいろ、体制、進めていくという、こういう時期においては参考になるような取組だというふうに思っております。

 この取扱いについては、医師が判断をしないで、こういう形での、いわゆる神奈川県が指定した自宅療養という形を取るということになりますので、感染症法上は、いわゆる枠外のものとして、医師が届出を行う必要はないというふうに解釈されると思って運用されております。

池下委員 という今の御答弁があったんですけれども。まさに地方自治体が工夫して、こういう今の仕組みというのをつくっていただいているんですけれども、当然、お医者さんにかかれば、それは義務として報告しなきゃいけないということなんですけれども、自分で測って陽性だとなった場合には、これは報告の枠外だという御説明がありました。

 まさに全数報告、全部がまさに確認できないという点になってくるかと思うんですけれども、もし神奈川モデルを全国の都道府県がまねをして、このスタイルをやっていったときに、どうなってしまうのかなという部分もあるかと思います。

 当然これは大事な話だと思うんですけれども、まさにこの基準というのをもう一度、神奈川モデルも含めて御検討いただきたいと思うんですけれども、総理、御検討、どうでしょうか。

後藤国務大臣 本人の届出に基づき、自主的な感染防止対策が行われるという形での取組であります。

 感染症法上、問題があるというふうには考えておりませんが、法的な位置づけについては、今後、感染症法の在り方を検討するときに、このことも含めて検討していくべき課題であるというふうには認識しております。

池下委員 改めて検討をしていただくということだったんですけれども、まさに地方自治体の方が工夫して、知恵を出して、医療機関とか保健所機能というのを維持していこうと頑張っている中で出てきたものだと私は認識していますので、是非とも、このモデルが全国に仮に広がったときに、国の方がしっかりと支援できる、認めてもらえるような基準というものを私はしっかりとつくっていただきたいなという形で思っております。

 それでは、次の質問に行かせていただきたいと思うんですけれども、五歳から十一歳の新型コロナワクチン接種の努力義務についてお尋ねをしていきたいと思います。

 私は、コロナのワクチンを打ったから全部万全だ、万能だと言うつもりもございませんし、ただ、ワクチンは反対だというわけでもございません。当然、ワクチンを打つ際には、しっかりとメリット、デメリットを理解した上で、納得した上で接種するというのが本筋論だと思っております。

 ところが、五歳から十一歳の子供たちに対するワクチン接種は、予防接種法上の臨時接種の特例という具合になっているんですが、ちょっとパネルを御覧いただきたいと思うんです。

 予防接種法では、第八条の方におきまして、市町村長は、接種対象者、ワクチンを打たれる人に対して接種勧奨、いわゆるお勧めをしていきますとなっておりまして、あと、第九条の方では、接種対象者、ワクチンを打たれる方に対して原則として接種を受ける努力義務というものが規定されています。

 次のパネルになります。こちらの方は、小児を対象とした新型コロナワクチンの諸外国の状況という形になっているんですけれども、おおむね海外でも、国とか自治体の方から、ワクチン接種に対して、子供たちに対してお勧めというものはされているわけなんです。

 そこでお尋ねをしたいんですが、海外で接種対象者への努力義務というのはつけられているのかどうか。また、日本におきまして、接種対象者に対する努力義務はどのような理由でつけられているのか。公衆衛生上の観点から集団免疫をつけるのが第一の目的なのか、それとも子供たちが自分の安全を守るというのが第一の目的なのか、お答えを願いたいと思います。

後藤国務大臣 新型コロナワクチン接種につきましては、個人予防のみならず集団予防の観点から実施するものでありまして、原則として接種の努力義務を課すことといたしております。

 五歳から十一歳までの子供へのワクチン接種を努力義務とすることの是非については、今、大変、接種の有効性、安全に関する情報や新型コロナの蔓延の状況等も踏まえまして、厚生労働省の審議会で議論を続けております。

 同調圧力や精神的な負担が生じる可能性があることから、努力義務の適用は慎重にすべきだという御意見と、ワクチン接種の必要がないと取られないために、子供に対しても努力義務を適用すべきだという意見がありまして、基本的には、予防接種法上で、予防接種として国が行う場合には努力義務を課すことは原則になっておりますけれども、子供の努力義務を課すことについては、そうした形で、今、様々なエビデンスを見ながら議論しているところで、二月中、上旬の開催の審議会で再び議論することになります。

 いずれにせよ、有効性、安全性の観点から、慎重な議論が必要だと思います。

池下委員 今、慎重な議論をされているということなんですけれども、私がいろいろ聞き取りしたところによりますと、海外では努力義務というものがないという具合に聞いているんです。ということは、ないなら、ないなりの理由というものがあるかと思います。海外の方では、ワクチン接種はお勧めしますけれども、接種について、例えば、理解していない人に対してまで努力義務を課すべきではないということだと私は理解しているわけなんです。

 特に、五歳の子供たちが接種を受ける際というのは、その判断というのは保護者がされるかと思います。親がまずは考えるのは、公衆衛生の面よりも、まずは自分の子供が大事だ、そちらが第一義に立ってくるかと思うんです。そして、もし万が一副反応が起きた場合に、自分が理解して子供たちは受けていないわけですから、そういうときの事態になったときに、その受け止め方というのもやはり問題が出てくるのじゃないかなという具合に思います。

 五歳から十一歳の子供に関しての努力義務というものは、妊娠中の方と同様、是非、適用除外ということにしていただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、時間が終了ということでありました。いろいろ質問したかったんですけれども、また厚労委員会の方でもさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、山本剛正君から関連質疑の申出があります。池下君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 先週に引き続きまして質問の機会を与えていただきました委員会の理事、委員の皆さん、そして関係各位に心から御礼申し上げます。ありがとうございます。

 先週は、全閣僚入りでやらせていただきました。今日は、集中審議ということで、閣僚席も空席以外は全て満席ということでございますが、総理も、心細いと思わずに、しっかりとお答えをいただきたいというふうに思います。

 岸田総理、総理は、安定感がある、聞く力、誠実で行動力もある、新しい資本主義では積極的な分配、必要とあれば思い切った方向転換もいとわない。発足直後は逆風もありましたけれども、今は支持率も上昇しています。こうなると、本当にいいイメージしかないんですよね。一つ問題があるとすれば、それがイメージだけなんですよね。

 一方では、完全に真逆で、これは私が言っているわけじゃありませんよ、人の意見を聞き過ぎてふらふらしている、新しい資本主義では何がしたいのか分からない、方向転換と言えば聞こえがいいが、ただの朝令暮改だなどと言う人もいるんですよ。どっちが本当の姿か、本当に分かりません。

 今日は明確にお答えをいただいて、イメージだけではない岸田総理を見せていただかないと、私が先日申し上げた二〇五〇年までの長期政権は夢のまた夢でございますから、明確な答弁をお願いをしたいというふうに思います。

 本題に入る前に、まず、総理に要望をちょっとさせていただきたいと思いますが、先週の質問でも、コロナで厳しい状況に置かれている中小・小規模事業者の皆様に、将来に展望が持てる、希望の持てる施策をというお話をさせていただきました。是非よろしくお願いしたいと思います。

 特に、支援が行き届いていない業種の方々。先日、私のところに、国家資格であります通訳案内士さんの方々がお見えになられて、インバウンドが減って収入が全くなくなった方が約八〇%にも上るそうでございます。東京オリンピック・パラリンピックでもほとんど稼働できなかったというような悲痛な現状をお訴えに来られました。

 通訳案内士の方々だけではありません。様々なフリーランスの方々、観光産業の方々、エンターテインメントやイベント関係の方々等、満足な支援を受けられず、それでもなお日本の文化や伝統の灯を絶やすことなく日々の努力を積まれておられる方々に、将来に希望の持てる施策、税制の確立をお願いしたいというふうに思っております。

 まず、日教組の明治憲法制定に関しての事実歪曲指導について、ちょっとお尋ねをしたいと思います。

 本日お手伝いをいただくのは、宮城四区、唯一の東北の我が日本維新の会の代議士であります早坂敦さんでございます。

 一月三十日の産経新聞の記事なんですけれども、「明治憲法 授業で歪曲か」「日教組集会で実践例」とあります。

 記事によると、日本教職員組合の第七十一回教育研究全国集会二日目の分科会、社会科教育では、大日本帝国憲法の制定過程に関して事実を歪曲して伝え、子供たちが正しく歴史を学べていない可能性が浮上、そこには子供のうちから現行憲法に対する護憲思想を浸透させようとする教員の政治的意図が見え隠れするとあります。

 中身は、新潟の小学校で、明治憲法と、当時の民間人が手がけた私擬憲法、五日市憲法草案の内容を比べる授業が行われたんですね。発表されたリポートによりますと、授業を担当した教員は児童に、日本国憲法と考え方が似ているとして提示をした、双方の違いを検討させて、児童が民主主義の憲法が選ばれなかった理由を当時の時代背景に照らし合わせながら考えたとしています。

 これは前提が間違っているんですね。そもそも、五日市憲法草案は昭和四十三年に発見されたもので、明治憲法が制定されたときには世には知られておりませんでした。にもかかわりませず、明治政府が双方を二者択一として、あえて五日市憲法草案を選択せずに明治憲法を制定したかのように進めた授業は、これは歴史を大きくねじ曲げているんじゃないでしょうか。

 五日市憲法草案は基本的人権に触れており、現行憲法に通じると評価する研究者がいると紹介して、その教員も、国民主権をうたっている先駆的内容だったとの認識で授業を展開したと言います。

 天皇主権の立憲君主制をその中心に据え、天皇が国会での議決を拒否したり、刑事裁判のやり直しを命じたりできるなど、明治憲法に比べても強権的な要素も多いのも確かであります。さらに、人権面でも障害者差別が明記され、女性の参政権が認められていないなど、現行憲法とはかけ離れた内容が盛り込まれているんです。

 本当にこのようなことが行われたんだったら、私は言語道断だと思います。事実や認識は物の見方でいろいろあっても、真実は一つですから。五日市憲法草案は確かに基本的人権をうたい、様々な権利についても詳細に書かれているのは事実です。しかしながら、紹介したとおり、現行憲法とは全く異なった思想で作られていて、同一視するのはいかがなものかと言う専門家もいます。

 記事の中で、リポートでは、五日市憲法の方が民主主義の考え方なのになぜ選ばなかったかとする児童の様子を紹介して、教員が一方的な解釈を示したことで、正しい歴史理解が図れなかった可能性が高いとしています。

 社会科に関するほかのリポートでは、現行憲法について、これは相変わらずなんですけれども、絶対憲法を変えてはいけない、戦争をしないで憲法を守るといった記述もあり、早いうちから意図的に子供たちに護憲を浸透させようと各地で授業を進めている構図が浮かび上がっています。

 そこで、総理に伺います。

 総理は、御自身の任期中に憲法改正の実現を目指しておられますが、このようなことをどう受け止められていますか。こういった間違った教育が、憲法を国民の手に取り戻す当たり前のことができない、遠ざかってしまっているという認識はありますでしょうか。この問題の真偽を調査すべきではないんでしょうか。事実であるならば改善させるおつもりがあるか、総理にお伺いいたします。

末松国務大臣 私からお答えさせていただきます。

 記事も拝見をいたしたところでございます。

 学校での歴史教育は、客観的、学問的研究成果を踏まえつつ指導を行いまして、子供たちが歴史的事象を多面的、多角的に考察をして、公正な判断能力を育てることを狙いといたしてございます。

 また、平成二十九年の三月及び三十年三月に告示した新しい学習指導要領では、社会科等の指導内容の取扱いに関しまして、特定の見解だけを取り上げるなど、偏った指導とならないよう留意する旨の規定が新たに設けられたところでございます。

 御指摘の事案は、先ほど申し上げましたように報道で承知をいたしておりますが、こうして御質問をいただきましたので、実際に学校でどのような指導が行われたのか、現在、新潟県教育委員会を通じて確認をしているところでございます。

 いずれにせよ、子供たちが憲法について理解を深めることは極めて重要でございます。これはもう先生のお話のとおりです。このため、学校教育では、学習指導要領に基づきまして、大日本帝国憲法や日本国憲法の制定の歴史や、日本国憲法の基本的な考え方などについて指導を行うことといたしております。

 文部科学省といたしましては、学習指導要領に基づき適切な指導が行われるように、新潟県教育委員会とよく連携して、必要な対応を取ってまいりたいと思います。

 以上でございます。

岸田内閣総理大臣 今文部科学大臣からありましたように、憲法については、学習指導要領に基づいて指導するということになっています。

 そして、御指摘のケースにつきましては、実際に学校においてどのような指導が行われたのか、現在、文部科学省において、新潟県教育委員会を通じて確認をしている、そういったところであると承知をしています。

 今後とも、この学習指導要領に基づき、文部科学省においても教育委員会等と連携して対応していくべきであると考えます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 調査をしていただいているということで、これからも注視をしていきたいというふうに思っております。

 私が申し上げたいのは、子供に対してこんなこそくなやり方をせずに、憲法の議論は、護憲派も改憲派も正々堂々とやればいいということなんですよ。このようなひきょうなやり方をするから、議論すらまともにしようとしない、議論することが悪いみたいなことになってしまうんです。憲法論議、正々堂々やりましょうよ。そして、国民の手で憲法を育てていく、そういった姿勢を持っていきたいというふうに私たちは思っております。

 次に、地方の過疎化について、ちょっとお尋ねをいたします。

 これも新聞記事で恐縮なんですが、一月二十一日の毎日新聞ですが、これは衝撃的です。二〇二〇年の国勢調査を受け、人口減少率や財政力の法的基準に応じて過疎地域に指定される自治体が、二二年度に、東京二十三区を除く全国千七百十八市町村の五一・五%に当たる八百八十五市町村に上るというものです。過疎自治体が五割を超えるのは一九七〇年の指定制度開始以降初めてだそうで、私も過疎化が進んでいると認識はしていましたが、これはゆゆしき問題だなというふうに捉えております。

 しかも、合併により、本来は過疎化が進んでいるのに、基準を満たしていないことで過疎地域に指定されていない、認定されていない、言うなれば隠れ過疎地域もあるわけであります。

 総理は、デジタル田園都市国家構想で、デジタルを活用した地方の活性化とは述べていますが、施政方針で地方分権や地方創生については全く言及していないんです。

 そこで質問いたします。

 総理、施政方針で、新しい資本主義の主役は地方ですとおっしゃられていらっしゃいますが、それは地方の何を指すのか、若しくは、どなたのことをおっしゃっているんでしょうか。これを機に、施政方針演説では言及がありませんでしたが、思い切って方針変換で、地方分権に大きくかじを切るおつもりはありませんでしょうか。

 デジタル田園都市国家構想で地方の過疎化に歯止めをかけられるのか、これをちょっとお尋ねしたいと思います。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、私がデジタル田園都市国家構想で申し上げているのは、高齢化あるいは過疎化など社会課題に直面する地方こそ、デジタル技術を活用するニーズがあるということに鑑みて、まさに地方が主役になってデジタル技術を活用し、個性を生かしながら地域を活性化し、持続可能な経済社会を実現していく、こういったことが重要であるという考え方を示させていただいています。

 そして、過疎地域への対策としましても、自治体が過疎対策を行うために必要な地方債発行への国からの支援ですとか、過疎地域に立地する企業への税制特例の適用ですとか、過疎地域の人材育成や技術活用に対する交付金の交付などによって、地域の持続的発展を支援してまいります。

 あわせて、委員御指摘の地方分権の方ですが、地方分権改革の推進、これは、地方が自らの創意とそして工夫、さらには自らの発想によって課題を解決するための基盤であると考えます。

 これまでも、例えば、過疎地域におけるタクシーによる貨物の運送を可能とする規制緩和、あるいは、職員の確保が困難な地域において放課後児童クラブを開きやすくするための職員の配置数の緩和、こうした地方の自主性を高める様々な見直しを行ってまいりました。

 今の政権においても、是非この地方分権改革、着実に進めていきたいと考えています。

山本(剛)委員 総理のおっしゃられていることは私も理解をしています。しかしながら、地方の活性化は本当に待ったなしです。この記事、本当に私も驚きました。

 そのために、我々は、国家の構造、仕組みを一日も早く変える、地方分権を推し進めて、地方の自立的な成長を促すべきだというふうに考えております。

 また、施政方針で一度も触れられていない地方創生。にもかかわらず、地方創生に関する特別委員会が設置されているんですよ。特別委員会の理事、委員の皆様には、この場をおかりしますが、是非、形だけでない積極的な議論を、審議を、この場をかりてお願いをしたいというふうに思っております。

 最後に、少子化対策、人口減少についてお尋ねをいたします。

 過疎化の原因の一つは、間違いなく少子化、人口減少でもございます。総理は施政方針で、少子化対策、子供政策を積極的に進めていくことは喫緊の課題だと述べられています。子供政策を我が国社会のど真ん中に据えるとも述べられています。

 しかしながら、こども家庭庁設置では、厚労、文科、内閣府の関連部署の完全統合は果たせておりません。我々日本維新の会は、子供関連部局の統合を目指して、子供省にすべきだということを主張させていただいております。

 子供政策を我が国社会のど真ん中にと意気込む総理が、少子対策、ひいては人口減少に対する具体的な目標を明らかにされていないのはなぜなんでしょうか。これは別に、産めよ増やせよとか、そういうことを言っているわけではないんですよ。現下の社会状況を勘案した上で、実効的な目標設定が必要なのではないかということを言っているのであります。

 総理にお尋ねをいたします。少子化対策、人口減少に歯止めをかけるためのロードマップを示すべきではないんでしょうか。どうぞお答えください。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、少子化、また人口減少、これは我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であると認識をしています。

 そして、子供政策については、様々な今までの課題を振り返る中で、教育をしっかり担う文部科学省と、子供の育ちを担うこども家庭庁、こうした体制をつくることによってしっかり支えていきたいと考えています。

 ロードマップを示せということでありますが、今日までも、保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化、様々な施策を進めてきた。そして、令和四年度の予算案の中にあっても、不妊治療の保険適用ですとか、新子育て安心プランに基づく保育の受皿整備、これを盛り込んで進めていくわけですが、今後は、先ほど申し上げました新しい体制の下で、これまで縦割りで進まなかった日本版DBSの整備ですとか、施設類型に関わらない教育、保育の質の確保ですとか、また子供データ、これも大変重要なポイントだと思います。各省庁にばらばらになっていた子供に関わる様々なデータ、これを一元化して、そして政府全体として活用していく、こういった取組も進めていかなければならないと思っています。

 こうした取組を着実に進めることによって、子供の幸せ、あるいは少子化、あるいは人口減少、こうした課題に取り組んでいきたいと考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 何でこんなことを言うかというと、今、子供に対するデータを一元化をするというお話がありました。もう子供政策で、分野で分けるのをやめませんか。幼稚園という分野とか、保育園という分野とか、分野で分けるんじゃなくて、やはり目的で分ければ、例えば幼保一体であるとか、そういったことが僕はできると思うんですよ。子供の育みというものをやはりもっと真剣に考えていかなければならない。これは社会全体で考えていく問題というふうに私は捉えています。

 是非、総理、この子供の育みをしっかりと支えていける、政府としてその意気込みをしっかりと持っていただきたいというふうに思います。

 総務省における二〇五〇年の日本の人口予測が、実は一億を割り込んで、九千五百十五万人なんですね。内訳は、高齢者人口、千二百万人増です。生産者年齢人口は三千五百万人減です。若年人口は九百万人の減です。ちなみに、この二〇五〇年から十年後の二〇六〇年には、何と八千六百七十四万人にまで減るという試算もあります。私は、この人口減少のスピードは恐ろしいなと思うんですよ。

 こうして見ると、二〇五〇年、カーボンニュートラルも二〇五〇年とおっしゃっていましたけれども、僕は、二〇五〇年に向けての我が国の喫緊の課題は人口減少だというふうに考えています。その中でも少子化対策であることは、これはもう誰の目にも明らかなんですよね。

 どれだけ経済再生をうたっても、日本のGDPの六割は個人消費ですよ。ということは、その人口が三分の一減ってしまったら、そのGDPもどんどんどんどん縮んでいくんですよ。これからの若い方たちが、どれだけ経済を活性化させようとして努力をしても、どれだけお仕事を頑張っても、この人口減少の波にのみ込まれて、どれだけ努力をしても報われない社会がもうそこまで来てしまっているという、これは警鐘です。

 日本の少子化の始まりは約五十年前。出生率が二・〇を切ったのは一九七五年です。一九九五年には、本格的な少子化と言われる一・五を恒常的に切るようになりました。つまり、我が国は、五十年前にその少子化の扉をもう開けてしまっているんです。そして、三十年近く前にその足音を大きく聞くようになっていた。にもかかわらず、政治はこの問題を放置、先送りをしてきたんです。

 社会保障もそうなんですよ。今年から、日本で人口が一番多い団塊の世代の方々が後期高齢者をお迎えになられています。ここから十年、十五年先までの社会保障が日本は一番厳しい時代を迎えることは、これは誰の目にも明らかじゃないですか。なのに、何をやってきましたか、今まで、社会保障改革。それは様々やってきたとおっしゃるでしょう。でも、抜本的な改革をしてこなかったから。その後期高齢者に団塊の世代の方々がなられるということはもう何十年も前から分かっていたにもかかわらず、抜本的な改革から逃げてきたんですよ、政治は、残念ながら。

 ですから、政治の責任で、総理の実行力でこの人口減少に歯止めをかけて、私は個人的に、この日本の人口を一億人で下げ止めたいと考えているんですよ、一億人。人口は国力ですから。先進国で一億人の人口を有しているのは、我が国日本とアメリカしかないんです。

 是非、この日本人口一億人を合い言葉で、しっかりと人口減少対策をやっていっていただく覚悟を持っていただきたいというふうに思いますし、総理にお尋ねをしますが、日本のGDPの六割は本当に個人消費です。そのため、日本経済のためにも、是非、将来世代のためにも、総理は不退転の覚悟でこれに臨む決意を明らかにしていただきたいんです。

 また、今までと同じことをやっても何も変わらないことはもう明白です。ですから、少子化対策で具体的に何をやるのかを是非ここでおっしゃっていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、少子化そして人口減少は、経済あるいは社会の根幹を揺るがしかねない重要な喫緊の課題であるということについては、全く同感であります。

 そして、これから何をやるかというのは、先ほどロードマップの御質問の中で、これまでの取組、そしてこの予算の中での取組、そしてこれからこども家庭庁における取組、先ほど紹介させていただいたとおりであります。こうしたものを一つ一つ具体的に結果につなげていく、これがまず大変重要であると思います。

 あわせて、予算あるいは政策全体の議論の中においても、議論に参加する議員、関係者、今委員から指摘があった少子化や人口減少という問題の重要性をしっかり共有しながら、その大きな流れをしっかり頭に入れながら個々の政策を議論していく、これも大切な姿勢ではないかと思います。

 是非、できるだけ多くの人間でこの問題を共有しながら、努力を続けていきたいと考えます。

山本(剛)委員 これは、与党とか野党とか、僕は本当に関係ないと思います。この人口減少に対してしっかりと取り組んでいくのは、我々国会議員の責務であるというふうに考えておりますし、皆さんも多分、問題意識は共有されていると思います。

 今日、少子化担当大臣も来られているので、もし何かコメントがあればいただきたいなと思うんですけれども、別にいいですか。

根本委員長 国務大臣野田聖子君、できるだけ簡潔に。

野田国務大臣 少子化対策、人口減少が極めて重要だということで、その問題提起をしていただいたのは、岸田総理の、こどもまんなかというあの所信だったと思います。

 是非、非常に後手後手に回っている中、今のような気持ちで与野党の方が取り組んでいただければ、大きく前進できると信じております。

 頑張ってやっていきたいと思います。

山本(剛)委員 ありがとうございます。済みません。突然の御指名にもかかわりませず、本当にありがとうございます。

 とにかく、ほかの国と違って、我が国はGDPの六割、個人消費ということが、やはり私は、一番、日本の国力を語る上で、この人口減少を語ることはもう避けて通れないというふうに思っています。

 是非、皆さん方と心を共有して、この日本の人口減少に歯止めをかける、そういった国会にしてまいりたいというふうにその決意を述べて、私、山本剛正の質問に代えさせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、足立康史君から関連質疑の申出があります。池下君の持ち時間の範囲内でこれを許します。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 テーマをコロナに戻したいと思います。

 総理、ちょっと通告外ですが、今日、野党の皆様から、ワクチンの三回目接種、るる議論が出ました。今日、野党の皆様は、立憲民主党始め野党の皆様は、十二月に判断できただろう、こういう話でしたが、私たちはもう十一月から、選挙が終わって、これは急いだ方がいいと。やはり、高齢者の方、抗体価が下がっていく、急いだ方がいいということで議論をしている中で、吉村知事も、十一月中には会見で、冬は一番警戒しなければならない、なぜ八か月待たないといけないのか、ワクチンを持っている自治体もあるのにということで、強く国にも働きかけをしていたと思います。

 私は、これから堀内大臣も加速をしていただけたらと願っていますが、まず当時のことについて、私は、やはり政治判断が遅かった。前のワクチン大臣の河野太郎前大臣も、政権が替わってスピードが落ちたということを公言されています。

 私は、これからの取組のためにも、一旦、当時の政治判断はやはり遅かったとお認めをいただいて、一定の反省をしていただく、そこから改めて加速をいただきたい、こう思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 ワクチンの議論は、コロナ対策、昨年、一昨年から続いているコロナ対策の議論の中で行われてきた議論ではありますが、あわせて、昨年十一月の段階で、世界的にオミクロン株の感染拡大が指摘をされた。そして、当初、二回目と三回目の接種の間隔について、世界的にも、八か月から始まり、それがだんだん、縮めるべきだというような知見や意見が蓄積され、そして整理が行われた議論であったと思います。

 そういった中で、十一月か、十二月かという指摘がありましたが、これはできるだけ早くやった方がいい効果につながる、この指摘はそのとおりだと思いますが、三回目の接種というのは、二回目の接種との間に、少なくとも日本においては六か月以上空けなければならない、そういった条件の中で、どれだけのスピード感でやるか、こういった課題であったと認識をします。

 足らなかった部分については、謙虚に指摘は受け止めたいと思いますが、そういった大きな流れの中で考えた場合、日本においての三回目の接種、最も大事な時期が一月、二月、三月と続くんだと思います。是非、政治の責任を果たしていきたいと考えております。

足立委員 今、総理が御答弁されたのは、厚労省的な説明です。厚労省が用意すると、そういう答弁になると思います。

 私が申し上げているのは、政治判断が必要だったのではないですかと。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 去年の十一月、十二月の世界的な議論のありようは、先ほど申し上げたとおりであります。その中にあって、日本の三回目の接種のタイミングという具体的な条件の中で、いつ決断をするのかということだったと思います。

 少なくとも、今現在、これからのワクチン接種に必要なワクチンの量、総量は確保したわけでありますから、それを一〇〇%有効に使うべく、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えています。

足立委員 我が党が与党であれば、こうはならなかったということだけは申し上げておきたいと思います。

 さて、今日も池下卓委員から申し上げたオミクロンの二類、五類問題でありますが、先ほど厚労大臣が池下さんに対して、今の取扱い、要は、自主検査とか自主隔離とか、大変な事態に今なっています。でも、これは感染症法上問題ないんだとおっしゃいました、先ほどの御答弁。私は問題あると思っていて、びっくりしました。問題あるが、何とかここは乗り切れるかなということで悩んでおられると思っていたら、感染症法上問題ないんだと。

 自主隔離とか自主検査って感染症法上のどこに書いてありますか。

後藤国務大臣 先ほど御答弁をさせていただいたのは、感染症法上の枠外ではある、だから、感染症法上の違反とか、そういう問題はないけれども、最後に申し上げたのは、今、こういう事態の中で、医師の判断ということとは別に、自分で検査して自主的に、そういう形で神奈川県がやられることについて、感染症法の枠外の行為であって、感染症法上問題ではないけれども、しかし、感染症法の届けの問題とか、そういう問題から考えれば、感染症法の検討に当たって検討すべき課題ではあるだろうというふうに申し上げたんです。

足立委員 いや、これ、早く法整備しましょうよ。だって、法律の枠外にはみ出るような事態が起こっているわけでしょう。何で法律を早く整備しないんですか。私たちはもうずっと、感染症法を改正しようと言ってきています。

 二類、五類問題に私たちが注目をずっと、提言でも、大臣のところに、我が党の藤田幹事長とそれから梅村聡参議院議員、コロナ対策本部事務局長が伺って、話を申し上げたと思います。これは、二類に位置づけていることのメリットよりデメリットの方が大きいからです。

 今何が起こっているかというと、今の自主隔離、自主検査みたいな話もそうですが、例えば交通事故で骨折をした、コロナと関係ありませんね。でも、骨折すると熱が出るんです。経験ありますね。熱が出るんです。すると、一般の病院、入れてくれません、熱があると。そういうことが本当に起こっているのが今の現状であります。

 また、重症病床、今、重症病床が逼迫しているということで、東京、大阪、大変苦労をしていますが、吉村知事は会見でもずっと申し上げているけれども、今この逼迫は、コロナは軽症でも、コロナは軽症で入院も必要ないんだけれども、原疾患、元々お持ちの疾患が悪化をしている、熱が出たことをきっかけに原疾患が悪化をして重症病床を埋めているわけです。それはコロナの重症じゃないんです。でも、なぜそうなっているか。二類だからですよ。二類だから、指定医療機関にしか入れないんです。そうでしょう。おかしくないですか。

 私は、今の重症病床の逼迫、これは、岸田内閣がつくり上げた、人工的につくり上げた、今の感染症法にこだわっているがゆえに生まれてしまった人災、つくられた病床逼迫であると思いますが、厚労大臣、どうですか。

後藤国務大臣 新型コロナウイルスは、確かに新型コロナウイルス感染症等に分類されておりまして、二類相当というふうなことで世の中よく言われることがありますが、これは独立した感染症の分類になっております。そうした枠の中で、今、入院の問題、あるいは自宅療養の問題、そうした問題も含めて、トータル、しっかりと国民の命を守れるように、昨年の反省に基づいて、自宅療養、ホテル療養、今はホテル療養と余り言わないんですね、そういうことも含めてしっかり対応しているということです。

足立委員 総理、申し上げていることを御理解いただけると思います。これは、今の感染症法、特に、一年ちょっと前かな、新型インフルエンザ等感染症に法律上位置づけたことによって身動きが取れなくなっているんです。

 本当は、新しい、今のオミクロン株に対応した形を取ればいいんだけれども、法制上も非常に難しい議論になっていて、事務方は悩んでいると思います。でも、その結果、さっき申し上げたように、二類に位置づけていることのメリットよりもデメリットがむちゃくちゃ拡大をしていて、もう現場は大混乱で、本来、医療を受けることができる方々が医療を受けられなくなっている。重症病床、コロナではない形で逼迫をしている。

 総理として対応するお考えはないですか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘の感染症法上の分類の変更の議論ですが、この議論自体は、私は、しっかり議論を行うべきであり、そして、これについて考え方を整理していくべき課題であると認識をしています。

 ただ、申し上げているのは、今、感染が急拡大している中にあって、隔離の問題や、あるいは費用負担の問題に影響する議論を今やるべきなのか。また、オミクロン株の科学的知見についても随分蓄積はされてきました。しかし、その蓄積が進んでいる一方で、また新たな変異株も指摘をされている、この今の時期に分類の変更を行うことが適切なのかどうか。こういった問題意識を申し上げています。

 是非、今の状況、そして今後の対応等もしっかりと検証した上で法改正を考えるべきではないか。厚生労働省の審議会においては、しっかり議論を続けていきたいと考えています。

足立委員 私たちは、今やらずしていつやるのかと思っています。

 総理は、本格的な感染症法の議論は六月以降とおっしゃっています。私はこの国会中にでも、六波が落ち着いたらでいいですよ、私は、この国会中に感染症法の議論をちゃんとやった方がいいと。何で六月まで待つんですか、国会が終わるのを待つんですか。参院選が来るから延長できません。それを待っているんですか。

 そうじゃなくて、この国会中であっても、必要性が出てくれば、私は今必要だと思っています。今必要だと思っていますが、これからまた論戦、この金曜日も内閣委員会でやります。必要が出れば、必要性が認められれば、この国会中、六月を待たずに感染症法の改正はあり得ると、当然ですよね、あり得ると明言をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 引き続き、問題意識を持って、厚生労働省の審議会等において議論は続けさせます。その議論の経過をしっかり踏まえた上で、方針を確定したいと思います。

 少なくとも、六月までにはそうした方針を確定したいというふうに思っておりますが、いずれにせよ、この議論の行方をしっかり確認した上で判断していきたいと思っています。

足立委員 六月になる前であっても必要があれば改正する、当たり前ですね、お願いします。

岸田内閣総理大臣 感染の状況、変化、そして議論の行方をしっかり見定めた上で判断していきたいと思っています。

足立委員 今、これだけ私が法律の話にこだわっているのは、二類、五類だけではありません。

 特措法というのは、過料、罰則が飲食店の皆様には、例えば、これから緊急事態宣言が発令されれば、私はされる状況にはまだないと思っていますが、先ほど申し上げたような、人災として、二類にこだわっている余り、重症病床が逼迫をする。その結果、緊急事態宣言になったときに何が起こるか。罰則つきで飲食店の皆様には無理をお願いするんですよ。

 これは、ここに書いてある、内閣法制局が言っている、不用意に発令してはならない、発令する場合には、しっかりと科学的知見、疫学的な見地からちゃんとそこの整理がなされていなければ、軽々に発令してはならないと書いてあるんです。違法状態、今の蔓防だって、私は違法状態だと思っています。

 もうちょっと時間がないので、尽きないのでやめますが、今日、総理が、法律についてはっきりとおっしゃらなかったことについては残念に思いますが、私たちは、二類、五類問題、あるいは今のような議論、しっかりと、今日この審議が終わっても、あしたもあさっても、内閣に向き合って訴え続けていく。また、党として議員立法も出していくことをお誓いしたいと思います。

 さて、話は変わりますが、熱海の土石流でございます。

 あした、発災から、事故から七か月となります。二十六名の方が亡くなられました。ざんきに堪えません。これは、原因は建設残土ですね。この問題、この国会の中で取り上げてきたのは日本維新の会だけです。

 実は、二〇一四年の二月に、私の地元で同じような事故がありました。たまたまそこに人がいなかったので死傷者は出ませんでしたが、府道が半年止まりました。仮に、そこにバスが通っていたら、同じような大災害になっていた。

 それから私は国会で活動を開始をして、議員立法も出した。誰も、与党の皆様には御相談しましたが、難しいと。野党の皆様、維新以外の野党の皆様からは、国会に提出しても問合せの一つもありませんでした。

 孤独な中で、いつも孤独なんですけれども、ここに書いてあるように、国会で議論する、法律を出す、それから、大阪府の松井当時の知事にも全国のネットワークをつくっていただく、それを大阪府の事務方が庶務をしていただいた、総務省に頼んで行政評価の対象にしてもらった。あらゆることをやってきて、ようやく斉藤大臣の御尽力で、斉藤大臣は、今、統計でいろいろとたたかれていますが、この件に関しては本当に力を尽くしていただいて、これはみんな嫌がるんです、農水省、環境省、警察、みんなが嫌がる中で、国交省が、うちが引き取るということで、ずっとやってきてくださったわけです。

 法案が出ることについては感謝をしていますが、森林法とのつなぎの問題、あるいは砂防法の、砂防指定地という元々砂、土が流れ出しやすいところにまた土砂を積むんですか。そういう様々なことが考慮されているかどうか、ちょっと心配をしています。感謝しているんですよ。

 総理、是非、これは国交省だけでできないんです。農水省も本気でやる気になってもらわないといけないけれども、今、国交省の後ろに隠れています。(発言する者あり)いや、共管だけれども、形だけなんです。総理、リーダーシップでしっかりと、熱海のような事件が二度と起こらないように、リーダーシップを取っていただくようお願いできないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の法案については、昨年、熱海で大規模な土石流災害が発生したことを踏まえ、これまで規制をかけることができなかった地域も含めて、地域の用途にかかわらず盛土行為を許可制とするなど、危険な盛土を包括的に規制する法制度を構築することとしております。

 そして、今、委員の方から、各省、そして関係法律との関係について御指摘がありましたが、この法律についても、残土処分場の設置に当たっての森林法や砂防法に基づく許可等に際しては、都道府県等において盛土行為に関する許可の状況を確認するなど、関係法令を盛土行為の許可制度と一体的に運用していくなど、これはしっかりと、ほかの省庁あるいは法律との連携、これを図っていきたいと存じます。そのように対応するよう、総理としてもしっかりと指示を出していきたいと思います。

足立委員 是非お願いします。

 最後に一点、ヒトラー発言で物議を醸しておられる立憲民主党の最高顧問菅直人議員、ヒトラー発言も言語道断でありますが、ここに書いてあるように、福島に関する風評を拡散しています。私は、総理、内閣として、立憲民主党菅直人最高顧問、抗議をすべきだと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のあった、総理経験者が発した書簡については、多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみというような表現があるということ、これは承知をしております。

 福島県が実施する県民健康調査において甲状腺検査により見つかった甲状腺がんについては、福島県や国連などの専門家会議により、現時点では放射線の影響とは考えにくいという趣旨の評価がなされております。

 このため、当該記述は、福島県の子供に放射線による健康被害が生じているという誤った情報を広め、いわれのない差別や偏見を助長することが懸念されるものであり、適切ではないことから、昨日、環境大臣から、そのことを指摘し、風評を払拭すべく、書簡を発出したところであります。

 政府としては、引き続き、科学的知見に基づく知識の国内外への発信を行い、放射線の健康影響に関する風評払拭に取り組んでまいりたいと考えます。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、この点については、抗議をしていただいているわけですが、しっかりと、菅直人さん、菅直人さんは現職の議員です。現職の……

根本委員長 足立君、申合せの時間が経過しております。

足立委員 菅直人最高顧問、立憲民主党から回答を求めるようお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて池下君、山本君、足立君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 質問に先立ちまして、今日も質問時間を融通いただきました立憲民主党そして日本維新の会の皆さんに、まずお礼を申し上げたいと思います。

 まずは、新型コロナウイルス対策についてお伺いします。

 総理、新型コロナウイルスの感染が始まってからもう三年目に入りました。足下、また急速に感染拡大が続いておりますけれども、引き続き感染拡大防止には努めていかなければもちろんいけないんですが、しかし、やはり、社会経済活動の制約、これはできる限り最小限にとどめていく。やはりウィズコロナの姿勢で対応していくべきだというふうに考えております。

 そこで、まず、水際対策についてお伺いしたいと思います。

 今、水際対策で、この二月末まで原則として外国人の入国を認めない措置が取られていますけれども、これだけもう国内で既にオミクロン株の感染が広がっている中で、これまでと同じ水際対策を続ける意味があるのか。このまま二月末まで続けるのか、また、三月以降はどのようにするつもりなのか、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今日まで、オミクロン株の世界的な感染拡大を受けて、日本としても、G7で最も厳しい水準の水際対策により、海外からのオミクロン株流入を最小限に抑え、国内感染の増加に備える時間を確保できたと考えております。

 そして、このオミクロン株については、現状、国内外の感染状況、まだまだ随分大きな差があります。こうした大きな差に鑑み、あるいはオミクロン株に関する科学的知見の蓄積が十分でなかったことを勘案して、当面、二月の末まで現在の水準を維持する、骨格を維持する、こうしたこととしたわけであります。

 もちろん、新規入国については、個別に審査し、人道上、国益上の観点から、必要な対応は取ってきたところであります。

 ただ、委員御指摘のように、状況はどんどんと変化しています。そして、オミクロン株に関する科学的な知見も徐々に蓄積されてきました。ですから、今後については、国内外の感染状況、状況は変化しているわけですから、国内外の状況の差等も鑑み、そしてオミクロン株の特性等に鑑み、必要かつ適正な対応は絶えず考えていかなければならないと認識をしております。

古川(元)委員 余り固定的に考えることなく、やはり柔軟に対応していって、ここまで来ますと、やはり、水際対策で止めるというよりも、むしろ国内での感染の拡大をどう止めるかということの方が重要じゃないかと思います。是非そこは変化を柔軟にしていただきたいと思います。

 特に、海外からの日本への留学生について、今も留学生が入国できない状況にあって、元々、昨年入学予定の留学生もいまだに入国できない状況が続いております。海外の多くの国は、もうこうした留学生の受入れというものはやっておるわけでありまして、やはり日本も、いろいろな、それは無条件ではないと思いますけれども、留学生については、一日も早く入国を認めて、日本で学べるような環境をつくるということが必要ではないかと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 外国人留学生については、先ほど全体の水際対策に対する考え方を申し上げさせていただきましたが、諸外国との友好関係を構築する、我が国の教育研究力の向上を図るなどにおいて重要であり、外国人留学生の新規入国については、人道上、国益上の観点から、個別の事情を慎重に勘案し、必要な防疫措置を講じた上で入国を認めてきた、こうした対応を取ってきたところでありますが、先ほども申し上げたように、状況が刻々と変化しております。国内外の感染状況の差、あるいはオミクロン株の特性をしっかりと踏まえた上で、必要かつ適切な対応を絶えず考えていかなければならないと思います。

 当面、二月末ということで、今の体制の骨格は維持しておりますが、状況をしっかりと把握しながら、適切な対応を絶えず考えていきたいと考えます。

古川(元)委員 日本のことを、将来を考えても、日本で学びたいという留学生を受け入れるということは、やはりこれは国益にかなうことだと思います。そういう方々がやはり早く日本に来て、そして学べるような環境を是非、新学期もまた四月から始まるわけでありますから、間に合うような形で対応していただきたいということをお願いをしたいと思います。

 さて、コロナが収束というような状況になるまではまだかなり時間がかかりそうでありますけれども、そろそろ、この間の政府や地方自治体等が取ってきた一連のコロナの対応について、きちんと検証する体制をつくることを考える時期に来ているんじゃないかと思います。

 一昨年の秋には、まだ感染拡大から半年余りの状況でありましたけれども、コロナ民間臨調という民間の団体が、半年余りの政府のコロナ対応に対する検証を行って、報告書を発表しました。私は、これは国会としても検証機関を設けて、きちんと検証を行うべきだというふうに考えています。

 我々国民民主党は、この検証機関について、ちょうど、福島原発事故の後で、第三者的な立場から事故原因を究明するために国会両院の下に設けられた原発事故調というのがありました。これと同じような形で、この間の一連のコロナ対応について検証する新型コロナウイルス対応検証委員会というようなものを国会に設置する、そういう法案の提出を今準備をいたしております。

 この原発事故調というのは、当時は野党であった自民党の議員の方からの提案を受け入れて、そして超党派の議員立法という形で成立をさせて、そして設置したという経緯があります。多分、林大臣なんかも関わっていらっしゃったんじゃないかなと思いますけれども。

 今回は、我々が今野党でありますけれども、我々のこうした提案を今度は自民党の方が受け入れて、是非これも超党派で一緒に法案を成立させて、国会に検証委員会を設置したいというふうに考えているので、是非協力をお願いしたいと思うんですが、これは自民党総裁として、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 国会にどのような委員会を設けるかという議論については、まさに委員おっしゃったように、これは国会で、与野党で決めることであり、行政府としてコメントするのは控えなければならないのかもしれませんが、しかし、検証という問題を考えた場合に、政府としても、まずは、今は現下の厳しい状況にしっかり対応していく、具体的に対応し、そして結果を出していく、これに専念しなければいけないとは思いますが、こうした対応を客観的に評価し、そして、さらには、感染症の時代と言われる二十一世紀の時代において、次の感染症危機、こういったものも当然想定しておかなければいけないわけですから、本年六月をめどに、危機に対する司令塔機能の強化、感染症法の在り方、保健医療体制の確保、こうした中長期的な観点から必要な対応を取りまとめるということは再三申し上げているところです。

 是非、政府としても、そうした検証の重要性は念頭に置きながら、しっかりと将来に備えていきたいと思います。

 重ねて申し上げますが、国会においては、是非与野党でしっかりと議論をし、あるべき検証の在り方を考えていただきたいと思います。

古川(元)委員 政府の方は政府でまたそれは検証して、次に備えるということはやっていただいたらいいと思うんですが、やはり、客観的、そして第三者的、中立的なというところで見ると、政府の対応とかをチェックするわけですから、これは国会の下にそういう検証委員会なんかを設けるというのは私はいいんじゃないかと思いますし、ちょうど原発事故調という、過去に例もありますからね。ですから、そうしたものも、形は同じような形で、是非法案をまた自民党の方にも提案をしたいと思っていますので、是非そこは総裁として御協力をお願いしたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、新しい資本主義についてお伺いしたいと思います。

 岸田総理といえば、新しい資本主義。一日に何度、新しい資本主義という言葉を聞くかというぐらい、もうみんな頭に刷り込みになっているんですけれども、ただ、この新しい資本主義が何を意味しているのかというのが、率直に言ってよく分かっていない人が多いんじゃないかなというふうに思うんですね。ですから、もっと多くの人が、新しい資本主義というのを聞いたときに、ああ、こういう感じのことを総理はおっしゃっているんですねというイメージが湧くように説明してもらいたいと思うんです。

 私もずっと前から、今の資本主義の在り方には問題があって、これはやはり変えていかなきゃいけないというふうに考えてきました。じゃ、どういうふうに変えたらいいのかといったら、それは、我々日本人にとっては実は何か新しいとかいうものじゃなくて、もっと、むしろ、日本のいわゆるビジネスとか事業を起こすときの、やるときの原点に立ち戻るということじゃないかというふうに私は考えているんです。

 具体的にはどういうことかというと、総理もちょっと使われたりしていますけれども、日本では、そもそも資本主義という考え方が入ってくるずっと前から、近江商人の、売り手よし、買い手よし、世間よしという三方よし、事業というものはやはりそういうふうにやらなきゃいけないというふうに言われてきました。

 また、日本で資本主義の父と呼ばれる、ちょうど昨年、大河ドラマ「青天を衝け」のモデルであった渋沢栄一、この渋沢栄一さんが使ったのは、これは資本主義という言葉じゃなくて合本主義というんですね。

 合本主義というのは、公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め事業を推進させる、そういう考え方を意味するんだというふうに言われているんですけれども、今私たちが目指す資本主義の在り方というのは、実はそんな新しいものじゃなくて、元々日本では、そういう三方よしとか合本主義、そういう考えでやるべきだというのがあったものなんじゃないですか。

 だから、何か総理がおっしゃっている新しい資本主義というのも、そういう元々日本にあった、むしろ日本での事業をやるというのはそういうものじゃないといけないと言われていた、そういうところに戻っていこう、むしろそういう考え方の下に資本主義を運営していこう、そういう流れの下に、延長線上にある、それが新しい資本主義だ。そうだと、三方よしとか合本主義というと、何となくイメージが湧くんですよ、我々も。

 そういうものというふうに認識してよろしいんですか。どうですか、総理。

岸田内閣総理大臣 私が申し上げている新しい資本主義ですが、基本的な考え方として、一九八〇年代以降続く新自由主義的な考え方の下、格差や気候変動といった二十一世紀型の課題、これがグローバルに顕著になり、そして、各国もこれからの経済モデルについて考えを深めている。こうした中にあって、我が国においても、経済活動を全て市場や競争に委ねるのではなくして、官と民が協働して、格差や気候変動といった様々な課題を是正する仕組みを成長においても分配においても埋め込むことによって、社会課題を解決し、持続可能な経済社会をつくっていく、こうしたことを申し上げているわけですが、今委員御指摘がありました、近江商人の三方よし、あるいは渋沢栄一氏の合本主義、こういった我が国が育んできた企業経営の伝統、これは共通する部分もたくさんあるんだと私も認識をしております。

 逆に、こうした誇るべき伝統を持っている我が国こそ、これからの動きにおいて世界をリードする、こうした気概を持って取り組んでいきたいと考えているところであります。

古川(元)委員 この新しい資本主義に似たような言葉というのは、例えば、私、ビル・ゲイツがダボス会議で創造的資本主義というスピーチをしたとき、それをその場で聞いたことがあるんですけれども、何だ、これって別に日本の昔から言っている話じゃないかと。今更、ビル・ゲイツに、何かすごい新しい発想だなんて言われることじゃない。

 だから、今総理が言われたように、もっと、我々日本人はそういうやり方でやっていて、日本的な、むしろそういう発想でやっていればこんな問題は起きないんですよということを日本から世界に発信できる部分だと思うんですね。

 今、総理は八〇年代以降の話をされましたけれども、実は、この資本主義の弊害というのは今に始まったことじゃないと思うんですね。歴史上、何度も今と同じような弊害が起きて、それが大きくなると資本主義の在り方が問題になる。そこから社会主義や共産主義というイデオロギーも生まれてきたんだと思います。また、革命も起きました。

 およそ百年前の前回のパンデミック、スペイン風邪が流行していた頃の世界も、実は今と同じような、いや、むしろもっとひどい資本主義の弊害が目立っていた時代なんじゃないかと思うんですね。

 渋沢栄一が「論語と算盤」を著したのは、これはスペイン風邪の流行が始まる二年前、一九一六年なんです。何で渋沢栄一がこれを著したかというのに言われているのは、当時、やはり日本でも荒々しい資本主義による弊害が目立って、こうした状況をやはり憂えて、世の中に警鐘を鳴らすためにこの書を書いたとも言われているという話も聞いたことがあるんですね。

 実は、この時期は、世界的に格差が大きく広がった時期でもありまして、そういう格差の拡大が社会の分断を生み、そして社会の分断が社会を不安定化させて、それが政治や経済をも不安定化する。そういう中で、初めての共産主義革命であるロシア革命というのが一九一七年に起きているわけなんです。

 歴史は繰り返すといいます。百年前には結局、世界は、パンデミックの収束後、しばらくして世界恐慌になって、その後、第二次世界大戦へ、そういうふうに進んでいきました。

 私たちは今、過去のこうした歴史、資本主義は何度も暴走して、弊害が起きて、その度にそこを是正しようと。あるいは、うまく是正できなくてそんな戦争へ行ってしまったりとか、そういうことも起きているんですね。ですから、今こそやはり我々は歴史から学ばなきゃいけないときじゃないか。

 ドイツの宰相のビスマルクは、愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ、そういう有名な言葉を残していますけれども、総理には是非、百年前と同じような繰り返しに世界が入っていかないように、今こそ賢者となってこうした歴史から学んでいただきたいというふうに思うんですが、これは質問じゃないですけれども、総理のこの新しい資本主義にかける決意をちょっとお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員のお話を聞いておりまして、私も、共感できる部分がたくさんあると思いながら聞いておりました。

 委員の方から第二次世界大戦までの様々な資本主義の動きについて今お話がありましたが、第二次世界大戦後を考えても、例えば、先ほど言いました一九八〇年代の新自由主義の時代の前は、世界的に福祉国家論というのが広く議論をされ、資本主義あるいは国の役割ということで大きな議論が行われていた、こういった時代もあったんだと思います。かくのごとく、この資本主義という経済モデルの中にあっても、絶えずいろいろな問題点が指摘をされ、改良が加えられ、より幸せを目指すにはどうしたらいいのか、人類がずっと英知を結集して努力をしてきた、こういった歴史があるんだと思います。

 そして、今ここへ来て、やはり世界的に見ても、気候変動ですとか格差、あるいは分断、あるいは民主主義の基礎である中間層の復活、こういった課題に取り組まなければいけない、多くの国においてこういった同様の議論が行われているわけです。是非、日本においてもしっかりとした議論を行っていきたいと考えます。

古川(元)委員 そこでいいますと、総理が何度も今おっしゃった八〇年代以降の話でいうと、私、実は、この八〇年代以降の、今に至る資本主義の弊害と言われているような、そうしたものが起きてきた一つの原因には、八〇年代以降の先進国を中心とする経済政策の在り方もあったんじゃないかなと思っているんですね。

 八〇年代以降は、先進国中心に、経済対策の手段として、財政政策よりも金融政策、これを多用する、むしろ過度にそこに依存する、財政的な制約があったということもあるんですけれども、そうした政策が取られてきた。その結果、何が起きたかというと、景気が悪くなる度に金融緩和をする。

 金融緩和で実体経済に必要以上のマネーが世の中に出ていって、それが株や不動産の資産に流れ込んでバブルを生んだり。そして、バブルというのは必ずどこかで潰れます。崩壊すると、バブルと何の関係もないような、そうした実体経済でやっている人たちが大きな影響を受けて、そこでまた格差が拡大していくみたいな。

 金融資本主義とかマネー資本主義という言葉は、実はこれは九〇年代になって生まれてきた。その前にはなかったんですね。じゃ、何でそんな言葉が生まれてきたかといったら、やはりこれは八〇年代以降の、金融政策に過度に頼ってきた、そのことによって世界的な過剰流動性が生まれた、やはりそういうところに原因があるんじゃないか。

 ですから、今世界が抱えている格差拡大等を考えると、こうした弊害を是正する一つの方法としては、やはり今後は、経済政策の手段としては金融政策よりも財政政策中心にしていく、そうした考え方をすべきではないかと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 今委員が御指摘になられたように、一九九〇年代以降、バブル崩壊後、日本の経済、デフレが進み、悪循環が繰り返されていた、こうしたことを経験いたしました。

 今後とも、日銀とは緊密に連携しながら政策を進めていかなければならないと認識しておりますが、御質問の金融政策か財政政策かということについては、私は、やはり二者択一ではないと考えています。金融政策、財政政策、さらには成長、分配戦略、この三つをやはり適切に組み合わせながら政策運営を行っていきたいと私は考えております。

古川(元)委員 私も二者択一と言っているわけじゃないんです。八〇年代以降は余りにちょっと金融政策に偏重し過ぎたんじゃないか、だから、むしろこれからは、金融政策に過度に頼るよりは財政で必要なところをやっていく、そうした財政政策中心の経済対策、やはりそれを打っていくということが必要じゃないか、それが私の言いたいことで、別に二者択一と言っているわけじゃないんです。そのバランスが今まで崩れていたんじゃないかということを指摘したい。

 最後に、時間になりましたから、一つ。

 我々国民民主党は、この国会、玉木代表も、賃上げ国会にしようと。我々国民民主党は、給料が上がる経済をつくりたいと思っています。そのためには、やはりこの賃上げを、総理も言われるような賃上げをどうしても実現をしなきゃいけないと思っています。

 今回、税制改正で賃上げ促進税制が拡充されるわけなんですが、この税制が使えるのは要するに法人税を支払っているところだけ、あるいは条件を満たしているところで、そういう満たしていない企業はこれを使えないんですね。日本の場合は、総理も御存じだと思いますが、法人の三分の二は赤字法人なんです。ですから、じゃ、そうしたところは賃上げしなくていいのかといったら、やはりそういうところも賃上げしなければ、できなければ、日本全体として賃上げが進むということには、総理の言うような好循環になっていかないと思うんです。

 ですから、我々は、賃上げをした全ての企業が黒字、赤字に関係なく恩恵を受けられるような税制の措置として、法人事業税や固定資産税あるいは消費税の納税、そういうものを減免する、こうした措置を取るべきではないかというふうに思いますが、総理のお考えを聞かせていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、赤字企業もしっかりと賃上げができる環境をつくっていかなければいけない、御指摘はそのとおりだと思います。

 だからこそ、賃上げ税制、もちろん大事でありますが、事業再構築補助金など補助金における、賃上げを行う企業への優先的な取扱い、これも用意しなければならないと思いますし、年間四兆円を超える公共事業やビルメンテナンスなどの委託事業、ITなどの公共調達、ここにおいても賃上げに積極的な企業を優遇する、こうした施策を用意していきたいと思います。

 また、賃上げ税制に併せ、法人事業税についても、赤字法人でも課税される外形標準課税の対象法人に対しては、一定割合以上の賃上げを行った場合に税負担を軽減する措置を講ずる、こういった措置も用意していきたいと考えています。

古川(元)委員 我々も具体的な賃上げをするためのいろいろな提案をしていきたいと思いますので、是非総理も前向きに受け止めていただきたいということをお願いして、時間になりましたので、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 これにて古川君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 オミクロン感染が爆発的に広がる下で、国民の命と暮らしを守るとともに、中小企業支援の抜本的強化が求められております。

 そこで、まず、お手元の資料一ページを御覧いただきたいと思います。

 岸田首相は、衆議院を解散した昨年十月十四日の記者会見でこう言われました。新型コロナの影響を受けた事業者の方々には、地域、業種を問わず、三月までの事業継続の見通しが立つよう、昨年の持続化給付金並みの給付を事業規模に応じて行ってまいりますと。

 総理、この発言は覚えていらっしゃいますね。

岸田内閣総理大臣 覚えております。

笠井委員 総理の記者会見から三か月半もたってやっと、事業復活支援金ということで申請が始まったわけです、一月三十一日。でも、公約ですよね、これ。公約どおりになっているかということであります。

 ここにありますけれども、売上げ半減の事業者に対しては、一昨年の持続化給付金は、法人で二百万円、そして個人事業者あるいはフリーランスの方々には百万円ということで、これを上限に給付をされました。

 ところが、今回は、その上にありますが、事業復活支援金は、法人企業の六割強を占める年間売上高一億円以下の場合を見ますと百万円、そして五十万円がそれぞれ上限ということで、いずれも半分になっているということであります。半分以下ということになりますね。

 既に、コロナ破綻でいいますと、東京商工リサーチの調査が最近出ました、今年に入って百十三件と、十二か月連続で百件を超えているという状況です。そして、そういう中で、昨年十一月からは何の国の直接支援もないままに三か月耐えてきたのがそういう事業者の方々だ。二月に入ろうというところで、直前の三十一日にやっと申請開始ということであります。

 しかも、この制度というのは、昨年九月末に緊急事態宣言が全面解除された、そして感染が収まったとされたときに、十月十四日に総理が会見をした、その指示に基づいて制度設計されたものですよね。今は既に全国三十四の都道府県で蔓延防止等重点措置が適用されているということでいうと、去年の十月とは全く違う状況じゃないか。

 総理、これで果たして三月までの事業継続の見通しが立つ、こうお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事業復活支援金ですが、コロナ禍で御苦労されておられる事業者の皆様が三月までの見通しを立てていただけるように、固定費の約半分を目安として、昨年の十一月から三月までの五か月分、これを一括で支援するという制度にしております。

 そして、内容、持続化給付金より後退しているのではないか、こういった指摘がありましたが、事業復活支援金、事業規模に応じて支援上限額を法人で最大二百五十万円としております。五か月という期間だけ区切ったならば、この二百五十万円という数字、決して小さなものではないと思っておりますし、加えて、持続化給付金の際には対象になっておりませんでした売上高の減少割合が三〇%以上の事業者も支援対象にするなど、これは手厚い支援になっていると認識をしております。

 これを速やかに審査を行い、執行に努めていきたいと考えています。

 これらと併せて、雇用調整助成金の特例ですとか、政府系金融機関の無利子無担保融資の延長、あるいは事業再構築補助金の拡充、こうした施策を並行して活用していただくことによって、事業継続の見通しを立てていただければと思っております。

笠井委員 融資とかそういう話はもういっぱいいっぱいやっているんですよ、お金借りて。返済の時期になっていて、もうそれどころじゃないという状況なんです。今問題にしているのは、国からの直接支援の話なんです。

 しかも、今言われました三〇%減を入れましたって、そのことは元々野党が要求したやつをようやく入れたわけですよ。売上げ一億円以下の方々を見たら、どこが手厚いのかという話になってくる。

 一昨年春の緊急事態宣言のときには、年間の固定費の半分、六か月分ということで、それに相当する持続化給付金、五月一日からに加えて、その直後に、家賃支援給付金ということで六か月分、この給付金があったわけでありまして、そうしますと、それを合わせますと、ここにありますけれども、二百万プラス六百万で八百万、個人の場合は百万と三百万で四百万、これが上限でなっていたのが、八分の一に減ったんですよ。どこが手厚いんですか、これ。

 東京足立区の重量物運搬業者からも、こういう声がありました。最近も、三代五十年やってきて、廃業した業者の機械を運び出す仕事をした、工場や倉庫など家賃負担があると厳しい、そういう声でありましたが、総理、廃業の後片づけをするという業者の気持ち、分かりますか。立ち行かなくて廃業した方の後片づけをするというので運搬して、それで収入を得るという話ですよ。

 全国知事会は、一月二十八日の緊急提言、出しまして、その中で、事業復活支援金について、支援額の増額や要件の緩和、給付対象期間を四月以降も含めるように検討ということで政府に求めております。総理の元に着いていると思うんですけれども、私、これは当然の要求だと思うんですよ、総理。

 コロナ禍三年目に入ります。そうした中での事業者や飲食店の方々が商売を続けられるように、まず、文字どおり、おっしゃったような持続化給付金並みというんだったら、そういうものにして制度を抜本的に見直して、家賃支援給付金の分も加味して、そして給付額を増額する、さらには、期間も三月までではなくて延長する。これは総理、決断すべきじゃないですか。

萩生田国務大臣 家賃支援給付金は、一昨年五月の緊急事態宣言延長などに伴い、休業を余儀なくされる飲食店などのテナント事業者において大きな負担となっている地代家賃の負担軽減のために創設したものです。

 当時は、緊急事態宣言が発令されていたことに加え、人との接触機会を最低七割あるいは八割削減することを目指しており、全国にわたって幅広く経済活動が停滞する中、事業者の経営状況は大きく悪化しておりました。

 現在は当時とは状況が異なるため、支援策についても当時との違いを踏まえて実施する必要があります。事業復活支援金は持続化給付金より充実した支援措置であり、まずはこの支援金を速やかにお届けすることに全力を注いでまいりたいと思います。

笠井委員 八分の一になってどこが充実しているんですか。とんでもない話ですよ。総理、ちゃんと言ってください。

岸田内閣総理大臣 事業者支援、重要だということ、それは当然のことであります。

 そして、先ほど来様々な制度を説明させていただいておりますが、昨年の十月までは、月次支援金ということで、毎月毎月、支援金を支給してきたわけであります。それに加えて、十一月以降、五か月分まとめて支援するというのが、今御指摘のこの給付金のありようであります。

 そのトータルでどのような支援が届いていくのか。また、飲食店においては様々な協力金等の支援があります。その業種ごとにそれぞれの支援の在り方を考えていかなければいけないと思っています。

笠井委員 総理、毎月毎月が大変なんですよ、どうやって乗り越えるかという。そういう状況の中でずっとやってきて、三年目に入ってきているという状況でまた事態は大変なことになっていて、緊急事態宣言やるかやらないかというところまで来ているという中で、業者の皆さんの実態は大変なんですよ。

 だから、文字どおり、実態に見合った手厚い支援ということにしないと本当に駄目だと思うんですね。今本当に困っている事業者に思いを寄せて、そして、どれだけ国が本格的にやるかが問われていると強く言いたいと思います。

 もう一つ問題は、これまでの給付金、支援金の申請で、書類を何度出し直しても不備だと突き返されてきた、いわゆる不備ループの問題、当委員会でも問題になってきました。

 東京都内のリラクゼーションサロンを経営する法人事業者は、半年間も、何十回にわたる不備通知の末に、今月、一月半ばにやっと給付されたというんですけれども、八か月たって、やっとです。毎月やったと言うけれども、届いていないんです、そういう方々には。最後に求められたのは、八か月たって、店の写真とメニューを出してくださいというんですよ。そんなの、すぐ見に行けば分かる話で、さんざん突き返して、最後は店の写真とメニューだという話。本当にばかにしている話ですよ。こんなことが今後も繰り返されたら、事業継続の見通しなんか立てようがありません。

 萩生田経産大臣は、昨年十二月十五日の衆議院経済産業委員会での私の質問に、不便をおかけしていることはおわび申し上げると、この問題について陳謝をされて、事務局が申請者に対して五月雨式に書類を要求したことは事実だと認められました。

 今回は改善したと会見でも言われているけれども、事務局を委託したデロイトトーマツ、これ任せにしてはいけないと思うんです。まして、事業者の、申請者の責任にしちゃいけない。

 経産省、中企庁が責任を持って、必要な全ての事業者に迅速に正確に支援金を届け切ると確約できますか。

萩生田国務大臣 月次支援金では、先生御指摘のような事態があったことは事実であります。

 こうした書類の提出を求めるに当たって、不備メッセージの内容を細分化するなど可能な限り分かりやすくすること、また、申請システム上でアップロードできるファイルの容量を拡大すること、不備に関する電話相談窓口の体制を拡充することなど、中小企業庁から事務局をしっかりと指導した上で、丁寧なサポートとなるように改善を重ねてきたところであり、最後までしっかり取り組んでまいりたいと思います。

 また、事業復活支援金につきましては、一月三十一日月曜日から申請受付を開始しましたが、これまでの支援金の経験を踏まえ、申請者の御負担を可能な限り軽減するため、追加の書類提出を求める際には求める書類や不備の内容をより明確にするなど、改善を行ってまいりました。

 必要に応じて更なる改善を重ねながら、支援を必要とする方々に迅速かつ正確に支援金をお届けできるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

笠井委員 今回改善したと言うんですけれども、これまで、現金取引の業者に対して、取引の通帳を出せとさんざんやってきたんですね。そんなことをやってきて、事態はこんなことになっているわけですから、絶対にそんなことを繰り返しちゃいけないと強く言いたいと思います。

 一月の日本商工会議所の調査では、オミクロン株の感染拡大によって約九割の企業に影響、先行き不安の声もあるとしております。だからこそ、せっかく二年も踏ん張ってきた業者が見通しの持てるまとまった支援をスピーディーに届けていただきたいと、強く申し上げておきたいと思います。

 次に、気候変動対策の石炭火力問題です。

 昨年末のCOP26グラスゴー合意は、産業革命前から気温上昇を一・五度Cに抑える努力を追求すると明記をして、石炭火力発電を段階的に削減していくことを確認しました。国連のグテーレス事務総長は、日本など最も豊かな国々に二〇三〇年までの段階的廃止を求めてまいりました。

 そこで、資料の二ページ目を御覧ください。

 先進国、G7の中で、既にフランスは二〇二二年、イギリスは二〇二四年、イタリアは二〇二五年、ドイツは二〇三八年を八年前倒し、政権交代でしました。カナダは二〇三〇年、アメリカも三五年までに電力部門のCO2の排出実質ゼロにする、こういうふうに表明をしております。

 そこで、総理に伺います。

 いまだに日本は期限を決めていないんですか、廃止の期限。

岸田内閣総理大臣 エネルギーをめぐる事情は各国千差万別です。我が国の置かれている状況、資源が乏しく、周囲を海に囲まれた、こうした状況の中で、温暖化対策と、安価なエネルギーの供給と、そして安定したエネルギーの供給、この三つを満たす単一のエネルギー源というのはないのが現状であり、多様なエネルギーのバランス、これが重要であると考えています。

 そして、石炭火力については、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、安定供給を大前提に、いたずらに延命させず、できるだけ発電比率を引き下げていく、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力はフェードアウトを着実に進めていく、そしてさらには、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニアやCCUS等を活用して、それらのコストを、引き上げつつ、石炭火力を脱炭素型の火力に置き換える、こうした取組を進めていきたいと思います。

 廃止時期について御質問がありましたが、二〇五〇年段階でカーボンニュートラルを実現すると申し上げているわけですから、二〇五〇年段階では温室効果ガスのリサイクルや貯留などの範囲内でしか石炭火力は存在しないということを意味していると理解をしております。

笠井委員 いつまでに石炭火力を廃止するのか、期限を持っているのかと聞いたんです。持っているんですか、何年までに石炭火力を廃止すると。こうやって、G7が言っているようなことはあるんですか。

萩生田国務大臣 今総理が申し上げたように、それぞれ国はエネルギーの環境が異なります。

 石炭火力は、今総理が答弁したとおり、比率はどんどん下げていきますけれども、石炭が悪いんじゃなくて二酸化炭素が悪いわけですから、日本は、アンモニアの混焼あるいは全焼などでCO2の削減をしていくということで技術を磨いていきたいというふうに思っています。

 そういう意味では、今の火力発電所を直ちに閉鎖するという、期限を切って政策を進めているのではなくて、それをどうやってCO2を出さない発電所に変えていくかということを技術でしっかりと証明していきたいと思っています。

笠井委員 あれこれ言うけれども、G7がほとんど持っているような廃止期限がないということですよ、日本は。G7で唯一、脱石炭のそうした目標がない。

 それだけではありません。COP26後に九基も新増設をして、今後三十年以上も動かすことになる。その皮切りとして、昨日二月一日に、神戸製鋼所の石炭火力、神戸発電所三号機、六十五万キロワットが営業運転を開始して、白い煙を出しています。既に、脱炭素社会への逆行だということで抗議の声が沸き起こっていますが、こんな足を引っ張る国はどこにもありません。私、総理の本気度が問われると思うんですよね。

 総理、今、気候危機にあるという、そうした認識はありますか。この十年間、決定的だ、このようにCOPで言っているわけだけれども。

岸田内閣総理大臣 委員、気候危機という言葉を使われましたが、気候問題、これはもう人類全体にとっての大変重要な課題、危機であると認識をしております。

笠井委員 危機であるなら本気度が問われるという問題になります。

 二〇三〇年までに、じゃ、何基廃止するという目標を持っているんですか。

萩生田国務大臣 先ほど申し上げたように、廃止の目標を数では定めておりません。CO2を減らす努力をしてまいりたいと思います。

笠井委員 世界が本気でもってやろうとしているときに、日本は目標も持っていないということであります。

 二〇五〇年に向けて、水素やアンモニアの活用で脱炭素型に置き換えると先ほども話がありましたが、そう言いながら石炭火力を続ける。これこそが、日本が化石賞を受けた理由ではないかと。

 石炭にアンモニアを混ぜたり、アンモニア単独で燃やす技術でCO2排出削減すると言うんだけれども、その技術が未熟な上に、アンモニア製造というのはコストが高くて、経産省の資料でも、一トンの製造で一・六トンものCO2を排出すると。だから、石炭八割、アンモニア二割で火力発電を動かす場合は、CO2削減効果は僅か四%というのが気候ネットワークの試算であります。

 第六次エネルギー基本計画で、二〇三〇年度の発電量に占める石炭火力というのは一九%と言っていますよね。そこにアンモニアは一%と書いてある。混焼だというんですよ。そうすると、一九%と一%ですから、九五%は石炭を二〇三〇年度は燃やすということになります。

 新技術で、脱炭素どころか、CO2削減を先送りするだけじゃないんですか。

萩生田国務大臣 先生、もう少し日本の技術を信用していただきたいと思うんです。

 箱根駅伝に例えるなら、まだその折り返しまで行っていない状況です。いろいろな意味でヨーロッパと比較すると厳しい環境はありますけれども、二〇五〇年の最後のゴール、これをしっかりめくってまいりますから、それまでにきちんと今申し上げたことを一つ一つ解決してCO2を減らしていく、そのために総力を挙げて今取組をしております。

笠井委員 技術といったって、実用化のめどがないんですよ。これからやっていってどこまでできるかという話でしょう。新技術というんだったら、再エネのところにもっとお金も注力も注ぐというのが必要だと思うんです。

 日本では、経団連や電気事業連合会など、財界、大企業や金融機関が、国内での石炭火力の維持活用、アジアへの輸出を求めている。それと一体に、政府が石炭火力の新増設、輸出政策を推進して、廃止期限も決めない。だから、神戸製鋼所も言っているんですね、政府の方針にのっとっていると。そして、今度開始した三号機に加えて四号機も動かして、そして、関西電力と二〇五一年度までの三十年間もの電気を売る契約を結んでいるわけですよ。

 石炭火力発電所の発電事業者は、安価な石炭を使って最大限動かしたい、減価償却が進めば、動かすほどもうかる、輸出のためにも国内に造ると。こんな形で目先のもうけ本位のことをやっていて、それを一緒になって推進してきた政治を根本から正すときだと思うんです。

 私は、脱炭素に真面目に取り組む試金石として、総理、政治の決断で、新増設と輸出を中止して、既存の石炭火力も二〇三〇年をめどに計画的に廃止する、こういう方向に政策を転換すべきだと思うんですよ。本当に本気度が問われる。世界が今もう一生懸命やっているんだから。地球の未来は危ないわけですよ。どうですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど経産大臣からお答えさせていただいたように、二〇五〇年カーボンニュートラル、こうした大きな目標、大変挑戦的な目標に向けて、日本国、総力を挙げて努力を続けていきたいと考えます。

笠井委員 五〇年を待って、まず三〇年までは決定的と言われている。

 日本共産党は、パネル、資料の三を御覧ください、気候危機を打開するということで、二〇三〇戦略というのを提案いたしております。省エネと再エネで二〇三〇年度までにCO2など五〇%から六〇%を削減して、脱炭素、省エネ、再エネを進めるという社会システムの大改革で、とにかく、年間の雇用を二百五十四万人、GDP、累計で二百五兆円増やせるというものであります。

 何としても力を合わせて気候危機にストップをかけたい、そして、そういう方向への政治の転換、これが必要だ、このことを強く求めて、時間が来ましたので終わります。

根本委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 四年ぶりに戻ってまいりまして、この場に立たせていただく機会をいただきました委員各位の皆様方、同僚議員の皆さん、そして何よりも、地元でこの間支えていただいた皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。

 戻ってきて、おととい、この委員会の議論を傍聴しておりましたら、宮本議員の質問で私の名前がパネルに出ておりまして、ちょうど五年前の二月十七日に、この場で、当時の安倍首相に対しまして私が森友学園の問題を初めて質問したんですが、その場で、私や妻が関わっていたら総理も国会議員も辞めます、この答弁から五年たってもまだこういう議論を国会でしているということは、大変じくじたる思いであります。四年間の浪人中も、多くの方から、あの問題はどうなったんだ、おまえが国会に戻って、すかっと明らかにせよということを言われてまいりました。

 これが一昨日、宮本議員が示した赤木ファイルに入っていたメールなんですが、私の名前だけ黒塗りされていないんですよ。当時一般人だから黒塗りしてくれるかと思ったんですけれども、そのような配慮なく出ておりまして、要は、書いてあることは、本当にこれは、何言っているんだ、歴史的な、国会議員をばかにしたメールでありまして、腹が立つことなんですけれども。

 そこで、この添付ファイルが当初はついていなかった。その後、裁判資料としてついてきたんですが、その理由を見ると、議員との接触に係る内容は、議員の活動状況そのものであり、公開を前提としない情報である、当該情報を公にすることにより、議員との信頼関係が損なわれるとやっております。

 私は、私との接触録は全部公開して構いませんので、秘密にする方が信頼関係が損なわれます、私が財務省の職員と接した応接録を全て出していただけませんでしょうか。私が出していいと申し上げるのでありますから、岸田首相、財務省に対して、財務大臣に対して、私との応接録は全て開示するように指示をいただけませんでしょうか。

鈴木国務大臣 まず冒頭ですが、国会ないし国会議員からの資料要求には可能な限り協力をすべきものと考えておりますが、決裁文書の改ざんも含めまして、当時の国会への対応については誠に遺憾であって、深くおわびを申し上げなければならないと考えております。

 特に、御指摘のメールによれば、当時、福島先生には大変申し訳ない対応を行われたことは明らかでありまして、重ねておわびを申し上げます。

 その上で、マスキングについて、先生の部分について全てを公開することはできないかということでございますが、御指摘を踏まえまして、どのような対応が可能か、検討させていただきたいと思います。

福島委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いを申し上げます。安心して本題の方に移れます。

 今日は、経済安保のことについて質問させていただきたいと思います。

 昨日、経済安全保障法制に関する提言というのが有識者会議の方から出ました。米中対立が深まり、その背景には当然、中国の力を背景とした膨張主義の脅威というものがあるわけでありますが、そうした中、経済安保という言葉が非常に、この間、経済界でも社会的にも大きな問題となっておりますが、いま一つ、その正体というか、一体何が経済安保なのだという、その枠組みが分からないという問題があると考えております。

 アジア・パシフィック・イニシアティブ、そこがまとめた経済安全保障に関する日本企業百社アンケートというのが昨年の年末に出ました。経済安全保障への取組に当たっての課題は、米中関係の不透明性、これが一番、七五%の人が不安に思っている。適切な情報の取得とか、国際情勢に関する情報収集、日本政府の方針の不透明性。要は、よく分からぬということなんですね。

 特に、米国事業で展開する上での懸念事項として、サプライチェーンの混乱や米国の中国企業排除の激化というものが挙げられております。特に、これはちょっと今日は表でお示しはしていないんですけれども、一番心配なのは、米国の規制強化によるコスト増だということでありまして、中国の規制強化よりも米国の規制強化の方が心配だというふうにしております。そうした中、日本経済に期待すること、それは政策の方向性の明示。要は、日本政府は何をやろうとしているのか分からないということなんですね。

 私は、この間、岸田総理の国会などでの経済安全保障の言葉をずっと追ってまいりましたが、施政方針演説では、経済安全保障も、待ったなしの課題であり、新しい資本主義の重要な柱ですと言っているんですが、新しい資本主義と経済安全保障が何が関わるのか分かりません。

 昨年の年末の参議院予算委員会で、公明党の山本香苗議員の質問に対しても、経済安全保障の概念を早期に明確化していただきたいという問いに対して、経済安全保障会議の議論もしっかり踏まえ、省庁横断的にどう扱い、どう取り組むのかも含めて、しっかりと政府として議論を尽くしていきたいと言うだけで、有識者会議とかあるいは経済安全保障推進会議に丸投げして、総理の意思というものが見えません。

 総理、自らの言葉で国民に対して、とりわけ経済活動を行っている皆さんに関して、経済安全保障とは一体何で、何をしたいのかということを自らの言葉でお答えいただけませんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 経済安全保障、すなわち我が国の経済の成長においても、そして安全保障という観点においても、これは重要な取組であると考えています。

 経済の成長ということについては、従来から申し上げているように、我が国の経済における課題、これを是非エンジンにしていこうということで、デジタルや気候変動と併せて、経済安全保障、これも民間の投資をしっかり集中することによって成長のエンジンにしていかなければいけない、このように申し上げています。

 また、安全保障ということについても、サプライチェーン等の日本の経済構造の自律性、これを考えていかなければいけない。そして、対外的にも、技術の優位性、さらには不可欠性、これをしっかり確保していかなければいけない。そして、基本的な価値やルールに基づく国際秩序、これも強化していかなければいけない。こうした三つを目標として取り組んでいかなければいけない、こういった課題であると思います。

 今、国際社会、不透明感が増す中にあって、この経済安全保障、経済の成長とそして安全保障、両方にとって大切な課題、政権としましてもしっかり取り組んでいきたいということを申し上げております。

福島委員 恐らく、そういう抽象的な答弁が、一番、経済界の人にとっては不透明感を増す結果だと思っているんですね。

 今このパネル三を出させていただいておりますけれども、二〇一八年にトランプ政権が輸出管理改革法というのを出して、ファーウェイの製品などへ、これはアメリカから中国に輸出する場合だけではなくて、アメリカから日本に原料を輸出して、それを日本から更に中国に輸出する、いわゆる再輸出と言われる部分についてまで様々な規制を課しました。

 その結果どうなったのか。アメリカの企業は結構、これは資料でお配りをしておりますけれども、輸出許可を得て、米国から中国あるいは香港に半導体などを輸出しております。このグラフを見ていただきますと、二〇一八年以降、赤が日本、経済安保を気にして輸出を控えている間に、どんどんと中国、香港に対して輸出が下がっているのに、肝腎要のアメリカは、この青で見るように、増えております。

 この次のグラフで見ても、これまで中国、香港に対しては、半導体は日本の方がアメリカよりシェアが多かったのが、二〇一八年以降、とうとうアメリカにシェアでも抜かされているというふうになっていて、経済安全保障を理由にした不透明な規制が逆に日本の産業の障害になっていると思います。

 再輸出というのは、これまでのWTO上や様々な国際条約上も、我が国もアメリカに対してこれまで、不透明な規制だと言い続けてきたことです。

 私は、先ほどの岸田首相のようなほわんとした抽象的な概念だけでは、経済安全保障は逆に日本のリスクや制約要因になってしまいかねないと思うんです。何をするのか。それは、きちんとした経済安全保障のための規制は我が国で独自でやるんです。

 先日、バイデン大統領との2プラス2で、その結果、経済安全保障も協力してやろうということになったと思います。しかし、これは協力じゃないんです。安全保障は確かに日米安保の下で協調してやらなければならないかもしれないけれども、経済活動については、米国はパートナーでもあり、ライバルでもあるんです。そのために我が国が必要なのは、我が国が意思を持って、我が国の産業構造や経済体制にマッチした経済安保のルールを作ることが私は大事であると思っているんです。

 私は、総理からその決意を聞きたいんです。この国として主体的に何をするのか、何を取るのか。そのために、今、有識者会議で、昨日報告書が出ましたけれども、しかし、正直言って、余計曖昧になりますよ。

 更に言えば、二〇一八年に外為法を改正して、投資の部分の規制を強めたように見えます。

 先日、財務省の、個別名を言うと問題がありますけれども、国際局の調査課投資企画調査室というところから説明を受けましたけれども、例えば、フランスの会社が日本のエネルギー企業を買ったとしても、それがフランスの会社とは限りません。さらに、その親会社、更にその元の株主が中国の国営企業であるということもあるんですね。

 そうしたことをきちんと規制で調査できる体制にあるかといえば、とてもない。申し訳ないけれども、財務省のこの投資の調査体制というのを見れば、これこそが日本の国家機密だ。なぜなら、余りにもお粗末だから。そう言わざるを得ないような状況になっているんですね。

 つまり、我々がアメリカに対して、これだけ俺たちはしっかりやっているんだから、あんたらの規制を受けるいわれはない、国際ルールにのっとって日本に余計なことをするなと言うことも経済安保で大事だと思うんです。

 しっかりした規制をつくることと、アメリカや中国に対して言うべきことは言う、その覚悟を……

根本委員長 福島君、簡潔にお願いします。

福島委員 はい。

 岸田首相にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 しっかりと説明しなきゃいけないので少し時間が延びますが、それはお許しいただきたいと思います。

 御指摘の点、例えば、米国法の域外適用による不公正な扱いについては、企業から懸念の声があるということ、これは政府としても承知をしております。

 政府として実態や影響の把握に努めておりますし、また、米国に対しては、様々な機会を捉え、米国法の域外適用によって対象技術を保有する同志国企業にも影響が及ぶこと、また、事業の予見可能性や競争環境の公平性確保が重要であることを強く申入れを行っています。

 その上で、米中対立が続く中、日本企業に対しては、法令遵守の範囲を超えて過度に萎縮することなく、仮に不当な対応が求められることがあれば政府が前面に立って支援すること、これはお伝えしてきております。

 引き続き、米国への働きかけを含め、公正な競争環境の確保、これに努めていかなければならない、このように思っております。

 基本的に、予見可能性とそして公正な競争環境、こうしたものを確保するための国際的なルール作り、こうしたものにもしっかり取り組んでいかなければならない、こういった強い認識を持って、経済安全保障のこれからについて政府としてしっかり考えていきたいと思っております。

福島委員 これから内閣委員会でも関連法案の審議があるでしょうから、有志の会としても、しっかりと本質的な議論を行ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。ありがとうございます。

根本委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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