衆議院

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第11号 令和4年2月7日(月曜日)

会議録本文へ
令和四年二月七日(月曜日)

    午前八時五十六分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 近藤 和也君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      井野 俊郎君    伊藤 達也君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      大串 正樹君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      菅家 一郎君    後藤田正純君

      齋藤  健君    下村 博文君

      田所 嘉徳君    高階恵美子君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      西田 昭二君    野中  厚君

      長谷川淳二君    平沢 勝栄君

      藤丸  敏君    古屋 圭司君

      堀井  学君    宮崎 政久君

      山本 左近君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    梅谷  守君

      江田 憲司君   おおつき紅葉君

      小川 淳也君    大島  敦君

      落合 貴之君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    後藤 祐一君

      階   猛君    鈴木 庸介君

      長妻  昭君    馬場 雄基君

      藤岡 隆雄君    道下 大樹君

      山田 勝彦君    足立 康史君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      金村 龍那君    住吉 寛紀君

      藤田 文武君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    中川 宏昌君

      前原 誠司君    赤嶺 政賢君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (孤独・孤立対策担当)  野田 聖子君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長)     野村  裕君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   宮地  毅君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           北浦 修敏君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      池田 憲治君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  緒方 禎己君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     林  俊行君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       阪本 克彦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室地方連携総括官)          大村 慎一君

   政府参考人

   (国税庁次長)      重藤 哲郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 大島 一博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    畠山陽二郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           深澤 雅貴君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月七日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     高階恵美子君

  石破  茂君     田所 嘉徳君

  奥野 信亮君     西田 昭二君

  加藤 勝信君     井野 俊郎君

  亀岡 偉民君     菅家 一郎君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  北村 誠吾君     藤丸  敏君

  中谷 真一君     長谷川淳二君

  山本 有二君     齋藤  健君

  渡辺 博道君     野中  厚君

  石川 香織君     小川 淳也君

  江田 憲司君     鈴木 庸介君

  源馬謙太郎君     大島  敦君

  重徳 和彦君     梅谷  守君

  長妻  昭君     山田 勝彦君

  道下 大樹君     後藤 祐一君

  足立 康史君     岬  麻紀君

  市村浩一郎君     住吉 寛紀君

  岩谷 良平君     金村 龍那君

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     加藤 勝信君

  菅家 一郎君     亀岡 偉民君

  齋藤  健君     山本 有二君

  田所 嘉徳君     石破  茂君

  高階恵美子君     堀井  学君

  西田 昭二君     山本 左近君

  野中  厚君     渡辺 博道君

  長谷川淳二君     大串 正樹君

  藤丸  敏君     北村 誠吾君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  梅谷  守君     重徳 和彦君

  小川 淳也君     石川 香織君

  大島  敦君     源馬謙太郎君

  後藤 祐一君     道下 大樹君

  鈴木 庸介君     おおつき紅葉君

  山田 勝彦君     長妻  昭君

  金村 龍那君     掘井 健智君

  住吉 寛紀君     市村浩一郎君

  岬  麻紀君     藤田 文武君

  赤嶺 政賢君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     中谷 真一君

  堀井  学君     青山 周平君

  山本 左近君     奥野 信亮君

  おおつき紅葉君    馬場 雄基君

  藤田 文武君     足立 康史君

  掘井 健智君     岩谷 良平君

同日

 辞任         補欠選任

  馬場 雄基君     藤岡 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  藤岡 隆雄君     江田 憲司君

同日

 理事重徳和彦君同日理事辞任につき、その補欠として近藤和也君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事重徳和彦君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に近藤和也君を指名いたします。

     ――――◇―――――

根本委員長 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官溝口洋君、内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長野村裕君、内閣府大臣官房長宮地毅君、内閣府地方創生推進室次長内田幸雄君、内閣府地方創生推進室次長北浦修敏君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、宮内庁次長池田憲治君、警察庁生活安全局長緒方禎己君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁審議官山本和徳君、デジタル庁審議官犬童周作君、復興庁統括官林俊行君、総務省大臣官房政策立案総括審議官阪本克彦君、総務省自治行政局長吉川浩民君、総務省自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室地方連携総括官大村慎一君、国税庁次長重藤哲郎君、文部科学省初等中等教育局長伯井美徳君、文部科学省高等教育局長増子宏君、厚生労働省医政局長伊原和人君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省労働基準局長吉永和生君、厚生労働省雇用環境・均等局長山田雅彦君、厚生労働省子ども家庭局長橋本泰宏君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長田原克志君、厚生労働省政策統括官大島一博君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官畠山陽二郎君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省産業技術環境局長奈須野太君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、国土交通省大臣官房総括審議官天河宏文君、国土交通省大臣官房政策立案総括審議官高田陽介君、国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君、防衛省大臣官房衛生監鈴木健彦君、防衛省統合幕僚監部総括官深澤雅貴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、新型コロナウイルス感染症対策等内外の諸課題についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 質問の機会を与えていただき、委員長、理事の皆さん、そして国対の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 今日は、新型コロナ対策、またコロナ危機のもたらすもの、さらには福島への中長期的対応と当面の対応、またデジタル教科書などについてお尋ねしたいと思います。

 今日は、パネルにつきましてお手伝いをいただいております長谷川淳二衆議院議員、愛媛四区で、先日、昨年、この前当選した初々しい長谷川先生でございます。

 さて、長引く新型コロナウイルスでございますが、観光、飲食関係でなく、多くの業種の方々、また国民の皆さんに先の見えない不安を与えております。私の選挙区でも、城崎温泉、湯村温泉の旅館は、平日に閉めるところが多い。また、土日でも半分程度のお客さんしか来ておりません。とにかく、コロナの収束、少なくとも収束のめどを急がなければならないと思います。

 そのための有力なツールとして、ワクチン接種を加速しなければなりません。そのことが、国民が今一番願っていることではないかと思います。

 ただ、残念なことに、二月までに新型コロナワクチンの三回目の接種を行う対象者約三千八百万人のうち、現時点で接種が終わっているのは約六百万人です。二月中に接種を終えるためには、一日百万回接種しないと達成できません。まさに二月が、厚生労働大臣の言われるまさに正念場であり、勝負の月であろうかと思います。

 しっかりした目標を設定して接種を進めるべきではないかと思いますが、岸田総理の決意をお尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 感染力の強いオミクロン株への対応に当たっては、御指摘のように、ワクチンの三回目の接種、発症予防という点からも、また重症化予防の点からも要になるものであると認識をいたします。

 二月からは一般高齢者の前倒し接種が本格化しており、国、自治体、企業挙げて、二月のできるだけ早期に一日百万回までペースアップすることを目指して、取組を強化してまいりたいと思います。

 その実現に向け、先ほど、関係大臣に対し、自治体に計画的配付したワクチンをフル活用して、最大限の前倒しが進むよう、改めて各自治体へ協力を呼びかけること、また、今月半ばには職域接種が開始されます、この職域接種を積極的に活用いただくよう各企業に働きかけること、また、教職員や保育士、警察官、消防職員などエッセンシャルワーカーへの接種を地域において積極的に進めていただくようお願いすること、こうした点につきまして、関係大臣に指示を出したところであります。

 岸田政権としましても、明確な目標を掲げ、政府一丸となって一日も早く希望する方々への接種を進めていきたいと考えております。

谷委員 ありがとうございます。

 総理の方から初めて百万回の具体的な目標を設定していただきました。

 様々な今お話がありましたように、自治体への協力、あるいは職域接種への協力、あるいはエッセンシャルワーカーへの接種の加速などをしなければならないんですけれども、国が行っている自衛隊の接種、これについても是非拡大していただきたいと思います。

 東京会場では、たしか元々一日七百六十ぐらいから始まったかと思いますが、現在では五千回まで拡大している。では、大阪の接種会場はどうか。まだ具体的に東京のように拡大ということは言われていないかと思いますが、大阪会場の接種回数についての取組、総理にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 自衛隊による大規模接種については、東京会場と同様に、大阪会場の接種能力も早急に拡大すべく、防衛省において検討を行っているところです。

 昨年と同様のペースで接種を進めるべく、二月十四日をめどに、一日当たり接種回数を二千五百回程度まで拡大したいと考えます。

谷委員 ありがとうございます。

 二月十四日をめどに二千五百回、東京は五千回でございますけれども、その半分程度には拡大したいという答弁であったかと思います。しっかりと、自治体の接種と併せて、国自らの大規模接種の方もよろしくお願いしたいと思います。

 さて、そういう中で、三回目の接種について、資料の後の方でございますけれども、十一ページにちょっと、十一枚目、細かくて申し訳ないんですけれども、後ろから二枚目です、資料に添付させていただいておりますけれども、三回目接種の意向。副作用などの状況を見極めて接種したいという方が三割近くまだいる。もちろんこれだけが原因ではないと思います。例えば、一、二回目がファイザーという方が多いわけでございますが、モデルナの接種にちゅうちょする例も少なくないようでございます。

 堀内大臣、三回目の接種、様々な取組をされているかと思いますけれども、今の総理の答弁のように、更に加速して、一日是非とも百万で目指さなければならないと思いますが、三回目接種への加速する取組についてお尋ねしたいと思います。

堀内国務大臣 ただいま谷委員御指摘のように、百万回接種に向けて加速していくべく、しっかりと取り組んでまいらなくてはならないと思っております。

 この三回目、接種していただくことにより、発症予防効果や重症予防効果が高まるというふうに報告されております。また、委員御指摘のように、モデルナにつきましても、ファイザーワクチン、モデルナワクチン、どちらでも効果はしっかりと期待できますし、また、いわゆる御心配される副反応につきましても、三回目、モデルナは半量となっておりますので、発熱などの出現率は少ないというふうに言われております。

 このようなことを、政府一丸となってしっかりと、交互接種の必要性、有効性、そして安全性など、そして三回目の接種の必要性など、ホームページやSNS、テレビCMなど、様々な媒体を活用しながら、国民の皆様方お一人お一人に丁寧にお知らせしてまいりたいと思います。

 希望する国民の皆様方が安心して三回目をしっかりと接種していただけるように、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

谷委員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 このコロナによる危機ということは、様々な面でいろいろな、社会に大きな問題といいますか、課題を投げつけているかと思います。そして、そういう政府も、政府・与党と言っていいかも分かりませんが、一昨年以来様々な対策を講じてきたわけでございますけれども、そういった施策、対策が果たして有効であったのか、もっとほかに方法はなかったのかということも検証していく必要があろうかと思います。

 今、パネルを出させていただいております。家計所得の動きという、内閣府の国民経済計算を基に作成したものであります。

 二〇二〇年四月から六月期、雇用者報酬は伸びてはいませんが、その他の経常移転が大変伸びている。いわゆる全国民十万円の一律給付の影響かと思います。したがって、可処分所得は、一番下にありますように、三十兆円余り伸びている。しかし一方、家計最終消費支出は二十七兆落ちている。結果的に、貯蓄が五十八兆円増えている。こういう姿になっております。いわばこれが事実であります。

 これをどういうふうに見るのか、どう評価するのか。その辺について、経済運営の山際大臣に、どう評価されているかということをお尋ねしたいと思います。

山際国務大臣 谷先生が御指摘いただいたように、事実といたしまして、二〇二〇年の四月から六月期に関して貯蓄が大きく増えたわけでございますが、もちろん、給付金が貯蓄に回ったということも事実だと思います。

 一方で、緊急事態がその当時は全国的に発出をされていたということもあって、社会経済活動が大きく抑制された、このことも影響して貯蓄が増えているというふうに我々としては認識してございます。

 この特別定額給付金そのものは、新型コロナの感染拡大という初めての経験の中で、人々が連帯して一致団結して見えざる敵に立ち向かうという趣旨で行われたものでございまして、一定程度、国民の間に安心感を醸成する効果があったものというふうに認識してございます。

谷委員 今なかなか、これという結論を出すことは難しいところもあろうかと思います。確かに、山際大臣がおっしゃるように、安心感を与えたということも事実かと思います。

 しかし、そうはいっても、十二兆円という、しかも赤字国債を発行して出した、そういうことについて、また様々な角度からの検証ということを進めながら、これからの施策、よりよい施策、よりよいお金の使い方につながるように、また検証も進めていただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 さて、一方、このコロナによって、別の観点からでございますが、田園回帰が進んだのではないか。

 例えば東京二十三区は、今までは、入る方、二十三区に受け入れるといいますか、転入超過が当たり前であったわけでございますが、昨年は、初めてと言っていいほど転出超過、僅か五千四百三十三人でございますが、入るよりも出る方が多い。だから、田園回帰の動きが加速したんじゃないかというふうに言われる方が一部にいます。

 ただ、一方で、よくよく見てみると、資料三につけさせていただきましたが、いわゆる首都圏といいますか東京圏、東京に埼玉、千葉、神奈川を加えた東京圏で見ると、やはり八万人ぐらいの転入超過がある。

 学者によっては、都内から郊外にテレワークなどのために移住した人が増えたのではないか、そして、そのことによって通勤の電車も更に楽になって、快適になって、かえって東京圏の魅力を高めて、更に集中するのではないか、逆に、そういうふうに見る学者もいます。

 ただ、一方で、そういうマクロの話ではそうですけれども、ミクロで見ると、例えば、私は兵庫県ですけれども、私の選挙区でも、大阪のベッドタウンから日本海まで選挙区は広いんですけれども、大都市に比較的近い、いわゆる丹波篠山などの丹波地方だけではなくて、兵庫県北部の豊岡とか養父とか朝来などでも着実に移住する人は増えている。

 例えば、人口六万人の丹波市という市があります。丹波市の統計によると、移住している方は、二〇一五年では二十四人でした。三年後の二〇一八年では五十二人に増えている。さらに、三年後の二〇二一年には百十五人。二十四、五十二、百十五、着実に増えているという状況にございます。

 足下を見れば、ミクロで見れば増えてはいる。ただ、大きな目で見ると、先ほどの東京圏のように、やはり、まだまだ転入超過だ。さらに、視点を変えて、私は自民党の過疎対策の委員長をしておりますけれども、二〇二〇年の国調で、全国の過疎団体が更に増えた。六十五団体増えて、全国の地方自治体の過半を超える自治体が過疎団体になった。

 そういう、見方によっていろいろあろうかと思いますが、トータルとして、地方創生を閣内で先頭になって頑張っておられる野田大臣、この辺をどう見て、どう取り組もうとしているのか、お尋ねしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 まず、田園回帰につきましては、総務省が二〇二二年一月二十八日に公表しました住民基本台帳人口移動報告、これによると、谷委員御指摘のとおりで、東京都特別区においては、二〇二一年の日本人移動者は約八千人の転出超過となっており、二〇二〇年の約二・二万人の転入超過から約三万人減少し、転出超過に転じています。

 他方、御指摘の東京圏全体で見ると、転入超過数は、二〇二〇年の約九・八万人から約一・八万人減少しているものの、二〇二一年も約八・〇万人の転入超過となっており、依然として転入超過の傾向が続いているところです。

 このように、東京圏において転入超過数が減少傾向にあるのは、新型コロナウイルス感染症による影響を受けて国民の意識そして行動に変化が見られるようになり、テレワーク等といった働き方や暮らし方にも具体的な変化が表れてきたものだと受け止めています。

 一方、御指摘のように、依然として東京圏への転入超過が続いている状況には変わりがない、そういうことから、国民の意識、行動の変化を契機として、東京一極集中に歯止めをかけ、それぞれの地域で住みよい環境を確保できるよう、地方創生の取組をより一層推進していくことが重要と考えています。

 また、地方移住のお話がございまして、重なりますけれども、やはり、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、全国で約三割以上の方々がテレワークを経験しておられます。地方移住への関心の高まりも見られております。特に、若い世代の地方移住への関心の高まりを捉えて、子育て世代の移住を推進するため、地方においても安心して子育て等ができる環境を整えていくことがこれから重要だと思います。

 このような世の中の動きをしっかり捉えて、令和三年度の補正予算においては、二百億円措置されたデジタル田園都市国家構想推進交付金や企業版ふるさと納税などを活用したサテライトオフィスの整備等を促進するとともに、テレワークに向けた企業の取組を総合的に支援するため、企業や地方公共団体等に対する情報提供又は相談対応及び取り組む企業の裾野拡大や優良なモデル事例の創出、普及などを行って、地方への人の流れを創出していきます。

 あわせて、地方創生移住支援事業では、令和三年度から、一定の条件下で、テレワークによる移住も対象にしており、令和四年度からは、十八歳未満の子供を帯同して移住した場合、従来の世帯での支給額最大百万円に子供一人当たり最大三十万円を加算することとして、地方への人の流れを促進しています。

 いずれにしましても、これからも地方への移住の促進、地域の実情に応じた少子化対策の推進により、東京圏への一極集中の是正と地方分散型の活力ある地域社会の実現に向けて取り組んでまいります。

谷委員 ありがとうございます。

 野田大臣の答弁にもありましたように、結局、地方創生ということと人口急減対策、子供の出生率を上げるということは裏腹だと思います。ですから、地方創生なくして我が国の人口減少に歯止めをかけることはできないと思いますので、しっかり、また大臣、頑張っていただきたいと思います。

 次に、福島の問題に移ります。

 この三月十一日で東日本大震災から十一年、この間、被災地では懸命な復旧復興事業が多くの皆さんの協力の下で進められてきました。私も、十一年前、福島に行った当時のことを考えますと、一方でよくぞここまでという思いと、しかし、まだまだ、まだまだこれから長く、まだまだ長い道のりだという思いを感じるところであります。

 今、このパネルに、これは原子力災害賠償廃炉等支援機構の資料から抜粋させていただきましたが、これが別に全てではありません。しかし、まだまだ長い。例えば廃炉だけ考えてみても、デブリを全て取り出さなきゃならない。また、建物も、建屋も解体しなきゃならない。そして、何より廃棄物処分の大きな大きな課題があります。これは岸田内閣ではなくて、これから数十年、しっかり国の総力を挙げて、粘り強い国家的取組が、私は、間違いなく党派を超えて求められていると思います。

 総理の決意と覚悟をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 私も昨年十月に福島第一原発を視察し、廃炉が着実に進展していることを確認いたしましたが、しかし一方で、立ち並ぶたくさんの処理水のタンクが今後の廃炉作業に必要なスペースを圧迫していること、さらには、ロボットを活用し、十分に把握できていない原子炉内部の状況を明らかにしていく必要があること、さらには、放射性廃棄物の処理方法を検討するために廃棄物の性状の分析を進める必要があることなど、多くの課題を抱えていること、これも実感してきたところであります。

 福島第一原発の廃炉、これは世界にも前例のない困難な取組です。福島の復興のために必ず成し遂げるという強い決意の下、国も前面に立って、燃料デブリ取り出しや廃棄物の処分に向けた分析などの取組を、中長期ロードマップに基づき、安全かつ、そして着実に進めていかなければならないと認識をいたします。

谷委員 是非とも、これは、私としては、やはり福島の問題は政治の大きな責務だと思っております。とても私の世代だけでは解決できる問題ではない。もっと若い世代へも引き継がなければならない課題だと思っております。

 さて、福島の復興は、現在、原災法に基づき、いわば緊急事態として国の権限が確保されているところであります。しかし、先ほど来お話しさせていただいていますように、長期を要する廃炉を含む福島の復興のためには、専門的知見と継続的な人材確保、そして、取組の一体性を持った戦略と更なる体制強化、これは国もそうですし、東京電力もそうかと思います。

 そういうことが不可欠だと考えますが、総理の見解、お考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 原子力災害の被災地域の復興再生に取り組む中で、廃炉に必要となる研究開発を通じた廃炉人材を確保すること、また、廃炉作業への地元企業への参入促進による廃炉関連産業を集積していかなければならないということ、また、国際研究教育拠点における最先端な研究の推進による専門的知見の確保など、福島の復興及び再生に中長期的に取り組むため、政府一丸となって、責任を持って継続的に取り組んでまいります。

 そして、復興のステージが進むにつれて生じる避難指示解除地域における生活環境整備、なりわいの再建、移住、定住の促進など、新たな課題や多様なニーズにきめ細かく対応しつつ、引き続き国が前面に立ち、福島の復興再生に向けた取組を、あらゆる知恵と力を結集し、総力で実行していかなければならないと認識をしております。

谷委員 ありがとうございます。

 今、総理の方からお話がありました国際教育研究拠点、今度新たに復興庁が用意している法律では福島国際研究教育機構というふうな名称になっておりますが、その整備事業は、やはり単に、もちろん福島のためではありますけれども、福島だけではなくて国家戦略として位置づけて、我が国の科学技術力、産業競争力の強化に貢献しなければならないと思っております。

 単に、新たに国立研究法人を福島につくりますわ、大変な目に遭ったからというだけでは全然駄目で、日本全体の産業構造の変革などにも結びつくような、研究の先陣を切れるような、そういう研究拠点であってほしいし、また、それがあれだけ悲惨な事故を経験した我々の世代の責務だと思います。

 総理の見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の国際研究教育拠点ですが、これは、福島の復興に向けた夢や希望となるとともに、委員御指摘のとおり、我が国の科学技術力、産業競争力の強化、ひいては日本全体の産業構造の変革にもつながる、こうした研究拠点とすることが重要であると考えます。

 この実現に向けて、私から関係大臣に対して、国内外に誇れる研究内容の具体化や研究開発を産業化や人材育成につなげること、こうした指示をしているところです。

 今国会にこの拠点の整備に向けた法案を提出するとともに、本年度内に基本構想を策定するなど、政府一丸となって取り組んでいきたいと考えます。

谷委員 大変レベルの高いといいますか、大きな、国際教育研究拠点としてこれだけのものをつくったと言えるような、そういう、建物だけではなくて、立派な人材を集めて、是非よろしくお願いしたいと思います。

 さて、先月、双葉町において、帰還に向けた準備宿泊が始まりました。地元紙の見出しは、十年十か月ぶりの一夜、帰還に備え喜びの一歩、自分にはここが一番、そういう見出しで報じられているところであります。

 この準備宿泊は、いわゆる帰還困難区域の中の特定復興再生拠点区域、帰還困難区域の中でもいわば特定の拠点のエリアであります。一方で、帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域以外については、我が党、与党の提言に基づき、政府においても、二〇二〇年代をかけて、帰還意向のある住民が帰還できるようにするという方針を打ち出していただいているところです。

 ただ、経産大臣もよく御存じかと思いますが、地元の方から、じゃ、どこまで除染をしてもらえるのか、細切れの除染になるのではないか、あるいは、帰還希望を持っているうちだけの除染になるのではないかとの懸念の声も我々の方に届いているところであります。

 私は、除染は、生活に必要とされる範囲については、帰還住民の意向を反映し、安心して生活ができるようにするということが必要不可欠であろうかと思います。

 経産大臣の考え方、所見、あるいは、地元へのしっかりとした安心できるメッセージを是非ともお願いしたいと思います。

萩生田国務大臣 特定復興再生拠点区域外については、今先生も御指摘されましたように、与党の皆さんからも提言をいただきまして、二〇二〇年代にかけて、帰還意向のある住民が帰還できるよう、避難指示解除の取組を進めるという政府方針を昨年夏に決定をさせていただきました。

 今後、拠点区域外の住民の帰還に関する意向を個別に丁寧に把握するとともに、今御指摘のあった除染の手法、範囲については、帰還する住民の方々の生活環境の放射線量を着実に低減させ、安全、安心に万全を期すため、十分に地元自治体とも協議しながら進めてまいりたいと思います。

 今後とも、地元の状況をしっかり伺いながら、避難指示解除と福島の復興に向けた取組を着実に進めてまいります。

谷委員 十年以上、待ちに待った上での帰還でございますので、そういう地元の方々の思いをしっかり我々政治家も受け止めて対処しなければならないと思っております。是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 福島は、農業県でもあります。福島の農業復興を加速するために、昨年、我々与党の第十次提言で、もっと農業の復興、振興について具体的な目標を立てるべきではないかということで、私も強く主張をして、具体的な目標を設定しました。

 つまり、二〇二五年度末までに一万ヘクタール、約百平方キロでございますが、の営農再開をする、そのために計画的に取り組むということを求めました。

 そしてそれは、与党から求め、政府も受け止めていただいたところでございますが、金子大臣、政府の取組はどうでしょう。順調でしょうか。また、今国会で、みどりの食料システム戦略推進法案を準備している農林水産省としても、農作物の中でも付加価値の高い有機農業に力を入れることも必要ではないかと思いますが、大臣の所見をお尋ねしたいと思います。

金子(原)国務大臣 谷委員の御質問にお答えいたします。

 一万ヘクタールの目標のうち、令和二年度末時点で、約六千五百ヘクタールの農地で営農が再開されています。既に除染が完了しまして、草刈り等によって管理されている農地は相当程度存在しております。こうした農地を中心に、帰還者だけでなく移住者も含めて担い手をしっかり確保しつつ、必要な基盤整備を併せて行い、営農再開を力強く後押ししてまいります。

 今後の農業のやり方についていろいろなお話がありまして、特に福島県の農業においては、風評の払拭という問題が大きく取り上げられておりました。この払拭の問題を解決するためには、高付加価値生産の展開が重要であり、有機農業の拡大もまさにその取組の一つであると考えています。

 福島県におきましても、東日本大震災後、有機農業の拡大に取り組んでおり、農林水産省といたしましても、福島県農林水産業再生総合事業などによりまして支援してきたところであります。

 今後は、みどりの食料システム戦略を踏まえまして、有機農業など、持続可能な農業の拡大を図ることとしておりまして、福島県における更なる有機農業の産地創出を支援してまいります。

谷委員 着実にまた農林水産省も施策を進めていただきたいと思います。

 今、金子大臣からお話ありました風評被害です。

 先週、日本維新の会の足立委員も指摘されておりましたが、大変遺憾なこと、もっと言えば、個人的に大変腹立たしいことがありました。我が国の総理経験者五名がEUに送った書簡であります。

 「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ、」事実かどうか。福島県の調査でも、あるいは国際的な調査でも、現時点では、原発事故による放射線の影響とは考えにくいという報告書を何度も出していながら、知ってか知らずか、「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ、」そういう文章、EUに送った書簡の中にございました。いわれのない差別や偏見につながる、そんな、そういうレベルではないと思います。余りにもひどい流言飛語ではないかと思います。

 それに対して、政府も速やかに適切な対応を取っていただきました。環境大臣も書簡も出されました。内堀福島県知事の手紙も、お手元の資料に入れさせていただいています。大変真面目な内堀知事でございますが、遠慮がちの文章ではありますが。

 我々政治家は、地元の怒り、やるせなさに思いを致して、気持ちに寄り添い、本気で抗議する、そういう姿勢が、思いが大事ではないかと私は思っております。科学的知見に基づかない風評を軽率に文章にして外国に送るということは、本当に許し難いことだと私は思っております。

 総理の見解を改めてお尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 福島県が実施している検査により見つかった甲状腺がんについては、国内外の公的な専門家会議により、現時点では放射線の影響等は考えにくいという趣旨の評価がなされています。

 このため、元総理五人の書簡による「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ、」という記述は、いわれのない差別や偏見を助長することが懸念されるものであり、適切ではないことから、環境大臣から、それを指摘する書簡を送付したところです。

 御指摘のように、福島県の内堀知事からも、正確な情報発信が重要であるとする書簡が発出されたと承知をしています。

 その後、さらに、駐日欧州連合大使にも環境大臣から直接説明をし、欧州委員会委員長への伝達をお願いするレターを託したところです。

 これまで、地元の方々を始め多くの方々が被災地の復興に向けて懸命な努力をされてきた結果、徐々に風評の払拭が進んできたことを忘れてはならないと思います。

 福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし、こうした考えの下、地元の方々の思いに寄り添い、様々な機会を捉えて、科学的知見に基づく国内外への発信を行いながら、風評の払拭、そして復興再生に責任を持って取り組む決意であります。

谷委員 今、総理の御答弁のとおりであります。

 ただ、私は、総理大臣まで経験された五人の方々が風評被害をまき散らしているということについて、大変残念に思います。政治家として、本当にあってはならないことだということを思っていることを改めてお話しさせていただきたいと思います。

 その次は、デジタル教科書についてお尋ねします。今日は、末松文部科学大臣にも来ていただいております。

 資料も添付させていただいております。一番最後のページでございますが、デジタル教科書の、「紙の教科書 知の基本」という、斎藤孝明治大学教授の、昨年の新聞でございますけれども、私は大変そのとおりだと思って、今日は資料に添付させていただいております。

 ただ、コロナ禍で教育を続けてこられたというのは、学校教育を続けていけたというのは、デジタル技術があったからということ、これは間違いないと思います。そのことは率直に評価しなけりゃならないし、デジタルが全く、無駄だとか問題があるとかいうわけではないんです。情報収集のツールとしてはそれは有効だというふうには思っておりますけれども、ただ、紙の教科書を今後、将来廃止するということになれば、これは大変大きな問題ではないかと私は思っております。学力も低下するのではないかと多くの方々が懸念をしているところでございます。

 ですから、紙の教科書を基本として、デジタル教科書は併用するということが重要ではないかというふうに思います。

 文部科学省は、二〇二五年度までにデジタル教科書の普及率一〇〇%、普及率一〇〇%の意味合いというのはやや誤解を与えることもあろうかと思いますけれども、そういう目標でやっていると。しかし、一方、別の観点から見ると、アメリカのマイクロソフト創業者のビル・ゲイツやアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が自分の子供にスマホを持たせず、家族でいるときは電子デバイスを禁止したのは、これはまた有名な話です。

 ですから、総合的に考えて、やはり安易に、何か一部に、もう紙の教科書をみんな廃止してデジタル教科書にすべきだと主張している方もあるやに聞いておりますけれども、その辺をしっかり、繰り返しになりますけれども、紙の教科書が基本なんだ、デジタルはあくまでも併用なんだという考え方を堅持していくことが大切だと思いますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 谷先生にお答え申し上げます。

 先生からいただきました資料で、斎藤教授の話もしっかり、この話、目を通させていただきました。大変重要な箇所がございます。

 今、GIGAスクール構想によりまして、全国の小中学校における一人一台端末の整備がおおむね完了いたしました。本格的な活用が始まっているところであります。こうした中で、デジタル教科書の使用が徐々に広まりつつございます。

 一方、谷先生御指摘のように、紙の教科書は、長年にわたりまして学校教育の基盤を支えてきたものでありますし、紙媒体は一覧性に優れているというのはもう誰もがそう思っていることでございます。書籍に慣れ親しませる役割を果たしていること等、その指摘もなされております。

 こうしたことを踏まえまして、紙とデジタルの関係につきましては、全国的な実証研究の成果を踏まえつつ、詳細に検討する必要があると考えております。現在、デジタル教科書を提供する事業や実証研究等を実施いたしております。

 来年度からは、この事業を拡充いたしまして、全ての小中学校におきまして、英語等の一部の教科でデジタル教科書を実際に授業で使用し、利点や課題をしっかりと検証いたしてまいりたいと思います。

 今後、こうした実証研究の成果を踏まえつつ、中央教育審議会で、教科書、教材のデジタル化の進め方を検討いただくことになっております。

 いずれにいたしましても、教育上の効果を十分考慮しながら、しっかりと対応いたしてまいりたいと思います。

 私の会館の部屋にも、デジタル教科書を使ったら学力が落ちる不安があるんだということを何人かの先生がお見えになっておっしゃっていました。今の私の思いとしましては、紙も大事、デジタルも大事と先生にお答え申し上げたいと思います。

 以上でございます。

谷委員 ありがとうございます。

 でき得れば、紙も大事、デジタルも大事ではなくて、紙が何よりも大事、デジタルは従だ、そういう考え方で対処していただければ大変ありがたいと思います。

 それに、立派な学者の方を信用しないというわけではないんですけれども、やはり若い、教師を目指す学生の意見も是非聞いていただきたいと思います。私が聞いている限り、学生の多くは、やはり紙の教科書を残すべきだ、自分たちが習った経験からやはりデジタルだけでは駄目だという考えを持っている方が大変多いと聞いています。そういう若い人の思い、これからを、次代を担う若い人の意見も十分聞いていただいて、この問題に対処をしていただきたいと思います。

 それでは、もう時間が少なくなりました。一つだけ、厚生労働大臣にお尋ねいたします。

 ああ、終了いたしました。じゃ、終了したということで、与党の筆頭も務めておりますので、時間も守らなければなりません。これで終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、高階恵美子君から関連質疑の申出があります。谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。高階恵美子君。

高階委員 おはようございます。自由民主党の高階恵美子でございます。

 新型コロナ感染症において、闘病中の皆様の一刻も早い平癒を願いながら、そして、最前線で活躍する皆様に敬意を表しながら、質問させていただきたいと思います。

 感染対策と並行して、学校では、今話題にありましたけれども、一人一台端末、それから職場ではテレワークやあるいはオンライン会議の推進、そして、地域生活においてはマイナンバーにネット注文と、あらゆる生活場面でにわかにデジタル技術の導入が加速されてきました。これらは、苦手意識の克服にもつながり、国民生活の利便性向上に大いに貢献したと考えられます。

 ところが、視聴覚障害の方々にお尋ねしますと、このデジタル化で孤立感が深まったとする意見も少なくありません。セルフレジに音声案内はないし、人も立っていない、行政手続に必要な文書作成支援あるいはガイドヘルパーが利用できなくなった、飲食店が休業した商店街の中で取り残されたような感じだと、言われて気づくような問題点が結構ありまして、感染対策を進める上で地域に暮らす障害者への配慮が十分なされていたか、総点検が必要ではないかと感じています。

 デジタル化の推進に関しては、障害特性に配慮をした機器の開発普及、これが同時に進められるべきでありまして、障害者の自立促進あるいは社会参加という観点をこれまで以上に意識した対策を進めていただきたいと思います。総理の見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 近年、デジタル関連技術が進展する中、デジタル機器やサービスを活用し、これまでできないと諦めていたことが可能な時代となってきています。このような時代だからこそ、様々な障害の種類や程度に応じ、利用者の視点を第一に、利用しやすさに最大限配慮したデジタル機器やサービスの開発及び提供をきめ細かく行っていくことが重要です。

 例えば、音声を文字に変換するアプリや、身体障害者が遠隔から操作することでコミュニケーションできるロボット、スマホが対象製品の特徴を読み上げる技術などが既に開発をされています。

 このような観点から、障害者が必要とする技術やサービスと、それを提供できる製品やサービスの幅広いデータベースを構築することで、お互いのニーズを引き合わせるなど、昨年末に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画に基づき、政府一体となって、誰一人取り残されないデジタル社会の実現に取り組んでまいりたいと思います。

高階委員 身を縮める方々の傍らで、急に、家に帰るとどなり散らすとか、スーパーのレジで店員に殴りかかるといった、どう言うんでしょう、怒りの導火線に火がついたような、そういう様子というのも間々見受けられます。診療所でガソリンをまくとか、あるいは、主治医を呼び出して銃で殺害するという凶悪な事件も発生しました。こうしたニュースに触れますと、一体どうすればいいのかと困惑すると思うんですね。

 暴行、詐欺、あるいは器物損壊など、地域における刑法犯の現況について教えてください。

緒方政府参考人 お尋ねの件につきましては、近年、刑法犯の認知件数の総数は継続して減少しており、令和三年も、前年に引き続き戦後最少を更新したところであります。

 しかしながら、ストーカー、DVについて、相談件数及び検挙件数が共に高い水準で推移していること、児童虐待について、通告児童数、検挙件数が共に増加傾向にあること、主に高齢者を被害者とする特殊詐欺の認知件数が四年ぶりに増加に転じたことなどの情勢に加えて、テレワークの浸透やデジタル化の進展等に伴い、サイバー犯罪、サイバー攻撃の被害等が拡大する可能性が高まりつつあること等も踏まえると、犯罪情勢は依然として厳しい状況にあると認識しております。

高階委員 自然災害に対応する心理的支援については、これまでの大規模災害の経験も踏まえて、大分準備が進められるようになってまいりました。しかし、パンデミックによる心理的ダメージ、そしてその後の回復過程をどう支えるかということについては、これからが知恵の出しどころになると思います。

 真っ先に重症例の対応を行った医科歯科大学、一昨年の春には、学長の決断で、大学病院職員全員に対してカウンセリングの機会を提供しています。最前線に立つスタッフの心理的サポートも極めて重要になります。

 また、感染情報に関してニュースなどで情報を受け取る受け手側は、数を把握すると同時に、罹患率の高い集団、すなわち、昨年でいいますと大都市部の居住者、昨今では若年層の方が総じて感染を広げる主体であるかのような、そういう印象を持ちがちになるという懸念もございます。

 こうしたことから、地域や学校において健全なコミュニケーションを促すような取組、これが一層重要になってくると考えますけれども、文科省、厚労省では一体どのような対応を考えておられますでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 学校の対策でございます。

 コロナ禍における児童生徒への心のケアに関しましては、不安を抱える児童生徒への定期的な面談の実施、あるいは教職員に対する助言など、スクールカウンセラーの役割が非常に重要であると考えておりまして、令和四年度予算案におきましても、引き続き配置の充実に努めることといたしております。

 また、教職員へのメンタルヘルス対策につきましても、教職員の勤務負担に留意した指導体制の確保、メンタルヘルス不調等に関する教職員の相談窓口の設置、周知などの取組を、各教育委員会に対して通知をし、取組を促しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続きしっかりと心のケアに取り組んでまいります。

田原政府参考人 お答えいたします。

 地域におけますメンタルヘルス対策でございます。

 新型コロナウイルス感染症の流行に伴いまして、都道府県等に設置をされております精神保健福祉センターには、オミクロン株の感染拡大、ワクチン接種の副反応に対しまして不安を感じる等の相談が寄せられております。このため、厚生労働省におきましては、精神保健福祉センターや保健所等におきます心のケアの取組、例えば、専用電話の設置、SNSを活用した相談対応、市町村に寄せられた相談に対する助言、リーフレットによる周知啓発などの取組に対しまして、技術的、財政的な支援を行っております。令和三年度補正予算におきましても、所要額を計上して、相談体制の充実を図っているところでございます。

 引き続き、地域住民の方々への心のケアに対する取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

高階委員 少し検査体制に触れたいと思うんですけれども、例えば、政府は、円滑な社会活動のため、民間が行うセルフチェックの機会を今こそ強力に支援するという姿勢を打ち出してはどうでしょうか。空振りでも、間違いがあったとしても、この機会を提供していただきたい、こう思います。

 経産省は、この点、大分厚労省に遠慮をしてきました。確定診断と治療は保険医の下で適正に実施されることでありますから、経産省には、この有事だからこそ、民力が沸き立つようなカンフル剤をと期待をしています。産業界を勇気づける方策について、お答えをいただきたいと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の点、まず、検査キットの量の確保、これが何よりも大事だというふうに考えております。

 今、オミクロン株の影響による感染拡大に伴いまして、感染の有無を調べる抗原検査キットの発注が著しく増加をしておりまして、足下では、一部自治体や医療機関におきまして、十分な量を購入できないとの声があることを承知しております。

 経済産業省といたしましては、これまでも、抗原検査キットについて、補助金による国内生産設備の投資に対する支援を行ってまいりました。また、最近では、厚生労働省と経済産業省が協力いたしまして、厚生労働省による抗原検査キットの買取り保証も活用して、国内事業者への増産要請あるいは輸入の確保などを行っているところでございます。加えまして、需給が安定するまでの間、供給先の優先づけと調整を行うことといたしておりまして、医薬品卸売事業者及びメーカーに対する協力要請など、優先度に応じた抗原検査キットの物流の流れを確保する措置を講じております。

 引き続き、新型コロナウイルスの感染状況あるいは抗原検査キットの需給の状況などを見極めながら、必要となる医療物資が滞ることのないよう、厚生労働省を始めとする関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたい、このように考えております。

高階委員 スピード感と実行力ということだと思うんですが、防衛省には、この間、各地の支援要請にお応えをいただきまして、バイオテロとか生物化学兵器にも対応する特殊訓練を積んだ精鋭たちが感染制御の任務に当たっていただいてきました。本来であれば、地域を主体に、深刻度に応じたパンデミックの対応チームが機能すべきところでありますけれども、これまで急激な少子高齢化が進んできた我が国では、こうした対応への備えが十分ではなかったのではないかと反省をせざるを得ません。

 一連の災害支援を通して、防衛大臣は、これから地域にどんなパンデミック対応の仕組みが必要だとお考えでしょうか。

岸国務大臣 防衛省・自衛隊としては、新型コロナの感染拡大に伴いまして、昨年度、北海道、大阪、沖縄に対して、また、本年度は沖縄県に対して、自衛隊の看護官等を派遣しております。これらの医療支援は、自衛隊法第八十三条に基づきまして、天災地変その他の災害に際し、人命又は財産の保護のため、都道府県知事の要請があって、事態やむを得ないと認められる場合として、緊急性、公共性、非代替性を総合的に勘案して実施をしております。

 防衛省・自衛隊として、今後、感染症拡大の事態が生起した場合においても、関係省庁と連携をし、緊急性、公共性、非代替性を総合的に勘案して、自衛隊として効果的な支援を実施してまいりたいと考えております。

高階委員 地域保健法上では、保健所が健康危機管理体制の主体というか、こういった健康危機管理事態のときの専門的、技術的拠点として広域調整に当たるということになってはいるんですけれども、実際のところ、感染者の追跡、特定、あるいは隔離、搬送、病床確保、トリアージ、そして予防接種の事業の実施に至るまで、ことごとく公衆衛生ラインの脆弱性に苦しみ続けてきた、これが自治体の現状だと思います。

 感染対策の最前線に立つ保健師については、昨年全国調査をし、そして現在増員計画が進んでいるさなかではありますけれども、員数を確保するだけでは、次なるパンデミック対応というところにはなかなか担保が立ち行かないと思います。

 少し時間はかかりますけれども、国を挙げて感染症対応人材をしっかり訓練し、登録し、いざというときに今度対応していく、この仕組みをしっかりつくっていってはどうかなと考えますが、いかがでしょうか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 まず、保健所の保健師等の体制確保につきましては、厚生労働省がIHEATによる支援や自治体間の応援派遣の調整を実施しておりまして、総務省としては、厚生労働省と連携して、関係者への情報提供などの支援を実施しております。

 また、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、感染症の拡大時に円滑に業務ができるよう、保健所において感染症対応業務に従事する保健師について、コロナ禍前に約千八百名だったところ、令和三年度から二年間かけて、一・五倍の約二千七百名に増員するために、必要な地方財政措置を講じることとしております。

 さらに、総務省内に設置をした、金子総務大臣を本部長とする新型コロナ対策地方連携推進本部の下、自治体が実施する様々な新型コロナウイルス感染症対策につきまして、自治体との連絡体制を構築し、取組状況や課題を丁寧に聞き取り関係省庁にフィードバックすることなどを通じて、自治体の対応を後押ししているところでございます。

 以上です。

高階委員 しっかりと増強をお願いしたいと思います。

 IHEATという話がありましたけれども、恐らく、ICATSとかIMATというふうに、仕組みを整え、そして専門人材を育てて、しっかりと機動性を発揮していく、こういう新たな仕組みが必要になると考えています。

 ワクチン接種に関して少しお話をしたいと思うんですけれども、供給量は十分確保されたわけですから、次に必要なのが接種スケジュールだと思います。例えば、本日この時点で、全ての自治体が、二回接種から六か月経過した方を全部対象にする、そして、数日中に一日百万人が達成されたという状況になったとしても、政府は滞りなくしっかりと支えていくんですよ、こういうことをお示しいただきますと、例えばゴールデンウィーク前には目標が達成されるのかなというイメージが湧いてくると思うんです。

 パンデミックの根源というのはウイルスなんですけれども、それ以外のことで生命とか財産とかが失われるようなことがないよう、本当に、総理大臣のお仕事、大変御苦労が多いことだなとお察しをいたします。

 さて、少し視点を変えたいと思うんですけれども、こども家庭庁の議論が大分進んでまいりまして、この進捗を見ておりますと、いよいよ我が国も人生百年というのを視野に入れた女性政策に本腰を入れるときではないかなというふうに感じます。

 生涯を通じて大きく変化をしていく女性の心身、社会的な変化。ライフコースを急に変更せざるを得ないという局面にさらされる、こういった場合もありますし、人口減少下で活力ある成長を実現していくために、女性の生涯の健康に関する対策、総理はどのようにお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 女性が、子育てや働き盛りの時期を含め、生涯を通じて健康で明るく充実した日々を過ごせるよう、女性の健康を生涯にわたり包括的に支援していくこと、これは大変重要な課題であると認識をしています。

 政府としては、女性が人生の各段階に応じて抱える健康に関する問題を把握し、的確な支援につなげていくための研究に取り組んでいます。令和四年度からは、更年期障害が日常生活に与える影響等に関する研究を実施する予定であり、その成果を支援施策につなげていきたいと考えています。

 また、女性の健康推進室ヘルスケアラボというホームページや毎年三月の女性の健康週間における普及啓発を通じて、より一層、女性の健康に関する知識の向上や社会的関心の喚起を図るなど、総合的な支援をしっかりと進めていきたいと考えます。

高階委員 東京オリパラ大会、続く大阪万博を契機にして国際的な文化観光を振興しようとする期待、こうしたところにもパンデミックの影響は及んでいると思うんですね。度重なる行動自粛というのが、地域に息づく観光産業に非常に深刻なダメージを与えてしまっています。この辺の喚起策、文科大臣にお伺いしたいと思います。

末松国務大臣 高階先生にお答え申し上げます。

 文化資源を活用して地域活性化につなげていくことは、文化と観光の連携を密接にしまして、これによる経済効果が文化の振興に再投資されるような好循環をつくり出すということで、大変重要でございます。

 このため、高階先生にも成立に大変御尽力をいただきました文化観光推進法が令和二年五月に施行されました。おかげさまで、これまでに四十一件の計画が認定されまして、各地で文化観光の取組が進展しております。地域活性化に大きな力を発揮いたしてございます。

 具体的には、学芸員による特別解説の実施など、文化資源の展示解説の充実を図る取組や、地元食材を活用したミュージアムカフェメニューの開発など、地域の飲食、宿泊と連携した取組といった、各地の特色を生かした様々な取組が展開されてきております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、こうした全国各地の意欲ある文化施設や優れた取組への支援を通じて、文化観光の一層の推進に努めてまいりたいと思います。引き続きの御指導をよろしくお願い申し上げます。

高階委員 ありがとうございます。

 野田大臣にも、女性活躍支援そして孤立対策推進、是非期待申し上げます。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、大串正樹君から関連質疑の申出があります。谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串正樹君。

大串(正)委員 自由民主党の大串正樹でございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染症対策に関する質疑が行われているところでございますけれども、オミクロン株への対応やワクチン接種に関する指摘など、連日、ほかの委員からも多くの指摘があったところですので、ここでは、私、それ以外の課題といたしまして、コロナ対策としての困窮者支援であったり、あるいはウィズコロナ時代の規制改革についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 まず、統計指標について少しお伺いをいたします。

 我が国には多様な統計指標がございますけれども、一般にもそれが公開をされておるところでありますけれども、いざこれを政策立案に活用しようと思いますと、なかなか課題も多いなというふうに感じているところでございます。その指標が本当に社会の実態を捉え切っているのかという問題があろうかと思います。

 最近では、根拠に基づく政策立案ということで、EBPMというのが一般的になってきております。しかし、より効果的な政策を立案しようと思いますと、精度の高い、エビデンスとしての統計データが必要となってまいります。

 そこで、まず、エビデンスとしての統計データの精度向上の必要性について、御所見をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 統計データなどのエビデンスを用いて政策の課題把握、立案、検証を行うEBPMは、行政機能や政策効果を向上させ、国民により信頼される行政を展開する観点から、重要な取組であると考えています。

 このため、エビデンスとして求められる統計に対するニーズを可能な限り反映した統計の作成、提供を進めており、例えば、本年実施する総務省の就業構造基本調査において、国や地方の行政機関の要望に基づき、テレワークの実施状況に関する調査項目を追加するなどの対応を行っています。

 さらに、精度向上の観点から、正確で効率的な統計作成のため、民間ビッグデータの活用やオンライン調査、こうした取組も進めているところです。

 今後も、EBPMへの的確な対応を図るため、ニーズの把握や公的統計のデジタル化、こうしたものにしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 今、本当にいろいろな形で、使えるものをしっかり使って精度を上げていくというお話を伺いました。政策の効果を高める上でも、また同時に、国民の納得を得るためにも、分かりやすく実態を反映した、そういう指標の開発や調査方法について、これからも不断の改革を進めていただきたいというふうに思っております。

 ここで、一つの例といたしまして、困窮者の話をさせていただきたいと思います。困窮者とは誰かという問題でございます。

 今回、コロナ禍でも様々な形で困窮者支援を実施したところでございますが、御案内のとおり、不公平感から批判も多くあったことは事実かと思います。本当に困窮されている方を確実に包含をして、そして、誰もが納得するような指標で困窮を測ることが求められているわけです。つまり、いかにして困窮を測るかというところが、そういう命題に帰着するのかと思います。

 この点、政府としての考え方をお聞かせいただければと思います。

後藤国務大臣 貧困や格差に関する指標として、現在はジニ係数や相対的貧困率等を用いております。貧困や格差の問題を考えるに当たって、こうした指標の精度向上や更なる分析によりまして、正確に状況を把握することが重要であるというふうに認識をいたしております。

 今般、委員が、エビデンスとしての厚生労働指標を考えるPTを立ち上げられまして、困窮や格差に関する指標を検討するための作業に取りかかられたと伺っておりまして、困窮や格差に関連する指標の在り方につきまして、皆様の御意見を十分頂戴しながら検討してまいりたいと思っております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 私も、党内で取りかかったところで、この難しさは非常によく分かってきたところでありまして、例えば個人情報保護の問題であるとか、あとはデジタルデータの活用など、いろんな法改正も必要な部分が出てくるのではないかなというふうに思います。簡単なことではないと思いますが、これもコロナ禍の教訓の一つとして、こういった課題にも取り組んでまいりたいというふうに思います。

 また、岸田政権の新しい資本主義の分配政策にも関係するところでありますが、今回、コロナ禍を経て、特に社会保障分野のエッセンシャルワーカーの確保というのが大きな社会的な課題だと認識をされたところでございます。

 その上で、看護であったり介護であったり、そういった方々の処遇改善の措置も取られたわけでございますが、エッセンシャルワーカーといいますと多くの省庁にまたがりますので、少し、ちょっと医療・福祉分野を例にお伺いしたいと思いますけれども、こういった処遇の妥当性の検証であったり、あるいは格差への対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 岸田政権におきましては、新しい資本主義の実現に向けた分配戦略の一つの柱として、看護、介護等の新型コロナウイルス感染症への対応や少子高齢化への対応の最前線で働く方々の賃金引上げを行い、成長と分配の好循環を実現するということで取り組んでおります。

 こうした中で、令和三年度補正予算及び令和四年度当初予算において、看護、介護、保育などの現場で働く方々の収入の引上げについて所要の経費を計上したところでございます。

 今後の具体的処遇改善の方向性については、昨年末に取りまとめられました公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえまして、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されるか、そういった観点から、引き続きしっかり検討してまいりたいと思っております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 こういった本当に必要な方々の処遇が、皆さんが納得いく形で、しっかりと仕事に携わっていただけるという環境をつくっていかなければいけないなというふうに私も感じているところでもございます。

 一方で、格差を測る指標として、先ほどジニ係数のお話がありましたけれども、このジニ係数の前提になっておりますローレンツ曲線なんかも、所得分布の不均衡を示しているだけで、どういった職種が重要だからここは大事にしなきゃいけないという、そういった観点はございませんので、いろんな統計を組み合わせながら、例えば産業別の賃金格差であるとか、いろんな指標がございますので、うまく組み合わせながら、それが適正なものが評価できるような仕組みをつくっていただければと思います。

 今回、この質問をさせていただいた趣旨は、統計というのはもっと政策ツールとして政策形成の中心に位置づけるべきだというふうに考えております。その精度向上の努力が必要だと認識を共有していただければというふうに思っております。

 そこで、統計の話の最後ですけれども、精度を向上する上での課題は何かというところをお伺いしたいと思います。

 具体的には、例えば納税情報をもっと活用する余地はないのかとか、あるいは、マイナンバーカードをどんなふうに活用できるか、あるいは、既存のデジタルデータを活用することでいろんな調査をするときの回答者の記入の手間を省くことが逆に精度の向上にもつながるのではないかとか、こういった疑問にお答えいただけますでしょうか。

重藤政府参考人 今、税務情報のお話がございましたので、国税庁からお答えさせていただきます。

 まず、国税当局が保有しております確定申告書等の税務情報の関係機関への提供につきましては、法令に根拠がある場合に限られておりまして、納税者との信頼関係を踏まえながら、国税職員の守秘義務の観点も踏まえ、公益を比較して、慎重に判断をしているところでございます。

 また、国税庁では、全ての方の所得情報を網羅的に把握しているわけではないという事情もございます。ただ、各種の政策立案に当たりまして各行政機関が保有する情報を有効に活用することの重要性は、国税庁としても認識をしているところでございます。

 したがいまして、まず、事業実施官庁において、政策目的や必要となる情報、法制度も含めた枠組みなどを検討いただいた上で、国税庁としてもどのような協力ができるのか、議論してまいりたいと考えております。

楠政府参考人 マイナンバー制度について御質問がありましたので、お答え申し上げます。

 マイナンバー制度は、行政機関の間での情報連携などを可能にすることにより、国民の利便性向上、公平公正な社会を実現するためのデジタル社会の基盤であり、社会保障、税、災害対策の各分野の行政事務において利用されております。

 現在、税、社会保障手続等二千三百の事務手続において、行政機関間の情報連携により、これらの手続における住民票の写しや課税証明書等の添付書類を省略可能とし、国民の利便性向上や行政の効率化を実現をしております。

 マイナンバーをどのように御活用いただくかにつきましては、まずはそれぞれの事務手続を所掌官庁において御検討いただくものと承知しておりますけれども、特に統計等の利用に関しましては、マイナンバー法の改正、システム改修等が必要となる場合がございますけれども、これらの事務手続でマイナンバーを利用することは可能であるというふうに考えております。

 また、デジタル庁としては、マイナンバーの利活用の推進に当たり、昨年末に閣議決定をしたデジタル社会の実現に向けた重点計画に基づきまして、マイナンバーの積極的な活用がなされるよう、制度所管府省と協力して取り組んでまいりたいと考えております。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 いろんな形で精度の高い指標というのをこれから作っていかなきゃならない。なかなか新しいのを見つけるのは難しいと思いますけれども、冒頭、総理からのお話もございましたが、民間のビッグデータを活用するなど、新しいことができると思います。これから、デジタル技術も活用することを視野に入れて、より効率的な政策運営に役立てていけるような、そういう取組を進めていただければと思います。

 それでは次に、規制改革についてお伺いをしたいと思います。

 岸田政権の政策の柱として、デジタル化、あるいはそれに伴うデジタル田園都市国家構想というのが挙げられます。まさに今回のウィズコロナの時代に、経済成長を後押しする規制改革として、こういったことにも取り組むべき課題だと我々も認識しております。

 特に、コロナ禍におきましてはリモートワークが一般化してきたところでもございましたが、そんな中でも、有資格者が専任で常駐しなければいけないという規制が実は多数存在しております。いわゆる常駐、専任規制というものでございますが、これをどのように捉えているかということをお伺いしたいと思います。

牧島国務大臣 今委員御指摘のとおりだと思っております。

 コロナ禍において、国民、産業界の意識が劇的に変化をした、デジタル化も推進された、リモートワークも増加してきた、こうした社会の変化の兆しというものを捉まえて、常駐、専任規制、見直しを進めていかなければならないというふうに思っております。

 また、このリモートワークが進みますと、兼務といった多様な働き方も可能になってまいりますし、人手不足等の現場の課題解決にも資するものだというふうに思っております。個々の人が生み出すことができる付加価値や活躍の機会を増やしていくこと、また、新たな成長産業を創出して生産性の向上や経済成長を実現することにも寄与していく必要があると思っております。

 そして、このコロナ禍で先行的な取組が幾つか進んでおります。その中には、専属産業医についての規制の改革というものも進んでおります。リモートワークが進んでいるのにもかかわらず、この産業医は、事業場内に常駐しなければならない、又は、兼務時の地理的要件がございましたが、これは規制緩和が既に行われております。

 また、宅地建物取引士についても、事業所への常駐が求められていたところ、コロナ禍でリモートワークというものが可能になった特例措置、恒久的なものとなっております。

 今後もスピード感を持って規制改革に進んでいきたいと思います。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 前向きに取り組んでいただけているということで、大変ありがたいなというふうに思っております。

 これまでも、自民党あるいは政府の間でも、例えば、規制改革に関しては、デジタル化に伴う押印の廃止であったり、あるいは、自民党としても、デジタルデータの利活用についてなどいろんな提言をさせていただいたところでありますし、実際にそれがデジタル化の流れの中で進んできたところでありますが、私も、今期は、実は自民党の中で、この場所に関する規制をいかに取っ払っていくかということに挑戦したいと考えております。

 今大臣お話ありましたように、宅地建物取引士や産業医などの規制の改革が先行して進んでいるという事例を挙げていただきましたが、これは、規制を取り払うプロセス、どんなプロセスで取り組まれたかというのも実は非常に参考になるのではないかというふうに思いまして、どういうプロセスでその規制緩和が進んだかということについてお答えいただきたいと思います。

長橋政府参考人 お答え申し上げます。

 宅地建物取引士の関係でございます。

 宅地建物取引業者は、適正な業務の運営ということと、あと消費者の保護という観点から、事務所等ごとに一定割合の専任の宅地建物取引士を常駐させなければならないこととなっております。一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けまして、従業員のテレワークの必要性、あるいは、依頼者の方も店舗に行けないといった、遠隔地での説明を求めるという必要性も高まりました。

 このようなニーズに対応するため、宅地建物取引士の関係は、実は、平成二十七年から、重要事項説明について、IT技術を活用したオンラインで実施できるように既に社会実験を進めてございまして、令和三年四月からこれも本格運用しておりますが、このように、業務の中でIT技術の活用がかなり進展していたということと、あと社会全体のテレワーク環境の整備が進捗したということがございまして、令和二年五月から常駐規制についても時限的に緩和を図り、そしてさらに、令和三年七月より恒久措置としてテレワークによる勤務も、常駐規制と、一つと認めるということで、規制緩和をしてきたところでございます。

吉永政府参考人 産業医の常駐、専任規制につきまして御説明申し上げます。

 労働安全衛生法に基づきまして、一定規模以上の事業場におきましては、事業者は専属の産業医を選任しなければならないこととされてございます。産業医は、職場環境の実地の検分でございますとか面接指導等ございますので、そういう意味で、当該事業場への常駐の上、その業務を行う必要があると従来されてきたところでございます。

 しかしながら、近年のICT技術の進展や、遠隔での産業医の職務を実施するためのニーズが高まっているということを踏まえまして、労使の関係者でございますとか産業医学の専門家などの意見の聴取などを行った上で、労働衛生水準を損なうことなく実施可能な業務につきましては、例えばオンラインで面接指導を行うなどにつきましては常駐せずに行うことができることとしたところでございまして、これに伴いまして、他の事業所での産業医として兼務できる範囲につきましても拡大を図ったところでございます。

大串(正)委員 ありがとうございます。

 改革の中身というよりも、そのプロセスというのは結構ほかの分野でも参考になるのではないかなというふうに思いますので、結果も大事ですけれども、プロセスも是非共有していただければと思います。

 最後に、私も地元でよく聞くんですけれども、建設業の技術者がいないがために受注できないというようなケースがよくあります。建設業分野の技術者の確保、その場所に関する規制の撤廃に向けての改革の決意をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 人手不足や生産性の向上などの社会的課題や日本の弱みとされてきた部分を成長のエンジンへと転換していく上で、デジタル技術を活用した規制改革は重要です。

 先ほども牧島大臣から答弁がありましたが、常駐、専任規制の見直しは、感染症対策だけでなく、リモートワークや兼務といった多様な働き方を可能とするとともに、人手不足等の現場の課題解決にもつながるものであり、デジタル時代における大変重要な取組であると認識をしております。

 そして、委員御指摘の建設業においては、担い手の確保や生産性の向上が課題となっており、先行的にデジタル技術の利活用を前提とした規制の適正化を検討しており、建設工事の規模、種別ごとの実態も踏まえ、技術者の配置、専任要件の必要な見直し、これを行ってまいります。

 建設業の取組を参考に、あらゆる分野に横展開を図るべく、常駐、専任規制についてもデジタル技術を活用した規制改革を進めてまいります。

大串(正)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて谷君、高階君、大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従って順次質問をしてまいります。

 今日は、パネルの掲示のお手伝いとして、比例北陸信越で初当選しました中川宏昌議員にお手伝いいただいております。御紹介申し上げます。

 さて、新型コロナウイルス感染症がオミクロン株に置き換わってから、全国各地で感染が急速に拡大しています。二月三日には、国内の感染者数が累計で三百万人を超えました。しかも、一月二十日から二週間で百万人が新たに感染をしています。

 こうした中、政府は次々と対応策を講じていますが、まさに今が正念場、総理始め政府関係者には引き続き全力を挙げていただきたい、このように望みます。

 質問に入ります前に、公明党の新型コロナウイルス対策の取組について触れさせていただきたいと思います。

 公明党は、これまで党内に、コロナ感染対策本部またワクチン接種対策本部を始め、関連の各種対策本部を設置いたしまして、各省庁からのヒアリングや、専門家、関係者、また全国の公明党の地方議員から御意見をいただきながら対応を進めてきました。

 こうした取組を経て、例えば昨年の九月には、加藤官房長官、当時に対し、コロナ対策の提言をお渡ししながら、国内外で開発中の経口治療薬について、実用化された際の迅速な確保を要請し、官房長官からは、抜かりなくやりたい、このような答えを得てきました。

 十一月には、松野官房長官に対して、コロナを克服し、新たな経済対策の策定に向かう提言を提出しました。

 また、今年に入り、急速にオミクロン株が感染拡大する中で、一月十二日に岸田総理大臣に対して緊急提言を行いまして、濃厚接触者の定義の見直し、自宅、宿泊療養者への診療確保や経口治療薬投与の体制整備、三回目のワクチン接種の迅速化など、必要な対策を要請してきました。

 また、国産の経口治療薬の開発に関しては、長崎大学大学院の迎教授や塩野義製薬の手代木社長をお招きいたしまして、経口治療薬とワクチンの国内開発の意見を交換をしております。塩野義製薬におきましては、昨年以来、四月、九月、今年は一月、二月と、実に四度にわたって開発状況をお伺いしました。そして、この度、塩野義製薬が開発中の経口治療薬が、臨床試験において日本人に対する安全性と有効性が確認されているとの話をいただいたところです。

 また、山口代表は、一月十八日の政府・与党連絡会議の席上、前倒ししたワクチン三回目接種の円滑化と自治体との連携、さらに経口治療薬の迅速な提供等を政府に要請し、総理からも、御意見を踏まえて臨機応変に対応する、このように応じていただきました。

 山口代表は、二月一日、国会内においての記者会見の中で、自衛隊の大規模接種センターでの接種規模の拡大、また、若者、高齢者の感染を防ぐべく、ワクチン接種の一層の迅速化、また、東京都狛江市が市民に配布したチラシを紹介いたしまして、自治体の具体的な取組を参考にすべきと政府の取組を強く促したところであります。

 政府においては、こうした我が党の要請を受けて、自衛隊による大規模接種の拡大、職域接種の五百人以上への緩和、ファイザー社の経口治療薬について二百万人分の供給についての基本合意、エッセンシャルワーカー等の濃厚接触者の待機期間の短縮などの対応を進めてこられました。

 私は、こうした政府の一連の取組に対して一定の評価をさせていただきます。しかしながら、冒頭申し上げましたように、感染が急速拡大する今、極めて重要な時期に入ってきたと思いますし、それだけに、一層の緊張感と、また臨機応変な対応を政府に求めてまいります。

 それでは、順次伺ってまいります。

 まず、国産の治療薬についてであります。

 先ほども述べましたとおり、塩野義製薬は、臨床試験におきまして、日本人に対する安全性と有効性が確認されているとして、フェーズ2a試験が終了して次の段階に入ってきた、二月中旬にも商用生産も可能になったということでございます。

 そこで、提案をさせていただきますが、臨床試験、この治験を迅速にするために、国として新たな方針を示してはどうかということでございます。具体的には、条件付早期承認制度と市販後調査の拡充を組み合わせることで、早急に臨床現場に提供できるかを検討すべきです。

 治療薬については、在宅にて治療を可能にする内服薬の確保が待ち望まれております。海外からの経口治療薬に頼るだけではなくて、安全保障の面でも国産の経口治療薬の開発が望まれます。

 総理にお答えいただきます。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、国産の経口治療薬の開発、これは大変重要であると考えており、問題意識は共有しております。このため、研究開発への支援のほか、治験費用への補助など、実用化を加速するための支援も実施しているところであり、しっかりと後押しをしていきたいと考えます。

 そして、国産経口治療薬の早期実用化に向けて、臨床試験で安全性そして有効性が示された場合には、委員御指摘の条件付承認制度も含めて、あらゆる手法の活用を視野に、迅速に審査を行ってまいりたいと考えております。

稲津委員 よろしくお願いいたします。

 関連して、経口治療薬についてもう一問伺います。

 日本の治験の高いハードルに、開発メーカーが負担する莫大な経費の問題があります。国が、実用化に向けて、製薬会社に対して支援事業を行っています。しかし、その支援は極めて少額であると言わざるを得ません。

 先日のこの予算委員会での、参考人でお越しいただいた長崎大学学長の河野茂氏は、意見陳述の中で治療薬の開発について、我が国は完全に他国依存、国内開発には人的、物的支援が必要で、企業のインセンティブをつけることを求めると強く語られました。

 治験には、日本人に対してのもののほかに、海外での感染者に対しての治験もあります。実際に、製薬メーカーはアジア諸国に対し契約も進めています。ところが、それは我が国が支援する予算には含まれていない。そもそも、やはり何といっても予算が余りにも少ない。

 こうした財政的な支援を拡充すべきと思いますが、総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 国産の経口治療薬の実用化、これは大変重要であると考えており、これを重点的に支援するため、政府としても治験等に係る費用補助を行っており、海外での治験経費も補助対象としているところです。

 御指摘の国産経口治療薬については、現在、開発の最終段階である第二相、第三相試験が国内で実施中であり、これに対し、治験費用の補助など二十億円の支援を行っています。これは、企業からの申請に基づき、国内治験を念頭に置いた支援でありますが、今後は、海外での治験も含め、更なる加速化のために、企業からの相談を踏まえ、積極的に応えてまいりたいと考えています。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

稲津委員 是非よろしくお願いいたします。

 コロナの点滴治療薬、レムデシビルというのがございますけれども、これは二〇二〇年の五月七日に薬事承認されました。重症、中等症、そして最近では軽症にまで適応されているということで、幅広く使われています。我が国のコロナの治療薬の薬事承認第一号でした。

 私、記憶しているのは、二〇二〇年の三月十六日に、参議院予算委員会、公明党の秋野公造議員がこのレムデシビルについて、既にアメリカでは使われておりましたので、このことを踏まえて、国内での治験を早く進めるために、ここは是非日米の合同の治験を行ったらどうかという提案がありました。これが採用されまして、そして、先ほど申し上げましたように、五月の七日の日には特例承認がされました。

 このレムデシビルが僅か二か月で承認されたということ、これは今日の感染対策に非常に大きな治療効果を上げていると思います。そうしたことも踏まえて、是非、治験の抜本的な見直しや、少なくともまずは弾力的な運用を強く求めるところであります。

 次の質問に行きます。

 次は、ワクチン接種及び感染症対策について伺いますが、まず自衛隊の大規模接種についてですが、これは先ほど自由民主党の谷理事の質問にございまして、私がお聞きしたかった自衛隊、大阪の大規模接種会場の接種能力の拡大について、もう御答弁がありましたのでこれは質問いたしませんが、前段申し上げましたように、一日に山口代表が記者会見でこれを提唱し、また、三日の日には、我が党のワクチン接種対策本部で、防衛省に対し、この大阪会場の接種拡大を強く求めました。そもそも一月二十七日の党の安全保障部会でも提案がされておりまして、これが拡大される方向で検討していただく、大変これは何よりでございます。

 引き続き、今後はやはり迅速化、それからさらに必要に応じて拡大を進めていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 次に、自衛隊の大規模接種について、ワクチン接種済証を活用してはどうかということを提案をさせていただきたいと思います。

 急速な感染拡大の中で、今一番重要なのはワクチン接種の迅速化であることは言うまでもありません。一方で、三回目の接種が予想のほか遅れていることの理由の一つに、自治体の接種券の発行が挙げられております。

 政府は、一月十三日の事務連絡で、接種券の前倒し送付と、接種券がなくても接種することと自治体等に対して再通知しました。一方で、自衛隊の大規模接種会場においては、接種券が自治体から発行されていない方については接種はできない、このようにされています。

 もちろん、接種券が提示されない人に接種ができないことは理解できますが、自治体が発行した接種済証というのを私も持っておりますけれども、これを、接種券が来ていない方に、そうした方の場合に活用できないか。弾力的な運用になると考えますが、防衛大臣、いかがでしょうか。

岸国務大臣 自衛隊大規模接種会場においては、自治体や職域接種と異なりまして、不特定多数の方を対象としております。住民の接種券番号を管理していないことから、接種券がないとVRSでの登録というものが困難になってしまうというような状況でありますので、昨年自衛隊が行いました大規模接種センターにおいても、利用者の方に接種券をお持ちいただくことを条件としています。

 その際、例えば、当日、接種券を忘れた方もおられましたので、そういう方には、後日、接種券を持ってきていただくことをお願いしていましたけれども、実際には、御連絡をしても持ってきていただけない場合もあるということで、事務的には支障が生じていたと承知をしております。

 このように、自衛隊による大規模接種は、昨年と同様の事例が起きないように、利用者の方には引き続き接種券をお持ちいただくことをお願いをしているところであります。

 自治体においては接種券の前倒しを加速していただくとともに、接種券をお持ちでない方におかれましては、自治体にお問い合わせをいただいて、可能な限り早期に接種券を入手していただければというふうに考えております。

稲津委員 実際に、接種済証の中には、例えば、接種した日付、場所、それから使用したワクチン名も具体的に書いてあるわけです。私は、今御答弁いただきましたけれども、やはり、これから弾力的、柔軟なことを行いながら迅速化を図っていくことを考えたら、是非検討いただきたいな、このことを申し上げておきたいと思います。

 次に、ゴールデンウィークに帰省する学生のために、大学での職域接種を六か月、前に、前倒しする判断は各大学でしていただいてよろしいのかということについて伺っていきたいと思います。

 接種券の早期配付というのは、これは今自治体に要請していることは先ほど来の中でお話がありましたが、予約の枠が空いていれば接種が可能である大方針、これは大々的に周知をすることが必要なのかなというふうに思っております。

 一方で、若い方々におきましては、二回目の接種が昨年の比較的遅い時期であったということから、三回目の追加接種に余り関心が高まっていない、こういう傾向があります。しかし、四月に入りますと、今度は、前倒しで六か月を経過する時期になってくる方も少なくありません。

 四月末から、今度はゴールデンウィークが始まります。帰省する方も多いと思います。そういうことを考えていきましたら、この帰省をする大学生などに対して、大学での職域接種をできるだけ六か月に前倒しすべき、その判断は各大学で実施してよいか、文部科学大臣に伺います。

末松国務大臣 稲津先生にお答えを申し上げます。

 職域におけます三回目接種につきまして、二回目接種から七か月以上が経過した者に接種を行う旨の方針が厚生労働省から示されており、このため、各大学におきましては、二回目接種から七か月の間隔を前提とした接種計画を立てていただくことになってございます。

 ただし、接種計画に基づきまして配送されましたワクチン量の範囲内で、予約キャンセル等により余剰が発生した場合、接種対象者の中で接種の前倒しを行いまして、その際は、六か月以上経過した者に接種することが可能とされております。

 こうした点を生かしまして、各大学で接種を前倒しいただけるものと考えておりまして、文部科学省といたしましても、前倒し接種を希望する大学の相談に応じて、適切な情報提供に努めたいと考えてございます。

 引き続き、三回目接種を希望する大学におきまして円滑かつ早期にワクチン接種が進むよう、関係府省との連携の下、先生御指摘のような点も含めまして、各大学の要望や相談に丁寧に対応してまいりたいと思います。

 以上でございます。

稲津委員 今、大事な御答弁をいただいたと思っております。是非、その方向で進めていくことをよろしくお願いいたします。

 次に、堀内ワクチン担当大臣にお伺いをいたします。簡潔にお答えいただければと思いますので、よろしくお願いします。

 大臣は、三回目の追加接種の必要性、安全性など、コマーシャル等を活用して周知に努める、このような答弁をなされてまいりました。重要なことだと思います。あらゆるツールを使って広めるべきだと思っています。

 しかしながら、例えばCM等がどの程度国民の皆様に伝わっているのか、ここはちょっとよく分かりません。今やはり一番求められることは、私は、大臣自らの発信力ではないかなと思います。そうしたことを是非お願いを申し上げたいと思います。

 そして、更に大事なことの一つは、国民の皆様に積極的で分かりやすい周知をいたすことだと思います。

 ちょっとパネルを用意しましたので御覧いただきたいと思いますが、これは東京都の狛江市が全戸配布したチラシの一部なんですけれども、このように交互接種の安全性を分かりやすく説明しています。このチラシの影響もあってか、狛江市では、三回目の接種にモデルナ製のワクチンを希望する人が九五・一%に至ったと聞いています。

 こうした自治体の取組を私は政府は参考にすべきであると思いますし、有効なこの周知状況を全国に横展開するべきだと思いますが、大臣の御答弁を求めます。

堀内国務大臣 ワクチン接種につきましては、先ほど委員がおっしゃられましたように、今がまさに正念場だというふうに思っております。積極的に努めてまいります。

 ワクチンの接種につきましては、ワクチンの種類にかかわらず、国民の皆様方に素早く接種していただけるように、政府一丸となって、三回目の接種の必要性、交互接種の効果、安全性などについては、様々な媒体を活用し、国民お一人お一人に丁寧にお知らせしているところでございます。

 先ほど委員御指摘いただきましたCMにつきましても、第一弾、第二弾、それぞれ週に四百本ずつ全国で放送しており、このCM動画はツイッターやホームページにも掲載し、より多くの方に視聴していただけるように工夫しているところでございます。

 また、私自身、様々な自治体の長の皆様方から、各地域での接種促進に向けた取組について御紹介をいただいており、そうした市町村の取組の事例をほかの自治体が参考にできるようにとホームページで周知しているところでございます。

 委員御指摘の狛江市の事例も、しっかりと、モデルナを早く使っていただくような工夫が凝らされていると思っております。こういった事例をもっともっと横展開をできるように努めてまいりたいと思っております。

 積極的な発信をこれからも心がけ、そして、国民の皆様方に、ワクチンの種類よりもスピードを重視して、しっかりと接種していただけるように努めてまいりたいと存じます。

稲津委員 よろしくお願いします。

 総理も、政府を挙げて、一日百万回に早く達する、そうした取組をされるということも伺っておりますので、是非、担当大臣、御尽力をいただくように心からお願いを申し上げる次第でございます。

 次に、学校における感染対策について伺います。

 オミクロン株に置き換わってから、子供たちへの感染が広がっています。こうした中、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、先日、オミクロン株の流行に対する感染防止提言を発表したところです。

 保育園や学校でクラスターが発生していることから、保育園においては、遊具や玩具の細かな消毒、交換を始め、保育の確保と感染の防止を両立させるために基本的な感染防止策を徹底すること、学校では、部活やリコーダーの演奏ですとか、あるいは体育の着替え時にマスクを未着で、その結果、クラスターが発生したという指摘もありました。

 特に学校教育の現場では、今後、感染リスクの高い教育活動は当面実施を控え、密にならない授業を実施すべきで、オンライン授業や分散登校など、必要な対応を進めなければならないと考えます。当然、学習の機会をしっかり確保するということは大前提でございますが、総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 オミクロン株による感染拡大が続く中、感染の場が、学校や保育所、そして高齢者施設に広がっています。

 こうした状況を踏まえ、政府としては、先週二月四日の日ですが示された政府のコロナ分科会の提言を踏まえて、オミクロン株の特性に即しためり張りのある感染防止策を更に強化することにより、感染対策をしっかり進めながら、社会経済活動をできる限り継続していく方針で臨んでいきたいと思います。

 具体的には、まず、御指摘の学校については、特に感染リスクの高い教育活動は、感染レベルにとらわれず、基本的に実施を控えることとするなど、感染症対策を強化、徹底するとともに、切れ目なく学びを継続するため、オンラインと対面の学習を組み合わせたハイブリッドな学習の実施を進めていくことといたします。

 あわせて、小学校や保育所の臨時休業等により仕事を休まざるを得なくなった保護者を支援するための小学校休業等対応助成金の手続を改善して、より申請しやすくするとともに、未就学児についても、代替保育の確保を含め、地域の保育機能を維持してまいります。

 さらに、高齢者施設については、看護師を派遣する場合の補助単価の引上げ、また、入所者及び従事者へのワクチンの三回目の接種の促進など、対策を強化してまいります。

稲津委員 よろしくお願いいたします。

 そして、学校において、今、学級閉鎖、休校が非常に増えてきております。急遽学級閉鎖や休校となったために、予定していた給食が提供できなくなることによって未使用の食材が生じて、廃棄せざるを得ないという事例も承知をしております。

 他方、学校においても様々な取組があると聞いていますが、学校給食の未利用食品を生活の困窮されている御家庭に支援する、そうした活用をすることも食品ロス削減の一つの方法と考えます。そのために教育委員会と福祉関係部局が連携して取り組むことが必要ですが、現場が適宜対応できるようにしていかないと、急に学級閉鎖になって未使用食材が生じても有効に活用できないということがございます。

 そこで、食品ロスの観点から、生活困窮家庭への支援など、学校給食未利用食品の利用を促すよう、臨時休校が増えている今、早急に、教育委員会や福祉部局に柔軟に対応できるよう働きかける必要があると思いますが、文部科学大臣の見解を伺います。

末松国務大臣 今日、社会で大変重要な点を御指摘いただきまして、ありがとうございます。

 今般のオミクロン株の感染拡大に伴う臨時休業の増加によりまして、一部、学校給食の食材に未利用が生じているものと承知をいたしております。こうした食材から有効に活用されることは、先生御指摘のように、食品ロス削減の観点からも大変重要でございます。

 委員から御提案のありました生活困窮家庭への支援への活用は、食品ロス削減の観点から、重複します、済みません、重要でございますので、実現のために教育委員会と福祉保健部局との連携が必要でございますので、関係省庁とともに周知に取り組んでまいりたいと思っております。既に幾つかの自治体ではもう実行されておりますので、よく参考にさせていただきたいと思います。

 文科省といたしましては、これまでの地域の取組や工夫を参考にしながら、引き続き、学校設置者と食品ロス削減の取組を推進してまいりたいと思います。

稲津委員 よろしくお願いいたします。

 なかなか、現場レベルで教育委員会と福祉部局の連携というのは、やっているところとそこまでいっていないところもあるかと思いますので、是非、文科省、厚生労働省、よく連携を取って進めていただきたいと思います。

 次に、新型コロナ禍で生活に困窮した方々を狙う新手の闇金融が横行しているという問題を取り上げさせていただきたいと思います。これは警鐘を鳴らす意味でも、この機会に質問させていただきます。

 この新型闇金とも言えるような代表的なものが、三年前に登場した給与ファクタリングでございました。ただ、この手法は、金融庁が、実質的に給与を担保にした貸付けだ、貸金業に当たるというふうに判断をして、今、警察による摘発も進み、大体、現場ではこの給与ファクタリングの方は撤退しているというふうに理解しています。

 しかし、昨年、北海道において、価値のない商品を代金後払いで購入させるという、後払い現金化という手口が横行しました。これも、貸金業法違反の容疑に当たるとして相次いで摘発されています。

 そうした中で、昨年の秋以降出てきたのが、先払い買取りで、スマホとかバッグとか、こうした中古品を高値で買い取るとうたい、その写真を送るよう指示して、実際に手元に商品がなくてもネット上の写真を送るだけで現金が振り込まれる、後になって高額のキャンセル料とか手数料を請求される、こういう新種の闇金融も暗躍していると報道されています。

 そこで、こうした新手の闇金融の現状について政府はどのように把握をしているのか、また、摘発されればまた今度新たな手口が出てくるという、イタチごっことも言えるこうした状況に今後どのような対策を取っていこうとしているのか、金融担当大臣にお伺いします。

鈴木国務大臣 無登録で貸金業を営むいわゆる闇金融業者でございますが、先生御指摘のように、様々な手口を使いまして、金銭の貸付けではないように装う、偽装を行うわけでございますので、こうしたことに対して、利用者保護の観点から厳正に対処していく必要があると考えております。

 金融庁といたしましては、利用者からの相談、日本貸金業協会等の関連団体からの情報提供、SNSへの投稿のチェックなどを通じまして、先生御指摘の先払い買取りと呼ばれる手法も含めまして、闇金融業者に関する情報の収集に努めております。

 その上で、闇金融業者への対策といたしましては、リーフレットやSNS等の様々な方法による注意喚起、事業者への個別の警告、警察当局への情報提供などの取組を行ってきております。

 今後とも、御指摘の先払い買取りと呼ばれる手口への対応も含めて、関係当局等と連携の上、こうした取組の強化に努めてまいりたいと思っております。

稲津委員 そうした被害を予防するためにも、相手は闇金融だということを含めて、強くまたそうしたことを注意喚起を促していただきたいと同時に、収入減がコロナ禍で起きてきているという現実があって、個人だけじゃなくて中小・小規模事業者のところもやはり少し配慮をしていく必要があるのかなと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 次は、先天性代謝異常検査について伺います。

 この検査は、出生後二十八日以内に全ての新生児に行う検査で、地方交付税が措置されています。対象となっている先天性副腎過形成症などは、放置すると知的障害などの症状を来すので、血液によるマススクリーニング検査を行い、異常を早期に発見し、治療につなごうじゃないかと。

 現在は二十疾患が対象になっています。しかし、二十疾患ですから、極めて限定的と言わざるを得ません。

 例えば、脊髄性の筋萎縮症という病気がありますが、この病気は検査の対象となっていません。患者の九〇%以上が二歳になる前に死亡するという恐ろしい病気です。

 この病気の治療は、ゾルゲンスマという点滴を投与するしかありません。これまで、保険適用外のため、一患者当たり一億六千万以上の高い薬になりまして、多くの患者は治療を諦めざるを得ませんでした。しかし、二年前にゾルゲンスマ点滴が薬価基準に収載され、二〇二〇年の五月二十日からは保険適用になりました。患者、家族の喜びは大変大きなものがありました。

 この病気は、まず早期発見が重要です。治療薬が保険適用になった今、新生児マススクリーニング検査にこの疾病が対象になれば、治療は大きな影響を受けるでしょう。脊髄性筋萎縮症を対象にできないでしょうか。

 また、このほかにも、検査対象となった場合に、病気を早期に発見し、発生を予防することが可能になる疾患もあると考えます。先天性代謝異常等検査の対象疾患の拡大について、厚生労働大臣の見解を伺います。

後藤国務大臣 新生児の先天性代謝異常等検査については、これまで、検査技術や治療法等の進展を踏まえ、検査方法や対象疾患を拡充し、現在は、先生からもるる説明もありましたとおり、早期発見、早期治療により知的障害等を予防することが可能な二十疾患を対象としております。

 近年、関係学会等から対象疾患追加の必要性も指摘されておりまして、AMEDにおいて、御指摘の脊髄性筋萎縮症も含め、先天性代謝異常等の検査の対象疾患を選定する基準等に関する研究を実施しているところでございます。

 厚生労働省としては、これらの研究成果等も踏まえまして、しっかり対応を検討してまいりたいと思います。

稲津委員 是非、今後の検討をお願いを申し上げます。多くの患者、家族の方々がこの検査対象拡大には大きな期待を持っておりますので、よろしくお願いをさせていただきます。

 時間が参りましたので、これは質問ではなくて提案だけにとどめておきますが、三歳未満を就学前まで、短時間勤務措置の拡大をしたい、こういう提案でございますけれども、これは、育児休業法の概要の育児関係ですが、休業時間等の各種施策が載っています。その中で、私は、短時間労働の措置に着目しました。

 三歳に達するまでのお子さんがいる場合、一日原則六時間の短時間勤務の措置でございますが、これは平成二十一年から変わっていません。是非、就学前まで拡充できないのか。こういうことが結果として女性活躍、そうしたことにつながっていくのであろうというふうに思っております。

 この平成二十一年から変わっていない、原則一日六時間の三歳未満の対象の措置を是非とも拡充していくことを、今日は時間がありませんので提案だけで終わりますけれども、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきますが、総理、是非、今の、オミクロン株に置き換わって感染拡大が広がっている中で、大変な御苦労が続いていると思いますけれども、一日も早くこの第六波を抑え込んでいくんだ、そして、コロナ対策を万全に進めていく、日本の経済を再生していく、そういう強い思いに立って、政府・与党一丸となって取り組んでまいること、私どもの決意を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて稲津君の質疑は終了いたしました。

 次に、小川淳也君。

小川委員 立憲民主党の小川淳也です。

 この第六波がもたらした全ての犠牲と、そして多大な困難に、心より哀悼とまた連帯の意を表したいと思います。

 総理におかれても御苦心が続いておられることと思います。

 まず、先立つ質疑の中で、一日百万回の接種を表明されました。これは敬意を表したいと思うんですが、ちょっとワンテンポ、ツーテンポ遅かったんじゃないですか、遅れたんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 三回目の接種のタイミングということについてですが、我が国におけるワクチンの接種、振り返りますと、昨年の十月の段階で、一回目、二回目の接種がまだ一日七十五万回接種されていた、こういった状況でありました。十一月の段階でも、一回目、二回目の接種が一日二十万回のペースで接種が続いていた、こういった状況でありました。そして、三回目の接種…(小川委員「簡潔な御答弁をお願いします」と呼ぶ)ちょっと済みません。三回目の接種について、十一月の十一日、薬事承認を得て、十二月から開始をしたということであります。

 こういった状況の中で、六か月の間隔を空けて三回目の接種を行うということでありますので、まさに今からが三回目の接種、本格化するタイミングであるということを申し上げています。そのために、一日も早く一日百万回の接種を実現していきたいということを申し上げている次第であります。

小川委員 これは決して楽観できませんが、二月中にもピークアウトするんじゃないかという説もある。既に一日十万人単位での感染者数が増えている。三回目の前倒し接種を我が党が要請したのは去年の四月です。そして、早期に具体的な目標設定がなければ現場にだってドライブがかからないということをかなり早い時期から主張してきた。ようやくここへ至って一日百万回、これは結構なことなんですが、週末の厚生労働大臣のテレビ発言を受けて、あたかも追い込まれたように表明されたともお見受けしていますよ。

 ここはまさに、岸田総理、聞く力も結構ですが、危機管理ですから、やはり決断をし、発信をし、実行していくことこそが問われていると思います。

 重ねて週末の混乱等についてお聞きしますが、二歳児へのマスク着用について。

 これは、実際に実行可能かという問題もある。そして危険性はないのかという課題もある。そして最終的には、私、これを聞いたときにどう思ったか申し上げますが、どうせすぐに引っ込めるだろうと思ったんですよ、総理は。これも、もはや慣例になりつつある朝令暮改とも言える。

 適切でなく危険があり、そして意思決定の過程含めて朝令暮改のそしりを免れないと思いますが、この二歳児のマスク着用について、この点、総理、答弁を求めたいと思います。

後藤国務大臣 子供のマスク着用につきましては、二月四日の新型コロナウイルス感染症対策分科会におきまして、発育状況等からマスクの着用が無理なく可能と判断される子供について可能な範囲で着用を推奨するという専門家の提言も出ております。

 それから、二歳未満の子供には推奨しないというような報告もなされております。

小川委員 これは元々、WHOは、五歳未満児は危険だから、有用性も低いし、そもそも推奨していないんですよ。ですから、ちょっとこれは厚生労働大臣にも責任があると思いますが、いろいろ言われるでしょう、それは、知事会、あるいは番組で。もう少し御発信前にはよく御検討いただいて、そして後に総理がひっくり返さなくて済むように、この辺りも慎重な対応を求めておきたいと思います。

 もう一点。

 これは後ほど大串さんが厳しくやられるとお聞きしていますが、林外務大臣にお聞きしておきます。

 アメリカ軍による検査なしの入国ですね。九月に通知したと米軍は言っている。日本政府は聞いていないと言っている。しかし、この認識のそごは外務省の取組に不十分な点があったと真摯に受け止めていると、林外務大臣は発言なさっている。これは、この意思疎通のそごは、日本側に責任があったという認識でいいですね。

林国務大臣 私が申し上げた答弁を今引用していただきましたが、我々の方にもそうした足らない部分があったということは申し上げたわけですが、我々だけというふうに申し上げたわけではないわけでございます。

小川委員 ちょっと、この点、大串さんが後ほど質問させていただくと思いますが、一事が万事こういう状態ですから、岸田政権のリーダーシップ、判断力、決断力、実行力、大きく問われつつある局面だと思いますよ。

 私は、こうなった以上、どうしていくかというのが一番大事な議論ではある、しかし、なぜこうなったのかという議論は、決してなおざりにはできないと思っています。

 その意味でお尋ねしますが、私、去年の国会で総理が、コロナ対策は最悪を想定することが大事だとおっしゃった。いい御発言だと思って聞いていました。恐らくそれは、安倍政権や菅政権で必ずしもそれが十分でなかったという反省の下におっしゃったとも受け止めていました。

 しかし、これは誰がやっても難しかったことは認めます。認めますが、ちょっと資料を御覧いただきたいんですが、岸田政権発足後、十一月の十二日に、第六波に向けた安心確保のための取組全体像を決定し、発表しておられる。

 そこには、第六波の最悪の事態を想定し、今後感染力が二倍になった場合にも対応するとおっしゃる。しかし、これは一日当たりの感染者数でいえば、第五波のピークは一日二万五千人ですから、そして今、一日十万人ですから。二倍としても五万、更にその倍、実際には四倍を超えたわけです、一日の感染者数という意味では。

 それから、今後の感染ピーク時における自宅、宿泊療養者数は最大で二十三万人と想定している。しかし、実際には先週段階で既に四十万人を超えた。

 これは、総理、いろいろ御事情もある、誰がやっても難しいことは認める。しかし、現実に、結果責任という意味において、最悪を想定すると口ではおっしゃったが、実際には最悪を想定し切れなかった、想定が十分ではなかった、このことをまずお認めいただきたいと思いますが、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、昨年十一月の全体像と銘打った計画においては、よく見ていただければ分かりますように、二倍を想定しながらも、三倍以上もしっかりと……(小川委員「四倍じゃないですか」と呼ぶ)いや、三倍以上もしっかり対応できる、こういった全体像を掲げて準備を進めたということであります。

 だからこそ、例えば、東京の例を見るならば、昨年の夏、ピーク時、新規感染者は五千九百名ほどでありました。しかし、その段階で、昨年八月、病床は満床状態でありましたし、そして重症病床も満床という状況でありました。

 しかし、今申し上げた十一月における全体像に基づいて計画を進め、そして病床を確保し、稼働率を引き上げ、そして病床の見える化も行ったから、今現在、昨年のピーク時の、おっしゃるように四倍の新規感染者が生じているわけですが、それでも、去年の夏は満床状態でありました。今年の、今の病床使用率は五五%にとどまっている。そういった準備を進めていたからこそ、今現在、病床の使用率は五五%。そして、重症の病床については、現在、東京は四〇%、東京基準では八%、こうしたことになっています。

 そういったことのために、十一月、全体像を示して準備を進めてきた、こういったことであります。(発言する者あり)

根本委員長 恐縮ですが、簡潔にお願いします。

小川委員 お言葉ですが、病床使用率が五割台にとどまっているのは、入院できていない人がたくさんいるからですよ。感染爆発後に入院基準を緩めたじゃないですか、元々、全員入院とおっしゃっていたんだから、総理は、オミクロン株については。後追い後追いで、現実に追従し続けているわけですよ。

 それじゃ、お聞きしますよ。

 十一月に決定された本部決定ですが、資料の三行目、全ての自宅療養者にパルスオキシメーターを配付、できているんですか。状況に応じて機動的に強い行動制限を伴う要請、しているんですか。ワクチン、検査、治療薬の普及による予防、発見から早期治療までの流れを更に加速、できていますか。検査もできていないから、みなし陽性なんということになっているじゃないですか。変異株の状況を踏まえ、緊急事態措置の前提となる感染状況について、速やかに基本的対処方針を改正、していないじゃないですか。二か月半ぶりだ、この間の専門家会議の開催は。全て後手後手に回って、現実の追従、追認に追い回されている。その一方で、被害が拡大していると言わざるを得ないと思いますよ。

 もう一点。時間に限りがありますから先へ進ませていただきますが、私……(発言する者あり)いや、ちょっと後で答弁してください。

 問題は、これは、病床使用率が限られているのは、入院できていない人がたくさんいるからですよ。それはお認めいただかなきゃいけない。それで、反論があればおっしゃってください。

 もう一つ、私が問題にしたいのは、つまり、この対処方針が十一月にできたこと、岸田政権の発足は九月ですから、二か月何していたんだということなんですよ。この二か月が、結果的にですが、物すごく重大な影響を及ぼしている。

 つまり、あえて私は空白の二か月と資料に明記しました、空白の二か月。

 まさに岸田総理がおっしゃったように、去年の春先から、まず医療従事者、その後高齢者、そして一般成人にワクチン接種を開始しているんです。しかし、もうここで何度も議論されたと思いますが、これを御覧いただければ分かるとおり、六か月間隔でスタートしていれば、十月、遅くとも十一月から高齢者の接種を始めることができた。そして、ワクチンの薬事承認は六か月間隔で承認していますからね、にもかかわらず、実際に打つのは八か月以降だとおっしゃった。

 この六か月を八か月とした二か月と、十月から打つべきを十二月から開始した二か月と、そして、もっと言えば、九月に政権が発足したのに十一月まで大方針を定めなかったこの二か月と、何重もの二か月が、結果的に、これは資料を見てください、下。たらればの話をするのは非常に切ないが、もし十月から三回目接種を開始し、六か月間隔でやれていれば、先月末、一月末に、少なくとも高齢者は九割方ワクチン接種を三回目終えていた可能性が高い。それをやっていれば、今頃、デンマークやイギリスやフランスや、既に規制解除しているじゃないですか、こういうことだってあり得た。

 この二か月の遅れがどこから来たか。最後に議論して、答弁を求めましょう。なぜ、九月、十月にしかるべき対応を取れなかったのか。九月は何をやりましたか。

 私、ここで初めて言いますが、ある行事で退任された菅前総理とお目にかかったんですよ。そのときに、当時、もうオリンピック後でしたが、東京で一日五千人の感染者が出た頃は死ぬかと思うほど苦しかったと前菅総理はおっしゃっていました。私どもも厳しく検証する立場ですが、その言葉には、総理大臣たるものの大きな使命感、責任感、重圧を、想像に余りありますが、感じました。

 しかし、九月にあなた方がやったことは、その菅総理に、総裁選再立候補困難、いわば引きずり降ろした。そして、自民党総裁選に、あえて言いますが、かまけ、そして、任期をまたいで、十月いっぱいかけて総選挙をやった。

 まさに、この二か月の空白、二か月の遅れは、党内事情の優先、政局優先がもたらした致命的な二か月なんじゃないですか。それを含めて御答弁いただきたい。

岸田内閣総理大臣 まず、二か月何をしていたかということでありますが、それは、まさに先ほど、十一月、お示しさせていただいた全体像、これを取りまとめ、しっかりと次の体制の準備に充ててきたということだと思っています。

 そして、先ほど、ワクチン接種、遅いではないか、九月にはできたのではないか、こういった御指摘がありました。

 しかし、それについては是非昨年の状況を振り返っていただきたいと思います。全世界的に、十一月頃、オミクロン株の感染拡大が注視される中にあって、多くの国々が最新のエビデンス等を踏まえて最初は八か月接種という議論から議論を始めていた、こういったことであったわけです。

 その中にあって、我が国においては、昨年、先ほど申し上げたように、十月、十一月、まだ一回目の接種、これを続けていた、そして十一月に薬事承認を得た、そして十二月に開始をしたということであります。

 二回目との間隔を空けなければいけない、こういった事情の中で、いよいよ今本格的に第三回目の接種がスタートする、進んでいくということでありますので、一日百万回という目標を掲げて、しっかりと進めていくということを申し上げています。

 ワクチンは確保できました。体制も整ってきました。是非、本格的に三回目の接種を進めていく時期が来ていると認識をしております。

小川委員 総理、これは私も厳しく質問する立場なんですが、誰がやっても難しかったことは認めているんですよ。しかし、日本で、この過酷なコロナ禍で、一年以上もった政権はまだありませんから。そこに共通しているのは、言い逃れと強弁なんです。

 総理、それは岸田総理には似合わない。きちんと事実は事実として認めて、謙虚に。そして、事によっては柔軟に方針変更も受け入れ、更にその批判も受け止めというのが岸田総理のスタイルだと思ってお聞きしているんです。

 欧米は早かったんですよ、八か月を六か月に短縮するのは。

 そして、日本の場合、さっきも申し上げましたが、薬事承認そのものが六か月間隔ですからね。これを八か月にしたことには何らかの政策的判断があったんでしょう。そして、それを前倒すことは確実に遅れている。そして、この遅れの二か月が、致命的な二か月になった可能性があるということを指摘しているわけです。

 さらに、我が党は、コロナ対策に関して言うと、それに限らずですが、積極的に議員立法の提案をしています、昨年来。

 例えば、困窮された大学生の支援一人十万円。ありがたいことに補正予算で実施をいただきました。これは、全部自分たちの手柄だと言うつもりは全くありません。もちろん、与党・政府におかれていろいろな検討をされた。そして、国民からいろいろな声があってのことでしょう。しかし、我が党に関して言えば、そういうことです。

 そして、ガソリン価格の値下げ法案。補助金の創設につながっています、不十分ですが。

 そして、文書交通費の透明化法案。これは私、維新の皆さんに率直に敬意を表していますよ。そして、自民党にも重い腰を上げてもらわなきゃいけない。早くこの政治と金をめぐる問題は、さっさとけりをつけなきゃいけないんですよ。

 そして、子供給付金の現金化法案。これは総理には半分反省いただきたいんですが、クーポンか現金かで一定の混乱がありましたが、後に、もちろん朝令暮改とはいえ、現金容認に方針転換をいただいた。

 今、ワーキングプアの世帯支援法案を提出しています。そして、先般、離婚世帯に対する子供給付金は適正化すべきだ、これも御決定いただきました。そして、事業復活支援金倍増法案、これも今提出中です。

 そして、本日午後三時、感染症法の改正案を国会に提出いたします。

 これは、さっきの基本方針との関係でいえば、変異株の状況を踏まえ、緊急事態措置の前提となる感染状況、ステージについては、速やかに基本的対処方針を改正するとおっしゃった。病床や医療人材の確保について、国や自治体が要請、指示をできるように法的措置を速やかに検討するとおっしゃった、去年の十一月です。感染有事における備え、取組について、法的措置を速やかに検討するとおっしゃった、これも十一月。司令塔の強化により危機管理の抜本的な強化をするともおっしゃった、これも十一月。全て六月だと今になっておっしゃる。もう提出しますよ、今日午後三時に、感染症法の改正案。

 これは、かねてからの課題である、やはり日本は開業も自由化されていますから、しかし、医療経済は、医療費四十兆円は、九割方税金と保険料によって賄われている、この矛盾が一気に噴き出したのがこのコロナ禍の重圧でした。したがって、それは直ちに変えられないにしても、民間病院に対して今まで以上の協力を要請する法的根拠を速やかに設けなければならない。それが今日午後三時に提出する感染症法の対策案です。

 総理にお願いいたします。

 これも半分感謝なんですが、政府・与野党協議会を一年ぶりに再設定していただきました。今週木曜日、再度関係者が集まる予定です。これにも感謝しています。私は、先々週、一回目の会合で、この感染症法に関する議論、政府・与党で御検討いただいていることは大事なことなんですが、与野党で、最終的には法律ですから、前広に、早めに御議論いただくことを提案しています。

 是非、部下たる、その場に出席しておられる木原副長官に、この件は与野党で事前によく話し合えということを御指示いただきたいと思いますが、お願いできませんか。

岸田内閣総理大臣 御質問の趣旨は、この法案についてそこで話し合えということでしょうか。(小川委員「まあ、それに限らず中身を広く」と呼ぶ)はい。

 いずれにせよ、これは国会において、法案の取扱い、そしてどのような議論を進めていくのか、これは国会のそうした協議会等の場でしっかりお決めいただくことだと思います。政府の立場から具体的に何か申し上げることは控えなければならないと思いますが、是非、与野党で議論を深めていただくことを期待いたします。

小川委員 これは、正確に伝わっているかどうか。政府・与野党連絡協議会でして、政府代表で木原副長官がお見えなんです。そして、与党の責任者では西村先生がいらっしゃる。野党は私どもがおります。ですから、政府の立場から、ちゃんとこれは前広に、幅広に早期の議論を開始しろとおっしゃっていただいた方がいいんですよ。

 もう一度お願いします。

岸田内閣総理大臣 法案の取扱いということでありますので、これは国会でお決めいただかなければならないということです。議論については、政府としてしっかり、申し上げること、説明すべきことはしっかり責任を果たしていきたいと存じます。

小川委員 ちょっと私も職責上厳しく申し上げていますが、まさにそういうところのリーダーシップなんですよ。誰かに任せる、どこかに任せるじゃなくて、総理はどうされたいか、総理は何を指示しているのか、何を決めているのか、何を発信しているのかが問われているということだから申し上げているんですが、御答弁は不十分だと思います。

 関連して……(発言する者あり)

根本委員長 やじは控えてください。

小川委員 関連して、今回の対処方針の見直しなんですが、私、ちょっと切ないと思っていることがもう一つありまして、子供たちに、やれ部活動の制限だ、まあ確かにそうなんですよ、学校と保育園で感染が広がっていることは事実。しかし、部活動の制限、それから練習試合をするな、体育も気をつけろ、給食は向かい合って食べちゃいけない、合唱するな、管弦楽を吹くな。非常に私、つまり、私たち大人にとってもこの二年、三年、極めて重圧がかかっていますが、子供たちは私たちの想像以上だと思うんですね。

 この大事な発達段階にある子供たちにこれだけ厳しいことを言い、そして、これは後々どの程度影響を及ぼすのか、誰にも分かりません。そして、現にこの世代の子育てをしておられる保護者の皆様の心労、心配たるや、切々たるものが伝わってきます。

 これが、ちょっと私もここではっきり言い切れないんですが、必要ないとも言い切れない。しかし、大人社会に対するメッセージは経済優先でしょう。

 そして、ちょっとうがった見方と言われるかもしれませんが、子供たちには投票権もない。最も弱い立場ですよ、この社会において。そこには、部活やめろ、練習試合するな、体育も気をつけろ、給食は向かい合うな、合唱はやめろ、管弦楽は吹くなと言いながら、今、病床使用率、そうはいっても、都内、五割から六割に迫ろうとしています。毎日百人近い人が死んでいる。そして重症者は千名を超えた。

 でも、今なお大人社会全体に対する緊急事態宣言は、総理、今、念頭にないんですか。

岸田内閣総理大臣 前半の部分については、感染症対策をしっかり進めるということ、そして、社会経済活動をできるだけ継続していくということ、この二つのバランスを取っていくことが大事であるということで、様々な対策を取っています。

 そして、最後の質問、緊急事態宣言、考えていないのかという質問についてですが、これは今、緊急事態宣言については、病床の逼迫度に重点を置いたレベル分類を参考にしつつ、総合的に判断するということになっております。先ほど言いましたそのバランス等もしっかり考える中で、現時点では緊急事態宣言の発出は検討しておりませんが、こうした対策、今、蔓延防止等重点措置等を行っているわけですが、こうした対策等の効果等も含め、今後の事態の推移を注意深く見極めて、必要な対応を考えていきたいと思っております。

小川委員 この点、尾身先生にも率直にお聞きしたいんです。尾身先生、今日はありがとうございます。

 二点お聞きします。一つは、緊急事態宣言についてどう考えるか。もう一つは、週末に、ファイザー、ファイザー、モデルナの交互接種をされましたね。その後、御自身の体調変化を含めて、国民の皆様に説明できることがあれば。二点御質問申し上げます。

尾身参考人 まず、緊急事態宣言のことですけれども、私は、緊急事態宣言の出す基準というのは、これまでどおり、単に病床使用率だけでなくて、入院患者の重症度など医療の逼迫を中心に、と同時に、もちろん感染者の数も踏まえて総合的に判断すべきだと思っています。

 それで、今出すべきかどうかという話は、蔓延防止重点措置の効果、及び、先週我々が出したいろいろな提案、そうした効果を踏まえて、重症者の増加も含め、医療機能の不全が想定されれば、実際に機能不全となる前に緊急事態宣言を出すオプションもあると思いますが、前回のここでも申し上げたように、その場合には、一体これから社会経済活動をどこまで制限をするのか、それから、オミクロン株に特徴的な対策はどんなものかというものの国民的なコンセンサスが必要だと思います。

 二つ目の御質問は、先週、私は、ファイザー、ファイザー、それでモデルナを打たせてもらいましたけれども、その反応は、もう二日たちましたけれども、打ったときの感覚も、腕の感じ、私は熱とかはありませんでした、ここのやや重だるい感じは、これは正直に申し上げて、ファイザーのときよりも軽かったです。と同時に、今日も打った副反応というのは全くございません。

小川委員 ありがとうございました。個人的なことも含めて御答弁いただいたことに感謝申し上げます。

 それで、確かに、総理、これは本当に簡単ではない。私もお聞きするのが仕事ですからやっていますが、これは簡単でないことは私も認めます。認めますが、さっき申し上げたのは、子供たちに大変な制限がかかっている。人生のすごく大事な発達段階。しかし、大人社会全体を見ると、経済優先だ、経済は止められないと。何か、難しいことは認めるんですが、しかし、やはり大人たち挙げて、本当に一刻も早い感染収束に向けて努力しているんだということは一方にないと、これは子供たちだって納得できないし、非常に心理的負担も大きいと思うんですね。

 ましてや、今日ちょっと、同じようなメッセージと受け止めていいのかどうか分かりませんが、非常に消極的な総理と、あり得るとおっしゃる尾身さんと、そして、与党の政調会長なんかはもうちょっと踏み込んでおっしゃっていましたから、この辺の発信が乱れることについても、私は適切だとは思わない。

 そういうことも含めて、司令塔機能も、またこれも六月なんでしょう、遅いと思いますよ。早く結論を出して、方向性を示していただかないとということを重ねて指摘したいと思います。

 関連して、瑣末なことだと思われるでしょうが、大事なことなのでお聞きします。いわゆるアベノマスクの配付、処分について。

 これは、三十七万件の応募があった、二億八千万枚の配付希望がある、しかし在庫は八千万枚しかない。どうやって二億八千万枚を、八千万枚に査定する必要があると思いますが、これは誰が担い、どのようにコストを負担するんですか。

後藤国務大臣 今、小川委員の指摘がありましたとおり、昨年十二月二十四日から本年一月二十八日までの間に合計三十七万件という多数の申出をいただいたのはそのとおりでございます。

 現在、厚生労働省において、まずはこの多数の希望について具体的な集計作業を進めているところでございまして、今後おおむね一か月程度で、個々の希望者への配付枚数等を決定しまして、その状況を公表する予定としております。

 配付希望者の内訳や配送費用については、こうした作業の結果明らかになるものであり、現時点でお示しすることは厳しい状況です。

小川委員 これは総理にも御承知おきいただきたいんですが、担当課たる厚生労働省医政局経済課には約三十名の職員がいます。三十七万件の応募を精査するんです、これから一か月かけて。一人一万件を超えるんですよ、みんなでやったとして、毎日やったとして。このマスクの配付に大事な医政局の三十名を、一人一万件、一か月かけて精査させることにどれほど国政上の意味がありますか。どういう意味があるんですか。

 お聞きしますが、厚生労働大臣、厚生労働省は、基本的対処方針において、一月二十五日の変更かな、不織布マスクを感染症対策としては推奨し、布マスクは推奨していませんね、この事実だけ。

後藤国務大臣 不織布マスクの方が布製マスクよりも効果があり、基本的に対処方針で不織布マスクが推奨されているというのは事実で、これは国民の皆さんによく分かっていただきたいと思っております。

 ただ、要するに、飛沫を出す側と吸い込む側の双方がマスクを装着することでマスクの効果というのは高まりますし、それから、不織布マスクの内側にガーゼを当てていただくことでマスクの着用が心地よくなるとか、いろいろな工夫はあるだろうというふうに思っております。

小川委員 だったら、それを厚生労働大臣、率先してやってください。布マスクして、その上から不織布マスクして、率先してやってください。そんな人見たことありませんよ。

 不織布マスクと書いてあるんだから、マスク着用は、厚生労働省の、コロナ対策本部の本部決定で。その感染症対策に使えない布マスクを、もう一回申し上げますが、三十名の職員で三十七万件を精査して、配送する。愚策にもほどがあるでしょう、総理。

 それで、じゃ、もう一つお聞きしますね。感染症対策に使えないんだから。

 ちまたでは言われているわけです、御存じだと思いますが、使い捨ての雑巾にしたらいいじゃないかとか、野菜の栽培の苗床にしたらいいじゃないかとか、野菜の乾燥防止だとか、赤ちゃんの暑さ防止に保冷剤を入れたらどうかとか。いや、それは、知恵を働かせてこういう提案があることはいいことですが、問題は、こういう用途のために税金でマスクを調達し、それを査定して配送することは政策判断として適切かどうかという問いに真っすぐ答えなきゃいけない。総理、いかがですか。

後藤国務大臣 在庫となっている布製マスクは、そもそも、国民の皆様にマスクとして活用いただくという目的で、配付することを目的に調達したものでございます。本来の事業目的を踏まえれば、今般配付する布製マスクも、マスクとして御活用いただくことを優先して配付するべきだというふうに思いますけれども、具体的な利用法については、有効に活用していくということで考えております。

小川委員 いや、厚生労働大臣、せっかくお出ましいただいたので、これは有効な使い方ですかと聞いています。雑巾、野菜の苗床、乾燥防止、赤ちゃんの保冷剤、これは有効な使い方ですかと聞いています。

後藤国務大臣 今、具体的な事例についてそれぞれ申し上げるということではありませんけれども、少なくとも、使い捨て雑巾やいわゆる栽培に使われるような話ですか、そういうことも含めて、それが適切な用法であるかということからいうと、有用とは少し違うように思います。

小川委員 今、否定なさいました。

 総理、もう申し上げたことは伝わっていると期待したいと思うんですが、私もちょっといろいろな声も受けていまして、これは、一件審査して全部配送って、ちょっと、どこまで親切なんだということですわね。税金ですから、元手は全部。

 これも私、いいとは思えないんですが、せめて最悪じゃないかもしれないのは、もう本当に迷惑千万ですが、都道府県や市町村や国の出先機関に一定量を配送して、御入り用の方は取りに来てくださいという方がまだましじゃありませんか、総理。処分するか、使うのであればそういうもうちょっとましな配送方法を考えるか、もうちょっと改善が必要じゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の布製マスクですが、これは、かつて日本の国においてマスクが不足をし、国民の中で、マスクが不足をしている、そしてマスクが高騰していく、大きな不安が社会の中で広がっていた、こうした事態に対して、少しでも国民の不安を和らげるために何か施策がないか、こういったことで打ち出された施策であったと認識をしています。しかし、その後、マスクの流通は回復しました。そして、不足に対する心配、これは払拭されました。

 こういったことを踏まえて、昨年末、私の方から厚生労働省に対して、希望をされている方に配付をし、有効活用を図った上で、年度内をめどに廃棄をするよう指示をした、こうしたことであります。

 そして、それを受けて、今、多くの方々がこのマスクを利用したいということで希望を寄せられている、これが、先ほど委員も御指摘になられた、この多くの希望者が殺到している状況であると認識をしています。希望をされる方があるのであるならば、これは是非有効利用はしていただきたいと思っています。

 そして、廃棄なのか、それから、それを配送するのか、このコストのこともおっしゃいましたが、有効利用していただけるのであるならば、当初からこの布製マスクについては配送の予算というのは想定していたわけでありますから、これは配送した上で有効利用していただく、こうしたことを考えていただくのは意味があるのではないかと考えています。

小川委員 ちょっと受け止め切れない御答弁ですよ。

 そもそも、あの感染が流行していたときに、第一波、そしてマスクが手に入らない状況下で、布マスクがどれほど国民の安心につながったのかというそもそもの問題があります。しかし、そのときに調達したものだから、苗床にしましょう、雑巾にしましょうと言っていることも含めて有効活用してもらえばいいという話にはならないでしょうとお聞きしているんです。配送費用だって、今回その安心のためじゃありませんからね、そこに何億もかけるんですかという話なんですよ。考えにくい。

 これはまたやらせてください、改めて。もう、ちょっとこればかりはあれだから。

 この国会で一つのテーマたる統計について聞きます。

 まず、資料を見てほしいんですが、総理、ちょっと率直なところをお聞きします。

 建設総合統計、不正があったのは建設受注統計です。しかし、そこから数字を取る建設総合統計、これはGDPに直結しています。この直ちに不正があったものではない建設総合統計の、不正二重計上が開始された二〇一三年、極めて数字がバブル期ほどに伸び上がる異常値を示していますが、これは不正統計の影響ですか。それとも、実際にこんなに建設需要がよかったと判断すべきですか。

 ちょっと、総理、これも通告していますから、お答えいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 建設総合統計の出来高は、平成二十四年、二〇一二年から平成二十五年、先ほどおっしゃった二〇一三年にかけて、四十二・八兆円から四十八・〇兆円に上がっておりまして、おっしゃるとおり、一二・一%の増となっております。

 このような伸びとなったのは、東日本大震災からの復旧復興事業や防災・減災対策、それから老朽化対策等を盛り込んだ平成二十四年度補正予算の執行が本格化したことにより、公共部門の建築、土木投資額が押し上げられたことや、景気の改善により民間部門の建築、土木投資額が押し上げられたことなどによるものと考えております。

 なお、実績ベースの数字、これは受注統計と関係のない、実績の建設投資額の実績値ですが、これを見ましても、平成二十四年度の四十二・四兆円に対して、平成二十五年度は四十八・三兆円と一三・八%の増となっております。

 また、それとはまた独立した、受注とは関係のない統計で表しました元請完成工事高、施工統計調査ですけれども、一一・〇%の増となっております。

小川委員 総理、今の御答弁をお聞きいただいて、それからこの数字を見ていただいて、私、当初はにわかに信じ難いと思ったんです。しかし、よく調べ、そして話を聞けば聞くほど、不正統計の影響だとはやはり断定できないと思うに至りました。

 今おっしゃったように、当時、第二次安倍政権発足直後、公共事業にアクセルを踏んだ、そして、景気回復とおっしゃったが、まあ、震災のこともある。それ以上に、私は、翌一四年が消費増税の年でしたから、恐らく、民間の住宅などを中心に駆け込み需要が相当程度あったということも影響していると。

 したがって、何が言いたいかというと、これが直ちに統計不正の影響とは断定できない。しかし、私どもは、なぜこんなに政府の統計に対して不信の目を持っているかということに改めて思いが至るんです。

 それで、総理、建設関連だけで申し上げますが、二〇一三年にまさにこの二重計上の罪が生じました、それ以降。二〇一五年、まさに国交大臣がおっしゃいましたが、建設投資額に、突如として、その年から補修費や改修費を計上したんですよ。これによって、建設投資額は当時の四十七兆円から五十七兆円、二二%増大しました。まさにこの二〇一五年はGDPの計算方法を一斉に見直した年で、僅か一夜にして、国民の懐は全く暖まっていないにもかかわらず、僅か一夜にして三十一兆円GDPが増大したその年です。このときに、建設投資に、四十七兆から五十七兆まで、突如として補修、改修を乗せているんですね。

 さらに、二〇二〇年、二一年、今度は、これは受注統計ですが、調査票に回答してくれない事業所があるんです。それが大体三割ぐらいある。その三割の事業所の数字を、回答していないのに回答したものと擬制し、三割数字を積み増す統計操作をやっているんですよ、二一年。このときに、受注統計は五十四兆から六十七兆、一気に二四%増えているんです。

 それで、私は何を問題にしたいかというと、これは、それぞれに理屈があることは認めます。しかし、統計は、やれ正確性を期せ、精度を高めろというかけ声の下に、三年前にさんざんこの議論をしましたが、統計に政治あるいは行政の手が当然入るわけですね。それで、連続性が失われるんですよ。連続性が断絶されるんです。もう比較のしようがなくなる。

 統計にとって重要なのは、正確性も精度もそうでしょうが、統計にとっての命は連続性なんです。これは、例えて言うと、人が毎日体重計に乗り、血圧を測り、心拍数を数えているようなことに類する話です。民のかまどが本当に暖まっているかどうかは、この推移を見ないと分からない。しかし、ある日突然、いい数字が欲しいから、体重計に乗るときには下着も着けろ、セーターも着たままでいい、上着も羽織れ、コートも着用だ、ついでにマフラーも手袋もだとやることで、いや、それは人前に出るときはふだんそうだからという理屈なんでしょうが、人体の繊細な変化を追えなくなるんですね。

 しかも、この大幅に統計を触ったときに、旧方式で例えば十年、接続統計を別途作成し、経年変化を追って、統計変更の説明責任、影響についての説明責任を果たしますならまだ分かる。それも不可能な形で断絶してきたのが、第二次安倍政権以降の統計操作なんですよ。

 総理、こういうことが背景にあるから、疑いの目を持って見られる。ちょっとお願いします。統計手法を変えたときは、せめて前後十年、旧方式による接続統計を別途作成し、経年変化を正確に追えるように説明責任を果たしてほしいと思いますが、その点、答弁を求めたいと思います。

斉藤国務大臣 まず、建設総合統計についてお話をさせていただきます。

 まさに今……(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、国交大臣の担当だけ言ってください、担当の部分だけ。今の接続の話。その後、内閣総理大臣。

斉藤国務大臣 はい。

 建設総合統計については国土交通大臣が担当しておりますので、この建設総合統計の接続性について御答弁させていただきます。

 この建設総合統計についても、先ほど委員おっしゃるとおり、接続性、連続性は極めて大事です。そのために、今回……(発言する者あり)

根本委員長 斉藤大臣、簡潔に。

斉藤国務大臣 重ねてやっております。そして、この建設総合統計は、最終的に、いわゆる……(発言する者あり)

根本委員長 簡潔に話してください。

斉藤国務大臣 はい。

 この建設総合統計、三年後にいわゆる実績値で確定をいたします。その三年間及び四年間については、このいわゆる旧来の方法と新しい方法、重ねてやって、連続性に配慮しているところでございます。

岸田内閣総理大臣 まず、統計の不適切な処理によって統計の信頼が損なわれているという点については、大変遺憾なことであると思います。

 その上で、委員の御質問でありますが、今回、国土交通省でも検証委員会の議論を行い、報告を行ったわけですが、この報告も含めて、今度は政府の統計委員会、総務省にあります統計委員会、この統計の専門家において、その報告の検証も行い、なおかつ、各府省の基幹統計について集計プロセスを点検するということになっておりますし、また、公的な統計の改善施策、ここで取りまとめるということになっています。

 委員の御質問の点についても、この統計委員会の議論においてしっかり議論をし、その成果をしっかり反映して、政府としてはこの信頼回復に努めていかなければならないと考えております。

小川委員 総理、本当に、もうちょっと、何というんですかね、御自身は何を決め、何を御指示なさるのか。嫌なこと、駄目なことは、そう言っていただいていいんですよ。しかし、これからどうなるのかが分からない、総理の答弁からは。それをもうちょっとはっきり発信いただくことに努めていただく必要があると思います。

 残りの時間で、この間、私、本会議で代表質問に立たせていただきました、そのときに十分聞き切れなかったことを二点お聞きします。

 赤木裁判で、なぜ佐川氏に、一億円の賠償金を払いますからね、これは岸田総理のポケットマネーではありません、国民の税金からです。つまり、国は責任を認めたということです。しかし、その直接間接の大きな原因になったであろう佐川氏に求償権を行使すべきだということをお尋ねしましたが、求償権があるとは考えていないと早々に即答された、その理由。

 そしてもう一点は、この質問でした。学術会議の任命拒否問題、まだ引きずっているわけですが、これは違法状態ではありませんかと聞いた。しかし、手続が終了するとお答えになった。手続の終了いかんを聞いていません。違法状態にあるのではないかと聞いています。

 この二点、明確に御答弁を求めたいと思います。

岸田内閣総理大臣 二点御質問をいただきました。

 まず一点目につきましては、国家賠償法に基づく求償については、当事者たる財務省において、国が個々の職員に対して求償権を有するとは考えていないと判断しているということを承知しています。この判断につきましては、当事者たる財務省、すなわち財務大臣にこれを御確認をいただきたいと思っております。

 そして二点目。日本学術会議の件につきまして、違法状態ではないか、この点について答えろという御質問でありますが、これにつきましては、公務員の選定、罷免権が国民固有の権利であるという考え方からしますと、国家公務員である日本学術会議の会員は内閣総理大臣が任命権者であり、学術会議の推薦どおりに任命しなければならないというわけではないと考えています。

 また、これは法律を見ましても、定年による退職等は認められているわけですから、絶えず二百十人の人数を満たしていなければならないというものではない。すなわち、会員が常に二百十人でいる状態を求めているものではないと認識をしております。

 こういったことから、違法であるという指摘は当たらないと考えている次第であります。

根本委員長 小川淳也君。必要であれば財務大臣、よろしいですか。

小川委員 財務大臣がおっしゃることは事務的にお聞きしました。佐川氏が亡くなられた赤木氏に対して、担当を外すなども含めて、財務省全体として十分な安全配慮義務を行ったという回答でした。しかし、これは、そもそもが違法な疑いの濃い命令ですから、指示ですから。

 安全配慮義務で、これはつまり、重過失はありませんというお答えでしたが、求償に値するのは重過失だけではなくて、違法、不法、不当な行為に対する故意が認められた場合も、当然これは法律上、求償の対象になります。ここは、私、よく研究する必要があると思うんですね、この点は。個人の裁判が続いていますから、なおさら。

 それから、学術会議、これも本当は徹底して議論しなきゃいけないんですが。学術会議法は、二百十名の会議員をもって組織しているという規定が七条にあります。それから、二十五条、二十六条には、内閣総理大臣は勝手に辞めさせられないという規定があるんですよ。会員から辞職の申出があったときですら、日本学術会議の同意を得なければ辞職の承認はできないという規定がある。そして、不適当な行為があったときですら、学術会議の申出に基づいてしか退職させることはできない。つまり、実質的な内閣総理大臣の任命権は、明文で拒否、否定されているということです。

 それも含めて、私は、今日いろいろお聞きしましたが、コロナ対策もそう、このアベノマスクもそう、不正統計も、あるいは、ちょっと今日、本当は改憲の議論もしたかったんですが、改憲もそう、学術会議、そして赤木裁判。結局、岸田政権は、安倍、菅前、元総理に対する忖度、この影を引きずり、その負の遺産を清算する決意と覚悟に欠け、そして、表紙を替えたおつもりでしょうが、十分に機能していない、このことが四か月たつ中で明らかになりつつあるということだと総じて受け止めています。

 我々野党としては、これからも厳しく対峙をし、お尋ねをし、そして、いずれ我々が受皿にならない限りこの根本と本質は変わらない、このことを申し上げ、午前中の質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、大串博志君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大串博志君。

大串(博)委員 立憲民主党の大串博志でございます。

 質疑に入らせていただきますが、今日は、新型コロナウイルス感染症、オミクロン株への岸田政権の対応を中心に議論させていただきたいと思います。

 今日は、北海道四区から、おおつき紅葉議員、新人の方でいらっしゃいますけれども、サポートをいただいております。

 さて、オミクロン株への対応ですけれども、午前中、小川議員からも質疑がありました。私自身も、彼がこの場で言ったように、岸田総理が、最悪を想定して備えると言ってきたこと、このこと自体が実行できていないという思いを持っています。今の現状、濃厚接触者すら追えない、陽性になった人に対して、みなし陽性という制度を入れざるを得ない、こういったことが既に、最悪を想定して対応してきたとはとても言えない。自宅療養者四十六万人、ちょっともう常道ではない状態になってきていると思います。

 今日、私が議論したいのは、それに加えて、第六波になってからの岸田総理、岸田政権の対応も、私は、かなり後手に回ってきている、不十分になってきているというふうに思うんですね。

 特に、やはりワクチン三回目接種は私は切り札だと思います。多くの皆さんもそう思っていらっしゃると思います。

 私たちも、長妻議員が十二月の初めの予算委員会で、前倒しをすべきだと、もう十二月にも、明確に、具体的に前倒しを提案しました。一月の十七日に今国会が始まって、冒頭から、私たち、繰り返し繰り返し、前倒しを求めてきました。しかし、なかなか前倒しになっていない。今でも三回目の接種率は全人口の五%、先進国のみならず、ほかの国とも比べて最低のレベルにあります。これが大きな感染の増大、あるいは増悪される患者さんの増加につながっているんじゃないかと私は思うんですね。

 今日、総理は、このことに関して、前倒し、やっと一日百万回の三回目接種を目指すということを言われました。私が正確に聞いていますかね、二月のできるだけ早期に一日百万回、ペースアップできるように取組を強化するんだというふうに言われました。

 総理、この目標は十分高い目標だとお考えなのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 三回目のワクチン接種については、午前中も申し上げたように、二回目の接種からの間隔を空けた上で行わなければいけない等の条件の中で、二月、三月、本格的に三回目の接種が進む大変重要な時期を迎える、そういった認識の下に、一日百万回をできるだけ二月、早い時期に実現する、そういった目標を立てて、政府を挙げて取り組んでいきたいと思います。

 百万という数字が十分かという御質問でありますが、昨年も、当初百万という目標が設定されましたが、その当時は、内訳として、一回目の接種七十万、二回目の接種を三十万、合わせて百万という数字が示されていたと存じます。そして、その後、百七十万まで一日の接種回数が増えていった、こういった経緯をたどりました。

 今回は、三回目の接種、なおかつ前回の接種から六か月以上間隔が空いた方々が対象になるわけでありますから、そういった方々への接種百万という目標、決して低いものではないと思います。しかし、これは、国民の命や暮らしが懸かっているわけですから、何としてもこの目標を達成して、国民の安心につなげていきたいと考えております。

大串(博)委員 私は、率直に申し上げて、現下のオミクロン株の急速な蔓延状況からして、この目標は極めてレベルの低い目標だというふうに思います。

 今、総理は、二月のできるだけ早い時期に一日百万回を達成できるようにと言われましたけれども、できるだけ早い時期にというのはいつですか。今週ですか、来週ですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 接種の体制については、これも午前中、答弁申し上げましたが、自衛隊の大型接種会場の能力増強も行ってまいります。地方においても大型接種会場等の数を増やしていく、こうした取組を日々続けてもらっています。そして、何よりも、二月後半から職域接種が全国で始まります。そして、あわせて、今日、特にエッセンシャルワーカーと言われる方々に対する接種は特に力を入れてもらいたい、こういった指示も出させていただきました。こうした体制の中で接種回数を増やしていくということであります。

 いつまでかということでありますが、今日の指示は、二月、できるだけ早い時期に百万を達成するというものであり、こうした体制をフル稼働することによって、そして用意したワクチンを一〇〇%使ってもらうことによって、この目標は達成できるものであると確信をしております。

大串(博)委員 時間も限りがありますので、端的にどうかお答えください。

 今の答弁を前提とすると、二月のできるだけ早い時期にというのがいつなのか、総理は自信を持って答えられる時期はない、そういうことですか。

岸田内閣総理大臣 二月の後半、職域接種等も始まる、その中で達成できる数字であると考えております。

大串(博)委員 二月の後半に職域接種が始まることも含めて達成できる数字であるとすると、二月の後半になれば百万回達成できる、そういうことですか。

岸田内閣総理大臣 今日申し上げているのは、二月、できるだけ早い時期にと申し上げております。そして、体制については、今申し上げたとおりであります。この体制がしっかり稼働することによって、二月後半、百万の目標を達成できると考えております。

大串(博)委員 これは著しくレベルの低い目標ですよ。

 パネルを見ていただきたいと思います。これは厚生労働省からいただいた資料です。これはもう皆さんよく御存じの資料です。先週、奥野議員もこれを使われていました。

 これは、総理の方で、前倒しの日程をもう発表されています。医療従事者、そして施設等に入っていらっしゃる高齢者の皆さんは六か月間隔、そして、一般の高齢者の皆さんは七か月間隔に前倒してやっていこうと。更に言うと、四月からは、六か月も含めて前倒していきましょう、こういうふうな方針を示されていますね。それを当てはめていくと、ここに書かれているような接種者に機械的になっていく、自動的になっていく、こういうもの。

 つまり、去年の四月、五月、六月、七月と全国で接種されている方々がいらっしゃいます。それがシステムに、誰が、いつ、どれだけの接種をされたかというのは残っています。それを、先ほど申し上げたように、例えば一般の高齢者の方々だったら七か月間隔とおっしゃっていますから、七か月間隔で打てるとして、どこにどれだけの方が入っていらっしゃるかということを書いたものです。

 例えば、個人的なことを申すと、私の父親は六月の半ばに二回目を打たせていただきました。とすると、七か月後に打てるとすると、一月の高齢者、三百四十三万のところにその人はカウントされている、こういうことです。

 これを見ていただきますと、一月、二月と来まして、二月の、私、赤い星印をつけているところがあります。三千七百四十六万人。これは何かと申しますと、まさに総理が二月の後半とおっしゃいました。二月の末、これはどういうタイミングかというと、菅総理が当時、七月の末までに高齢者の皆さんの接種を終わらせるぞ、こういう、非常に大号令をかけてやられました。七月の末には、確かに八割近い高齢者の方々が二割接種、実際終わられたという経緯があります。すなわち、そこまで、七月の末に終わられた方が、ちょうど七か月たつと、二月の末までに、きちんと七か月間隔で打っていただければ終わっていただける、そういう数字です。

 すなわち、岸田総理が言われたように、一般高齢者の皆さんが七か月間隔でしっかり打っていただける体制さえ整えば、二月の末には三千七百四十六万人の方々が、高齢者を中心として、三回目接種を終えられるわけです。

 今、二月の七日です。ここのところまでの接種人数は、三回目、六百万人しかいらっしゃいません。この三千七百四十六万人と三千万人以上の違いがあります。

 そこで、岸田総理は先ほど、一日百万回という目標を言い出され、それを二月の末から達成できるようにしようと。岸田総理の、一日百万回、一日百万人分ですね、一日百万人分を打てるという体制を二月の後半にはできるようにしようというふうに言われたんですけれども、その接種回数を具体化すると、岸田総理、この三千七百四十六万人に対して、この方々がみんな七か月で打てるようになっているんですよ、本当は。この方々のうち、どれだけの方々が二月中に打てるんですか。お示しください。

後藤国務大臣 今、各自治体が接種券を送ったり会場をセットしたりということで、この表でいえば、高齢者の部分について、二月の希望者について、九七%の自治体が、二月中に打ち終わりますという回答をいただいております。その努力目標に向かって、厚生労働省、政府もみんな挙げて努力いたしておるわけですが、各自治体も本当に努力をいただいているところであります。そういう現状を御理解いただきたいと思います。

大串(博)委員 今、各自治体に聞いたら、希望する方々の九七%の方々が二月末までに接種を終えるということだと聞いているというふうに厚労大臣から話がありました……(後藤国務大臣「自治体の」と呼ぶ)自治体の九七%の方々が、二月末までに希望する人を終えられるという報告をしてくれているということを厚労大臣が言われました。先週もその答弁をされましたけれども、総理、資料をお届けしておりますので、見てください。九七%の自治体が、二月末までに接種を終えられる、希望する方々にと言っている。

 どういう根拠でそれを言われているのかなと思って資料を調べてみたら、一月十七日に事務連絡が出ているんですね。自治体の方々に、回答してください、希望する二月末までの対象者に対する追加接種の二月末までの終了見込みをマル・バツで教えてくださいと。マル・バツです。希望する二月末までの対象者に対する追加接種の二月末までの終了見込みに関してマル・バツで答えてください。マル・バツで答えてきた結果、九七%の自治体がマルと書いてきた、そういうことですね。

 総務大臣にお尋ねしますけれども、この希望する二月末までの対象者、ここですね。今、ワクチンに関しては、いろいろなことが、皆さんの思いがあります。先ほど自民党の方からの質疑の中でもありました。副反応が怖いからちょっと様子を見てから打とうかなと言われる方が三割、四割いらっしゃる、こういう状況です。本当に希望していただけるのか、こういう問題があります。更に言うと、交互接種をしていただかなければならないという状況もあります。

 総務大臣にお尋ねしますけれども、この希望する二月末までの対象者というのは、ワクチンを打とうかなと考えていらっしゃる、調査によると、大体三割から四割の方々が、副反応が怖いからちょっと控えようかなと言われている、この方々もちゃんと二月末までに打っていただけるという意味での希望者という理解でよろしいですか。

金子(恭)国務大臣 大串委員にお答え申し上げます。

 今お話があったように、総務省と厚生労働省が共同で実施しております調査において、これまでに示されている追加接種の前倒しの方針に沿って、各市区町村において希望する二月末までの対象者への接種が二月末までに終了する見込みとなるかを各都道府県に確認いただいております。

 その際、希望する二月末までの対象者については、各市区町村におきまして、住民の反応あるいは医療関係者等関係者との調整状況など、個々の事情を踏まえて適切に見込んでいただき、その上で必要な接種体制を確保できている場合には接種終了見込みとして御回答いただいております。

 その結果、一月二十七日時点で、全国の九七%の市区町村から、二月末までに終了見込みであるとの回答をいただいたものであります。

大串(博)委員 交互接種に関して、慎重論があるんですね。全国でいうと、一回目、二回目、ファイザー製を打った人たちは八五%です。モデルナを打った方は一五%。それだけ差があるんですよ。ところが、二月末までに、今、二月末までと言われました、二月末までに、政府が配ったワクチンの数は、大体モデルナが六割なんです。ファイザーが四割なんです。

 ということは、人口の四割ぐらいの方々がファイザーからモデルナに乗り換えていただかないと、モデルナでいいよと希望していただいて接種してもらわないと、二月までには希望した人が接種するということにならないんです。

 総務大臣にお尋ねしますけれども、人口四割の方々がファイザーじゃなくてモデルナでいいという希望をするという前提での調査になっていますか。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 対象者につきましては、それぞれ各市区町村において個別の事情を踏まえておられますので、そのことについては、お答えははっきりとできません。

大串(博)委員 総理、これなんですよ。希望する人たちが打てるという答えをマル・バツでもらわれただけなんです。希望する内容自体が、人口四割ぐらいの方々がファイザーからモデルナに乗り換えていただかなければならないにもかかわらず、そういうことは確認しないで、単に聞いているだけなんです。こんな調査は調査じゃないですよ。こんな調査をベースに答弁されても、全く意味はありません。

 総理、お尋ねします、いま一度。

 総理は、本当に高齢者の皆さんに七か月間隔でちゃんと接種を速やかにしていただきたいと思っていらっしゃると私は思います。その上で、百万回と言われた。二月の後半から百万回が始まると言われた。本当に七か月間隔で打っていただければ三千七百四十六万人の方々が打っていただける。この方々のうち、どれだけの方を二月中に打っていただきたいなと総理は思っていらっしゃるんですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の方々については、ワクチンを用意し、接種体制を整え、そして、委員御指摘のように、しっかりと希望していただき、接種を受けていただく、これがそろわなければなりません。まず、それをしっかりそろえるべく、広報等においても政府としてしっかり働きかけを行っていきたいと考えております。

 そして、自治体に対しましては、このワクチン、余力があるならば、接種券の発送をできるだけ前倒しをし、そして、より多くの方々に、より早く接種をお願いするということであります。

 ですから、御指摘の数字に加えて、接種券が届いた方々にはできるだけ早く前倒しで接種をお願いするわけでありますから、二月の数字というのは、そういったものも含めて、先ほど申し上げた職域接種等も含めて、しっかりと積み上げていきたいと考えております。

大串(博)委員 いや、私がお尋ねしているのは、二月の三千七百四十六万人、本当に七か月間隔で打っていただければこれだけの方々が打っていただけるんです。物も届けていらっしゃるじゃないですか、自治体には。だから、本当にきちんとした体制さえ取れば三千七百四十六万人の方々が二月末までに打てるんですよ。

 しかし、今、六百万人です。今、二月七日、あと二十日間しか二月はありません。後半からしか百万人にならないとおっしゃった。ざっと計算すると、二千万人に行かないんじゃないですか、二月中に。

 どのくらいまで、三千七百四十六万人に対して、二月中に接種させたいと思っていらっしゃるんですか。答えてください。今、オミクロン、非常に盛っているんですよ。今やらなきゃいけないんですよ。答えてくださいよ。どれだけ、三千七百四十六万のうちに、二月中、接種したいと思っていらっしゃるんですか。自分の言ったことをどれだけ達成したいと思っていらっしゃるんですか。お答えください。

後藤国務大臣 そういう意味で、本当に政府としては、高齢者の皆さん、また、ちょっとでも余裕があれば、多くの皆さんに打っていただきたいというふうに思っております。

岸田内閣総理大臣 御指摘の三千七百万の方々については、御指摘のように、希望、手を挙げていただく、こういった部分もありますので、その点を加味した上での数字を考えなければいけませんが、先ほども申し上げたように、これは接種券の発送の前倒しをお願いしています。一般の方も含めて前倒しをできるだけお願いいたしますので、先ほど言いました二月の数字というのは、それらを全部合わせた数字ということになります。

 御指摘の三千七百万人の中でもできるだけ多くの方に接種をお願いいたしますが、それと加えて、二月における数字、しっかり積み上げていきたいということを申し上げております。

大串(博)委員 目標はないんですか。三千七百四十六万のうち、これは七か月たてば接種してほしいんでしょう、総理。一刻も早く国民の皆さんに、高齢者の皆さんは七か月間隔では接種してほしいんでしょう。だったら、三千七百四十六万人の方々が、政府がちゃんとすれば、二月中に接種できる間隔をお持ちになるんですよ。

 これだけの方のうち、幾ら、どれだけ接種していただきたいんですか。そのめどを持っていないと、責任ある立場にならないじゃないですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 三千七百万人のうち、どれだけの方に接種いただけるか、これは、再三指摘されているように、希望者を対象にしているわけでありますから、できるだけ、政府としても、安全性、有効性をしっかりとPRする中で、多くの方々に接種をお願いしていく、こうした努力が必要となってきます。

 そして、二月中、一日百万を目指すという数字については、この御指摘の三千七百万人の方も含めて、できるだけ前倒しをお願いしているわけですから、接種券が届いたならば、是非、できるだけ多くの方々に接種を受けてもらう、そういった数字も全部合わせて一日百万以上を目指すということを申し上げているわけであります。

大串(博)委員 残念ですね。極めて私はレベルの低い目標だと申し上げているのはここなんです。百万回というのも二月の後半から。一体いつになったら百万回になるのかも分からない。しかも、本当だったら、三千七百万人以上の方々が二月中に打てるのにもかかわらず、そこにどれだけの人が本当に打ってもらえるかの目標もない。

 総理、一日百万回を目標とするだけでは、私は目標として足りないと思うんですよ。菅総理のときもそうでした。いつまでにどれだけ打っていただくという目標があって初めて、目標として成り立つんですよ。

 菅総理は、五月の頭に、一日百万回打つんだと号令をかけられました。そして、そのときには、七月の末に高齢者の皆さんの接種を終わらせる、そういう目標でいらっしゃいました。それはそれで整合していたんですよ。一日百万回打って、そこから二か月半ですから、一回目、二回目を打っていただくと、ちょうど三千二百万人の高齢者の皆さんが七月の末に確かに打てるようになる、そういう整合的な目標を掲げられたんですよ。だから、一日百万人、大丈夫かなと思ったけれども、その目標かと理解できた。

 しかし、岸田総理の一日百万回の目標は意味を成さないんですよ。一日百万回、まず、いつ始まるか分からない。二月の後半に始まったところで、七か月間隔で打てる人がいつ本当に打てるのかも分からない。そんな目標を立てたって意味ないじゃないですか。

 いつまでに三千七百四十六万人打てるのか、是非その目標を示していただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど来、昨年との比較を再三おっしゃいますが、昨年については、先ほども申し上げたように、一回目、二回目の接種、併せて行うということで接種回数について目標を定めてきました。

 今回は、二回目の接種との間隔も考えた上で三回目を行わなければいけない。条件が違うということもしっかり踏まえた上で、今、現状の条件の中で一日百万以上を目指そうということを申し上げているわけであります。こうした限られた条件の中で回数を増やしていく上で、一つ大きな目安、目標と言えるのではないかと我々は思っています。

大串(博)委員 一回目、二回目を四、五、六、七月で打っていたということは、実は比較にはならないんです。

 というのは、もう、七か月前に打っていらっしゃった方がこれだけ既にいらっしゃるんですよ。この三千七百四十六万人の方々は、もう既に打てるところに来ていらっしゃるんです。

 なおかつ、前回、五月、六月、七月と接種が進むにつれて、一日百七十万回ぐらい、最大で打っているんですよ。ということは、自治体の皆さんの側の対応も、しっかり政府とコラボをすれば、一日百七十万回ぐらい打てるような体制だって組めるはずなんです。そこを目指さない。そこを目指さないで、二月の後半には百万回、この低い目標を立ててやろうとしているところが、非常に切迫感のない、このオミクロン株の蔓延に対して、私は国のトップとして責任感を欠くんじゃないかという気がしてならないんです。

 この百万回を達成するのだって、簡単なことじゃないと思います。自治体の皆さんとよく連携しなきゃならないと思うんですけれども、昨日、河野太郎さん、おとといかな、ツイッターで、堀内ワクチン担当大臣を擁護されたということの記事を見ました。堀内さんのときと自分のときとはちょっと体制が違うんだということを言われていた。

 その中で、私、気になった情報があるんです。都道府県とのリエゾンチームが解散されたと。都道府県とのリエゾンチーム、自治体サポートチームですね。厚生労働省の中に、全自治体から最大で五十人以上集まっていらっしゃいました。四十七都道府県、そして政令都市からも集められて、五十人以上集められて、自治体と綿密に連携されていたんですよ。

 ところが、聞いてみると、その自治体サポートチーム、それによってあの百何十万回が達成されたにもかかわらず、今は、自治体サポートセンター、自治体から来られている方はゼロだというんですよ。解散しているんですよ、実際。これは誰が決定したんですか。

後藤国務大臣 今御指摘のありました厚生労働省の予防接種室のリエゾンチームでございますが、昨年二月から、御指摘のとおり、順次拡大されまして、最大時で五十二名の派遣がありました。その業務は、疑義照会等の業務に当たっておりましたが、一、二回目接種について一定のめどが立った昨年九月末で終了し、十月からは、十二月までは輪番制、十二月で一応終了しております。

 参考までに申し上げておきますと、当時、リエゾンチームが活動していた頃は、一日で二百問を超える問合せがありました。現在は、二十問程度に質問はなっているという状況でございます。そして、その業務は、厚生労働省の職員が、現在、十三名を配置して行っております。

大串(博)委員 問合せが少ないということは、自治体の皆さんと連携していないからなんですよ。自治体の皆さんにしっかりお願いしていないからなんですよ。自治体の皆さんに対して、これをお願いしますということを、本当に自治体の皆さんも御苦労されていると思いますけれども、それだけ強い決意を持って総理がやっていないからなんですよ。ゼロですよ、今、自治体から来られている方々。そんな体制で加速なんかできるわけがないじゃないですか。

 私は、この三回目の接種の遅れは、岸田政権にとって致命的なミスだと思いますよ。これだけオミクロン株が蔓延しているときに、いまだにこんなにずるずる遅れている。是非、総理には、いつまでに何万人の方々が打ち終える、いつまでに高齢者の方々が打ち終える、そういう目標を立てていただきたいと私は思います。それで初めて意味のある目標だと言えると思います。

 さて、岸田政権のオミクロン株対応に対する力が十分入っていない点として、もう一つ、米軍の問題があります。

 先週も取り上げてもらいましたけれども、源馬委員からですね。九月三日に、米軍が、私たちの知らないところで、日本に入国してくる米軍関係者の入国前検査、これは必要なんですね。PCR検査、必要なんです。にもかかわらず、米軍が勝手にやめていた。その結果も受けて、私はそれは大いに原因としてあると思いますが、十二月半ばにキャンプ・ハンセン、大クラスターが起こりました。その後、沖縄で大蔓延が起こりました。昨日、さきおとといぐらいの段階で、沖縄の感染者数はもう一万人ですよ、軍人軍属で一万人。そこまで至っている。

 それだけの大きな問題を起こした発端に関して、米軍司令部は、日本には伝えていたよと言っている。日本はそれを聞き落としていたのかという問題に対して、外務大臣は、メールで、日本としては米軍から通知を受けたという認識を持っていないということをメールで言ったと。これに対して返答が来ていますね。どういう返答でしたか、外務大臣。

林国務大臣 実務レベルでやり取りを行った結果、在日米軍からは、在日米軍として新型コロナ対策に関して日本側と緊密に連携する中、出国前検査の免除について外務省に通知していたとの認識であるとの説明がありましたが、これに対し、日本側としてはそのような認識は持っていなかった旨、改めて明確にしたところでございます。

 その上で、両者の認識にそごがあったことを踏まえて、今後はそうした状況が生じないように、検疫・保健分科委員会の場を含めて、より一層緊密に連携していくことで米側と一致したものと承知しております。

大串(博)委員 これは、認識のそごがありましたで済ませていいんですか。極めて大きなことですよ。

 九月三日に米軍が日本入国前検査をやめて、私たちは知りませんでした、そう思っています、にもかかわらず、米軍はそれを伝えていたよと。結果としてこれが、沖縄における、あるいは山口における、広島における、大きな感染の元になっている可能性がある。

 にもかかわらず、米軍は、日本に伝えましたよ、外務省は、聞いていませんよ、認識のそごがありました、その一言で済ませていいんですか。どのような認識のそごがあったんですか。お話しください。

林国務大臣 メールでの申入れということをいたして、やり取りがあったことでございますが、米側とのやり取りそのものは、外交上のやり取りであることから公開は差し控えたいと思いますが、説明責任を果たす観点から、その内容について、先ほど私から可能な限り答弁させていただいたものでございます。

大串(博)委員 これは、外交上のやり取りと片づけられる問題ではありません。これから何かを交渉するとか、そういうものじゃない。過去起こったことを検証しようということなんです。そして、これだけオミクロンで塗炭の苦しみにあえぐ国民の皆さんに対しても説明責任があるんじゃないですか。それを考えると、認識のそごで片づけるのは、私は甘いと思いますよ。

 委員長、これは、認識のそごが何であったか、紙で委員会に出してもらうように、これは済まないですよ、理事会で取り扱いください。

根本委員長 理事会で協議します。

大串(博)委員 外務大臣、先週金曜日の閣議後記者会見で、その後、こうおっしゃっていますね。こうした認識のそごが生じたのは、米側の措置との整合性を確保する外務省の取組に不十分な点があったということは否定できず、真摯に受け止めているところでございますとおっしゃっていますね。すなわち、認識のそごが生じたことに対して、外務省の取組に不十分な点があったとおっしゃっているわけです。

 これは、外務省が米軍が言ってきたことを見落としたということなんじゃないですか。

林国務大臣 これは、外務省の側にも、今お話をしていただいたように、不十分な点があったということは率直に認めた上で、先ほど申し上げましたように、検疫・保健分科委員会の場を含めて、今後、一層緊密に連携していくことで米側と一致をしたところでございます。

大串(博)委員 分科会に逃げ込まないでください。何でも、何か問題があると合同委員会で話します、分科会で話します。逃げ込まないでください。説明責任、ありますよ。

 外務省に、取組に不十分な点があった、これは外務省が見落としていたということじゃないですか。明確に答えてくださいよ。

林国務大臣 この不十分だった点ということでございますが、まず、出国前検査が、昨年九月三日以降、私のレベルを含めた申入れによって昨年十二月二十六日に再開されるまでの間実施されていなかったこと、また、第二に、入国後の待機期間に関して、日本国内では、昨年十月一日から実施していた十日間への期間短縮措置について、オミクロン株の流行を踏まえて十一月三十日をもって終了し、従前の十四日間に戻したのに対し、米側は、日本国内と同じく昨年十月一日から行動制限期間を十日間に短縮したものの、十四日間に戻したのは十二月二十日であった、こういうことでございます。

大串(博)委員 大臣は、金曜日、こう言っているんですよ。こうした認識のそごが生じたのは、外務省の取組が不十分な点があったと。この認識のそご、この原因が、外務省の取組が不十分だったということを言っているんですよ。全然違うことを言わないでくださいよ。

 外務省の取組が不十分であったこと、これは何を意味するのか、これも紙で理事会に提出していただくようお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

大串(博)委員 外務大臣、お答えください。

 それと、米軍の方々が日本に入国する際の検査、抗原定性検査、これは、今、日本は許していません。日本人の方が海外から日本に入ってくるときに、抗原定性検査の検査結果ですと持ってきても、それは検査結果通知書としては受け取ってもらえません。今、米軍の方々は、抗原定性検査を使って検査結果として入国されている可能性はないと、外務大臣、断言できますか。

林国務大臣 出入国時の検査については、日本側からの強い申入れを踏まえて、在日米軍は、出国前七十二時間以内の検査を再開し、入国後二十四時間以内の検査を実施することといたしました。

 その上で、検査の種類に関してでございますが、在日米軍の出国前検査及び入国後検査においては、PCR検査又は抗原検査が実施されていると承知しております。

 このうち抗原検査の場合については、より一層日本側の措置と整合的となるよう、抗原定量検査を実施するよう米側に説明、申入れを行ってきたところ、在日米軍からは、PCR検査又は抗原検査を採用しているのは米国疾病予防管理センター、CDC及び米国防省の指針にのっとったものである、また、いずれの指針においても抗原検査は抗原定性検査のみとなっているとの回答があったところでございます。

 こうした回答も踏まえまして、今般設置した検疫・保健分科委員会におきまして、日米双方の保健当局も参加する形で更に議論を深めていく考えでございます。

大串(博)委員 ほら、抗原定性検査なんでしょう。穴が空いているじゃないですか。大穴が空いているじゃないですか。

 厚労省の文書です。抗原定性検査とは、無症状者に対する確定診断としての使用は推奨されませんと。つまり、症状がない人にはこれは効かないんですね、検知できないんですよ。だから、これは使えないんですよ。そういったものをいまだに使っている。大穴が空いているじゃないですか。これを許している総理の責任、大きいですよ。

 先般、日米首脳オンライン会議、やられました。その際に、両首脳は、在日米軍施設・区域及びその周辺における日米の取組の調整を進め、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために引き続き緊密に協力することで一致しましたと外務省の報告にあります。

 総理は、バイデン大統領に、何であんなことが起こったんだ、やめてくれ、絶対にあんなことがないようにしてくれと、抗議、遺憾の意、しっかり日本の首相として示していただけたんでしょうね。お答えください。

岸田内閣総理大臣 日米の間において、こうした地元の住民の皆さんの安心、安全に関わる問題、これは大変重要な課題であるという認識の下にしっかりと協力をしていく、こういったことを確認した次第であります。

 御指摘の点についても、そもそも日米の間の対応、検査ということについても、米国側は、出国前、そして入国後、そして入国後五日以上、三回の検査を行っている。我が国の検疫においては、三日、六日。それぞれの体制で検査を行っている。

 そして、検査において、今御指摘のように、抗原定量検査、抗原定性検査、この違いはあるわけでありますが、一方で、米軍側は外出禁止等の制限をしている等、それぞれ具体的には違いはあるけれども、共に、大きな方向性においては整合性を保って、安心を確保しようということを申し上げているわけであります。

 こうした形で、日米の間でしっかり連携を図りながら、地元の安心、安全のために努力をしていく、これを確認している次第であります。

大串(博)委員 かくのごとく、岸田政権のオミクロン株対応は極めて手ぬるいということを申し上げて、質疑を終わります。

根本委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 今日は、福島二区の馬場雄基さんにお手伝いをいただいております。

 早速コロナについて聞きたいと思いますが、まず、抗原検査キットについて伺いたいと思います。

 私の地元神奈川でもそうなんですが、抗原検査キット、大変品薄というか、マーケットにないような状態になっておりまして、医療機関での検査すらできず、発熱外来を閉めるといった事態が発生しておりまして、重症患者ベッドの方での医療崩壊というよりは、もっと入口のところでの、コロナ以外の病気の方も含めた医療崩壊が起きているという状況にあることから、この原因となっている、PCRもそうなんですが、特に抗原検査キットについて、まず厚労大臣に伺います。

 総理が、まず、答弁で、一月二十五日の我々立憲民主党の山井議員への総理の答弁で、現実においては目詰まり等が生じているケースがあるということは承知している、これは総理が答弁されていますが、この抗原検査の目詰まり、厚労大臣、どこで起きているんでしょうか。

後藤国務大臣 抗原定性検査キットについては、最近の急激な感染拡大によりまして、需要が急速に伸びております。

 薬局等における一般販売分で大量の発注があったこともありまして、地域によって一時的に供給不足が生じ、その地域の医療機関等において入手しづらい状況が生じているというふうに認識をしておりまして、そうしたことを目詰まりというふうに考えているということでございます。

後藤(祐)委員 薬局で大量の販売、これは、薬局はそういう自由がありますから、それはそれで薬局の自由ですよね。

 薬局では幾らで売ってもいいんですよ、抗原検査キット。ところが、お医者さんにおいては、診療報酬改定が行われて、今年の、十二月三十一日から、抗原定性検査については六千円から三千円に診療報酬が切り下げられているんです。三千円しか、お医者さんは収入がないわけですよ。そうすると、お医者さんは、この抗原検査キット、三千円以下で仕入れるしかないですよね。一方で、薬局では幾らで売ってもいいわけですよ。

 十二月三十一日に、こんなタイミングで、オミクロンが広がってくるのが分かっているタイミングで診療報酬を切り下げたのは、厚労大臣、大問題じゃないですか。

後藤国務大臣 今、こうした事態に対応しまして、対応策といたしましては、国が買取りを保証して、当面一日八十万回分までの増産、これは輸入も含めてですけれども、これを要請しております。先週一週間では、四百九十万回相当分程度が生産、輸入をされております。

 それから、医療機関向けはもとより、有症状者に対する行政検査、濃厚接触者で社会機能維持者である方の待機期間短縮のための検査、現在自治体が行っている無料検査の継続のために必要なキット等については優先的に配分をするということで、当分の間……(後藤(祐)委員「診療報酬」と呼ぶ)優先づけと供給のコントロールも行うことといたしております。

根本委員長 じゃ、後藤厚労大臣、診療報酬。

後藤国務大臣 診療報酬につきましては、そのときの時価に応じ、そしてまた、資源配分とかいろいろなことを総合的に勘案して診療報酬の改定等は行われております。

後藤(祐)委員 厚労省の基準でも、まず医療機関が優先という順位を決めているじゃないですか。だけれども、医療機関は三千円でしか抗原検査キットで検査できないんですよ。薬局は幾らで売ってもいいんですよ。全然答えになっていないじゃないですか。

 今、製造のところについてのお話をるるされていたけれども、これは製造の方は一生懸命やってもらう必要がある。だけれども、ディマンドの方を、需要の方をコントロールしないと、これはお医者さんにキットが行かないですよ。

 総理に聞きます。

 二年前を思い出してください。マスクが足りなくなりました。このときに、国民生活安定緊急措置法というのを発動して、買い占めちゃ駄目ですよ、高値で転売しちゃ駄目ですよというのをやりました。これ、今やるべきじゃないですか。お医者さんに抗原検査キットがちゃんと行くように、ちゃんと契約をして、契約不履行は駄目だと思いますよ、これまでの契約している分が薬局に行く、それは必要なことだと思いますけれども、これから先の話かもしれませんが、どこかでためちゃっている人はちゃんと吐き出してください、あと、この標準価格以上で売っちゃ駄目ですよというようなことをまさに今発動すべきときじゃありませんか。

 この国民生活安定緊急措置法を抗原検査キットに適用すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 国民生活安定緊急措置法を今回のケースに当てはめるべきではないか、こういった御質問でありますが、この措置法の適用に当たっては、価格の著しい上昇、あるいは買占め、そして売惜しみ、こうしたおそれのある事態といった要件が求められています。それに該当する必要があるわけでありますが、今回の検査キットのケースに当たっては、これはこういった要件に該当する状況にはないと認識をしています。

 先ほど検査キットについて厚労大臣の方から生産については申し上げましたが、流通ということで申し上げるならば、卸あるいはメーカーに対して、必要なところに検査キットをしっかり届ける体制と優先順位というものを考えてもらって取組をしてもらっています。まずは医療機関、二番目は症状のある行政検査、三番目としてエッセンシャルワーカー、そして四番目として自治体が行っている無料検査、この四つを優先に考えてもらってキットを優先的に配付する、こういった取組をお願いしています。

 こういったことによって、必要なところには必要なキットを届けるような体制をつくっているというのが現状であります。

後藤(祐)委員 現実にその優先順位を決めて、一番、医療機関、当たり前ですよ。目詰まりが発生して、それで直っていないから言っているんですよ。手段があるんですから、使ったらいいじゃないですか。実際にどこかには、県によってもこれは随分違うみたいなんですよ、卸の方なんかに聞きますと。神奈川県なんか一番逼迫している方だと思いますよ。これは、これだけ緊急事態のときに、何でツールがあるのにやらないのか。これは後でまた検証させていただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと順番を変えまして、今日は北方領土の日でございますので、北方領土についてお聞きしたいと思いますが、これは総理に伺いたいと思います。

 今なお北方領土問題が解決されておらず、元島民の方、八十六歳以上、平均でなってしまっているというのは大変問題だというふうに思いますが、先ほど総理も、北方領土返還要求全国大会、出席されてきたと伺っておりますけれども、その中で、私も聞いておったんですが、二〇一八年のシンガポールでの首脳会談でのやり取りを踏まえ、粘り強く交渉していくという発言をされておられますが、この二〇一八年のシンガポールでの首脳会談というのは、安倍総理が二島返還でいいという軸に変えてしまった交渉ですよ。

 岸田総理は、安倍総理のこの北方領土交渉をどう総括しているんですか。

岸田内閣総理大臣 シンガポール合意に対する評価の御質問ですが、二〇一八年、シンガポールにおいて、ロシアとの平和条約交渉における安倍総理とプーチン大統領の間で行われた重要な合意であると認識をしています。

 その合意も含めて、これまでの我が国の二国間における諸合意、こうしたものを踏まえ、そしてその後の両国間の交渉の立場もしっかり引き継ぎながら、政府としては、北方領土問題に引き続き取り組んでいきたいと考えております。

後藤(祐)委員 この二〇一八年のシンガポールと言っているうちは、結局、二島返還でよしというスタンスが変わらないということを意味しているんだということについては、北海道新聞でもこれは明らかになっていますので、是非、岸田総理、安倍総理の呪縛から逃れましょうよ、やり直しましょうよ。この延長線上でやって、本当にこの国にとっていいことになっていくんですか。極めて疑問だと思いますよ。

 今、首脳間での、プーチン大統領との間での北方領土交渉、どんな状況ですか。

岸田内閣総理大臣 私も、就任しましてから間もなく、プーチン大統領との間で日ロ首脳電話会談を行いました。引き続き、平和条約問題を始め、両国間における様々な課題について取り組んでいく、こうしたことを確認した次第であります。

後藤(祐)委員 そこで秘書官が出てくること自体、北方領土交渉についてやる気はあるんですか。就任してすぐ電話会談したきりじゃないですか。

 一方で、ウクライナが非常に危ない状況になってきておりますけれども、これは二〇一四年に一度、ウクライナについては物すごい危機な状況になりました。このときもロシアに対する経済制裁の話があって、このときは、北方領土交渉もありましたので、そこを恐らく配慮してだと思いますが、欧米が行っているような経済制裁よりは一歩引いたような形で、日本は少し軽い制裁にとどめたというふうに記憶しております。

 今回、バイデン大統領とも、経済制裁をやるときはよろしくと恐らくオンライン会談で言われていると思うんですけれども、欧米がロシアに対して厳しい経済制裁をやるときには、日本はどう対応するんですか。厳しくいくんですか、それとも、前回のように少し引いた形でやるんですか。

岸田内閣総理大臣 ウクライナ情勢については、今緊迫した情勢にあると認識しておりますが、仮定の御質問に答えることは控えなければならないと思いますが、基本的に、G7を始めとする国際社会との連携、これを大事にしながら、適切に判断していきたいと思います。

 当然のことながら、我が国の国益をしっかり考えた上で、G7諸国との連携を考え、対応を考えていきたいと思っております。

後藤(祐)委員 ここのスタンスは問われると思いますので、特に、LNGをヨーロッパ、EUに対して融通してはどうかという、これはロシアとの関係でもそれほど問題がないのではないかと思いますので、比較的積極的に取り組んでもいい話じゃないかなと思いますし、是非、ここは目を離さずに、ウクライナの主権の一体性、これを尊重しながら進めていただきたいと思います。

 続きまして、トリガー条項、油の値段の話について行きたいと思いますが、現在も大寒波で北陸などを中心に大変な大雪ということで、灯油なども相当な需要が増えているという状況です。

 また、ガソリン価格は一リットル百七十円を超えるという状況になっておりますが、現在、一リットル百七十円、ガソリンで、これを超えると最大で一リットル五円を補助する制度というのが価格激変緩和対策事業という形で行われておりまして、これによって、現在、三・四円から三・七円に少し上がって補助が行われていると伺っております。

 経産大臣にお伺いしたいと思いますが、これは最初、一月二十四日の小売価格が百七十・二円になって、三・四円補助するということを決めたんですが、それでも、一週間たって一月三十一日の小売価格は、三・四円補助されているのに、百七十・九円と少し上がりました。

 だとしたら、これはフルの五円まで補助しなきゃいけなかったんじゃないですか。あるいは、もうちょっと相場が上がっていくことを考えると、五円という上限をもっと高く、今日、一部報道もありましたけれども、十円、十五円という形で補助できるように制度を改めるべきじゃないですか、経産大臣。

萩生田国務大臣 本事業では、小売価格の上昇を抑制するため、百七十円の超過分に加えて、公表されている先物指標である日経ドバイ原油の週平均価格を活用し、値上がり見込み分も合算して支給をしております。

 今お話がありましたように、二十四日にガソリンの平均価格が百七十・二円となったため、百七十円の超過分〇・二円と、二十四日の週に上昇が見込まれる原油価格上昇分三・二円を合わせて、ガソリン、軽油、灯油、重油に、一月二十七日からそれぞれ一リットル当たり三・四円を支給しました。二月三日からについても同様に、支給の基準となる二十四日の週と比較して、百七十円の超過分と、二十四日から上昇が見込まれる原油価格の上昇分を合わせて三・七円を支給したものです。

 小売事業者においては、各ガソリンスタンドの在庫状況などによっては小売価格への反映に一、二週間ほどの時間差が生じる可能性もありますので、各店舗の皆さんには、制度趣旨を踏まえた対応をお願いしたいと思います。

 経産省としては、ガソリンスタンドへの全数調査など、しっかり小売価格の動向をフォローアップしていきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 もう五円の上限、すぐついちゃうじゃないですか。

 経産大臣、今朝の朝日新聞の報道でもありましたが、五円から十五円というような報道もありましたけれども、補助の単価をもう少し引き上げるべきじゃないですか。

萩生田国務大臣 本事業は一月二十七日から支給を開始したばかりでありまして、まずは着実に執行していきたいと思います。

 現時点で五円の上限を引き上げることは考えておりませんが、その上で、原油価格の高騰がどの程度長期化するのかも見極めながら、国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から、何が効果的な対策か、不断の検討をしっかりしてまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 更に油の価格が上がったら五円の上限をもう少し高くすることについて、否定しない答弁だと受け止めました。やるのなら早くやった方がいいと思いますよ、もう百七十五円以上になってきちゃうわけですから。

 さて、問題は四月以降なんですが、二月一日のこの予算委員会での道下議員とのやり取りをちょっと振り返りたいと思います。

 これは、経産大臣と財務大臣、二人答弁しているので、統合する意味で総理に御答弁いただきたいと思いますが、経産大臣はこう言っています。四月以降も高騰した場合は、あらゆる手段をもって国民生活を守っていかなきゃいけない、トリガーの凍結解除を絶対しないのかと言われれば、それは否定をしない、一つのツールとしては取っておくと経産大臣はおっしゃっています、財務大臣も私も言っていることは同じなんですと。財務大臣は、四月以降のことについては、これは政府全体で考えなくちゃいけないと言っております。

 総理に伺います。

 四月以降、油の値段が上がっている状況のときに、トリガー、まあ、トリガーといっても、要は、ガソリン税なんかを引き下げる形での対応というのはいろいろあると思うんですよ。というやり方も含めて、あるいは、先ほどの補助金を出すというやり方もあるかもしれません。トリガーも含めて検討するということでよろしいですか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほど経産大臣からお答えさせていただいたように、スタートしました激変緩和措置、これの効果をしっかり見ていきたいと思います。

 そして、四月以降どうかという御質問でありますが、それについては、先ほど来申し上げているように、何が効果的なのか、これを政府全体としてしっかり考えた上で、具体的な対応を考えていきたいと思っております。

後藤(祐)委員 経産大臣と財務大臣で若干意見のずれがあるかなと思いましたが、総理も、このトリガー税制、つまりガソリンの税金を引き下げる形での対策ということを選択肢としては含み得るという答弁だったと理解しますが。含み得ないんですか。含めないなら含めないと言ってください。

 総理、四月以降、トリガー税制、すなわちガソリン税を引き下げる形での価格対策は、選択肢としてあるんですか、ないんですか。

岸田内閣総理大臣 何が効果的なのか、政府全体として考えたいと思っています。

 ただ、今現在、トリガー条項について触ることは考えておりません。

後藤(祐)委員 四月以降です。ガソリン税を引き下げる形での対策の可能性はないんですか。

岸田内閣総理大臣 四月以降について、今の段階で、トリガー条項について触ることは考えておりません。

 しかし、あらゆる選択肢、何が効果的なのかをしっかり政府として考えてまいります。

後藤(祐)委員 選択肢として否定していないという答弁だと受け止めましたが、できるんですか、本当に。

 というのは、令和四年四月以降、二つ、今、選択肢がありました。

 補助金を出すやり方。補助金を出すやり方は、今年度については五百億円予算がついていて、更に言うとエネルギー特会に三百億円の予備費があって、八百億円のお金があります。ところが、この補助金を出す予算項目が令和四年度予算にはありません。予算項目がないじゃないですか。

 あるいは、ガソリン税を引き下げるトリガー条項、これはやり方を多少変えてもいいけれども、揮発油税の税収は今までどおり。つまり、税収が全部入ることを前提に予算が組まれているんですよ。

 どっちも令和四年度予算案の中に入っていないじゃないですか。組めないじゃないですか。総理、どうやってやるんですか。

萩生田国務大臣 後藤先生、これは今、様々な国際情勢を含めて、いろいろなことを前広に考えていかなきゃいけないと思っています。

 私、昨日も総理ともお話ししていることが新聞報道に出ていましたけれども、日曜日返上でいろいろな知恵を出しながらいろいろな対策をしていますので、少なくとも、御心配のようなことがないようにしていきたいと思います。

後藤(祐)委員 よく分かりませんね。昨日十二時五十五分に萩生田大臣と多田次官と保坂エネルギー庁長官が総理のところに御相談に行ったのは、総理動静にありますから私も知っていますが。

 総理、どうするんですか。これは予算に入っていないんですよ。だけれども、この令和四年度予算案を審議している今、足下のガソリン価格は百七十円を超えているんです。予算を用意しておかなきゃまずいじゃないですか。

 両方、どっちでもいいですよ。補助金をやるんだったら歳出項目に載せておく、あるいは、揮発油税を下げるんだったら、揮発油税の、ガソリン税の税収を少なく見積もっておく。どっちか予算案を修正しないと、できないじゃないですか。これは令和四年度に入ってからやるなんて駄目ですよ、今、見通しができるんだから、予算案がこれでいいかどうか審議しているのが予算委員会なんだから。

 総理、これはどっちか、あるいは両方に、予算を修正しないと、今言ったような対策はできないんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 委員の御質問は、二つ方法を挙げられて、それができるかできないかという御質問ですが、我々がお答えしているのは、四月以降、先ほど御指摘があったウクライナの情勢を始め、様々な状況が考えられます。その状況に応じて、何が効果的なのか、これをしっかり考え、方針を決めるということを申し上げています。御指摘の点だけではなくして、様々な可能性、何が効果的なのか、しっかり考えていきたいと思っています。

後藤(祐)委員 いや、答えていないですよ。

 今の時点で予見できるんだから、百七十円のままいったって困っちゃうんだから、ガソリン税の税収見込みを減らすか補助金をちゃんと設けるかどっちかしないと、予算上、お金がないじゃないですか。どっちもやらないでどうやって対策を取るつもりか、御説明ください、総理。

萩生田国務大臣 御心配いただいていることはありがたく思います。

 仮定の話ですから、現時点、この審査をしていただいている段階では、しっかり、足下、今使わせていただいている制度をきちんとやっていきたいと思います。

後藤(祐)委員 じゃ、財務大臣に聞きます。

 今の時点で予見できるんですよ。百七十円のままいったって、あるいは額が多少違ったって、どっちか必要ですから。

 財務大臣、これは補正予算を組めるんですか。補正予算というのは、予算作成後に生じた事由に基づきとあるんですよ。あるいは、予備費を使うにしても、予見し難い予算の不足に充てるためという条件があるんですよ。両方満たしていないじゃないですか。

 今の時点で予見できるんですよ。今、令和四年度予算を修正すればいいじゃないですか。お金を備えておいて、どう使うかは、実際の額を見ながら考えればいいじゃないですか。

 補正予算を組めるんですか、あるいは予備費を使えるんですか、財務大臣。

鈴木国務大臣 今の段階でそれを考えておりません。四月以降の燃料価格の状況など、現時点でまだ分からないわけでございますので、仮定に基づいてお答えすることは差し控えたいと思います。

 その上で、トリガー条項の凍結解除については、発動された場合のいろいろな買い控え等の反動、流通の混乱と併せまして、国、地方の財政への多大な影響がありますので……(後藤(祐)委員「聞いていない、聞いていない」と呼ぶ)そういうこともしっかり考えていきたいと思っています。

根本委員長 財務大臣、簡潔にお願いします。

後藤(祐)委員 財務大臣、現時点で既に百七十円です。予見できる状態にあります。予備費、使えるんですか、令和四年度になってから。財務大臣。

鈴木国務大臣 今の段階では、予備費でありますとか、ましてや補正予算などということは考えておりません。

後藤(祐)委員 予備費が使えるか使えないか、お答えください。今、リットル五円、あるいは十五円、こういった補助金のために予備費が使えるのかどうか、お答えください。

 今、だって、もう既に百七十円なんだから。それが百九十になるか百六十五になるか、それは予見できないかもしれない。だけれども、百七十円とか、かなり高いところで推移しているのは間違いないんだから。

鈴木国務大臣 百七十円から更にということは全く今の段階じゃ分かりませんので、仮定の話ではお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 つまり、予備費を使えるということですか。財政法で、予備費というのは「予見し難い予算の不足に充てるため、」とあるんですよ。そもそも、予算の項目がないんですよ、令和四年度は。一リットル五円補助するとかいう予算の項目がそもそもないんですよ。予備費、充てられるんですか。

鈴木国務大臣 何回も同じ答えでございますが、今の段階では、仮定のお話にはお答えをしかねます。

後藤(祐)委員 いや、だって、予算案を審議しているわけですよ。予備費を使っていいかどうか聞いているんです。予算案を聞いているわけだから、お答えできないというのは、これはお答えにならないですよ。

 予備費が使えないんだったら、きちんと、今回、一リットル五円みたいな予算項目をちゃんと計上すべき、令和四年度予算を修正すべきじゃないかという提案をしているんですよ。

 予備費が使えるか使えないかについて、それは答えてもらわないと困りますよ。答える義務がありますよ、財務大臣。

鈴木国務大臣 四月以降の原油価格の動向というのは、まだそれは見極めなければならない段階でありまして、今の段階で、上がることを前提にして、それに予備費を使うとか使わないとか、それは仮定の話でございますので、今の段階ではお答えできないと申し上げておるところです。

後藤(祐)委員 つまり、予備費が使えるということですか。

鈴木国務大臣 理論的には使えるということでありますけれども、しかし、それも含めまして、今の段階で、四月以降、原油価格がどう動いていくのか全く分かりませんので、それは仮定の話で、そういう財政需要が出るか出ないかということである、こういうふうに思っています。

後藤(祐)委員 「予見し難い予算の不足に充てるため、」とあるんですが、百七十円以上になることは予見し得るでしょう。しかも、そうなった場合に備えて予算を計上しておいて、実際にならなかったら使わないことは、幾らでも予算はできるんですよ。

 コロナの予算だってそうじゃないですか。コロナの予備費というのは五兆円も積んでありますけれども、それは、それだけ使う可能性があるから積んであるわけじゃないですか。この油の対策だって、百七十どころか、百九十とか二百とかにいく可能性だってあるわけですよ。

 じゃ、予備費、財務大臣、幾らあるのか知っていますか、使える予備費。

鈴木国務大臣 一般予備費は五千億円でございます。

後藤(祐)委員 予備費が五千億ぐらい、知っておいてくださいよ。

 今日、朝日新聞の記事で、リットル五円から十五円にかさ上げするというような検討をされているとありますけれども、リットル当たり十五円補助すると、私の計算だと、今年の、十二月で百十四億リットル使っているんですね、そうすると千七百億円ですよ。一か月でですよ。灯油なんかもっと使っているだろうから、一月で千五百とか千七百億円使ったら、三か月ぐらいで予備費はなくなっちゃいますよ。

 本当に予備費でやるんですか、これは。百七十円を超えるような事態が半年とか続いたら、予備費はなくなっちゃいますよ。予備費というのは、あらゆる事態を想定して、まさに予備費として取っておくんですよ。だからこそ、予算を修正して、油対策費用として積んでおくべきじゃないんですか、財務大臣。なぜそれをやらないんですか。

鈴木国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、四月以降の価格の動向、まだしっかり見極めるところまでいっておりません。

 仮定の話に対して、どれぐらい財政需要が出るか分かりませんし、そのことについて、今の段階、仮定の話にお答えすることは差し控えたいと思います。

後藤(祐)委員 もう一つ聞いておきたいと思いますが、補正予算を組むという可能性はないんですか。

 つまり、トリガーをやるとしたら、つまりガソリン税の引下げをやるとすると、ガソリン税が減収になりますから、これは補正予算を組む必要がありますよね。

 だけれども、今の時点で予見できるんですから、可能性として。これは、令和四年度関連予算として、ガソリン税の減収を予算案を修正して載っけて、関連法案として、我々が提出しているトリガー法案を修正してもいいですよ、修正協議をして、三月いっぱいで法律を通すべきなんじゃないんですか。四月になってから考えるじゃ遅いんじゃないんですか、経産大臣。

萩生田国務大臣 仮定の話についてのコメントは差し控えたいと思いますが、その上で、原油価格の高騰がどの程度長期化するのかも見極めながら、国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から、不断の検討を続けてまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 今の時点でこれだけ予見できるんですから、令和四年度になってから、やはり補正予算です、これは駄目ですよ。やはり予備費です、これは駄目ですよ。予備費はそもそも額が足りませんよ。ここで令和四年度予算を修正すべきじゃないですか。そのために、昨日、総理と相談したんじゃないんですか。

 防衛大臣に来ていただいているので防衛大臣に伺いますが、防衛省の油購入費というのが九百七十五億円計上されています。これの積算根拠、一リットル幾らですか。

岸国務大臣 防衛省本省の令和四年度予算における油購入費、正確には九百八十九億円計上しております。

 このうち、ガソリン一リットル当たりの積算単価は、御指摘のとおり、百四十円であります。この単価は、令和三年度中の契約実績を基に設定をしたところであります。

後藤(祐)委員 百四十円前提で自衛隊の、これは重油だとかほかの油もあるかもしれませんけれども、予算が組まれている。二割ぐらい今値段が上がっているわけですから、そうすると、自衛隊は二割ほど移動する距離を減らさなきゃいけないんですか、防衛大臣。どうするんですか、これは。

岸国務大臣 防衛省においては、車両や航空機、また艦艇に要する様々な燃料を大量に一括して調達をしております。

 ガソリンを含めた様々な油種の価格は一年を通じて変動することを踏まえて、一定期間の調達実績を基に積算単価を設定しているため、現時点での相場を基にした仮定の御質問にはお答えできない点を御理解いただきたいと思います。

 先ほども申しましたけれども、ガソリンの単価の設定は、令和三年度中の契約実績を基に設定したところであります。

後藤(祐)委員 これで自衛隊が二割動けなくなったら、えらいことじゃないですか。百七十円で計算し直した方がいいんじゃないですか。令和四年度予算案を、せめて百七十円で予算を組み直した方がいいんじゃないんですか。そうしないと、自衛隊ですよ、事は。

 これは、ほかもそうですよ。これは財務大臣、通告していますけれども、例えば警察もそうですよね。都道府県の警察のパトカーとかもそうですよね。あるいは、地方公共団体、市町村まで含めた、消防車とか救急車とか、みんな百四十円で、前提で組まれているんですか。だとすれば、みんな二割ぐらい縮減しろみたいな話になるんですか。

 これは、リッター百七十円という状態が続いた場合は、一体どのぐらい予算が足りなくなる計算ですか、財務大臣。

鈴木国務大臣 後藤先生から御指摘のございました、ガソリンを含め燃料に関する予算でございますが、これは、調達の時期、場所、規模それから形態等によりまして価格も変わり得ることから、政府としては一律の積算単価を設定しているわけではございません。

 また、原油価格の変動が予算に与える影響について御質問がございましたけれども、原油価格の変動は他の油種や資材等の価格にも影響し得ることから、予算に与える影響額を機械的に試算できるわけではないということは御理解をいただきたいと思います。

 なお、予算の執行におきましては、燃料価格に限らず、為替や資材価格等も年度途中に絶えず変動し得るものでありますが、執行を工夫し、効率的な予算執行に努めることが重要であると考えております。

後藤(祐)委員 これは、十二月に令和四年度予算案を閣議決定するときに、総理、百四十円前提で組んでいること自体、間違っていますよ。これは、恐らく、八月の段階の概算要求の数字をそのまま持ってきているんでしょう。

 総理、これは、令和四年度予算をせめてリッター百七十円前提で作り変えるべきじゃないですか、総理。

鈴木国務大臣 予算積算は、予算額を適正に見込むためのものでありまして、執行実績等に基づき、一定の想定を置いて見積もっているものでございます。

 予算執行においては、予算編成時には予測できなかった事態に対応せざるを得ない場合や、より効果的、効率的な手法があった場合など、予算編成時に想定した積算と異なる柔軟な取扱いも従来から許容をしており、認められた予算額の範囲内で予算の目的を達成する限りにおいては、積算単価が足下の金額と異なることのみをもって予算を修正する必要はないと考えております。

後藤(祐)委員 百四十円前提で予算を組まれているということですから、百七十円にした場合、どれだけ予算がプラスで必要になるか算出して、この委員会に提出することを求めます。委員長、お取り計らいください。

根本委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 最後に、建設統計についてお伺いしたいと思いますが、国土交通大臣、お越しになられていますが、これは先ほど小川政調会長からもありましたが、まず、二〇一九年度以降の建設投資額は、この二重計上の結果、変わり得るという理解でよろしいですか。

斉藤国務大臣 建設総合統計は、過去の確定した実績に対して受注の伸び率で計算をしております。

 二〇一八年度までにつきましては、建設投資額の実績値が決算ベースのものであり、もう変わることはございませんけれども、二〇一九年度以降につきましては、まだ実績ベースが確定していないということでございまして、変わり得るということでございます。

後藤(祐)委員 建設投資額が二〇一九年度以降変わり得るという答弁がありました。

 これは総理にお答えいただきたいと思いますが、そうしますと、この数字を使っているGDP速報、QEですね、四半期ごとに出るGDPの絶対額は、二〇一九年度以降変わり得るということですか、あるいは絶対額は絶対変わらないということですか、総理。

山際国務大臣 二〇一九年度のGDPにつきましては、今回の事案が国土交通省の建設総合統計に影響する場合には、間接的にGDP統計にも影響が及ぶ可能性がございます。

後藤(祐)委員 GDPが変わり得るという答弁でありました。

 これは国際的な日本の統計に対する信頼の失墜につながるということを、総理、どうお答えになるのか、最後にお答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の建設総合統計については、国土交通省の検討会議での議論の結果、どのような結論が出るか、これに応じて対応していかなければならない課題だと考えます。是非、この議論の結果を踏まえて適切に対応していきたいと考えております。

後藤(祐)委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、大島敦君から関連質疑の申出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大島敦君。

大島委員 衆議院議員の大島です。

 何点か質問をさせてください。

 冒頭は、日銀総裁の黒田総裁に御答弁をいただきます。

 黒田総裁が二〇二〇年に講演をされた中で、日本の民間企業の研究開発費について述べています。そのことについて手短に御説明していただければと思いますので、よろしくお願いします。

黒田参考人 一般的に、技術進歩、成長投資の必要性というのは広く言われているわけですけれども、特に我が国におきましては、リーマン・ショックの後に、一時的ではありましたけれども、技術進歩が停滞し、経済全体での生産性の伸びが低下するという例が見られました。

 こういうことを考えますと、やはり中長期的に成長を実現するためには、技術進歩のための成長投資、特に研究開発投資が必要だと。この点で、企業の研究開発投資、これは最近はかなり復活しているというか、伸びているわけですけれども、他方で、大学などの研究機関の研究開発投資がまだ諸外国に比べると遅れているということは事実でありまして、こういった点も踏まえて、適宜政府において対応されることを期待しております。

大島委員 黒田総裁、ありがとうございました。お帰りになっていただいて結構でございます。

 首相、今の黒田総裁の御答弁に補足の説明をさせてください。

 資本主義は人だと思います。どういう人材が経営に当たっているか、ここをイメージできないと、なかなか資本主義を変えていくことは難しいと考えています。

 岸田総理と同じ世代ですから、二〇二〇年代、一〇年代を通じて、日本の会社の経営、特に上場企業の経営に当たっていらっしゃった方は恐らく私たちの先輩であり、あるいは同期だと思います。

 一九九五年、これはバブルがはじけて、私は鉄鋼会社の係長でした。そのときに決めたことがあります。それは、各社共に、新規事業を多く手がけて、ほとんどが失敗をして、毎日銀行からお金を返してくれと要求をされていました。二度と銀行からお金を借りることはやめようと。先輩は、リストラ、人の安定した職場を奪うという一番厳しい仕事をされておりました。ですから、二度と人を雇うのはやめていこうと。そして、新規事業で多くの会社が手がけて失敗したものですから、新しい仕事については、これは慎重に考えようというのが、係長の私、そして恐らくは、私は経営者ではありませんでしたけれども、多くの先輩の課長、部長が同じ考え方を持っていたと思います。

 二〇〇〇年代になって、ずっと円安が続きました。労働法制は緩和をされました。ですから、正規社員から非正規に替えて、これは人件費を変動費として見る時代に変わっていった。

 もう一つは、円安ですから、輸出規模が五十兆から八十兆まで増えて、会社は多くの利潤を得たものですから、新しい、新規事業にチャレンジすることにも慎重ですし、そして、できるだけ多くの内部留保を持つことが多分正しい経営だということでずっと来て、リーマン・ショックを迎えました。

 ですから、二〇〇八年、リーマン・ショックのときに、この内部留保によって、経営陣は替わることなくリーマン・ショックを乗り越えることができました。ですから、慎重な経営が正しい経営だということが身についたのがその後なんです。ですから、その後もずっと内部留保が積み重ねられて今に至っているのが日本経済だと思っています。

 ですから、今回の新型感染症が収束した後の日本経済は、経営人材はこの慎重な経営に慣れていますから、更に慎重になるのではないか、それをどうやって解きほぐして我が国に集う国民の能力を引き出していくのかが私たち政治の役目だと思っておりまして、ですから、今回首相が提案されている新しい資本主義、その中で成長と分配は、私は正しいワードだと思っています。ただ、成長するための力が我が国にあるかどうかというところが一番大きなポイントだと思います。

 私は、この十五年間の間、受け入れてくれる民間企業の主要研究所は視察をさせていただいています。そして、国の研究所はほとんど全て複数回視察をして、日本の最先端がどこにあるのか、新しいサービス、新しいビジネスの商品がどこにあるのかということを常にウォッチしてきました。先ほどの黒田総裁の御発言にあったとおり、日本の経済は相当厳しいことだと思います。私たちの政治が提供するものが何があるかというのは、民間にできることと国としてできることがあると思います。

 総理に冒頭、具体的なことから伺いたいんですけれども、今回、光電融合技術ということを挙げています。皆さんにはなかなか、初めての言葉と思います。

 私は、一九九五年からずっとインターネットを使っていまして、どうして私の一生がこの一九六〇年代の技術で終わらなければいけないのかとずっと研究者に聞いてきたんです。一九六〇年代、米国の国防総省が開発したこの技術で、その次がないのかと。

 NTTの方に聞いたところ、大島さん、こういう技術があるよということで去年の春先に聞いたのが光電融合なんです。これは日本の産業基盤を変える技術だと思っています。産業基盤を変えます。これは全然違います。

 要は、遠隔での手術ができたり、あるいは、工場の例えば圧延ラインのオペレーションの作業を自宅でできたり、もう日本の産業そのものが変わるというのがこの技術でして、是非、この光電融合技術、これはシームレスに、時間の遅れることなく、そして情報を圧縮することなく送れて、これで日本の産業基盤を、二〇二〇年代後半から二〇三〇年代にできたとしたら、私たちの国の在り方そのものが変わると思いますので、その点についての答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の光電融合技術ですが、低消費電力かつ超高速大容量など、次世代の通信インフラを支える技術であり、二〇三〇年代の導入が期待されるビヨンド5G、いわゆる6Gの実現に向け、その技術の実用化が期待されているものと承知をしております。

 私自身、昨年十一月ですが、NTTの研究施設を視察させていただきました。その際に、車座対話も行わさせていただきまして、この最先端の通信インフラ、これは日本が世界をリードする大きなきっかけになるのではないか、さらには、これから未来に向けて様々なビジネス展開をしていく大きなきっかけになるのではないか、そういった可能性を、その関係者の皆さんから直接話を聞く中で強く感じたところであります。

 政府としましても、引き続き、光電融合技術を含め、最先端の研究開発をしっかり後押しをしていきたいと考えます。

大島委員 ありがとうございます。

 国が整備することはインフラだと思っています。

 今私たちの産業の中で、例えば自動運転とか、あるいはドローンとか、あるいは民生だとゴルフ場でグリーンまでの距離だとか、様々なこの技術は、我が国の「みちびき」という測位衛星によっています。

 この測位衛星、私も携わらせていただいて、四基だと、アメリカのGPS衛星の助けをかりなければいけない。今、七基になっています。七基だと、日本の独自の衛星だけで、ここの空間、センチメーター単位の空間が測位できるので、自動運転、あるいは、先ほど言っていたドローンなり、様々な民生利用ができる。

 この七基体制、これには、前原当時の政調会長、そして野田総理にお願いをして、閣議決定を四基から七基に変えたという経緯があります。その後も皆さんのお力をいただいて今ここに至っていて、このことは日本の安全保障にとって物すごく資すると思っています。

 我が国の航空機とか艦船が我が国の衛星によって測位できるということは、これは日本の独立国家の条件だと思っていまして、そこの測位を上げてほしいんです。他国は今ここの競争に入っています。民生利用です。中国も、北斗という測位衛星を二〇二〇年に打ち上げて、全地球を今自分で測位できるようになっています。ファーウェイの携帯電話、中国ではこの電波を使っているという報道もありました。

 ですから、これをセンチメーターからミリメーターにすることが、私としては、日本のサービス、日本のインフラとして必要だと思うので。政治というのは、無理を言い続けるのが政治だと思っています、開発に対して。

 これは、昨年、後進機が一基打ち上がって、これから十五年間で、更新の投資だけでも二千八百億円です。宇宙産業の基盤が、これができています、最低限の宇宙産業が。是非そこにトライするということを一言だけ御答弁ください。

小林国務大臣 お答えいたします。

 今委員からお話あったとおり、まさに委員が宇宙政策担当の、政府の方で、内閣府でお務めいただいていたときに、まさにこの準天頂衛星システムの「みちびき」の初号機が打ち上げられたものと認識しています。

 その後、この準天頂衛星システムにつきましては、宇宙基本計画に基づきまして、まずは、持続測位が可能となる七基体制の二〇二三年度めどの確立に向けまして、着実に開発そして整備を進めてきているところでございます。

 議員御指摘のとおり、アメリカではGPS、ヨーロッパではガリレオ、そして中国の北斗、こうした他国のシステムが測位精度の向上に取り組んでいることは承知しておりまして、我が国の準天頂衛星システムにつきましても、七基体制確立後も、後継機による更新を行っていくに当たりまして、測位精度の向上は極めて重要だと思っております。

 また、今、自律性の話を委員されましたが、同時に経済安全保障上も、これは我が国の自律性を高めていくためには重要でありますし、これを他国に輸出していくことができれば、国際社会にとっての我が国の不可欠性を高めていくことにもなる。その意味では、力を入れていかなきゃいけない課題だと思っていまして、今指摘をいただきましたミリメーター級の精度、これを目指すためには、ただ、現状におきましては、次世代の超高精度な時計、この開発を始めとする測位誤差を最小化していくための大きな課題があると考えておりますので、こうした、現時点において実現可能性の上では課題があることは認識しておりますが、ただ、海外の技術動向や国内外のニーズを踏まえまして、世界をリードできる衛星測位システムの実現を目指して、関係省庁、また関係機関、民間企業と連携して、戦略的かつ継続的に検討してまいりたいと考えます。

大島委員 ありがとうございました。

 十年かかりました、政治が決断してから。ですから、総理、先ほどの光電融合、この技術のインフラを日本に敷設、全部、日本に滞りなく十年かけて整備するというのは、日本の産業構造そのものを変えます。新しいビジネスができる。全然違います、これは。コンサート会場と同じ画像と音源を家庭で聞けるようになる。サッカー観戦が、二次元じゃなくてここに、ホログラムで選手が動いて、それでサッカー観戦できるようになるんです。こういう技術を、これはインターネットを超える技術なので、これを日本が主導することによって日本の産業競争力が増していくので、是非この点は、経産大臣もよろしくお願いいたします。総務大臣もよろしくお願いいたします。

 そして、総務大臣には、準天頂衛星の電波帯というのは、総務省で、非常に細くて、今の準天頂衛星から皆さんに逃げろという防災のところも非常に細い電波帯なので、なかなか滞っているので、その点も是非、総務大臣、よろしくお願いいたします。

 そして、この準天頂衛星、「下町ロケット」、無人農業用トラクターも、うちの地元でも農家の方が、この無人農業用トラクターを入れたいという農家の人、百町歩以上やっている方がおっしゃっているので、そういう民生利用ができるわけです。

 それで、農水大臣にお願いがあるんですけれども、農家の方、米、大分下がっていて、今でも農家の方は大変だということで、皆さん、与党も野党も質問しております。大きいところは経営でやっていますから、五十町歩、百町歩のところは、林さんが農水大臣のときに大きくかじを切ったので、大きいところはどうにかなっているんですけれども、一町歩、五町歩、十町歩ぐらいの小さなところが、全部米に、飼料米に転作できないので結構打撃を受けているので、その点を丁寧にやってほしいところと、先ほど、燃料費の高騰がありました。A重油ですか。これは、やはりハウス農家、違うんですよ、温度が。果樹を作っているところは五度ぐらい、だけれどもトマトとか花農家だと十五度ぐらい必要なので、答弁は後で時間があったらいただきたいんですけれども、この点を、農水大臣として是非細かいところを面倒を見て、なかなか、たくさん施策があるのは知っているんだけれども、是非その点、痛いところまで手が届くように、よろしくお願いをいたします。どうもありがとうございます。

 それで、私、考えがあって。これは私の言葉です。政治は経済力によって政策の自由度が決まります、経済はその国が持っている科学技術の創造力を超えては発展しないと思っていまして、やはり、この科学技術の創造力、ここがうせているわけです。

 もう一枚パネルを見ていただけると分かるんですけれども、これは萩生田さんが文科大臣のときの資料から抜粋をしたものです。主要国における大学部門の研究開発費の推移で、この二十五年間、EUは大学での研究開発費が二・三倍になって、アメリカでは二・一倍です。大きく増えたのが諸外国。

 次のページを見てください。これは所得なんですけれども、アメリカでは所得が一・四倍増えて、ドイツでは三十年間で一・三四倍増えて、日本は一・〇五倍で、二十五年間なんですけれども科学技術の研究開発費が一・一倍しか伸びなかった。そうすると、所得も一・〇五倍しか伸びなかったということで、ここの予算をしっかりつけること。

 ですから、ワクチン開発についても、治療薬開発についても、あるいは、去年賛成をさせていただいた、台湾のTSMC社、六千億円の日本政府の支出についても、これは科学技術が滞ったから余計な支出が、日本の国益が外に流出していると思いますので、その点、是非、財務大臣、よろしくお願いします。

 財務省の方に伺いますと、逆なんですよ。所得が伸びなくて税収入が上がらないから科学技術関係予算を増やせないというのが財務当局の考えだと伺っているものですから、そこを是非直してほしいので、財務大臣から一言答弁いただくとともに、これは山際大臣かもしれないんですけれども、これまでのコロナ関係予算がどのぐらい財政出動があったのか、その点についてもお答えいただければと思います。

鈴木国務大臣 大島先生から、科学技術の大切さについてのお話をずっと伺ってまいりましたが、科学技術につきまして、これまで政府は予算面でもしっかり対応してきているところでございます。

 科学技術関係予算の対GDP比は、主要先進国と比べても高い水準にあるというところでございます。令和四年度予算におきましては、過去最高の科学技術振興費一兆三千七百八十八億円を計上しているほか、令和三年度補正予算でも、世界と伍する研究大学の実現に向けた大学ファンドに約六千億円、経済安全保障重要技術育成プログラムに二千五百億円を計上するなど、我が国の研究開発における重要課題に対応した予算となっております。

 我が国の研究力の更なる向上に向けては、研究活動の国際性の向上、大学と企業の連携の推進など、政府の科学技術への投資の効果を高めていく取組が重要と考えておりまして、科学技術立国の実現に向けて、官民が連携協力して研究開発を推進してまいりたいと考えております。

山際国務大臣 機械的な試算になりますが、令和二年度で合計百五十二兆円、今年度は約五十六兆円でございます。重複しているところがありますので、それを調整いたしますと、一定の前提の下ですが、財政支出の規模は合計で二百一兆円程度となります。

大島委員 両大臣、ありがとうございました。

 私、科学技術予算、足りないと思っている立場です。皆さん、国の研究機関で研究者の皆さんとお話しされた方がいいと思います。彼らは、外向きには、大変だとか予算が足りないということは私にはおっしゃいません。ただ、研究というのは、頂点の研究者も必要なんですけれども、それを支える研究者も必要なんです。五年で論文を書いてパーマネント、常勤の研究者になれる人、それを支える、七年から十年かかって論文を書いてようやくパーマネント、常勤になれる人、そして、それを支える技師の集団があって初めて日本の科学技術というのは振興するんです。

 ですから、皆さんがいつも気にしているのは、頂点の技術者、科学者のことはよく考えているんだけれども、それを支えるところまで滞りなく資金を注いでいかないと、科学技術の振興は難しいと思います。多分、これからやっても、二〇三〇年代にようやくだと思います、私の感じだと。

 財務大臣に是非お願いしたいのは、コロナ関係費で二百兆円使っていただき、本当にありがとうございました。様々な中小・小規模企業も助かっています。

 それで、今後、例えば十年間で同規模の金額をかけ続けることだって必要だと思っています。そうすると、国債に対する信頼が失われるんじゃないかとよく皆さんおっしゃるんですけれども、それはやはり、説明です。日本国としては、これだけ産業政策をするので、これだけの規模の経済があるので。ですから、しっかりと、これまでは消費税をもっと上げられるから大丈夫ですよと言ったのを、日本の成長余力があるから海外に対して安心ですよということが言えるかと思うので、その点、是非御検討いただいて、今回の科学技術関係費、私は本当にいいと思いますし、更に積み増すことが我が国の底上げにつながると思いますので。

 これ以上は、時間がないので、言いたいんですけれどもここでやめまして、次のテーマに移ります。やはり、やめないことが大切だと思っています。

 先ほど、宇宙開発担当大臣、ミリメーター単位まで、これは一つの産業基盤をつくることができました。航空宇宙産業のうちの航空産業については、どうにかこれで、要は、人を雇えるわけ、会社が研究者を将来的に。

 今、日本の手がけた航空産業、民間ジェット機の航空産業が、残念ながら、ひょっとしたらここで終わってしまうかもしれないという危惧を持っています。国土交通省は、型式証明、これは物すごく大切です、取るために、日本が型式証明を取れば、米国でも航空機を売れる、そのために要員を確保し、そして民間企業も、多分、物すごい金額を立ててきました。ここで頓挫して本当にいいのかということなんですよ。もう二度と日本の中で航空産業ができないと思う。

 その点について、総理から、民間のジェット機の開発について、今世界は、半導体もそうですけれども、国の資金を入れても余りとやかく言われない時代になったと思います、WTO違反等。ですから、この点について、どう政府として今後考えるのか。要は、自動車が電動化するということは、部品メーカーがなくなるということなんです。航空宇宙産業があるということは、部品メーカーがずっと残り続けるということですので、この点についての総理の御所見を伺わせてください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の航空機産業は、足下では新型コロナの影響により大きな影響を受けていますが、高い技術力と広い裾野を有し、中長期的には持続的な成長が見込まれる重要な産業だと認識をしております。

 そして、委員御指摘の民間の国産旅客機、三菱スペースジェットについては、民間において機体開発、政府において要素技術開発や安全審査体制の整備などの環境整備という役割分担の下、実現に向けて取り組んできたプロジェクトであります。

 現在、厳しい経営環境の中で開発活動は一旦立ち止まっている状況にありますが、完成機事業は我が国の航空機産業の発展に向けて重要な取組との認識の下、引き続き、開発再開に向けた事業環境の整備、これを支援していきたいと考えています。

 そして、あわせて、コロナ後も見据え、グリーンイノベーション基金等も活用し、複合材料や水素エンジン等、次世代航空機開発に必要な技術分野への積極的な支援、これにも取り組んでまいります。

大島委員 一番最後なんですけれども、私たちは民主主義国家です。四年前、中国に入国しようとしたときに、日本国国会議員、私の指紋も全部取られました。顔認証もされました。そういう、要は、中央集権的な発展を目指す国家と、言論の自由があって、日本の社会全体での自由な発想が生まれ、人々の独創的な発想が喚起されてビジネスのイノベーションが起きると考えていまして、だからこそ、公文書管理が必要なんです。だからこそ、改ざんは許されないんです。だからこそ、個人情報保護が必要なんです。だからこそ、量子暗号等の、これは通信の秘匿が必要なんです。

 そのことを最後に皆さんにお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて小川君、大串君、後藤君、大島君の質疑は終了いたしました。

 次に、岬麻紀君。

岬委員 日本維新の会、岬麻紀でございます。

 昨年の十月の総選挙におきまして、初当選をさせていただくことができました。今回、もちろん初めての質問をさせていただきます。そして、今日はテレビ入りということで大変緊張しております。恐らく多くの先輩方がこのような緊張の道を歩んでいらっしゃったと思っております。

 今日は、このような貴重な機会をいただきましたこと、日本維新の会の先輩方、誠にありがとうございます。そして、私の地元愛知五区、そして全国の皆様の声に応えられるように、本日精いっぱいに臨んでまいります。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。

 本日、隣におりますのは、同志である神奈川十区の金村龍那議員です。お願いいたします。

 さて、今、コロナ禍におきまして多くの皆様が不安な日々を送っていらっしゃいます。しかし、この国難、これまでもこれからもあると思います。まさに激動の時代が続いております。そこで本日は、国民の代弁者として、私は就職氷河期世代の支援について伺います。

 パネルの一でございます。

 氷河期世代というのは、一九九三年から二〇〇四年頃、就職活動を行った皆様が入っている世代でございます。ちょうど私、思い出しますと、バブル景気の世代最後のところに私はおりました。私の一つ二つ後輩は、この就職氷河期世代ということで、大変苦労を強いられてここまで歩んできました。

 そこで、この世代というのは、見てみますと、グラフのように第二次ベビーブームに生まれた方々が多くいらっしゃいます。その出生数たるや年間に二百万人、まさに人口が大変多くて、熾烈な戦いの中で、大学受験やいろいろな競争に勝ち抜くために頑張ってきました。

 いざ社会に出よう、就職しようと思ったときにこのバブル景気は崩壊し、大変狭き門となり、苦労が強いられているわけです。まさに失われた三十年、大きな落とし穴、時代の流れにのみ込まれてしまったと言っても過言ではありません。これは、個々の優劣や、個々が頑張ったからといって解決する問題ではなかったわけです。ですから、社会全体、そして国としてしっかりと関わっていき、支援が必要だと考えています。

 そこで、質問です。

 二〇二〇年一月に、安倍総理は施政方針演説におきまして、就職氷河期世代の皆さんの就業を三年間集中的に一気に拡大するとおっしゃいました。また、二〇二一年一月には、菅総理が同じく施政方針演説におきまして、就職氷河期世代の就職も引き続きサポートしてまいりますと発言していらっしゃいます。

 そこで、現状をお聞きします。

 岸田総理が総理に就任をされて以来、昨年の十二月の所信表明演説、また今年の一月の施政方針演説において、人への投資抜本強化としながらも、就職氷河期世代という言葉を用いて直接の言及はありませんでした。この問題に対する、岸田総理、前向きな姿勢、私には残念ながら感じられません。この就職氷河期世代の置かれている現状や、支援の必要性、重要性について、どのような認識をされていらっしゃいますでしょうか。お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 平成のバブル景気の崩壊以降、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った、いわゆる就職氷河期世代の方々には、不本意ながら非正規雇用で働いている方、またあるいは引きこもり状態にある方など、様々な課題に直面してきた方々が含まれていると認識をしています。これは、個々人やその家族だけの問題ではなく、社会全体で受け止めるべきものであり、我が国の将来に関わる重要な課題であると認識をしています。

 こうした認識の下、就職氷河期世代支援プログラムに基づき就労支援や社会参加への支援などの施策を取り組んでいるところであり、引き続き、昨年末に策定した就職氷河期世代支援に関する行動計画二〇二一に基づき、就職氷河期世代の方々お一人お一人の実情に応じたきめ細かな支援を進めていきたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 就職氷河期世代の支援プログラムというものを私も拝見しました。その中には具体例が幾つか入っております。きめ細やかな伴走支援型の就職相談体制の確立、また、受けやすく、即効性のあるリカレント教育の確立、さらには、採用企業側の受入れ機会の増加につながる環境整備、また、アウトリーチの展開など、具体的なものも盛り込まれております。

 しかし、私がここで疑問に思ったのは、これというのは、伴走型というのは、その当事者がしっかり前を向いて歩んで、走っているからこそ伴走ができると思います。さらに、相談といっても、相談は、相談をしてきていただけなければなかなか相談に乗るということも難しいでしょう。また、リカレント教育、これは私も大変興味を寄せております。また、私自身も今、当事者として学んでおりますが、ただ、このリカレント教育というのは、意欲があり、やる気があり、もっともっとステップアップしていこうと思えるからこそ実現できるのではないでしょうか。

 つまり、この施策は、前向きで意欲のある方には有効かもしれませんが、自己肯定感が低下してしまい、年齢を重ね、そして時代に置き去りになった、社会から置き去りになってしまったと感じている方々に実際響くのでしょうか。その苦しみ、出口の見えない不安な日々を送っていらっしゃる方、まだまだ多くいらっしゃいます。

 この問題の難しさとしまして感じるのは、私、五十代となり、まだまだ人生を諦めるには早過ぎる。しかしながら、新たなことを始めたり、何十年というブランクがある中では、その一歩を踏み出すのは大変勇気が要ることではないでしょうか。今更、もう自分なんて、そして面倒だ、まさに社会が怖い、そんな恐怖に不安をいっぱい抱えている方がいらっしゃいます。

 そこで、質問です。

 二〇一九年六月の就職氷河期世代支援プログラムにおきまして、就職氷河期世代の正規雇用者三十万人の増加の目標を掲げていらっしゃいます。二〇二〇年、そして二〇二一年、どれだけの正規雇用者が増えたのか、現在までの実績をお伺いします。

山際国務大臣 ただいま御指摘の二〇一九年六月に閣議決定されました骨太方針におきまして、二〇二〇年、二一年、二二年と三年間、これを、正規雇用者を三十万人増やす目標を立てておりますが、二〇二〇年の正規雇用者に関しましては、前年から横ばいとなってございます。これの理由としては、御案内のように、新型コロナ感染症が拡大して、その影響が非常に大きかったというふうに分析もしております。

 二〇二一年、昨年の正規雇用者数については、施策の実績と併せまして今春を目途にフォローアップを行う予定です。関係閣僚、関係団体が集まる全国プラットフォームを開催して報告するとともに、公表する予定です。

岬委員 ありがとうございます。

 今、横ばいというお話がございました。

 さて、ずばりお聞きしたいと思います。

 数字は増えてはいないわけですが、この原因として政府はどのように分析をされているかといいますと、今、コロナ禍においてという言葉がございました。そうすると、効果はあったがコロナの影響でなかなか横ばい、そこからうまく伸ばすことができていなかったということなのか、若しくは、この支援政策自体がちょっと甘かったのか、問題があるのか、方向性が違っていたのか、どちらなのかなと私は疑問です。そして、これからどうしていくのか、そして続けていくのか、どうなんでしょうか。その辺り、教えてください。

山際国務大臣 端的に申し上げれば、両方だと思っておりまして、就職氷河期世代の支援策は、一定の成果はあったというふうにも評価はしております。

 具体的には、ハローワークの職業紹介によりまして正社員に就職した方は、令和二年度で約九万二千人いらっしゃいます。また、キャリアアップ助成金正社員化コースでは、正規雇用者等に転換した就職氷河期世代の労働者は、令和二年度で約三万五千人いらっしゃいます。また、少数ではありますけれども、政府として、まずは隗より始めよということで、就職氷河期世代向けの国家公務員試験の中途採用試験を通じて、令和二年度は百九十一人採用してございます。

 ただし、これが十分だというふうには思っておりませんので、きちっとフォローアップをしていかなくてはいけないと思っておりまして、今年度の補正予算におきまして、就職氷河期世代支援を行う自治体を後押しする交付金、これを三十億円確保しております。また、今年度のキャリアアップ助成金につきましても、補正予算で約二百五十億円を積み増して、約九百億円を確保しております。また、ハローワークにおける就職氷河期世代専門の窓口、これは全国に九十二か所ございますけれども、この体制強化等々を措置してございます。

 加えて、岸田内閣におきましては、三年で四千億の人材投資パッケージというものを用意してございまして、これは、総合的に、就職氷河期の方々だけではありませんけれども、スキルアップをして、そしてキャリアアップにつなげていただけるような、そういうまさに伴走型のそういったサービスをこれから提供してまいりたいと思っております。

岬委員 ありがとうございます。

 もちろん、政府が一生懸命に様々な形で支援プログラムを組み、実践をされていることは承知をしております。こちらに、私の手元にも、就職氷河期世代支援に関する施策の実施状況というものがございます。今お話しいただいたとおり、様々な資料もございます。政府の各施策の取組状況も載っております。

 私は、これらの支援策が全く無意味だったなんということはとても言うつもりもありませんし、一生懸命やっていただいていることは感謝を申し上げたいわけですが、既存の労働市場を維持したままで幾ら支援を行っていても、今の成果というのは大変限定的なものなのではないかということを訴えたいわけです。

 これからの時代の変化ですとかまたニーズ、そして様々な産業の変化もございます。そういった中で、柔軟に対応していくことが求められています。今こそ、構造的な改革、是非とも挑戦をしていかなくてはいけないのではないでしょうか。

 なぜならば、まだまだ終身雇用ですとか年功序列、昔ながらの日本型の雇用がございます。つまり、この就職氷河期世代というのは、いざ就職をしようといったその入口のところでつまずいてしまった。ですから、この何十年という大きな時間の中で、皆さんが、思うような就職ができなかった、正規雇用に就けなかった。そうなるとどうでしょうか。安定的な収入が得られない、将来を見据えて希望を持ってステップアップしていけない。そうなると、いろいろな不安がついてきます。そうなると、結婚しようにもなかなか踏み切れない。ましてや、子供を産み、育て、家庭を営んでいく、それには多大なるエネルギーが必要なわけです。そういったときにどうなっていくでしょうか。どんどん孤立をして、そして、私たちは社会保障の問題にも踏み込んでいかなくてはならなくなるわけです。まさに、労働市場の流動化、これを活発にしていく必要があるわけです。

 ではどうするんだということで、私ども日本維新の会が打ち出したのがこちらです。私たち日本維新の会では、日本大改革プランを提案しています。失われた三十年を乗り越え、そして今までの格差社会を打破して、経済成長を取り戻していかなくては、日本の未来は危ぶまれているからです。

 この日本大改革プランの中身は大変複雑で、この限られた時間では追いつきません。とにかく、税というもの、社会保障というもの、そして労働市場というものを三位一体で改革をしていかなくてはいけないということを強く訴えたく思います。

 それでは、続いての質問です。

 岸田総理は、一月二十五日、予算委員会におきまして、この後、本日質問に立ちます日本維新の会の藤田幹事長の労働市場の改革についての質問に対して、労働移動の円滑化ということは大変大きなポイントになる、人への投資ということで、四千億円の施策パッケージを用意して、学び直し、そして就業の訓練や支援をしていく、再就職あるいはステップアップ、こうしたものをしっかりと進めていくということをおっしゃいました。

 この取組で、いつでも、誰でもが本当に再挑戦をしていけるのでしょうか。どうでしょうか。個々の人が適材適所にいかについていくか、そこが大変ポイントであると思っております。総理の見解を伺います。改革、流動化の見解をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、私も、労働市場の在り方、そして、特に労働移動を促進していくという考え方、これは重要な考え方であると思っています。

 その中で、今委員の方から御指摘がありましたように、人への投資を重視する観点から、三年間で四千億の施策パッケージを用意したわけですが、その中で、まずは正規雇用、非正規雇用を問わず、職業訓練と再就職支援を組み合わせ、労働移動やステップアップ、これを強力に支援するために、求職者支援制度やトライアル雇用助成金等の拡充、民間派遣会社を通じたITスキル等の研修、紹介予定派遣等を行うほか、人材開発支援助成金、キャリアアップ助成金において、企業等の民間ニーズを把握しながらデジタル人材の強化を行う。あわせて、デジタル、グリーンなど成長分野を支える人材の確保、育成や、学び直しを支援するために大学等のリカレント教育、そして職業訓練の拡充、こういったものに取り組んでいくとしているわけであります。

 是非、こうした取組を通じて、これからの日本の経済を支える成長分野、成長の分野に労働移動を促していく、こうした流れをつくっていきたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 今お話を伺いましたが、日本維新の会は、政策のマニフェストにおきまして、維新八策二〇二一においても、就職氷河期世代の課題に正面から取り組む、このように明記をしております。今後も就職氷河期世代の課題に真剣に取り組んでいく政党でございます。是非とも、政府にも期待をしながら、私どももしっかりと政策に向き合っていこうと考えております。

 それでは、最後の質問になってしまいますが、令和四年度から、政府が、今までも御答弁いただきましたように、三年間の集中的な支援に取り組むとした最終年度になるわけです。いま一度、直接、総理の口から目標を明言していただきたいと思います。このままの目標で達成できるのか、その意気込みも併せてお聞かせいただきたいと思います。最終年度における岸田総理の目標、意気込み、いま一度お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 先ほども山際大臣から答弁がありましたように、就職氷河期世代支援プログラムについては、実行に着手した直後、新型コロナにより日本経済は大きく下振れし、就職氷河期世代の方々をめぐる雇用状況は厳しくなってきたということでありますが、その中にあっても、ハローワークの職業紹介を通じて九万人を超える方々が正社員として就職される、あるいは、新たに設けた就職氷河期世代向けの国家公務員試験を通じて二百人近くが採用されるなど、一定の評価を上げております。

 ただ、結果としては、先ほど答弁にありましたように、正規雇用者数は伸び悩んでいる、九百十六万人程度で横ばい状況にあるという状況にあります。

 しかしながら、プログラムの期間、これは三年でありますので、あと一年残っています。目標に向けて、まずはこの施策の実行に全力を挙げて、一人でも多くの方々が希望する正規雇用の場を得られるよう、しっかり取り組んでいきたいと考えます。

岬委員 ありがとうございます。

 総理から目標と意気込みをしっかりと伺うことができました。人口減少の中、人は宝でございます。私たちは、本当に弱っている、本当に不安だと思っていらっしゃる方にきちんと寄り添える、しっかりと手が届く、言葉だけではない本当の政策をお願いしたく思います。

 政府の取組をこれからもしっかりと注視して私どもも歩んでまいりたいと思います。今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

根本委員長 この際、住吉寛紀君から関連質疑の申出があります。岬君の持ち時間の範囲内でこれを許します。住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、維新の会の住吉寛紀でございます。

 この秋に初当選させていただきました。この予算委員会、花形と言われる予算委員会に新人ながら登壇させていただきますこと、喜びと緊張とプレッシャーと重圧を感じております。本日は、総理始め閣僚の皆様からの前向きな答弁を期待いたしまして、私の質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、この国の根幹を成すエネルギー政策の再生可能エネルギーについてお伺いいたします。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、二〇三〇年度の野心的な見通しで、二〇一九年度比二〇〇%以上の再生可能エネルギーの比率の導入を目指しております。一方で、再生可能エネルギーが進んでいるヨーロッパの方では、停電や価格の高騰が起こっております。

 私も新幹線で兵庫県から東京に来る際には、ちょうど雪が降っておりまして、太陽光パネルの上に雪が積もっている。こういう状況だと、なかなか発電が進まないんだろうなということは予想されるわけでございます。

 電力が安定供給できずに停電になれば全国民が困るわけですし、特に医療関係であれば命の問題に直結する、こういった事態もございます。また、価格が高騰する。ヨーロッパでは、一割、二割ではなくて、もう何倍にもなっているわけですね。

 こういったことが起こると、やはり国民の生活を苦しめることになってまいります。今後、どのようにバランスを取りながら再生可能エネルギーを取り入れ、そしてカーボンニュートラルを目指していくのか、総理の見解をお願いいたします。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、エネルギーをめぐる状況は、各国とも千差万別です。我が国の場合、資源が乏しく、周囲を海で囲まれています。こうした我が国においては、単一で完璧なエネルギー源は存在しないと認識をいたします。

 また、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、デジタル化によって電力需要の増加が見込まれる中、温暖化対策、これはもちろん重要な観点でありますが、それに加えて、安定供給とそして経済の効率性、この三つを同時に追求していくこと、これが重要だと考えます。

 そのために、日本としては、原子力や、火力発電の脱炭素化型への置き換えを進めつつ、化石エネルギー源などについてもバランスよく活用していくという方針にあります。

 その上で、再エネについては、野心的な目標実現に向けて、あらゆる施策を総動員いたします。

 一方で、足下のウクライナ情勢などに起因するエネルギー価格の高騰などの状況を踏まえれば、様々なエネルギー源をバランスよく活用し、エネルギーの安定供給を確保していくこと、これが重要であると考えております。

住吉委員 ありがとうございます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの目標というのは、我々維新の会も当然賛同するところでございます。野心的な目標という中で、やはり再生可能エネルギーの導入の仕方にもいささか問題があるのではないかなというふうに私は考えております。

 そこで、萩生田大臣の方にお伺いいたします。

 例えば太陽光発電ですと、兵庫県では条例を制定しまして、そして、どちらかというと推進というより規制の方向で動いております。同様の条例は様々な地方自治体で見受けられます。

 実際に山を切り開いて、そしてそこに太陽光パネルを設置していくということで、当然、自然破壊というような見方もできますし、また、近年多発する豪雨災害、そういったときに、土砂災害が起きやすくなるのではないか。そういった中で、近隣住民の賛同も得られにくいような状況になっております。

 また、兵庫県の方で大型の木質バイオマス発電、これも何基かございますが、これは元々、災害に強い森づくりを推進するために、本来であれば、間伐材を利用して持続可能な自然環境をつくることが目的ではございましたが、燃料の木材、これはどうしても、チップを供給し続けなければならないというところで、輸入材に頼っております。当然、輸入するのにも燃料は必要ですし、また、ヤシ殻も多く使われております。その比率が非常に多く使われておりますが、ヤシの木は、熱帯雨林を伐採して、そこに大規模なプランテーションを造って、そこでは児童労働が行われているようなケースも耳にします。

 本来、持続可能な地球をつくるために二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言し、その手段として再生可能エネルギーへの転換を進めているわけですが、自然破壊やSDGsに反する本末転倒なケースが散見されます。それをどのように受け止めているのか、見解をお伺いいたします。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

萩生田国務大臣 再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、災害や地域トラブルなどの懸念が一部の地域で広がっており、委員の御地元の兵庫県を始め、安全確保などの観点から、再エネの適正な導入を求める条例の制定がなされていると承知しています。

 今後、再生可能エネルギーの更なる導入拡大を実現するためには、地域との共生を図りながら事業を進めていくことが必要不可欠です。

 このため、再エネの適正な導入拡大を支援する再エネ特措法では、発電事業者に対して、所在する自治体が定めた安全性や地域とのコミュニケーションを求める条例を含む関係法令の遵守を求めており、違反があった案件については、指導、改善命令を経た上で、認定を取り消すこともございます。

 また、バイオマス発電については、その輸入燃料について、FIT認定時に、第三者認証機関による森林の乱開発の防止などの持続可能性に係る基準を満たすことを求めております。さらに、栽培、加工、輸送などの工程で発生する温室効果ガス排出量の削減基準を策定し、事業者に遵守をさせてまいります。

 委員もおっしゃったように、目的と手段を間違えたら何の意味もないわけでありまして、本来、森はCO2を吸ってくれるわけですから、その森を切り開いて、そしてそれを燃料にして、仮にそういう森から出たものをチップとして燃やしたのでは何の意味もないというふうに思っていますので、その辺は、ライフサイクル全体をしっかり見渡して、本来のカーボンニュートラルという目的に近づいていけるように、日本国としてはしっかり努力をしてまいりたいと思います。

 引き続き、地域の御理解をいただきながら、再エネが地域と共生し、持続可能な形で導入されるように取組を進めてまいりたいと思います。

住吉委員 ありがとうございます。

 兵庫県の事例ですと、本来は手入れの行き届いた森づくりをつくっていく中で、どうしても間伐材とかそういったものができるので、それを有効利用したらどうかというようなところだったんですが、結局のところ、本当に、燃料を供給しないといけない、本来なら家具とかにもできるような、そんな木材もばりばりばりっとチップにして燃やしているというような事態も起こっているのが現状でございます。

 両大臣の力強い答弁を聞いて、これで安心だというふうにはならないわけでございます。岸田総理もおっしゃられておりましたが、ウクライナ情勢など外的な要因も非常に大きいわけでございます。

 この高い目標に対して、個人的な意見ですが、既存の技術の組合せだけでこの目標を達成するというのはなかなか難しいのではないかと思っております。逆に、イノベーション、技術革新が必要不可欠な分野ではないのかなというふうに思っております。そのためには、研究開発費にもしっかりと予算を充てていかなければならない。さらにはESG投資を呼び込んでくる必要がございます。

 日本では他国に比べて遅れているカーボンプライシングについても、早急に検討していく必要がございます。カーボンプライシングは社会全体に対して二酸化炭素の排出量削減を促す有効な手段の一つであり、今後は、先進国のみならず、新興国、開発途上国にも拡大していくと見られます。

 先日、同僚の奥下議員がエネルギー政策について質問した際に、山口環境大臣から、今後、カーボンプライシングについても示していきたいとの答弁がございました。

 そこで、私は、政府のカーボンプライシングについての考えを伺います。

 現在、地球温暖化対策税という形で炭素税が導入されておりますが、海外の導入国に比べて税率が低いことについてはどう評価しているのでしょうか。既に燃油価格は高騰しており、我々はトリガー条項凍結解除も提案しておりますが、そのような中で炭素税の強化を考えているのか。

 我が党としては、炭素税のような価格アプローチのほかに、量的アプローチであるカーボンプライシング、すなわち排出権取引を行うべきと考えております。

 私が証券会社で働いていたときには、排出権取引の連動債の仕組み債、これの組成を任されたこともあります。その際には、様々な排出権価格を毎朝ウォッチして、ぽちぽちとエクセルに入力する雑用を約九十日間しておりました。そのときはほとんど価格が動かなかった、京都議定書後は結構値動きが激しかったようですが、私がいたときにはほとんど価格が動かず、停滞しておりました。

 山口大臣は、排出権取引の導入を検討しているのか。また、仕組みを導入するだけではなく、市場を活性化させていかなければなりませんが、どのように考えておられるのでしょうか。また、さらに、カーボンプライシングの導入による過度な規制が産業流出を招かないよう十分に配慮しつつ行う必要がありますが、どのように考えているのか、御答弁をお願いいたします。

山口国務大臣 住吉議員にお答えします。

 先ほど、カーボンプライシングということでお尋ねいただいたわけです。

 二〇五〇年にカーボンニュートラル、あるいはその前に、二〇三〇年に四六%あるいは五〇%ということを達成するためにはいろんなツールが必要なわけですけれども、その中で、ヨーロッパあるいはいろんな国でもって、カーボンプライシングに対する取組というものが非常に大事になってきているというところがあると思います。

 御指摘のとおりに、カーボンプライシングには、炭素税のほかに、排出量取引、あるいは、日本のJCM、ジョイント・クレジッティング・メカニズムと言われている自主的なクレジット取引等もあります。いずれも排出削減のために重要であり、それぞれの特徴を踏まえた検討を行っているところです。

 その中でも、特に炭素税について今御指摘がありました。

 脱炭素に向けた行動を促す経済的なインセンティブがあるのは確かだと思います。それから、脱炭素投資の呼び水となる公的支援の財源確保に資するという意義もあると思います。脱炭素を実現するためには、イノベーションというものもキーワードの一つだと思いますけれども、脱炭素を可能にするイノベーションの財源としての意味も炭素税の中にはあるのかなと。

 他方、経済界においては、従来から負担増を懸念する声があるということもよく承知しているところです。他方、こうした中で、足下では、環境に対する投資が経済成長につながるという発想も根づきつつあるとは認識しています。

 炭素税を含むカーボンプライシングに対する前向きな考えも出てきている中で、炭素税の意義や懸念に加えて、現在の経済情勢などを踏まえて、炭素税を含むカーボンプライシングについて、今、全国の関係者ときめ細やかに議論を進め、方向性を見出そうとしているところです。

 私も、先日、埼玉で行われた、いわゆる地方自治体の知事さんあるいは市長さんあるいは町長さん方含めた懇談会の中で、こういうことに対して、カーボンプライシングについてもどういうふうに思っておられるか、そういうこともよく聞いています。

 それから、副大臣の方々あるいは政務官にも手伝っていただいて、全国九か所ですけれども、環境省の地方事務所のあるところでもって、ウェブも含めると約百以上の地方自治体の方々にも参加いただいて、地域の脱炭素、あるいは再エネ推進の交付金プラスこのカーボンプライシングについてもいろいろと意見を今お聞きしているところです。

 それから、業界というか産業界についてもいろいろと意見がおありですから、そういうことも踏まえて、今、住吉議員の言っておられることも踏まえた対応をしつつあるところです。

住吉委員 ありがとうございます。

 このカーボンプライシングについては、環境省だけではなくて経済産業省も連携しながらやっていかないといけないと思いますが、何か取組があればお願いいたします。

萩生田国務大臣 カーボンプライシングについては、成長に資するという観点から、まずは自主的かつ市場ベースでのカーボンプライシングを促進していくことが政府の方針です。この方針を踏まえ、今月一日には、野心的な炭素削減目標を掲げる企業が自主的に排出量の取引を行うGXリーグについての基本構想を公表し、賛同企業の募集を開始をしたところです。

 GXリーグは、カーボンニュートラルに向けた挑戦を行う企業群が、議論と実践を通じ、自社のみならず、経済社会システム全体の変革を牽引することで新たな市場を創造し、国際ビジネスで競争力を発揮することができるような枠組みとしていく考えです。

 そのため、自主的な排出量取引と、そのための取引所の整備に加え、排出削減に資する企業の新しいビジネスへの挑戦への支援や、新たな挑戦を行う企業に関する情報開示を通じた世界のESG資金の呼び込みにも取り組んでいきたいと思います。

 炭素税や排出量取引については、このGXリーグにおける取組の進捗も踏まえつつ、環境省とも連携しながら、専門的、技術的な議論を進めてまいりたいと思います。

住吉委員 ありがとうございます。

 この炭素税を当然財源に充てていく必要があるとおっしゃっておりますが、やはり技術革新がこの分野においては必要だと思っております。

 炭素税、日本は安いといいつつも、揮発油税とか含めると、決して、諸外国にとってはそこまで安くはない状況です。一方で、このESG投資自体がもう四千兆円規模になっているわけでございます。この中の例えば一%でも投資マネーを日本に持ってくることができれば、四十兆円というようなこともできます。これを研究開発に充てて技術革新を行い、雇用も創出していく。

 そういった正のスパイラルといいますか、我々は、増税で財源を生み出すのではなくて、成長によって財源を生み出していく、そういう考え方でございますので、こういった分野は、本当にこれからの未来を、この日本のこれからの未来を担うような、そういうような産業だと私も確信しておりますので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間もないので、次の質問に移させていただきます。

 次の質問は、地方議会のオンライン化に向けた法整備についてお伺いいたします。

 私も地方議会出身ですので、地方議会のオンライン化に向けた法整備、こういった要望が非常に多くございます。より感染力の強いオミクロン株が蔓延し、相当数の議員が隔離された場合にも、急を要する感染症対策の審議、議決が求められる事態が現実に想定されております。

 私のかつて所属していた兵庫県議会でも、委員会条例の一部を改正して、常任委員会のオンライン化や、これまで現地に赴いていた視察や調査のオンライン化にも取り組んでおります。また、我が党も、党大会でオンラインによる採決も行いました。勉強会も基本的にオンラインで行っております。今のところ、不備は全くございません。

 一方で、地方自治法第百十三条及び第百十六条第一項における出席の概念は現に議場にいることと解されている現行法上、困難と解釈され、地方議会の本会議においては、オンラインでの出席が認められておりません。

 その法改正の必要がございますが、早急に検討し、実施すべきではと考えますが、総務大臣の見解をお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 住吉議員も御案内のとおり、地方議会の本会議は、その団体意思を最終的に確定させる場であり、国会における本会議と同様に、議員の意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要があるほか、住民が議論の様子を十分に知り得るよう、会議の公開の原則を求められております。

 一方で、地方議会の委員会は、本会議における審議の予備的審査を行うものであること、また、地方自治法上、委員の選任その他委員会に関し必要な事項は条例で定めることとされておること、そのことから、今コロナ禍のお話をされましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止措置の観点を踏まえ、オンラインによる方法を活用して委員会を開催することも差し支えない旨を令和二年四月の通知によりお示ししております。

 法改正により、オンラインによる本会議の開催を可能とすることについては、国会における対応のほか、一部の地方議会において実施されているオンラインによる委員会の開催状況や、そこで生じている課題、運用状況などをよく踏まえて、慎重に検討しなければならないと考えております。

 なお、総務省においても、地方議会におけるオンラインによる委員会開催の実態調査等を行っており、その状況を注視しつつ、自治体などの御意見もよく伺ってまいりたいと考えております。

住吉委員 ありがとうございます。

 私が予想した答弁と一言一句たがわぬ答弁でした。

 もう時間もないのであれなんですが、この件に関しては、我々維新の会、前向きに進めていきたいと考えておりますので、続きの議論は同僚議員に譲って、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、藤田文武君から関連質疑の申出があります。岬君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。今日はどうぞよろしくお願いをいたします。

 今日は、兵庫十区の掘井健智議員にパネルの御協力をいただくことになりました。よろしくお願いをいたします。

 今日は、冒頭、皇室について取り上げたいと思います。

 天皇退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく有識者会議、いわゆる有識者会議の最終報告が、昨年、令和三年十二月二十二日に最終報告として出されたわけでございます。今年、令和四年一月十八日に、政府における検討結果の報告を受けて、各会派、各党の議論をということで宿題をいただいております。

 そして、我が党日本維新の会も党内に皇室制度調査会というのを立ち上げまして、私が座長を務めさせていただき、三木圭恵議員が事務局長ということで、党内の意見の集約を今図っているところでございます。

 この報告書について、少しなぞりながら理解を深めたいというふうに思うわけであります。

 ちょっと内容のキーポイントとなるところを御紹介させていただきたいんですが、今回、皇位継承、それから皇族数の減少についての基本的な考え方として報告書で示されたのは、今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れはまずゆるがせにしないこと、それを前提に、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題である、このように報告書はスタートしているわけであります。

 それから、具体的な皇族数の確保の方策として、三つ挙げられております。内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること、それから二番目、皇族には認められていない養子縁組を可能として、皇統に属する男系の男子を皇族とすること、それから三番目として、皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること、この三案が出されているわけでありますけれども、私、この報告書は、次の二点の点で評価できるなというふうに思っているんです。

 一つは、言葉遣い、それから提案の仕方も非常に繊細な配慮がなされた点、それからもう一つは、皇室のこれまでの歴史とかなり整合的、そしてかつ現実的であるという意味で私はこの報告を受け止めているわけでありますが、ちょっとこの内容について御見解をいただきたいんですが、まず、具体的な方策として示されたこの一案と二案の、内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持した前例について歴史上どうであったかということ、それから、皇位継承を目的としたものを中心に、養子の前例についてどうであったかということを確認したいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 まず、女性皇族が皇族でない者と婚姻した場合のお立場ということでございますが、先般の有識者会議の報告において紹介もされておりますが、第百二十代仁孝天皇の皇女であられた親子内親王、和宮様が徳川家茂に嫁した後も皇族のままであった例がございます。

 また、養子に関連しまして、皇位の継承を目的として養子となった例といたしましては、これは平成十七年に開催された皇室典範に関する有識者会議の会議資料で紹介されたものといたしまして、後水尾天皇の皇子識仁親王が兄の後光明天皇の養子となり、その後、一六六三年に即位されたという第百十二代霊元天皇の例や、東山天皇の皇曽孫兼仁王が後桃園天皇の養子として一七七九年に即位されたという第百十九代光格天皇の例がございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 今、事例を挙げていただいたように、この案は、全く突拍子もなく、歴史上存在し得ない前例というわけではなくて、実際実在した、そして事例があるという前例だということはまず確認させていただきました。

 この報告書では、皇族数の確保のための案として、旧十一宮家の男系男子孫を皇族の養子としてお迎えする案が示されているわけでありますけれども、これは、パネルは皇室典範でありますが、第一条、この、皇統に属する男系男子を確保するための方法とも考えられるわけであります。

 この旧十一宮家の男子皇族は、現在の憲法下において、昭和二十二年五月三日から昭和二十二年十月十四日に皇籍を離脱されるまで皇位継承権をお持ちだったことは皆さんも周知の事実かと思います。

 それから、同じくお示ししたのが、昨年十一月三十日に開催された第十一回有識者会議の際に事務局から調査研究の結果をまとめた資料集として提出されたものがこれでありますけれども、これは、この中に旧皇族男子の方々の皇位継承順位表というのがございます。これは、皇籍離脱をされた際に、この直前まで皇位継承順位がどうだったかという表でありますけれども、当時は、内廷及び三直宮家の皇族から六名もの皇位継承権を持たれた方がいらっしゃいました。それに加えて、その後皇籍を離脱された、第七位から三十二位まで二十六人もの皇位継承資格をお持ちの男子皇族のお名前がこうやってうかがえるわけであります。

 ところが、現在の皇室は、皇位継承権をお持ちの皇族が、秋篠宮皇嗣殿下、それから悠仁親王、そして常陸宮殿下の、このお三方しかいらっしゃいません。余りにも少な過ぎます。我が国の皇室でもう少し男性皇族を確保するということは、安定的な皇位継承を維持するために必要だというふうに考えるわけでございます。

 ここで、その報告書に出てくるこの旧十一宮家、旧宮家というものがこれから注目、今も注目されているわけでありますけれども、この旧宮家とは誰を指すのか、そしてどのような方がおられるかを御紹介いただけたらと思います。

池田政府参考人 宮家は、法定の制度ではなく、独立して一家を成す皇族に対する一般的な呼称でございます。

 また、いわゆる旧皇族とは、皇族であった方で皇籍を離脱された方々でございますが、委員がお示しになりましたのは、昭和二十二年十月十四日に皇室典範の規定に基づいて皇籍を離脱した方々と存じ上げます。具体的には、山階宮、賀陽宮、久邇宮、梨本宮、朝香宮、東久邇宮、竹田宮、北白川宮、伏見宮、閑院宮、東伏見宮の十一宮家五十一方でございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 それから、確認させていただきたいのが、昭和二十二年の皇籍離脱の背景、そして歴史的事実を御紹介いただけたと思いますが、様々な理由がちまたで言われているわけでありますが、どのような事情で、そしてどのような背景の下にその方々が皇籍を離脱されたのか、御紹介ください。

池田政府参考人 昭和二十二年の皇籍離脱につきましては、これを審議した同年十月十三日の皇室会議におきまして、議長である片山哲内閣総理大臣からその背景等が説明されており、その内容は次のとおりでございます。

 今次戦争が終結しました直後より、皇族のうちから、終戦後の国内国外の情勢に鑑み皇籍を離脱し一国民として国家の再建に努めたいという御意思を表明せられる向きがあり、宮内省におきましても事情やむを得ないところとしてその御意思の実現を図ることとなり、この後少し省かせていただきまして、これに必要な準備が整いましたので本日皇室会議の議に付することとなった次第でありますと説明をされております。

藤田委員 ありがとうございます。

 これは、公式見解としては、形式上は自ら願い出て皇室の身分を離脱されたということなのでありますけれども、これは皆さんにも理解していただきたいのは、まず、新皇室典範というのはGHQの占領下で制定されたものであること、及び、一九四六年五月にはGHQによる皇族の財産上その他の特権廃止に関する指令というのが発せられているわけでありまして、経済的な理由も含めて、何らかの強い圧力があったことは社会的にも否定できないというふうにも言われているわけであります。実際に皇籍離脱に反発した皇族も少なくなかったという記録も残っているわけであります。

 それから、パネルを次に見ていただきたいのは、これは、現在の皇室と旧宮家の方々との親戚関係を幾つか示した図でございます。

 旧宮家の方々と現在の皇室は、幾つかの、そして多くの親戚関係があるというふうに理解しておりますが、これも幾つか御紹介いただくことはできますでしょうか。

池田政府参考人 現在の皇室と昭和二十二年に皇籍離脱された方々の親戚関係について申し上げますと、久邇宮家との関係につきましては、上皇陛下のお母様であり、大正十三年に昭和天皇と御結婚された香淳皇后が久邇宮邦彦王のお子様であり、上皇陛下と邦彦王のお孫様である久邇邦昭様とはいとこの関係にあられます。

 また、東久邇宮家との関係につきまして、上皇陛下のお姉様である成子内親王は、昭和十八年に東久邇宮盛厚王と御結婚されております。そのお子様の故東久邇信彦様は上皇陛下のおいに当たります。

 また、明治天皇のお子様であります昌子内親王が明治四十一年に竹田宮恒久王と、房子内親王が明治四十二年に北白川宮成久王と、允子内親王が明治四十三年に朝香宮鳩彦王と、聰子内親王が大正四年に東久邇宮稔彦王と、それぞれ御結婚になっています。

藤田委員 ありがとうございます。

 次に、現在の皇室と旧宮家の方々の交流関係について幾つかお話を聞きたいと思います。

 こちらのパネルを見ていただけますでしょうか。これは、菊栄親睦会というものがありまして、平成六年に百一名が御出席されたもので、これは実際に出版されておりまして、これは有識者会議の資料としても提出されているもので、ホームページ上で公開されているものであります。

 昭和二十二年の皇籍離脱の際、皇位継承権をお持ちの男子皇族が三十二人中二十六人もいなくなってしまうことに対する不安や御心配も各所からあったと拝察申し上げますが、昭和天皇は、この十一宮家の皇族の方々が皇籍離脱されることに非常に難しい心情であられたということもお聞きしております。

 そのようないきさつもあったからでしょうか、昭和天皇は旧宮家の方々を非常に大切にされ、皇籍離脱後も菊栄親睦会等を通じて旧皇族の方々と親しく交流されてきたと伺っております。

 かつて、親しみを込めてひげの殿下と呼ばれた三笠宮様は、インタビューの中でこのようにおっしゃられています。皆さんが意外と御存じないのは、我々現職の皇族と旧宮家の方々はすごく近しくつき合ってきたということですと、このようにおっしゃられているわけでありますが、こちら、お示しさせていただいた菊栄親睦会、これは私、二年前の質疑でも少し聞かせていただいたんですが、まず、これの運営について少しお手伝いを宮内庁がしているということは事実かということをもう一度確認したいことと、それから、菊栄親睦会はこれまでどの程度の頻度、そして直近ではいつどこで行われたか、それから、この参加者はこれまでどのような方がいらっしゃったかということをお聞きしたいと思います。

池田政府参考人 宮内庁は皇族方の公私にわたるお世話を申し上げておりまして、その立場から、皇族方が会員となられている菊栄親睦会のお手伝いをしているところでございます。

 菊栄親睦会は、会員の皆様で運営されている任意団体でございますので、その運営に関する具体的なことについて、宮内庁としてお答えすることは差し控えたいというふうに思っております。

 そして、菊栄親睦会大会でございますが、最近は五年に一度程度開かれているというふうに承知をしておりまして、直近の例で申し上げますと、平成二十六年五月十八日に赤坂御用地内の赤坂東邸において開催されたものと承知しております。

 具体的な運営については、宮内庁としてお答えすることは差し控えますが、なお、過去、菊栄親睦会の大会に際しまして、会員の方々とその御家族が出席されたと報じられたことは承知をしております。

藤田委員 ありがとうございます。

 これらの事実は、なかなか国民の皆さんも御存じない方が多いというふうに思います。改めて、今日、明らかに説明いただいたように、旧宮家の方々というのは、歴史的背景においても、そして、親戚関係においても、現在の交流関係においても、皇室と非常に近しい立場であるというのは事実としてございます。

 これまで、他党の議員が国会において、このような発言もありました。以前皇族だったおうちにたまたま生まれた方が突然現れたら受け入れられない、無理筋であるという個人的見解を述べられた方もいらっしゃいましたが、私は、今日のお話を再度確認させていただいて、全くそうは思いません。

 これまでも、私は、私たちは、旧宮家の方々から何らかのお力をおかりするという選択肢は閉じるべきではないという主張をしてまいりましたが、今日、改めて、この具体的な方策が有識者会議から出てきて、その可能性も少し見えてきたわけでありますが、今日の質問させていただいた客観的事実を踏まえて、この報告書の受け止めを、有識者会議の報告書、そしてこの具体的方策の受け止めを総理から一言いただけたらと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の有識者会議の報告書ですが、附帯決議に示された課題について大変丁寧に議論を尽くしていただき、バランスの取れた報告書になっていると考えています。

 政府としては、この報告書を尊重することとし、国会に報告したところです。現在、国会において検討が行われているものと承知をしており、私としては、報告書がこれに資するものになってもらいたいと考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 本日確認させていただいた客観的な事実も含め、国民の皆さんに正確な情報をお伝えして理解を醸成していくというのは、非常に大事なことだと思います。それから、長い歴史の中で積み重ねられた歴史や伝統を大切にして、古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえて、私たちも静かな環境の中で議論し、そして立法府としての役割を果たしてまいりたいと思います。

 それでは、二つ目の議題に参りたいと思います。

 勤労者皆保険について、勤労者みな保険と書いて皆保険でございますけれども、これは、前回、私、登壇させていただいたときに総理と少しやり取りをさせていただきましたが、多様な働き方に中立な社会保障を、みな保険ですから、皆さんに提供していこうという御趣旨のことをずっと訴えてこられて、内容は余りないですよねというようなことを言わせていただいたんです。

 これは総理でも厚労大臣でもお聞きしたいんですが、前回、勤労者皆保険という中で、多様な働き方、具体的に言うと、フリーランスや個人事業主のような方々にも、企業が提供する社会保障の船に乗せていくというイメージなのかと言うと、そうだという趣旨の御答弁をいただきました。私は、これは非常に難しいし、いわゆる適用拡大の範囲をフリーランスや個人事業主の方々にやるというのは、技術的に私は非常に難しい、無理筋じゃないかなというふうに考えるわけでありますが、これはそのような趣旨で本当におっしゃられているのか、確認したいと思います。

後藤国務大臣 被用者保険の適用拡大については、就労時間が二十時間以上等の要件に該当する短時間の労働者に対して、従業員百人超の企業は本年十月から、従業員五十人超の企業は令和六年十月から行うことになっておりますが、まずは、この短時間労働者に対する被用保険者の適用拡大を着実に実施していくのが今の政策でございます。

 兼業、副業、フリーランスなどの、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保され、誰もが安心して希望どおりに働くことを可能とすることは非常に重要でございまして、こうした点も含めて、今後、勤労者皆保険の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、全世代型社会保障構築会議等においてしっかり議論するべきものと考えております。

藤田委員 後藤大臣、今のはお答えになっていなくて、私が聞きたいのは、短時間労働者の方々は適用拡大は既に方針は出ていますし、私たちもそれは反対しません。ただ、問題は、そこの企業の社会保障の船にどこまでの人を乗せていくのか。つまり、勤労者皆保険ですからね、みな保険です。広くあまねく、国民の皆さんに企業を通じてその船に乗ってもらおうというコンセプトを総理がおっしゃられたわけです。

 だから、私が答えていただきたいのは、多様な働き方をされているフリーランスの方も、フリーランスの方はいろいろな企業と取引していますよ。その中で、そのフリーランスの方も企業を通じた社会保障の船に乗せて勤労者皆保険と呼ぶんですかと聞いているんです。お答えください。

後藤国務大臣 従来、勤労者皆保険というのは、被用者保険の適用拡大を進めてくるということをもって使われてきているというのが一つの例だと思います。

 岸田政権における勤労者皆保険の基本的な考え方は、今委員からも御指摘のありましたように、総理答弁もされておられる、兼業、副業、フリーランスなども含めて、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保され、誰もが安心して希望どおりに働くことを可能とするというものでございまして、できる限り多くの、様々な形で働く方々に参加していただけるように、社会保障の支え手を増やし、全ての世代が支え合う持続可能な社会保障の構築につなげていくということでございます。

 ですから、そういう意味でいうと、勤労者皆保険の基本的な考え方は、従来のいわゆる被用者保険の拡大というよりも、現内閣においては、もう少し幅広い、全ての働く人たちに社会保障制度をどうやって広げていくかという幅の広い議論をしていくということになります。(発言する者あり)

藤田委員 今御指摘があったみたいに、身内のやじですけれどもあったように、その中身が大事で、いや、本当にそうなんですよ。じゃ、フリーランスって何でフリーランスかということなんですよ。リスクとリターンの配分でこういう働き方というのは決まっているわけで、フリーランスというのは、いろいろな多様な働き方をする、自由度がある代わりに、ある種守られていない、そういう企業の船に乗っていない、そういう特徴のことを言っているんですね。

 先ほど大臣も、そんなの本当にできるわけないとちょっと思っていらっしゃるんじゃないかというような、だからあえて曖昧な御答弁だったんじゃないかなと思うんですが、企業の提供する社会保障に、フリーランスとか個人事業主、ギグワーカー、パラレルワーカーを全部乗せるというのは、これは社会保障のシステムの大転換ですよ。そういうコンセプトとして受け取っていいんですかと私は問いたいんです。

 じゃ、もしそうであるとしたら、そんなことは私は思い浮かびません。どうやってやるのか、具体的設計は全く思い浮かばないですね。

 だから、私たちが提案しているのは、そのコンセプトの対比を私たちは実はしていて、企業を通じた社会保障というのは、漏れ落ちる方、ユニバーサルにならないんですよ、絶対に。その漏れ落ちる方たちが、今コロナでもたくさん苦しんでいらっしゃるという実情があって、新たな社会保障システムをつくりましょうという提言を私たちはしていて、我々が提案している日本大改革プランや、その中では、ベーシックインカムやそれから給付つき税額控除のような、個の所得をしっかりと把握して、そこに、傷んだところに直接手当てをする社会保障、セーフティーネット機能を引こうという明確なコンセプトを私たちは言っているんですが、総理から出てくるのは非常に曖昧で、今厚労大臣も、フリーランス、一言で言うと、乗せるんですか、乗せないんですかというので言うと、どういうことなのかを明確に言っていただきたいと思います。

後藤国務大臣 確かに、委員御指摘のように、フリーランスに対する被用者保険の適用というのは、そもそも雇用関係にないということであるとすると、なかなかその整理というのは難しい問題があるわけであります。

 しかし、ともかく、我が国の年金及び医療等の被用者保険の制度自身は、被用者とそれを雇用する事業主が保険料負担を折半するということで成り立っているという、そういう仕組み、社会保険の仕組みになっておりまして、こうした保険料負担や社会保険の仕組み等を安定的に維持されてきた側面があるので、そういうことも含めて制度の在り方をしっかりと見直していくということで、詳しくは、今後、全世代型社会保障の検討の中で検討していくということでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 やはり、後藤大臣は、今のお話を聞いても、今後の選択肢を狭めたくないから明言しませんでした。非常に私は賢いと思います。だって、無理なんだから。企業の社会保障という船に多様な働き方を全部乗せ込んでいって、被用者保険を拡大して、半分企業に負担させて年金や社会保障の財政もある程度賄ってしまおうという、そんな都合のいいプランはありませんよ。

 だから、私は、総理、今、手を挙げていただけるのであれば、勤労者皆保険、それに、フリーランスの人たちも企業の船に乗せるということは、私は、制度設計上、絶対に無理だと思いますが、一言いただけますか。

岸田内閣総理大臣 働き方に中立な社会保障制度をつくるという考え方は、大変重要な考え方だと思います。

 それに対するアプローチの仕方として、御党においてはベーシックインカム等を考えられた。そして、政府・与党、自民党においても、二〇一六年頃から、政調の文書等において、国民皆保険制度、勤労者皆社会保険、こういった用語を使って、被用者保険の拡大という形でそういった理想を実現する方法を考えてきた、こうした議論を積み重ねてきました。

 これは、おっしゃるように、どちらも完璧なものにするというのは大変なことだと思います。ベーシックインカムも、今、現実、社会保障方式を取っている中で転換すること、これは大変、現実において厳しいものがあります。一方、おっしゃるように、被用者保険をどこまで広げられるか、これは様々な課題があります。

 それぞれ課題がありますが、働き方に中立な社会保障制度、更に言うならば、できるだけ幅広い方々に社会保障制度を支えてもらう、そういった体制をつくることによって持続可能性を追求する、こうした努力は大事だと思います。

 アプローチは違いますが、是非理想に向けて努力をしていきたいと考えます。

藤田委員 よく分かりましたけれども、私たちが問題提起しているのは、その企業の船から漏れ落ちた人に対して、ユニバーサルに社会保障、セーフティーネットを提供して、新しい社会保障のインフラをつくるべきだと言っているのであって、今のは、やはり、これから議論すると大臣はおっしゃられて、そして、適用拡大をどこまで広げられるかは議論があるねというような曖昧な答弁であったというふうに私は受け止めます。

 これは、非常に重要な話ですから、またちょっと各論は各委員会でも続けさせていただきます。

 これで今日は終わります。

根本委員長 これにて岬君、住吉君、藤田君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 まず冒頭、今回も、立憲民主党さん、そして日本維新の会さんに質問時間を融通をしていただいたことに心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 さて、総理にまずお聞きしたいと思いますけれども、日本生産性本部が昨年末に発表しました労働生産性の国際比較二〇二一という統計がございます。

 これによりますと、二〇二〇年の日本の時間当たりの労働生産性、つまり、一人が一時間働いてつくった付加価値は幾らだったかというと、四十九・五ドル、約五千八十六円で、アメリカと比べると、アメリカは八十・五ドル、約八千二百八十二円ですので、六割の水準しかないんですね。OECD加盟国三十八か国中、日本は二十三位。二〇一九年は二十一位だったので、ランクを二つ落として、一九七〇年以降で最も低い順位となったということであります。

 また、二〇二〇年の日本の一人当たりの労働生産性、つまり、就業者一人が年間につくり出した付加価値というのは、これは七万八千六百五十五ドル、約八百九万円で、G7の中でこれも最低、そしてOECD加盟三十八か国中で二十八位。二〇一九年が二十六位だったので、これもランクを二つ下げて、一九七〇年以降最も低い順位となったということでございまして、この労働生産性も、時間当たり、そして一人当たり共に、どんどんどんどん下げていっているということでありまして、三十八か国中二十三位、二十六位、残念な結果に終わっているということであります。

 ちょっと図一を、これはまず上のグラフを見ていただきたいんですが、縦軸は時間当たりの労働生産性です。そして、横軸は一人当たりの公的高等教育支出。つまりは、横に行けば行くほど支出が多い、そして上に行けば行くほど労働生産性が高くなるということでございまして、OECDでのそれぞれの国を点にして、そして相関関係を調べているということでありますけれども、この統計でいうと、相関係数が〇・七八で、正の相関関係があるということなんです。

 総理に御答弁いただきたいんですが、この統計にあるように、政府としても、一人当たりの高等教育費を増やせば労働生産性は上がるという、そういった御認識ですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、高等教育への公的支出と労働生産性には正の相関関係があるという研究結果がある、このことについては承知をしております。

 政府としましても、高等教育の充実、これは大変重要だという認識に基づいて、これまでも高等教育の無償化等様々な施策に取り組んできました。

 これからも、引き続き、高等教育の充実に向けて努力をしていきたいと考えております。

前原委員 充実強化する、重要だというのは分かっているんです。私が質問しているのは、正の相関関係があるという統計結果が出ているけれども、そういう認識かということを聞いています。

岸田内閣総理大臣 御指摘のような研究結果があるということを承知しております。

 これも一つ、大切な指摘である、研究結果であると受け止めて、我が国の高等教育の充実に向けて努力をする際の大いなる参考にさせていただきたいと考えます。

前原委員 明確にお答えになっていないわけでありますけれども、この労働生産性というのは、これは資本の深化とそれからあとは全要素生産性、潜在成長率とかなり近いんです。潜在成長率というのは、御承知のとおり、これは、労働と、これは労働力掛ける時間ですよね、それから資本、どれだけ設備投資にお金を入れたか、そしてもう一つはこの全要素生産性。潜在成長率とかなりリンクをしているものでありまして、やはり、教育にお金をかければ労働生産性が上がるということは、潜在成長率も上がるという関係性が極めて高いということなんですね。

 にもかかわらず、下を見ていただきますと、日本の公的教育支出対GDP比は、OECDプラス中国の三十九か国の中で見ると、下から数えて二番目だということはまず指摘をしておきたいと思います。

 では、次、二番目のグラフを御覧いただきたいと思います。

 これは、文部科学省所管の一般会計予算、文教・科技費と言われているものでありますけれども、大臣もおいででございますけれども、いやいや、まだ。おられるかどうか確認したんです。これは変化なんですね。

 私が指摘したいのは、総理、このグラフの小泉政権のところなんですよ、小泉政権のところ。五年半の小泉政権で、文教・科技費というのが、前の森政権から若干、小泉政権で増えたんですけれども、それから毎年毎年、五年間減らし続けているんですよ。いわゆる小泉構造改革と言われるものですね。これで減らした額、幾らだと思われますか、五年間で、予算。一兆四千四百七十四億円。五年間で一兆四千四百七十億円減らしたんですよ。

 今回、総理が目玉だとおっしゃっている、いわゆる能力開発とか再就職支援、これは三年かかってようやく四千億ですよね、総理。四千億ですよね、三年かかって。ですよね。いや、いつも総理がこれは目玉だと答弁されているものですよ。四千億。

 十兆円の大学ファンド、これもよく、教育にお金をかけていますということでおっしゃっている。これは数年後、マックスで運用されたら幾らか、総理、御存じですよね。後ろでいろいろ言われている、三千億。それぐらい覚えておいてください。

 総理が目玉だとおっしゃっているものは、四千億と三千億、足しても、小泉さんの五年半で削ったものの半分以下なんですよ、それでも。

 これだけ減らしたということは、私は、先ほどの相関関係から見ると、相当程度、凋落の三十年間と言われていて、国際競争ランキングが落ちた、大学のランキングが落ちた、そして賃金が上がらない、こういうような様々な日本の要素の中で、やはり、この予算を減らしたということについては極めて大きな問題があった。つまりは、このことが結局、日本のいわゆる衰退の大きな原因をつくったと私は思うんですけれども、総理、いかがお考えですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、文教予算、人への投資、こうした予算は重要であると認識をしています。

 過去の予算が削られているという指摘がありましたが、これは、時代の変化の中で、様々な議論の結果だと思います。しかし、これからを考えた場合に、当然のことながら、文教予算、そして人への投資、重要だと認識をしています。

 そして、委員の方から御指摘があった人への投資の予算等、これももちろん大事な予算だと思ってはいますが、資料は、文教政策の予算ということで資料を出していただいております。文部科学省の予算全体ということを考えますと、今回は、十六か月予算の下に、令和三年度補正予算、これが一・五兆円、そして令和四年度の当初予算五・三兆円、これを一体として、これは十六か月予算ということでこの予算を提示させていただいているわけであります。全体でしっかりと、この取組自体を支えられる予算として活用していきたいと考えております。

前原委員 財務大臣、後で答えていただく、文部科学省から財務省がいかにひどいかという資料をいただいていますから、そのことを後でお話ししますから。

 では、今、総理、この小泉政権で減らした分、先ほど十六か月予算でしっかり予算をつけたということですけれども、これからもそういった予算はしっかりとつけて、こういった減らした分は取り返していく、そして人への投資で日本の成長につなげていくんだ、そういう意思表示でよろしいですか。そういう決意を表明されたということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 人への投資、文教予算は重要であると認識をいたします。

 しかし、この金額をどれだけ積み上げるかということは、当然のことながら、社会情勢、そして予算全体の中でしっかり考えていくということであります。その条件の中で、最大限、文教予算あるいは人への投資、これをしっかりと積み上げていく、こういった姿勢はこれからも大事にしていきたいと考えます。

前原委員 総理、この二のグラフは、結構、見ていたら面白いんですよ。

 小泉さんといえば、構造改革でぶった切ったわけですね。それで、減らしていったということで。ほかにも、例えば、社会保障費の自然増を毎年二千二百億円削る、五年間で一兆一千億だということで、結果、救急車のたらい回しとか医療崩壊を起こして、途中でやめざるを得なかったですよね。そういったことも構造改革の中にあったし、何よりも、製造業まで派遣を広げて、そして、結局四割まで非正規雇用を増やして、そして賃金が上がらない、格差拡大の原因になったのは、まさに小泉構造改革ですよ。

 予算を上げる、例えば、鳩山政権のときに前よりも予算を上げるということになっているんですけれども、大きなポイントは高校の無償化ですよ。高校の無償化の予算を入れたというところ。でも、残念ながら民主党政権でも減っていっている。

 令和元年の安倍政権のときにまた増えているんです。これは何かといったら、総選挙のときに、我々、民進党で、私が代表になって、そして教育の無償化ということを打ち上げて、そして選挙のときに、なんちゃって教育の無償化を打ち上げられたんです、いわゆる幼保の無償化というやつです。三歳から五歳までは無償化しましょう、ゼロ歳から二歳までは今後考えます、こういうようなことで、およそ私どもが考えていた教育の無償化とはほど遠いようなもので、しかし教育の無償化で争点消しを狙われた。でも、その後また減っていっているということです。

 先ほど、岸田総理は、補正予算で十六か月一体なんだということですけれども、これは増やしても減っていく、増やしても減っていく、何が原因があると思われますか。分からなかったら分からないでいいですよ、質問通告していませんから。どうぞ。

末松国務大臣 ちょっと補足説明、先ほど総理が答弁あった補足だけ説明をさせていただきたいんですね。(前原委員「いや、いいです、それはいいです。なぜ減っているのか」と呼ぶ)そうですか。

 取りあえず、今年度の予算、十六か月予算と言っていますけれども……(前原委員「違う、減っている要因を聞いている。時間がないんだから、質問だけ答えてください」と呼ぶ)それは明確にはお答えはできないと思いますが。

前原委員 文部科学省に、私、事前にレクに来ていただいて、予算が減る一番大きな原因、もっと増やした方がいいんじゃないか、私は教育の予算をもっと増やすべきだ、教育の無償化、もっと増やすべきだ、だから、文部科学省の僕は応援団だと。

 そして、何か財務省に反駁するものはないのか、こういうことで聞いたら、持ってきていただいた資料が、何と我々の政権交代のときの資料だったんです。平成二十一年の資料。恐らく、文部科学省は、政権交代があって、予算の使い方を変える、これは民主党政権が財務省に対して物を言ってくれるんじゃないか、そういう期待があったと思う。それは全部応えられていなくて申し訳なかったんですけれども、これは、財務省の文部科学省予算についてに対して文部科学省はこう答えますという。

 僕は、財務省が悪いと言っているんじゃない。これは全て政治が決めているんです。財務省は予算査定するのが彼らの仕事だから、それは、私、財務省が悪いと言っているんじゃなくて、それを越えてこられなかった政治の責任だということを申し上げたいので、茶谷さん、別にけんかを売っているわけじゃないので、そういうことであります。主計局長がおられるので。

 財務省の主張、日本の公財政教育支出GDP比は少ないが、子供の数の割合も少ない、公財政教育支出を子供一人当たりで見れば、G5並み。この頃はG7じゃなくG5並み。つまり、いつも財務省から言われるのは、予算は減りますね、だって、子供の数は減っているんですから、予算を減らしますよ、そういう論理なんですね。

 そして、我が国は教育を含めた政府全体の歳出規模が小さい、つまりは小さな政府だと。小さな政府というのは、国民負担率が低いということですよ。大きな政府か小さな政府かというよりは、国民負担率が非常に低い、だからその歳出規模に比べたらこの教育予算というのはそんなに他国とは遜色ない、これが財務省の主張であるけれども、我々文部科学省はどう考えているかということで、反駁をしてくれているんですよ。

 各国とも少子化が進展している中で、日本だけが教育への支出を減少させている。そのとおりですよ。我が国は教育への公財政支出が少ないため、家計の負担が重い。そのとおりですよ。しかも賃金は上がっていないから。公財政教育支出は少子化の影響を考慮してもなお、国際的に見ても低い。そのとおりですよ。政府の規模を考慮しても、日本の教育支出は少ない。そのとおりなんですね。

 つまり、文部科学省は、やはり問題意識は持っているんです。財務省のいわゆる査定のポイントに対して、子供の数が減っている、だから文部科学省の予算を減らしてもいいんだ、こういうこと、そして、日本は元々いわゆる国民負担率が低い、その中では、割合からすると他の国と遜色はない、こういう論理で財務省は文科省の予算を削っていた。だけれども、文科省は、他の国と比較して、そうではありませんよという反駁をしているわけです。

 文部科学大臣、この今の、このときに反駁された根拠は変わっていると思われますか、変わっていないと思われますか。イエスかノーで結構です。

末松国務大臣 私の思いとしては、九五年から総所得もかなり落ちておるということも認めるところでございます。

 教育費については、子供の数が減ったら先生の数も減りますので、今回も、実はそれほど大きな予算は増えていないことは事実でございます。五兆二千八百十八億ではないかというふうに記憶をいたしております。

 一概には申し上げられないんですけれども、事情は変わってきています。やはり相対的貧困率も上がってきていますので、そういう点は、いろいろ考慮しなきゃならない点が、加味しなければならない点があるということは認めたいと思います。貧しい子供さんが増えているということです。

前原委員 ありがとうございます。

 ということは、文部科学大臣、要は、この財務省の意見に対して文部科学省が反駁されていることについてはお認めになった上で、さらに子供の貧困率、七人に一人ですよね、七人に一人、貧困率が高まっているということの中で、より教育の重要性が高まっている中で、じゃ、この予算というものは、本当に今の日本の、言ってみれば競争力、そして子供たちの教育水準、そして全ての子が教育を受けられる環境であるかどうかという観点に対して十分な予算だと言えますか、この提案をされている予算。

末松国務大臣 充実に努めていきたいということだけ、宣言申し上げたいと思ってございます。不満であるとか満足であるとかということは申し上げることはできませんです。

 充実に努めていかなきゃならない時点である、これは科学振興の予算も同一でございます。政府全体で約四兆円ですね。やはり、そういう点も考えていけば、これからの日本を考えれば、そういった教育予算、科学振興の予算は積み上げていくべきだと思います。

 ただ、財政が厳しいという状況はよく認識いたしております。

前原委員 この予算を駄目だと言ったら出し直さなきゃいけないので、そんな答弁はできないですよね。

 中国、一人っ子政策をやっています。日本と同じような、今、少子化をたどっています。でも、すごいですよ、中国は。二〇一九年の全国の教育費総支出は一九九六年と比べて何倍になっているか。同じように少子化になっているんですよ。子供の数が減っている。何と二十二・二倍増やしている。公財政支出教育費、一九九六年から二〇一九年まで、二十四倍増やしている。

 減らしている日本、大幅に増やしている中国、それは彼我の差が出るのは当たり前ですよね。アメリカと中国がまさにしのぎを削っている。人への投資というものは、そんなちまちました細かな予算をどれだけ増やしましたかというレベルじゃなくて、根本的にこの日本は問い直さなきゃいけないような状況に来ている。そうじゃないとこの凋落は止まりませんよ。

 野田大臣、お待たせしました。ちょっと違う観点で、何かのんびりされているので、質問をしたいと思います。

 皆さん方にお配りした、パネルはなくて申し訳ないんですけれども、四を御覧いただけますか。これは何かといいますと、東京大学とベネッセ教育総合研究所が共同研究をして、ゼロ歳から一歳児を持つ家庭の約八割が、お金がかかることを理由に多子化を断念しているということですね。

 私、この間、テレビ入り中継で質問された有志の会の北神圭朗さんの質問は、非常に感銘を持って聞きました。日本の有事は何か、一番の有事は何かというと少子化であり、人口減少である。私もそのとおりだと思いますね。これを、長らく日本の課題だったにもかかわらず、少子化担当大臣がおられるのにもかかわらず、この問題は解決できませんでしたよね。

 野田大臣、正直なところ、総裁選挙で四人の中で教育を中心に据えられていたのは野田さんだけですよ。ほかの方は、まあいろいろな問題をおっしゃっていたけれども、私は、この日本を再生させるために一番大事なのは教育だと思っている。人への投資だと思っている。だから、野田さんに対して、私、共鳴を持っていたんですけれども。

 でも、この予算で、この教育費で、家族向き支出で、本当にこの少子化は止まりますか。今、止まっていないじゃないですか。そして、この四番の状況を見ていると、つまりは、子供を持ちたいけれども、教育にお金がかかるから、二人目、三人目は諦めなきゃいけない。そういう方々をなくしていったら、それだけではないですけれども、日本の少子化、人口減少というのは歯止めをかけられるんじゃないですか。どう思われますか。

野田国務大臣 恐らく同じ意見だと思います。ただ、少子化というのは、お互い長らくずっと研究を重ねていく中で、何か一つのことが問題で日本の少子化が起きているのではなく、やはり社会全体が少子化に向けた仕組みになっている。

 例えばお金がないという前提は、例えば非正規が増えてきていて、男の方の非婚率が上がっている。結果として結婚しない。結婚しないから、結果として子供が世に出てこないとか、様々な複合的な要因があるんだと思っています。

 今まで少子化対策の一番の問題点は、やはり国会できちっとした、今おっしゃったような国難であるという議論がされていなかったこと。やはり、女性と子供の問題で、厚生労働の中で何か答えを出さなきゃならないという小さな枠組み、小さな予算の中で、みんな頑張っているんですよ、でも、それではやはり到底間に合わないということにやはり多くの人たちが気づけなかったこと。

 今国会、岸田政権の下で、こどもまんなかという新しいコンセプトの下で皆さんに、これまでなかなか物申せなかった男性も、今のように、前原委員のようにどんどんおっしゃっていただいている。

 少子化は、女性や子供の問題ではなくて、まさに国難、安全保障の問題なんです。国を担っていく、守ってくれる人がどんどんいなくなる。そういう中で、是非、議論を活性化する中で、予算もしっかりつけていきたい、そういうふうに思います。よろしくお願いします。

前原委員 いや、つけていきたいって、今、このついている予算を議論しているわけですから。これで足りているのかといって足りていないから言っているわけです。

 今、野田大臣がおっしゃったように、もちろん教育の費用だけではありません。やはり男性の給与が少ない。女性は四百万円以上年収を求めているけれども、四百万円以上ある年収の未婚の男性なんて四分の一もいませんよ。それ以下ですよ。

 そんな状況も考えてやっていかなくてはいけないというのはあるけれども、しかし、大事なことは、国難である少子化を止めて、人口減少を何とかとどめる。そして、先ほど申し上げたように、労働生産性、潜在成長率を上げるためには教育が何よりも大事なんです。そして、何よりも、親の所得に関係なく、生まれた地域に関係なく、全ての子供にひとしく教育のチャンスが与えられる、そういう国柄に私はすべきだと思うんですね。そうなると、もっと抜本的な予算をつけていかなくちゃいけない。

 もう最後、時間が来ましたので、総理、質問、一つだけ。

 これは、中長期計画を作りませんか。教育にこれだけお金をかけないと、この国はもはや立ち行かなくなる。二流国、三流国でとどまれなくなる。そういった危機意識の中で、中長期の、この予算はもう出しているんだから変えられませんということでしょう、でも……

根本委員長 前原君、簡潔にお願いします。

前原委員 はい。

 中長期の目標、国家目標を国家百年の大計に立って作られませんか。どうですか。

岸田内閣総理大臣 国家として、将来を見据えて様々なビジョンを描いていく、その財源においても、単年度主義を打破してしっかりと確保していく、こういった基本的な考え方は、従来から私も申し上げております。

 その中で、教育、おっしゃるように大変重要な課題であります。教育についても、今後どう考えていくのか。中長期的な視点で政府としても考えていく、こういった姿勢は大事にしたいと思います。

 是非、具体的にどういった形でそれを実現していくのか、政府としても、これからもしっかり考えていきたいと思います。

前原委員 これで終わりますけれども、総理も私も当選十回で、岸田総理は総理までなられたわけですから、結果を残す立場ですね。我々も具体的な提案をする立場。何かこの国に残さないと、十回も当選を重ねるということは、本当に、馬齢を重ねるだけになってしまいますよ。

 しっかりと、結果を残すために頑張っていただきたいし、そのためだったら、我々もしっかりと支えたいと思います。

 終わります。

根本委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、今日は、在日米軍の新型コロナ対策について質問をいたします。

 昨年末以降、感染が急拡大していますが、そのきっかけは米軍基地と見られています。沖縄でも、山口、広島でも、基地でクラスターが発生し、それが市中に広がったと指摘をされております。

 政府は、水際対策の一環として、米国からの入国を原則停止していますが、日米地位協定の下で、米軍関係者はその例外とされ、自由に入国し続けております。しかも、米軍は、昨年九月以降、日本に入国する際の出国前の検査を取りやめ、入国後の行動制限期間中も基地内を自由に動き回れる状態になっておりました。

 米軍基地でクラスターが発生したのは、今回が初めてではありません。二〇二〇年七月にも発生し、沖縄県の玉城デニー知事や私たち沖縄県選出の野党国会議員は、繰り返し、米軍基地が水際対策の抜け穴になっており、感染が収束するまで、米軍関係者の入国停止や外出禁止の措置を取ること、日米地位協定を改正して、日本の国内法を在日米軍に適用することを求めてまいりました。

 ところが、政府は何ら実効的な対策を取ってきませんでした。感染防止対策に懸命に取り組み、コロナを抑え込んでいた県民の努力を台なしにする事態を招いた日米両政府の責任は極めて重いと思います。

 総理は、その責任をどのように認識しておられますか。

林国務大臣 今お話がありましたように、二〇二〇年の七月に、在沖縄米軍において多数の感染が確認されたことを受けまして、政府といたしましては、在日米軍とともに発出した共同プレスリリースを発出し、在日米軍が、日本政府の方針に整合的な形で、移動制限措置や入国後の検査等の厳格な措置を行うことを確認し、感染拡大の防止や地元の方々の不安解消に向けて、日米間で緊密に連携の上、対応してまいりました。

 昨年十二月以降、在日米軍施設・区域内及びその周辺自治体で感染が拡大したことを踏まえ、米側に対して強く申入れを行った結果、在日米軍は、元々実施しておりました入国後五日目以降の検査に加えて、昨年十二月二十六日からは出国前七十二時間以内の検査を、十二月三十日からは入国後二十四時間以内の検査を実施しており、現在では計三段階の検査を実施しております。

 また、米国は、一月十日から三十一日までの三週間、必要不可欠な場合以外の外出を認めない、夜間の外出を禁止するなど、在日米軍として厳しい感染拡大防止措置を取ったところであります。

根本委員長 外務大臣、簡潔にお願いします。

林国務大臣 政府としては、今般新たに設立された検疫・保健分科委員会において、日米当局間における建設的な協議を通じ、今後の感染状況も注視しながら、感染拡大の防止及び地元の方々の不安解消に向けて連携をより一層強化してまいります。

赤嶺委員 先ほどの大串先生の質問に繰り返し答えた、同じ答弁。しかし、努力はしてきました、今でも努力しています、二〇二〇年のクラスターのときも同じことを言っていたんですよ。そして今回ですよ。

 責任あるんじゃないですか、総理大臣。

岸田内閣総理大臣 今回の事態を受けて、今外務大臣からもお話をさせていただいたように、これは、検査につきましてもしっかり三段階の検査を確保し、そして一月三十一日まで外出禁止などの厳しい感染防止措置を取ってきたところであります。

 そして、その結果として、一月十四日の段階で在日米軍の新規陽性者の数七百十五人だったものが、二月四日は百六十二人に減少しております。

 こうした取組によって数字的にも減少している、こういった状況を受けて、引き続き、申し上げております検疫・保健分科委員会において一層取組を強化していきたいと考えております。

赤嶺委員 全く、繰り返されている責任について触れるどころか、今は減ってきているじゃないか、こういう御答弁でした。

 玉城デニー知事は、基地の中での感染はまだ終わっていない、引き続き厳しい対策を取るべきだと言ってまいりました。

 そこで、私、今日伺いたいのは、昨年九月から米軍が対策を緩和していたことについて、政府はこれまで、十二月のクラスター発生後に米軍に照会して初めて分かったと説明をしてきました。ところが、実際はそれ以前から知っていたのではないかという疑いがあることが指摘をされております。

 NHKや私どものしんぶん赤旗日曜版の取材に、在日米軍司令部は、言うまでもなく日本政府に情報を提供してきた、このように文書で回答しています。それは九月末までにかと再度問い合わせたところ、イエス、このように米軍は答えています。情報を提供していたという米軍とされていないという日本政府との間で、説明が百八十度異なる事態になっております。

 外務大臣は、外務省にも同様の回答があったことを先週の会見で明らかにしておりますが、米軍は、いつ、どの場で提供したと、このように言っているんですか。

林国務大臣 これは何度か答弁をいたしましたけれども、二月二日の報道がございました。

 在日米軍に対しては、我々から、同日、出国前検査が免除されたことを日本政府が確認したのは昨年十二月二十四日であり、それよりも前に日本側に通知していたとの認識は誤りである旨を申し入れております。

 これに対して、二月三日、在日米軍からは、在日米軍として新型コロナ対策に関して日本側と緊密に連携する中、出国前の検査の免除についても外務省に通知していた、認識であるという説明があったわけですが、これに対して、我々としては、そのような認識は持っていなかった旨を改めて明確にしたところでございます。

赤嶺委員 そうすると、米側からは、いつ、どこで説明したという通知はなかったと。日本側は今でも、通知はなかった、知ったのは十二月だ、そういう認識ということですね。何で日本側にも落ち度があったみたいな記者会見になっていたんですか。

林国務大臣 先ほど申し上げたように、両者の認識にそごがあったことを踏まえて、今後はそうした状況が生じないように、今般設置された検疫・保健分科会委員会の場を含めて、より一層緊密に連携していくことで米側と一致したということでございます。

 今般こうした認識のそごが生じたのは、米側の措置の整合性を確保する外務省の取組に不十分な点があったことは否定できず、真摯に受け止めているということを会見でも申し上げたわけでございます。

赤嶺委員 非常に曖昧なんですよね。聞いていて、事実は何なのかがさっぱり分からないということですよ。

 しかし、これは、クラスターが、去年の十二月といえば、沖縄で感染も収まって、今年はお正月ができるね、家族、親族集まってという期待を抱いていたときに、米軍基地からどんどんどんどんクラスターが発生していって、本当に、人命を危うくする事態に立ち至ったわけですよ。

 だから、米側は説明したと言うけれども、日本側は聞いていない、しかし、日本側に不十分なところがあった、そういう言い方で事実関係を曖昧にするのではなくて、もっと、どこに今回のような問題があったのか、これをはっきりさせるべきだと思いますよ。

 まあ、今まではともかく、今後はきちんとやっていきましょうでは駄目ですよ、それは。事実関係をきちんと明らかにすべきであります。

 さっき、外務大臣は、今後、分科委員会、つまり日米合同委員会でしっかり連携していくと強調しておりました。在日米軍のコロナ対策については、これまでも合同委員会で話し合ってきたはずであります。

 対策が緩和された昨年の九月頃から、米側からは、いつ、どのような説明があったんでしょうか、合同委員会で。

林国務大臣 今お話のあった、昨年八月からですが、十二月までの間には、日米合同委員会は五回開催されております。

 日米間では、新型コロナ感染症の発生以降、日米合同委員会の場を含めて、様々な機会を捉えて、日本側の措置の説明など、同感染症への対応について緊密に連携をしてきたところでございます。

 具体的な協議内容については米側との関係もありますので差し控えたいと思いますが、いずれにしても、申し上げたとおり、日米合同委員会声明を発出するなど、日米合同委員会の枠組みも通じて、これまでも日米間では緊密に連携をしてきておるところでございます。

赤嶺委員 去年の八月から十二月までの間に、日米合同委員会は五回開かれていたと。その日付についても、きちんと報告してほしいと思います。

 そして、その五回の合同委員会の中で、日本側の立場の説明、整合的な措置を取る意味での日本側の立場の説明を、あったということですが、私が聞いているのは、アメリカ側がどんな説明をしていたのか、アメリカ側が取った措置についてどんな説明をしていたのか。

 五回の合同委員会の日時、場所、そしてその中身について、きちんと報告してくれますか。

林国務大臣 今申し上げました期間において日米合同委員会が開催されましたのは、八月二十六日にこれはビデオ会議形式で、そして九月二十二日に外務省で、十月二十一日にニューサンノー米軍センターで、十一月十七日にニューサンノー米軍センターで、また十二月十六日には外務省において、それぞれ実施をされたものでございます。

 協議内容については、先ほど申し上げましたように、米側との関係もあり、差し控えたいと思います。

赤嶺委員 アメリカ側が九月にPCR検査を免除した措置について、その頃、合同委員会も開かれているわけですね。九月以前にも開かれている。

 私が中身を明らかにしてほしいと言うのは、総理、何も軍事機密を明らかにしろと言っているんじゃないですよ。コロナ対策について、アメリカ側は、措置を取ったことを日本側に連絡したと言っている。じゃ、日米合同委員会でどんな話合いが行われていたか、これを明らかにするのは当たり前じゃないですか。これは外交問題だからとか、外交問題じゃないですよ、国民の命が懸かっていますよ、これ。そして、コロナ対策の大穴が空いているという問題ですよ。それをはっきりさせるべきじゃないですか。

 この五回の合同委員会の中で、アメリカ側からそういう説明があったのかなかったのか、この点について、総理、お答えください。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございますが、八月から十二月にかけて五回ほど、先ほども申し上げたように合同委員会が開催をされております。

 この具体的な協議内容については、相手側との関係もございますので差し控えたいと思っておりますが、政府としては、新たに設立されました検疫・保健分科委員会も含めて、日米当局間における建設的な協議を通じて対応してまいりたいと思っております。

赤嶺委員 コロナ対策の水際対策をきちんと取るとおっしゃったのは総理じゃないですか。そして、アメリカの国民も入国禁止措置を取っているじゃないですか。だけれども、米軍は、日米地位協定でそういう禁止措置の対象から特例扱いされて、自由に出入りをしている。出入りをしている、そのことを今聞いているんじゃなくて、出入りをする際の最低限の問題について、PCR検査を受けずに米軍は入ってきたというのを十二月に明らかにした。しかし、米側は九月からそれは日本側に通知していた。そういうものは、これは軍事問題じゃないですよ。まさにコロナ対策の、水際対策の大事な点じゃないですか。

 これはよけて考えられるんですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 日米の間でどのような情報交換をしたかということについては、先ほど外務大臣から答弁させていただいたとおりであります。

 大事なのは、日本国民の安心、安全を守るということであります。こうしたやり取りの結果、アメリカにおいても、三度の検査をしっかり実施する、外出禁止を始めとする感染対策を強化する、こうしたことに取り組み、我が国の水際対策と整合的な対応を取る、こういったことになり、そして結果として、実際、感染者の数が減少しているということにつながっています。

 引き続き、この合同委員会における、この新たに設けられました委員会においてしっかりと議論を続けていきたいと考えております。

赤嶺委員 結果としてと言いますけれども、あの十二月に米軍基地からクラスターが発生して、それが沖縄県民の中に市中感染で広がっていった、あの恐怖心、理解できないんですか。今はちょっと収まっているからいいんじゃないかという答弁でいいんですか、総理。責任の一端も感じられないじゃないですか、そんなことを言ったら。どんな恐怖の下にあったか。それさえできないんですか。

 総理は外務大臣の頃からずっとやり取りをしてまいりましたが、合同委員会では、朝日新聞の記者がフォーブスに書いた記事によると、アメリカ側はコロナ対策をめぐる国防総省の方針などを説明しただけで、出国前検査の免除と明言したわけではなかった、このように書いている記者がいらっしゃるんですね。合同委員会でのやり取りというのはこんないいかげんなものかという疑いを持つわけです。

 総理は、これまで、合同委員会の議事録の公表は日米双方の同意が必要と言ってきましたが、逆に言えば、双方が同意すれば公表できるという性格のものじゃないですか。是非、コロナから国民の命を守るための水際対策の一環として、合同委員会の議事録、日米間で協議して、公表するという具合に約束してくれますか。

林国務大臣 今委員からお話があったわけでございますが、先ほど来、繰り返しになりますけれども、これは米側との具体的な協議内容でございますから、米側との関係もあり、差し控えたい、こういうふうに思います。

赤嶺委員 是非、委員長、去年の八月から十二月までの合同委員会の議事録、本委員会に提出を求めたいと思います。取り計らい、よろしくお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

赤嶺委員 総理に更に伺いますが、政府はこれまで、米軍のコロナ対策は日本側と整合的な措置を取ってきている、だから大丈夫だ、このように言ってまいりました。米側は、独自の判断で出国前検査を免除し、入国直後の検査についてはそもそも実施していませんでした。今は三回と言っておりますが、当時は全くありませんでした。

 これは大串先生も取り上げておられましたが、検査の方法についても、日本の空港検疫は抗原定量検査で、アメリカの場合は抗原定性検査で精度が非常に低いものと。やはり、整合的な措置と言うけれども、判断するのはあくまでも米軍なんですね、どういう措置を取るかというのを。日本政府は、日本側が取っている措置、これを一生懸命説明して、整合的な措置を取ってもらえるようにお願いをしている、そういうのが現状であります。これはまた同じことが繰り返される危険があります。

 資料を今日提出しておりますが、二枚目の方に、結局、この資料で明らかにしているのは、去年の九月から、アメリカは、日本に来るときはPCR検査を免除されていたにもかかわらず、日本からアメリカに戻るときにはPCR検査を行うこと、このようになっているわけですね。日本の横田から韓国に渡航するときはPCR検査を行うこと。ディエゴガルシアに行くときは行うこと。これっておかしくないですか。日本からアメリカに戻るときにはPCR検査を行え、アメリカから日本に入国するときはPCR検査を免除していた。(発言する者あり)

 これ、私は、今なめられているというお声も聞こえましたけれども、本当に植民地的じゃないかなと思いますよ。やはり、アメリカに一方的にお願いする立場ではなくて、検疫について、日本の検疫法、国内法をアメリカに適用する、そういう措置まで、今回の問題を通じて踏み込むべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 お示しになったこの英語の表でございますが、これは、嘉手納や岩国にこの基地から、すなわちこれを出された国内の基地から移動するということで、これは国内の移動でございますのでこういう書き方になっているということは申し上げておきたいと思います。

 その上で、日米地位協定は大きな法的枠組みでございまして、政府としては、事案に応じて、効果的に、かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきておるところでございます。

赤嶺委員 資料をゆがんで説明されましたが、横田から岩国、嘉手納への移動はもちろんですが、韓国に行くときは検査やれ、ディエゴガルシアに行くときは検査やれということも書かれております。

 私は、米軍にも日本の検疫法を適用すべきである、そして合同委員会の議事録を全部本委員会に提出すべきであるということを求めて、質問を終わります。

根本委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 今日、ラストバッターですね。緒方林太郎です。よろしくお願い申し上げます。

 そして、立憲民主党、維新の会の皆様方に、質問時間を御配慮いただきましたこと、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 そして、今日はこの後は、NHK総合テレビは北京オリンピック、アルペン女子大回転だそうでありますので、時間を遵守してやりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 前回の予算委員会で、二之湯大臣、今日もお越しいただきましてありがとうございます、津軽海峡や大隅海峡を外国の艦船が通っていったことが国内世論的に非常に、わあっと盛り上がったということがありました。

 しかし、津軽海峡や大隅海峡というのは、実は、日本の領海法、日本の法律によって、主権の主張を十二海里から、あの部分だけというか、正確に言うと、宗谷海峡と、津軽海峡と、そして対馬の西水道、東水道、そして大隅海峡、この五海峡については、日本が自発的な意思を持って、領海、主権が及ぶところの主張を狭めているんですね。だから、外国の艦船が通っていったところというのは公海である。

 そう思ったときに、私、もう少し考えを巡らせまして、あそこは公海で、日本の主権が及ばないですよね、じゃ、単に通過していくだけじゃなくて、あそこで停泊していますとか、外国の軍艦がですね、情報収集活動をしているとか、軍事訓練を行っているとか、こういうことを行うとき、実は、私の思いの中で、日本が政府としてやれることがほとんどないんじゃないか、そういうふうに思うんですね。

 前回、ちょっとうまくコミュニケーションがいかずに答弁を得られませんでしたけれども、もう一度、二之湯大臣。

二之湯国務大臣 この件に関しましては、先月の二十八日の予算委員会で委員からお尋ねがございました。その際に、私は、これは私の所管といいますか、私だけでは判断できません、外務相そして防衛相とも御相談の上、委員にその結果を御報告する、このように申しました。

 御指摘のように、津軽海峡、大隅海峡等の五つの海峡については我が国は領海幅を三海里にしておる、こういうことでございまして、これは、海洋国家、いわゆる貿易国として、国際通航において重要な海峡における商船、大型タンカー等の自由な航行を確保することが総合的に我が国の利益になる、こういうことでございまして、この点は今まで答弁をさせていただいたところでございます。

 当委員会におけるさきの質疑におきまして、議員から、外国の軍艦に関する御指摘がありました。

 津軽海峡は、委員御案内のことと存じますが、領海の外側は我が国の排他的経済水域でございます。個別具体的な状況によるため、一概に申し上げることは困難でございますけれども、これらの海峡における日本船舶等の安全を踏まえ、あるいは我が国が排他的経済水域において有する権利等も踏まえ、何も問題はないとは一概に言えない、このように思うわけでございます。

 そういうところから、一般論ではございますけれども、我が国周辺海域で、停船あるいは外国の軍艦等につきまして平素から防衛省が警戒監視を行っておったり、あるいはこれにより得られた情報を関係省庁に提供することなど、緊密な連携をしております。個別具体的な状況を踏まえ、その国に対して、例えば外交ルートを通じて申入れを行うということも行っているわけでございます。

 このように、我が国の主権と海洋権益を守るため最善の対応を行うことが政府の基本的な方針である、このように思うわけでございます。

緒方委員 ありがとうございました。

 つまり、そういうことなんです。できることがほとんどないんですね。

 もう少し言うと、例えば、そういう停泊をしているとか、いろいろな、そういうことをやっているときに、どいてくれ、離れてと言うことすら取っかかりがないわけですね。主権がないし、国際法上、公海ですから。もう一度正確に言うと、離れてくれと頼んだけれども離れないんじゃないんです、離れてくれと言うことすら取っかかりがないという状況だと。

 私、これを思うときに、某国の海軍はすごく日本のこういった法制度をよく研究しているので、ある日突然、あそこにぽつんと泊まって、そして、あたかも黒船来航であるかのように日本の国内が沸き上がるということがあるんじゃないかと思うんですよね。しかし、もう一度申し上げますが、これは日本が自発的にやっている行為です。

 いろいろ、なぜこんなことをしているかということなんですが、先ほど二之湯大臣が言われました。自由な航行を確保することが海洋国家として重要であるということを言われたんですが、それだと、国民の皆様方からしてよく分からない一般的な利益の自由な航行というのがあって、しかし、それを確保するために何が起こっているかというと、あの間のところの海域を、自由に、何しても、何してもいいと言うと言い過ぎですけれども、軍事訓練も含めて可能である。これだと、明らかに、利益が、お互いのメリット、デメリットが見合わないと思うんです。

 ただし、ここからが、今日、私、本筋でありまして、なぜこういうことをしているかというと、核搭載艦、核兵器を搭載した軍艦が通れるようにするためにこの制度にしている、これは、当時の外務官僚の方であるとかOBの方であるとか、そういうことを言っている方がたくさんいるので、そういうことだろう、核搭載艦が通れるようにしているということだろうと。しかし、今、政府は、こういうことについての、そういうことであるから領海を空けているんだとは言わないと。

 岸田総理に申し上げたい。日本の安全保障政策をもう少ししっかりと議論するために、あそこの領海を三海里にして公海部分を空けているというのは核搭載艦を通すためなのである、そこを認めた上で議論をしたいと思うんですけれども、いかがですか。

林国務大臣 岸田内閣といたしましては、非核三原則の下で、核兵器の我が国への持込みを認めておらず、核兵器を積載した艦船の我が国領海の航行についても、それが海峡であっても同原則を堅持する方針でございます。

 仮にですが、現在の、今委員からもお話のあった、特定海域の制度を見直して、当該海域における領海の幅を広げて通過通航制度を導入した場合には、今度は、通常の領海とは異なり、外国航空機にその上空飛行の自由を認めなければならないなど、こうした留意すべき点があるわけでございますので、その導入については慎重に検討する必要があると考えております。

 こうした点も踏まえて、現行の特定海域の制度を維持することが適切であるとの政府の判断に、現時点で変わりはございません。

緒方委員 それも過去に聞いた答弁なんですが、ただ、私が言いたいのが、今この議論をするときに、何がメリットで何がデメリットかというのを議論するときに、メリットとしては、自由な航行を確保することが大事だと言っていると。けれども、それと見合いで、津軽海峡とか大隅海峡のど真ん中に外国の艦船が停泊するということ、これに何の手出しもできないという状況が存在するわけですよね。それはなぜかというと、もう少しメリットがあるはずだと。そのメリットは何かというと、核搭載艦があそこを通って行けるようにしておくということが重要なんだと。これが裏の議論としてあるはずなんです。

 この議論を出した上で、しっかりと何がプラスでマイナスかということを議論しないと正しい議論にならないと思うので、この議論をやりませんかと言っております。岸田総理。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、裏の議論があるのではないかという今御指摘でありますが、我が国として、特定海域における領海の幅についての考え方、これは、外務大臣そして海洋政策担当大臣から述べたとおりであり、これを維持することが適切であると考えているわけであり、政府の判断、これは現時点では変わらない、これが政府の考え方であります。これも、政府として、正式にそういった考え方に基づいて、この領海の幅を維持しているということを説明させていただいております。

緒方委員 それだと、何で私が領海で埋めるべきだと言ったかというのは、ちょっともう時間がないのでいたしませんけれども、別に私は、何かやり込めたいとかそういうことではなくて、日本の安全保障を考えたときに、実はあそこを領海で埋めてやった方がいいという議論も十分にあり得ると思う、ただし、裏の議論があるうちはまともな議論にならないだろうと思ったので、この議論をさせていただきました。

 しかしながら、私は十二分でありますので、そろそろこの質問は終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明八日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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