衆議院

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第12号 令和4年2月8日(火曜日)

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令和四年二月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 近藤 和也君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      小島 敏文君    後藤田正純君

      下村 博文君    鈴木 憲和君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      土屋 品子君    中川 郁子君

      中谷 真一君    永岡 桂子君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      堀井  学君    宮崎 政久君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      渡辺 博道君    石川 香織君

      江田 憲司君    落合 貴之君

      城井  崇君    源馬謙太郎君

      階   猛君    長妻  昭君

      道下 大樹君    山井 和則君

      湯原 俊二君    足立 康史君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      高橋 英明君    和田有一朗君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      中川 宏昌君    平林  晃君

      長友 慎治君    前原 誠司君

      田村 貴昭君    宮本  徹君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   国務大臣         山際大志郎君

   国務大臣

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣         堀内 詔子君

   国務大臣

   (デジタル田園都市国家構想担当)         若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   会計検査院長       森田 祐司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青柳  肇君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        河西 康之君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所次長)         増島  稔君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   吉開正治郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  森   健君

   政府参考人

   (林野庁長官)      天羽  隆君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     高田 陽介君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  奥田 直久君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  岡  真臣君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月八日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     中川 郁子君

  岩屋  毅君     永岡 桂子君

  奥野 信亮君     堀井  学君

  加藤 勝信君     鈴木 憲和君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  北村 誠吾君     小島 敏文君

  石川 香織君     山井 和則君

  道下 大樹君     湯原 俊二君

  足立 康史君     高橋 英明君

  市村浩一郎君     和田有一朗君

  伊佐 進一君     平林  晃君

  前原 誠司君     長友 慎治君

  宮本  徹君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     武井 俊輔君

  鈴木 憲和君     鈴木 隼人君

  中川 郁子君     青山 周平君

  永岡 桂子君     岩屋  毅君

  堀井  学君     奥野 信亮君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  山井 和則君     石川 香織君

  湯原 俊二君     道下 大樹君

  高橋 英明君     足立 康史君

  和田有一朗君     市村浩一郎君

  平林  晃君     伊佐 進一君

  長友 慎治君     前原 誠司君

  田村 貴昭君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     加藤 勝信君

  武井 俊輔君     北村 誠吾君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公聴会開会承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。

 令和四年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、公聴会は来る二月十五日とし、公述人の選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官青柳肇君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局長河西康之君、内閣府経済社会総合研究所次長増島稔君、総務省自治財政局長前田一浩君、総務省政策統括官吉開正治郎君、法務省民事局長金子修君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、外務省大臣官房参事官石月英雄君、農林水産省畜産局長森健君、林野庁長官天羽隆君、中小企業庁経営支援部長佐々木啓介君、国土交通省大臣官房総括審議官天河宏文君、国土交通省大臣官房政策立案総括審議官高田陽介君、環境省自然環境局長奥田直久君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省地方協力局長岡真臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより一般的質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川郁子君。

中川(郁)委員 自由民主党の中川郁子です。

 質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まず冒頭に、お礼を申し上げさせていただきたいことがございます。牛乳の消費拡大についてです。

 昨年末に、岸田総理、そして金子農林水産大臣が牛乳の消費拡大を呼びかけてくださいました。そのことにより、全国の皆様方が積極的に牛乳・乳製品を購入してくださいました。おかげさまで、生乳を一滴も廃棄することなく危機を乗り越えることができました。私のところにも、全国の農業関係者の皆様方から感謝の言葉が寄せられております。私からも、この場をおかりしてお礼を申し上げさせていただきたいと思います。ツイッターで呼びかけてくださった皆さん、毎日牛乳を飲んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。在庫対策の拠出として、生産者、乳業メーカー、国の一対一対一の割合で拠出をお決めいただいたことにも、本当に感謝をするところであります。

 現在、蔓延防止等重点措置の対象地域が三十五都道府県であり、また大変厳しい状況が続いていると思います。再び牛乳需要の落ち込みが深刻化することというふうに考えています。現在、私の地元、日本一寒い町の陸別町では、今朝も氷点下十九度、一月三十日と二月一日には三十一度を超える大変な寒さの中で、酪農家の皆さんが頑張っておられます。また、石狩地方を中心とする豪雪、今回は統計史上最大だったと聞いておりますけれども、そのような中、つらい選択をし、生産抑制をしながらも、毎日、国民の皆様への安定供給が大切だという使命感を持って頑張っておられます。是非これからも、官民併せての御支援をよろしくお願いしたいと思います。

 では、質問に入らせていただきたいと思います。

 デジタル田園都市国家構想についてお伺いをします。

 政府は、成長戦略の第一の柱として、デジタル田園都市国家構想を強力に推進するとしています。

 コロナ禍によって余儀なくされた新しい生活様式の中で、オンライン会議、在宅ワークなどが普及しました。三密を避けて、より幸福度を感じられる人生を求めて、地方への移住や地方の中小企業への転職を考えておられる皆さんも多いと聞いています。実際に、私の周辺でも、大切な家族との時間を優先するため、また、よりやりがいを求めて地方の中小企業に転職をした方々、この一、二年にも多くいらっしゃいます。

 ウェルビーイング、心豊かな暮らしを求める、そういった方々の思いに応えるためには、地方のデジタル環境の整備は待ったなしの課題である、そう考えています。そのような中、地域の課題を解決し、地方から全国へとボトムアップする、誰も取り残さないデジタル社会を目指すデジタル田園都市国家構想に期待感が高まっている、こう思います。

 地方での課題といえば、何といっても人の移動の手段の確保だと思います。高齢になって免許証を返納すれば、病院に行くことも難しいですし、買物、趣味、地域の人との交流も困難になってしまいます。モビリティー・アズ・ア・サービス、MaaS、オンデマンドバスなどの活用で、交通と医療、教育、介護が連携し、課題を解決したいと考えている地域も多いと思います。

 とかち帯広空港から車で五分に位置する私の地元の北海道更別村では、超高速大容量、多数同時接続、超低遅延の5Gの基地局を五基整備し、デジタルデマンド交通の実装、ウェアラブルウォッチによるヘルスケアの推進、そして東京大学大学院生命科学科の誘致を行い、コミュニティーナースというリアルなサポーターが高齢者を見守っています。まさに、誰一人取り残さない、百歳になってもわくわく働ける、高齢者クオリティー・オブ・ライフ世界一を目指しています。強みである農業は、畑作、酪農、畜産の更なるスマート化に取り組んでおり、全戸自動化を目指している、頑張っている地域であるというふうに思います。

 また、よい事例は横展開され、全国がデジタル田園都市へと成長していかなければならないと思いますが、新しい資本主義とデジタル田園都市国家構想の関連性はどのようになっているのでしょうか。

 地方創生は、地域政策と産業政策を連動させることが重要であり、現状の課題と今後の論点など、世界的な潮流を見据え、様々な政策とどのように関連づけていくのでしょうか。本質的な部分を理解することにより、政策は浸透するのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

 また、地方創生として、全国の中小企業の中で、都会からの研究者の育成など、人材獲得に成功している会社もあります。今後、そのような企業にインセンティブを与えるような政策を是非よろしくお願いいたします。

 若宮大臣からお考えを聞かせていただければと思います。

若宮国務大臣 お答えさせていただきます。

 委員もお話しになりましたが、デジタル田園都市国家構想、これは、まさに岸田内閣におけます新しい資本主義における成長戦略の最も重要な柱の一つでございます。高齢化あるいは過疎化などの社会課題に直面する地方にこそ、この新たなデジタル技術を活用するニーズがあるというふうに認識をいたしているところでございます。

 このデジタル田園都市国家構想、例えば、委員も御指摘になりましたけれども、自動配送ですとかドローン宅配、あるいは、先ほど医療MaaS、御指摘になりましたけれども、遠隔医療、そしてまたオンライン教育、あるいはリモートワークなど、デジタル技術の活用によりまして、地域の個性を生かしながらも更に地域を活性し、そして持続可能な経済社会を実現するものというふうに位置づけてございます。

 例えば、中小企業によりますキャッシュレス決済の導入ですとか、あるいは、ウェブサイトをそれぞれの地域ごとの中小企業の方々が活用して海外へそれを広げていく、海外需要の拡大、また、観光分野に目を移してみますと、ワーケーションの推進ですとか、あるいはスマホアプリを活用したいろいろな経路の検索、また御自身の旅程の策定などにつきましても、新たなサービスの提供ができるのではないかなというふうに捉えてございます。

 地方におきましてデジタルを積極的に活用していくことで、その地域ごとが、経済的な自立も含めた形で稼ぐ地域、そしてまた仕事の創出ができる、そこにまた人が集まってくることになろうかと思いますが、地域経済の発展につなげることができるというふうに思っております。

 今、委員にも御紹介のありました更別村、ドローンを活用しました農薬の散布ですとか、あるいは自動運転のトラクター、今、全戸にというふうなお話もございましたけれども、トラクターの活用、実際のスマート農業、様々な成功例を伺ってございます。

 この更別村のほかにも、例えばサテライトオフィスなどを始めとしますデジタルインフラ、これもきちっと整備をしていかなければいけませんけれども、この新しい整備をすることによって、人の流れを、実際に都市部からもかなり移っている方もたくさんお見受けをいたしてございます。地域の担い手となります人材の確保にもつなげることができるのではないかな、こういった事例も幾つかもう出てきております。

 こんなデジタルを活用いたしました、それぞれの地域の課題の解決に向けて、更に地域それぞれごとの魅力の向上にも取り組む事例が実際にも散見いたしてございますので、これを、委員も御指摘のとおり、点を線に、そしてまた線を面に展開できるように取り組んでまいりたいと思っております。

 今後、デジタル田園都市国家構想の実現会議、今開催してございますけれども、更に議論を深めてまいりまして、この春ぐらいには具体的な構想をしっかりと取りまとめていきたいと思っております。

 関係省庁、政府一丸となりまして、その実現に向けて取組を進めてまいりたい、また、地方の、地域の皆様方が実感できるような、具体的な目に見える形での成果を上げてまいりたい、このように思っているところでございます。

 どうぞまた御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

中川(郁)委員 若宮大臣、大変ありがとうございました。

 誰の心の中にもあるふるさとの原風景、これが生き生きとよみがえることを心から希望してやまないものであります。ありがとうございました。

 次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 日高山脈襟裳国定公園の国立公園指定についてお伺いしたいというふうに思います。

 広大な北海道を東西に分かつ日高山脈でありますけれども、氷河期の記憶を刻む山肌に針葉樹と高山植物が繁茂し、ヒグマやエゾシカなどの野生動物が生息する自然環境を有しています。大平原にそびえ立つ雄大な姿は、小中学校の校歌や市町村歌にたたえられるなど、私たち十勝住民の心の原風景でもあります。

 この日高山脈を中心とする一帯が国立公園に指定されると承知していますが、大自然を守り抜きながら利用を促進し、地域活性化へとつなげていくためには、地域の意欲的な取組を国として認め、必要な支援策を講じることが重要であると考えています。

 そこで、お尋ねしたいと思います。

 日高山脈を中心とするエリアの特性と魅力について、どのように認識し、国立公園化によってどのような効果を期待しているのでしょうか。

 また、自然環境を保全しながら利用促進を進めるには、建築工事や工作物の設置などの開発行為に対して、めり張りの利いた制限と許可を行う必要があると思います。特別保護地域とそして普通地域の線引きに関する作業状況と、今後地元との調整をどのように進めていくのか、見解をお聞かせください。

山口国務大臣 御指摘の日高山脈襟裳国定公園とその周辺、今は国定公園なわけですけれども、日高山脈のダイナミックな地形と我が国最大級の原生的な自然が残されており、国立公園の候補地としてふさわしいと考えています。

 国立公園に指定されることで保護管理が充実する、国の管理になるわけですね、充実して、将来世代にそのすばらしい自然が受け継がれるということを期待しています。さらに、国立公園化によってブランド力が強化されるということで、プロモーションができる、そして国内外にその魅力が伝わって、周辺の十勝、日高地域の活性化に資するものというふうに考えています。

 それから、どの辺までいくかということについては、基本的に、国立公園としての指定に向けて、現在の国定公園の周辺にも重要な自然が広がっていることから、区域を拡張する方針で関係行政機関や土地所有者の方々と今調整をしています。

 御指摘の公園区域内の地域、地区に応じた規制については、現在、関係機関と保護や利用の観点を踏まえた規制の強弱について調整中です。関係機関としては、候補地の土地を所有している林野庁、あるいは北海道庁、そしてまた民間の土地所有者の方々と調整をしております。地域の御意見もよく聞きながら、丁寧に調整してまいりたいと思います。

 関係機関あるいは地域との調整後に、国立公園の指定案についてパブリックコメントを求め、そしてまた中央環境審議会への諮問等を行って、早ければ今年中に指定できればなというふうに考えています。

中川(郁)委員 具体的なスケジュールを教えていただいて、大変ありがとうございました。

 当初は年度内にと考えていた地元でありますけれども、少し遅れている部分はPRに使う、また機運を高めることに使っていきたいというふうに思っています。そして、私たちの地域、十勝の市町村、そして経済団体、また日高側の三町の皆様とも連絡協議会をつくっておりますので、是非その皆様方のお話もしっかり聞いていただければ大変ありがたいというふうに思います。

 そして、気になるのがネーミングでございます。やはり名称は、地元住民に愛され、しかし、遠く全国や海外の皆様にも指定エリアのイメージが湧く、覚えやすい名称であることも必要であると考えています。地元の組織と連動しながら、国立公園の企画と利用に向けた具体的な説明をしていただくことが重要だというふうに思います。ネーミングについても状況を教えていただければと考えます。よろしくお願いします。

山口国務大臣 御指摘のとおり、国立公園の名称は、対象地域の自然を代表するとともに、地域や国内外の利用者の方々にも利用されやすいものである必要があるというふうに考えています。国立公園に指定する際の名前については、こうした要件や地域関係者の御意見も踏まえて、環境省で名称案を整理していきたいと思っています。

 本地域の国立公園化によって、地域の関係者の方々と連携しつつ、我が国最大級の原生的な自然環境の保全と利用を推進し、地域振興にも貢献してまいりたいということで、よく地元の方々と相談させていただきたいと思っております。

中川(郁)委員 山口環境大臣、大変ありがとうございました。地元としても大変期待感を強くしております。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 宇宙産業についての質問です。

 近年、宇宙産業は、その需要の高まりを受けまして、人工衛星は年間一千基以上、ロケットは年間五百機以上が打ち上げられる時代となりました。宇宙産業は、世界的に見て、現在の四十兆円規模から、今後二十年で百兆円を超える規模に高い成長率で拡大すると言われているところでございます。また、他産業への波及や教育的効果、国としてのプレゼンスなど、国力の代表的なものであると考えています。

 日本の宇宙開発、探査計画には期待が高まっていると考えていますが、政府として、この成長産業である宇宙産業に対しての日本が目指すべきシェアや規模など、今後の具体的な数値目標はあるのでしょうか。

 また、アメリカでは、民間が独自で開発した、スペースXを代表とする新興企業がロケットをリードしていると思います。我が国としても、ロケット技術の基盤的な研究、新興企業の育成が必要だと考えています。私の地元大樹町にも、インターステラテクノロジズという、民間単独でロケットを開発しているベンチャー企業がございます。国としてどのように認識しているのか、小林大臣の見解を伺いたいと思います。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃった、御指摘いただいたように、宇宙空間というものにつきましては、我が国のみならず世界各国が、産業振興、あるいは科学、安全保障、様々な分野において、これからのある意味フロンティアとして活用していくということで、その利用の在り方について考え、しのぎを削っているところだと考えております。

 したがって、今後、産業振興の観点からも、令和二年に閣議決定されました宇宙基本計画にのっとって、しっかりと、そこは我が国のポテンシャルを最大限引き出せるように官民一体となってやっていこうとしているところでございます。

 御指摘のロケットのベンチャーの話につきましては、北海道の大樹町を拠点としまして、ベンチャー企業のインターステラテクノロジズ社、いわゆるIST社が小型ロケットの開発に取り組んでいることは承知をしております。

 今申し上げた宇宙基本計画におきましては、「宇宙輸送システムについては、我が国自身が自立的に開発・運用できる能力を継続的に強化する必要がある。」としておりまして、特に近年、衛星コンステレーション、こうした小型の人工衛星の利用が増えておりまして、今後、小型衛星の打ち上げ需要が増加していくことが見込まれております。

 こうした中、まさに委員の御地元だと思いますけれども、IST社を始めベンチャー企業が小型ロケットを開発して、小型衛星の打ち上げを担っていただけることを期待をしております。

 政府としても、これまで、ロケット開発を行うベンチャー企業に対して様々な支援を行ってきているところでございまして、私も、宇宙政策を担う立場といたしまして、今後も応援をしてまいりたいと考えております。

中川(郁)委員 小林大臣、ありがとうございました。

 小型衛星コンステレーション、そしてISTなどのベンチャー企業、積極的に応援してくださるという大変力強いお言葉を頂戴し、大変ありがたく感じています。

 大樹町では、ふるさと納税などを利用しまして、宇宙版シリコンバレーを目指す取組、頑張っているところでありますけれども、随分たくさんの皆様方が応援をしていただいているということで、射場や宇宙港に向けた取組、北海道スペースポートや、また、先ほどのISTに宇宙技術開発をしてほしいと全国の皆様方の期待が寄せられているということでありますので、是非これからも様々な応援をしてくださいますように、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 この後は、農林水産業関係でございます。

 近年、我が国では、全国的に豪雨や干ばつなどの異常気象が多発しており、気候変動への対応が重要課題となる中、環境やSDGsが新しい国際基準となり、欧米を中心にルールメイキングが行われつつあります。

 二〇三〇年農林水産物、食品の輸出額五兆円に向け、全国で有望品目である和牛の増頭、増産などに取り組んでいますが、一方では、家畜排せつ物の処理が深刻な環境課題となっています。

 このため、バイオガスプラントの普及や、堆肥の有効活用などによる化学肥料や化学農薬の低減など、我が国の農業を率先して環境に適合させ、アジア・モンスーン地域の気候風土に合ったルールメイキングを行っていくべきだと思います。

 これにより、環境と調和した新たな価値を生産者、事業者、消費者で分かち合う持続可能な食料システムを構築し、我が国の新たな強みとして世界市場を獲得していくべきだと思います。

 この点において、昨年五月に農林水産省が策定したみどりの食料システム戦略は、岸田総理がおっしゃる新しい資本主義に合致するものであり、政府としてしっかり推進するべきだと思います。その上で、食料の安定供給を確保することが大事だと考えています。

 この戦略をどのように実現するお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

金子(原)国務大臣 中川議員の御質問にお答えいたします。

 気候変動による作物の収量減少など、農林水産業への影響は拡大する中で、農林水産業に起因する環境への負荷を低減し、持続可能な農林水産業を構築することが必要であります。気候変動問題といった社会課題を解決しながら力強く成長を実現させる、そのための経済社会の変革が新しい資本主義の実現であり、みどりの食料システム戦略は、その考え方に合致するものであります。

 こうした観点から、新しい資本主義を起動させるための経済対策にも本戦略の推進を盛り込んでおりまして、議員御指摘のように、家畜排せつ物の堆肥化など、化学肥料、農薬の低減等に取り組む産地を創出してまいります。

 先ほどの御指摘のように、これらの取組を通じまして、持続可能な食料システムを構築し、アジア・モンスーン地域のモデルとして世界に発信していくことによりまして、国際的なルールづくりなどの議論にも貢献してまいりたいと思います。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 本年十月に鹿児島県で、地方自治体、生産者などの和牛生産に関わる関係者が一堂に会し、五年に一度出品牛を競う全国和牛能力共進会が開催されます。通称和牛のオリンピックと呼ばれるこの大会は、今年で十二回目であり、関係者による和牛の改良の成果を明示し、日本の食文化を支える和牛の魅力を広く国内外に発信していくための絶好の機会であり、大会の成功と、和牛の改良、生産振興に向けた機運の高まりを期待しているところでございます。

 また、五年後の二〇二七年、第十三回の和牛のオリンピック、全国和牛能力共進会は、この開催地は私の地元の北海道が予定されています。今回の鹿児島県大会にしっかりと勉強をさせていただき、その成果を次につなげられるように、地元の関係者とともに取り組んでいきたいというふうに考えています。

 和牛は、このような関係者の長年の改良努力により築き上げられた我が国固有の財産であり、そのブランド価値が国内外から高く評価され、和牛肉の輸出拡大が期待されています。令和二年に施行された和牛遺伝資源関連二法による和牛の精液や受精卵の不正流通の防止や不正競争防止の仕組みにより、知的財産としての価値の保護を図ることが重要となっていきます。また、あわせて、和牛の遺伝的多様性の確保を図ることも重要です。

 しっかりと和牛遺伝資源の管理及び保護を図っていく必要があると考えますが、農林水産大臣のお考えを伺います。

森政府参考人 お答えいたします。

 和牛の遺伝資源の不正流通を防ぎ、知的財産としての価値を保護していくことは、和牛の改良や生産振興、牛肉の輸出拡大を図る上でも極めて重要であると認識しております。

 このため、令和二年十月に施行されました和牛遺伝資源関連二法に基づきまして、精液等の流通管理の適正化や知的財産としての保護、家畜人工授精所への立入検査の実施などを進めているところでございます。

 また、遺伝的多様性に配慮した和牛生産のため、希少系統も活用した種雄牛生産やその活用を推進していくことも大変重要でございます。議員から御言及のありました本年十月開催の全国和牛能力共進会につきましては、この観点からも大変有意義な大会となることが期待されているところでございます。

中川(郁)委員 海洋環境の変化が水産業にも深刻な影響をもたらしています。

 近年、不漁が続いているアキサケの来遊不振対策と今後のふ化放流事業の安定的な継続について、国の支援をお願いしたいというふうに思っています。是非お願いします。

金子(原)国務大臣 お答えいたしますが、サケはふ化放流によって資源が造成されており、ふ化放流の安定的な継続が不可欠と考えています。

 近年の不漁の状況を踏まえまして、環境変化に強い健康な稚魚を河川ごとに最適な時期に、サイズ等で放流する取組への支援を行うなど、持続的なふ化放流体制の構築に向けて、関係者と連携をしながら取り組んでまいりたいと思います。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 冒頭に、生乳についてお礼、感謝を申し上げたところでありますが、砂糖の消費量についても減少が続いています。生産者団体も、また農林水産省でも様々な形で消費拡大に取り組んでいただいているところでございますが、糖価調整制度で守られてきたてん菜は、寒冷地作物として、北海道の畑作農業における重要な作物です。輪作体系を守り地力を維持してきた先人の知恵は、みどりの食料システム戦略にも合致しているというふうに思います。

 輪作体系を崩すことなく、持続的な畑作生産体系が確立されるよう、生産現場の声にも耳を傾けていただきますように、金子大臣にお願いを申し上げさせていただきまして、私からの質問を終了したいというふうに思います。

 今日は本当にどうもありがとうございました。

根本委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いします。四十五分間、質問させていただきます。

 後半に、萩生田大臣に事業復活支援金のことと、斉藤大臣に観光地の振興の御質問をさせていただきたいと思います。最後になりますので、ちょっとお待たせすることをお許しください。それまでは、後藤大臣と尾身会長、お忙しいところ、ありがとうございます。質問させていただきたいと思います。

 私、前回この場で質問をさせていただきましたのは、一月二十五日、岸田総理に質問をさせていただきました。あのときに、ワクチンの三回目接種が遅い、一日に何回というふうに考えていられるんですか、目標はあるんですか、目標を立てるべきではないですかと聞きましたら、岸田総理は、一日に何回ということは考えていないということを答弁をされました。

 しかし、昨日、百万回ということをおっしゃいました。この間、十三日たっていたわけですね。この十三日の遅れ、一日百万回、決めるんだったら、なぜ一月二十五日、私たちが提案したときにやっていなかったのか。この二週間の遅れというのは、私は本当に致命的ではないかと思います。

 さらに、一月二十五日、私はこの場で岸田総理に、濃厚接触の方々の待機が長過ぎる、最大二十日、どう考えてもおかしいじゃないかと。覚えていられると思いますが、結論を出してくれ、決断を早くしてくれとお願いしました。これも結果的には、二十日の濃厚接触者が七日になりましたけれども、それまでに十日間かかりました。方向性は別に間違っているとは言いませんけれども、判断が遅い。

 ここは、分かるんです。やはりコロナ、オミクロン、正体が分かりにくいから遅れる、危険性は分からないではないんですけれども、岸田政権が最悪の事態を想定して先手先手とおっしゃるんであれば、やっていることは、逆に、最悪の事態は想定せず後手後手になってしまっているんではないかというふうに思えてなりません。

 そういう意味で、私たちは、コロナ対策に関しては野党も全面的に協力するつもりですので、是非私たちの提言を、こう言ったら何ですけれども、スピーディーに取り入れていただきたいということを最初に申し上げます。

 そんな中で、私はもう一つ今日議論したいと思っておりますのが、オミクロンとインフルエンザと比べて致死率はどちらが高いのかということなんです。

 この間ずっと、オミクロン株は軽症者がほとんどだ、重症化しにくい、インフルエンザ、風邪並みじゃないかという意見というか見方がありました。私、一概に否定するものではありません。若い方にとっては本当に無症状の方も多いわけですから、一概に否定するわけではありません。しかし、ここに来て、死亡者がこれから急増するのではないかという心配を私はしているんです。もしそうであるならば、今ここで、軽症がほとんど、重症者は少ないと言っていたけれども、亡くなる方が増えるから気をつけてくださいよと言うだけじゃなくて、医療体制をしっかり整備する。

 私たち、昨日、感染症法改正法案、通称オミクロン・感染症対策支援法案という議員立法を提出しました。昨日も小川政調会長からお話がありましたが、是非とも、これを与党の方々にも審議していただいて、今までのデルタ株中心の医療体制、対策というものをオミクロン対策に切り替えていくべきだと思います。

 そこで、まず、尾身会長、お忙しいところ、ありがとうございます。お伺いしたいと思います。

 近々、ピークアウトではないかという見方が出ております。いずれピークアウトすると思いますが、尾身会長の見通しとして、ここにも一つのグラフがあります、ピークアウトの後、すとんと落ちるのか、だらだらと高止まりしていくのか。これはすとんと落ちるのをマッターホルン形と言われておりまして、だらだらとちょっと長引いていくのを富士山形と言われるそうですけれども。

 こう考えてみたときに、尾身会長、今後、我が国のこの第六波、主にオミクロン、これはピークアウトはいつ頃で、その後、高止まりするのか、すとんと落ちそうなのか、その辺りの見通しをお聞かせください。

尾身参考人 見通しについては、多くの県で先週今週比が少しずつ増加のスピードが鈍化しているし、実際、幾つかの県では今週先週比が一を下回っているのが現状です。したがって、私は、先生の言うピークアウトというのは可能だと思います。

 しかし、その後、富士山かマッターホルンかというお話ですけれども、残念ながら、今の状況は、若い人からの感染が始まって、いわゆる成人式とかクリスマス、これがあっという間にほかの高齢者施設、学校、保育所、先生御存じのとおり伝わっておりまして、その特に高齢者施設の感染、大きなクラスターが始まっているから、なかなか、可能性としては、すぐにマッターホルンのようにはいかなくて、徐々に富士山形あるいは高止まり、最悪の場合には、BA・2という亜種がありますから、むしろなかなか下がらないで上がるということも考えられるので、どちらかといえば、マッターホルンよりも富士山形、あるいはもう少し更にということを考えておく必要があると私は思っております。

山井委員 これはやはり非常に重要な御指摘だと思います。マッターホルンのようにすとんと下がるのではなくて、富士山のように高止まりするリスクがあるし、下手したら、BA・2、ステルスオミクロンが再拡大して、一旦ピークアウトしたのがもう一回増えるかもしれないという御指摘でありました。

 そこで、私、一番心配なのは、やはり死亡者なんです。昨日でも一日百十三人。第五波、デルタのときには九月八日で八十九人だったのが、もう百十三人なんですね。やはりここ、コロナで亡くなることを何としても防ぎたい、その思い、全国の医療者、そして私たちも持っているわけであります。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、ということは、今のような高止まりということは、どんどんどんどん、後になればなるほど、高齢者の方の感染、基礎疾患のある方も増えていくんじゃないかと思うんですけれども、昨日百十三人だったこの死者が、今後、ピークアウトしたとしても高止まりする中で、一日二百人とか、そういうふうに、今後も急増するリスク、こういう可能性はありますか。

尾身参考人 私は、今、我々日本の社会が直面している課題の中で最も重要なものの一つは、高齢者を中心に重症者が、今委員おっしゃるように増えていて、死亡者も少しずつ増えているということだと思います。

 今回のいわゆる第六波の特徴、いろいろ特徴がありますけれども、最も重要な特徴の一つは、感染者がコロナの感染自体で症状が重篤化するというよりも、身体的に脆弱で介護などが必要な高齢者が、この感染を契機に持病が悪化し入院するということが非常に多くなっています。しかも、こうした身体的に脆弱な高齢者、特に七十歳以上の感染の多くが高齢施設とか療養施設で起きているということが大体分かっています。こうしたことから、一部の自治体では、高齢者の感染を全て入院させることが難しくなっています。

 したがって、高齢者施設などの感染対策が徹底されないと、しばらくは重症者数の増加というのが続く可能性があると思います。

 したがって、そうした状況を防ぐためには、高齢者施設の感染対策というのはなかなか施設の人だけではできませんから、それを支えるサポートというものが、周りの医療機関、地域の連携というのが今非常に重要な局面になっていると思います。

山井委員 これから高齢者を中心に重症者がますます増えるリスクがあるというお話でした。

 そこで、では、核心となります、季節性インフルエンザと第六波、多くがオミクロンですけれども、あえて分かりやすくするために、第六波、ほとんどオミクロンですからオミクロンと申し上げますが、季節性インフルエンザとオミクロンがどちらが致死率が高いかという議論をさせていただきたいと思います。

 ここにグラフがございます。出典を申し上げます。ここの配付資料一ページにありますように、季節性インフルエンザ、致死率〇・〇二から〇・〇三というのは、こちらにございますが、二〇二一年一月十五日、厚生科学審議会感染症部会に提出された資料であります。〇・〇二から〇・〇三。

 そして、次の、第六波、広島県、これについては三ページ目を御覧ください。二月二日のアドバイザリーボードに出された資料でございます。「第六波における重症化率・致死率(暫定版)について」、広島県ということで、それで、ここでは、感染者数合計七千四百五十二人の中で、全年齢では、重症者は十五人、〇・二%、死亡者は〇・一%ということになっております。

 ただし、もう一つ言いますと、ここを見ていただいたらありがたいんですけれども、ワクチン接種歴ありが、六十歳以上で重症者七人、それで死亡者四人とか、ワクチン接種歴なしの感染者が九十九人、重症者数が五人、そして死亡者数が四人とか、数は非常に少ないんです。ですから、この研究も限界があるということは最初に申し上げます。

 さらに、例えば、お隣の二ページ目、大阪府の調査では、こちらはこちらで、第六波の重症化率は一月三十日時点で〇・〇五%、死亡率は〇・〇四%というのを、こちら、出しておられるわけですね。

 そこで、この広島の最新の資料からは、第六波、広島県が致死率〇・一%ということなんです。

 繰り返し言います。これはまだ初期ですから、はっきり言ってデータがそろっていないんです。だから、断定はできるはずはないんです。しかし、私たち国会は、断定できなくても、今後どうなりそうかという、一歩先、二歩先を見据えた上で対策を打たないと、結果的に、一か月後、こんなに致死率が高かったのか、見誤ったなどでは、これは済まないんです。

 そこで、尾身会長にお伺いをしたいと思います。

 こういうデータが出ておりますが、季節性インフルエンザとこの第六波、オミクロンを比べて、致死率はどちらが高いのか。さらに、私は今後亡くなる方が増えていくリスクがあるんじゃないかと思います。今後はどうなりそうなのか、そのことも含めて御答弁ください。

尾身参考人 委員の御質問の最も重要な趣旨は、オミクロン株と季節性インフルエンザの違い、あるいは相違は何かということだと理解していますけれども、オミクロン株と季節性インフルエンザは、確かに似ているところもあるんですよね。それは、一つ目は、比較的虚弱である高齢者が感染して、その感染を契機に持病が悪化する、先ほど申したとおりです。

 それから、オミクロン株の致死率についてはなかなか正確なことは言えませんが、デルタ株に比べると重症化率が低くなっているというのは確かだと思います。

 そうした中で、実は、オミクロン株と季節性インフルエンザが違う点も幾つかあります。このことは実はアドバイザリーボードなどで正式に結論が出たものではないので、私の個人的な見解ということで申し上げると、大体こんなような感じが、違う点があると思います。

 まずは、インフルエンザウイルスというのは、ウイルスとしての変化が非常に穏やかな性質があって、ウイルスとしては、比喩的に言えば安定的な状況にあるということです。それに対して、オミクロン株というのは、まさに大きな変化の進行中であって、これからどんな変化が起こるかは不確定なところがあるし、実際にオミクロン株の亜種が既に出ているということがあります。

 それから二点目は、オミクロン株の性質、まだ変化が進行中ということで、ワクチンの効果なんかに関しても不確定要素があるということ。

 それから三番目は、インフルエンザでは、圧倒的に小児の割合が多く、そういった観点から、小中学校の感染が実は地域へのドライビングフォースになっているというのが一つの特徴です。そうした中で、早期に学校閉鎖なんかをすると、インフルエンザの場合には効果がある、時々あるということも分かっています。

 四点目ですけれども、インフルエンザというものは、治療にある意味でじっくりと時間をかける、合併症としての細菌性肺炎というのが主たるものであります。一方、オミクロン株は、ウイルス性肺炎というものが多くて、これが高齢者施設などで多発して、一人の人から次の人に感染するスピードが速いので、早期の治療、あるいは介入ということが非常に難しくなっているという点があると思います。

 それからもう一つは、インフルエンザは、もう委員御承知のように、いわゆる経口薬へのアクセスというのが日常的にできているということがありますが、オミクロン株では、現在の、今、今日の時点では必ずしもそうなっていない。

 そうしたことをいろいろ考えると、オミクロン株と季節性インフルエンザというのは、似ている点もあるけれども、かなり違う点もあるということは、私は個人的には、これはアドバイザリーボードでまだ正式な判断は下しておりませんが、私の個人的な意見では、これが同等というふうに判断することは現段階では必ずしも適切じゃないと私は思っております。

山井委員 尾身会長、ありがとうございます。

 同等じゃないというところなんですけれども、私がより知りたいのは、やはり致死率なんです。やはり国民が一番心配しているのは致死率だと思うんです。

 今言ってくださったことを総合して、またこういうデータも参考にしながら、オミクロン株と季節性インフルエンザの致死率は、今あるいは今後、どちらが高くなるというふうに思われますか。

尾身参考人 私は、致死率というものは、いろいろ出ていますけれども、分母の問題もあるし、いろいろ完璧に正確なことはなかなか難しいと思いますけれども。

 一番大事なことは、今の状況がどうなっているかというと、若い人の感染は比較的落ち着いているけれども、だんだんと、その間に高齢者だとか小児の方が少しずつ増えていて、感染のスピードが非常に速いので、感染者数が一気に急増しているわけですよね。そうすると、致死率が、これはよく言われていることですけれども、低くても、絶対数は徐々に累積してきますから、今それが始まっています。重症者数も徐々に増えているし、死亡者数も増えています。

 したがって、高齢施設なんかを中心に、感染が今広がっているところにしっかり、あとは我々一人一人の努力もそうですけれども、この感染の減少が緩やかである、さっきの富士山形であると、致死率は低くても、重症者数、死亡者、だんだんと累積してきますので、感染を早く、まず先週今週比を一に下げると同時に、感染対策をいろんな場所で、この前申し上げた、分科会で、いろんな場所で起きていますから、それを徹底的に行うということが、私は、やれば。

 重症者数、絶対数の方が非常に重要だと思います。致死率というよりも絶対数が重要なので、それを今減らすということに全力を尽くすべきだと思います。

山井委員 尾身会長の今の御答弁は、致死率はさておき、死亡者はこれから急増する危険性があるんじゃないかということだと思います。

 例えば、私の御指導いただいている、コロナの患者の方々を診ておられるお医者さんが、どうこの点について意見を下さっているかといいますと、現在、高齢者施設で大量のクラスターが起きています、これらの方は入院もできず脱水などでどんどん死亡しています、若者は死亡しませんが高齢者は致死率が高いです、オミクロン、遅れて死者が増加します、インフルエンザでは医療が受けられますが、現在はコロナになっても医療が受けられませんと。この病院の先生は、多くのコロナ患者を今入院で治療されている先生です。

 さらに、もう一人の在宅で治療されている先生も、致死率は季節性インフルエンザよりオミクロンの方が高いと言えます、インフルエンザとコロナでは治療薬の違いがありますが、タミフルがインフルエンザにはあるけれども、抗体カクテルとかモルヌピラビルがすぐにまだ利用できない、現状ではオミクロンの致死率はインフルエンザより高いと断言できますと。

 こういう、これは現場の声です。

 そういう意味では、尾身会長、違いがある、今後死者が増える可能性がある。

 国民の皆さんも、えっ、風邪とインフルエンザと似たようなもので無症状も多いんじゃないの、ある意味でワクチン接種もそんな必要じゃないんじゃないのという声もやはり一部あるんですね。まあ、ワクチンが絶対とは私も言いませんけれども。

 個人的でも結構ですけれども、尾身会長から、オミクロンというのは今後死者が増えるリスクがある、危険だということ、もしそう思っておられるんだったらですけれども、はっきりと言っていただけませんか。

 といいますのは、私も含めてですけれども、国民も悩んでいるんです。えっ、インフルエンザ、風邪並みじゃないの、無症状の人、多いでしょうと。でも、死者はどんどん増えていますねと。どっちなんだということについて、尾身会長、国民に向けても含めて、オミクロンの危険性についてお話をいただけたらと思います。

尾身参考人 二点申し上げます。

 一点目は、オミクロン株と風邪は、先ほど申し上げたように、同じということはないと思います。

 それで、先ほど委員が言及していただいた、紹介していただいた現場のお医者さんの意見ですよね。それについて、私はこう思います。

 今、一番の、我々日本の社会が直面しているのは、重症者、死亡者がどんどん増えていく可能性があるのでそれを何とか減らしたいということですよね。そういう中で、オミクロン株とインフルエンザの重症者、高齢施設という文脈の中で申し上げると、インフルエンザも実は高齢者施設で起きています、起きます。ところが、二つの点で違います。

 一点目は、インフルエンザの場合は、高齢者施設での感染の数が、今のオミクロン株とはボリュームが違います。これが一点目。

 それから二点目は、先ほど申しましたように、インフルエンザの場合は、元々持病があって、それに感染が来て、合併症としての細菌性肺炎ですね。細菌性肺炎というのは治療に少し時間をかける、すぐに来ませんので。こういうことで、しかも、タミフルという薬もあるし、いろいろな経験もあるので、それほど、今に比べると。これに比して、オミクロンの場合は、高齢施設での感染の数がインフルエンザと違うし、さらにそれに加えて、ウイルス性肺炎ということですので。

 しかも、オミクロン株は、委員御承知のように、一人の感染から次の感染へ、世代時間が非常に難しいので、治療にどうしても遅れるということがあるので、そういうことで、今、しっかりと高齢者施設での感染対策、これはもう、高齢者、利用者に早く三回目のワクチンをやるということと、従業員もしっかりやること。

 それから、今この時期は、外から来る人がいますよね、その人たちには徹底的に感染対策をしていただく、検査をして、場合によっては、この時期だけは残念ながら面会を少しストップする。

 それから、先ほど私が申し上げましたように、高齢者施設のオーナーといいますか、必ずしも医療の専門家じゃないですよね、そういう人たちをみんなで助けて早く治療に結びつけるということが大事です。

 したがって、結論からいいますと、オミクロン株と風邪は違うものだという認識で私はやる必要があると思います。

山井委員 今、大串筆頭理事からもアドバイスがございましたけれども、これは非常に重要なポイントでありまして、今後オミクロン株で死者が増えるのかどうなのか、この見通しを国民が共有するということは、私たちの、国民の命を守る上で非常に重要です。

 ついては、尾身会長、是非コロナ分科会で、二月二日もアドバイザリーボードでは議論されていますが、この問題、今後のオミクロン株、第六波によって死者がどうなるのか、重症者がどうなるのか、見通しはどうなるのか。そのことについて、早急にコロナ分科会、先日やっと一回目、今年になって開いてもらいましたけれども、コロナ分科会で議論をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

尾身参考人 コロナ分科会の開催は政府が決めることになっていますので、私からいつということは言えませんが。コロナ分科会ですね、基本的対処方針の分科会じゃなくて。コロナ対策分科会の方が開かれるのではないかと、私は勝手に、いずれは、想像していますが。

 その際は、今委員おっしゃったような、一体どういう対策が求められて、この前の分科会の、先週の金曜日は、感染の、どういうところで、場面で起きているかというのを全国知事会の協力を得てやって、だから感染を下火にするための努力は、いろいろ職場であり学校でありということをお示ししたので、仮に次回分科会が開かれるのであれば、医療の体制、検査の体制、そうしたものを全体的に示すことが私は求められているのではないかと思います。

山井委員 後藤大臣にお伺いします。

 私は非常に心配していますのは、オミクロン株というのは軽症者がほとんどだ、風邪に似ている、似ている部分もあるんです、私も否定しません。しかし、それによって国民の危機感が薄れて、気がつけば一か月後に膨大な数の高齢者がオミクロンで亡くなった、コロナで亡くなった、あるいは、そのあおりを受けて一般の方が救急医療にかかれずにコロナ関連死で亡くなった、こんなはずじゃなかったということでは、私たち、国会はもう万死に値します。

 その意味では、後藤大臣、季節性インフルエンザとオミクロンの致死率についていかが思われるか。今後のことを含めて。今後増えるんじゃないかという私の指摘ですけれども。

 それと、今申し上げた、早急に、もう早急に、尾身座長の下、コロナ分科会を再度開いていただいて、今後オミクロンで死者が急増するリスクがあるんじゃないのか、あるんだったら、どうしたらそれを食い止められるのか、そのことを議論していただきたいと思います。いかがでしょうか。

後藤国務大臣 基本的には、今、山井議員が御議論をされている意識、共有をするところでございます。

 具体的に、数字自身ということで申し上げると、現時点で、季節性インフルエンザとオミクロン株の致死率、重症化率、こういったものをきっちりと科学的に比較するというだけの条件はまだ整っていないというふうに思っておりまして、こういう点については引き続ききっちりとした検証が必要だと思いますが、それぞれ、パネルでお示しいただいた季節性インフルエンザの数字、広島県の数字、大阪府の数字は我々も共有をしておりまして、ここに書いてある数字は、今の時点で広島の例、大阪の例をまとめられたものと思っております。

 そして、特にこの致死率等で申しますと、大阪の死亡率〇・〇四、重症化率も〇・〇五と出ているんですが、こういったものにつきましては、重症者や死亡者が感染の拡大から遅れて発生するということを踏まえますと、今の時点ではまだ下振れしている可能性が高いのではないかというふうに思っております。

 ですから、しっかりと、下振れリスクもある、どんどん、今後、一週間平均の感染の伸び率は、もちろん、当初ぐんと小さい人数からどんと上がりますから上がって、どんと下がってまいります。しかし、実効生産数の一・〇を下がらないところまでは患者はどんどん増えていくという事態の中で、高止まりするのか、落ちてきたとしても一・〇を割るのかどうかということで、患者の数ということは、これは減りません。

 となると、患者がどんどん増えていったときに、高齢者を中心に感染が拡大したときに、コロナの直接の影響、そしてコロナとともに起きる高齢者の病気等で重症化し死亡するということは大いに考えられる。そういう面から、警戒をしながら、今後の体制を整えていかなければいけない、そのように思っております。

 そして、こうした科学的知見とかあるいはその対応については、専門家の皆様方にもしっかりと科学的知見を分析していただいて、我々もそれに遅れないようにしっかりとそれを分析しながら、的確に判断をしていくということだというふうに思っています。

 分科会の開催等につきましては、適時、必要なときに開催をするということで、どういう分析でどのような事態かということを政府の中で検討して、適時進めさせていただきたいというふうに思っております。

山井委員 これは本当に急いでいただきたい。

 科学的知見が集まらない、分かるんですよ。でも、私たちには国民の命をコロナから守る責務があるから、見通しをして、政策を先手で打つしかないんです。後になって、こんな亡くなるとは思っていなかったという言い訳は、これは与党も野党も通りませんから。

 そんな中で、今、検査キットがなくて困っている。地元からも、全国中、困っていられると。

 この検査キットというのは、厚生労働省医政局の経済課というところがやっているんですね。昨日、大串議員も御指摘されましたが、聞いてみると、六十五人おられると、経済課。

 その中で、検査キットに対応している人は今何人ですか。アベノマスク、布製マスクの対応をしている人は何人ですか。それぞれお答えいただきたいのと、この場でお約束をいただきたいのは、廃棄したら六千万円です。有効利用、結構です。でも、それに五億、十億かけるということはあり得ないし、後藤大臣、何よりも私は言いたいのは、お金だけの問題じゃないんです。医政局経済課は、検査キットなど医療機器を全国に供給するために全力で頑張っていただきたいんです。

 アベノマスクの有効活用を議論している場合ではないんです、今は。経済課に本来業務である検査キットの供給の仕事をさせていただきたいんです。一か月かけて、この人のアベノマスクは雑巾になる、この人のアベノマスクは着物になるとか、そんな仕分をさせるんですか、このコロナの危機に。

 だから、六千万円以上はもう使わないということと、その人数、六十五人中、布製マスク、アベノマスクに関わっている人と検査キットに関わっている人の人数、お答えください。

後藤国務大臣 厚生労働省の医政局経済課の職員は六十五名です。このうち、キットとマスクの職員がどういうふうにはめられているかというようなことは、ちょっと直ちにはお示しできませんが、六十五名という非常に限られた人数で今精いっぱいやっているところでございます。

 それで、キットにつきましては……(山井委員「もうそれは時間がないのでいいですから。とにかく、六千万円以上使わないという約束を」と呼ぶ)よろしいですか。

 コストにつきましては、今、有効に使っていただくということで、元々、マスクとしてただでお配りをすることを前提で、配付コストも考えて、予算も組んでまいりました。できる限り有効に使っていただくということでお配りをするということなので、そういう意味では、配付コストをある程度かけても、それは政策、国のやることとしては、廃棄のコスト以上のコストをかけてはならない、そういう理屈ではないというふうに思っておりますが、できる限りコスト節減に努めることは委員の御指摘のとおりだと思います。

山井委員 六十五人中、検査キットの担当、お仕事をされている人が何人、そして布製マスク、アベノマスクの今仕事をしている人が、正職員、アルバイト、派遣も含めて何人、これを理事会に提出してください。

根本委員長 理事会で協議します。

山井委員 いや、これ、今やることですか、それを。検査キットがなくて診断できなくて手遅れになって、モルヌピラビル、経口薬も使えなくて死にかかっている方もいるんですよ、日本中で。人がばたばた亡くなっていっているんですよ。医政局経済課の方々も泣いていられますよ、何で今こんな仕事をしているんだと。

 これは後藤大臣を応援する意味で言っているんです。是非とも、六千万円以上もう使わないという決断をしていただいて、検討に労力をかけないでください、今。

 あと十分しかありません。申し訳ありません、萩生田大臣と斉藤大臣、お待たせしまして。一問ずつお聞きします。質問通告しておりますので、端的に言います。

 萩生田大臣、事業復活支援金、実現することになりました。私たちも、昨年の三月、二回目の持続化給付金の支給法案ということで要望しておりました。

 そこで、三点です。

 一点目は、支給上限額が少な過ぎる。オミクロンそして蔓延防止でみんな苦しんでいる、やはり支給額を倍増していただきたい。それとともに、ここに法案も出しましたけれども、四月以降も延長していただきたい。なぜかというと、当然、これ、蔓延防止措置も三月までずれ込みますから、当然、三月末では済みませんし、かつ、茶業、農業など季節性のものも十一月から三月では入らないので、それを入れるという意味でも延長していただきたい。そして、この支給については、今までの給付金と同様に二週間を念頭に支給していただきたい。

 よろしくお願いします。

萩生田国務大臣 事業復活支援金は、新型コロナの影響により厳しい経営状況が続く事業者の皆様が三月までの見通しを立てていただけるように、固定費の約半分を目安として、昨年十一月から三月までの五か月分を一括給付するものです。

 この支援金は、売上高の減少割合が五〇%以上の事業者に加え、三〇%以上の事業者も新たに支援対象となり得るものでありまして、足下、オミクロン株の感染拡大の影響に困難な状況に置かれている事業者の皆様に活用いただけるように、三月までの売上高を対象としています。

 給付金を増額すべきとの御指摘ですが、持続化給付金との比較を見ても、売上げ五〇%減少の個人事業者に対する月単位の給付額で比較した場合、持続化給付金が八・三万円であるのに対して事業復活支援金は十万円と、事業復活支援金の方が充実した支援措置となっております。

 加えて、事業復活支援金のほか、実質無利子無担保融資や、新分野展開を後押しする事業再構築補助金も拡充するなど、事業者のニーズに合わせた様々なきめの細かい支援措置を講じております。新型コロナの影響による事業者の状況を注視しつつ、まずは事業復活支援金の給付に全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

 四月以降の新型コロナの感染状況や、これによる事業者への影響を見通すことは困難ですが、いずれにしても、厳しい状況に置かれている事業者の皆様をしっかりと支えていきたいと思っております。

 また、給付に対してですけれども、できる限り早くお届けする必要がございます。この点、過去実施していた支援金は、給付件数の約半数が申請から二週間以内に入金されています。事業復活支援金については、先週月曜日から申請受付を開始し、審査を経て、一週間後である昨日七日には入金が始まっておりますので、できる限り早い給付に努めてまいりたいと思います。

山井委員 萩生田大臣、頑張っていただいているのは分かるんですけれども、この事業復活支援金は、やはりオミクロンとか第六波というのは想定していなかったと思うんですね。ですから、是非とも、四月以降延長するのであれば二月中に決めねばならないと思いますので、是非二月中に延長を御決断いただければと思います。これは、時間がありませんので、要望にとどめさせていただきます。

 それでは、大変お待たせしました、斉藤大臣。

 私の配付資料の七ページにもありますけれども、私の地元宇治は観光地、京都も観光地でありますけれども、観光産業持続継続支援金法案というのを小宮山泰子国交部会長を先頭に作りまして、近々提出する予定であります。

 これの趣旨は、もう二年連続GoToが延期になった、全国の観光地の方々は首を長くして待っておられるんですね、GoTo再開を。ところが、今回延期になったということで、二年連続かということで、店が潰れる、お仕事を畳まねばならないということで、今、本当にもう泣いておられます。

 ついては、斉藤大臣にお願いをしたいんですが、この地元の新聞でも、商店街活動にコロナの影、感染再拡大の将来も見据えるということで、大変厳しい声が出てきております。

 そこで、是非、GoToは感染が収束したらやっていただいたらいいんですよ。やめろとは言いません、やっていただいたらいいんですけれども、去年みたいに、待っていたら一年たって結局やれなかったということになりかねませんから、やはり観光行政の責任者である斉藤大臣から、本当に全国の観光地が今潰れかかって、本当に観光立国の名が泣くと思うんです。やはりそこで、四月以降も再開できるかどうか分からないという中で、何とか斉藤大臣のリーダーシップで、この観光地支援の給付金あるいは支援金、財政支援ということをせめて検討していただけないか。

 本当に日本の観光地が今厳しい状況に置かれております。斉藤大臣、よろしくお願いいたします。

斉藤国務大臣 オミクロン株の急激な拡大により、今、全国の観光地が大変厳しい状況にある、その認識は共有をしております。将来の地域の再生の核になる観光業者の方々をしっかり支援していかなきゃいけない、それはもうまさに共有をしております。

 このため、政府としては、昨年十一月に公表された新たな経済対策において、雇用調整助成金の特例措置、実質無利子無担保融資の延長、それから持続化給付金、また復活支援金等、しっかりこれは対応しているところでございます。

 こういう業種横断的な対応にプラスして、いわゆる観光業界に対しては、新たな経済対策や令和四年度の当初予算において、地域一体となった宿や観光地の再生、高付加価値化、それからデジタル技術を活用した宿泊施設による顧客管理の高度化、それから地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出などの支援を盛り込んでおり、観光需要の喚起策のほか、投資喚起、デジタル化などの観点も含めて、観光産業を多面的に支援していくこととしております。

 これからも、その意識を共有して頑張っていきたいと思っております。

山井委員 いや、これは与野党を超えて、観光立国、観光業、観光地の支援というのは共通の思いだと思うんです。今、様々なメニューを挙げていただいたんですけれども、結局、全てが、オミクロン株、今回の蔓延防止措置の延長を踏まえてのものではないんです。

 そういう意味では、最後に斉藤大臣に改めて御答弁をお願いしたいんですけれども、やはり今回の蔓延防止措置が今後延長されます。そして、オミクロン株という想定外のことも今年に入って起こりました。それによって観光地あるいは観光産業への支援の拡充を検討するということを、是非御答弁いただきたいと思います。

斉藤国務大臣 山井先生ですから、いろいろ本音の議論をしたいと思いますが、観光関連事業者に特化した直接給付につきましては、一つは、事業復活支援金等の業種横断的な支援制度との関係をどう整理するのか、それから、宿泊や旅行業に限定されず、観光客に関わる幅広い分野に影響が生じており、どこまで支援対象とするのか、それから、直接給付よりも需要喚起策の方が、宿泊事業者や小売店、そして、それらを支える農業、漁業の一次産業に至る、地域経済を支える産業全体にその効果が行き渡るのではないかという課題があると認識しております。

 国土交通省としては、GoToトラベルを始めとした需要喚起策とともに、投資喚起、デジタル化などの観点も含め、観光産業を多面的に支援していきたい、このように思っております。

山井委員 もう時間が来ましたので終わりますが、おっしゃる問題点は分かるんです。だから、私たちは、一年かけて、この観光産業事業継続支援金法案を、小宮山泰子国交部会長を先頭に考え抜きました。一・三兆円の財源、どのようにどういう人たちに幾らまくか、まさに法案にまとめましたので、多分、恐らく与党の皆さんも思いは一緒だと思いますので、是非、この審議をしていただいて、実現をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて山井君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也です。どうかよろしくお願いいたします。

 斉藤大臣、私とはまだおつき合いは短いですけれども、私にも本音のおつき合いで、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、まず鈴木大臣にお伺いをいたします。

 この二年にわたるコロナ対策、様々、今政府として打ってきていただいておりますけれども、このコロナ対策の上での現状、企業であったり金融機関ですね、現在どのような状況であるのか、分析についてちょっとお伺いいたしたいと思います。

鈴木国務大臣 一つは資金繰り支援を行っているところでございますが、コロナの影響を受けました中小・小規模事業者の事業継続のため、こうした資金繰り支援というのはとても大切なことであると認識をしております。

 このため、令和二年三月より、政府系金融機関では実質無利子無担保融資等を行っており、昨年十二月末の時点で、約九十七万件、約十八兆円の融資を決定をしたところであります。

 こうした資金繰り支援等によりまして倒産件数が抑えられているとの見方が民間の調査でも示されているところであり、感染状況や経済状況を見通せない中、コロナの影響を受けた多くの中小・小規模事業者の資金繰りや事業継続を支え、一定の成果を上げてきたものと評価をしております。

 財務省としては、引き続き、事業者の実情に応じた資金繰り支援に万全を期してまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 確認なんですが、十八兆円というのは、済みません、私のこの資料二のところの、この日本公庫の部分ということでよろしかったでしょうか。そして、恐らくそうだと思うんですけれども、この信用保証、民間の部分でどれだけかという金額を教えてください。

鈴木国務大臣 済みません、今ちょっと手元に数字がありませんので、直ちにお答えできなくて申し訳ありません。

近藤(和)委員 ここはレクで確認をしてきたところなので、恐らくは、十八兆円というのが、この資料二でいけば公庫の部分だと思います。そして、信用保証協会の部分は四十五兆円。ちょっと私の質問の間に数字を確認できたら、済みません、事務方の方、よろしくお願いいたします。

 そして、その中で、資料の一を御覧ください、企業の倒産件数が減ってきている。これは前の菅総理も、そして現在の岸田総理もおっしゃっておられますが、二〇二〇年、二〇二一年、特に、おととしの段階では過去最少の倒産件数、そして二〇二一年についても過去最少を更新した。これはすばらしいことです。

 一方で、二〇二〇年の廃業、「休廃業・解散」と書いてある部分ですが、この四万九千六百九十八件というのは過去最高です。二〇二一年は若干減少してくれましたけれども、これでも過去三番目の廃業件数の多さということになります。大体、倒産件数の七倍ですね。

 鈴木大臣もかなりの地方だと思いますので、私のところも結構な田舎なので、一つ一つの事業者のともしびが消えることの寂しさは恐らく十分お感じのことだと思いますけれども、まずは、政府の皆様には、このコロナ対策、確かに、私はこの特別融資の効果というのは非常に大きかったというふうには思いますが、数多くのともしびが消えてきているということを共通の認識としてお持ちいただきたいと思います。

 そして、その上でなんですけれども、資料の二を見ていただきたいと思いますが、特に、これは二〇二〇年のときですね、二〇二〇年のときに、いわゆるゼロゼロ融資、三年間、利子を返さなくても、実質的には利子補給をしてもらえる、そして五年間は元金部分は返さなくてもいいということですけれども、特に、おととし、二〇二〇年の五月から、公庫さんだけでは手が回らないということで、民間の金融機関も含めてこの緊急融資が行われるようになりましたが、やはり、地域を回っていて伺うのは、もう緊急融資、早い方で二年近く、一年九か月たってきています、あと一年三か月たったらどうしよう、金利部分を払っていくのは大変だ。そして、あと三年三か月したら、元金部分、最長で借りていた場合ですよ、最長ではない方もいらっしゃいますから、三年三か月たったときには元金部分を返していかなくてはいけない、このときが商売のやめどきだ。そういった声、恐らく多くの議員の方も聞かれていらっしゃると思います。

 そこで、まずは経産大臣から伺いますが、先日、山井議員の質問、これはお答えいただいたのは鈴木大臣ですけれども、利子の部分については質問内容に入っていなかったと思うんですね。恐らく、一般の方、聞かれた方には、この利子のところもどうなるんだろう、こちらの方が期限が先ですから。ですから、この利子の部分に対して、今後、あと一年三か月後ということになりますけれども、恐らくは、そのときになって、商売をやめる、廃業なのか倒産なのか分かりませんけれども、こういったところが出てくると思うんですが、何らか対応を考えていらっしゃるか、現状の認識も含めて、経産大臣、お願いいたします。

萩生田国務大臣 実質無利子となる期間は借入れから三年間としており、二〇二〇年三月から制度が開始したことを踏まえると、実際に利子負担が発生するのは、一番早い方で来年三月以降であります。現時点では、事業者において利子負担が発生しているわけではございません。

 また、実質無利子融資については、据置期間を最大五年としていることに加え、これまでに上限額を順次拡充してまいりました。足下では、申請期限を本年三月まで延長したほか、官民の金融機関に対しては、鈴木大臣らとともに、最大限実情に応じた柔軟な対応を行うよう、累次にわたって要請をしてまいりました。その結果、官民の金融機関は、リスケの申出があったもののうち、約九九%の申出に応諾をしています。

 本措置について、当初三年間は実質的な金利負担が発生しないという異例な措置でありますから、無利子期間の延長には慎重な判断が必要ですが、引き続き、コロナ禍において厳しい状況に置かれている事業者の皆様の資金繰り支援に全力で取り組んでまいりたいと思います。

 あわせて、どういう検討をしているのかということであれば、業種によっては、先行きが非常に不透明な業界、業種もあると思うんです。そのために、事業再構築の補助金というので、言うなら、業種替えをするお手伝いも同時にさせていただいています。

 これは、ゼロゼロ融資とは別に補助金で支援をさせていただいておりますので、経営者の皆さん方、コロナで大変厳しい状況を十分承知しておりますが、そこは是非御努力をいただいて、仮に少し商売の中身を変えていくんだということであれば、そういったものも御利用いただきたいと思っております。

近藤(和)委員 少し一遍にお答えをいただいたような気がするんですけれども。

 まず、大臣も重々御認識されておられると思いますが、事業再構築補助金については、一般の小さな商売をされている方にとっては余りにもハードルが高過ぎます。ここを安全弁として、これで大丈夫だという御認識は、私は甘いと思います。

 そして、利子部分についてと、あと元金の部分について、元金の部分、その据置きのところについては鈴木大臣にお伺いしようと思っていたんですが、両方お答えいただきました。

 実際には、利子補給の部分については、検討は今難しいということをお答えいただきました。何とか、必ず声は強くなってくると思いますので、この難しいという返事を変えていく心構えを是非とも持っていただきたいと思います。

 そして、リスケの部分については、これは鈴木大臣が先日お答えいただいたことですが、既存融資の返済猶予など、柔軟に対応するよう、政府として官民の金融機関に要請を行っております、そして、金融機関の条件変更の応諾率は約九九%と、多くの事業者の返済負担軽減につながっていると理解をしておりますというふうにお答えいただいたんですね。これに近いことを、今、萩生田大臣もお答えいただいたと思いますけれども。

 改めて鈴木大臣に伺いたいと思いますが、このことは、現在ということですね。現在ということ、そして、かつ、あと三年三か月、早い方であれば、五年間、据置きを最大期間置いてきた方が元金部分を返さなきゃいけない。今からいけばあと三年、三年三か月たったときも、しっかりとこのリスケに対して応えてくれるのかどうか、この件についてお願いいたします。

鈴木国務大臣 まず、先ほどお答えいたしました十八兆円の中身でございますが、日本政策金融公庫、沖縄公庫、商工中金など、中小向けの政府系金融機関による実質無利子無担保融資の数字でございます。

 それから、この要請は、今も、現在も続いているわけでありまして、これからも続けていくということでございます。

近藤(和)委員 これからもということで、実際には、あと三年後の政権はどこか分かりませんから、分からないんですけれども、実際には私たちもそのときには政権を担っている可能性もありますので、しっかりと、この応諾率、現在九九%ということを言われていましたが、これもしっかりと継続していけるような形になればいいなというふうに思っています。

 振り返れば、リーマン・ショックのとき、私が大好きな、尊敬をしている亀井さんが金融担当大臣をされておられました。そのときに彼が言われたことがコペルニクス的転換を図っていこうということで、中小企業金融円滑化法を制定しました。晴れたときに傘を貸して雨のときに傘を貸さないのは金融機関だけれども、雨のときにちゃんと傘を貸す金融機関になっていこうということで、事業者を救っていこうということで、一気に動き出されました。その考え方は本当に尊いと思いますし、現在のコロナ対策においても近いことを現政権は行ってきていただいていると、私は金融面からは正直思います。

 ただ一方で、今、事業者の方々の立場と金融機関の立場で見れば、少し景色が変わってくることがあります。

 なぜかといいますと、この一のところをもう一度見直していただきたいと思いますが、これは、金融機関にとってみれば、特に地方ということであれば、休業、廃業が増えてきているということの実態ですね。これも皆様は声を聞かれていると思います。借金が多いから、あるから会社を閉じることができない、そして今回のゼロゼロ融資はありがたかったという声がある一方で、借金が少ないから、若しくは借金がほとんどないから、ないから今事業をやめるんだというのが、去年、おととしのこの廃業の多さなんですよね。これは、金融機関の立場にとってみれば、優良な貸出先がなくなってきている。特に地方においては顕著だというふうに思います。金融機関にとっては大変苦しい状況が続いてきています。

 その中でなんですけれども、今、金利も低い、そして企業の廃業も随分増えてきている、貸出先も少なくなってきている、借りたいという企業も少ないという中で、先日、三日の階議員と日銀黒田総裁のやり取りの中で、階議員から、地域金融機関の利益が減ってきている、その一因となっているのが日銀の異次元の金融緩和ではないかという問いに対しまして、黒田総裁は、影響ありませんと怒気を含めて言われました。私はこのことについてどうかなという思いがあるんですが、この点について、鈴木大臣、どうお感じでしょうか。

鈴木国務大臣 黒田総裁の答弁について、また黒田総裁にお聞きになるのが一番正しいことだと思いますが、御指摘のとおり、地域金融機関、これはもう経営環境、非常に厳しいものがある、そういうふうに認識をいたしております。

 銀行経営は、低金利環境の継続ということ、その影響、また、先生もお触れになりましたけれども、地域の人口減少、あるいは国内外の経済金融市場の動向など、様々な影響を受けることから、金融政策のみを取り上げてその影響の程度を論ずること、これはなかなか難しい部分はあるんだと思います。

 そして、黒田総裁の答弁にどう思うかということだったと思いますが、金融緩和が個々の地域金融機関の経営に与える影響、これはプラス、マイナス双方あると思いますが、地域の構造要因もあることから一概に判断することは困難であるとの、その趣旨を総裁は言ったんじゃないかな、そんなふうに受け止めたところでございます。

近藤(和)委員 もう九年もたってきている中で、金融機関が厳しいな、そして、このまま超々低金利を続けることがむしろ金融機関の経営へ悪影響を与えるのではないか。今日はあえて黒田総裁はお呼びをしていませんけれども、そのような発言も、過去、されてきておられるわけですね。

 その中で、私はあえて彼の立場に立ってみれば、彼は国民との直接の接点というのは少ないんだろうなと思います。一方で、鈴木大臣は政治家ですから、国民との、皆様との、有権者とのコミュニケーションというのは日々されておられると思います。

 そこで、日銀総裁というのは、もちろん中央銀行というのはマーケットとの対話、大変重要ですよね。ただ、マーケットとの対話は重要だとはいいながらも、国民との対話、金融機関との対話といったところはやはり欠けている部分があると思いますが、政府は、日銀とアコード、一緒に歩んでいこうということをされてきているわけですよね。

 ですから、私は、黒田さんの振る舞い、そして感じ方については、もうちょっと鈴木大臣にも、同じ気持ちになって、同じ気持ちというか、国民の側に立って、そして金融機関の側に立って、真剣に受け止めてほしいんです。トータルで考えると何となく分からないだったら、それじゃただの素人と一緒ですから。そうではないと思います。

 改めて、この九年間にわたる超々金融緩和ですね、こちらについて、アベノミクスとミックスではありますけれども、こちらについて、結果として金融機関に厳しい影響を与えてきているのではないか、地域金融機関に厳しい影響を与えてきているのではないかということに対しての御認識をお願いいたします。

鈴木国務大臣 長期にわたりまして超低金利の時代が続いておりますから、貸出金利が趨勢的に低下をするということに伴いまして、地域金融機関、利息収入が減少しておりまして、金融機関の厳しい経営環境の背景の一つになっているということは感じております。

近藤(和)委員 背景の一つにはなっているという、この御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、事業者の立場も大事ですし、金融機関、特に地域の金融機関ですね、この超低金利の中で、いわゆるメガバンクが長期の国債などを、今、預貸率、各金融機関、大変ですからね、高くなって、貸出し、なかなか伸びなくて大変ですから、それぞれ国債などで運用していますが、今、もうメガバンクなどは、長期の国債などを売って、そして違うところで運用をしている。リスクが高いですから、金利上昇リスク。金利が急上昇した場合に損を抱えますから。そのいわゆるメガバンクが売った長期の国債などをどこが買っているかといえば、地域の金融機関なわけですよね。リスクを抱えてしまっているということを大変心配をしています。

 ですから、地域の金融機関に思いを、今、一歩前向きな御答弁をいただきましたので、本当にありがとうございます。

 そしてここで、今、もう一つ、考え方として、新しい資本主義、何度も何度もこの予算委員会で議論されていますが、古い資本主義、古典的な資本主義、これも私は捨てちゃ駄目だと思うんです。新自由主義じゃなくて、古い、元々の資本主義。

 なぜかといいますと、今、企業がどんどんどんどん内部留保をためてきています。これをどうやって使ってもらうかというところでは、例えば成長戦略であったりですね。一方で、私、これはいかがかと正直思っているんですけれども、与党も、野党の中でも、内部留保課税の、少し議論が出てくるときがあります。これはちょっと、頑張っている企業に対していかがかなという思いを私は持っています。

 その中で、じゃ、なぜ内部留保を企業がためていくのかということは、やはりバブル崩壊、そして二〇〇〇年代初頭の金融危機がありました。稼いだ利益は借金返済に回そう、そして借金返済を終われば内部留保をためていこう、これは企業の活動として当然だと思うんです。そのときに、やはり事業会社にとってみれば金融機関への不信感、恨みというものがあるし、金融機関がいざとなったときに国が助けてくれるのかくれないのか、こういったところの連鎖的な動きがあると思います。

 ですから、この内部留保をどうやって使ってもらうか、投資してもらうかという前向きの戦略だけではなくて、事業会社にとってみれば、内部留保をそこまでため込まなくてもいいんだ、投資していってもいいんだということで、いざとなったときには金融機関がしっかり支えてくれる、これは古典的な資本主義と言ってもいいと思うんですけれども、こちらの部分もちゃんと認識をした対策が私は必要だと思うんですね。

 だからこそ、この黒田総裁の発言は残念だったと思いますし、今、鈴木大臣が、少し前向きな発言をいただきましたが、この点について少し思いを聞かせていただけたらと思います。

鈴木国務大臣 日本の、今、企業の多くがかつてないほど内部留保をため込んでおられるということ、それは一つの大きな論点であると思います。

 先生おっしゃるとおり、それを人への投資に使ってもらうとか、あるいは新たな事業展開のために投資をしてもらうとか、そういう環境整備をしっかりと政府としても政策として組んでいくということだと思います。

 それと同時に、いざというときに金融機関がしっかりと資金的にサポートをする、そういう地域における金融機能の健全性といいますか、そういうものをしっかりと守り抜いていく、構築していく、そういうことも重要なんじゃないかなと思って先生のお話を伺ったところでございます。

近藤(和)委員 思いは似ているところがあると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 その中で、民間の金融機関、そして公的な金融機関、今それぞれ頑張ってきていただいていますけれども、やはり残念なのが、今日の読売新聞でも書いてございましたが、貸金業法違反で在宅起訴された遠山元財務副大臣の問題、こちらをやはり触れざるを得ません。実際には収賄罪に当たるのではないかということも話はありましたが、現在は貸金業法違反ということで起訴されています。

 このことについて、所管、財務副大臣でしたから、公庫は財務省の管轄ということですが、このことについて調査はされましたでしょうか。

鈴木国務大臣 遠山氏が起訴されたということは承知をしておりますが、具体的な訴訟事由については、財務省としては、直接は知らない、承知をしていないわけで、関わっていないわけでございます。

 先生御指摘のように、本件は、貸金業法違反と報道で承知しておりますが、そういうことで遠山氏が起訴されているわけでございまして、財務省として、この調査、内部調査を行ったのかということについては、その点も含めまして、刑事事件に関わる事案でありますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(和)委員 遠山氏についての調べはしていないということ、これは調べをしているかどうかということは言えないということだと思いますが、遠山さんの事件をきっかけとして、様々な公的な融資に対してほかの政治家が関わっていなかったのかといったことは調べられましたでしょうか。

鈴木国務大臣 一般論として、政府系金融機関による融資につきましては、各機関において、事業性や償還確実性など、適切に審査を行った上で実施をされているということで、仮に外部の方からの紹介があったとしても融資判断が影響を受けることではないと承知しておりますし、また、そうでなければならない、そのように思います。

 そうした考えの中で、御指摘のような網羅的な調査を行うことは今考えていないところであります。

近藤(和)委員 仮に外部からの圧力があったとしても融資に影響を与えることはないと言われましたが、影響を与えているからこんなことが起きたんじゃないですか。

 私は、性善説、性悪説でいけば性善説に立ちたいですけれども、こういうことが起きていますから、私は調査すべきだと思うんです。

 なぜかといいますと、特に今回のコロナ、特別融資、ゼロゼロ融資で助かった方がたくさんいらっしゃるわけですよ。そして、もう今月、来月生き残れるか分からない、何とか貸してほしいと、窓口に相談に行って並んで、たくさんの事業者の方が困っていたときに、特定の政治家と近づいているから、特急券ですぐ融資してもらえる。それこそ、財務内容、この今日の記事によれば、ある程度、相当おかしいんじゃないかと推測されるような企業にもお金を貸しているわけですよ。こういうことがあったら、一般の事業者の方、かわいそうじゃないですか、不公平ですよ、信じられないですよ、頑張って事業をしていこうという気持ちになれないですよ。

 ですから、こういったことが、二度とおかしな事業者には貸さないように努力する、政治家、特定の権力者が関わらないようにちゃんと調査をする、そして、もう二度とこういうことがないように、しっかりきれいに事業を進めさせるんだということを、どうか大臣、お答えいただきたいんです。

鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたが、政府系金融機関による融資につきましては、各機関において、事業性や償還確実性などを適切に審査を行った上で実施されており、仮に外部の方から紹介があったとしても融資判断が影響を受けることはないと承知しておりますが、また、そうでなければならないと強く思ってございます。

 そして、大切なのは、先生からも今御指摘があったわけでございますが、政策金融におきまして、その融資の判断などが何か疑念を持たれる、ゆがめられるというようなことがあれば、これは、そういうような疑念を持たれること、国民の皆さんに持たれることはあってはならないことだ、そういうふうに考えておりますので、今朝の新聞報道に基づいての御質問だと思いますけれども、裁判の推移等を見守りたいと思いますが、状況を見ながら適切に対応してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 報道によれば、百十一件の融資に関わったとか、ほかの政治家もあったけれどもそんなに件数は多くなかったとか、そんなことまで報道されているくらいですから、ちゃんとしてください。そして、いずれどこか遠くない未来のうちにまた同じようなことが出たときに、これは鈴木大臣の責任だと思いますよ。ちゃんとしていただきたいと思います。ちょっと答弁を求めませんけれども。

 質問を変えます。

 持続化給付金、そして事業復活支援金についての質問をさせていただきますが、経産大臣に伺います。

 資料の四、「季節性のある事業(農業を含む)を営んでいる皆様へ」というペーパーがございますが、こちらの文書はいつ作ったのか、どこに送ったのか、このことについて教えてください。

萩生田国務大臣 この文書は、二〇二〇年の二月十五日に送付をしているものでございます。

 あと何でしたっけ。(近藤(和)委員「どこに」と呼ぶ)これは、文字どおり、季節性のある事業を営んでいる農業関係者の皆さんに送りました。

近藤(和)委員 ちょっとレクを受けていたのと違うんですけれども。季節性のある農業者の方に送っていたということであれば、かなり流れが変わるんですが。

萩生田国務大臣 不正受給を実施していることについて確度の高い情報提供があった申請者、不正事案と同一のメールアドレスで申請しているなど不正受給が疑われる申請者、月ごとの収入の掲載がされていない白色申告を行っている者で、前年の年収の月平均を各月の月収としてみなすこととしておりますが、前年の月平均による収入があるとみなされた月と閑散期などの今年の実際に収入がない月を比較するなどで事業収入が減少しているように偽る申請をするなど不正受給の疑いがある場合も含め、給付要件を満たしていない可能性がある方に対して、認識確認を行うために送付をしたものです。

近藤(和)委員 みんなに送っているというわけじゃないんですよね。

 農水大臣に伺いますが、この文書の存在のことを御存じだったでしょうか。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 経済産業省が、農業を含む季節性のある事業を営む者に対しまして、給付要件に合わない申請は不正受給になる旨の資料をホームページで周知しております。そのことは農林水産省としては承知しています。

近藤(和)委員 私、何人かの方に問合せを受けて、これはどうしようか、返した方がいいのかということ、問合せを受けたんですね。これを見たら、やはり「(農業を含む)」ですから、農業の関係で持続化給付金を受け取ったら、特に、御丁寧に、「不正受給をした者は詐欺罪に問われ、懲役十年以下の懲役刑に処されることがあります。」、何となくすきっと見えるような場所に書いてあるんですよね。

 これは、相当、見られた方は恐ろしがったと思います。そして、役所の方であったり農協関係者の方からも、こういったものが出ているということが相当程度の方に広まったと思うんですよね。

 実際には、持続化給付金については、これは五で書いてありますが、農業、林業の方は三・五%受給されています。持続化給付金については、四百二十四万件のうちの三・五%ですから、大体十五万件の方々、まあ全ての方が見られたというわけではないですが、相当な恐ろしい気持ちになってしまったと思います。

 そこで、経産大臣に伺いますが、受給済みの方がこれを見て、大丈夫なのに返してしまうという可能性もあると思いますが、それについてはちょっと今日は聞きませんが、今、事業復活支援金が始まりましたよね。この文書の存在によって、本当は売上げがちゃんと対前年比三割減った、五割減ったという農業者の方々が、この文書の存在によって申請しにくくなる、萎縮効果を与えてしまうことになると思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 これは、一連の不正受給が多くなった段階で、もちろん、不正を前提に農家の人が申請しているんじゃなくて、言うなら計算違いで出している人も含めてお出しした文書としてはかなり、ちょっとショッキングな内容だったという方がいらっしゃるのも、私もこれを今改めて冷静に読んで感じるところがあります。

 しかし、事業復活支援金は、地域、業種を限定しない形で支援をさせていただきますけれども、給付要件に該当する事業者であれば全て支援対象となりますので、そのことは分かりやすくリーフレットなどを作成し、広報活動も行っておりますので、前回、仮にこういうことでやや嫌な思いや不安を感じた方がいらっしゃったとしても、要件さえ満たしていればこれは大いに使ってもらいたいと思いますので、そこは、申請しやすい環境をしっかりつくっていきたいと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 農水大臣も、是非とも告知の方をよろしくお願いいたします、大丈夫だということをですね。

 そして、済みません、各要求大臣、質問できなくて大変申し訳ございませんでした。また今度の機会にさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。初の質問でございますので、よろしくお願いを申し上げます。

 また、このような機会をいただきまして、我が党の皆様方には感謝を申し上げたいと思います。誠にありがとうございます。

 そして、今日は、私の次は和田議員ということで、ふだんは我々の党、非常に若い方々ばかりなんですけれども、今日はおじさん二人で頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間もないので、早速質問に移らせていただきます。

 今日は、在留外国人について質問をさせていただきたいと思います。

 実は、我が町川口市、非常に昔から外国人労働者が多いんですね。朝鮮特需の頃、鋳物屋さんが非常に盛んだった時代がございます。その当時は、朝鮮の方々が非常に多く鋳物屋さんで働いておりました。あの吉永小百合さんの「キューポラのある街」、御覧になった方なら分かろうかと思いますけれども、ちょっと古いのでほとんどの方は知らないかもしれませんけれども、非常に景気がよかった、本当に鋳物屋さんは助かったと思います。

 ちょっと話はずれますけれども、実は、我々の町川口市は、北朝鮮の拉致被害者、これが非常に多いんですね。内陸です。内陸にもかかわらず、分かっているだけで七名もの被害者がおります。昨年亡くなられました飯塚さんの妹さんの田口八重子さん、あの方も川口市の出身でございます。

 何で内陸なのにこんなに多いのかなと思うんですけれども、ある方がおっしゃっておりました。当時から、やはり北朝鮮のそういったネットワークが既に構築をされていたのではないか、こんなことを言う方がいらっしゃいました。まんざら、うそではないんじゃないかなというふうに思います。

 今も、拉致被害者を救う会の皆様方、定期的に川口市内で署名活動等々をしております。これは私からも、一日でも早い解決をお願いをしたいなというふうに思います、ちょっと話はずれましたけれども。

 そして、今現在はどうかというと、実は、今現在、川口市内は二万人以上の中国の方々が在留をしております、二万人というと相当な数だなと思うんですけれども。そのほかにもいろいろな方々がおりますけれども、今日はあえて国籍を、ちょっと的を絞らせていただきたいと思いますけれども、クルドの方々ですね、いわゆるクルド人、非常に最近目立ちます。これはやはり、アジア系ではないので目立つのは致し方ないのかなと思いますけれども、今現在、約二千人以上の方々が川口市で暮らしております。住民の方々は、何でずっといられるのか、不思議でしようがないんですね。

 今のルールでいくと、難民申請を出す、その間、申請を出している間はいられるわけですけれども、これは仮に却下になっても、やはりまた申請を出す、そしてまたいられる。要は、ずっといられるような状況だというふうに思います。どういうルールなのかなと不思議でしようがないんですよね。

 確認のために、現在の現行のルール、もう一度しっかりとお聞かせ願いたいというように思います。お願いいたします。

古川国務大臣 お答えいたします。

 まず、難民認定申請者につきましては、入管法上、本邦にある外国人と規定されておりまして、我が国に在留資格を持って滞在しているかそうでないかにかかわらず、申請を行うことができるということになっております。

 また、入管法上、申請回数の制限は定められていないことから、審査の結果、難民と認定されなかった場合であっても、繰り返し難民認定申請を行うことが可能となっております。

 さらに、難民認定申請中の外国人につきましては、入管法の規定上、一律に送還が停止をされるということになっております。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 これはほとんどの方々は知らないんだろうなというふうに思いますので、あえて確認をさせていただきました。本当に町の方々は、不思議だし、不安がっているのでね。

 そして、続きまして、昨年いろいろありましたけれども、結局、廃案になってしまいました入管法の改正案についてお聞きをしたいと思います。

 これはたしか、今出ました難民申請の提出の制限、また罰則等々が入っていたと思いますので、主な点をちょっと教えていただきたいと思います。そしてまた、今国会ではこれは提出されておりませんけれども、再度提出される予定はあるのかどうか、これもお聞かせください。

古川国務大臣 先ほど、廃案になりました入管法の改正案についてのお尋ねでございました。

 送還忌避の問題というのは、長期収容の原因ともなっておりますことから、入管行政にとっては解決すべき喫緊の課題だというふうに思っております。そういう考え方の下に、その解決のために、くだんの入管法改正案というものを準備したわけですけれども、御案内のとおり、残念ながら廃案になってしまった状況でございます。しかし、やはりその解決のためには、そういった入管法の改正というのは必要である、そのような認識には変わりはございません。

 一方、入管法の在り方につきましては、様々な御意見があるということもよく承知しております。そこで、改正法案につきましては、今、今後どうするかということについて慎重に検討を行っているところであります。そのため、今の国会の提出については、検討中のものというふうな仕切りで扱っているところでありますけれども、しかし、繰り返しになりますが、その改正の必要性というものは認識に変わりはございません。ですので、その改正が必要であるということについて丁寧に説明を行っていって、早期に国会に提出ができるように調整を進めていきたい、このように考えております。

高橋(英)委員 どうもありがとうございます。

 今、答弁がありましたけれども、是非これは、やはり中途半端というのが一番よくないというふうに思いますので、双方にとってよりよくなるように、改正案をしっかりと出していただきたいというように思います。何も私は、早く追い出せとか、そういうことを言っているわけではないので。

 もちろん、これは水際でしっかりやっていただくのが本当はベストなんですけれども、現行のルールだと、一度我が国にいらっしゃる方々、これはなかなか退去をさせるというのは難しいというのが現実だというふうに思いますので、今現在の方々をどうするかというのがやはり非常に重要な問題だというように思いますので、そういった意味でも、再度、改正案、よりよくしたものを提出をしていただきたいというふうに思います。

 また、現在のルールだと、やはりなかなか出ていかないのではないかというふうに思います。市内には今現在二千人、クルド人の方々がいるという話をしました。実は、在留資格を持っているのが、そのうちおよそ千三百人いるんですね。これは、実は私も意外に多いなと思ったんです。いわゆる仮放免の方々が、市で聞くとおよそ五百人、そして、法務省で聞いたら約三百人という話なんですね。こういった違いを聞いても、やはり横のつながりがないのかなというふうに感じさせていただきました。

 そして、今現在の仮放免の方々の管理方法というのをちょっと確認をさせてください。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

西山政府参考人 仮放免は、退去強制手続において収容されている者について、諸般の事情を総合的に考慮し、一時的にその収容を解く制度でございまして、仮放免中の外国人は退去強制手続中の立場にございます。そこで、逃亡防止や出頭確保の必要がありますことから、入管法上の規定により、住居及び行動範囲の制限等の必要な条件を定めているところでございます。

 その上で、居住地を管轄する地方入管局においては、定期的に出頭を求め、必要に応じて居住地に職員が出向くなどし、生活状況の確認を行っております。

 また、仮放免の際に付された条件に違反した場合には、仮放免を取り消して再度収容するなどの対応を行っているところでございます。

高橋(英)委員 御答弁ありがとうございます。

 月に一回の面接なのかなというふうに思いますけれども、果たしてそれでしっかりと管理をできるのかなというのは、これは甚だ疑問でございます。やはり、もうちょっとしっかり管理をしていただきたい。

 先ほども言いましたけれども、私は何も、無理やり追い出せと言っているのではございません。やはり、実情に合った方策をしっかり考えねば駄目だというふうに思います。実態として、様々な理由で送還を拒み、難民認定申請を繰り返すなどして我が国に何年もの間在留している、これが現実だというふうに思います。やはり、そういった現実としっかり向き合って対応していかなければならないというように思います。

 近所の方々にお話を伺いますと、仮放免の方々は、基本的に就労できないんだと思いますけれども、就労できないのに何年も在留しているのは、一体どういう立ち位置でいるのかというのをよく言われます。しかしながら、現実的には、実際に働いている方々がたくさんおりますよね。たくさんいます。働かないと、家族がいる方もおりますし、食べていけませんから、これはしようがないのかなというふうに思います。

 問題は、やはり低賃金で働いたりなさっている方もおりますので、ややもすると、日本人の働き場所を奪ってしまう可能性もあるやもしれませんし、また、犯罪等々に走る可能性もあるやもしれないので、こういったことをどうするか。やはり私は、しっかりと管理をして、働いていただける方にはしっかりと働いてもらう、そしてしっかりと納税をしてもらうこと、これが大切なんじゃないか。納税をすればまたいろいろなサービスも受けられ得る可能性もありますので、そういったまずは就労の可能性、就労して納税をさせる、こういった考え方はどうかというのをお聞きをしたいというふうに思います。

 そしてまた、やはりこれにはしっかりとした管理、これが不可欠でございます。でも、これだけではないですよね、管理をしなければいけないのは。例えば、運転免許証、自賠責保険の加入とか。近所の方々が言うには、もし事故でも起きたら一体どうなるのかと非常に不安がっています。不安がある町というのはやはり安心、安全な町とは言えませんので、こういった部分でもしっかりお願いしたいし、今回のコロナワクチンの接種に関しても、やはりこういった管理が必要だと思います。

 そういった部分で、我が党がかねてより言っておりますマイナンバーによる管理、この点はいかがかなというふうに思いますので、お聞かせください。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

古川国務大臣 お答えいたします。

 まず、在留資格を持たない外国人の就労についてでございますけれども、入管法に違反して退去強制が確定した外国人、これは速やかに日本から退去をすることが原則であります。ですから、これは仮放免中ということであっても基本的に就労は認めておりません。

 この不法滞在中の外国人の就労につきましては、先ほども申し上げましたけれども、送還忌避に対する対応策などの問題と一体として検討しなければならない、また、この制度の問題としても検討していかなきゃならない問題だというふうに考えております。

 そこで、今委員はマイナンバーというお尋ねでございましたけれども、マイナンバーは、日本人と同様、住民基本台帳に記録された合法滞在の中長期在留者などの外国人に対しまして付与されるということでございますので、不法滞在者は対象とならない、こういう仕切りになっております。

高橋(英)委員 御答弁ありがとうございます。

 だからこそ拡充をしていただきたいという話なんですけれども、やはりきちんと働いて納税する、これは在留外国人にとっても、市行政にとっても、これまで存在に不安であった住民にとってもいいと思いますので、是非前向きにお考えいただきたいと思います。

 また、我が党はかねてより、マイナンバーの拡充、これを提案しております。そのためには費用もかかりますので、今後の予算計上に期待をしたいというように思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、よく政治は国、県、市なんといいますけれども、現状の仕組みからいえばそうなのかもしれませんけれども、お金の流れに関してもそうなのかもしれませんけれども、意見の集約は、やはり市、県、国だというふうに思います。これは我が党のやはりスタンスでございますので、今後もこの視点に立ってやってまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最後に、私の知り合いのクルド人の方がこんなことを言っておりました。もちろん、その方はしっかり在留資格を持って働いていらっしゃる方ですけれども、その方が言っていたのは、入管の方々は我々を人間扱いしない、こんなことを言っておりました。是非お気をつけいただきたいというふうに思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

根本委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、和田有一朗君。

和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。

 国会で初めて質問をさせていただきます。大変緊張をいたしております。この場に至るまでにお力をいただいた全ての方に感謝を申し上げつつ、質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、せんだって小松基地を飛び立った航空自衛隊の隊員の方が、今もって行方不明のままです。一日も早い救助、救助されることをお祈りしまして、私からは質問に入っていきたいと思います。

 せんだって、前原先生が、昨日ではなく、そのもう一つ前の質問のときに、最初にこう切り出されました。最も尊敬する政治家は、こういうふうに言われました。誰かなと思って、私、後ろでおりまして、身を乗り出したんですが、トウショウヘイさん、こういうふうに言われました。ああ、なるほど、そうですかという感じで。

 私は、台湾を民主化した李登輝先生を尊敬しております。政治家というよりは、明治の気骨を持った偉大な人物、政治家の枠組みに入らない人だなというふうに思っております。

 今、その台湾が大変揺らいでおります。大変、皆さん、緊張が走っているところがございます。台湾有事と言われることです。そういったことについて質問をしていきたいと思います。

 台湾有事は、日本有事、すなわち日米同盟の有事に直結すると私は認識しています。我が党の馬場代表は、衆議院の代表質問において、台湾有事において、岸田総理に見解をただしました。私には、答弁で総理が台湾海峡の危機について直接的な言及を避けているな、そういうふうなイメージを持ちました。このことは素通りすることがあってはならない、政府の姿勢はどうも台湾のこの有事に関して甘いのではないのかなというふうな気が私からはしております。

 総理は、我が党の馬場代表の質問に対して、台湾海峡をめぐる情勢も念頭に、中国との間で諸懸案を含めて対話を重ねていくというふうに答弁をなさったわけですが、台湾有事は諸懸案なんでしょうか。私はもっと重大な問題だと思います。

 一体、台湾有事とは何なんでしょうか。私は、イメージとして、やはり中華人民共和国、中国が武力侵攻してくるとか、そういったことをどうしてもイメージいたします。

 現在の台湾有事に対する認識というものをどのように政府は思っておられるのか、まずお伺いします。

林国務大臣 両岸関係については、経済分野を中心に深い結びつきを有している一方で、その軍事バランスは、全体として中国側に有利に変化をしてきておりまして、その差が年々拡大する傾向が見られるところでございます。

 中国による台湾への武力侵攻の可能性については、事柄の性質上お答えは差し控えますが、台湾海峡の平和と安定、これは我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であると考えております。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場でございまして、そのような立場から、台湾をめぐる情勢について、引き続き関心を持って注視をしてまいりたいと思っております。

和田(有)委員 今お答えありましたけれども、やはり、台湾有事は日米同盟にも直結する話だと思います。要は、断固として私たちは力による現状変更は認めないという姿勢をしっかりと示していくことが大事だと私は思うんです。そのメッセージを発していくことがやはり私たちには求められている。日本は、しっかりとこの台湾海峡にコミットをしていく、そのことによって、断固として力による現状変更は認めないということを示す必要があると思います。

 時間がないので、もう次々質問を繰り出してまいりますけれども、そういう中で、じゃ、何ができるんだということになってくるわけですが、次の質問は、台北駐在武官の増員についてであります。

 我が党の馬場代表は、総理にこうも問いました。台湾とも、対中国で共同で対処していく道を公式に模索していくべきではないか。これに対して総理からは、台湾との関係は、非政府間の実務関係を維持していく、日台間の協力と交流の更なる深化、深めていくという意味ですね、を図っていく、このように答弁があったんですが、その中で、具体的に、私、聞きたいんです。

 現在、台湾の首都台北には、日本台湾交流協会台北事務所というのがあります。ここには、実は外務省や経産省の現役の公務員の方が派遣されているんです。彼らの身分は台湾交流協会の職員ということで、出向扱いでございます。

 一方で、防衛担当者に関しては、現役の自衛官はおりません。自衛隊を退官したOBの方、昔風に言いますと、いわゆる退役将校の方がたった一人駐在しているだけなんです。台湾海峡の緊張が高まって、台湾有事の具体的な安全保障上の課題となっていく中で、こんな体制でいいんでしょうか。そしてまた、私の見方ですけれども、中国に配慮をしてこういうことをしているんじゃないかと私には思えてしまうぐらいです。

 非政府間の実務という枠組みで既に他省庁では実現しているわけですけれども、防衛分野でも、現役の自衛隊の皆さん、それも、情報を収集したりすることにたけたような方、陸海空一人ずつぐらいでも増員をして配置すべきだと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

岸国務大臣 今委員御指摘のとおり、日本台湾交流協会においては、現在一名、自衛官OBの方が一名、台北事務所で勤務していると承知をしております。当該自衛官OBは、日本台湾交流協会の業務の一環として様々な情報収集等の活動を行っているものと承知をしております。

 台湾というのは、我が国にとっても、基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係で、人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人でもあります。

 中台の軍事バランスについては先ほど外務大臣からもお話がございましたけれども、防衛省・自衛隊としては、中台の軍事動向について、引き続き、強い関心を持って情報収集、分析を続けてまいります。

和田(有)委員 具体的な、当然、答弁はなかったわけですけれども、以前、私が承知する範囲では、大臣は、大臣としてではありません、政治家として、この点について御発言をなさったことがあったと思います。現役武官の方をしっかりと配置をする、これがやはりメッセージに私はなると思うんです。我々は台湾にコミットするんだ、そして絶対に力による現状変更は認めないんだということを日本は示しているということを示すメッセージとなると思いますので、是非とも前向きに検討をしていただきたい、こう思います。

 続きまして、駐日台北代表処の名称表現についてお伺いしたいと思うんです。

 日本には、台湾政府のいわば大使館に当たる駐日台北代表処というのが東京にあります。白金台にあります。これは台北代表処なんです。何か、知らない人が聞きましたら、台北市の東京事務所みたいなんですよ。私は神戸から来ているんですけれども、神戸市がシアトルに事務所を置いているようなふうにしか取れない。実際には大使館業務をやっているわけです。これに関して、やはり私たちはそろそろ考え方を変えるべきではないかと思います。

 今般、アメリカでも同様の話がありまして、駐ワシントンの台湾の代表処、これは名称が台北代表処らしいんです、やはり。でも、これをやはり、米台間の関係を深化、深めていくためには、台湾代表処にしてもらっていいんじゃないかという議論が起こっているそうです。

 日本においても、台湾との関係を深化するのであれば、この台北代表処の名称を台湾代表処に変えることをお認めになってもいいのではないですか。いかがでしょうか。

林国務大臣 今お話のありました台北駐日経済文化代表処でございますが、これは日台間の実務関係における台湾側の民間の窓口機関でありまして、その名称につきましては台湾側が定めるものでございますので、日本政府としてコメントする立場にはないわけでございます。

 その上で申し上げますと、台湾は、日本にとって、基本的価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーでございまして、大切な友人であります。

 例えば、新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の困難に直面する中においても、日本から台湾への四百二十万回分のワクチン供与、台湾から日本へのマスクや酸素濃縮器の供与等、日台の関係は更に深まっております。

 そうした中にあって、台北駐日経済文化代表処は、その名称のいかんにかかわらず大きな役割を担ってきておると承知しております。

 引き続き、台湾に関する我が国の基本的立場を踏まえながら、日台間の協力と交流、更なる深化を図ってまいりたいと考えております。

和田(有)委員 これは台湾側が決めることだと今この場で御発言なさいました。ならば、そうお願いしましょうよ。それでいいじゃないですか。私はそう思います。

 いずれにいたしましても、関係各位の御努力をお願いして、次の質問に移ります。

 戸籍において、台湾出身の方が、国籍欄に中国と書かれていることについてです。

 どういうことかといいますと、台湾の方が日本人と結婚をして、その戸籍を上げますと、元々の国籍欄が中国と書いているんです、中国。これ、私たちから見たら、普通、中国と見ましたら、中華人民共和国ですよ。台湾の方は皆さん、きょとんとするわけです、えっ、私は中国人じゃない、台湾人だと。それがやはり今の台湾の多くの皆さんのアイデンティティーだと思うんです。

 せんだってのオリンピックで、入場行進で随分と議論になりました。中国台湾、中国香港、これは中国共産党が統べる、統治する中華人民共和国の中の一行政区だというのが彼らの主張であります。

 いや、それは確かに、私も、日華断交、日中共同声明のときのいろいろな経緯とかは知っていますけれども、何も私たちはそのことにとらわれることはないと思うんです。

 まして、中国と国籍が書かれている戸籍謄本を持って、いろいろな免許証を取ったりするときがあるんです。例えば調理師の免許を取るときでも、役所のいろいろな手続で添付書類を出してくださいというものがあって、戸籍をつけたりする。そのときに、中国と出てくるわけです。これはやはり、私から思うと、台湾の方に対して失礼ですよ。やはり台湾の方の人権問題だと私は思うんです。ですから、この表記を変えることはできないか。

 今まで、これが出たのは、昭和三十九年の民事局長通達から始まっています。日華断交前です。それ以降、第一次安倍政権のときに自動車の免許の相互運用とか、あるいは、台湾との関係、台湾だけではありません、外国人登録証の表記の問題とか、我々は知恵を使って乗り越えてきているはずなんです。それができないんでしょうか。

 国籍の欄に台湾と書けないことは、私はいかがかと思いますが、御答弁を求めます。

古川国務大臣 御指摘のとおり、日本人と婚姻をした台湾出身の配偶者の国籍欄には中国と記載をしております。

 そもそも、日本人が外国人と婚姻をした場合には、日本人の戸籍に配偶者である外国人の国籍に関する事項を記載する必要がございます。日本人が台湾出身の方と婚姻をした場合には、その国籍については、我が国が国家として承認しているところの中国と記載をしております。

 委員の御指摘につきましては、台湾に関する我が国の立場などを踏まえまして、慎重に検討する必要があるものと考えております。

和田(有)委員 慎重に検討するということですので、検討してください。そして、前向きに物を進めていただきたいと思います。

 時間がありませんので、次に行きます。

 なぜこんな問題が今まで出てくるかというと、それは、我が国と台湾の関係を規定する法律がないからだと私は思うんです。アメリカはちゃんと持っています。アメリカと台湾を、関係することを決める法律を持っています。日本も法治国家です。台湾も法治国家です。同じ民主体制を取る、同じ価値観を有する国です。ですから、法律で規定しないと、これは何もできない。

 自民党の高市政調会長さんですかね、今、肩書は、高市さんが、この間、ホットラインを結べばいいと言った。しかし、ホットラインを結ぼうと思ったって、法律の規定がないから公的には何もできないんです、現実には。これは、何かあったら、台湾の総統がツイッターでぴゃぴゃっと書いて、私たちがぴゃぴゃっとツイッターで返すしか方法はないんです、現実には。これでは、この状況の中で、いかがかと思います。

 台湾と日本を規定する法律を作るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持するというものでございます。政府としては、こうした基本的立場に基づいて、これまでも、経済を始めとする幅広い分野で台湾との実務的な協力関係を積極的に推進してきております。

 台湾との関係に関する枠組み等については、様々な御議論があることは承知しておるところでございますが、政府といたしましては、以上の基本的立場に基づき、引き続き、台湾との間で幅広い実務関係を発展させていく考えでございます。

和田(有)委員 もう時間が私はありませんので、あと、たくさん質問を用意しておったんですけれども、野田大臣も末松大臣もわざわざ来ていただいておりますが、申し訳ありません、そこまでは参りませんでした。

 やはり、今日の新聞、書いていますよ。台湾は、日本の食品を輸入解禁するそうです。今日発表すると書いています。台湾の皆さんは応えてくれているんです。私たちも台湾の皆さんに何か応えなきゃいけませんよ。私たちにとってやはり、恐らく私は思うのに、最も世界で信頼ができて、そして友情があって、お隣にいる台湾の皆さんに私たちはしっかりと応えていかなければいけない。

 私、次に、実は、領土問題で尖閣のことをお聞きしようと思っていたんです。実は、現職の国会議員の中で、恐らく私がたった一人、尖閣、魚釣島に上陸した経験のある国会議員だと思います。

 今の日本政府の中国と向き合う姿勢というのは、どれを見ても、どうも、いかがなものかなと。もう少しはっきりとした態度を打ち出すべきではないかと私は思います。そのために、台湾有事は起こしてはならないんです。起こさないために、メッセージを出していかなければならないんです。そのために、幾つかの方策を私は提案もいたしましたし、質問をさせていただきました。

 残ったものは別の機会にさせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて和田君の質疑は終了いたしました。

 次に、長友慎治君。

長友委員 国民民主党の長友慎治です。

 私は、昨年の衆議院選挙で当選するまで、地元宮崎の中小企業支援を、公的支援、産業の支援の立場で行っておりました。地方に立地する企業の九九・九%が中小企業であり、中小企業で働く労働者、生活者の皆様が安心して暮らせる地域をつくらなければ真の地方創生はなし得ない、そのことを肝に銘じ、地域の活性化に全力で取り組んでまいりました。

 今国会は、賃上げ国会でもあります。中小企業も賃上げできるように売上げを伸ばしていかなければなりません。そのためには、経営のアドバイスをする中小企業支援機関の質の向上が必須であることは言うまでもありません。しかし、全国の既存の支援機関は十分な評価や地域からの信認を得ているかというと、必ずしもそうではない実態を目の当たりにしてきました。

 経済産業省は、昨年六月から七月にかけて、中小企業支援等の、経営強化に関する基本方針のパブリックコメントを行っています。既存の支援機関、特に商工会、商工会議所についてどのような意見が寄せられたのか、その上で、商工会、商工会議所についてどのような認識であるかを、まずは大臣に伺います。

萩生田国務大臣 昨年七月に実施したパブリックコメントにおいて、商工会や商工会議所などのガバナンスや経営指導に関して様々な御意見を頂戴したことは承知しております。

 その上で、商工会、商工会議所は、地域に密着した公的な支援機関として中小企業、小規模事業者に寄り添った支援をしていただくことが重要です。特に、事業者と向き合い、最前線で相談対応や経営支援を行う経営指導員の役割は極めて大きいものがございます。

 こうした中、例えば全国商工会連合会では、優秀な指導実績を収めた経営指導者に対する表彰や、優良な経営支援事例の発表会を実施するなど、優秀な経営指導員をしっかりと評価するとともに、優良な取組事例の横展開を促す取組が行われております。

 また、政府としても、小規模事業者支援法に基づく経営発達支援計画の認定に当たり、三年以上の経営指導の経験を有する指導員の関与を要件とするなど、一定の能力、経験を持つ経営指導員の活用を後押ししております。

 なお、中小企業、小規模事業者を対象としたアンケート調査では、商工会や商工会議所の経営支援への期待は以前と比較して高まっていると評価があるため、引き続き、商工会、商工会議所などとも連携しながら、経営指導員の評価と、評価された経営指導員がしっかり活躍できるような環境整備を行ってまいりたいと思います。

長友委員 先ほど大臣から、経営指導員に対する期待、評価は高まっているということがございました。

 私もパブリックコメントを全部拝見しまして、その中で気になった点がございます。補助金の不正受給に関わった支援機関に対しての厳しい声、商工会、商工会議所のコンプライアンス体制を改善してほしいという意見が多数寄せられていた件に関しては、大臣は今触れられませんでした。経営指導、コンサルの質の向上以前に、信用面から疑われている、疑問の声が出ていることは真摯に受け止めなければいけないと思います。

 その最たる例が、一月二十四日に報道もされましたが、鹿児島県商工会連合会の補助金不正受給問題です。

 資料の一、フリップ一を出していただけますか。

 鹿児島県のとある自治体の商工会の三十代の男性職員が、二〇一四年から一八年度の五年間にわたり、販路開拓などを支援する小規模事業者持続化補助金を地元の小規模事業者が受給する際に、見積書や納税書を改ざんし、水増し請求していたことが分かっています。この男性は既に二〇一九年末に依願退職されていますが、水増し請求した理由について、実績を上げたかったと説明していることが地元の南日本新聞の取材などで明らかになっています。

 そこで、伺います。

 この小規模事業者持続化補助金について、事業委託を受けた全国商工会連合会や委託した経済産業省からノルマのような基準があったのかどうか、教えてください。

萩生田国務大臣 これは困っている中小企業者の皆さんの支援策ですから、あらかじめ目標金額を決めてそれを全国に割り振って、ノルマを与えて採択してもらうという性格のものではございません。

長友委員 では、この依願退職された男性の、実績を上げたかったという真意についてはどのように理解しているか、お答えください。過去の商工中金の書類改ざんのように、組織的に暗黙のノルマとして扱われていたということではないのでしょうか。

萩生田国務大臣 この方がどういう思いでその取組をされたのか、ちょっと私には分かりませんけれども、少なくとも、本件については、組織的な対応でなかったことは確認をされております。

長友委員 次に、フリップの三、資料の三の方を、皆さん、見ていただけますか。

 補助金の事務局の立場で書類改ざんを行い、不正受給を行っていたということは問題ですが、萩生田大臣は記者会見で、二〇二〇年三月に不正受給の通報があったと説明されています。なぜ、そこから、処分が二〇二一年六月にまで遅れたのかを伺います。

 調べたところ、この処分については、六月二十五日に厳重注意処分が発表されていますが、その直前、経済産業省の処分基準、補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置要領、二〇二一年の六月二十一日に改正されています。

 この基準改正を待って処分を決定したのではないでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘の事案は、一昨年、令和二年三月、持続化補助金の交付先である全国商工会連合会から、鹿児島県連に所属していた元経営指導員が単独で証憑書類の改ざんを行い、事業者に不正に補助金を受給させていたとの報告が同省にあったものです。

 この報告を受けて、経済産業省としては、一昨年六月に必要な立入検査を行い、そして同年八月に全国商工連合会を通じた全ての都道府県商工会連合会に対する調査を実施をしました。こうした中、昨年二月から六月までの間に不正受給分が全額返還されるとともに、全国商工会連合会から再発防止策を策定をされた報告がございました。

 補助金の不正受給等に対する対応については、経産省の措置要領において、不正受給を行った事業者が、事実に基づいて当省に速やかに報告し、十分な再発防止体制を整備するなどの事情や行為の悪質性を考慮して処分の有無や程度を定めることとされており、本件も、この措置要領に基づいて、昨年六月二十五日に書面による厳重注意を行ったものです。

長友委員 全国商工連合会から再発防止対策の提出があったというふうに聞こえます。その提出を受けた日というのはいつでしょうか。

萩生田国務大臣 全国商工会連合会が、昨年二月から六月までの間に再発防止策を検討した最終的な再発防止策は、昨年六月二十四日に提出をされました。

長友委員 今、大臣から、二〇二一年六月二十四日に提出があったというふうに答弁をいただきました。これは、つまり、厳重注意処分が発表される前日であります。

 この鹿児島商工会連合会、持続化給付金だけではなく、共同・協業販路開拓支援補助金の方にも募集をしております。募集締切りは、二〇二一年の五月二十一日でした。

 全国商工会連合会と鹿児島県商工会連合会は、再発防止策を提出することなく別の補助金に応募し、補助金交付を停止することが妥当と実は会計課の中で意見がまとまっているにもかかわらず、三か月後に、書面による注意喚起である厳重注意に変わったのではないのでしょうか。

萩生田国務大臣 今、御指摘の、別の補助金を採択させるために処分を軽くしたような事実はございません。

 補助金の不正受給等については、経産省の措置要領において、不正受給を行った事業者が、事実に基づいて当省に速やかに報告し、十分な再発防止体制を整備するなどの事情や行為の悪質性を考慮して処分の有無や程度を定めることにしております。

 御指摘の事案は、一昨年の三月、持続化補助金の交付先である商工連合会から不正受給の報告が当省にあり、また、自主的な報告があった後に再発防止策を策定し、不正受給分が返還されたことを踏まえ、措置要領に基づき、書面による厳重注意ということを行ったことになりました。

長友委員 では、次の資料、資料二、フリップの二を御覧ください。こちらは経済産業省の資料を基に私の事務所で作成したものになります。

 二〇二一年三月時点での資料です。この時点では、四か月から六か月以内の補助金交付等を停止することが妥当というような判断が一度出ています。

 しかし、二〇二一年六月の資料では、特別な事情があるものと判断し、書面による注意喚起とすると処分が軽くなっています。

 ここで言う特別な事情というものは何か、お答えください。

萩生田国務大臣 済みません、まず、先生御提出の資料二なんですけれども、これは私、今日初めて見まして、確認をしましたところ、省内に存在する正式な、いわゆる行政文書ではないということを確認をしました。

 ただ、担当課としては、もうこの二月の段階から、当然、どういう処分があるかというのはいろいろなシミュレーションをしていた時期でございますので、一つの案としてはこういう案もあったんだというふうには推測できます。

 これは、先ほど申し上げたように、今回の案件は、まず、外からの通報とかじゃなくて、本人が、これはやはり間違っていましたというように自ら申告をしたこと、それから、お金が全て返金されたこと、そして、その親団体である全国商工連合会の方で再発防止策をきちんと講じたこと、それから、先ほども申し上げましたけれども、この人以外に組織的にこのことに関与している人は組織の中で全くいなかったことをもって、これは二度と、再発、あってはならないことでありますけれども、厳しく注意をするという判断をしました。

 この判断の基準は経産省の中の措置要領の中にあるものでありまして、別段、手心を加えて何か特別緩く判断をしたとか、こういうことではないというふうに承知をしております。

長友委員 先ほど大臣は、この私がお示しした資料は正式な書類ではないというふうにお答えいただきました。

 この中をしっかりと読み込んでみますと、補助金交付停止基準について、まず御説明します。大臣官房会計課長名義で作成されております。個々の処分も会計課長が行うこととなっています。基準の改正、鹿児島県商工会連合会について、補助金交付停止措置ではなく厳重注意にとどめたことについても、会計課長だけで判断したのか、それとも、直属の上長である官房長や政務三役にも説明した上で方針を決定したのか、若しくは指示があったのか。

 経済産業省の過去の同様の補助金不正、事務局側による不正案件に対する処分、私も過去のものを見ました。ほとんどが、一年から一年と二か月ぐらいの補助金の交付停止措置が取られています。そのようなものとの比較をしても、バランスを逸しているというふうに思わざるを得ないのですが、その部分に関してはどのようにお答えになりますでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、これは、最終的な判断は、会計課長が官房長とも相談した上で最終決定をいたしました。

 先生御指摘のいろいろな、言うなら不正事案というのは、残念ながらございます。その中で、さっき私申し上げたように、大抵が、例えば内部告発や第三者からの通告によって発覚するというのがスタートなんですけれども、本件に関しては、本人が、申し訳ありませんでした、自分がこういう不正をしてしまいましたということを申し出てから始まった案件でありますし、先ほど申し上げたように、実質被害がなかった、全額返還がされたということや、組織的ではなかった、そして再発防止策が講じられた、この四点をもって適切な判断をしたと承知しております。

長友委員 私どもの国民民主党の方に、鹿児島県商工会連合会が、不正発覚後、補助金の交付停止を免れたこと、また、昨年の二月から四月にかけて、有識者の見解を含めて当時の官房長に何度も説明したけれども、交付停止措置とすることを認めてもらえなかった、基準の改正を指示されたという声が寄せられているということは、この場でも申し上げておきたいと思います。

 鹿児島県商工会連合会を厳重注意にとどめたのは、商工会、商工会議所ありきの中小企業支援政策を維持したいという判断、政治的な配慮があったというふうに疑わざるを得ない印象を私は受けています。

 冒頭に紹介したパブリックコメントでも厳しい声が寄せられている中です。関係が近いからこそ、より厳格に処分を行うべきでしたし、今回のような身内に甘い体質が、中小企業支援機関、ひいては中小企業支援政策に対する信用を大きく傷つけてしまったのではないかと認識をすべきだと思います。

 今回のこのような事案が今後起きないように、そして、商工会、商工会議所ありきの中小企業政策から、真に中小企業に役立つ中小企業政策、中小企業で働く労働者のためになる中小企業支援政策となるよう、私は、次の取組が必要であるのではないかと思っております。

 まずは、相談窓口の運営、経営支援の実績を開示し、ユーザー企業を始めとしたステークホルダーが常に監視、評価を与える体制ですべきというふうに考えますが、見解を伺います。

萩生田国務大臣 まず、先生、問題意識は私も共有したいと思います。

 今回の事案は決して擁護できる内容ではなくて、大いに反省したことをもって厳重処分ということにしましたけれども、例えば、冒頭申し上げた商工会議所や商工会の経営指導員という方々は、何ら資格があってやっているわけじゃないわけですね。ですから、非常に、言うならば判断の能力に差があると思います。

 したがって、私は、就任以来、商工会や商工連合会の皆さんには、この機会に、やはり商工会議所、商工会の役割というのをもう一度足下を見直していただいて、そして地域に信頼される組織になるべきだということは、この件に限らず申し上げてきました。

 例えば、持続化給付金で大変不正事案が多かったのはすごく残念なんですが、圧倒的多くが、やはり商工会議所の会員さんや商工会の会員さんじゃない人たちなんですね。逆に言えば、あそこのアパートの二階にそんな会社があったのかということは、本当は、地元の人に聞くとよく分かる案件がたくさんありました。したがって、日頃から会員拡大にも努力をしていただくこと。

 それから、中小企業者の皆さんに寄り添うのと、言うならば無理をして助けるのは、これは違うわけですから、ちゃんとその能力に合った指導をしていただいて、しっかりサポートしていただくということを今お願いしています。

 今御提案のあったことは極めて重要な視点だと思いますので、今後の様々な指導の糧にしてまいりたいと思います。

長友委員 商工会、商工会議所の運営に当たっては、都道府県や市町村から多額の補助金が投入されています。自治体の方から話を聞くと、商工会、商工会議所に対する補助金は地方交付税の計算に組み込まれているため見直しができない、ほかによい支援機関が地域内にあっても予算を振り分けることができないという声も聞かれます。

 そこで、自治体、地域の判断で商工会、商工会議所以外の支援機関に相談窓口運営等をお願いするというときに、それが地方交付税の計算で不利になるということがもしあるのであれば、是正すべきでありますし、誤解であれば、そのことをはっきりと明言すべきというふうに考えます。

 事実関係を確かめたいと思います。金子総務大臣、いかがでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 普通交付税の商工行政費において、自治体における商工会や商工会議所を通じた中小企業支援の経費のほか、地場産業振興のための商品開発や販路開拓などの補助経費など、幅広く、中小企業支援に係る必要な経費を措置しております。

 もとより、普通交付税については、使途が制限されておりませんことから、具体的な使い道はそれぞれの自治体に委ねられており、自治体の判断で必要な中小企業支援を行うことは可能となっております。

 引き続き、各自治体において地域の実情に応じた中小企業支援を行っていくことができるよう、適切に地方交付税措置を講じてまいります。

長友委員 ありがとうございます。

 委員長、最後に、私が今回パネル二、資料の二で使いました鹿児島県連への処分についての資料ですが、こちら、経産省から委員会に提出するように求めたいのですが、いかがでしょうか。

根本委員長 理事会で協議します。

長友委員 ありがとうございました。

 以上です。

根本委員長 これにて長友君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 鹿児島県の馬毛島基地建設について質問します。

 昨年一月、馬毛島の帰属する種子島の西之表市長選挙で、米軍FCLP施設並びに自衛隊基地の建設に同意できないとする市長が再選されました。民意が明確に示されたにもかかわらず、政府は用地買収を進め、配付資料一にありますように、基地の配備計画を既にもう示しています。

 しかし、岸防衛大臣、馬毛島基地建設はまだ環境影響評価の段階ではないんですか。アセスは今、どういう状況になっていますか。

岸国務大臣 昨年の二月、馬毛島における自衛隊施設の整備についての環境アセスメント手続を開始し、調査、予測、評価の手法についての計画を示した環境影響評価方法書の公告等の手続を進めてまいりました。

 同年七月には、環境影響評価方法書に関して、環境保全の見地から、鹿児島県知事意見を受領いたしました。

 防衛省としては、受け取った鹿児島県知事からの御意見等を踏まえながら、環境影響評価法の規定に基づき、調査、予測、評価を実施し、環境影響評価準備書を作成しているところであります。

田村(貴)委員 今は、アセスの方法を決めただけにすぎないでしょう。これから準備書、それから評価書の段階で、住民、自治体の長、それから環境大臣の意見を聞くなど、様々なプロセスを経ていくわけですよ。それなのに、防衛省は、既に本体工事の入札公告まで行っているわけです。二〇二一年度は十件で、工事規模の総額はおよそ二百数十億円、既に四件が開札されて、業者が選定されています。二〇二二年度は、国交省の委託も含めて二十六件、工事規模は五百数十億円、既に今年度内に公告予定ということになっています。

 大臣、アセスが終わっていないにもかかわらず、何で工事の入札公告を行い、事業者を決めるんですか。環境アセスをないがしろにするやり方じゃないですか。こういうやり方は許されませんよ。いかがですか。

岸国務大臣 馬毛島の自衛隊施設の整備につきましては、環境影響評価法を遵守し、環境に配慮して進めていくことといたしております。

 したがって、防衛省としては、馬毛島内における施設整備は、環境影響評価書の公告後に着手することといたしております。

 一方で、厳しさを増す安全保障環境を踏まえますと、馬毛島における自衛隊施設を早期に整備し、運用を開始する必要がありますので、そのため、環境影響評価法を遵守した形で、あくまでも今できる範囲内の準備として、必要な入札公告を行うこととしてきたところであります。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、引き続き、環境影響評価法を遵守し、環境に配慮して、準備を進めてまいります。

田村(貴)委員 何を言っているんですか。急いでいるから、法は無視ですか。事業の選定はことごとく四月に決まるんですよ、事業者は。工事に向けて準備をもう開始するわけですよ。防衛省の計画でも、環境アセスが終わるのはまだまだ先じゃないですか。アセスの結果がどんなものになろうが、基地の整備事業計画は変更しない、工事を進めるという意思の表れじゃないですか。こんなアセス無視は許されません。

 配付資料二を御覧になってください。令和四年度発注予定情報の一部であります。入札公告の資料です。

 番号一と書いてある工事は敷地造成等とありますが、これだけでも三百億円です。しっかり、この委員会を含めて審議する必要があります。しかし、一月には公告済みとなっているんですよ。そして、開札予定は四月とあるわけですよ。四月には業者が選定されるんです。

 事ほどさように、新年度、二十一件の入札公告は、四月が開札予定日となっています。

 防衛大臣、予算の議決を見込んで公告をしたということですよね。国会の審議を軽視するやり方じゃないですか。こんなやり方は許されませんよ。どうなんですか。

岸国務大臣 先ほども述べたようなバックグラウンドはあるわけですが、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえますと、馬毛島における施設を早期に整備し、運用していく必要があります。そのため、予算に、滑走路や飛行場支援施設等の環境影響評価書の公告後に着手する工事に必要な経費を計上しているところでございます。

 環境影響評価書の公告後、円滑かつ速やかに馬毛島内での施設整備に着手できるよう、準備を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 米軍がFCLP整備を急げ急げと言うから国会審議もないがしろにされていると言っているようなものですよ。予算の議決を経ずして事業者を募る、国会の審議を軽んじる、じゅうりんするようなやり方が問題だと言っているわけです。

 鹿児島県の塩田県知事は、会見でこのようにおっしゃっている。普通は予算措置がなされてから、手続的にどうなのか、国の予算については県として了承しかねる、こう述べているじゃないですか。自治体も了承していません。入札公告は全て取り消すべきであります。

 次に、馬毛島の用地買収の在り方について質問します。

 私はこれまで、百六十億円の取得費は、予算計上もせず、前例のない米軍再編経費の流用で行い、しかも不動産鑑定評価額四十五億円と大きく乖離していること、加えて、取得するタストン社の土地は百四十億円という巨額な抵当権つきで、しかも違法に造成された土地であること等々、問題を本委員会で取り上げてまいりました。

 二〇一九年十一月にタストン社から百六十億円で取得することを合意してから二年以上たちますが、防衛省は取得額の積算根拠を一切明らかにしていません。

 配付資料三を御覧ください。馬毛島における、防衛省が所有する、保有する国有財産の台帳であります。真っ黒です。墨塗りで、全く中身が分かりません。

 国有財産として取得した後の国有財産、なぜ隠す必要があるんですか。大臣、分かりますか。なぜ隠すんですか、これ。

岸国務大臣 委員御指摘のとおり、馬毛島の土地の大部分を所有していた地権者との長年の交渉の結果、約百六十億円の売買額で一定の合意に達したところであります。

 一方で、現時点では、取得を進めている土地のうち、仮登記を完了した土地について、それらの土地に係る利害関係者間で各種の調整がなされているところであります。また、仮登記等に至っていない土地については、複数の地権者の方々と交渉を行う必要があるわけでございます。

 このように、取得に向けての調整や交渉が行われているところであり、また、相手方との関係があることから、現時点ではこれを明らかにすることは考えておりません。

田村(貴)委員 大臣、それは理由じゃないでしょう。

 私は、この国有財産台帳の写しを今時点で入手しています。墨塗り部分については何と記載されているか、ここで御紹介します。

 この黒塗りのところの、第一回目の二〇一九年十二月六日の購入の四百七十万平米、四十五億八千八百二十五万円の取得について書かれています。ここの備考欄には、購入費十億三千六百四十二万九千七百二十二円、敷地造成費三十五億五千百八十二万五千九百三十四円と記載されています。

 大臣、敷地造成費って何ですか。三十五億円の敷地造成費は、実に取得額の七七%となりますよ。前地権者の行った、防衛省計画とは全く関係のない開発に、これだけの税金が注がれていることになります。地権者が要求した造成費を上乗せして取得しているのではありませんか。しかと答えてください。

岸国務大臣 今委員御指摘の資料でございますが、出所について明らかになっておりませんので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

田村(貴)委員 委員長、これでは全然分かりません。国有財産で取得後の資料ですから、公表して、明らかなんですよ。これをちゃんと本委員会に提出いただくように取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

田村(貴)委員 大臣、全く説明になっていませんよ。

 これは七七%が造成費だとすると、単純に、購入費全額百六十億円で計算すると、百二十億円以上のものが造成費ということになりますよ。

 この土地の所有者は、この資料に書かれているんですけれども、タストン・エアポート社の代表取締役、立石勲氏です。立石氏は、これまで島に投資してきた金額に見合った条件を提示してほしい、造成費込みで買い上げてほしいと何度も何度も言ってきましたよ。みんな知っているところです。

 財務大臣にお伺いします。

 政府、各省庁は、取得した国有財産をこのように非公開にしているんですか。今回のように、造成費を上乗せして買収費用をかさ上げしている、これじゃ森友事件と全く同じじゃないですか。こんな国費の執行、国有財産の取得を、財務大臣、認めていいんでしょうか。

鈴木国務大臣 国有財産について、国有財産台帳との関係でございますが、国有財産台帳は、国有財産法第三十二条の規定に基づき、各省各庁が備えることとされております。

 国有財産台帳の情報は、令和二年度末時点の情報を財務省ホームページにおいて公開しておりますが、各省各庁の判断により、情報を公開していない場合もございます。

田村(貴)委員 財務大臣、予算を預かる財務省だったら、しっかり責任を持っていただきたい。疑惑はますます深まるばかりであります。私は、今日、事実を伝えています。

 会計検査院、来られていますでしょうか。

 国民の税金を使っての国有財産取得に重大な疑義が生じています。直ちに検査を行うべきでありますが、いかがですか。

森田会計検査院長 会計検査院は、会計検査院法第二十条に基づき、防衛施設用地の取得、管理等を含む防衛省の会計経理について、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から検査を実施しているところであり、検査の結果、不適切な事態については検査報告に掲記するなどしております。

 ただいま御議論のありました、馬毛島の土地所有権の取得等をめぐる防衛省の会計経理につきましては、国会での御議論等も踏まえて、引き続き適切に検査をしてまいりたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 馬毛島の取得は、菅官房長官の時代から官邸主導で行われてきました。

 松野官房長官、お越しいただいています。菅前総理からこの話を聞かれていますよね。そもそも、基地がない、軍事基地がないところの整地に基地を整備して、そして米軍に提供する、こういうやり方が戦後の日本の歴史の中でありましたか。そんな例はないでしょう。それを馬毛島で今まさに岸田政権がやろうとしているわけです。

 そして、その手法に至っては、この委員会で今日も述べましたけれども、なりふり構わぬやり方のオンパレードじゃないですか。こんなにひどいやり方をして、そして島民も反対している基地建設を、今後も進めていくんですか。やめるべきじゃないですか。どうですか、官房長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 馬毛島に整備を進めている施設はあくまで自衛隊の施設であり、米軍はこれを一時的に利用するものであります。これまでも、米軍が一時的に利用する施設・区域として我が国が新たに整備した例は存在をしています。

 我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえ、馬毛島において、我が国の防衛、大規模災害時の活動拠点となる自衛隊施設を整備するとともに、米空母がアジア太平洋地域で恒常的に活動する上で不可欠な艦載機の着陸訓練を実施することは重要であると考えています。

 政府としては、できる限り早期にこの施設の整備が行えるよう取り組んでいく考えであります。

 その上で、自衛隊施設の整備に当たっては、地元の理解と協力が重要であると認識をしております。今後とも、地元の方々の声を受け止めながら、政府として丁寧な説明に努めていく考えであります。

田村(貴)委員 地元島民は理解できないと言っています。

 こうした問題の解明なしに……

根本委員長 田村君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

田村(貴)委員 予算の執行をすることは断じて認められません。

 馬毛島基地建設の中止を強く求めて、質問を終わります。

根本委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明九日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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