衆議院

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第15号 令和4年2月14日(月曜日)

会議録本文へ
令和四年二月十四日(月曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      小林 茂樹君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    下村 博文君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      平沢 勝栄君    藤丸  敏君

      古屋 圭司君    宮崎 政久君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      渡辺 博道君    石川 香織君

      梅谷  守君    江田 憲司君

      落合 貴之君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      階   猛君    長妻  昭君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    足立 康史君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      遠藤 良太君    早坂  敦君

      藤巻 健太君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    中川 宏昌君

      吉田 宣弘君    鈴木  敦君

      前原 誠司君    高橋千鶴子君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      福島 伸享君

    …………………………………

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣         山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)       西銘恒三郎君

   国務大臣         二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   国務大臣         山際大志郎君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   財務副大臣        岡本 三成君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   榊  真一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        黒田 昌義君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    大賀 眞一君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     林  俊行君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    角田  隆君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            増子  宏君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            真先 正人君

   政府参考人

   (文化庁次長)      杉浦 久弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (林野庁長官)      天羽  隆君

   政府参考人

   (水産庁長官)      神谷  崇君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        井上 智夫君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  村山 一弥君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (気象庁長官)      長谷川直之君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     小林 茂樹君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  北村 誠吾君     藤丸  敏君

  中谷 真一君     佐々木 紀君

  石川 香織君     福田 昭夫君

  江田 憲司君     梅谷  守君

  長妻  昭君     藤岡 隆雄君

  足立 康史君     早坂  敦君

  市村浩一郎君     藤巻 健太君

  輿水 恵一君     吉田 宣弘君

  前原 誠司君     鈴木  敦君

  宮本  徹君     高橋千鶴子君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 茂樹君     奥野 信亮君

  佐々木 紀君     中谷 真一君

  藤丸  敏君     北村 誠吾君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  梅谷  守君     江田 憲司君

  福田 昭夫君     石川 香織君

  藤岡 隆雄君     長妻  昭君

  早坂  敦君     遠藤 良太君

  藤巻 健太君     市村浩一郎君

  吉田 宣弘君     輿水 恵一君

  鈴木  敦君     前原 誠司君

  高橋千鶴子君     宮本  徹君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 良太君     足立 康史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般的質疑を行います。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣府政策統括官榊真一君、内閣府地方創生推進事務局審議官黒田昌義君、警察庁刑事局長大賀眞一君、デジタル庁審議官山本和徳君、復興庁統括官林俊行君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省総合通信基盤局長二宮清治君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、外務省大臣官房審議官徳田修一君、外務省大臣官房審議官大鶴哲也君、外務省大臣官房参事官石月英雄君、外務省北米局長市川恵一君、財務省主税局長住澤整君、財務省理財局長角田隆君、文部科学省総合教育政策局長藤原章夫君、文部科学省初等中等教育局長伯井美徳君、文部科学省高等教育局長増子宏君、文部科学省研究開発局長真先正人君、文化庁次長杉浦久弘君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官武井貞治君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官奈尾基弘君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省雇用環境・均等局長山田雅彦君、厚生労働省社会・援護局長山本麻里君、厚生労働省老健局長土生栄二君、厚生労働省人材開発統括官小林洋司君、林野庁長官天羽隆君、水産庁長官神谷崇君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、経済産業省商務情報政策局長野原諭君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、国土交通省水管理・国土保全局長井上智夫君、国土交通省道路局長村山一弥君、国土交通省鉄道局長上原淳君、国土交通省航空局長久保田雅晴君、観光庁長官和田浩一君、気象庁長官長谷川直之君、環境省環境再生・資源循環局長室石泰弘君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君、原子力規制庁原子力規制部長市村知也君、防衛省地方協力局長岡真臣君、防衛省統合幕僚監部総括官深澤雅貴君、防衛装備庁技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。土屋品子君。

土屋委員 自由民主党の土屋品子です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今日は、地球環境を守るための気候変動対策や、食品ロスなどに対する国民の意識改革や、増大化する医療費の圧縮に対応し、真の健康長寿国となるための学校教育の在り方を中心に質問させていただきたいと思います。

 岸田総理は、施政方針演説で、二〇五〇年温暖化ガス実質ゼロの目標に向けた経済社会全体の大改革を強調され、また、成長戦略では、デジタル、気候変動、経済安全保障、科学技術・イノベーションの四つを掲げられました。

 これらの実現には官民の投資が必要になるわけですが、日本の弱みとされるこの取組に遅れが生じたのは、環境教育の重要性を軽んじてきたことが原因の一つではないかと考えているところです。二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、国民一人一人に協力してもらうためには、未来を担う子供、若者世代への環境教育が大変に重要であると考えております。

 二十五年前、古い話になりますが、初当選当時、文部省、当時は文部省でございましたが、環境という教科をつくってはいかがかということをお話ししました。そのときには、世界中どこにも教科として環境がある国はないという答えでございましたが、今や、環境を教科にしている国もあるような時代になりました。

 ここで、文部科学大臣にお伺いしたいと思います。

 特に、小学校では、一学期に一回でよいので、環境という教科としての一枠を取って授業が必要な時期に来ているのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

末松国務大臣 おはようございます。土屋先生にお答え申し上げます。

 地球規模の環境問題の解決のため、持続可能な社会のつくり手となることが期待される子供たちが、環境問題について理解を深め、環境を守るための行動を取れるようにするためには、先生おっしゃいましたように、環境教育を充実させることは極めて重要でございます。

 このため、昨年度から順次全面実施されております新学習指導要領では、自然環境や資源の有限性等の中で持続可能な社会をつくる力を教科等横断的な視点で育成するという考え方を示しますとともに、各教科等で環境に関する指導内容を充実させているところでございます。

 例えば、小学校理科におきましては、人は環境と関わり、工夫して生活していること、中学校の技術・家庭科においては、環境に配慮した消費生活を考えて、計画を立てて実践をできることなどが含まれております。

 なお、先生おっしゃいましたように、私の地元でも、これは高等学校教育なんですけれども、兵庫県の舞子高校で環境防災科という科があります。特色ある学科でございます。

 御指摘のように、学校に環境という科目をつくることにつきましては、授業時数増の問題がございまして、教員免許の在り方など課題が多岐にわたりまして、総合的な検討がなお必要でございます。まずは、新学習指導要領に基づきまして環境教育の着実な実施を図ってまいりたい、そのように文部科学省としては考えてございます。

 よろしくお願いを申し上げます。

土屋委員 文部科学省では、二〇二二年度から、小学校、中学校の授業配分で、一定の弾力化による編成を特例的に認める授業時数特例校制度を導入すると聞いております。総枠を確保した上で、一割を上限に別の教科に授業時数を上乗せできるというもので、充実する学習内容の例として、現代的な諸課題に対応して求められる資質、能力の育成が挙げられ、その中には、海洋教育、環境教育、さらには、後ほど取り上げる健康教育、食育も含まれていると理解しております。

 環境教育特例校については大変に期待をしておりますが、お話を聞きますと、まだ公表できる段階ではないということでございまして、今年度から始まるということで、その後の結果を後で教えていただければと思います。

 さて、現状の学校教育では、今大臣がおっしゃったように、いきなり教科をつくることは大変難しいということを私自身も理解はしておるところでございます。それで、この環境教育を個別の教員に委ねるのではなくて、教科横断的な領域として位置づけて、単元づくりや各教科との連携を企画できる環境教育専任教諭を配置すれば、今までの横断的ないろいろな教科の中での細かい環境教育が一つにまとめられるような気がするんですけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 先生御指摘ございました授業時数特例校制度は、昨年の八月に新たに創設された制度でございます。これは、法令で定める教科等ごとの標準時数を一定の範囲内で増減することにより特別な教育課程の編成を認める制度でございまして、先生お分かりのとおり、一割を上限として各教科の標準授業時数を減らして、その分、他の教科や総合的な学習時間に上乗せして教育課程を編成する学校を文部科学大臣が指定する制度でございます。

 本年の四月からの実施に向けまして、昨年十二月の応募を締め切りました。現在審査中でありますが、十六の設置者から二十六校の申請をいただいております。このうち環境教育の充実に資することを目指しているのが二件ございます。

 環境教育は、先生御指摘のとおり、各教科任せでなく学校主体で、教科等横断的な視点で取り組んでいくことが重要であるということを認識してございます。実際に環境教育で優れた取組を行っている学校では、中心となる教師を決めて、校長の方針の下で各教員が適切に役割分担しながら取組を進めているものと承知をいたしております。

 こうした取組に加えまして、先生御提案のように、環境教育専任教諭を各学校に配置することは、教育課程全体のバランスや教職員の配置に大きな見直しを伴うなど、多岐にわたる課題がまだまだございます。一方で、御指摘のように、各教科との連携を取る教員の存在は大変重要でございます。

 このため、文部科学省では、環境省との連携によりまして、教科等横断的に環境教育を実施するためのリーダーを養成するための研修をまず実施をしているところでございます。令和二年度教職員環境教育・学習推進リーダー育成研修、参加数三百一人となってございます。

 文部科学省としては、引き続き、新学習指導要領の着実な実施を進める中で、先生の趣旨に合った努力をいたしていきたいと思います。

土屋委員 大臣、ありがとうございます。

 今の大臣のお話によりますと、学校によって校長さんとかが非常に意識が高い、また、リーダーを置いている学校が出てきているということでは、それが全体に行き渡るようにお願いしたいと思います。

 気候変動問題の解決には、技術や法制度と並んで、何といいましても、今ずっと話しておりますが、教育が大切であるという認識は大臣とも共有したと思っておりますが、このようなデータがありますので、説明させていただきます。

 聖心女子大学教育学科の永田佳之教授の研究室が、二〇二〇年の十一月までに気候非常事態宣言を行った四十四自治体を対象に気候変動教育の実態を調査したところ、宣言に教育を含めることを検討した自治体が一七%、私から見ればすごい少ないなと思います。実践場所が、小学校が一番多くて、中高では減る傾向があるという調査結果が出ました。課題として挙げられているのが、詳しい教師や講師の不足、時間の確保ができない、適切な教材がないといった声だったそうです。

 差し迫った危機に対して、まさに中長期的な視点から学校教育現場での対応が求められていると考えます。

 この今の問題点、教師や講師の不足とか、時間の確保ができないとか、教科がないとかという問題に関しましては、環境省でも既に文科省と協力して教科書を作っているということも、私もしっかりと認識しておりますが、皆さん、学校の方が認識していないということが重要だと思いますので、その点は、やはり学校に対してもう少し啓蒙活動していただければありがたいと思います。

 それから、現状の教員養成課程の受講者に対して環境教育を義務づける必要があると考えますが、今、大臣からお話があったように、教員の養成は行っているということでございまして、三百一名ということでございますか、それが全員に行き渡ればということを考えております。

 このことによって、少なくとも新人教諭は学校現場で環境教育担当能力を必ず身につけることができるということを考えますが、政府としては、この辺、今何度も話に出ていますけれども、どういう見解でいらっしゃいますでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 環境に関する教育内容について、小中学校の学習指導要領に基づき、社会や理科等の各教科、また、道徳や総合的な学習の時間を通じ学習することとなっているところでございます。

 教員免許を取得しようとする学生が履修をいたします各教科の指導法という科目等におきましては、環境に関する教育内容を含め、学習指導要領の内容を包括的に取り扱うこととされているところでございます。

 さらに、一部の大学では、例えば環境教育概論あるいは環境教育カリキュラム方法論といった授業科目を開設するなど、環境に関する教育について学校現場での指導力を高めるための取組が行われているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後、教職課程認定大学への説明会等の場を活用いたしまして、環境に関する教育の重要性を周知するなど、教員養成における環境に関する指導力の充実を進めてまいりたいと考えております。

土屋委員 大変申し訳ありません。もう一度確認させていただきますが、今のお話は、大学での教員養成課程で環境というのを一応学ぶ単位があるということで理解してよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、教科の指導法という単位がございます。その中で各教科の指導の方法を学ぶわけでございますけれども、その中で社会や理科、そうした科目を学んでいく中で、指導法を学んでいく中で、環境教育の内容が取り上げられている、そういうことでございます。

土屋委員 私の考え方とはちょっと違うのかなと思うんですが、一歩踏み込んで、私はこう考えています。大学での環境教育の教科で、教員養成課程にはもちろんのこと、一般学生の教養課程においても環境というものを必須科目にして、一単位でもいいから、全員が大学を出れば基礎的なものが学べる、そういうような教育をしたら非常に社会に出て皆さんが環境の意識が高くなるということを考えております。これを何しろ必須にしていただきたいという考えでございます。また、文部科学省が推進しているEDS、持続可能な開発のための教育と併せて、是非前向きに検討していただきたいなと思います。これはお答えは特に結構でございます。

 それから、増大する社会保障関係費の圧縮に対応するための食育の在り方について、次、行きたいと思います。

 平成四年度予算案では、社会保障関係費を、前年度比一・二%増の三十六兆二千七百三十五億円が計上され、過去最高を更新いたしました。特に、健康と密接な関係にある医療給付費が〇・九%増の十二兆九百二十五億円、介護給付費が三・三%増の三兆五千八百三億円と、社会保障関係費に占める割合は四五・五%と約半分を占めています。

 概算要求時点で、実質的な伸びを高齢化に伴う自然増相当分の六千六百億円程度に収める方針が示され、結果、診療報酬のプラス改定と薬価等のマイナス改定の効果等で四千四百億円程度に抑えられたことは評価できると思いますが、一歩踏み込んで、更に抑制策を展開していくことが重要であると考えております。

 先ほども取り上げましたが、授業時数特例校制度導入というのは非常にすばらしい政策だと思いますけれども、これだけでは十分ではなく、抜本的な施策が必要になってきていると考えています。

 今年度の予算案を加えると、国と地方の長期債務残高は千二百四十三兆円になって、GDP比二二〇%に達すると見込まれています。新型コロナ対応の緊急課題に対応するという重い、大変大きな課題に直面している中で、仕方ないという気持ちはありますが、そうであれば、中長期的な政策に立って、予防医学的見地から、義務教育での栄養教育や健康教育、これが大変重要であると考えております。

 また、食育の重要性という観点から、食品ロス対策と健康教育について質問させていただきます。

 二〇一九年五月二十四日に、食品ロス削減に関する法律が議員立法で成立いたしました。当時、私、消費者問題に関する特別委員長として委員長提案した経緯もあって、非常に思い入れが強い法律でもあります。この法律により、削減のための国民運動が推進されておりますが、政府、自治体、事業者の責務と消費者の役割がこれで定められたわけでございます。

 国が基本方針をまとめ、自治体が削減推進計画を設けることで、二〇三〇年度に二〇〇〇年度比で五〇%減という目標があります。

 食品ロス対策の充実強化に当たり、地域、事業所、家庭での取組も様々されているところですが、文部科学省として、現状、学校現場でのどのような取組がなされているか、お聞かせ願いたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 食品ロス対策におきまして、学校教育活動全体を通じて食育を推進していくことは重要でございます。例えば、各教科等におきましては、児童自ら野菜を育て調理することや生産者の話を聞くことなどを通じて、生産者の努力や安心、安全な食に関する学びを深める取組などが行われているものと承知しております。

 また、学校給食におきましては、地場産物、国産食材、これまで廃棄されていた野菜などの利用を進め、献立に使用した食材を教材として、生産、流通、消費について学ぶ取組などの指導が行われており、適切に食品を選択し、適量を食べるということについての指導も行われているというふうに承知をしております。

 文部科学省におきましては、引き続き、食品ロスの削減の観点からも、今後とも学校教育における食育の推進に努めてまいりたいと考えております。

土屋委員 これからも、フードロスの問題については、六百万トンが、食べられるけれども捨てられている食料がありますので、是非、普及活動にしっかりと携わっていただきたいと思います。

 さて、食育の旗振り役になっている農林水産省として、カーボンフットプリントに代表される環境問題としての食育について、学校教育だけに頼るのではなく、国民への普及が重要であると思います。

 家庭での教育、レストランでの持ち帰り運動についてどのように考えているか、また、各省庁と連携してどう取り組んでいるか、事例があればお聞かせ願いたいと思います。農林水産大臣、よろしくお願いします。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 食育の推進に当たっては、大量の食料が破棄されている実態を踏まえまして、また、環境への負荷を低減する観点から、食品ロスの削減に取り組むことは重要と考えております。

 このため、農林水産省におきましては、関係省庁と連携をいたしまして、消費者に向けて、飲食店では注文した料理の食べ切り、持ち帰りに関する広報資料の作成、普及に努めております。賞味期限の近い商品から購入する手前取りの運動なども実施してまいりました。

 これらの取組を通じて、関係省庁と連携を取りつつ、社会全体で食品ロス削減に取り組む機運を高めていきたいと考えています。

土屋委員 ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 次に、健康教育について触れたいと思います。

 栄養教諭がいる学校といない学校で、ある種の知識の差が生じていることを大変懸念しております。事実、様々な場所で児童と話をしていますと、栄養に対する知識の量の差に驚かされます。専任教諭がいる学校では、自分たちに今必要な栄養が何で、それがどのような食品に含まれているか、積極的に手を挙げて答えようとしますが、いない学校の生徒は静まり返ってしまいます。

 こういうことを考えますと、健康長寿国となるための教育の在り方について、基本的な政策は厚生労働省を始め各所が横断的に対応しているわけですけれども、ここでも学校教育の重要性について文部科学大臣の御意見を伺いたいと思います。

末松国務大臣 お答え申し上げます。

 先生、栄養教諭の観点から御答弁させていただきたいと思うんですけれども、栄養教諭及び学校栄養職員は全国で約一万人配置をされております。公立学校であります。栄養教諭を配置するのが、学校栄養職員として配置するのか、任命権者である各都道府県教育委員会において判断されており、現状では、六〇%、六千七百人が栄養教諭として配置をされております。

 このうち、栄養教諭は、栄養に関する専門性を生かし、学校における食育の中核的な役割を担う職であります。文部科学省としては、指導の充実を図る観点から、学校栄養職員の栄養教諭への配置換えを促進する必要があると考えております。先生の御指摘のとおりであります。

 いずれにしましても、学校における栄養指導は、食育という大きな枠組みのうちの一つであります。このため、生きた教材である学校給食の時間だけでなく、家庭科等の各教科や総合的な学習時間を含めまして、学校教育活動全体を通じて行う必要がございます。

 文部科学省として、具体的な指導方法を示した手引や食育教材の周知を行うことによりまして教員全体の指導レベルを向上させるとともに、栄養教諭の意義や役割について都道府県教育委員会に丁寧に働きかけることを通じてその配置促進に努め、学校に食育を一層推進してまいりたいと思います。

 以上でございます。

土屋委員 もう時間がなくなってきましたが、最後に、今までの議論を聞いていただいて、各省庁があらゆる機会を通じて啓蒙活動をしてきているわけですけれども、十分とは言えないのではないかと考えています。

 今後、義務教育の場における環境教育と食育がより重要になると考えておりまして、そこにコストをかけたとしても、最終的に、中長期的には医療費削減等になると思いますが、財務大臣、ちょっとぎりぎりなんですけれども、答弁いただければありがたいと思います。

鈴木国務大臣 環境教育、食育につきまして、土屋先生が今まで大変御尽力をいただいてきたということを承知しておりますし、私も、義務教育の場において環境教育、食育教育が大変重要なものである、そういうような認識をいたしているところでございます。

 政府として、文部科学省、環境省、農林水産省など関係省庁が連携をして取り組んできているところではございますけれども、今後とも引き続き、関係省庁において、環境や食育に関する理解の促進に向けまして、どのような施策が効果的、効率的か、経費面の課題も含めましてよく御検討いただきたいと考えているところでございます。

土屋委員 ありがとうございました。

根本委員長 これにて土屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 本日は、質問の機会を賜りましたことに、まずもって感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、得難い質問の機会でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 オミクロン株を主たる要因とする新型コロナウイルス感染症の新規発症者数、これは、二月四日に、これまでで最多となる十万四千四百六十九人を記録しました。今国会が開会した一月十七日の新規発症者数二万九百八十七人でしたので、約一か月で五倍を超える拡大となっております。この状況を打破するためにも、三回目のワクチン接種が急がれなければならないと存じます。

 しかし、三回目の接種については、当初、一日約五十万回程度の接種状況で、実績が伸び悩んでおりました。ここに来て、関係各位の御努力の下、八十万回まではたどり着いているとお聞きをしております。関係各位の御努力には感謝申し上げたいと思います。

 感染者は圧倒的に若い世代が多いわけですが、家族などを通じて高齢者にも感染が徐々に広がっており、重症化しやすい高齢者の感染を防ぎ、医療逼迫を招かない観点からも、繰り返しですが、三回目の接種を急がなければならないと思います。

 このような観点から、公明党は、二月八日の日に、岸田総理に対し、六項目にわたり緊急の要請を行いました。このほか、国産ワクチンや国産経口薬についても要請を行いましたが、三回目接種については、岸田総理から、二月のできるだけ早い時期に百万回を達成できるよう全力を尽くしていきたい、そのような方針が示されました。公明党の緊急要請に対する岸田総理の強い決意には深く敬意を表したいと思います。

 そこで、堀内ワクチン接種担当大臣にお聞きをいたします。

 この目標を確実に達成するためにも、公明党は六項目要請をさせていただいておりますが、政府はどのように具体的に取組を行おうとされておられるのか、堀内大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

堀内国務大臣 吉田委員から御質問を賜りました。

 国、自治体、企業を挙げて、二月のできるだけ早期に一日百万回までペースアップすることを目指してまいります。御党からいただいた、一日百万回、早く確実にという力強い御要請を承っている、それに対しまして、三回目をペースアップする観点から、自治体への接種体制の支援や接種券の早期発行、国民への情報発信など、様々な要望、しっかりと受け止めてまいりたいと思っております。

 政府といたしましては、三回目の促進に向けて、自治体や企業に対し改めて協力を要請するとともに、自衛隊の大規模接種会場における接種回数の引上げや、職域接種に対する財政支援の補助上限の引上げなど、接種促進のための環境整備に積極的に取り組んでまいります。

 先週には、教職員、保育士、警察官、消防職員などに対する積極的な接種を促進し、より一層取組を進めてまいりたい、そのように申し上げているところでございます。

 また、ワクチンの種類にかかわらず、国民の皆様方に早く接種していただくことが重要でございまして、引き続き、三回目接種の必要性や交互接種の効果、安全性などについて、ホームページやSNS、テレビCMなど様々な媒体を活用し、御党の御提言も踏まえ、国民お一人お一人に丁寧にお知らせをしてまいりたいと思っております。

 このような取組を通じて、政府一丸となって、一日も早く、希望する方々への接種を進めてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 力強い取組を是非お願いいたします。

 次に、十一歳から五歳児までの子供へのワクチン接種についてお聞きをいたします。

 ファイザーのワクチン、モデルナワクチン、いずれも非常に優秀なワクチンであったことが明らかでございます。第五波から第六波まで落ち着いた期間が長かったと私は思っておりますが、これはワクチンの効果が大きな要因であったというふうに思われます。

 しかし、これまで、十一歳以下の子供たちはワクチンを接種することができませんでした。今般、十一歳から五歳児までの子供について、三月から接種をできるようになってくるというふうにお聞きをしております。

 ただ、接種をするか否かを判断する保護者は、相当に悩むんだろうというふうに思います。五歳から十一歳の小児、コロナウイルスのワクチンについては、小児科学会など専門家の意見を踏まえて、公的関与の在り方については慎重な検討をお願いしたく存じます。

 接種まで若干時間もございますので、十一歳から五歳までの子供へのワクチンの接種に当たっては、その安全性や有効性はもとより、接種することへのメリット、デメリットをより分かりやすく説明する資料の作成や、また、子供、保護者のみならず、子供に関わる関係者にそれを広く周知し、発熱などの対応や接種前後における相談体制の整備にも万全を尽くしていただきたいと存じます。

 後藤厚労大臣から答弁をお願いしたいと思います。

後藤国務大臣 五歳から十一歳までの子供への新型コロナワクチンの接種につきましては、先日、二月十日の審議会での議論を踏まえまして、特例臨時接種として位置づけた上で、努力義務の規定は適用しないということといたしております。

 子供への接種に当たっては、委員御指摘のとおり、本人や保護者が安心して接種を受けられることが重要でありますことから、リーフレットを作成し、二月十日、厚生労働省のホームページ等にも公開しております。

 引き続き、リーフレット等も活用しながら、ワクチンの有効性、安全性等に関する情報を丁寧に説明するとともに、子ども医療電話相談事業、シャープ八〇〇〇事業の周知など、接種前後の相談体制の準備にも万全を期してまいりたいというふうに考えております。

吉田(宣)委員 子供も大切な存在、そして、保護者の皆様のお気持ちに寄り添った施策というものを是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 次に移ります。

 私は、九州・沖縄比例ブロックから選出をいただいております。福岡県の久留米市に在住しておりますが、公明党熊本県本部に所属しておられた江田康幸先輩が、先般の衆議院総選挙で勇退をされました。非常に心から尊敬する先輩でございました。私自身、江田先輩に比べれば非常に小さな存在かと思いますけれども、私は熊本の生まれ育ちでございます、故郷のために国政においてしっかりお役に立っていきたい、そのように決意をしているところでございます。

 この熊本県ですけれども、TSMCの誘致が決まりました。地元は本当に喜びに沸いております。この政府の取組には本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

 この熊本でございますけれども、かつてはシリコンアイランドと呼ばれて、半導体製造の一大集積地でございました。今でも国内の名立たる企業が存在をしておりますが、世界をリードした当時の状況とはいささか変わっております。

 そして、熊本地震から本年で六年目を迎えようとしております。地元知事と県民の創造的復興への必死の御努力に思いを致せば、TSMCの誘致決定はこの上ない喜びであると、重ねてではございますが、政府には感謝申し上げたいと思います。

 ただ、現在の半導体不足は、日本のあらゆる産業に悪影響をもたらしていると聞いております。例えば、新車の製造に支障が出ているというふうにもお聞きをしておりますし、私自身が経験したことなんですけれども、熊本に事務所を開設した際に、固定電話を家電量販店に買いに行きましたところ、量販店の固定電話機、全て売り切れて、存在しておりませんでした。やむなくネット通販で購入をしたところでございますが、このようなところにも半導体不足の影響が出ているというふうなことをじかに痛感したところでございます。国内にサプライチェーンを設けておくことの重要性というものを改めて実感いたしました。

 このことは、岸田総理が進めようとされておられる経済安全保障の側面からも、私は深く、自分自身、研究をしていかなければいけないと存じておりますが、ここでは、改めてではございますけれども、TSMCの誘致の意義について、萩生田経産大臣にお聞きしたく存じます。

萩生田国務大臣 経済安全保障の定義について一概にお答えすることは困難ですけれども、昨年の十一月に開催された経済安全保障推進会議では、サプライチェーンの強靱化や基幹インフラの信頼性確保などを通じた我が国の経済構造の自律性の向上、また、重要技術の育成を通じた日本の技術の優位性、ひいては不可欠性の確保、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化の三つの目標が、我が国が目指す経済安全保障政策の大きな方向性として共有されています。

 御指摘の、TSMCがお地元のソニーの半導体関連企業とともに新法人を設立をして整備を計画している先端半導体の製造拠点は、我が国の戦略的自律性、不可欠性の確保の観点からも非常に重要であり、今申し上げた経済安全保障政策の大きな方向性にも合致することから、経済安全保障の確保に貢献すると考えています。

 価値ということで先生に聞かれましたので、ちょうど車の例を出していただきました、自動車に使う二十ナノ台の半導体、これは国内でワンピースも作れない、こういう状況がもう十年以上続いてまいりました。基幹産業である自動車、また今お話のあった家電製品など、まさに国内で自律性を持って自己完結して、ちゃんと国の中で作れるという環境をもう一度取り戻すためには、この二十ナノ台の工場も極めて重要な設備だというふうに思っておりますので、こういった計画に対してしっかりサポートしてまいりたいと思います。

 ちなみに、TSMCの計画に対して政府として支援を行うことを決定したわけではございませんが、今後、計画の認定申請があった場合には、提出される計画をしっかりと精査してまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 今大臣がおっしゃった自律性というふうな観点から、非常に取組をしっかり進めていきたいと思いますし、私も、また様々、地元、それから政府においても、その御指導をいただきながら、しっかり力を尽くしていければというふうに存じ上げます。

 次に進みます。

 私は今、福岡県の久留米市に在住をしております。久留米市は、もう毎年毎年、水害にさいなまれております。四年連続、五回の浸水被害です。

 ただ、久留米市に限らず、平成二十九年の九州北部豪雨災害では、大量の流木と大量の水流で人命も失われましたが、朝倉市の豪雨災害、大分県日田市でもこの災害の影響があっております。

 平成三十年には、岡山県の倉敷市真備町の記憶が非常に新しいところでございますが、このときには、やはり同時に久留米市で浸水被害が生じております。

 令和元年には、七月に久留米市、八月には佐賀県武雄市や白石町、大町町、そういったところでも浸水被害が出ています。この年は、記憶に新しいのは、台風十五号が千葉県を直撃した年でもございました。

 令和二年には、球磨川外水氾濫と福岡県の大牟田市における内水氾濫、いずれも貴い命が奪われております。

 そして、昨年八月には、佐賀県武雄市と久留米市。

 私は、市民の方と対話する機会も多うございますけれども、もう久留米市には住めないというふうにして引っ越しをしていかれた方も存じ上げております。また、御商売を断念された方もおられます。市民感情としては、もうこの水害を受けたくない、もう待てないというお気持ちがあります。

 今、外水氾濫と内水氾濫という言葉を用いましたが、外水氾濫とは、本川である河川が氾濫を起こすことでございます。令和二年の球磨川がそうで、尋常ならざる被害が生じております。内水氾濫とは、河川等の水が本川に流れ込むことができず、たまることにより、市街地などが浸水し、被害が生じます。久留米市で生じている水害は、いずれも内水氾濫です。

 この筑後川水系における内水氾濫の構造を私なりに理解を申し上げれば、豪雨によって、筑後川の支川である河川が、筑後川の水位がこの河川よりも圧倒的に高くなってしまうわけです。したがって、樋門を閉じざるを得ません。閉じなければどうなるかというと、筑後川の水が逆流してきますので、支川の方へ、外水氾濫を起こしたのと全く同じ状況になってしまいますから、取り返しのつかないような状況になります。したがって、樋門を閉めます。しかし、樋門を閉めると、今度は支川の水がたまってまいりますので、これを一生懸命ポンプで吐き出しますが、なかなかこれが追いつかずに、ずっと水がたまって、水浸しになり、浸水被害が生じるわけでございます。

 ただ、この水害には国土交通省も全力を尽くしていただいていることを存じ上げております。感謝申し上げたいと思います。

 例えば、令和二年の水害の後には、当時の赤羽国土交通大臣が、下弓削川という地元の川ですが、筑後川と合流する地点にある枝光排水機場を御視察いただきました。また、昨年の水害の後には、枝光排水機場に加えて、今度は、地元の金丸・池町川というところと筑後川が合流する地点にある古賀坂排水機場を斉藤国土交通大臣に視察いただきました。大臣自ら被災地に足をお運びいただく姿勢に感謝申し上げたいと思います。

 しかし、毎年連続して被災している市民が、もう本当にこれ以上苦しむ姿を見たくございません。毎年毎年、水浸しになって、水浸しになった家財を運び出して、被災のごみを運び出す姿を毎年私は見てまいりました。そういった住民の心に思いをはせれば、一刻も早くこの対策を進めていただきたいと思います。

 この久留米市の流域治水、この加速化を是非お願いしたいと思います。斉藤国土交通大臣の答弁をお願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 久留米市域につきましては、昨年八月の大雨など、四年連続で五回の内水氾濫が発生し、甚大な被害が発生しております。

 このような状況を踏まえ、令和二年三月に、国、それから福岡県、久留米市で総合内水対策計画を策定しており、令和七年度の完了を目途に、関係者が連携して内水氾濫対策に取り組むこととしております。

 この対策の実施に当たっては、久留米市は、大学の運動場に貯留施設を整備するなど、流出を抑制しております。私も見させていただきましたが、大きな大学のグラウンドを二メートル以上掘り下げて、一旦そこに水をためるという大規模な改修、大学の御協力もいただいて、やっておられました。これが市。それから、福岡県は、浸水を軽減するよう、できるだけ河川で流下させる改修を行う。国は、その水を筑後川に排水するポンプ場を増強する等の対応を図っているところでございます。また、筑後川の水位を下げるため、上流にあるダムの事前放流を効果的に実施してまいります。

 昨年の十一月にも、私も実際に久留米市の現地を視察するとともに、地域の方々と車座意見交換会を行い、治水対策を早期に行うことの重要性について御意見をいただき、災害に強い国土づくりに向け、決意を新たにいたしました。

 引き続き、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を活用しながら、流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働して行う流域治水の取組をスピード感を持って全力で進めていきたいと決意しております。

吉田(宣)委員 どうか、被災を繰り返されておられる国民の皆様、久留米市民の皆様に寄り添う施策、そういったものを進めていただきたいと存じますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 次に、話を変えまして、新自由主義的な政策の転換について質問をいたします。

 岸田総理は、本国会の所信表明演説で、このことを力強く論じておられました。私は、総理のこの考え方に完全に同意したい、そのように共感をしております。

 ただ、このテーマは論点が多岐にわたりますので、一つ一つの課題を取り上げることは時間の関係でできません。ここでは、行き過ぎた集中によって生じた、都市と地方の格差というふうに総理がおっしゃった点についてお聞きしたいと存じます。特に、東京一極集中の是正という課題、これは岸田政権以前から存在しておりますけれども、このお話についてお聞きしたいと思います。

 東京一極集中はリスクであるというふうなことをおっしゃる方もおられます。例えば、コロナ。これは、大都市であればあるほど、その対応には非常に困難を極めておりますし、また、先日、昨年の九月七日の日のとき、このとき、東京は地震でございました。私は、飛行機で着陸する寸前だったんですけれども、着陸できずに、もう一回上に上がって旋回をして、着陸しましたが、公共交通機関は麻痺していましたので、帰宅難民となりました。これが熊本地震と同規模の地震であったらと考えたときに、背筋が凍る思いがいたしております。

 この大都市、特に東京に人口が集中するというふうなことは、これは非常に難しい課題だと思いますけれども、経済的な構造、産業的な構造、国家構造、このような構造の部分から分析して対策を取っていく必要があると思っております。

 岸田内閣では、都市と地方の格差、特に東京一極集中の是正についてどのように取り組んでいかれようとされておられるのか、野田地方創生担当大臣からお話をいただきたいと思います。

野田国務大臣 委員御指摘の都市と地方の格差や東京一極集中の是正に向け、私の所管である地方創生においては、少子化に伴う人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目的とした取組を行っています。

 具体的には、地域再生、都市再生、中心市街地活性化などの諸制度による地域の活性化を図ってきたほか、地方創生関係交付金や各種の人材支援制度による地方の支援、そして、地方拠点強化税制等による地方への企業や人の流れの創出に向けた取組を行ってきています。

 これまでもこれらの取組は一定の成果を上げてきたと考えておりますが、更なる地方創生の推進が必要と考えております。

 例えば、若い世代の地方移住への関心の高まりを捉え、子育て世代の移住を推進するために、地方においても安心して子育て等ができる環境を整えることが重要です。新しい資本主義における分配戦略の柱の一つでもある子ども・子育て支援を地域の実情に応じて推進してまいります。

 そして、地方の女性の都会への流出も大きな課題です。女性が生きづらさを感じずに、自分の能力を自由に発揮して活躍できるような地域づくりが必要だと思っております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 やはり、ふるさとを愛し、ふるさとに住み続けたいというふうに思う若い方、時には東京に出てきて勉強することも大いに望まれることでございますが、できればふるさとに帰って自分の成長した力を発揮してもらうような、そういった魅力ある地方創生、そういったものも是非とも、野田大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、あわせてまた、今度は、野田大臣にお聞きをするんですけれども、こども家庭庁について質問いたします。

 まず、名称をこども庁ではなくこども家庭庁とした点について、関連してお聞きをしたいと思います。

 私は、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長できる社会の実現は国家の責務であると思います。そして、子育てにおける家庭の果たす役割の重要性を踏まえなければならないと思います。したがって、子供のみならず家庭も支援していく、そして、子供に関する取組、政策を社会の中心に据えて、健やかな成長を社会全体で後押ししなければならないと思います。そこで、政府において、新たな司令塔としてのこども家庭庁の設置が決定されたと理解しております。

 子供を家庭に押しつけるであるとか、子供は家庭で育てるのが当たり前であるとか、そういった価値観ではないということを是非改めて確認したいと思っております。

 そこで、このこども家庭庁を設置する意義について、家庭という文言を入れた点に関連して、野田こども政策担当大臣から御答弁をお願いしたく存じます。

野田国務大臣 少子化、人口減少に歯止めがかからず、また、児童虐待、いじめ、子供の貧困など、子供をめぐる課題は一段と複雑化しているところです。

 子供政策を我が国の社会の真ん中に据え、こうした様々な課題に子供の目線に立って適切に対応し、縦割りを排した行政を進めていくための司令塔として、こども家庭庁を創設いたします。

 御指摘の家庭については、児童の権利に関する条約の前文の考え方において、子供は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされています。子供は家庭を基盤、居場所としており、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体でしっかりと支えることが子供の幸せにつながるとの考えから、新たな組織の名称をこども家庭庁としたところです。

 こどもまんなか社会の実現に向けて、子育てにおける家庭の役割の重要性を踏まえつつ、子供の健やかな成長と家庭における子育てへの支援等にしっかりと取り組んでまいります。

吉田(宣)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

根本委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党、長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 まず、政府には、前から申し上げていた不織布マスクの推奨というのを基本的対処方針に入れていただいて、ありがとうございます。ちょっと遅かったんですけれども、これを徹底的に推奨していただきたいというふうに思います。

 そして、私どもの方から公共交通機関の二酸化炭素濃度の測定を依頼していたところ、それをしていただいて、いろいろその後改善をしていただいた、公共交通機関の換気について。その概要をお話しいただければと思いますが、大臣。

斉藤国務大臣 鉄道における新型コロナウイルス対策については、有識者の意見も踏まえて作成した鉄軌道事業における新型コロナウイルス感染対策に関するガイドラインに基づき、車内換気を始めとする各種対策を行っております。そのアナウンスもさせていただいております。

 このうち、東京メトロでは、本ガイドラインの改定やオミクロン株の感染拡大などを受けて、窓開け箇所数を一車両当たり二か所から三か所に増やす、それからラッシュ時における窓開け専門要員を配置するなど、窓開けによる換気対策を更に徹底しております。

 国土交通省としては、このような東京メトロの取組は外気導入装置がない場合の換気対策の好事例の一つとして考えており、各鉄道事業者に対しては、こうした事例を参考に、換気対策に一層取り組むよう働きかけてまいりたいと思っております。

長妻委員 新しい取組ということで、どんどん推進をしていただきたいというふうに思います。

 そして、不織布マスクなんですけれども、海外でも、公共交通機関を始め、義務づけをしている国もあります。不織布マスクどころか、高機能マスクですね。

 そういう意味では、公共交通機関のみならず、閉鎖された空間でもそうなんですけれども、不織布マスクの推奨を政府は強力に進めていただきたいと思うんですが、公共交通機関においても、その呼びかけというのはしていただけませんでしょうか。

斉藤国務大臣 鉄道事業者では、新型コロナウイルス感染症への感染予防対策の一環として、車内や駅構内でのアナウンス等により、鉄道車内でのマスクの着用について、利用者の方々への御理解と御協力を求めております。アナウンスをさせていただいております。

 今般、一月二十五日に、政府の基本的対処方針が改定され、マスクの着用に当たっては不織布マスクを推奨する旨が盛り込まれました。今後、国土交通省としても、鉄道事業者に対して、利用者の方々へのマスク着用の呼びかけを行うに当たって、不織布マスクが推奨される旨を踏まえるよう、各事業者に対して働きかけてまいりたいと思っております。

長妻委員 あと一点なんですけれども、やはり、二酸化炭素濃度というのが、目安にして換気をしていくということが大変重要だと。これはもう、当然、公共交通機関のみならず、こういう空間もそうなんですけれども。

 ここにちょっと、私、手元に二酸化炭素濃度計というのを持ってきたんですが、今、ここは六九八ppmですね、この測定器によると。やはり、厚労省としては、一〇〇〇ppmを一つの目安、それを超えないようにということで換気を推奨をしておられるので、この二酸化炭素濃度計を、是非、補助金を出して、学校とか職場とか映画館とか劇場とか飲食店とか、そういうところに設置をして、換気を徹底していただくということが大変重要になります。

 これは、二月十日にも、基本的対処方針に我々の要望を入れていただきました。どういうことかというと、換気の悪い場所におけるエアロゾル感染が多く出ている、つまり、これに注意してほしいという、エアロゾル感染、マイクロ飛沫ともいいますけれども、それを明記をしていただいたところでございます。

 ちなみに、この第一委員室、事務局に調べていただきますと、この部屋ですね、外気と入れ替わる回数が一時間当たり約十五回、つまり四分に一回入れ替わっているということで、ある程度のものが保たれているのかなというふうに思うところでございます。これも一〇〇〇ppm、今ここは、この測定器では、以下ということなので。

 是非、厚労大臣、二酸化炭素濃度計を補助金つきで各所に配るようなそういう政策というのも、ちょっともう遅いんですけれども、前から我々は言っていたんですが、強力に進めていただきたいと思うんですが、いかがですか。

後藤国務大臣 今委員が御指摘いただきましたように、飛沫、エアロゾルの吸入、そうしたものを回避する換気などの基本的感染防止対策は非常に重要でありまして、これまで、科学的知見やビル管理における基準を踏まえて、具体的な換気の手順や留意点をお示ししたリーフレットなどを作成いたしまして、周知をいたしております。

 いろいろな対応によりまして、こうしたことが励行されるように努力してまいりたいと思います。

長妻委員 是非本当に、もう遅いんですけれども、徹底していただきたい。自治体によってはもう無料で飲食店に配っているところも、私の地元でもありますし、どんどん強力にやっていただきたいと思うんです。

 そして、このオミクロン株については、私もこれまた気になるのは、もうピークアウトしたということで、政府の中には安堵感が広がっている、それを漏れ聞く話もいろいろ出てきております。自民党の今日の委員会の質問でも一切もうコロナはないわけでございまして、これは油断しちゃ駄目だと思うんですね。自宅死というのがどんどん増えておりますし、死者もどんどん増えているところでございます。

 ここからは厚労大臣とワクチン担当大臣に質問いたしますので、国土交通大臣、ここで結構でございます。どうもありがとうございました。

 まず、厚労大臣にお伺いしますと、今年に入って厚労省が把握している自宅死、何人でございますか。

後藤国務大臣 新型コロナ患者の死亡者数のうち、HER―SYS上で検案場所が自宅と入力された件数は、令和四年一月一日から二月九日までの間で三十一件でございました。

長妻委員 三十一名の方が、厚労省が把握しているだけでもコロナで自宅死ということで。大体、前回、第五波も、HER―SYSと厚労省が自治体にヒアリングして調べた結果と三・五倍ぐらい違いがあるんですね。ですから、この三十一人は三倍以上になる可能性もある、実態としてですね。相当な数だというふうに、是非危機感を持っていただきたいと思います。

 警察も、自宅などで亡くなった方、今年に入って把握していると思うんですが、何人でございますか。

大賀政府参考人 本年一月中に警察が取り扱った新型コロナウイルス陽性の御遺体は百五十一人でございます。

 この百五十一人の発見場所の内訳でございますが、自宅等が百三十八人で、外出先十三人となっております。

 以上でございます。

長妻委員 これは本当に危機感を持たないといけないですね。ピークアウトしたからというような油断は決して許されません。

 この百五十一人のうち外因死、外傷などの方が三十名おられるということで、それ以外、新型コロナウイルス感染症あるいは肺炎というような方は、それぞれ死因の内訳を、概要をお話しいただければ。

大賀政府参考人 今年一月中に警察が取り扱いました新型コロナウイルス陽性の御遺体百五十一人の死因についてでございますが、警察が把握しているところ、内因死、つまり病死でございますが、病死と判断された方は百十五人でございまして、その内訳は、新型コロナウイルス感染症が四十一人、肺炎九人、その他五十九人、そして、不詳とされたものが六人でございました。

長妻委員 まだ分かっていない人もいらっしゃるということであります。

 資料の八ページですけれども、これも私もちょっとびっくりしたんですが、今月の二月七日に出された通知ですね。この二年間のコロナ危機の中で初めての通知だということなんですが、広域火葬計画、火葬場が満杯になるので、その準備をしてほしいということなんですが、これはどんな狙いですか。

後藤国務大臣 国民生活、国民経済の安定確保に特に不可欠な業務を担う火葬場に対しましては、令和四年一月十七日に事業継続方法の検討を依頼したところでございます。

 御指摘の二月七日付事務連絡は、その具体的な対応方法として、神奈川県や千葉県で取り組んだような、災害時のために自治体で策定されている広域火葬計画にのっとった形が考えられるということをお示ししたものです。

長妻委員 初めて出されたということで、本当に、死者が相当数増加するというのが見込まれて政府も準備すると。こういう準備をすることはいいことなんですが、肝腎要の、死亡者を減らす、そういう対応が相当後手後手になっていると言わざるを得ません。

 今、この死者数が本当に正確なのかどうか、新規感染者数もそのとおりでございますけれども、HER―SYSの入力遅れ、現状の数字が相当違っているんじゃないかという指摘もあるんですが、ここら辺、厚労省、どれほど把握していますか。死者数はこれで正しいんでしょうか。

後藤国務大臣 HER―SYSについては、入力等の問題もありまして、先ほど御指摘がありました、地方自治体の調べや警察の調べ等々に比べて少なめに出ているという認識は持っております。

長妻委員 今、少なめに出ているという発言がございまして、ですから、ちょっと今、日本の場合、現状の数字を見て一喜一憂するのはまだ早いわけでございますので。本当に正しいかどうか。一部地域では相当数、入力遅れがあるということでございます。

 是非、今、もう一部地域では医療崩壊が起こっている、助かる命が助からない、こういう現状が起こっている、こういう強い危機感を、厚労大臣、持っていただきたい。助かる命が助からない、これは私は人災の側面もあると思うんですね、この死亡者の急増というのは。ワクチンを三回目、もっと早く進んでいれば、多くの人が亡くならないで済んだというふうに私は考えるんですが、政府はそう考えませんか。

後藤国務大臣 従来から御答弁を申し上げているとおりでございますけれども、オミクロン株の性格から見て、感染力は強く感染のスピードは速いけれども重症化しない可能性が高い、そういう評価が今進んできておりますけれども、しかし、そのことは、感染がどんどん拡大して、そして、そうなった場合に、高齢者の方あるいは重篤な症状になりやすい方たちが大変に多く重症になるおそれもあるということで、我々としては、しっかりと、昨年夏に作りました全体像、それを今のオミクロンの対応に合わせるべく強化、迅速化の対応を図っておりますけれども、そうしたワクチンの御指摘もありましたし、臨時の病床の問題だとか、そういう体制整備に努めているところでございます。

長妻委員 なかなか質問には答えていただけないんですが、三回目のワクチンが進んでいれば、私はこんなに亡くなる方が増えていないというふうに思うので、それについて全然答えないですね、後藤大臣。ちょっと、反省がないと、教訓がないと、前にきちっと進めないと思うんですね。これは命の問題ですから。

 このワクチンについて、三回目接種ということで、やはり一番重要なのは、例えば、今月中に何人を目標として打つのかということなんですよ。いただいた資料、四ページですけれども、政府が作成した資料では、今月二月には三千七百四十六人が接種対象だと。これは私はもっと、本当はこれに、三月に打つ高齢者を前倒しできると思うんです、すべきだと思うんですけれども、政府が出した最低限の三千七百四十六万人、二月末まで、これはもちろん達成するということで今進めているわけですね。

後藤国務大臣 今御指摘の数字についてでありますけれども、岸田総理が先日、二月七日、二月のできるだけ早期に一日百万回までペースアップすることを目指すとの明確な目標を掲げておられます。まずは、この目標の達成に全力で取り組むということが目標でございます。

 それから、全国の九七%の自治体が、二月末までに、対象となる希望する高齢者等への接種を予定どおり完了する見込みであるとの報告を受けているので、是非、そうした達成を地域と連携して進めてまいりたいと思っております。(長妻委員「委員長、言ってください、二月末までの人数」と呼ぶ)

根本委員長 二月末までに何人終わる見込みか。

 厚生労働大臣。

後藤国務大臣 今、努力をいたしておりまして、目標としては、先ほど申し上げたとおりでございますし、今、地方公共団体、国もいろいろな形で連携をしながら、計画の実行をしっかりと進めていくように督励しているところでありますが、今の段階で、二月にどのぐらいが打てるかという質問については、努力をしているというふうに申し上げさせていただきます。

長妻委員 いや、今おっしゃったのは、一日百万回でしょう。そして、各自治体の九十何%が計画どおりと。そうすると、それを組み合わせれば、二月中に何人というめどはあるわけじゃないですか。何人ですか。

後藤国務大臣 何人打てるかというふうにおっしゃるので……(長妻委員「目標」と呼ぶ)それは、そういうことからいえば、目標は、できるだけ早くに一日百万回を達成するというのが目標です。(長妻委員「二月中に何人。なしならなしで」と呼ぶ)

 そういうことでいえば、目標は、先ほど申し上げた、一日百万回をできるだけ早く達成するという以外の目標というものは、正式にはありません。

長妻委員 三千七百四十六万人、これは政府が出しているんですよ、二月中対象者だと。

 ちょっと私、計算してみました、算数を。今、最新の数字が二月十日の分なんですね、政府のホームページ。そうすると、三回目接種が九百九十七万人は終了した。そうすると、三千七百四十六万人引く九百九十七万人だと、あと二千七百四十九万人、二月に接種しないといけない。そうすると、二月はあと残りが十八日ですから、割り算すると一日百五十二万回なんですよ。昨日から毎日百五十二万回打たないと、この政府の対象者、出している対象者すら打てない状況なんですね。ですから、ちょっと深刻に考えていただきたいんですよ。

 今、高齢者施設がどうなっているか御存じでしょうか。クラスターが一か月で五倍になり、五波のピークの七倍になっているんですね。二月六日までの一週間で二百九十二件、たった一週間で二百九十二件、五人以上感染のクラスターが発生しているというような。それも、報告も確かに上がっていない部分もあるんですね、遅れて。

 高齢者施設は本当に急ピッチで打たないと駄目ですよ、目標を立てて。今、高齢者施設は、従業員も含めて大体全体の施設のどのくらいまで打ち済んだか、把握しているんですか、厚労省。

後藤国務大臣 三回目の接種の重要性は政府としても本当に深く認識をしておりまして、今必死になってそれぞれの対策を急いでおりまして、地方に対しても、接種票の早期の送付、あるいは職域への接種、エッセンシャルワーカーへの接種、そうしたことにもしっかり取り組んでおりますし、それから、今、高齢者施設の話も出ましたけれども、度々、全国知事会あるいは自治体に向けた事務連絡を、十二月二十四日、一月二十日、一月二十八日と出しておりますし、それから、十九日と二月の二日には都道府県説明会も行いまして、高齢者施設の追加接種については特に重要であるということで懸命にお願いをし、またその進展、一生懸命図るべく努力をさせていただいております。是非、全国の自治体や関係者の皆様にも、そのことを御理解をしていただきたいと思います。

 そして、現状において、全国の高齢者施設において現状がどうなっているかということは、今総務省と一緒に調査中でございます。

長妻委員 どんどん人が亡くなっているのに調査中ですかね。

 少なくとも、本当は十日以内ぐらいに全高齢者施設、従業員の方も含めて打っていただきたいと思うんですが、じゃ、もう百歩譲って、今月中には全ての高齢者施設の高齢者と働いている方全部に打つ、このぐらいのことは目標として掲げていただけませんか。

後藤国務大臣 高齢者施設での三回目の接種は、政策としては特に重要だと認識しておりまして、当初から、医療関係者とともに最も優先度の高いグループということで認識しておりますので、何とか、できるだけ早い接種を行うように最大限の努力をさせていただきたいと思います。

長妻委員 高齢者施設については従業員を含めて二月中に全て打つ、このぐらいの目標ぐらい立てられないんですかね。

後藤国務大臣 そういうことで努力をさせていただきたいと思います。

長妻委員 これは何にもないんですかね、目標が。これはちょっと本当に深刻に考えていただいて。

 今、モデルナが、会場によってはなかなか予約が埋まらないようなところもある。しかし、接種券を持っていない方はそこに行けない。

 接種券についての在り方をもうちょっと柔軟にして、空いている会場には希望者がどんどん行けるようにする、こういう柔軟な対応というのが、これは、三月ぐらいから考えるというともう終わっちゃうんですよ。今が火が燃えている真っ盛りのときなので、そういう柔軟な接種券の対応というのはいかがですか。

後藤国務大臣 接種券につきましては、現在は、市町村における接種、それから職域接種、こうしたものについては、接種券がない場合でも接種をしていただくことをお認めをしていただいております。

 大規模接種会場においては、残念ながら、後で整理がつきませんので、接種券を求めることにいたしております。

 接種券は事後的にきっちりとVRSへの登録をしていただくということで、今、接種券については遅れが出ているということもあるので、当然のことながら、先ほどから話の出ている高齢者施設も含めて、そうした接種者の管理のつくところについては接種券のない接種をお認めをしているところです。

長妻委員 是非、急ピッチでやっていただきたいというふうに思います。

 そして、配付資料の最後のページでございますけれども、これは、最近ちょっと気になるのが、いろいろ、八か月、六か月の間隔をめぐる話で、厚労省が八か月にこだわって遅れたんだ、厚労省が悪い、こういう論調が相当与党・政府の中から出てきていまして、私は、この論調には相当違和感があるんですね。

 一番初めの初動なんですけれども、これを最後の十一ページにまとめてみました。

 まず、去年の十一月十五日に、厚労省の予防接種・ワクチン部会、相当な議論がありました。これは全部、ホームページで議事録が公表されていますけれども。結局、間隔についてはこういうふうになったんですね、よく御存じのように。

 二回目接種完了からおおむね八か月以上だと。ただし、地域の感染状況を踏まえて、自治体の判断により、八か月より前に追加接種を実施する場合においては、薬事承認の内容も踏まえ、薬事承認は六か月ですからね、六か月以上の間隔を空けると。

 つまり、自治体の判断とか地域の感染状況によっては六か月以上でもいいよというふうに言ったわけです、これは。議事録、相当長いものが出ていますけれども。

 ところが、自治体の皆さんもびっくりしたんですよ、その翌日の堀内大臣と後藤大臣の記者会見を聞いて。私も自治体の方から相当問合せが当時来ました。これはどうなっているんだ、逆じゃないかと。

 どういうことかというと、後藤厚労大臣、こういうふうに記者会見された、翌日ですね。原則は八か月、ただし、ワクチンの、地域の感染状況とか、クラスターが発生しているとか、そういう非常に特殊な状況の場合、そして、これは決して接種間隔を自由に地域の判断に応じて八か月を六か月に前倒しするということを認めるものではない、こういうふうにおっしゃっているわけですね。

 堀内大臣に至っては、六か月というのは地域の感染状況等を踏まえた例外的な取扱い、現在の感染状況等では、自治体は六か月間隔を前提に準備する必要はないと。

 この十五日の決定を受けて準備を始めようとした自治体が多数あるんですが、この翌日の記者会見でそれをストップしたという自治体もございます。

 堀内大臣の会見の続きですね、現在の感染状況等では、自治体は八か月間隔を前提に準備をしていただきたいというふうに思っていますということで、これは議事録をよく読んでいただくと、予防接種・ワクチン部会は、自治体の判断で六か月以上でもできるんだ、こういう専門家の相当精緻な議論をしたにもかかわらず、翌日打ち消しがある、これはなぜですかね。

後藤国務大臣 地域の判断を打ち消しているという御指摘は当たらないと思います。

 この十五日の厚生科学審議会の予防接種・ワクチン部会においても、おおむね八か月以上とするというのは原則として決められておりまして、例えば、地域だとか、あるいは施設等で急速な感染が広がっているような場合には、地域の判断において薬事承認の六か月までの前倒しができるということを申し上げているわけでありまして、私、会見とワクチン部会の内容については違いはないというふうに思っております。

 もちろん、前倒しについての御議論、進めるという御意見もありましたし、例えば、知事会のように、自由に六か月に前倒しができるということに対して強い憂慮を表明された団体もあります。そういう中できちっと原則、ルールをお示ししたということなので、十一月十五日のワクチン部会とそれから会見で申し上げた内容について、そごがあるというふうには考えておりません。

長妻委員 ちょっと今聞き捨てならぬ話があったんですが、後藤大臣、自治体からのいろいろな心配の声が上がって、そういうふうに後藤大臣はお話をしたというような趣旨に取ったんですが、これは、十五日は予防接種・ワクチン部会で決まったんですよ。勝手にその後、大臣がひっくり返しちゃ駄目なんですよ。

 十一月の段階で感染が拡大している地域はないじゃないですか。十一月は相当な前倒しで、各国が、世界はオミクロン株が相当感染しているので、それで議論しているので、その時点で、それはクラスターとかなんとかというのはないですよ、ほとんど。そういうような前提でこれは議論をしたにもかかわらず、翌日こういうふうに打ち消しているということで、私は、これについて相当自治体の方からも、何でこれは逆になっちゃったのという問合せはいただきましたよ。

 堀内大臣もこういう会見をされていますが、これはなぜ、十一月十五日の予防接種・ワクチン部会の結論を更にちょっと歯止めをかけるような、そういうブレーキをかけるような発言をされたんですか。真意はどこですか。堀内大臣に聞いているんです。ちょっと時間がないから。堀内大臣に聞いているんです。

堀内国務大臣 十六日の会見でも申し上げさせていただいているように、その当時の感染状況では、八か月を前提に準備していただきたいというような状況であったというふうに私自身捉えて、そういうふうにお答えをしたところでございます。

長妻委員 さっきも申し上げましたように、部会で決まったのは自治体の判断というのもあるんですよ。その当時は感染は広がっていないわけですよ、確かに。世界で大変な状況になっているから、日本でも三回目のブースター接種だということで議論を始めて、そしてこういう結論が出たわけですね。これはなぜ、準備する必要はない、自治体は六か月間隔、これは自治体の判断でできるわけですから、おかしな話なんですね。

 こういうようなこともあり、ここでも議論になりましたけれども、十一月の段階あるいは十二月の上旬の段階で、自治体がワクチンの在庫を持っている。三回目、二回目のワクチンが余って在庫を持っている、ワクチンがある、それを自治体の首長の判断で六か月間隔で打とうとしたらば、政府に反対された、こういうようなことも言われているわけで、これは、ワクチン部会の方針と違う判断を厚労省はしているんじゃないんですか。

後藤国務大臣 先ほどから何度も申し上げておりますけれども、地域の感染状況を踏まえて自治体の判断により八か月を六か月に前倒しするということは、地域の感染状況等を踏まえた場合に認めているということについては、このワクチン部会と私の発言は同じことだと思います。

 ただ、問題は、自由な前倒しを認めているということではなくて、地域の感染状況を踏まえて、自治体が特に判断した場合については八か月を前倒しして接種をすることは可能であるというふうに申し上げているところであります。

長妻委員 これはどう考えても打ち消しですよ。世間はそういうふうに受け止めましたからね、自治体は。在庫があるのに打たせないということですから、厚労省は当時。

 これは、報道によると、この同じ日、十六日の同じ日に堀内大臣と後藤大臣が岸田総理にお会いして、この言いぶりでいいですか、いいですねということを確認したというんですよ。同じ方針だったら別に確認する必要ないじゃないですか。どういう確認をしたんですか、岸田総理と。

後藤国務大臣 総理官邸には度々伺っておりますけれども、総理との間のやり取りについて御答弁をするということは差し控えたいというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、十五日の日に分科会の方針が出ておりまして、その方針に従って政府としては対応していくということでございます。

 それから、先ほども申し上げておりますけれども、先ほど言っている政府の説明というのは、個別の自治体がワクチンの在庫を持っているから自由に前倒しをするということを認めることでないということは、はっきり政府として当時から申し上げております。

 前倒しを在庫があれば認めるに至ったのは、オミクロン株の感染が確認されて以降、十二月に入って、前倒しの議論を進めてからは、前倒し、在庫の範囲内でやっていただくということについてはお認めをいたしましたけれども、この段階では、個別の自治体がそれぞれのワクチンの在庫量に応じて前倒しを認めるということでお話ししていたわけではありません。

長妻委員 それは、火が燃え盛る前にやらないといけないじゃないですか。燃え盛っていないから大丈夫だと。しかも、自治体は、高齢者施設に対して打っていいですかと言ったら、それをはねつけられたという自治体があるわけですよ。やはり、悪平等というんですかね。これは小池知事もおっしゃっていますよね、会見で。

 結局、岸田首相と一体どういう話をされたんですか。国家機密じゃないわけですから。確認をされたわけですか、十六日の言いぶりについて。説明してください。

後藤国務大臣 基本的に、どういうやり取りであったかということについて、官邸に政策の調整で、あるいは報告で伺ったときのやり取りについてお答えすべきものではないというふうに思っておりますけれども、少なくとも、このときの状況を説明すれば、前日にワクチン分科会の方針が出て、政府としてそういう方針で進めることの御報告をしたということです。

長妻委員 これは、十一月十五日の議事録が出ていますので、ホームページでどなたでも見ることができますので、全部読んでみてください。相当な、こういう、翌日、後藤大臣、堀内大臣の会見というのは打ち消しですよ、これは。自治体が基本的に判断できるような、そういうニュアンスでこれは決まったわけですから。

 だから、今、不思議なのは、厚労省の官僚たちが八か月、八か月と言うから八か月になっちゃったというようなことが与党・政府から漏れ聞こえてくるんですが、そうじゃないんじゃないかと。官僚の皆さんはこのワクチン部会の議論で着地をしたけれども、その上の政治家が、両大臣が、非常に、それを八か月に戻すように、六か月は超例外で、基本的にはないんだというようなことでブレーキをかけたというのが私は真相じゃないかと。

 岸田総理がどういうふうに関わっているのか、これは明らかにしないといけないというふうに思いますので、委員長、岸田総理とのやり取りについて出していただきたいと思うんです。

根本委員長 理事会で協議します。

長妻委員 そして、もう一つは、これは後藤大臣とこの委員会で議論した議論なんでございますけれども、議事録を配付していますが、ちょっと、後藤大臣、違うことを言われたんじゃないかと。これはテレビ入りのときですね、二月二日、今月、予算委員会でですね。

 昨年に、政府は、在庫がないとか調達がないとか、ワクチンの三回目の接種ですね、おっしゃっていたので、いやいや、そうじゃないでしょう、昨年にもう三千八百万回分在庫があったでしょうと私が言ったらば、後藤大臣は、実際の在庫はそれだけはなくて、モデルナについては千五百回というふうに答弁されているんですよ。

 それだけはないというふうに答弁されているんですが、私も不思議に思って、厚労省に先週、資料をいただきました。ここの資料の中の五ページですけれども、三千八百万回、国は倉庫に保管していたと。

 厚労大臣の答弁、違うじゃないですか。

後藤国務大臣 政府が一、二回ワクチンの接種を終了した後保有していたワクチンは、ファイザー社のワクチン千六百万回、モデルナ社のワクチン約二千二百万回ということでございます。これは、まさにそのとおりでございます。

 二月二日の予算委員会においては、政府が保有していたワクチンについて聞かれたときに、私、きっちりと事態を把握していなくて、そのときの答弁にも書かれていますけれども、現に保有しているものに加えて、今後入ってくるもののことも含めて答弁をさせていただきました。当時手元に数字がなかったので、そのとき、数字を改めて確認させていただくというふうに申し上げた上で四千三百万回分と答弁したことについては、結果として不正確な数字でありまして、手元に数字を持たない中で質問にお答えしたことは軽率であったというふうに思っております。

 一方で、モデルナ社のワクチンについて千五百万回というふうに答弁をいたしておりますけれども、これは、昨年末に国が保有していたモデルナ社のワクチンを一バイアルで十回接種した場合の数量でございまして、三回目接種では、一バイアル十五回接種の計算では二千二百万回ということでございまして、その例を途中まで申し上げたところで、数字が具体的にないので数字を確認させていただくというふうに申し上げております。

 いずれにしても、手元に数字を持たない中で質問にお答えしたことは軽率であったということについては、申し訳ないと思っております。

長妻委員 本当に、意図的のような気がしますよ、これはテレビが入っている中で。三千八百万回というのが在庫として現物があったわけですよね。

 これは調べてみますと、厚労省の、五ページですけれども、十一月の一日時点で、ファイザー千六百万回、モデルナ二千二百万回、合計三千八百万回分が国の倉庫にあったわけですよ。どんどん打てるじゃないですか。逼迫なんかしていないじゃないですか。

 そして、市中に出ているのは、下にありますけれども、自治体へ配送したワクチン、使用されていないもの、ファイザーが七百七十万回、モデルナが百二十万回。市中にも八百九十万回あるじゃないですか、三千八百万と別に。

 これについて、何で高齢者からどんどんどんどん打っていかないのか、三回目ですね。これは人災だと思いますよ。

 是非、厚労大臣の見解を聞きたいんですけれども。今どういう状況かという認識をお伺いしたいんですよ。

 つまり、尾身先生がこの予算委員会で緊急事態宣言を出す際のポイントをおっしゃっているんですね、答弁で。どういうふうにおっしゃったかというと、重症者の増加も含めて、医療機能不全が想定されれば、実際に機能不全が発生する前に宣言を出すオプションもある、選択肢もある、こういうふうにおっしゃっているんですが、ちょっと現状認識を聞きますと、今は、医療機能不全が想定される、こういう状況にあるというふうには考えていませんか。

後藤国務大臣 今、アドバイザリーボードにおきましても、療養者、重症者、死亡者の数の増加が続いている、当面は軽症、中等者の医療提供体制の逼迫が続き、しかし、高齢の重症者が増加して、重症病床も逼迫する可能性も高まっている等の評価も出ておりまして、入院が必要な方が入院できない事態に陥ることは何としても避けなければならないと考えておりまして、しっかりとそういう観点から判断をしていきたいというふうに考えております。

 それから、一つだけ補足答弁をさせていただきますけれども、ファイザー社の千六百十万回は、四百十万回分については、周知時期は十月十五日、配送は十一月十五日、ファイザーの千二百万回分は、周知時期が十一月十七日で、配送は十二月十三日に済んでおりますので、そういう意味では、ずっと持っていたわけではありません。(発言する者あり)

根本委員長 答弁は簡潔に。

 長妻昭君。(長妻委員「これは私の質問に答えていない、今の。医療機能の不全が想定されているんですかと。想定されているのかどうかです。聞いていない」と呼ぶ)

 じゃ、後藤大臣。想定されているのか。

後藤国務大臣 今申し上げた状況の分析が今の状態に対する分析でございまして、機能不全が今すぐ想定されているのかということからいえば、避けなければならない状況で、今、必死になって情勢も分析しながら取組も行っているところでございます。

 今後、重症病床も逼迫する可能性も高まってくるという認識は、その評価はアドバイザリーボードでいただいておりまして、その認識に政府も従っております。

長妻委員 今、避ける努力をしていて、まだ医療機能不全が想定されていないという答弁ですね、今は。(後藤国務大臣「今は」と呼ぶ)ちょっとそれを。

後藤国務大臣 一つ一つの質問にイエスかノーかだけでお答えできることが適切な質問も、そうでないものもあると思います。

 状況については、今申し上げたようなアドバイザリーボードの状況であります。

長妻委員 これは、そんな話で、危機感をちゃんと共有しないと駄目ですよ、周りと。

 今おっしゃったのは、じゃ、具体的に聞くと、今、入院すべき方が入院できないということは避けるというふうにおっしゃいましたけれども、そういう状況が今起こっていると私は思うんですね。入院すべき方が入院できない状況が今起こっている、この認識は共有いただけますか、今起こっていると。

後藤国務大臣 そういう重症者の逼迫自体は、重症病床の使用率等を見ると、今すぐ起きているというふうに数字としてなっているわけではないと思いますけれども、しかし、重症病床の逼迫も、今後、感染者が増加するに従って生じてくるということについては、大変に重大なことだと考えておりまして、そういうことが起きないための対策に必死に取り組んでいるところです。

長妻委員 数字上は今ないということなんですが、現実に今私は起こっているというふうに思うんですね。それは思わないんですか。入院すべき方が今現実に、数字上じゃないですよ、入院できない、こういう現状が今発生しているという理解はないんですか。

後藤国務大臣 今現在、重症化病床の使用率等に余裕がないわけではないので、本当に医学的に必要な方についての入院はできるというふうに考えておりますけれども、例えば、具体的な例で、重症化されようとされている方が入院ができるかできないのかという例一つ一つについて、全体としてはそういう事態ではないというふうに思いますけれども、今後の事態は非常に予断を許さない厳しい事態であるというふうに認識をしております。

長妻委員 本当に危機感が足りないし、実態把握が非常に甘いと言わざるを得ません。何しろ、私はこの三回目のワクチンの遅れは人災だと思っていますので、しっかりと取り組んでください。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。

 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 今日は、残念ながら岸田総理がいませんけれども、何の哲学も理念もなく新しい資本主義を本当につくれるのか、新しい資本主義で日本が再生され、失われた三十年を克服して、少子化も止められるのか、そして本当に世界をリードできるのか、山際担当大臣始め関係大臣に教えていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。なお、答弁は簡潔にお願いいたします。

 まず、新自由主義の行き過ぎた株主至上主義、市場万能主義の問題点をどう克服するのかです。

 一つ目は、市場に依存し過ぎたことで公平な分配が行われず生じた格差や貧困の拡大についてであります。

 山際大臣にお伺いいたします。

 市場に依存し過ぎたことで公平な分配が行われなかったんですか、どうなんですか。御認識をお伺いします。

山際国務大臣 簡潔な答弁は心がけますが、ちょっとだけ話をさせてください。

 総理がおっしゃっているように、八〇年代以降にこの新自由主義的な考え方が主流になる中で……(福田(昭)委員「歴史はいいですよ。核心だけ言ってください」と呼ぶ)分かりました。じゃ、もうちょっと短くします。

 バブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレ、そのことによって、企業は賃金を抑制し、将来不安などから消費者は消費を抑制した結果、需要が低迷してデフレが加速、そして企業の賃上げ余力が生まれにくい悪循環が生じてきた。そういう意味でいうと、先生が御指摘の、行き過ぎた市場というものがこの賃上げを起こさせない環境というものをつくってきたことには間違いがないと思っております。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

福田(昭)委員 大臣、それはあくまでも現象じゃないですか。そうじゃなくて、原因は何かということを考えると、やはり、株主至上主義の考え方で、経営者の報酬を上げたり、株主に配当を増やしたり、それから労働分配率を下げたり、これが大きな原因で格差や貧困を拡大したんじゃないですか。大臣が言ったことは、今、あくまでもそういう現象だったというだけの話であって、原因が何かということをちゃんと見極めないと新しい資本主義はできないと思いますが、私は、こうした格差や貧困を拡大した大きな原因は二つあると思っています。

 一つは、消費税をつくってから直間比率の見直しをやり過ぎちゃったんです。過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉がありますが、まさにこれなんですよ。余りにも直間比率の見直しをやり過ぎちゃったこと、これが一つ。それからもう一つは、やはり、非正規雇用を四割にも拡大してしまった、この雇用制度。この二つが実は格差と貧困を拡大したんです。

 そこで、鈴木財務大臣にお伺いします。

 図表の一を御覧いただきたいと思いますが、これは、財政悪化と格差拡大を招いた法人税率、所得税率、住民税率の引下げの実態でございます。消費税をつくる前と創設後と現在を一覧表にしてみました。

 消費税をつくる前は、御案内のとおり、物品税が間接税の、どっちかというとチャンピオンでありましたけれども、創設後は、御案内のとおり、三、五、八と上げて、現在は一〇%と八%です。

 それから法人税については、これは普通法人税でありますが、基本税率と中小企業などの軽減税率ですが、消費税創設前は、何と、内部留保金、留保分、それから株主に配当する配当分、両方に分けて課税をしておりました。しかし、創設後は一律となって、これは一本化されている。現在は、平成三十年の四月一日からは基本税率は二三・二〇%、軽減税率は平成二十四年の四月一日から一五%と、大幅に引き下げられております。

 所得税は、何と、昭和五十八年、十九段階で、課税上限額が八千万超、七五%でした。確かにこれは私も高過ぎるなと思います。しかし、創設後、平成元年には五段階で、二千万超で五〇%。しばらくの間は、ここは書いてありませんけれども、一千八百万超、四〇%という時代が十年以上続きました。そして、さすがに税金が足りないなということになって、平成二十七年には七段階で、四千万超が四五%と引き上げられました。これが現状。

 住民税。住民税は、昭和五十五年、課税段階十四段階で、上限額が四千九百万円超、税率は一八%で、市と県で分け合っていました。これが創設後、五百万円超で一五%。そして現在は、何と、平成十九年以降、フラット化されて、一律に一〇%、これを分け合っているということであります。

 これで大幅に増加したのは、実は法人企業の内部留保資金。これは二〇一九年、四百七十五兆円となっていますが、コロナにもかかわらず、どんどん増やしている。銀行、保険業を加えれば、それこそ五百五十兆円にもなるような内部留保資金であります。

 家計の金融資産も、千九百三兆円、これは二〇一九年でありますが、日銀の資金循環統計によると、去年の九月で何と千九百九十九兆円、昨年の十二月には二千兆円を超えたんじゃないか、こういう報道もあるところでございます。

 このように、消費税をつくったはいいが、そのときに、やはり法人三税とそれから所得税、住民税、これを大幅に引き下げてきた、これが実は、財政も悪くしたし、格差も開いたし、こういう大きな原因だと思っているんですが、鈴木大臣、どうでしょう。このことについて何か御感想なり、お認めになるか、是非お答えをいただきたいと思います。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木国務大臣 福田先生から、今までの、消費税創設前、その後の様々な経緯の中で、分かりやすい資料をお出しいただいたと思ってございます。

 税制につきましては、所得再分配というのも重要な観点でありまして、それを踏まえながら、累次の改正を行ってきてございます。

 具体的には、所得税や相続税につきまして、ここにもございますが、最高税率の引上げなどの見直しを行ってきております。また、消費税につきましては、社会保障と税の一体改革の中で、その増収分は社会保障の充実、安定化に充てることとしておりまして、その受益は低所得者ほど大きく、所得の再分配につながる面もあることから、そうした受益の面と併せ、評価すべきものと考えてございます。

 今後の税制の在り方につきましては、これまでの税制改正の趣旨、経緯を含めまして、経済社会の構造変化も踏まえながら、引き続きしっかり検討していかなければならないと考えております。

福田(昭)委員 残念ながら、それでは新しい資本主義はできないと思いますね。後で、予算の分科会でこちらの方はまたしっかりやりたいと思っていますが。

 次に、後藤厚労大臣にお伺いします。

 小泉、竹中両氏の規制緩和で、労働者派遣法が改正されて非正規雇用が大幅に拡大をして、格差も貧困も拡大したということですが、そういった現象について、その原因がこの規制緩和にあったということを認めますか。いかがですか。

後藤国務大臣 格差と貧困の拡大の原因が、労働者派遣の全面解禁による規制緩和が原因なのではないかというお尋ねと思いますけれども、平成十一年の労働者派遣法の改正による対象業務原則自由化は、当時の厳しい雇用情勢等に加えまして、二番目に、労働者派遣事業を含む民間の労働力需給調整事業の運営を原則全ての業務で認めた上で、これを利用する労働者を保護することを目的とするILO百八十一号条約が採択されたことを踏まえて改正したものでございます。これによりまして、多様な雇用の機会の拡大につながったものというふうには考えておりますけれども、非正規雇用労働者の待遇改善が必要になった面もあったと承知をいたしております。

 非正規雇用労働者の待遇改善につきましては、同一労働同一賃金の導入など、労働者の保護に欠けることがないように留意しつつ、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。

福田(昭)委員 それではやはり新しい資本主義はできないですね、残念ながら。全くできません。

 それでは、二つ目でありますが、市場や競争の効率性を重視し過ぎたことによる、中長期的投資の不足、持続可能性の喪失について山際大臣にお伺いします。

 法人企業の平成二十八年から令和二年度までの五年間の設備投資を法人企業統計で見ると、何と、平成二十八年は四十四兆円、二十九年は四十七兆円、平成三十年は五十兆円、令和元年度は四十六兆円、令和二年度は四十四兆円、まさにこの五年間、四十兆円から五十兆円の設備投資を法人企業はしておりますけれども、これでは不足だということなんですか、教えてください。

山際国務大臣 マクロの額そのもので、それが不足か不足でないかということを判断するのは適正ではないと思っておりますが、先生が御指摘いただいた、市場や競争の効率性を重視し過ぎたということで何が起きていたかということを、我々としては、企業経営が短視眼し、投資が抑制された結果、設備投資の伸びや人的投資の対GDP比が主要先進国に対して劣後してきたということだと思っております。

福田(昭)委員 むしろ新自由主義による会計の仕組みが悪かったんじゃないですかね。四分の一、四半期で財務内容を公表しろとか、短期での利益を求めるような新自由主義の考え方、中長期的な経営をしたのでは経営者が首を切られるというような、こういう考え方が実はこうした状況をもたらしたんじゃないでしょうか。

 そこで、鈴木財務大臣にお伺いいたします。

 図表の二を御覧ください。

 経済界も労働界も、失われた三十年と言います。しかし、その失われた三十年の原因を言う企業も労働界もありません、残念ながら。

 私は、これを一覧表にしてみると、過去の実績ですから、一目瞭然、よく分かります。まさに、消費税をつくってから、先ほど話をしたように、法人三税とそれから所得税、住民税を大幅に減税した、その結果、何と、これは一般会計の税収ですけれども、三十年間、一・〇六倍にしかなっておりません。それは、御案内のとおり、名目GDPも四百二十一・五兆円から五百五十四兆円へと約一・三倍にしかなっておりませんから、当然税収も余り増えないということでありました。

 そして、増えたのは、国債の借入金残高、これが約五・六倍、千百六十五兆円となっています。

 一方、増えたのが、法人企業の内部留保資金、これが約四倍、四百七十五兆円。そして、家計の個人金融資産、これが千九百三兆円。先ほど申し上げたように、昨年の十二月にはもう二千兆円を超えたんじゃないか、こう言われております。間もなく三月には日銀が発表しますから、それではっきりしてきますけれども。

 これはまさに、政府がやっている税制がこういう結果をもたらしたということです。政府がやっている税制が、まさにこの失われた三十年をつくって、名目GDPも伸びない。先ほど話があったように、もちろんデフレだから伸びないわけですが、一般会計の税収額も国債借入金の残高も、本当に、法人企業の内部留保資金と家計の金融資産を増やしただけで、まさに、残念ながら、消費税をつくってからの税制が大きな間違いだったということがこの表ではっきりするんじゃないでしょうか。

 どうでしょう、財務大臣、御意見をお伺いします、どうぞ。

鈴木国務大臣 福田先生の御指摘は、消費税の導入が、失われた三十年とおっしゃいましたが、経済の低迷の要因になったのではないか、そういう御指摘であったと思います。

 我が国の経済につきましては、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレによりまして、企業は賃金を抑制をする、そして消費者も将来不安などから消費を抑制をし、結果として、需要が低迷をしてデフレが加速するという悪循環が生じたものと認識をいたしております。

 したがいまして、消費税が導入されましたのは一九八九年でございますが、この消費税の導入と、我が国経済の低迷に入っていくという時期が接近をしているわけでございますが、経済の低迷の要因は先ほど申し上げたことと認識をしておりますので、消費税の導入がこの要因になったとは考えておりません。

 また、最近、経済最優先で取り組んだ結果、デフレではない状況をつくり出し、消費税を導入した以降を見ましても、GDPや税収は増加をいたしております。

 また、消費税につきましては、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、働く世代など特定の層に負担が集中することなく、経済活動に中立的であるなどの特徴を有しておりまして、少子高齢化が進む我が国において、その役割といいますものは一層重要となっているのではないかなと考えております。

福田(昭)委員 大臣、それは違うと思いますよ。

 それこそ、ヨーロッパの付加価値税が二〇%だから、日本はまだ一〇%だ、あと一〇%も上げられるなんてどうも思っているようですけれども、こんなことはありませんからね。こんなことをやったら、本当に日本の経済も駄目になっちゃうし、財政も駄目になるし、働く人の賃金も駄目になりますよ。回答は要りませんけれども、本当にびっくりするような回答をいただきましたけれども。

 図表の三を御覧ください。

 図表の三、これは、元国税庁の役人で中央大学の名誉教授、富岡先生が作った表を私の方でちょっと見やすく編集したんですが、法人税と所得税、住民税減収の穴埋めに消えた消費税ということで、これは計算してみると、何と税収、百七十六兆円の赤字なんですよ。ですから、消費税創設の本当の目的は、法人税、所得税、住民税の大幅減税だったんじゃないですか。

 今大臣から言われましたけれども、最初、宮沢大蔵大臣が国会で説明したときには、消費税をつくるのは直間比率の見直しをするんだというのが目的だったじゃないですか。いつの間にか、平成十一年頃から、いや、消費税は福祉目的税なんだ、こういうふうに説明をするようになってまいりましたけれども、しかし、大臣、消費税を福祉目的税にしている国は、日本以外、世界中どこにもありませんよ、EU、ヨーロッパも含めて。これは御存じですか。

鈴木国務大臣 諸外国において、ちょっと例を当たってみましたところ、例えば、フランス、ドイツ、スイスにおきましては、付加価値税収の一部を社会保障に、支出に充てるということとしている、そういうふうに承知しているところでございます。中身はいいですか。国別のはいいですか。(福田(昭)委員「オーケーです」と呼ぶ)

福田(昭)委員 ですから、これは先日も財務省に確認しているんですが、要するに、フランスもドイツも一部を充てているだけなんです。日本だってそれは同じですよ。全部充てている国なんて世界中どこにもない。それを福祉目的税だと偽って国民をだましちゃ駄目ですよ。

 消費税というのはどんな税金か、分科会でまたやりますけれども、これは封建時代の人頭税と一緒ですからね、本質は。所得にかかわらず、赤ちゃんから寝たきりのお年寄りまで、一律一〇と八取るんですよ。こんな封建的な税金はありませんから。最後にやったのはイギリスのサッチャー首相です、人頭税。サッチャー首相はそれで引退することに追い込まれた。こういう封建時代の税金、これに頼っては駄目ですよ。

 ですから、ちゃんと、我が国は民主主義国家なんですから、しっかりこういうものを直していくことが必要だ、こう考えています。

 それでは、三つ目ですね。だんだん時間がなくなっちゃいますが、三つ目は、自然に負荷をかけ過ぎたことによって深刻化した気候変動問題です。これは山口環境大臣にお伺いします。

 ダボス会議でも、格差の是正と地球温暖化対策を議論する時代となりました。政府も二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言しましたけれども、我が国もやっと、与野党が同じ方向を向いた動きをすることができるようになりました。政府は今後どのようにこのカーボンニュートラルを具体化していこうとしているのか、ちょっとお伺いをいたします。

山口国務大臣 確かに今までの資本主義というのが、もうかりさえすればよい、自分さえよければいい、今さえよければいいということで、この気候変動問題が起こってきたということがあると思います。

 その中で、日本としては新しい資本主義の核心として脱炭素に全力で取り組んでいくわけですけれども、日本だけでできない、全世界ということで、COP26で、産業革命前から比べて一・五度に抑えるということが共通目標で合意されました。キーワードは脱炭素です。脱炭素を制する者は次の時代を制すると言っても過言ではありません。

 その意味で、政策を総動員するわけですけれども、既に、脱炭素先行地域の創出などを支援する地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、これを令和四年度の予算にお願いさせていただいています。二百億円です。

 それから、あわせて、民間事業等による意欲的な脱炭素事業への新たな出資制度の創設として、二百億円を盛り込ませていただきました。それによって、脱炭素化支援機構をつくらせていただきたいと思っています。このことが、先日国会に提出させていただいた地球温暖化対策推進法の一部改正案ということでお願いしているところです。

 脱炭素ドミノを起こしてライフスタイルを転換して、社会経済の大変革につなげてまいりたいと思います。

 また、その意味では、国民、自治体、企業などの全ての理解をいただきながら丁寧に進めていきたいと思うので、私、副大臣あるいは政務官で全国行脚をやっています。

 先般、一月十八日のクリーンエネルギー戦略会議で、イノベーションあるいはカーボンプライシングの在り方も含めたグランドデザインをお示しするためにやっていこうということになっています。

 そういうことで、よろしくお願いします。

福田(昭)委員 済みません、大臣の所管外かもしれませんけれども、やはり同時に、二〇三〇年に向けてエネルギー基本計画をしっかり見直したり、あるいは電力会社の再編なども議論しないと、これはなかなか達成できない。特に人口減少という中で、そういう中で、それも是非、経産省と一緒に検討する必要があるんじゃないかということを指摘しておきたいと思います。

 四つ目は、分厚い中間層の衰退がもたらした健全な民主主義の危機についてでありますが、これについては、実は私は、健全な民主主義を危機に追い込むのは、やはり、政府がしっかり情報公開もする、説明責任も果たす、こういうことをやらないと、健全な民主主義は育たないと思っています。

 現在の投票率を見れば、国政選挙でも五三%とか五%、地方の選挙に至っては、政令指定都市では、もう五〇%なんというのはほど遠いですね、二〇%、三〇%台。そういう、まさに国民が投票に行かない。民主主義を守るのは、何といったって一人一票の投票権を持っている選挙じゃないですか。そこへ、投票に行かない国民ができてしまったということは、そういう意味では日本は物すごい民主主義の危機だと思います。

 山際大臣、簡潔にお答えください。

山際国務大臣 先生がおっしゃった、政府が説明責任をきちんと果たし、透明性を持つということは重要だ、こういうふうに思っております。

 我々が、中間層が衰退することで民主主義が危機に陥るということを御説明申し上げた趣旨は、市場に依存し過ぎたことで格差や貧困の拡大、国際社会の分断を招いている状況に今あります、この状況を放置すると、多様な価値観や置かれている状況、立場の違い、これを超えて対話を積み重ねることで社会が信頼によってつながる健全な民主主義、これが危機に陥る、生じるおそれがある、そういう趣旨で申し上げております。

福田(昭)委員 だんだん時間がなくなってきましたので、次に、新しい資本主義で地域活性化ができるのかという話で、林外務大臣、せっかくお疲れのところ来ていただいたので、一問だけお聞きします。それから、斉藤国交大臣にも一問だけ御質問します。

 まず、林大臣。農林水産業の方はまた別な機会にさせていただいて、沖縄の強い経済をつくる取組についてのうち、辺野古の飛行場を造れば本当に普天間基地は返還されるのかについて。

 普天間基地の返還条件の一つに、長い距離の滑走路を用意することがあります。今の状況では、もし仮に辺野古が完成したとしても、あそこは面積が狭くて、長い距離の滑走路はできません。最大千四百メートルぐらいだと言われています。これでは、完成したとしても、普天間基地が返ってこないんじゃないでしょうか。

 沖縄県民の民意ははっきりしておりますので、是非、米国とここはしっかり確認をして進めていくというのが大事じゃないかと思っています。そうすることが地域活性化につながるんじゃないかと思っていますが、林大臣の御意見をお伺いします。

林国務大臣 日米同盟の抑止力の維持や普天間飛行場の危険性除去を考え合わせたときに、辺野古移設が唯一の解決策でございまして、米側とも累次にわたり確認してきております。

 私も、先月、日米の2プラス2を行いましたけれども、岸大臣とともに、ブリンケン長官、オースティン長官との間で、普天間飛行場の固定化を避けるためには辺野古移設が唯一の解決策であるということを改めて確認したところでございます。

 その上で、平成二十五年に、今委員から御指摘のあったような、日米両政府で作成し公表した沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画におきまして、普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善、これが普天間飛行場の返還条件の一つとして記載されているところでございます。

 この緊急時における民間施設の使用の改善につきましては、防衛省と連携しながら今後とも米国との間で必要な協議や調整を行っていくことは当然でございますが、防衛省からこれまでも答弁をしてきたとおり、この条件が満たされないため、辺野古への移設完了後も普天間飛行場が返還されないなどという状況は、全く想定をしていないところでございます。

福田(昭)委員 それは甘いんじゃないですか。アメリカは契約の国ですから、約束事を守らなければノーと言うのは当たり前ですよ。ただ、アメリカの場合は、ジャスティス、正義の国でもありますから、そういう意味ではどれぐらい可能性があるかということですが、しかし、契約が基本だと思いますよ。回答は要りません。

 では、斉藤大臣。観光庁では、既存の観光地の再生と高付加価値事業に取り組んでいただいております。これはすばらしい事業だと思っていますが、廃屋ホテルの取壊し費用なども含まれていてすばらしい事業だと思っていますが、問題は、跡地利用や補助上限額などで、余りにも疲弊してしまった温泉街では、こんなすばらしい応援でも、残念ながらなかなかこの再生に取り組むということができないような地域があります。

 そういった意味では、もう一段の国交省、観光庁としての頑張りが欲しいな、それが地域活性化につながるなと思っているんですが、この辺はいかがでしょうか。

斉藤国務大臣 観光は地方創生の切り札だと思っております。

 その上で、今委員からいわゆる廃屋撤去の話がございました。これは、令和二年度の補正におきまして、跡地の観光目的での利活用を条件として、最大一億円、補助率二分の一の補助を実施しており、全国三十四の地域で廃屋撤去が進められております。

 そして、今年度の新しい事業につきましては、今後も、課題がある地域につきまして専門家を派遣することにより、廃屋の跡地利用を含めた地域全体の課題解決を支援することにしておりまして、これも全力で取り組んでまいりたいと思います。

福田(昭)委員 では、時間が来ましたので、最後にまとめて終わりにしたいと思いますが、新しい資本主義のグランドデザインと実施計画の策定についてということがありますが、私は、本当に新しい資本主義をつくり、日本を再生させ、世界をリードするという考えがあるならば、日本の風土が生んだ三人の天才……

根本委員長 福田昭夫君、簡潔にお願いします。

福田(昭)委員 二宮尊徳翁、渋沢栄一翁、原丈人に学んで、経済と道徳を両立させて、利益を公平に分配させる仕組みをつくることが大事だというふうに思っております。

 このことをつけ加えて、私の質問を終わります。

根本委員長 これにて福田君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。本日もよろしくお願いいたします。

 先週の我が党の城井委員の質問に続けまして、二之湯大臣にお伺いしたいと思います。

 私の資料の一ページ目に、先週の城井委員とのやり取りについて載せさせていただいております。最初の方に線を引っ張っている部分ですね。城井委員からは、大臣は府連経由で自治体議員にお金を配ったんですかという問いに対して、配ったということだけ端的にお答えいただいただけでなくて、配った趣旨についてもお答えになられていますね。

 問われていないことにあえて答えられた、これはなぜなのか、それをお答えください。

二之湯国務大臣 私が京都府連に寄附した金がそのまま右から左に地方議員に渡ったのではないかというような趣旨の質問でございましたから、私は、それはあくまでも、府連の政治活動、党勢拡大のために使ってください、こういう趣旨でございますから、そういうことに答弁いたしたわけでございます。

階委員 では、この答弁では、個々の議員の選挙活動に使ってください、こういうことではない、こういう認識でございますというふうに言われていますけれども、そもそも、大臣の認識としては、選挙活動に使ってくださいといった趣旨であれば、これはもう問題だ、場合によっては選挙買収にも当たり得る、こんな認識だったということでよろしいでしょうか。

二之湯国務大臣 そもそも、私は、選挙買収をしようとか、そんな意図は全くないわけでございまして、私自身が個人的に京都府連に、選挙を控え、日常の政党活動、いろいろな政党活動がございますから、費用も要るものですから、それに使ってください、こういう趣旨でございます。

階委員 日常の政党活動に使ってください、こういう趣旨だったと言うんですが、資料一ページ目の中段のやり取りを見ますと、府連への九百六十万円という多額の交付金の支出が大臣が出馬する参院選の年だけに行われていたということをお認めになっていますよね。その理由を問われて、選挙というのは党全体で取り組まなくてはならないというふうにお答えになっています。

 それでは、翌年、平成二十九年は衆議院議員の総選挙の年です。なぜそのときは支出はゼロだったんでしょうか。お答えください。

二之湯国務大臣 せんだっての城井議員の質問は突然でございましたから、私は、手元に、私の政治資金収支報告書で京都府連に寄附した額を把握していなかったんでございますけれども、決して二十八年以降ゼロだとか前の年にほとんど寄附していないということはございません。応分の負担は国会議員としてしているわけでございます。

階委員 二十九年はゼロだったということは間違いないですよね。

二之湯国務大臣 京都府連では、各所属の国会議員は毎月六万円の寄附をしておりますから、私は、そのときはお答えできませんでしたけれども、毎年七十二万円は寄附をしておるということでございます。

階委員 私が伺っているのは、ここでは政党交付金の支出です。これはゼロだったということでよろしいですよね。

二之湯国務大臣 委員おっしゃっている政党交付金ということは、私の政治団体からの寄附のことをおっしゃっているんですか。

階委員 政治団体から御自身の政治資金を寄附されたのと別に、総支部には政党交付金が入ってきていますよね、それをまた府連の方に支出されている、そういう意味の支出を申し上げています。

二之湯国務大臣 自民党には、総支部というような、そういうような組織はないわけですね。私は参議院京都府の第三選挙区支部ということでございます。(階委員「そこです、そこの話です」と呼ぶ)そういうことでございますね。

 ただ、私は幾つかの政治団体を持っておりますから、必ずしも第三選挙区支部だけで支出しているわけではございません。

階委員 失礼しました。総支部ではなくて選挙区支部ですか、選挙区支部の政党交付金を府連の方に支出されたと。これは平成二十九年はゼロであったということを確認したいんですが、それはそのとおりでよろしいですね。

二之湯国務大臣 私の参議院の政党支部からは、京都府連には寄附はいたしておりません。

階委員 そこで、質問に戻るんですが、九百六十万円前年は支出されていたのに、次の年は衆議院の総選挙があるのにゼロだったということが、要は御自身の選挙のときだけにそういう支出がされているということは、ちょっと日常的な政治資金というのとは矛盾しているのではないかと思います。

 それと、大臣の認識なんですけれども、この一ページ目の資料の最後のところですね。今回のこの九百六十万円の支出は御自身からの申出ですかと城井さんが尋ねたのに対して、次のページの最初のところ、これは私個人のあれですというふうに答えられています。

 これは府連からの指示だとか暗黙の府連のルールにのっとったものではなくて、純粋に自分の意思に基づいた申出だったという意味でお答えになっているんでしょうか。いかがですか。

二之湯国務大臣 府連の指示ではございません。私個人の考え方で京都府連に寄附をしたわけでございます。

階委員 純粋に御自身の意思だったというふうにお伺いしてよろしいですよね。

 だとすると、ちょっと私は、今の大臣の答弁と整合しない資料を入手しました。今日は、理事会の方でお認めいただけなかったので、皆さんのお手元にはお配りしていません。

 内容をちょっと口頭で説明しますけれども、これは京都府連の内部文書とされているものなんですが、作成日は、大臣の選挙があった年の一年半前、平成二十六年暮れの衆議院総選挙の公示直前の十一月二十一日、これが作成日です。

 記載内容として、第一に、京都の各小選挙区の自民党の候補者ごとに、関係する京都府議会議員、京都市議会議員、総勢五十一人の名前が挙げられております。

 第二として、府連からその方々に五十万円ずつ活動費なる資金を配った場合、各候補者が、自身の関係する京都府議会議員、京都市議会議員の人数に応じて、幾ら京都府連に寄附をしたり政党交付金を支出したりする必要があるかということを示しています。

 そして、その金額は総計で二千五百五十万円ということになっていますが、実際に、このとおり、文書作成日の直後に各候補者から京都府連に総額二千五百五十万円もの金額が拠出され、五十一人の自治体議員の政治団体には、五十万円ずつ寄附をする形で、トータル二千五百五十万円、同額が支払われているわけです。

 この資金の動きは、これは認めていただきましたけれども、二十二ページ、二十三ページ、京都府連の当時の収支報告書から私の方でまとめたものですけれども、当時の客観的な事実として収支報告書にも記載されているということであります。

 こうしたことからすると、先ほど大臣は自分の意思でとおっしゃいましたけれども、自分の意思で自己完結的に府連に寄附や支出をしたものではなくて、府連と示し合わせて、所属の地方議員に選挙直前に五十万円ずつ支給するため、必要な金額を算定した上で、府連に資金を拠出したというふうに言わざるを得ません。

 これは、各候補者が直接地方議員に選挙運動の資金を供与すると買収罪に当たるので、京都府連を使ってマネーロンダリングをしたということではないですか。大臣、お答えください。

二之湯国務大臣 府連の収入の中には、各国会議員からの寄附金あるいは党本部からの政党助成金、さらにはパーティー収入、さらには、私どもは国民政治協会という団体がありますから、そこからの収入、いろいろな収入があるわけでございます。その収入によって、それを財源にして、京都府連を運営しているわけでございます。

 そして、各配下の支部、あるいは議員が持っている政党支部に対して、幾らを交付するかということは京都府連が考えているところでございまして、私が今、そのときのことについては、あずかり知らないことでございます。

階委員 あずかり知らないということなんですが、大臣の選挙、先ほど言ったように九百六十万円、何でこんな九百六十万円という中途半端な金額なんでしょうね。あたかも何か決められた金額が、言われたのでその金額を払ったという気がしますが、九百六十万円という中途半端な金額を選挙の直前に府連に支出した根拠、これを教えてもらえますか。

二之湯国務大臣 先ほども申しましたように、京都府連としては、常に、政党活動、それを通じて党勢拡大活動をしているわけでございます。いろいろな費用が要るだろう、こういうことで、私の思いで寄附をさせていただきました。

階委員 答えてください。九百六十万円という数字の根拠を聞いているんです。

二之湯国務大臣 九百六十万円の根拠は、私が寄附した金を府連がどのように使うかは、これは京都府連の問題でございまして、私が関与しているわけではございません。

階委員 九百六十万円の根拠を答えてください。

二之湯国務大臣 私の思いで寄附をさせていただきました。(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、国務大臣二之湯智君、もう一度御答弁ください。

二之湯国務大臣 何遍も申しますけれども、そのときの私の財力というか、思いで寄附を差し上げまして、それを府連がどのように使うかは、府連のまた裁量の問題でございます。

階委員 全然納得できないわけですよ。

 全然納得できないというのは、さっき言ったとおり、これはもう文芸春秋という月刊誌にも出ていますけれども、ちゃんと、京都府連を通じて、府議会議員あるいは京都市議会議員に五十万円ずつ配るとこうなりますよというのが、算定の根拠が出されて、それに応じて各候補者が幾ら払ってくださいというふうになっているわけですよ。

 こういうものが資料としてある、それを裏づける収支報告書があるという中で、御自身の選挙もそういう形で行われたんじゃないかということを確認しているわけですよ。それにもかかわらず、それに対する弁明もするわけでもなくて、九百六十万円、自分の思いだということしかおっしゃらないと、全く我々は納得できないですよ。

 九百六十万円も、やはりこの手元の資料のとおり、これは府連がちゃんと計算して、これだけの金額、あなたの選挙のときに地方議員に配るからこれだけ出してください、こういうことから九百六十万円と決まったんじゃないんですか。ちゃんとお答えください。

二之湯国務大臣 何遍私に問われましても、私は私の思いで九百六十万円を寄附した、こういうことでございます。その配分については京都府連に任せてあるわけでございます。(階委員「思いじゃ駄目です。説明になっていない。同じことの繰り返しですよ」と呼ぶ)

根本委員長 階君、もう一度質問してください。

階委員 では、翌年は総選挙があったにもかかわらずゼロとなったのも、思い、全ては大臣の思い一つであって、何の理由もなく、この九百六十万円、決まっているということなんでしょうか。

 ちゃんと、思いだけではなくて、納得できる理由を説明してください。

二之湯国務大臣 そのときの政治情勢によって、党勢拡大に割く時間は京都府連にまちまちでございまして、正直なところ、選挙が近づけば、いろいろな政党のビラを貼ったり、あるいはチラシを配ったり、あるいは広報活動をしたりということに費用がかさばるわけでございますから、平時はそれほどそういう党勢活動に対する費用がかさばらないだろうと。

 だから、私は私の判断で、そういう毎年の京都府連の国会議員所属の応分の負担だけにとどめたわけでございます。

階委員 全然説明になっていないですよ。

 九百六十万円、なぜその金額になったのかというのを聞いているんですよ。思いじゃないですよ。説明してくださいよ。

 今の、選挙前、お金がいろいろかかるとかおっしゃっていましたけれども、まさに選挙前にお金がかかるから、御自分が必要な額を配ったんじゃないかということを言っているんじゃないですか。要するに、地方議員さんたちに選挙で動いてもらうためにお金を配ったということを言っているんじゃないですか。

二之湯国務大臣 私が寄附した金と、地方議員にそのままストレートで行くというのは全く別問題でして、私が寄附した金によって政党が政党活動をし、党勢拡大活動をする、こういうことに私は使ってくださいと、こういうことでございまして、何ら私がやっていることがおかしいということにはなりません。

 そして、その配分額については京都府連が独自に決めたらいいわけでございまして、私はそれに対して関与しているということではないわけでございます。

階委員 府連のお金の流れも知らないで府連会長って務まりますかね。

 これ、前回の城井さんの質問では、事務局長の引継ぎのことも知りませんでしたよね。また、御自身の政党交付金の支出、九百六十万円という大金、その根拠も説明できないですよね。著しくガバナンス能力と説明能力を欠いていると思いますよ。

 これで大臣務まるんですか。国家公安委員長、公務員制度担当大臣、務まるんですか。あなたにその資質があるのか、私は非常に疑問に思います。思いだけじゃなくて、ちゃんと納得できるような説明をしてほしいと思います。

 それで、この選挙買収については、令和元年の参院選では、広島の地方議員を買収したとして河井夫妻が有罪判決を受けています。また、昨年の衆院選でも、新潟の自民党県連会長から買収資金を要求されたということで、今月十日に泉田代議士が告発していますよね。自民党の国会議員と地方議員との違法あるいは不透明な資金の流れが際立っているわけですよ。

 さらに、今回の事案が新たに発覚して、選挙の公正に対する国民の信頼も揺らいでいます。法秩序を守り、社会の公正を確保すべき国家公安委員長として、御自身の京都府連の不透明な資金の流れを、これを知っていて放置したというなら言語道断ですし、仮に百歩譲って知らないにしても、監督責任を果たせなかったわけですから、その責任があると思います。

 大臣、御自身の責任をどう感じていらっしゃいますか。

二之湯国務大臣 私の政治資金に関する処理は法にのっとって適正に処理していることは、政治資金収支報告書に明らかになっているわけでございます。

 今申しましたような、そういう、私が府連に寄附した、こういうことと、私の政治家としての政治資金の処理の仕方の責任の取り方とは全く話が別問題だと、このように思います。

階委員 ちょっと今の答弁の趣旨が分からないんですけれども、政治資金収支報告書に記載しているということと、買収罪が成り立たないかどうかというのは全く別の話ですね。

 御自身が直接買収資金を供与していなくても、途中、団体を通じて資金が行っていれば、そして買収の意図があれば、これは買収罪が成立するんですよ。幾ら御自身の収支報告書に記載されていても、これはそうなるんです。私、総務省の選挙部にも確認しています。そういうことなんですよ。だから、そういう問題だということがあるので、先ほどの九百六十万円、なぜこんな金額になったのかということを説明してほしいと言っているわけです。ちゃんと説明してほしいんです。

 九百六十万、なぜその金額なのか。府連から地方議員に渡ったお金とは全く関係ないというんだったら、九百六十万円の根拠を説明してください。

二之湯国務大臣 もう七年も前の話でございまして、私はその根拠はつまびらかに記憶しておりません。九百六十万というお金が、私のそのときの気持ちで寄附した、こういうことでございます。(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、止めてください。

    〔速記中止〕

根本委員長 速記を起こしてください。

 国務大臣二之湯智君、もう一度御答弁ください。

二之湯国務大臣 御案内のとおり、参議院選挙というのは全県一区の選挙でございまして、京都府連としてもいろいろな費用が重なるわけでございまして、私としても、そういう実情を見るにつけて、府連に何らかの貢献ができないかということで、そういう、全県一区の選挙を戦うにはこれぐらいの費用が必要だろう、こういうことでその額を決めたわけでございまして、先生がおっしゃっているように、地方議員に金を渡すために決めたんじゃないかということではございません。

 これは、あくまでも、私は、各議員の持っている政治団体に寄附をして、そして、党勢拡大と政治活動に専念をしてくださいという趣旨でございますから、決して、言われているような、右から左へ金を渡して、買収目的じゃないか、こういうことでは決してございません。

階委員 要は、九百六十万円というのが、いわゆる意味ありげな金額なわけですよ。

 そこで、何も、全く火のないところに煙を立てようというわけじゃなくて、二〇一四年の衆議院の総選挙では、ちゃんとそういう、府連を通じての、国政の候補者から地方議員への流れを示す裏づけとなる証拠があるわけですよ。だからこそ、大臣にもそういうことがあったんじゃないかと聞いたわけで。

 いや、ないならないで明確な反論をしてくれればいいんですけれども、思いだとか、九百六十万円の数字の査定根拠とかが全くないので、我々は問題だと思います。

 これは、じゃ、理事会に、九百六十万円の金額となった根拠、これを出していただくよう、委員長、お願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

階委員 それでは、二之湯大臣の話はここまでにしまして、私が取り上げていました赤木訴訟の請求認諾の話、これに話を移したいと思います。

 資料の三ページ目。これは認諾の決裁をしたときに決裁書に付されていた説明の文書なんですが、この三ページ目のところ、真ん中あたりに色を塗ったところに、法務省と協議の上、別添のとおり、被告国第四準備書面、これはパネルにしていますので、このパネルの右側の方がその第四準備書面の中身なんですけれども、こういうことを提出したいと言っていますね。

 この法務省との協議、これは、協議の内容を記録した文書を作成して保管しているのかどうか、理財局長、お答えください。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 当事者間ではこの準備書面そのものを使っての協議ということでございまして、この書面以外のものを持っているというわけではございません。

階委員 これは、協議して、それで、認諾をすることを決めたり求償権を行使しないことを決めたりということなわけで、皆さんの資料、五ページ目、六ページ目、配っているんですけれども、こうした法的な判断をするに当たって内部文書を作っているということは、例の公文書改ざんの際に、虚偽答弁が多々ある中で、法律相談文書も当初ないないと言っていたんですが、後から出てきているんですよ、これは五ページ目に出ていますけれども。こうしたことが過去にもあった。法律相談文書、ないないと言っても出てきた。

 あるいは、今回の公文書改ざんを踏まえて、再発防止ということで、六ページ目には、麻生当時の大臣が、コンプライアンス、内部統制について体制整備や意識改革をしていくということで、七ページ目には、意思決定過程や事務事業の実績を合理的に跡づけ、検証することができるよう文書を作成するというふうに、七ページ目、書いていますよね。

 今の、文書を全く作っていない、これは、公文書改ざんの反省や教訓が全く生かされていないと言わざるを得ないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 公文書の改ざんということが、あってはならないことがあったわけでありまして、財務省といたしましても、その再発防止に向けて様々な取組をしているところでございます。

 具体的に申し上げますと、係員級から幹部まで、それぞれの職位に応じた研修を強化をいたしまして、文書の保存状況等を確認する文書監査につきましては、地方支分部局を含めまして、従来五年間で一巡をしておりましたものを二年で一巡をするように強化をする、また、実地監査を通じて把握した文書管理などの好事例等を全職員に共有化する、そして、ここが一つの肝であると思いますが、決裁を原則として電子化することで後から改変することができないようにするなどの取組を行ってきているところでございます。

 法令に沿って適切な文書管理に努めてまいりたいと思っております。

階委員 では、法務省との協議の内容が記録されていない、文書に残っていないということは問題がないという認識でしょうか。

角田政府参考人 この準備書面の中身自体が、認諾の経緯が分かるようなものとして作られているということでございます。

鈴木国務大臣 認諾に至った理由につきましては、被告国第四準備書面に記載しているところでありまして、当該書面及びその提出に係る決算文書をもって意思決定過程や事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、検証に足るものと考えておりまして、そうした文書を作成、保存したところでございます。

階委員 それから、二之湯大臣も関わりあるところですけれども、公務員制度改革基本法という法律があるんですよ。

 八ページ目にその抜粋を載っけています。上の方に、条文、九条三号というところに、「国家賠償法に基づく求償権について、適正かつ厳格な行使の徹底を図るための措置を講ずること。」ということで、これを踏まえて、このページの下の方に、「公務員制度改革基本法等に基づく改革の「全体像」について」というところから抜粋した七の(四)というところを御覧になっていただければと思います。

 今申し上げました条文上、求償権の適正かつ厳格な行使が求められているところですけれども、そのために、「各府省において、国家賠償法の求償に係る規定について関係職員に周知するとともに、求償権の存否を判断する体制、手続等を明確にすることとする。」というふうになっていますが、財務省、これをやっていますか。理財局長、お答えください。

角田政府参考人 財務省における対応でございますけれども……(階委員「結論だけでいいよ、時間がないから」と呼ぶ)はい、結論。

 まず、周知しているかというと、しておりません。職員は知っていますけれども。(階委員「していないって何」と呼ぶ)はい、していません。それで、職員は知っていますけれども、認識はありますけれども。

 それから、体制の方ですけれども、これはふだんの仕事もそうなんですけれども、必要に応じ、関係部局と協議して、組織として判断するというのが通例でございますので、その通例に従った対応をさせていただいた。特別の体制が定められているというわけではないということでございます。

階委員 二之湯大臣、こんなんでいいんですか。全く無視されていますよね。どうなんですか、これは。求償権行使について、適正かつ厳格にやりなさいと言っても、全く体制も整備されていないじゃないですか。

 もう一つ確認しますけれども、今の最後の方に、「各府省における求償権の存否等の判断に当たって、必要がある場合には、法務省の「法律意見照会制度」を活用する」とありますが、この法務省の法律意見照会制度、活用しましたか。お答えください。

角田政府参考人 個別の案件における活用状況については答えを差し控えるという取扱いになっていると承知しておりまして、したがって、申し訳ございませんが、御答弁できないところでございます。

階委員 この求償権を行使しないということは、一億一千万円、請求を国が認諾すると、それがそのまま税金から支出されて、そのままになってしまうんですよ。

 過去に請求の認諾がなされた例で、十ページ目に、これは先日の参議院予算委員会での答弁を抜粋したものですけれども、何か、国賠訴訟で認諾した事案というのが三つほどありまして、これは一、二、三と線が引いてありますけれども、法務大臣に伺います。この認諾の金額、それぞれ教えていただいていいですか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 まず、検察官が起訴後に接見指定したことについて損害賠償を求めた事案における認諾額は六十万円。

 続いて、海難事故の被災者の遺族などが遺骨の返還等を求めた事案は、遺骨の返還について一部認諾したものでありまして、金銭請求について認諾したものではございません。

 それから、無罪判決を受けた元厚生労働省局長が損害賠償を求めた事案における認諾額は約三千七百七十七万円でございました。

 それから、特定非営利活動法人が行政文書の情報開示請求に対する不開示決定について損害賠償等を求めた事案における認諾額は約百十万円でございました。

階委員 お聞きになったとおり、一億一千万というのは桁違いなんですよ。莫大な金額を認諾し、かつ求償権も行使しない。

 ちなみになんですけれども、九ページ目、見てください。これは赤木夫人が佐川元局長に起こした裁判で、佐川元局長側が裁判所に出した書面なんですけれども、これは何を言っているかというと、赤木夫人が、佐川元局長も個人的に公文書改ざんを指示したのだから責任があるだろうと言っているんですが、一切責任はない、そもそもそんなことを言うこと自体、主張自体失当、要は、でたらめなことを言っているという、失礼なことを言っているわけですよ。一切、責任を負ってお金を払うつもりはないというふうに佐川元局長は言っている。だからこそ、逆に言うと、国がちゃんと求償権を行使しないと、本当に税金が無駄になってしまう。予算の審議もしていますけれども、こうした一億一千万も放置していていいのかということなんですよ。

 さっき言ったように、体制整備もちゃんとされていません。そして、意見照会したかどうか、これも明らかにしない。更に言えば、過去の事例に照らして、この求償をしないとなれば、一億一千万もお金が流出してしまう。こういうことを考えた場合に、今回の請求認諾と求償権の行使をしないという判断は、手続的にも実体的にもおかしいと思いますよ。

 財務大臣、これはやり直しすべきだと思います。認諾はもう裁判上の手続だから動かせないにしても、求償権を行使しないという判断は見直すべきだと思います。いかがですか。

鈴木国務大臣 毎回同じ繰り返しになる部分がございますので恐縮でありますが、国家賠償法において、国が支払った賠償金について、職員に故意又は重大な過失があったときは職員個人に求償することができると規定されております。

 今回の訴訟においては、赤木さんが当時、森友学園案件に係る様々な業務に忙殺され、本省からの決裁文書改ざん指示への対応を含め、厳しい業務状況に置かれる中、国として安全配慮義務を十分尽くせなかったことについて、国としてその責任を認め、認諾したものでございます。

 一方、赤木さんに対しましては、職員の業務負担を軽減すべく、人員の追加加配でありますとか業務配分の見直し、あるいはリハビリ出勤の開始、復帰に向けた配慮にも努めてまいりましたし、そのほかにも様々配慮をしたところでございまして、以上を踏まえれば、国として安全配慮義務を十分尽くせなかったとしても、重大な過失があるとは考えておりません。

 したがいまして、国家賠償法に沿いまして、国には請求権は有していないと考えております。

階委員 この点についていろいろ言いたいことはありますけれども、また別の機会に言うとして。

 最後に、藤井審議官のことについてもお尋ねしていきたいと思いますけれども、先週、渡辺委員が質問されていたことですけれども、官房長官、藤井さんの更迭の前提となった事実関係について、調査結果はどのようになりましたでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今般、藤井敏彦元内閣官房内閣審議官について、処分につながる可能性のある行為を把握をし、現在、本人も含めて、事実関係の確認、調査を行っているところでございます。

階委員 全く進展がないということですか、この何日間かの間。でも、更迭はされているわけですよね。どういうことなんでしょうか。

 なぜ調査結果がいまだに明らかにならないんですか、更迭したのに。教えてください。

松野国務大臣 現在、事実関係の確認、調査を行っているというのは、先ほど答弁をさせていただいたとおりでございますけれども、このような状況において、同氏に経済安全保障法制準備室長の職務を続けさせることは困難と判断をしたため、二月八日付で、派遣元である経済産業省に異動させたということでございます。

階委員 公務員の職務の執行に疑念が抱かれています。全体の奉仕者性であるとか、公正性、中立性に疑念が抱かれている。

 とりわけ経済安全保障法制、今回の国会の最重要法案と言っても過言ではないと思います。この法案の策定過程で不適切な、事業者との癒着があったのではないかという疑念が持たれています。

 調査結果を早急にまとめて、この法案の提出前に国会に出すということをお約束いただけませんか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 できる限り速やかに調査を進めさせていただきまして、事実が判明し次第、適切に対応させていただきたいと思います。

階委員 法案の前に出していただく、不適切な関係がなかったのかどうか、これをしっかり調べて出していただくということをお約束いただきたいと思いますが、その点、確認させてください。

松野国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございますが、できるだけ速やかに事実関係を調査してまいりたいと考えております。事実関係が判明し次第に、適切に処理をして、対応してまいりたいと考えております。

階委員 経済安全保障法制で、民間企業には機密を守れとか言っているわけですが、その守れと言っている張本人の人が機密を漏らしたんじゃないかというような疑惑であるとか、さっき言ったように、民間企業と癒着がある中で、そういう方々の便宜を図ったような法案を作っているんじゃないか、そういう疑念が持たれているわけで、この法案の審議をする大前提だと思いますよ。

 ですから、これは法案を提出する前に、だって、もう更迭しているんだから、更迭しているということは理由があるから更迭しているわけで、その理由をしっかり文書にしてこの予算委員会に提出してください。

 委員長、お取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

階委員 国交大臣にも来ていただいているので、統計不正について、資料として、皆さんのお手元には十一ページ、そして、パネルの方も用意しています。

 十一ページは、これは宮崎委員がこの委員会でお示ししたもので、要は、GDPに関係するのが建設総合統計なんですけれども、その建設総合統計の伸び率というものは、今回問題となっている受注統計の伸び率を前提にして出されているということなんですね。

 宮崎さんがおっしゃるには、確かに不適切な処理はあったけれども、この十一ページ右側の黄色い棒グラフ、二つありますよね。過去の受注総額にも、現在の受注総額にも、同じように不適切な処理があれば、それぞれ不適切な部分が上乗せされているから、伸び率も実は何も不適切な処理がされていない場合と変わらないはずだ、こんな議論だったと思うんです。

 ただ、実際調べますと、このパネル、皆さんのお手元だと、(B)というところと(C)というところ、注目していただきたいんですが、二〇一八年は、(B)、(C)共に、不適切要因が一、二、三、六、これは同一ですから、宮崎さんの議論が当てはまるかと思います。

 ところが、二〇一九年では、(C)の方には四という違うものが入っています。二〇二〇年ではさらに、(B)の方には一とあるのが(C)の方にはなかったりとか、あるいは、(C)の方には五とか四とか新たな要因が入ったりというようなことがあります。二〇二一年については、五、六が(C)ですけれども、(B)については一、二、三、六、全く違う要素が不適切要因として加わっているということなので、私は、宮崎さんの議論は必ずしも当てはまらない、つまりは、こういう宮崎さんの理論のように今回の不適切な処理の影響は軽微とは言えないというふうに思うんですが、大臣にこの点について見解を伺います。

斉藤国務大臣 建設工事受注動態統計調査の受注総額の伸び率を算出する際、現在の受注総額と過去の受注総額に二重計上等の不適切な数値が含まれていたとしても、同一の要因であれば双方に同等の影響を与え、打ち消し合うことになるため、その影響は軽微であると考えています。

 このように軽微と考えられるものの、不適切な処理が受注総額及び伸び率に具体的にどの程度影響を与えていたかについては、調査票の精査等が必要であり、現時点で正確に申し上げることは困難です。

 このため、建設総合統計への影響について、統計の専門家から成る遡及改定検討会議を設けました。建設工事受注動態統計調査に関する議論を踏まえつつ、この遡及改定検討会議でしっかり真に近い値を出していく、その努力を今、国土交通省で行っているところでございます。

階委員 正面から答えにはならなかったけれども、あくまで、同一の要因が前と後で加わっている場合には影響は軽微だけれども、今回はそうじゃない、同一の要因が加わった場合だけではないということですから、大臣の議論に従ったとしても、これは影響は軽微とは言えないというふうに思っています。

 もう時間が来ましたので、終わります。

 日銀総裁におかれましては、今日は済みません、時間がなくて。また財務金融委員会等で御質問したいと思います。

 野田大臣についても、恐れ入ります。私が申し上げたかったのは、地方創生臨時交付金、これは事業者支援分というのが過去ありましたけれども、もう底をついてきて、蔓延防止措置地域以外、私の岩手もそうですけれども、そのことについて、蔓延防止措置地域以外のところについて事業者支援分が必要だということを思っておりますので、その点、御配慮いただきたいというふうに思います。

 参考人招致、藤井元審議官についてお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

階委員 ありがとうございました。

根本委員長 これにて階君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。今日もよろしくお願いいたします。

 まず、コロナについて伺っていきたいと思います。

 午前中の質疑でもありましたが、感染者が徐々に減ってきているという報道も目にするようになりました。果たしてこれが、新規感染者自体が本当に減っているのか。

 あるいは、ニュースでもありましたけれども、例えば、大阪でHER―SYSに入力が遅れ、漏れていたということも報道でありました。本当に実態が把握されているのか、実態を追えているのかということを疑わざるを得ない、そういうニュースでもありましたけれども、こうした大阪での遅れ、HER―SYSの入力の遅れ、これはほかの自治体でもあるのではないかというふうに思いますが、まず、厚労大臣、こういったHER―SYSの入力の遅れとか、大阪以外、何か把握しているのはあるんでしょうか。

後藤国務大臣 まず、感染の拡大の件でございますけれども、新規感染者の増は、増減率が一を下らない限りは、前週今週比の比率が下がっても感染者は減らないということでございますので、そういう意味では、まさに先生が御心配されているように、新規感染者の数、それから、拡大していったときの今後の重症化等、非常に注意して我々としては見ているところでございます。

 今、全国で、HER―SYSの入力でございますけれども、これについては、できる限り入力をしていただきたいと我々思っておりますけれども、現場が逼迫しているような場合には、HER―SYSの入力が大阪以外でも遅れるということはあるだろうというふうに思っております。

源馬委員 そこはやはりきちんと把握をしておかないと、これからどういう対策を取っていくかということにも大きく影響してくると思います。

 午前中の長妻委員の質疑の中でも、三倍ぐらい、実態と、死者数が三分の一ぐらいになるというようなケースも紹介されていましたし、こうした新規の感染者、あるいは死者数とか重症化数、これはやはりきちんと正確に把握すべきだと思いますが、これは、今のところでは、政府でもきちんと正確には把握できていないというのが実態ということでよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 死亡者の把握ということについて言えば、例えば、午前中での質疑でもありましたけれども、警察の検案等については、これはデータもあります。ただ、自宅で亡くなった分がどうかとか、搬送中のものがどういう扱いになるとか、それぞれのデータで特徴があります。

 地方自治体の方もそうしたデータを取っておりまして、いろいろな形で亡くなった方のデータをきちっとそろえていくということは必要でしょうけれども、その中で、自宅で亡くなっている方、どういう態様で亡くなっているのか、そうした分析をしていくということは、なかなか、現場が厳しいときにできないときもあるということでございます。

源馬委員 やはり正確に把握し切れていないということを今おっしゃったんだと思います。

 死者は、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、警察の発表とかもあって、この数がどんどん増えてきているわけですよね。何か一見すると、感染者、ピークを過ぎたように見えるけれども、死者の数は全然減っていない。昨日も、新たに百三十八人という報道がありましたけれども、やはり実態とかけ離れているところがあるのではないかなと思います。

 今日は尾身会長にも来ていただきましたけれども、伺いたいんですが、こういう今の状況で、これはもうピークアウトしてきているんだというように捉える現状なのか、御認識をまず伺いたいと思います。

尾身参考人 委員お尋ねの、今の報告数の正確さということだと思いますけれども、そもそも、致死率なんかもそうですけれども、本当は分母は全ての感染者ですよね、全ての感染した人が分母、それで重症化あるいは死亡した人が分子となるわけですけれども、コロナウイルス、インフルエンザもそうなんですけれども、御承知のように、全ての感染者は、無症状者等々がいるので、それは捕捉していません。したがって、致死率なんかも、実際に検知された人を分母にしているので、どうしても過小評価、過大評価というのはあります。

 それと同時に、いろいろな重症化等は、検査の体制にもよるし、それから医療の体制、医療が逼迫しているかどうかによっても分母、分子が変わっていくことで、文字どおり正確なデータというのは、これはそもそもないということで、その上、今御指摘の保健所機能が非常に逼迫しています。したがって、全てのケースに検査ができないということで、正確な、文字どおり正確なデータというのは、今、残念ながらないというのが現実です。

 そういう中で、全体として、沖縄なんかも含めて多くの都道府県で少しずつ感染のあれが鈍化して、一部の県では下がっているという大きな傾向については、私はそういう傾向があるということでいいと思いますが、正しい数ですね、そういうことを今把握しているかというと、現状、あるいはその病気そのものの性格でそういうことができないというのは事実だと思います。

源馬委員 もちろん、何百何十何人とかまで、その正確な数、それは困難だということは当然分かるんですが、先ほど後藤大臣からも御答弁があったとおり、だんだん追えなくなってきたりとか、みなし陽性なんかもあって、随分今までと、正確性がもっと揺らいできているのではないかというふうに思うんです。

 なので、そういう状況にありながらも減少傾向、ピークアウトしてきている状況という認識なのかどうか、尾身会長にもう一度伺いたいと思います。

尾身参考人 私たちは今何が一番求められているかということを考える必要があると思います。この病気、そもそも、委員御承知のように、軽症者が非常に多い、その中で一部の高齢者あるいは基礎疾患を持っている人が感染すると、残念ながら、非常にはっきり分かれているわけですよね。

 そういう中で、今、実は保健所の体制も、従来どおり全ての感染者を基本的にはしっかりと追ってというふうにずっとやってきたわけで、今、そこで、厚生省もここに来て、この病気の実態に合わせたような保健体制、医療体制ということを、そのことはどういうことかと一言で言えば、感染した後の重症化リスクが高くて、したがって、死亡のリスクが高い人をなるべく早く検査して、なるべく早く治療に結びつけるという体制へ今シフトしていると思います。

 私は、そういうことで、検査、本当のことを言えば、一例一例についてしっかりとやることがそもそもこれの基本ですけれども、現状は、多くの人が軽症で、それ全てに限られたリソース、今、医療の方、徐々に拡大していますよね、それでもリソースは有限ですので、その限られたリソースをどう重点化するか。つまり、重症化しやすい人を早く検査して、早く治療につなげるということが私は今一番求められていることだと思います。

源馬委員 ありがとうございます。

 その上で、今、感染者数の大きな傾向としては減ってきているかもしれないけれども、先ほども申し上げましたが、死亡者は増えている、あるいは高止まりしているという状況だと思います。

 先日のこの予算委員会での尾身会長の御答弁でもありましたが、ピークアウトしたとしても、マッターホルン形ではなくて富士山形に近い形になるだろうと。

 ということは、これからも死亡者数というのはこのぐらいの推移、あるいは、もっと増えていくというふうに見込まれるのか。どういう御見解か、ちょっとお伺いをしたいと思います。

尾身参考人 死亡者数の推移という意味では、私は、仮に多くの県がピークアウトしたとしても、しばらく重症者数、これは委員、もう皆さん御承知のように、遅れて出てきますので、多くの高齢者が今感染していて、実際には、高齢者施設なんかでクラスターが今も進行しているので、こういうことがあるので、重症者数の増加というのはしばらく、残念ながら何人か死亡されることもその中から出てくるということは、当然それを防ぎたいわけですけれども、今の状態や重症化数の増加というものはここしばらく続くのではないかと私は思っています。

源馬委員 ここしばらくは死亡者数の増加が続くのではないかということでした。

 先ほどの御答弁でもありましたが、限られたリソースをいかに死亡者を増やさないかというところに重点的に充てていくべきだというような御答弁だったと思いますが、厚労大臣、この限られたリソースをいかに割り振って、死亡者数をいかに減らしていくか、この対策はどのように取られていくんでしょうか。

後藤国務大臣 今、オミクロン株への保健医療提供体制の対応につきましては、感染状況やこれまで明らかになっているオミクロンの特性、まさに先生から御指摘をいただいたようなオミクロン株の特性も踏まえまして、昨年十一月に取りまとめました全体像で準備してきた保健医療体制をしっかりと稼働させていくということが対応の基本であると考えておりますが、特に、その中でオミクロン株の特徴に対応した対策を強化、迅速化していくということが大変大切だと思っております。そして、ワクチンや検査、治療薬といった予防、発見、早期治療の流れを引き続き強化していくことが重要だというふうに思います。

 特に、具体的な対策としましては、高齢者施設の入居者、従事者へのワクチンの三回目接種の促進や感染対策強化、また、そうした高齢者施設の中で医療の提供等も含めたサポート体制を強めていくこと。

 それから、今後、入院患者の確実な受入れに更に万全を期すために、臨時の医療施設をつくる。例えば、東京都、大阪府と協力しまして、国で合計約千床の臨時の医療施設をつくるということで、地域が施設をつくりますけれども、その医療人材については国が全面的に公的・公立病院から派遣する体制を取ること。

 また、一日百万回も、自治体での接種に加えて、職域接種も推進することで達成していく。

 そのような、いろいろな体制で臨みたいというふうに考えております。

源馬委員 具体的には、よく分からない、今までと何が変わるのか。死亡者が増えたというのも、第五波のときとは全然違う状況なわけですよね。第五波のときは最高でも八十九人だったのが、今はもうかなり、百五十人ぐらいで推移をしている。こういう状況なのに、何にも具体的な対策が変わらないというようなことだと思います。そういう姿勢も、やはり国民に、ワクチンも別に今打たなくてもいいんじゃないかなという、そういう気持ちにもさせてしまっているのではないかというふうに思います。

 今日の午前中の質疑も伺っていましたが、なかなか目標を、この一日百万回ということ以外の目標はなかなか打ち出されませんし、それしかないというようなことでした。

 長妻委員が午前中の質疑のときに、せめて高齢者施設は二月末までに全部打ってください、やりますかというお話をしたときに、ちょっとはっきりしなかったんですが、答弁で、そういう方向で努力しますというような御答弁があったと思うんですが、それは、二月中に高齢者施設へのワクチン接種は終わらせる、そういう目標でいらっしゃるということでよろしいでしょうか。

後藤国務大臣 高齢者施設等については、最も緊要度が高いということで、医療従事者と並んで、早くからお願いをしているところであります。そういう意味で、できる限り早くというふうに考えております。

 例えば、今、ワクチンをお配りする前提として、どういうふうにワクチンをお配りしてワクチンを打っていただくかということについては、これは前倒しに合わせてお送りしておりまして、そういう意味では、打っていただける分のものをお送りして……(発言する者あり)

根本委員長 大臣、端的に答弁して。

後藤国務大臣 お願いをしておりますので、できる限り早くにお願いをしたいと度々申し上げているとおりであります。

源馬委員 二月中に終わらせられるように努力をされるという答弁だったと思いますが、そういうことでいいですか。二月中に終わらせられるように努力をされるんですね。

後藤国務大臣 そういう意味でいえば、できる限り早くということで、二月中までというふうに申し上げているわけではありません。

源馬委員 午前中はそういう方向で努力するという御答弁があったと思いますよ。目標はない。目標をつくった方がいいんじゃないですか、やはり。最初のワクチンのときだって、一日百万回すら目標をつくらない、つくらないと言い張っていて、結局、それで遅れているじゃないですか。

 長妻委員も御指摘になりましたけれども、二月中に三回目接種の対象者になる数も三千七百万人以上いらっしゃるのに、今のペースでいったら全然追いつかない、それすら目標をつくらないと。やはり、本当に政府がオミクロンの収束あるいは死亡者を減少させるということに本気なのかということが、目標すらつくらないと、やはり国民にも伝わりにくいと思います。御見解を。

後藤国務大臣 ですから、目標としては、一日百万回をできる限り早くに達成することが政府としての目標です。

 それから、今おっしゃった数字については、先ほど答弁をしかけましたところ、答弁は要らないというような様子だったので、ちょっと途中で圧縮しましたけれども、接種時期というのは、二回目の接種の時期が分かっておりますので、それに合わせて、前倒しの計画の一番早いところに従って、ワクチンの配付も、そしてお願いもいたしております。

 高齢者の施設につきましては、一つずつ、今、地方自治体とも、どういうふうにしたら打てるのかということを丁寧に相談をさせていただいております。そういう意味では、高齢者施設については、まとまって高齢者の方が施設におられるので、できるだけ早くやるということで、そういうことで今申し上げているわけであります。

源馬委員 本当に遅過ぎると思います。今、自治体と相談するんじゃなくて、もっと早くからやはりやっておくべきであったのではないかと思います。せめて二月中ぐらいには高齢者施設だけでもぐらいの目標も立てられないかというふうに思います。

 ちょっとほかの質問もありますので、次に移りたいと思います。厚労大臣と尾身会長、ありがとうございました。

 事業復活支援金について伺っていきたいと思います。

 令和二年度に行われた持続化給付金について、会計検査院の検査報告書がありましたが、これに従って質問をしていきたいと思います。

根本委員長 じゃ、厚労大臣はもうよろしいですか。

源馬委員 はい、厚労大臣は結構です。ありがとうございました。

 この持続化給付金の事業をめぐっては、サービスデザイン推進協議会が七百六十九万円余りで委託契約を締結し、そのうちの九九・八%を再委託していたということが国会でも問題になりました。これを受けて会計検査院が検査を行ったわけですが、この検査報告で述べられている所見を端的に教えていただいてもよろしいでしょうか。

宮川会計検査院当局者 お答えいたします。

 令和二年度決算検査報告に特定検査対象に関する検査状況として掲記いたしました持続化給付金事業の実施状況等について御説明いたします。

 検査いたしましたところ、中小企業庁が一般社団法人サービスデザイン推進協議会に委託した事業について、同庁は、入札公告前に特定の民間事業者等と事前接触して事業についての意見を聴取しておりましたが、やり取りの詳細は記録されておりませんでした。

 また、同庁は、どのような業務が再委託等が禁止される企画管理業務に該当するかを文書等で具体的に整理しておらず、同協議会が再委託しようとしている業務が再委託が禁止される企画管理業務に該当していないかについて十分確認しておりませんでした。

 さらに、当該委託事業における事業参加者は延べ七百二十三者、その階層は最大で九次請までとなっておりました。

 持続化給付金に係る不正受給の返還金の一部又は全部が国庫に納付されておりませんでした。

 そして、検査の状況を踏まえた会計検査院の所見といたしまして、今後、経済産業省が事務局業務を委託する場合におきましては、次の三点、まず、アといたしまして、特定の民間事業者等と事前接触を行った場合にはやり取りをより詳細に記録することなど、二点目、イといたしまして、再委託等を禁止する業務の範囲をあらかじめ具体的に整理するなどして受託者が当該業務を再委託等しようとしていないか確認すること、再委託費率が大幅に高くなることが見込まれる場合には再委託の承認に向けた手続を慎重に行うこと、さらに、主要な業務については発注者である国が容易に管理できる範囲の事業参加者にとどめて実施されるような工夫をすることなど、それから三点目といたしまして、いまだ国庫に納付されていない返還金について不正受給者に対して返還を強く求めていくことなど、これらの三点に留意することが必要であると記述したところでございます。

源馬委員 三点の所見をいただきました。

 一点目の事前接触については、今回ないということを確認していますので、いいと。三点目の不正受給についても、この前ちょっと取り上げました。

 再委託についてなんですけれども、今度の事業復活支援金の再委託費率、これは何%で、全体予算のうちどのぐらいを再委託しているのか、経産大臣に伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 本事業は、契約金額五百一億円、再委託金額約四百二十八億円であり、再委託費率は約八五・四%でございます。

源馬委員 八五・四%再委託するというのは、これは高くないですか。

萩生田国務大臣 事業復活支援金は、給付事業者数を約四百二十万者と見積もっており、申請を適切に処理し迅速な給付を実現するため、約一万人に上る審査体制を構築した上で、約三千人に及ぶコールセンターや電子申請をサポートするための会場を全国六十四か所で整備するなど、複雑なシステムと多数の人員を必要とする大事業であります。

 これらを委託先一者のみで担うことは現実的ではないことから、事業を細分化し、複数の事業者に再委託を行うことで、効率的に迅速に事業を実施することを可能としております。

 これらの再委託に当たっては、省内のルールに沿って、契約締結前に再委託の必要性に関する理由書の提出を求め、委託先が行う事業全体の企画立案及び根幹に関わる執行管理の内容を確認するとともに、再委託先の選定方法や契約金額、業務内容の適切性を確認しているほか、契約締結後に再委託先の変更が生じた場合にはその都度報告をさせることとしております。

 引き続き、無駄な事務費、委託費が生じることがないように、適切な執行に努めてまいりたいと思います。

源馬委員 経産省がやっているほかの六十一事業に係る再委託費率は、平均五四・六%ということです。九九・八とかこの八五とかを入れて平均が五四・六なので、ほかのはもっと、大分低いと思うんですね。

 再構築補助金はちなみに何%なんでしょうか。

根本委員長 経済産業大臣萩生田光一君。分かりますか。

萩生田国務大臣 再構築補助金ですね。一四・八%です。

源馬委員 やはりこれだけ、一四・八%でできるというものなんです。もちろん、中身が全く同じではありませんが。

 ちなみに、問題になった持続化給付金のときの第二次の方も再委託していますが、これは六七・六%ですね。これぐらいに下げることができるという中で、また八五・四%というのは、余りにも高過ぎるのではないかと思います。

 これは、ちなみに、デロイトが受託者ですが、デロイトが行う、つまり再委託していない業務というのは何があるんでしょうか。

根本委員長 経済産業大臣。早く確認してください。(発言する者あり)

 じゃ、時間をちょっとだけ止めますから。

    〔速記中止〕

根本委員長 速記を起こしてください。

 萩生田光一君。

萩生田国務大臣 デロイトが直接やる……(源馬委員「そうです、再委託していない」と呼ぶ)約一五%です。(源馬委員「いや、どういう業務か」と呼ぶ)どういう業務か。(源馬委員「企画管理業務なんじゃないんですか」と呼ぶ)

 さっきちょっと申し上げたんですけれども、要するに、必要な申請受付、審査、振り込み、コールセンター、申請サポート、事前確認、システム、広報など、多岐にわたる業務、これら企画、設計、執行管理を行うことになっております。

源馬委員 企画、執行管理というのは、今おっしゃったコールセンターとか審査とかそういうのも、再委託せずに、デロイトがそのままやるということですか、一五%の部分で。

萩生田国務大臣 いえ、それを企画、設計して、そして、コールセンターは、コールセンターをできる会社を複数選んで再委託しています。

源馬委員 会計検査院に伺いたいんですが、この持続化給付金のときの検査報告で、企画管理というのが、中身が具体的によく分からないと。これは、指摘を受けて、経産省が自ら二一年の一月にルールを変えて、その後でも、企画管理とは具体的に何なのかが明らかになっていないという御指摘だったと思いますが、それでよろしいでしょうか。

宮川会計検査院当局者 お答えいたします。

 令和二年度決算検査報告に掲記いたしました特定検査対象に関する検査状況では、お尋ねになりました三年一月の手引の改正前に締結された持続化給付金事業等を対象として行った検査の状況に基づきまして所見を記述しているところであります。

 会計検査院といたしましては、今後、三年一月の手引改正以降に経済産業省において締結された契約が本院の所見を踏まえたものとなっているかなどについて確認していきたいと考えております。

源馬委員 その改正された委託事業等の手引というのでは、総合的な企画及び判断並びに業務遂行管理部分については再委託できないというふうになっていますが、こういう部分については再委託していないということなんでしょうか。具体的な企画管理業務というのは、どういうことを表しているのか。この会計検査報告でも分からないと言われていた企画管理業務というのは何なのか、一五%ぐらい、一五%弱でやっている内容、これを教えていただきたい。

萩生田国務大臣 大きくは、全体の申請業務などです。

源馬委員 申請業務というのは何なんでしょうか。

 例えば、審査及び審査内容の確認なんというのも再委託先もやっているようですが、今おっしゃったその申請というのは、どういう業務をやられているのか。

萩生田国務大臣 先ほど申し上げましたが、必要な申請受付、審査、振り込み、コールセンター、申請サポート、事前確認、システム、広報などの多岐にわたる業務の実施に関する企画、設計、執行管理を行います。各業務の実施に当たっては、個別業務のフローの構築、マニュアル作成、見直しのほか、体制構築、運営管理、サポート、不正対応などについても行います。

 いずれにしましても、大きな骨格はつくった上で、そこに二次的、三次的に企業の人に入っていただいて、マンパワーが必要になるものについては、そこにそれぞれ再委託が発生しているというのが実情です。

源馬委員 ちょっと細かくはまたの機会にやりたいと思いますが、再委託先でも審査をしているというのがあります。

 審査というのは、まさに、さっき申し上げた、再委託することができないという判断とか業務遂行管理部分に当たるというふうに、遂行管理部分は違いますが、判断に当たるところだと思うんですよね。こういうところまで含めて再委託してしまっている。しかも、八五%以上を再委託しているということはほかの事業でもないわけですから、せめて上限をつけるなり、再委託のルールをもう一回見直した方がいいのではないかと思いますが、お考えを聞かせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 とにかくこれは、非常に多くの数、四百二十万者を、申請をする前提で、先ほど申し上げたように多くの人たちのマンパワーが必要になります。

 先生の御心配は、元請がきちんとした仕事をしないで、言うならば、前回問題になった中抜けと言われるような、業務を行っていないのに二次下請、三次下請にどんどん出しているんじゃないかということを多分危惧されているんだと思うんですけれども、おっしゃるとおり、審査をする会社もありますけれども、それは、審査マニュアルを元請がきちんと作って審査基準を明確にして、そして、こういう形で、これは採択にして、これは一回戻してくれ、これは一回とどめてくれというような細かいことを指示をしながらやっていますので、御指摘のような心配には当たらないと思います。

源馬委員 ありがとうございます。また引き続き取り上げていきたいと思います。

 野田大臣にお伺いしたいと思います。

 政府は、平成二十七年から地方拠点強化税制というのをやって、東京二十三区からの企業の本社機能を移転させて人を移動させよう、こういう取組をされてきたと思うんですが、この平成二十七年から七年間で、どのぐらいの企業がこの税制を使って東京から地方に本社機能を移転して、どのぐらいの人が実際に地方に移動したのか、教えていただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 地方拠点強化税制については、東京二十三区から本社機能を地方に移転する移転型事業と、地方に所在する本社機能を拡充する拡充型事業のいずれも適用対象となっており、平成二十七年度の制度創設以降、令和二年度までの六年間に百九十八件の適用実績があり、その適用金額は累計七十五億円程度と承知しています。

 移転型事業で本税制の適用を受けた実績は、令和三年十二月末までに企業から都道府県に提出された実績報告で把握する限り、八社の企業において累計五十名程度の従業員を東京二十三区から転勤させていると認識しています。

 また、本税制においては、移転型事業のみならず拡充型事業についても、地方への企業や人の流れの創出という観点から重要と考えています。同様の実績報告で把握する限り、百二十八社の企業において累計五千名程度の雇用を地方で創出していると認識しています。

 加えて、都道府県から計画認定を受け、実際に地方拠点を整備したものの、赤字決算であった等の理由により本税制を活用できなかった企業が存在することを踏まえ、企業の地方移転等については、本税制を呼び水に、一定の成果を上げていると認識しています。

源馬委員 七年間やって八社で五十人ぐらいが移動したと。これだけじゃないので、これだけでこの事業が間違っているんじゃないかとかと言うつもりはもちろんないんですが、余りにも、七年間で八社で五十人じゃ、ちょっと東京から地方へ人の移動というのは、これじゃない感がすごいあるなという気がします。

 いろいろこれも事前に伺っていたら、やはり、本社が移動したら人が移動するんじゃなくて、本社が移動するにも、やはり取引先との関係がどうなるかとか、社員の子育ての環境がどうだとか、そういうところが総合的にあるので、やはり二の足を踏む。結果、七年で八社しか、五十人しか移動していないということだと思うんです。

 これは、こども政策担当大臣も兼務されている野田大臣に、是非そういう、子供を育てるような環境とパッケージにした、もうちょっとより効果的な何か制度を是非考えていただきたいと思うんですが、その辺りについての御所見を伺いたいと思います。

野田国務大臣 御指摘のとおりで、まず、今ある地方拠点強化税制については、本税制の適用期限の延長に加えて、中小企業についても、地方拠点での雇用者の増加数が一名でも適用できるような制度の緩和などについて盛り込んでいるところです。これらの税制改正の実現に向けて、御審議を今お願いしています。

 また、地方への企業や人の流れの創出に向けては、本税制に加えて、デジタル田園都市国家構想推進交付金や企業版ふるさと納税の活用等によるサテライトオフィスの整備を促進するとともに、地方創生移住支援事業により支援を行うなど、関係施策を活用して総合的に取り組んでおります。

 まさに、御指摘のとおり、子育て環境の充実で地方で働きやすく暮らしやすい環境を整えることはとても重要な要素であることを踏まえ、結婚、出産、子育てしやすい環境の整備など、併せて引き続き自治体と連携してまいります。

 いずれにしても、呼び水であることは間違いなく、総合的にいろいろなことをやっていかない中、今後は少子化対策又は女性政策も重ねて取り組んでいくということで、よろしくお願いいたしたいと思います。

源馬委員 ありがとうございました。

根本委員長 これにて源馬君の質疑は終了いたしました。

 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。本日も、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。

 まず最初に、国土交通大臣に、順番を入れ替えて、雪害について、豪雪対策について伺いたいというふうに思います。

 私の地元北海道、この冬は本当に雪が降っております。特に、私の選挙区でもあります札幌市では、観測史上最多の二十四時間当たり六十センチもの積雪を観測しました。札幌市内では、除排雪が追いつかず、交通機関は麻痺しておりました。

 今も除排雪は完全に終わっていない。大体、幹線道路はもとより生活道路、本当に狭かったり、凸凹だったりして、本当にスタックするところがたくさんあります。バスは運休、また大渋滞、救急車の搬送時間も今までよりも、平均よりも長くなっているという、命にも直結した問題でもございます。

 こうした事態になったのは、一度に大量の降雪があったこともありますけれども、そのほかにも様々な要因も考えられます。いずれにしても、降雪時の迅速な除排雪体制は、雪国、北国にとっては大変重要でございます。

 立憲民主党は、先日、国の財政上の措置に関する規定の義務化などを示しました豪雪地帯対策特別措置法改正案を今国会に提出いたしました。また、斉藤国交大臣も、先日の、先週十日の閣議後の記者会見で、北海道内を始め全国各地の記録的な大雪を受けて、道路除雪費が不足するおそれがある自治体に対して追加の財政支援策を実施する考えを明らかにされました。これは二年連続ということでございます。

 これは本当に重要でございますし、雪国、北国においては、追加、これだけかかったから後で追加で出しますよという国の考え方も分からなくもないんですが、自治体としてみれば、除排雪に関しては、地元の業者との計画をしっかりとやらなきゃいけない。事前に人手やトラックや様々なものを確保しておかないといけない。

 そうした意味でいえば、かかった分を、予算を後で措置するよりも、しっかりとその前に自治体に潤沢な除排雪予算があるということの方が私は重要だというふうに考えるわけでございますが、これは是非、こうした点は迅速に、今、道路除雪に関しては地域から様々な意見をこれまでも集約されているというふうに伺っておりますけれども、是非これは迅速に給付していただくとともに、総務省とともに、元々の地方に対する交付税額の中に除排雪費用というものをもっと増額して交付していただきたいというふうに思っております。

 これは道路だけではありません。国交大臣にお伺いしたいのは、今回の雪害において、JR北海道、鉄道ですね、大規模運休は、これは災害級であります。私も戻ろうとしたんだけれども戻れなかったんですが、今月六日の午後から札幌圏の路線が運休となり、もう全面運休、札幌圏の全面運休が数日間続き、やっと本日、札幌圏の全面平常運行がやっと本日になって回復したという状況でございます。

 これは、もちろんJR北海道の様々な課題、人手不足ではないか、いろいろあるんですけれども、いろいろなことの課題があるわけで、しっかりとJR北海道からそうしたものを、意見というか課題というか、しっかりと聴取した上で、これらに何らかの支援措置が必要と考えます。

 道路の除雪費も分かるんですけれども、やはり利用者にとって鉄路も、鉄道で、道路の一環だと思います。道路に対する除雪予算も、そうした鉄道だとかにもしっかりと活用できるような制度、仕組みというものが必要だと思います。

 それらも含めて、斉藤国交大臣に伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 今般の北海道における大雪により、札幌都市圏を含め複数の路線が長期にわたり運休となり、多くの御利用者に御迷惑をおかけする事態となりました。

 公共交通機関としての安定輸送を確保する観点から、同様の事態の再発防止に向けて、今般の対応が適切であったかについてJR北海道においてしっかりと検証し、報告するよう指示したところでございます。

 今回、非常に一時的に大雪が降って、各駅に電車が滞留してしまいまして、なかなか除雪車が線路を走れなかったということもございますが、そういうことも含めて、今JR北海道に検証をお願いしているところでございます。

 JR北海道に対しては、道下委員御存じのように、昨年三月に成立した改正国鉄債務等処理法により、同社の経営自立に向けて、本年度から令和五年までの三年間で総額約千三百億円の支援を実施しているところです。この支援では、安全性や生産性の向上を通じた同社の経営基盤の強化を促しており、除雪車の更新、高性能化等の雪害対策も対象となります。

 今後、JR北海道の検証結果を踏まえ、国としても、この支援の枠組みを活用して必要な対策を促進してまいりたいと思っております。

道下委員 省力化、省人化に向けた補助制度でもあります。除雪作業車が老朽化して、そこで故障して、そして、それで修理のために人手がかかるとかいろいろと課題があったそうなので、是非、そういった意味での、設備を更新することがやはり省力化、省人化にもつながるわけでありますので、現存のそういう制度、補助制度について使い勝手のよいものに変えていただいて、こうしたことを迅速に、除排雪に対応できるように取り組んでいただきたいと要望申し上げまして、これについての質問を終わらせていただきますので、御退席していただいて結構でございます。ありがとうございます。

 では、次に、コロナ対策について伺いたいというふうに思っております。

 私が必要だと思いますのは、これまでも我が会派の委員も皆様に申し上げておりますとおり、やはり希望される方が一日も早く三回目のワクチンが受けられるようにしなきゃいけない。それに対して、しっかりと国は、ワクチンの供給、そして自治体との調整、そして、今ワクチンの副反応について心配される方々に対して、適切な情報を提供しなければいけないということが大切だと私は思っております。

 そういった意味で、まず、今のこのオミクロン株に対して、ファイザー社製だとかモデルナ社製のワクチンの効果が、しっかりと日本国内における調査に基づいて、これだけ効果があるよというようなことを発信されているのか。そのワクチンの効果について、国内における調査の有無と結果について、まず伺いたいと思います。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの有効性について、国内では、国の研究班において、十三の医療機関の協力を得て、疫学研究の実施を行っております。

 一月二十六日の審議会で途中経過を報告していただいたものの、オミクロン株の感染拡大から間もないこともありまして、現時点で、症例数の集積等、オミクロン株に対する有効性についてはまだはっきりとお示しできる状況ではありません。引き続き、国内の調査につきましては、研究班や国立感染症研究所と連携しながら分析を進めてまいりたいと思います。

 なお、一月二十八日に公表された国立感染症研究所の報告書等によりますと、英国健康安全保障庁の調査においては、新型コロナワクチンのオミクロン株に対する入院予防効果と発症予防効果が確認されております。

道下委員 今、英国の調査結果を説明されましたけれども、よく話が出るのは、外国人の体質と日本人の体質は若干違うということをよく言われます。そういった意味では、我々日本人は、日本人における調査というものの結果を求めているんです。そうした意味で、先ほど症例が少ないからということでまだ調査結果が出ていないということだったんですが、このワクチンの三回目の接種も含めて、こういう研究、調査というものの政府の着手が遅過ぎるのではないか、私はそのように思っております。

 もう一つ伺います。

 今、先ほどもお話がありましたとおり、高齢者施設等でもワクチンの接種を進めるべきだという話がありましたけれども、今、ちょっと残念ながら、医療機関を含めて、三回目のワクチンを接種したにもかかわらずブレークスルー感染をしている例があります。私の地元の北海道でも、医療機関でブレークスルー感染がありました。もちろん、今までも、三回目接種によって重症化するリスクは抑えるということは発表されていますけれども、国として、国内の調査において、三回目接種によってどれだけの感染予防効果があるというエビデンスをお持ちなのか、伺いたいと思います。

後藤国務大臣 新型コロナワクチンの三回目接種の効果につきましては、国の研究班におきまして、十三の医療機関の協力を得て、発症予防効果を評価するための疫学研究が進められているところと承知しております。

 御指摘の新型コロナワクチンの感染予防効果の評価を行う場合に、無症状のものを含めた新型コロナに係るPCR検査歴等とワクチンの接種歴とがひもづいたデータベースが必要となりますけれども、今現在、しっかりとしたそういう仕組みがワークする状況になっておりません。国内で感染予防効果をどのようにモニタリングしていくかについては、有識者の皆様に十分な研究と対応をお願いをしているところでございます。

 なお、オミクロン株に対する三回目接種による感染予防効果についてはまだ十分に明らかになっておりませんが、デルタ株に対する効果については、一、二回目の接種による感染予防効果は徐々に低下するものの、三回目接種により回復することを示唆するエビデンスは、海外、イスラエル等で報告されております。

道下委員 ちなみに、今、イスラエルの話が出ましたけれども、報道によりますと、イスラエルでは、三回目接種してもブレークスルー感染、四回目これから接種をしようとしている、でも、それでも本当に感染予防効果はあるのかということで、不透明なんですよね。

 だから、こういった点もしっかりと日本国内で調査を進める必要があると思っているんですけれども、今の更問いなんですが、この三回目接種によって感染予防効果があるかどうか、国内調査には政府は着手されているんでしょうか。

後藤国務大臣 今、先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、国内で感染予防効果をどのようにモニタリングしていくかについては、今、有識者の先生方の意見を伺いながら詰めているところでございます。

道下委員 今、後藤大臣も話されました。専門家の意見を今伺っているところということなんですよ。まだ着手していないんですよ。

 だから、三回目の接種がこれだけちゃんと効きますよということを国内で調査をし、その結果が出ていない中で、どうやって国民の皆様に、三回目のワクチンを打ってくださいね、打ってくださいねと言うんでしょうか。しっかりとエビデンスを持った上で政府はそうしたものを働きかけるべきではないですか。私はそのように思っている。

 何で国内調査の、着手したというんだったら、今、時期が時期だけに、先ほどのオミクロン株にどれだけ効くのかということも、着手している、症例がまだ足りないということでありましたけれども、まだ三回目接種に関する、どれだけ感染予防効果があるかというエビデンスの調査にも着手していないということは、私は、政府が余りにもこれについて力を入れていないというふうに言わざるを得ないと思いますが。何かありましたら。

後藤国務大臣 ワクチン等の効果の中でもいろんな効果がありますけれども、重症防止の効果等につきましては、これはある程度薬の研究等で解明することができますけれども、感染予防効果というのは、一般的には、疫学的にある程度社会の実態に応じて分析するものでありまして、そういう意味では、日本は全体的に感染が遅い状況だったものですから、そういう国内の事情だけで分析ができるものではないということは申し上げたいと思います。

道下委員 私は、そういう社会的状況を伺っているんじゃなくて、政府として、この三回目接種によってどれだけの感染予防効果があるか、そういうエビデンスを得るための調査、国内における調査、着手しているんですかと伺っているんです。

後藤国務大臣 感染のそうした調査については、やはり専門家の皆さんの調査によるしかないわけでございまして、そのことをお願いを申し上げているところです。

道下委員 いつお願いされたんですか、そしていつまでに回答をいただいて、そしていつから着手をされようとしているんですか。

後藤国務大臣 日本の研究者の皆さんも一生懸命取り組んでいただけているというふうに思います。

道下委員 いつ、どういった、例えば分科会でこうした調査を着手していただきたいという要望をされたとか、そういう根拠はございますか。

後藤国務大臣 専門家の先生方も、そうした研究、必死になって取り組んでいただいておりまして、例えばアドバイザリーボードだとか、そういうところへも、今、疫学的な調査だとかいろんな調査も、でき上がり次第、地域の調査だとか、研究の、大学からの調査だとか、そうしたことも報告をしていただいて、国立感染症研究所でもそれを報告としてやっております。

道下委員 そうしたら、簡単に申し上げます。

 政府から、後藤大臣からその専門家の皆様にいつ要望されましたか。要望されたのはいつですか。

後藤国務大臣 私から具体的に要望をしていることはありません。

道下委員 政府全体からは何か要望されたことはあるんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 具体的なスキームはまだ決まっておりませんが、どのような研究班を使ってやっていくかというようなことにつきましては、感染症の専門家と、それから私のところの健康局職員とで相談をしているところでございます。

道下委員 これまで我々は、三回目のワクチン接種を早くすべきだ、すべきだと言ってきました。ワクチンの接種だけじゃなくて、三回目のワクチン接種がどれだけの効果があるのかというこの裏づけの調査自体も、政府はまだ要望もしていないし着手もしていないということが分かるわけでございます。これで本当に国民の命を政府がしっかりと守ろうという気概があるのか、私は甚だ疑問だというふうに思います。

 そして、堀内ワクチン担当大臣、先週十日の記者会見において、ワクチン三回目接種の回数が一日当たり八十五万回になったと発表されました。

 我々はこれまでも、いつ百万回になるのか、この具体的スケジュールを伺って、そうすると、二月の早い段階でと岸田総理がおっしゃったり、後藤大臣とかもおっしゃいましたけれども……(発言する者あり)二月後半ということでございますけれども、大体もう八十五万回で、今日も新しい情報が入っているかもしれませんけれども、堀内担当大臣として、一日百万回接種を目指すとされていますけれども、まず一つ目、いつ百万回達成されるのか。現場を指揮されている堀内担当大臣、御承知だと思います。是非御答弁いただきたいと思います。

堀内国務大臣 追加接種について、VRSの入力数ベースで、直近では一日八十三万回となっているところであります。

 百万回を目指して、一日も早く一日百万回を打っていただけることを目指して、今全力で取り組んでいるところであります。

道下委員 自治体からはきっと、うちは何日から何万人分、何人分接種できますよ、こういう情報は入っていると思うんですよね。入っていますよね。様々、各自治体に対して、二月末までに、九八%でしたっけ、の自治体が二月末までに必要な方の接種は完了するというふうに言っていました。

 だから、そうしたことから割り返すと、私は、自治体からそういう、接種人数、うちはいつから一千人できるとか一万人できるとか、そういう情報は入っていると思うんですけれども、そうしたことから計算すると、具体的にいつ、一日百万回接種が可能になるんですか。

堀内国務大臣 ただいま委員が、全国で九七%の自治体が、二月の末までに、御希望する高齢者の方が打っていただける、そういった話は総務省の方からもいただいているところでございます。

 具体的に百万回はいつかといいますと、それはやはり国民の皆様方が、接種体制はできても、自分から打ちたいと会場に足を運んでいただく、予約をしていただく、そういったことが必要となってまいりますので、今ここではっきりと日にちを申し上げることはできないというふうに思っております。

 二月のできるだけ早い時期までに百万回、目指してまいりたいと思っております。

道下委員 今まで、私は、一日百万回というのは、政府がしっかりと、自治体と協力して、その受皿として一日百万回を二月の後半の早い段階に設定するということでお話しされていたと思うんですが、今ちょっと、国民の申請ですか、申込みとか、それ次第でということで、私は、国民が申請しないと、高齢者ですね、六十五歳以上の高齢者が二月末までに全員ちゃんと申し込まないとこれは達成できないという、国民にも責任の一つがあるんですか。

堀内国務大臣 全国の九七%の自治体が、高齢者の方が二月の末までにきちっと希望なさる方が打っていただけるような体制をつくっていただいているというふうに承知しております。

 ほかにも、いわゆる大規模接種会場、自衛隊で更に強化していただいたり、また、職域接種のハードルも下げさせていただいて、千人から五百人にしたり、全力を挙げて様々な分野から皆様方に打っていただけるようなきちっとした体制づくりをしておりますし、一日百万回打っていただけるように、モデルナでも安心して打っていただける、交互接種も安心です、そういった発信も今続けているところであります。

道下委員 百万回接種というのは実績ではないですよね。百万回接種できる、そういう環境を整えるということで、その目標を私たちはいつまでにつくるんですかと言ってきているわけであって、希望した人の申請があってそれで百万回が達成されるとか、ちょっとこれは違うのではないでしょうか。

堀内国務大臣 まずは九七%、しっかりと御希望の高齢者の方が打っていただけるような体制をつくっている。そしてまた、自衛隊の大規模接種会場も、東京は五千人、大阪も二千五百人に広げました。そして、各自治体の皆様方にまた大規模接種会場を今つくっていただいている、そういうお願いもしているし、もうできているところもある。そして、職域も更に広げて、学生の皆様方も打っていただきやすいような体制、職域接種の中でございますが、年度が替わるいろいろな難しい局面ではありますが、大学の方にもお願いしている。

 精いっぱい様々な方面から体制をつくりながら、一方で、国民の皆様方に接種していただけるような、そういった思いを持っていただけるような様々な発信を今精いっぱい続けているところでございます。

道下委員 今ちょっとまた話が戻ったのかなと思いますけれども、大学だとか職域接種だとかいろいろと、それは分かります、呼びかけている。その返事で一日百万回接種の環境が整った、そうしたことを政府としては目指すべきだと思うんですけれども。

 それらを、ちょっと話をまた別角度にしますと、先ほども長妻委員が話をされました、残りあと半月であります、残り二千七百万人ほどでしょうか。一日百万回打っても、全員、これは接種希望された場合、一日百万回じゃ足りないんですよ。どうやって一日百万回で二月末までに希望者の三回目接種を完了しようと考えていらっしゃるんでしょうか。

堀内国務大臣 まず、一日百万回接種、これを達成させていただいて、そして、できるだけ早期に、二回目接種を完了なさった後、三回目、打ちたい、御希望の皆様方に打っていただけるように努めてまいりたいというふうに思っております。

道下委員 今までの答弁と変わらない状況でございまして、大体一週間ぐらいですかね、これまでも変わらない答弁で、どのような政府として取組を増強してきたのかということがちょっと私は疑問に思います。

 それと、特に今オミクロン株、重症化率は低いと言われているけれども、やはり重症者、特に高齢者には本当に様々な影響が出ているわけでありまして、高齢者施設に関して、全国老人福祉施設協議会のアンケートによりますと、まだ、高齢者施設の入居者とか職員のコロナワクチンの三回目接種について、開始していないとか完了していないというふうに答えた施設が四四%あったんですね。その理由として、接種が進まない理由として、追加接種のワクチンが今後届くためとか、入居者と職員の接種券がそろってから対応しようと考えているためとか、受けたい受けたいと思っても、その現場にワクチンがなかったり接種券がないという理由で、まだ受けられないんですよね。

 コロナの感染が広がってから、高齢者施設や障害者施設における感染と重症化がすごく広がったんですね。そういうこれまでの認識というか課題があれば、高齢者施設や障害者施設に真っ先にワクチンの接種を届ける、そういう環境を整えるということが、私は、政府としてはもう二年たっているわけですからこうしたことが分かっていると思うんですけれども、なぜこれだけ遅れているんでしょうか。

後藤国務大臣 高齢者施設の入所者や従事者に対する新型コロナワクチンの三回目接種については、昨年十二月より、接種間隔を二か月前倒しし六か月、薬事承認の最短にまで短縮して進めてきております。

 さらに、新型コロナの感染が急拡大している状況も踏まえまして、高齢者施設の入所者等に対して円滑かつ迅速な接種を実施するために、自治体と施設が密に連携して、接種を促進すること、接種券が届いていなくても接種が可能であること、モデルナ社のワクチンも積極的に活用すること等を内容とする事務連絡を発出をいたしております。これは度々発出をいたしております。

 それから、あわせて、先ほども御紹介のありました関係団体等を通じて、個別施設に対して接種促進に向けた働きかけを行っていただいております。

 小規模施設においては自施設で接種体制を確保することが困難な場合もあるというふうに承知しておりまして、小規模施設を含めた、市町村が接種体制を構築するために必要となる費用も全額国費で負担をするということで、ワクチン接種を促進しているところであります。

 本当に、私の方からも、例えば、会見のときだとか、あるいは地域、自治体、知事会との会談だとか、そういうときにもこの点を非常に、度々、何とか推進していただくようにお願いをしております。

道下委員 大臣もそういうふうに発表されていますけれども、私は、その政府の思いをしっかりと現場、自治体に伝えてきたのはリエゾンチームとかワクチンチームだと思うんですよ。それらをなぜ縮小したり、自治体に返したりしてしまったんでしょうか。その、返してしまった、縮小してしまった弊害が、今これだけ、自治体の三回目接種がなかなか進まない、特に必要な高齢者施設でのワクチンが進まない、こういったものにつながっているんですよ。そういう課題とかそういう反省とか、しっかりと日々認識して、事に当たっていただきたいと強く思います。

 済みません、時間が限られているので、この点についてはこれからも引き続き質問させていただきます。

 燃油価格高騰について伺いたいと思います。

 先週のニューヨーク、WTI原油先物取引価格が、七年四か月ぶりに九十四ドル台に上昇しました。これは、今政府が行っている燃料油価格高騰対策は上限五円、もうこの制度は焼け石に水になってしまっているんじゃないでしょうか。

 我々は、トリガー条項の一時的な凍結解除を求め、その法案を出しています。これは国や自治体の税収に大きな影響を与えるだとかそういったことをお話しされますけれども、ガソリンや軽油、灯油の価格が上がり続けて、暮らしや経済が本当に厳しい状況になっている。それと国と地方の税収と、どちらが大切なんですか。

 じゃ、別角度で申し上げましょう。今トリガー条項を一時凍結解除しないのであれば、今の当分の間税率、つまり、昔でいう旧暫定税率二十五・一円分、これを丸々この燃料油価格高騰対策の補助金として利用するというふうに、効果のある補助制度に変えていく必要があるんじゃないでしょうか。五円じゃ全然足りません、十円では。この点について、萩生田経産大臣、どう思われますか。

萩生田国務大臣 まずは、現在措置しております激変緩和事業を着実に執行してまいりたいと思います。

 その上で、原油価格の高騰がどの程度長期化するのかも見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から、何が効果的な対策か、総理の指示なども踏まえ、政府全体でしっかり検討してまいりたいと思います。

道下委員 ロシアとウクライナの情勢は今後も緊張が高まり、かつ、コロナの状況でいけば、これから世界的にも経済は活性化されて、石油価格の高騰はこれからもずっと高止まり、上昇し続けると思っています。

 それから、今、経済産業省は、ガソリンスタンドに対して電話で価格調査をしている。これはいいでしょう。そして、この制度の理念や目的などを丁寧に説明されるのはいいと思いますが、価格を上げたところに対して、今度は現場に、現地のガソリンスタンドに出向いて、そして調査をするという、私は、これは価格統制につながる政府の圧力というふうになってしまうのではないでしょうか。

 もちろん、消費者にとってみれば、ガソリンや灯油の価格が下がることはいいです。でも、小売業者は、卸売価格が上がった、下がった、それに直接値段を変えられるような状況ではない。バイト代も人件費も上げなきゃいけない。これまで高かった卸売価格を考えて、価格の上昇を抑えてきた。今度、次は上げようと思ったら、上げられない。政府から現場に調査が入られる。そうしたことになると、小売の自由な市場価格というものを、政府が強制的に介入することにつながるわけです。

 この点については、私はやるべきではないと。何でこんなことに税金をかけて、現地調査を外部委託するのか。そうじゃなければ、その分ガソリンや灯油の価格を下げるべきだと強く申し上げまして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて道下君の質疑は終了いたしました。

 次に、早坂敦君。

早坂委員 日本維新の会、宮城四区の早坂敦です。

 昨年の衆議院選挙、宮城、東北から多くの御支援をいただき、当選させていただきました。身が引き締まる思いでございます。

 今回、そして、一期生ながら予算委員会の壇上に立たせていただき、質問の機会をいただけたことを、党関係の皆様、本当に心から感謝申し上げます。

 二〇一一年三月十一日午後二時四十六分に起きた大震災。今も当時の様子が目に焼き付いております。三月にもかかわらず雪が降り、携帯電話もつながらず、寒さをしのぐだけで精いっぱいでした。何が起きているか全然理解できなかった数日後、電力が復旧し、初めてテレビで津波被害の惨状を知ったことが現実です。

 そこで、私からは震災復興関連と対策について質問させていただきます。

 東日本大震災から十一年たちました。復興の現状について質問させていただきますが、復興も総仕上げと言われておりますが、復興の現状はどうなっているんでしょうか。

 昨年、選挙の際、地元の離島へ行ったのですが、公園が、発災から十年が過ぎても、まだ工事中とありました。これはまだ小さなことかもしれませんが、被災地はこのような事例はまだまだあると思うんです。

 復興庁にお伺いします。発災から十一年を迎えるに当たり、復興の現状について説明をお願いします。

西銘国務大臣 早坂委員にお答えいたします。

 本年三月で発災から丸十一年となります。被災地の方々の絶え間ない御努力により、復興は着実に進捗しております。

 一方で、地域によっては状況は様々であります。

 まず、地震、津波被災地域におきましては、災害公営住宅や高台移転の整備が完了し、復興道路、復興支援道路が全線開通するなど、インフラ整備はおおむね完了しております。

 一方で、様々な事情によりまして、一部に継続中の事業、例えば、道路、河川、港湾あるいは農地整備、漁港、海岸等、継続中の事業も残っていると承知をしております。

 また、被災者の方々の心のケアやコミュニティー形成等のいわばソフトの施策にも、これから全力を尽くしていく必要があると考えております。

 原子力災害被災地域では、復興再生が本格的に始まっておりますが、地域の実情や特殊性を踏まえながら、避難指示解除に向けた取組など、今後も中長期的な対応が必要であると認識をしております。現在進行中だという認識で、全力で取り組まなければならないと考えております。

 以上です。

早坂委員 ありがとうございます。

 まだまだ小さな問題や大きな問題、大変ございますが、津波被害を受けた被災地の町並みは激変しました。人々の生活も徐々に震災前に近づいているのかもしれません。そういう意味では総仕上げかもしれませんが、被災された方々の心に負った傷は簡単に癒やすことはできません。ハード面はもちろん、孤独・孤立対策など、心のケアをお願いをいたします。

 そこで、もう一点、復興大臣に、十一年目を迎える大震災、大臣の所感をお伺いしますが、当時、私の地元宮城の仙台市内におりまして、あの衝撃を現地で感じた一人であります。あれから十一年、もう十一年なのか、まだ十一年なのか、感じ方は人それぞれだと思いますが、あの衝撃の光景は今でも忘れられません。

 大臣、あの日の光景を覚えていらっしゃると思います。大臣は、昨年、就任記者会見で、現場主義を徹底し、被災者の方々に寄り添い、縦割りを排して司令塔の役割を果たしつつ、被災地の復興に全力を尽くすとおっしゃっていただきましたが、改めてお伺いします。発災から十一年目を迎えるに当たり、大臣の復興にかける覚悟が、そして思いがありましたら、お聞かせください。

西銘国務大臣 早坂委員にお答えいたします。

 復興大臣就任に当たりまして、岸田総理からは、全ての閣僚が復興大臣であるとの意識を共有し、被災者に寄り添い、現場主義に徹して、復興に全力を尽くすよう指示をされております。

 私も何度も足を運びながら、本当に津波がこの高さまで来たのかなという、本当に恐ろしかったということを共有をしております。

 東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意の下、復興の司令塔としての役割を果たし、被災地の皆様の声をしっかりと受け止めて、復興を更に前に進めていけるよう、引き続き全力で職務に邁進してまいりたいと考えております。

早坂委員 大臣の思い、覚悟、本当にありがとうございます。

 震災から今年で十一年目ですが、西銘大臣で十人目の方の大臣ですよね。そこで、中には、任期中、自身の発言で辞任された大臣もいらっしゃいました。大臣には、しっかりと根を張った仕事をお願いしたいと思います。

 復興も総仕上げ、その段階ですが、あの経験を風化することなく後世に伝えていくべく、私も復興に尽力をしてまいります。

 次に、災害時の自衛隊の役割の優先順位について伺います。

 発災後、被災地には、連日、自衛隊の方々が、そして全国の消防、警察、医療関係者、そして多くのボランティアの方々が被災地で汗を流してくれました。本当に心から感謝を申し上げます。

 特に自衛隊の方々は、国内唯一の自己完結組織として能力を存分に発揮し、多くの人命を救ってくれました。物心共に、被災地を惜しみなく支えてくれました。御遺体の収容というつらい思いもされたと思います。

 そこで、防衛省に伺います。

 当時、あの混乱した状況の中で、自衛隊の役割の優先順位というのはどのように決められたのか。国民の皆様に更に理解していただくためにも、今後起こり得る大災害に備え、どのような優先順位で取り組んでいっているのか、説明をお願いします。あの震災で得た教訓などもありましたら教えてください。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災におきまして、防衛省・自衛隊は、発災直後に防衛省災害対策本部を設置するとともに、自治体への連絡員の派遣や航空機等によります情報収集を行いました。

 また、防衛大臣の大規模震災災害派遣命令及び原子力災害派遣命令を受けまして、自衛隊は、地震発生の当日から約八千四百人の態勢を動員いたしまして、人命救助活動を最優先に、大規模かつ迅速な初動対応を行いました。

 その後、陸海空自衛隊の部隊から成ります統合任務部隊、これを編成いたしまして、最大約十万七千人の態勢を確立するなど被災地の活動態勢を強化をいたしまして、約一万九千人の被災者を救助いたしました。

 また、発災当初から、航空機、艦艇、大型車両など各種装備品を組み合わせて救援物資の輸送を行うとともに、給水・給食支援や入浴支援など多岐にわたる生活支援などを実施いたしました。

 さらに、福島第一原子力発電所の事故に対しましては、ヘリコプターや消防車によります核燃料冷却のための放水や周辺住民の避難支援などを実施したところであります。

 このように、防衛省・自衛隊は、震災発生当初から、被災者の安全や生活の安定を確保すべく、総力を挙げて各種活動に取り組んだところでありますけれども、今後、東日本大震災のような大規模な地震が発生した場合におきましても、東日本大震災における教訓等を踏まえまして、事態に応じた迅速な対応に努めてまいります。

早坂委員 ありがとうございます。

 本当に自衛隊の皆様には大変助けていただいた思いが、当時のことを思い出しますが、自衛隊の皆様は、冷たい泥の中、瓦れきの中、懸命に救助作業を行う自衛隊の姿にはリスペクトの思いしかありません。そして、ボランティアで来てくれた子供たち、被災した子供たち、その子供たちの中には、十一年の歳月がたち、自衛隊に入隊した方々も少なくありません。今後起こり得る大震災に備え、自衛隊の任務、国民の皆様に更に理解していただけるよう、情報発信をお願いいたします。

 また、今後発生が想定される大災害に備え、常時即応できる初動対処部隊、ファストファーストという部隊が待機していることですので、是非とも国民の生命と財産を守るために迅速な対応をお願いいたします。

 さて、次、この東日本大震災が起きて、統一地方選挙の選挙期日の特例についてちょっとお伺いします。

 発災の年、全国では地方統一選挙が行われる年でした。被災した自治体も本来であれば地方統一選挙が行われるはずでしたが、御承知のとおり、あのような状況下ではとても選挙が行える状況ではありませんでした。そこで、選挙期日の特例法により、本来であれば四月に行われる選挙が八月と十月へと延期される措置が取られました。これが今も続いています。

 当時、適正な選挙が行えることはできなかったんです。それは理解できますが、十年以上もたって、まだ本来の期日に戻せないのはなぜなのか。八月には市議会議員選挙、十月には県会議員選挙と分けて選挙を行えば、それだけ費用がかさむんです。元に戻す、制度的にも様々な制約、不都合が生じると思いますが、何が制約となっているのか、今後の見通しを、説明を求めます。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の被災自治体におきましては、平成二十三年に選挙期日及び任期が延長されまして、平成二十七年の統一地方選挙前に一部の自治体から選挙期日の統一等に関する要望が提出されたものの、被災自治体全体の合意が十分に得られる状況になかったことから、再統一に関する成案を得るには至らなかった、こういった経緯があるものと承知をしております。

 なお、平成二十七年以後、被災自治体からの同様の御要望はいただいていないものというふうに承知をしております。

 いずれにしましても、選挙の統一実施によりまして投票率の向上や選挙執行に係る経費の節減を図ることについては重要な課題と認識をしておりますが、従来の統一地方選挙以外に選挙期日を統一して実施するための方策については、選挙のルールに関わるということでもございますので、各党各会派におきまして十分御議論いただきたいというふうに考えているところでございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 本当に、今の制度を変えるには、議員の身分にも関わることです。なかなか大変ですが、二度に分けて選挙を行うということは国民の税金を余計に使うということですし、どちらに集約するか、何らかの措置をすることができるよう、制度改革を含め環境整備をできるようにしていかないといけないと思います。

 次の質問です。私の地元、宮城県加美郡の丘陵地に放射能に汚染された牧草が放置されている問題について伺います。

 この地元、加美郡という地域があるんですが、そこの丘陵地に、放射能で汚染された牧草がビニールに入れられ、放置されています。近くにはダムもありますし、下がっていくと田園地帯もあるんです。地元の住民の皆様からは、ビニールから放射性物質が漏れるのではないかと様々な不安の声が上がっています。

 そこで、環境省に伺います。この状況をどう考えているんでしょうか。なぜこのような状況が生まれたのか、今後どのような措置が取られるか、その時期はいつなのか、説明を求めます。

室石政府参考人 お答えいたします。

 放射性物質に汚染された稲わらや牧草等の農林業系廃棄物のうち、一キロ当たり八千ベクレル以下のものにつきましては、宮城県を始め各市町村で焼却やすき込み等の処理が実施されておるところでございます。

 環境省としては、農林業系廃棄物の処理が進むよう、必要に応じて技術的な支援、例えば、御地元から要請があれば御地元の方に説明に参ったりとか、あるいは地元の議会で説明したり、そういったようなことも含めていろいろやっております。実質的に廃棄物の処理を行う市町村等の負担がない形で処理の加速化を図ってきたところでもございます。

 今後とも、自治体が行う処理を支援を加速してまいりたいというふうに考えております。

早坂委員 ありがとうございます。

 ただ、町民の皆様の反対もあり、この問題は十一年もの間、何も変わっていないということでありますが、この問題では多くの町民の皆様から私もお叱りを受けています。町民の皆様のお気持ちは理解できます。そして、地元の町長さんも既に動いてくれています。環境省さんの早期解決に向けた御尽力をお願いいたしたいと思います。

 次に、先日、今年の一月十五日に起きた南太平洋トンガ沖の海底火山噴火に伴う被害について伺います。

 私の地元宮城県でも大きな被害を受けました。特に漁業、養殖業の皆さんは被害が大きかったようですが、被害状況及びどのような対策を取られているか、説明をお願いします。

神谷政府参考人 お答えいたします。

 トンガ諸島の火山噴火に伴って発生した潮位変化により、水産関係におきましては、二月七日時点で、漁船の転覆、漁具、養殖施設の被害、水産物のへい死などの被害が十県から報告されております。このうち、宮城県につきましては、ワカメ養殖施設を中心に約一億三千六百万円の被害が報告されておるところでございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 私の地元松島湾では、全国に先駆けてワカメの収穫が始まっております。そして、地元紙でもこの養殖を手がけている方々の記事が載っていますが、「東日本大震災の津波でも施設が被災したが、その年の秋には再開した。来季の生産に向けて高齢化や資金不足など課題は山積するが、同じ被害は繰り返せない」、こう言っておられます。

 その中でも、今、先ほど、住民の、市民の、国民の方々が言っている、高齢化や養殖施設の強化など課題がありますが、是非とも切れ目のない対応をお願いいたします。

 次に、各種警報発令までの流れについて御説明をお願いいたします。

 長官も記者会見で初めてのことだったとおっしゃっておりましたが、難しい判断を迫られたと思います。こういう今回の事象から分かったこと、課題、報道の在り方などありましたら、お願いをいたします。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 一月十五日十三時頃に、トンガ諸島付近のフンガトンガ・フンガハアパイ火山で大規模な噴火がございました。

 この噴火の後、気象庁では、日本への津波の影響を調査するために、海外の観測点のデータを監視しておりました。これらの観測点では大きな潮位変化は観測されませんでしたが、その後、十五日の二十時頃から日本各地で大きな潮位変化が観測され始めました。

 この潮位変化は、地震に伴って発生する通常の津波とは異なるものでございましたが、被害の可能性がございましたので、国民の皆様に安全の確保と警戒を呼びかける必要がございました。このため、津波警報の仕組みを使って防災対応を呼びかけることといたしまして、翌十六日零時十五分に、奄美群島、トカラ列島に津波警報、そして太平洋沿岸の広い範囲に津波注意報を発表いたしました。また、十六日二時五十四分には岩手県にも津波警報を発表いたしました。

 今回の情報発信におきましては、観測された潮位変化のメカニズムなどが明らかでございませんでしたので、津波警報等の発表までに時間を要したことなど課題がございました。このため、気象庁におきましては、有識者も交えて、潮位変化のメカニズムの分析や情報発信の在り方などについて検討を行うこととしておりまして、その成果を今後の情報発信に生かしていくこととしております。

早坂委員 ありがとうございます。

 是非、国民の命を守るために、的確に、そして迅速な情報を発信できるように、引き続きお願いいたします。

 気象庁の皆さん、地域防災力の一層の強化を目指して頑張ってもらいたいと思います。

 次に、火山大国日本での火山研究の現状についてお伺いします。

 世界中に影響を与えた今回の事象ですが、国内の研究が行われている火山研究について、説明をお願いいたします。

 今後、災害に対して有用なのか、いつから行われているのか、今後の計画などありましたら、お願いいたします。

真先政府参考人 お答えいたします。

 火山研究につきましては、文部科学省の科学技術・学術審議会の建議によります災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画、これに基づきまして、例えば桜島の大規模噴火を想定しました噴火予測の高度化でございますとか、あるいは住民の避難行動に関する調査でありますとか、各大学研究機関における火山研究の推進を図っているところでございます。

 また、平成二十六年九月に発生しました御嶽山の噴火を踏まえまして、より一層、火山の観測、予測、対策の一体的な研究を推進するとともに、火山研究人材の育成を推進するため、平成二十八年度より、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトを実施しているところでございます。

 文部科学省といたしましては、関係府省庁、関係機関とも連携いたしまして、今後とも、引き続き、防災、減災にも資する火山研究を推進、支援してまいる所存でございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 世界の活火山の七%が日本にあります。是非、今後起こり得る災害のためにも、国としてしっかりと予算をつけて、継続して結果を出していただきたいと思います。

 次に、南海トラフ地震及び首都直下型地震について伺います。

 よく、何年以内に起こるということが言われますが、いつ起こるか分からない地震、災害に対して、国としてもしっかり対策を講じていかなければなりません。

 そもそも、いつ起こるか分からない地震など予測可能なのでしょうか。また、研究など、どこまで進んでいるんでしょうか。万が一首都東京で大地震が起きれば、多くの人命が失われ、経済的損失は計り知れず、国会機能も麻痺してしまうかもしれません。地震発生の予測はどこまで進んでいるのか、説明をお願いします。

真先政府参考人 お答えいたします。

 政府の地震調査研究推進本部の地震調査委員会におきましては、科学的知見に基づきまして、活断層で起きる地震や海溝型地震の場所、規模、今後三十年といった一定期間内に発生する確率につきまして、長期評価を実施しているところでございます。

 南海トラフ地震につきましては、地震調査研究推進本部におきまして、今後三十年以内にマグニチュード八から九クラスの地震が七〇から八〇%の確率で発生するというふうに評価をしてございます。

 また、首都圏で発生可能性のある地震の評価も行ってございまして、例えば、南関東地域の直下における、相模トラフ沿いのプレートの沈み込みに伴うマグニチュード七程度の地震については、今後三十年以内に七〇%の確率で発生すると評価してございます。

早坂委員 ありがとうございます。

 私の生まれた宮城県は、三十年に一度大きな地震が発生されると予測されています。自然のことですからなかなか難しいと思いますが、いつ直下型地震が起きてもおかしくない状況でもあります。引き続き尽力をお願いいたします。

 次に、南海トラフ地震や首都直下型地震に被災したときに、国としての対策、各自治体との連携について伺います。

 予測の精度も上がっているということですが、正確にいつ起こるか分からない地震に対して、国はどのような対策を講じているのでしょうか。国と地方自治体との連携はどうなっているんでしょうか。東日本大震災の教訓は生かされているんでしょうか。説明をお願いします。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 南海トラフ地震や首都直下地震につきましては、発生確率が高く、また、一たび発生した場合には甚大な被害が想定されますことから、その対策を推進していくことは極めて重要と認識をしております。

 このため、国におきましては、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、首都直下地震対策特別措置法、こういった法律に基づきまして、地震防災対策を推進するための基本計画を作成し、十年間の定量的な減災目標を掲げますとともに、関係省庁が連携し、津波ハザードマップの整備や建築物の耐震化、出火防止対策といった様々な対策を推進しているところでございます。

 また、地震対策の推進のためには地方公共団体における取組が重要です。このため、関係する地方公共団体におきましては、国の基本計画を踏まえ、地域ごとの計画を作成し地震対策を推進しており、国としてもその支援に努めております。

 引き続き、関係する地方公共団体等と緊密に連携しながら、南海トラフ地震及び首都直下地震に備えた防災対応の一層の向上に努めてまいります。

早坂委員 ありがとうございます。

 南海トラフ地震や首都直下型地震が発生した場合、各自治体との連携は大変重要になると思います。是非、東日本大震災の経験を生かして、対策を進めていただくようお願い申し上げます。

 それで、ちょっと時間がなくなりまして、避難所のプライバシー、衛生面の件は次回質問させていただきますが、最後の質問となりますが、津波対策として、既存道路の整備、利活用の状況についてお伺いしたいと思います。

 東日本大震災直後、地元宮城に東部道路という名称の道路がありますが、津波が来た際、その道路に避難した多くの人が助かったということがありました。道路も避難施設として役割を果たす事例だと思います。その後、二〇一九年、仙台東部道路が、高台と防潮堤という二つの機能を有し、避難道路、東部復興道路として全開通しました。

 そこで、国交省にお聞きします。

 津波や災害対策として既存の道路の整備はされていますか、されていればどこまで進んでいるのか、また、今後どのような利活用の計画があるか、教えてください。

村山政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模地震の発生が想定をされている中、津波による浸水時に既存の道路の高架区間などを一時的な避難場所として活用することは、住民の命を守る観点から推進すべきと考えてございます。

 国交省では、これまで、市町村の要請を踏まえまして、大規模災害時に浸水が想定される深さよりも高い位置にある高速道路、直轄国道のうち、緊急避難場所として活用可能な箇所を、令和元年度までに約四百か所、整備をしております。さらに、令和二年度からは、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用しまして、令和七年度までに新たに約六百五十か所の施設整備を完了することとしております。

 引き続き、国交省としましては、緊急避難場所の確保に向けまして取組を推進してまいります。

早坂委員 ありがとうございます。

 新たに建物を造ることは場合によっては大変必要でありますが、既存の道路などを整備、活用することも大切ではないかと思います。

 そしてまた、神奈川県や千葉県、静岡県ではもう、国交省の補助金を使って各自治体で津波避難タワーが多く造られています。この実例をしっかりと、皆さんと、自治体と手を組んで行っていっていただきたいなと思います。

 そして最後に、東日本大震災から十一年がたとうとしています。今後も、地震や自然災害について、起こり得ることを肝に銘じ、大震災の経験を風化させることなく、復興に最後まで取り組んでまいりたいと思います。

 私の質問はこれで終わりになります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて早坂君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻健太と申します。

 本日は、貴重な質疑の機会をいただき、誠にありがとうございます。三十八歳の新人議員、若輩者で、ぶしつけなこともあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 永田町には七百名超の国会議員がおりますが、四十歳未満の方は二十七名、全体の三・八%しかおりません。この数、非常に少な過ぎるとは思っておりますが、私もその一人として、若い世代の感性、感覚、そういったものを生かしていければと思っております。

 それでは、早速、質問の方に移らさせていただければと思います。

 ウクライナ情勢に関してです。

 ウクライナ情勢、現在、大変緊迫しております。外務省は、十一日、ウクライナの在留邦人に対して退避勧告をいたしました。ウクライナをめぐる現在の状況について、御認識をお聞かせください。

林国務大臣 まずは、藤巻委員におかれては三十八歳ということで、私もはるか昔に三十四歳で国会に来たときのことを思い出しておりましたが、御活躍を御祈念しております。

 ウクライナの現状認識いかんということでございますが、この国境周辺地域で、ロシア軍の増強等によりまして大変緊張が高まっており、予断を許さない状況が続いております。隣国ベラルーシでは、ロシアとの軍事演習が開始をされまして、また、最近、ロシア軍の船舶が新たに黒海に入るなど、更に緊張が高まっております。関係国による外交努力の動きがある一方で、事態が急速に悪化する可能性も高まっております。

 政府として、引き続き、こうした動きを重大な懸念を持って注視しており、高い警戒感を有しております。ウクライナの主権及び領土の一体性を一貫して支持しておりまして、G7を始めとする国際社会と連携し、適切に対応してまいりたいと思っております。

 また同時に、こうした事態を踏まえまして、二月十一日の金曜日ですが、首都キエフを含めて、ウクライナ全土の危険情報レベルを、レベル4、退避勧告に引き上げまして、在留邦人に直ちにウクライナから退避するよう勧告するとともに、同日、外務省においても対策室を設置いたしました。

 引き続き、政府として、在留邦人の安全確保に最大限取り組んでまいります。

藤巻委員 ありがとうございます。

 衆議院でも、先日、ウクライナ情勢に関して、力による現状変更は断じて容認できない、そういう決議をいたしました。

 仮にロシアの力による現状変更が行われた場合、G7と協調して何かしらの制裁を取るということはあり得るのでしょうか。

林国務大臣 ロシアによる力による現状変更という御質問でございますが、そうした場合の対応につきましては、仮定の御質問でございますので、お答えをすることは差し控えたいと思いますが、我が国として、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、適切に対応してまいりたいと考えております。

藤巻委員 これもちょっと仮定の質問にはなってしまうんですけれども、仮に制裁を行った場合、北方領土返還交渉との両立というのは可能なのでしょうか。

林国務大臣 これも、恐縮でございますが、仮定の御質問でございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 この交渉の現状について申し上げますと、昨年十月の日ロ首脳電話会談や昨年十一月の日ロ外相電話会談でも、平和条約交渉を含む二国間関係について議論を行ってきているところでございます。

 政府としても、北方領土問題については、次の世代に先送りせず、領土問題を解決して平和条約を締結するとの方針でございます。

 二〇一八年のシンガポールでの首脳会談のやり取りを含めて、これまでの諸合意を踏まえ、粘り強く交渉を進めてまいりたいと思っております。

藤巻委員 昨年末の北海道新聞の安倍元総理の単独インタビューにおきまして、北方領土に関して、百点を狙ってゼロ点なら何の意味もない、到達点に至れる可能性があるものを投げかける必要があった、そうおっしゃっております。

 これは、政府が、一九五六年の日ソ共同宣言を基礎に、歯舞、色丹の二島先行返還に方針を転換した、そういう認識でよろしいのでしょうか。

林国務大臣 日ロ交渉につきましては、安倍総理の方針を引き継いでいるわけでございますが、二〇一八年のシンガポールでの首脳会談のやり取りについては、その首脳会談でなされた様々な意見交換や議論、そして、一九五六年宣言を基礎として平和条約交渉を加速させる、この両首脳の合意の全体を指しておりますので、こうした考えの下でかかる表現を使っておりまして、従来の方針から変わりはないということでございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 外交上の機微等々、いろいろあることは存じ上げておりますので、一旦ここで質問を終わらせていただきます。

 次の質問に移らさせていただきます。

 現在の学校教育制度全般に関してお伺いいたします。

 先日の共通テストで、カンニングが発覚いたしました。たかがカンニングというふうに思われる方も多いかもしれませんが、子供たちの将来を左右する大事な共通テストの公平性を担保する、これは私たち大人にとって大事な使命です。今回のカンニング、氷山の一角にすぎないのではないでしょうか。

 私は、もちろんカンニングをやったことはないですけれども、ちょっと考えただけでも、例えば、下着の中にスマホを入れて、トイレに行くと言って抜け出してトイレの個室で通信するとか、あるいは、小型カメラ内蔵の眼鏡で問題を写しながら、耳に小型イヤホンを入れて髪の毛で隠してしまうだとか、現代の進化した通信機器を使えば幾らでもできてしまうということは考えられます。

 一方で、下着の中までチェックするわけにはいかないですし、全員の眼鏡だったり耳の奥まで調べるわけにはいかないという問題もあるかとは思っております。海外では、入口で金属探知機を導入したり、試験会場周辺に妨害電波を発信しているというようなこともあると聞いております。

 今後の共通テストにおけるカンニング対策、どのようにお考えになられているのでしょうか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度の大学入学共通テストの本試験では、先生御指摘のような、電子機器を活用して試験時間中に試験問題が外部に流出していた可能性がある事案が発生したところでございまして、現在、警察当局における捜査結果の提供を待っているところでございます。

 文部科学省といたしましては、今回の事案の詳細が解明された後、大学入試センターと緊密に連携しつつ、今年度の試験日程が終了した時点を目途といたしまして、大学、高校関係団体の代表者等で構成される大学入学者選抜協議会を速やかに開催いたしまして、様々な情報技術を活用した不正への防止対策について、有識者の意見も十分に伺うなど、しっかりと検討してまいりたいと考えているところでございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 この共通テストのために朝から晩まで勉強している高校生はたくさんおります。公平公正なテストが行われるよう、よろしくお願いいたします。

 続きまして、共通テストの出題内容、ひいては学習指導要領に関してお伺いいたします。

 スマホがこれだけ普及した現在、丸暗記の必要性はますます薄れてきている、そう考えております。もし知りたいことがあれば、ポケットの中で、スマホで調べれば三秒で分かります。みんながポケットの中に百科事典以上のものを常に持っている現代、丸暗記をするという教育を抜本的に変える必要があると考えております。

 それから、例えばサインやコサイン、微分積分、これらは専門領域を扱う大学での学習分野なのではないでしょうか。私自身、高校生のとき、朝から晩までサイン、コサイン、勉強しておりましたが、大学入試の翌日以降、一度も使ったことはありません。もちろん、三角関数、人類の英知の一つであることは十分に理解しておりますが、限られた貴重な高校生の勉強時間の中でやる必要が果たしてあるのでしょうか。

 私個人としては、丸暗記よりも、考え、思考する力をつける教育、専門領域の知識よりも、社会に出てから必要な知識、例えば、金融教育や基礎医学、ITの活用など、より人生の役に立つ実学の方向に学習指導要領を大幅に変更していくべきだと考えておりますが、今後の文科省のお考えをお聞かせください。

末松国務大臣 藤巻先生にお答え申し上げます。

 今御質問いただきまして、先生のお考え方と似通ったところも持っております、丸暗記だけでは全く意味がないと。何を知っているか、それをもってそれをどう生かしていくかということが大事であるということを文科省内でもよく話をされます。

 これからの時代を生きる子供たちは、予測困難な社会にありましても変化を前向きに受け止めていただきまして、社会や人生、生活をより豊かなものにするために必要となる資質、能力を育成することが大変重要でございます。

 このため、来年度から年次進行で実施されます高等学校の学習指導要領では、例えば家庭科で、生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について指導することとしています。また、情報科におきましては、情報セキュリティーを確保する方法や、情報モラル、情報技術の適切な活用について、保健体育科におきましては、生活習慣病とか現代の感染病の予防について指導することとしているところでございます。また、実際の指導に当たりましても、生徒同士が対話を通して学びを深める場面であるとか、実社会から問題を見出して解決策を考える場面を取り入れるなど、授業の工夫を行うように求めているところでございます。

 これらの取組を通じて、先生御指摘のように、単なる暗記や知識、理解にとどまらず、実社会で生きていく知識と技能の習得や、未知の状況に対応できる思考力、判断力、表現力等の育成を目指して、引き続き、こうした観点から学校教育活動の充実に努めてまいりたいと考えてございます。

 よろしくお願い申し上げます。

藤巻委員 おっしゃられるように、少しずついい方向に変わっているというのは理解しております。引き続き、よろしくお願いいたします。

 少し目先を変えて、次の質問に移らさせていただきます。男子校、女子校に関してです。

 男子校、女子校、減ってきているとはいえ、まだ多く存在いたします。私個人の見解では、男女平等が進む中、男子校、女子校の存在意義はあるのでしょうか。男子校、女子校について、文科省はどのような御見解をお持ちなのでしょうか。これは、私が男子校出身で、暗い青春時代を過ごしていたから、ひがんで聞いているわけではございません。

末松国務大臣 私も男子校で、寮生活を送っておりまして、いささか暗い場面もございました。

 お答えを申し上げたいと思います。

 男女平等の教育を、先生、推進することは大変重要であると考えておりますが、このことは男女の別学を一律に否定するものではないと思うんです。個々の学校においては、男女共学とするとか、男女別学とするかにつきましては、やはり、学校の特色、その歴史的経緯等に応じて、設置者において適切に判断されるべきであるものと考えてございます。

 なお、男子校や女子校のメリットにつきましては、設置者におきましてこれも適切に判断されるべきだと思うんです。

 私は男子校を、昭和四十九年でしたか、卒業しましたけれども、今は男女共学になってございます。やはり経営の面もあると思うんですけれども、校歌は、質実剛健、親愛包容と、男子校丸出しの校歌がまだ残っているわけなんですけれども、いろいろな面を考えて、やはりその沿革も大切にしなきゃならないと思ってございます。

藤巻委員 特色を生かしてということは分かるんですけれども、現代において、社会においても家庭においても男女が共に協力して、お互いの長所を生かして短所を補って物事を達成していく、そしてそれを経験して学ぶ、それこそが一番大事な教育なんじゃないでしょうか。男子校、女子校では、その視点からの教育ができないように感じております。

 数年前に、東京医大で女子受験生を一律減点していたということが発覚いたしました。この事実について、大臣、どうお考えでしょうか。

末松国務大臣 平成三十年に、東京医科大学を始めとする複数の大学におきまして、受験者への説明がないまま女子受験者の得点を一律に減点するなど、女子の合格者を抑えていたことが大きな社会問題となりまして、文部科学省としても、入学者選抜における公正確保のための共通ルールを取りまとめ、各大学に周知を徹底いたしました。

 これらの大学における問題点は、公平性が求められる入学者選抜において、合理的な理由なく男女差別を行っていたことであると認識をいたしております。

 その一方で、高等学校の男子校において、学校の特色、その歴史的経緯に応じて、男子のみの入学定員を定めて、その入学者選抜を行うことは否定されないと考えておるところでございます。

 以上でございます。

藤巻委員 東京女子医大という大学がありまして、この大学は、男性というだけで排除というか入試すら受けさせない、男性はつまり一律零点ということをしております。東京女子医大は許されて、東京医大はなぜ許されないのか。東京医大は、じゃ、東京男子医大という名前でしたら、女子受験生を一律減点してもよかったのか、あるいは入学を拒絶してもよかったのか。そこの部分に関してはどうお考えでしょうか。

増子政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の方から東京女子医大の話がございましたが、あれはもう設立のときから女子の医学教育を徹底的に行うということで、そういう設立の経緯があったと認識しております。

 ただ、その逆はどうなのかというと、それぞれの大学の、先ほども大臣が御説明したとおりの背景がございますので、なかなか、一律に規制するとか、そういうことはできないというふうに考えているところでございます。

藤巻委員 だから、そうすると、やはり東京男子医大だったらオーケーなのかなというふうには思ってしまうところではありますが、ちょっとこれ以上言ってもあれですけれども。

 男性だから入学させないとか、女性だから入学させない、もうこういうことはやめてほしいと思っております。男女は完全に平等で、学問においても進学においても完全に平等、こういう形をつくっていってほしいと考えております。よろしくお願いいたします。

 続きまして、次の質問に移らさせていただきます。

 次に、レジ袋有料化の効果について御質問いたします。

 二〇二〇年七月のレジ袋有料化から一年半がたちました。レジ袋の国内流通量はどれだけ減ったのでしょうか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 レジ袋の削減量でございますが、民間の調査会社のデータによれば、二〇二一年の国内のレジ袋の流通量は約十万トンと見込まれておりまして、二〇一九年の約二十万トンと比較すると、約五〇%削減されたというふうに考えておるところでございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 確かに、レジ袋の流通量、十万トンは減りました。しかし、廃棄レジ袋、実は、大部分がリサイクルされ、有効利用されているんです。

 減った十万トンのレジ袋のうち、有効利用されず、廃棄されるはずだった分は一体どれだけでしょうか。

室石政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのレジ袋の削減量のうち、有効利用されていなかった量については、削減量十万トンから一定の仮定を置いて単純計算いたしますと、年間約一・五万トンと計算されます。これを、国内の廃プラの排出量約八百万トンと機械的に比較いたしますと、約〇・二%ということになります。

藤巻委員 ありがとうございます。

 先ほどもありましたように、日本のプラスチックごみの量は年間八百万トン、レジ袋有料で削減できたのは、そのうちたったの一・五万トンです。国民の皆様が毎日頑張ってエコバッグを持ち歩いたり、あるいは買物のたびに三円、五円払っても、たった一・五万トン。日本全体のプラスチックごみの〇・二%弱しか削減できておりません。

 しかも、このプラスチックごみの問題は環境問題ですので、世界規模、地球規模で考えなければなりません。例えば、お隣の中国だけでも、日本の十倍近くのプラスチックごみを排出していると考えられます。

 そういったことも鑑みると、今回のレジ袋有料化で削減できたプラスチックごみは、世界全体の〇・〇一%以下です。日本人みんながこれだけ頑張っても、削減できたプラスチックごみは全体の〇・〇一%以下です。レジ袋の有料化、この政策、本当にコストとリターン、見合っているのでしょうか。

 エコバッグを持ち歩いたり、経済的な負担はもちろんそうでございますが、会話もそうです。袋、要りますか、お願いします、あるいは要りません。買物のたびに、この会話をしなければなりません。私もよくコンビニで買物をいたしますが、買物をするたび、コンビニやスーパーで一日二、三回、この会話をしております。

 今、日本人の間で最も多く話されているのはどんな会話でしょうか。おはよう、こんにちは、ありがとう、お帰り、お休み、袋要りますか。日本人の挨拶、一個増やしちゃいました。

 エコバッグを持ち歩かせたり、経済的負担を強いたり、挨拶を一つ増やして、ここまで国民の皆様に頑張っていただいても、プラスチックごみ、たったの〇・〇一%も減らせなかったんです。

 この政策、本当にコストとリターン、見合っているのでしょうか。御見解をお聞かせください。

山口国務大臣 一番大事なのは、国民の意識の問題だと思います。現実に、この意識が変わらなければ、この問題は解決しないと思います。

 先日、NHKの番組でもって、プラスチックごみのことについて、マイクロプラスチック、あるいはもっと細かいナノプラスチック、そういうものが、魚が食べて、その食べた魚を人間が食べたときに脳にまで来るんじゃないのかと。

 このレジ袋というのはごく一部のことですけれども、全体のプラスチックごみについて非常に考えさせられる一つの契機です。会話の中にそれが入ってきているのであれば、その意識が高まっていると考えれば、それは大いに大事なことだと思います。

 確かに、このレジ袋の量が一部であることは事実ですけれども、プラスチックごみ全体について意識を変えて、一人一人の前向きな行動変容につなげていくことが重要で、資料的に言っても、例えば、レジ袋の辞退率というのが、コンビニエンスストアでは有料化前は二三%だったのが有料化後には七五%に約三倍以上、それから、スーパーマーケットでは五七%が八〇%に、そういう意味で、非常に意識的な変革というものがなされつつあるように思います。

 それから、今、藤巻委員おっしゃられた国際的にも頑張らなきゃいけないというところが非常に大事で、今月末、二月の二十八から三月二日にナイロビで開催予定のUNEA、国連環境総会、そこでは、このプラスチックごみ対策に関する国際的枠組みについて検討されつつあり、日本が案を出して主導的な役割を果たそうとしています。果たそうとしている国が、やはり、いろいろなことでもって、小さいからやらないというよりも、小さいことから始めるということでもって意識を変えていくということが大事だと思っています。

藤巻委員 おっしゃったように、プラスチックごみに関して、意識を変えるとか、前向きな取組をしていくことの契機につなげたいということは分かりました。

 一方で、この一年間でプラスチックごみ、じゃ、一体どれだけ減ったのでしょうか。

室石政府参考人 御回答申し上げます。

 プラスチック全体の統一された統計データというのはちょっとございませんが、レジ袋については、先ほど申し上げたとおり半分になったと。ただ、量としては一・五万トンということですので、非常に少ない量ですので、プラスチック全体としては今後減少していくだろうということしか今の時点では言えないと思います。

藤巻委員 私の調べたところによると、コロナ禍の日本全体のプラスチックごみ、三%ぐらい減っているという話は聞いておるんですが、コロナ禍の消費低迷があっても三%しか減っていないのではないかということです。

 そう考えると、果たして、この一年間でプラスチックごみ、本当に減っているんでしょうか。ほとんど減っていない、減っていたとしても誤差の範囲じゃないかということが考えられます。本当に、みんなの意識、変わっているんでしょうか。本当にプラスチックごみを減らしていくという啓蒙につながり得ると、今回のレジ袋有料化の方策、本当に国民の皆様の意識を変えるということにつながったのか、どうお考えでしょうか。

山口国務大臣 このレジ袋については、いろいろな御意見があることはよく承知しているんですけれども、先ほどの意識の変革のみならず、問題はスタート、問題というよりも、その解決はスタートしたばかりだというふうにむしろ認識しています。

 国内のプラスチックの資源循環、これを一層促進していくために、昨年六月にプラスチック資源循環法が全会一致で成立し、今年の四月一日に施行される予定です。その中で、ライフサイクル全般であらゆる主体の取組をプラスチックについて促進していくということがあります。

 先ほどの、UNEAで、今月末から来月にかけて、プラスチックごみ対策に関する国際的枠組みについて議論するということを申し上げました。それは確かに、いろいろ消費する国、それからもうどんどん流す国、これを非常に念頭に置いて、日本案というのはできるだけ多くの国がそれに入りやすいようにということを配慮しています。

 ヨーロッパの国の意識というのは、正直、日本よりも物すごく高いです。したがって、作るところから、デザインとかいろいろなことまで考えてやろうということで、ただ、そこまですると入ってくる国が少なくなるんじゃないかということで、日本案はむしろちょっと緩めのものを提案しているんですけれども、まずは国際的な場を設定していこうというところから始めるということで、実際には問題の解決はまだ始まったばかりなので、ここから取組を一層促進させていきたいと思います。

藤巻委員 ありがとうございます。

 もちろん、プラスチックごみを減らしていくこと、世界的に非常に重要なテーマであると思います。ただ、このレジ袋の有料化、国民の皆様の頑張りに対して、それに見合った効果のある政策なのか、いまだ疑問の余地が残ると考えております。プラスチックごみを減らしていくべく、コストとリターンの見合った意義のある政策の策定、どうぞよろしくお願いいたします。

 一部、時間の関係で、用意していた質問を飛ばさせていただきました。答弁の用意をしてくださった方々、大変申し訳ありません。

 また、本日は、慣れないこともあり、大変無礼な物言い、大変申し訳ありませんでした。

 時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

根本委員長 これにて藤巻君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会、遠藤良太でございます。

 兵庫五区で活動をさせていただいております。さきの衆議院選挙で当選させていただきまして、今日は初めての質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 本日は、メタバースと言われる仮想空間と介護、そして、時間があればアウトドアについて質問させていただきたいと思います。

 最近、メタバースやNFTなどと言われる言葉が新聞や週刊誌、またネットで大きく取り上げられております。

 特にメタバースは、フェイスブック社がメタ社に名前を変更しました、このことで話題になっているかと思います。フェイスブック社の社名変更は、SNSとしてだけではなく、メタバースに事業が広がっていることが理由のようです。

 メタバースとは、メタ、超越と、ユニバース、宇宙を組み合わせた造語になります。アバターと言われる自身を通じて、3Dの仮想空間でコミュニケーション、経済活動等を行うものです。

 例えば、イメージの、ゲームでいいますと、マインクラフト、マイクラ、「あつまれ どうぶつの森」、あつ森、フォートナイト、ポケモンGO、こういったものになります。

 ちなみに、牧島大臣、このようなゲームは、体験されたことはございますでしょうか。

牧島国務大臣 メタバースの、ゲームは体験したことはないんですが、メタバース空間で、人々が集まって会話をしたりチャットをしたりということはしたことがあります。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 皆さん、恐らくゲームだということで余り関心がないという方もいらっしゃるかもしれないですけれども、イギリスのザ・サンドボックスというブロックチェーンメタバースゲームというものがあります。こちらは、十六万六千四百六十四区画のデジタル土地があります。売買、賃貸などがその中で行われており、区画内の最高取引額は四百三十万ドル、約五億円という値がついた土地もあるほどです。

 既に有名企業、有名人などが所有しており、先週十日木曜日には、イタリアの高級ファッションブランドのグッチがこの土地を買ったということでニュースになりました。

 大臣、こうした状況について、どのように思われるでしょうか。

牧島国務大臣 仮想空間でアバターが集って、経済活動も含めて行っていく、これは、グローバルなプラットフォーマーも含めて期待が寄せられているというのは御指摘のとおりだと思っています。

 一方で、物の権利の保護等の課題なども指摘をされているということも承知をしているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 二〇二八年には、メタバース市場が世界で百兆円にも達するとも言われております。巨大な市場規模になる見通しです。

 メタ社は、昨年十月下旬に、メタバースに約百億ドル、つまり、一兆一千五百億円以上投資すると発表しています。メタ社には、一万から二万人ものメタバースについての技術者がいることで、桁違いの力の入れようです。

 日本には、ゲーム産業やアニメ産業、コンテンツ産業などが盛んであり、メタバースにおいても十分に産業が発展していくように思います。

 メタバースに関して、課題についてお伺いしたいと思います。

牧島国務大臣 日々変化する技術でございますので、このトレンドはしっかりと私たちとしてもウォッチをしなければならない。その上で、信頼性とか又は安全性といった点も課題として認識をしているところでありますし、的確な対応が求められる分野だろうというふうに理解しています。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 先日、メタバースに取り組んでおられる様々な企業の方にお話を伺ってきました。

 KDDI社は、渋谷区と連携をして、バーチャル渋谷au5Gハロウィーンフェス二〇二一を開催しています。リアルなアバターで、渋谷のバーチャル空間において、ライブやカラオケを楽しむことができます。こうした都市連動型メタバースが特徴です。

 しかし、権利関係との調整が課題となるとのことで、例えば広告をつけるとすると、バーチャルで利用するとしても許諾を得ないといけないという問題があります。

 著作権についてはどのような取組を行いますか。文化庁の方、お願いします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 メタバースにおける著作権の対応についてのお尋ねでございますが、いわゆるメタバースという仮想空間においては、コンテンツにとっても新しい流通の場になり得る可能性があり、著作権等のライセンスによる新しいビジネスが成長する可能性が期待できます。一方で、委員から御指摘いただきましたように、多くの権利処理が伴うことによる権利処理コストの増加といった課題が想定されます。

 これに関連しまして、文化庁では、昨年七月、文化審議会において、デジタルトランスフォーメーション時代に対応した著作権制度・政策の在り方について諮問を行い、現在、簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について審議が行われているところでございます。

 文化庁といたしましては、いわゆるメタバースを含め、今後デジタル化や技術革新が進むことを想定し、引き続き、著作物の利用円滑化と適切な対価還元による新たな創作活動の推進を図りまして、コンテンツ創作の好循環の実現を目指してまいりたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 先日、メタバース内でイギリス在住の女性のアバターが痴漢被害を受けたということで、ニュースになりました。また、メタバース内での誹謗中傷被害も起こり得ると思います。

 メタバース事業者にとってもリスクがあり、誹謗中傷に対するメタバース内での法整備についてはどのようにお考えでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 仮想空間、いわゆるメタバース内であっても、個人の人格や名誉を傷つける誹謗中傷は許されないということに変わりはないと考えております。

 インターネット上の誹謗中傷対策につきましては、SNSなどの事業者の利用規約などに基づいて、問題のある投稿やメッセージの削除、アカウントの停止などの対応など、自主的な対応を行うことを原則としつつ、ICTリテラシーの向上のための啓発活動や被害者からの相談対応の充実、さらには、プロバイダー責任制限法に基づく損害賠償請求等を行うことを目的とした、発信者の氏名、住所などの情報を特定するための迅速な裁判手続の運用など、総合的な取組が重要であるというふうに考えているところでございます。

 インターネット上の活動であるメタバースにおける誹謗中傷対策につきましても、今後提供されますサービスの内容も注視しながら、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 NTTドコモ社にお話も伺いました。仮想空間上のアバターで表情や体の表現を再現する技術を開発しています。センサーで口や関節の動作を検知して、実際にいる人の顔の表情がアバターの表情としてすぐに表れるため、接客などで活用が見込まれています。

 また、パナソニック社の子会社のシフトール社にもお話を伺いました。シフトール社では、最近、VRヘッドセットのウェアラブル周辺機器を発表しています。スマートフォンでも操作はできますが、ヘッドセットだと没入感や臨場感が違います。私自身も体験してみましたが、非常にリアルで、すごく驚きました。

 ちなみに、萩生田大臣、このような端末を体験されたことはございますでしょうか。

萩生田国務大臣 メタバース上では、ありません。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 そこで、ヘッドセットなどのデバイスに対して、企業若しくは購入者に対して補助をすることでメタバースへの普及の支援を行うことが考えられますが、そうした支援についてはどのようにお考えでしょうか。大臣、お願いします。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、メタバースの導入には、高性能なパソコンのほか、頭部に装着するヘッドマウントディスプレーが必要となりますが、これらは一般的な家電として徐々に普及が進みつつあるところでございます。直近では三万円台から販売をされておりまして、五万円前後、四万円、五万円で売られているものが多いというふうに認識しております。

 今後、メタバースの更なる普及のためには、委員先ほど御指摘ありましたが、VR等におきまして、没入感、臨場感の得られるデバイスなどの高度化も重要でございます。

 このため、経済産業省といたしましては、共通基盤技術の開発に取り組んでおりまして、例えば、AI半導体の研究開発支援として、令和四年度の当初予算案におきまして、民間企業等が持つAIチップのアイデアの実用化に向けて、開発に必要な設計ツールや知見、ノウハウ等を提供するとともに、次世代コンピューティング等の実現に向けまして、ハードとソフトの一体的な技術開発等を支援する事業について約百億円を計上しているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 このヘッドセット、デバイスに関しては、中国もいろいろな機器、もう既に出ています。私もいろいろな機器を見ておりますけれども、非常に先進的にされているかと思います。

 スタートアップ企業のヒッキー社というところにもお話を伺いました。百万人以上の人が来場するバーチャルマーケットを開催しており、メタバース上にある会場でアバターや洋服を売り買いできる、世界最大級のVRイベントを実施しています。一般的にはクリエーターの処遇は厳しい状況だと伺いました。

 最近では、海外のメタバース関連企業は日本人採用を積極的に行っているということで、優れた人材が流出するという現実があります。ウェブクリエーターやウェブデザイナーの処遇改善が必要だと考えており、加えて、ウェブクリエーターやウェブデザイナーは職業訓練の中に入っているようですが、メタバース人材を育成するために、職業訓練の中にメタバースの構築について盛り込んでいくことはいかがお考えでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、デジタル人材の処遇向上、そのための人材育成というのは重要な課題というふうに思っておりまして、職業訓練を始めとする人材開発施策につきまして、その充実を図っていく必要があるというふうに考えております。

 既に行っております施策を申し上げますと、まず、公的職業訓練におきましては、IT分野のコース設定の促進を進めていく必要があるということで、IT分野の資格取得を目指す訓練コースについて委託費等の上乗せを行うこととしております。

 また、従業員に職業訓練を積極的に実施していただく必要があるということで、それを支援する人材開発支援助成金というのがございますけれども、ITSSレベル2以上の教育訓練を高率助成の対象としたところでございます。

 また、加えまして、労働者の主体的な能力開発を支援する教育訓練給付制度がございます。この対象講座にデジタル関連講座を積極的に指定をしていくこととしておりまして、こうした施策を通じまして、デジタル人材の育成をしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、積極的に職業訓練の中で実施していくことを望みます。

 このように、各社様々な取組を行っていますけれども、国の支援策があってよいように思います。メタ社は一兆円の投資をしていると言われており、日本の企業は競争力を確保できるのかが問われています。国としても、例えば、官と民で基金をつくってメタバース企業を積極的に支援していくような対応も考えられると思います。

 そうした支援策について、萩生田大臣、いかがお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 先生から、多々、メタバースについて御所見をいただきました。非常に可能性を秘めたツールであるというふうに私も思います。

 しかしながら、先ほども答弁しましたように、メタバースを高度に活用するためには高速大容量のデジタルインフラの存在が大前提であります。このため、5Gやデータセンター、光ファイバーなどのインフラ整備を加速することが不可欠でありまして、足下では5Gの導入を支援する税制の適用期限を三年間延長するとともに、データセンターについては最適配置を進めるための施策などに取り組んでいるところでございます。

 先ほど、デジタルデバイスの共通基盤技術であるAI半導体の研究開発などの支援ということで、それをやることによって、VRで没入感や臨場感を得られる新たなデバイスが開発される、これはこれで私もよく分かるんですけれども、さっきからいろいろな役所が答弁で答えているように、メタバースの担当所管がまだないんですね。私も、聞かれてもちょっと分からないところもあって。

 ただ、一方、さっきも、先生もおっしゃったのかな、メタバース内でいろいろな課題もあって、著作権の問題ですとかあるいは人権侵害、個人情報。ちょっと聞いたら、メタバース上のいじめというのはもう尋常じゃないと。普通のネットのいじめ以上に、アバターがぼこぼこにみんなからやられて、物すごくやはり傷つくらしいんですよね。

 したがって、そういうことも含めると、可能性は否定しませんけれども、直ちにここに国民の税金を投入して、経済を広げていくためのツールとして、受皿として本当にいいかどうかというのは、ちょっと慎重に考えていかなきゃいけないかなと思っています。

 一番いいのは、メタバースの中に国会をつくっていただいて、その中で御議論いただくのが私はいいんじゃないかと思っています。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、そういう意味で、もちろんいろいろな課題がありますけれども、積極的に、海外の動向を見ながら、政府としても対応していただきたいと思います。

 メタバース内のバーチャルマーケットで、ショップ店員の、案内役であったりとか、これに百七十一名が雇用されていると。地方在住や障害のある方でも働くことができている、そういう状況があります。渋谷区の一〇九で働きたいと願って、障害をお持ちの方が夢をかなえることができたということで喜んでいたということを聞きました。

 これは、新たな働き方になっていく可能性があると思っています。障害者の雇用におけるメタバースの可能性については、どのようにお考えでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 メタバースなど、新たなICT技術やサービスの進展によって在宅勤務等の可能性が広がるということにつきましては、通勤が困難な障害者の方や、感覚過敏などによって通常の職場での勤務が困難な方、それから地方在住の障害者の方、こういった方々の雇用機会の拡大につながると考えてございます。

 このため、厚生労働省におきましては、ICT技術を活用した障害者の方の在宅勤務を推進するために、在宅勤務導入のためのガイドブックというのを策定いたしまして、好事例の周知等を行ってまいります。

 それから、今年度新たに、障害者の方の在宅勤務の理解促進、周知のためのフォーラムというのを開催いたしまして、取組を加速しているところでございます。

 加えまして、四年度予算案におきましては、個々の企業の実情に応じたICT技術を活用した雇用を更に支援するために、障害者の方のテレワークの導入を検討する企業へのコンサルティングの実施、それから企業向けガイダンスの実施といったことも盛り込んでございまして、ICT技術を活用した障害者の方の雇用の促進を更に加速するということで考えてございます。

 引き続き、ICT技術等の進展を踏まえながら、障害をお持ちの方の多様な働き方を一層支援して、障害者の方の一人一人が希望や能力に応じて生き生き活躍できる社会を実現してまいりたいと思ってございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、社会福祉という観点で取り組んでいただいたらと思います。

 次に、介護関連で質問させていただきたいと思います。

 私自身は、以前、介護関連の会社で経営をしておりまして、海外で事業展開してきました。

 今月から、介護職員について、月額三%程度の引上げをすることになっていると思います。

 先日、我が党の、日本維新の会の一谷議員の質問に対し、後藤大臣は、補正予算で入った二千六百億円の処遇改善に関して、今回の措置は、他の職種にも一定の処遇改善を行うことができるよう、柔軟な運用を認めることとしていますと答弁されております。

 この他の職種について、どのようにお考えでしょうか。

後藤国務大臣 介護職員の給与が他の職種に比べて低い状況にありまして、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があることから、介護職員について、これまで累次の処遇改善に取り組んできております。

 このため、現行の処遇改善加算等や本年二月以降の措置については、介護報酬の対象となるサービスのうち、介護職員が基準上配置されているサービスを対象としているということでございます。

 その上で、今委員から御指摘いただきましたように、今回の措置は、他の職種にも一定の処遇改善を行うことができるよう、柔軟な運用を認めることとしておりまして、介護職員等特定処遇改善加算についても、一定ルールの配分の下、その他の職員にも配分することが可能であるということでもございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 この他の職種という分野に関しましては、ケアマネジャーや障害者相談支援専門員も含まれるというふうに理解をしているんですが、その辺りはいかがでしょうか。

後藤国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 これまでの処遇改善加算では、ケアマネジャーや先ほどの障害者相談支援専門員は対象になっていませんでした。ケアマネジャーに関しては、資格があるのに、現場で働いた方がかえって所得は高くなる、こういった状況になっています。

 そこで、やはり今回、先ほど答弁いただきましたけれども、しっかりその辺り、もう一度明確に答弁いただきたいと思います。

土生政府参考人 具体的なことを御説明させていただきたいと思います。

 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、今回の処遇改善でございますけれども、介護職員が基準上配置されているサービスを対象としているということでございます。そうしたサービスの中で、先生御指摘のとおり、ケアマネジャーさんでございますとか生活支援相談員、障害の部門に特化された方は障害福祉の方で対応することになっておりますけれども、そういった方に柔軟な運用を認めるということになっているということでございます。

 なお、単独の事務所で居宅介護支援という場合には介護職員さんは配置されておりませんので今回の対象にはならないということでございますけれども、令和三年度の報酬改定で基本報酬の引上げを行うなど、対応してきているということでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、単独の居宅の支援についてもしっかりと御検討いただきたいと思います。

 介護の人員配置基準について、有料老人ホームやグループホームの特定施設の場合、看護師、生活相談員、ケアマネジャーを常勤換算で一人以上置かなければならないことになっています。しかし、このコロナ禍において、看護師の確保はなかなか難しい状況です。入居者三十名を超える特定施設では二名配置しないといけないとなっております。この二名というところに対して、現場からは、一名でも足りる、そのように現場では声が出ています。

 そこで、介護の人員基準について、緩和をしていくべきじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 特定施設入居者生活介護におきまして、入居者が安心して日常生活を営むことができますように、常に入居者の健康の状況に注意して、健康保持のための適切な措置を取ることができる体制が必要でありまして、そのために、規模に応じて一定数の看護職員の人員配置を求めております。

 一方で、特定施設も含めた介護サービス事業所において、新型コロナウイルス感染症の患者等への対応等によりまして一時的に人員基準を満たすことができなくなる場合であっても、柔軟な対応が可能である旨、都道府県等に周知をしております。

 また、施設内で感染者等が発生した場合において、感染拡大防止対策の徹底等によりまして、必要な介護サービスが継続して提供されることが必要であるというふうに考えておりまして、看護職員を含めた職員の緊急雇用に係る費用とかかり増し経費についても支援しているほか、高齢者施設等に看護職員を派遣した場合の派遣元医療機関への補助上限額を八千二百八十円と更に引き上げるなど、措置も行っておりまして、高齢者施設等における体制の確保、しっかり支援していきたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 現場に関しましては、看護師の不足、非常に大きな問題になっております。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 昨日、兵庫県にある特別養護老人ホームを運営されている企業の方よりメッセージを受け取りました。

 感染対策を徹底していましたが、オミクロンと戦っています。かなりの感染対策は、どこよりもしてきたつもりです。オミクロンの感染力は恐ろしいです。そんな中、パートさんも嫌がらずにコロナ感染フロアに入ってくれています。是非、国政を担っている皆様に切なる対応をお願いしたい。

 そのようにメッセージを受け取りました。

 このように、全国の介護、医療現場は戦ってくれています。何とか政府として、オミクロン対策をしていただき、また全国の介護現場への慰労金、更なる給与水準、処遇改善の改定をお願いしたいと思います。大臣、答弁をお願いします。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいましたとおり、介護現場の皆様におかれましては、このコロナ禍におきまして、介護サービスを必要とする高齢者の方々のために強い使命感を持って献身的に御尽力いただいていると思っております。深く感謝申し上げます。

 しかしながら、慰労金につきましては、昨年度、当初全く未体験であったコロナウイルスとの戦いという中で、医療も含めて一律に支給させていただいたものでございまして、これを再度行うということは考えていないところでございます。

 今年度につきましては、地域医療介護総合確保基金の枠組みなどを使いまして、感染者、濃厚接触者が発生した事業所等に対する様々な支援を実施させていただいているところでございまして、また、処遇改善につきましても、令和四年度については報酬改定でそれを引き続き実施するということを予算案に計上させていただいているところでございます。

 今後とも、様々な施策を用いまして、しっかりと支援してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 是非、大臣も含めてしっかりと、この辺り、検討して、進めていただけたらと思います。

 時間になりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて遠藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦です。

 委員長、また委員各位、そして大臣の皆さん、連日お疲れさまでございます。

 今日は、とても寒くなりました。降雪の予報もありましたけれども、雪が積もらなくて大変よかったなと思っております。私、いつも国会に電車で通勤していますが、こういうときはどうしても車で来たくなるものでございまして、まず、ガソリンの価格についてお伺いをしたいと思います。

 トリガー条項の件をまず萩生田大臣にお伺いしなければなりませんが、私ども国民民主党が選挙の公約にトリガー条項の凍結解除を掲げてから、もう四か月がたっております。この間、石油製品価格調査、給油所小売価格調査の中では、発表当時の、十月の時点では百六十七・三円、先週の調査では百七十一・二円、この間、三・九円も小売価格が上がっていることになります。

 これまで、様々な会派から、このトリガー条項の凍結解除についての様々な意見があったかと思います。見直すべきであるという意見もあったと思いますけれども、そのたびに、政府からのお答えは、買い控えや、その反動による流通の混乱、国、地方の財政への多大な影響を理由にして、凍結の解除を考えていないといつもおっしゃっておられます。そして、バックアップのために激変緩和措置を講じているという答弁でございました。

 しかしながら、先週の時点で、政府案によるガソリンの元売への補助については、上限の金額に既に達している状況でございます。あさって公表される小売価格では恐らく、この補助率ではもたない状況になってくる、こういう試算があるはずでございますが、萩生田大臣、次の一手はどのようなものをお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 ガソリンについては、原油価格の上昇により、二月七日の全国小売価格の平均が百七十三・七円になると予測されたところ、今般の制度により二・五円抑制されて、百七十一・二円となりました。また、軽油、灯油についても同様に、二・五円の価格抑制の効果が確認されたところです。

 一方で、ガソリン、灯油等の小売価格は、経営戦略や在庫状況、輸送コスト等によりそもそも地域差があり、今般の二・五円の抑制効果も全国一律ではなく、地域においてばらつきがあるものと承知しています。従来から申し上げているとおり、更なる高騰を抑えるもので、値下げを狙う制度でないことを改めて御理解いただきたいと思います。

 経産省としては、ガソリンスタンドへの全数調査に加え、今週からは、卸価格が据え置かれているにもかかわらず値上げをしている事業者への現地調査を開始をします。本事業の趣旨を踏まえた価格設定がなされているか、個別に事情を確認することを通して、しっかりフォローアップをしてまいりたいと思います。

 その上で、現時点では支給上限の拡大は考えておりませんが、原油価格の高騰がどの程度長期化するのかも見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、国民生活や経済活動への影響を最小化するという観点から、何が効果的な対策か、総理の指示なども踏まえ、政府全体としてしっかり検討してまいりたいと思います。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 政府のお考えは重々よく分かりました。これについては後ほど改めて確認をさせていただきたいと思いますが、現に今、車で通勤をされ、そして生活圏が車でなければならない方々が大勢いらっしゃいます。私のおやじの実家は秋田です。秋田は車がないと何もできません。

 このような状況の中で、それでもトリガー条項の凍結解除を実施されないということであれば、政府の御説明のとおり、買い控えや、その反動によって、どの程度の期間で、そしてどの程度の損害が発生するという試算があるんでしょうか。

鈴木国務大臣 トリガー条項につきましては、これまでも申し上げましたとおり、それを解除した場合の市場の混乱、それから国、地方の財政への影響というものがございます。

 鈴木先生お尋ねの、国、地方の財政への影響についてでございますが、仮に一年間、トリガー条項の発動が続いた場合には、国はマイナス約一・〇兆円、地方はマイナス約〇・五兆円の減収となる見込みでありまして、国、地方の合計では、マイナス約一兆五千七百億円と見込んでいるところであります。

鈴木(敦)委員 これは、税収に関してだけですよね。

 過去にガソリンの暫定税率が失効した際、流通が混乱したということをよくおっしゃいますけれども、この暫定税率の期限切れの際に一番問題になったのは、暫定税率がまだ残っている状態で仕入れたものを、暫定税率を排した状態で売らなければならなくなった、それによって小売各社が混乱したことに尽きると思います。

 当然ながら、消費者は高いところではガソリンは入れません。そして、今この御時世は、インターネットを使えば、どこのガソリンスタンドでどれぐらいでガソリンを入れられるのか、もうみんな分かりますので、高いところでは消費者は入れていきません。

 当時、暫定税率が廃止されたときは民主党政権でしたけれども、今回も政府には同じように小売店からの御要望が入っているのかと思います。その分、小売店の価格が下がることについて補填するというなら分かりますけれども、リッター五円の元売への支援について、どこまで効果的なのかということについては、懐疑的にならざるを得ません。

 しかし、特に、今は総予算の審査中ですから、税収が下がるということについて認めるのが難しいことは重々よく分かります。

 では、トリガー条項が仮に発動された場合の税収のマイナス、今御説明をいただきましたけれども、もちろん検討されていると思いますが、プラス、マイナス両方ともございます。このプラスの分の試算について、今あるんでしょうか。

鈴木国務大臣 税収については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 それで、数字ではないんですけれども、定性的なことを申し上げますと、ガソリン税が下がりますと、当然のことでありますけれども、その分、国民の負担が減るということはございます。しかし、政策の企画立案に当たっては、その一部に限定してメリット、デメリットを議論するのじゃなくて、全体として評価をしていく必要がある、こう思ってございますので、私どもとしては、全体の評価といたしまして、先ほど申し上げました解除時におきます市場の混乱でありますとか、あるいは国、地方に対する大きな、税収に穴が空くということを申して、総合的に判断しているところであります。

鈴木(敦)委員 それは重々分かるんですが、是非、このプラス面について財務省がどのようにお考えになっているのかをお伺いしたいんです。

 実際に、今、おっしゃっていただきましたとおり、国民の負担はもちろん減ります。減ることによって国民の可処分所得が上がります。どれぐらいの効果が見込めて、全体として押しなべてそれがマイナスになってしまうという判断だったらそれはそれで結構なんですが、どれぐらいのプラスを想定されているのか、これをお伺いしているんです。

鈴木国務大臣 それについては詳細な検討はされておりません。

鈴木(敦)委員 政策決定についてはプラスとマイナス両方を、もちろんこういう場合には二つだけというわけにはいかないと思いますから、幾つもの可能性を検討して、テーブルにのせて、最も効果的なものを採択していく。岸田総理も会見でおっしゃっていましたとおり、政府全体としてあらゆる方法を検討される、これはもちろん正しい方法だと思います。ただ、税収面で一・六兆円の財政赤字が生じるということですけれども、これは税制だけにはとどまりませんよね。是非、総選挙が終わったばかりなんですから、もうちょっと長期的な意見をお伺いしたいんです。

 民間の試算では、シンクタンクの計算では、一年目は確かに税収減、一・六兆円程度減収をするというものの、二年目以降、消費税やあるいは所得税の自然増収、つまり可処分所得が上がることによって二年目は〇・二兆円、三年目は〇・一兆円程度、それぞれ赤字の縮小要因となる、こんな試算もあります。

 また、これは実質GDPへの影響ですけれども、初年度で〇・一%、二年目になると企業の減税効果の拡大で〇・二%押し上げられる、このような試算が民間で四か月前にされていますが、財務省は本当にここまでされていないんでしょうか。

鈴木国務大臣 財務省としてはいたしておりません。本来それは内閣府において検討されるべきものだと思います。

鈴木(敦)委員 影響がかなり大きいということだと思います。このまま推移すれば、いずれにしてもこの影響がどんどんどんどん拡大をしていくと思います。

 幾つか事例を挙げさせていただきますが、皆さんもクリーニングを使われると思います。これは、クリーニングの際、地元にも幾つかクリーニング工場があるんですが、乾燥させたり、あるいはシャツのプレスですとか、そういう部分に蒸気を使っています。この蒸気は、重油を使ってボイラーをたいています。また、ドライクリーニング、これに使う洗剤は石油系洗剤です。この二つ、いずれにしても燃料を使うんですね。石油系燃料ですから、価格が上昇すればそれだけ経営が圧迫されている、こういう例もある。

 また、もう一つ、タクシーです。

 タクシーはガソリンじゃありませんが、LPガスを使っています。LPガスの正式名称は液化石油ガスですね。石油が高騰すればもちろんガスの価格も上がっていく。そして、蔓延防止等重点措置が適用されていますので、お客さんの数も絶対数が少ない。このような状況の中で、昨日、私、親戚がタクシーに乗っていますので話を聞きましたところ、夕方になるとお客さんがいらっしゃらない、だから早めに会社に戻っても会社も何にも言わないんです、こう言っていました。つまり、走らせるだけ燃料費がかさむので、その分、会社にとってはマイナスになっていく。

 最後にもう一つ例を挙げさせていただきますが、昨日、我が党、国民民主党は党大会をやりまして、その際に愛媛県の方と、県連とお話をして、意見交換をする機会がありました。ここでお話しになったのが、瀬戸内海においては一時間ほどフェリーに乗らないと医療にたどり着けない方々が多くいらっしゃって、それでドクターヘリを使って患者さんを運搬する、こういう手段をもう少し拡充してもらえないか、こういうお話でした。

 ただ、この議論の中で、瀬戸内海では一般の医療法人が診療船を運航して、島々を巡って船で皆さんの健康を守っている、こういう事例があるんです。

 ただ、この船、ドクターヘリもドクターカーも救急車も同じですが、全てに関連するのはガソリンです。今ガソリン価格が高騰すると、こういう部分にまで影響をしてくるんです。

 これから先も長期化することが予想されると思いますけれども、少しずつでも改善していかないと、長期的になったときにどこまで悪影響が及ぶのか分からない、どちらがマイナスになるのか分からないという状況になってくると思いますが、財務大臣、そろそろ考え直して、検討を開始すべき段階だと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今回の足下のガソリン価格を始め高騰については、もう鈴木委員も御存じのとおりに激変緩和措置をやっておりますが、それだけで対応しようということではなくて、例えば、農業、漁業に対する業種別の対策、そうしたもの、あるいは、これは例えば、あと、施設園芸等のセーフティーネット構築事業でありますとか、あるいはトラック運送業における対応を行う、さらに、地方自治体が独自の、例えば灯油の価格を下げるとか、そういうことにした場合に対しまして特別交付税措置をきちっとするとか、そういうような重層的な対応をいたしておりますので、それを全体として、今の足下のガソリン価格、原油価格の高騰に対応していきたいと思っております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 様々手を打っていただいていることについては重々分かっております。そして、その対応については、もちろん、今、国民のことを思ってやっていただいているんだと思いますが、このガソリン価格の高騰の主な要因が、コロナ禍からの世界経済の立ち上がりが予想よりも早かったこと、それに加えてウクライナの件が大きく影響していると思います。

 先日、日本がEUへの液化天然ガスの融通をアメリカから要請をされ、それを実行しておりますけれども、これを含めても、ガソリンの価格の高騰は今後も相当程度長期化することを覚悟しなければならない段階にそろそろ来ているんじゃないかと私は思います。

 今やっていただいていることについてはこれで結構だと思いますが、改めて新しい施策を検討されるような用意はございますでしょうか。

萩生田国務大臣 今お話のあった、例えばウクライナを含めた国際情勢など、前広にいろいろ考えていかなきゃいけないと思っています。

 先ほど来申し上げているように、何かはやる、何かはやらないということをあらかじめ決めるんじゃなくて、どういったことが効果的かということをしっかり考えて、当然、不断の検討は続けてまいりたいと思います。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 刻々と変わっていくものでございますので、少しずつでも影響を改善させていただきたいと思いますし、私ども国民民主党は昨年、二百七回の臨時国会で、日本維新の会さんと共同でこれに対する対応策の法案を既に出しております。立法措置が時間がかかるからやらない、こういう言い訳はできないと思います。

 是非、国民のためですから、一つ一つ解決させていただきたいと思っております。是非不断の努力、お願いいたします。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 財務大臣、改めてなんですが、岸田内閣の発足以降、新しい資本主義についてたくさんの説明をいただいております。

 この新しい資本主義について、財務大臣の立場で、どのようなものなのか御説明いただけますでしょうか。

鈴木国務大臣 お尋ねの新しい資本主義につきましては、基本的には、成長と分配の好循環やコロナ後の新しい社会の開拓を基本理念として、岸田内閣の目指す経済社会像を指している、そのように認識をいたしております。

 成長戦略といたしましては、デジタル化や気候変動問題への対応、経済安全保障など、世界的な潮流の中で我が国が克服しなければならない新時代の課題をむしろこれからの成長分野にしていくという発想で取り組むことが必要でございます。

 その際、呼び水となる予算や規制改革、新たなルール整備など民間の投資を促すインセンティブを与えられるよう工夫をして、官と民が協働して成長を実現していけるようにすることが重要だと考えております。

 その上で、成長によって得た果実を適切に分配することで、成長を支える新たな需要を創出し、次の成長につなげていく必要があります。

 具体的には、賃上げを通じた人への分配はコストではなく未来への投資であるという考え方の下、まずは、国が率先して公的価格を見直して給与を引き上げ、さらに、人的資本投資強化のための施策パッケージの創設や価格転嫁円滑化のための施策パッケージなど、賃上げに向けた環境整備を進めていくことが重要だと考えているところでございます。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 新しいと言われますとわくわくするのは私が若いからなのかもしれませんが、是非、比較のために、今までの資本主義とは、じゃ、何だったのか、御説明願えますでしょうか。

鈴木国務大臣 資本主義については様々な捉まえ方があるんだ、こういうふうに思いますが、岸田内閣が目指す新しい資本主義との関係でいけば、一九八〇年代以降、新自由主義的な考え方が世界的な潮流となる中で、日本でも新自由主義的な政策が取られてきたんだと思います。

 当時、振り返ってみますと、当時は、何か新しい競争力を持った方々が出てきても、その市場分野に入ろうとしても、既得権者がいて、なかなかそこに参入できないというようなこともございました。そういう中で、市場原理によって、そういう競争力のある人が、既得権があって今まで入れなかった人と取って代わるとか、また、当時よく使われたのは、護送船団方式というような言葉がよく使われまして、一つの業界がみんなそろって前に進んでいく。しかも、その進むスピードは、そのグループの中で一番足の遅い方々と一緒に進んでいくということで、それがやはり一つの、成長を抑えるような、そういうことがあったんだと思いまして、新自由主義的な政策によって経済の成長の原動力になったというのは事実だと思います。

 しかし、メリットとデメリットがございまして、やはり何でも市場競争で行うという優勝劣敗というようなことが進んでまいりますと、そこには格差が生まれたり、あるいは気候変動といった様々な課題がグローバルに顕著になってきたもの、そういうふうに考えているところであります。

鈴木(敦)委員 新しい資本主義も今までの資本主義も、因数分解をして考えれば、結局、労働力を資本家が使い、そして効率を高めて、その果実を賃上げや一時金の支給といった形で分配をする。そして、付加価値を生み出して、その付加価値に付随して、科学技術の発展を伴って、科学技術が発展すれば国力が増強して世界基準に認められて更に成長していく、このようなサイクルを指しているものだと思います。これは新しいも古いもなく、この成長と分配の好循環は資本主義にとっての至上命題であって、当たり前の概念なんだろうと思います。

 ただ、昨今日本が置かれている状況を考えれば、私たち、皆さんからしたら若者の世代に入りますけれども、私たちは、仕事に就こうと思っても就けなかったり、正規に入ろうと思っても入れなかったり。そして、ただでさえ超高齢社会で労働力も減っている。そして、周りの新興国は、少しずつでも、そして着実に増強しているという状況の中で、国際競争にも追いつけていないというのが今の日本の現状ですね。

 今の国際競争力ランキング、私が生まれた年は世界一位でした。今はもう中国よりも韓国よりも下になってしまっている。これはまさに、皆さん、マニュアルで車を運転されたことがあると思いますが、まさに高速道路を一速で走っているような状況です。必死になってメーターを上げて頑張っているにもかかわらず、一向にスピードが上がっていない、このような状況を今日本は走っていると思います。

 こういった意味で、今大臣がおっしゃったように、好循環を生み出すような新自由主義的なものからの新しい資本主義というのは、言い方はどうあれ、これを発展させるという方向性については私は間違っていないと思います。

 ただ、高付加価値のものを開発したり生産したり、そのための労働力を使ったりというような分野については、もはや日本だけでは切り離しては考えられないものですね。世界全体として日本がどうやって立ち位置を持って上がっていくかというところに尽きると思います。

 更に言えば、質問を飛ばしますが、日本が国際規格を取れなくなってきたことについて財務大臣にお話を伺いたいんですが、私、子供の頃、ビデオといったらVHSでした。これはもう世界で当たり前のように使われていました。ただ、それ以降は日本は、皆さんも一台はお持ちだと思いますが、リチウムイオン電池、日本が開発したのに、世界シェア、今は日本は全然取れておりません。これが現実です。

 財務大臣にお伺いしますが、この間、政府が主体となって様々な投資あるいは予算配分をされたと思いますけれども、今回も議題になっているデジタルを始めとする政策分野への投資額、これで十分だとお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 国の予算につきましては、その時々の経済社会の状況でありますとか財政需要を踏まえ編成してきているものでありまして、産業政策につきましても、毎年巨額の赤字国債を発行するという厳しい財政事情の中でも、必要な予算はきちんと措置してきたと考えております。

 その上で申し上げますと、現在の国際環境は、先端技術をめぐる国際的覇権争いの激化、そして、これを受けました各国における先端技術や産業の育成のための公的支援の強化といった流れにありまして、科学技術立国の推進や経済安全保障といった分野に予算を重点化していく必要が高まっている、そのように認識をいたしております。

 こうしたことから、例えば、令和三年度補正予算では、先端半導体の生産拠点整備や最先端半導体の開発など日本の半導体産業の競争力強化のため約八千億円、AIや量子といった重要な先端技術のシーズの研究開発のため約二千五百億円、今後のグリーン社会を支える車載用蓄電池の生産拠点整備のため約一千億円を計上するなど、これまでにない規模の措置を盛り込んでいるところでございます。

 その時々の財政需要に的確に対応し、一層の民間投資の活性化につなげて、日本経済、新たな成長を実現させなければならないと考えております。

鈴木(敦)委員 予算について御説明いただきました。

 科学技術立国の観点からということでお話しいただきましたけれども、今、過去最高の科学技術振興費として一兆四千億円、これが計上されております。関連予算総額で四・四兆円だと思いますけれども、これは日本では過去最高という意味であって、世界的に見ては、アメリカという国は約十五兆円、中国は約三十兆円、現在も拡大中でございます。そういう国を相手にして、デジタル、宇宙、そして次世代半導体といった分野を明示してこれから戦おうとしているわけですね。

 財務省、この予算づけについて長期的な戦略を持っていらっしゃると思いますが、そもそもこれだけの差がある国と正面から戦っていくための戦略、どのようにお考えなんでしょうか。

鈴木国務大臣 先ほど鈴木先生は絶対額で各国との比較をされたわけでございますけれども、科学技術につきましては、厳しい財政状況の中で私どもとしてはしっかり対応してきているつもりでありまして、科学技術関係予算の対GDP比で述べますと、主要先進国と比べても高い水準にございます。日本は対GDP比、二〇一九年でありますけれども、一・〇三%、アメリカが〇・七〇%、ドイツが〇・九八%、フランスが〇・五五%というような状況でございます。

 予算編成につきましては、その時々のいろいろな必要性、要求性というものを十分に精査をしまして、そして必要なものには予算をしっかりとつけていく、そういう態度でしっかりと臨んでまいりたいと思います。

鈴木(敦)委員 最後に言おうと思っていたんですが、もはや日本のそういった技術については完全に心停止状態にあると思っていただいた方がいいと思います。ですからこそ、勝てる分野に重点的に予算を配分して、積極的な投資で先導して市場を成熟させていく、そしてそれを還元させていくというのが、成長と分配の好循環、一番の近道だと思いますけれども、財務大臣、そのようにお考えになりますか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、過去最高の科学技術振興費、先生がおっしゃりました一兆三千七百八十八億円、令和四年度予算において計上しているわけでございます。このほかにも、令和三年度の補正予算におきましても、世界と伍する研究大学の実現に向けた大学ファンドに約六千億円、経済安全保障重要技術育成プログラムに約二千五百億円などを計上いたしまして、我が国の研究開発における重要課題に対応した予算としているところでございます。

 更なる向上に向けまして、我が国の研究力のですね、研究活動の国際性の向上でありますとか、大学と企業の連携の推進など、政府の科学技術への投資の効果を高めていく取組が重要であると考えておりまして、科学技術立国の実現に向け、官民が連携協力して研究開発を推進していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。財務大臣、これについては引き続き長い目で見ていただかなければならないものだと思います。

 さて、山際大臣にもお伺いしますが、このように分野を明示して、しかも、デジタル、宇宙、次世代半導体といった分野については、世界的にもフロンティアという分野だと思います。なので、これらを推進して科学技術立国を目指していく。世界の潮流は御存じだと思いますが、今回、この予算配分、そしてスケジュール感、どのようにお考えなんでしょうか。

山際国務大臣 予算の規模そのものは、今財務大臣から御答弁させていただいたように、今我々が考えている中での十分な額だと私たちは思ってやっております。

 その上で、当然、どこの分野に張るべきかというのは、相当柔軟にやらなきゃいけないところと、長期的な視野を持ってやらなきゃいけないところがあると思っておりまして、AIだとか量子だとか宇宙だとか、バッテリーもそうでしょう、張らなくてはいけないというのは、すなわちこれから伸びてくる分野でもあり、我々日本にとっての課題なので、それを解決するためにここをやらなきゃいけないというものも、そういう側面もあるわけですね。

 そういうものを我々官だけでやろうというふうには当然思っていないわけでございまして、これを、きちんとした呼び水になるように、民間が一緒になってそれを前に進めてもらえるようにしていくというのが政治の役割でもあると思うんです。そういう形で予算を使っていかなくてはいけないというふうに思っております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 いろいろな課題については、経産省も同じような課題を受け止めるからこそ、さきの臨時国会でNEDO法の改正があり、半導体の技術の再興を目指すという危機感の表れであると同時に、だからこその新しい資本主義というキャッチフレーズを出されたのだと思いますので、この方向性については私は全く賛成です。

 しかしながら、新しい資本主義というそのコンセプト自体がもやっとした状態だと事業自体が前に進んでいかないので、先ほど、今、山際大臣がおっしゃったとおり、どこに張っていくかというところについては、引き続き長い目で検討していただかなきゃいけないところだと思います。

 更に申し上げれば、分配という部分ですね。私たち若い世代は貯蓄がないないとよく言われます。私の世代、三十代ですけれども、貯蓄のない人の割合は銀行系の統計ですと二〇・〇%、最も割合が高いのは四十代で二三・二%となっています。

 私たち若者は、決して今まで怠けてきたわけでも浪費したわけでもないんです。これは、GDPが上がっていないことからも、浪費していないことは皆さん御理解いただけると思います。そもそももらっていないということなんですね。だから、今までの循環というのが全く機能していなかったというのは、皆さんが危機感とおっしゃるとおりなわけです。

 更に申し上げますが、分配についてですけれども、これは企業がどう分配するかというところに大きくかかってくると思います。補助金を様々出されても、これを還元するかどうかについては完全に企業の自治の範囲です。

 特に、分配戦略の中で掲げられておりますけれども、今日は特に保育士さんのお話を取り上げますけれども、ただでさえ賃金が低い業界なんですね。これは、地方公聴会に代わる参考人質疑の中でもありました。

 政府が出しているコロナ克服・新時代開拓のための経済対策の中では三%程度引き上げると書いてありますけれども、柔軟な対応を認めるという一文が書いてあるんですね。そうすると、若い世代はどんどんどんどん貯蓄がなくなっていくと思います。山際大臣、これはどのように理解すればよろしいでしょうか。

山際国務大臣 保育士さんの話に特化しませんが、公的部門に関わっていらっしゃる方々の賃上げを実現していかなくてはいけないというコンセプトは、まずは三%程度賃上げを実現したいというところから始めますが、これを、一過性のもの、一回だけで終わらせるというコンセプトではありません。

 すなわち、これから継続的に賃金が上昇していくような流れをつくらなくてはいけないということで、補正予算でも確保いたしましたが、本予算でも十月以降のものに関して確保している、そういう案になっております。更にその先もやらなくてはいけないということで、全世代型社会保障構築会議においてこれをしっかり議論をした上で、更に賃上げに確実につながっていくにはどうすればいいかということを示していかなくてはいけないというふうに思っております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。その先も検討されるというお言葉をいただきましたので、ありがとうございます。

 時間の都合上、少し質問を飛ばしまして、これは折に触れて質問させていただきたいと思います。

 さて、防衛大臣、大変お待たせいたしました。ただ、事防衛のことに関しましては、これはじっくりと腰を据えてお話を聞かなきゃいけないと思いまして、最後までお待ちいただきました。どうぞそこは御容赦ください。

 資料、今日全然使いませんでしたけれども、最後の六ページ目を御覧いただきたいと思います。

 これは、国防用科学技術の予算割合を示したグラフになっています。

 世界的には、アメリカなんかを除いて、二十年でほぼ横ばい若しくはマイナスになっておりますけれども、防衛大臣、防衛省は今この予算の中でゲームチェンジャーとなり得る技術に対しての研究開発というものを計上されておられます。この中には、アメリカが十七年やっても駄目だったレールガンも入っていますね。

 これは、単年度ではすぐできませんけれども、この金額で十分なのか、どれぐらいのスケジュール感なのか、これは防衛大臣にお伺いしたいのと、また、財務大臣、繰り返しになりますが、こういう予算配分で本当に大丈夫でしょうか。

岸国務大臣 今の委員御指摘のゲームチェンジャー技術、これは本当に大事なことだと思います。ゲームチェンジャー技術というものは、将来の戦闘様相を左右する、あるいは支配していく可能性さえあるものと思っています。

 我が国における防衛技術の研究開発費については、防衛力の構築に資するようにこれまでも必要な経費を計上してきた、確保してきたところですが、令和四年度予算案については、契約ベースで過去最高となります二千九百十一億円を計上しているところであります。

 将来においても我が国の防衛を全うするために、五年先、十年先、あるいは二十年先という脅威をしっかり見据えて、必要な能力の獲得に向けて、研究開発を着実に、そして速やかに推進していくことが必要不可欠であります。

 また、こうした防衛省としての重点的な投資に加えて、政府において推進する研究開発事業の成果も含めて、我が国の技術力を結集できるように、各関係府省や企業等と緊密に連携していくことも重要であると考えております。

 防衛省としては、今後、新たな国家安全保障戦略や防衛大綱、中期防の策定の中で、研究開発費の強化について、防衛力を抜本的に強化する観点からしっかりと検討していきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 ありがとうございます。

 時間が足りませんのでここで終わらせていただきますが、もはや日本の経済、心停止状態です。是非ともその認識は持っていただきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 オミクロン株が猛威を振るい、国民の命と暮らしが脅かされる中で、日本に駐留する米軍だけが検疫などでも特別扱いだとして、日米地位協定の存在が改めて注目をされています。

 今日は、青森県米軍三沢基地とF16戦闘機問題を通して、不平等な日米地位協定や日本政府の姿勢をただしたいと思います。

 昨年十一月三十日に、F16戦闘機が青森空港に緊急着陸をし、燃料タンク二個を深浦町に投棄しました。

 当初、米軍は、岩木山付近の非居住区域に投棄したとの情報を出したものの、実際には深浦町の市街地、連絡が町にあったのは四時間後でした。現場は役場が目と鼻の先、隣は民家や歴史資料館。そのタンクの二個目も、学校がすぐ近くにありました。人的被害がなかったのは奇跡と言わなければなりません。

 深浦町は、二〇〇二年にもF16戦闘機が日本海に墜落し、漁船に救出されています。今回は、海も目の前ですが、あえて人家の間に分け入るように二百十キロもの燃料タンクを落としました。我々は人ではないのかと、町民の怒りの声が上がったのも当然だと思います。

 政府は、安全が確保されるまで飛行の中止を米軍に申し入れたものの、その翌日には飛行が再開されました。私が深浦町に伺ったのはまさにその日であって、吉田満町長も、もう飛んでいるじゃないか、日本国民と米軍では安全に対する意識が違うと、記者団の前で怒りを吐露していました。

 大臣は、この深浦町の声にどう応えますか。そして、岩木山も深浦町も通常の訓練ルートの中なのでしょうか。だからいいと思っているんでしょうか。伺います。

岸国務大臣 昨年十一月三十日の事故につきましては、今、委員の御指摘のとおりでございますが、当該戦闘機は、訓練のため三沢飛行場を離陸して、西へ飛行していたと承知をしております。

 個々の訓練内容や飛行ルート等については、米軍の運用に関する事項でありますので、その詳細については明らかにされておりません。具体的にどのような経路を飛行しているか、承知しておりません。

 いずれにいたしましても、引き続き米側に対しまして飛行の安全の徹底を求めていくとともに、飛行の安全に係る取組が進むように、米側と緊密に連携をして取り組んでいきたいと考えております。

高橋(千)委員 町民の安全をどうやって確保するんでしょうか。訓練の詳細も明らかにできないと。翌日飛行を再開しても、それでいいと言うのですか。

 もう一度、町民の声にどう応えるのか、お答えください。

岸国務大臣 繰り返しになりますけれども、具体的にどのような経路を飛行しているかということについては、承知をしておりません。

 その上で、一般に、日米地位協定は、実弾射撃を伴わない訓練飛行については、在日米軍の使用に供している施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではございません。在日米軍は、施設・区域でない場所の上空において訓練飛行を行うことが認められています。

 ただし、米軍は全く自由に飛行してよいというわけではなくて、米軍の運用に関しては、公共の安全に妥当な配慮を払い、安全性が最大限確保されるべきことは、言うまでもないことであります。

高橋(千)委員 全く自由に飛んでいるわけではないとおっしゃっておりました。それはそうかもしれませんが、その運用が全く国民が置き去りにされているということが今問題になっているわけです。

 昨年六月三十日から七月一日に、米軍横田基地所属のオスプレイCV22が、青森県東北町の小川原湖で水面すれすれの超低空飛行訓練をしていたことが判明しました。小川原湖は、二〇一八年二月にも、F16がエンジン火災で燃料タンク二個を投棄した事件があった場所であります。地図に小川原湖をつけてありますが。

 もちろん、小川原湖は米軍施設ではありません。シジミやワカサギ漁でにぎわう宝の湖です。六十三・二平方キロメートルの広い湖の中に、ほんの一部、米軍への提供水域があります。〇・〇六平方キロメートルです。この提供水域というのは何のためにあるのか。訓練のためなのか。

 そして、今回のオスプレイもそうなんですが、実際には提供水域ではないところで訓練を行っているのはなぜなのか、お答えください。

岸国務大臣 この小川原湖の施設・区域のところですけれども、一部の水域については、これは救難艇の施設として米軍に提供しているものであります。

 その上で、一般に、日米地位協定は、実弾射撃を伴わない飛行訓練について、在日米軍の使用に供している施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではなく、在日米軍は、施設・区域でない場所の上空において飛行訓練を行うことは認められています。

 ただし、米軍は全く自由に、先ほども申しましたけれども、自由に飛行していいというわけではございません。公共の安全に妥当な考慮を払い、安全性が最大限確保されるようにすべきことは、言うまでもないことであります。

 以上です。

高橋(千)委員 認めちゃっているわけなんですよね、要するに、提供水域ではないところで訓練するということを。

 これは、救難艇と一言だけお話しされました。米軍三沢基地のホームページには、ウォーターサバイバルコースという研修の記事と、小川原湖での訓練動画がアップされています。いつでも、どこかの国で、海の上、九時間、十時間と飛んでいるんだから、何かあれば最後は海の中だと強調して、小川原湖で訓練をしているわけなんですよね。

 だけれども、これを理解してしまえば、もっと広がるということなんです。三沢飛行場は、空自と米空軍と民間空港が共用している全国唯一の基地なんです。だから、これ以上一つ一つ理解していけば、どこまでも広がるということになりかねないということを言っている。

 昨年の十月二十二日、東北防衛局の職員が県、東北町、三沢市、六ケ所村、小川原湖漁協を訪れて、米軍の認識を口頭で伝えました。米軍は訓練場所として小川原湖をなぜ選んだか。訓練は一定程度の範囲を有する穏やかな水面上で行うことが不可欠とした上で、地位協定に基づく米軍への施設・区域内には適した場所がないとおっしゃったそうです。

 つまり、この米軍から、提供された施設だけでは訓練にならないと言っている。これを政府は理解するという意味ですね。さっきから答えているのはそういう意味ですね。一言、イエスかノーか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 小川原湖におきますCV22オスプレイによる救難訓練についての御質問でございますけれども、これについては、現在、日米間で議論をしているところでございます。

 先ほどの質問で、六月の訓練についてお話がございましたけれども、この訓練について、地元への影響を十分に考慮して、日米間で議論を重ねる中で、十月については米軍から事前の情報提供がございました。これを防衛省から関係自治体等にもお伝えをさせていただいたところでございます。

 引き続き、米側に対して安全面に最大限の配慮を求めるとともに、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう、日米間で連携して対応してまいりたいと考えているところでございます。

高橋(千)委員 十月には事前に報告があったと今お話がありました。その報告は、提供水域では足りないという報告なんですよ。それを認めているのかということを指摘しました。

 長久保耕治東北町長は、事故や通告なしの訓練が続き反省が見えない、国民のために駐留している米軍が住民に不安と恐怖を与え、本末転倒ではないかとおっしゃいました。深浦町の町長もそうですが、たとえ基地との共存共栄をうたう自治体であっても、何のために米軍基地があるのか、日本国民を守ってくれるどころか、安全を脅かしているじゃないかと疑問符がつく状態になっているんだ、このことを指摘をしたいと思うんです。

 三沢基地にF16戦闘機の配備が開始されたのは、一九八五年の四月二日です。一方、青森県の当時北村知事が、核燃料サイクル三施設、ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物、再処理工場、この受入れを正式に回答したのも同年同月の四月九日です。

 もう一度地図を見てください。まさかりの形をした下北半島には、六ケ所村のほかにも、東通原発、大間原発、むつ市の中間貯蔵など、予定も含め、原子力施設が集中しているのが分かります。三沢基地と六ケ所村は直線で三十キロしかなく、その間に十キロ、日米共有の天ケ森射爆場があります。

 この一九八五年の二月、本委員会で、我が党の工藤晃議員が質問しています。サイクル施設の立地審査に当たっては、これほど近くに米軍基地や自衛隊基地があり、F16が配備され、対地射爆場がある、これも考慮されるのかと聞いたときに、当時の竹内黎一科技庁長官は、当然のこととして周辺の状況も考慮すると答え、具体的には安全審査等の段階で十分慎重な判断を行い、安全確保上支障のないことを確認すると答えたのです。

 そこで、原子力規制庁に確認します。

 当時、再処理工場を始め原子力三施設の立地審査というのは、何をもって安全だと認められたんでしょうか。そして、その条件は今も成り立つとお考えなのか、伺います。

市村政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の青森県六ケ所村に存在をする日本原燃の原子力施設でございますけれども、御指摘のように、審査を経て、昭和六十三年以降、順次、事業指定あるいは事業許可というものがなされてございます。

 とりわけ再処理施設については、平成四年に事業指定というものがなされておりまして、当時の審査において、航空機が施設に墜落する可能性は極めて小さいものの、仮に訓練飛行中のF16戦闘機が施設に墜落することを想定をしても、安全確保上支障がないようにするため、主要な建屋に対して防護設計を講じることを確認をしているということで、指定、許可等なされております。

 その上で、その後、規制委員会の下で制定をされました新規制基準でございますけれども、その中では、航空機落下確率評価基準に基づいて航空機落下に対する防護設計の要否を判断をするということとされてございます。

 この審査に当たっては、当該施設が既にF16戦闘機に対する防護設計がされているということを前提に、直近二十年間の航空機落下事故に関するデータというものを基に確率評価を行ったものでございまして、その結果、追加の防護設計は不要であるということを確認をしたものでございます。

高橋(千)委員 追加の新規制基準、あの福島の原発事故が起こって、全国で新規制基準、見直しをしたわけですが、それでも見直す必要がないと判断したというお答えでした。

 細かい論争に入るつもりはありませんが、そもそも、放射性物質を扱う施設がF16が落ちても大丈夫という設計になっていると答えています。しかし、速度が秒速百五十メートル、これは、ほとんど、重い燃料タンクなどを全部、落ちる前に投下して軽くなって、かつ減速しているという設計なんですよね。これ自体、楽観的過ぎる想定だと思いますが、決め手は確率論なんだと。ほとんど飛ばないし、落ちないと言っている。本当にそれでいいのかということを聞きたいんです。

 それで、時間の関係でちょっと飛ばします。

 資料の二を見てください。

 このとき、八五年の当時、佐々防衛施設庁長官は次のように述べています。射爆場の訓練パターンは高度六千フィート、西から東に直進する、海の方向に向かって訓練を行う。その正面には安全水域四十六平方キロメートルを提供して、地図でいうと、海に向かって扇形の印がついています。これがそうです。左旋回をする。この旋回の範囲が幅で四・五キロ、長さで十二キロ、こういうことで、一番近づいても予定地とは六キロの安全距離がございます、こう言ったんですね。どんなに近くても六キロ離れているからよい。しかし、六キロといったら、マッハで飛ぶF16にとっては十秒もないんです。

 聞きますが、米軍三沢基地にF16戦闘機が配備されて以降、墜落や燃料タンク、模擬弾の投棄などの事故がどのくらいあったのか、そのうち、三沢の特別管制区域内ではどのくらいあったのか、伺います。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 三沢で発生をいたしました墜落、燃料タンク、模擬弾の投下といった事故の関係でございますけれども、防衛省が網羅的に把握してお答えできるものということで、平成二十四年度、二〇一二年度以降の米軍F16戦闘機の日本国内における事故の件数について申し上げますと、墜落については該当はございません。燃料タンクの投棄については四件、模擬弾の落下、これは二件でございます。

 このうち、三沢の特別管制区内において発生した件数でございますが、燃料タンクの投棄は一件、模擬弾の落下は二件となっております。

高橋(千)委員 今、最後のところが、タンクが一件、模擬弾が二件、特別管制区域内であったんですが、評価の対象とする空域外の飛行中の落下事故というのは、F16以外では自衛隊機十回、米軍機三回というのが、日本原燃が提出をしていることを言っておきたいと思います。

 二〇一二年以降しか資料がない、これは非常に問題だと思うんですね。

 これは、資料の三につけておきました。新聞報道などで私の事務所でまとめたものですので全部ではないかもしれませんが、これだけを足しても、墜落は十一回です。そして、模擬弾や燃料タンクの投下は三十回に及びます。

 一たび事故を起こせば取り返しのつかない大災害になることがもう分かっている原子力施設と米軍基地、自衛隊基地、射爆場ではオスプレイの訓練移転もありました。このような立地環境は日本にも世界にもないと思うが、どうでしょう。また、大臣は、この危険性をどう認識していますか。防衛大臣に伺います。

岸国務大臣 他国におきます米軍施設と原子力施設の位置関係については、防衛省として把握をしておりません。

 その上で、三沢の対地射爆撃場の周辺においては、米軍は、原子力施設付近の上空の飛行について、公共の安全に妥当な配慮を払っているものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、防衛省として、訓練実施に際しまして、米側に安全面の配慮を求めていくこととしており、安全の確保のために日米間で連携して対応してまいります。

高橋(千)委員 非常に残念な答弁ですよね。少しの思いもないなというふうに言わなければならないと思います。

 ないと思いますよ、そもそも航空機防護の考え方が、原発事故の前まではここの地域にしかなかったわけですから。また、東海村の再処理工場、これは規模が商業用ではないので小さいですが、水戸射爆場の訓練移転ということがあったということも承知をしています。そういうことから見ても、特殊な地域なんだと言わなければなりません。

 六ケ所村は、実はサイクル施設もあって、射爆場もあるんです。ここに、二〇一九年十一月、F16戦闘機が模擬弾を落としました。いまだに発見できておりません。付近には小中学校やこども園などもある民有地です。これを本当に問題視して、同年十二月に村議会として意見書を決議しました。

 資料の一番最後につけてあります。全国知事会は、航空機の安全航行を目的とした航空法を始め日本の国内法を米軍にも原則適用することや、事件、事故などの自治体職員の迅速、円滑な立入りの保障などを明記するよう求めている、このことを重く受け止め、日米地位協定の抜本的改定に取り組むように求めているわけです。

 外務大臣に伺います。ここまで住民の命や安全が脅かされている以上、知事会や自治体が訴えているように、日米地位協定の見直しに踏み切るべきではないでしょうか。

林国務大臣 米軍機の飛行の安全確保、これは、米軍が我が国に駐留する上での大前提でございまして、地元に不安を与えるようなことがあってはならないと考えております。

 私も、先月の日米2プラス2におきまして、岸防衛大臣とともに、在日米軍による地元への影響に最大限配慮いたしました安全な運用について求めたところでございますが、引き続き米側に強く求めてまいりたいと思っております。

 その上で、日米地位協定については、大きな法的枠組みでございまして、政府としては、事案に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。

 今後とも、目に見える取組を積み上げることで、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 配慮を求めたということでありますが、だとすれば、日米合同委員会の記録をちゃんと公開するとか、そういうことを求めていくべきだと思いますよ。

 日本の空なのに、日本政府の管制によらずに米軍機が飛んでいます。その範囲がどんどん拡大し、国民にとっての危険性が拡大してきたのではないかという問題です。

 米軍三沢基地所属の空軍部隊が使う臨時訓練空域について、近年、マグナムと呼ぶ臨時訓練空域の拡大があったとされています。

 資料の四に、二〇二〇年十月十八日付の毎日新聞の記事から、ちょっとそこだけ拡大して申し訳ないんですが、マグナムの解説部分を借用しました。二〇一九年六月から、従来の面積に比べ、東京ドーム約四万六千個分に当たる約二千百六十平方キロも広がったと言っています。

 国交大臣に伺います。このマグナムは、いつの日米合同委員会で合意され、いつから運用されているのか。また、これにより、民間機のルート変更など、影響はどの程度あったんでしょうか。

斉藤国務大臣 一般に、米軍が訓練等のため一時的に空域を使用する場合には、昭和五十年の日米合同委員会合意に基づき、一定の空域の中に一定時間他の航空機が飛行しないよう、管制上の措置を取ることがございます。この措置は、継続的なものではなく、時間の経過により終了するものです。

 このような管制上の措置が、いつ、どこで取られているかといった詳細については、米軍の運用に関することであるためお答えは差し控えますが、米軍による空域の使用に関する調整に際しては、民間航空交通の安全確保に支障がないよう対応しております。

 なお、民間航空機の飛行ルートについては、気象状況、近くを飛行するほかの航空機の状況、出発、到着空港の混雑状況や滑走路の使用方向など、様々な要素の影響を受けることから、一概に申し上げることはできません。

 以上です。

高橋(千)委員 全然答えてはいないんですけれども。

 いつ合意され、いつから運用されているのかということ。そもそも、マグナムという言葉についてお認めになりますか。

斉藤国務大臣 まず、いつからということでございますが、先ほど申し上げましたように、昭和五十年の日米合同委員会合意に基づくものでございます。

 それから、マグナムという名前については、米軍で使われている名前ということで、そのように承知をしております。

高橋(千)委員 米軍で使われている名前ということだそうです。

 ちょっと、今整理しないと。

 昭和五十年と言ったのは、昭和五十年からマグナムがあるわけじゃなくて、アルトラブのことだと思います。臨時訓練空域のことを国交省はいつもそう答えているということで、臨時のものですよと答えているので、アルトラブのことを言っているんだと思います。

 資料の五を見てください。こちらは、三沢米軍基地第三五戦闘航空団のホームページから取りました。米軍が公表しているものであります。

 空軍司令、アタッチメント7、マグナム・エアスペースとありますね。M1が五〇〇―FL三〇〇、これはフライトレベル三万フィート、毎日の記事と同じ、高度の上限が九千百四十五メートルに相当すると思います。

 改めて、米軍が書いていると認めていただけますでしょうか。

久保田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、名称等につきましては、これは米軍の運用に係ることの管理の部分であると考えてございますので、私としましては、済みません、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、アルトラブというものにつきましては、その都度調整を行うものでありまして、時間の経過とともに終了する、そういう性格のものでございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 米軍が公表しているものについても認めない、管理の部分であるというお答えでありました。

 ただ、通告の時点では、承知していない、そもそもマグナムの存在を承知していないという答弁でありましたので、それはさすがに認めているということだと思うんですね。

 問題は、アルトラブ、臨時訓練空域のことを、その都度その都度認めるものなので、終われば終了するんですというお答えでした。そこで、アルトラブと呼ばれる臨時訓練空域は現在日本全土にあるために、これまで、国会質問や質問主意書などでも繰り返し取り上げられてきました。しかし、国交省も防衛省も、今のように、臨時だから、固定的なものではないからという答弁を繰り返してきたのであります。

 そこで、私の手元に、国交省の一者応札分析調査票という資料が一枚あります。これは、令和二年度、件名、航空交通管理処理システム性能向上及び調整となっているので、ヒューマンエラーを防止して、米軍からの申請内容から空域・経路図を自動的に作成する機能を付加するシステム改修事業だということなんですね。これはNTTデータしか応札がなかったものですから、その理由をるる書いているんです。

 問題は、私が着目したのは、この事業内容の説明の部分なんですね。読みます。現在、米軍のアルトラブの実施に当たっては、米軍からの申請内容を基に航空交通管理センターが手作業で空域・経路図を作成し、米軍との調整や関係管制機関への情報提供を行っている。しかし、申請数は年々増加(二〇一九年約七千回、五年間で倍増)し、この作図作業が現場で多大な負担となっている。

 年間七千回、しかも五年間で倍増、これは何のためにやるんですか。さっき言った一時的な調整というのを七千回も、忙し過ぎるでしょう。忙し過ぎるからこれを書いているんでしょう、こういう状態だと。何も影響ないなんということは言えないですよね。

 もう一回お答えください。

久保田政府参考人 お答えを申し上げます。

 仕様書の内容について、今手元にありませんので詳細なものを確認できませんが、いずれにしても、アルトラブにつきましては、その回数を含めたものについては、米軍の運用に関することでございますので、私としては、大変恐縮でございますけれども、お答えは差し控えをさせていただきたいというふうに思ってございます。是非、御理解を賜ればと思います。

高橋(千)委員 米軍の運用以前の問題ですよね。

 これは、一者応札分析調査票、総務省に出す資料でしょうが。その中で正直に書いているわけですよ、業務が多忙過ぎると。年間七千回で、当たり前じゃないですか。それを毎回毎回調整をして、民間機に御連絡をしなくちゃいけないわけですから、やっていられないというのが事実じゃありませんか。こんなのが実態なわけですよ。それでも、臨時だといって、AIPと呼ばれる航空路誌にさえも載せない。こういう実態が異常じゃないかと言わなければならないと思うんです。

 そもそも、民間機の航空路と軍用機の訓練空域を完全分離させるきっかけになったのは、一九七一年七月三十日、岩手県雫石町上空で全日空機と自衛隊機が空中衝突した事故がきっかけでした。当時の記録を見ますと、自衛隊機の乗員は脱出に成功したものの、民間旅客機の方は空中分解して、乗客百五十五名と乗員七名、計百六十二名全員が死亡したという大惨事でした。しかし、今、同じようなことが絶対に起きないとは言えないのではないでしょうか。

 国交省は、民間航空交通の安全確保のため必要な調整を行っていると繰り返し言います。逆さまじゃないでしょうか。民間航空の安全確保のためだったら、米軍の空域を広げない、認めないのが一番じゃありませんか。

 国交大臣と防衛大臣、両方に伺います。

久保田政府参考人 米軍の空域の使用に関する調整につきましては、その必要性や目的、そして範囲等について、従来から関係機関と協議を重ねて、十分に協議を重ねた対応をしておるところであります。その対応につきましては、民間航空の安全確保に万全を期す、これが大前提でございます。その上で、それぞれの空域ごとに、空域の形状や使用方法などを判断の上、調整しているものでございます。是非、御理解賜ればと思います。

斉藤国務大臣 民間航空機、民間航空交通の安全確保、これが、先ほど局長が答えましたように、第一でございまして、その安全確保に支障がないよう万全の体制を取っていっております。

岸国務大臣 米軍は、我が国と我が国の地域と安全のために必要な訓練を行っているところですが、その上で、安全に関する措置もまた確実に実施されておると認識をしております。

 いずれにいたしましても、政府としても、米側に航空安全についてはしっかりと申入れをしてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 たくさん問いを残してしまったんですけれども、本当に、先ほど私が言った、逆さまじゃないかということが、やはりちゃんと考えてもらいたいと思うんですね。

 配慮をしているとか協議をしていると何度も御答弁になりました。だけれども、そもそも、マグナムという訓練空域さえもちゃんと認めることができない。七千回も調整をして、臨時に空の道を空けているわけですよ。それで同じような事故が起きないなんて保証は絶対ない。まして、原発との複合災害がないということは絶対言えない。そのことをやはり本当に考えなければならない。

 そういう意味で、サイクルも、私は、まだこれは動いていないので、再処理工場自体は、見直しを、撤回をするべきだと思いますが、本当の意味で空の安全、空の主権を取り戻すために、日米地位協定の見直し、国内法の遵守、これを求めて、終わりたいと思います。

根本委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 まず、今回、時間に配慮いただきました立憲民主党そして日本維新の会の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。

 まず冒頭、前回も森友学園の資料の提出についてお話をさせていただきました。まだこの質問を予算委員会でやらなければならないのは大変残念なんですけれども、鈴木大臣に一点申し上げたいと思います。

 二月二日の予算委員会におきまして、私との財務省との間の応接録は開示するように指示いただけませんでしょうかということに対して、鈴木財務大臣は、御指摘を踏まえまして、どのような対応が可能か検討させていただきますと。

 ああ、内閣が替われば、さすが聞く力の岸田内閣、全然対応が変わるなと思って感心をしていたんですけれども、次の週の二月八日に財務省の角田理財局長がいらっしゃいまして、ゼロ回答を持っていらっしゃいました。

 資料の一ページ目の、この右側のやつが開示された資料なんですが、この右側の黒塗りのところがあります。ここに何が書いてあるかというと、○時○分秘書電話レクって文字なんですけれども、この文字すら開示できないというんですよ。信じられますか、大臣。○時○分秘書電話レクって、何が秘密なんですか。何でそんなことすら出せないかといったら、いや、ほかの議員にも一律に出していませんのでと。議員との信頼関係が崩れる、行政執行上の問題が生じるとか、四の五の四の五の理財局長はおっしゃいました。

 でも、行政情報というのは誰のものか。それは財務省のものではありません。行政情報公開法第一条の目的には「国民主権の理念にのっとり、」と書いてあって、行政情報は主権者たる国民のものなんですよ。だから、五条で原則公開となっていて、公開されない場合は極めて限定的に列挙しているだけで、行政執行上問題があるからとか、議員との信頼関係が壊れるから出さないなんというのは、法律上どこも規定されておりません。

 態度も横柄ですし、その後も理財局長を出席させろと繰り返し執拗に言ってくるなど、ちょっと余りにも態度が悪過ぎると思うんですよ。

 なので、もう一度しっかり指導いただいて、とにかく、私とのやり取り、これだけじゃありません、ほかも、私とのレクのとき、やり取りしたメモがあるはずです。それも含めてちゃんと公開するように言ってください。法律に根拠がないんですよ、出さない根拠が。

 これはまさに政治主導が問われるところだと思いますので、大臣の御指導をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 ただいま福島委員からお話ございました二月二日の予算委員会におきまして、私から、どのような対応が可能か検討する旨、お答えをしたところでございます。

 先般の国会の場での御議論を踏まえまして、御指摘のマスキング部分につきましては、質問通告の時間といった資料に既に記載されている情報でありますので、マスキングを外して提出をさせていただくことにいたしました。

福島委員 いや、些少な問題じゃなくて、全てに対してそうなので、とにかく議員との接触のやり取りで、当事者である私が出していいと言っているわけですから、全てについて、ほかの議員からの要望についても出すようにお願いいたします。

 それでは本題なんですけれども、今日は、太陽光発電に関する規制に関して、短時間でありますけれども議論したいと思っております。

 昨年の第六次エネルギー基本計画の中におきまして、二〇三〇年度の温室効果ガス四六%に向けて、野心的な目標として、再生可能エネルギーの電源比率を、二〇一九年の一八%から三六から三八%へ、二〇三〇年度に倍増させるということを決めております。その中でも、太陽光は六・七%から一四から一六%に、倍にするわけでありますが、もう既によく議論されているように、国土の平地面積当たりの太陽光発電所の面積は世界最大であります。どこに造るかといえば、山に造ったり畑や田畑に造るしかないわけでありますね。エネ基の中にも、地域と共生する形での適地の確保が必要だと書かれておりますが、現実的には各地でトラブルが続発しております。

 資料の二枚目を御覧になっていただきたいんですけれども、これは私の選挙区内の笠間市というところです。半径二キロ以内にこの三つの太陽光発電所ができております。

 左側は北関東自動車道から見えるところなんですけれども、左側が一面の太陽光、右側も太陽光用に開発されたんですが、事業者が倒産してそのままになっております。ここから土砂がどんどんどんどん流れ込んできて、田んぼを二枚もう埋めてしまいました。そして道路も塞いだので、この左下の写真にあるように、崩れた斜面を直しています。これは、事業者が倒産しちゃったので、市のお金で公共事業として、市民の税金を使って埋もれた道を直すということをやっております。

 真ん中が、これは、写真はちっちゃいんですけれども、これよりはるかに大きな規模で山を全面的に削って、笠間は笠間焼で有名な観光地なんですけれども、その入口がもう全部はげ山になっているという状況です。これは中国系の資本が入ってやっております。

 右側は、またその裏側の山でありまして、手前の削れているところがその左側の写真なんですが、その奥に、これは森なんですけれども、住民、住んでいる人はこの森を売るのを拒否しました。ただ、相続で、遠くに相続者が行っちゃっているような場合がありますから、三人か四人が売却に応じて、その売却に応じた森だけを削った結果、蛇のようにくねくねくねくね太陽光パネルが張られております。これは韓国資本です。

 住民は、この右下にあるように、里山の太陽光発電建設絶対反対ということで頑張っていたんですが、結果、今事業がそのまま進んでいるというのが現状です。できてみたら、やはり、井戸の水が枯れるとか、雨が大量に流れますから、農業用の水路に多くの土砂が流れ込んで、あぜを、水路を崩してしまうといった様々な二次被害が今も起きているということです。

 こうしたことに対して、私も相談を受けていろいろ検討したんですが、対応する法制度がないんですね。一つは、森林法というのが、農水大臣、あります。保安林以外の森林で、一ヘクタールを超える開発行為については都道府県知事の許可が必要となっております。これは自治事務であります。

 ただ、元々、森林法は、そのまま森林を開発して、ゴルフ場を造ったり、スキー場を造ったり、リゾートホテルを造ったり、宅地開発をしたり、工場を造ったりといった、森林をそもそも別のものに変えるときの許可行為なんですね。

 でも、太陽光発電って何かというと、FITは二十年です、一定期間その事業をやります、事業が終わったら、それは後、はげ山が残るだけなんですよ。なおかつ、事業をやっている間に、その工場に人がいるわけではありません、無人です、客が来るわけでもない。無人のまま、太陽光パネルが二十年間張られたまま、その後ははげ山が残っちゃうんですね。リゾート開発とか、工業団地にしたり住宅にするのとは全く違う、そうした事情にあります。なおかつ、一ヘクタール以下は全く規制の対象外となっております。

 そうした中、農水省は、令和元年十二月に、太陽光発電施設の設置に関する林地開発許可基準というのを出して、その運用細則を都道府県宛てに通知しておりますが、例えば、住民説明会の実施の取組が配慮事項となっていて、全く法的な義務がかかっておりません。悪意のある業者が無視しても何の問題もないんですよ、法的には。

 私は、太陽光発電の実態に合わせた法的対応が必要だと思うんですね。森を守るのが農水大臣の役割です。一度はげ山になって表土を剥ぎ取った山は、二度と森には戻りません。これは規制を見直すべきだと思うんです、法的な対応をするべきだと思うんですが、農水大臣の御見解はいかがでしょうか。

金子(原)国務大臣 福島委員の御質問にお答えします。

 林地開発の許可制度につきましては、令和元年に、太陽光発電施設の特性を踏まえて、許可基準の運用細則を定めております。現在、この許可基準の運用実態や、一ヘクタール以下の小規模な林地開発の状況等について調査等を進めているところであります。

 また、太陽光発電事業を終えた施設の撤去や土地の管理につきましては、発電事業者や土地所有者の責任により行うものと承知しています。

 一方で、発電事業者に対しまして、事業完了後に森林に戻す意向がある場合には、都道府県知事が林地開発許可を行う際に、植栽の実施等について指導することなどを通知で定めているところであります。

 引き続き、森林の適正な利用が図られるよう、林地開発許可制度を運用してまいります。

福島委員 先輩に申し訳ないことを言うようですけれども、大臣なので、政治家なので、官僚答弁を読むのはやめましょうよ。一回表土を剥ぎ取ってしまったところは植林できません、今、紙を読みましたけれども。そういう冷たい紙を読むんじゃなくて、現場の実態に応じて、法律規制が必要なんです。我々は立法府の人間ですから、是非、法律を新しく作る、あるいは改正するという御指導をいただきたいと思います。

 こうした中、頼りになるのが環境アセス法なんですね。

 山口大臣、大臣就任おめでとうございます。

 しかし、対象になるのは、四万キロワット以降の極めて大規模な太陽光発電所が対象になっているだけです。

 レクに呼んで、いろいろ環境省の若い人と議論しました。最近の環境省は本当に意識の高い有能な若い官僚がいっぱい集まっていて、すごいなというふうに思ったんですけれども。

 環境省は、太陽光発電の急速な普及に伴い、地域とトラブルとなる事例が増えてきており、深刻な環境問題につながる可能性があるということで、この太陽光発電環境配慮ガイドラインというのを作っております。

 中身は非常にすばらしいです。環境アセスの対象とならない十キロワット以上の事業用太陽光発電施設を対象とするものでありまして、土地の安定性とか、濁水、景観、動植物・生態系などについてチェックリストが挙げられていて、これをちゃんとチェックすれば、ほぼ住民の不安は解消するんですけれども、しかし、いかんせん、これは何の法的拘束力もありません。利潤追求だけを目指していたり、利益を追求して二十年たったらどこかへ行っちゃうとか、悪意のある人は排除できないんですね。

 大臣、民主党系から移られて、与党になって、大臣になられて、今こそ力を振るうときだと思うんですよ。アセス法に加えて、太陽光発電所に合わせた独自の規制というのを法定化するべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。政治家としての答弁をお願いします。

山口国務大臣 福島委員の御地元の話も踏まえながらですけれども。

 確かに、環境省の持っているツールとしては、この環境影響評価法のアセスメントというのは大きいと思います。

 やはり、キーワードは二つですね。適正な環境配慮と、もう一つは地域における合意形成、これを丁寧にやっていく。この二つでもってきっちりやらないと、最終的には、義務的なものではないとはいえ、やはり先月も、私自身が、外部からの残土搬入による大規模な盛土が計画され、また、地域では安全性の懸念や強い不信感が生じているということで、計画の抜本的な見直しを強く求める意見、これを述べさせていただいた事例もあります。

 したがって、そのことを踏まえて、やはり、発信として、環境省はそういうことを抜きにしては駄目なんだというところでもって今は対応するんですけれども、ここはバランスですよね。一つには太陽光発電を増やしたい、でも、一つには野方図なやり方というのは困る。このバランスの中で、今、環境アセスメントというのがありますけれども、法的な義務づけにするかどうかというのは、今、少し検討が必要かと思います。

福島委員 真摯な御答弁ありがとうございます。おっしゃるとおりなんですね。

 第六次エネルギー基本計画を真面目にやろうとしているんだったら、でも、やはり住民とのトラブルはないようにしなければならないし、やる事業者にとっても予見可能性がなければなりません。

 現実に、今多くの自治体で、百七十五の自治体で太陽光発電の規制の条例ができております。山梨県のように、しっかりとした包括的な条例を作っている自治体もございます。

 でも、やはり国として一本の法律を作らなければ、いろいろな、全国で、それぞれの自治体で別々の条例だったり様々な法律の規制があったら、なかなかやれないですよ、進める方も。いざ住民とのトラブルになってきたら大変な思いをして、そのままトンズラする事業者だって全国にいないわけではないんですね。

 FIT法の中には、再生可能エネルギー発電事業計画の認定基準に、関係法令の規定を遵守するとありますけれども、この関係法令が二十五の法律あるんですよ。六省にまたがっているんです。それぞれの法律には法律の目的があるんですけれども、太陽光という、さっき言った、二十年間の一定期間をやって、人がほとんどいない場所でやって、なおかつというような特別な事業というのはないんですよ。一回変えちゃった関係は戻らないんですね。

 だから、太陽光に合わせた、まあ、風力、地熱なども同じような事情がありますけれども、やはり、横割りの省庁横断的な制度、法律がなければ、太陽光発電、再生可能エネルギーも推進できないわけですよ。

 そこで、今、山口大臣も、恐らく農水大臣も、役所は立ちすくむわけですよ、エネルギーは自分たちの所管じゃないですから。旗を振るのは私は萩生田大臣だと思っております。農水大臣のときに様々な剛腕ぶりを見させていただいて敬服しておりますけれども、大臣、エネルギー基本計画……(発言する者あり)ああ、文科大臣ですね、失礼しました。

 大臣、大臣がリーダーシップを取って各省連携をして、太陽光や風力、地熱、様々ありますけれども、再生可能エネルギーに関わる特に様々な事情がある中で、環境を守り、住民との関係を円滑にするための、省庁の縦割りを超えた制度、法律を作るべきだと思うんです。それが立法府の人間の、我々の役割です、立法府ですから。

 役所の意見を聞いたら、法律改正したくないから、四の五の四の五の、しない理由ばっかり言いますよ。でも、本気で第六次エネルギー基本計画の目標を達成するつもりがあるなら、今こそやるべきだと思うんですけれども、萩生田大臣の御見解をお聞かせください。

萩生田国務大臣 今後、再生可能エネルギーの更なる導入拡大を実現するためには、地域との共生を図りながら事業を進めていくことが必要不可欠です。

 このため、再エネ特措法では、発電事業者に対して、所在する自治体が定めた安全性や地域とのコミュニケーションを求める条例を含む関係法令の遵守を求めており、違反があった案件については、指導、改善命令を経た上で認定を取り消すことにしております。

 今先生おっしゃった問題意識、極めて大事で、太陽光が夢の再生エネルギーだと思って始まった、今第二ステージに入って、いやいや、小学生だって、CO2を減らすために木を切ったら、何のために木を切るんですかと思っているわけですよね。我々がイメージしていた太陽光と違う方にどんどん行っちゃっている部分は否めない部分はあると思いますので。

 それぞれ関係法令がいろいろ違いますし、また地域の自治体の事情も違います。あるいは、土地の性質も違って、市街化区域なのか、調整区域なのか、森林法がかかっているのか、いろいろな事情が違いますから、直ちに、先生おっしゃるような横串を刺すような法律が果たしてなじむかどうかということも含めて、関係する省庁と、こういう機会にしっかり考えを、議論を交わして、必要があれば法律を対応する、そういうことも含めて検討は続けてみたいと思っています。

福島委員 このことは本当に全国各地で問題になっております。もう再生可能エネルギー、特に太陽光は適地が少なくなっているんですね。そうすると、ますます無理な開発が進むことも予想されますので、我々、法律を作る立法府の役割でありますから、与党も野党もない問題だと思っておりますので、是非、政治主導で、リーダーシップを持って立法措置に向けて対応していただきますことをお願い申し上げまして、質問といたします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて福島君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十五日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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