衆議院

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第16号 令和4年2月18日(金曜日)

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令和四年二月十五日(火曜日)委員長の指名で、次のとおり分科員及び主査を選任した。

 第一分科会(皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁及び防衛省所管並びに他の分科会の所管以外の事項)

   主査 島尻安伊子君

      北村 誠吾君    後藤田正純君

      平沢 勝栄君    重徳 和彦君

      市村浩一郎君

 第二分科会(総務省所管)

   主査 中谷 真一君

      秋葉 賢也君    奥野 信亮君

      階   猛君    岩谷 良平君

      中川 宏昌君    緒方林太郎君

 第三分科会(法務省、外務省及び財務省所管)

   主査 葉梨 康弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      土屋 品子君    大串 博志君

      城井  崇君    宮本  徹君

 第四分科会(文部科学省所管)

   主査 青山 周平君

      亀岡 偉民君    下村 博文君

      石川 香織君    浦野 靖人君

      伊佐 進一君

 第五分科会(厚生労働省所管)

   主査 今枝宗一郎君

      加藤 勝信君    根本  匠君

      渡辺 博道君    源馬謙太郎君

      長妻  昭君

 第六分科会(農林水産省及び環境省所管)

   主査 鷲尾英一郎君

      金田 勝年君    木原  稔君

      山本 有二君    近藤 和也君

      前原 誠司君

 第七分科会(経済産業省所管)

   主査 西村 康稔君

      伊藤 達也君    古屋 圭司君

      江田 憲司君    落合 貴之君

      輿水 恵一君

 第八分科会(国土交通省所管)

   主査 稲津  久君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      谷  公一君    道下 大樹君

      足立 康史君

令和四年二月十八日(金曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      加藤 勝信君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    北村 誠吾君

      工藤 彰三君    後藤田正純君

      櫻田 義孝君    下村 博文君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中谷 真一君    野中  厚君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    江田 憲司君

      落合 貴之君    城井  崇君

      玄葉光一郎君    源馬謙太郎君

      神津たけし君    近藤 和也君

      階   猛君    長妻  昭君

      野田 佳彦君    野間  健君

      藤岡 隆雄君    太  栄志君

      道下 大樹君    吉田はるみ君

      足立 康史君    池畑浩太朗君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      小野 泰輔君    沢田  良君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      中川 宏昌君    玉木雄一郎君

      前原 誠司君    塩川 鉄也君

      宮本  徹君    本村 伸子君

      緒方林太郎君    吉良 州司君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣       萩生田光一君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣         二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   国務大臣         山際大志郎君

   国務大臣

   (ワクチン接種推進担当) 堀内 詔子君

   国務大臣

   (国際博覧会担当)

   (消費者及び食品安全担当)            若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         五道 仁実君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      池田 憲治君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          村井 正親君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           岩佐 哲也君

   政府参考人

   (消防庁次長)      小宮大一郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            長岡 寛介君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  植野 篤志君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           小川 良介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (観光庁長官)      和田 浩一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        坂本 大祐君

   参考人

   (日本銀行理事)     内田 眞一君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     高見 康裕君

  岩屋  毅君     杉田 水脈君

  奥野 信亮君     高木  啓君

  金田 勝年君     東  国幹君

  下村 博文君     川崎ひでと君

  古屋 圭司君     山本 左近君

  渡辺 博道君     勝目  康君

  衛藤征士郎君     國場幸之助君

  北村 誠吾君     小森 卓郎君

  江田 憲司君     松原  仁君

  源馬謙太郎君     吉田はるみ君

  伊佐 進一君     浜地 雅一君

  中川 宏昌君     中野 洋昌君

  前原 誠司君     鈴木 義弘君

  石川 香織君     大島  敦君

  落合 貴之君     小熊 慎司君

  城井  崇君     渡辺  周君

  階   猛君     吉川  元君

  道下 大樹君     荒井  優君

  市村浩一郎君     和田有一朗君

  輿水 恵一君     國重  徹君

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

  勝目  康君     塩崎 彰久君

  高木  啓君     国定 勇人君

  山本 有二君     西野 太亮君

  小熊 慎司君     堤 かなめ君

  近藤 和也君     湯原 俊二君

  松原  仁君     菊田真紀子君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

  東  国幹君     五十嵐 清君

  杉田 水脈君     古川 直季君

  平沢 勝栄君     鈴木 英敬君

  大島  敦君     谷田川 元君

  湯原 俊二君     山井 和則君

  渡辺  周君     吉田 統彦君

  吉良 州司君     福島 伸享君

  國場幸之助君     土田  慎君

  塩崎 彰久君     小林 茂樹君

  荒井  優君     おおつき紅葉君

  吉川  元君     岡本あき子君

  岩谷 良平君     住吉 寛紀君

  浜地 雅一君     平林  晃君

  鈴木 義弘君     田中  健君

  福島 伸享君     仁木 博文君

  川崎ひでと君     尾身 朝子君

  古川 直季君     山口  晋君

  國重  徹君     河西 宏一君

  中野 洋昌君     吉田久美子君

  平林  晃君     金城 泰邦君

  仁木 博文君     福島 伸享君

  土田  慎君     柳本  顕君

  谷田川 元君     渡辺  創君

  山井 和則君     近藤 和也君

  足立 康史君     杉本 和巳君

  住吉 寛紀君     一谷勇一郎君

  和田有一朗君     山本 剛正君

  田中  健君     斎藤アレックス君

  国定 勇人君     中川 貴元君

  長妻  昭君     山田 勝彦君

  吉田 統彦君     中川 正春君

  吉田はるみ君     梅谷  守君

  山本 剛正君     小野 泰輔君

  赤嶺 政賢君     宮本 岳志君

  福島 伸享君     北神 圭朗君

  山口  晋君     井出 庸生君

  菊田真紀子君     中島 克仁君

  渡辺  創君     藤岡 隆雄君

  一谷勇一郎君     堀場 幸子君

  金城 泰邦君     庄子 賢一君

  吉田久美子君     日下 正喜君

  斎藤アレックス君   長友 慎治君

  中川 貴元君     藤井比早之君

  西野 太亮君     神田 潤一君

  岡本あき子君     小山 展弘君

  庄子 賢一君     吉田 宣弘君

  長友 慎治君     鈴木  敦君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

  北神 圭朗君     仁木 博文君

  梅谷  守君     末次 精一君

  おおつき紅葉君    白石 洋一君

  堤 かなめ君     緑川 貴士君

  中島 克仁君     野間  健君

  堀場 幸子君     奥下 剛光君

  吉田 宣弘君     福重 隆浩君

  小林 茂樹君     古川  康君

  柳本  顕君     吉川  赳君

  藤岡 隆雄君     石川 香織君

  杉本 和巳君     遠藤 良太君

  日下 正喜君     中川 宏昌君

  福重 隆浩君     庄子 賢一君

  高橋千鶴子君     笠井  亮君

  五十嵐 清君     上田 英俊君

  尾身 朝子君     中野 英幸君

  遠藤 良太君     足立 康史君

  小野 泰輔君     岬  麻紀君

  奥下 剛光君     岩谷 良平君

  仁木 博文君     緒方林太郎君

  小山 展弘君     階   猛君

  井出 庸生君     岩屋  毅君

  上田 英俊君     金田 勝年君

  神田 潤一君     山本 有二君

  小森 卓郎君     北村 誠吾君

  鈴木 英敬君     平沢 勝栄君

  高見 康裕君     石破  茂君

  中野 英幸君     下村 博文君

  藤井比早之君     奥野 信亮君

  古川  康君     渡辺 博道君

  山本 左近君     古屋 圭司君

  吉川  赳君     衛藤征士郎君

  白石 洋一君     道下 大樹君

  末次 精一君     源馬謙太郎君

  中川 正春君     城井  崇君

  野間  健君     江田 憲司君

  緑川 貴士君     落合 貴之君

  山田 勝彦君     長妻  昭君

  岬  麻紀君     市村浩一郎君

  河西 宏一君     輿水 恵一君

  庄子 賢一君     伊佐 進一君

  鈴木  敦君     前原 誠司君

  笠井  亮君     宮本  徹君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     石原 正敬君

  奥野 信亮君     塩崎 彰久君

  下村 博文君     勝目  康君

  渡辺 博道君     上田 英俊君

  近藤 和也君     馬場 雄基君

  伊佐 進一君     中野 洋昌君

  輿水 恵一君     金城 泰邦君

  北村 誠吾君     尾崎 正直君

  平沢 勝栄君     松本  尚君

  長妻  昭君     笠  浩史君

  足立 康史君     美延 映夫君

  岩谷 良平君     空本 誠喜君

  宮本  徹君     本村 伸子君

  上田 英俊君     土田  慎君

  勝目  康君     石橋林太郎君

  江田 憲司君     金子 恵美君

  道下 大樹君     本庄 知史君

  市村浩一郎君     池下  卓君

  空本 誠喜君     金村 龍那君

  前原 誠司君     斎藤アレックス君

  本村 伸子君     田村 貴昭君

  岩屋  毅君     若林 健太君

  衛藤征士郎君     長谷川淳二君

  金田 勝年君     中野 英幸君

  古屋 圭司君     石井  拓君

  階   猛君     末松 義規君

  美延 映夫君     吉田 豊史君

  中川 宏昌君     平林  晃君

  中野 洋昌君     山崎 正恭君

  塩崎 彰久君     川崎ひでと君

  土田  慎君     畦元 将吾君

  山本 有二君     加藤 竜祥君

  石川 香織君     青山 大人君

  落合 貴之君     大西 健介君

  池下  卓君     青柳 仁士君

  田村 貴昭君     宮本  徹君

  石井  拓君     秋本 真利君

  源馬謙太郎君     神津たけし君

  馬場 雄基君     神谷  裕君

  金村 龍那君     伊東 信久君

  金城 泰邦君     大口 善徳君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

  秋本 真利君     山口  晋君

  川崎ひでと君     武井 俊輔君

  中野 英幸君     国光あやの君

  松本  尚君     西野 太亮君

  若林 健太君     柳本  顕君

  平林  晃君     角田 秀穂君

  長谷川淳二君     神田 潤一君

  青山 大人君     櫻井  周君

  末松 義規君     白石 洋一君

  本庄 知史君     田嶋  要君

  伊東 信久君     赤木 正幸君

  吉田 豊史君     吉田とも代君

  金子 恵美君     早稲田ゆき君

  城井  崇君     福田 昭夫君

  笠  浩史君     山岡 達丸君

  青柳 仁士君     掘井 健智君

  吉田とも代君     池畑浩太朗君

  大口 善徳君     吉田久美子君

  加藤 竜祥君     平沼正二郎君

  山口  晋君     山下 貴司君

  神谷  裕君     山岸 一生君

  神津たけし君     源馬謙太郎君

  櫻井  周君     太  栄志君

  白石 洋一君     階   猛君

  斎藤アレックス君   田中  健君

  畦元 将吾君     渡辺 博道君

  石橋林太郎君     下村 博文君

  石原 正敬君     石破  茂君

  尾崎 正直君     北村 誠吾君

  神田 潤一君     衛藤征士郎君

  国光あやの君     金田 勝年君

  武井 俊輔君     奥野 信亮君

  西野 太亮君     平沢 勝栄君

  平沼正二郎君     山本 有二君

  柳本  顕君     岩屋  毅君

  山下 貴司君     古屋 圭司君

  大西 健介君     落合 貴之君

  田嶋  要君     道下 大樹君

  福田 昭夫君     城井  崇君

  太  栄志君     石川 香織君

  山岡 達丸君     長妻  昭君

  山岸 一生君     近藤 和也君

  早稲田ゆき君     江田 憲司君

  赤木 正幸君     岩谷 良平君

  池畑浩太朗君     足立 康史君

  掘井 健智君     市村浩一郎君

  角田 秀穂君     中川 宏昌君

  山崎 正恭君     伊佐 進一君

  吉田久美子君     輿水 恵一君

  田中  健君     前原 誠司君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同月十八日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     八木 哲也君

  岩屋  毅君     工藤 彰三君

  加藤 勝信君     野中  厚君

  亀岡 偉民君     山田 美樹君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  平沢 勝栄君     谷川 とむ君

  渡辺 博道君     櫻田 義孝君

  石川 香織君     野田 佳彦君

  江田 憲司君     野間  健君

  長妻  昭君     藤岡 隆雄君

  道下 大樹君     玄葉光一郎君

  足立 康史君     小野 泰輔君

  市村浩一郎君     沢田  良君

  岩谷 良平君     池畑浩太朗君

  前原 誠司君     玉木雄一郎君

  宮本  徹君     本村 伸子君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     岩屋  毅君

  櫻田 義孝君     渡辺 博道君

  谷川 とむ君     平沢 勝栄君

  野中  厚君     加藤 勝信君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  八木 哲也君     石破  茂君

  山田 美樹君     亀岡 偉民君

  玄葉光一郎君     道下 大樹君

  野田 佳彦君     石川 香織君

  野間  健君     太  栄志君

  藤岡 隆雄君     長妻  昭君

  池畑浩太朗君     岩谷 良平君

  小野 泰輔君     足立 康史君

  沢田  良君     市村浩一郎君

  玉木雄一郎君     前原 誠司君

  本村 伸子君     塩川 鉄也君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  太  栄志君     神津たけし君

  塩川 鉄也君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  神津たけし君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田はるみ君     江田 憲司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算

 主査からの報告聴取


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官溝口洋君、内閣官房内閣審議官高村泰夫君、内閣官房国土強靱化推進室次長五道仁実君、内閣府子ども・子育て本部統括官藤原朋子君、宮内庁次長池田憲治君、消費者庁政策立案総括審議官村井正親君、総務省自治税務局長稲岡伸哉君、総務省統計局統計調査部長岩佐哲也君、消防庁次長小宮大一郎君、外務省中東アフリカ局長長岡寛介君、外務省国際協力局長植野篤志君、財務省主税局長住澤整君、文部科学省総合教育政策局長藤原章夫君、厚生労働省健康局長佐原康之君、農林水産省消費・安全局長小川良介君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、観光庁長官和田浩一君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛装備庁プロジェクト管理部長坂本大祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、社会経済情勢・外交等内外の諸課題についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 おはようございます。自民党の岩屋毅です。

 久々に質問の機会をいただいて、ありがとうございました。岸田総理とこうやって向かい合うということをとても楽しみにしておりました。

 私は学生時代から総理のことを存じ上げておりますが、全く変わらないですよね。当時から、誠実、実直、丁寧、謙虚な人柄というのは全然変わっていないと思います。だんだんと総理のそのお人柄が国民の皆さんに伝わって信頼を得てきているというふうに感じて、心強く思っています。是非、そのお人柄のままに、存分に力を発揮していただきたいと願っております。

 その上で、注文をつけるのも友人の役割だと思いますので、当面の重要課題について、総理の基本的なお考えをお聞きしたいと思います。もう細かいことは伺いません。私に答えるというよりも、国民の皆さんにお話をしていただきたいと思います。

 まず、国際情勢です。

 ウクライナ情勢、非常に緊迫をしています。再三ここでも指摘がありましたように、これは決して対岸の火事ではない。アジアにも、インド太平洋にも、あるいは国際秩序全般にも影響を及ぼしかねない、非常に重大な局面を迎えていると思います。日本政府も努力をしていただいていると承知をしています。総理もゆうべはプーチン大統領とお話をされたと聞いておりますが、まさに総理の言われる新時代リアリズム外交の試金石ともいうべき局面だと思います。

 ゆうべのことも踏まえて、どういうお考えでこの事態に臨まれるか、聞かせていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、岩屋委員には、長い友人として引き続き厳しい指摘もいただければと思っております。

 その上で、ウクライナ情勢について御質問いただきました。

 このウクライナをめぐる情勢、これは、欧州にとどまらず、アジアを始め国際社会の秩序に関わる問題であると考え、重大な懸念を持って注視をしております。

 昨日、ロシア・プーチン大統領と電話会談を行わさせていただきましたが、その会談の中でも、私の方からプーチン大統領に対しまして、力による一方的な現状変更ではなく、外交交渉によって関係国にとって受け入れられる解決方法を追求するべきであるということを、直接働きかけを行いました。

 ウクライナをめぐる情勢については、我が国として、緊張緩和に向けた粘り強い外交努力を続けていく考えであり、プーチン大統領以前にも、各国首脳に電話会談等で働きかけを行い、外交交渉の重要性を訴えたところであります。

 引き続き、G7を始めとする国際社会と連携し、実際の状況に応じて適切に対応していきたいと考えておりますが、委員御指摘の新時代リアリズム外交ということで申し上げるならば、厳しさと複雑さを増す国際情勢の中で、まずは未来への理想の旗、これはしっかり掲げなければなりません。しかし、併せて、国益を考え、したたかで徹底的な現実主義を貫いていく、これが新時代リアリズム外交であると思っております。こうした外交をこれからもしっかりと進めていきたいと考えます。

岩屋委員 この後、G7の外相会合、それから、追って首脳会合もあるというふうに聞いておりますので、是非、国際社会が一致結束をして、決して軍事紛争に至ることがないように、それはロシアにとっても失うところが大変大きいと思うんですね、そこをしっかり理解してもらえるような努力を重ねていってもらいたいと思います。

 新時代リアリズム外交について今総理から説明がありましたが、我が国の国際場裏での立ち位置というのは明確だと思うんですね。我々は、民主主義の国であり、自由主義の国であり、法の支配、人権を貴ぶ、貴ぼうとしている国であり、米国の同盟国である。この立ち位置は明確なんですが、しかし、国際情勢というのは、黒か白か、正か邪か、二項対立で解決できるような単純なものではない。やはり、冷静に国際情勢を分析をして、総理言われたように、国益の最大化と地域の安定、世界の平和、繁栄、これにどう貢献していくかを考えるというのが新時代リアリズム外交だと思います。

 そういう意味でいうと、やはり、難しい問題を抱えている国こそ、対話を重ねる必要があると思うんですね。我が国の隣国、今のロシアもそうですね、中国もそうです、韓国もそうです、北朝鮮もそうかもしれない、そういった国々と対話を避けてはいけない。言うべきことはもちろん言いながら、対話は切らさない。むしろ、積極的に会って話をするということが大事だと思います。

 そういう意味でいうと、外務大臣に、どこに行くなとか誰と会うななんと言うのはおかしな話だと思いますね。大いに会って話をすべきだと思います。

 先般、外務大臣、ハワイで日米韓、そして日韓もバイでやられたということですが、韓国との関係はやはり大事ですよね。それは、難しい問題はたくさんある、今度新しくまた一つ加わった。しかし、それは粘り強く話すとして、事安全保障ということからいうと、日米韓、日韓の連携は極めて重要です。

 二〇一五年の慰安婦合意も、総理は当事者でしたけれども、これも、いつまでも、おたくにボールがあると言っているだけで済むという話ではない。やがて韓国も体制が一新するでしょう。そういうときは、膠着状態を破るチャンスだと思います。

 こういった隣国との難しい外交関係、特に日韓関係について、外務大臣、どういう所信で臨まれますか。

林国務大臣 今、岩屋先生から御指摘があったように、先ほど総理からお話のあった新時代リアリズム外交、これを進める上では、近隣諸国等との粘り強い対話、これは非常に重要だというふうに思っております。御指摘のとおりだと思います。難しい問題に正面から毅然と対応しながら、やはり安定的な関係を築くべく取り組んでまいらなければならないと思いますし、北朝鮮との間では、拉致、核、ミサイルといった諸懸案、しっかり対応していかなければならないと思っております。

 ホノルルで、日韓、日米韓ということで会議をやってまいりましたが、そのときも痛感いたしましたけれども、やはり、北朝鮮への対応を始めとして、この地域の安定にとっては、日韓、日米韓、連携するということが非常に不可欠であろう、こういうふうに思っております。

 そういう意味では、旧朝鮮半島出身労働者問題、慰安婦問題などにより大変厳しい状況にあるわけでございますが、このまま放置するというわけにはいかないと思っております。その上で、国と国との約束を守ることは国家間の関係の基本でありますので、日韓関係を健全な関係に戻すべく、我々の一貫した立場に基づいて、韓国側に適切な対応を強く求めていきたいと考えております。

岩屋委員 私は、林外務大臣には大変期待しています。アメリカにも幅広い人脈がある、中国にも幅広い人脈がある。それがいいとか悪いとか言っている人もいましたが、いいに決まっている、そんなことは。この時代に最もふさわしい外務大臣だと私は思っております。是非、近隣諸国との対話をしっかり重ねていっていただきたいと思います。

 さて、予算委員会ももう七十時間を超えて、充実した審議、重ねられてきましたが、一番取り上げられたのは、言うまでもなくコロナですよね。もう二年間以上もみんなこうやってマスクをしているわけですよね。国民も疲弊をしてきている。一日も早くここから抜け出して、安心と活力を取り戻す、これが国政の一丁目一番地だと思います。いろいろな施策はあるけれども、日常が戻っていないわけですからね。前になかなか進まない。

 私は、昨日の総理の会見、丁寧で非常によかったと思いますが、もっと頻繁に国民に伝える努力をしていただきたいと思います。やはり、この危機にあっては、最高指揮官の総理大臣のメッセージというのは非常に大事だと思います。

 先般も、西村委員の質問がきっかけでしたかね、総理が百万回と言ったら、あっという間にそれが達成された。なかなか、目標をつくってもやはり思うようにいかないこともある、多少の誤差はそれは出てくる。しかし、それを余り気にされずに、いつまでにこういうことを達成したい、こういう状態をつくり上げたい、国民の皆さん協力してください、このメッセージをもっとしっかり頻繁に伝えてもらいたいと私は思います。

 総理は、聞く力はもう十分お持ちなわけですから、伝える力を更に磨いて発信していただきたいと思っていますが、特にワクチン、これは急がなきゃいけません。国民に向かって総理からのメッセージを送っていただければありがたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のワクチンの三回目の接種については、関係者の皆様の御尽力によって、十五日以降、VRS、すなわちワクチン接種記録システム入力ベースで、一日百万回程度までペースは上がってきました。二月から高齢者の方々の前倒し接種が本格化しており、希望する高齢者施設での入所者等への接種が進むよう、全力で取り組んでまいります。

 また、教職員、保育士、警察官、消防職員など、いわゆる地域におけるエッセンシャルワーカーの方々に対する接種、これも進めてまいります。

 全国で接種券の前倒し送付も進めていただいており、今週から職域接種も本格的に始まっています。接種の加速化への協力を医療関係者の方々にも昨日お願いしたところです。手綱を緩めることなく、安定的に百万回ペースで接種が進むよう、全力で取り組んでいきたいと思います。

 ワクチンの接種、特に三回目の接種は、発症予防そして重症化予防の要となると考えています。是非多くの方々に接種していただくよう、この発信の方もしっかり努めていきたいと考えます。

岩屋委員 一回目、二回目の接種も諸外国に比べると遅れたんですけれども、国民の皆さんは真面目で協力的ですから、あっという間に、先進国、G7の中では第一位の接種率に至った。総理が熱意を持ってお願いすれば、必ず国民の皆さん、協力をしていただけると思いますので、しっかりこれからも発信に努めていただきたいと思います。

 それから、もう一方で、この間、傷んだ経済を立て直すということをしっかりやらなくちゃなりません。様々な業種が大なり小なり痛手を受けているわけですが、私、思うに、一番やはり厳しいのは観光業界だと思いますね。それにまつわる運輸、飲食、料飲、こういった皆さん、もう本当に厳しい状況に置かれています。

 先般も観光について総理と対談をさせていただきましたが、観光というのは、我が国の成長産業の一つでもあるし、地方創生の柱でもあるので、その基盤が失われてしまわないように、私は、一日も早く、安全な形のGoToの再開であるとか、インバウンドの安全な形での再開であるとかということも含めて、しっかりこの産業を支えてあげていただきたいと思いますけれども、これについての総理のお考えを聞かせてください。

岸田内閣総理大臣 新型コロナの影響により、観光関連産業は甚大な影響を受けています。

 観光産業は、委員御指摘のように、人口減少時代を迎えている我が国にとって、成長戦略の柱であり、地方創生の切り札であると認識をしています。

 このため、引き続き、今後の感染状況を見極めつつ、安心、安全、この確保を前提としながら、新たなGoToトラベルの事業等による観光需要の喚起、これを図るとともに、コロナ後を見据えながら、この観光産業の高付加価値化を推進し、そして、インバウンド回復に向け戦略的に取り組んでいかなければならない、このように認識をしています。

 今後も、この厳しい状況に置かれている観光関連産業をしっかり支援しつつ、観光振興そして観光立国の復活に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えます。

岩屋委員 政府目標の、二〇三〇年、インバウンド六千万人、その消費額十五兆円というのが達成されれば、外国人の消費というのは輸出勘定になりますので、自動車を抜いて我が国一の輸出産業に観光はなっていく。必ずやはりそこに持っていかなきゃいけないと思いますので、しっかりとこの観光への支援をお願いしたいと思います。

 この委員会を通じて、もう一つ一番話題になったのは、総理の掲げる新しい資本主義ということだったと思います。これは正直、まだ政府の中でも未消化な部分があるんじゃないかな、もっともっとしっかり熟議を重ねて国民に分かりやすい対策を打っていってもらいたいなと思っておりますが。

 再三指摘がありましたように、公定価格は国が努力して上げていってあげればいいと思いますが、民間は成長しなければ分配できない。この三十年間、残念ながら、ほとんど日本の経済、成長できていない、だから所得も上がっていない。これは、この間、我々もほとんどの期間政権の場にあったわけですから深刻な反省が必要だと思います。ここの分析がしっかりできていないと、新しい資本主義というのをその上に乗っけるということはなかなか難しいと思います。

 総理は、これについてどういう認識を持っておられますか。

岸田内閣総理大臣 我が国においては、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレによって停滞の時代を経験してきました。企業においては投資あるいは賃金を抑制する、消費者においては将来への不安から消費を抑制する、こうしたことで需要が低迷しデフレが加速化する、こうした悪循環が続いたということだと思っています。

 その結果、我が国においては、人的投資、さらには設備投資の対GDP比、あるいは可処分所得の伸び、主要先進国に対して劣後してしまった、また、デジタル化、気候変動、こういったイノベーションの波や世界的な課題への対応が遅れてしまった、こうしたことがあったと思います。

 こうした状況を乗り越えるためにも、成長、まず大事であります。そして、その成長も、単に市場や競争に任せるというのだけではなくして、政府が、投資の呼び水となる予算や規制改革、新たなルール整備、こうしたことに努め、マーケットをつくる、そして将来の市場規模を示すなど、民間の投資を促すインセンティブを与えられるよう工夫をしていく、こうした官と民の協働によって成長を実現していく、こうした考え方が重要であると思っています。

 こうした取組によって、デジタル化、気候変動といった課題に官民の投資を集めて、こうした成長課題を成長のエンジンに転換していく、さらには、人への投資の強化によって生産性を向上していく、こういったことによって成長力を強化して、そして成長と分配の好循環を実現して、経済の持続可能性をしっかりと維持していく、実現していく、こうした取組が重要であると認識をしております。

岩屋委員 三十年間成長できなかったというのは、ある意味でいうと、資本主義がうまく機能していなかったということも言えるんだと思いますね。イノベーションが新しい需要を生み、消費を喚起していくというその循環がうまく取れなかったということだと思いますので、成長と分配の好循環、これは是非達成しなきゃいけないことだと思いますが、やはり、どうやって成長できるかというところに更に力点を置いて施策を推進をしていただきたいと思います。

 最後に、安全保障の問題に触れたいと思いますが、今年は、いわゆる戦略三文書と言われる重要な文書の改定の議論の年であります。特に国家安全保障戦略というのは初めての改定になるわけで、そのポイント、最大のポイントは、そこに経済安全保障という観点が入ってくるということだと思います。

 これは喫緊の課題なので、戦略の改定に先立って法律を作って、この国会に出して審議していただこうと政府は準備をしていると思いますが、その矢先に、藤井元内閣審議官について様々な報道がなされて、事実上更迭された。甚だ遺憾なことだというふうに思っています。

 政府は、これはしっかり調査をして国民に説明をする責任があるというふうに思っておりますが、官房長官に念のために聞きますが、氏の行動が、今般の予算案、それから法案に影響を及ぼしたことがなかったかどうか、これについてはいかがですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、予算に関してでございますけれども、経済安全保障推進法案は、御案内のとおり、非予算関連法案でございます。令和四年度予算案には、本法案の成立を前提とするものは含まれていません。

 さらに、令和四年度予算案に関して、国家安全保障局から各省庁へ調査をしたところ、どの省庁も藤井元内閣審議官から不当な働きかけや要請等を受けていないことが確認をされております。また、今般の各省庁への調査では、藤井元審議官から、不当なものに限らず、個人的な働きかけ等がなかったことも確認をされております。

 なお、藤井元審議官は国家安全保障局において予算要求を担当しておらず、予算への不当な介入はなかったと考えております。

 したがって、先生御指摘のような問題はないと考えております。

 あわせて、法案に関する影響でございますが、経済安全保障推進法案につきましては、現在、法案提出に向けた準備を加速をしているところでございます。そこに至るまでの間、分野別の検討を含めれば十六回に及ぶ有識者会議での議論を経た提言を踏まえ、また、与野党の先生方、経済団体連合会などの経済団体、日本労働組合連合会といった関係団体とも対話を重ね、その中でいただいた御意見を十分に踏まえたものでございます。

 こうした状況において、特定個人の一存で法案の内容がゆがめられる余地はなく、御指摘のような問題はないと考えております。

 なお、提言を取りまとめられた青木節子座長からは、藤井元内閣審議官から個人的な働きかけ等によって、提言の内容に変更が生じた事実はないとの認識を確認をさせていただいております。

岩屋委員 この藤井氏の件については、政府でしっかり引き続き調査をして、国民に分かりやすい説明をしてもらいたいと思います。

 法案については、もう質問はいたしません。大事なことは、本来自由であるべき経済活動と経済安全保障のバランスをいかに取っていくか。過剰、過度な規制をかけることによって、角を矯めて牛を殺すということにならないようにするということが大事だと思いますので、産業界ともよく事前に相談をして、理解を得て進めていってもらいたいと思います。

 官房長官、もうどうぞ。

 防衛力整備について、少し、私、心配していることがあります。というのは、総理が、これまで再三にわたって、いわゆる敵基地攻撃を排除せず議論するという言い方に終始をされておられますので、あたかも敵の基地を攻撃するのかしないのかみたいなことに焦点が当たってしまっている。こういう命題の立て方は私は好ましくないというふうに思っております。

 今どき、敵基地というのは一体何を指すのか、もうリアリティーをなくしてきているわけですね。概念が非常に曖昧な用語を使って議論するというのは、ともすれば、木を見て森を見ないという議論になりかねない。議論が矮小化する、あるいは肥大化する、そういうおそれがあるというふうに私は心配しております。

 総理は、憲法、国際法、これまでの日米の役割分担を踏まえた上で、新しい防衛力をどう構想するか、構築するかという話し方をされておられますが、私は全くそのとおりだと思っておりまして、そうすると、そんな飛躍した話にはなり得ないと思うんですね。

 こういう議論の仕方ではなく、そろそろほかの用語を使ってしっかりと議論をしていく必要があるのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 いわゆる敵基地攻撃能力という名称についてですが、様々な議論があるということは承知をしております。ただ、国会で議論する際に、一般に広く用いられている用語を現時点では使用しているということであります。様々な議論がある中で、今後、名称も含めて検討していくことは考えていかなければならないと思っています。

 そして、名称、もちろん大事なことでありますが、重要なことは、ミサイルに関する技術が急速なスピードで変化している、あるいは進化している、こうした現状において、現実に、国民の命や暮らし、これを守るために何が求められているのか、そういった議論を、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討するということであると考えています。

 委員が御指摘のように、憲法、国際法、そして日米の基本的な役割、これはしっかり踏まえた上で議論を進めていきたいと思いますが、是非、今申し上げた、現実をしっかり見た上での議論をこれから丁寧に進めていきたいと考えております。

岩屋委員 そもそも我が国には仮想敵国はない、反撃はあり得ても攻撃はないという防衛思想の下にこれまで防衛力を組み立ててきているわけで、それに対する国民の皆さんの信頼、国際社会の信頼というものを毀損するようなことがないようにすることが私は大事だと思っています。

 本当は防衛大臣に聞きたかったんですが、時間がありませんので失礼しますが。

 防衛省・自衛隊もいろいろな努力をしているんですね。我が国の国土防衛のために、ミサイルの射程もどんどん延ばしている。今度、千キロぐらいにして、空からも陸からも海からも撃てるようにする。私は、潜水艦からも撃てるようにすべきだと思いますけれどもね。南北二千五百キロ、海域、空域入れればもっと広い日本を守るためには、もっと長いミサイルがあってもいいと私は思っていますが、それはあくまでも我が国を守るための装備ですよね。それを粛々と整えていくことが、結果として対外的な抑止力につながっていく、そういう物の考え方を私はすべきではないかというふうに思っているところであります。

 これから政府の中でも議論が進むでしょうし、党の中でもしっかり議論をしていきたいと思いますので、誤りのない新たな防衛方針、安全保障方針を作っていただくようにお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、山田美樹君から関連質疑の申出があります。岩屋君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田美樹君。

山田(美)委員 自由民主党の山田美樹です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭に、石油価格についてお伺いします。

 ウクライナ情勢の緊張感が高まり、原油価格が九十ドルを超え、七年ぶりの高値水準となっており、コロナ禍から回復を果たそうとしている国民や事業者に大変な影響を及ぼしています。今後、ロシアによる侵攻などの深刻な事態に至れば、百二十ドルを超える可能性も指摘されています。

 あらゆる事態に備えておくため、現在実施している激変緩和対策や業種別対策などの大幅な拡充を検討すべきではないでしょうか。総理に伺います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、かねてより高水準にあった原油価格、このウクライナ情勢の緊迫化なども受けて、より一層上昇傾向にあり、企業や暮らしへの影響、これはしっかり注視していかなければならないと考えます。

 委員御指摘のこれまでの取組、激変緩和措置ですとか業種ごとへの対応、また、地方自治体が支援を行った際にそれを国が支援するなど、重層的な取組を今まで用意をしてきたわけでありますが、更に原油価格が大幅に上昇していく局面にあっては、国民生活や経済活動に短期的に大きな影響が及ぶことも回避しなければならない。こうした観点から、幅広い選択肢について検討を加速したいと思っています。

 今、官房長官の下で、今までの取組の効果、これをしっかりと検証した上で、何が効果的なのか、そして更に何が求められるのか、こうした議論を進めています。

 こうした議論を進め、今後の状況にしっかり備えていきたいと考えます。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 事態は非常に切迫しています。総理におかれましては、一日も早く思い切った御対応をお願いいたします。

 続きまして、確定申告についての質問です。

 早いもので、コロナ禍で三回目となる確定申告の季節となりました。昨年、一昨年に引き続き、今年も確定申告の期限を三月十五日から一か月後ろ倒ししていただくよう、私自身、度々申し入れてまいりました。今年は一律ではなく個別の申請で、申請書の余白に新型コロナによる延長申請と記載するだけで延長を認めていただけることに、まず感謝を申し上げます。

 そもそも、日本の確定申告は諸外国に比べて申告期限が短く、短期間に異常な業務負担を強いられること、医療費情報が届くのが二月十六日の申告開始に間に合わないこと、個人事業者の消費税の申告、納付期限は三月末であることなどから、申告期限の後ろ倒しを求める声はコロナ以前からありました。

 それに対しては、五月以降の地方自治体による個人住民税の課税事務や社会保障事務などに影響が出るため、時間的に難しいとの説明をいただいてきました。

 しかし、図らずもコロナによって、令和二年、三年においては、確定申告が期限が四月十五日であっても、結果的には無事に執行することができたわけです。自治体の人口規模にもよりますが、前もって期限延長が分かっていれば何とか対応できるという市町村も多かったと聞いております。

 所得税申告のe―Tax利用率、現在五五%ですが、今後更に普及が進むでしょうし、また、令和六年からは特別徴収税の税額通知の電子化も始まり、国税庁や自治体の事務の電子化も見込まれます。

 こうした状況も踏まえて、将来は恒久的に申告期限を四月十五日とすべきではないでしょうか。財務大臣に伺います。

鈴木国務大臣 確定申告の期限についての御質問でございました。

 この確定申告の期限につきましては、暦年課税、一月から十二月までに課税される所得税の納付義務が年末に成立をして、速やかな納税を確実に確保する必要があるということ、その一方で、申告書の作成等の事務作業に配慮をしなければいけない、そういう観点から翌年の三月十五日としておりまして、これは昭和二十七年以来、長年にわたりまして国民の間に定着した期日である、そのように考えております。

 また、先生からも御指摘がございましたが、近年では、パソコンでありますとかスマートフォンを活用した申告事務の簡素化にも努めているところでございます。

 さらに、所得税の確定申告の情報は国税庁から市町村に提供されまして、五月末に行われます地方税の税額決定や、六月以降、順次、様々な社会保障サービスの給付や負担の額などにも反映をされていく、そういう仕組みとなってございます。

 所得税の申告期限の在り方につきましては、こうした納税者の申告事務の状況でありますとか、また市町村の事務に与える影響、そういうものを踏まえまして、慎重に検討をする必要があるのではないか、そのように考えております。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 税務手続のDX化というのも進んでまいりますので、是非、将来的には前向きに御検討いただければと思います。

 納税に関して、もう一つ、地元の小規模事業者の方々から不安の声をいただいているのが、来年十月に予定されているインボイス制度の導入です。

 既に昨年十月から、インボイス発行事業者となる登録申請手続が始まっています。年間課税売上高一千万円以下の免税事業者は課税事業者になるか否かの経営判断を迫られますが、この免税事業者は、地域に根差した商店、飲食店やその取引先など中小・小規模事業者や個人事業主であり、今まさにコロナ禍で御商売に大打撃を受けている方々です。コロナが収束しても売上げがどの程度元に戻るのか、全く見通しが立たないという声が大半であり、中には、インボイスへの移行が一因となって廃業を決意したという経営者の方もいらっしゃいます。

 平成二十八年の所得税法改正の附則では、軽減税率の導入後三年以内を目途に、インボイス制度の準備状況等について検証し、必要な措置を講ずるものとされており、中小事業者の方々からは、インボイス導入の時期を遅らせてほしいという強い要望がありました。

 昨年末の与党税制大綱では、予定どおり令和五年十月に実施するとし、従来の六年間の移行措置に加えて、コロナ禍に配慮して、課税事業者の登録手続の経過措置を五年延長し、柔軟なタイミングで登録できるようにするとしています。

 免税事業者の方々から見れば、結局、来年十月のインボイス制度開始の時点で大手の取引先からお願いベースで登録を迫られるのではないかとか、課税事業者に移行しようがしまいが、取引価格はその時点で決まってしまうのではないかなど、不安は尽きませんし、そもそも制度の周知が十分にできていない状況です。

 免税事業者の方々の不安を払拭するためには、よりきめ細やかな対応策が必要ではないでしょうか。財務大臣にお伺いします。

鈴木国務大臣 インボイス制度でございますが、複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものとして、来年の十月から始まることとなっているところでございます。

 インボイス制度への移行に伴う小規模事業者などの免税事業者への影響につきましては、顧客が消費者であるいわゆるBトゥーC取引を行う事業者や、それから取引先の事業者が簡易課税制度を利用している事業者はインボイスの交付を求められることがなく、全ての免税事業者について影響が出るわけではございません。

 円滑な移行ということが必要でございますので、様々な対応策を取っているところでございますが、まずは軽減税率制度の実施から四年間の準備期間を設けるとともに、移行後も六年間、免税事業者からの仕入れであっても一定の仕入れ税額控除を認めるなど、事業者の準備や取引に与える影響を緩和するための十分な経過措置を設けているところでございます。

 さらに、令和三年度補正予算におきまして、IT導入補助金により、インボイス制度も見据えた中小・小規模事業者のデジタル化による事務負担の軽減、また、持続化補助金により、インボイス発行事業者となる小規模事業者の販路開拓など、支援をすることといたしております。

 加えまして、優越的地位を利用した一方的な価格引下げなどに対しましても、独禁法、下請法等の取扱いをQアンドA等によりまして明確化し、各事業者団体への法令遵守要請などを行うなど、免税事業者を始めとした事業者の取引環境の整備に取り組んでいることとしております。

 今後とも、制度の円滑な移行に向けて、関係省庁で連携しながら、これらの支援策や制度の周知、広報を始めとした取組を丁寧に進めていきたいと思っております。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 何よりも、今、やはり、小規模事業者の方々にとっては、先が見えないという不安が一番であろうかと思います。是非、今おっしゃってくださったようなきめ細やかな対応、丁寧な対応をお願い申し上げます。

 続きまして、オミクロン株の対応についてお伺いします。

 私の地元であります東京の千代田区、港区、新宿区では、昨年夏の第五波で自宅待機者が膨れ上がり、東京都の入院調整が機能不全に陥りました。酸素濃縮器が底をつく中で、訪問診療や電話、オンライン対応で必死に支えてくださったのが地域の医療機関でした。

 第六波の今、発熱外来に軽症者の方々がたくさん押し寄せ、個人開業医の方々が最も困っているのが、陽性者データのHER―SYSへの入力です。一件十分としても、二十人陽性者がいれば、診療後に二百分の入力の時間がかかります。高齢者や持病のあるハイリスク患者以外はほとんど通常の感冒と変わらないのに、全件登録が必要なのか、入力項目の簡略化はできないのかという声をいただいています。

 一方で、高齢者施設では、職員の濃厚接触者が続出し、給食サービスなど、委託先も含めて業務継続が難しい状況です。エッセンシャルワーカーが濃厚接触者になった場合の待機時間は段階的に短縮していただいておりますけれども、実際には、検査キットが手に入らない、PCR検査も混雑していて結果が遅い、待機期間を過ぎても十日目までは交通公共機関を使えないため都心の施設に通勤できないなど、期間短縮のための要件が現実に合っておらず、人員不足解消につながっていません。医療従事者と違い、検査費用は自己負担であることも重い負担となっています。

 第六波では高齢者施設でのクラスターが多発しておりますけれども、病院のコロナ病床が介護度の高い高齢者で埋まりますと、退院までに時間がかかり、病床逼迫は更に深刻化します。ワクチンの三回目接種を急ぐことはもちろんですが、中和抗体療法や治療薬など、高齢者施設内での医療を本格化させる時期になっております。

 軽症者への医療体制、それから重症者や死亡者数の増加に直結する高齢者施設等での医療体制について、政府はそれぞれどのように対応を進めるのか、厚生労働大臣にお伺いします。

後藤国務大臣 非常に多くの御指摘を今、山田委員から伺いました。

 医療提供体制が、今後、オミクロン株がまずは若い方たちのところで感染力を発揮して広がり、その後、感染者の広がる中で、高齢者や重篤になるそういう持病をお持ちの方等の感染が広がってくるということで、医療提供体制につきましては、できる限り、客観的エビデンスに従って、救急、急性期の病床、コロナ病床から客観的エビデンスがある限り病床を移っていただくとか、あるいは、高齢者施設等における医療提供体制をより強固なものにするとか、地域における医師会との連携をしながらしっかりと体制を整える、そういうことをやっております。

 また、重要な点で御指摘のあったことの中で、HER―SYSの入力の簡素化の問題がございましたけれども、これは本当に今現場で悲鳴が上がっているということで、二月九日に事務連絡を発出しまして、発生届の入力項目の絞り込みをいたしておりまして、本当に緊急性の高い最低限の項目をまず入力していただいて、あとは、緊要性が低く、入力までに時間を要する項目は後で補っていただくということで対応しております。

 それから、高齢者施設への対応重点化につきましては、看護師を派遣する場合の補助単価の引上げ、施設内で療養する場合のかかり増し経費に対する補助の増額のほか、ワクチン三回目の接種、そして施設での感染対策、対応力の強化等について、早速対応を講じているところでございます。

山田(美)委員 迅速な御対応、ありがとうございます。

 今後も、変異株、どのような形で出てくるかというのもございますので、その変異株の特徴に応じた迅速な対応を引き続きよろしくお願いいたします。

 こんな中で、コロナ対応以外の通常の医療も甚大な影響を受けています。特に歯科医療は、高齢者を中心に患者数の減少が非常に深刻であり、在宅療養患者への訪問歯科診療も中止や延期が相次いでいます。

 さらに、千代田区、港区、新宿区のような都心では、オフィス街の歯科診療所が、テレワークの影響で患者が著しく減少し、元々テナント料が高いことも相まって、存続の危機に陥っているところもあります。一方で、感染対策に係る費用は、品不足による価格の高騰でますます重い負担となっています。

 この二年間、歯科診療所でのクラスターは全国で一件も発生していません。歯科関係者の方々の大変な御尽力に心から感謝を申し上げたいと思いますが、こうした自助努力ももはや限界だという声も伺っています。

 経営が逼迫している地域の歯科診療所に対して、国は手厚い支援を行うべきと考えますが、厚生労働大臣に伺います。

後藤国務大臣 歯や口腔の健康は全身の健康を保つためにも大変重要であり、人生百年時代を見据え、一層力を入れて取り組む必要があると考えております。

 まず、今般のコロナ対応を通じまして、感染拡大時も口腔の健康管理を継続できるよう、院内感染対策の重要性を強く認識しているところでございまして、令和四年度診療報酬改定で、初診料、再診料の算定要件に新興感染症対策に関する研修の実施を追加し、点数を引き上げることといたしております。

 また、全ての国民に適切な歯科保健医療を提供できるように、厚生労働省では、自治体が実施する歯の健康の普及啓発や保健指導の取組を支援するとともに、障害者の方々に適切な歯科医療を提供できるように、障害の特性を踏まえた対応が可能な歯科専門職の育成や、障害者施設と連携した歯科健診の実施などの取組も支援をいたしております。

 また、委員から御指摘がありましたICTを活用した診療等につきましては、適切かつ効率的な歯科診療を推進するために、歯科医師が、介護施設等を訪問した歯科衛生士とICTを活用して連携しまして、入所者等に対する歯科診療を行うような取組について実証事業を進めております。

 今後とも、多様化するニーズに対応した良質な歯科保健医療が提供できますように、その充実に向けて取り組んでまいりたいと思います。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 是非、今後とも、歯科医療の充実、力を入れていただきたいと願っております。

 続きまして、医薬品、薬の安定供給について伺います。

 私の地元の都心の薬局から、てんかんの患者さんの常備薬が手に入らなくて、知り合いの薬局に何軒も何軒も電話して必死で探したというお話ですとか、最近はジェネリックだけでなく新薬も入ってこなくなったという声を聞いています。医薬品の生産と流通の両面で、今深刻な変化が起きています。

 一昨年の暮れから、後発医薬品メーカーによる品質管理の問題が相次ぎ、供給に支障が出ています。これまで日本は、医療費削減のために国策として後発医薬品の数量シェア八割を目標に掲げてきましたが、行き過ぎた増産体制が裏目に出たのではという感もあります。

 また、中国やインドからの輸入に頼っている原材料の価格が高騰する中、度重なる薬価引下げとのはざまで、後発医薬品メーカーを始め、不採算に追い込まれる製薬メーカーが増えていくおそれがあります。製薬メーカーにとって、薬価は会社の存続に関わる問題です。

 昨年から始まった薬価の中間年改定が本格化しますと、単純に考えれば薬価が二倍の速さで引き下げられていくので、医薬品の価格は今まで以上に低く抑えられ、経営体力が更に失われることになります。

 流通の問題も深刻です。地域に密着した小規模薬局が大手の薬局チェーンに買収される例が非常に増えています。

 現行の薬価改定制度では、市場実勢価格が十分に反映されず、かつ加重平均が計算のベースになりますが、大量に発注する大手薬局チェーンがスケールメリットを生かして安価で購入できるのに対して、小規模薬局は平均よりも高い価格で購入しているのが現実です。そのため、薬価改定が行われるたびに地域の小規模薬局の経営体力が奪われていきます。

 そもそも、薬価制度は二年に一度の改定を原則に制度設計がなされています。中間年改定の方針を打ち出した平成二十八年の四大臣合意では、中間年改定は価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うとされておりました。しかし、昨年四月に初めて行われた中間年改定では、当初の趣旨に反して、全ての薬価収載品目の実に七割が対象となる大幅な改定となり、金額ベースでは全品を改定した場合の九割もの影響が出ています。

 このような薬価引下げの加速化が、地域の薬局の経営悪化や医薬品の供給不安に一層の拍車をかけるのではないかと危惧しております。

 今年の後半には次回の中間年改定に向けた準備が本格化いたしますが、今後の中間年改定の対象範囲については、医薬品の流通、取引の実態もしっかり把握した上で、改めてゼロベースで検討すべきではないでしょうか。厚生労働大臣に伺います。

後藤国務大臣 薬価制度につきましては、国民皆保険の持続性、そしてイノベーションの推進、こうしたものを両立し、国民が恩恵を受ける負担の軽減、医療の質の向上を実現していくことが重要でございます。

 市場実勢価格を御指摘のように適切に薬価に反映して国民負担を抑制する、そういう観点も含めて、毎年、薬価改定を行っているわけでございます。初年度に当たる令和三年度の薬価改定では、国民負担の軽減の観点から、薬価と市場実勢価格との乖離が五%を超える品目を対象に薬価改定を行っております。

 今後の薬価改定におきましても、国民皆保険の持続性、イノベーションの推進を両立する観点から、そして薬業に関係する皆様の状況をよく見つつ、関係者の意見を伺ってしっかり検討を進めてまいりたいと思います。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 まずは流通、取引の現状をしっかりと把握をしていただいた上で、着実に進めていただければと思います。

 次に、日本の新薬開発と薬価制度の在り方について伺います。

 コロナに直面して、日本の創薬力の課題が明らかになりました。

 世界に冠たる新薬開発国だったはずの日本で国産ワクチンはいまだ上市できておらず、政府には海外からのワクチン調達の交渉に御尽力をいただいてきたところです。

 国際的な医薬品統計によりますと、世界の医薬品市場における日本市場のシェアは現在七%程度です。主要国の医薬品市場はいずれもプラス成長なのに対し、日本は二〇二一年以降マイナス成長になるとの見通しです。日本国内に十分な医薬品市場がなければ国内の医薬品産業は存続できませんし、日本市場に魅力がなければ海外からも新薬は入ってきません。

 実際に、海外から新薬が入ってこないという状況が深刻化しつつあります。

 欧米で承認された新薬で日本では未承認のものは、五年前は百十七品目だったのが、現在は百七十六品目に増えました。欧米では新薬として患者さんに使われている医薬品のうち、実に七割が日本では承認されておらず、日本の患者さんにニーズがあったとしても、手に入らないのです。海外で標準的に使われている新薬が使えないと、それを比較対照群とする新薬の治験を日本国内で行うことができなくなり、日本から新薬開発のイノベーションが生まれないという負のスパイラルになりかねません。

 日本の医薬品市場が欧米に引けを取らない成長を実現できるのかどうか、その鍵となるのが薬価制度です。

 日本の薬価制度の予見可能性の低さは、かねてより国内外から厳しく指摘されてきました。これまで薬価は社会保障費の増加を抑制する調整弁になっていた感がありますが、今後は、創薬国としての日本の国際競争力強化を見据えた産業政策としての視点に今まで以上に重きを置く必要があるのではないでしょうか。

 日本の医薬品市場とその基盤となる薬価制度の将来をどのように考えていくのか、岸田総理のお考えを伺います。

岸田内閣総理大臣 まず、世界的にも医薬品産業は成長産業であり、国民の保健医療水準を向上する観点からも、重要な産業であると認識をいたします。

 このため、日本の製薬産業が絶え間ないイノベーションにより革新的な新薬を生み出し、グローバルに競争するための環境、これを整備していくことは重要であると認識をいたします。

 他方、公的保険で賄われる薬剤費全体は、新薬の収載や高齢化の進展により、ここ十年間でも年率平均一・二%程度で伸びており、国民皆保険の持続性という視点も重要であるということであります。

 今後の薬価制度の在り方については、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性、これを両立するよう、両者のバランスを取りながら不断の見直しを行っていく、こうした方針で取り組んでいきたいと考えております。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 ここで政府が、今おっしゃってくださいましたように、しっかりとかじを切っていくということが今まさに分岐点なのだと思います。

 最後の質問でございます。

 ポストコロナに向けて、課題の一つ、外国人労働者の問題につきまして、コロナの感染拡大防止のための水際措置の強化によって、外国人労働者に依存する日本の労働市場の脆弱性が明らかとなっています。

 この度、古川法務大臣の下に、特定技能、技能実習に係る法務大臣勉強会が立ち上げられたと伺っております。制度の在り方を検討するに当たって、古川大臣のお考えと御決意をお伺いいたします。

古川国務大臣 特定技能制度、そして技能実習制度の在り方につきましては、それぞれ、改正入管法そして技能実習法の附則において、見直すべしという規定がございまして、ちょうど今その時期に当たっております。

 それと、この両制度の在り方については、賛否を含めて様々な御意見、御指摘があるというような状況でございます。

 そこで、今回、今お触れいただいた勉強会を省内に立ち上げまして、様々な意見を、それこそ先入観にとらわれずに幅広くお聞きすることによって、正面から見直し作業に当たりたいと思っております。

 その中で、制度のいいところ、悪いところ、いずれであってもこれを率直に認める姿勢、あるいは改めるべきは改めるという誠実さ、そういう態度をもって、腰を据えて臨んでいきたいというふうに考えております。

山田(美)委員 熱い御決意をお伺いしまして、ありがとうございます。

 外国人労働者の問題、まさにこの国の将来を決める問題です。様々な関係者の方々の御意見を聞いていただいて、あるべき姿の方向性をお示しいただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、谷川とむ君から関連質疑の申出があります。岩屋君の持ち時間の範囲内でこれを許します。谷川とむ君。

谷川(と)委員 おはようございます。自由民主党の谷川とむでございます。

 本日は、予算委員会で質問の機会をいただき、先輩、同僚議員に感謝申し上げます。

 初めて予算委員会で質問をさせていただきます。緊張しておりますが、岸田総理を始め閣僚の皆様、よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、罹患し療養中の皆様にお見舞い申し上げます。また、私たちの命、健康、暮らしをお守りいただいております医療従事者の皆様を始めエッセンシャルワーカーの皆様に、心から敬意と感謝を申し上げます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 新型コロナウイルス感染拡大により、私たちの生活は激変をいたしました。昨年の秋頃から少しずつ収束に向かっておりましたが、オミクロン株の出現により感染が再拡大し、予断を許さない状況が続いております。国民の皆様には不安で不便な生活が強いられておりますが、できるだけ不安を払拭し、不便な生活から解放できるように議論を深めてまいりたいと思います。

 我々政治家の使命は、何より国民の命を守ることであります。コロナで死なせない、重症化させない、そして医療を逼迫させない、それと同時に、社会経済活動をできるだけ止めないことだと考えております。そのためには、スピード感を持ってあらゆる施策を講じながら、一日も早いコロナの収束を果たさなければなりません。

 まずは、その司令塔である岸田総理に、その御決意と今後の対策をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、新型コロナ対応につきましては、委員御指摘のように、感染症への対応とそして社会経済活動の維持、このバランスが重要であるという認識に基づいて取り組んできました。その中で、特に要点として挙げてきた点が三点あります。

 一点目は、何よりも国民の命を守ること。二点目として、軽症で自宅療養される多くの方々の不安に応えるということ。三点目が、社会経済活動をできる限り止めないこと。この三点が要点であると申し上げてきました。こうした考え方に基づいて、自治体、医療関係者、専門家等と緊密に意思疎通を図りながら対策を行ってきたということであります。

 足下では、全国的にオミクロン株の感染拡大のペース、落ち着き始めていますが、新規感染者の絶対数はまだ多く報告をされていますし、また、遅れて重症者数が増加するリスクもある、こうしたことで、警戒を緩める状況にはないと認識をしています。

 こうした現状認識の下に、慎重になるべきところでは引き続き慎重さを堅持しながら、この第六波の出口に向かって徐々に歩みを開始することとして、昨日、会見の中で明らかにさせていただきましたが、感染状況が落ち着いてきた地域の蔓延防止等重点措置の解除による行動制限の緩和、五つの県で行わさせていただきました。また、ワクチンの三回目接種の促進、そして、水際対策の骨格の段階的な緩和、こうしたものに取り組んでいく方針を説明させていただいた、こうしたことであります。

 警戒感をしっかりと持ちながら、先行きをしっかり見据えて対応を考えていきたいと思っております。

谷川(と)委員 御答弁ありがとうございます。

 今御決意いただいた様々な政策、しっかりと実行していただきたいというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 岸田総理は、国民の声を聞くことを大切にされております。私もそう思います。私も地元の皆さんの声を始め、国民の皆様の声をしっかりと聞いて、それを国政に反映することが大切だと思っています。それと同時に、様々な諸課題についてスピード感を持って決断し、実行していくことが大切だと思います。

 本日は、私の元に届いている地元泉州地域、そして大阪の声をこれからお届けしたいと思います。

 大阪においては、先ほど申しました、コロナで死なせない、重症化させない、医療を逼迫させない、この三つのさせないが非常に困難になっています。

 これまで、地元でコロナに罹患された方、また御家族の方、そして友人の方からいろいろと御相談があり、その中で、保健所の現状、フォローアップ体制の実態が明らかになってまいりました。結論から申しますと、非常に逼迫し、機能していない状況だと言わざるを得ません。もちろん、保健所の皆様は懸命に働いていらっしゃいます。しかしながら、マンパワーが足りず、業務が追いついていないのが実情であります。

 それを表す私の元に寄せられた御相談を幾つか御紹介させていただくと、自身や家族がコロナに罹患した、保健所に連絡をしたが全く連絡がつながらない、つながってもその後の指示がない、一向に連絡がない方もいらっしゃいました。また、家族の方々も、自分が濃厚接触者に当たるのか分からない、そして、PCR検査すら受けられない、そして、ただただ自粛しているが、いつから解除なのか、いつから出歩いていいのか、いつから仕事に行っていいのか分からない、そんな現状であります。改めて保健所に連絡を入れると、自己判断してください、そのように回答された方もいらっしゃいました。

 また、自宅療養者、濃厚接触者の方々は、自粛をしているわけですから、食料を始め日用品が不足しても外出ができないので手に入れられない生活弱者の方もいらっしゃいます。自治体によっては食料や日用品を配送しているサービスもありますが、なかなか知られておらず、機能もしていない。ある方は保健所にそのようなサービスを聞きましたけれども、人が少ないときに買いに行ってください、そのように回答された方もいらっしゃいます。それでは不満が募る一方です。

 他方、家族や子供が罹患して、急遽やむを得ず仕事を休む方も非常に増え、社会経済活動にも支障を来しています。

 先週の八日、大阪においては、医療非常事態宣言も発出されました。オミクロン株の感染が非常に強いのは分かりますが、大阪府においては、保健所の統廃合の影響もあるのではないかと考えています。確かに、平穏な状況であれば、効率化を図りスリム化を図っていく考えもあると思いますが、コロナの出現から約二年がたちます。最悪のケースを想定した様々な対策を講じてこなければならなかったのじゃないかと考えます。

 まだピークアウトは大阪では見えていません。今からでも、保健所のフォローアップ体制を始め、機能強化、マンパワーの増強を図らなければ、守れる命も守れなくなると考えています。そして、日々の生活も守っていくことはできません。そしてまた、長期間、激務の中御尽力をいただいています保健所の皆さんもお守りをすることができません。

 そこで、大阪の現状を踏まえた後藤厚労大臣の御見解をお伺いします。

後藤国務大臣 保健所の体制につきましては、各都道府県に保険・医療提供確保計画を策定していただきまして、全庁体制、専門人材の派遣の仕組み、IHEATを含めた外部支援の活用など、必要な人員を確保できる体制の構築に努めていただきました。

 しかし、御指摘のように、今般のオミクロン株については、感染者の多くは軽症、無症状ではあるものの、感染力が極めて高く、短期間で感染者が急増しておりまして、今、本当につぶさに、議員から御指摘いただいたように、大阪のような、所によって、地域によっては本当に極度に業務が逼迫している保健所があるものと認識をいたしております。

 このような状況も考慮の上で、二月九日に、保健所業務の負担軽減につながることも念頭に置きまして、リスクの高い方により重点を置いた健康観察の効果的な実施などの方策をお示しをしております。

 また、厚生労働省として、こうした運用面における事業の適正化と併せて、My HER―SYS等のシステムの徹底活用、健康観察のために都道府県が設置するフォローアップセンターの強化、また、保健所のみに頼るのではない、健康観察を地域の医療機関等へ委託したり、連携を深めるような体制の構築等を各自治体に働きかけているところでございます。

 引き続き、保健所業務の逼迫に対処するために、こうした地域における体制をしっかり稼働させていくことが重要と考えておりまして、それぞれの自治体と個別に連携をしながら、地域に応じて保健所の体制強化に係る支援を一緒に行ってまいりたいというふうに思っております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 厚生労働省としても様々な対策を講じていただいているのは十分承知をしておりますけれども、大阪は本当に逼迫しております。引き続きの御支援をよろしくお願いいたします。

 また、大臣からもHER―SYSについて少し触れていただきましたが、大阪においては、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム、いわゆるHER―SYSに新規感染者を登録できず、正確な数が把握できていなかった現状がありました。報道では、大阪市はシステムの具合が、一週間ほど続いたのが原因だと見解を述べられていたようですが、実際のところはどうだったのか。また、厚労省にはそのような報告があり、どれほどの数が未入力だったのか、そして今は改善されているのか、お聞きいたしたいと思います。

 また、そもそも、命を守るには新規感染者また濃厚接触者を正確に把握する必要があります。HER―SYSに登録がなければ保健所からコロナ患者をフォローすることはできません。

 一月の大阪府において、新規感染者の発生届について、医療機関がHER―SYSに直接入力するケースが約四〇%、医療機関から届いたファクスを基に保健所が入力するのが六〇%。大阪市においては、約三五%が医療機関から、そして六五%がファクスを基に保健所が入力というのが現状です。全国平均五五%からすると少ない傾向が見られますが、直近の一週間ではそれが約四五%から五〇%の医療機関からの直接入力ということで、大阪府の医師会の先生方にも御協力いただいているあらわれではないかというふうに思っています。

 一方で、医師の先生方は、ワクチンの接種又は発熱外来、そして保健所ができていないコロナ患者へのフォローアップ、そして地域医療を続けていくためには、やはり業務が逼迫していてなかなかしんどいところもあるのではないかというふうに思っています。

 そもそも、医療従事者から直接入力するのか、また、届いたファクスを保健所の皆さんが登録するのか、その割合がどうというよりも、新規感染者と濃厚接触者の中で、この人は入院が必要なのか、又は重症化リスクが高いのか、いかに早く見つけ出してフォローアップすることが大切だと思います。そのために施策を講ずることが必須であると考えております。

 先日、大阪府医師会の茂松会長ともお話をしましたけれども、大阪府下の医療機関の先生方には要請をしていただいております。ただ、HER―SYSへの入力に関して、慣れていなければ一人当たり約十分ほどかかる、入力項目も細かい、もう少し入力項目の簡素化をしていただければもう少し対応できるのではないかとおっしゃっていました。

 そこで、例えば、この患者さんは入院が必要か否か、そして基礎疾患があり重症化リスクがあるのかないのか、ワクチンを何回接種しているのか、これぐらいの最低限のチェック入力であれば、負担も軽減できて、またフォローアップが必要な患者さんの特定も簡単になってくると思います。そして、救える命が増えていくのではないかと考えておりますが、後藤大臣のお考えをお聞かせください。

後藤国務大臣 一月二十日の午後五時間程度、HER―SYSの不具合が、大阪市を含む地域においてHER―SYSにログインできない事象が発生したということを把握をいたしております。ただし、サーバーの処理能力を早急に増強いたしまして、同日中にHER―SYSの不具合はおおむね解消されたというふうに承知をいたしております。サーバーは、四十倍増の対応を二日でいたしました。

 また、大阪市におけるHER―SYSへの入力遅延については、大阪市から、一月二十六日から二月二日の間で一万二千七百件、また、二月四日から二月七日の間で九千二百件の入力遅延があった旨の発表がされていると承知をいたしております。

 それから、HER―SYSの入力項目の簡素化等でございますけれども、厚生労働省としては、オミクロン株を中心とする陽性者が急増する中で、重症化リスクの高い陽性者を確実に把握しまして、重点的な健康観察につなげられるように、二月九日に事務連絡を発出して、発生届の入力項目の絞り込みが可能である旨をお示しをいたしております。

 まさに先ほど委員が御紹介していただきましたように、重症化リスク因子の有無だとか、重症度だとか、入院の必要性の有無だとか、重症化リスクの高い陽性者の健康観察に必要な最低限の項目だけは必ず入力をしていただきまして、例えば、症状、感染原因、感染経路等、緊要性が低く入力までに時間を要する項目については、追って届け出ることでよいということを明示をいたしました。

 今後とも、感染者への対応が遅れることがないように、療養者への健康観察、診療体制の確保について、各自治体と緊密に連携を取りながら進めてまいりたいと思います。

谷川(と)委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

 そして、消防業務も逼迫しています。

 先日、地元の泉州南広域消防本部の寒川消防長にお話をお伺いしました。

 コロナの感染者の救急搬送が急増しているということであります。二年前から先月一月までに行ったコロナ患者の救急搬送は四百二十六件、そのうち、約四分の一の百四件が先月の一月に集中していたとのことです。さらに、二月に入っては、一日約八件、一か月で約二百四十件前後となる見通しで、このままだと救える命も救えなくなる可能性が大変大きくなって、危惧しているとおっしゃっておりました。

 また、感染の急拡大で保健所の業務が逼迫し、搬送先の病院が見つからないケースも増え、三時間以上見つからない場合は、消防本部の敷地内の駐車場に用意された大型の救急車を臨時の入院患者待機ステーションとして運用し、酸素投与などの処置を行っているということです。

 さらに、高齢で治療が必要だと思われる患者さんも、御家族による入院の手続が整っていたにもかかわらず、救急車を呼んでも保健所の指示で救急搬送することができず、しばらくして他の病院への入院がかないましたが、数日後にお亡くなりになるという最悪のケースもありました。

 他方、救急隊員の感染や、家族が感染し濃厚接触者となり、出勤できないケースも相次いで、人員の確保が喫緊の課題だとおっしゃっておりました。

 そこで、コロナ患者の医療機関への移送については、本来、都道府県知事等の役割であり、消防はこれに協力しているものと承知をしていますが、相違ないでしょうか。また、大阪府の搬送困難の現状や、他の消防本部からの派遣などの人員確保等による業務継続について、協力体制を強化する必要があると考えますが、金子大臣はいかがお考えですか。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 谷川委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症患者の医療機関までの移送は、本来、感染症法において、保健所を設置している都道府県知事等が行う業務とされております。

 しかしながら、厚生労働省から、新型コロナ患者の移送について、消防機関に対し協力要請がありましたことから、消防機関において、保健所等からの要請を受け、患者の移送に協力しているところでございます。

 また、大阪府における救急搬送困難事案の現状についてでございますが、最も規模の大きい大阪市消防局管内を見ますと、直近一週間の発生件数は五百八十八件となっております。これは、これまでの最多件数でありました、いわゆる第二波のときの三百九件を大幅に超える水準となっており、コロナ前である令和元年度の同時期と比較しても約三・六倍と非常に高い水準にあり、厳しい状況にあると認識しております。

 救急搬送の円滑化を図るため、総務省消防庁としましては、厚生労働省とも連携をしながら、各都道府県に対して、市区町村、医療機関、消防等の関係者とともに、新型コロナウイルス感染症対策協議会において救急搬送の円滑化のための連携など必要な対応に努めるよう、累次の要請を行っているところでございます。

 いずれにしても、移送を行うに当たっては、総務省消防庁としては引き続き消防機関に対して支援を行ってまいりますが、移送の本来の主体でございます都道府県の役割が非常に重要であることから、都道府県においてもしっかりと対応していただきたいと考えております。

 救急業務等、住民の生命等を保護するために必要な業務の継続は大変重要な課題と考えております。これまで、総務省消防庁から消防本部に対して、優先業務の選定を行うことや、近隣の消防本部等と相互応援体制について協議を行うこと等により業務継続に万全を期すよう、繰り返し求めてまいりました。さらに、本年二月四日には、オミクロン株の急速な感染拡大の状況を踏まえ、都道府県に対しても、消防本部の間の相互応援体制の調整を行うなど積極的な取組を要請しているところでございます。

 引き続き、総務省消防庁としても業務継続のために必要な支援を行ってまいりますが、市町村相互間の連絡調整を担う都道府県においても消防本部の支援をしっかりと行っていただきたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

 岸田総理、これが大阪の現状であります。このような現状を踏まえると、今早急にやるべきことと、そして中長期的にやるべきことを改めて整理整頓して、新型コロナウイルスの感染法上の取扱いの見直しも視野に、対策を講ずる必要があると考えております。

 そして、吉村知事は、実質の重症病床が四〇%を超えた場合、国に緊急事態宣言を要請する考えを示していました。昨日の段階で四三・一%で、四〇%を超えていますが、要請せずに様子を見ているようです。

 吉村知事から緊急事態宣言の要請をされた場合、岸田総理はどう御判断するか、お聞かせください。

山際国務大臣 吉村知事とは実際に私が対応させていただいておりますのでお答え申し上げますが、知事とはしっかりコミュニケーションを取らせていただく中で、緊急事態というのがどういうものであるかということをお互いに共有させていただいております。

 その中で、今大阪の置かれている状況は、新規感染者数が先週今週比で一を切るような状況にやっとなってまいりました。しかし、今先生がるるお話しいただいたように、現場は大変厳しい状況にあるということも分かっておりまして、特に、知事からは、医療現場において、濃厚接触をされた医療従事をされているエッセンシャルワーカーの、お医者さんを始めとするエッセンシャルワーカーの方々が、どうしても待機を、原則だと四日、五日、四日目までやって五日目から検査をして出てこられるということになっておりますが、これを、毎日検査をすることで現場に出られるようにできるということを是非明確にしていただきたいというような話がございました。これは、このオペレーションは可能でございますので、是非、検査をしながら、医療が逼迫している状況にある場合には現場がワークするようにしていただきたいというようなことも話してございます。

 様々な、例えば三百五十床の臨時医療施設の整備あるいは追加接種の促進、あるいは、感染が広がっている学校や高齢者施設における効果的な感染防止策の強化、こういうことを今やらせていただいておりますので、こういうことをやりながら、注意深く見守りながら、何とかオペレーションはうまく進むようにしてまいりたいと思っております。

谷川(と)委員 できるだけ緊急事態宣言を発出しないように対策を講じていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 時間の都合上、少し順番を変えさせていただきます。

 大阪の現状は非常に厳しいですけれども、コロナを一日も早く収束させることが喫緊の課題ですが、その後を見据えた地域活性化策も講じていかなければなりません。

 コロナの脅威によって大阪の現状は非常に暗いかもしれませんけれども、希望もあります。その希望は、二〇二五年に開催される大阪・関西万博です。もしかしたら、大阪・関西万博は大阪府市の主催事業だと思っていられる方がいるかもしれませんが、そうではなくてナショナルプロジェクト、国家事業です。

 我々自民党は、誘致の際から、大阪・関西万博の開催を実現するべく、議員団で各国大使館を訪れたり、個別に大使に働きかけたりなど、党を挙げて積極的に取り組んでまいりました。そして、二〇一九年に開催を決定いたしました。

 我々自民党が一生懸命に汗をかき、実現にこぎ着けた国家事業、今後、インフラの整備、全国的な機運の醸成など、オール・ジャパンで進めていくことが必要であると考えますが、そのような認識で間違いないか、若宮大臣の御答弁をお願いいたします。

若宮国務大臣 大阪・関西万博の誘致の際から開催の決定後の現在に至るまで、谷川委員を始め御地元大阪の自民党の先生方には大変な御尽力をいただいておりますこと、改めてこの場をかりまして感謝申し上げたいと思っております。

 委員御指摘のとおり、大阪・関西万博は、まさに国が主体となって国家全体で取り組むべきナショナルプロジェクトだというふうに認識いたしてございます。二〇二〇年の十二月には、大阪・関西万博の準備、運営に関します施策の推進を図るための基本方針を閣議決定をさせていただきました。この基本方針に沿いまして、各国への招請活動、そしてまた、大阪・関西万博のコンセプトといたしております未来社会の実験場の具体化、インフラの整備、全国的な機運醸成など、委員御指摘のとおり、様々な関係者の御協力をいただきながらオール・ジャパンで進めていくことが必要だと思っております。

 引き続きの御指導、御支援、いただければと思っております。

谷川(と)委員 大阪・関西万博まで残り三年余りとなりました。コロナの影響もあり、財政面、ハード面、ソフト面、様々な課題もあると思いますが、しっかりと対策を講じて、万全の体制で臨むことが必要です。

 これまでの取組状況と、今後に向けた若宮大臣の御決意をお願い申し上げます。

若宮国務大臣 参加招請につきまして、まず、新型コロナウイルスの影響等、非常に厳しい制約もございますが、あらゆるチャネルを通じまして努力をいたしているところでございます。現在のところ、七十八か国、六国際機関からの参加表明をいただいておりますが、それ以外にも多くの国や機関からの内々のお話もいただいているところでもございます。

 昨年十二月には、具体化に向けました大阪・関西万博のアクションプラン、バージョン1というものを決定いたしましたが、随時これも内容を充実させていきたいと思っております。

 また、インフラ整備につきましては、先ほど申しました、昨年八月に国際博覧会推進本部におきまして整備計画、我々これを決定させていただいたところでもございますけれども、にぎわいの魅力の向上、さらには、開催後の大阪、関西地域の成長基盤ともなります広域的な交通インフラの整備なども着実に進めてまいりたいと思っております。

 また、この万博、これを成功させるためには、何よりも日本全国で機運の醸成、これは非常に重要だと思っております。ロゴマークや公式キャラクターなどを使いまして、全国的な機運醸成も図ってまいりたいと思っております。

 何よりも、皆様方がこのコロナ禍を乗り越えた先の新しい時代に向けての国家プロジェクトでございますので、日本の魅力を世界中に発信する絶好の機会だとも認識いたしております。皆様方のお力添えをいただきながら、また全力で取り組んでまいりたい、このように思っております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 必ず成功させて、アフターコロナの象徴となれるように、我々大阪の自由民主党、仲間とともにしっかりとお支えをさせていただきますので、どうぞこれからもよろしくお願い申し上げます。

 時間が参りましたので、総理には大変失礼いたしましたが、防災・減災対策、また、ふるさと納税、生理の貧困、おむつの貧困の問題についても取り上げさせていただきたいと思いましたが、次の機会にさせていただきます。

 コロナの一日も早い収束、そして経済活動をしっかりと続けていけるように、私も一生懸命頑張ってまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて岩屋君、山田君、谷川君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 公明党の山口代表の元にお手紙が届きまして、あるブラジルの留学生からの手紙です。これは我々にも紹介してもらったんですが、どういう内容かというと、勉強して日本の大学院に合格しました、もう車を売って、仕事をやめて、さあいよいよというときにコロナになりました、二年間ずっとオンラインで授業を受けて、ブラジルは時差が逆ですので夜中にずっと授業を受けてこられて、昼間は、昼間でも、仕事もやめていますので、バイトでずっと働いていらっしゃって、この方が一生懸命頑張って、ようやくこの三月に卒業になりましたという内容で、せめて卒業式だけは日本で出たいんですというようなお手紙だったんです。

 それで、それを機会に、山口代表からも政府に対して留学生の入国についてしっかり検討してほしいと、これは先週からずっと代表は政府に働きかけをしておりました。

 公明党からも官邸に申入れをし、自民党さんも、自民党の皆さんもやっていただいて、その中で、ついに昨日、総理の方から、観光目的以外は入国可能にする、つまり留学生も入国可能になるということになりました。これは、海外で待機している留学生、本当に喜んでいるというふうに思います。

 その上で、ちょっと文科大臣に伺いたいのは、対応をお願いしたいのは、ただ、今回、総理の昨日の会見では、キャパシティーは維持すると。つまり、今三千五百人の一日のキャパシティーを五千人には拡大すると。ところが、文科大臣、今あれですよね、待機している留学生というのは全部で今十五万人いるわけです。

 そういう意味では、これはちょっとしっかり調整をしていただいて、混乱がないように、しっかり留学生を優先して受け入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

末松国務大臣 伊佐先生お話ありましたように、昨日の会見で総理から、新たな水際対策として、入国者総数の上限を五千人に戻すこと、入国者の待機期間を短縮すること、観光目的以外の外国人の新規入国を認めることなどの方針が総理から示されました。

 文部科学省としては、これまで約十五万人の留学生が長期にわたり入国できないことによる影響を憂慮してきたところでございます。今般の措置は、留学生の入国を進める上で一定の前進と考えております。

 今後は、これまで待機してきた留学生や、四月に入学を予定している留学生が可能な限り円滑かつ継続的に入国できるよう、今般の措置を国内外の大学等に丁寧に周知し、速やかな対応を促してまいります。

 あわせて、必要な防疫措置をしっかり講じていただくよう大学等を指導し、安心して留学生が迎え入れられる環境の整備に取り組んでまいります。

 留学生を受け入れるに当たって残されている課題は少なくないと認識をいたしておりますが、文部科学省としては、関係省庁と緊密に連携いたしまして、それらを一つずつ解決しながら、入国を希望する留学生が最後の一人まで入国できるように着実に取り組んでまいりたいと思います。

 課題はたくさんございます。よろしく御指導のほど、お願い申し上げます。

伊佐委員 大臣、最後の一人までとおっしゃっていただきました。

 私、これは、大臣、キャパシティー五千人についても、大学の場合は、留学生の場合は、あるいは技能実習生もそうですが、これは受入れ機関が責任を持って待機場所、ホテルを全部確保しているわけです。だから、ほかとは違うわけですよ。

 しかも、じゃ、キャパの原因が検査かというと、厚労省の事務方に確認したら、検査は一日二万人ぐらいいけるという話もしていました。

 だから、ここはちょっと是非、大臣、前向きにしっかり一つ一つ、課題はまだあるということなんですが、ここは、留学生は本当に昨日喜んだと思いますので、最後の一人まで頑張っていただきたいというふうに思います。

 大臣、これだけですので、退席していただいて結構です。

 次に、国産経口薬について、これは、コロナの飲み薬は、先週八日にも公明党として総理に申入れをさせていただきました。私自身も、国産ワクチン、経口薬について、この予算委員会でも何度も取り上げさせていただきました。

 ワクチンと治療薬が切り札だと言いながら、いまだに国産ワクチンも治療薬もできていない。もう一息という報道もありますが、これは海外企業に多額のお金をつぎ込んで、海外企業から分けてもらっていると。

 当然、かなりの国富が海外企業に流れているわけですが、これはもし日本企業で国産であれば、景気もそうだし、税金で返ってくるというのもそうだし、何よりもイノベーションにしっかり回っていたはずのお金だったというふうに思っています。そういう意味ではじくじたる思いがあるわけですが。

 だから、これは国産治療薬、ただ誤解しちゃいけないのは、国産治療薬を我々は応援しています。ただ、応援するといっても、それは有効性とか安全性を妥協するということがあっちゃならない、それをやってしまうと信頼性の問題になりますので、ここはしっかり審査を厳密に行ってほしいと思います。

 その上で、総理に是非申し上げたいのは、有効性、安全性にもし見込みが立つようであれば、購入契約を進めてほしいんです。というのは、企業にとっては、予見可能性がないと投資判断できない。

 じゃ、海外製の、例えばメルクとかファイザーというのは、国内で承認する前に日本政府として購入契約を結んでいるわけですよ。海外製のワクチンに至っては、海外で承認する前ですらもう契約を結んでいるという状況です。

 何か国産に対してだけかなり慎重じゃないかというような見方をする方もいらっしゃるんですが、有効性、安全性がある程度見込みが立てば、基本、契約を結んでいただきたいと思います。

 総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、国産の経口治療薬の開発は大変重要であるという認識、これはまず、委員と認識を共有いたします。

 このため、これまでも、研究開発への支援のほか、治験費用への補助など実用化を加速するための支援も実施しているところであり、しっかりと後押しをしていきたいと思います。

 その上で、委員の方から契約について御質問がありました。

 これまでも、臨床試験の結果によって一定の安全性、有効性が示された場合には、その後の承認を条件として購入契約を行い、必要量を確保する、こうしたことは行ってきました。

 よって、御指摘の国産経口治療薬についても、一定の安全性、有効性が示された場合には同様の取扱いができると考えます。

伊佐委員 安全性、有効性が重要なのは間違いありません。だから、その契約の内容も、最終的に結局うまくいかなければ買いませんということでいいと思うんです。要は、見通しを立てることが大事だというふうに思っておりますので、是非お願いしたいと思います。

 治験について、これは厚労大臣、時間の都合上答弁は求めませんが、ちょっと申し上げたいことは、治験の数を得るというのがもし必要な場合、今四百例までやったと聞いていますけれども、例えば、今一番進んでいる塩野義ですね、党内の会議をやっているときも、東京都議会の代表の方に参加していただいて、東京としても、例えば治験に協力するために入院調整とか、こういうことも可能だというような提案もいただいています。

 そういう意味では、この治験について、厚労省も、国民の皆さんにお知らせとか、あるいはコールセンターを置いていただいたりというのもやっていただいていますが、ここは、この治験へのサポートも是非お願いしたいというふうに思います。

 厚労大臣には、ちょっとコロナの後遺症について伺いたいと思います。

 厚労省が調査していただいて、後遺症で一番多いのが倦怠感ということになっております。これは、体がしんどくてちょっと休みますと会社とか学校に対して言うと、例えば、理解のないところは、いや、もうコロナは治ったんでしょう、気のせいでしょうと言われるような声も聞いています。

 厚労省が昨年十二月に、後遺症の診療の手引というのを作成していただきました。これは非常に重要で、この手引に基づいて現場のお医者さんは診療するわけです。この手引、ところが、誤解を生むおそれが私はあるんじゃないかと思っています。

 例えばどういうところかというと、そもそも、後遺症という言葉を厚労省はいつも使わずに、罹患後症状という言葉をあえていつも使っていますが、倦怠感について何と書いているかというと、エビデンスが乏しく、不安や苦痛の傾聴、共感が重要だとか、痛みに対しては、患者さんに対して、大きな病態じゃないんだ、感染は終わっており、基本的には症状が悪くなる病態ではないんだということを説明するというふうに書いてあるんです。何か、気のせいですと捉えられる可能性のあるような表現になっています。

 あと、リハビリについても、倦怠感がある人はとにかく無理しちゃ駄目なんです。悪化する可能性があります。これはWHOでも、ちなみに、リーフレットにどう書いているかというと、強い倦怠感がある場合はリハビリをさせるべきではないと書いてあるんです。ところが、厚労省の手引には何と書いているかというと、倦怠感は呼吸機能などと関連して見られる症状だから、呼吸リハビリテーションが効果的と書いてあるんですよ。

 これは修正をしないと、私、誤解を生むところがたくさんある、これは早急に、是非検討して、修正していただきたい。

 そしてまた、そもそも、厚労省の今進めている後遺症の研究も、呼吸器関連の研究しかやっていないんです。エビデンスがもし乏しいとおっしゃるんであれば、倦怠感とかも含めて後遺症の研究をしっかりやってほしいと思いますが、いかがですか。

    〔委員長退席、今枝委員長代理着席〕

後藤国務大臣 新型コロナウイルスの罹患後症状、いわゆる後遺症につきましては、いまだ明らかになっていないことも多く、実態や病態を明らかにするための研究を行っております。

 具体的には、令和二年度より、今ちょっとお話もありました、呼吸器関連における罹患後症状の実態とその予測因子に関する研究、それから、罹患後症状全般、頻度、持続期間等に関する研究、味覚、嗅覚障害の発生頻度や特徴に関する研究、そうした研究を実施しているところでございまして、継続中の研究の中間報告も含め、研究を随時公表しております。

 これらの研究に基づく知見を含めまして、昨年十二月に、罹患後症状に悩む患者に対しまして適切な医療が提供されるよう、かかりつけ医等の医療従事者向けの、御指摘のあった診療の手引が取りまとめられております。

 この診療の手引において、リハビリ項目について、運動負荷は倦怠感などの個々の症状に合わせて徐々に増やしていくことが推奨されております。一方で、過度の運動負荷が症状を増悪させる可能性もあるとされている、そういう指摘があるのは今委員の御指摘のとおりでありまして、最終的に、患者の状態に応じて、医師に判断をいただきながら治療が進められているものと承知をいたしております。

 しかし、この診療の手引につきましては、倦怠感への対応も含めまして、随時新たな科学的知見を取り入れて改定を行ってまいりたいというふうに思っています。

 罹患後症状に悩む方が必要な医療を受けていただけるように、この診療の手引に加えまして、各自治体における外来や相談窓口の設置等の取組の例も周知しております。

 引き続き、国内外の研究調査を踏まえまして病態の把握を進めるとともに、罹患後症状に悩む方が適切な医療につながるように努めてまいりたいと思います。

伊佐委員 大臣、今、随時とおっしゃいましたが、これで現場で今診療されていますので、早急に、私、やっていただきたい。

 研究だって、今具体的に三つおっしゃっていただきました。でも、今継続している具体的なものというのは呼吸器だけだと思います。是非ここも、研究もやっていただきたいというふうに思います。

 子供政策について総理に伺いたいと思います。

 今、公明党として、子育て応援トータルプランというものを作ろうとしておりまして、これは、二〇〇六年に少子社会トータルプランというのを作って、そこに不妊治療の保険適用であるとか、あるいは給付型奨学金、返済の必要のない奨学金とかというものも書かせていただいて、これは随時、今実現してきて、今回また新たに作ろうとしておりますが、果たして、この子育て支援とか子供政策というのは、今まで日本の政治は本気で抜本改革してきただろうかという思いが私にはあります。

 年金、医療、介護はそれなりにやってきたというふうに思っています。例えば、年金は百年安心プランというのがあって、当然、景気やあるいは賃金や物価によって上がったり下がったりしながら、曲がりなりにも一応百年維持できる制度をつくったわけです。介護だって、介護保険制度、六年かけて一からつくった。医療は、国民全員の皆さんが皆保険という、世界に冠たる皆保険制度をつくった。ところが、子供政策は、今まで既存のものを、細々した制度、パッチワークでずっとやっているだけじゃないかと私は思っています。

 世界を見たら何をやっているかというと、例えば少子化、一九七〇年代に先進国の多くの国が同時に少子化になっていたんです。そのときに、出生率が下がったときに、例えばスウェーデンとかフランスは本気で抜本改革をして、持ち直した、出生率が。ドイツも日本と同じでずっと低かったんですけれども、二〇〇〇年代の後半になって、ついに抜本改革をやったんです。そうしたら上向いたんです。

 というようなことがあって、日本は、今までいろんなことをやってきたんですが、抜本的な改革がなくて、結局少子化は加速している。

 結局、だから、少子化というのは避けられない時代の流れではなくて、私は政治の不作為というのがあったんじゃないかというふうに思っています。そういう意味では、今改革しないと、我々は後世から不作為を厳しく問われることになるというふうに思います。

 そういう意味で、まず総理に伺いたいのは、これまでの日本の政治の中での子供政策をどう評価されているかという点と、岸田政権でこそ抜本的にこの改革を進めていくんだ、こういう強い思いがあるかどうか、伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、少子化及びそれに伴う人口減少の進展、これは我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であると認識をいたします。

 こうした認識の下、これまでも、保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化など、様々な政策を進めてきたところですが、こうした少子化対策、子育て支援を始めとする子供政策、これは、中長期的視野に立って、総合的、体系的に推進していくことが重要であり、そのための基盤として、この度こども家庭庁を創設するということにした、これが基本的な考え方であります。

 今後、こども家庭庁の下、子供政策を我が国社会のど真ん中に据えていく中で、昨年末策定したこども政策の新たな推進体制に関する基本方針に基づいて、子供政策を強力に推進するために必要な政策、これを、国民の皆さんの理解を得ながら、安定財源も確保し、そして充実させていく、こうした取組を今の政権においてもしっかり進めていきたいと考えております。

    〔今枝委員長代理退席、委員長着席〕

伊佐委員 総理、もうちょっと、じゃ、踏み込んで私質問させていただきますが、こどもまんなかという言葉があります。総理も、所信演説で、子供政策を我が国社会のど真ん中に据えていくというふうに言っていただいています。

 これは、私なりの理解はどうかというと、例えば育休制度があります。

 今、育休取得率って、厚労省に聞くと、女性の育休取得率は八一・六%、八割以上です、男性一二・六五%。ところが、これは在職中に出産する方。だから、育休制度をそもそも取得できる人が分母なんですよ。そのうちの八割なんです。ところが実際は、出産で退職せざるを得なかった方々というのは分母に入っていないんです。非正規でいうと七四・八%の方は出産前に辞めているわけですよ。だから、この人たちは分母に入っていないんです。そういう意味では、非正規では使われていないんです。

 これを、だから、例えば、働き方に関係なく、正規だろうが非正規だろうが、広く育休制度、育児休業給付を出せるようにできないかと提案しても、政府はどういう反応かというと、それはできませんと。何でかというと、育休制度、育児休業給付というのは雇用保険なんですと。つまり、雇用の継続とか失業の予防を目的としているので、子育て支援が目的じゃないんですと言われるんですよ。

 私、こどもまんなかって、ここのことが大事だと思うんです。つまり、これは、雇用政策だけじゃなくて、経済政策であれ医療政策であれ教育政策であれ、それぞれの制度の趣旨は当然あるわけですよ。でも、それを、工夫しながら、こどもまんなかというのは、子供のために少しでも役に立つようなことがあったらそこに寄せていく、こういうことが私大事なんじゃないかというふうに思います。

 今日、野田大臣にも来ていただいていますが、大臣が恐らくこれからこども家庭庁をつくられて、いろいろな政策をされていくんだと思います。そのときにいろいろなほかの制度と多分ぶつかっていくと思うんですよ。そのときに、総理の方から、各制度を所管する大臣の皆さんに対して、ちゃんと野田大臣を応援するようにというふうに是非指導していただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、こどもまんなか社会ということについて、これはどういう考え方かという御指摘について申し上げるならば、これは、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組の政策が我が国社会の真ん中に据えられる、据えられている、こうした社会を目指すということであります。

 これからの子供に関する政策や取組においては、子供の視点に立って、子供の意見表明あるいは自己決定を年齢や発達段階に応じて尊重しつつ、社会が保護すべきところは保護し、子供の最善の利益を考慮して自立を支援する、また、家庭における子育てニーズに応じて柔軟に支えていくこと、これが重要であるという考えに立っています。

 今後、こうした考えにのっとって、御指摘のように、こども政策担当大臣の下で、政府は一体となって連携を強化していかなければならないと思います。

 是非、こども政策担当大臣、野田大臣の下で、各大臣協力して、今申し上げたような考え方に基づく社会を目指して努力をしていくべきであると思いますし、私としてもそういった指示を出したいと考えます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 しっかり協力するように指示を出すと言っていただきました。

 ということで、野田大臣に伺いたいと思うんですが、こども家庭庁の基本理念、政策の理念について伺いたいと思うんですが、我々、衆院選のときに公約で申し上げたのが、子供に十万円、全員に十万円、所得制限なく十万円と我々は公約で掲げました。

 この思いは、親がどうあれ、お金持ちであろうが貧乏であろうが、子供は子供なんだという思いなわけです。親が正社員だからとか、非正規だからとか、パートだから、自営業だからというようなことって、子供にとっては、私、関係ないと思うんですね。子供が養育されないリスクというのがもしあれば、経済的な理由もあれば虐待もあると思いますが、ここはやはり、親の立場に関係なく、このリスクに対してちゃんと子供は守られるべきだというふうに思っています。

 そういう意味では、大臣に是非伺いたいのは、子供政策というのは全ての子供が対象なんだ、だから、低所得層だけとかと分断するんじゃなくて、基本理念としては、こども家庭庁の基本理念は全ての子供だというふうに我々は思っていますが、いかがですか。

野田国務大臣 まずは、大変応援をいただき、ありがとうございました。

 今おっしゃるとおり、こどもまんなかというのは、まさにそのことでございます。

 岸田総理からのそういうエールも引き出していただきまして、意を強くしたところであります。

 こどもまんなかという言葉は、ちょっと前まで、皆さんになじまない言葉、何となく、この国会の中でも官僚の中でも使われたことがない言葉でしたけれども、言い続けることでやはり、意識の中で、この国の真ん中にいることが子供である、そして、子供というのは全ての子供であるというコンセンサスづくりが、皆さんのおかげで、この国会、できてきたと思います。

 確かに、御指摘のように、いろいろな努力をしてきましたけれども、やはり、大人のつくった制度の中でどう子供を支えていくかというのが多々ございまして、大人がつくった制度を変えれば子供は幸せになるという発想だったんですけれども、そうではなくて、子供がどう思うかということを、一人一人やはりそれぞれ違いますから、だけれども、そこに差ができない、格差ができない、どこに生まれても、どこに育っていても子供が自分の権利を尊重してもらえるような、そういう国をつくっていくことが大人の義務であり、大人のよさなんだと思っています。

 私はこどもまんなかと申し上げているんですけれども、総理は子供ど真ん中とおっしゃっていただいているので、なお一層、先ほど根幹を揺るがすとおっしゃいましたけれども、この根幹を揺るがす少子化による人口減少を改善してくれる、変えてくれるのはやはり子供しかいない。そして、今いる、目に見える子供たちではなくて、これから来てくれるであろう子供たちに対してもやはり配慮をするというのが、こども家庭庁の大きな意義だと思っています。

 どうぞ御支援よろしくお願いします。

伊佐委員 ありがとうございます。

 では、ちょっと具体的に提案をいろいろさせていただきたいと思うんですが、例えば、子育て世代の働き方についてです。

 厚労大臣に伺います。

 今、法律上の時短措置というのは、三歳未満の子供がいる場合、一日原則六時間、時短制度が使える、これが企業の義務に今なっていますが、これはやはり、声を聞くと、三歳未満だけじゃなくて、小学校に上がる前まで、就学前まで時短制度を使いたいんですというパパ、ママの声もいただくんです。

 これは就学前まで拡充できないですか。

後藤国務大臣 今お尋ねのありました短時間勤務制度の対象となる子の年齢の引上げにつきまして、平成二十七年の労働政策審議会の建議におきましては、男女の育児への関わり度合いに差があり、短時間勤務制度を利用している労働者の多くが女性となっている現状を考えると、まずは長時間労働の是正や柔軟な働き方の促進によって男性の育児への関わりを促進していくとともに、延長保育等の保育サービスの充実を図っていくことが重要である、その状況も踏まえて、対象となる子の年齢引上げについて引き続き検討していくべきとの指摘がなされております。これは、社会の実態と制度がどういうふうに機能していくかという点からの指摘でございます。

 男性の育児への関わりの促進に関しては、さきの通常国会で成立いたしました改正育児・介護休業法において、子の出生直後の時期に、より柔軟に取得できる育児休業の枠組み、いわゆる通称産後パパ育休の創設、それから、研修、相談窓口の設置等、育児休業を取得しやすい環境整備を事業主に義務づけること等の内容が盛り込まれており、まず、本年四月から段階的な施行を通じて、その促進をしっかり図っていくということで対応したいと思います。

 それらの施行の状況も踏まえながら、今御指摘の子供に対するど真ん中という精神、これをしっかりと踏まえながらも、御指摘の点について制度的な検討を引き続き検討してまいりたいと思います。

伊佐委員 大臣、これは是非検討していただきたいんです。

 というのは、審議会でいろいろな意見があったのは私も承知しています。さっき大臣がおっしゃったように、まずは男性の育児への関わりを促進していくのが大事だと。

 つまり、今、時短措置は女性に偏っているから、これを使いやすくしたら女性がより縛られるという意味だと思いますが、ただ、それを言ってしまえば、例えば有期雇用だって女性の方が多いわけですよ。非正規だってそうですよ。でも、育休を取りやすくする制度、非正規でも取れるように、有期でも取れるようにというのをやってきたじゃないですか、今まで。

 だから、そういう意味では、取りやすくすることが固定化につながるというのは、そこはちょっと理屈にならないんじゃないかと私は思っています。ここは是非検討していただきたいなと。

 もう一つ言えば、例えば、時短を取っている間は、その分、当然、給料は下がるわけですよ。そのときに、じゃ、育休はどうかというと、育休は離職前賃金の最大六七%もらえる。これは非課税で社会保険料を免除されていますので、給付率は実質大体八〇%ぐらいになります。スウェーデンも八〇%です。だから、大体ここは遜色ない。

 そうすると、子育て世代とか若い世代というのは収入がそんなに高くないので、本当は時短でもいいから働きたいと思う方が、でも、収入の面では時短で減るよりも育休の方がいい、だから、やはり育休で休みますとなる方もいらっしゃる。

 提案なんですけれども、時短で短くなった分、ここの分は育休でカバーできないのかと思うんです。

 これは、スウェーデンもやっているし、ドイツもやっているし、フランスもやっています。これは日本で採用できないのか。あるいは、自治体独自にやっているようなところもあって、ここをせめて政府は支援できないかと思いますが、いかがですか。

後藤国務大臣 雇用保険制度の中で、御指摘のような育児休業給付の拡充を検討するということにつきましては、その財源をどのように確保するかという問題は、これは別にいたしましても、雇用保険制度の目的との整合性、育児休業がなぜ失業の一歩手前として雇用保険の対象に、労使の皆さんの理解を得て、なっているのかというような課題等も踏まえて、保険制度として考えていく課題はあると思います。

 しかし、御指摘の点も含めて、育児休業給付の在り方については、少子化社会対策大綱におきまして、育児休業給付について、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた制度の在り方を総合的に検討するというふうにされておりますし、本大綱を踏まえまして、今回国会に提出している雇用保険法等の一部を改正する法律案の中で、令和六年度までをめどに育児休業給付及びその財源の在り方について検討を行う旨の規定も置いているところでございまして、今後の政府全体の子育て支援策の議論を踏まえつつ、労使の意向も踏まえながら、しっかりと検討する必要があるものと考えております。

伊佐委員 これは最初、フランスもいきなりやったわけじゃなくて、フランスは最初、育休明けはフルタイムだったんですよ。ところが、いきなりやはりトップギアに入れられなくて、職場復帰がうまくいかなかったんです。だから、フランスも、じゃあというので時短を使って、その減った分を給付でやりましょうということに制度を変えたら、職場復帰がうまくいったということもあります。

 やはり、大臣さっきおっしゃったように、雇用保険のそもそもの意義、雇用維持が大事という位置づけがあるんだ、やはりここだと思うんですね。でも、時短が使いやすくなると、結局、出産で退職する人も減るんじゃないかと思うので、雇用維持にも私はやはり意味はつながっていくと思いますので、ここは是非議論していただきたいというふうに思います。

 次、不妊治療について伺いますが、この四月から保険適用ということになりました。

 公明党、我が党は一九九八年からこれをやっていまして、基本政策大綱というところに盛り込んで、二十年以上この不妊治療に取り組んでまいりました。署名活動を全国でやったようなこともありまして、まずは、でもいきなり保険適用は駄目だから、せめて助成制度をつくろうとなって、公明党の坂口力初代厚生労働大臣ですが、のときに初めてこの助成制度をつくって、当時十万円だったんです、制度が。そこからずっと拡大を主張して今に至ってきたわけで、最後は菅総理の、当時、決断をしていただいて、また、自民党の皆さんも力強く押していただいて、保険適用が実現した。

 私、今、不妊治療プロジェクトチームの座長をしておりまして、もう二十年以上にわたって先輩からバトンを引き継いで、最後、できたというのは、本当に感慨深い思いをしておりますが、ちょっとその中で気になるところがあって、是非実現していただきたいところが一点あります。

 何かというと、回数制限。この三月まで助成金で、四月から保険適用です。助成金でも一応回数制限があるし、保険適用でもある。例えば、四十歳未満だと六回ということになっていますが、これは、四月に制度が切り替わった段階で一回リセットすべきじゃないかと思っているんです。

 それは何でかというと、保険適用となれば、これは公的なものなので、公的に何が有効な治療かというのが全て分かった上での治療になるんですよ。ところが、三月までは自由診療ですので、ある意味手探りで、口コミとかを患者さんは見ながら探しているわけです。ここは全然実は取組が違うわけですね。そこを同じようにカウントされてしまうと不公平じゃないかと思います。

 だから、四月からは、これまで不妊治療を受けてきた人、あるいは使い切ってしまった人も、一回リセットして、新たにカウントが始まるようにしていただきたい。厚労大臣、いかがですか。

後藤国務大臣 まず、これまで公明党が不妊治療に関する施策に非常に熱心に取り組んでこられたことに対して、敬意を表したいというふうに思います。

 子供を持ちたいという方々が有効で安全な不妊治療を受けられるように、令和四年度当初から保険適用の実施に向け、検討を進めてきたところでございます。

 先日、二月九日に、中医協において、不妊治療の保険適用を含め、令和四年度診療報酬改定について答申が行われたところでございます。

 現行の助成金においては、今御指摘のあったように、体外受精、顕微授精について回数制限が設けられておりまして、令和四年四月からの不妊治療の保険適用においても同様の回数制限を設けることにしております。

 現在詳細な制度設計については検討中でありますが、助成金から医療保険に制度が変更されることに伴いまして、医療保険で実施される不妊治療は有効性や安全性が確認されたものとなり、また、支援の仕組みも改められるため、患者が医療機関や治療法を選択するに当たっての前提が助成金の制度下における状況と大きく変化していること、こうした点を踏まえますと、助成金の支給回数を保険適用後も通算することはなじまない、そのように考えております。

伊佐委員 大臣、かなり踏み込んだ発言をしていただきました、なじまないというふうに今言っていただいて。確かにそうです、今検討中だということでありましたが、テレビつきの中でそこまで言っていただいたということは、私はもうそうなるものだと今受け止めましたけれども。是非、よろしくお願いします。

 最後に、もう時間になりましたので、総理にお礼だけ申し上げたいと思います。

 今言った育休もそうだし、不妊治療もそうです、これはやはり企業の協力というのが必要です。これだけじゃなくて、もう今、岸田政権の中で、賃上げとか、保険適用の拡大とか、働き方改革や同一労働同一賃金、これは全部中小企業の皆さんは負担になって、ここはやはりしっかり支援してあげなきゃいけないということで、昨年の十二月、予算委員会で、私の方から、中小企業の下請取引、条件改善をしっかりお願いしたいと言ったときに、総理から、これはちゃんとつくっていく、新しい取引環境をつくっていくということをおっしゃっていただいた中で、ちゃんと今回、十二月の二十七日に転嫁円滑化施策パッケージをつくっていただいたり、Gメンを倍増していただいたりということを具体的に進めていただいたことを御礼を申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて伊佐君の質疑は終了いたしました。

 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 立憲民主党の野田佳彦でございます。よろしくお願いいたします。

 私と総理は、九三年、初当選が同期でございます。しかも、共に昭和三十二年生まれ、同い年ですね。ちなみに、今日トップバッターを務められた、あの堂々とした質問をされた岩屋毅委員も昭和三十二年生まれと承知しています。石破さんもそうですね。誰が一番老けていますかね。これは質問じゃありません、話の流れでございますけれども。

 同世代の人たちもみんなまだ頑張っていますので、私ももう一頑張りしようと思って、今日は質問に立たせていただくことになりました。

 まず冒頭、評価したいと思います、一つ。それは、前総理もその前の総理も公邸に住まなかったんですけれども、岸田総理は公邸に住むようになりました。私は、これは危機管理の基本のキだと思っていますので。何か妙に事故物件扱いされてしまっている公邸を、妙な都市伝説を吹き飛ばすということは、私、大事だと思います。幽霊、見ていないですよね。大丈夫ですよ。しっかりそれは続けていただきたいというふうに思います。

 この点は評価しますけれども、これから少し、経済外交を中心にまず質問しますが、少し厳しく質問せざるを得ません。

 まず第一に、昨日、今日と、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議がインドネシアのジャカルタで開かれています。今もやっています。重要性は御存じですね、G20。主要な先進国と、新興国と、そしてEUも入って、二十の国、地域、GDPを合わせれば九割ですよ、貿易総額は八割。世界経済にとっては極めて重要な会議体ですね。

 しかも、インフレ懸念が高まってきているとき、アメリカは三月から利上げする観測が高まっている。各国が身構えている、どうやってインフレを退治するか。日本だけは、デフレ懸念がまだ残っているから利上げはできないで、むしろ金利抑制という独自の動きになっているんですね。まさに崖っ縁という状況になっている重大な局面で、しかもウクライナ情勢が緊迫している。さらに、資源や穀物の価格が上がる可能性がある。

 その重大局面において、何で財務大臣ここにいるんですか。おかしいと思いませんか。新時代のリアリズム外交というんだったら、リアルに議論している現場に行って、情報を集め、自分たちの主張をするというのがリアリズムの原点じゃありませんか。

 私は、もう財務大臣には財務金融委員会で質問しているから聞きません。トップである総理大臣の御認識を問いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議、これは、先進主要国、また新興国が一堂に会し、そして世界の経済における諸課題について議論をする重要な機会であるということ、私も同様の認識を持っております。

 その中にあって、鈴木財務大臣、参加すべく準備を行い、最後まで参加の可能性、これは追求したということでありますが、国会における審議日程など、国内の日程も含めて、総合的に検討が行われた結果、やむを得ず見送る判断をしたというふうに認識をしております。

 しかし、その上でも、日本として、しっかり議論をし、そして貢献しなければいけないということで、事前に財務大臣が方針を指示した上で、会議の準備に深く関わった財務官を現地に派遣し、議論に参画させていると承知をしています。最終的には、財務大臣が適切に判断したと承知をしております。

野田(佳)委員 私は、適切な判断だとは全く思いません。全く思わない。

 財務官が代理で、財務官というのは財務省の役人でしょう。彼の所掌の域を超えていますよ、今回は。だって、月曜日に、G7の財務大臣による共同声明を発出しましたね。ウクライナにロシアが侵攻した場合には制裁を科すという共同声明です。

 具体的にはどうしたらいいのかどうかなどは、G20の中にはG7のメンバーも入っているんです、当然のことながら。そういう情報交換を、もちろんロシアも来ているから、目の前で制裁の話はしないかもしれないけれども、バイで情報交換したりするとか、極めて政治的な場面がいっぱいあるはずなんですよ。その現場に財務官が行ったって、それはできませんわ。

 だから、今は適切な判断とおっしゃったけれども、これを適切と感じる外交感覚では私は困ると思いますよ。せめて財務副大臣を出せばいいんじゃないですか、せめて。

 私は、財務副大臣のときにG20に出たことがあります。大臣がどうしても重要な政治日程があるんだったらとお話があったから、百歩譲っても、何のために政務三役つくっているんですか。財務副大臣、二人いるでしょう。金融担当副大臣もいるじゃないですか。何で財務官を出すんですか。間違っていると思いませんか。

岸田内閣総理大臣 やむを得ず財務大臣本人が出席しない場合に、代わりに出席する人間、適切な人間を選ばなければいけない、こうした観点で考えましたときに、様々な会議において、それに適した対応が求められます。

 現在ジャカルタで開催中のG20については、財務大臣が現地に参加できない国のうち、代表団を派遣している国は、事務方の責任者である財務大臣代理、すなわち財務官が現地で議論に参加している、こうした対応を取っているということを承知しています。会議によってどういった対応を取るのか、これは様々かと思いますが、今回のこの会議においては、各国もそういった対応を取っているということであります。

 日本としても、財務大臣の代理、誰を送るのか、様々な検討を行った上、財務官を送るという判断をしたと承知をしております。

 いずれにせよ、財務大臣の判断あるいは指示、これが迅速に現地に届き、それを受け止められる人材が派遣されることが重要であると認識をいたします。

野田(佳)委員 今回だけの対応では実はないんですよね。前回の財務大臣・中央銀行総裁会議は十月の十三日、十四日です。このときは、解散があったので、大臣、出ていないんです。そのときも財務官が代理で出ている。二回連続キャンセルしているんですよ、財務大臣が。

 ちなみに、十月三十一日のG20の首脳会議は、投開票日だったからという理由で、岸田総理も出ていないんです。

 国内政局を優先して、重要な国際会議に欠席続き、これで外交を語る資格は私は全くないと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 重要な国際会議に自ら出席する、総理や大臣が出席する、これは大変重要なことであるとまず認識をいたします。

 しかし、出席に当たっては、国内の様々な政治日程、事情、これをしっかり踏まえた上で、それをベースにしながら国際社会の中で発言していく、これが基本であると思っています。会議においてしっかりと発言をし、存在感を示す、そのためにはどうあるべきなのか、やむを得ず出席ができないとしたならば、大臣あるいは総理大臣の意思あるいは指示、これがしっかり届くような体制で会議に臨んでいく、こうした姿勢が大事であると認識をいたします。

野田(佳)委員 新時代リアリズム外交、旗はいいけれども、泣きますよ、それじゃ。

 オンライン会議ができる、でも、今回、時差が二時間ぐらいしかないから出られないという財務金融委員会での回答でした。でも、今日、私は鈴木大臣に質問しませんし、これから立憲民主党の質問をする人、三人いますけれども、誰も鈴木大臣には質問しない予定です。この間でもいいからオンライン会議に出て、日本のメッセージを発信したらどうですか。まあ、座っていらっしゃるんだったらしようがないけれども。というぐらいに、私はきちっとした対応をしてほしいと心から思います。

 このテーマだけではないので、続いての経済外交、重要なテーマ、通商外交に関わってまいりますけれども。

 TPPは、私は、本当に強烈な自民党の反対がありましたけれども、二〇一一年の十一月のホノルル・APECで、TPP交渉参加に向けての協議に入るという政治判断をいたしました。その後、いよいよ、紆余曲折ありましたけれども、中心国だったアメリカは離脱しましたけれども、表示してあるように、日本やシンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、今、十一か国で構成されています。

 これは、厳しい条件を課した、自由化率の高い、高レベルの連携協定だと私は思います。ここに、アメリカが抜けてどうなるかなと心配しましたけれども、イギリスが入りたい、中国が入りたい、台湾も入りたい、韓国も強い関心を示す。急に活況を示してきましたね。

 もう一つ、RCEP。これも、二〇一二年の十一月、私の政権のときに交渉協議立ち上げをしているんです。一月一日から発効しました。中国、韓国も入っている。中国と韓国、いろいろな問題はあるけれども、経済的には連携していかなければいけない中で、中国も韓国も入っている。プラスASEAN。これが発効した。

 こういうタイミングで、私は、TPPとRCEPという二つのメガFTAを包含するようなスーパーFTAをアジア太平洋地域で構築していくという役割を日本は担うべきだと思うんです。まさに、TPPにもRCEPにも入っている日本、中核的な役割を果たせると思うんです。

 そういう大きなビジョンの中で戦略的な外交を推進していくべきだと思いますけれども、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のTPP11そしてRCEPに野田元総理が御努力をされたこと、これは大変大きな成果であったと思いますし、私もそれぞれの交渉に外務大臣として関わった一人として、こうしたTPP11、RCEPの大きな意義を感じているところです。そして、こうした取組によって、今や世界のGDPの八割をカバーする自由な経済圏が形成されることになったということであります。

 そして、これをまた包含するような大きな経済圏を考えるべきではないかという御指摘ですが、まず当面は、この二つの経済圏、これがスタートしましたが、更なる新規加入の希望等もあり、そして何よりも、こうした経済圏を実際に動かしていくこと、これが重要であると思います。

 今後とも、この自由貿易の旗振り役として、こうした経済圏をしっかり利用して日本として貢献をしていく、こういった取組が重要であると思います。

 新たな枠組みをつくるかどうかということは別として、こうした大きな経済圏の中で日本が大きな貢献をしなければいけないという問題意識は共有するところであります。

野田(佳)委員 もうちょっと前向きであってほしいんですよね。新たな大きな枠組みをつくることは別としてと言いましたね。いや、それぞれが、TPPもRCEPも、もっと日本は貢献していきたい、それは当然だと思うんですよ、当然だと思います。それだけでは私はいけないと思います。

 元々、環太平洋連携構想、提唱したのは大平正芳先生じゃありませんか。太平洋地域の将来性に着目をしたビジョンだったと思います。世界に先駆けてのすばらしい構想だったと思うんです。その環太平洋連携構想をベースにしてAPECが生まれたんですよね。そのAPECは、今世紀に入って、アジア太平洋圏で自由貿易圏、FTAAPをつくろうということをみんなで合意したはずです。その道筋が、一つはTPPであり、一つはRCEPなんです。

 四十数年前の大平構想がいよいよ具現化していくというタイミングで、今トップであるのが宏池会の流れのリーダーである総理じゃありませんか。政治家冥利に尽きると思いませんか、今。もっと大きく構える、それこそ理想の旗を掲げたらどうですか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、大平元総理の環太平洋構想が、その後のAPECですとかTPP11ですとかRCEP、こうした大きな自由貿易圏の形成につながっていたということ、私もそのとおりだと思っています。改めて、一九七〇年代、大平元総理がこうした大きな構想を持っておられたということ、先見の明に改めて敬意を表するところであります。

 こうした流れをしっかりと大事にしながら、太平洋地域における自由貿易圏、自由で開かれたインド太平洋構想という構想も重なるわけでありますが、是非、この地域における自由や民主主義、自由貿易、こういった価値観を大事にする経済圏をこれからも発展させていくよう、日本としてもリードをしていきたいと強く感じるところであります。

野田(佳)委員 そこで、大きな夢を、理想を掲げながら現実的にどう対応するか問われるのが、TPPに先ほど申し上げたとおりイギリスや中国や台湾が加盟要請をしてきて、エクアドルも多分、加盟要請していると思います。韓国も強い関心を持っている。このときに、一つの国でも駄目だと言えば、拒否権を発動すればTPPに加盟できないんですね。

 という中で、去年は日本がTPP議長国だったんです。この各国の加盟要請に当たって、どういうスタンスでこれから対応していくか。去年は、私、見えなかったんですね、議長国だったんだけれども。でも、この加盟要請にしてどういう対応をするか、物すごく問われると思いますね。まさに、リアリズム外交の真骨頂がここにあるということを示さなければいけないと思います。

 どういう構えで対応していくんですか。基本的なスタンスをお尋ねしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 TPP11につきましては、御指摘のように、様々な国あるいは地域から加入申請あるいは関心が寄せられています。

 基本的には、我が国として、これらの国、地域がTPP11の高いレベル、これを完全に満たす用意ができているかどうか、これを見極めていくということであると思います。中国についても、まずは高いレベルを完全に満たす用意ができているか、しっかり見極めていく必要があります。加えて、中国との間においては様々な懸案も存在しています。

 こういった点も含め、戦略的な観点から、国民の理解も得ながらこの対応を考えていかなければならないと思っています。

野田(佳)委員 台湾が過日、福島、千葉、茨城、栃木、群馬、東日本大震災の後、台湾はとても日本に本当に様々な協力、支援をしてくれているところでしたけれども、農産品だけはずっと禁輸措置を続けてきたけれども、それを見直すという覚悟を示しましたね。これは一つの材料にできると思います。中国にも迫りませんか、それを。韓国が希望してくるんだったら、韓国にも迫りませんか。というぐらいの主導的な立場に立って、私は加盟申請については当たっていくというのが基本だと思うんです。

 高いレベルの、まさに自由化率の高いTPP、中国にとっては本当にハードル高いですね。ハードル高いですよ。国営企業を優遇する、そんなの駄目ですよ、それは。知的財産権をちゃんと保護しない、こんなの駄目ですよ。データの問題でもいろいろある。政府調達だって、内外とでこれを差別する。

 じゃ、このTPPの厳しい条件に中国はちゃんと応じるんですか、そこを厳しく追及する。私は、政治的なことで排除するという路線じゃなくて、あくまで高いレベルの、ハイスタンダードのルールに従うかどうかということを厳しく問うというのが基本姿勢であるべきだと思います。

 それでオーケーですよと中国が言ってくるならば、まさに世界にとってウェルカムじゃありませんか、逆に、ウェルカム。なかなか大変だと思いますけれどもね。逆に、この交渉を通じて中国の経済改革を日本が促していくんだというぐらいのスタンスで私は対処していくべきだと思います。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど、冒頭申し上げたように、TPP11の加入ということについては、あくまでも、TPP11の高いレベルを満たす用意を、意欲を示している国あるいは地域が満たしているかどうか、これが基本であると思います。それをしっかりと見た上でこの問題について考えていかなければいけない。

 一方、中国についてお話がありましたが、中国との関係、日中関係、これも我が国にとりまして大変重要な二国間関係の一つであり、それを考える際に、TPPでの議論も一つの課題ということになるんだと思います。

 TPP11の高いレベルを満たすかどうか、こういった議論も併せて日中関係の中でしっかりと議論を行い、結果として日中関係を安定したものにしていくということが我が国にとりましての国益につながると考えます。

野田(佳)委員 加盟申請に対しては、そういう基本姿勢でいくということですね。それはそれでいいんです。

 もう一つ大事なことがあるんです。アメリカの復帰を促すということですね。これは大事なポイントだと思いますよ。むしろ、中国の加盟などよりも、アメリカが早く復帰するというのが私は大事なテーマになってくると思うんですが、どうもバイデン政権は、パリ協定、WHOは復帰したけれども、TPPについては慎重ですよね。むしろ、インド太平洋に新しい経済の枠組みをつくるという提唱をしようとされています。これは中身がよく分かりません。多分、中国の一帯一路と競争するための新しい枠組みなんだと思うんです。

 でも、そういう新しい試みというのをする前に、こうやっていろいろな国が加盟申請をしてきているTPPに戻りましょうよと粘り強く説得するのが私は大事であって、多分、中間選挙まではなかなか判断できないかもしれません、中間選挙の結果、もっと難しいことになるかもしれません。でも、あらゆるチャネルを通じて、TPPに戻ってきましょうよと言い続ける外交をするおつもりはございませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、米国がインド太平洋地域の国際秩序に関与していくということは、戦略的観点から大変重要なことであると認識をします。その観点から、米国がTPPに復帰することは望ましいと、我が国としても、私も強く思っているところです。ですから、先日行われました日米テレビ首脳会談においても、直接バイデン大統領に対して、TPPの復帰、これを求めた次第であります。

 我が国としては、引き続き、米国に対して粘り強くTPPの復帰を求めていきたい、働きかけていきたいと思います。御指摘のように、米国の国内事情等を考えますとなかなか簡単なことではないと思いますが、引き続き、粘り強く働きかけを続けていきたいと考えます。

野田(佳)委員 次のテーマに移ります。国内のテーマです。

 国家百年の計というよりも国家千年の計に関わるかもしれない、皇位継承に関わる問題であります。あるいは、皇族方の減少に対応するための対応をどうするかというテーマについて質問を移りたいというふうに思います。

 十二月二十二日に有識者の最終報告が取りまとめられて、総理に手交されました。それを国会で議論するようにと、今、政府から説明を聴取している途中なんですけれども。

 この有識者会議、そもそもの名称ですよ、正確に言わなければいけないと思うんですけれども、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議なんです。附帯決議に関する有識者会議ですね。その附帯決議はどういう内容だったかというと、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、法施行後速やかに検討するようにと書いてあるんですね。

 まず、法施行後速やかに。法施行というのは、令和元年、四月三十日、新天皇が誕生したときです。立ち上げたのが去年の三月、報告書ができたのは去年の十二月。立ち上げが遅いわ、報告書が出てくるのは遅いわ、速やかな検討ではなかったと私は思うんですね。

 加えて、中身、皇位の安定的な継承を確保するための諸課題、これについては回答していないんですよ、この報告書は。機が熟していない云々とかということで、ちゃんと回答していないんです。

 でも、あの決議は、国会の決議は、ここにいらっしゃる方も全て含めて、立法者の総意であったはずですよ。立法者の総意をちゃんと受け止めて回答しない報告書だったと私は思うんです。国会を軽視しているのではないのかと私は思いました。

 なぜ、この本質的な問題を先送りするか。

 報告書に書いてあるのは、悠仁親王殿下の次世代以降の皇位継承について、悠仁親王殿下の御年齢や御結婚等を踏まえて議論していかなければいけない、だから今は議論しなくていいというスタンスなんです。でも、国会決議の文章には、附帯決議にはどう書いてあるかというと、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要課題であることを鑑みと。

 御年齢を考えると先延ばしできないと国会決議は書いてあるのに、今度は、年齢を持ち出して先延ばししていいという報告書ですよ。きちっと決議を受け止めていないんです。

 私は、次世代の皇位継承者がたった一人しかいないという危機感が余りにもなさ過ぎると思いますけれども、まずは総理の基本的な御認識をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議の報告書ですが、この報告書においては、皇位継承について、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないということで一致をした、そして、悠仁親王殿下の次代以降の皇位継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定にさせるとも考えられる、このように記されています。

 そして、委員御指摘のように、将来において悠仁親王殿下の御年齢や御結婚をめぐる状況を踏まえた上で議論を深めていくべきではないか、このように記しているところでありますが、その後、まずは、この皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であるとして、皇族数確保のための方策、これを示しているという内容になっています。

 その上で、皇族数確保のための方策を実現することは、悠仁親王殿下の後の皇位継承について考える際にも極めて大事なことである、こうした考え方が示されているというのが内容となっています。

 このように、この報告書の中において、有識者会議の議論を尽くした上で、この附帯決議に示された課題について丁寧に議論を行っているというのが報告書のありようであると私は認識をしております。

野田(佳)委員 私も、丁寧な議論をこれからしていきたいと思います。自分の考えもありますし、ほかの人のいろいろな考えもあります。でも、丁寧に議論をする、政争の具にしないで議論をする。

 ただ、それは、逆に言うと思考停止になってもいけない、議論は常にしていかなければいけないと思いますので、今日も、その報告書が具体的に提案をしている、いわゆる皇族減少にどう歯止めをかけるかという提案について、次、お伺いしたいんですけれども。

 どういう提案かというと、一つは、女性皇族が婚姻をした場合には皇族の身分を保持するという提案ですね。御結婚されても民間人にならないで皇族に残るということです。じゃ、相手となる配偶者はどうなるかというと、これは国民となっているんです。お子さんが生まれても国民となっているんです。

 女性皇族は皇族のまま皇室、だけれども、お相手や生まれたお子さんは国民、これは一つの家庭を営む上で想像できますか、不自然じゃないですか。御感想をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 この御指摘の、内親王あるいは女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとするという方策につきましては、皇族数を確保するための方策の一つとして示されたものですが、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持することについては様々な議論があります。そうした議論もありますので、配偶者と子については、皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利義務を保持し続けるものとする考え方が示されているものと承知をしております。

 一つの考え方として、こうした方策が報告書の中で示されたものと認識をしております。

野田(佳)委員 いや、私はこれは深い洞察がないと思うんですよ。

 天皇は、憲法のところには第一章です、国政に関する権能は有しないとか、高いレベルの規範を求められますね。皇族もそうです。皇族もそう。

 一方、国民は、憲法の第三章に規定されているように、様々な権利が保障されるんですね。政治活動の自由、宗教活動の自由、経済活動の自由、居住の自由、職業選択の自由、そういうものがきちっと十全に保障されて国民じゃありませんか。

 その制限のある皇族と、国民が一緒になる。女性皇族は戸籍を持っていませんから、投票券来ませんよ。でも、配偶者は投票権を行使する。だけじゃありません、被選挙権だってあるでしょう、立候補できますよ、政治団体つくれますよ、政党つくれますよ。それでいいんですか、でも。言論の自由がありますよ、国民ですから、配偶者は。SNSでばんばん発信できますわ。そういう配偶者と皇族が一緒に家庭を営む。これ、いいんですか。

 むしろ、上皇后陛下も、皇后陛下も、民間から男性皇族の元へ嫁がれました。皇族になったじゃないですか、逆の場合は。同じようにしなければいけないんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、この報告書の中で一つの方策として示されたものだと認識をしています。よって、具体的な制度をどのようなものにしていくのか、これは国会での議論を経て今後検討されるべきものであると考えます。

 委員のように、様々な御意見をお持ちの方がおられます。是非、国会においてしっかりと議論を尽くしていただくことを期待いたしますし、そのために今回の報告書が資するものであることを期待したいと思っております。

野田(佳)委員 最後、本当に残された時間になりましたから、国境離島の問題、最後に触れたいんですね。

 国境離島を基点として、日本の領海は決まります、排他的経済水域は決まりますね。日本の国土面積は世界で六十一番目、大きな国じゃありません。だけれども、離島を基点として沿岸線から測って、排他的経済水域は世界で六番目の広さになる。深さを考えると世界の四番目になる。立派な海洋大国ですよ。その基点となる国境離島を大事に維持管理するということが、私は、領土、領海を守っていくときには鉄則だと思うんですけれども。

 国境離島は四百八十四ありますよね。例えば、ここに表示してあるように、沖ノ鳥島、水没しそうなときには護岸工事をやってきた。この沖ノ鳥島の海域によっては、日本の国土面積より広い海域が確保できる。南鳥島、東の端にある。この海域には鉱物資源が豊かだと言われている。

 守っていかなきゃいけないように、ほかの四百八十幾つかの離島も維持管理をしっかりしなければいけませんけれども、全て存在していると確認できていますか。お尋ねをいたします。

二之湯国務大臣 我が国の領海や排他的経済水域等の外縁を根拠づける国境離島は四百八十四島あります。管轄海域の保全の観点等から極めて重要であると思っております。

 そのため、国境離島については、内閣府が中心となって、関係省庁、いわゆる国土地理院とか海上保安庁と連携して、巡視や衛星画像などを活用した状況把握を継続的に行うとともに、必要に応じて詳細な調査を実施するなど、我が国の主権の行使等に関わる事項でもありますので、慎重に確認を進めているところでございます。

野田(佳)委員 慎重に確認を進めるって、確認し切れていないということじゃないですか。これに書いてあるこれだけの排他的経済水域がないかもしれないということでしょう。

 具体的に言いますけれども、エサンベ鼻北小島、節婦南小島、汐首岬南小島、これは北海道、消えていると言われていますね。今日は野間さんがパネルを扱っていただいていますけれども、鹿児島の南西のスズメ北小島もないと言われている。四百八十四の島、ちゃんと確認してあると言わなかったら、この排他的経済水域、主張できないじゃありませんか。

 しっかりと、どれぐらい確認しているかを資料として委員会に提出することを求めて、質問を終わります。

根本委員長 理事会で協議します。

 この際、玄葉光一郎君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 コロナ禍にあって明確に分かったことの一つは、職種によりますけれども、私たちの仕事の一定部分はリモートであるとかオンラインであるとかで代替できるということだと思います。

 こういったことを踏まえて、ポストコロナあるいはアフターコロナということを考えてまいりますと、いわゆる地方分散といった空間的な分散だけではなくて、住まい方、働き方、もっと言えば生き方も含めた分散、そういう意味では、新しく多様な分散型社会というものを私はつくり上げていかなくてはいけないのではないかというふうに考えています。

 軌を一にするように、何と、東京二十三区、転出超過になりました、昨年。今までずっと転入超過だったわけですけれども、転出超過に変わりました。この機会を捉えて、政策転換をしてでも、私は、政府はこの流れを後押しをすべきだという観点で午前中は質問させていただきたいというふうに思います。

 コマツ建機という立派な会社がございますけれども、東京から石川に本社を移した、そのときのデータをよく坂根会長がお示しされます。つまり、移ってみてデータを取った。三十歳以上の社員、結婚率が増加した。東京では五〇%、石川県では八〇%だそうです。生まれた子供の数、東京都では平均〇・九人、石川県では一・九人だそうです。分かりやすいと思うんですね。

 出生率とか健康寿命とか、場合によっては格差の縮小とか幸福度合いだとか、そういったことを考えても、私は、今の大都市集中型の日本を是正して、新しい分散型の社会というものをつくり上げなければならない、こう考えています。

 そこで、岸田総理、まずはこのことについての評価をしっかりさせたいと思います。

 グラフをお示しをしましたので見ていただきたいんですけれども、何と、東京圏への流入超過が、二〇一一年と比べると、二〇一九年、二・五倍になりました。

 実は、地方創生担当大臣が設けられて、転出と転入を均衡させる、ゼロのところまで持っていくというのが元々の大きな目標だったんですよ。御承知のとおり、二〇二〇年と二一年は、これはもうコロナ禍だから、政策効果でこうなったんじゃなくてコロナ禍だから一気に減ってきているんですけれども、逆の方向に向かってしまったということに対するまず反省がないとこの問題は進まないと思いますので、この点についての評価をまず問いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のとおり、東京圏への転入超過、これが続いてきました。これは様々な理由があるものの、結果として転入超過になってきたということについては御指摘のとおりだと思います。

 そして、これも委員が御指摘のように、コロナ禍の中で、私たちは改めてデジタルとかリモートについて思いを巡らし、働き方や生き方についても様々な意識変革が起こっているということなんだと思います。こういったときを捉えて、是非、改めて、地方のありよう、地方の創生、地方の活性化、こういったものについて考えていかなければならないと私も強く思っています。

 そして、だからこそ、デジタルということを考えましても、地方にこそデジタルによって変わる様々な課題やニーズがあるんだということから、デジタル田園都市構想というような構想を訴えさせていただきまして、この意識改革を具体的な地方創生の結果につなげていきたいということで取組を進めさせていただきたいということを申し上げている次第であります。

玄葉委員 私、これは率直に申し上げると、トップである総理の強い意思と強い覚悟がなければ、やはりこの問題はブレークスルーはできないと思うんです。

 地方創生担当大臣まで設けて、取組はしてきたんです。だけれども、やはり本気じゃなかったと思う。だって、総理はそんなに替わらないのに、くるくる担当大臣は替わってしまった。今、七人目ですよ。本気じゃないと思う。強い意思と覚悟を持つことだと思います。

 私は、新しい分散型社会をつくり上げるために必要なことということで、ここに八つお示しをいたしました。これを一つ一つやっていると、これだけで質問時間が終わってしまいます。ですから、二、三だけ取り上げたいと思いますけれども。

 例えば、この二つ目の、情報インフラの地方優先整備というのも、今、岸田総理がまさにおっしゃった、デジタル田園都市整備構想だ、こうおっしゃっているんですけれども、そこまでおっしゃるなら、もし私が岸田さんの立場だったら、今東京から整備が進んでいますけれども、むしろ地方を優先して、地方から整備する、そういう逆の発想をしませんか。そのくらいでないと、この問題、流れが変わっていかないんですよ。どうですか。

岸田内閣総理大臣 委員の御指摘、私は全く同感であります。

 だからこそ、デジタル田園都市構想を進めるに当たって、地方にこそデジタルインフラ、これを整備しなければいけないということで、5Gですとか、光ファイバーですとか、海底ケーブル、地方にこそ率先してしっかりと整備していくべきである、これを従来から申し上げているところであります。

 そういった基盤に立って、是非地方において、それぞれの個性を生かした生活や働き方をその上に乗っけていただけるように進めていかなければいけない。だからこそ、このインフラ、デジタルインフラが大事だということを再三申し上げているところであります。

玄葉委員 同感なら、是非地方から整備してもらいたい。

 つまり、今、東京で私も5Gを使っていますよ、携帯電話。5Gが使えますけれども、地方に、地元に戻ったら使えないですよ。これは、AIだとか、遠隔医療だとか、eスポーツだとか、そういった分野にこれからどんどん活用できますから、せめて、岸田総理、全国で同時に実施できるぐらいにはしてくださいよ。私、もっと先を見据えて、6Gのときには絶対に地方からそうすべきだと思っているんです。やはり、そういう発想を政治家が行うということが大変大事だと思います。

 時間の関係で次に行きますけれども、大学、あるいは企業の本社、あるいは中央省庁外局、こういった地方移転は力仕事です。担当大臣だけでは絶対にできません。

 大学はなかなか大変だと思います、経営上、これから子供は減っていくから。都心回帰しているんですね。でも、私は、私立大学の学部レベルでいいと思います。学部レベルでもいいから、国家プロジェクトとして地方分散を進めるべきだと思うんです。これは、地方創生の、どうも、ある有識者会議ではこういう議論があったそうですよ。結局、断念した。

 これも総理の意思なんですよ。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほどの議論の中で、地方こそインフラ整備を率先して行うべきであるということについて、私も同感だと申し上げたわけですが、これは、今年度中に新たな整備計画を策定して、具体的な整備目標を定めて、強力に推進していきたいと思います。

 その際に、過疎地などの整備においては、補助金や税制などの支援措置があります。すなわち、地方にだけそういった支援措置はしっかり用意するという形で、より地方においてそういった取組が進むことを推進していきたいと考えています。

 そして、今、地方の大学、教育施設についての御指摘がありましたが、そういったインフラがしっかり整備されることが、様々な、大学を始めとする施設が地方において生き生きと活躍する上においても重要であると思います。こうしたインフラ整備を率先して進めた上で、御指摘のような、大学を始めとする地方の創生の中核になる施設の整備にも取り組んでいきたいと考えております。

玄葉委員 私、予算委員長の根本さんもそうですけれども、郡山に日大の工学部というのがあるんですけれども、工学部という一つの学部があるだけで全然違いますね。

 ドイツがそれぞれ地方都市が豊かだ、多くの国がモデルにしたいと思うのは、やはり大学と企業本社の存在だと思うんですね。むしろ、地方に学部だけでも移転した方が私学助成上有利だというぐらいの財政上の仕組みをつくったらいかがでしょうかね。

 もっと言えば、企業本社の移転税制だってありますけれども、小出し、ちまちましていますよね。今年やらなくて、いつやるんですか。組み替えたいぐらいだね。この二十三区で転出超過に初めてなったんですよ、去年。このときを捉えて、企業本社の移転税制を大胆に仕組む、当然のことじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の、大学、企業、さらには政府機関の地方移転、これについては、政府としましても、しっかりと取り組んでいきたいと考えます。

 サテライトキャンパスの設置に向けた地方公共団体と大学のマッチング、こうしたものにも支援を行っておりますし、中央省庁七機関、研究機関、研修機関等二十三機関、五十件について、令和四年度までに移転先での業務を開始することとしております。

 そして、制度としましても、企業版ふるさと納税の制度も活用し、令和六年度中に千の地方自治体がサテライトオフィスの整備等に取り組むとの目標を掲げ、地方での雇用創出や地方への人の流れ、これを加速していきたいと考えます。

玄葉委員 午前中、時間がありませんので終わりますけれども、転換点になるかもしれない大チャンス、このときに首相を務めておられるのが岸田総理ですから、この機を捉えて、是非仕掛けてください。午前中、このことをまず申し上げます。

 以上です。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。玄葉光一郎君。

玄葉委員 午前に引き続きまして質問をさせていただきます。玄葉光一郎です。

 午後は、外交、安全保障、特にウクライナの情勢、そしていわゆる敵基地攻撃論について、さらには福島の復興の問題について質疑させていただきたいと思います。

 まず、ウクライナの情勢でありますけれども、昨晩、日ロ首脳会談、岸田総理、プーチン大統領、電話で行ったということでありますけれども、その中で、ロシアがウクライナに軍を進めた場合の経済制裁については意見交換をなされたんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 昨晩の日ロ電話首脳会談においては、当然のことながらウクライナ問題が主要な課題であり、それについてロシア側も日本側もそれぞれの立場を表明しましたが、基本的にこの問題は外交手段を通じて解決するべきであるという点で一致した上で、それを基本としながら意見交換をしたというのが実情でありました。

玄葉委員 私、懸念していることがやはりありまして、日本側が出すメッセージが少々曖昧になっているのではないか、ロシア側に果たして正しく伝わっているのかどうかということについて、私、若干懸念があるんです。

 というのは、一つは、今のお話だとはっきりはおっしゃいませんけれども、昨日も経済制裁のことはお話しにならなかったということだと思います。あるいは、二、三日前は、制裁の検討を国際社会で行っているにもかかわらず、経済協力の話を閣僚同士でする。やはりそのメッセージ、対話は私否定しませんよ、もちろん。対話することは否定しませんが、タイミングも含めて、果たしてメッセージの伝わり方が、正しく伝わっているのかどうかということなんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど、この問題については外交交渉を基本としながら緊張緩和に向けて努力するべきだということを基調として議論をしたと申し上げましたが、当然のことながら、我が国の考え方、ウクライナをめぐる情勢、これは、欧州にとどまらず、アジアを含む国際社会の秩序に関わる問題であるという問題意識、こういった問題意識を持って、重大な懸念を我が国として持ち、注視しているんだという基本的な立場、さらには、力による現状変更ではなくして、外交手段を通じて関係国がしっかり受け入れられる解決策を模索するべきであるという考え方、これはしっかりと伝えたという電話会談でありました。

 おっしゃるように、国際社会に間違ったメッセージが伝わらないように、我が国の立場、これはしっかりと、はっきりと相手に伝えていくことが重要であると考えています。

玄葉委員 私も、一度だけですけれども、ソチでプーチン大統領と会談したことがございます。強い対米不信感をお持ちだなというのがそのときの印象です。

 恐らく、プーチン大統領からすれば、後ろを振り返ったらば、ついてきたのはウクライナ、残っているのはウクライナとベラルーシだけだみたいな感覚がきっとあるんじゃないかなというふうに想像します。ただ、それは、それだけロシアが東欧を引きつけることができなかったということだと思います。

 それで、軍を進めるということになれば、明らかにルール破りということになります。ルールによる秩序というものを最重要視している日本としては、かなりしっかりとした措置を、そうなれば取らざるを得ないというのが私の見解です。

 私が心配している理由はもう一つあって、二〇一四年のクリミア併合のとき、あのとき外務大臣は岸田外務大臣だったと思います。あの当時の総理の思いもあったのかもしれませんけれども、一言で言えば、形ばかりの制裁で終わっているんですね。

 メッセージが明確じゃないと、ロシア側からしたときに、また同じようにしてくれるんじゃないか、こんなふうに伝わってしまったら、いわゆるロシアの軍事侵攻に対する抑止効果はもう全くないということになってしまう。

 だから、ちょっと曖昧過ぎないかな、もっと分かりやすい明確なメッセージをロシア側にも伝えた方がいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、クリミア併合のときと比べて、岸田総理、当時外務大臣であったわけですけれども、何がどう違うとお考えですか。

岸田内閣総理大臣 二〇一四年のクリミア併合当時の国際情勢、委員も私の前任の外務大臣でいらっしゃいますので、そのときの状況を記憶されておられると思いますが、当時と今の国際情勢、これは随分と変化をしている、異なっているということは基本的に強く感じています。

 また、我が国を取り巻く安全保障環境、あの当時と比べましても一段と厳しさを増していると認識をしていますし、何よりも米中の競争の激しさ、これは二〇一四年当時とは比較にならないほど激しいものがあるということであります。

 その中で、今回の問題にどう対応していくのか。まずは、基本的には、外交交渉を通じて緊張緩和に向けて努力をしなければならないと思いますが、いずれにせよ、こうした状況の中で、我が国としましては、G7を始めとする同盟国、同志国との関係、国際社会との連携、これはより強く意識しながら適切な対応を考えていかなければならない、これが我が国の立場であると考えます。

玄葉委員 そうすると、確認ですけれども、当然ながら、二〇一四年の状況とは違うので、仮にですけれども、もしロシアが正規軍をウクライナに進めるみたいなことがあれば、クリミア併合のときとは違った厳しい対応を取ることになる、こういうことでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 実際に事態がどう変化していくか、これからどう展開していくか、これは今の段階で予断を持って申し上げるのは控えなければならないと思いますが、状況の変化に応じて、G7を始めとする国際社会との連携をしっかり大切にしながら対応を考えていかなければならない、これが基本的な立場であると思っています。

玄葉委員 クリミア併合のときとは全然違う、こういうことでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 様々な意味で、様々な条件が異なっています。その中で、我が国として、国益をしっかり念頭に置きながらも、国際社会との連携をどうしていくのか、適切な判断をしていかなければならないと考えます。

玄葉委員 次に、いわゆる敵基地攻撃論であります。

 この問題は、しっかりと、かつ整理しながら、現実を踏まえた議論をしていくことが肝要だというふうに思います。幾つか確認をしたいと思います。

 岸田総理、この間、敵基地攻撃能力の保有を含め、あらゆる選択肢を検討していくんだ、こういうことをおっしゃっているわけですが、岸田総理のおっしゃるいわゆる敵基地攻撃論の核心というか本質というのは何だとお考えになってこの議論を進めようとしているのか、お話しいただけますか。

岸田内閣総理大臣 いわゆる敵基地攻撃能力と言われる議論でありますが、この議論は、昭和三十年代から続く、長い歴史のある議論であります。ただ、昭和三十年代と比べて、ミサイルをめぐる技術一つ取りましても大きな変化が生じています。まさに現代的な議論でもある、重要な議論であると思っています。

 そして、本質は何かということでありますが、ミサイルをめぐる技術は大きく変化し、進化をしています。その中にあっても、政治の立場で国民の命や暮らしを守る、これは最大の課題であり、こうしたミサイル技術を始め様々な環境変化の中で、国民の命や暮らしを守るためには、あらゆる選択肢、これを排除することなく議論をしていかなければいけない。現実的に国民の命、暮らしを守るために何が求められるのか、こうした冷徹な、現実的な、そして冷静な議論を行っていかなければいけない。これが本質であると思います。その一つの選択肢として、いわゆる敵基地攻撃能力の議論もあるんだと認識をしております。

玄葉委員 もちろん、この本質とは何かとか核心とは何かと聞かれたら、いろいろな答え方はあるんだと思います。ただ、仮に私が聞かれたら、私は抑止力の強化だというふうに答えると思います。

 というのは、結構この議論は注意が必要で、今、岸田総理がおっしゃったとおり、古くて長い議論だと。常に引用されるのは、昭和三十一年の鳩山一郎首相の答弁ですよね。何回も何回もこの場で取り上げられる。つまりは、誘導弾などの基地をたたくことは法理的に自衛の範囲だ、あるいは、誘導弾攻撃が行われた場合、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではないとか、こういう議論になるわけです。

 この議論はいわば第一撃の議論ですよね。先制攻撃は国際法上も認められていませんけれども、国際法上も憲法でも認められている、いわゆる第一撃の議論じゃないですか。でも、今私たちが特に問題としたいのは、たたかれる前にたたくということよりは、結局、たたかれたらたたく、こういう議論なんだと思うんですね。このことを、私、結構明確に分けて話していかないと、この議論はかなり混線すると思っているんです。

 ですから、私は、この敵基地攻撃論を議論するときに、これはむしろ、第一撃のためというよりは、抑止力強化のための議論ですということをはっきりさせて、これは一つの提案ですけれども、議論していくのがよいと思うんですけれども、総理大臣、いかがお考えですか。

岸田内閣総理大臣 いわゆる敵基地攻撃能力という議論、長い歴史の中で、おっしゃるように様々な議論が行われ、そして変化をしていきました。そして、今も様々な議論があります。

 しかし、再三強調させていただいているのは、どんな議論を行うにしても、憲法、あるいは先制攻撃を始めとする国際法、さらには日米の基本的な役割分担、こうしたことについてはしっかりと念頭に置きながら、こうしたものはしっかりと我々の大事な考え方として守っていきながら、具体的な議論をしていかなければならないということを申し上げています。

 さらに、具体的な議論については、引き続き議論を詰めていかなければならないと思いますが、基本的な国際法や憲法、あるいは日米の役割分担、基本的な役割分担に対する考え方、これは、国民の皆さんに丁寧に説明しながら、国民の皆さんの理解を得ていく努力は重要であると考えます。

玄葉委員 午前中もこの問題、議論があったと思うんですけれども、敵基地攻撃能力あるいは敵基地攻撃論を第一撃も含めて議論し出すと、何かおどろおどろしくなっていくんですよ。私はその懸念を強く感じます。ですから一つの提案をしているんですけれども。

 そもそも、第一撃といったって、かつてと違って、それは議論にあちこちでなっていますけれども、相手国からミサイルを発射するときに、ほとんど移動式ですから、なかなかキャッチするというわけに現実にいかない、もう技術的に困難だ、そういう時代に完全になりましたね。そう考えたら、もう第一撃の議論というよりは、これはむしろ、たたかれたらたたく、抑止力を強化するための議論なんですとはっきりさせないと、なかなかこの議論は私は前に進まないのではないかと心配しているんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 いわゆる敵基地攻撃能力の議論は、我が国の国家安全保障戦略を改定する議論の中で議論を進めていきたいと申し上げておりますので、今ここで私の考え方を断定的に申し上げるのは控えなければならないと思いますが、私も外務大臣を務め、特に平和安全法制の議論、担当大臣としてこの議論の先頭に立った経験から、国際法に対する考え方を随分勉強した経験がありますが、国際法の中で、先制攻撃という議論、これは大変難しい議論であり、学説によっていろんな解釈があり、また、現実には国によって先制攻撃についていろいろな解釈がある、こうした難しい議論であるというのは十分承知をしています。

 こういったこともしっかり考えた上で、我が国において国民の命や暮らしを守るために必要とされるものは何なのか、これは、これからしっかりと議論を深めていきたいと考えております。

玄葉委員 なかなか慎重な答弁でございまして、率直に言えば、いわゆる政府の全体の、有識者等の様々な検討を受けて具体的に議論したいというような趣旨だと思いますが。

 岸防衛大臣、例えば、中台、台湾海峡の問題があって、台湾はミサイル防衛の措置をもちろんしておりますけれども、PAC3とかをたくさん持っていますけれども、併せて国産の巡航ミサイルを持っています。ランチャーも、発射装置も十数基たしかあったと思います。これはいわゆる敵基地攻撃能力だと思います。

 この台湾の敵基地攻撃能力というのは、相手国に対して抑止力として十分に機能しているというふうにお考えですか。

岸国務大臣 台湾の情勢、今非常に厳しいところもあると思います。台湾海峡の軍事バランスも非常に中国側に傾いていて、その差も非常に毎年毎年広がっているような状況にあるんだとお伺いしております。

 台湾自身が自身の防衛のためにどのような装備をどのように使うかということは、我々の立場からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、我々としては、台湾の、中台の情勢につきましては、当事者間の平和的な解決を期待しているところでございます。

玄葉委員 それはなかなか答えられないというのは分かって聞いたんですけれども。

 結局、この議論をするときには、当然ながら、抑止力の強化が私は本質だと思っているので、抑止力たり得る装備体系とかオペレーションというのは一体何なんだ、それを日本側がどの程度持つのか、アメリカと合わせて全体としての抑止力をどの程度のレベルにしていくのか。当然、お金はかかります。そういうことも含めてトータルとして、本当に冷静に熟議をしていかないといけない問題だということを今日は指摘しておきたいというふうに思います。

 私も、中台の台湾海峡の問題は、二十一世紀の地域紛争の中で最も抑止しなければならない地域紛争だというふうに思っています。

 さて、最後、残り五分でございますけれども、福島の復興の問題を取り上げさせてください。

 一番、福島の復興の大前提というのは、福島第一原発の着実そして安定した廃炉ということになります。この廃炉、何としても、何年かかっても、確実にやり遂げなければならない課題になります。そのために、果たして資金は大丈夫なんだろうか、あるいは、国の専門組織が必要なのではないか、廃炉の完了とは一体何を指すのか、最終的なきれいな更地にするのかなど、かなり議論しなければならない課題があります。

 一番心配なのは息切れです。恐らく三十年では終わらないでしょう。四十年、五十年、六十年かかるかもしれない。もっとかかるかもしれない。そうすると、いずれそのための立法措置も必要になるのではないかと思っていますけれども、事前に通告しておりますので、岸田総理としてどういうふうにお考えになっておられるか、お尋ねをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 福島第一原発の廃炉については、着実に遂行していかなければならない重要な課題であると考えます。

 このため、原子力災害対策特別措置法に基づいて、私自身が議長を務める原子力災害対策本部の下、関係省庁や原子力損害賠償・廃炉等支援機構等が連携し、日本の総力を結集した体制で進めているというのが現状であります。

 そして、この資金ということについても御指摘がありましたが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法で定められた廃炉等積立金制度に基づき、長期にわたる廃炉等に要する資金を確保するための仕組み、これも構築してあります。こうした法律あるいは制度、これをしっかりと稼働させ、進めることによって廃炉を進めていくというのがまず大事であると考えております。

 そして、今後も、福島の復興のために必ず廃炉は成し遂げるという強い決意の下、国が前面に立って、中長期ロードマップに基づき、取組を進めていかなければならないと考えます。

玄葉委員 ALPS処理水の海洋放出、この問題でありますけれども、IAEAの調査団が入って、大いに科学的知見を披瀝していただいて、国際社会に発信してもらいたいと思うんですが、それだけではなかなか解決しないのがこの風評被害の問題だというふうに思います。

 この風評被害を解決するのには、何回か提案しているんですけれども、福島以外でも幾らかでも処分するか、トリチウムとの分離というのを本気で考えるか、どっちかだと思うんです。

 トリチウムの分離については、直ちに実用化できないと言っているんですが、私、子細に検討していくと、勉強していくと、どうもできるんじゃないかという気がしますね。できるんだけれども、通常の原発でもやれと言われたり、いろいろなコストとの兼ね合いで、今のところやらないという判断をしているんじゃないかという思いもあるんです。

 これは、もし分離の技術が出てきたら積極的に活用するという約束を、総理大臣、この場でしていただけますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のトリチウム分離技術については、過去に国費を投じて実証試験を実施しておりますが、その際に、専門家からは、実用化できる段階にある技術は確認されなかったとの評価がされていると承知をしています。また、IAEAにおいても同様の認識を示していると承知をしています。

 ただ、こうした技術の議論というのは、これは絶えず進化が考えられるわけですから、こういった技術における様々な取組、これはフォローはしていきたいと思っています。

 ただ一方で、現実問題、今、敷地が逼迫をし、廃炉、復興のため、早期に処理水の貯水タンクを減らしていかなければいけない、こういった厳しい現実もあるわけでありますので、政府としては、この現実的な対応、今申し上げている対応をしっかり進めていくことも重要であると認識をしております。

玄葉委員 もう時間なので終わりますけれども、これは私、スペースを空けるためにも、分離できれば希釈しなくていいんですよ、薄めなくて。そうすると早くスペースができるんですね。だから、これは併用することも可能ですから、ちょっとよく頭に、今の間に入れておいていただいて、後々この質疑が生きる可能性がありますので、是非覚えておいていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

根本委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 岸田総理大臣並びに各大臣の皆様、今日もよろしくお願いをいたします。

 まず、経済安保法案担当者の更迭についてお伺いをいたしたいと思います。

 藤井敏彦前経済安全保障法制準備室長につきまして、御本人をこの予算委員会の場に参考人としてお呼びをしたいということで要求をいたしましたが、お越しいただけませんでした。それどころか、参考人招致に今後も応じない上に、本日昼の予算委員会理事会で、来週月曜日に締めくくり総括質疑並びに採決を職権で、与野党の合意なく無理やり決めたということに関して、強く抗議を申し上げたいと思います。

 午前中の審議で、官房長官から、この件については与党議員への答弁もございました。先ほど議事録も精査をいたしましたけれども、肝腎な点に触れられていないということを強く感じています。

 藤井氏は、経済安全保障法制の作成の責任者でございました。この藤井氏の言動が国の安全に関わるかどうか、国の安全に関わる言動があったかどうかということを直接確認をしたいというのが、こちらに参考人としてお越しいただきたいという趣旨でありますので、是非、直接本人に確認をする必要があるというふうに考えています。

 内閣官房長官に、今回の官房長官の答弁にありました、処分につながる可能性がある行為に関する事実関係の調査について、順次お伺いいたしたいと思います。

 国家安全保障局の内規手続のうち、対外的な意見発表を行う際の届出を怠った等が確認をされていると、二月十日の衆議院予算委員会で、立憲民主党渡辺周議員の質問に対して官房長官が答弁をされております。

 対外的な意見発表を行う際の届出を怠ったことで、どのような内規手続に違反をしているのか、具体的に御説明をお願いします。

松野国務大臣 城井先生にお答えをさせていただきます。

 御指摘の内規は、平成二十六年一月七日に国家安全保障局長指示として発出されたものであり、当該指示においては、対外的な意見発表について、職員が職務の内外を問わず対外的に意見発表を行うに当たっては、届出を行い、企画官以下の職員については審議官まで、参事官以上の職員については局長まで事前に了解を得なければならないと定めています。

 藤井元審議官は、国家安全保障局在任中、当該内規で定める、対外的な意見発表を行うに当たっての届出を提出しておらず、局長までの事前の了解を得ていなかったことが確認されています。

城井委員 届出を提出せず、事前に相談がなかったという点について今答弁がありました。

 併せてお伺いいたしたいと思いますが、公務員の兼業制限への抵触はなかったんでしょうか。併せて守秘義務違反を犯した部分はなかったか。この二つについて確認をしたいと思います。官房長官、お願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 藤井元審議官から、国家安全保障局在任中、対外的な意見発表を行う際の届出が提出されていなかったことは、国家安全保障局の内規に違反するものであったと考えています。

 一方、国家安全保障局の内規手続に定める事前届出を行わずに対外的な意見発表を行ったことが、御指摘の兼業の禁止に関わる違反にも該当するかについては、国家公務員法第百三条及び第百四条の規定に照らし、判明した事実関係を基に適切に判断する必要があると考えています。

 こうした点も含め、現在、事実関係の調査を行っているところであり、現時点でお答えをすることは難しいことを御理解をいただきたいと思います。

城井委員 随分調査に時間がかかっている印象であります。

 もう一点お伺いいたしたいと思います。

 国家公務員倫理法にある、課長補佐級以上の職員が五千円を超える報酬を得る場合には、贈与等報告書を提出する必要があります。この点に抵触をしていたか。かなりの回数の外部講演を行い、講演料を受け取っていたという情報もあります。全ての講演料などについて贈与届が出されていたか、官房長官、明確にお答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先生御指摘の内容も含めて事実関係の調査中でございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

城井委員 官房長官、これは調べればすぐ分かることだというふうに思います。

 既にこれは、今日初めて指摘をした内容ではございませんし、この間、一週間、何をやっていたのかということは強く申し上げなければならないと思います。

 もう一点伺います。

 二月十日の衆議院予算委員会で、我が党、渡辺周議員の質問に対して官房長官から答弁のあった、対外的な意見発表を行う際の届出を怠った等が確認をされているとの答弁にある等とは、具体的に何を確認をしたのか。官房長官から、含まれる確認事項、全てお答えいただきたいと思います。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 調査中の現時点で断片的な情報をお答えをすることは今後の調査に影響を与えるおそれがあることから、委員の御指摘の点を含め調査を行っている現段階では、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 政府としては、引き続き事実関係の調査を行い、今後判明した事実に基づき適切に対処する所存でございます。

城井委員 断片的な情報は差し控えるということでありますが、官房長官、今日午前中の質疑での、法案への影響は随分とたくさんしゃべっていた、影響についての答弁はかなり雄弁にお答えになっていたということと、今の、調査中、差し控えるというのは少々差が過ぎるというふうに思います。情報がないと、我々も、大丈夫だ、健全だ、確認ができないわけです。きちんとお答えいただきたいと思います。

 今の対外的な意見発表の部分は極めて重要だと思いますので、幾つか重ねてお伺いいたします。

 この藤井氏が行った対外的な意見発表とは、兼業届を出さずに、私企業、今回の場合はビジネススクールでありますが、ここで働き報酬を得ていた、こういうことか、官房長官、お答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 藤井元審議官から、国家安全保障局在任中、対外的な意見発表を行う際の届出が提出されていなかったことは、国家安全保障局の内規に違反するものであったと考えています。

 一方、国家安全保障局の内規手続に定める事前届出を行わずに対外的な意見発表を行ったことが、御指摘の兼業の禁止に関わる違反にも該当するか否かにつきましては、国家公務員法第百三条及び第百四条の規定に照らし、判明した事実を基に適切に判断をする必要があると考えております。

城井委員 御質問にお答えいただきたいんですが。

 今のは、法令に照らしてどうかという先ほどの質問とは違いまして、対外的な意見発表というのが何だったのか、それが、ビジネススクールで講演をしたりあるいは指導したりといったことで報酬を得ていた、これが対外的な意見発表ですかということを確認しているんです。官房長官、もう一回答弁をお願いします。

松野国務大臣 藤井元審議官については、国家安全保障局に在籍をした二〇一九年十月三十一日から二〇二二年二月八日の間に、国家安全保障局の内規手続のうち、対外的な意見発表を行うに当たっての届出を提出しておらず、局長までの事前了解を得ず対外的な意見発表を行ったことが確認をされています。

 現在、国家安全保障局を中心に、相手方との関係を含め事実関係の調査を行っているところでありますが、調査中の現時点で断片的な情報をお答えすることは今後の調査に影響を与えるおそれがあることから、調査を行っている現段階では、御指摘の、いつ、どこで、誰に対外的な意見発表を行ったかについてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、できるだけ速やかに調査を進めていくことが重要と考えており、その結果が判明次第、適切に対処をしていきたいと考えております。

城井委員 官房長官、それは次の問いでして、一つ前の分の、今、更問いで内容の確認を申し上げておりました。

 併せての問いを起こしたいというふうに思いますが、この対外的な意見発表というのが一体何だったのかということをまず確認したい。そして、今ほど官房長官は差し控えられましたが、相手方との関係とおっしゃいますが、まさにこの相手方というのが誰なのか、経済安全保障法制に関わる人じゃないですかというところがポイントなんです。だからこそ、これが確認できないと、関係ありませんでした、問題ありませんという話にはならないんです。

 ですので、この対外的な意見発表が何だったのか、そして、いつ、どこで、誰にこれを行ったのか、もう一度、官房長官、お答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど答弁をさせていただきましたけれども、現在、国家安全保障局を中心に、相手方との関係を含め事実関係の調査を行っているところであります。調査中の現時点で断片的な情報をお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。

城井委員 そこを差し控えると、ここで、我々が国会で確認をせねばならない内容が確認できないんです。国民の前で明らかにすべきは、藤井氏の今回の言動に関わる、国家の安全保障に関わる事態があったかなかったか、このことを確認せねばなりません。

 藤井氏が行った対外的な意見発表、つまり、そのビジネススクールには師範という制度があったそうですが、この師範として、ビジネススクールのゼミなどを通じて、そこに参加していた企業に対して講演や指導などをした内容が、経済安全保障法制の検討内容など政府の内部情報や国家機密の情報漏えいにつながったのではないかと強く懸念をするわけです。

 藤井氏が行った対外的な意見発表の内容を具体的に調査をしているはずです。差し控えている場合ではありません。我々にその具体的な中身を示してください。官房長官、お答えください。

松野国務大臣 現在調査中ということでございますけれども、断片的な情報をお答えすることは今後の調査に影響を与えるおそれがあることから、委員の御指摘を含め調査を行っている現段階ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

城井委員 また調査中で差し控えられてしまいますと前に進むことができませんが、もう一点だけ伺いますよ、官房長官。

 相手方との関係という、先ほどの官房長官答弁がありました。ここは極めて重要だと思います。藤井氏が行った対外的な意見発表を聞いたり、あるいは指導を受けたりしたビジネススクールの参加企業が経済安全保障に利害関係のある企業ではないかという点を強く危惧しています。例えば、防衛省と防衛装備品の取引が大量にあるような、経済安全保障と利害関係が深い企業が関係している、こうしたことを懸念しています。

 経済安全保障法案では、例えば、政府は、基幹インフラの事前審査において対象とする企業分野を十四分野に細分化して提示をしています。

 パネルと、委員の皆様はお手元の資料を御覧ください。

 かなり具体的に例示をされています。電気、ガス、石油、水道、電気通信、放送、郵便、金融、クレジットカード、鉄道、貨物自動車運送、外航貨物、航空、空港の十四分野です。

 これら十四分野に利害関係が深い企業に事前に経済安全保障法案の検討経過など政府の内部情報が情報漏えいされていては、これは大問題です。

 これら十四分野に当てはまる企業が今回のこのビジネススクール参加企業として、藤井氏が行った対外的な意見発表や指導などに接していたか、政府は確認していますか。官房長官、お答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 城井先生から御指摘があった内容も含めて現在調査をしているところでございますが、今後の調査に影響を与えるおそれがあることから、現段階で断片的な情報をお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

城井委員 断片とおっしゃいますが、細部に真実が宿るわけであります。ここをお答えいただかなければ、今回の件は大丈夫だというふうに国会からは判断ができないわけであります。

 藤井氏が関わっているビジネススクールが昨年十一月に発行したニューズレターがあります。これによりますと、少なくとも、この十四分野のうち、電気、ガス、石油、電気通信、放送、金融、貨物自動車運送、外航貨物、航空、そして、加えて防衛装備品関係に関わる企業の参加が確認をできました。

 こうした企業と藤井氏の関係について、やはり確認せねばなりません。政府において確認していますか。官房長官、お答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 城井先生の方から御指摘をいただいた内容も含めて現在調査中でございます。

城井委員 ここ、参加企業との関係は極めて重要です。

 このビジネススクールの仕組みでは、講師のポストに合わせてゼミの参加企業が変わってくる、こうした仕組みになっておりました。利害関係企業が講師のポストごとに集うんです。防衛装備庁のポストのときには防衛関連企業が集い、経済安全保障のポストになってからは経済安保関連の企業が集ってしまう、こんな仕組みでございました。

 官房長官、もう一つ伺いますよ。

 ここで、基幹インフラの事前審査の件は、今回の経済安全保障法制の四つの柱の一つです。あと三つありますね。サプライチェーン強化、先端技術の官民協力、特許の非公開化。これに関わる利害関係企業が藤井氏の対外的な意見発表や指導などに接していたか、経済安全保障法制に関する情報など政府の内部情報や国家機密の漏えいに関わっていたか、ここを政府は確認をしていますか。

 ビジネスに大きく関わる分、関係者の関心は高いというふうに感じています。官房長官、お答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 城井先生から御指摘をいただいた点も含めて調査をしております。

城井委員 調査範囲がどんどん広くなっておりますが、真実が宿る細部がなかなかお答えいただけません。

 もう一つ、伺います。

 藤井氏が、経済安全保障法制の原案を作っている間、ビジネススクールの参加企業やメディア関係者なども含めて、誰と接触をしたか、この確認も今回の調査では大変重要です。

 藤井氏が国家安全保障局の経済班準備室並びに発足後の経済班に所属している間、二〇一九年以降ということになると思いますが、この間の面会記録、タクシー券の利用履歴、公用車の運行履歴について、今回の調査に当たって政府は確認をしていますか。利害関係企業などとの接触の有無やその内容を含め、詳細にお示しをいただきたい。国会に対しても情報提供していただきたい。官房長官、御対応いただけますか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 城井先生から御指摘をいただいた内容も含めて調査をしております。

 なるべく速やかに調査を進めまして、その上で、国会への情報提供につきましては、調査が終了した時点で、委員長の御指示に従い、適切に対応させていただきたいと考えております。

城井委員 誰と接触していたかは非常に重要です。藤井氏が、役所で、ビジネススクール参加企業の人と個別に会っていたという情報もあります。セキュリティーが最も固くなければならないはずの国家安全保障局で利害関係企業との面会があったならば、当然政府は、政府の内部情報や国家機密の情報漏えいの有無など詳細に調査して、国民と国会に示すべきです。

 官房長官、藤井氏が関わるビジネススクールのメンバーを役所に招き入れたことがあるか、この事実があるか、それは何人で、誰か、お答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 藤井元審議官の国家安全保障局に在任中の行動に関しましては、今先生から御指摘があった内容を含め調査をしているところでございます。

城井委員 もう一点伺います。

 この行動履歴の確認は大事です。藤井氏がメディア関係者と会った際に使ったタクシーチケットが問題になっています。官房指定のものを私的利用したのか、誰かからもらったものを使ったのか、この点を把握していますか。官房長官、お答えください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先生から御指摘がありましたタクシー券の利用履歴等も含めて現在調査をしているところでございます。

城井委員 委員長に申し上げます。

 今ほどのこれらの面会記録、そして利用履歴、運行履歴、これを政府から予算委員会に即刻提出いただくように委員長からお取り計らいを願います。

根本委員長 理事会で協議します。

城井委員 さて、岸田総理、今、私はこれだけは確認せねばということで聞いた話で、調査中、差し控えるということを全部で十一回いただきまして、これでは真実が分からない、大丈夫だと判断できない、材料がない、足がかりがいただけていない、このように感じます。

 このやり取りを踏まえまして、今回のこの藤井敏彦前経済安全保障法制準備室長の更迭に関する調査、岸田総理、どのように認識をされるか、お聞きしたいと思います。ポイントは、まず大前提として、この調査結果の報告、公表の日程的なめどをはっきりさせていただきたい、このことをお願いしたいと思います。

 午前中の答弁で官房長官から法案への影響については幾つか説明がございましたが、少なくとも今ほど私が聞いた中では、十一項目にわたってお答えがいただけていない、こういう状況であります。これでは、少なくとも国家の安全に関わる部分で問題があったかどうか、ここが確認できない。早急に明らかにしていただきたい。少なくとも今回のこの衆議院での予算審議中に調査結果を示すこと、総理から御指示をいただけませんか。(発言する者あり)

根本委員長 まず官房長官、簡潔にちょっとお願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 本件につきましては、国家安全保障局を中心にできるだけ速やかに調査を進めていく考えでございますが、当該職員が行った対外的な意見発表の相手方との関係も含め、様々な事実関係を確認する必要があることなどから、調査に一定の時間を要することは御理解をいただきたいと思います。

 できるだけ速やかに調査等を進めていく考えでありますが、事実関係の確認、先ほど申し上げましたとおり、一定の時間を要するものであり、現時点で具体的な期日を、期限を申し上げることは困難でございます。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国にとって喫緊の課題であります経済安全保障について、今月下旬の法案提出を目指し、政府として準備を加速しております。その中で、このような重要な時期に本事案が生じたこと、これは誠に遺憾なことであると認識をいたします。

 まずは、事実関係をしっかり把握することが必要であります。現在、事実関係の確認、調査を実施しているところであり、今後判明した事実に基づき厳正に対処していきたいと考えています。

 その調査の時期については、ただいま官房長官からお答えさせていただいたとおりであります。

城井委員 ここまで政府による調査内容をただしてまいりましたが、官房長官からの答弁では、少なくとも十一項目も確認ができないということでは、これは、よく分かりましたにはなりません。

 やはりここは、当事者たる藤井氏御本人の話を聞かなければ、情報漏えいなど国家の安全に関わる懸念は拭えません。

 委員長、藤井敏彦前経済安全保障法制準備室長の予算委員会への参考人招致を改めて要求をいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

城井委員 あわせて、本日指摘した点も含めてでありますが、今回の藤井氏の事案の経済安全保障法案への影響の有無について、政府から書面で予算委員会に報告をいただきたい。今回の答弁では、十一項目も答えていただいていないので、不十分だという認識であります。

 この二点、委員長、お取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

城井委員 それでは、ここで官房長官、お仕事がありましょうから、御退席をお願いします。

 続きまして、新型コロナ対策並びにワクチン接種についてお伺いいたします。

 昨日夕刻、蔓延防止等重点措置の取扱いの政府決定後の岸田総理大臣からの記者会見がございました。この内容について、二点伺いたいと思います。

 一つは、水際対策の緩和。今日も予算委員会でも議論になったところ。そしてもう一つは、医療提供体制について伺います。

 まず、水際対策の点であります。

 総理会見で表明された水際対策の緩和。ポイントは、外国人の新規入国について、観光目的以外の入国を認めること、そして、一日三千五百人から五千人へと広げること、待機期間を短縮することが重立った内容だと認識をしています。

 そこで、伺います。

 総理、四十万人の未入国の待機の方がおられますね。この方々には、当然、日本人が外国から帰ってくるケースがあります。あとは、ビジネスの往来のケースもその五千人に含まれると思います。そうなると、日本人の帰国やビジネス関係者を含むと、今日午前中にも指摘のあった留学生約十五万人、それから技能実習生は十数万人だというふうに聞きましたが、こうした未入国者の入国はかなり時間がかかるのではないかということを懸念します。

 学校にしても技能実習生にしても、その行く先での日程もあろうかというふうに思うわけですが、五千人の枠で少しずつということだと、かなり先にならないと入国できない方も出るのではないか。

 この点、どのように見込んでいるか、どう対応するか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、今回の水際対策の緩和につきましては、国の内外の感染状況、そして各国の水際対策、そして、そもそも我が国の感染の状況、さらには検疫体制、こうしたものを総合的に勘案して、緩和の方針を明らかにさせていただいた、こういったことであります。

 入国の上限五千ということについて御指摘があったわけでありますが、これについても、昨年を振り返りますと、たしか、昨年三月に上限を二千にして、その後、八月に三千五百にし、そして、十一月に一旦五千にしましたが、全世界的にオミクロン株の感染が報じられたことをもって、五千をまた三千五百にしたということであります。

 今回、第一弾として、先ほど言いました、様々な点を勘案して五千に戻したわけでありますが、これはあくまでも第一弾ということであります。今後も、内外の感染状況の差ですとか検疫体制、そして各国の水際対策の状況もしっかりと把握しながら、この次の段階、どのように対応を変化させていくのか、これは絶えず考えていかなければならない課題だと思います。

 その中で、入国の上限枠についてもどうあるべきなのか、引き続き検討をし、そして、できるだけ早く平時の生活や活動に戻せるよう、努力を続けていきたいと考えております。

城井委員 ポイントは、確実な検査の徹底だというふうに思っています。午前中にも二万人枠というふうな与党議員から発言もございましたが、早め早めにやはり関係者に示していけるように、体制の拡充整備、お願いしたいというふうに思います。

 さて、もう一点の医療提供体制についてであります。

 この点、過去最高の死者数に達した現実を踏まえた対応を総理がやっていただけるかということ。昨日の総理会見ですと、医療提供体制の逼迫については、入院待ちの患者があふれた昨年夏と違い、必要な医療を提供しているとおっしゃいました。

 本当にそうでしょうか。入院のハードルがかつてなく高い現状であること、そして、高齢者を中心に、入院できずに自宅療養で亡くなった人、入院できずに高齢者施設で亡くなっている人が全国で相次いでいる実態があります。

 総理、この点、どのように認識していらっしゃるか、政府としてどう対処されますか。

岸田内閣総理大臣 昨年来、未知の部分の多かったオミクロン株の対応に当たって重視した三つの点を申し上げるならば、一つは、国民の命を守るということ、二点目として、軽症の自宅療養されている方々の不安に応えるということ、そして三つ目として、社会経済活動、これをいかに維持していくかということ、この三点を重視して取組を進めてきました。

 医療提供体制について御質問があったわけですが、それにつきましては、全体像を示す中で、昨年夏のピーク時の一・三倍の受入れ病床を確保する、さらには、状況を見ながら、更に受入れ体制の万全を期すために、東京、大阪、自治体にも協力をしていただきながら、臨時の医療施設を確保していくなど、こうした病床を用意してきたということであります。

 現場において様々な御苦労がおありになられる、そして混乱があるということ、この指摘はしっかり受け止めたいと思いますが、全体の病床の確保ということにつきましては、今、取組を行うことによって、昨年の夏、ピークのときと比べて、新規感染者は四倍を超えているわけでありますが、病床の使用率ということを考えた場合にはまだ余力があるというのが現実であると承知をしています。

 引き続き、様々な最前線、現場における様々な指摘はしっかり受け止めながら、全体の病床を確保しながらも、よりスムーズな入院、そして国民の安心につなげていく努力は続けていきたいと考えております。

城井委員 総理、最悪の想定ということでしたら、是非、入院できずに亡くなってしまった高齢者や、そして高齢者施設で亡くなった方々について思いを致していただきたい。

 ポイントは、急変したときに医療にアクセスできずに亡くなってしまっているというところなんです。病院のベッドまでたどり着けていないんです。その部分に、是非、悲しい現状を変えるための手だてをつくっていただきたいんです。

 この点、御検討いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のようなケース、これは重く受け止め、しっかり政治としても対応を考えていかなければならないと思います。

 軽症の自宅療養者の方々の安心という観点から、地域の医療体制、さらには経口薬の確保など、こうした取組も充実していかなければなりませんし、さらに、病床における受入れ、これを促進する観点からも、一時的に救急患者を受け入れる病床確保のために一床当たり四百五十万円の支援を行うこととし、昨日、医療関係者の協力をお願いしたところであります。

 是非、様々な指摘をしっかり受け止めながら、国民の皆さんの安心のために努力を続けていきたいと考えます。

城井委員 最後に、中小規模の観光関連産業支援について総理に伺います。

 パネルと資料を御覧ください。

 午前中の質疑では、GoToキャンペーンなど需要喚起策の議論がございました。しかし、実際には、この二年間、GoToキャンペーンをほとんど動かせなかったというのが現実であります。

 二月の十四日に立憲民主党会派が衆議院に提出いたしました観光産業事業継続支援金法案、これに関連して総理に伺います。

 需要喚起策、GoToキャンペーンなどが使えない状況で売上げが激減している観光関連産業の事業継続を図るためには、そうした産業が既に使い果たしている全産業共通のこれまでのコロナ支援策、雇用調整助成金しかり、ゼロゼロ融資しかり、これに加えて具体的な手だてが必要だという中小規模の観光関連産業の現場の声に、総理、お応えいただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、コロナ禍の中で、観光関連産業の皆様方、甚大な影響を受けておられるということ、これをしっかりと受け止めなければならないと思います。その中にあっても、中小の観光関連産業の皆様方の負担、大変大きなものがあるということを認識いたします。

 その中で、今般の経済対策においても、雇用調整助成金の特例措置、あるいは実質無利子無担保融資の延長、こうしたことを盛り込んだわけですが、いわゆる最大二百五十万円を一括支給する事業復活支援金、これは一月の末から申請受付をスタートした、こうしたことであります。

 そして、観光関連産業向けの対策としまして、観光地の再生、高付加価値に向けた宿泊施設の修正等への支援、これも、予算規模の、補助上限を拡充した上で、来月申請受付を開始するということになっています。

 こうした支援と併せて、需要喚起策として、新たなGoToトラベル事業、これも実施するよう準備をしているところであり、その際に、中小の観光産業事業者の方々への配慮ということで、低価格帯の実質割引率の引上げ等、様々な工夫も加えようとしているところであります。

 是非、こうした取組を通じて、中小の観光関連産業をしっかりと支援をし、支えていきたいと考えております。

城井委員 二年たっても悲鳴が聞こえる観光関連産業です。是非、具体的な手だてを増やしていただくようにお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、階猛君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。本日もよろしくお願いします。

 早速ですけれども、パネルを提示してください。今日は、東京八区の吉田はるみさんがサポートをしていただけます。よろしくお願いします。

 さて、このパネルは、前回、二月十四日のこの場での質疑の際、私と二之湯国家公安委員長とのやり取りをまとめたものです。

 このやり取り、最初の方で、平成二十八年に行われた御自身の参議院選挙直前で、九百六十万円という多額かつ中途半端な金額を、御自身が代表を務める自民党京都府参議院選挙区第三支部というところから自民党京都府連に支出した根拠が問題となったわけです。

 国家公安委員長からは、私の思いで寄附、府連がどのように使うかは府連の裁量、こんな答弁でした。

 ところが、私どもの方で政治資金収支報告書を精査したところ、このパネルの二段目のところ、青い地に赤い数字が出ています。これは、二之湯氏が参院選の二か月半前、平成二十八年四月二十七日に九百六十万円を自民党京都府連に支出した、その直後の五月七日、自民党京都府連は、同額の九百六十万円を京都府議や京都市議、総勢四十八人に二十万円ずつ支出していたことが判明したわけです。

 改めて、国家公安委員長にお尋ねします。

 九百六十万円という金額は私の思いだったとお答えになりましたが、実際には、京都府連から傘下の京都府議や京都市議に二十万円ずつ支出するには九百六十万円必要になるということで、京都府連と示し合わせた上でこの金額にしたのではなかったですか。正直にお答えください。

二之湯国務大臣 前回の委員会の質問にもお答えいたしましたけれども、この九百六十万円は、私は、府連の政治活動あるいは党勢活動に必要な額だ、このように思ってそれを寄附したわけでございまして、誠にそういう形でございますから……(階委員「京都府連と示し合わせていないということですね」と呼ぶ)それはしておりません。

階委員 京都府連と示し合わせていない、あくまで自分の思いだということなわけですね。本当にそれでいいんでしょうか。

 もう一つ、事実をお伝えしたいと思います。

 やはり、この御自身の選挙の十か月前、平成二十七年十月二日、今示している表の上の段ですけれども、二之湯国家公安委員長が代表を務める新政経懇話会という政治団体から千四百四十万円が自民党京都府連に支出され、その直後の十月七日に、自民党京都府連は同額を、同じく京都府議、京都市議四十八人に三十万円ずつ支出していたことが判明しています。

 この千四百四十万円も、私の思いで寄附したということでよろしいですか。

二之湯国務大臣 平成二十七年の私の京都府連に対する寄附は、今の千四百四十万円、それに二百六十万円、そして毎年、私が京都府連に特別の、国会議員としての徴収されております七十二万円、それが私の合計でございます。

階委員 いろいろ申し上げましたが、私はピンポイントで聞いております。

 十月二日の千四百四十万円、これがちょうど、その直後、十月七日に、京都府議や京都市議四十八人の団体に三十万円ずつ支出されており、その金額を積算すると、同じ千四百四十万円にぴったりなるんですよ。

 これは、あくまで京都府連と示し合わせたわけではなくて、御自身が勝手に、自己完結的に千四百四十万円寄附をしたということでよろしいんでしょうか。

二之湯国務大臣 再三申し上げているように、これは私は、決して京都府連と相談しながらこのお金を寄附したものではない。私は私の判断でこの寄附をし、そして、私の原資を基にして、いろいろな府連の財政状況を考えて、京都府連の幹部がそのように決定したんじゃないか、こう思っております。

階委員 二之湯国家公安委員長のほかにも、国政選挙のたびに、同じように、お金が国会議員あるいはその候補者から京都府連に流れて、そしてその同額が京都府議や京都市議に流れる、こんなことがありまして、中には自らSNSで発信して、これは、自分のお金は地方議員に配るためのものだと、五人分だったとか言っていた人がいましたけれども、五人分だということで出したお金だと自ら言っているんですよ。

 国家公安委員長、府連の会長も務められていましたよね。本当に自分の思いなんでしょうか。府連が組織ぐるみでやっていたことではないんですか。

 本当にそれでいいんですか。これは、もし事実と異なったら大変なことですよ、国家公安委員長。正直に言われた方がいいんじゃないですか。撤回しないですか。

二之湯国務大臣 再三私が申し上げましたとおりに、選挙が近づけば、政党活動のボリュームも大きくなってくる、そして、いわゆる党勢拡大のための活動も増えてくる。そういう形での、そういう私の寄附でございます。

 そして、国会議員を辞めた方がそういうお金をそのように思っておったということでございますけれども、それについて私は関知をいたしておりません。

階委員 最初のパネルに戻していただくと、今国家公安委員長がおっしゃったのと似たようなことを、二月十四日の、このパネルの後半部分で述べられていますね。参議院選挙というのは全県一区の選挙でございまして、京都府連としてもいろいろな費用が重なるというような話があります。

 いろいろな費用ってどんな費用なんですか。おっしゃってください。

二之湯国務大臣 これは政治家ならば誰でも御存じだと思いますけれども、政党本部、私どもで申しましたら自由民主党京都本部から京都府連に何千枚というような政策ポスターが来る、あるいはマニフェストのパンフレットが来る、あるいはチラシが来る。これはなかなか京都府連だけではさばき切れませんので、これを自由民主党京都府連に所属の府会議員、京都市会議員に応分の負担をしてもらう、いわゆる政治活動の負担を分担してもらう、こういう趣旨でございまして、先生方が本当に政治家をやっておれば、そういう形の活動が増えてくるのは当然でございます。

階委員 いや、今の話を聞くと、地方議員に応分の負担、まあ作業の負担ということなのかもしれません。要は、地方議員に渡すことを前提としている話でしたよね。さっきと話が違いますよね。地方議員に渡したんじゃないですか。

 これは一人当たり五十万円ずつ渡っていますけれども、そもそも何で五十万円必要なんですか。

二之湯国務大臣 何かお金が先に立っているような話でございますけれども、私たちは活動を分担してほしいと。活動を分担してほしい、こういうことでございまして、ビラも、あるいはチラシもポスターも、それぞれの、そういう自分たちの範囲でお手伝いしてほしいと。それにはいろいろな費用がかかるでしょう。ガソリン代もかかる、あるいはレンタカーも借りなきゃいかぬし、いろいろ走り回るということが、いわゆる政党活動であり、いわゆる党勢拡大である、このように思っております。

階委員 では、整理しましょう。

 さっき、いろいろな費用と言いましたけれども、このいろいろな費用には京都府議や京都市議に配るお金も含まれている、こういうことを大臣はおっしゃっているわけですね。

二之湯国務大臣 活動に伴う費用が重なってくる、こういうことですよ。

階委員 活動の中身が問題となるわけですけれども、これは、前回も述べましたけれども、私、公職選挙法を所管する総務省にも確認したわけなんですが、選挙の候補者が、直接地方議員にお金を渡さずに、京都府連のような別団体を経由させたとしても、選挙買収の意図があれば買収罪が成立するということなんですよ。

 本件については、既に報道されていますとおり、二之湯国家公安委員長以外の国政選挙の際も、その直前に自民党京都府連が候補者から資金を集めて京都府議や京都市議に配るということが何度も行われていました。そして、自民党京都府連の事務局長が後任に引き継ぐ際の文書に、マネーロンダリングと記載していたことも明らかになっています。こうしたことから、地元の弁護士などは刑事告発をする方針だということも報道されています。

 自身が密接に関係するところでこうした事態が生じているわけですね。警察運営をつかさどり、選挙の公正を含めた公共の秩序を維持する任務を負う国家公安委員会のトップとして、この事態をどう受け止め、自身の責任をどう考えているか、お答えください。

二之湯国務大臣 自由民主党の京都府連の活動は、何らやましいところなし。法にのっとって、正しい政党活動、あるいは、いわゆる党勢の拡大活動をいたしておるわけでございまして、今回、昨日、そういうネットに出ているニュースを耳にいたしましたけれども、私としては、全く適法にやっておられる、このように思っておりますから、そのような感想を持っているわけでございます。

階委員 二之湯国家公安委員長は、平成二十二年九月から平成二十五年の九月まで及び平成二十九年五月から令和元年九月まで、二度にわたって京都府連の会長も務めていらっしゃるわけですね。当然、京都府連のお金の流れは知っていらっしゃるわけだと思うんですが、そういう立場からして、このお金の流れについては全く問題はないと。そして、御自身が多額の寄附を選挙前にしていることも、これは地方議員に配るものではなくて、あくまで自分の思いだった、このようにお答えになっていますが、それで間違いないですね。

二之湯国務大臣 何遍も申しますように、私たち自由民主党は、政党助成金、あるいは議員の寄附金、あるいは国民政治協会からの協力金、こういうものを合わせて京都府連を運営しているわけでございまして、そういう国会議員の寄附も、何ら、法に照らしまして、適法であり、理にかなったものである、そういう前提で、そうして、そういう府連の財政状況を見て、この選挙活動、選挙活動じゃなくて政党活動、あるいは党勢活動のために、応分の負担、応分の寄附を、また、配下の支部、あるいは地方議員の政党支部に交付することは全く問題ない、そういう気持ちで私たちは府連を運営しておるわけでございます。

階委員 国家公安委員長、そうすると、これ、選挙直前であっても、我々、候補者にもなるわけですけれども、幾らでも、地方組織、県連とか府連とかに寄附をして、そして、県連とか府連は幾らでもその傘下の地方議員にお金を配っていい、そういうことになっちゃいますよ。本当にそれでいいんですか。

 これ、治安を守っていく立場、選挙の公正を維持していく立場として、それでいいんですね。

二之湯国務大臣 私どもは、本来、今の委員は、そういうお金が、いわゆる交付すること自身が政治資金規正法あるいは公職選挙法に抵触するんではないか、こういう前提の下での御質問でございますけれども、私たちはあくまでも政党活動あるいは党勢拡大のために使っておる。先ほど申しましたように、ポスターを貼ったり、広報宣伝カーを出したり、あるいはリーフレットを配ったりして、そして、府民の自由民主党に対する理解を求める活動は、何ら私は問題がない、このように思っております。

階委員 これ、岸田総理にも伺わなくてはいけません。自民党総裁であります。

 自民党の国会議員と地方議員との違法ないし不透明な資金の流れがここ最近続いておりました。令和元年の参院選では、総理の地元広島県で、地方議員を買収したとして、河井克行衆院議員、夫人の案里参院議員が有罪判決を受けて失職しました。また、今月十日には、昨年の衆院選で、自民党新潟県連の会長を務める県会議員から買収資金を要求されたということで、泉田裕彦衆院議員が刑事告発しています。

 このような負の連鎖を食い止めるためには、自民党総裁として、こうした国家公安委員長にまつわる疑惑、これは徹底的に解明して、必要があれば更迭するなり人事上の処分も考えるべき、そういう事案だと思いますが、総理の見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事案につきましては、例えば広島の案件につきましては、法に基づいて処分が行われていると承知をしておりますし、それぞれ状況、事案の内容は様々であると認識をしております。

 そして、先ほど来のやり取りを聞いておりまして、今回の資金の流れにつきましては、二之湯大臣の方から、法律にのっとって処理をしているという説明をしていると認識をしています。

 必要であれば、引き続き説明を行っていくものであると考えます。

階委員 国家公安委員長であり、李下に冠を正さずという言葉もありますよね。その国家公安委員長の足下でこういう疑惑が広がっているわけですよ。この問題について中途半端なことをやっていくと、また同じようなことが国政選挙のたびに起きるのではないか。そして、選挙の公正が害されるのではないか。ここら辺で、総理のリーダーシップで、この負の連鎖を食い止める必要があると思います。

 しっかりこの事案については総理のリーダーシップでちゃんと調査をさせて、そして、これを必要があれば処分につなげていく、こういうこともやっていくべきだと思います。

 改めて、総理の決意を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の京都府連の資金の流れについては、先ほど来、二之湯大臣の方から、法にのっとって処理をしているという説明をさせていただいていると承知をしています。

 そして、必要であれば、引き続き説明を尽くしていただくことが大事であると認識をしております。

階委員 では、また説明を求めていきたいと思います。

 前回のこの委員会で、九百六十万円の根拠を示す資料ということを求めましたけれども、あくまで自分の思いだということで、客観的な根拠はないということをおっしゃったわけです。ところが、それとは相矛盾するようなことが収支報告書を調べると出てきているわけなので、私たちは、またこの点についてしっかり調査して、二之湯国家公安委員長にまた説明責任を求めていきたいと思います。

 さて、コロナの問題に移ります。

 昨日の総理の記者会見で、記者から蔓延防止等重点措置の効果を問われて、飲食店でのクラスターは減少しているなど、一定の効果はあったということを述べられていました。その根拠は何でしょうか。

岸田内閣総理大臣 今の内閣における感染対策のポイントは、医療提供体制の充実と、そして予防、検査、早期治療、こうした流れを強化していく、こうした全体像をしっかり示すことによって国民の皆さんの安心を得るということであると承知をしております。

 その中の一つの対応、人流抑制のありようということで蔓延防止等重点措置の取組が行われているわけですが、その中で、昨日も申し上げたように、今、新規感染者の数の増加、拡大が落ち着いているということ、この蔓延防止等重点措置だけでこうしたものが、こうした結果が出るということは申し上げませんが、しかし、少なくとも、飲食店のクラスター等の発生が報じられていないということを考えたならば、こうした重点措置も一つの効果が上がっているという認識を昨日示させていただいた、こういったことであります。

階委員 蔓延防止等重点措置の効果があったと言えるためには、この重点措置の適用があった地域の方が適用がなかった地域よりも飲食店のクラスターが減少したと言えなくてはいけないと思います。ただ、そのような事実を裏づける証拠はなかったと思います。

 ということは、重点措置のおかげで飲食店のクラスターが減ったのではなくて、これは別の要因で減っているのではないか。

 例えば、重点措置の適用がない私の地元の岩手県、こうしたところは、やはり、日々感染者が全国で急増している、亡くなる方も多くなっている、そして医療も逼迫している、こういうことを見て、自ら飲食店に行くことを控えているわけですよ。その結果飲食店のクラスターが減っているというわけであって、別に蔓延防止重点措置があったから減っているわけではないんです。

 ということは、逆に言うと、それだけ今政府がやっていることは、皆さんに安心して飲食店に行けるような状況をつくれていない、つまり、後手後手に対応がなっているということだと思います。

 やはり、後手後手にならないようにするためには、重点措置の適用がない地域でちゃんと対策を取るべきだと思います。

 二の一というパネルを見てください。

 ところが、重点措置の適用がない地域では、上の方ですけれども、感染対策を講じている認証店は協力金がもらえないわけですね。このような地域でも、都道府県知事が判断すれば、非認証店は二十時までの時短要請に協力すれば協力金がもらえる。

 ただ、仮にこのような措置を取れば、当然、協力金をもらえない認証店との間でアンバランスが生じるわけですね。一月に沖縄で重点措置が適用される際も似たような話があったと思います。それで、我々が主張して、この資料の真ん中あたりですね、赤で囲った部分、一月十日、これを入れて非認証店とのバランスを取ったということがありました。

 こうした、このアンバランスを解消するための一つの案として総理に提案したいんですが、重点措置の適用がない地域においては、認証店も、非認証店と同じように、二十時までの時短要請に協力すれば協力金がもらえるようにしたらどうかと考えますが、いかがでしょうか。

山際国務大臣 先生のおっしゃっていることと我々が考えていることは相当根っこの部分で違うと思います。

 私たちは、極力、経済は自由に、民間の創意工夫で行っていただきたい、それが健全な社会の基本であるというふうに思っておりまして、だからこそ、自分の自由意思で、何の制限もないときには、当然ビジネスができるようにすると。しかし、そこで、いろいろな理由があるかもしれませんけれども、認証が得られないところに関して、知事さんがそういう思いを持ったときには、言ってみれば、営業に制限をかけるわけですから、それに対する協力という形で知事の判断で行うということがつくられているということでございまして、そもそも、何も制限がかかっていないところはしっかりと営業活動をやっていただく、これが健全な社会なのではないでしょうか。

階委員 理屈はそうかもしれませんが、現実は違うんです。

 これね、自由だとおっしゃっていますけれども、自由にやっていたら全くお客さんが来ないんですよ。大変な状況です。私の地元の繁華街も、全く飲食店はお客さんがいないですよ。多分、全国でも、蔓延防止等重点措置が適用されていない地域でもそういうことになっていると思います。

 それで、確かに、感染防止対策の一環としての協力金という中で、これを、感染が蔓延防止措置ほど広がっていない地域で協力金の支給範囲を広げていく、これは一考を要することだと思います。ただ、そうであるならば、もっと経済支援を充実させなくてはいけない。このまま自由に任せていたら、どんどん地方の飲食店は潰れていってしまいます。

 そこで、次のパネル。

 我々は何を訴えているかというと、今回、我々の提案を入れて事業復活支援金なるものがスタートしましたけれども、これでは不十分なんです。つまり、最高額で、上の方ですね、最高額で二百五十万、しかも対象期間が去年の十一月から今年三月までの五か月間なんですよ。二百五十万円。

 他方で、さっきの協力金は、最高額は一日十万円というところがあります。一日十万円払っていくと、二百五十万というのは二十五日で終わってしまいますよ。もう既にこの協力金をもらって三十日以上たっている、三十日ぐらいたっているところもあるわけですよ。

 そういうことからすると、この二百五十万というのは足りない。もし協力金を、さっき言ったように、対象範囲を広げないというんだったら、経済支援ということで、もっとその協力金に見合うぐらいしっかりとした経済支援をしていかなくてはいけない。

 そこで、我々は、この協力金の額も倍額にする、五百万円にする、そして四月以降も必要があればこの事業復活支援金の対象期間を延長するということをやろうということを提案しているわけです。今の協力金の仕組みでは、飲食店はどんどん潰れていってしまいます。

 そこで総理にお伺いしますけれども、こうした協力金の限界、これがある中で、この事業復活支援金、蔓延防止措置が、この間も尾身会長がおっしゃったと思いますけれども、ピークアウトした後も富士山形でなかなか感染者は減らないということが言われています。そういう中で、長引く経済的な落ち込みを助ける、飲食店をちゃんと支えていく意味でも、事業復活支援金のような経済支援策、充実させていくべきだと考えますが、総理、いかがでしょうか。総理、お願いします。

萩生田国務大臣 事業復活支援金は、新型コロナの影響により厳しい経営状況が続く事業者の皆様が三月までの見通しを立てていただけるよう、固定費の約半分を目安として、昨年十一月から三月までの五か月分を一括給付するものです。

 この支援金は、売上高の減少割合が五〇%以上の事業者に加えて、三〇%以上の事業者も新たに支援対象としていることに加え、例えば、売上高五〇%減少の個人事業者に対する月単位の給付金で比較した場合、持続化給付金が八・三万円であるのに対して事業復活支援金は十万円であるなど、持続化給付金よりも充実した支援措置になっております。

 さらに、事業復活支援金のほか、実質無利子無担保融資や、新分野展開などを後押しする事業再構築補助金も拡充するなど、事業者のニーズに合わせた様々なきめの細かい支援措置を講じているところです。

 御党より、事業復活支援金の支給額の上限の大幅引上げ、事業復活支援金の二〇二二年度以降の支給などを内容とする事業復活支援金・給付額倍増法案が提出されていることは承知をしております。事業復活支援金は、一月末から申請受付を開始し、審査を経て、その一週間後である二月七日には入金を開始しているところであり、まずはこの支援金の給付に全力を挙げたいと思います。

 その上で、四月以降の給付については、現時点では新型コロナの感染状況やこれによる事業者への影響を見通すことが困難であるため、予断を持って申し上げることはできませんが、いずれにしましても、新型コロナの影響による事業者の状況をしっかり注視しつつ、厳しい状況に置かれている事業者の皆様を支えてまいりたいと思います。

階委員 今の協力金の制度には、さっき言ったように、重点措置が適用されない地域では限界がある、支給対象が狭いという限界がある。そしてさらに、協力金に比べて、二百五十万円という上限額では足りない部分もあるということで、これはしっかり、地域の飲食店を支えていく意味でも、総理として、この問題については是非ちゃんと取り組んでもらう、この決意をお示しいただきたいんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の蔓延防止等重点措置の適用外の地域につきましては、御指摘の事業復活支援金、もちろんこれは大切な取組でありますが、併せて、様々な資金繰り支援、あるいは雇用調整助成金の特例等の人件費の支援等、様々な支援が重層的に用意されているというのが支援の体制であります。

 こうした体制、特にこの事業復活支援金は一月末からスタートするわけでありますから、この状況をしっかりと把握した上で、御指摘の四月以降の体制についても考えていかなければならないと思っています。

階委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 時間の関係で、最後、人への投資についてお尋ねしたいと思います。これは二月二日のこの委員会でもお尋ねしたところです。

 施政方針演説から抜粋したものを置いておりますけれども、官民の人への投資を早期に少なくとも倍増ということを高らかに宣言されていたわけですが、二月二日の答弁では、人への投資の定義と現在投資金額が幾らなのかということを伺ったんですが、明確な答弁がありませんでした。

 改めて、人への投資の定義と現在の投資金額、どうなっているか、これを伺いたいと思います。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 この人への投資の倍増ということにつきましては、具体的な予算を倍増するということを申し上げたわけでありますから、具体的な予算としては、オフJTの研修費用等の予算、投資、これを是非倍増させたいということを申し上げた次第であります。最近の推計値で、GDP比〇・一〇%、二千億程度ということでありますが、こうした予算を是非倍増していきたいということを申し上げました。

 そして、人への投資の定義ということについても御指摘がありましたが、こうしたオフJTの研修費用等、もちろんこれは含まれるわけでありますが、人への投資と申し上げた際には、こうしたオフJTの研修費用のみならず、非正規雇用労働者のキャリアアップ、リカレント教育など生涯にわたる能力発揮の促進、成長分野などへの労働移動の円滑化支援、こうしたものが含まれると認識をしています。

 こうした広い意味での人への投資を強化していくために、三年間で四千億円規模の施策パッケージ、これを創設して取り組んでいきたいと考えております。

階委員 GDPの〇・一%という数字と二千億という数字を言われましたけれども、ちょっと違うんじゃないですか、〇・一%だったら。

岸田内閣総理大臣 失礼。二千億ではなく、五千億でございます。

階委員 では、GDPの〇・一%を〇・二%にするというのが総理の国民への約束だということで伺ってよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 まず、その点はそのとおりであります。

 ただ、それにとどまるのではなくして、先ほど申し上げました、三年間で四千億の施策パッケージなど、広い意味での人への投資、しっかりと充実していきたいということを申し上げております。

階委員 本当に人への投資というのは重要なのですが、やはり、なぜこのような重要なことについてぱっと、定義とか、あるいは現在の投資金額が出てこないのか。

 あるいは、さっきも申し上げましたけれども、蔓延防止重点措置の効果というところで、昨日総理はおっしゃっていたわけですよ、飲食店のクラスター防止に効果があったと言うのであれば、蔓延防止重点措置をやっていない地域とやった地域でどれだけ差があったのか、これを示すのが、いわゆるEBPM、英語で言うとエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングですね、要するに、証拠、裏づけのある政策判断ということだと思いますよ。これが全くされていないので、この場での議論もなかなか地に着いた話にならないわけですよ。

 ちゃんと、お話をされる前に証拠をそろえて、国民に納得できる数字を示す、それでなければ単なる絵空事になってしまいます。総理、これからちゃんとやるということを約束していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の蔓延防止等重点措置の効果について、適用されたところと適用されていないところ、比較してという御指摘がありましたが、これは、蔓延防止等重点措置の適用されている都道府県を見ましても、この内容、飲食店において酒類の提供を全く控えている県もあれば提供している県もあるということで、それぞれの都道府県の事情に基づいて知事さんが判断するということで内容が決まっています。ですから、全く同じ条件で全て行われているわけではありませんので、これを厳密に比較するというのは適切ではないのではないかと思っています。

 あくまでも、この蔓延防止等重点措置適用に当たりまして、専門家の方々からも、マスクをつけずに大声で会話をするリスクの高い場面での人数制限などが有効である、こういった指摘を踏まえて、この蔓延防止等重点措置、大人数で長時間の会食や酒を伴う飲食、こうした感染リスクが高まる行動をできるだけ避けるといったことが重要であるという観点から、認証店制度を前提とした飲食店の時短要請等、こうした行動制限を実施してきたということであります。

 その中で、先ほど申し上げました、飲食店におけるクラスター、こうしたものが下げられているということから、一定の効果はあったと我々は認識をしていると御説明をさせていただいております。

階委員 先日、全国知事会というところで、蔓延防止等措置、これは飲食店の時短要請とセットになっていますけれども、これは、さっき山際大臣が否定された、経済対策ということでは意味があるけれども感染防止対策、クラスター防止対策ということでは意味がないというような指摘もあるわけです。

 ところが、昨日総理がおっしゃったのは、クラスターを防ぐ効果があったということをおっしゃっていて、これは知事会の認識とは全く違うわけですね。そうであれば、なおのこと、エビデンスをちゃんと出す。このエビデンスを出さない限りは全く説得力を持たないと思いますよ。

 知事会は全く反対のことを言っていますから、エビデンスを出すべきでしょう。出せないんですか、出さないんですか、飲食店のクラスターの点。

山際国務大臣 蔓延防止等重点措置を指定したところにおいて、その後、経時的に飲食店におけるクラスターが減っている、明らかに減っているというデータはもちろん我々は持っております。ですから、それがエビデンスになるわけですね。

 先ほど総理から御答弁申し上げましたように、条件が違うもの同士を比べるというのは決して科学的な話じゃないので、ですから、我々が持っている証拠に基づいて、我々はきちんとこれをやったことによってクラスターが減ったという証拠を持っていますから、その数値に基づいて発言をさせていただいているわけでして。そういうことです。

階委員 いや、だから、言わなきゃいいんですよ、証拠がないんだったら。証拠を出すのが難しいんだったら言わなきゃいいんですよ。だって、知事会は違うことを言っているわけだから、それと違うことを言うんだったら証拠を出さないと。総理。

岸田内閣総理大臣 この点に関しては様々な意見があります。私は先ほど、専門家の意見として紹介をさせていただきました。

 そして、クラスターが減少しているということについて、エビデンスについては、今、山際大臣の方から紹介させていただいたように、そういったエビデンスを把握しているからこそ一定の効果がある、これで全て、大きな効果があって、そして問題解決につながったなどと申し上げているわけではありません。

 この様々な政策を進める中にあって、一定の効果があると信じているからこそ、今の政権において蔓延防止等重点措置延長等もお願いしているということであります。

階委員 今日お尋ねして、昨日言っていることとは大分話が違うなと思いました。やはり、エビデンスがないんだったら言わないということが大事だと思います。

 是非、伝える力もしっかりとお願いします。

根本委員長 これにて野田君、玄葉君、城井君、階君の質疑は終了いたしました。

 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 二回目のテレビ入りの質問をさせていただくということで、先輩議員、同僚議員に感謝申し上げたいというふうに思います。今日は、東大阪市選出の岩谷良平議員にもお手伝いをいただきまして、質問をさせていただきたいと思います。

 まず一問目は、アサリの産地偽装問題についてでございます。

 外国産であるアサリが、私もいました熊本県、そこで、熊本県産と称して全国で大量に流通しているという報道がなされました。これを受けまして、二月一日に農水省が調査結果を発表したということになっているんですが、この調査結果、昨年の十月から十二月までの全国の小売の販売状況を調べた結果、そのうちの、推定販売量の八割が熊本県産だったということでございます。

 ちょっとこのパネルを御覧いただきたいんですけれども、八〇%の量が熊本県産だったと。しかし、目下、二〇二〇年度のデータですと、熊本県で一体どれぐらいのアサリが捕られたのかというと、僅か二十八トンなんですね。ですから、二千四百八十五トンも販売されているのに二十八トンしかない、どう考えてもおかしいわけです。

 このことが、じゃ一体、実態はどうなっているのかということで、農水省が更にDNA解析をしたということでございます。そうすると、この熊本のとして売られていたものの九七%が、これが、外国産が混入している可能性が高いという結果になりました。私も熊本にいた時代から、このアサリの偽装問題というのはずっとありました。繰り返し行われてきたんですけれども。

 そういうところで、何がこれは問題なのかといいますと、食品表示法に基づいて産地のルールが決められているんですが、長いところルールというのがあります。水産物の場合、輸入してからちょっと、出荷するまでの間に落ち着かせるとか育てるとかということで、国内にも置いておくということがありますけれども、これが例えば、海外、中国から来た場合に、一年というふうにこのパネルで書いてございますけれども、それより長い期間、国内で置いておいた場合には、国産というふうに名のれるというようなルールになっているんですね。

 ところが、アサリの場合には、大きくなると、どれぐらいの期間に国内にいたのかということもなかなか判別ができないということで、地元の熊本県でも、このルールそのものがやはり問題があるんじゃないかということで、見直しを求めているというようなこともあります。

 また、国内で置いておくというのを蓄養というんですけれども、蓄養のデータ自体も、これも、記録をしておくというような、書類の保管義務というものが定められていない、努力義務しかないということで、トレーサビリティーの面でも非常に問題があるというような問題があります。

 アサリ偽装事案、先ほどちょっと申し上げましたが、繰り返しこれは熊本県内でも取り上げられております。ここに御覧いただいたとおり、繰り返し進んできている、ずっとこの不正が改善されないということがあるんですけれども、こういった状況をやはりそのまま置いておくわけにいかないということで、二月八日には、熊本県の蒲島知事が上京して、金子大臣そして若宮大臣にも要望して、このルールを改めてほしいとか、あるいはトレーサビリティーをしっかりと改善してほしい、とにかく再発防止、そして、もしこれから同じようなことが起こった場合には厳しくこれは処罰をしてほしいというようなことも、これを要望しているということでございます。

 この問題が明らかになってから、本当に私も面白いなと思ったんですが、スーパーに皆さんも行っていただくと、生きアサリ、殻がついた、貝がそのまま、貝のまま売られているアサリが全く今なくなっております。そして、むき身アサリの蒸したやつ、これがパックで売られているだけなんです。そして、産地は見事にほとんど中国産ということで、これは、今日はテレビでお茶の間で御覧になっている方々も本当に痛感されていると思います。今までのアサリは一体何だったのか、熊本産、あるいはほかの県産もあったわけなんですが、これはやはり問題だろうと。熊本県知事もおっしゃっていますけれども、この問題をもうこんなに繰り返してはいけないというふうに思うんですね。

 そういうことで、次のパネルも御覧いただきたいんですけれども、これは熊本県だけじゃないというところも非常に問題、これは強調しておきたいというふうに思うんです。これは、九州農政局管内で問題視されて、偽装事案ということで取り上げられたものを列挙しておりますけれども、熊本県産と言っているものも、全然熊本と実は関係ないところがやっているということもございます。

 そういうことで、今日は時間がないので、まとめて続けて御質問をさせていただきますが、まず農水大臣、そして消費者庁に、この問題の分析、そして、これから二度とこうした消費者の方々を裏切らないような対策をどのように進めていくかということをお伺いしたいというふうに思いますし、また、岸田総理には、これからその再発防止を進めていく決意と、そして何より、熊本ということで、今、県庁にも物すごい、何百という苦情が来ているんですね。しかし、それはこれから実態解明されるでしょうけれども、必ずしも熊本産だからといって熊本の県内の人たちがやったことではないということもこれから明らかになってくるのではないかと思いますが、風評被害を発生するための、情報発信について、総理としてどのように取り組まれていくか。

 そしてまた、そもそもの問題としては、これはやはり、有明海もそうなんですけれども、日本中の海が痩せ細っているという問題があります。やはり、それだけの漁獲高が取れないということで、これが、国産の需要に応えるために不正が行われているという問題もあります。根本解決としては、やはり豊かな海を取り戻していく。

 有明海は閉鎖海でもありますし、そして、諫早の問題もまだまだいろいろありますけれども、そういう中で、豊かな海をどうやって取り戻していくのかということについても総理の御見解をお伺いしたいと思います。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 アサリの産地偽装事案につきましては、直近では昨年の十二月に、外国産アサリを熊本県産と偽り販売していた事業者に、食品表示法に基づく表示の是正等の指示、公表を行いまして、消費者庁や警察にも情報共有を行いました。

 二月一日に公表したアサリの産地表示の実態に関する調査を通じて把握した疑義についても、仕入れ先や販売先等の流通ルートを遡って立入検査等を行っているところでありまして、法に違反する事実を確認した場合は、表示の是正等の指示、公表を行い、消費者庁と警察に情報共有を行います。

 農林水産省といたしましては、引き続き、表示の適正化に向けて、関係機関とともに連携を取りまして厳正に対応してまいりたいと思います。

若宮国務大臣 委員御指摘のとおり、食品の表示、これは、消費者の皆様方にとっての商品選択に当たっての入口であり、そしてまた、かつ重要な判断材料であるというふうに思っております。産地を偽った商品が販売されること、これは消費者の信頼を揺るがす極めて重大な、深刻な問題だというふうに認識いたしております。

 今回の一連の事案を受けまして、二月の八日ですが、熊本県知事が来庁されまして、原産地表示ルールの運用の見直しなどについて御要望をいただいたところでもございます。現在のルールの下で表示違反を見つけるのがなかなか難しいということも背景にあるのかなというふうにも推察をいたしてございますけれども、御要望と現場の声をしっかりと受け止めてまいりたいと思っております。

 また、現在、先ほど農水大臣からもお話ございましたけれども、産地偽装に係る疑義解明の調査が行われているかと思います。農水省と連携をいたしまして、国内のアサリ流通実態を把握するなど、どうやったら表示の偽装を防げるのか、また、一番は、やはり、今、スーパーでもなかなか今商品が出回っていないというお話もございましたけれども、消費者の信頼を回復すること、これが一番だと思っております。御家庭でアサリをおいしく食していただけるような形、こういう観点から、消費者庁といたしましても、必要な取組、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

岸田内閣総理大臣 私も、かつて、初代の消費者行政推進担当大臣というのを務めたことがありました。そのときの経験からして、消費者の信頼という観点において、表示の適正化、これがいかに大事なことであるか、これを強く認識をしております。

 本件につきましては、関係機関一体となって、食品表示法違反への厳正な対応、これをしっかり進めなければならないと思っていますし、あわせて、熊本県が進める産地偽装の防止の取組に協力をしていきたいと考えます。

 そして、豊かな海という御指摘がありました。有明海再生特措法に基づき、熊本県を始め、有明海沿岸四県と協調し、アサリを含め、水産資源の宝庫である有明海の豊かな海としての再生に、政府としても取り組んでいきたいと考えます。

小野委員 ありがとうございます。

 とにかく、今日、是非頑張っていただきたいと思うのは、このアサリの偽装というものがずっと繰り返されてきていて、これが大きく消費者の皆さんの信頼を損ね続けているということでございますので、これはもう最後にするんだということで、是非、総理を始め、関係省庁の大臣、そして省庁の方々に、その決意で臨んでいただきたい。

 今、熊本においては、熊本県が漁協にお願いをして、二か月程度の出荷停止をして、その間に信頼を取り戻すための仕組みをつくろうということで努力をしています。その間、収入はゼロということになっているわけですね。

 こういったこともしっかり酌み取っていただいて、そして一丸となって、消費者を裏切るような行為がないようにということで進めていただきたいと思います。

 しばらく日本国民は、アサリの酒蒸しも食べられないというような状況が続く、そして、おわんに貝殻がついたアサリも食べられないということでございますので、これを一日も早くしっかり元の状態に戻すために頑張っていただきたいというふうに思います。

 次は、アフガニスタンの退避者の問題についてお伺いしたいというふうに思います。

 昨年の八月に、私どもも、今、写真、これは本当に、国民の皆さんも、映画のような光景を御覧になって、本当にこんなことあるんだろうかと。このカブール空港、タリバンが陥落させるということで逃げ惑って、飛行機にもしがみつくような方々がいらっしゃいました。

 そういう中で、日本も自衛隊機を派遣して何とか救おうというようなことで努力をされたわけですけれども、残念ながら、この飛行機に乗った方は、邦人が一名とアフガニスタン人が十四名というような非常に厳しい結果になりました。

 この反省点というのは様々あると思います。もう今日は本当に時間がありませんので、全てをいろいろ扱うことはできないんですけれども。もちろん、様々、これは外務省あるいは防衛省の方でも、反省点をこれからしっかり、繰り返さないようにしようということは進めていると思うんですが、私は、今日は一点、自衛隊機で退避させようとした人たちの対象についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 自衛隊機で連れて、危険が及んでいる方々、この対象は、大使館で採用されていた現地スタッフ、そして、JICAなど国際協力機構で雇用されていた方々、あるいはプロジェクトに関わっていた方々、そして、コロナで滞留していたアフガニスタン人の留学する予定でビザを発給されていた人たちというふうに限られています。

 ところが、それ以外に、逃げたいというふうに言っていた方々が対象になっていなかった。そのことが、アフガニスタン人の支援活動をしている人たちにとっては、やはり日本政府は冷たいんじゃないかと。

 例えば、対象外になっている方々は、留学を日本の大学なんかにしていたんですが、元々はアフガニスタンの前の政府のスタッフだったりしていた、そして、日本で勉強して、そしてアフガンに帰って活動していた、活躍をしていたということなんですけれども、そうするとタリバンに狙われてしまうんですね。日本側にいただろうということで、やはり命の危険を感じると。タリバンの人たちが訪ねてきて、そしてどこにいるのかと。それから、尋問されるとかというような経験をした人もいる。そして、自分の親族も殺害されてしまったというような方もいる。そういう方々も含めて、この八月に自衛隊機でこれを救うべきだったというふうに私は思っているんです。

 そして、今回、この国会で自衛隊法が改正されるということで、これを若干手直しをするということでございます。

 そのパネルがこれですけれども、これによると、今まで、自衛隊機に乗せられるという者については、もちろん邦人は当然ですけれども、外国人は対象になっていませんでした。今回は、先ほど、カブールで自衛隊機に乗せようとしていたような方々、大使館にお勤めの外国人の方、あるいは独立行政法人の現地スタッフの方、こういった方々が、今度、これは邦人と同乗させるということしか今までできなかったんですが、単独で乗せられるということになりました。

 しかし、その下、外務大臣が同乗させることを依頼した邦人や外国人、そしてその家族というところの要件は、実は変わっていないんですね。

 私は、やはり、細かく、今大使館で雇われているからとかいうことで線引きをすることが本当に人道上いいのかどうかということを問いたいというふうに思うんです。本当に生きるか死ぬかのときに日本を頼って、そして日本ともゆかりがあって日本を愛している、そして日本で学んだことを生かしながら、そしてアフガンでも復興のために頑張っていたと。それは、今雇用されているからとか、あるいは留学する予定があってビザがあるからとか、そういうことではないというふうに思うんです。

 やはり、日本の国益のことを考えるならば、日本に縁があって、そして命を狙われているかもしれないという人たちをちゃんと救う、そういうところまで含めて我々は考えていくことが必要だというふうに思うんですけれども、この自衛隊法の改正では、やはりそこは救えないというふうになります。そして、実際のところ、カブールに向かっていたバスに乗っていた人たちというのは、この下の部分の人たちというのがいなかったわけですね。

 ですから、今日は林大臣にお伺いしたいのは、私が今申し上げた、やはり本当に生きるか死ぬかの段階で、もっと、要件をそこで法律で縛るのではなくて、本当に人道上必要であれば救い出すというようなことが、やはり血の通った外交官としてはこれは大事なのではないかというふうに思います。ですから、その点について、この範囲についてどうお考えなのかということ。

 そして、総理には、もう一言だけお伺いしたいというふうに思いますけれども、今、このスキームで入国、退避できなかったアフガニスタン人が、様々な大学関係者とかいろいろな方々の努力で、この八月以降、日本に来ているんです。そういう人たちの生活とか居住とか、それから学習、就労とか、様々なサポートというものをやはりすべきだというふうに思いますが、この点について、政府としてこれからどういうふうにやっていくのか、今までもどうやってきたのか、その決意を総理にもお伺いしたいというふうに思います。

林国務大臣 昨年八月、政府といたしましては、自衛隊機による退避支援の対象、今お話があったように、大使館やJICAの現地職員と配偶者、子供、それから、いろいろありまして、研修プログラム参加者、昨年の夏に日本の大学に留学のために来日予定であった方、さらには、留学や日本のNGOへの協力などで日本に縁のあるアフガニスタン人のうち日本で身元保証人がある者、こうなったわけでございます。

 自衛隊機による退避支援の対象ですが、やはり退避に係る時間的な制約が存在した中で、日本政府との雇用関係や、日本における身元保証人の有無、生命身体に危険が及ぶ程度等の諸要素を総合的に勘案して決定したということでございます。

 その上で、自衛隊機による退避オペレーションの終了後も、日本政府としては、日本関係のアフガニスタン人の出国については、個別の事情を踏まえて、必要に応じて支援を行ってきておるところでございます。

岸田内閣総理大臣 我が国に退避されたアフガニスタン人の方々に対する対応ですが、例えば大使館の現地職員については、日本政府として、住居や食事、日本語教育の機会の提供等の支援を行っているわけですが、その他のアフガニスタン人ということにつきましては、事情は様々であります。NGO等が身元保証人になっているなど様々な事情がありますので、個別の事情を踏まえて、必要に応じた支援、これを今までも行ってきているところでありますが、これからもきめ細やかな対応を日本政府として行っていくことは重要であると認識をしております。

小野委員 もっともっと、やはり我々が人道重きにわたって、そして、本当にぎりぎりの状態でもっと行動できるんだというような法律、制度にしていただきたいというふうに思います。

 そういう意味では、今日は防衛大臣にお伺いをしませんでしたが、やはり、救援に向かっている自衛隊の方々が、本当にこれは人道的にやはりやるべきなんだと言えばやれるような仕組みにすべきだというふうに思っています。そして、そのこと自体が、これが我々の国益にもつながるんだ、日本はやはりそうやって本当に困ったときに救ってくれる国なんだということをしっかりと示す。

 今回、本当に私も、自衛隊、もちろん難しかったと思います。アメリカが、実は、本当はもうちょっと頑張ればよかったところもあるんでしょうし、そして、予想以上にタリバンの進攻が速かったということがあったと思いますけれども、これから危機的な状況がもしかしたらこの東アジアでも起こるかもしれませんので、是非そこで十分な対応ができるようにということを最後にお願いをしておきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので、これで終了させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、沢田良君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。沢田良君。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 私は、現在、財務金融委員、総務委員、そして地方創生委員という役割を担っております。

 本日は、初めての予算委員会による質問をさせていただきます。

 私は、特に財務金融委員として、国民の皆様の賃金を上げていくために、賃上げ税制という今回の政府提案をどうしたらよいのかというのを鈴木財務大臣とずっと議論してまいりました。

 本日は、兵庫県で活躍されております池畑浩太朗衆議院議員に御協力いただき、テレビや動画で見てくださる皆様にもできるだけ分かりやすく質問をさせていただきます。

 岸田総理始め大臣の皆様、関係省庁の皆様、委員部の皆様、本日はよろしくお願いいたします。

 まず初めに、岸田総理に確認をさせていただきたいんですが、岸田総理は、成長から分配への好循環という言葉と同時に、経済あっての財政という言葉をよく使われます。

 この言葉は、もちろん、時間軸であったり、優先順位等を意識してお話をされているというふうに私は感じておりますが、しっかりと経済を伸ばしていき、その結果財政が健全化されていく、やはり優先順位は経済である、そういうことを総理がおっしゃっているという認識で大丈夫でしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、今現在、コロナ禍の中で大変な危機に直面している、こうした危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行い、万全を期す、これが現在の状況だと思います。

 そして、その次に、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政についても考えていく、こうした順番で物事を考えていきたいと思っています。

 さらには、成長も分配もという言葉を使わせていただいておりますが、分配を考える際にも、この原資を考えなければいけない、そのためにもまずは成長戦略であるということも申し上げさせていただいています。

 経済成長を実現した上で成長の果実を分配していく、そして、それが新たな需要を創出し、次の成長につながる、成長を持続可能なものにしていく取組は重要であると認識をしています。

    〔委員長退席、今枝委員長代理着席〕

沢田委員 総理、ありがとうございます。

 まさに経済が大事だ、しっかり成長を促していくということ、総理の強い気持ちを私も同様に考えております。これをやはり軸にまず考えていかなければ、法律であったり仕組みの提案というものはできませんので、まずそこを軸にして、私は今回、この賃上げ税制、どうやって盛り上げていくのかという御提案をさせていただきたいと思います。

 まず、そもそも賃上げをなぜしていかなければいけないのかということで、こちらは、実質賃金の世界各国との比較グラフとなります。一九九七年を一〇〇としまして推移しているということになりますが、総じて見ていただければ、世界全体としてはほとんどが上を向いているという中で、カナダが横ばい、日本だけが少しずつちょっと減少している。

 これを何とかしようと、二〇一三年から政府の方で始まった賃上げ税制という仕組みがあります。簡単に言うと、賃金を上げてくれた会社に、上げた分の一部を法人税減らしますよという流れとなります。ただ、グラフを見ていただければ分かるんですけれども、この二〇一三年以降も下降トレンドに大きな変化は生まれていません。

 そして、今度こそはと、試算では二千七百八十億円ほどいきそうですという話を聞いているんですけれども、今までの仕組みとは本当の意味で抜本的な変化がないので、個人的には、正直、ここから急回復が見込めるかというと難しいというふうに感じています。

 ただ、この制度を今度は利用された額の推移になります。これは税金が減った分になるんですけれども、かなりあるんですね。二〇二〇年までで累計二兆百六十九億円の利用となります。昨年に関してはまだデータが出ていないということですので、今年の見込みとかを合わせると大体二兆円。

 これだけの税金を使ってもなぜ効果が出ないのか。これは二つの仮説が考えられます。一つ目が、制度自体に問題がある。そしてもう一つは、制度自体には問題がないけれども、それ以上に、環境の要因で下振れをしてしまったり、それをどうしても阻害してしまっている、こういう環境があるのではないか。

 私は、制度自体に問題があるとはどうしてもちょっと思えない部分もたくさんあるんですね。強いて穴があるとすれば、この制度は税制というものを使っている以上、利用できない方がいるという部分です。

 質問です。そもそも賃上げ税制を利用できない会社というのはどんな会社というふうになりますでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 赤字の企業など法人税を納めていない企業については賃上げ税制の適用はございませんが、予算面での措置など様々な取組が行われていると承知しております。

沢田委員 ありがとうございます。

 まさに、税金を納められない会社には恩恵がないと。

 別で中小企業庁さんの方からもヒアリングを受けまして、いろいろと違った対策をしているというお話は聞いたんですけれども、賃金を上げるということは大変大きなパワーが必要になることになります。

 そして、また追加で言うのであれば、この税制を知らないという方も当然多くいらっしゃると思います。私自身は、中小企業の経営をしてきた立場として、知らないと受けられない補助金やルール、融資というものが本当にたくさんあるんですね。逆を言えば、知っている人だけが得をする制度が日本には多過ぎるように感じます。

 上記内容を含めて、中小企業には不利な部分もあると感じますが、単純に、経済が好調で多くの企業が潤っていれば、賃上げ税制は十分に効果が見込めるとも感じます。

 ちなみに、これだけの税金を使って上がっていないということも含めて、鈴木財務大臣は、なぜ賃金が上がらないのか、どうお考えでしょうか、教えてください。

    〔今枝委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木国務大臣 我が国では、一九九〇年代のバブル崩壊がございました。それ以降の低い経済成長と長引くデフレによりまして、企業は投資や賃金を抑制をする、消費者も将来不安などから消費を抑制し、結果として需要が低迷、そしてデフレが加速するなど、企業が積極的に賃上げを行う環境ではなかった、そのように考えております。

 こうした中、政権交代以降、デフレではないという状況をつくり出し、二%程度の賃上げを実現したものの、近年、賃上げ率が再び低下傾向になってしまっているものと承知をしております。

 政府としては、成長と分配の好循環による持続可能な経済を実現するため、あらゆる施策を総動員をして賃上げに向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 デフレであったり、需要増という言葉も出てきているんですけれども、私は、二兆円以上もの税金を使っても効果が出ていない状況には、やはり違った要因があるのではというふうに考えてしまう部分があります。

 その一つとして言いたいのが、硬直した労働環境というものがあると考えております。終身雇用制度であり、強固な解雇規制です。

 簡単に言えば、一度雇ったらずっと雇い続けなければならない仕組みならば、少しずつ少しずつお給料を上げていこうという、給料を上げるのに対して上から押さえつけてしまうバイアスがかかりやすくなり、新しい人を雇うにしても、雇い続けなければいけないというプレッシャーから二の足を踏んでしまい、非正規の方やパートの方にしようとなればこそ、賃金の平均値はどんどん下がっていってしまいます。実際に非正規労働の割合が増えている中で、実質賃金を下押ししている圧力になっているとも考えております。

 私は、総理が目指す、賃金を上げていく環境をつくっていくためにも、この解雇規制の緩和として、金銭解雇を認める方向が必要と考えますが、総理の御見解はどうでしょう。

岸田内閣総理大臣 賃上げに向けては、先ほど御指摘がありました賃上げ税制についても、かつて行われた税制と比較しても、税率等深掘りをするなど拡充を行う、あるいは、看護、介護、保育といった公的価格を引き上げる、中小企業に賃上げを行う余力をしっかり確保してもらうためにも、適正な価格転嫁を行うための環境整備をしなければいけない。さらには、御指摘の、赤字法人に対しても、補助金の支給に当たって賃上げに積極的な企業を優遇する、あるいは、公共調達、公共事業、あるいは委託事業等において賃金の引上げに積極的な企業を優遇するなど、様々な施策を用意して賃上げを後押しし、そして、民間の賃上げの呼び水としていきたいと思っています。

 そして、御質問の労働移動、解雇ルールの方の話でありますが、解雇ルールの在り方については、多くの労働者が賃金によって生計を立てていること等を踏まえて、企業の雇用慣行や人事労働管理の在り方等も併せ、労使間で十分に議論が尽くされなければならない問題であると認識をしています。

 解雇無効等の金銭救済制度についても、金銭を払えば自由に解雇できるといった制度は導入しないということが前提になっていると承知をしておりますが、厚生労働省において、法技術的な論点について専門的な議論を行っているところです。本年度中をめどに、法技術的な論点について専門的な検討の取りまとめが行われると承知をしています。この結果も踏まえて、労使の意見を伺いながら対応を考えていきたいと思っています。

沢田委員 総理、ありがとうございます。

 本年中に検討がまとまるということで、大変心強いお言葉をいただいたんですけれども、この提案をするたびに首切り法案だという声で議論が止まってきた経緯がありますが、この強固な規制に守られているのは全労働者のうち三割に満たない大企業の従業員だけであり、この中でも、しっかりと働いて対価をもらいたいという方には反対をしている方もいます。また、公務員の方々が六%と考えると、残り六四%の多くの労働者にとっては労働環境の改善になります。

 何の補償もなく、簡単に解雇されている現場にいる、特に弱い立場の労働者にとって必要な提案であることも、改めて伝えさせていただきます。

 そして、我々日本維新の会は、解雇規制の緩和だけでは不安だという声もありますので、ベーシックインカム、毎月定額のお金をお支払いし続けることによって、しっかりとセーフティーネットの機能を高めながら、チャレンジしやすい環境をつくる、こういう提案をさせていただいております。

 ただ、年内ということですと、すぐこういう状況に動かないということも含めると、更に大きな環境として、経済の好循環を生み出すという方法を考えていかなければ、先ほどの賃上げ税制はうまくいきません。

 世界では、景気の拡大や過熱感を抑えるために金利の引上げなどが意識されており、アメリカ、イギリス、EUの中央銀行も金融の引締めに入っておりますが、日本銀行の現在のスタンスを教えていただけないでしょうか。

内田参考人 お答え申し上げます。

 欧米と我が国では経済、物価情勢が大きく異なっておりますので、金融政策の方向性もおのずと異なってくるというふうに思っております。

 すなわち、欧米では、消費者物価の上昇率が、米国では七・五%、ユーロ圏、英国では五%程度まで高まっております。

 一方で、我が国でございますが、コロナ禍からの景気回復、なお道半ばでございますし、消費者物価の前年比、直近一月は〇・二%となっております。

 先行きの消費者物価につきましては、エネルギー価格の動向にも左右されるということではございますが、一%は上回っていくと考えられますが、目標の二%には達しないというふうに見ております。

 このような状況でございますので、現在の金融緩和を修正する状況にはないというふうに考えております。

 日本銀行といたしましては、二%の物価目標を目指して、現在の強力な金融緩和を続けていく方針でございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 アメリカが七・五%ですか、そして日本は二%ちょっとという話が出ているんですけれども、まだまだ緩和を続けなければ厳しい状況が続いているということになります。

 今なぜこの話を聞いたのかというと、先ほど、鈴木財務大臣からも、デフレの状況であったり需要不足という話が入ったように、経済の好循環とそして賃金の硬直性、そして日本銀行が進めるインフレターゲット二%というものは大きくつながっております。

 以前、アベノミクスで三本の矢として大規模金融緩和、財政出動、成長戦略を打ち出し、一気に社会の雰囲気がよくなった瞬間、消費税を三%も引き上げて経済の好循環を壊してしまったのは有名な話です。経済が力強い好循環をしてから分配や財政の引締めを行うべきの順番を間違えれば、負債と国民負担しか残りません。

 現に、令和二年度末の債務超過は、過去最高の六百五十五兆円、令和三年度の国の国民負担率は四八%にまで上っております。

 岸田総理も一番最初に言ってくださいました、経済が優先だと。私は、賃金を上げていくためにも、経済の好循環が最優先であり、プライマリーバランス黒字化は取り下げるべきだと、再三にわたって私が所属する財務金融委員会で鈴木財務大臣に伝えてきました。ただ、鈴木財務大臣は、経済も財政も大事だ、プライマリーバランス二〇二五年黒字化もやるんだと言う。

 鈴木財務大臣に改めてお伺いいたします。

 財務省の財政健全化の定義と、プライマリーバランスの黒字化を目指しても賃上げや経済の好循環を阻害しないと言える根拠は一体何なんでしょうか。

鈴木国務大臣 まず、財務省の財政健全化の定義というお話がございましたが、政府といたしましては、財政健全化の目標として、骨太の方針二〇二一におきまして、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化等を掲げているところでございます。

 そして、その達成に向けましては、政府では歳出改革を進めているところでございますが、厳しい財政状況の中にありましても、将来の成長力、企業の活力につながるよう、質の高い予算としていくことが重要であると考えております。

 例えば、令和三年度補正予算のものづくり補助金では、赤字でも賃上げ等に取り組む事業者に対しましては補助率を引き上げる特別枠を設置しており、また、令和四年度予算でも、診療報酬のめり張りある改定を行いながら、人への投資の推進などに予算を重点化するなどの工夫を積み重ねております。

 このように、賃上げを含めた経済の好循環とプライマリーバランス黒字化は両立可能であり、新型コロナの危機を乗り越え、経済を立て直し、そして財政健全化に向けて取り組んでいくことによりまして、次の世代に、未来につなげていくことが我々の責任である、そのように感じております。

沢田委員 今のお話を聞いていて、やはり危機感が足りないと言わざるを得ません。

 消費税を三%上げて景気が腰折れたと同時に、経済は生き物です、上がるものもあれば流れるものもあり、その中で、小さな動きでも、大きく流れ始めたものが止まることは多々あることです。左では緊縮をし、右ではお金を使って、それでしっかり対応しているといっても、結果としては、それは経済にとってプラスにもマイナスにもないと私は考えます。大事なことは、しっかりと賃上げを行っていく、日本の経済を伸ばしていく、そこに振り切っていくことだと考えます。債務残高比の話も、一般論でいろいろ出てきます。GDP比でしっかりと計算しましょうなんという経済評論家の方々もたくさんいます。

 要は、この財政健全化というものは、一旦は、定義されていないという中でも、GDPというものが大きく影響する中で、経済を上げていくことでしっかりと財政健全化が図れるというのは、数字の中でも分かっていることです。

 結局、鈴木財務大臣とはいつもここで平行線で、だからこそ、是非今日は総理にお伺いしたいんです。

 賃金を上げたい、そのために経済の好循環を生み出していきたい、経済あっての財政と総理もおっしゃいました。

 総理に提案です。

 プライマリーバランスの黒字化という緊縮政策を一旦撤回して、経済の好循環を後押しするために、財政出動として消費税の減税を実行して、経済の好循環を進めていきませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、経済の成長、これは、好循環を実現するためにも、持続可能性を維持するためにも、大変重要な課題であると思います。経済の成長をしっかりと考えていきます。

 ただ一方、財政について御質問いただきましたが、財政は国の信頼の礎であるとも思っています。そして、それを評価するのは、私たち自身が大丈夫だ大丈夫だと言っても、これは評価ではないわけであります。国際社会が、あるいは市場が、本当に日本の財政の信頼を維持してくれるかどうか、これを見ていかなければなりません。

 プライマリーバランスの黒字化については、二〇二五年という目標があり、先日政府の出した数字においても、この目標は維持していく、こういった数字が確認をされているところでありますが、日本の財政、日本の国の信頼を市場においても国際社会においてもしっかり維持するためにはどのようなコントロール、かじ取りが必要なのか。こういった点も、経済の成長をまずしっかり優先するとしたとしても、その後、国として、政治としてしっかり考えていかなければいけないポイントではないかと考えます。

沢田委員 今総理がおっしゃいました世界からの評価ということにもなるんですけれども、今、日銀が国債の買入れを行っていることもあり、金利は安定しております。さらに、CDS、クレジット・デフォルト・スワップです。いわゆる日本が破綻する確率というものを世界の相場に流しているものがありますが、これの確率が〇・四%です。大変低く日本の財政破綻危機というものは言われているというのが世界的な、客観的な事実です。

 こういった状況も含めて、私は、これからの経済をどういうふうなかじ取りに持っていくのかということは一つの大きな材料として考えていただきたいんです。

 私は、余談となりますが、尊敬している政治家が二人います。一人が、私の日本維新の会をつくってくださいました松井一郎代表と、もう一人は池田勇人元総理です。岸田総理が入っておられる宏池会をつくられた方でもあります。私は、言ったことを実現した、所得倍増計画、これをまさに実現した、そして日本の高度経済成長の礎を築かれた、そういった偉大なる総理だという認識を持っています。まさに、経済に対しての物言いを、それから続く自民党の政治とは一線を画すような、そういった総理大臣だったというふうに考えています。

 宏池会から出た総理大臣は三十年ぶりということで、岸田総理がどうやってこの経済に対して大きくコミットしてくださるかということは、私はこれからも大きく期待したい。

 と同時に、やはり、これだけ多くの総理が入れ替わる中、私は昨年の十一月に当選したばかりです。一般人の目線でも、総理大臣の顔を覚えている人も数少ないぐらい、本当に総理となっても何も変えられない、何もできない、そういったことを見てきました。私は、それが今できるのが、まさに岸田総理の役割だというふうに考えております。是非そこについても意識して動いていっていただきたいと思うんです。

 そして、それは我々日本維新の会としても、政党、主義主張関係なく、最終的に成長させていくというところでは一緒だと思います。是非、プライマリーバランスの黒字化、しっかりともう一度考え直してもらうことを党の中でも調整いただければと思います。

 時間となりましたので、質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、浦野靖人君から関連質疑の申出があります。小野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。浦野靖人君。

浦野委員 よろしくお願いいたします。日本維新の会の浦野靖人です。

 沢田君は大阪の人じゃないんですけれども、笑いを取って帰っていきました。私は真面目にやりたいと思います。

 まず一点目ですけれども、社会保障と税の一体改革、これはもう大分言われてたちますけれども、そのときに、三党合意でお約束をされた一兆円という数字があります。これは、増税によって確保された財源で、社会福祉等に使っていく、その財源を、一兆円をそれに向けていくんだということでお約束されて、消費増税をしたわけですけれども。

 これはもう長い間、そのうちの七千億は手当てはされてきましたが、残りの三千億、なかなか手当てができていないということで、この国会、これまででも様々な場面で議論があったと思います。

 私、今回の予算委員会、いろいろな質疑を聞いておりましても、こども家庭庁、今回、野田大臣が立ち上げの大臣としていらっしゃるわけですけれども、二月一日の早稲田委員の質問の中で、例えば、今回のこの予算案ですね、少子化に対する予算、全体としてどれぐらい増えたのかという質問に対して、一千四百億円程度増えていますという答弁もありました。

 それ自体は私も大歓迎ですし、子供たちに対する予算をどんどん積み上げていっていただくというのは大事なことなんですけれども、ただ、であるならば、三党合意で国民に約束をしたこの予算、残りの三千億円というのを横に置いて、こういった一千四百億円とかそういう数字が突然湧いてくるわけですね。それならば、私はやはり、最初に約束をしたこの三千億をまず手当てをきっちりしていくべきだと思っているんです。

 まず、現在の、今、この一兆円の財源の手当てに関する現状をお話しいただきたいと思います。

野田国務大臣 御指摘ありがとうございます。

 社会保障と税の一体改革等において、幼児教育、保育、子育て支援の質、量の拡充を図るためには一兆円超程度の追加財源が必要とされています。

 消費税率一〇%への引上げにより〇・七兆円程度については既に確保したところですが、残りの〇・三兆円超の確保については、各年度の予算編成において財源の確保に努めることとされています。

 〇・三兆円超の事項に関するこれまでの取組としては、保育士等の二%の処遇改善、栄養管理加算の充実など、可能なものから実施してきたところであります。

 私の方からは一応それだけ、事実としてお答えします。

浦野委員 質問させていただく中で、打合せの中で、正直、非常に多岐にわたる予算づけを行っているので、正確にあとどれぐらい予算がついていないのかということに関しては担当省庁もなかなかはっきりとした数字が出せない、ただ、その約束をした三千億までには届いていないことだけは事実ですということでした。

 大臣もかなり丸く答弁をされましたけれども、私は、やはり、その財源の確保というのは、もちろん、野田大臣にもあるかもしれませんけれども、総じて、総理がしっかりと、そういったところ、国民との約束を、もう既に十年たちますかね、恐らく十年以上たっていると思いますけれども、その約束をいつ果たすのかというのを御答弁いただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の〇・三兆円超の事項については、今、野田大臣からも答弁があったとおりであります。

 これは全部消化していないのではないかという御指摘でありますが、政権交代以降、平成二十九年の新しい経済政策パッケージや、今年度からの新子育て安心プラン、こうした様々な取組を通じて、優先順位をつけて、様々な予算を用意してきました。

 引き続きまして、様々な、時代の変化ですとか、あるいは議論の中身、これをしっかり念頭に置きながら、この予算づけ、しっかりと優先順位をつけ、めり張りが利いた予算を組んでいくことによって国民の期待に応えていくことが何よりも重要であると認識をいたします。

浦野委員 とはいいましても、最初にそれを約束して増税をしたわけですから、それが最優先であるべきだと私は考えています。

 また、こういったことについて、確かにこの予算をつけたからといって、使い道はもう決まっているんですよね、何に使うというのはもうある程度決めていて、それをするためには、実は人を増やしていかないけないということもあって、じゃ、保育士をそれだけ人数を手当てができるのかと言われると、そんなにすぐにはできないというのが現状ですので、確かに難しい部分はありますけれども、しかし、それを難しいからといって先送りにしていくのではなくて、しっかりと政府として責任を持って対応していただけたらと思っております。

 そして、次の質問ですけれども、幼保一元化というものが過去にありました。これは、我が党の三木委員からも質問がありましたけれども、一元化ということを進めましたが、蓋を開けてみれば、三つに分かれてしまったということだったんですけれどもね。

 これは、こども家庭庁になる過程でどうも一元化をしないということなんですけれども、これはなぜしないんですかね。

野田国務大臣 お答えします。

 昨年末に閣議決定しましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針において、幼稚園、保育所、認定こども園といった施設類型を問わず共通の教育、保育を受けることが可能となるよう、幼稚園教育要領及び保育所保育指針の策定に当たり、これからできるこども家庭庁と文部科学省との間で相互に協議を行うということとし、これらの基準を共に策定することとしています。

 これによって、三施設の教育、保育内容の基準の整合性を制度的に担保してまいります。子供目線ということですね。どの園もしっかり子供にとっていい育ち、学びの場にしていくことが、こども家庭庁が一番やらなければならないことだと思っています。

 また、いずれの施設に通っていない未就園児も含めて就学前の全ての子供の健やかな成長を保障することが必要です。このため、子供の健やかな成長を支えるために留意すべき事項等を指針として閣議決定をして、認可外施設を含む全ての施設や保護者に徹底するとともに、未就園児の実態把握を進め、市町村と連携し、子育て支援サービスにつなげたり、就園を促したりするアウトリーチ型の支援など必要な方策を検討し、進めてまいります。

 これらを通じて、就学前の全ての子供が共通のの保育、教育を受けることが可能になり、健やかな成長が保障されるよう、しっかりと取り組んでまいります。つまり、大人のつくった仕組みを優先させるのではなくて、一番やるべきは、今まさに学んでいる、まさに育っている子供たちの質の向上について、まずこども家庭庁は実から取っていきたいという取組でございます。

浦野委員 おっしゃっていることは私も否定はいたしません。ただ、未来永劫この三つの類型、いろいろな保育ニーズとかそういう利用者さんのニーズに応えるために様々な類型が出てきているのは、例えば企業型とか、そういうのもあります。ありますけれども、この三つの、三元化された類型は、元々一つにしましょうといった議論がスタートだったわけですよね。ということは、一つにできる、一つにするために認定こども園制度ができ上がったわけです。だから、一つにできるわけですね、制度はね。

 でも、これはしばらくはもちろんやらないということなんですけれども、これはもう未来永劫やらないということでしょうか。それとも、やるのであればロードマップ、運営者側も、それは、やるのであれば、いつ頃までにどういうふうにして統合していくということが分かれば、経営の目安にもなりますので、その点をお聞かせください。

野田国務大臣 現時点では考えていないということで、今既に認定こども園ができてから、それぞれの園の増え方、減り方とかいろいろデータを取っておりますので、やはり子供目線ということは、子供と親にとって利便性の高いところが生き残っていくんだろうと思います。そういう中で、自然な統廃合もありかなと。

 それに今、取りあえず三園ありますから、それのメリット、デメリットをしっかり調査しながら、慎重にそこは、子供のために何がベストかというのを考えながら取り組んでいきたいと思います。

浦野委員 ありがとうございます。

 次に移りたいと思います。

 野田大臣も答弁の中で、ワンストップというお言葉をお使いになっていますけれども、保護者の面から、子供のことで行政に行ったときに、ワンストップでそういった対応はしてもらえるのかというのが一点。あと運営者側ですね、子供のそういった施設とかを運営している側も、市町村とかにいろいろな相談で行ったときに、ワンストップで全部そこに行けば全て話が終わる。例えば行政あるあるで、それはどこどこに行ってください、それはどこどこに行ってくださいとたらい回しにされて、結局最後、どこに行って聞いたらいいのか分からないというのがよく起こります。そういうことが、このこども家庭庁でなくなるということでよろしいんですか。

野田国務大臣 こども家庭庁の創設でというよりも、子供政策の充実で、様々今まで取り組めなかったことなんかが解決していくのではないかと思っています。

 ただ、子供政策の具体の実施は、御承知のとおり、地方自治体が担っているわけで、基本的には地方自治体の判断が一番大事です。その地方自治体において、それぞれ子供政策の関連部局が連携を図る、そして手続のワンストップ窓口を整備する等、アクセスを分かりやすくしていくということは重要である、これは認識をしています。

 子供にとって、特に子供の保護者が子供にとっていい育ち、学びと接していくために、やはり、とりわけ母子保健とか地域における相談体制については、例えば妊産婦に対する母子保健と子育て世帯に対する児童福祉、これについて一体的に相談支援を行う機能を有する機関として、こども家庭センターの設置について、今、今度のこの通常国会に児童福祉法改正の提出を検討しているものと承知しています。これはまさに、こども家庭庁の前倒しというか、先に取り組んでいただけることで、こういうことで、地域における相談支援の機能の強化には、保護者の取組のあれには強化していけるのではないかと思っています。

 以上、私から申し上げることはそういうことです。

浦野委員 是非この点は、これからこども家庭庁の議論が進んでいく中で、私は、一番重要なのは、市町村の窓口でそういった一元化ができるというのが一番重要だと思っているんですね。特に、やはり保護者の皆さんに対してそういうことができるというのは非常に重要だと思います。

 ただ、そういった運営側の、事業者側のことも、やはりワンストップで相談ができるような体制を整えていただきたいんですね。例えば保育園と学童保育と放課後デイサービス、これは三つ全て、子供たちのためにやるものですよね。複合施設としてこれをやりたいというふうになった場合、一つは市町村です、一つは都道府県です、最終的には国に聞いてくださいということになっているんです、今は。それを一つ一つ汗をかいてクリアをしていかないといけない、それが今の現状なので、そういったことがないように、これから制度設計をしていく中で、事業者側もしっかりと、ここに一つ相談に行けば全て対応してくれる、しっかりとやってくれる、そういった仕組みを是非大臣につくっていただきたいと思います。

 今、そういった施設は大阪にもあります。そこはいろいろな苦労を重ねて、やっと今形にして運営を始めていますけれども、是非、時間があれば、そういったところも見に行っていただけたらと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 子供関係の最後の質問ですけれども、これも私どもの三木委員の質問の中で、大臣が答弁をされた中で、小一プロブレムの問題、認識についてお伺いをしたときの答弁なんですけれども、漢字のことを引き合いに出されてお話をされました。それはちょっと小一プロブレムと関係ないんじゃないかと私は思ったんですけれども、質問の後、業界の多くの方々から、あれは関係ないやろうという結構大きな声がありまして。

 いま一度、小一プロブレムというのはどういう問題なのかというのをちょっと答弁いただけたらと思います。

野田国務大臣 小一プロブレムとか、小一の壁とか、様々SNS上でも議論があるところですけれども、定義もなく、固定的なものでもありません。

 親は子供を育てる中でたくさんの問題を抱えるわけで、とりわけ小学一年に上がる、要は、小学一年からは義務教育だからみんなひとしく行けるんですけれども、実は幼児教育は御承知のように義務教育じゃないから、行ける人と行けない人、行きたいところに行けない人、様々な問題は元々内在しています。

 例えば保育園の問題も国会で随分議論になりましたけれども、望んでいる保育園に行けなくて次の保育園ということで不満を抱えた親もたくさんいますから、そういう中で、立ち位置によって、例えば、自分の子供の発育がちょっとほかの子に比べて遅れているのは、幼児教育で何かあったのか、また学びとか、様々、それは個々、親によっても違いますし。

 いずれにしても、幼児教育という、未就学の子たちが義務教育に入ったときに、友達との違い、格差、落差みたいなのに、やはり親が、なるべくそうならないような任意であっても幼児教育であってほしいという願いが、様々な形で小一プロブレムと呼ばれているものだと私は思っています。

浦野委員 保育所保育指針でも、幼稚園指導要領、この二つで、これはまだ、更に統合していくというお話もありましたけれども、そこに書かれていることなんですけれども、これは保育指針の方ですけれども、「子どもは、保育所から小学校に移行していく中で、突然違った存在になるわけではない。発達や学びは連続しており、保育所から小学校への移行を円滑にする必要がある。しかし、それは、小学校教育の先取りをすることではなく、就学前までの幼児期にふさわしい保育を行うことが最も肝心なことである。つまり、子どもが遊び、生活が充実し、発展することを援助していくことである。」こういうことが書かれているんですね。

 ともすれば、小学校に上がる前に、幼稚園、保育園、そしてそれに行けていない子供たちを何とかしてから小学校に上げようという論調がたまにあるんです。

 そうじゃなくて、子供は小学校に上がって、初めての環境で突然みんなで机を並べて勉強し始める。それはみんな、まともに座れないですよ。環境が変わるわけですからね。それが全員、一〇〇%座っている方が怖いです、子供が。そういった状況は当たり前であって、それをどう義務教育の中で、六年、三年の九年間でどういった教育をしていくのかというのが義務教育だと思っていますので、細かい話になりますので、是非またほかの場面でも議論ができたらと思っております。

 最後に一つ、目線を変えて質問をしますけれども、LSAというものがあります。ライト・スポーツ・エアクラフトというものなんですけれども。

 目にされた方もいらっしゃるかもしれませんけれども、少し前に十九歳の女性が世界一周をその飛行機でしたということがニュースになりました。その記事によると、残念ながら、そのとき日本はLSAを認めていないから日本には来れなかったんだ、日本を飛ばして世界一周をして帰っていったという記事だったんですけれども、実は少し違うということで、確認をさせていただいたら、LSA自体は日本でも飛べると。

 これができた当初から航空局の皆さんもいろいろな努力をされて、法律上は全然国内でも飛べる。実際に飛んだことがあるそうです。じゃ、なぜその飛行機は来なかったのかというのは、それはいろいろ事情があるらしいですけれども、それは今回横に置いておきます。

 何が言いたいかといいますと、結局、法律上はその飛行機は飛ばせるにもかかわらず日本でほとんど飛んでいない、普及していない、このことが問題なんですね。

 これは、今、世界中の飛行機産業が力を入れて一生懸命育てている産業、日本はそれに既にもう乗り遅れてしまったわけです。十年以上前からあるにもかかわらず、日本では乗り遅れた。G7でほとんどLSAが飛んでいないのは日本のみということで、お隣の中国なんかは、その生産をばんばんやっている会社があるということなんですね。

 私はそれを、駄目じゃないか、もっと追いつけというのではなく、それだったらもう駄目なので、更に一歩先の、今トヨタがつくっている水素エンジンだとか、あとは出力の高い電気モーター、そういったものは今日本でかなり開発が進んでいます。LSAという飛行機はかなり軽量化された飛行機で、そういった動力でも十分に飛ばせる、そういったものです。日本の技術を結集して、今飛んでいる化石燃料のLSAを通り越して、水素や電気で動くLSA、日本が主導して世界に産業として打って出ていくということを考えるのはいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 航空機産業は、足下では新型コロナの影響による大きな影響を受けていますが、中長期的には持続的な成長が見込まれるとともに、広い裾野と高い技術力を有する重要な産業だと思っています。

 同時に、国際的な脱炭素社会の潮流の中で、航空機産業においても温室効果ガス排出削減のための革新的な技術導入が求められておりまして、こうした変革は我が国航空機産業の国際競争力を強化するチャンスでもあります。

 こうした中、経産省としては、次世代航空機開発に必要な技術分野について、グリーンイノベーション基金なども活用して、例えば、水素エンジンについてはコア技術であるエンジン燃焼器や燃料供給システムの開発支援、電動化については蓄電池やモーター関連の主要部品の技術開発支援などの積極的な支援を行ってまいります。

 今後、空飛ぶ車や委員御指摘の小型の飛行機も含め、多様な空のモビリティーの普及が見込まれる中で、こうした我が国の技術開発の成果が広く次世代航空機において適用され、社会に実装されるように、海外の航空機メーカー等との連携も後押しをしてまいりたいと思います。

 こうした取組を通じて、航空機産業の発展に向けた取組を進めてまいりたいと思います。

浦野委員 丁寧な答弁、ありがとうございました。

 もう時間が参りますので終わりますけれども、こども家庭庁ですね、若者協議会というのが国会でも活動していますけれども、その人たちがよく、子供たちの声を直接聞けるシステムをつくってもらいたいということをおっしゃっていますので、是非それも検討していただけたらと思います。

 どうもありがとうございました。終わります。

根本委員長 これにて小野君、沢田君、浦野君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 まず、立憲民主党、維新の両党の皆さんに時間をいただいていることを心から感謝を申し上げたいと思います。

 さて、国民民主党は、昨年の衆議院選挙で、給料が上がる経済の実現、人づくりこそ国づくりを掲げて戦いました。岸田内閣も賃上げまた人への投資を重視しており、大きな方向性では一致していると思っています。

 また、我が党は、対決より解決ということで、具体的な解決策をお示しをしていく姿勢を貫いており、また、先週行われた党大会でも、採用した活動方針の中で、政策本位で協力できる政党とは与野党問わず連携していくということも決定をしております。特に賃上げや人への投資は与野党を超えて取り組むべき課題だと思っておりますので、今日も幾つか具体的な提案もしながら質問したいと思います。

 まず、賃上げについてです。

 パネルを御覧ください。私、日本経済というか社会の問題はここに全部表れていると思っています。

 今日も何人かの質疑者が質問していましたけれども、一九九六年、七年ぐらいをピークに、日本の実質賃金指数、下がり続けているんですね。景気が上がったり下がったりするので多少凸凹しますけれども、長期トレンドは変わっていません。これが更に二十年、二十五年、三十年続くとなると、そんな社会で若い人たちが頑張れなくなる。

 一生懸命頑張って就職して、真面目に働けば給料が上がるんだというその希望さえあれば、学生の皆さんも奨学金を借りることは不安じゃないし、結婚もできるし、望めば子供を持つことができる。一人目ができた若いカップルが、二人目どうしよう、三人目どうしようと悩まなくてよくなります。

 年金もそうです。多くの人は厚生年金ですから、厚生年金は現役世代のときの給与水準に比例して決まります。最近、年金改定率〇・四%マイナスになりました。これは、年金が減るということなんですが、どうやって計算されているかというと、前の年の物価上昇率と二年前、三年前、四年前、三年間の賃金上昇率の平均で決まるんです。ですから、今回マイナス〇・四となったのはなぜかというと、今働いている現役の諸君の賃金が下がったから、それに合わせてお年寄りの年金も下げているんです。

 ですから、賃金が下がるということは、あらゆるところに波及するし、今、日本が、日本人が直面している不安の多くは全部ここに私は起因すると思います。

 じゃ、各国は同じような傾向かというと、そうではなくて、アメリカでは二十年間で約二倍になっていますし、ヨーロッパでも一・五倍、六倍、韓国でも上がっています。

 このことを変えない限り、どんな政策を打っても、私は、国民の不安は消えないし、その結果、消費が低迷するということなので、とにかく、ここは与野党を挙げてこのトレンドを変えるために何をするのかということに全力を傾けなければならないと思います。

 細かい政策よりも、まず岸田総理に伺います。

 私は、経済政策、特に財政政策、金融政策の運営の目標に賃金上昇率ということをそもそも置いたらどうかと思うんです。アメリカのFRBは、デュアルパーパスといって、二つの政策目標を掲げています。一つは物価の安定です。もう一つは雇用です。

 ただ、日本の場合は、雇用を重視する余り賃金が抑えられていたという指摘もあるので、これが日本の最大の問題であれば、経済財政運営の大きな目標として、賃金上昇率ということを政策目標に置いて、それを内外のマーケットにコミットする、そのことによって、あらゆる政策手段を投入してこのトレンドを変えるんだという強い政治の意思、これを示すことがそもそも一番今大事だと思うんですが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 岸田政権においては、成長と分配の好循環を通じた新しい資本主義の実現により、官と民の協働によって経済の再生に取り組む、こうした方針であり、その分配戦略の第一の柱が賃上げであると認識をしています。

 まずは国が主導して、公的価格の引上げを行うとともに、賃上げ税制の拡充、価格転嫁の円滑化などを通じた民間の賃上げに向けた環境整備を行うこととしています。

 いずれにせよ、これは賃上げが最優先課題であるということは同じ考えであると思っています。

 そして、賃金上昇率ということについて御指摘ありましたが、この賃金上昇率をどのような形で経済財政運営の政策目標に組み込むか、検討してみたいと思います。

玉木委員 これは是非検討してください。私は、やはり、何を目指すんだということを明確にすることが非常に大事だと思うので、今総理、明確に検討していただけるということなので、是非これは我が国の経済財政運営の目標にセットしてもらいたいなと思います。

 アメリカは、いわゆる高圧経済、ハイプレッシャーエコノミーということで、バイデン政権になって、金融、経済両面で景気を刺激して、先月の、今年一月の対前年同月の賃金上昇率は五・七%です。前の月は四・九%です。日本で四パー、五パーの賃金上昇は夢のように見えますけれども、アメリカは政策によってそれを導き、実現しています。

 ですから、是非日本でも、この賃金上昇率ということを政策目標に置いて、掲げて、そこに全力を傾けていただきたい。改めてお願いしたいと思います。

 次に、賃上げ促進税制について伺います。

 先ほども議論があったんですが、赤字法人はメリットが受けられないということです。であれば、赤字法人でも払っている税金を減税の対象にしたらいいと思います。

 具体的に伺います。

 法人事業税、固定資産税、そして消費税、こういったものを、賃上げをしたら減税する。法人税はどうしても黒字法人だけですから、いわゆる外形標準課税で赤字企業でも払っているものを減税対象にすれば、全ての企業が恩恵を受けます。今、赤字法人は六五%です、全法人中。ここにどうやって影響を及ぼすかということが大事なので、是非、税目を拡大して、多くの企業がメリットを受けられるような賃上げ促進税制にアップグレードすべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、赤字法人であっても賃上げを前向きに考えることができるようなインセンティブ措置を講ずること、これは重要であると認識をしています。

 政府としては、賃上げ税制に併せ、法人事業税についても、赤字法人でも課税される外形標準課税の対象法人に対して、三%以上の賃上げを行った場合に税負担を軽減する措置、これを講ずることとしています。さらに、この税制の適用要件を満たさない企業や赤字企業にも賃上げを促すべく、税制の拡充に加えて、事業再構築補助金など各種企業向け補助金における、賃上げを行う企業への優先的な取扱い、また、年間四兆円を超える、公共事業やビルメンテナンスなどの委託事業、ITなどの公共調達における、賃上げに積極的な企業の優遇、こうした各種施策によって、赤字であっても生産性向上に取り組み、賃上げにつなげていく企業、これを支援していきたいと考えます。

 赤字であっても賃上げを前向きに考えられるようなインセンティブ、しっかりと講じていきたいと考えます。

玉木委員 もう一歩欲しいんですね。

 多分、一番企業が喜ぶというか、インセンティブが出るのは、固定資産税とか消費税を減税対象にしてくれたらかなり私、賃上げが進むんじゃないかなと思うんですけれども、こういった税目を加えるのは、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 固定資産税とか消費税については、税の性質上、たちまち触ることは難しいのではないかとは思いますが、この問題提起は重要だと思います。

 様々な税目の中で検討することができるものはないのか、こうしたことは考えてみる意味はあると思います。

玉木委員 とにかく、冒頭申し上げたように、あらゆる政策資源、手段を、賃上げに役立つことは全部やるというぐらいでやらないと、この四半世紀にわたる大きな賃金減少というか下落のトレンドを変えることができないので、是非その辺、柔軟に考えていただきたいと思います。

 次に、ガソリン価格の高騰について伺います。

 ウクライナ情勢もあって、もう六週連続上昇しています。これはやはり、私もそうなんですが、地方経済は特に影響を受けていて、生活に車が必要なのと、今日も陳情をいただきましたけれども、バス事業をやっている人とか、ただでさえ人流抑制しているのに、原油価格が高騰してコスト面はアップして、もう本当に存亡の危機になっています。

 何より、これは、企業の負担が増えてくると、賃上げの原資がなくなってくるので、賃上げどころじゃなくなってくると思うんですね。ですから、私は、賃上げをするためにも、この原油価格の高騰にはより踏み込んだ対応策が必要だと思っています。

 今、リッター最大五円の石油元売への支援を行っていますが、まず、これは三月末で切れてしまう。更にこれは長期化の見通しがありますから、やはりこれは、我々法案も出しておりますが、トリガー条項の凍結解除、これによって、リッター二十五円十銭、軽油は十七円十銭。ガソリンというのはある種税金の塊なので、取って配るよりも、そもそも取ることを一旦停止する方が、消費者のメリットも分かりやすいし、軽減効果も高いと思うので、総理、このトリガー条項の凍結解除によるガソリン値下げ、そろそろ私は決断すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 エネルギー価格の高騰さらには急騰から国民生活や日本経済を守るために、実効ある激変緩和措置が必要であると認識をしています。

 ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とする激変緩和措置とともに、農業、水産業など業界、業種ごとの支援、地域の事情に応じた対策を行う自治体の支援など、重層的に用意をしているところです。

 そして、今後のエネルギー市場の状況を見据えて、国民生活や日本経済を守るために真に効果的な対策は何なのか、あらゆる選択肢を排除せずに集中的に検討はしていきたいと思っております。

玉木委員 従来いただいている答弁なので残念なんですけれども。

 総理、もうこのままいくと何が起こるかというと、アメリカはインフレ、でも賃金もインフレなんですよ。日本の場合は、いわゆるコストプッシュインフレといって、円安とか、輸入物価が非常に高くなっているのでコストは上がっているんですが、賃金が上がらないので、より厳しいんですね。つまり、スタグフレーションという、物価は上がるんだけれども経済が低迷するという、一九七〇年代に起こったようなことが起こる可能性がある。

 これは一旦起こると抜けるのが大変なんです。だから、家計負担あるいは企業の負担を抑えること、広く、あまねく影響を及ぼすエネルギー価格、原油価格、これを引き下げるような政策をやらないと、日本経済が大変なことになってしまう。逆に言うと、ここをきちんと手当てすれば、波及効果が大きいので、日本経済の低迷を防止することができると思うんです。総理、今おっしゃったことでは国民生活は守れないと思います。

 改めて伺います。

 トリガー条項のような抜本的な、これまでとは違う、それこそ異次元のガソリン価格高騰対策が必要ではありませんか。トリガー条項についてもやはりしっかり検討して、これを導入するということも含めて考えていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 エネルギー価格の重要性については、委員御指摘のとおりだと思います。そして、今後の状況も踏まえて、国民生活あるいは日本経済を守るために、あらゆる選択肢を排除せず検討しなければならない。

 御指摘の点も含めて、真に効果的な、あらゆる選択肢を排除せず、集中的に検討していきたいと思います。

玉木委員 もう一度確認します。

 そのあらゆる選択肢という中には、いわゆるトリガー条項も含まれているのかどうか。

 もちろんいろいろな、よく言われる、買い控えが起こるとかいろいろな、上がったり下がったりするときの混乱があるので、混乱回避策もちゃんとやったらいいと思いますよ。場合によっては、発動基準とか解除基準なんかについても、そのときのトレンドに応じて多少見直す必要はあるのかもしれません。

 いずれにしても、総理がおっしゃったこのあらゆる選択肢の中には、いわゆるトリガー条項ということも含めて検討するということでいいですね。

岸田内閣総理大臣 何が効果的なのか、しっかり検証したいと思います。あらゆる選択肢を排除しない、そうした姿勢で早急に検討したいと思います。あらゆる選択肢は排除いたしません。

玉木委員 繰り返しで恐縮ですが、あらゆる選択肢というのに、いわゆるトリガー条項も入るという理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 あらゆる選択肢を排除しないと再三申し上げております。

玉木委員 トリガー条項が入るということでよろしいですか。そこは明確にお答えいただきたいと思います。検討対象ですから、トリガー条項も入るということでよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点も踏まえて、あらゆる選択肢を排除いたしません。

玉木委員 自民党の方々が対策をまとめて、経産大臣や官房長官に申入れをするか、したか、そういう報道に接しましたけれども、トリガー条項を上回るリッター二十五円分以上の補助をするというようなことが提言に書かれていたやに理解していますが、リッター二十五円分の補助をするのであれば、リッター二十五円分の減税をした方がいいと思うんです、それは。

 ですから、総理、取って配るというんじゃなくて、やはり、消費者メリットがもっと明確に出るということであれば、やはりそこは、私は、いわゆるトリガー条項、これは、上乗せされている税率を一時的に取らないということですから、この方が非常に効果的だと思いますので、あらゆる選択肢を排除せずに検討するということなんですが、トリガー条項を検討していただけるということでよろしいですか。

 ここはもう是非お願いします。多くの国民も期待していますし、これはもう総理のある種政治決断だと思いますけれども。トリガー条項も検討するということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 あらゆる選択肢を排除しないというのは、あらゆる政策、しっかりと検討の俎上に上げるということであります。

玉木委員 是非これは、もちろん税制改正を伴いますので、ある程度時間もかかるのかもしれませんけれども、これからまた長期化するおそれもあるのと、あと、一か月当たり一千三百から一千五百億ぐらいの財源が必要となりますが、予備費で数か月は対応可能ですから、私は財源的にも実現可能な政策だと思っていますから、それは官房長官のところで様々なことを検討しているということなんですけれども、最優先で検討してもらいたい対策だと思います。

 答えは変わらないかもしれませんが、萩生田大臣は明確に答えてくれますかね。でも、総理、これ、本当に、トリガー条項を検討すると改めて言っていただけませんか。

萩生田国務大臣 先ほどから総理が何度も答弁していますように、あらゆる選択肢を排除しないで、そして、玉木先生も我々も国民の皆さんの暮らしを守ろうという思いは同じだと思います。前広にいろいろなことを考えていかなきゃいけないと思っています。

 確かに、今、先生が提案しているような制度も一つの方法だと思いますけれども、我々は、やはり個々の消費者だけじゃなくて、地方自治体の運営、経営というのも考えていかなきゃならないと思います。

 そういう意味で、何が一番効果的か、そして、即効性があるものは何か、こういうものをしっかり考えた上で手当てを打っていきたいと思っています。

玉木委員 是非これは本当に検討してやっていただきたいと思います。中途半端な政策では、お金ばっかりかかって、効果が出ない。また、何よりも国民が分かりにくい政策というのは、やっても意味が私はないと思います。

 一つだけ、最後、指摘して終わりますが、これは民間の、第一生命経済研究所の永浜首席エコノミストが出しているんですが、減税して、その効果は多年度にわたって及んで、プラスのGDP押し上げ効果もあるので、そういったことをトータルで考えることが必要なので、当面、税金が減るから駄目だということではなくて、こういうことも踏まえて是非検討いただきたいと思いますけれども、改めて、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の試算もしっかり踏まえた上で、最も効果的な政策、しっかり早急に検討したいと思います。

玉木委員 本当に国民生活が懸かっているので、是非お願いしたい、強くこれは要請したいと思います。

 次に、人づくりについて伺いたいと思います。

 我々も人づくりは大事だと思っています。そして、総理が人づくりの予算を倍増させるということをおっしゃっていて、これも賛成です。

 我々は具体的に申し上げます。

 今、大体、文教・科学技術振興費が五兆円とかそういったレベルですけれども、これを十兆円規模にするべきだというふうに思います。例えば、四千億使って人づくりと言っていますが、これを四兆円にしたらいいと思います、まず。

 そのための財源として、我々は、いわゆる教育国債ということを発行してやってはどうか。

 いわゆる橋や道路に対しては建設国債の発行が認められていますけれども、今、大事な、最も形成すべき資本は人的資本です。それがやはり成長の基盤になるからです。将来の税収増や成長の源になるのも、最後は人です。

 だからこそ、昭和三十年代は建設国債であったかもしれませんが、これからの資産形成はやはり人です。そのためには、新たな発想で国債を発行していく。それは単に借金ではなくて、必ず将来のリターンが返ってくるんだ、そういう考えで国債を発行する。

 この教育国債を提案していますけれども、総理も是非、教育国債を発行して、その上で予算を倍にすべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、冒頭御指摘の文教予算については、これは令和三年度補正予算、そして令和四年度本予算、十六か月予算の中でしっかり確保しながら、この文教予算、そして政策、充実させていきたいと考えています。

 そして、人への投資ということについても、先ほど来議論が行われていましたが、オフJTの研修費用等の倍増も目指さなければなりませんし、広く人への投資という考え方に基づいては、三年間で四千億の施策パッケージを創設していくわけですが、財源としましては、一般会計あるいは労働保険特別会計、こうしたものを考えているというのが現状であります。

 そして、教育国債等の御指摘がありました。

 中長期的な課題、人への投資ということについては、今後も人への投資が最優先課題の一つであるという認識の下、いろいろな課題については議論をしていきたいと思っております。

玉木委員 実は、今でも、育英会の出資金とか今回の十兆円の大学ファンドは、根っこは建設国債の発行対象経費になっています。私、これは一回ちゃんと整理した方がいいと思います。何でもかんでも、そういうところにも建設国債で出すんじゃなくて、やはり人的資本形成については、きちんとしたカテゴリーを設けるということも含めて、財政法上の整理も私はすべきだと思います。

 ちなみに、質の高い大学や大学院教育を受けると生涯年収は一億円ぐらいアップするという試算もありますし、韓国は二〇〇〇年代に教育予算を倍増したことによって、それが今日の経済成長につながっていると言っています。

 ですから、本当に、本気で倍増するということが大事だということで、具体的な、新しい財源確保の対策についても考えていただかないと絵に描いた餅になってしまいますので、ここは我々もしっかり知恵を出していきたいと思いますし、法案も出していきたいと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。

 最後に、経済安全保障について伺います。

 政府案も見ました。基本的な方向は私は賛同ですが、一つ大事なものが欠けています。人材の安全保障です。結局、物を確保したりとか、あるインフラを動かすといっても、それを全部、つくるのも動かすのも人なんですね。そういった人をいかに育成、確保して、あるいは海外への流出を防止していくかという、人材の安全保障という観点が政府案には入っていません。

 我々国民民主党は、人材の安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障を盛り込んだ総合的安全保障推進法案を提出する予定です。自民党総裁としても、是非成立に協力いただきたい。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 経済安全保障は多岐にわたる新しい課題であり、御指摘の人材の安定的な育成、確保についても、経済安全保障を確保していく上で重要であると認識をいたします。

 例えば、私の主張する人的投資の強化は経済成長の基盤であるとともに、技術革新を担う研究者、高度IT人材、特殊技能を持ちサプライチェーンを担う人材など、経済安全保障に不可欠な人材を育成するという意味においても重要であると認識をいたします。人を大切にする経済社会をつくることで日本に人材が定着することは、国の経済安全保障を確保することにもつながると考えます。

 そして、総合安全保障という御指摘がありました。御指摘の総合的な安全保障、これは重要な論点だと思います。継続的にこうした議論は行っていきたいと我々も思います。

玉木委員 危機感とスピード感を持って取り組んでいただくことを強く求めて、終わります。

根本委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、岸田総理の看板政策の一つであります、公的価格の抜本的見直しについてお尋ねをいたします。

 岸田総理の自民党総裁選政策集には、「あなたの所得が増える「公的価格の抜本的見直し」」、看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など、賃金が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすため、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格を抜本的に見直すとあります。

 昨年十月の所信表明演説では、看護、介護、保育など、新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきますと述べております。

 総理に伺います。

 賃金が公的に決まるというのは、どういうことでしょうか。

山際国務大臣 委員御指摘のように、新しい資本主義を実現するために、保育、看護、介護等の分野において、その仕事に見合った適切な処遇が行われるように、賃金の引上げが持続的に行われる環境整備を行うというふうに我々としてはしております。

 その中で、今委員がお示しした、公的に決められるというのは、例えば、保育士の賃金に関して申し上げるならば、子ども・子育て支援新制度における公的価格など、サービスの対価等として各事業所に支払われる額でありまして、これを原資として、各事業所において保育士等の賃金が決められることになります。

 今般、収入を三%程度引き上げるために公的価格の引上げ等を行い、この引上げ分が確実に賃金の引上げに充てられるよう、措置を講じることとしております。

塩川委員 保育士の話については、その公定価格で公的にサービスの対価が決定される、賃金の原資が公的に決められるということであります。

 看護職員、介護・障害福祉職員、保育士、幼稚園教諭等は、政府の関与によって賃金が左右されるという仕組みになっています。

 総理、お聞きしますが、保育士の賃上げについてです。

 二〇二〇年の賃金構造基本統計調査を見ると、全産業平均では月額四十・六万円ですが、保育士は三十一・二万円です。その賃金格差は月額九万円以上になります。

 今回の賃上げの取組によって、この格差を解消するんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 保育士の給与は他の職種に比べ低い状況にあり、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があると思います。

 このため、これまでの累次の処遇改善に加えて、新しい資本主義を起動するための分配戦略として、保育などの現場で働く方々の給与を三%程度、月額九千円程度引き上げることといたします。

 引上げに当たっては、それが継続的なものになるよう、補正予算により本年二月に前倒しして実施した上で、本年十月以降については、当初予算において、公的価格の見直し等により措置することとしております。これにより、女性保育士の賃金は、全産業の女性の平均並みまで引き上がることになると認識をしております。

塩川委員 女性の中での賃金格差の話じゃなくて、男女一体とした中での賃金格差の解消という点で、保育士の場合では全産業と九万円以上の差が月額である。今言っているのは、三%、九千円、それも頭割りにするともっと少なくなるという点では、一桁少ないというのが現場の声であります。

 コロナ禍の保育現場で、子供たちの感染防止に細心の注意を払いながら、自らも感染しないように外出も控えるような暮らしを続けている、こういう仕事に報いることこそ必要だというのが元々の趣旨ではないでしょうか。

 その上で、本当に保育士の賃金が上がるのかという問題であります。

 保育の公定価格の算定に当たっては、人件費や事業費、管理費等について、各々対象となる費目を積み上げて算定しており、そのうち人件費の額については、国家公務員の給与に準じて算定をしています。

 来年度の公定価格の人件費は増えているんでしょうか。

野田国務大臣 従来から、保育所等の公定価格における人件費は国家公務員の給与に準じて算定しており、令和四年度から公定価格の減額改定を行う予定でありますが、令和四年度以降も処遇改善の効果が継続するよう、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間、公定価格の減額相当を含めて補助を行うこととしています。

 また、令和四年度十月以降についても、本年の人事院勧告の状況を見つつ、処遇の改善の効果が継続されるよう対応してまいります。

塩川委員 来年度の公定価格の人件費は減っているということでいいですね。

岸田内閣総理大臣 公定価格の人件費、これは国家公務員の給与に準じて算定しており、令和四年度から公定価格の減額改定を行うことが予定されているということであります。

 しかし、令和四年度以降も処遇改善の効果が継続するように、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間、公的価格の減額相当額も含めて補助を行うということにしております。減額分もしっかり勘案した上で、その上にこの金額が今度出てくるようにしっかり措置を行うということであります。

 また、令和四年十月以降についても、本年夏の人事院勧告の状況も見つつ、処遇改善の効果が継続されるよう対応を検討してまいります。

塩川委員 来年度の公定価格の人件費は減額となっています。

 そこで、パネルを用意いたしました。保育士の賃金改善率ということですが、実際には、近年ではマイナスとなっているのが現状です。保育士の賃金は、人事院勧告に準拠して、公務員賃金に準じて算定をされます。一番左の棒グラフ、二〇一九年度に比べて、左から二番目の二〇二〇年度は、公務員賃金が〇・三%引き下げられたために、保育士に係る人件費も引き下げられてしまいました。

 左上に書いたように、全産業の平均賃金月額四十・六万円に対して、保育士の平均賃金は三十一・二万円で、九・四万円も低いものです。大幅な賃上げこそ必要なのに、逆に引き下げてしまったというのは極めて重大であります。

 さらに、一番右の棒グラフにありますように、二〇二一年度に比べて、二〇二二年度、来年度は、やはり公務員賃金が〇・九%引き下げられるために、保育士に係る人件費も引き下げられています。そこで、さっき総理もお答えになったように、右から二番目のグラフ、三%、九千円引上げの処遇改善事業を行う場合は、公務員賃金引下げに準じた保育士の人件費引下げ分については減額対応措置を取るとしています。

 この三%、九千円引上げという処遇改善の臨時措置が実施されないと、公務員賃金に連動した公定価格に基づく保育士の賃金は、賃上げどころか引き下げられてしまうんじゃないでしょうか。つまり、この三%の臨時措置を実施しないということになると、そのまま減額分が反映をして、保育士の賃金が引き下げられることになるというのが実態として生まれるんじゃないですか。

野田国務大臣 確かに、平成二十四年度からずっと、令和三年度までの十年間で、人事院勧告というのはプラスになったりマイナスになったり、そういうふうに出ていますけれども、今回の場合は、令和四年十月以降の対応についてだと思いますが、これは、本年の夏の人事院勧告の状況をしっかり見つつ、三%程度の引上げが維持されるよう対応を検討することになると考えているところです。

塩川委員 答えていないんですけれども。

 賃金が公的に決まる仕組みである公定価格の人件費の減額によって、保育士の賃金が引き下げられる懸念があります。

 岸田総理は、新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいて、しかし、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすと言っていたのに、本気で賃上げを図ろうとしているのか、政府の責任は極めて重大であります。

 この点で、本当に賃金が上がるのかということを、特に公立保育所で賃上げの動きになっていないと聞きます。お尋ねしますが、この公立保育所の職員について、賃上げを行うという自治体はどのぐらいになるんでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今般の処遇改善に係る交付金の第一回交付申請において、保育所等について申請があった百八十三自治体のうち、公立保育所を対象に賃上げを行う予定の自治体数は三十四自治体となっています。この自治体数は第一回交付申請の状況の数字ですので、今後の第二回交付申請の状況をよく見ていきたいと考えております。

塩川委員 第一回目の申請ということで、第二回は来週ということで締切りになるわけですけれども。

 実際、第一回の申請の状況を見ても、手を挙げている市町村の中で、民間は上げるかもしれないけれども公立は上げない、こういうところが、申請した全ての百八十三のうち、公立も対象とするというのは三十四自治体だった。五分の一でしかなかった。つまり、五分の四は、公立保育所は賃上げの対象にしないということを市町村が申請をしているという状況になっています。

 公立保育所での賃上げ実施は五分の一しかない。これでは、多くの公立保育所で賃上げが行われないことになります。なぜ自治体は賃上げに消極的なんでしょうか。総理、はっきりお答えください。

野田国務大臣 お答えいたします。

 先ほど答弁いたしましたが、第一回交付申請において、保育所等について申請があった百八十三のうち三十四ということになっていますが、自治体が公立保育所の賃上げに消極的なのかどうかについては、今後の状況をよく見ていきたいと考えています。

 他方、地方公務員である公立施設の職員の賃金については、自治体によって、職種ごとや、会計年度任用職員の給与体系が様々であるとともに、賃金改善には給与条例の改正が必要な場合があり、地方議会の議決等に一定の時間を要すると承知しています。

 内閣府では、これまでも、昨年十二月の都道府県等の説明会で、公立施設の職員について今般の補助金の対象としていることを説明し、二月九日には、各施設における処遇改善の実施見込みに基づく概算による申請も可能であることなどを周知しており、こうしたことを自治体に御理解いただいた上で適切に御判断いただくものだと考えています。

 さらに、二月十七日に事務連絡を発出し、補助金の活用に取り組む市町村の具体例をお示しし、積極的に検討を行っていただくよう重ねて依頼したところであり、引き続き、理解を得られるよう取り組んでまいります。

塩川委員 公立保育所をしっかりと賃上げしてほしいんですよ。だけれども、第一回目の申請で、公立保育所を上げるという自治体が五分の一しかないんですよ。それはなぜなのかということをきちっと深めなければ、打開のしようもないんじゃないですか。

 総理、なぜ五分の一しか公立保育所は上げないのか、その理由は何なのか。

岸田内閣総理大臣 これは手続の問題でありますが、第二回、第三回、こうした申請は行われることになっていくと認識をしております。

塩川委員 一回目に申請した市町村のうち、五分の一しか公立保育所は上げないと言っているんですよ。手続の話じゃないんです。既に百八十三の自治体において五分の一しかなかったということなんですから。なぜそうなのかということをはっきり見極めなければ、この問題についての解決が見えてこないというのは明らかです。

 私は、こういった五分の一しか公立保育所の賃上げをしないという状況に、国が示す二〇二二年度の地方財政計画において給与関係経費が減額となっているからじゃないですか。国の地財計画上、給与関係費が減額となっていることが、自治体が賃上げに消極的になっている理由をつくっているんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 予算、この補助金等はしっかり措置しているわけでありますから、これは、自治体としっかり意思疎通を図った上で適切な対応を考えていただく、こうした環境をつくっていくことが重要であると考えます。

塩川委員 いや、だから、国が示す地方財政計画において給与関係経費が減額されているから自治体が消極的なんじゃないかと言っているのに対して、お答えになっていないんですよ。

 ケア労働者の賃上げを目指すため、二千六百億円の処遇改善事業を行う、これは総理の目玉政策の財源措置ですけれども、他方で、地方財政計画の給与関係経費において、マイナス人勧を反映した給与法に基づく削減分は二千七百九億円になります。

 一方で二千六百億円の処遇改善事業を行いながら、他方でマイナス人勧を反映をした二千七百九億円の給与関係経費、地財計画、削減をしている。これでは賃上げが進まないのは当然じゃないでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、先ほど来、再三説明しておりますように、人勧による減額分をしっかり手当てした上で、その上に、この三%、九千円の処遇改善、これを用意しているということであります。

 令和四年度十月以降についても、本年夏の人事院勧告の状況も見つつ、処遇改善の効果が継続されるよう対応を検討していきたいと思っています。

塩川委員 ここのパネルにも示したように、三%の上乗せ、人勧のマイナス分の減額対応、穴埋めということを行うというのが総理の施策として挙げているわけですけれども、公立保育園については手を挙げていないところが多いということが一回目の申請ではっきりしたんですよ。それはまさに、地財計画上、給与関係経費を減らしているという国の施策の下で、自治体が消極的になっている理由じゃないかということを述べているわけですけれども、そういうことについてお答えがない。否定しないということですね。

 もう一つ、昨年十一月に総務省が発出をした、「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」では、国家公務員に倣って昨年度分のボーナス引下げを行いという自治体への通知を出しています。国が自治体に賃下げを押しつけている、こういう下で、自治体が公立保育園における賃上げの措置に消極的になっているということが示されているわけであります。

 一方で賃上げを要請しながら、他方で賃下げを要求する。やっていることが支離滅裂であります。本気で賃上げをする気がないということであります。

 総理にお尋ねしますが、この問題の大本にあるのが人事院勧告による給与引下げであります。この人事院勧告による給与の引下げこそやめるべきであります。賃金に係る最大の公的価格が、人事院勧告に基づく給与法による公務員給与改定であります。公的価格の抜本的見直しというのであれば、マイナス人勧をやめることこそ、賃上げのために行う仕事じゃありませんか。

 人勧が影響する労働者というのは、公務員に限られません。公務公共サービスに従事する労働者は八百万人近くに及びます。公的価格の抜本的見直しというなら、コロナ禍で奮闘している保健師など保健所職員や、看護師、保育士の賃金も引き下げることになる、人勧に基づく給与法による賃下げこそ、撤回をすべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、人事院勧告自体は、民間に準拠する形で、制度としてこの取決めが続けられています。こうした考え方は一つ重要であると思います。

 そして、申し上げている保育士の処遇につきましては、人勧による減額分もしっかり補填した上で、更にその上に三%、約九千円の上乗せをする、こうした取組を用意しているということであります。

 保育士の処遇を考えた場合に、こうした賃金の上乗せ、これは大変重要な取組であり、政府としてもしっかり予算を用意して、結果を出していきたいと考えています。

塩川委員 民間準拠といいますけれども、過去、人勧を値切って賃下げを押しつけた例というのは幾つもあるんですよ。そんなことは棚上げにして、民間準拠だということでマイナス人勧を押しつけるということが公立保育所における賃上げを妨げることにもなっているということへの、そもそもの反省が必要だということを言わざるを得ません。

 今回の処遇改善事業においては、保育士などの公定価格でマイナス人勧の穴埋め措置を取る、総理もお答えになったとおりであります。こういった措置を公務員全体に対しても広げていく。そもそもマイナスの人勧を撤回する。だって、社会全体で賃上げをしようと言っているんでしょう。社会全体で賃上げを行おうと言っているんじゃないですか。マイナス人勧をやめるということ。

 岸田総理は、経団連始め経済三団体に三%を超える賃上げを要請しています。民間に賃上げを求めるならば、まずは公務の賃下げを撤回して、賃上げの道筋こそつけるべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 人勧につきましては、民間準拠だということを先ほど申し上げました。だからこそ、国が率先して民間の賃上げの呼び水となるべく環境整備をすることが大事だということを再三申し上げてきているわけであります。

 民間も含めて全体の賃上げが実現したならば、人勧においても引上げということにつながっていく、全体の引上げにつながっていく、こうした環境ができ上がっていくと考えます。

塩川委員 全体として賃上げを行うときに、民間に対しても三%を超える賃上げをお願いしたいと要請をして、その呼び水として、今言ったエッセンシャルワーカーなどについての三%、九千円という話が出てくるわけですけれども、そうであれば、そもそも賃上げの好循環をつくるんだったら、公務での賃金の引下げをやめる必要があるんじゃないのかと。賃金の公務のマイナス、これをやらなければ、結果とすれば、賃金の好循環に逆行することになる、このことこそ問われているということを言わなければなりません。改めて、賃上げの道筋をつけるべきだと。

 過去、人勧を値切った例というのは幾らでもあると言いました。一方で、今回のように減額対応するようなこともやっているんですから、同じようなことをやればいいじゃないですか。この機会に、まさに八百万人に影響を与えるような、労働者に賃下げを押しつける、こういったマイナス人勧は撤回をして、民間の賃上げと公務の賃上げと好循環をつくることこそ政治の仕事だ、人への投資というなら公務員への賃下げを押しつけるのはやめるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

根本委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 時間配分につき、立憲民主党、維新の会に配慮いただいたことに感謝しながら、新しい資本主義について質問いたします。

 総理、私は、新しい資本主義に大いに期待しています。総理が主張されている、人への分配はコストではなく未来への投資だと、このすばらしい哲学に深く共鳴しているからです。この哲学を、いかなる抵抗勢力があろうともひるむことなく貫徹していけば、日本の活力を取り戻せると、そのように信じています。

 しかし、病気の診断が間違っていれば病が治らない。

 よく日本経済の低迷についてデフレ原因論を主張する人たちがいます。デフレが原因で経済が低迷しているわけではありません。経済の低迷が続いているからデフレになっているんです。この原因と結果を、間違った診断をすれば、例えば、今賃金が全く上がっていないにもかかわらず、物価上昇率二%を目標にするといったような愚策が処方となってしまいます。賃金が上がらない中で物価上昇すれば、国民の可処分所得が減り、そして、国民の生活は苦しくなり、消費も伸びません。その結果、日本の経済が低迷しています。

 日本の経済の低迷ぶりについて、駆け足でありますけれども、資料を御覧いただきたいと思います。

 最初の図は、主要国の名目GDPの推移を表した図です。

 米国、中国が大きく伸ばし、そして、欧州あたりの主要先進国も緩やかな成長をしている中で、日本だけが停滞しています。

 次のグラフは、生活の豊かさを表す一つの指標でもある、国民一人当たりのGDPの推移を表しています。

 主要先進国の中で日本は下位を占めていますけれども、驚くべきことは、アジアの盟主を自任している日本でありますけれども、今はシンガポールにも香港にも及びません。そして、このグラフでは韓国の方が下でありますけれども、購買力平価で比べたときには、実は韓国の方が上を行く。

 そして、その次。

 この図はこれまでも数多く出てきている図でありますけれども、これは主要国の名目賃金を指数で表した図であります。日本だけがなぜ経済が低迷するのか、一目で分かる図。全く賃金が伸びていません。

 そして、これから三枚お見せする図が最も大事なのでありますけれども、これは、その国の経済力が世界経済に及ぼす影響力、存在感を図示したものです。

 横軸はその国のGDPが世界GDPのどれくらいの割合を示すのか、縦軸は実質経済成長率を表しています。つまり、面積が大きければ大きいほど、その年のその国の世界経済に対する存在感、影響力が大きいということを表しています。

 一九九〇年、見てください。これは日本のバブル期でもありましたけれども、これだけ面積が大きい。一方、中国を見てください。世界に占める割合は僅か一・八%。こんなにも小さかった。これが二〇〇〇年代に入り、中国はどんどんどんどんその面積を増やしていき、そして、日本はどんどんどんどん小さくなっています。これが実態です。この間、米国はその面積の大きさをほぼ保っていますけれども、中国の急激な伸びによって相対的に影響力を低下させています。それが現下の米中覇権争いにつながっていると思っています。これが日本の実態であります。

 その意味で、なぜ日本の国力がここまで低下しているのか、先ほどの病気の話ではないですけれども、根本原因の正しい診断が重要です。

 総理のこれまでの演説、答弁、聞いていますと、新自由主義を疑問視し、そして、市場原理、競争原理が行き過ぎたことを根本原因だと診断しており、だからこそ、成長と分配の好循環による新しい資本主義が重要だと言っておられます。新しいがつこうと、資本主義は資本主義です。

 総理、資本主義の最大の長所は何でしょうか。

岸田内閣総理大臣 資本主義ですので、市場や競争、これは基本であるということ、これはこれからも変わらないと思っています。その市場や競争を通じて、経済社会に効率性、あるいは起業家精神、あるいは活力、こうした成長の原動力をもたらす、これが資本主義における大きな長所であると思っています。

吉良委員 総理のおっしゃることも一理あると思っていますし、もちろん資本主義の長所だと思っています。

 ただ、私は、新陳代謝こそが資本主義の真髄、最大の長所だと思っています。

 企業は倒産しないために必死になって時代の変化に対応しようとする、これは内なる新陳代謝と言えます。そして、時代の変化に対応できない企業は残念ながら淘汰され、本来なら、新しい企業が次々と生まれてきて、新陳代謝が促進されます。しかし、実際の日本経済では、活発な新陳代謝は行われていません。

 私は、個人が、企業が、業界が、地域が、何かといえば国に頼る、その依存、これが問題だと思っています。

 そして、与党は政権への支持を得るため、野党は政党支持を拡大するために、その国民の依存心をあおるマーケティング戦略を展開しています。さらには、既得権益者を政治の力によって守り続けること、これが新陳代謝を阻む最大の原因だというふうに思っています。これでは、日本経済に老廃物がたまり続け、そして、経済の健康は保たれません。

 現下のコロナ禍は特別で、別ですけれども、総理、本来ならば、総理が訴えるべきは、市場原理や競争原理の行き過ぎ、そして国民また社会の依存体質を強めることではなくて、本来なら、国民に自助努力を要請するのが活力を取り戻すためのすべではないでしょうか。

 もう少し言えば、新陳代謝が起こらない原因は、今言った市場原理や競争原理が働かないからではなくて、そもそも資本主義が機能していなかった、実態は社会主義経済であったということではないかというふうに思っています。だからこそ、活力を取り戻すためには自助努力というものを国民にお願いしなければいけないと思っています。自助努力のないところに活力なんか生まれません。

 ただ、自助努力を要求するためには、国民が自分の豊かな人生を切り開いていくために必要十分な人的投資、人材投資が必要になります。さらには、何度失敗しても何度でもやり直せる、そのような安心の社会システムが必要です。

 私は、この安心社会システムを人材のセーフティーネットワークと位置づけています。

 具体的には、幼児教育から高等教育に至るまでの教育の充実、そして、子育て世代への大胆な現金給付、現物給付、そして、社会人の学び直しに対する十分な機会提供だと思っています。

 繰り返しますけれども、自助努力のないところに活力は生まれません。活力を生み出してくれるのは将来世代であり、そして子育て世代です。総理がおっしゃる成長と分配の好循環による新しい資本主義、この分配の優先順位ナンバーワンは、この将来世代であり、子育て世代だと思っています。ここへの大胆な投資を行うこそが国力を回復する唯一の処方だと思っていますけれども、総理の見解を求めます。

岸田内閣総理大臣 まず、資本主義ですので、競争や市場、これはもう基本であると思っています。

 ただ、市場や競争に任せっ放しというのでは、格差や分断、あるいは気候変動、こうした様々な課題を生ずることになってしまった。こういったことから、官と民、これが協働する形でこうした課題に取り組んでいこうというのが基本的な考え方です。

 その際に、民間が思い切って活動をするためにも、社会保障等のセーフティーネット、これは重要であると認識をいたします。そして、思い切った活動を行う人が大きな生産性を高めていく、こういったことのためにも、人への投資、これは重要であると認識をしています。

 そういったそれぞれの役割の中で、政策をしっかりと配置して、全体の成長と分配の好循環、これを実現していきたいと思っています。

吉良委員 子育て世代、将来世代への分配第一ということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 各大臣は御退席いただいて結構でございます。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、各分科会主査から、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。

 第一分科会主査島尻安伊子君。

島尻委員 第一分科会について御報告申し上げます。

 その詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。

 まず、国会所管については、文書通信交通滞在費の在り方、

 次に、内閣所管については、デジタル田園都市国家構想推進交付金の柔軟な運用、新型コロナウイルスワクチンの接種状況、経済安全保障の観点からの国産ワクチン開発、国家公務員試験の倍率の低下、

 次に、内閣府所管については、女性の視点を踏まえた被災地の避難所の運営、内水ハザードマップの普及促進、退職警察職員の積極的な活用、

 次に、防衛省所管については、ウクライナ国境周辺のロシア軍の動向、敵基地攻撃能力の具体的な考え方、米軍那覇港湾施設における訓練実施の影響等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第二分科会主査中谷真一君。

中谷(真)委員 第二分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、総務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、消防団員の人員確保、デジタルデバイドの解消、投票率の向上策、NHKの受信料値下げに向けた取組、救急救命士の処置範囲の拡大、公立保育園の保育士等の賃金引上げ、感染症対応における国と地方の役割分担の明確化等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第三分科会主査葉梨康弘君。

葉梨委員 第三分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、法務省、外務省及び財務省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、技能実習制度及び特定技能制度の見直しの必要性、外国人との共生社会の実現に向けた取組、ウクライナ情勢と我が国の外交の在り方、ウクライナ在留邦人の保護の状況、在日米軍における新型コロナウイルス感染症対策、当初予算及び補正予算の編成の在り方、消費税のインボイス制度導入による影響等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第四分科会主査青山周平君。

青山(周)委員 第四分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、文部科学省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、GIGAスクール構想、学生スポーツの在り方、研究開発支援の重要性、教員の働き方改革、新型コロナウイルス感染症の影響で困窮する学生への支援、高等教育制度の在り方、文化財のより有益な調査の必要性等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第五分科会主査今枝宗一郎君。

今枝委員 御報告申し上げます。

 本会は、厚生労働省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、新型コロナウイルス感染症対策の推進のほか、医師の偏在を是正する必要性、地域の事情に応じた地域医療構想の策定、看護・介護職員等の処遇改善、障害者支援拡充の必要性、化学物質過敏症対策の見直し、最低賃金引上げによる影響等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第六分科会主査鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 第六分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、豚熱等の家畜伝染病対策、消費行動の変化を通じた気候変動対策、適切な鳥獣対策の在り方、生乳の供給過剰問題、水田農業政策、新規就農の促進、水俣病問題等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第七分科会主査西村康稔君。

西村(康)委員 第七分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、経済産業省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、燃料油、原材料価格高騰への対応、下請取引の適正化、半導体産業の育成、電気自動車の普及に向けた取組、原子力政策に係る諸課題、新型コロナウイルス感染症特別貸付け、事業者の月次支援金申請に係る対応等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 第八分科会主査稲津久君。

稲津委員 第八分科会について御報告申し上げます。

 本分科会は、国土交通省所管について審査を行いました。

 詳細につきましては会議録に譲ることといたしますが、その主な質疑事項は、豪雨災害の頻発化を踏まえた治水対策の重要性、自動車整備業における課題と今後の展望、建設工事受注動態統計の不適切処理に係る再発防止策、東京外郭環状道路トンネル工事現場付近で発生した陥没事故への対応、通学路の交通安全対策の推進、盛土による災害防止に係る法規制の在り方、河川環境の改善に向けた取組等であります。

 以上、御報告申し上げます。

根本委員長 以上をもちまして各分科会主査の報告は終了いたしました。

 次回は、来る二十一日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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