衆議院

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第17号 令和4年2月21日(月曜日)

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令和四年二月二十一日(月曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      金子 俊平君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    木原  稔君

      北村 誠吾君    後藤田正純君

      下村 博文君    土屋 品子君

      中谷 真一君    平沢 勝栄君

      古川  康君    古屋 圭司君

      宮崎 政久君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      石川 香織君    江田 憲司君

      落合 貴之君    城井  崇君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      階   猛君    末次 精一君

      長妻  昭君    道下 大樹君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      足立 康史君    青柳 仁士君

      市村浩一郎君    岩谷 良平君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      中川 宏昌君    中野 洋昌君

      玉木雄一郎君    古川 元久君

      前原 誠司君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    吉良 州司君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (こども政策担当)    野田 聖子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣         堀内 詔子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       今川 拓郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 股野 元貞君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    小野 啓一君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          藤原 章夫君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       青山 豊久君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     金子 俊平君

  加藤 勝信君     古川  康君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  中谷 真一君     越智 隆雄君

  石川 香織君     末次 精一君

  長妻  昭君     吉田はるみ君

  足立 康史君     青柳 仁士君

  伊佐 進一君     中野 洋昌君

  前原 誠司君     古川 元久君

  緒方林太郎君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     中谷 真一君

  金子 俊平君     青山 周平君

  古川  康君     加藤 勝信君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  末次 精一君     山田 勝彦君

  吉田はるみ君     長妻  昭君

  青柳 仁士君     足立 康史君

  中野 洋昌君     伊佐 進一君

  古川 元久君     玉木雄一郎君

  吉良 州司君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 勝彦君     石川 香織君

  玉木雄一郎君     古川 元久君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 元久君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計予算

 令和四年度特別会計予算

 令和四年度政府関係機関予算


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官高村泰夫君、内閣官房内閣審議官室田幸靖君、内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官渡邉政嘉君、デジタル庁統括官楠正憲君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省情報流通行政局郵政行政部長今川拓郎君、法務省民事局長金子修君、外務省大臣官房参事官股野元貞君、外務省経済局長小野啓一君、文部科学省総合教育政策局長藤原章夫君、厚生労働省医政局長伊原和人君、厚生労働省健康局長佐原康之君、農林水産省大臣官房技術総括審議官青山豊久君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、防衛省防衛政策局長増田和夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより岸田内閣の基本姿勢についての集中審議を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。越智隆雄君。

越智委員 自由民主党の越智隆雄でございます。

 まずは、岸田総理始め閣僚の皆様、新型コロナ対応を始めとした国政の諸課題に対しまして、日々心を砕き、またお取組をされていることに心から敬意を表したいと思います。また、今日この場で、予算委員会で質疑をさせていただく機会をいただきましたことに、関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。

 今日のこの予算委員会は、岸田政権の基本姿勢をテーマとした集中審議、岸田総理を中心にお話を伺ってまいりたいというふうに思います。

 ただ、一番初めは、外務大臣、ウクライナ情勢に関して質問をさせていただきたいと思います。

 ウクライナ情勢の緊迫化を踏まえて、急遽、一昨日の土曜日にドイツのミュンヘンでG7外相会合が開催されました。林外務大臣は、金、土、日、トンボ返りで出席をされたと聞いておりますけれども、G7外相会合の成果と、そしてウクライナ情勢に対する今後の政府の対応についてお伺いしたいと思います。

林国務大臣 一昨日でございますが、ドイツのミュンヘンにおきまして、ウクライナ情勢の緊迫を受けて急遽開催されましたG7外相会合に出席をしてまいりました。

 会合を通じて、G7として、ウクライナの周辺におけるロシアの軍備の増強についての重大な懸念、これを共有いたしまして、ロシアに対して、自ら発表した軍の撤収、これを実際に行うことも含めて、緊張緩和に取り組むよう求めるということで一致をしたところでございます。

 また、G7として、平和的、外交的な解決を追求するとのコミットメントを改めて表明をし、ロシアに対して、米国、NATO、さらにOSCEなどの対話の呼びかけに応じるよう求めるということでも一致をしたところでございます。

 さらに、仮にウクライナに対する侵略があれば、それはロシアへの制裁を含む甚大なコストを招くということを確認をいたしました。また、G7として、ウクライナの主権及び領土の一体性への支持を再確認するとともに、ウクライナの経済面、金融面での安定などを支援することの重要性を確認したところでございます。

 私からも、現下のウクライナ情勢は、力による一方的な現状変更を認めない、こういう国際社会の根本的な原則に関わる問題であり、欧州の安全保障の問題にとどまるものではないということを指摘し、日本としてG7と緊密に連携していく考えを伝達いたしました。また、岸田総理からプーチン大統領に外交交渉による解決を直接訴えたことも紹介をさせていただきました。

 今回の会合は、基本的価値を共有するG7の外相間でウクライナ情勢について率直な意見交換を行い、改めて連携を確認する有意義な機会となったと考えております。

 また、この機会に、英国、エストニア、ラトビア、ルーマニアの外相、EUの上級代表、NATOの事務総長とも会談を行い、ウクライナ情勢について緊密に連携していくことを確認したところでございます。

越智委員 ただいま林大臣から、このウクライナの問題は欧州の安全保障にとどまる問題ではないという御発言もございました。

 このウクライナ問題は、我が国にとっても、国際関係、外交、安保にとどまらず、エネルギー価格など広い範囲に影響が及んで、私たちの生活にも直接間接に関わりが極めて深い問題だと思っております。

 このエネルギー価格に関しては、自民党において、エネルギー戦略調査会、経済産業部会が、ウクライナ有事に備える原油高騰対策の加速・追加に向けた緊急提言を作りました。そして、先週金曜日に関係の大臣に申入れをしたところでございます。国民生活や企業活動への悪影響を最小限に抑えるために先手先手の対応を講じるように求めるものでございました。

 さて、ガソリン価格が一定の基準を超えて上昇した場合に、一時的にガソリン税を引き下げるいわゆるトリガー条項の発動について、総理は先週の質疑の中で、あらゆる選択肢を排除しないと答弁をされました。この点について改めて伺いたいと思います。

 ウクライナ情勢を始めとして国際情勢やエネルギー価格動向が今後ますます緊迫する可能性がある、そういうことを考えますと、トリガー条項の凍結解除、発動も含めてあらゆる選択肢を具体的に検討する必要があるというふうに思いますが、総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から先週の予算委員会について御指摘がありました。

 先週の予算委員会、国民民主党の玉木代表からもトリガー条項等について御質問をいただきました。その際に私の方から、あらゆる選択肢を排除せずということを申し上げました。これは、文字どおり、トリガー条項を含むあらゆる選択肢を排除せずという意味であります。

 自民党からも更なる対策に向けて御提言をいただいており、官房長官の下、トリガー条項も含めてあらゆる選択肢を排除せず更なる対策を早急に検討をしたいと思っています。今後の状況を見据えながら、追加の対策を検討したいと思います。

越智委員 ありがとうございます。

 エネルギー価格というのは、国民生活、また企業活動、様々な分野に広範に影響が出るものでございますから、しっかりと御対応いただきたいと思います。

 それでは、次のテーマですけれども、賃金と物価の好循環についてということでお話をお伺いしていきたいと思います。

 今議論させていただいたこのエネルギー価格を始めとした原材料価格の高騰、また円安の進展などの影響で、現在、全体として物価は上がってきております。先週発表されました物価統計でも五か月連続の物価上昇となっております。ただ、その中には、このエネルギー価格のようにしっかり対処していかなきゃいけないというものと、一方で、逆に、デフレ脱却につながる物価上昇もあるんだというふうに思っております。

 物価上昇を、企業業績向上、そして賃金の支払い能力の向上につなげていくことができれば、物価上昇とともに賃上げが実現する、物価と賃金の好循環が生まれて、長年取り組んできた経済の体質改善、デフレ脱却につながるものだというふうに思います。

 これは簡単なことではありません。企業業績は新型コロナの影響によるところが少なくありませんし、また、一部の業種では大変厳しい状況が続いている、これも確かでありますからしっかり対応していかなきゃいけないと思いますが、全体とすると持ち直しの動きが出ていて、特に、DX、物流、資材関係などの業種では企業業績は好調となっております。

 これは総理にお伺いしたいんです。

 今の状況をデフレ脱却の好機と捉えて実現に向けて取り組むべきと考えているんですけれども、総理はどのようなお考えですか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、物価だけが上がる状況ではなくして、企業収益の拡大が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、そして、消費の拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大に結びつく、こうした好循環が力強く回る中で経済成長に見合った物価上昇が実現する、こうしたことが重要であると認識をしています。

 こうした好循環の実現に向けて、政府としては、あらゆる政策を総動員して、しっかりと賃上げを実現しながら、デフレ脱却そして持続可能な経済成長、これを目指していくべきであると考えております。

越智委員 ありがとうございます。

 まさにこの成長と分配の好循環をつくる、ある意味ではチャンスだというふうに私は思っております。

 このデフレ脱却というのは、長年唱えてまいりましたのでずっと慣れ親しんだ言葉でありますが、本当にこれは大切なことだというふうに思っていて、私はこう考えているんです。

 デフレのときというのは、価格が変わらなかったり価格が下がっていきます。ですから、人々は、消費をするとか投資をする、こういう決断を自然と後ろ倒しにする、価格が安くなるのを待つということで、これでは経済が伸びないと思うんです。こういったデフレがずっと続いている国というのは、主要国の中ではなかなかありません。是非とも、この根本的な日本経済の体質改善の問題、長年の悲願を成就する好機としたいというふうに考えております。

 先ほど総理からも、賃上げが重要だというお話がございました。物価だけ上がって賃金が上がらなければ生活はその分苦しくなる、これは当然であります。賃上げについては、いよいよ来月、春闘を迎えます。ですから、この今が、二月、三月が極めて重要な局面だというふうに思っております。

 この点については山際大臣にお伺いしていきたいと思うんですけれども、企業は、生産性を向上させて業績が上向く、その中で賃上げを実行できるということになっていくんだと思います。ドライに言えば、企業経営者の立場で考えれば、賃上げは固定費の固定化になりますので、大きな決断となるわけです。ただ、この場面で賃上げを本当に実現できて、物価上昇と賃上げが両輪となって適度に進んでいけば、先ほど総理も経済実態に合わせた物価上昇とおっしゃっていましたけれども、デフレ脱却が実現をして、成長と分配の好循環が回り始める、経済全体として本当によくなっていくんだというふうに思います。これは、もしかしたら一つの、岸田総理がおっしゃる新しい資本主義の実現の在り方なのかもしれないと思います。

 質問になります。

 岸田政権では、賃上げ税制、公的価格の見直しなどに取り組んで、また、賃上げ三%という期待を表明してこられました。私は、成長戦略をもっと明確に打ち出して、この国の、また、それぞれの企業の成長期待をつくっていくことも極めて大切だというふうに思っていますが、政府として、この賃上げを確実に実現していくためにはどのような取組を行っているのか、あるいは行っていくのか、お伺いしたいと思います。

山際国務大臣 おっしゃるとおり、賃上げを行おうとすれば、企業が成長してその賃上げの原資を持っていなくてはいけないわけですから、岸田内閣としては、経済成長戦略をしっかり明示をして、官民で共に歩んでいくということが大切だというふうに思っております。

 そういう意味で、経済対策をまずお示しをして、その中で、デジタル、グリーン、クリーンもそうですが、気候変動対策等々をお示しをさせていただきました。また、総理から都度都度申し上げているように、人への投資、すなわち、賃上げというのはコストではなく人への投資だ、そういう思いの下で、様々な施策を今現在でも打ってございます。

 少し申し上げますと、まずは公的価格を見直して給与を引き上げる、これはもう決定させていただいて、二月から始まります。そして、賃上げ促進税制の税額控除率の抜本的な強化。赤字でも賃上げした中小企業に対する補助金の補助率の引上げ。三年間で四千億円規模の施策パッケージを創設して、民間ニーズを反映しつつ、成長分野への労働移動の円滑化、あるいは人材育成を強力に推進する。下請Gメンの倍増を図り、価格円滑化が適正に行われるように価格円滑化施策パッケージを実施する。そしてまた、政府調達における賃上げを行う企業に対する加点など、様々なメニューを用意させていただきまして、賃上げの環境の整備に全力で取り組んでおりますし、また、これからも成長戦略と一緒になって環境整備に取り組んでまいります。

越智委員 山際大臣、成長戦略についても力強い御発言をありがとうございました。この賃上げというのが本当に日本経済の生死を分けるような大きなテーマだと思いますので、その環境整備に政府として全力で努めていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、デジタル田園都市国家構想についてお話を伺ってまいります。

 岸田総理は、このデジタル田園都市国家構想を新しい資本主義に向けた成長戦略の最も重要な柱だというふうに位置づけられました。私は自民党のデジタル田園都市国家構想推進委員会の役員でもありまして、党内で議論を進める立場でございます。ですので、ちょっとこの構想の源流に当たってみました。

 皆さん御存じのことだと思いますけれども、一九八〇年に、四十数年前に大平正芳総理がまとめられた田園都市国家構想が源流でございます。大平正芳総理は、今、岸田総理が会長を務める宏池会の当時の会長。

 そして、この文書がないのかと思って探したんですけれども、ございました。国会図書館にございまして、大平総理の政策研究会報告書。分厚い、五センチぐらいの本で、八百ページにわたる本でございまして、大平総理の後を継がれた鈴木善幸総理が取りまとめをされておられました。当時、九つの研究グループが報告を作りまして、そのうちの一つのグループのテーマが田園都市国家構想でありました。

 田園都市国家の理念とはどういうものかというのが書いてありまして、読ませていただきます。

 都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力をもたらし、両者の活発で安定した交流を促し、地域社会と世界を結ぶ、自由で平和な開かれた社会、そうした国づくりを目指す構想を我々は田園都市国家構想と呼ぶと書いてありました。加えて、閉鎖的な地域主義への回帰ではなく、移動への欲求や高度の選択の自由と多様性を保障する開かれた地域主義を目指すものであるとも書かれておりました。

 今読んでも、色あせないといいますか、見事な着眼ですし、発想、構想だと私は敬服をいたしました。

 岸田総理は、この田園都市国家構想にデジタルという言葉をつけ加えられました。当時から課題として語られていたのが、情報格差の解消というのは当時はなかなか難しいということが言われておりましたが、デジタルの力を使って地域間の情報格差を解消するんだという思いを込めてこのデジタル田園都市国家構想ということを打ち立てられたのかなと私は思っているんですけれども。

 大平総理の田園都市国家構想を踏まえて、四十年の時空を超えて、岸田総理がデジタル田園都市国家構想を成長戦略の一環として掲げた真意、狙いをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今委員の方から御紹介いただきました大平総理の田園都市国家構想と、私が今掲げさせていただいておりますデジタル田園都市国家構想には、個性を生かした地域の活性化、あるいは集中から分散へといった考え方において共通するところがあり、いずれも、都市と地方の格差を是正し、新たな成長につなげていくことを目指すものであると考えています。

 デジタル田園都市国家構想の下、高齢化あるいは過疎化など、社会課題に直面する地方こそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあることに鑑み、オンライン診療ですとかGIGAスクール、リモートワークなど、地方における先導的なデジタルサービスの実装等に取り組むことで、地域の個性を生かしながら地方の課題を解決し、そして地方から全国へとボトムアップの成長を実現していきたいと考えたのが、このデジタル田園都市国家構想の基本的な考え方であります。

越智委員 ありがとうございました。

 このデジタル田園都市国家構想、もう少し深掘りをしてみたいと思うんですけれども、コロナ禍において、新しい人の流れが生まれてきているというふうに私は感じています。リモートが可能になったことで、また密を避けようということで、地方に住むことを求めて人々が行動に移しているというふうに私は感じています。

 子育て世代、三十代から四十代で、ある新聞社の分析によると、去年、東京では人口流出、転出超過です。そしてまた、三十一の道と県では転入超過、人口流入です。私は地元が東京でありますけれども、東京の人が自ら望んで地方に住もうとする、こういう動きが着実に今生まれてきていると私は感じています。

 二〇一四年、地方創生の政策がスタートいたしました。これは、元々、人口急減、克服をしようという中から、地方創生というネーミングで政策が展開されていったというふうに理解しています。出生率が高い地方に住んでいただけるように、まち・ひと・しごと、仕事をつくれば人が集まる、人が集まれば町ができるという政策を進めてきたわけでありますけれども、一方で、現実は厳しくて、東京一極集中是正は実現しませんでした。また、出生率、少子化対策についても、実は成果は生まれなくて、この国の出生率は、二〇一五年の一・四五でピークアウト、それから下がり続けて、今直近では一・三四です。このままいくと、この国の人口は、二〇五〇年に一億人程度、二一〇〇年には五千万人程度まで減ってしまうというのが国の推計であります。

 こうした中で、先ほど申し上げたように、今、人々が自ら、特に若い人たちが動き始めた。これは、地域の活性化にもなるし、場合によっては少子化対策にもなるんじゃないかという絶好の機会だというふうに思っています。この都市から地方へ動こうとする方々が望むことが実現するように、これをしっかり支えていくことが重要な政策になってくるんだというふうに思います。

 加えて、リモートワーク可能なデジタル人材を始めとした方々が地方への人流となっていく、このことによって、地方の人材不足の解消につながるなど、情報格差に加えて人材格差の解消にもつながる、このデジタル田園都市国家構想というのはこういった構想となるんじゃないかと私は期待をしています。

 この構想の中で、積極的に人流づくりを進めることで人材格差の解消を進めるべきというふうに考えておりますけれども、総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 地域が抱える課題をデジタルの力で解決する、こうしたデジタル田園都市国家構想の実現に向けては、委員おっしゃるように、担い手となるデジタル人材の確保、さらには育成、これが不可欠であると思います。中でも、高い技能によりデジタル実装を進め地域が抱える課題の解決を牽引する人材、こうした人材をデジタル推進人材として、二〇二二年度からの五年間で二百三十万人育成するという数値目標を設定しています。

 この目標達成に向けて、デジタルに関する幅広い教育コンテンツの提供、あるいは、IT技術などのデジタル分野の職業訓練受講者数の増加、あるいは、大学等において、文系、理系を問わずデータサイエンスやAIを応用できる人材育成の加速、また、デジタル人材の中小企業や地元企業へのマッチングやデジタル人材の地域への定着、これらを重点領域として計画的に取り組んでいきたいと思っています。

 そして、地域でのデジタル人材の確保という点においても、地域の金融機関や自治体の産業振興センターなどの拠点において求められる人材と地元企業とのマッチングを支援する、さらには、地方公共団体によるUIJターン者への就業、起業の支援により地元移住を促進する、こうした取組を進めていきたいと考えます。

越智委員 ありがとうございました。デジタル人材、とても大切だと思います。

 ただ、デジタル人材のみならず、あらゆる業種の人材あるいは方々が、都市と地方の間を行き来しながら生活をする、仕事をするということがこのデジタルの技術、リモートによって可能になってくる時代だというふうに思っております。例えば、東京にいながら、御高齢の御両親が地方にいらして、本当は地方で仕事したいんだけれどもという方がそれを実現できるようになるということを考えると、このデジタル田園都市国家構想というのは、あらゆる立場の方々にとって、生活を望むように変えられるチャンスになるんだと私は考えています。

 先ほどおっしゃっていた移住とかあるいはリモートワークに加えて、ワーケーションとかあるいはアドレスホッパーとか、様々な暮らし方、働き方がもう実践されつつあります。

 二つの生活拠点を持つデュアルライフ、二地域居住については、昨年、地方自治体の有志によって全国二地域居住等推進協議会というのが創設されて、六百を超える自治体が参画をしています。この二地域居住というのも、昔は富裕層の方々の話題だったかもしれませんけれども、今は誰もが実現しやすい環境を整えようと自治体がしているということでありますので、これからも、柔軟で活発な人の流れをつくっていくことに是非とも関心を持っていきたいし、御注力をいただきたいと思っております。

 それでは、財政秩序の重要性についてということでお伺いしていきたいと思います。

 この点は、コロナ禍のような危機においては、私は財政出動というのは必要だというふうに思います。また、ポストコロナを見据えても、DXとか科学技術、教育を始め、様々な分野で財政を必要とするという可能性も見えてまいりました。

 ただ、その財政出動を可能にするためにも、財政秩序というものをこの国は持っているんだ、しっかりしているんだということを示す必要があるんだというふうに思っています。その手段として、例えば、プライマリーバランスとか債務残高対GDP比の目標を設定して取り組んできた、これが重要だというふうに思います。私は、緊縮財政の議論をするつもりは毛頭ございません。ただ、何らかの手段で国の財政に対する信頼を確実に維持していくことがますます重要になってくると思っています。

 特に今、金融市場が大きく変化をして、構造的な変化と言ってもいいでしょう、金利、為替、また国債の短期化などなど、格付も、一時はトリプルAだった日本は、今、シングルA、一部の格付機関では中国を下回るという状況になっていますので、リスク管理の観点からも、財政秩序を保ってこのことを内外に表明することがますます重要になっているというふうに思いますが、総理の御認識をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 まず、私の経済財政運営の基本は、危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行い万全を期す、そして、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政健全化に取り組んでいく、こうしたものであります。

 新型コロナの危機にあって、医療体制の確保あるいは事業の継続、雇用の維持に万全を期していくために必要な支援を実施してきたわけですが、これによって大量の国債は発行することとなりましたが、危機への対応に万全を期し、国民の命と暮らしを守り抜いていくために必要なものであったと考えています。そして、この新型コロナ危機を乗り越えた上で、新しい資本主義の考えの下に持続可能な経済成長を実現していきたいと思っています。

 そして、その上で、債務残高がどれだけ増しても問題がないというわけではないと考えています。財政は国の信頼の礎であり、中長期的な財政健全化のためには、プライマリーバランスの黒字化、あるいは債務残高のGDP比の安定的な引下げ、これを目指していくことを政府方針として閣議決定もしています。市場や国際社会において中長期的な財政の持続可能性への信認が失われないよう、責任ある経済財政運営を進めていきたいと考えます。

越智委員 総理、ありがとうございました。力強い御発言でございました。

 今日は、冒頭にガソリン価格について御質問して足下の対応をしっかりしていただきたいというお話をした後、デフレ脱却、デジタル化、地域活性化、東京一極集中の是正、少子化対策など、ポストコロナに向けても、今やれることはしっかりやっていただきたいという視点で議論をさせていただいてまいりました。

 是非とも、このコロナまたエネルギー価格の変動など足下の課題にしっかり取り組みつつ、未来を見据えた、この国の流れを変える、そういう政策に取り組んでいただけることを心から期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて越智君の質疑は終了いたしました。

 次に、中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の、兵庫八区、尼崎市選出、中野洋昌でございます。

 通告に従いまして、質疑に入らせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、現下のオミクロン株への対応でございます。

 引き続き、感染者が大変に多い状況ということで、現場では大変な状況も続いておりまして、まさに現場を支えていただいている医療従事者の皆様、あるいは、保健所、エッセンシャルワーカーの皆様、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 現在、こうしたコロナ禍から、しっかり雇用を一つは維持していく、そしてまた事業を継続をしていく、こういうことで、いろいろな特例の措置を講じて対応しておるという状況であります。

 例えば、事業者向けには、一つ、一番大きいのは、雇用調整助成金というものもございます。そして、無利子無担保でしっかりと融資をしていくという仕組みもある。そして、個人向けには、新型コロナ対応の休業の支援金や給付金、また、求職者の支援制度であるとか、小学校休業に対応する助成金であるとか、また、緊急貸付け、生活福祉資金の特例貸付けのような個人の生活を支えるセーフティーネット、様々なものがございますけれども、基本的には、今の特例措置は三月末で全て終了をする、こういう形になっております。

 先週、総理からも、また、第六波、出口に向かっての準備も始めていく、こういう御発言も記者会見の中であったかと記憶をしておりますけれども、オミクロン株の感染者数はいまだなお予断を許さない、こういう状況であるというふうに思います。

 もちろん、一つ一つ制度には狙いもありまして、趣旨やニーズも様々でございますので、対応はもちろん全く同じではないかもしれませんけれども、基本的な考え方として、やはり、現下の情勢に鑑みれば、こういうセーフティーネットをしっかり張っていくという措置については、期限を延長していったり、引き続き手厚い対応を図っていく、やはりこれが大事だというふうに思います。

 こうしたコロナ対策の基本的な考え方につきまして、まずは総理の御答弁をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、新型コロナから国民の命そして暮らしを守り抜くということを最優先にして、様々な施策を講じてきました。

 暮らしを守るという観点から、雇用調整助成金の特例措置、実質無利子無担保融資、あるいは、緊急小口資金の貸付け、生活困窮者自立支援金の支給など、様々な政策を進めてきたところです。

 今後も、新型コロナ対応は喫緊かつ最優先の課題であり、先の見通しが立つように、雇用と事業の維持のための支援を取り組んでいく必要があると認識をしています。

 そして、四月以降の対応については、新型コロナの感染状況あるいは経済の動向、こうしたものをしっかり見極めながら、早急に方針を検討していきたいと考えています。

中野(洋)委員 経済の動向あるいは雇用の状況、しっかりと見極めてという御答弁もありました。

 そして、その中で一つ、特に雇用調整助成金ということで、厚生労働大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 日本は、完全失業率、今、数字、足下、十二月二・七%ということで、大変に低い状況。雇用調整助成金が、まさにこのコロナで大きな影響を受けている事業者にとって非常に命綱と言ってもいいような本当に状況であるというふうに伺っております。

 昨年の秋から冬にかけまして、感染も落ち着いてきた時期、確かに、経済的には、情勢としては非常に上向いてよかった、こういうお話もございますけれども、しかし、年明け、第六波、これで一気に人流もまた落ち込み、大変に観光また運輸、あるいは飲食やイベントを始め、非常に厳しい状況にまたなっている、こういう状況であるというふうに伺っておりますし、また、やはり本質的には、例えば観光産業など、なかなか改善をしていかない、状況が変わらない、こういう状況もございます。

 今、雇用の状況、この一月以降の数字、まだまだデータとしては見えてこないような状況もある中で、やはり少なくとも、この感染の影響が落ち着いてくる、はっきりしてくる、こういう状況までは現行の雇用調整助成金の特例措置というのは維持をして、しっかりと支えていく必要がある、私はこのように考えます。

 厚労大臣の御答弁を求めたいと思います。

後藤国務大臣 雇用調整助成金につきましては、今、中野委員御指摘いただきましたように、これまでに例のない特例措置を講じまして、事業主の雇用の維持を強力に支援してきたところでございます。

 四月以降の取扱いにつきましては、経済財政運営と改革の基本方針二〇二一の方針も踏まえまして、しっかりと雇用情勢を見極めながら、具体的な助成内容を検討の上、二月末までに改めてお知らせをするということにしております。

 方針の決定に当たっては、経済雇用情勢をよく見極め、労働政策審議会の御意見も伺いながら、丁寧に進めてまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 是非、こうした観光産業なども含めて、確かに、雇用のあるところに移動すればいいじゃないか、いろいろな御意見があることも承知はしておりますけれども、しかし他方で、コロナが収まれば戻ってくる産業でもありますし、地域の経済そのものでもあります。ここで維持できなければもう戻らない、産業そのものが失われてしまう、そういう大変強い危機感も持っております。是非、ここはしっかりと情勢を御判断いただいて、しっかりと支えていく、こういう対策を改めてお願いをしたいというふうに思います。

 そして、もう一つ、今回のオミクロン株では子供への感染が非常に広がっている、これが大変に大きな課題であるというふうに思います。子供に広がるということは、そのまま家庭内感染で、御両親、保護者であるとか、濃厚接触者になったり、あるいは感染をされたりというケースが非常に多いというふうに思います。このままでは社会的な機能が維持できないというのが大変に大きな課題であると思います。

 様々、政府にも、この間、要望させていただき、待機の期間も短縮をさせていただいたり、いろいろな措置を講じていただいております。しかし、一つここで取り上げたいのは、小学校等の休業対応助成金、これも厚生労働大臣でございますけれども、一つお願いをしたいと思っております。

 この制度も、仕事を休まざるを得ない保護者の方というのがもちろんいらっしゃいまして、御自身が、あるいはお子さんが感染をしたという状況であれば当然でありますけれども、しかし、学校が休校になったり、保育園や幼稚園が休園になったりというケースも大変に増えておりますので、仕事を休まざるを得ない、こういう状況が大変増えております。

 この保護者の方にとって非常に大事な制度であるというふうに思いますけれども、支援の仕組み自体が、本質的には、休業をさせて、休業手当を払っている事業者に対する支援をしているという基本的なたてつけがありまして、どうしても、この事業者側がどこまで対応するかということによって必ず支援が受けられるものではないというのが私は大きな課題であるというふうに思います。

 もちろん、こうした御指摘も受け止めていただいて、個人からの申請ということも今やっていただいておるんですけれども、最終的にはこれは事業者に休業の確認ということも必要になってまいりまして、やはり非常に時間がかかったりであるとか、あるいは最終的には事業者が御協力をいただけない、こういうこともあるわけであります。

 これは非常に命綱の制度でもあると思いますので、更なる運用の改善というのを、是非、私、御検討いただきたいと思っております。

 これについても厚労大臣の答弁をいただきたいと思います。

後藤国務大臣 厚生労働省では、都道府県労働局に特別相談窓口を設置いたしまして、労働者の方から事業主に小学校休業等対応助成金を利用してもらいたいなどの相談が寄せられた場合には、労働者の意向を踏まえた上で、事業主に対して助成金の活用を働きかけております。

 それでも事業主に助成金を活用いただけない場合には、休業支援金の仕組みによる個人申請に御協力いただけるように、労働局から事業主に丁寧にお願いをしているところでございます。

 また、小学校休業等対応助成金については、保護者の声を踏まえまして、今般、手続の改善といたしまして、休業させたことの確認が事業主から得られなければ休業支援金による個人申請を行えない運用となっているのを改めまして、労働局は、まずは保護者の申請を受け付け、引き続き事業主に休業させたことの確認を行うこととし、併せて、小学校休業等対応助成金や休業支援金による個人申請について、事業主との相談を経ずに、労働者から労働局に相談することも可能であることを改めて周知することとしたところでございます。

 厚生労働省としては、今般の手続の改善内容を盛り込んだリーフレットを作成したところでありまして、学校、保育の現場への周知依頼や、事業主団体への周知と御協力の依頼を改めて行う予定でございます。

 必要な方に支援が届くように、周知徹底と、事業主への丁寧な働きかけを行ってまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 様々御対応いただいておることには感謝をしております。

 やはり、事業主が非常に協力的な方であれば全く問題なくスムーズに申請もいっておるというふうに、大変助かっておるというふうに思っております。立場の弱い方、あるいは非正規の方ですとか、あるいは必ずしもしっかりとそういう対応をしていただけない事業主の方の場合が、やはり非常に申請に手間がかかったり、時間がかかったり、あるいは受けられなかったり、そういうことが生じております。

 いろいろなやり方があると思っておりまして、私、いろいろなアイデアがあると思いますけれども、例えば、受けたことを事業主に通知をするだけでもいいですとか、いろいろな工夫というのはできるんじゃないかなというふうにも個人的には思っております。

 しっかりと、今運用を改善していただいておりますけれども、また状況もしっかり見ていただいて、必要な対応というのは、緊急事態の大変な対応でございますので、是非お願いをしたいと、改めて厚生労働大臣にはお願いをさせていただきます。

 そしてもう一点、運用の改善という意味におきまして是非お願いをしたいのは、事業復活の支援金であります。現在、受付が既に始まっておるというところで、今まで月次支援金などいろいろな支援措置がございましたので、基本的には類似の審査の形になるかなというふうに思っております。

 この月次支援金でございますけれども、他方で、非常に大量の書類を提出をして、少ない審査体制で非常に多くの件数をさばいていただいているという状況は私は重々承知はしておりますけれども、例えば、書類に不備があったときに修正の仕方というのがよく分からない、あるいは、申請サポート会場にそれで相談に行ってもはっきりした答えが必ずしも分からない、また、指摘をクリアしてもまた次の指摘が入ってきたりして、時間切れになって受けられないであるとか、審査に関しては、ちょっとこれはもう本当に何とか改善をしてほしい、こういう、大変に現場からもいろいろな声が上がってきております。

 もちろん、不正受給はあってはなりません。一定の審査は当然必要でありますけれども、審査の在り方については現場の声を踏まえて是非改善をしていただきたい、こう思っております。

 萩生田経済産業大臣、御答弁いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 月次支援金では、提出された書類から給付要件を満たすことが確認できない一部の申請者に対して、事前の同意をいただいた上で追加の書類提出を依頼してきました。

 こうした書類の提出を求めるに当たっては、これまでも、不備メッセージの内容を可能な限り分かりやすくするもの、また、丁寧にサポートする改善を重ねてきたところでありますが、一部の申請者には御指摘のような御不便をおかけしたため、こうした事実を真摯に受け止めた上で、事業復活支援金においては改善をしてまいりたいと思います。

 具体的には、事業復活支援金では、これまでの経験も踏まえ、追加の書類提出を求める際には、求める書類や不備の内容を一層明確化すること、現金取引の場合などにおいて、事業実態を確認するための提出書類の例を、不備解消プロセスの中で通知するのではなく、あらかじめ示しておくこと、不備解消相談窓口の体制を充実し、審査部署との連携を強化するなど、更なる改善を重ね、申請者の御負担にも配慮しながら対応することとしております。

 引き続き、こうした改善が現場においても十分に浸透するよう、中小企業庁からも事務局をしっかりと指導し、支援を必要とする方々に迅速かつ正確に支援金をお届けできるように取り組んでまいりたいと思います。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 大臣からも、改善の具体的なお話もございました。今回、事業の維持そして復活ということで、大変大事な支援金だと思っておりますので、是非しっかりと対応いただきたいと改めてお願いをいたします。

 続きまして、新しい資本主義ということで、総理にお伺いをしたいと思います。

 日本にとりまして、中長期的に非常に大きな課題、少子化だというふうに私は思っておりまして、政府の報告書でも、まさに国難ともいうべき状況である、こういう御指摘もございました。私ども公明党がやはり未来応援給付という形で政策を打ち出したのも、そういう問題意識があってのことでございます。

 これからの日本の成長に向けまして、この新しい資本主義ということの中で、総理が、女性や若者の活躍ということで、これを項目として挙げていただいている、大変大事なことだと思います。

 特に、若い世代、所得の格差の拡大、あるいは所得の低い世帯において晩婚化や少子化が非常に進んでいる、いろいろなデータも出てきておりまして、この日本の将来のために、やはり若い世代の賃金の上昇も含めまして、非正規雇用の労働者のスキルアップでありますとか、子育ての仕事との両立、いろいろな取組が必要になってまいります。

 この総理の新しい資本主義の考え方の中で、若者あるいは女性活躍、こうしたものをどうやって進めていくのか、総理のお考えを是非お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、人への分配は、コストではなく、未来への投資だということを申し上げております。賃上げや人への投資は、成長と分配の好循環による持続可能な経済を実現する要であると考え、全力で取り組んでいきたいと思います。

 そして、その中で、第一に、いわゆる所得の向上につながる賃上げ、これに取り組んでいかなければいけないということで、成長の果実を国民の皆さんに分配することで、消費を拡大し、次の成長につなげていく。このために、公的価格の引上げ、賃上げ税制、価格転嫁への環境整備など、あらゆる政策を総動員して、賃上げをしようとする雰囲気を醸成していきたいと思います。

 第二に、人への投資の抜本的強化ですが、物から事へと進む時代にあって、付加価値の源泉は人的資本であるということで、三年間で四千億規模の施策パッケージを用意し、成長分野への労働移動の円滑化、そして人材育成を強力に推進してまいります。

 そして第三に、未来を担う世代の中間層の維持、これに取り組んでいかなければならないと考えます。子育て、若者世代に焦点を当てて、世帯所得の引上げに取り組んでまいります。このために、全世代型社会保障構築会議で、男女が希望どおり働ける社会づくり、若者世代の負担増の抑制、そして勤労者皆保険制度など、持続的な社会保障制度の構築に向けて、議論を進めていきたいと考えます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 特に、今、公明党の青年委員会で、いろいろな職種の若い世代の方とちょうど意見交換を行っているところであります。その中で、私も、仕事と子育ての両立、いろいろな具体的なお悩みをいただいて、例えば、男性が子育てを手伝って時短勤務にしようとしたら、賃金が下がってしまうとか、あるいは、非正規の女性の方が正社員になろうと思っても、なかなか今の子育ての状況だとちょっとそこまでできないんじゃないかというお声があったりということで。

 厚労大臣に一つお伺いをしたいのが、短時間勤務制度の拡大というのは、この予算委員会でも議論もされてまいりました。それ以外にも、例えば短時間正社員というのもございますし、多様で安心な働き方を広げていくということが非常に大事だというふうに思っております。これには、やはり厚生労働省の方から、様々な施策の充実というのが必要になってくると思います。

 これについて、厚労大臣のお考えというのを今御答弁いただきたいと思います。

後藤国務大臣 今委員からもお話のありました短時間勤務制度の対象となる子の年齢の引上げにつきましては、平成二十七年の労働政策審議会の建議におきまして、男女の育児への関わり度合いに差があり、短時間勤務制度を利用している労働者の多くが女性となっている現状を踏まえると、まずは長時間労働の是正や柔軟な働き方の促進により、男性の育児への関わりを促進していくとともに、延長保育等の保育サービスの充実を図っていくことが重要であり、その状況も踏まえ、対象となる子の年齢引上げについて、引き続き検討していくべきとの指摘がなされたところでございます。

 そのため、令和三年六月に成立した改正育児・介護休業法において、子の出生直後の時期に、より柔軟に取得できる育児休業の枠組み、通称産後パパ育休等の新たな制度を設けたところでありまして、その着実な施行を通じて、まずは男性の育児への関わりの促進を図っていくということで進めております。

 厚生労働省としては、こうした取組を含めまして、女性が出産後も継続して働き続けることのできるように、引き続き、男女共に仕事と子育てが両立できる環境整備に努めてまいりたいと思っております。

中野(洋)委員 済みません、時間も迫ってまいりましたので、最後に、燃料価格の高騰についても私からもお伺いをしたいと思います。

 総理の方からも、あらゆる選択肢ということで御答弁も先ほどありました。思い切った対応が必要になってくるというふうに思います。

 その中で、最後、野田大臣にお伺いをしたいんですけれども、実は、経産省も今取組をしております。地方創生臨時交付金でも、実は、燃料価格高騰対策というのは、自治体が創意工夫で様々な対策を行っておりまして、こうした支援の更なる強化というのも、もちろん経産省にもしっかりと検討をお願いをしながらも、これも併せて、私は非常に大事な施策ではないかと思っております。

 こうした活用につきまして、最後、野田大臣から御答弁いただきたいと思います。

野田国務大臣 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、各自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう自由度の高い財源として措置され、感染拡大の防止や地域経済の下支えに活用されております。

 昨年末の令和三年度補正予算の成立を踏まえ、速やかに各自治体に交付限度額を通知し、原油価格高騰に対応するための支援にも活用できることをお示ししており、実際に、生活支援のための灯油購入助成や、農業、漁業、運輸業等の事業者に対する燃料費助成などに活用していただけると承知しております。

 今後も、各自治体が原油価格高騰への対応のために地方創生臨時交付金を活用いただけるよう、積極的に情報提供してまいります。

中野(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。

 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党の大串博志です。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 今日は、私、佐賀県の選挙区のお隣、長崎県から、長崎四区から来ていただいています末次精一議員にお手伝いをいただいております。

 早速質疑に入らせていただきますが、まず、経済安全保障法案に関してでございます。

 岸田政権の新しい資本主義の一丁目一番地と位置づけていらっしゃいます。今月末にも法案を提出するというふうに各地で明言されていらっしゃいます。

 そういった中でありますけれども、先々週、突然、この法案の準備室長の重責にあった藤井前内閣審議官が更迭されたという状況です。

 国会の中では、その理由に関して、対外的な意見発表に関する届出を怠っていたがゆえに人事を行ったんだ、こういうふうな説明でありましたけれども、私たちの関心は、経済安全保障という、これから法案を作られる、極めて日本の経済、企業、そして国民の生活にも大きく影響を与え得る法案を作る過程において、この藤井さんは法案を作る責任者であったわけでありますから、対外的な意見発表という中で、報道等でもいろいろ言われています、民間のビジネススクール的なところで長く講師あるいは師範を務めていたのではないか、そして、そこに多くの企業が集まり、そこにおいていろいろな意見発表が行われ、ここが法案を作る際へのよくない影響を及ぼしていたのではないかという疑問が私たちにはあります。こういったものは払拭していただかなければなりません。

 先週、我が党の城井議員から、この点に関して質問がありました。これに関して、官房長官、今日おいでいただいておりますが、官房長官はこう答えていらっしゃいます。

 城井議員がるる、経済安全保障法案に関して関係を持ち得る企業、今回の法案では、例えば、一つの項目ですけれども、基幹インフラで事前審査の対象となる企業、こういったものが挙げられて、罰則もつくわけですね。これだけ、十四分野、多くの企業群が罰則の対象となり得るような法律になり得る。

 これ以外にも幾つかの法律の項目がありますので、かなり企業に大きな影響を与えるわけですけれども、これらの企業において、先ほど言いました、藤井氏が講師あるいは師範を務めていたと言われるような場にこういった企業が参加して、城井さんはこう聞いていましたね、それらの企業に対してこの藤井氏が意見発表を行ったり指導を行っていたのかといったことを問うた際に対して、官房長官からは、その点も含めて今調査中なんだというふうに言われました。

 まさに、こういった企業に対して藤井氏が意見発表を行ったり指導を行っていたかということに関して、調査を行われている。それを受けて、最終的な処分の在り方を決めようとされている。

 ということは、指導を行っていたかどうかですから、これらの会社に対して、法案を作成する担当者が意見発表のみならず指導を行っていたとすると、かなり、実は法案の内容がそこで、直接か間接かは分かりませんが伝えられていたり、それによって法案に対していろいろな意見が伝わってきて、法案の内容がゆがめられていたりする可能性があるのではないかとやはり推察せざるを得ないです。

 この点に関して、私は、この調査を官房長官がすると言われた、これらの企業に対して意見発表や指導を行っていたかどうかの調査、その点も含めて調査中と言われたものですから、その調査が終わらないと、これらの企業群から法案に対して、この藤井氏を通じて曲がった影響がなかったかは分からないと思うんです。ですから、それをきちんと調査を通じて確認した上でないと、今月末と言われている法案提出は、私、あってはならないと思うんです。

 法案提出は、調査がしっかり終わって、その調査を通じて、これらの企業から藤井氏が影響を受けて、法案に曲がった影響がなかったということを確認した上で法案提出される、そのことでよろしいですね、官房長官。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 法案は、十六回にわたる有識者会議での検討を踏まえるとともに、関係団体との意見交換を経て策定をしたものであり、特定個人の一存で法律の内容がゆがめられる余地はないと考えております。法案の策定プロセスそのものについて、内容がゆがめられる余地はないといった、法案の作成、策定プロセスそのものについて答弁したものでございます。

 よって、今回の調査というのは、元審議官の非違行為があったかどうかについて調査をしているということでございまして、法案については先ほど申し上げたとおりでございます。

大串(博)委員 私、とんでもない答弁だと思いますよ。

 城井議員が聞いたのは、これら、法案で大きく関係してくる企業に対してこの藤井氏が意見発表を行ったり指導を行ったりしていたのかという問いに対して、官房長官は、その点も含めて調査をしているとおっしゃっていたんですよ。これらの企業に対して意見発表を行ったり指導を藤井さんがしていたとしたら、法案に影響を及ぼしている可能性が極めて高いと考えるのが当然じゃないですか。

 にもかかわらず、官房長官、もう一回聞きます、今回、調査が出る前に法案を提出するということですか。どうですか。お答えください。

松野国務大臣 現在調査中であることは御答弁をさせていただいたとおりでございますけれども、経済安全保障推進法案については、現在、法案提出に向けた準備を加速をしているところであります。そこに至るまでの間、分野別の検討を含めれば十六回に及ぶ有識者会議での議論を経た提言を踏まえ、また、与野党、経済団体連合会などの経済団体、日本労働組合連合会といった関係団体とも対話を重ね、その中でいただいた御意見を十分に踏まえたものでございます。

 こうした状況において、特定個人の一存で法律がゆがめられる余地はないと考えており、藤井元審議官が個人的に法案の内容を左右したといった問題はないと考えております。

 なお、提言を取りまとめられた青木節子座長からは、藤井元内閣審議官から、個人的な働きかけによって提言の内容に変更が生じた事実はないとの認識を確認をしております。

大串(博)委員 極めて緩い調査であり、極めて緩い認識であると私は言わざるを得ないと思いますよ。

 なぜなら、繰り返し言いますけれども、この藤井さんが先ほどの関係企業に対して意見発表を行ったり指導を行っていたかどうかは、官房長官、あなた、調べているんでしょう、今。企業に対して藤井さんが指導を行っていたら、もしそういう事実が判明したら、法案に影響があったと思わざるを得ないじゃないですか。可能性はあると思わざるを得ないじゃないですか。

 そういったことを、今もう既に、そんなに急いで法案を出したいんですか。そんなに急いで法案を出して、さっさと法案を通して、手柄にしたい、政権浮揚につなげたい、そういうことですか。私は、それはあってはいけないと思いますよ。きちんと国民に納得いくように、影響がなかったか調べる必要がありますよ。

 それに、今言われました、分野別の検討を含めれば十六回に及ぶ有識者会議での議論を経た提言を踏まえ、また、いろいろな先とも意見交換をした上で十分に検討を踏まえたものだから、特定個人の一存で法案の内容がゆがめられる余地はなくというふうに言われましたが、十六回に及ぶ分野別の検討を含めた有識者会議の議論、公開も何もされていないじゃないですか。公開されているのは、うち四回の有識者会議だけですよ。そのほかの十二回の分野別の検討なるもの、公開も何もされていないんですよ。

 どういうふうに進められていたか、その内容は、その進め方は、法案の責任者であった藤井さんがいろいろ差配して決めているに決まっているじゃないですか。しかも、法案の責任者ですから、これらの審議をどのように進めるか、資料作りから始めて、論点の整理から始めて、そして二月の初めには提言書を取りまとめられましたけれども、提言の素案作りから含めて、この責任者が極めて大きな役割を果たせるのは当たり前じゃないですか。

 そんなことを全く関係なかったかのごとく蓋をして、疑惑に蓋をして、法案だけさっさと出そうという態度は、私は極めておかしいと思います。

 岸田総理、それでも法案を今月末に、調査が終わる前に出されるつもりですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 ただいま官房長官から説明させていただきましたように、今、法案の提出に向けて準備を加速化させているところでありますが、その法案の作成過程において、元審議官の個人的な考え方が影響する余地はないということを説明させていただきました。

 この法案については、国会においても、この法案の中身が本当に日本の経済のために、そして国民のために資するものであるかどうか、これをしっかり国会において議論していただかなければなりません。是非、国会においてそういった視点から法案をしっかり審議していただき、この成立をお願いさせていただきたいと政府においては考えております。

大串(博)委員 極めて緩い私は判断だと思いますよ。

 この藤井さん、いろいろ調べてみると、ネット上だけで調べるだけでも、いろんなところで講演もされているみたいですね。かなり盛んです。

 二〇二一年だけでも、例えば、人材コンサルティング会社のところで三回、Zoomですけれどもね。アフターコロナに向けて、経営者なら押さえておきたい経営に死活的な三つの力、前編。アフターコロナに向けて、経営者なら押さえておきたい経営に死活的な三つの力、後編。経営者のための九十分で分かるESG。官民連携したルール形成戦略の在り方。かなり、一般的なことも含めて講演されているんですね。一年間に四回ですよ。

 その前には、二〇一八年九月十四日、日本ヒューレット・パッカード社の主催で、経営戦略としてのサイバーセキュリティーということで、当時の甘利明自民党行革推進本部長ですかと一緒に登壇されていらっしゃいますね。こういうふうに、かなり頻繁にビジネス界とのつながりも講演という形で持たれていた。

 私は、きちんと、この方が法案の責任者だった、そして今回、それに対して非常に疑義が生じている、調査をして、その疑義を晴らした上で法案提出すべきだと重ねて思います。このことは重ねて強く申し上げておきたいというふうに思います。

 さて、続いて、経済及び物価に関して少し話をさせていただきたいと思います。

 先週、日本の十月―十二月のGDPの速報値が出ました。年率五・四%増になっていますけれども、各国との差は歴然です。二〇二一年の暦年の成長率が出ました、これによって。日本は一・七%成長。一方で、アメリカは五・七%成長、ユーロ圏は五・二%成長、英国は七・五%成長、中国は八・一%。大きく水を空けられています。

 なぜこんなふうになってしまったのか。なぜ、同じコロナという課題と戦っておきながら、日本だけがこんなに経済成長が弱いのか。

 二月十六日の日本経済新聞では、ワクチン普及に時間がかかった上、脆弱な医療体制が経済社会活動の足を引っ張ったと書いてあります。私、そのとおりだと思うんですよ。政策の失敗でこれだけ経済が弱くなってしまっている。この点は銘記していただきたいと思います。

 そのような中で、今非常に、物価の上昇、国民生活を痛めています。今年一月の消費者物価指数の上昇率は〇・二%、小幅でしたけれども、五か月連続の上昇ですね。携帯電話の値下げという一時的な要因、今年ありました。それを一・五%分と換算して、これを除くと、この春には二%分ぐらいの消費者物価上昇の率が表れてくる、そういう状況になってきている。

 経済がこれだけ極めてきつい状況の中で物価上昇というのは、国民生活をかなり厳しく痛めます。電気、エネルギー、これは四十年ぶりの物価上昇、こういう状況です。

 にもかかわらず、私は、岸田政権の対応、反応、極めて鈍いと思うんです。国民生活に対する思いが極めて弱いと思うんです。その表れが、原油価格、先ほど来話もありました、原油価格の上昇に対する反応の鈍さです。一バレル当たり九十ドルまでいっています。とんでもない高さまでいっているんですよ。そういう状況であるにもかかわらず、極めて緩い対応しかこれまでしてきていない。

 ちょっと資料を総理にお配りしておきましたけれども、経産省の方で、ガソリン価格等を五円下げる燃料油価格激変緩和事業が行われています。これは、元売に補助金を出してガソリン等を下げようと。これは、全国のガソリンスタンドの皆さんから極めて不評です。なぜなら、元売にお金を入れているにもかかわらずガソリン価格が下がっていないじゃないかという苦情の声は、現場の小売のガソリンスタンドに行っているんですね。私も、地元の皆さんから、これは本当に困ったという現場の声を聞きます。

 これはちょっと資料をつけておきましたけれども、この事業でどのくらいの金額を下げるように予算措置しているかというと、予算措置八百九十三億円なんですけれども、事業期間中の平均補填額は、何と、五円どころか二・一円下げるという前提での予算づけになっているんですね。こんな微々たるものしか実は予算措置していないのが岸田政権なんですよ。これが実態なんですよ。こういう状況ですよ。

 さらには、ガソリンだけじゃなくて、ほかの油種もあります。重油、灯油、軽油、農業や漁業にも多く使われています。私、地元でも、農業や漁業、ハウスあるいは船、これらで農業、漁業を営むにも、重油、軽油、灯油、極めて大きく影響を受けている。これらも極めて平時の対応なんです。

 農水大臣に来ていただいております。農水大臣、農業や漁業の皆さんは非常に今厳しい状況ですけれども、これらの皆さんの使う油に対してどのような対応をされていますか。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 燃油価格の上昇に応じまして補填金を交付する制度を着実に実施しているところでございます。

 引き続き、事業者に対する影響を注視しまして、対策の効果を確認しつつ、更なる対策の必要性について検討してまいりたいと考えております。

 ただ、漁業の場合は浜によって価格がいろいろとありますし、農業もやはり取引によっていろいろな価格がありますので。ただ、いいところは、これは生産者に直接補填されるということになっていますので、その点については非常にいい制度かと思っております。

大串(博)委員 今言われました制度は、全て普通にある制度なんですよ。別に、今ある制度じゃないんです。これまでも普通にある平時の対応なんですね。

 例えば、施設園芸等燃油価格高騰対策があります。これはもう通常からある政策なんですよ。平時の対応を今やっているというだけの話なんです。しかも、この施設園芸等燃油価格高騰対策は、農家に対して、三年間で燃油使用量の一五%以上を削減する省エネ目標を掲げなさい、こんな条件までついているわけです。これは極めて平時の対応ですよ。

 漁業に関しても、漁業の皆さんから積立てしてもらってやっている。もう全然、この緊急時に対して緊急対応になっていないんです。

 総理、先ほど申しましたガソリンに関しても、二円分しか補助金を突っ込んでいない。漁業、農業に関しても、平時の対応しか行っていない。ここは、総理、強い意思を持って、断固たる措置を予算面も含めて今やるべきじゃないですか。どうですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、エネルギー高騰から国民生活そして日本経済を守るために、実効ある激変緩和措置が必要であると認識をいたします。

 ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とする激変緩和措置とともに、先ほど農水大臣からもありましたような業界、業種ごとの支援、また地域の事情に応じた対策を行う自治体への支援、こうした重層的な対策を用意しているところでありますが、今後のエネルギー市場の動き、更なる高騰の動き等を踏まえ、あらゆる選択肢を排除せず、官房長官を中心に検討を進めており、追加的な措置、追加的な対策、これを早急に講じていきたいと考えます。

大串(博)委員 私たちは、たった二円分の激変緩和措置だけじゃなくて、トリガー条項の発動も含めた、税を含めた対応を即座にやってくださいということを、この秋から、そしてこの一月十七日に国会が始まってから、野党側からずっと言い続けてきました。

 トリガー条項に関しては、先ほど、それも含めてあらゆる策を検討するというふうに与党側の皆さんには言われましたけれども、与党の皆さんもかなり本気になっていらっしゃるようになってきた、それはいいことだと思います。しかし、遅いんですよ。遅いんです。

 総理にお尋ねしますけれども、トリガー条項も含めた更なる対策を早急に検討すると言われましたけれども、その案は、まず一つに、油の種類です。ガソリンや軽油だけではなくて、先ほど農業、漁業もありました、重油、灯油もあります、油種。そのほかの油種も含めて、トリガー条項も含めた、税も含めた対策を取られるという理解でよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 追加の対策についてはいろいろな議論があります。御指摘のトリガー条項についても、油種が限定されている等の御指摘があるということも承知をしています。

 そういった点を踏まえて、あらゆる選択肢を排除せずに検討を早急に進めるということを申し上げている次第であります。

大串(博)委員 早急にとはいつですか。今、二月の二十一日です。いつかによって、どの予算を使うかにもよるんです。

 今年の予算を使うんですか。予備費しかありませんよ。本当に踏み込んだ策をすると予備費では私は足りないと思います。足りないと思います。四月以降やるんですか。それじゃ遅過ぎます。補正予算になるかもしれない。予備費になるかもしれない。

 やるとしたら今ですよ。ただ、今だとすると、先ほど申しましたように、本当に踏み込んだ対応をするとすると、予備費ではとても足りません。予備費で間に合うような対応を取ったとしても焼け石に水です。

 やるとしたら今。今やるとすると予算が足りない。とすると、私は、今回の令和四年度予算、組替えするしかないと思うんですよ。あるいは補正予算でも作るしかないと思うんですよ。そのぐらいの決断をもってして今やらないといけない。

 どうですか、総理、速やかにというのは今ではないんですか。

 経産大臣、いいです、これは総理の決断ですから。経産大臣が政府全体の予算のことを言えるわけがないというのはよく分かっていますので、総理に聞いていますので。

 総理、政府全体の予算、来年度予算を組み替えてでも、あるいは今からでも補正予算を作ってでも、速やかに、今、大胆な策を発動すべきじゃないですか。どうですか。

岸田内閣総理大臣 現在、政府においては、激変緩和措置を始め、様々な施策を重層的に用意をし、事態に対応しています。

 ただ、今後、ウクライナ情勢を始め、エネルギーをめぐる環境、不透明なものがあります。そうした将来も見据えながら、この追加の策について議論を始めるということを申し上げているわけであります。

 今後の状況を見ながら、今の行っている施策の効果等もしっかりと確認した上で、何が効果的なのか、これをしっかりと確認した上で、これからの追加策について決定していきたいと考えております。

大串(博)委員 極めてペースが遅いと思うんです。検討、検討、検討とおっしゃっているうちに日が暮れてしまいますよ。北国で、非常に寒い中で灯油を使って家を暖めなきゃならない、ハウスを暖めなければならない、そういう時期は終わってしまいますよ。どういうことですか。このペースの遅さが、私は非常に問題だと思うんです。今速やかに予算を組み替えてでも即座の対応をすべきということを強く主張させていただきたいというふうに思います。

 さらに、遅いというとワクチンです。先ほども申しました、景気が何でこんなに上ってこないか。ワクチンの接種や脆弱な医療体制、こういったものが遅れたことにあるんじゃないかと言われている。

 ワクチン接種一日百万回、そういうふうなことを達成しているときもあります。しかし、私は、総理、極めてこの発表自体が遅かったし、一日百万回という目標はレベルが低いと思うんです。だから、スピードアップしない。必要なところに行かない。

 ここに、ある自治体の接種券があります。先週届いたものです。この接種券を見てみますと、この方は去年の八月の六日に二回目の接種を受けられています。六十五歳未満の方です。

 総理、六十五歳未満の方は何か月間隔で接種できるか知っていますか。

 御存じないようなので、ちょっと驚きですけれども、即座には言われないようなので、私の方から言います。六十五歳以上の方々は、三月以降は七か月間隔でやってくださいということを、総理自身が、前倒しで一月十三日に発表されました。是非、総理も御確認いただきたいというふうに思います。

 この接種券、六か月もできると。つまり、余力があるところはできる。でも、それができているかどうか。

 申し上げます、この接種券。八月六日に打たれた六十五歳未満の方の接種券です。接種券のど真ん中に、真ん前に、三回目の接種を八か月後とすると二〇二二年四月六日以降に可能ですと書かれているんですよ。これはこの自治体の人のせいじゃないです。ちゃんとこの中に、別の紙で接種の日程を書いてもらっています。三月以降は原則七か月間隔でできると、別の紙にちゃんと書いてもらっています。だから、自治体の皆さんは必死に努力されています。

 自治体の皆さんは必死に努力されていますけれども、余りに政府の決断が、八か月から七か月への前倒しが遅かった。さらに、その後混乱した。しかも、その後しっかり自治体の皆さんと、リエゾンチームを復活したりして、連携を取れていない。しかも、一日百万回といった極めて低い目標しか立てていない。

 そういった中で自治体の皆さんは一生懸命やられているけれども、実態がこれですよ。自治体の皆さんが悪いんじゃないんです。ワクチン接種がなぜ迅速に進まないか。それは、総理が本気じゃないからですよ。

 総理が本気だったら、この目標を立ててください。高齢者で、七か月をもって接種できるわけです。七か月間隔で接種できる、この方々を足し上げると、二月末で三千七百四十六万人、何回もこの委員会で申し上げました。三千七百四十六万人、この方々は、二月末までにちゃんと七か月間隔で対象者となられるわけです。

 二月末までに三千七百四十六万人の何人を接種するのか。一日百万回じゃなくて、そういう、いつまでに何千万人接種するのか、こういう目標を、総理自身が背水の陣を懸けて目標として立てるべきだと思うんです。

 なぜなら、今、高齢者の皆様、高齢者施設でクラスターが生じ、病院にも入れず、入院もできず、亡くなられているじゃないですか。後ほど同僚議員が指摘しますけれども、多くの高齢者の方々が亡くなられている。一刻も早くワクチン接種しなきゃならない。総理が本気にならなくてどうするんですか。

 提案です。

 三千七百四十六万人、二月中に七か月間隔が来る高齢者の皆さん、いついつまでにこれらの方々の接種を終わらせるんだと明確な目標を、一日百万人というような低い目標でなくて、何月何日までに高齢者の接種、三千七百四十六万人を終わらせる、そういう目標を背水の陣で立てて実行していただきたい。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、三回目のワクチン接種に対する自治体の皆様方の協力について御指摘がありました。

 我が国においては、昨年十月、十一月まで、一回目、二回目の接種を続ける中で、十一月に薬事承認を行い、そして十二月から三回目の接種を開始したということでありました。その間、二回目の接種との間隔については、科学的なエビデンスに基づいて議論を行い、八か月から六か月へと短縮をしてきたということであります。その間、自治体の皆様方には大変な御協力をいただいてきたということであると認識をしております。

 そして、三回目の接種の目標について御質問がありました。対象となる三千七百万人の方々への接種ということでありますが、この方々に対して、ワクチンの量、これは間違いなく十分に用意をし、そして配送をさせていただいています。

 そして、自治体においても、それぞれの接種会場の設置等に御努力をいただき、施設接種や巡回接種にも取り組んでいただき、エッセンシャルワーカーへの接種も進めていただき、そして職域接種も体制がスタートしています。

 要は、ワクチンの量は確保し、接種の体制も用意をし、そして、今月中に接種券の前倒し、これも六千百万人分の送付を今月末までに完了するということとさせていただいています。

 ワクチンの量を確保し、接種の体制を整え、接種券も六千百万人送付をさせていただきました。あとは、対象になっている方にできるだけ多く接種会場に足を運んでいただくということであると思います。

 こうした体制を用意した上で、できるだけ広報等を徹底することによって、対象者の方々に接種会場に足を運んでいただくよう、しっかりと努力をしていきたいと考えています。

 そして、配付したワクチン、これを無駄にすることがないように、一般の方々の接種もしっかり前倒しすることによって、接種の回数をしっかりと上乗せしていきたいと考えております。

大串(博)委員 観念論じゃなくて、いつまでにどれだけ終わらせると、背水の陣、責任を持ってそういうことを決めていただきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 この際、江田憲司君から関連質疑の申出があります。大串君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田憲司君。

江田委員 立憲民主党、江田憲司でございます。

 総理、閣僚の皆さん、お疲れさまです。もう今日が実質、審議最終日でございますので、よろしくお願いします。

 今日は、パネルのお手伝い、山田勝彦衆議院議員、長崎県、お願いをしております。

 さて、私、オミクロン対策中心にやりますけれども、このオミクロンにつきましては、感染力は強いけれども重症化しにくいだとか、国立感染研所長でしたか、二月上旬にはもうピークを越えただとか、先週十七日の岸田総理の会見でも、諸外国と比べれば感染状況は低いレベルにあるとか、そんなこともおっしゃっているんですけれども、是非、皆さん、このパネルを御覧ください。

 これは一日ごとの死者数ですけれども、極めて残念ながら、先週十七日には一日当たり二百七十人の死亡者が確認をされました。これはもう過去最多であります。

 そして、二枚目のこのパネルを見ていただくと、今度は総数ですね、死者総数。何と、第五波の死亡者総数を先週の十七日に超えました。これは十八日までの数字ですけれども三千六十一人、その後、十九、二十日と二百人レベルの死亡者が続いておりまして、三千五百人弱の、現時点で死亡者となっております。

 改めて、亡くなった方の御冥福を心からお祈りしたいと思いますし、御遺族の皆様にはお悔やみを申し上げたいと思います。

 しかも、五波というのは、三か月間で二千七百六十六人なんですよ。第五波といえば、あの八月、重症病床が一〇〇%埋まって、入院したくても入院できない重症者が続出して、八月だけで二百五十人もの自宅死が認められたという本当に悲惨な第五波と比べても、第六波、まだ二か月間です、三か月間に対して二か月間で既に第五波を上回ってしまった。

 こうした事態を招来したことについて、総理大臣の受け止め、分析をまず最初にお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、お亡くなりになられた方には、心からお悔やみを申し上げ、哀悼の誠をささげさせていただきたいと思います。

 その上で、今回のオミクロン株の特性、委員御自身がおっしゃったように、感染力は強いけれども重症の確率は低いという指摘がありました。その中で、医療提供体制の確保などに努めてきたところであります。

 新規感染者の数が去年の夏と比べても三・五倍から四倍に膨れ上がっている、こういった状況の中で、重症化される方のピークは後から来る、こういったリスクも高いという指摘もあるわけでありますから、決して警戒感を緩めてはならない、こういったことを改めて思います。

 そして、この遅れてくる重症者の数の積み上げに対応するために医療提供体制をしっかり用意をしてきた、こういったことであります。重症者に対する病床の数、これは今現在でも余力があると承知をしています。

 是非、この体制をしっかりと維持することによって、重症者の方々に対してしっかり対応し、そして、亡くなられる方をできるだけ少なくする、こうした対応を続けていくことが重要であると考えております。

江田委員 政治は結果責任です。今このときにコロナオミクロンから国民の命を守る、そのための権限と財源、お金を持っているのは総理大臣だけなんですよ。私、江田憲司も持っていませんし、野党にはありません。だからこそ、国民の生命を守る重い責任がある。にもかかわらず、結果が伴っていない、これが全ての結果です。

 総理も先週の記者会見で、何よりも国民の命を守ることが重要だとおっしゃいましたね。さっきの答弁をお聞きしても、全く反省の弁もないし謝罪の弁もありませんけれども、この際、国民の皆さんにしっかり謝罪をされたらどうですか、結果責任ですから。何をやった、これをやった、検討する、努力するというのはもううんざりするほど聞きましたけれども、結果が伴っていないんですから。

 反省の弁と謝罪の弁をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、亡くなられた方には改めて哀悼の誠をささげさせていただきたいと思います。

 そして、今はまだ戦いの最中であります。政治の責任として、こうした事態に対して尽くすべきこと、やるべきこと、これを全て尽くして対応していく、これが政治の責任として重要であると認識をしています。医療提供体制、予防、検査、早期治療、こうした体制をより充実させていくことこそ、私に課せられた課題であると思います。そうしたことによって、国民の皆さんの安心、健康、事業を守る、こうした取組をしっかり進めていきたいと思います。

 その上で、評価していただくのは国民の皆さんであると承知をしています。その評価をしっかり受け止めたいと考えます。

江田委員 総理、やはり人間誰しも失敗するし、それは反省をする、そしてそこから教訓を得る、そして前に進んでいくというプロセスがなければ、今総理大臣の話を聞いたって、これからこうします、ああしますと言っても信用できないんですよ、その程度の危機意識では。

 個別に問いただします。

 なぜこんな悲惨な状態が招来をしたか。これはもう、この一か月間、我々野党が累次指摘してきたとおり、三回目のブースター接種が遅れに遅れているからですよ。

 総理、一月三十一日の予算委員会で、私は、なぜこんなに遅れているのか、それは、ワクチンの在庫があるとかないとか、自治体の準備が遅れているところがあるとか、とにかくみんなでそろえてやろう、悪平等が原因ではないかと言ったときに、全くそれは当たらないという答弁でしたね。

 しかし、私が言ったとおり、小池知事がまさに私と同じようなことをおっしゃいました。二月八日です。私が言ったのは一月三十一日。三回目の追加接種をできるだけ早く始めるよう政府に求めたところ、それはいかぬ、みんな足並みをそろえていくんだと言われた。世田谷区長も、それは自治体間競争になる、待ってくれというのが厚労省の考え方だった。まさに私が指摘しているとおりじゃないですか。

 こういうふうに後ろに合わせるから遅れている、そういう認識すらないんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 三回目の接種の開始当初の八か月という接種間隔についても、そしてその後の接種間隔の前倒しについても、その当時の最新のエビデンスあるいは感染状況を踏まえながら判断してきたものであると認識をしています。

 少なくとも、接種体制の準備が遅れている自治体に全体の接種スケジュールを合わせるようなことはしておらず、こういった点で御指摘は当たらないと申し上げているところであります。

江田委員 それでは、八か月というのは科学的エビデンスがあったんですか。科学的根拠は何ですか、八か月という。

後藤国務大臣 八か月のエビデンスにつきましては、まず、当時、科学的知見によりましても、六か月間は、重篤化防止効果、発症予防効果は六か月以上続くということ、また、諸外国が二回目を打ってから現実に三回目のブースター接種を打つまでに八か月程度の時間が空いていたこと、それからワクチン等、そうしたことも含めて八か月ということが適切であるという議論で、八か月後ということにいたしました。

江田委員 ちょっとこのパネルを見てください。

 八か月なんということを言っていたのは、諸外国は昨年春頃の話です。このパネル、御覧のように、もう秋口、九月、十月、秋口には、イギリスもフランスもアメリカもドイツも韓国も、高齢者等を対象に六か月に前倒しをしていますよ。そして、年末までに更に三か月まで前倒しをしているんですね。

 日本は十二月一日、一般人も含みますけれども、八か月原則でスタートしたんですよ。しかし、十二月一日といえば、もう南アフリカでは一万数千人の感染拡大があり、世界で二十四か国もオミクロンが蔓延していた事態ですよ。それをあえて八か月にした。

 ファイザー製ワクチンの三回目接種の薬事認可は十一月十一日です、日本において。そこには六か月以上間隔を置けと書いてある。何で十二月一日から六か月間隔にしなかったんですか、総理。これが最初のつまずきなんですよ、総理大臣。

岸田内閣総理大臣 諸外国において三回目のブースター接種を開始した時期、これは委員御指摘の、お示しになられた資料にありますように九月頃であります。諸外国においては、その九月頃というのは、二回目の接種を始めた時期からもう既におおむね八か月たった時期の話であります。

 やはり各国において、この六か月というのは、これは接種可能な間隔であり、我が国においても、薬事承認上、接種可能な間隔は六か月としたということであります。そして、昨年十一月、先ほど厚労大臣からありましたように、ワクチン分科会において、八か月以上後とする、こうした諮問、答申をしたということを受けて、我が国においても八か月から議論が始まったということであります。

 接種可能な時期と実際の接種間隔をどうしたか、これは各国においても様々な議論が行われた。我が国においても、二回目の接種が終わってからの間隔、しっかり考えた上で、十一月十一日、薬事承認を行い、接種を開始したというのが経緯であったと認識をしております。

江田委員 日本だって、高齢者向けに接種が開始したのは四月十二日ですよ。十二月に六か月間隔でやれば、当然対象者もいって、先鞭をつけてワクチン接種ができたんですよ。

 そして、長妻議員も取り上げましたけれども、十一月十五日、厚労省のワクチン部会では、地域の感染状況を踏まえ、自治体の判断により前倒しは可能だという報告を出しているんです。尾身会長も十一月十九日には、高齢者接種を早めたらとの複数の意見も出たと。

 それから、八月には、モデルナ社製が二回目接種で大体四か月たったら予防効果が低減をする、ファイザーも同じく、六か月たったら同じく予防効果が低減するという報告をもうとっくに出しているんです。それで、イギリスもフランスもアメリカも、九月に六か月に前倒しをしたときにオミクロンのオの字もなかったですよ。

 しかし、これも、日本でも六波ですから、もう年末、一昨年の年末、また波が来たことは分かっているわけだから、オミクロンが来ようが来まいが、最悪の事態を想定されると言うのならしっかりと前倒して、十二月一日、薬事認可は六か月だったんですから、十二月一日から八か月でスタートしたというのがもう一番の間違いの元だったということさえ認めないんですか、総理。

 だから、私が言いたいのは、人災ですよ、これは。総理の責任ですよ。それに対する反省ぐらいないんですか。前に進めません、これじゃ。信用できません、あなたの言うことは。

岸田内閣総理大臣 先ほども申したように、各国とも八か月から始まって、様々な接種間隔についての議論を行い、それぞれ今取組を進めているということであります。我が国においても、一回目、二回目の接種状況を踏まえて、適切な間隔について議論を行ってきた。十一月の段階では、ワクチン分科会の議論があり、これは国民の命、健康が懸かる話でありますので、こうした専門家の意見もしっかり踏まえながら、間隔について考えてきた。

 しかし、おっしゃるように、間隔期間を前倒しするべきだという議論の中で、我々もこの前倒しを行い、現在、前回、二回目との間隔において今まさに重要な時期を迎えています。六か月間隔に向けて、自治体にも御協力をいただきながら、全国を挙げて努力を続けているというのが我が国の状況であると認識をしております。

江田委員 その結果、今の、はっきり言えば、高齢者に対してだってまだ接種率は三分の一ですよ。脇田国立感染研所長ですら、こんな接種状況ではもうオミクロンの抑制効果を期待できないとおっしゃっているんです。その結果、さっき御覧いただいたような、死者が第五波を超えるような、たった二か月間で、こういう事態を招来しているんだということを総理、もっと認識していただかないと、これから何をやる、これをやると言ったって、本当に信用できません。

 じゃ、聞きますけれども、具体的に。今、大串議員も質問しましたが、この月末までの対象者は直近で三千七百五十二万人ですね。二月十八日時点でまだ千六百一万人しか打っていません。二月末までというと、二月十八日時点で千六百一万人ですから、あと十日間で二千万人以上の方を打たなきゃ目標を達成できない、対象者、達成できないんですけれども、できるんですか、総理。お答えください。

岸田内閣総理大臣 今月対象となられる三千七百万人分の方へ接種するに当たって、十分なワクチン量は既に確保し、そして自治体に配付をしています。そして、接種体制についても、先ほど申し上げたように、準備を進め、職域接種も本格的に開始をしています。接種体制も用意できました。そして、接種券についても、六千百万人分の接種券の配付、今月中に終えることになります。

 このように、ワクチンの確保、接種体制、そして接種券の配付、これはしっかり対象者向けに行いました。これに基づいて、できるだけ多くの方に接種をしていただくよう広報等にも努めている、こうしたことであります。

 できるだけ多くの方の接種が進むように、政府として全力で取り組んでいきたいと考えております。

江田委員 国民にとってみれば、体制を整備したどうかよりも、実際に打てたかということが大事なんでしょう、感染予防のためには。だから、我々立憲民主党は、もう一月前から、目標を示してください、一日当たりの接種目標を示して、総理頑張ってくださいとずっとしてきたのに、最初否定していたじゃないですか、目標セットを。それで、追い詰められて百万回にした。しかし、今時点では、二百万回以上の接種をしないとこの三千七百万人の対象者に全部打てないという状況ですよ。まさにあなたが招来した事態です、これは。

 そして、一番重症化リスクの高い高齢者施設の入所者。なぜかというと、今、クラスターが多発していますね、高齢者施設で。今、四百五十五件、これはもう過去最多です。五波のときは四十三件だった高齢者施設のクラスターが、もう十倍以上になっている。ここに可及的速やかに、最優先に接種をしなきゃいかぬ。

 そういう意味で、厚生労働省は、二月十六日までに全都道府県に対して高齢者施設の入所者対象に、二月末までの接種完了見込みを調査されていますが、厚生労働大臣、その結果を報告してください。

後藤国務大臣 千七百市町村からの回答によりますと、介護老人福祉施設の医師の配置がある施設は約八一%、その他は約七二%で、全体の平均は七四%となっております。

 この結果を受けまして、二月十八日、早速、全国の自治体の予防接種担当部局、高齢者施設担当部局向けにオンライン会議を開催し、どうして遅れるのか、何が問題になっているのかを回答していただいているので、それに対する意見交換と、今回の調査で出てきた問題点についてどのように協力して解決していけるか、事務連絡も発出いたしております。

 二月末までには希望する高齢者施設の入所者等への接種を完了できるように、全力で取り組んでまいります。

江田委員 今答弁ありましたとおり、全国五万一千三百七十三施設のうちの七四%しかまだ接種見込みがない、二月末までに。あとの四分の一、一万三千余りの施設をこれから。あと何日あるんですか。一番重症化リスクの高いこの高齢者施設の接種が達成できませんね、これはもう。

 思い起こすと、各首長さんが、この高齢者施設の入所者にはもう最優先でやりましょうと十一月に前倒しを要請したんですよ。その結果、何が起こったか。明確に覚えております、私は、横浜市長、横浜市が承認第一号ですから。クラスターが発生した医療機関、高齢者施設には六か月で打っていいですよって。何ですか、これは。クラスターが発生をするのを予防するためにワクチン接種ってあるんでしょう。

 こんな奇妙きてれつな基準でお茶を濁してきて、本当に、十二月一日から八か月以上という、諸外国とでは、比較では考えられないような間隔を空けて、そして目標も当初設定せず、百万人以上という目標を設定したらもう時間切れで、二月末、一番最優先に接種すべき重症化リスクの高い高齢者施設の入所者にも目標が達成できない。

 私もこんなことを言いたくないんですよ。しかし、どうなんですか、総理、これ、本当に。達成できないでしょう。だから、幾ら言葉で言っても信じられないんですよ、総理。

岸田内閣総理大臣 三回目の接種について様々な御指摘をいただいていますが、三回目の接種、これは世界的に見ても、我が国より先行している各国の状況、米国、アメリカにおいて三割弱であります。そして、英仏独、こうした先行した国においても五割前後ということであります。三回目の接種は、一回目と二回目の接種と比べて、各国とも事情は異なっている。こういった状況の中で、どれだけ接種率を上げられるか、努力をしているということであります。

 我が国においても、この三回目の接種、二回目接種との間隔の関係で、今まさに大変重要な時期を迎えています。この時期、先ほど申し上げました、ワクチンはしっかり確保しました、接種体制も用意をしました、接種券も配付をいたしました。あとは、できるだけ多くの方々に接種会場に足を運んでもらうべく、しっかり努力を続けていきたいと考えております。

江田委員 この国の国民の命を預かる総理大臣として、これでいいんですかと聞いているんですよ。諸外国がどうかこうかということは関係ありません、この点に関して言えば。守れているんですか。守れていないじゃないですか。だから言っているんですよ。それに対して、何か思いが。

 じゃ、今度、病床確保について言いましょう。

 これも、言うんですよ、一・三倍にしました、八割稼働にします、病床はいっぱい、病床使用率も余り高くありませんと言うけれども、じゃ、お聞きしますけれども、なぜ救急搬送困難事案が週五千七百四十件もあるんですか。これは五週連続過去最高を更新しているんですよ。病床があると言うなら、救急搬送困難になるんですか。五千七百件ですよ。総理、お答えください。

後藤国務大臣 大変に感染が進む中で、コロナ病床を大きく確保する中で、一般病床も厳しくなっております。その両方を保つために、コロナ病床をそうした救急搬送に使えるような調整をしたり、今現場で大変に厳しい状況にあっている医療、しっかりと今対応するようにしております。

 また、救急搬送病床を増やしていくために、一床四百五十万円の確保料を行うなど、しっかりと対応いたしております。

江田委員 じゃ、総理に聞きますから、総理、答えてくださいね。

 第五波のときに幽霊病床という言葉がありましたね。何床確保しております、報告しました、政府もそれでやりますと言っているのに、実際、いざとなったら入院できなかった幽霊病床というのがありましたね。今回もその懸念を私は本当に心配しているんですよ。

 先週末テレビでやっていましたけれども、八十代の糖尿病の基礎疾患を持っているおばあちゃんが入院できなくて亡くなったと娘さんもおっしゃっていました。そんなことを挙げるまでもなく、救急搬送困難事案が五千件、六千件もあるなんて、入院できていないということですから。

 また、総理、幽霊病床なんじゃないですか、今総理がおっしゃっている、確保しましたは。病床使用率が低いのは、入院すべき人を入院させていないからじゃないですか。総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 医療提供体制の確保については、昨年十一月の全体像を示す中で、まず、病床については、書面で協定を結ぶことによって、稼働率、これを八割以上に引き上げる等を行うことによって、全国での、前回ピーク時の一・三倍の受入れ病床を確保したということであります。

 なおかつ、これを見える化を図ることによって、本当にそれが稼働しているかどうか、これも確認する体制をつくったということであります。

 しかし、委員御指摘のように、救急搬送等で混乱が生じているということ、このことについてはしっかり受け止めなければならないと思います。だからこそ、先ほど厚生労働大臣からも答弁させていただきましたように、柔軟な病床活用を行わなければいけないということで、コロナ病床にコロナ以外の患者を受け入れることを可能にするなど、様々な対応を行っているということでありますし、また、一時的に救急患者を受け入れる病床確保のために、一床当たり四百五十万円の支援を行うこととし、医療関係者の協力もお願いしている、こうした対応を取っています。

 この用意した病床がしっかりと稼働するように、活用されるように、更なる工夫を加えていきたいと考えております。

江田委員 稼働していないから入院できていないんですよ。

 この病床確保の見える化というのは、実は、神奈川県横浜市が先行してやったことを厚労省が参考にしてやったと言っていました。見える化しているのなら、救急搬送困難なんか起こりませんよ。救急車を見える化して、オンラインで見て、ああ、この病院にこの病床が空いているんだといったら、救急搬送困難なんか起こり得ないから。

 とにかく皆さんは、体制を整備しました、こういうことでやっております、確保しました、頑張っていますと言ったって、何度も言いますけれども、政治は結果責任ですから。結果が伴っていないんですからこう言っているんです。私も言いたくないですよ、皆さんにも、こういうこと。もういいです。

 ですから、もう一つ、自宅療養という。

 今、直近、調べてみたら、二月十六日時点で五十八万人の自宅療養者がいるというんですけれども、神奈川なんかは自宅療養の前に、自己診断で自主療養している人もいますから、そういう人は把握していませんから、もっと多いと思いますよ。そして、一月のコロナ自宅死というのが百五十一人、これは警察庁発表。その実数は、二月になったらもっと多くなっていると思いますね。

 そうしたときに、オミクロンが怖いのは、重症化率は低いけれども、一旦重症化すると死亡までの期間が短いんですよ。急死するんですよ。基礎疾患があったら、それもコロナ突然死といって、本当に急死するんですよ。

 そういう危険なオミクロン株に対して、自宅療養者が公式発表だけでも六十万人近くいて、本当に自宅への健康観察や医療ケアが行き届いているんですか。そう言うと、また言うんです。答えはもうはっきりしている。私から言いましょう。ちゃんと通達を出して、パルスオキシメーターはすぐ、翌日までには届けますよ、すぐ陽性患者は薬が行くように、当日か翌日にはちゃんとやる。全部通達なんですよ、これ、総理。これは通達行政といって、おびただしい数、事務連絡で出しているんです、厚労省が。

 厚労省の役人、私も役人だったから反省も含めて言うと、通達を出したら済んだ気分、やった気分になるんです。それじゃ駄目だ。国民にとってみれば、それが実際に届くこと、病床確保がちゃんとされていること、入院したいときに入院できること、検査をしたいときに検査できること、それができていないというんですよ。

 だから、総理が幾らそうやって答弁を、官僚が書いた答弁を読まれても、国民にとって重要なことは、自分の命が守れるかどうか、入院したいときにできるかどうか、そういうことなので、これも、自宅療養も心配なんですよ、さっきの病床確保と。

 本当に大丈夫なんですか、この自宅療養ケア、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、政治の責任として、全体像をしっかり示し、そして医療提供体制等をしっかり準備をする、これは重要なことであると思います。その点について説明をさせていただいているわけですが、委員御指摘のように、現場において様々な混乱が生じているということ、この点についてはしっかり受け止めながら、より、用意した体制が機能するように努力をし続けていかなければならない、こういったことであると思います。

 そして、自宅療養者に対する対応についても、保健所を通さずに、地域の医療機関にも御協力をいただきながら体制を整えてきたということでありますが、亡くなられる方について御指摘がありました。

 専門家の分析では、死亡者の中心である高齢者の中には、基礎疾患の悪化などの影響で重症の定義を満たさずに死亡する方も含まれている、こういったことも指摘されていると承知をしています。

 そうした現実もしっかり踏まえながら、重症化されている方、あるいは亡くなられた方、こういった実態についてしっかりと把握し、政治としての対応を考えていくことは重要であると考えます。

江田委員 引き続きしっかり検証させて、また同じような言い訳をされないように是非お願いいたします。

 そこで、このオミクロン感染拡大の起源といえば米軍基地でしたね。この前、国立感染研が、分析結果、ゲノム解析、やりまして、この日本におけるオミクロン感染拡大の主流は米国ではやったオミクロン株だという発表をしましたね。

 ところで、米軍が米国本土に送ったゲノム解析、もう十二月三十日には検体を送っているのに、いつまでたってもそのゲノム解析の結果が出ませんよ。いつ出てくるんですか、このゲノム解析の結果は。何かフォローしているんですか、外務省としても。

林国務大臣 このゲノム解析の結果については、米側に求めてきておるところでございます。

 その判明の時期については、今のところ確定的な見通しを得る段階にはないわけでございますが、いずれにせよ、先日の予算委員会で厚生労働大臣からもお答えがあったとおり、在日米軍のゲノム解析の結果が得られたとしても、ゲノム情報のみをもってその由来を推定することは困難である、こういうふうに承知をしております。

江田委員 そんなに腰砕けになられる必要はないんですよ。ちゃんと、日本政府、責任を持って問いただしてください。いつもこれなんですよ。

 もう一つ言いますよ。この前、予算委員会、我々の野党の質問で、米国がその後導入した検査は抗原定量検査ではなくて定性検査だということが判明しましたけれども、これに対して松野官房長官は、引き続きこれは、日本が求めたPCR検査又は定量検査にすべく協議をすると言っていますけれども、いつになったら結論が出るんですか。どうするんですか。放っておくんですか、総理。

林国務大臣 在日米軍の出国前七十二時間以内の検査、また入国後二十四時間以内の検査においては、PCR検査又は抗原検査が実施されておると承知しておりまして、このうち抗原検査の場合については、より一層日本側の措置と整合的となるように、抗原定量検査を実施するように米側に説明、申入れを行ってきたところでございます。

 これに対して在日米軍からは、PCR検査又は抗原検査を採用しているのは米国疾病予防管理センター及び米国防省の指針にのっとったものである、いずれの指針においても抗原検査は抗原定性検査のみとなっているという回答があったところでございます。

 そうした回答を踏まえて、検疫・保健分科委員会、新たに日米合同委員会の下に設置をされましたので、ここで、日米双方の保健当局、専門家を交えて更に議論を深めていきたいと考えております。

江田委員 もうそんなことは一月前から耳にたこができるほど聞いているんですよ。国民の皆さん、御覧のとおりですよ。私もずっと政府が長かったから言いますけれども、米軍の気に食わないことは、忖度して外務省が全く問いたださないんですよ。そして、国内的には、はい、申入れしました、やりましたと言い訳だけを言っているんです、こうやって。いつまでたっても結果が出ない、総理。これは現実ですからね、本当に。

 もうとにかく、そんな、米軍に忖度して国民の生命を守らないなんてことはやめてください。是非、検疫ぐらいは、この検疫ぐらいは、オーストラリアだってフィリピンだって国内法を適用しているんですから、国内基準に整合的な形で検疫をやっていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、今回のオミクロン株の感染拡大において、当初、在日米軍施設・区域内の感染状況がその原因の一つであった可能性、これは否定できないと日本政府においても考えております。だからこそ、米国あるいは在日米軍とも話合いを行い、そして検査回数についても確認をし、そして具体的に、外出禁止などの措置、三週間にわたって行うなど、具体的な対応を米国に求め、そして米国もそれに応じたというやり取りがあったわけであります。

 今回、感染症に対応する、即座に現地の皆さん方の安心につなげなければいけない、そういったことで、今言った対応を米国としっかり話しながら結果を出してきたというのが現実であると認識をしています。

 これからも、米国に対して、在日米軍に対して言うべきことはしっかり言いながら、国民の健康を守るために努力を続けていきたいと考えております。

江田委員 検疫の問題に限らず、もう米軍というのは、基地外の訓練はやりたい放題、全く日本政府にも通知もしない、日本の基地への立入り権も認められない、有害物資を垂れ流してもそのままみたいな。だから、地位協定の改定の話も実はしたかったんですが、もう時間がありません。

 最後に、とにかく、屋根を修理するのは日が照っているときに限るという……

根本委員長 江田憲司君、簡潔にお願いします。

江田委員 総理がケネディの言葉を引用されましたが、その言葉をそのまま総理大臣にお返ししまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて大串君、江田君の質疑は終了いたしました。

 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 ここ数日、ウクライナ侵攻に関するニュースが連日報道されております。非常に緊張感の高まる中でのこの国際状況の中で、日本の総理大臣と政府・与党の安全保障に関する認識についてお伺いしたいと思います。

 まず、ロシアの軍事行動に対して、今、国際社会による抑止努力というのが続けられております。そのような中で、先週十七日の夜に、総理はロシアのプーチン大統領と電話会談を行ったと伺っております。どんな話をされたんでしょうか。また、どんな成果があったとお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、ウクライナをめぐる情勢は、欧州のみならず、アジアを始め国際社会全体の秩序に関わる問題であるということで、重大な懸念を持って注視をしています。そして今、世界各国が緊張緩和に向けて努力を行い、ロシア、ウクライナを始め関係国に対して働きかけを続けています。

 我が国としても、こうした状況の中で緊張緩和に向けた努力をしていかなければならない、こうした認識に基づいてロシア・プーチン大統領とも電話会談を行いました。力による現状変更ではなくして、外交交渉によって、関係国にとって受け入れられる解決方法を追求すべきである、こうした働きかけを行ったところであります。

 状況は予断は許されませんが、是非、各国とともに緊張緩和に向けて外交努力を続けていく、日本もその一翼をしっかり担っていきたいと考えておりますし、御指摘の電話会談は、そのために意味があるものであると認識をしております。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

青柳(仁)委員 要するに、電話会談をして、力による現状変更は認められないという、ある意味での一般論を申し上げたということだと思うんですけれども、もう既に相手方が武力による現状変更を行おうとしているときに、それはやめてくださいと言うだけの話というのは、何か成果があったとは私はとても思えません。

 今、ロシアの方は、G7の結束を乱すことによって、自分たちの言い分を通そうとしている部分があるかと思います。現に、イタリアに対してはガスの供給を増やすというようなことをして、結束を乱すような動きもあります。

 こういったときに、この時期に総理が向こうの、ロシアのプーチン大統領に会うということは、私はやめるべきではないかと思いますし、今は聞く力ではなくて聞かない力を発揮する場面ではないかと思っております。

 また、もし会うのであれば、電話会談をするのであれば、これは、軍事侵攻をした場合には日本としてG7と共同で断固たる行動を取るということを伝えるべきではないでしょうか。例えばドイツは、欧州経済への打撃を覚悟した上で、自らのガスパイプライン計画の稼働停止にまで言及している状況です。こういった中で日本も、もしも軍事侵攻に踏み切ったならば、これはもう我々も非常に厳しい制裁を取らざるを得ない、こういうことを覚悟を持って伝えるべきだと思います。

 そういった中で、関連した質疑で一つお伺いしたいんですが、イギリスのジョンソン首相は、ロシアがウクライナに侵攻すれば衝撃や動揺は世界中に広がる、反響は東アジア、台湾にも及ぶというふうに指摘しております。

 これは総理も同様に御認識でしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申したように、ウクライナ情勢は、欧州にとどまらず、アジアを始め国際社会の秩序に関わる、こうした問題であると認識をしています。

 そういった認識でこの問題について日本としても真剣に取り組んでいかなければならないと考えております。

青柳(仁)委員 もし対岸の火事ではないという御認識であれば、これは、今が未来の日本の戦争を止める瀬戸際だということなんです。

 そういった御認識があるにしては、今回の電話会談というのは、余りにも緊張感に欠けているのではないかというふうに思います。

 アメリカは、一月二十六日の時点で、ロシアに対して戦争する意思がないことを通達しております。これが戦略なのか本音なのかは分かりませんが。

 私も、アフガニスタンにかつて赴任していたことがあります。最終的にアフガニスタンも、国際社会が二十年間の努力の末に、アメリカの国益、すなわち、自分たちの、これ以上予算は使えない、あるいは、これ以上の兵士の犠牲は国民世論が許さないということで、ある意味、アフガニスタンの人々の命は二の次で、撤退ということを行い、また国が今あのような状況になっております。ウクライナも同じです。

 今、ウクライナの大統領は、NATOも批判しています。これは、自分たちの国民の命よりも、結局自分たちの国益が大事なんだろうということを言っているわけですが、これが私は国際社会の現実ではないかと思います。

 ウクライナであっても、アフガニスタンであっても、武力を持たない国の国民の命というのは、有事の際にはほかの国の国益の二の次になる、これが現実だと思っております。結局のところ、自分たちの国は自分たちで守るしかないんです。

 そういった中、先ほど申し上げたとおり、もし今回のロシアのウクライナへの侵攻ということが、台湾有事につながり、そして尖閣諸島や、あるいは北方領土といった、日本の非常に重要な安全保障に関わる話だと御認識されているのであれば、今が未来の戦争を止める瀬戸際なんです。

 全くこの政府・与党の対応というのは危機感と覚悟が足りない、このように考えております。

 次に、ハイブリッド戦争についてお伺いしたいと思います。

 今のこのウクライナの状況というのは、既にハイブリッド戦争が始まっているというのが国際的な共通認識です。

 ハイブリッド戦争というのは、外交や情報戦、あるいはサイバーといった、今まで軍事のカテゴリーの中に入っていなかったような、そういったことも含めた、軍事と非軍事の境目なく、相手を無力化する、あるいはこちらの言うことを聞かせるというような戦争のことをいいます。二〇一四年のクリミア危機で国際社会に広まった、戦争の新しい定義と言えます。

 また、中国は、このハイブリッド戦争、超限戦という考え方を使いまして、戦争行為を軍事、非軍事、超軍事という、この三つに分けて考えております。超軍事というのは、外交、サイバー、情報。そして、非軍事というのは、金融、貿易、資源、経済援助。こういったことを含む戦争の概念です。

 こういった、国際社会の中で戦争の概念が広がっていく中において、例えば、この超軍事や非軍事といった中の攻撃の中で、日本国憲法で禁じられた先制攻撃、すなわち、武力攻撃に当たらないものというのはあるんでしょうか。例えば、ほかの国の基地、軍隊に対して日本がサイバー攻撃を行った場合には、これは武力攻撃となるんでしょうか。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

岸国務大臣 我が国に対する武力攻撃とは、基本的には、我が国の領土、領海、領空に対する組織的、計画的な武力の行使をいうものであります。

 特定の事例が我が国に対する組織的、計画的な武力の行使に該当するかどうかは、個別具体的な状況に応じて判断されるべきものでありまして、一概にお答えすることは困難であります。

 また、いわゆる敵基地攻撃能力という概念については、一般に広く用いられている用語を現時点では使用していますが、そもそも、武力の行使に当たらないものについては、これに含まれないと考えておるわけでございます。

 その上で、近年、国際社会においては、自らに有利な国際、地域秩序の形成を目指した国家間の競争が顕在化するとともに、偽情報の流布を含む様々な宣伝工作等が行われるなど、伝統的な安全保障領域にとどまらない動きが指摘されております。

 このような状況に適切に対応するためには、防衛省・自衛隊としてのみならず政府一体となった取組が必要であると考えています。政府として、政府一体となった取組や地方公共団体、民間団体等との協力を通じてこのような複雑な状況に対応してまいりたい、万全を期してまいります。

青柳(仁)委員 従来の御答弁を繰り返しただけだと思うんですけれども、そうではなくて、今伺っているのは、今回の予算要求の中にも、防衛省の中にはサイバーに関する戦力の増強ということが入っているわけです。ですから、例えば、サイバー攻撃というものを他国に対して行った場合に、自衛隊が行った場合に、これは先制攻撃になるのかならないのか、イエスかノーかでお答えいただきたいんです。

岸国務大臣 武力の行使につきましては、先ほど申し上げましたとおり、個別の状況に応じて判断をするということになります。一概にお答えすることは困難でありますが、その上で、我々は先制攻撃は禁じられております。ですから、行わないということになります。

青柳(仁)委員 余りここに時間をかけても時間がもったいないのでもうやめますが、今、今日これはNHKの中継も入っていて、国民の皆さん、このやり取り、話がかみ合っていませんから、私の質問に対して全く答えが返ってきていないという状況ですので。

 私が申し上げたいのは、サイバー攻撃というのは、今、サイバーの軍事、増強しているわけですから、それについて自衛隊ができるのかできないのかというのは別に個別具体的な事情ではないと思いますけれども。

 いずれにしましても、今申し上げたいのは、こういったサイバー、軍事、宇宙、あるいは超限戦だとかハイブリッド戦だといった中で、世界における戦争の定義が変わってきているんです。ですから、従来のような、先制攻撃だとか専守防衛だとか、軍事攻撃だけが戦争であるという定義の中での安全保障というのはもう機能しないのではないかということを申し上げているんです。

 今の日本の安全保障の認識と体制というのは、時代の変化に全く追いついていない、このように考えております。

 次に、経済安全保障についてお伺いしたいと思います。

 これもウクライナに見るとおり、サプライチェーン、企業、物資だとか、それから原料、そして技術、そういったもののサプライチェーンですね。どこから物を買うのか、調達するのか、こういったものというのは経済制裁に直結します。

 先ほどドイツの例を出しましたけれども、ガスパイプラインに関して、これもガス、基幹インフラです。

 ですから、自分たちの国、我が国の、例えばエネルギーをどこから持ってくるのか、あるいは基幹となる技術をどこから調達するのか、こういったことがいわゆるサプライチェーン、供給網と言われるものですけれども、これは非常に重要なものです。経済制裁を科すに当たっては、これは非常に強力な武器になりますし、逆に日本がそこの供給を止められれば極めて深刻な事態になります。

 ですから、このサプライチェーンの安全保障というのは非常に重要なわけですけれども、こういった中で、今、経済安全保障推進法案というものの議論がされていると思います。この中で、国が求める調達先などの情報提供を拒否する罰則の削除を検討していると。つまり、国が、これは安全保障上極めて重要なものである、物資である、あるいは技術である、ですから、それについての情報提供を民間企業にお願いした場合に、それを民間企業が断った場合に罰則をつけないということが検討されているというふうな報道がされております。

 一方で、これは他国は非常に厳しい状況です。例えば、中国は国家情報法というものによって企業に国の情報収集活動を義務づけております。

 これだけの差があるという中において、今日本で議論されている経済安全保障と実際にほかの国で議論されている経済安全保障の間には非常に大きな温度差があると思うわけですけれども、この認識はいかがでしょうか。

小林国務大臣 お答え申し上げます。

 現在、法案につきましては、有識者会議の提言を含めまして、様々な関係者の意見を踏まえまして検討を加速しているところでございます。

 今委員から御指摘のございました罰則についてでございますが、これにつきましても、自由な経済活動を前提としつつも、経済安全保障を確保する観点から、施策の実効性を担保するために必要なものはしっかりと規定をしてまいります。

 サプライチェーンの調査につきましては、有識者会議から、実効的な調査を実施するための政府の調査権限と事業者の応答を確保できる法的枠組みを整備することが必要という提言をいただいているところでございます。

 また、調査の実施に際しましては、この提言におきまして、同時に、政府は、民間事業者に対して、調査の趣旨及び目的を丁寧に説明するとともに、調査の趣旨と目的に合わせて適切な調査対象に絞り込んだ調査を行うことで実効性を担保するべきとされているところでございます。

 政府としては、こうした御指摘をしっかりと踏まえながらも、制度全体の実効性を高めるべく、我が国としての制度設計また運用の在り方を検討して、国会提出に向けた法案準備を加速してまいりたいと考えております。

 なお、これも議員から御指摘のございました、国の情報収集活動への協力をあらゆる組織や国民に対して義務づける、いわゆる中国の国家情報法につきましては、承知はしておりますけれども、我が国とは異なる経済社会制度を有する国の法制であって、我が国の法体系になじむものとは考えておりません。

青柳(仁)委員 サプライチェーンに関しては、実効性を担保できるように引き続きしっかりと検討するとおっしゃいましたので、その方向を期待申し上げたいと思います。

 ただ、これに関しては、議論をするだけではなくて、やはり結論をしっかりと出していただきたいと思っています。

 一つお伺いしたいんですけれども、先ほども小林大臣おっしゃいましたが、経済安全保障上、この対象分野、どれが、どういった技術や、そしてどういった企業、産業そしてサプライチェーンというものが経済安全保障上重要であるかということについては、これはもう限定的に、戦略的に、極めて必要最小限のものを見ていくということだと思うんですけれども、その上で、当然、企業から提供された情報というのは国家公務員が守秘義務に基づきしっかりと管理をするわけですから、それが外に漏れるということはないわけです。

 こういった状況であるにもかかわらず、もし罰則をつけないとしたら、それはどういうことか。つまり、そんな状況であるにもかかわらず、経済安全保障上、確実に重要性が高いと認められるサプライチェーン、原料の調達先等に関して、国からの情報提供を拒む民間企業がもしいたとしたら、その人たちに罰則をつけないとしたら、じゃ、その民間企業がその情報提供を拒む理由というのはどういうものだと考えておられますか。

小林国務大臣 委員御指摘のサプライチェーン調査の実施に当たりましては、先ほど御紹介させていただきました有識者会議の提言におきまして、民間事業者に対して調査の趣旨及び目的を丁寧に説明していくこと、このことがまず何よりも重要だと考えています。

 他方で、民間企業の受け止めというのは当然様々でございますし、お尋ねの情報提供に例えば懸念を抱くような民間企業がいる場合に、その理由も当然様々であると考えられますので、一概に申し上げることは困難だと考えています。

 この点につきまして、有識者会議の提言において、調査を通じて政府が把握する情報については、企業の競争力の源泉と深く関わりのある内容が多く含まれ得るため、徹底した情報管理が必要との御指摘もいただいておりまして、調査の実施方法、あるいはその情報の管理の在り方、そして企業の応答を得るための方策につきまして、適切な制度設計を進めてまいります。

青柳(仁)委員 調査のやり方、それから情報の管理の仕方について徹底していく、これは当然のことだと思いますし、しっかりやっていかなきゃいけないんですが、私が申し上げたこの質問の趣旨というのは、そういった徹底管理された中でも情報提供を拒むとしたら、それは、経済安全保障、問題のある行動を行っている企業しかいないんじゃないかと思うわけです。ほかの理由が考えられないと思うんです。ですから、そういった場合においても更に罰則をつけないということは、一体、誰に配慮をしているのか。少なくとも経済界ではないと私は思うんですけれども、その辺りを御指摘をしたかったということであります。

 次に、日本のミサイル防衛についてお伺いをしたいと思います。

 今年の初めに、北朝鮮が連続して新型ミサイルの発射実験を行っています。北朝鮮のミサイルが、この日本、ここも含めて、国会も含めて日本全国が射程に入っている状況というのは、これはもう誰でも知っている状況かと思います。こういった中で、ミサイルの技術革新は年々進んでおりまして、今、マッハ十を超える速度、変則軌道、移動式発射台といったミサイル開発技術の革新というのが急速に進んでおります。

 こういった中において、日本のミサイル防衛システムは、北朝鮮あるいはその他の国のミサイル攻撃を確実に迎撃できるのでしょうか。

岸国務大臣 個別の脅威に対する迎撃の可否については、我が方の能力が推察される可能性がありますから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、北朝鮮が弾道ミサイル攻撃能力の強化を着実に図ってきておるところは、委員のおっしゃるとおりだと思います。例えば、TELや変則軌道で飛翔するミサイル等によって、発射兆候の早期の把握あるいは迎撃はより困難となっている状況です。

 このため、こうした技術の進歩に応じて迎撃能力を高める不断の努力が必要であります。例えば、具体的には、迎撃ミサイルPAC3の能力向上など、取組を引き続き進めてまいります。

 あわせて、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題意識の下で、ミサイル攻撃能力の向上だけではなく、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せずに、現実的に対応、検討してまいりたいと考えます。

青柳(仁)委員 防衛に関しては、個別具体的な事情にはお答えできませんということ、あるいは、他国に知られては困るのでお答えしませんということがここの国会答弁の中では多いわけなんですけれども、これは一定理解できるところでもありますが、ただ、一方で、だからこそ、ブラックボックスの中で全てが決まっているということもあります。

 私は、今、ミサイルの技術革新というものは、ウイルスとワクチンと一緒で、まず、攻撃する側がどんどんどんどんイノベーション、技術革新を進めていく、それに対して守る側がそれに対する防御を考えていく。これはサイバーセキュリティーもそうですね。必ず攻撃側の方がイノベーションは速いんです。そして、守りの側がそれに追いつくまでの間、必ずタイムラグがあるんです。

 安全保障における、ミサイル攻撃におけるこのタイムラグというのは何かというと、我が国の国民の生命が危険にさらされている状況ということなんです。ですから、これは前もって、相手が開発する前に、前に前にこの技術開発を進めていかなければいけない。でも、その点をこの国会の場で指摘しても、個別具体的な事例にはお答えできません、今何をしているか言うと他国を利するのでお答えできません。我々は、何も言うことができません。

 私たちは、ここに、国民の代表としてこの場に立っております。国民の声がそこには届かないということになっておりますので、この点は、本当に未来の日本を守るという覚悟を持って、しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 それから、もう一つ、ミサイル迎撃システム。

 日本のミサイル迎撃システムは、宇宙空間で一度撃ち落とす、そこで撃ち漏らした場合に地上で撃ち落とすという、この二層構造であるというふうに理解しております。仮に核弾頭を積んだミサイルが飛んできた場合、宇宙空間は遠いような気がしますが、二発目の地上で撃ち落とした場合も含め、地上への放射能の影響というのはあるんでしょうか。

岸国務大臣 核兵器が搭載された弾道ミサイルを迎撃ミサイルにより破壊した場合の地上における被害状況については、迎撃高度を含む様々な条件により異なってまいります。

 確たることを申し上げることは困難ですが、一般論としては、核兵器が搭載された弾道ミサイルを迎撃した場合、迎撃により起爆装置等の機能が喪失されることによりまして、核爆発による被害は発生しないと考えられております。

青柳(仁)委員 一般論としてとおっしゃいましたけれども、あくまで一般論だと思うんです。ですから、それも、こちらが撃ったミサイルがぶつかる前に、近づいてきたら自爆するような機能を今後の技術革新で向こうが搭載すれば、今の一般論というのは崩れてしまうというふうに考えております。すなわち、ミサイルというのは撃たれたら負けなんです。

 ですから、私が何を申し上げたいかといいますと、冒頭の質問からずっと申し上げているのは、今の政府・与党の安全保障に対する認識、そして防衛省を含む体制というのは極めて古いんです。昭和の時代の安全保障をずっと引きずっている。昭和の安全保障なんです。今この瞬間も、そういったことによって国民の生命と財産が危険にさらされているという状況であるにもかかわらず、全く危機感が伝わってこないというのが正直なところです。

 我が党は、日本維新の会は、自民党のプランAに対してプランBをつくる政党だということをずっと申し上げております。外交、安全保障においても、技術革新や戦争の定義拡大というものを踏まえた令和の安全保障というものを、これはプランBとして国民の皆様に対して提供、提案させていただきたいと思っております。そのことによって、今の御答弁、このやり取りを聞いていただいた国民の皆様も非常に不安に思う方が多いと思います、そういった不安を少しでも解消できるような、そのような提案をこれからも続けていきたい、このように考えております。

 最後に、関連する質問として、サステーナビリティーに関する国際ルール形成について質問させていただきます。これは今の安全保障とは直接関係のない話になりますけれども。

 今、サステーナビリティー、ESG、そして脱炭素といった文脈で、企業による環境や社会に対する価値提供について、市場原理を用いて活性化させるための国際的なルール形成というものが進んでおります。これは、我が国にとっても将来的な経済成長の命運を握る国際ルールの地殻変動だと思っておりますが、いろいろな省庁にお話を聞いていますと、金融庁、環境省、経産省、外務省が主に関わっているんですが、皆一様に、散り散りばらばらの対応をしている状況にあります。

 民間では、このサステーナビリティーに対応する部署がばらばらであったために、最近は、CEOやCOOに並ぶ役員としてCSOというものが言われております。これはチーフ・サステーナビリティー・オフィサーということですけれども。

 こういった、これからの命運を握る大きな世界のルール変更に対して、政府全体で統合的に取り組むための司令塔を設置してはいかがかと思いますが、お考えをお聞かせください。

鈴木国務大臣 サステーナビリティーに関する国際的なルール形成に、関係省庁が連携して、そして日本として積極的に参画していくこと、これは御指摘のとおり重要なことだと認識をいたしております。

 一例を挙げますと、脱炭素化に向けた企業の取組に資金供給を促すべく、我が国ではトランジションファイナンスの重要性を早くから主張をし、先週行われましたG20財務大臣・中央銀行総裁会議においても、トランジションファイナンスに関するハイレベルの枠組みの策定に向けた作業を行うことに合意をいたしました。

 また、国際会計基準を策定しておりますIFRS財団では、気候変動を含むサステーナビリティーに関する国際的な開示基準の策定に向けて取組を進めているところと承知をいたしております。

 こうしたIFRS財団の取組に対しまして、これまで我が国では、国内の民間関係者及び関係省庁が連携をいたしまして対応し、IFRS財団への資金拠出の意向を官民共同で表明しているほか、日本の民間関係者が、IFRS財団の基準策定に対する意見発信、及びそれを踏まえた国内の基準開発を担うための新組織の設置を決定をしております。

 さらに、IFRS財団の拠点につきましては、官民一体で積極的に働きがけした結果、東京の拠点継続が決まったところでございます。

 このように、国際的な市場ルールの形成に日本として積極的に参画できるよう、政府一丸となって適切に取り組んできているところでありまして、金融庁といたしまして、引き続き、関係省庁及び民間の関係者と連携して対応していきたいと考えております。

青柳(仁)委員 IFRS財団で今行われている議論というのは、次の世界の市場の競争ルールを決める議論です。この点は非常に重要ですから、是非、政府一丸となって取り組んでいただく必要があるというふうに思っております。

 また、先ほど申し上げたとおり、昭和の時代の仕組みを基にそれをどう微修正するかという政治は、もうそろそろやめた方がいいと思っております。私たち、我が党はそうではなく、今この時代にあるべき政治の姿、行政の姿というのを先に構想して、そこから、バックキャスティング、後戻りをして今何をすべきかということを考える、そんな未来志向の政治、政策をこれからも行っていきたいと思っております。

 時間になりましたので、私からの質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

根本委員長 これにて青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 まず冒頭、立憲民主党さん、そして維新の会さんに時間を配分していただいたことに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 さて、総理、賃金の話をさせていただきたいと思います。

 何度もこの場で申し上げているように、日本の賃金は、先進国の中で、この三十年間、唯一ほとんど変わっておりません。他方で、国の基幹三税、法人税それから消費税、所得税、まあ、直接税、間接税の見直しが行われて、法人税は下がり、消費税は段階的に上がっていくということでありまして、国民一般の負担は上がっている。また、社会保険料も上がっております。おまけに最近は、円安それからガソリン価格の高騰ということで、どんどんどんどん可処分所得が減り続けているということで、この三十年間これを放置してきたことが、結局は、非婚化、晩婚化、あるいは少子化、こういった問題まで引き起こす大きな社会問題に私はなっているのではないか、こう思うわけであります。

 他方で、第二次安倍政権から導入された賃上げ税制を見ましても、さほど効果が出ていないというのは御承知のとおりであります。

 この間、一月の二十五日だったと思いますけれども、税だけで賃上げを誘発するんじゃなくて、いわゆる株主資本主義そのものを見直す中でどうやって賃金を上げていくかということの議論を、総理とさせていただきました。

 私が具体例で出させていただいたのは、ある大手の通信会社の例でした。五年間で純利益が三兆円、そして、その五年間で従業員の給与は三千三百億円、それに対して、配当は一・六兆円、そして、いわゆる自社株買いが一・八兆円、トータルで株主還元が三・四兆円、つまりは、純利益よりも多い株主還元を行っているということですね。だったら、この株主還元を一割、三・四兆円の一割は三千四百億円、これを回したら、三千三百億円の倍以上になるんじゃないか、こういった例でお話をさせていただきました。

 その議論のときに、総理から、株主資本主義からの転換、これは重要な考えの一つであると認識しておりますという答弁をされました。

 まず、お伺いします。

 この答弁の後、またネットで、株が下がるような発言をまた岸田さんがしたということで、岸田総理と私も批判をされました。

 ちょっと図一を御覧いただきたいと思います。

 過去の岸田総理の発言の中で、例えば、金融所得課税に言及をされたときに株価が大幅に下がる、あるいは自社株買いの規制に言及されたときに株価が下がるということで、岸田ショックと言われていることは御存じだと思いますが、この岸田ショックに対して、総理は率直にどうお考えになられますか。

岸田内閣総理大臣 株価の動きについては、様々な要因があります。私の立場からそれを評価するということは、逆に控えなければいけないと認識をしています。

 ただ、その上で、委員御指摘のように、私の経済政策に対して、もし市場関係者の皆様から懸念の声が出ているというのであるならば、これは、誤解はしっかり解かなければならないと思っています。

 御指摘の株主資本主義ということについても、私は、資本主義ですから、株主、市場、これが基本であるということ、これはもう間違いないと思います。ただ、これは、株主も含めて、ステークホルダー、全体としてそれぞれ成長の果実をどのように享受するか、こうした点が持続可能な経済につながるのではないか、こういった意味で申し上げておりますので、決して、株主資本主義、株主そのものを否定するというようなものではない、こうしたことについては丁寧に説明をしていかなければならない、このように思っています。

前原委員 私も同じ認識でして、つまりは、短期ではそれは落ちますよ、金融所得課税が入るということになったら。今、私が申し上げるまでもなく、AIが導入されていますよね、株価。だから、マイナスな、ネガティブなことが入れば自動的に売りが出るとか、あるいは自動的に逆に買いが出る、こういったものにもう株式市場はなっています。したがって、そういうネガティブなことについては反応するというのは当たり前のことなんですね。

 ただ、我々が与野党を超えて今やろうとしているのは、どうやって賃金を上げて国民の生活を豊かにしていくのか。そのためには、日本の構造改革、企業の体質改善もやらなきゃいけない。短期的には株が下がったとしても、中長期には、先ほど総理が言われたように、賃金も上がる、設備投資も行われる、研究開発も行われる、そのことによって企業価値がむしろ長期的には高まるんだということの中で、株式市場に対しても、あるいは海外に対しても、しっかりとメッセージを出していくことが私は大事だと思いますし、そのことをおっしゃったんだという認識でおります。

 その上で、更なる質問をしたいというふうに思っているわけでありますけれども、二番目の図を御覧いただきたいと思います。

 本来、株式というのは資金調達の手段であるはずであります。しかし、この二十年を見てみますと、この点線の折れ線グラフというものが資金調達なんですね、それに対して、実線の折れ線グラフというのが、これが株主還元、先ほど私が申し上げたように、配当とそして自社株買いによって株主に対して還元されているというものを表している、明確なんですね。

 つまりは、資本市場というのは、本来資金調達の場だったのに、資金流出の場になっている。そして、これは海外の投資家もいますから、国富が海外に逃げている、そういう場になっているという認識はございますか。

岸田内閣総理大臣 ちょっと、質問の趣旨、十分に理解しているかどうか分かりませんが、今御指摘になられたように、企業の資金調達の額とそして株主への還元額、こうした大きな差があるということについては、資料を拝見しまして、こうした現実について改めて感じるところであります。

前原委員 いや、感じるだけじゃ困るんです。大事なところなんです、極めて大事なところなので。

 つまりは、資本市場というのは、資金調達の場であるべきなのに、資本流出の場になっている、資金流出の場になっている。そして、海外の投資家からすると、国富の流出、つまりは国の富が海外に逃げている、そういう状況が生まれていますね、そういう認識はありますかということを聞いているんです。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、資本主義というもの、関与するステークホルダーそれぞれに資するものでなければ持続可能なものにならないという観点から考えた場合に、還元という形でその成長の果実等が流出しているということについては、しっかりと受け止め、この現状について考えていくことは重要であると認識をいたします。

前原委員 ますます、私、総理と議論していて、本当に新しい資本主義というものをやろうとされているのか。

 総理が書かれた文芸春秋、これは本当に自分で書かれましたか。私、今の答弁を聞いていると、絶対に御自分で書いていないと思いますよ。だって、ここの中に、その資本流出をどう変えるかという中身が書いてあるんですよ。自分が書かれたんでしょう。その場所はどこです、場所というか、どういう趣旨のことを書かれているか分かりますか。自分で書かれたんだったら御答弁ください。

岸田内閣総理大臣 それがまさに先ほどから申し上げている趣旨であります。だから、資本主義の持続可能性を考えたならば、その成長の果実が一方的に、今委員は流出するとおっしゃいましたが、一部に資するだけで終わってしまったのでは続かないということを申し上げているわけでありますから。

 それは自分で書いたのかということでありますが、間違いなく自分で書いたものであります。

前原委員 いや、これは自分で書いたんだったら、この非財務情報の開示というところを答弁されないとおかしいんですよ。つまりは、この流出のところをどう変えていくかといったところが新しい資本主義の肝じゃないですか。現状認識がどうかなと、そして、先ほど申し上げたとおりですとか、一般論をとうとうと述べているだけですね。

 私は、やはりこの新しい資本主義について、これを書かれたかどうかというようなことについては失礼かもしらぬけれども、中身については、逆に、本当に失望感を持たざるを得ませんでした。

 この財務状況の非開示の中身を変えていく、そして、この流出しているものをいかに賃金、設備投資、研究開発に回すかということが日本の成長の果実になるんです。

根本委員長 前原誠司君、簡潔にお願いします。

前原委員 それが新しい資本主義でなければ困るということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 総理の基本的な認識をお伺いします。

 今、値上げラッシュです。ガソリンだけでなくて、パン、小麦、冷凍食品、カップ麺、トイレットペーパー。消費者物価を見ましても、電気代、ガス代、魚や果物といった生鮮食品、一年前に比べて一割以上上がっている状況でございます。

 総理、物価高が高齢者の暮らしに大きな影響を与えている、こういう認識はございますか。

岸田内閣総理大臣 エネルギーを始めとする物価高、これは国民の皆さんの生活に大きな影響を与えるものであると認識をしております。高齢者の方の生活にも影響が出る課題であると認識をいたします。

宮本(徹)委員 それで、日銀の今年度の消費者物価の見通しは一・一%増、もっと上がるんじゃないかという指摘もたくさんあります。一方で、年金は四月から〇・四%削減ということになっております。つまり、日銀の見通しでいけば、年金は、実質、今年一・五%減と大変厳しい状況です。

 このパネルに青い線を描いていますけれども、総務省は、七十歳以上の消費者の生活実態に見合った消費者物価というのを出しておりますが、実は、これはずっと上がり続けてきているわけですね、この間。

 私は、こういう中で年金が減額するというのは本当に厳しい状況を迎えると思いますので、ここは総理に政治決断をしていただいて、年金の減額はやめて、年金は少なくとも据え置く、こういう決断をすべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 来年度の年金額改定率はマイナス〇・四%となっておりますが、これは、物価、賃金がマイナスとなったことを反映している数字であります。

 公的年金制度については、将来世代の負担が過重なものにならないことを避けつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保する仕組みとなっています。今後とも、この仕組みの下で年金は支給していかなければならないと認識をしております。

宮本(徹)委員 今の年金は前年の物価の動向が反映されるわけですけれども、今の足下は、どんどん物価が上がっているという状況じゃないですか。なおかつ、将来世代のことをおっしゃいましたけれども、これは、今回減ったら、当然、若い世代の年金も減っていくということになります。

 今回、予算委員会の公聴会で公述人の方もお話しされていましたけれども、今、財布のひもが緩まらない大きな原因の一つが、年金への不安があるんだという話がありました。現役世代も少しでも蓄えをつくろうとするということになってしまうわけですよ。

 ですから、将来世代のことを考えても、そして、総理が言っている成長と分配の好循環ということを考えても、私は、どんどんどんどん年金を、水準を低下させていく、こういう仕組み自体を改めなきゃいけないと思いますし、年金は据え置かなきゃいけないと思いますよ、今年ぐらいは。そういう決断、できないですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申しましたように、将来世代の負担が過重にならないようにする、あるいは長期的な給付と負担のバランスを確保する、こうした点から、年金の仕組み、これは大事な仕組みであると認識をしています。

 その上で、物価については政治としてしっかり考えていかなければならない。だからこそ、様々な、エネルギーを始めとする物価対策、考えていくことを申し上げているわけでありますし、そして、何よりも、所得、賃金の引上げが物価の高騰とともに行われなければ、経済の好循環は実現できないということを申し上げている次第であります。

宮本(徹)委員 物価への対策といって、今、トリガー条項も含めてという話もさっきもありましたけれども、しかし、それだけでは解決しない問題がたくさんあるんです、今の物価高というのは。それ以外も含めて全面的な生活必需品の物価高が始まっているわけですから、そのことへの対策を考えるべきだということを私は申し上げているわけでございます。

 その上で、次の質問に行きます。

 敵基地攻撃能力についてお伺いいたします。

 岸田総理は、泉健太代表への答弁で、集団的自衛権の行使としての敵基地攻撃能力の検討を否定されませんでした。その下で、先日、岸防衛大臣が長妻昭議員への答弁で、我が国の戦闘機が相手国の領空に入って爆弾を落とすことについて、検討の選択肢として排除しない、こう明言されました。極めて重大な答弁だと思います。

 パネルを見てほしいと思いますけれども、これは、集団的自衛権の是非が問題となった安保法制を審議した際の安倍首相の答弁でございます。「いわば外国に出かけていって空爆を行う、砲撃を加えたり空爆を加える、あるいは撃破するために地上軍を送ってせん滅戦を行うということは、これはまさに必要最小限度を超えるのは明確であり、一般に禁止されている海外派兵に当たる。」こういう答弁をされていたわけですね。岸田総理もこの場で、多分、安倍さんの隣でこの答弁を聞いていましたよね。私もその場で聞いておりました。

 これまでの政府の考え方からいったら、自衛隊による他国への空爆は、必要最小限度を超えており、明白な憲法違反ですよ。

 総理、集団的自衛権の行使として、自衛隊による他国への空爆を検討の対象にすること自体が許されないんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 急速なスピードで変化あるいは進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、これは、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいります。

 御指摘の防衛大臣の答弁については、今般の検討は、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ行うとの前提の下、あらゆる選択肢を排除せずに行っていくとの趣旨を述べたものであると理解をしております。

宮本(徹)委員 ですから、憲法の範囲内だったら、空爆などを行うということは検討の対象になりっこないじゃないかということを私は申し上げているわけですよ。これは憲法の範囲外だという、他国への空爆は憲法の範囲外だ、一般に禁止されている海外派兵に当たる、この答弁は当然引き継がれるわけですよね、岸田総理は。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国の武力の行使については、委員御指摘の平和安全法制の議論の中で新三要件に満たされたものしか許されない、これが基本であると認識をしております。

 その上で、なおかつ、憲法や国際法、そして日米の基本的な役割分担、こうしたものをしっかり守りながら、何ができるのか、国民の命や暮らしを守るためにどこまで対応ができるのか、これをしっかり議論していくことが基本であると認識をしております。

宮本(徹)委員 ちょっとはっきりさせていただきたいんですよね。

 ここでさんざん安保法制の問題で議論したんですよ。他国に行くのはホルムズぐらいしか念頭にないんだ、それ以外はやらないんだということと併せて、外国に出かけて空爆を行う、こういうことは必要最小限度を超えるのは明確で、一般に禁止されている海外派兵に当たると。この答弁は引き継ぐのか、引き継がないのか。明言してくださいよ、はっきりと、引き継ぐと。

岸田内閣総理大臣 政府としては引き継いでおります。そして、具体的な対応を考える上で、憲法、国際法、日米の基本的な役割、これをしっかり守ってまいります、その上で現実的な議論をしてまいります、こうしたことを申し上げております。

宮本(徹)委員 これを引き継いだということになりますと、防衛大臣の、空爆も選択肢として検討する、検討の対象に入る、この答弁、撤回してくださいよ。

岸国務大臣 私の答弁に関しましては、これまでも申し上げておりますとおり、今般の検討は、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ行うという前提の下で、いわゆる選択肢を排除せず行っていくとの趣旨を述べたものでございます。ですから、これまでも申し上げているとおりだと思います。

 それから、御指摘の安倍元総理の答弁につきましては、自衛隊が武力の行使を目的として、かつての湾岸戦争での戦闘、すなわち大規模な空爆や砲撃を行ったり敵地に攻め入るような行為に参加することは必要最小限度の自衛の措置の範囲を超えるものであって憲法上認められるものではない、したがって、航空優勢や海上優勢を確保するために大規模な空爆などを行うことは新三要件を満たすものではないという考えを述べたものであります。この考えは現在も維持されておるところであります。

宮本(徹)委員 時間になりましたから午後に続けさせていただきますけれども、今のもちょっとこの答弁と違いますよ。徹底的に議論させていただきます。

 終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 先週金曜日、僅か十二分の質問時間しかないのに、あれやこれや盛り込み過ぎて論点がぼけてしまったことを深く反省しておりまして、今日は、その論点を整理した上で、再度、総理の見解を伺いたいと思っています。

 私が伝えたかった先週の論点は次のようなものです。

 まず、総理の、人への分配はコストではなく未来への投資であるとの哲学には深く共鳴する。

 データを示し、今や我が国は最も貧しい先進国になりつつある。その国力を回復するのは容易なことではない。

 資本主義の真髄は新陳代謝であるが、活力を生み出すこの仕組みが、現実の日本経済では活発な新陳代謝が起きておらず、それは、政治が与野党共に政権支持や政党の支持拡大のために社会の依存体質に働きかけること、また、既得権益者を保護し続けることも、新陳代謝が起きない原因である。

 日本経済の長期低迷の原因は、市場原理や競争原理が行き過ぎていることではなく、そもそも新陳代謝に代表される資本主義が機能しておらず、実態は社会主義経済ではないか。

 現下のコロナ禍は別ですけれども、本来なら、国民に訴えるべきは、市場原理や競争原理の否定ではなく、自助努力の必要性を訴えることではないか。自助努力のないところには活力が生まれず、国力の回復は難しいと思うから。

 ただし、自助努力を求める以上、国民一人一人が豊かな人生を切り開いていけるよう、必要十分な人的投資、人材投資が不可欠。それに加え、何度でもやり直せる安心の社会システムも必要だ。

 人的投資、安心社会システムの具体案、幼児教育から高等教育までの、親の経済力に関係なく誰でもが公平に教育を受けられる更なる学校教育の充実、子育て家計への大胆な現金給付、現物給付、社会人の学び直しの十分な機会提供、また、失業時に、次を目指して技能、能力を高める人への失業時の安全保障など、これらは総理も打ち出している未来への人的投資の具体策だと思っています。

 成長と分配の好循環がもたらす新しい資本主義の分配の優先順位ナンバーワンは、明日の活力を生み出す、国力を回復してくれる将来世代や子育て世代、この世代に対するその予算を二倍、三倍にするような大胆な人的投資こそが国力回復の唯一の処方であると、本来は簡潔に主張したかったのであります。

 総理の見解を、重複しますけれども、改めて求めます。

岸田内閣総理大臣 私の申し上げている経済再生のモデルですが、これはあくまでも資本主義でありますので、市場、競争が経済成長の原動力であるということ、これはこれからも変わらないと思っています。ですから、市場主義とかあるいは競争主義を否定するなどということは決して申し上げておりませんし、自助努力というのは大変重要なことであるとも認識をしています。

 ただ、市場や競争あるいは自助努力だけでは、様々な弊害も課題も指摘をされてきた、格差の問題や気候変動の問題、こうした課題も指摘をされて、今、全世界的にこうした課題にどう向き合っていくのか、これが議論されているというのが現状であると思います。

 だからこそ、全て市場や競争に任せるのではなくして、官と民が協働する形で、資本主義ですから、こうした市場をしっかりと活性化させる、マーケットの中でそうした成長のエンジンをしっかりつくることによって経済を成長させることが重要ではないか、こういったことを申し上げています。

 そして、セーフティーネットについても御指摘がありました。

 人への投資を考える際に、所得をしっかり確保する上において、しっかりとしたセーフティーネット、全世代型の社会保障ということを申し上げていますが、それぞれの能力に応じてしっかりと社会保障を支えられる制度をつくっていく、持続可能性を追求していく、こういった点は重要であるとも認識をしております。

吉良委員 質問時間が終わりましたので、また短いながら続きをやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより締めくくり質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 総理、よろしくお願いいたします。自民党の葉梨康弘です。

 実は、昨年の五月、農林水産省が、みどりの食料システム戦略というのを作ったんです。これは、二〇五〇年を目標年次にして、化学農薬を五〇%削減する、それから化学肥料を三〇%削減する、それから有機農業の面積、今約二万ヘクタールを百万ヘクタールにする。

 現場に行きますと、総論は反対できないけれども、何でそんなことを今やらなきゃいけないんだとか、そもそも農林水産業というのは日本の自然をしっかり守っているのに何で我々がやらなきゃいけないんだ、農林水産省は今までメガファーマーばかり応援してきたけれども、今度はエコファーマーばかりを応援する、ちょっとおかしくなっているんじゃないか、そんな話もあるんです。

 ですから、ちょっとその議論を、今日は十二分しか時間がないんですけれども、さくさくとさせていただきたいと思います。

 まず、食料安全保障といいますと、皆さん考えるのは、食料自給率、それから食料自給力。これは芋を栽培すればみんな食べられるという話なんですが、そもそも、日本の農林水産業、特に農業は、肥料や農薬がなければ成り立たないんです。肥料の三大要素というのは、窒素、リン酸、カリ。中学、高校でやりました。例えばリン鉱石、これが日本に入ってこなくなったら、日本の農業はどうなっちゃうんでしょう、農林水産大臣、よろしくお願いします。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 議員が御指摘あったように、リン酸を含めた肥料が、仮に数年にわたって肥料供給が十分でない場合は、我が国の食料供給に重大な影響が及ぶ懸念があります。

 このため、肥料原料の海外からの安定的調達、それから土壌診断による適正な肥料の施用、化学肥料から家畜排せつ物や下水汚泥等の国内資源の有効活用による代替等を進めることによりまして、海外への依存度を低減させることが重要だと考えております。

 農林水産省といたしましては、全農や消費者、関係省庁と連携を取りまして、輸入先国の確保に努めるとともに、肥料の適切な施用のための土壌診断等への支援、国内資源の利用拡大のための施設整備や実証のための支援を行うことといたしております。

葉梨委員 今お話あったように、リンが入ってこなくなったら農業は立ち行きません。

 資料の一を見ていただきたいんです。

 このリン鉱石というのは、中国を始めとして、例えばモロッコとか南アフリカとか、本当に四か国か五か国ぐらいに資源が固まっています。しかも、日本は九〇%を中国から輸入しています。ですから、日本農業の首根っこは中国に握られていると言っても過言ではない。

 となってくると、今もお話ありました下水汚泥、これによるリン酸のリサイクルシステムとか、あるいは家畜ふん尿堆肥によるリン肥料の確保、そういったことをやっていかなかったら、そもそもこれは、サプライチェーン、経済安全保障としてのサプライチェーン、これをちゃんと確保するという意味では、自給率とか自給力という以前の、まさにサプライチェーンという意味での経済安全保障なんです。

 そして、もう一つの観点があります。

 農林水産業、自然に優しい産業であるという意識が非常にあります。これはよく分かるんです。特に、我が国の江戸時代、水田というのは連作障害が起きません。土壌も傷めません。そして、そこに下肥、いわゆる田舎の香水ですよね、これを都市から持ってきて肥料として使うという超循環型の農業というのを我が国は確立をいたしました。

 ところが、それは我が国だけの話で、諸外国、そんなことはないですよ。昔の焼け畑農業を見てください。あるいは、ステップ地帯の肥沃な畑地が砂漠化していった。これも農業の、自然を破壊してきた歴史でもあるんです。

 そして、近代農業というのは、これが更に加速していきます。一つには、近代の企業経営的な農業、これは生産力を最大化させようというふうに働きます。そして二つは、産業革命以降のツール。エネルギー革命もその一つです。農業機械というのは、電気自動車と違って常にローギアで運転しなきゃいけないということで、非常にCO2も排出をいたします。また、農薬もそうです、化学農薬。特に戦後の合成農薬、これは石油から作られます。それから化学肥料。土壌に対する負荷は非常に高いです。

 しかも、資料の二を見ていただきたいと思うんですけれども、日本においては、農林水産業というのはCO2排出はそんなに大したことはないというふうに思われているんですが、世界的に見たら、四分の一は農林水産業からの排出なんです。ですから、諸外国、EUですとかアメリカ、これはやはり農林水産業に特化して、環境負荷を軽減するための国際ルール、これを作らなければいけないというインセンティブが非常に高い、そういう産業なんです。

 ですから、EUでは、二〇二〇年五月、フードシステムをグローバルスタンダードとすることを目指すファーム・トゥー・フォーク戦略、これを打ち出しました。そして、その数値目標というのを出しています。

 時間の関係で、私から言っちゃいます。資料の三なんです。この左側、二〇三〇年を目標年次として、化学農薬を五〇%削減、肥料を二〇%削減、有機農業に利用される農地を全体の四分の一に到達させる。ただ、二〇三〇年度を目標年次というのは、今の技術を基にして社会実装しなければいけません。

 まず、農水大臣に伺います。

 そんなことが日本においてできるんでしょうか。それから、できないとなったときに、このルールに無視して日本はこれから立ち行っていくことができるんでしょうか。簡潔にお答えをいただきたいと思います。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 我が国が欧州の数値目標を達成するためには、イノベーションがなければ実現は困難と考えております。また、農林水産物、食品の輸出拡大を目指す上でも国際ルールを無視することはできない中で、諸外国において環境分野に係るルール作りが活発化しています。

 このような動きを踏まえまして、我が国といたしましても、欧米と気象条件や生産構造が異なるアジア・モンスーン地域の特性に応じた国際ルール作りが重要と考えております。

葉梨委員 今お答えがあったように、このルールを無視していたら、農林水産物は輸出もできなくなる可能性が非常に高いです。もちろん、国内的な気候変動、担い手不足の問題もありますけれども、アジア・モンスーン地域で実現可能な数値目標、これを、我々が主導権を持って国際ルールメイキングに参画していくということが、我が国の農林水産業の生き残りのために必要です。

 そこに使われるのがグリーン技術とデジタル技術。グリーン、すなわち病害虫防除や除草、さらには、さっき言っていたような電動の農業機械の蓄電池。さらには、デジタルとしては、生育管理、そして資源管理があります。

 このようなみどりの食料システム戦略、これはパネルにありますが、これによって新しい農山漁村を創出すれば、農林水産業への新たな人材の流入や都市と農山漁村の交流の起爆剤となります。これがまさにデジタル田園都市構想の大きな一翼を担う、我々はそう考えています。

 我が国農林水産業が抱える経済安全保障上の問題を克服し、国際ルールメイキングに参画し、これを主導するためにも、みどりの食料システム戦略を新しい資本主義における成長戦略の中にしっかりと位置づけて、新しい農山漁村の創出を目指すべきと考えます。

 今までの質疑の御感想も含めて、総理の御決意をお願いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 岸田内閣においては、新しい資本主義の下、様々な社会課題を成長のエンジンに転換する、社会課題を解決しながら持続可能な経済を目指す、こうした取組を進めようとしています。

 農林水産業においても、こうした考え方に合致する、御指摘のみどりの食料システム戦略、この推進を新しい資本主義を起動させるための経済対策に盛り込んで戦略の実行に着手しており、今国会に、改革を強力に推進するための法案提出に向けて調整中であります。

 今後とも、みどりの食料システム戦略に基づき、イノベーションを後押しし、デジタル技術の活用や海外依存度の高い化学肥料の利用の低減などを進め、地域活性化を推進するとともに、日本と同じく高温多湿なアジア・モンスーン地域の持続可能な食料システムのモデルとして着実に推進し、世界のよりよい食料システムの構築に向けて積極的な役割を果たしていきたいと考えます。

葉梨委員 今日は本当に短い時間の中で質疑をさせていただきましたけれども、農林水産業というのは本当に自然に優しいという産業であるというのは、まさに我が国の先人が培った、江戸時代までに培ってきたこの農業システム、フードシステムなんです。それがやはり近代において大きく変わってきている。企業的な経営による農業、さらにはエネルギー革命、さらには石油化学の発達等による環境負荷。

 ここの問題を考えたときに、諸外国、EUとかアメリカが非常にこの問題で熱心なんです。これは何でかといったら、乾燥地帯です。しかも、アメリカは大開拓時代に土壌流出の大きな痛い経験を持っています。ですから、等高線沿いに畝を作る、畦畔を作る、そういったような経験もあるわけです。そういう経験があるから、あるいは、EUにおいても中国においても砂漠化という経験があるから、非常に熱心です。ですから、我々が国際ルールとしてここに入っていかなかったら、我が国の将来というのはなかなか難しいものがあります。

 昨年九月に国連食料サミットが開催されました。これからも大きな問題になると思います。是非、総理にもよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて葉梨君の質疑は終了いたしました。

 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。

 締めくくり質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 厚生労働省の助言機関が、先日、二月上旬に全国の感染者はピークを越えたと考えるとの見解を発表しておりますが、重症者や死亡数の増加が続いており、多くの地域で医療逼迫が続く可能性があります。また、オミクロン株の一種で感染力が更に高いとされているBA・2の市中感染と見られる事例も確認をされており、三回目のワクチン接種を更に加速すべきであります。

 今月八日に、公明党として、岸田総理に対しまして接種加速化に関する提言を行い、現在、御尽力をいただいているところでありますが、交互接種の理解、また、三回目接種の効果について、国民の皆様への説明を更に積極的にしていかなければならないと考えます。

 改めて、三回目接種の加速化に対する総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 ワクチンの三回目接種については、関係者の御尽力により、十五日以降、VRS入力ベースで、一日百万回程度までペースが上がってきました。二月から高齢者の前倒し接種が本格化しており、希望する高齢者施設の入所者等への接種についても、既に大半の自治体で施設接種や巡回接種に取り組んでいるところでありますし、また、教職員、保育士、警察官、消防職員など、地域におけるエッセンシャルワーカーに対する接種も進めています。

 また、全国で接種券の前倒し送付も進めていただいており、厚生労働省の調査では、今月末までに累計で六千百万人分が送付される見込みであります。先週から職域接種も本格的に始まっております。

 こうした接種加速化の取組と同時に、御指摘の交互接種を含めたワクチン接種の有効性、安全性などについて、様々な媒体を通じて国民一人一人に丁寧にお知らせしていく必要があります。

 引き続き、自治体での接種、職域接種、自衛隊の大規模接種など、全ての手段をフル稼働させていくとともに、国民に対する周知、広報を積極的に進めていきたいと思います。

 一日も早く、できるだけ多くの方に接種いただけるよう、全力で取り組んでまいります。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 更なる丁寧な説明を国として発信していただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。

 次に、現在、外国人技能実習生が入国ができないため、深刻な人手不足により、あらゆる産業に大きな影響が出ております。

 十七日、岸田総理は、一日の入国者の上限を五千人にまで引き上げると公表されましたが、この枠には日本人も含まれるため、外国人が入国する余地は少ないと考えます。在留資格の事前認定を受けながら来日できない技能実習生が十二万九千人いると言われている中、留学生とともに、この技能実習生においても入国への配慮と考えますが、総理に御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、技能実習生の入国を待ち望む多くの事業者の方々の御要望があること、これは承知しております。

 三月一日から、技能実習生についても、入国者総数の枠内で、受入れ責任者の管理の下、入国が認められることになります。技能実習生の入国の申請手続が迅速かつ円滑に進むよう、国としても、受入れ企業等に対して周知を行い、受入れを着実に行ってまいりたいと思います。

 また、御指摘の、今般、入国者総数の上限について、三千五百人程度から五千人程度に引き上げることとしています。今回の措置は水際対策の段階的な緩和の第一段階であり、入国者総数の更なる引上げについては、内外の感染状況、入国需要の動向、検疫体制の整備、防疫措置の実施状況等を踏まえて、今後検討をしていきたいと考えております。

中川(宏)委員 是非ともよろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、コロナ禍で傷んでいる中小企業、個人事業者への支援策であります事業復活支援金ですが、例えば、私の地元の長野県では、持続化給付金の際は県内十か所にあった申請サポート会場が、今回は県内一か所にしか設置をされていない状況であります。

 インターネットの申請ができないという方はまだ相当数おりまして、環境により申請ができず、支援が受けられないということはあってはならないと思います。

 申請の支援について、経済産業大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 事業復活支援金の申請手続については、これまでと同様、電子申請とさせていただいておりまして、電子申請に不慣れな方のために、申請手続を対面でサポートするサポート会場を全国六十四か所、全ての都道府県に設置をしております。

 既に大変多くの事業者の皆様が持続化給付金や一時支援金、月次支援金を受給されており、電子申請に慣れていらっしゃる方も増加していることから、サポート会場の設置に当たっては、こうした実態や過去の給付事業における利用実績を踏まえ、多くの方々の利便性を考慮して、効果的、効率的なサポートを行うことができる場所に設置をしたつもりです。

 加えて、申請手続に係る相談を含め、事業者の皆様からの様々な問合せにお答えするため、コールセンターも御用意しています。過去の給付金事業においては電話がつながりにくいとの御指摘が多数あったことも踏まえ、過去の体制の約四倍、すなわち最大三千名規模の体制を構築しているところであり、サポート会場にアクセスしづらい事業者におかれては、是非、このコールセンターも御利用いただきたいと思います。

 引き続き、事業者の皆様の声に丁寧に耳を傾けながら、改善すべき点は改善するなど、事業者の皆様に寄り添った対応を行ってまいりたいと思います。

 なお、先生の問題意識は、私、去年、文科大臣のときにGIGAスクールをスタートしたときに、うちの町役場には光ファイバーは来ていないんだ、そういうところから始まりました。

 まさにデジタル社会が進んでいるさなかでありますので、国ももちろん、総務省と一緒にサポートしますけれども、こういう機会にやはり環境整備というのを各町村の皆さんもしっかりやっていただきたい。そのためのサポートを国としても努力をしてまいりたいと思います。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今後もきめ細やかなサポートを是非ともお願い申し上げまして、時間となりましたので、質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 今日、答弁登録は総理大臣のみにしておりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、総理、昨年の十一月二十六日に後藤大臣と堀内ワクチン担当大臣と首相官邸で面談をされておられます。十一月二十六日でございますけれども、これはどんなことを話し合ったのでございますか。

岸田内閣総理大臣 十一月二十六日の打合せ、会議ですが、御指摘をいただきましたので、事前に通告いただきましたので確認をいたしました。

 昨年十一月二十六日は、ワクチンの三回目接種の接種間隔について、厚生労働省の原則八か月後との方針に対し自治体からその原則の例外の取扱いを明確にするよう要望があり、医療機関や高齢者施設等でクラスターが発生した場合などは例外的に六か月間隔で接種しても差し支えないことを自治体に伝えるとともに、今後の我が国の感染拡大に備えて、八か月を待たずして接種を行う範囲について更に検討していくことについて報告を受け、そしてそれにしっかり取り組むよう指示をしたという会議、打合せでありました。

長妻委員 そうすると、総理は、六か月接種についてはクラスターが発生した医療機関や高齢者施設の関係者などに限定する、こういうことで了解をして、そうしろというふうに指示をされたということですね。

岸田内閣総理大臣 接種間隔については、この委員会でも度々申し上げたように、八か月という専門家の意見等をベースに議論を始めましたが、その後、感染状況ですとか各国の状況等もしっかり把握した上で、接種間隔を前倒しする、こうした取組を進めてきたということであります。

長妻委員 いやいや、私が聞いているのは、六か月に短縮できる対象はクラスターが発生した施設の関係者、入所者などに限定だ、これについて総理から指示をしたわけですね。

岸田内閣総理大臣 十一月二十六日の段階では、そういった報告を受け、それを徹底するように指示をした、こうしたことであります。

長妻委員 これは、私はちょっとおかしな話だと思うんですね。

 といいますのは、配付資料の一ページ目を御覧いただきますと、時系列的にまとめております。午前中も江田議員から詳細な質問があったと思うんですが、非常に私はこの間の経緯が不可解です。

 まずは、始まりは、去年の十一月十五日、ここにあります。予防接種・ワクチン部会、厚生労働省の部会で、厚生労働省の官僚の皆さんも相当努力されたと聞きました、六か月に短縮するということを実現したいということで。そこでこういうことを決定したわけです。二回目接種完了からおおむね八か月以上、これは総理おっしゃるとおりなんですが、ただ、六か月以上ということも接種可能であるということを明確にさせたと議事録に書いてあるわけですね。地域の感染状況を踏まえて、自治体の判断によって六か月以上ということで決着したんですよ、ここで。ところが、その後、ブレーキをかける動きが閣僚の発言から出てきたと。これは前回も、総理がいないときのこの予算委員会で触れました。

 そして、極めつけは今の話ですよ。元々は、十一月十五日に、自治体の判断で、地域の感染状況を踏まえてできるということで、自治体からも問合せが来ました、よかったと。これで六か月でできる、うちはやりたいという問合せが来ました、声も上がりましたが、十一月二十六日にいきなり、六か月というのは、これはクラスターが発生した施設などに限定するということに、もう本当に、制約というか、絞りに絞られちゃったわけですよ。

 ワクチンというのは、これは言うまでもないですけれども、予防接種というんですよね。子供でも分かりますが、予防接種なんですよ。クラスターが発生しているところに接種するって、予防接種じゃないじゃないですか。流行後接種じゃないですか。

 何でこんなばかな縛りを総理が指示をしてかけたんですか、総理。これは、総理の責任、重大ですよ、総理。

岸田内閣総理大臣 この会議においては、自治体の方から、原則八か月後という方針に対して、例外の取扱い、これを明確にしてもらいたいという要望があり、厚生労働省の方でその基準、考え方を整理したということを報告を受けたということであります。

 そして、先ほども申し上げたように、八か月を待たずして接種を行う範囲について更に検討していくこと、これも併せて指示をしています。

 こうした議論の積み重ねによって、八か月原則とされていたものが前倒しをされていく、こうした取組を進めていくことにつながったと考えております。

長妻委員 総理、いや、前段はそのとおりだと思いますよ。

 つまり、ああ、六か月なんだ、自治体の判断、感染状況を踏まえてということで、それで自治体からもよかったという声もいただきました。ただ、厚生労働省が、その基準、じゃ、どういう場合なのかというようなことについて曖昧だったから、それを明確にするというのは、それは分かりますよ。

 ただ、これは絞るという話じゃなかったんですよ。明確にして、このワクチン部会の理念を実現する、この結論をきちっとなぞるような形で六か月というのを、範囲を広げていく、こういうようなことだったのに、いきなり十一月二十六日に、クラスターが発生したところなどだけだということで絞られたわけですよ、総理。

 これは、総理、反省してもらわないと困りますよ、何かすっとぼけた感じで答弁されていますけれども。総理、総理が指示したわけでしょう。だから、総理、なぜこういうような縛りを了解しちゃったんでしょうか。これは反省を本当にしてほしいと思うんですが、いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 これは、自治体から、この例外の基準を明らかにしてもらいたいという要望に対して、厚生労働省として考えを整理したという報告を受けたわけであります。そして、その報告を受けて、そして引き続きこの前倒しの範囲についてしっかりと検討することを指示をしたというのがあの会議のありようであります。こうした、議論の過程でのやり取りであったと考えております。

長妻委員 指示しちゃ駄目じゃないですか、クラスターのところだけ六か月なんて。こういう話はワクチン部会で出ていないですよ、そんな話。何でそういう話を、総理、了解して指示したんですか。

 これは総理に聞きますけれども、総理、じゃ、今から考えるとこれは間違っていた、今から考えるとこれは制限し過ぎた、こういう反省はないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 十一月二十六日の段階で厚生労働省としての考え方を整理したということであり、より具体的な整理については、是非厚生労働大臣に確認をしていただきたいと思います。

 その報告を受けたわけですが、報告を受けた上で、更に前倒しを検討することを私の方から指示をした、これが十一月二十六日のやり取りであったと記憶しております。(発言する者あり)

長妻委員 今話がありましたように、最高責任者が認めたわけですよ。それでよろしゅうございますかと来て、いいですと。聞く力ということを総理おっしゃっていますけれども、聞くにしても、ちょっとこれは了解しちゃ駄目ですよ、この案件は。この当時でもですよ。だって、十一月の十五日と違うんですから。

 反省もないわけですか、総理。

根本委員長 厚生労働大臣後藤茂之君。(長妻委員「いや、私が今しゃべっている最中、しゃべっている最中ですよ」と呼ぶ)

後藤国務大臣 事実だけ、確認を……(長妻委員「ちょっと待って、しゃべっている最中です。しゃべっている最中で、何で指すんですか、これ」と呼ぶ)

根本委員長 じゃ、内閣総理大臣岸田文雄君。

長妻委員 これはちょっと委員長に抗議します。ちょっと待って。委員長に抗議しますが、私が今しゃべっている途中で、質問をしていないのになぜ指名するんですか、委員長。質問して、しゃべっている途中ですよ。質問を、しゃべっている。これは初めてですよ、私、予算委員会で。しゃべっている途中に指名するなんて初めてですよ。委員長、ちょっと謝罪しなさい。

根本委員長 じゃ、厚労大臣、下がってください。

 じゃ、長妻昭君。(長妻委員「委員長、ちょっと言ってくださいよ。今しゃべっている途中だったのに」と呼ぶ)

 私も、最後までしゃべっていると思って、指名しました。最後の質問で、質問の後で私は指名したつもりでした。そこはちょっと意見の相違があったと思う。

長妻委員 じゃ、それは認識の違いということですね。しゃべっている途中でした、私は。

 総理にお尋ねするんですが、三回目のワクチン、これは遅いという認識はありますよね、総理、遅いという。スタートが遅かったわけですよ。その八か月、六か月で手間取って遅くなったということで、それで極めつけはこの限定、限定したことですよ。

 これについて、総理、反省というのはあるんですか。それだけ教えてください、総理。反省というのがあるかどうか、総理。

岸田内閣総理大臣 我が国においては、一回目、二回目の接種のタイミングがあり、その後、一定期間を空けて三回目の接種を行わなければならない、こういった状況の中、条件の中で三回目の接種に取り組んできました。

 そして、結果として、この接種、三回目接種自体、タイミングも各国に比べて一歩遅れているという御指摘、これはそのとおりだと思います。しかし、国民の命、そして安全に関わる課題について、科学的なエビデンスに基づいて我が国としても取り組んできたと思います。

 そして今、現状において、接種を進めなければいけない、加速化させなければいけない、これはそのとおりであると認識をし、政府としてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。(長妻委員「いや、反省があるのかと聞いているんです。ちょっと、今、答えていない。反省があるのか」と呼ぶ)

 先ほどから申し上げているように、そういった経緯の中で接種の現状があります。是非そうした経緯も振り返りながら、全力で接種の加速化、努めていきたいと考えております。(長妻委員「いや、反省があるのかと聞いているんです」と呼ぶ)

 事態は今進行しています。国民の命、そして健康を守るために全力で取り組むのが政府の責任であると認識をしています。

 そうした取組を進めた上で、国民の皆さんがどう評価されるか、これはしっかりと受け止めていきたいと思っております。(長妻委員「総理はどう考えているのか。国民の皆さんじゃなくて、総理はどう考えているのか」と呼ぶ)

 私がどう考えているかという御質問でありますので、今申し上げた考え方を申し上げた次第であります。

 引き続き、政府の責任を果たすべく全力で取り組んでいきたいと考えております。(発言する者あり)

 三回目接種への取組については、先ほど来申し上げてきたとおりであります。その一つ一つに様々な指摘があること、これについてはしっかり受け止めたいと思いますが、しかし、今、現状において、接種の加速化に全力を注ぐ、これが政府の責任であると思い、しっかりと取り組んでいきたいということを先ほど来申し上げております。

長妻委員 総理、これ、私が申し上げたいのは、やはり教訓を得て、今、最中だからその教訓を得て、それを糧にして進まなきゃいけないんですよ。

 そういう意味では……(発言する者あり)ちょっと、やじ、注意してください。

根本委員長 静粛にお願いします。

長妻委員 そういう意味では、これ、今から、じゃ、振り返ってみると、いいですよ、当時は反省しないということですね、当時は間違っていなかった、そういう理解でいいんですね。つまり、クラスター発生のところだけに限定したとか。

 じゃ、今から振り返ると、ここはこうしておけばよかったとか、ここは間違いだったという、そういう反省、それはありますでしょう。それをちょっとおっしゃっていただきたい。

後藤国務大臣 少し、前提になっている事実が整理されていないと思うので申し上げますけれども、二十六日の日に、原則八か月を自治体の判断で六か月まで縮められるのは、医療機関等のクラスターもありますけれども、同一保健所管内でクラスターが複数発生した場合に、その地域においても接種できるということになっております。

 それから、十五日の審議会でございますけれども、原則八か月ということでございますけれども、ただし、地域の感染状況等を踏まえて、自治体の判断により八か月より前に追加接種を実施する場合においては、薬事承認の内容を踏まえ、六か月以上の間隔を空けることとしてはどうかという事務局提案に対して、それをそのまま了承したということでございますので、私の説明と審議会はそごをしておりませんし、クラスターだけについての話ではなくて、地域の問題も含めて、二十六日はお話をし、そして、総理に報告をした上で、今後とも感染の状況を踏まえて、六か月の検討も含めてという御指示もいただきました。

長妻委員 今の話であれば、全然違うじゃないですか。

 三回目のワクチンについて、ワクチン部会では、おっしゃったとおりですよ。六か月について明確にさせたと。地域の感染状況、自治体の判断でできる、こういうことなのに、絞ったじゃないですか、クラスターに限定して。ここに通知、ありますよ、二十六日に出た。絞っているじゃないですか。自治体がびっくりしちゃったわけですよ、これで。話が違うと。私のところにいっぱい問合せが来ましたよ。おかしいじゃないですか。

 これ、総理、先ほどの質問に答えていただいていないんですが、じゃ、今から考えると、ここは間違っていた、ここの点はちょっとこうすればよかったということはないんですか。あると思うんですが、それを言っていただければと。

岸田内閣総理大臣 ワクチンの接種間隔については、八か月という原則から始まって、今、六か月に短縮すべく全力で取り組んでいます。

 その取組を進める中にあって、いろいろ具体的な指示が出た、そしていろいろな議論が行われた、そのことについて一つ一つ挙げるならばいろいろ考えることはありますが、しかし、そういった努力を進めることによって、今六か月を目指して努力をしているわけですので、その加速化に向けて全力で取り組みたいと改めて思っているところであります。

長妻委員 これは本当に日本的議論だなと思うんですよ。過去は振り返らずに、これから頑張るんだからいいじゃないかみたいな話じゃないですか。細かいことはいろいろあったと。細かくないですよ、この話は。私は一番でかいと思うんですよ、これは、総理の判断で。みんな不安になって、両大臣が総理に相談に行ったわけですよ。総理はいとも簡単にオーケーしちゃった。

 これは、ワクチンが、三回目が早ければ亡くならなかった方というのは多くおられたと思いますよ。第五波よりも、第六波の累積でお亡くなりになった方が多いわけですからね。

 総理、もう少し早く打っていれば助かる命を助けられたのにと、そういうような何かこう、心の中で葛藤みたいなのはないんですか、何にも。もう少し早ければ助かった命が多くあった、そういうような思いというのはないんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 新型コロナ対策、そしてオミクロン株への対応については、オミクロン株の特性を踏まえた上で、医療提供体制の充実と、予防、検査、早期治療の流れの強化、これにしっかり取り組んできた。この対策のポイントは、この全体像をしっかり用意するということであったと思っています。

 そして、その一つ一つについては様々な指摘がある、これは謙虚に受け止めたいと思います。しかし、この全体像をしっかりと用意することが大事であったと思います。そして、亡くなられた方々には改めて哀悼の意を表しながら、是非、この全体像をしっかり稼働させる努力をしっかり続けていきたいと思っております。

長妻委員 いや、私は本当に冷たいと思いますよ。

 菅総理も、ちょうど一年前、この予算委員会で、大変申し訳なく思うと、死者が相当出てしまったことについて、亡くなった方が出てしまったことについておわびされました、真摯に。

 もう一つ気になるのは、この前の木曜日に総理が記者会見されたときに、私、ちょっと耳を疑いましたけれども、必要な医療は提供されています、病床あるいは重症者病床はまだ余力があります、こういうお話をされているんですね。ちょっと私、耳を疑いました。

 これは、第五波よりも第六波、亡くなる方は累積で多いし、厚生労働省によっても、HER―SYSで自宅死と入力された方が、今年に入って第五波と並ぶような人数になりました、自宅死が。警察の調査でも、相当な数が御自宅で亡くなっておられます。私も、いろいろお伺いすると、入院できずに施設で亡くなった高齢者はたくさんおられます。

 そういう意味では、これは是非、この発言を訂正してほしいんですよ。すごく楽観的に聞こえるわけですね、必要な医療を提供しています、余力がまだありますと。地域によっては必要な医療が提供されていない、今、それが私は実態だと思うんですが、こういうふうに訂正していただけませんか、総理。

岸田内閣総理大臣 先ほど申しました全体像に基づいて医療提供体制をしっかり用意することに努力をしてきました。そして病床の数、そして稼働率を引き上げる、こうしたことによって、昨年夏の状況と比べましても一・三倍の病床を用意した、そして見える化を図ってきた、こうしたことであります。そして、全体像としては、病床の数、重症病床の数、これは余力があるということを申し上げてきたわけであります。

 御指摘のように、現実に様々な混乱や不都合があるということ、これは謙虚に受け止めなければならないと思います。だからこそ、柔軟な病床の使用等についても絶えず工夫をしていかなければいけない、努力をしているということであります。

 様々な指摘、批判、これはしっかりと受け止めながら責任を果たしていく、これが政府の役割であると思っております。

長妻委員 様々な批判を受け止めていないですよ、総理。まだ余力がある、必要な医療が提供されているのであれば、なぜ自宅でどんどん人が亡くなるんですか、総理。

 総理、病床使用率、確保病床ということの意味、御存じですか。確保病床が、即座にそこに人が入れるわけじゃないんですよ。一般の入院者もそこにおられる場合もあるし、あるいは、一つの病院で何人もが同時に入院する、同時に退院するということはできないわけですよ。

 そういう意味では、分科会の専門家らもおっしゃっているのは、コロナ病床使用率八〇%程度が運用の限界だ、こういうふうに言っているわけですね、地域によっても違いますし。例えば、ある病院では、病床使用率四〇%だけれども、高齢者が入院するので介護に人手が取られるため、四〇%なんだけれども、病床は空いていても新たな受入れは難しい、こういう状況になっているんですよ、今。

 例えば、男性でも、発症五日後に入院できず死亡、高齢者施設、酸素飽和度が七〇%台、こういう例がたくさん報告されているんですよ、総理。ですから、総理の話を聞いていると、すごく楽観的に聞こえるわけですね。最悪の事態なんか想定していないじゃないですか。

 是非、地域によっては必要な医療が提供されていないというようなことをお認めになったらいかがでしょう。そこから対策が始まりますよ。

岸田内閣総理大臣 まず、病床の確保、これは誠に重要です。だからこそ、昨年の夏の状況と比較しても、しっかりと病床を確保しなければいけない、努力をしてきた。その結果として、昨年の夏はもう重症病床も含めて満杯状況でありましたが、今、今日、昨年の夏の四倍の新規感染者が報告される中にあっても、全体像として、病床あるいは重症病床の数、これは余力があるということを申し上げているわけであります。

 そして、こうした病床の数を用意すること、これは大変重要であるといって取り組みましたが、御指摘のような、様々な不都合が生じていることについては謙虚に受け止めますということを申し上げさせていただいています。

 だからこそ、東京都や大阪府と協力しながら、医療人材は国が責任を持ちながら臨時の医療施設を用意するとか、病床の運用についても、コロナ病床をコロナ以外の患者に使うといった柔軟な運用を促すとか、様々な努力を国としてもしなければいけない、そういった問題意識で取り組んでいます。

 用意した病床、これがしっかり活用されるように、引き続き、様々な指摘をしっかり受け止めて、努力を続けていきたいと考えております。

長妻委員 何にもお答えになっていないですね。繰り返すばかりですね。

 では、なぜ自宅死が起こるんですか、総理。潤沢にまだ余力がある、必要な医療を提供している、なぜ自宅死が起こるんですか、これほど。第五波に迫っていますよ。

 先ほど様々な不都合があるとおっしゃいましたけれども、不都合で済むんですか、自宅死は。入院できずに亡くなった方というのは、不都合で片づけていいんですか、総理。

 ちょっと総理、もう時間もないので、あと五分しかないので、総理にお伺いしますと、本当にその亡くなった方、自宅死遺族の会も今ありますよ、亡くなった方に対して何か言葉はないんですか、総理、これまでの政策の問題などなど。今、医療が逼迫しているんですよ。地域によっては必要な医療が提供されていないんですよ。それに対して、最高責任者として、亡くなった方に対して何かお言葉はないんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 政治として、まずしっかりとした政策を進め、結果を出さなければならないと思っています。引き続き努力は続けたいと思いますが、その中で、亡くなられた方に対して言葉がないかということについては、誠に、政治として、政治は結果責任でありますから、亡くなられたことについては、至らなかったことはおわびを申し上げながら、そして、遺族の皆様方には心からお悔やみを申し上げながら、引き続き、国民の安心、安全のために努力を続けていきたいと考えております。

長妻委員 やっと言っていただきましたね、これ。遅かったんですけれども、そこから始まるんですよ。

 六月までに司令塔機能を考えるという総理の発言、今年の六月まで、あれを早めていただきたいんですよね。

 我々は、去年の六月に法律を出しまして、政府が反応しないので、今月また感染症法等、医療の司令塔を確保する法律を出しました。審議しないんですよ、自民党は。反応ないんです。

 総理、六月なんと言っている場合じゃないですよ。医療について、問題はやはり偏在調整なんですよ。融通を差配する司令塔がないんですよ、国に。総理、首相官邸に。

 例えば、自宅で療養する、施設で療養する方々。入院できない場合、そこにお医者さんを派遣をしていただく、あるいは御自宅でリモート、例えば、北海道のお医者さんが北海道にいながら、リモートだったら全国でできるわけですよ。そういうような融通ですね、医療資源の。

 これを調整する機能が、今都道府県が相対でやっているんですよ、知事が、都道府県が。そうじゃなくて、国が司令塔になって医療資源を融通し合うような仕組み。これは六月じゃ遅いんですよ、総理。

 もう今年の初めから六月、六月とおっしゃっていますけれども、これは、我が党の法律を含めて、是非司令塔機能を早急に、早急に立ち上げることはもう今週でもできますから、総理、是非やっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 新型コロナ対応につきましては、今内閣の中で、山際大臣、後藤大臣、堀内大臣を始め関係閣僚が緊密に連携してコロナ対応に当たっております。そして様々な指摘については謙虚に受け止め、そして改善すべきこと、取り組むべきこと、しっかりと進めていきたいと思っています。

 そして、保健医療体制の在り方については様々な課題がある、これは承知をしておりますし、いろいろな議論があります。しかし、現下の危機的な対応において、必要なのは組織論ではないと思っています。是非、今のこの大臣の体制の中で、しっかりと、よりよく医療提供体制が機能するように努力をしていきたいと思っております。

長妻委員 私も別に組織論なんて言っていないですよ。融通を指令する司令塔機能が官邸にないと言っているんですよ。全国に偏在している医療資源、これを必要なところに融通し合うような、そういう国の機能がないんですよ、今、総理。それを、総理、首相官邸につくっていただく。

 組織なんか要らないですよ、初めは。総理が指示をして、各大臣、地方自治体、関係者を集めて、国が手当てするんだ、そういうような検討ぐらい始めてください。検討して、今週中からできればやっていただきたいんですが、いかがですか、総理。本当にそうですよ。

岸田内閣総理大臣 御指摘の、病床とか医療スタッフ、医療人材の確保、調整ということについては、国として全体像を示し、そして基本的対処方針などの方針を示して、そして都道府県の計画策定を促し、そして医療体制の自己点検を自治体に要請するなど、自治体と緊密に連携して取り組んでいます。

 こうした体制の中で、よりこの体制を稼働させる、機動的に動かしていく、そのために必要なことについては、絶えず実態を検証しながら進めていかなければいけない、このように思っております。

長妻委員 これで終わりますけれども、本当に、改めてこの質疑で、総理は平時の宰相であって、危機の宰相ではないというふうに思いました。

 よろしくお願いします。

根本委員長 これにて長妻君の質疑は終了いたしました。

 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党、重徳和彦でございます。

 今日の午前中の総理の答弁で、原油高騰対策の中で、トリガー条項の凍結解除を含むあらゆる選択肢を排除しないという答弁がございました。これは、どこまで本気でおっしゃっているんだろうかと、トリガー条項のことについてですね。我々は、もうかねて法案を提出し、本日も用意している予算組替えの案の中にも、数千億円規模の予算についても手当てをする、そういう主張をしております。

 総理、特にトリガー条項は、税法、法改正が必要となってまいります。これを検討する際に、法改正について、どこまで、いつ行うということを考えておられるんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 私が先週来申し上げておりますのは、原油高騰、エネルギーの価格高騰に対してしっかり対応していかなければならない、効果的な激変緩和措置を考えなければいけない、そういったことから、今、政府として取組を行ってはおりますが、今後の不透明な状況を考えたときに、更なる対策についても考えていかなければいけない、その際に、あらゆる選択肢、これは排除することなく考えていきますということを申し上げているわけであります。

 トリガー条項も含めてあらゆる選択肢について官房長官の下でしっかりと議論をし、早急に追加の対策を決めていきたいと思います。

 これは、これから引き続き議論を続けていく課題であると思っています。

重徳委員 もう一般論で検討している段階ではない、私はそう思います。

 現に、先週の金曜日には、自民党内においても、政調会長から、トリガー条項、二十五円の減税措置をも超える支援をという、具体的にトリガー条項の規模感としても意識をするような、そういう提言がなされたと聞いております。

 今、審議、まさに今日にも採決をしようというこの本予算においても、このための予算が全く盛り込まれていませんよね。トリガー条項を含めてあらゆる選択肢を排除しないと言うからには、法改正、そして本予算の組替えが必要だと思うんですが、何も考えていないんだったら、含めたことにならないと思いますよ。トリガー条項のことを含めていない。いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 総理がおっしゃっているのは、今後、国際情勢等を含めて、国民の皆さんにどういう影響が与えられるのか、与えてくるのか、それを最小限に抑えるために、現在執行中の激変緩和措置をまずはしっかりやっていく。そしてその上で、これが長期化するようなことがあればあらゆる選択肢を排除しないということを申し上げていますので、今日この採決に当たってトリガーをどうするのかとぎりぎり聞かれれば、今の段階でトリガーを発動する、解除するということは考えていません。今は激変緩和措置をきっちり三月までやっていきたいと思っています。

 その上で、長期化するんだったらもう少しいろいろなことを考えていかなきゃいけないな、それを加速して検討するようにという指示を受けているところです。

重徳委員 どうも本気度が感じられませんね。

 もう既に、今取り組んでいる激変緩和措置も上限の五円までとっくに到達しておりまして、三月中に予算が足りるかどうかぐらいの段階だと思います。予備費でも使わない限り足りないんじゃないか。まして四月から何の用意もないわけですよね。

 法改正、我々は法案を提出しておりますが、これを検討いただけませんか。総理。

萩生田国務大臣 現段階において予算が不足をすることは想定しておりませんが、国民生活や経済活動などへの影響を最小化するという観点から、事業をしっかりと継続していくことが重要であると考えています。

 原油価格の高騰がどの程度長期化するかや、石油製品の需給の増加などもよく注視しながら、例えば、請求いただく金額が増加する場合には、令和三年度予算の執行残を当てるなど、柔軟にあらゆる可能性を検討してまいりたいと思います。

 現時点で法改正は考えておりません。

重徳委員 総理にも確認します。総理から答弁お願いします。今の点、法改正について。

根本委員長 もう一度ちゃんと言ってください。

重徳委員 今経産大臣から、法改正、考えていないというふうに聞こえましたが、総理にも確認したいと思います。どうなんですか。

岸田内閣総理大臣 今のエネルギー価格の高騰に対して、政府としても、激変緩和措置を始め重層的な対応を用意しています。

 しかし、将来を考えた場合に、不透明なこれからを考えた場合に、あらゆる方策を排除せず、しっかりと議論をしていかなければいけない、しっかりとした準備をしておかなければいけない、こういったことを申し上げています。トリガー条項も含めてあらゆる選択肢を排除しないということを申し上げています。

 法改正が必要なのかどうか、その議論の中で検討していく課題であると認識をしております。

重徳委員 本当に、全然長期的な話でも何でもなくて、もう三月いっぱいで措置も切れます。そして四月、すなわち一か月ちょっと後の話を私は議論しているつもりなんですが、その危機感なり、国民生活、企業活動への影響ということも十分に認識されていないように私には聞こえます。もっとぴりっとやっていただきたいと思います。

 さて、今ほどのコロナ、長妻委員からもコロナの話、我々は、国民の立場から、政府の対応について厳しく今追及させていただいておりますが、私からは、今日午前中の江田委員からも指摘がありました、特に、死者数が今三千五百人、今の第六波だけで三千五百人に届かんとしている。

 この状況の中で、特に、もちろん医療機関、入院措置がなかなかうまく取れていないということもありますが、その前段として、自宅療養の方々がお亡くなりになっている。十分な措置が取れていないといったようなことが、これは誰がどう見ても、国民の皆さん自身が感じておられることだと思います。

 総理は、今年の年頭の会見で、自宅療養された方々、陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察や訪問診療を始めるんだと高らかにおっしゃっていましたけれども、今、現状をどのように認識されていますか。

岸田内閣総理大臣 重症化率の低いと言われるオミクロン株の対策において、御指摘の、軽症の自宅療養者への対応、これが鍵であると認識をし、保健所に頼らない地域の医療体制、経口薬の確保、こういったものに全力で取り組んできました。

 自治体によって、当日ないし翌日に連絡を取ることができていないというところもある、このことについては承知をしております。こういったことだからこそ体制強化をしなければいけないということで、電話等による初再診を行った場合の診療報酬の特例加算、更に倍増する、医療関係者への協力をお願いする、こうした努力を続けているところです。

 是非、こうした現状について自治体に個別に状況を確認し、必要な支援をこれからも引き続き続けていきたいと考えております。

重徳委員 保健所の負担も軽減しながらということだとは思いますが、今日、資料をお持ちしました。御覧ください。

 これは、全国の自治体の働く立場、すなわち自治労の調査でありますが、コロナ感染によりまして非常に保健所の業務が長時間労働となっておりまして、とりわけ電話対応が非常に多い、事務作業もそれに伴って非常に多い。当然想像されることでありますが、更にこれがメンタルヘルスの不調にまで及んでいるということをひしひしと感じられるような調査結果であります。

 特に、自由記述に寄せられた代表的な意見でありますけれども、働く時間が長くなると抑うつ傾向になるんだな、それから、休みも取れない、日々の暴言とクレームの対応、大変だと。そして、これはいろいろな受け止め方はありますが、医療現場に比べると、報道に取り上げられたり、感謝されるといいましょうかね、そういうやはり日の当たるところで仕事をしていないという感覚が恐らく皆さんあるのでしょう。本当に、日々地道に長時間に及ぶ活動を保健所の皆さんはされているわけであります。

 このことに対して、こうした過重労働、メンタルヘルス不調に対して、どのように認識をされ、対応されているんでしょうか。

後藤国務大臣 委員御指摘のとおり、保健所職員の過重労働、メンタルヘルス不調への対応は非常に重要な課題であると認識しております。

 このため、保健所の体制について、各都道府県に保健・医療提供確保計画の策定を要請いたしまして、全庁体制や専門人材の派遣の仕組み、IHEATを含めた外部支援の活用など、必要な人員を確保できる体制の構築に努めていただいております。

 一方で、これまでの新型コロナ対応の中で、組織的な業務改善やストレスケアの仕組みづくりに取り組んでいる保健所もあると承知しておりまして、厚生労働省として、これらの取組を集約して横展開する等、保健師を始めとする保健所職員等の負担軽減につながる支援を引き続き行ってまいりたいというふうに思っております。

重徳委員 本当に保健所の皆さん方も苦労しながら取り組んでおられる、この現場の感覚を総理にも肌で感じていただきたいと思います。

 一方で、先ほど来お話ししておりますように、自宅死の方々も、今回、第六波においてもこれは無視し得ない数の皆さんがお亡くなりになっている、そのように承知をいたしております。

 しかし、御自宅で亡くなられた方々の遺族の皆さんの心は本当に想像するに余りある状態でありますが、それでも決して、今の状況の中で、身内の方が亡くなった、それは、保健所のせいにしたくてもせいではない、病院のせいとも言えない、施設のせいでも誰のせいでもない、こんなような思いでおられるというふうに聞いております。

 このこと、非常にこれは厳しい話であるんですが、よく言われるのは、やはり、保健所とうまく連絡がつかなくて、数日面倒を見てもらわないうちに亡くなっていたなんというケースが間々あるという話でありますが、この際の責任は一体どこにあるんでしょうね。お答えください。

後藤国務大臣 今おっしゃったのは法的責任の問題だというふうに受け止めましたけれども、そのことにつきましては、当然、これは公務員の一般的な法制が適用になるということでございます。ですから、過失や重過失があるということになったときに、公務員としての業務がどうであるかという問題点であります。

 今、本当に、保健所等で、いろいろな方たちが手助けに入って、一生懸命助け合って支えているときでございます。そういう意味で、私からはそういう答弁にさせていただきたいと思います。

重徳委員 こうしたことにも、恐らく、保健所の職員、あるいはそれをサポートする皆さん方は、自分に落ち度があったら、それによって死に至るような方がいたらどうしようかという思いも、これは大変重圧がかかっている、これも想像することはできると思います。そういうことも察していただきたい。そういう思いの中で、保健所の負担を軽くするとか、総理も言及されました、保健所に頼らない、そういった体制を構築していく必要があると思うんです。

 それで、私、前回の質疑においても、今日の資料でいうと二枚目なんですけれども、自宅療養されている方々は、本来、保健所の方々がしっかりと面倒を見るのが、そういう法的たてつけになっているんですが、今、余りに自宅療養者が増えてしまって、この図でいうと緑色の、割と軽症者と言える方々はいいんですが、もう既に黄色い、黄色信号になってしまっている、もう入院させなきゃいけないんじゃないか、少なくとも放置することはできないという方々、医療にアクセスさせなきゃいけないという、そういう方々まで今は放置されてしまっている。この状況を変えていく必要があるということを申し上げてまいりました。

 実は、このことに関して、かかりつけの家庭医という制度を、我が党からは、昨年、法案提出させていただいたんですが、しかし、この主張と、そっくりそのまま引き写しと言えるような財務省の財政審の建議が去年の十二月に出されております。資料の三であります。御覧ください。

 今後の制度面での課題、かかりつけ医の制度化とあります。そして、これは去年の十二月ですから第五波を例に取っておりますが、全国で十三万六千人の自宅療養者、三万六千人に及ぶ入院先調整中の方々が発生した、そして、これらの方々の医療へのアクセスの機会は限られていたことが指摘されている。中盤、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化した上で、これらの機能を備えた医療機関をかかりつけ医として設定するなどの制度を設けること、事前登録、医療情報登録を促す仕組みを導入していくと。

 ここまでで、まず厚労大臣にお尋ねしたいんですが、かかりつけ医機能の要件を法制化するとありますが、今は全く法律上の存在ではないということなんですね。かかりつけ医、よく聞く言葉ですけれども、特にコロナになってから。法律上全く位置づけがないわけですね。

後藤国務大臣 御指摘のかかりつけ医制度については、国として、法令等において明確な定義は置いておりません。

重徳委員 言っておきますけれども、自民党を中心とする政権には絶対に実現することのできない制度だと私は思っておりますが、下のところ、かかりつけ医が、平時において、高齢化時代における地域包括ケア、在宅医療の担い手となる、それから、かかりつけ医は、患者情報の事前管理により、PCR検査受検相談、まさに今必要なところです、発熱外来、オンライン診療、宿泊・自宅療養の健康観察を安全で迅速、効果的に包括的に提供し、保健所の負担を軽減することが期待されると。

 まさしく我々の主張と同じなんですけれども、この点、所管の鈴木財務大臣、どのような見解をお持ちでしょうか。

鈴木国務大臣 重徳先生が資料三でお示しになられましたとおりに、昨年の十二月の財政制度等審議会の建議におきまして、コロナ禍における経験から、必要なときに必要な医療にアクセスできることの重要性を踏まえまして、かかりつけ医機能の要件を法制上明確化し、これらの機能を備えた医療機関をかかりつけ医として認定するなどの制度を設けること、利用希望者による事前登録、医療情報登録を促す仕組みを導入していくことを段階を踏んで検討していくべきとの提案をいただきました。

 この建議も踏まえまして、政府部内で調整した結果、昨年十二月二十三日に決定いたしました新経済・財政再生計画改革工程表において、かかりつけ医機能の明確化と、患者、医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について検討を進めるとの方針が示されております。

 この改革工程表に沿いまして、具体的方策を検討する中で、建議の内容の反映を含め、しっかり議論を深めて改革を着実に実行してまいりたいと考えております。

重徳委員 これは、改革、検討を進めるという言葉になっております。これを進めることが本当にできるかどうかは、岸田総理、やるべきことを全て尽くすとおっしゃっている岸田総理の決意にかかっていますが、最後に御答弁願います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のかかりつけ医については、その機能を明確化しつつ、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策、これを検討し、かかりつけ医が広く普及するよう、しっかり取組を進めていきたいと考えます。

重徳委員 必要な改革はどんどん我々としても提言し、プッシュしていきますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて重徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。よろしくお願いいたします。

 いよいよ締めくくりということで、様々な論点が議論されてまいりましたが、この予算委員会を通して、一つだけ、大変ゆゆしき事態であり重大な問題が質疑をされておりません。

 日本郵便局長会によります日本郵政の顧客情報の政治活動への流用等の問題です。

 これは参議院選挙にも絡んで行われた話だと思いますので、今年、参議院選挙があります、関連予算も計上されているわけですから、この問題を放置して採決に進むわけにはいかないというふうに思いますので、質疑をさせていただきます。

 この問題、昨年十月頃から、一部報道機関等で繰り返し報道をされております。

 二つの問題がありまして、一つは、日本郵便局長会の要望を受けた日本郵便株式会社が、三年間で八億円以上のお金を出してカレンダーを購入した、そのカレンダーを、局長会の組織的な指示の下、業務外の政治活動で利用した。自らの組織内候補の支持を獲得するために、そのカレンダーを使ったという問題。そしてもう一つが、郵便局長会の組織的な指示の下、日本郵便を始め、郵便やかんぽや、あるいはゆうちょ銀行の顧客情報を流用して、戸別訪問等の政治活動を行っていたという問題です。

 これは、例えばゆうパック、総理も、ゆうパックのラベルを書かれたことがあるかもしれませんけれども、あのラベルの情報を勝手に使って政治活動を行っていた。あるいは、郵便局内で、お客さんをある意味物色して、アプローチして、情報をリスト化して、さらに、自分たちの局長会の組織内の候補、参議院候補に投票するかどうかのランクづけまで行ったリストを作っていた。

 これはとんでもない話だと思うんですね。極めてゆゆしき事態だと思いますが、総理、率直に、この問題、どのようにお考えになりますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の問題については、先月二十一日の日ですが、総務省に対し、日本郵便から、調査結果、再発防止策の実施などの報告があり、総務省において、再発防止策などのフォローアップを行うこととしています。

 日本郵便に対しては、引き続き、監督官庁である総務省において適切に対応するものであると考えております。

岩谷委員 ありがとうございます。

 今総理おっしゃったとおり、一月二十一日、日本郵便から報告書が出ていますが、この報告書、これですね、もうぺらぺらです。表紙を除くと、たった六ページしかありません。

 このうち、カレンダーのことも書かれているんですけれども、個人情報の流用の該当ページは僅か二ページしかないんです。そして、二ページしかないどころか、こういう問題が起きた原因とか背景とか理由は一切書かれていません。再発防止策は書かれています。局員さんたちに研修するとか、局長さんたちに研修するとかですね。でも、原因とか背景とか理由が一切示されず、一体どうやって再発防止策をやるのか、甚だ疑問だと思うんですね。

 そして、この個人情報の流用に関しては、外部の第三者による調査じゃなくて、自社で調査しただけなんです。その調査方法も、現場の局長さんらへの調査が中心で、指示したとされる局長会の幹部の方とか、統括局長さんと言われる幹部の方々、そういった方々への調査は極めて不十分で、個人情報の流用に関しては処分もなされていないんですね。日本郵便自身も、不適切な指示をしながら処分されていない統括局長らがいる可能性があると認めているんですね。

 そして、この局長さんらへの調査というのも、アンケート中心なんです。この調査に関して、アンケートに答えた局長さんが、例えば、このアンケートに対して正直に答えなかったと証言されている方もいらっしゃいます、報道によるとですよ。さらには、流用したと最初は一旦アンケートに答えたのに、その後、本社から連絡を受けた後に、やはり流用はありませんでしたと答えを変えている方もいらっしゃるわけなんですね。答えを修正した局長さんのお一人は、条件を狭く限定して、申告を減らしたい意図があるように感じたと述べていらっしゃいます。さらに、ある局長さんからは、現場だけが処罰されるおそれがあって、正直に答えられない、正直者がばかを見る調査だということまでの声が上がっているわけなんですね。

 この調査に対して、総務省の有識者会議で、有識者の皆さんからいろいろな批判の声が出ています。信頼獲得というデータ活用の前提ができていないのはかなり衝撃的な話だ、国民の信頼が破られている状態だ、発生原因にメスが入らないとまた起きると多くの人が考えてしまう、調査を終えるのは論外、違法なのはほぼ確実、これで調査を終われば事業者の自主性を尊重できる段階になくなる、国民目線で納得できない。様々な批判の声が総務省設置の有識者の皆さんから出ているわけなんですね。

 総理、この調査、本当にこれで、このぺらぺらの報告書、これだけで本当に調査は十分だとお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど総理からもお答えしましたとおり、日本郵便からは、昨年十一月に総務省が行った行政指導に基づき、本年一月二十一日付で、一連の問題の調査結果や再発防止策の実施等について報告を受けたところでございます。

 日本郵便においては、人事処分なども含め、現時点で考えられる必要な対応を行ったものと受け止めておりますが、調査が不十分でないかといった厳しい御意見があることは認識しており、同社においてしっかりと説明責任を果たしていただきたいと思います。

 今回の事案によって国民からの信頼を損なう形となったことは残念であり、同様の事案が二度と発生することのないよう、日本郵便において、何より、まず再発防止に万全を期していただくことが最も重要だと考えておりますし、これを踏まえ、総務省としては、日本郵便における再発防止策などの取組について密にフォローアップを行うなど、関係省庁とも連携の上、しっかりと対応していきたいというふうに思っております。

 また、総務省の有識者検討会において、一部の構成員から御指摘のような御発言があることは承知しております。本検討会については、今回の事案の対応を具体的に検討する場ではございませんが、こうした厳しい意見があったことは真摯に受け止めており、日本郵便においても、郵政事業の信頼回復に向けて、しっかりと説明責任を果たしていただきたいと考えております。

岩谷委員 これは、この問題だけじゃないんですよね。この八億円のカレンダー代、これはあくまでも疑念という形で報道されているんですが、カレンダー代を日本郵便がカレンダー会社さんに払っています。その八億円の一部は、この会社から局長会側に流れているんじゃないかという疑念も報道されているわけなんです。これについて、日本郵便は、流れているとも流れていないとも答えていないわけなんですね。

 最近、日本郵便、土曜日の配達なんかを取りやめています。多くの方が不便になったという声が届いています。さらに、郵便料金もどんどん値上げしていって、つい先日は、国際郵便の価格を今年最大二倍に上げるとまで発表されているわけなんですね。配達もどんどん遅くなっていっていまして、今まで翌日に着いていたものが、例えば、木曜日に出したら、金、土、日、挟んで翌週の月曜日にしか着かないというような地域もどんどん増えていっているわけなんですね。

 これだけ国民の皆さん、利用者の皆さんに不便をかけながら、こういった、八億円をめちゃくちゃに使ったり、政治活動に顧客情報を利用したり、そんなことをしていて国民の皆さんが納得するとは思えないんですよ、私は。

 そして、自治体も最近、業務の一部をどんどん郵便局に委託するような試みを始めています。例えば、支所業務を丸ごと郵便局に委託して、住民票とか戸籍謄本とか印鑑証明書の交付とかをお願いしている、あるいは年金の受付とかをやっている。私はこういう取組は非常にいいと思うんですが、しかし、この問題を放置したら、顧客情報を勝手に抜き取って政治活動に使ってしまうような組織に、住民票とか印鑑証明とか戸籍とか年金とか、そんなの扱わせていいんでしょうか。国民の皆さん、大変不安に感じると思います。総務大臣も先日、前向きな答弁をされていましたけれども、やはりうみを出し切らないと、本当に国民の皆さんの信頼を得られないと思います。

 また、今回、目玉法案とされている経済安保法案でも郵便は基幹インフラとされて、極めて情報管理の徹底が求められる組織だと思います。

 先ほど、総務大臣の御答弁で、日本郵便側の自主的な取組、そっちを見守るというような答弁だったと思いますけれども、なかなか自浄作用が働かないんじゃないかと思っています。なぜなら、この郵便局長会が極めて日本郵政グループに強い影響力を持っていることがうかがわれるからなんですね。

 例えば、この報告書の中でも、八億円使ってカレンダーを買っているわけですけれども、局長会側から買ってくださいと要望を受けて、その理由も聞かずに、何億円もの金を使ってカレンダーを買っているんですね。報告書には堂々、カレンダーの購入自体は不適切な点はなかったとまで言い切っているわけなんですね。いかに、この日本郵政グループが日本郵便局長会の方に配慮をして忖度しているかということがうかがわれるように思います。

 なので、自浄作用が期待できないのであれば、私は、日本郵便株式会社法に、十六条にしっかりと、国の権限として、報告を求めるとか立入検査を行うということが規定されています。これに虚偽の報告をしたりしたら罰則までついています。今回の調査はこれに基づいたものではないということなので、先ほど申し上げた、アンケートの結果がひょっとしたら変わったかもしれないというような事案もありました。そうすると、これは虚偽として罰則適用のおそれだってあるわけなんですね。

 ですから、私は、日本郵便株式会社法に基づく調査、報告を求める、そういったことを是非政府としてやるべきではないかと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

根本委員長 総務省情報流通行政局郵政行政部長今川拓郎君、簡潔に。

今川政府参考人 はい。

 総務省としては、まずは、速やかに行政指導を行いまして、再発防止策の策定などを求めるとともに、その措置状況の報告を求め、一月に、一連の問題の調査結果や再発防止策の実施などについて報告を受けたところでございます。

 先ほど総務大臣からも御答弁ありましたように、日本郵便においては、人事処分なども含め、現時点で考えられる必要な対応を行ったものと受け止めております。

 今後は、この報告を踏まえ、日本郵便における再発防止策などの取組の徹底について丁寧にフォローアップを行っていくことがまずは重要であると考えております。

岩谷委員 時間が参りました。

 この問題、政府も及び腰、自民党の皆さんは、支援団体ですから、当然追及されないと思います。でも、野党の皆さんも質疑されていないんですね。こういった既得権を持った組織、団体の利益が守られた一方で、その陰で利益が害されているのは国民の皆さんなわけなんです。

 我々は、維新の会は、こういった既得権を持った組織、団体の利益じゃなくて、国民の皆さんの利益を代表する政党として、これからも活動を続けてまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて岩谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。

 続きまして、残り時間が僅かになりましたので、質問したかったんですけれども、一問目、最初に、コロナ対策で保育士への優先接種があります。二月七日に、国の方から、総理の指示で全国に通知をしました。保育士だけじゃなくて、ほかの福祉施設とかの職員の皆さんに対しての通知だったわけですけれども。オミクロンの拡大で保育所がかなり休園になったというニュースがかなり出ました。それを受けてのことだったと思うんですけれども。

 私は、もう以前からずっと、エッセンシャルワーカーを支えるエッセンシャルワーカー、保育園、保育士というのはそういう仕事なので、ワクチンの優先接種をしっかりやってもらいたいということを思っていたんですけれども、なかなか。自治体では、やってくれているところはもちろんありました、早くから。一回目からやってくれているところもたくさんありました。私の地元なんかもそうでした。

 しかし、全国でどれぐらい保育士の優先接種が行われているのかというのを把握できているのかという質問だったんですが、これは把握できていないということでしたので、是非、まだ優先接種を行われていない自治体があれば、しっかりとそれは国の方からも再度お願いをしていただけたらと思っています。

 これは二月七日の通知ですけれども、もうその約一か月前から、一月の冒頭から保育園のオミクロン株による休園は急増し出していたので、少し遅かったかなというふうには思っています。しかし、しっかりとその後、二月七日に対応していただいていますので、これからも臨機応変に対応していただけたらと思います。質問はもうやめておきます。

 次の、EBPM、中央公聴会で公述人からも指摘があったものなんですけれども、何せ使えるデータがオープンになっていないということで、まあ、コロナ対策は新しい政策ですので割と使えるデータもありましたということをおっしゃっていましたけれども、これはデジタル庁の仕事ということになると思います。

 こうしたデータ、これから、民間の持っているデータというのはもっとたくさんあると思うんです。そのデータを、いかに個人情報とかのそういう特定ができないように加工して、それを最大限これから利用していくのかというのが肝になってくると思いますけれども、デジタル庁としてお考えをよろしくお願いします。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

牧島国務大臣 委員御指摘のとおりだというふうに思っております。

 EBPMを進めていく上では、データを利活用できる環境を整えるということが不可欠になってまいりますので、そうしますと、このデータをしっかりと整備をしていくということが重要であります。

 昨年十二月に閣議決定したデジタル社会の実現に向けた重点計画についても、ベースレジストリーをしっかり定めること等、オープンデータの取組を含めて記載をさせていただきました。また、御指摘の民間データの利活用についても、この重点計画で必要性をうたっているところでございまして、経済発展と社会的課題の解決のためには、政府内のデータだけではなく、民間データの活用も重要だと認識しております。

浦野委員 この間、超党派の会議でも、それは教育にお金をかけていこうという議連でしたけれども、その中でも、高等教育においてのデータというのは結構あります、ただ、幼小中、特に下の年齢のそういった人たちに対する教育への投資、そういったものがどれぐらいの効果を出しているのかという定量的なデータがほとんどないということもおっしゃっていました。

 私は、そういった、教育等、本当にありとあらゆる場所にそういったデータが活用されていく時代がもうすぐ来ると思いますので、是非、デジタル庁のお仕事は大変だとは思いますけれども、しっかりとやっていっていただけたらと思っております。

 そして、毎回済みません、野田大臣、またこども庁についてですけれども。

 こども家庭庁、各省庁の意見、集約をして、こども家庭庁がしっかりとハンドリングをするんだということですけれども、危惧しているのは、各省庁の意見が相反したときにどういうふうに調整をして、調整がつけばそれでいいんですけれども、調整がつかない場合は僕は想定はしておくべきだと思っているんですね。その場合は一体どちらの意見を優先するのか、そのジャッジをどうやっていくのかという仕組みをお聞かせいただけたらと思います。

野田国務大臣 まず、こども家庭庁は内閣府の外局として置くこととしています。これは、様々な省庁が関わる子供政策を強力に推進するためには、自ら事務を実施するだけではなく、各省庁より一段高い立場から政府部内の総合調整を行う権限が必要であり、そして、その総合調整を恒常的な事務として実施することができるのが総理直属の機関である内閣府やその外局等だけだからです。御承知のとおり、文部科学省など省は、閣議決定により個別に権限を付与された場合にしか政府部内の総合調整を行うことができず、法令上の固有の権限としては、自ら所管する事務を行うことができるにすぎません。

 そして、こども家庭庁を所掌する内閣府特命担当大臣を必ず置くことを法律で規定することとしています。担当大臣は、政府部内の統一を図るために、必要があるときは各省大臣に対して勧告をし、勧告に基づいて取った措置について各省大臣から報告を求めるなどの権限を法令上持ちます。さらに、こども家庭庁に総理を長とする閣僚会議を設置し、担当大臣がその運営を担います。

 これらにより、常に子供の視点に立って、子供の最善の利益を第一に考えるこども家庭庁の下で、縦割りによる弊害を解消、是正して、子供の政策を体系的に進めてまいります。

 いずれにしても、方向性が様々な会議体で決まった折には、担当大臣がしっかりとその権限を持って結論を導いていくという流れになっていくと理解しています。

浦野委員 今までの仕組みでも、内閣府がそういう意見調整をするという仕組みはあったかとは思うんですね。それでも、なかなか調整できない。私どもからいえば、例えば、前回の議論でもやりました、幼保一元化が三つのままになって、そのまま残っているというものとか、これはやはり、本来、指導力というか権限があれば、もう一元化でやるんだというので終わらせられた話なのに、それができずに残ってしまっている。

 それを、今回、こども家庭庁をつくって担当大臣を置くことによって、そういった意見の相違はきちっとまとまっていくんだということが、私は、正直、ちょっとなかなか信じられないとは思っているんですけれども、実際の議論の中でそういったこともしっかりとまたお互いの議論を深めてやっていきたいと思っています。

 時間がないと思って早くしゃべったら時間が余りましたので、もしよかったら、最初の、コロナ対策の保育士の優先接種、これは一歩遅かったんじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、もし何か答弁がありましたら。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

根本委員長 厚労大臣後藤茂之君、簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 はい。

 保育士等のコロナワクチンの追加接種につきましては、御指摘のとおり、二月七日、総理からの指示を受けまして、同日付で各自治体宛てに事務連絡を出しております。

 今、都道府県ごとに職員を担当で張りつけまして、状況を直接把握する体制を構築して、全国の市町村における保育士の優先接種の状況を把握しながら、奨励をしているところでございます。

浦野委員 ありがとうございました。

根本委員長 これにて浦野君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党、玉木雄一郎です。

 国民民主党は、この令和四年度予算案に賛成することを、先ほど、党の会議で決定をいたしました。

 もちろん、政府案は百点満点ではありません。私もこの場で様々な問題点を厳しく指摘をいたしました。しかし、目下の最大の課題であるオイルショック以来の原油価格の高騰に対して、我が党がさきの衆議院選挙の追加公約で掲げた、ガソリン価格に上乗せされている税率分、リッター二十五円十銭、軽油は十七円十銭、これを引き下げる、いわゆるトリガー条項の凍結解除によるガソリンの減税の検討を総理が明言されたことを踏まえて、国民民主党として予算案に賛成することを決めました。

 そもそも、私がトリガー条項の凍結解除によるガソリン値下げの必要性を訴えたのが、安倍政権下の二〇一八年十月二十九日の代表質問でした。岸田総理が就任されてからも、直後の十月十二日の代表質問で質問し、また、昨年十月二十一日の、選挙中の追加公約として掲げて、戦いました。このトリガー条項をさきの衆議院選挙の公約に掲げたのは我が党だけだと思います。

 また、選挙後の十二月六日の臨時国会冒頭で、日本維新の会の皆さんと法案を共同提出もいたしました。その三日後の十二月九日の代表質問、そして、今年になって、通常国会冒頭の一月二十日の代表質問でも重ねて質問、提案をしてまいりました。我が党は、トリガー条項の凍結解除を先導してきた自負があります。

 ただし、岸田総理からも、安倍総理からも、萩生田大臣からも、凍結解除は適切ではないという度重なる答弁でありましたけれども、先週の予算委員会の集中審議の際、ちょっとしつこいと思われたかもしれませんが、何度も私から検討すべきだということを提案させていただき、その際は、御指摘の点も踏まえ、あらゆる選択肢を検討するとの答弁を岸田総理からいただきました。

 なかなか、トリガー条項という具体的な名前はそのとき出していただけなかったのですが、本日午前中の自民党の越智隆雄議員の質問に対して、このトリガー条項の凍結解除も含めて検討すると明言をされました。

 改めて伺います。

 午前中の越智委員との質疑の中で、総理は原油高騰対策として、トリガー条項も含めて検討すると答弁をされましたが、トリガー条項の凍結解除を行うということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 午前中も答弁させていただいたとおり、トリガー条項の凍結解除、これは検討から排除はいたしません。

 その上で大切なことは、何が実効的で有効な措置なのかということだと思っています。与党からも多くの提言をいただいており、官房長官の下でしっかりと検討した上で必要な措置を行ってまいりたいと思っています。

玉木委員 私は、今やっている補助金、元売各社への補助金制度というのは、現行の制度の中では、効果についてはいろいろな評価がありますけれども、一つの方策なんだと思います。ですから、自民党からもその額をトリガー並みに拡充しようという話も出ているのも承知をしております。年度内は少なくとも、多分、そういった形で対応せざるを得ないんだと思いますが、今後のウクライナ情勢です。

 これはいろいろな分析が出ていますが、四月以降、第二・四半期以降は一バレル百二十五ドルを超えるというふうに言われています。つまり、かなり高くなった今から更に三割上がるというような予測もいろいろなシンクタンクも出しておりますので、元売各社への補助拡充も否定しません、私は併用可能だと思っていますから。そこである種時間も稼ぎながら、一定程度の上昇の抑制をしつつ、やはり様々な政策手段を用意しておくということが必要だと思うので、トリガーについても早く具体化をすべきだというふうに思います。

 特に、ガソリン減税という形になると、消費者とか事業者にメリットが分かりやすいんですね。引いているのか引いていないのかよく分からないということではなくて、明確に分かるので、これは是非やりたい。

 繰り返しになります。前回も申し上げました。賃上げが、最大の今の日本の課題なんです。

 企業にとっても、事業者にとっても、様々なコスト負担が増えてくると、賃上げの原資が吹き飛びます。賃上げどころではありません。ですから、本当に、給料が上がる経済を実現するためには、このトリガー条項の凍結解除も含めてあらゆる手段を講じていくことが必要だし、このトリガー条項というのは今現在法律にあるので、新たに何かしろというよりも、それを東日本大震災の財源確保のために別の法律で止めているという形になっていますから、これを解除して適用できるようにするということが大事だと思います。

 総理に改めて伺いますけれども、発動時の様々な混乱回避、よく言われる買い控えとか、その逆の活動、いろいろなことが起こるのも事実だと思います。だからこそ、発動時の混乱回避策や、あるいは、今の水準の中での発動要件あるいは解除要件、こういったものも含めて検討したらいいと思います。

 私たち国民民主党は、既に、このトリガー条項の凍結を解除する際の、まず、地方自治体の財政への影響ですね。大体、月額千三百億円から千五百億円かかると思います。かつて計算したときは千五百億円でした。三か月やれば四千五百億円ぐらいです。でも、それでも予備費の範囲内という形なので。もちろん、地方財政への影響も勘案しなきゃいけない。あるいは、マーケットの影響、そして現場のガソリンスタンド等での混乱回避策、こういったものを具体的に今検討しております、当時も検討しましたから。

 是非こういった、我々としても具体的な検討結果をしっかりと提案していきたいと思いますので、トリガー条項の凍結解除も排除せずにあらゆる選択肢を検討するということであれば、円滑にトリガー条項の凍結解除と適用ができるように、こうした私たちの様々な凍結解除に当たっての混乱回避策等については、是非、総理にも政府にも参考にしていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 トリガー条項の凍結解除を含むあらゆる選択肢を検討する中で、御党のこれまでの検討やあるいは御提案についても、しっかりと参考にさせていただきたいと思います。

玉木委員 これは、かつての民主党時代、我々が与党だったときに、与党として考えたものですから、それなりの現実性を持って制度設計をしております。ただ、やはりいろんな混乱が現場で生じるということも想定されますから、特に地方財政への影響ですね、こういったものも踏まえて総合的に考えていく。それは我々も現実的に提案をしますので、是非、今おっしゃったように参考にしていただきたいと思います。

 ウクライナ情勢の緊迫化による原油価格の高騰で、国民生活、経済が大きな影響を受けているときだからこそ、我々は、正直、これは党内でも議論するときに賛否両論ありましたし、私自身もいろんな思いがありました。ただ、今はまずコロナだということで、予算の円滑な成立と執行が必要だと判断したことと、そして、この原油価格の高騰を何とかきちんと対応しなければ、先ほど申し上げた賃上げもできないし、経済の回復もできないだろうということで、とにかく私たち国民民主党は、何が国民生活にとって最良かという判断から、従来の判断にとらわれずに決断をいたしましたので、その思いを政府としてもしっかりと受け止めていただいて、速やかにこのトリガー条項の凍結解除、早期実現に向けた検討を行っていただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

根本委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 午前中の続きでございます。

 岸防衛大臣が、予算委員会の分科会で、敵基地攻撃能力の保有の検討の対象として、自衛隊が他国の領空に侵入しての空爆について排除しない、集団的自衛権についても、そのことについて検討の対象にすると答弁されました。

 それに対して、岸田総理は、安倍元首相の答弁である、いわば外国に出かけていって空爆を行うことは、これはまさに必要最小限度を超えるのは明確だ、この答弁を引き継ぐというふうにおっしゃいました。

 それに対して、岸防衛大臣は、かつての湾岸戦争での大規模な空爆のようなものは必要最小限度の自衛の措置を超えるということを言っていて、安倍元首相が言われた言葉と岸防衛大臣が言われた言葉は違うんじゃないですか。

岸国務大臣 午前中に私から答弁をさせていただいたとおり、私の答弁は、これまで申し上げていますとおり、国家安保戦略を策定していく中で、憲法と国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持していくという前提の下で、あらゆる選択肢を排除せずに行っていくとの趣旨から述べたものであります。

 安倍元総理の答弁としては、自衛隊が武力の行使を目的として、かつての湾岸戦争での戦闘、すなわち大規模な空爆や砲撃を加えたり敵地に攻め入るような行為をすることは、に参加することは必要最小限度の自衛の措置の範囲を超えるものであって憲法上も認められるものではない、したがって、航空優勢や海上優勢を確保するために大規模な空爆などを行うことは新三要件を満たすものではないとの考えを述べたものであります。

 新三要件を満たすかどうかというのは必要だと思います。

宮本(徹)委員 全く同じ答弁を繰り返されて、時間潰しみたいなことはやめていただきたいんですけれども、明確に、言っていることは、安倍元首相の答弁と先ほどの岸防衛大臣の答弁は違うじゃないですか。違うじゃないですか。安倍首相は、大規模ななんというものはつけていないですよ。

 それで、更に言えば、一般的に空爆というのは、当然、他国のレーダー網を無力化して行うわけですよ。そのことによって、罪のない市民が亡くなるわけですよ。こんなことが、憲法の範囲内で、大規模でなければいいというような言い方で認められるはずがないじゃないですか。

 他国の領域に侵入しての空爆、これは大規模であろうが小規模であろうが、憲法上認められないんじゃないですか、総理。違いますか。

岸田内閣総理大臣 防衛大臣の発言は、国民の命や暮らしを守るためにあらゆる選択肢を排除せずに議論するべきであるという趣旨で発言されたものだと認識をしています。その際に、憲法、国際法、さらには日米の基本的な役割分担、これがしっかりと守られるということ、これは当然のことであります。それを前提として議論を行っていく、これが政府の基本的な方針であります。

宮本(徹)委員 ですから、憲法の枠内ということを考えた場合に、他国の領空に自衛隊が侵入をして空爆を行う、無実の市民の方々もそのことによって犠牲になる、これはどう考えたって、憲法違反の武力行使そのものじゃないですか。

 憲法の枠内での検討というんだったら、こうした他国の領空に侵入しての空爆など、これは検討の対象になり得ないと明言していただければいいんですよ。なぜそのことを明言しないんですか。

岸田内閣総理大臣 我が国の武力行使に当たっては、新三要件の下に行使されなければならない、これは当然のことであります。そして、それに合致するかどうか、具体的なケースについては、それぞれのケースを当てはめて判断しなければなりません。

 いずれにしても、憲法、国際法、日米の基本的な役割、これはしっかり守らなければならない。それを守りながら、政府として、国民の命や暮らしを守るために何をしなければいけないか、これを議論していくというのが政府の方針であります。

宮本(徹)委員 ですから、憲法の枠内でいえば、自衛隊が他国の領空に侵入をして空爆を行う、こんなことは憲法違反でできないはずだと私は申し上げているわけです。そのことを防衛大臣は、でも検討すると言っているから、それは総理として、そういうのは検討の対象外だとなぜ明言できないんですか。

岸田内閣総理大臣 武力の行使の三要件につきましては、それぞれのケース、具体的に当てはめて判断しなければならない課題だと思います。

 いずれにせよ、憲法、国際法、日米の基本的な役割、これはしっかり守られなければならないと認識をしています。

宮本(徹)委員 この間、憲法上持てない兵器として、戦略爆撃機は持てない、攻撃型空母は持てない、こういう答弁を国会で重ねられてきました。その背景には、当然、他国に侵入して空爆を行うというのは憲法違反だ、この当たり前の常識があったからだと思うんですね。

 だったら、防衛大臣が言っているような、他国の領域に侵入しての空爆、敵基地攻撃能力の保有としてそういうことをやるというのは検討の対象外だ、憲法違反だからそれは検討しませんと明言してください。

岸田内閣総理大臣 新三要件に該当するかは、具体的な事案をそのケース、ケースに応じてしっかりと当てはめた上で判断しなければなりません。その上で、憲法、国際法、そして日米の基本的な役割は守られなければならないと考えます。

宮本(徹)委員 あたかも憲法の範囲内で空爆が許されるかのような態度は、許されないですよ。そのことを厳しく、強く指摘申し上げたいと思います。

 台湾有事は日本有事だとか、本当にとんでもないことがこの間議論されておりますけれども、憲法九条を生かした平和外交こそ必要だということを申し上げて、質問を終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 冒頭、午前中の質疑の中で、人的投資は国力回復のためと受け取られる発言をしてしまいましたが、人的投資、特に教育投資の第一義は、国民一人一人が豊かな人生を送るためのその土台づくりの投資であること、教育投資の結果として社会を力強く支えてくれる人材となってくれれば、結果として社会経済への貢献、ひいては国力回復に貢献してもらえる、その意味で発言をしたということをちょっと追加で言わせていただきます。何か、前文科大臣の萩生田大臣の顔を見ていると、そのことをきちっと言っておかなければと思った次第であります。

 さて、午前中の総理の答弁について、資本主義の長所について、それから市場原理、競争原理についての見解については、理解しましたし、納得できるものだったと思っています。しかし、日本経済の現実は総理の答弁のとおりになっていない、そのように私は思って、この間、再三質問させてもらっています。本当ならもっともっと突っ込んで議論したいのでありますけれども、この場も四分であります。したがって、一点に絞って質問させていただきます。

 去年の十二月十四日の予算委員会における私の質問の中で、フリップ、データを見てもらいながら、三十年間、米国ドルベースで見たときの日本経済はほとんど成長していない、だから、成長と分配とは言うけれども、成長しないことも考えておかなければならないのではないのか、その意味で、十分な分配原資がなくなることも考えておかなければいけないので、どこに優先的に配分するのか、このことを考えておくことが重要だということを指摘させていただきました。

 これに対して、総理の方からは、成長しないことを前提にした議論はいかがなものかという答弁がございました。おっしゃるとおりですけれども、我々国会議員の中でも、広くは日本人の中でも、経済成長自体を否定する人なんか誰もいないと思っています。

 ただ、例えば、企業でいえば、経営計画を作るとき、ある事業の投資判断をするとき、必ず、オプティミスティックケースとベースケースとペシミスティックケース、最低でも三つぐらいのケースを提示した上で、当然、最悪にも備えた経営判断、事業の投資の是非の判断をしていきます。

 そういう意味で、三十年間、米国ドルベースで見たときの成長がほとんどなかったわけですから、最悪の事態にも備えた、つまりペシミスティックケースにも備えた、総理の言う成長と分配の中で、あちらこちらに全ていいように分配はできないわけですから、明確な分配の優先順位先を決めておく必要がある、このようなことを申し上げたわけであります。

 いま一度、総理に伺います。分配の最優先先はどこでしょうか。

岸田内閣総理大臣 経済については、昭和の時代から、成長か分配かという議論が続いてきました。その中にあって、私は、成長も分配もということを申し上げています。やはり、この分配の原資はなければならない、成長がまず基本としてあって、その果実を適切に分配することによって好循環が実現する、持続可能な経済が実現する、こういったことを申し上げています。

 成長をまず第一に考えなければいけませんが、そして、その成長の果実を分配する先としては、再三申し上げているように、人への投資、これが大変重要だということを申し上げている。第一に考えるのは、人への投資であると再三申し上げているところであります。

吉良委員 人への投資についても、誰も否定する方はいらっしゃいません。ただ、私たちが有志の会としてずっと言い続けているように、曖昧にせずに、将来世代であり、将来世代を育む子育て世代である、そこが活力を生み出すわけですから……

根本委員長 吉良君に申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

吉良委員 はい。

 曖昧にせずに、明確に分配先の優先順位を決めていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

根本委員長 これにて吉良君の質疑は終了いたしました。

 これをもちまして締めくくり質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして令和四年度予算三案に対する質疑は全て終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいままでに、立憲民主党・無所属道下大樹君から、また国民民主党・無所属クラブ古川元久君から、また日本共産党宮本徹君から、それぞれ、令和四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

 この際、各動議について提出者より順次趣旨の弁明を求めます。道下大樹君。

    ―――――――――――――

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

道下委員 立憲民主党、道下大樹です。

 私は、立憲民主党・無所属を代表し、ただいま議題となりました令和四年度予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まず、編成替えを求める理由を申し述べます。

 令和四年度予算は、新型コロナウイルス感染症の第六波到来を踏まえ、感染拡大防止、国民の暮らしと事業を守る予算を十分に措置すべきですが、政府案では全くもって不十分です。

 また、新型コロナ対策以外にも、ベーシックサービスの充実、地球環境問題の解決、統計不正の防止等、持続可能な社会の実現に向けた課題に対し、十分な予算が確保されていません。

 一方、新型コロナウイルス感染症対策予備費五兆円は過大です。また、消費税を財源とした病床削減、病院統合や、普天間飛行場の辺野古移設等の予算は削減すべきです。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、新型コロナの拡大を防止し、国民の暮らしと事業を守るために、新たに十一兆六千億円を確保します。

 無料検査の実施、安価で迅速、大量に検査できる機器の導入、普及、積極的なゲノム解析による感染ルートの徹底把握、入国管理の徹底及び学校の感染対策の強化等の感染拡大防止策を講じます。

 収入が減少した全ての医療機関、介護施設への経済的支援や、新型コロナ治療薬の開発支援の拡充、新型コロナ後遺症の研究調査や診療に当たる医療機関の拡充により、万全な医療提供体制を確立します。

 減収したワーキングプアの方々への給付金、離婚世帯等への十万円の子供給付金、一人親等の職業訓練への給付金の増額、小学校休業等対応助成金・支援金の継続等、各種給付金を実施、拡充します。

 緊急小口資金及び総合支援資金の特例貸付け、生活困窮者自立支援金及び住居確保給付金の支給を延長し、生活資金を支援します。

 アルバイト収入が減少した学生等への生活支援給付、全学生の授業料一律半額免除、返還期限が到来する学資貸与金等の返還免除等の学生支援を講じます。

 雇用調整助成金の特例措置の拡充や、雇用保険等の特例措置等の雇用対策を行います。

 原油価格高騰には、いわゆるトリガー条項を発動することとし、これに伴う地方税の減収の補填、灯油、重油の購入費補助を実施します。

 事業復活支援金の拡充や観光産業事業継続支援金の創設、地域公共交通への支援、農業者戸別所得補償制度の復活、拡充や米の過剰在庫対策、水田活用の直接支払交付金に係る交付要件の見直し、文化、芸術への支援等により、国民の事業を守ります。

 第二に、持続可能な社会の実現に五兆一千億円を確保します。

 ベーシックサービスの充実と安定提供のため、後期高齢者の医療費窓口負担割合の引上げ撤回、雇用保険の国庫負担本則復帰及び保険料率の引上げ撤回、介護、障害福祉職員及び保育士等の処遇改善、小中学校の給食費無償化、児童手当、児童扶養手当の拡充、出産費用の無償化を行います。

 地球環境問題解決のため、カーボンニュートラル実現に向けた施策の抜本的強化、不法投棄問題の解決支援と海洋プラスチック対策の拡充に取り組みます。

 被災者生活再建支援金の引上げ、東日本大震災の教訓継承事業の拡充、復興再生に向けた技術支援、調査拡充、豪雪地帯対策の充実等の震災復興、災害対策を講じます。

 持続可能な地方の実現のため、地域おこし協力隊の強化等の地方移住、交流の強力な推進、消防団の充実強化、臨時財政対策債新規発行額の抑制に取り組みます。

 成年年齢引下げに向けた消費者教育の強化、重層的な地方消費者行政の実現、消費者取引対策及び表示対策の厳正かつ適正な法執行の実現等の消費者行政の抜本的強化に取り組みます。

 統計の正確性確保のため、統計人材の確保、研修の充実を図ります。

 これらの財源は、新型コロナウイルス感染症対策予備費、年度内に支出見込みのない公共事業関係費、普天間飛行場の辺野古移設予算及びカジノ管理委員会予算の削減、病床機能再編支援事業の中止、過大な目標に基づくマイナンバーカード発行経費の是正並びに特例公債の追加発行で手当ていたします。なお、トリガー条項の発動で、揮発油税の減収二千六百億円を見込んでいます。

 以上が、立憲民主党・無所属の編成替え動議の概要であります。

 委員各位に本動議への賛成を強くお願いして、趣旨の説明といたします。(拍手)

根本委員長 次に、古川元久君。

    ―――――――――――――

 令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算及び令和四年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

古川(元)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提案の令和四年度予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議に関して、その趣旨を御説明いたします。

 まずは、編成替えを求める理由を申し述べます。

 新型コロナウイルス感染症の影響で世界経済は大きく落ち込みましたが、欧米では防疫と経済活動の両立が進み、経済回復を続けています。しかし、日本は欧米と比べ緩やかな回復にとどまっています。

 その原因の一つは、足下の経済対策が不十分なことです。ガソリン、軽油価格が高騰し、国民生活は大きな影響を受けているにもかかわらず、政府のガソリン価格対策は余りにも少額過ぎます。また、広く国民生活を下支えする対策がないに等しい状況です。

 経済回復が緩やかなもう一つの原因、というよりも主因は、日本が長年、教育、科学技術投資を抑制してきたため、国力が低下し続け、長期低迷に陥ってきたことです。長期にわたり低迷する我が国経済を動かすには、経済対策を積極財政に転換し、人づくりに積極的に投資して、給料が上がる経済を実現しなければなりません。

 よって、国民民主党・無所属クラブは、我が国の構造的な問題、コロナ禍による経済の疲弊、ガソリン価格高騰等に対処し、真に国民生活を支える内容に令和四年度予算を変えるため、予算の編成替え動議を提案いたします。

 次に、編成替えの概要を御説明いたします。

 第一に、賃上げ税制の見直しを実施します。国民民主党は既に税制改正法案を提出しましたが、賃上げ税制の対象を赤字企業、事業者に拡大します。

 第二に、教育国債を発行し、教育、科学技術予算を倍増します。教育国債発行により財源を確保し、教育など人づくりのための予算及びデジタル化、カーボンニュートラルを柱として科学技術関係予算を倍増します。

 第三に、国の負担により、当分の間の措置として消費税率を現行の一〇%から五%へ引き下げます。

 第四に、ガソリン、軽油の大幅な引下げを実現します。実現のために、ガソリン、軽油のトリガー条項の凍結を解除し、ガソリン価格が三か月連続で百六十円を超えたら、ガソリン税を一リットル当たり二十五・一円、軽油取引税を一リットル当たり十七・一円減税する仕組みを復活させます。

 第五に、新型コロナウイルス感染症対策として、ワクチン、経口薬、中和抗体薬のいわゆる三種の神器確保に予算を充てます。

 また、税、社会保険料、公的融資に関する減免措置継続に予算を充てます。

 第六に、職業訓練受講給付金の支給要件緩和を実施します。求職者の生活保障、セーフティーネットを拡充することによって、円滑な労働移行を促し、賃金上昇につなげていきます。

 以上が、国民民主党・無所属クラブの編成替えの概要であります。

 委員の皆様方におかれましては、真に国民生活を支える本動議に賛成していただくことを強くお願い申し上げまして、提案理由説明といたします。

根本委員長 次に、宮本徹君。

    ―――――――――――――

 二〇二二年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮本(徹)委員 私は、日本共産党を代表し、二〇二二年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求める動議の提案理由を説明いたします。

 岸田内閣が提案した二二年度予算案は、新自由主義からの転換どころか、新自由主義、アベノミクスの悪政を継承するものです。社会保障費の自然増を二千二百億円削減し、物価上昇の下で年金を削減、七十五歳以上の高齢者に医療費二倍化など、暮らしを破壊し、消費税減税には背を向けたまま、富裕層優遇税制の見直しも先送りしました。賃上げ税制は多くの中小零細企業には役に立たず、賃上げが進む保証はなく、大企業の内部留保を増やしています。

 軍事費は十年連続の増額、八年連続で史上最高を更新し、二一年度補正予算と合わせて対GDP比一%を大きく超えます。敵基地攻撃能力の保有を公言し、ミサイル開発を強化するなど、危険な予算となっています。

 コロナ危機から国民の生命と暮らしを守り、日本経済のゆがみを正し、優しく強い経済を実現するとともに、戦争の危険から国民の安全を守るため、本予算案を抜本的に組み替える必要があります。

 次に、編成替えの概要について主な点を説明いたします。

 第一に、新型コロナ感染拡大を防止し、国民の生命と暮らしを守るため、誰もが必要なときに検査を受けられる体制を確保し、発熱外来への補助金復活、コロナ対応の医療機関等への減収補填の直接支援と医療従事者の処遇改善で医療崩壊を防ぎます。

 また、困窮者に対する給付金の拡充、事業者復活支援金を持続化給付金並みに拡充し、雇用調整助成金の特例、休業支援金の減額を中止し、消費税率を五%に引き下げ、納税困難事業者に対する減免措置等を行います。

 第二に、社会保障を拡充し、子育て、教育の負担を軽減します。

 高齢者医療費の二割負担の導入の中止、年金引下げの中止、地域医療構想に基づく病床削減や病院統廃合路線の撤回、医師、看護師の大幅増員、保健所増員の抜本的増員、ケア労働者の処遇を抜本的に改善します。

 また、児童手当、児童扶養手当の拡充、認可保育所の大幅増設、教職員定数の削減をやめ、中学校までの少人数学級を早期に実現し、学生の授業料を半減し、給付制奨学金を拡充します。病院拠点型ワンストップ支援センターなど性暴力被害者支援を抜本的に強め、DVシェルターへの運営費補助の本格実施なども行います。

 第三に、国民の暮らしを守る経済政策に転換します。

 非正規雇用という働かせ方を根本的に改め、最低賃金の大幅引上げのため、中小企業に財政支援を行います。気候変動対策を強化し、省エネの徹底、再生可能エネルギーの普及予算を増額し、新型炉開発や核燃料サイクルなど原発推進の予算を削除します。

 水田活用直接支払交付金の減額中止、農業者戸別所得補償制度の復活、拡充、被災者生活再建支援金の拡充、リニア中央新幹線建設事業の中止、金融所得課税の一億円の壁を始め、大企業、富裕層優遇税制を是正する等を行います。

 第四に、戦争する国づくりのための予算を削除します。

 敵基地攻撃能力の保有に向けた、長距離巡航ミサイルの開発、F35A、Bの取得、F15の能力向上、「いずも」型護衛艦の空母化などの予算を全額削除し、イージスシステム搭載艦の導入を中止します。米軍思いやり予算を廃止し、辺野古新基地建設予算を削除します。

 第五に、不要不急の予算を削減するため、デジタル関連事業などの大企業を支援する予算、マイナンバー推進予算、カジノ関連予算等の削減、政党助成金の廃止を行います。

 以上、編成替えの内容はお手元配付の文書のとおりであります。

 委員各位の御賛同をお願いし、趣旨の説明を終わります。

根本委員長 これにて各動議の趣旨弁明は終了いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより討論に入ります。

 令和四年度予算三案及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議三件を一括して討論に付します。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。島尻安伊子君。

島尻委員 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となっております令和四年度一般会計予算案外二案に対しまして、賛成の立場から討論を行います。

 まず、新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、治療を受けていらっしゃる皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 オミクロン株の感染が拡大し、多数の感染者が生じている中、まず、昨年末に成立いたしました令和三年度補正予算に盛り込まれた施策が早期に執行されることが重要です。その上で、来年度に向けては、令和四年度予算を早期に成立させ、新型コロナ対策に万全を期しつつ、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を図っていかなければなりません。

 以下、本予算案に賛成する主な理由を申し述べます。

 第一に、本予算案については、成長戦略として、過去最高の科学技術振興費を確保し、デジタル、グリーンなどの分野の研究開発を促進するとともに、デジタル田園都市国家構想の実現に向け、地方向け交付金による自治体への支援やデジタル推進委員の全国展開のほか、経済安全保障について、量子暗号通信の研究開発の促進や重要技術の管理体制を強化するなど、必要な措置を盛り込んだものとなっております。

 第二に、分配戦略として、看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々について給与を三%引き上げる措置のほか、成長分野を支える人材育成や非正規労働者のステップアップなど、三年間で四千億円規模の施策パッケージに向けて、人への投資を促進する予算とするとともに、下請Gメンの倍増などが盛り込まれております。

 第三に、予期せぬ状況変化に備え、コロナ予備費五兆円が措置されているとともに、骨太方針二〇二一に定められた取組を継続しつつ、予算の単年度主義の弊害是正を行うなど、予算の質も向上しております。

 以上、本予算案に賛成する理由を申し述べました。本予算案に対する議員各位の御賛同を賜りますことを強くお願い申し上げます。

 なお、立憲民主党・無所属の会、国民民主党並びに共産党提出の編成替え動議につきましては、見解を異にすることを申し述べまして、私の賛成の討論とさせていただきます。(拍手)

根本委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党・無所属の源馬謙太郎です。

 私は、会派を代表して、令和四年度一般会計予算外二案については反対、また、立憲民主党・無所属の組替え動議については賛成の立場から討論いたします。

 今回の予算審議では、GDP統計にも影響を与える国土交通省建設工事受注動態統計の不正問題、予算の各目明細書の多数の誤りなど、審議の前提を根底から揺るがすような問題が明らかとなりました。これらの問題に対する真摯な説明と解決に向けた具体的な対応が今日に至るまでなされなかったことは、極めて問題であります。

 さて、令和四年度予算の一般会計総額は百七兆五千九百六十四億円に上り、十年連続で過去最大規模を更新しています。コロナ禍という未曽有の危機にあって、必要な財政支出をちゅうちょなく行う必要があるという認識は我々も共有します。しかしながら、国民が納めた税金を財源とする以上、効果的で納得のできる中身になっているかどうかが何よりも重要です。

 令和四年度予算においては、オミクロン株を始めとする新型コロナウイルス感染症第六波の到来を踏まえ、感染拡大防止のための予算、そして、コロナ禍で困難な状況にある国民の暮らしと事業を守るための予算を十分に措置すべきであることは言うまでもありません。しかしながら、政府の予算案では、十六か月予算として一体として考えている令和三年度補正予算を含めても、そうした予算が十分に確保されているとは言えません。

 また、新しい資本主義の実現を図るための予算を措置されるとのことですが、そもそも新しい資本主義が何を指すのかいまだに不明瞭であることに加え、予算の中身を見ると、これまでの事業の継続がほとんどで、目新しさはありません。

 一方で、五兆円にも及ぶ予備費、年度内に支出される見込みのない公共事業関係費、消費税を財源とした病床削減、病院統合事業に係る予算、普天間飛行場の辺野古移設に係る予算、カジノに関連する予算などが計上されていますが、これらの予算については縮減、削減すべきです。

 以上の認識に基づき、令和四年度予算については反対、組替え動議については、政府予算の足らざるを補い、無駄を削る内容となっていることから賛成することを申し上げ、私の討論を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

根本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 会派を代表して、令和四年度予算三案及び野党提出の編成替え動議全てに対して反対の立場から討論をいたします。

 政府がこれまで講じてきた新型コロナ感染症に対する様々な対策が一定の効果を生んできたことは、率直に評価します。

 ただ、今必要なのは、従来型の対策を漫然と続けるのではなく、それらの検証と総括をしっかりと行うことです。それにより、一層効果的な蔓延防止対策が実現できます。感染防止と経済活動を両立させ、命と暮らしの双方を確実に守る対策への転換が不可欠です。

 総理は、新型コロナ対策に万全を期しつつ、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を図るための予算と言います。しかし、新しい資本主義は、古びた自民党政治と何ら変わらず、中身のない言葉遊びだということがはっきりしてきました。

 予算案への反対理由の第一は、政府のコロナ対策が感染の第六波の実態に即さず、今後予想される新たな感染拡大にも十分な対応ができていないということです。

 今猛威を振るうオミクロン株に軽症者が多いという特性等を踏まえ、私たちは、新型コロナの感染法上の位置づけを、現行の二類から五類あるいは五類相当に改めるよう訴えています。誰もが必要なときに医療にアクセスできる権利と機会を保障するために必要な措置だからです。政府はやらない口実を並べていますが、法改正も含め、臨機応変に処することが待ったなしです。

 反対理由の第二は、経済成長の展望が曖昧なことです。

 総理は、成長と分配の好循環を実現する要が賃上げだとしています。賃上げは必要ですが、優遇税制や補助金といった小手先の施策ばかり。持続可能な経済成長など絵に描いた餅で、賃上げ効果も限定的です。

 賃上げは企業間の市場競争の結果として実現されるもので、人材の流動化を阻む規制の見直しが喫緊の課題です。労働市場の流動化や解雇規制の在り方について直ちに議論を進めていくべきです。

 反対の第三の理由は、国民にさんざん痛みを強いながら、行政改革も政治改革も進んでいないことです。

 コロナ禍で国民所得が大幅に減少し、令和三年度の国民負担率は過去最大の四八%になるとの見込みですが、政府・与党はどこ吹く風です。

 日本維新の会は、格差社会を打破し、経済成長を取り戻すために、税制、社会保障制度、労働市場を三位一体で改革していく日本大改革プランを打ち出しています。

 新しい資本主義なるプランAと、私たちのプランBのどちらが国民に豊かな生活をもたらすのか。政府・与党と真っ向から議論に挑んでいくことをお誓いし、令和四年度予算三案に対する反対討論といたします。(拍手)

根本委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 ただいま議題となりました令和四年度予算案外二案につきまして、賛成の立場から討論を行います。

 以下、主な賛成理由を申し述べます。

 第一に、本予算案には、五兆円の新型コロナウイルス感染症対策予備費を確保するとともに、雇用調整助成金や休業支援金等を計上し、雇用を下支えするなど、令和三年度補正予算と一体で、感染症対策に万全を期し、国民の命と暮らしを守り抜く予算となっております。

 第二に、成長戦略として、科学技術振興費に過去最高となる約一・四兆円を計上し、未来社会実現の鍵となるAI、量子技術といった重点分野の研究開発を戦略的に推進するとともに、再生可能エネルギーや水素、アンモニア等の脱炭素燃料の利用促進、光ファイバーや5G基地局などのデジタル基盤整備など、コロナ禍から経済を立て直し、成長と分配の好循環を実現する予算となっております。

 第三に、人への投資として、看護、介護、保育、幼児教育などの公的分野で働く方々の賃金を三%引き上げることや、人材育成やキャリアアップのための職業訓練等を強力に推進するとともに、来年度においても、幼児教育、保育の無償化、私立高校授業料の実質無償化、高等教育の無償化のいわゆる三つの無償化等により、子育て、教育支援を着実に実施する予算となっております。

 また、公明党の長年の主張が実り、四月から不妊治療の保険適用が進められるとともに、いわゆるヤングケアラーへの支援事業、子供見守り強化事業、多様な困難を抱える女性を支える事業などが新たに盛り込まれました。加えて、マイナンバーカードの普及促進や、公明党が公約に掲げていたデジタル活用支援員による講習会の拡充など、社会のデジタル化を一層加速することとしております。

 このほか、防災・減災、国土強靱化関連予算として三・八兆円、復興予算に五千七百九十億円を計上したほか、通学路の安全対策を集中的に支援する補助事業の創設など、国民の安全、安心への重要課題に取り組む予算となっています。

 以上、令和四年度予算案は、令和三年度補正予算と一体で、感染症対策に万全を期し、成長と分配の好循環の実現に向けた重要な予算であり、本予算案の早期成立へ委員の皆様の御賛同を求めます。

 なお、三つの編成替え動議に対しましては、見解を異にすることを申し添え、私の賛成討論といたします。(拍手)

根本委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政府提出の令和四年度予算について賛成、国民民主党・無所属クラブ提出の編成替えを求めるの動議に賛成の立場から討論を行います。

 日本は、バブル崩壊後に経済低迷が続き、失われた十年が二十年となり、今や失われた三十年と言われるほど、諸外国に比べ国力が低下し続けてきています。その大きな原因は、小泉改革以降、教育、科学技術投資を抑制し、人への投資と技術開発投資について諸外国に大きく後れを取ったことです。その結果、国民の給料は全体としてなかなか上がらず、更に経済が伸び悩むという悪循環に陥ってきました。そこに新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の自粛が追い打ちをかけ、多くの国民の生活は先の見えない状況に陥っています。

 今こそ、積極財政に転換し、足下の経済の落ち込みから脱するための経済対策とともに、長期経済低迷から抜け出す経済対策を実施すべきです。

 足下の経済対策としては、ガソリン価格高騰対策としてトリガー条項凍結解除によるガソリン減税、広く国民生活を支える対策として時限的な消費税減税を実行すべきです。

 長期経済低迷から抜け出し、給料が上がる経済を実現する政策としては、教育国債を発行して、人づくりのための予算や、デジタル化、カーボンニュートラルを柱として教育、科学技術予算を倍増することです。

 国民民主党提出の編成替え動議は、以上申し上げた大きな柱に沿って、長期低迷する日本を動かしていくための予算に編成するものとなっており、委員の皆様には是非とも御賛同いただくことをお願い申し上げます。

 政府提出の令和四年度予算については、岸田総理は、高騰を続けるガソリン、軽油価格対策について、国民民主党がさきの衆院選の追加公約にも掲げたトリガー条項凍結解除の提案をおおむね採用する方向性をこの予算委員会の場で我が党の玉木代表に示しました。また、不十分ながらも賃上げと人への投資を重視している点では、大きな方向性として我々と軌を一にしております。

 したがって、この方向性を更に前に進めていくことを今後一層強く政府・与党に求めていくてことすべく、編成替え動議が否決された場合でも、賛成させていただきます。

 国民民主党は、対決より解決、国民のためになる政策を実現するためには、政策本位で、与野党を問わず協力できることは協力する、そうした姿勢を一貫して取ってまいりました。今後も、改革中道の立場から、国民のための政策を積極的に提案し、政府・与党に実現を強く迫っていくことを国民の皆様にお誓いし、私の討論といたします。

根本委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 政府提出二〇二二年度予算三案に反対、日本共産党提出及び立憲民主党提出の組替え動議に賛成の立場で討論いたします。

 政府予算に反対する第一の理由は、オミクロン株による爆発的な感染拡大の中で、命と暮らしを守る上で全く不十分だからであります。

 必要な検査、治療が行えるよう、発熱外来、検査能力の拡充、医療提供体制の確保を図るべきです。高齢者施設でクラスターが広がっており、三回目ワクチン接種を急ぐと同時に、職員の頻回検査の頻度を上げる必要もあります。家計や営業への支援が全く不十分であり、抜本的な対策強化が必要です。パンデミックの中で、地域医療構想に基づき、公立・公的病院を始めとした急性期病床の削減を進めるのはやめるべきであります。

 反対の第二の理由は、物価高、原油高で苦しむ国民生活、事業者への支援が全く不十分なばかりか、逆に、社会保障費を削減し、年金削減や七十五歳以上の高齢者の医療費二倍化など、暮らしを痛めつける予算になっていることです。

 税制においても、消費税減税には背を向ける一方、富裕層優遇税制の見直しを先送りにしてしまっております。賃上げ税制は、多数を占める赤字の中小企業には役に立たず、体力のある大企業の内部留保を更に積み上げるものであります。大企業、富裕層に力に応じた負担を求める大改革を行い、中小企業支援とセットでの最低賃金の引上げ、教育の無償化、介護、障害福祉、年金、子育て支援の拡充、気候変動対策の強化等を図るべきであります。

 反対の第三の理由は、護衛艦「いずも」の空母への改修と、搭載機となるF35B戦闘攻撃機の取得、電子戦機や長距離ミサイルの開発など、実質的に敵基地攻撃能力の保有を進め、愚かで危険な軍拡を進めるものであるからであります。

 日本と整合的な検疫を行わず、オミクロン株の国内感染拡大の要因となり、今なお日本と整合的な水際対策を取らない米軍に対して、新たに米軍の訓練資機材にまで日本側の負担を拡大し、思いやり予算を増額するなど、主権国家として恥ずべきことと言わなければなりません。

 軍拡競争には未来はありません。地域の安全保障環境を好転させるために、本気で軍縮平和外交に取り組むべきであります。

 以上、指摘し、反対討論といたします。

根本委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 政府提出予算案に対する反対討論を行います。

 反対の最大の理由は、過去三十年間にわたる我が国経済の長期低迷により、国力が著しく低下し、今や最も貧しい先進国になりつつある状況下にもかかわらず、国力回復のための明確な方向性が打ち出されておらず、相も変わらず、縦割り行政に縛られた前年踏襲の域を出ない予算となっていることです。

 岸田政権が打ち出している、成長と分配の好循環による新しい資本主義に掲げる、人への分配は未来への投資であるとの基本哲学には深く賛同するものの、分配の具体論、分配の優先順位は予算において明確になっていません。

 我々有志の会は、将来世代優先の分配こそが国力回復の要諦であると考えます。教育予算の二倍増、三倍増、子育て家庭への大胆な現金給付等、社会人の学び直しに対する十分な機会提供など、将来世代への大胆な人的投資が必要不可欠です。

 また、科学技術立国に向けた研究開発予算や専門家育成予算、スタートアップ支援予算を数倍増にするなど、縦割り前年度踏襲主義を超えた大胆な選択と集中の予算編成が必要と考えます。

 また、現下のコロナ禍において、地域における裁量の重要性が再認識される中、権限、財源を大幅に地方へと移譲する地方分権国家への道程提示が求められているにもかかわらず、地方分権化に向けた予算上の具体策は不十分です。

 また、コロナ禍で苦境にある個人や企業救済の迅速化が求められる中、所得把握や口座とのひもづけなど、現実の要請に即したマイナンバー制度の有効活用策も不十分です。

 今、最も貧しい先進国になりつつある我が国の国力回復のため、将来世代優先、科学技術立国に向けた明確な方針を打ち出し、その大胆な予算化を求め、反対討論とします。(拍手)

根本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより採決に入ります。

 まず、宮本徹君提出の令和四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、宮本徹君提出の動議は否決されました。

 次に、古川元久君提出の令和四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、古川元久君提出の動議は否決されました。

 次に、道下大樹君提出の令和四年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立少数。よって、道下大樹君提出の動議は否決されました。

 次に、令和四年度一般会計予算、令和四年度特別会計予算、令和四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。

 三案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、令和四年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました令和四年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

根本委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十七分散会


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