衆議院

メインへスキップ



第19号 令和4年5月26日(木曜日)

会議録本文へ
令和四年五月二十六日(木曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今枝宗一郎君 理事 島尻安伊子君

   理事 谷  公一君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 大串 博志君

   理事 重徳 和彦君 理事 浦野 靖人君

   理事 稲津  久君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      伊藤 達也君    石破  茂君

      石原 宏高君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小倉 將信君    小野寺五典君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      神田 潤一君    工藤 彰三君

      国光あやの君    後藤田正純君

      國場幸之助君    下村 博文君

      新谷 正義君    杉田 水脈君

      鈴木 淳司君    田所 嘉徳君

      高木 宏壽君    土屋 品子君

      中谷 真一君    長坂 康正君

      西田 昭二君    平沢 勝栄君

      平沼正二郎君    藤丸  敏君

      古川  康君    古屋 圭司君

      三ッ林裕巳君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山下 貴司君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      渡辺 博道君    荒井  優君

      石川 香織君    泉  健太君

      梅谷  守君    江田 憲司君

      落合 貴之君    城井  崇君

      近藤 和也君    階   猛君

      長妻  昭君    本庄 知史君

      道下 大樹君    渡辺  創君

      足立 康史君    市村浩一郎君

      岩谷 良平君    伊佐 進一君

      輿水 恵一君    竹内  譲君

      中川 宏昌君    前原 誠司君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      たがや 亮君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         金子 恭之君

   法務大臣         古川 禎久君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       末松 信介君

   厚生労働大臣       後藤 茂之君

   農林水産大臣       金子原二郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      萩生田光一君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山口  壯君

   防衛大臣         岸  信夫君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     牧島かれん君

   国務大臣

   (復興大臣)

   (沖縄及び北方対策担当) 西銘恒三郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     二之湯 智君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (女性活躍担当)     野田 聖子君

   国務大臣

   (新型コロナ対策・健康危機管理担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)     小林 鷹之君

   国務大臣

   (デジタル田園都市国家構想担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)   若宮 健嗣君

   財務副大臣        岡本 三成君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  加野 幸司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         北浦 修敏君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            林  伴子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            岡野 正敬君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           澤井  俊君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          奈須野 太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            佐々木啓介君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    鈴木 敦夫君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     小池 章子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小野寺五典君

  石破  茂君     田所 嘉徳君

  今村 雅弘君     古川  康君

  岩屋  毅君     工藤 彰三君

  加藤 勝信君     新谷 正義君

  木原  稔君     宮崎 政久君

  北村 誠吾君     石原 宏高君

  後藤田正純君     井野 俊郎君

  中谷 真一君     西田 昭二君

  山本 有二君     杉田 水脈君

  鷲尾英一郎君     三ッ林裕巳君

  石川 香織君     泉  健太君

  落合 貴之君     梅谷  守君

  道下 大樹君     荒井  優君

  伊佐 進一君     竹内  譲君

  大石あきこ君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     後藤田正純君

  石原 宏高君     藤丸  敏君

  小野寺五典君     平沼正二郎君

  工藤 彰三君     岩屋  毅君

  新谷 正義君     山下 貴司君

  杉田 水脈君     長坂 康正君

  田所 嘉徳君     石破  茂君

  西田 昭二君     小倉 將信君

  古川  康君     今村 雅弘君

  三ッ林裕巳君     高木 宏壽君

  宮崎 政久君     木原  稔君

  荒井  優君     道下 大樹君

  泉  健太君     石川 香織君

  梅谷  守君     本庄 知史君

  竹内  譲君     伊佐 進一君

  たがや 亮君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     神田 潤一君

  高木 宏壽君     鷲尾英一郎君

  長坂 康正君     井林 辰憲君

  平沼正二郎君     国光あやの君

  藤丸  敏君     鈴木 淳司君

  山下 貴司君     加藤 勝信君

  本庄 知史君     渡辺  創君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     國場幸之助君

  神田 潤一君     中谷 真一君

  国光あやの君     青山 周平君

  鈴木 淳司君     北村 誠吾君

  渡辺  創君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     山本 有二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計補正予算(第1号)

 令和四年度特別会計補正予算(特第1号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計補正予算(第1号)、令和四年度特別会計補正予算(特第1号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官加野幸司君、内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官北浦修敏君、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、内閣府男女共同参画局長林伴子君、総務省自治行政局長吉川浩民君、外務省総合外交政策局長岡野正敬君、外務省北米局長市川恵一君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、経済産業省大臣官房審議官門松貴君、経済産業省大臣官房審議官澤井俊君、経済産業省産業技術環境局長奈須野太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、中小企業庁経営支援部長佐々木啓介君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官川嶋貴樹君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛装備庁長官鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 本日は、質問の機会をありがとうございます。

 私たち政治家が行わなければならないこと、それは、国民の生活、暮らしがこれからも平和で安全に、そして豊かに続けられること、これだと思っています。ですが、もし他国から侵略があれば、これは国民をしっかり守っていく、その決意も大変必要だと思っています。

 今日は、その観点から、主に安全保障の問題について取り上げさせていただきたい、そう思っています。

 実は、一昨日、中国とロシアの爆撃機が日本を周遊いたしました。また、昨日は、北朝鮮が弾道ミサイルをまたも日本海に撃ち込みました。そして、様々な報道機関により、ごく近いうちに北朝鮮が七回目の核実験を行うのではないか。こういうことを考えますと、私たち、この日本の周辺の安全保障環境も大変厳しくなっている。今、世界の耳目はウクライナに集まっていますが、実は、この東アジアも、大変、安全保障環境は厳しくなっている。

 今回、日本で開かれました日米の首脳会談、そして、それに続くクアッドの首脳会談、これは時機を得た大変重要な会議だったと思います。

 その中で、まずお伺いをしたいのは、実は拡大抑止の問題です。

 プーチンが核使用をちらつかせながらウクライナを侵略をしていく、この問題は世界に衝撃を与えました。まさか、この現在に至っても、核の使用をちらつかせて相手を脅す国がある、そして具体的に侵略を行う、これは深刻な問題です。

 私も、何度か防衛大臣を経験させていただき、防衛の現場を知ることになりました。核の使用は絶対にあってはならない、忌むべき兵器であります。ですから、核の廃絶、これは人類の共通の悲願だと思います。

 ただ、残念ながら、例えばロシア、中国、そして今、北朝鮮、これらの国の核の廃絶、それはすぐには望めない。だとすれば、核を使わせない、核を使わせないためにどうしたらいいんだ、それが拡大核抑止の考え方ということになります。

 日本は、戦後一貫して、アメリカとの同盟関係の下、アメリカの拡大抑止、この中に入っています。これは大変重いものです。いざというときは、アメリカは、核をもってしても日本を守るんだ、同盟国を守るんだ。そして、日本は、大変つらい立場でありますが、やはり国民を守るためにはこの拡大抑止の傘の中にいなければいけない。これが戦後一貫した考え方です。私は、これは正しいんだと思います。

 ただ、是非お願いをしたいのは、核の傘といっても、言葉だけではなかなか信じられない。傘ですから、ずっと開かないと、もしかしたらさびついてしまうかもしれない。あるいは、実際開いてみたら、傘に穴が空いていた。これではやはり信頼が醸成できません。

 今回、日米首脳会談の中で、岸田総理はバイデン大統領と、この拡大抑止についても議論されたと伺いました。今回の会談の成果、そして、特に私は、この拡大抑止について、日本が安心できる、そのような確信を得られたかどうか、お伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今回の日米首脳会談において、御指摘の拡大抑止に関する議論としましては、バイデン大統領の方から、まず、核を含むあらゆる種類の能力によって裏づけられた、日米安全保障条約の下で、日本の防衛に対する米国のコミットメントを改めて表明をされました。

 そして、その上で、今後も拡大抑止、これは揺るぎないものでなければならない、それをしっかり確保するために、閣僚レベルを含め、日米間でより一層緊密に意思疎通を図っていく、こうしたことでも一致をいたしました。

 こうした首脳会談における基本的な確認に基づいて、今申し上げました閣僚レベルを始め様々なレベルで、この核抑止に対する信頼を日米間で引き続き確認をしていく、信頼を維持していく、こうした努力を続けていきたいと考えております。

小野寺委員 私も、その確認というのはとても重要だということ、そして、今回は成果があったと思います。

 また、岸防衛大臣は、五月の連休にワシントンに行かれまして、そして日米の防衛相会談を行い、そこでもこの問題をしっかり確認したと伺っております。

 これからも、是非、高いレベルで、これは安心できるものなんだ、そのような体制を取っていただきたい、そう思っております。

 さて、私ども、平和をこれからも希求する国として大変今痛ましいのが、ウクライナで起きている侵略戦争であります。これは間違いなくロシアに非があります。国際法によっても、これはロシアが糾弾されるべき内容だと思っています。今これに立ち向かうウクライナの多くの皆さん、侵略を防ぐために努力をされています。一日も早く平和が訪れること、それを私ども望んでおりますが、その中で大きな教訓があります。

 今回なぜロシアがウクライナに攻め入ったのか。私は、その理由は二つあると思います。

 一つは、プーチンが、ウクライナは弱い、ロシアはやすやすとウクライナを占領できる、こう思ったからではないか。

 実は、二〇一四年、ロシアが初めてウクライナに侵攻してクリミアを占領したとき、このときは、ロシアはハイブリッド戦を含め様々な手法で、ほぼ無血状態でウクライナの主要なところを占領することができました。恐らく、プーチンの頭の中には、ウクライナは弱いんだ、そういうイメージがあったんだと思います。

 そしてもう一つ。本来、このような状況の中で、アメリカやNATO、どのような対応をするんだ、注目が集まる中、実は、昨年既に、バイデン大統領は、軍事力をもって共に戦うような介入はウクライナにはしないということ、NATOも同じスタンスを取りました。

 ですから、逆に見ると、プーチンから見れば、ウクライナは攻め入ったとしても弱い、そして後ろ盾になって一緒に戦うアメリカもNATOもいない、だから、やすやすとこれはできるんだ、私は、こういう間違ったメッセージが発せられたために今回の戦争が起きてしまったんだと思います。

 だとすれば、戦争を起こさないためにはどうしたらいいか。まずは、自らがしっかりとした防衛力を身につけ、この国は手を出したら強い、だから手を出せない、こう思ってもらうこと、この自らの防衛力の整備については、この後、自民党の提言を説明する中でお話をしたいと思います。

 もう一つは、一緒になって日本を守ってくれる仲間の国がいる、これがとても大切です。今回の日米の首脳会談、そしてクアッドの首脳会談、この中で、仲間の関係、これがどうできているのか、あるいは日本と同じ認識を持っているのか、外務大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 今般の一連の首脳会議では、現下の国際情勢を踏まえまして、ロシア、中国に関する議論に多くの時間が割かれまして、その中で、岸田総理から我が国の立場について明確に発信をし、各国と認識の共有を行ったところでございます。

 まず、ロシアでございますが、日米首脳会談において、岸田総理から、ロシアによるウクライナ侵略への対応に当たって、インド太平洋地域を含む国際社会の連携強化に向けて日本が各国に積極的に働きかけていることを説明し、バイデン大統領から日本の取組を高く評価するという発言があったところでございます。

 また、日米豪印、クアッドの首脳会合においては、岸田総理から、今回のロシアによる侵略は、国際社会がよって立つ法による支配に対する重大な挑戦であって、国際法を無視した主権及び領土一体性の侵害であり、決して許してはならず、侵略行為を一刻も早く止めさせる必要があるということを強調したところでございます。

 中国については、日米首脳会談においては、ウクライナ情勢がインド太平洋地域に及ぼし得る影響について議論する中で、両首脳は、最近の中ロ両国による共同軍事演習等の動向、これを注視をしていくということで一致をしました。また、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや経済的威圧に強く反対すること、そして、中国をめぐる諸課題への対応に当たって、引き続き日米で緊密に連携をしていくこと等でも一致をしたところでございます。

 さらに、日米両首脳において、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促したところでございます。

 クアッド首脳会合においても、地域情勢について議論する中で台湾についても議論が及びまして、岸田総理から、台湾海峡の平和と安定の重要性、これを強調するとともに、両岸問題の平和的解決を期待するという我が国の基本的立場を述べさせていただいたところでございます。

 私自身も、バイデン大統領と併せて訪日をされましたブリンケン国務長官との間で外相会談を行いまして、ロシアによるウクライナ侵略や中国をめぐる諸課題への対応につきまして、首脳間の議論のフォローアップをするとともに、認識のすり合わせを行ったところでございます。

小野寺委員 今回は非常に、そういう意味では、このタイミングで日本で行ったということはとても重要だと思います。日本との同盟関係をしっかり示す、そして、日本と同じ価値観を持つ、そういう国との連携を見せた、これは大変重要だと思っています。

 その中で、今、外務大臣からお話がありましたが、台湾海峡の問題ということがございました。

 私ども、ウクライナの今の戦争を見て、ウクライナを助けよう、そういう気持ちを強く持っています。日本政府は様々な支援をしています。避難民の収容や、あるいは、防弾チョッキを含め、物資の支援もしています。そういう気持ちが根底にあるのは、実は日本も、力による現状変更、これを決してさせてはいけない、そういう状況が日本の周辺にもあるということ。

 それは、残念ながら、今外務大臣からお話が出た台湾海峡の問題であります。このことについては、既に、アメリカの太平洋軍の司令官、元司令官等が様々なところで発言をしていますが、もしかしたら近いうちに中国と台湾が、ある面では衝突するかもしれない、そのような警告を発しております。

 実は、このこと、今回の日米首脳会談でも大きな注目を浴びました。特に、バイデン大統領の記者会見。バイデン大統領は、記者から、軍事力をもって台湾を守るかという言葉に関して、イエスという言葉を言った。この瞬間、世界中が大変驚いた。なぜかというと、今までアメリカは、台湾に対しては曖昧戦略ということで、いざというときは武力をもって守るのか、あるいはそうじゃないのかということを曖昧にする戦略を取った。これは、明確にしたんじゃないか、実は衝撃が走りましたが、その後、アメリカ政府もバイデン大統領自身も、従来のスタンスは変わらないということで訂正をされました。

 ただ、この一連の流れで私が感じるのは、何かあったときは、アメリカはやはり台湾を支援するんだ。それは、直接武力をもって一緒に守るのか、あるいは台湾関係法によって台湾に軍事物資を支援するのか、恐らくどちらかを台湾に対してアメリカはすることになります。

 そのとき考えなきゃいけないのは、台湾は島国だということです。今、ウクライナだから、隣国ポーランドから陸路を通じて支援物資を運ぶことができます、ウクライナに対して。でも、島国の台湾に対しては、どうしても船か航空機で支援物資、武器を運ぶことになります。当然、台湾有事が起きれば、島の周りは中国が海上封鎖をし、空を守ることになります。ここに台湾を支援するための武器を積んだアメリカの艦船、航空機が行けば、必ず衝突事案になります。残念ながら、衝突事案が起きる可能性はどちらにしても大変高い。

 私ども政治は、最悪のことを考えて対応しなければいけません。万が一、中国とアメリカの間で紛争が起きてしまったとき、そのとき、日本の領土にも大きな影響が出ます。一番西の与那国島、台湾から百キロしか離れていません。戦闘機で考えれば、あっという間の空域になります。そして、それに続く石垣、宮古。私ども、この先島諸島は、ある面では、そうなった場合、戦域になってしまうんじゃないか、そういう心配があります。

 また、日本が直接関わっていなくても、仮にもし、アメリカから日本に対して、何らかの支援、例えば補給の支援や情報提供の支援、これがあって日本がそれに応じた場合には、日本は相手国から見たら、アメリカと一緒になっている国と見えてしまう。一気に我が国としての安全保障の緊迫感が上がります。こんなときにおいてもしっかり国民を守っていく、これが大切だと思います。

 防衛大臣にお伺いします。

 このような台湾有事においても我が国の国民をしっかり守れる、そのような体制になっているのか、確認をしたいと思います。

岸国務大臣 まず、こうして着席のまま発言させていただきますことをお認めいただきまして、ありがとうございます。委員長及び理事の先生方に感謝を申し上げます。

 その上で、今、台湾のことを御質問がございましたけれども、まず、ウクライナの状況を見ましても、ロシアによるウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更、これは欧州のみならず、インド太平洋地域、アジア地域においても起こり得るものであります。このような現状変更を決して許すわけにはいかないわけでございます。

 近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中で、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化をしております。そして、その差が年々増している、広がっている傾向が見られます。また、中国軍機による台湾南西空域への度重なる進入を含めて、中国は台湾周辺における活動を更に活発化させているところでございます。防衛省としても、引き続き関連動向を注視してまいりたいと考えております。

 我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、政府として、いかなる事態にも対応できるように、平素からの体制の整備を含めて万全を期してまいりたいと考えております。

小野寺委員 岸大臣には、今この瞬間もこの国を守っている自衛隊員の先頭に立って、これからもしっかり守っていただきたい、そのように思っております。

 さて、今までお話をさせていただきましたが、やはり、我が国をしっかり守っていく、平和を続けていくためには、自らの努力をしっかりしていくこと、そして、一緒になる仲間を多くつくっていくこと、これが大切だと思います。

 その中で、今回、まず自らの力をどうしっかり高めていくか、そのことに関して、自民党は提言をまとめました。

 実は、この提言をまとめた背景というのは、昨年、総理が、総理大臣に就任した後、今年、国家安全保障戦略を見直すんだ、そして、その見直した中で、しっかりとした防衛体制をつくるんだというお話がございました。

 実は、今現在も国家安全保障戦略はあります。約八年前だと思います、安倍内閣で作ったものでありまして、当時、岸田総理は外務大臣、私は防衛大臣として一緒に関わらさせていただきました。

 そのときの安全保障の環境というのは、例えば、北朝鮮は、確かに弾道ミサイルや核実験を行っていましたが、まだ技術はそこまで高まっていなかっただろうという認識でありました。また、中国は、確かに防衛力を伸ばしておりました。ただ、それもまだ練度がそれほど高くないんじゃないか、将来の脅威だ、そんな印象もありました。そして、ロシアは、当時はむしろ、北方領土が和平によって返ってくるんじゃないか、そんな期待感もありました。

 ですが、今この現在を見れば、北朝鮮は相当の能力を高め、中国はもはや脅威になりつつある。そして、ロシアは、残念ながら、今回私たちが経済制裁に加わったことによって、日本に対して、ある面では敵対視することになりました。ですから、もう三正面で何か問題が起きる可能性もある。それが事実、おとといは中ロが爆撃機、昨日は北朝鮮が弾道ミサイル。

 このような状況の中で、日本がしっかり力を蓄えなきゃいけない、そう考え、実は昨年十二月から、自民党の安全保障調査会におきまして、これはメンバーは、木原稔衆議院議員、宮澤博行衆議院議員、熊田裕通衆議院議員始め大臣経験者、多くの議員が一体となって、昨年十二月から計十九回、専門家のヒアリングを行いました。アメリカの意見も何度か聞かせていただきました。そして、最終的には、議論を尽くして今回の提言をまとめさせていただきました。

 今回は、まず、これについて少し総理からお伺いをしたいと思います。

 まずは、反撃能力の保持という考え方です。

 実は、日本は、従前から、専守防衛の考え方で、日本は盾の役割だ、同盟国アメリカは矛、やりの役割で戦うんだ。ですから、攻撃されたら日本はそれを防ぐ、そして、相手が二回、三回攻撃しないように、相手のところに関してはアメリカの打撃力を使う、こういう考え方です。これは、私は、今までもしっかりこういう考え方でやってきてよかったんだと思います。

 ところが、今から数十年前であれば、日本を攻撃されるとしたら、相手の国から爆撃機や戦闘機が来て日本を攻撃する、あるいは、相手の軍艦が日本に近寄ってきて大砲を撃ったり、上陸用の装備で日本を攻撃する。こういう場合には、日本は盾としてこれを一生懸命防ぐ、自衛隊は日本を守るんだ、こういう体制で対応できましたし、何せ飛行機で来たり船で来るわけですから、事態が緊迫するまでには一定の時間があります。この間に、日米で相談をしながら、例えばアメリカのアセットをもっと前面に展開して、万が一のときはしっかり守るんだ、こういう、ある面では準備の余裕がありました。

 ところが、御案内のとおり、今、そんな悠長な戦争ではありません。相手の領土から十数分で弾道ミサイルが直接飛んでくる。

 私は防衛大臣のときに非常に心配したのは、万が一、日本が攻撃を受けた、そのときに、その国は、日本を攻撃しているんだ、アメリカじゃないんだ、こう言って攻撃したときに、同盟国アメリカに対して、日本の総理大臣は、日本が攻撃された、同盟でしっかり守ってくれとお願いをすると思います。当然、連絡を受けたアメリカの大統領は、よし、分かったと。その次、何をするかというと、恐らく閣議を招集します。そして、閣議で、日本を守るためにアメリカも参戦していいなと確認を取り、その後、アメリカの議会関係者、責任者に相談をして、議会を開かなくてもこれは是非やらせてくれ、これがスムーズにいって初めて部隊に命令を出して反撃をすることになります。

 この時間、どんなに急いでも一日、二日はかかる。ですが、日本に飛んでくるミサイルは十数分です。アメリカが本格的に意思決定をし参戦するまでの間は、日本は自分の防衛力、能力で対応しなければいけない。これが実は現実です。そのときに、日本として何ができるか。

 実は、反撃をするというのは、どの方もそうだと考えていただけると思います。戦車対戦車、三キロ離れている、相手が撃ってきたら撃ち返していい、当たり前だと思います。軍艦対軍艦、距離二十キロ、相手が撃ってきたら撃ち返していい、これは当たり前だと思います。弾道ミサイル、距離一千キロ、相手が撃ってきた、撃ち返していいと思うはずなんですが、飛んでいく先は相手の領土なんです。

 実は、今まで、政府は一貫して、相手の領土を攻撃することは憲法上は許されると言ってきました。ですが、今まで、政治的な考え方として、これはしない、これはアメリカに頼るんだと言ってきました。日本が変わったんじゃないんです。攻撃のされ方、武器の体系、これが変わったとしたら、国民を守るためにやむなくこの能力を行使することは私は必要だと思います。

 今回、この国家安全保障戦略を含め、様々な防衛関係の文書を新たに作る中で、是非、この反撃能力の保持について、政府として前向きに考えていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、先日、自民党の方から、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言をいただきました。小野寺委員を始め、関わった皆様方から直接手交をしていただきました。

 この中身において、御指摘の反撃能力を始めとする提案については、重く、しっかりと受け止めていきたいと思いますが、政府としましては、おっしゃるような厳しい安全保障環境の中で、国民の命、暮らしを守るためには何が必要なのか、これを現実的に、そして具体的に考えていかなければならない。必要なものをしっかりと確認し、そしてそれを積み上げていかなければならないと思います。

 それを新しい国家安全保障戦略の策定の議論等においてしっかり行うわけですが、その際に、変化する国際環境、そして変化する様々な技術の中で、具体的に、現実的に、求められるものを考えていかなければならないわけですから、御指摘の反撃能力を含め、あらゆる選択肢、これは排除することなく、冷静に考えていかなければならないと思います。

 そうした議論を行うことによって、我が国として必要とされる防衛力をしっかり確認をし、そしてその上で、その裏づけとなる予算等についてもしっかり確保しなければならない。こうした取組を進めていきたいと政府においては考えております。

小野寺委員 このような政策については、やはり国民の理解が何よりも大事だと思います。私たちも丁寧に説明をしながら、多くの皆さんに賛同いただける、そういう後押しを政府に対してさせていただきたい、そのように思っております。

 次に、サイバーセキュリティーの問題についてお話をしたいと思います。

 実は、今、安全保障では、サイバー上の情報が大変重要になります。皆さんも御記憶だと思いますが、今回のウクライナ戦争に当たって、ロシアが本当に攻め入るかどうかということ、様々な意見が飛び交いました。ですが、その中で、アメリカとイギリスは一貫して、ロシアはウクライナに攻め入るんだ、そしてあるときは、三日後に、具体的な数字まで出して言っておりました。これが当たりました。なぜ、そうか。実は、情報によって、これらの国は様々なことをつかんでおりました。

 また、最近記憶に新しいのは、例えば、クリミアの、ロシア軍の海軍の旗艦であります、中心となるモスクワという船が、ウクライナ軍の対艦ミサイルで撃沈されたという事案がありました。あれも、報道ではありますが、その位置情報を含めて様々な情報はアメリカから提供されたと伺っております。

 ですから、情報の提供、情報のやり取り、情報をどう取っていくか、これがこれからも死活的に重要になります。

 実は、今回の私どもの提言をまとめて、ゴールデンウィークに、国会のお許しをいただいて、ワシントンでアメリカ関係者との議論をしてきました。そこで真っ先に言われたのは、日本のサイバーセキュリティー能力の低さです。ある人は、ゼロと言っていました。

 これが何の問題かというと、万が一、ウクライナで起きたような様々な情報をこの日本周辺でつかんだとして、その情報を日本と共有したい、そう思っても、日本にもたらしたら漏れてしまうかもしれない、だったら渡せない。安全保障上、大変大きな課題、問題となっています。

 そして、私たちの勉強会の中でも、わざわざワシントンから来られた元情報機関のトップの方は、日米同盟の最大のウィークポイントはサイバーセキュリティーだ、こう言われました。私ども、様々防衛能力を上げていきますが、このサイバーセキュリティーだけは政府全体でしっかりとやっていただかなきゃいけない。

 そういう意味で、是非、政府としての対応、これを求めたいと思います。官房長官、総理、どちらかお答えいただければと思います。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 サイバー空間における安全保障を取り巻く環境は、先生からお話をいただいているとおり、厳しさを増しております。政府機関の連携を進めることなど、政府一丸となってサイバーセキュリティー体制を強化をしていくこと、これは急務であると認識をしております。

 また、日米間におきましても、先般の日米首脳会談におきまして、情報保全及びサイバーセキュリティーの強化について、緊密な連携と協力を確認をしたところであります。

 政府としては、委員御指摘のサイバーセキュリティー等の重要な問題にしっかりと取り組んでいくとともに、新たな国家安全保障戦略等の作成のプロセスにおきまして議論を深めていきたいと考えております。

小野寺委員 私は、本当にショックでした。まさかアメリカ関係者から、日米同盟の最大のウィークポイントというのがこのサイバーセキュリティーの問題だとすれば、今回、岸田内閣では担当の大臣をつくられ、牧島大臣は一生懸命今頑張っていらっしゃいます。是非、経済安全保障の観点からも、サイバーセキュリティーの問題、あるいは、将来はやはり、重要な機密を扱う部署にいる公務員等に関しては更に厳しいセキュリティーを課すような、そういう仕組みも考えていただきたい、そのように思っております。

 さて、次に、認知戦への対応、これを提言しました。認知戦、恐らく、初めて聞かれる方も多いんだと思います。

 認知戦、実は、これは既にウクライナで行われている戦いです。私たちは、戦域というと、陸、海、空、そして今、宇宙、そしてサイバー、こういう戦域を考えていますが、新たに認知戦という戦域があると私たちは捉えています。

 ウクライナでどんなことをされているか。ロシアは、ウクライナ、重要な司令官は既に逃げ出しちゃった、だから、ウクライナはもうすぐ壊滅する、こういう偽の情報をたくさん流しています。また、ロシアは、ウクライナを解放しているんだ、今多くの民間人がウクライナで殺害されているのは、むしろウクライナ側がやって、それをロシアの犯罪に見せかけているんだ、こういう宣伝をたくさんしています。そして、世界の情報にもこれを流しています。

 こういう偽の情報を流すこと、そして、相手の国の考え方を自分の考え方に近いように誘導すること、これが認知戦ということになります。

 これは、ウクライナだけではありません。お隣台湾でも既に行われています。台湾の国防白書には、既に中国からこの認知戦の攻撃を受けている。例えば、先日、台湾の関係者とお話をしたら、こういう例を言われました。ウクライナを見てくれよ、ロシアが核兵器を持っているから、アメリカもNATOも直接助けに行かないじゃないか、核兵器を持っている国にはそういう国は対応しないんだ、台湾だってアメリカの同盟国じゃない、だから、ウクライナと同じじゃないか、更に言えば、中国は核大国だ、当然彼らは守るわけない、だから、台湾、抵抗したって無駄だから、早く中国と一緒になった方がいい。

 実は、こういう情報が、SNS上、そしてそこでの書き込み、ここにたくさん流されている。これは、正しいか正しくないかは分かりません。ですが、台湾の国防白書を見れば、組織的にやられている可能性、これがないとは言えない。

 そういう意味で、こういうことにも実は新しい戦域が今広がっている。

 考えていれば、こういう世論戦というのは、孫子の兵法では二千五百年前から使われています。相手の戦う士気を下げて、そして戦わないで降伏させる、これが善の善だと言っています。これが今でも行われていても仕方がないと思います。

 そして、日本においてもこの危険がないのか。今まで私たちは、情報は、テレビや新聞等で情報を得ていました。でも、今、ほとんどの方がSNSを使って様々な情報を得ています。そして、そのニュースを見た後、書き込み等も見ることが多いと思います。なるほど、今、こんな意見が多いのか、こんな考えが多いのか。そうすると、何となく自分の中で一つの考え方がまとまってしまう、これが認知領域ということになります。

 以前、ニュースのほとんどがテレビや新聞であれば、その真偽は、多分正しいんだと思いますが、少なくても責任は、それを出したテレビ局、それを発刊した新聞社にありました。ですから、責任ある形で情報を出していたんです。

 ですが、SNS、これは大変重要なツールです、広く使い、多くの情報を得、多くの意見を聞く大変重要なツールではありますが、反面、その中の匿名性、あるいは最終的な追跡がなかなかできないような状況、誰が、どんな意図で、どういう形でやっているか、それは相手を信じるしかない。この世界の中で、もし、組織的に、意図的に、ずる賢くそういうことをされ、何となくそういうような世論がつくられて、相手国に有利な方にその国の政策を持っていってしまう、こういう認知戦、これが今新たに起きてきました。

 大切なのは、こういうことがあるんだということを認識し、情報は本当に正しいのかどうか、自分の中でもう一度確認をする、そういう考え方だと思います。

 更に言うと、実はNATOは、この問題に対して大変心配しています。NATOの中で、既にこの認知戦の領域での研究機関もできている。あるいは、アメリカでは、フェイクニュースをチェックする、ファクトチェックをする機関が既に幾つかできています。これがお互いに、これは正しいか正しくないか、常に、世論がおかしい方向に行くときには正確なファクトチェックをする、こういうような仕組みもあります。

 今後、日本にもこのような状況が来る場合、しっかりとした対応ができるかどうか、その認識と政府の考え方についてお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員がおっしゃるように、ウクライナの情勢等を見るにつけても、フェイクニュースですとかSNSによる偽情報による認知戦への対応、認知領域を含む情報戦への対応、こうしたものが重要であるということを強く感じています。

 是非、こうした対応についても、国家安全保障戦略の策定の議論の中でしっかりと意識をし、検討していかなければいけない課題であると思います。

 先ほど御指摘があったサイバー、そして、今の認知戦への対応、反撃能力、さらには宇宙領域における対応など、新しい課題についてもしっかり念頭に置きながら、何よりも国民の命や暮らしを守るために我が国において何が必要なのか、こうした具体的な、現実的な議論を行っていきたいと思います。

 そして、そうした議論をしっかり進めたいと思いますが、改めて確認しておきたいことは、こうした議論、これはあくまでも、憲法あるいは平和安全法制を始めとする我が国の法体系、そして日米の基本的な役割分担、こうした基本的なものはしっかりと守り、その範囲内で議論をしていくことが重要であると思いますし、そして、こうした議論を行う際に何よりも大事なのは、国民の皆さんの理解だと思います。

 今の厳しい現実について、私たち政府においても、また政治の立場においても、しっかりと国民の皆さん方に説明をし、そして、何よりも理解を得ながらこうした議論を丁寧に進めていく、こうした姿勢が大事であると思います。こうした姿勢を大事にしながら、先ほど申し上げましたように、具体的に、現実的に議論を進めていきたいと考えます。

小野寺委員 今日こうして議論させていただいているのは、この国が戦争することなく、平和な国として、民主国家としてこれからも続くんだ、そのために私どもは今これが必要だということ、その基本で議論をこれから続けさせていただきたいと思います。

 さて、もう一つ、実は、防衛生産、技術基盤の維持というのがあります。なかなか聞き慣れない言葉だと思うんですが、実は、日本の防衛装備を造るためには、たくさんの企業、それは大きな企業から小さい企業から、多くの皆さんの力をいただいています。例えば戦車は、俗に、千の会社の力を得て戦車一台ができると言われています。そのぐらい、部品と関連の会社がたくさんある。

 ですが、それぞれが非常に特殊なものです。ですから、一つの会社が欠けただけでも、実は戦車が造れなくなってしまう。潜水艦もそうですし、航空機もそうですし、一つ一つのところが欠けると大変になってしまう。ですから、そういうところにしっかり目くばせをしないと、実は、我が国の防衛自体を維持できない。

 実際に、例えば戦闘が始まった場合、戦車や航空機や船は、故障したり攻撃を受けたりして修理が必要になります。そのとき、島国日本は、日本国内でしっかりその対応をする必要がある。弾薬も燃料もそうなんです。ですから、日本としてしっかり、自分たちでできる基盤を持っていなければいけない。

 ところが、最近、この防衛分野からどんどん抜けていく企業が多くなってしまいました。理由は、防衛産業は大変特殊です。この部品、三年に一回しか発注が来ない。だけれども、職員は一年間ずっと雇わなきゃいけない。そういう様々なところで、今まで工夫して、工夫して、国防のためにということで一生懸命努力をしていただく企業はたくさんありました。ですが、さすがにもう無理だということで、そこから抜けていってしまう。

 私は、この防衛産業自身も防衛の大事な基盤ということになります。是非、この問題意識を持って、しっかりとした防衛力を備えるためにも、この基盤に対して目くばせをすることをお願いしたいと思います。

 防衛大臣、お願いいたします。

岸国務大臣 国内の防衛産業につきましては、我が国の防衛力の一部であります。その基盤の強化というものが、まさに委員御指摘のとおり、急務でありますが、収益性とか成長性の低さを懸念する声もありまして、近年では、防衛産業から撤退する企業が相次いでおります。はっきり言って、もうからない、市場として魅力がない、こういうところから、企業としてのステークホルダーに対する説明責任というものもあるんだと思いますが、いずれにいたしましても、撤退する企業が出ているというところだと思います。

 こうした状況を踏まえまして、私自身も、防衛装備品を製造する企業十五社の社長と直接意見交換をさせていただいて、防衛産業を取り巻く厳しい現状の把握に努めまして、対応策の検討を行ってきているところであります。

 防衛庁としては、国内の防衛産業、技術基盤の維持強化のための観点から、一層これを重視するとともに、提言も踏まえつつ、より踏み込んだ取組を関係省庁ともしっかり議論を行いながら検討してまいりたいと考えております。

 引き続き、先頭に立って取り組んでまいりたいと考えます。

小野寺委員 最近、企業には、物言う株主という方が多くなってきました。もし、外国からの物言う株主が、これは日本の防衛産業で中核だけれども、もうからないからやめてよ。株主の意見は重い、そして、防衛産業から撤退すれば、実は、日本の防衛力のど真ん中に穴が空いてしまう、こういう心配も多く聞かれるようになりました。是非、しっかりとした目くばせをお願いをしたいと思います。

 それでは、次に、防衛費の増額についてお話をしたいと思います。

 実は、ここ約三十年間、日本の防衛費は、ほぼ横、一貫しております。大体五兆円前後という、この下の横棒の青い線ということになります。

 一つの比較でありますが、お隣中国の防衛費は、御案内のとおり、既に日本を抜いて、現在の公称ベース、公にしているベースでも六倍近く、この一・五倍ぐらい実際はあるんじゃないかと言われています。ですから、防衛費の差ははっきりしている。

 実は、防衛費は横ばいだからまだいいじゃないかと言う方がいらっしゃいますが、防衛の装備というのは、新しいものを導入すると値段がかなり上がります。例えば戦車。以前の戦車が新しい戦車に変わると、三倍以上の金額になります。また、潜水艦は一・四倍の金額、哨戒機は二・六倍。当然、最新の装備をもって自衛隊員にしっかりこの国を守らせたい、そういう思いでは、新しい装備を入れる、これは当然だと思います。横ばいで、新しい高い装備をどんどん入れなきゃいけないとすると、逆にどこかを削らないと、どこかにしわ寄せが行かないと、帳尻が合わないんです。増えなかったこと自体がおかしい。誰かが、どこかが、何かがしわ寄せを受けて対応している。

 その例を少し御紹介したいと思います。

 上の写真は、自衛隊の対地、対艦の主力の戦闘機、F2戦闘機、国産です。この戦闘機が、逆に言うと、今回、日本を守る、日本を攻撃してくる様々な船やそういうものに対して対応する、大変重要なものです。

 この航空機は何でこんな姿をしているか。実は、ここで部品取りという言葉を言っていますが、隊員は、これを共食いと言っています。

 私は、自衛隊の部隊を何度も見させていただいて、部品が足りない、部品が足りないからこの戦闘機は飛べない、じゃ、どうするか。一つの戦闘機を犠牲にして、その戦闘機から部品を取り出して、そしてほかの戦闘機につけて飛ばす。また部品が壊れたら、犠牲になる戦闘機をもう一機選んで、そこから部品を取り出してほかにつける。

 ですから、自衛隊の基地、駐屯地、航空基地に行くと、骨組みになった、このように、形はあるけれども中身がすかすかの、こういう今使わなきゃいけない戦闘機がたくさんあるんです。

 何でこうなっているか。部品や整備する予算にしわ寄せが行っているんです。防衛費は増えないからいい、そうじゃないんです。隊員の安全のためには新しい装備が必要だ、それを買うためにはどこかにしわ寄せが行っている、これが現状ですよ。

 もう一つ、下の、この自衛隊の隊舎、倉庫であります、見ていただきたい。陸上自衛隊の久里浜の駐屯地、昭和十七年建設、築八十年。

 これは何の部隊か御存じですか。実は、久里浜は、長年ずっと通信の部隊、その育成の中心でした。これからは、ここが自衛隊のサイバーの中核となる部隊です。サイバーの中核となる部隊の倉庫が、窓ガラスを割ったら入れるような、実は、こういう戦前の隊舎がまだまだいっぱいあります。これに我慢して自衛隊員は使い続けているんです。予算が増えない、減らないからいいじゃないか、違うんです。しわ寄せが確実に来ている。

 私は、必要な予算をしっかり積み上げるだけで、総理がおっしゃる相当の金額ということにならざるを得ないと思います。是非この現実を見ていただいて、国民の皆さんに、自衛隊にこの国を守れというのであれば、それにふさわしい防衛力を、防衛費を持たせてあげていただきたい。それは必ず積み上げてやるんだ、その前提ということになります。

 さらに、もう一つ。

 今回の提言の中には、NATOのGDP比二%も念頭にという言葉を入れています。なぜこの言葉を入れたか。

 今、世界中が、ロシアのウクライナ侵攻を見て、こんなことは駄目なんだ、力による現状変更は駄目なんだ、だからこれを止めさせるんだ、みんなで努力するんだ、こういって、それぞれの国が、私たちと同じ、自由、民主を愛する国が、それぞれの努力で防衛力を増やしているんです。バランスを取るために頑張っている。そして、その一つの目安がNATO基準の二%という数字。

 日本も、力による現状変更はあってはならない、そして、日本の周辺を見れば、その心配がある安全保障環境にある。だったら、共に手を携えて、一緒になって努力して、戦争が起きないようにバランスを取っていくために自らの防衛費をしっかりする。その目安は何なんだ、国際的な目安は何なんだと言われたら、私はやはり、NATOでやっている努力、日本もその努力に近づける、それが必要ではないか。もちろん、必要なものを積み上げていくという、それが基本です。ただ、みんなが頑張っている中で日本も頑張る、こういうことも必要だと思っています。

 総理は、先般の日米の首脳会談の中で、この防衛費についての言及をしていただきました。あの言葉を受けて、全国の隊員、安全保障関係者、これは大変力を得たと思います。そして、バイデン大統領も、公式な形で歓迎するという意向があります。

 是非、この防衛費の増額についてもお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 厳しさを増す安全保障環境の中で、まず考えなければいけないのは、先ほど来申し上げておりますように、国民の命や暮らしを守るために、現実的に、具体的に考えた場合に何が必要なのか、こうした議論を行って、その積み重ねを行っていくことであると考えています。

 その結果、防衛力の抜本的な強化に当たって必要となるものの裏づけとなる予算をしっかり確保していく、こうした考え方に基づいて、先般の日米首脳会談においても、強化する、防衛費の相当な額を確保するという決意を述べた、こうしたことであります。

 こうした考え方に基づいて、今後、新しい国家安全保障戦略の議論、さらには今後の予算編成過程の議論において、防衛費のまず内容をしっかりと確認する、そして、それの裏づけとなる予算、どれだけの予算が必要になるのか、こうしたものについて検討をしていく、こうした方針で、我が国の防衛力の強化について取り組んでいきたいと考えております。

小野寺委員 今おっしゃったように、まず必要なものを積み上げるということ、これが大事だと思いますし、今回は、国家安全保障戦略、こういう安全保障環境がありますよ、それに対して防衛力はこのぐらい必要、そして予算はこのぐらい、全て一つ一つ積み上げた形で、最終的には予算の中に入っていくと思います。

 是非、このようなかわいそうな戦闘機、そして安全保障上大事な施設は、十分な予算をかけて維持整備や対応をしていただきたい、そのように思っております。

 実は、安全保障の中で、一つだけお願いがございます。これは恐らく経済安全保障の分野になるかと思うんですが、萩生田経産大臣にお願いをしておきたいと思います。

 今、日本は、やはり再エネということで、風力発電、これを大変重要に考えております。ところが、陸上においての風車、これを設置する場合、この認可は経産大臣が行うことになっていますが、その認可の検討過程の中で、安全保障上の要素が入っていません。逆に言うと、事業をやりたい人は、土地を持っていれば、ある面でどんどん造ることができる。

 そして、現実に今起きていることは、風車が回ると、レーダーがそこで邪魔をされる。今、BMD対応でこの日本を守っている、空を守っている自衛隊のレーダーが、風車ができることによって誤差ができてしまう、大変な実はマイナスになります。

 また、防衛省だけではありません。最近は、国土交通省も大雨予想でレーダーを使っているんですが、これが影響が出ている。さらに、これがたくさん建つと、航空機の進入にももしかしたら心配ではないか。いろいろなことで今心配が起きています。

 是非お願いしたいのは、この風車の問題、残念ながら、風車のほとんどは中国製と言われています。そして、この風車の資本はどこから入っているか分からない。こんな状況の中で、意図的に風車が安全保障上大事なところに造られてしまい、そして、そのお金は日本国民から電気料にプラスされて支払われている、賦課金の問題です。

 とすれば、相手からしたら、お金はもらえるわ、安全保障上このような妨害はできるわ、恐らく、そんな意図はないと思います、今やっていらっしゃる方。でも、今の法律の中ではできてしまう。

 是非、このことに関して、経産省として、しっかり安全保障上の問題も含めて許認可を出すということを進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 風力発電設備の大型化に伴い、風車の設置場所や設備構造によっては警戒管制レーダー等の防衛施設に影響を与えるおそれがあることは認識をしております。

 防衛施設等への影響を防止するために、本年四月に再エネ特別措置法に基づく事業計画策定ガイドラインを改定し、風力発電事業を計画する事業者に対して、事業計画の初期段階から防衛省等の関係省庁へ事前相談を行うことを促しているところです。

 しかしながら、先生、今日、一連の安全保障の問題を提起してくれました。事前相談して、そこはレーダーに干渉するからやめてくれと言われると、その情報を相手に与えてしまうことにもなると思いますので、ここは、今回、自民党の提言も踏まえまして、より実効性のある仕組みの構築に向けて、防衛省など関係省庁と緊密に連携しながら、政府全体での議論にしっかりと貢献してまいりたいと思います。

 あらかじめ、言うならば、ネガティブゾーンがあるんだとすれば、そこはもう最初からそういうものは建たない、都市計画とも連動しながら、土地の用途地域なども含めて、あらかじめ抑制することも考えていきたいと思っています。

小野寺委員 所管が経済産業省ということになりますので、政府全体は理解しますが、是非経産省が先頭に立ってこれを直していただきたい。国防に関わる、国民の安全に関わる問題でもあります。よろしくお願いしたいと思います。

 今日は様々な質問をさせていただきました。また、機会もいただいて感謝を申し上げます。私ども、今日、一連議論していたのは、この国がこれからも平和で安全な国であり続けるということ、これが大事だと思います。

 私は、戦争が起きるには幾つかのパターンがあると思います。

 その一つのパターンは、たまたま偶発的な衝突があった、その衝突事案を両国の政治が、むしろナショナリズムをあおってあおって、最終的に抜き差しならない形になって大きな戦争にぶつかる。これは、政治家が冷静な判断をし、最終的に外交でしっかり対応する、これをもって銘ずべしなんだと思います。

 もう一つあるのは、戦力の差が余りにつき過ぎて、攻撃しても相手は反撃してこない、自分たちは手傷を負わない、だから力をもってやってもいいんだ、これが今ウクライナで現実に起きています。これは努力で防げます。バランスを取るために、まず自らは能力を上げていく、そして、それだけで足りなければ、仲間の国、一緒になって守り合う国、これをつくっていく。実は、こういう体制に世界はならざるを得ない。

 その根っこにあるのは、国連が、残念ながら、安保理の機能不全。本来国連がこれを担保するはずだったのに、安保理は機能不全になり、常任理事国のロシアを含め、力による現状変更をやろうとしている国がある。むしろ平和は今遠のいている。だとすれば、安保理に代わる別な枠組みがこれから必要になる。NATOはその枠組みの一つです。日本はNATOとのいろいろな関係を持っています。日本国民の中には、NATOに加わった方がいいと言う方もいらっしゃいます。ですが、日本の憲法では、集団安全保障、これには入れないんです。という意味では、憲法改正の議論、これも将来必要になると思います。

 最後になりますが、今回、総理は、来年のG7、これを広島で開催されるとおっしゃいました。私は、核兵器は絶対あってはならないと思います。それを世界の皆さんに知ってもらうためには、被爆地である広島、長崎、この現実をG7のリーダーに見ていただいて、そこから世界に発信していただく、これが何よりだと思います。

 来年のG7の成功を祈って、質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、小倉將信君から関連質疑の申出があります。小野寺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小倉將信君。

小倉委員 自由民主党の小倉將信です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先日、茂木幹事長とともに、新しい資本主義の党の提言を総理に提出をさせていただきました。今回は機会をいただきましたので、新しい資本主義について、中心に御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 せんだって、総理は、ロンドン・シティーで行われた講演で、新しい資本主義とは何か、かなり詳しく御説明をされました。私の頭の中でも非常にクリアになりましたし、ロンドンのシティー、世界最古の金融街のロンドンのシティーでも最も権威のあるギルドホールで発せられた総理の言葉は、多くの投資家にとって納得できるものだったというふうに思います。

 私も全文拝見をさせていただきましたが、とりわけ私の腑に落ちましたのは、資本主義のバージョンアップという言葉であります。

 エドワード・ハレット・カーが、名著「歴史とは何か」の中で、歴史とは過去と現在の対話であって、今を生きる我々にとって、過去を主体的に捉えることなしに未来の展望を立てることはできない、こう論じました。

 資本主義の歴史を振り返ってみると、人々の経済活動をきちんと保障して、そして一人一人の能力とやる気を最大限引き出すことによって経済社会の発展につなげていくというような大本は大切にしながらも、時代の変化に合わせて、アダム・スミスが提唱したレッセフェールから福祉国家、そして福祉国家から再び市場主義社会へと、バージョンを変えながら経済を力強く成長させてきました。

 今は、地球温暖化そして経済格差の拡大に伴う分断や対立が世界的にも問題になり、我が国においては人口減少が大きな社会課題となっております。こういった社会課題の解決において、必ずしも現在の資本主義が機能していない、これは明らかになってきております。まさに、そういったことを考えると、岸田政権の下で、資本主義のバージョンアップ、すなわち新しい資本主義に取り組むのは歴史の必然なのではないか、このように感じることもあります。

 そこで、まず最初の質問としては、新しい資本主義とは何か、改めて総理のお言葉で説明していただきたいというふうに思います。

岸田内閣総理大臣 まず、新しい資本主義、一言で言うならば、委員の方からも御指摘がありました、資本主義のバージョンアップであると思っています。より力強く、そして持続可能な資本主義、これを実現していかなければならない、このように思っています。

 そして、今の資本主義、二つの大きな課題があると思います。一つは、格差あるいは気候変動といった、外部不経済と言われている課題があります。そしてもう一つは、今、国際情勢の変化の中で、権威主義的な国家から挑戦を受けている。今の資本主義はこの二つの課題に対応していかなければならないと思っています。この二つの課題に対して、市場や競争に任せるのではなくして、官と民が協働して対応していく、この考え方が重要だと思います。

 具体的には、官がこれまで以上に民の力を最大限引き出すべく行動し、一方で、今まで官の領域だと言われている部分、こうした官の領域だとされていた社会課題に対して民の力を大いに発揮してもらう、こうした考え方が重要だと思っています。

 その際、格差とかあるいは気候変動といった社会課題、これを障害物と考えるのではなくして、逆に、こうした分野に民の力を結集することによって成長のエンジンに変えてしまう、こういった発想が大事であると思っています。

 官が呼び水となって、課題とされている分野に新たなマーケットをつくって、そして民の投資を集め、官民連携で社会課題を解決して、そしてそれを力強い成長につなげていく、こうした二兎を追うという考え方、これが持続可能な資本主義を実現する上で重要であると考えています。

 その際に行わなければならないこと、分配の目詰まりの解消、そして付加価値を生む分野への過少投資を克服しなければならない、それから労働移動も、新分野にしっかりと労働移動が行われるような後押しをしていかなければいけない、さらには、多様性を取り込む、健全な新陳代謝、こうしたものを進めていかなければならないと思います。

 その際に重視することとして、人への投資、そして科学技術、イノベーションへの投資、スタートアップ投資、そしてグリーン、デジタルへの投資、この四つが柱になると思っています。是非、こうしたものを強化しながら、新しい資本主義、先ほど申し上げました資本主義のバージョンアップ、これを実現していきたいと考えております。

 こうした考え方は、日本のみならず、アメリカあるいはヨーロッパにおいても、同じ発想で新しい経済モデルが模索されています。是非、世界がこうした同じ意識の下に、認識の下に新しい経済モデルをつくっていこうと努力していくことが資本主義全体のバージョンアップに向けて大変重要な取組ではないかと考え、日本においても、こういった発想で経済モデルの構築に努めていきたいと考えております。

小倉委員 総理、ありがとうございます。

 総理の御発言の中にもありましたように、新しい資本主義においては、社会課題の解決を経済のマイナス要因と捉えるのではなくて、むしろ、社会課題の解決を経済社会活動に取り込むことによって経済成長も同時に達成をしていく、そのためのプレーヤーも育てていくというところが重要だと思います。

 その考えにのっとって、幾つか具体的な議論をさせていただきたいと思います。

 まずは、デジタル田園都市国家構想であります。通称デジ田というふうに言われておりますが、まさにこのデジ田の取組も、今私申し上げたような新しい資本主義の根幹を成すべきものだと考えています。

 今、自民党の青年局長として全国を行脚をさせていただいております。先日お邪魔をいたしました長野県の伊那というところでは、伊那という町は、非常に高齢化も進んでいて、面積も広くて、中山間地も広がっている、医療従事者の確保にも難儀をしている、そういう町であります。こういった様々なハンディキャップをむしろばねとして、伊那という町では移動診療車を始めました。

 通常であれば、オンラインの診療機器を使い切れない御高齢の方の元に、ドライバーと看護師だけ乗せて移動診療車がその方の元に伺う。そうすれば、御高齢の方でもオンライン診療を受けることができますし、何よりも、移動の時間を省略をすることによって、ドクターもより多くの方の診察をすることができる、このような取組を始めました。

 これまでの地方創生のデジタルでも、もしかしたらあったかもしれません。しかし、これまでとの違いは、こういった伊那におけるすばらしい取組をパッケージ化、カタログ化をして、より多くの自治体に速やかに取り入れてもらえるような、そういうことを初めから制度として設計をしていく点にあるんじゃないかと思います。より多くの自治体に取り入れていただければ、参画する事業者にとってみても、早くから採算に乗りますので、いつまでも補助金に頼らずに自走化をすることができます。

 そういったことがまさにデジタル田園都市国家構想の中で様々既に起ころうとしていて、そして、この交付金、既に決定もいたしておりますけれども、二百億円の枠内で、非常に人気のある交付金になっている、このようにお伺いをしております。

 ただ、この予算はあくまでも補正予算の枠内でありますから、やはり、私なんかが思いますのは、このようなすばらしい交付金であれば、もちろん、これからもしっかり確保することはもとより、当初予算化をする、そういうことによって、自治体にとって先見性というか予見性を高めていく。さらには、地方創生推進交付金におけるソサエティー五・〇タイプのように、すぐには実装ができないけれども、何年か支援をしてあげればすばらしい取組になる、このような、複数年度使えるような、そういう交付金にもしていくべきなのではないかというふうに思います。

 政府の中で、これからデジタル田園都市国家構想総合戦略を打ち立て、それに基づいて、今、第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略を立てている自治体も改定作業に入ると思います。自治体にとってみれば、デジ田とは何ぞやというところだと思いますので、そういった自治体に対して、政府がしっかりとコミュニケーションを図っていく必要もあるんじゃないかと思います。

 非常にデジ田の担当大臣には今リーダーシップが求められている、そんな時期だと思いますし、担当の若宮大臣、しっかりとリーダーシップを果たしていただけるもの、そう確信をしておりますので、是非、若宮大臣から御答弁をお願いしたいというふうに思います。

若宮国務大臣 小倉委員にお答えさせていただきます。

 デジタル田園都市国家構想、これは、人口減少ですとか少子高齢化、あるいは産業の空洞化などの社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあることなどを踏まえまして、このデジタル技術の活用によって、地方の個性を生かしながら、地方の課題解決、魅力向上を実現して、地方から全国へのボトムアップの成長を目指すものでございます。

 私自身、やはり地方にとっての不利、それからまた不便、あるいは不安、この三つの不をどんどん解消していかなければいけない、その解消をするのがこのデジタル田園都市国家構想の概念だというふうにも理解して進めているところでもございます。

 この実現に向けまして、デジタルを活用した地域の課題解決、魅力向上に向けた地方の自主的でそして主体的な取組を推進するのが、今委員からも御指摘いただきました、デジタル田園都市国家構想推進交付金、あるいは地方版の総合戦略の改定へのサポート等でございます。

 こうした認識の下で、このデジタル田園都市国家構想実現に向けて地方が必要とする支援、しっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますが、委員が御視察をいただきました長野県の伊那市、これは非常にいい展開をされている事例でございます。こうしたことも全国へ面展開を進めていくことも後押しして、しっかりと取り組んでまいりたい、こう思っております。

小倉委員 ありがとうございます。

 このデジ田の大本は、大平正芳元総理が唱えられた田園都市国家構想でございます。非常に先見性があることをおっしゃっていて、当時、中央集権か地方分権かではなくて、中央集権も地方分権もということをおっしゃっていました。

 何でもかんでも政府がやるのではなくて、何でもかんでも地方に任せるのではなくて、やはり役割分担をして、政府の責任の下で進めていくところは進めていく。例えば、5Gとか光ファイバーとか海底ケーブル、さらには情報連携ですとかサイバーセキュリティー、こういったものは地方に委ねるのではなくて、政府が責任を持ってベースをつくっていく、こういったことについても是非お願いをしてまいりたいというふうに思います。

 続きまして、社会課題と経済成長の両立という意味で、私が大変注目しているのがバイオ産業であります。

 バイオ産業というと、これまでは食品と医薬品が注目をされてまいりましたが、今、可能性が広がっているのはバイオものづくりであります。

 海洋汚染を防止をするためのバイオプラスチックやバイオ繊維、あるいは、CO2を吸収をしながらも、むしろそれをエネルギーに変えていくような夢のようなバイオ燃料、こうした技術がまさに実用化に向けて研究が進められているところでありまして、二〇三〇年代には四百兆円、世界全体で合わせて、市場規模になるというふうに言われております。

 そういった中で、アメリカも、毎年二兆円を超える投資をすると表明しておりますし、期間は不明ですけれども、中国も、十兆円を超えるバイオ産業に対する投資を行うということを聞いております。我が国でも、先日行われましたクアッドで、昨年の秋から、日米豪印の四か国でバイオ産業の振興について連携をしていくという話を伺いました。

 まさに社会課題とそして経済成長を両立をする可能性があるバイオ産業を、これから出されるであろう新しい資本主義実行計画の中で、AIや量子コンピューター、そういったものと並んでしっかりと盛り込んでいくべきだと思いますが、担当の山際大臣にお考えを伺いたいと思います。

山際国務大臣 委員からは、本当に大切な御指摘をいただいたと思います。

 特にバイオに関しては、どうしても我々イメージするのが、おっしゃったように、医療とか食料、ここの部分をまずは真っ先にイメージするんですね。しかし、これまでも、実は政府としてもバイオ戦略というのはずっと作って進めてきた部分がありまして、まさにこれから新しい資本主義実行計画の中でそれを花開かせる、そういうステージに来たかなと思っております。

 ですから、AIや量子と並べてバイオのこともしっかりと新しい資本主義の実行計画の中には盛り込んでまいりたいと思っております。

小倉委員 山際大臣、明言をしていただきまして、本当にありがとうございます。

 バイオにしても量子コンピューターにしてもAIにしても、あるいは遺伝子治療や再生医療に関しても、高度な計算処理能力が必要とされます。ますます、半導体の重要性が今後も増していくと思います。

 かつて日の丸半導体と言われていて市場を席巻をしてきた我が国の半導体産業も、残念ながら、今、主流のフィン型と言われている半導体の開発に乗り遅れて、中国や韓国、台湾の企業に大きく先を越されてしまっております。しかし、先ほど総理が、権威主義国家対自由主義国家の対立が深まっているという話がありました。当時であれば、我が国で生産をしなくても、他国に委ねて、グローバルな分業体制の中で半導体を作っておけばいいという考えの下で選択と集中を進めてきたかもしれませんが、そういった世界観の中で、やはり戦略物資に関しては、国内でしっかりと生産できる体制をつくっていく、せめて価値観を共有する国同士でサプライチェーンを構築をしていく、そういったことを考えなければいけない時代になりました。

 そういった中で、総理は、この前の日米首脳会談でも、GAAと言われている次世代半導体の開発について、アメリカと日本と共同でやっていくということをお決めになったというふうに思います。

 そこで、提案をさせていただきたいのは日本と台湾との連携でありまして、台湾も、半導体の受託生産でいえば世界のシェアの七割近くになっております。また、台湾は、日本と、法による支配とか自由、民主主義、資本主義、様々な価値観を共有をしている国でもあり、大変な親日国でもあります。せんだって、台湾の半導体の最大手メーカーのTSMCが、つくばと熊本にそれぞれ研究開発拠点と工場を置くことを決めました。そういった台湾と、実は、次世代半導体技術でいえば、後工程と言われている半導体のパッケージング技術、ここで日本と台湾はしっかりと共同できるのではないか、そのような見立てもあります。

 そこで、しっかり台湾も含めてこういった国々と連携をしていくことについて、担当の萩生田大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

萩生田国務大臣 先日の日米首脳会談では、次世代半導体の開発を日米が共同して推進するための共同タスクフォースの設立に合意するなど、半導体サプライチェーンの強靱化に向けた有志国、地域との連携強化の必要性が一層強まっていると思います。

 先生も御指摘になられましたけれども、一九八〇年代は、まさに世界シェアの半分以上を日本国産の半導体が占めるという時代がございました。御案内のように、日の丸半導体というワードに象徴されるように、どちらかというと、国内でクローズして、そして、ある意味独占を目指したという時代があったんだと思います。その後、日米半導体の様々な協定の中で、海外からのプレッシャーもあって、そして凋落の一途をたどるということになりました。

 四十年かかりましたけれども、私、首脳会談の露払いで、先日、アメリカに行ってこの準備をしてきまして、これからは、御指摘のように、同志国と連携してサプライチェーンの強化を図っていくこと、また、技術開発も、一国にクローズするのではなくて、大切な技術はやはり共有していくということをしっかりやっていこうということを決めさせていただきました。

 こうした中、我が国の半導体産業にとって台湾との連携も極めて重要だと思っております。例えば、昨年度より、TSMCと国内の半導体製造装置、素材メーカーが連携し、次世代半導体の実現に不可欠な先端パッケージング技術を、研究開発に取り組んでいるところでありまして、新たな研究開発拠点であるTSMCジャパン3DIC研究開発センターも近日中に開始をする予定です。

 また、熊本では、TSMCとソニー、デンソーの合弁会社による先端ロジック半導体の製造拠点の整備が進んでいるほか、同社が参画する九州半導体人材育成等コンソーシアムは、即戦力となる人材育成のために、基礎から実用までの一貫したカリキュラムの開発に取り組んでおります。

 引き続き、米国や台湾との連携強化を通じて、我が国半導体産業の国際競争力強化に取り組んでまいりたいと思います。

小倉委員 萩生田大臣、ありがとうございます。

 青年局と友好関係にある台湾に、三年ぶりに、ゴールデンウィークを使いまして訪問させていただきました。日本に対する期待は非常に高いものがございます。是非、CPTPPへの加盟も含めて、政府に御支援をいただけるとありがたいな、このように思っております。

 続きまして、先日の、先ほど申し上げた、ギルドホールで大変話題になった総理の資産所得倍増プランについてお伺いをしたいと思います。

 資産所得倍増というと、中には、一体いつまでに達成をするんだということをおっしゃる方がおりますけれども、私はナンセンスだと思います。給与所得と違って、資産所得というのはその年々の金融市場や経済の状況によって大きく変動するものでありますから、年ごとの資産所得の状況を見ても、あるいは達成年度は何年だということを議論しても、余り意味がありません。

 これはGPIFの議論と似たところがありまして、GPIFも、四半期収支を捉まえまして、大きくマイナスになったときだけ騒いで、プラスになったらだんまりという方もいらっしゃいます。ただ、実際に、安倍政権発足以降十年の間で、GPIFの……(発言する者あり)別に言っていませんから。いる人がいますと言っているだけですから。実際に、GPIFの含み益は百兆円近くになっております。ですから、投資というものは、私は中長期で評価をしていくべきものだと思います。

 パネルをここで用意をさせていただきました。

 左側のパネルを御覧ください。分散投資の効果ということで、緑が定期預金だけの場合、そして青が国内で分散投資をした場合、さらには赤は国際分散投資をした場合でありまして、この二十年間の間の利益率をグラフでお示しをしております。実際に、この二十年といえばリーマン・ショックを挟んでおりますので、大きく下落しつつも、国際分散投資を図っていただければ、二十年間で実は資産というのは倍増いたします。

 一方で、この右側を御覧をいただきたいと思いますが、アメリカとイギリスと比べると、日本というのは現預金の割合が五割を超えている。左の折れ線でいえば、緑のところを中心に投資をしているのが我が国の金融資産の状況であります。

 そういう意味では、これから我が国の課題は、どうやったら、額に汗を流して働くことも重要ですが、たまったお金にどうやって汗を流してもらって、少子高齢化の問題、あるいはインフレの問題、こういったものに対応していただけるかということを真剣に考えねばなりません。

 この話をすると富裕層優遇だという話がありますが、例えば今のNISAの制度は、年間の積立金額は四十万円です。むしろ中間層の人たちにしっかりと投資をしてもらうというのが岸田政権の考えでありますし、そういった方々の老後に向けて自助していただけるようになれば、金融資産を持っていない、まさに生活困窮者の方に対して政府は重点的に支援の手を差し伸べるようにもなろうかと思います。

 そういう意味でも、非常に、この資産所得倍増プラン、重要だと思いますし、金融経済教育の充実や、あるいは総理が触れられたNISAの拡充、こういったものが非常に重要だと思いますが、是非、鈴木金融担当大臣にお考えをお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 小倉先生御指摘のとおり、我が国の家計金融資産の半分以上、これは預貯金で占められているわけでございます。このことを鑑みまして、この預貯金を投資へシフトさせることによりまして家計の金融資産を大きく拡大させるポテンシャルが我が国にはまだまだあるんだ、こういうふうに思います。

 このため、金融庁としては、総理が示されました方針も踏まえながら、NISAの抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、幅広い観点から検討してまいりたいと思っております。

 それからまた、御指摘をいただきました金融経済教育についてでありますが、個々人が自らのライフプランやニーズに合う金融サービスを適切に選択できるようにし、また、国民の資産運用への関心を高めていくためにも、金融経済教育、これは必要不可欠なものであると思っております。人生の様々なステージで金融経済教育を受ける機会が確保されること、これが重要と思います。

 こうした観点から、金融庁では、金融経済教育につきまして、学生向けのほか、各世代を対象とした取組も行っているところでございます。

 今後も、関係機関等と連携をしながら、金融経済教育についてしっかりと取組を進めてまいりたいと思っております。

小倉委員 大臣、ありがとうございます。

 NISAの拡充については、今後、税制のプロセスの中で議論が本格化をしていくと思いますし、金融経済教育についても非常に重要な点を述べてくださいました。

 金融経済教育というと、どうしても学校現場をイメージしがちでありますけれども、やはり本格的にお金のことを考えるのは、お金をためたときとか借りたときであります。そういう意味では、奨学金を借りた学生ですとか、あるいは社会に出て初めて給与を稼ぐ新人研修教育の際ですとか、あるいは会社をリタイアされて退職金をいただいたとき、年金を初めてもらうとき、こういったライフイベントに合わせて適切に金融経済教育を行っていくということも非常に重要なのではないかなというふうに思います。

 資産所得倍増プランの中で重要なのは、貯蓄から投資の流れを増やしていくと同時に、投資のリターンを上げていくということであります。投資のリターンというのは企業価値でありまして、取りも直さず、日本企業の収益を上げていくということであります。

 長らく続くデフレの中で、ややもすると、日本の企業の経営者は、省力化投資をして経費を節減をして人件費を抑えて、それで、販売価格を抑えて数量を売って、広く薄く稼ぐことによって利益を確保する、このような経営に終始をしてきたかもしれません。しかし、本来重要なのは、マークアップ経営といって、きちんと設備投資を行う、そして人的投資も行っていく、他社にまねできないようなサービスや製品を生み出すことによって、価格をむしろ上げてでもマーケットシェアを確保していけるような、そのような経営をしていただくことが重要だというふうに思っております。

 同じく青年局でお邪魔をした新潟には、サトウのごはんを作っているサトウ食品という企業があります。レトルト御飯の第一人者でありますが、この企業の話を聞くと、九〇年代、他社も参入をして価格競争が激化をして、そして苦境に陥ったことがあるそうです。そのときに、他社に付随をして価格を下げるのではなくて、むしろ釜炊き製法を始め一生懸命品質改善をして、そしていい物を生み出すことによって、価格も下げず、市場シェアも落とさず、むしろ売上げと利益を上げることができたということであります。

 やはり、こういったマークアップ経営を日本で広めていかなければいけない。裏を返せば、今の現状にあぐらをかいている経営者や経営陣に対しては、適切にプレッシャーをかけていく必要があるというふうに思っております。

 そのうちの一つがコーポレートガバナンスの改革でありまして、私も仕事柄、いろいろ金融関係者にお話を聞きます。安倍政権発足以来のコーポレートガバナンス改革の累次の取組、非常に評価をされております。

 ただ、まだまだ改善すべき点があるというふうにも言われておりまして、例えば、独立社外取締役の割合がまだ欧米に比べて少ない、あるいは、独立社外取締役の、例えば女性とか外国人とか若い人、ダイバーシティーが不足をしているというふうにも言われております。こういった方々が取締役会に対して、現経営陣に対して異論を唱えているかどうか、これも不明でございます。あるいは、政策保有株、持ち合い株も減ってきたとはいえ、やはり一定割合あって、こういった持ち合い株の株主が物言わぬ株主として日本のコーポレートガバナンスの規律を緩めているというような、実際にそういう指摘もございます。

 そういう意味では、これから先、企業統治の体裁は整ったけれども、いかに実質化を図っていくか、この点に世界中の投資家は注目をしていると思います。

 是非、インベスト・イン・キシダを進めるためにも、このコーポレートガバナンスの実質化、しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、この点について鈴木大臣に再びお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 日本企業の中長期的な価値向上を図る観点から、コーポレートガバナンス・コードを策定、改定するなど、これまでコーポレートガバナンス改革に取り組んできたところでございます。

 その主な成果といたしましては、独立社外取締役を三分の一以上選任している企業は東証のプライム市場上場企業の八割強、指名委員会を設置する企業はプライム市場上場企業の八割弱に達している状況になっております。

 一方におきまして、小倉先生御指摘のとおり、企業の取組が形式的なものにとどまっており、実質的なものになっていない、必ずしも中長期的な企業価値向上につながる実効的なガバナンスとして機能していないのではないかという御指摘もあること、これは承知をいたしております。

 こうした指摘も踏まえまして、金融庁では、コーポレートガバナンスに関する有識者会議を開催をして、企業の取組状況等について点検を行うなど、ガバナンス改革を更に進めようとしているところでございます。

 金融庁として、御指摘の点や企業の取組状況の点検結果等を踏まえながら、取締役会の適切な機能発揮や企業と投資家の建設的な対話の促進等の取組を更に推し進め、日本企業のコーポレートガバナンスの実質化に努めてまいりたいと思っております。

小倉委員 ありがとうございます。

 総理の最初の答弁で、経済の新陳代謝を適切に進めていく、そのためにスタートアップを大胆に支援をするという話がございました。

 パネルを御覧ください。

 右側でありますけれども、アメリカの株価指数でありますS&P、そして、日本の株価指数でありますTOPIXを並べております。それがグレーの線と青の線でありますけれども、非常に大きな差がつけられてしまっております。

 ただ、ここにGAFAMと書いてありますけれども、いわゆる巨大プラットフォーマーの五社、これを除いた両方の株価指数は大差がありません。赤い線とグレーの線です。ということは、この十年間、二十年間の日本経済とアメリカ経済の差というのは、大きく単純化をすれば、アメリカはGAFAMを生み出し、日本はそれが生み出せなかったということに尽きると言っても決して大げさな表現ではないというふうに思います。

 実際に、上場前で時価総額が約一千億円を超える企業のことを、非常に珍しい存在という意味で、架空の動物になぞらえてユニコーン企業と言いますけれども、この左上のグラフにもありますように、ユニコーン企業といっても、アメリカでは六百社いますから珍しい存在ではなくなっているんですが、そのユニコーン企業の数も、経済規模でいえば四倍にすぎないアメリカに、百倍以上もの差をつけられてしまっているのが日本の現状であります。

 先日、ベンチャー投資に非常に熱心な企業のトップとお話をしました。今日本がスタートアップ支援に本腰を入れなければ、日本経済に後はないというようなことを断言をされておりました。

 私も、予算、税制、教育、規制改革、政府調達、さらには司令塔機能の設置、打てる手段を全て打たなければ、今の日本経済に次のチャンスはない、これぐらい強い危機感を抱いております。

 党の方でも、あらゆる分野の専門家の議員が集まって、多くの有識者に話を聞いて議論を重ねて、そして提言を作成して、つい先日、総理のところに説明に行ってまいりました。

 総理も、恐らく同じような問題意識の下で、総理になられてからたくさんの起業家に、それこそ膝詰めで意見交換をされてきたと思います。そして政府においても、スタートアップ五か年計画ということで、強力な指示を出されていると思います。

 是非、スタートアップ支援に関する総理の強い思いを重ねてお伺いができればというふうに思います。よろしくお願いします。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 先ほど来、委員の方から大変有意義な議論を展開していただいておりますが、委員が御指摘になられました我が国における金融資産、二千兆円の金融資産のうちの半分が預貯金であるということ、ここに我が国の潜在力やポテンシャルがあるんだという考え方に基づいて、貯蓄から投資へのシフト、これを大胆に、抜本的に進めなければいけない、そして、投資による資産所得倍増を実現するために、様々な政策を総動員して、資産所得倍増プランを進めていきたいということを申し上げているわけですが、その際に重要なことは、一つは、先ほど委員も御指摘になられました、こうした動きを中間層にも広げていくということで、NISAの拡充等を進めていかなければいけない。

 そしてもう一つ大事なのは、投資先の魅力を高めなければならないということで、投資する先の魅力を高める取組として、一つは、先ほど御指摘がありましたコーポレートガバナンス改革があり、そしてもう一つが、今委員が質問の中で御指摘されましたスタートアップ、これをしっかりと支援していく、投資先として魅力あるものとして支援していく、こうした取組であると考えています。

 そして、そのスタートアップについては、海外大学の誘致を始めとするスタートアップキャンパスの創設ですとか、あるいはスタートアップへのSBIR制度の抜本拡充ですとか、それから、海外のベンチャーキャピタルの誘致あるいは公的資本の参加、こうしたことも考えていかなければなりませんし、個人金融資産及びGPIF等の長期運用資金のベンチャー投資への循環、こうしたことを一体的に進めていくことが重要であると考えます。

 こういったスタートアップエコシステムと呼ばれるシステムをしっかりと育成する、こうした育成の全体像を、是非、五か年計画ということでまとめるとともに、実行のための横断的な司令塔機能、これを明確化することによってしっかり推し進めていきたいと思っています。

小倉委員 ありがとうございます。

 一つグラフを紹介し忘れてしまいましたが、左下は、地域別のスタートアップの投資額を示させていただいております。GDPでいえば国内の大体二割ぐらいの東京が、実はスタートアップの投資額でいえばもう八割以上を占めているということで、極端な東京一極集中になっております。

 地方にも様々なよいイノベーションの芽があると思います。地方にもしっかりとお金が回っていけば、このスタートアップ支援というのがすなわち地方創生にもつながるというふうに思っておりますし、様々な社会課題解決にビジネスの中で取り組んでくださっているいわゆるソーシャルスタートアップの方々というのも、先ほど来申し上げているような、社会課題解決とそして経済成長の両立を図る上での重要なプレーヤーでございます。そういった方々を支援をしていただきたいと思います。

 党の方でも、これまでスタートアップというのは中小企業政策の中で捉えられてきました。例えば黒字化要件みたいなものも、スタートアップにとってみれば、やはりなかなか黒字化というのはすぐには達成できません。あるいは、資金調達の面においても、何度でも失敗してようやく成功するのがスタートアッパーですけれども、一番最初に始めるときに例えば不動産の担保を求められるとか個人保証を求められてしまって、一回も失敗できない、こんな感じになってしまっているところもございます。

 そのためにこそ、スタートアップ振興法というものも作らせていただいて、やはり中小企業の中でスタートアップを切り出して支援をしていくということも必要なのではないかというような議論もいたしておりますので、是非御指導いただければと思います。

 新しい資本主義でもう一つ重要なのは成長と分配と好循環でございまして、総理も、成長か分配かではないということを明確におっしゃっております。成長を犠牲にして分配に回すのでもなければ、あるいは、成長させてから先に分配をするのでもなく、むしろ経済成長を通じて同時に分配がなされる、あるいは、分配をするに際しても、成長につながるようないわば投資的な分配を行っていくというのが新しい資本主義の大きな特徴だと私は考えております。

 その意味では、先ほどの投資も、国民に投資をしていただければ、企業が利益を上げて経済が成長すれば株価が上がって配当が上がるという形で、実は成長と同時に分配も行われるものの一つでもありますし、総理がおっしゃってくださった人への投資も、単に分配をするのではなくて、生産性を高めて、決して企業の収益と相対立しない形での人への投資を行っていくというのが新しい資本主義の中では重要だというふうに思っております。

 今回の金融経済対策の中でも述べられておりますように、まず最初に行われたのが賃上げ税制でありまして、既に施行されておりますし、これを着実に進めていくというのを対策の中でも書いてくださっております。しかし、この賃上げ税制というのは実はもう何年もやっておりまして、多くの企業に適用していただいております。本来は、かなり大がかりな税制なので、こういった既に行われている賃上げ税制が一体どれぐらい賃上げに寄与したのか、もうちょっと分析をして、改善点がどこにあるのかというのを考えた上で、これからもしかしたら強化をされるであろう賃上げ税制にそのエッセンスを取り込んでいくということが重要なのではないかと思います。

 私も、ライフワークの一つとして、EBPM、エビデンスに基づく政策立案というのを主唱してまいりました。この賃上げ税制においてEBPMをしっかり行っていくということを、是非、萩生田大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 委員御指摘のとおり、税制の効果検証をしっかりと行っていくことは重要でありまして、このため、租税特別措置については、政策評価書や点検結果や、あるいは租税特別措置の適用実態調査など、EBPMの観点も踏まえて、その必要性や政策効果について評価を行った上で税制改正要望を行っております。

 他方、賃上げは、税制のみならず、企業収益や雇用情勢などに影響を受けるものでありまして、税制の効果だけを取り出して経営者の賃上げ判断への影響を測ることや、税制の導入による賃上げの効果を定量的にお示しすることは難しいものの、アベノミクスの取組の中で二%程度の賃上げを達成してきておりまして、これには税制も一定の寄与をしてきたものと考えています。

 その上で、今般の大企業向け賃上げ促進税制の改正におきましては、一人一人の賃上げを促す観点から、直近の制度では新規採用者のみ賃上げ要件であったところを、継続して雇用される従業員の賃上げを評価する仕組みに改めて、賃上げ効果の拡大を図っております。

 引き続き、EBPMの観点も踏まえて、政策効果など評価をしっかりと行い、適切な見直しを行ってまいりたいと思います。

小倉委員 ありがとうございます。

 次の質問に移りたいと思います。パネルを御覧いただきたいと思います。

 次世代インターネット、ウェブ3についてということで、恐らくウェブ3について、何ぞやと、理解をしていただいている方はまだ少ないと思います。

 ここに簡単に書かせてもらっておりますように、ウェブ1は、ホームページを中心とした一方向の世界です。ウェブ2は、SNSが普及した時代でありまして、双方向で誰しもが発信者になれる時代。ウェブ3は、NFTを始めとするブロックチェーン技術を使って、双方向プラス、いわばデジタルの中で所有権に近い概念が生まれている世界でありまして、所有権が生まれているということは、ウェブ2のように巨大なプラットフォーマーがデータも利益も独占をする時代から、それぞれデータを持っている人がオーナーシップを持って活動でき、そこで利益を上げられる、非常に公平で分散型の、そういう社会にウェブの世界も移行するのではないかというふうに言われております。

 このウェブ3に関しては、若い人を中心に、非常に日本に優秀な人材がたくさんおります。そしてまた、アニメやゲーム、漫画、そして日本の伝統文化といった、実はウェブ3の中で非常に評価をされているものが日本に大きな強みを持っているというような、そういう事情もありますけれども、残念ながら、曖昧な制度ですとか、あるいは過剰な税負担で、そういった若い人たちが国外で起業するという例が後を絶ちません。

 これからのウェブ3の中で、しっかりと日本が環境整備をしていくということを宣言していかなければならないと思っておりまして、自民党でも、専門の弁護士チームを組成いたしまして、かなり広範に、具体的に論点整理をして、これもまた総理に先日御説明をしたところであります。

 大変心強かったのが、ギルドホールの講演で、ウェブ3の環境整備をしていくということを総理が明言してくださったことであります。そういう意味では、もう一度、ウェブ3の環境整備について総理から御発言をいただきたいと思います。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 御指摘の自民党の提言、NFTホワイトペーパーという提言をいただいておりますが、その中では、ウェブ3時代の到来、これは日本にとって大きなチャンスであり、この流れに乗り遅れないようにという観点から様々な提言をいただきました。大変貴重な提言をいただいたと思っています。

 ウェブ3の技術を使って何ができるかということ、私もいろいろ提言をいただいて勉強をしてみるわけですが、例えば、あたかも仮想空間上で生活ができるかのようなメタバースによって、地方に居住していても、移動に不自由があったとしても、世界中の人々とビジネスが行うことができるなど、日本の優秀な人材が持ち得る力を遺憾なく発揮できる、こうした社会が実現できる、こうした話も聞きます。

 また、デジタルデータというのは基本的にコピーが容易であるという特徴があったわけですが、NFT、非代替性トークン、これを活用することによって、デジタルデータであっても唯一無二であることを証明することが可能になる、このことによって、独創的な芸術作品などをデジタル技術によって世界に広めることができるなど、様々な可能性があるということ、いろいろと話を聞かせていただきました。

 是非、こうしたウェブ3時代の到来を踏まえて、今述べたような新たなデジタルサービス、こうしたことを取り込んでいく、このことが我が国の更なる経済成長の実現につながっていくと確信をしています。是非、このウェブ3時代を迎えて、政治の立場から環境整備等しっかり進めていかなければいけない、改めて強く感じております。

小倉委員 今の総理の言葉を関係者が聞いて、非常にやはり具体的によく理解してくださっているということが伝わったと思います。ありがとうございます。しっかりウェブ3の環境整備も引き続きお進めいただきたいと思います。

 ちょっと質問はできませんが、恐らく山際大臣と牧島大臣のところで、引き続き政府部内ではやっていただけると思います、質問はちょっとできませんけれども、デジタル庁の組織の強化も、非常にたくさんの今仕事がデジタル庁に降ってきてなかなか難しいところもありますので、体制強化もお願いをしたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、今申し上げたような、グリーン、デジタル、人への投資、これをしっかり行うことによって三%ずつ追加投資を行うことができれば、GDPにして年間二%ずつ追加的に成長させることができます。これを、一年間で十兆円ですから、十年間続ければ日本のGDPを百兆円底上げをすることができる。恐らくこういった大きな経済対策を今後様々な場で議論をしていくことになろうと思いますが、最後に、足下のやはり燃料価格や物価高対策についてお伺いしたいと思います。

 青年局長として、様々な経済団体に所属をしている中小企業の経営者の方々にお話を伺うことが多々ございます。値上がりによって見積りすら立てられなくなった建設事業者や、あるいは材料価格が上がっても販売価格が上げられない漬物事業者の皆様方の話まで、そのような声を多数いただきます。

 是非、最後に、担当の山際大臣に、今回の経済対策や既に出されておる史上最大規模の今年度の当初予算で、しっかりこういった安心できるような物価高対策を講じていけるんだということを御答弁願いたいというふうに思います。

山際国務大臣 岸田内閣で最も大切にしていることは、総理から都度都度皆様方に申し上げていますように聞く力でございまして、まさに青年局長として地域を回られて、その現場で何が起きているかという生の声を集めていただいて、それを自民党の提言として政府に投げ込んでいただいている、それに基づいて今回も総合緊急対策というものを練り込んだわけでございます。

 ですから、今おっしゃっていただいたようなものに対して適切に対応できるようにしてまいりたいと思いますが、もう一つ大事なことは、タイミングを逸しないということだと思っておりまして、そういう意味でも、総理から御指示がありましたように、まずは予備費、そしてコロナ予備費というものをしっかり使って今必要なことをやる。そしてさらには、新しい資本主義実行計画を見ていただくと、これから先何をやっていけばいいのかということを共有していただけるようになってくる。切れ目がなく、そこを官と民で一緒にやっていく、これが大事なことでありまして、それをしっかり示しながら皆様方をサポートしてまいりたいと思っております。

小倉委員 力強いお言葉、ありがとうございます。

 最後に、この本補正予算の早急な成立を委員各位の皆様方にお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

根本委員長 この際、国光あやの君から関連質疑の申出があります。小野寺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。国光あやの君。

国光委員 茨城六区選出の衆議院議員の国光あやのでございます。

 本当に若輩にもかかわらず貴重な質問の機会をいただきまして、改めて感謝を申し上げます。

 私からは、コロナ対策、社会保障、そして少子化対策や女性活躍など、国民の皆様に比較的身近なお話、是非これを、今本当に国民の皆さんがコロナやそしてウクライナ危機で非常に苦しい、不安な思いをされている、その思いをしっかり質問でお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、コロナ対策でございます。

 実は、私、元々内科医をしておりまして、今でも地元の茨城で診療を続けております。この二年余り、コロナ患者さん、ECMOの診療に当たったこともあります。そしてまた、みとりもさせていただいたこともあります。そして、ワクチン接種も数千人の方に地元でさせていただき、それを、現場の課題をいかに国政に生かしていくかという視点で取り組んでまいりました。

 この二年余り、一つ本当に実感することがあります。それはこのグラフを、お手元のを御覧ください。

 二年間本当に、国民の皆様、自粛の御協力や様々御協力をいただいて、コロナでもうそろそろ疲れた、もうコロナの話も飽きたなという頃かもしれません。だんだん出口に光が見えてきている、そういう状況かと思います。

 先ほど小倉先生からも、エビデンスベースドという話、EBPM、EBPHという話がありました。エビデンスで見ますと、つまりデータで見ますと、この二年間でコロナの重症度、よく、病気は何で見るかというと、がんでも脳卒中でも同じなんですが、やはり病気になった方が何人亡くなったのかということ、これを致死率と言うんですけれども、致死率というデータで見ます。

 発生当時は、まさにダイヤモンド・プリンセス号や様々著名人の方が亡くなった頃、これはお手元のデータで致死率を見ますと、ちょうど五・四三%。かなり、百人の中で五人以上が亡くなるという状況でございました。ただ、それ以降、どんどん治療法が開発されて、薬やワクチン、そして、総理も先頭に立ってワクチンの接種を、政府広報に登場されながら訴えていただきました。そのおかげで、今、何と致死率は〇・三五%まで落ちてまいりました。

 これは本当にすばらしいことで、日本で、国内のニュースで見ると、まだまだ課題も多いように見受けられますが、国際的にはこの致死率の平均は約一・二%です。日本は、致死率、亡くなる方も重症化する方も非常に低い、国際的にも本当にすばらしい成果を、亡くなる方には大変恐縮でございますけれども、上げておられます。

 よくインフルエンザと比べられますけれども、今、インフルエンザの致死率は、御覧いただいたとおり、〇・一%です。前は五・四%ありましたから、まだインフルエンザよりかなり高いという状況、SARSのやっと半分ぐらいになりましたが、今やインフルエンザにもう非常に近いレベルまで落ちてきたということ。よく診療現場では、ドクター同士でも話すんですけれども、ちょっとたちの悪い風邪というぐらいまで落ちてきたというのが実情だと思います。

 ここから何が必要なのか。我々は政治で、何が国民の皆様のために必要なのかということを改めて明確なビジョンを持って示す、出口に光をともしていく必要がある、そういう時期だと思います。

 是非、今日御提案したいのは、今なすべきことは、やはりエビデンス、データ、医学的根拠に基づいて、必要なことはしっかりやります、でも、それ以外の、ちょっと過剰に二年間、ちょっとやり過ぎているような感染予防対策、これは積極的に、例えばやめてみる、簡略化していくということがそろそろ必要な時期に来ていると思います。

 例えば、医学的に予防効果があること、これは明確です。一番効果があるものはやはり手指消毒、手洗いです。というのは、感染する経路というのはいろいろありますけれども、一番多いのは、これが七割です、結局、ウイルスが手についていて、それを口元、皆さん、お気づきにならない間に、一時間に何と四、五回は口元を触っているんです、気がつかない間に。マスクも、こう触っている間に口元に感染すること、これが一番経路が多いんです。なので、一生懸命この辺を拭いてみたりすることも大事なんですが、やはり手指消毒ですね、これを徹底していることが非常に大事です。その次に換気、それから人との距離、そしてマスク、この辺りがいわゆるエビデンスレベルで強い順番と言われております。

 では、これを踏まえて、常に必要でない、そろそろ、もうやめていってもいいのかなということを挙げてみますと、今ちょうど報道でも脱マスクのお話がたくさん出てきます。先日、脱マスク基準を明確化していただきました。どんどん学校現場などでも明確化していて、非常に私の地元茨城でも歓迎の声が聞こえております。

 例えば、これは、今テレビを御覧になっている皆様も、外でランニングをするとき、自転車をこぐとき、そして農作業をするとき、外遊びをするとき、マスクをしていませんでしょうか。でも、外で周りに人もいないときに、私の地元でも、一生懸命、畑で、本当に、田植をされたり野菜を作られたりする方がいらっしゃるけれども、周りに誰もいらっしゃらない、そういうときにマスクはやはり必要ないわけです。

 そういうことや、あるいは屋外でも、人とすれ違うときぐらいは、もう別に、通勤途中ですれ違うときぐらいはマスクを取ってもいい、こういうことを、やはり明確にもっと分かりやすく示していくべきだと思います。

 海外も、ほとんど今、ウクライナ危機、大変な状況ですけれども、マスクをしている方、あとコロナで心配な方、私、昔、ウクライナで医療支援をしていて、現地にもドクターの知り合いがいるんですけれども、ほとんどコロナのことをもう心配していません。そういう状況になってきております。

 そしてまた、環境の消毒。よく町中でも、机などを一生懸命頻回に拭いていらっしゃる場合がありますけれども、それも大事なんですが、やはりそれよりも、手を洗うこと、手洗いや手指消毒。そしてまた、手袋をつけっ放しでずっと触っている方もいらっしゃいますが、手袋も、やはりつけ替えないと余り意味がありません。そしてまた、エレベーターなどのボタンにシートを貼っています、抗菌シート。あれも本当に意味があるんでしょうか。それよりもやはり、お口を触るときにしっかり手を洗ってください、そういうことですね。

 それからまた、行政。この二年間、保健所や医療機関が逼迫して本当に大変だった。今でも大変です、特に保健所。でも、皆さん、陽性になった方はお分かりになると思います。一回陽性になったら、細かく聞かれます。どこで感染したんですか、今までどういう病気をやったんですか、たくさん聞かれて、私も今まで千人近くの方を診てまいりましたが、一人、大体三十分かかります。大変なんです。外国人だともっと大変です。やはり入院されている方でもすごく大変。これをやはり簡素化していく。もうそんな細かい既往歴よりも、取りあえず、個人情報と、それから今の重症度と、そしてワクチンの接種、今何回目ぐらいでもいいかもしれない。

 改めて、今、国民の皆さん、もうコロナに疲れています。どう出口に光をともすんですかということを政治が分かりやすく示すべきだと思いますが、この出口戦略についていかがでしょうか。お答えいただければと思います。

山際国務大臣 医学的な証拠に基づいて、エビデンスという言葉でおっしゃいましたけれども、様々な対応をしていくというのは、もうおっしゃるとおりだと思います。これまでもずっとそれを心がけてやってまいりました。

 その中で、なかなか国民の多くに周知されていないというようなことも見えているということも我々は分かった上で、先般、マスク等々について、その取扱いの明確化というものを出させていただきました。また、今御紹介いただいた陽性者の発生届の簡素化、これももう既に厚生労働省の方で議論していただいておりますので、簡素化の方向に行くと思います。

 出口という言葉を使うかどうか分かりませんが、私どもが考えている在り方というのは、ゼロコロナではなくてウィズコロナなわけですね。ですから、ある程度、感染症というものがあって、しかし、その感染症が存在していたとしても、私たちの普通の生活というものは、普通に生活することはできる、そのためには、科学的な根拠に基づいて、我々一人一人がその根拠に基づいた生活様式を行っていくということが大事だ、そのために、政府として、こういうものが科学的な根拠なんですということを分かりやすくお伝えし続けるということが大事だと思っております。

 おっしゃるように、オミクロン株だけであるならば、だんだん感染者数というのは減りつつありますから、まだ我々、最大限警戒するステージにおると思っておりますけれども、その方向を示すということは、今のタイミングで大切かなと思っております。

国光委員 山際大臣、ありがとうございます。

 いつも分かりやすく御説明いただいている山際大臣から、更にまた明確なメッセージを国民の皆様にお届けいただけるように、岸田総理とともに、よろしくお願いいたしたいと思います。

 続きまして、ワクチンのお話をお伺いしたいと思います。

 昨日から新しく始まったことがあります。報道にもたくさん出ております。ワクチン四回目の接種です。今この瞬間も、ワクチン四回目の接種を打っている方、たくさん全国でいらっしゃいます。四回目のワクチン、やはりこのワクチンも、一回目、二回目までは新鮮味があったかもしれない、四回目になると、一体何のためにやっているのか、だんだん分からなくなってくるというのが国民心理かもしれません。

 ただ、改めてこれは申し上げたいと思います。やはり、医学的根拠は一体どこにあるのか。これを見ていただきますと、四回目のワクチンの接種は、やはりこれは医学的に明確です。イスラエルやイギリスなどの先行している国のデータからは、ハイリスクの方、例えば、六十歳以上、そしてまた基礎疾患がある方、今お手元にあるような慢性の呼吸器病、これは肺気腫とかCOPD、たばこを吸う方は是非御注意いただきたいと思いますが、そして、血圧が高い方や腎臓の御病気、あと、肝臓病、肝硬変や肝炎などもあると思います。また、糖尿病、がんなどの免疫の機能が低下する御病気。そして、最近増えています、例えば睡眠時無呼吸症候群、これは意外にやはりリスクがあるんですね。なので、この睡眠時無呼吸症候群の方。そして、恐らく一番対象が多いと思われるのが、肥満の方です。

 BMI、大臣の皆様方、委員の皆様方、与野党の皆様は測っていらっしゃったことはありますでしょうか。簡単なんです。BMIは、体重を身長の二乗で割ってください。身長百六十センチの場合は七十七キロ以上、そして身長百七十センチ以上の方は大体八十七キロ以上が、BMI三〇以上です。これはデータで明確なんですが、三〇以上になると、本当にリスクが増します。やはり肥満は強敵です。たばこと並んで強敵です。

 そうではない、肥満じゃない方の大体三十倍ぐらいリスクがあると言われておりますので、委員の皆様方も大臣の皆様方も率先して、該当されると思われる方は、是非お早めにワクチン接種をお願いしたいと思います。

 今日は病院の待合室で見ていらっしゃる方もたくさんいらっしゃると思いますが、該当するなと思われた方は、かかりつけ医の先生に、是非、ワクチンの接種、四回目、御相談をいただければと思います。今接種券が来ていなくても、そのうち来る、又は、御自身で、自治体によっては、お届け、申請をするというスキームになっています。

 お伺いしたいのはこの点なんですが、接種券の配り方、私の地元も七市ありますけれども、ばらばらです。配る自治体もあれば、完全に自己申告、人口が多い自治体はやはり自己申告で、自分は肥満だなとか、自分はちょっと糖尿だなとか思われたら申告する。でも、これはほっておくと、やはりなかなか、もういいやになりがちということ。

 ただ、本当に、この四回目のワクチンの、ハイリスクの方の重症化予防効果は明確にありますので、これは打ったら何がいいかというと、大体三、四か月は、打たない人よりも重症化のリスクが何と七〇%も減るんですね。これはやはり打たないわけにいかないというふうに思っていただいて、是非率先して打っていただければと思っておりますが、いかんせん、なかなか、申請の仕方がいろいろであるということで、多少の混乱が出てくるのではないかということ、そしてまた、三回目の接種も、やはり接種率が、総理は率先してやっていただいておりますが、本当に、若い方ですとなかなか上がっていかないということが、まだ足踏み状態と言われております。

 これらの点、四回目の接種を円滑にすること、そして三回目の接種の底上げをすること、これについて、是非、厚労大臣からお答えをいただければと思います。

後藤国務大臣 今委員のお話を聞いて、私も思いに至ることがございました。

 まず、四回目の接種でございますけれども、新型コロナワクチンの四回目接種、これは重症化予防を目的として、高齢者等またリスクのある方々に接種をしていただくということで、昨日から、関係省令等を改正しまして、接種が可能となりました。引き続き、自治体と連携をしまして、情報の提供そして円滑な接種に努めていきたいというふうに思っております。

 それから、三回目接種でございますけれども、五月二十三日公表時点で、今、全人口に対する接種率が五七・六%、六十五歳以上の高齢者で八八・七%、二十代では三八・九、三十代では四二・八%となっております。

 今後、早い段階で、全人口で六〇%を超えまして、先進国でもトップレベルの水準に達しますように、現在、特に若い世代の方を中心に接種促進に取り組んでいるところでございます。

 政府としては、リーフレットあるいはCM等で情報発信を行って理解を深めていただくほか、特に、自治体、大学、企業が連携しまして、予約に空きのある自治体の大規模接種会場に、学生や従業員への団体接種をお願いしております。

 こうしたいろいろな対策を講じておりますけれども、是非、国民の皆様が自らの判断でワクチン接種の重要性を御理解をいただきまして、接種を推進していくように、挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

国光委員 ありがとうございます。是非お願いいたします。

 沖縄の感染が非常にちょっと不安視されていたものの、やはりワクチン接種を上げると大分落ち着いてくるというデータもございますので、医療行政、医療政策を知り尽くしておられる後藤大臣からリーダーシップを是非取っていただけると、大変ありがたいと思います。

 続きまして、後藤大臣にもう一点、医療体制のお話をお伺いしたいと思います。

 この二年間、国民の脳裏に非常に焼き付いていること、それは、去年の夏などが特にピークでございましたが、何で医療はこんなに逼迫するのかということでございます。逼迫する原因、私も一応医師の端くれでございますので、いろいろ内情を見るに思うところがあります。一つ言えるのは、やはりこのままではいけないということです。

 サル痘だって、今報道がすごい心配、いつ日本に入ってくるか分かりません。可能性は今後十分あり得ます。そういうときに、やはり感染症そしてまた医療体制をしっかり実効性あるものにしていくということ、これをいかに整えていくかということが必要でございます。

 今ちょうど、それをコロナの有識者会議で議論をされていると承知をしておりますが、是非御提案をしたいことが、私、二つございます。

 やはり、計画倒れになってはもう元も子もない。インフルエンザのときにもSARSのときにもそうでしたが、一生懸命そのときは議論するんですけれども、結局、喉元過ぎればになりやすいです。

 必要なのは、医療者、私もそうですけれども、医療者は国民の命、暮らしを守るためにあるわけであります。その医療者がやはり安心して、そして十分に診療に当たる、それを使命だと思い取り組む能力がある、診療能力ですね、ということが必要だと思います。

 そのために、例えば入院医療、随分報道でも、この二年間、たらい回しに遭った、なかなか入院ができない、それからまた、回復したときにも受皿がないという報道がありましたが、こうされてみてはいかがでしょう。

 やはり、そのときにお願いします、パンデミックになってお願いしますではなかなか、やはり平素の鍛錬が大事でございます。平素からいかにレベルを上げておくか。それをその医療機関、特に、入院者を、重症者患者を受け入れる医療機関、そしてまた回復者を受け入れる医療機関、この二つ、とても大事です。それを平素から、契約によって、例えば都道府県、あるいは、もう国直接でもいいかもしれません、トップダウンで。直接契約を結んで、パンデミックのレベルに応じて、このコロナだけじゃありません、絶対この五年、十年先にまた来ます、そのときに、契約に基づいて必ず受け入れていただく。

 そのために、事前に、やはり人材の育成やそして施設整備などを行っておく、財政支援も含めてですね。平素からしっかり訓練をしておいて、そして本番に生かすという、それを契約に基づいて対応していく。私、個人的には、従事者に関しても契約に入れてしまうというぐらい、国民はやはり求めていらっしゃるのではないかと思います。

 そうやって入院や、また、あるいは臨時医療施設もたくさんできましたが、医者確保にすごく困っていました。そういうときに、例えば、この病院から臨時医療施設、東京や大阪、派遣するんだという契約をあらかじめ入れておけばいかがでしょうか。特に、これは隗より始めよで、お足下、お膝元の公立・公的病院から是非取り組むべきだと私は思います。

 もう一つ、外来、やはりかかりつけ医でございます。かかりつけ医は本当に重要な機能で、もう地域のインフラです。でも、やはり私も業界にいるので分かるんですが、いきなり感染症を目の前にしても、いきなり診ろと言われても、消化器内科の先生、胃カメラしかやっていない先生が診てと言われても、やはり難しいんです。国民から見れば、内科だったら一緒だろうと思うかもしれませんが、練習していないとできないんです。

 だから、それは、やはりこのパンデミック、十年ごとに繰り返す、なので、平素からきちんとトレーニングをして、いざというときに、内科だったら少なくとも、きちんと呼吸器の初期症状、発熱、喉が痛い、倦怠感、それぐらいは診ていただくという能力をつくることと、そして、なるべくそれをかかりつけ、安心して患者さんと、かかりつけ医の本当の意味の機能があるということ。

 この入院と外来の二点、是非お願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

後藤国務大臣 昨年の夏の医療の大変厳しい状況を踏まえまして、政府におきましては、全体像に基づきまして四・六万床の病床を確保するとともに、要請が県と医療機関の間で行われてから確保病床が実際に即応化するまでの間の時間が長過ぎたという反省の下に、書面の締結によりましてその期間を明確化するとか、いろいろなことに取り組んでまいりました。

 また、軽症の自宅療養者が増加するといったオミクロン株の特徴に合わせまして、発熱外来を三・八万確保するとか、健康観察、診療医療機関、これは例えば、自宅等、しっかりと医療を提供して往診したりするような医療機関ですが、二・三万機関まで増やしておりまして、自宅療養者が確実に医療を受けられる体制の整備を行ってきました。

 今御指摘のように、六月をめどに、これまでの体制整備について客観的に評価をした上で、危機に迅速的確に対応するための司令塔だとか感染症法の在り方だとか、そうしたことを中長期的な観点から取りまとめをしていくということになっておりまして、そうした中で、今先生からお話がありましたような、いろいろな病院の機能をあらかじめ契約等でセットしておいたり、あるいは、どんな状況になったときにどんな体制で即応していくか、そうしたことを県や医療機関等との間で契約でつないでおくような、そういうような平時からの保健医療体制の備えの在り方についても検討をしてまいりたいというふうに思っております。

国光委員 ありがとうございます。是非国民の安心にかなうようにお願いをできればと思います。

 あわせて、総理にお願いだけさせていただきたいと思います。

 全体の感染対策、そしてワクチンや医療体制も、省庁縦割りではなかなかできませんし、やはりここは政治のリーダーシップ、意思決定が非常に重要でございます。

 総理は一月の所信表明演説でも、コロナの司令塔を強化をするとおっしゃっておられました。この点につきましては、国民の皆様も非常に期待をし、そしてやはり、サル痘や、また次なる、今名前はないけれども、恐らく変異の前にあるウイルスが世の中にたくさん存在しているのは確かでございます、次なるパンデミックに備える意味でも、コロナの司令塔強化は是非総理のリーダーシップで取り組んでいただきたいとお願いさせていただきたいと思います。

 続きまして、萩生田経産大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 コロナは、本当に不安で、危機で、なかなか国民の不安ということだけではなく、やはり危機を好機とすることが非常に重要だと思います。岸田総理が掲げていらっしゃる新しい資本主義の中でも、成長と分配の好循環、このコロナの危機を好機に、成長の循環につなげていくということ。

 この中で、是非、今、デジタルの中でも、諸外国、この間バイデン大統領がいらっしゃったアメリカでも、コロナの周辺にある様々なデジタルヘルス、例えば、いろいろな医療情報システムや、あるいはスマートウォッチと言われるもの、これも今、実は全世界中の四人に一人が持っているのではないかと言われるぐらい、非常に多く市場を占めているようになりました。そのような、例えば健康管理のアプリや、あるいは遠隔医療相談、オンライン診療なども含みます、そしてまた、様々な電子カルテの標準化など、やはりこれを成長産業としてしっかりと育てていく。

 そのときに、やはりお願いしたいのは、健康に関わることですから、ただ成長すればいいというものではないと思います。例えばアプリであれば、やはり、この手につけているスマートウォッチに出てくる体温が、いきなり、実は三十八度なのに六度と出たら困りますよね。あるいは、歩数だとか脈拍も正確になるべく測らなきゃいけない。

 そういう、やはり国民にとって質の見える化をそのアプリケーションやソフトウェアに対してしていくということが非常に重要だと思いますし、成長するためには、日本国内、足下だけ見ていてはならず、やはり海外のマーケットを取りにいくということも必要で、ほかの国は皆やっています。日本がこれに乗り遅れてはならない。

 私は、医療DX、デジタルヘルスを是非成長の柱としていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症の拡大や生活習慣病の増加などを背景として、世界的にも予防、健康づくりの必要性が再認識される中、新たな成長分野として、先生御指摘のデジタル技術を活用したヘルスケアサービスを創出していくことが重要だと思っております。

 このため、経済産業省としては、国民が質の高いサービスを選択し、安心して利用できるような取組も進めているところでありまして、具体的には、ウェアラブル端末を活用した生活習慣病対策などのサービスが適正に活用されるために、関連学会による指針の策定を支援するとともに、オンラインの健康相談など新しいサービスについても、安心して利用してもらえるようなルールの策定や第三者認証などの仕組みづくりを支援しております。

 先生お話しになったように、メーカーさんがこれはいいものだと言われても、本当にいいかどうかというのを正しくきちんと第三者が客観的に評価をしてもらうような仕組みをつくらないと、やや自己満足的な機器も世の中にあるということは否定できないというふうに思いますので、ここを役所としてはしっかり整備をしていきたいと思います。

 また、今後、新興国におきましては生活習慣病予防などのマーケットの拡大が想定されるため、我が国のスタートアップ企業によるアプリを使った健康管理を行う優れたサービスが新興国のマーケットに国際展開する支援も既に実施をしております。

 引き続き、ポストコロナ時代の新たな成長産業として、デジタル技術を活用したヘルスケアサービスを積極的に支援してまいりたいと思います。

国光委員 ありがとうございます。

 是非、医療DX、デジタルヘルス立国と言えるほど、日本の物づくりの強みなども生かせる非常に重要なまさにコンテンツだと思いますので、よろしくお願いできればと思います。

 では、続きまして、コロナ対策から、少子化対策の方を問わせていただきたいと思います。

 少子化対策、もう日本で本当に何十年も議論をしていて、そして、様々取組はするんだけれども、やはりあと一押しというところが国民の皆様の思いでもあり、そして我々政治に携わる者の思いだと思います。

 実際に、少子化、世界一のスピードで進んでおり、少子高齢化をすると圧倒的一位が日本ですね。日本は一体どう対応するのかというのを世界が固唾をのんでそのシステムを見守っている、そういう状況であると思います。

 ここで、改めてまたデータを基に議論したいと思います。

 内閣府がやっていらっしゃるアンケートで、理想の子供数を持たない理由は何ですかと聞きましたら、どの調査でも圧倒的一位はやはり経済的負担です。子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが八〇%。ほかの、例えば忙し過ぎる働き方や夫の理解などもいろいろあるんですが、やはり圧倒的に、八割、経済的負担でございます。

 どういう補助があればもっと欲しいと思えるんですかというふうに聞いてみますと、その詳細ですね、このような結果になっています。

 一位は、やはり、将来の教育費が不安である。そして二番目は、幼稚園、保育園などの費用の補助。これは実は、二〇一九年の幼保無償化、消費税財源を使って、その前に取った調査なので、ここはもう少し少なくなっているかもしれません。そして三番目は、妊娠、出産にかかる費用が高いからです。

 これは、私も、恐縮なんですけれども、子供が一人、中学生がいますが、まだ二人目を諦めていませんで、是非、機会があればと思っているんですが、自分に置き換えて考えてみましてもやはりそうだなと。やはりお金のことと、働き方あたり、働き方は後でちょっとお尋ねさせていただきたいんですけれども、非常に身につまされることがあります。

 総理に是非お伺いさせていただきたいのは、まず、この妊娠、出産にかかる医療費の補助の部分でございます。

 今、出産されると、日本全国で、出産の後に約四十二万円償還をされる。これは御加入されている健康保険者から償還されますが、十数年前、いや、二十年ぐらい前はそれでとんとんでよかったんです。ただ、今、恐ろしいことになっていまして、何と、年率大体数千円、この三、四年は五千円、相場が上がっているんですね。それはいろいろな、高齢出産も増えてきて、なかなかやはりコストもかかってしまう、医療機関側が、ちょっとケアが必要であるとか、様々な要因があるんですけれども、人件費の相場もちょっと上がっている。

 ただ、やはりすごい額になって、特に東京、大阪などでは、平均で大体六十二万。高いところだと本当に八十万。私の地元茨城でも、何と、ほとんどみんな七十万、八十万出さないと産めません。年々上がっています。これは一時金じゃ足りないんですね。

 この課題を、やはり、先ほどのデータに基づくと、本当に負担だと。三番目に上げている課題がこの妊娠、出産費用でありますので、総理、是非この出産育児一時金の増額、これは総理と、そして今日は野田聖子少子化担当大臣、女性活躍担当大臣がいらっしゃいますが、お二人で二年前に議員連盟の代表もしていただいたわけでございます。これは、やはり総理と大臣がいらっしゃるということで、やらない選択肢はないというぐらい私は思っておりますが、是非、総理、前向きな答弁をお願いできたらと思います。

岸田内閣総理大臣 少子化の進展は、我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であると認識をしており、妊婦の方々が安心して安全に出産できる環境を整える、これは大変重要であると考えます。

 御指摘の出産育児一時金ですが、平成十八年に三十万円から三十五万円に引き上げられた後、順次引き上げられて、御指摘のように現在四十二万円まで引き上げられた。こうしたことですが、当然のことながら、更に努力をしなければいけないと認識をしています。現在実施している出産費用の実態調査の結果等も踏まえながら、この出産育児一時金の支給額、これを引き上げることも大事だと思います。

 あともう一つ、いろいろ御指摘いただくのは、その費用について内容が明示されていない。要は、サービスそれからコスト、その内訳が明示されないことから選択肢がない、そういった指摘もあります。

 ですから、この一時金の支給、これを引き上げるのと併せて、それぞれの方、いろいろな考え方やお立場があります、サービスやコストを選択できる、こうした仕組みも考えていかなければいけないのではないか。こうしたことを組み合わせることによって、安心、安全に出産できる環境整備、これからもしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

国光委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいただきたいと思います。

 なお、今日隣でパネルを持っていただいている青森の神田潤一先生も、東京で非常に高い出産費用で、おっしゃるとおり明細が、なかなか内訳がなくて困ったというお話もありましたので、是非ここは、総理、若手の議員が切望しておりますので、よろしくお願いできればと思います。

 そして、続きまして、文科大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

 経済的負担、出産もそうなんだけれども、やはり教育費だよねというのが国民の皆さんの切なる思いだと思います。この間様々な取組をしていただいて、例えば、高等教育の無償化ということで、非課税世帯の方やそれに準じる世帯、具体的には年収三百八十万以下の方に、給付型の奨学金や、そしてまた授業料の減免などの取組、いわゆる高等教育の修学支援新制度を創設いただきました。

 こちら、とても歓迎はされているんですが、やはり聞くお声は、大臣のそれぞれの御地元や委員の先生、皆さんそうなんじゃないかと思いますが、一番やはりボリュームゾーン、まさに岸田総理が大事にされている中間層でございます、中間所得層の皆さん、子供一人だったらまだいいかもしれませんが、二人、三人、少子化だ、大変だ、子供をもっと、本当、お願いだから御出産お願いしますと言っていながら、お金がかかっちゃうとなかなかというのが先ほどのデータのところでも明確にあるとおりでございます。

 ここにつきまして、私は、是非、この中間所得層の教育費の支援、これはやはり政治のリーダーシップで取り組むべきではないかとかねてから思っておりまして、ちょうど、政府の五月十日の教育未来創造会議の中でも、給付型の奨学金の拡充、例えば中間所得層、多子世帯、学部も理工系や農学系の比較的学費がかかる学部ということを提言されていました。

 もう一つ注目すべきは、給付型のみならず、オーストラリアで有名な制度なんですが、HECSという制度がありまして、これは、学費は大学通学中は無料です、無料だけれども、将来、収入を得るようになって、いわゆる出世払いというんですけれども、一定の年収、たしかオーストラリアでしたら日本円にして年収四百万ぐらいだったと思います、四百万ぐらいになったらば、国に、大学に、お金を返還といいますか拠出するというHECSという制度をつくられています。

 これは非常に世界的にも注目をされている制度でありますが、政府の教育未来創造会議の中では、このHECSを参考に、日本版HECS、いわゆる日本版出世払い方式の奨学金についても創設すると書かれておりますが、これは非常に、テレビを御覧になっている、ラジオを聞かれている、インターネットで御覧になっている子育て世帯の皆様、非常に関心の高い分野でございますが、この具体、いかがでしょうか。お答えいただければと思います。

末松国務大臣 国光先生にお答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、大学等の教育費の経済的な負担軽減というのは、少子化対策からも、その観点からも大変重要でございます。今先生が解説いただいたとおりでございます。

 学部段階の学生への給付型奨学金と授業料の減免を行う高等教育の修学支援新制度につきましては、この五月十日に取りまとめられました教育未来創造会議の提言におきまして、中間所得層への支援の改善を行うとの方向を示されました。具体的には、これから年収要件等々をどうするかということは決めていくわけなんですけれども、そういう提言をいただいてございます。

 本制度は、令和二年度の開始以降、この新制度、四年後には必要な見直しを行うことが法定されております。これは、大学等における修学の支援に関する法律附則第三条に書いてございまして、所要の見直しを行うものとするというのがございます。したがいまして、効果検証を行っていく中で、今回の提言で示された、多子世帯、理工農系の学生に対する支援の充実を図りたいと考えてございます。特に、私としては、先生のような理系女子が増えていくことが大いに期待をされておりますので、そのことは少し大きく光を当てたいなということは思ってございます。

 また、御指摘の日本版HECSにつきましては、この提言におきまして、在学中は授業料を徴収しない、先生おっしゃったとおりなんですけれども、卒業後の所得に応じた返還、納付を可能とする新たな制度を大学院段階において導入することとしております。この仕組みにつきまして、今後、実現に向けて、総理とも協議しながら、具体的に検討いたしてまいりたいと思います。

 なお、日本におきましては、現在、修士は十四万人、博士さんは、今、少し支援をいたしてございますけれども、五万人おられます。恒久的な財源の裏づけの観点を念頭に置きつつ、教育未来創造会議におきまして夏までに作成する工程表を踏まえまして、予算措置の必要な準備を進めてまいりたいと思ってございます。

 以上でございます。

国光委員 末松大臣、ありがとうございました。

 非常に関心の高い分野だと思いますので、是非、夏までの工程表、御期待を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、経済的な負担だけではなく、少子化の原因、いかに家庭と仕事を両立するかということにつきまして、野田聖子女性活躍担当大臣、少子化担当大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 近年、岸田総理の下、本当に様々な取組が進んでまいったところでありますが、私、ちょっと注目しておりますのが、よく今、男性育休の話もあるんですけれども、やはり、野田先生も私も一応女性ということで、済みません、一応は要らないかもしれませんが、女性ということで、女性で特に私の世代からは、やはり関心が大きいのは、女性の皆さん、私、年を自分で言っちゃうと四十代の前半なんですけれども、やはりかなりの割合で働いておられます。その中で、何と、非正規雇用の方、大体今三五パーと言われております。

 この非正規雇用の方々は、私、かねがね、日本の社会制度のやはり論点は、制度に守られている方とそうでない方の差が激し過ぎることだと思っているんですけれども、やはり非正規雇用の方は、例えば、妊娠した、出産したとなると、結構な割合の方が、正社員の方なら、その企業に、事業主に継続して雇用され続ける方が、育休を取った後に復帰される方は何と七割近くいるんですけれども、非正規の方は一〇%ちょっと、一割ちょっと、何と、正規の方の大体六分の一か七分の一ぐらいしか、育休取得、育休も取れずに、要は辞めちゃっているわけなんですね。

 非常にそれが、身分が不安定で、当然、育児休業給付も得られずに、ちょっと、次、また仕事に復帰したいなというときに仕事を探して、またキャリアを形成し、苦労しながら子育てをしているということ、かなりこれは、私も同世代の皆さんの話を伺っていて、本当に負担が大きいと思います。

 これを、この四月に少し光が見えることがありました。四月に、育児・介護休業法改正をされて、より育休が非正規の方に取りやすくなったという制度に改正されました。

 具体的には、今まで、一年以上その事業主に雇用されていないと育休が取れなかったんですが、育休申請もできなかったんですけれども、一年以内の方でも育休が取れるという形で法改正されたところでありますけれども、こちらにつきまして、非常に期待も大きいところであると思いますし、さらには、特に育児給付の場合は、雇用保険に入っていないと給付は出ませんけれども、雇用保険に入っていない方も含めて、やはりここは、非正規の女性の方、有期雇用の方にも育児に優しい社会に、やはり野田大臣のお力で是非ここは光を差していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 まず、有期雇用労働者の育休取得要件の緩和などは厚生労働省の所管となりますが、男女共同参画の担当大臣として答弁させていただくならば、女性も男性も働きたい人全てが、仕事と生活の二者択一を迫られることではなく、働き続けて、その能力を十分に発揮する、それができることが大変重要であります。

 子育て等の多くを、私は残念ながらと申し上げるんですけれども、女性が担っている現状を踏まえれば、父親が育児休業を取得して子育てに積極的に参画することは、母親による子育ての孤立化を防ぐとともに、職場における働き方、マネジメントの在り方を見直す契機ともなり、ひいては、誰もが共に暮らしやすい社会づくりに資するものと考えています。

 男性の家庭、地域社会における活躍は、パートナーとして、夫として、父親として、男女共同参画を進める上で大変重要です。現在検討中の女性版骨太の方針の柱立ての大きな一つとしているところです。改正育児・介護休業法に基づく男性の育児休業取得促進も含め、引き続き、厚生労働省と連携し、男女共、仕事と子育てを両立できる、当たり前にできる環境の整備に取り組んでまいります。

 ありがとうございます。

国光委員 ありがとうございます。

 常に弱き立場の女性の方に寄り添ってこられた野田大臣であるからこそ、是非この課題に前進をいただければと思います。

 続きまして、総理にお伺いします。

 これも大きな話題です。たくさんニュースになり、私も地元でたくさんお話をいただきます。男女間の賃金格差です。

 先日、新しい資本主義実現会議で総理が発表されました。男女の賃金格差、今、日本では二三%賃金格差、アメリカでは一八%、日本の方がやはり大きい。世界で、恐らく先進国で一番男女間の賃金格差が大きいのが日本です。この賃金格差をしっかり埋めていくために、企業の方に、法令改正をして、男女の賃金格差の状況、データの公表を義務づけるということをされておられます。

 この点につきまして、改めて、非常に関心の高い分野だと思いますので、総理から是非決意をお伺いさせていただき、今後の進め方もお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 労働者の男女間賃金格差の解消のため、早急に女性活躍推進法の制度改正を実施し、労働者三百人を超える事業主に対して、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化し、この夏に施行できるよう準備を進めてまいります。

 政府としては、女性の活躍を一層促進するために、女性活躍推進法に基づき、男女間賃金格差の開示を義務づけることで、各企業の取組を加速させ、格差の更なる縮小を目指してまいりたいと思っています。

 そして、今後ですが、これに加えまして、有価証券報告書についても、金融審議会において、人的資本、多様性に関する開示の対応の観点から、男女間賃金格差を開示項目とする方向性に関しておおむね賛同が集まったところでありますので、速やかに報告の取りまとめを行うとともに、報告に基づいた法令の整備を是非進めていきたいと考えております。

国光委員 ありがとうございます。

 多くの女性の皆様が期待をされるところだと思いますので、是非よろしくお願いします。

 最後に、女性の健康と更年期障害につきまして、厚労大臣にお伺いしたいと思います。

 更年期障害、非常に大きな話題でございます。四十五歳から五十五歳では、本当に多くの方が、更年期障害、人知れず悩んでいる状況を抱えています。女性活躍にもこの健康は非常に重要だと思いますけれども、是非大臣に取組をお伺いさせていただきたいと思います。

根本委員長 厚生労働大臣後藤茂之君、できるだけ簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 はい。

 女性の健康を生涯にわたり包括的に支援していくということは非常に大切だと思います。特に女性ホルモンの状況がライフステージごとに劇的に変化するという特性を踏まえると、研究にしっかりと取り組みながら、更年期障害が及ぼす影響、しっかりと対応していかなければならないというふうに思っております。

 女性の健康推進室ヘルスケアラボにおきましてしっかりと女性の健康を見ていく、女性の健康週間におきましてこうした事態を啓発していく、こうした点を通じまして、女性の生涯の健康に関する包括的な支援、しっかり取り組んでまいります。

国光委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて小野寺君、小倉君、国光君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の政務調査会長の竹内譲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、私からは、ロシアによるウクライナ侵略につきまして一言申し上げておきたいと思います。

 この度のロシアのウクライナ侵略は、ウクライナの主権と領土を力によって一方的にじゅうりんする、国際法と国連憲章に違反する暴挙であり、ロシアの行動を強く非難する。また、ウクライナの一般市民に対する無差別の攻撃や虐殺は、人道に対する戦争犯罪であると断ぜざるを得ない。

 公明党は、国際社会と緊密に連携して、金融制裁や経済制裁を強化しつつ、一刻も早い停戦とロシア軍の撤退を求め、ウクライナの平和の回復に全力を尽くしてまいります。また、ウクライナからの避難民の受入れなど、人道復興支援にも積極的に貢献する決意であります。

 さて、今週、総理は、日米首脳会談、その翌日には、オーストラリア、インドを加えたクアッド首脳会談に臨まれました。東アジアにおける平和と繁栄を確保するために、日米同盟の更なる強化や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を含むあらゆる面での緊密な連携が確認され、大変有益な会談であったと評価しています。

 今回の日米首脳会談、またクアッド首脳会談の開催にはどのような意義、目的、成果があったのか、改めて総理の見解をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今、まさにポスト冷戦時代の終えんとも言える現下の国際情勢の中にあります。その中で、日米首脳会談、そして日米豪印首脳会合、こうした会談、会合において、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持発展を目指す、こうしたメッセージを東京から世界に向けて力強く発信することができた、このことは大変大きな意味があったと思います。

 こうしたメッセージをしっかり発した上で、日米関係について、そしてクアッドの具体的な協力について議論を深めることができた、こうした意義ある会議であったと振り返っております。

竹内委員 次に、現在のロシアによるウクライナ侵略、また、北朝鮮による相次ぐミサイル発射から推測される核・ミサイル開発、また、現状を変更しようとする、そして緊張感を高める威圧的、挑発的、一方的な行動も深刻さを増しています。

 こうした中で、日米同盟を基軸として、インド太平洋における関係国との連携を強化していくことが極めて重要であります。平和安全法制が整備されたことによって、平時から米軍などと共同訓練が頻繁に行われるようになり、情報共有も格段に進むようになりました。同盟関係の信頼性を向上させたという点で、同法が制定された意義は大きかったというふうに考えております。

 今回発出された日米首脳共同声明で、拡大抑止に関する日米間の協議を強化することの重要性を改めて確認したことは、揺るぎない日米同盟と日米の強固なきずなを内外に示すものとなりました。

 日米同盟は外交、安全保障の基軸でありますが、今後、日米間で具体的にどのように抑止力、対処力の向上を図っていくのか、特に拡大抑止の狙いと有効性も含めて総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 今回の日米首脳会談においては、厳しさを増す国際情勢の中で、まずは日本自身が防衛力を抜本的に強化する、そしてその裏づけとなる防衛費の相当な増額を確保する、これを日本側から表明をし、そして、バイデン大統領からは、これに対する強い支持があった。

 我が国の防衛力の強化という点、一つ大きな議論となりました。それと併せて、日米同盟の抑止力、対処力を強化していく。この二つをそろえることが重要であるという認識の下に議論を行いました。その中の日米同盟の抑止力、対処力の強化という文脈の中で、御指摘の拡大抑止の重要性についても議論が行われた、こうした次第であります。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、米国の拡大抑止、これは我が国の安全保障にとって極めて重要です。

 日米首脳会談で、バイデン大統領から、日本の防衛へのコミットメントが改めて表明されました。そして、今後も拡大抑止、これが揺るぎないものであり続けることを確保することが重要であるとして、閣僚レベルを含め、日米間で一層緊密な意思疎通を行っていくこと、ここでも一致をいたしました。

 是非、閣僚始め各レベルで、拡大抑止を始めとする日米同盟の抑止力、そして対処力、この強化に向けて、日米間の意思疎通をしっかり図っていきたいと考えております。

竹内委員 そこで、今、日本にとって大事なことは、国民の不安を招かないよう、これまでの専守防衛を貫く中で、日米の役割分担、防衛費の適切な在り方を議論し、決定していくことだと思います。

 安全保障環境が厳しくなっていることは確かでございまして、こうした状況に対応するために、必要な防衛力を着実に整備し、抑止力の向上を図らなければなりません。

 あわせて、防衛努力だけではなく、対話外交との両輪で地域の平和と安定をつくり出して、日本の安全を揺るぎないものにしていくべきであると考えます。こうした積極的な外交政策について、総理の見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 ただいま申し上げたように、日米首脳会談においては、我が国の防衛力の強化、そして日米同盟の抑止力、対処力の強化、こうしたものをしっかり確認をしたわけでありますが、おっしゃるように、国家安全保障の要諦は、こうした安全保障上の準備と併せて、力強い外交を推進することによって我が国にとって好ましい国際環境を創出し、脅威を未然に防ぐ、こうした姿勢であると考えます。

 是非、外交という面においても、引き続き、同盟国、同志国との連携を重視しながら、積極的な外交を展開することによって、平和秩序、そして自由と民主主義といった普遍的な価値をしっかり守り抜いていくことが重要であると思います。

 こうした力強い外交の力、日本においてもしっかりと大事にしていきたいと考えております。

竹内委員 承知いたしました。

 次に、補正予算の質疑に移ってまいりたいと思いますが、昨年来の物価高に加えまして、ウクライナ危機と円安が追い打ちをかけ、原油や原材料が高騰し、四月の消費者物価指数が昨年より二・一%アップするなど、物価上昇が止まりません。

 その影響を調査するため、公明党では、三月に国民生活総点検・緊急対策本部を設置いたしまして、全国三千人の議員が、生活や事業経営に苦しむ方々に四千三百件以上に及ぶアンケート調査を実施したほか、視察や数多くの関係団体からのヒアリングも行いまして、その結果を基に、政府に二度にわたる緊急提言を申し入れたところでございます。今回の総合緊急対策には、その内容が多く盛り込まれております。

 特に、公明党としては、ウクライナ侵略が長期化していることによる原油、物価の高騰に加えまして、コロナの感染再拡大や梅雨時の豪雨災害、また巨大地震など不測の事態に備えて十分な予算を確保する必要があると考えました。そのような経緯から、今国会での補正予算編成を強く求めてきた次第でございます。

 今回の補正予算案の意義や目的につきまして、内容、規模、編成の迅速性、また財政民主主義などの観点から、改めて岸田総理の御認識を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 足下のウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰等については、総合緊急対策によって緊急かつ機動的に対応していきますが、おっしゃるように、今後の、災害ですとか新型コロナの再拡大ですとかウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格、物価の更なる高騰など、状況は予断を許さないと認識をしております。

 こうした状況の中で、今般、補正予算の審議をお願いしているわけですが、今般のこの補正予算は、公明党からの御提言も踏まえて、このような状況の中で、六月以降の燃料油価格の激変緩和事業を計上するとともに、一般予備費そして新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費、合わせて五・五兆円の十分な水準を確保するとしております。いかなる事態が生じても迅速に対応し、そして国民の安心を確保するために必要であると考えています。

 今国会で成立を図るべく、速やかに編成作業を行い、この審議をお願いしているということであります。早期成立を図り、国民生活を守り抜くために、万全の備えを固めていきたいと思います。

 そして、これら予備費の使用に当たっては、これまでも同様でありますが、憲法、財政法の規定に従って適切に使用を判断する、そして、併せて説明責任を果たしていく、こうした姿勢は大事にしていきたいと考えております。

竹内委員 ありがとうございました。

 次に、燃料価格の激変緩和事業についてお伺いいたします。

 今回の総合緊急対策では、元売事業者に対する補助金について、基準価格を百七十二円から百六十八円に引き下げ、補助上限を二十五円から三十五円に引き上げるとともに、ガソリン、軽油、灯油、重油の四油種に加えて、航空機ジェット燃料も対象となりました。

 この燃油対策については、長引く原油、物価高騰が国民生活や事業者にどのような影響があるかを明らかにするため、公明党が行った全国総点検運動で得たニーズを基に強く要望した内容が盛り込まれており、これも高く評価しているところでございます。

 実際に、今週のガソリン全国平均価格は二百五・二円と予測されておりまして、補助上限額に超過分の二分の一を加算すると、三十六・一円の補助金が支給されると伺っております。

 これによってガソリン価格は全国的に百六十八円に近づいていると思っていたのですが、私もあちこち回りますが、私の地元では、京都なんですが、一部で百八十一円となっているスタンドも発見をいたしまして驚いたわけでありますが、元売事業者に対する補助金のため、すぐに小売価格に反映されないことや輸送コストなどを考慮しても、ここまで高止まりしているところがあることに驚いた次第であります。これでは、国民の皆様の中に補助金の効果を疑問視する声が出てもおかしくないのではないかと思うわけであります。

 原油価格の今後の見通しとともに、この対策がガソリン価格にどの程度反映しているものなのか、その検証方法と効果について、経済産業大臣にお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 原油価格そのものは、国際情勢など様々な要因により国際的な市場で決まるものと承知しており、今後の原油価格の見通しについて、今日この場でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 今週のレギュラーガソリンの平均価格は百六十八・八円となっておりまして、今般の激変緩和事業がなければ二百五・二円になっておりましたと予測されます。三十六・四円分の価格抑制効果が確認されています。そのため、価格の急激な上昇を抑制するという本事業の目的は、一定程度達成できていると考えております。

 一部のSSで小売価格が高止まっているとの指摘については、本事業の趣旨を踏まえた価格設定がなされているか、全国約三万のガソリンスタンドについて毎週価格の全数調査を実施しています。

 その上で、卸売価格の上昇以上に小売価格が大幅に上昇している場合には、事務局の調査員が直接訪問し、個別に事情を確認をしておりますが、これはあくまで元売に対しての補助金でありまして、小売の皆さんが価格を決めるのは自由になっております。場所によっては、例えば、もうそこにしか、一軒しかスタンドがなくて、そして、様々な事情があって日頃から高い値段で売られているスタンドというのも存在するのは否定できないと思います。

 もし、先生の百八十一円が観光地の中であるとすればちょっと問題かなというふうに思うんですけれども、競争が激しいところは自然にやはり下がってきますし、唯一無二のガソリンスタンドで、過疎地で、しかしそれがなくなったら困る、しかも、そんなに売上げが上がらなくて、一回タンクが来ると数週間それが空にならない、だけれどもスタンドを続けてくれているなんという事情の場合は、そういう価格設定になることもやむを得ないかなというふうに思っています。

 各事業者の自由な意思に基づく経営判断として設定される小売価格でありますので、小売事業者の皆さんには、激変緩和事業の趣旨を御理解いただいて、適切な価格設定をお願いをしているところです。

 また、十月以降の原油価格高騰対策については、今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するのかを見極めながら対応を検討してまいりたいと思います。

竹内委員 次に質問しようと思っていたことまで先に答えていただきまして。

 今回の補正で当面九月末までの予算は措置できておるとはいえ、原油価格は昨年末から高い水準で乱高下しておりまして、世界情勢も先行きが見えない状況が今後も続いていくと考えられます。秋以降、この燃油価格の激変緩和事業をどのようにしていくのか、改めて政府のお考えをお聞きしたいと思います。

萩生田国務大臣 失礼しました。

 十月以降なんですが、原油価格高騰対策については、今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するかを見極めながら対応をしていきたいと思っています。

竹内委員 情勢がまだまだ分かりませんので、本当に悩ましいところであります。

 航空機燃料やタクシー事業者の方々のLPガスに対する燃料高騰支援についても、多くの方々が納得できるような形で燃料油価格高騰の負担を軽減して、一定、経済回復の兆しが見えるまで、ある程度の補助が必要なのではないかと感じておるところでございます。引き続き、検討のほど、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、今度は食料安全保障につきまして質問いたします。

 ウクライナ情勢等を受けまして、世界的な食料危機が懸念されているところです。

 我が国も、食料の自給率が低く、多くを輸入に頼っており、食料危機は決して対岸の火事ではありません。今こそ、国民の皆様に食料を将来にわたって安定的にお届けするための食料安全保障を本格的に考える必要があると考えております。

 現在、物流の混乱や円安など輸入物価の高騰などによりまして食品価格も高騰し、家計にも影響が出ています。実際に、農林水産省の調査では、前年と比較して、一キログラム当たりの小麦粉は三十六円上昇、食用油は最大で百三円価格が上昇しております。

 そこで、公明党は政府に対しまして、こうした食品を作るために日本が輸入している肥料や飼料、また穀物などの価格高騰を緩和するよう強く求めてきたところでございます。その結果、緊急対策には、農林漁業者のセーフティーネット支援策や、また、輸入する原材料の転換支援などが盛り込まれたところであります。

 今後は、自給率を高める観点からも、国産への転換が重要でございます。そのため、小麦や大豆など自給率が低い穀物等の国内生産の拡大、また、米粉など国産の食材への転換、さらに、低コストで生産できる支援などを強力に進めていくべきだと考えておりますが、農林水産大臣に決意を伺いたいと思います。

金子(原)国務大臣 お答えいたします。

 昨今の原油や穀物、生産資材の価格高騰など、我が国の食料安全保障上のリスクは、近年に例がないほど高まってきております。

 このため、原油価格・物価高騰総合緊急対策に、輸入小麦から国産の小麦、米、米粉への切替え支援や燃油価格高騰対策などを盛り込んだところであり、これを実施していくことによりまして、価格高騰の影響緩和等の効果が発揮されるように努めてまいりたいと思います。

 さらに、将来にわたりまして食料を安定的に供給するためには、国内で生産できるものはできる限り国内で生産していくことが重要であると考えております。

 このため、特に、自給率の低い品目を国産に切り替えていくための支援策といたしまして、小麦や大豆などの低コスト化や生産性向上に向けた営農技術や機械、施設の導入に対する支援、また、米粉につきましては、加工コストの低減に向けた製造施設の整備等の支援、加工・業務野菜では、実需者の安定調達への要望に応えるため、契約栽培などの新たな生産、流通体系の構築などの取組によりまして、消費者や実需者のニーズに沿った国産農産物の生産拡大を進めてまいりたいと思います。

竹内委員 ありがとうございました。

 食料安全保障の観点から非常に重要な施策であると思っておるところでございます。

 ひとまず午前中の質問はこれにて終わらせていただきます。ありがとうございます。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。竹内譲君。

竹内委員 それでは、午前中に引き続きまして質問をさせていただきます。

 まず、地方創生臨時交付金、マイナンバーカードにつきましてお伺いしたいと思います。

 政府が先月発表いたしました総合緊急対策では、公明党の強い主張によりまして、自治体の事業を国が財政支援する地方創生臨時交付金が一兆円へと拡充をされたわけでございます。コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分として、各自治体の判断により、生活に苦しむ国民や事業者に対するきめ細かな支援が期待されます。

 例えば、学校や保育所、幼稚園、介護施設などの給食費の負担軽減や、生活のインフラとして欠かせない水道を始め電気、ガスなどの公共料金の減免、また、一部の自治体で既に取り組まれている住民税非課税世帯や子育て世帯への給付の対象拡大や支給額の上乗せについても、今回の地方創生臨時交付金をもってその財源とすることができると伺っております。

 ほかにも、マイナンバーカードを取得して、健康保険証と公金受取口座をひもづけることで最大二万円分のポイントが付与されるマイナポイント第二弾がいよいよ六月末にスタートいたします。そこに加えて、地方自治体の判断で地域独自のポイントを上乗せすることも可能であると伺っておるところであります。地域のデジタル化を促進させるとともに、家計を助ける支援事業となるものと期待をしているところでございます。

 そこで、地方創生担当大臣にお伺いいたしますが、この地方創生臨時交付金の目的、使途、活用方法、自治体に対する周知、また相談体制、広報、さらに効果などの点につきまして改めて確認をさせていただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、今委員からもお話がございましたが、コロナの影響が続く中で、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担の軽減を自治体が地域の実情に応じ、きめ細やかに実施することができるよう、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分を創設いたしまして、一兆円を確保いたしました。

 各自治体には当該予算を活用可能な事業例やQアンドAをお示しするなど、制度の趣旨の周知に努めているところでございます。

竹内委員 地方創生臨時交付金は、知事会からも強い要請もございまして、私どもも是非とも必要だということを主張させていただいたわけでございました。そういうことで、きめ細かな対策が打てるということでございます。

 そこで、やはり、その関連で、マイナンバーカードというものが非常にこれからキーワードになってくると思うんですね。なんですが、マイナンバーカードの安全性について、利便性がある一方で、マイナンバーカードの個人情報の漏えいとかセキュリティーの、安全性などを懸念されておられる方もいらっしゃいまして、カードの申請をためらう方々も多いと聞いておるところでございます。

 政府として、このマイナンバーカードの安全性につきましてどのように担保しているのか、改めて分かりやすく説明していただきたいと思います。

牧島国務大臣 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも本人確認ができる最高位の身分証でございます。デジタル社会のパスポートとして多くの方に御活用いただきたい、利用シーンも増やしていきたいというふうに考えております。

 一方で、今委員御指摘のとおり、安全性についてしっかりと広報しなければならないという問題意識も持っております。

 まず、ICチップには、電子証明書や本人の基本情報が記録されているだけでございます。つまり、税や年金などの機微な情報は記録されていません。また、不正に情報を読み出そうとすると壊れるという仕組みになっておりますので、個人情報には十分に配慮をしております。

 オンラインでの利用のときには暗証番号を必要といたしますが、一定回数間違うと機能がロックされるという仕組みになっております。

 仮にカードを紛失しても、二十四時間三百六十五日体制のコールセンターがございます。連絡をいただければ、速やかにその機能を一時停止することもできるようにしております。

 安心して御利用いただけるように、不安の払拭に、これまでもリーフレットや動画などで広報してまいりましたが、引き続き努力を続けてまいります。

竹内委員 ありがとうございました。

 多くの方が誤解されているのは、このマイナンバーカードの中に、今大臣がおっしゃったように、資産情報とか預貯金情報とか、あるいは税や年金の情報であるとか健康情報、みんな入っているんじゃないかと勘違いをされている方が多いんですね。実は、そういうものは全然入っていない。それは分別管理されていて、マイナンバーカードというのは本人確認のための資料であるにすぎないという、ここをしっかりとやはり国民の皆様に訴えていく必要があるんじゃないかなというふうに私は思うわけでございます。

 そこで、マイナンバーカードの普及促進につきましてお伺いをしたいと思います。

 政府は、利便性が高く効率的なデジタル社会の推進のため、マイナンバーカードを、今年度中にほぼ全国民へ行き渡ることを目指していると承知しております。現時点、五月十八日の時点ですが、マイナンバーカードの交付枚数は約五千六百二十二万枚と伺っており、人口比では四四・四%まで増加しました。

 昨年末までに実施されたマイナポイント第一弾においては、事業期間中にカードの交付率を大きく引き上げる結果となりましたが、さらに、昨年の衆議院選挙で公明党の公約でも掲げてまいりましたマイナポイント第二弾も、この六月三十日からいよいよポイント付与が開始される予定であると伺っておりまして、その効果が期待されるところでございます。

 このパネルを御覧になっていただきたいわけでございますが、カードを取得された場合にはプレミアムで最大五千ポイント付与される、それから、健康保険証利用登録をされた場合には更に七千五百ポイントが直接付与される、さらに、公金受取口座登録をしていただいた場合には更に七千五百ポイント付与されるということで、最大で個人で二万ポイントのポイントが入手できる、そういうものでございます。第一の目的はデジタル化ということが最大の目的でございますけれども、こういう原油高、物価高のときには家計の一助にもなるのではないかなというふうに思っているところでございます。

 しかし、それでもなお、この更なる普及促進に向けては、広報活動の徹底や、特に高齢者の方々へのサポート、これにやはり相当の努力が必要なのではないかなというふうに思うわけでございます。改めて、政府の今後の取組につきましてお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 マイナンバーカードにつきましては、現在、政府全体で、令和四年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指して、その普及促進に取り組んでおりますが、更なる普及促進に当たっては、御指摘のとおり、広報活動の徹底や高齢者へのサポートも重要だと考えております。

 広報活動につきましては、総務省では、規模の大きい自治体にあるショッピングセンターなど人が集まりやすい場所におきまして、臨時のカード申請の受付窓口を設置をいたします出張申請受付キャンペーンを本年四月から行っておりまして、現在までに約三百か所を設置をし、国民のカードの申請をサポートしてきております。

 今後、更に約二百か所を設置をし、六月末までに合計五百か所の会場で開催することで、カード申請の多様な機会を提供するとともに、取得の機運を醸成してまいりたいと思っております。

 また、高齢者へのサポートにつきましては、公民館やワクチン接種会場などの、高齢者も含めた住民が集まりやすい場所に市区町村職員が出張して申請を受け付ける取組等について、必要な経費を国費によりまして支援するとともに、取組事例を全国に横展開しているところでございます。

 加えて、デジタル活用支援推進事業において、全国の携帯電話ショップや、高齢者にとって身近な場所であります公民館などで、カードの申請方法などを学べる講習会を開催しております。

 引き続き、マイナンバーカードの更なる普及促進に向け、自治体とも緊密に連携をしながら、総務省を挙げて全力で取り組んでまいります。

竹内委員 ありがとうございます。

 本当に、この高齢者の方々のために、特にデジタル活用支援員の皆さんに、一万人の予算も確保したというふうに伺っておりますけれども、まだまだ、今、三百か所、出張キャンペーンをされて、二百か所、更にされるということですが、御存じない方も多うございまして、公民館等でそういう学習会とか講習会をされるときに、全国の住民自治連合会の皆さんとか、そういうところも通じてお声がけをしていただくとか、そうすると、地域の方々が、一回行ってみようか、あるいは、マイナポイントをどうやって取得するんだというふうなことを、やはり非常に分かるようになると思うんです。それが口コミでどんどん広がっていくと思うんですね。そういう波及効果が出るように、是非もう一工夫、総務大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、もう一つ、マイナンバーカードの健康保険証登録についてお伺いしたいと思います。

 マイナンバーカードの健康保険証登録や電子処方箋、電子カルテ情報等の標準化が、今後、効率的な医療の提供や患者の利便性向上に資することは論をまちません。政府としては、第一段階としてのマイナンバーカードの健康保険証登録をどのようにして推進していくおつもりか。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用するために必要なシステムを既に導入済みの医療機関からは、大変便利であるとのお声もいただいているわけであります。しかし、一方で、医療機関側にも設備投資やメンテナンスの費用がかかります。実際に運用を始めているのはまだ全体の二〇%程度にとどまっているわけでございます。

 そこで、現在は、マイナンバーカード対応の医療機関には診療報酬が加算されているわけでありますが、患者側も一定の窓口負担が課されているわけでございますね。

 そこで、マイナンバーカードに健康保険証登録をした患者には、先ほど申し上げたこの七千五百円相当のポイントが付与されるものの、しかし、それ以外の患者にはそういうメリットがないということになっているわけですね。

 そういう意味で、改めて、マイナンバーカードの健康保険証登録の推進、そしてまた、医療機関がマイナンバーカードを保険証として利用するシステムの導入促進策について、いま一度よく整理、検討をしていただきまして、新たな方針を打ち出す必要があるのではないかというふうに思うんです。改めて、厚生労働大臣の見解をお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認につきましては、令和五年三月末までにおおむね全ての医療機関等で導入することを目指しまして、導入加速化に向けて集中的な取組を進めておりますが、今委員から御指摘のように、運用開始施設は二割弱にとどまっております。導入目標を達成するための更なる対策が必要であるということは、私どももそのように思っております。

 このため、昨日になりますが、社会保障審議会医療保険部会において、令和五年四月から、保険医療機関、薬局におけるシステム導入について原則として義務化すること、医療機関等でのシステム導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むように、関連する財政措置を見直すこと、診療報酬上の加算の取扱いについては中医協で検討すること、令和六年度中をめどに保険者による保険証発行の選択制の導入を目指すこと、さらに、医療機関、薬局以外で保険証を利用している機関のオンライン資格確認の導入状況等を踏まえて、保険証の原則廃止を目指すこと、こうしたことにつきまして御議論をいただいているところでございます。

 保険証の原則廃止を目指す際にも、加入者から申請があれば保険証は交付される仕組みでありますことをちょっと今補足させていただきますが、こうしたことを提案し、御議論をいただいているところでございます。

 おおむね全ての医療機関等においてシステム導入が進み、国民の皆様によるマイナンバーカードの保険証利用が進むように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

竹内委員 是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、引き続きまして、次に、持続的な賃上げの取組についてお伺いしたいと思います。

 燃油価格、物価が高騰する中、低迷が続く日本の賃金を持続的に引き上げ、公正な処遇を確保していくことが、生活の安定と将来への希望につながると考えております。また、この物価高を乗り越えるには、最終的にはもう賃金の上昇しかないというふうに思っております。

 そして、そのためには、今日、資料に書かせていただきましたが、例えば、女性デジタル人材の育成など、社会人のまず学び直しや、それから男女の賃金格差の是正、それから看護、介護、保育など、公的給与の、この処遇改善、そしてまた、非正規雇用労働者に対する同一労働同一賃金の徹底や、また正社員化支援、そしてさらには最低賃金の引上げ、大事ですね、加えて、下請対策、取引適正化など、総合的に取組を進める必要があると考えているところであります。

 自公政権では、二〇一三年に、政府、労働者団体、使用者団体の三者でいわゆる政労使合意を結びまして、賃上げなど経済の好循環の実現に向けた取組を進めてきました。

 コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略などの環境変化を踏まえまして、個別企業の枠を超えた産業全体、また社会全体での雇用安定化の仕組みや新しい成果配分の在り方を創造することを目指して、政府、労働者団体、使用者団体のこの政労使で、産業横断的な合意を新たに結ぶことを提案したいというふうに思うわけであります。

 また、企業別労働組合が大半を占める日本では、いわゆる春闘による賃上げの取組が定着していますが、賃上げの取組を更に力強く後押しし、持続的なものとする制度を確立することが重要であると考えております。

 例えば、新たな政労使合意の下で、労使双方が信頼する経済学者の重鎮の方を座長として、労働者側、経営者側が推薦する経済学者あるいはエコノミストなどを加えた中立的な第三者委員会を設置してはどうか。そして、この第三者委員会で、データやエビデンスに基づいて、適正な賃上げ水準の目安を毎年の春闘の前に明示するというようなことも一案ではないかということを今日は提案をしたいわけでございます。

 岸田総理が主宰される新しい資本主義実現会議においても、有識者構成員として、経団連会長や日本商工会議所会頭、日本労働組合総連合会、連合会長が参加をされておられます。

 公明党としても、新しい資本主義というこの概念に対しまして、やはり本来は賃上げは労使で決めるべきものだ、これは資本主義の一つの原理かも分かりませんが、そういう新自由主義的なものだけに任せておくだけではなくて、そこに、二〇一三年から始めたこの自公政権の政労使会議という枠組みをもう一段、少し工夫をして、働く方々の応援になるように、賃上げがスムーズにいくようにすることが大事なんじゃないかなというふうに、今日は提案をさせていただいたわけでございます。

 是非、この政労使での新たな合意形成の必要性につきまして、まず、岸田総理の御見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、政労使の合意を得て政策を進めるということは大事なことだと思います。一方で、これも委員が御指摘になられたように、賃上げというのは、各企業の事情に応じて、それぞれの企業、個別に労使で交渉し、合意した上で決定される、こうしたものでもあります。

 そういったことから、本年の春闘に向けた議論においては、労使の皆様にも御参加いただいている新しい資本主義実現会議、委員の方からも御紹介いただきましたが、この実現会議において、政府の方から、今年は、ここ数年低下してきている賃金引上げの水準を反転させ、新しい資本主義の時代にふさわしい賃金引上げが実現することを期待する、このように申し上げて、その期待に応えていただいていると考えています。

 今の御提案、参考にさせていただきたいと思いますが、取りあえず、今の政権においては、引き続き、新しい資本主義実現会議等を活用して、今後の賃上げや人への投資の在り方についても労使の皆さんと議論を重ねていく、こうした努力は続けていきたいと思っております。

竹内委員 ありがとうございました。

 新しい資本主義というこの切り口は大変すばらしいアイデアだと私は思っておりまして、やはり、我々も、そこにもう一工夫加えることによって、一過性のものではなくて、持続的なものにしていく必要があるんじゃないかなと。仮に、二%の賃上げを十年続ければ、三割、三〇%近くまで、実は収入が上がるんですね。そういう意味でも、本当に持続的な賃上げが可能となるように、また連携を密にして御相談させていただければありがたいなというふうに思っているところでございます。

 さて、次に、女性デジタル人材育成プランについてお伺いしたいと思います。

 男女の賃金格差の是正に関連して、女性デジタル人材育成が非常に重要であります。かねてより我が党は、女性デジタル人材育成プランの策定を提唱してまいりました。今年一月の予算委員会でも、私は、このプランの総合的な取りまとめを要請いたしました。党女性委員会でも、同プランに係る提言を政府に申し入れてまいりました。

 先月、政府では、私どもの意見をしっかりと受け止めていただきまして、我が国初となる女性デジタル人材育成プランを策定されたことは、大変評価をしているところでございます。

 ただし、一点、このプランには、いわゆるKPI、目標達成のための重要な指標がまだ示されていないのではないかなというふうに思っているんです。プランというからには、やはり目標が必要ではないか。

 政府は、デジタル推進人材を令和四年度からの五年間で二百三十万人育成するとしていますが、女性デジタル人材は、そのうち、何万人育成して、就労に結びつけるのか。

 もう一つは、男女間の賃金格差の是正の目標でございます。

 我が国の男女賃金格差は二二・五%あるというふうに伺っておりまして、諸外国と比べて大変大きく開いています。私も、この点に関しましてもこの一月の予算委員会で質問し、前向きの答弁をいただきましたが、先般、総理は、女性活躍推進法の情報公表の仕組みを見直して、男女賃金の差異を、大企業に対し、その公表を義務づけることを表明されました。

 そもそも、デジタル分野は、実は、調べてみると、経験年数に沿って順調に収入が伸びるという特徴があるんですね。デジタルのお仕事に就かれている方は、年数働けば働くほどやはり収入は伸びていっているというデータがきちっとあるわけでございまして、私は、この今回のプランは、我が国の男女の賃金格差の解消の切り札、原動力につながっていくのではないかと期待しているわけでございます。また、そうしなければならないと思います。

 今回のプランには三年の見直し規定がありますけれども、賃金格差の是正や女性デジタル人材育成等の目標を設定して、政策効果を検証、確認できる仕組みをやはり導入していくべきではないでしょうか。総理の強いリーダーシップで目標を明確にし、実効性のある取組を是非お願いしたいと思っております。

 女性活躍担当大臣の決意をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 これにつきましては、御党の力強いリーダーシップをいただきまして、感謝申し上げます。

 男女間の賃金格差には、女性が多い職業は比較的低賃金であるという職種間の格差と、同じ企業内で女性の賃金がより低いという企業内の格差がございます。

 女性デジタル人材育成プランは、成長分野であるデジタル分野への労働移動を支援するものであり、職種間の賃金格差に有効な施策だと考えています。就労に直結するデジタルスキルの習得支援及びデジタル分野への就労支援を今後三年間、集中的に推進してまいります。

 その際、まずはデジタル分野の間口を広く取り、全ての意欲ある女性に機会を提供すること、地域女性活躍推進交付金等を通じて全国津々浦々で積極的な取組を促進し、確実に就労につなげていくことが重要だと考えております。プラン策定の三年後を目途に、様々な統計を用いてプランの効果を検証し、必要な見直しを行ってまいりたいと思います。

 また、企業内での賃金格差については、厚生労働大臣と連携して、早急に女性活躍推進法の制度改正を実施し、労働者三百人を超える事業主に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化し、この夏に施行できるよう準備を進めてまいります。

 これらを通じて、女性の経済的自立に政府一体となって取り組んでまいります。

竹内委員 まず、しっかりやっていただければというふうに思っております。

 それでは次に、こどもみらい住宅支援事業についてお伺いしたいと思います。

 昨年から続く木材価格の高騰やウクライナ情勢の影響による原油価格の高騰により、住宅価格の上昇が続いています。こうした状況にある中、今回の総合緊急対策において、原油高や物価高騰による住宅価格上昇への対策として、こどもみらい住宅支援事業が拡充されることになりました。

 公明党が全国で展開いたしました総点検運動において、実は、同事業は利用者などから非常に好評でありまして、更なる拡充を求める声がありました。こうした現場の声を受けて、緊急提言などを通して主張してきたところでございます。

 今回、それが実現する運びとなりましたが、改めて、同事業の内容や意義、また補助の対象となる方など制度の内容、また国民への広報につきまして、国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

斉藤国務大臣 こどもみらい住宅支援事業の意義でございますが、一つはカーボンニュートラルを目指して住宅の省エネ化を進める、それから二つ目に若者夫婦世帯そして子育て世帯を支援する、そして三つ目に価格高騰対策としてしっかり経済を下支えする、これが意義ではないかと思います。

 現在、令和三年度補正予算で創設しましたこの事業によりまして、住宅取得費を軽減し、子育て世帯や若者夫婦世帯による省エネ住宅の新築や既存住宅の省エネ改修等を推進しております。

 今後とも、この省エネ住宅関連投資の喚起を継続して図ることができるよう、令和四年度予備費等により六百億円を措置し、本年十月末までとなっていた申請期限を令和五年三月末まで延長いたしました。これにより、資材価格等の高騰が継続する場合であっても、省エネ住宅に対する投資を引き続き下支えしていくことにより、地球温暖化対策の推進を図るとともに、経済回復の軌道を着実なものにしてまいりたいと存じております。

 広報についてでございますが、政府広報のほか、インターネットにおける説明動画の公開、業界団体を通じた説明会の開催などを通じて国民の皆様へお知らせするなど、十分な周知に努めていきたいと思っております。

竹内委員 是非とも、ひとつよろしくお願いします。

 次に、事業再構築補助金につきましてお伺いしたいと思います。

 公明党が今春行いました中小・小規模事業者の方々へのアンケートでは、コロナ禍の中では経営維持が最優先の課題であったんですが、今後につきましては、賃上げに向けた取組や人材確保のための支援を望んでいる方々が多いことが分かりました。

 この度、新分野展開や業態転換に取り組む企業を後押しするため、事業再構築補助金が創設されましたが、この度の補正では、さらに、原油価格や物価高騰などの予期せぬ経済環境の変化を受けている事業者に対する特別枠ができまして、より優先的に支援できるようになりました。この原油価格、資材高騰、またエネルギー危機を乗り越えるための設備投資、業態転換が、中小企業の収益力の改善につながり、持続可能な賃上げにも結びついていくものと考えております。

 その意味で、私ども公明党が強く今回も主張いたしましたこの事業再構築補助金に一千億円が予算措置されたわけでございますけれども、その意義、狙いと、あわせて、今後の中小企業対策につきまして、経済産業大臣の答弁を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 新型コロナの影響が続いている中、原油価格や原材料価格が高騰するなど、中小企業を取り巻く事業環境は先行きの不確実性が増しており、業況が厳しい事業者が事業転換を行い新たな事業を開始するなど、事業転換に挑戦するニーズも高まっていくと認識しております。

 このため、新型コロナの影響に加えて、原油高等の影響を受けている事業者の事業再構築の取組に対して可及的速やかに支援策を講じていく必要があることから、事業再構築補助金を拡充し、新たに緊急対策枠を創設することとしました。

 緊急対策枠では、原油、原材料価格の高騰などにより、今年一月以降の売上高が二〇一九年から二〇二一年の同月比一〇%以上減少していることなどを要件に、補助率を通常の三分の二より四分の三に引き上げて、重点的に支援することを予定しています。

 今後も、中小企業を取り巻く状況を注視しながら、新型コロナや原油、原材料価格高騰で苦しむ事業者に対する資金繰り支援などに取り組むとともに、中小企業の生産性向上や取引適正化を後押しすることで、成長と分配の好循環を実現してまいりたいと思います。

竹内委員 それでは最後に、グリーンイノベーション基金についてお伺いしたいと思います。

 このグリーンイノベーション基金は、一昨年に、この場でも私から、カーボンニュートラルに向けて大きな基金が必要だということを主張させていただきまして、菅前総理が決断をされて、二兆円の大きな基金を初めてつくっていただいたわけでございます。これが非常に、今後、産業全体の脱炭素化、新たな経済成長を実現するものだと確信をしております。

 そこで、総理は、先日のクリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会で、脱炭素分野で少なくとも十年で百五十兆円超の投資が官民で必要、そしてまた、必要な政府投資額として二十兆円規模との試算を示され、グリーントランスフォーメーション、GXの経済移行債などで先行して調達するとも述べておられます。公明党としても、改めてその方向性に全面的に賛同するものでございます。

 その上で、まずは、このグリーンイノベーション基金プロジェクト、二兆円のプロジェクトの進捗状況と、今後の基金の拡充等につきまして、経済産業大臣の考えをお伺いしたいと思います。

萩生田国務大臣 グリーンイノベーション基金は、カーボンニュートラル実現の鍵となる革新的技術について具体的な目標へのコミットメントを示す企業などに対して、最長十年間、その研究開発、実証から社会実装までを継続して支援するものです。

 グリーンイノベーション基金で支援するプロジェクトについては、産業構造審議会での外部有識者による議論やパブリックコメントなどを経て順次組成を進めておりまして、現在までに、十六件のプロジェクトに対し、合計約一兆六千四百十二億円を拠出することが決定しております。

 また、御指摘のグリーンイノベーション基金の拡充については、産業界からも様々な御意見をいただいており、更なる支援ニーズがあると認識しております。

 最新の技術動向や国際環境の変化なども踏まえつつ、今後の対応をしっかりと検討してまいりたいと思います。

竹内委員 このグリーンイノベーション基金は絶対に必要だというふうに思っておりますので、更なる拡充をひとつよろしくお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。

 次に、泉健太君。

泉委員 立憲民主党の泉健太でございます。

 早速、我々立憲民主党、ここから、本日、そしてあしたにかけて質疑させていただきますけれども、まず、パネルをお出ししたいと思います。

 私の体制の下で、立憲民主党は生活安全保障を掲げました。やはり大切なのは国民の生活を守ることであります。様々な安全保障がありますけれども、私はやはり、生活という視点から様々な安全保障政策を問い直す、これが立憲民主党の姿勢であるということを改めて鮮明にしたいと思います。

 例えば、生活の安全を保障する、一人一人、国民生活の安全を保障する、まさにそれは家計であります。今、物価がどんどん上がっているという中でいいますと、政府、日銀なんかは、円安は日本経済にプラスである、その一言でおっしゃっておられるわけですね。しかし、これは、国民の目線から見れば、生活者の目線から見れば、あるいは輸入をしている中小企業の目線から見れば、相当厳しい今の局面ではないかと思います。

 我々は、そういう方々の立場、ここをしっかり理解して対策を打つべきだという意味で、生活安全保障三本柱の中で、まず、物価高と戦うということを述べさせていただいております。

 そして、二つ目、教育の無償化。

 我々立憲民主党は、教育の無償化というのは、将来、未来の一人一人の生活の安全を保障する、教育というのは一人一人の未来の生活基盤をつくる、その土台になるということを我々は訴えています。

 その意味で、これまでの日本、特に三十年間、総理も恐らくその期間ずっとこの政界で仕事をしてこられていると思いますが、特にこの三十年間というのは、日本は、残念ながら国際競争力を失ったんじゃないですか。残念ながら人口減少を止められなかったんじゃないでしょうか。ほとんどが自民党政権ですよ。

 そういう意味では、我々は、例えば、環境市場、これからもまだまだ大きくなっていくでしょうけれども、ソーラーパネル市場も風力発電市場も、我が国は競争力を失ってしまった。半導体もそうですね。あるいは、コロナで、医療業界が、医薬品業界が、我々、多くの国民は恐らく医薬品、治療薬とワクチンを自国で速やかに作れるというふうに思っていた。しかし、そういうこともなかなかできなくなっている。人への投資をおろそかにしてきたことが我が国の競争力を失うことにつながってきた。

 だからこそ、我々立憲民主党は、この三本柱、非常に重要な政策が多い中ですが、二つ目に教育の無償化を入れさせていただいております。

 そしてもう一つ、やはり安全保障政策ですね。

 立憲民主党も真正面から我が国の防衛政策を語っていきますし、そして、国民の生命と財産を守るために、当然ながら全力を尽くしていきたいと思います。立憲民主党に安全保障政策を任せていただいて安心だ、いや、むしろ立憲民主党こそがバランスのよい安全保障政策を述べていると。

 そして、特に、生活安全保障という観点でいいますと、私は、後にこの質疑の中で触れさせていただきますけれども、ただ防衛費を増やし軍備を増強すれば国民が安全になるとは考えておりません。恐らく、防衛費をどんどん増強し、兵器をどんどん増強していくと、これを他の周辺国と競い合うようにやってしまえば、それは緊張を高めることにもなるし、暴発の危険性も高めることになるでしょう。軍拡競争というのをただ漫然と続けていくというのは、これは絶対にあってはならないと思います。

 そして、改めて、対話外交。立憲民主党としても、平和外交、対話外交をとにかく重視をしていく。そういった意味で、落ち着いた安全保障、着実な安全保障、これが必要であると思っております。もっと言えば、生活安全保障の文脈でいえば、いわゆる防衛装備品のことだけではなく、まさに国民の命を守るということが大事です。

 その意味で、今日は後ほど、国民保護ですとか邦人保護ですね、在留邦人、海外には多くの日本人の方々が仕事をし、生活をされています、そういう方々の命の保護ということについても後ほど触れさせていただきたいと思います。

 こうして我々立憲民主党は、この生活安全保障を真正面から、経済、国民生活、産業、そして安全保障、自民党と論戦を闘わせていきたい、また、国民を守ってまいりたいと思います。

 さて、まず総理に国益に関することを二つほど確認をさせていただきたいと思います。

 バイデン大統領が台湾有事について、軍事関与ということを表明されましたね。総理、間近で聞いておられたと思いますけれども、これはどのように解釈をされましたか。アメリカの曖昧戦略が変わった、変わっていない、どのように考えていますか。

岸田内閣総理大臣 日米首脳会談の中では、東アジアの安全保障環境についても議論を行いました。その中で、一つ、台湾に関しましては、両国の基本的な立場には変更がない、こうしたことを会談の中では確認をしておりました。

 ですから、そういう認識に立っておりましたし、日本は、当然のことながら、一九七二年の日中国交正常化の時点で確認した台湾との立場、これは変わっておりませんし、維持していることであります。そういった日米の立場であると認識をしておりました。

 御指摘のように、記者会見で発言があったこと、これは承知していますが、その後、米国の方から、従来の台湾に対する考え方、これは変わっていないという説明もつけ加えられていると承知をしております。

 いずれにせよ、会議の中でも確認しておりますので、日米の立場は従来と変わっていないと認識をしております。

泉委員 今回、日米の首脳会談の中で、当然ながら、中国に対しても、またロシアに対しても、一方的な現状変更は絶対許されない、この姿勢を改めて鮮明にされたというのは当然のことでありますし、これは評価をしたいと思います。我々立憲民主党も当然その立場であります。

 日米と、ある意味中国の関係というのは、そういった意味で、今、ぶつかり合いのような局面なのかもしれない。しかし、私は、一方で、総理にお伺いしたいのは、アメリカ・バイデン大統領、これは一部報道でも出ておりますが、月内に習近平国家主席と電話会談をする、そういう報道も一部ございますけれども、何かそのことについて認識、情報はありますか。

岸田内閣総理大臣 米中での首脳電話会談ということについて、私は、具体的には何も情報を得ておりません。

泉委員 そして、さらに、米国は、アメリカは、アメリカの外交の仕方というのは当然あるわけですが、例えば、十九日に、アメリカの制服組トップのミリー統合参謀本部議長はロシアのゲラシモフ参謀総長と電話会談を行う、こういうこともしているわけですね。ですから、アメリカは、どんな局面で、相手国とどのような環境であっても、米中もやる、米ロもやる、こういう姿勢を持っているわけであります。

 私は、先ほど、立憲民主党の生活安全保障の中で対話外交という話をいたしましたが、総理、日本は、何かどこかでちゅうちょしている、あるいは、そういった思い切った外交をしていないのではないかと思うわけです。例えば、習近平国家主席と総理は、昨年の十月、電話会談ですね。それ以降、これだけウクライナ情勢も起こって時局が変化していく中で、首脳会談を行っていないわけであります。これは私は是非行うべきじゃないかと。どんな関係であれ、やはり対話というものを重視しなければいけないと考えたときに、私は、総理、是非、まず日中首脳会談を行うべきだと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 我が国の中国との関係ですが、日中関係、様々な課題はありますが、主張すべきことは主張し、中国には大国としての責任を果たしてもらわなければならない、一方で、協力すべき課題においては協力していく、こうした建設的な関係を維持していかなければならないと思っています。

 こういった考え方については、御指摘の日中電話会談においても習近平主席に直接伝えておりますし、具体的な日中首脳会談の日程は今何も決まってはおりませんが、こうした考え方に基づいて、日中の間で意思疎通を図っていく、対話をしていく、こうした姿勢は大事であると思っております。

泉委員 アメリカのサリバン大統領補佐官は、バイデン大統領と中国の習近平国家主席が今後数週間のうちに再び電話で話しても驚かないという発言をしている、バイデン政権は、習近平中国国家主席との首脳会談をリモートで五月末にも開催することを計画している、こういう報道もあります。

 やはり、日本は、常にアメリカの後塵を拝すとか、ただ他国の雲行きをうかがうということではなく、私は是非、総理、主体的に我が国として、中国そしてまたロシア、まあ、日本とロシア、この日ロは、私はいきなり首脳会談ということはないんだろうというふうに思いますが、様々なレベルでやはり会談をしていただくということは、是非、我々立憲民主党としては要請をしたいと思います。

 更に言えば、バイデン大統領と拉致被害者家族の皆様、お会いをいただきました。しかし、決してアメリカ大統領と家族が面会をするということがゴールではないはずですよね。私もずっと、この拉致問題、本当に、御家族の皆様がどんどんと高齢化されていく中で、また、他界をされてしまうという御家族も出てくる中で、何とかしてほしいと、様々なことをおっしゃられておりますよね。工程表を作ってほしい、工程表を示してほしい、そういうお声もありますし、主権国家としてのあかしを示してほしい、様々言われている。しかし、いつも国会では、条件をつけずにという演説が繰り返されるだけになっている。今、北朝鮮に対しても日本政府が何をしているのかというのは、全く国民には見えていないんじゃないですか。

 そういった意味では、是非、この日朝ということについても、どのレベルかは別にして、やはり、やり取りを国民に見える形で私はやっていただきたい。そこから、次の展開は様々あるでしょうが、是非何かしらを、国民に見える形の日朝の協議というものを行っていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 拉致問題は岸田政権においても最重要課題であるということを申し上げ、取組を進めています。

 そして、今委員の方から、国民の前に見える形でこの取組を示してもらいたいという御指摘がありました。

 これは当然のことでありますが、この拉致問題に関しまして、我が国として、様々な場面で、様々な場所で外交努力を続けています。こうした具体的な取組について明らかにすることは今はできませんが、だからこそ、あらゆるチャンスを逃すことなくと言っているのは、そういった様々な動き、これをしっかりと的確に受け止めて、具体的な結果につなげていきたい、こういった思いを込めさせていただいているところです。

 是非、引き続き、様々な努力、外交努力を続けながら、あらゆるチャンスを逃すことなく、この拉致問題解決に向けて努力をしていきたいと思っています。

 その様々な取組の一つとして、先日の日米首脳会談の際に、バイデン大統領に拉致被害者の方々に会っていただいた。様々な動き、この中において、アメリカの動きも大きな要素であります。大統領に、よりこの問題についてじかに触れていただき理解をしてもらうこと、これも大事なことだという取組を行った次第であります。

泉委員 改めてですが、日中、日ロ、日朝、是非、いずれも私は首脳自ら動いていただくべき案件だと思います。

 次に、もう一つ、この日米首脳会談、IPEFという枠組みで、また発足をして、総理はこの中でTPPへのアメリカの復帰を呼びかけたというお話がありました。ただ、周辺の専門家からは、アメリカのTPP復帰は現実的ではないのではないかという声も私は数多くあると思うんです。この意図が何なのかなんですね。

 一つ、国益という意味で私は伺わなければいけないのは、二〇二〇年の一月一日、総理、覚えていますか、日米貿易協定が発効しているわけですよ。この日米貿易協定、当時、茂木大臣だとかが、甘利さんだとかがアメリカと随分交渉をして、攻めるべきところは攻める、守るべきところは守ると言っていましたよね。しかし、結果がどうだったかということでいえば、農業分野、牛肉、鳥肉、豚肉、我が国へのアメリカ産の肉の関税を引き下げる、我が国に向けた関税を引き下げるということを締結をしたわけですよね。そして、発効したわけです。

 そのときに、当然ながら第二ラウンドがあって、我が国は自動車分野でかち取るはずだったんじゃないですか。二〇二〇年の一月に発効して、もう数か月後には第二ラウンドが始まって、獲得するはずなのに、全く今獲得できていません、二年もたっているのに。私は、これはてっきり日米首脳会談で日本側から求めがあるのか、日本側から要求が出るんだと思っていたんです。そしたら、全くその記述がない。そして、TPPに参加を要請するだけ言っているわけですね。

 これは、総理、全く我が国の国益を主張していないんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の日米貿易協定ですが、これは、今現在、協議は続けられております。もちろん、大切なのは、意味ある、結果を出すということ、合意に至るということでありますので、委員の御指摘のような経過を踏まえて、今、引き続き、どういった合意を得るのか、対象とする分野の協議も含めて協議が続いているというのが現状であります。

 引き続きこの協議は続けられるものと思いますが、それと併せて、今回は、インド太平洋、この全体における経済連携という観点から一つの新しい枠組みができたと承知をしています。

 いずれにせよ、アメリカにこの地域における関与をしっかりと持ってもらう、こういった観点から、こうした取組は有意義であるということで歓迎をした次第であります。

泉委員 相当今ごまかされましたよね。これは私、総理、国民の皆様にはお伝えしなければいけないと思いますけれども、事前に役所に聞きましたよ。全くと言っていいほど、ほとんど忘れていましたね、この日米貿易協定について。

 これは、そもそも二〇二〇年の発効の際に、日米貿易協定の発効後、四か月以内に協議を終える意図でありということが明確に、四か月以内と書かれているわけです。ですから、二〇二〇年、早ければ五月には協議は終えて、自動車分野、我が国からアメリカに輸出する自動車に対する関税の引下げ、それが我が国の果実として、ある意味、そこに至るまでに、先ほど話をしたように、全国の畜産業者の皆さんが泣く泣く、ある意味政府の方針に応じて、日本に牛肉だとかを輸入する際の関税の引下げ、これに応じざるを得なかった状況があって、国益だからと。その裏で自動車で取るという話だったのに、もう二年も取れていないんですよ、総理。

 協議が引き続き続いているなんて言っちゃ駄目ですよ。本来すぐやらなければならないことを一年も二年も置きっ放しにしていたんですよ、総理。これは、すぐ指示してやるべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の日米貿易協定については、この自動車・自動車部品の部分については、協定の誠実な履行中は追加関税を課さない旨を確認するなど、協議を続けておりました。

 そして、TPPへの復帰を求めたという点については、TPPに復帰すればこれは全部含有されるわけでありますから、こうしたTPPへの復帰とセットでこういった議論も進めていくことが重要であると思っています。

 何よりもTPPの復帰、これをしっかりと求めたわけでありますが、併せて、その復帰が成就しない間については先ほどの協定についても協議を続けていく、こうした姿勢で臨んでいきたいと思っています。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

泉委員 今のお話を伺うと、TPPに復帰を求めていて、その間は協議を続ける、結論を出さないということですか。ということは、日本の側の果実は取れないということですか。TPPの復帰をひたすらアメリカに要請し続けて、結局、その間は協議中だと。これではいつまでも国益が取れないじゃないですか、総理。そんな押し問答をしていても駄目ですよ。

岸田内閣総理大臣 今現在、並行して協議をしているということを申し上げているわけでありまして、お尻が両方一致しているということは申し上げておりません。日米貿易協定についても協議は続けております。

泉委員 これは是非、改めて体制をちょっと立て直していただきたいし、今の方針じゃ駄目だと思いますよ。

 そんな、元々、日米で貿易協定でやろうということで進んでいって、農業分野を譲って、そして、あと残りは、この自動車分野をどうするか。そこでTPPの話を持ち出して、結論がいつ出るか分かりません。そもそも四か月以内に出すと言っていたものの結論をいつ出せるか分かりませんというのは、大きな後退ですよ、これは。大きな後退ですよ。

 これは政府でもう一回答弁を整理していただいて、改めて政府の方針の説明を要求したいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

泉委員 続きまして、生活安全保障の三本柱ということで、一本ずつ少し中身をお話をしていきたいと思います。

 総理、当然ながら、物価が随分上がっているというお話を先ほどさせていただきました。私もよく自炊もしますからスーパーにも行きますし、そして、先日は、全国を回る中で、飲食店の皆様からお話を伺うと、とにかく油の値上がりがすごい、これまでは一斗缶で二千円台ぐらいだったものが、今、五千円から六千円、場合によっては七千円ぐらいにまで値上がりをしていると。非常に、物価が上がっていることで負担が大きくなっております。

 では、パネルを示していただきたいと思います。

 この「円安・物価高で家計負担増!」というものですね。これはみずほリサーチの方でまとめていただいたものですが、一ドルが百三十円の水準で、年間通じて、そして原油が一バレル百ドルの場合、これは、でも、今現状、大体そういう状況になっているという、それで試算をした場合にどうなるかなんです。

 年収三百万未満の世帯といいますと、食料品が物価高で値上がりをする、そして、電気、ガス代も上がっていますから、トータルでいうと約五万円近くの負担増です。幾ら日本経済に円安がプラスだといっても、三百万未満の世帯でいえば、食料品も買わなきゃいけない、電気代もガス代もかかる。かかるんですよ。五万円の増なんです。そして、六百万―七百万の世帯でいえば、消費がもう少し膨らんでいきます。全国平均で六万五千円弱の負担増になります。これは一つの試算ですね。しかし、間違いなくこれは総理も理解されると思いますよ、物価が上がるということについては。

 そういう中で、日銀総裁の、円安は日本経済にプラスというそのメッセージですよ、私が言いたいのは。メッセージがそれだけなのかと。これは、言ってみれば日銀総裁のメッセージですから、円安をそのまま維持をする、放置をする、特段対策は取らない、こういうことを指すんじゃないですか。それであれば、余りに一般の国民の皆さん、中小企業の皆さんにつらい状況。私は、政府として何もしていないということになるんだと思いますよ。これは国民目線とは言えないと思います。

 是非、私は、改めてですけれども、この円安の水準について今総理がどう考えているのかということを改めて聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、私の立場から為替の水準について具体的に申し上げることは控えなければならないとは思いますが、いずれにせよ、為替というものが急激に変動するということは望ましくない、これは間違いないところであると思います。

 そして、円安の影響ということを申し上げるならば、一般論として、円安になった場合に、輸出企業あるいは海外に資産を有する企業にとっては追い風になる一方で、事業者、生活者にとっては、物価の引上げということによって大きなマイナスを得ることになる。円安ということについては様々な影響があるということ、これは一般論として当然のことであると思います。

 そうした円安の影響についてどう理解するのかということだと思いますが、いずれにしても、政府の立場からしたならば、この物価高にしっかり対応しなければいけない、こういったことであります。

 そして、日銀の公表している統計によりますと、この物価高の影響、円安の影響はもちろんあるわけでありますが、四月の段階で、物価に対する円安の影響、三分の一程度ということになっています。何よりも、世界的な原油、物価高、これが背景にあっての物価高だということも念頭に置きながら、政府として対応しなければいけない。

 そういったことから、総合緊急対策を政府として用意をし、当面の物価高に対して対応していく、こういった方針を明らかにさせていただいている、こうしたことであります。

泉委員 まあ、悠長というか優雅というか、今、三分の一とおっしゃいましたよね。四五%、輸入物価ですか、上がって、そのうち三〇%は元々の資源価格の上昇だとか様々なもので、一五%は円安の影響だと。これは大きいんじゃないですか。何か大したことないように言いませんでしたか、今。これは大きいんですよ、物すごい大きい話ですよ。本当にその認識が、私は、甘いという話だと思うんですよ。

 その認識が、あくまで経済全体ということでしか見ていない。生活目線で見ていないということなんですよ。だから生活安全保障なんだという話をしなきゃいけないんです、私は。総理、これは是非認識を改めていただきたいと思います。

 そして、物価が今どんどん上がっていますが、中小企業、これはある新聞社のアンケートでいえば、八割が価格転嫁をできていない。苦しんでいますよ、中小企業も。

 そして、連合も、先日、五月十九日の春闘中間まとめというところで、二〇二一年度後半から物価上昇の局面に入っていて、残念ながら、賃上げはしたものの、実質賃金はマイナスとなるおそれがあると。やはり、生活費が減るという環境になっている。これは全然好循環になっていませんよね。

 しかも、年金生活の皆さん、後ほど我が党の長妻議員もやりますけれども、年金生活の皆さんは、四月から何と年金が下がりますよね、〇・四%。そういうことに対して、総理、何か対策を考えていますか。年金生活者に対する対策、考えていますか。

岸田内閣総理大臣 年金生活者の皆さんも含めて、政府としては様々な政策を用意しています。

 そして、年金生活者の方々に直接影響する政策としましては、昨年十一月に策定した経済対策、住民税非課税世帯に対しまして十万円の給付を行うということ、これは二月から三月にかけて給付が始まっております。また、年金生活者支援給付金、年六万円少々の規模でありますが、こうした給付金が用意をされています。また、医療や介護、こうした負担につきましても、保険料負担の削減、こうした取組を用意をしています。

 こうした様々な政策を重層的に施行することによって、年金生活者の方々にも少しでも生活のプラスにしていただければと、政府としては経済政策を用意している、こうしたことであります。

泉委員 年金生活者も様々含めてとおっしゃられたあたりで、もう何だか一緒くたにされましたよね。

 そもそも、今おっしゃった総理の対策というのは、今般の円安の前の話じゃないですか。今のこの円安の状況ですとか物価高の状況、それを踏まえて今この補正予算の審議をしているんじゃないですか。その補正予算の中に年金対策、何があるんですか。(発言する者あり)そうなんですよ。前にやったからいいという話じゃないんですよ。全くそれが含まれていない、だから我々はこの補正予算、納得いかないんですよ。

 年金生活の方々は非常に厳しい環境に置かれる。なのに、今回総理が出してきた補正予算は、ガソリン対策と予備費の積み増し、以上ですよ。これでは私は年金生活の皆様は全く納得できないというふうに思いますね。

 パネルをちょっと交換をしていただきましょう。もう一つのパネル、物価高対策であります。我々立憲民主党、政策を既に具体的に示させていただいています。

 まず一つ目なんですが、先ほど円安の話をしましたが、この異次元の金融緩和の見直しということ、これを総理がどう考えているのかなんですね。

 先日も、アメリカ連邦準備理事会、FRBや、イギリスのイングランド銀行は、既に利上げに動いていますよね。それに加えて、欧州の中央銀行ラガルド総裁も、七月から利上げが可能になると。もう欧米は利上げでほぼ一致の状態であります。

 そして、日本側はずっと低金利のままですね。異次元の、あくまで異次元のですよ、ただ単なる金融緩和じゃない、異次元の金融緩和がずっと続いている。この金利の内外の大きな差が、また一段と円安の要因になっている。これはまだまだ今後も続く可能性がありますよね。

 そして物価も、じゃ、今後本当に落ち着くと断言できる話かといえば、全くそれは推測でしかないですよね。確かに、エネルギー価格が落ち着くなんというような論もありますが、今後の国際情勢においては非常に不透明。また、恐らくこの十月、四月でも一七・三%小麦が値上がりをしましたが、十月はもっと来るんじゃないですか、小麦の値上がりが。

 そう考えれば、物価が引き続き二%を今年いっぱいぐらい続けていくということは十分想定されるんじゃないですか。物価がずっと二%で今年いっぱい続いていくというのは、生活に対しては大打撃ですよね、総理。大打撃じゃないですか。

 そういう中で、金融政策の見直し、全く検討しませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、欧米の中央銀行においては金融緩和の見直しについて様々な動きがあるということは承知をしております。ただ、これは各国の金融政策、それぞれの国の経済あるいは物価情勢、こうしたものによって判断される、実施されるものであると思っています。

 我が国においては、具体的な手法は日銀に委ねられるべきだと思いますが、引き続き、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて努力することを期待したいと思っております。

 そして、それと併せて、おっしゃるように、今後の不透明な事態に備えるからこそ、今回、補正予算をお願いし、五月から九月にかけての激変緩和措置をしっかり充実させよう、さらには不測の事態に向けて予備費をお願いしよう、こうした補正予算を用意した次第であります。

 是非、これから先の事態、委員おっしゃるように……(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 不透明なものがあります。これは誰にも判断することは難しいわけでありますが、どんな事態が起こっても、国民生活の安定のためにしっかりと政府として責任を負う、そのための補正予算であると考えております。

泉委員 そのための補正予算としては少な過ぎますって。小さ過ぎます。年金生活者に対する対策だって入っていないんですから。小さ過ぎるんですよ。

 総理、改めて伺いますが、円安が進むということが予想はされるわけです、どっちになるかは確かに分からないけれども。円安が進むようであれば、やはり、政府、日銀共同声明、アコード、こういうものも持ってきているわけですが、それは見直しをするということも当然検討されていいんじゃないですか。日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で二%とする、これは既に四月では達成をした。しかし、政府は、持続的ではない、まだその段階ではないと言うけれども、今後そうなっていく可能性も十分ありますよ。そのときに、ずっとこの金利を全く動かさない今の政策を採用しているわけですよね。

 私は、物価高を止めるという意味では、金利を少し引き上げるということも選択肢にやはり入れるべきじゃないかと思いますが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から、対策が小さ過ぎるという話がありましたが、今のこの政府の政策、昨年十一月に発表した九十七兆円の総合経済対策、昨年度の補正予算の繰越分と、そして本年度の本予算の執行、これを今行っている。先ほど、去年決めたことではないかということをおっしゃいましたが、それを今、国民の皆さんの中に届けているわけであります。

 そして、それに加えて十三兆円の総合緊急対策を用意し、より影響を小さくしよう、そういった取組を進めているところです。

 そして、補正予算を用意して不測の事態に備える、これが基本的な考え方であります。まずは、こうした一連の政策をしっかりと進め、そして国民の皆さんに届けるのが先だと思っています。

 御指摘の日銀の金融政策については、平成二十五年の政府、日銀の共同声明に基づいて、引き続き日銀として努力をしていってもらいたいと思いますし、政府においても、そうした金融政策に併せて、財政政策等様々な政策を進めていかなければならない、このように思っています。

泉委員 岸田総理も、就任当初は、もうアベノミクスから転換、脱却をするのかなと思いましたが、先日、五月三日のイギリスの講演でも、引き続き、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めます、これは全くアベノミクスですよね。何にも変わっておられない。

 結局、この大胆な金融政策をただ続け、円安と戦わず、国民の皆様の負担は上がり、年金生活者には、対策は今回含まれていない。本当に残念であります。このアベノミクスの縛りがどれだけ強いものなのか。安倍元総理の言うことを聞く力はあるのかもしれませんが、円安で苦しむ国民や事業者の声を聞く力は私は失われてきているなと大変残念に思います。

 改めてですが、このパネルにもあるように、年金額、一番下のところを見ていただいて分かるとおりです。立憲民主党としては、今般の、先ほど示したように、低年金の方、そして一般の中間層の皆さんも含めて生活負担が大分上がるので、年金については支援給付金の上乗せ、そして、低所得高齢者に対しての年金の上乗せという政策を我々は出させていただいています。

 是非こういった政策を盛り込んで補正予算の審議をしていただきたい。どうですか、この支援給付金の上乗せと低所得高齢者に対する上乗せ、政府、検討していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、最初は、ロンドンの講演等を引き合いに、何も変わっていないのではないか、こうした御指摘がありましたが、マクロ経済政策においては引き続き現状を維持するということを申し上げた上で、政府として、新しい資本主義、新しい時代に向けての経済モデルをしっかり示していこう、こうしたことを申し上げた次第です。

 そして、年金生活者に対する政策、これを盛り込まないかという御指摘でありますが、この部分について、まさに先ほど申し上げました十一月の経済政策に基づいて様々な予算が今執行されている、こういった現状にあります。それに十三兆円の新たな総合緊急対策を上乗せしようということを政府として申し上げております。是非これを実行したいと思います。

 なお、最後にちょっと一つ訂正ですが、先ほど、昨年十一月の経済対策、私は規模を九十七と言ったようですが、七十九兆の間違いであります。失礼いたしました。

泉委員 おかしいですよね、昨年十一月の段階で年金生活者の皆さんに対する対策を盛り込んでと。何かあたかも物価高や円安を予想していたかのような。でも、これ、予見できないということで予備費を用意したりしているわけですよね。

 私は改めて思うんですけれども、今我々立憲民主党が言っているこの年金の新たなる対策というのは、今の物価高、今の為替水準、こういう中で更に昨年以上に国民の負担感が増しているから対策が必要だと言っているわけです。ですから、改めてですが、昨年の段階の対策を言っているのではないということを明らかにしたいと思います。

 そして、もう一つは、真ん中にある価格引下げ税制というところを見ていただきたいと思うんですね。

 我々立憲民主党は、消費税を時限的に五%に引き下げる必要がある。ガソリンについては、トリガー税制、あるいは二十五円から三十五円と、様々、政府も対策をしているということでありますが、ガソリンだけ対策をすればこの物価高に対応できるものではないということですね。その意味で、消費税を時限的に引き下げる必要があるのではないかと思います。

 これは別に何も選挙の話ではなくて、やはり、先ほど負担が上がるということでいえば、今後、例えば北海道や東北の皆さんなんかはよりガソリンや灯油を使うということでいえば、先ほどの負担額よりももっと高い負担額が強いられるでしょう。様々、生活環境において、恐らく十万円近くの負担増というものが発生してくると思います。そういう中で、年収三百万から五百万世帯であれば消費税の年間納税額というのは約二十万円ぐらいになりますから、これを半額にしていく。要は十万円の給付分ぐらいになるわけですね。今ここで、物価が上がっていくものに対して消費税を下げるということで、そして、購買力を維持する、消費力を維持する、それをしないと、悪い物価高により入っていってしまうんじゃないですか。

 結局のところ、物価は上がるけれども経済はよくならない、こういうものにしないために消費を喚起する。総理、何か消費を喚起するための対策、消費税を我々は訴えていますが、政府の側、与党の側で何か考えていることはありますか。

岸田内閣総理大臣 消費を喚起するということですが、やはり何よりも基本は、生活、事業に関わる、エネルギーを始めとする価格高騰の負担をいかに軽減していくのか、これが重要であると考えます。

 ですから、今回の総合緊急対策においても、ガソリン等については激変緩和措置を深掘りする形で対策を用意しているわけですが、それ以外に、政府としましても、例えば、電力、ガスということで申し上げるならば、元々、家庭向けの電力、ガス料金には上限制度が設けられているわけでありますし、事業者に向けても省エネ対策等の支援を行っていくことになるわけですし、地方臨時交付金等様々な仕掛けによって、事業者に対して具体的な支援を行う、こうした仕掛けも用意している等々、こういった支援を行うことによって、可処分所得をできるだけ大きくすることによって消費を引き上げていく、こうした全体の経済のありようを考えていく、これが政府としての考え方であります。

泉委員 本当に、今も委員各位から声が上がっていますが、全て元々のものばかりの話で、この補正予算の話はしていないですよね。本当に残念ですよ。

 ですから、この補正予算の規模、余りに小さい。これだけ今国民生活が厳しい中で、また需給ギャップも大きく存在する中で、全く対応するものになっていないということであります。本当に残念であります。

 こうした政府の小さな経済対策では、到底国民の生活を守ることはできない。だからこそ、我々は、こうして具体的な案、物価高対策について具体的な案をそろえました。改めて、是非国民の皆様にこうした形で信を問うていきたいと思います。

 さて、我々が生活安全保障の中で訴えてきた教育の無償化というところで、一点だけ気になった点があります。

 この教育の無償化については、この後、五時前までの質問の中で我が党の城井崇議員が詳しく扱いますけれども、教育の無償化について、昨日、総理は本会議での答弁で、子供、子育て予算の倍増という文脈の中で、政策を体系的に取りまとめ、社会全体で費用負担の在り方の検討と併せて、子供政策の充実に取り組む、これで将来的に倍増をするとおっしゃった。

 しかし、私はかつて、先週ぐらいですね、質問主意書で政府に問うたときは、この倍増というのは方向性であって、要は宣言であって、具体的な倍増を指さないというような話もあった。

 改めて、昨日、総理は将来的には倍増とおっしゃった、将来とは何年後のことをイメージされていますか。

岸田内閣総理大臣 倍増という目標に向けて努力をする、そのためのプロセスを示すことが大事だということを再三申し上げております。

 こども家庭庁が設立されたならば、そこが中心になって、子供政策として何が必要なのか、これをしっかりと整理した上で、そのために必要な財源を社会全体でどのように負担するのか、企業も含めてどのような負担を考えるのか、そうした負担も整理をし、その上で予算全体のありようについて考えていく、こうした順番、プロセスを示すことが大事だということを申し上げております。

 是非、このプロセスを進めながら倍増を目指すという方向性、しっかりと示していきたいと思っております。

泉委員 総理、改めてですが、これは総理の任期中に倍増するということを考えているんですか。それとも、総理のその倍増という政策を次の総理も引き継ぐことになっているんですか。これはどうなっているんですか。

 普通、こういう様々な総理の宣言的なものというのは次の内閣は踏襲しないと思いますが、しかし、これは国民への約束ですから、いいかげんなことを言っていただきたくないわけですよ。

 改めて、総理、倍増をおっしゃった、将来的には倍増とおっしゃったのであれば、どれぐらいのスパンで、目標でもいい、目標でもいいからちゃんと示していただかないと、五十年後に倍増だと言われたって意味ないんじゃないですか、総理。はっきり言ってください。

岸田内閣総理大臣 だからこそ、具体的なプロセスが大事だということを申し上げています。具体的にどうやってこの予算を増やすのか、それをしっかり示すことが大事だということを再三申し上げております。

 是非、このプロセスを一つ一つ積み上げることによって、それぞれの政策にどれだけのお金がかかるか、そしてそれを誰が負担するのか、これをしっかり整理した上で予算の倍増を目指していきたいと申し上げております。(発言する者あり)

根本委員長 泉健太君、もう一度質問してください。

泉委員 総理にもう一回聞きますね。

 将来的にはと総理がおっしゃったんです。誰かが言ったわけじゃないんです。そして、その倍増という言葉も、総理が編み出した言葉ですよ。ほかの人には分からないんです。だから説明をしてくれと言っているんです。将来的に倍増すると総理がおっしゃったら、何年後に倍増するんですかと、それを聞くのが当たり前じゃないですか。野田大臣だったら自身のプランを持っているんじゃないですか、自身のプラン。総理のプランを教えてくださいよ。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げているように、具体的な政策を整理して、それを社会でどう負担するかを明らかにし、その結果として数字が出てくるということであります。ですから、倍増ということについても、そのプロセスの結果であると認識をしております。

泉委員 はい、分かりました。整理をして、何が必要かを明らかにしてからということであります。

 総理、今のお話を、是非、防衛費で改めて考えていただきたいと思います。

 昨日、財務省の財政審議会では、防衛費について、規模ありきで議論を進めるべきではないという答申が出されました。防衛費二%以上とか、これは事実上、倍増ですよね。防衛費も倍増ですよね。そして、安倍元総理なんかは、もう来年は六兆円台後半だと、数字ありきの、まさに話をしている。

 総理は、相当な増額と、ここでもどういう頭の中の思いがあって言っているのか分かりませんが、相当な増額とおっしゃった。この相当な増額というのも、あくまで、政策を体系的に取りまとめ、社会全体で費用負担の在り方の検討をし、そして倍増ありきではないという考え方でよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 はい。防衛費についても、具体的な数字等は申し上げておりません。

 先ほど言いましたように、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、これを具体的に、現実的に考えた上で積み重ねていく、そしてその裏づけとなる予算をしっかり確保する、こうした議論、取組を、年末に向けて、国家安全保障戦略を策定する過程の中でしっかりと進めていきたいということを申し上げております。

泉委員 改めてですが、防衛費については、総理は倍増という表現は御自身ではたしかしていなかったと思いますが、総理は倍増とは言っていないという理解でいいですね。

岸田内閣総理大臣 今申し上げた取組を進めていく、こうしたことについて、国会でも今まで再三申し上げている次第であります。

泉委員 子供政策予算と防衛費でいいますと、総理、防衛費については、相当な増額ということをバイデン大統領に約束をする、しかし、子育て予算については、よく、いつになるか分からない倍増ということで、これは国民に約束をしたということには私はならないと思いますね。是非、バイデン大統領に約束をするぐらいであれば、国民にもちゃんと約束をしていただきたいということを改めて思いますよ。

 さて、先ほど私は、冒頭に、着実な安全保障という政策の我々の考え方の中では、まさに、安全保障といっても、単に自衛隊の話だけではなく、そして外交の話だけではなく、国民の命の視点が大事だという話をいたしました。

 その中で、こんな声が上がっておりまして、日本の離島で、国民保護法に基づいて、島民の避難計画、これが例えば与那国島では策定はされている、しかしながら、その島の中の港や空港までの避難は市町村が策定をするんですが、そこからについて、有事の際に設置される政府対策本部の指示を待たなければいけないので、例えば、島内から本島に避難をする、あるいは本土に避難をする、これが全く不明であるため、そして誰がそれを輸送するのかが今全く不明なために、非常に不安を覚えているという声が上がっております。

 これは、確かに都道府県がそういった手段を用意するということになっているわけですが、どういう事態に、どういう環境であれば、まさに命を守れるのかということは、これはやはり自衛隊や海上保安庁の助けなしでは計画を作れないと思うんです、都道府県も。そして、計画を作るだけじゃなく、実際に、例えば輸送機で運んでいただくのか、例えば護衛をしてもらうのか、そういうことも含めて共に計画を作っていかなければいけないんですが、これはやれていますか、できていますか、総理。

岸田内閣総理大臣 政府の、御指摘の点についての取組、当然のことながら、政府、政治の立場で、国民の命や暮らしを守る、これは最優先課題でありますので、あらゆる事態を想定して様々な準備を進めている、これは当然のことだと思っています。

 そして、御指摘の点についても、離島等からの退避等を考えた場合に、そうした事態が発生したならば、政府の様々な機関を総動員して、航空機やあるいは船舶等のアセット、これを総動員する形で国民の皆さんの退避を考えていく、これはそういった対策を実施することになると考えています。

泉委員 そういう場当たりでは駄目だということなんですよ。それはそのときになったら一生懸命頑張りますでは、国民の皆さん、そして各都道府県、市町村、計画を作っていて、それをどうやって実際につないでいくか、島の外につないでいくかということを真剣に今考えている中で、政府からのメッセージや考え方がないという声が上がっています、現に。是非ここは、全てのそういった離島に対して計画をしっかり作っていただきたいというふうにまず思います。

 そして、先ほど防衛費のお話もさせていただきましたが、もう時間もあれですので、続いて核共有の話にも入らせていただきたいと思います。

 自民党の国防部会長、先日、自民党の安全保障調査会で議論をした結果ということで、こう報道に対して述べています、核共有について。

 核を使用すれば核による報復が当然あり、核の配備先になれば真っ先に相手国から狙われるなど、実益が全くないことがはっきりした。出席議員から導入に前向きな発言は一切なく、日本にそぐわない政策だと納得した雰囲気だった。むしろ日本の安保環境が不安定になる。日本への核配備はそもそも無理だし、現実的な選択肢とは思わない。

 こういう自民党国防部会長の発言、報道ということであります。ある意味、まともだなと。

 総理、同じ考えだと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、一言だけ。先ほどの有事の対応ですが、あれはあくまでも有事の対応でありますので、平素から、実際どう対応するのか、これを全部明らかにするということが難しい面があることは御理解いただきたいと思います。

 その上で、今、核共有の方の話でありますが、核共有につきましては、これも従来から申し上げておりますように、我が国における非核三原則の考え方、また、原子力基本法を始めとする我が国の原子力の安全使用に関する法体系、こういったことを考えましても、核共有ということについては現実的ではないと考えております。よって、政府においては議論は考えていないということを申し上げております。

泉委員 総理、現実的であるかどうかということ以外に、やはり、総理、広島出身の総理として、総理の思いとして、核共有を変えるつもりはないということでよろしいですね。済みません、非核三原則は変えるつもりはないし、核共有をするつもりは全くないと。

岸田内閣総理大臣 はい。非核三原則はしっかり守っていかなければならないと思っていますし、核共有について議論は考えておりません。

 こうした厳しい現実に対して、先ほど申し上げておりますように、我が国の防衛力を抜本的に強化するとともに、日米同盟の抑止力、対処力を向上していく、こうした方針で努力を続けていきたいと考えております。

泉委員 先ほど自民党国防部会長の発言を引用させていただきましたけれども、実益が全くないことがはっきりした、出席議員から導入に前向きな発言は一切なくと、そういう御報告でありました。自民党さんでもそういう、ある意味結論になっている中で、核共有を掲げたり、非核三原則の見直しを唱えたり、そういう政党があるとしたら、私は、これは相当、広島、長崎の被爆者やその関係者を冒涜をしていると思いますし、そしてまた国民を危険にさらす考えだと思いますよ。こういう考え方は私は全く納得できないということもお伝えをしたいと思います。

 改めて、立憲民主党は、平和的で、そして生活目線の安全保障政策ということについても力強く進めていきますし、そして当然、国民の生命財産を守るということで、防衛政策も具体的に進めていきたいと思います。

 やはり、今、こうして予算の議論をさせていただいて、政府の今回の補正予算は、余りにメニューが少ない、そして、円安そして物価高に対する対策が不十分である、また、予備費をただ追加をする、使途を広げるというのは財政民主主義にも反するということを、我々、改めて立憲民主党としても表明をして、まず、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。

 私からも、立憲民主党の生活安全保障三本柱、物価高と戦う、教育の無償化、着実な安全保障、この中から、幾つかの観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、総理、一連の外交日程、お疲れさまでございました。この外交日程の中で、私はちょっと、午前中の自民党の安全保障政策を聞いても、一つ気になる点がございますので、それについての総理の認識を聞きたいと思うんですが、まず、安全保障のジレンマというのは、総理はどんなことだと捉えておられますか。

岸田内閣総理大臣 安全保障のジレンマ、私が承知している安全保障のジレンマは、自分の国が軍事力を強化する、そうすると、相手は更に軍事力を強化する、結果として、自分の国の脅威が増すことになってしまう、これを安全保障のジレンマだと言っていると承知をしております。

長妻委員 これは軍事の世界ではよく知られた理論でございますが、今の観点から総理のちょっと認識をお伺いしたいんですが、対中国という意味で、この安全保障のジレンマをどういうふうにお考えですか。

岸田内閣総理大臣 対中国、中国に限らず、近隣諸国との関係を考えた場合に、安全保障のジレンマということとの関連でいうのであるならば、安全保障の世界において様々な技術が進歩している等にそれぞれの国がしっかり対応しなければならないと思います。

 よって、軍事力の充実と安全保障分野における充実をしっかり図っていく、これは当然考えなければいけない課題でありますが、その際に大事なのは、周りの国々にそういった取組を理解してもらうことであると思います。

 ですから、よって、我が国が安全保障についてどのように考え、そして、その考えに基づいてどのような軍事力を強化しているか、そして、そうした考え方と併せて、増強している中身についてもできる限り透明性を高めることによって周辺国に理解を得ていく、こうした取組が安全保障のジレンマとの関係においては重要であると思っています。

 ですから、我が国も、是非そういったことで、周りの国々との信頼、これを高めていくことが重要だと思います。

 今、中国との関係ということをおっしゃいましたが、ですから、中国にも、是非、軍事力のありようについて透明性を高めてもらうよう求めていくことは重要であると考えます。

長妻委員 その中で、中国とは今年、日中友好五十周年ということでございまして、日本は相当太いパイプがもとよりある国でございます。

 先ほど泉代表からも質問がございましたが、今、総理、日本が首脳外交を中国と展開する私はチャンスなんじゃないかというふうに思うんですね。秋には重要日程として中国共産党大会がある。習近平主席が三期目の共産党総書記になるかならないか、ほぼなるということではあるんですが、そう簡単にはいかないという話もございます。

 その中で、今、中国の首脳部の中には、余りにも習近平主席含めロシアに近づき過ぎているんじゃないか、引っ張られ過ぎているんじゃないかということが、中枢部の中からも今声が出始めておりますので、総理、首脳外交を中国と、するとここでは言えないと思いますので、模索してみる、ロシアに余りにも引きずられ過ぎないように、一定程度こちらの方に戻していくような、そういうようなことも含め、安全保障のジレンマ、おっしゃったようなことも含め、首脳外交を展開する、それを模索していく、こういうことは今日本にとって本当は必要だと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 中国との関係については、先ほども議論になりましたが、我が国としては、中国との関係において、主張すべきことは主張し、そして大国としての責任をしっかり果たしてもらうように働きかける、一方で、協力すべき課題については協力を行う、こうした建設的な安定した関係を築いていく、これが基本的な考え方です。

 昨年、就任直後に日中首脳電話会談を行った際にもそうした考え方を伝えております。

 そして、首脳会談ということにつきましては、今おっしゃるように具体的な予定はありませんが、是非、中国との間において意思疎通を図ること、首脳のみならず各レベルで意思疎通を図る、対話をする、こうした姿勢は大事であると思います。

 今年、おっしゃるように、日中国交正常化五十年という節目の年を迎えます。こうした節目の年でもあることを考えても、対話、意思疎通、これは大事であると考えます。

長妻委員 ちょうど林外務大臣が日中友好議員連盟の会長をされておられた。かつて、一緒に中国に行って胡春華さんとも会ったり、新しいリーダー、今、副首相になっているんですかね、そういういろいろなチャネル、大きいパイプがありますので、これは今ちょっと絶えつつあるという話を聞いて非常に心配していますので、是非、台湾の問題もありますので、きちっとしたパイプの中で、対話外交を引き続き強化してほしいということもお願い申し上げます。

 そして、新型コロナ対策に入りますが、その前に、岸田首相は四回目は打ちますか、ワクチン。

岸田内閣総理大臣 はい。私も、三月の初めに三回目を打ちましたので、専門家の判断によって定めた時期が来たならば、打ちたいと思っております。

長妻委員 一定の対象、今回の対象は狭められていますけれども、私も打ちたいと思いますし、対象の方は是非打っていただきたい。

 政府の中には、もうコロナが終わったやに取られるような発言も出ていますけれども、まだまだ非常に高い水準で感染者が出ていますので、注意が必要だというふうに思います。

 その中で、気になるのは、今、総括をする会議が政府の中で開かれておりまして、ちょっとこれも漏れ聞こえてくると、岸田内閣のコロナ対策はすばらしいと自画自賛するような中身がどうも並んでいるようだということなんです。

 思い起こしていただければと思うんですが、これはコロナウイルスでお亡くなりになった方の累積の数、今月の五月、とうとう三万人を超えてしまいました。今年に入って一万人以上お亡くなりになったんですが、三か月で一万人を超えるということとなりましたが、その前の一万人は十か月かかっていたということで、相当速いスピードでございます。

 そして、警察が取っている、自宅等で亡くなって、不審死の可能性があると検視をされたようなコロナ陽性者が今年に入って千名ほどいられるということで、単純に考えると、十人に一人ほどの方は医療的ケアが受けられずに、あるいはそれ以上かもしれません、そういうような状態でお亡くなりになった可能性があるんじゃないかと私は強く思っておりまして、その中で、自宅放置死遺族の会というのも結成されて、そこも活発に活動しているんですが。

 要は、重要なのは、自画自賛で終わらせるのではなくて、総理に、これはさんざんほかの委員会ではもう議論している話なので、なかなからちが明きませんから総理のところで決断していただきたいんですが、一万人お亡くなりになった方の中で、実際、医療的ケアが受けられずにお亡くなりになった方はどのくらいおられるのか、何人に一人ぐらいなのか、そして、その教訓は何なのか、何が原因なのか、全て一人、完全にというのは難しいんでしょうけれども、出来得る限り調査していただきたい。

 今までも二回ほどそういう調査があったんですが、これはただ、どういう状態でお亡くなりになったかだけの羅列なので、医療的ケアがなぜ受けられなかったのか、その教訓、これこそが、私は、教訓をきちっと胸に刻む総括会議の大きな狙いだと思うんですが、総理、是非それを指示していただきたいと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、新型コロナによってお亡くなりになられた方がおられる。政治は結果責任でありますから、そういった方がおられる以上、これは政治として重く受け止めて責任を感じなければいけない、これは改めて申し上げるまでもないことだと思います。

 その上で、おっしゃったように、自宅でお亡くなりになられた方については、警察を始め幾つかの機関で調査を行っていると承知をしております。

 ただ、適切な医療が受けられないことによって亡くなられた方の数の把握というのは、実際、そう簡単ではないということを聞いております。なぜならば、入院中の方あるいは高齢施設に入所されている方で亡くなられた方、これは高齢者の感染者の方が多かったということで、そういった場所で亡くなられたというケースがある、さらには、基礎疾患の悪化等の影響で、重症の定義を満たさないで死亡された方もあるなど、適切な医療が受けられなかったことによって死亡されたという方を限定するというのは簡単ではないという報告を受けています。

 ただ、実態を把握するということは大切なことであり、先ほど委員の方から、有識者会議において自画自賛だなどという話がありましたが、決して有識者会議においてもそんな議論ではなくして、既に三回ほど議論をお願いしていますが、医療の司令塔機能の議論ですとか、あるいは感染症法の在り方ですとか、医療提供体制の確保の問題ですとか、こうした中長期的な課題についてどうあるべきなのか、こういった議論を今お願いしており、そうした議論を引き続きお願いしているというのが現状であります。

 こうした議論も是非しっかりと進めていただきながら、中長期的な課題にはしっかり取り組んでいきたいと考えております。

長妻委員 ちょっと今の話をお伺いしていると、人ごとに聞こえるんですね。

 私は、今年一万人以上の方がお亡くなりになったのは、間違いなく人災の側面が大きいと思っているんですよ。なぜかというと、司令塔機能、あれだけ去年から、つくってほしい、首相官邸に設置をして、全国の医療資源を過不足なく配分するような、そういう役割を担ってほしいと、再三再四、立憲民主党は要望をしていたにもかかわらず、結局、六月までやらない、つまり来月までやらないということで、検討、検討でずっと来てしまった。来月それをまとめるということなんですね。非常に遅過ぎるんですよ。

 健康危機管理庁というのも、これも何か立ち消えになっているんですかね、総理の公約でありますけれども。

 だから、いずれにしても、そういう空白の、今年のお亡くなりになった方々の要因を分析していく。重症化としては扱われていないから、それは分からないと。分からないじゃなくて、なぜ、じゃ、重症化、お亡くなりになったのに扱われていなかったのか、どういうことだったのか、それはいろいろな課題があるのか、あるいは、それはまだ科学的知見が十分じゃないからできなかったのか。

 人の命が相当数失われているわけですね。相当、医療が逼迫する速度が速かったわけですよ、我が国は、ほかの国に比べて。そういう意味では、教訓を得るためにも、それをきちっと分析していただきたいということを総理に強くお願いするんですが、それはよろしいですね。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたのは、先ほど申し上げた様々な事情があるからして、直接、新型コロナが死因であるかどうか、それを確認するのが難しいケースもあるということを申し上げたわけであります。

 ただ、コロナとの戦い、三年目に入って、今、平時への移行期間ということで取組を続けているところでありますが、過去を振り返りながら、将来のこうした感染症との戦いに備える意味からも、実態を把握し、検証していく、こういった姿勢は大事であると思っております。

長妻委員 人ごと、姿勢じゃなくて、是非やっていただきたいと思うんですね、総理。うなずいていただいているので、是非お願いしたいと思います。

 本当に浮かばれないですよ、お亡くなりになった方は。完璧に一人ずつ、全部完璧に調べろと言っているわけじゃないんですよ。今、調べていないわけですから。これから、第七波だって、相当数、激しいのがやってこないとも限らないわけですから、是非、司令塔機能が後手後手になったわけですから、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、先ほども泉代表からありましたが、年金の件でお尋ねをしたいと思います。

 ちょっと総理に個人的なことをお尋ねするんですが、総理は老後の生活は心配でございましょうか。

岸田内閣総理大臣 老後について、確たるものがあるわけではありませんが、今はまず、今の職責に専念しております。その努力をしながら、老後についても考えていきたいと思っております。

長妻委員 何か余り心配していないような感じですけれども。

 確かに、我々国会議員は、日々のお給料というのは本当に恵まれたものをいただいている、全部税金でございますけれども。

 ただ、本当に大変な方が多いんですよ。私も多くの方から相談を受けます。この前も、自殺未遂をされた高齢者、年金のことで将来を悲観されたということで、本当に命懸けの相談ですから、こっちも真剣に相談に乗るわけでございますが、本当に大変な状況が今あるということを是非御理解いただきたいんですね。恵まれている方や老後を楽しんでいる方も多いんですが、そうでない方は相当多いんですよ。

 私も調べてちょっと改めてびっくりしたのは、日本の公的年金をもらっている方、老齢年金、一か月十万円以下の方が半分近くおられるんですね、受給額が。相当低い水準に今なっております。

 我々も年金問題については取り組んでまいりまして、例えば、消えた年金問題では、おかげさまで、今現在で一千五百七十五万人の人の記録が戻りました。日本国民十人に一人以上。二記録戻った方もおられます。戻った年金額が、二・八兆円も戻りました。これは六十五歳から受給した場合の回復総額、生涯額という金額なんですが。

 そして、我々が取り組んだのは、基礎年金の国庫負担を、これまで三分の一だったのを二分の一に上げました。税金を基礎年金に半分今投入しています、安定化のために。

 そして、年金は、延べで二十五年掛けないと一円ももらえなかったものが、十年でいいということも、我々のときやりました。

 そして、ちょっとあきれたのは、総理が、先ほど泉代表からの質問で、今の物価高の年金対策、何があるんだと聞かれたときに、年金生活者支援給付金がありますと答弁されたんですよ。これは、我々の政権のときに、民主党政権のときに作った、もうずっと続いている、低年金の方、今八百万人程度、受けているものなんですよ。ずっと続いているものなんです。物価高の話じゃないんですね。

 しかし、そういう対策をした後、自民党の方が、いわゆる年金カット法案ということで、物価が上がっても年金が上がらないこともあるような、今回、その制度が発動して、本当に大変なことになるのではないかということなんです。

 そういう意味では、これが分かりやすい表なんですが、四月に発表がございました。まずは、政府が発表したのは、消費者物価指数は総合で、年金は総合を採用するので、二・五%アップしたわけですね。同じ四月から、年金改定率が、自民党が作った、与党の年金カット法案と言われるもので、物価が上がっても、マイナス〇・四パーも下がってしまうと。

 これは、今まだ御存じない方が多いのはなぜかというと、年金が振り込まれていないんですね。六月の十五日に四月分、五月分の二か月分が口座に振り込まれるということで、そのときに、これだけ物価高なのにと。先ほど泉代表も一世帯の物価高での上昇金額を示しましたけれども、それにダブルパンチで、そういう対応、そういうことが発生をする。

 そして、総理も手をこまねいていたわけではなくて、今年三月十五日、官邸に茂木さんなどの自公の要望を受けて、五千円を差し上げようと、年金受給者に。総理も、しっかり受け止めて検討したいと前向きだったんですが、これがなしになったということなんですね。

 結局、これについては何をするのかというと、先ほど泉代表の答弁でも、去年のいろいろなコロナ対策を羅列するだけ、あるいは民主党政権のときの対策を言うだけだったんですが。

 総理、一時的に、テンポラリーに選挙前にお金を配るみたいなことではなくて、物価が上がったとき、年金受給者、それ以外の対策ももちろん今やられていると思いますが、今回の抜けている年金受給者に対して、一定の年金額よりも下がる、つまり、生活ができない、できにくくなるような方々に上乗せするような、そういう制度を是非創設をしたいと思うんですね。

 この年金の制度に一定程度金額を上乗せするような制度、そういう制度をつくるというような必要性というのは感じておられませんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の年金額が引き下げられるという仕組みについては、委員はもう十分御案内のとおりかと思いますが、将来の世代の負担が過重にならないために給付と負担のバランスを確保していく、持続可能な仕組みにするということで設けられた制度であります。ですから、その制度に基づいて給付額を決定すると、御指摘のように金額が下がってしまうということであります。

 ですから、従来から用意されている様々な支援の仕組みもしっかりと用意をし、そしてその上で、今回、原油や原材料の価格高騰に対して総合緊急対策をしっかり用意をし、あらゆる方々、これはエネルギー、原材料、影響を受けるわけですから、そうした支援を政府として用意をしている、こうした形で、年金生活者の方々も含めて生活を支えていこう、こういった方針を示させていただいている、こうしたことであります。

長妻委員 でも、総理、物価高において高齢者の年金が下がる、物価が上がるということについての対策は、今回の補正にないわけですよね。ないわけですから聞いているわけですね。

 高齢者を取り巻く課題、これも是非認識していただきたいんですが、今後、基礎年金の実質価値が三割減る見込みになっています、所得代替率。

 今申し上げた、物価が上がっても年金が上がらないこともある賃金スライドが入りました。これは自民党によって、自公によって成立させてしまったんですが、せっかく我々が上乗せ年金を民主党政権のときにつくったにもかかわらずですね。

 そして、先ほど冒頭申し上げました、公的年金、半数近くが月額十万円以下。六十五歳以上の月額十万円以下が四六%おられる。

 高齢者五人に一人が今独り暮らしになっています。東京は四人に一人。高齢独り暮らしの女性は、相対的貧困率四六%。大体、貧困線は生活保護基準と似ていますから、大体半分ぐらいの独り暮らし高齢女性が、収入でいえば生活保護並み、以下ということになります。高齢独り暮らしは三人に一人が持家がない。東京は二人に一人が持家がない。これは家賃が発生するんですね。

 高齢者のうち、認知症が五人に一人、二〇二五年推計。今現在、七人に一人ですけれども、大変なことになっているんです。

 お子さんたちもなかなか頼れない。お子さんたちも、いろいろな事業が大変になって、親の面倒を見るというような金銭的な余裕もないというようなことに本当になっているわけで、年金制度を、少し上乗せするような、本当に年金で生活できない方についてそういう仕組みを議論するということが、これは与野党で、我々も含めて議論するということが必要だと思うんですが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、年金生活者の方を始め、今の厳しい経済状況の中で御苦労されておられる、そのことに思いを巡らすこと、これは政治の立場から大変重要だと思っています。

 そうした中で、こうした年金生活者の方々を始め、困窮者に対する支援ということで、四月末に十三兆円の総合緊急対策を用意いたしました。これについては予備費を機動的に使う形でまず発動をする、こうした取組を今進めています。加えて、この補正予算においても、ガソリン、燃料費等の激変緩和措置についてしっかりと九月まで延長する。こうした取組は、立場を超えて、生活を支える上で大変重要であると思っています。

 昨年からの政策と併せて、年金生活者の方々にもしっかりとこうした政策を享受していただき、そして生活を支えていただきますよう、政府としてしっかりと取組を進めていきたいと考えております。

長妻委員 今、日本の、高齢者含め、セーフティーネットがぼろぼろになっているというふうに思うんですよ。やはり特に年金、これの下支え機能強化というのは本当に大切です。

 やはり、いろいろ、もう自分は死にたいという高齢者の方々が多く来られて、相談にも乗っているんですけれども、私が申し上げるのは、本当に生活できなくなったら生活保護というのがありますというふうに申し上げるんですが、多くの高齢者の方は、いや、それは考えられないと。特に小耳に挟むのは、親族にばれてしまう、これはもう死ぬほど嫌なことだ、だからそれは受けない、受けられないという方がほとんどなんですよ、総理。

 総理、今、親族照会、扶養照会というのは、例えば子供とか、どこまで通知が行く可能性があるか、御存じですか。

岸田内閣総理大臣 配偶者、直系血族、兄弟姉妹、それに加えて、特別な事情がある場合には三親等内の親族、このように対応していると承知をしております。

長妻委員 本当に、世界を調べて、こんな国は余りないんですけれども、孫まで行っちゃうんですね、行く可能性があるんですよ、ひ孫まで行く可能性があるんですよ、通知が。

 私もホームレスの方と、実際、雨風しのいでおられる方に声をかけてお話を聞くんですが、ある程度打ち解けたときに、なぜ生活保護を受けられないんですかと聞くと、この前聞いた方は、生活保護を一回受けたら、ちょっと親族に通知が行って、呼び出されて、おまえ何やっているんだ、こんな生活保護なんか受けてと怒られて、一回ちゃんと家に、アパートに住んだんだけれども、また怒られたので生活保護を抜けて、また同じ場所でホームレスされておられる方もおられるわけですね。深刻なんですよ、本当に日本の高齢者の問題は。

 じゃ、そういう方はどうなるかというと、私はちょっと、いろんな方から相談を受けて最近本当に思うのは、消極的自殺というふうに私は思わざるを得ないんですね。

 今、全国の孤立死者、一年間に、自宅で死亡されて発見までに二日以上経過した方、二万六千八百二十一人、これはニッセイ基礎研究所のデータなんですね。これは二〇一一年の、東京都データに基づいて全国を推計したというものなんですが、高齢者でよく聞くのは、お金もないので、病気になったけれども医者に行けない、多分重い病気だと思うけれども、生活保護も受けたくないからこのまま死んでしまおうというようなケースが非常に多いんじゃないか。これは年代は関係なく、孤立死者推計ですけれども、大体、ほかのデータを見ると七割、八割が高齢者と言われております。この人数は、年間の自殺者をはるかに上回る人数なんですね。

 総理、こういうようなことに鑑みて、やはり中核である年金についてちょっと増強していくと。

 イギリスではペンションクレジットというのがあります。フランスでは高齢者連帯手当、ドイツでは基礎保障、アメリカでも所得補償というのがあって、これは、高齢者の金融資産を調べるんですね。資産を調べて、簡易的なミーンズテストをして、そして税で上乗せをする、生活できない方は。日本は、いきなりフルスペックの生活保護しかないんですよ。でも、それも親族照会とかハードルが高いということで。

 総理、そういう制度を創設するような与野党協議をいたしませんか、どうですか。

岸田内閣総理大臣 年金につきましては、先ほど申し上げた、持続可能な制度を維持するという考え方が大事であり、政府としては、今の方式を大事にしながら年金の運用を考えていきたいと思っています。ですから、それに向けて更に様々な生活支援を用意する、必要なものは用意する、こうしたことで、総合緊急対策等を用意しているというのが政府の立場であります。

 この年金そのものについて与野党で議論をするという御提案かと思いますが、政府としては、今申し上げた方針で国民の生活をしっかり支えていくつもりであります。

長妻委員 そうしたら、せめて、今政府は、これもびっくりするんですが、孤独死の人数というのを把握していないんですね。総理、孤独死の人数というのを把握すると、孤独担当大臣をつくったんでしょう。しかも、孤独担当大臣がいるのに、全く推計値もないというようなことなので、是非前向きに、全国の孤独死、これを調査するということをおっしゃっていただきたい。

野田国務大臣 御指摘の孤独死に関しては、東京都など一部の自治体において、自宅住居等で亡くなった方に関する統計を作成していること、また、これを基にした民間の推計があるということは承知しています。ただ、その定義や考え方の置き方が様々になっています。

 政府としては、人々が現に抱えている孤独感や孤立の状況に関する全国的な実態の把握に努めておりまして、これを踏まえて、孤独、孤立対策の各施策を政府一丸となって進めております。

 そうした中で、今委員御指摘の孤独死の数については、その定義とか、どのように工夫して調べることができるか、孤独、孤立の実態把握の一環としてよく研究したいと思います。

長妻委員 よく研究ということなんですが、孤独死が何人いるかぐらい把握するのは当たり前だと思うんですね、政府で。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の孤独死の把握については、東京都など一部の自治体がこうした統計を作成している、さらには民間において推計が行われている、こうした現状にあるということを承知しておりますが、今、野田大臣から答弁がありましたように、そもそも定義を明らかにするところから始めなければならないと思います。

 定義を明らかにした上で実態を把握していく、こうした取組は政府としても進めていきたいと考えます。

長妻委員 じゃ、是非、実態を把握するために数を調査していただきたいと思います。

 そして、次に、年金は諦めずに要請してまいりますが、年金といえば、やはり少子化を反転させないと根本解決にはならないということなんです。

 総理は、先ほど泉代表とのやり取りもありましたが、子育て予算倍増とおっしゃっておられます、子供政策に関する予算倍増と。

 これはちょっとお伺いするんですが、総理、倍増の期限は何かおっしゃらないんですけれども、じゃ、今現在は幾らですか。

野田国務大臣 数字をまず申し上げます。

 子供政策に関係する予算としては、今、様々な整理があるんですが、例えば令和三年度ですと、少子化社会対策大綱に基づく少子化対策関係予算は当初ベースで約六兆円、子供・若者育成支援推進大綱に基づく子供、若者育成支援施策関係予算は当初ベースで五兆円、今御審議いただいていますこども家庭庁、これのもし成立の暁には、法律事務の移管に相当する四年度の予算としておおよそ四・七兆円となるところです。

岸田内閣総理大臣 今、野田大臣の方から御答弁させていただいたように、現状においては、子供予算ということで様々な整理があります。少子化対策関係予算あるいは子供、若者育成支援施策関係予算、それぞれ六兆円、五兆円という数字を示させていただきましたが、こうしたものについて、是非、こども家庭庁において、子供予算として必要なものをまずしっかり整理した上で、そして、それを社会全体の中でどこがどう負担するのか、この整理を行おうということを申し上げさせていただいています。

 ですから、今の整理は今申し上げたとおりでありますが、新たな整理の中で予算を拡充して、結果としてトータル幾らになるのか、これを国民の皆さんにお示しする、これがこれからのプロセスであると思っています。

長妻委員 ちょっと信じられないですね。国会というのは言論の府ですから、二倍とおっしゃっているんだから、言葉遊びじゃないですよ、国会ですから。

 幾らか分からない、五兆か六兆とおっしゃいましたか。それも、精査をする、あるいはプランの中で出させるという。

 じゃ、ちょっと具体的に聞きますと、例えば出産育児一時金、これは倍増の中に入っていますか、総理。

岸田内閣総理大臣 出産育児一時金については、現状、四十二万円程度となっていますが、これは、先ほど申し上げましたように、しっかりと整理をした上で、この予算について考えていき、負担も考えていかなければならないと思いますが、私自身、この政策は子供政策の中に入ると認識をいたします。

長妻委員 そうすると、入るということは、出産育児一時金は倍にするというのはいつ頃めどですか。

岸田内閣総理大臣 全ての項目を全部倍にするということは申し上げておりません。先ほど言いましたように、必要な政策、これをしっかりと整理し、そして積み上げた上で、その財源について社会でどのように負担をするのか、それを整理をし、そして、結果としてトータルの予算が幾らになるのか、そのトータルの予算について倍増を目指して努力をしたい、そういった考え方をお示しさせていただいております。

長妻委員 そうすると、トータルで倍ということですね。

 例えば、じゃ、児童手当はその子供政策に関する予算に入りますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げているように、改めて、どの政策を子供政策として取り上げるのか、これは整理しなければいけませんが、おっしゃるように、児童手当についてはその中に入ると私は認識しております。

長妻委員 それをトータルで倍にするということなんで、そうすると、範囲ですね。子供政策に関する予算というのは何が入るのか、スタートラインは何兆円なのか、これはいつまでに決めるんですか。

野田国務大臣 今、衆議院を経て参議院で御議論いただいていますこども家庭庁、この設置法案が成立次第、速やかにこども家庭庁の下で、今総理がおっしゃったように、体系的に必要なものを整理してお示しをするという運びになっています。

長妻委員 そうすると、大体いつですか。いつ頃までですか、めどとして。

岸田内閣総理大臣 こども家庭庁のスタートは来年四月を目標に今努力をしておりますので、その発足後、その作業に入ります。

 それ以降について、詳細は今申し上げることはできませんが、できるだけ早くそうした作業は進めたいと思います。

長妻委員 そうすると、来年ということですか。来年以降ということですか。

 総理、さっきおっしゃっていませんでしたか、少子化は国の根幹を揺るがしかねないと。これは喫緊の課題なんですよ。国の力というのは、もちろん軍事力も必要ですけれども、やはり、産みたい人が子供を産める、人口というのも重要なんですよ。

 日本は、家族関係経費が、先進OECD三十七か国、二十六位ですよ。少子化が最も進んでいる国なのに対策費が二十六位。これを増やすと、次のパネルですけれども、出生率は上がってくるんですよ、総理。これはいろいろな学者の方がおっしゃっておられますけれども、出生率は今、三十七か国中三十四位ですよ。

 出産費用も、先月、民間団体がアンケートをすると、九割の出産する方が、一時金では不十分だとおっしゃっているんですよ。出産費用ぐらいただにしないと、少子化なんか対策できないですよ、総理。なぜそういうところにお金を迅速にかけないのか。

 倍増とおっしゃっているのは、総理、撤回するんですかね。いろいろな倍増を言っていますよ、子育て、若者世帯所得の倍増、資産所得倍増プラン。倍増というのは、忘れちゃったのか、言葉のお遊びなのか。これは本当に日本の将来が懸かっていると思うんですよ、特に一番上。

 これは撤回しないと言うんだったらば、是非、いつ頃、じゃ、工程表を出すのか、範囲を決めるのか、めどぐらいおっしゃってください。

岸田内閣総理大臣 まず、少子化は国の根幹に関わる喫緊の課題である、それまで放置するのかという御指摘がありました。そんなことは申しておりません。先ほど言いました出産育児一時金につきましても、今現状、四十二万円の現状に対して、是非充実を一歩一歩進めていきたいと思っています。

 先ほど申し上げましたのは、こども家庭庁の下で、子供政策を真ん中に据えて、そして司令塔機能、これをつくって、全体をしっかりと整理しようということを申し上げています。

 個々の政策をそれまで何も進めないということは申し上げていない。一つ一つ政策は前進させていきたいということを申し上げております。

長妻委員 これで最後にしますが、自民党の方も少子化対策と言っていて、出産費用が、九割の方が一時金じゃ足りないとおっしゃっている。出産費用をせめて無料にする、このぐらいできないんですか、総理。おかしい。

 教育の費用についても、これが重荷になって、子供を産むのを我慢されているという方が多いんですよ。経済的理由がトップなんですね、理由の。

 倍増といっても、まだ範囲も決まっていないということで、これで最後の質問にしますけれども、じゃ、来年中には範囲を決めるんですか。倍にする、幾らから幾らという出発台、発射台を決めるんですか、来年中には。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたことを整理させていただきますと、個々の政策、出産育児一時金を始めとする様々な子育てあるいは少子化対策の政策、これは着実に進めてまいります。

 先ほど申し上げたのは、司令塔機能として、こども家庭庁が全体をまとめるのについてのスケジュールを申し上げています。この一つ一つの政策は着実に進めながら、全体を、司令塔機能等を発揮しながらこども家庭庁にまとめてもらい、そして予算の充実につなげていきたいと思っています。

長妻委員 私も、充実しますと言うんだったら、こんな質疑しないですよ。二倍にすると総理がおっしゃっているわけですから、そんな言い訳、通じないですよ。本当に二倍にしてください、総理。

 是非、理事会で検討して、いつまでに二倍にするのか、資料を出させてください。よろしくお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

 この際、江田憲司君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田憲司君。

江田委員 総理、閣僚の皆様、本当に連日お疲れさまでございます。

 先ほども話題が出ましたけれども、現在、新型コロナウイルス対応についての検証委員会を設けて検証中と聞いております。ただ、報道によりますと、今月十一日、二十日と二回だけヒアリングをして、そこで打ち切って、来月初旬にもう報告書を出すんだというような報道がありますけれども、これは事実ですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の有識者会議は、ちょっと日にちは今手元にありませんが、三回やっております。そして、引き続き議論は続いております。引き続きしっかり議論をした上で、先ほど申し上げましたような司令塔機能、感染症法の扱い、さらには医療提供体制の取組、こうした点、中長期的な課題としてしっかり議論を続けていきたいと考えております。

江田委員 それでもう六月には結論を出されるわけですね。

岸田内閣総理大臣 はい。従来から、六月をめどにこの議論をまとめたいということは申し上げております。

江田委員 それで本当にいいんですか。もう二年以上続いたパンデミックですよ。先ほど長妻議員も触れましたように、三万人もの方がそれで亡くなっているわけです。

 それから、総理、御記憶ですか、おととし民間臨調は、三か月かけて八十三人の関係者からヒアリングをして、百一回ですよ、ヒアリング。今おっしゃいましたけれども、二回でしょう、ヒアリングは。三回開いて、今のところ二回ヒアリング、それでもうまとめる。そんなことで検証と言われたって、誰が信用するんですか。おととしの段階でも、まだパンデミックが始まって半年ぐらいの段階でも、それほどの期間と労力をかけて、安倍元総理、菅現職の総理、加藤当時か前か忘れましたが官房長官含めた八十三人もの方のヒアリングをして、百一回ヒアリングをした。

 それから、これは民主党政権下でしたでしょうか、大震災の国会事故調というのをつくったんですよ。これは与野党合意だったか、とにかく国会に、法律に基づいて国会事故調をつくって、ここでしっかり検証していますよ。

 それに比べて、この三万人もの方が亡くなったパンデミックの検証が、はい、数回で終わりました、検証を終わります、こんなことで済みませんよ、総理。いかがお考えですか。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 今日までのパンデミックとの戦い、感染症との戦い、これを検証するということについては、これは引き続きしっかりと検証は続けていかなければならないと思います。

 私が申し上げているのは、その中で、従来から申し上げている司令塔機能と、そして感染症法の在り方と、そして医療提供体制の在り方、この点を中長期的な課題として、是非この点について六月までに明らかにしたい、このように申し上げています。

 この点については、従来から、まだ出さないのか、いつ司令塔機能を明らかにするのか、延々と御指摘もいただいてきました。是非、こうした点については一つの方向性をしっかり示していくべきだと思っています。ただ、これを、この今日までの戦いを検証するということについては、これは、六月以降もしっかりと検証があってしかるべきであると私も思います。

江田委員 それは失礼しました。

 そうしたら、引き続き検証する、どういう体制で検証しますか。

山際国務大臣 まずは、総理から御指示があったように、六月を目途に、今、総理からの御指示にあった司令塔機能の話や何やらというようなことも含めて、お示しをするところはお示しはしたいと思っておりますが、私も議論に参加させていただいて、その会議にいるんですけれども、本当に、委員のおっしゃるように、多くの論点、視点というものがございます。

 ですから、その会議体をずっと続けるかどうかということは別にして、総理がおっしゃっているように、検証というのは不断にやっていかなくてはいけないことでございますけれども、六月に一度、目途にしてお示しをした後も、引き続きやることになるんだろうと思います。

江田委員 もう私は全くびっくりしましたね。検証のための有識者会議じゃないんですか。こんな軽々しい検証で済ませられる問題ではありません。

 私、二月のこの場でもこのパネルを出したんですよ。要は、オミクロン株というのは、当初、感染力は強いけれども重症化率は低いんだと言われておりましたけれども、結果を見ると、この第六波だけで、おとといですかね、五月二十四日時点でもう一万一千九百九十四名もの方が亡くなったんですよ。これは第五波の四倍強ですよ。

 これは、まさに私はコロナ失政の結果だと思っています。二月の時点でも私は指摘しました、三回目のワクチン接種が遅れに遅れていると。脇田国立感染研所長ですらも、この接種状況だとオミクロン株の流行を抑える期待をするのは難しいとおっしゃっていたような話です。

 二月、その時点でも指摘しましたけれども、一週間に五千件も六千件も救急搬送困難事案が発生したわけですよ。救急車には乗れても入院先がないという件数が、一週間にですよ、五千件、六千件あったわけですよ。

 だから、総理、当時、もう病床は確保しました、増やしましたと胸を張っておられたけれども、結局、ベッドがあっても医療人材が確保できなかったのか、それはしっかり分析する必要がありますけれども、入院できなかった、困難だった人が五、六千出た、自宅療養の人も出た、その結果がこの死亡者数ですから。総理、常々総理は、一番重要なのは国民の命を守ることだとおっしゃってきたじゃないですか。その責任をどう感じておられるんですか、今時点で。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 これは、先ほども申し上げましたが、新型コロナによってお亡くなりになられた方々がおられるわけですから、政治の立場、政府の立場からして、至らなかった部分についてはしっかりとその指摘を受け止めて、そしておわび申し上げなければならない、こういったことであるとは思いますが、あわせて、この状況についてしっかり把握をし、そして対応していくこと、これも重要だと思いながら、今日まで様々な対策を続けてきました。

 死者の数、御指摘がありましたが、今回のオミクロン株の影響については、昨年の夏と比べても八十歳以上の方の感染が多いことから、既往症等の関係で、直接の死因が新型コロナかどうか、これを十分把握できない方々もおられるなど、この数字の把握についてはしっかりと検証していかなければいけない課題でもあると思います。

 こうした辺りをしっかりと検証した上で次に備えていく、こうした姿勢は大事であると思っています。

江田委員 それは後でやってください、そういう分析は。

 その前に、総理、ここまで死亡者数が増えた要因をどう分析されて、そっちが先ですよ。対応してきた、全部後手後手に回ったからこういう結果になっているんでしょう。これが厳然たる事実ですから、客観的な事実ですからね。総理は、秋口から準備してきました、病床も増やしました、おっしゃっていた結果がこれですから、今時点でどういう分析をされていますか。どうしてこんな多くの死者数が出たのか。総理なりの分析、いや、総理に聞いているんですよ、政治的な問題ですからね。

岸田内閣総理大臣 数字については、先ほど申し上げたように、どう把握していいのか、これをよく考えなければならない。実際、現実において、新型コロナとの関係についてしっかりと検証する必要がある、こういったことは申し上げています。

 そして、政府としては、様々な、医療提供体制、ワクチン、検査、治療薬、そういったものを用意しましたが、それが十分機能していたかどうか、連動していたかどうか等については引き続きしっかりと検証し次につなげていく、こうした姿勢は大事であると申し上げています。

 今、新型コロナとの戦いは続いています。平時への移行期間を今我々は戦っているわけですから、是非、こうした取組を進めながらも、先ほどおっしゃったような検証、これについてもしっかり考えていきたいと思っております。

江田委員 流行のピークのときにしっかり手を打たなければ、こういう結果になるんですよ。五波という本当に厳しい状況を経た上で岸田政権は発足して、準備万端整えておりました、とんでもなかったわけですから、それをしっかり認識していただきたいと思いますよ。

 じゃ、お聞きしますけれども、今、検証委員会でやっているという司令塔機能の強化、どうされるんですか。総裁選のときに訴えられた健康危機管理庁ですか、これはもうやらないんですね、総理。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、有識者会議において、まさにその司令塔機能も一つの大きなテーマであります。その議論を今進めてもらっています。是非、六月をめどに結論を出すよう努力をしたいと思っています。

江田委員 総理が口に出された言葉は私は重いと思っていまして、総裁選時の健康危機管理庁、明確におっしゃったんですけれども、それも含んで今検討しているわけですか。

山際国務大臣 私が現場において議論に参加しておりますのできちんとお答えいたしますが、司令塔機能のことについてしっかり議論をさせていただいております。

江田委員 聞いているのは、だから駄目なんです、委員長、だから総理に聞いているんです。

岸田内閣総理大臣 御質問の趣旨は、司令塔機能の議論はしているけれども、去年の総裁選挙で言った健康管理庁、あれを念頭に議論しているかという。(江田委員「それも含んで議論しているのか」と呼ぶ)

 もちろん、選択肢は排除しているものではありません。司令塔機能、これが大事だという観点から、六月をめどに一つ結論を出したいということを申し上げてきた、それを有識者会議において議論をいただいている、こうしたことであると思います。

江田委員 検証委員会のやり方にしろ、こういう司令塔機能のことを聞いても、こういう答弁ですからね。本当に当事者意識がないというか、深刻さの受け止めはないと思う、これだけの。普通なら、総理大臣が国民の命を預かった結果がこれですからね。六月も遅いと言ってきたんですよ。それがまだ検討。

 これ以上言ってもしようがないですから、次、今回のテーマ、本丸は経済金融政策なので。

 先ほど出しましたが、立憲民主党の三本柱の最初の、物価高と戦う、これについて様々な角度からお聞きをしたいと思います。

 まず、円安の認識ですね。鈴木財務大臣は、四月十五日、悪い円安と言えるのではないかということをおっしゃっています。一方で、日銀総裁は、今日も来ていただいてありがとうございます、四月二十八日の会見ですかね、全体として円安がプラスだという評価を変えたわけではない。ここに私は政府の中で認識のそごがあると思うので、是非、トップである総理大臣の統一見解を求めたいと思います。この円安は悪い円安なのか、そうではないのか。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的には、為替の水準について具体的に私の立場から申し上げるのは控えますが、一般論として、円安というもの、要は、急激な為替変動というもの、これは望ましくないということだと思っています。

 一般論として、円安によって様々な影響が出てくる。輸出産業あるいは海外に資産を持っている企業にとっては、収益の改善につながるのでしょうし、生活者、事業者にとっては、コスト高ということで負担の増加につながる。こうした様々な影響が出てくるということです。

 そして、委員の方から、黒田総裁と鈴木大臣の発言が食い違っているのではないか、こうした指摘がありましたが、その発言につきまして、黒田総裁は、全体として円安はプラスだと発言される一方で、円安のマイナス面ということについてもしっかり言及されているということを承知しています。それから、鈴木大臣の発言についても、円安のマイナス面を記者から聞かれたということに対して負の側面があるということを説明したということであります。

 基本的に、先ほど申し上げました、円安によって様々な影響が出てくる、それぞれの立場で、それぞれの場面で説明をされたということであり、全体として二人の発言が矛盾しているということは当たらないと考えています。

江田委員 それでは、お聞きしますが、黒田総裁は、プラマイはあるけれどもトータルとしてプラスだとおっしゃっているわけです。じゃ、その見解に同調されるわけですね。

岸田内閣総理大臣 私の立場から直接触れるのは控えますが、先ほど言いました、両方の面があるというのが事実だということを申し上げています。

 ですから、黒田総裁も、プラスの面、全体としてプラスとおっしゃったということでありますが、マイナス面についても触れられている。両方の面があるんだということについては、黒田総裁も鈴木大臣も発言に矛盾はないと私は理解しております。

江田委員 黒田総裁は、マイナス面も触れながら、トータルとして、プラマイ、プラスだと言っているんですよ。

 これは為替の水準について総理に見解を求めているんじゃないですから。今の円安を前提に、それがいろいろなおっしゃられた要因によってプラスマイナスはあるでしょう、その上で総裁は、トータルとしてプラスと言っている。一方で、鈴木財務大臣は、悪い円安だと言っている。

 ですから、総理に、じゃ、聞き方を変えましょう。今の円安を前提にして、これは日本経済にとってトータルでプラスなのか、マイナスなのか、どちらですか。

岸田内閣総理大臣 円安にプラスの面とマイナスの面があると申し上げております。私の立場からは、それ以上は申し上げません。

江田委員 いやいや、総理の立場、為替の水準じゃないんですよ。為替の結果、輸出企業とか海外に資産を持っている企業とかはプラスになりますよ、当然。一方で、家計とか原材料高騰で苦しむ中小零細企業にとってはマイナスだ、そんなことは分かり切っていることなんですよ。それをトータルして今どうかという認識を聞いているんです。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように両面があります。しかし、それ以上何か私が言えば、まさに為替について評価したことになる、これは当然のことでありますので、それ以上は申し上げません。

江田委員 じゃ、聞き方を変えましょう。

 この円安あるいはこれから起こるであろうインフレというのは、短期的、一時的なものと考えますか。それとも、ある程度続くと認識されていますか。

岸田内閣総理大臣 それは、今の段階では判断はできないと思います。長引くか、短期で終わるか、これは、為替の背景には様々な要素があるわけですから、今の段階で段階的に申し上げることはできないと思っています。

江田委員 それでは、総裁、お待たせしました。

 総裁、私、いろいろなお話、財金委員会でも聞いていますし、報道も見ているんですけれども、日銀は一時的と捉えている節があるんですが、いかがでしょうか。

黒田参考人 消費者物価の動きについては、四月は二・一%になりました。これは対前年同月比ですので、石油価格が下がっていくとかなれば下がっていくかもしれませんが、石油価格が逆に上がればこれはむしろ上がっていくと。石油市場の先物を見ますと、なだらかに下がっていくと見ているようですけれども、これはまだ分かりません。

 ただ、IMFとかOECD等の石油価格その他の見方を参考にしつつ考えると、今のところ、前回の金融政策決定会合で展望レポートでお示ししたとおり、二〇二二年度は一・九%ぐらいの上昇になり、二〇二三年度は一・一%ぐらいに低下すると。これは、先ほど申し上げたような資源価格の一定の前提を置きつつ、今の時点で考えられる見通しを立てたものでありますので、不確実性はあると思いますが、今の時点ではこれが、つまり二%がずっと来年も再来年も続いていくという状況ではないというふうに考えております。

江田委員 総裁のお言葉ですけれども、私は全く見解を異にいたします。

 御承知のように、燃料や穀物の高騰は、今、ウクライナ危機に起因する要因が多いわけで、皆さん御覧のように、もう戦争は長期戦の様相を呈していますよ。そんな、短期で終わる様子は全くないですね。

 それから、円安につきましては、これも御案内のように、FRBは、この年内にあと五回、政策金利の決定会合を控えておりまして、毎回、率は分かりませんが、〇・二五若しくは〇・五で引き上げていくとなると、今でも日米の長期金利の金利差は三%あるんですよ、これがどんどん開いていく。それから、来年以降もFRBはまだ金利上げをすると言われているんですね。ですから、少なくとも来年ぐらいまではずっとこの円安は拡大しながら続いていくというのが私の認識ですよ。

 そういう認識を、総理、よく言われる、最悪の事態を想定して国民の生活を守らないかぬ、そういう認識すらないということでいいんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 為替について直接触れることは控えますが、今後の見通しは不透明であります。だからこそ、今補正予算をお願いし、あらゆる不測の事態に備えるべく、政府として対応していかなければいけない、こうしたことを申し上げている次第です。

 今後の不透明な状況の中で、いかなる事態が生じてもしっかり対応できるように、予備費等をしっかりと活用しながら、政府として、国民の生活、事業を守るための責任を果たしていきたいと考えております。

江田委員 不透明、少なくとも一時的だとは思っていない。となると、やはり、政府の持っている手段として、金融政策というツールは非常に大きなものなんですね。

 しかし、これは私に言わせれば、アベノミクスの結果ですけれども、異次元緩和を、当初二年で物価安定目標二%を達成するんだと言って始まったこの異次元緩和ももう九年目ですよ。私に言わせれば、カンフル剤、私は元々、みんなの党のときに、二〇〇九年でこの異次元緩和を提案をした当事者ですから、そこは否定しません。しかし、カンフル剤というのは一本打つから効果があるので、二本も三本も四本も五本も打ち続けるものではありません。カンフル剤の効果はどんどん減殺していくし、逆に副作用も出てくる。まさにこの副作用の局面になっているんです、もう既に。その意味するところは、結局、もう金融政策を発動する余地がなくなっているんですよ、手足をがんじがらめに縛られて。

 これは財務省が発表していますけれども、今、金利を一%上げると、一年目に八千億円の元利払いが増えます。二年目に二兆円の元利払いが増えます。三年目に三・七兆円の元利払いが、財政負担が増えるんですよ。二%だとその倍ですよ。

 一方で、異次元緩和で、今、総理、日銀はどのくらい国債を持っているか、お分かりですよね。GDP並み、五百三十兆円持っているんですよ。アベノミクスの前は百十五兆円でした。この五百三十兆の国債保有をしている日銀にとって、金利が上がるということは、国債の価格が下落するということですから、含み損が出るということなんですよ。

 それで、これも、二〇一六年でしたけれども、財務省が、まだ四百兆円保有レベルで出しているあれが、一%金利が上がると、国債の価格が下落して、六十七兆円の損失が出ると、日銀に。今は五百三十兆円ですから、計算していませんが、七十、八十兆ぐらいになっている、百兆近くなっているかもしれない。

 日銀の自己資本は幾らか御存じですか。日銀の自己資本は九・八兆円ですからね。もう比じゃないんですよ。

 要は、自己資本をはるかにオーバーした債務超過の状態。ただ、これは含み評価ですから、実際には決算上表れません、日銀ですからね。しかし、日銀の信認は落ちるんですよ。これがまた、中央銀行の信認が落ちるということで、円安要因にもなるんですよ。

 ですから、今、日本経済が好況か不況かと関わりなく、もう金融政策は今いじれないというんですよ。とにかく手足を縛られた状態にしてしまったのは、これは安倍政権以降の自民党政権の私は責任だと思いますけれども、そもそも総理大臣にそういう御認識はありますか。

岸田内閣総理大臣 具体的な金融政策の手法については日銀の判断に委ねなければならないと思っています。

 そして、政府としては、平成二十五年のこの共同声明に基づいて、日銀に物価目標達成の、持続的、安定的な達成に向けて努力を続けていくことを期待している、これが基本的な立場です。

 そして、平成二十五年の共同声明の中にありましたように、この金融政策の具体的な手法は日銀に任せながら、構造改革や、あるいは財政政策等において、政府としてしっかり責任を果たしていく、共同声明の中にもそのように明記されています。

 そういった姿勢で、この物価安定目標に向けて取組を進めていくべきであると思っています。

江田委員 そういうことを言っておられるのは今だけだと思いますよ。

 これからどんどん日米金利差が広がり、先ほど申し上げたとおり、どんどん円安が進んでいくと僕は思います。今、百三十円レベルですけれども、過去には、百三十五円、二〇〇二年になりました。九八年、百四十七円まで行きましたよ。私は、そのぐらいの覚悟がないといかぬと思いますよ、トップリーダーとしては、最悪の事態を想定して。

 しかし、仮にそういう事態になっても金利を上げられないんですよ、今の状況じゃ。上げますか、総裁。これは聞きますから、出口戦略ですけれども。上げられないんですよ。それほどアローアンスをなくしてきた結果を、私はその責任を問うているわけですよ。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

江田委員 しかし、円安がそこまで、百四十円だ何だと進んでいったら、とてももちませんよ。幾ら、今はコメントできないとか、今は不透明だ何だというレベルじゃ済みませんからね。

 日銀総裁、もうこれで最後の質問にしますから、お答えになったら御退出ください。

 よく財務金融委員会でも問われましたけれども、出口があるのかということなんですね、この異次元緩和に。

 しかし、FRBが今やっているように、今出口をやっていますね。今FRBがどんどん金利を上げ、FRBの資産を圧縮している。ECBも七月からやると言っていますね。だけれども、私に言わせれば、もうやるにやれないんですよ。今は、金融政策、いじれない。日銀は今、引き続き続けると言っているんですけれども、いつまで続けるんですか。いつまでも続けられないでしょう、今のままの金融政策を。どこかで出口を見つけないかぬということは、いいんですよね、総裁。中央銀行の総裁として、どこかで出口を。

 そのときに、私が一番心配しているのは、ソフトランディングになってほしいんですよ。しかし、ハードランディングになる可能性も想定しておかなきゃいかぬ。ハードランディングとは何かというと、ちょっと出口をうかがおうと日銀が動いて、それに市場メッセージを出したら、国債が暴落して、金利が急上昇して、経済も財政も破綻する、これが最悪のシナリオです。絶対避けなきゃいかぬと思っていますけれども。

 そういうことにならないように、しっかり、ソフトランディングに向けて、総裁、検討されているんですね。

黒田参考人 委員御指摘のとおり、日本銀行、二%の物価安定目標を目指して金融緩和を続けてきたわけですけれども、現時点では、先ほど申し上げたように、今年度は一・九%程度になっても、来年度はまた一%台に戻りそうだという中では、やはり当面金融緩和を続けるべきだとは思いますが、御指摘のように、いずれ出口ということになれば、当然、その出口戦略を金融政策決定会合で議論して、世の中にも示して、それに沿っていくということになると思います。

 その場合のポイントは二つありまして、一つは、政策金利をどのように引き上げていくか、それから、拡大したバランスシートをどのように縮小していくか。これは御指摘のとおり、FRBもECBも今検討し、ECBはまだ始めていませんけれども、FRBは既に始まっているということです。その二つの組合せになると思いますけれども、そのやり方、タイミングはもちろん、そのときの経済、物価、金融情勢に合わせて適切にやっていくつもりであります。

 その場合、日本銀行としては、このような場合にいろいろな手段を組み合わせて、御懸念のような、国債市場を始めとする金融市場の安定を確保しながら適切に出口戦略を遂行することは十分可能だと思いますが、委員御指摘のように、あるいは懸念されているように、そう簡単な話ではないということは認めますが、私は十分可能であるというふうに考えております。

江田委員 総裁、今本当に考えていることをこの場で言うと市場は大反応しますから、言えないことはよく分かります。最後の可能ではないかというのは、まあ、ちょっと、中身を言わないので、信頼はできませんけれども。

 ちょっと一問だけ。

 私、もう一つ心配しているのは、今、個人金融資産が二千兆あるでしょう、現預金が一千兆あるわけですよ。このまま円安が進むと、当然の資産保有者の心理としては、円をドルに替えようと。だから、海外逃避というのが、千兆円ですから規模が、日本の場合。一%海外に逃避しても十兆円ですから。五%逃避すると五十兆ですから。これはまた為替に物すごく影響を及ぼすわけです、円安の方に。これは本当に僕は心配しているんですけれども、総裁、いかがですか。

黒田参考人 為替レートの影響に、金利格差が影響するというのはエコノミストもみんな認めているところですが、短期金利なのか長期金利なのか、あるいはどの程度影響するのかという点についてはいろいろな議論がありまして、必ずしも確定的な結論は得られておりません。

 その上で、御指摘のように、既にFRBはこのように金利を上げていくということを言っていますので、それが当然、一方で、米国の国債とか株価に影響するかもしれませんね。ですから、米国が金利を上げると資金がどんどん日本から米国に流れていく、そして円安になるということでもないというふうに思います。

江田委員 おっしゃりたいことは分かりました。

 総理、これまでお聞きになって、やはり総理大臣ですから、これは与野党の別はないですよ、この日本をしっかり守ってもらわないと、この金融というか、円安、物価高から。だから、そういうリスクがあるんですよ、考えられる。

 お聞きになって、とにかく臨機応変に、これから機動的にしっかり、総理大臣、対処する決意をちょっと言っていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、金融政策の具体的な手法、金融緩和の出口も含めて、こうした手法については日銀に委ねなければならない、このように思います。

 しかし、今委員の方から、金融資産二千兆のうち一千兆が預金である、これが流出するのではないか、こういった点については、やはり、こうした資金が国内にとどまれるように、日本が投資するに値する魅力的なマーケットであり続けることが重要であり、そうした政策は、政府としてしっかり努力をしていかなければならないと思いますし、一方で、再エネですとか原子力を始めとするそういった取組を進めて、資産が日本の外にできるだけ出ていかないようにする。また一方で、インバウンド等によって資産の流入を増やしていく等、そうした政策を進めていくことによって、為替やあるいは資金の移動の安定を図っていく、こうした政策は、政府として責任を持って進める必要がある、このように考えます。

江田委員 黒田総裁の任期も四月です。異次元緩和を始められた、共同声明によって、安倍総理も辞められましたね、総理大臣。だから、岸田総理が、ちょっと悪い言葉で恐縮ですが、尻拭いをせざるを得ない事態にも追い込まれかねないんですよ。その認識を持たれてしっかり対応していただきたいと思います。

 さて、それで、短期的な問題、これまた長期になるかもしれませんね、このガソリンの問題で、今日は、トリガー条項の凍結解除がいいのか補助金がいいのか議論はしません。ただ、このパネルを御覧いただいて、いわゆる石油元売各社に補助金を出しているわけですよ。その各社が空前の純利益を上げておられる。このこと自体、それはすばらしいことだから批判しないんですが、ここに補助金を、今、補正予算の額を入れまして、一兆八千八百億円もの血税がこの元売会社に入るわけですよ。

 まず最初、お聞きしたいのは、これは萩生田大臣で結構ですけれども、この補助金分は、ちゃんと一円残らずガソリン価格引下げに使われているんですね。

萩生田国務大臣 これは、石油元売事業者の事業を支援する補助金ではございません。

 石油元売事業者が補助金の支払い請求を行う際には、補助金支給の単価相当額の全てが卸価格に反映されたことが確認できた場合のみ支払うこととしておりまして、補助金分がしっかりと卸価格の抑制につながることを制度上担保しております。

江田委員 分かりました。

 それで、ただ、これは補助金分だけ下げるわけでしょう。この日本企業、個別具体的な企業の責任を問うつもりはありませんが、普通、ここまでの利益を上げられ、しかも、世論的には、何でガソリンだけに補助金を出して価格を下げるんだ、もっとほかの日常品も上がっているんじゃないかという議論もあります。そういう中で、企業努力として、補助金プラスアルファで、ここまで国民の皆さんが困っておられるんだから、下げようということにならないんですかね。

 今、岸田総理も新しい資本主義と言われて、いま一つ、私、中身は分かりませんが、前もこの場で言った私なりの、今までの国際潮流としては、ステークホルダー資本主義、あるいは公益資本主義。

 ステークホルダー資本主義というのは、会社は株主のものなんだという発想から脱却して、会社は、従業員、社員のためにもあるし、顧客や取引先のためにもあるし、もっと言えば地域社会のためにもあるし、もっと言えば地球全体、例えば、気候変動問題とかSDGsとか、ESG投資という言葉もありますよね。

 そういう中にあるこの日本企業にとって、はい、補助金を血税からもらいました、その分だけを下げて卸しましたでいいんですかね。そこは、この企業の方々にも自問自答していただきたいんですけれども、これだけ困って、しかも特別待遇で補助金まで血税で出しているわけですから、総理大臣の方からちょっとは配慮していただけないかと。春闘まで介入されるわけですから、賃上げまで。そういう局面じゃないですかね。これ以上どんどんどんどん上がっていくと、この前二十五円を三十五円に上げたんでしたっけ、どんどん上げて、どんどん税金が要りますよ。

 総理、そういうお考えはないですか。

岸田内閣総理大臣 新しい資本主義の考え方は、市場や競争に過度に依存することなく、官民で協働して社会課題に対応する、こういったことであります。これは決して民間に負担をお願いして目標を達成するということではなくして、協力して全体の持続可能なシステムをつくっていこうということであります。

 委員の今の御指摘については、補助金より、補助金を更に深掘りして、拠出して社会に還元したらどうかということだと思いますが、今言った、資本主義のシステムをバージョンアップしようという考え方と、今、個別の企業が国の支援以上に深掘りして負担を生ずる、拠出する、こういったことを求めているのとは少し話が違うんだと思っております。

江田委員 私も、ゆめゆめ個別の企業を責めているわけじゃありません。企業の判断として、企業努力として、SDGsだ、ESG投資だとうたわれている中で、コーポレートアイデンティティーというか、その意味でこの際自主的に判断して、いわば、まさにそういうESG投資というか、SDGs企業という認定もされると思うのでね。

 じゃ、総理、総裁ができることを一つ申し上げましょう。この元売が主要なメンバーとなっている石油連盟から毎年自民党の国民政治協会に五千万円ずつ献金されていますから、今年はもう五千万円はいいですから、その分を価格、ガソリン値下げに使ってくださいと。これはできますよ。どうぞ。

岸田内閣総理大臣 まず、今の表について申し上げるならば、それなりの利益があるとするならば、それは是非、それぞれの企業において、人への投資ですとか設備投資に回してもらいたい。そうしたことによって、資本主義の好循環を維持してもらいたい。そういったお願いを政府として行うべきであると思います。

 そして、企業献金の話と今の話、これは直接結びつくことではないと考えます。

江田委員 国民の皆さんは困っているんだから、自民党として、政党として、今、政権与党として今回は御遠慮しますというのは、全然、筋の通った話だと思いますよ。是非、お金の問題なんですから。

 それから、最後、もう時間がなくなって、今度、最低賃金を、給料を上げるといって春闘まで介入されていますけれども、政府のツールとして、最低賃金という制度があるんですから。

 岸田総理は何年かかけて千円を目標に上げていくとおっしゃっていますけれども、千円というのは、例えば年二千時間働いて二百万円ですよ。二百万円から税金や社会保険料を引かれたら百六十万とか七十万しか残らなくて、生活できますか。生活できても結婚できますか。結婚できてもお子さんを持てますか。ですから、政治として、そもそもそんな低い目標を掲げるということ自体が私は問題だと思っていますよ。

 我々は千五百円と言っているんですよ。千五百円というのは、二百時間で三百万、引かれて二百四、五十万です、税金やあれや。それで月々二十万。これが最低限の文化的な生活じゃないですか。

 我々も一挙に上げろとは言いませんが、段階的に数年かけてやる。しかも、ここがポイントなんですけれども、中小零細企業は非常に負担になりますから、そこは補助金なり社会保険料の軽減でやる。これはフランスだってやっていますし、韓国だってやっていますし、アメリカだって補助しながら、支援しながら最低賃金を上げていっているんですよ。

 今大体、国際的な最低賃金の水準は千五百円前後までなっています、もう既に。日本は九百三十円ですから。これこそまさに、給料を上げて、消費を伸ばして、景気回復への道だと私は思うんですけれども、総理、ちょっと御見解、お願いします。

岸田内閣総理大臣 政府として申し上げておりますのは、全国加重平均千円以上を目指すということを再三申し上げています。千円をできるだけ早く実現した上で、更に上を目指すということを申し上げております。

 おっしゃるように、中小企業、特に地方の中小企業、小規模事業者に対する配慮、これはしっかりと念頭に置きながらも、今言った目標をしっかり掲げて、できるだけ早く千円を達成し、そして、それ以上をしっかり目指していきたいと考えています。

江田委員 総理、去年のノーベル経済学賞を受賞された方の業績は御存じですか。御存じないと思いますが、これは、普通、常識的に言うと、最低賃金を上げると雇用が減少すると言われてきたんですけれども、実証研究でそれはそうじゃないんだというのを、業績をもってノーベル経済学賞をもらっています。

 韓国も、一挙に十数%、二〇一八年でしたか、上げて、その後の雇用の影響も調査しましたら、ありませんでした。それから、メタ分析といいまして、二千件以上の論文を英国の政府系機関が分析しまして、その論文を分析した結果も、最低賃金を上げれば失業者が増えるんだ、雇用が減少するんだというのも違うという結果が出ていますから、ここは是非堂々と、必要な企業には支援をしながら、やはり千円じゃもちませんから、総理、千円じゃもちません。

 だから、ここは、さっきの話じゃないけれども、何年かかかるのはしようがないので、将来、千五百円を目指して頑張りますというぐらいのことをおっしゃられたらどうですか。

岸田内閣総理大臣 是非、全国加重平均千円以上を目指します。できるだけ早く千円を実現いたします。そして、更にその上を目指してまいります。

 そして、今委員の方から、様々な学説について御紹介がありました。そうした説についてもしっかりと注目し、研究していかなければならないと思いますが、一方で、現実の国際社会の中で、一気に最低賃金を引き上げたことによって雇用を失ったという実例もあるということを承知しています。

 そういった様々な説、考え方があるということを念頭に、今申し上げた方針で、政府として最低賃金引上げに努力をしていきたいと思っております。

江田委員 終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 引き続きの質疑、よろしくお願いいたします。

 今日は、パネルのお手伝いは、宮崎一区の渡辺創委員です。

 まず冒頭、総理に確認をせねばならない残念な報道が二つございます。

 一つは、自民党政権で農水大臣を務められた吉川元大臣にまつわる政治と金の問題です。

 本日午前の裁判で、懲役二年六か月、執行猶予四年、追徴金五百万円との、有罪判決との報道でございました。当時の現職大臣が違法な献金を大臣室で受け取っていた、こうした問題での有罪判決であります。大変残念な報道であります。岸田総理の受け止めを伺います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の判決が出たことについては、当然承知をしております。

 個別の裁判所の判断について私の立場から政府としてコメントするということは控えなければならないと思いますが、いずれにせよ、本件によって国民の政治不信を招いたということについては重く受け止める必要があると考えています。

 政治家たるもの、やはり、その責任を自覚し、国民に疑念を持たれないように、襟を正して政治活動を行っていく、緊張感を持って仕事に取り組む、こうしたことが重要であると改めて感じる次第です。

城井委員 国民の間での政治不信の増大のきっかけになったという点は、大変重たいと思います。加えて、我々の関心からすると、行政がゆがめられたのではないかということについても、やはりここは厳しく指摘をせねばならぬというふうに思います。

 改めて、現在の岸田内閣におきましても、綱紀の粛正、きちんと求めていきたいということを私どもから申し上げたいと思います。

 もう一つの報道であります、細田議長の一連の言動についてであります。

 衆議院の議長というのは、中立公正が求められる、そうした役割だと思います。にもかかわらず、衆院選の一票の格差を是正する十増十減に対する批判を細田議長は繰り返されています。今回の十増十減案は、人口比を議席数に反映させるアダムズ方式に基づくもので、しかも、この方式の適用は、自民党さんの主導で、与野党が合意をした経緯があることも周知の事実でございます。

 また、議員を減らせばよいかどうか考えた方がいい、一人当たり月額百万円未満であるような手取りだ、多少増やしても罰は当たらないとの先日の細田議長の発言も含めて、これは、謝罪はあったようですが、発言そのものは取り消されておりません。生活の苦しい国民から見ますと、何を言っているのか、違和感ばかりだというふうに感じます。我々ほかの国会議員がまるで給与や待遇に不満や文句を言っているようなことにつながっておりまして、これは甚だ迷惑であります。

 加えて、一部報道のセクハラ疑惑につきまして、今週の報道にあるようなこと、万が一、マスコミ記者や党職員、民間人など被害者が声を上げられない状況があるとすれば、明確なセクハラであり、通知書一枚あるいは一方的なコメントの対応で済まされるような状況にはありません。

 以上の細田議長の一連の言動について、岸田総理はどのように認識しているか。自民党総裁として、一連の言動への対応や、公の場での丁寧な説明を細田議長に促すべきではないでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 御質問の中に三点ポイントがあったと思います。

 まず、最初の十増十減については、政府としては、審議会の勧告を受けて区割り画定法案を粛々と国会に提出する、これが現行法に基づく対応であると認識をしています。

 そして、二点目の、要は議員定数に関わる発言でありますが、議員定数を含めた選挙制度の在り方については、まさに議会政治の根幹に関わる重大な問題ですから、これは基本的に、与野党、各党各会派で御議論をいただくべき議論だと考えております。したがって、この問題についての議長の発言について行政府の長の立場からコメントすることは控えなければならないと思います。

 そして、三点目の、一部の報道によって伝えられている事案についてですが、これについては、事実関係、私自身十分承知はしておりませんが、これはまず議長において適切に対応されるべきものであると認識をいたします。

城井委員 総理、特に三つ目の一部報道の件、セクハラ疑惑、これは、対応は相当な注意が必要だと思います。

 なぜかと申しますと、セクハラ疑惑に対応する場合、二つ大事なポイントがあります。一つは、第三者による事実確認です。二つ目は、セクハラをされた側の受け止めです。

 報道にあるマスコミ記者や党職員、民間人などにセクハラ被害がなかったかどうか、これは、細田議長のためにも、そして党職員を守る立場にある自民党総裁として、総理から、第三者を交えた事実確認の調査指示をすべきではないかと思うんですが、総理、これはされた方がいいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事案については、委員御指摘のように、様々な難しい課題があるんだと思います。

 しかし、行政府の長として、立法府の議長のありようについて直接コメントすることは控えなければならないと思います。

 議会においてこれをどう取り扱うのか、これは議会において考えられることではないかと思います。

城井委員 総理、あえて、自民党総裁として、第三者を交えた調査指示をされるべきだということを今問うております。

 実際に細田議長からも本日もコメントがあったということを報道で接しました。ただ、セクハラをしたとされる側の言い分だけで片づく問題ではない。先ほど申したように、まず、事実がどうかということ、そして、セクハラをされたという側がどのように受け止めているかという、ここの確認がないと、この疑惑、大丈夫だということにはならないということなんです。ですので、そうしたセクハラしたとされる側の言い分だけでは不十分です。

 もし調査指示をされないのでありましたら、例えば、第三者のマスコミに自民党総裁として調査をお願いされたらどうかというふうに思うんですが、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の事案については、議長あるいは議会において適切に対応をされるものであると思っています。

 少なくとも、私は今、行政府の長でありますので、行政府の立場から立法府に関わる問題について具体的にコメントすることは控えなければならないと思っております。

城井委員 総理であると同時に、自民党総裁でも総理はあられます。

 その意味で、この話をもし、第三者による調査ですとか、あるいはセクハラされたと言われる方々への、受け止めの、あるいはフォローがないと、したとされる側を守ることにばかりなってしまう。そちら側に立ったんじゃないかというふうに疑われかねないというふうに思うんですね。

 単に、立法府の長の在り方という、国会の権威に関わることだけでも、これだけでも重大なんですが、一人一人が守られるかどうかという部分にも関わるのが、今回のこのセクハラ疑惑を取り扱っていくときに本当に大事な点なんです。

 この客観的な調査について、何らかの形で、総理、自民党総裁としてされるべきだと思いますよ。もう一回お聞きします。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、自民党総裁でありますが、しかし、行政府の長でもあります。三権分立の考え方からして、直接申し上げることは控えなければならないと思います。

 また、これは細かい話かもしれませんが、議長でありますので、当然、自民党会派、これは外れておられますので、そういった点も踏まえて、やはり、議会において、あるいは議長自身において適切に判断されるべきことだと考えます。

城井委員 極めて残念な答弁が続いております。

 立法府の長の在り方という、本当に国会の権威に関わる話でもありますし、万が一セクハラ疑惑があった場合に、その被害を受けた方々の個人の尊厳が守られるかどうかという重要な話ですから、ここは厳正な対応を是非お願いしたいとまた改めて申し上げたいと思います。

 次に参りたいと思います。

 知床遊覧船事故について、総理並びに国交大臣に伺います。

 改めて、お亡くなりになられた皆様に哀悼の意を表するとともに、連日捜索活動などに当たる関係者の皆様に感謝をし、行方不明の皆様の一日も早い発見、事実確認、原因究明、再発防止に政府としても徹して取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。立憲民主党としても、事故検証チームの活動などを通じて、引き続き全力を挙げたいと思います。

 この件、一義的には事業者の責任が大き過ぎる事故ですが、二度の事故の後の昨年の国土交通省による特別監査も随分といいかげんでした。国による安全チェックのずさんな実態も改めて指摘せねばなりません。

 今般、特別監査がございまして、相当に厳しく、細かくやっていただきました。日頃から、これぐらい安全対策を着実に実行いただくことを要請したいと思います。

 そこで伺います。

 曳航中に百八十二メートルの海底へと落下した事故船カズワンについて伺います。

 落下の原因とその責任はどこにありますか。再引揚げは本日行われているとの報道ですが、今後、国としてどのように対応するか、スケジュールを含め、国土交通大臣の考えを教えてください。

斉藤国務大臣 今回の予算委員会で初めてのこの件に関しての答弁となりますので、私も、今回、お亡くなりになられた方々、そしてその御家族に改めてお悔やみを申し上げますとともに、また、事故に遭遇された方、その御家族に対して心からお見舞いを申し上げます。

 国土交通省としても、今、海上保安庁を始め、自衛隊等と協力をして、全力で捜索活動、また、御家族への対応を行っているところでございます。

 御質問にお答えいたします。

 二十四日、一昨日、サルベージ事業者によるカズワンの曳航中に船体が海底へ落下したことについては、船体に取り付けられたつり上げ用の帯、スリングと呼ぶそうですが、の五本中二本に切断が発生し、これによって船体が落下したものと考えられるとの報告を受けております。

 落下の原因につきましては、現在もサルベージ事業者において調査が進められているところと承知しておりまして、責任の所在につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。

 なお、一昨日の詳細な船体調査により、引揚げが可能であると認められたことから、更に強靱な帯、スリングを使用し、曳航方法や引揚げ海域の変更などの再発防止策をしっかりと講じた上で、昨日から作業が再開されていると承知しております。

 船体の引揚げについては、早ければ本日中に作業船上までの引揚げが完了する見込みであるとの報告を受けております。

城井委員 責任については控えられましたが、一点申し上げなければなりません。

 今回の落下、我々の仲間では脱落とも呼びますが、この落下に対する北海道の地元の怒りがすさまじいということを同僚議員から聞きました。

 落下をなぜ見逃したのか。カズワンを曳航していたあの船には政府関係者が乗っていたと聞きましたが、国交大臣、何人乗っていましたか。

斉藤国務大臣 海上保安官が三人乗っておりました。

城井委員 その三名の海上保安官、政府として、カズワンの状況を順番に、常時監視していなかったんですか、大臣。

斉藤国務大臣 サルベージ事業者によりまして帯の張り具合をずっと見ていたということでございますが、常時監視していなかったということでございます。

城井委員 今回の脱落の手前、朝の八時時点ではあったということでした。その後、つっているロープの張りは見ていたというふうに政府から説明がありましたが、十時時点で船の姿が見えずということでの、水中カメラを下ろしての確認だったというふうにも聞いています。

 今回の件、政府関係者が同乗していながら見落とした部分、過失と呼ばなければならないのではないか。この点も含めて、所管大臣、どのように受け止めますか。この後、どのように対応されますか。

斉藤国務大臣 今はとにかく引揚げに全力を挙げておりますが、しかるべきときにはきちんと検証したいと思っております。

城井委員 続いて、海難事故時の初動体制の改善について伺います。

 今回の事故でも明らかになりました、海難事故時の初動体制の問題点でありました一時間以内の海難救助体制の空白地域を解消する政策提案を、本年五月十三日の衆議院国土交通委員会でも私から国土交通大臣に申し上げておりました。

 その後、この政策提案、どのように対応いただいているか、国土交通大臣からお答えください。

斉藤国務大臣 五月十三日の衆議院国土交通委員会におきまして、城井委員から海難救助体制の空白域の解消について政策提案をいただきました。

 私としても、迅速な海難救助体制を構築し、空白域をなくしていきたいと考えておりまして、海上保安庁において、海難救助体制の在り方に関し、航空基地のヘリコプターの配備や、機動救難士が配置されていない航空基地への機動救難士の配置等、海難救助体制の強化について検討を進めさせていただいております。

 また、現時点での対応として、海上保安庁においては、自衛隊などの関係機関との協力連携の強化に取り組んでいるほか、今回事故のあった北海道東部海域においては、夏場の観光シーズンに合わせて、潜水士が乗船する大型巡視船等を配備することによって、救助救急体制を確保することとしております。

 いずれにいたしましても、今後、早急に検討を進め、必要な海難救助体制を構築し、海難救助に万全を期してまいりたいと決意しております。

城井委員 総理、安全対策の強化、そして再発防止は重要だというふうに考えます。

 一方で、今後、この議論が進んでまいりますと、船舶の装備に例えば充実を迫られるのは、コロナで乗客や仕事を失った多くの中小船舶事業者、観光船の事業者になります。

 今ほど、早速検討に入っていただいたというのはありがたい言葉なんですが、海難救助の体制強化を行う海上保安庁なども、機動救難士の追加育成、配置などを含めて、予算が伴う取組になるはずです。この安全対策強化への予算措置の必要性は待ったなしだと考えますが、現時点で今回の補正予算には計上がありません。

 総理、この安全対策を強化する予算、どのタイミングで、どんなふうに確保しますか。予算案を修正すべきではないですか。

岸田内閣総理大臣 ただいま国交大臣からありましたように、海難救助の体制強化、これを今しっかり検討し、進めていかなければならないと思います。

 そして、今後、この安全対策や海難救助の体制強化に関する検討の進捗状況等を踏まえて、配置の見直しなど適切な対応が求められる、こうしたことだと思います。

 それには予算が要るのではないか、こういった御質問の趣旨ですが、予算についても緊要性を考慮し、やれることをしっかりやらなければならない。その際に、今申し上げた配置換え等、配置の見直し等については、これは新たな予算を、大きな予算が求められるというものではないわけです。

 そして、それ以外の予算が必要とされる部分があったとしても、これは既定の予算の利活用によってこの対策強化が円滑に実施できるよう、政府としてしっかり取り組んでいきたいと考えております。

城井委員 しっかり議論を追っかけていただきながら、必要な予算の確保に是非目配りをお願いしたいというふうに思います。

 予算の関係で、もう一点伺います。

 今回の捜索活動に協力いただいた方々に対する支援について伺います。

 海難救助活動に出動した救難所やボランティア救助員に支給される日本水難救済会救助出動報奨金という大変ありがたい民間の制度があります。今回の海難救助活動への協力者にも支給される見込みとの認識なんですが、一日の船の燃料代にもほど遠い金額だというふうに聞いています。

 長期化した今回の捜索活動に協力いただく漁船や観光船への燃油などの費用補助を国として行うべきだということを、五月十三日の衆議院国土交通委員会で私から国土交通大臣に政治決断を迫ったんですが、日本水難救済会への間接的な支援検討への言及にとどまり、費用補助を明言いただけませんでした。補正予算への計上ももちろんありません。

 総理、捜索活動への協力者支援拡充の実現へ、御決断をいただけないでしょうか。

斉藤国務大臣 先日、国土交通委員会で城井委員から御提言をいただきました。

 答弁の前に、まずは、地元の漁船や観光船の方々には、事故発生の翌日から長期間にわたり行方不明者の捜索に御尽力いただき、深く感謝を申し上げます。

 先ほどの件でございますが、先日も答弁させていただいたとおり、一般的に、海難救助については、古くからシーマンシップ、今はシーパーソンシップと言うべきなんでしょうか、シーマンシップに基づく相互扶助の精神にのっとり行われております。

 また、日本水難救済会では、この趣旨に沿って、救助員の捜索活動への協力に対し、出動報奨金の交付事業を行っています。

 こうした中、捜索活動への協力者に対する国からの支援については、様々な御意見があるものと認識しており、まずは、海上保安庁において、日本水難救済会が行う水難救済事業に対する支援や協力を充実させてまいります。

 具体的には、救助員に対する人命救助訓練や救難資器材の取扱い訓練を積極的に支援するほか、救助員に対する出動報奨金の財源となる青い羽根募金の更なる普及啓発に取り組んでまいります。

城井委員 今、国土交通大臣から御説明いただいた内容では不十分ではないかというふうに感じています。

 総理、直接の費用補助を政府として検討いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 今、国交大臣から答弁させていただきましたように、海難救助についての今までのありようがあり、その中で、国の支援について様々な意見がある、こうした説明がありました。

 国としては、今大臣からありましたように、日本水難救済会が行う水難救済事業に対する支援や協力、これを充実させていく、こうした方針で支援を行っていきたいと存じます。

 それで十分なのかどうかという議論については、今後また、今回の案件の検証の中で、もしそういった議論があれば、我々としてもまた考えていきたいと思います。

城井委員 シーマンシップの相互扶助、大変ありがたいですが、甘え過ぎてはいけないというふうに思っています。先ほど総理からございましたように、今後の取組を見て、また我々からも提起、提案をさせていただきたいと思います。

 続きまして、今日、私の出番、役割の本題ということで、教育費の負担軽減の必要性について順次伺いたいと思います。

 立憲民主党の生活安全保障三本柱、二番目の教育の無償化、ここに関わる部分について中心に行きたいと思います。なぜ必要なのか、そしてその必要性についても、データからひもといて皆様にお伝えしたいと思います。

 まず申し上げたいのは、物価高の影響の前から家庭の貧困が子供の学習理解や進学を阻んでいる実態が、昨年の内閣府による子供の貧困に関する調査、令和三年子供の生活状況調査の分析報告書で鮮明になりまして、専門家などから政府に対策を求める声が上がっているということです。

 内閣府が全国の中学二年生とその保護者五千組に実施したこの調査。生活が苦しい層で、学校の授業がほとんど分からないとか、分からないことが多いと答えたのが何と二四%、およそ四人に一人もいるということでした。暮らしが比較的安定している層に比べて三・三倍も多いんです。進学希望という点では、生活が苦しい層の三三・九%、およそ三人に一人が、中学、高校までしか行けないな、そこまでかなと回答して、暮らしが比較的安定している層の四・三倍にも達しているという状況でした。

 言い換えれば、子供の貧困が、学力の格差だけではなくて、人生の選択の格差、つまり、元から人生の選べる幅を狭めてしまっているような、こんな状況の引き金になっているということも明らかになりました。

 龍谷大学の松岡亮二准教授の解説から、具体的なデータを紹介したいと思います。

 この内閣府の調査で、まず、経済状況による学力格差を確認できます。クラスの中での成績という資料とパネルを御覧いただければと思います。

 あなたの成績はクラスの中でどのくらいだと思いますかという質問で、下の方と回答した中学二年生は全体で一七・三%、暮らしが比較的安定している層では一〇・八%ですが、生活が苦しい層になりますと三三・〇%に跳ね上がります。

 生まれと最終学歴をつなぐのは学力だけではないというふうに思っています。たとえ学力が高くても、本人が進学を希望し選択しなければ、大学に進学することはありません。

 次の図表に行きます。子供の進学段階に関する希望、展望という部分を御覧ください。

 親の希望、展望、子供が将来どの段階まで進学するかという希望。大学又はそれ以上というふうに希望、展望を持っていらっしゃる方は全体で五〇・一%でしたが、暮らしが比較的安定している層だと六七・二、でも、生活が苦しい層ですと二五・九にまで下がってしまいます。

 同様に、次に、子供の進学期待を見ますと、進学したいと思う教育段階を御覧ください。

 大学又はそれ以上は全体で四九・七%、暮らしが比較的安定している層だと六四・三%なんですが、このグラフの並んだ一番下、生活が苦しい層ですと二八・〇%にとどまってしまいます。これらの傾向は、世帯収入ではなく、親学歴の別で見ても確認できるということでした。この表の中央のグラフのところには、中間所得で子供が多い世帯が入っています。つまり、中間所得層で子供をたくさん産み育ててくださっている世帯こそ、大学まで行くことを選べない、こんな社会になっているということが、このデータから残念ながら見て取れるわけであります。

 暮らしが比較的安定している層でも、短大、高専、専門学校、大学までの進学希望を足し合わせても、七六・七%しかないんです。中間層まで入れても、中間辺りの方々でも五九・七%ということですから、今後、高度人材育成をしていくことを考えますと、必要な人の確保ができない危機的な水準だというふうにこのデータから読み取れます。

 これらの調査が指します学力の格差、人生の選択の格差、これは一人親世帯を中心にした生活が苦しい層への政府の支援が弱い結果だと見るべきです。深刻なのは、これまでの自民党政権の下で現在までやってきた取組でこの状況であるということなんです。個々の家計の負担の重さが、国家のレベルでの科学技術立国やソサエティー五・〇に必要な人材養成や供給の不足を招いてしまっているという残念な状況。

 今回の補正予算でも、低所得の子育て世帯に対する給付金の再支給も行われますが、約二千億円という全体、根本的な状況改善にはならない。岸田政権の子供、子育て政策は、これからの積み上げで、まだ姿が見えません。

 立憲民主党からは、教育の無償化の実現を始めとして、子供、子育て予算の倍増の具体化を強く訴えています。これは、こうした教育費の負担、家計負担の重さが学習理解や進学機会に影響していることも理由にあります。

 総理、家庭の経済状況によらず、子供の学習理解を深め、進学機会を確保していくために、今後の対応を是非充実すべきです。総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、経済格差が教育格差を生み、そして、それが将来の格差にもつながっているという負のスパイラルが生じているということ、このことについて重く受け止めなければならないと思います。

 こうした状況に対して、従来も、幼児教育の無償化、保育の無償化、高等教育の無償化、様々な取組を進めてきたわけですが、それでもこれだ、こういう御指摘がありました。

 今までの取組も、もちろんこれは大事な取組であったと思いますが、更にこれに上乗せして様々な取組を進めなければならないということで、まずは、今コロナ禍で、こうした方々が苦しんでいるわけですから、特にコロナ禍で苦しんでいる方々に焦点を当てた総合緊急対策等、様々な支援策を用意しなければいけないと思いますし、また、教育の将来ということにつきましても、教育未来創造会議において、給付型奨学金、授業料減免、こうしたものもできるだけ中間層へ拡大していく、こうした取組の重要性も指摘をされていますし、また、これも今日、度々議論になりましたが、出世払いの高等教育への支援、こうした新しい取組についても実行に移していかなければならないと思います。

 こうした取組を進め、なおかつ、こども家庭庁を中心とする子供政策の整理と拡充、こうしたことを併せて行うことによって、是非、先ほど御指摘があった負のスパイラルから脱する、こうした環境整備を行っていきたいと考えます。

城井委員 続いて、具体的な政策を少し聞きたいと思います。

 学校給食費等の負担について伺います。

 今回の総合緊急対策で、学校給食等の負担軽減が盛り込まれました。物価高の学校給食に対する影響に対策を行うことは必要だと考えますが、もっと根本的なところにも目を向ける必要があります。

 そもそも、経済的に厳しい家庭や施設の子供たちは、給食や学用品の費用を工面するのにも日頃から苦労しています。いわゆる就学援助を受けている支給対象者の割合は七人に一人、地域によっても異なります。こうした就学援助を利用している方は、学用品や給食費を自力で確保するのが難しい方です。貧困家庭を支援し、社会全体で子供を育てる観点から、ベーシックサービス拡充の一環として、少なくとも公立小中学校の給食費の無償化を行うなど、学校教育費支援を拡充するべきだと立憲民主党からは政策提案しています。

 総理、御対応いただけるでしょうか。

岸田内閣総理大臣 学校給食費に対する対応ですが、経済的に厳しい義務教育段階の児童生徒に対して、御指摘の学校給食費、さらには学用品費などについて、就学援助等による支援、これは政府としても行っているところであり、これについても、今後ともしっかりと充実に向けて取り組んでいきたいと考えます。

 加えて、今のコロナ禍における厳しい生活状況に対する負担軽減という観点から、今回の総合経済対策の中で、地方創生臨時交付金によって、各自治体による学校給食費の負担軽減、こうした取組を用意することとしています。こうした自治体の取組、学校給食に対する負担軽減の取組として、しっかり後押ししていくことも政府として考えていきたいと思っております。

 学校給食への政府としての支援、これからも大事になってくると思っております。

城井委員 今の総理の御答弁も含めてですが、地方での対応、そして政府からの対応だけでは十分だと思えません。

 学校教育費として、公立小学校ですと、大体、給食費まで含めますと年間十万円強という負担、公立中学校ですと年間十八万円強ということになります。

 様々な調査からも、例えば、指定品のシャツを買うにも二枚目が持てないとか、教材や実習に使うものにお金がかかるとか、部活の費用が高く入部を諦めたとか、制服、ジャージ、上履き、体育館シューズ、色鉛筆などなど、小学校も含めて、こうした隠れ教育費による大きな保護者負担、まだまだあると思います。

 総理、こうしたことも踏まえての公的負担への支援強化、是非お考えいただけませんか。

岸田内閣総理大臣 教育費の在り方については、公的負担と、そして家計負担の割合という議論があります。

 これはOECD平均ですと、私費負担が三、公的負担が七、こういった数字になっていますが、日本においてはこれが逆転しているという指摘があります。日本においては、私的負担が七、公的負担が三、こういった数字があります。こういった辺りは、我々としても、しっかりと念頭に置きながら教育費の支援を考えていかなければならないと思います。

 そういった観点から、幼児教育、保育の無償化ですとか、高等教育の無償化に取り組んできたわけですが、それに加えて、先ほど来御説明させていただいております様々な教育支援、これも引き続き充実させるべく努力をしていきたいと思います。そうしたことによって、日本の全ての子供たちがそれぞれの能力を生かすべく努力ができる、こうした社会をつくるべく、政府としても支援を充実させていきたいと考えております。

城井委員 続いて、高等教育の修学支援制度の改善について、総理に伺わせてください。

 資料を御覧ください。

 そもそも、大学や専門学校の給付型奨学金そして授業料等減免については、教育支援の崖があります。階段状になっているのを御覧いただけると思います。

 年収二百七十万円を超える世帯の学生には、この授業料減免や給付型奨学金が三分の二に減額をされています。三百万円を超えると更に三分の一への減額。そして、三百八十万円を超えますと、支給が、支援がいきなりなくなってゼロになるというのが今の仕組みなんです。

 年収三百万円の世帯が、貯金ができますか。子供に恵まれたら、更に経済的には厳しいのが実情です。そもそも、自助努力をする原資がありません。資産所得倍増など望むべくもありません。真面目に税金を納め、保険料を支払って、教育費や介護の費用を自前で賄い、手取りが残らず貯金がないような中間層までの世帯の学生を支える仕組みに改善すべきです。

 総理、この崖、階段状の崖を是非改善していただきたい、取っ払っていただきたい。対応いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 高等教育の支援において、委員が御指摘のように、制度の崖があるという指摘、こういった御指摘があるということ、これは承知をしています。ですから、基本的な考え方として、こうした崖をできるだけなだらかにするべく、この制度を考えていく、こうした考え方が重要であると思っています。

 その中にあって、先ほど来議論に出ております教育未来創造会議における出世払いの仕組み、これは無利子、有利子にかかわらず、貸与型の奨学金の返済に当たって、既に卒業して、そして、返済中の者も含めて、返還者が自らの判断で卒業後の所得に応じた返還額により返済できる、こうした仕組みを考えているということであります。このように、それぞれの立場において最も適切な、最も使いやすい制度を選択できる、こうした考え方は重要なのだと思います。

 こういった制度も用意することによって、御指摘があった制度の崖をできるだけなだらかにすることによって、より多くの学生の支援、若い人たちの支援を実現していく、こういった取組は政府としても進めていきたいと考えております。

城井委員 世の中の一部には、学費は親が払うもの、こんな考え方もあるかもしれません。貸与型の奨学金は、総理も承知の上でおっしゃっていると思いますが、あれは借金です。結局返していかなければなりません。誰しもが同じように学費を自力で確保できるような状況にはないということ、このことは、我々、頭に置いておかなきゃいけない。特にコロナ禍のさなかにあって、今の学生は自力で頑張るにも手だてが足りない状況です。少なくとも誰もが学ぶスタートラインに立てる仕組みにしなきゃいけないということ、是非、引き続き、目配りをお願いしたいということを強く要望したいと思います。

 さて、時間が限られてまいりましたので、通告を少し飛ばさせていただきます。

 原油価格の高騰対策、とりわけに航空業界への支援について、最後に確認をいたしたいと思います。

 今年四月に政府として取りまとめたコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策において新たに航空機燃料を補助対象としたことは、私たちからも国土交通委員会や政府ヒアリングなどで繰り返し我が国の航空会社への追加支援の必要性を訴えてきたことを踏まえれば、評価をできる判断です。

 この支援は、今回の補正予算や予備費において具体的にどのような程度となるでしょうか。その予算規模とした算出根拠と併せてお答えいただきたいと思いますが、経済産業大臣と国土交通大臣からそれぞれお答えください。

萩生田国務大臣 お答えします。

 激変緩和事業は、令和四年度予備費におきまして二千七百七十四億円が措置されており、また、現在審議いただいている令和四年度補正予算においては一兆千六百五十五億円を計上しております。予備費、補正予算のいずれについても、これまでの支給額の推移と過去数年における石油製品の使用量などを踏まえて算出しているところでございます。

 具体的には、まず予備費について油種ごとの予算額を申し上げますと、ガソリンが千二百三十億円、軽油が八百四十三億円、灯油が百七十七億円、重油が四百七十九億円、航空機燃料が四十五億円と積算をしております。また、補正予算案につきましては、油種ごとの予算額は、ガソリンが五千二百六十三億円、軽油が三千四百四十四億円、灯油が七百八十七億円、重油千九百八十一億円、航空機燃料百八十億円と積算をしているところです。

斉藤国務大臣 今回の原油高騰対策の一環として、航空機燃料が追加されました。その内訳は今、経産大臣から話があったとおりでございます。

 これに加えまして、我々としては、これまでも、業種横断的な雇用調整助成金や、また空港使用料の減免など、様々な形で踏み込んだ支援を行い、令和四年度においても七百億円規模で支援を行っております。

 今回、これに加えて、航空機燃料についても激変緩和事業の対象としたところでございます。これにより、長期化の様相を呈している原油価格の高騰などの国際情勢も踏まえた対応がなされることとなりますが、国土交通省としては、引き続き、航空会社の経営状況を注視し、適時適切に対応していきたいと思っております。

城井委員 コロナ禍で傷んだ航空各社の財務体質の改善や有利子負債の返済に当たっては、長期にわたることから、引き続き、業界の声を聞きながら、今後見込まれる国際競争の再激化に耐え得る支援を行っていくべきだと考えます。

 国土交通大臣、最後に短く一言お願いしたいと思います。

斉藤国務大臣 今御答弁申し上げましたように、今後の状況をよく注視しながら、適時適切に対応していきたいと思っております。

城井委員 先ほど御答弁いただきましたように、まずは航空会社の努力が必要だというふうに思いますけれども、元々のコロナ禍に加えての物価高という予想外の状況でございますので、是非その辺りを踏まえていただいた上での更なるお取組をお願い申し上げまして、そろそろお時間かと存じます。質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 次回は、明二十七日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.