衆議院

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第2号 令和4年10月17日(月曜日)

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令和四年十月十七日(月曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      あかま二郎君    五十嵐 清君

      伊藤 達也君    石井  拓君

      石破  茂君    稲田 朋美君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      神田 憲次君    小泉 龍司君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      高村 正大君    鈴木 隼人君

      田中 和徳君    辻  清人君

      土屋 品子君    中根 一幸君

      萩生田光一君    橋本  岳君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮崎 政久君    宮下 一郎君

      八木 哲也君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 孝一君

      渡辺 博道君    荒井  優君

      大西 健介君    岡田 克也君

      源馬謙太郎君    堤 かなめ君

      西村智奈美君    藤岡 隆雄君

      太  栄志君    本庄 知史君

      森山 浩行君    山岸 一生君

      山田 勝彦君    山井 和則君

      吉田はるみ君    渡辺  創君

      阿部  司君    池畑浩太朗君

      掘井 健智君    庄子 賢一君

      高木 陽介君    中野 洋昌君

      鰐淵 洋子君  斎藤アレックス君

      鈴木  敦君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    大石あきこ君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         寺田  稔君

   法務大臣         葉梨 康弘君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       秋葉 賢也君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)

   (デジタル田園都市国家構想担当)         岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室次長)         村山 一弥君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局次長)          村手  聡君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房故安倍晋三国葬儀事務局長)    原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房経済安全保障推進室次長)     品川 高浩君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡田 恵子君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        吉住 啓作君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     黒田 岳士君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  松下 裕子君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           杉浦 正俊君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木原 晋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       柏原 恭子君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    角野 然生君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            横島 直彦君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十七日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     八木 哲也君

  衛藤征士郎君     神田 憲次君

  金田 勝年君     渡辺 孝一君

  鈴木 隼人君     石井  拓君

  田中 和徳君     あかま二郎君

  辻  清人君     五十嵐 清君

  三谷 英弘君     萩生田光一君

  西村智奈美君     太  栄志君

  吉田はるみ君     岡田 克也君

  渡辺  創君     山井 和則君

  庄子 賢一君     高木 陽介君

  斎藤アレックス君   鈴木  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     田中 和徳君

  五十嵐 清君     宮崎 政久君

  石井  拓君     牧島かれん君

  神田 憲次君     衛藤征士郎君

  萩生田光一君     高村 正大君

  八木 哲也君     石破  茂君

  渡辺 孝一君     小泉 龍司君

  岡田 克也君     吉田はるみ君

  太  栄志君     荒井  優君

  山井 和則君     渡辺  創君

  高木 陽介君     庄子 賢一君

  鈴木  敦君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     橋本  岳君

  高村 正大君     三谷 英弘君

  牧島かれん君     鈴木 隼人君

  宮崎 政久君     辻  清人君

  荒井  優君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     稲田 朋美君

  山岸 一生君     山田 勝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     金田 勝年君

  山田 勝彦君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  堤 かなめ君     西村智奈美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣官房国土強靱化推進室次長村山一弥君、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局次長村手聡君、内閣府大臣官房故安倍晋三国葬儀事務局長原宏彰君、内閣府大臣官房経済安全保障推進室次長品川高浩君、内閣府男女共同参画局長岡田恵子君、内閣府子ども・子育て本部統括官吉住啓作君、消費者庁次長黒田岳士君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省人権擁護局長松下裕子君、厚生労働省人材開発統括官奈尾基弘君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、経済産業省大臣官房審議官杉浦正俊君、経済産業省大臣官房審議官木原晋一君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長片岡宏一郎君、経済産業省通商政策局通商機構部長柏原恭子君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁長官角野然生君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、中小企業庁経営支援部長横島直彦君、国土交通省総合政策局長瓦林康人君、国土交通省航空局長久保田雅晴君、観光庁次長秡川直也君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 基本的質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。萩生田光一君。

萩生田委員 おはようございます。自由民主党政調会長の萩生田光一です。

 三年八か月ぶり、予算委員会での質疑に立たせていただくことになりました。しばらくそちらの閣僚席に問いただされる側で座っておりましたので、何となく受け身が身についてしまったんですが、今日は気持ちを入れ替えて、しっかり問いただしてまいりたいというふうに思います。

 また、閣僚時代は、できるだけ総理の負担を軽減しようということで答弁のサポートをしてまいりましたが、立場が変わりましたので、総理にしっかりお答えいただくべく、質問をしてまいりたいと思います。

 コロナ禍を経験し、また、ロシアのウクライナの侵略を目の当たりにして、それまでの間、我々の日本という国は、大抵のことは自分たちができるというふうに自負をしておりました。しかし、人、物、脆弱性というものが露呈をされたと思っています。

 私は、総理の掲げる新しい資本主義というのは、まさに、必要な人をしっかり国として育てていく、必要なものは、大切なものはしっかりと国がつくっていく、こういった姿勢を示すことにあるんだろうと思っていまして、そういう視点から、我が国の基本的な政策課題、国家のありようについてしっかりと議論をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ただ、冒頭、やはり自民党として、旧統一教会との関係について、国民の皆様に深くおわびをし、反省をしなくてはならないと思っています。

 党として調査を行った結果は既に公表しておりますが、私自身も、地元の世界平和女性連合の方々との御縁があり、これが旧統一教会の関連団体ということでした。

 旧統一教会について、この二十年近くマスコミでも余り取り上げられることもありませんでしたが、実際には今なお高額献金や霊感商法の返済が続いている方々がいらっしゃる。そうした中で、私も含め自民党議員の関与が結果として教団の信用を高めることに寄与してしまったのではないか、こうした御指摘を私たちは真摯に受け止め、猛省をしなくてはならないと思っています。

 信なくば立たずであります。国民の皆さんからこれまでになく強い不信の目が政治に向けられている今、この現状を深刻に受け止め、そして、今後、我が党は関連団体を含め関係を絶つことを党のガバナンスコードで決めさせていただきました。いまだ被害に苦しんでいる被害者の皆さんの救済に向けて、党の消費者問題調査会を始め、党としてもできる限りを尽くして、政府と連携しながら問題解決に頑張ってまいりたい、そのことを改めてお誓い申し上げたいと思います。

 さて、安倍元総理が演説中に襲撃され、お亡くなりになって、あの日から百日が過ぎました。この僅か百日の間にも、中国が我が国のEEZに五発ものミサイルを撃ち込みました。北朝鮮のミサイル発射が相次ぎ、先般は我が国の領域を飛び越えるという暴挙もございました。長年政治行動を共にしてきた者として、率直に申し上げ、安倍総理が御存命ならどうされていただろうかと思わない日はありません。

 先月の国葬儀について、様々な御意見があったことについては今後の国会における議論などに生かしていかなければならないと思っております。他方、二百を超える国や地域、国際機関から七百名を超える外国の弔問客が今回参列されました。そして、岸田総理や菅元総理の弔辞など、本当に心のこもった式典だったと思っております。

 G7の首脳が来ないということを批判される方がいましたけれども、私は、総理、G7の皆さんとは、マルチの会議、いろいろな機会にお会いすることができます。それよりも、東南アジアや日頃なかなか接点のなかった島国など、そういった人たちと直接この日本でお話ができたことは、岸田外交の大きな成果だと私は評価したいと思います。

 式典の途中で安倍元総理のお元気な頃の映像が流れましたけれども、最後の方で、悲観して立ち止まるのではなく、可能性を信じて、前を向いて進むべきだ、こんな発言がありました。はっと目の覚める思いがいたしました。

 国内の経済情勢、国際的な安全保障環境が目まぐるしく変化する時代にあって、国民の命と暮らしを守るべき大きな責任を持つ私たち自由民主党は、立ち止まる暇はございません。安倍元総理の国政にかけた強い思い、こういったものを我々はしっかり継承しながら、この国の将来に責任ある行動を取ってまいりたいと思っています。

 そこで、まず何よりも、安全保障の問題を取り上げなくてはなりません。

 米国は、先週、バイデン政権の国家安全保障戦略を発表し、最も差し迫った課題は、権威主義的な大国による国際平和と安定に対する挑戦だと明記をしました。

 ロシアのウクライナ侵略によって、世界の安全保障環境が一変しました。そして、これは決して対岸の火事ではありません。

 アジアにおいても、台湾海峡の緊張が高まる中、先ほど申し上げたように、EEZに五発のミサイルが撃ち込まれ、極めて危険な挑発行為であります。台湾有事は日本有事であると安倍元総理はおっしゃいましたが、中国自らがこのことを証明したことにもなると思います。

 北朝鮮は、かつてない頻度でミサイル発射を繰り返し、先日は我が国の領域を飛び越えるミサイル発射という暴挙を行うなど、その挑発行為はまさにエスカレートしています。

 こうした行為にただ抗議を繰り返すだけでは、国民の命と平和な暮らしを守り抜くことはできません。必要なものは、言葉でなく、抑止力であります。撃つなら撃つぞという能力を明確に示すことで我が国へのミサイル攻撃を抑止する、これこそが、我が国の平和を守り、国民の命と暮らしを守る道である、そう確信しております。

 我が党は既に反撃能力の保有について提言を行っておりますが、近年の安全保障環境の激変も踏まえ、もはや一刻の猶予もない、そう考えております。反撃能力の保有に向けた岸田総理の決意をまずお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、北朝鮮による一連の弾道ミサイルの発射、これは我が国、地域、そして国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認することはできません。

 我が国として、こうした発射を踏まえて、国連安保理決議違反、日朝平壌宣言違反、こうした観点から強く抗議をし、非難をする、これは当然のことでありますが、あわせて、日米あるいは日米韓での共同訓練を行うなど、こうした強い意思とそして連携、こうしたものを示しているところですが、あわせて、委員御指摘のように、我が国自身の防衛力の強化、これも大きな課題として真正面から取り組んでいかなければなりません。

 自民党の方から、今御発言の中にもありましたように、我が国への武力攻撃に対する反撃能力を保有し、これらの攻撃を抑止、対処する旨、提言もいただいているところです。

 政府としては、いわゆる反撃能力を含め、国民の命そして暮らしを守るために何が必要なのか、あらゆる選択肢を排除せず、そして現実的に検討を今加速をしているところです。

 今後、与党間の協議も進められると承知をしておりますが、こうした議論も踏まえながら、これは年末までに結論を出し、国民の安心、安全につなげていきたいと考えております。

萩生田委員 現在の厳しい安全保障環境を踏まえ、自民党は、先般の参議院選挙で、NATO諸国と同様のGDP比二%以上を念頭に、五年以内に防衛力の抜本的強化を進めると国民の皆さんに公約をしました。約束したことは必ず実行しなくてはなりません。国民の命と平和な暮らしを守る、そして領土、領海、領空は断固として守り抜く、これは政治の重い責任であります。

 そして、先月、岸田総理のイニシアチブで、官邸に国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議が設置されたことは、こうした政治の強い意思を示すもので、歓迎をしたいと思います。

 しかしながら、報道ベースで見ますと、どういった防衛力が必要なのかという中身の議論よりも、財源をどうするかといった議論ばかりが目立っているような印象を私は受けました。

 さらに、政府提出資料には、NATO基準でいけば、防衛省以外の研究開発費も入る、あるいは港湾の整備費、海上保安庁の予算も含まれるとか、さらには年金もカウントできる。どうすれば見た目の金額を増やすことができるのか、そんなことばかり考えているようにすら見えてしまいます。

 私は、総理、水増しでは駄目だと思います。水増しでは国民の生命財産を守ることはできません。

 日本は、ウクライナを侵略したロシアと隣り合わせの国です。北朝鮮は核、ミサイルを開発し続けています。中国はこの三十年で軍事費を四十倍に増やしました。国民の命と平和な暮らしを守るため、どういう防衛力が必要か。私は、真面目に積み上げたら、むしろGDP比二%では足りないのではないかということをかねてから申し上げてきました。

 財源論ももちろん必要でありますが、真に必要な防衛力について検討する、政治の意思で、GDP比二%に向けて、予算を真水で増額し、必要な防衛力を整備していくことについて、総理の覚悟をお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国をめぐる安全保障環境が厳しさを増す中にあって、我が国の対処力そして抑止力、これを強化することは最優先の課題であると認識をしております。

 そして、自民党からは既に、五年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指す、こうした提言もいただいており、与党間での協議もこれから進んでいくと承知をしております。そして、御指摘があった、先般開始した国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議、ここでも議論が進められています。

 こうした議論も踏まえつつ、防衛力の五年以内の抜本的強化、これを進めていかなければならないわけですが、内容において、委員の方から、水増しになってはならない、こういった御指摘がありました。

 内容においても、今、日本の国の国民や命を守るために何が必要なのか。防衛上の装備の必要性、これはもちろん言うまでもないわけですが、今、我が国の国民の命や暮らしを総合的に守るためには、装備のみならず、経済ですとか技術ですとか、海上保安能力ですとか、こうしたあらゆる能力が求められる。こういった総合的な防衛力というものを考え、今の日本の現状において国民の命を、暮らしを守るために何が必要なのか。こういった観点から、内容の議論を進めていると承知をしております。

 そして、その内容に見合うだけの予算はどれだけ必要なのか。そして、その予算の裏づけとしての財源をどこに求めるべきなのか。こうした内容、予算、そして財源、この三つを一体的に議論をしていく、これが今の議論の大きな方向性であると承知をしております。そうした議論を予算編成過程に向けて一体かつ強力に進めていきたいと考えております。

萩生田委員 必要なものはしっかり用意していく、そして、どういう優先順位でそれを備えていくか、こういったことをトータルでしっかり考えていかなきゃいけないと思っています。

 私、海上保安庁の予算を入れることそのものを直ちに反対と言うつもりはないんです。最前線で活躍している海保の皆さん、一番最初に遭遇するわけです。しかし、水道ホースで軍艦とやり合うというのは、これはとてもじゃないけれども無理です。海上保安庁法の二十五条の改正、これも考えなくてはいけないと思っています。

 その上で、海保と自衛隊は、武力攻撃事態における相互連携のための共同訓練を行ったことは何回あるんでしょうか。また、武力攻撃事態において防衛大臣は海上保安庁を統制することができるとなっておりますが、統制の訓練を行ったことはあるのでしょうか。そもそも統制の要領というのは定まっているんでしょうか。防衛大臣にお尋ねしたいと思います。

浜田国務大臣 海上自衛隊と海上保安庁との間での共同訓練については、これまで海上警備行動命令が発令される事態を想定した共同訓練を積み重ねてきており、これを各種事態への対処に応用し得るものとして考えてまいりましたが、御指摘のような武力攻撃事態を想定した共同訓練については実施したことはありません。

 また、武力攻撃事態において海上保安庁を防衛大臣の統制下に置く場合の防衛大臣による統制の要領については具体的には確立されておりません。そのような訓練も実施はしておりません。

 以上です。

萩生田委員 そのとおりなんですね。

 すなわち、防衛予算にカウントするということであれば、そういう能力をしっかり高めていくことが必要だということを改めてここで申し上げておきたいと思います。

 いずれも早急に行うべきことでありまして、これらを行う旨を防衛三文書に明記すべきだと私は思っております。

 また、防衛予算は長い間抑制されてきたので、自衛隊施設の老朽化の著しい点、これは前回の予算委員会で小野寺議員から指摘をされました。自衛隊施設のうち、現在の耐震基準を満たしていない建物が四割以上ある。自衛隊の皆さんは大規模災害のときには即応して人命救助に当たるわけですが、今のままでは人命を助けるべき自衛隊がまず被災してしまう、そんな心配があります。これは五年以内と言わず、直ちに手当てをするべきです。

 また、ロシアによるウクライナ侵略が始まって八か月がたとうとしておりますが、この間、ウクライナ軍は粘り強い戦いを続けております。

 翻って我が国の自衛隊はどうか。予算をGDPの一%に抑えてきた結果、表に出ない弾薬の保有量は著しく少なくなっていると言わざるを得ません。我が国が相手が侵略を断念するまで侵略を排除し続けるだけの継戦能力をしっかり持つことが今求められています。

 総理は自衛隊の最高指揮官です。仮に日本が侵略を受けた場合、ウクライナと同じような八か月間の戦いができるのかということを、国民に不安を与えてはならないと思います。この機会に、しっかり設備も、また陣立ても、あるいは駐屯地の様々な環境整備も含めて、私は、やるべきことはたくさんあると思いますので、改めて力を注いでいただくことを強くお願いをしたいと思います。

 そして、その上で、防衛費を充実していくときに、それがただ海外に流れるだけでは意味がありません。我が国の安全を中長期的に守っていくためには、それがしっかりと国内の防衛産業の基盤強化につながることが重要だと思っております。

 しかし、これまで防衛装備の調達につきましては、長年、財政規律の名目の下で十分な費用が支払われてこなかった結果、近年、様々な企業が防衛産業から撤退を始めている現実があります。私、経産大臣時代に現場の中小企業の皆さんの声を聞いて、何とかとどまってほしいということでお願いをしてきました。おじいさんの時代からずっと防衛省に品物を納めているので、そして、この仕事は続けたい、自分たちも国の守りの一翼を担っているというプライドがある、そう言ってくれるんですが、現場は非常に厳しいです。

 現在の防衛調達では、かかった原価に対して、営業利益率が最大でも七%。国が中小企業の価格転嫁の旗を振っている中で、十分に価格転嫁しないことは下請いじめでもあります。さらに、実際には、財政当局、整備当局から査定をされ、五%にも満たない利益率になり、企業からすれば、先も見えない、稼げない事業として撤退をせざるを得なくなっています。

 例えば、安定的に受注をもらえるからといって長く契約をしている企業はあるんですけれども、残念ながら、先ほど申し上げたように、駐屯地の方の劣化が激しくて、例えば、倉庫が雨漏りするから倉庫に入れられないのでそちらで納品時期を調整してくれといって、企業側が倉庫を借りて、そして、本来だったら契約が終わったら一遍に納めればいいものを、四半期に分けて納めているという実態もあります。防衛省に聞いたら家賃の一部は払っていると言うんですけれども、一部は入札に入っていないですからね。請負負けになってしまうわけです。

 こういう実態を考えたら、駐屯地の整備をして、そしてきちんと納品して、いつでも使える環境を整えることが私は急務だと思っていまして、調達契約の利益率の大幅改善など、国内防衛産業への抜本的な支援策を取るべきだと思います。

 装備移転を積極的に進めていくことも、有志国の安全保障上の利益になるだけでなく、国内防衛産業の基盤強化につながります。

 装備移転は、安全保障上の防衛政策の一環として、制服組が国の前面に立つのが世界の常識です。私も大臣時代、会議の途中にいろいろな国からバイの会談を求められて、そして、ある国、イスラエルだったんですけれども、ドローンを紹介したいので話を聞いてくれと言われました。その場に行きましたら、閣僚と、そして制服の軍人が説明してくれるんです。造ったメーカーの人はいないんですね。日本は全く逆でありまして、日本の製品は、メーカーが説明するんですけれども、技術がいいことは世界が評価しているんですが、じゃ、どういう訓練をしたら能力が高まるんだとか、どのくらいの頻度でどういうふうに使ったらいいんだと聞かれても、これは造った側は説明できないんですね。

 ですから、それを考えたら、世界の標準に合わせて、例えば米国はFMS制度というのをつくっておりまして、国が装備を買い取って作戦指揮の運用と装備をセットで世界に展開しています。我が国でも国が前面に立って、有志国との安全保障に資する観点から、装備移転を進める日本版のFMS制度、こんなものも考えていただいたらいかがかなと思っています。

 国内防衛産業の基盤強化の観点から、調達契約の利益率の改善、日本版FMS創設などの取組について、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 国内防衛産業は我が国の防衛力そのものであり、その基盤強化が急務ですが、近年、防衛事業から撤退する企業が相次いでおります。防衛省は、企業より、防衛事業の収益性、成長性が低いといった声をいただいており、防衛産業は厳しい現状にあると認識をしております。

 このため、防衛省では、党からいただいた提言も踏まえ、国内の防衛生産の技術基盤の維持強化のための抜本的な対策を検討しております。かかる施策を含め、防衛装備品の海外移転推進を含む防衛生産、技術基盤の在り方については、新たな国家安全保障戦略等の策定のための議論等において、関係省庁とともに抜本的な対策を検討してまいりたい、このように思っている次第であります。

萩生田委員 軍事技術は近年加速度的に進化を遂げています。極超音速ミサイルやドローンなど兵器の進歩だけでなく、サイバー、宇宙、電磁波などの革新的な技術を発展させることで、戦争の在り方そのものが大きく変わっています。

 新しい技術が求められる時代にあって、中国は、国家戦略として軍民融合を進め、民間の技術や資源を軍事に積極的に取り組んでいます。米国においても、二〇一五年からDIU、ディフェンス・イノベーション・ユニットを創設し、シリコンバレーやボストンにオフィスをつくって、民間のスタートアップ企業の先端技術の取り込みを積極的に行っています。

 こうしたデュアルユース技術こそが今やイノベーションの源泉だと思います。目まぐるしいスピードで進む軍事分野でのイノベーションに我が国も追いついていくためにも、もはや防衛省・自衛隊の内部の研究だけでは限界です。外部から民間の技術、とりわけイノベーションの源泉であるスタートアップから技術をどんどん取り組んでいくという発想の転換が求められていると考えます。

 今後五年間の防衛力抜本強化においては、イノベーションをこれまで以上に加速していくため、予算上も一定の数値目標を置き、また、経産省など関係省庁も巻き込む仕組みも整えた上で、デュアルユース、すなわち民間技術の取り込みを拡大していくべきであると考えますが、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 お答えいたします。

 AIや量子技術といった急速に進展する民生の先端技術は、将来の戦闘様相を一変させ得ると考えられております。

 こうした中、委員が御指摘のとおり、防衛省独自の投資拡充に加え、政府が推進する研究開発事業の成果を防衛分野で真に意味のある形で活用していくことも重要であります。

 平素から科学技術に関わる関係府省庁との連携に努めているところでありますけれども、我が国の技術力を結集し、優れた防衛上の機能を実現するためには、こうした関係府省との連携を一層強化すべきと考えております。現在、科学技術予算による研究開発プロジェクトへの参画等、その連携の在り方について関係府省と議論をしているところであります。

 防衛省としても、しっかりと検討し、真に防衛の役に立つ仕組みが構築できるよう、積極的に取り組んでまいります。

萩生田委員 大臣、よろしくお願いします。

 私、久しぶりに党に戻ってきて、防衛省の皆さんといろんな意見交換をする中で、何か、長年しみついた、萎縮した体質があって、何でと聞き直すことが本当にたくさんあります。今まさに、国民の生命財産、平和な暮らしを守るためには、前面に立ってもらわなきゃいけないと思っていますので、私は、このデュアルユースなど、堂々と研究機関としっかり連携をしながら、そして軍事に転用することを国民の皆さんに明らかにしながら前に進むべきだと思っていますので、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。

 防衛力の抜本的強化の重要な構成要素として、自衛隊員の処遇改善や施設の強靱化などについても目を向ける必要があります。

 自衛隊員は、服務の宣誓を行い、厳しい任務に就いています。高価な装備品も、それ自体で防衛力たり得るのではなくて、それらを使いこなしているからこそ有効な防衛力になるわけです。自衛隊員に十分な能力を発揮してもらうために、その処遇改善は私は不可欠だと思っています。

 施設の強靱化についても同様でありまして、自衛隊施設の多くが老朽化し、自然災害にも脆弱で、何より相手の攻撃に対する防護性も低いと聞きます。これでは戦わずして負けてしまうと思います。

 防衛力強化は装備品の議論に目が向きがちでありますが、こうした自衛隊員の処遇改善や自衛隊施設の強靱化といった側面についても抜本的な強化を行うべきと考えますが、総理の見解を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほど来、委員の議論を聞かせていただきまして、おっしゃるように、我が国の防衛力を強化するに当たって……(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 装備品の充実、もちろんこれは大事なことではありますが、それと併せて考えなければならない点がたくさんあるということを強く感じて聞いておりました。

 冒頭あった継戦能力の維持、これも大変重要な点であります。また、防衛施設について御指摘がありました。我が国が継戦能力を維持するために防衛施設の抗堪性を強化する、こういった視点、これも誠に重要なことでありますし、また、世界の防衛力を考えますときに、各国が急速に進化する技術の中にあって防衛力について考えていく、こうしたことを考えますときに、我が国においてデュアルユースを始めとする科学技術との関係、ありよう、これについても重要性を改めて感じています。

 そして、今、処遇改善の話がありました。やはり、日本がこれから未来を考えるに当たって、基本となるのは人であり、人への投資こそ未来を切り開いていく大きな課題であると認識をしております。防衛力においても、人への投資という観点から、処遇改善等を中心にしっかり考えていかなければならない、こうした点を改めて感じるところであります。

萩生田委員 ありがとうございます。

 戦後、我が国は自国の防衛力を抑制的に小さく見せてきましたが、現在のような安全保障環境においては、防衛力を大きく見せて抑止力を高めることが最も重要であると、まさに発想の転換をすべきだと思います。

 総理、私、おととい、下関に、安倍元総理の県民葬に参列してきました。時間がありましたので、赤間神宮を参拝し、隣の日清講和条約の記念館を久しぶりに訪れたんです。

 改めて感じたんですけれども、日本という国はおもてなしの国なので、普通は、幾ら戦争状態にあっても相手の方を上座に座らせるという文化が当時もあったそうですけれども、あのときは、まさに海峡を背中にして、伊藤博文は李鴻章を山側に座らせた。それはなぜかといったら、交渉の間、窓の外に、海峡に軍艦を並べて、そして、それが日本の意思であることを清国に伝えたという、そんなお話を聞いて、改めて目が覚める思いをいたしました。

 今までは、防衛力の中核となる自衛隊の能力を抜本的に強化をしていくこと、これはもう当然必要でありますけれども、我が国に侵攻しようとしてもそれは困難であると思わせる力を持ち、それを目に見える形で国内外に示すことが重要であるという点を改めて強調させていただきたいと思います。今回の防衛力の抜本的強化や防衛費増額の議論においては、こうした観点を第一に進めてまいりたいと思いますので、政府の方でもよろしくお願いしたいと思います。

 次に、安全保障とともに、国家百年の大計は教育です。人づくりこそ国づくりであります。まず、子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはなりません。その強い信念の下、我々は幼児教育や高等教育の無償化を進めてまいりました。

 同時に、一人一人の子供たちへの教育の質も高めなくてはなりません。人への投資を総理は政権の一丁目一番地に掲げていますが、その投資に当たって、教育の機会の確保とともに、教育の質の向上は、まさに車の両輪であると考えております。

 教育の成果を左右するのは教師の皆さんです。先生が長時間勤務で疲れ果てているようでは、子供たちの教育に全力投球できません。元気のない先生の背中を見て学ぶ子供たちが、新しい日本の未来を切り開く人材に育つでしょうか。さらに、そうした職務環境だと知って、教師の世界に次世代の有為な人材が飛び込んでくれるんでしょうか。

 今まで、長時間労働の規制や処遇改善が、ひいては働く皆さんの創造性、生産性を高め、経済成長につながる、こうした考えの下に働き方改革を進めてまいりました。私は、教育の質を向上させるためにも、教師の皆さんについて、働き方改革、処遇の改善が欠かせないと考えます。

 人への投資に当たっては、まず、この国の将来を支える千三百万人の子供たちのために、人を育てる教師への投資が極めて重要だと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 新しい資本主義の柱の一つである人への投資、これは社会全体が急激に変化する中にあって喫緊の課題であると認識をしています。そして、創意や工夫、また新しいアイデアを生み出すのは人であり、我が国の社会と個人の未来、これは教育にかかっている。委員の御指摘は大変重要であると認識をしております。

 そして、特に、子供たちの指導に当たる教師、これは学校教育の充実発展に欠かせない存在であり、大変重要であるという認識を持っております。

 たしか、委員が文部科学大臣をお務めの際に、公立小学校について、四十年ぶりに学級人数の改正を行い、三十五人学級を実現したと記憶しております。

 現在、文部科学省において、勤務実態調査、これを実施しており、今後、その結果を踏まえて、処遇見直しを通じた教職員の質の向上に取り組んでいきたいと考えております。

 こうした具体的な取組を積み重ねることによって、教師の方々の様々な環境整備を引き続き続けていかなければならない、このように考えております。

萩生田委員 岸田総理から、教育の重要性、そして教師の重要性の認識について力強いお言葉がございました。

 しかし、このような教師の重要性にもかかわらず、学校はブラックな職場であるとの指摘があるのも事実です。

 文科省による平成二十八年の教員勤務実態調査の推計で、平均して小学校で月約五十九時間、中学校で月約八十一時間の時間外勤務が発生しており、このような教師の長時間勤務の実態は看過できるものではありません。

 同時に、教師の処遇については、いわゆる給特法によって、時間外勤務手当は支給されない代わりに給与月額の四%の教職調整額が支給されることになっていますが、これは昭和四十一年の時間外勤務である月約八時間に相当する金額にすぎません。現在では学校に求められる役割が当時と比べて大きくなっており、時間外勤務の実態と処遇が大きく乖離していることも事実でしょう。

 私が文科大臣時代に、ちょうど令和元年、まずは学校の働き方改革を進めて、長時間勤務の是正ということで、月四十五時間、年三百六十時間の上限を決めました。しかし、その頃は、学校現場は、タイムカードもなければ、勤務時間管理がきちんとできていなくて、実態が分からないということがあったんですけれども、この三年間でしっかりその調査をしてきました。三年後に実施される勤務実態調査を踏まえて、給特法などの法制的な枠組みについて抜本的な見直しを検討する旨を、私自身、何度も答弁をしてまいりました。その趣旨は国会の意思として附帯決議にもなされているはずです。

 また、この法改正をキックオフとして、教師を取り巻く環境整備を進めるほか、今総理からも御指摘いただいた小学校の三十五人学級の実現ですとか、教員業務の支援員、スクールサポートスタッフですとか、それから、教員の免許更新制の発展的解消などにも取り組んできたつもりでございます。

 そして、給特法改正から三年近くが経過し、いよいよ本年度に勤務実態調査が実施されます。

 私が心配しているのは、給与の中身だけじゃなくて、やはり、マンパワーの必要性です。GIGAスクールを始めるときに、パソコン、タブレットが入ったら教員の数を減らしていいんだろうという役所もありました。これは本末転倒だと思います。やはり、人は人にもまれて人になるんだと思います。すなわち、教師の役割というのは大きなものがございます。

 そして、小学校の担任の先生、今、専科の教員が少しずつ増えて、高学年になると理科ですとか音楽ですとか専科の先生に学びますけれども、地方に行きますと相変わらず担任の先生が九科目を担当しているという学校も決して珍しくありません。誤解を恐れず申し上げますけれども、運動神経の悪い先生に教わる体育ほどつまらないものはないと思いますし、アルコールランプに火をつけられない先生の理科の実験でノーベル化学者は出てこないと思います。

 私は、改めて小学校の教員の在り方、やはり、専科を増やして、高学年から理科は理科、体育は体育、音楽は音楽、美術は美術、専門性の高い先生たちに教えてもらうべく、教員の配置も含めた処遇改善というものを考える必要があると思います。

 改めて、現在の検討状況を文部科学大臣にお尋ねしたいと思います。

永岡国務大臣 文部科学省におきましては、令和元年の給特法改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定める指針を策定するとともに、教職員の定員の改善、そして支援スタッフの充実など、文部科学行政におけます最重要課題の一つとして、学校における働き方改革を総合的かつ集中的に推進してまいりました。

 文部科学省の調査結果では、時間外勤務は一定程度改善傾向にあり、働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多く、引き続きまして取組を加速させていく必要がございます。

 このため、文部科学省におきましては、働き方改革の様々な取組と成果等を踏まえつつ、本年度実施の勤務実態調査において、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況をきめ細かく把握する予定でございます。その結果等を踏まえまして、教師の処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを検討してまいりたいと考えております。

 そして、ただいま、もう一つ御質問のございました教職員定数の改善こそが重要というお話でございますが、新たな時代に向けた学びとして必要なSTEAM教育等のための早期からの専門的な教科指導の実施や、学校における働き方改革の観点からも、やはり、小学校の高学年における教科担任制の推進が必要と認識をしております。

 このため、令和四年度予算におきまして、小学校高学年におけます教科担任制の、教職員定数の改善を新たに計上しております。今後、四年程度かけまして段階的に取組を進めまして、改善総数は三千八百人と見込んでおります。

 また、昨年度から開始をいたしました小学校におけます三十五人学級、本当に先生には大変お世話になりました。これも取り組んでいるところでございます。

 今後とも、専門性のある教師を増やすため、教職員定数の改善に全力で取り組んでまいります。

萩生田委員 もっと急げと言ってくれという声がございます。これは本当に待ったなしだと思いますので、大臣のリーダーシップでしっかりやっていただきたいし、我々党もサポートをすることを改めて約束したいと思います。

 総理、金曜日に、東京医科歯科大学と東工大の合併のニュースが流れました。私は画期的なことだと思います。まさに今、官邸の下で教育未来創造会議を行っていて、今までの高等教育の在り方では世界と伍していくことはできない、やはり学部の中身、教えの中身を変えていくべきだという意見を多くの皆さんがおっしゃっています。将来的には、今、STEAM教育のお話もありましたけれども、理系二割文系八割のこの構成を、少なくとも五〇対五〇ぐらいにしていく必要があるのではないかというのが我々教育に携わった者の意見でございまして、是非これはしっかりウォッチをしていただきたい、前に進めていただきたいと思っています。

 そして、この前、スタンフォードを見に行ったときに、まさにこの医工連携、現場で見てきました。医学部の隣に工学部があって、医療現場で使う医療機器を工学部がその場で作って、そしてスタートアップ、ベンチャー企業が、もう上場している企業がたくさんありますよ。使い勝手のよさを、同じ大学の中で行き来ができるというこのメリットを、日本もつくるべきだと思います。

 私、ちょっと心配になったのは、この合併する大学、東京医科歯科大と東工大です、本部を千葉県に置くとなっていました。何でだと聞きましたら、今、二十三区は新しい学部の新設ができない、増員ができない、キャップがかかっています。したがって、千葉に行く。これは、文系大学だったら私はいいと思うんですけれども、実習が伴うこういった理工系の大学が、わざわざ千葉から東京に来ないと実習ができないって、こんな不具合はないと思うんです。

 地方創生の観点から二十三区の大学のキャップをはめるというのは、当時の判断としてはあったのかもしれません。もう、たった四年間で世の中はこんなに変わりました。

 私は、東京の足を引っ張って、そして地方にバランスを取るという政策じゃなくて、世界と戦わなくてはならない今の状況を考えたら、いたずらに東京にある全ての大学の定数を増やしていいですよと言うつもりはないんです。よそにもある学部は、それはそのままでいいじゃないですか。しかし、社会ニーズに合わせて、例えば今必要なのはデジタル人材です。早急に人材育成しなきゃならない。IT企業が集約しているのは残念ながら東京ですよ。民間の講師、そういった人たちも含めて、東京にはそういう素材があるのに、東京では教えられない、地方で育ててくれって、これはちょっと無理があると思います。

 したがって、私は、世界と戦っていく日本の大学を考えたときに、例えばこういう、合併をして自助努力によって新しいスケールメリットを生み出す大学ですとか、社会ニーズに応える新しい人材育成をする、そういう学部については、二十三区で堂々とやらせてあげればいいじゃないですか。決してそれは地方を駄目にする話では私はないと思いますよ。

 例えば、デジタル人材だけじゃなくて、データサイエンティストも足りません。しかし、地方の四大学でしか人材育成を今までしてこなかったんです。ですから、こういう社会ニーズに応える人材をつくっていく必要があります。

 医科歯科大学の話をしましたけれども、法医学のドクターの数も圧倒的に足りていません。法医学のドクターは、医師国家資格を取った後に更に学ばなきゃならない、解剖学をやらなきゃならないんです。そういったことができる大学は首都圏に集中しています。

 今、東京では検視が必要な遺体が年間二万一千体以上出ます。その中で司法解剖に回る遺体もあります。残念ながら、この法医学に携わるドクターが少なくて、司法解剖の時間が遅れています。これは何を意味するかといったら、十年後、二十年後、同じようなパンデミックが起きたときに、最初の患者を見落としますよ。

 まさに国家戦略として、必要な人はちゃんと育てていく、必要なものをつくっていく、その視点から、私は、この二十三区規制の緩和というのを進めるべきだと思っていまして、岡田大臣にお考えをお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 御指摘のありました東京二十三区内の大学の収容定員抑制でありますが、我が国における急速な少子化の進行や地域の若者の著しい減少により地域の活力が低下している実情から、地方公共団体等の要望も踏まえて、平成三十年に制定された地方大学・産業創生法により、十年間の時限的措置として導入されたものであります。

 この法律の効果については引き続き注意深く見守ってまいりたいと思っておりますが、その上で、萩生田委員から御指摘のあった、高度なデジタル人材などの成長分野に関する人材育成は極めて重要な課題であり、時宜を得た御指摘であると思っております。教育未来創造会議提言における、理工学部の学生がOECD諸国の平均と比べても大幅に少ない、こういう御指摘も傾聴に値するものとして、委員の御指摘を真摯に受け止めたいと思います。

 その一方で、やはり、社会的なニーズの高い人材育成は、そうした人材が不足している地方においてこそ手厚く進めるべきで、そうした地方での就職、居住につなげていくべきであるという知事会、市長会、町村会など地方の声が根強いことも事実であります。また、岸田政権が掲げるデジタル田園都市国家構想の理念がデジタルの力で地方への人の流れを創出することにあるということも踏まえて考える必要があると思っています。

 さりながら、萩生田委員御指摘の、成長分野における、特にデジタルあるいは理工系、こうした人材の養成が一刻を争う急務であることは全く同感であります。こうした人材をどこでどのように養成することが日本全体にとって、また地方にとって最適であるかは、これは、大学等を所管する、専門性を有する文部科学省とよく相談してまいりたいと考えております。

 必要に応じて、内閣官房で開催する地方大学・産業創生法に関する有識者会議においても御議論いただきたいと思っております。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛に願います。

萩生田委員 御丁寧な答弁をいただきましたけれども、要はやるかやらないかですよ。

 この資料を見ても分かるように、これは、地方への人流が、東京が吸い上げたら困るといって始めたんだけれども、全然変わっていないですよ。東京に来る地方の出身者、大学の出身者は全く変わっていない。規制前と規制後が変わっていないわけですから、こういうのは私はやはり改めるべきだと思います。誰かが始めたことをやめるというのは勇気が要ることなんですけれども、私はやめまくってきましたからね。やはり正すべきはしっかり正す、それが時の私は閣僚の責任だと思いますので、岡田大臣のリーダーシップに期待をしたいと思います。

 時間がなくなってきてしまったので、総理、リスキリングについてお尋ねします。

 リカレント教育というのをやってきたんですけれども、これはちょっと、照準といいますか、合っていなかったと思うんですね。今度は、スキルアップした人たちがどういう給料をもらえるのか、どういうところで再就職ができるのかを明確にする必要があります。

 私はシンガポールのスキルズフューチャーという制度を見てきたんですけれども、これは、もう企業が、こういうスキルアップをしたらうちの会社でこういう給料で雇いますよというのをあらかじめ公示されているんです。したがって、一年間のスキルアップをした人たちが就職先を安易に見つけることができるという転職につながっています。

 これから五年間で一兆円というパッケージをつくる、そういった意思を示されました。総理が目指すこのリスキリング、どんなものなのか、具体的なお考えをお示しください。

岸田内閣総理大臣 賃上げが高いスキルの人材を引きつけ、生産性の向上につながり、それが更なる賃上げにつながる、こうした好循環が機能してこなかったこと、これに真正面から向き合わなければならないということで、賃上げ、もちろん、目の前の賃上げ、これは大事でありますが、構造的な賃上げを考えていかなければならない。その際に重要なキーワードとして、リスキリングという言葉が今大きく注目を集めています。

 構造的な賃上げのためには、新たなスキルの獲得等、成長分野への円滑な労働移動、これを同時に進めることが重要であると考えています。それを応援するために、人への投資、政策パッケージ、五年で一兆円を拡充し、取組を抜本強化していく、こうしたことを考えています。

 今回まとめる総合経済対策の中でも、大きく三つ、こうした取組を資するための政策を用意しています。一つは、円滑な労働移動という観点から、企業間、産業間でこの移動を円滑化させる、こうしたことから、非正規から正規、あるいは転職、あるいは副業、こうしたものを受け入れる企業を支援する、こうした制度を新設するということ。また、キャリアアップを目指す人が、民間専門家の支援ももらいながら、リスキリングから転職まで一気通貫で取り組んでいくことを支援する、こういった制度を新設する。また、これは従来のリカレント教育とも重なる部分でありますが、社員の訓練等を支援する企業への支援金の補助金の引上げ、これを行っていく。こうしたことによって、労働移動をしっかり応援していくことを考えなければならないと思っています。

 かつての高度成長期との違いをしっかり考えなければならない。今、グリーンとか、あるいはデジタルとか、こうした分野において非連続的なイノベーションが起こっている。こうした分野にしっかり労働移動が進まないと日本の成長はないという考え方に基づいて、こうした労働移動を応援していく政策を用意し、リスキリングをしっかりと後押ししていきたい、このように思っております。

萩生田委員 本当はGXを進める上での原子力の活用などを改めて総理と議論したかったんですが、時間がなくなりましたので、ここで終わります。

 新しい資本主義、共にしっかり前に進めていけるように努力することをお誓い申し上げたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、伊藤達也君から関連質疑の申出があります。萩生田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤達也君。

伊藤(達)委員 おはようございます。自民党衆議院議員の伊藤達也でございます。

 久しぶりに予算委員会で質問に立たせていただきます。関係者の皆様方の御配慮に心から感謝を申し上げます。

 今日は、栃木二区の五十嵐清さんにサポートをしていただきながら、経済政策、そして地域経済や中小企業の視点から、新しい資本主義、成長戦略について議論をさせていただきたいと思います。

 私は一九九三年初当選でありまして、岸田総理とは同じ時代、国政で一緒に仕事をしてまいりました。

 今、歴史的な国難と言われるこうした状況の中で、岸田総理の下、多くの方々の知恵や衆知を集めて何としてもこの状況を突破をしていきたい、そういう思いで、限られた時間でありますけれども、総理を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 総理は、この週末、商店街を訪ねて、町の声を聞かれたと思います。物価高に対しての不安な声、私の地元でもこうした声が聞かれるわけであります。

 そこで、日銀総裁、黒田総裁にお見えをいただいていると思いますけれども、この物価高、いつまで続くんでしょうか。景気がよくならない、こうした物価高、コストプッシュインフレは国民生活に大きな影響を与えています。今後の物価の推移、そして物価安定目標二%の関係も含めて、総裁のお考えをお伺いしたいと思います。

黒田参考人 御案内のとおり、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、直近八月の計数でプラス二・八%となっております。先行きは、携帯電話通信料の下押し圧力、下押し寄与が剥落するということに加えまして、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、本年末にかけて上昇率を高める可能性が高いというふうに考えております。

 その背景といたしましては、主として国際商品市況や為替円安の影響によって輸入品価格が上昇していることが影響しております。年明け以降は、こうした海外からのコストプッシュ要因の押し上げ寄与が減衰することで、物価上昇率のプラス幅は縮小していくため、来年度以降の消費者物価は二%を下回る水準まで低下していくと予想しております。

 我が国経済はコロナ禍からの回復途上にあります上、ウクライナ情勢を背景とした資源高は、海外への所得流出につながり、景気の下押し圧力となっております。こうした状況を踏まえますと、現在は、経済を支え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現することが必要であり、金融緩和を継続することは適当であるというふうに考えております。

伊藤(達)委員 今、黒田総裁から、今後の金融政策の運営についてお話がございました。その背景にある日本経済の現状と課題、これを踏まえると、今後の日銀総裁の人事というのは大変注目を集めております。

 私は、以前、福田政権のときに、総理大臣補佐官として、日本銀行の正副総裁人事をお手伝いをさせていただいたことがございました。ねじれ国会の中で、人事が政局に使われる、大変苦労をいたしました。

 当時と現在は違います。今は、世界の金融市場が地政学的リスクなどで非常に不安定、そして不透明な状況にあります。こうした中にあっては、政府、日銀が緊密に連携をして安定した金融政策を堅持して行っていくんだ、そのことについて、市場の予測可能性というものをぶれない形でしっかり伝えていく、このことは極めて重要だと思います。

 また、日本銀行総裁は、金融政策の専門性だけではなくて、幅広い見識の中で、これからの日本の成長力、そして将来像、さらに、金融政策と成長戦略が揺るぎないんだということを政府と一体になって世界に発信していくことも重要ではないかと思います。

 こうした観点から、総理が日銀総裁人事について基本的にどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、具体的な金融政策について、具体的な手法については日銀に委ねられるべきであると考えてはおりますが、黒田総裁も、中央銀行の政策効果を円滑に発揮していく上でも市場の理解を得ていくことが非常に重要であるという発言、また、金融政策の有効性を確保していくためには、一貫性そして予見可能性の高い政策対応を継続していくことが重要であると述べられている、このように承知をしております。

 そして、委員御指摘のように、政府と日銀の連携のありよう、これが大変重要であると認識をしており、経済、物価、あるいは金融情勢、こういったものを踏まえながら、物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて努力をしていただく、こうしたことを政府としても期待をしているところです。

 そして、黒田総裁の任期は令和五年四月八日までであります。その後任の人事については、今後、経済情勢、金融情勢、様々な動きがあるんだと思いますが、来年四月の時点で最もふさわしい人物を選ばなければならない、このように思っています。

 その際に、今の予見性の御指摘、あるいは政府と日銀との連携の話、こういった点はしっかりと念頭に置きながら、重視しながら、この人事についても考えていかなければならない、このように思っております。

伊藤(達)委員 マクロ経済政策の運営の一体性を確保していく、極めて重要であります。そうした観点から人事が行われることを心から期待をいたしております。

 また、これは総理に対して質問ではありませんが、今の急激な円安、そして投機筋の動向、こうしたことを考えると、私は、外為特会の在り方についてやはり検討していくことは必要ではないかというふうに思います。

 そもそも、小泉政権のときに特別会計の改革に取り組んで、いわゆる埋蔵金というものを掘り起こして、そして会計のスリム化を進めていく、政府全体のバランスシートというものをスリム化をして金利上昇局面に備えるんだ、このことは骨太方針二〇〇六にも記載をされて、行政改革推進法の中にも明記をされているところでございます。

 現在の外為特会、先進国の中で比べてみると、百七十兆円をはるかに超える極めて突出した大きさでありますから、これを是正をしていくということは、アメリカを含めて、G7の方々の理解を得られるのではないかと私は思います。こうした意見が自民党の中にもあるということを御留意をいただくことができればと思います。

 黒田総裁、どうもありがとうございました。御退席をいただいて構いません。

 それでは、次に、新しい資本主義についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 資料一を見ていただきたいと思います。

 今から二十年前、総理は自民党の商工部会長、私はその後の部会長を務めました。

 当時は一人当たりGDPが世界の第二位だったわけでありますが、この二十年間で二十六か国に抜かれて、今は二十八位であります。賃金を見ても、アジアの中で、シンガポール、韓国に追い抜かれて三位に転落をしている、こうした状況にあります。さらに、人口が減少していく、すさまじいスピードで減少いたします。二世代後の二一〇〇年には五千万人の人口が減少する、これを市場に置き換えると、四割がなくなるということであります。

 こうした中で、何としても日本の衰退を止めるために、新しい資本主義を強力に推進をして、そして、未来に対して活力と誇りある、そうした日本を次の世代に引き継いでいく、それが私たちの世代の大きな責任だと思います。

 そうした中で、私は、新しい資本主義が大きな成果を出していくためには、地域や、それを支える中小企業にしっかり焦点を当てていくことが必要だと思います。なぜならば、中小企業は、雇用の七割、そして付加価値の五割を占める、日本経済や構造変革に大きなインパクトを与える存在だからであります。

 次の資料二のパネルを見ていただきたいと思いますが、高度成長期、地域の雇用と所得は、建設業、そして製造業によって生み出されました。製造業を中心として労働生産性が向上して、賃金が伸びました。しかし、平成を経て、公共事業が縮減をし、そして製造業もその現場が海外に移転すると、我が国の労働生産性が全く伸びなくなりました。これは、雇用がいわゆるサービス産業、特に労働集約型サービス産業に移動したからであります。

 この労働集約型サービス産業は、製造業に比べて、残念ながら労働生産性が低い、賃金水準が高くない。この構造を変えていかなければ、日本の衰退を止めることができません。まさにここに新しいチャレンジが私は必要だと思います。

 八年前、地方創生をスタートさせて、石破大臣の下で、ローカルサービスの生産性向上、そしてブランディング、イノベーション、三つの視点から地域の成長戦略を推進をしました。これを更に加速をしていくことが必要であります。

 今、インバウンドが再開をして、そして、デジタルも活用しやすい環境になりました。地域においては、私は追い風が吹いていると思います。今こそ、新しい資本主義の中に、新たな付加価値を地域から生み出し、そして地域に投資が拡大をしていく、そうした新しい新機軸を政府の成長戦略の中にしっかり打ち込んでいただきたいと思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 この度考えている経済総合対策の中では、人への投資、イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、そしてGX、DXへの投資、これらを重点分野としておりますが、こうした未来への投資を進める際に、委員御指摘の日本経済の主役である地域、そして中小企業の投資、これをどのように促していくのか、これが重要な政策課題であると認識をいたします。

 このため、事業再構築、生産性向上あるいはDXの促進など、中小企業の投資と成長に向けた支援、これらを拡充していくという政策が重要であると認識をいたします。

 また、地域ということを考えますときに、地域の活性化を図るデジタル田園都市国家構想の実現に向けて、新たな交付金の創設、これを考えていますが、こうした取組も重要であると考えます。

 あわせて、中小企業の未来への成長の原資を確保するという観点から、価格転嫁対策、公正取引委員会、中小企業庁等において大幅に増員を行い、独禁法や下請法などの執行体制を強化していく。こうした価格転嫁対策、これも総合経済対策の中で万全を期していきたいと思います。

 こうした具体的な政策を通じて、委員御指摘の地域、そして中小企業、これをしっかりと支え、そしてそれを日本経済全体に盛り上げていく、こうした取組を進めていきたいと考えております。

伊藤(達)委員 今総理からお話をいただいたことを、やはりしっかりとした政策パッケージにまとめて、その司令塔を明確にしていくということも重要だと思います。

 経済対策についてお触れをいただきました。私は、予算委員長の根本さんの後を受けて、自民党で中小企業政策を担当させていただいております。今回、経済対策に当たって、私どもの調査会は緊急の提言をまとめさせていただきました。それがこのパネルであります。緊急パッケージであります。

 三本柱でありまして、過剰債務の対策、そして価格転嫁対策の強化、さらには中小企業の挑戦を力強く支援をしていく、そうしたプログラムの新設、この三本柱から緊急提言をまとめたところでありまして、総理に、この中身についてお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、過剰債務対策であります。

 コロナ禍で行った大規模な資金繰り支援は、私は、大きな役割を果たしたと思います。そして今、中小企業の方々の六割が、一生懸命、返済をスタートさせました。しかし、コロナ禍の中で債務が本当に積み上がっております。この借金を返済をするために、何としても事業を立て直して、そして必死になって債務の返済に努力をしている、そうした中小企業の方々はたくさんおられます。

 こうした方々を支援しなくて、コロナ後の世界を実現をしていくということは私はできないと思います。だからこそ、事業者の方々の実態に即した形で過剰債務を克服していく大胆なプランを策定をしなければいけない、そういう思いで私どもは政策パッケージをまとめさせていただきました。

 このプランの重要なポイントは、月々の返済の金額を低減をさせて、そして新たな資金需要に対応できる借換え保証制度を新設をすること、その際、一〇〇%保証の融資は一〇〇%保証で借り換えることができるようにすること、さらには、融資の資本性劣後化支援の拡充、債務免除を含む中小企業活性化協議会を軸とした再生支援の強化、引き続きコロナ禍の影響に苦しむ中小企業への資金繰りの支援、そして円滑な再チャレンジを実現する経営者保証の改革、こうしたことを柱といたしております。

 この過剰債務を克服するプラン、未来につながるプランについて、総理はどのようにお考えになられているのか、お伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 中小企業それから小規模事業者の持続可能な成長を実現するためには、まずは、委員御指摘のようなコロナ融資の債務の円滑な返済を推し進めていく、これが重要でありますが、あわせて、それのみならず、やはり事業再構築といった新たな取組を促す、こういった実態に即した対応を考えていかなければならないと思います。

 そのために、積み上がった債務の借換えの円滑化に加えて、新たな資金需要にも対応できる保証制度、これを創設いたします。その際に、御提言にあるような、一〇〇%保証の融資は一〇〇%保証で借換えできる制度、こうしたものも検討していきたいと考えます。

 また、再生支援を強化すべきとの御提言を踏まえ、中小企業活性化協議会と信用保証協会の連携の強化、さらには、各種の再生支援制度の活用事例集の作成等を行い、こうした事例の横展開等を通じまして、再生支援、これをしっかり取り組んでいきたいと思います。

 それに加えて、貸付限度額を引き上げたスーパー低利融資の活用を促進するとともに、再チャレンジのネックとなっております経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策、これを本年中に取りまとめたいと考えます。

 党の御提案等もしっかり踏まえながら、引き続き、きめ細かな資金繰り支援、そして事業支援、こうした環境をつくっていきたいと考えます。

伊藤(達)委員 満額の御回答をいただきまして、本当にありがとうございます。大変心強いものがございます。

 さらに、やはり民間金融機関の方々の伴走支援が極めて重要でございますので、鈴木金融担当大臣におかれましては、是非、金融行政の観点からも、このプランをしっかり支えていただきたいと思います。

 二番目の柱であります価格転嫁対策の更なる強化について質問させていただきたいと思います。

 政府は、大企業と中小企業のパートナーシップを進めて、そして価格転嫁対策を促進をしていく、そうした取組を一生懸命行っております。

 しかし、この成果は、転嫁率を見て評価することができます。民間の調査によりますと、直近ではこの転嫁率が三六・六%、これで賃上げどころではないという実態が示されているところであります。

 総理は、業種別の転嫁率あるいは費目別の転嫁率を細かく把握をされておられると思います。この低い転嫁率を総理はどのようにお考えになられているのか、どのような形で転嫁対策の成果を出していくことができるのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘の転嫁率についてですが、政府の調査では、中小企業がコスト増加分に対して価格転嫁できた割合、平均四割程度であり、そして、その上、取引先の業種によってその割合は大きく異なる、このように認識をしております。

 価格転嫁のフォローアップ調査によれば、直近六か月のコスト上昇分について言うならば、例えば化学産業との取引では約五〇%の転嫁ができている一方で、トラック運送業との取引では約一七%しか転嫁できていない、こうした結果が得られております。

 中小企業の賃上げを実現するためにも、価格転嫁率を改善していくこと、これは必要不可欠であり、先ほども少し触れさせていただきましたが、公正取引委員会の執行体制の強化を始め、対策は徹底していきたいと思います。そして、その一助として、御指摘のとおり、業種ごとの価格転嫁の状況を今以上に分かりやすい形で公表できるよう改善してまいります。

 また、新しい資本主義という考え方においては、成長の果実の取引先への分配の目詰まり解消に向けて、転嫁対策の強化やパートナーシップ構築宣言企業への補助金での優遇、こうした政策関与も行っているところです。

 加えて、今、磯崎内閣官房副長官を中心に、中小企業の業種別価格転嫁等を議論するワーキンググループ、これを開催しております。

 こうした様々な取組を通じて、価格転嫁対策の強化に取り組んでいきたいと考えます。

伊藤(達)委員 ありがとうございます。

 転嫁率を見ると、アメリカは七割が当たり前、しかし日本は三割、四割の状況。業種によっては、労務費の転嫁率二〇%台、中には一五%にも届かない、そうした業種もあるというふうに言われています。

 この転嫁率の問題だけではなくて、やはり構造的に賃金を上げられない、目詰まりの問題もありますので、この目詰まりを解消していくために、総理の力強いリーダーシップを発揮していただいて、業種別に実態を把握し、その原因を追求して、そして具体的な解決策を打ち出していただきたい。そのための努力を更に総理にお願いをしたいと思います。

 そして、時間になります。最後の質問になりますが、三番目、中小企業。

 総理は、この週末、現場を視察をされたと思います。努力をされている中小企業はたくさんいる、こうした方々に対して、強力な支援のパッケージというものをつくっていかなければならない。特に、切れ目のない複数年度にわたる強力な支援を行うことが極めて重要だと思いますが、総理のお考えを最後にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 地域経済の主役である中小企業の前向きな取組を支援していくことは、日本経済全体の生産性向上のためにも重要であると認識をしております。

 そして、委員御指摘の視察において、補助金を活用して高度な測定器や加工機を導入して精密な金属加工を実現している都内の中小企業を訪問させていただきました。設備投資を行うことで多様な製品を製造できるようになり、そして取引先も大幅に拡大し、そして付加価値向上も実現できた、さらには社員のスキルアップなども強化できた、こうした話を伺ってきました。こうした前向きな投資、これをしっかり後押ししていきたいと考えております。

 今月末に取りまとめる総合経済対策の中にも、賃上げにつながる生産性向上、前向きな投資を支援するものづくり補助金や事業再構築補助金など、切れ目ない支援、これをしっかり盛り込んでいきたいと考えております。

伊藤(達)委員 総理の、日本の底力、地域や中小企業から引き出していく、そのリーダーシップに期待をして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

根本委員長 この際、牧島かれん君から関連質疑の申出があります。萩生田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。牧島かれん君。

牧島委員 自民党の牧島かれんです。

 質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 今日の質問も、二日前、オンラインで提出をいたしました。霞が関の働き方改革も併せて念頭に置いておきたいというふうに思っております。

 行政改革担当大臣を務めさせていただいた折に、アジャイル型政策形成・評価の在り方に関するワーキンググループを立ち上げました。アジャイルというのはシステム開発の用語です。俊敏なとか機敏な、それが転じて、柔軟なという意味も持っています。このアジャイルをシステム開発の考え方だけではなく政策をつくる上でも参考にしたい、それがこのワーキンググループの狙いでした。

 世の中の動きは速くなっています。事柄も複雑になっています。それに対して、去年正しいことが今年正しいとは限らない時代だからこそ、適応できる政策をつくっていきたいと考えております。そのためには、行政の無謬性神話からの脱却という大きな挑戦に向き合わなければならないと思います。総理のリーダーシップをお願いしながら、質問をさせていただきます。

 是非、前例踏襲主義ではなく、見直しをすることもあり得る、行政の無謬性神話という、行政は間違わないところだという神話にとらわれるのではなくて、柔軟に、きめ細やかに対応できるような政策のつくり方、総理の御答弁をお願い申し上げます。

岸田内閣総理大臣 委員が御指摘されているアジャイル型の対応ですが、すなわち、データ、エビデンスに基づいて機動的、柔軟に政策を見直していくということ、それから、未知の課題については、トライ・アンド・エラー、これを恐れずに果敢に取り組んでいく。こういった姿勢、これを指摘されているわけですが、これは、社会の複雑化、環境の変化が加速していく中で、そうした取組、大変重要でありますし、政府がその時々の課題に適切に対応するためには、おっしゃるように、安易な前例踏襲あるいは課題の先送り、こういったことに陥ってはならない、あえて勇気を持ってアジャイル型の政策姿勢を大事にしていかなければならない、このように認識をしております。

 こうした考え方が定着していくように、委員が行政改革担当大臣在任中に取りまとめられた行政改革推進会議の提言、これを踏まえて、各府省でのEBPM、すなわちエビデンスに基づく政策立案、これを実践的に進めていきたいと考えております。

牧島委員 総理のリーダーシップをお示しいただき、本当にありがとうございます。

 続いて、施政方針演説で触れられたリスキリングについて、厚生労働大臣にお尋ねいたします。

 リスキリングすることによって、自分の賃金が上がっていく、自分の就く職業の将来の見通しが明るい、こうした情報を求められているんだと思いますが、その情報がある場所は、恐らく、厚生労働省さんがおつくりになった日本版O―NETなんだろうと思います。ただ、参考にされたアメリカ版O―NETに比べると課題があるというふうに考えています。

 アメリカ版では、ブロックチェーンエンジニアのような新たな職種も含めて約千の職種がカバーされており、その将来の見通し、さらには賃金の分布、そして必要な講座まで示されています。日本では、ハローワークに行かれた方がデジタル系の講座を受けたいとおっしゃっても、キャリアコンサルタントの方がその専門領域でないと講座に結びつかなかったという事例もあるというふうに聞いています。

 これからジョブディスクリプション、どういう仕事の内容なのかを示したジョブ型雇用も進められる中、厚生労働大臣の御方針をお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今御指摘のように、いわゆる日本版O―NETと言われる職業情報提供サイト、労働市場の見える化を推進していこうということで、令和二年三月からスタートしておりますけれども、これまでも、利用者の皆さんからこういうことを改善してほしいということで、職業情報検索機能の改善などを行ってきたところであります。

 今後も、掲載する賃金情報、例えば、現在、賃金情報について平均年収しか出ていないもの、これを、どう分布しているかとか、もう少し詳細なもの等々、そうした充実や、それからほかのサイトと連携をさせていく、こういったことを含めて機能改善を更に進めていきたいと思っておりますし、今御指摘の点も踏まえて検討させていただきたいと思います。

 それから、どう適切な訓練に結びつけていくのかということでございまして、それに向けて、ハローワークにおいても、キャリアコンサルティングを通じて、教育訓練給付の指定講座や職業訓練の受講を希望する求職者の適切な訓練を選択していただいているわけでありますが、特に、今御指摘があったデジタル分野を始めとして、訓練の内容、そしてそれについてどういうスキルが取得、あるいは資格が取得できるのかという情報の把握、そして、それをお一人お一人の状況に応じてお勧めをする、これはきめ細かい対応をさせていただきたいと思います。

 さらに、ジョブ型の働き方については、仕事へのモチベーションを高め、労働者の能力発揮、生産性の向上にもつながるなど、働く人だけではなくて経営者にもメリットがあるということも指摘をされておりますので、既に企業においてそうしたものを導入されている、うまくいっている事例、これを横展開をしていったり、あるいは、それぞれの仕事に求められる知識、能力、技術といった職業情報、これを提供していくことを通じて、ジョブ型を含めて多様な働き方を選択できる仕組みを取り入れていきたい、それに向けてまた努力をさせていただきたいというふうに考えております。

牧島委員 引き続きよろしくお願いいたします。

 続いて、中小企業のDXについて、経済産業大臣にお尋ねします。

 DXという言葉、聞いてはいるんだけれども具体的に何をしたらいいか分からないというのが中小企業、小規模事業者の皆さんの本音だと思います。

 IT補助金もあります。観光とか医療とか教育、あらゆる産業の方に活用いただいた上で、中小企業のDXを力強く進めていただきたい。経産大臣、お願いします。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、中小企業にとってDXというのは非常に大事なんですが、なかなか分かりづらいという部分もあります。何をしていいかというところだと思います。

 まず、日銀短観によれば、本年度の中小企業のソフトウェア投資額、前年同期比でプラス一二・七%と、このところ非常に高い。これは、コロナを経験して、高い投資意欲は感じているところでありますが、御指摘のように、何をしていくのか、あるいは人材の不足、資金の不足、こういった課題もあると認識をしております。

 このために、デジタル人材の育成、それから相談窓口の整備、御指摘のIT導入補助金によるデジタル化への費用補助を行ってきているところであります。

 御指摘のIT導入補助金ですけれども、補助率の引上げとか、クラウドを使うその複数年分の補助とか、必要な見直しを行ってきているところでありますし、年末まで現在も公募中でありますので、是非、いろいろな相談窓口に相談していただきながら、多くの中小企業の皆さんに使っていただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、コロナがあり、ウクライナがあり、気候変動があり、様々な形で仕事を効率化し生産性を上げていく、そのためにデジタルの力を使っていくというのは非常に重要であります。是非、中小企業のDXの推進、様々な補助そして支援体制を整えながら、全力を挙げて応援をしていきたいというふうに思います。

牧島委員 よろしくお願いいたします。

 私の地元は観光業が基幹産業でして、十一日から多くの観光客の方に来ていただいて、ありがたく思っております。

 人の移動が増えていく中で、私たちの中で迷いがある。それが、マスクの使い方のルールについてです。いつマスクを外したらいいのか、マスク生活が長引いているので分からなくなってしまっているというのが現状なのではないでしょうか。

 ここは是非総理に、マスクの着脱について御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 マスクの着用については、まず現状、屋外では原則として不要であるということを申し上げております。例外的に、近くで会話をする場合などに屋外でもマスクをお着けいただきたい、このように申し上げております。そして、屋内でも、例えば図書館など、人との距離、目安二メートルですが、これを確保できて会話をほとんど行わない場合、これは不要である、こうした説明をさせていただいております。

 この基本的な感染対策、これはめり張りをつけて、マスクは場面に応じた適切な着脱、これに努めていただきたいと思っています。

 そして、政府としては、こうしたマスク着用の考え方について、リーフレットの周知やテレビCMを行ってきたところですが、先日、十月十四日、より分かりやすいリーフレットを新しく作成し周知したところであり、引き続き、国民の皆様への広報、これに努めていきたいと考えております。

牧島委員 めり張りのある着脱をということかと思います。

 続いて、小倉大臣に御質問いたします。

 G7男女共同参画会議に先週出席をされております。

 日本でも、女性の起業家、スタートアップ、増えていってほしい。一方で、資金面でのいろいろな御苦労があるという声も聞こえてきています。地域女性活躍推進交付金など、国でも応援をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 女性起業家の育成は、新しい資本主義の中核として位置づけられている女性の経済的な自立の実現につながるとともに、多様な視点によるイノベーションを創出し、日本経済の成長に資するものと考えております。

 しかしながら、起業家に占める女性割合は三割弱といまだ低調でありまして、その背景として、身近なロールモデルやネットワーク不足などが指摘をされております。

 このため、内閣府といたしましては、御指摘のとおり、地域女性活躍推進交付金により、女性起業家育成のためのセミナーの開催ですとか、ネットワークづくり支援など、地方公共団体が地域の実情に応じて関係団体と連携した取組を更に後押しをし、地域における女性起業家の裾野を広げていくよう取り組んでまいります。

 また、女性起業家の育成は国際的にも重要な課題でありまして、先週、関係各位の御理解の下で私自身が参加をしたドイツ・ベルリンでのG7男女共同参画担当大臣会合におきましても、閣僚間で議論が行われました。

 来年、我が国が栃木県日光市で初めて開催をするG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合などにおいても、こうした諸外国の状況も参考にしながら、引き続き、女性起業家の育成をより一層推進するために、関係大臣としっかり連携をしつつ、全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

牧島委員 続いて、子供政策について、引き続き小倉大臣にお尋ねいたします。

 先月、静岡県牧之原市で、送迎のバスに児童が置き去りになるという大変痛ましい事件がありました。心からお悔やみを申し上げます。こうした事故をもう二度と起こさせてはいけないということだと思います。

 一か月の間に、大変集中的に、小倉大臣のリーダーシップによって、今後の方針が取りまとめられました。

 このポイントは二つあると理解しています。

 一つは、安全装置を義務化するということ。そしてもう一つは、その義務化された装置を設置するに当たっては補助をするというふうに記載されていますが、この補助を、国の支援、財政的にも進めていただきたい。いかがでしょうか。

小倉国務大臣 ありがとうございます。

 私からも、今回、亡くなられたお子様の御冥福を心からお祈りを申し上げると同時に、二度とこういう痛ましい事故を起こさないという強い覚悟の下で、総理から御指示がありました緊急対応策の速やかな実施を実現をさせていただきたいと思っております。

 その上で、財政支援についてでありますが、園の整備や備品等の整備について、基本的には、通常、事業者の責任で適切に行っていただくことになっておりますが、今回義務化される送迎用バスの安全装置は、義務化を実施する旨の方針を示してから実際に事業者に対して義務が課せられるまでの期間が短いことなどから、財政支援を行い、事業者の負担をできる限り軽減するよう調整をしてまいりたいと思います。

 さらに、登園管理システムや子供の見守りタグの導入費用についても支援を行い、早期の子供の安全対策促進に向けた強力なインセンティブを用意することで、子供の安心、安全対策を包括的に推進をしてまいります。

牧島委員 ここは総理にお尋ねいたします。

 メディア報道によると、国の補助は九割、一割は園が負担しなければならないのではないかと記されていますが、来年の暑い夏が来るまでに、送迎バス全ての対象のバスに安全装置を設置することが必要です。是非、政府の責任で進めていただきたい。総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 議員御指摘のとおり、安全装置を可能な限り早期に装備すること、これは重要であると認識をしています。

 このため、来年六月末までに装備していただくよう地方自治体を通じて現場に働きかけることとしております。

 また、早期の子供の安全対策促進のため、こどもの安心・安全対策支援パッケージを総合経済対策に盛り込み、義務化される安全装置については事業者の負担が実質的にゼロになるよう、財政措置を講じてまいります。

 そして、今回の安全装置については、技術要件等をまとめたガイドライン、これを年末までに検討することとしており、このガイドライン作成後は、できるだけ早期にガイドラインを満たす製品の準備ができるよう、装置を設計、製造する関係者を促していきたいと思います。

 あわせて、経過措置期間内において安全装置の装備がなされるまでの間については、降車後に車内の確認を怠ることがないようにするための所要の代替措置、これを講じることとしております。

 こうした取組をしっかり進めていきたいと考えます。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

牧島委員 今、総理の御答弁によって、園の、事業者の負担は実質ゼロになるということが答弁あったというふうに受け止めました。

 続いて、デジタル政策について質問させていただきます。

 テクノロジーマップ、デジタル臨時行政調査会でお示ししたものを配付させていただいています。

 アナログの規制をデジタルに切り替えていくこのデジタル臨調の議論を、私自身もG7のデジタル大臣会合のときに御説明をいたしました。これから新たに作られる将来の法律をデジタルチェックするという考え方はあっても、これまで積み上げられてきた法律、通知、通達に至るまで全てデジタルに置き換えていくという日本の覚悟に対して、多くの大臣から称賛の言葉をいただいたというのも印象的なことでございました。

 具体的に何がどう変わっていくのかといえば、対面でなければならないとか、目で、目視で確認をしなければならない、常駐しなければならないというものが、AIやドローンやセンサーやカメラに置き換えられていきます。既に四千項目の見直しをしておりましたが、現時点では五千をはるかに超える数、これは経済界からの期待も集まっているというふうに理解しています。

 技術カタログも載ってまいります。新しい産業も起きてくる、そして人手不足も解消される、これは、デジタル庁だけでやり切れるものではなく、全省庁の御協力も必要です。総理大臣のリーダーシップがお願いしたい分野になってまいります。総理の御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 デジタル大臣時代に委員が取りまとめられた、デジタル原則に照らした規制の一括見直しプランに基づいて、デジタル臨時行政調査会において、規制所管省庁も協力し、アナログ的規制の点検、見直し、これを進めているわけですが、御指摘のように、当初四千の改革項目が五千を超えた、これも、おっしゃるとおり産業界からの期待の表れであると我々は受け止めております。

 九月九日の閣僚懇談会の場において、私から関係大臣に対しまして、特に重要な規制の見直しに関する大臣レベルでの議論に協力するということ、また、デジタル庁に設置するいわゆるデジタル法制局に協力し、国会提出法案のデジタル原則適合性の確認作業を行うこと、また、規制見直しを、当初予定されていた三年間ではなく二年間をめどに前倒しを進めること、こういった指示を行ったところであります。

 デジタル原則に適合しないアナログ的規制の一掃に向けて、今、河野大臣に大変御尽力をいただいているところですが、もし規制所管省庁が動かない場合、これは私自身もしっかりリーダーシップを発揮して改革断行しなければならないと思っております。

牧島委員 改革断行に向けての意気込みを聞かせていただきました。

 マイナ保険証についてお尋ねします。厚生労働大臣とデジタル大臣にそれぞれ御答弁いただければと存じます。

 二〇二四年秋には紙の保険証がなくなって、マイナ保険証に一体化されていく。ただ、厚労大臣、マイナ保険証をせっかく作ったんだけれども、近所の診療所でカードリーダーがまだなくて使う場面がないんだという声、聞こえてきています。進捗、普及についての御答弁をお願いします。

 そして、デジタル大臣にはマイナ保険証のメリットを国民の皆様にお伝えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、実際、既に医療機関、薬局等で入っているのは三割少々というのが今の実態でございます。

 そして、マイナンバー一枚で受診できるオンライン資格確認については、来年四月から全国の医療機関、薬局での導入を原則として義務化するということ、これは既に今年の八月に公表しております。それ以降、それまでには入れますよと言っていただいているところが義務化対象の八八%、約九割まで来ておりますので、大事なことは、まずそうした皆さんに時間どおり入れていただく。

 ただ、一時、半導体が不足等でなかなか端末が入らないというお話がありました。ただ、関係者から聞くと、やや改善傾向にあるということ。

 それから、端末は、持ってくればできるんじゃなくて、既存のシステムにつながなきゃいけませんので、システムの改修も必要であります。この点については、経産省とも連携をしながら、各システム事業者における体制の強化等、働きかけをさせていただいているところでございますので、一日も早く、こうした安心、安全で質の高い医療が、それぞれ国民の皆さんが受けられる、その環境をつくるべく努力をしていきたいと思います。

河野国務大臣 マイナ保険証にすることで、就職、転職、退職のときに保険証を切り替える必要がなくなります。

 また、御本人の同意があれば、特定健診情報、薬剤情報をお医者さんあるいは薬剤師さんと共有をする、そうしたことで医療の質を高めることができるようになります。また、将来的には、医療DXを進めることで、電子カルテの情報のような医療情報を共有をすることができたり、あるいは、診察券や予防接種の接種券、こうしたものもマイナンバーカードに一元化するということで利便性も高まってまいります。

 マイナ保険証によって、医療の質をしっかりと上げ、また利便性を高められるように、これからきちんと説明をしてまいりたいというふうに思っております。

牧島委員 デジタル大臣にもう一問お願いいたします。マイナンバー制度についてです。

 マイナンバーは、税、社会保障、災害に使えるということになっていますが、よりきめ細やかに、本当に支援を必要としている方に補助とか助成ができるようにするためには、マイナンバー制度の根幹と向き合うべき時期が来ていると思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

河野国務大臣 来年の通常国会にマイナンバー法の改正ができるように法案を提出していきたいと思っておりまして、今、しっかりこれから議論をして取りまとめ、通常国会で御審議をいただきたいと思っております。

牧島委員 最後、時間の関係で御要望にさせていただきます。マイナポータルについてです。

 マイナンバーカードを持っているんだけれども使う場面がなかったという方、マイナポータルで三十できる申請をするチャンスがなかったのかなと思います。見つける、そして調べる、忘れないをサポートできるこのマイナポータル、国民の認知度がまだ四割であります。だからこそ、改善をしなければならない。特に大事なのは、忘れないをサポートすることだと思っています。一年に一回しかない申請とか、タイミングを逃してはいけないお子さんの予防接種とか、こうした、忘れないをサポートできるマイナポータルに是非改善いただきたい、このことを最後、御要望させていただいて質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、宮崎政久君から関連質疑の申出があります。萩生田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。宮崎政久君。

宮崎委員 自由民主党の宮崎政久です。

 今日は、質疑の機会をいただきまして、関係する先生方の御配慮に感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 本日は、私は、旧統一教会の問題に絞って質疑をさせていただきたいと思います。そして、この問題、国民の皆様の御関心も非常に高いところでございますので、今日は岸田総理からそのお考えをお伝えいただきたいと考えております。総理、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 質問に先立ちまして、質疑をする私と旧統一教会関連団体との関わりについて明らかにした上で、その上で質問に入りたいと思います。

 私自身、二〇一九年十一月十日、旧統一教会の関連団体が主催する地元の公民館での講演会で、会の冒頭に挨拶をしたことが一度あります。その当時は、当該団体が霊感商法などで社会問題となった旧統一教会と関連を有することについて承知をしておりませんでした。しかしながら、その後、マスコミから当該団体と旧統一教会との関係について指摘を受けるとともに、安倍元総理の銃撃事件により旧統一教会が改めて社会問題として取り上げられたことを契機に、大変多くの方が今もって被害に苦しんでおられるということについて認識を新たにしたところでございます。

 私は、弁護士として二十年活動した後で国会にやってまいりました。困っている人を助けたいと思って弁護士になり、今度は、その思いを広く政治の世界で実現をしたい、そう思って、地元沖縄の皆様、また、そして多くの皆様に御支援をいただいて、今、今日もここで国政の現場に立つことができております。

 そういった意味でも、国会議員として会合で挨拶をすることが関連団体の活動に対してある意味お墨つきを与えてしまったわけでありまして、今も被害に苦しむ方を前にしたとき、私にはこれは痛恨の極みでありまして、深く反省をしているところでございます。

 今日は、様々な被害に苦しみ、声を上げ、また声を上げられないでいらっしゃる方にも思いを致して、一人の政治家として、課題の解決に向けて皆様とともに歩んでいく、このことをお誓いして、質問に入らせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 旧統一教会に関する問題については、改めて、多くの声が届いております。

 先祖解怨などの名目で多額の献金を繰り返してきたが、これを取り戻したいと訴えている方がいらっしゃいます。幼少期から信者の家族として貧しい生活を強いられ、自由な恋愛もできず、うつ病を発症したというつらい過去を切々と訴えられている二世の方がいらっしゃいます。御家族が崩壊され、御子息が自死をされたと訴えている方もおられます。

 私たちは、こうした訴えを受け止めて、課題を整理して、一つ一つ丁寧に対応していかなければいけないと思っています。よりよい法律の整備も必要だと考えています。

 そして、このような相談対応や法整備は、仕組みをつくれば終わりということではありません。お一人お一人の課題を解決できるよう、それぞれに応じた取組を丁寧に、着実に実施していく、こうしたことが今政治へ求められていると思っています。

 そこで、冒頭、まず岸田総理にお伺いさせてください。

 総理は、一連のこの旧統一教会の問題をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。また、今後の対応の方針についてどのようにお考えでいらっしゃいますか。まずは総理の御見解を聞かせてください。

岸田内閣総理大臣 まず、閣僚を含む多くの議員が、社会的に問題が指摘をされているこの旧統一教会、そしてその関連団体と接点を有していたことが明らかになり、国民の皆様の政治への信頼を傷つけたこと、これに対し、率直におわびを申し上げなければならないと考えております。

 また、多数の被害者、困窮や家庭の崩壊などが生じるとともに、救済が十分進んでいないことを政府として重く受け止めているところです。

 私自身は、知る限り旧統一教会とは関係を持たずに政治活動を行ってきましたが、こうした関係を持たない私が責任を持って、未来に向けて、この問題、解決をしていきたいと考えております。

 私の内閣における閣僚等については、その任命時において、自ら当該団体との関係を精査し、説明責任を果たすこと、また、今後は当該団体との関係を絶つこと、これを指示をし、これを前提に職務に当たらせているところです。

 そして、政府としては、旧統一教会に対する宗教法人法に基づく報告徴収、質問権の行使による事実把握、実態解明、そして被害者の救済に向けた総合的な相談体制の充実強化、それに加えて、今後同様の被害を生じさせないための消費者契約等の法制度の見直し、この三つをしっかりと進めていかなければならないと認識をしております。

宮崎委員 総理、ありがとうございます。

 今、三つの取組という中で、最初に御答弁で、旧統一教会に対する宗教法人法に基づく報告徴収及び質問権の行使に取り組まれるという御趣旨の御答弁があったと思っております。私も、一番の問題は、この統一教会による被害やその背景となる様々な活動について全体像が見えないことにあると考えています。

 今政府に求められるのは、旧統一教会の全貌を明らかにして、人々を苦しめている原因をはっきりさせるということではないでしょうか。これを抜きに国民の皆様の安心を取り戻すことは、決してできないと思っております。

 もちろん、宗教法人法の経緯については、私も弁護士でありまして、承知をしております。

 現在の宗教法人法は、認可権など幅広い権限を主務大臣に与えていた戦前の宗教団体法が国民の信教の自由の侵害に結びついたことへの反省に立って、憲法に定める信教の自由、政教分離の原則を基本として、権限行使には宗教法人審議会に諮る必要があるなど、行政の権限を強く限定をしています。

 しかし、今改めて聞こえてくる世の中の様々な声に耳を傾ければ、旧統一教会による被害を訴える方がたくさんいて、直接被害を訴えていなくても心配をされている国民の方がたくさんいらっしゃる。こうした状況を踏まえ、総理御自身も、宗教団体であっても法令に逸脱する行為があれば厳正に対処する必要があることは言うまでもないと本会議などでも明言をされておられるように、できることは全てやるべきだと思います。

 私も法律家の立場から、旧統一教会に対する裁判の判決内容について子細に検討しました。過去の旧統一教会に対する裁判の判決では民法の使用者責任が認められるにとどまっておりましたが、平成二十八年以降、旧統一教会自身の組織的な不法行為責任を認めた判決の例が見られております。このことは非常に大きな変化だと考えます。

 判決で示されている勧誘の方法や、人を不安に陥れて、畏怖させて、その人の家族、親族の系統、いわゆる家系の不幸な運命を免れるためには全てを神にささげることが必要であると思い込ませて、その人の全てを投げ出すように多額の献金をさせるなど、自由な意思に基づくとは到底言えない献金が行われたり、そのためにマインドコントロールに陥れる仕組みや旧教団の一連の対応など、まだまだ明らかになっていないことがたくさんあります。

 この点、宗教法人法では、法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたことなどの疑いがあるときには、所轄庁が宗教法人に対して報告を求めて質問をすることができるとしています。ただ、この規定は、平成七年に創設されて以来、実に四半世紀にわたって一度も行使をされておりません。

 しかし、ここまで指摘をさせていただいたことだけでも、旧統一教会に対して報告を求めるに足りる疑いは十分にあると言えるのではないでしょうか。解散命令の請求について判断するか否か、その材料を集めるためにも、この権限を今こそ行使すべきと私は思います。

 そこで、改めて岸田総理に確認をさせていただきます。旧統一教会に対して、宗教法人法に基づく報告徴収及び質問権を行使するということでよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 社会的に問題が指摘をされている団体に関して、政府として、宗教法人法を含め、関係法令との関係を改めて確認しながら厳正に対応していくということ、これはこれまでも述べてきたとおりであります。

 そして、旧統一教会については、委員も御指摘になられました、平成二十八年そして平成二十九年において、それまで認められていた使用者責任とは異なり、法人自体の組織的な不法行為責任を認めた民事裁判の例、これが見られること、さらには、今般、政府が設けた合同電話相談窓口において、金銭トラブルから心の健康に関するものまで、九月三十日時点で一千七百件以上の相談が寄せられ、法テラスや警察を含め、関係機関に相談がつながれていること、こうした報告を受けたところです。

 こうした状況を踏まえて、宗教法人法第七十八条の二に基づき、報告徴収、質問権の行使に向けた手続を進める必要があると考えており、文部科学大臣に速やかに着手させます。

宮崎委員 総理、改めて明言をしていただきました。ありがとうございます。

 今総理の御答弁にありましたとおり、報告を求め質問させるのは宗教法人法第七十八条の二に基づくということでありまして、その理由としては、第一項第三号で、当該宗教法人について解散命令の事由に当たる疑いがあることとあります。総理の厳正に対応していくという姿勢の表れと受け止めさせていただきました。ありがとうございます。

 実に四半世紀使われなかったこの報告徴収と質問権の初めての行使が実現するとなれば、旧統一教会の全貌を明らかにして、国民の皆様への安心の回復に向けて大きな一歩になると確信をします。

 ただ、宗教法人法の趣旨に踏まえますと、この権限が濫用されたり、所轄庁が恣意的に権限行使をすることがあってはならないわけであります。そこで、報告徴収、質問権の行使に当たって、明確な基準を設けることが必要だと思います。永岡文部科学大臣の見解をお聞きします。

永岡国務大臣 宮崎議員御指摘のとおり、宗教法人法におけます報告徴収、質問権の行使の基本的な考え方や明確な基準は、やはりあらかじめ明確にしておく必要があると考えております。

 文部科学省といたしましては、宗教法人審議会を構成いたします宗教や法律に関する専門家、そして宗教人などによります専門家会議を設置をいたしまして、その意見も伺いながら、報告徴収、質問権を行使する場合の基本的な考え方や基準を速やかに示したいと考えております。来週二十五日火曜日にも検討を開始することを予定しております。

 その上で、その基準にのっとりまして、宗教法人審議会に意見を聞いた上で、旧統一教会に対して報告徴収、質問権を行使するべく、手続を進めてまいります。

宮崎委員 大臣、ありがとうございます。

 私は、宗教とは本来、人々の心を安定させるものであって、信じるか否かの自由がある上で、日本人の精神文化にとっては不可欠なものだと思っています。

 日本には、身近な地域の寺社を含めて、実に十八万を超える宗教法人があります。私たちは、何かあれば神仏や信じるものに手を合わせて、祈って、そして心の安らぎや勇気をいただいているわけです。お寺さん、神社さん、教会など、我が国における宗教法人の存在は、国民一人一人の生活に深く定着をして、大きな役割を果たしています。

 こうした宗教本来が持つ意味や公益性のためにも、しっかりと基準を定める必要がありますし、総理御指摘のとおり、法令から逸脱する行為については厳正に対処することを求めてまいりたいと思っております。

 次に、政府では、旧統一教会の問題の関係省庁連絡会議を設置して、合同電話相談窓口を運営していただいております。既に公表された相談状況の分析によりますと、金銭的なトラブルに関する相談が多数を占め、法テラスを紹介した案件が多数生じたと聞いています。

 こういった状況を踏まえて、関係省庁連絡会議が打ち出した総合法律支援体制の充実強化、これについては具体的にどのように取り組まれるおつもりであるか、総理のお考えをお示しください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の合同電話相談窓口に寄せられた旧統一教会に関する相談の約七割が金銭的トラブルに関する相談であり、法的に複雑な問題を含むものも多いことから、総合法律支援体制の充実強化を図ることとしております。

 具体的には、総合法律支援を担う法テラスにおいて、お困りの方々の多様なニーズに応え、問題の総合的解決を図るために、合同電話相談窓口の機能等を継承した対応窓口の設置、また、無料法律相談等の民事法律扶助の積極的活用等を実施していきます。

 さらに、これらの取組を推進するために、弁護士や心理専門職等を配置した対応部署を新設するなどして、人的、物的体制を強化するとともに、各相談機関等が有する知見の共有や、適切な窓口の相互紹介によるネットワークの形成等によって、法律の支援の実施にとどまらない、総合的支援に向けた道筋を強力にサポートしてまいります。

 政府としては、こうした法テラスの取組について、その実施や体制の整備を強力に推進し、旧統一教会に関連する問題でお困りの方々の救済に最大限努めてまいります。

宮崎委員 ありがとうございます。

 法的に複雑な問題へ対処するために法テラスの充実が必要であるということもよく分かりました。

 まず費用負担の面で不安があっては相談できませんから、民事法律扶助という制度を活用して、安心して相談を受けていただく必要があります。

 また、今の御答弁にありますと、法テラスが、心理専門職などを配置した上で、関係機関とも連携することによって、法律の相談だけではなくて、精神面でのサポートや福祉面でのサポートを切れ目なく受けることができる仕組みになっていくということであります。これは、相談を必要とされる方からすると、たらい回しにされる心配がないという意味でも心強いことと思います。

 現在の合同相談窓口よりも更にパワーアップをした総合的な窓口となりますように、是非、政府全体として、特に予算や人員の、先ほど人員について、総理、御指摘ありましたが、人員面も含めて可能な限り迅速に体制を整備していただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、法整備に関して伺います。

 消費者庁が開催をしている霊感商法等の悪質商法への対策検討会は、本日取りまとめを公表したと聞いています。この中で、法整備についても提言がされているということであります。

 既に総理は、今の法令の中で何ができるのかを最大限追求しつつ、河野大臣に対して、消費者契約に関する法令等の見直しの検討を加速して、早急に結論を得るよう指示されたと伺っております。被害者救済にとっては、現行法の活用はそれ自体重要である一方、より使い勝手のよい法整備も必要だろうと考えます。

 そこで、岸田総理にお尋ねをいたします。

 旧統一教会問題に関する法的な問題について、現行法によっても救済されるケースもあると思いますが、この点、どのように認識をされておられるでしょうか。また、消費者庁の検討会で、どのような指摘からいかなる法整備が必要とされたのでしょうか。消費者庁で得られた提言に基づいて、今後、政府はどのような対応のおつもりであるか、お聞かせください。

岸田内閣総理大臣 旧統一教会を被告とする民事裁判では、民法の不法行為による損害賠償で救済された事案もある、先ほども少し触れたとおりであります。また、消費者契約法の霊感商法に関する取消権によって、不当な勧誘により締結された契約を取り消すことができる場合があるということは承知をしております。このような現行法の活用については、国民向けの分かりやすい法的整理をQアンドA形式で法務省のホームページに掲載しており、国民に向けた適切な情報発信を行ってまいりたいと思います。

 そして、先ほども触れましたが、相談体制につきましては、八月に、強化する方向で万全を期すよう指示を出したところでありますが、関係省庁が連携して集中相談期間を設けるなど、相談対応体制を強化するとともに、御指摘の、消費者庁において有識者会議を開催し、本日取りまとめを得た、こうしたことであります。

 こうした相談の状況や有識者の意見も踏まえて、まず、先ほどの宗教法人法における対応に加えて、この現状の法制度では救済されない方々がいることを踏まえて、消費者契約法等の改正により契約の取消権の対象の拡大を行うということ、また、取消権の行使が現実的に難しい期間があることを踏まえ、取消権の行使期間の延長を行うということ、また、被害者救済に向けて、既に実施している法テラス、消費生活センターの相談対応の強化に加えて、児童虐待などの子供への被害の防止に向けた対策の強化、いわゆる宗教二世、三世の方の進学や就労の支援など、この取組を強化するということ、さらに、寄附についても、法制的対応の是非、これを検討してまいります。

 可能な限り早期にこうした方針を実行するよう、本日、河野大臣、葉梨法務大臣、そして永岡文科大臣に指示を出したところであります。

宮崎委員 ありがとうございます。

 河野大臣の下でしっかりとしたお取りまとめがされた。そして、その上で、今御答弁ありましたとおり、関係される三大臣に指示がされているということでございますので、政府が一体となって取り組まれることをお願い申し上げます。

 その上で、信者の御家族をめぐる問題や、子供を含む二世信者の問題など、お一人お一人の課題に正面から向き合って実効性のある解決に向かうためには、先ほどの法テラスの取組に加えて、精神科医療機関の紹介や、生活困窮者への自立支援、虐待対応についての厚生労働省の取組であるとか、学校でのスクールカウンセラーなどによる文部科学省の取組も非常に重要だと思います。関係する厚生労働省、文部科学省、法務省が緊密に連携し合いながら、こういった取組をしっかりと進めていっていただきたいと思っております。

 本日、質疑の冒頭で申し上げましたとおり、相談への対応や法の整備は、その仕組みをつくれば終わりというものではありません。その方の課題に正面から向き合って、相談であれば粘り強く何度でも話を聞いて、法律であれば英知を尽くしてこれを適切に適用して、もつれた糸を解きほぐすように対応することが必要であります。社会全体として積み残してしまった問題とも言えるので、今お話がありましたように、総合的な対応が必要であります。政府を挙げてしっかりと取り組んでいただきたいと思っています。

 また、自由民主党では、総理から冒頭御指摘をいただきました点もありますが、茂木敏充幹事長を本部長として、党改革実行本部での党を挙げた取組のほかに、旧統一教会問題に対応して被害救済を担う委員会を立ち上げて活動しております。お困りの方の声を聞き、専門家の知見を聞き、そして党内から出されている意見を集約して、これから政策として提言して、実行していきます。

 私、事務局長を仰せつかっておりまして、その取りまとめをして、対策を練り、提案をする立場にあります。そういったこともあって、本日の質疑の機会をいただいたと思っております。

 今日は、総理から、率直なお考え、また旧統一教会に対する報告徴収、質問権を行使されることの明言をいただきました。大きな決断をいただいたと思っております。

 困っている人を助けたい、これは私が政治家になる以前からの信条でありまして、私自身も、自分の生きざまや生き方に、初心に立ち返ってこの問題に誠実に取り組んでいくことをお約束をして、質疑を終わります。

 本日はありがとうございました。

根本委員長 この際、小林鷹之君から関連質疑の申出があります。萩生田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小林鷹之君。

小林(鷹)委員 自由民主党の小林鷹之です。

 本日は、安全保障、そして経済安全保障に関連して質問をいたします。

 ロシアのウクライナ侵略が始まった直後から、我が国は、総理の迅速な決断で様々な制裁措置を取ってきています。資産凍結、SWIFTからの排除。総理は、スピードが大事だとして、欧米とともに制裁措置への参加を表明し、特にアメリカからは、ロシアの責任を追及する日本と題した声明が特出しされるほどの高い評価を得ています。

 一方で、ロシアは、我が国に対して平和条約交渉の打切りといった対抗措置も取りましたし、サハリン1、2共にその事業をロシア政府の新会社に移管することを決定し、我が国を始め、出資している国や企業に事業継続か否かの判断を迫っております。

 ノルドストリームにつきましては、欧州へのガス供給の停止といった、まさにエネルギーを武器とした対抗措置を取っています。

 今回とは別件ですけれども、少し前にオーストラリアが中国に対して強硬姿勢を取ったときに、中国がオーストラリアから石炭を輸入することを事実上止めるという措置を取りましたが、その後、結局、中国は電力不足に陥って、かえって経済に大きな打撃を受けました。

 経済制裁というのは、制裁される側はもちろんのことなんですけれども、制裁する側にも当然痛みを伴います。相互依存関係が強いほど、その影響は大きくなります。

 今回のロシアへの制裁について、対ロシアへの制裁効果と、それに伴う我が国が被るダメージをどのように想定して制裁を決断されたのか、総理から国民の皆様に御説明をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更の試みであり、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。こういった行動には高い代償が伴うということを示す必要があるということから、我が国として、G7を始めとする国際社会と連携しながら、この厳しい措置、これを迅速に実施をしているところです。

 そして、その中で、政府としては、今回の事態を受けて、国民の皆様や日本企業を含め、国際社会に様々な影響が及ぶ可能性にも十分留意しながら対応をしてまいりました。この点、G7首脳会合でも、強力な対ロ制裁を結束して継続していくとともに、エネルギー、食料の安定供給を確保すべく連携して取り組んでいく、こういったことでも一致をしているところです。

 そして、御指摘のサハリン1、サハリン2ですが、我が国のエネルギー安全保障上重要なプロジェクトであり、引き続き状況を注視し、官民一体となってエネルギーの安定供給に努めていかなければならないと思っています。

 そして、対ロ制裁の効果については、この制裁措置により、例えばロシアにおける外国企業の撤退、操業停止、サプライチェーンの混乱、輸入依存度の高い自動車産業等における生産急減などの形で、ロシア経済に様々な影響が出ていると承知をしています。

 今後とも、一刻も早く侵略を止めるよう、そして制裁の効果がより一層効果的なものになるよう、強力な制裁措置を講じていきたいと考えております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 経済制裁を行う上でも、平時からあらゆるリスクシナリオを立てて対策を講じておくこと、それから、我が国自身の脆弱性だけではなくて、相手国のまさにチョークポイントを把握しておくことの重要性が明らかになったと思っています。

 次に、ウクライナ情勢で改めて明らかになったことは、自衛の能力と意思がなければ他国は助けてくれない、つまり、自分の国は自分で守る、その意思と能力が必要で、それがあって初めて足らざる部分を同盟国や有志国が協力をしてくれるということだと考えています。

 また、戦い方が、実力行使だけではなくてサイバー、情報戦、いわゆるハイブリッド戦へと進化していく中で、これまでとは全く異なる次元での戦い方が実際に展開されています。例えば、ロシアはウクライナの通信障害を起こして政府や金融機関のシステムを攻撃し、また、SNSを活用した世論形成も活発に行ったとの報道もあります。

 こうした中で、我が国の防衛の在り方も当然変えていかなければなりません。

 総理は、年末には我が国の国家安全保障戦略を含むいわゆる三文書の改定を表明されるとともに、防衛費を増額して防衛力の抜本強化を進めていくことを表明されています。先ほど萩生田政調会長からも質問がありましたけれども、私もこの防衛費の大幅増額は必要だとの立場です。ただ、この点については、やはり国民の理解が何よりも大切だとも考えます。

 浜田防衛大臣には、なぜ今、国家安全保障戦略を新たに策定する必要があるのか、目指す防衛力とは何なのか、それを達成するためにどのような対処を想定し、人材、装備を含めて何が必要なのか、国民の皆様に向けてお話しいただきたいと思います。

浜田国務大臣 現在、国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していると考えます。

 我が国が直面する安全保障上の課題、例えば、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展、中国の広範かつ急速な軍事力増強と東シナ海における力による一方的な現状変更の試みの継続、そして、ロシアによる国際秩序の根幹を揺るがすウクライナ侵略と我が国周辺での軍事活動の活発化などは急速に深刻化しております。

 また、情報戦を含むハイブリッド戦といった新たな戦い方や、情報通信等の分野の急速な技術革新、少子高齢化への対応等も喫緊の課題であると考えます。

 こうした状況を踏まえ、国民を守るために何が必要か、新たな国家安全保障戦略等の策定過程の中で、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、防衛力を五年以内に抜本的に強化する必要があると考えております。

 その際、新たな防衛力の方向性として、スタンドオフ防衛能力や無人アセット防衛能力等、将来の防衛力の中核となる分野の抜本的強化、そして、現有装備品の最大限活用のため、可動率向上や弾薬確保、主要な防衛施設の強靱化への投資の加速を重視して検討しているところであります。

 また、防衛力そのものである防衛生産、技術基盤や、防衛力を支える人的基盤の強化の要素も重視することとしており、防衛省として、防衛力の抜本的強化に必要な予算をしっかりと確保していく考えであります。

 以上です。

小林(鷹)委員 ありがとうございました。

 国が全力を挙げて国民の命と暮らしを守り抜く体制を是非つくっていただきたいと思います。

 続けて、エネルギーについて伺います。

 原油、LNGの高騰による物価高、暑い夏の節電要請、そしてまた、この冬予想される電力逼迫などを考えますと、我が国のエネルギー安全保障はいまだ強固なものとは言えません。特定の地域や国に依存するエネルギーの調達にリスクが伴う中で、エネルギー源をどう組み合わせるのかは死活的に重要な課題です。

 現行のエネルギー基本計画では、可能な限り原発依存度を低減するとされている中で、総理がリーダーシップを発揮されて、原発再稼働や次世代革新炉の開発、建設について検討すると判断されたことを私は強く支持いたします。

 一方、政府は、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指して、再生可能エネルギーを主力電源として最優先の原則の下、最大限の導入に取り組むという方針で、再エネ目標を二〇三〇年度三六から三八%と設定していますが、私もエネルギー自給率を上げるために再エネの導入を増やしていくことには賛成なのではありますが、風力発電への依存度が高いイギリスやスペインで昨年電力危機が起きた、また、再エネ依存度が非常に高いカリフォルニアでこの夏の電力危機という事例もあった。加えて、再エネはコスト高で不安定、設備のサプライチェーンの外国依存、国土保全や安全保障上の課題があるのも事実です。

 今後国策として進める半導体の製造は大量かつ安定的な電力を必要といたしますし、当然、DXによる今後の電力の大量消費も見込まれる中で、安価で安定的なエネルギー供給こそが産業競争力の強化、ひいては我が国の経済成長にとって不可欠です。エネルギーミックス、電源割合の妥当性について改めて御検討いただくことも含めて、エネルギー供給について、西村経産大臣の考え方をお聞かせください。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、エネルギーの安定供給、そして価格の安定、併せてGX、気候変動への対応も進めていくという、これらのことを両立していくことが重要であります。御指摘のとおりであります。

 まさに、昨年のエネルギー基本計画の時点ではウクライナへの侵略事態は想定していなかったわけでありますが、いかなる事態においても今申し上げた安定的で安価なエネルギー供給を確保することの重要性を踏まえて、エネルギーミックスを策定したところであります。

 他方、御指摘のように、日本はすぐに使える資源はありませんし、自然エネルギーを活用する条件が諸外国とも異なりますので、LNG、石炭などの火力、そして御指摘の再エネ、原子力、こうしたものを含めてあらゆる選択肢を追求することがエネルギー政策の基本である、このことは第六次のエネルギー基本計画にも明記されているところであります。

 このため、今の時点で直ちにエネルギー基本計画、あるいはエネルギーミックスを見直すことは考えておりませんけれども、今後適切なタイミングで見直しは検討していきたいというふうに思います。

 その上で、火力についても、非効率なものはフェードアウトしていくことは必要ですけれども、その取組は安定供給が確保されていることを大前提に進めていきたいと思いますし、再エネも促進をしていきますが、導入していきますが、大量導入を進める中で、調整力あるいは慣性力という観点からも、火力の位置づけも重要であります。

 水素、アンモニア、CCUS、こうしたものを活用することで脱炭素型の火力に置き換えていく、こうした取組も進めてまいりたいというふうに思います。

小林(鷹)委員 バランスが重要だと思っています。現時点でエネルギー基本計画を直ちに見直すお考えはないということですけれども、我が国の経済成長と密接に関わりますので、三年ごとの改定に過度にこだわり過ぎることなく、国際情勢の変化に合わせて弾力的に見直していくことも考えていただければと思います。

 次に、食料安全保障について伺います。

 ロシアのウクライナ侵略は、食料安保にも深刻な影響を与えています。両国は世界の穀倉地帯でありますので、小麦、大豆、トウモロコシ、この価格は高騰しておりますし、肥料も入手困難となっています。

 肥料の原料につきましては、経済安全保障推進法のサプライチェーンの重要物資に指定される可能性もありますが、調達先の変更、備蓄、堆肥などの利用が進められています。リンについては、下水汚泥から抽出する実証実験も進んでおります。

 輸入依存度の高い小麦、大豆、トウモロコシの国内生産、そして備蓄も進めていかなければなりませんが、そのためには畑地化に向けた圃場整備などが必要になってまいりますし、小麦の場合は、気候条件に合う品種開発、コスト競争力をつけるための大規模化も必要になってくるんだろうと考えます。

 農水省では、日頃から食料安保に関する検討を精力的に進めているものと承知しています。そこで、我が国周辺で有事が発生し、例えばシーレーンが封鎖されて海上輸送が不可能になって、港や空港が閉鎖されるといった事態が発生した場合でも、国民の食料をいかに確保していくのか、この点につきまして、野村農水大臣に御説明いただきたいと思います。

野村国務大臣 小林委員にお答えを申し上げますが、食料の安定供給というのは、これは国家の最大の基本的な責務の一つでございます。海外からの食料の輸入に支障があった場合でも、備蓄の活用なり、あるいは国内の緊急的な増産によりまして、食料供給を確保できるように対応することが必要でございます。

 また、委員御承知のように、また、先ほど御指導いただきましたように、備蓄の場合は、今、米が百万トン、それから小麦が二・三か月分、トウモロコシがおおよそ百万トン備蓄がございますが、これで十分かといいますと、そうでもないだろうというふうに個人的には考えますし、また、農水省の方ではこのシミュレーションをずっとやっておりまして、どのぐらいの備蓄ならばいいのか、そういったことも検討させていただいておるところであります。

 このために、平素から、適正な備蓄水準の確保や、事態に即した対応策の、先ほど申し上げましたシミュレーションなど、不測時に備えた取組を適切に実施しているところでございます。

 さらに、食料を将来にわたって安定的に確保していくためには、できる限り、国内で生産できるものは国内でという考え方に基づきまして、輸入に依存している小麦や大豆あるいはまた飼料の増産や、肥料の国産化等によりまして、食料安全保障の強化に取り組んでまいる所存でございます。

 以上でございます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 農水省のシミュレーションがかなり進んでいるのは承知をしております。仮に今回のウクライナ情勢で新たな脆弱性が見つかったとすれば、更なる深掘りをよろしくお願いをいたします。

 次に、経済安保ですけれども、本年五月に経済安保推進法が成立しましたが、これは、総理が自民党政調会長として取りまとめた提言を、まさに政権の重要政策の一つとして総理自身が牽引された成果だと考えています。

 この法律は重要な一歩でございますけれども、やるべきことは山積みでございます。とりわけ重要なのが、我が国が目指す経済安全保障の全体像を示して、主要プレーヤーである民間企業やアカデミアの理解をいただいて、更に連携を深めていくことだと考えています。

 先日自民党の提言で示した全体像を、この概要をパネルでお示しします。パネルのサポートは、山口一区の高村正大委員でございます。

 この図は、経済安保の全体像を構成する八つのアプローチを示しております。

 最も重要なのは、この一の経済成長の強化です。経済力こそが、技術力、防衛力、そして外交力の強化、向上につながるからです。そして、この経済成長を支えるのが、この二の我が国の他国に対する過度な経済依存構造の変容、いわゆる自律性。三の、逆に、他国の我が国に対する経済依存構造の構築、いわゆる不可欠性。そして、公正な競争環境の整備。戦略的な広報、これは偽情報対策も含みます。こうしたものを支える基盤が、体制と人材育成。そして、最も重要なのは、精緻な情報収集と客観的な情報分析をする経済インテリジェンスの強化です。例えば、国内外における企業の買収情報ですとか先端技術の研究開発動向、こうしたものも含めた幅広い情報を対象としています。

 岸田政権発足後、経済インテリジェンス部局の定員は相当増やしましたけれども、情報の収集、分析、諸外国との情報共有体制、民間企業との連携の仕組みに加え、国による人材育成も必要と考えますが、総理の見解をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 経済安全保障については、幅広い関連情報とその分析、情報コミュニティーから日々国家安全保障局に提供されてきています。それらは多岐にわたる政策課題の取組において効果的に活用されており、経済インテリジェンスが経済安全保障の推進を下支えしている重要な要素であると認識をしています。

 こうした認識に基づいて、政府としては、これまでも、経済インテリジェンスに関連する分野に所要の人員を配置し、また、情報分析、そして情報保全に関する各種研修、また、人事交流を通じて高い専門性を有する人材の確保、育成に努めるなど体制の強化に取り組んできたところですが、今後とも、この経済インテリジェンスを含む経済安全保障の推進体制の強化を図るとともに、様々な経験や能力を構築してきている民間部門との連携強化にも努め、いかなる形での官民連携が最も効果的なのか、最も効率的なのか、こうした点につきまして積極的に議論を進めていきたいと考えております。

小林(鷹)委員 是非、経済安全保障の基盤となる経済インテリジェンスの更なる強化、よろしくお願いいたします。

 次に、いわゆるセキュリティークリアランスについて伺います。

 本来、このセキュリティークリアランスというのは、国家の機密を知る必要がある人の適性評価、つまり、バックグラウンドチェックを行ってアクセスを認めるものです。民間企業の中には、海外の企業と共同研究をする際に、相手企業から自社の社員の適性評価を求められることがあるので、そこを政策的に手当てしてほしいという声もあります。

 こうした中で、国や企業の機微な情報にアクセスする人の適性評価を、その情報の機微度に応じた形で精緻に行う制度を導入することが必要だと私は考えます。なぜなら、そうすることで、我が国の政府職員や民間企業の研究者の対外的な信用が高まって、結果として他国とのより深い情報共有が可能となり、先端技術の国際共同研究にも資することになると考えるからです。

 衆参両院の附帯決議でもこうした仕組みの導入が求められる中で、高市大臣の見解と、早期の法整備に向けた意気込みをお聞かせください。

高市国務大臣 まずは、小林委員が前経済安全保障担当大臣として国会で熱心に丁寧に答弁を続けられ、与野党を超えて多くの議員の皆様の御理解を得て経済安全保障推進法が成立し、今年五月に公布されたということ、心から敬意を表し、感謝を申し上げます。

 その上で、現行法では対応できないセキュリティークリアランスについてですが、国会での附帯決議でもしっかりと書いていただきましたので、今、様々な方の御意見を伺っております。特に、具体的にどのような場合にセキュリティークリアランスが求められるのかということの情報収集や検証も行っています。

 そして、今、小林委員がおっしゃったような御意見もいただいております。例えば公務員に関して、細分化してクリアランスのレベルを変えていくということになるんだろうと思いますけれども、他方で、民間企業が例えば海外の民間企業と共同で研究をするような場合ですとか、それからビジネス面で、民間企業が海外の政府調達に参加したいような場合に、日本人はクリアランスを持っていません、海外が出すものは、例えばイギリスでしたらイギリス人に対するクリアランスですからこれは通用しないということで、イギリスの現地法人の社員が得てきた情報をもらうんですけれども、それは日本人には伝わらないので、何かあったらこれは日本の本社の責任になる、しかし情報はもらえない。いろいろなケースがあると思います。

 様々、民民なのか、官官なのか、官民なのか、それによって様々なパターンがあると思いますが、これは日本の国益を守る上でも、そして日本の……

根本委員長 高市大臣、簡潔にお願いします。

高市国務大臣 はい。

 情報通信、情報セキュリティーを守る上でも非常に重要な課題ですので、速やかに提出を目指してまいりたい、そういう意気込みでございます。

小林(鷹)委員 経済安全保障上極めて重要な仕組みですので、政府内の検討もかなり積み重なってきていると推察します。来年の通常国会での成立を目指して頑張っていただきたい、その期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

根本委員長 これにて萩生田君、伊藤君、牧島君、宮崎君、小林君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の政調会長を務めております高木陽介でございます。

 総理、総理とは、一九九三年初当選、同期となりまして、この三十年近く共に国会で活動していく中で、特に最初の頃は与野党分かれておりましたけれども、一九九九年、公明党が連立に参画して以来、共にこの国政、連携を取りながらやらさせていただきました。特に、野党時代に、総理が国対委員長のときに私も予算委員会の理事で、共にコンビを組んで、ここでいろいろと論戦を交わす流れをつくらせていただきました。

 今日は、この国政においては大変課題が山積されておりますので、岸田内閣を発足して一年、国民はこれから政治がどのように対処していくのか注目をしておりますので、国民の声を代弁させていただきまして質問に取りかからさせていただきたいと思いますので、御答弁のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。

 特に現状、コロナ禍で二年九か月、国民生活は大変厳しい状況が続いてまいりました。一方で、今年に入りまして、ロシアのウクライナの侵攻、これによりまして、国際情勢が混迷する中、エネルギーの問題が大変深刻になってまいりました。さらに、急激な円安、これによりまして、エネルギー価格だけではなくて、輸入製品、原材料価格、様々に高騰しておりまして、国民生活を直撃しております。

 九月三十日に総理は総合経済対策の指示を出されましたが、今こそ政治が国民に寄り添い、国民一人一人が、ああ助かったな、よかったな、このように実感できる政策を実行していかねばなりません。そういった中で、まず、物価高騰対策、特に電気・ガス料金の対応について伺いたいと思います。

 先月の二十八日、総理の総合経済対策策定の指示に先立ちまして、公明党から、四項目にわたる柱立てに対しての提言をさせていただきました。その一丁目一番地が電気・ガス料金の負担軽減でありました。総理もそのとき大きくうなずいて同意を示されて、その後、前例のない、思い切った対策を講じると表明をされました。さらに、先週、十四日の金曜日でございますが、山口代表と党首会談で、電気や都市ガスの価格上昇の負担軽減策を導入する方針を合意されました。国民は皆期待をしております。

 そこでまず、電気料金の負担軽減の制度をどのようにするのか。この夏、節電ポイントを打ち出されましたけれども、これは大変分かりづらい、そういう声が多くありました。国民にとって分かりやすくなることが大変重要であると思います。どのように電気料金を抑えていくのか、総理に伺いたいと思います。

 さらに、この一年で電気料金は二割から三割上昇しておりますけれども、どの程度引下げを考えているのか。国民がこの政策で、先ほど申し上げたように、ああ助かったなと実感できることが大切であると思います。あわせて、この引下げの目標があれば伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 物価高騰対策につきましては、四月、七月、九月に引き続いて、今月、総合経済対策を用意させていただきたいと思います。そして、その際の目玉となるものの一つが御指摘の電気料金であると認識をしております。

 電気料金につきましては、LNGの長期契約ですとか一部の料金の上限制度によって、欧州に比べて上昇を抑制することができている、さらには、交付金の創設、また低所得世帯向けの給付金の創設など支援策を講じてきたところでありますが、ただ、ウクライナ紛争の長期化をにらみながら、エネルギー市場の高騰が続いています。来年春以降に更に二割から三割、一気に値上げとなる可能性がある、これに対して対策をしっかり講じていかなければならない、こうした問題意識に立って対策を進めていきたいと思っております。

 新たな負担軽減の仕組みを導入したいと思いますが、その際に、電気の料金請求システム、今の電気の料金請求システムを活用し、毎月の電気料金の請求において、どれだけ負担軽減になったか、これが目に見える形で直接的かつ実感できる、こうした負担軽減策を講じてまいります。その支援の幅においては、家庭においては、来年春に想定される電気料金の上昇による平均的な負担増、これに対応する額としたいと思います。また、開始時期については、来年春に料金が階段式に上がっていく、こうしたことが予想されますが、それに先駆けて、一月以降できるだけ早く着手をしていきたい、このように思っております。

 十四日に公明党と党首間で確認した大枠の方向性や与党間での議論を踏まえて、透明性のある、そして、御指摘のように、国民にとって分かりやすい対策を用意したいと考えております。

高木(陽)委員 今、目に見える、そして実感のできるというお言葉がございました。国民は大変期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。また、時期についても、来年の一月以降できるだけ早期、早い時期ということで、これも本当に早い時期にお願いを申し上げたいと思います。

 一方、都市ガスにつきましても、公明党は電気同様に対策が必要であると訴えてまいりました。当初、政府は、電気のみで、ガスについては消極的だったような気もしております。先週の党首会談前の総合経済対策への公明党の提言でも、ガス料金対策について明記をさせていただきました。

 総理は都市ガスについても負担軽減も表明されておりますが、改めてこのガス料金についてもお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先週十四日の公明党との党首会談において、都市ガスの料金についても、値上がりの動向、事業構造などを踏まえて、電気とのバランスを勘案し適切な措置を講ずること、これを確認いたしました。

 負担軽減の具体策については、党首間で確認した大枠の方向性を踏まえて、総合経済対策の取りまとめに向けて、早急に議論を詰めていきたいと考えております。

高木(陽)委員 この電気・ガス料金というのは、先ほど申し上げたように、一丁目一番地、物価高騰対策におきましては大変重要な課題でございますので、しっかりと取り組んでいただくことをお願い申し上げます。

 次に、我が国が中長期に直面をする最も大きな課題である少子高齢社会、人口減少問題について伺いたいと思います。

 二〇二一年に日本で生まれた子供の数は過去最少の八十一万一千六百六十二人、想定より七年ほど早く少子化が進む危機的な状況でございます。

 総理は、先月の全世代型社会保障構築会議におきまして、我が国の将来を支える人材を育む未来への投資として、子育て、若者世代への支援を強化し、少子化対策に大胆に取り組むことは、成長、分配の好循環を実現するためにも重要と発言をされました。

 公明党は、子供の幸せを最優先する社会、これを目指しまして、結党以来、教科書の無償配付、児童手当の創設など、次々に政策を実現してまいりました。

 二〇〇六年には、今から十六年前になりますが、公明党は少子社会トータルプランを策定いたしまして、中長期のビジョンを発表し、この十六年かけて財源を確保しながら一つ一つ実現をしてまいりました。例えば、当時三十万円だった出産育児一時金を現在は四十二万円、これも今回増額すると伺っておりますが、不妊治療の保険適用も本年実施をいたしました。また、幼児教育、保育の無償化は、二〇一九年の十月に全ての三歳から五歳児と住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳児を対象に無償化されました。また、給付型奨学金の創設など、各世代に応じた支援策を実現してまいりました。

 その上で、来年からはこども家庭庁も発足をいたします。公明党は、昨年の衆議院選のマニフェストで掲げた子育て応援トータルプラン、これを一年間議論を重ねてまいりまして、現場の声を聞きながら、間もなく発表する予定でもございます。そこには、結婚する若者の支援から始まり、妊娠、出産、未就学児、幼児教育、保育、小中学校、高校、大学などの高等教育など、ライフステージや子供の年齢等に応じた支援の拡充が必要と考えておりますが、総理はこのライフステージ又は子供の年齢等に応じた支援の拡充についてどう考えるか、伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、親の働き方にかかわらない、子供の年齢に応じた、そして切れ目のない支援、これが重要であるということで、支援強化の在り方について検討するよう、御指摘のように、全世代型社会保障構築本部において指示を行ったところであります。こうした子供、子育て支援の充実について、年末に向けて、全世代型社会保障構築会議において議論を進めてまいります。

 そして、今後の子供政策に関する予算については、こども家庭庁の下で、まずは子供の視点に立って、必要な子供政策が何か、これをしっかり議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて子供政策の充実に取り組んでまいりたいと思います。

 来年四月にこども家庭庁がスタートいたします。そして、そこでこの政策の議論をしっかり行うわけですが、来年度の骨太の方針には、将来的に倍増を目指していく上での当面の方針、すなわち倍増への道筋について示していきたいと考えております。

高木(陽)委員 今、骨太の方針、来年でというお話もちょっと出ました。

 総理、こども家庭庁の設置のための審議の中で、この子供関連の予算の倍増を言われていました。これは、多くの方々がこの問題は必要だと考えておりますし、例えば防衛費の問題、三文書でこれからいよいよ自民党と公明党の与党協議がスタートいたしますけれども、例えばNATOと比較をして、増やすべきだ、こういうような意見もございますが、一方で、日本の子育て関連の公的支出というのは、対GDP比におきまして欧州諸国の半分程度、こういうふうになっているわけですね。そう考えますと、この子供の関連予算の倍増も喫緊の課題であろうと。それをいつまでやるか。これについては先ほどお話がありました、骨太の方針というふうにありましたけれども、やはりこの段階でしっかりと打ち出すこと、やはり目標を掲げて、もちろん財源の問題もあります、そういうのは重要だと思いますが、それについてどう思われますか。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的な考え方として、先ほど申し上げたように、子供の視点に立って、必要な政策は何なのかをしっかり議論をした上で、その財源について社会全体でどのように負担をするのか、こうした考え方を整理をし、その上で倍増の議論を進めていかなければならないと思います。そして、その一つの目安として、先ほど申し上げました来年の骨太の方針、これを考えていきたいと思っています。

 予算はもちろん大事ですが、それを社会全体でどう負担していくのか、こうした考え方もしっかりと議論を詰めていく、こうした点が重要であると認識をしております。

高木(陽)委員 子供の教育、保育、この経済的支援を見てみますと、今現在、例えば児童手当、これは生まれてから中学校三年生まで、まずあります。幼児教育、保育の無償化、先ほど申し上げましたように、三歳から五歳まで、これは所得制限なく、又はゼロ歳から二歳児は住民税非課税世帯、これは無償化。小中学校、これは義務教育でございますから授業料は無償ですけれども、例えば教科書の無償配付、公明党は頑張ってやってまいりました。低所得者に対しましては学用品の支給、学用品費ですね。また、高校は、所得制限がございますが、私立高校にも実質的に無償化がスタートしております。また、高等教育に関しましても、給付型奨学金など手当てをし始めて、又は授業料の減免等もスタートしています。

 その中で、このパネルをちょっと見ていただきたいんですけれども、この左上、これは年齢別に見た一般労働者の平均年収でございますが、二十五歳から二十九歳、これは三百六十万円。その下を見ていただきますと、初婚の年齢は、夫二十七歳、妻二十六歳が最も多い、最頻値。第一子が生まれる年齢は、父二十九歳、母二十九歳となっております。全ての人ではありませんが、学校を出た後の奨学金の返済は、借入が三百二十四万円、返還に約十四年強、年平均二十二万円の返還額となっている。さらに、〇―二歳児の保育料は年平均五十万四千円。

 右上をちょっと見ていただきますと、先ほど無償化と言いましたけれども、〇―二歳児は、未就園の子は六二・五%います。保育所、認定こども園などに三七・五%通いますが、この無償化というのは先ほど申し上げた住民税非課税世帯ということで、余り恩恵を受けていない。公的支援が薄い中、力を入れていく必要があるのではないか、この〇―二歳児。

 ただ、お金を配ればいいという話じゃないんです。今現在、核家族が進み、親も高齢化して、親にも頼れない中、保護者が孤立し、虐待リスクが高まるなど、おそれがあることも指摘されており、民間の調査でも、未就学児家庭の方が子育てで孤独を感じやすいという結果も出ている。

 そこで、公明党としては、全ての妊娠、子供、子育て世帯に対して、妊娠時からつながり、様々なニーズに即して必要とする支援につながるなど、伴走型の支援をしていく仕組みの創設が必要であろうと。それとともに、特に妊娠、出産時の孤立化を防ぎ、支援につながりやすくするための経済的支援を一体として実施することを、今回の経済対策に対する提言において、これは提案をさせていただきました。

 経済的支援は、例えばおむつやマタニティー商品など出産、育児関連商品のクーポンや、産後ケアや家事支援サービスの利用の負担軽減に使えるなど、これは地方自治体の創意工夫により実施できるものを提案しています。と同時に、一度限りのものではなくて、来年度も継続的に実施していくことを求めています。

 公明党として、先週の十二日、視察、三鷹市に行きました。全ての妊婦さんに対して、妊娠届が出された後、保育士や助産師などがお話を聞くというゆりかご面接をこの三鷹市では実施しております。その後、必要な支援に継続的につないでいく取組を実施しておりまして、九割以上の方が面接を受けて不安解消になったと伺っています。そして、このゆりかご面接により、いわゆるリスクのある妊婦さんを見つけることができ、出産前からサポートにつながっている。そして、このゆりかご面接に来られた方に対して、全国どこでも使える、三鷹市では商品券、ここでは商品だけではなくてタクシー券やサービスの利用も入っています、この一万円分が渡されている。大変喜ばれております。

 特に、子育てには、先ほど申し上げたようにお金がかかる中で、そのため、低年齢児支援以外にも、教育の充実や奨学金制度の拡充、子供医療費の助成など、世代別、様々な総合的な支援が必要であり、これらを、公明党として、間もなく、子育て応援トータルプランとして提案をしていく予定でもございます。

 公明党と地方のネットワークでこれを実現していこうと決意をしておりますが、妊娠時から出産、育児に寄り添った相談支援、一体的に行う伴走型支援を中心に、この伴走型支援というのが重要です、産前産後のケアサービスや一時預かりの利用料の減免、また、先ほど言った、東京都が、三鷹だけではありません、コロナ対策の一環として、出産、育児関連用品の、クーポンなどを通じた現物支給などを行いました。

 これらのパッケージで支援をしていくべきだと思いますが、総理はどのようにお考えか、伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、先週、御党から経済対策について御提言をいただきました。

 そして、十四日に御党の山口代表から、とりわけ子供、子育て支援について、支援が手薄なゼロ歳から二歳の低年齢期に焦点を当てて、妊娠時から出産、子育てまで、身近な伴走型の相談支援と経済的な支援、これを合わせたパッケージとして充実したい、継続的に実施をすることを考えたい、こうしたお話を伺いました。

 これを重く受け止めて、今月末に取りまとめる総合経済対策にこれを盛り込むことについて、お互い確認をしたところであります。

 今後、具体的内容を検討し、これから総合経済対策を策定する中で詰めていきたいと考えております。

高木(陽)委員 ありがとうございます。

 しっかりと支援をするだけではなくて、これは継続的にやることが大変重要でございますので、その点もよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、子供の医療費の助成について伺いたいと思います。

 実は、この子供の医療費助成、各自治体で様々行っておりますが、対象年齢や病気、家庭環境など、状況に応じて、これは自治体でかなり格差がございます。

 子育て支援の観点から、例えば、この市に行ったらこんなによかったのに、自分の市では大変苦労している、こういう話もありますので、ここは国が一歩乗り出して、例えば東京都は十八歳まで医療費助成をやろう、こういう流れになっておりますが、国が乗り出して、医療費助成の拡充をするべきだと考えますが、その点はいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の子供の医療費助成については、各自治体において、地域の事情に応じて対応していただくのがふさわしいと考えており、各自治体で実施している子供の医療費助成制度、これを全て国の制度として実施することは、助成内容等について地域差があること、あるいは厳しい医療保険財政を勘案すると、課題は大きいと考えております。

 しかし、子供政策については、先ほど申し上げたように、政策を整理し、それを社会全体でどのように支えていくのか、こうした議論を進めていきたいと思います。その議論の中で、子供政策の充実という観点から考えていく課題であると思います。

 御指摘の予算の在り方についても、改めて社会全体として考えるべき課題であると認識をいたします。

高木(陽)委員 課題としては認識していただきましたので、是非ともこれを推し進めていただきたいと思います。

 次に、奨学金制度の見直しについて伺いたいと思いますが、先ほどの〇―二歳児のところでもちょっと触れました奨学金の返還、これは平均で三百二十四万円、十五年近くかけて返還している。

 本来、奨学金というのは、欧米は給付型が当然で、今の奨学金というのは、これは教育ローンだと、要は借金ですから。そういうことをもう一回私たちは認識しなきゃいけないんじゃないかな。

 その中で、まずは早急に給付型、これを拡充していただきたいと思うんですが、今現在困っている人、これは、返済をしたいのに返済できない現状、これが多くあります。

 現行の減額返還制度の年収要件、これは、経済的理由により奨学金の返還が困難な方の負担を軽減されるよう、三百二十五万円以下としております。しかし、いわゆる学校を出て働き始めて、しかも、例えば結婚する、先ほど言った様々な形で負担が増えている中で、年収三百二十五万円以下だけでは、これはちょっと大変厳しいんじゃないか。それ以上の年収であっても、今言った出産、子育て、またそういったもので一時返還が厳しい、そういうために、ライフイベントに応じた仕組みの返還が必要である。

 これはちょっと文科大臣にお伺いをしたいと思います。

永岡国務大臣 高木委員にお答えいたします。

 貸与型奨学金を利用いたしまして返済中の方のうち約三分の二の方々が四百万円以下、年収でございますが、四百万円以下でございます。

 例えば、結婚後も夫婦共に返還を続け、出産等のライフイベントによりまして、奨学金返還の支払いが一時的に大変難しくなる場合がございます。

 こうした観点から、五月の十日の教育未来創造会議におきまして、無利子、有利子にかかわらず、また現在返還中の方も含めて利用できる減額返還制度を、ライフイベント等も踏まえまして、返還者の判断で柔軟に返還できるよう見直すことが提言をされました。

 文部科学省といたしましては、この提言や、本日先生からいただきました御提言も踏まえまして、現行の年収基準の緩和など、制度の見直しに向けましてしっかりと検討してまいります。

高木(陽)委員 今、文科大臣から、見直していくというお話がありました。

 今パネルにありましたように、現状は二段階なんですけれども、更に刻みを多くして、例えば四百万円ですとか、そういうような形で柔軟にやっていくことが必要であろうな。この拡充によって利用者が増加する、まあ、増加するというのはそれだけ苦しいという話なんですけれども、ただ、いわゆる長期化するわけですね、返す額が。いわゆるずっと長い間かけて返す、少ない額で返していくわけですから。

 ここで問題は有利子なんですね。有利子の奨学金の利用者、この方々が、長期になりますと利子の負担がずっと増えていきますから、結局、返還をするその額が増えてしまったら全く意味がないねということなわけです。

 そこで、この期間の長期化で、利子により返還額が増えれば、拡充しても利用しなくなるというこのところで、これは、この有利子奨学金の利子については国が負担すべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。まさにこれこそ教育の支援に当たるわけですから、この点について総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、月々の返済額が減少することによって返還期間が延長する、よって利子負担が増加する、これは御指摘のとおりであります。

 減額返還制度については、教育未来創造会議の提言において柔軟に返還できるよう見直すことが提言され、先般作成した工程表において、令和六年度から見直し後の制度を導入する、こうしたタイムスケジュールを確認しています。

 今後、そういったタイムスケジュールに向けて制度の詳細を詰めていくことになります。利息負担の在り方についても、今の御指摘を念頭に置きながら、その議論の一つのポイントとして検討をしてまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 午前の部の時間がやってまいりました。

 その中で、先ほど申し上げました、公明党、一年かけて、子育て応援トータルプランというのをずっと議論してまいりました。これは一年、二年でできる話じゃないと思うんです。やはり時間もかかる、財源も必要、そういった部分では、私が思うのは、与野党関係なく、この部分は、本当に子育ての問題というのは一体となってこれはやっていかなければいけない問題だな、そういうことを申し上げまして、午前の部の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高木陽介君。

高木(陽)委員 午前に引き続きまして、あと三十分間、質問を続けさせていただきたいと思います。

 午後はちょっと順番を変えまして、午後の冒頭は旧統一教会をめぐる問題について質問させていただきたいと思います。

 まず、旧統一教会の問題に関しまして、関係省庁が合同の電話相談窓口を先月開設をいたしました。当初の五日間だけで一千件を超える相談が寄せられています。中には、相談をできない方々もたくさんいらっしゃると思います。現に悩み苦しんでいる多くの人たちがいるということ、そうであれば、その人たちに寄り添って、実態を分析し、対策を強化していくのは政治として当然のことであると思います。

 先月五日から二十二日までありました相談は、多岐にわたりますが、七割が金銭のトラブル。総理は、所信表明演説で、消費者契約に関する法令等の見直しの検討に言及をされました。我が党も、有識者や省庁からのヒアリング、意見交換を行い、被害者の救済、被害の防止のための実効性のある対策をどのように講じていくか、精力的に議論を重ねてまいりました。

 既に生じている被害の対応につきましては現行法で対応することとなるが、消費者問題の相談に応じる職員等のスキルアップに向けた研修を始め、相談対応の人的、物的体制を強化し、被害者の救済をしっかりと図っていく必要があると思います。

 他方、新たな被害の防止につきましては、これまでの裁判所の裁判例なども精査をいたしまして、被害者にとって使い勝手のよい法制度に見直していく必要があります。

 具体的には、既存の消費者関連法の見直しの検討だけではなくて、悪質な寄附の要請を規制する新たな立法の検討を含め、被害の防止に万全を期していくことが必要と考えますが、総理の御意見を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 旧統一教会につきましては、まず、この八月、被害者救済の観点から、相談の体制や相談機関を強化する方向で検討し、連携して対応に万全を期す、こうした指示を行ったところであります。集中相談期間を設けるなど相談体制を強化するとともに、消費者庁において有識者会議を開催し、そして、本日、その取りまとめを行ったところであります。

 こうした相談状況、また有識者の御意見も踏まえて、午前も申し上げましたが、まずは、旧統一教会に対し、宗教法人法に基づく報告徴収、質問権限を行使し、事実把握、実態解明を進める。また、現状の法制度では救済されない方々がいることを踏まえて、消費者契約法等の改正により契約の取消権の対象の拡大を行う。加えて、取消権の行使が現実的に難しい期間があることを踏まえて、取消権の行使期間の延長を行う。そして、被害者救済に向けて、既に実施している法テラス、消費生活センターの相談体制の強化に加え、児童虐待などの子供への被害の防止に向けた対策の強化、いわゆる宗教二世、三世の方の進学や就労の支援などの取組を強化する。そしてさらに、寄附についても、法制的対応の是非、これを検討してまいります。

 このように、宗教法人法に基づく実態把握と、そして被害に遭われている方の救済と、そして今後のこうした事態が発生することを防ぐということ、この三点を並行して政府としてしっかり取り組んでいかなければならない課題だと認識をしております。

 こうした対応を可能な限り早期に実行に移すよう、本日、河野大臣、葉梨法務大臣、永岡文科大臣に指示を出した次第であります。

高木(陽)委員 ただいま宗教二世の問題にもちょっと触れられました。さきの電話相談、親族間の問題、心の悩み、生活困窮を訴える宗教二世からの相談も一定数含まれておりました。親の信仰によって生活が困窮し、進学を諦め、将来に希望を見出せないでいる宗教二世が少なからずいるということは事実、ここにも政治の光をしっかりと当てていかなければなりません。もちろん、親の信仰の影響を受けつつも、自らの意思で信仰を行い、生きがいのある人生を送っている宗教二世もおりますし、信仰というより親子関係の問題が主な原因となっているケースもある。十把一からげでは論じることができない部分もあると思います。

 だからこそ、実態を正確に把握した上で、例えば虐待がある、親が子供に対して虐待若しくはネグレクトしてしまう、こういうような問題があれば、その対応の強化を図る。また、宗教に関する相談は様々な要因が絡み合うことが多いため、関係機関の連携を深めて、相談者に寄り添う、いわゆる被害者に、いわゆる本当に困っている人に寄り添った丁寧な支援という、この強化が必要であると思います。

 この宗教二世の問題にどのように取り組んでいくのか、総理に伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議、ここで設置した相談窓口には、お尋ねのいわゆる宗教二世の方々に関するものも含め、親族間の問題、心の悩み、また生活困窮等の相談が寄せられていると報告を受けています。

 こうした状況を踏まえて、精神的な支援等の充実や子供の救済という観点から、精神科医療機関の紹介対応の推進、また生活困窮者への自立支援の推進、スクールソーシャルワーカー等による支援の推進等の取組を強力に推進することとしております。

 委員もおっしゃったように、実態に即して、そしてその実態にしっかり寄り添った形で支援をさせていただかなければならない。そういったことで、窓口につきましても、午前中も触れさせていただきましたが、省庁横断的なネットワークをつくる形で、法律問題はもちろんでありますが、子供の救済ですとか、いわゆる宗教二世の問題ですとか、そういった実態に即した相談体制を用意し、それを必要とする省庁につなげることによって具体的な支援につなげていかなければならない。こうしたきめ細やかな対応が重要であるという認識を持って、政府として取り組んでいきたいと考えております。

高木(陽)委員 被害者がいるということ、これをしっかりと認識をしながら、その一人一人に寄り添う、これが最も重要なことでありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 消費者問題の対策のみならず、この二世問題、いろいろあります。それとともに、宗教法人法を適正に運用していくことも重要でありますが、先ほど、自民党の宮崎委員の質疑ですか、有識者などによる専門家会議を新たに立ち上げ、その意見を聞きながら、宗教法人法に定められている質問権、また報告徴収権を行使する際の基本的な考え方、基準を整理する、その上で、その基準にのっとって、旧統一教会に宗教法人法を適正に運用しているのか、こういったことの答弁が永岡文科大臣からもございました。

 このような手順を経て宗教法人法を適正に運用していくことは極めて重要なことと考えますが、先ほどの答弁では、今月二十五日にも専門家会議の検討をスタートさせることだったのですけれども、この会議で基本的な考え方、基準を明確に整理された上で、この報告徴収、質問権を適正に行使していただくよう強く求めたいと思います。これは、答弁は結構でございます。

 このようにして、これだけ、安倍総理が亡くなられてから、この問題というのがかなり社会的問題としてクローズアップされております。これは当事者だけではなくて、多くの人たちが関心を持っている。だからこそ、その多くの関心を持っている方々の認識は、やはり、先ほどから申し上げている、被害者がいる、困っている人がいる、そういうところにしっかりと視点を当てて取り組んでいただきたいと思います。

 さて、次の質問に移りたいと思いますが、子育て、そして省エネ住宅の問題でございます。

 昨年十月に閣議決定されました地球温暖化対策計画におきまして、二〇三〇年度、温室効果ガスの排出量につきましては、二〇一三年度比四六%の削減、野心的な目標というふうに言われています。このうち、住宅分野においては、二〇一三年度比で六六%減、半分以上減らすと。他の分野よりも大幅な削減を達成する必要があります。エネルギー収支をゼロ以下にする住宅、いわゆるZEHの推進を始め、既存住宅についても省エネの改修が必要です。

 令和三年度の補正予算で創設されましたこどもみらい住宅支援事業は、カーボンニュートラル、これを大きく推進する、又は子育ての世帯をしっかり支援する。さらには、住宅、これは裾野が広いですから、例えば、一つの住宅を造れば、それに関連する消費、経済再生に大変寄与する。ところが、今現在、物価高、資材高騰によって住宅価格が高騰をしておりまして、住宅投資に影響が出始めております。

 パネル、今出しました、資料を御覧ください。

 可処分所得が伸び悩む一方、食費、エネルギー費の負担は増大している。住宅取得の上昇によって、ローン返済必要額、毎月十二万円が十四万円となっている。住宅取得を取りやめたり、これによりまして先送りする。

 カーボンニュートラルにとって大きな問題となるのは、このZEHを諦めて、より安価な仕様、いわゆる昔の住宅ですね、これを選んでしまう。そうなりますと、住宅ですから、数十年間その省エネじゃない住宅がずっと生き残ってしまう、こういう現実がございます。

 つまり、このこどもみらい住宅支援事業というのは、環境問題にとっても最も重要な柱でもあるというふうに捉えますが、これを延長するとともに、十分な期間の支援となるようお願いしたい。あわせて、省エネ改修、住宅リフォーム支援も必要と思いますが、これについてはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のこどもみらい住宅支援事業については、経済波及効果の大きいこの住宅分野において、省エネ性能の高い住宅ストックの形成や、子育て世帯等の住宅取得に効果を上げているものと認識をしております。

 そして、今委員の方から御指摘があったように、現状、住宅価格等が著しく上昇している、そういった中で、安価な住宅に流れる、こういったことも考えられる。こうした現状についてしっかり思いを巡らせた上で、こうした取組、このこどもみらい住宅支援事業といった取組、引き続き重要であるという考え方から、効果的な支援の在り方について議論を進め、必要な施策をしっかりと推進していきたいと存じます。

 御指摘の点、しっかり念頭に置きながら、政策のありようを考えてまいります。

高木(陽)委員 前向きな答弁というふうに捉えたいと思いますので、是非ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、防災・減災、これについてまた伺いたいと思います。

 最近の気候変動の影響、自然災害の激甚化、これは本当に顕著であると思います。二〇一一年の東日本大震災、もう十一年前になりますが、これを契機にいたしまして、私ども、自民、公明、政権を奪還して、防災・減災に資する国土強靱化基本法を成立させました。実は、この議員立法、私も関わらさせていただきまして、作り上げた。

 その後、激甚化はずっと進んでおりますので、二〇一八年は七月豪雨があり、台風二十一号があり、北海道胆振東部地震がありました。相次ぐこの自然災害を受けまして、重要インフラの緊急点検を行いまして、特に緊急に実施すべきハード、ソフト対策につきましては、防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策というのを実施しました。さらに、二〇二一年、これは令和三年から、この三か年が終わった後、五か年加速化対策、現在推進中であります。

 この取組の効果の一例を紹介したいと思います。パネル、資料を御覧いただきたいと思います。

 今年も、台風、九月に台風十四号、これは九州の方、大変でした。宮崎県の五ケ瀬川流域、平成十七年、今から十七年前ですね、台風十四号で堤防を越水いたしました。延岡市の市の中心街で千百七十六戸が浸水。ところが、今年の九月の台風十四号、同じ程度の雨量を記録いたしましたが、この三か年、五か年計画で、川底、いわゆる河道の掘削を行いまして、又は築堤、堤防の整備を行いました。これによって、同じ雨量だった、同じ水量だったけれども、今回は、少しちょっと浸水したところもありましたが、それほど大氾濫という形にはならなかった。防止しました。

 しかし、いまだ、戦後最大の洪水、これを想定した、対応した河川整備は道半ばです。また、大規模災害時や交通の確保、不可欠な高規格の道路や、ミッシングリンク、この二車線区間が数多くなっておりまして、各地域、与野党かかわらず、皆さん方それぞれの地域で早くこれはやってもらいたいなと思うところはたくさんあると思うんです。ところが、それがなかなか今できない。五か年でこれを今加速しておりますので、毎年被害が出ている中で、この防災・減災の加速化、深化を図ることが必要だと思いますが、総理はどうお考えか、伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 本年の自然災害において、ダムの事前放流とともに、国土強靱化の三か年緊急対策、五か年加速化対策による河道掘削などの取組により、被害軽減の効果が発揮されているということを認識しております。

 災害が激甚化、頻発化する中で、国民の生命財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすこと、これは我々の使命であり、引き続き、五か年加速化対策、これを推進してまいります。

 今回の総合経済対策についても、国民の安全、安心の確保を柱として掲げて、緊急性の高い施策を進めることとしており、御指摘を踏まえながら、しっかりと対策に盛り込み、防災・減災、国土強靱化に取り組んでまいりたいと考えています。

 さらに、五か年加速化対策後についても、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが重要です。そのために、新たな基本計画の策定など、国土強靱化の着実な推進に向け、しっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 もう一つちょっと指摘しておきたいのが、老朽化、予防保全の問題でございます。

 高度経済成長期に様々に整備した社会資本、これらが今老朽化している。例えば中央自動車道の笹子トンネルの天井板落下事故、ちょうど今年で十年です。ちょうど選挙の前、私たちが野党のときでした。

 このときに、十年たってもう大分忘れていると思うんですけれども、この老朽化対策も待ったなしの状況で、この維持管理、更新費用の増加が見込まれる中、従来の予防保全のままの場合は、一年当たりの費用は、二〇四八年、二十六年後は、二〇一八年度の二・四倍増大すると。ところが、この五か年加速化対策の取組などによって予防保全に転換できた場合、先に、事前防災、予防保全です、これをやりますと、一年当たりの費用は、二〇四八年度には事後保全の場合と比べて五割、半分になると。

 トータルコストの削減のため、この予防保全型の早期の転換が必要だと思いますが、これについてお答えいただきたいと思います。

斉藤国務大臣 高度経済成長期につくったインフラ、この老朽化が加速度的に進行しておりまして、老朽化対策は喫緊の課題です。

 国土交通省としては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策も活用し、早期又は緊急に措置が必要なものから、順次、集中的な対策を実施しているところです。これらの集中的な対策とともに、施設に不具合が生ずる前に措置を講ずるという、先ほど高木委員おっしゃった予防保全、この予防保全型のインフラメンテナンスが極めて重要であると考えております。

 このため、新技術も活用しながら、計画的かつ効率的な点検や修繕を行うことなどを通じて、予防保全型のインフラメンテナンスへの本格転換を図っているところでございます。事後保全から予防保全に根本的に転換してまいります。このことにすることによって、先ほどお話がございました、一年当たりの維持管理や更新に要する費用が三十年後には約五割縮減できるもの、このように考えております。

 これは国の事業だけではなく、都道府県、市町村の事業についてもこのような考え方で予防保全が徹底できるよう頑張ってまいります。

高木(陽)委員 公明党は、新たな防災・減災・復興政策検討委員会というのがありまして、また、防災・減災・国土強靱化推進プロジェクトチーム、これが合同で、今年に入って様々なヒアリング等々をやってまいりました。

 各自治体からいろいろ聞くと、五か年加速化対策はありがたい、ただ、それだけではまだ足りないんですと。まだ安全確保できません、できれば、財政的な支援とともに中長期的な対策を望む、これがほとんどでした。

 五か年加速化後も防災・減災、国土強靱化を安定的、着実に進めるためには、必要な事業を定めた実施計画、これを今まで以上、より確実なものとする必要があるんですが、総理の考えを最後にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほども五か年加速化対策後についても申し上げさせていただきましたが、中長期的かつ明確な見通しの下に、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが重要であると認識をしております。

 そのために、先ほども触れさせていただきました新たな基本計画の策定など、国土強靱化に向けた提言を、継続的、安定的に取組を進める、こうした考え方の下に政策を用意していきたいと考えております。

高木(陽)委員 要は財源、お金が必要なんですね。

 実は、私たちはずっと長年与党をやってきて、公共事業は悪だ、こういうようなイメージがかなりありまして、ところが、命を守るのが私たち政治の仕事です。これだけの激甚化する災害の中にあって、例えば河川の改修をする、堤防を造る、又は道路を開通させる、そういうことをやったときに、やはりこれは必要なことであって、それをやる。

 ところが、それをやろうとすると、結構反対する。実は、もうかなり前なんですけれども、野党の方はその予算を反対して、ところが、その道路の開通式になると一緒に出てきてテープカットをしている、こういう場面もいっぱいありました。そうではなくて、命を守るのが私たちの仕事であるということを、これも与野党確認をしながら進めてまいりたいと思います。

 そういった中で、続いて、訪日外国人旅行の消費五兆円という問題について。

 このコロナ禍で各産業、大変厳しい状況でございますが、観光関係は特に、コロナ禍で人が動かなくなった、これで大打撃を受けました。ようやく十一日から水際対策が緩和された。入国者の上限が撤廃、又は個人の外国人旅行客も解禁。折からの円安。インバウンド、これを回復させるチャンス。

 総理は、所信で、外国人の旅行者年間五兆円超の消費、これの達成を目指すと言いましたが、大切なのは具体策です。これをどのように五兆円にするか、伺いたいと思います。

斉藤国務大臣 先週、観光立国推進閣僚会議がございまして、岸田総理から、訪日外国人旅行消費額について、円安のメリットも生かして速やかに五兆円超を達成することを目指し、集中的に取り組むことと指示がございました。コロナ前が四・八兆円ですので、それを上回る額でございます。

 具体的には、インバウンドのV字回復に向けて、全国各地で特別な体験、例えば、通常は公開されない寺社仏閣を公開するとか、また、大自然の魅力を生かした新たな体験を提供する、こういうことを通して、世界に対して日本の観光が再始動したことを積極的にアピールし、誘客の促進につなげてまいりたいと思います。事消費の推進。

 それから、消費単価の高い旅行者層の誘客ということについては、観光消費の旺盛な高付加価値旅行者、いわゆる外国人富裕層の誘客に向けた高付加価値なインバウンド観光地づくり、これは宿泊施設などがそれに当たります、こういうことにも取り組んでいきたいと思っております。

 今回の総合経済対策では、これらの政策をパッケージとしてまとめ、インバウンドの本格的な回復、拡大に向けて、この五兆円の目標を達成したいと思います。

高木(陽)委員 このコロナ禍の間は、観光業にとって、従業員、これも離れざるを得なくなりました。特に、これから観光の再生、人材不足をどうするか、また、これまでの生産性の低さ、デジタル化の遅れ、構造的な問題にどう対処するか、こういったこともあります。これはもう答弁要りません。そういったことも含めて、国交省、観光庁を含めて政府を挙げてしっかり対応していただきたいということを要望いたします。

 続いて、中小企業、これも大打撃。御存じのように、日本の場合には中小企業は日本の企業の九割。そうなりますと、ここがどういうふうに再生するかがまさに日本の再生。ところが、コロナ禍において、実質無利子無担保、ゼロゼロ融資、この融資で中小企業は助かりましたけれども、いよいよ返済が本格化します。総理もこれまで言われておりましたが、借換え保証、又はリスケを申し込んでも他の融資を止められるのではという不安から、申込み自体が難しいとの声も聞いておりますが、どう対応するか、お答え願います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 大変重要なポイントだと思っております。まさに、コロナの長期化、そしてさらに原油価格、資材の高騰、こういったことによって大変な状況に、今厳しい状況にあると思いますが、今後、融資の返済は本格化を迎えますので、しっかりと対応していきたいと思います。

 その中で、既にありましたけれども、返済負担を軽減するために、例えば、一〇〇%保証のコロナ融資は一〇〇%保証で借り換えられる保証制度の創設、これを実現していきたいというふうに思いますし、さらに、政府としては、官民の金融機関に対して、事業者から債務条件の変更等の申出があった場合には、まず、実情に応じて迅速かつ柔軟に対応すること、そして二つ目に、今後に向けて新たな資金などについて貸し渋りを行わないこと、それから、丁寧かつ親身になって対応すること、こういったことを繰り返し要請をしてきておりますので、是非、中小企業の皆さんには率直なところをお話しをいただければと思いますし、その結果として、条件変更の応諾率は約九九%と、多くの事業者の申出が応じられているところであります。

 それでもなお増大する債務に苦しむ事業者に対しては、各地の中小企業活性化協議会による債務の減免なども含む再生支援もございます。

 そうした取組を円滑に進むようにしたいと思いますが、いずれにしても、中小企業の皆さん、是非、各地の相談窓口あるいは金融機関に率直にお話しをいただいて、私ども、しっかりと寄り添ったきめ細かな支援を行っていきたいというふうに思います。

高木(陽)委員 もう時間が参りましたので、マイナンバーカードはちょっと質問できないので、一つだけこれは申し上げておきたいと思います。

 保険証との一体化を進める、これはこれで様々なメリットがございますが、課題も多いということ、これは河野大臣も御存じ、又は加藤厚労大臣も御存じのことだと思います。大切なことは、本当に利用者が納得をしてそうなっていくことだ。そのためには、課題を一つ一つ、マスコミでは様々なことが言われています、でも、それを一つ一つ解決して最終的な決着をつけていただきたいということを御要望を申し上げたいと思います。

 最後に、これは質問ではなくて、今日一時間、総理とこうやって議論させていただきました。これまで総理と長いおつき合いをさせていただく中で、聞く耳、そして冷静に判断をされる、興奮をされない、いろいろな総理の穏やかな雰囲気、これはすごく伝わってきます。一方で、今、本当にこの激動の時代、今冒頭に申し上げた、国民は、本当に大変な中で、政治が何をやってくれるんだろう、こういう期待をしている。

 そのためには、例えば、マックス・ウェーバーが、政治家の資質で情熱、又は判断力、責任感、こういう三つを挙げられました。やはり熱を感じることが必要だと思うんです。別に、大きな声を出してしゃべれという話じゃないんです。ああ、総理はこれを真剣にやっているな、国民のことを思っているぞというこの熱を伝えるようによろしくお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡田克也君。

岡田委員 立憲民主党の岡田克也です。

 今日は、神奈川十三区選出の太栄志さんにお手伝いをいただきたいというふうに思っております。

 さて、総理と同じく、私も国会、もう長くなりました。この十年間の国会を見ていまして、かなり問題があるなというふうに認識しているんです。特に内閣と国会の関係が相当ゆがんでしまっている、これはやはり民主主義の基盤を壊しかねないという危機感を持っております。内閣と国会の関係ですから、私、与党の国会議員の皆さんも同じような危機感を持っておられる方は実はいらっしゃるんだろうというふうに思っております。その観点でまずお話をさせていただきたいと思います。

 ここに六つ書きましたが、例えばこの一、二、三ですね。公文書、国会の議論のベースになるもの、それが時に隠されたり、あるいは廃棄されたり、あるいは真っ黒に黒塗りされて出てくる、そういうことが増えたと私は思います。

 そして、二番目。国会で事実に反する答弁がなされる。率直に言うと、安倍総理の、元総理の桜を見る会の前夜祭における答弁は、これは事実ではなかったということはもうはっきりしています。

 そして、国会で確認された法律解釈、例えば検察官の定年の問題、これは国家公務員法の適用はないという国会で確認されたその解釈が、いとも簡単に変えられようとした。

 こういうことについて、総理はどういうふうにお考えですか。やはり問題があるというふうに思われませんか。

岸田内閣総理大臣 内閣と国会との関係について様々な御指摘がありました。

 一つ一つについては様々な議論が行われてきたものだと承知しておりますが、一般論として、例えばここに御指摘いただいております公文書の管理、これは、現在及び将来の国民に対して説明責任を全うする、あるいは民主主義の根幹であるということから、極めて重要な政策だと思います。

 そして、それ以外の、国会における議論についても御指摘がありましたが、国会の議論について真摯にかつ丁寧に行われること、これが重要であるということは言うまでもないと認識をいたします。

岡田委員 総理の言われたことはごもっともなんですが、ただそれが、この十年ぐらい、かなりおかしくなっているということを私は指摘をしたいんですね。

 総理もなかなかお答えにくい部分はあるんだろうと思います。前任者あるいは前々任者の話になってしまうかもしれない。だけれども、やはりこういうことは繰り返さないという、そこは固い決意を持って、これから国会での議論というものが実り多きものになるようにお願いしたいというふうに思っています。

 この四のところはいかがでしょうか。

 憲法五十三条は、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と書いてある。しかし、例えば、これは安倍元総理のときなんですが、九十八日間開かれなかった。おまけに、その後、議論することなく解散をされたわけですけれども、召集を決定しなければならないというふうに憲法に書いてありながら、九十八日間開かないというのは、やはり私はおかしい、異常だというふうに思うんですね。

 今回、私たち野党五党一会派は、四分の一以上の要求があった場合には、二十日以内に国会召集を内閣に義務づけるという法案を提出をいたしました。二十日という数字は、実は、自民党の憲法改正草案の中にも入っている話なんですね。

 是非、この法案について、私は、内閣総理大臣として、議論すべきだということをこの場でおっしゃっていただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 野党の国会開会要求に対して、内閣としてどのように応じるかということについては、憲法の要請は、要は、合理的な期間内に内閣としてそれに対応しなければいけない、こうした要請であると認識をしております。

 そうしたことから、今回の国会開会に当たりましても、国会のことですので与党とも相談をしながら、この臨時国会において、感染症法等の改正案等重要法案、あるいは補正予算、こうした臨時国会で審議すべき事項等も勘案した結果として、十月三日に臨時国会を召集する、こうした決定を行ったものであります。

 御指摘のように、過去の内閣において、今回より長かったケースもあり、また短かったケースもあります。それは、その時々の政治課題、政治情勢の中で、国会を開会するに至るまでの準備等も勘案した上で合理的な期間を判断していったものであると認識をしております。

 そして、今回、議員立法を提出されたということに対してどのように対応するのかという御質問でありますが、こうした合理的な期間に上限を設けるかという議論、これは従来からありました。こうした議論について問題提起をされたものであると認識をしております。

 ただ、これは議員立法でありますので、今政府としてそれに対して直接申し上げることは控えなければならないと思います。

 是非、議員立法として国会においてしっかりと取り扱い、そして議論をしていただければと思っております。

岡田委員 総理、そういう答弁をしているから支持率が下がっちゃうんですよ。これは単なる議員立法じゃなくて、内閣と国会の関係について一定の規制を入れる、そういう法案ですから。与党と野党で話し合ってくださいじゃないんですよ、だから私がここであなたに質問しているわけです。やはり必要だと思いませんか。

 先ほど合理的な期間とおっしゃいました。御自身の今回の解散について言われたんだと思いますが、例えば、九十八日間開かなかったことは合理的な期間なんですか。やはり適正な一定の期間というのがあってしかるべきじゃないですか。誰が考えてもそうだと思いますよ。御賛同いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 合理的な期間につきましては、先ほど申し上げたように、そのときの政治状況ですとか国会における議論される課題であるとか、そういったものを総合的に考えて判断すべきものであると思います。そのときの内閣が責任を持って合理的な期間を判断をし、そして提案させていただく、こうしたことであると認識をしています。

 そして、一方で、御指摘のように、内閣とそして国会との関係において、その合理的期間に上限を設けるべきであるかという議論がある、これはそのとおりであります。これについては与野党しっかり議論を行うこと、これは重要なことであると認識をしています。

 ただ、内閣においては、先ほど申し上げました、合理的な期間を内閣の責任でもってしっかり判断をし提案をさせていただく、こうした方針を維持しているということであります。

岡田委員 合理的な期間という、それを内閣が判断していることが問題なんですね。

 先ほどの九十八日間のときには、森友やあるいは加計学園の問題で答弁ができないような状況。だから、それをずっと引っ張って、いきなり解散したわけですよ。これは合理的ですか。内閣から見たら生き残りのために合理的かもしれないけれども、この国の民主主義から見て、それは合理的ですか。

 今回の、岸田総理も、私たちは八月十八日に臨時国会の召集要求をして、十月三日に召集されたわけですね。この間何があったかというと、やはり国葬問題をめぐる混乱であったり統一教会の問題があって、だから、しばらく熱を冷ましたんじゃないんですか。

 だから、内閣の都合によって決められるような合理的期間であっては駄目なんですよ。そういう意味で、きちっと一定の期間を、上限を入れるべきだというこの合理的な主張について、総理の御答弁をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 合理的な期間に対する内閣の判断というのは、その時々の政治課題をしっかり念頭に置いて判断していかなければならないと思います。

 今、国葬の問題あるいは統一教会の問題、御指摘がありました。しかし、今、日本の置かれている状況、このウクライナ情勢を受けて、世界的な物価高騰の中で国民の命や暮らしを守るために何をしなければならないのか、そうした経済対策のためと、補正予算、これを用意しなければいけないなど……(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 国会開会に向けて、様々な内閣としての取組が求められていると認識をしています。そうしたことも踏まえて合理的な期間を判断するということであります。

 今回につきましても、そうした観点から政府として総合的に判断し、この期間を判断した、こうした次第であります。

岡田委員 全く合理的じゃないと思うんですね。

 我々が求めた八月十八日に、経済対策をつくっておけば、これからでしょう、政府から出てくるのは。予備費はやりましたけれどもね。やはり遅過ぎたんですよ、物価が上がることは分かっていたわけですから。だから、決して合理的だとは思わないし、私たちはもっと早くすることが合理的だと思うから、国会の召集を求めたわけですから。

 ここは、総理も一定の限定を入れることについては必ずしも否定しないと思われますけれども、しっかり与党に対して、これは野党がほぼそろって共同提案している法案ですから、しかも、国会と内閣の関係という非常に基本的なところの法案ですから、これが棚上げされて議論すらされないという、そういうことには絶対しないと、その決意だけお聞かせいただけますか。

岸田内閣総理大臣 国会での議論、国民の代表である国会での議論、これが重要であるということは言うまでもありません。

 先ほど経済対策等についても御指摘がありましたが、四月、七月、九月と切れ目なく対策を講じてきた、その次のタイミングはいつなのか、それに伴う補正予算をどう用意するのか、このタイミングという点においても、経済対策においていろいろ考えなければいけない点があった、それらも含めてその合理的な期間を判断したということであります。

 その判断につきましては、こうした御指摘を受けながら、丁寧に説明をしていきたいと考えております。

岡田委員 その予備費がまた問題なんですね。

 国会の審議を経ないで内閣が勝手にできる、この六番のところなんですが、確かに、新型コロナウイルスの感染が拡大した、どういう事態になるか分からない、最初の年に巨額の予備費を積みました、九・六兆円ですね、それはそれなりに私は合理性があったかもしれないと思っている。だけれども、令和三年度に五兆円積み、そして今年度は六・一兆円ですね、補正も含めて。

 これだけの、一回やっちゃうとやはりこれは楽だから、もうそれが当たり前になっちゃうんですよ。だけれども、国会の重要な役割というのは、法律を作ることと予算を審議することでしょう。それが、今回も総理は三・五兆円の予備費を使って経済対策をやられたんですけれども、国会を開いて補正予算の形で本来やるべきことだったと思うんですよ。国会開会の直前ですよ、予備費を手当てしたのは。国会で議論されないまま、勝手に政府が使い放題やっている。これはやはり健全じゃないと思いますね。

 だから、総理、お約束いただけませんか、来年度の予算においてはもうこういう巨額の予備費は置かないという。そうでなくては、これは麻薬みたいなものなんですよ、楽ですから。だんだん使途も、新型コロナウイルス対策から物価対策まで広がって、将来、十兆、二十兆の予備費が当たり前になったら、国会で予算を審議したって意味がなくなりますよ。そうならないための歯止めを来年度予算でしっかりかける、お約束いただけませんか。

岸田内閣総理大臣 予備費については、事前承認、事前議決の例外として憲法八十七条で定められているものであります。例外でありますから、これは基本は事前議決を経る、国会の承認を得る、これが基本であるとは思いますが、やはりこれは、対する政治課題の性格に応じて機動的に対応するという観点もしっかり念頭に置いておかなければならないと考えております。

 新型コロナへの対応についての予見可能性については、今委員の方から御指摘がありました。しかし、一方で、経済の問題、物価高騰についても、ウクライナ情勢を背景とする世界的な物価高騰を背景とした我が国の物価高騰のありよう等を考えますと、ウクライナ情勢の長期化等も言われる中にあって、見通しは大変難しい、こういった課題であるということも強く感じています。そのときの政治課題の性格に応じて、政治が機動的にその責任を果たすためにどのように予算を使っていくのか、これを真剣に考えていかなければならないと思います。

 おっしゃるように、例外的な対応ではありますが、今我々が直面している歴史的な課題の性格や予見可能性、これもしっかり考えた上で、予算について、財政について、政治としての責任を果たすためにどうあるべきなのか、予備費の使い方についてもそういった観点からしっかり説明をしていかなければならないと思います。

 そして、予備費については、事後で決算委員会で質疑の上、御承諾の判断をいただいていることに加えて、コロナ、物価予備費の使用については、国会の御判断も踏まえて、予算委員会理事懇談会で報告や説明を行っている、こうしたことであります。

 こうした様々な工夫を組み合わせる中で、予備費についてもどうあるべきなのか、考えていくことは重要であると認識をしております。

岡田委員 物価の高騰と言われますが、同じような局面は過去にもありましたよね。例えば、第一次オイルショックのときの狂乱物価。だけれども、やはり補正予算で対応したんじゃないですか。今まで、予備費といえばやはり災害とか、パターンは決まっていて、しかし、どこで災害が起こるか分からない、いつ起こるか分からないということで予備費を計上しておいて使った。今は、もう白紙委任みたいな予備費になっているじゃないですか。しかも、額が巨額になっている。これはやはり異常だし、不健全だと思いますよ。

 憲法八十五条で、国費の支出は国会の決議に基づくと規定しています。これは民主主義の一番根幹の部分ですよ。元々イギリスなどで、税金の使い道をきちっと議会で議論すべきだ、国王、勝手に使うなというところから民主主義が始まったんじゃないですか。それが、この日本において、五兆も十兆も勝手に政府が使っていい、そういう予算があって本当にいいんですか。

 ここはやはりきちんと考えないと。それは楽ですから、役人の皆さんも政府も。ですから、どんどんこれはたがが外れたようになってしまうんじゃないかということを私は心配しているわけです。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 予備費については、先ほど、そもそも憲法においても、事前議決の例外として位置づけられていると承知をしております。そして、例外でありますから、基本は委員のおっしゃるとおりだと思いますが、ただ、我々が直面している課題の実情や性格、これはしっかりと考えた上で予備費についても考えないと、機動的な責任ある対応はできないということを申し上げているわけであります。

 新型コロナとの対応についても、次々と変異株が指摘をされる、そして、第七波、次は第八波と言われている波が起こるかもしれない、そのリスクに機動的に対応しなければならない。これは、年単位で予算を考えていくということでは対応できないのではないか、こういった問題意識を持っています。

 また、ウクライナ情勢についても、今年の二月まで、こうした情勢が起こる、こうした物価高騰が起こる、こういったことを誰がどこまで予想したかということであります。

 こうした状況の中で、予備費についても、こうした物価高騰についてもしっかりと予備費を活用することの意味は大きいのではないかと思っております。

 是非、こうした、対する課題の中身、性格等もしっかり考えた上で、予備費について責任のある対応を考えていきたいと思っております。

岡田委員 総理、同じ提案をするなら、国会は年間開けという提案をしてくださいよ。そして、補正予算を機動的にやっていけばいいじゃないですか、そんなに今国難で大変な時期だと言うなら。それが本筋でしょう。それを、国会は開かないわ、好き放題予備費でやるわ、これはやはり異常です。そのことを申し上げておきたいと思います。

 さて、安全保障について。

 今、年末の国家安全保障戦略の策定に向けて、いろいろな議論が行われています。特に今焦点とされているのは、反撃力の問題、それから防衛予算の規模の問題、そういう問題は我が党もしっかり議論を始めていますし、責任ある対応をしていきたいというふうに思います。

 ただ、私はそれだけではないと思うので、ここで二つ、是非政府の中で議論してもらいたいという点を申し上げたいと思うんですが、一つは邦人等の保護の問題ですね。

 Jアラートがうまく機能しなかった、最近記憶に新しい。問題は、シェルターの確保です。これは、十分じゃないと私は思うわけですね。基本的には自治体にお願いする、そういう仕組みですね。これじゃやはり進まない、やはり国がもっと主導権を持って、そして、もちろん具体的には自治体にお願いするしかないと思いますが、もっと自治体にしっかりやってもらえるような仕組みを再構築すべきじゃないかというふうに思うんです。

 核シェルター、これをどうするのか。もちろん限界はあると思いますけれども、やはり中枢の機能はきちっと維持されるようにしなければならないと思うんです。

 そういうことについて、これから有識者会議とか政府の中で、年末に向けてしっかりと議論していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、Jアラートの不都合についても御指摘がありました。

 これについては重く受け止めなければならないと思っていますし、修正、早急に行い、作業は終了しておりますが、再発防止に万全を期していきたいと思います。

 その上で、避難施設について御指摘がありました。

 まず、武力攻撃を想定した避難施設の確保に関しては、弾道ミサイル攻撃による爆風等から直接被害を軽減するために、都道府県知事等が緊急一時避難施設を指定する、このことになっております。自治体任せではないかという御指摘でありますが、政府においては、令和三年度からの五年間を集中的な取組期間として指定に向けた働きかけ、これを行っており、これによって、地下駅舎、地下道、地下駐車場、学校の校舎等、堅牢な建物、これらが新たに指定されるなど、指定は進んでいるところであると認識をしております。

 一方、核攻撃に対する施設でありますが、これは、北朝鮮の情勢等を鑑みれば、現実的に対策を講じていく必要があるという問題意識、これは持っております。諸外国の調査を行うなどして、必要な機能や課題について検討を進めているところであります。

 そして、御質問は、国家安全保障戦略等の議論の中でこれらを議論するべきではないか、こういった御指摘だったと思いますが、新たな国家安全保障戦略等の策定に当たっても、避難施設の確保を含む国民保護の在り方、これは議論しなければいけない重要な課題であると認識をしております。

岡田委員 今年になって大阪や東京の地下鉄駅がシェルターに指定をされました。それは非常に結構なことだと思うんですね。

 ただ、国民保護法ができたのは二〇〇四年です。もう二十年近く前なんですね。今頃そういうことになっているというのは、やはりかなり問題があったと私は思うんですよ。国の指示が、お願いが十分ではなかったのか、自治体の受け止め方が十分ではなかったのか、あるいはその両方か。やはり仕組みとして、もう少し国のリーダーシップが発揮できるような、そういう仕組みに変えた方がいいんじゃないかということを私は提案しておきたいと思います。

 そこで、この国民保護の関係で、一つは、朝鮮半島有事とか台湾有事とかいうことがよく言われますが、そのときに、日本人を無事に、無事なところにきちっと移動させるというのは、これは国の責任ですよね。日本人だけじゃなくて、いろいろな国の外国人の方がいて、そしてそういう人を、朝鮮半島有事とか台湾有事だと、やはり日本にということが一番現実的だと思うんです。そういうオペレーションができるのも、やはり日本とそしてアメリカぐらいに限られるだろうと。

 そういうことの準備はちゃんとできていますかということと、私は、朝鮮半島危機というのは、細川政権のときですから、もうあれから三十年たつのできちんと準備できているはずだと思いますが、念のために、そういう準備はできていますかということ。

 それから、もう一つは避難民ですね。今回のウクライナを見ていても、百万、二百万、あるいはそれ以上の避難民が国外に逃れる。そうすると、朝鮮半島有事とか台湾有事のときに、やはり一番そういう避難民の方が来るとしたら日本。例えば、台湾の人口は二千三百万人ですから、一割でも二百三十万人、二割なら四百六十万人ですね。それだけの人をこの日本国内できちっと受け止めるだけの準備と覚悟はできているのか。

 この二点をちょっとお聞きしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、海外に渡航そして滞在されておられる邦人の保護、これは政府にとって最も重要な責務の一つであり、これは平素から在外邦人の保護や避難が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討、これは行っております。

 そして、その上で、在外邦人の保護や退避、さらには、御指摘の外国人避難民の受入れ、こうしたものも含めて、有事における我が国の個々の対応や計画について個別具体的にお答えすることは控えなければなりませんが、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、政府としていかなる事態にも対応できるよう万全を期していくこと、これは当然のことであると思っています。

 ただ、安全保障環境は刻々と変化をしています。国際情勢は変化をしています。その変化の中にあっても、御指摘の在外邦人保護等が十分できるかどうか、こうしたことについては不断に検討を続けていかなければいけない課題だと思います。

 よって、年末に向けて新しい国家安全保障戦略等の議論を行う中で、この在外邦人保護の在り方についても議論を行っていくべきであると認識をしております。

岡田委員 ありがとうございます。

 在外邦人そして当該国からの避難民、そういったことについてもしっかりと議論をしていただきたいというふうに思います。

 次に、ミサイル攻撃と原発の関係について触れさせていただきます。

 先週の浜田防衛大臣の答弁で、参議院の外交防衛委員会ですが、極超音速滑空兵器や変則軌道で飛ぶミサイルなどは現在のミサイル防衛技術では対応できないという答弁がありました。従来から白書などでもそういったことは触れられてきました。

 現在の技術で対応できないとすると、どうするんですか、総理。そういったミサイルが飛んできて、そして原発が標的になったときに、私たちは福島第一原発の生々しい経験をよく覚えておりますが、場合によっては戦術核を使うよりも更に大きな、広範囲の放射能汚染ということが可能性として予想できるわけですが、これはどうやって対応されるんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国として、こうしたミサイルの攻撃等に対して、これに全く対応できないということを申し上げているものではないと思っています。

 ただ、ミサイルに関する技術、これは急速なスピードで変化、進化しており、迎撃がより難しくなっているということは事実であるという認識をしております。

 ですから、こうした脅威に対応するため、まずは現状のPAC3等の能力向上、こうしたものに取り組んでいく、これを継続し、そして進化させていかなければならないと思っています。そして、それとともに、新たな手段として、衛星のコンステレーションなど様々な技術の活用、これも考えていかなければならないと思っています。

 そして、この年末までに国家安全保障戦略等の文書の見直し等を行うということでありますが、その中で、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討、これを加速していきたいと考えております。

岡田委員 イージス艦やPAC3では対応できない、そういう変則軌道のミサイル、それが存在する、それにどう対応するのかということを私はお聞きしているわけですね。これは年末にかけてしっかりと議論していただきたいと思います。

 それから、私も総理の立場なら、なかなか答弁は苦しいと思います。電力確保というのも一定の必要性は当然あるという中で、じゃ、そういう原発を全部やめてしまうかというと、それは現実的ではないというふうに思うわけですね。だから、電力確保のために、そういうリスクはあるけれども、だけれども現時点では一定の再稼働は認めざるを得ないというのなら、きちっとそれを国民に説明していただけませんか。何か今の答弁を聞いていると、イージス艦やPAC3で対応できるような、でも、それはそうじゃないわけですからね。ここ、どう国民を説得するかというのは非常に大事なところだと思うんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、原発に対する攻撃等が起こり得るということについては、これは規制の問題ではなくして防衛の問題であると認識をしています。

 我が国に対する武力攻撃に対して、イージス艦やPAC3により対応するほか、事態対処法、国民保護法等の枠組みの下で、原子力施設の使用停止命令、あるいは住民避難等の措置、これを準備しているということであります。これをどう機能させるかという問題であると認識をしています。

 あわせて、こうした我が国に対する武力攻撃に対応するに当たって、我が国の取組ももちろん重要ですが、日米で共同して対処する、日米同盟の抑止力、対処力を強化していく、そもそも武力攻撃が発生しないように取り組んでいく、こうした面も重要であると考えています。

 こうした安全保障面から原子力発電所の安全を確保していく、こうした考え方に基づいて取組を進めてまいりたいと思っています。

 そして、それについて委員の方から、そういったリスクについてもしっかり説明をするべきではないか、そういった御指摘でありますが、原子力発電は、エネルギー安定供給の確保のために正面から取り組んでいかなければならない課題だと認識をしています。

 そういったことから、GX実行会議において、年末に向けて専門家による議論の加速を指示させていただきました。

 そして、それと並行して、資源エネルギー庁の審議会において、幅広い分野の有識者によって、エネルギー政策、原子力事業、こうしたことについて議論を行っていただいていると承知をしています。

 是非、こうした様々な議論をしっかり国民の皆さんにも紹介させていただいた上で、理解を得ながら、年末に向けて、政府としての方針を判断していきたいと考えております。

岡田委員 ですから、エネルギーの専門家で議論しても駄目なんですよ。やはり、安全保障の専門家がこの脅威についてどう対応するかと。現実にはそれはできないわけですから、対応が。

 だから、私は、年内、安全保障の議論の中でこの問題もしっかり取り上げるべきだということを申し上げているわけです。

岸田内閣総理大臣 先ほど、GX会議あるいは資源エネルギー庁の審議会の議論を紹介させていただきましたが、冒頭申し上げたように、こうした原子力の安全ということについては、安全保障の観点からしっかり対応を考えていくべきであると思います。

 そして、安全保障については、御案内のとおり、政府において有識者会議を立ち上げて、そして、国家安全保障戦略等の文書の改定に向けて議論を、今様々な場面で並行して議論を続けています。是非、その議論の中でも、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、こういった観点から議論を深めていきたいと考えております。

岡田委員 私は、この問題を議論するときに、何か、十年前のことを思い出すわけですね。つまり、福島第一原発が起こる前。大きな津波は来ない、専門家が、いや、来るんだと言っても、それを来ないことにして、対応を怠った。これは東京電力にも責任はありますし、私は、当時の経済産業省、保安院にも責任はあると思いますよ。

 同じようなことが今起こっているんじゃないかという気がして私はならないんですね。すごく、私、後悔しました、あのときに。私たちも政権を担っていました。まだ政権を担って僅か二年でこの福島第一原発に遭遇しましたけれども、やはり、ミサイルについて技術的に対応できない状態で、いや、それは来ないだろうという前提で議論してしまうんじゃないかと。

 でも、場合によっては、これは甚大な影響が出る話です。だから、そこをしっかり踏まえて、総理、この問題に取り組んでいただきたいというふうに思うんです。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘、まずごもっともだと思います。この問題について、可能性のあるリスクに目をつぶるなどということはあってはならないと考えています。

 そして、この原子力発電の問題については、GXの観点からももちろん重要な議論でありますが、一方で、我が国の今後のエネルギー安定供給という観点からも重要な問題であり、加えて、安全保障面からも重要な課題ということなのだと思います。

 そうした様々な観点からの様々な有識者の意見、これをしっかり寄せ合って議論を深めていくことは重要であると思いますし、その議論を経た上で判断するということが国民の理解にもつながると考えております。是非、こうした丁寧な作業を進めていきたいと考えております。

岡田委員 この問題の最後に、使用済み燃料の問題。

 今、原発の建屋の中に、プールの中に使用済み燃料というのは、いっぱい、満タンと言うと言い過ぎかもしれませんが、置かれている。これは、稼働している原発だけではなくて、止まっている原発もそうなっているという状況ですね。

 私、四年ぐらい前に予算委員会の分科会で議論したんですが、前の原子力規制委員長の更田さんもこういうふうに言っておられるんですよ。使用済み燃料プールに置いておくよりも、乾式キャスクに入れた方が防護力は高まります、だから、冷却の進んでいる燃料は、早く乾式キャスクに移しておくというのは、テロ対策を考えても安全性を高める手段だというふうにはっきり言っておられます。

 だから、今それだけたくさんある使用済み燃料について、やはり早く乾式キャスクに移すべきじゃないですか。これへミサイルが当たったらどうなるんですか。まだ原子炉はそれなりに強度があるかもしれませんが、建屋だったら、ミサイルが当たったらあっという間にこっぱみじんになりかねない。そこに、プールにある使用済み燃料、本当に厄介だと思いますよ。

 今、政府は、電力会社に対して乾式に移すような奨励策はやっておられるけれども、私は法律できちっと規制すべきだと思うんですよ、そういうやり方は駄目だと。もちろん、それで全てのプールの使用済み燃料がなくなるわけではありませんが、定修中とかそういうのはありますから。だけれども、漫然と使用済み燃料をプールに入れておくということは、早くこれはやめないと、このことによってかなりリスクは減らせるわけですから。それは是非、総理、やるべきじゃないですか。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 原子力発電所の安全の確保については、先ほど来総理が御答弁されたように、様々な枠組みの中で、自衛隊を含め関係省庁、関係機関が連携して対応する、さらに、それは不断の検討をしていくということでありますが、御指摘の使用済み燃料の貯蔵に関することにつきましては、これはまさに原子力安全規制に関わることでありまして、高い独立性を有する原子力規制委員会が一元的に所掌しております。

 プール貯蔵、乾式貯蔵、いずれの場合でも、原子力規制委員会は、安全基準に適合しているという確認を受けた上で適切に実施されているものというふうに認識をしております。

 これ以上は経産省としては差し控えたいと思います。

岡田委員 何を言っているんですか。規制委員長はちゃんと言っているじゃないですか、乾式の方がリスクは少ないと。それを、同じだ、経産省は関係ないと逃げている。

 やはり、こんなことぐらいはちゃんとしないと、本当に国民を守れませんよ。これはきちっと法律に入れて、必要があったら、それは電力会社に助成したっていいじゃないですか。危険な状態を少しでも減らすということが、私は国の責任だということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、台湾海峡の問題について、もうあと三分しかありませんので、岸田総理の基本的考え方を聞いておきたいと思います。

 今までの政府答弁、特に町村外相の答弁で、武力行使については反対する、同時に、台湾独立についても支持しない、そういう原則に基づいているわけでございますと。橋本総理も、台湾独立を支持する考えはございませんというふうに言われています。

 では、総理に基本的な考え方をお聞きしたいと思います。

 まず、武力でもって台湾の問題を解決しようと中国がしたときに、それに対して、今までは反対だというふうに言っておられますが、総理はどういうふうに考えておられますかということと、それから、台湾が独立するということになれば、これは中国の武力行使の可能性は高まるわけですね。だから、台湾はもちろん大切な友人ですけれども、しかし、独立については支持しないと。アメリカは最近でも、国務長官とか、確認していますよね。そのことについて、総理の声を、考え方を聞きたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、台湾は、日本にとって、基本的な価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人であると認識をしております。

 その上で、我が国は、台湾との関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持していくこと、また、台湾海峡の平和と安定は重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待する旨、これまで一貫して表明をしています。これが基本的な立場です。

 そして、その基本的な立場は今日まで一貫しており、その時々の政治状況の中で、御指摘のように、政治家が様々な表現をしていることは事実ですが、今日まで基本的な考え方は変わっていないと思っておりますし、私も、今言った基本的な考え方に基づいて日本の立場を説明していく、こうした方針をしっかり維持しております。

 今後とも、この問題について様々な議論を求められた場合には、今申し上げました基本的な方針をしっかり維持しながら発言をしていきたいと考えております。

 加えて、このことについては、中国側に直接しっかり伝えること、これが重要であると思いますし、また、この共通の立場を米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら明確に発信していく、こういった姿勢も、すなわち外交努力も重要であると認識をしております。

岡田委員 総理は今、政治家は表現していると言われました。政治家じゃないんですよ。外務大臣であり、総理大臣が発言しているわけですね。同じことをどうして言えないんですか。武力行使に反対である、当然のことだと思いますよ。そして独立は支持しない。もし、独立を支持してもらえると思えば、そういう人たちが台湾の中で増えれば、その動きが止められなくなるかもしれない。それは我々日本にとっても耐え難い状況が生まれる。

 だから、台湾は友人だけれども、独立支持は、それは独立は支持できない。アメリカの国務長官も最近でも、独立は支持しないと言っていますよね。その表現、総理、口にできないんですか。

岸田内閣総理大臣 その時々において、政府関係者が基本的な考え方をどう表現するかということはあるのかもしれませんが、先ほど申し上げたように、政府の基本的な方針は、一九七二年以降、これは一貫しているということは、もう再三強調させていただいているところです。

 台湾海峡の平和と安定、これが重要であり、対話により平和的に解決されることを期待する。こうしたことについてこれからも一貫してしっかり表明していかなければならない、これを国際社会と共有していかなければならない、このように思っています。そういった観点から、適切に発信をしていきたいと考えています。

岡田委員 やはり、台湾有事という事態を防ぐために日本としてどういう外交を展開していくかということが非常に大事だと思います。

 総理のおっしゃったことももっともなんです。だけれども、今まで認めてきたことについて総理が口にされないのは、私は非常に不可思議ですね。

 日本は相当、この台湾有事に対して、そういう事態が発生しないように、日本の外交の力を全力を挙げてやっていかなければいけないときに、今まで認めてきた方針について総理が直接言及されないというのは、ちょっと私には理解できないことだということを申し上げておきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 この際、逢坂誠二君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。総理、今日はお世話になります。

 今日は、北海道三区の荒井優さんにパネルのお手伝いをいただきます。

 総理、先ほど十一時三十分に発表になったFNNの世論調査、これが手元に届いたんですが、これを見ると、安倍元総理の国葬の実施、よかったと答えた人が三五%、よくなかったと答えた人が五九%。倍まではいきませんけれども、やはり、相当多くの国民が、安倍元総理の国葬、これはよくなかった、こういう判断を、これはFNNの調査ですけれども、されているということであります。

 これは重く受け止めなければいけないと思うんですが、総理は今後この国葬の在り方について検討するといったような趣旨の発言をされているかと思うんですが、その際に二つお願いがあるんです。

 一つは、国葬の実施を前提として国葬のことを検討するのではなくて、現行憲法、現行法制下で日本では国葬なるものがきちんと実施できるのかどうかというそもそも論をしっかりと検討するということが、一つ大事なことだろうというふうに思っています。

 それと、もう一点。今回の安倍元総理の国葬、これの実施のプロセス。なぜ岸田総理は国会にも相談もしないで勝手に決めてしまったのか。そのことによって随分国民の皆さんから不満の声なども出ておりますので、今回の国葬の実施、どういう経過で、どんな判断でやったのかということをきちんと検証する。これも併せてやった上で、国葬の在り方、これをやはり検討していただきたいと思うんですが、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、国葬については、国の内外からの弔意に対して、国として礼節を持って対応をすることができたと考えております。

 ただ、御指摘のように、様々な御批判、御意見をいただいていること、このことについては重く受け止めなければならないと思います。そういったことから、政府としては国葬について検証を行うということを申し上げております。

 まずは、様々な御意見を承りました。改めて有識者の方々から、御意見あるいは論点、これを整理していただき、それを基に議論をしていきたいと思います。

 その中で、国会との関係など、一定の、様々な過程、プロセスを経るべきかどうか等の観点からも、一定のルールを考えていくことは重要であると認識をしております。

 こうした論点あるいは意見を整理したものを、是非、国会においても見ていただき、また議論をしていただければと思っております。

 そうした過程を経て、検証を行い、一定のルールを考えていきたいと思いますが、その際に、御指摘ありました憲法との関係、これは当然のことであります。憲法を始めとする様々な日本の法体系との関係においてどうなのか、これはもちろん政府として責任を持って確認をした上で国葬を行っているわけでありますが、それについても改めて説明をさせていただくとともに、それがどうだったのかということについても御議論いただく。そういった議論もあるべきではないか、このように考えております。

逢坂委員 非常に大事な問題でありますので、これまでも先送りされてきたことでもありますので、しっかり検証していただきたいと思います。

 それと、もう一点ですが、先週、国葬に関する経費の速報値が出されました。およそ十二億円余りということでありましたが、政府からの説明の際には、この中には民間の警備費が入っていない、あるいは、自治体の経費、これについてはどこまで入っているのかがどうも明確ではない、そういったような説明でありました。

 したがいまして、この国葬の経費、速報値でありますから、今後増える可能性があるということだと私は理解をしておりますけれども、その方向なのかどうか。

 それから、もう既に実施をしてしまったことでありますので、この経費、早めに確定値を出していただきたい。来月、補正予算もございますので、その補正予算の委員会審議までには、予算委員会の審議までにはお出しいただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 経費については、速報値、出させていただきましたが、今の委員の御指摘の中で、例えば警備等については、あれは会場費の中にしっかり含まれている、警備というのは、民間の警備等については、会場費の中に、式典費の中に含まれていると承知をしております。

 そうしたものもいま一度しっかり確認して、確定したものをお示ししたいと思いますが、速報値から大幅に金額が増えるというようなことはないものであると認識をしております。

逢坂委員 我々への説明では、民間警備費が入っていないという説明だったというふうに承知をしておりますので、もしそれが、我々が聞いたのが間違いであるならば、それも含めて、早い段階で確定値を出していただきたいというふうに思います。

 それと、次に物価高についてお伺いをしますが、総理はこの物価高について、先ほど、今年の二月の時点で今のような状況を予測できた人がいただろうかといったような趣旨の発言をしましたが、私は本当に驚きました。

 昨年の十月、総選挙でした。その総選挙の、私は、地元での公開討論会、第一番目に何を言ったか。燃料価格がもう上がり始めている、トリガー条項を外す、こういうことが今度の選挙の中でも非常に大事なことだというのを、私は去年の十月の時点で言っているんですよ。北海道では、そういう段階で、もう冬に向かって燃料の価格が上がる、それにつれてほかの価格も上がっていくというようなことは、去年の秋の時点で懸念されていたんですね。

 しかも、加えて、今年の当初予算、この成立の前に、我々は、物価高対策をやるべきだということで組替えの提案をいたしました。ところが、与党の皆さん、これはことごとく無視をいたしました。年が明けて四月、新年度予算が成立した直後、補正予算の提案をしました。これも全く顧みられることもなかった。

 だから、総理はいろいろなところで物価高対策をやっている、やっているとおっしゃるんですけれども、遅いんですよ。やった、やったと言っているけれども、国民に届いていないんですよ。

 例えば、これも先ほどのFNN、十一時三十分に発表された今回の世論調査。政府の物価高への対応を評価しますか、評価しませんか。どんな数値だと思いますか。評価すると答えた方は一四・五%、評価しないと答えた方が七七・八%なんですよ。

 だから、総理はやっている、やっていると言うんだけれども、国民にはそういうふうには受け止められていないんですよ。

 現実に、例えば九月の八日。総理はこのときに補正をやるというような意向を示されました、九月の八日。だけれども、実際に補正の指示をしたのは九月の三十日です。何で、九月の八日で補正をやるという意向を示したんだったら、その段階でやれなかったのか。そして、早く補正予算案を編成して、そして国会で議論して、早く国民の皆さんにお届けするということをやらなきゃならなかったんじゃないですか。

 総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず冒頭、二月以降の状況について予想ができたのかという御指摘でありますが、二月、ロシアがウクライナ侵略をすることによって、穀物価格あるいは電力価格についてもヨーロッパにおいて去年の二倍から三倍に膨れ上がる、こうした状況を予想することができたかということを申し上げております。

 物価対策ということについては、既に三月から対策を始めて、三月、四月、七月、九月、ずっと対策を続けておりました。

 そして、総合経済対策の指示が遅いのではないか。世論調査で国民の皆さんの声、これは謙虚に受け止めなければならないと思いますが、九月の指示との関係で申し上げるならば、九月の二十日に予備費を使った対策、これを明らかにさせていただいています。ですから、その次の段階、これは十月だと思って用意をし、指示をしたところであります。

 九月の二十日に閣議決定をした対策を、三兆四千八百四十七億円、こうした対策を用意した。この次の段階について、九月の末に十月目がけて指示を出す。これはタイミングとしておかしなものではないと認識をしております。

逢坂委員 総理がどんなにおかしなものではないと言っても、先ほどの世論調査の結果を見ても分かるとおり、国民の皆さんはそう受け止めていないんですよ。現実に、私も地域を歩いておりますと、本当に物価高で大変なのに政府は一体何をしているんだという声が非常に多いですよ。

 しかも、総理、この物価高というのは、今年、二〇二二年一月からこの十月までで約二万品目値上がり。これが帝国データバンクの調査ですよ。それから、この十月だけで六千七百品目が値上がりする。これも帝国データバンクの調査であります。しかも、これは、今になって突然六千七百上がると言われているわけじゃないんですよ。早い段階から、秋にはもう六千品目が上がるんだとか、夏には三千品目が上がるんだとか、こういうことがずっと指摘され続けていたんですよ。だから、私は対応が遅いと言わざるを得ません。

 この五年間の物価高の状況。例えば、アジ、これは今、一・七倍、九十九円が百七十一円。これは総務省の調査です。それから、ニンジン、一・五倍。小麦、二百三十三円が三百二十七円、一・四倍。食用油、二百九十一円が四百八十五円、一・七倍。ちょっと毛色が違いますけれども、冷蔵庫、十三万六千円が同規模のもので一・八倍、二十四万五千円。こういう物価の上がり方をしている中で、国民の皆さんは、やはり遅い、そういうことなんですね。

 それと、私は総理の話を聞いていていつも疑問に思うんですが、世界的な物価高の傾向の中でといったような話をされます。確かに世界的な物価高であることは私も認めますが、日本独特の要因があるということは、総理はお認めになりますか。日本独特の要因、それは何だと思いますか。

岸田内閣総理大臣 為替の動向など日本独自の要因がある、これはそのとおりだと思っております。また、物価動向等の関係においては、賃金のありよう、これも日本独自の状況であると認識をしております。

逢坂委員 全く私も同感でありまして、一つは、やはり賃金が上がらないということですね。

 先ほど狂乱物価の話がありましたが、一九七三年、卸売物価が一五・六%上がりました。一九七四年、卸売物価は二三%上がりました。ところが、この年、春闘で幾ら賃金が上がったか。一九七三年、二〇%。一九七四年、三三%。こういうことがありますから、五十年前の狂乱物価とは今は違う要因を抱えているというのが一つです。

 もう一つは、円安です。

 円安がやはり日本独特の要因でありまして、これは何で、総理、円安の是正、これを日本はできないんでしょうか。私は、日本が多額の借金を抱えている、そして、この間、異次元の金融緩和で日銀が国債をたくさん抱え込んだ、そういうことによって、金利を上げる、円高に持っていく政策が取れない、そういう状況になっているのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 為替相場については、これは従来から申し上げているように、様々な要因がこの背景にあります。また、要因が組み合わさることによって様々な影響をもたらしている、こうした状況でありますので、一概に申し上げることは困難であると思います。

 ただ、金融政策ということについても、為替に影響があるということはそのとおりかもしれませんが、景気動向を始め、中小零細企業の負担など、経済全体を見た上で日銀として適切に判断するものであると考えております。その結果として、日銀として持続的な物価安定のために金融政策を続けているということであり、そういった総合的な観点から政策についても考えていかなければならないと思っています。

逢坂委員 今、やじが飛びましたが、それじゃ、この円安は放置する、あるいは何らかの対応が取れる。何らかの対応が取れる状況なんでしょうか。取れるか取れないかという、これは非常に大きいと思うんですよ。日本が抜本的にこの円安を円高の基調へと変えていく政策って、今取れるんですか。

岸田内閣総理大臣 日銀の金融政策については今申し上げたとおりであります。

 一方、政府としてこの円安に向けてどのような政策を進めるのか。これは、経済の強靱化という観点から政策を用意しなければならないと思います。また、為替動向について具体的に申し上げることは控えなければならないかとは思いますが、少なくとも投機が絡んだ急激な為替の変動、これは好ましくない、これは世界的に共通した認識であります。

 政府としては、日銀としっかり連携をしながら、投機絡みの急激な為替の変動にはしっかり注視をし、必要であるならば対応を考えていかなければならない、こうしたことであると認識をしています。

 あわせて、為替に関しましては国際的な連携が重要であります。先週、G7におきまして、為替につきまして国際的な連携を確認することができたこと、これは意味あることであると思います。

 ですから、日銀の金融政策以外に、政府として、あるいは政府と日銀の協力の下に、あるいは国際的な協力の下に、様々な取組を進めていくことは重要であると認識をしております。

逢坂委員 今総理から具体的な政策としてあったのは、為替への介入ということでした。これはもう既に実施をしております。しかし、残念ながら限定的でありまして、その効果も長続きをしていない。それから、これを繰り返すことによってマーケットでは反応がどんどん鈍くなる、これも現実だというふうに思います。

 だから、総理、今の円安の状況を簡単に改善できないという、これをやはり所与の条件とした上で政府は物価高対策をやらなきゃ駄目なんですよ。そのために何が要るか。やはり予算措置なんですよ。予算で対応しなかったらこれはなかなかうまくいかないんです、円が高くならないわけですから。

 ところが、その予算措置が遅いから、私はどうしても批判せざるを得ないんです。総理は遅くないと感じているかもしれませんが、先ほどの世論調査を見ても分かるとおり、国民には届いていません。総理に都合のいいことを言う方の声ばかり聞いていても駄目ですよ。もっと赤裸々な国民の声を聞くべきだと私は思います。

 そこで、我々立憲民主党は先週、新たな、今のこの状況、生活氷河期、これを乗り越えるための緊急経済対策というのを発表しました。今日は全部はお話しできませんが、例えば、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供への十万円給付。給食の無償化。大学、専門学校などの学生の授業料負担軽減。住民税非課税世帯の二倍の水準以下の世帯への五万円給付。介護・障害福祉職員、保育士などの処遇改善。一定年収以上の後期高齢者の医療費窓口負担引上げ撤回。中小企業のコロナ債務の一定範囲内での減免。地域公共交通への支援。住宅等の断熱改修支援。それから、屋根への太陽光パネル、太陽熱温水器設置支援。

 ほかにもありますけれども、今、代表的なものを幾つか例示をさせていただきましたが、総理、是非、聞く力を発揮して、我々の、野党のこうした提案についても真摯に耳を傾けていただいて、次の補正予算、次の経済対策には我々の提案しているものもしっかり盛り込んでいただく。

 山際大臣、野党の声も聞くんですよね。是非、山際大臣にもそれを受け止めていただいて、総理、今の、私が幾つか話をしましたけれども、これへの受け止め、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 総合経済対策につきまして、様々な声を聞く、この重要性、御指摘のとおりだと思っています。野党を始め多くの国民の皆さんの声、これをしっかり受け止めながら総合経済対策は作成していかなければいけない、このように思っております。

 是非、様々な声を聞きながら、最後は政府として責任を持って、対策、これは整合性やバランス等も考えなければいけませんから、最後は政府が責任を持って対策をつくっていきたいと考えております。

逢坂委員 総理、よろしくお願いいたします。

 さて、寺田大臣にお伺いします。

 寺田大臣は、財務省出身、それから滋賀県の長浜税務署長も務められた経験がある。現在は政治資金と地方税を所管する総務大臣。まさに、国税、地方税、これのエキスパート。さらにまた、政治資金においては最も国民に対して模範を示さなければならない、そういう立場にあるんだというふうに私は理解をしております。

 そこで、まず一点、単純なことをお伺いしたいんですが、政治家の事務所の経費、これを政治資金から賃料として支出する場合に何らかのルールはあるんでしょうか、法令上。例えば、秘書がいるとか、事務机が必要だとか、WiFiがあるとか、事務のスペースが必要だとか、何らかのルールはあるんでしょうか。

寺田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 政治資金規正法では、政治活動の自由を最大限尊重する観点から、今委員が申されたようなルールは設けておらず、政治団体の事務所を当該政治団体以外の者が所有する不動産に設けているような場合、その利用実態に応じて賃料等を払うということは、政治資金収支報告上それを記載するというふうなことでございまして、委員がおっしゃるようなルールは格段設けていないところでございます。

逢坂委員 そうなんですね。要するに、政治家が政治資金から事務所の経費を出すときに、事務所に事務員がいてもいなくても、事務机があろうがなかろうが、スペースがあろうがなかろうが、その実態に応じてそれは賃料を出していいんだということなんですね。でも、これは相当私は問題だと思います。

 この点はまた後で時間があればやらせていただきますが、もう一方、私、全く理解できないことがあるんですよ。

 寺田大臣の政務秘書の迫田誠さんという方、この方はお名前も出されておりますので。寺田事務所が脱税的なことを行っていることをにおわせる発言を週刊誌の記者などにしているようです。この迫田秘書というのはどんな仕事をされている方なんですか。

寺田国務大臣 今、私の政策秘書である迫田誠秘書についてのお尋ねでございます。

 彼は今、政策秘書として、政策部門を請け負って、主として議員会館を中心に、私の政治活動を支えてくれているわけでございますが、今委員が御指摘の点については、これは本人も大変反省しているところでございますが、十分な事実関係も確認することなく、仮に税金をやはり払わなければいけなかったのに払わなかった、すなわち脱税という事実があったのではないかという週刊誌記者からの問合せに対し、脱税ということがあったのであればそれはもちろん問題であるというふうな趣旨を仮定の議論として申し上げた、誠に軽率であったというふうなことを私に申しておりました。十分その点は反省をしているところでございます。

逢坂委員 迫田さんの話はまた後で伺わせていただきます。

 それで、寺田大臣、御地元の呉の事務所家賃として奥様に十年で大体三千万近くの支払いがあるというふうに承知をしておりますが、確定申告を確実に行っているというふうにお伺いをしているんですが、それをやはり証明するためには、確定申告書の当該部分の写し、それから、税の専門家ですからお分かりだと思いますが、確定申告には当然、不動産の明細書をつけるのが一般的なルールになっておりますので、そこの明細、これをお出しいただきたい、ほかの所得に関するところは全くそれは出す必要がないので、黒塗りでも構いませんので、お出しいただきたいというふうにお願いをしたら、個人情報だから出せないというふうにおっしゃられました。

 でも、大臣、大臣規範によって、大臣の場合は奥様の資産というものも公開をするというようなこともございます。完全な私人の個人情報とは意味が違うわけですので、ここをなぜ出していただけないんですか。要するに、確定申告していないから出せないんですか。確定申告しているのなら出せるでしょう。

寺田国務大臣 お答えいたします。

 今、私の地元、呉市における事務所についての資金関係の御質問でございました。

 地元では、私自身が呉YSビルの五階に自宅として居住をしております。これはもう一〇〇%自宅として所有をし、一切事務所の用には供しておりません。

 建物の二階部分と三階部分を、二階、三階の所有者である私の家内、寺田慶子が第五選挙区支部と呉後援会に貸し付けているということでございまして、これは政治資金規正法に従いまして適正に収支報告をするとともに、その収入、すなわち賃料収入については適正に申告をし納税をしております。

 これは確かに私の配偶者ではありますが、私の扶養親族ではありませんで、全く別個の経済主体でございます。私自身、その納税については、電子納税でありましたので、通知を見せてもらい、また申告書も確認をしたところでございますが、これはあくまで、全く、私自身のものではなくて、別の経済主体の個人情報なので、これは非開示情報という扱いでございましたので、既に御党にお示ししたとおり、顧問税理士から、適正に申告して納税をしたという確認書を提出をさせていただいたところでございます。

逢坂委員 奥様が大臣と全く別の独立した経済活動を行っているんだということは私も承知しますし、そういう方がいらっしゃるのも事実です。扶養家族になっていないという方もいるのも事実だと思います。だけれども、そのことと確定申告書の写しが出せないことは全く意味が違うんじゃないですか。

 確かに、私は、公認会計士さんが書いた、これは大上功さんというんでしょうか、その方が書いた確認書というのを見ましたよ。

 しかし、こんなもので本当に納税したことの証明になるんですか。これで納税の証明になるんだったら、わざわざ国民の皆さんは税務署に行って納税証明なんかもらう必要ないですよ。これで証明になるんだったら、もう税理士さんとかに頼んで、納税しました、納税しましたと。でも、納税証明というのは、税務署に行ってきちんと出してもらわなきゃ出てこないでしょう。そうじゃないと認めないでしょう。

 だから、奥さんのが出せないなら出せないと言った方がいいですよ。いかがですか。

寺田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 確定申告書を見せろという御党の資料要求がございましたので、これは個人情報で非開示であると。納税証明はきちんと取っております。

 ただ、この納税証明書というのは、家賃収入に対する税額でなく、当該寺田慶子が得ているその他の収入も含めて全体としての納税額を示すものであり、当該貸し付けているYSビル二階、三階についての、その部分に限った納税を示すものではございません。

 したがって、そうした公的納税証明というのがそうした意味でお申し越しの証明にはならないというふうなことで、顧問税理士とも相談して対応させていただいた次第でございます。

逢坂委員 大臣は御存じだと思いますが、確定申告には不動産の所得だけを書く欄があるんですよ。ほかと合算して書いてあるわけじゃないんですよ。それから、確定申告書には、不動産所得の内訳というものを入れることになっていまして、それは物件ごとに、場合によっては日付ごとに、どうやって賃料を払っているか、賃料を受け取ったかということを書く明細があるんですよ。

 もちろんこれは法律上の義務ではありませんけれども、だがしかし、そういうものを出していただければ、別に納税証明じゃなくても、ああ、確かにこの物件については奥様は納税していますねということの証明になるんです。

 なぜ出せないんですか。簡単な話じゃないですか。ほかの所得はみんな黒塗りでいいんですよ。なぜ出せないんですか。

寺田国務大臣 お答えをいたします。

 確定申告書にそうした不動産所得の内訳書、これは確かに添付をされておりました。そして、不動産の収支について記載をする別表というものが付されておるのは委員御指摘のとおりでございまして、その点は私も明確に確認をさせていただきましたが、そのことを出すことは、あくまでこれは別経済主体の非開示情報でございます。

 先ほど閣僚の資産公開の話をされましたが、資産については全てこれは公開をしておりますが、毎年毎年のそうした不動産収支については公開対象になっていないということでございまして、私が明確に確認をした、そしてそのことを税理士が証したということで御理解をいただければと思います。

逢坂委員 大臣、そんな難しい書類じゃないので、それを出していただければ、今私が抱いている疑問なんて立ち所に解消するんですよ。

 それでは、もう少し別の話を聞かせてください。

 大臣は、都内の自宅と、それから杉並区にある物件も、事務所として賃料をお支払いしていたという時期があると承知をしております。

 都内の自宅、それから杉並区の物件、これはいわゆる事務所としての実態、例えば事務員がいるとか、事務机があるとか、事務スペースがあるとか、事務機器があるとか、電話があるとか、そういう実態はあるんですか。

寺田国務大臣 お答えをいたします。

 都内と言われるのは、千代田区二番町の三階建ての建屋のことかと存じます。ここは自宅ではありませんで、私の自宅はあくまで呉市本通YSビル五階でございますが、東京にいるときの住まい、これは、この三階建ての建物の二階と三階を私の住みかとして、居所として、また家族の居所として使用しております。

 一階部分は、これは明確に区分をして、仕分をして、区分けをして、共用の廊下を除き、部屋の部分は、私について申し上げれば、事務機器を備え、一階の所有権者である寺田慶子が私の政治団体に貸し付けているという事実があり、その実態が存在いたしております。

 そして、先ほど御指摘の、一定期間、杉並区についても賃料を払っていたわけですけれども、ちょっとこの一階部分の改修期間がありました。その間、一時的に、杉並区の、これはマンションの一室でございますが、様々な事務作業を行っていたがために、政治団体登録の住所をその期間だけ変更して、変更して賃料を払ったものでございます。実態はございます。

逢坂委員 大変僭越ながら、私、先日、千代田区の事務所と称される御自宅、それから昨日は杉並区の物件も拝見させていただきました。杉並区の物件は、どちらかというと細長い、かつて言うペンシルビルというと少し言い過ぎかもしれませんが、どちらかというと床面積の狭い建物だったというふうに承知をしております。

 それで、これは迫田誠秘書のフェイスブックによれば、迫田秘書は杉並区に住んでいるというふうにフェイスブックに記載しているんですね。迫田秘書は、いわゆる杉並区、これは高円寺南というふうに承知していますが、そこのビルにお住まいになっているということではないんですね。

寺田国務大臣 お答えをいたします。

 今御指摘の杉並区のペンシルビル、マンションでございますが、そこに迫田秘書は住んでおって、そこで作業をしていた、一時的にですね。したがって、事務所の住所を一時的に、私が今申し上げたとおり、二番町の一階を改修期間中、移しておりました。そこに対して、事務所の実態のある部分について賃料をお払いしたということでございます。

 なお、迫田秘書については、私、政策秘書と申し上げましたが、私が大臣就任時に政策秘書は辞任をし、今、大臣秘書官でございます。その点は訂正をさせていただきます。

逢坂委員 昨日、杉並に行きましたら、確かに、そのビルの、当該部屋の番号は言いませんが、電気がついておりまして、ああ、どなたかが住んでいるんだなということは私も認識をしております。

 ただ、私、理解できないことがあるんですよ。寺田事務所の政治資金の監査を行っている大上功税理士、この方が、政治資金収支報告書に必ず公認会計士としての意見をつけるんですね。そこにこういうふうに書いてあるんですよ。以正会の主たる事務所の作業スペースの不足により円滑な政治資金の監査の実施が困難であると大上功が判断したため、以正会の従たる事務所、括弧、呉市と大上公認会計士事務所において行った、これは監査を行ったと書いてあるんですよね。

 すなわち、先ほど、東京の御自宅もその一階部分は何か広いところがあってという話ですが、監査人の話によれば、監査をするスペースがない、事務所の作業スペースがないと言っている。これは杉並なのか千代田区なのか、どっちか分かりませんけれども。

 大臣、それは政治資金規正法上、法令上、どんなところを事務所にしたっていいよということなんだろうと思います、法律的には。でも、監査をする人が事務所の作業スペースがないということを言っているようなところを事務所にしていいんですか、道義的に。

寺田国務大臣 お答えをいたします。

 先ほども申したとおり、一定期間、改修工事を行っておりました。迫田秘書のこの杉並区のマンションについても、元々彼は地元秘書だった関係で、様々な異動の関係で引っ越し荷物等がかさんでいた時期があって、そうした政治団体としての収支の作業、これができない時期が一時的にあったのは事実でありまして、その期間について大上税理士の方が指摘をされているんだと思います。

 現在は支障なく、この二番町の一階の区分をした部屋で行っております。

逢坂委員 今の事務所の問題は、秘書さんが住まわれているところの家賃、賃料を払うというのは、どう考えてみても私は適切じゃないと思います、法令上違反ではないにしても。しかも、あそこ、実際行ってみると、そんなに広い場所ではありませんので、何か秘書の家賃を肩代わりしているんじゃないかということを疑われかねないような状況だと私は思います。

 さて、そこで、もう一点。

 寺田大臣の奥さん、経済的には別人格だといって、先ほど、確定申告も出せないという話なんですが、寺田大臣の奥さんが代表の政治団体、以正会。これは何度も出てきますが、この収支報告書によれば、二〇一六年から二〇年、毎年人件費を五百三十万から五百七十万円程度支出をしていると。これも迫田秘書の話ですよ。地元の私設秘書らに対して本来の月給に上乗せして払う、寸志の代わりみたいなものと説明しているんですけれども、さらに、源泉徴収もない、だから脱税みたいなものだということを迫田さんは言っているんですが、これは間違いなんですか。

寺田国務大臣 お答えをいたします。

 その点についても、迫田秘書は事実関係の確認が不十分であったというふうに言っております。

 これはどういった支払いかと申しますと、常用雇用している例えば第五支部職員については、社会保険事務所登録をし、源泉徴収をして、秘書又は事務所スタッフとして常用雇用しております。

 そうではなく、民法六百三十二条に基づくアドホックでワンショットの仕事を請負でやっていただく、そして当該依頼した仕事の完遂をもって報酬を支払う、これは民法上の典型的な請負契約になるわけですが、そうしたことを、割と多いのは元秘書ですね、私の前任者が雇っていて、私に代が替わって、元秘書の方々が、常用雇用は残念ながらリタイアしたのでできないけれども、いろいろな広報活動であるとか、工作物を作って、看板設置のための、不整形地や、あるいは急傾斜崖地にそうしたものを置くという作業について請け負って、その請負報酬として支払っていたものでございます。

 これをちゃんと収支報告できるかどうかは、私が支部長に就任したときに、当時、党本部のコンプライアンス部門というのがありませんでしたので、直接総務省の政治資金課に確認をいたしました。確認をして、そうした実態があるのであれば、そうしたことを請負者として人件費で計上することは問題ではないというふうな回答を得まして、その回答は現在においても変わっておりません。引き続きその状態でございます。

逢坂委員 私自身も、大臣、請負でやれるということは承知はしておりますけれども。

 それじゃ、大臣、もう一点確認。

 寺田大臣の地元の秘書さん、あるいは東京の秘書さん、五区総支部の秘書さん、いわゆる正式に給料をもらって、税金も引かれ、社会保険料も引かれというような職員さん、秘書さん。この方々に、今大臣の言うところの請負のお金を上乗せして払っているという実態はないですね。

寺田国務大臣 お答えをいたします。

 そうした実態は全くございません。常勤の支部職員とは全く別の人に対して支払ったものでございます。

逢坂委員 大臣、もう一点確認です。

 迫田秘書が、大上さんですか、いや、どなたか分からないんですけれども、誰か税理士にお願いして、こういう文書を作ってもらったと。

 本来の手続は、税務署に対して給与支払い事務所等の開設届出書を提出し、給与支払い額に応じて源泉所得税を徴収するべきであり、年末に源泉徴収票を作成し本人に交付し、本人が二か所以上より給与の支払いを受けている場合は、本人が確定申告を行うこととなる。以正会は給与支払い事務所等の開設届出書の提出を失念している状態のまま継続していたため、本人に対して給与の支払いによる源泉徴収の事務手続を懈怠しておりました。結果として、本人も確定申告書の必要性を認識しないまま今日に至っておりますという、こういう文書を迫田さんが出されたんですが、これを作成したのは誰ですか。

寺田国務大臣 お答えをいたします。

 その文書も、迫田秘書が、先ほど御指摘の大上税理士に、もし仮に常勤雇用の職員で源泉徴収を行っていない場合はどういうふうなことになるんですかという、一つの、事実とはちょっと違うわけですけれども、仮定の質問を発して、その場合はこうなりますということで、その文書の作成者は大上功税理士でございます。

逢坂委員 委員長にお願いです。

 寺田大臣の奥さんに支払われた家賃が確実に確定申告されているかどうかを確認するために、確定申告書と、それに添付する不動産明細の当該部分、ほかはマスクしてもいいですので、その写しをこの委員会に出すように求めたいと思いますので、よろしくお願いします。

根本委員長 じゃ、理事会で協議します。

逢坂委員 それでは、次、残された時間、今朝、総理から、今までにない新たな答弁がございました。宗教法人法七十八条の二による報告あるいは質問、これを文科大臣にやらせるということをおっしゃったわけですが、これについて文科大臣にお伺いします。

 今朝の答弁ですので、まだ定まっていないところもあるかもしれませんが、この質問などを最終的に終える期間、実態調査をする期間、どの程度を想定されておられますか。これは三年も四年もやられると大変なことになっちゃうんですよね。ある一定程度の時間でやらなきゃいけないというふうに思っています。

 それから、もう一点。旧統一教会の問題は、実は、本体の宗教法人だけではなくて、関連団体の数が多くて、関連団体が本体の実態を見えにくくしているわけですから、関連団体についてもこれを調査しなければ実態が分からないというふうに思います。

 この二点、いかがですか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、まず、報告徴収、質問権の恣意的な行使が行われないよう、宗教法人審議会を構成いたします有識者による専門家会議を設置いたしまして、その意見も伺いながら、報告徴収、質問権を行使する場合の基本的な考え方や基準を速やかに示すこととしておりまして、来週二十五日火曜日にも検討を開始することとしております。

 その上で、当該基準に照らしまして、旧統一教会に対して報告徴収、質問権を行使することや質問をする事項等について、法に基づきまして、宗教法人審議会の意見を聞くことがまずは必要でございます。

 このような法に定めるプロセスを適正に踏みつつも最大限速やかに対応することが必要と考えており、政府としては、年内のできるだけ早いうちに権限が行使できるよう手続を進めてまいります。

 この情報収集の結果といたしまして、あるいは情報収集、質問の手続の途中であっても、解散命令を請求するに足る事実関係を把握した場合には、速やかに裁判所に対しまして解散命令を請求することを検討してまいります。

 そして、その後の御質問でございますが、宗教法人法の法人格を持った団体だけがこの宗教法人法によりまして対応できるということになっておりますので、関連の団体のことにつきましてはこれは対応できないということになりますので、御承知おきいただきたいと思います。

逢坂委員 今のは重要な答弁で、旧統一教会の問題は関連団体の関与がやはり非常に大きいので、そこに質問できないということになると非常に不自由なことになるのではないかなと思っています。

 一方、七十八条の二の三項、報告を求め、又は当該職員に質問させる事項及び理由を宗教法人審議会に示して、その意見を事前に聞くことになっているんですが、これがあることによって、もちろん、ある一定程度のたががはまるんですけれども、本当の意味での調査や質問の実効性が上がるのかどうか。これは答弁はよろしいんですけれども、この条項によって、あらかじめ、質問を受ける側の宗教法人に質問内容が分かるわけですから、これによって実効性を失うことのないように是非お願いしたいと思います。

 以上、終わります。

根本委員長 この際、山井和則君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山井和則君。

山井委員 四十五分間、質問をさせていただきます。

 質問通告をさせていただいております。一部は永岡大臣ですが、基本的にはほとんど岸田総理に質問通告しておりますので、是非とも前向きな答弁をお願いしたいと思います。

 この統一教会の問題、私も、七月の銃撃事件以降、十三人の被害者の方とお目にかかって、短い方は一時間、長い方は五時間ぐらいお話をお聞きし、また、我が党におきましても、二十数回会合を開き、十数人の被害者の方々のお話もお聞きし、そして、先ほど、私たちとして法案も提出をさせていただきました。維新の党と共同提出で、この悪質献金被害救済法というものを提出をさせていただきました。このことについても後ほどお話をしたいと思います。

 この問題については、岸田総理、そして与野党みんな、力を合わせて、三十年間、残念ながら、私たち議員、そして行政が不作為で、やるべきことをやってこなかったために、多くの被害者を生み出してしまった。私自身も、その責任のある議員の一人だと思っております。私自身、今までこういう問題について十分な取組をやっていなかったということを反省しつつ、質問をさせていただきたいと思います。

 また、今日は、今、逢坂議員が質問をされました調査権ですね、質問権、そして調査、いつまでに期限を切ってやるのか、そのことについてお聞きをしたい。そして、解散請求、つまり、この解散請求というのも、別に統一教会を、組織をなくすということではなく、もうこれは釈迦に説法ですけれども、宗教法人格を取り消すというだけであって、宗教団体として宗教活動は続けることができるということですから、その宗教法人格としての優遇をなくす、そのことは岸田総理に御決断をいただきたいと思います。

 現役の信者さんの方々も、私もいろいろお話をお聞きしましたけれども、やはり心優しい善良な方が多いんですね。しかし、その中で、マインドコントロールをされて、やはり献金、献金、献金に追いまくられている方というのも非常に多いわけです。ですから、私たちは今、解散請求、宗教法人格を取り消せということを要望しておりますけれども、同時に、二世の方、現役の信者の方々の人権、生活、しっかりとケアして守っていく、これはその大前提だと思っております。

 また、この統一教会問題に関しては、宗教弾圧や、信教の自由を迫害するのかという議論がございます。私自身、仏教の高校で学びまして、社会の雑巾になりなさいという教えを受けて、こういう福祉のこと、政治のことをやっておりますけれども、宗教は人間にとって非常に重要だと思っておりますし、宗教法人も私たちは応援をすべきだと思っております。しかし、私がこの三か月調査をした範囲では、この統一教会というのは、宗教法人という名前は使っているけれども、実は献金集めが中心で、残念ながら、多くの家庭崩壊をもたらしているという問題点がございます。

 そこで、まず、今日は、ここに文鮮明教祖の書かれた教典と、高麗大理石つぼと、善霊堂という、統一教会が、献金をしたらもらえるという、その教本と善霊堂とつぼを見ていただいて、こういうことなんだということを知っていただこうと思ったんですけれども、残念ながら、自民党さんから、それを見せるのはまかりならぬということで、見せることができませんでした。

 それで、まず、今日は、多くの被害者の方から私たちはお話を聞いておりますが、一人、橋田達夫さんという方、非常に悲しい経験をされましたので、そして、御本人が今もう顔出し、実名で発言をされておりますので、岸田総理にも、橋田達夫さんのお話、お聞きをいただければと思います。今日、橋田達夫さん、傍聴席にも高知県からお越しをいただいております。

 ここの高知新聞にもございます。「息子の命まで奪われた」ということで、「妻の入信で家庭崩壊」。

 三十年前に奥様が入信をされて、その後、今日までに、被害総額は献金も含め約一億円でございます。それで、そういう、当然ですよね、どんどんどんどん献金をしてしまう。そして、この記事にもございますように、例えば、土地と建物の一部を県に売って、その二千万円を持って奥様は翌日には韓国に行って献金をされた。また、その後、相場の約三分の一で別の土地を売却して一千万円を得た、この一千万円も持って韓国に行って献金をされた。総額一億円。それで、残念ながら、夫婦げんかが絶えなくなって離婚をされてしまわれました。

 そして、残念ながら、ここに書いておられますように、離婚をして御主人が家を出てから七年がたった頃、二年ほど前のことでございますが、三十六歳のときに長男の方が自ら命を絶たれてしまいました。私も高知県に行ってお墓参りもさせていただきました。息子さんの御冥福を心よりお祈りを申し上げたいと思います。

 岸田総理、私も本当に大変なショックを受けましたが、この橋田達夫さん、今、名前とお顔を出して、何とか被害を食い止めたいということで発言をされておられるんです。私も多くの方とお目にかかりましたが、後ほどお話しする仮名の小川さゆりさん以外は、ほとんどの方は、やはりいろいろな嫌がらせや圧力もあったりして顔は出されないんですよね、はっきり言いまして、統一教会の批判をするときは。岸田総理、そして、こういう厳しい状況で、顔を出して発言をされておられる。

 岸田総理、なぜ顔と名前を出して橋田達夫さんはこうやって発言をされているんだと思われますか。

岸田内閣総理大臣 なぜ顔を出して訴えておられるかという御質問でありますが、それは御本人がおられるわけですから、私が推測で何か申し上げることは、これは控えなければならないと思います。

 ただ、今委員からのお話を聞いておりまして、大変壮絶な経験をされた、それに対して強い思いを持っておられる。何とかこうした状況に対して、これ以上被害が広がることは防がなければいけない、そういった思いを持っておられるんだろうな、それが顔を出してまで訴えておられる一つの原動力になっているのではないかと推察をいたします。

 質問を受けましたのであえてお答えをいたしますが、これはあくまでも私の推察であり、これはもう御本人でなければ、その本当の厳しさ、本当の切実な思いは分からないと思っております。その前提で、私、あえてお答えをさせていただきました。

山井委員 ありがとうございます。

 本当に、岸田総理のおっしゃるとおりなんです。やはり、一刻も早く被害をなくしたい。自分のことだけ、自分の家族のことだけを考えたら、顔出し、実名では訴えない。しかし、自分の息子さんと同じような被害を受ける人をなくしたい、他の人のお子さんを救いたい、その一念で今発言をしておられるんです。

 今日こちらに来られたんですけれども、実はおととい、急に、統一教会の勅使河原本部長の側から、会いたいという連絡があったそうであります。こういう大変な被害を受けているということは、統一教会の、平和家庭連合ですね、統一教会と呼ばせていただきますが、勅使河原本部長も知っておられたということで。ところが、個別に会うことは御遠慮する、一対一で会うのは御遠慮するということで断られたわけですけれども、何と昨日、断ったにもかかわらず、勅使河原本部長は高知の自宅まで急に来られたということで、橋田さんもちょっと怖くなられて、警察を呼ばれました。

 ですから、被害のある方々が声を上げるというのは、本当に、大変な恐怖心を持って、勇気を持った活動なんですね。

 そこで、岸田総理にお伺いしたいんですが、今朝、質問権を初めて行使する、そして調査をするんだということを表明をされました。岸田総理、私、このことは一歩前進とも取れるし、一歩後退とも取れるのではないかと思うんです。なぜならば、期限が短く、速やかに調査をしていただいて、解散請求の判断をしていただけるんでしたら、私は一歩前進だと思います。しかし、期限がないのであれば、これはもう時間稼ぎ、だらだらだらだらなっていったら、その間に多くの被害者が出てしまうんです。

 岸田総理、この調査、いつまでに終わらせていただけますか。

岸田内閣総理大臣 報告徴収の手続に速やかに入りたいと思います。

 いつまでかという御質問でありますが、これは、この法律が制定されてからこの条項は一度も使われていない条項であります。具体的な手続がどういった形で進むのか、これは今断定的に申し上げることはできないと思っております。

 そして、この手続全体ということを考えた場合に、解散命令ということについてまで考えた場合に、例えば、殺人罪で起訴されたオウム真理教の場合でも七か月、結論が出るまでにかかりました。詐欺罪で有罪判決が出た明覚寺事件においても、二年プラス一年、たしか三年、確定するのに時間がかかりました。

 そうしたことを考えますときに、今回の案件においても、しっかりと事実を確認する、より一層事実を積み上げていく必要があるという観点から、こうした報告徴収の手続を開始したいと考えております。

 ただ、委員の問題意識は、ここで時間がかかって、救済に、あるいは再発防止に時間がかかるのではないか、これが委員の問題意識だと思います。

 それに関しては、政府としては、宗教法人法に基づく実態把握と、被害者の方々の救済と、そして、将来に向けてこうした事態が発生しないように対応するということ、この三つは並行して行うべきものであると思います。実態が把握できなければ何も救済の手を差し伸べることができないというものではなくして、逆に、被害に遭われている方に救済の手を差し伸べるということは、政府の責任において、今この瞬間からというか、もう既に様々な取組をスタートさせていますし、それを今現在、現在進行形で進めなければいけない課題であると認識をしています。

 是非、宗教法人法に基づく実態解明と、そして、相談体制等を充実することによって被害者の方々に寄り添った具体的な対策を講じることと、そして、未来に向けて様々な法改正、消費者契約法等の関連法案の改正等によって取消権の対象の拡大とか取消権の期間の延長ですとか様々な取組を行う、この三つ、これは是非並行して進めることが重要であると認識をしております。

山井委員 岸田総理、もちろん被害者救済、そして高額献金取消権の法整備、私たちももう議員立法を提出しました。

 しかし、岸田総理、一番重要なことを答えていただいていないんですよ。調査はいつ終わらせるおつもりなんですか。結局、調査を終わらせないと解散請求ができないわけです。解散請求しないと裁判所は判断できないんですよ。その一番重要な判断は、いつまでに調査を終わらせるのかということなんです。

 調査をいつまでに終わらせるかお答えください。

岸田内閣総理大臣 調査がいつまでに終わるかについては、先ほど申し上げたとおりであります。今断定的に申し上げることはできません。だけれども、大事なことは、その調査の結果が出なければ救済に向けて何もできないということではないということを我々はいま一度確認して、救済については今この時点から共に努力をいたしましょうということを皆様方に申し上げています。

 これは、順番に、実態が把握できないと救済について何もできない、あるいは、将来について防止することについて何もできない、こういったものではない、これはそういう整理をしないと、物事、救済に向けての取組、これはいつまでも進まないということにもなりかねません。是非これは並行して、三つ並行して進めるべき課題であると我々は認識しております。

山井委員 いや、私は非常に驚きました。調査するけれども、いつ終わるか分からない。半年、一年かかる可能性があるんですか。その間に、多くの家庭崩壊、下手したら自殺者、自己破産、どんどん増えますよ。被害者救済とおっしゃいますが、解散請求に勝る被害者救済はないんですよ。解散請求をすれば、新たな献金集めも難しくなります。解散請求をすれば、多くの信者の方々も、国が宗教法人格を取り消そうとしている団体、これは危ないんじゃないかと思います。

 岸田総理、首を振っておられますけれども、この解散請求というのは非常に重要なんです。

 そこで、小川さゆりさんのお話も聞いていただきたいと思います。

 小川さゆりさん、二世の被害者の方でございます。この方も、仮名という形ですけれども、顔出しで被害を訴えておられます。もう待てないということをおっしゃっておられます。毎日多くの二世の方々から助けてほしいという悲鳴が届いている。

 そして、解散請求に向けての調査をするということは、言うまでもなく、著しく公共の福祉に反するという疑いがあるからですよね。疑いがあるんだったら止めないと駄目じゃないですか、一刻も早く。半年も一年も調査して、止めなくて、その間に被害者が増えたらどうするんですか。

 ここにございますように、両親が信者で多額の献金をされ、昔から家につぼが三つぐらいあって、多宝塔や天聖経とか様々な高額のものが増えていった。お小遣いはなし。誕生日、クリスマスプレゼントもなし。服も学校に必要なものも使い古したもらい物ばかりで、小学校全期間、見た目がみすぼらしくていじめられた。修学旅行もお土産は絶対駄目と言われた。卒業アルバムを買ってももらえず、先生たちから心配された。高校時代から、余りにも貧しくてつらいからということで、アルバイトをして二百万円を稼いだら、その二百万円は没収された。そして、親は献金をし続けた。そして、親の教義と矛盾した苦しみから、一時期には精神病院にも短期間入院されてしまった。こういう地獄のような苦しみを味わっておられる。

 この小川さゆりさんたちが、今朝、署名集めをスタートされました。解散請求をしてくださいという署名集めで、これは何万、何十万ぐらい集まるか。すごい数が私は集まるんじゃないかと思います。

 もう被害者がどんどんどんどん増えていくんです。繰り返し言いますけれども、調査をするということは、著しく公共の福祉に反するおそれがあるという、おそれがあるからでしょう。そうしたら、早急に結論を出して、やはり、反社会的な団体だったら解散請求すべきではないんですか。

 岸田総理、岸田総理、期限を切らず、半年、一年後まで調査がかかる可能性はあるんですか。

岸田内閣総理大臣 これは、宗教法人法の趣旨に基づいて、しっかりと法の手続を追求するということを申し上げているわけであります。それによって実態をしっかり解明していく、これは重要なことであります。

 しかし、だからといって、困っている方について手をこまねいて見ているなどということは、決して考えているわけではありません。これは今現在、今このときから、しっかりと救済に向けて努力をし続けていかなければならない、このように思っています。

 だからこそ、午前中も説明をさせていただきましたが、相談体制についても、オール政府でしっかりとした体制をつくることによって、法的な問題についてしっかり対応する、子供の虐待等、子供についてもしっかり対応ができる、宗教二世、三世の方に対しても、就職やあるいは進学など、そういった活動についてしっかり後押しをさせていただく、こうした支援体制を政府全体としてつくっていくことを申し上げているわけであります。

 これは両方並行してやらなければならない課題ですし、あわせて、被害を拡大させないということについては、消費者契約法を始めとする様々な法案について、具体的な法改正を行うことによって、更なる被害の拡大につながらない、こうした取組をしていかなければならない。

 宗教法人法による実態解明と、そして被害者の方々に寄り添いしっかり支援をしていくことと、そして被害の拡大を防止することと、この三点、是非並行して政府としては進めていきたいと考えているわけでございます。

山井委員 いや、私は、被害者がこれだけ日に日に増えているのに、半年、一年かけて調査をするかもしれない、あり得ない。あり得ない、ゆっくりした対応だと思いますよ。

 例えば、私のところにも相談が来ておりますけれども、統一教会の関連の団体、今度の十月二十二日と二十三日に、延期になったといううわさもございますが、秋季大役事という統一教会系の団体の大きなお祭りがあって、ここに約三百人の日本人の信者さんが行かれるという、大きなこういうお祭りもございます。

 このときには、多くの献金を持っていかれるんですね。それで、御家族の方からも、うちの家族が行こうとしているけれども、止めたい。止めたいけれども、解散請求が出たら、やはりそこは反社会的な疑いが強いということになるけれども、調査中、調査中ということであったら、なかなか止められない。被害が拡大するというふうな心配があるんですね。

 ですから、岸田総理、そこは分かっていただきたいんです。一日一日、一歩間違うと、こういう家庭崩壊で、残念ながら、私も多くの方の話を聞きましたが、不登校になっておられるお子さんも多いんです、やはり。様々ないじめもあります。そういう中で、被害者は増え続けているんです。

 予防に勝る被害者救済はなしという言葉があるんです。つまり、新しい被害者が増えるのを止めないと駄目なんです。止めるために今一番有効なのは、解散請求なんです。もちろん、さっきおっしゃったように、解散命令は裁判所が判断します。これはもう岸田総理とて判断はできません。しかし、解散請求は岸田総理の決断でできるんです。

 もう一点。韓国にお金が多く行っているということもお話をしたいと思います。

 それで、これは弁護士連絡会からの資料ですけれども、ここを見ていただいたら分かりますように、日本の信者の方々からの献金の多くは、本部のある韓国に送られているんですね。一九九九年六百五十三億円、二〇〇六年四百六十九億円、二〇一一年五百九十四億円、最近の資料は公表はされておりません。

 でも、問題は、日本の献金、多額献金によって、家庭崩壊、一家離散、親子断絶、宗教的虐待という被害すら言われていたりする。また、残念ながら自殺者さえ出ている。そういう中で、そのお金は多く韓国に行っている。私も韓国に親友が多くいますから、韓国というのはいい国だと思っておりますけれども、しかし、こういう、日本の信者さんからの家庭崩壊の原因にもなっているお金がこれだけ巨額、韓国に移っている。

 さらに、岸田総理、もう一点、見過ごすことができないのは、十月十二日のTBSの「報道1930」という番組では、旧統一教会関連会社が北朝鮮に潜水艦を仲介、日本人信者の献金が北の兵器開発に使われていないか、こういうふうな報道もされております。つまり、その番組にも出演されました渡辺博弁護士は、一九九一年に文鮮明教祖が北朝鮮に訪朝した際には三千億円、北朝鮮に統一教会側が三千億円持参したと言われておりますというふうに報道されております。

 さらに、一九九四年のことですけれども、一九九四年には、旧統一教会と北朝鮮、そして兵器開発、この三つをつなぐ可能性のある出来事が九四年にあった。ロシアから北朝鮮にミサイル発射装置がついたままの潜水艦が売却される際に仲介していたのが、東京・杉並区にあった小さな商社。潜水艦を鉄くずと偽って申告して取引を成立させていたのだ。社員は四人、全員が旧統一教会の合同結婚式に出ていた信者だったのだ。旧統一教会はこの会社との関係を否定、このときも警察は刑事事件にできず終わっていると。

 しかし、番組では、こう締めくくられているんですね。北朝鮮に流れる旧統一教会の資金、元はといえば日本人からの献金がほとんどだが、資金や関係性が北の兵器開発に利用されていたとすれば言語道断である、こう報道されております。

 これは、単に日本の信者さんが家庭が崩壊して苦しんでいるというだけではなくて、一歩間違えば、そのお金が北朝鮮に渡って、その北朝鮮がまた日本を攻撃してきている、こういう外交、防衛問題にも関係する、待ったなしの問題なんです。

 岸田総理の先日の選挙のポスターというのは、決断と実行と書いてあるんですよ。私は、岸田総理が今こそ、統一教会を守るのか、日本の国民を守るのか、今問われていると思うんです。今、統一教会を守ると言ったら、横に振られました。そうだと思います。私も岸田総理を信じています。この件については応援したいと思います。

 とおっしゃるなら、一年間、半年、調査に時間がかかるかもしれないと言われたら、被害者の方も含めて、私たちは、これはていのいい引き延ばしかな、みんなが忘れるまで、フェードアウトするまで引き延ばしを図っているのかなというふうに思いかねないんです。なぜならば、三十年間、私も含めた国会議員や行政は、国民を守る側より統一教会を守る側に立ってきたのが残念ながら事実なんですよ。

 だから、今こそ岸田総理に決断していただきたいんです。調査とおっしゃるのならば、めどで結構です、せめて、いつまでに調査を終えるか。岸田総理、それは岸田総理しか決断できないんです。是非お答えいただけませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、旧統一教会を守るなんということは全く考えていないということは改めて強調させていただいております。

 私が申し上げているのは、宗教法人法の法の趣旨にのっとって、法手続を是非迅速に進めたいということを申し上げているわけです。いつまでにできるかということについては、初めてこの法律が適用される事案でありますので、具体的に申し上げることは難しいということは申し上げておりますが、これは決して引き延ばすということを申し上げているのではなくして、今の法手続に基づいてできるだけ迅速に対応したいということを申し上げております。

 ただ、そういっても、この瞬間も被害で苦しんでおられる方がおられるからして、被害を受けられている方の救済と再発防止、この二つ、残りの二つの取組もしっかり進めていかなければならない、こういった問題意識を申し上げております。

 この三本のラインをどれも重要な取組だと考え、しっかり追求していきたいと考えております。

山井委員 もう被害者の方々は、自分たちと同じような苦労をする人は増やしたくないと、皆さん涙ながらで運動されているんです。今日から署名集め、統一教会の宗教法人解散を求めますという署名集めも始まりました。

 岸田総理は、調査はするけれども、その調査が半年後か一年後終わるのか分からない、こうおっしゃっているわけですね。そして、その後解散請求するわけですから、もっともっと先じゃないですか。

 岸田総理、そうしたら、調査がいつ終わるのか、終えるのかはいつ分かるんですか。私たちはいつまで待てばいいんですか。これは被害者の方々も、苦しんでおられる方々も、その間、どんどんどんどん被害が拡大しますよ。いつになれば調査が終わるのかが大体めどが立つんですか。

 というのは、岸田総理も、この重要な、調査をする、質問権を発動するという決断をされた以上は、いつ頃までに終わらせるというめどを、多少はイメージはあると思うんです、イメージは。半年後か一年後か分からない、そんな指示はないと思うんですね、この世界で。人の命が懸かっているんですから。大体イメージとしては、いつぐらいまでに調査を終わらせる予定か。

 私は、二か月ぐらい、せめて年内に調査は終わらせてほしいと要望させていただきますが、迅速にとおっしゃいました。お気持ちは分かります。でも、迅速と言いながら一年かかっては、これは多くの家庭がまた壊れかねないんです。だから私は申し上げているんです。

 岸田総理の迅速という言葉、私も信用します。信用しますから、年内ぐらいをめどでということで、何とか調査していただけませんか。

岸田内閣総理大臣 結論から言うと、いつまでにということについてイメージがあるかという質問については、今お答えすることは難しいと思っています。少なくとも年内に権限の行使、これはスタートさせたいと思いますが、それがいつまでかかるのか、これについては、今具体的に申し上げることは難しいと思っています。

 ただ、先ほど文科大臣の答弁の中にもありましたが、こうした手続を進める中で、解散に匹敵するような具体的な事案が明らかになれば、次の段階に進んでいく、こういったことも考えられるわけですから、これはなおさら、今の段階でいつまでと申し上げることは難しいと考えております。

山井委員 なぜこういうことを言うかというと、今回の調査というのは強制力がないわけですね。ですから、統一教会がきっちりと回答するかどうか、資料を出すかどうかというのも分からないわけです。それを二回、三回とやっていたら、気がつけば半年たちました、一年たちましたということにもなりかねないから言っているわけなんです。

 それで、私たちとしては非常に残念です。やはり今の総理の答弁では、いつ解散請求を判断するのかということが、半年後なのか一年後なのかさっぱり分からない。それでは、余りにも被害者の方々に対して、私は、冷た過ぎると。せめて総理大臣にめどは言っていただきたいと思います。

 それと、もう一個おっしゃった被害者救済。これは一緒なんですけれども、今日、維新の会と立憲民主党で、悪質献金被害救済法、議員立法を提出しました。そして、これは三つ大きな違いが政府・与党の考え方と今あるのではないかと思います。

 一つは、岸田総理、この法改正、是非一緒に、与野党協力して、政府と協力して、この高額献金被害防止の法案、この国会で成立をさせていただきたいんです。このことを一つ岸田総理に申し上げたいです。この国会中にやろうじゃないですか。

 それともう一つ、今朝答弁された消費者契約法で高額献金を規制するということに加えて、それも入っておりますが、私たちの法案は二点、一歩先を進んでいます。

 一つは、信者の方のみならず、御家族や二世の方々が代わって返金の要求をできるようになっております。なぜならば、献金した御本人というのは信者さんのままで、なかなか返金要求されないんです。しかし、家族の方が苦しんでいるんです。だから、やはりマインドコントロール下における多額の献金の場合には家族が返金要求をできる。これは是非、与党・政府も取り組んでいただきたい。

 それともう一つは、刑事罰。ただ単に被害者が高額献金を取り消せるというだけではなくて、やはり、繰り返しそういうマインドコントロールをして献金を勧誘する、その方々には刑事罰をする、そういうことも私たちの法案には入れさせていただきました。

 よく追求、追求と言われますが、私たちは三か月前からこの法案を作って、今日、物を提出しているんです。これから政府が検討されるのであれば、是非、丸のみでも結構ですし、これを参考にして、この国会中に被害者救済の法律を一緒に成立させていただきたいんです。岸田総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、御提出の法案のポイントについて、拝見をさせていただきますが、午前中申し上げた再発防止に関する政府の考え方と、かなり重なる部分があるということは感じております。

 その中で、御指摘の第三者による取消しの部分については、これは、今の憲法や法体系との関係においていろいろ慎重に考えなければいけないという議論があるのは事実でありますが、ちょっと手元の資料を見ますと、特別補助人云々の制度も考えておられる。この制度についてどうなのかということについては、一度考えてみたいと思います。

 そういったことはあると思いますが、政府が基本的に考えている方針と野党の皆さんが考えている方針、かなり重なる部分も多いと思っています。

 手法については、政府として、有識者会議の様々な意見を踏まえながら具体的に対応を考えていきたいと思いますが、内容については、野党の皆さんの意見も参考にさせていただきながら議論を進めていきたい、このように思っております。

山井委員 方向性は近いですけれども、私たちは三か月間、三十数回議論を重ねて、十数人の被害者の方や弁護士の方々、有識者の方から話を聞いて、今日、完成して提出しましたので。

 岸田総理、一つだけお聞きしたいんですけれども、被害者救済、急ぐということを岸田総理もおっしゃっているんです。被害者救済のためには、当然、現行法では限界があって、法律が必要なんです。

 大幅に修正にも応じます。閣法と足して二で割るという形もあるかもしれません。柔軟に私たちは対応しますので、何とかこの国会で被害者救済の法律を成立させる、その決意はお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、その救済のポイントについては多くの重なる部分があると認識をしております。そして、そのために法改正が必要だという認識、これも一致していると思います。その具体的な方法については、政府として、至急対応を詰めていきたいと思います。

 いずれにせよ、できる限り早く法改正の結論を出したい、そうしたことで、この国会においても、国会中においてもしっかり努力を続けていきたいと思っています。

山井委員 そこが重要なんですけれども、今国会中に成立に向けた努力をする、そういうことでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 政府として、法改正、必要な部分については、できるだけ迅速に対応を詰めたいと思います。

 成立する云々の話は国会の話ですので、しっかり国会で御判断いただきたいと思っています。

山井委員 いや、ちょっと待ってください。いや、さっきの話と似た話で、いつまでにと聞くと、全部ふわっとして、検討中になっちゃうんですよ。

 これは、被害者救済を本気にやるんだったら、岸田総理の重い決意を、私たち、全力で成立するように私たちも頑張りますから、協議しますから、今国会中に成立させましょうよ。岸田総理の決意をお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 法改正を考えなければいけない、それを政府としても認識をしています。そのために、作業を急がせます。できるだけ早く結果を出すべく努力をいたします。

山井委員 いや、私たちは、この国会で何としても成立させたいと思って、三か月前から何十回もこれは議論を、朝から晩までずっと、夏休み返上でやって、今日に間に合わせたんですよ、三か月間。そこまで私たちはやってきているんですよ。何とか、岸田総理、今国会中に成立を目指すぐらい言っていただきたい。迅速にじゃなくて、今国会中に目指すぐらい、何とかお答えください。全国の被害者の方が待っておられるんです。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたポイントで法改正を考えていきたいと存じます。その作業を急ぎます。

山井委員 これは本当に、私たちの主張を言っているんじゃなくて、今、日に日に被害者が増えていっているんです。それで、岸田総理が被害者の救済に頑張りたいとおっしゃっていることは、私たちも応援したいと思います。

 ついては、今まで岸田総理も、こういう二世の被害者、御家族の方々の生の声というのをお聞きになったことがないんじゃないかと思うんですね。今、うなずかれましたけれども。

 そこで、私たちも、被害者の、御家族の生の声を聞いて初めて、そんなにひどい実態なのかと勉強させていただいたということがありますので、ついては、今日傍聴にお越しになっている橋田達夫さん、そして仮名で顔を出して発言されている小川さゆりさん、このお二人の方に、是非一度、本当に短時間でもいいので、直接会ってお話をお聞きいただきたいんですけれども、岸田総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 関係者の方々の思いを直接聞くことは重要だと思います。どなたの話をどういった形で聞くか、これについて、改めてよく整理をさせたいと思います。

山井委員 私は、この被害者の方々の救済には与党も野党も全く差はないと思うんです。やはり被害者の方の話を直接聞くと、いかにこれは急がねばならないのかということも私も痛感をさせていただきました。

 ついては、今おっしゃったように、もちろん、私としては、顔を出して発言されている橋田達夫さん、小川さゆりさんに是非会っていただきたいと思いますけれども、被害者の方、二世の方、御家族の方に直接会っていただけるということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 お話を聞かせていただくとしたら、どういった形で聞かせていただくのか、それを整理させていただきたいと思います。

山井委員 是非、一刻も早く会っていただいて、そしてまた、これは本当に与野党関係なく、被害者の方々の切実な話を聞きながら、被害者救済に頑張らねばならないと思います。

 岸田総理、もう一点お聞きしたいんですけれども、調査を急ぐとおっしゃっていましたけれども、結局、そうですね、そうしたら、もう最後、私の意見表明で、時間が来ましたので終わらせていただきますが、やはり、今日は、残念ながら期限ということを岸田総理から答弁をいただけませんでした。しかし、こういう被害者が出ている問題、そして、残念ながら三十年間、私たち議員も行政も、統一教会に配慮して、あるいはそういう形で対応が後手後手に回って、甚大な被害を生み出してしまったという責任があると思います。早急な決断を岸田総理にお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党、愛知・西三河の大西健介です。今日は、長崎三区の山田勝彦さんにお手伝いいただきながら質問させていただきたいというふうに思っております。

 安倍元総理が凶弾に倒れられ、百日がたちました。しかし、岸田政権は、私、今も安倍政権の呪縛の中にあって、そして、安倍政権の置き土産の対応を迫られているんじゃないかというふうに感じております。

 今日も、冒頭、我が党の岡田幹事長の質疑の中で、安倍政権がつくった国会と内閣のいびつな関係という指摘もありました。それから、先ほどは、逢坂筆頭理事からも、物価高、その背景には、やはり我が国特有の事情として円安がある、そして、アベノミクスの異次元の金融緩和を続けたままでは、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状況にあるというふうに思います。

 そこで、逢坂筆頭の質問に関連して、先日、週末ですかね、岸田総理、都内に視察に行かれたと。そのときに記者団に対して、円安メリットを生かす一万社支援というのをやりたいというふうに言われたということなんですけれども、私はこれを聞いてちょっとびっくりしました。

 今、例えば、朝の番組、ワイドショーなんかでも、週末、入国規制も緩和されて、観光地には外国人がたくさん来ていると。円安メリットがありますから、たくさん、ほっておいても来られます。

 私は、円安メリットを生かす会社というのは、これはほっておいても生かせると思うんです。むしろ、円安で苦しんでいる会社、これを助けるのが先なんじゃないですか。まさに、強きを助けそして弱きを見捨てる、これが私は政治の役割なのかというふうに思いました。

 円安を何とかして、まさに円安で苦しむ会社、これを助ける方が先であって、円安でメリットを受けるところは、そこはもう御自身でそのメリットを享受されるんだと思います。

 この円安メリットを生かす一万社を支援するという発言はどういう御趣旨で発言されたんでしょうか。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 今月用意する総合経済対策でも、おっしゃるように、円安、物価高騰で大変苦しんでおられる方を支援するのが中心であり本筋である、それはそのとおりだと思っています。だからこそ、電力を始め様々な対策を用意するということであります。

 そして、円安のメリットを享受する、生かす、これは、日本の経済のそもそもの経済構造体制の強化、こういった観点から、こうした対策も重要であるということを申し上げています。

 ですから、こうした基本的に苦しんでいる会社に対してしっかり支援を行うと同時に、全体の構造の強靱化ということから、円安メリットを生かすことも考えていかなければならないのではないか、その一つとしてインバウンドがあり、国内回帰があり、国内生産があり、そして農林水産物の輸出促進があり、こういったことがあるんだということを申し上げています。

 そして、円安メリットを生かす一万社支援ですが、これは、経済対策の中に企業一万社を支援していくという対策を盛り込んでいるわけですが、ジェトロや中小企業基盤整備機構で現在予算事業として取り組んでいる補助事業の対象拡大、あるいは補助金額の増額、こういったことの充実を図って、事業計画の策定、商品開発、あるいは販路の開拓まで一気通貫で支援を強化していく、こういった取組を一万社を対象にしっかり進めていきたい、こういったことを申し上げた次第であります。

 このように、苦しんでいる企業への支援と、そして体質強化、共に進めることが重要であると認識をしています。

大西(健)委員 私は、やはり円安で苦しんでいる方が先だろうと。

 同時にということは、一見何か、ああ、そうなんだという感じはしますけれども、先ほどの逢坂委員との議論の中にもありましたけれども、そもそも、じゃ、現在のこの円安水準というのが日本経済にとっていいのか悪いのかという、私はその前提があると思うんです。

 つまり、円安メリットを生かしていく会社を支援していくということになると、この今の円安を何とか解消しようという話じゃなくて、今のこの円安状況が長期に続くということに、前提に立ってこれをやるということになるんじゃないですか。違いますか。

岸田内閣総理大臣 これは従来から申し上げていますが、円安水準、どの程度の水準が続くかとか、この具体的な水準について申し上げることは控えなければならないと申し上げています。

 問題なのは、投機の動きも絡んだ急激な為替の変動があるということ、これは誰にとっても好ましくないという認識に基づいて円安について考えていかなければならない。動向を注視しながら、政府として必要な場合は適切な行動を用意するということが重要であると思っています。

 あわせて、国際社会とこうした急激な投機絡みの為替の動きは好ましくないという考え方を共有することによって、共に同じ方向でメッセージを発信すること、このことも併せて重要であると思っています。

 こうした対応で円安について注意深く見ていく、これが政府として取るべき体制であると考えています。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

大西(健)委員 そうはいっても、結局、円安のメリットを受ける企業というのは、今の円安の状況が続いていけばメリットを受けるということですから、私は、それはちょっと違うんじゃないか、繰り返し言いますけれども、まず円安で苦しんでいる企業を助けるのが先だということは申し上げておきたいと思います。

 そして、安倍政権の置き土産という意味においては、安倍家三代にわたって続いてきたこの旧統一教会と自民党との関係、これも私は同じことだというふうに思っています。

 旧統一教会の問題については、先ほど山井委員からもありましたけれども、まず、三十年以上放置をしてきたことによってここまで被害が拡大をしてしまった、このことに、与野党を問わず、我々政治の側にいる者全員が反省をして、そして被害者におわびをしなければいけないというふうに思っております。そして、今ここできちんとした対応をしなければ、またこの問題の団体は生き延びることになってしまう、このことを肝に銘じて我々は事に当たらなければならないというふうに思っています。

 そこで、先ほどの山井委員とのやり取りを聞いていて、幾つか確認したいというふうに思うんですけれども、先ほど来、質問権を行使するということを今日総理が新たに表明をされて、そして、それがいつまで時間がかかるんだというやり取りがありましたけれども、私、もう一つ確認をしたいのは、質問権を行使した結果、最終的に解散命令請求を行わないという、こういう可能性はあるのかどうなのか。このことについて総理に確認したいと思います。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、まず、報告徴収、質問権の恣意的な行使が行われないよう、宗教法人審議会を構成します有識者による専門家会議を設置いたしまして、その意見も伺いながら、報告徴収、質問権を行使する場合の基本的な考え方や、また基準を速やかに示すこととしております。

 その上で、当該基準に照らしまして、旧統一教会に対して報告徴収、質問権を行使することや質問する事項等について、法に基づき、宗教法人審議会の意見を聞くことが必要でございます。

 このような法に定めるプロセスを適正に踏みつつも最大限速やかに対応することが必要と考えておりまして、政府といたしましては、年内のできる限り早いうちに権限が行使できるよう手続を進めてまいります。

 そして、情報収集の結果として、あるいは報告徴収、質問の手続の途中でありましても、解散命令を請求するに足る事実関係を把握した場合には、速やかに裁判所に対して解散命令を請求することを検討してまいります。

 以上です。

大西(健)委員 今、文科大臣が言われたみたいに、途中でも、事実が積み重なれば解散命令を請求するということになれば私もいいなと思うんですが、私が聞いているのは、質問権を行使した結果、最終的に解散命令の請求そのものをしない、こういう選択はあるんですかということを聞いています。

岸田内閣総理大臣 それは、報告徴収、質問権の行使の結果をしっかり把握した上で判断すべきことであると思います。今の段階でそれを判断することは難しいと思っています。

 解散の請求については、先ほども答弁の中で少し申し上げましたが、殺人罪が問われたオウム真理教で七か月等、長期間かかっています。

 今回、民事で組織的な不法行為、これが二件確認をされていますが、こうした状況の中で、より事実の積み重ね、確認をすることは必要であると認識をしております。

大西(健)委員 先ほど来、過去の例を言っていますけれども、オウム真理教事件は、完全に犯罪行為を行って、教祖自体も逮捕されているような事件ですし、明覚寺事件の場合にも、団体そのものが破産状態にある、余り比較にはならないのかなというふうに思いますけれども。

 私は、要は、解散命令請求を前提にしてやりたい、総理としてはやりたいと思うけれども、一応丁寧なプロセスを踏むということでやるのか、それとも、やってみないと分からないという話からだと、これは全然違うんじゃないかなと思うんです。

 何を言いたいかというと、今、先ほど来話があるように、これは破防法と異なって、法人格をただ剥奪するだけなんです。その効果というのは、税制上の優遇措置を受けられなくなるだけ。つまり、任意団体として集まって信仰を維持することというのは、これは信教の自由の範囲でできるわけです。

 ですから、何が言いたいかというと、まさに今、旧統一教会という団体が、これだけ多くの、先ほど来、山井委員もいろいろな具体的な例をお話しになりましたけれども、この団体が税制上の優遇措置を受け続けることを総理はよしとするのか。まさに、税制上の優遇措置というのは、取るべき税金を取らないわけですから、これは事実上、国から宗教法人に助成金を出しているのと同じようなことですよ。これをよしとするのか。いや、よしとしないんだけれども、ちゃんとプロセスを踏む、あるいはちゃんと証拠を集めるために、今回、今までやったことはないけれども、この質問権の行使というのをやるのかというのは、私は全然違うんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来、文科大臣も含めて申し上げておりますのは、現在の宗教法人法に基づいて手続を進める、そうした政府の考え方についてであります。

 ただ、個別具体的な案件について予断を持って今申し上げるということは、法律を適正に執行するという意味において、これは控えなければならないと思います。しっかりと法律を執行した上で、事実が確認されたならば次の手続に入っていく。

 平成八年に最高裁で決定した解散命令における考え方、やはり違法性と組織性、この二つがしっかりと確認されることが重要であるという考え方が明らかにされています。こうした解散命令における最高裁の考え方も念頭に置きながら、具体的にどう対応していくかを考えていかなければならない、このように思っています。

大西(健)委員 ちょっと別の観点からお話をしますけれども、先ほど言ったように、じゃ、今この団体がいわゆる税制上の優遇措置を受け続けていることがいいのかというと、私はよくないと思っているんです。

 今、後ろに石破元自民党幹事長がいらっしゃいますけれども、石破元自民党幹事長はこのように言われています。党として関係を絶つなら、旧統一教会の解散を検討すべきだと。

 この理屈はどういうことかというと、宗教法人というのは公益法人である、つまり、世の中のためになる法人だから、法人格を与えてそして宗教行為については税制優遇しているのであって、そのことと、自民党は党として旧統一教会との関係を絶つと言っているんじゃないですか、何で絶つんですか、それは、公益に資する団体じゃないと思っているから関係を絶つと言っているんじゃないですか。税制上の優遇措置を与え続けることと、自民党が関係をこういう団体とは絶ちますと言っていることが、相矛盾しているんじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 閣僚を含む多くの議員が、社会的に問題が指摘されているこうした団体との接点を有していることが明らかになり、結果として国民の皆様の政治への信頼を傷つけたことを率直におわび申し上げると、今日も午前中の議論の中で申し上げたところであります。政治の信頼を傷つけてしまった、政治の判断として、こうした組織との関係を絶つことを決断したということであります。

 法律的にどうなのかということにおいては、法治国家において、法律の趣旨に基づいて冷静に法律を執行していくことが重要であると認識をしております。

大西(健)委員 今の総理の答弁の中でも、社会的問題がある団体と関係を絶つとおっしゃった。その社会的問題がある団体に、なぜ税制上の優遇措置を与え続けなきゃいけないんですか。

 私は、与えるべきじゃない。だから、何回も言っているように、最終的な判断は裁判所がするんです。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛に。

大西(健)委員 裁判所が判断するんですから、総理のやるべきことは、解散命令を請求すればいいんです。総理が、この団体は社会的に問題がある団体だと今言ったじゃないですか、だから自民党として関係を絶たなきゃいけないと。だったら、社会的に問題がある団体だと思っているんだったら、請求すればいいじゃないですか。判断は裁判所がやるんですから。違いますか。

根本委員長 委員、総理が答弁したいと言っていますが、よろしいですか。

 内閣総理大臣岸田文雄君。

岸田内閣総理大臣 社会的に問題がある団体だと政治の立場から判断をし、政治が主体的に関係を絶つということを申し上げています。

 しかし、それが法的にどんな権限を与えられるか等は、法治国家でありますから、法律に従って、しっかりと法を当てはめて判断していく、こういった姿勢は大事であると思います。政治責任と法的な位置づけ、判断、これは冷静に整理をしなければならない課題であると思っています。

大西(健)委員 それは、何度も言っていますけれども、最後は裁判所が判断するんですから。ですから、総理がやるべきことは、請求するだけなんです。それは先ほど来言っているように決断でできるということは、重ねて申し上げておきたいと思います。

 あわせて、先ほど総理の答弁の中で、そういう社会的に問題がある団体と自民党の多くの議員との接点があったという話がありました。この自民党の点検結果については、公表後に続々と漏れが明らかになっており、不信や批判の声が上がっています。

 一方で、私たちが問題にしているのは、もちろん接点も問題なんですけれども、やはり、反日的、反社会的な団体が政権与党の政策に影響を与えていたとすれば、それはやはりちゃんと検証しなきゃいけないというふうに思っています。

 先日の本会議の代表質問で、我が党の西村代表代行が質問したのに対して、総理は、統一教会が政権与党の政策に影響を与えたことはない、こういうふうにはっきり答弁をされました。

 しかし、例えば、国会内で先日開かれましたクオータ制実現に向けての勉強会、この中で、野田聖子前男女共同参画大臣、これは岸田内閣の男女共同参画担当の前大臣ですけれども、こういう団体がいたからこういう流れが自民党の中の一部の人だけにあったんだなと、自民党の政策に一定の影響を与えた可能性を認める発言をされています。これは私たちの感覚にも非常に近いんですね。

 野田聖子前男女共同参画大臣、総理の同期でもあるというふうに思いますけれども、この野田聖子氏の認識について、総理、どう思われますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の野田さんの発言について真意は承知しておりませんが、この間、私自身が答弁したように、自民党の政策決定というものは、多くの国民の皆さんの声を聞き、そして官僚、専門家、有識者、こうした方々と議論を行い、そしてその議論を積み重ねた結果として政策を決定していく、重層的な体制を取っております。

 この自民党の政策決定のプロセスを考えたときに、一部の団体の声が決定に大きく影響するということは考えられないと私は思っています。そういったことで答弁も申し上げましたし、その思いは全く変わっておりません。

大西(健)委員 今の様々な意見交換をしながらというところの多くの団体の中の多くの団体には、旧統一教会、家庭連合も入るんですか。

岸田内閣総理大臣 そのテーマによってどんな団体が意見表明をしたのか、それは様々でありますが、しかし、全体として、政策を積み上げるに当たって、多くの国民の皆さんの声を総合的に判断して決定をする、そのことを考えますときに、一部の人間の、一部の団体の声が決定に影響するということはないと信じております。

大西(健)委員 これはネット上で見ることができるんですけれども、昨年の十月九日、板橋区立グリーンホールで行われた青津和代国際勝共連合本部長の講演動画というのがあるんですけれども、これは私も見ました。そうすると、その中で青津氏がこう言っているんですね。

 昨年の九月に自民党政調会長室を訪問し、当時の下村政調会長に家庭教育支援法と青少年育成基本法を自民党の公約に盛り込むよう陳情したところ、その場で下村氏が事務方を呼びつけて、必ず入れるようにと指示をしたと語っています。これはもう普通に見られますから、見てください。これは私が言っているんじゃなくて、青津さんという人が言っているんです、講演の中で。

 そして、資料としてお配りしましたけれども、これは昨年の衆議院選挙の自民党の公約です。線を、二段目ですかね、二列目のところの上の方ですけれども、ここを見ると、家庭教育支援法の制定と書いてありますし、それで、四段目のところの真ん中よりちょっと下ですけれども、ここは青少年健全育成基本法(仮称)の制定と、いずれもちゃんと明記されているじゃないですか。政権与党、自民党の政策に旧統一教会が影響を与えているのは明白じゃないんですか。

 そういう意味では、先日の本会議の西村委員の質問に対する答弁、これは事実と異なるんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の発言、どなたがそういった発言をされたのか、全く私は承知しておりませんが、先ほど申し上げました自民党の政策決定のプロセスを考えても、また、御指摘については、下村議員自身から、陳情を受けた事実はなく公約に入れろと指示もしていない、こういった説明がなされているものと承知をしております。

 私の答弁は間違っていないと思っています。

大西(健)委員 旧統一教会の問題を長年追及して、被害者の救済にも取り組んでいる紀藤正樹弁護士によれば、青津氏は統一教会の古参信者で、勝共部門(政治部門)を担当するセクションの責任者の一人と言われています。また、青津氏は国際青少年問題研究所所長という肩書で、富山市議会の自民党会派で同性婚反対などのテーマで繰り返し講演を行っているということが分かっています。ネット上では、下村氏と青津氏のガッツポーズのツーショット写真、これも見ることができます。

 下村氏、今総理の答弁の中にもありましたけれども、文部科学大臣として、下村氏は二〇一五年の旧統一教会の名称変更にも関与した疑いが持たれています。

 そこで、今まさに総理が言われましたけれども、青津さんの言っていることというのは私は知らないとおっしゃいましたけれども、あるいは、下村さんはやっていないと言われているということですけれども、これは発言が食い違っていますから、反社会的な団体が政権与党の政策に影響を与えたかどうかを検証するために、下村博文衆議院議員と青津和代国際青少年問題研究所所長を本委員会に参考人として呼んでいただきたい。

 委員長、お願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

大西(健)委員 先ほども、社会的に問題がある団体と自民党の議員との関係というのが多く明らかになっているという話がありましたけれども、岸田内閣ではその関係を絶つんだと言って内閣を改造した後も、旧統一教会と閣僚との関係が次々に明らかになっています。

 その中で、まさにこの物価高への経済対策、そして新型コロナ対策という現下の最重要課題を担当するのが山際大臣なんです。その山際大臣と教団の蜜月の関係というのが次々に明らかになっている。

 先ほど逢坂委員も引用された最新の世論調査、これを見ると、山際大臣、閣僚を辞任すべきという声は六九・六%ですよ。七割。七割の国民が山際大臣はもう辞任をすべきだと。今ちまたでは瀬戸際大臣と呼ばれているということであります。

 私は、統一教会の問題も、後で指摘をしますけれども、もう一つ、やはりこの間の山際大臣の発言の変遷、これを見たときに、果たして、山際大臣、閣僚として本当に適切なんだろうか。先ほども言ったように、今一番重要な物価高対策、新型コロナ対策を担当しているのが山際大臣です。

 これに整理をしてみたんですけれども、まず、八月十日に内閣改造が行われます。その前までは、山際大臣は一切だんまりですね。答えは控える、今のところは点検次第ということで、何も言わなかったんです。

 ところが、八月十日、留任が決まった途端に、二〇一八年十月のアフリカビジョンセミナーと、二〇一三年の平和大使協議会への会費支出、この二つを出してきました。ここで、結局、言わなかったのが後出しされているんですね。

 そして、次は八月二十五日。八月二十五日に、新たに、これは報道を受けてです、自分から言ったんじゃなくて報道で指摘をされて、そして報道の指摘を受ける形で、二〇一六年のネパールの会議への出席、それから二〇一九年の都内ホテルでの会合、そして二〇一〇年二月の韓国の関連団体の会合への出席というのを後出しをしました。

 そして、その後ですね、ちょうど、自民党でもなかなか調査しなかったんですけれども、我々も調査をすべきだということを申し上げて、自民党で調査をすることになった。そのときに、九月九日のところに書いてありますけれども、把握できたものは全て書いた、それ以外のものはない、このように大臣は言ったのに、また指摘を受けて後出しをしました。これが、二〇一八年の神日本家庭連合希望前進決意二万名大会祝勝会というやつですけれども。それから、さらに二〇一一年のナイジェリアの会議、これも後出し。

 かつ、この二万名大会祝勝会の場では、実は韓鶴子総裁と会っていたと。これも、自分から言ったんじゃなくて、マスコミから言われて、写っていますよね、一緒に写っていますよねと言われて後出ししているんです。後出し、後出し、後出し、後出しですよ。

 だから、これは本当に、大臣、もし忘れていて、マスコミから言われて思い出しましたというんだったら、この記憶力じゃ大臣は務まらないですよ。大丈夫ですかという話です。

 それと、もし指摘されなければ、黙っていれば、ばれなきゃいいやといって、うそをついていたんだとすれば、これは私たち、さっき言ったように、新型コロナ対策とか物価対策でこれから大臣といろいろな議論をしていかなきゃいけないのに、こんなしょっちゅううそをつく大臣と議論なんかできないですよ。

 私は、これはもう大臣として不適切だと思う、不適格だと思うんですけれども、大臣、これは指摘を受けるまで忘れていたのか、それとも、ばれなきゃ、黙っていればばれないだろうというふうに、黙って我々を欺いたのか。これはどっちなんですか。

山際国務大臣 お答えいたします。

 まず、新たな接点が判明するのは点検が不十分だ、こういう御指摘は、この御批判は真摯に受け止めなくてはいけないと思っております。

 点検の仕方については、当該団体に関係するものがあるか、私の私物も含め、事務所内の資料や電子データを調査したものの、イベントへの出席等を示す資料が発見できませんでした。事務所では、おおよそ一年を区切りにして資料整理をし、必要最小限の資料しか残していないため、外部からの指摘を受けて出席が明らかとなったイベントが複数あったということでございます。

 そして、なぜ一年で捨てているかというか、整理しているかという話でございますが、二〇〇九年の総選挙で落選を経験いたしました。それまで使っていた事務所を引き払って、手狭なアパートの一室に移ることになりまして、そのときまでにたまっていた資料の処分に数年間、実はかかりました。この大変苦労したこと、また、引っ越す際に資料やスケジュール表等にセキュリティー上の問題が発生したことから、一年を目途に整理をするようにしております。

 しかし、こうした資料管理のために、出席した会合を自身で確認することができず、説明責任を十分に果たせない事態となりました。このようなことを繰り返さないためにも、今後、イベント等の会合出席の記録は電子的に管理して残すようにいたしました。

 自分で確認することができず、説明責任を十分に果たせない事態となったことについては、重ねておわびしたいと思います。

大西(健)委員 私が聞いているのは、資料がないとかあるとかそういう話じゃなくて、これは、私たちも海外出張とか国際会議とか出させていただくことはありますけれども、アフリカへ行く、ネパールへ行く、ナイジェリアへ行く、こんな何回も行っているのに、そのことを覚えていないんですか。指摘されるまでは全く記憶から飛んじゃっているんですか。それで大丈夫ですか。そこを聞いているんです。全く記憶していなかったのか。どうなんですか。

山際国務大臣 これもきちんと御説明はしているところではあるんですけれども、そこに記載されているものの中で、二〇一八年の会合で今の代表の方をお見かけしたという記憶以外は私にはございません。

 海外に出張したものも、これはその会合を主な目的として出張を決めたものではないものですから、ほかのことをやっていて、それと併せてそれらの会合に出たもの、このように公開されている資料等々から確認をしたということでございます。

大西(健)委員 今、大臣、答弁の中では、韓鶴子総裁と会ったときの話をされましたけれども、私が言っているのは、これだけ重ねて何回も何回も関連団体のイベント等に出ているわけですけれども、そのことを全て、指摘されるまで忘れていたんですか。それとも、黙っていればばれないだろうと思って黙っていたんですか。

山際国務大臣 繰り返しになって大変恐縮なんですが、今出していただいているものについては、今お話をしたとおり、二〇一八年の会合で代表の方をお見かけしたというもの以外は記憶にないということでございます。

大西(健)委員 それだとやはりまずいと思いますよ。そんな状態で本当に大臣が務まるんですかね。いや、これは、そんな状態で本当に、さっきから言っているような新型コロナ対策、物価高対策、重要な課題について、今テレビを御覧の国民の皆さんも、これだけ繰り返し出ていて、そして、それは、一つを除いてほかは指摘されるまで忘れていましたって。

 それだったら、何のためにそんな国際会議とか行っているのか、これから例えば大臣としてもいろいろな国際会議とか行かれるでしょうけれども、せっかく税金を使って会議へ行っても、行ったことを全部忘れてしまうんじゃないですか。こんなので大丈夫なんですかね。

 それから、忘れていたと言うからちょっと聞いてもあれなのかもしれませんけれども、こういう会議に出ていると、先ほど逢坂委員は時間がなくてやられませんでしたけれども、逢坂委員の配付資料の中に、例えば、統一教会というのは、「日本はすべての物質を収拾して、本然の夫であるアダム国家である韓国の前に捧げなければならない」、こういう非常に反日的な、ちょっとぎょっとするような教理を持っているわけですけれども、こういういろいろな集会に行っていると、そういうことをお耳にする機会があったんじゃないかと思いますけれども、そういうときに、違和感を感じるということはなかったんでしょうか。

山際国務大臣 これは、先生、私も大変申し訳なく思っておりますが、今回の様々なことが起きて、悪質商法あるいは悪質な寄附といった社会的な問題が指摘される団体であるという認識、これは不足をしておりました。

 こうした団体の会合に出席することで、結果として、当該団体の信頼を高めることにつながってしまったという御指摘は重く受け止めなくてはいけないと思っておりますし、また、深く反省もしております。

 今後は、当該団体とは一切関係を持たないように、慎重に行動してまいりたいと思います。

大西(健)委員 またこの点については他の委員からも明日も深めていただきたいと思いますが、ちょっと時間がなくなっているので、次のパネルをお願いしたいと思います。

 山際大臣については、政治資金の問題でも不可解なことがあります。

 自民党神奈川第十八選挙区支部、山際大臣が代表を務める選挙区支部が、二十一世紀株式会社という会社に対して行った支出、これをまとめたものです。総計で三千二百七十四万九千二百円という額ですけれども、二〇一六年以降、毎年五百万を超える家賃、五百二十万八千円とか五百十八万四千円とか、こういう額を支出をしているわけですけれども、この二十一世紀株式会社というのは、発行株式百六十株全てを山際大臣が持っている、山際大臣がオーナーである、こういう会社で間違いありませんか。順番に聞いていきますので、ここだけ答えてください。

山際国務大臣 それで間違いありません。

大西(健)委員 家賃は実は政党交付金使途等報告書にも載っています。つまり、原資は政党交付金、税金です。山際大臣は税金を自分の会社に還流されているということになるんじゃないんですか。いかがですか。

山際国務大臣 この事務所に関しましては、事務所として借りているのはアパートの一階部分の全てのスペースになります。事務所部分が二部屋分の約十八坪、このほか、屋内のシャッターつきの駐車場や屋外の駐車スペース、総合スペース合わせて約六十坪ほどになります。

 家賃の設定については、当時、不動産管理会社に適正に見積もってもらったと承知しておりまして、近隣物件の部屋や駐車場の賃料相場から、消費税込みで一月当たり四十四万円が妥当であったためそのように設定したとのことであり、適正な賃料水準であると考えております。

 その上で、この二十一世紀株式会社をつくってそれでこういう形で処理をしているのは、少し経緯をお話ししなくてはいけないと思いますので。

 この私の事務所は、当時のアパートのオーナーの方が手放すというお話がございました。私としては、非常に便利な立地であったことから、引き続きこの場所を拠点に政治活動をしたい、こう考えておりましたところ、オーナーの方からは、この場所で政治活動を続けるのであればこの物件を私に所有してもらいたいという、非常にありがたい申出をいただきました。

 そこで、この処理の仕方について自民党と相談いたしましたところ、政治活動に供するものなので個人とは区分をした方がよいということ、また、陸山会事件を受けた法改正もありまして、資金管理団体は不動産を購入することはできないとの指摘がありまして、加えて、金融機関と相談したんですが、政治団体にはローンを出すことはできないというようなことでございました。

 そこで、法人で不動産を管理する事務事業を行うことといたしまして、その法人から事務所スペースを借り受ける形が、公私混同を避けるためにも、透明性を高めるためにも最適であり、また法的にも問題がないと判断をいたしました。

 こうしたことから、御指摘の会社が物件を取得し、事務所スペースを借り受ける形といたしました。

 なお、今、還流の話がございましたけれども、私は同社から、この会社の運営には全く私は関与をしておりません。事務所スタッフが代表取締役を務めて会社を運営しております。その上で、私は同社から給与や配当金は一切受け取っておらず、私や事務所に資金が還流するといったことは一切ございません。

大西(健)委員 いや、おかしいですよ。自分が保有するビルに事務所を置くのに、なぜ家賃を払う必要があるんですか。

 総務省の選挙部の資金課が発行している国会議員関係政治団体の収支報告書の手引によれば、事務所の無償提供を受けた場合には、収支報告書にはそれを時価と見積もった金額を寄附として記載し、備考欄に無償提供と記載してくださいと書かれているんです。だから、自分のものだから、無償提供を受けて寄附と書く、これが普通の処理なんです。

 これを払っている二十一世紀株式会社の会社登記を皆さんのお手元に配っていますけれども、この会社登記、目的のところには、不動産貸付業というのも書いてありますけれども、政治家のプロデュース業とか御用聞き業というのも書いてあって、よく分からないんですけれども。この代表、役員は、取締役として中館和久さんという名前が載っていますけれども、この方は大臣とどういう関係にある人でありましょうか、お答えください。

山際国務大臣 その二十一世紀株式会社の代表取締役を務めている方であり、私の仕事を手伝っていただいている方でもあります。

大西(健)委員 仕事を手伝っているというのは、事務所スタッフと記者会見では話されていましたけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

 また、先ほど示したように、家賃じゃなくて、例えばホームページのメンテナンス料とか配信料、原稿作成料とか、こういうものも払っていますけれども、中館さんがもし事務所スタッフだったらば、中館さんに給料を払って、その上、中館さんに家賃とかこういう費用を払っているんですか。いかがですか。

山際国務大臣 お尋ねの、ホームページあるいはインターネットの番組等々のかかる費用に関しての、言ってみれば外注に当たる部分でございますが、これも、この会社を設立したきっかけは地元事務所が入居したアパートのオーナーからこの物件の購入を持ちかけられたところというのは先ほど説明したとおりですが、会社設立後にすぐにこのアパートを購入して事業を行うことはちょっと難しかったんですね。また、将来的には様々な業務をできるようにしたい、その会社をつくるときにそう考えたものですから、御指摘の業務を含めて様々な事業目的を同社の定款に記載をしたところです。

 アパート購入までの間は、国会議員の活動に必要な業務、これを同社に発注し、実際に業務を行ってもらっていました。例えば、私が一般の方向けに政治や政策について解説するインターネット番組、これを放送しておりましたが、その配信あるいは資料作成等を同社に発注したりしておりました。

 なお、この不動産を取得するまでに二年弱を実は要したんですけれども、それは、先ほども申し上げたように、金融機関との調整あるいは審査に時間がかかったこと、そして、この間に、衆議院選挙が二〇一四年に実はございました。あるいは、私自身が内閣府の大臣政務官あるいは経済産業副大臣を務めて公務が多忙になってしまったことから、この代表取締役を務めるスタッフ、先ほどスタッフとお話ししましたが、スタッフの事務所関係業務の負担が大きくなってしまったということもあって少し遅れたものというふうに思っております。

大西(健)委員 もう時間が来ているので終わりますけれども、さっき言ったように、中館さんが事務所のスタッフだったとしたら、その人に給料を払って、更にまた別のお金を代表を務める会社に払うというのは変な感じがいたしますし、何か先ほどの寺田大臣の話と非常に似ているような話である。

 最後に、これで終わりますけれども、ずっと統一教会の問題を追及してこられたジャーナリストの鈴木エイトさんや関係者の方々からは、山際事務所の中で旧統一教会の窓口の役割を果たしているのがこの中館氏じゃないかという指摘がありますが、そういう事実はありますか、ないですか。どっちですか。

山際国務大臣 これは、中館さんの話だけではなくて、私の事務所のスタッフ全員にそういう話が、実は様々な報道からありました。これは明確に申し上げておかなきゃいけない、いずれも事実無根です。そのような報道に対しては厳重に抗議をしたいと思います。私の事務所スタッフに旧統一教会の信者はいないということを改めて明言しておきたいと思います。個人の内心の自由は最大限尊重すべきであるため、事務所スタッフが信じる宗教については本来私から尋ねることはいたしません。しかし、報道が過熱していることに鑑みて、本人たちの了解を得た上で、あえて事務所スタッフにも信者であるかどうかを確認しました。その結果、私の事務所スタッフに信者はいなかったと申し上げております。

根本委員長 簡潔にお願いします。

山際国務大臣 これは、なぜ申し上げたかというと、信者であるのか、あるいは当該団体の関係者であるのか、ごっちゃにされて今まで報道されてきたということなので、窓口をしていたという事実も併せて、ないということは明言しておきたいと思います。

大西(健)委員 窓口をしていた事実はないということですけれども、それと違う事実がもし判明をすることになれば、それは大臣の答弁がまた後出しで変わるということにもなりかねないので、そのことはしっかり確認をさせていただきました。

 終わります。

根本委員長 この際、藤岡隆雄君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党、栃木県第四区の藤岡隆雄でございます。

 本日は、福岡第五区、堤かなめさんの、同期の心強いお力添えをいただきながら質疑に臨ませていただきます。

 まず冒頭、地元栃木県第四区の皆さんに心から感謝を申し上げ、そして、この質問の機会を与えてくださった先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 さて、こういう質疑からせざるを得ない、非常に残念な思いがいたしております。復興大臣の収支報告、事務所費のことにつきまして、お聞きをさせていただきたいと思います。

 フライデーデジタル、九月二日の報道がございました。自民党宮城県連の関係者の証言という形を端緒としたということで、いわゆる六百万円が、配付資料の六枚目ぐらいになります、六百万円が二〇一七年に実態のない政治団体に支払われているというものを端緒とした記事が書かれております。

 自民党宮城県第二選挙区支部の収支報告書によりましたら、二〇一七年の二月の十日に、東京の品川区にある政治経済研究所という名前の団体に六百万円の寄附がされておりますが、まず、これは事実関係としてよろしいですか、復興大臣。

秋葉国務大臣 御質問をいただきました、自由民主党宮城県第二選挙区支部の政治資金収支報告書で、一七年に同支部から政治経済研究所という政治団体に六百万円の献金がされているというお尋ねでございますが、そのとおりでございます。

藤岡委員 二月二十日に寄附をされたということでよろしいですか。念のため、確認させてください。大臣、お願いします。

秋葉国務大臣 寄附をした日付については、お尋ねの事前通告になかったものですから、今資料で確認しておりませんが、収支報告書に二月二十日と出ているのであれば、間違いなく二月二十日に寄附をしたということで御理解をいただければと思います。

藤岡委員 これは通告しておりますけれども、そういうふうな御回答ですが、二月二十日に政治団体は設立されていませんよ、この政治経済研究所。東京都選挙管理委員会の方にも確認しておりますけれども、これは設立されておりません。十二月の十九日に設立の届出が出されているはずです。

 これは実態のない団体に寄附をされたということですか、大臣。

秋葉国務大臣 実態のない団体に寄附することはできませんので。今日、委員からの御質問の通告は、この献金が事実であったかということだったものですから、日付は今手元の資料にございませんが、当然、この団体を設立した後に寄附したものでございます。

藤岡委員 二月二十日に寄附をされたと先ほど御答弁されましたが、では、それは違うということですか。それは違うということか、教えてください。いつ寄附をされたんでしょうか。

秋葉国務大臣 冷静にお聞きいただきたいと思うんですが、今、日付が通告になかったものですから、手持ちではなかったということを申し上げました。そして、収支報告書に二月八日と書いていたのであれば、それは事実だと申し上げた次第でございます。

藤岡委員 そうしましたら、その二月二十日付の、いわゆる領収書を含めて御提出をこの予算委員会にお願いをしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

秋葉国務大臣 今、通告にはなかったんですけれども、確認しましたところ、十二月の日付の間違いであるということで、この質問をいただきました週刊誌にも回答させていただいているところでございます。

藤岡委員 そうすると、収支報告書の訂正はされたんでしょうか。また、その領収書の御提出をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

秋葉国務大臣 収支報告書の日付については、今質問をいただいたばかりでございますので直ちに即答はできなかったわけでありますが、間違いなく、政治経済研究所を設立した後に寄附をし、そして領収書もございます。

藤岡委員 そうしましたら、その収支報告書は訂正をされたんでしょうか。また、領収書、今ございますという話をおっしゃっていただきましたので、それは提出をお願いしたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。

秋葉国務大臣 日付については、今急にお尋ねをいただいたことでありますから、しっかりと確認した上でまた御報告をさせていただきたいと思います。

藤岡委員 領収書について。

秋葉国務大臣 領収書はございます。

藤岡委員 その御提出をお願いしたいんですけれども、よろしいですか。

秋葉国務大臣 提出というのは、どなたに提出をするということなんですか。(藤岡委員「予算委員会に提出をお願いしたいと思うんですけれども」と呼ぶ)

 提出できることだと思っておりますので、検討させていただきます。(発言する者あり)いや、提出させていただけることだと思っております。

藤岡委員 では、予算委員会への提出をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、六百万円の寄附がされているということでございますが、この政治団体といいますのは、大臣の、この報道によりますと、御夫人のお兄様というふうな方が代表を務められている、また、この所在地は大臣の御夫人の御実家であるということが出ております。これはそのとおりでよろしいですか。

秋葉国務大臣 今委員御指摘のとおりでございます。

根本委員長 秋葉賢也君、先ほど提出すると、前段の質問で、先ほど答弁されていたけれども、提出するということでよろしいんですね。

秋葉国務大臣 委員長の御指示に従いたいと思います。

藤岡委員 では、委員長の御指示ということで、今ございますと話しましたので……

根本委員長 いや、指示というより、答弁しているから、提出すると。それを確認したんです。

藤岡委員 じゃ、御提出をお願いしますね、委員長、指示を。よろしくお願いします。

根本委員長 じゃ、提出してください。

藤岡委員 同じ報道ですと、活動実態がなかったということが報道されております。

 大臣、これはどういう趣旨に賛同してこの団体に寄附をされたんでしょうか。また、活動実態はあったんでしょうか。

秋葉国務大臣 私のために、政治家、国会議員になって時間がたつとともに、東京での私の活動を支えたいということで、何度か勉強会などを実施していただいた次第でございます。

藤岡委員 組織活動費は計上されておりますけれども、何か勉強会を開催したような収支報告書にはなっていないと思いますけれども、本当に勉強会を開催されたんでしょうか。

秋葉国務大臣 この政治研究会の規約によれば、政治経済の研究や講演会の開催などとされておりまして、実際に勉強会を開催させていただきました。

藤岡委員 収支報告上、どこでそれは読み取ればいいんでしょうか。これは通告はしておりませんので、これは確認してお答えをいただきたい、予算委員会へのお答えをいただきたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。

秋葉国務大臣 必ずしも勉強会で経費が発生するわけではないと思いますので、例えば、議員会館で実施をする場合にはそういった費用は発生しないものと認識しております。

藤岡委員 その活動実績について、今のお答えですと、少し、ちょっとよく理解が届きません。

 その活動実態について、これは、大臣、書面にてこの予算委員会に提出をお願いしたいと思うんですけれども、よろしいですか。

秋葉国務大臣 委員会のお求めがあればそのようにさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、朝の勉強会など、活動の実績はもちろんございます。

藤岡委員 予算委員会に提出をお願いしたいと思いますので、委員長。

根本委員長 理事会で協議します。

藤岡委員 よろしくお願いします。

 では、この団体なんですが、東京でお支えをいただいているということですが、もう二年後にはすぐに解散されてしまっているんですよね。それで、残りの資産が三百十二万ということで残っておるんですが、これは、見方によっては、何かペーパーカンパニー的な、あるいは幽霊的な団体に寄附をされて、そして、それが、義理のお兄さんが代表を務められていた。そこが、代表が義理のお兄さんとおっしゃいましたので、最後解散されて、そのお金は持っていかれたのかと、そういうふうな見方をされてもこれはしようがない話だと私は思うんですが、この二年後に、素早くといいますか、解散をされている。その残ったお金というのは、これはどうされたんですか。

秋葉国務大臣 二〇一九年に解散したというふうに聞いておりますが、具体的な理由については、私どもの事務所の運営の中でやれる範囲内での勉強会だったというふうに伺っております。

 残金等につきましては、他団体のことでございますので、よく承知しておりません。

藤岡委員 他団体とはいいつつも、これは公の政治団体の登録を、届出をされていて、しかもその代表を務められている。単なるこれは私人ということではないと思います。その意味におきまして、大臣がその代表を務める自民党宮城県第二選挙区支部から六百万円という大金を寄附をされているわけでございます。

 この実態があったのかなかったのかも、いまだによくまだ理解が届きません。そして、残金が三百十二万、どこに行ったのか、今分からない。このようなある意味使途不明的なもの、これは大臣に明らかにしていただかないといけないというのは国民感覚からして当然のことだと思うんですが、大臣、これは明らかにしていただくということでよろしいですか。

秋葉国務大臣 今申し上げましたとおり、あくまでも他団体のことでございますので、そういう意味におきまして、活動の実態も、実際に勉強会、開催をしております。そして、もう今は解散している団体のことでございますので、これ以上お答えしようがございません。

藤岡委員 大臣、義理のお兄さんに聞いていただいて、これは予算委員会に御報告をしていただきたいと思うんですけれども、さすがにこれはよろしいですよね。

秋葉国務大臣 何度も申し上げているとおり、既に、もう三年前に解散した団体のことでございますので、これ以上申し上げることはございません。

藤岡委員 いや、非常に、今ちょっと納得ができない答弁でした。

 この実態がまだ疑われていて、しかも二年で解散をされていて、そのお金の行き先が分からないと。これは、本当に、いや、解散されたから分からない。義理のお兄さんでございますから、大臣、これ、聞けないんですか、お兄さんに。聞いていただけませんか。

秋葉国務大臣 何度も繰り返しになりますが、既に三年前に解散された別団体の件に関することでございますので、これ以上申し上げようがございません。

藤岡委員 委員長、これは予算委員会に、今のこの資金の、実際に三百十二万、その残金がどのような形になったのか、これにつきまして、予算委員会に、義理のお兄さんに大臣に御確認をいただいた上で、御報告をお願いをしたいと思います。

根本委員長 これは理事会で協議します。

藤岡委員 実は、まだこれにとどまらないんですね。

 このパネルも用意させていただいているんですけれども、先ほど来、奥様への、寺田大臣も家賃という話、先ほど山際大臣にも、ある意味ファミリー企業というのか、自ら所有するといいますか、という家賃の話等もありましたが、この秋葉大臣におかれましても、二〇一一年から二〇二〇年の間に、自民党宮城県第二選挙区支部から、名前はパネルから外しておりますけれども、秋葉孝子様にお支払いをされておりますが、これは大臣の御夫人にこの家賃を、トータルでいいますと七百九十三万円お支払いをされたということでよろしいですか。

秋葉国務大臣 私の地元事務所の家賃についてのお尋ねでございます。

 家賃のお支払いにつきましては収支報告書に記載のとおりでございまして、そこにまとめていただいたパネルのとおりでございます。

 地元には、自民党の宮城県第二選挙区支部とそれから秋葉けんや後援会と二つがございます。これらの政治団体の事務所は、いずれも、仙台市泉区内の建物を賃借しているものでございます。

 そしてまず、平成二十三年から、中古の一軒家の一戸建て、昭和五十四年建築のものですが、事務所にしております。加えて、平成二十三年から中古民家に加えて、二十五年からは隣接地に設置されたプレハブ事務所も賃貸するようになりました。

 したがいまして、平成二十三年及び二十四年は、支部と後援会でこの中古の一戸建ての民家一棟を使用してきたところでございます。平成二十五年からは、中古民家とプレハブの二棟を利用しているところでございます。

 平成二十三年及び平成二十四年は、民家一軒を支部と後援会で使用しておりましたので、それぞれ、使用割合に応じて家賃を支払ってきたところでございます。平成二十五年以降は、中古の民家は支部で、そしてプレハブの方は後援会でそれぞれ家賃を支払ってきたところでございます。

 家賃についても、近隣の不動産相場を参考にしながら、物件の修繕費を借主側で負担していることなども加味して、適正な家賃額を決めてきたところでございます。

 家賃額が減額されている数字もパネルでお示しをいただきましたけれども、これは経年変化及び利用状況を考慮して家賃額が減額されていると伺っております。支部で家賃を支払っている民家につきましては、昭和五十四年建築の、現在、築四十三年の老朽物件でございまして、利用状況に応じた家賃額になっているものと認識しております。また、プレハブも既に十年を経過した物件であり、それぞれ、使用状況に応じて適正な家賃を支払っていると認識しております。

藤岡委員 先ほどの寺田大臣とも同じケースになると思うんですが、御夫人や、お母様の八重子さんということだと思いますけれども、これは申告はされているということでよろしいですか。

秋葉国務大臣 大臣の、私の配偶者、そして母に支払われた家賃収入が申告されているかとのお尋ねでございますが、配偶者に確認したところ、家賃収入は適正に毎年確定申告をしているということを確認いたしました。

 母については、本人は確定申告はしていると思うとのことでしたけれども、なお税理士にも確認していただいているところでございます。

藤岡委員 それでは、寺田大臣のケースと同じように、この予算委員会にその証明する書類を提出をお願いしたいんですけれども、秋葉大臣、よろしいでしょうか。

秋葉国務大臣 委員長あるいは理事会の判断にお任せをしたいと思います。

根本委員長 では、理事会で協議します。

藤岡委員 よろしくお願いします。

 大臣、御夫人や、またお母様、さらには義理のお兄様、本当に多くの非常に近しい御親族にいろいろな形での資金をということになっているように見えます。

 法律論はまずともかくとして、道義的に、政治資金を御夫人始めこのように家賃のことも含めて提供していることにつきまして、道義的な問題というのは感じられませんか。

秋葉国務大臣 現実に事務所としてお借りをしているわけでありますから、その所有者に対して適正な家賃をお支払いするのは当然のことだと思っております。

藤岡委員 国民感覚からすれば、先ほど大西先輩議員からもありましたが、いわゆる無償提供なりの、そういうふうな形での計上というのもあると思います。

 先ほどの寺田大臣の話、またこの秋葉大臣の話、また山際大臣の話、これは全て、このケースを見ますと、はっきり言えば、言い方によっては、何かファミリービジネス内閣的なことを言われても、これはしようがないような状況にもなっているんじゃないんでしょうか。

 総理、この状況について、今までのやり取りをお聞きしていただいておりましたけれども、これだけ今のやり取りの中でも不明朗なところがあると思います。総理、これは御認識、どう捉えますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の各大臣のこの案件については、これまでも大臣会見等で御指摘をされ、説明してきたと承知をしておりますが、今日改めて委員の方から御指摘をいただきました。このやり取りを通じて、それぞれ丁寧に答弁はしていたと思いますが、この内容について、まだ十分ではない、疑問が残るということであるならば、各大臣とも誠意を持って引き続き説明をしていく必要があると認識をしております。

藤岡委員 岸田政権の基本的な運営方針は、先日、本会議での御答弁の中で、信頼と共感という話をおっしゃっていたと思います。この話、共感できないと思いますよ、国民の皆さん。

 これはやはり総理のリーダーシップで、自民党総裁としてこれをきちっと明らかにしていただきたいと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、政治において、信頼と共感、これは大事であると確信をしております。

 その中にあって、政治の信頼に関わる問題として、委員の方から、また今日は各委員の方から様々な御指摘をいただきました。信頼、共感、これを大事にする視点からも、御指摘をいただいたことについては真摯に受け止め、信頼に関わる部分については丁寧に説明を続けていく、こういった姿勢は重要だと思います。各大臣において引き続き説明責任を果たしていただきたいと考えています。

藤岡委員 総理、今、これはやはり総理として、大臣の資質が問われる話だと思いますので、本当にしっかりした対応を、総理大臣としてリーダーシップをまた発揮して、お願いしたいと思います。

 最後の質問にさせていただきます。

 総理は、こういうお話の流れの中で、自らの御子息を秘書官にされました。御子息に罪はないでしょう、もちろん。ただ……

根本委員長 簡潔に質問してください。

藤岡委員 はい。

 この秘書官の人事、今までのこと、身近なところに対していろいろな、今出させていただきましたが、秘書官人事を見直すということを今決断していただけないでしょうか。

岸田内閣総理大臣 現在、内閣総理大臣秘書官、八名置いて、連携してサポートをしてもらっています。このうち二名が政務担当の内閣総理大臣秘書官であり、そのうち一名は岸田事務所の秘書を充ててきたところであります。今回、一年経過したということで、その一名について入替えを行った、こうしたことでありました。

 その際に、事務所との連携ですとか、あるいは危機管理の報告体制、あるいはネットへの発信など、そういった諸要素を勘案して人事を決定いたしました。今言った観点から、この人事は総合的な観点からの判断として適切であったと考えております。

藤岡委員 残念ながら、ファミリービジネスとの指摘も成り立ちかねない、こういうことを言われてもしようがないこの実態、今の総理の答弁では国民の共感は得られないということを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 次回は、明十八日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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