衆議院

メインへスキップ



第3号 令和4年10月18日(火曜日)

会議録本文へ
令和四年十月十八日(火曜日)

    午前八時五十五分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 達也君    石川 昭政君

      石破  茂君    今村 雅弘君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    後藤 茂之君

      後藤田正純君    鈴木 隼人君

      田中 和徳君    橘 慶一郎君

      辻  清人君    土屋 品子君

      冨樫 博之君    中根 一幸君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      松島みどり君    三谷 英弘君

      宮澤 博行君    宮下 一郎君

      山本 有二君    鷲尾英一郎君

      渡辺 博道君    梅谷  守君

      大西 健介君    源馬謙太郎君

      神津たけし君    階   猛君

      長妻  昭君    西村智奈美君

      野間  健君    藤岡 隆雄君

      太  栄志君    本庄 知史君

      森山 浩行君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    渡辺  創君

      阿部  司君    池下  卓君

      池畑浩太朗君    岩谷 良平君

      藤田 文武君    掘井 健智君

      岬  麻紀君    吉田とも代君

      庄子 賢一君    中野 洋昌君

      鰐淵 洋子君  斎藤アレックス君

      宮本  徹君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         寺田  稔君

   法務大臣         葉梨 康弘君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       秋葉 賢也君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (スタートアップ担当)

   (経済財政政策担当)   山際大志郎君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)

   (国際博覧会担当)    岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)          秡川 直也君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     黒田 岳士君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十八日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     冨樫 博之君

  金田 勝年君     橘 慶一郎君

  土屋 品子君     松島みどり君

  中根 一幸君     宮澤 博行君

  山本 有二君     石川 昭政君

  大西 健介君     太  栄志君

  西村智奈美君     野間  健君

  藤岡 隆雄君     米山 隆一君

  吉田はるみ君     長妻  昭君

  渡辺  創君     階   猛君

  阿部  司君     吉田とも代君

  池畑浩太朗君     池下  卓君

  掘井 健智君     岬  麻紀君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     山本 有二君

  橘 慶一郎君     金田 勝年君

  冨樫 博之君     石破  茂君

  松島みどり君     土屋 品子君

  宮澤 博行君     中根 一幸君

  階   猛君     渡辺  創君

  長妻  昭君     吉田はるみ君

  野間  健君     西村智奈美君

  太  栄志君     大西 健介君

  米山 隆一君     神津たけし君

  池下  卓君     池畑浩太朗君

  岬  麻紀君     岩谷 良平君

  吉田とも代君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  神津たけし君     梅谷  守君

  岩谷 良平君     掘井 健智君

  藤田 文武君     阿部  司君

同日

 辞任         補欠選任

  梅谷  守君     藤岡 隆雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長秡川直也君、消費者庁次長黒田岳士君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、法務省民事局長金子修君、財務省国際局長三村淳君、文化庁次長合田哲雄君、厚生労働省健康局長佐原康之君、厚生労働省労働基準局長鈴木英二郎君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、国土交通省国土政策局長木村実君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、逢坂誠二君から発言を求められておりますので、これを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 今日は、昨夜、参議院議院運営委員長石井準一君が衆議院の予算委員会を冒涜する発言をされましたので、そのことに抗議をする発言をさせていただきます。

 昨日の発言の冒頭は、このようであります。

 五時で衆の予算委員会が終わるなんて緊張感がないねって、野党側に。通り一遍の予算委員会じゃないんだから、瀬戸際大臣の首取るのに、五時一分に終わって首取れるのか。野党がだらしないって話ね。

 石井議運委員長はこんな話をされたわけでありますけれども、この発言は、野党を冒涜するのみならず、私ども与野党が協力して予算委員会の運営を行っております。特にテレビ入りの際には、時間に配慮をしながら、様々な思いを持って委員会の運営をしているわけです。それも知らずにこのような発言をするとは言語道断であります。強く抗議いたします。

 しかも、この発言の前の宴席には総理も同席をされており、こうした話をされていた、そういうことも石井さんは言っておりますが、そうしたことも含め、総理、このことについて見解があれば発言をお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、その発言の場に私はおりませんでしたが、報道を通じてそういった発言があったということを承知しております。

 また、委員の方から、その直前の席でそういった話が出たという話がありましたが、そういったことは全くありません。私は、その場におってやり取りを目の当たりにしておりましたが、今御指摘があった発言が前の席であったということはなかったと確信をしております。

 その上で、昨日の予算委員会の質疑を振り返りましても、大変緊張感のある中にあっても、有意義な議論ができたと感じております。国民の皆さんがテレビ等で見ている中にあって、与野党とも、それぞれの立場で真剣な議論を行ったものであったと振り返っているところであります。

 今後とも、政府としましても、こうした国会の議論の重要性に鑑みて、引き続き丁寧な議論に努めたいと考えております。

 以上です。

逢坂委員 我々野党は、政府・与党の問題点、課題を一致結束して指摘すると同時に、国民の命と暮らしを守るために、積極的な、建設的な議論にこれからも邁進する、そのことを決意を申し上げて、発言とさせていただきます。

 終わります。

根本委員長 基本的質疑を行います。

 この際、昨日の岡田克也君の質疑に関連し、長妻昭君から質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。おはようございます。よろしくお願いをいたします。

 今日は、パネルについては、新潟五区の米山隆一さんにお手伝いをいただくことにしております。

 そして、総理、昨日のやり取りを聞いておりました。やはり、統一教会、旧統一教会と呼ばせていただきますが、総理の本気度が問われていると思うんですよ。

 ちょっと気になる点を、質問権ということですけれども、お尋ねしますが、これは立憲民主党を含めて野党ヒアリングというのをずっとやっているんですよ、この間何十回と。そのときに文化庁の課長さんを呼ぶと、ずっと一貫して、解散請求は、要件の一つで法令違反とあるんですね。その法令違反は刑事に限ると。刑事の確定判決が統一教会本体に出ていないから、旧統一教会本体に出ていないからできないんです、こういう解釈をしているんですよ。この解釈を変えない限り、幾ら調査しようが何しようが解散請求できないんですよ。これは解釈を変えたんですか、総理。

 ちょっと、総理に聞いているんですから、これ。ちゃんと全部資料を渡しているんだから。

岸田内閣総理大臣 宗教法人の解散事由については、平成七年に東京高等裁判所が示し、そして平成八年に最高裁判所で確定した判決において考え方が示されております。

 その中に、法人の代表役員が法人の名の下で取得した財産や人的、物的組織等を利用して行った行為であること、また、社会通念に照らして当該法人の行為と言えること、そしてもう一つ、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反するものであること、こういった要件を満たし、それが著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為、又は宗教団体の目的を著しく逸脱したと認められる行為であることが客観的な事実として明白であることが必要、こうした考え方が示されております。刑法等の実定法規、このように記されています。これをどう解釈するのかということであります。

 いずれにせよ、今の旧統一教会の問題につきましては、民法において組織的な不法行為と認定された事例が二件あるという状況であります。

 こうした状況の中で、具体的な実例をしっかりと積み上げていくことが重要であるということから、こうした報告徴収、そして質問権の行使、これを行うことが必要であると判断し、この手続に入ることを決した次第であります。

長妻委員 これは重要なことなんですが、そうすると政府は解釈を変えたんですかね。

 その刑法等には、民法の使用者責任は入らないと明言されているんですよ、文化庁の課長さんは。国対ヒアリングの場で、何度も何度も。

 そうすると、刑法等の等の中には、民法の使用者責任、今おっしゃったように認められましたよね、本体の、これも含まれるという解釈でよろしいんですね。そういうふうに変えたということでよろしいんですね。

根本委員長 文部科学大臣永岡桂子君。ちょっと、解釈なので。(発言する者あり)じゃ、永岡君、まず答弁してください。その後、総理に。

永岡国務大臣 答弁をさせていただきます。

 宗教法人法の第八十一条に定められました宗教法人の解散事由につきましては、ただいま総理もおっしゃいましたように、平成七年のオウム真理教の解散命令事件の際に、東京高裁、裁判所が示し、最高裁判所で確定した決定においてその考えが示されております。

 所轄庁といたしまして、解散命令の請求を行うに当たりましても、当該決定を踏まえる必要があると考えます。

 今後、旧統一教会について明らかになった事実を踏まえて、当該決定に示されました要件に該当すると判断した場合には、宗教法人法に基づき厳正に対処をしたいと考えております。

 具体的には、法人の代表役員等が……

根本委員長 簡潔にお願いします。

永岡国務大臣 法人の名の下で取得をした財産や人的、物的組織等を利用して行った行為であること、そして、社会通念に照らして当該法人の行為と言えること、そして、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反するものであることといった要件を満たし、それが著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為……(発言する者あり)

根本委員長 大臣、簡潔にお願いします。

永岡国務大臣 又は宗教団体の目的を著しく逸脱したと認められる行為であることが客観的な事由として明白であることが必要との考え方が示されていると承知をしております。

 以上です。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げた平成八年の最高裁で確定した判決において示された考え方、これは政府としても考え方は変わっておりません。

 先ほど申し上げましたように、その考え方の中に刑法等となっているわけですが、そして、今回……(長妻委員「民法入るの、民法、等に入るの」と呼ぶ)ちょっと待ってください。今回、こうした報告徴収、質問権を行使する手続に入る理由として、先ほど申し上げました、二件の民法における組織的な不法行為を認定した判決があることと加えて、今回、合同相談窓口においても、千七百件の相談が寄せられた。その中には、警察等につないだ案件が含まれております。こうした警察につないだような案件の中に、今言った刑法を始めとする様々な規範に抵触する可能性はあるんだと認識をしております。それも含めて手続に入ったということであります。

 従来の最高裁で示された考え方、政府は引き続きそれを踏襲しております。

長妻委員 何で私これ、非常に重要なことなんですよ。なぜかというと、旧統一教会の本体については、刑事的責任が確定判決で問われていないんですよ。周辺の関連の会社、法人には、刑事的責任が確定判決で問われたケースはあるんですね。ところが、本体には、刑事責任が問われたのはないんですよ。

 総理、疑いといっても、もし、では、国が今から刑事的訴追をして、そして確定判決が出るまで相当時間かかるわけですよね。ですから、私が言っているのは、文化庁の課長さんが言っている、一貫して言っている政府の解釈を変えない限り、永久に解散請求できないんですよ。だから、そこが核心なんです。

 だから、総理は、先ほど判例は踏襲するとおっしゃいました。その判例には刑法等と書いてあるんです、等。等の中には民法の組織的不法行為は入りません、こういうふうに政府は明言しているんです、何度も国対ヒアリングで。等に、では、民法の組織的不法行為は入るというふうに解釈を変えてやるんですねということを聞いているんです。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、政府としては考え方は変えておりません。

 だからこそ、先ほど申し上げました、千七百件の相談事例の中に警察につないだ案件があると。こうした事態を受けて、より実態を把握するために報告徴収、質問権の行使、これが必要であると認識をして手続に入ったということであります。

長妻委員 そうすると、総理、民法は入らないということだとすると、結局何年かかるんだという話なんですね。

 相談で刑事的な問題も来ているというお話ありました、刑事的な訴追を受ける疑いの事例も。それは、法令上は確定判決なんですよ。じゃ、それを警察が捜査して、そしてそれを起訴して、そして裁判で相当争えば最高裁まで行くでしょう。そこで確定判決が出て初めてということになっちゃうわけですよ、民法を認めないと。これは何年かかる、三年、四年、五年かかりますよ。

 総理、昨日、誰も野党の人間が聞いていないのに、総理が明覚寺は解散請求から解散命令まで三年かかったというふうにおっしゃったわけで、そういう長いスパンを総理は考えておられるんですかね。これは刑事だけに限るということは変えないんですか、解釈。

岸田内閣総理大臣 昨日、オウム真理教の例、そして明覚寺事件の例を挙げたのは、殺人罪で起訴された案件でも七か月かかった、そして、詐欺罪が確定している案件であっても三年かかった、こうした事例を挙げて、よって、より今回の件についても事実をしっかり積み上げる必要があると考えたからこそ、今回、報告徴収、質問権の行使に踏み切ったという説明をさせていただいた次第です。

 是非、この手続を進める上からも、報告徴収、質問権の行使は重要であると認識をしております。

長妻委員 これは、解散請求、解散命令というのが最大の予防なんですよ。本当に、被害者の方、何十人も立憲民主党、お会いしました。自殺者も多いんです。生活保護になっておられる方も多いんですよ。防がなきゃいけないんですね。

 そういう意味で、もう一回お尋ねすると、重要なことなので。じゃ、刑事的な確定判決に限定するということでよろしいんですね、この解散請求の法令違反という解釈は。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げているように、平成八年の最高裁の判決で示された考え方、これを維持しているということであります。

長妻委員 そうすると、刑事的確定判決に限定されるという解釈ですね。

岸田内閣総理大臣 判決の中で示されているように、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反するものであるという考え方、これを踏襲していると申し上げております。

長妻委員 じゃ、禁止規定と命令違反というのは、民法の、今おっしゃった不法行為ですね、組織的、これは入らないという理解ですね。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、民法の不法行為、これは入らないという解釈であります。

長妻委員 これではっきりしました。今はっきりしました。私は、これは信用できません、この質問権含めて。

 つまり、これは被害者弁護団の方々も声明を出して、別に、法律には法令と書いてあるんですよ。別に民法も刑法も、何にも書いてないわけですね。それで、今の判例もオウムの判例なんですよ。つまり、刑事的事件の判例に書いてあるだけの話なので、そういう解釈に固執する限り、刑事的訴追して確定判決が出る、それも幾つも出る、それを待つということになるので、私は、何年もかかるというふうに思わざるを得ないんですよ、総理。これは総理の本気度が問われますので、駄目ですよ、これ。解釈をもうちょっと整理していただきたいということを私は申し上げます。

 それで、ちょっと次の質問に入りますが……

根本委員長 総理が答弁したいとおっしゃっていますが、大丈夫ですか。

長妻委員 そうですか。じゃ、どうぞ。

岸田内閣総理大臣 過去の例を見ても、日数がかかるからこそ、今回の案件についても事実関係を積み上げる必要があるという問題意識から、この手続に入っているというわけであります。

 是非、できるだけ迅速に手続を進めるためにも、この報告徴収、質問権の行使、迅速に行っていきたいと考えております。

長妻委員 今のはちょっと反論になっていないんですね。

 私が申し上げているのは、刑事に今こだわるわけですね、民法は駄目だということなので。そうすると、今、旧統一教会の本体には、刑事的な確定判決というのはないんですよ。周辺にはありますよ、周辺の団体には。だから、一から今からやると何年もかかると言わざるを得ないんですね。ですから、本気度が問われるということを言っているわけです。

 ちょっと角度を変えて次の質問に入りますが、統一教会関係のネットでの会議というところの発言録が流出したという報道がございました。

 その報道によると、旧統一教会の関連団体の幹部の方が、今いろいろ統一教会が言われていることについて説明をしているわけですが、内部の会議で、こういうことをおっしゃっているんですね。今の状況を御説明するために、ファイアウォール、防火壁について御説明したいと思います、何かトラブルがあったときにその責任が団体に及ばないようにするために壁を設けているということなんですね。

 つまり、本体である旧統一教会本体に、宗教法人に行かないように、ファイアウォールという表現で、防火壁、いろいろな関連団体を周りに置いているんだ、こういう話なんです、総理。

 だから、結局は、本体を質問するというのもいいでしょう。しかし、本当に連携していろいろな問題を起こしているのは関連団体なんですよ。全部今、報道でも関連団体ばかりじゃないですか、政治工作も、あるいはいろいろな販売も、いろいろな問題も。

 だから、昨日もここでもやり取りがあったと思いますが、政府は、質問権は本体しか質問できないんだよと。つまり、関連団体を、これは宗教法人じゃないですから、いろいろな法令を駆使して、いろいろな大臣がおられますから、調査する、これを検討して指示するんだということを、総理、是非本気度を示していただきたいです。

岸田内閣総理大臣 当然のことながら、法律に基づいて、その法律を最大限駆使して実態把握に努める、こうした姿勢を政府としても取っていきたいと考えております。

長妻委員 もちろん、法律にのっとってやる、これは当然だと思います。

 ですから、繰り返しですけれども、本体しか質問権は届かないんですよ。本体は、知らぬ存ぜぬとおっしゃるでしょう。関連というのは、いやいや、それは信者さんがやっているものだよ、こういう話になる可能性は高いんですよ、総理。ですから、関連の会社とか、いろいろな法人があるわけですね、組織が。それは、もちろん法律に基づかなきゃいけないけれども、いろいろ検討して、何ができるか検討してみる、そこまでちょっと答弁いただきたいんですよ。是非お願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、法律に従う、法的なデュープロセスをしっかり踏んでこの手続を進めることが、その報告、あるいは質問権の重みを確かなものにすると考えています。それはそれでしっかり進めていきたいと思います。

 そして、その中で、その関連団体につながるようなものがあれば、それはまた情報収集、実態把握に努めていくということになると考えます。

長妻委員 ちょっと腰が引けていますよね。

 関連団体は宗教法人じゃないわけで、ですから、法令に照らしてどういうような調査ができるかどうか検討するということを前向きに是非答弁いただきたいと思うんですが。

岸田内閣総理大臣 質問については、おっしゃるような部分も含めて実態に迫れるような質問をしなければならないと思います。ですが、その手続として宗教法人審議会に質問事項等をしっかり確認した上で行う、その手続はしっかり踏んだ上で適切な質問を行っていかなければならないと思っています。

長妻委員 いろいろ法令を調べて、関連団体にも直接何らかの調査や働きかけができるかできないか検討するぐらいも言えないんですね。これじゃ、ちょっと本当に、時間稼ぎというふうに言われても仕方ないですよ、総理。それでなくても、自民党は相当癒着していたわけですから、そういう、ほとぼりが冷めれば、また、きちっとした対応はまあそこそこにしようというようなことでは困るわけなので、そういうふうに国民も見ていますよ、いろんな世論調査で。是非お願いします。

 そして、法律を提出いたしました。我が党立憲民主党と日本維新の会、議論をして合意したものを各野党に呼びかけて、今国会で国会法改正案、臨時国会の召集期限を二十日以内にする、立憲民主党、日本維新の会、共産党、有志の会、社民党、れいわ新選組。これは昨日、我が党の岡田幹事長が質疑をいたしました。

 そして、これは先週の金曜日、通園バス置き去り防止法案、提出をいたしました。これも立憲民主党、日本維新の会、共産党、社民党でございます。これ、金曜日に提出したら、事前に政府にもいろいろ申し上げていたところ、政府は、今まで通園バスは補助金については全額ではなかったものが、我が党の法案は全額補助ということになっているので、事実上全額というふうに昨日おっしゃいました。これは法案を出した成果だと思いますが、ただ、足りないところがあります。後でちょっとそれは議論します。

 そして、今議論している旧統一教会、悪質献金被害救済法案、これは昨日提出いたしました。これも先週水曜日、我が党と日本維新の会で法案、合意しました。そうしたらば、非常に政府の動きが急ピッチになって、昨日の朝ですか、報告書が出た、法案も改正するというような話でございました。やはりこの法案が非常に政府の後押しになっているということだと思います。

 この悪質献金被害救済法、ちょっと説明を申し上げますと、まずその前に総理にお伺いしますが、昨日おっしゃっていただいた法律の改正、これはもちろん今臨時国会に提出するということでよろしいんですね。

岸田内閣総理大臣 政府が考えている法律の見直し、それについては、もう準備ができたものから順次提出をしていきたいと考えています。(長妻委員「今国会」と呼ぶ)いや、今準備を進めております。作業を進めて、今国会を念頭に準備をこれから進めてまいります。

長妻委員 今国会念頭というのは、今国会に出すということですね。

岸田内閣総理大臣 法律の準備状況を確認して、できるだけ早く提出をさせるということであります。

長妻委員 消費者庁の官僚の方とお話ししますと、今国会は出せませんとおっしゃっておられました。来年の臨時国会だと、また先延ばしになりますよ。今国会で決着をつけたいというふうに思うんですね。

 政府は消費者契約法の改正というような趣旨をおっしゃっていますが、これは限界があるんです。ちょっと新しい枠組みをつくらなきゃいけないんですね。

 政府に抜けているところ、重要なところ、三つほどあるんです、我が党の法律にはあって。それをちょっとお尋ねしますが、一つは、非常に大きいのが、いわゆるマインドコントロールといいますが、そこから抜け出ていない方、その方は自分が被害者というふうには思っておられない。ただ、周りの家族が大変なことになる。その場合はお手上げなんですよ、政府の発想だと、本人が気づかなければ。これが最大の焦点なんですね。

 我々は、もう二か月以上、専門家の皆さんと相当な濃密な議論をして、家族等が本人に代わって取り消すことができると。これは当然、特定財産損害誘導行為というのを、厳密にマインドコントロールを条文で規定をした上でですけれども、これは家庭裁判所が認定します。御本人の状況を家庭裁判所が見て、専門家も入って、家庭裁判所が認定すれば、これは特別補助人というふうに御家族等がなって、そして本人に代わって取り消すことができる、こういうことなんです。相当慎重にしております。取り消す行為も、普通のお買物なんかはできるんですけれども、特定の団体への特定の行為だけに限定して御家族等が取り消すことができる。

 相当議論に議論を重ねて、憲法にも抵触しないように作り上げたものですが、これ、取り入れていただけませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど、政府としても法律の見直しを考えているということを申し上げましたが、御党から出された法案を拝見いたしますと、そこと重なる部分ももちろんあります。しかし、その中で幾つか政府として問題点を感じている部分があります。そのうちの一つが、今御指摘になられた部分であると思っています。

 第三者が契約等を取り消すことができる特別補助制度、これは、精神上の障害による判断能力の低下といった事情がない者についても本人の同意なく憲法上の財産権が制約されるなど、人権侵害となってしまう可能性があるといった課題があると承知をしています。

 これは、政府における有識者会議においてもこの議論はありました。ただ、この問題点について、より議論を深めていかないと、十分に対応できるのか、そして今言ったような問題点をクリアできるのか、こういった議論があったと承知をしております。

 もちろん、御党の提案、法案、是非参考にさせていただきたいと思いますが、今言った点についても議論を深めなければならないと思っておりますし、また、法案の中でもう一つ、困難状況惹起行為、これは定義が曖昧ではないか、こうした指摘があります。救済されるべき被害者をしっかりと救済対象として捉えられるか、こうした懸念があるという指摘もあります。これらについてももう少し議論を深めなければいけない点ではないか、このように認識をしております。

 いずれにせよ、政府として、できる法律の見直し、これはできるだけスピード感を持ってやりたいと思いますが、今言った点等については議論を深めたいと思っております。

長妻委員 総理、随分ゆっくりしたような話ですね。第三者による取消しというのは本丸なんですよ。これで苦しんでいるんですよ、多くの方が。

 我々の法案に対していろいろ意見を言っていただく、もちろんいいです。我々も、この条文を全く変えないでのみ込めなんて言っているつもりはありません。それは議論しましょう。そして、いいところを取り入れてください。我々の法案も修正していただいていいんですよ。

 それと、加えて、政府にないのが刑事的責任。我々は、特定財産損害誘導行為をした人は、民事的に当然取り消せるけれども、刑事的にも、勧告、命令、立入りということで、言うことを聞かない場合は刑事罰というようなことが政府には抜けておりますし、そしてもう一つは、契約でないもの、つまり、喜捨とか布施とか、寄附や契約と取られないケースは政府は対応できていないんですよ。これについても対応できるように相当知恵を絞って入れましたから、総理。

 ですから、是非、本当に一刻の猶予もないというふうに私も強く感じておりますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。是非これは今国会で何としても成立したいというふうに思いますので、是非よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣 いろいろ政府の対応について足りない点も御指摘いただきました。

 寄附等については、特商法を始め様々な法律の中で考えていくべきであると我々は思っております。

 刑事罰については、特商法には罰則があるわけですが、消費者契約法にはない、こういったことであります。ただ、こうした刑罰を付すというのであるならば、なおさら先ほど言った点はしっかり確定をしておかなければならない、こうしたことであると思います。是非議論を深めていきたいと思います。

 いずれにせよ、まず、これは議員立法でありますから、国会において議論を行っていただく、これがスタートであると思っています。

長妻委員 何か国会に投げるような、国会もやりますけれども、ただ、総理、閣法というか、政府の中で改正するとおっしゃっているんだから、責任を持って政府も案を出してくださいよ、これを取り入れて。いろいろ、いいですよ、言っていただく分には。ただ、駄目だ駄目だ駄目だだったら何にもできないんですよ。消費契約法の改正だけだったら不十分なんです。是非お願いします。

 そして次、もう一つ、私もいろいろ調べて驚くんですが、旧統一教会、統一教会と安全保障の重大な問題があるのではないかという問題提起です。

 これは米国の諜報機関である米国国防情報局、DIAの文書、これは米国ジャーナリストのロバート・パリー氏が入手したDIAの文書、これが情報公開法で入手した資料ということなんですが、配付資料に原本をつけておりますので御覧ください。

 ここで書いてありますのは、統一教会の教祖が、一九九一年に四千五百億円を、一九九三年に三百万ドルを北朝鮮に寄附した、こういうようなことでございます。いろいろ被害弁護団の方なんかにもお話を聞いても、そういうことがあったんだろう、その後も、いろいろな合弁企業を売却したり、いろいろなお金の流れがあるんじゃないかと。

 御存じのように、統一教会というのは多くの献金が日本人信者からのものなんですね、財源が。それが、ミサイルを造っている、今、日本にも、五年ぶりですか、日本をまたいでミサイルを撃ってきた、この北朝鮮に流れている。私は、これは安全保障上の問題でもあるんじゃないかと。

 そしてもう一つ、これは一九九四年なんですが、日本の商社を通じロシア潜水艦購入か、北朝鮮ということで、北朝鮮が日本の商社を通じてロシアからゴルフ2型という弾道ミサイル搭載可能の潜水艦を購入したというものなんです。これはニューヨーク・タイムズのスクープでございます。ニューヨーク・タイムズもつけております、配付資料に。

 これは、当時、日本の四人の従業員の小さな商社を通じて、この四人の商社というのは、その後分かるんですが、全員が統一教会の関係者というふうに言われております。

 それで、これについて韓国での国会答弁があるんですね。これは、二〇一六年八月二十九日といえば、私が承知していますのは、北朝鮮がSLBM、潜水艦から弾道ミサイル発射、成功したのが二〇一六年と承知しておりますが、その二〇一六年の韓国での国会で、国防部国防政策室長がこういう答弁をされているんです。北朝鮮は、九〇年代中盤から旧ソ連製のゴルフ級の潜水艦を導入してSLBM技術を獲得し、二〇〇〇年代初めから金正日の指示で開発に着手しました、こういうふうに答弁があるんですね。

 これは分かった範囲で今お話ししているんですが、やはり、いろんな専門家に聞くと、氷山の一角なんじゃないのか、その後もいろいろなことがあるんじゃないのかと。お金の流れ、さっき申し上げました。

 これ、総理、重大な関心を持ってちょっと調べてみませんか。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 まず、資金の流れの方ですが、御指摘の報道があるということを承知しております。そして、旧統一教会に限らず、いかなる出どころの資金によるものであれ、北朝鮮による核・ミサイル開発、これは我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないということです。

 その観点から、二〇〇六年以降の累次の国連安保理決議に基づく措置として、北朝鮮の核関連計画等に貢献し得る活動に寄与する目的で行う送金、送金の受取、資金取引等を禁止し、また、一九九八年以降、我が国自身の措置として、北朝鮮向け支払いを原則禁止するなど、必要な措置を講じております。こうした取組を継続し、実効性を高めていくことが重要であると認識をしております。

 それで、委員は、こういう例があるのではないか、これについて調べるということを考えていないかという質問でありますが、今言った我が国の措置の実効性を高めることについて、まずはいま一度点検をしなければならないと思いますし、過去の例については、関係国との連携等において何ができるのか、これは考えてみたいと思っております。

 それで、もう一つ、潜水艦の方は防衛大臣の方から答弁をさせてください。

浜田国務大臣 お答えさせていただきます。

 とにかく、今回の情報については、御指摘の点については我々も認識をしておるところであります。こういったことに対して、平素から我々も重大な関心を持って情報収集、そして分析を行っておりますが、今現在、この時点で、今の情報の真偽というのが、確認することは困難であります。

 いずれにせよ、北朝鮮はこれまでにSLBMを六回発射するなど、その開発を進めてきておるわけでありまして、これによって弾道ミサイルによる打撃能力の多様化と残存性の向上を企図しているものと考えられております。

 防衛省としては、核・ミサイル開発に関する北朝鮮の軍事動向について必要な情報の収集、分析に全力を挙げていく考えであります。先生の御指摘をしっかりと受け止めていきたいというふうに思っております。

長妻委員 これは、自民党の方も、安全保障を専門にやっておられる方も、重大なやはり危機感を持ってほしいんですね。いろんなことをやっている団体なんですよ、周辺も含めて。

 それで、これは外為法に違反しないのかということも私は疑問なんですね。

 日本は二〇一六年二月から、北に日本からの送金、どなたでも現金を持っていくのも駄目になっておりますけれども、北朝鮮に旧統一教会、統一教会の聖地があるんですね。聖地巡礼ツアーということで、日本から信者が一年間に千人ぐらい行っているのではないのかと。一人幾らかの、具体的金額をおっしゃる方もいますが、ばらばらなんだと思いますが、相当の金額を持参して寄附していくということなんですね、北朝鮮への聖地巡礼ツアー。

 今はコロナでツアーは再開されていないという報道がございますが、これはちょっと政府にお伺いしますが、仮に宗教的な心、宗教的な目的で北朝鮮に現金を持っていくと、これはやはり法令違反になりますかね、今。

鈴木国務大臣 外為法を所管をいたしますので答弁させていただきますが、まず、今いろいろな報道ベースの話を先生からいただきました。御指摘の報道が存在することは承知をいたしております。

 この事実関係は分かりませんけれども、北朝鮮在住の個人等に対する支払いにつきましては、外為法に基づきまして、二〇一六年二月以降、原則禁止としているところであります。仮に、二〇一六年二月以降、日本の居住者が北朝鮮の居住者に対し、当局の許可なく寄附などを含めて支払いを行っていれば、原則、外為法違反になります。

 いずれにいたしましても、外為法の規制の履行状況について、政府として日頃より情報収集、分析に努めておりまして、今後とも更に情報収集、分析に努めていきたいと思っております。

長妻委員 是非、私もどういうルートかお金の流れは分かりませんが、北朝鮮にお金を持っていって、そこでどなたかが受け取って、教団の会計あるいは関連会社の会計に入って、それが北朝鮮に流れるとなると、多分、直接でないから法律にはいろいろ抵触しないというようなこともあるのかもしれませんけれども、しかし、事実上そういうことがもし行われていたら、これはゆゆしきことだと思いませんか、自民党も、安全保障を専門としている方も。ちょっとこれは看過できないですよね、事実とすれば、そういうことが。ですから、是非、緊張感を持って、そういう別の角度からも調査をしていただきたいということをお願い申し上げます。

 そして、ちょっと次に入りますが、物価高対策、政府の総合経済対策ですけれども、我が党も経済対策をつくりました。政府はまだ出ておりません。ちょっと遅過ぎるんじゃないか。

 報道によると、ゼロ歳から二歳までの方に十万円のクーポン券を渡す、お子さんにですね。クーポンというのは、過去、いろいろな手数料がかかって大変な状況になったんじゃないか。それでクーポンをやめた経緯があるんです。

 とすると、総理にお伺いするんですが、三歳以上のお子さんには何か、何にもないんですか。

岸田内閣総理大臣 政府として、お困りになっている方々への支援ということについては、これまでも様々な政策を用意し、重層的にこういった政策を執行しております。

 低所得の子育て世帯に対して児童一人当たり五万円を給付することに加えて、九月には、特に家計への影響が大きい住民税非課税世帯にはプッシュ型で五万円を給付しているところです。あわせて、地方創生臨時交付金のメニューにおいて、物価高騰による小中学生の保護者の負担を軽減するための学校給食費等の支援など、地域の事情に応じて子育て世帯の支援を行うこと、これを可能としております。

 また、今般策定する総合経済対策においても、物価高騰、賃上げへの取組として、エネルギー、食料品等の価格高騰への影響により厳しい状況にある生活者、事業者の方々へきめ細かく支援を行っていく。

 このように様々な政策を重層的に執行することによって、おっしゃるように、三歳以上の世帯に対しても様々な支援が及ぶように、政府として政策を進めているところであります。

長妻委員 やはり、直接家計に届くような政策でないと駄目だと思うんですね。我が党の、多分、自民党と体質が違うというか特徴は、やはり家計に直接届く。

 自民党は、去年の十二月ですか、補正予算を作って、三十兆ですとどんと出して。しかし、補正予算というのは年度内に終えるのが、執行するのがルールなのに、本予算と合わせて二十二兆円も年度内に終えられないで枠から出ちゃった。見せ金みたいな話ではなくて、組織に流すんじゃなくて直接家計に入れていくというのが私たちの思想の一つなんですね。もちろん、事業者は事業者ですけれどもね。

 そういう意味では、我が党は、十八歳までの全てのお子さんに十万円を給付する。これは今、日本はヨーロッパに比べて、GDP比で、子育て、教育予算、半分ぐらいしかないんですよ。二十六位なんですよ、先進国の中で。

 出生率も、もう非常に下がりに下がって、私、ちょっと今年ショックだったのは、出生数が、厚生労働省が堅く見積もっている出生数から七年前倒しで減っちゃったんですよ。七年も早く減っているんですね。日本は出生率が三十四位、三十七か国中。非常に若者、お子さん世代、子育て世代は疲弊しています。そこにやはり直接届けなきゃいけない。

 それと、五万円給付世帯の対象拡大、これは非課税世帯の倍の収入以下の方。そして、六か月間給食費を無償にする。そして六か月後に、またそれを延長するかどうか、我々は考えます。そして、大学や専門学校の授業料を減免する、これも六か月。六か月以降はまたその時点で検討して、新たな経済対策を出す。そして、地方創生臨時交付金を変えて、暮らしと地域応援重点交付金を地方に物価対策で出していく。

 そして、事業を支えるということで、中小企業のコロナ債務減免を可能にする。インバウンド対応の強化。肥料、飼料価格の安定化対策の拡充。

 そして、省エネ、再エネ投資。政府が電気代を安くすると言っているのは、モデル世帯で、一世帯当たり、賦課金をなくすとすれば一か月九百円だけなんですね、安くなるのは。しかも電気代だけじゃないわけで、いろんなものがあるわけですから、やはり直接給付が重要だと思うんです。

 同時に、省エネ家電の更新についても補助金を出す。エコカー普及促進、太陽光パネル等の設置支援などなどですね。

 「生活氷河期」を乗り越えるための緊急経済対策、是非参考にしていただきたい。まだ政府は出しておりませんので。

 そして、最後にマイナンバーカードの話を申し上げますが、総理、私もデジタル化はもちろん賛成です。日本は遅れていますから、これはやるべきなんですが、一番機微に触れる医療情報が入っている保険証を、再来年の秋に紙の廃止を目指す、保険証の廃止を目指すと、どおんとぶち上げました。これは本当に大丈夫なのかということなんですね。

 しかも、一方で、免許証は廃止しない、こういうことなんですよ。警察は力が強いという解説が政府の中から出てくるんですが。

 総理に是非お考えいただきたいのは、繰り返しですけれども、デジタル化は重要です。ただ、保険証というのは、レセプトの共有化もできるわけですね、御本人の同意で。

 レセプトというのは診療報酬明細書で、これは民主党政権のときに一般の方にも手渡しで配るようにいたしました。ここの中には薬の情報などが書いてありますが、見る人が見れば、ああ、この方はこういう御病気だな、この方はこういう疾患を持っているなというのが分かるような、個人情報の中でも一番機微に触れる情報なんですよ。やはり、ひもづけするのであれば、私は一番最後にしてほしいんですよね、保険証については。なくすというのを、二年後です、目指します、これは乱暴じゃないですかね。それで、免許証はなくしません。

 やはり、いろんなものをひもづけて、情報は漏れると思います、残念ながら。そして、漏れたときにそれをどんどんどんどんブラッシュアップしていって、ほぼ漏れないような状況まで確認して、国民の理解を得たときに保険証を手をつけるという順番じゃないかと思うんですが、総理、いかがですか。

 総理、最後もうあと一分しかない。あと一分しかないから、総理だけ。

根本委員長 国務大臣河野太郎君。(長妻委員「いや、駄目です、駄目駄目。もう一分しかないから。指名していませんから。登録していないから」と呼ぶ)じゃ、端的に。

河野国務大臣 保険証の廃止を二〇二四年の秋とゴールを示すことによって、様々な御意見をいただいております。今お寄せいただいている御懸念や不安を一つ一つ丁寧にクリアをして、御理解をいただいて、ゴールを目指していきたいと思っております。

 保険証につきましては、もう既にマイナンバーカードと一体化が進んでおります。

根本委員長 河野大臣、簡潔に。

河野国務大臣 免許証については、これから一体化が始まりますので、それから先のことは、その後また申し上げていきたいと思っております。

岸田内閣総理大臣 国民の皆様にマイナンバーカードで受診していただくことで、健康、医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことが可能になるなど、カードと健康保険証の一体化には様々なメリットがあると思っております。そして、こうしたメリットをより多くの国民、関係者の皆様に早くお届けできるよう、カードと健康保険証の一体化を進めるため、令和六年秋の健康保険証の廃止を目指すことといたしました。

 そして、委員の方から、情報漏えいに対する心配が指摘をされました。

 このカードと健康保険証の一体化による個人情報の保護については、医療機関等と支払基金との間のネットワークを閉域とするなど、高いセキュリティーを確保しており、昨年十月の運用開始以来、現在まで、情報漏えい事案、これは一件も生じていないところであります。引き続き、こうしたセキュリティーにつきましても万全を期していきたいと考えております。

長妻委員 これで終わりますけれども、情報漏えい事案がないというのは、今までひもづけされているものが多くなかったからですよ。漏れますから、情報というのは。一番機微に触れるものについてはやはり万全を期していただきたい。そうでなければ、国民の皆さんは本当に不安が増しますよ。是非、聞く耳を十分持っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、階猛君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私の隣にいる長野三区の神津たけし代議士にお手伝いをさせていただきながら質疑を進めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 さて、私は現在、党の中でネクスト財務金融大臣という役職にあります。本日は金融と経済の分野を主に取り上げたいと思いますが、その前に、さきの安倍元総理の国葬における岸田総理の弔辞に関してお尋ねしたいと思います。

 安倍元総理におかれては、民主主義に必要かつ不可欠な選挙演説中に凶弾に倒れ、帰らぬ人となりました。ここに改めて御冥福をお祈りいたします。

 早速ですが、パネルの一を御覧ください。

 さきの国葬で、岸田首相はこのようなことをおっしゃっていました。「勇とは義しき事をなすことなり」という新渡戸稲造の言葉を、あなたは一度、防衛大学校の卒業式で使っています、カレッジ・イズ・ドゥーイング・ホワット・イズ・ライト、安倍さん、あなたこそ勇気の人でありました、このような言葉でした。

 さて、この岸田首相の安倍さんに対する評価についてはさておくとしまして、岸田総理が触れられた新渡戸稲造先生は、私の地元の盛岡市の出身です。「勇とは義しき事をなすことなり」という言葉の原文は英語です。一九〇〇年に刊行されて、当時世界的なベストセラーになった「武士道」という本に書かれています。国際連盟の事務次長として活躍された偉大な先人です。一昨日、十月十六日が八十九回目の命日でした。

 今回の弔辞で総理があえて新渡戸先生の言葉を引用した理由、お聞かせいただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 弔辞を作る際に、過去の安倍元総理の発言の中から元総理の生き方を表すのにふさわしい言葉として、二〇〇七年の防衛大学校の卒業式で安倍元総理が引用した言葉、新渡戸稲造先生の言葉、これを用いさせていただいた、こういった次第であります。

階委員 それでは、岸田首相が特に新渡戸先生と関わりがあったということではなくて、安倍元首相の言葉から引用されたということだと思います。

 そこで、では、私の方からちょっと御紹介したいんですが、新渡戸先生は実は日露戦争の終結に大変重要な役割を果たしたと言われております。それはお聞きになったことがひょっとしたらありますでしょうか。特にないですか。うなずいていただければ結構です。ないですね。

 それはそれで結構なんですが、実は、日露戦争当時、戦争の早期終結を図るため、時の枢密院議長だった伊藤博文さんがアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領に特使を派遣したそうです。その際に、日本を理解してもらうために大統領に渡されたのが、この新渡戸先生の「武士道」という本でした。ルーズベルト大統領は、これを読んで、大変感銘を受けたそうです。そして、親しい米国の議員や各国に駐在する外交官に贈ったそうです。そして、ルーズベルト大統領のあっせんでポーツマス条約が締結されて、日本の勝利という形で戦争が終結したということです。

 私が申し上げたいのは、仮にこの「武士道」がなければ、アメリカが日露戦争の仲裁に入るようなことはなくて、戦争が長引き、国力で勝るロシアがウクライナのように我が国を侵略していたかもしれません。

 現在、我が国の安全保障のために防衛力を増強すべしという議論が盛んになっていますが、こうしたハードパワーだけで果たして日本は守れるのかという問題意識があります。歴史に学んで、「武士道」のように、日本に敬意や親しみ、そして信頼と共感を持ってもらうためのソフトパワーの強化にもっと力を入れるべきではないかと私は思います。

 総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国の国民の命や暮らしを守るために、厳しい国際環境の中で政府として行わなければいけない活動、それは何といっても外交政策であると思います。外交を通じて、我が国にとって安定した国際環境をつくっていく、これがまず基本であるということは言うまでもないわけであります。

 ただ、この厳しい安全保障環境を見ますときに、ウクライナを始め、様々な具体的な事例を見ますときに、しっかりとした外交と併せて、自らの国の国民の命や暮らしを守るための備え、これもいま一度点検しなければならない。

 あわせて、今、この厳しい国際環境の中で、また著しい技術の進歩の中で、安全保障の世界においては、どんな国であっても、あのアメリカであっても、一国のみで自らの国を守ることができない、これがこの安全保障の世界の常識となっています。

 ですから、自らの国をしっかり守るための備え、これを充実させるとともに、我が国であるならば、外交、安全保障の基軸は日米同盟であります。日米同盟を始め、多くの同志国、同盟国とともに協力をすることによって、安定した国際環境を維持していく努力も併せて行わなければならない、外交努力と併せて安全保障面からも国際連携を図っていかなければならない、こうした考え方に立っています。

 こうしたことから、委員御指摘のように、外交努力の重要性、これは最も大切なところだと思いますが、そうした自らの安全保障の備えと、そして安全保障面での連携の充実、抑止力、対処力を高める上で、こうした努力も併せて行うことが国民の命や暮らしを守る上で大変重要な取組であると考え、それぞれの政策を進めているというのが政府のありようであります。

階委員 もっと岸田首相には響いたかなと思ったんですが、少し、余り響いていなかったかなという思いがしますけれども、いずれにしても、過去の歴史をよく研究していただいて、日本が誤った道を歩むことのないようにお願いしたいと思います。

 それでは次に、我が国の現下の物価高をもたらしている円安に関してお尋ねします。

 ニューヨーク市場では、本日、ついに一ドル百四十九円を突破しました。鈴木財務大臣は、G20から帰国後の取材で、過度な為替変動がある場合には断固たる措置を取る旨語っています。

 断固たる措置とは、再び、政府が保有するドル資産を売って円を買う、いわゆる為替介入を行うという意味だと理解していいでしょうか。財務大臣、お答えください。

鈴木国務大臣 御承知のとおり、最近の為替の動きというものに対して、高い緊張感を持って、日々といいますか、一刻一刻、注視をしている、そういう状況でございます。

 為替相場の具体的な水準につきましては、私の不用意な発言が相場に影響を与えてはいけませんので、具体的なことはコメントいたしませんけれども、やはり、投機による過度な変動、これは容認することができません。先ほど申し上げましたとおり、市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しましては、適切な対応、これを断固として取ってまいりたい、そういうふうに思っているところでございます。

階委員 端的に答えてください。断固たる措置とは何ですか。

鈴木国務大臣 先般、断固たる措置として、為替介入をさせていただいたところであります。

階委員 パネル二を御覧ください。

 その為替介入が九月二十二日に行われたわけですが、ここ一年の日米の金利の差、これはブルーで階段状に示したものです。そして、赤のぎざぎざの折れ線グラフ、これは円とドルの為替レートを示したものです。これを見ればお分かりのとおり、金利差の拡大につれて円はどんどん安くなっている、こういうことです。

 為替介入を行ったのが、先ほど申し上げました九月二十二日、直近なので、九月二十二日のところで、一旦上がった円安が、一旦円安が進んだのがちょっと元に戻ったわけですが、またここに来て、大きく円安の方向に動いているわけですね。このグラフを見てお分かりになるかと思います。

 こういう金利差の拡大が円安を招いているということがある中で、幾ら政府が断固たる措置として為替介入を行ったとしても、これは、一方で政府が円安の火を消すために消防車を現場に出動させつつ、一方で日本銀行が金利の差を拡大させて、火に油を注ぐタンクローリーを現場に急行させているようなものだと思うんですね。こうした矛盾を続ける限り、円安は止まらないと思います。

 さらに、この金利差、ここで頭打ちになっているわけではないと思います。さらに、アメリカは物価が上昇しているので、年末にかけて一段と金利を上げて、日米の金利差がこのままだと拡大していく、こんな情勢です。

 そういうことを前提に、総理にお尋ねします。

 日米の金利差を縮めない限り、円安は続くのではないでしょうか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 金融政策、そして具体的な金融政策の進め方は、日銀に責任を持って進めてもらわなければならないものだと認識しておりますが、金利、金融政策というものは、これは為替だけではなくして、経済、物価、あるいは中小零細企業への影響など、様々な点を総合的に勘案した上で判断されるものであると思っています。

 こうした日銀の判断、もちろん政府としっかり連携をしながら政策を進めるわけですが、それと併せて、先ほど鈴木財務大臣からありました、政府としての適切な対応、さらには、政府自身、経済対策の中で、為替の動向に鑑みて経済体質の強化に努めていくなど、様々な政策を動員することによって国民生活を守っていく、物価高騰に対応していく、こうした全体の政策が重要ではないかと考え、政府としましても、日銀との連携、これからもしっかり深めながら政策を進めていきたいと思っております。

階委員 端的に答えてください。私が尋ねたのは、日米金利差の拡大が続く限り、円安も続くのではないですかと尋ねています。その答えをお願いします。

岸田内閣総理大臣 為替は様々な要素によって決まります。また、様々な要素の組合せによって決まります。ですから、何をもって為替が動くのか、これを断定的に申し上げるのは難しいと思っております。

 一方、金融政策については、先ほど申し上げました、為替だけではなくして、経済、物価、あるいは中小零細企業への影響など、様々なものを総合的に勘案して判断すべきものであると考えております。

階委員 この客観的事実を直視していただきたいと思うんですね。金利差が広がって、それとともに円安が進んでいる。一目瞭然ですよ。

 また十一月、十二月とこの青い階段が上に上っていく、そのときに円安が進んでも、それはしようがないという立場なんですか。もう予見できるじゃないですか。これを放置していていいんですか、金利差の拡大を。そこを聞いているんですよ。円安がますます進んで、物価高対策を幾らやっても、砂漠に水をまくようなものですよ。金利差拡大を放置していいんですか。

岸田内閣総理大臣 日銀の金融政策は、先ほど申し上げた観点から総合的な判断を期待しなければならないと思っています。

 そして、それによって様々な為替の動きがあるとしたならば、政府としましても、日銀と連携しながら、先ほど財務大臣から発言がありました適切な対応も考えなければならない。また、直前の物価高騰に対しては、国民の生活、事業を守るための物価対策をしっかり用意しなければならない。さらには、円安のメリットを生かせるような政策、すなわち日本の経済の体質を強化するような政策も用意しなければならない。

 こうした政策を総合的に稼働することによって、国民の生活、事業を守っていくべく努力をしていきたいと考えております。

階委員 もう一回聞きますね。

 先ほど鈴木財務大臣は、断固たる措置を取るというふうに言っていました。円安を止めるために、為替介入まで二十四年ぶりにやっているわけですよ。国富を三兆円も使ってやっているわけですね。一方で、断固たる措置で円安の火を消す。ところが、日銀は、金利差を拡大させて円安の火に油を注いでいる。こんな矛盾をやっていて、物価高対策、効果が出るわけないですよね。その認識を尋ねているんですよ。そこが認識がずれていると、幾ら我々の血税を使って物価高対策をやっても無駄だと思いますよ。先ほどからるる円安対策、いろいろ述べていますけれども、円安を放置したまま物価高対策をやっても意味ないじゃないですか。

 だから、円安、これをどうやって止めるか、もっと真剣にやるべきだと思いますが、総理、この円安放置、このままでいいんですか。最後にもう一回お願いします。

岸田内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますが、財務大臣から発言があった適切な対応に加えて、物価対策、そして円安メリットの活用等の体質強化の政策、あわせて、為替ということを考えますと、国際社会との連携、これが重要であると思っています。G7において、為替について連携をすることを確認した先週の声明、これも大きな意味があると思います。

 こうしたものを総合的に発動していきたいということを先ほど来申し上げております。(発言する者あり)

根本委員長 階猛君、もう一度質問してください。

階委員 私が言っているのは、円安が進むのを放置したまま物価高対策をしても、砂漠に水をまくようなもので、意味がないんじゃないですかというふうに言っているわけですよ。円安を食い止めなきゃ意味がないんじゃないですかと言っているわけで、そこを聞いているんです。円安を放置したまま何をやるかじゃないんですよ。

 まず円安を食い止める、ここが大事だと思うんですが、総理の認識は違うんですか。

岸田内閣総理大臣 円安につきましても、投機の絡んだ急激なこの為替の動き、これは問題であるということで、政府としましても、財務大臣からあった適切な対応を考えているわけですし、この円安の急激な動きは問題であると思うからこそ、G7との連携の中で、この為替問題につきましても、連携をしっかり図っていく、共同歩調を取っていく、こういったことの重要性に鑑みて共同声明等を発出している、こうしたことであります。

 為替の水準について具体的に申し上げるのは控えなければなりませんが、こうした急激な動きに対しては、今申し上げました様々な対策、しっかり講じていきたいと考えております。

階委員 結局、政府としては円安に対して有効な手を打てないということですね、円安を止めることに対して。

 そこで、円安が今後の物価にどういう影響を与えるか、ここで改めてちゃんと検証してみたいと思うんですね。

 昨日も、日銀総裁は、物価上昇は一時的なものだといったような話をされたと思います。来年になれば上昇はだんだん落ち着いてくるといったような話だったと思いますけれども、このパネルを御覧ください。

 過去五年間ぐらいの四つの物価指数の推移を折れ線グラフにしております。そのグラフの右側には数値を示しておりますが、それぞれの物価について、二〇二〇年の平均を一〇〇とした直近の値を示しています。

 一番上の緑の線が円ベースの輸入物価指数、直近で一八八・一、何とこの二年足らずで九〇%近く上がっています。二番目の青い折れ線が契約通貨、つまり外貨建ての輸入物価指数、これは直近で一五〇・二です。三番目の赤の折れ線は国内企業物価指数、これは直近で一一六・三です。四番目の黄色が、私たちの生活に一番関わりのある生鮮食品を除く消費者物価指数、直近で一〇二・五です。

 ポイントは三つあると思っています。

 第一に、昨年、二一年の初めから、この折れ線グラフ、上の三つが上昇に転じているということです。これは、欧米中心にコロナ禍による供給不足の下で経済回復が進んで需要が供給を大きく上回ったこと、あるいは、今年に入ってからのウクライナ戦争等で原油や穀物の価格が上昇したことによるものだと考えております。

 そして第二に、その中でも上の二つ、輸入物価指数が急上昇していますが、今年に入って、輸入物価指数の中でも一番上の円ベースの輸入物価指数が急速に伸びて、その二番目の外貨建ての輸入物価指数との格差が広がっているということです。これは何を意味するかというと、先ほど来議論してきた、円安によってこの差が生まれているわけです。円安がなければ昨年までと同じような動きになっていたわけで、この緑のラインは、青と同じぐらいのラインにとどまっていた。つまり、円安だけで三八%ぐらい物価が上がっているわけですね。

 そして第三に、上の二つに比べて下の二つ、すなわち国内企業の物価指数と消費者物価指数は伸び率が小さくて、特に、一番下の生鮮食品を除く消費者物価指数の伸びが極めて小さいということです。

 こうした事実関係を踏まえれば、円安が是正されない限り、全体的な物価上昇は続く。そして、とりわけ消費者物価指数は、今後ほかの物価からの転嫁が進んでくると考えますので、上昇幅を消費者物価指数は拡大するというふうに私は考えます。

 日銀総裁にお尋ねします。

 仮に輸入物価が下がっても、円安が続き消費者物価への転嫁がこれから進んでくれば、来年にかけて物価は上がってくるのではないですか。お答えください。

黒田参考人 確かに、最近の急速な円安の進行が既往の資源高と相まって輸入物価の上昇をもたらしておりまして、その価格転嫁を通じて、消費者物価の押し上げ要因になっております。

 この先、消費者物価の前年比は、本年末にかけてこうしたコストプッシュ要因の押し上げにより上昇率を高めた後、年明け以降は、その押し上げ寄与が減衰することで、プラス幅は徐々に縮小していくと考えております。こうした下で、年度ベースでの消費者物価の前年比は、来年度以降、二%を下回る水準まで低下していくというふうに予想しております。

 為替相場の変動や国際商品市況の動向は、その国内価格への波及も含めて、先行き不確実性が極めて高いわけですが、そういった面から、金融為替市場の動向、あるいはその我が国の経済、物価への影響を十分注視してまいりたいというふうに考えております。(発言する者あり)

階委員 今、価格転嫁が進まないという前提ですかというふうに藤岡委員も言われていましたけれども、私も、そういう前提に立つのが、政府と本当に連携が取れているのかというふうに思うんですね。政府は、価格転嫁を進めて、企業のマージンを広げて賃上げにつなげていくということを言っているわけですが、日銀はむしろ、価格転嫁が進まない前提で、物価はこの先伸び悩むだろうという予測なんですよ。

 矛盾していませんか、総理。お答えください。

岸田内閣総理大臣 日銀の判断について説明があったわけですが、価格転嫁が進まないことによって賃金等の引上げが起こらない、このことについて、政府としては、問題であるということを指摘し、その上で価格転嫁策をしっかり進めていくということを申し上げておりますし、総合経済対策の中でも、価格転嫁、目の前の具体的な賃上げの支援策として重視をし、政策の中でしっかり打ち出していきたいと考えております。

階委員 だから、価格転嫁を進めて物価を上げていきたい、それを実現するというのが岸田総理がおっしゃっていることですよね。でも、日銀総裁は、それが難しいという前提に立って、来年、物価は伸び悩むと言っていますよ。

 それでいいんですか。歩調は合っていますか。

岸田内閣総理大臣 今、日銀総裁の方からは価格転嫁は難しいという判断があったと聞いておりました。しかし、難しいからこそ、これは実現しないと、この今の状況を脱することができない。強い危機感を持って申し上げております。

 物価高騰対策、もちろん大事でありますが、最大の問題点は、それに伴う賃上げ、これが実現できていないということであります。それを実現するためには価格転嫁が必要であるという問題意識を持って政策を用意しています。

 政府としても、そういった考え方に基づいて、価格転嫁がしっかりと実現できるように、結果としてこの物価高騰に見合うだけの賃上げが実現できるように政策を進めていきたいと考えています。

 総合経済対策においても、そういった考え方を大事にしながら政策を準備していきたいと思っています。

階委員 だから、日銀の見通しというのは、政府がやろうとしていることと全く反しているわけですね。

 それで、どっちかなんですよ。日銀が政府の政策は失敗すると考えているのが、政府はそれをちゃんと覆すことができるか、それとも日銀の思いどおりになるかということが一つあると思います。

 それとともに、やはり円安というのは、今の金利の差だけではなくて、構造的なことも頭に入れないと見誤ると思っています。

 これは実質実効為替レートといいまして、日本の主要貿易相手国に対する実力、総合力の推移を示すと言われています。

 現在の円相場は、五十年前とほぼ同じ、歴史的な安さです。ドルの独歩高なんということを言う人もいて、円安は問題じゃないという議論を展開する人もいますが、ドルの要因だけではなくて構造的な要因もあるので、この円安というのはそんなに簡単には変わらないのではないかと考えます。

 これはどうですか。日銀総裁にお尋ねします。

黒田参考人 二つの点があると思うんですけれども、一つは、実質実効為替レートにつきましては、御案内のとおり、二国間の名目為替レートについて、貿易相手国との価格競争力を比較する観点から、物価上昇率の格差を調整して実質化した上で、貿易額ウェートで加重平均したものでありまして、実質実効為替レートは、名目為替レートの動きだけでなく、貿易相手国との物価上昇率の違いも反映した形になっております。

 我が国の物価上昇率は、一九九〇年代半ば以降、長期にわたって貿易相手国より低めに推移しておりました。そういったこともあって、このような姿になっているということだと思います。

 それから二番目に、対ドル名目為替レートにつきましては、御案内のとおり、今年に入ってからかなり大幅に下落しているわけです。

 ただ、ワシントンの今回の会議でもいろいろな方にお会いしましたけれども、例えば英国は、長期金利は実はアメリカの長期金利よりずっと高いままでずっと推移しているんですけれども、英国のポンドもたしか一七%ぐらい対ドルで下落しているということで、その他いろいろな各国の状況を見ますと、各国の短期金利あるいは長期金利と米国の短期金利あるいは長期金利との格差と、対ドルの為替レートの変化を相関関係を取ってみても、余り関係ない。

 したがって、今の時点で日本の円の対ドルレートが日米の短期金利格差の動きとパラレルになっているということは事実なんですけれども、もう少し長く日本について取ってみても、実は、日米金利格差とドル・円レートの動きとは、全くパラレルでなかったことも長くあったんですね。

 ですから、今の時点で日米金利格差が円の対ドルレートに影響しているように見えることは事実なんですけれども、それが……(階委員「その議論は終わりましたよ、構造的な問題を今議論しているんです、構造的な問題はどうなんですか、構造的に円安要因があるんじゃないですか」と呼ぶ)

 先ほど申し上げたように、実質実効為替レートは、先ほど申し上げたようなことで物価上昇率の違いを反映しているということであります。

 それから、名目為替レートにつきましても、このままドルが、ほとんど世界のあらゆる通貨に対して非常に強くなっているんですけれども、それが続くと考えている方は、少なくともワシントンで会った方にはほとんどおられませんでした。

階委員 要は、日本の物価が上がっていないからこういうことになっているというようなことをおっしゃっていますけれども、ちょっと、今まで日銀が何をやってどういう結果になったのかということを振り返ってみたいと思います。

 これは、日銀展望レポートというのが三か月に一回、日銀の政策委員の先々の物価の見通しを公表するものです。そこに表れている数字なんですが、まず、二〇一三年の四月、黒田総裁が就任された直後、異次元金融緩和で二年で物価を二%上昇させますと言って金融緩和を始めたわけです。そのときに示した見通しは、二〇一五年度に一・九%になるというものでした。ところが、結果はマイナスの〇・一%です。

 次に、なかなか物価が思うとおりに上がらないので、二〇一四年十月には国債の買入れ額を拡大しました。そして市場へのお金の供給を増やしたわけです。そして、そのときの見通しでは、二〇一六年度に二・一%物価が上がるという予想でしたが、結果はマイナス〇・二%でした。

 そして、二〇一六年十月。今度は、量的緩和だけでもうまくいかないので、金利をいじろうと。長期は十年物をゼロ%ぐらい、短期は政策金利をマイナス金利、マイナス〇・一%にしてコントロールしようと。長短金利操作、イールドカーブコントロールと呼んでいますけれども、これをスタートしたときに、二〇一八年度には一・七%になるという見通しであったのが、〇・八%でした。ことごとく見通しは外れているわけです。

 そして今回、先ほど来言っていますとおり、直近の展望レポートでは、二〇二四年度、ちょっと先になると物価は落ち着いてきますよということで、現在は三%近いわけですけれども、これが一・三%になるとおっしゃっているわけですが、全くこれは、私は、信用ならないのではないかと思っています。

 なぜならばですけれども、過去にどういうことを言ってきたか、ちょっと、それぞれのタイミングで日銀総裁が何を言ったのか、これも調べてみました。

 まず最初の、一番目のとき、異次元金融緩和を始めたときですけれども、「何度も申し上げますが、私どもとしては、現時点で考えられるあらゆる政策を総動員して、二%の「物価安定の目標」について、二年程度を念頭に置いて実現する。そのために必要な措置は、ここに全て入っていると確信していますし、実際に、二年程度で物価安定目標を達成できるものと思っています。」。ところが、さっきのように、マイナスです、実際には。

 そして、途中から、必要な措置は全て入っていると言っていたにもかかわらず、国債の買入れ額を拡大した二のとき、このときでも、まだ強気でした。「引き続き二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと思います。」、こうおっしゃっていました。でも、それでも達成できなかった。

 今度は三です。「二%の「物価安定の目標」がいつ達成されるかということは、展望レポートで毎四半期示しており、最新の展望レポートでは、二〇一七年度中ということになっていますが、同時に様々な不確実性が大きいということも示しています。」。さすがにトーンダウンしているんですね。この一、二のときとは明らかにトーンが違いますね。さすがに、失敗ばかりしているから自信がなくなっているんですよ。

 それで、今回です。今回、「経済の持続的な成長のもとで、物価が二%程度、持続的・安定的に上昇するというかたちになるためには、賃金のもう一段の上昇が必要であると思います。」。要するに、二%に、今、名目的には上がっているけれども、持続的、安定的なものになるためには賃金の上昇が必要だ、賃金の上昇が足りないということをおっしゃっているんですね。

 ところが、振り返ってみますと、二〇一三年四月二十六日、これは黒田総裁就任直後ですよ、こうおっしゃっていますよ。「おそらくどのような経済モデルで計算しても、物価だけ上がって賃金が上がらないということにはならない」、こんなことを言っているわけですよ。

 もうみんな、言っていることが全部外れじゃないですか。そして、最近になって、過去と違うことを言っているわけじゃないですか。これは、経営者だったら失格ですよ。

 はっきり言って、普通の、常識のある人だったら、そして、新渡戸稲造の「武士道」を読んでいるんだったら、恥ずかしくて辞めている。当然ですよね。なぜ、いまだにその地位に居座っているのか、私は全く理解できません。もう即刻辞任して、先ほど来言っていますとおり、政府は価格転嫁を進めて物価を上げようとしているときに、日銀は物価は上がらないと言ったり、政府は一生懸命円安を止めようとしているのに、日銀は円安を加速するような異次元の低金利をやっている。それじゃ、政府と日銀、食い違うばかりですよ。

 金融政策を正常化したり、あるいは柔軟化したりするためにも、今すぐ退くべきだと考えます。総裁、どうですか。

黒田参考人 まず、御指摘のこの表ですけれども、これはある単年度の数字でありまして、二〇一三年以降、現在に至るまでの平均的な物価の動きを見ますと、一九九八年から二〇一二年までデフレが続いていったわけですけれども、大規模な金融緩和以降はデフレは続いていない、デフレは解消しているということであります。

 それから、十五年間のデフレの間は、成長もなく、ベアもなく、失業も多かった。ところが、この量的・質的金融緩和の導入後、デフレは解消し、成長は戻り、雇用は実は四百万人ぐらい増えている。それから、実質雇用者所得もプラスで、増えている。そういう意味で、異次元金融緩和というのは、デフレを解消し、成長を回復し、雇用を増加するという意味で効果があったというふうに思います。

 ちなみに、こういった金融緩和が行われなかった場合と比較しますと、実質GDPは平均プラス〇・九から一・三%程度、消費者物価の前年比は同〇・六から〇・七%程度押し上げられているという、これは計量経済的な分析の結果であります。

 そういうことで、御指摘のような、量的・質的金融緩和が全く失敗したというのは事実に反するということであります。(階委員「だから、辞めるか辞めないか、どっちなんですか」と呼ぶ)辞めるつもりはありません。

階委員 そうですか。私はちょっとがっかりしましたね。

 多少なりとも日本人としての武士の魂があるんだったら、やはり普通は潔く辞める。これだけの結果を示している、結果が出ているわけだから。一回失敗しただけじゃなくて、何回も失敗しているんですよ。普通だったら十年も同じ地位に居座ることはできないと思いますよ。

 日銀総裁、本当に私は、もう何度も同じことを言っているんですが、今回もIMFの会議に出ていらっしゃいましたけれども、IMFからも、過去に、もう四、五年前だったと思いますが、金融政策を見直すべきだということも言われているんですよ。その当時も尋ねましたけれども。そういうのに一切聞く耳を持たない日銀総裁。そして、失敗しても、反省もせず、同じことを漫然と繰り返している。そして、今は円安による物価高で国民生活を苦しめている。本当にこれで通貨の番人なんでしょうか。そして、中央銀行の総裁として日本の金融機関を指導していく立場なんでしょうか。甚だ疑問です。

 こういう日銀総裁、早く替わってほしいと思いますけれども、なかなか御自身では替えられないようです。日銀法でも、日銀法を改正したときに、それまで総理が解任するという規定があったんですけれども、今は心身の不調とかそういう特別の事情がなければ日銀総裁を更迭することができません。なので、御本人が辞めると言わない限りは地位に居座れる、任期までですね、という残念な状況ではあります。

 ただ、このまま今の円安、物価高を放置しているわけにはいかないので、私どもとして考え得る異次元金融緩和の正常化ないし柔軟化のための方策を最後に提案させていただきたいと思います。

 まず第一に、皆さんの手元には資料が届いているかと思いますが、七ページ目の資料を御覧になりながら聞いてください。

 政府の新しい資本主義実現会議で連合の芳野会長が述べているとおり、実質賃金という視点を明確にした政策を取るべきだ。

 そこで、今、日銀と政府の共同声明においては、実質賃金上昇に結びつかなかった物価上昇二%、これが目標とされているわけですが、この物価上昇目標をやめて、実質賃金上昇を政府と日銀の共同の目標にする、それを共同声明に明記した方がいいのではないかというふうに思いますが、まずこの点について、総理の見解をお願いします。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 この今の物価高を前にして、賃金、実質賃金の引上げを目指すべきだという考え方、これは政府としても大変重要な考え方であるということから、先ほど来申し上げているように、賃金の引上げに向けて様々な政策を総動員していきたいと考えております。

 その上で、共同声明、アコードのことをおっしゃっているんだと思いますが、アコード見直し云々については今考えてはおりません。まずは、政府として、賃上げに向けて政策を総動員し、状況改善のために努力をしていきたいと思っています。

階委員 物価を上げても賃金が上がらなかったということが表れているわけですよね。賃金を上げることを目標にしたいというのだったら、賃金を上げることを直接的に書けばいいじゃないですか。なぜ物価上昇にこだわるのかというのは分かりません。

 実質賃金を上げることを明確にした方が、より政府と日銀、一体感が増すんじゃないんですか。いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 なぜ物価にこだわるかということですが、日銀として、安定的、持続的な物価の引上げを目指すということで金融政策を決定していると承知をしております。もちろん、その金融政策には様々な要素を加味していかなければいけない、物価のみならず経済あるいは金利負担、さらには、先ほど来為替という指摘もありました、様々な要素を加味した上で判断をしていると承知をしております。

 そうした判断は日銀に委ねなければなりませんが、政府としては、この物価上昇に見合う賃上げが大事であるという認識を強く持っているからこそ、昨年来、人の投資から始まって、賃上げに向けての様々な政策を総動員してまいりました。今、総合経済対策の策定に当たっても、この賃上げを目指して政策をしっかりと用意をしていきたいと考えております。

階委員 我々も物価をプラスにすること自体否定しているわけじゃないんですよ。ただ、物価以上に賃金が上がらないと生活は苦しくなる一方。今起きているのはそういうことなんですよ。それにもかかわらず物価上昇を目標にし続けるというのがピント外れだと思います。

 岸田総理の説明を聞いていても、物価ではなく賃金上昇をちゃんと目標にするのであれば、政府と日銀が共同で作っている共同声明に賃金上昇というのを書き込めばいいじゃないですか。なぜそれができないのかが全く分からない。

 どうなんですか。賃金上昇を目標に書き込む、これを共同声明に書き込むということを約束していただけませんか。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 日銀において、持続的に、安定的に物価の上昇を目指して金融政策を用意する、様々な観点を加味しながらそういった政策を持続していく。物価の引上げ自体、委員の方からもそれは否定するものではないということでありましたが、そういった日銀の政策に対して政府はしっかり連携する意味からも、賃上げが大事だという政策を強調していくことが重要であると思います。

 トータルでこの物価高騰に見合うだけの賃上げが実現することが重要であり、政府としては、その賃上げの部分、大きな責任を持って様々な政策を用意してきた、これからも用意してまいります。

階委員 もう一つ、最後に提案しますけれども、日銀は、多額の含み益を抱えながら塩漬けとなっている時価五十兆円にも上るETF、これを持っています。このもったいなくなっているETFを政府が独立した基金などを設けて買い取り、含み益や運用益を活用して、子育て、教育支援の費用に充てるべきではないか。皆さんのお手元にお配りしている八ページ目、渋沢健さんという方が政府の会議でもそれと似たような提案をされていますけれども、この点についてはどうお考えになりますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の政策も含めて様々な政策があるということは承知をしております。私も、様々な専門家、有識者の意見を聞いてまいりました。

 しかし、今、基本的に、日銀の金融政策、出口戦略も含めて、日銀において判断をする、日銀に委ねるべきものであると考えております。

 その上で、政府として、好ましい経済状況を実現するために、賃上げを中心に政策をしっかり用意していきたいと考えています。

階委員 賃上げという言葉を何回も使われていますけれども、だったら目標にすべきだということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。岡田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 今日は、新潟六区、梅谷守さんにお手伝いをいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど階委員から物価高、円安についての議論がありましたが、具体的な物価高対策について総理に伺いたいと思います。

 この後の経済対策で、電気代あるいはガス代、これが上がっていて困るということで、これに対する補助を行うということについては必要なことだと思いますけれども、電気代のほかに都市ガスをやるということですが、都市ガスしか、総理、やらないんですか。LPガスは対象外ですか。

西村(康)国務大臣 お答えを申し上げます。

 自公の党首間、岸田総裁と山口代表との間で合意ができておりますが、ここでは、ガスについては、値上がりの動向、事業構造などを踏まえ、電気とのバランスを勘案した適切な措置を講じることということで合意がなされております。

 その中で、LPガスの料金への支援策については、まず、販売価格における小売に係る経費が大きい、配送とか人件費とかですね。それからさらに、原料費は二割程度であるということで、足下での一年前と比較した値上がり幅が約一割程度と相対的に低いこと、こうしたことも踏まえながら、小売価格や輸入価格の動向、事業構造、事業実態等をきちんと勘案しつつ検討する必要があるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 総理、値上げ率は確かに、電気代が三割アップ、都市ガスが二割アップ、LPガスは今の経産大臣の答弁だと一割ぐらいアップかもしれませんが、元々LPガスというのは高いんですよ、平均すると。都市ガスより平均すると高いんですよ。しかも、地域として、大都市部で大体都市ガスを使っていて、そうでない地方でLPガスを使っている場合が多いんですよ。これはLPガスを入れなかったら、地方は置いていかれているという感じじゃないですか。総理、これをちゃんと入れてやりませんか。

西村(康)国務大臣 様々、事業構造とか勘案しながら対応を検討しているところですけれども、もう一点申し上げると、一万七千者ぐらいあるんですけれども、約六割が中小零細事業者ということもあって、これはかなり申請、精算するような事務負担もかかってきますので、こういった点も含めて、どういった対応がいいのか考えていきたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 事務負担が大変だからやりません、これじゃ浮かばれないですよ、地方の皆さんは。都市ガスを買いたくても買えないところは、日本中、圧倒的に面積で多いんですから。これは地方を見捨てているような話じゃないですか。それこそ需要家たる一般国民に直接お金を給付するような形ですとか、やり方はいろいろあるんじゃないですか。総理、ちょっと考えるべきだと思いますけれども。

岸田内閣総理大臣 今の物価高騰対策の中で、エネルギー、これは大変重要なポイントだと思います。その中で優先順位をつけて対策を講じてきてまいりました。

 これまで、ガソリンの激変緩和措置から始まって、様々な政策を用意した。そして今、電力、大きな関心が集まっているということで、電力対策、用意をさせていただきます。併せてガスもどうかということであります。そして、その中で、都市ガスとLPガスの違いについては今経産大臣から説明をさせていただいたわけです。

 それ以外のエネルギーということについては、今言った問題点があるとしたならば、別の形でそういったエネルギーに対する支援ができないか、これは絶えず考えていくべき課題であると思います。

 エネルギーの種類はたくさんあるわけですが、その中で優先順位をつけて、国民生活あるいは事業者などへの影響、こういったものを勘案しながら、具体的な政策を用意していきたいと思います。

 それ以外の部分については、委員御指摘のように、ほかの形で何らかの支援ができないか、これは政府としても考え続けていきたいと思っています。

後藤(祐)委員 十月末にもう中身を決めるんですよね。ちょっと、LPガスを入れて、地方のことを考えて、総理、主導権を発揮して決めてください。

 それでは、次に行きたいと思います。

 昨日、藤岡議員の質疑の中で、秋葉復興大臣の事務所費の問題というのがございました。

 また、その前に、この表、これは昨日の藤岡議員の表ですけれども、政治団体である政治経済研究所というもの、これは奥様の実家に設立をされているもので、奥様のお兄様が代表を務めているということだそうですが、この設立が二〇一七年十二月十九日であるにもかかわらず、この政治経済研究所への六百万円の寄附というのが二〇一七年の二月二十日、つまり設立より前に寄附をしていた。これはおかしいんじゃないんですかということで、昨日、秋葉大臣は、寄附の日付が間違っていた、結局、行ったり来たりしましたが、そういう答弁をされました。

 ということは、もうこの収支報告書の訂正は既にされたということでよろしいですか、秋葉大臣。

秋葉国務大臣 昨日の、私の親戚の政治団体についての御質問がございました。

 昨日の予算委員会における藤岡委員に対する答弁で、自由民主党宮城県第二選挙区支部からの六百万円の寄附の時期についての質問がありました。

 この政党支部の平成二十九年分の収支報告書には、確かに平成二十九年二月二十日と記載されております。しかし、これは単純に事務的な記入ミスで、平成二十九年十二月二十日の誤記でした。十二と記載すべきものを、誤って一が抜けて、誤記が判明したところでございます。

 誤記であることにつきましては、収支報告書に添付されております政治経済研究所の領収書には、しっかりと、入金日である二〇一七年十二月二十日というふうになっていることも明らかになっております。

 今回のことはマスコミからの問合せがあった際に既に説明しているとおりでありまして、早速収支報告書の訂正を行おうと思いましたけれども、平成二十九年分の収支報告書については、政治資金規正法の保存期間を経過しているということで、残念ながら、収支報告書の訂正はできないということでございました。

 以上です。

後藤(祐)委員 あれは保存期間を過ぎていると訂正できないんでしたっけ。総務大臣、そうなんですか。

寺田国務大臣 保存期間より前のものについて訂正できるかどうかという御質問ですが、一般論で申し上げますと、訂正することは可能ですが、それは、閲覧というか、あくまで事後的な訂正にとどまるということでございまして、訂正自体は可能でございます。

後藤(祐)委員 寺田大臣、ほかの人のことに対しては正しい答えをありがとうございます。後ほど聞きますので。

 秋葉大臣、訂正可能ですが、何で訂正しないんですか。

秋葉国務大臣 これは、先ほども答弁しましたとおり、マスコミの指摘で誤記が判明しました。領収書自体はしっかり十二月というものを出していたんですけれども、報告書に記載したものが誤記であることから、直ちに選管に訂正をしたいと言ったら、そのときは、もう保存期間が過ぎているのでできないということを言われたのは事実でございます。

 もし、今、総務大臣が答弁したように、まだ保存期間を過ぎても訂正ができるのであれば、直ちに訂正をしたいと思います。

後藤(祐)委員 本当に各県の選管に、今の総務大臣の見解と違う対応をされたんですか。本当に訂正に行ったんですか、大臣。非常に怪しいですね。すぐにでも訂正に行っていただきたいというふうに思いますが。

 この政治経済研究所、活動実態として、昨日、朝の勉強会など活動実態がありますという答弁でありましたけれども、何回ぐらい、こういった朝の勉強会あるいはほかの活動、具体的にどんなことをやったんですか。

秋葉国務大臣 まず、答弁させていただく前に、今、非常に怪しいというような発言がありましたが、可能であればしっかり直ちに訂正するということを申し上げましたので、選管で断られたのは事実でございます。そのように聞いておりますので、もし受諾いただけるのであれば、これは速やかに訂正をしたいと思いますし、そもそも、選管に提出しております領収書には、二月ではなくて十二月というふうに記載されているということは事実でございます。

 その上で、政治経済研究所に活動実態はあったのかというお尋ねでございます。

 政治経済研究所の代表者は、配偶者側の親族が代表になっております。政治経済について研究することを目的に平成二十九年十二月十九日に設立され、令和元年の十二月三十一日で解散したと聞いております。私の……(発言する者あり)

根本委員長 活動実態、勉強会をやっていたのかということを含めて答弁してください。

秋葉国務大臣 ですから、その前段の事実関係をまずお答えした上でということで。

 私の活動を支えたいということから、政治経済について研究をしようということになりました。そこで、その活動を支援するために政党支部から寄附を行ったものであります。

 私がこの政治団体と共にした活動を思い起こしてみれば、議員会館において勉強会を何度か実施した記憶がございます。

後藤(祐)委員 議員会館で活動、何回ぐらい勉強会をやったんですか。

秋葉国務大臣 回数までは明確に記憶にございませんけれども、少なくとも数回実施したのは間違いございません。

後藤(祐)委員 議員会館で勉強会数回だったら、お金は全く要らないじゃないですか。せいぜいお茶代ぐらいですよね。あるいは資料のコピー代ぐらいですよね。講師料を払ったとしても数万円とかですよね。六百万円、何でいきなり最初からこんな六百万円も必要だったんですか、大臣。

秋葉国務大臣 結果として大きな金額はかからなかったので、初年度は年末に設置したこともあって支出はゼロだったと思いますが、翌年には十数万円の支出があったというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、この研究会の活動が活発にできるようにということで、見合いの金額ということになったんだというふうに思います。

後藤(祐)委員 議員会館の勉強会で何に支出したんですか。お茶代とかコピー代とか講師の謝金ぐらいは分かりますけれども、百万円とかにはならないでしょう。何に支出したんですか。

秋葉国務大臣 何度も申し上げますとおり、どのような規模のものになるかというのを改めて想定してやったわけではありません。あらゆる活動を想定してそういった金額になったんだと思いますが、いずれにいたしましても、政治資金の使途については、政治経済研究所の収支報告に記載されているとおりだと聞いております。憲法が保障する政治活動の自由に関わる話であり、それ以上の詳細は私は存じ上げておりません。

 ただ、私がこの政治団体と共にした活動を思い起こしてみれば、何度も申し上げたとおり、少なくとも複数回、議員会館などにおいて勉強会をした記憶がございます。会館の部屋を利用しての勉強会だったので余り費用は発生しなかったということなんだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、この政治経済研究所については、既に解散された団体でもあり、知り得ることを全て申し上げているつもりでございます。

後藤(祐)委員 これは昨日の資料ですけれども、この秋葉○○というのは奥様、秋葉○○○というのはお母様ということで、二つも事務所を持っているときもあったんですかね。そんな、議員会館で勉強会をやるだけで、こんなに立派な事務所を、こんな何十万円も払って事務所を持つ必要があったんですか。その事務所で何をやっていたんですか。

秋葉国務大臣 繰り返しになりますが、議員会館において勉強会を何度かしたのは間違いのない事実でありますが、既に解散をしており、それ以上の確認は困難ということで答弁をさせていただきました。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 奥様については確定申告しているという答弁が昨日ありましたけれども、お母様については、この不動産賃料、家賃の収入について確定申告しているかどうかは非常に曖昧な答弁でございましたが、これは税理士にも確認していただいている云々とあったので、お母様、あるいは必要なら税理士にも確認した上で、確定申告しているかどうか確認してくださいと通告していますが、どうでしたか。

秋葉国務大臣 昨日、配偶者は適正に確定申告をしている、その上で、母親についても税理士にもう一度確認させていただきたいということを昨日の予算委員会で申し上げたところでございます。

 昨日確認しましたところ、母については税務申告をしていなかったということでございまして、直ちに申告するというふうに聞いております。

後藤(祐)委員 政治団体からお母様に家賃が行って、税金を納めていなかったら、これは脱税じゃないですか。これはよろしくないんじゃないですか。

 脱税していること、それに対しての大臣の御見解は。

秋葉国務大臣 私の母の夫である父が確定申告を毎年しております関係で、そちらの方で家賃収入を申告しているかもしれないと、ある意味勘違いをしていたようでございます。それに気づいて、しっかりとした申告をするというふうに聞いております。

後藤(祐)委員 これは、謝罪はないんですか。実のお母様ですよね。脱税していたことについて、大臣、謝罪はないんですか。

秋葉国務大臣 私の母に関することではありますけれども、私とは別人格でございますので、しっかりとそうした修正申告をするということで責任を果たしていくものと思っております。

後藤(祐)委員 いや、お母様といえば結構お年も上だと思うんですよ、税のことは詳しくないという方もいらっしゃると思うんですよ。むしろ、政治団体なんというのも珍しい話だし、政治団体から家賃を払っているのであれば、ちゃんと税金を納めていますか、場合によってはお手伝いしてあげましょうかと、むしろそのぐらいやるものなんじゃないんですか、お母様だったら。別人格だから知らないみたいな、そんなことで許されるんですか。人間としてもどうかなという気がしますよ。お母さんを助けてあげた方がいいじゃないですか。何か中途半端な謝罪だったと思いますし。

 総理、この秋葉大臣、昨日の答弁といい、この税金の脱税といい、問題じゃないですか。これは辞めさせた方がいいんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 秋葉大臣にもこれまで、大臣会見等様々な場所で、指摘されたことについては丁寧に説明を尽くすように指示をしてきたところであります。

 本日の説明もありましたが、不十分な点につきましては、引き続き説明責任を尽くしていくことが必要であると考えています。

後藤(祐)委員 不十分というよりは、脱税していたんですよ、お母様が。これについてどう思いますか。不十分というよりは、脱税についての是非を含めて、総理、どう思いますか。

岸田内閣総理大臣 先ほど本人からもありましたように、法律上はこれは別人格のことであります。ただ、身内のことであるからして、大臣としてそれを親身に対応しなければいけない、こういったことで対応してきたと承知をしております。

 それぞれ法的な責任はしっかり果たしていかなければならないと思いますし、それを、説明責任を果たすことによって、国民の皆さんに納得していただくことが重要であると思っています。

後藤(祐)委員 この秋葉大臣をどうするか、それをよくお考えいただきたいなと思いますね。

 もう一つ、不動産の関係で、お待たせしました、寺田大臣、先ほどは正しい答弁をありがとうございました。さすが財務省出身で、長浜税務署長をお務めになられて、総務大臣ということで、突然聞いたにもかかわらず、ありがとうございました。

 昨日、逢坂議員の質疑の中で、東京にいるときの千代田区二番町の住まい、ここの一階部分は、この一階の所有権者である寺田慶子様、奥様ですね、が私の団体に貸し付けているという事実があり、その実態が存在いたしております、こういう答弁をしておりますが、二〇一六年以降、この千代田区二番町の家賃を寺田慶子氏に払っていますか。

寺田国務大臣 実際、毎年毎年どれだけの賃料を払うかは、使用実態に応じて決しております。実際、そうした事務所のスペースとして用意をし、事務所登録もしておりますが、作業の実態がない年は、支払いは発生していないところでございます。

後藤(祐)委員 だって、昨日、その実態が存在いたしておりますと答弁しているんですよ。実態があるけれども家賃は払っていなかったということですか、二〇一六年以降。

寺田国務大臣 政治団体の事務所としてもちろん登録をしておりますので、政治団体は実態があり、そして、事務所も実態があります。ただ、賃料を実際にどれだけ支払うかは、毎年毎年の使用の実態に応じて決しているところでございます。

後藤(祐)委員 でも、実態があった以上は家賃は払う必要があって、ただ、家賃を払った上で、無償提供という形で寄附を受けて相殺する、これはよくある処理なんですね。

 何でそうしないんですか。まさに政治資金を所管する大臣として、活動の実態があるのであれば、家賃をお支払いして、安くてもいいですよ、その分寄附を受けて相殺して、実際には支払いがないという形にすべきなんじゃないんですか。

寺田国務大臣 事務所登録をし、事務所の実態もあり、賃貸借の実態もございます。しかし、一体、その年々どれだけの使用料を払うかについては、使用の実態に応じているということでございます。

後藤(祐)委員 政治資金を所管する総務大臣の答弁ですからね。政治団体が活動の実態があっても家賃は払わなくていいという答弁ですよ。

 これは世の中全般の政治資金についての新しいルールということでよろしいですか、総務大臣。

寺田国務大臣 政治資金規正法は、あくまで実態に応じて、お金を現金主義でもって計上するというのが基本的な考え方ですから、現金として実際に賃料を払っていれば当然計上します。しかし、払っていなければ計上しない。これは政治資金規正法にのっとった適法なルールでございます。

後藤(祐)委員 そうしますと、昨日の答弁で、その実態が存在いたしておりますというのは、その実態というのは、一体具体的にどんな実態があったんですか。

寺田国務大臣 事務所として、ちゃんと事務所の形態を整え、間仕切りをし、区分経理をし、そして必要な機器を備え置いているというのが実態でございます。

後藤(祐)委員 そうしたら、その場所は普通のおうちとしては使いにくくなっているわけですから、家賃を払わなきゃ駄目じゃないですか。

 政治資金を所管する総務大臣がこんなことでいいんですか、総務大臣。自らのことで政治資金のルールを変えちゃっていますよ。それで家賃を払わないんですからね、今からでも修正された方がいいんじゃないんですか。

 実際、家賃を払っていたときもあるんですよ、もう少し前で。ところが、二〇一六年以降は家賃を払っていないんですよ。修正申告された方がいいんじゃないですか、収支報告書の訂正をした方がいいんじゃないんですか。

寺田国務大臣 あくまで使用実態に応じて計上したところでございまして、修正の必要はないものと考えております。

後藤(祐)委員 ということは、日本中の政治団体は活動の実態があっても家賃は払わなくていい、こういう解釈が総務大臣によって示されたということであります。QアンドA、修正してくださいね、大臣。

 もう一つ別な話を聞きたいと思いますが、昨日話に出ました大上公認会計士、税理士でもあられて、奥様の顧問弁護士であるという答弁がありましたが、寺田大臣自身の確定申告も、この大上税理士にお願いしているんですか。

寺田国務大臣 私自身の個人の確定申告についても、大上税理士にお願いをしているところでございます。

後藤(祐)委員 総務省が出している政治資金監査に関するQアンドAというのがあって、この2―六というのによると、確定申告を受託している税理士による政治資金監査は、「当該候補者と経済的な利害関係を有していることから、」「政治資金監査を行うことは望ましくありません。」となっているんですよ。

 大上さんは大臣の関連の政治団体の監査をしていて、大臣自身の確定申告をしているのは、まさに総務省が発行している政治資金監査に関するQアンドA違反じゃないですか。大臣、御見解を。

寺田国務大臣 これは、適正に私個人の申告と政治団体の申告がなされているということで、問題ないものと判断しております。

後藤(祐)委員 では、このQアンドA、2―六は削除する、修正するということでよろしいですね。

寺田国務大臣 そうしたことが好ましいかどうかはケース・バイ・ケースの判断であろうかと思いますが、その点については修正の必要はないものと考えております。

後藤(祐)委員 これはケース・バイ・ケースも何もないですよ。政治団体を監査している人が政治家本人の確定申告をすることにケース・バイ・ケースも何もありますか。こう書いてあるんですよ。「政治資金監査に対する国民の高い信頼を保つ観点から、政治資金監査を行うことは望ましくありません。」と。

 つまり、国民の高い信頼を失わせしめてしまっているんじゃないですか、総務大臣が。またルールを変えちゃっているじゃないですか。

 総理、政治資金に関するルールを自らのことで変えてしまうような総務大臣は罷免すべきだと思いますけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今もやり取りを聞いておりまして、総務大臣としての考え方を説明していたわけですが、今の御指摘について、更に説明を尽くしてもらいたいと思っています。

後藤(祐)委員 説明といったって、ルールは変えないと言っているわけですよ。これは大臣を替えるしかないじゃないですか。ルールを変えるより大臣を替えた方が健全じゃないですか、総理。

 もうこういう大臣ばかりなんですが、秋葉大臣、寺田大臣と、事務所の関係、税金の関係、いいかげんなことをやっていますが、もう一人、山際大臣にもお伺いしたいと思います。

 昨日もお話がありました。山際大臣の地元の事務所は、秘書が社長を務めている株式会社、二十一世紀株式会社というところが所有をしている。そこに間借りをして、これは家賃を払っているようですが、この二十一世紀株式会社というのが設立されて、この株式会社の株は全て山際大臣が取得されておりますが、それは二〇一三年五月二十四日で間違いないですか、山際大臣。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 二十一世紀株式会社の設立、二〇一三年ということは間違いないんですが、今手元に何月何日というものがありませんが、二〇一三年五月だと思います。

後藤(祐)委員 山際大臣は、二〇一二年十二月二十六日、つまり自民党政権になってすぐに内閣府の大臣政務官をお務めになられ、二〇一三年九月三十日まで内閣府大臣政務官であったということで間違いないですか。

山際国務大臣 日付まで確実にいくかどうか分かりませんが、おっしゃっているように、二〇一二年の十二月に内閣府の大臣政務官に就任をいたしまして、翌年の秋までそれを務めております。

後藤(祐)委員 国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範というのがありまして、これにおいては、政務三役は、大臣だけじゃないですよ、政務官も含めて、在任期間中は株式等の有価証券等の取引を自粛することとするとされています。この規範違反じゃないんですか、山際大臣。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 これは昨日の御答弁でも申し上げましたとおりですが、私が借りている事務所が入っているアパートがございます。このアパートを前のオーナー様が売りに出したい、こういうお話がございまして、このオーナー様から、ありがたいことに、ここの場所で政治活動を続けるのであれば私に引き取ってもらえないか、そういう御提案がございました。

 その後、昨日も御答弁申し上げたとおり、様々、党に相談したりいろいろしたところ、法人形態でそれを処理するのが一番透明性もあるし、一番区分ができるのでよいだろう、そういう判断があって、この会社をそのときに設立したものでございますので、大臣規範等々に違反しているというふうには当たらないと思っております。

後藤(祐)委員 いや、そんな経緯は関係ないですよ。その場合は会社を設立しちゃ駄目ということですよ。

 政務官を含めて、在任期間中は株式取引を自粛する、この規範には違反しているんじゃないんですか、政務官。そんな経緯なんて関係ないですよ。

山際国務大臣 取引を別にしようと思ったわけではないわけですね。ですから、そこの部分において、それが大臣規範に抵触しているというふうには、その時点でも思っておりませんでした。

後藤(祐)委員 では、山際大臣は、新規の株式取得は取引ではないという御見解ですか。

山際国務大臣 一点おわびは申し上げなきゃいけないと思って、記者会見等々でもおわび申し上げたんですが、この二十一世紀株式会社と、あと二社ですね、私自身、非上場会社の株式というのを所有して今でもおります。

 非上場会社の株式というものが含まれているとは思っていないで、政務官のときも副大臣のときも、そして大臣に就任してからもしばらくいたという事実もございまして、ですから、その時点で、当然、アパート、私にとって事務所が必要なものですから、事務所というものをしっかりと確保するためにどういう手段があるかということを考えて行動をしたわけなんですけれども、それそのものが規範に抵触する、そういう意識はなかったということでございます。

後藤(祐)委員 大臣、この二十一世紀株式会社の株式取得が、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範に抵触するかしないかということについて、抵触しないということであれば、その理由を文書でこの委員会に提出してください。

山際国務大臣 これは記者会見でも申し上げた話なんですけれども、その時点で、非上場会社の株式まで大臣規範の範疇に入っているという意識は私にはなかったんですね。ですから、政務官の時代にも、ほかの二社に対しても私自身は株を持っていたわけなんですね、その時点でも。しかし、それも報告もしておりませんでしたし、それそのものがその対象だという意識がなかったんです。

 それが対象だということが、大臣に就任してから、外部からの指摘を受けまして、ああ、そのことは大変申し訳ないと私自身おわびをしながら、きちんと、言ってみれば提出し直した、訂正したということでございまして、その時点においての処理も、その意識がない中でやったものだということでございます。

後藤(祐)委員 規範に抵触するか否かについては答弁がなかったので、理事会で協議をお願いします。

根本委員長 では、理事会で協議します。

後藤(祐)委員 聞いていないのにお答えになられた今の資産公開に関する部分ですが、山際大臣は、九月十六日の記者会見で、二十一世紀株式会社と株式会社オルカの株式を保有していたと、保有資産の訂正をされました。そして、さらに、十月四日には、有限会社くじらを保有していたと後出しで再訂正をしておりますが、そもそも、内閣府の大臣政務官になったとき、内閣府大臣政務官として、株式を取得したときと、あと、その後、経済産業副大臣になられておりますが、副大臣になったときにも資産公開の義務があったんじゃないんですか。

山際国務大臣 これは今御答弁申し上げたとおりでございまして、完全に私のミスで、大臣規範の中に非上場会社の株式は含まれないと思い切っていたということでございます。

 これは、先生も国会議員でいらっしゃいますから、国会議員の資産公開のルールというのは我々みんなかかっているわけですね。国会議員の資産公開のルールは、公開株式、上場株式をきちんと、それは出さなくてはいけないということになっておりますので、そこは当然きちんとやってきたんですけれども、非上場会社は国会議員の開示ルールの中には入っていないものですから、そのルールなんだろうと勝手に思い込んでいたということでございます。

 ですので、前にも御答弁申し上げたとおり、政務官のときも、そして副大臣を務めていたときも、そして、先般外部から指摘されるまで、非上場会社の株式というものを公開しなくてはいけないということを完全に、これは私のミスでございますが、知らないでいたものですから、それを改めて訂正をさせていただいたという経緯でございます。

後藤(祐)委員 今の説明がまさに後出しじゃないですか。

 九月十六日の記者会見では、大臣になったから公開しなきゃいけないというルールを忘れていたと。つまり、政務官、副大臣のときにも資産公開しなきゃいけなかったのを忘れていました、振り返ってみれば、政務官、副大臣になったときにも資産公開していなきゃいけなかったんですと九月十六日の記者会見では言っていませんよ。今回大臣になったからという言い方をしていて、政務官、副大臣になったときの資産公開の義務については、今この場で後出ししたんじゃないんですか、大臣。

山際国務大臣 そうではありませんで、その記者会見の中で、マスコミの方から、今先生から御指摘いただいたことはその場でもう指摘をされております。

 私は、何か隠すつもりであって、あるいは後出しというようなことを企図して物事をやっていたんじゃなくて、本当に私、そのことを、自らを恥じなくてはいけないと思いますが、そういうルールであるということを知らずにこれまで政治活動をしてきたものですから。なので、それは政務官のときも副大臣のときも同じような扱いをして報告をしておりませんでしたということは、これは記者会見の場でも申し上げている話でございます。

後藤(祐)委員 いやいや、九月十六日のときには言っていませんよ。大臣等規範に基づく閣僚の資産公開の対象にもなっていないと認識を誤り、記載をしていませんでした、大臣としての資産公開義務を果たしていませんでしたという説明しか九月十六日はしていませんよ。

山際国務大臣 後で記者会見の中身に関してはもう一度確認させていただきますが、間違いなくマスコミの方から、以前はどうだったのか、そういう趣旨の御質問は受けております。

 それに対して、今申し上げたように、これまで私自身、そのことを知らずにオペレーションをやってきたものですから、報告をしてきたものですから、これは政務官のときも副大臣のときも同じように、本来なら報告をしなくてはいけないものを報告しないでそのままにしておいてしまったということは、私の方から申し上げています。

後藤(祐)委員 統一教会関係でも、今日も二つ新たに後出しが出ましたが、もういいかげん後出しはやめてほしいんですよ、山際大臣。大臣の言うせりふが、何を信じていいか分からないですよ、国民からすれば。

 もうこれ以上、統一教会関連も、あるいは今言ったような別のルールについても、後出しはない、これ以上ないということで、山際大臣、いいですね。

山際国務大臣 これまで、私自身の立場として、説明責任を果たさなくてはいけない立場でありながら十分な説明責任を果たすことができなかったことについては、改めておわびを申し上げたいと思います。

 その上で、様々な理由がありますが、極力分かっていることはしっかりと説明をし、これまでやってきたつもりなんですけれども、しかし、様々な理由で過去のことが私自身説明できないような状況になっているというのは、これまでも御説明したとおりです。

 したがって、これから何か新しい事実等々が様々なことで出てくる可能性というものはございますので、それは私自身がその都度しっかりと説明責任を果たしていくということをしなくてはいけない、このように思っております。

後藤(祐)委員 総理、まだあるそうです。そろそろこれは引き際じゃないですか。

 そもそも、総理の任命責任ですよ、これは。八月十日に内閣改造するときに、何で替えなかったんですか。

 あのとき、八月十日に内閣改造があったんですが、その内閣改造直前の山際大臣の記者会見で、少なくとも、二〇一八年のアフリカセミナーへの出席、二〇一三年の関連団体への会費支出、平和大使協議会に一万円、これを明らかにしているんです。でも、その段階では、もう大臣は次、続けることを分かっていたときですよね。だけれども、まだ正式には任命されていない。そんな瞬間を狙って、記者会見で言っているんですよ。

 総理、山際大臣を留任させるかどうか判断するに当たって、今の少なくとも二つは山際大臣はもう分かっていたわけですから、アフリカセミナーへの出席、関連団体への会費支出、二〇一三年。このぐらいは少なくとも報告はあったんですよね。そして、報告があったんだとすれば、報告があったにもかかわらず再任をしたということですか、総理。

岸田内閣総理大臣 今回組閣をするに当たって私が徹底したことは、社会的に問題を起こしている団体との関係については、自らそれを点検し、調査を行い、そして、結果として関係が明らかになった場合には、それを国民に向けてしっかり説明をする。新たにそういった事案が発覚した場合には、説明責任を尽くしていく。そして、その上で、今後、こうした団体との関係ははっきりと関係を絶つということを確認し、それを条件に任命を行ったということであります。

 任命後、新たにこうした社会的に問題のある団体との関係が明らかになった場合、任命後、そうしたものが明らかになった場合は、今申し上げたこの確認に反するわけでありますので、大臣を辞めてもらうということになるかと思います。そういった基準で任命を行ったという次第であります。

後藤(祐)委員 もう一回聞きます。

 山際大臣は、再任するかどうか考えるに当たって、アフリカセミナーへの出席と平和大使協議会への会費支出、これについて総理に事前に説明があったんですか。

岸田内閣総理大臣 そうした指摘について誠意を持って説明を尽くしてもらわなければならない、このように申し上げました。先ほど申し上げました基準に基づいて人事を行いました。

後藤(祐)委員 ちょっと曖昧ですね。聞いていたということでよろしいですか。

岸田内閣総理大臣 様々な関係があるということについては、私自身、認識をしておりました。しかし、関係については、先ほど言った考え方の下に整理をしてもらわなければならない。何よりも、今後関係を絶ってもらわなければならない、それを徹底してもらえないのであるならば大臣を辞任してもらうことになる、これを前提として人事を行ったということであります。

後藤(祐)委員 統一教会と癒着している大臣も、結局、その癒着状況を知っていて任命したんじゃないですか。これはまさに任命責任ですよ、岸田総理の。何が厳正に見直すですか。ちっとも統一教会と関係を絶っていないじゃないですか。

 今日、秋葉大臣、寺田大臣、山際大臣、みんな事務所で、そのお金の払い方、しかもファミリービジネスだ、人によっては脱税疑惑。こんな方々ばかりじゃないですか、総理。特に、最初の秋葉大臣の話、これはひどいと思いますよ。秋葉大臣を、総理、辞任させてください。

岸田内閣総理大臣 先ほどの説明を聞いておりまして、脱税との指摘がありましたが、そういった経緯につきましては、秋葉大臣本人の行動ではなくして、親族の行動ということであります。その上で、大臣として、そのことについてどれだけ親族としての責任を感じることになるかということであると思います。これを丁寧に国民の皆さんにも説明をしていただかなければならないと思っております。

後藤(祐)委員 これで秋葉大臣が辞任にならないんだとしたら、脱税したって大臣を続けられる、そういう国になっちゃうということじゃないですか。御本人ではないかもしれませんよ、もちろん。御親族の、しかも、その原因をつくり上げているわけですから、秋葉大臣は。これは非常にまずいことになるので、やはり辞めさせなきゃいけないと思いますよ。お母様の脱税は大問題だと思いますよ、総理。

 最後、ちょっと時間がなくなりましたので、昨日、逢坂さんがやろうとしてちょっとできなかったものなんですが、これは統一教会の、文鮮明、亡くなりましたけれども、元教祖の本にある言葉です。

 日本は全ての物質を収拾して、本然の夫であるアダム国家である韓国の前にささげなければならない。

 日本が韓国を植民地支配し、この罪を日本人は償うべきとして、一般の人々の財産を霊感商法や万物復帰で神の側に戻す。

 この統一教会は日本を収奪の対象にしている。これは教祖の言葉ですよ。総理、この言葉を聞いてどうお感じになられましたか。

岸田内閣総理大臣 一宗教法人の教えの言葉について、総理大臣として何か申し上げることは控えたいと思いますが、いずれにせよ、どんな団体であっても社会的な責任を果たしてもらわなければならない、社会的な規範は守ってもらわなければならない。是非、法的な対応をしっかりと講ずることによって、国民の安心、安全につなげていかなければならないと思っています。

後藤(祐)委員 これだけ反日的な宗教団体が日本国民からお金を強制的に寄附させて、韓国へ送っているんですよ。

 ここに、天聖経という、私もこれをじっくり読みました、どんな教えなのかなと。是非総理も、この統一教会というのが、どんな教えで、どんなことをやってきたか、よくよく勉強されて、その上で、今日最初に長妻議員の御質疑の中でありましたけれども、まさにこんな、霊感商法や万物復帰で神の側に戻す、韓国に持っていくというこの統一教会に対しては、何としても解散命令の請求を出す、しかも、じっくり調査して数年後というのではなくて、もう今すぐ統一教会の解散命令の請求を出すということで、総理、よろしいですか。

岸田内閣総理大臣 宗教法人法に基づく実態の把握、そして、相談体制等を通じて被害者の救済、そして、未来に向けて、こうした事態が発生しないしっかりとした法改正、この三本をしっかり政府として責任を持って進めていきたいと思っています。

後藤(祐)委員 終わります。

 これからも徹底追及してまいります。

根本委員長 これにて岡田君、逢坂君、山井君、大西君、藤岡君、長妻君、階君、後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会、徳島一区の吉田とも代と申します。

 日本維新の会のトップバッターとして、岸田総理始め閣僚の皆様に質問させていただきます。

 また、本日は、兵庫十区の掘井健智議員にパネルのお手伝いをいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、出産費用無償化についてお伺いします。

 私たち日本維新の会は、二〇二二年参議院議員選挙マニフェストにて、出産費用無償化を訴えました。これは、私たち日本維新の会が、人口減少、特に少子化を食い止める対策を講じるのは国の責任であり、もはや妊産婦さん個人に負担を求めるべきではないと考えているからです。

 岸田総理は、本年六月十五日の記者会見において、私の判断で出産育児一時金を大幅に増額いたします、皆さんが安心して妊娠、出産できる環境づくりを進めてまいりますと述べられました。この発言に希望を抱いた妊産婦の方、またその御家族も多いと思います。

 私の判断で大幅に増額されるとのことですが、岸田総理は現在の出産育児一時金四十二万円を幾らまで増やすおつもりなのか、イメージされている具体的な金額をお教えください。

岸田内閣総理大臣 御指摘の出産育児一時金ですが、これまでも平均的な出産費用の状況を踏まえて見直しをしてきたところです。平成二十一年に四十二万円に引き上げられましたが、その後も出産費用は年々上昇している状況にあると認識をしています。

 こうした状況を踏まえて、全国に様々なケースがありますが、その中で平均的な標準費用が全て賄えるよう、出産育児一時金の大幅な増額を表明したところであり、具体的には予算編成過程で決定してまいりたいと思います。

 そして、金額の引上げ、もちろん大事ですが、もう一つ重要なポイントは、出産育児一時金の引上げの議論においては、必要以上に値上げが行われたり、意図しないサービスが付加されることによって利用者の負担増が発生する、こうした事態は適切ではないと御指摘がありました。

 これに対して、出産育児一時金の引上げに当たっては、妊婦の方々が費用やサービスを踏まえて適切に医療機関を選択できる、こうした環境を整備することが重要であると思っています。金額と併せて、こうした環境整備、出産費用などに関する情報を見える化するための方策、これも併せて検討することが実質的な負担軽減につながると考えております。

吉田(と)委員 現在の出産育児一時金四十二万円を引き上げ、安心して妊娠、出産できる環境づくりを進めようという政府の姿勢は一定評価できます。しかし、出産育児一時金を仮に十万円増額したとしても、出産の場である病院などで出産に関係する費用を十万円以上値上げすれば、妊産婦さんの負担額は変わらないどころか、負担が増えてしまうかもしれません。

 出産育児一時金の増額が確実に妊産婦さんのお金の負担の軽減につながるように、岸田総理御自身が、全国各地の病院に今回の出産育児一時金の増額の際には出産費用は値上げしないでくださいと呼びかけていただけるのでしょうか。お答えをお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 委員の今指摘された問題意識があるからこそ、費用について見える化を図り、そして利用する側が選択できる体制を用意することが大事だと申し上げています。

 その金額的な負担、これについても政府として思い切ってカバーするべく努力をしたいと思いますが、あわせて、様々なサービス、これを選択できるということが大事だと思います。人によってはより高いサービスを受けようという方もおられるわけですから、そういった様々な多様なニーズに応えられる、そして、負担を抑えたい方にはしっかり負担を抑えることができる。

 こうした見える化、選択できる環境、これをつくっていきたいと思っております。

吉田(と)委員 出産育児一時金四十二万円を増額することが、本当に妊産婦さんの役に立つのかどうか分からないところが最大の問題点だと思います。

 パネル一を御覧ください。

 これは、都道府県別の公立病院における出産費用の平均値です。例えば、私の地元徳島県は四十四万六千四百九十六円ですが、一番高い東京都は五十五万三千二十一円、一番安い佐賀県で三十五万千七百七十四円と、現在でも二十万円以上の値段の差があります。

 出産が自由診療である以上、値段を決定するのはそれぞれの病院ですし、また、地域間でここまで大きな差があるのでしたら、出産育児一時金を増額するだけでは根本的な解決にはならないと思います。

 そこで、我々日本維新の会が考える出産費用無償化とは、まず、出産にかかる医療を保険適用とし、自己負担分については、それを十分にカバーできる出産育児バウチャー、クーポンを公費負担で支給することにより、妊産婦の方や御家族に自己負担を一切生じさせることなく、つまり、無料で出産できる環境を実現することとしています。

 出産費用に医療保険を適用して出産に対する診療報酬を設定すれば、出産費用については国によるコントロールが可能となり、出産育児一時金を増やせば病院などが出産費用を値上げするというイタチごっこを防ぐ効果が期待できます。

 岸田総理は、保険適用以外の方法で出産費用をコントロールできると思っておられますか。また、出産への医療保険適用については何が問題点だと思われますか。岸田総理のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 まず、保険適用について。

 御承知のように、ドイツとかフランスはまさに分娩が現物給付対象になって、まさに保険適用になっている、こういう国も確かにあります。

 ただ、日本はそういう中で自由診療ということでこの間歩んできたわけでありまして、したがって、日本において正常分娩を保険適用にするということになると、身体の一時的な異常である病気やけがに対して行う健康保険制度の療養の給付という基本的な考え方にのっとってきたわけでありますが、それを見直す必要があるということ。

 また、出産においては出産場所や提供される場所が様々、今はかなり病院等に集中してきたわけでありますが、妊婦の方がそれを自由に選んでいる実態がある中で、全国一律の診療報酬で評価することがどうなのかという課題があって、これはなかなか直ちに答えが出る問題ではないというふうに思っています。

 それから、出産費用に対しては、先ほど議員もおっしゃったように、自由診療でありますから、それぞれの産科医院が自由に決めるということが大前提になりますから、それ自体をどうこうということは、これはできないというのは建前になります。

 その中でどうするかということは、先ほど総理がおっしゃったように、まさに見える化を通じて、市場というか皆さんの中の選択に応じて、よりしっかりとしたところを選んでいただく。

 今日の新聞にもちょっと出ていましたけれども、これは厚労省が調査を委託した方ですけれども、特に第一子を産むときはよく分からないのでよりちょっといいところに行く、でも、第二子目になるといろいろ経験があるので選んで決めるというお話がありました。

 したがって、第一子のときから、まさに経験を踏まえて選んでいる第二子の方と同じように、しっかり情報が提供されて適切な選択を促していくということが一番の方策ではないかなというふうに考えております。

吉田(と)委員 では、続きまして、パネル二を御覧ください。

 このデータは、出産の場所に関する統計データです。一九五五年と二〇二一年を比較してみました。

 一九五五年当時の出産場所は、病院と診療所を合わせても一五%程度であり、自宅その他の場所の出産が全体の八〇%を超えていました。一方、二〇二一年のデータでは九九%以上の出産が病院又は診療所で行われています。

 実は、なぜそもそも正常分娩の出産では保険適用ではなく出産育児一時金という現金が給付されているのかといえば、このパネルからも分かるように、以前は病院や診療所といった医療機関以外で、しかも医師ではない方が出産の介助を行うことが一般的でした。当時、医師以外の助産師さんは診療報酬支払い機関への登録がなされておらず、診療報酬としての支払いはできず、その名残が今の出産育児一時金という現金支払いにつながっているのです。

 現在でも、帝王切開が必要になった場合では、出産でも保険適用となることが一般的に知られております。さらには、菅前総理のリーダーシップの下、病気やけがではない不妊治療も保険適用に至りました。

 こういった時代の変化を考えた場合、出産のほとんど全て、九九%以上が病院や診療所で行われていることを考えると、出産の保険適用の環境は整ってきていると思います。

 出産への保険適用の議論や検討は完全に排除されるのか、あるいは議論や検討の余地があるのか、岸田総理のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 確かに御指摘のように、先ほど申し上げた、当時は今で言う病院や診療所以外の出産の場というのがありました。それが今かなり病院や診療所に収れんしてきている。

 しかし他方で、最初にパネルを出していただいたように、各都道府県ごとにかなりばらつきもあるということで、その背景にはやはり地域の医療事情、所得水準等々の原因があるということで、それが今ばらばらになっている。

 そうした中で、その状況に合わせてそれぞれが経営をされているという実態もありますので、今直ちに、最初申し上げたように、保険診療に転ずるというのは難しいのではないかなというふうに考えております。

吉田(と)委員 最近、無痛分娩という言葉をよく耳にするようになりました。出産に痛みはつきものと言われますが、麻酔薬を使って痛みを軽減して行う分娩も徐々に普及し始めており、出産の痛みを軽くする手段としてとても有効だと思います。

 パネル三を御覧ください。

 無痛分娩についての日米の比較です。全出産に対する無痛分娩の割合は、日本では二〇二〇年の調査で八・六%となっております。一方で、アメリカでは約七割となっており、フランスでは約八割に達しているとの報道もあります。

 そして、アメリカでは、国民側の意識として、多数の妊産婦さんが無痛分娩の存在を知っており、当然のこととして希望すると言われています。また、アメリカにおいて無痛分娩は保険診療内で行われています。

 日本でも、無痛分娩の割合は年々増加しており、いずれ無痛分娩が主流となる時代がやってきます。ただ、無痛分娩には麻酔の使用が必要であり、ますます出産における医師の必要性や医療介入の度合いは高く、強くなっていきます。無痛分娩の普及のためにも、正常分娩であっても保険適用をすることの必要性はより高まってくるのではないでしょうか。

 無痛分娩の普及とそれに伴う保険適用の必要性について、加藤厚生労働大臣の御所見をお聞かせください。

加藤国務大臣 まず、吉田委員おっしゃるように、安心して、そして安全に出産できる、この環境をしっかりつくっていくことがまず大事だと思います。

 日本では、今、無痛分娩については、諸外国に比べるとまだ一割程度ということでありますが、近年は増加している状況にあると考えております。

 厚労省においても、これまで、無痛分娩に係る医療スタッフの研修をしっかり行っていく、あるいは、無痛分娩の提供体制に関する情報公開等を行っている無痛分娩関係学会・団体連絡協議会、JALAという団体がありますが、そこと連携をして、無痛分娩の安全な提供体制の構築に係る取組について、都道府県とも連携しながらやらせていただいているところであります。

 したがって、そういった意味で、安全な無痛分娩、この実施体制をしっかりつくっていって、冒頭申し上げた、安全で安心な出産体制をまずはつくっていきたいと思っています。

 その上で、保険適用、これは、アメリカの場合は民間保険なので、ちょっと日本の公的保険とは、論じられないと思いますし、そもそも、正常分娩についての保険については先ほど申し上げたところでございますので、現時点で、無痛分娩を含めて正常分娩を保険適用にするということについては、やはり慎重な検討が必要ではないのかなというふうに思っております。

吉田(と)委員 出産への保険適用については、出産が病気なのか病気でないのかという点が論点なのではなく、出産が医療の現場で行われる割合が大半を占めていること、また、無痛分娩の普及など、時代の要請であることを是非真剣に考えていただきたいと思います。

 それでは次に、新型コロナ対策について質問いたします。

 二〇二二年三月三十一日の衆議院本会議において、私が、新型コロナウイルス感染症を五類感染症に位置づける方が、早期発見、早期治療ができるなどのメリットが大きいと指摘をさせていただいたところ、岸田総理の御答弁は、オミクロン株であっても致死率や重症化率がインフルエンザよりも高いこと、更なる変異の可能性があることなどを理由に、現時点では、新型コロナを五類感染症にすることは現実的ではないと考えておりますというものでした。

 そして、本年七月三十一日の記者会見で、岸田総理は、今感染が拡大しているこのタイミングにおいて、感染症法上の位置づけを変更することは考えていないと記者の質問に答えておられます。

 現在、第七波はピークを越えて落ち着きつつある状況です。新規感染者数が減少を続ける今こそ、新型コロナの二類相当以上から五類感染症への変更のタイミングなのではないでしょうか。岸田総理のお考えをお聞かせください。

岸田内閣総理大臣 委員おっしゃるように、今、新型コロナの感染については落ち着きを見せていると認識をしています。だからこそ、先月、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像をお示しし、感染症法上の扱い等について、全数報告の見直し、また療養期間の短縮など、相当な緩和を行いました。こうした緩和を行うことによって、社会経済活動との両立を強化したということであります。

 このように、状況を見て対応の緩和を行ったわけですが、ただ、御指摘の、新型コロナへの、五類への引下げを含めた感染法上の扱いの更なる見直しということを考えた場合に、まずは、今委員の方からも御指摘がありましたように、今後、ウイルスに新たな大きな変異が生ずる可能性があること、また、今、第八波に向けた病床、発熱外来の確保ですとかワクチン接種の促進、また高齢者施設における療養体制の強化の備えが必要なときであります。こうしたことを踏まえる必要があると考えております。

 よって、感染症法上の位置づけについては、専門家の意見も聞きながら政府として判断していくものではありますが、引き続き、エビデンスに基づいて、専門家の意見も聞きながら、議論を進めていきたいと思っております。

吉田(と)委員 私は、今こそが決断のときだと思います。そうでないと、社会は壊れてしまうと思います。

 同じく、岸田総理は、更なる変異の可能性があるうちは新型コロナの五類感染症への変更は難しいという旨の発言をされています。しかし、そもそも、ウイルスは変異するものなので、それを言い出せば、永久に新型コロナを五類にすることはできないと思います。そもそも、更なる変異の可能性というのは誰にも分からないと思います。

 今日、岸田総理に確認したいことは、新型コロナを五類感染症にすべきかどうかは、専門家が議論の中で結論を出してくれるのでしょうか。それとも、専門家の意見を参考に政治家が、すなわち岸田総理御自身が判断されるのでしょうか。お答えをお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 こうした新型コロナへの対応については、専門家の意見、エビデンスをしっかり重視しなければならないと思っています。ただ、最後に判断するのは、これは政府、政治の立場で判断するということだと思います。

 今、専門家の意見も聞きながら、感染症法上の取扱いについても議論を続けています。今の時点では、これから新型コロナとインフルエンザが共に感染拡大するリスクもある、それに備えなければならない。こういった事態においてどう対応するのか。先ほど申し上げた点から、感染症法上の分類、これを変更することについては考えなければならないことがある。

 引き続き、専門家の意見も聞きながら、最後は政治が判断していきたいと思っています。

吉田(と)委員 私たち日本維新の会は、二類相当以上とされる新型コロナを一旦五類感染症へ変更した上で、毒性の強い変異株が流行しそうになった場合は直ちに新型インフルエンザ等感染症へ戻すという切替えを機敏に行える仕組みを構築することが重要であると考えております。

 今年の冬に、二類相当以上の新型コロナと、そして五類の季節性インフルエンザ、これが同時流行した場合、厚生労働省は複雑な発熱患者さんのマニュアルを作っておられますが、恐らく国民は大混乱に陥ります。

 今年の冬の大混乱を防ぐには、新型コロナとインフルエンザを同じ五類にそろえておくことが大切です。新型コロナを早く五類に位置づけることで、社会が崩壊しないようにすべきであると岸田総理には強く申し上げておきたいと思います。

 続きまして、最後に、臨時国会の召集に関わる国会法改正について質問いたします。

 この件については、十月六日の衆議院本会議において、我が党の馬場代表も代表質問をしました。

 憲法五十三条には、衆参いずれかの院の総議員の四分の一以上から要求があった場合、内閣は臨時国会を召集しなければならないことが定められています。ただし、憲法には要求があってから何日以内に臨時国会を召集しなければならないという規定がありませんから、この秋も岸田内閣は、野党からの臨時国会の召集の要求を放置され続けてきたのだと思います。

 フリップ四を御覧ください。

 そこで、我々は、議員立法により、要求があってから二十日以内に臨時国会を召集しなければならないという二十日ルールを定めた国会法改正案を本年十月三日に提出したわけです。

 一方、このフリップにあるように、二〇一二年に定めた自民党日本国憲法改正草案の中で、「要求があった日から二十日以内に臨時国会が召集されなければならない。」と、自民党さんも二十日ルールを定めておられたのです。

 そこで、衆議院本会議の代表質問で、我が党の馬場代表が、二十日ルールは自民党さんも言っておられたわけですから、反対する理由はないですよねと尋ねたら、岸田総理は、議員立法でありますので、国会で議論するべきものですとかわされたわけです。

 そういった理屈を聞きたいのではなく、自民党さんの作った憲法改正草案と全く同じ内容の、今回野党が提出した議員立法の二十日ルールの内容についてどう思うかを我々は聞きたいのです。内閣総理大臣としてのお答えが難しいのであれば、自民党総裁として、あるいは岸田総理個人として、二十日ルールについてどうお考えなのか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 まず、憲法五十三条の要請するものは、臨時国会の召集要求があった場合に、内閣は合理的な期間内に国会を召集しなければならないというものであると認識をしています。それが憲法の要請であると認識をいたします。

 よって、今回においても、この臨時国会を開会するに当たりまして、感染症法等の改正案等重要法案の扱い、補正予算、さらには、その他臨時国会で審議すべき事柄について勘案した結果として十月三日に召集を行った、合理的な期間内に召集するという声に応えてきた、こうしたことであると理解をしています。

 この期間は、過去を振り返りますときに、はるかに多かったこともあれば、少なかったこともある、それぞれの内閣がその時々の情勢の中で合理的な期間を判断してきた、こうしたことであると思います。

 そして、この合理的な期間に上限を設けるべきであるという議論は従来から再三行われてきました。

 そして、自民党の中においても、これは、平成二十四年当時の試案の中で上限を設けるという議論が行われた、これはそのとおりであります。

 しかし、憲法改正の議論については、その後絶えず自民党の中で議論を深め、そして、あるべき憲法の在り方について考え方を明らかにしてきました。現在は、憲法改正、御案内のとおり、四項目にわたりまして、自民党として優先的な検討項目を示し、こうした形で憲法を改正していくべきであるということを明らかにさせていただいています。

 よって、この合理的な期間の上限の議論につきましては引き続き議論を行っていかなければならないと思っておりますし、そして何よりも、御提出いただきました法律、これは議員立法でありますので、国会において議論をしていただかなければならないと考えております。

吉田(と)委員 衆議院本会議でおっしゃったように、議員立法で決めることだから、内閣総理大臣としてはコメントしないという、理屈としてはそうであったとしても、国民の立場からすれば、本当に国民に寄り添ってくれているのかという残念な気持ちになります。

 円高、そして物価高、日本を取り巻く安全保障の課題など、国民は大変不安に思っています。参議院議員選挙が終わってから約三か月、閉会中審査は多少あったかもしれませんが、臨時国会が開かれなかったことは大変問題であったと考えます。本来でしたら、衆参いずれかの院の四分の一以上の議員からの要求がなかったとしても、急いで臨時国会を開いて、国民生活を立て直し、また、日本の国を守る議論を行っていく、それこそが、岸田総理、本来のあるべき姿ではないでしょうか。

 また、要求から二十日以内に臨時国会を召集しなければならないということは、それほどおかしな内容ではないと思います。国民をこれ以上不安にさせないためにも、是非、国会の場で、自民党総裁として、この二十日ルールの議員立法の審議を進めることを自民党議員の皆さんに指示していただくことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、青柳仁士君から関連質疑の申出があります。吉田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 これまでも総理には予算委員会を通じて様々な質問をさせてきていただいておりますが、今期から予算委員会の理事とならせていただきました。これからも、与党に対しても野党に対しても、しっかりと是々非々の姿勢で臨んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、物価高について、経済対策についてお伺いいたします。

 今、これまでも累次の御質問ありましたとおり、物価高そして円安が進行しております。今日の時点で、今朝、一ドル百四十九円を超えて三十二年ぶりの高水準、これは円安の状況ですね。それから、物価高に関しては、黒田総裁が設定された二%というのを大きく超えて三%という状況になっております。また、これは、コストプッシュインフレということで、当初日銀及び政府が目指していたような、いわゆるよいインフレではないと。要するに、経済状況は非常に壊滅的な状況にあるということかと思います。

 この中で、多くの国民は、賃金が上がらずに物価だけが上がって、生活水準が非常に厳しい状況にある。また、企業も、価格転嫁が起こらない中で、コスト高に悩んでいる。こういう状況、皆さんも政治家として地元で様々な声を聞いていると思いますが、私も同様に聞いております。

 こうした中、総理は、今年の二月から、累次の対策を行ってきた、経済対策を行ってきたとおっしゃっておりましたけれども、帝国データバンクの調査によりますと、企業の約七割がこれまでの政府の対策に効果を感じていない、また、今朝のFNNと産経新聞の合同調査でも、七割以上の国民が、この物価高、非常に問題だと思っていて、かつ政府の対策に効果を感じていないという結果が出ております。

 こうした厳しい意見、状況の中で、総理として、政府が何と言おうと、うまくいっていないということは、うまくいっていないと思うんです。なぜなら、国民と企業が困っているからです。

 ですから、そういった中において、一体何が問題であるか、どういったところが原因で今政府の対策がうまくいっていないのかということについてお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 足下の物価高につきましては、消費者の暮らし、あるいは事業者の経営、大きな影響を与えています。御指摘のような厳しい声に対しても、こうした声をしっかり受け止めて政府として対応していかなければならないと思います。

 そして、どうしてこの対策がうまくいっていないのかという御質問でありますが、対策としては、政府として、エネルギー、食料品を中心にピンポイントで対策を用意をしています。ただ一方で、それが国民の皆さんの心に届いていない、これがこの厳しい声の一因であると思います。対策についてしっかりと、政策を用意するだけではなくして、その政策の意味、効果等についても、より政府として語る力を発揮して説明をしていかなければならない、こうしたことも強く感じております。

 いずれにしましても、今月、総合経済対策をまとめます。より国民の皆さんの心に届く政策を用意したいと思っています。

青柳(仁)委員 今、御答弁の中にもありましたが、結果に、成果に責任を持つというところが重要だと思っております。総合経済対策を取りまとめるとおっしゃいましたけれども、今まで累次の対策を行ってきて効果が出ていないわけです。ですから、これに対しては、まず、経済対策を出したらどんな効果がしっかりと出せるのか、そこにしっかりコミットしていただきたいと思います。

 また、やはり今回効果が出ていない最大の要因というのは、私は総理のリーダーシップが欠けているからだと思います。先ほどの我が党の吉田とも代議員の質問の中にもありました、コロナウイルスの感染症対策、二類相当から五類へ引下げを行ってはどうか。御答弁の中で総理はこうおっしゃいました、それに関しては、専門家が協議をする、そして最後は私が決める。そうじゃないんです。リーダーが方向性を指し示してほしいんです。

 我が党の、大阪の府議会で、大阪の府知事をやっております吉村洋文知事、今、様々な方から地元では御支持をいただいております。なぜか。見た目がどうだとか、そういうことじゃないんですよ。危機が起きたときに、まず、自身として、リーダーとして、こういう方向性でいくんだということを打ち出す。そこにはリスクは当然あります。リスクはあるけれども、こうすべきだと、まずは自分の意見、そこに組織がついてくる、そういう形のリーダーシップを取っているから、様々な方々に御支持をいただいている、私もこうしてこの場に立たせていただいているということだと考えております。

 ですから、これまで様々な指摘をさせていただいております、様々野党からも声が出ておりますが、例えば旧統一教会の問題も同じです。今国会中に法案が出ないとか、これは総理がやると言えばいいだけの話だと思うんですね。それが言えない。そんなのは、組織がついてくる話だと思うんです。いや、事務方が時間がかかると言っている、専門家がどうこう言っている、それはいろいろな説明はできますよ。でも、リーダーがやると言ったらやれると思うんですよ。国民が求めている姿はそういうものじゃないんですか。こういう話を聞いて笑っておられるリーダー、これは本当に国民が求めている姿なんですかね。

 私は、質問させていただきたいのは、今回の物価高対策に関して、また、その他の、これまで我々も様々他党と一緒に提案させていただいてきた、国会法の問題もそうです、国会が二十日間に開かれないという問題、さらには、旧統一教会の被害者の問題もあります。そういった問題に対して、是非、総理として、リーダーとして、これから主導して行っていく、そういった御決意を聞きたいなと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員の方から今、累次の経済対策、効果が上がっていないという御指摘がありました。これは正確ではないと思っています。

 政府の今年の三月、四月、七月、九月、こうした累次の経済対策によって、例えばガソリンについても、激変緩和措置によって、スタンド価格において三十円以上価格は抑制されている、これは現実であると思っています。小麦の売渡価格についても、価格上昇を抑える、これを維持をする、こうした政策をしっかりと継続しています。肥料においても、飼料においても、様々な政策を用意をしています。これを国民の皆さんにしっかりと届ける、心に届ける努力も併せてしなければいけない、こういったことを申し上げているわけであります。

 そして、御質問の、新型コロナであれ、旧統一教会の問題であれ、昨日来、様々な議論を行ってきました。政府として、具体的に法律に基づいて何をするのか、説明をしてまいりました。是非、結果につなげていきたいと考えております。

青柳(仁)委員 ですから、政府がどういうふうに説明しようと、総理がどんなふうに御説明されようと、世論調査でも出ているとおり、七割の国民と企業が、政府の対策に効果がないと感じているわけです。

 それから、実際に、円高もそして物価高も止まっていないわけです。これに関しては、総理や……(発言する者あり)済みません、円安ですね、円安も止まっていないわけです。ですから、そういった効果が誰に届かなきゃいけないのかです。先ほど、成果、結果責任と申し上げましたが、成果が国民と企業に届いていないのであれば、これはやっていることにはならないですね。

 効果が出た、出たと、先ほど来から自民党の席から声が聞こえてまいりますが、今、皆さん、政府のやっている物価高対策と円安対策に効果が出ていると本当に国民の皆さんは思いますか。これはもう、御判断はこのテレビを見ている国民の皆さんに委ねたいと思います。私はそうは思いません。ですが、今、累次の、様々な方が、効果が出ているじゃないか、こういうお声があります。これは自民党の声、与党の声、政府の声ということだと思いますが、その御判断は国民の皆さんに委ねたいと思っております。

 では、経済対策の質問に移らせていただきます。

 まず、今回、予備費の活用による三・五兆円の経済対策というのが総合経済対策に先立って行われるということで、予算委員会の理事会、理事懇で説明がありました。その中に、予備費による住民税非課税世帯への五万円の現金給付というものがあります。これは一見、所得が厳しい方、生活が厳しい方に対する支援のように見えるんですが、実際のところ、対象者の八割近くが、これは資産を見ていませんで所得だけで見ていますから、資産を保有している年金受給者を多く含む六十五歳以上の方々が多いということです。

 一方で、これに対しては、様々なメディアであるとか世論調査の中でも、教育、出産、子育て、あるいは、奨学金が返せないといったような学生さんだとか、若者世代、将来世代の中から、我々に対する支援はないのかという声がたくさん上がってきております。

 先ほど別の議員からの質問にもありました、日本の子育て予算というのは先進諸外国の半分以下です。こういった中で、この給付事業に関しても、やはり対象が不公平なのではないか、要するに、投票率の高い層にたくさん予算として給付金をばらまいているだけのようにも見えるんですけれども、今回、今までコロナ給付も含めて様々な給付事業を政府はやってこられたと思います。全体の総括はできているんですか。誰にどれぐらいの給付を行っているのか、それは公平なのか、不公平なのか。また、将来世代に対する投資というのを増やすというつもりはありませんか。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 今、五万円の給付のお話がございました。これの妥当性についてですが、今般の給付金、これは、物価高の影響を特に受ける低所得世帯を支援するものであって、賃上げの効果が及ばない年金受給者についても対象とすることは妥当だと考えております。

 子育て世代の話もありましたので、これまで、岸田政権における、コロナ禍における現金給付としては、特に経済的に厳しい子育て世帯や低所得世帯向けの給付も行ってまいりました。また、これらの給付金に加えて、新型コロナ対策としては、飲食店に対する協力金、あるいは事業復活支援金、緊急小口資金等の特例貸付けなど、生業、なりわい、雇用を守る政策と併せて、幅広く国民生活を支えてきたところです。

 今般の給付金の、特に家計への影響が大きい住民税非課税世帯を対象としてきた中身ですけれども、電力、ガス、食料品等の価格高騰による追加負担額が毎月五千円を見込まれることから、その半年分である約三万円を十分に上回る金額を支給することとして、生活の下支えを図っているものです。

 このように、その時々の課題に応じて切れ目なく必要な対策を講じてきているところでありまして、今後とも、経済対策等を通じて、必要な対策を適時適切に行ってまいりたいと思います。

青柳(仁)委員 今の説明では一体何がどう総括されているのか全く分からないんですけれども、ただ、ほかの質問もありますので、次に進みたいと思います。

 要するに、私が聞いているのは、将来世代に対する投資を増やすつもりがあるのかどうか、そして、そういったところに対する給付金はどれだけあるのかというのを聞いたんですけれども、これは、何でしょう、役所の方ですかね、質問を間違えているんじゃないですかね、答弁を。しっかりと聞き取っていただきたいなというふうに思います。

 それから二つ目に、補助金に関してです。

 予備費の活用による価格抑制策として政府が示している資料というのは、おおむね、私が今、手でやりますと、上に、こう、価格、ガス代、電気代、あるいは飼料だとか小麦代、上がっていきますよというグラフを作っています。そこに対して価格抑制が入りますからこういうカーブになりますよ、緩やかになる、こういうことを描いているわけなんですけれども、これはちょっとトリックがありまして、別に最終消費者の金額が変わるわけじゃないんです。これは補助金なんですね。

 要するに、例えば、飼料代とかいうものは農協に対する補助金です。LPガスは、これはタクシー業界に対する補助金です。それから、医師のコロナ対策の病床に関しては、これは医師会含め、医療関係に対する補助金。さらに、今、ガソリン価格高騰、これは元売に対する補助金。そして、今総理が考えていらっしゃる電気代の価格、これも、電気代、電気の小売に対する補助金だと、恐らくそう推察するんですけれども、ほとんどの施策が価格抑制といいながら補助金なんです。補助金でしかできないということはないと思うんですね。例えば、再エネ賦課金の徴収一時停止だとか、減税みたいな方法というのもあるわけです。なぜ、あらゆる価格抑制策は補助金でなければいけないんでしょうか。

 これは、政治として、各団体に様々なお金をばらまくというような趣旨がやや感じられるところでもあるんですけれども、なぜ補助金という政策にそこまでこだわるんでしょうか。

山際国務大臣 我々政府といたしましては、最も、経済対策もあるいは政策も、どうすれば効果が得られるかということを常に考えながら政策というものは打ってきているつもりでございます。

 その中で、今御指摘があった物価高騰に対しての補助金の話がございましたけれども、今回の物価高騰に関しては、まさにエネルギーそして食料品を中心とした物価高でありまして、これはまさにピンポイントに、そこの部分に特化して様々な施策を打っていくべきだという判断をしております。これに対して累次にわたる重層的な施策を講じて、必要な方に必要な支援が行き届くように、きめ細やかな支援、対応を行っているところです。

 委員から今、その他の方法という形で減税という言葉もありましたけれども、減税については、元々負担の少ない方への効果、これが小さいことなどの問題があり、このエネルギーや食料品というものが上がっているという状況を鑑みますと、減税で対応することは今のところ考えていないということでございます。

青柳(仁)委員 今の御説明だと、インフレの原因が食料とエネルギーだけみたいなふうに聞こえるんですけれども、まずは、そもそもなんですが、今、このインフレ、物価高騰というのはどういうものだと理解しているんですか。

山際国務大臣 お答えいたします。

 もちろん、この物価高等々に関しては、様々な要因が複合的に合わさったものだということでございますが、しかし、これは、G7、G20、OECD等々の皆さんとも軌を一にしているものでございますけれども、まず、ウクライナに対するロシアの侵略行為というものがあって、それに基づいてエネルギーの価格が高騰しているというのが一つ非常に大きな原因としてある。そして、それ以外、それに端を発して、様々な食料品、小麦等々もありますけれども、食料品等々の物価が上がってきている。そういうことが複合的に合わさって今の物価高になっているという理解だとしております。

青柳(仁)委員 今、輸入物価が物すごく上がっているのは御存じですよね。国内の企業物価の要因の半分以上は円安になっているのを御存じですよね。円安というのは、食料とエネルギーだけですか。当初はそうだったと思うんですけれども、今は違いますよね。しかも、円安に対する対策、先ほど来からほかの委員が政府に聞いていますけれども、全くないわけですよ。今、百四十九円という状況で、三十二年ぶりの高値を更新している、今朝ですよ、これに対して何の対策もないというのが先ほど来からの答えですよね。

 円安だけだったら、まあ、いいことはないです、だから、円安の話は円安の話です。ただ、それが物価高騰の半分の要因になっているとなれば、これは話は別ですよね。何らか対策していかなきゃいけないですよね。今、何か様々な要因とかおっしゃっていたんですけれども、これは円安とかも含めて、どういうインフレだとそもそも思っているんですか。

山際国務大臣 もちろん、円安というものが今の物価高の要因の一つであるということは我々も認識してございます。だからこそ、これから総合経済対策というものをしっかり打って、その物価高に対して対策を打たなくてはいけない。それで議論をしているところでございます。

 ですので、総理からも御指示をいただいているように、今まで三月、四月、七月、九月と経済対策をやってまいりましたけれども、これからさらに、この総合経済対策で切れ目なく支援ができるようにということで今議論を進めているところでございます。

青柳(仁)委員 だから、その切れ目ない対策が利いていないという話をさっきしたんですね。ですから、今までと同じことをやっていくんだったら意味がないと思います。

 それから、今の御説明はどういうことなんですか。どうしても理解できない。最初、食料品とエネルギーとおっしゃいましたよね。だから食料品とエネルギーに対する対策をやっているんだ、だから別に減税ということはやらなくていいんだと言いましたよね。でも、その後、総合経済対策で、円安、様々な影響があるから、じゃ、全体のインフレに対応していかなきゃいけないみたいな話に今なりましたけれども、どっちなんですか。というか、どういうインフレだという理解なんですか。大臣が理解していないのは問題ですよ。

山際国務大臣 まさに今委員がおっしゃったように、様々な要因が物価高につながっているというのは我々認識しているということを先ほどから申し上げているんです。

 ですから、その中でも特にエネルギーが高騰しているという現実と、そして特に食料品が値上がりしているという現実と、この二つに関して、我々は今まで、様々な経済対策を行ってこなきゃいけないということでやってまいりました。

 そしてさらに、今般、この総合経済対策に関して、例えば、電気料金あるいは都市ガス、ガソリンの負担軽減策等々に関してもしっかりと深掘ってやっていかなくてはいけないと思っておりますし、その他の経済対策の中身について、成長戦略に資する、まさに新しい資本主義を加速させるというメニューの中で、様々、グランドデザインを六月にお示しをしましたけれども、それの中の実行計画にあるものを一つ一つ、今のタイミングでやれることをしっかりやろうというようなこともありますし、あるいは、賃上げにつながるものをメニューとしてもおそろえをさせていただいているということで、総合的に経済対策をやろうということで、今議論をしているというところでございます。

青柳(仁)委員 ですから、よく分からないんですね。だから、何が原因で、何を変えたらいいと思っているんですか。

 今までの対策に効果が出ていないと国民の皆さんがおっしゃっているわけですよね。今までの対策というのが、食料品とエネルギーの価格高騰に対する抑制だったわけですよね。それを続けるということだったら、今までの効果の出ない方法を続けるというだけですよね。それ以外に、じゃ、何をするんですか。

 じゃ、様々なとおっしゃいますけれども、様々な要因の様々って一体何ですか。円安以外にどういうことがあると思っているんですか。もし社会構造全体の中でのインフレだと思うんだったら、別に消費税減税の一律減税でもいいんじゃないですか。価格が上がったって、可処分所得が増えていけばいいんじゃないですか。そこを否定する理由には、今の山際大臣の説明ではならないと思うんですけれども、いかがですか。

山際国務大臣 私たちは、先ほどから申し上げているように、切れ目なく経済対策をしなくてはいけない、そういう文脈の中で、今、経済対策を練っております。

 何が原因かというのは、先ほどから申し上げているように、もちろん円安という要因も入っておりますけれども、元々は、コロナもありましたし、あるいはウクライナの問題もありましたし、そういう複合的な様々な要因によって今の物価高というものが起こっているという意識です。

 そして、それをどうやって解決していくのかということについては、もちろん、今、足下でサポートしなくてはいけない方々というのはいらっしゃいますよね。そういう方々に関して、この三月、四月、七月、九月と、予備費も使いながら様々な対策を打ってきたわけなんですけれども、それは今回の総合経済対策の中でも、更にそこの部分で必要な部分に関しては手当てをするということを申し上げているわけです。

 さらに、じゃ、何で解決をしていくかというのは、まさに総理がおっしゃっているように、新しい資本主義という概念の下に、これから日本というものがどう成長路線を築いていくのかということを、六月の段階でグランドデザインを皆様方にお示しをして、そしてそれを実行するんだという実行計画もお示しをしております。

 ですから、先ほどから申し上げているように、そのグランドデザイン、実行計画の中に入っているメニューに対して、今回の、今のタイミングですぐできることというものを経済対策の中にしっかり盛り込んで、それを国民全体でやれるように進めるということが我々がやらなくてはいけないことだし、それが解決策だと思ってやっているということでございます。

青柳(仁)委員 今の御説明を聞いていても、要するに、どこの業界でもそうだと思うんですが、物事に何か問題が起きたときには、様々な原因がありますよね。その様々な原因の中に、全部に対策するわけにはいかないですよね。ですから、どこが一番問題なのか、どこに介入したら一番効果が出るのか、こういうことを考えて解決策を打っていくというのは、これは政治だけじゃないと思うんですけれども、あらゆる業界で常識だと思うんですね。

 今の山際大臣の話を聞いていると、様々な要因があるだとか、累次のこういうことをやってきただとか、今まで続けてきたことをこれからやるだとか、そういったことでは、これから先も効果は出てこないというふうに思います。ですので、しっかりとまず現状分析をすべきじゃないかなと思うんですね。

 自民党の、今の政権与党のやり方というのは全部そうだと思うんですが、非常に遅いんですね。まず何を、今なんですよ、今みんな苦しんでいるんです、この瞬間に。ですから、今解決策を出すのと、三か月後に出すのとでは、苦しむ人の数が違うんですよ。

 これは旧統一教会の問題もそうですよ。三十年前からこの問題は分かっていたわけですよ。そのときに政治が答えを出さなかったから、この三十年間ずっと放置されて、その間にたくさんの方が被害に遭われてきたんじゃないですか。今ここで我々が答えを出さないで、また三十年放置するんですか。今国会で出すのと、次の臨時国会、次の通常国会で出すのとではまた違いますよ。その間に被害者が増えますよ。

 国会法の、二十日以内にやらなきゃいけないというルール、これはあれと全く一緒ですよね。いや、憲法にはいつやるとは書いてない、だからいつかやればいいんだみたいな、いつやっても同じなんだ。現実の世界は違いますよ。一日でも早くやれば、一人でも被害者は減るんですよ。一日でも早くやれば、困る方が減っていくわけですよ。それが我々の政治の、あるいは行政を担う与党の責任なんじゃないですか。

 しっかりとまずこの経済対策、これは様々な経済学者の方とも議論させていただきましたが、今やっていることは一体何に手をつけようとしているのか余り分かっておられていませんよ、皆さん。何か様々な問題に対して様々なことをやっている、それだけだと思います。

 これにもう一つ申し上げておきたいと思うんですけれども、我々もこれから総合経済対策というものを、政府に対して対案を出させていただきますが、そのときに、我々としては需要の喚起というものが必要だというふうに思っております。

 なぜならば、先ほど山際大臣から、困っている方々に一時的なお金をお渡しするというような話がありました。でも、これは、円安は続くわけですよ、物価高が続いていったときに、これから先もどんどんどんどん渡し続けるんですか、政府の財源がなくなるまでやり続けるんですか。その間に経済状況が変わるのを祈りながら待つんですか。違いますよね。国民も企業も、本当に求めているのは臨時収入ですか。違いますよね。継続的な、マーケット、社会構造あるいは経済原理の中での商売だとかあるいは生活の持続性、発展性、ここですよね。これをマクロ経済環境の中できちんとつくり出してあげるのが、政府が今やるべき経済対策なんじゃないですか。

 そういう意味では、商売がもうかるためには、中小企業の方がしっかりともうけられるためには、まず需要がなきゃいけません。ですから、国内の需要、まずこれを喚起していくということが重要です。最終消費者に対する、需要、これは給付という手もあるかもしれませんが、減税という手もあります。あるいは、将来世代というような、これからお金を使ってくださる方々、これから大きく成長していく方々に集中的に、先ほど吉田議員もありましたが、出産費用の無償化だとか、教育の無償化、給食費の無償化、そういうことをやっていくということも非常に重要だと思います。

 あわせて、海外からの需要を呼び込む。インバウンドというのは円安はチャンスですから、そういった形で需要の喚起をどうできるかというところが重要ではないかというふうに我々は考えております。

 これについて、まず総理の御意見をお伺いできればと思います。

岸田内閣総理大臣 今調整を進めております総合経済対策の柱は三本であると申し上げています。一本目は、目の前の物価高騰に対して対策を講ずること。二つ目は、その物価高騰に見合う賃上げ、かつ構造的な賃上げ、これを実現しなければいけない。三点目として、経済の成長のための投資と改革。これが大事だ、この三本が柱だと申し上げています。

 先ほど山際大臣の方から、今回の物価高騰、様々な要因があるんだということを申し上げました。昨年来のコロナ禍における需給バランスの問題もあれば、今年の二月からのウクライナ情勢を背景とする世界的な物価高騰もあれば、委員御指摘のように為替の問題もあれば、様々な要因が絡んでいます。これに対してどう対応するのか。

 先ほどの三本の柱を中心に、まずは、今現実、目の前で国民の皆さんが苦しんでおられるわけですから、物価高騰についても、先ほど来申し上げているように、エネルギーや食料品の対策を中心に具体的な策を用意しなければならない。

 そして、賃上げについても、今、物価高騰に見合うだけの賃上げを考えていかなければならないわけですが、これも、まずは目の前の対策を用意すると同時に、中長期的にも構造的にしっかりと対応を考えていかなければいけない。だからこそ、委員の御指摘にありました円安のメリットを生かすような分野、これにおいてもしっかりと対策を用意する。

 また、賃上げについても、目の前、公共価格を始めとする賃上げをしっかりと実現する、大事なことでありますが、中長期的な観点から考えたならば、労働移動を伴うような形での構造的な賃上げを実現しなければいけない、こういった政策も用意をしています。

 そして、三本目の柱、成長のための投資と改革。この部分において、やはり成長のエンジン、社会的課題を成長のエンジンに変えることによって経済を成長させていく、需要を喚起していく、こうした取組は重要であると思います。

 今の現実に対して、まずは、この目の前の苦しみにしっかりと対応すると同時に、中長期的な課題にも対応していく。そのことが将来を担う世代に対する支援にもつながると思いますし、日本の経済や日本のこれからを考えた場合に、未来を考える上で重要な取組であると認識をしております。こうした考え方に基づいて、経済対策を進めていきたいと考えております。

青柳(仁)委員 政府の総合経済対策については、まだ詳細が明らかになっておりませんので、ここで細かな点についてお話しすることはできないんですけれども、今、最後の方に総理がおっしゃった、まさに中長期的な構造改革を行っていくということは極めて重要なことだと思っておりますので。特に、マクロ経済環境をしっかりと整える中で、賃上げにしても需要の喚起にしても行っていかないと、これは、お金をばらまいたりとか、一時的な給付だけやっていても、こんなのは永続性は全くありませんから。

 そういう声は確かにあるのかもしれません。一時的な給付のお金が欲しいとか臨時収入が欲しいという声はあるのかもしれません。しかし、政府であれば、やはりそこは責任を持って、中長期的な経済構造改革というところにしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 それから、もう一つ、そういった中で、先ほど来から申し上げているとおりなんですが、どこがポイントなのかというところはやはりしっかりと把握するべきだと思っております。我々は、そこはやはり需要の喚起ということが何よりもまずは重要だろうと思っているんですが、もう一つ、これはこれまでも議論に出ていました価格転嫁ですね。ここがしっかりと起きていくということが非常に重要だと思います。

 なぜなら、一つの理由は、これは負担の平準化ということがあります。今、大企業は、軒並み、最高収益といいますか、経常利益がかなり上がっているところが多いです。これは、円安の影響もありますし、それから、価格転嫁が起きていない部分が相当多いと思います。

 私の地元は大阪の八尾なんですけれども、先日、地元の企業の方々、中小企業の方々と話をしていましたら、やはり価格転嫁が進んでいないと。下請の方々は、もちろん、今これぐらい材料費があるのでこれだけ上がっていますというような話合いは、納入先の方々とやり取りはしている。ただ、最終的に価格を決定するのは、日本の社会構造の中ではやはり買手の側になりがちである、こういうものがありますので、なかなかそこに対して声は出ない。そして、下請Gメンと言われるような方々、倍増したという話を聞きました。その辺、どうですかと聞いても、第三者にそんなことをなかなか話せないし、第三者に話したからといって解決できるものでもないというような声が圧倒的に多数でした。

 こういった中で、この価格転嫁をどういうふうに行っていくかということは本当に重要な課題だと思います。

 我々は、だからこそ、やはり川上の企業が中小企業で、川中が大企業で最終消費者につながる、川下が最終消費者であるパターンが多いわけですけれども、その場合、やはり最終消費者の需要の喚起というところが最終的にはこの価格転嫁を起こしていくのではないかというふうに考えているんです。

 下請Gメンとかもいいんですけれども、いないよりはいた方がいいと思うんですが、そういうミクロの対策とマクロ経済のマクロの対策というのは違うと思うんです。マクロ経済の中で価格転嫁が進みやすいような政策というのをしっかり打っていかないと、経済学の中には合成の誤謬という言葉もありまして、ミクロで正しいことがマクロで正しいとは限らないわけです。

 そういったマクロにおけるこの価格転嫁の仕組みについて、総合経済対策を含め、総理はどのようにお考えですか。

岸田内閣総理大臣 まず、価格転嫁は、今現状苦しんでいる中小企業において、賃上げの原資を確保するという意味からも大変重要であると思っています。

 そして、御指摘の下請Gメンにつきましても、年間一万件の中小企業のヒアリング、これを実施し、実態の把握を行っています。この結果は、毎年九月と三月の価格交渉促進月間の結果を踏まえた親事業者への指導助言の実施、こういった形で活用されています。先月には、今年三月の価格交渉促進月間の結果を踏まえ、価格転嫁の状況が特に芳しくない二十数社の親事業者に指導助言を実施した、こういった形で具体的な形につなげています。

 これら目の前の価格転嫁、これはもちろん重要なことであります。しかし、こうした価格転嫁によって賃金をまず引き上げる努力をする、大事なことですが、それに加えて、委員御指摘のような、中長期的な、構造的な賃上げの仕組みもつくっていかなければならないということで、労働移動の円滑化も併せた賃上げを考えていかなければいけない、こうしたことを訴えさせていただいています。

 リスキリングという言葉が最近盛んに使われるようになりましたが、今の経済は、グリーンとかあるいはデジタルといった分野において非連続的なイノベーションが次々と起こる時代であります。かつての高度成長期のように、同じ方向でみんなが努力をするという時代ではなくして、ある日突然、画期的なイノベーションによって経済の成長のエンジンが変わってしまう、こういったことでありますので、その変化にしっかり労働力も対応していかないと経済全体が成長していかない、結果として、価格転嫁もそして賃上げも実現できないということなんだと思います。

 企業の立場でいうのならば、高い賃金が高いスキルの人材を引きつけることによって、企業が生産性を高めて次の賃金の引上げにつなげていく、こういった好循環を実現する経済をつくっていくことが構造的な賃上げであると認識をしています。

 ですから、目の前の賃上げ対策、もちろん大事でありますが、こういった構造的な賃上げが重要であるということで、今考えている経済対策の二つ目の柱として構造的な賃上げを掲げさせていただいている、こうしたことであります。

 是非、目の前の課題にもしっかり応え、そして中長期的な課題にも応えることによって、未来に期待が持てるような経済政策を用意していきたいと考えております。

青柳(仁)委員 経済対策に関しては、我が党も対案を出させていただきますが、今まさにおっしゃっていたような、マクロの視点で、例えば賃上げなら賃上げでも構いませんが、賃上げが起こりやすくなるような環境をつくっていくということと、それからミクロにそこに手を突っ込んでいくということは、これは別の話ですので。マクロの方では、その政策がほかの政策と矛盾する可能性が非常に高いと思っております。

 ですから、例えば賃上げでいえば、今、総理がおっしゃったものも含めて、インフレというのは、基本的には値段がどんどん上がっていくわけですね。もし、アベノミクスの頃やっていた目標値を今も掲げているのであれば、実質のGDPの成長率で二%、名目で三%の経済成長、プラス、総合で二%の緩やかな需要牽引型のインフレで経済を成長させていくというのが今の日本政府の方向性でしょうから。

 そういった中においては、当然、経済成長する国ではインフレが起こるのは当たり前ですから、急激なではなくて、安定的なインフレの中で安定的に物価が上がっていく、価格が上がっていく。つまり、労働単価も上がっていくわけです。

 つまり、賃上げが起きるのは、ある意味自然な話なんです。先ほど来から申し上げているような、需要をきちんと喚起して、そして価格転嫁がしっかり起こっていれば、賃金は構造的に自動的に上がっていくはずなんです。ですから、そこの流れをしっかりとやるということ。

 それから、今、経済の需給ギャップ、これが今、内閣府の試算で十五兆円ぐらいあると言われておりますけれども、これが残っていますと、失業率が高止まりしますから。ですから、この失業率をまずなくすということ。そして、労働需要を労働供給よりも高めることによって、失業だけではなくて、賃金も上がっていく。そして、総理がおっしゃったようなリスキリングなんかを行っていくことによって、ある一定のデジタルの人材だけは給料が上がっているけれども保育士は上がらないとか、そういうことがないように、労働の流動性というもの、労働市場の流動性を高めていく。これは、我が党がずっと前から申し上げている日本大改革プランの中の柱の一つですから、是非そういった中長期の構造改革についても忌憚のない意見交換をこれからもさせていただければと思っております。

 時間がなくなりましたので、残りの経済に関する質問はちょっと飛ばさせていただきまして、安全保障に関してお伺いをいたします。

 防衛費の増額を行うということが様々議論されております。我が党としては、防衛費に関しては、これまで、GDPの二%基準というのがNATOの中でありますから、これは海上保安庁の予算も含むのかとか様々な議論はあるものの、大幅な増額に関しては、我が党として訴えてきたことでもあります。

 しかしながら、何を買うのかということが問題だと思っております。

 今、世界の戦争の定義というのはどんどん変わってきております。そういった中で、ミサイルの防衛、さきの北朝鮮のミサイルも様々なものが飛んできていますけれども、あれは、音速を超えるスピードのものであったり、変則軌道のものであったり、移動型の発射台であったり、いろいろなことを実験しているわけです。その間に、我々日本は一つの弾道ミサイルも持っていない。また、ミサイル防衛システムも、毎年毎年世界で発展が続いているのに、日本のものというのは、今、弾も十分にないという状況。

 それから、サイバー攻撃。サイバー空間で今選挙が行われる、市場が拡大する。そういうところで、ロシアのウクライナで行われたようなああいう住民投票みたいなものがサイバー空間で行われてしまうかもしれない。そういうイノベーションは、世界では、あるいは民間の世界では幾らでも起きているわけです。

 あるいは、無人機。これは、一台数億円するような戦車に一台数十万円ぐらいの自爆のドローンが突っ込んでいって相殺してしまう、今こういう戦争なわけですよね。

 ですから、そういった攻撃用ドローンの一つも日本は持っていないわけですが、そういう、これからのもうワンステップアップするような戦力の拡充、あるいは、防衛力の強化。専守防衛は当然なんですが、専守防衛力の強化であれば賛成をしたいと思うんですが、一方で、何か、旧型の戦車が増えるだとか、もうほとんど使われていないような銃の弾が増えるだとか、そういうことだったり、あるいは、よく与党の方々がやられる、今回の経済対策でも出てくると思うんですが、本来ここに載っけるべきじゃない予算みたいなものをどさくさに紛れて紛れ込ませてくるというようなことがあるのであれば、これはとても賛成できないなと思っているんですけれども、現状、どのようにお考えか、お聞かせください。

浜田国務大臣 防衛省として、我が国が直面する厳しい現実に向き合い、将来にわたり我が国を守り抜くため、防衛力の抜本的強化に向けて、整備すべき装備品等の自衛隊の能力の在り方について検討を進めております。

 防衛費は、ミサイル防衛、そしてまたスタンドオフ防衛能力、さらにはサイバーなど、新しい領域に重点を置いて投じていく考えであります。

 また、内部でチェックする仕組みについては、例えば、プロジェクト管理によるライフサイクルコストを抑える取組などが行われております。今後ともこうした管理体制を徹底してまいりたい、このように考えております。

青柳(仁)委員 是非そういった防衛力の本当の強化につながるような使い方をしていただければと思うんですけれども、その一方で、やはり、予算要求、今回、この防衛費の増額に関しても、防衛省から話を聞いていますと、ほとんどのものが事項要求ということで、今幾ら何に使うかというのを示さない形での予算要求になっています。

 また、その後、今どれぐらいの戦力を持っているのかという話をお聞きしても、それは防衛上の秘密であるので答えられないと。これは一定程度は理解します。それは、余りそれを外に出していいわけがないので。しかしながら、外部からのチェックができない。与党の中で、防衛省の中でしかチェックができないような仕組みでは、私は国民にとってはやはり不安だと思いますよ。

 ですから、そのチェックする体制。例えば、政府の中では会計検査院みたいなものもあるわけですよね。もっともっと秘匿性の高い会計検査院をつくるだとか、分かりませんが、そういうチェックする仕組みというのがある程度ないと、私は、この予算のことに関しても非常に不安があると思っております。

 それからもう一つ、財源については、何か増税か赤字国債かみたいな議論があって、そして、これは恒常的予算であるから増税で賄うべきであるみたいな論調があるんですけれども、我々はそうは思いません。これはやはり、まず、増税というのは、今法人税が検討されているやに聞いておりますが、法人税増税というのは企業に負担を押しつけるということですからね。防衛力の強化は防衛力の強化です、でも、その財源論というのは、これは財政論ですよね。ですから、税率を例えば上げたとしても、経済成長が起こらなかったら税収は減るわけですよ。どういう税制が最もいいのか。

 あるいは、歳出を削減する努力、もっと改革を行って成長を促していく努力、そういうのをやり切った後に最後に国民に負担をお願いするべきだと思いますし、当初のうちは、例えば、外為特会の今含み益が三十兆円超出ているそうですが、そういった政府が今お持ちの様々な資産というのもあるわけですから、そういったもので活用しつつ、長期的な予算を段階的に用意していくということもあり得ると思うんですね。是非、そういったことも考えていただきたいと思います。

 最後の質問としまして、先ほど防衛大臣からお話ありました、ミサイル基地を中心とした軍事用施設、これは、スタンドオフミサイルをもし買うのであれば必要になってきます。

 先日、防衛省にお話を伺ったところ、そのうちほとんどというか、少なくともその一部は地上配備になるだろうということです。今まで存在していない長射程のミサイルを、どこかの市町村あるいは都道府県に置かなきゃいけなくなるわけです。そのときに、誰がそれを引き受けるのかという問題は出てきます。

 総理、いかがですか。御自身の地元から、あるいは、そういったところをしっかりと引き受けてくれる自治体というのはあると思いますか。

岸田内閣総理大臣 ミサイル防衛の充実、これは大変重要な課題であり、これも、年末に向けて、予算や財源とセットで議論をしていかなければいけない大変重要な課題であると認識をしております。

 これはまだ議論の最中ですから具体的なことを申し上げることはできませんが、その際に、配備に当たって、関係の地元の皆様に対する説明など、これを丁寧に行う、これは当然のことであると思います。我が国の国民の命や暮らしを守るために必要だという観点から、御理解いただけるような説得力ある説明を行うことは政府の責任であると認識をいたします。

青柳(仁)委員 防衛力の強化というのはそういうものだと思いますので、覚悟を持って、本当に厳しいところを突き抜けていかないとできないと思いますので、是非、これからも、物価高のところも含めて、総理のリーダーシップに期待しております。

 質問を終わります。

根本委員長 この際、藤田文武君から関連質疑の申出があります。吉田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。今日はどうぞよろしくお願いします。

 本日は、パネル役で、愛知県の岬麻紀議員にサポートをいただきます。

 冒頭、質疑に入る前に、ロシアのウクライナ侵攻について一言申し上げたいと思います。

 我が党は、このウクライナ侵攻は、国家主権と領土の一体性を侵害する露骨な侵略行為であって、力による現状変更を重ねる暴挙は断じて容認できないということを繰り返し主張し、ロシアに即時撤退を訴えてまいりました。と同時に、我が国が民主主義陣営とともにウクライナを支援することを支持し続けまして、その立場は一貫しております。

 党内外には様々な意見があると承知しておりますし、あらぬ誤解や疑念等もあるかと存じますが、ここではっきり申し上げますと、我が党のスタンスとしては、一貫して、ロシア側がいかなる理由を並べても、民間人に対する無差別攻撃は明らかな戦争犯罪であり決して認められない、そしてまた、真っ先に武器を置いて身を引くべきは侵攻の暴挙に出たロシア側にほかならないことをここに申し上げたいと思います。

 また、ロシアのウクライナ侵攻については、徹頭徹尾ロシアに非があるというのが我が党の確固たる立場であることを重ねて申し上げて、質問に入りたいと思います。質問はありませんので、まずは主張だけさせていただきます。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 今日は、先ほど青柳議員から、経済対策について、特に短期的な経済対策についての質疑をさせていただきましたが、ちょうど総理からも、中長期の構造改革をどうするのかということを見据えた、いろいろなやり取りがあったものと承知をしております。

 その中で、我が国の規制改革や構造改革の旗は、一番最初にやはり来るのは、私は、労働市場をどうしていくかということだと思うんですね。その中で、今回、構造的賃上げと総理がうたわれました。これは私はいいことだなと思います。ただの賃上げじゃなくて、構造的な賃上げをやるんだ、つまり、労働市場の構造をかくあるべきと変えていくんだという意思を私は感じます。そして、労働市場の流動化という言葉を使いませんでしたが、労働移動を円滑化させていくんだということをおっしゃられました。私は、このメッセージは正しいと思います。

 では、中身をしっかりと議論すべきだというのが私の問題意識でありますが、まずは、その前提をそろえるために、課題意識の確認をしたいと思います。

 今、日本における労働移動の現状認識。

 今、円滑化すべきだと言っているわけでありますから、諸外国に比べて円滑ではないという認識でよろしいかということと、その原因は何であるかということを、まずはお話しいただけたらと思います。

加藤国務大臣 まず、ほかの国と比べて、日本の労働移動の状況ということで、一つは、例えば勤続年数別雇用者割合、これは国際比較がございますが、これで見ますと、我が国では、勤続年数の短い雇用者の割合、例えば一年未満というところで切ると、日本は一〇%を切っておるわけですが、欧米では大体一〇%から二〇%ぐらい。他方で、十年以上ということになりますと、日本ではもう四五%、六%、過半ということでありますが、欧米、国によって若干違いますけれども、アメリカ三割、イギリス三割、ドイツが四割程度ということで、これを見ても、かなり日本では長期雇用だということが一つ言えると思います。

 それから、この間の転職者の動向でありますけれども、二〇一〇年以降は増加傾向にはあり、二〇一六年以降は三百万人を超える水準では推移をしておりますけれども、コロナで足下、二〇二一年には二百八十八万まで減少しているということでありますから、必ずしも、そういった意味で、労働移動をこれまでもずっと進めようとしてきた割には、特にコロナの影響も含めて、水準自体も決して高くないし、伸びも少し停滞しているというのが今の状況だと思っております。

 こうした背景には、いわゆる日本的な雇用システム、新卒の一括採用、あるいは内部労働市場を通じた、中核人材を社内で育成していく、そのベースにある年功賃金、こういったものがある。そして、年齢が上がるにつれて、特に転職、再就職、これはハードルが高くなってなかなか移りにくいということで、実際、転職しても給料が上がっている人の割合というのは決して高くなくて、上がらない人まで入れれば六、七割ですけれども、そんなのが今の状況だというふうに認識をしております。

藤田委員 今の大臣の御答弁をまとめると、労働移動は諸外国に比べて円滑ではない、だから円滑化しなければならない、その原因は日本型の、日本的な雇用慣行にあるんだ、多くはそうだということでよろしいんですよね。分かります、それは同じ課題認識なので、話が早いと思います。

 次に、パネルをちょっと見ていただきまして、賃上げについてですね。

 今、これはよく出される図ですが、賃金推移、もう一度確認をしたいと思います。名目も実質も徐々に下がってきているというところがあります。

 これは非正規も入っているので、正規、非正規の比率で少し変わったりもするんですが、フルタイムの方だけを見たときの平均年収の推移で、これは我が国はなかなか伸びないよ、この二十年、三十年伸びていないというのが明らかなコンセンサスだと思います。でも、諸外国は伸びているんだ、だから我が国固有の問題であるんだということだと思います。

 もう一枚だけ。

 そして、我が党は、日本大改革プランで、税や社会保障、そして労働市場を、全てつながっているから一体的に改革をして、そのストーリーをつくるべきだ、グランドビジョンを示すべきだと申し上げてきましたが、給与問題においては、この黄色の矢印で示してあるとおり、所得と可処分所得の差が開いている、つまり可処分所得はどんどん厳しくなっている、こういうことなんですね。これは現象の説明です。

 では、賃上げがこれまで起こってこなかった構造的な、構造的な賃上げをやられるとおっしゃっているので、恐らく構造に問題があるという認識だと思いますから、構造的な問題は何であるかということをお聞きしたいんです。

 これはちょっと、実は西村大臣と議論を昔したことがあって、要は、西村大臣はこのようにおっしゃいました。

 二〇二一年二月十七日の予算委員会。デフレが続いてきた、物価が上がらない、企業の売上げが上がらない、つまり収益がなかなか取れないから、非正規を増やしたり人件費を抑えるという力学が働いて、労働分配率がどんどん下がっていって、そして、企業は利益を、労働分配率を下げることで捻出して我慢してきた、踏ん張ってきた、こういうロジックをおっしゃられたんですが、その認識でよろしいですか。

加藤国務大臣 失礼いたしました。

 基本は、今おっしゃられたところの、やはりバブル崩壊以降、長引くデフレで、他国と比べて低い経済成長が続いてきた。そうした中で、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷し、まさに需要が低迷する中で、やはり国内市場が魅力がないということで、投資もそれほど進まなかった。こうしたことがデフレを継続する悪循環になったということで、結果的に、企業も賃上げする余力ができてこないし、また、余力を生み出す、そうした企業もなかなかつくり出せてこなかった。

 さらに、先ほど、一人当たりの賃金で、雇用者総報酬はそこそこ、一回ちょっとコロナで落ちましたけれども、名目で見たらゆっくりした右肩上がりだった。他方で、この間、雇用労働者が、正規労働者の方は七年連続で増加をしている。他方で、バブル崩壊以降、特に女性、高齢者を中心に、パートタイム労働等、相対的に賃金水準の低い非正規の雇用労働者がそれ以上に増加をしてきたということが、結果として賃金全体の、平均賃金を下げてしまった一つの要因だというふうに考えています。

藤田委員 ありがとうございます。

 次に、正規と非正規の問題、ここについて少し取り上げたいと思うんです。

 これは前にも出したパネルなんですけれども、ちょっと前提として、労働市場改革をやったから、例えば派遣とか非正規雇用がどんどん増えて、正社員がどんどんきゅうきゅうになって、そして雇用環境が悪くなったり賃金が下がっているんだということをおっしゃられる方もいらっしゃいます、党によっては。私らは全然違うと思っているんですが。

 これを見ていただいたら、正規雇用と非正規雇用の数の推移、確かに、二十年前は二七・一%だった非正規が三七・二%になっているんだけれども、数でいうと、正規が変わっていない、非正規が増えているということは、正規の数は変わらずに、非正規で新規参入が起こりやすい構造になっているんじゃないかと予見されるわけです。

 それで、例えば正規社員が非正規に追いやられていって、どんどんどんどんそっちに替わっていっているんだったら問題だけれども、これで見ると、正規の非正規化、非正規の正規化というものの差引きを見ると、正規化の方が若干多いんですよ。ただし、これで見ると、直近でいうと七万人ぐらい、七万人から二十万人ぐらいの話で、正規社員というのは三千とか四千とかのそういうボリュームですから、誤差なんですよね。

 つまり、私が申し上げたいのは、正規と非正規の格差問題、又は正規と非正規のボリュームのバランスというものをどのように変えていくかという大きな力学を働かせないと、少しここに助成金を打つ、ここに補助金を打つというのでは変わらないんじゃないかと。なぜなら、二、三十年ずっと一緒だから。

 だから、それを構造転換するというのが大事なんじゃないか、そういう問題意識があるわけでありますが、この正規と非正規の格差問題の根本的な問題というのはどこにあると認識しているか、お聞かせいただけたらと思います。

加藤国務大臣 今、資料で御説明いただいて、もう一つは、正規で働きたい方、それから、どうしてもいろいろな事情で非正規になる方、まさに多様な働き方が今求められているというのも一つの背景にあるのではないかなというふうに思います。

 そういった中で、非正規雇用労働者と正規労働者を比べると、一般的に賃金が低いとか各種手当が支払われないとか、まさにもう一つ大事なことは、その人の能力開発等に、なかなか非正規の方はそういったチャンスが与えられにくい、こういった課題があると考えています。

 まさにこうした非正規労働者の待遇改善を図るということで、働き方改革を進め、パートタイム・有期雇用労働法を改正して不合理な待遇差を禁止して、同一労働同一賃金の徹底を図っているところでありますから、これをしっかり進めていくということが大事な一点だと思います。

 それから、先ほど、さはさりながら、非正規で働きながら正社員になりたい方もいらっしゃるわけでありますから、そうした思いを実現できるように、キャリアアップ助成金による支援、また、人への投資により、非正規雇用労働者を含め、再就職やあるいは正社員化に向けた学び直し、職業訓練、こういった機会をしっかりつくっていくということ。それで、今申し上げた、非正規の方が正規になりやすい、あるいは、非正規の方が働きながらその処遇を改善して所得そのものを上げていく、こうした方策を取っていく必要があると考えています。

藤田委員 ありがとうございます。

 今、政府がやられている手段、これを改善していく手段というものの御紹介をいただいたものと認識しています。

 ちょっとそれも考え方は違うんですが、各論は後でやりたいんですが、私の主張は、雇用問題の本質というのはやはり労働市場の流動化だ、そして、その中心的課題は、正規、非正規の格差是正をどうやってしていくかということに尽きるんじゃないかなと思います。

 さらに、これは様々な社会保障にも波及する問題です。例えば、三十代の前半の男性の婚姻率は、正社員は六割、でも、非正規は二割。これは如実にデータに表れているわけですね。つまり、少子化は、例えば産んだときに幾らかのお金を補填してあげよう、これは大事な政策です。これはやった方がいいけれども、ただし、これは一回限りの話で解決するというものではなくて、生涯にわたる賃金格差とか希望格差を何とかしないと結婚や出産には至らないし、例えば、私もそうですが、就職氷河期世代という構造的な問題、いわゆる労働市場による出入りの問題、そういう問題は解決しない。そして、その世代がどんどん上がっていけば、社会保障の問題に直結していくということなんです。

 真剣に正規、非正規の格差を是正しようとすれば、日本の大企業は正規職員の雇用体系というところに手をつけざるを得なくなる。なぜなら、正規職員と非正規職員がいる、同一労働同一賃金はこの格差是正ですけれども、ここに上げようという政策ですから。それを上げられる体力があり、又はそういう環境がある企業のみが何となく達成できて、それ以外は非常に厳しい。そういう、労働市場を改革するのではなくて、企業にお願いして、非正規の人の待遇を何とか上げてくださいという政策なんですよ。これは構造を変えていくことには私はならないんじゃないかと思うわけです。

 四十歳にもなれば、ここではちょっと活躍し切れないなとかいうことが分かってくる。私は四十二なんですけれども、それぐらいになってきます。そうすると、同じような賃金で外に働き口、活躍場所がある、そしてそこがまた伸びていく、そういうような、マーケット全体で市況をつくらなければいけないという課題認識で、多分、総理もそこは同じなんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 そこで、私から聞きたいのは次の問いなんですけれども、これが今日一番聞きたいことなんですね。

 総理は、例えば企業に職能給や労働移動とかいって、過去十年の自民党政権では正規、非正規の格差是正や正規労働者の労働移動はどれぐらい進んだのかということを振り返っていただきたいというふうに思うわけなんですね。そして、本当に構造的な賃上げ、つまり、この世の中を変えて、構造を変えたいのであれば、例えば、今おっしゃられているような五年で一兆円というような経済対策の規模で満足して、ここに幾らをつける、ここに幾らをつけるということを目標に置くのではなくて、結果目標を出すべきだと思うんです。つまり、KPIです。

 正規、非正規の格差はどれぐらい縮めるべきなのか。正規労働者の労働移動というものは、何の指標で、どういう数字を目指すべきなのか。労働市場全体での賃金水準というのは、いつまでにどれぐらいを目指すべきなのか。中長期の構造改革、中長期で新しい資本主義でこの経済構造を変えていくんですよね。では、その中期的なゴールというのは、いつ、どの数字をどこまでにということを明言して結果にコミットしていただくというのが、これが妥当だ、筋だと私は思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 労働移動の円滑化が重要だということは、全く同感であります。

 そのために、政府としては、来年六月までに労働移動円滑化のための指針、これを取りまとめたいということを、先日来、私は申し上げさせていただいています。その指針策定に当たって、御指摘のKPI等の指標、こうしたものについても官民で議論を行っていきたいと思っています。

 労働移動については、先ほど来、何で日本においては賃金が上がらなかったという議論がありましたが、要は、これは話を裏返して言うと、高い賃金が高いスキルの人間を引きつけて、そのことによって企業の生産性が上がって、そして企業の賃上げにつながっていく、こうした前向きな好循環が日本においては実現できなかった、これが大きなポイントであると思っています。是非、こうした好循環をつくるための構造的な賃上げ対策を進めていかなければならないと思っています。

 そして、そのために、先日来申し上げているのは三点あります。

 一点目は、今委員の方からありました、非正規から正規という移動もありますが、それ以外に、今、多様な働き方が注目を集める中にあって、副業、転業、こうしたものも含めて、こういった非正規から正規、転業、副業、こうした人たちを受け入れる企業を支援するための制度、これを創設したいと申し上げています。

 そしてもう一つ、そうしたキャリアアップを目指す人に対して、専門家の意見も聞きながら、リスキリングから転職まで一気通貫で応援する、こうした制度を創設したいということを申し上げています。

 あわせて、これは従来からあったわけですが、こうした労働訓練を支援する企業に対する支援金の底上げ、これを行いたい。

 この三つを通じて、構造的な労働移動を応援したいということを申し上げています。

 そして、その指針を来年六月までに決める。御指摘のKPI等、あるいは指標につきましても、是非その中で議論をしていきたいと思っています。

藤田委員 ありがとうございます。

 指針を出すということで受け取っていいんですかね。KPI、出すとおっしゃられましたよね、今。おっしゃられましたよね。それで結構です、出していただけるということなので。これは私、やり方としてはすばらしいと思います。

 ちなみに、ちょっと宣伝ですけれども、我が党は、私が幹事長になって中期経営計画というのを作ったんです。そこに目標設定をやりました。参議院選挙で幾ら幾らの議席、そして得票はこれぐらい、そして、統一地方選挙で何議席、四百議席を六百議席に地方議会の首長と議員をするといって、できなかったら馬場代表は辞める、馬場代表が辞めるということは僕も辞める、こういうシンプルなやり方なんですね。そのために、結果責任を負うために、数字目標をかちっと固めようと。これは企業では当たり前の行動ですから。

 経済構造転換の柱だという認識はこの賃上げにある、構造的な賃上げにある、そして、その一つのかなり重要な要素の中に労働移動の円滑化があるんだというメッセージを私は強く受け取っています。だから、これについてのKPIは是非出していただきたいというふうに思います。

 そして、今のお話の中でちょっと違和感があるなと思ったのが、高い賃金が高いスキルを引きつけて、そして好循環が生まれて、どんどん給料が上がっていく、それはそのとおりなんです。ただし、高い賃金を企業が継続的に提示できない構造があるから、だからこういう悪循環になっているんじゃないですか。

 だから、高い賃金を提示できるような、例えば企業の負担の在り方とか、又は、労働市場の流動化のための、個人にどのようにセーフティーネットをしくのかという議論を避けて、移動するときに、移動したらインセンティブを与えてお金を少しつけてあげよう、教育訓練を少し上増ししたらそこにお金をつけてあげよう、そういう助成金、補助金ばらまきでは構造は変わらないんですよ。構造を変える法整備や力学を働かせるというのが私たちの主張です。

 もし答えていただけるんだったら、お願いします。

岸田内閣総理大臣 要は、議論をどこから始めるかということですが、高い賃金を提供する、その提供する主体が存在しなければ今の議論は始まらないわけです。だからこそ、今、社会課題を成長のエンジンにする、非連続的なイノベーションをどんどん起こすような、グリーンやデジタルの分野における様々な取組を進めていくことが重要だと申し上げています。

 こうした成長のエンジンがあり、そこに労働力が移動していく、そのことによって社会全体が発展していくわけですから、是非、成長のエンジン、成長は大事だということ、成長と分配、共に大事だということを申し上げているのはそのことであります。

 分配を実現するためにも、成長、これが伴わなければ最初のボタンを押す企業が登場しないわけでありますから、是非、そういった点から、成長における投資と改革も今回の総合経済対策の大きな柱にしたいと思いますが、成長も重要だという点、これも強調しておきたいと思っています。

藤田委員 ありがとうございます。

 総理の積極的に手を挙げていただいての御答弁に感謝を申し上げたいと思います。

 先ほどの、この前の答弁で結構各論まで踏み込んでお話しいただきましたが、各論は後でちょっと細かくやると言ったのを、入っていきたいというふうに思います。

 まず、総理は、恐らく来年の春闘をにらんで、来春の賃金交渉では、物価上昇をカバーする賃上げを目標にして、個々の企業の実情に応じて労使で議論をしてもらいたいと。つまり、賃上げしてやってくれよということをお願いしているわけです。

 でも、このインフレで賃金を上げてくれというお願いをするというのが、いわゆる啓蒙活動みたいなものと、それからさっき言った、構造がいまいち変わらないけれども、助成金はいろいろなところにばらまくということが政府の仕事なのかなというふうに思うんですが、これというのはどういう思いで言われているか。

 また、私企業の人事戦略というものを変更させないといけないわけです。それはお願いではできませんよ、構造を変えないと。その人事戦略をどうやって変化させていくのかということについての問いにお答えいただけますでしょうか。

山際国務大臣 おっしゃるように、持続的な賃上げというものの基には、企業の稼ぐ力というものがなければこれは持続的なものにならないというのは、おっしゃるとおりだと思っております。

 しかしながら、今、物価上昇の状況にございますので、来春の春闘に向けての賃上げ等々については、各企業の状況に応じて個別に労使が交渉して、合意した上で決定されるものではありますが、今申し上げたように、コストプッシュ型の物価上昇が続く中で、短期的な賃金の引上げに当たっては、来春の賃金交渉において、政府としては、物価上昇率をカバーする賃上げを目標にして労使で議論していただくとともに、価格転嫁対策や中小企業の支援等に取り組んでいくこととしております。

 これは昨年もやらせていただいたんですが、引き続き、来年の春闘に先立って、労使の皆様も参加した形で、新しい資本主義実現会議において議論を行ってまいりたいと思っております。

 また、中長期的に必要となる、先ほどから議論になっています構造的賃上げに向けては、賃上げと、労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題の一体的改革を実現するために、来年六月までに労働移動円滑化に向けた指針を取りまとめるとともに、人への投資の支援を五年間で一兆円のパッケージへと抜本強化するという策を講じたいと思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 ちょっと具体的な手法について入っていきたいと思います。

 リスキリングと労働移動円滑化、特に労働移動円滑化はこの後に具体的な案をつくるよという話なので、今日は具体的なところまで出るのか分かりませんが、ちょっとリスキリングについて頭を整理したいと思います。

 まず、具体的な手法というのはどういうものを想定されているのかということと、ちょっとセットで、六番と七番、セットで質問させてもらいます。

 先日の参議院での浅田議員の代表質問に対して、総理はこう答弁されました。私が述べた労働移動の円滑化とは、希望する労働者がリスキリングなどを通じて主体的に成長分野の企業、産業へ転職を可能とする取組のことですが云々かんぬんと続くわけですね。

 つまり、これを読み解くと、リスキリングというものの政策目的は労働移動の円滑化なんですかね。お答えいただいていいですか。

山際国務大臣 もちろん、リスキリングにつきましては、学び直しの支援策として、成長分野への労働移動の円滑化につなげるものでもありますが、それと同時に、企業内外の人材のスキル向上を通じて、企業の生産性を向上させたり、賃上げにつなげることを期待しております。

 政府としては、人への投資政策パッケージ、先ほど言ったように、五年で一兆円に拡充して、抜本強化をしてまいりたいと思います。

藤田委員 このリスキリング、つまり、もう一度スキルをつけようという人たちを支援しようという話なんですけれども、これはもし政策目的が労働移動だったとしたら、既存の企業で、例えば、従業員にスキルアップのために研修をやりますよね。それに対して支援金を出すというふうにすると、これが政策目的として合っているのかという話になると思うんですよ。なぜなら、自分たちの、雇用をしている人は、スキルが上がって、継続的に働いてもらって、うちの企業にプラスになるように働いてもらいたいわけですから。ほかに転職を促すために自分の企業の従業員に一生懸命補助をする人はおらへんと思うんですね。

 では、これがもし政策目的が労働移動なんだったとしたら、個人にやはりやってあげるべきだと思うんです。これは明確にした方がいいと思うんですね。何か、何となくざくっとやったら生産性も上がるやろうし労働移動も進むんちゃうかというような、ざっくりした話じゃなくて、政策目的が労働移動の円滑化なんだったとしたら、労働移動が起こりやすいように、起こしたい人に直接資金を投入するというのが合理的な政策判断だと思うんですが、御見解があったらお願いします。

山際国務大臣 もちろん、この施策そのものが最終的にはリスキリングのサービスを受ける個々人、個人のものになっていくということは御理解いただいた上での御質問だと思うんです。

 今申し上げたように、リスキリングというのは、もちろん、労働移動の円滑化等々、生産性の高い分野への移動というものを促すということもありますが、当然、今所属をしている企業そのものの生産性を上げていく、そのための人材として生産性を上げていくということもあるわけですから。ですから、そこは一つだけの目標ではないということなので、そこの部分は御理解いただきたいと思います。

 具体的に経済対策の中で何を盛り込もうかとしているかといいますと、第一に、企業間、産業間の労働移動の円滑化に重点を置いて、訓練後に非正規雇用を正規雇用に転換する企業や転職、副業を受け入れる企業への支援を新設、拡充するというのが一つですね。

 それから第二に、在職者のキャリアアップのための転職支援として、民間専門家に相談してリスキリング、転職までを一気通貫で支援する制度を新設する。

 そして第三に、社員の訓練等を支援する企業への支援金の補助率を引き上げる、企業による社員のリスキリング支援を強化するという形で、今申し上げたように、労働移動の円滑化というものだけではなくて、社内そのものの生産性を上げていくということもその三つの柱の中に入れているということでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 だから、ざっくりと、社の生産性を上げるためにも補助金を出すし、移動するときにもそこはスキームを考えて補助金を出すということですね。分かりました。それならばまあ分からぬでもないなと思うんですが、私はちょっと微妙だなと思います。

 なぜならば、私は、転職のためにはスキルアップが必要、リスキリングをすれば労働移動の円滑化に寄与するではなくて、労働市場が流動化するから、必要に迫られてスキルアップの必要性が高まる、つまり、手段と目的が逆なんじゃないかな、因果の関係が逆なんじゃないかなと思うんですね。

 なぜならば、企業というのは生き残らないといけないから、伸びている企業は積極的に教育投資をやっていますよ。そして、移動したい、本当に移動したいという人はやっていますよ。だから、そういう必要性に迫られるという労働市場を構造改革すべきなんじゃないかというのが我が党のスタンスであります。

 次に行きたいと思います。

 労働移動の円滑化の具体的な政策メニュー、想定されているものを教えていただきたいわけでありますけれども、まず、では、これをお願いします。

加藤国務大臣 これまで取り組んできていることを中心にまず申し上げさせていただきますと、三年間で四千億円規模の人への投資支援パッケージとして、労働者のスキルアップを図る企業への支援、これは人材開発支援助成金という形で進め、また、リカレント教育など生涯にわたる能力発揮の促進ということで教育訓練給付、また、成長分野などへの労働移動の円滑化支援ということで特定求職者雇用開発助成金、こういった制度を用意して、きめ細かい就職支援を進めているところであります。

 さらに、先ほど総理からありました五年間で一兆円というものについて、その具体的な内容については、これから経済対策の中で更に具体的な中身を詰めていきたいというふうに考えています。

藤田委員 ありがとうございます。

 何か、やはり何度聞いても、様々なところに助成金のスキームをつくりましょうというような設計思想なのかなと思って、多分そうだと思うんですね。私は、それでは構造は変わらないんじゃないかと思います。

 今回、我々は、セーフティーネットを、個への、個人へのセーフティーネットを厚くすることによって、労働市場がある程度流動化する、つまり、企業側も肩の荷を少し下ろせるような解雇規制についての、労働法制についての議論もやるべきだということは今までも申し上げてまいりました。

 多分、政府が考えているのは、できるだけリスキリングとかでトレーニングできるような環境をつくって、自発的な転職を活性化しよう、つまり、入りと出でいうと入り側の労働者ですね、退出側の仕組みは特につくらずに、入り側のインセンティブを補助金等でやった上で、自発的な労働移動が起こるようにしたらどうかというふうな設計思想なんじゃないかなと認識しているんです。

 我々は、入りも出もやはりセットで考えて、全体のセーフティーネットが必要だということなんですけれども、例えば、では、個人が移りやすくする、つまり、解雇されるんじゃなくて自発的に辞める、自発的にここに行きたいなと思ったときに、やはりリードタイムはありますよね。そのときに、失業保険というのは、自発的に辞めると、自己理由だと一定の期間もらえないというのがあるんですけれども、私、例えば自発的に移動するということを容認し、活性化させるのであれば、それはすぐ出してあげたらいいんじゃないかなということは、一つのアイデアとして浮かぶわけです。

 失業保険の早期支給によって労働活性化というものを後押しできないかということについて、御見解を聞きたいと思います。

加藤国務大臣 確かに、雇用保険制度で、自発的な失業の場合には基本的に二か月間の給付制限を付しているわけであります。これは、意図的に繰り返し、入っては辞め、入っては辞め、本来、制度としては、そういうために制度があるわけではありませんので、そうした使われ方を防ぐという意味での仕組みとして入れているということでありまして、これ自体を直ちに撤廃するというのは、今申し上げた目的との関係でどうかなと思います。

 ただ、他方で、給付制限期間中であっても、現状、公共職業訓練等の受講を開始した場合には給付制限が解除され、基本手当が支給される、こういう仕組みも入れているということでございます。

 さらには、先ほど申し上げたような労働移動の円滑化に向けて、学び直し等の支援策、いろいろ用意しておりますから、これなどを含めて、労働移動を活性化していく、また、新たな職に就きやすい環境をつくっていきたいというふうに思います。

藤田委員 ありがとうございます。

 次に、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画というものの中にこういうことが出てきます。労働移動の円滑化のためのメニューの一つとして、一般の方がキャリアアップのための転職について民間の専門家に相談し、転職するまでを一気通貫で支援する仕組みを整備する。

 総理は、どこかのコメントで、記者会見か何かのコメントで、転職を考える会社員が民間の専門家に相談できる仕組みを整備するというふうにおっしゃられているんですが、これは、簡単に言うと、転職支援とかキャリアアップするためのトレーニングというビジネスですよね。そういう転職支援サービス事業を政府がやるということでいいんですか。

西村(康)国務大臣 まず、前段御指摘の労働移動を円滑に流動化していく、このことについては、関係省庁と連携して我々は取り組んでおります。

 まさに御指摘がありました、まず、キャリアアップを考える個人、やはり個人が中心で、その個人が相談をしてキャリアコンサルを受ける。そして、その中で、転職をいろいろ考えた、こういうキャリアアップがあるよということを相談しながら、そのためにはこういうリスキリングが必要だ、こういうことの研修を受けた方がいい、その上で転職をしていく。この一連、一貫したサービスを考えておりまして、基本的には、民間企業に委託をするなり、何らかの形で民間の力をかりながらやっていくということになります。

 これは、本来であれば、恐らくお考えだと思いますけれども、流動化する市場ができていれば、わざわざ国がお金を出してそういうことの仕組みをしなくても、民間で流動化する仕組みができればいいんですけれども、残念ながら、日本の場合は、先ほど来御説明があるように、流動市場が非常に少ない、小さいということもありますので、まずはこの市場をつくっていくためにも、そして流動化を促していくためにも、政府が一定の支援をしていこう、こういう考え方で行おうとしております。

藤田委員 市場ができていないから、市場をつくり出すために、プッシュとして、様々なそういう助成金とかを使ってそういうものを進めようという政策思想なんですよね。

 例えば、転職を考える会社員が民間の専門家に相談できる仕組みの整備というのは、イメージしてみると、多分なんですけれども、町に、都道府県とかがやっている、経営相談できる税理士さんとかにただで相談できるサービスとかがありますよね。多分、そういう費用が負担できない企業とかがそういうところに相談をして何か御指導いただいたり、そういう、公がある程度場をつくって、費用を負担して専門家とかにそこに集まってもらって窓口をつくるというスキームか、又は、さっきおっしゃられたように、そういう転職支援サービスみたいなところに補助金を打つ、こういうパターンしか考えられないんですよ。私、これは必要かなと思うんですよね。

 つまり、そういうふうに、構造改革によって市場がそっちに流れるんだという力学が働いていたら、自然にビジネス化されるんです。しかも、特に高度人材においてはされています、既に。なおかつ、総理がおっしゃられる、特に円滑化においてのターゲットは、デジタルとかグリーンとかそういうところに行く人材、つまり、割と高度人材をイメージされているんじゃないかなと思うんです。そこにおいては、もう達成というか、市場に既にセットされていると思うんですよ、自然と。

 であれば、私は、もう少し、エッセンシャルワーカーとかも含めて、全ての労働者が流動化するための力学を働かせるということの方が必要なんじゃないかなと思うんだけれども、だから、政策パッケージがミスマッチなんじゃないかなというふうに思うわけでありますが、もし御見解があったらお願いします、西村大臣。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、非常に高度な人材で、サイバーセキュリティーとかデジタルで企業を引っ張っていく、あるいは自分自身が起業する、あるいは新たに転職をしてリードしていくという高度人材ももちろん必要ですし、他方で、全ての人がそうなれるわけでもない。それぞれの持ち場持ち場で、いろいろな職種もあるし。

 その中で、どんな職種であっても、どんな立場であっても、自分のキャリアコンサル、先ほど四十二歳ということをおっしゃいましたけれども、諮問会議では、まさに私が担当大臣のときは、四十歳の棚卸し、キャリアコンサルを考えていたんです。今や、そうではなくて、おっしゃるように動き始めていますので、二十代のときから、三十代、もう若いときから自分のキャリアを考えていく、これが重要なことであります。

 これは、多くの、いわば誰一人取り残すことなく、包摂的な仕組みで、みんながキャリアコンサルを受けながら、そしてキャリアアップしていける、それを自分自身が考えていく、そして所得が上がっていく、それを一気通貫で応援できるような枠組みをつくれればなというふうに考えているところであります。

藤田委員 ありがとうございました。

 ちょっと、大分白熱してしまって時間が少なくなったので、次に行きたいと思います。

 セーフティーネット論についてちょっとやりたいと思います。

 労働市場の流動化には、セーフティーネット論が不可欠であります。その中で、私が何回か取り上げさせてもらった勤労者皆保険ですね。

 ちょっと議論をおさらいすると、働き方に中立な社会保障、どんな働き方をしていても中立な社会保障を実現したい、そういう野心的な目標を総理が掲げられて、それは適用拡大を進めることなのかと聞いたら、それは一段目であって、更に踏み込んで、フリーランスや兼業、副業、ギグワーカー、パラレルワーカー、様々な働き方の人を、被用者性を判断して、企業の船に乗せ込んで被用者保険として手厚くしていこうという大方針なんだということをお聞きして、そんなことはできるのかというふうに当時の後藤大臣に議論させていただいて、後藤大臣も非常に慎重にお答えをいただいていました。多分、恐らく今後の議論を狭めないためにかなり気を遣っておられましたが、最終、そうだという明言をいただいたわけですね。

 では、このフリーランスというのは、フリーランスはフリーランスたるがゆえにフリーランスなわけです。被用者性がないからフリーランスなんです。そのフリーランスの被用者性というものの議論、又は勤労者皆保険の議論というのは、私はこの一年間ぐらいほとんど進んでいないというふうに思いますが、この議論の進捗を教えてください。

加藤国務大臣 まず、勤労者保険については、本年五月に取りまとめた全世代型社会保障構築会議の議論の中間整理で、今お話があったように、被用者保険の適用拡大についてメインに書いてあったということであります。

 さらに、その議論の中間整理では、フリーランス、ギグワーカーへの適用について、まずはフリーランス、ギグワーカーなどへの被用者性等をどう捉えるのかの検討を行うべきである、その上で、労働環境の変化等を念頭に置きながら、より幅広い社会保険の適用の在り方について総合的な検討を進めるということが考えられるとしております。

 したがって、今のフリーランス、そして、先ほど被用者性という言葉がありましたが、被用者というものをどう捉えていくのか、これについてしっかり議論をしていく必要がある。また、全世代型社会保障構築会議においても、検討を深めるべき課題であると指摘をされているところでありますので、また、本年九月の全世代型社会保険構築会議で、総理から、働き方に中立的な社会保障制度等を構築すべく、被用者保険の実現に向けた方向性を議論するような指示があったということで、年末に向けて議論をまとめていきたいというふうに考えております。

藤田委員 今、時期で、年末に向けて議論をということは、年末にこの概念を整理していただけるということでいいんですかね。

 要するに、私が申し上げたいのは、これはいろいろレクも受けたり、議論をしていると、進捗がないんですよ。確かに、同じ文言、中間整理で出てきた文言をもう一度、指摘された事項ということでまとめ直しているだけで、進んでいないんです、議論が。これを僕は早くやるべきだと思っていて、なぜなら、私は反対なんです、これを潰したいんですよ。

 なぜかというと、フリーランスとか多様な働き方を全部企業の船に乗せていく、そして、その被用者性を全部一個一個基準を決めてやっていくというのは、もうむちゃくちゃな発想やなと思っていて、それは、なぜ早くやったらいいんじゃないかと申し上げているかというと、例えば、経年でデータを取っていって、その動向を見ながら出さないといけない結論じゃないからです。概念を整理するだけだから、一日、二日があっと根を詰めてやったら、概念整理できますよ。だから、フリーランスの被用者性というものについて、本当にそこに踏み込んで、社会保障の仕組みを大転換して、全部みんな企業の船にできるだけ乗ってくれという、そんな社会保障システムを目指すのか。

 私はなぜ反対しているかというと、それをやると、企業が、労使折半の原則ですから、半額出しますよね。負担は増えるということですよ。企業の負担を、確かに、労働者のために増やす政策をずっとやってきた。そのおかげで企業の賃金が、上げるインセンティブがやはりとどめられてしまっているというのが少なからずあるという中で、雇用の流動性も阻害し、賃上げについてのインセンティブも阻害するというこの勤労者皆保険、皆さんにも取り上げていただきたいんです。

 余りやる人がいないので、ちょっとマニアックだからテレビ向けじゃないのかもしれないけれども、これは非常に重要だから私はやっていて、この議論をちゃんと整理しないと、しかも、納得できる、ああ、そういうやり方ですか、大臣、それならば非常に面白いとならないんですよ。それをやるためにやっていただきたいということがあります。

 続いて、同じくセーフティーネットで、先日の報道で、国民年金の納付期間、六十五歳まで四年間とする検討について、これはやるんですかという質問です。

 我々の問題意識は、今の年金制度は確かに百年安心で、制度は、入りと出をバランスさせたらずっと続いていくし、税投入を幾らかやれば続いていくんですよ、制度としては。ただし、国民の安心、安全が持続可能かという、セーフティーネット論としては破綻しているんじゃないか。だから、それを根本的に見詰め直さないといけない。つまり、入りを増やす、保険料を上げるか、適用拡大を無限に広げるか、そして、今回みたいに納付期間を延長するか。そして、出を減らす、給付を減らすか、給付開始年齢を上げていくのか。そういう構造をいじらないと、それをやり続けるしかないんですよ。

 それでいいんですかね。そのことをやるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 現行の公的年金制度は、保険料の上限を固定して、その収入の範囲内で給付水準を自動的に調整するマクロ経済スライドを実施することで、年金制度の維持可能性や将来世代への給付の確保が図られる仕組みになり、そして、五年ごとに財政検証を行い、都度都度議論をさせていただいて、この公的年金制度が国民の老後生活の基本を支える、生活の安心につながる、こうした機能を果たし続けるようにしていくことが大事だと思っております。

 改革の一つは、先ほど議論があった被用者の範囲を、被用者の対象というか、保険の対象の適用拡大、被用者保険の適用拡大ということを実施していくということと、それから、令和二年の年金制度改正法の検討規定では、所得代替率に占める基礎年金部分が減少していく見通しを踏まえ、公的年金制度の所得再配分機能の強化について検討し、必要な措置を講ずるということが盛り込まれておりまして、検討規定を踏まえてどのような制度改正を行っていくのか。

 過去には、先ほどの、基礎年金の拠出期間を延長する等のオプション、これを試算で出させていただきましたけれども、そうした試算も踏まえながら、これから関係者と議論し、検討を進め、引き続き、冒頭申し上げたように、国民の皆さんの老後の生活を支え、そして安心につながる、こうした制度をつくっていきたいと考えております。

藤田委員 スタンスはよく分かりました。現行制度は変えずに入りと出で調整していく、入りは増やすし、出は減らしていく、そういうインセンティブはしようがないんだということで、その時期は検討しましょうという考え方だということはよく分かりました。

 では、最後に、ちょっと時間がなくなったので、最後はちょっと憲法についてやりたいと思います。

 憲法審査会というのがありますよね。憲法審査会は、定例日があって、本来、毎週開かれるべきはずの委員会的なものの一つなはずなんです。

 しかし、これはちょっと、二〇一七年の衆議院の総選挙以降どれぐらいの回数行われてきたかというと、この二〇一七年の衆議院選挙というのは、我が党が十一人になっちゃったときなんですね、相当減りました。だから、十一人という数は、我々、憲法審査会、まず開いて具体的に議論しようと言っても、ほとんど無視されてきたんですよ。四年弱で、この一期において十三回しか開かれませんでした。

 今年一月から六月、約五か月で十五回開かれたんですけれども、これは様々な理由があったと思うんです。恐らく、野党側はやりたくないインセンティブが働いていて、自民党さんは、本来、結党の精神に書いてあるのに、優先順位を下げてきて、やれば、開いたら開けるはずなのに開いてこなかった。漏れ聞こえてくるところによると、我が党が四十一人になって野党第二党になって、野党第二党の維新の会さんもやれやれと言うているから、我々のせいにしてやっていただいたというようなニュアンスも漏れ聞こえてくるんですが。別にいいなと思って、それで開かれるんだったら。

 実際に、この十五回開催されて、憲法九条の話もそう、そして緊急事態条項もそう、オンライン国会もそう。具体的な議論が進み、そして各党でも煮詰まってきて、そして草案がいろいろ出てきたというのは、すごくいいことだと思います。

 そこで、総理、総理は、総裁選のときからずっとそうですが、時代の変化に対応した改憲をしっかり進めるべき、少なくとも任期中に、総裁の任期中にめどをつけたいというふうに発信されてこられましたが、この憲法改正は相当政治的なエネルギーが必要です。ですから、私は不断の決意でやっていただきたいというふうに思いますが、もう支持率がどうあれ、この問題は任期中に必ずやるんだという決意をここで示していただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 私自身、おっしゃるように、自民党の総裁選挙を通じて、任期中に憲法改正を実現したいということを申し上げてきました。その思いは全く変わっておりません。

 是非、憲法改正に向けての議論、今、国会での議論の御紹介もありましたが、最終的には国民の国民投票という形での意思を確認しなければいけないわけですので、国会の議論と、そして国民の理解、これは車の両輪であると思います。是非、こうした議論を深めていくことを内閣総理大臣としても期待したいと思っています。

藤田委員 行政府の総理大臣としての答弁としてはぎりぎりまで言っていただいたと思いますが、これは、私はスケジュールを決めるべきだと思うんです。総裁というのは任期が決まっていますよね。では、どの辺までに何のアジェンダを、どういう煮詰まり具合がしたら進むのかということを自民党さんもやってください、是非。我々も、それを我が党でもまとめたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 以上です。

根本委員長 この際、池下卓君から関連質疑の申出があります。吉田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 短い時間ですけれども、よろしくお願いします。

 また、本日は、同期の東大阪市の岩谷良平議員がパネルの方を出していただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、先般より話題になっておりますマイナ保険証についてお伺いをしていきたいと思います。

 マイナンバーカードの普及率は、本年九月末時点で四九%と聞き及んでおります。マイナ保険証も含めて国民に定着、普及していくためには、その利便性が普及していかなければならないと考えております。

 そこで、今回、このパネルを御覧いただきたいと思います。マイナンバーカードにひもづけようとしている全国医療情報プラットフォームの図であります。

 これは、国民が、医療関係者や、医療保険、医療機関の情報、さらに、自治体、介護事業者の情報などといったビッグデータにプラットフォームを通じてアクセスできる仕組みであります。マイナンバーカードを通じて、患者の病歴や予防接種歴、健診結果やアレルギーの情報を共有できるということになります。

 さらに、今後は、それらにまつわるサービスに加えて、ここは私、非常に重要だと思っているんですけれども、将来的な医療、研究開発に資する情報、これを利用できるんじゃないか、この二次利用ができるんじゃないかというところに私は非常に期待をしているところです。

 そこで、まず、このプラットフォームの先にあります医療情報、これを増やすことが私は非常に大事だと考えているわけなんですけれども、今検討されている情報に加えまして、例えば、難病の特定医療受給証、さらには、この臨時国会で上がってくる難病法の改正がありますけれども、そこに出てくる登録証なども増やしていくことを御提案をさせていただきたいと思いますが、どのような範囲までこの医療情報の入口を増やしていくのか。また、次の世代への医療、研究が期待されるんですけれども、この点についてもしっかりと広報啓発をしていくことが普及につながっていくと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 お示しした図のように、この全国医療情報プラットフォーム、そしてその一つのコアになるのがオンライン資格確認システムということで、今、オンライン資格確認システムを通じて、各病院、薬局等とまずつながっていくということが一つ。

 それから、カルテの標準化等をつくることによって、データというのはあるだけでは使えなくて、それぞれがお互い使い合えるように加工するというか、標準化をしていくということが一つ。

 そういったことを通じて、全体として医療DXを進めていきたいというふうに考えておりますし、また、これを進めるに当たっては、関係者、国民を含めて、やはり理解を持っていかなきゃいけない。どういうメリットがあるのか、また、個人情報保護はきちんと担保されているのか、そういったところをしっかり御説明をさせていただきながら。

 ただ、今委員御指摘のように、やはり、これを通じて個人の情報が集約されることによって、自らの健康管理、そしてよりよい医療が提供されることに加えて、二次利用という話になりますけれども、様々なデータを使うことによって、創薬とか、あるいは今の、ワクチンとか、さらには医療、治療方法とか、様々な開発が期待をされているところでありますので、是非それに向けて、まずは今申し上げたところをしっかりやりながら、いろいろな情報をそこに取り込み、個人情報を保護する中で、そうしたメリットが、しっかりと国民の皆さんが享受していただけるように進めていきたいというふうに考えています。

池下委員 ありがとうございます。

 まさに、情報がつながるということがまた一つ大事であると思いますし、実は私、難病を持っておりまして、その難病というのは今現在では治療ができないですけれども、こういう情報が集まることによってまた次のスキームができる、今大臣がおっしゃられたように、新しい創薬であったりとか医療、治療方法が出てくるということに多くの方が期待していくと思います。

 ただ一方、先ほど大臣が言われましたように、このマイナンバーのデメリットの部分、個人情報という部分の、しっかりと守っていくということが理解されなければ、この普及というのは当然進んでいかないわけであります。

 そこで、暗証番号の盗み取りやマイナンバーの流出による悪用リスクについて、どういう具合の対策をしていくのか。今朝の、ほかの委員からも質問があったかと思います。そしてもう一つ、いろんな方がいらっしゃると思うんですが、国が不必要に個人の情報を見るというリスクも感じられているという方もいらっしゃると思います。そういうことがないようにどのような対策を行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 そもそもマイナンバーカードには、券面に記載されている住所、氏名、生年月日、性別、それから電子証明書しか入っておりません。

 また、政府の行政機関は、マイナンバーで何かの情報をひもづけをしているわけでもなく、全く別な符号で分散管理をしているわけでございます。

 また、マイナンバーカードのICチップから無理やり不正な方法で読み出そうとすれば、ICチップそのものが壊れて情報は引き出せなくなりますし、暗証番号を他人が何回か間違えて入力すれば、そのままロックをされるということになっておりますので、安全性に関しては非常に高いというふうに考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 今、安全性に対してお話をしていただきました。この安全に対する信頼、これが、しっかりと周知することによりまして、やはり普及につながっていくと思います。

 ただ、今、安全ですよと言っていただいたんですけれども、これは悪用する側も技術革新というのをどんどんしていきます。そういう中で、絶え間ない安全対策というのを引き続きやっていただきたいと思います。

 そして次に、二〇二三年の四月に、原則全ての医療機関、薬局でマイナ保険証というものが使えるようにする方針を出されました。機器の無償提供や整備費用の補助などの施策を展開されるということでありますけれども、来年四月の原則義務化の対象となっている、病院であったり、医療診療所、歯科診療所、そして薬局ですよね。そういう対象以外の、訪問介護であったり、訪問診療、そして柔整とか鍼灸、また、まだ紙レセプトを使っているような小さい医療機関、薬局など、こういうところも取り残されるようなことがあってはならないという具合に考えております。

 そこで、その対策についてお伺いをしたいと思うんですけれども、あわせて、従来からの保険証からマイナ保険証へ移行するときに、やはり医療現場での混乱という声も聞き及んでいるところであります。それに対してどのような問題があるのか、あわせて、それの対策についてお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、現在、医療機関、薬局等で、義務化対象施設の約八八%が来年四月までに導入したいということで手を挙げていただいていますので、そういった皆さんに、端末の配付、またシステムの改修、これをしっかり進めていきたいというふうに思っております。

 それから、それ以外の、例えば、御指摘がありました訪問診療、訪問看護、あるいは柔道整復、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師等の施術所等でもオンライン資格を実施できる体制、これを新たに構築して、これはかなり簡素なシステムになると思いますけれども、そういうようなことを今構築して、また、そうしたところにも先ほどのタイミングに向けて導入していただけるような対策も打っていきたい。

 それから、先ほど義務化対象と申し上げたのは、現在紙レセプトでやっているところは義務化の対象に入っていませんが、そういった施設においても、まさに資格情報のみでも取得できる簡素な仕組み、先ほど申し上げた訪問看護等と一緒なシステムになると思いますが、これをしっかり導入していきたいと思っております。

 その上で、機器はそろえていくわけでありますけれども、また、マイナンバーカードの取得も併せて周知を図っていきながらも、やはり、マイナンバーカードについて全ての方が持っていただくように、例えば、カードの手続、様式の見直し等を進めていく。あるいは、何かの事情で手元にマイナンバーカードがない方でも必要な医療を受けられる際にはどうやっていくのか、これはいろいろなケースが出てくると思いますので、総理からも丁寧にきめ細かく対応をと指示をいただいておりますので、それに沿って、関係者の方々からもいろいろな意見を聞きながら、丁寧に進めていきたいと思っています。

池下委員 今、丁寧な御説明をありがとうございました。まだこれから検討中のところもあるという具合に聞いておりますけれども、義務化は来年四月ということでありますので、そこのときにまで、まさに、皆保険制度の中でありますから、いろいろな方がいろいろなところで使っていくわけになりますので、取り残されないような仕組みというのを必ず制度化していただくようにお願いをしたいと思います。

 次に、大阪・関西万博についてお伺いをしていきたいと思います。

 万博の開催まで残り九百日余りとなりました。大阪・関西万博は国家プロジェクトであるということから、地元とともに、国が率先して全国の機運醸成というのをしていただきたいと思っております。

 ただ、残念ながら、地元の雰囲気に比べまして、全国各自治体といいますと、そこまで機運醸成というのは上がっていないのじゃないかなという具合に思っているところです。

 内閣官房の令和五年度予算概算要求の概算資料におきまして、国際博覧会推進本部事務局の事業として、地域の海外交流に向けた調査事業八千五百万円というものが記載されるという具合に聞いております。ただ、いまだにその具体的な内容というのは決まっていないということであります。

 そこで、国として全国の自治体にしっかりと働きかけ、これが必要であるという具合に考えておりますけれども、この機運醸成についての取組というものをまず聞きたいと思います。

 そして、万博の参加国と自治体交流、この取組として、過去の愛知万博であったり昨年の東京オリンピックであったりというところで好事例というのも出てきております。

 そこで、例えばですけれども、万博の参加国のナショナルデーに合わせまして、地域の自治体であったりとか市町村が一緒に参加する、こういう仕組みをつくることができましたら、自治体としても参加意欲というのが高まって、そして機運醸成にもつながると思いますけれども、いかがでしょうか。

 そして、あともう一つは、国として、やはり、総理も海外に様々行かれております、G7の中でもいろいろなところで意思の表明をされているかと思うんですけれども、やはり、要は、開催前だけじゃなくて、レガシーを開催後にまでしっかりと引き継いでいくことというのが本当に大事な点であります。

 そこで、地元や全国の自治体、市町村などの積極的な交流が開催後もできるような仕組みを構築すべきだと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 万博担当としてお答えを申し上げます。

 大阪・関西万博のムードを全国で盛り上げていかなければいけないというのは、池下委員の御指摘のとおりであると思います。

 私も、先般、大阪で吉村知事、松井市長と意見交換を行った際に、これは大阪、関西だけではなくて、やはり日本全国で、国家的なプロジェクトとして開催に向けて機運を醸成することが今こそ大切であるという点で一致をいたしました。

 そこで、まず、開催前から多くの方に万博に触れていただくために、公式キャラクター、ミャクミャクというものや、万博記念特別仕様の自動車ナンバープレートなどを使った全国的な広報活動を強めてまいりたいと思います。

 また、全国の自治体のイベントや展示を万博会場の内外で行うとか、多くの子供たちに修学旅行で万博会場に来てもらうとか、あるいはインバウンドも含めた観光誘客を大阪のみならず全国に広げていくとか、あるいは国際会議の誘致とか、そうしたことに力を尽くしてまいりたいと思います。

 また、御指摘のありました国際交流も大事なことだと考えておりまして、参加国のナショナルデーというのが行われますので、ここにできるだけ多くの自治体に参加、そして応援をしてもらって、子供や若者が参加国の伝統芸能なんかを学んで万博の場で披露するとか、そうした後々まで続く交流につながるような、そういう仕組みをしっかりとつくっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

池下委員 大臣の意気込みは非常に伝わりました。

 まさに、この関西万博を通じて、地域に呼び込み、地域から発信して、そして世界とつながる、そして開催後も地域がしっかりと稼げるような仕組みをつくるためには、この機運醸成というのは欠かせないものだと考えておりますので、是非とも、今日私が指摘させていただいた点も踏まえまして、これは実は大阪の御要望でもありますので、その点も踏まえて施策の方を進めていただきたいという具合に思っております。

 それでは次に、IRについて、これは是非総理にもお答え願いたいなという形で思っておるわけなんですが、パネルの方を御覧いただきたいと思います。

 こちら、大阪府市、そして大阪IR株式会社が、今年の四月五日に、大阪・夢洲地区特定複合施設区域の整備に関する計画ということで、国に対して申請書を提出させていただきました。計画では、二〇二九年の秋から冬頃にIR施設の開業というところを目指しております。

 しかしながら、これは認定が遅れたら一年から三年ほど予定が後ろ倒しになるおそれもあるという具合になっております。

 国の申請書の記載事項では、IRの工事着手や完了、そして開業の見込みなどを記載していかなければならないという具合にされております。ただ、これに基づいて、想定で区域指定の認定時期を記載している、そして申請書を作成している、こういう形になっております。

 この想定の時期だけを見てマスコミの方でも情報が独り歩きしているという点も十二分に存じ上げているところでありますけれども、IR事業は、コロナ後の海外からのインバウンド、これを取り込んでいく、観光立国として非常に重要な施策であると考えております。IRの区域指定には多くの項目がありまして、そして、有識者の審議会も非常に丁寧にやっていかなければならないということも承知をしております。

 ただ一方、こちらの方も理解していただきたいんですけれども、これは民間会社も含めるプロジェクトでありますので、やはり、一定、どういう区域指定の時期なのかということを知りたいということも御理解いただきたいなというところであります。

 そこで、IR事業について重要な施策と考えられているのか、そしてまた、区域指定について、丁寧、これは分かるんですけれども、丁寧かつスピーディーに今現在していただいているのか、総理の覚悟とともに教えていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 IR、カジノのほか、国際会議場また大規模ホテルなどを併設し、家族で楽しめる観光拠点をつくるものであり、多くの観光客を呼び込むものであると思います。我が国が観光立国を推進する上で重要な取組であるとまず考えております。

 IRの区域整備計画については、多岐にわたる観点から十分な審査が必要であり、現在、国土交通省に設置された外部有識者から成る審査委員会において審査が行われているところです。

 引き続き、IR整備法に基づいて必要な手続、これを適切に進めてまいります。

池下委員 御意見、意気込みを聞かせていただきましたけれども、本当にこのコロナ後に非常に有益な観光立国の施策だと思っております。

 大阪が出している二〇二二年の秋冬というのは、今から考えてもちょっと難しいかなと思います。個人の意見ですけれども、是非、来年の三月頃までにはやっていただければありがたいなという具合に思います。

 そして、ちょっと時間がございませんので、一つ飛ばさせていただきまして、調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費についてお伺いをしていきたいと思います。

 この調査研究広報滞在費は、昨年の衆議院解散・総選挙後に、国会議員がたった一日の任期で百万円、それも、領収書も要らない、収支報告も要らない、そして残金も返す必要がないということで、まさに国民の政治不信を招いた一つの理由ではないかなという形で思っております。

 さきの通常国会では、名称と日割りだけが決められました。本来であれば前回の会期末までに与野党が結論を出すという合意を得ていたんですけれども、結局流れてしまったということについては、非常に私は残念であると思っております。大事な点が、変更すべき点がほとんど変わらなかったということが、これはちょっと、やはり国民も納得できないんじゃないかなと思っております。

 要は、そもそもなんですけれども、調査研究広報滞在費、これが国会議員のいわゆる給料に規定される、いわゆる歳費法に、そもそも歳費法に入っているのがおかしいんじゃないかな、それが第二の国会議員の給料と言われるゆえんではないかなという具合に思っているわけなんですけれども。

 ちょっとパネルを御覧いただきたいのですが、これは資金管理団体の、政治資金についてちょっとお伺いをしていきたいと思います。

 パネルの中段ですけれども、これは、昭和五十年代にロッキード事件やダグラス・グラマン事件などの政治家の汚職事件などが相次いだことによりまして、昭和五十五年に、指定管理団体、そして保有金制度、この二つが政治資金規正法の改正によりつくられました。

 まず総務大臣にお伺いしたいのは、この改正の趣旨は何かということについてお伺いをしたいと思います。

寺田国務大臣 委員御指摘のとおり、五十五年改正、政治資金法の改正により、指定団体制度と保有金制度がそのとき導入されました。

 これは、公職の候補者が、その受けた政治活動に関する寄附を取り扱わせるために自己の後援団体のうち指定団体を指定して、これを通じて収支報告をする制度が指定団体制度。そして、保有金制度は、そのような団体に取り扱わせることなく自ら管理する場合は、当該管理する政治資金については公職の候補者自らが直接その収支報告をする制度として創設をされたものであり、公職候補者の政治資金と私的なお金との峻別の見地から設けられたものでございます。

池下委員 ありがとうございます。公私の峻別をするということが非常に大事ということでありました。

 そして、平成六年には、もう一度、資金管理団体制度というものが新たにできました。残念ながら、個人の政治資金を管理する保有金制度ということがここでなくなってしまったがために、本来はここで旧文通費なんかというのを報告したらよかったんですけれども、残念ながら、先ほど言いましたように、歳費法に文通費が入っている、お給料法に入っているために、報告できなかったわけなんですね。

 そこで、ちょっと総理にお伺いをしたいと思うんですけれども、私は……

根本委員長 池下卓君、池下君、申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

池下委員 分かりました。まとめて言います。

 それでは、最後、一つだけ総理に聞きたいと思うんですが、旧文通費、調査研究広報滞在費は、給料と思われますか、公の資金と思われますか。どちらですか。調査研究広報滞在費がです。

 じゃ、済みません、時間が過ぎていますので、是非、また今度させていただきたいと思います。

根本委員長 池下君、もう申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は求めないことにします。

池下委員 はい。ありがとうございました。

根本委員長 これにて吉田君、青柳君、藤田君、池下君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 滋賀県の湖の、琵琶湖の西側から参りました斎藤アレックスと申します。

 国民民主党を代表して、物価高対策、安全保障政策、そして経済政策全般に関して質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、質問時間をお譲りいただきました立憲民主党及び日本維新の会の委員の皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 また、本日は、神奈川十区の鈴木敦議員にサポートをいただいています。

 まず、総理、少し鼻声のように感じますけれども、花粉症でしょうか。体調にお気をつけて、御自愛いただきたいと思います。

 今回の質問通告なんですけれども、回答の要求大臣を総理大臣とさせていただいています。長丁場でお疲れのところ大変恐縮ですけれども、政府の大方針に関わる設問に関しては、是非、総理に御自身の言葉で思いを込めて語っていただくことが大切だと思いますので、是非そのようにお願いいたします。

 それでは、通告の内容と質問の順番が前後してしまいますけれども、まず物価高対策についてお伺いをしたいと思います。

 ここ何か月か、私の地元大津、高島市に帰っても、お話を聞くと、話題となるテーマはほぼ決まっています。昨日からこの委員会で度々話題に上がっている旧統一教会をめぐる問題、こちらも大変関心が高くなっていますと同時に、物価高、円安に対して対策を講じてほしいという、そういった声、あらゆるところで私も受け止めています。

 最初に、為替レート、こちらはもう既に何回も、本委員会でも、本日も話題に上っていますけれども、今年に入ってからの物価高は、円安によって拍車がかかっている面が大きくなってしまっています。これはもう既に他の委員から説明があったところでございます。

 こちらのグラフは年初からのドル・円レートの下落率のグラフになるんですけれども、年初から実に二〇%も円安が進んでしまっています。本日は一時一ドル百四十九円と、三十二年ぶり、バブル経済が崩壊を始める一九九〇年以来の安値水準となってしまっています。

 まず、この円安に対する認識、総理にお答えいただければと思うんですけれども、円安が輸入物価の上昇による物価高を招いている、悪い円安だとの認識があるかどうか、総理にお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 為替の状況について具体的に私の立場から申し上げるのは控えなければならないと思いますが、一般論として、円安、為替につきましては、影響、プラス面とマイナス面、両方あるというのが基本的な考え方です。

 よって、政府としては、プラス面については最大限引き出さなければならないということで、インバウンドの復活、企業の国内回帰、さらには農林水産物の輸出拡大、これを進めていきたいと思っておりますし、マイナス面については最大限緩和しなければならないということで、エネルギーあるいは食料品を中心に、物価高騰対策を講じるべく、様々な政策を用意している、こうしたことであるということであります。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 もちろんプラス面もマイナス面もあるということではありますけれども、やはり今の日本の産業構造ではマイナス面の方が大きくて、であるから、私は悪い円安になっているのではないかというふうに考えております。

 一部で製造業の国内回帰ということも期待されている向きもありますけれども、やはり為替レートというのは変動がありますので、一時的に円安になったからといって国内回帰をする、そういった経営判断をする企業が余り多いとは思えませんので、是非、政府には、企業の現実の行動に即した、また日本経済の今の実態に即した対策というものをしっかりと取っていただきたいと思います。

 いずれにせよ、極端な円安で、対策が必要であるということは岸田政権でも認識を共有していただいていると思いますので、円安対策について少し伺っていきたいと思っております。

 先週末、私も地元の商店街の方々と懇談をさせていただきました。様々な商品を輸入していて、輸入に頼っているので卸価格が高騰してしまっている、しかし、なかなか売値に転嫁ができずに営業が苦しくなっている、こういった状況が業種を限らず広く広がっているという実態を商店街の皆様に教えていただきました。

 私たち国民民主党は他の党に先駆けて様々な物価高対策を提案してきていまして、七月の参議院選挙の公約には、公党の中で唯一具体的に電気料金の抑制策を盛り込ませていただきました。全国の生活者、生産者に恩恵のある物価抑制策として、電気料金を抑えるということがとても大事だと私たちは考えています。

 今、政府の方でも、やっとではありますけれども、先月末から電気代抑制に関して具体的な検討が始まっていると伺っております。昨日の総理の御答弁にもありましたけれども、これから先、更に二、三割、来年には電気料金が上がるとも言われていますので、そういった見込みを踏まえれば、少なくともですよ、少なくとも一割程度の電気料金を引き下げるような、実際に体感をしていただけるような電気料金の引下げ策が必要だと思うんですけれども、この点、岸田総理の抑制額のイメージといったもの、少しお聞かせをいただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 電気料金につきましては、今、欧州の一部の国においては、昨年比で二倍から三倍に電気料金が跳ね上がっている。こうした中で、我が国においては、一部の上限制度、あるいはLNGにつきましても長期契約を結ぶ、こうした取組によって、昨年比二割から三割の引上げが起こっている、こうしたことであります。あわせて、交付金の創設、あるいは低所得者世帯に対する給付金、こうした政策を既に用意をし、実行に移しているところであります。

 しかし、一方で、ウクライナ情勢の長期化をにらみまして、エネルギー価格高騰、これが続いている。来年春には、御指摘のように更に二割から三割、これは階段式に一気に上がることが想定されることから、今の段階からしっかりと負担軽減策を用意しておかなければいけないということで、この対策を準備しているところです。

 まずは、今の電気料金の請求システムを活用し、毎月の請求において直接的かつ実感をいただける、こうした負担策でなければならないと思っていますし、今、幅についてはどのぐらいかという御質問でありますが、これについても、来年春想定される電気料金の上昇による平均的な負担増、これに相応する額を考えていきたい、こう思っております。

 透明性のある、そして分かりやすい制度となるよう、今詰めの作業を行っているところであります。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

斎藤(ア)委員 全体の電気料金の中で上がっていくわけですから、一割ぐらい下がった、二割ぐらい下がった、分かりやすい形で是非引下げを実現していきたいと考えておりますので、そういった規模感に関しても早急に示していただきたい。できれば最低でも一割ぐらいはということで、引き続き私たちも申し上げていきたいと考えております。

 その上で、どのような仕組みで電気料金を抑制をしていくのかというのが非常に重要だと思っております。

 今やっているガソリン価格などに対する補助金に関しては、開始時から、石油元売会社に対する補助金であるとどれだけ抑制効果があるか分からないし、そして全額が抑制につながったのか分からないということで、懸念が前からあったわけですけれども、これは実際に、財務省の調査では、その懸念のとおりになってしまっているということが明らかになっています。

 こちらはお答えは事務方でも構わないんですけれども、今行っているガソリン補助金、つまり燃料油価格激変緩和対策事業の事務経費は幾らで、また、財務省の予算執行調査の結果、価格抑制に使われなかった金額は幾らだったか、判明している期間分でよいので、お答えいただきたいと思います。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 激変緩和事業に関する事務経費につきましては、事業終了後の確定行為の後に精算が行われるものでありますけれども、九月末時点までで、予算ベースでは約五十九億円を措置してございます。

 御指摘の財務省の調査では、本年三月から七月の補助金額五千五百七十七億円のうち、実際の抑制額は五千四百六十七億円でありまして、約百十億円の乖離がある旨、指摘されたと承知しております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 事務経費と、予算執行調査の結果、実際に引下げに使われなかった、言い方は悪いですけれども、元売会社、ガソリンスタンドなどの利益の補填に回ってしまった金額が百十億円程度、合計百七十億円程度、直接的な料金の引下げにつながっていないということが、これは九月までの数字だけでそういう数字でございます。

 だからこそ、私たち国民民主党は、トリガー条項の凍結解除ということをずっと申し上げていたわけでございます。これはもう一年以上前になりますけれども、私たちは、ガソリン価格などを引き下げるため、トリガー条項の凍結解除、つまりガソリン減税を訴えてまいりました。

 今、皆さんにも分かっていただいたと思うんですけれども、補助金だと余計な経費がかかってしまいますし、間接的な支援で効果が分かりづらい、また、使途が不明確、不透明になりかねない。まさにそのとおりになってしまっているんですけれども、こういった懸念からトリガー条項をずっと訴えてきたわけで、私たち国民民主党はまだこのトリガー条項を諦めていませんので、是非、ガソリンの補助金の在り方について、ガソリンの価格の低減に関しては、改めてこちらも検討していただきたいと思っています。

 今は、今回は電気料金の引下げということに絞って議論させていただきたいと思っておりますけれども、こういった、補助金だとかクーポンだとか、余計なコストがかかる方法ではなくて、やはりダイレクトに、透明性のある料金の抑制というものを行っていくべきだと思います。

 こういった反省を生かして、電気料金の抑制策の仕組みを是非政府には考えていただきたいんですけれども、次の質問も総理にお答えいただければと思うんですけれども、こういった経緯も踏まえて、電気代の抑制策というのは、是非、直接的で、そして透明性のあるもの、つまり、予算のうち限りなく全額が直接価格抑制に使われて、そして消費者の皆様が具体的に効果を実感、把握できるような形にすべきだと思いますけれども、その点、総理の御認識はいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の、電気料金に対する対策は分かりやすい、透明性の高いものでなければならない、私もそのとおりだと思います。

 先ほども少し触れさせていただきましたが、国民の皆さんに、自分の電気料金、対策によってどれだけ下がったかを具体的に確認してもらえる、実感してもらえる、こうした対策にしたいと考えています。そのために、今の電気料金請求システムの中で、請求のたびにそうした数字を実感してもらえる、そうした仕組みをつくっていくべく、今検討を進めているところです。

 是非、そうした形で、分かりやすい、そして実感していただける電気料金対策を用意したいと考えております。

斎藤(ア)委員 本日は、電気使用量の検針票を拡大したものをお持ちいたしました。これは私が滋賀の自宅で契約をしている関西電力の検針票になりまして、中段のやや下に金額の内訳があります。こちらは電気料金の内訳を記載している部分になるんですけれども、つまり、ここに書いている項目の中でどれを下げるのかという議論になると思うんです。分かりやすい形というなら、やはり、この中で既にある項目を下げるだとか、そういったことが必要になると思うんですけれども。

 総理、是非、どの項目を下げるのか、今検討中ということであればどの項目が候補に挙がっているのか、あるいは、せめて、実際にもうここに出ているような、一般の皆様が受け取っているような電気料金の内訳に出ている項目の中でしっかりと引き下げていく、見える形にしていくということであるんだということを教えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 まさに、分かりやすい形で、透明性も高くということで制度を考えておりますが、例えば、この燃料調整費の部分、これがこれからどんどん上がっていくわけでありますので、総理の答弁がありましたように、二割、三割上がっていく、全体として上がっていくことになりますので、その部分を抑えていくというのは一つの考えではないかなというふうに思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げたように、直接的で、そして透明性のある方法として、国民民主党は、今、燃料費調整の項目、こちらにもあるんですけれども、燃料費調整額、そういったことを例として経産大臣に答弁していただきましたけれども、それも一つの選択肢だと思いますけれども、私たちは、この中の右側、向かって右側ですね、再エネ賦課金、こちらの徴収を停止する、つまりゼロにするということが最もいい選択肢であると御提案をさせていただいているところでございます。

 この再エネ賦課金というものは、まだコストの高い再生エネルギーの発電を促進するため、その高いコストの一部を消費者に負担をしてもらっている、そういった項目になりますけれども、この再エネ賦課金は全ての使用者が、これは、大手十社も、そして新電力で契約している人も全ての人が負担していて、それが明細書で分かるような、そういった項目になっています。

 先ほど経産大臣がおっしゃった燃料費調整、こちらももちろん選択肢だと思うんですけれども、こちらは、電力の自由契約を行っている、自由料金で契約している場合、燃料費調整額が明示されていない契約の場合もございますので、やはりそういった意味では、全員が分かりやすい、実感をしてもらえる、そういった引下げの方法としてはこの再エネ促進賦課金を引き下げるということが一番ベストだと思いますけれども、こういったお話を聞かれて、総理、どういったふうに感じられますでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、私どもも様々な観点から、様々な角度から、どういう形で、分かりやすく、そして透明性高く、そして直接的かつ実感できる形で負担軽減できるかということを検討しているところであります。

 そして、先ほど総理からも答弁がございましたけれども、家庭においては、来年春に想定される電気料金の上昇による平均的な負担増、これに対応する額を支援の幅とするということで両党間の党首間で合意がなされておりますので、これも頭に置きながら検討を進めているところであります。

 御指摘の再エネ賦課金の停止については、一つには、現在徴収されている賦課金額を減免する、ゼロにするということが今申し上げた一般家庭の負担増に対応する水準として十分かどうかという観点が一つ。そして二つ目に、実際に小売事業者の値下げに、まさに御指摘があったように、そのまま反映されるかどうか。これはOCCTOという機関を通じて、全電力から集めてやっていますので、少し複雑な仕組みにもなっておりますので、実際にきちんとそれが全額値下がりにそのままつながるかどうか、こういった観点も含めて、私ども慎重に検討を進めているところであります。

 なお、カーボンニュートラルの実現に向けては、この再エネの最大限の導入に取り組むためには、再エネ特措法に基づくこの現行の制度を着実に運用していくことも必要であるということも頭に置きながら、今後、具体的に更に検討を詰めていきたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 どちらの手法がいいのか、もちろん、どちらもするという可能性もあると思いますけれども、燃料費調整の方に関しては、やはり、料金が混じって表示されている場合もあるし、あと、これに関しては、計算方式がしっかりと明確になっているわけですけれども、やはり同様に、ガソリン補助金のときのように、電力会社に補助金を渡すような仕組みになってしまわないかということも懸念をされますので、是非そういったことも勘案しながら、透明性が高くて、そして予算が全てしっかりと抑制に使われる、そして消費者の皆様にしっかりと認識をしていただける、把握をしていただける、そういった形を是非とも取っていただきたいというふうに思います。

 この再エネ賦課金の徴収停止に関しては、実際は法改正が必要となりますので、既に国民民主党の方では、浅野哲エネルギー調査会長を中心に必要な法改正の案を、取りまとめを始めさせていただいております。

 こういったことも含めて、しっかりと包括的に政府にも提案を申し上げてまいりたいと思いますので、是非、この再エネ賦課金の徴収停止の部分に関しても含めていただきながら検討を進めていただきたいと思うんですけれども、総理、それも含めて検討していただけるということでよろしいでしょうか。

岸田内閣総理大臣 様々な選択肢を念頭に、今詰めの議論を行っています。

 そして今、経産大臣の方から考え方について紹介がありましたが、やはり一番大きなポイントは、先ほど申し上げたように、来年春想定される電気料金の上昇による平均的な負担増、これに対応する額としなければならないと思います。

 ですから、例えば、この再エネ賦課金の分を凍結する、引き下げるとして、その水準に対応する額かどうか等もしっかり検討した上で、どこをどのように触るのか、これも考えなければいけないと思います。

 あらゆる選択肢を念頭に、検討を続けたいと思っています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今、総理とまた経産大臣のお話を伺っていると、ある程度まとまった金額の引下げを想定されているということがうかがい知れますので、是非、我々の提案なども勘案していただきながら、実効性のある抑制策にしていただきたいと思います。

 関連して、円安対策の財源に関するお話に移らせていただきたいと思います。

 この円安による物価対策を行うための財源ですけれども、政府が保有する米ドル建ての資産の含み益を活用してはどうかということを改めて御提案をさせていただきたいと思います。

 政府は、為替介入の原資として、外為特会と言われる別会計に約一・三兆ドルの外貨資産を持っています。昔であれば、一・三兆ドルという数字にはゼロ二つを足して百三十兆円と計算すればよかったんですけれども、今は大分円安が進んでいますので、約一・三兆ドルであれば百八十兆円とかそういった数字になるんですけれども、この含み益ですね、円安・ドル高になったせいでこの含み益が大分出ている、計算ができると思いますので、これを使ってはどうかということです。

 これは、この臨時国会の冒頭、代表質問で我が党の玉木代表から既に総理に投げかけさせていただいた問いでありますけれども、質問の趣旨がよく伝わっていなかったのか、きちんと正面から答えていただいていないと思いますので、もう一度お答えいただきたいと思います。

 趣旨は昨日財務省の事務方にお伝えをしていますのでお答えいただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今御提案がございました外為特会で生じている含み益について、これを物価高騰対策等の財源にすべきではないかという、こういうことでございますけれども、外為特会の外国為替評価損益、これは為替レート次第で大きく変動するものであります。例えば今年三月末の外国為替評価損益は一兆円であったわけでありますけれども、昨年三月末にはマイナスの十一・五兆円の評価損を計上していたところでありまして、財務省といたしましては、その時々で変動いたします外国為替評価損益を裏づけとして財源を捻出すること、これは適当ではない、そのように考えております。

斎藤(ア)委員 確認なんですけれども、我々も、為替差益を全て一般会計に繰り入れると、そんなむちゃなことを申し上げるつもりはなくて、その一部を繰り入れていけばそれは大丈夫なのではないかということを申し上げているんですけれども。

 では、この為替差益の一般会計への繰入れは来年の当初予算の編成でも行わないということでよろしいんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、当初予算においてはルールに基づいての対応となると思いますが、そもそも、御指摘の点について、財務大臣の方からこれは適当ではないとお答えしたわけですが、今の財務大臣のお答えに加えて、外為特会が保有する外貨資産、これは外国為替相場の安定を目的として、将来の為替介入に備えて保有しているものであります。また、財源確保のために外貨を円貨に替えるのは、実質的にドル売り・円買いの為替介入そのものだと思っています。

 その為替介入、これは、G7等での国際的な合意において、過度な変動や無秩序な動きへの対応のために行われるものとされており、この面からも適当でないと考えております。

斎藤(ア)委員 総理、手を挙げていただいて本当にありがたいんですけれども、代表質問の際にもされた回答がちょっと我々の質問の趣旨とずれてしまっているということで。

 我々は、持っているドル建ての資産を今売って、それで円を、利益を実現化してくれと提案しているわけではなくて、皆様にちょっとお配りをしている資料があるんですけれども、財務省が提出をした資料で、「外為特会剰余金の一般会計への繰入」という資料がございます。これは、毎年出ている外為特会の剰余金の一部を一般会計の予算、財源に転用しているという、そういった数字になるんですけれども。

 これを見ていただければ分かるんですけれども、毎年、大体、外為特会の剰余金のおおむね七割を一般会計に繰り入れて、財源としているんです。これはずっと続いているプラクティスでありまして、平成二十九年度などは、これは麻生財務大臣の頃だと思いますけれども、全ての剰余金を一般会計に繰り入れる、これはこれで結構激しいことをこの当時はされているんですけれども、こういったことを一般的にというか、毎年されているんですね。なので、我々が提案しているのはそんな突拍子でもないということを認識していただいた上で検討いただきたいと思います。

 この外為特会の剰余金の繰入れの方法に関しては、財務省の方、財務大臣、御承知だと思いますけれども、剰余金の見合いの政府短期証券を発行して、それを繰り入れているわけですけれども、そういった手法を使って、今回、すごい円安で国民の家計は苦しんでいるけれども、一方で外為特会には利益は上がっているんだから、その分の利益分をしっかりと円安対策に充てるというのは理にかなっていると思う、こういった御提案でもあるんですけれども、いかがでしょうか、財務省。大臣、お願いします。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、外為特会から一般会計への繰入れという制度がございますけれども、これは外為特会で、典型的に申し上げますと、債券の利息収入のような、外貨資産の運用収入によって生じました外為特会の決算剰余金、これを特会法の規定に基づきまして、当然、特会の財務の健全性ですとか一般会計の財政状況、こういったものを勘案しながら毎年度の予算編成の中で一般会計に一部を繰り入れる、こういうものでございます。

 ただ、今申し上げましたように、これは基本的には、外為特会での金利の利息収入のような運用収入、これの中で決算剰余金になったものをということでございますので、議員が御指摘されましたような、足下にある含み益を何か決算剰余金の中に繰り入れて一般会計にというものとは経済的にも性質が違うということで理解をしてございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 これは、今回の円安対策に是非使ってくれということで御提案なんですけれども、今の回答を聞いていると、為替差益の分の利益に関しては、政府短期証券を発行して円転をして一般会計に繰り入れることはないというような御答弁に聞こえるんですけれども、それはそれでよかったんでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 外為特会が政府短期証券、いわゆるFBと申しますが、それをどういう場合に発行するかということでございますけれども、これは特別会計法、特会法上の規定もございまして、それによりますと、外為資金の現金に不足がある場合には、融通証券、すなわち政府短期証券を発行できるということでございます。

 したがいまして、例えば、今回の介入によって円貨を得たということで現に円が手元にあるわけでございますけれども、そういった場合には、まさに円が手元にある、現金に不足がないという状況でございますから、こういった場合には、まず、この円貨といいますものは償還期限を次に迎えます政府短期証券の償還に充てる、これが特会法上求められていることということでございますので、何かこの手元にある円貨を財源として拠出できるか、捻出できるかというと、特会法上の趣旨としてはそういうことにはならないということでございます。

斎藤(ア)委員 既に運用での剰余金に関しては一般会計に毎年一部繰り入れているし、そこは少しのやり方で変えられるんだと思いますし、来年から防衛費を、予算を大分増やすということで、もしかしたらこの為替差益分の含み益を活用する、一般会計に繰り入れるということも検討されているのではないかなと思ったんですけれども、そういうことはないという御答弁でしたので。

 改めて、全体として、ちょっと為替差益の活用ということを考えていただいて、当然、円高になったときには為替介入を別の方法でするのかもしれませんけれども、ある一部分、大分これは積み上がってしまっていますので、適正な水準まで活用するということは、昨日、自民党の委員の方からもございましたので、是非それは考えていただきたい。できれば、今回の円安対策に関してもこういったものを財源として活用してはどうかということを最後に一言申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次に、安全保障政策に入らせていただきたいと思います。

 今国会の冒頭、こちらも我が党の玉木代表からの質問に関して、玉木代表から自衛隊の継戦能力などに関して質問をさせていただいたんですけれども、総理はその答弁として、安全保障環境が厳しさを増す中、自衛隊の継戦能力、そして装備品の可動数は必ずしも十分ではないと承知しております、こうお答えになりました。これはかなり重要な答弁であると考えています。今、自衛隊の状況には問題があるんだということを最高指揮官自ら公にお認めになったわけですけれども、総理、改めて、この認識の確認と、そしてその意図についてお答えをいただけますでしょうか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の発言ですが、自衛隊があらゆる事態において各種活動を継続的に実施できるように、十分な弾薬の確保、装備品の可動数の増加、そしてさらには、地下化、構造強化等の自衛隊施設の抗堪性の向上、こうした取組が重要であると認識をしております。

 新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論、これを加速化させているところでありますが、今申し上げた点についても取り組んでいかなければならないと認識をしております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 危機的な安全保障環境であるからこそ、防衛予算などに関して国民の理解を得るためにもこういった発言、公にするような発言をされたと思いますし、それに関しては防衛省の決意も感じるところであります。

 装備品の可動率が十分でないという点に関して、防衛省に何枚か写真をいただきましたので、こちらをちょっと見ていただきたいと思うんですけれども。

 こちら、もう既に国会で取り上げられている写真もありますけれども、例えば、こちら、上の段にあるのはF2戦闘機でございますけれども、ノーズコーン、レーダーとかが収められている部分がなくなっていたり、キャノピー、搭乗員を守る上の膜の部分、ガラスの部分が取り外されてしまっていたりします。これはほかの機体の整備に使われているものですけれども。

 下を見ていただきますと、これはSH60Kという、海上自衛隊が海の上で使うヘリコプターですけれども、これはちょっと写真では見にくいんですけれども、上の回転翼がなくなってしまっています。これを共食い状態で整備をしているという、これは写真なんですけれども。

 あと、ここにはないですけれども、いただいた写真の中には、P1という哨戒機のエンジンが外されてほかの機体の整備に使われている、そういった写真もありました。

 このF2もSH60Kも古い装備ではないと思いますし、特にP1に関しては、運用開始が二〇一三年で、まだ調達が続いている途中の整備でございます。部品が手に入らないから共食いをして整備するというのは、経済制裁を受けている北朝鮮やロシアでは考えられることだと思いますけれども、日本の自衛隊でこういった状態になっているというのは私も非常に衝撃を受けています。一体なぜこのような事態になってしまったのかは、しっかりと防衛省の方で検証していただきたいと思います。

 突き詰めると、防衛予算が足りないからというお話になるとは思うんですけれども、予算が足りないからといって、無理に正面装備だけを整えて、実は飛ばないんですとか、実は海に出れないんですということであれば、これは明らかに調達の、あるいは整備の計画に問題があるということでございまして、予算が増えても、また、表上の機体数は増えているけれども、半分ぐらい飛ばないんだとか、これだけ飛ばないんだという状態になってしまえば、部隊の運用に極めて支障を来すことになりますので、しっかりとそういったところに対しては改善をしていただきたいと思うんですけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 現在の自衛隊の継戦能力は、当時の安全保障環境を前提に作成された現中期防に基づく防衛力整備により構築しているものであります。安全保障環境が急速に厳しさを増す中、必ずしも十分ではありません。現在、技術の高度化に伴う弾薬、部品の価格上昇や、過酷な環境での使用による装備品の損耗、周辺国の各種ミサイル等の脅威の増大といった課題があると承知をしております。

 こうした中で、御指摘の共食い整備等も解消しつつ、自衛隊が十分な継戦能力を確保するには、十分な数量の弾薬の確保や、計画整備等以外の装備品が全て可動する体制の確立をし、そしてまた、地下化、構造強化等の自衛隊施設の抗堪性の向上といった取組が重要であると認識しております。

 私は、こうした持続性、強靱性の強化を、現有装備品等を最大限有効活用するための取組として、防衛力の抜本的強化に向けて強力に推進してまいりたいというふうに考えているところであります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今回、総理御自身から、自衛隊の継戦能力、整備の、可動率の不十分な点について認める発言があったことは、しっかりと、前向きな方向に変わっていくためのきっかけにしなければならないと思います。

 今回、ある種手のうちをさらしたわけですから、手のうちをさらすだけで対策が進まないということであれば、国民の皆様も不安にさいなまれることになりますので、年内にも取りまとめが行われる防衛三文書の改定版、この中身のしっかりとした議論と、そして実行がとても重要だと私たち国民民主党も考えております。

 今、国民民主党では、前原誠司代議士を会長とする安全保障調査会で、こういった継戦能力や装備の可動率、抗堪性、こういったところをもちろん含めた形で安全保障政策の取りまとめに入らせていただいております。

 こちらに関しては、防衛政策に関しては、なかなか政府が明示しにくい視点、切り口もあると思っております。諸外国との関係でなかなか明示できない切り口もあると思っておりますので、そういった意味でも、我々国民民主党の提案というのは必ず日本の将来の防衛に資するものになると考えておりますので、是非、防衛三文書の改定に当たった閣議決定の前に、私たち国民民主党の提案も是非聞いていただく場を総理に設けていただきたいと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 新しい国家安全保障戦略を始めとする文書の策定については、年末の予算編成に向けて、その内容と予算とそして財源、これを一体として議論を進めていきたいと存じます。よって、そういった日程の中で国会において御議論をいただくために、政府としましても様々な説明を行っていきたいと思います。

 この文書自体は、今申し上げたように、年末の予算編成過程の中で正式なものが決まっていくと認識をしております。

斎藤(ア)委員 代表質問の際には維新の皆様の意見も聞かれるとおっしゃいましたから、是非、国民民主党の意見も聞いていただきたいと思うんですけれども、今うなずいていただいたということで、よろしいですか。はい、ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 次に、少し話が変わりますけれども、自衛隊のセクハラ問題に関して、その重大性の認識に関して、少し、対策に関してお聞かせをいただきたいと思います。

 五ノ井里奈さん、五ノ井元一等陸士の勇気ある告発で、自衛隊内でのセクハラの実情の一部が明るみに出て、多くの国民が衝撃を受けているところでございます。

 これは、言うまでもなく人権問題であると同時に、自衛隊の能力にも関わる極めて重大な安全保障上の問題だと思いますけれども、こういった大変重大な問題。これは、セクハラやパワハラが横行する組織に若い人たちが入るわけがありませんし、親御さんが息子さん、娘さんを入隊させたいと思うはずがありませんし、また、セクハラやパワハラが横行している部隊の隊員が、お互いを信頼して、有事の際にお互いに命を預けられるかといえば、そういったこともやはり疑わしくなってしまいます。

 とても重大な問題だと思っていますので、まず防衛大臣に、この事件をしっかりと受け止めて被害者の救済、再発防止に当たっているか、お答えいただきたいと思います。

浜田国務大臣 先般、九月二十九日に公表いたしました陸上自衛隊におけるセクハラ事案につきましては、上官の不適切な対応のみならず、当該中隊における日常的なセクハラや訓練時等におけるセクハラが確認をされました。これは、従来行ってきた防衛省のハラスメント防止対策の効果が組織全体まで行き届いていなかったことの表れであり、極めて深刻で、誠に遺憾であります。

 まず、本事案につきましては、速やかに懲戒処分を実施いたします。

 さらに、ハラスメントの根絶に向けた措置に関する防衛大臣指示に基づき、特別防衛監察や有識者会議における抜本的な施策の見直しを進め、陸上自衛隊のみならず防衛省全体として、こうした事案が二度と生起しないよう、なお一層しっかりとハラスメント防止対策に取り組んでまいります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 質問は、時間も来ていますので、次で最後にさせていただきたいと思うんですけれども、このセクハラ、パワハラ問題の根絶に向けて、やはり、日本国の首相である、自衛隊の最高指揮官たる内閣総理大臣からしっかりと決意を述べていただくことが重要だと思います。

 自衛隊では絶対にセクハラ、パワハラは許さないんだという決意を隊員と国民に示していただきたいと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 ただいま防衛大臣から答弁がありましたように、今般のセクハラ事案については、現場部隊と防衛省、共に対応が不適切であったと承知をしています。いかなる組織においてもハラスメントはあってはならないわけですが、防衛省・自衛隊においてはこれまでも度々問題になっており、隠蔽体質も指摘をされているところです。

 防衛大臣のイニシアティブの下、今般のセクハラ事案については、加害者に対して厳正な処分を行う予定だと承知をしています。また、特別防衛監察を行い、ハラスメントの徹底的な洗い出しも行っております。

 あらゆるハラスメントの根絶に取り組んでいきたいと考えています。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 志ある隊員の皆様を守るためにも、必ず、しっかりと行っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、統一協会と自民党の癒着について質問したいと思います。

 数十年にわたり統一協会の被害が続いてきた背景として、政治と統一協会とが癒着し、統一協会を野放しにしてきたことを指摘しなければなりません。

 統一協会は、正体隠しの伝道、異常な高額献金などで被害を広げてきた反社会的な集団であります。この根源にあるのが、日本を韓国に貢ぐエバ国とする考え方です。毎年数百億円もが韓国教団本部に送金されてきました。裁判で認定された事実でも、文鮮明の子である文国進は、メシアである文鮮明の後継者と目されており、月一回来日して、献金を指示していたとあります。

 岸田総理の基本的な認識をお伺いしますが、統一協会が、日本を韓国に貢ぐエバ国とし、韓国教団本部に送金するために違法なやり方で国民の財産を収奪してきた団体である、こういう認識はございますか。

岸田内閣総理大臣 旧統一教会については、悪質商法に関する問題、親族の入信に起因する家族の困窮等の問題等、様々な問題が指摘されていると承知をしており、このような状況を踏まえて、社会的に問題が指摘されている団体であるとの認識を持っています。

 また、韓国の本部への送金についても報道等で承知をしています。

 政府としては、旧統一教会への対応については、相談体制強化等による被害者の救済、そして、消費者契約等の法制度の見直し等による再発の防止、そして、宗教法人法に基づく報告徴収、質問権を通じた事実把握、実態解明、この三つを並行して進めるべき課題であると認識をして取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 選挙での支援を目当てに国民を苦しめる反社会的、反国民的カルト集団の広告塔となる、こういう議員は本当に私は罪深いと思いますよ。自分の議席を優先するのか、国民の幸せを優先するのか、政治の根本姿勢が問われる問題だと指摘しておきたいと思います。

 統一協会関連団体の世界平和連合、国際勝共連合、UPFなどの日本代表を務める梶栗正義氏は、安倍元首相について、二〇一二年頃から応援させていただいたと述べ、選挙においては依頼された方を各地で応援させていただいたと述べています。

 八万票と言われる統一協会票が当落を左右するのが参議院比例区です。二〇一六年は宮島喜文氏、今年は井上義行氏が統一協会の組織的支援を受けて当選をしております。この統一協会票の差配を行っていたのが安倍元首相らだったと証言されています。

 参議院比例区は、個人名の得票は政党名の得票としてカウントされ、政党の議席に結びつきます。つまり、自民党幹部が統一協会票を差配して統一協会が組織した個人名の得票は、自民党の比例得票になっていたわけです。

 総理、つまり、自民党自身が参議院選挙において統一協会の組織的な支援を受けていた、こういうことになるんじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、この場に内閣総理大臣として立たせていただいています。答弁はその立場を踏まえて申し上げなければならないわけではありますが、事柄の性質上、自民党についてお答えをさせていただきたいと思います。

 政治家の使命の一つ、これは、可能な限り多くの方々と接し、意見に耳を傾け、そして、自分自身の考えを説明し、理解いただく努力を重ねることであると認識をしています。そうした活動の一環として、結果的に多くの議員が旧統一教会あるいは関係団体と接触を持つこととなり、国民の皆様の政治への信頼を傷つけたこと、このことにつきましては率直におわびを申し上げなければならないと考えております。

 他方、各議員と旧統一教会との関係は個々の議員によって異なり、選挙においても、見返りというお尋ねもありましたが、様々な関わりがあったという報道があることを承知しております。

 いずれにせよ、大切なことは、過去の関係を点検した上で、未来に向かって関係を絶つことであると考えております。政治に対する国民の皆様の信頼を取り戻すことができるよう、これを徹底してまいりたいと思っています。

 このために、党ガバナンスコードを改定し、指針を明確化する、あるいは、党内に議員からの個別照会に応じる事前のチェック体制を構築をする、こうした取組を進めるとともに、党としての関係遮断に向けた方針の具体化の対応を、全所属国会議員そして地方組織に対し今月中に具体的に周知徹底する、こうしたことを対応として進めていくことを考えております。

宮本(徹)委員 個々の議員の問題を今聞いたわけじゃないんですよ。

 総理は自民党の総裁ですから、参議院の比例区の選挙の仕組み上、参議院の比例区の自民党候補が統一協会の組織票を受けたら、それは自民党自身が比例得票を統一協会から組織的にもらったということになるわけですよ。そのことについて私は聞いているんですよ。自民党としての反省が必要なんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、まず、関わりを持ったことについては率直におわびを申し上げなければなりませんが、選挙等を通じて各議員がどのような関わりを持ったか、これについては議員それぞれ、様々であります。そういったことを受けて、党としては今後関係を絶つということを明らかにしたということであります。

 是非、党として、今後、政治の信頼の回復という観点から、この関係を絶つということを徹底していきたいと申し上げております。

宮本(徹)委員 個々の議員が応援をもらっても、参議院の比例区という性格上、党として応援をもらったことになるんですよ。

 そして、党として関係を絶つというのであれば、この統一協会の支援で生まれた井上義行さんの議席はどうするおつもりなのか。けじめをつけるお考えはありませんか。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、関係を持ったことについては率直におわびを申し上げなければならないと思っています。ただ、関係はそれぞれ、様々であります。それを国民の皆さんに率直に説明をし、政治の信頼回復のために努力することは重要であり、そして何よりも、未来に向けて関係を絶つことが重要であるということを党の方針として確認をしています。そのために、先ほど申し上げました取組を今後進めていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 統一協会との関係を絶つと口では言いながら、実際は統一協会の組織的支援で得られた議席についてもけじめもつけようとしない。そういう姿勢だから支持率がどんどん下がるんじゃないですか。

 安倍政権時の参議院比例区での統一協会の組織的支援の始まりは、二〇一三年の北村経夫氏です。自民党の資料を基にした報道では、北村氏の支援団体として世界平和連合とあります。世界平和連合は統一協会の政治集団としての顔であります。このとき、安倍元首相が北村経夫氏の支援を直々に頼んだとする内部資料、そして、当時の菅官房長官の仕切りで、北村氏が統一協会の福岡の教会を回ったとの証言が報道されております。その後、二〇一六年、二〇一七年と統一協会幹部が首相官邸に訪れ、二〇一七年については菅官房長官の招待だとの報道があります。

 これは事前に通告しております。総理、菅前総理らに、事実かどうか確認されましたか。

岸田内閣総理大臣 まず、旧統一教会関係者が官邸に招待されたとする御指摘の報道については、当時の入邸に関する記録が残っていないと報告を受けております。

 そして、なお、御指摘の報道においては、菅元総理の事務所より官邸訪問の招待をした事実はない旨回答がされたと報じられていることも承知をしております。

宮本(徹)委員 菅総理にちゃんと確認をして、この二〇一三年、北村氏が統一協会の福岡の教会を回ったというのは、当時の北村事務所の選対部長の証言なんですよ。その点、確認はされましたか。

岸田内閣総理大臣 自民党においては、各議員がこの社会的に問題を指摘されている団体とどう関わったのか、これは、八項目にわたってそれぞれの行動を点検し、それを党として整理、集約をしております。こうした対応を取っている政党は我が党だけであると認識をしています。

 そして、その上で、それぞれ国会議員が自らの行動を説明した上で関係を絶つ。それを徹底するために、ガバナンスコードの改定、そしてその裏づけとなるための事前チェック体制を整備する。そして、さらには、地方に対しても、その方針の具体的な対応、これを徹底するべく、政府としてしっかりと周知をする。こうした対応を取っている政党も我々自民党だけであると認識をしております。

 こうした対応を徹底することによって、信頼回復を行っていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 何にも質問に答えていないじゃないですか。

 私、わざわざ事前に、菅前総理にこの二〇一三年のことについて確認をして答えてくださいと先週通告しているんですよ。あえて確認をせずに、べらべら質問通告していないことを答えられる。何で菅前総理に二〇一三年のことをお聞きにもならないのかと、疑惑は深まるばかりであります。

 二〇一三年に、このときに、官邸ぐるみで統一協会との取引があった、こういう重大な疑惑が指摘されているわけであります。

 委員長、菅前総理と北村経夫議員を本委員会に参考人招致することを求めたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

宮本(徹)委員 安倍元首相は、昨年、統一協会関連団体UPFの集会に、韓鶴子総裁を始め皆様に敬意を表しますとビデオメッセージを寄せておられました。この件について、梶栗氏は、六度の国政選挙において私たちが示した誠意というものもちゃんと本人が記憶していた、こういう背景があったんだ、こう発言されております。選挙の支援の見返りとして元総理が反社会的カルト集団の広告塔となった、極めて重大なことであります。

 同時に、六回の選挙の支援の見返りはこれだけなのか、政府が見返りとして便宜を図ったことはないのか、徹底的な究明が必要だと思います。

 パネルを見ていただきたいと思います。

 これは、被害者が国と統一協会と信者らを訴えた損害賠償請求訴訟の和解調書であります。この裁判は、国が統一協会を野放しにして解散命令請求や質問権行使をしなかったことを違法だと訴え、二〇一四年に和解しています。

 記されております裁判長の言葉を読みます。被告国においても、従前の宗務行政の適法性、妥当性に対する疑問の余地がないわけではないことや、今後適切な宗務行政がなされることを期待する意味から、本和解への参加を求めることが適当であると考えた。

 この裁判長からの和解の提案を受けて、国は、宗教法人法の趣旨目的にのっとり、適切にその職務を行っていく、こう約束をされました。

 総理、この和解調書は御存じですよね。

岸田内閣総理大臣 和解調書を知っていますかということですが、和解調書自身は、提出資料として今委員の方から示されて、現物というか、この文書を初めて見た次第であります。

宮本(徹)委員 今初めて見たということですけれども、この和解調書を受けて国はどういう改善策を取ったんですか。

根本委員長 法務大臣葉梨康弘君。(宮本(徹)委員「宗務行政なんですよ」と呼ぶ)

葉梨国務大臣 宗務行政ではなくて、訟務ということで、裁判の代理人を訟務局で務めておりますので、私からお答えさせていただきます。

 ここの、今、赤字の部分については、更正決定がなされて削除されておるというふうに聞いております。

宮本(徹)委員 そうなんですね。この赤字の部分は、その後、更正調書を作らせて、国が圧力をかけて削除させたという、とんでもないことまでやっているわけですよ。この和解調書そのものは、国の代理人も含めて全ての代理人、当事者が参加した場で一言一句裁判長が読み上げた言葉ですよ。それを、終わった後に更正調書を作らせるという異様なことまでやったわけでございますが。

 この中では、この裁判長の言葉を受けて、その場で国は、宗教法人法の趣旨目的にのっとり、適切にその職務を行っていく、こう約束されたわけですけれども、もう一度お伺いします。この和解調書を受けて、国は統一協会に対する宗務行政をどう改善したんですか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のうち、国の抵抗で和解調書の文言が削除されたという点につきましては、あえて申し上げますと、御指摘の和解調書には裁判長が発言をしていない内容が記載されていたことから、その旨を裁判所に申し入れまして、裁判所の判断により更正されたものと承知をしております。

宮本(徹)委員 全然、聞いたことに答えていないですね。

 私は、これは弁護士の方に、この部分はちゃんと読み上げたと参加している弁護士の方に聞いております。でたらめを言わないでください。

 その上で、どういう改善策を取ったんですかということを聞いているんですよ。宗務行政を……(発言する者あり)何言っているんですか。和解調書そのものは、宗教法人法の趣旨目的にのっとり、適切にその職務を行っていくというところは削除していないですよ。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 引き続き、正当な宗務行政をやっていくということでございます。

 以上です。

宮本(徹)委員 もう何か、とんちんかんな答弁をされても困るんですよ。

 結局、皆さんのところにも和解調書、事務連絡の部分、つけてありますので御覧になってください。国は、宗教法人法の趣旨目的にのっとり、適切にその職務を行っていくということを約束したにもかかわらず、何にも統一協会に対しての宗務行政は改善されていないんですよ。なぜほごにされたのか、ここは極めて解明しなければならない点であります。

 さらに、資料を見ていただきたいと思いますが、四ページ目。国は、一九九六年から二〇〇九年までの間に統一協会と面接を九回行い、活動状況を調査し、一連の民事事件の確定判決で認定された使用者責任を踏まえ適切な管理運営や個別事案への誠実な対応をするよう求めてきました。

 ところが、国による統一協会のこの事情聴取は、国賠訴訟中であることを理由に中断して、国賠訴訟が終了した後も再開しておりません。なぜ統一協会の事情聴取を再開しなかったんですか。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 これは、宗務行政の妥当性につきましては、旧統一教会の所轄庁が東京都知事から文部大臣となった平成八年以降、文化庁におきまして、当該法人の協力を得て、旧統一教会に関する報道、訴訟に関する情報等を基に活動状況を聴取するとともに、民事事件の確定判決で認定された使用者責任を踏まえた、これは、宗教法人としての適正な管理運営や個別事案への誠実な対応をするよう、強く求めてまいりました。

 一方で、旧統一教会につきましては、平成二十七年の名称変更後、平成二十八年、二十九年においては、それまで認められていた使用者責任とは異なり、法人自体の組織的な不法行為責任を認めた民事裁判の例が見られること、また、今般、政府が設けました合同電話相談窓口におきまして、金銭トラブルから心の健康に関するものまで、九月三十日時点で幅広く千七百件以上の相談が寄せられております。法テラスや警察を含めた様々な機関、そして相談につながれていることなどの状況が生じているものと承知をしております。

 その上で、こうした状況を踏まえれば、旧統一教会については、宗教法人法に定める、法令に違反をして著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたことや、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことといった解散命令の事由に該当する疑いがあると考えられます。

根本委員長 簡潔にお願いします。

永岡国務大臣 このため、所轄庁といたしましては、報告徴収、質問権の行使に向けた手続を進める必要があると考えており、その準備に速やかに着手をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

宮本(徹)委員 ちょっと余りにもひど過ぎますよ。聞いたことに何にも答えずに、違うペーパーを延々と何か読んでいるような感じにしか聞こえないんですよね。

 この事情聴取は、国賠訴訟を理由に中断して、しかし国賠訴訟が終わった後も再開していないんですよ。なぜ再開していないんですかと聞いても、何にも関係ないことをぺらぺらぺらぺらしゃべり続ける。結局、事情聴取をなぜ再開しなかったのかという理由を説明できないということじゃないですか。

 次に行きます。

 二〇一四年の和解調書の翌年、統一協会の被害防止のための適切な宗務行政と真逆のことが行われております。統一協会が長年求めてきた名称変更が認められました。下村大臣の関与が指摘されております。これにより正体隠しの勧誘が一層容易になり、新たな被害につながりました。

 文化庁宗務課は、一九九七年以来十八年間、認証できないから申請しないでくれと言い、統一協会も申請してこなかった。にもかかわらず、統一協会の側がなぜ態度を変えて二〇一五年というタイミングで訴訟も辞さず申請するという行動に出たのか。名称変更の認証について、申請さえすれば認証まで進んでいくという何らかの見通しがあったと考えざるを得ません。

 ところが、統一協会の名称変更は認証できないという宗務課の一貫した考え方がどういう検討経緯で二〇一五年に変わったのか、説明できる資料が一切示されていません。

 総理は、この名称変更が認証できないという考えがなぜ変わったのか、経緯が分かる当時の資料を御覧になったことがありますか。見たことがあるかないかでいいです、ちょっともう時間がなくなってきちゃいましたので。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、二〇一五年以前から名称変更の相談はありました。しかし、二〇一五年までは、相談の結果、旧統一教会からの申請はなかったと認識をしています。申請が初めて行われたのが二〇一五年の時点であると承知をしています。そして、初めて申請が行われた二〇一五年の時点に、申請が行われ、そして所轄庁として当該申請の内容が法令に規定された要件を備えていることを確認し、認証の決定を行った、こうしたことであります。

 二〇一五年までに、いろいろの動きについては、結果として具体的な申請は存在していなかった、これはしっかりと確認しておかなければならないと思っています。

宮本(徹)委員 私が聞いているのは、その宗務課の方針が変わった資料を見たことがあるかどうかですよ。私は、何にも示されない。私は、三か月間、当時の経緯を示す資料を出してほしいと言っていますけれども、いろいろある、確認中と言って一切出てこない。桜を見る会以来ですよ、こんなに資料が出てこないのは。

 総理は、その資料を見たことありますか。それだけ答えてください。長い答弁をしたら時間がかかりますので、見たことがあるかないか、それだけでいいですよ。

岸田内閣総理大臣 具体的な書類、現物を見たかということでありますが、その書類の現物は見ておりません。

 これは、今申し上げたような報告を受けて、それに対してこの判断をした、そうしたことであります。

宮本(徹)委員 ですから、総理も見たことないんですよ。誰も見たことがないんですよ。名称変更がなぜ行われたのか、なぜ宗務課の方針が変わったのか、そこの政治に関与があったのかなかったのか。この資料は、出さないまま闇に葬るなんていうのは許されないですよ。

 結局、二〇一三年の参院選で統一協会が自民党の組織的支援をした。それ以降、和解調書で約束した宗務行政の改善、解散命令請求や質問権行使はやらない、安倍政権以前行っていた統一協会の事情聴取も行わない。逆に、安倍政権以前は認めてこなかった、統一協会の望む名称変更だけが行われた。これはまさに、総理、統一協会に対して便宜が選挙の支援の見返りで行われたということになると思いますよ。私は徹底的な究明が必要だと思います。

 その上で、解散命令請求についてお伺いしたいと思います。

根本委員長 総理が答弁したいと言っていますよ。総理が答弁したいとおっしゃっている。

宮本(徹)委員 いや、いいです。もう時間がないですから。

 解散命令請求について伺います。

 統一協会の不法行為責任、使用者責任を認めた民事裁判の判決は多数あります。全国弁連の皆さんも速やかな解散命令請求を求めてまいりました。

 ところが、政府はこれまで、解散命令請求の要件を刑法等の違反に限り、民法の不法行為責任は入らないとする解釈を取り、解散命令請求に背を向けてきました。

 質問権の行使も同様の理由で慎重でしたが、今回、総理は、民事裁判での統一協会の不法行為責任を認めた判決を踏まえて、質問権の行使を指示いたしました。

 総理、解散命令請求についても、民事裁判の不法行為責任や使用者責任を認めた判決を根拠に行える運用に変えるべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 解散請求を、解散を認めるに当たっての裁判所の判断については、午前中も議論になりましたが、平成八年の年に最高裁において判決を通じて明らかにされています。その要件について午前中も申し上げたところでありますが、その判断は政府としても踏襲しておりますし、政府としての対応は変わっておりません。

 その中で、刑法等の実定法規という部分がありますが、これは必ずしも刑法典のみを指すわけではないものの、典型的には、罰則により担保されている刑法等の実定法規の定める、その基本の内容があらかじめ具体的かつ明確に定まっているものであると考えています。この定義に当てはめますならば、午前中も申し上げたように、民法はこれには該当しないと思っています。例えば、特定商取引法ですとか著作権法ですとか外為法、こうした法律がこうした法規に該当するものであると認識をしております。

 いずれにせよ、政府の判断は変わっておりません。

宮本(徹)委員 変わっていないじゃなくて、変えてくれという質問をしているんですよ。その解釈では、質問権を幾ら行使しても、統一協会の役員が刑事罰を食らわない限り、解散命令請求はしないということになるわけですね。しかし、宗教法人法の解散命令の要件には、刑法等に限る、刑事罰のものに限るということは、どこにも書いていないわけであります。

 教科書もこう書いていますよ。民法の不法行為とは、私的生活関係において他人の権利を侵害する行為であって、法秩序がその権利を保護するために、行為者の権利にも配慮しつつ設定した禁止・命令規範に違反すると評価されるものをいうということです。これが教科書でありますよ。教科書の中でも、禁止・命令規範違反だと、民法の不法行為は、こういうふうに書かれているわけです。

 ですから、刑事罰に限るような勝手な解釈に固執するのはやめるべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたとおり、刑法等の実定法規に定める禁止規範又は命令規範、これは別に刑法典に限っているというものではありません。

 これの解釈として、禁止規範への違反に対して刑罰を科すことを定めた法令であると認識をしています。よって、刑法以外にも、外為法や著作権法や特定商取引法、こうした法律を挙げることができると思っております。

 こうした判断は、従来から変わっておりません。

宮本(徹)委員 私は、今、民法の関連の教科書の中身を読み上げたわけですよ。全く反論になっていないですよ。

 民法についても、不法行為については、禁止・命令規範に違反すると評価される、これを不法行為というんだと書いているんですから、そこはちゃんと整理していただきたいと思いますよ。

 さらに、もう一点申し上げますと、地下鉄サリン事件を受けて、宗教法人設立に当たっての規則の認証の審査基準を厳しくしております。このときに、布教方法に、社会的に相当と認められる範囲を逸脱した詐欺的、脅迫的手段を用いていないか、暴力的行為、反社会的な活動又は公序良俗に反する活動を行っていないか、こうしたことを調査することになっております。

 つまり、地下鉄サリン事件以降の新しく宗教法人をつくる際の認証の審査基準でいえば、今の統一協会のような詐欺的な布教、これをやって組織的不法行為と断じられる判決があるような団体は、新たに宗教法人になろうと思っても、もうなれないんですよ、今は。絶対に新たには認証されません、今は。

 ところが、一旦設立の認証を受ければ、不法行為が認定されても宗教法人であり続けられる。これは、はっきり言って、法律の運用として矛盾していませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来説明しているように、政府としての法の解釈、運用、これは全く変わっておりません。

 平成八年の最高裁の判決に示された解散命令に至るまでの要件、これは、この解釈、変わっていないということであります。違法性とそして組織性、これをしっかり兼ね備えたものでなければならない、こうした判断を踏襲しているところであります。

 こうした法令に基づいて今回の案件についてもしっかりと判断をすること、これがこの判断の正当性を裏づける上でも重要であると考えております。

宮本(徹)委員 質問に全く答えていないですよ。

 宗教法人設立に当たっての認証の審査基準との関係でいったら、どう考えたって、不法行為をやっているものは今新たになれないのに、現に不法行為をやっている宗教法人はそのまま解散もされずに宗教法人のままでいられるというのはおかしいじゃないかということを言っているんです。そこはおかしいと感じませんか。

岸田内閣総理大臣 解散に至るまでの考え方について申し上げております。そして、それは全く変わっていないということを説明させていただいています。法律に従って粛々と対応することが重要であると思います。

 設立の考え方と法律の解散の考え方、これが矛盾しているのではないかという指摘でありますが、私たちが今議論しておるのは、解散に向けての過程であります。法律に従って粛々と対応することが、この法律への対応の正当性を確実なものにすると考えております。

宮本(徹)委員 総理、結局、間違った勝手な解釈をしているから、法律の運用上、設立時の認証と、そして解散できるところに大きなずれが生まれてしまっているんですよ。ここは、法律の解釈を法律どおりに、法令に違反してというのは、法令に違反していたんだから、民法も含めてあらゆる法律を入れて解釈すれば、整合性が取れて、しっかりと被害防止に向けて解散命令請求につなげられるわけです。

 その点、しっかりと考えていただきたいと申し上げまして、次のテーマ、介護の問題について行きたいと思います。

 三年に一度の介護保険制度の見直しの議論が行われております。年内に方向性がまとめられます。この中で、介護保険の利用者の負担増があるわけですね。

 パネルを見ていただきたいと思います。

 大改悪であります。利用料の二割、三割負担の対象の拡大、ケアプランの有料化、多床室の利用料の引上げ、要介護一、二の生活援助の保険給付外しなどなどです。

 三年前の介護保険の見直しの際も、介護保険の利用料を原則二割にすることが検討課題とされましたが、三年前は見送られました。どういう反対意見があって見送られたのか、総理は御存じですか。

岸田内閣総理大臣 これは、厚生労働省の審議会の過去の経緯についての御質問でありますので、詳細につきましては厚生労働大臣から答弁をさせていただきます。

加藤国務大臣 介護保険の利用者負担割合については、負担能力に応じた負担を通じて制度の持続可能性を確保する観点から見直しを重ねてきました。

 御指摘の令和元年の社会保障審議会の介護保険部会では、利用者負担を原則二割とすることについては、生活への影響も踏まえて慎重に検討するべきという慎重意見もあったところでありますが、他方、能力のある人には負担していただくことも重要であり、二割負担の対象について拡大が必要との意見もあり、それらを踏まえて引き続き検討を行うことが適当とされて、今日に至っているわけであります。

宮本(徹)委員 つまり、生活への影響を考えて慎重であるべきだということから、負担増は三年前は見送られるということになりました。

 じゃ、今、三年前と比べて国民生活はどうなっているのかということであります。今日も物価高騰の問題が議論されておりますが、本当に今、物価高騰の中で所得が少ない人ほど厳しい状況を迎えております。その中で、高齢者でいえば、六月から年金は切り下げられ、この十月から、七十五歳以上の方、三百七十万人の医療費の窓口負担が二倍になっております。

 三年前も、生活の影響、これを考えたら見送らざるを得ない、こういうものを、この物価高騰の中行っていくというのはあり得ないと思うんですよね。この介護保険利用料の二割負担の対象拡大、この検討は総理のイニシアチブで中止すべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 ただいま厚生労働大臣から答弁がありましたように、三年前の議論においても、生活への影響を懸念する声もあった、一方で、この制度の持続可能性ということを考えた場合に、能力のある方々には負担をお願いする、こうした議論も大事だ、そうした議論が行われたという答弁であったと聞いておりました。

 能力のある方には負担を負ってもらう、そのことによって制度全体を維持していく、多くの方々の生活を支えていく、こういった結果につながるという考え方は重要であると思います。能力のある方に負担していただく、これを、どこで線を引いて、どこまで負担をお願いするのか、こうした観点に基づいて今の現状の中で判断をしていく、こうした考え方は当然大事な考え方ではないかと考えます。

宮本(徹)委員 この物価高騰の中、負担増の検討を進めるというのは驚きの姿勢だと言わなければなりません。

 能力がある方ということをおっしゃいますけれども、今、介護保険は、一割負担が九割以上の方が占めております。この二割負担が導入されたのは二〇一五年です。

 能力があるといって導入されましたけれども、何が起きたのか。年収二百八十万円以上の人に二割負担が導入された二〇一五年、介護施設運営者らがつくる連絡会が実施した影響調査があります。

 千五百八十九施設の特養などが回答しておりますが、ショートステイの利用日数、回数が減ったのが四百七十一施設、配偶者が生活苦に陥ったが三百十一施設、多床室へ移ったというのが二百十一施設、利用者の滞納が二百六施設、支払い困難を理由に退所者が生まれたのが百一施設であります。

 そして、在宅の場合は、そのままデイサービスやヘルパーの日数を減らすということにつながったわけであります。

 高齢者の生活は本当に年々厳しくなっております。在宅の高齢者の方が紙おむつも干して再利用しているのも珍しくない、こういう話も介護現場の皆さんからお伺いします。

 介護保険の利用料を倍加したら、尊厳ある生活ができなくなるんじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 今、厳しい生活の中で御苦労をされておられる方皆さんに負担をお願いするというものではないと理解をしています。

 今のこの状況の中で負担をお願いする方々、収入等、様々な条件の中で、どこまで絞り込んだ上で負担をお願いするのか、こうした議論が続いてきた結果であると認識をしています。

 制度全体を維持し、そして未来につなげていく、これは、次につながる世代にとっても大切な課題であり、政治の責任として、持続可能性、しっかり考えていくことは重要であると認識をしています。

宮本(徹)委員 介護保険制度は、家族介護から社会で支える介護にするためにつくったわけであります。介護という人生の中で最も支えが必要なときに介護を取り上げることにつながるんですよ。二百八十万円のところまで二割負担にしただけでも大変なことが起きました。

 制度の持続可能性というのでしたら、軍事費二倍ではなくて、介護保険の国庫負担を増やして国民の暮らしこそ支えるべきだ。

 このことを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わります。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 緒方林太郎です。よろしくお願い申し上げます。

 今回の質問に際しまして、立憲民主党そして日本維新の会から質問時間、御配慮いただきましたこと、まずもって感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、旧統一教会に関してなんですが、私、岸田総理が言っておられることの中で、それを言うたびに耳がジャリっと音がする表現が一つあるんです。

 社会的に問題が指摘される団体という表現があります。しかも、時々、社会的に問題が指摘されていると承知しているとか、誰が指摘しているか分からないわけですよ。されるなわけです。誰か分からない人がそういう指摘をしている。岸田総理として問題があると指摘しているわけではない。しかも、承知しているというのは、自分が決めているわけじゃない。誰か周りの人が決めていて、それを自分は知っているというだけの、この社会的に問題が指摘されていると承知しているという表現には無責任ワードが二つくっついているんですね。

 岸田総理にお伺いしたいと思います。統一教会は社会的に問題がある団体だというふうに思われますか、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 今の御指摘のポイントは、社会的に問題が指摘されている、この部分が要は責任回避ではないか、そういう御趣旨の質問かと思いますが、社会的な問題が指摘されている、問題がある団体であるということについて、これは従来から説明しておりますように、民法においても組織的な不法行為が指摘をされている団体である、さらには、千七百の様々な相談の中に、警察あるいは法的なプロセスにつないでいかなければいけないような相談が存在する、こういったことから、従来から、政治的に問題があると指摘をされている団体であるという、この表現を使わせていただいている、こうしたことであります。

緒方委員 私、そんなに難しいことを聞いていないんですね。社会的に問題がある団体だというふうにお考えですかという、非常に単純な質問を聞いております、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたような理由に基づいて社会的に問題がある団体であると認識しているからこそ、昨日来説明させていただいている政府としての取組を進めなければならないと認識をしております。

緒方委員 私、官僚出身ですので、こういう一言一言が物すごく気になるということで、指摘をさせていただきました。

 宗教法人法に基づく報告、質問をこれから行うということなんですが、今日の長妻議員の質問とか先ほどの宮本議員の質問を聞いていて、どうしても、私、やはりこれまでの立場との違いが気になるので、それについて質問させていただきたいと思います。

 宗教法人に対して、宗教法人法に基づく報告、質問をするためには、解散命令事由に該当する疑いがなくてはならないと法律にそう書いてあります。

 そして、オウム真理教事件の東京高裁決定で、解散命令事由は、法人の代表役員等が、先ほどから言っておられる、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反することを要件としている、これは法律に書いてあるとおりですね。

 しかしながら、この該当がないと、そもそも報告、質問することができないんじゃないかというふうに法律上読めるわけですね。

 それを踏まえて、永岡大臣に質問したいと思います。

 現時点で旧統一教会は、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反している団体だというふうに思われますか、永岡大臣。

永岡国務大臣 お答えいたします。

 所轄庁といたしまして、宗教法人法の解散命令の請求を行うに当たりましては、やはり、判例によって確立いたしました、裁判所が、宗教法人法の第八十一条第一項第一号及び第二号前段の規定によりまして、解散命令を出す要件を踏まえる必要がございます。

 そして、裁判所は、解散命令に当たりましては、法人の代表役員等が組織的に刑法等の実定法規に違反をして公共の福祉を侵害したり、また宗教法人の目的を逸脱したりしていることが捜査などを通じて取得した具体的な証拠を伴って客観的な事実として明白であることを求めております。

根本委員長 大臣、簡潔にお願いします。

永岡国務大臣 典型的には、組織的な犯罪行為で起訴又は有罪判決が出ることがこれに該当すると思われます。

 旧統一教会におきましては、民事上の不法行為責任やまた使用者責任を認める判決がございます。重要な要素ではありますが、裁判所がこれまで示してきました解散命令を出す要件と比較をいたしまして、法人の代表役員等が組織的に刑法等の実定法規に違反をして公共の福祉を侵害したり、また宗教法人法の目的を逸脱したりしていることが、具体的な証拠や資料そしてデータなどを伴いまして客観的な事実として明白であるというためには、なお様々な事実関係や情報の把握を行う必要があるものと認識をしております。

 そのために、政府全体といたしまして把握をしている旧統一教会に関する被害の状況や、名称変更等を経た近年の旧統一教会の判例の動向を踏まえると、宗教法人法に定める報告徴収、質問権を行使する必要があると認識しており、総理の御指示を受けまして、その行為に向けた手続を進めているところでございます。(発言する者あり)

根本委員長 大臣、できるだけ簡潔に発言するように。

 内閣総理大臣岸田文雄君。

岸田内閣総理大臣 御質問のような可能性があるからこそ、手続を進めようと考えております。

 千七百の質問の中には、警察に直接つないだ案件、法律の専門家に直接つないだ案件、こうしたこともあることから、是非、報告徴収を受け、質問権を行使する中で、具体的な実態を積み上げることが必要であると認識をし、手続を指示した次第であります。

緒方委員 ちょっとよく、理解できたところと理解できなかったところがあるんですが。

 まず、ベースとして、解散命令の事由に当たるのは、東京高裁決定によると、刑事罰を受けていること、つづめて言うとですね、そういうことなんですが、それは現時点ではないという理解でよろしいですよね、岸田総理。

岸田内閣総理大臣 これも午前中から答弁させていただいておりますが、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範、これには民法は当たらないということを説明している。ですから、最高裁の求める、組織性と違法性、両方が必要であるということから、この要件については当たらない、民法については当たらないということを説明しております。

 ですから、その可能性として、この千七百の様々な相談の中に刑法や警察につながる案件があるからして、これを手続を進める、そうしたことであります。

緒方委員 何の答えにもなっていないんですよね。私、単に、刑事罰を受けるようなことがあった団体ですかというふうに聞いているだけなんですね。民法が含まれるかどうかとか、何度も聞いていますよ、そんなの。本当に悪質な質疑妨害ですよ、岸田総理。

 私が聞いているのは、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反した団体ですかという極めて単純なことを聞いているんです。一発でお願いします。

岸田内閣総理大臣 刑法等に該当するような行為のあった団体では、今確認されておりませんが、ただ、様々な相談事案等を考えますときに、その可能性があるからして、報告徴収を是非行いたいということを申し上げている次第であります。

緒方委員 しかし、刑事罰がないのであれば、東京高裁決定に従う限り、そもそも疑いが生じる可能性もないと思うので、報告、質問を要求することができないんじゃないですかというのが、どうしても、私、疑問が出たんですね。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 刑法的な事案が確認されていないとしても、その疑いがあるとしたならば、その報告徴収、質問権を行使することは可能であると認識をして手続を進めております。

緒方委員 それぐらいの事情でこれだけ強い報告、質問ができるというのは、結構な、法解釈の重大な変更をしているように私は聞こえるんですね。

 だって、これまでこれを理由として文部科学省はずっと報告、質問についてやらないということを言い続けてきたんですけれども、被害者相談とかで警察事案があるとか、それぐらいの疑いでもできるようにしたと。

 私は、この解釈変更が悪いと言っているんじゃないんです。悪いと言っているわけじゃなくて、そういう解釈変更をしているように見えるんですけれども、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 これも午前中から様々なやり取りの中で、政府としては、法律に基づいて対応をしっかりと厳正に考え、そして実行をしようとしているところであります。

 今の対応につきましても、法律にのっとっての対応であると認識をしております。

緒方委員 ちょっとよく分からないところはありましたけれども、質問を続けたいと思います。

 私は、今、統一教会は霊感商法ということで問題が起きて、霊感商法は、契約行為があるビジネスをやっているので、ビジネスのところに注目をして規制をかけることができるということになるわけですが、寄附になると霊感寄附ということになるのかもしれませんが、寄附は喜捨が基本になるので、寄附は余りに多様な形態があって、寄附そのものに規制をかけるのは、私、余り現実的な選択肢だと思いません。そうではなくて、霊感そのものを規制するしかもうないのかなというふうに思うんですね。(発言する者あり)ちゃんと聞いてください。つまり、寄附に至るプロセスの中で悪質なものを規制するという考え方がここで出てくると思うんですね、寄附そのものではなくて。

 私、フランスにおけるいわゆる反カルト法、原語で全部読んでおります。興味深いのは、既存の、無知、薄弱につけ込む罪というのがフランスの刑法にはあります。これに対して、いろいろな仕掛けをもって精神的な従属状態に置いて、その無知、さらには薄弱といったものを悪用するようなことを犯罪化しているんですね。まさにマインドコントロール的なことを刑事罰で盛ってきているということがあるわけです。

 私は、このフランスの反カルト法における無知、薄弱につけ込む罪、なかなか内心の自由とか信教の自由との関係で難しいところがあるというのは重々承知をしておりますが、寄附そのものに規制をかけるのが難しいのであれば、その前の寄附に至るプロセスのところで、刑事罰、若しくは民事も含めてですけれども、何らかの措置を取るべきではないかと思いますが、永岡大臣、いかがですか。

根本委員長 これは担当はどっち。

 じゃ、法務大臣葉梨康弘君。法務大臣じゃないの。

 じゃ、まず、文部科学大臣永岡桂子君。

永岡国務大臣 今の緒方委員のお話を伺いますと、御質問について、私、文部科学大臣の所掌を超えると思われます。お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

葉梨国務大臣 既に文科大臣が御指名によってお答えしたとおりですけれども、これは行政罰とか刑事罰に関わるお話になりますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 反セクト法、反カルト法があるということは私も存じ上げています。ただ、緒方委員おっしゃるように、やはり難しい問題がいろいろありまして、まず、多額の寄附を保護法益とするのか、マインドコントロールを保護法益とするのか、ここはいろいろと悩ましいところです。

 それから、マインドコントロールということも、フランスのカルト法、私は原文じゃなくて訳文で読んだんですが、それについても、日本の法制で構成要件をつくるとなると、ここのところ、過不足なくそこを規制、禁止するということ、これもなかなか慎重な検討を要するかと。

 つまり、取り消し得べき行為とするものと刑事罰とはちょっと段階が違いますので、慎重に検討させていただきたいと思います。

緒方委員 私、先ほど申し上げましたが、刑事罰、なかなかきついと思うんですけれども、マインドコントロールという言葉が出てきていないんですね。精神的な従属に置かれると。

 いろいろな仕掛けを通じて精神的な従属に置かれた、そこから、実は元々刑法にこれは存在していて、例えば、未成年とか妊娠中の方々とかの無知や薄弱につけ込む罪というのが元々存在していたのに対して、これに、いろいろな仕掛けを通じて精神的な従属に置くという規定を新しく入れたというのが法改正だったんですけれども、これはなかなか刑事は難しいと思います。

 しかしながら、民事の取消しとかの要件の中に、こういった精神的な従属に置く行為、そしてそれに伴う、無知、薄弱、そういうものにつけ込んでいるものについて取り消すようなことができる要件を盛り込むことは、これはできるんじゃないかと思うんですけれども、葉梨大臣、いかがですか。

葉梨国務大臣 恐らくは緒方委員がおっしゃられるのは、本人が取消権というよりは第三者取消権に、多分、脆弱、そういう支配下みたいな状況に置かれているとなる、第三者取消権ということになるんだろうと思いますが、その上でお答え申し上げますと、そうはいっても、マインドコントロール下に置かれている方も、日常生活では通常の判断能力を持っているわけなんです。ですから、そこでやはり、どういう要件にするのか、あるいは本人の意思をどこまで尊重するのか、そういった意味で、いろいろとこれまた慎重に考えなければいけない問題があるということは御指摘させていただきたいと思います。

緒方委員 これは、実はフランスでも人権との問題が非常に議論になっていて、なかなか発動するのも難しいし、EUの側からも、本当にこの法律は大丈夫かと指摘を受けているようなものですので、慎重な対応が必要だということは私も重々承知をしております。ただ、霊感で寄附ということになると、寄附に規制をかけるということが恐らく相当難しいというふうに思ったときに、その前プロセスのところで何かできないかということですので、大臣、これは是非検討していただければというふうに思います。

 最後、一つだけ、せっかく質問通告しましたので、防衛についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今、来年度予算要求しておられますが、私は、国の防衛というのは国の根幹を成すものであると思っておりまして、今日も何回か議論が出ましたが、財源の当てがつかない形で防衛予算の手当てをするのは国を誤る第一歩である、私はそう思っています。当面の国債発行を全面否定することはいたしませんが、それらは全て後年度の財源措置で対応されなくてはならない、私はそう思うわけでありまして、これは岸田総理にお伺いをしたいと思います。いかがお考えでしょうか。

岸田内閣総理大臣 我が国の防衛費の議論につきましては、国民の命を守るための内容と併せて、その裏づけとなる予算、そしてその裏づけとなる財源、これを三つ一体で議論していくということの方針を従来から申し上げています。是非、年末の予算編成の過程までにこの三つをしっかり詰めて結論を出していきたい、このように思っております。

緒方委員 ちょっとだけ微妙な発言をされたので。三つを一体的に議論するというのはよく分かりました。

 岸田総理にもう一言言っていただきたいのは、財源の当てがない防衛予算というのは、これはやらないということをコミットいただけないかと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 防衛費の中身、すなわち、恒常的に必要とされるもの、あるいは長期的な契約に基づいて対応するもの、その内容によってその財源というものを考えていかなければならないと思います。それぞれの性格にふさわしい財源を考えるというのが基本的な考え方であります。

 いずれにせよ、年末に向けて、先ほど申し上げた、一体とした議論を進めていきたいと考えています。

緒方委員 終わります。

根本委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大阪五区、大石あきこです。

 パネルの担当は、東京二十二区、櫛渕万里議員です。

 私がここにいる理由なんですけれども、私、四年前まで大阪府庁で公務員をやっていたんです。維新府政の中で、知事とか維新の議員がうそばっかりついているじゃないかと。行政サービス削りまくって、でも、府民の所得、結局、下がっているやん、うそをつくなよ、そう思っていたんです。

 それで、この国会です。国会も同じか、それ以上じゃないですか。本日も、うそとごまかしばかりの政権だということが明らかになりました。そうこうしている間にも、間違った国策で多くの国民が犠牲になっています。その国民の思いを背負って、今ここに立っています。

 さて、総理は、所信表明演説で、日本経済を再生させるとおっしゃっています。

 総理に伺います。日本経済を再生させる自信、あるんですか。一言でお答えください。

岸田内閣総理大臣 今、目の前の物価高騰対策、しっかり行った上で、日本の経済の持続可能性、回復させるべく、政策を用意しております。

大石委員 ちょっと、あるかないか分からなかったんですけれども、どっち、あると。残念ながら、でも、総理の経済政策では日本経済の再生は無理です。

 日本は緊急事態だと総理はおっしゃいます。でも、通常国会からこれまで三か月半、国会を放置、予算審議、行いませんでした。三か月半にも及ぶ放置プレーで、やったのは国葬だけ。こんな自民党政権はすぐに終わらすしかありません、国民を殺させないために。

 冒頭、総理には日本経済再生ができないと言いました。なぜならば、日本の経済再生に本当に必要なことは、この国に生きる一人一人の徹底的な所得向上、これしかないからなんです。

 パネルの四を見てください。二十五年前と比べて、一世帯当たりの所得の中央値の推移、いわば中間層の年収と言えるものです。百八万円も年収が減っています。だだ下がりになっている。

 さらに、パネルの五を見てください。二十五年前より年収が百三十一万円もダウンしたという数字もあります。これは再分配後、税金を引いたり社会保険料を引いたりして手元に残ったお金となります。これ、どれだけ所得が下がっているんですかと。この数字については、社会の危機として複数の報道がなされています。

 そこで、総理にお伺いします。この数字について、危機的だと危機感をお持ちですか。お答えください。

岸田内閣総理大臣 今、物価高騰が大きな問題になっているとき、賃上げがその物価に伴わないということ、これは大きな危機であると考えます。

大石委員 ちょっと危機感がないと思うんですよね。これ、だって、百三十一万円も年収がダウンと言っていて、賃上げが、プラスで物価上昇がというのが、まず、この二十五年間の数字を見ているんですかということを言っているんです。これに加えて、物価が深刻な問題なんです。

 パネル三を見てください。十月一日から六千五百品目が更に値上がりしています。前年同月比、比べて、こんなに値上がり。電気代が二二%、小麦粉一八%などなどです。ちなみに、この物価の数字には消費税も含まれています。すぐにできる対策は、消費税を下げて物価を強制的に下げることです。

 岸田総理、今なお消費税は減税しないんですか。するかしないでお答えください。

岸田内閣総理大臣 消費税を減税は考えておりません。

 そして、賃金に対する危機感。おっしゃるように、長年にわたって賃金が上がっていないということに対してどうあるべきなのか。先ほども、中長期的な、構造的な賃上げについて議論をしました。目先の物価に対する対応と、中長期的な、構造的な賃上げ、これは共に議論することが重要であると認識をしております。

大石委員 もう二十五年間このような状況にあるということを言っていて、そこに物価高が来て、そのような状況を言っているんですけれども、自民党の皆さんは、これは地元でどのような言い訳をされているんでしょうか。支持者の方にどのように言っているんですか。是非、自民党の中で闘って、消費税減税をかち取っていただけないでしょうか。

 れいわ新選組が主導して野党四党で提出した消費税五%減税とインボイス廃止法案、現在、これに乗らないと言っているのがほとんど自民と公明だけです。さっさと審議できるように力を尽くしてください。

 あと、立憲民主党の方向性にも危機を感じております。

 本日の予算委員会で、円安の原因である金融緩和をやめるべきだとおっしゃいました。しかし、円安で苦しくなるのは、そもそも、企業の海外進出を進めて国内生産がすかすかになり、輸入に頼り切っているせいです。そこに庶民の所得が減らされて、外国と景気格差が起こっているから、円安にもなるんです。

 だから、まずは国のお金で一人一人の所得を大幅に徹底的に増やす。批判するべきは、それをやっていない政府じゃないでしょうか。日銀の金融緩和頼みをやめて、さっさと庶民への財政出動をやらんかいと。そこでしょう。節約、緊縮財政を訴えている場合ではありません。

 もちろん、現状、このパネルでも述べたように、物価は上がっていますし、輸入品に頼った脆弱な経済である以上、国民には消費税減税と十分な給付金でその被害を直ちに償わないといけません。同時に、円安の今、自国での生産体制を回復できるチャンスにしなければいけない。

 岸田総理の所信表明の駄目なところは、フレーズとしてはやると言っているんですけれども、やはりやらないことです。

 この円安のときに自国の中小企業を更に海外に追い出す担当室をつくるの、やめてもらえないですか。グローバル資本家の犬にはすぐに退出いただきたい。

 さらに、岸田総理は、構造的に賃金を上げていくと言っています。これもうそです。

 政府がすぐに賃金を上げれるのは、国が決めることができる公定価格が存在する仕事です。介護、保育、看護師など。これらの医療、福祉業界では、今、人手不足が深刻で、二〇四〇年までに新たに百万人の人材が必要になってくる。どうやって人員を確保するんですか。大幅な賃上げ、すぐにできることです。

 例えば、介護でいうと、パネル六のとおりです。現状を見てください。

 介護士の現状、全産業平均と介護分野の月収の推移で、この数字はコロナの前です。介護職は月収八・五万円も低い。年収でいうと百万円の格差。これで続けられますか、現場の良心だけに頼って。

 岸田総理も、賃上げするとどや顔でおっしゃっているんですけれども、でも、この二月に賃上げしたのは一体幾らなんですか。月収九千円。しかも、それが全部に行き渡っていると思われますか。行き渡っていないんですよね。

 全国の介護職からこんな声が届いています。九月のものです。最低二十五万円、手取りでもらえるようにしてほしい。ほかにも、職員不足が二十年続いています、低賃金も二十年続いています。ほかにも、正直、この国は介護士のことをなめていると思います、日本、終わっています、このような声が寄せられています。

 そして、さらに、この九千円も、賃上げができていない上に、パネルの七のとおり、このような問題があります。

 介護職における賃上げの予算なんですけれども、国の負担が四分の一に減額されている。昨年度の補正予算から、今年度の予算で総理が激減させてきたんです。その差額を国民と地方に埋めさせるという、あり得ません。

 そもそも、介護の賃金格差をなくすために必要な国の負担、年二兆円です。これは二桁足りませんよ。こんな予算、よく提案して、通りましたよね。この国会の茶番に改めて抗議します。

 総理にお尋ねします。

 先ほどの介護職の怒りの声、この国は介護士のことをなめている、日本、終わっている、この声にどう答えますか。

岸田内閣総理大臣 政府として、賃上げ、すなわち分配、これが重要であるということは政権の当初から申し上げております。

 そして、介護を始めとする公的価格、国が責任を持って引き上げようという取組をスタートいたしました。

 そして、これは一部の分野の賃金を上げただけでは社会全体の賃上げにはつながらない、賃上げの機運を高めなければならないということで、政府としても、最低賃金の引上げから、賃上げ税制あるいは公共調達における賃上げ企業の優遇など様々な仕掛けを用意をした。そして、民間にも是非協力してもらいたいということで、今年、また来年に向けて、賃上げの機運をつくっていこう、この全体の引上げがあってこそ社会は回っていく、分配とそして成長の好循環が実現できると信じております。

 是非、こうした機運をつくることによって、賃上げに向けての取っかかりとしたいと思いますし、あわせて、中長期的な、構造的な賃上げを実現していきたいと考えています。

大石委員 機運とおっしゃいますけれども、先ほどの介護職の声で、二十年間低賃金が続いていると。その機運というのをいつまで待たされるんですか。八・五万円の差額があるじゃないですか。上げてきたといって、現状を見てくださいよ。お願いします。

岸田内閣総理大臣 介護を始めとする公的価格については、今年、この賃上げ、政府として賃上げの道筋をつくりました。是非、これを持続可能なものにしていきたいと考えています。

 しかし、社会全体としての賃上げがあってこそ、経済全体は好循環を取り戻すことができると思っています。そして、それがないと、持続可能な賃金の引上げは実現できないと考えています。

 是非、賃上げ、おっしゃるように、分配、大事です。その原資の成長と併せて、しっかり対応していきたいと思っています。

大石委員 やはりおかしいんですよ。だって、全産業平均と比べて介護職が八・五万円の月収の差額があって、これは公的価格だから国がすぐできるでしょう、人材不足だから、人員不足だから余計に賃上げが要りますよね、だから九千円ごときでは足らないし、国の予算をもっと減らしていますよねということを言っているんですけれども、やはりやる気のないお答えだということだけは確認いたしました。

 それから、もう一つ、学校の先生も減らされているということを言っておきたいと思います。パネルの八です。

 段階的に何か増やしているんだみたいなことを昨日の予算委員会でも答弁があったけれども、うそなんですよ。四月から、三千三百二人、公立学校の先生が減少しています。予算を削っているじゃないですか。少子高齢化がこの国の問題なんですよね。予算をつけないといけないですよね。減らしていますからね。

 介護や教育は一例です。この国では、必要な人件費をコスト扱いする間違った経済政策を続けてきました。すぐにやめなければいけません。

 統一教会のことを触れておきたいと思います。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔に。

大石委員 何か、五時過ぎで終わったら、やる気がないという話になっていたじゃないですか。

 統一教会の問題の本質は何か。これは、安倍元総理を始めとする保守を名のる政治家が、統一教会と結託してこの国の政策をゆがめ、法の支配をゆがめてきました。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、御発言中恐縮ですが、これにて大石あきこ君の質疑を終了いたします。

大石委員 テレビを見ている国民の皆さん、この国は二十五年間悪くなりっ放しです。必要なものは……

根本委員長 もう終了しております。

大石委員 終わります。

根本委員長 これにて大石君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十四日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.