衆議院

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第4号 令和4年10月24日(月曜日)

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令和四年十月二十四日(月曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 達也君    石井  拓君

      石川 昭政君    石破  茂君

      今村 雅弘君    岩屋  毅君

      衛藤征士郎君    奥野 信亮君

      金田 勝年君    亀岡 偉民君

      後藤 茂之君    後藤田正純君

      櫻田 義孝君    鈴木 隼人君

      薗浦健太郎君    田中 和徳君

      辻  清人君    土屋 品子君

      中根 一幸君    平沢 勝栄君

      古屋 圭司君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    山本 有二君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      おおつき紅葉君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    長妻  昭君

      西村智奈美君    馬場 雄基君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    吉田はるみ君

      渡辺  創君    阿部  司君

      赤木 正幸君    池畑浩太朗君

      掘井 健智君    守島  正君

      佐藤 英道君    庄子 賢一君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    鈴木  敦君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

      福島 伸享君    大石あきこ君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         寺田  稔君

   法務大臣         葉梨 康弘君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣         鈴木 俊一君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (復興大臣)       秋葉 賢也君

   国務大臣         谷  公一君

   国務大臣         山際大志郎君

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  加野 幸司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房経済安全保障推進室次長)     品川 高浩君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         村山  誠君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十四日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     石井  拓君

  平沢 勝栄君     櫻田 義孝君

  三谷 英弘君     薗浦健太郎君

  山本 有二君     石川 昭政君

  源馬謙太郎君     長妻  昭君

  吉田はるみ君     おおつき紅葉君

  池畑浩太朗君     守島  正君

  掘井 健智君     赤木 正幸君

  鰐淵 洋子君     佐藤 英道君

  斎藤アレックス君   鈴木  敦君

  宮本  徹君     宮本 岳志君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     衛藤征士郎君

  石川 昭政君     山本 有二君

  櫻田 義孝君     平沢 勝栄君

  薗浦健太郎君     三谷 英弘君

  おおつき紅葉君    馬場 雄基君

  長妻  昭君     源馬謙太郎君

  赤木 正幸君     掘井 健智君

  守島  正君     池畑浩太朗君

  佐藤 英道君     鰐淵 洋子君

  鈴木  敦君     斎藤アレックス君

  宮本 岳志君     宮本  徹君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  馬場 雄基君     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(社会情勢等内外の諸課題)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、社会情勢等内外の諸課題についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官加野幸司君、内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣府大臣官房経済安全保障推進室次長品川高浩君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、外務省大臣官房長志水史雄君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省大臣官房参事官宮本新吾君、外務省欧州局長中込正志君、厚生労働省労働基準局長鈴木英二郎君、厚生労働省雇用環境・均等局長村山誠君、観光庁次長秡川直也君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。薗浦健太郎君。

薗浦委員 おはようございます。自由民主党の薗浦健太郎でございます。

 先輩方の御配慮をいただいて、今日、こうして質疑に立つことができました。感謝を申し上げます。

 まず、総理、オーストラリア出張、お疲れさまでございました。

 近年、日本を取り巻く安全保障の環境が非常に厳しくなっている中で、米国のみならず、豪州、インドを加えたクアッドという枠組みが非常に重視をされ、そして関係が強化をされている。いわゆる経済の面だけではなくて、安全保障という大きなものを念頭に置いてこれをやっているということであります。

 その中で、やはり一番大事なのは、自分自身、日本自身がどうやって自分の国を守っていくかという観点に立って、その次に同盟の話があって、更にその次に国際環境があるということになるんだろうと思います。

 その中で、いわゆる、今、安保三文書、安全保障、それから防衛大綱、そして中期防の改定作業というものに入っておりますが、なぜ今なのかということと、それから、総理自身、この改定で何を目指しておられるのかというのを、まず最初にお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 我が国において初めて国家安全保障戦略が策定されたのは平成二十五年でありました。あれから約九年たつわけですが、その間の国際情勢の変化、また、様々な技術における変化、大きいものがあります。

 こうした変化を見ますときに、例えば、ミサイル技術の著しい向上、また、国際情勢においても一方的な現状変更の試みが深刻化しているということ、また、軍事バランスの急速な変化も見て取れます。また、宇宙、サイバーといった新しい領域や経済安全保障という議論、これも重要な議論として取り上げられております。こうした変化を考えますときに、我が国をめぐる安全保障環境、ますます厳しい状況にあると認識をしています。

 こうした中にあって、国民の生命財産、日本の主権をいかなる事態にあっても守り抜くために、委員御指摘のように、同盟国、同志国との関係、これももちろん重要ではありますが、何よりも我が国自身、抑止力、対処力、これを強化していくことが重要であるという認識に立っています。

 そうした認識に立ち、新たな国家安全保障戦略等を作成する中で、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、国民の命や暮らしを守るためには何が求められるのか、こうした現実的な検討を加速していきたいと思っています。そして、年末までに結論を出したいと考えております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 二〇一三年文書というのは、初めて積極的平和主義という言葉を掲げ、三つの基本原則によって成り立っています。一つは今総理自身がおっしゃられた我が国自身の防衛努力、そして同盟国との連携、そして国際環境、この順番であります。

 今日は、この三つの中で、それぞれお伺いをしたいんですけれども、まずは、我が国自身の防衛努力、今総理もおっしゃいました宇宙、サイバーという考え方。

 古くは、制海権という言葉があるように、海、海上優勢を取るのが非常に大事であると言われて、さきの大戦から、制空権、いわゆる航空優勢をいかに確保するかということになってきた。

 今、ウクライナの例を見るまでもなく、新しい分野、我々が宇サ電と呼んでいますけれども、宇宙、そしてサイバー、さらには電磁波という新しい領域が出てきました。

 言うまでもなく、宇宙は、空から我が方を見る。サイバーに関して言うと、自衛隊の能力だけではなくて、我々の国民生活の基本となる重要インフラ、これをどうやって守るかというのにもつながっていく。電磁波は、今、通信網、これをどうやって守るかというだけではなくて、更に言えば、我が国目がけて飛来をするミサイルとか敵のドローン、こうしたものを電磁波を与えることによって無力化する研究も進んでいます。

 こういう新しい分野にどう取り組んでいくかというのは今から極めて大事な中で、まずは宇宙に関して申し上げると、やはり、日本に向かってくる様々なものを、宇宙から艦艇等々を把握をし、それをリアルタイムで我が国が情報を得て、そして、我が国が反撃若しくは自衛力を行使したときに、果たしてきちっと当たったのかどうか、こういうものを判断するために宇宙能力というのは極めて大事。

 つまり、リアルタイムで状況を把握するシステムというのを我が方は構築しなければならないと思っていますけれども、今の状況と今後について防衛大臣にお伺いをしたいと思います。

浜田国務大臣 我が国周辺における各国の艦艇などの活動が活発する中、防衛省としては、様々な手段を適切に活用し、隙のない情報収集体制を構築することが不可欠だと考えております。

 その一環として、画像情報の収集体制強化の観点から、多頻度かつ適時性を持った情報収集を可能とする小型衛星コンステレーションによる画像の取得を進めているところであります。

 引き続き、年末に向けて新たな国家安全保障戦略の策定をしていく中で、委員の御指摘も踏まえ、情報収集体制の在り方を含めた情報機能の抜本的強化について、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討を進めてまいりたいと考えております。

薗浦委員 ありがとうございます。

 他方、中国は、いわゆるSAR衛星、SARをたくさん持っていて、今、四十分に一回、我が国上空をいろいろな衛星が通過をしています。要は、こちらが中国の奥まで見れないのに、向こうは日本を全部見れるという状況がある。やはり、こっちが見れて向こうが見れないというのが有利なのは言うまでもありませんけれども、こっちが見れなくて向こうは見れるという状況は何とか改善をしなきゃいけない。

 我が方を見られないようにするために、いわゆる衛星のジャミング含めて、これを、見られている状況を対抗していく措置、こういうものも研究しないといけないと思っているんですけれども、そこについても防衛大臣にお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 御指摘の監視能力の向上を含め、各国は宇宙空間において自国の軍事的優位性を確保するための能力を急速に開発していることはおっしゃるとおりでございます。

 このような状況を踏まえ、防衛省としては、宇宙空間の状況を地上及び宇宙空間から常時継続的に監視する体制を構築するとともに、電磁波領域と連携して、相手方の指揮統制、情報通信を妨げる能力の構築を図っているところであります。

 引き続き、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題意識の下に、宇宙分野においてもあらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速して、年末までに結論を出す所存であります。

薗浦委員 ありがとうございます。

 宇宙の次はサイバーということになるんですけれども、サイバーについて二つ提案をしたいと思っています。

 一つは、今、我が国はいろいろな役所がサイバーを担当していて、省庁もそれぞれサイバー担当がいて、やはりこれは諸外国のように権限を一元化するべきではないか。つまり、司令塔機能を強化するべきではないかということを中心にして、抜本的にサイバーにかける人、物、そして予算というものを強化していかなければならないと思っています。

 サイバー先進国のイスラエル、ここを見てみると、ベールシェバという砂漠の町に、いわゆる軍だけではなくて、研究所、それから民間の開発機関、大学、そしてそれに伴う民間企業、これを集積をさせて、ありとあらゆるサイバーに関する情報交換がここで行われるようになっていて、イスラエルは飛躍的にこの能力を伸ばしました。イスラエル大使は、私、旧知の仲で、先週もこの件についていろいろ話をしたんですけれども、イスラエル側は、日本に全面協力しても構わないと言ってくれている。

 したがって、日本もイスラエルに倣って、こういう機能、いわゆる集積機能を設けるべきではないか。例えば横須賀なんかは適地だと思いますけれども、これが一点。

 そして、もう一つは、アクティブサイバーディフェンスと呼ばれるものです。

 つまり、このサーバーから、この相手が我が方に向かってサイバー攻撃、サイバーアタックをやってくる、やっているというときに、それをどこがやっているのかということをきちっと把握をする。捜査。

 そして、被害が拡大をする前にこれを抑止をする。いわゆる警察で言うところの制止機能。警察官の場合は職務質問それから制止というのは正当業務行為で認められています。これをサイバーの範囲にも持ち込んで、つまり被害が拡大しないように我が方はこれに対して制止措置を取る。

 このアクティブサイバーディフェンスの検討というのも極めて大事だと思いますけれども、以上の二つについて、サイバー大臣にお伺いをしたいと思います。

谷国務大臣 お答えいたします。

 昨今の様々な情勢を踏まえますと、様々なものがサイバー攻撃の標的になっているところであり、サイバー空間における脅威は大きく高まっていると認識しております。深刻化するサイバー攻撃に対処するためには、関係省庁間、官民間、国際間の情報共有の推進を始めとする連携協力体制の強化や、それらを通じた対処能力の向上により、国全体で包括的に取り組むことが重要であると考えております。

 司令塔機能の強化とアクティブサイバーディフェンスについて御指摘をいただきました。仰せのとおり、大変重要な御指摘だと考えており、これらにつきましては、新たな国家安全保障戦略等の策定のプロセスの中であらゆる選択肢を排除せずに検討しているところであり、現時点で結論について予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、サイバーセキュリティー担当大臣として、サイバー分野の安全保障政策の強化について、政府内の議論をしっかりと御指摘の点を踏まえて進めてまいりたいと思います。

薗浦委員 サイバー分野は、もちろん安全保障の観点からも極めて大事。その安全保障の概念には、例えば、重要インフラであるとか、我々がふだん使っているIoT、スマホに代表されるような様々な機器も含まれる。要は、国民生活に非常に多大な影響を持っているということでありますので、是非、大臣には前向きに今のお話を進めていただければと思っております。

 さて、最後に、宇宙、サイバーと来て、電磁波についてお伺いしますけれども、中国は、急速に電磁波の能力、質、量、そして物、そしてお金、予算共に急速に能力を高めていて、いろいろな話をお伺いすると、米軍もしのぎつつあるということを伺っています。

 今回、ロシアによるウクライナ侵攻の例を見てみると、二〇一四年のとき、要は、ウクライナは通信機器がロシアの電磁波で全部やられ、お互い、部隊間同士どころか司令部からも連絡が行かなくなった。二〇一四年からウクライナは、いわゆるマイクロソフトを始めとする様々な企業と連携をして、電子戦、サイバー戦の能力を高めた結果、今回はきちっと連携が取れていて、連絡も取れている。

 さて、我が自衛隊はどうなっているのかということを考えたときに、やはり自衛隊もこの能力を持つべきではないか。さらには、我が国は島国ですから、空から飛来するドローン、若しくは、最近大きな問題になっています弾道ミサイルを含めたミサイルディフェンスの観点からも、次の電磁波の研究を進めるべきではないかと思いますけれども、防衛大臣にお伺いをしたいと思います。

浜田国務大臣 電磁波は、従来から指揮通信、警戒監視などに使用されてまいりましたが、技術の発展によって、その活用範囲や用途が拡大をし、現在の戦闘様相における攻防の最前線として、主要な領域の一つと認識されております。

 こうした中、防衛省としては、今後の厳しい電子戦環境に対応していくために、通信、レーダー妨害能力の強化、そしてまた、F35などの電子戦能力に優れた装備品の取得、そして、電子戦部隊の配備等の体制整備といった電子戦能力の強化や、ドローンを用いた飽和攻撃に対処するために、指向性エネルギーといった将来の研究、そしてまた、限られた電磁波を有効利用し、干渉しないよう調整等を行う電磁波管理の機能の強化などに取り組んでおります。

 引き続き、年末に、新たな国家安全保障戦略の策定に向けて、電磁波領域における能力の強化についても現実的かつ実効的な検討を進めてまいりたいと思っているところであります。

薗浦委員 大臣、ありがとうございました。

 中国で、習近平国家主席三期目がスタートをいたしました。閣僚トップセブンの人選等々、これからいろいろ見極めて、我が国がこれからどうやって中国とつき合っていくか、これは少し時間がかかるんだろうと思いますけれども、十六日に中国共産党中央委員会報告というのが行われました。この中で、安全保障に関して幾つか気になる報告が国家主席から行われた。

 一つは、人民軍隊を早期に世界一流の軍隊に築き上げる、早期に。つまり、二〇三五年とか二〇四九年にアメリカに対抗できるようにするのだという目標を前倒ししている。

 二つ目には、機械化、情報化、智能化の融合発展、さらには、無人、智能化した戦闘力の強化ということを言っています。これ、智能化って何ですかと、AIです。要は、今お話をお伺いした宇宙、サイバー、電子戦の次に来ると言われているAI、人工知能ですね。それに伴うアルゴリズムの開発や次世代ネットワーク、ドローンを含みます無人化技術の進展、これを軍事力として使うと堂々と宣言をしました。

 さらには、軍事力の常態化した運用をやると。要は、常に軍隊を展開し、さらには紛争そのものを中国がコントロールするという宣言をしています。

 次のステージに入ったと認識をし、我々が対処しなければならないのはそこですよということで、これからの三文書というものを検討し、作っていかなければならないと思いますけれども、特に、大綱、中期防における装備品を含めた在り方について、防衛大臣にお伺いをしたいと思います。

浜田国務大臣 中国が軍事力を急速に強化するなど、我が国の安全保障環境が一層厳しさを増す中、AIや量子技術といった急速に進展する民生の先端技術は、従来の戦闘様相を一変し得るものと考えられております。

 五年、十年、二十年先の脅威もしっかりと見据え、防衛省独自の投資拡充や政府の研究開発成果の積極活用等によって、防衛イノベーションや画期的な装備品を実現するための研究開発が極めて重要だと考えております。

 防衛省としては、新たな国家安全保障戦略の策定の中で、こうした研究開発の強化についても、防衛力の抜本的な強化の観点から、現実的な検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 今まで質疑をしてまいりました様々な防衛力整備をやるに当たっては、やはりきちっとした予算を取らなければならない。今、いろんな議論がにぎわしていますけれども、いわゆるほかのものもいろいろ入れて、膨らまし粉じゃないけれども、そういうものも入れて、これだけの予算になりましたよというのではなくて、中身をしっかりとつくり込んで、必要なものはちゅうちょなく確保するということでやっていただきたい。これはお願いをしておきたいと思います。

 次に、自分のことを強化した中で、同盟国との連携の強化ということになります。

 先般、アメリカが新しい国家安全保障戦略を公表いたしました。その評価を外務大臣にまずお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 今般アメリカが公表いたしました新たな国家安全保障戦略ですが、国際社会が直面しているいろんな戦略的な競争、触れていただきましたけれども、また、各国に共通の地球規模課題、こうしたものに対して、アメリカがリーダーシップを取りながら、日本を含む同盟国、同志国と連携しつつ対応していく考えを示しております。

 さらに、自由で開かれたインド太平洋の推進や、米国の戦略文書において初めてとなります尖閣諸島に言及した形での、日本防衛に対するアメリカの揺るぎないコミットメント、これを再確認しておりまして、政府として高く評価しております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 同盟国との連携というと、今まではどちらかというと自衛隊が主眼だったということもありますけれども、今、経済安全保障という概念が、日米、同志国の中で共有されるようになっている。要は、安全保障の概念が経済とか技術とかの分野にも広がってきたということだろうと思います。

 もちろん、一番大事なのは、我々自身が経済力を高めて、技術を開発をして、そして国力そのものを高めるということ。その上で、やはり同盟国と連携をする。

 何でこれが大事かというと、今、装備品一つを取っても、それから民間の技術開発一つを取っても、研究開発費が非常に高騰していて、いわゆる国際連携による物の開発というのが官民問わず非常に大事になってきている。

 そんな中で、やはり、他国から見たときに、日本に技術情報を渡したら漏れちゃうよということでは、我々にその情報をなかなか渡してくれない。我々自身も、もちろん、日本が開発した技術情報、防衛装備品の技術流出もあれば、もっと言うと、苦労して開発をした果物の種の情報が、他国でいつの間にか作られているということまで、やはり守るべきものは守っていかなきゃいけない。

 そんな中で、日本がやはり技術流出の拠点にならない、技術流出させないようなプログラムをつくらなきゃいけないと思うんです。

 アメリカは、NISP、国家産業安全保障という概念に基づいてプログラムをつくって、民間企業の機密だけではなくて、公開している情報、保護をしなければならない公開情報まできちっとやるようにしています。

 日本も同様のプログラムをつくらなきゃいけないと思っているんです。なぜならば、日本にはこのプログラムがないから、なかなか官民のニーズに対応できていなくて、日本の技術屋さんが苦労しているという場面が幾つか出てきている。

 そんな中で、やはり経済安保を考えると、日本も技術流出を防ぐためのプログラムを、官だけではなくて、民のニーズにも応えてつくるべきだと思いますが、高市大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 日本の技術的な優越性を確保するためにも、この技術流出対策というのは非常に重要でございます。

 薗浦委員がおっしゃいました米国の国家産業セキュリティープログラム、NISPというのは、政府と契約関係にある民間企業などに秘密情報を提供する際の情報保全に関して、大統領令によって定められています。また、秘密指定されていないものの、一般市民の方々への情報公開が原則的に制限されるCUIについても、大統領令について、別途の管理基準がアメリカ政府部内で設けられております。

 このアメリカの制度なども参考にしながら、企業からのニーズも踏まえながら、官民全体を視野に入れて、技術流出防止に向けて望ましい制度の在り方を速やかに検討してまいります。

薗浦委員 プログラム、是非検討していただきたいと思っています。

 そのプログラムをつくるに当たって、やはり、締めるだけではなくて、必要な人はきちっとアクセスできなきゃいけない、それがセキュリティークリアランスという考え方で、我が国にはこれがありません。

 今、民間の方々からいろいろ話を聞いていますと、今大臣がおっしゃったCUI、公開をしているんだけれども、一定の人にのみ公開をしている情報の中に、例えばIoTの機器の脆弱性情報がある。これは日本の企業はアクセスできない。どうしているかというと、アメリカ側に経産省なりなんなり日本側が頼んで、そしてそこで入手をして、そしてそれから民間企業に行くという、そのタイムラグの間は世界の中で日本のIoT機器だけが穴になりかねないということが起こっている。

 例えば、アメリカとかオーストラリアと共同研究をしていますよという企業の人たちは、今、苦労して向こうのセキュリティークリアランスを取って、それで向こうに行って仕事をしています。

 もちろん、日本でしか通用しないクリアランス制度じゃ意味がなくて、これを取ったら世界どこでも通用するよというクリアランス制度をつくっていかなければならないと思いますけれども、大臣、これについてはいかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 経済安全保障推進法の附帯決議にも書いていただきましたので、今、様々な方々の御意見を伺っております。例えば、具体的にどのような場合にセキュリティークリアランスを求めるのかということについて、民民の場合もありますし、官官の場合もありますし、官民の場合もありますから、様々なパターンを今見ていっております。

 このクリアランスという制度の性質上、検討すべき論点は多々ございますけれども、私は、この議論を前に進めて是非制度化したいと、強い思いを持っております。

 さらには、委員おっしゃいましたように、G7やクアッドなど、同志国、友好国との間で話合いを進めて、互いに求めているセキュリティークリアランスやバックグラウンドチェック、こういったもののレベルを確認し合って、できれば標準化していくような取組ができれば望ましいんだろうと思います。

 日本の研究機関それから日本の企業が、海外との共同研究ですとか、それから政府の調達、外国政府の調達、それから外国企業との取引、こういったものから締め出されないように、また、日本も相手に求めるセキュリティーというものがありますから、しっかりとそれが守られるような環境をつくりたいと、ちょっと高い志を持たせていただいております。

薗浦委員 大臣、御就任前は経済安保本部の本部長でいらっしゃいました。是非これを進めていただきたいと思います。

 最後に、国際ルール、国際状況についてですけれども、今、最初に総理がおっしゃられたように、ロシアによるウクライナ侵攻とか、我々が戦後大事にしてきた、例えば法の支配とか、人権の尊重、自由貿易、航行の自由といった概念が、下手をすると揺らぎかねないところに来ている。日本は、それを守る方、国際秩序を守る方の立場で戦後ずっと一貫してやってきた。僕は、今後もそうじゃなきゃいけないと思っています。

 そんな中で、我々が提唱した自由で開かれたインド太平洋という概念が、今、概念としては世界に広まって、じゃ、具体的にこれから何をやっていくんだということに、今、そういうステージに来ているんだと思います。

 来春までにこの自由で開かれたインド太平洋の新しいプランが出るというふうにお伺いをしておりますけれども、今後これをどうやって展開していくのか、外務大臣にお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 これはもう委員御承知のとおり、安倍元総理が提唱され、菅内閣、そして岸田内閣でも引き継がれておりますFOIP、これは日本外交の柱であります。委員も、外務副大臣、また総理補佐官として、欧米、東南アジア、太平洋島嶼国を含む数多くの国を訪問していただいて、FOIPの実現に向けて大いに貢献されたというふうに承知をしております。

 今御指摘があったように、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を真っ向から否定する動きが堂々と行われている、こういう状況の中で、幅広い国際社会のパートナーと協力して、自由で開かれた国際秩序を維持強化していくことがかつてなく重要でございます。そういう意味で、新たな切り口からの取組を含めて、オール・ジャパンで臨んでいかなければならないと思っております。

 具体的には、総理が今年六月のシャングリラ・ダイアログで御表明されたように、巡視艇供与、それから海上法の執行能力強化、今日御議論していただいたサイバーセキュリティー、デジタル、グリーン、経済安全保障、こういった分野に重点を置きながら、新たなFOIPプランを来年春までに発表するべく、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

薗浦委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて薗浦君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道でございます。

 初めに、岸田総理に、新型コロナウイルス対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 新型コロナウイルスを含め、感染症に強い国をつくることは政治の責任であります。これまで以上に感染症のパンデミックから国民の命と暮らしを守るため、これまでの知見や経験を生かしながら、感染症に備えた万全な体制の構築を強く求めます。

 まず、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行対策について伺います。

 今年の秋冬は、コロナとインフルエンザの同時流行で最大で一日七十五万人の感染が懸念されており、ワクチン接種の推進が極めて重要であります。まず、オミクロン株対応のワクチン接種を年内に着実に完了するため、政府は国民に対し、ワクチンの接種について丁寧かつ積極的に情報提供を行うべきであります。

 特に、新たなBA・5対応のワクチンが十月十三日から利用開始されたことによる、BA・1対応のワクチンの接種控えが起きないようにすべきであります。BA・1対応のワクチンはBA・5対応のワクチンと同等の効果があることは、テレビやラジオ、SNSなどを活用し、国民に広く発信をしていただきたいと思うのであります。

 さらに、新型コロナとインフルエンザのワクチンの同時接種について、安全性や有効性に不安をお持ちの方も少なくありません。是非、総理から国民の皆様に丁寧に御説明をしていただきたいと思うのであります。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、オミクロン株対応ワクチンの接種や、インフルエンザワクチンとの同時接種について、有効性や安全性を国民の皆さんに対して丁寧に説明していくということ、これは大事なことであると認識をしております。

 オミクロン株対応ワクチンについては、BA・1、そしてBA・4、5といったオミクロン株の種類にかかわらず、オミクロン株成分を含むことで従来ワクチンを上回る重症化予防効果等があることや、今後の変異株に対してもより高い効果が期待されている、こうしたことを説明していかなければならないと思います。

 また、インフルエンザワクチンと同時接種については、それぞれを単独で接種した場合と比較して、有効性や安全性、これは劣らないということも報告をされています。

 政府として、こうしたオミクロン対応ワクチンの効果等について、SNSやテレビCMなど様々な媒体を使って、今後とも更なる情報発信に努めていきたいと思います。

 私としても、このワクチン、三か月が経過したらできる限り早く、オミクロン株対応ワクチン、接種したいと考えております。

佐藤(英)委員 是非、引き続き情報発信に努めていただきたいと思います。

 子供たちの感染対策も極めて重要であります。

 本日から始まった、生後六か月から四歳向けのコロナワクチン接種については、接種をちゅうちょしてしまう保護者の方もいらっしゃいます。生後六か月から四歳向けのワクチンの安全性について、科学的な根拠を含め、丁寧に説明をしていただきたいと思います。

加藤国務大臣 生後六か月から四歳までの乳幼児用の新型コロナワクチンについて、関係審議会で、治験で報告された副反応の頻度、どれだけの回数が起きるかは、ワクチンを接種した方と、プラセボといってワクチン以外のものを接種した対象者では大きな差がないということ、また、発熱などの副反応のほとんどは軽度又は中等度ですぐに消失する傾向にあることから、安全性に重大な懸念は認められないとされ、薬事承認をされたところであります。

 その上で、今度は予防接種としてやるかということについてまた審議会で御議論いただき、乳幼児用のワクチンを予防接種法上の臨時特例接種に位置づけることといたしました。

 臨時特例接種は原則として努力義務ということになっていますが、例外として設ける場合がありますが、この乳幼児用についても、新規感染者全体のうち十代未満の小児が占める割合が二割を占めているということ、それから、十八歳未満での重症、中等症患者に関する年齢別割合を見ますと五歳未満が約六割を占めるということで、乳幼児における感染症蔓延が見えるということ、こうしたことから、これについては例外ではなく努力義務とさせていただいたところでございます。

 そういった背景や安全性、こうした情報を、科学的な根拠を含めて、国民を始め、国民の皆さんに分かりやすく、リーフレット、ホームページのQアンドA、また、専門家等のお力もかりながら、しっかり説明していきたいと思います。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

佐藤(英)委員 是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

 大変うれしいことに、厚生労働省はこのほど、新型コロナとインフルエンザの二つの感染症を同時に調べることができる検査キットを三千八百万回確保したと伺いました。新型コロナなのかインフルエンザなのかを症状だけで見分けるのは難しく、同時検査キットの確保はとても重要であります。

 こうした中で、政府は、十三日に発表した同時流行対策では、中学生から六十四歳の重症化リスクの低い方には、発熱しても、基本的に自宅などでコロナ検査キットによる自己検査を求められております。

 コロナウイルスとインフルエンザを同時に調べることが可能な抗原検査キットを、コロナ単独の抗原検査キットのように薬局やインターネットで購入し自宅で使用できるようにすべきと考えますが、御見解を伺います。

加藤国務大臣 まず、今、新型コロナの検査キット、これは、簡易なものについてはOTC化をして、インターネット等で入手できるようにしました。

 この背景には、濃厚接触者の待機期間の短縮等に活用が可能であるということ、また、限りある医療資源を重症化しやすい方に集中するため自己検査を推進する必要があったことなどから、本年八月からそうした対応を取らせていただいているところでございます。

 現在、今委員御指摘のように、同時流行に備えて、まずキットの確保が必要だということで、先ほど申し上げた新型コロナの検査キットについてしっかりやっていただくと同時に、コンボ型というんですが、コロナとインフルを同時に検査できるものについて、発熱外来でしっかり使っていただく量をまず確保していかなきゃいけない。これにまず力を入れさせていただいています。

 仮にこのコンボキットをOTC化する場合には、発熱外来での必要量を超える一定程度の数の確保が必要ですけれども、この冬の対策として、供給量の観点から、なかなかそこは難しいのではないかなという判断をしています。

 しかし一方で、同時検査キットを含むインフルエンザキットのインターネット販売化について、様々な御意見もあります。それらも踏まえながらしっかりと検討はしていかなきゃならないというふうに考えておりますが、まずは新型コロナの簡易キット、そしてコンボキットを発熱外来でしっかり用意をしていただく、まずそうしたことをしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

佐藤(英)委員 コロナと季節性インフルエンザの同時流行は、今年の秋冬だけではなく、来年以降も考えられることでありますので、是非検討していただきたいと思います。

 公明党は、去る十月十二日、松野官房長官に新型コロナ対策に関わる緊急要請を行い、今後、我が国を感染症に強い国とするには、ワクチンや治療薬の国内での開発、生産体制の整備が極めて重要だと訴えさせていただきました。

 新たな感染症が蔓延した際、迅速にワクチンや治療薬を確保することができれば、国内はもとより、他の国々の感染症対策にも大きく貢献することが可能となります。

 総理、日本は、感染症対策で世界をリードすることを目指すべきであります。国内でのワクチンや治療薬の開発、生産体制の構築に向けた政府の取組と支援について、スケジュール感も含めた具体的なお考えをお聞かせください。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 詳しくは厚生労働大臣から答弁をさせますが、新型コロナの治療薬については、有力な治療薬の我が国での実用化に向け重点的に支援をしてきており、次の感染症危機に対する治療薬についても、引き続き、厚生労働省及びAMEDによる研究開発支援を続けてまいりたいと考えております。

加藤国務大臣 具体的な取組について、少しお話をさせていただきたいと思います。

 一つは、新型コロナワクチンに関しては、国立研究開発法人日本医療開発機構、いわゆるAMEDの事業を通じて研究開発支援をまず行っております。

 また、厚労省においては、有効性を検証する臨床試験の実施費用に関する補助、生産体制の整備に関する支援のほか、国内企業が新型コロナワクチンの開発に成功した場合の買上げに係る予算措置、こうしたことをさせていただき、また、次の感染症危機を見据えたワクチンの開発、生産については、ワクチン開発・生産体制強化戦略を作り、それに基づき、本年三月に、AMEDに先進的研究開発戦略センター、SCARDAを設置する。

 また、先月三十日には、経済産業省において、デュアルユースの、要するに、平時には普通の生産をして、有事になったらワクチン製造に切り替えていただくワクチン製造拠点などを決定したところと承知をしております。

 また、新型コロナの治療薬については、実用化支援事業を通じて有力な治療薬の我が国での実用化を重点的に支援をするとともに、開発に成功した場合の買上げに係る予算措置を行い、また、AMEDの事業を通じて研究開発も支援をさせていただいております。

 新たな感染症危機に対する治療薬についても、引き続き、厚生労働科学研究による政策研究やAMEDの新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業というのがございますので、それらを通じて国内における研究開発の支援を行い、ワクチン、また治療薬、それを世界に先駆けて日本が開発し生産ができる、こういう体制をしっかりと築いていきたいと考えております。

佐藤(英)委員 是非よろしくお願い申し上げます。

 次に、賃上げ対策についてお伺いをしたいと思います。

 我が国では、長年にわたって、大きな賃上げは実現しておりません。経済成長とともに、持続的な賃金上昇の実現は、我々に課された大きな課題でもございます。加えて、足下では国際情勢の悪化を受けた物価の上昇も見られ、賃上げを推し進めていくことは喫緊の課題であります。

 総理は、所信演説で、物価高が進み、賃上げが喫緊の課題となっている今こそ、正面から果断にこの積年の大問題に挑み、構造的な賃上げの実現を目指しますと力強く表明されました。

 構造的な賃上げの実現に対する総理の御決意を伺います。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、目の前のこの物価高騰に対して賃上げの実現をすること、これは大変重要なことであると思います。

 ただ、これを中長期的にも持続させなければならない、こうしたことから、構造的な賃上げが重要である、こうしたことを申し上げさせていただいております。賃上げが高いスキルの人材を引きつけ、それが企業の生産性の向上につながり、そして、それが次の賃上げ、更なる賃上げにつながる、こうした好循環の実現を目指さなければならないと考えております。そのために、リスキリングを始めとした人への投資への支援、これを強化し、労働生産性の向上と賃上げにつなげていくとともに、希望する労働者が主体的に成長分野の企業、産業に移動できるようにしてまいります。

 こうした好循環を実現していくため、賃上げと労働移動の円滑化、そして人への投資、この三つの課題、一体的に改革を進めていく。こうしたことから、労働移動円滑化に向けた指針、これを来年六月までに取りまとめるとともに、リスキリングを始めとした人への投資の支援、五年間で一兆円のパッケージ、こうした形で抜本的に強化をしてまいります。

佐藤(英)委員 持続的な賃上げを実現するためには、多くの人への学び直しの機会の提供や、その取組を進める企業、特に中小企業への手厚い公的な支援も不可欠であると考えております。また、デジタル分野のような成長分野に重点を置いて教育訓練給付や求職者支援制度を拡充し、個人の学び直しを後押ししていくなど、人への投資も抜本的に強化をすべきと考えます。

 総理は、所信演説で、個人の学び直しやリスキリングへの公的支援について、五年で一兆円のパッケージに拡充することを表明されました。働く人の持続的な賃上げを実現させるために、どのような施策をこのパッケージに盛り込んでいるのでしょうか。その具体的な中身についてお伺いをさせていただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、人への投資のパッケージ、抜本強化いたしますが、まずは、具体的に、今月まとめる総合経済対策において、三本柱で施策を拡充していきたいと考えます。

 まず第一に、企業間、産業間の労働移動の円滑化に重点を置いて、訓練後に非正規雇用を正規雇用に転換する企業、あるいは転職、副業を受け入れる企業への支援を新設、拡充いたします。要は、労働者を受け入れる側の企業の支援であります。

 そして第二に、在職者のキャリアアップのための転職支援として、民間専門家に相談してリスキリング、転職までを一気通貫で支援する制度を新設いたします。要は、労働者御自身に対しての支援ということであります。

 そして第三に、社員の訓練等を支援する企業への支援金の補助率引上げなど、企業による社員のリスキリング支援を強化する。これは、従来から社員の能力向上に取り組んでいる企業に対する支援を厚くするということであります。

 こうした政策の抜本強化に加え、先ほど述べた労働移動円滑化に向けた指針の策定を通じて、持続的な賃上げを実現してまいりたいと考えます。

佐藤(英)委員 是非、確実に実現できるように、大いに期待を申し上げたいと思います。

 次に、農林水産業の対策であります。

 私の地元北海道は農林水産業が基幹産業であります。飼料や肥料、燃料の高騰などで深刻な影響が出ております。中でも、酪農は、穀物の価格上昇により配合飼料の価格や購入粗飼料の価格も高騰し、生産コストが上昇、酪農経営には深刻な影響が出ております。

 この度措置した予備費による国産粗飼料利用拡大緊急酪農対策には、北海道の酪農の方々も大変に感謝をされております。しかし、この対策は乳価の改定が行われる十一月までとされておりますが、是非、生産者の方々が安心して営農できるよう、十一月以降についても十分な酪農への対策を取っていただきたいと思います。

 十一月以降の対策について、お考えをお聞かせください。

野村国務大臣 佐藤委員の質問にお答えを申し上げたいと思います。

 配合飼料等の価格の高騰によりまして、酪農だけではなくて、牛もそうですし、豚も鶏も、全ての畜産の経営者が大変困っておられます。今、御質問の中でもありましたように、政府としては、この緊急対策を、何とかして今を乗り切ろうということでございまして、九月の予備費において、配合飼料価格の高騰対策を打ったところでございます。

 今御質問にありましたように、委員御指摘のように、もう御存じのとおり、飼料価格というのは四半期ごとに決めておりますので、十―十二月期も、上がったのでありますが、これをその前の第二・四半期と同額ということで国から対策を打ったわけでありますが、幸いにしてといいますか、指定団体の皆さんとメーカーが交渉しまして、この十一月から十円上がるということになりました。

 これは大変すばらしいことで、いわばそういった形で価格に転嫁をしてきたわけでありますけれども、まだまだ、しかし、需給ギャップはなかなか詰まりません。現在、北海道の生産者、それからメーカーが一体となって、基金を積みながら、もう少し何とかできないかということで、特に加工品でありますところの乳製品の在庫を積み増ししないようにということで、対策を自ら今やっておられます。

 したがいまして、我が省としても、どのような支援が可能なのか、総理の指示も受けながら、現在、検討を進めているところでございます。

佐藤(英)委員 農林水産大臣、大いに期待しておりますので、よろしくお願いします。

 最後に、観光対策の中でも外国船のクルーズについて、国土交通大臣に伺います。

 外国船クルーズの寄港は一年間で約一千三百三十億円の地方経済効果があり、大変重要であります。まさに観光は地方創生の要でもあります。現在、業界団体が取り組んでいるガイドラインがいつ頃できるかが今後の外国船クルーズのポイントであると伺っておりますが、国土交通省にも来年の国際クルーズに影響が出ないように全力で取り組んでいただきたいと思いますが、国土交通大臣の見通しと取組についてお伺いします。

斉藤国務大臣 御指摘のガイドラインにつきましては、今月十一日から水際対策が緩和されました。それを受けまして、外国クルーズ船社の業界団体である日本国際クルーズ協議会において、現在、作成に向けた議論が行われております。その協議会に向けまして、早期にガイドラインを作成していただきたいということで、国土交通省としても必要な情報提供や助言を行っているところでございます。

 引き続き、協議会と緊密に連携し、早期にガイドラインを作って、来年のクルーズ船操業が実現できるように、国土交通省としても全力を挙げていきたいと思っております。

佐藤(英)委員 時間が参りました。ありがとうございました。

根本委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。立憲民主党、長妻昭でございます。

 今日は、北海道四区のおおつき紅葉さんがパネルの御協力をしていただきます。

 この間、立憲民主党は、統一教会、旧統一教会の被害者、家族、二世の方、相当な方にお話をお伺いしました。私は、直接私もお伺いしましたけれども、愕然といたしました。こんなことがこの日本で行われていいのかと。

 しかも、これからも旧統一教会が税の優遇を受けていいのかと強い疑問を持っているんですね。国民の税金なんですよ。ありていに言えば、国民の税金が間接的に補助されていると同じなんですね、総理。強い問題意識を持って、今日また質問をさせていただきます。

 総理は、解散命令請求の要求の要件の一つ、法令違反ということについて、民事も認められました。とすると、これまで民事の責任が認められたのは何件ぐらいあるんですか。

岸田内閣総理大臣 民事の責任、旧統一教会に関連しまして、民法七百九条に基づいて不法行為責任が認められた事案については、所轄庁であります文部科学省において承知している限り、二件であると承知しています。そして、文部科学省においては、その他、判決として確定した民事訴訟を二十件把握していると承知しており、全て使用者責任が認められた事案であると聞いております。

長妻委員 そうすると、総理は参議院の予算委員会で、不法行為の中の、七百十五条、民法、使用者責任も法令違反に含まれると。これは明確に答弁されておられるので、そういう意味では、法令に違反というここの部分の要件、ほかにも要件はあるんですが、法令に違反ということでいうと、二十二件というふうに政府は把握されているということですね。

岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、民法という観点で判断した訴訟、二十二件と文部科学省においては把握しております。

長妻委員 いや、私が質問したのは、その二十二件というのは、七百九条の民法の不法行為、及び使用者責任、民法七百十五条、合わせて二十二件ということですが、これが、宗教法人法の解散命令請求の条文にある、法令に違反というのが要件の一つですけれども、これに当たる判決ということで二十二件ということでよろしいんですねということです。

岸田内閣総理大臣 今言った判決と併せて、今進めようとしております報告徴収、質問権の行使によって得られた事案等、これらを併せてその悪質性、継続性等を判断する、そして組織性を判断する、こうしたことによって手続を進めていくべきであると考えております。

長妻委員 ちょっと不明確な答弁なんですが、これはちょっと重要なことなんですね。

 確かに総理は、不法行為そのもの、イコールとはおっしゃっていないんですね。組織性、悪質性、継続性、こういう修飾語がついています。そうすると、二十二件というのは、総理がおっしゃる組織性や悪質性、継続性など、これの当てはまる不法行為、これが二十二件ということでよろしいんですね。

岸田内閣総理大臣 今申し上げましたのは、今の時点において訴訟等を通じて把握している案件についてということであります。

 先ほど申しました組織性、悪質性、継続性を判断するのは、そうした今把握している事案と併せて、これから行われる報告徴収、質問権の行使によって得られた事実、これらを併せて全体として組織性、悪質性、継続性を判断する、そしてその上で手続を進めていく、こうしたことを申し上げております。

長妻委員 これは、二十二件、非常に曖昧ですけれども、つまり、二十二件は単純に不法行為の責任が問われた件数で、それが全部当てはまるわけではない、これから精査する、そういう趣旨の御答弁ということですか。

岸田内閣総理大臣 これから報告徴収、質問権の行使をいたします。そこで得られた事案、これをしっかりと把握いたします。そして、今申し上げた従来把握していた事案、これらを個別具体的に判断して、継続性、組織性、悪質性、これを判断し、手続を進めていくということを申し上げております。

長妻委員 そうすると、まだ二十二件というのは単純な不法行為責任を問われた案件で、その二十二件の中から組織性、悪質性、継続性を判断してセレクトする、こんなような趣旨ですね、総理。うなずいていただいているので。

 それで、ちょっと、我々が把握しているのと件数が若干違うんですね。

 これは解釈ですね。これが、私が質問したとき、十月十八日までは刑事的責任のみと総理はおっしゃっていたのでゼロ件だったんですね、それは。いきなり翌日、民事的責任も含まれるとおっしゃったのでどっと増えたんですね、本体に責任が問われたのを。

 これは被害者弁護団の資料等に基づいたものですけれども、足すと不法行為と使用者責任で二十九件になるんですよ。これは二十九件ではないんですか。

岸田内閣総理大臣 二十二件については、先ほども申し上げましたが、今文部科学省において把握している件数であります。

 二十九件という御指摘がありますが、その二十九件のうち二十二件、文部科学省において把握しているわけですが、残り七件については、和解が成立したもの二件、文部科学省が判例データで検索したものの把握できなかったものが五件、これが含まれていると承知をしております。

長妻委員 検索して把握できないから落としちゃ駄目ですよ、総理。ちゃんと調べないと。だって、これはホームページに出ているんですよ、被害者弁護団の。検索を法令システム、判例システムでして、何か、五件入っていないから、まあ入れないでいいかじゃないですよ。徹底的にやはり調査しないと駄目ですよ、総理。

岸田内閣総理大臣 おっしゃるように、判例についてはしっかり把握しなければなりません。

 先ほど申し上げたように、二十二件以外の七件については説明したとおりでありますが、現に把握されていない判例についても、文部科学省において、今後、統一教会問題をよく知る弁護士の皆さんなど、情報収集を続けていきたいと思います。今後、その収集に努めて、実態把握に努力をしていかなければならないと思っています。

長妻委員 そして、今配付資料を皆さんにもお配りしていると思いますが、ありますかね、こういうリスト、一枚。「旧統一教会の法的責任を認めた判決の状況」、ありますね、皆さんにお配りしております。一番後ろですね。これは政府が作った資料ということでよろしいんですね。

岸田内閣総理大臣 はい、文部科学省が事務的に作成した資料であると承知をしております。

長妻委員 これだと、何か御丁寧に、統一教会が名称変更した前と後で分けているんですね。相当名称変更を気にしているんじゃないかなと。何か、名称変更がまずいことになったのか、確認したのかどうか分かりませんが。

 これだと、民事が二十三件あるんですよ。刑事は、これは関連団体だと思いますが、例の新世事件ですね、一件なんですが、さっきの二十二件との差というのは何でございますか。

岸田内閣総理大臣 たちまち、ちょっとその御指摘について、その違い、一件の違いについて今手元に材料がありません。和解の取扱い等かとは想像いたしますが、確認をいたします。

長妻委員 これは、和解というのは入らない。つまり、和解というのは、裁判外と、裁判での結論が出た後の和解というのがありますよね。

 これは被害者弁護団の資料等に基づいたリストなんですが、二十九件のリストなんですけれども、これは、和解は、裁判の判決が出た後の和解は除外するということなんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、ちょっと私、手元にその一件の数字の違いを説明する材料を持っておりませんので、先ほど申し上げました和解、恐らく和解の扱いではないかと私の感想を申し上げただけであります。

 是非、確認をさせてください。

長妻委員 そうしましたら、七件差があるわけでございますので、是非きちっと精査をして、徹底的に調べて、被害者弁護団の方もおっしゃっているのは、これは被害者弁護団が把握している判例だけなんだ、ほかに、被害者弁護団じゃない形で裁判して判決が出たものというのもあるかもしれないとおっしゃっているので、徹底的に、先ほど調査するとおっしゃっていただいたので、していただきたいというふうに思います。

 そして、私も、質問権の行使、これはこれでやっていただくということで、スピーディーにやっていただきたいんですが、ただ、質問権の行使をしたからといって、教会側に聞いて、教団側に聞いて、何か新たな判例が出てくるというものじゃないですよね、質問権というのは。判例というのは世の中で分かっているわけですから。ですから、やはり責任というのは、明確なのはやはり判決ですよね。

 そういう意味では、既にこれだけ総理の解釈変更で積み上がったわけですから、判例が。質問権、調査はいいんですけれども、何かやはり解散請求というのが、ゆっくり、質問をして向こうから回答が来て、何度もやり取りして、相当時間がかかるということでは困るというふうに思うんですが、相当これは積み上がっているんじゃないかなと思うんです。

 解散請求について、総理、どういう意気込みを持っておられるんですか。

岸田内閣総理大臣 解散請求につきましても、宗教法人法、法律に従って進めていかなければならないと思います。

 そして、解散事由ということについて申し上げるならば、現在、この旧統一教会に関して把握している様々な事情からは、過去に解散を命令した事例と比較して、解散事由に該当すると明確に認められない、十分に解散事由として認められる、そうしたものではないと考えています。だからこそ、報告徴収、質問権を行使することによって、より事実を積み上げることが必要である、このように思っています。

長妻委員 そうすると、今おっしゃっていただいた判決だけでは解散請求の事由ではない、まだ足りないということを今明確におっしゃられたんですか。

岸田内閣総理大臣 過去の事例、法律に基づいて取り扱われた事例を考えますと、オウム真理教の事案においては、代表者が殺人罪で起訴されている、また、明覚寺事件においては、代表役員に詐欺罪の有罪判決が下っている、こうした事例があります。

 そうした事例を考え合わせたときに、是非、報告徴収、質問権の行使によって、より事実を積み上げる必要があると考えております。

長妻委員 総理は、ちょっと文化庁からどういう説明を受けておられるのか分かりませんが、質問権というのはそれはそれでやっていただいていいんですが、本当に何か新たな事実がどんどん出てくるものじゃないと思うんですね、私は。だって、責任というのは、やはり明確なのは判決じゃないですか。新たな判決が調査して出てくるわけじゃないですよね。しかも、相手に強制力なく聞くわけですから、そんな新たな事実がばんばんばんばん出てくるわけないんですよ。

 そういう意味では、やはり、過去三十年間積み上がったものがあるわけじゃないですか、総理。そういうものをもっと調べて、さっき何か、検索したらこれはないからちょっと分かりませんじゃなくて、徹底的に調べて、そして過去の事例を、やはりそこが一番の重要なファクトなんですよ、総理、私はそれを是非徹底的にやっていただきたい。

 そして、もう一つは、判例だけじゃないと思うんですね。解散命令請求については、条文では、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」ということでありますから、例えば、総理、裁判外のいろいろなトラブルで、裁判外で和解したというのはもういっぱいケースがあるんですよ。そういうものも徹底的に調べるということが私は重要だと思うんですよ。(発言する者あり)

 無理だろうって、何で自民党、言うの。資料があるよ。被害者弁護団の方々が資料を持っていますよ。何で自民党はそういうふうに足を引っ張るんだ。おかしいだろう。

根本委員長 御静粛にお願いいたします。

長妻委員 そういうようなことで、総理、きちっと、裁判外のトラブル、和解事例、これも徹底的に調べるということを是非明言していただきたいんです。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げました。過去の事例については、徹底的に裁判例……(長妻委員「裁判外」と呼ぶ)裁判外も含めて情報収集する、それは当然のことだと思います。

 しかし、それと併せて、報告徴収、質問権の行使、これによってより事実を積み上げる、こうした対応も必要であると思います。

 なお、先ほどの資料で一件数字が違っているという件ですが、ちょっと確認しましたが、お手元の資料の一番下、ですから二行目ですか、ありますが、読売新聞の記事による云々という記述があります。この部分につきましては、新聞記事によって資料に載っけたということだという説明を今たちまち受けました。答弁に追加させていただきます。

長妻委員 ちょっと何か心配になっちゃうんですね。新聞記事を見て書きましたというのももちろんいいんですけれども、判例、政府ですから、裁判所、法務省、連携していないんですかね。

 今回、いろいろ質問するときに、私、本当に思うのは、文化庁は連携していないような感じがするんですね、ほかの省庁と。法務省ときちっとやはり連携して、何か、新聞に出ているから書きましたけれども本当かどうか分かりませんみたいな話じゃなくて、真剣味を持って、本気度を示していただきたいということを強く思うところでございます。

 であれば、この報告徴収とは別に、総理、こういう三十年間のいろいろな判決とかあるいはトラブルなどなどについて、報告徴収とは別に、過去の部分の調査というのはいつ頃までに終えるつもりですか。

岸田内閣総理大臣 過去の部分の聴取については、当然のことながら、手続の流れから考えまして、これは報告徴収、質問権の行使によって事実を確認するわけです。そして、過去の部分と併せて、全体として、組織性、悪質性、継続性を判断するわけですから、その手続に間に合うまでにしっかり確認して、全体を判断する材料としなければならないと考えます。

長妻委員 大体のめど、その手続に間に合うまでというのは、大体のめどというのは年内ということでよろしいんですか。

岸田内閣総理大臣 もちろん、報告徴収、質問権の行使につきましては年内に開始したいと思いますが、そこから先のスケジュール感については、すなわち、次の段階に行くかどうかの判断については、これは初めての適用でありますので、具体的にいつまでということを予断を持って今の段階で申し上げることは難しいと思っております。

長妻委員 総理、そんなことを言っていると、なかなか役所の方は動かないですよ。お尻を、ある程度めどを決めないと。何月何日ということを言っているんじゃなくて、めどを決めないと。過去の三十年間の判例についてだって、何か、新聞記事を見まして、あるいは、検索がちょっと出てきませんとかなんとか言っているわけでしょう。

 ちょっと、総理、もっと本気を出していただきたいということを強く思います。

 そして、総理……

根本委員長 よろしいですか、総理に。

長妻委員 じゃ、いいですよ、めどをおっしゃるんですね。だから、めどをおっしゃっていただくのならいいですよ。(発言する者あり)じゃ、一年、二年かかることもあるんですか。

 じゃ、総理、年内は難しいか、めどとして年内というめどもあるのかというのはどうですか。

岸田内閣総理大臣 これは、法律に従って手続を進めることについて予断を持って期限を申し上げられないということであります。

 今申し上げたのは、それをもって本気度がないと言われることについて、私は同意できないと。これは、法治国家において、法律を厳正に適用して、冷静に着々とこの手続を進めていく、これがあるべき姿であり、その法律があるにもかかわらず一定のめどを政治的につくって手続を急がせる、そういったことは適切なのかということであります。

 もちろん、法律を厳正に適用する、そのために事務方を全力を挙げて急がせる、これは当然のことでありますが、めどを決めるということについての御指摘、さらには、それを答えないから本気度がないということについて反論をさせていただきたいということであります。

長妻委員 総理、法治国家とおっしゃいましたが、法治国家でこういうような無法を放置していいんですか。統一教会、旧統一教会、これは氷山の一角ですよ、総理。法治国家の日本でこういうことを日本人がさせられて本当にいいんですか、総理。そんな悠長なことを言って。

根本委員長 総理に答弁させてもらってよろしいですか。

長妻委員 いや、ちょっと次に行きます。めどがないのなら次に行きます。

 総理、次に行きますけれども、もう一つは、橋田さん、総理もテレビ等で御存じかもしれませんが、橋田達夫さんという被害者の方。いろいろ被害を述べたらば、信者である奥様が顔を出して、教団側の要請で記者会見で映る。そして、私、びっくりしたのは、旧統一教会のホームページを見ましたら、その奥様の動画がそのままアップされているんですよ。これは橋田達夫さんも本当に心を痛めておられました。

 そして、二世の方である小川さゆりさん、仮名ですけれども、記者会見に対して中止要請のファクスが統一教会から来て、御両親の署名が入っていた、娘は正しいことを言わないというような趣旨が書いてあった。

 これはちょっと、今、実は被害者の方々がすごくプレッシャーを感じておられる。つまり、テレビに出て被害を訴えると、自分の親とか配偶者が顔を出していろいろな話をする、その要請を統一教会がして、そういうことになるんじゃないかということで、今、強力な口封じの圧力にさらされているんです、総理。

 これはどうなのかなというふうに思います。信者の方ももちろん人権があるわけですから、顔を出してしゃべってくれという要請をして、それが全国に出るということについてもいろいろな議論があると思います。

 総理、こういうようなやり方については、どういうふうにお感じになりますか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、報道等で私も承知をしておりますが、この報道されていることについて一つ一つコメントすることは控えます。

 しかし、だからこそ、こうした関係者の皆さんから直接お話を聞かせていただくことは重要であるということを、先日も予算委員会の中で申し上げた次第です。

 そして、直接お伺いする際に、どういった形でお話をお聞きするのが適切なのか、これを今検討し、調整をしているということであります。

長妻委員 総理、たしか一番初めに、山井議員がちょうど先週の月曜、一週間前にそれを要請して、同じ答弁なんですよ。もっとスピーディーに動かないと。

 やはり、総理の熱量の不足というのは、私も初め、この問題はそれほど深く理解していませんでした。しかし、被害者の方に直接お会いしていろいろなお話を聞くと、愕然としたわけですよ。それで、これは徹底的に取り組まなきゃいけない、こういう思いに至ったわけですよね。

 そういう意味では、総理も一度も会っていないわけですよね、今、被害者の方と。だから、一週間同じような答弁をするんじゃなくて、じゃ、橋田達夫さん、もう顔を出してしゃべっておられますし、小川さゆりさん、顔を出してしゃべっておられますから、まずこのお二人にお会いする、今週、今週中に会うというようなことを是非言っていただきたいんです、総理。

岸田内閣総理大臣 私が先日来申し上げているのは、これから法的なプロセスを進めるに当たって、被害者の方々、あるいは救済に努力していただいている弁護士の皆さんを始めとする関係団体の皆さんの意見を聞くことは大事だということを申し上げています。

 これは、法的なプロセスを考えましても、これから報告徴収、質問権の行使を進めるに当たって、質問する内容の原案、これを政府として作成しなければなりません。その過程で、今言った、被害者の方々、そして弁護士の方々を始めとする関係団体の皆様方、こうした方々の話を聞くことは重要であると思います。

 そして、そうした手続の中で、どういった形でお話を聞くのが適切なのか、これを調整させていただきます。

長妻委員 そうすると、総理、直接会うということは約束していただけますね。

岸田内閣総理大臣 私も直接お話を聞かせていただきたいと思っています。

長妻委員 ちょっと、これは一刻も早くお願いしたい。

 自民党からは、何か変な質問をするなみたいな声がありましたけれども、これは変な質問ですかね、自民党。そういうおかしなことを言わないでください。質問しているんですからね。

根本委員長 不規則発言には反応なさらないようお願いいたします。

長妻委員 そして、もう一つ、我々も、維新の会、社民党さんと提出している、悪質献金被害防止・救済法案というのを出しています。

 この肝は、特定財産損害誘導行為というものなんですね。これがまず前提になります。手段の悪質性、そして結果の重大性ということです。手段の悪質性、違法又は著しく不当な行為、人の自由な意思決定を著しく困難とするような状況を惹起させる行為。

 条文をこのままここに入れさせてもらいましたけれども、「次に掲げる方法により、人に著しい不安又は恐怖を与える行為」「暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段を用いること。」このイ、ロ、二のいずれかに該当すれば、手段の悪質性ということになります。「ロ 霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままではその人に重大な不利益を与える事態が生じる旨を示すこと。」「二 その所属する組織、働きかけの目的等を告知しないこと等による注意力の低下に乗じる等心理学に関する知識及び技術をみだりに用い、又は人の知慮浅薄若しくは心神耗弱に乗じて、その人の心身に重大な影響を及ぼす行為」ということで、これは、条文、相当、全体は長いんですけれども、是非、読んでいただいて、取り入れていただきたいと思うんです。

 これは、この間、政府を聞いておりますと、何か、相当批判をされておられるんですね、この我が党の法案に。私らも、批判はいいんですけれども、対案、ないじゃないですか、政府は。よく、野党は批判ばかりで対案を出さないと政府はおっしゃるんですよ。政府こそ責任ある対案を出してくださいよ、総理。いつですか、出すのは。

岸田内閣総理大臣 これも従来から申し上げておりますが、政府としましても、被害の再発防止の観点から、法改正、これを行うということを申し上げております。契約の取消権の対象の拡大あるいは使用期間の延長など消費者契約法等の法改正の見直し、これは準備ができたものからこの臨時国会に早期に提出していきたい、これは申し上げているとおりであります。

 そして、野党の提出の法案については、政府の方針と重なる部分もありますが、規制対象となる行為の定義ですとか、第三者による契約等の取消しと財産権の関係など、幾つか課題があるということは申し上げているところであります。

 与野党で設立が合意された協議会において、将来の被害防止、さらには被害者救済に向けても会派を超えて議論していただきたいと思いますし、政府としても、その議論も参考にしながら、さらに、必要な政府案、具体化の努力をしていきたいと思っています。

長妻委員 時間が参りましたけれども、やはり被害の防止、救済、これは非常に重要です。与野党を問わずやっていきたいと思います。

 ちょっと今の総理の答弁で気になるのが、消費者契約法の改正というふうにおっしゃるんですね。この消費者契約法の改正ではできないんですよ。できないということで弁護団の方が新法を作ってくれということで、我々は英知を結集して作ったわけですよ。駄目ですよ、消費者契約法の改正だけじゃできませんから、有効性のある法律になりませんから。

 是非、それを、新法をきちっと作るということも要請をいたしまして、私の質問といたします。よろしくお願いします。

根本委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 今日は、福島二区の馬場雄基さんにパネル立ての担当をしていただきます。

 まず、総理に一問、マイナンバーカードと保険証の関係を聞きたいと思いますが、二〇二四年の秋にも保険証を廃止するという方針が打ち出されているようでございますが、その後、マイナンバーカードを取得しない人は、一体どうすればいいんでしょうか。

 これについては、先週、参議院でも議論があって、資格証明書というのを使ってやるというような答弁がありました。この資格証明書というのは何かというと、保険料を納めていないような方が、お医者さんに行ったときの窓口でまず十割全額自己負担して、後でお金が振り込まれる、そういった仕組みだと伺っております。そういう説明もありました。

 総理、保険証を廃止しちゃったら、その後、マイナンバーカードを取っていない人は、この資格証明書みたいに窓口全額負担になるんですか。

岸田内閣総理大臣 資格証明書については、委員が御説明されたとおりであります。

 政府としては、マイナンバーカードを普及させ、そして、令和六年秋に健康保険証の廃止を目指すことといたしておりますが、何らかの理由によって取得ができない方、取得されない方、こうしたことについては、保険料を納めておられる方については、一旦全額を負担していただくようなことはなく保険診療を受けられること、これは当然のことであると思います。そのための準備を進めるよう、担当大臣が今調整を進めている次第であります。

後藤(祐)委員 だったら保険証を残せばいいじゃないですか。保検証もやめて、マイナンバーカードを持っていない、資格証明書でもないんですか。じゃ、何か新しいのをつくるんだ、ばかばかしいじゃないですか。

 総理、東日本大震災が起きたとき、もう市役所が全部流されちゃったとか、ああいったときに、やはり手元に物理的なものがあって、こういったことが身分証明とかお医者さんだとかというときに役に立ったと。

 そして、やはりデジタル的なものは、私は進めるべきだと思うんですよ、マイナンバーカードは。ですが、それはちょっとついていけないというお年寄りもいっぱいいるんですよ。マイナンバーカードを進めていただいて大いに結構。保険証を廃止して、資格証明書で本当にやるんですか。やめましょうよ、保険証を維持しましょうよ、総理。

岸田内閣総理大臣 マイナンバーカードを取得されない方を資格証明書で対応するということについては、先ほど、そんなことはございませんということを申し上げたわけであります。保険料を納めておられる方は、その仕組みではなくして保険診療を受けられる、こうした制度を用意しますということを申し上げています。

 その上で、マイナンバーカードの普及のメリットについては委員も御理解いただけると思います。多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことにおいて、健康保険証との一体化、これは様々なメリットがあると思います。そのメリットと、そしてそれに対する国民の不安、これをしっかり考えなければいけない。

 是非、国民の不安に対しては応えられるように、今申し上げたことも含めて、対応を考えてまいります。

後藤(祐)委員 そうすると、保険証は廃止、マイナンバーカードの人はそれでいいでしょう、資格証明書ではない第四の方法をつくるということですね。

岸田内閣総理大臣 はい、資格証明書ではない制度を用意いたします。

後藤(祐)委員 それは新しい保険証と何が違うんですか。やめましょうよ、そんなことは。

根本委員長 総理が答弁したいとおっしゃっていますが。

後藤(祐)委員 いや、もう答弁は変わらないと思いますので、結構です。

 もう第四の、面倒くさいからそういうのはやめましょう、保険証を残しましょう、総理。

 次に行きたいと思いますが、統一教会の関係で推薦確認書なるものが出てまいりました。

 パネルを御覧ください。

 いわゆる政策協定ですね。選挙の前などに、これは統一教会側の団体なんですかね、とこういう確認書を結んで、サインをして、そういう方が特に強い応援がいただける、こういった類いのもので、まあ、いろいろな団体がこういったことをやるので、こういった推薦確認書的なものがあること自体は不思議なことではないんですが、総理、これは通告しておりますが、この推薦確認書を結んだ、署名した議員というのは、自民党の議員、何人おられますか。

岸田内閣総理大臣 推薦確認書に署名した議員、自ら申し出ている議員が一名いることは承知をしています。

後藤(祐)委員 斎藤洋明議員は大変正直な方で、もう日本中の方が、ああ、この人は正直な人だとむしろ人気が上がっちゃっているかもしれませんが、この方は分かりますよ。みんな知っていますよ。ほかはどなたが結んだか分からないわけですね。

 でも、朝日新聞によると、少なくとも衆参で五人はというような記事もありましたが、これは自民党総裁として、調査しないとまずいんじゃないですか、総理。我々立憲民主党は、早速、立憲民主党の議員に対して、こういった推薦確認書を結んでいないか、もう調査を始めています。自民党も調査すべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 選挙に当たっては、各候補者が政策分野を含め様々な団体と様々なやり取りを行っています。様々な文書のやり取りもあると承知をしています。

 問題は、そうした確認書等が選挙応援に、選挙の支援に具体的につながったかどうかということであり、そこのポイントについて、我が党としましては、八分野の、八段階のそれぞれの質問を用意して、その実態把握に努めております。

 ポイントは、確認書を交わしたことによって選挙の支援につながったかどうか、それを党の取りまとめにどのように報告したかということであると思います。そうした実態が確認されたのならばその議員がしっかりそれを説明するというのが基本的な考え方であり、この基本的な考え方、従来から申し上げてきたとおりであります。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

後藤(祐)委員 支援につながったかどうかを正直に皆さん申告しないから言っているんですよ。だけれども、この推薦確認書にサインした人は、支援につながっている蓋然性が極めて高いんですよ。斎藤さん自身だってそうおっしゃっているじゃないですか。

 調査しないということですね、総理。

岸田内閣総理大臣 だからこそ、党の報告の中にも、選挙の支援という項目を挙げて、それぞれ議員について、報告をすることを党として求めています。その取りまとめの中に反映されているかどうか、これを各議員が説明することが重要であると考えております。(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、後藤祐一君、今、簡潔に言ってください。そして、総理に答弁してもらいます。

後藤(祐)委員 推薦確認書にサインした議員がどれだけいるか、自民党の調査を行わないんですか。

岸田内閣総理大臣 当該団体との関係については、従来から申し上げているとおりであります。過去の接点について自ら点検をし、そして、新たに指摘された事案があるならばそれを説明をする、その説明責任を果たすということをまずやった上で、当該団体との関係を絶つ、これが党の方針であります。

 御指摘の点についても、この方針に従って各議員が対応すべきものであると考えております。(発言する者あり)

根本委員長 後藤祐一君、もう一度そこを言ってください。そして、総理に答えていただきます。

後藤(祐)委員 こんな簡単な質問、もう一回しろというんですか。

 もう一回しましょう。

 推薦確認書をサインした自民党の議員がどれだけいるか、自民党として調査しないんですか、総理。

岸田内閣総理大臣 選挙において各候補者が様々な関係者とやり取りをします。様々な文書を交わすことは多くあるわけです。そして、推薦確認書もその一つであり、これが選挙の支援につながったかどうかという観点で、自民党としてもこの取りまとめを行いました。従来の方針に従って、各議員がその実態について確認をし、指摘された点については説明を行い、関係を絶つ、この方針に従って対応してもらうことが重要であると考えております。(発言する者あり)

根本委員長 じゃ、岸田総理、もう一度答弁してください。

岸田内閣総理大臣 従来から申し上げている自民党の方針をこれからも徹底していきたいという答弁を申し上げております。その方針というのは、社会的に問題のある団体との接点があったということによって政治の信頼を損ねたことについては謙虚におわびを申し上げながら、過去の経緯については各議員が点検をし、新たに指摘された点には説明をする、そして関係を絶つということであります。

 選挙において各候補者が様々な形で有権者と接点を持つ、これは従来からありました。御指摘の点もその一つであると思います。

 問題は、そのポイントは、そのことが選挙の応援につながったかどうかということで、自民党においても八段階の質問を用意して、それぞれの報告を受けているわけです。その報告について、御指摘があるならば、これは各議員が説明すべきことであり、未来に向けて関係を絶つことを徹底することが党として重要であるという説明をさせていただいております。(発言する者あり)

根本委員長 総理、調査するかしないかということで質問者が質問していますので、その点、もう一度答弁してください。

岸田内閣総理大臣 既に、御指摘の点も含めて、各議員が点検をした上で、党に対してそれぞれ報告を行い、党として八種類に分けてその内容を取りまとめた、こうしたことであります。

 御指摘の件も含めて、各議員は報告をしております。そして、更に御指摘があるのであるならば、それは議員が説明責任をしっかり果たすべきことであると認識をしております。

後藤(祐)委員 総理は何度も各自が点検すると言っているので、自民党は調査しない、こういうことですね。今、総理、うなずかれましたので。自民党は調査しない、うなずかれました。よく分かりましたが、総理は八月三十一日の会見でこう言っているんです。自民党として説明責任を果たし、国民の皆様の信頼を回復できるよう、厳正な対応を取ってまいりますと言っているんですよ。自民党としてですよ。この推薦確認書を党として調査することこそ、厳正な対応じゃないですか。

 じゃ、せめて、総理、推薦確認書に署名した人は推薦を返上させるとか、あるいは、これはよく読むと、以上の趣旨に賛同した人は平和大使協議会及び世界平和議員連合に入会すると書いてあるんですよ、これは退会していただくとか、そういう処置を取るんですか。

岸田内閣総理大臣 従来から申し上げているように、これまでの経緯についてはしっかり説明を果たす、これが重要であり、未来に向けては関係を絶つということであります。

 今、党として、こうした確認を行っている、そしてガバナンスコードの改定、そして再発防止策、これを具体的に用意をしています。そして、これを今月中に地方にも徹底したいと思っています。

 そして、その中で、未来に向けて、関係があるということであるならば、自民党として、これは党の方針に反するという行動だということで、党として厳正に対応しなければならない、こうしたことになります。

後藤(祐)委員 先ほどの総理のお言葉、自民党として説明責任を果たし、厳正な対応を取ってまいります、この言葉、軽いですね。じゃ、そうなると、マスコミの皆さんが全議員にアンケート調査したりとか、そういったことでやっていくということになるんですかね。国会って何でしょうかね。

 さて、秋葉大臣に行きたいと思いますが、秋葉大臣、いろいろなことがありました。

 先週の火曜日の予算委員会で、秋葉大臣の地元事務所をお借りしているお母様が賃料について脱税しているということが明らかになりましたが、これは修正申告されましたか。

秋葉国務大臣 お答えを申し上げます。

 本人に確認をしましたが、決して不正の意図はなく、本人の夫が毎年確定申告をしている関係で、自分の家賃収入も税理士が一緒に申告していると勘違いをしていたようであります。

 申告していないことが分かり、早速税理士にお願いをし、手続を進めていると聞いております。税理士からは、今週中には手続を終えられそうだと聞いています。

 なお、適正な家賃を所有者に対してお支払いしているところであり、政治資金の還流といった御批判や、少なくとも政党助成金、すなわちこれは税金が原資になっているものでもございません。

後藤(祐)委員 じゃ、まだ修正申告していないということですね。

秋葉国務大臣 税理士からは、今週中には終えられると伺っております。

後藤(祐)委員 すぐお願いしたいと思います。

 これが秋葉大臣の地元の事務所なんですが、(パネルを示す)元々この緑の建物があって、その後、お隣の建物、プレハブを増築したようなんですけれども、登記書によると、このプレハブを建てたのは二〇一二年八月二十九日。ところが、登記したのは二〇二二年、十年後の九月九日ということなんですが、不動産登記法四十七条によれば、新築した建物は一か月以内に登記する義務があるんですが、これは不動産登記法違反じゃないですか。

秋葉国務大臣 当該プレハブにつきましては、所有者に確認をしたところ、固定資産税の課税通知が毎年来ており、納税は毎年欠かさず行ってきたと聞いております。

 所有者は、このため、登記を完了していたものと認識したようですが、先般の一部週刊誌報道を受けて改めて確認したところ、登記手続が未了であったことが判明したために、二〇二二年の九月十六日に登記手続の一切を完了したと聞いております。

後藤(祐)委員 十年間登記をしなかった、これは不動産登記法違反であります。

 もう一つ、三つ目ですが、何か斜めのところに建物が建っていて、下にコンクリが打ってありますけれども、これは基礎を打って土地に定着する工作物に当たりますか。だとすると、建築確認は取っていますか。

秋葉国務大臣 写真を御覧いただいてのとおり、基礎は打ってあると承知しております。

 平成二十四年七月二十日に建築確認を受けて、同年八月二十九日に検査完了を受けていることを確認させていただきました。

 いずれにいたしましても、新築以来、毎年固定資産税を所有者が納税していることを確認しております。

後藤(祐)委員 もう一つ別の話をしたいと思いますが、先週の参議院予算委員会、打越さく良さんの質疑の中で、義理のお父様のお宅が事務所になっている政治経済研究所という政治団体、この政治経済研究所は義理のお父様に家賃を支払っていたという答弁がありましたけれども、この義理のお父様、この家賃収入について納税されていますか。

秋葉国務大臣 家賃を支払っているか否かにつきましては、解散した他団体に関することではありますけれども、今回、一連の御指摘を受けまして、元代表者に確認したところ、定額を支払っていたということでございます。

 家賃収入に係る税務申告につきましては、解散した他団体の家賃の支払い先についてのことであり、私の方でお答えする立場にはございません。元代表者であった方の憲法が保障する政治活動の自由に関わる話でもあり、それ以上の詳細は存じ上げません。

 また、政治経済研究所への寄附につきましても、政党助成金、すなわち税金が原資となっているものではありません。

後藤(祐)委員 さっき、固定資産税を払っていますかと聞いてもいないのに払っていますと答えましたけれども、今、わざわざこれは通告しているんですよ、先週のうちに、政治経済研究所からの義理のお父様の家賃収入について納税していますかと。

 答えないということは、これ、納税していない可能性が高いですよね。納税していたら、今、納税していると答えますでしょう。納税している場合は聞いてもいないのに答える、今、通告しているのに納税しているかどうかお答えにならない。極めて怪しいですよね。

 同じことを答えるんだったら、時間を稼がれるのはもう総理で十分なので、この委員会に、政治経済研究所から義理のお父様へ払った家賃について、この義理のお父様が税務申告しているのかどうか報告いただけるよう、よろしくお願いいたします。

 委員長、お取り計らいください。

根本委員長 では、理事会で協議します。

後藤(祐)委員 総理、先週のこの秋葉大臣のやり取りをしたとき、総理はこう答えているんですよ。身内のことであるからして、大臣としてそれを親身に対応しなければいけない。つまり、他人だから関係ないという話じゃないでしょうと。

 そもそも、このプレハブの話にしても、さっきの政治経済研究所にしても、秋葉大臣が政治活動をしていなかったら、そもそも親族の方々はこんな被害に遭うことはなかったわけですよ。被害という言い方はよくないかもしれないけれども、ここに巻き込まれることはなかったと思うんですね。

 総理は、秋葉大臣に対して、親身に対応しろ、こういうふうに言ったわけですよ。今の対応は親身に対応していると言えますか。

岸田内閣総理大臣 秋葉大臣においては、説明責任をしっかり尽くさなければならない、このように申し上げております。そして今も、質問に対してそれぞれ答えました。

 更なる御疑問があれば、引き続き質問に丁寧に答えていかなければならないと考えております。

後藤(祐)委員 今の総理の、丁寧に答えなければいけないということを踏まえて、この納税があったのかどうか、理事会に出していただきたいというふうに思います。

 秋葉大臣、親族だから私は関係ないという立場ですか。それとも、少しはやはり自分に責任があるというお考えですか。

秋葉国務大臣 先ほども申し上げましたが、親族への家賃の支払いということに関して、私に関することですから真摯に答弁をさせていただいたつもりでございます。

 ただ、今委員が御指摘の政治経済研究所につきましては、既に解散された団体のことであるということと、そこから二年間で二百八十八万円の支出もあり、実質的な活動を行ってきたと伺っております。元代表者に確認したところ、適正に処理しているというお答えでしたので、そのように答弁をさせていただいた次第でございます。

 いずれにいたしましても、元代表者であった方の憲法が保障する政治活動の自由に関わる話でもございますので、そういう意味で、これ以上の詳細は申し上げることはできないということでお答えをさせていただきました。

後藤(祐)委員 つまり、他人だから関係ないということですか。

秋葉国務大臣 他人だから関係はないということではございません。

後藤(祐)委員 御自分の責任の一端があるということなんだと思いますが。

 先ほどのパネル、もう一回見ていただきたいんですが、大臣も、配付資料にありますので、よく目を皿のようにして見ていただきたいんですが、元からあった事務所、緑色の方の事務所ですね、ここに大きなパネルが貼ってあるんですね。これは何と書いてあるか、秋葉大臣、読み上げていただけますか。御自分が貼っているものです。

秋葉国務大臣 「政治を正さなければ日本は良くならない」。そんな思いで、私自身、政治活動を貫いてきたと自負しております。

後藤(祐)委員 そのとおりなんですよ。

 総理、政治を正さなければ日本はよくならないですよ。秋葉大臣を辞めさせなければ日本はよくならないと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 政治の信頼が重要であるということ、これは言うまでもありません。だからこそ、秋葉大臣においては、様々な質問に丁寧に答えることによって説明責任を果たしてもらいたいということを申し上げております。

後藤(祐)委員 お母様の事務所収入の脱税、プレハブの登記法違反、そして義理のお父様が脱税していたかどうかは明確に言わない、もうこれだけで大臣を辞めていただくのに十分な材料ではないかと思いますので、総理、よくお考えいただきたいと思います。

 それでは次に、山際大臣に行きたいと思いますが、パネルを御覧ください。

 これはもうテレビなどでも何度も報道されているものですが、これは二〇一八年七月一日に新宿の京王プラザホテルで行われた二万名大会祝勝会なるところでの、韓鶴子総裁がおられて山際大臣がおられるというものですが、山際大臣、これがマスコミから示されたときに、どこかでお会いした記憶があったんですが、この写真を見て、ああこのときだったんだと、言ってみれば、そこで確認したという答弁をされました。

 マスコミに指摘された後かもしれませんが、この韓鶴子総裁と会った記憶はよみがえったということでいいですね、この二〇一八年。

山際国務大臣 お答え申し上げます。

 私自身は、その方にどこかで、その方をどこかでお見かけしたことがあるという記憶があったわけですね、今でもあります。それが、この写真を提示されたことによって、この機会だったのかなと、そう思ったという発言をしたわけです。

後藤(祐)委員 この二〇一八年の、これだけ距離を取ってのことなんですけれども、会った記憶があるということでしたが、二〇一九年、一年後ですね、十月五日、ナゴヤキャッスルホテルでジャパン・サミット・アンド国際指導者会議二〇一九という会議が開かれていて、この場では、韓鶴子総裁の前で細田衆院議長が、韓鶴子総裁の提唱によって実現した国際指導者会議の場は大変意義が深いわけでございます、今日の盛会、そして会の内容を安倍総理に早速報告したいと考えておりますと述べた会議であります。

 これについて細田議長は、紙二枚を出しただけで、まだ記者会見に応じていないということについては改めて強く抗議したいと思いますが、その会議があった、その会議には山際大臣は出ていなかったという答弁が先週あったようですが、同じホテルで、このパネルは、実は二人で撮ったわけじゃなくて、周りにあと自民党の議員が六人ぐらいいる集合写真なんですが、これは二〇一九年十月五日に韓鶴子総裁とお隣で一緒に撮った写真ということで間違いないですか。

山際国務大臣 その公開されている写真、その場、あるいはその一緒にいた議員、同僚議員とも確認しましたが、その写真はその場で撮られたものだと確認しております。

後藤(祐)委員 前回、これ以上ありませんねとこの場で私が聞いたら、新しい事実が出てくる可能性もございますと御答弁されましたよね。自分で予言的中させちゃいましたね、これはその後出てきた話ですから。これが頭にあったから、そんな予言をされたんじゃないかなと思うんですけれども。

 先ほどの二〇一八年の、少し韓鶴子総裁とは距離があってお会いした記憶は現在もある。ところが、二〇一九年に、それより後に、お二人でこんな近くで写真を撮っている。これは記憶にないんですか。

山際国務大臣 先般は、記者会見等々でも申し上げたんですが、その日は米国の元下院議長であられたギングリッチ氏と意見交換をするために名古屋に出張したものです。ですから、ギングリッチ氏と意見交換をした後に、そこに同席をしていた議員たちと恐らく流れでその写真を撮ったものだと思われます。実際には、私とその代表の方だけが切り取られたような写真になっておりますけれども、委員がおっしゃったように、そこに出席をしていた議員と一緒に集合写真を撮っているんですね。それだけではありません。ギングリッチさんとの集合写真というのも残っているわけです。

 そういうものが全部一連の中である中で、写真を、集合写真を撮ったということですから、それは、そこで写真を撮っただけのことを何かあるかと言われて、ですから、新しい事実が出てきたときにはきちんとそれを説明するということを申し上げてきたわけで、今の、ギングリッチさんと会って、それでいろいろな意見交換をしたということが、そこが言ってみれば名古屋に行った主ですから、その後にそれを撮ったんだということを確認したということです。

後藤(祐)委員 そんなこと聞いていません。

 この二〇一九年、韓鶴子総裁の隣で皆さんと撮った写真のことを覚えていますかと聞いています。

山際国務大臣 ですから、それを目的に私はそこに行ったわけではなくて、そうではなくて、ギングリッチさんと意見交換をした後の流れで撮ったのであろうと、そう私は先ほどから申し上げております。

後藤(祐)委員 この二〇一九年の韓鶴子総裁と撮った写真のことを今の時点で覚えていますか、覚えていませんか、どちらですか。

山際国務大臣 定かではありません。

後藤(祐)委員 少しは覚えているんですか。

山際国務大臣 これは先ほど申し上げたように、その代表の方とはどこかで、どこかでお見受けしたことはあるというのは私の記憶の中にあるんですね。それがその二〇一八年のときに見かけたものなんだと、そう私自身は思っているんですけれども、その二〇一九年の部分に関して、私は、そういう意味でいうと定かではありませんので、それらももしかしたら合わさっているのかもしれませんけれども、私自身は、その二〇一九年のときには、恐らくただ写真を撮っただけなんだと思いますよ。ですから、定かではないということを申し上げております。

後藤(祐)委員 定かではないというのは、覚えていないということでいいですね。

山際国務大臣 明確にそこの部分の場面を私が思い浮かべられることはありません。

後藤(祐)委員 二〇一八年の写真は覚えている、記憶がよみがえった、二〇一九年はもっと近くで、お隣で撮っているのに覚えていない。どんな脳になっているんですか。何で特定のものを覚えていて、特定のものを覚えていない。

 でも、大臣、これが重要なのは、山際大臣は、今まさに一番重要になっている経済対策をどうするか、コロナ対策をどうするかの責任大臣なんですよ。一番大事な大臣じゃないですか。都合のいいものは忘れて、都合のいいものは覚えていて、それでは困りますよ。経済対策で、説明しないで国民に隠しておいて、後で出てきたら、済みませんでした、後出しです、そんなことを大臣にやられたらたまらないですよ。

 もう一つ聞きたいと思いますが、先週の火曜日の予算委員会で、大臣になったときの資産公開については忘れていました、済みませんでしたと言っていましたが、政務官と副大臣になったときも資産公開の義務があったんじゃないんですか、その話は私が先週指摘したときに後出しで説明したんじゃないんですかと聞いたところ、山際大臣は、そうではありませんで、その記者会見の中で、今先生から御指摘されたことをその場でもう指摘をされておりますと答えていますが、自民党の先生方、お手元にその九月十六日の記者会見全文、議事録で配付してありますので、チェックしてください。そんなこと、九月十六日には一切出ていませんよ。これは虚偽答弁じゃないんですか、山際大臣。

山際国務大臣 そのことをお答えする前に、私は、政治家として、写真を撮るという行為はごく普通に毎日毎日行われているものだ、何か特別なものではないということはきちんと申し上げておかなくてはいけないと思います。毎日のように、先生だって、どこかの方に一緒に写真を撮りませんかといって撮ることはいっぱいあるんじゃないですか。

 ですから、私自身は、正直に、二〇一九年の話に関しては、目的はギングリッチさんに会って、それで意見交換をするために行ったものだ、その流れで写真は撮ったものだと思う、それは定かではないということを申し上げているわけです。何か特別な方にお会いしたということではないということです。

 そして、今の先生のお話は、私自身は、記者会見でもう既にその過去の話に関してはつまびらかにしていますとお話をしました。確かにその九月十六日の会見ではないかもしれませんが、十月四日の会見にきちんとその二〇一二年の経緯というものを説明して、そのときにはそのことを、非上場会社の株式を大臣等規範に基づいて報告をしなくてはいけないということはその場で認識しておりませんでしたということを、きちんと記者会見において説明をしております。

後藤(祐)委員 別の日付が出てきましたので、それは後で確認したいと思います。

 もう一つ申し上げたいと思いますが、十九日の参議院の予算委員会、杉尾さんへの質疑で、統一教会の関連団体である勝共連合、その神奈川県本部の代表である武者宗悦さんという方が、衆議院選挙に出馬して以来支援してくださる方のお一人であって、街頭演説とか国政報告会へのお声かけをしているという答弁をされておられますが、この勝共連合の県の本部の代表に、私の集会あるいは街頭演説に来てくださいと言ったら、それは、それ以外の統一教会の関連の方も来てくださいという意味で受け止める可能性はあるわけで、実際、具体的に動員はお願いしていないというのかもしれませんが、現実に統一教会の関連者が来ていたことがあるんじゃないんですか、大臣。

山際国務大臣 その方は、私も二十年政治家をやっていますから、二十年前に初めて選挙に出馬をしたときに私を支援してくださる方の中のお一人としてお名前が入っていた方で、それ以来、個人的に支援者の中のお一人としてお声がけをしてきたということをはっきり答弁をさせていただいたものと承知しています。

 そういう中で、その方が平和連合に所属されているお一人だということは認識しておりましたけれども、平和連合と勝共連合というものがどういうものかは、私自身、今でもよく分かっておりませんが、その平和連合の人がどういう立場の役職の方かということは考えずに個人的におつき合いをしてきたわけですから、ですから、個人的にお声がけはさせていただいてきたということを申し上げてきたわけです。

 当然、どんな個人であったとしても、それを御案内するときには、お知り合いや御友人をお誘い合わせの上来てくださいというのは普通に出しますよね。その程度のことはやるかもしれません、ほかの方に対してもやっているわけですから。だけれども、その方に組織的に何か動員をお願いしたというようなことはないということをこれまでも明確に申し上げているわけです。

後藤(祐)委員 随分よく覚えていらっしゃいますね、そういう経緯について。

 この勝共連合の支部の代表の方に来てくれとお願いしてそれ以外の統一教会の関連の方が来たら、それは動員じゃないですか。だけれども、自民党の調査で、動員等の受入れという八番目の項目に、山際大臣は、なしと答えているはずですよ。あったら、これはオープンになっていますから。

 総理に最後お伺いしますが、これはもう、数多くの後出し答弁、もうこれ以上はないと言ったら、さっきの韓鶴子さんの写真が出てきた……

根本委員長 後藤祐一君、簡潔にお願いします。

後藤(祐)委員 はい。

 資産公開についての虚偽答弁。あるいは、この動員についても隠蔽していた。もう毎日新聞では、辞任すべき、七一%ですよ。

 総理、もう辞めさせるべきじゃないですか、山際大臣。

岸田内閣総理大臣 山際大臣につきましては、これまでも説明責任を果たすよう指示をしてきたところでありますが、今やり取りも聞きまして、更なる質問を受ける中で、説明責任、更に果たしてもらわなければならない、しっかりと努力をしてもらわなければならない、このように感じております。

後藤(祐)委員 早めの決断をお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて長妻君、後藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会の守島です。衆議院大阪二区の議員をしております。

 今日は、兵庫四区の赤木議員にサポートいただいております。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 総理、私、先週まで、アフリカのルワンダという国で開催された、IPU、列国議会同盟というところの会議に参加しておりました。

 IPUとは何かというと、世界百七十八か国の議会が参加する国際組織で、簡単に言うと、国連の国会議員バージョンのようなものなんですが、私も衆参六名の国会議員から成る代表団の一人に選んでいただき、会議に出席してまいりました。

 日本維新の会としては、昨年衆議院選挙で議席を増できた結果、今回は初めてのIPU派遣の議員枠を得たんですが、総理、IPUは御存じでしょうか。

岸田内閣総理大臣 はい、存じ上げております。今までも同僚議員でこのIPUに関わってきた議員の話を何度か聞いた記憶があります。

守島委員 総理は御存じとのことですが、実際に、このIPUという存在、僕自身は選ばれる前まで知りませんでした、恥ずかしいことなんですが。そして、同僚の多くもこの組織についての存在を認識していませんでした。

 私自身、今回、国会議員となって初の議員外交をさせていただき、これは大変よい経験になりましたし、たくさんの人脈も築けたと思っていますが、IPUというのは年二回開催されていまして、もちろん日本もIPUに毎年拠出金を支払っております。今、IPUからアメリカが抜けておりますので、その額は中国に次いで二番目となっていて、議員や職員の派遣を合わせると、年間大体五億円以上の予算が計上されている事業になっています。

 加えて、衆参両議会にIPUの担当スタッフを置いていることから、多くの、費用だけじゃなくて負荷もかかっている状態であるため、議員外交の有用性というのは理解するんですけれども、会議の結果の広報などが不足していることもあり、正直、成果であったり費用対効果という尺度では、これまで議論が余りなされておりません。

 今回、細かい予算の話は別の機にしたいと思うんですが、IPUなどの議員外交に関して、予算やその結果など、よりオープンな形で国民に知らしめていくべきだと思いますが、総理の見解を教えてください。

岸田内閣総理大臣 外交において我が国が直面する課題は、ますます多面化しておりますし、複雑化していると認識をしています。こうした事態に対応して、外交の在り方も多様化していく、こうした考え方は重要であると思います。

 政府間における外交、これはもちろん最後の責任を担わなければいけない大変重要な外交でありますが、それと併せて、市民交流もあれば、文化、スポーツなど様々な分野での外交がある。その中の一つの重要な外交の切り口として議員外交があると思います。議員の立場から海外の要人と意見交換を行い、あるいは広報ですとか、交流活動を行う、こうした外交、これは日本の外交の多様性から考えても大変重要な外交のありようではないかと思っています。

 こうした外交のありようについても、広くその重要性を認識するべく、政府としましても様々な周知や広報を行っていくことは重要であると思っております。

守島委員 総理、ありがとうございます。議員外交の重要性、説いていただきました。

 このIPUも百年以上加盟しているんですが、こうした議員外交の結果、とてもこれまでも有用だと思っているんですが、なかなかオープンにされてこなかったというのが実態です。

 そして、特に気になるのは、やはり中国が拠出金一位になっている国際機関というのは余り聞いたことがなくて、中国がIPUを通じた議員外交に力を入れているのも何となく理解する次第です。

 そんな中、日本は拠出金を払っているのに政府として余り関与しないというのではなく、今のような、総理の前向きな答弁のように、しっかり関心を持っていただき、周知に当たっていただきたいというふうに思っております。

 さて、今回のIPUでは様々な議論がなされたんですが、特に各国が激論を交わしたのがウクライナ侵攻及び続く領土併合に対する非難という旨の緊急決議案でありまして、結果として、投票の三分の二以上の賛成を経て議案は可決したんですが、多くの国が反対や棄権に回るとともに、ロシアに配慮して会議自体に出席しない国というのも本当に多くありまして、ウクライナ情勢を見る世界の多様性というのを改めて僕自身認識した次第です。

 そうした議会の合間を縫って、日本代表団で各国の議員団とも様々対談させていただきました。その中で、ウクライナの国会議員団とも話す機会を得まして、先方からは、これまで日本政府がしてくれてきたことに関する謝意であったり、これからもサポートをお願いしますということを言われました。

 私からは、今月八日に、ウクライナ議会において北方領土はロシアによって占領された日本の領土だと確認する決議が採決されたことに対する御礼を伝えるとともに、我が国は、終戦後に日ソ中立条約を破って参戦したソ連による武力侵攻を受けて、結果として領土と人命を奪われた経験を有する国として、不当に奪われたウクライナ領土の回復を心より願う意を伝えさせていただきました。

 総理は、このウクライナ議会の議決であったり、ゼレンスキー大統領による北方領土に対する日本の主権を支持する声明について、どういう見解をお持ちでしょうか。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、十月七日の日ですが、北方領土問題に関する日本の立場を支持するウクライナ最高会議決議の採択及びウクライナ大統領の発表がなされたこと、承知をしております。

 これについては、日本の立場について、ウクライナを含め多くの国々から理解、支持が得られること、これは有意義なことであると考えております。

 ウクライナ情勢によって、日ロ関係、厳しい状況にありますが、政府としては、領土問題を解決し、平和条約を締結する、この方針は堅持をしていきたいと思っています。

守島委員 総理、ありがとうございます。

 有意義という言葉をいただいて、ありがとうございます。是非、北方領土におけるウクライナの主張を国際世論にも展開いただきたいというふうに思っておりますし、また、不当に実効支配されてしまった領土を回復させる困難さというのは日本人であればこそ深く理解すると思いますので、引き続きウクライナとの連携をお願いしたいというふうに思っております。

 さて、領土問題についてもう少しだけ踏み込んでいきたいと思うんですが、ポツダム宣言受諾後の一九四五年八月十八日、占守島という千島列島の北端の島において、日本軍が武装解除のさなかソ連軍による侵攻を受けました。日本の守備隊による抗戦でソ連の侵攻は阻まれたものの、その後停戦となり、占守島そして幌筵島の日本軍の武装は解除されました。この占守島の戦いで日本が抗戦したことが、結果として、いわゆるスターリンによる北海道占領計画から日本を守ったとも言われており、防衛の重要性というのを改めて歴史から感じる次第でございます。

 しかしながら、その後、千島列島や南樺太はソ連に支配され、日本軍は武装解除後シベリアに抑留されるという、誰もが知る悲惨な悲劇につながっております。今回この点に関して質問はしませんが、シベリア抑留はポツダム宣言を無視した実に非道な行為であります。

 さて、北方四島はもちろん我が国固有の領土という認識ではありますが、サンフランシスコ平和条約において、日本は千島列島及び南樺太における権利を放棄したものの、ソ連は条約に署名せず、領土問題は、先ほど総理からもありましたが、日ソ、今の日ロ二か国による平和条約締結に向けた交渉に委ねられることになり、国際法上、これらの地域は帰属未確定の土地となっています。

 以後、ソ連がロシアになってからも交渉を重ねますが、条約締結には至っておらず、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからは、そうした道すら今若干閉ざされているんじゃないかというふうに思っておりまして、今後、北方に対する政策は、政府として、総理は堅持すると言っていましたが、アプローチの方法も考えていかないといけない場面に僕は来ていると思います。

 日露戦争後に得た南樺太は別として、得撫島以北の千島列島の帰属、領有権に関して、総理の見解がありましたらお教えください。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

岸田内閣総理大臣 得撫島以北の諸島である千島列島については、サンフランシスコ平和条約により、我が国は全ての権利、権原及び請求権を放棄しております。そして、同条約は、千島列島が最終的にどこに帰属するか、これは何も決めておらず、その最終的な帰属先は未定であるというのが我が国の立場であります。

 北方領土問題については、ウクライナ情勢によって、日ロ関係、現在大変厳しい状況にありますが、しかし、政府としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針、これは堅持していく考えであります。

守島委員 ありがとうございます。

 これまでの方針は堅持するというものの、千島に関しては未帰属地域という回答を得ました。積極的にロシアの領有権を認めているわけではないということは、少なくとも総理の答弁からは確認できたんじゃないかなというふうに思っております。

 もちろん、米英ソのヤルタ協定において、ソ連に対しては南樺太の返還と千島の引渡しというのが書かれたのはもちろん存じ上げていますが、あくまでヤルタは秘密協定で、国際法上認められたものではありませんし、今総理からあったように、サンフランシスコ平和条約においてもロシアの領有権というのは書かれておりません。

 日ロ両国の領土に関する交渉は現在暗礁に乗り上げておりまして、この機に改めて、現状、北方領土のみならず千島列島なども国際法上の帰属国ではない国家による占領下にあるという認識を国内外に示していくことも重要と考えまして、今回質問させていただきました。よろしくお願いします。

 もちろん、不幸な戦争というのはなくさないといけませんが、守るべきものを守るためには防衛力が必要というのは、ウクライナでの善戦を見るに世界も理解することとなりましたし、ウクライナ情勢を受けて、同じ第二次世界大戦の敗戦国であるドイツ連邦議会においても、国防費を平年で二%超まで持ってくることを決議しております。

 こうした世界情勢を踏まえて防衛力の強化に取り組んでいただきたいと思いますが、日本の防衛力強化のための今後の方針と、いわゆる防衛三文書の改定に向けた進捗状況を教えてください。

浜田国務大臣 安全保障環境が厳しさを増す中で、抑止力、対処力の強化は重要であります。国家安全保障戦略等を策定する中で、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速してまいりたいと考えております。

 現在、有識者会議における議論も進められており、こうした議論も踏まえつつ、国民の命と暮らしを守り抜くため、防衛力を抜本的に強化してまいります。その内容、予算、財源の三つに関する議論を一体的かつ強力に進め、年末までに結論を出してまいりたいと考えております。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 今回答があったように、防衛三文書は年内の改定を目指しているということで、先週もワーキンググループが立ち上がったというニュースを聞いています。スケジュールは年内に改定ということで非常にタイトになるというのは理解いたしますが、先日、我が党の馬場代表からの、所信表明演説でもありましたように、是非、防衛三文書の改定に当たっては、閣議決定前に国会にも諮っていただき、しっかりと議論のテーブルにのせていただきたいというふうに思っておりますので、改めて、その点、御考慮いただければ幸いに思っております。

 最後に、ちなみに、私はIPUでウクライナの議員団と話をさせていただいたという話を先ほどさせていただいたんですが、今週もウクライナの国会議員団、訪日されるようでして、あさってですかね、僕たちIPUの派遣団とともに会議を持つことが設定されております。

 なので、そのときの話の材料としても、これまで日本の政府の支援に対しては、先方、とても感謝していたんですが、ウクライナ情勢というのは引き続き厳しい、混迷を極めておりますので、現在想定しているウクライナに対する追加的支援があれば、この機に教えていただきたいと思います。

林国務大臣 お答えいたします。

 ウクライナ支援につきましては、日本はこれまで、ウクライナ及びその周辺国等、影響を受けた関係国に対しまして、約十一億ドルの人道、財政、食料関連の支援を表明して、越冬支援、これは大事だと思いますが、これを含めて順次実施してきております。また、ウクライナから第三国に避難をされた皆様への日本の受入れ支援を行っております。

 来年はG7の議長国という立場でございまして、現地のニーズを的確に把握しながら、これまでの知見や経験、これを生かして、国際社会の議論をリードしながら、ウクライナの人々に寄り添った支援を検討、実施してまいります。同時に、避難民の方々の置かれた状況も踏まえながら、必要な支援を行っていく所存でございます。

 こうした取組や考え方については、バイやマルチの場などでウクライナ側にも伝達をしてきているところでございます。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 越冬支援も、もう冬も来ますので、是非お願いしますし、受入れの拡充もよろしくお願いします。

 時間が来たので終わりますが、両国の関係強化に僕たちも頑張っていきますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、阿部司君から関連質疑の申出があります。守島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 先日の我が党の藤田議員の労働市場に関する質問、問題意識を踏まえ、引き続き、議論を深めてまいりたいと思います。

 なお、本日は、パネルのサポートを兵庫で活躍中の池畑浩太朗議員にお願いをしております。

 先日の本委員会での藤田議員への答弁で、総理は、労働移動の円滑化は重要との認識を示し、来年六月までに指針を取りまとめ、五年間で一兆円の人への投資支援のパッケージ施策を行うとおっしゃいました。

 技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために新しい知識やスキルを学ぶ、いわゆるリスキリングが話題となっておりますけれども、抜本的改革なくして、労働移動の円滑化、賃上げ、生産性の向上が起こるのでしょうか。我が国の資源は人しかありません。本日は、このテーマについて議論をさせていただき、総理の本気度についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、最初の質問です。

 リスキリング施策によって主に成長産業へ労働移動の円滑化を目指すとのことですけれども、具体的にどのような分野からの労働移動を想定しているのか、総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、労働移動の円滑化は構造的な賃上げにつながる鍵であるということを申し上げております。その実現に向けて、分野にかかわらず、希望する労働者が主体的に、賃金上昇が期待できる成長分野の企業、産業へ失業なき労働移動を可能とする環境整備、これを進めてまいります。

 そして、御質問は、どういった分野に労働が移動するのかということでありますが、デジタル技術の進展あるいは高齢化を受けて、様々な労働需給の見通しが示されております。その中にあって、デジタル化により管理部門や間接部門が合理化されるとともに、デジタル分野あるいはヘルスケアの分野において人材不足が見込まれる、そうした変化に対して労働移動が行われることが望ましいと考えます。

阿部(司)委員 特定の分野からの移動というのは想定されていないというふうに受け止めたんですけれども、生産性ですとか成長率、こういった指標が余り高くない産業に従事している方々がスキルアップをして成長産業に移動することは、マクロ的にも、そしてミクロ的にもプラスになります。ここでやはり重要になってくるのは、労働市場そのものの流動性にあるのではないかなと思っております。

 ところで、日本の従業員のエンゲージメント、いわゆる士気ですとか、やる気、熱意、こちらは非常に国際的に低いと言われております。

 こちらのパネルを御覧いただきたいんですけれども、士気、熱意がある従業員の割合は、全世界平均が二〇%なのに対し、日本は五%と、世界のほかの地域と比べても、近隣のアジア諸国と比べても最低です。

 こうした事実があるわけですけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。率直な御感想、御意見をお伺いできればと思います。

加藤国務大臣 御指摘のエンゲージメントに関する国際比較はいろいろな調査機関が出していて、私も日本が低いということを大変危惧をしております。確かに、それぞれの国民性でエンゲージメントを強く言うか言わないかの差はあるにしても、それでもかなり低いというのが私の認識であります。

 厚労省でも分析をし、特に、正社員の中では二十九歳以下の若年層や役職に就いていない方、非正規雇用の中ではいわゆる不本意非正規の方について、ワークエンゲージメントが低い傾向にあります。

 また、ワークエンゲージメントが向上することによって、定着率、離職率に加え、働く方のストレス、労働生産性などが改善する可能性があるというふうに考えておりますので、いかにワークエンゲージメントを向上するように各企業にも取り組んでいただく、そのために、いろいろ先進的にやっている企業もありますので、そうしたものをまず我々が聞かせていただいて、その内容をそれぞれに広げていく、あるいは、それを導入するための、例えば社労士さん等にいろいろ力をかしていただく等、いろいろなことを考えていかなきゃいけないと思います。

阿部(司)委員 今お話ありましたとおり、我が国の従業員エンゲージメントが低い状況というのは、いわゆる昇給ですとか昇進が年功序列であったり、スキルとか成果ではなく組織に従うことが重視されるメンバーシップ型、こうした日本型の雇用慣行、さらには、硬直的な労働市場がもう時代に合わなくなってきていることの映し鏡ではないかなと思っております。

 そこで、リスキリングが有効に機能する前提条件について議論をさせていただきたいと思います。

 私は、リスキリングは、働く個人がスキルをベースに会社と対等な契約を結ぶ環境があって初めて効果を発揮するものと考えます。こうした観点からは、現代の日本型雇用慣行のままでは、個人がリスキリングをして労働移動をするインセンティブは働かないのではないかと予見されます。自由に労働移動がなされる市場があって初めてリスキリングのインセンティブが生じる。

 したがって、労働移動の円滑化を進めるには、そもそもの企業と個人の関係性自体を変化させるような労働市場改革、構造改革が必要だと思いますけれども、加藤大臣の御見解をお伺いします。

加藤国務大臣 今おっしゃるように、労働市場の中で、特に、まず企業側からすると、いわゆる中途採用、日本はこれまでずっと新卒採用を中心としてきたわけでありますが、中途採用等で採用していくということ。これも実際、中途採用をされた企業に聞くと、よかったと。ただ、やっていないところはなかなかそこに踏み込めないということですから、その辺を共有化していくということ。それから、兼業、副業等、その入口ということですが、これも、今、就業規則等を見直していただいて、それを積極的に進めていく。こういう努力を進めていかなきゃならないと思います。

 委員おっしゃる、いわゆる解雇ルールそのものの在り方、これについては、まさに賃金あるいは雇用というのは多くの労働者の生活そのものを支えておりますので、企業雇用慣行、人事労務管理の在り方と併せて、これは労使間で十分に、また慎重に議論しなきゃいけないんだろうというふうに思います。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございます。

 ここで、こちらのパネルを御覧いただきたいんですけれども、維新の労働市場改革の方向性についてなんですが、フレキシキュリティーとあります。フレキシキュリティー、フレキシビリティーとセキュリティーを合わせた造語となりますけれども、このコンセプトの下、解雇規制緩和を含む労働市場の流動化を進め、ベーシックインカム、失業給付、そして今話題になっているリスキリングといった、セーフティーネット、再教育を充実させるといったことを一体的に行う政策パッケージが我々の案でございます。

 構造改革と個人への支援を両輪で進めることが重要で、ここを本気でやらないと、結局、税金の無駄遣いで中途半端な成果しか出ずに終わってしまうのではないかといった問題意識をここで申し述べさせていただきたいと思います。

 次に、もう一方の個人向け支援の話をしたいと思います。

 本気で国を挙げて人への投資をして、国民全体をリスキリングしていくといった機運を高めていくには、国が全力で国民一人一人を応援するという強いメッセージ及び大胆な施策を打っていくことが必要だと考えます。

 そこで、外国の例を一つ御紹介いたします。こちらのパネルを御覧ください。

 シンガポールでは、全国民を対象にリスキリングの機会を提供する取組を二〇一四年から進めています。スキルズフューチャーという国民的な運動なんですけれども、この特徴は、対象が全国民である点、リスキリングのコースが豊富な点にあります。具体的には、二十五歳以上の全国民に最大千五百シンガポール・ドル、日本円で約十四万七千円のクレジットを支給しまして、これを使って二万四千以上あるコースから自らに合ったメニューを選択するというもので、生産年齢人口の二五%が制度を利用しているということです。

 このように、政府がリスキリングに取り組む企業に補助金を支給するといった方向ではなくて、スキルズフューチャーのように直接個人を支援する取組の方が公平かつ機運も高まると考えますけれども、加藤大臣、御見解をお伺いします。

加藤国務大臣 やはり、日本は人材に対する投資が、特に最近低下してきている、ほかの国と比べても低い。これは両方あると思います、企業における人材開発、そして個人の人材投資。両方大事だと思いますが、企業の場合にはその企業にとってということになりますから、幅広く考えると、個人への支援というものも必要だと思います。

 今、労働者が主体的に教育訓練を修了した場合の費用の一部を支給する教育訓練給付、これもやっております。あるいは、公共職業訓練や求職者支援制度。さらには、これは文科省が実施しているリカレント教育プログラムに対する、今申し上げた職業訓練受講給付金などを使える。こういったこともし、さらには、税制上では、労働者が研修や資格取得に要した費用は、職務の遂行に直接必要なものについては、給与支払い者の証明を得ることで、所得税上の取扱いとして、特定支出控除の研修費として計上することが可能になる制度というものもあります。

 こうした制度を更にどう磨いていくのか、これはしっかり検討したいと思います。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 次に、少し視点を変えて、労働市場をめぐるマクロの状況を確認しておきたいと思います。

 こちらのパネルを御覧願います。

 二〇五〇年までの日本の生産年齢人口の見通しです。人口減、少子高齢化が進む我が国では、現在約七千四百万人いる生産年齢人口は、二〇五〇年には三分の二の五千三百万人にまで減ってしまう見込みです。

 このように、人口、生産年齢人口共に減少する我が国が成長を実現するには、労働参加率を上げていくことが重要です。そのためには、非正規の方、また、氷河期の影響で長く無業状態にある方、退職を迎えた高齢者の方などなどが、それぞれが求める多様な勤務形態で新たな職に従事できるようなリスキリング施策が必要になります。私が独自に推計したところでも、就職氷河期世代のうち約百万人は、何がしかの求職意向があると思われます。

 そこで、今後策定する労働移動円滑化の指針には、繰り返しになりますけれども、先ほどのスキルズフューチャーのような取組など、こうした方々への直接支援を盛り込むことが重要なのではないかと考えますが、岸田総理の御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 グリーンやデジタルといった成長分野において、その成長を支える人材を確保するためには、委員御指摘のように、非正規の方、あるいは、いわゆる就職氷河期の影響を受けた方、さらには高齢者の方、こうした方々を含めあらゆる方々がリスキリングによりスキルアップをし、こうした分野に労働移動をしていく、こういった流れをつくることが重要であります。

 そういったことから、先ほど厚労大臣からも説明させていただきましたが、今回まとめる総合経済対策の中にも、こうしたスキルアップを目指す方々を受け入れる企業への支援、そして、従来、企業の中で社員のスキルアップに努力している企業に対する支援も手厚くする。それと併せて、個人への支援ということで、民間の専門家への相談等も含め、リスキリング、転職までを一気通貫で支援する制度、こうした個人への支援、これを新設するということを考えております。

 こうした取組を通じて、様々な方々がそれぞれの能力に応じてスキルアップを考えていただくことは重要であり、こういった社会をつくっていくことが重要であると認識をしております。

阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。

 構造的に厳しい状況に置かれている就職氷河期世代の皆さんの意向や、状況に応じた就労意欲やニーズを酌み取ったリスキリングという視点を是非とも持っていただきたいと思います。

 最後に、経済成長を図り、国民所得を増やす戦略の軸に人への投資を据え、そのために多くの国民がリスキリングをすべきと考えるのであれば、大変お忙しいとは思いますが、まずは岸田総理御自身がリスキリングに取り組んで、その背中を国民に見せて、国民的運動を起こす覚悟が必要だと思いますが、総理の決意、御見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 先ほどの答弁でも、こうした社会の機運をつくることが大事だということは申し上げました。

 現在の政府のデジタル社会構想会議に委員として就任いただいている若宮正子さんという方がいます。この方は、八十歳を過ぎてからコンピューターを学び、ゲームを開発し、そして世界から今注目をされている方です。

 この若宮さんの例のように、私のような世代も含めたあらゆる方がリスキリングを行い、それを通じて自ら希望する職業に就く、そして生産性を向上させる、そして賃上げにつなげていく、こうした社会をつくっていくことが大事だと思います。そのために社会の機運を盛り上げていきたい。

 御指摘のように、私自身、なかなかリスキリングということは、その言葉どおりに実践することは難しいかもしれませんが、絶えず日々様々な関係者の話を聞き、学びながら政策に取り組んでいく、こういった姿勢を大事にすることによって、こういった社会の機運醸成に貢献をしていきたい、このように思います。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 引き続き、労働市場改革、議論していただけたらと思います。

 ありがとうございました。失礼します。

根本委員長 これにて守島君、阿部君の質疑は終了いたしました。

 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 国民民主党の鈴木敦です。三十三歳でございます。

 本日は、滋賀県の斎藤アレックス議員に補助に入っていただきまして、三十七歳、二人でお送りしたいと思います。ちょっと入れ替わっただけですね、先週から。

 一番最初にお伺いしたいのは、これは私が国会議員になって必ず総理に聞こうと思っていたことです。

 非正規をずっとやっておりまして、低賃金で働いてまいりました。そんな中で、私、人の世の過ごし方は三種類に分けられると思いました。人生を楽しむこと、日々を過ごすこと、そして、その日を耐えること。高収入の方々は人生を長期的にどうやって華やかなものにするかを考えられると思います。平均ぐらいの方々は日々の計画を立てることができると思いますが、低賃金で働く方、特に非正規の方々はその日をどうやって暮らしていくかを考えざるを得ない。

 私の世代はリーマン・ショックと東日本の震災がありました。今は、新型コロナがあり、またウクライナの紛争があり、物価高があるという状況でございます。こういうときに一番問題になるのは非正規で働いている方々。生活が苦しくなって、ぎりぎり踏みとどまって毎日暮らしている人たちは、中長期的な計画を立てることができないんですね。

 今日も、先週もそうですが、この予算委員会の議論の中で労働の話、たくさん出ていました。リスキリングの話もありました。大変重要な課題でございますが、これらは中長期的な課題であって、今すぐには実現が不可能なんです。

 もう今、出勤された先生方もいられると思いますので分かると思いますが、大分寒くなってきました。物価が高くなって、気温も下がってきて、あしたどうやって暮らそうか考えている人たちは、それを待っているいとまはありません。今すぐに、短期的で、そして直接的な支援が必要です。そこにこそ支援の輪を、力を出していくのが我々国会議員の責務ではないかと思います。

 どうか、私も当事者の一人として総理に提言申し上げたい。短期的に、そして早期にこうした低賃金の方々、非正規で働いている方々に支援の手を伸ばしていただけますよう、当事者の一人として、全国の低賃金そして非正規で働いている皆様を代表してお願い申し上げたいと思います。総理、お願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的には、社会として、誰もが納得した待遇の下で、一人一人の希望に応じて、そして多様で柔軟な働き方を選択できる社会を目指していくということだと思います。

 しかし、現実は大変厳しいものがあり、委員御指摘のように、未来を選択するどころか目の前の課題に取り組まざるを得ない、大変苦しい思いをされておられる方がいるということ、こういった方々に対して、政治の立場から思いを巡らしていかなければならない。これはそのとおりだと思いますし、政治はその部分にしっかりと思いを巡らしていく、努力を注いでいく、これは大きな責任を担っていると考えます。

 そして、御指摘のように、先ほど来の議論、リスキリングの議論と、中長期的に日本の賃上げを実現する、構造的な議論であります。こうした中長期的な議論ももちろん大事ですが、目の前の賃上げ、物価高騰に的確に対応する必要がある、このことも忘れてはならないと思います。

 ですから、賃上げの議論は、まず目の前の物価高騰に現実的に対応する議論と、そして、それを持続させるための中長期的な議論、これを併せて議論することが大事であると思います。

 非正規の方々に対して、まずは生活、仕事を守らなければいけないということで、エネルギーや食料を始め様々な政策を用意する。こうしたことと併せて、非正規の方々の待遇改善のために、新たに、労働基準監督署の体制を強化する、待遇差が問題となる事案、これを即把握することによって同一労働同一賃金の遵守を徹底するなど、こうした対策から始めて中長期的な課題に取り組んでいく、こうした具体的な政策を政府としても用意をしていきたいと考えております。

鈴木(敦)委員 なぜ私が最初に年齢を申し上げたか。私三十三、アレックス三十七。なぜ申し上げたかというと、その三十代の方々というのは、いろいろな荒波にもまれて、状況があったんですね。

 ある人の話を、二人の人間の話をしましょう。一人は、いい大学を出て、大手の一流企業に入って、今は首相秘書官として総理とお仕事をされている。もう一人は、同年代で、大学を出ることはできなかった、望みの仕事に就くこともできず、非正規で働かざるを得なくて、十年間思いをためて国会議員になって総理と議論をさせていただいている方。この二人を隔てるものはそんなに大きなものではないんです。

 ですから、近くにあるものにもっと光を当てていただきたい。形だけではなくて、是非、追加の経済対策等に入れていただきたいと思います。

 時間がありませんので、幾つか飛ばさせていただきますが、経産大臣にお願いいたします。

 我が国の半導体についてのお話でございますが、世界では、今、半導体というのは戦略物資になっております。我が国の半導体、日の丸半導体と言われていたのはもう三十年も昔の話、私が生まれた頃ですね。今は、半導体にかける予算のかけ方が我が国とは桁違いです。

 お隣の韓国だけ例に挙げますけれども、韓国の場合、五十一兆円もかけて二〇三〇年までにやろうとしているときに、我が国は何千億円でやっているわけです。これじゃとても、ひっくり返ってもかなわないんです。

 どうか、今後の考え方、財源の話は結構ですから、経産大臣としてどうやって戦略的に戦っていくか、御答弁をお願いいたします。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、半導体は、デジタル化、新しい時代ですね、それから脱炭素化を含めまして、まさに、世界が競い合うキーテクノロジー、そして安全保障にも関わる大事な技術だというふうに認識をしております。御指摘のような、各国競い合う中で、それぞれの支援策に比肩するような国策、匹敵するような国策としての支援が必要だという認識は共有をしております。

 そうした中で、昨年、法改正を行って、令和三年度補正予算で、先端半導体の製造基盤整備の予算として七千五百億円超を計上しております。これによって、熊本のJASM、先端ロジック半導体の新工場建設を始め、複数の大規模国内投資を実現をしているところであります。

 JASMの話を聞きましても、スピード感、規模感含めて、スピードは各国よりも速いという御指摘もありましたし、規模感も匹敵をするものだという評価もいただいております。

 あわせて、熊本大学を始め、工業高校、高専などで半導体の授業が始まるなど、人材育成も進んできているところであります。

 まさに、御指摘のような戦略的に意義深い分野でありますので、円安も活用して、国内への投資、これが進むような政策をしっかりと実現していきたいと思いますし、それを促すような支援策、これを経済対策の中でもまた今後もしっかりと実現し、国内にこの半導体の基盤、定着をさせていきたいというふうに考えております。

鈴木(敦)委員 では、最後に、これをやるための財源のお話をします。

 質問は飛ばさせていただきますが、これは百四十九円レートで計算した場合の我が国の外貨準備高の総額になります。百四十九円ですから、今ちょっと増減していると思いますけれども。

 今、総理の答弁、過去の本会議やアレックス議員の質問の中でもありましたけれども、これを使うのは適当ではないと総理はおっしゃっているんですが、我が国は、これだけの外貨準備高、ほとんどドル建ての米国債を持っているのに、何のために持っているのかというお話になります。

 ちょっとずつでも、含み益の話を今まで総理とかアレックス議員は言っていましたが……

根本委員長 鈴木敦君、簡潔にお願いします。

鈴木(敦)委員 済みません。

 これは、本体そのものを使う議論をするべきではありませんか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、一ドル百四十九円と計算すると、百八十四兆円であります。ただ、これは今年の一月の段階では百四十二兆円でありました。これは、要は状況によって急速に変化するものであります。そして、これ自体、市場に対して将来の為替介入に備えて保有するものであります。

 今後の状況に対して為替介入に備えておくことは重要であるということを申し上げているわけですし、あわせて、この外貨を円に替えることが実質的にドル売り・円買いの為替介入そのものに当たってしまうということにおいて、これを財源として考えることは不適切であると説明をさせていただいている次第です。

鈴木(敦)委員 時間ですので、済みません、時間が過ぎました。終わります。

根本委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。

 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 総理は、先週の予算委員会で、党として統一協会と関係を絶つ、さらには、地方に対してもその方針を徹底すると答弁をされました。しかし、本当に断ち切れるかどうかは、地方が鍵だと私は思います。

 霊感商法対策弁連の渡辺博弁護士は、九月に行った講演で、自民党元衆議院議員の下で無償で私設秘書を務めてきた元信者の証言として、統一協会は、選挙支援の見返りに、当選後に泊まり込みでの原理講義を受け、秘書を将来的に地方議員に立候補させるという契約を結んでいた、こう語られました。さらには、秘書となった信者たちは、統一協会の指示で定期的に招集されて会議を行い、自分たちが仕える議員の動静について統一協会に報告していたという驚くべき事実を明らかにいたしました。

 総理は、このような実態を御存じですか。

岸田内閣総理大臣 地方において様々なケースがあるということについては私も承知をしております。しかし、これが全体であるということは私は思ってはおりません。

 だからこそ、政府として今回、実態を明らかにするとともに、関係を絶つという方針を明らかにし、そのための具体的な方策を今進めております。自民党において、党のガバナンスコード、これを改定し、指針、これを明確にいたします。そして、それを担保するための個別の取組、個別照会に応じる事前のチェック体制の構築など、そうした体制を用意いたします。

 そして、地方ということで申し上げるならば、こうした方針、そして具体的な対応、これを今月中にも地方の都道府県連、さらには全国の党所属国会議員に対し周知徹底することを今用意をしております。

 今現在、地方においては、各都道府県や個々の政治家の判断で調査、説明をされているということであると承知しておりますが、党本部として、今申し上げました方針や具体的な対応、これを周知させることによって、地方においても党の関係を絶つという方針を徹底していきたいと考えております。

宮本(岳)委員 ガバナンスコードと言いますけれども、東京新聞、報じていますよね。決別の言葉もない、関係を絶つという言葉もない、地方議員に対する記載もないというふうに東京新聞の報道が出ていますね。

 統一協会の信者が国会議員の秘書から地方議員へというルートは、これは紛れもない事実であります。現に、私の選挙区である大阪市此花区でも、学生時代に入信し集団結婚までした信者が、自民党元衆議院議員の秘書から大阪市会議員となって今も議席を持っておられる事例、実例がございます。

 総理が幾ら関係を絶つとおっしゃっても、このようなルートを放置しておけば、関係が絶てるわけがないんです。地方議員についても全て、自民党で、あなたの指示で、ちゃんと調査すべきじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げました取組を通じて、地方においても党の方針を徹底してまいります。地方においても、党の方針に従ってもらわなければ党との関係を考えてもらわなければならない、このように思っています。

 今月中にも、方針と、そして具体的な対応について、全国の都道府県、そして国会議員に対して、党としてしっかり指示を発して、徹底させていきたいと考えております。

宮本(岳)委員 先ほどから議論を聞いていますけれども、ちゃんと自ら調査するとおっしゃらないわけですよ。地方だってそうですよ。今度のガバナンスコードだってそうなっていないんですね。

 総理は二言目には、地方に自民党がやっているこの方針が、我が党だけだ、しっかりやっているというふうに答弁でもおっしゃるけれども、私、実は、全国の地方議会の状況を、我が党地方議員団を通じて、全て調査を、都道府県議会について調べてみました。

 統一協会と政界との関係の徹底解明を求める趣旨の意見書に、自民党は、滋賀県、京都府、愛媛県、高知県、茨城県、石川県、新潟県で反対をして否決をしております。全会一致で可決したものの中に、被害者の救済、被害防止を求める意見書というのもあるんですけれども、京都、大分県、千葉県では、被害救済を求める意見書にすら自民党は反対しているんですよ。私が調べた限り、自民党が都道府県議会で徹底解明に賛成した事例は一つもありませんでした。

 総理、我が党だけだと言うけれども、こんな妨害をやっているのこそ、自民党だけじゃありませんか。

岸田内閣総理大臣 社会的に問題のある団体等の間に様々な接点があり、そのことによって政治の信頼を損ねることになったことについて率直におわびを申し上げた上で、各議員、関係者が当該団体との接点をそれぞれしっかり説明した上で、未来に向けて関係を絶つ、これが自民党の方針であります。この方針を徹底することによって信頼を回復していきたいと申し上げております。

 今、個別な、具体的な事例を紹介いただきましたが、こうした方針を徹底することによって、党として、そして政府として、この問題に対する被害者救済とそして再発防止、こうしたものにつながると信じて、信頼回復に努めていきたいと考えております。

宮本(岳)委員 静岡朝日テレビの番組内で、自民党の藤曲敬宏静岡県議は、統一協会の信者であることをお認めになりました。

 十月二日放送のNHKスペシャルで、自民党の板橋一好栃木県議は、先月まで七年間、統一協会の関連団体である世界平和連合の支部代表を務めていたことをお認めになっております。この自民党県議は、番組内で、今のところ、党の方針としてつき合うなということなので、党の方針は守るが、まあ、これがいつまで続くか、もう少し冷静な判断ができるようになれば状況が変わると言っております。

 総理、あなたが幾ら関係を絶つと言ってみても、地方では、ほとぼりが冷めればまたとなっているんですね。こういう人を来年の統一地方選挙で公認しないと断言できますか。

岸田内閣総理大臣 個人の方がいろいろな発言をされることについて一々コメントはいたしませんが、自民党としての方針は、先ほど来説明したとおりであります。それを今月中にも徹底するということで、地方においても関係を絶つ、こうした方針を徹底してもらいたいと思っております。

 地方選挙においても、党の方針に従うかどうか、自民党との関係を考えた場合に、大変重要な要素になるということは当然のことだと思っております。

宮本(岳)委員 教団幹部の勅使河原氏は、同じ番組内で、総理が一切の関係を絶つとおっしゃったことについては残念と言いつつも、まあ、落ち着いたらまたいろいろと対話ができるようになるかもしれないと語っているんですね。栃木県議と一緒じゃありませんか。

 総理が幾ら関係を絶つと言っても……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、簡潔にお願いします。

宮本(岳)委員 地方議員と統一協会の関係を絶つこと、そして、統一協会には、時間稼ぎを許さず、直ちに解散命令を請求すること、これをしなければ絶対にこれは断ち切れないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。

 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大阪五区、大石あきこです。

 パネルの担当は、東京二十二区、櫛渕万里議員です。

 統一教会の問題について。パネル一です。

 先日、安倍元総理を国賊と言った自民党の議員が自民党内で処分されました。この方、このようにおっしゃったそうです。財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊して、旧統一教会に選挙まで手伝わせた、私から言わせれば国賊だと。

 都合の悪い発言をした議員を処分、自民党には自浄作用などないということが明らかになりました。

 そうであれば、国会で徹底的に調査し、このうみを出すしかありません。いかに自民党が統一教会と結託して政策をゆがめてきたのか、この国を壊してきたのか。ごまかしの党内点検で幕引きなどあり得ません。

 したがって、統一教会問題においては、徹底調査のため、特別委員会の設置を求めます。

 委員長、理事会でのお取り計らいをお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

大石委員 そして、自民党だけではありません。この国会の中にも似たような、闇の懲罰ルールがあるんです。

 今回、私の発言時間は三分。これは先日、立憲の理事から連絡があって、元々四分で調整してもよかったんだ、でも一分減らしたんだと。

 というのも、私が十八日の予算委員会で問題のある発言をしたというんですね。維新を論拠なく……(発言する者あり)ちょっと御静粛にお願いします。維新を論拠なく批判したんだ、それから、維新が反論権がないのに批判したんだ、そういう理由だったんですが、これは全く事実ではないんですね。維新を論拠を持って批判しましたし、また、反論権がないといっても、理事の会派です。いろいろな場所で反論権があります。むしろ、反論権がないのが私だったんです。このことについても必死に反論しましたけれども……

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、簡潔にお願いします。

大石委員 うそ、そんなことないはずですよ。

 少数会派にも最低十分の質問時間を。

 総理に質問します。

根本委員長 申合せの時間が過ぎておりますから、答弁を求めることはいたしません。

大石委員 三分、まだありますよ。

根本委員長 御発言中恐縮ですが、申合せの時間が過ぎておりますから、これにて大石あきこ君の質疑を終了いたします。

大石委員 統一教会もさることながら、自浄作用のない自民党こそ解散するべきだと考えますが、いかがですか。三分、ありますよ。

根本委員長 もう質疑の時間は、質疑は終了しております。

 これにて大石君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三分散会


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