衆議院

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第6号 令和4年11月25日(金曜日)

会議録本文へ
令和四年十一月二十五日(金曜日)

    午前八時五十八分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 小林 鷹之君 理事 中山 展宏君

   理事 古川 禎久君 理事 堀井  学君

   理事 牧原 秀樹君 理事 逢坂 誠二君

   理事 後藤 祐一君 理事 青柳 仁士君

   理事 赤羽 一嘉君

      赤澤 亮正君    伊藤 達也君

      今村 雅弘君    岩田 和親君

      岩屋  毅君    衛藤征士郎君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      奥野 信亮君    金田 勝年君

      亀岡 偉民君    川崎ひでと君

      後藤田正純君    佐々木 紀君

      鈴木 隼人君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    辻  清人君

      土屋 品子君    中川 郁子君

      中根 一幸君    橋本  岳君

      平沢 勝栄君    古屋 圭司君

      牧島かれん君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君    八木 哲也君

      山本 有二君    若宮 健嗣君

      鷲尾英一郎君    渡辺 博道君

      荒井  優君    石川 香織君

      泉  健太君    大西 健介君

      源馬謙太郎君    神津たけし君

      堤 かなめ君    長妻  昭君

      西村智奈美君    馬場 雄基君

      藤岡 隆雄君    本庄 知史君

      森山 浩行君    山岸 一生君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      渡辺  創君    阿部  司君

      池畑浩太朗君    掘井 健智君

      庄子 賢一君    中野 洋昌君

      吉田久美子君    鰐淵 洋子君

      斎藤アレックス君    宮本  徹君

      緒方林太郎君    福島 伸享君

      大石あきこ君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   総務大臣         松本 剛明君

   法務大臣         齋藤  健君

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   文部科学大臣       永岡 桂子君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      西村 康稔君

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    西村 明宏君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (デジタル改革担当)

   (消費者及び食品安全担当)            河野 太郎君

   国務大臣

   (復興大臣)       秋葉 賢也君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     谷  公一君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   小倉 將信君

   国務大臣

   (新しい資本主義担当)

   (スタートアップ担当)

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (アイヌ施策担当)    岡田 直樹君

   財務副大臣        井上 貴博君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  加野 幸司君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   松浦 克巳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  遠藤 和也君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       柿田 恭良君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            小林 浩史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         高橋 謙司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  高橋 一郎君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石井 昌平君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   予算委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     八木 哲也君

  岩屋  毅君     小田原 潔君

  後藤田正純君     橋本  岳君

  鈴木 隼人君     川崎ひでと君

  三谷 英弘君     赤澤 亮正君

  山本 有二君     田所 嘉徳君

  西村智奈美君     堤 かなめ君

  藤岡 隆雄君     泉  健太君

  吉田はるみ君     石川 香織君

  渡辺  創君     長妻  昭君

  鰐淵 洋子君     吉田久美子君

  緒方林太郎君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     越智 隆雄君

  小田原 潔君     岩屋  毅君

  川崎ひでと君     若宮 健嗣君

  田所 嘉徳君     山本 有二君

  橋本  岳君     佐々木 紀君

  八木 哲也君     石破  茂君

  石川 香織君     吉田はるみ君

  泉  健太君     藤岡 隆雄君

  堤 かなめ君     馬場 雄基君

  長妻  昭君     渡辺  創君

  吉田久美子君     鰐淵 洋子君

  福島 伸享君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     中川 郁子君

  佐々木 紀君     後藤田正純君

  若宮 健嗣君     岩田 和親君

  馬場 雄基君     神津たけし君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     鈴木 隼人君

  中川 郁子君     三谷 英弘君

  神津たけし君     山田 勝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 勝彦君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  山岸 一生君     荒井  優君

同日

 辞任         補欠選任

  荒井  優君     西村智奈美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)

 令和四年度特別会計補正予算(特第2号)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 令和四年度一般会計補正予算(第2号)、令和四年度特別会計補正予算(特第2号)の両案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官加野幸司君、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長松浦克巳君、総務省大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省国際協力局長遠藤和也君、文部科学省科学技術・学術政策局長柿田恭良君、厚生労働省子ども家庭局長藤原朋子君、経済産業省大臣官房長藤木俊光君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、中小企業庁事業環境部長小林浩史君、国土交通省大臣官房総括審議官高橋謙司君、国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、国土交通省不動産・建設経済局長長橋和久君、国土交通省住宅局長塩見英之君、国土交通省鉄道局長上原淳君、国土交通省海事局長高橋一郎君、観光庁次長秡川直也君、海上保安庁長官石井昌平君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省人事教育局長町田一仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。自由民主党の赤澤亮正です。

 本日は、本年十月末に取りまとめられた経済対策の裏づけとなる補正予算案の審議です。

 私は、これまでの岸田政権の取組は、内政、外政共に、大筋において評価できるものと考えています。この流れを今回の補正予算にしっかりとつなげていかなければなりません。

 まず内政ですが、岸田政権は、物価高騰の中で国民生活や事業活動をよく下支えしてきました。エネルギーと食料にポイントを絞って、激変緩和措置、小麦価格の据置きなどを行ってきた結果、我が国の消費者物価指数、四十年ぶりの三・七%ですが、諸外国と比べれば半分程度、一〇%を超えるようなイギリスやドイツというような国と比べれば、本当にうまくやっているというふうに評価できると思います。

 電力料金もこれから値上げを予定されていますが、この補正予算案で電力についてもガスについても手を打つということであります。

 また、感染拡大防止に気をつけながら、水際対策の緩和など社会経済活動の正常化にウェートを移すことで、インバウンドの再開など円安を生かした地域の稼ぐ力が回復しつつあり、経済に明るさも出てまいりました。

 岸田政権が、新しい資本主義の旗印の下、人への投資を大きく打ち出したことも、日本経済を持続可能で一段高い成長軌道に乗せるための画期的な取組です。

 外政に目を移せば、岸田総理は、今月行われた数々の国際会議、ASEAN関連首脳会議、G20バリ・サミット、APEC閣僚・首脳会議、日米韓首脳会合、さらには日米、日中、日韓それぞれの首脳会談に出席をし、ロシアにおけるウクライナ侵略、あるいは中国による東シナ海や南シナ海における行為、北朝鮮による度重なるミサイル発射などについて厳重に抗議しつつ、日中首脳会談では、習近平国家主席の満面の笑みが世界に発信をされました。

 私は、総理がG7にもASEANやAPECにもひとしく目配りされている外交姿勢を高く評価をしております。特に来年、二〇二三年は、日本・ASEAN友好協力五十周年の記念すべき年です。総理の御地元で来年五月開催されるG7広島サミットももちろん重要ですが、日本・ASEAN友好協力五十周年の来年、我が国がアジアの中の日本という立ち位置も明確にし、アジアの重要性をG7の重要性と同じぐらい発信する年にしていただきたいというふうに思っております。

 以上のような内政、外政の大きな流れにしっかりとつながるこれまでの取組を加速するこの度の補正予算にしなければなりません。

 その一方で、第二次岸田改造内閣の閣僚が既に三人交代をいたしました。反省すべきところは反省し、国民の信頼を回復して、政策断行内閣を貫徹していただきたいというふうに考えますが、そのような点も含めて、今回の経済対策と補正予算に込めた岸田総理の思いを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、私の政権運営の基本は、これまでも申し上げてきておるように、信頼と共感ということであります。その上で、御指摘のように、国会開会中に大臣が辞任する事態に至ったこと、これは誠に遺憾なことであり、私自身、任命責任を重く受け止めておるところであります。

 この総合経済対策の裏づけとなる補正予算案、被害者救済新法、新型コロナ対応、当初予算編成など重要課題に一つ一つ答えを出すことによって、政策に遅滞を生じさせないよう、政府一丸となって国政運営に取り組んでいきたいと思います。

 その上で、総合経済対策に込めた思いという御質問でございますが、今年に入りまして、三月、四月、七月、九月、国民の生活、またなりわいを守るために、様々な対策を講じてきました。

 その上で、今般、総合経済対策を用意をし、世界的な物価高騰、そして景気減速という世界規模の経済下振れリスクに万全の備えをするとともに、物価高、円安への対応、構造的な賃上げ、そして成長のための投資と改革、これらを重点分野として、日本経済再生を図るための対策と位置づけさせていただいております。

 物価高に対しては、これまで講じてきた累次の対策に加えて、電気・ガス料金の上昇による家計や企業の負担を直接的に軽減する前例のない負担軽減策を講じて、国民生活を守り抜いてまいります。

 また同時に、目下の物価高に対する最大の処方箋は、物価上昇に負けない継続的な賃上げであると考え、積年の構造問題である構造的賃上げ、これにも果敢に取り組んでまいります。

 そして、未来を切り開くためには、日本の経済、成長させなければいけない。投資という観点から、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、DX、この四分野に前例のない総額六兆円規模の支援策を用意し、民間投資を誘発してまいります。

 こうした支援、施策を一日も早く国民の皆様方の元に届け、生活を、そして事業をしっかり支えていきたいと考えております。

赤澤委員 今の総理の御答弁、私なりに要約すれば、世界経済の減速リスクを十分に視野に入れた上で、足下の物価高騰やコロナの第八波などに対応して国民生活や事業活動をしっかり支えるとともに、新しい資本主義を加速して日本経済を再生するという御決意だったと思います。

 このような観点から、今回の補正予算の規模と内容を評価すれば、いずれも適正なものであると考えます。

 内閣府の推計によるGDPギャップ、需要の不足が十五兆円、安定して二%物価目標を達成するために必要と思われる超過需要十五兆円を加えて、合計三十兆円程度の補正予算が必要と考えますので、この度の特別会計を含む国費二十九・六兆円という補正予算の規模は、ほぼ適正と言えます。

 今回の補正予算の規模は適正であるという前提で、次は内容を見たいと思いますけれども、来年七月頃から、ゼロゼロ融資の三年据置期間が経過をして、返済が始まる事業者の皆様が多数おられます。ゼロゼロ融資、すなわち事実上無利子無担保の融資とはいっても、要は借金ですから、元本返済が始まればその負担は大きいし、ましてや、いまだにコロナが収束していない現状ではなおさらのことです。

 そのような状況の下で、この度の経済対策の中に、新型コロナウイルス感染症の影響の下で債務が増大した中小企業、小規模事業者の収益力改善、そして債務減免を含めた事業再生、再チャレンジを支援するという記述があり、大きな期待が寄せられています。

 この経済産業省が打ち出した新しい信用保証制度による民間ゼロゼロ融資返済負担軽減の取組について伺いたいと思います。特に、コロナさえなければ問題なく事業を続けられたであろう事業者の皆様や、あるいはポストコロナの飛躍のための攻めの投資の資金を必要としている皆様を始め、できるだけ多くの事業者の皆様の借換え需要や新たな資金需要に対応してもらいたいと考えますが、債務減免の基準を始め、支援の考え方について伺います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 赤澤委員御指摘のとおり、厳しい経営環境の下、今後、民間のゼロゼロ融資の返済、本格化を迎える中小企業、これを支えるということは非常に重要であります。

 まずは、借換えの円滑化に加えて、新たな資金需要にも対応できる保証制度を創設をいたします。その際、低い保証料で、一〇〇%保証の融資は一〇〇%保証で借換えできる制度にしてまいります。

 その上で、御指摘のように、債務圧縮やあるいは減免等を含む事業者の事業再生支援も重要であります。四十七都道府県に設置されております中小企業活性化協議会では、この債務減免などを含む事業再生計画を策定し、支援をしているところであります。

 この債務減免を含む計画の策定には、事業改善に取り組んでもなお自力による再生が困難であるとか、破産手続によるよりも多くの債権額の回収を得られる見込みが確実であるなど、債権者たる金融機関にとって経済的な合理性が期待できることを協議会などの第三者が確認することが重要であります。

 こうした支援の結果、八四%は返済猶予を伴い、また、残りも、一六%は債務圧縮や減免などを実質しております。

 引き続き、信用保証協会との連携強化や、あるいは、業種別の再生支援事例などの作成などを通じて、債務減免なども含む再生支援が円滑に進むよう取組を強化をしていきたいというふうに考えております。

赤澤委員 是非、事業者の資金繰り、しっかり支えていただきたいと思います。

 また、コロナの影響ということで、ローカル鉄道を含む地域公共交通は、生活利便の向上、観光振興を含めた地域活性化、地方創生の実現やデジタル田園都市国家構想、さらには新しい資本主義の実現のための不可欠の基盤です。しかしながら、少子化や過疎化の進展に加えて、コロナが直撃した結果、その存続が危ぶまれる状況にあります。二〇二〇年度には、新幹線というドル箱路線を有する本州三社を含むJR全社が、そして大手民鉄全社が赤字になりました。衝撃的な出来事でした。

 このような状況を見かねて、自民党では本年三月に議連を立ち上げて政府に申し入れた結果、六月に取りまとめられた骨太方針に、地域公共交通ネットワークの再構築のために、「従来とは異なる実効性ある支援等を実施する。」という文言が盛り込まれました。

 この度の補正予算の取りまとめに当たっても、議連は、利便性と持続可能性を最大限高めた地域公共交通ネットワークの再構築のための具体策を決議として取りまとめ、政府にその実現を図るように強く申し入れたところです。

 決議では、関係者間の共創、あるいは、デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションの加速化、町づくり政策との融合や社会資本整備総合交付金の活用など、迅速かつ確実に実施するため、令和三年度補正予算及び令和四年度当初予算を大幅に上回る予算の確保や地財措置など、あらゆる措置を講ずるよう政府に強く求めていますが、実現の意気込みを伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 赤澤委員おっしゃるように、地域の公共交通は、地域の活性化や、それからデジタル田園都市国家構想の実現に向けて必要不可欠なものでございます。しかしながら、それを担う事業者の皆さんはコロナの影響で大変厳しい状況にある、このように認識をしております。

 このため、本年六月に閣議決定した骨太の方針におきましては、先ほど赤澤委員御指摘のように、自民党からの提言も踏まえまして、従来とは異なる実効性ある支援等を実施するということとされております。

 これを踏まえ、国土交通省に二つの委員会を設置しました。一つはローカル鉄道、一つは地域公共交通。この二つの委員会を設置して、この夏に提言をいただいたところでございます。そして、この提言を受けて、交通政策審議会でそれを今もんでいるところでございます。

 そして、現在御審議いただいている今回の補正予算においても、地域交通の再構築について約八百億円を計上しているところです。

 また、令和五年度当初予算を始め、政策を総動員し、持続可能性と利便性、生産性を高めるよう、地域交通のリデザイン、再構築に最大限努力していきたいと思っております。

 さらに、交通事業者の資金繰り対策等についても、政府全体の取組の中で、交通事業を担当する大臣としてしっかり対応してまいります。

赤澤委員 来年、通常国会で予定されている法整備も含めて、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、ウクライナへの支援についてお尋ねをいたします。

 ウクライナへの支援はロシアへの制裁と並んで非常に重要だと思います。国際社会と連帯して、ロシアのウクライナ侵略をくじいて、決して中国に誤解させてはならないからです。

 我々は、二〇一四年のロシアのクリミア併合から痛い教訓を学ばなければなりません。ロシアと中国は、クリミア併合をモデルとして、それぞれウクライナと台湾を併合することを念頭に置いていたと思われます。だからこそ、ロシアによるウクライナ侵略を絶対に成功させてはなりません。だからこそ、我が国は、ウクライナへの支援、特に復興支援を惜しんではならないと思います。

 この度の補正予算には、ウクライナ及び周辺国支援、六百億円が計上されています。外務省が打ち出した支援は、いずれも国際機関などやJICAなど経由の支援です。是非とも、ウクライナ国民と共にある日本国民の気持ちが伝わる、顔が見える支援を心がけていただきたいと思います。

 ウクライナへの顔が見える支援を考える際の非常に重要な視点の一つは、WPS、すなわち女性・平和・安全保障の取組です。平和、安全保障の文脈に女性を関連づけた初めての安保理決議千三百二十五号に基づく紛争下や紛争後の女性への配慮を形にすることを求めるのがWPS、女性、ウィメン、ピース、平和、そしてセキュリティー、安全保障の取組です。

 日本は、災害の中で、発生時に女性への配慮をすることについてはかなり取組を進めてきていますが、紛争は若干無縁なところがあるので、これまで低調だったところは否めないと思います。WPSの取組をしっかりと視野に入れた、ウクライナへの顔の見える支援を最大限行う必要について、外務大臣に伺います。

林国務大臣 我が国はこれまで、ウクライナ及びその周辺国等、影響を受けた関係国に対して、約十一億ドルの人道、財政、食料関連の支援を表明し、順次実施してきておるところでございます。今から訪れます厳しい冬を乗り越えるために、二十二日には、電力分野等の越冬支援として、緊急無償資金協力にて発電機やソーラーランタンの供与を決定をいたしたところでございます。

 今、赤澤委員からございました女性支援についても、ウクライナ国内また周辺国における避難民、これは女性と子供が大半を占めるということで、これまでの日本のWPSの取組を踏まえて、ジェンダーの視点を重視して、国連難民高等弁務官事務所や国際移住機関、また日本のNGOを通じまして、女性向けの支援物資の配布や、性的及びジェンダーに基づく暴力を受けた女性の保護を既に行っているところでございます。

 今後の支援につきましては、総合経済対策に基づいて、更なる越冬支援を含む人道支援、また、ウクライナの人々の生活再建に重点を置きつつ、国際機関やJICA、日本のNGOとも協力して、必要な人道支援、復旧復興支援を検討しております。

 今御指摘があったように、できるだけ日本の顔が見える支援となるように留意しながら、国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を引き続き実施していく考えでございます。

 その際に、今、赤澤議員からもございました、そして赤澤議員もメンバーとして精力的に活動されておられますWPS議会人ネットジャパン、これが先般発出された提言をいただきましたけれども、この提言も参考にしながら、こうした支援に加えて、女性の生計維持のための支援、これも検討していきたいと考えております。

赤澤委員 ゼレンスキー大統領がおっしゃる、ロシアは冬の寒さを大量破壊兵器に変えようとしているというような事態を招かないように、しっかり支援をお願いしたいと思います。

 次に、元自衛官の五ノ井里奈さんへの性暴力事案について伺いたいと思います。

 まず、五ノ井さんに心から敬意を払います。本当に勇気があって、強い女性だと思います。

 私は、性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟、通称ワンツー議連の創始者で、初代会長であります。議連の活動を通して性暴力の被害者の皆様とお話を重ねてきました。だから、確信を持って言えるのですが、性暴力の被害者の皆様は、加害者とは二度と顔を合わせたくないという方がほとんどです。加害者に対して直接面会して謝罪することを求めるという五ノ井さんの強さに、私は驚嘆をしました。その勇気ある行動を決して無駄にしてはならないと思っています。

 同時に、私は、ほぼ全ての自衛隊員が我が国の独立と平和を守るため日々厳しい訓練に耐え、また、災害派遣などでは、自らの危険を顧みずに我々国民の生命、身体、財産を守り抜いてくださっていることをよく承知しており、自衛隊の皆様に深い感謝の気持ちと最大限の敬意を払っております。地元に米子駐屯地と美保基地という二つの自衛隊の基地があることは、私の心からの誇りです。

 自衛隊を大切に思えばこそ、五ノ井さんの事案への対応を誤ってほしくありません。もし対応を誤れば、自衛隊の任務の遂行にもリクルートにも多大な支障を来すことは火を見るより明らかだからです。

 例えば、戦闘行動において、自衛隊の部隊の中に性暴力の加害者と被害者がいたとして、本当に勝てるのか、ワンチームになれるのかということです。また、基地が地元にある我々議員は自衛隊の入隊式に出席することがありますが、入隊する女性隊員本人も御臨席の御両親も五ノ井さんの事案を知らないはずはない、心配にならないはずもないと思うと、心が痛みます。

 要するに、五ノ井さんの事案への対応は、短期的にも中長期的にも自衛隊の精強性に重大な影響を及ぼす極めて重要な問題だということです。

 今後とも、浜田大臣のリーダーシップの下で、自衛隊の精強性を確保するため、しっかりと五ノ井さんの事案の事実関係を確定の上、加害者への厳正な処分を行うとともに、再発防止に万全を期していただけるものと確信もし、期待もしております。

 その上で、自衛隊の最高指揮官である総理にお尋ねしたいと思います。

 自衛隊の精強性を確保するため、本年中に取りまとめる予定の戦略三文書の改定に当たって、同様の事案を二度と起こさない覚悟と決意がうかがえる記述を盛り込むことを是非ともこの場で発信していただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、今回の五ノ井さんの事案に対する対応、これは極めて重要な対応になると考えます。

 これまで、防衛大綱あるいは中期防において、防衛省・自衛隊の人事施策に関する記載、こういったものはありましたが、ハラスメント対策について明示的に記載されたことはありませんでした。

 委員御指摘の性暴力事案を含むハラスメントは、自衛隊の精強性を揺るがす、決して許されない行為だと思います。新たな国家安全保障戦略等の策定に際しては、性暴力を含め、広くハラスメント対策、これを記載する方向で、年末までに結論を出したいと思います。

赤澤委員 ありがとうございます。

 一人の女性の勇気ある行動が国を動かす、それも正しい方向に大きく動かすということで、国民に希望を与える総理の御発言だったと思います。

 次に、防衛費の増額について伺います。

 令和五年度予算の概算要求で、金額の入らない事項要求となっている大玉が二つあります。一つは防衛費、もう一つは子供予算ということで、静かなる有事、少子化対策は、我が国が解決すべき最優先の課題の一つですが、これについては後ほど中川郁子代議士が触れると思いますので、私は防衛費の増額の話をいたします。

 これまでのところ、防衛費の増額の議論が、防衛費に海上保安庁の予算は含まれるのかとか、財源を増税にするのかといった議論に偏っている、そう見えるのは本当に本末転倒で好ましくないと思っています。

 今週火曜日、十一月二十二日に、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議報告書が公表されました。言うまでもなく、この報告書は、政府の指針ではなく、単なる参考文書なんですが、翌日のマスコミの報道は、防衛費の増額の財源は増税という記事一色でした。今年増税を決めるとか、まだ何一つ決まっていないのに、国内投資や賃上げに取り組む企業の努力に水を差すようなことは厳にやめてほしいと思っています。

 また、米国発の根拠のない台湾有事論に振り回されて、近い将来、中国が物理的に台湾を占領しようとするという類いの誤解が国内にある状態で防衛費の増額の議論をすることも、国民の不安をいたずらにあおることになりかねないと危惧しています。

 そこで、この場で、防衛費の増額は何のためか、分かりやすく国民の皆様に説明してほしいと思います。

 例えば、中国が台湾を物理的に占領しようとするような事態は、少なくとも当分の間、想定はされないが、今そこにある危機には是非とも備える必要がある。すなわち、主としてミサイル攻撃、サイバー攻撃、尖閣防衛の三つの危機にしっかりと備えて、我が国の独立と平和を守るために、さらには台湾有事に備えるために防衛費の増額が必要であり、そのために必要な予算を積み上げるのだというような、防衛費の増額の基本的な考え方をこの場で明らかにした上で、今後の防衛費の増額の議論をしていただきたいと考えますが、いかがですか。

浜田国務大臣 現在、国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入をしていると考えております。

 我が国が直面する安全保障上の課題は、例えば、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展、そして、中国の広範かつ急速な軍事力強化と東シナ海における力による一方的な現状変更の試みの継続、そしてまた、ロシアによる国際秩序の根幹を揺るがすウクライナ侵略と我が国周辺での軍事活動の活発化などは深刻化をしております。

 また、情報戦を含むハイブリッド戦といった新たな戦い方や、情報通信等の分野の急速な技術革新、少子高齢化への対応等も喫緊の課題であります。

 委員の御指摘のとおり、防衛力の抜本的強化は、まさに現在我が国が直面している現実を直視し、そして、将来にわたって国民の命や暮らしを守り抜いていくためのものであります。

 新たな防衛力の方向性として、具体的には、スタンドオフ防衛能力や無人アセット防衛能力等、将来の防衛力の中核となる分野の抜本的な強化、そして、現有装備品の最大限の活用のため、可動率向上や弾薬確保、主要な防衛施設の強靱化への投資の加速を重視して検討しているところであります。

 また、防衛力そのものである防衛生産、技術基盤や、防衛力を支える人的基盤の強化の要素も重視することとしており、防衛省として、防衛力の抜本的強化に必要な事業を積み上げ、必要な予算をしっかりと確保する考えであります。

赤澤委員 これは個人的な見解ですけれども、尖閣防衛の重要性などに鑑みれば、私は、海上保安庁の予算は今の二倍以上に増やすべきであると考えています。党内で議論していないので、これは指摘にとどめます。

 そして、その前提で、海自、海保、いずれの予算もしっかり増やしつつ、台湾有事も念頭に置きながら、合同訓練を重ねて、抜本的に連携を強化すべしということであります。しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、リ・スキリングについて伺います。(発言する者あり)いい質問なのでひとつお答えすると、なぜ点がついているかは、リ・スキリング、点がないと、リスキーと言われたり、キリングというのに何か言葉を間違えられたりするので、わざわざ点を打つことにしました。いいやじ、ありがとうございます。

 そして、人口が急減少する我が国がGDPを維持拡大して、今後とも安定的に社会保障財源を確保し、少子化を克服するためには、国民の皆様の賃金、所得の継続的かつ大幅なアップが不可欠です。しかしながら、これまでのリカレント教育、職業訓練などの就労支援が期待どおりの成果を上げていないことは、委員の皆様に配付した資料を御覧いただけば一目瞭然です。

 OECD諸国の中で日本国民の生産性が高くないが一枚目です。それから二枚目が、企業も、それから働いている人も、両方とも余りリ・スキリングに熱心ではないということがあります。また、社会に出てから大学や大学院に行かないということも資料で明らかです。最後の資料では、転職しても賃金が上がらないのが日本ということも分かります。要は、いろいろ目詰まりしているんですね。

 これまでの取組がうまくいかなかった目詰まり要因も図示する、リ・スキリングによるGDP拡大の好循環の図をパネルとして用意をいたしました。これは、リ・スキリングがうまくいけば、生産性が上がって賃上げにつながる、そして、賃上げにつながれば消費が増加する、さらには、企業収益が増加をして更なるリ・スキリング投資につながる、こういうことであります。

 ただ、私が究極の大問題と考えるのは、デフレマインドですね。言い換えれば、今日より明日がよくなるという希望がない状態に特に若い皆様が置かれていることは、多くの国民にすっかり浸透してしまっているこのデフレマインドが払拭されないと、デフレからの完全脱却や力強い経済成長はなかなかできないということが分かります。

 人口急減少時代になっても、人口増加の時代の方便である兼業、副業の禁止が、特に地方では今でも根強く残っております。賃上げを伴う企業間、産業間の労働移動を円滑にするリ・スキリングの大きな目詰まり要因になっています。兼業、副業の解禁などを含む人事制度改革とか組織改革も、リ・スキリングの成功には是非とも必要です。

 また、新しい資本主義に対応する、これは先ほど申し上げたDXとかGXですけれども、企業内でリ・スキリングを進める重要な鍵の一つは個人へのサポートです。企業が企業の都合丸出しのリ・スキリングを従業員に押しつけようとしてもうまくいかないというのがこれまでの例だと思います。一人一人の従業員に対し、しっかりとスキルの棚卸しをする、そして、進路希望の聴取などのキャリアコンサルティングを行って、本人のモチベーションを最大限高める取組が必要だと思います。

 そこで、新しい資本主義担当大臣にお伺いをいたします。

 リ・スキリングを成功させるために、企業の人事制度などの見える化を強力に進めるとともに、本人のモチベーションを最大限高める個人へのサポートといった良質の人への投資を行う企業を支援すべきと考えますが、いかがですか。

後藤国務大臣 労働者に成長性のある産業への転職の機会を与える労働移動の円滑化、そのための学び直しであるリスキリング、これらを背景とした構造的賃金引上げという三つの課題を一体的改革として実現し、賃上げが高いスキルの人材を引きつけ、企業の生産性を向上させて更なる賃上げを生むという好循環を実現していくためには、御指摘のとおり、労働者個人に対する支援策、それらを側面から支援する企業側の取組が求められているところであります。

 このため、労働移動円滑化に向けた指針を来年六月までに取りまとめるとともに、人への投資の支援を五年間で一兆円のパッケージへと抜本強化していくことといたしております。

 具体的な支援策としては、第一に、企業間、産業間で労働移動したい方は移動できる労働市場を官民でつくり上げること、第二に、労働者本人の意思を尊重する市場となるように、労働者が転職、キャリアアップについて相談し、正確な情報を得て転職する支援の仕組みをつくり上げること、第三に、御指摘もありました、労働者自身が主体的にリスキリングの在り方に関与できるよう、政府が支援を行うに当たって、個人への直接支援を強化すること、第四に、兼業、副業の支援を強化することといたしております。

 さらに、関係省庁とも連携の上に、人的資本等の非財務情報の株式市場への開示強化の取組を推進するなど、御指摘の見える化にも資する取組を推進していきたいと思っております。

 これらの取組を通じて、労働者自身が高いモチベーションを持って主体的にリスキリングを選択し、かつ、成長分野への労働移動等につながるように、丁寧な議論を行ってまいりたいと思います。

赤澤委員 補正予算も活用しながら、しっかり結果を出していきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 この際、若宮健嗣君から関連質疑の申出があります。赤澤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。若宮健嗣君。

若宮委員 おはようございます。自民党の若宮健嗣でございます。

 総理は、昨日、安倍総理の写真展にお立ち寄りになられ、そして、いろいろな意味で感無量になり、いろいろなことをお感じになられたと思います。当選同期でもあられ、様々な仕事を御一緒され、また、いろいろな思い出がたくさんあったと思います。

 その安倍総理の下で、岸田総理は、外務大臣を四年八か月の長きにわたってお務めになりました。私も、その下で防衛の副大臣、あるいは外務副大臣をさせていただき、多くの海外の方々ともお目にかからせていただいた中で、日本の外交はすごいね、いい展開をしているね、こんな言葉を海外の閣僚やほかの要人の方からどれほど聞かされたか分かりません。

 そうした意味で、先週、総理におかれては、三つの大きな国際会議に出席をされ、まさにかなりのタイトスケジュール、ハードスケジュールをこなしてお帰りになったかと思います。ASEAN首脳会議あるいはG20のバリ・サミット、そしてAPECの首脳会議。あるいは、バイ会談では日米、日中、日韓その他バイ会談をこなして、そして御帰国をされました。

 この一連の首脳会談とバイ会談、日本の外交にとって、今の岸田内閣にとって、どういった外交としての成果を上げることができたのか、あるいはまた、今後の展開についてもお聞かせをいただければと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、一連の首脳会談においては、特に三つの観点を軸に発信をしてまいりました。

 まず一つは、今、ロシアによるウクライナ侵略等によって国際秩序が揺るがされていると言われているこういったときだからこそ、国際的な連携の維持と拡大、これが重要であるということ、また、いわゆるグローバルサウスと言われている中間国と位置づけられる国々との関係を強化していくという点、そして三点目として、北朝鮮情勢や東シナ海、南シナ海を始め厳しさを増す地域情勢への対応、こうした点を軸に、日本の取組、立場を発信し、そして協調した行動の必要性を訴えた、こうしたことでありました。

 G20の共同宣言、発出も難しいと言われた共同宣言でありましたが、共同宣言が取りまとめられ、その中において、日本が特に強調した、ロシアによる核の威嚇は断じて受け入れられない、まして使用はあってはならないといった主張等がこうした共同宣言にも明記されるなど、日本の主張は様々な会議において受け入れられたと思っています。

 また、二国間関係についても、食料、エネルギー安全保障における日本の取組、そして、先ほども申し上げました国際秩序の維持強化の重要性、こういったことを訴え、北朝鮮情勢、東シナ海、南シナ海情勢、さらには拉致問題を含む日本の様々な課題について主張し、意見交換をしたところでありますが、日米首脳会談においては、強固な日米同盟の重要性について改めて認識を共有するほか、三年ぶりに、日中首脳会談、日韓首脳会談、開催を行いました。今後対話を続けていくことを確認する、そうした建設的な意見交換であったと思っています。

 こうした首脳会談、二国間会談における成果を基に、来年、私たちの国はG7の議長国を務めます。そして、国連の安全保障理事会において、非常任理事国、二年間の任期が来年一月からスタートします。また、日・ASEAN友好協力五十周年という大きな節目を迎えます。そういった中にあって、アジアに位置する日本として、是非、法の支配に基づく国際秩序の維持、安定のためにしっかりと貢献をしていく、こうしたことにつなげていきたいと思っております。

若宮委員 ありがとうございました。

 今年に入りましての急激な円安、今、昨今では百三十円台に少し落ち着きを見せているかと思います。また、今総理からも言及ありました二月のロシアのウクライナの侵攻、さらには、国際社会全体が物価上昇に、これは欧州もアメリカも日本と同様になっているかと思います。

 日本の場合は、特にやはりエネルギー源、原油あるいはそのほかの資源、これは大きなウェートを占めていると思いますし、私は、あとは、小麦を中心とした飼料、肥料等、いわゆる食料に関する関連のものの価格の上昇、これがやはり大きな原因となっているかなと。原油自体は、昨日のニューヨークでは一バレル七十六ドルぐらいまで大分落ちてきてはおるのが現状ではありますけれども、なかなか、今国民生活の中では物価上昇が実感としてかなり響いているのが現状かと思います。

 加えまして、経済安全保障の観点からも、レアメタルを始め金属資源、あるいは半導体、さらには日本の製造業におけますサプライチェーンの多角化等、様々な観点がこの状況の中でいろいろな物価上昇の要因に、押し上げていることだと思います。

 外交というのは本当に私は大事なものだと思っています。そして、外交と経済、また、後ほどちょっと触れさせていただきますが、安全保障、これはまさに三位一体で動かすものだというふうに思っております。

 ここで、一つ、各国との連携の提携、あるいは、様々な経済枠組みを含めました経済ということを切り口とした外交戦略の在り方、今後の展開について、総理にお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 委員の方から、経済を切り口とした今後の外交の在り方についてという御質問をいただきましたが、LNGといったエネルギー、また食料などについて、我が国はその多くを輸入に頼っています。これらの安定的な供給の確保、これがまず死活的に重要であります。

 その観点から、調達先の多角化、あるいは生産国への増産などの働きかけ、また特定国、地域への依存度の低下、こうした様々な方策を外交等を通じて考えていかなければなりません。

 また、半導体を始めとする製造業の海外市場の確保に関しては、我が国企業が成長力のある海外市場に積極的に参入するとともに、有志国との協力等を通じて、効率的で持続可能なサプライチェーンを構築すること、こうしたことも考えていかなければなりません。

 こうした考え方の下、現下のエネルギー価格、物価高騰対策や経済安全保障の取組を強化しながら、周辺国やG7を始めとする有志国、関係国際機関等と連携をしていく、さらには、CPTPP等の多国間、二国間の経済連携協定を駆使して、様々な政策目的を達成していく、もって我が国の国益を確保していく、こうした取組を外交を通じて進めていかなければならないのではないか。

 経済という切り口の外交ということについては、こうした様々な取組を進めていかなければならないと考えております。

若宮委員 ありがとうございます。

 先ほど赤澤委員の方からも少し指摘がございましたウクライナ情勢、あるいは中国による南シナ海の軍事拠点化、あるいは東シナ海への海洋進出、さらには台湾をめぐる情勢、そしてまた、今年はもう例を見ない北朝鮮のミサイルの頻発、こういった情勢が、本当に、力による現状変更、あるいはその試みが顕在化をしているのが今のこの世の中だ、今年ではないかなというふうに思っております。

 そうした意味で、国家安全保障戦略、この三文書の見直しにこの年末までに取り組まれておられるさなかだとは思っておりますが、国連の改革というのもこれは必要ではないかなというふうにも思っております。ロシアが国際連合の中の大きな、主要な力を持っているにもかかわらず、自らがウクライナに侵略をしてしまっている。こういった観点で、やはり誰も止めることができないのがこの今の国連ではないかなという、こういった状況もございます。

 次に、先ほど経済を切り口とした形での外交戦略をお伺いをさせていただきましたが、安全保障を切り口とした岸田内閣の外交戦略、政府の取組についてお聞かせをいただければと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今、国際社会の安全保障環境、これは急速に厳しさを増していると認識をしております。その中で、我が国としては、まずは、世界の平和と繁栄に向け外交努力を尽くしていく、これがまず基本であり、重要であると考えます。

 しかし、そうした外交努力がより説得力を持ち、相手に対してそれなりの効果を発するためにも、自らの防衛力を強化し、充実をさせるということ、さらに、米国を始めとする同盟国、同志国といかに強固な連携を保つことができているかということ、このことは、外交の発信力を高める意味からも大変重要であると考えます。

 このように、外交と安全保障の体制、これが相まってこそ、国民の命とそして暮らしを守るための政治の責任、これをしっかり果たすことができると認識をいたします。

 現在、新たな国家安全保障戦略等を取りまとめているところでありますが、そういった観点から、外交、防衛に関する、今申し上げたような我が国の姿勢が反映される文書にしていかなければならないと思います。必要な予算を確保し、防衛力を抜本的に強化する、さらには、経済を始めとする総合的な我が国の防衛体制、こうしたものを強化していく、こうした内容とすることによって、我が国を防衛する体制を実質的に強化し、構築していきたいと考えております。

若宮委員 ありがとうございました。

 岸田総理は、消費者庁の誕生に最も尽力をされ、まさに生みの親と言っても過言ではないかと思っております。私自身も、八月まで、岸田総理の下で消費者問題及び食品安全の担当大臣を務めさせていただきました。

 今、党におきましては、消費者調査会の中で、霊感・悪徳商法等の被害救済に関する小委員会の委員長を務めております。また、連日、テレビ等でも報道されてございますけれども、与野党協議会の中で、自民党では、私とそれから沖縄の宮崎政久さん、二人がこの協議会に臨み、いろいろな、様々な協議を続けているところでもございます。

 この旧統一教会問題でございますが、まずは被害者の救済、そして再発の防止、本当に喫緊の課題だというふうに考えております。

 岸田総理におかれては、政府において、この旧統一教会の取組、どういった方針でまず臨もうと思っておられるのか、改めてお聞きさせていただければと思います。

岸田内閣総理大臣 政府においては、旧統一教会の問題に関しまして、まずは相談体制の強化等による被害者の救済、二つ目として、消費者契約法等の法制度の見直し等による再発の防止、そして宗教法人法に基づく報告徴収、質問権を通じた事実把握、事実解明、この三つの対策を並行して進めなければならないという姿勢でこの問題に臨んでおります。

 被害者の救済ということにつきましても、合同電話相談窓口機能やその知見を継承する相談窓口を設置した法テラスにおいて、心理専門職等を配置するなど、人的、物的体制を強化した上でこの相談体制を行っているところであり、特に信者の方の子供さんですとか御家族、こうした弱い立場にあられる方々に対する支援の体制強化に努めなければならないということで、関係機関、団体と法テラスの連携強化、あるいは市町村や児童相談所における虐待対応に関するQアンドAの作成など、こうした取組を進めているところであります。

 そして、あわせて、二番目に申し上げました、法制度の見直しにおいて再発を防止をしていく、この取組も重要であるということで、既にこの国会に法律の改正案を提出させていただいておりますし、さらに、今与野党で御議論いただいております新法につきましても、こうした与野党の議論もしっかりと参考にさせていただきまして、この国会に新法、新しい法律を提出し、早期の成立に努めていきたいと考えております。

若宮委員 今、総理から言及をいただきました、宗教法人法を使った、現行を使った実態把握、これは非常に重要なことだと思っております。文化庁におきましては、旧統一教会への質問権の行使について、宗教法人審議会に諮問し、二十二日に教団本部に質問書類を送付して、質問権を行使したというふうに承知をいたしているところでもございます。

 この質問権の行使、十二月九日がたしか回答の期限だというふうに伺っておりますが、この回答をもってまたどういった形になるか、しっかりと御対応いただきたいなというふうにも思っております。

 また、あわせまして、十一月十八日、今、総理からも少しお話がございました消費者契約法及び国民生活センター法の改正法案、これが閣議決定し、そして国会に提出をされたところでもございます。

 また、さらに、消費者契約法の対象だけではなかなか収め切れない部分、契約に当たらない寄附などの対応について、今、総理からもお話ございましたけれども、新法としても対応していきたい、そしてまた、総理からも、海外出張の前に、何とかこの国会でできるような形で最善を尽くしたいというお話し向きもございました。

 こうした形でのやはり改正法と新法というのは、ある意味、両方がうまく機能してこそ初めて効果的なものになる。そしてまた、先ほどの質問権の行使も併せて、それを状況として、裏づけとして必要なことになってこようかと思っております。

 実は、私自身、党の小委員会の中で、この寄附に関して様々な、いろいろな御懸念を持っているような団体からもヒアリングを行わせていただきました。例えば、学校法人でありますとか、あるいはNPO法人でありますとか、もちろん、それぞれの様々な宗教団体の総元締めの方々からいろいろな御意見もいただいたところでもございます。

 様々な寄附の形、いろいろあろうかと思います。もちろん、その寄附行為というのは、寄附文化というのは醸成をしていかなければいけないものだと思いますが、やはり悪さをしているところに対しては、徹底的にきちっとした形で、二度と今後そういったことができないような形、あるいは、被害を受けた方々が確かな救済をされていくような望ましい形が望ましいと思っております。

 この両方の法案の趣旨を改めてまた総理に御説明いただければと思っております。

河野国務大臣 まず、改正法案でございますけれども、霊感商法による消費者被害の防止及び救済の実効性を高めるために、消費者契約法の取消権の対象範囲を拡大をしております。また、取消権の行使期間の伸長を講じているものでございます。

 この消費者契約法で捉えられない寄附につきましては、不当な勧誘があれば取り消すことができるようにしたいと思っておりまして、法人などによる不当な寄附の勧誘を禁止をし、勧告などの行政措置を講ずることができるよう定めることを今検討しているところでございます。

若宮委員 重ねて河野大臣にちょっとお伺いできればと思っております。

 私ども、与野党協議会の中でも、野党のメンバーからは、この政府法案、様々な形に対して、いわゆるマインドコントロールと言われますが、この対応やその家族の救済への対応が少し足りないのではなかろうかというような御指摘もあるというふうに承知をいたしてございます。

 こういった部分に対しては、この両法、これはもちろん改正法それから新法を含めた形で、どんな形での対応をお考えなのか、御方針のところがあればお聞かせいただければと思います。

河野国務大臣 悪質な献金、寄附の被害者救済のための新法の検討を行っているところでございますが、まず、マインドコントロールについて申し上げますと、消費者がマインドコントロールされた状態を法律で明確に定義をするのは困難だと思っております。

 今回の改正案では、消費者が不安を抱いていることに乗じて勧誘する場合、これを取り消し得る行為と規定できないかということを検討しているところでございます。

 また、家族への救済の対応といたしまして、新法の方では、債権者代位権の特例を設けることで、養育費を始めとする扶養義務に係る定期金債権のうち、期限がまだ到来していないものについてもその保全を図るために家族が取消権を行使することができる、そういうことを検討しているところでございます。

若宮委員 ありがとうございました。

 またこれは個別具体の委員会での質疑がなされるものかと思いますが、最後に総理に、この新法の国会成立も含めまして、この旧統一教会問題に関する取組の意気込みとその思いをお聞かせいただければと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、また、今、河野大臣からの答弁がありましたように、この国会に既に提出している改正法案と、それから、これから提出を予定している新法、この両方を用意することによって、これまで救済できなかった被害をより幅広く救済でき、また将来に向けて被害の防止に役立つと考えています。

 また、消費者契約法の改正により、霊感等による勧誘に関する取消権の行使期間の伸長を現行の取消権にも遡及適用することで、現在生じている被害についてもその救済の可能性を高めることができるとも考えています。

 政府としては、実効性のある形で、新法の法案化の作業を引き続き続けています。今国会に提出するとともに、この改正法も含めて早期成立を目指していきたいと考えております。

若宮委員 ありがとうございました。終わります。

根本委員長 この際、越智隆雄君から関連質疑の申出があります。赤澤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。越智隆雄君。

越智委員 自由民主党の越智隆雄でございます。

 補正予算に関連しまして、新しい資本主義の考え方、そして、財政から見たときの補正予算の在り方などについて議論をさせていただきたいと思います。

 岸田総理、総理は、新しい資本主義という構想を掲げられました。そして、第四の資本主義をつくるともおっしゃいました。歴史を二百年遡って、自由放任主義、福祉国家、新自由主義に次ぐ資本主義だとおっしゃいました。九月のニューヨークの演説では、明治維新、戦後経済発展に次ぐ大きな変化を成し遂げる決意を述べられました。

 今、この国が必要としていることは、長期ビジョン、それを長期政権で実行することだと私は思っています。多くの皆様は、日本は大丈夫か、あるいは政治は大丈夫か、明るい未来はつくれるのかという思いをされている方、少なからずいるかもしれません。一方で、未来を見据えた大きなビジョンを掲げた強いリーダーシップを心の底から期待をしているというふうに思います。

 私たちは苦い経験をいたしました。二〇〇六年からの六年間、六人の総理大臣が一年交代して、この国は混乱をいたしました。一方で、八年間の安倍政権。アベノミクスを中核に巨大な政策フレームをつくり上げて、働き方改革などの生活面から、TPP、二度の消費税の引上げによる財政健全化まで、様々な政策を実現し、課題を解決していきました。その挑戦は内外から注目を集めました。

 ここで、総理にお伺いしたいんです。

 この国の長期ビジョンを掲げて挑戦すること、この重要性について、総理はどうお考えでしょうか。また、総理の長期ビジョン、新しい資本主義の実現に向けた決意を改めてお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、今世界が、気候変動を始めとする様々な課題を前に、自らの資本主義をいま一度見直し、そしてバージョンアップしなければいけない、こういった強い危機感を世界各国が感じている、これが今の世界の現状であると認識をしています。

 市場に任せれば全てうまくいくという新自由主義的な考え方が生んだ様々な弊害、これを乗り越えて、持続可能な経済社会の実現に向けて努力をしなければいけない、資本主義のありようを変えていかなければいけない。こうした歴史的なスケールで、経済社会変革の動きが、米国においても、欧州においても、世界各国で今動いている、こういった時代認識を私たちはまずしっかりと感じなければならないと思います。

 そして、その中にあって、是非、我が国の今日までのありようを振り返り、改めるところは改めながら、新しい時代に向けて、今度こそ我が国が、新しい資本主義、資本主義のバージョンアップ、これをリードするんだという意気込みを持って経済モデルをしっかり示していかなければならない、こうした思いでこの新しい資本主義という経済モデルを訴えさせていただいています。

 官と民が今後の経済社会の変革に向けた全体像を共有しながら、官と民が共に役割を果たすことで、様々な社会課題を成長のエンジンに転換し、そして、結果として持続可能な経済をつくっていく。社会課題を成長のエンジンに変えるわけですから、社会課題を解決しながら、なおかつ成長することができる、このことによって持続可能な経済を実現していく、こうした長期ビジョンに挑戦することが重要であると考えています。

 本年六月に、新しい資本主義のグランドデザインと実行計画、これを策定いたしました。これを是非具体的な、現実なものにするべく、今後とも努力をしていきたいと思っております。

越智委員 ありがとうございます。是非、より分かりやすい形で、スピードアップして進めていきたいと思いますし、進めていっていただきたいと思います。

 もう一問、総理に、新しい資本主義の基本的な考え方について、ある切り口でお伺いしたいと思います。

 重点分野の第一は、人への投資。基本的な考え方は、当面の賃上げを実現し、それとともに構造的な賃上げに取り組んでいく。このことは、スキルの高い人材を育てて、失業なき労働移動を可能にして、生産性向上による賃上げを実現するということだと思います。先ほど赤澤議員が話をしていたリスキリング、これなどを中心にして頑張るということだと思います。

 加えて、スタートアップ、これも五年で十倍に増やすというプランを立てられました。また、オープンイノベーションを後押しして企業の新陳代謝を進めるという政策も推進していきます。旧来の構造を打破して日本の経済を新しくつくり直す、そういう意欲ある政策パッケージだと私は感じております。

 また一方で、資産所得倍増ですけれども、これは、一億総株主というキャッチフレーズがあるように、お金持ちの話じゃなくて、私たち国民全員の話だというふうに私は思っています。みんなで成長資金を出し合って、企業では様々な取組をして生産性が上がっていって、稼いだお金をみんなで分け合う。企業が成長して、その果実をみんなに分配する、好循環をつくっていく。具体的にはNISAの制度拡充などが議論をされています。

 ここで私は気になることがあって、ちょうど一年ぐらい前ですけれども、新しい資本主義は新しい社会主義じゃないかというやゆをされたことがありました。要は、あるところからお金を取って再分配するんだと。ただ、この新しい資本主義の政策が具体的に見えてくれば見えてくるほど、新しい社会主義じゃなくて、今申し上げたような新しい資本主義だということを私は理解してきました。頑張る人を支援するものであって、決して頑張る人の意欲をそぐものではない。言い換えると、分配が中心であって、再分配ではないということだというふうに私は理解をしております。再分配中心ではないというふうに私は理解をしております。

 この新しい資本主義の基本的な考え方について、成長と分配の好循環、特にこの部分について、総理のお考えを伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 私が申し上げている新しい資本主義の一つのポイントを、まさに委員今御指摘いただいたと思います。成長と分配の好循環と申し上げておりますが、これは、あるところにある富をほかに分配する、そういった単純な話を申し上げているわけではありません。経済全体を成長した上で、これを全体で、その得た富をどのように分配していくのか、これが重要なポイントであると思います。

 ですから、成長をしっかりと考えた上でそれを分配する、そして、分配が次の成長の投資となって、そして更なる成長につながっていく、こういった好循環を申し上げているわけであります。一時的に、一か所にある富をほかに分配することによって格差を解消するというような単純な話ではなくして、今申し上げた形で持続可能な成長と分配を繰り返していく、こうしたモデルをつくっていかなければいけない、こうしたことを申し上げております。

 そして、その成長のエンジンとして、社会課題とされている気候変動ですとかデジタルに焦点を当てて、そこをエンジンにすることによって、社会課題も解決し、そして成長することもできる、これも持続可能な経済につながるポイントであると思っています。

 そういった、成長を実現し、それを人への投資という形で前向きに分配をしていく、このことによって、分厚い中間層の形成につながり、そして持続可能な経済モデルが実現する、こうしたことを申し上げております。是非、成長と分配の関係、ありようについて、この新しい資本主義の考え方、これからも丁寧に説明をしていきたいと思います。

 是非、こうした考え方に基づいて、今、世界的に、新しい資本主義、資本主義のバージョンアップが議論されている中で、日本がこの経済モデル、リードしていきたいと考えております。

越智委員 ありがとうございました。

 この点、後藤大臣に深掘りしてお伺いしたいと思うんです。

 人生百年時代において、身体の寿命が延びるというふうなことが想定されています。その中で生き生きと生き抜くためには、あと三つ、大切な寿命があるというふうに思います。健康寿命、生きがい寿命、そしてお金の寿命。

 人への投資が進んで、好きな仕事に就きやすくなるなど、生きがい寿命が延びる。資産所得倍増が進んで、成長と分配の好循環でお金の寿命が延びる。健康寿命の延伸と相まって、人生百年時代をよりよく過ごせる時代、安心して過ごせる時代をつくっていく、これが一つの考え方だというふうに思っております。労働市場改革、資産形成改革などで国民一人一人の行動変容を進めて、大きな変革をやり遂げる、そういうことだと私は思っています。

 後藤大臣にお伺いしたいんですが、これらの取組が実現した後の社会の姿あるいは目標観、お考えをお伺いしたいと思います。

後藤国務大臣 今委員御指摘のとおり、人生百年時代におきましては、会社一社で勤め上げるというような単線型のライフプランではなくて、多様化が進んでいくものと考えております。単線型のライフプランは時代に適合しなくなっておりまして、御指摘のような労働移動の円滑化と、そのための学び直しであるリスキリング、こうしたものを推し進めていく必要があると思います。また、将来のライフプランを見据えて、幅広い層の長期投資による資産形成を実現していくことも重要であるというふうに考えます。

 このため、今回の補正予算案の中でも、在職者が民間の専門家に相談して、リスキリングから転職まで一気通貫で支援を受けられる在職者キャリアアップのための転職支援等も盛り込んだところでございますけれども、さらに、労働移動円滑化のための指針を来年六月までに取りまとめるとともに、人への投資の支援を五年間で一兆円のパッケージへと抜本強化することといたしております。

 また、年内の資産所得倍増プランの策定に向けて、NISAの抜本的な拡充、恒久化や、iDeCo制度の改革といった制度面の支援に加えまして、消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設など、幅広い層の資産形成支援について具体的な検討も進めてまいります。

 これらの取組を通じまして、労働者に成長性のある産業への転職の機会を与える労働移動の円滑化、そのための学び直しであるリスキリングを推進し、これらを背景とした構造的賃金引上げを実現するとともに、幅広い層の資産形成の実現を図ることを通じて、国民一人一人が豊かさをしっかりと実感し、生き生きと暮らせる社会をつくっていくということが目標だと思います。

越智委員 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、財政につきまして財務大臣にお伺いしたいと思いますが、二問まとめて御質問させていただきます。

 まず、コロナ、物価高などで、不測の事態に対処するために、ここ数年、大規模な補正予算を編成してまいりました。一方で、この財源を確保するために、実は一年以下の短期国債の発行が大変大きくなってまいりました。従来の三倍から四倍でございます。コロナ前は二十兆円台、一昨年は八十兆円台、今年は多分六十兆円台かと思います。こういったことで、金利上昇の影響を受けやすくなった。本来であれば長期化すべきだったと私は思います。

 また、金融政策によって短期金利と十年金利は低く抑えられていますけれども、それ以外の期間は今金利が上昇しています。いわばイールドカーブがゆがんでいる、いびつな金利状況が発生している、このことも私は気になります。

 加えまして、九月二十三日のトラス・ショック。英国政府がインフレを抑えるための金利の利上げの局面で放漫な財政政策を採用したということで、市場が反応して、ポンドも英国債も一日のうちに大暴落。びっくりしました。先進国といえども財政に対する信認を失えばひとたまりもない。トラス首相は一か月余りで退任をされました。

 二月のロシアによるウクライナ侵略は、国家安全保障について厳しい現実を突きつけた。今回のトラス・ショックは、財政の安全保障について厳しい現実を突きつけたと私は感じています。

 翻って、この国の状況を見ると、イギリスよりももちろんいい部分はいろいろあるんですけれども、一方で、債務残高の対GDP比は世界最悪。日本の中でも、戦時中よりも今は高い。格付はトリプルAからシングルAまで下がってまいりました。いずれもイギリスより悪い状態でございまして、ここは冷静に認識する必要があると思っています。

 そういう中で、財務大臣の、国債発行の状況、また、財政の状況についての御認識を伺いたいと思います。

鈴木国務大臣 国債発行の現状でございますが、まず、国債管理政策、これは、国債の確実かつ円滑な発行、そして中長期的な調達コストの抑制、これを基本的な目標として、市場の状況、また、市場関係者の意見を踏まえつつ運営をしているところでございます。

 こうした中で、国債の平均償還年限でありますけれども、新型コロナ発生前までは長期化の傾向にありましたが、越智先生御指摘のとおり、新型コロナ発生後は、累次の補正予算の編成によりまして短期債の発行額が増加した分、平均償還年限が短期化をし、金利変動に対して脆弱な資金調達構造になっている面もございます。

 このため、引き続き、市場ニーズを踏まえた安定的な国債発行を行う中で、短期債の減額にも努めるとともに、市場や国際社会において中長期的な財政の持続可能性への信認が失われないよう、責任ある経済運営に心がけなければならない、こういうふうに思っております。

 その中で、トラス政権の退陣についてのお話がございました。これも越智先生から御指摘のとおり、一たび経済財政運営に対する信認が失われますと市場が鋭く反応しかねないという点で、私どもにとりましても一つの大きな教訓である、そうしなければならないと思っております。

 その上で、日本の財政、これは、これまでの大量の国債を国内を中心に低金利かつ安定的に消化してきたところでございますが、今後もこれまでと同様の環境が維持、継続されるといった保証はない中で、公的債務がGDPの二倍を超える水準まで積み上がり、主要格付会社における国債の格付も二十年前と比べて下落しているなど、諸外国と比べても極めて厳しい状況にある、そういうふうに認識をいたしております。

 一般論といたしまして、このような公債に依存した財政運営は、財政の硬直化による政策の自由度の減少、国債や通貨の信認の低下などのリスクの増大、こういうものを招き得るものと認識をいたします。

 今般の経済対策は、足下の物価高への対応と日本経済の再生に全力で当たり、持続的な経済成長の実現を図る上で必要な取組でありますが、他方で、日本の財政に対する市場からの信認を維持することも重要でありまして、歳出歳入両面の改革を進めて、責任ある経済財政運営を進めてまいりたいと考えております。

越智委員 ありがとうございました。

 財政につきましては、今財務大臣からもお話があったとおり、私はフェーズが変わってきていると思いますけれども、必要なときには必要な財政支出をしなきゃいけませんから、そのためにも、財政に対する市場の信認を維持して、財政安全保障を確保して、そのために何が必要かといったら、財政健全化へ取り組む姿勢を示し続けることだと思います。六月の骨太でもその姿勢を示されて、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化ということを今共有していると思います。

 ただ、ここで総理にお伺いしたいのは、政府が作る財政状況の将来見通し、内閣府の中長期試算は、毎年の当初予算の想定に基づいた推計なんです。ですから、補正予算が組まれると、その分後づけで、試算よりも改悪しちゃうんです。ですから、補正予算の編成を繰り返せば、試算自体が信頼を失って、財政の信認にも影響が及びかねないんです。

 この補正予算の規模ですけれども、コロナで急増しました。おととしが七十三兆円、去年が三十六兆円、今年は三十兆円超でございます。その前はというと、一・七兆円から三・六兆円、数兆円でずっと来ていて、その前が大震災、リーマン対応でございました。

 総理にお伺いしたいのは、今回の補正予算は、コロナ、ウクライナ、そして物価高、円安、こういったものが全部重なってきた、不測の事態に対応する極めて異例なことであって、基本的には、この国の信頼を維持できるように、財政健全化目標の達成に向けて常に努力を続けて、財政面からこの国の経済社会を守り抜くという考え方なんだと思いますけれども、総理からのお考え、決意を伺いたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、経済対策と財政の関係についてですが、従来から申し上げているように、基本は、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政の健全化に取り組んでいくということであります。

 そして、骨太の方針において示しておるように、財政健全化の旗は降ろさず、健全化に取り組む。プライマリーバランスの黒字化目標等も維持し続けているわけであります。

 目の前の物価対策、経済対策と、中長期的な財政の健全化、私たちはこれを両立させなければなりません。

 よって、今回の補正予算において、世界的な物価高騰、経済の下振れリスクに対応できる対応を用意したわけでありますが、同時に、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認、これは失われることがないように我々は努力をしなければならないと思っています。

 そして、今回の補正予算の規模についても、そもそも、三年間のコロナ禍の中での経済によって、大きな需給ギャップがまず存在しました。それに向けてある程度の規模を用意しなければいけないわけですが、当然中身をしっかりと積み上げていかなければいけない。物価高騰対策、それから賃金引上げ、また、国民の安心、安全のために中身をしっかり積み上げ、そして、その上で、さらに、世界的な経済の下振れリスク、米国も中国も欧州も来年前半に向けて大変厳しい経済が予想されている、こういった下振れリスクにも対応できるということを考えた上で、全体の規模を考えたということであります。

 この対策はしっかり進めなければいけない。しかし、先ほど申し上げたように、中長期的な財政健全化、市場や国際社会からの信認、これはしっかり維持する。この両立をしっかり努めていきたいと思っています。

越智委員 ありがとうございました。

 今回の補正予算は、これは必要なものだと思います。ただ、今おっしゃったように、中長期的には、財政秩序をしっかりと維持して、機動的にいろいろなことに対処できるようにしていかなきゃいけないというふうに思います。

 ありがとうございます。これで質問を終わります。

根本委員長 この際、岩田和親君から関連質疑の申出があります。赤澤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岩田和親君。

岩田委員 自民党の岩田和親でございます。

 本日、予算委員会の質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げ、早速質問に入らせていただきます。

 まず最初に、新型コロナ対策、いわゆる新型コロナの飲み薬について、総理にお聞きをいたします。

 十一月の二十二日、新型コロナの飲み薬、ゾコーバが緊急承認をされました。これは、国産の飲み薬の開発ということで、国民からの期待も大変大きいものだ、このように考えておりまして、大変待ち望まれたものである、このように受け止めております。

 そこで、この飲み薬の特徴がどのようなものであるのか、そして、具体的に、いつ頃、どのくらいの量が医療の現場に届いて、患者に処方されるようになるのか。是非、国民の安心につながるような形で総理にお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 塩野義製薬のゾコーバ錠については、これまで国として治験の実施を支援してきたところですが、十一月二十二日に、国内企業が創製した初の新型コロナ飲み薬として、五月に成立した薬機法の新制度に基づき緊急承認されたものです。

 このゾコーバ錠は、重症化リスクの高い患者を対象としてきたこれまでの飲み薬と異なり、低リスクの患者でも高熱等の強い症状があれば使用可能な薬として、世界で初めて承認したものであるということ、また、国内企業が製造、販売するため、多くの患者さんに安定的な供給をすることができるようになると見込まれること、この二点において大きな意義があると考えます。

 そして、今後、こうした飲み薬が広く普及することにより、国民の安心を確保しながらウィズコロナへの移行、これを更に進めることが期待されています。まず、緊急承認を受けて、できるだけ速やかに国民の皆様の元に届けるよう努力していかなければなりません。

 塩野義製薬との間では、既に百万人分の購入契約を締結をしております。準備作業が円滑に進んだため、昨日、二十四日から、発注の受付を開始しております。そして、週明け、二十八日から本格的な供給を開始いたします。一部の医療機関等は、早ければ本日にも発送する予定であると報告を受けております。

岩田委員 もうすぐにでも医療の現場にこれが届くというふうなことで、今の総理の答弁、国民にとって大変うれしいニュースであるというふうに受け止めました。第八波への備えとしても強力な武器になる、このように思います。是非、感染拡大防止を図りつつ、しっかりと経済社会活動を前に動かしていく、万全の取組をお願いしたいと思います。

 それでは、この後、私、今、自民党の経済産業部会長を拝命しておりますので、この経済産業分野について幾つか質問をしてまいります。

 まず、エネルギー関係、この点、特に原発の再稼働について質問をさせていただきます。

 補正予算で組まれております電気・ガス価格激変緩和対策ですが、これは本当に、総理が、前例のない思い切った対策ということで、思い入れを持ってこの制度設計に取り組まれた、私もそのように受け止めております。

 これは、ちょうど、私、おとといですが、地元でミニ集会をいたしまして、この点、御説明をいたしました。その場は、いわゆる奥様方が多かったわけでありますけれども、皆さんの家計、ガス代、電気代で、しっかりと、四万五千円ばかり応援をさせていただくということをお伝えをしたところ、大きくうなずかれたわけでありまして、国民の期待が大きいものだ、このように私も受け止めたところでございます。

 この対策によって、まず目の前の価格高騰、ここから生活や仕事をしっかり守っていくということに続けて、やはり、より大きな課題に臨んでいかなければなりません。

 一九七三年のオイルショック以来のエネルギー危機とも言われている現在、このエネルギー安全保障のための確かな政策を進めていく必要があります。特に、足下の電力逼迫、電力需給の逼迫を解決するために、再生可能エネルギーの最大限活用はもちろんですが、安全性を最優先とした原子力、この選択肢の重要性が再認識をされたというように考えております。

 八月二十四日の第二回GX実行会議において、岸田総理より、原子力発電に関する大きな方針が打ち出されました。この中、運転期間の延長そして次世代革新炉の開発、建設に関しましては、今、GX実行会議において年末の取りまとめに向けて議論をされているということでありまして、今回、この原発の再稼働について総理の考えをいま一度伺いたいと思います。

 電力需給逼迫という大きな足下の危機を克服するために原発の再稼働に関する明確な方針を示されたことは、エネルギーの安定供給につながる確実な一歩であると評価をしております。原発再稼働についての確かな方針を、国民生活を守るという決意の下に、改めてお聞きします。

岸田内閣総理大臣 まず、ウクライナ情勢に伴うエネルギー供給の不安定化そして価格高騰、これは世界規模で今起こっています。そして、気候変動対策の加速による脱炭素電源の必要性がより拡大しています。そして、我が国国内においては、老朽火力発電所の閉鎖の加速等に起因する国内発電設備容量が減少しているという現実があります。

 こうした国内外の構造変化を踏まえますと、国民生活や産業の基盤となるエネルギーの安定供給の確保のために、この原子力発電の問題にも正面から取り組む必要がある、こうした問題意識を持っています。今後を見据えて、あらゆる選択肢を確保するため、再稼働に向けた関係者の総力の結集を含め、年末に向け、専門家による議論の加速、これを指示したところです。

 現在、資源エネルギー庁の審議会等において原子力の活用の在り方について議論を行っているところであり、専門家の方々の意見も踏まえながら、年末までに具体的な結論を出せるよう検討を進めていきたいと考えております。

岩田委員 電力の問題は、本当に国民の生活の身近な大事な課題です。原子力の丁寧な説明を含めて、しっかりと対応していただきたいと思います。

 次に、モビリティー社会について質問をいたします。

 自動車産業が我が国の基幹産業であるということは議論をまちませんが、引き続き日本の経済をしっかりと引っ張っていただきたいと思います。そういった中で、昨今、DXやGX、こういった面での国際的な競争は高まっておりまして、更なる競争力の強化、そしてルールメイクに積極的に関わっていくことが必要であると考えております。

 ここで、モビリティー社会という新しい概念が出てまいりました。総理は、十一月二日、モビリティに関する懇談会を開催をされ、経団連のモビリティ委員会の十倉会長や豊田社長と意見交換をされました。このモビリティー社会、新たな未来社会といったものの具体像を描きながら、そこに向けてその戦略を立てていく、こういった進め方を期待するところです。

 モビリティー産業の重要性についての認識と、その成長に向けて今後どのように議論をされていくのか、お聞きします。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国において自動車産業は雇用あるいは経済の大黒柱であり、特に、自動車を中核としたモビリティー産業、これは、先ほど申し上げました、これからの資本主義を考えても中軸を担う分野であると認識をしています。交通やグリーンなどの様々な社会課題を解決するとともに、経済成長につなげ、持続可能な社会をつくっていくために、自動車を核として、町づくり、サービス、エネルギー、ITなど様々な産業が広がりを持ってつながっていく、こうした取組が重要であると認識をしています。

 そして、足下では、経済安全保障の議論から、サプライチェーンをめぐる国内回帰、地政学的な制約といった議論もあります。また、脱炭素の潮流があります。こうしたグローバルな立地の在り方、国内における産業の立地の在り方等も議論が進み、様々な変化がこれから予想されます。

 そうした中で、我が国のモビリティー産業の今後の成長に向けて、官民で、何を優先的に取り組むべきなのか、こうした骨太の議論を行わなければならないということで、私も先日、モビリティー産業の関係者の皆さん方と意見交換をさせていただいた、こうしたことであります。

 こうした大きな時代の変化の中でのモビリティー産業の重要性ということを念頭に置きながら、取組を進めていきたいと考えております。

岩田委員 新しい未来社会の図、そして社会課題等の解決、そして、そこにしっかりと、日本の、自動車からモビリティー産業へ、こういった戦略が描かれることを期待したいと思います。

 次に、インボイスについてお聞きをいたします。

 インボイス制度の導入が来年十月に迫っている中で、依然として現場からの根強い懸念の声が上がってきております。

 まず、政府としての、現在の準備状況についてどのように認識をしているのか、お尋ねをいたします。

 そして、導入を前提とした場合に、やはりその対策、様々な混乱を引き起こさないということが大変重要なわけですが、周知、広報を始めとして、この対策について見解をお聞きします。

鈴木国務大臣 岩田先生御指摘のように、事業者の皆様から、準備不足や、それから事務負担、税負担の増加についての御懸念があるということ、これは私も承知をしているところでございます。

 事業者の準備の状況につきましては、例えばインボイス発行事業者の登録について申し上げますと、本年十月末現在で、法人は課税事業者の六割程度が既に登録しており、順調に推移していると考えておりますが、一方、個人の登録につきましては二割程度となっておりまして、こうした個人事業者に対しては、国税当局において、あらゆる機会を捉まえて、的確かつ丁寧な周知を行ってまいります。

 また、御指摘のような、事務負担などの増加といった事業者の方々の様々な御懸念につきましては、今般の経済対策におきましても、中小企業団体による相談体制の整備のための予算措置、持続化補助金について、インボイス発行事業者に転換した場合の補助金額の一律引上げ、IT導入補助金について、インボイス対応のための会計ソフトを購入できるよう補助対象の拡大といった支援策の充実を盛り込んでおります。

 さらに、税制上の対応につきましても、与党税制調査会の場において、これまで免税事業者であった方が課税事業者に転換した場合の激変緩和、少額のインボイスの保存に関する中小事業者の事務負担の軽減といった観点から現在御議論をいただいているところと承知をしておりまして、政府としては、こうした御議論を踏まえて、適切に対応してまいります。

 引き続き、事業者の方々の懸念に対しましてきめ細かく対応するとともに、今申し上げましたような支援策と併せて、制度の周知を徹底してまいりたいと考えております。

岩田委員 このインボイスについて、もちろん、税に関しては与党の税調において議論がなされるということを承知の上で質問をいたしました。

 ただ、今お答えにもありましたように、やはり、個人事業主、ここは二割だというふうなことがありましたけれども、実際私も、肌感覚として、自分がそういうインボイスに対応して何か準備をしなければならないということを御存じでない方、あるいはその対象かどうかすら分かっておられない方というのもおられると思いますし、恐らく、様々な仕事の現場において、その具体的な対策というものをしっかりと考えて、そのことを丁寧に説明をしなければならない。網羅的な対策が私は必要だというふうに考えております。

 税の対策、そして周知徹底、また、そういった全体的な、網羅的な対策を是非政府にも望んでいきたいというふうに思います。

 次に、半導体について御質問いたします。

 今回の補正予算においては、半導体の関連で一・三兆円の予算が組まれました。円安を生かして国内回帰、そして生産拠点整備という追い風もありまして、半導体はこの補正の目玉の一つとも言えます。

 では、なぜ今、これだけの大きな予算を充てて、そして国家事業として半導体分野の支援を強力に推し進めていくのか、改めてお示しをいただきたいと思います。過去の半導体に関する政策を踏まえて、そしてまた、半導体の必要性、現在の経済状況や経済安全保障の面からの課題など、国民に分かりやすく説明をいただきたいと思います。そして、半導体の支援について、今回、基金化で執行するということでありますが、その基金化のメリットについても御説明ください。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、半導体は、デジタル化あるいは脱炭素化、経済安全保障、こうした観点から極めて重要な技術であります。

 御指摘のように、我が国の半導体産業は、一九八〇年代には世界一位の売上げを誇っておりましたが、その後、競争力を落としてきたわけであります。この点については、官の側も民の側も反省すべき点があるというふうに認識をしております。

 まず、民の側としては、同じ業界に複数の、かなり多数の国内企業が競争する中で、人材などのリソースが分散していること、また自前主義にこだわったこと。こうした結果として、投資規模やスピードが足らなかった。

 一方、官の側では、バブル崩壊後の長期不況の中において民間投資がなかなか進まない中、大規模な設備投資を支援するといった産業政策、思い切った産業政策が講じられなかったこと、また、国際的なオープンイノベーションの重要性に対する理解も足らなかった。この辺りは真摯に反省が必要だというふうに認識をしております。

 こうした反省を踏まえまして、まさに各国が将来の鍵を握る半導体の開発あるいは投資の競争にしのぎを削る中、我が国におきましては、昨年、先端半導体の国内製造基盤を整備するための法律改正、予算措置を実施をいたしました。複数の大規模投資を間を置かずに実現するなど、スピード感を持って対応してきているところであります。

 特に、熊本のJASMの例が、新工場建設、これは十年間で四兆円を超える経済効果、あるいは人材育成の取組も九州全域で進んでおりまして、投資、イノベーション、所得向上、この三つの好循環が回り始めているものというふうに思います。

 また、先日は、次世代半導体の技術開発及び量産化について、日米共同での取組、これを支援をしていくために、七百億円の研究開発支援も発表させていただいたところであります。

 足下は円安でもありますし、国内投資の環境も改善しております。是非、半導体の投資拡大を進めていく、後押しする、その意味で、今回、一・三兆円の予算を計上させていただきました。この予算を基金化することで、複数年度にわたる支援が可能になります。工場建設に、大規模でありますので、複数年を要するような大規模な、そうした製造拠点整備にも対応できるということであります。

 引き続き、今後の経済成長、そして経済安全保障あるいは脱炭素化、こうした鍵を握る半導体産業、この復活に向けて、官も民も一歩前へ出て、思い切った対策、これに全力で取り組んでいきたいというふうに思います。

岩田委員 最後、スタートアップについて質問したかったんですが、ちょっと時間の関係もございます。

 このスタートアップ、私、昨年末に、総理に対して、スタートアップの政策をしっかりやりましょうということで直談判したのを思い出しております。以来、年初にスタートアップの創出元年を高らかに宣言をされて、そして、今回の補正予算でも約一兆円の予算が組まれました。更に力強くこの政策を進めていくべきだ、このように考えております。

 このスタートアップ振興は、いわゆるこの関係を整備をするだけではなくて、私は、現状の停滞する日本の状況を打破していく、その象徴となる政策でありまして、まさにチャレンジであったり、イノベーションであったり、こういったことを前向きにしていく社会をつくっていく、そういった取組だと考えております。是非、総理には、そういった意味でのリーダーシップを発揮していただきますように心からお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

根本委員長 この際、中川郁子君から関連質疑の申出があります。赤澤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中川郁子君。

中川(郁)委員 自民党の中川郁子でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 現在、NHKで放送中の朝のドラマ「舞いあがれ!」、主人公の女性が航空パイロットを目指して航空学校に入学するというストーリーになっています。ドラマの中で航空訓練のロケ地となっているのが私の地元、十勝の空の玄関口、とかち帯広空港です。澄み切った青空と広大な大地、そしてそこに広がる穀倉地帯、四季を織りなす美しい風景が私たちの自慢でありますが、その青空の向こうにある宇宙を目指して移住をしてきた若者がおります。大樹町でロケットの製造、打ち上げを行っている宇宙開発技術者で会社社長の稲川貴大さんです。

 二〇一九年、稲川さんの会社は、小型観測ロケットMOMO三号機を打ち上げ、地上から百キロメートルの宇宙空間まで到達するという、民間単独で初の快挙を行いました。次なる目標は、小型衛星を搭載したロケットを打ち上げ、衛星コンステレーションの一角を担うことであります。

 ところが、一つ問題がありまして、より大きな打ち上げ射場が必要だということになりました。人口五千人の町には財政的な余力はありません。そこで、町は、ふるさと納税の活用を考えました。宇宙産業の未来に投資したい、若者の、そして地方の応援をしたいということで、たくさんふるさと納税は集まったわけでありますけれども、ただ、それだけでは足りません。地方創生拠点整備交付金の申請を行わせていただきました。厳正な審査を経て三か年の交付金が始まりまして、ほかにも、デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプ3の交付を受けている更別村、上士幌町、音更町、帯広市などは実装タイプ1の交付金でデジタル化を進めています。

 デジタル化を進めていく上で、デジタル人材の確保が難しいという声も聞いています。今回の経済対策では、女性デジタル人材や女性起業家の育成支援等、地方公共団体による女性活躍推進に向けた取組を支援するとあります。

 地方創生、これは経済再生の鍵であり、地方創生の鍵は女性活躍にあると考えています。また、地域を知ってもらうためにふるさと納税も大変重要な役割を果たしていると考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

岸田内閣総理大臣 まず、地方には、社会課題を多く抱える一方、しかし、そうした課題が多くあるからこそ、成長の機会も豊富であると私は考えております。

 委員御指摘のとおり、日本経済再生の鍵は地方にあると思います。そして、地方活性化を図るためには、地域の方々が十分に収入を得て、生き生きと生活できる環境をつくることが重要です。

 そして、御指摘の女性の皆さんですが、女性は男性と比較して都市部への流出が多い傾向にあると指摘をされています。その理由の一つとして、経済的に自立できない、地方において自立が難しいという事情があるという理由が挙げられています。こうした実態を踏まえますときに、地方の女性活躍に向けた施策を充実していく、こうした取組は重要であると認識をいたします。

 このために、今般の総合経済対策では、女性の経済的自立実現のために女性デジタル人材等の育成支援に取り組むことを盛り込んだ次第です。具体的には、地域女性活躍推進交付金、これを充実、拡充して、支援メニューに女性デジタル人材や起業家の育成支援の取組、これを明確に位置づけて、その場合の補助率を拡充する、こうした取組を進めてまいります。

 また、新たに創設したデジタル田園都市国家構想交付金においても、地方公共団体の自主的、主体的な取組を幅広く支援することによって、地域における女性の活躍に資する取組の支援に活用していただく、こうしたことも可能であると認識をしています。

 ふるさと納税についてもいろいろ御紹介いただきましたが、それ以外にも、例えば、廃線となった鉄道を活用したにぎわいの創出、あるいは小中学生による地域の伝統和太鼓の継承への活用など、全国各地の地方自治体が創意工夫を凝らした取組、これを進めています。

 こうした地域の実情に応じた取組を後押しし、女性活躍の実現に向けた取組を進め、ふるさと納税も活用し、魅力的な地方の再生に向けて取組を推進していきたいと考えております。

中川(郁)委員 総理、ありがとうございました。

 こども家庭庁が来年四月からスタートします。自民党としても、少子化対策の司令塔としての役割をしっかりと果たせるよう、強力に支援することとしています。子供政策を充実させるためには、やはり財源です。財源の確保、子供予算の確保をよろしくお願いしたいと思います。今回の補正予算に関連していないと承知していますが、私見として申し上げさせていただきました。

 さて、今回の補正予算でひときわ目を引くのが、出産、育児における伴走型相談支援の充実です。

 少子化については、コロナ禍の中で、婚姻件数が二年間で約十万組減少し、出生数が将来人口推計より七年ほど早く減少するなど、危機的な状況にあります。結婚、妊娠、出産、子育てと、切れ目のない支援が必要です。

 今回、特に支援が手薄なゼロ歳から二歳児の低年齢期を焦点とする伴走型相談支援について、簡単に概要を説明いただけないでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる中で、孤立感や不安感を抱く妊産婦、子育て家庭も少なくないということを踏まえまして、妊娠期から出産、子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即した必要な支援につなぐ伴走型相談支援と、その実効性をより高めるための経済的支援、これらを一体として実施をいたします出産・子育て応援交付金事業を創設をし、継続的に実施することとしております。

 伴走型相談支援につきましては、市町村の子育て世代包括支援センター等で、全ての妊婦や子育て家庭と面談をし、アンケートや支援メニューを掲載をした子育てガイド、こういったものを活用しながら見通しを一緒に確認をしたり、その後も継続的に情報発信することなどを通じまして、必要な支援に確実につなげることとしております。

 また、相談事業と併せて一体的に実施を行います経済的な支援でございますが、令和四年四月以降に出産された方を対象に、妊娠届出後と出生届出後を通じまして合計十万円相当を支給することとし、各自治体の判断によりまして、育児関連用品等のクーポンの支給、子育て支援サービスの利用券、交通費やベビー用品の購入、レンタル費用等の助成など、幅広く認める方向で現在検討を進めているところでございます。

中川(郁)委員 地方の創意工夫が生かされる仕組みにしていただきたいと考えていますが、加藤大臣、よろしくお願いいたします。

加藤国務大臣 地方自治体においてもこれまで様々な取組を行ってこられたわけでありますし、また、地域の体制あるいは地域資源の状況、こうしたものに応じて出産・子育て応援交付金事業に取り組んでいただきたいと思っております。

 例えば、伴走型相談支援の内容、実施体制、また経済的支援の実施方法、これらについては、地方自治体が創意工夫を凝らして対応いただけるよう柔軟な仕組みにしていきたいと考えており、自治体の御意見を伺いながら、現在、その事業の実施要綱について検討を行っているところであります。

 同時に、自治体に対して速やかに対応していただくためにも、私どもの方としても速やかに、かつ丁寧に情報発信をしていきたいと考えております。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

中川(郁)委員 今回の経済対策の中で、子供の支援として、食品ロス削減及びフードバンク支援緊急対策があります。子供の貧困対策は喫緊の課題であると考えています。

 子供のための食料対策としては、頻発化、激甚化している災害への備えも必要であると思います。乳業メーカーのアンケートによりますと、災害の備蓄品として自治体に備えてほしいものの上位に乳児用液体ミルクがあります。災害時、衛生的な水を確保できない、お湯を沸かすことができない、そういうときに、常温でもすぐに赤ちゃんに飲んでもらうことができるからです。是非、乳児用液体ミルクについて、しっかりと備蓄もしていただきたいと思っています。

 ここからは、野村農林水産大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 長引くコロナの影響で牛乳・乳製品の消費が低迷し、結果として脱脂粉乳の余剰在庫が積み上がっています。酪農家は、需給調整に大変な御苦労をされています。北海道でも来年度に向けて生乳生産の更なる抑制に取り組むとしております。

 今回の補正予算でも、現場の取組を後押しするため、生乳需給改善対策として、需給ギャップの改善や乳製品の長期保管対策を措置していただいていますが、酪農家の皆さんにとってはまだまだ厳しい環境が続くことが予想され、将来に大きな不安感を感じています。

 生乳の需給調整は、全国の酪農家が足並みをそろえて取り組まなければいけない、効果が出ないと思っています。畜安法においても、畜産物の需給の安定等を通じた畜産経営の安定を図るとされており、生乳の需給安定に向けては国による積極的な関与が必要であると考えます。また、加工原料乳生産者補給金の単価及び乳価は、現状の生産コストの高騰をしっかりと反映し、経営を維持できる水準とするべきであり、国としても乳価を引き上げられる環境整備を後押しすべきと考えています。

 二点について、お願いします。

野村国務大臣 中川委員から、二問、質問をいただきました。

 一つは、加工原料乳の生産者補給金の単価についてでございました。

 まず、そちらの方からお答えしたいと思いますが、もう御承知のように、加工原料乳の生産地域の再生産が可能となるように、直近までの物価動向を考慮しつつ、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いて決めるようになっております。補給金単価の算定に当たりましては、透明なルールに基づくことがこれは大変重要でございますので、本年度もルールにのっとって適切に算定をしていきたい、こんなふうに思っております。

 それから、二つ目の御質問で、農家の皆さん方の生乳の需給調整の御質問でございました。

 もう御存じのように、酪農経営は飼料価格の高騰等によりまして大変厳しい状況にあるということは十分認識をいたしております。生産コストの上昇については、本来ならば販売価格に適正に反映することが重要だ、こんなふうに思いますけれども、そのためには生乳の需給ギャップを解消することが必要でございます。

 先ほど御指摘がありましたように、脱脂粉乳が相当在庫がたまってございますので、これらについての解消に向けた取組も行っていることを踏まえて、今般、補正予算によりまして、一つは、経産牛の早期リタイアによる抑制的な生産の取組、先ほどおっしゃっていただきました酪農経営改善緊急支援事業、五十億を計上させていただいておりますが、これによって需給ギャップの解消に向けた対応をしたいというのが一点。それからもう一つは、乳製品の長期の保管、これにつきましても取り組んでまいりたいということでございまして、こういった形での支援を措置しまして、生乳の需給改善を後押しすることといたしております。

 我が省としましては、全国の酪農家に対しまして、生乳の出荷先いかんにかかわらず、こうした取組の意義や事業の目的につきまして丁寧に御説明をさせていただきたいと思っております。

中川(郁)委員 野村大臣、丁寧にありがとうございました。

 全国の生産者、酪農家だけではありません、今回、肥料高騰対策、いろいろ措置もしていただきましたけれども、まだまだ不安に思っておられる生産者がたくさんいらっしゃるというふうに思います。地方の政策は、やはり地域政策と産業政策が車の両輪であるというふうに考えますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 公共事業の予算についてお伺いしたいというふうに思います。

 最近の報道で、公共事業費について、繰越しが多い、規模ありきで必要な施策の裏づけがない、さらには、建設現場で施工余力もないとの記事がございました。建設業の皆様からは、記事に対し、現場には問題なく、事業量の確保が必要だとの声が一斉に上がりました。

 自然災害がある中で、必要な公共事業、予算をしっかり確保し、行っていくことが私は必要であるというふうに考えますが、いかがでしょうか。大臣、お願いします。

斉藤(鉄)国務大臣 近年、公共事業関係費の繰越しが増加傾向にあるのは確かでございます。これは、防災・減災、国土強靱化などの重要課題に対し、災害発生や事業進捗の状況などを踏まえ機動的に対応する観点から、年度末近くに成立した補正予算を活用しつつ進めていることがその背景にあると考えております。

 一方で、足下での国土交通省の公共事業関係費の執行状況は、例年以上に順調です。また、最終的には、繰り越した分も含め、ほぼ全額が執行されております。引き続き、迅速かつ適切な執行に取り組んでまいりたいと思っております。

 また、建設業者の施工余力については、建設技能労働者の過不足率は総じて落ち着いてきており、実際に建設業団体等からも十分に施工余力があるとの声をいただいていることから、特段問題はないと考えております。引き続き、施工体制の確保にも寄与するよう、施工時期の平準化にも取り組んでまいります。

 今後とも、防災・減災、国土強靱化等を推進するため、必要かつ十分な公共事業予算の安定的、持続的な確保に取り組んでまいりたいと決意しております。

中川(郁)委員 ありがとうございます。

 施工状況は順調であるということをお伺いをしまして、安心したところでございます。積雪寒冷地である北海道、東北、北陸など、やはり施工の平準化は必要であるというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 また、二〇二四年問題もございます。二四年から建設業で働く皆さんにも働き方改革が適用する中で、中長期的な担い手確保についてどう考えておられるのか、よろしくお願いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 中川委員おっしゃるとおり、建設業においても令和六年度からの罰則付時間外労働規制が適用されます。これを見据え、実効性ある働き方改革の推進が急務であるとともに、若手の入職を促進し、将来の担い手の確保、育成を図ることが重要な課題だと思っております。

 こういう認識の下、一つは、処遇改善に向けた取組として、賃金水準の引上げや建設キャリアアップシステムの普及促進。実績を認めて、それが給料の上昇に結びついていく、そして若い人に入ってきてもらうということが必要です。それから、働き方改革を進めるための取組として、週休二日を実現できるようにするための工期の適正化等の推進。それから、生産性を向上させる取組として、建設プロセス全体におけるICT活用、インフラ分野のDXなどに取り組んでいるところでございます。

 国土交通省としては、関係業界等と連携しながら、建設業の働き方改革や担い手確保に向けてしっかりと取組を進めていきたいと思っております。

中川(郁)委員 大臣、ありがとうございました。

 建設業で働く皆様方にも、しっかりと収入が確保し、希望を持って働けるように、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて赤澤君、若宮君、越智君、岩田君、中川君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 私ども公明党は、今から六十年前、公明党の前身でございます公明政治連盟の第一回全国大会の席上におきまして、公明党の立党の精神が定められました。それは、大衆とともに語り、大衆とともに戦い、そして、大衆の中に死んでいくというものでございます。これは我々全ての公明党議員の原点であり、私もその一人として、初当選以来、今日に至るまで、常に、何かあれば現場第一主義、そして庶民のための政治、庶民の皆様に夢と希望と幸せを実現できるようにという思いで戦ってまいりました。

 今日の質問に関しましても、全て現場の皆様から聞いた生の声を質問としてぶつけさせていただきます。ですから、是非、国民の声に対して、総理始め閣僚の皆様、正面から建設的な御答弁をいただきたいとお願いするところでございます。

 そして、まずちょっと、少し耳障り、痛いことだと思いますが、先ほど総理は赤澤さんの答弁で、今の政権は信頼と共感がテーマだということでありますが、私は、信頼と共感は、まさに国民の皆様一人一人と信頼と共感を結ぶ、それが大事なのではないかと思います。

 もう少し率直に申し上げて、今の政権として何をやりたいのか、何をやるべきなのかということをやはり強く発信していただいて、そしてしゃにむに行動していただく。国民の皆様の感情と閣僚の皆様の気持ちのギャップがあってしまうと、せっかくのいい政策も、それは効果を生まないのではないかというふうに大変危惧をしております。

 そうした意味で、今回の総合経済対策も、我々の、公明党の要望もたくさん受け入れていただいておりますが、どうか、今日からの審議を機に、新たな政権をスタートさせるんだ、本当に、常に現場に走って、各閣僚の皆様と国民の一人一人の皆様が信頼と共感を結びながら頑張っていくんだということについて、私はそう願いたいと思いますが、この点についての総理自身のお考えと決意を表明をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 先ほども答弁させていただきましたが、今の内閣の基本的な姿勢として信頼と共感という言葉を大事にしてきましたし、これからも大事にしていきたいと強く思っています。そして、委員がおっしゃるように、それを国民の皆さんに、お一人お一人にしっかり伝えていく努力が重要だという御指摘はそのとおりだと思います。

 これから様々な、大きな政策課題があります。新しい資本主義、あるいは防衛力の強化、あるいはGX、また子育て、少子化対策等々、大きな課題を進めていかなければならないと思いますが、それをできるだけお一人お一人の国民の皆さんの心に届くような形で丁寧に説明をし、努力をしていく。結果を出すこと、もちろん大事でありますが、その結果も含めて、国民の皆さんに対して説明を、努力を続けていく、こうしたことが信頼と共感につながるものであると信じて努力をしていきたいと考えております。

赤羽委員 そこで、今回の岸田政権の中で、賃上げによる好循環実現とか人への投資は大変重要な指摘だと思いますが、現実に現場を歩いておりますと、ロシアによるウクライナ侵略によって国際エネルギー市場は混乱し、物価高は大変な状況でございます。国民の皆様は物価高で苦しんでいる。中小企業も、エネルギーがこれだけ高騰しますと、なかなか生産性を上げることができない、収益を上げることができない。率直な話、なかなか、賃上げというのは、そういう状況じゃない、地合いが悪いということだというふうに思っております。

 そうした中で、もちろんやっていただくと思いますが、総理自ら、政労使会議にしっかりと事の大事さを訴えて、少しでも多くのところから賃上げを実現していくという姿勢を見せるというか、実際に行動を取っていただくというのは、私は大変重要だと思いますし、もう既にやっていただいていると思いますが、それ以外に、やはり非正規の雇用者、非正規を選択している方もいらっしゃいますが、若手世代の統計を見ますと、やはり非正規の雇用者というのはおおむね結婚していない、家庭を持つことがしにくい、これは個人の希望もありますから一概には断定できませんが、そうした傾向がございます。

 やはり、いろいろな議論はありますけれども、岸田政権で、希望する人は正規雇用を原則とする社会を目指すんだ、その議論を是非始めていただきたいというのが一点です。

 もう一つは、人への投資というと、やはり教育の充実が大事だと思っています。

 子供さんが家庭の経済状況によって平等に教育が受けられない社会であってはならないし、そして、教育の質の向上もしなければいけないと思います。小学校、中学校で塾代でたくさんのお金をかけていながら、例えば国際的な人材、英語をしゃべれない、そうした今の日本の教育というのは、実は、日本国内、日本社会の非国際化を進めてしまっているのではないか、これは本当に重大なことだというふうに思っております。

 これは政府の教育未来創造会議でも議論されていると承知をしておりますし、何となく、英語がしゃべれるというのは、我々の世代というのは、留学の経験者だとか帰国子女みたいな特別な存在であるというふうな認識が我々自身も長いんですけれども、そうではなくて、公立の教育でこうしたしゃべれる英語ができる、本気で取り組まなければ、私は、実は、外国企業がなかなか日本に投資されない、また外国人の留学生が日本に就職をしても定着率が悪いというのは、やはり日本国内での言語の問題があるというふうに思っております。

 これは我々の日本にとっても大きなプラスですし、外国の方にとってもそれはいいことなので、こうしたことも含めて、今日は具体的な細かいことは求めませんが、総理に対して、人の人生が大事だし人への投資が大事だということについて、本当に、今までの発想ではなくて切り替えて、この教育とか雇用の在り方について、まさに岸田政権として新しい議論を巻き起こしていただきたい、これは切に要望しますが、総理の御見解、具体的な話ではないですけれども、決意をお聞かせいただければと思います。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛に。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、今、厳しい経済環境の中で、多くの国民の皆さんが生活あるいは事業を守るために必死になって努力をされている、それに対して政治としてしっかり応えていかなければいけないということで、総合経済対策の中でも、まずは物価対策、これを第一に掲げております。

 ただ、具体的な様々な課題における物価高騰対策を用意するとともに、目下の物価上昇に対する最大の処方箋は継続的な賃上げであると思います。こうした賃上げを含めて、委員おっしゃるように、人への投資という切り口から様々な政策を進めていかなければいけない。

 賃上げにしましても、まずは、来年春に向けて、労使の皆さんに協力をしていただき、物価上昇に負けない賃上げに向けて協力をお願いしなければいけないと思いますが、あわせて、中長期的に、賃上げと労働移動の円滑化、そして人への投資、この三つの課題を一体的に進めることによって、構造的な賃上げ、要は賃上げを持続させる、こうした経済社会をつくっていかなければならない、このように思います。

 そして、人への投資という観点から、非正規雇用にも触れられました。

 非正規雇用の方々も含めて、誰もが一人一人の希望に応じて多様で柔軟な働き方を選択できる社会を実現していかなければならないと考えます。希望する非正規雇用の方が正社員として就労できるよう、人への投資の政策を進めるために、五年で一兆円というパッケージの拡充を図るわけでありますし、また、訓練後の非正規雇用を正規雇用に転換する企業への支援、これも強化していくことを今回の総合経済対策の中で盛り込んだところであります。

 そして最後に、人への投資という観点から、教育について触れられました。

 御指摘のように、教育未来創造会議において、特に、国際的な環境の中でどのような人材を育てていくのか、我が国の若者たちにおいても、ICTの環境の中でどのような英語教育を充実させていくのか。さらには、外国人材を我が国の社会にしっかり取り組むための教育環境、こうしたものも用意することによって我が国の社会全体の国際化について考えていく、こうした取組も人への投資という切り口から大変重要な取組ではないかと思います。

 こうした様々な切り口から、人への投資という考え方を新しい資本主義の中でも重視することによって、我が国の社会の持続可能性をしっかりと広げていきたいと考えています。

赤羽委員 子供は将来の宝でありますし、その宝が平等に良質な教育を受けられて、それぞれが持つ能力を大きく開花できる社会を目指して、是非指揮を執っていただきたい。我々も頑張りたいと思います。

 次に、今回の総合経済対策に盛り込まれました電気・ガス料金の支援について申し上げたいと思います。

 電気・ガス料金が一年間で二割から四割上がるというのは、まさに国民生活や経済産業活動において最大のインフラでありますから、大変な事態だ、そういう危機感から、私ども公明党は、九月から、山口代表を先頭に、再三にわたって岸田総理始め様々な申入れをさせていただきました。

 電気料金のみならず、当初、率直に言って、政府はガス料金については若干後ろ向きだったのではないかと思いますが、今回、ガス料金も含めての対策が取られたということは評価したい、こう思っております。

 ただ、ガソリン価格と違って、単価が明確なガソリン価格ですと、今年の年初からやっている百七十円を超えないようにという、これは非常に分かりやすいわけですが、電気・ガス料金というのは、単価といってもぴんとこないわけですね。

 キロワットアワー当たり七円下げるということ、これは恐らく、標準家庭としては、月に一万四千円、平均的な電気請求金額、これの二割ですから、平均で二千八百円割り引くということでありますが、実態としては、ちょっとパネルと資料に書かせていただいていますが、この青い線のように、やはり冬場は使用量が増えるので、請求金額は当然高くなるわけです。春から六月にかけては安くなる。

 ですから、冬場、実は今回の措置を取ると、一月では、多分、毎月の電気料金から約四千円程度安く請求されるんですが、この額自体は、例えば六月の請求金額と比べますと、六月の請求金額の、支援をしていない金額より高くなってしまう。これはやむを得ないんですけれども、非常に分かりにくいので、こうしたことは是非国民の皆さんが実感できるように、三兆円以上の予算をかけて支援をするわけですから、これは国会で、本会議での答弁もいただいておりますので、そのことは念を押しておきたいと思っております。

 そこで、今日、この制度に加えて、是非改善をしてもらいたいというのを二点申し上げたいんですが、一つは、LPガスに対してです。

 LPガスは、事業者が、中小・小規模事業者の方が多いし、数も大変多くて、なかなか都市ガスのように直接の支援をするスキームが使えない。これはよく理解できますが、資料三で、都市ガスのインフラの整備状況、日本の地図が書いてあるんです。

 これは、赤色と青色が都市ガスのインフラが整備されていて、それ以外の白地の部分というのはLPガスの地域なんです。これはもちろん、山岳部もありますので、必要ないところもありますけれども、大ざっぱに言いますと、やはり都市周辺は都市ガスで、名前のとおり都市ガスで、そうではない、少し外れたところはLPガスの地域なんです。ですから、恐らく半々か、やや都市ガスの地域が多い、世帯数でいいますと。今回の支援だと、どうしても地方部のところの人たちは支援を受けられない。やはりこれは、何とか是正しないとまずいんじゃないかと思います。

 地方創生臨時交付金で手当てをと考えられていると思いますが、地方創生臨時交付金というのはやはり市町村の配分が決まっていますから、この分で特出しで別に上乗せをしていただければ安心して使えるんだけれども、なかなかそうはなっていないので、ここについてはちょっと特段の検討をしていただきたいというのが第一点です。

 もう一つは、電力自由化で新電力と契約をしている事業所というのが結構たくさんあります。

 実は、この夏、地元の幼稚園から相談を受けまして、新電力から、もうこれ以上供給ができないから契約は打ち切るというふうに言われた、困ってしまっていると。それで、一般の送配電事業者からの契約をしたんですが、従来よりは電気代が二倍以上高くなっていると。

 幼稚園とか、保育園とか、また介護施設とか、こうしたある意味では非営利的な事業所にとって、電気代が二倍以上になってしまうというのは大変厳しい話だし、事業所だけの問題ではなくて、そこにお世話になっている方々の皆さんにとっても本当に深刻な問題だというふうに思います。

 ここも恐らく地方創生臨時交付金という話になるんですけれども、ビジネスタイプの事業者ではなくて、こうした非営利的なところ、エッセンシャルワーカー的なところについては、これは政府として、新電力が契約履行ができなくなった後の対応についてやはり特段の措置を講じるべき、こう私は思います。

 これは多分、経済産業省の担当ではありますけれども、加えて、総務省のこともあるし、やはり政府としての強い意思が必要だと思います。総理にこの点についての御見解をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 LPガスと新電力と、二点御質問をいただきました。

 まず、LPガスの方ですが、地方の一般家庭やタクシー、ハイヤーなどにおいて多く利用されており、総合経済対策においても、実態に即した支援、これを盛り込んでおります。

 一般家庭については一年前と比較した小売価格の上昇幅は一割程度にとどまる一方で、タクシー向けのLPガスは約三割上昇しております。しかし、原料であるプロパンは価格が安定しており、今後大きな上昇は見込んでいない、こういった実情もあります。こういったことから、LPガスについては、電気や都市ガスとは異なる制度により支援を行うこととしたという次第であります。

 具体的には、事業者向けにガスタンクの大型化等の設備導入を支援するほか、一般家庭向けLPガスについては、遠隔でのガス栓の開閉や遠隔検針が可能となるスマートメーターや、ボンベ充填の自動化に資する設備などの導入に対する支援を行うなど、事業体質強化に向けた支援により、都市ガスと同様に、今後の更なる価格上昇を抑制する、こうした対策を取った次第です。

 また、価格高騰の影響の特に大きいタクシー、ハイヤー向けのLPガスについては、来年一月以降についても、激変緩和対策、これは従来からやっている対策、これを延長するという対応を考えております。

 加えて、六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、これについても、LPガス料金支援への活用を全ての都道府県に対して働きかけているところです。

 こうした取組によって、地域間の不公平感を助長することなく、LPガス利用者に対して支援が届くようにしてまいりたいと思います。

 そして、もう一点の新電力の御質問についてですが、新電力の撤退等について、小売電気事業者と契約を締結できない場合などに備え、一般送配電事業者が最終保障供給を行う仕組み、これを導入しており、電力の安定供給に万全を期しているところですが、他方、最終保障供給について委員御指摘のような実態がある。

 これを踏まえて、今回の補正予算による電気料金対策について、最終保障供給を受けている需要家も支援対象とする。このことに加えて、先ほども触れた六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金において、医療、介護、保育施設への支援、これを推奨メニューとして地方自治体に示しているところです。

 こうした政策の組合せによって、政府一体となって、医療、介護、保育施設を始め、特に支援の必要性が高い需要家の電気料金の負担軽減、これを進めてまいりたいと考えております。

赤羽委員 新電力に対する支援、ありがとうございます。これは、ただ、やはり地方自治体によって差が出てしまうと思いますので、きめの細かいフォローアップをしていただきたいということでございます。

 次に、GXについて質問を移させていただきたいと思いますが、こうしたエネルギーの国際市場の混乱、高騰というのは、やはり当面続くと言わざるを得ないと思います。そういう意味では、我が国のエネルギー政策は、化石燃料、輸入に燃料を依存している化石火力が主力でありますので、これは大変不安定だ、ここはやはりしっかりと抜本的な対策を取らなければいけないというのは、これはもう私から改めて言うまでもないということでございます。

 しかし、GXは、私は、単なるエネルギー源の転換で終わってはならなくて、今回、このGXの中で、省エネや再生可能エネルギーをしっかりと、二〇三〇年度のミックスまで、三八%まで増やすというのは大変大きなチャレンジであります。

 しかし、そのチャレンジの中で、技術開発ですとか事業化を進めることによって、私は、長年低迷していた日本の産業界をブレークスルーするというか、本当に世界を引っ張っていけるようなきっかけにする、そういう覚悟で国が前面に立って官民を挙げて取り組むということにGXの意義があるのではないかというふうに認識をしているところでございます。

 ここもちょっと総理に質問したいんですが、多分そういうことだと思いますが、その中で、まず、時間も限られているので、省エネ、やはり省エネをしっかり進めていかなければいけない。使う電力を少なくするというのは、これは当たり前でありますので。

 この省エネについて、今まで、家庭部門で断熱性が低い既存住宅の割合というのは九割あって、この既存住宅の断熱改修というのは非常に効果的と言われているんですが、住宅全体を改修するというのは、世帯主が高齢であったりとかしてなかなか前に進んでこなかったというのが現実です。

 また、断熱ガラス、窓のところの省エネ化とか、給湯器とか、こうしたことについては実は経済産業省とか環境省の管轄で、私も国土交通大臣時代にチャレンジしましたが、なかなかそれがうまく回っていかなかった。

 そういう意味で、今回は、補正予算で、国土交通省の所管の部分と経済産業省、環境省の所管の部分が三省連携して、初めて新しい仕組みができるというふうに承知をしております。予算額も二千八百億円と大変大きな額でありますので、これをしっかり回していくというのは、住宅の省エネ、大変大きく期待ができると思いますが、三省連携でありますが、窓口の国土交通大臣からこのことについて御答弁いただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 家屋の省エネ化は、省エネと同時に健康にもいいというふうに言われております。高齢者に優しい住宅造りにも寄与するものと思っております。

 今般、経済産業省それから環境省と連携して取り組む既存住宅の省エネ化支援は、どの省庁のどの事業を活用する場合でも共通のホームページからの申請を可能とするなど、手続の簡便化、ワンストップ化することにより、使いやすい制度としていきたいと思っております。また、窓や給湯器について、高い性能のものにより手厚く支援するとともに、省エネ改修と併せて行うバリアフリー改修等も支援することとし、幅広く御利用いただけるようにしたいと考えております。

 引き続き、経済産業省や環境省と十分に連携して、分かりやすい周知に努め、本制度を活用して住宅の省エネ化の推進を進めてまいります。

赤羽委員 健康住宅という側面も大変重要だと思います、高齢者の皆さんが多くなっておりますので。是非、こうした簡易な形で結構効果のあるものをしっかり進めていただきたい。よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、再生可能エネルギーの導入について、ちょっとパネルを出させていただきますが、これは改めて申し上げるまでもなく、二〇三〇年度のエネルギーミックス、これは第六次のエネルギー基本計画で定められております。再エネは三六から三八%、原子力は二〇から二二%、化石火力は四〇%程度ということであります。

 ただ、再エネについては、野心的な目標とかと、まず、経済産業省のペーパーには必ず野心的な目標という、何となく及び腰なんじゃないかなと。自分で目標を決めたんだから、必ず遂行してもらわなきゃ困る。まあ、簡単じゃないことは分かります。

 この再生可能エネルギーをしっかりやるということと、化石火力をやはり低炭素化する、脱炭素化する、これは水素とかアンモニアの技術開発、実証を進めていく。こうした道を取っていくしか、資源のない我が国は生き残る道がない、本当にそう腹を決めて国を挙げてやる、これがGX実行会議の狙いだというふうに思っております。

 再生可能エネルギーでずっと長年の懸案だったのが、送電線の強化。北海道とか東北で風力発電で生み出した発電を首都圏に送ることができない。これは長年言っているんですが、なかなか、費用が莫大にかかるし時間もかかる、土地の収用もしなければいけない、困難がつきまとっております。

 しかし、私の承知しているところは、今年度中に系統整備計画の全国のマスタープランが策定されると聞いておりますが、この中を見ましても、北海道から本州間には海底直流送電線の整備とあるんですが、これも恐らく、漁業者の皆さんの調整とか補償といった問題が必ずつきまとうというふうに思っております。

 しかし、こうしたことを考えるときに、経済産業省の手のうちだけではなくて、国土交通省の、例えば、JRの在来線ですとか高速道路を活用した送電線網の配置というのは有用だというふうに言われている方もたくさんいます。私は、こうしたことというのは、再生可能エネルギーを増やしていく、充実していくというのは、まさにこれは政府全体で取り組まないと、すぐ、何か乗り越えられない困難に出会ってしまう。ここはやはり何としても、岸田政権として、再生可能エネルギー三八%は最優先の課題と決めて、各省庁の所管のところを規制緩和するとか制度改善するとか、実に多くのことがあります。

 農林水産省でいいますと、国有林野ですとか保安林、ここは、再生可能エネルギーの関連設備、利用するというのは非常にハードルが高いです。また、漁港について、漁港に洋上の風車を設置することもなかなか簡単ではございません。また、環境省でいうと、自然公園の問題がありまして、地熱エネルギーをしたくても、自然公園法でそこは掘れない。ですから、その外から斜めに掘るみたいな話があったりして、また、環境アセスについても、もう少し工夫の仕方があるのではないか。

 一つ一つ、もう時間も限られておりますので確認はしませんけれども、是非、総理の下で、再生可能エネルギーを進めるための関係閣僚会議みたいなものを設置しながら、このことを最優先して実現しなければ本当に我が国の存亡の危機に関わるんだという迫力と決意を持って是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まずは、先ほど来も議論になっておりますように、我が国のエネルギーの安定供給というのが大きな課題になる中にあって、再エネは重要な国産エネルギー源であるということ、これを強く認識いたします。

 そういった認識に立って、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度再エネ比率三六%から三八%、こうした目標に向けて努力をしていかなければならない。その際に、御指摘のように、省庁間の連携を含め、政府挙げて再エネの普及に取り組んでいかなければならない、この重要性を強く認識をいたします。

 再エネの導入に向けては、系統整備、これが重要であり、その具体化に向けて、御指摘のようなマスタープランを二〇二二年度中に策定する予定にしています。その中で、北海道―本州間の海底直流送電網を含む送電網について具体化を図ってまいります。その際に、省庁間の連携の好事例もしっかり参考にさせていただきながら、御指摘のような鉄道アセットを始め、様々な活用をしっかり考えながら、効率的な送電網整備が進められるよう、政府を挙げて取り組んでいきたいと思います。

 関連閣僚会議を立ち上げろという御指摘がありましたが、今申し上げた思いをどのように実行できるのか、政府として工夫はしていきたいと考えています。

赤羽委員 私が申し上げたかったのは、国が、国の政策として具体的な目標を掲げ、これを実現するんだと正式にアナウンスすることが、外国の関連企業を招くことにもなりますし、今はやはり、EUとかイギリスは物すごく風力については大きな目標を掲げて、世界中の関連企業はもう全部EUに集まっているみたいな事情もありますので、これは是非、大事なことだと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、ちょっともう質問の時間がありませんけれども、同時に、やはり、再エネだけじゃないんですけれども、日本というのは、再エネでも技術は先行しているんだけれども事業化が遅れて、結局、中国とか欧米に抜かれてしまっている。

 実は、太陽光の、次世代太陽光電池、ペロブスカイト太陽電池という、貼れば、今、太陽光というのはあの結構大きなものを載せなきゃいけないとか、薄っぺらくて、貼ることによって省エネの効果がある。これは技術は日本が一番先行しているんですが、事業化まで課題がある。そこをやはり国が後押しをして、これを日本が事業化することができれば、まさに世界に、マーケットをリードできると思いますので、やはり事業化をするということが大事だということ、これも踏まえて、是非政府の中で、国が前面に出てということでリードしていただきたいと思います。

 次に、済みません、時間も限られていますが、最後のところで、観光についてお願いしたいと思います。

 観光立国政策、今政府も掲げておりますが、観光立国政策を掲げる目的というのは総理御自身はどうお考えでしょうか。ばくっとした質問で恐縮ですけれども。

岸田内閣総理大臣 観光政策、観光戦略を掲げることの意味ですが、まずは、日本経済全体にとりましてもこの観光分野は大きな成長のエンジンになると考えます。それに加えて、やはり地方における観光の意味、この重さを改めて感じます。地方活性化の切り札としても、こうした観光戦略、観光立国に向けた取組、これは重要な取組であると考えます。

 こうした経済全体、地方の活性化、両面から観光をしっかり支えていきたいと思っています。

赤羽委員 私も国交大臣時代、全国で六十か所で観光関連事業者とタウンミーティングをさせていただきました。私も行ったことない地域ばかりだったんですが、改めて、それぞれの地域が持つ伝統文化ですとか芸術とか観光資源の豊富さ、すばらしさというのを認識したところでございます。まさに経済的な効果とか雇用の効果もありますが、それ以上に、そこの地域が観光地として磨かれることによって我がふるさとに誇りを持てる、そういう人たちが主体者となって地方創生を頑張れる、こうしたことはいろいろなところであるんですね。

 長野県の木曽の南木曽町というんですけれども、そこに妻籠宿という中山道の四十二番目の宿場町がありました。これはもう限界集落みたいになっていて、昭和四十年代、本当に人がいなくなった。しかし、そこである人が立ち上がって、いや、ここは、古くなったこの町並みをそのまま保存する、環境を保護する、これは文化遺産となって必ず観光地としてうまくいくんだ、そして、市民が自ら大学講座を開いて、自分のところの歴史とか芸術とかを学んで、そして誇りが持てるようにした。

 こうしたことで、今、二〇一八年度では、世界六十五か国から、そのうちの九割が欧米、オーストラリアの人たちが来て、三万人以上訪れている。全国で今六十万人以上の観光が来ておりまして、私も視察をさせてもらいましたが、すばらしい地方創生のモデルだというふうに思います。

 これはそこだけではなくて、そこの地域の主体者が観光ということを頑張って、そこにインバウンドもあると思いますが、そうしたことは実に大事なので、是非、この観光立国については引き続き御支援をお願いしたいと思います。

 細かいことはいろいろあったんですけれども、GoToトラベルの予算というのは、実は、二兆七千億計上していますが、そのうちの七千二百億が不用、年度を越えてしまうので、不用扱いとなっています。地元の観光関係の皆さんと話をしますと、それを延長してほしいというんですね。その理由は、すごく大きな需要喚起策としてありがたいんだけれども、例えば、百室しかない旅館というのは、百室以上のお客さんを取れないんですね。

 ですから、いわゆる失われた三年間をやはり回復するためには、短期間、強力な需要喚起策ではなかなか追いつかないで、末永いことでしっかりやっていただきたいという声が出ていますので、是非このことについてもお願いしたいし、今日、斉藤大臣が、明年からの全国旅行支援事業を再開するという発表をされたと思いますが、前回は、正直言って、告知期間が余りにも短過ぎて、大変現場は混乱したと思います。

 この改善についても、私は、都道府県別々でやるのはいいとしても、最低のルールは国として定めて、それを告知するべきだ、こう思いますので、もう既に出ているのは、地域クーポンを電子化する、これはいろいろな理由でやっていると思いますが、これも大変懸念の声が出ていますので、是非、生の声を聞いて改善をしていただきたい。

 やはり、現場の人が働きやすく、そしてお客さんが喜んでもらわないと本当に成り立たない産業だと思いますので、このことについて、担当大臣としてその御決意をよろしくお願いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 ありがとうございます。

 全国旅行支援については、十月十一日に事業を開始し、全国的に需要喚起の効果が表れているところだと思っております。

 年明け以降も需要喚起策を講じてまいる予定ですが、その際は、感染状況や需要動向を踏まえつつ、可能な限り、現場における準備期間を十分に確保することなどを含め、適切に対応してまいりたいと思いますし、先ほどありました、いろいろな現場の声を聞きながら、効果がある形でこれを実行してまいりたいと思っております。

赤羽委員 私の後に同僚の中野議員が子育てについて質問させていただきますが、公明党というのは、結党のときに、当時、子育てというのは家庭の問題としていた世の中の風潮を、そうではないんだ、子供は、先ほど言いました、国の将来の宝だ、その子供たちのために行政や社会が関わるというのは大事なことだということで、一九六九年の義務教育の教科書無償配付から始まり、その直後の児童手当の開始ですとか、様々なことをやってきた歴史があります。

 そうしたことで、しかし今、働き方が随分変わってきて、今の若手は男女共働きがほとんどです。ざっくばらんな言い方をすると、おやじ社会をぶっ壊して、女性が本当に働きやすい、子育てしやすい、世の中をつくり変えないと、我が国はサステーナブルじゃないと思っておりますので、そのことについては、続けて中野議員に譲りたいと思います。

 私は以上で終わります。ありがとうございました。

根本委員長 この際、中野洋昌君から関連質疑の申出があります。赤羽君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中野洋昌君。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。兵庫八区、尼崎市選出でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。先ほど赤羽議員からお話ありましたとおり、子供、子育て政策、若者政策、これをテーマに質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 今までも、公明党、少子社会の克服ということを目指しまして、教育の無償化、働き方改革、様々取り組んでまいりましたけれども、コロナ禍の中で少子化が更に加速をしているというのが現実であります。想定より七年加速したというデータもあります。そして、今年の出生数、推計でいくと八十万人も切るかもしれないということで、更に少子化が加速をする。社会の支え手がいなくなるということは、まさに有事であるというふうに思います。

 若い世代の方がこの状況の中で安心をして子供を産み育てることができるようにするためには、やはりこの子育て政策を、いろいろな政策はありますけれども、五月雨式にやっていくのではなくて、結婚、妊娠、出産、子育て、国が本気になってやはりこれを体系的に全部支えていく。まさに先ほど赤羽議員も言っておられました、大きく社会構造をしっかり変えていく、こういうことをしっかり示していかないといけない。そうしないと、なかなか安心をして子供を産み育てられる、こういう環境にならないのではないか、こういう大変な問題意識がございます。

 我が党としても、こうした問題意識から、昨年から議論を行わせていただきまして、子育て応援トータルプランという、党としてこういう中長期的ビジョンを出すというのは珍しいんですけれども、こういうビジョンをしっかり出させていただきました。

 これは、こうした今まで行ってきた働き方の改革や子育ての負担の軽減に加えまして、しっかりこどもまんなか社会を実現をしていく、そして、男女間の不平等や性別による役割分担意識、こういうものもしっかり是正をしていく、そして何より、若い世代の皆さんが将来の展望をしっかり描ける環境、これを整備をしていく、こういうことをしていかないといけないんじゃないか。そのためには、ライフステージ、いろいろな段階がありますけれども、やはり切れ目なくしっかり支援をしていく、それぞれの段階で支援を充実させていく。

 例えばの例で挙げますと、子供医療費の無償化、今いろいろな地域でやっておりますけれども、これもしっかり十八歳まで無償化を進めていこうであるとか、あるいは、私立高校の実質無償化、こういうものももっと拡充をしていこうであるとか、こうした、地方自治体ともしっかり連携をして、トータルで子育て政策を支えられるような、こういう取組を是非党としても進めていきたい、こういう思いでこのプランを発表させていただきました。

 この議論をしていく中で、一番支援が手薄なんじゃないかということでいろいろな意見が出ましたのが、やはり、妊娠、出産をしてから、ゼロ歳、一歳、二歳といったような低年齢児のところの支援が非常に手薄だろうということで議論をいたしました。政府にもこの支援の充実を是非していただきたい、こういうこともお願いをさせていただきまして、この度の補正予算に出産・子育て応援交付金、これが盛り込まれたところ、これは高く評価をしているところでございます。

 要は、妊娠、出産、そして低年齢児の支援という一番最初の入口のところ、妊娠をして、出産をして、こういうところをしっかり支えていくという支援であるというふうに思っております。

 この中身について少し、よく分からないという声が多いので、今回分かりやすく是非答弁していただきたいんですけれども、コロナ禍の中で子育てというのは本当に孤立をしている。子育てのコは、子供の子ではなくて、もう本当に孤立の孤を使った孤育てだ、こういうふうなお声もあるわけであります。

 私も子育て世帯であります。私の周りも、非常に、子育てをしている、そういう世帯でありますけれども、特にコロナ禍で、産後すぐのお母さんも、二十四時間休むこともできずにずっと子供の世話をしているような状況で、里帰りがコロナでやはりなかなかできない、こういう状況もある。要は、御両親を頼ることもできないという中で、俗にワンオペ育児みたいな呼び方をすることもありますけれども、まさに、お母さんが一人で孤立して、場合によっては、親も高齢化して、介護もそのままダブルケアでやらないといけない、こんな状態の中で、本当に苦しい。産後うつになる方の割合も非常に今上がっているというふうなデータも、元々一割ぐらい産後うつという問題がありましたけれども、これが三割ぐらいになっているんじゃないか、こういうデータもあるわけであります。

 ましてや、子供が、一人目を産んで、それを、小さい中で、こんな状態で二人目が、まさに出産など考えられない、こういう切実なお声がやはり現場からは寄せられているわけでありまして、こういう孤立した子育てをやはり社会全体で支えられるような仕組みを全国でつくらないといけないというのが思いであります。

 これは、いろんな支援がやはり必要で、当然、経済的な支援も含めていろいろ必要なんですけれども、やはり、孤立した家庭をしっかり寄り添って支援ができるような、伴走しながら応援ができるような、こういう支援がまさに求められているのではないか。

 こういう出産・子育て応援交付金は、伴走型相談支援というのがこの制度の中核に位置づけられております。これが大きな特徴だというふうに考えております。この伴走型相談支援の具体的なイメージ、そして、これを制度の中核に位置づけた意義、これについて、厚生労働大臣、分かりやすく御答弁をいただければと思います。

加藤国務大臣 御指摘の伴走型相談支援は、市町村の子育て世代包括支援センターなどで、全ての妊婦や子育て家庭と面談をし、あるいはアンケートや子育てガイドを活用していって、出産、育児等の見通し、これについて一緒に確認をしていく、さらに、その後も継続的に子育てに関する情報をネットなんかも使いながら発信をしていくということで、それらを通じて、それぞれの妊婦の方や子育て世帯が必要なサービスを利用していただけるようにしていきたいと考えています。

 地方でこれまでもいろんな取組をやってきていただいていますので、そうした取組や実情に応じて、地域公共団体が創意に基づいて、柔軟な仕組みになるように考えていきたいと思っております。また、今般の補正予算では、全ての地方自治体で実施していただける予算を計上させていただきました。

 そして、先ほど、支援が手薄といった特にゼロ歳から二歳、あるいは妊娠から二歳、まさに三歳以上になると保育園等へ通うということもありますので、より孤立化しやすく、また様々な不安を抱かれるということでありますので、この事業で伴走型相談支援を充実することで、全ての妊婦、子育て家庭の孤立感、あるいは、そこから生まれる不安感、こういったものを払拭をし、安心して出産、子育てができる、こういう社会の実現を目指していきたいと考えております。

中野(洋)委員 加藤大臣から、今、相談支援の少し分かりやすい形で説明をしていただきました。特に、やはり、大臣おっしゃるとおり、〇―二歳は保育園に行っていないという方の割合の方が多いという状況でありまして、産前産後のケアを強化しないといけない。先ほど、地方の創意工夫も生かしながらということも答弁いただきました。

 今、相談支援というのは、それぞれの地方自治体、地方議員の皆さんと、やはり強化していかないとということを今までやっておりまして、今回も、私ども公明党でそれぞれ地方議員の皆さんのヒアリングの調査というのをやっております。今、四百三十四自治体からいろんな子育て政策の状況というのを実は伺っておりまして、多くの自治体で、何らかの形で、やはり相談をしよう、伴走をしたい、こういう支援を実は今既にスタートをさせているというのが現状であろうと思います。

 私の地元の兵庫県の尼崎市でも、またお隣の西宮市とかでも、妊娠のときに保健師の皆さんで面接をしたりとか、皆様の御地元でも、そういう相談受付あるいは出産後の家庭訪問、いろいろな支援をやっておられるというふうに思うんですけれども。

 しかし、現場からいただいたお声として、いろいろな相談、寄り添ってしたい、こういう体制もやって何とかしようとしているんだけれども、具体的に相談を受けて、じゃ、どういう子育てサービスが提供できるか、じゃ、こういうことを是非市としてやるから活用してくださいという経済的なところの支援が必ずしもなかなか提供できないところもありまして、そうすると、やはり、相談するよ、するよと言っても、なかなか皆さん相談に来ていただけない、孤立した家庭の方も相談につながっていかない、こういう現実があるというふうに聞いております。

 ですから、今回、伴走型の相談支援とともに経済的な支援を一体的に行っていくというのが、孤立した子育て家庭、これを、しかも全ての家庭、全ての妊婦さん、お子さんに対してしっかりやっていくということが極めて重要な要素であるというふうに認識をしております。

 ただ、この経済的な支援のところが、妊娠時に五万円相当で出産時に五万円相当ということでありますと、これが現金なんですかとか、クーポンなんですかとか、どうしても支給方法がどうなのかというところに議論が集中してしまうところがあるんですけれども、しかし、本来は、いろいろな子育て家庭がどんな支援を求めているのか、どんなニーズがあるのかというところを、しっかりとこれを、ニーズを押さえていって、そうすると、それに応じてどういう形で支給をしていくのかというのが決まっていくんであろうというふうに私は思っております。

 ですから、こういう、どういう現場のニーズがあるのかを酌み取るという作業が、地方自治体の現場のところでこれは是非必要なのではないか、こういうふうに考えております。

 そこで、厚生労働省として、加藤大臣に、この経済的支援として想定をしている内容あるいはその支給方法の在り方、どうお考えかということを、御見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今お話がありました経済的支援、まず、対象は今年の四月以降に出産された方、これを対象に考えております。そして、妊娠届出後と出生届出後、それぞれ各五万円相当、合計で十万円相当の支給ということであります。

 そのやり方でありますけれども、妊娠、出産時の育児関連用品のクーポンの支給、また、一時預かり、産前産後ケア、訪問支援サービス等のサービスの利用券、また、妊婦健診の交通費やベビー用品の購入、レンタル費用の助成など、それぞれニーズに応じて、各自治体の判断で幅広く進めていただける方向で検討させていただいておりますし、また、こうした経済的支援を伴走型相談支援と一体として行うことで、相談支援実施機関へのアクセスがしやすくなる、あるいは、利用料が発生する産後ケアや一時預かり等の負担を軽減して、必要な支援につながりやすくなる。その結果、必要な支援メニューが確実に保護者に届くことによって、伴走型の、先ほどお話がありました相談支援の事業の実効性、これを高めていくことができるものと考えています。

中野(洋)委員 先ほど、経済的支援のイメージということで、いろいろな、子育て家庭、当然、おむつ代もあればベビーカーも必要で、そして車があればチャイルドシートも必要でありますし、そして、一時預かりですとかそういった子育ての家事支援のようなサービス、なかなか現場では今までこういうサービスというのが充実をしてこなかった。こういうことを、しっかりと必要なものを提供できるように、是非そういう形の制度設計を、これはそれぞれの市町村が実施主体でございますので、私ども公明党も、全国の地方議員の皆様と連携をして、この出産・子育て応援交付金の事業の早急に具体化を図っていきたいというふうに考えております。

 既に先進的な自治体ではこういう取組もやっておりますし、他方で、まだ地域によっては、こういう子育てサービスをやりたくても、そういう担い手がまだいないというところで、その担い手の確保から今回始めないといけない、そういうお声もあります。

 是非、国においても、いろいろな自治体ともしっかりと連携をして、やりやすい制度設計ということをしていただきたいと思いますし、一つありますのが、総理にこれはお伺いしたいんですけれども、総合経済対策の、補正予算の中で出てきた事業なのであります。地方自治体、初年度は準備がなかなか大変だというお声もありまして、やはり、今後継続して恒久的にやるという形でないとなかなか効果が薄いものになっていくのではないか、私はこう危惧しております。

 是非、総理の方から、しっかり恒久的にやっていく、しっかりやっていく、こういうことをこの場で御答弁をいただきたいと思いますけれども、総理、いかがでございますか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員御指摘のように、少子化対策あるいは子育て支援、これはもう待ったなしの課題であるという強い危機感の下に、今回、補正予算の裏づけに基づいて総合経済対策の中に盛り込んだわけでありますが、その取組、まずは自治体とも連携しながら早く国民の皆さんに届けること、これがまず第一だと思います。

 その上で、今委員御指摘のように、これを継続させる努力をしていかなければならない。この継続的な実施に向けては、必要な安定財源確保を含めて、令和五年度の予算編成過程で調整することによって、継続的な取組の可能性をしっかり探っていきたいと考えております。

中野(洋)委員 ありがとうございます、総理からも御答弁いただきまして。

 そして最後に、また、済みません、トータルプランのものを出させていただきましたけれども、出産・子育て応援交付金、大変大事な仕組みだと思います。しかし、ライフステージに応じてということは、この後の支援がどうなるんだということもありますし、大学などの方がお金がかかるよだとか、いろいろな現場のお声はございます。やはり、体系的にしっかりと子育て政策を国全体で充実をさせていく、こういう姿勢がないと少子化は改善しないのではないか、こういう大変に強い危機感を持っております。

 我々も、このトータルプランという、いろいろな政策をつくりましたけれども、これを全部積算しましたけれども、これだけでもやはり六兆円ぐらいかかってしまうということで、しかし、これが確保できれば、OECD諸国の中でも非常に充実をしたレベルの子育て政策となるというふうにも考えております。

 総理には、子育て関連予算倍増ということで、今まで言っていただいておりました。これは是非早期に実現をしていただきたい。我々のこういう提案も是非実現をしていただきたいと思いますし、安心して子供を産み育てられる社会の実現をやっていくんだ、こういう強い決意を、是非この場で総理の方から答弁いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 まず、子育て支援につきましては、御指摘の出産・子育て応援交付金に加えて、親の働き方にかかわらない、子供の年齢に応じた切れ目のない支援が重要であり、現在、年末に向けて、全世代型社会保障構築会議において議論を続けているところです。その議論に際しまして、是非、御党からの御提案もしっかり参考にさせていただきたいと思います。

 そして、これらを含めて、今後の子供政策に関する予算につきましては、来年四月からこども家庭庁がスタートいたします。このこども家庭庁の下で、子供の視点に立って、必要な子供政策が何なのか、これをしっかりと議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて子供政策の充実に取り組んでいく、これが政府の基本的な考え方です。

 来年四月にこども家庭庁を発足させ、来年度の骨太の方針には、子供予算の倍増を目指していくための道筋、これを示していきたいと考えます。

中野(洋)委員 ありがとうございます。

 子供や若者世代に対する投資というのは、未来の投資であるというふうに思います。私ども公明党も、国だけではなく、いろいろな、地方議会の、地方自治体も含めて、しっかりと連携をしながら、子供を安心して産み育てられる社会、また子供の幸せを最優先する社会を実現をして、また頑張ってまいることをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 これにて赤羽君、中野君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。泉健太君。

泉委員 立憲民主党の泉健太でございます。

 我々、これから、この今の国政課題、立憲民主党としてしっかり取り上げてまいります。総理始め、大臣、誠実にお答えをいただきたいと思います。

 まず、パネルを早速御覧いただきたいと思います。この臨時国会、我々立憲民主党、次々と改革に取組をさせてもらっています。数多く項目があるわけですけれども、維新の会始め、政策合意をしたり、あるいは政策共闘ということで成果を出させてもらっています。

 国民の皆様のもっとよい未来というもののために、やはり、我が党には躍動感のある若手、中堅も数多くおりますし、また、今、次の内閣というものも発足させていますので、こうした多岐にわたる政策を、力を合わせて立案をし、また、政府・与党に交渉を呼びかけ、幾つも実現をさせていただいています。

 例えば、この上から三番目、新型コロナに関する感染症法でありますけれども、こちらは、立憲民主党としても、野党で共闘して、対案を示し、また関連二法案を提出して、修正を実現するということができました。修正の中身がどんなものか、総理、改めて確認をすると、我々が修正をお願いをしたのは、コロナの後遺症、そして感染症法上の分類、二類とか五類とかあります、そしてワクチンの副作用などの情報公開、こういうことを我々としてお願いをし、そして、この修正をかち取ったということであります。

 これは、当然ながら、政府が、後遺症ですとかワクチンの副作用の情報公開、これを速やかに検討を加えて必要な措置を講ずるということであるし、いわゆる類型の問題についても、同じく検討を加えて措置を講ずるとなっております。改めて、それは約束していただけますね。

岸田内閣総理大臣 御指摘の感染症法の改正については、次の感染症の拡大に備えて司令塔機能を用意をする、そして、平時からそれに備えて厚生労働省の中にも組織を用意する、専門家組織についても再編をする、こうした法案を用意したわけでありますが、与野党で真摯な御議論をいただき、今、泉代表の方からも修正について御指摘がありました。

 こうした感染症対策、大きな枠組みを進めるに当たっても、様々な個々の課題、国民の不安にしっかり応えていかなければならない、そういったことから、野党からそういった提案があったと受け止めております。それを受け止めて、政府としても、そうした取組のために必要なエビデンスにつきましては、専門家ともしっかり協議しながら提供をするなど、取組、協力を進めていきたい、このように思っております。

泉委員 コロナ対策は、やはり、国民とのしっかりとしたコミュニケーション、信頼が大事だと思います。その意味での、コロナ後遺症、今、大変関心も高くなっていますし、また、ワクチンの副作用、副反応、このことについてもやはり情報公開をしていただく。この法案は、せっかく修正を我々野党として呼びかけて、そして修正を得たわけですから、是非しっかり取り組んでいただきたい、まずお願いしたいと思います。

 そして、この表の中で、その下、例えば、通園バスの置き去り防止、これも我が党の若手が頑張ってくれました。最初、政府は、この置き去り防止の機器について、装置については九割補助と政府は言っていたわけですね。しかし、我々野党側は、全額補助であるべきだ、とにかく負担なく、一刻も早くこの装置を設置するべきだということを言いまして、そして、最終的には、政府、これは全額補助に切り替わるということになりました。こうした政策も一つ一つ実現をさせていただいています。

 また、一番下、自衛隊員の処遇というのは、公務員ですから、毎年、給与法というものの中で審議をされるわけですが、我々は、今回、この附帯決議の中に自衛隊員の処遇改善、これを盛り込みをさせて提案させていただいて、この附帯決議も成立をしております。

 細かなことかもしれませんが、こうして、今、立憲民主党の仲間たち、一歩一歩、政策を立案をし進めているということをまずお伝えをさせていただきたいと思います。もちろん、幹事長や国対委員長や政調会長、ベテランも頑張っておりますが、若手、中堅も非常に頑張って立憲民主党はこの政策を国民のために提案しております。

 さて、日本経済をまず取り上げたいと思います。

 この十月の消費者物価指数、先ほど、ニュースなどでは、東京の消費者物価指数、最新のものが出ておりましたけれども、十月の消費者物価指数ということでいうと三・六%の上昇。これは四十年八か月ぶりの水準だと言われています。そして、同じく企業物価指数は前年比九・一%の上昇。そして、家計への影響があると答えた世帯は八八%。大変厳しい状況にあると思います。

 こうした中、岸田総理、政権発足から一年はたったわけですが、新しい資本主義というのは、私は、ほとんど実態がないのじゃないか、見えてこない、国民生活にどんな変化があったのか、これは全く感じられないと思っております。

 さて、総理、今のこの物価高の状況をどう乗り越えようとしているのか、まずお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 物価高の背景には、世界的な物価高騰、円安を始め、様々な要因があります。しかし、私も、商店街あるいは企業関係者と直接意見交換する中で、国民生活そして事業に大変大きな影響が生じている、大変苦しんでおられる、こうしたことを強く感じております。

 だからこそ、政府としましても、三月、四月、七月、九月と様々な政策、対策を講じてきたわけですが、それに加えて、この度、総合経済対策ということで、この補正予算を裏づけとさせていただいて対策を講じさせていただきたいと思っております。

 物価高騰に対しまして直接効果のある対策を用意すること、もちろん大事でありますし、その物価高騰に負けない賃上げ、もちろん大事でありますし、さらには、国民の様々な安心、安全のための対策、これも用意しなければいけない。緊急な政策を用意し、そして総合経済対策を示し、補正予算の審議をお願いしている次第であります。

泉委員 私は、今、国民は大変不安を覚えているけれども、先行きをなかなか政府が示してくれない。そして、支援策も私は乏しいと思いますよ。

 経済対策の比較ですね、補正予算の比較、こちらなんです。

 この表を御覧をいただくと、政府の総額というのは二十九兆円、非常に大きいわけなんです。大きいんですが、それのうち借金が二十三兆円、物すごい額ですよ。借金二十三兆円というのは、一年の消費税の税収の総額よりも大きいし、恐らく、防衛費をこれから増やしていこうなんという話をしていますが、その防衛費総額分丸々以上でもないかというぐらいの大きさだと思います。

 これぐらいの総額ということではあるんですが、その中で、国民の皆さんに対する給付というものは、私は多くないというふうに思いますね。

 なぜかというと、例えば、基金の積立て八・九兆円、物すごく大きいわけです。そして、予算ではなくというか、中身がまだ何も決まっていない、ただ積んでいるだけの予備費、これは、本来はやはり認められるものではないというか、本当に必要最小限であるべきものが予備費なわけですが、それを今回四・七兆円も積んでいるわけですね。この基金の積立てや予備費というのは、すぐに国民に行くものではないわけであります。

 そして一方で、国民に対する給付策というのは、後ほど触れますけれども、どれだけあるのかということが、まさに国民生活の支援がどの程度のものなのかということになってくると思います。

 私、今の日本経済を見たときに、やはり、先ほど総理がおっしゃったように、資源高や世界的な傾向、そして円安、これで物価が上がっている。そういう中で、例えば、この物価というもの、燃料価格は、来年は恐らく今年ほどではないであろうというふうに言われていますね、世界市況については。

 そして、年金生活の皆様ですよ。今、年金生活の皆さんは何が不安かといえば、物価がこれだけ上がっているのに、年金が下がってきているじゃないか、こういうふうにおっしゃいますよね。このことについて、やはり国民の皆さんに政治がちゃんと説明をしているのかということが問われるわけです。

 年金というのは、当然、その年の物価で決まるものじゃなくて、前の年までの物価、そして賃上げの状況によって決まってくるものですから、遅行性があるわけですよね、年金の水準というのは。そういうことを示した上で、来年の年金支給額というのは上がるということも伝えていくことは大事でしょうし、そして、しかしながら、それは物価に追いつくまでのものではないということも、私は正直に伝えていくべきだと思います。

 この、正直に、真摯に国民に向き合って伝えていくこと、そして、もし、来年の年金生活者の状況次第によっては、やはり低所得者を中心とした給付というものが十分あり得るんだということ、こういうことを先に伝えていくことが、私は、国民の皆さんに対して誠実な姿勢ではないかと思います。今の岸田政権にはそれが欠けていると思います。

 そして、もう一つは、やはり、今の物価上昇をどう捉えるかというときに、私は、今の日本、真剣に、価格転嫁はやるべきだということを明確に国民に対してメッセージを出していくべきだと思いますよ。ですから、いわゆる原材料価格、これは当然価格転嫁すべきですね。そして、燃料代、エネルギーコスト、光熱費、こういうものも当然価格転嫁をするべきです。

 しかし、やはりその中で遅れがちなのは労務費、人件費ですよ。こういうものも価格転嫁を堂々としましょう、これをもっともっと私は言っていくべきだと思います。

 そういう中で、もっと言えば、値下げ競争をすべきじゃない。どの業界であっても、値下げを自慢する、それは翻って、働く方々の人件費に影響を及ぼす可能性が大きいわけですから、値下げ競争ではなく価格転嫁を十分にやっていこう、こういうことをもっと率直に私は言うべきではないかと思います。そして、実際の賃上げをもっと実績を出していくべきではないかと思います。

 もう一つ、更に言えば、総理も言っていますけれども、日本が稼げる可能性のある分野、ここをやはりいかに伸ばしていくか、これももっと私は訴えていかなければいけないと思います。当然、インバウンドですとかデジタル、また金属機械、そして金融など、世界で戦える市場をもっと取りに行かなければいけませんし、世界の中で大きくなっている市場に対して、私は、まだ日本という国はそこにチャレンジをしに行っていないのじゃないかと。

 随分と産業の構造も変わりました。そういう中で、私たち立憲民主党も、当然ながら成長が大事だと思っておりますし、その成長は、世界の中で勢いのある分野、そこに日本が積極的に参入をしていくということがとても大事であろうと思います。そのために、まさに人材育成ということですね。

 ですから、今おっしゃられているようなリスキリングということにもなっていくんだと思いますけれども、やはりこのリスキリングというものを考えたときに、一つは、企業に所属しながらリスキリングができる人は、それはしやすいでしょう、お給料をもらっていますから。しかし、一つは、非正規雇用の方のリスキリング、これが、ちゃんと生活費が保障される中で、生活費の支援がある中で行われるのかどうかということ。さらには、当然、非正規だけじゃなく、失業されている方のリスキリング、人材育成、こういうことについてもです。やはり、もっともっと生活支援の方を私は充実させなければいけないというふうに思っています。

 こういうことをやっていくことで、いわゆる勢いのある市場に新しい能力のついた労働者を振り向けていくことができるんだと思うんですね。

 今、このように、私自身、立憲民主党の考え方というものも述べさせていただきましたが、改めて、今日こうして、総理と、そして立憲民主党の代表、野党第一党の私として、私は、与野党共通して、一緒になって宣言をしたいというふうに思うわけです。

 今お話をしたように、価格転嫁をやろう、価格転嫁をやっていこうという価格転嫁宣言、これを是非、我々与野党共通して、世の中に訴えていこうじゃありませんか。

 そして、二つ目は、世界市場をもっと獲得しよう、世界の勢い、世界の活力にもっとチャレンジをしていこう、これもお互いに私は共通していけるんじゃないかと思う。

 そしてまた、もう一つは、先ほど、低所得の方や非正規の方、失業した方の話をしましたが、やはり今の日本は、GDPは膨らんでも、貯金のない方がたくさんいる、そして生活が不安定な方がたくさんおられる。そういう意味では、富の分かち合いができていないということなんです。これは、総理も恐らく頭の中の考え方ではあると思うんですが、私は、是非、富を分かち合ってみんなが成長しようという意味での所得再分配宣言、こういうものをやはり共にやっていきたいというふうに思います。

 今お話をした価格転嫁、そして世界市場の獲得、そして所得の再分配、改めて、総理、いかがお考えですか。

岸田内閣総理大臣 今、泉代表の方から、御党の政策、御紹介いただきました。大きな方向性、項目、これは全く異存はありません。これは、方向性としては、日本が歩むべき道として、私自身が訴えさせていただいている政策と大きな違いはないと感じながら話を聞いておりました。

 価格転嫁、もちろんこれは重要です。成長の果実を適正にどのように分配していくのか、それを考えた場合に、中小企業あるいは零細企業の立場を考えればなおさら、価格転嫁、こうしたものがしっかり行われなければならない、こうした考え方、そのとおりだと思います。

 それから、リスキリングにつきましても、今、やはり日本の経済は、変化する中で、かつての高度成長期とは全く状況が違うんだという認識を我々は共有しなければならないと思います。かつての日本の高度成長期であるならば、経済の目指す方向性は皆一つの方向に一致をしていました。一つの方向に向けて努力すればよかった。しかし、今は、絶えず、非連続的なイノベーションが起こり続ける、方向性が大きく変わる、こうした時代を迎えています。

 よって、労働力についても、一定の部分にとどまっていたのでは、新たな方向を目指して成長する際に機動的な対応ができない、こういった考え方があります。だからこそ、世界的にリスキリングが今注目を集めている。それぞれの労働者が、人間が、自分の望む働き方を選び取れる、こうした方向性を示さなければいけないのではないか、こういったことでリスキリングが注目を集めている。

 リスキリングにつきましては、自らがこうしたスキルアップのための様々な努力ができる環境も大事ですが、それを支援する企業の評価も大事でありますし、また、非正規等の方々を正規として受け入れる企業を支援する、こうした考え方も大事です。今回の総合経済対策の中にあっては、その三つを盛り込んでいる、こうした状況にあります。

 是非、こうした考え方で成長を目指していく、今の時代にふさわしい成長を目指していく、これについても同感であります。

 ただ、最後、再分配の部分につきましては、少しこれは言葉遣いを気をつけなければならないと思います。私は申し上げているのは、成長と分配の好循環、これは大変重要なことであります。しかし、社会の中の一部の富を分配するという発想ではなくして、社会全体を成長させ、大きくした中で、その全体の富をどのように分かち合うのか、こういった発想を持たないと、その一部、裕福な層からお金を別の層に移す、それだけに終わってしまいかねないと思っています。

 是非、成長をしっかり目指した上で、その成長の富をどのように社会として分かち合うのか、こういった発想で前向きな成長と分配の好循環を考えていかなければならない、このように思っています。

泉委員 今、同じだった部分は省きますが、やはり一番最後のところですね、よく分かりました。なるほど、違うんだな、成長しなければやはり分配はないというのが岸田総理なんだと本当によく分かりましたよ。ああ、ここが違うんだと明確に分かりました。だからこそまさにこの予算なんだなと、今、なるほどと納得いたしました。成長しなければ分配をしない、今、そういうふうなお話でありました。

 改めてですが、この補正予算を御覧をいただきたいと思います。

 本当に信じられないんです。二十九兆円という規模については、国民の中からも、さすがにやり過ぎじゃないかという声が出ている。しかも、その大半が借金、国債の発行でということで、これまた、こんなことで日本の財政、大丈夫なのかという声になっている。じゃあ、それが、せめて二十三兆円が国民に回されるのかと思ったら、いや、大宗はそうではないんだと。

 見てください、予備費、総理、四・七兆円ですが、最初、経済対策の原案の中では、こんなにたくさんの額じゃなかったですよね。十月二十六日、一晩で一兆だとか、一時間で一兆だとか、そんなふうに言われています。

 総理、今、首を振られましたが、うそですか。そんなことはないんですか。二十五兆が二十九兆円に膨らんだんじゃないんですか。教えてください。

岸田内閣総理大臣 与党の中でもいろいろな議論を積み重ねてきました。結果として二十九兆円になった、これは御指摘のとおりであります。一晩で大きく変わったというのは実態に合わないと思っています。

 そもそも、議論のありようとして、規模が大きい、額が大きいと御指摘がありましたが、今の日本の経済を考えた場合に、まず、大きな需給ギャップが存在する、ある程度の規模は経済対策の中で考えていかなければいけない、これは基本的な考え方としてありました。そして、それと併せて、個別な政策について積み上げを行ったわけであります。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 そして、それに加えて、来年の見通しの話をされました。来年、物価については落ち着くかどうか、これは議論はありますが、少なくとも来年、米国、中国、欧米を始め主要国の経済の状況を考えますと、来年前半、下振れリスクは大変大きい、こういった指摘があります。これにも備えなければならない。こうしたことも考えた上で全体の規模が決まったということであります。こうした議論を積み重ねた結果が、今回のこの経済対策の規模であると我々は認識をしております。

 是非、この辺り、国民の皆さんにしっかり説明しなければならないと思いますし、国民に届く部分が少ないという御指摘がありましたが、これは、この対策の中の物価対策の部分は、特にエネルギー、食料、この分野に特化した形で対策を用意しています。これは国民生活あるいは事業にとって最も関心の高いところであり、影響の大きいところであります。ここにしっかりと対策を用意したということは、国民に届かない対策ばかりだという指摘は当たらないと改めて思っております。

泉委員 それはもう国民の皆さんが、誰が見ても数字がそれを示しているので言っているんです。二十九兆のうち、基金が八・九兆じゃないですか。予備費が四・七兆じゃないですか。これは個人的な表でも何でもないですよ、これは政府の出している数字ですからね。

 そういう意味では、全くこれは国民に届かないものです。しかも、予備費は経済対策なんですか。予備費は経済対策でも何でもないですよね。しかも、総理、いつまでこのような予備費の積み方が許されると思っているんですか。

 私たち立憲民主党も、コロナが出てきた当初は、本当に世界的に大きな混乱が生じて、そして、我が国も何が起こるか分からない、どれほどのものが起きるか分からないから予備費を臨時的に認めたというものはありますが、なぜ今の状況になって、もう世界からも入国規制をなくしている中でこんな四・七兆円もの予備費を積むんですか。

 こんなもの、数字ありきに決まっているし、そして、私は、政府の資料を最初見ていたときには、今後の備えという項目は一番最後にありませんでしたよ。でも、その後、今後の備え、四・七兆円というのが出てきていますよね、これは事実ですよ。これだけいいかげんな予備費の積み方をするというのは財政民主主義にやはり反している。

 ちなみに、今年で、本予算も含めて、予備費、物すごい額になっているわけですよね。本当にこの予備費の積み上げ方というのは、もういいかげんやめなきゃいけない。これだけでも、この予算をやはり認めないだけの理由になるということを、是非、総理、認識をしていただきたいと思います。

根本委員長 総理が答弁されたいとおっしゃっていますが、どうされますか。

泉委員 さらには、次、基金であります。

 この基金について、今、八・九兆円ということでありますが、総理、これは本予算と合わせて十兆円の基金の規模になっております。

 これは、いっぱい、五十も基金があるので、到底表にはできないわけですが、上の二つを特に御覧いただきたいと思います。

 先端半導体の生産基盤整備基金ということで、現時点で、前年度までに三千七百六十四億円の残高があるんです。にもかかわらず、今回、四千五百億円も積み増しをする。物すごく大きな額の積み増しをしているわけですね。

 そして、その下、経済安全保障重要技術育成基金、これだけ見れば、ああ、大事な基金かなと、それは思うでしょう。ちなみに、これは文科省と経産省、二つに千二百五十億円ずつ分けて出しているものなんですね。そのうち、何と文科省、積んでから一度も使っていません、この基金。一度も使っていないのに……(発言する者あり)まさにそうなんです、それでお代わりしているんですよ。経済産業省と合わせて二千五百億円積み増しですよ、総理。これは、財政規律はあると、総理、思いますか、財政規律が。

 これは改めて思うんですが、この基金というのは、水をまいても吸い取ってくれる、水やりができてしまう、ある意味鉢みたいなものだと思いますよ。ですから、政府としては、非常に額を積み上げやすい。

 総理、改めてですが、これだけ残高があって、しかも使っていないのに積み増す理由を教えてください。

岸田内閣総理大臣 まず、今の御意見の中で、基金とか、あるいは予備費が経済対策あるいは景気対策に関係ないかのような言い方をされることは誤解を招くということは申し上げております。この基金、予備費そのものが今回の経済対策において重要だということを申し上げているわけであります。(発言する者あり)

根本委員長 御静粛にお願いします。

岸田内閣総理大臣 そして、先ほどおっしゃった基金ということにかんがえましても、まさにこれから日本の経済の成長を考えた場合に、この先端半導体、経済安全保障、これからまさに必要とされる分野でありまして、それに対している備えであります。

 今まで使っていないからこれは積む必要がないというのではなくして、これからを見通した上での基金の積み上げだということは申し上げなければならないと思います。

 また、予備費についても御指摘がありました。

 この予備費、これは、コロナ対策そして物価対策、そして、さらにウクライナ情勢に対する対応、こうしたものを予備費として用意をしています。この不透明な状況の中で、国民の安心、安全のために十分な額はどうなのか。

 コロナ、物価予備費につきましても、三・七兆円としているわけでありますが、これは、今年の年度当初と比べて状況はますます厳しくなっている、こういった認識の下に、少なくとも年初当初と同じ額は積んでおかなければいけない、こういった認識を持っているわけです。

 ウクライナ情勢につきましても、先ほど言いました世界的な経済の下振れリスクに対してしっかり備えなければならない。そういうことで、過去の例を見た場合に、リーマン・ショックの際に経済対策予備費一兆円を措置した、こういった例もしっかり鑑みながら、今の情勢に備えるならば、リーマン・ショックに匹敵する一兆円の予備費が必要だという考えに基づいて予備費を用意いたしました。

 このように、予備費につきましても基金につきましても、まさにこの経済対策の大変重要な部分であるということ、これを申し上げたいと思います。

泉委員 では、総理、端的にお答えください。

 コロナ、物価で三・七、それとは別にウクライナで一兆、その区別は何ですか。

 ちなみに、総理は、本会議で我が党の質問のときに、予備費の使途について、具体的に予断を持って答えることは困難というふうに言っているんです。何にも決めていない、何にも区別がない。物価が上がっていくというのは、ウクライナの情勢において起こる可能性もあるわけですね。こっち側ではコロナ、物価で三・七と言っていて、なぜウクライナで別に一兆があるんですか。

 そして、もう一つ。

 先ほど総理は、これは国民の皆さんに向けてじゃないということについては、違うとおっしゃいましたが、であれば、これは補正予算ですから、基本的には年度ごとでちゃんと使っていただくものということが大原則だと思いますよ。その意味で、この基金、そして予備費、年度末までに、合わせて、まあ、予備費はどう使うか分からないんですが、基金について、年度末まで幾ら使うと考えていますか。

岸田内閣総理大臣 まず、前半の質問の、コロナ、物価予備費とウクライナ予備費、この区別についての御質問でありますが、コロナ、物価対策につきましては、これは、昨年来、大きな課題として、政治課題として取り上げられてきた課題であります。その延長線で議論が進んでいるコロナ対策、第七波、そして第八波、こうした動きの中でどう対策を積み上げていくのか、この延長線の中で、少なくとも年初当初のレベルはまだ必要である、こういった問題意識に基づいて予算を用意しています。

 ウクライナ予備費の方は、これは、来年に向けて、国際的な経済の下振れリスク、世界の経済が、アメリカ、中国、あるいは欧米を始め、大変厳しい状況にある、下振れリスクはある、それは間違いなく日本の経済に影響が出てくる、この新しい要素に対して、過去のリーマン・ショックの経験に基づいて、それに相当する予備費を用意しよう、そういったことで用意したものであります。

 それぞれ理由があると考えております。

 基金につきましては、これは、基金そのものが、数年度にわたってお金を用意する、それから、具体的に金額、これを確定することができない、こういった事情、さらには、弾力的な対応が求められる課題、こういったものに基金を用意するというのが基金の趣旨であります。

 よって、今年度末までに幾ら使うのか、これが確定できるのであれば、別に基金ではなくして、それぞれの予算を用意すればいいわけでありますから、こういった基金の特性に合わせて用意する必要があると判断して基金を用意したということであります。

泉委員 国民の皆様、是非知っていただきたいのは、予備費というのは国会の審議を必要としないということですよ。それは大問題だと思いますよ。あくまで、災害だとか特例として一部認められるものであって、これだけ巨額の予算を、首相官邸の好きなように、チェックなしで使わせるなんということは、我々は許せません。

 そして、この基金についてもそうですが、基金も、総理、失敗がいっぱい出てきていませんか。

 例えば、農林漁業成長産業化支援機構、これは百四十一億円の損失です。海外通信・放送・郵便事業支援機構、百十二億円の損失、そして、この表にもありますが、クールジャパン機構、これはいわゆる日本のコンテンツを売り出そうというものですが、三百九億円の損失。こうやって、基金、どんどんどんどん損失が出ているものもあります。

 なぜうまくいかないと思う、これは、やはり、一度まいた税金は、監督も責任も薄くなってしまうということなんですよ。焦げついても、結局のところ、自分のお金じゃないということになってしまうんじゃないでしょうか。これを市況の厳しさのせいにもできてしまうということも問題だと思います。

 私は、こういう巨額の予備費そして巨額の基金というものは、今のこの日本の状況を見たときには、これはもう余りに額ありきの、政府が、与党の元々言っていた三十兆という目標にただ近づけるために、無理やりお金をばらまいているというものでしかないというふうに思います。

 改めて、これは、予備費については本当に水増しの予備費だと思いますし、そして、基金については、水のやり過ぎですよ。水のやり過ぎをするとどうなるか。まさに赤で書いているように、根腐れが起こってくる、そういう状態だと思いますね。

 さあ、それで、改めて立憲民主党のもう一枚のパネル、経済政策のところですけれども、我々は、そういうものではなくて、シンプルに、年度内に届く、そして直接国民に届く、そういうものをはっきりと補正予算で示そうじゃないかということで作らせていただいたものがこれであります。総額七兆円、何か随分、政府よりも、四分の一、少ないじゃないかと思うかもしれない。しかしですよ、これで何ができるか。

 例えば、政府は、住民税非課税世帯に五万円と言っていますが、我々は、その二倍の世帯、これはもう全国の半数以上の世帯に五万円を給付する。先ほどお話をしました、物価がこれだけ上がっていますから、年金生活の方々も含めて、いっときですけれども、額は正直言って多いとは言えないけれども、やはり休めていただけるような、家計を支援していただく、そういう低所得者給付を我々は今回の補正予算で訴えています。

 そして、子育て給付について。

 これは、政府の方は今年四月以降に生まれた子供に十万円ということでありますけれども、我々は、昨年同様、ゼロ歳から十八歳までの子供に十万円、こういう政策を出させていただいております。

 なぜか。これは、生命保険大手の十月の調査でも、一か月の生活費は、去年と比べ、一か月の生活費ですよ、平均で一か月一万四千八百円増えている。そして、例えば、子供を持つ世帯、子供の習い事、削減した又はやめたと答えた人が合わせて三八%。学費も食費も被服費も給食費も上がっている。こういう状況ですから、直接国民にこの年度末までに届けられる、こうした十万円給付というものも我々は訴えさせていただいている。

 総理、こういう給付が物価高の局面ではやはり必要じゃないですか。私は、そこが政府の案、薄いと思いますよ。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 なかなか発言の機会をいただけないので、ちょっと一言申し上げますが、予備費につきましても、年度内の予見し難い予算の不足のために、令和四年度第二次補正予算の一部として今まさに御審議いただいているわけであります。そして、予備費の支出については、憲法、財政法の規定に従って、事後に国会の承認を得る必要があるということになっております。国会のコントロールが利かないということは当たらない、財政民主主義に反するものではない、これは一言申し上げておきたいと思います。

 そして、基金についても、これはどうも、一旦出した後、もう関与していないのではないか、監視していないのではないか、こうしたことがありましたが、行政事業レビューの枠組みの中で、基金につきましても各府省自らが執行状況を継続的に把握する、このようになっております。行政改革推進会議における検証、各府省によるPDCAの取組、こうした様々な取組の中で、政府としても、基金の状況については絶えずしっかり監視をしているということであります。

 そして、今御質問の給付についての御質問でありますが、政府にしても、本年六月から低所得の子育て世帯に対して児童一人当たり五万円の給付、九月には住民税非課税世帯に五万円を給付することを決定し、年内にはほとんどの自治体で支給が始められる、こういった見込みになっています。あわせて、家計への直接支援、給食費の抑制を含め、地域の事情に応じて柔軟な活用が可能な交付金の創設、子供食堂などNPO等への支援の拡充、そして、あわせて、先ほど申し上げました、食料、エネルギー対策、今回もしっかり用意をしました。

 これらを重層的に展開することによって、あらゆる方々に対して支援の手が届くように最大限努力する、これが政府の方針であります。一つ一つの給付をもってこれで十分かという見方をしますと全体を見誤ってしまうのではないか、これは申し上げておきたいと思います。

泉委員 これだけ多くの国債を発行するわけですから、徐々に国民も不安に感じるし、国の財政もきつくなってくるということはあると思いますよ。そういう中で安易に増税というものをやはり口に出していただくわけにはいかないと思っていますが、総理に確認をしたいと思います。

 総理は、昨年の総裁選のとき、消費税率を十年程度は上げることは考えないというふうに明言されていますが、それは変わっていないかということ、これが一つ。

 そして、もう一つは、昨今話題になった走行距離課税ですね。総理、これはやらないですよね。明快にお答えいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、消費税については、申し上げたように、変わっておりません。上げることは考えていない、そういった考え方は変わっておりません。

 走行距離課税については、議論があることは承知しておりますが、政府としてこうした具体的な検討をしているということはありません。

泉委員 もう残り数分ですので引き続きお伺いしたいと思いますが、外交で一点、核兵器禁止条約がございます。

 これは、残念ながら、ロシアの反対で合意のないまま閉会ということになりました。私、これは、本来、次の会合というのは五年後ということなんですが、是非総理、日本政府として私は提案をしていただきたいと思うのは、次の五年を待たずに前倒しをして検討会議をする、こういう考え方があってもよいと思うんですね。

 総理は、核軍縮に対しても非常に思い入れのある総理だと思います。この検討会議を前倒しをするということについて、総理、御見解をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 ちょっと整理をさせていただきますが、核兵器禁止条約というふうに冒頭おっしゃいました。そして、会議の前倒し云々というのは、NPT運用検討会議のことを言っておられるんだと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。(泉委員「はい」と呼ぶ)

 NPT運用検討会議については、ようやく今年、久方ぶりに開催することができました。おっしゃるように、ロシアの反対によって合意文書は採択することはできませんでしたが、逆に、ロシア一国以外は、それ以外は、全ての国がこの合意文書にブロックはかけなかったわけでありますから、この合意文書案は新たな核軍縮の議論における貴重な土台になったと受け止めています。この土台に基づいて議論を進めていかなければならない。我が国も、ヒロシマ・アクション・プランを始め、貴重な提言をこの文書の中で行いました。こういった成果に基づいて、この十二月に国際賢人会議を予定しています。来年五月には広島サミットを予定しています。そういった会議に向けて、核軍縮・不拡散に向けての具体的な取組を前進させたいと思っています。

 そして、NPT運用検討会議については、次回の会議についてはまだ確定はしていないと思いますが、できるだけ前倒しをしたらいいのではないかという提案については決して反対はいたしません。是非成果を、こうした会議を通じて上げたいと思っております。

泉委員 総理、最後に、旧統一教会の問題について、私は一点お伺いをしたいと思います。

 今、与野党、協議、交渉を重ねております。まさに、これは何のためなのか、被害者のためですよね。被害を受けた、家族が破壊をされた、そういう方々のために我々は新法を立法しようとしております。

 しかし、そういう中で、今、交渉が非常に暗礁に乗り上げているかどうかという瀬戸際になっております。今国会で法律を成立させる、その思いはきっとおありだと思いますが、今、残念ながら、政府から示されている案並びにその後の修正項目、幾つか出てきておりますが、まさに当事者の方、そして、その当事者の方々とともに歩む弁護団の方々も、残念ながら政府案には納得をしておりません。これでは被害者を救済できない、被害者の救済に役に立たない、そう言っているんです。

 総理、改めてであります。今回、我々野党が出している法案であれば、被害者の皆さん、弁護団の皆さんは、これであれば救うことができるというふうにおっしゃっていただいています。だからこそ、我々も粘り強く交渉しております。

 総理、一点。被害者の方々が救済される、納得できる法案を成立させる、そのことを約束していただけますね。

岸田内閣総理大臣 まず、旧統一教会問題について、被害者の方を救済するという観点で、既に国会に提出させていただいている法律の改正案に加えて、いわゆる新法と言われる法律について、政府としても、しっかりと与野党の議論も見ながら、法律を国会に提出をし、そして早期の成立を図りたいと強く思っています。

 被害者の方々を救うために、法律的な見地から最大限できるところはどこまでなのか、これをしっかりと追求する覚悟で法律作成に取り組んでいます。その際に、今おっしゃる与野党での議論、これをしっかり踏まえながら、政府としても法律の在り方について考えてまいります。

 法的な見地からの最大限の努力を行い、政府として、しっかりとした法律をこの国会に提出をし、そして成立を図りたいと考えています。

泉委員 総理の決断力、これを国民が見ていますからね。しっかり取り組んでください。

 以上です。

根本委員長 この際、長妻昭君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。

 今、泉代表から、統一教会の被害者救済新法の話がございました。私も、与野党関係なく、使える法律を作りたい、この一点でございますが、総理、一番意見を聞くべき方は誰なのかなと思ったときに、やはり被害者の方、そして、被害者と長年、統一教会と戦ってきた被害者弁護団。

 この被害者弁護団の方々、全国組織になっていまして、全国霊感商法対策弁護士連絡会、今度は統一教会の名前を冠した弁護士会が結成されたようでございますけれども、この会が今月の二十一日に、「政府案に対する声明」という紙を発表されたんですね。これは皆さんにも、配付資料、全部お配りしておりますが、この中で、政府の新法を含む政府案については被害者救済のためにはほとんど役に立たない、こういうふうに、まずイの一番、冒頭そういう評価をされて、何枚も何枚もその理由が書いてあるんですね。

 これは、総理、なぜ弁護団の方々はほとんど役に立たないというふうにおっしゃっているのか、お分かりでございますか。

岸田内閣総理大臣 様々な意見があるとは思います。評価について一つ一つ私から申し上げることはいたしませんが、ただ、政府としては、先ほど申し上げました被害者救済、そして再発防止、これは極めて重要であると考えています。

 そして、様々な専門家の意見も聞きながら、政府の総力を挙げて法律に仕上げなければいけないという努力を続けています。法的な観点から、どこまで書き込むことができるのか、その限界について努力を続けているところです。

 そして、そうした法律を今検討しているわけですが、間違いなく多くの被害者の方々を救う手だてになると信じております。しかし、よりよいものに仕上げていくために、関係者の意見、そして与野党の協議、これも参考にしていただきながら、政府として提出法案を確定していきたいと思っています。

長妻委員 これはやはり独りよがりになってはいけないと思うんですね。一番意見を聞くべき方々の一つが、やはり被害者弁護団だと思うんですよ。何十年にもわたって戦ってきた百戦錬磨の皆さん方、どういうような条文があれば勝つことができるのか、統一教会の手練手管もよく御存じの方々なわけで、そういう方々の意見を、様々な意見があるというふうにちょっと切り捨てていただきたくないし、自分は多くの方を、被害者を救える手だてが政府案にはあると信じていると。御自身で信じるのはいいんですけれども、そうじゃなくて、客観的な評価の、大きな評価の一つは、私は被害者弁護団の方々の意見だと思うんですよ、イの一番に聞かなきゃいけない意見が。

 総理、昨日も、ちょっと本質ではない部分で幾つか提案が政府からありましたけれども、それではなくて、やはり、これから政府の新法、新しい法律についてはもう一段踏み込んだ条文にするというような覚悟はありますか、総理。

岸田内閣総理大臣 覚悟ということでありますので、先ほども申し上げました、法律に仕上げる、法的な観点から、憲法を始めとする日本の法体系の中で最大限、被害者救済のためにどこまで踏み込むことができるのか、それをしっかりと追求して法律を仕上げたいと思っております。

 そして、弁護団の方々を決して無視するとか軽視するつもりはありません。関係者の皆さんの意見、そして与野党の協議、これも踏まえながら、引き続き、この国会の会期、残り僅かではありますが、限られた時間にしっかりと法案を仕上げて提出できるように、最大限努力をいたします。

長妻委員 踏み込むという御答弁がありましたので、私は期待はしたいと思うんですね。この法律では使えませんので、是非。

 首をかしげておられますけれども、これは私が言っているだけでなくて、被害者弁護団の方がおっしゃっておられて、私もこれを詳細に読みましたけれども、被害者弁護団が使えないと言うものを使えると強弁しても説得力がないと思うんですよ。

 日本人がこれだけ食い物にされたわけですよ。与野党共にこの怒りというのは私は共有していると思うんですね。使える法律を作るということ、いろいろなしがらみがあると思いますけれども、それを打破するのはやはり総理大臣のリーダーシップだというふうに思いますので、本当に、もう一段の踏み込みをお願いしたい。

 その中で、今日、ちょっと私、苦言を呈したいのは、参考人として、まさにこの弁護士会、被害者弁護団の声明がございましたので、この声明の概要を、参考人としてここにお出ましいただいて、説明していただこうと思ったんですよ、政府・与党の方にも聞いていただいて。ここの東京の代表者の方にもお会いして、人を出していただくことになっていたんです、参考人で木村さんという弁護士を。

 この弁護士の方は、参議院で、予算委員会でついこの前、十月二十四日にお出ましいただいて、参考人で答弁しているんですよ、予算委員会で。

 ここで呼ぼうということで、私、祭日の二十三日の前に申し上げ、ちゃんとここの、今お配りしている要旨のところの下の通告にも木村先生のお名前が書いてあるんですが、今日、来ておられない。つまり、自民党、公明党が駄目だと。これは公明党もですかね、公明党は違うんですか。自公、与党ですから公明党もそうですか。公明党も駄目なんですか、賛成をしてくれない。自民党も、これは駄目だ、呼ぶのはまかりならぬと。

 一番、私、聞かなきゃいけないのは、もちろん被害者、それを含めて、法的な問題は被害者弁護団だと思うんですよ。なぜこれを呼ばないんでしょう。

 総理はどう思いますか。

岸田内閣総理大臣 私は、背景なり事情なり承知しておりませんので、コメントは控えます。

 これは、いずれにせよ、国会において、理事会において御判断されたものであると理解をいたします。

長妻委員 これは自民党の皆さんも、心ある自民党の皆さんはおかしいと思っておられる方もいるというふうに聞いていますけれども、ちょっとこういう対応はどうなんでしょう。

 法律を作るときも、やはり、私たちも既に維新の会と一緒に国会に法律を提出いたしました、被害者救済の新法を。このときにも被害者弁護団の方とは相当すり合わせをして、意見を聞きました。大変貴重な意見です、向こうの手口も分かっていますから。

 そういう意味では、是非、今後、条文を整えるとき、条文を踏み込むというお話がありましたので、踏み込むときは、被害者弁護団の方と協議をしていただきたい。弁護団の一人一人じゃなくて、弁護団の全体と協議をして、全部の意見を聞けないこともあるでしょう、しかし、協議をするというようなことについて、後ろから、ちょっと、秘書官の方が駄目出しですか。駄目出しはやめてくださいよ。総理の御判断で、協議をするというようなことをお答えいただきたいと思うんです。

岸田内閣総理大臣 弁護団を始め関係者の皆様方とは、これまでも政府として、消費者庁を始め様々な関係者が意見交換を行い、そして、そういった意見も踏まえた上で作業を進めております。この方針はこれからも変わりません。

 法律を作り上げるまで、様々な関係者の意見をしっかりと聞きながら努力を続けていきたい、このように思っております。

長妻委員 それにもかかわらず、今、被害者の弁護団という話もありましたけれども、被害者弁護団が、なぜ、ほとんど役に立たないという評価になっているんでしょうか。ちゃんと聞いているんでしょうか。

 そして、ちょっと本質的な、政府の新法の問題について、是非総理にも知っていただきたい。私、総理に期待しているんですよ、本当に。壁を突破していただきたい、もう一段。

 ちょっとパネルを御覧ください。

 政府の新法につきまして、紙をいただきまして今配付をしておりますが、政府の新法は、まず禁止行為というのを規定する。そして、この禁止行為、政府の概要の三番ですね、禁止行為をしたことにより御本人が困惑をして、そして寄附の意思表示をする、この流れが立証できたときに、その寄附の意思表示を取り消すことができる。こういうスキームになっているわけですね。

 禁止行為の中身は後で質疑しますけれども、禁止行為があって、そして困惑して、そして寄附がある。この一連のものがひもづけされて、寄附ごとにこれを立証するというのが基本なんですよ、寄附ごとに。

 ということは、総理、いろいろな事例、総理も御存じだと思います、被害者にもお会いされたというふうに聞いておりますので。私も、被害者の方々、御本人にたくさんお会いしましたが、基本的には、統一教会の問題は、まず、いわゆるマインドコントロール、政府はマインドコントロールという言葉が嫌いなようなので表現を変えますと、特別な行為を受けた、そして、困惑せずに進んで繰り返し献金をしてしまう。これが取り締まれないんですよ、政府は。困惑していない場合、進んでする場合、これは取り締まれないんですよ、総理。

 ここが入口の一番重要なことです、ここが。ここが一番重要なところなんですよ。ここを打開しない限り、新法の意味がないじゃないですか。

 総理、ここについて、いろいろな壁があると私は感じているんですけれども、いろいろな、与党の中に。そこをやはり打開するのは総理のリーダーシップだと思うんですが、是非そこを、号令をかけていただけませんか、総理。

河野国務大臣 寄附者が本人の自由な意思で寄附をする、そういう場合には、これを禁止することはできないわけでございます。

 ですから、今回の、今新法として考えているのは、まず、法人が寄附を勧誘するときに、こういう行為をやってはいけないよということをきちんとリストアップをする、そして、その行為をやったことによって、不安に乗じて寄附をする、そういうような場合に対応をしていこうということでございます。

 今回の検討している新法は、宗教法人だけでなく、学校法人であったりNGOであったり、これはあらゆる法人に対する寄附に関する法案でございますから、まず入口として、寄附の勧誘についてきちんと、やってはいけないことというのをまず明確にして、そこを入口にしていきたいというふうに思っております。

長妻委員 これは私が言っていることと同じなんですよ。禁止行為、これを明確にするということですよね。

 ただ、政府は、この禁止行為のみならず、禁止行為によって困惑ということが入っているわけですよ、困惑しないといけない。そして、その困惑によって寄附、この一連の流れがひもづけされていて、これが、一つ一つの寄附で立証するというのが基本になっているわけですね。

 そうすると、更問いしますけれども、困惑を全くしない場合、これは規制できるんですか。

河野国務大臣 困惑なく寄附者が寄附をするというのは、それは御自分の財産を御自分で処分をするわけですから、そこに、その権利に立ち入るということは難しいと思っております。

長妻委員 これは、いいこと言うなとおっしゃっているんですか、また、自民党。

 何でだろう。これは、統一教会の問題について、実は四党の協議会で合意したわけですよ。つまり、四党の協議会で、自民党の紙にも、いわゆるマインドコントロールの定義をするというふうに、自公の紙にきちっと明記されているわけですね。つまり、これは我々と問題意識が一緒なんです。

 つまり、マインドコントロール的な行為を受けて、あるいは特別な行為と言ってもいいでしょう、それを受けて、受けた後は、困惑しないで進んで献金を繰り返して、そして破産をしてしまう。あるいは、もう生活保護に陥ってしまった方も大勢おられますよ。それをどうするのかということが新法を作る一番初めのスタート地点じゃないですか。

 今、河野大臣の答弁では、いや、困惑しなければ取り消せませんと。そもそも、では何で新法を作るんですか。

 いわゆる統一教会の特殊なこういう事情に鑑みて新法を作るというのを、総理が大号令をかけたわけです。はっきり言えば、さきに、以前、自公は新法を作るというのはすごく消極的でした。それを、総理が宣言をして、新法を作ろうと。これは、私は、ああ、一歩前進するかもしれないと期待しました。

 しかし、総理、新法が、中身が、消費者契約法の改正案と要件は一字一句同じなんですよ。知っていましたか。消費者契約というところが寄附に変わっただけで、同じなんですよ。つまり、同じように使えない、使い勝手が悪い法律になっているんですね。当初は、新法は公益法人法の条文を参照して作りますと言っていたのが、一気に変わったわけです、何かがあって。

 総理、是非、困惑しなければ取り締まれないということでは、統一教会の問題、弁護士さんがおっしゃるように、ほとんど役に立たないということなので、これを突破するように何とか知恵を出してくれ、こういう御答弁をいただきたいんです。いかがですか、総理。

岸田内閣総理大臣 委員の御指摘の点を含めて、様々な議論があることは承知をしております。要は、要件の明確性の観点からどうあるべきなのか、こういった議論だと承知しております。

 そして、その一方、寄附は寄附者の自由な意思の下、適切な判断でなされるべきであり、寄附の勧誘がそれを困難にすることがないようにすべき、この点は重要なポイントだと承知をしています。

 いずれにせよ、引き続き議論は続けてもらいたいと思いますし、政府として、そうした議論を踏まえて適切に判断をし、法律を提出していきたいと思います。

長妻委員 このパネルの下にあるコメントは、被害者救済にはほとんど役に立たない、政府は被害に関する実態把握がいまだ不十分、これは先ほどの被害者弁護団の政府案に対する声明に書いてあることなんです。

 総理、総理はよく分かっておられると思うんですよ。これは、日本にはいろいろなしがらみというのがもちろんありますが、事この統一教会に限っては、本当に日本人の財産が、そして命が食い物にされている問題じゃないですか。

 総理、ここでもう一段踏み込んで、この問題を決着させるように努力する、もう一段踏み込む、法律について更に踏み込むということを、ちょっと明確に答弁いただきたいんですよ。使える法律にするということを、是非。

岸田内閣総理大臣 まず、基本的な問題意識は共有していると思います。こうした事態に当たって、被害者の方々をどう防ぐか、そして、今後再発をいかに防止するか、こういった考え方は共有できていると思っています。

 しかし、そのために、法律を政府としては提出をしなければなりません。そして、その法律は、憲法や法体系の関係で、法的な見地からこれはどうあるべきなのか、これを冷静に考えていかなければなりません。その中で、ぎりぎりどこまでそうした多くの方々の思いを盛り込めるか、これを政府として冷静に判断していかなければなりません。

 様々な意見があるということ、それはそのとおりだと思います。しかし、法律、日本国の法律を政府として提出をするわけでありますから、法的な見地から、法の専門家の見地から冷静に判断をし、どうあるべきなのか、与野党の協議等もしっかり踏まえながら、この限界を政府として判断をし、法律を提出していきたいと考えています。

長妻委員 これは総理にちょっと確認したいんですが、総理は、いろいろ新法に対して消極的な自公の対応を見てだと思いますが、新法を作るというふうに宣言されました。大きなニュースになりました。

 そのときの総理のイメージである新法というのは、もちろん、統一教会の被害者を救う、あるいは防止する、そういうイメージで新法とおっしゃったわけですよね。ということは、これは、いわゆるマインドコントロールというような状況下にあって、困惑しないで進んでする寄附というのが繰り返されている、これを何とか取り締まろうという趣旨が新法ということでよろしいんですか、総理がおっしゃった。

岸田内閣総理大臣 私自身、新法を作るべきだという思いを訴えさせていただいた際に、被害者の方々を救済し、再発を防止する、そのために政治として責任を果たさなければならない、そうした強い思いを持って申し上げました。

 しかし、法律を作る際には、要件の明確化を始め、責任を持って法律を作らなければなりません。御指摘のような議論があること、これは承知をしておりますが、その中にあっても、政府として提出する法律、責任ある法律はどこまで可能なのか、これを追求していきたいと思います。責任のある法律を国会に提出させていただくべく、努力をいたします。

長妻委員 本当に踏み込んでいただきたい。

 次のフリップ、先ほどの禁止行為ということなんですが、政府が示した禁止行為の一類型、これが統一教会に当てはまる可能性があるということで政府は出していただいたんですが、これについても、この禁止行為の一類型の下に先ほどの被害者弁護団の評価がありますが、必要不可欠というのを禁止行為の中に政府は入れてしまったんですね、五文字。これは何で入ったのか、経緯も知りたいところですけれども、必要不可欠は余りに厳格過ぎ、これでは実務上、被害者救済に用いることが今以上に困難となる。これはここにお配りした被害者弁護団の声明なんですね、政府案に対する。

 今以上に困難になるという意味をお伺いしましたら、必要不可欠ということを入れてしまうと、今も不法行為、七百九条などで裁判している、そのときに、別に必要不可欠というのは要件でない、でも、新たな規範で、新たな法律で必要不可欠が入ってしまうと、裁判官がこの規範を参考にして判決を書きかねない、だからもっと絞られる懸念がある、そこまでおっしゃっているんですよ。

 これはどういうところに必要不可欠というのが入っているかというと、前提としていろいろありますが、当該不利益を回避するためには寄附をすることが必要不可欠であることを告げる、これが要件に入っているんですね、禁止行為の。

 先ほどの困惑というのも大きな壁ですけれども、もう一つ大きな壁が必要不可欠。つまり、例えば、あなたのお子さんとかが大変な不幸になる、重大な不利益をこれから被る、それを回避するにはあなたが寄附することが必要不可欠だと告げないといけない。もちろん、必要不可欠という文字を、一字一句同じ文字でなくてもいいという話がありましたけれども、問題ですよ、意味としては。唯一の手段だと、あなたが子供を救うには献金が唯一の手段だという言い方も同じでしょう、必要不可欠という趣旨なわけでありますけれども。

 これも被害者弁護団の方とお話しして、私も判例を読んだり、被害者の方とお話しすると、先ほど申し上げたいわゆるマインドコントロール的な状況に、特別な行為を受けてそういうふうになった方は、別にそういうふうに言わなくても、極端に言えば、振り込み用紙を送ればそのまま巨額の献金をしていただくような、そういう状態に置かれているわけです。

 ですから、この必要不可欠があるとこれは使えない、こういうふうに、弁護団の方もむしろもっと逆行するとおっしゃっているんですが、ここについても大きな一つの壁なんですが、総理、これは考え直すような指示をいただけませんか。

河野国務大臣 この必要不可欠という言葉をそのまま相手に告げる必要がないというのは、今、長妻さんおっしゃったとおりでございます。勧誘全体としてそういう切迫性とか必要性というものに当たるという場合には、当然に当てはまるというふうに思っております。これまでの悪質な勧誘事例を見ても、多くの場合、そうした切迫性、必要性というものがあるというふうに思っております。

 今、長妻さんがおっしゃったように、例えば、振り込み用紙を送ったら、大学やらNGOの寄附の勧誘でもそういう場合がございます、それも全部駄目になってしまう可能性があるというのは、これは余りに広過ぎるんだろうと思います。

 不安に乗じて、これをやることが必要不可欠なんですということをそういう切迫性を持って勧誘する、だからこそ今回の検討している法律に当てはまる、そういうふうに考えておりまして、余りにここを広くしてしまうというのは、逆の意味で問題になる可能性があると思っております。

長妻委員 ちょっと、河野大臣は本当に被害の実態を御存じなのか。何かNPOがこれがないとひっかかっちゃうと言うんですが、普通のNPOが、霊感等による知見として、親族、本人の重要事項について、将来の重大な不利益を回避できないとの不安をあおり、不安を抱いていることに乗じてというようなことでやってくるんですかね。真っ当な団体は適用されないんじゃないんですか。

 先ほど、統一教会の献金にはほとんど切迫性がある、そういうお話がありましたが、これはありませんよ、被害者弁護団に聞くと。ちょっと、もっと総理、聞いていただきたいんですよ、被害者弁護団の皆さんに。

 この必要不可欠についても、総理、踏み込んで、もう少し、見直すことも含めて、踏み込むというような御答弁をいただきたいんですが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 今、河野大臣からお答えさせていただいたように、必要不可欠という要件につきましては、そのまま告げる必要はなく、同等程度の必要性、切迫性、これが示される場合は適用可能だという答弁をさせていただいたと思います。これがここの部分に対する考え方です。

 いずれにせよ、寄附は、寄附者の自由な意思の下に、適切な判断で行われるべきであるという観点は重要だと思います。

 要件の明確性の観点からどうあるべきなのか、政府としてしっかり検討し、判断をしていきたいと思っています。

長妻委員 この五文字があると、駄目押しで使えなくなるんです、困惑と同じように。

 厳密にこの同じ言葉じゃなくていいということは、当然、これが唯一のあなたが救われる手段ですと言うのと別に同じじゃないですか、その言葉の厳しさは。そういうことを告げていないわけですよ、統一教会の献金の被害は。十年にわたって、あるいは五年とか十年にわたって、長期にわたって、ある意味では自動的にというか、進んで、困惑せずに寄附を繰り返すということなんです。これは是非、総理、踏み込んでいただきたい。

 そしてもう一点、家族の取消権についてなのでございますが、政府は債権者代位権というようなことをおっしゃっていますけれども、そうすると、これは扶養を受けている家族だけが取消しができるということで、それは奥さんとかそういう場合もあるかもしれませんが、特に多いのが、やはり所得のない専業主婦の方が被害者が多いんですね。そうすると、お子さんの場合、未成年ですよね、扶養を受ける。未成年の方が訴訟なんかしますかね、自分で、代理人を立てて。

 あるいは、債権者代位権を行使して取り消すなどするには、親が無資産、無資力という要件があって、親が資産がない、ある意味では子供が取り返す資産よりも少ない資産というのが要件ということで、非常にこれも厳格でありますし、仮に取り戻せたとしても養育費のみ、月数万円が相場であると聞いておりますけれども、それの掛ける年限ぐらいのことであるということなので、もっと家族の範囲を広くしていただけませんか。そして、取り戻せるお金をもっと広くしていただけませんか。いかがですか。

河野国務大臣 本人が自分の財産をどのように処分するかというのは、これは御本人の財産権でございますから、家族といえども、それを阻害することはできないわけです。

 しかし、例えばお子さんが、お父さんが全てのお金を寄附してしまったために食べるに困るというようなこと、あるいは、学校に行きたくても学費を払ってもらえないというような、扶養義務を受けられないときには、これは当然、その子のこれまで、あるいはこれから先のことも考えてあげなければいけないということで、寄附してしまった本人に代わって自分の必要となる債権を取り戻すということができるというのがたてつけでございます。

 恐らく、民法で規定している親族の中で、同居している親族であったり、子供がどこか東京の大学に行っているとか、そういう場合も入るんだろうと思います。そういう範囲の家族、親族が、自分のために必要となるお金を、寄附してしまった本人に代わって取り返す。

 どの辺の範囲までというのは、単に食べるだけでなく、学校に行く、大学に行く学費というのも当然あるんだろうと思いますし、そこは様々なところをこれから詰めていきたいというふうに思っておりますが、本人が財産を処分するのは、それは御本人の、ある面、財産権でございますので、そこの中で、家族が自分に対して当然やってくれるべき、婚姻ですとかあるいは子供の扶養とか、そういう義務に関わる費用を出してもらえなかったときに本人に代わってそれを取り戻せる、そういう仕組みの新法を今検討しているところでございます。

長妻委員 これは、私たちは特別補助人という制度を、既に日本維新の会と立憲民主党で、国会に提出しております。成年後見制度も参考にして、また別の制度として、代理人を立てて権限を行使する、同意権、取消権、代理権、これを限定的に付与する、そういうものを作っております。

 今、河野大臣からも答弁がございましたけれども、小中学校とか高校生が自分の養育費を取り戻すために訴訟できますかね。法テラスに駆け込むんですか、小学生とか中学生が。それで代理人をつけて、親が無資力であればということを、できないと思うんですよ。ただ、河野大臣も詰めていきたいと最後におっしゃいました、制度設計について。

 総理、これは難しいことは私もよく分かっています。確かに難しいんです。難しいんですが、ただ、本当に、マインドコントロールから解けていない方がどんどんどんどん献金して、生活が立ち行かなくなって、子供が結局面倒を見るようになる、そういうような事態、あるいは生活保護に陥って税金を使うようになる、こういうことを見過ごして本当にいいのか。私は、食い物にされている現状を何とか止めたいというふうに思うんですね。

 総理、河野大臣もこれから詰めていきたいという話なので、是非、範囲を広げるように工夫していただきたいと思うんですけれども、そこについて、どうですか。努力するという答弁をいただけませんか。

岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、委員御自身も十分御案内だと思いますが、個人の財産権の侵害、憲法との関係において、これをどこまで法律の中に書き込むことができるか、こういった議論の結果、政府としては、債権者代位権という形、自らの権利を保全する必要な限度で他者の権利を行使することを認める制度、こういった制度を考えているということであります。

 この適切な行使に当たって様々な工夫をするということは当然あるんだと思いますが、こうした憲法、個人の財産権の侵害に関わる問題について、どこまで法律として対応できるのか、政府としても、その実態もしっかり踏まえながら、どこまで法律の中に書き込むのか、検討を続けたいと思います。

長妻委員 検討を続けたいということで、これはもう一回確認したいんですけれども、法律が成立してしまっては、なかなか変えるということはできにくいと思うんですね。使えない法律になってしまうと、本当にこれだけ騒ぎになって、これだけ実態が分かったのに、国会は何をやっているんだというそしりを受けかねないと思うんですね。

 そうすると、総理、昨日も政府・与党から少し本質ではない提案がありましたけれども、それを含めても、さらに、私が言った要件のところ、法律の入口のところについて、具体的には困惑のところ、そして必要不可欠のところを申し上げましたが、それについて、もう一段法律を踏み込んで、更に改良を重ねていきたい、改善を重ねていきたい、そういう御答弁を一言いただきたいんですが。

岸田内閣総理大臣 今現在、政府としましても法律の検討を続けております。その中で、この法律、法的な観点から、憲法を始め他の法体系との関係も含めて、どこまで実態に即した法律にすることができるかどうか、これを検討し続けていきたいと思います。その中で最大限の努力をしていきたいと考えます。

長妻委員 最後に、我が党と、立憲民主党と日本維新の会の一番の入口のところの要件の条文をお示しいたしますけれども、もちろん私たちも、自分たちの法律を全部通せなんとは言っておりません。いい知恵があれば、つまり、ちゃんと統一教会の被害者が救済できるというそもそもの新法を作る動機、それが一定程度射程に入るような、そういう知恵があれば、我々も別に、柔軟に受け止めたいと思うんですけれども、まだそうなっていないわけですね。

 私たちの概念というのは、特定財産損害誘導行為というのを概念としてつくりました。当然、マインドコントロールというのは、内面を測って内面が分かるわけはありませんので、外形的行為があればそうみなすということであります。

 条文には、人の自由な意思決定を著しく困難とするような状況を惹起させる違法若しくは著しく不当な行為を行い、又はその行為により惹起された状況を利用して、状況利用、状況を利用して、その人の財産に著しい損害を生じさせることとなる財産上の利益の供与を誘導することをいう、こういうふうになっているわけですね。

 つまり、人の自由な意思決定、これを困難とするような著しく不当な行為、あるいは、その行為によって惹起された状況を利用してというのがあって、その人の財産に著しい損害を生じさせる。つまり、行為の悪質性と結果の重大性という二つが合わさってこの特定財産損害誘導行為ということで、これが禁止となり、取消し事由になるわけですね。

 これについての、条文の中に四つの例示規定を書き込みました。これは全部読みませんけれども、具体的にこの四つの例示規定を書き込んで、そして、これに準ずるものである、人の自由な意思決定を著しく困難とするような状況を惹起させる違法若しくは著しく不当な行為というのを定義させていただいているんですね。

 ですから、こういうような形で一定程度広く射程を取る。さっき河野大臣も、普通のNPOが対象になっちゃうんじゃないかというお話がありましたが、こういうようなことをしますか、普通のNPOが。人の自由な意思決定を著しく困難とするような著しく不当な行為をしますか。その行為により惹起された状況を利用して、著しい損害を生じさせることとなる利益供与、これを誘導しますかね、真っ当な組織が。

 ですから、そういう意味では、下にも相当具体的な事例を入れておりますので、こういうような要件で、何とか実効性のある、被害者弁護団の方々から見てもまあ及第点だと最低限言っていただけるような法律を作りたいと思っているんですが、総理、いかがですか、こういう考え方。

岸田内閣総理大臣 被害者の方々を救済したい、また、被害の再発を防止したい、この思いは共有しております。

 その中で、御指摘も踏まえて、様々な意見を聞きながら、政府として責任ある法案を取りまとめます。是非、今国会に法律を提出したいと思います。早期成立を図りたいと考えています。

長妻委員 最後、委員長にお願いしたいのは、やはりこの国会の場に、全国霊感商法対策弁護士連絡会、今は名前が、旧統一教会、統一教会連絡弁護士会等々、ちょっと名前は変わっていると思いますけれども。

 そういう当事者の被害者弁護団を参考人として、今日は拒絶ということになりましたけれども、是非、来週月曜日とか、まだ衆議院の予算委員会は続くと思いますので、そういう意見も取り入れるということで、是非呼ぶことを、これは拒む理由はないと思うんですよね、総理。

 団体でこういう声明を出して、説明を受けるのが何で駄目なんだろうと思いますので、是非御検討いただければと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

長妻委員 では、いい法律を是非作ってまいりましょう。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、大西健介君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介でございます。

 通告しておりませんけれども、つい今し方ですけれども、森友学園をめぐる公文書改ざんの問題で自殺をした近畿財務局職員の赤木さんの妻が佐川理財局長に賠償を求めていた裁判で、大阪地裁は、公務員個人の責任を認めず、訴えを退けるという判決を出したということが今ニュースで報じられました。

 赤木雅子さんは国にも賠償を求めていましたけれども、去年の十二月、国は認諾という手続を取って裁判を終結させました。

 たしか、岸田総理は総裁選のときに、この問題についてはしっかり説明をしなきゃいけないんだ、明らかにしなきゃいけないんだということをおっしゃっていたというふうに思うんですけれども、赤木さんの奥さんも、賠償金が欲しいわけではなくて、なぜ赤木さんが亡くならなければならなかったのか、その真実を明らかにしたいという思い、その一心でこういう裁判という手段に訴えておられるんですけれども、まさにその道を断たれたということでありますけれども、総裁選のときに、この公文書の改ざんの問題、これはちゃんと明らかにすべきだと岸田総理は言っておられたと思いますけれども、この判決を受けられて、もしコメントがあればお願いしたいと思います。

鈴木国務大臣 今回の裁判が、二時過ぎぐらいに出たということでございますが、まず、財務省といたしまして、高い倫理観を持って真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに改めて哀悼の誠をささげます。そして、奥様始め御遺族に対しまして、公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわびを申し上げますとともに、謹んでお悔やみを申し上げます。

 その上で、今回の訴訟につきましては、国が当事者ではない個別の民事訴訟に関わることでありますので、国としてコメントする立場にはないということを申し上げたいと思います。

岸田内閣総理大臣 判決について直接コメントするのは控えますが、私も、裁判の過程を通じて、財務省始め関係者に、説明責任を尽くすようにという指示は出し続けてきました。

 財務省として、その立場から説明を、この裁判のプロセスを通じて、裁判の指揮に従って説明を続けてきたものであると承知をしております。

 こうした説明責任は続けましたが、今回判決が出たということを受けて、直接コメントは控えますが、改めて赤木さんの御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。

大西(健)委員 今総理が言われたように、本来は、裁判を通じて何が起こったのかというのを私も明らかにすべきだったんじゃないかと思います。しかし、昨年の十二月に、国は、認諾という形で、全て認めますということで裁判を終わらせてしまったんです。ですから、裁判を通して、総理が言われたみたいに、事実を明らかにするということができなかったんです。

 まさに、本当に我々も、真面目に、国を思い、国民を思い仕事をしてきた人が命を奪われるということはあってはならないことだというふうに思いますので、総理が言われたように、これで裁判という手段ではその道が断たれたことになっていますけれども、やはり引き続き真実を明らかにすることが必要ではないかというふうに思います。

 それでは、補正予算に戻りたいと思いますけれども、今回の補正予算、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策の財政的な裏づけになる、こういう補正予算であります。

 ところが、編成に当たった財務省の責任者である鈴木財務大臣は、財政出動により需要が喚起され物価を押し上げるのではないかと心配する向きもあると述べられましたけれども、先ほど泉代表とのやり取りの中でも問題になっていたこの総額二十九兆円という大型の財政支出、これは物価抑制ではなくてむしろ物価上昇につながるのではないかという疑問を持っています。

 こちらを御覧いただきたいんですけれども、まず、多額の財政出動、これは当然のことながら需要を喚起をいたします。そして、それによって景気が浮揚すれば物価も上がります。ここはまさに、先ほどの鈴木財務大臣のコメントのとおりだというふうに思います。

 次に、この真ん中の部分ですけれども、電気料金やガソリン代への補助、その分は確かに物価上昇を抑制する効果はあると思います。ただ、電気やガソリンの消費抑制にはつながりませんので、燃料の輸入コストは増えて、そして貿易赤字が膨らんで円安を招いて、そして円安は輸入物価の上昇につながる。これも実は物価上昇につながるおそれがある。

 そして、一番端の部分ですけれども、先ほども話が出ていましたけれども、今回の補正の財源というのは、二十二兆八千億円は国債で賄われているということでありますから、本年度の新規国債発行額は六十二兆円を超えている。財政悪化は通貨の信認を低下させて、やはり円安を加速させるおそれがある。そうすると、また輸入物価の上昇につながる。

 こうやって見ていくと、この二十九兆円という巨額の財政支出というのはやはり物価を上げちゃうんじゃないか。

 岸田総理は総合経済対策をまとめたときの記者会見で、物価を来年にかけて一・二%引き下げると胸を張られましたけれども、それは電気、ガスの一部分だけを切り取った話であって、全体としては、この大型補正というのは景気刺激や円安効果で物価高には逆効果になるというふうに思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 まず、委員お示しいただいた図でいうならば、多額の財政出動が物価上昇に拍車をかける、こういった御指摘があります。

 これは、一般論として、大きな財政出動が物価高騰につながる、こういった理屈があるということは分かりますが、しかし、今回の場合は、大規模な需給ギャップがまず存在しました。この大規模な需給ギャップに大きな予算を投入する、そのことがまず重要だという認識がありました。

 そこで、それに見合うだけのボリュームを考える、あわせて、物価高騰、賃上げ等、喫緊の課題に具体的な政策を積み上げなければいけないということで議論を行ってきました。そして、その中で電気料金、ガス料金に対する思い切った対策を用意した。これは間違いなく、その部分だけだという御指摘がありましたが、物価高騰に対して効果的な対策、申し上げたように、一・二%押し下げる効果があると信じております。

 そして、この借金頼み、一番右の部分でありますが、これも先ほど来申し上げておりますように、目の前のこの厳しい経済状況に対しては、物価高騰対策、経済対策、これをしっかり行わなければなりません。しかし、中長期的な課題として、財政の健全化の旗は降ろさず、そのことによって、市場や国際社会の我が国の財政に対する信認はしっかり維持していかなければいけない。

 目先の対策と中長期的な課題、このバランスをいかに取るかによって、両方の政策を両立させる、こういった努力を現実の政府は行わなければならない、このように考えています。

 よって、トータルとして、今回の経済対策は規模も内容も必要なものであると考え、国会に審議をお願いしている次第であります。

大西(健)委員 今の答弁の中にもあったように、総理は、やはり多額の財政出動をすれば需要を喚起して物価が上がるということは、これはお認めになっているわけですよ。ただ、需給ギャップがあるから一定の規模が必要だと。

 でも、結局、じゃ、一体これをやらなければどれだけ物価が上がって、やったことによってどれだけに抑えられるかというのを聞いても、全然答えが出てこない。言われるのは、このガソリンや電気のところ、ガスのところ、ここだけで一・二%下がるというところだけを切り出して言われるだけで、じゃ、トータルで、これが実際、物価上昇にプラスに働くのかマイナスに働くのかというのは、結局、政府に聞いても何の数字も出てこない。

 それから、もう一つ答弁の中にあったのはこの借金の問題ですけれども、これは中長期的には何とかしていかなきゃいけないと今総理も言われましたけれども、大盤振る舞いの結局ツケを払うのは、国民の皆さんになります。

 賢明な国民は既にそれに気づいていて、先月ですけれども、ツイッターで、「自民党に殺される」というハッシュタグがトレンド入りをしました。その投稿を見ると、例えば一例を挙げればこんな感じです。岸田政権、自民党、公明党が最近やっていること、まじで殺されるとか大げさじゃないから、年金支給料金引下げ、年金六十五歳まで支払い、国民健康保険二万円増額、道路使用税の新設、消費税の増税の検討。こういうものが「#自民党に殺される」というので投稿されているんです。

 総理、岸田政権は、中長期ではこの借金の問題を何とかしなきゃいけないと言っているということは、結局、いずれは、負担増や、あるいは社会保障の切下げによって帳尻を合わせる、こういうことでしょうか。

岸田内閣総理大臣 中長期的な課題として、健全化の旗を降ろさないというのは、一遍にこの積もり積もった借金をなくしてしまうことを考えているというものではありません。

 先ほど言いました、財政健全化の旗を降ろさないことによって、我が国の財政、国の財政というのは国際的な信用の礎でありますので、日本の国の財政が国際社会あるいはマーケットにおいて信頼を損なうことがないように、こうしたかじ取りを政府としてしっかり行っていかなければいけない、こうしたことを申し上げております。

 まずは、経済あっての財政だということで、経済政策を優先させていただいておりますが、経済の状況、経済は生き物でありますので、今後の経済の状況、税収のありよう、様々な変化をしっかり踏まえながら、我が国の財政の信頼をしっかり維持できるように、政府としてかじ取りを行っていきたいと考えています。

大西(健)委員 先ほど泉代表とのやり取りでも、消費税はしばらく上げません、走行距離課税も考えていません、でも、一方で、防衛費も倍増して、そして国民に広く薄く負担してもらいますということも言っていますので、結局、やはりどこかで増税や、あるいは社会保障の切下げということをやらざるを得ないんじゃないかというふうに思います。

 時間があるので次に行きたいと思いますけれども、岸田内閣では、一か月足らずで三人の閣僚が辞任するという異例の事態となっております。

 しかし、臨時国会の冒頭で、予算委員会で問題が指摘をされていたのは、山際大臣、寺田大臣、そして、もう一人は秋葉復興大臣であります。この三大臣に共通しているのは、十月十七日の予算委員会で我が党の藤岡委員がファミリービジネスと表現していましたけれども、政治資金を自らの経営する会社であったりとか、あるいは近親者に還流をさせている、こういう疑いが持たれているという点であります。

 秋葉大臣が代表を務めている自民党宮城県第二選挙区支部と秋葉けんや後援会は、二〇一一年から二〇二〇年の間に、事務所の賃料として妻と母に千四百十四万円を支払っていたことが分かっています。

 また、自民党宮城県第二選挙区支部は、二〇一七年に、大臣の奥様のお兄さんが代表を務める政治団体、政治経済研究所に六百万円を寄附しています。そして、その政治経済研究所の事務所が置かれていたのは、品川区にある秋葉大臣の奥様の実家です。

 講談社の取材に対して、奥さんの実家の義父、義理のお父さんは、事務所として使われていた実態というのはない、代表を務めている秋葉大臣の義理の兄、義兄は実家には正月に来るだけだと答えています。また、秋葉大臣と義兄は気が合わず、仲がよくなく、義兄が秋葉大臣の活動を支援することはないと赤裸々に語っています。

 一方で、配付資料の収支報告書の写しというのを皆さんのお手元に配っていますので、見ていただきたいんですけれども、代表者、会計責任者とも秋葉大臣の義兄の名前が記されたこの二〇一九年分の収支報告書には、事務所費として三十六万円が支出されています。ところが、これはテレビ朝日の取材に対して、大家である義理のお父さんは、息子から事務所として自宅を使うということは聞いたこともないし、賃料はもちろん、一銭もお金はもらったことはないと証言しています。

 では、この事務所費の三十六万円はどこに消えたんでしょうか。原資は、秋葉大臣が代表を務める宮城県第二選挙区支部が寄附した六百万円です。政党支部には、政党交付金、つまり税金も入っているので、秋葉大臣は知らないと言えないはずでありますけれども、秋葉大臣、いかがでしょうか。

秋葉国務大臣 お答えをしたいと思います。

 お尋ねのこの税務申告につきましては、他の方が代表を務める、解散した、既に、団体の家賃の支払い先のことでありまして、本来は私の方でお答えする立場にはございませんけれども、しかしながら、今回、義父が当該家賃については覚えていないと話していることが今御指摘のとおりの報道をされたことを踏まえて、改めて義兄に確認しましたところ、間違いなく義父に支払っているとのことでございました。

 個人情報にもなりますけれども、実際に、義父は現在既に九十歳であることから、よく御理解されていないところもあったのではないかと推察しているところであります。

大西(健)委員 義理のお兄さんは確かに払ったとおっしゃっているということでありますが、それであれば領収書があると思うので、領収書を義理のお兄さんからもらって本委員会に提出いただけないでしょうか。

秋葉国務大臣 私が代表を務める団体のことではなく、他の団体のことではありますが、真摯に対応してまいりたいと思いますので、理事会の決定に従わさせていただきます。

根本委員長 じゃ、理事会で協議します。

大西(健)委員 知らない人ではなくて身内ですから、これはお願いしたら出してもらえると思うので、是非理事会で協議いただきたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

大西(健)委員 ただ、私、これは、どちらにしてもアウトじゃないかと思うんです。どういうことかというと、事務所として実態がないのに事務所費を払っていたとすれば、これは義理のお父さんに小遣いを上げているようなもので、まさに親族への政治資金の還流の疑いがあると思います。

 それから、反対に、事務所費を払っていなかったとすれば、収支報告書には払ったように書いてあるわけですから、これは虚偽記載になると同時に、三十六万円の事務所費は、じゃ、どこに行ったのか、義理のお兄さんが懐に入れたのかという疑いが生じてくる。この場合も親族への政治資金の還流になります。

 ですから、元手は、大臣が代表を務める宮城県第二選挙区支部が入れた六百万円なんですから、ですから、それが結局、お父さんかお兄さんか、どっちか分かりませんけれども、還流しているということじゃないんですか。いかがですか。

秋葉国務大臣 先ほど来、政治資金の還流という御指摘がありますが、そもそも、この原資になっておりますのは政党交付金ではない、すなわち税金は一銭も使われていないということをまず申し上げておきたいと思います。

 基本的には、他の団体のことでありますから本来私がお答えする立場にはございませんけれども、お尋ねですから、収支報告書でも公開をしておりますとおり、二年間で二百八十八万円の支出、政治活動費も含めて実活動があったというふうに度々お答えをしているところでございます。そして、実際に、議員会館での勉強会や、会食形式のときもあったというふうに思い出しておりますけれども、活動も行われたと承知しております。

大西(健)委員 私が言っているのは、まさにこの事務所費なんですよね。だから、実態のないところに払っていたんだったら、それはそれでお父さんにただ上げているだけになっているし、それから、払っていなかったら、お兄さんが、じゃ、その事務所費三十六万円、どこに持っていっちゃったんですかという話で、いずれにしても、大臣が入れた六百万がお兄さんかお父さんのところに渡っているということじゃないですか。だから、それはやはり親族に還流しているということなんじゃないんでしょうか。

 私の手元には、衆議院議員秋葉賢也政治活動レポート、二〇〇七年十一月一日号というのがあるんですけれども、ここには、その年の七月の参議院選挙で自民党が大敗をした、そのことについてこのように書いてあります。自民党が大敗を喫した要因は、事務所費の不透明な支出実態に端を発した一連の政治と金の問題によって政治不信となり、大きく国民の信頼を失ったことにありますと書かれているんです。

 秋葉大臣、これは二〇〇七年、御自身が書かれて、地元で配られているレポートですけれども、この初心を是非思い出していただいて、今まさにあなた自身の政治と金の問題、これで国民の信頼が失われているんですから、是非そこはしっかりと考えていただきたいなというふうに思います。

 そして、寺田総務大臣もいろいろな政治資金の問題がありましたけれども、最終的には、昨年の衆議院選挙でポスターを貼った地元議員などに報酬を支払ったことが公職選挙法で禁じられた運動員買収に当たる疑いがあると新たな報道が出てきたことが、辞任に至る決定打になったんじゃないかと思います。

 秋葉大臣についても、運動員買収が疑われている事案があります。

 まず、総務省に確認をいたしますけれども、一般に、選挙期間中に報酬支払いが認められている事務員、車上運動員、労務者に登録された者以外に対して、選挙運動を行った者に対して報酬を払うことは、これは公職選挙法に違反して運動員買収になると思いますけれども、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 公職選挙法第百九十七条の二第二項及び第五項の規定により、公職の候補者の選挙運動に従事する者のうち、選挙運動のために使用する事務員、車上等運動員、手話通訳者及び要約筆記者に対しては、選挙管理委員会にあらかじめ届け出た上で、一定の員数、金額の範囲内で報酬をできますが、選挙運動員で報酬を支給することができる者は、この届出をした者に限られております。

大西(健)委員 皆さんのお手元に、昨年の選挙の選挙運動費用収支報告書の抜粋をお配りさせていただいておりますけれども、ここに、十一月八日、十二万円を西憲太郎さんという人に払っています。それから、十一月九日、こちらでは八万円というのを五十嵐隆さんという人に払っています。このお二人は秋葉大臣の公設第一秘書と第二秘書だと思いますけれども、これは議員要覧とかに載っていますのでそうだと思うんですけれども、大臣、それで間違いありませんか。

秋葉国務大臣 一人は公設秘書ですが、もう一人は、当時はまだ私設秘書でございます。

 また、先ほど、実態がないという指摘でありますとか、親族への還流という御発言がありましたが、実活動があり、対価が伴って支出したものでございまして、全くそういった御批判は当たらないというふうに認識をさせていただいております。

大西(健)委員 先ほど、ちゃんと領収書を出してくださいということをお願いしておりますので、是非出してください、そこまで言うならば。

 それで、一人はということでお話がありましたけれども、一人は第一秘書の方だと思います。そして、当時は私設だったけれども、現在は第二秘書として登録されているというふうに我々は確認をさせていただいております。

 まさに第一秘書として登録されている方なんですけれども、この方、講談社の取材に対して、選挙期間中に街頭に立って秋葉候補への投票を呼びかけるなど、選挙運動を行ったこと、また、報酬を受け取ったことを認める、そういう発言をされていますけれども、もしこれが事実だとしたら、これは、先ほど、運動員買収はどういうときに成立するかということを総務省にお答えいただきましたけれども、運動員買収の見本のような事例になるんじゃないかというふうに思いますが、秋葉大臣、これはお認めになりますか。いかがですか。

秋葉国務大臣 お答えをしたいと思います。

 写真週刊誌の報道による記事の内容だと思いますが、これについては、お尋ねの秘書は、先ほど申し上げましたとおり、一人は公設秘書で、当時は一人は私設秘書でございました。事実誤認に基づく報道だったというふうに認識しております。

 私どもは、公職選挙法にのっとって、報酬を支払うことができる車上運動員として、選挙管理委員会に名簿をしっかりと届出を行った上で、法令で認められた報酬を支払ったものでございまして、また、法令に定める範囲内での活動を行っていたものと報告を受けております。

大西(健)委員 今、車上運動員として登録をしたという話がありましたが、確かに車上運動員として登録をすれば報酬を払うことはできるんですけれども、通常、私たちがこういうふうなものを出すときには、車上運動員の場合には車上運動員というふうに書いて、そして、何日間活動したかという積算根拠も右側に書くんですよ。これは全く書いていないんですね。

 じゃ、車上運動員として働かれたんだったら、どの日に何日乗ったか、こういう内訳があるはずなんです。秋葉大臣、それも委員会に提出していただけますか。いかがですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員も御存じではなかったのかなと思うんですが、この収支報告書とは別に、名簿を別途添付することになっております。それには事務員や車上運動員を全部登録して、そこに登録した人以外には支払いができないという規定になっておりますので、しっかりと記入して届けているところでございまして、いつ何をしたかについての報告義務はございません。

大西(健)委員 いや、そんなことないですよ。

 だって、上限が決まっていて、何日乗ったかというのが書かれていないと、上限が守れているかどうか、確認できないじゃないですか。普通、我々は、選管に出したときにそれを言われるんですよ。だから、何日乗った、この日とこの日とこの日と乗った、何円掛ける何日でこの額ですというのを載せないと、だって、車上運動員に支払える金額というのは決まっているんですから、これじゃ分からないじゃないですか。

 じゃ、そうじゃないとしても、実際に車上運動員として確かに働いたというんだったら、大臣のところには記録が残っているはずですよね。それを出してくださいよ。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員も御存じのとおり、車上運動員に対しては、日額一万五千円を上限に支払うことができるとされております。その範囲内で届出をしているわけでありまして、具体的な勤務日や日数の報告は求められていないと承知しております。

大西(健)委員 そんなことないですよ。だって、これ、じゃ、二日間しか乗っていないのに八万円だったら、上限を超えちゃうじゃないですか。だからちゃんと積算を書くんです。それを選管から確認されるんですよ。

 そうじゃなくても、これはちゃんと書かないと分からないじゃないですか、本当に車上運動員として。だから、ちゃんと、大臣が言うように、車上運動員でやっていたんですと言うんだったら、それと、大臣は、車上運動員としてやっていた日と選挙運動していた日とちゃんと区別していましたと言うんだったら、区別がつけれているのかどうなのか、ちゃんと出してもらわないと、運動員買収かどうか分からないじゃないですか。ちゃんと出してくださいよ、そこまで言うんだったら。

秋葉国務大臣 これは、先ほどから丁寧にお答えをさせていただいておりますが、法律上の義務にはなっておりません。(大西(健)委員「法律の義務なんか聞いていないですよ。説明責任です」と呼ぶ)いや、法律の義務で出す必要がないものを出すことにはならないと思っております。

大西(健)委員 これは、そもそも、選挙運動はボランティアが原則で、秘書として通常どおりの給料のみが支払われている場合には、当該給与の支払いは選挙運動への対価と言えないので問題ないとされているんです。つまり、秘書は、給料を払っていても、それは選挙運動じゃないからいいということになっているんです。

 一方で、これまでも秘書として仕事に従事していた者であっても、選挙運動に携わっていた期間に給与が増額しているような場合には、増額分が選挙運動を行ったことの報酬として認められるということで、買収になる可能性もこれはあるんです。

 だから、普通は、公設秘書は給料をもらって選挙運動できる立場なんですから、わざわざそれに上乗せするようなことなんかやらないですよ。そんなことやっていますか、皆さん。

 じゃ、ちなみに、岸田総理は、選挙のときに自分の秘書が街宣車に乗ってウグイスやカラスをやる場合に、車上運動員として届出をして報酬を上乗せで払うようなことをやっていますか。いかがですか。

岸田内閣総理大臣 少なくとも、私の記憶する限り、自分の秘書を車上運動員として使ったことは今まで一度もなかったと思いますので、御指摘の点のようなことはなかったと思います。

大西(健)委員 そんなことをする人、普通いないんですよ。だって、秘書としてちゃんと給料を払って、そして選挙運動を堂々とできるわけですから。何で、その人を車上運動員として登録して、十二万円とか八万円とか払う必要があるんですか。そんなことをする必要がないんですよ。

 だから、大臣、車上運動員としていた日に選挙運動をしていないと、これは断言できますか。もしそれに反する事実が出てきた場合には、大臣、責任を取る覚悟、おありですか。いかがですか。

秋葉国務大臣 今日、委員がお示しした資料の中にも、N秘書には十二万円、そしてI秘書に八万円ということが示されております。しっかりと法令にのっとって報告をさせていただいているところでございます。

 具体的に言えば、N秘書は車上運動員として八日間、そしてI秘書は車上運動員として六日間、活動させていただいておりまして、適法、法にのっとって、しっかりとした活動をさせていただいているというふうに認識しております。

 ですから、法律で要請されている書類関係含めて、適正に、適法に処理をさせていただいているところでございます。

大西(健)委員 今答弁で八日間と六日間という数字が出てきましたから、じゃ、どの日に乗ったのかというのを出してくださいよ。出せるじゃないですか、だって、八日、六日と今はっきり言われる、分かっておられるんですから。それを是非出してください。

 理事会で協議をお願いします。

根本委員長 理事会で協議します。

大西(健)委員 秋葉大臣については、ほかにも問題になっていることがあるんですね。

 それは、総務省にまず確認しますけれども、公職選挙法の百四十三条では、選挙運動で掲示できる文書図画として、候補者が使用するたすきというのを掲げていますけれども、選挙運動でたすきを使用できるのは候補者本人に限られていて、一般論として、第三者が候補者に成り済まして、候補者名のたすきをかけて立つことは、これは公選法に違反するという理解でよろしいでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 公職選挙法の規定について申し上げますと、同法第百四十三条第一項第三号において、選挙運動のために使用する文書図画のうち、たすきについては公職の候補者が使用するものが認められており、選挙時において候補者本人の名前が記載されたたすきは一般的には選挙運動のために使用する文書図画に該当するため、候補者以外の者が使用することはできないものと解されております。

 なお、個別の事案については、具体の事実に即して判断されるものでございます。

 以上です。

大西(健)委員 実は、昨年の衆議院選挙の期間中に、秋葉賢也と書かれたたすきをかけた男性がつじ立ちをしている写真があります。具体的に日付と日時も特定されているんですけれども、撮影した人から伺ったのは、二〇二一年の十月二十八日の十五時頃、仙台市泉区古内字新坂の上のTSUTAYAの前の交差点で撮影されたものです。

 これ、本当はパネルにしたかったんですけれども、理事会で認められなかったので、こういうやつなんですけれども、何で認められないのかよく分からないんですけれども。だからこれ、大臣に確認してもらわないと話が進まないので、確認していただきたいんですけれども、よろしいですか、渡して。

根本委員長 ちょっと待って。

 理事間で協議済みですね。

大西(健)委員 これは、理事間で協議して、もう合意していることだということですね。

 これ、見ていただいたら、見にくいんですけれども、明らかに、秋葉賢也というたすきをかけている男性は秋葉大臣よりも若くて、大臣ではない、少なくともないように見えます。提供者によれば、たすきの上のところに小さく次男と書かれているそうです。

 先ほどの総務省の答弁に従えば、これは公職選挙法の文書図画違反の疑いが濃いと思いますけれども、地元では、こうしたいわゆる影武者が選挙のたびに、選挙期間中、何度もいろいろなところで目にするそうなんですよ。そういう話が地元から入っているんです。

 秋葉大臣、これ、身に覚えがありますか。また、影武者って一体何人いるんですか。今、写真を渡しましたので御確認をいただいて、御答弁いただければと思います。

秋葉国務大臣 まず、先ほど、写真の掲示がありました。理事会では、掲示しないというふうに報告を受けているところでありまして、こうしたテレビ入りのときにこういった発言は好ましいものではないと、まず申し上げておきたいと存じます。

 その上で、質問にお答えをさせていただきます。(発言する者あり)いや、私は見ましたけれども、掲示をしたことについて、今一言抗議を申し上げたところでございます。掲示をしないということも含めて聞いておりましたので、一言抗議をしておかなければならないと思って、発言をさせていただいたところです。

 その上で、お答えをさせていただきたいと存じます。(発言する者あり)問題が多いというよりも、一民間人の写っている写真でございますので申し上げました。

 いずれにいたしましても、丁寧に質問にお答えをさせていただきたいと思っております。

 私の初当選は、当時の野党議員の選挙違反事件による辞職に伴う補欠選挙でございました。したがって、法令の遵守やクリーン選挙ということには人一倍気をつけながら、留意して活動してまいりました。そのような中で、こうした疑念が生じたことは誠に残念だと思っております。今後は、クリーン選挙を実践してきた原点に立ち返って、こうした疑念を招くことがないように十分注意してまいります。

 御質問の事実関係につきましては、私は承知しておりませんでしたので、事務所に確認したところ、私の次男が、親でもある私の選挙を心配して、会社の有給休暇を取り、三日間、選挙の応援のために勤務先の東京から仙台まで駆けつけてくれたのですが、本人にも聞いたら、本人としては、家族の自分が応援していることをアピールすることで少しでも私の力になりたいと考えての行動だったようですが、指摘を受けてすぐにたすきを外したと聞いております。

大西(健)委員 ということは、今、これは文書図画違反に当たる、だから、次男さんも指摘をされて外した。つまり、文書図画違反だ、やったこと自体は文書図画違反だということを、大臣、お認めになるということでよろしいでしょうか。

 また、次男さん以外に、同じようにこの秋葉賢也と書かれたたすきを着けた人はほかにいないということでよろしいですか。

秋葉国務大臣 ただいま、また委員から事実誤認の発言があったと思います。認めたという発言がありましたが、私は一切認めておりません。当時、選管や警察から特に指摘はなかったと聞いておりますし、そもそも、公職選挙法の違反かどうかについては、個々の案件の事案に即して当局が判断されるものと承知しております。

大西(健)委員 大臣、ほかにはいないんですか。ほかには絶対いないと断言できますか。

秋葉国務大臣 ほかには一人もいないと断言していいと思います。

大西(健)委員 ほかに出てきたときには、是非しっかり責任を取っていただきたいと思います。

 まあ、普通、こんなことはしないですよね。これも、ちょっと時間がないから総理にあえて聞きませんけれども、やらないですよね、こんなこと。

 私も聞いたときちょっと耳を疑ったんですけれども、なぜこんなことをするのかなと考えると、それは、候補者に成り済ましていろいろな場所に出没することで露出を増やそう、そういう意図ではないかと思われます。

 しかし、それは考えてみれば、有権者をだまそうとしているわけで、秋葉大臣、これは違法か以前に、ひきょうな戦法で恥ずかしいと思いませんか。いかがですか。

秋葉国務大臣 私が聞いているところでは、継続をしたのではなくて、午前中の時間なのか午後かまでは聞いておりませんけれども、着けたその日のうちに外して、二度と着けてやることはなかったというふうに聞いております。

大西(健)委員 今、傍聴席から違う違うという声が聞こえましたけれども、先ほど大臣は、もうこれはほかにないんだ、しかも数時間だと言い切りましたから、そうじゃない事実が出たときにはしかるべく責任を取っていただきたいというふうに思っています。

 誰が言い始めたのか分かりませんけれども、秋葉大臣、山際大臣、寺田大臣の三人組を秋の山寺というそうです。山際大臣、寺田大臣が散り去り、葉梨法務大臣まで辞めて木々の枝が葉なしになった今、残るは秋葉大臣だけです。

 秋もそろそろ終わりを告げようとしておりますので、岸田総理、決断が遅れたこれまでの反省に立って、秋葉大臣、今日の御答弁を聞いていただいても、ちょっと難しいんじゃないですか。やはり、今までの反省に立って素早い決断をしていただいて、秋葉大臣の更迭、これを決断していただいた方がいいんじゃないかと思いますけれども、岸田総理の御答弁をいただきたいと思います。

岸田内閣総理大臣 様々な御指摘について、秋葉大臣、今答弁をいたしました。引き続き説明内容に疑念が残るということであるならば、引き続き誠意を持って丁寧に説明を行う、説明責任を果たしていくことが重要であると認識をしております。

大西(健)委員 ちなみに、先ほどの、我々は運動員買収の疑いがあると指摘をした第一秘書の方ですけれども、この方は、選挙運動費用収支報告書に出納責任者として名前が書かれている人物であります。もし出納責任者が公職選挙法の運動員買収に問われた場合には、連座制によって大臣は当選無効になる、こういうことなんですよ。

 ですから、これはもう、大臣を辞めるだけじゃなくて当選が無効になるような話、こういう疑いが持たれているということをいま一度しっかり胸に置いていただいて、そして、今日、幾つかのことについて、しっかり説明責任を果たしていただくべく、提出をしていただきたいというお願いをしました。それに真摯に対応していただきたいと思います。

 時間が来ましたので、またこの後の質疑者の中で更にこの問題を深めさせていただきたいと思います。

 終わります。

根本委員長 この際、石川香織君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石川香織君。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。

 今日は、委員の皆様に御配慮いただきまして、質問させていただきたいと思います。

 物価が高いということを日常生活の様々な場面で実感をいたします。あるケーキ屋さんでは、これから年末商戦になりますが、ケーキに使うフランボワーズが高いということで、今年のケーキには使えないなという話もありました。クリーニング屋さんでは、ドライクリーニングに使う有機洗剤が、仕入価格が一年間で三度も値上がりをしたそうです。日々、スーパーで買物をしますが、何が食べたいかということよりも、何が安いか、値引き商品を基にして献立を組み立てるような、そういうことを無意識にやるというような日常生活だと思います。

 特に、食料品の値上がりは非常に家計を直撃しております。本当に消費者にとっては非常に困ったことであるんですけれども、供給側の、生産者の収入が上がっているわけではありません。生産現場も非常にこの物価高の影響を受けているということで、農業の課題を中心に質問してまいりたいと思います。

 例えば、作物の収量や品質を安定させる肥料でありますけれども、これも非常に値上がりしているということで、岸田政権の中での物価高騰対策の目玉の一つとして、肥料価格高騰対策、七百八十八億円が既に投じられております。これは肥料価格の上昇分の七割を補填するというもので、フリップに書いてありますように、ちょっと難しそうな式が書いてありますけれども、この式に当てはめてその補填額を出すというものであります。

 実際に数字を入れた方がイメージが湧くと思いますので、入れてみますが、肥料は今、地域とか種類によって価格差がありますけれども、例えば、例年二十万円で買っていた肥料が、上昇率一・五倍、高くなって三十万円で今年購入した、そうすると、差額が十万円ですので、補填されるのが七割だとしたら七万円になるはずですが、この場合、この計算式に入れて七万円になるでしょうか。総理、お願いいたします。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

牧原委員長代理 まず、実務の面で、農林水産大臣野村哲郎君。

野村国務大臣 具体的なお話でございますので、私、農林水産大臣としてお答えを申し上げたいと思います。

 今お話がありました三十万円をこの算式に当てはめますと、前年が二十万だった、今年三十万になったからその差額は十万円、これに七掛けをすれば七万円補填があるはずだ、こういうふうに御質問だったと思うんですが。

 じゃ、仮にこれを、前年が二十六万だった場合、二十五万でもいいんですが、そうしたらどうなるかといいますと、逆に上がっちゃうんですよ。

 それはなぜそうなっているのかといいますと、できるだけ肥料費を抑えようとして……(石川(香)委員「なるかならないかで結構です」と呼ぶ)

牧原委員長代理 簡潔にお願いします。

野村国務大臣 説明しているんです。よく分かるように例を出して、こちらもお話をしているわけで。

 先ほどの御質問は二十万円と三十万円の話でしたが、二十万円じゃなくて二十五万だった、前年が。そうしますと、差引きしますと五万円ですから。同じ四万三千円の補填が行くわけです、算式にはめていただければ分かるんですが。だから、前年度が二十万だった場合と二十五万だった場合で、今年が三十万円の肥料代だった、こういう仮定をしますと、四万三千円はどちらも同じ、同額になります。

 これはなぜこんなことをしたかといいますと、できるだけ肥料費を今年のを抑えてください、こういうようなやり方でやったわけでございますので、この算式にはめていただければお分かりいただけると思います。

石川(香)委員 なりません、まず。四万三千四百円になるということで、いろいろ今御説明いただきましたが、確かに、上昇率、いろいろ違います。

 それで、JAとかホクレンもほぼ倍の価格になっておりますので、この七割掛けというのは、〇・七掛けていますけれども、元の数字にいろいろ細工をしているので、実際に負担している金額の七割補填にはならないということを私は申し上げたかったんですが。特に、この〇・九という数字も、いろいろ物価高なので一割ぐらいは減らしていますよねということで、実際減らしているかどうかは別として、〇・九掛けたりしているということで、細かい解説は割愛しますけれども、とにかく七割負担にならないという方式になっている。

 自民党のホームページにも、いまだに、肥料高騰、コスト上昇分の七割補填と掲載されておりますけれども、岸田総理も、記者会見のとき、はっきり、上昇分の七割補填しますということをおっしゃっておりましたが、七割補填という表現は余りにも誇大広告過ぎませんか。

岸田内閣総理大臣 そこにあります計算式にありますように、個別の事案は様々ですが、だからこそ、平均的な価格上昇率というものを使って数式を作ったということであります。

 よって、今、農水大臣から説明ありましたように、個別具体的な事案によって様々なケースはあります。しかし、計算式として、全体の平均的な価格上昇率を使うことでこの計算式を作り、そして金額を出したということであります。こうした計算式について説明をさせていただく際に、七割という説明をさせていただいた、こうしたことであります。決して実態から全く外れているというものではないと理解しています。

石川(香)委員 価格上昇率の平均、全国平均で一・四ということですが、倍になっているものもありますし、様々あるので、全て七割になりますという表現は非常に分かりづらいのではないかと私は思っております。

 そして、今現場で不安に感じていることは、今は高いけれどもお金を払えば肥料を手に入れることができる、そして、そのうちお金を払っても手に入れられなくなるのではないかという供給面の不安があるということであります。

 肥料は一般の方にはなじみがないかもしれませんけれども、肥料がないと作物は元気に育ちませんので、そういう意味でいいますと、日本人の胃袋を支えるために欠かせないものなんですよね。

 この先の供給の見通し、御説明いただきたいと思います。

野村国務大臣 お答えを申し上げます。

 今、石川委員おっしゃるように、大変、日本の肥料というのは全て原料は外国に頼っておりますから、今おっしゃったような懸念は出ます。

 昨年から今年にかけまして、中国、ロシアからの肥料原料の供給が非常に不安定になりました、これはリンでございますが。特に、そのために、モロッコ、カナダから、原料供給国に対して安定供給に向けての外交的な働きかけをしておりまして、全量を今年の場合は無事に確保できたということであります。

 さらには、全農なり総合商社や肥料メーカーを参集しまして、原料の協調買入れの要請等も行っております。

 安定調達に向けて必要な対応を進めており、来年の春肥の原料は完全に確保できました。ただ、秋肥はまだ今からでありますから、来年の春肥、いわゆる水稲等に振る肥料については確保できた、調達はできましたということであります。

 さらに、今回の補正予算で、やはり肥料も備蓄しないといけないんじゃないかということで予算を計上をいたしておりまして、可能な限り農家の皆さん方に御心配をかけないように、一方では安定的な確保をするための外交努力、さらには備蓄、こういったことでやらせていただきたいと思っております。

石川(香)委員 今、モロッコなどの話もありました。肥料は主に調達を民間が大部分を担っているということもありますので、やはり、こういうことはしっかり国が前面的に立って、供給は大丈夫ですよというメッセージを発することは非常に重要だと思います。

 今後、インドやブラジルは非常に消費が多い国でありますけれども、需要期に入るということで、今後も高い水準が、価格ですね、予想されている。家畜の餌も同様に高い状況でありまして、前年度から三割上がっているというものも多いということであります。肥料も餌も十分になければ、食料を作り出すことができません。

 この餌に関しても、国や生産者、メーカーなどが基金を積み立てていますが、前の年よりも一五%高いときに基金が発動するわけですが、毎年毎年高いとこれは発動しないということで、こういうダメージが長期化するときにマッチした仕組みかどうか、これもしっかりチェックをしていかなければいけないと思います。

 次の質問へ参りますけれども、酪農の現場についてお伺いをさせていただきます。

 昨年の十二月十三日、予算委員会の場で、私は、牛乳がだぶついてきている、廃棄するかもしれないということを岸田総理に質問させていただきました。岸田総理も、その一週間後に記者会見で牛乳の消費拡大を訴えられたと思います。あれから一年、事態はもっと深刻になりました。今までは、生産を抑えてくださいという、生産抑制という表現でありましたが、これからは、明確に減らしていく、減産という表現を使うようになりました。

 牛乳は私たち日本人の健康を支えてきた食料であります。家庭で、そして学校で飲んだ一杯が日本人の体づくりに大きな役割を果たしてきたということは、誰もが実感すると思います。そして、資源の少ない日本で、飲む牛乳は自給率一〇〇%を誇るというものでもあります。

 今回の補正で、こんなメニューも出ました。生産者が自ら牛を選んで食肉加工場に出すと奨励金が出るというものです。つまり、元気な牛を処分するということでお金が出るというものであります。

 これは、今までは生産基盤を強める政策が中心にあったはずですが、生産基盤を弱体化させることに予算をつけるということに対して、現場からは、これはとんでもない政策である、こんなことをしてしまったら二度と生産現場は立ち直れないといった声が上がっております。

 そして、この奨励金でありますけれども、野村大臣に是非お伺いしたいと思っておりますが、野村大臣の御地元も畜産が盛んな鹿児島県であります。この奨励金が現場にどれだけの動揺を与えているか、お分かりいただけると思いますが、この政策の評価をお聞きしたいと思います。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

野村国務大臣 お答えを申し上げます。

 今の御質問というのは、経産牛の早期リタイアの話ですよね。はい、分かりました。

 実は、私の鹿児島でも、大変、離農される人たちも出てまいりました。これはもう全国的だと思うんですが、今のこの状況を何とか乗り越えていかなきゃならないということで、生産者あるいはメーカー自ら、自分たちで五万円ずつ拠出して、こうした経産牛の早期リタイアをやっているということでありましたが、今回の補正予算で私どもも補正をさせていただきました。酪農経営改善緊急支援事業ということで、まだ決定をいただいておりませんので数字は申し上げられませんが、この事業を取り組むということで、今回、予算計上して、皆さん方の御判断をいただこうとしております。

 いずれにしましても、生乳の需給が緩和している現状ではコスト上昇を適正に価格に反映することが困難なために、今申し上げました、需給ギャップを解消するために、今申し上げた一つは緊急対策事業をするということと、それから、乳製品、特に脱脂粉乳が在庫が積み上がっておりますので、これを長期保管をする、市場から隔離するということを考えて、この二本で、今の補正予算の中に組み込んでございます。

 こういうことで、需給を引き締めながら、できるだけ生産農家の皆さん方が、一番私どもが恐れるのは、廃棄が出てきたときにどうするか、これはないようにしなければいけませんので、今申し上げた二つの柱で何とか需給を緩和していきたい、こんなふうに思っているところでございます。

石川(香)委員 今、早期リタイアというのんきな言葉を使っておりましたが、需給ギャップの解消ということも、要は牛を手放す、処分するということなんですよね。現場にとっては、酪農家は命と向き合う仕事ですので、どれだけ負担なことか、それを想像していただきたいと思います。

 そして、私、これまで自民党が進めてきた方向性そのものが間違いだったということではないかと思うんです。安倍政権以来、農業現場を国内外の過度な競争にさらしてきた、そして、効率重視、とにかく増頭、増産、大規模一辺倒の政策を推し進めてきたということで、この政策の方向性に沿って自ら多額の投資をしてきた酪農家たちは、今回、減産ということになって、数十年単位の償還の見通しも立たないまま、完全にはしごを外されてしまいました。

 この十年たたないうちに真逆のことをさせるということは、これまで自民党が推し進めてきた大規模一辺倒の政策、この方向性が間違いだったという証明ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

野村国務大臣 お答え申し上げます。

 今、先ほどの、この十年で増産、増産をやってきたじゃないかというのは確かでございまして、平成二十六年でありましたが、バター不足が起こりました。日本の店頭からバターが消えたという事態が、覚えておられる方も多いと思うんですが、そういうことがありまして、これは母牛が不足してということになったものですから、増産を進めたわけであります。そして、増産を進めて、いろいろな事業も組み立てました。クラスター事業であるとか、そういったものでやってきたんですが。

 ただ、ここに来て、何でこうなったかというと、牛乳の消費が非常に落ちてきたということが一つございます。それから、バター不足の頃は、北海道だけはまあ何とか生産を維持していたんですが、都府県がどんどんどんどん減少してきまして、都府県にやはり活力を持たせないと、北海道だけに頼るわけにはいかないということでやってきたんですけれども、今になって、先ほども申し上げました、コロナによる牛乳の需要の減少、それから、円安の進行によります飼料価格の高騰、こういったことが重なりまして、先ほどおっしゃいましたように、農家の皆さん方、酪農家の皆さん方が大変厳しい状況に追い込まれている。

 ただ、先ほど私はリタイアの牛というのを申し上げました。これは、やはり、牛の中には成績の悪い、いわゆる生乳を出す量が少ないものがいたり、あるいは、種つけしても妊娠しない牛が出たり、そういうものがいるんです。そういうものはもう率先して早く出してください、肉に出してくださいという奨励措置でありますから、自分のところでずっと飼っている牛ですから、できるだけ農家の皆さん方は自分のところで飼いたいと思っておられるかもしれませんけれども、いわば生産性の低い牛について、そういう淘汰をしてくださいというお願いをしているところでございます。

石川(香)委員 生産性が低いということでありますが、酪農家にとっては家族同然の牛であります。

 立憲民主党は、大規模経営だけではなくて、家族経営も大切にするべきではないかということをずっと訴えてまいりました。これからは、規模や経営を大きくすることだけが価値ではなくて、やはり、現状維持であったり、規模を縮小してでも経営を継続するということこそが価値であり、これを政策にどう反映させていくか、評価していくかということが私は必要だと思っております。その意味で、戸別所得補償制度、今、必要性、求められていると思います。

 今、こんな状況ではありますが、国内酪農家には減産を強いる一方で、毎年毎年乳製品の輸入をしているという現状があります。

 カレントアクセスについてお伺いいたします。

 カレントアクセスとは、国内の消費量に対して輸入量が五%以上あるものを維持していきましょうというものでありまして、日本はニュージーランド、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカから、バターや、ヨーグルトやアイスクリームなどに使う脱脂粉乳を輸入しております。

 生乳は、これだけ日本で生産過剰になっていると言われながら、毎年毎年十三万七千トン、生乳に換算してでの数字ですけれども、輸入をしております。

 十三万七千トン、これは義務なんでしょうか。

野村国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今おっしゃいましたカレントアクセス十三万七千トンにつきまして、毎年、これは国家貿易ですから、国が輸入をいたしております。こんなに余っているのに何で輸入するんだと、多分そういうことをおっしゃりたかったんだろうと思うんですが、実はこれはお米にもありまして、ずっと長い議論をしております。米も同じような形で余っておるんですけれども、やはりこれは七万七千トン輸入をしておりました。

 それで、同じ理屈なんですけれども、WTOの協定によって、このカレントアクセスというのは、全量輸入をする義務があるということではありませんが、ただ、私どもは、日本は、平成六年のミニマムアクセス米に関わる政府の統一見解なるものを出しました。それは何かといいますと、法的性格に関する政府統一見解が示されたわけでありますが、これは国家貿易品目として国が輸入を行う立場にあることから、カレントアクセス機会を設定すれば、通常の場合には当該数量の輸入を行うべきものであるということが、これはお米でもそういうような法的な見解を出しまして、牛乳も同じであります。

 国が買うということを約束した以上は、これは義務ではありませんけれども、買わなければ、買うということでありまして、牛乳も全く、製品も、同じであります。

石川(香)委員 御丁寧に説明していただきましたが、要は、全量で輸入する義務はありません。WTO協定の中にも全量を輸入しなければならないと書いてありません。そして、これはあくまで機会の提供であると理解をしております。これはあくまで平時のルールでありますので、今、間違いなく平時ではありません。

 総理にお伺いをさせていただきたいんですけれども、やはり、こういう、国家貿易の話なんかもありましたが、それでも、国内がこれだけ生乳がだぶついていると言われ、そして、酪農家は牛乳を搾るなと言われ、牛を処分すると言われる中で、義務ではない全量を輸入し続ける。これは、やはり誰が聞いてもおかしいと思うんです。

 改めて、おかしいと思いませんか。

岸田内閣総理大臣 まず、御指摘のように、我が国は、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、WTO協定に基づき、一定数量の乳製品の輸入機会を提供する法的義務を負っている、このように承知しています。

 ただ、その運用においては、国内需給に極力悪影響を与えないよう、国家貿易により需給動向を踏まえながら脱脂粉乳やバターなどを輸入していると承知をしています。すなわち、脱脂粉乳とバター、この割合は具体的に変化することができる、調整することができる、こういった余地もあるんだということを承知しています。

 こういった制度の状況もしっかり活用しながら、農林水産省において適切に対応していくことが重要であると認識をしております。

石川(香)委員 国内需給に悪影響を及ぼさない程度とおっしゃっておりましたが、北海道だけでも今年度五万トン減産をするという目標があって、十三万七千トンというのがいかに大きな数字かということがお分かりいただけると思います。

 先ほどミニマムアクセス米の話もありました。要は、国が入札の機会をつくって、民間の業者などが入札するということでニーズがあるんだということなんですが、確かに国産よりも安く手に入って安定的に仕入れられればニーズはあるかもしれません。しかし、今は、円安で、国産と海外のもの、価格差がほとんどなくなっています。実際、十月は円安の影響を受けて、千トンの入札に対して六百トンしか応札されなかった。九月も不落になっています。やはり、わざわざ高いものを業者も買わないわけですよね。本当に、この制度、非常に疑問を感じております。

 そして、もう一つ御提案をしたいのが、こういったことがある中で、国内の生産者の努力だとか国内でどうこうするという次元の話ではないということも感じておりまして、日本人の胃袋で解決することも限界があるのではないかと思います。

 そこで、海外の食糧支援に活用できないのかということについて質問したいと思いますけれども、日本は、過去七度ほど、途上国に、脱脂粉乳を食糧支援で海外に送っております。そのうちの六回は無償の食糧支援でしたが、二〇〇六年は、今のように生産が過剰になったということをきっかけにして、ウズベキスタンの障害児施設に百トン脱脂粉乳を送るということをやっております。当時の総理大臣は小泉純一郎総理大臣、そして農林水産大臣は私の選挙区の大先輩であります中川昭一農林水産大臣でありました。前例がないということでありましたけれども、前例にとらわれない、勇気あるすばらしい政治決断だったと思います。

 私は、このことに関して、農林水産大臣の熱意と総理の決断力でこれは事が進むと思っておりますので、どうか御検討いただけないでしょうか。

野村国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 今、石川委員おっしゃいました二〇〇六年に、ウズベキスタンに栄養改善事業への支援として、当時、需給の緩和によって生乳廃棄が生じたことを契機として検討が開始され、その結果、支援が行われたものと承知いたしております。

 しかしながら、実際の支援につきましては、あくまでウズベキスタンの関係機関の要請に基づき行われたものと承知をいたしておりまして、現在、こういった食糧が非常に不足しているような国からの支援の要請が日本には来ておりません。あくまでも、こちらから出すということじゃなくて、要請が来たときにはそれはきちっと検討しますよということでございますので、現在のところはそういう要請は来ていない。

 それから、ちょっと訂正をさせてください。

 先ほど、私は、お米の七十七万トンを、七万七千トンと言ったそうでございまして、チェックが入りました。七十七万トンでございます。それともう一つは、さっきの酪農経営改善緊急支援事業が、需給を緩和と言いましたけれども、これは需給を改善ということで、改めさせていただきたいと思います。

石川(香)委員 ミニマムアクセスは先ほど聞いておりませんでしたので。

 時間もなくなりましたけれども、いろいろお話がございました。とにかくニーズがないとできないと。二〇〇六年のときも、直前までこういう議論がありまして、議事録を見ると、確かに相手からニーズがないとできないという答弁に終始されていましたが、その一か月後にこの食糧支援を決めているんですよ。やはり、農水大臣の熱意と総理大臣の決断力で突破できると私は思っております。是非、現地からの要望も強い話ですので、検討していただきたいと思います。

 そしてもう一つ、お砂糖についてお伺いをいたします。

 砂糖の原料になる、北海道で作られるビート、てん菜と、九州や沖縄で作られるサトウキビ、ありますけれども、日本人のお砂糖の消費が年々減っております。しかし、これら、資源が少ない日本で作れる貴重なエネルギー源ということで、国が特別に作物を認めてきまして、生産に応じて交付金を支払ってきた。しかし、てん菜に今まで六十四万トンまで支払われていた交付金が、これを五十五万トンまで減らすということになり、つまり、交付金を出す上限が減るということは、作付が減るということになります。

 岸田総理にお伺いしたいんですが、岸田総理も、食料自給率を上げよう、食料安全保障が大事だということを何度もおっしゃっておりますが、この交付金の上限引下げは、明確に減らすという話であります。食料自給率を引き下げる政策を国が自ら先導するということは矛盾していませんか。

岸田内閣総理大臣 総合経済対策において、てん菜からの、需要に生産が追いついていない大豆やバレイショなどへの転換を推進していく、このようにしております。これは、北海道の畑作を将来にわたって持続可能なものとし、食料安全保障の確保につながる、こうしたものであると考えて、こうした対策を用意しております。こういった趣旨をしっかりと貫徹するように取組を進めていきたいと考えます。

石川(香)委員 何かに変えればいいということではなくて、国内の砂糖の自給率、今三六%ですが、この九万トン減らすことによって三二%になる。日本人の消費が減っているからという理由で作物を作るのを減らすと、みんな作物が減ることになってしまいます。

 最後に、もう一問お伺いします。

 一次産業とセットで考えなきゃいけないのが物流です。トラック業界の二〇二四年問題、非常に現場で懸念をされております。

 私は、雪が降る地域での除雪であったり、それから、収穫した作物を運ぶ、農業の繁忙期といったものがありますので、働くピークというものはそれぞれの業種や地域によって違うのではないかと思います。もちろん、過労死になるほどの働き方は是正しなければなりませんけれども、全国一律ルールではなくて、業種や地域によっての配慮、特別ルールというものが必要ではないかと思いますが、総理、御答弁をお願いいたします。

岸田内閣総理大臣 御指摘の問題については、まず物流の維持、これは大変重要な課題であります。しかし一方で、ドライバーの方々の健康と安全、これを守るというのも重要な課題であります。要は、この二つの重要な課題、どのようにバランスさせるかという問題であると認識をしております。

 このため、平成三十年に成立した働き方改革関連法において、自動車の運転業務の時間外労働の上限規制について、現場の実態も踏まえて、一般労働者の年七百二十時間と異なる年九百六十時間とした、また、取引慣行の問題等を踏まえて、施行から五年後の令和六年四月から適用する、こうした措置も行った、こうしたことでありました。

 先ほど言いましたバランスをしっかり取っていくという目的のために、円滑な施行を行っていかなければならない。そのために、荷主と運送業者に向けたガイドラインを作成し周知するなど、取組を今進めているところです。

 是非、この二つの観点、どっちが優先するべきだという議論ではありません。現実をしっかり見据えてバランスを考えていかなければいけない。政府としましても、円滑な施行に向けて努力をしていきたいと思います。現場の実態も踏まえつつ、トラックドライバーの方々の長時間労働の改善、これに取り組んでまいりたいと考えます。

石川(香)委員 物流の問題も含めて、本気度が伝わる食料安全保障制度の確立、強く求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 この際、本庄知史君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史と申します。

 千葉県の柏、我孫子の選出です。岸田総理とは今日初めて議論をさせていただきますが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 今日は、二次補正予算、特に予備費と基金を中心に議論をさせていただいて、後半で保険証の廃止についてお伺いをしたいと思います。

 今回の補正予算は、二十九兆円という明らかに過大な経済対策です。規模だけではなくて中身も問題で、見せ金、つかみ金、借りた金でできた、いわばメタボ予算だというふうに私は思います。先ほど泉代表が質疑もしておりますので、それも踏まえてお伺いをしていきたいと思います。

 まず初めに、今回の補正予算が二十九兆円という規模になった件について、先ほど泉代表からその経緯について質問がありました。残念ながら、岸田総理、お答えがありませんでした。これまでの国会でも、政策の決定に至る調整過程について逐一コメントすることは控えるというふうに御答弁をされています。

 ただ、私は、この政策決定の重要な問題については、答弁を控えるということは認められないというふうに思います。公文書管理法において、閣議の決定、その経緯については文書の作成が義務づけられています。

 四兆円の増額も含めて、総理官邸や財務省で補正予算について協議、検討した際の記録、そして、今回の補正予算が最終的に二十九兆となった、その経緯が分かる文書を本委員会にお示しをいただきたいというふうに思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 経緯については、先ほど申し上げたように、与党において様々な議論の積み重ねの結果、御指摘の予算規模になった、こういった経緯を先ほど説明させていただきました。

 これは、大きな需給ギャップがある中にある程度の大きな規模の予算を投入することは必要であるという認識の下に、内容も規模もということを最初から申し上げている中で議論を進め、その規模をまずある程度念頭に置きながら中身をしっかり積み上げてきた、なおかつ、来年に向けての世界経済の下振れリスクにも備える、その分もしっかり用意した上で全体の規模が決まった、こういったことを申し上げた次第です。

 そして、委員の御質問について、決定過程の文書を示せということでありますが、補正予算の決定過程の公文書の管理については、これは基本的に財務大臣の所管でありますので、財務大臣の方からお答えをさせていただきたいと思います。

鈴木国務大臣 財務省におきましても、公文書管理法に基づき適切に文書管理を行っておりますが、誰に、どのような時期に、どのような内容を相談したかといった検討過程が明らかになることによりまして、今後の経済対策等における率直な意見交換、意思決定等に影響を与えることが考えられます。

 そのため、経済対策の決定に至るまでの調整過程については、その具体的な内容を逐一お答えすることは、情報公開法令の観点から慎重な判断が必要であり、差し控えさせていただきます。

本庄委員 個々、個人の意見まで教えてくださいとは申しておりません。与党プロセスも公開の対象外でしょう。

 しかし、その与党プロセスを受けて、政府の中で、官邸の中で、財務省の中で様々議論がなされたでありましょう。この公的な場での議論が対外的に明らかにできないということであれば、これは公文書の意味が一切なくなってしまいます。

 今回の一件は、四兆円もの巨大な税金、しかも借金が、もしかしたら極めて短期間の間に突然積み増しをされたかもしれないという非常に重要な問題だと私は思います。是非、政府内、官邸や財務省内も含めた政府内におけるこの議論の記録について、しっかりと委員会に提出をしていただきたいと思いますので、委員長、理事会の方でお取り計らいをお願いいたします。

根本委員長 理事会で協議します。

本庄委員 それでは次に、予備費の問題について質問させていただきたいと思います。

 パネルを作りました。手元に、三ということで、資料もお配りをしております。

 今回の予備費、四・七兆円補正ということですが、私は、これは見せ金以外の何物でもないというふうに思います。

 コロナ、原油、物価対策予備費ということで、当初予算五兆、それを使って減ってくるのを埋めるという趣旨で、一次補正で一・一兆積み増し、そして更に減ってきたので、今回三・七兆積み増しをして五兆にまた戻そうということ。加えて、ウクライナ対応予備費ということで更にもう一兆、合わせて六兆に戻すというのが、今回の二次補正でやろうとしていることだというふうに私は理解をしております。

 先ほど泉代表からも、このコロナ、原油、物価対策予備費と新しいウクライナ対応予備費、何が違うんだという質問がありましたけれども、私の聞いた限り、明確なお答えがなかったと思います。

 そこで、まず基本的なことをお伺いしたいのですが、二月にウクライナ戦争が始まってもう十か月ですね。なぜこのタイミングでウクライナの予備費ということになったのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 コロナ、物価予備費については、昨年来の様々な経済の動きに対してしっかり備えなければならない。少なくとも、今年の年度当初と比べましても、今、物価が更に高騰している、円安は更に進行している、状況はより厳しくなっているという認識の下に、少なくとも年度当初とほぼ同額の五兆円程度を確保する必要があるのではないか、このように考えて御指摘のような予備費を積んだということであります。

 そして、それと、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費、これがどう違うのかということですが、これは、まさにウクライナ情勢は続いています。その中で、来年に向けて、世界の経済、特に来年の前半、大変不透明な状況が言われている、この下振れリスクにこれから備えなければいけないということで、新たに用意をした。

 そして、その際のめどとして、かつて、平成二十一年、リーマン・ショックに対する対応、まさに世界的な経済の下振れに対して対応したときの経験に基づいて、今回も一兆円の予備費が必要とされる、そういった判断で、こちらの方にも一兆円を用意した。

 こうした考えに基づいて予備費の計上を考えた、こういった次第であります。

本庄委員 二つお伺いしたいと思います。

 今回、このコロナ、原油、物価対策予備費五兆円、これは元々はコロナ対策予備費でした。一次補正の際に、ウクライナの問題が起きて、それに伴う物価高や燃油高に対応するために、ウクライナ問題にも対応できるようにということで、原油、物価高対策ということで使途が広がったわけです。

 その意味においては、もはやウクライナ危機に対する経済予備費というのは用意がされているということじゃないんでしょうか。それ以外にウクライナの経済危機というのは、一体どういうことを一兆円もお考えになっているんでしょうか。まさか武器や弾薬や、あるいは復興支援をするというような趣旨ではないだろうとは思いますけれども、端的にお答えください。

岸田内閣総理大臣 御指摘のように、コロナ、物価予備費については、以前からあった予備費を更に名称変更して維持した、こういったものであります。

 そして、ウクライナ情勢は確かに続いていますが、ウクライナ情勢によって、当初は、エネルギー、食料を中心に、世界的な物価高、これが大きな問題になってきました。しかし、その後、世界の経済は、世界的なインフレ懸念の中で、特に欧州においては一〇%近いインフレが指摘をされ、世界経済が今下振れリスクにさらされている、こういった状況が新たに加わってきたわけであります。

 ウクライナ情勢を受けてこうした世界的なインフレが懸念されている、こういった事態にも備えなければならない、こういった観点から、こうした新たな予備費、過去のリーマン・ショックでの経験も踏まえてこの予備費を用意した、こうした次第であります。

 是非、この辺の違いについても引き続き説明をしていきたいと思います。

本庄委員 総理、答弁はなるべく簡潔にお願いします。

 そうだそうだという声が聞こえてきましたけれども、では何でもっと早く国会を開かなかったんですか。何でもっと早く補正予算を出さなかったんですか。十月三日に国会が開いてから補正予算が出てきたのが、何日かかりましたか。全く、言っていることがむちゃくちゃですね。

 もう一つ伺います。

 ウクライナ対応予備費一兆円の根拠について、岸田総理、今御説明がありました。リーマン・ショックのときの一兆円、平成二十一年ですね。ただ、このときは、一つ、まずリーマン・ショックという未曽有の経済危機のさなかですね。そしてもう一つ、予備費はほかに、一般予備費三千五百億しかなかったんですね。そこに一兆円を用意した。合わせても、一年間で一兆三千五百億円の予備費なんですね。

 総理、今回、新規の一兆を合わせたら六兆ですよ。しかも、残りは四か月です。一年前に、当初に一年分として用意したのは五兆。この是非はあるとしても、一年分です。今回用意するのは四か月分ですよ。どうして六兆も要るんですか、三分の一や二分の一になるのなら分かりますけれども。どうぞお答えください。

岸田内閣総理大臣 要は危機感の問題だと思っています。コロナ対応、この一つ取っても、歴史を画するような課題に我々は挑戦しています。

 ウクライナ情勢、国際的な秩序を揺るがすような事態によって、まずは世界的な物価高騰が起こった。そして、それに続いて、世界的なインフレ懸念が指摘をされて、経済の世界的な下振れリスクが今指摘をされている。特に、これから冬を迎えて、ウクライナ情勢を始め、ヨーロッパのエネルギー事情、大変深刻な状況にある。この冬をどう乗り越えるか、こうした大きな議論が行われています。

 こうしたこれから先の経済を考えても、今申し上げたような予備費を用意して、国民生活を守るべく、しっかり政府として備えをしておかなければいけない、こういった強い危機感に基づいて、政府としてこうした予算をお願いしている、こうした次第であります。

本庄委員 予備費の六兆以外に、本体の二十九兆の補正予算もあるわけですね。危機感は分かりますけれども、余りに過大じゃないですか。しかも、その原資は二十三兆の国債発行でしょう、税収で賄っているならともかく。私は、危機感と称して、ただお金を積み上げて、大きな補正予算を組んでいるから安心してくださいというふうにおっしゃっているようにしか聞こえないんですね。大変残念な御答弁だというふうに思いました。

 答弁が長いので、済みません、基金の話に移らせていただきたいんですが。

 では、端的にお願いします。

岸田内閣総理大臣 予備費については、今申し上げたとおりであります。

 しかし、そもそも、先ほど来繰り返しておりますように、経済認識として、大きな需給ギャップが存在する、それに向けて大きな財政出動を投入することは大変意味がある、だから、内容も規模もと申し上げながら予算編成について考えてきた、こうしたことであります。

 その上で、内容を積み上げ、さらに、先ほど申し上げました下振れリスクにも対応する、結果としてこうした規模になったということを申し上げさせていただいております。

本庄委員 残り四か月で、危機感で六兆予備費を用意されるということであれば、来年の当初予算の一年分はよほど大きな予備費を積まれるんですね。是非、またその審議をさせていただきたいというふうに思います。一年分ですからね、当初予算は。

 さて、基金ですが、先ほど泉代表の質疑の中で、年度内に支出が可能なのかという問いがあり、岸田総理からは、複数年度にわたる事務で、弾力的な支出が必要なものなんだという趣旨の御答弁がありましたが、代表の質問にはお答えにならなかったと思うんですね。つまり、基金の複数年度という問題と補正予算の緊要な支出、そして、この年度内に支出がスタートできるのかどうか、それができないのであれば来年の本予算でいいんじゃないのかという問いに対してお答えになりませんでした。

 この点について、もう一度御答弁をお願いします。

岸田内閣総理大臣 基金については、先ほども申し上げましたが、要は、複数年度にわたる事業である、あるいは各年度の所要額をあらかじめ見込むことが難しいもの、さらには弾力な支出が求められるもの、これを基金として予算に組み込ませていただいておりますので、その中で、今年度、いつ、幾ら使うのかということは確定的に申し上げることは難しいというふうにお答えしているところであります。

 こうした基金につきまして、適正に運用していくということにつきましては先ほど答弁させていただいたとおりでありますし、この基金の中身も、半導体であったり、あるいは経済安全保障であったり、今の時点で必要だという認識の下に補正予算に組み込ませていただいています。

 本予算ももちろん重要でありますが、今現在緊急に求められる経済対策として必要なものを基金等に盛り込んで、補正予算案として審議をお願いしている、こういった次第であります。

本庄委員 総理、聞いてもいないことまで答えないでいただきたいんですが。

 パネルの方を少し簡単に御説明したいと思いますが、五十の基金で八・九兆円積まれているということで、今回は、経済産業省の十九基金、何と七兆円。八・九兆のうち七兆ですね、うち三兆はガソリン対策ということですけれども。

 例えば、概算要求をしていなかったものが五つありますけれども、こういったものも、バイオ、ディープテック・スタート、中長期に取り組むような研究開発とか新規創業支援とか、こういったものに突如三千億、あるいは一千億ついている。さらには、年度末に基金の残高が見込まれていた三、四、五、ポスト5G、先端半導体、あるいは国内投資、こういったものについても、今回の補正では予算がついております。

 それで、今総理おっしゃいました半導体、六ですね、安定供給確保支援基金、これは先般の経済安全保障推進法に基づいて今回の補正で措置されようとしているものですが、物資の指定は十二月の下旬、そして募集は三月以降だというのが今のスケジュールですよ。そうしますと、重要物資の支援に係る支出というのは年度を越すんじゃないですか。緊急という趣旨には、今総理もおっしゃった、合致していないんじゃないでしょうか。そうであれば、どうして来年度の本予算で計上しないのか、お答えください。

岸田内閣総理大臣 基金を今回の補正予算で積んだ意味、これは、まさにこれから複数年度にまたがってしっかり対応しなければいけない、そして、できるだけ早く取り組むことが重要である、こういった判断に基づいて基金を用意したということであります。

 お手元にあります様々な基金のリスト、半導体にしましてもリスキリングにしましてもバイオにしましても、グリーンイノベーションを始め様々な取組、これからまさに重要な基金であると認識をしております。

 詳細については、高市大臣に委ねます。

根本委員長 国務大臣高市早苗君。(発言する者あり)

 では、今の話からいくと、経済産業大臣西村康稔君。

西村(康)国務大臣 今も岸田総理から御答弁ありましたけれども、まさに中長期的な成長をしていく、イノベーションが大事。半導体始め様々な重要物資について、国際競争が厳しい中で、今からスタートを切らなきゃいけないということで、基金をつくり、複数年度にわたって支援をしていくということで、できるだけ早く手続を取っていきたいというふうに考えております。

本庄委員 それでは、パネルではありませんが、お手元に配付した四の二という資料を御覧いただきたいんですが、これは去年の同じく十二月の補正で経済産業省が計上した基金です。十一事業十基金ありまして、全体五兆円のうち一・九兆、二兆円近く去年の補正でも経済産業省は基金を積みました。トータルの補正予算の規模は三十六兆でしたね。

 この基金のうち六基金は、結局、年度内に支出なしですね、ゼロが六つ。この中には、今経済産業大臣おっしゃった半導体基金も入っていますよ。一年間寝かせていたんじゃないですか。それでまた新年度で更に積んでください、急いでいますですか。どこが緊急なんですか。全く説明になっていません。

 結局、一・九兆円のうち年度内に支出がスタートできたのは千二百億、パーセンテージでいうと六・二%ですよ、六・二%。これは、補正予算の緊要性、緊急に必要であるという条件は全くぼろぼろですね。こういうのをつかみ金というんじゃないですかね。それでまた今年度予算で一兆近くの予算を半導体で要求している。全く私、これは理解ができません。

 総理、総理もさっき必要だと答弁されましたけれども、去年の状況を見ても、まだ何ら問題ないというふうにおっしゃいますか。

岸田内閣総理大臣 考えは全く変わっておりません。

 基金というのは、複数年度にまたがって取り組んでいかなければならない、早くスタートさせなければいけない。しかし、スタートしても使っていないのではないかという指摘でありますが、こうした基金をつくり、政府としての方向性をしっかり示すことによって、民間企業の様々な取組を促していく、こうした効果が十分考えられます。

 よって、基金はそもそも複数年度にわたって支出を考えていくものでありますし、初年度で実際に発動されないとしたとしても、大きな方向性を示すという意味で大変意味がありますし、そして、これからなおさら重要な課題であるという認識の下にしっかりと資金を出していく、こういった取組が求められていると考えております。

本庄委員 一国の総理に同じことを何度も言いたくないんですが、基金として適切かどうかという問題と、補正予算として適切かどうかという二つの論点があるわけです。私は、基金として必要がないとまでは申しておりません。補正予算で、このどたばたの中でこれだけの巨額の基金を積むことに問題があるんじゃないですかと申し上げております。

 実際に、来年度の概算要求に積まれていたもの、あるいは、予算の数字も出せずに事項要求にとどまっていたもの、そういったものがどんどんこの補正の中に入っているじゃないですか。これをつかみ金と私たちは言っているんですけれども、総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 基金に取り上げている課題は、これからまさに我が国の成長戦略を考えた場合に重要な課題、これをしっかりとピックアップしております。

 半導体、グリーン、あるいは5Gであったり様々な課題、まさにこれから日本の経済を本格的に成長させるために重要である、その方向性を示すという意味で、基金という手法で一日も早く政府として示す、こういった考え方は重要であると考えて、こうした基金のメニューを用意した、こうした次第であります。

本庄委員 昨年の経済産業省の基金、例えば半導体、六千百七十億積みました、支出ゼロです。国内投資、蓄電池やワクチン、三千二百七十四億、支出ゼロです。経済安保、これも経産と文科共管ですけれども、二千五百億、支出ゼロです。

 どこが緊急に必要な予算で、どこが国としての方向性を示しているんですか。器を用意して、税金をぶち込んでいるだけじゃないですか。

西村(康)国務大臣 お答えします。

 昨年、六千百七十億、御指摘のように積んだからこそ、日本政府がしっかり支援するということを確認されて、TSMCを始め、マイクロンなりキオクシアなりウエスタンデジタルなり、巨額の投資をしてくれて、各地域で半導体の投資が行われて、これは全部、ほとんどもうこれで、六千百七十億ほとんど使い切りますので……

根本委員長 経産大臣、簡潔にお願いします。

西村(康)国務大臣 しっかりと支援をして、将来につなげていきたいというふうに考えております。

本庄委員 だから、今年の本予算で間に合ったんじゃないですか、十二月に慌てて補正で積む必要があったんですかと伺っているんですよね。それに対するお答えは今日一切ないですね。補正がなじんでいるかどうかということを、この補正予算の議論の中でお伺いをしております。

 日本も財政は大変厳しい状況で、予備費も基金も、私は本来は補正予算にはなじまないというふうに思います。なぜなら、緊急に必要な予算、これが補正予算だとすれば、長期にわたって政策を展開するための原資である基金、あるいは将来のリスクに備える予備費というのは、本来、本予算、当初で積むものだと思います。急ぎ、目の前にある具体的な課題に対応するために予算措置をするというのが補正予算の本来の趣旨だというふうに思います。

 今回の補正予算も、そして去年もそうですが、そこから大きく逸脱をした巨額の補正予算になってしまっているということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 最後に、ちょっと時間がなくなりました。保険証の話をさせていただきたいと思います。

 今回の保険証の廃止の経緯ですけれども、六月の骨太方針、ここでは原則廃止ということになっておりました。そして、加入者から申請があれば保険証は交付されるということで、希望すれば引き続き紙の保険証も保障できる。これは当時の厚生労働大臣の後藤大臣も国会でしっかり答弁されているんですね、紙の保険証を保障しますと。

 そのときから、もう四か月ぐらいですかね、河野大臣が記者会見で、廃止をする、そして、先般の経済対策からは例外も含めて消えたということなんですが、この骨太方針から河野大臣の記者発表に至るまで、どこでどういう議論があって、どのように完全廃止ということが、政府として方向性が決められたんでしょうか。お答えください。

河野国務大臣 マイナンバーカードと保険証を一体化するメリットは様々ございますので、関係閣僚の間の協議を経て、このメリットを早期に発現するために、二〇二四年秋に保険証を廃止しようということといたしました。十月十三日にこの方針を関係閣僚と確認をした上で発表いたしました。

 加えて、十月二十八日に閣議決定されました総合経済対策において、健康保険証との一体化を加速し、令和六年秋に健康保険証の廃止を目指すための環境整備等の取組を行うということを明記した次第でございます。

本庄委員 時間がないので終わりますが、マイナ保険証、一体化にメリットがあるという話と紙の保険証を廃止するという話は全く次元の異なる話で、メリットを希望する人はマイナ保険証を希望すればいいわけで、そうじゃない人までマイナ保険証を事実上義務づけていくような今の進め方、これについては私は大いに問題があるというふうに思っています。引き続き議論を続けていきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

根本委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。泉君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 まず、物価高騰対策としてのこの補正予算、少し聞いていきたいと思います。

 この補正予算、物価が上がったことで、いろいろな生活の局面あるいはお仕事の局面に反映させなきゃいけないんですが、例えば、自衛隊でもガソリンを使いますよね。これは一回私も聞きましたけれども、今年度予算、通常予算を作ったときでは、ガソリン一リットル百四十円前提で自衛隊はやっているんですね。そんなのじゃやっていられないので、この分厚い補正予算の中にプラスアルファで予算が措置されています。こういうのは必要ですよね。

 でも、そういうのは、自衛隊だけじゃなくていっぱいあるはずなんですよ。例えば、介護事業者を考えてみてください。訪問介護の方なんかは自動車を運転するわけですから、ガソリン代が上がるときついですよね。だけれども、じゃ、介護報酬は上がりますかって、上がらないですよね。あるいは、施設介護の方だって、暖房したりするのに電気代とかガス代が余計にかかるようになっていますよね。

 こういったものはこの補正予算の中でどうやって支援しているんですか。

岸田内閣総理大臣 ガソリンすなわち燃油高騰対策ということだと思いますが、この燃油高騰対策については引き続き延長するとともに、状況を見ながらその先について考えていく、こうした考え方を総合経済対策の中に盛り込んでおります。それを裏づける補正予算の審議をお願いさせていただいています。

後藤(祐)委員 本当にそれしかないんですか。ほかの大臣で、介護事業者がコストが上がる、それを支援するための予算はないんですか。どの大臣もお答えできないんですか。ガソリンを補助するあれしかないんですか。本当ですか。

加藤国務大臣 現在、もう既に地方に出させていただいている原油高騰の臨時交付金、これを、今おっしゃった福祉施設だけではなくて、医療機関含めて、それぞれの地域の実情に応じて使っていただく、そして、具体的に使うメニューの中においても明確にそれを出させていただき、加えて、私どもの方からも各都道府県に、こうした枠組みがあるので是非活用していただきたいということでお願いをし、今既にかなりの地方自治体においてそうした対応を取っていただいているものと承知をしています。

後藤(祐)委員 総理、駄目ですよ、先走って勝手に間違ったことを言っちゃ。私は、どの大臣が答えても、総理と別に限定しなかったんですよ。大臣が、ちゃんと各大臣は分かっていらっしゃるか、これは内閣府なのか厚労省なのか、微妙ですよね。本当は財務大臣が答えなきゃいけないかもしれない。

 正確に言うと、九月に予備費で創設された、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金なるものが予備費で勝手につくられたんですよ。それで、推奨メニューとして、介護事業者に対して、自治体がこれを活用した場合には、その自治体の中の介護事業者に対して支援をすることができる、こういうメニューがあるんです。合っていますよね。そのことをさっき厚労大臣は言ったんだと思いますが。駄目ですよ、先走って言っちゃ。いや、もう、さっきので大体正しいのでいいんですよ。

 じゃ、保育所に対してはどうなっていますか。総理でなくてもいいですよ。保育所に対してどうなっていますか。どなたでも、分かる方、誰でもいいです。

 保育所に対して、コストが上がっていますよ、電気代とかガス代だって上がると大変ですよ。だけれども、保育料はそんなに上がるわけじゃないから、これに対しての支援はどうなっていますか。分かる大臣、どなたでも結構です。

加藤国務大臣 今、先ほど説明させていただいたスキームの中で対応が可能だということであります。

後藤(祐)委員 そのとおりなんです。何で、厚労大臣、手を挙げないんですか、それなら。

 総理、ここから総理に聞きますよ。総理に別に最初に挙げてくれなんて言っていないんですよ、これは具体的な予算の話だから。

 ただ、これは、自治体が手を挙げた場合には使えますよという交付金なんですけれども、日本中ほとんどの自治体に介護事業者とか保育所、あるじゃないですか。だけれども、これは九月にできたばかりの交付金で、手を挙げていないところがいっぱいあると思うんですよ。不公平じゃないですか。これでいいと思いますか。ほとんどの保育所だとか介護事業者がそのコストアップ分が支援されるような仕組みにすべきじゃないですか、総理。

岸田内閣総理大臣 御質問の趣旨が、ガソリン代から入ったので、ちょっと、的確に趣旨を把握していなかったかもしれませんが、今、厚労大臣から申し上げた交付金、これはあります。これは地域の実情に応じて的確に運用してもらわなければなりませんが、そもそも、そうした業者については、ガソリンだけではなくして、電気もガスも、様々な経費が必要とされます。それを対策全体の中で様々な支援を行って、それを全部合わせてそれぞれの業務を頑張ってもらうということであります。

 御指摘の交付金についても適切な運用が求められますが、それ以外、様々な政策を重層的に用意している、このことによっていろいろな業種の方々がそれぞれのなりわいとか業務を支えていく、こうしたことにつなげていただけるよう、経済対策をしっかりと実行していきたいと思っています。

後藤(祐)委員 取り繕うのはいいんだけれども、手を挙げていない自治体のところの介護事業者とか保育所はかわいそうじゃないですか。ほとんどのところがちゃんと手当てされるような仕組みにすべきじゃないですか。それこそ補正予算で直せばいいじゃないですか。何でそうしていないんですか。そうすべきじゃないですか、総理。

後藤国務大臣 今御指摘のありました地方向けの交付金につきましては、これは、地方公共団体の方で対応していただければ、この交付金は使えるというものでございます。

 それから、物価高から生活を守る直接の支援策がないという御指摘については、これまで、三月、四月、七月、九月と一連の対策を講じてまいりまして、様々な家計への支援策を重層的に講じております。

 例えば、具体的には、本年六月から、低所得の子育て世帯に対して五万円とか、住民税非課税世帯に五万円の給付だとか……

根本委員長 後藤大臣、簡潔にお願いします。

後藤国務大臣 はい。

 子供食堂、NPOの支援などいろいろなことをやっておりますので、そうしたことも含めて、そして、実際の予算の執行は、そういう、九月の対応ということであれば、実際の執行はこれからということになると思います。

後藤(祐)委員 子供食堂のことは聞いていないですよ。保育事業者と介護事業者が大変じゃないんですかと聞いているんですよ。

 じゃ、その交付金、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金、この中で充実させているんですか。あるいは、手を挙げたところだけじゃなくて、すごくお使いやすいような仕組みとか、そうなっているんですか。

後藤国務大臣 先ほどお答えさせていただいたつもりだったのでありますけれども、今回新たにそうしたことについての手当てはいたしておりませんけれども、ちょうどこれから、その交付金等については、各地方公共団体で事業を起こしていただくと、これから執行されることになると思います。

後藤(祐)委員 要するに、手を挙げない自治体の介護事業者、保育事業者は何ともしようがないと。こんな分厚い、二十九兆円の補正予算で、こんな基本的な、大事なところがほったらかしじゃないですか。本当に、もうちょっとしっかりしてくださいよ。

 秋葉大臣に行きたいと思いますが、秋葉大臣、よろしいですか。

 昨日、昨年の収支報告書が発表になりまして、その中で、昨年の七月、旧統一教会の友好団体と同一住所に事務所を置く世界平和連合宮城県連合会に対して、秋葉大臣が代表を務める自由民主党宮城県第二選挙区支部から二万四千円を支出していたことが明らかになりましたが、これは事実ですか。

秋葉国務大臣 お答えをいたします。

 今朝、取材依頼が来たところですので、今、事務所で事実関係を確認をさせていただいているところでございます。

 統一教会の関連団体と認識して新聞購読などを行ったことはございません。

 いずれにいたしましても、今後、統一教会との一切の関係を持つことはございません。

後藤(祐)委員 収支報告書上明らかになったというんです。収支報告書を見ていないんですか。収支報告書に書いてある、ここにありますよ。一瞬で分かりますよ。だって、秋葉大臣が代表の総支部、自民党の総支部が出した収支報告書で、二万四千円、令和三年七月二十日、世界平和連合宮城県連合会と書いてありますよ。これは確認すればすぐできるじゃないですか。これは間違いないですね。

秋葉国務大臣 予算委員会が始まってからそういう質問があって、それから確認作業があってということで、まだ私自身はその原本を拝見しておりません。

後藤(祐)委員 原本を確認しているかどうかはともかく、これは事実ですか、払ったことは。だって、大臣と奥様でこれを作っているというじゃないですか、実は。だから、大臣、知っていますでしょう。本当に知らないんですか。

秋葉国務大臣 今日は、御案内のとおり、朝から予算委員会でございましたので、全く見ているいとまがございませんでした。

後藤(祐)委員 つまり、この二万四千円を払ったことは覚えていないということですか。

秋葉国務大臣 党の調査があったときにスタッフがしっかり調べさせていただいて、その結果、そういった資料の確認はできなかったというふうに当時は伺っておりました。

後藤(祐)委員 だって、これは公表されている収支報告書に二万四千円と書いてあるのに、何を調べているんですか、その方は。

 しかも、党の調査で、そういうのはないですか、会費支払いはないですかと調べたんですよね。それに対して、まず真っ先に調べるのは収支報告書じゃないんですか。うそをついていたということですよね。それは党の調査に対してうその報告をしていたということですか、大臣。

秋葉国務大臣 今、事務所でしっかり確認作業をさせていただいているところでございます。

後藤(祐)委員 私が言っているのは、自民党の調査に対して、自民党の調査は、旧統一教会及び関連団体に対する会費類の支出という項目があって、これにひっかかっちゃった人がいっぱいいるわけですよ。だけれども、秋葉さんの名前はないんですよ。隠蔽してやり過ごそうとしたんじゃないんですか。そのときに調べているはずじゃないですか。収支報告書なんて真っ先に調べるところのはずじゃないですか。

 せめて領収書がありますでしょう。領収書、ありますか。

秋葉国務大臣 正確にお答えしたいことでございますので、しっかり確認をしてお答えをさせていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 では、確認してその領収書を来週月曜日朝のこの理事会に提出することを約束していただけますか、大臣。

秋葉国務大臣 理事会の御判断にお任せさせていただきます。

後藤(祐)委員 いや、理事会の判断じゃなくて、領収書があれば出せるじゃないですか。それを拒否するんですか。拒否というか、求められなきゃ出さないんですか。だって、収支報告書で明らかになっているんですよ。領収書があれば……(発言する者あり)何か余計なことを言うのはやめていただけますか。皆様方は答弁する立場じゃないんだから。

 求められない限りは出さないつもりですか。大臣はちゃんと説明責任を果たすようにと総理が言っているじゃないですか。大臣自身も説明責任を果たすと言ってきているじゃないですか。理事会が求めなければ領収書は出さないんですか、出しますか、どっちですか。

秋葉国務大臣 もちろん私自身は丁寧に、前向きに対応させていただきたいと思いますが、今の委員の質問に関することにつきましては、理事会の協議事項だと承知しておりますので、お任せしたいと思いますし、そこで出せとなれば出させていただきたいと思っております。

後藤(祐)委員 自民党の議員が理事会協議マターとか言うから混乱しちゃう。今何も、私、理事会で協議してください、まだ言っていないですよ。何で大臣が理事会協議マターを決めちゃうんですか。私、今、理事会で協議してください、言っていないですよ。皆さんも僭越だし、大臣も僭越ですよ。

 委員長、理事会で協議してください。

根本委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 これで理事会協議事項になるんですよ。大臣が決めちゃ駄目なんですよ。

 今年八月の大臣の就任会見のときに、関係団体に会費を支払ったり、選挙応援を受けたりしたということも一切ないと発言していますよね。これは間違いないですか。

秋葉国務大臣 私の知る限り一切なかったと思っておりますし、また、いろいろなスタッフから、秘書を含めたスタッフからの聞き取り調査でもなかったというふうに伺っていたところでございます。

後藤(祐)委員 発言自体はしていたということですね。これは議事録にも残っていますから、証拠があります。

 しかし、大臣就任会見で一切ないと断言する以上は、相当調べてから、そして、そのことは総理に対しても、大臣になる前に、いわゆる身体検査みたいなときに、統一教会、大丈夫かと、それは調べるでしょう。官邸だってたまらないですよ。そのとき、うそをついていたんじゃないんですか。

 総理、あんなずさんな調査で、だって、収支報告書を見れば載っている話ですよ。収支報告書を見れば載っている話を、よく調べていなかったとかいう言い訳で、私は会費は払っていないという報告がなされ、それで大臣にしちゃったわけですよ。大臣就任会見で、会費の支払いは一切ないと言い張って、このざまですよ。総理、御見解を。

岸田内閣総理大臣 秋葉大臣も、その就任に当たっての発言、御自身の確認の下に発言をされたものだと思いますし、そして、その後、様々な疑念が指摘をされているということでありますので、それに対しては丁寧に説明責任を果たしてもらわなければなりません。疑念を指摘されていることについて、引き続き、丁寧な、誠実な答弁を求めたいと思います。

後藤(祐)委員 じゃ、誠実な答弁をしてもらいましょう。

 それでは、会費については今のことでしたが、イベント出席、確認したいと思いますが、秋葉大臣は、先ほど出た自民党の旧統一教会との接触関係の調査について、関連団体の会合への出席、議員本人出席で挨拶ありというものについては名前が公表されました、たくさんの先生方が公表されたと思います、でも、この中に秋葉大臣の名前はありませんでしたので、この関連団体の会合に議員本人が出席して挨拶をしたということはなかったということでよろしいですね。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 私が記憶している限りにおいてはなかったと認識しております。

後藤(祐)委員 じゃ、具体的にお伺いしますが、昨年の衆議院選挙の前に宮城県多賀城市で行われた教団関係のイベントで挨拶したのではないですか。

秋葉国務大臣 私が認識している限りにおいてはなかったというふうに思っております。

後藤(祐)委員 認識している限りではって、そんなことを言われても、これは、一年ですよ、一年ちょっと前の、しかも、多賀城市は、多分、大臣の選挙区じゃないところだから、行ったら覚えていますでしょう。覚えていますよ。(発言する者あり)お隣の市だそうです。

 これは本当に覚えていないんですか、この多賀城市でのイベントに出席。出席していないんだったら、出席していないとはっきり言えますでしょう。出席したら、出席したと言えるでしょう。分からないってどういうことなんですか、一年前ですよ、大臣。

秋葉国務大臣 今申し上げましたとおり、記憶している限りにおいてはちょっと認識がないということでございます。

後藤(祐)委員 記憶にないというやつは、どこかで聞いたせりふになってきましたが、総理。

 記録が残っているでしょう。一年ちょっと前ですよ。予定表とか残っていますでしょう。

 週刊文春九月一日号でそのことを質問されて、参加した記録は見当たりませんと答えているそうなんですけれども、この一年ちょっと前の予定表に、参加した記録、残っていないんですか。

秋葉国務大臣 お答えをさせていただきます。

 何度も申し上げているとおりでございますが、御質問のイベントについては、参加した記憶はございませんし、事務所にも念のため確認をしましたが、記録もございません。

 いずれにしても、今後、旧統一教会と一切の関係を持つことはございません。

後藤(祐)委員 ということは、秋葉大臣の事務所は、山際大臣の事務所と同じように、一年たったら過去のこういう予定表の記録を全部削除するという、そんな運用でやっているということですか、一年ちょっと前のイベントの記録が残っていないということは。

秋葉国務大臣 事務所のそういった資料については、大事だと思われるものは一部残しているものももちろんあると思いますが、そうしたイベントの案内についてのような一時的なものは多分処分する形で運営しているのではないかと自分では思っております。

後藤(祐)委員 もう山際大臣とそっくりになってきましたね。

 もう一つ、統一教会の関係、行きたいと思いますが、旧統一教会の元仙台教会長であるIさんという方のことを御存じでしょうか。イから始まる方ですけれども、何回ぐらい会ったことがありますか。そして、携帯電話番号を御存じですか。

秋葉国務大臣 イニシャルでございましたので、どなたのことか、見当がつきません。

後藤(祐)委員 今年七月下旬、この元仙台の教会長のIさんが複数の宮城県議を集めたときに、秋葉さんから電話がかかってきて俺は関係ないよなと言われたと口にしたという情報がありますが、秋葉大臣はこの元仙台教会長のIさんにこういった電話をしたという記憶はございませんか。

秋葉国務大臣 何度も申し上げますが、Iさんということだけでは分かりませんし、それから、そのような電話をしたことはございません。

後藤(祐)委員 個人のお名前なので、じゃ、この後、お名前を別途お伝えしますので、よくお考えになって、月曜朝の理事会まで、その有無を全てお答えいただけますか、大臣。

秋葉国務大臣 そのような事実はないと思いますけれども、しっかり確かめさせていただきます。

後藤(祐)委員 理事会に報告いただけますか。

秋葉国務大臣 お求めがあれば、そのようにさせていただきます。

後藤(祐)委員 またこの繰り返しですか。お求めがないと説明しない、これが真摯な姿勢ですか。総理は説明責任を求めているんじゃないんですか。

 理事会で協議してください、委員長。

根本委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 先ほど大西議員がやった、選挙運動期間中に公設第一秘書、第二秘書が、報酬を支払っていた件ですけれども、実際、駅前でビラを配っていたんじゃないんですか。報酬を受けてビラを配ったら、これは運動員買収で一発アウトですからね。

 さっきと同じになっちゃうんですけれども、こういうものをパネルに立てようと思ったんですが、何か認めていただけないんです、理事会で与党が反対して。これも、撮影者の承諾を得て、その方のお名前もちゃんと書いてあって、二〇二一年十月二十五日二十時前、仙台市営地下鉄八乙女駅の駅頭で撮った写真なんですが、この方は大臣の公設第二秘書で今あられる方だと思うんですけれども、秋葉大臣本人のビラを持って配っている、これは事実ですかということを確認したかったんですが。

 大臣、これをお渡しさせていただいて、大臣に見せてお答えいただくという仕切りになって……。それを御覧になって、それが事実かどうかお答えください。

秋葉国務大臣 昨日、通告がございましたので、この秘書に確認したところ、記録もないことから定かではないけれども、ビラ配りはしたかもしれないということでございました。

 ただし、彼が車上運動員を務めたのは選挙期間十二日間のうち六日間でありますから、いわゆる車上運動員をしていない日に実施したものと思われます。

後藤(祐)委員 それは、選挙運動をやっちゃ駄目なんですから、車上運動員として報酬を受けた日には一切の選挙運動をしていないということでよろしいですね、大臣。

秋葉国務大臣 もちろんそのとおりでございます。

後藤(祐)委員 そうしましたら、車上運動員として、車上運動員というのは、街宣車とかで、ウグイスの女性の方がやる場合もあれば、男性の方はカラスと言ったりしますけれども、秋葉賢也をよろしくお願いしますとかやっている人のイメージですよね。それをやっている日に、ビラを配っちゃいけないのはもちろん、選挙運動を一切やっちゃいけないんです。

 ということは、この車上運動員として報酬をもらった日には、例えば、支援者の方に電話をかけて、あさって安倍総理が来るから是非人を集めてくださいよとか、そういう支援者に対する電話も一切していないということでよろしいですね。

秋葉国務大臣 今御指摘のとおり、車上運動員をしていた日には、いわゆる選挙運動用の自動車の周りでは今御指摘いただいたような行為は行われたとは思いますけれども、車上運動員をしていない日には選挙運動も行ったと承知しております。

後藤(祐)委員 ですから、車上運動員として報酬をもらった日には、電話で支援者の方にお願いしたりとかいったようなことはなかったということでいいですね。

秋葉国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

後藤(祐)委員 車上運動員をやっている日には、電話で支援者の方に今度来てくださいとかいろいろなことを言ったことはなかったと。電話がかかってきちゃったらどうするんですか、車上運動員をやっている日に。

秋葉国務大臣 私、当事者ではございませんので、それは分かりません、電話が来たかどうかは。来た本人ではないとお答えできないと思います。

後藤(祐)委員 だって、一切選挙運動はしていないと言っていたし、電話することはないと言っていましたから。電話というのは、することもあれば来ることもあるんですよ。しかも、選挙本番期間中に、イベントがある、誰をどこで、集めなきゃいけないといったら、その担当の秘書に対して、おい、何時だったっけとか、何人ぐらい集めりゃいいんだとか、逆に、その支援者の方から秘書に電話がかかってくることはいっぱいあるんじゃないんですか。それを、電話がかかってきたら、全部取らないんですか、公設第一秘書とか公設第二秘書が。

 大臣、本当に、先ほど大西さんが、車上運動員として報酬をもらっている日が何日あるかを特定して報告してくださいと言いました。その日にこの公設第一、第二秘書が、電話をしていないか、電話をもらっていないか、確認した上で、月曜日の朝、報告いただけますか、理事会に。

秋葉国務大臣 冒頭、委員がお示ししたI秘書につきましては、昨年、まさに選挙の年に入社したばかりでございますので、まだ後援会の皆さんとの人間関係も十分ではないことから、そうした電話は、あったかもしれませんけれども、かなり少なかったと思いますが、私は本人でないので分かりません。

後藤(祐)委員 いや、少なくても駄目でしょう。

 車上運動員として報酬をもらった日には、この公設第一、第二秘書は、支援者の方に電話をしていないし、電話も来ても切るしという形で、一切選挙運動していなかったということが本当に確認できるのか分かりませんが、確認した上で、報告いただけますか。それは、いろいろな方が、電話を受けていたら分かっちゃう話ですよ。それをお約束してください。

秋葉国務大臣 車上運動員の日は車上運動員に専念していたと伺っております。

 ですから、車上運動員をしていなかった日ですね、六日間あるわけです。選挙期間の十二日間のうち、六日間は車上運動員を一切しておりませんから、その車上運動員をしていない六日間には、そうした選挙運動も行ったのではないかと思われます。

後藤(祐)委員 だって、先ほど、西さんという公設第一秘書は、八日間、車上運動員としての報酬をもらっていたというじゃないですか。四日しかないじゃないですか、選挙運動できるのが。

 この八日間で、この公設第一の方は、その間一切、支援者から電話がかかってきても、電話を本当に取らなかったんですか。それをちゃんと確認して、報告してくださいと言っているんです、大臣。

秋葉国務大臣 しっかりと確認はさせていただきたいと思いますが、私に今聞かれても、当事者ではないので、お答えできません。

後藤(祐)委員 御報告するかどうか微妙なので、御報告がない場合には理事会で協議いただきたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 この二人の公設第一、第二秘書が車上運動員としての報酬をもらっている日に何をしていたか。これは、電話だけじゃなくて、いろいろなことがあるはずなんです。

 例えば、街宣車というのは、駅前とかに着いたら、そこでビラを配り始めるときとかもありますよね。そのときに、ウグイスさんとかは配っちゃいけないんですよ。配れる人が別途いて、その人が配るとか、それが普通、秘書だったりするんですよ。秘書だとか地方議員の方が……。何を教えていらっしゃるんですかね、あの方は何を知っているのかよく分かりませんが。そのために秘書は報酬をもらわないで街宣車に乗り込んだりすることは、これはありますよ。

 例えば、今の、街宣車に乗っているときに、どこか止まったときにビラを配ったりしていないかとか、あるいは、街宣車に乗って報酬を受け取った日に、朝早くはまだ街宣車が動いていないから、どこかの駅でビラを配っていないかとか、夜配っていないかとか、あるいは、夜に集会がありました、その集会に行って、この公設秘書のお二人の方が何らかの活動をしていれば、それは選挙運動ですよね。

 大臣、車上運動員としてこのお二人が報酬をもらっていた全ての日について、電話だけではなく、今言ったような街頭活動あるいは集会の様々なお仕事などを含めて、およそ選挙運動に該当し得るもの全て、どういったものをやっていたか、やっていないか、全部確認した上で、月曜日の朝の理事会に御報告いただけますか。

秋葉国務大臣 何度も申し上げますとおり、車上運動員の日は車上運動員をし、法律、公職選挙法で許される範囲内において、選挙運動用の自動車の周りでいろいろ活動することはあったと伺っております。車上運動員でない日に関しましては、公職選挙法の範囲の中での選挙運動を行ったものと思われております。

 いずれにいたしましても、しっかりと、調べられることについては調べて、丁寧に御報告をできるような形にさせていただきたいとは思っております。

後藤(祐)委員 もう一つ御報告をいただきたいことがあって、この選挙会計の中で、業者にポスティングをお願いしていたと。これは、本当は自民党の機関紙号外であれば確かに配れるんですね、業者ポスティングもできるんですが、これは本来、自民党の総支部の方の会計でなきゃいけなくて、秋葉大臣の御自身の選挙会計であるのはおかしいんですが、そこは訂正されるというふうに発表なされていますけれども、どんなビラを配っていたのか、その中に選挙に関することが書いてあったら駄目ですから、実際にポスティングしていたビラがこれですというものを御提出いただけますか、理事会に、大臣。

秋葉国務大臣 昨日、おとといですか、通告がございましたので捜しましたところ、残は、もう残っていなかったということのようでした。

後藤(祐)委員 印刷業者の方にお願いすれば、残っているんじゃないですか、版が。取り寄せて提出いただけますか。

秋葉国務大臣 印刷会社に一応問い合わせてみますけれども、印刷会社に現物が残っているとは限りませんので、それは即答できないことだと思います。

後藤(祐)委員 原稿があれば出していただけるんじゃないんですか。その原稿から提出いただけますか。

秋葉国務大臣 それも含めまして、私自身は確認のすべがございませんので、現物は残っていないし、印刷会社に今残っているかどうかは問い合わせてみないと分からないことだと思います。

後藤(祐)委員 理事会で協議していただきたいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 総理、いろいろ出てきました。まず、記憶にないが乱発されているわけです。記録がないも出てきました。

 総理は、これは十月二十六日の日経新聞の記事ですけれども、十月三日のこの臨時国会の召集前に、総理の言葉ですよ、記憶にないでは駄目です、記憶にないのなら関係者に聞き取って答えられるようにしてくださいと山際大臣に指示し、山際大臣は分かりましたと答えたということですが、これは事実ですか、総理。

岸田内閣総理大臣 言葉の詳細までは記憶しておりませんが、説明責任を誠実に尽くすべきである、努力をしてもらいたい、こうした要請は強く申し上げたと記憶しております。

後藤(祐)委員 秋葉大臣も、記憶がない、記録がない、繰り返していますけれども、どう思いますか、この記録がない、記憶がないという御説明の仕方について。

岸田内閣総理大臣 先ほど来、確認をして報告するようにという御指摘がありました。もちろん、これは委員会の運営に関わるものですので理事会の判断に委ねなければなりませんが、理事会の判断に従って誠実に報告をすることが求められると考えます。

後藤(祐)委員 総理の言う、真摯に説明責任を果たしていただきたいというのは、その程度のものですか。つまり、理事会で与党が反対したら、出てこなくてもしようがない、その程度の説明責任でいいということなんですか。

 今日、たくさんのことについて、理事会に説明してほしい、提出してほしいというものが出てきました。理事会がブロックするでしょう、それは。総理のために守りますよ、理事の皆さんだって、お仕事だから。だから、さっきのようなものだって、ここに立てたいというのもブロックしているわけですよ。これが、まさに説明責任を拒んでいる姿勢そのものじゃないですか。

 総理がちゃんと、理事会から求められたらじゃなくて、秋葉大臣自らきちんと説明する、きちんと提出する、求められていなくてもということを約束いただけますか。

岸田内閣総理大臣 国会の答弁には誠実に答えなければなりません。しかし、委員会の運営に関わることは理事会に従わなければなりません。それに従って誠実に対応してもらいたいと考えます。

後藤(祐)委員 総理がそう言っちゃったら、出さないですよ。今のでほっとしましたよね、秋葉大臣。これで理事会が止めてくれれば、俺は出さなくていいやと、今、実はほっとしましたでしょう。ほっとさせたのは総理ですよ。これは、責任が今度は総理に来ますよ、今みたいな答弁をしていると。

 事の真相を明らかにするのが国会じゃないですか。だって、自ら説明しないんだから。(発言する者あり)めちゃめちゃなことと言っているけれども、自民党の調査にうそをついていたのは大臣じゃないですか。自民党、ばかにされているじゃないですか。

 総理が大臣を替えるときに、統一教会との関係がある人は大臣にしたくないですよね。それでしちゃったから、山際大臣みたいなことになっちゃった。うそをつかれているじゃないですか、秋葉大臣に。

 つまり、ちゃんとした説明責任を、自民党に対しても総理に対しても果たさないから、このざまじゃないですか。そして、国会に対しても説明責任を果たさない。秋葉大臣にお願いしたってどうも出てこないから、総理に言っているんですよ。

 総理、今日、私とか大西さんが求めたことをきちんと、理事会に求められようが求められないだろうが、自発的に出すことはできるんだから。出しちゃ駄目なんて決定はしないんだから、理事会は。出せという決定はするかもしれない。でも、出しちゃ駄目なんて決定はしないんだから。理事会にかかわらず出しなさいと指示していただけますか、総理。

岸田内閣総理大臣 今日の質問には、政治資金に関わるもの、選挙運動に関わるもの、そして旧統一教会に関わるもの、様々な指摘がありました。

 私は、組閣をする際に、まず、旧統一教会、社会的に問題のある団体と関係を持ったことによって政治の信頼を損なったことについては我々自民党として謙虚におわびを申し上げながら、過去を是非しっかりと点検してもらいたい、そして、点検した結果、旧統一教会との関係が明らかになったら説明責任を尽くしてもらいたい、こうしたことを条件に入閣を要請しました。更に言うと、説明責任を尽くし、今後関係を一切絶ってもらう、このことを条件として入閣をお願いした、こういった次第であります。

 この入閣の要請に従って、しっかり、過去、接点があったならば、これは誠実に説明してもらいたい、そして、今後、未来に向けて一切関係を絶ってもらいたい、これは内閣としてしっかり守ってもらわなければならない一線であると考えています。

後藤(祐)委員 明らかになっているじゃないですか。最初の話に戻りますけれども、二万四千円の会費を払っているのが明らかになっているじゃないですか、収支報告書で。明らかになっているのに説明しないじゃないですか。だから言っているんですよ。

 総理、秋葉大臣について、もういろいろ明らかになってきちゃいましたよ。記憶がない、記録がない、予定表を捨てちゃう。山際大臣と同じじゃないですか。親族が家賃収入があるのに脱税の疑惑がある。寺田大臣と同じじゃないですか。政治資金の疑惑がある、統一教会とずぶずぶ、ダブルじゃないですか。

 しかも、この政治資金の問題は今までの皆さんよりも重いんですよ。運動員買収は、議員でなくなっちゃうかもしれないほど、一番重いんですよ、今まで。もしこれが有罪が確定すればですけれどもね。

 今までの三人よりもはるかに深刻な状況だと思いますが、総理、秋葉大臣を更迭すべきじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 統一教会との関係については、先ほど申し上げたとおりであります。あのように整理をしています。

 そして、選挙運動あるいは政治資金に関わることについては、秋葉大臣として、誠実にこれを説明していかなければならないと思います。そして、先ほど来の答弁において、選挙違反、すなわち、車上運動員とそして公設秘書はしっかり整理をしていた、こういった答弁を本人はしていたと思います。それをしっかりと説明してもらうことが大事だと考えます。

後藤(祐)委員 説明していかなくてはならないと思いますって、だから、理事会に求められなくても説明するように言ってくださいと言ったら、それはやらない。総理の言う説明していかなくてはならないとか説明責任というのがいかに軽いものであるかが分かったということで、早く更迭を求めて、終わります。

 ありがとうございました。

根本委員長 次回は、来る二十八日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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